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1983-10-04 第100回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年十月四日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 江藤 隆美君 理事 海部 俊樹君    理事 津島 雄二君 理事 三塚  博君    理事 細谷 治嘉君 理事 矢山 有作君    理事 正木 良明君 理事 吉田 之久君      足立 篤郎君    稻村佐近四郎君       今井  勇君    小里 貞利君       大村 襄治君    片岡 清一君       亀井 善之君    澁谷 直藏君       田中 龍夫君    谷  洋一君       中村  靖君    西岡 武夫君       橋本龍太郎君    原田昇左右君       保利 耕輔君    宮崎 茂一君       村田敬次郎君    金子 みつ君       後藤  茂君    沢田  広君       関  晴正君    森井 忠良君       安井 吉典君    湯山  勇君       渡部 行雄君    草川 昭三君       岡田 正勝君    和田 一仁君       中路 雅弘君    三浦  久君       小杉  隆君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         法 務 大 臣 秦野  章君         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         厚 生 大 臣 林  義郎君         農林水産大臣  金子 岩三君         通商産業大臣  宇野 宗佑君         運 輸 大 臣 長谷川 峻君         郵 政 大 臣 桧垣徳太郎君         労 働 大 臣 大野  明君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     山本 幸雄君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      丹羽 兵助君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      齋藤 邦吉君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 谷川 和穗君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      塩崎  潤君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      安田 隆明君  出席政府委員         内閣審議官   手塚 康夫君         内閣審議官   百崎  英君         内閣法制局長官 茂串  俊君         内閣総理大臣官         房総務審議官  橋本  豊君         総理府人事局次         長       吉田 忠明君         総理府統計局長 時田 政之君         警察庁交通局長 久本 禮一君         行政管理政務次         官       菊池福治郎君         行政管理庁長官         官房総務審議官 竹村  晟君         行政管理庁長官         官房審議官   古橋源六郎君         行政管理庁行政         管理局長    門田 英郎君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         防衛庁参事官  友藤 一隆君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁長官 塩田  章君         防衛施設庁施設         部長      千秋  健君         経済企画庁総合         計画局審議官  星野 進保君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         科学技術庁研究         調整局長    福島 公夫君         科学技術庁原子         力局長     高岡 敬展君         国土庁地方振興         局長      川俣 芳郎君         法務省入国管理         局長      田中 常雄君         公安調査庁次長 岡村 泰孝君         外務省北米局長 北村  汎君         外務省経済協力         局長      柳  健一君         外務省条約局長 栗山 尚一君         外務省国際連合         局長      山田 中正君         大蔵大臣官房審         議官      川崎 正道君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主計局次         長       的場 順三君         大蔵省国際金融         局長      酒井 健三君         厚生大臣官房総         務審議官    小林 功典君         厚生省公衆衛生         局老人保健部長 水田  努君         厚生省保険局長 吉村  仁君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         水産庁長官   渡邉 文雄君         通商産業省通商         政策局長    柴田 益男君         通商産業省貿易         局長      杉山  弘君         通商産業省立地         公害局長    石井 賢吾君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         運輸省港湾局長 小野寺駿一君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         運輸省自動車局         長       角田 達郎君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      鴨 光一郎君         労働大臣官房長 小粥 義朗君         労働省婦人少年         局長      赤松 良子君         自治大臣官房審         議官      津田  正君         自治大臣官房審         議官      吉住 俊彦君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    坂  弘二君         消防庁長官   砂子田 隆君  委員外出席者         農林水産省経済         局統計情報部長 井上 喜一君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         北海道東北開発         公庫副総裁   吉岡 孝行君         参  考  人        (石油公団理事) 松村 克之君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         理事長)    井上啓次郎君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         専務理事)   福永  博君         行政改革に関す         る特別委員会調         査室長     大澤 利貞君     ───────────── 委員の異動 十月四日  辞任         補欠選任   後藤  茂君     関  晴正君   森井 忠良君     金子 みつ君 同日  辞任         補欠選任   金子 みつ君     森井 忠良君   関  晴正君     後藤  茂君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣提出、第九十八回国会閣法第三九号)  国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案内閣提出第一号)  総務庁設置法案内閣提出第二号)  総理府設置法の一部を改正する等の法律案内閣提出第三号)  総務庁設置法等の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案内閣提出第五号)      ────◇─────
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国家行政組織法の一部を改正する法律案国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案総務庁設置法案総理府設置法の一部を改正する等の法律案総務庁設置法等の一部を改正する法律案及び行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田一仁君。
  3. 和田一仁

    和田(一)委員 民社党の和田でございます。  まず初めに、昨日、三宅島の大変な噴火が起こりました。幸い人命には余り大きな被害はなかったようでございますけれども、島民、関係者に私は深くお見舞いを申し上げたいと思います。  行革は、これはもういま国民の声でありますし、民の声は天の声である、こういうことで断行せねばならないという総理決意、たびたび伺っております。特に今回提案されました七つ法案は、これは石にかじりついてでも地にはってでも成立を期したい、こういう強い決意を伺っておるわけでございますけれども、この決意がきょうもトーンダウンはしていないな、こうは思います。  私は、くどいようですけれども、行革の基本的な理念、これは答申で示されておりますように、変化への対応であるとか、あるいは総合性確保であるとか、あるいは簡素効率化をもっと求めなければならないとか、あるいは信頼性確保が必要である、こういう大きな理念を踏まえて、この答申最大限尊重という立場からこの関係法案が提出されておる、こういうふうに考えます。  そこで、まず一番初めに基本的に総理に、この理念について、答申尊重でこれをおやりになる立場からどのようなお考えかをお聞かせいただきたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 行政改革は、簡素にして効率的な政府をつくろう、それから二十一世紀に向けてこれからの未来社会に十分対応できる構造を持った、機能力を持った行政府をつくろう、それからさらに国際社会に対して十分協調提携し得る政府をつくろう、そういう考え等に立ちまして案をつくっていただきました。臨時行政調査会答申は、そういう基本的観点に立ちまして具体的な施策をわれわれに教えていただいております。われわれはこれを点検いたしまして、妥当なものと認め、最大限に尊重してこれを実行するということを、累次にわたり閣議決定をしてまいってきた次第でございます。  しかし、この内容はかなり膨大なものでございまして、電電や専売公社や国鉄の改革まで入れ、あるいは年金の改革等まで入れますと、やはり三代の内閣で十年はかかるという深い姿勢で、強固な足腰を鍛えつつ、堅忍不抜で実行していく必要があると思っております。いまその軌道が設定されまして、その軌道の上をたくましくばく進しつつあるところでございまして、今回特に行革のための臨時国会をお願いいたし、七つ法案を御審議いただいておりますのも、その軌道の上をばく進している一つの姿であり、次の通常国会におきまして大きな改革法案をまた提出しようとしているその前に、どうしても実行しておかなければならぬことを臨時国会でお願いしておるわけでございまして、ぜひとも御協力のほどをお願い申し上げたいと思う次第でございます。
  5. 和田一仁

    和田(一)委員 いま、堅忍不抜精神でこれを実行なさり、軌道をばく進中、こういうお話でございました。まず、そのための一番大事な基本的な手始めの法案が出ている。この法案も日を重ねて大分審議が進んでまいりまして、大詰めではないかと思います。しかし、きょう、総理、ごらんくださいな。総理堅忍不抜、何としてもやるとおっしゃっているのですが、閣僚皆さんがそろわないのですよ。この国会で最重要政治課題と、そう位置づけられて、いよいよ法案大詰めに近づいたというときに、閣僚皆さんが、歯が抜けたようにいらっしゃらない。委員長、私はこういう状態でやっていいかどうかなとも思うぐらいですけれども、しかし、総理が初めから終わりまでいらっしゃる、そういうことをお聞きしたので、質問を続けさせていただきます。したがって、総理には大変御苦労ですが、総理にいろいろ御答弁をいただくようになるかと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  初めに、この委員会でわが党の吉田委員質問に対しまして、総理は、「増税なき財政再建」の基本方針を堅持する、そして今後、租税負担率については現状水準を何とか維持していきたい、こういう御答弁がございました。このことについては変わりございませんか。
  6. 金丸信

    金丸委員長 ちょっと和田さん、一つ聞きたいのですが、あなた、総理は出てきた、ほかの大臣は歯の抜けたようにまばらだと……。あなたの要求している大臣はみんな来ていると思うのですが、いいんですか。
  7. 和田一仁

    和田(一)委員 きのう、そういうことで出られないという相談がございました。私は、出られないのは困る、こう申し上げましたけれども、しかし、総理が終始おいでになるというので、一応了承したということでございます。よろしいですか。
  8. 金丸信

    金丸委員長 わかりました。
  9. 和田一仁

    和田(一)委員 何なら……
  10. 金丸信

    金丸委員長 いや、結構です。あなたの話を聞いてわかった。
  11. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 いまの御質問ポイントをもう一回、恐縮でございますが。
  12. 和田一仁

    和田(一)委員 大変大事な御質問をしたわけなんですが、租税負担率について、「増税なき財政再建」を行う、こういうお考えで、それでは租税負担率についてはどうかと吉田委員から御質問いたしましたときには、現状を何とか維持したい、こういう御答弁をいただいたと思いますが、いかがでございますか、変わりございませんか。
  13. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 「増税なき財政再建」という理念を堅持してまいりたい、努力してまいるつもりでおります。そういう意味におきまして、臨調でお示しいただいた基本線原則として守っていく。基本線とは何ぞやといいますと、国民所得に対する租税負担率原則として守って大幅に変えない。ただ、ある意味における微調整ないし調整措置はやむを得ないであろう。ただし、新しい税目、新税を起こしたり大きくこれを変化させるということは、必ずしも「増税なき財政再建」という意味に合致しないという意味のお示しが臨調の中にあったと思います。その趣旨を守っていこうという考え方でおります。
  14. 和田一仁

    和田(一)委員 現状維持を堅持ではなく、微調整はあり得る、いまこういうお言葉がございました。  きのう、十月三日の本委員会における瀬島参考人お話の中に、租税負担率社会保障負担率を合わせた国民負担率について具体的にどの程度まで上昇が認められるかといえば、臨調においては大体四〇あるいは四五%の範囲という意見が多かった、こういうふうに述べられておりますね。     〔委員長退席海部委員長代理着席〕 冒頭申し上げたように、臨調答申最大限尊重される、こういう精神でいま取り組まれておる、こういうお話でございましたが、そうなりますと、中曽根総理といたしましては、臨調において国民負担率が四〇ないし四五%という意見が多かったというこの意見を尊重されるということになると思うのですが、当然これに従うということになりますか、いかがでしょうか。
  15. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 その点は、瀬島さんは臨調審議過程で出てきた御議論の御紹介をやったのでございまして、臨調答申文章、最終の成文におきましては、欧米の高負担国家、大体スウェーデンとかイギリスとかそのほかの国は五一%程度であったと思いますが、それに対してわが国の場合はかなり落差のあるものにとどめておくことが適当である、そういう趣旨文章になっていたと思いまして、数字は明記しておりません。  ただ、いま言った、かなり落差のあるという解釈をどうするかという問題で、臨調の御議論の中にはそういうものがございましたが、それは正式の答申という意味で出てきているものではないのでございまして、臨調の大体の雰囲気を示しておった、過程議論でございます。政府政府として、答申自体文章でまとまった点を尊重していくべきものであると考えておりまして、かなり落差があるという線をこれから追求してまいりたいと考えておる次第でございます。
  16. 和田一仁

    和田(一)委員 いま、その辺が国民にとっても一番関心の深いところではないかと思うのです。答申の文言の中には、きのう参考人が言われたような数字では出てないかと思いますが、議論過程の中で、こういう四〇ないし四五%ぐらいの負担率までは仕方がないというような意見が多数を占めておるということは、やはり臨調全体の考えの中にそういうものは底流としてある、こういうふうに私どもは考えるわけです。  そこでさらに、いまの国民負担率をふやす場合には社会保障負担率をまずふやして、そして租税負担率はできるだけ抑えたい、抑えるべきだという参考人の御意見がきのうございました。続いて、国民負担率は四〇—四五ぐらいだ、そして、そのためにはさらに社会保障負担率をまずふやしていく、租税負担率はなるべく抑えて現状維持のままにしていく、こういう御意見がこれにさらにくっついているのですね。こういう御意見に対しては、政府としてはどういうふうにお取り組みの姿勢でしょうか。
  17. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 そういう御議論があったことも私、承知しております。恐らく租税負担率というものは選択的性格でなくして、ある意味においては法律上義務的に出てくる数字でありますから、できるだけ控え目にしておきたい。しかし、社会保障的な部面についてはある程度選択性もあります。そういう意味から、多少の弾力性を認めるという発想ではないかと想像しておりますが、政府といたしましては、そういう御議論があったということを参考にいたしたいと思っております。  しかし、これは長期計画の中の相当年月を経過したときの話を言っておるものであると思うのです。ここ一、二年の間にどうするかなんという話ではないのであって、最終的にはこの程度でおさめるべきであるという意味のお考えが示されているものである、そういうふうに考えておりまして、政府としては当面は、いままで私たちが申し上げてまいりました「増税なき財政再建」あるいは社会保障負担率まで加味したものについてもできるだけ現行の水準を維持できるように努力をしていく。ただ、中長期の期間を見ますと、一面におきましては人口がふえてまいりますし、老齢化高齢化はますます促進いたしますし、そういう意味においてはある程度経費増というものは当然出てまいります。それを何で賄うか、歳出カットで賄うか、景気がよくなって自然増で賄うか。そういうものがもうできないという場合には、ある程度保険料とかそのほかの問題によらざるを得ぬ、あるいは赤字公債によらざるを得ぬ、そういう問題が出てきますが、これらは将来そういう事態が出てきた場合において一々具体的に検討していくべき問題でありまして、いまどうこうという問題ではございません。ただ、臨調でそういう御議論がありましたことは、われわれは参考にいたしたい、そう思っておる次第でございます。
  18. 和田一仁

    和田(一)委員 三代内閣十年の大事業、こうおっしゃっております。しかし、行革一つの大きなねらいとして財政再建、焦眉の急務である、やはりこれは急がなければいけない、こう思うわけでございまして、私は、行革全体のスタンスとこれとはやはり違うのではないか、もっとこの問題は短期の中に考えていくべきではないかと思うのでございます。  瀬島さんはさらに増税についても触れておられまして、税の公平の確保、最近の国税白書でもまた不公平感が拡大されておるようでございますが、クロヨンがクシピンに変わったとかいうような記事も出ておりましたけれども、この税の公平を確保していくということ、直間比率見直しによって結果として一部の税目で増収になったとしても、それは「増税なき財政再建」と矛盾するものではない、こうおっしゃっておるんですね。しかし、財源が欲しいということからだけの単なる増税には反対だ、こうはっきりおっしゃっております。政府はこの二つの考えに対して、これを尊重してこのようにやっていくお考えでしょうか。
  19. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 その点も臨調の中で非常に論議されたところでございまして、いわゆる「増税なき財政再建定義いかんという場合に、ある限度内における直間比率変更というものは、国民所得に対する税負担の割合がさほど変更がないという場合には認めらるべきである、そういう御議論に落ちついていたということを聞いております。これもわれわれは一つ参考にしていきたいと考えておる次第でございますが、いますぐそれをやるという意味ではございません。  ただ、従来租税改革の問題につきましては、特別措置改革やらいろいろやってきているわけでございます。ある場合には法人税を少しふやしたり、あるいは内部留保その他に手をつけたり、いろいろやってきているわけでございまして、そういうものは「増税なき財政再建」にはさわらない、そういう解釈になっておるものでございますから、その解釈にわれわれはもちろん従ってまいるつもりでおります。
  20. 和田一仁

    和田(一)委員 租税負担率を変えない範囲増税をやる、いわゆる直間比率見直し考えられますか。
  21. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 租税負担率を変えないというのは、原則としてという言葉が、あるいは基本線としてという言葉がついております。しかし、これらの問題は、予算編成に当たりましてどういうようなあんばいが行われるかということで毎年毎年検討さるべき問題でございまして、いますぐどうこうという考えは決まってはおりません。
  22. 和田一仁

    和田(一)委員 行革理念と同様に、行革の柱というものは、私は、行政コストを下げる、そのためには人を減らし、あるいはむだをなくし、不要なものは整理していく。それから、民間の活力を導入していく。さらに、時代の推移に対応できるような弾力ある行政を行うということ、これも大きな柱の一つだと思います。それから、いままで行政と個人あるいは民間、こういったところの持っていた役割り分担見直し行政が必要以上に公的な関与を続けることがいいのかどうか、そういう見直しもこの行革一つの大きな柱だと思います。  そういうような柱の中で、国家行政組織法についてお尋ねをしていきたいと思います。  国家行政組織法はよく改正されておりますけれども、しかし、今度の改正の一番のポイントは二つあると思います。  一つは、やはり官房や局をいままでどおり置く、あるいはどういうブロック機関を置く、さらには局や部、こういうものに特別に次長を置くとか、行政機関内部組織の基本的な重要な事項について、いままで行政組織法はこういう大事なところについての改正は行ってきてはおりません。今回がこれは初めてでございまして、大変重要なポイント一つだと私は思います。これを政令に任せてしまうということですが、この国会における審議権が大変縮小される、このことはどういうふうに御理解になるのか。ずっと従来は、国会のそういう意味での行政機構に対するきちっとした審議を経てこれが機能されておりましたけれども、それが外されるということになりますと、これはパーキンソンの法則ではございませんけれども、ふえていく可能性が非常に私は強くなってくるのではないかと思います。これは審議権の問題と同時に、この二つについてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  23. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 今回の御提案申し上げてあります国家行政組織法改正の大きな問題はお尋ねの点であることは、私もそう理解をいたしております。すなわち、行政需要の変化に対応して機動的、弾力的に局の再編を合理的に行い得るような道を開こう、こういうわけでございます。  そうすることにいたしましたのは、この法律施行せられましてもう三十数年経過いたしたわけでございまして、新しい憲法下における国会行政または行政機構に対するコントロールという仕組みも非常に強くなってまいってきておりますし、さらにまた、役所側におきましても、こういう行政機構の管理機能というものも非常に強くなってきておりますから、こういう変化に対応して各官庁が恒常的に自己革新をやるということがより必要ではないだろうかということを考えまして御提案申し上げたわけでございますが、そうした場合において、そうした局の設置一つ一つについて具体的に国会の御審議をいただくということは、政令にお任せするわけですからなくなるわけでございますが、国会におけるコントロールの機能というものは非常に強くなっておりますから、国政調査の権限の範囲内において、あるいはまた予算書には必ず各省の局の数というのを明記して参照書として提出いたしておるわけでございますから、そういうふうな国政調査権を行使され、また、予算審議過程において十分これは御審議いただけるわけでございます。そうして政令にお任せいただきまして、私どもは国会の一般的なコントロールのもとに、厳正に機構の膨張はしないようにというふうに努力をしていきたいと考えております。したがって、この弾力化の問題に関連いたしまして、機構が膨張するじゃないかとよく言われるわけでございますので、今回は局の数は百二十八という、これ以上膨張してはいけませんよ、否、むしろ減らすように努力すべきですよという上限規制をいたしておるわけでございます。  そこで、局はその省庁における一番基幹的な補助機関でございますから、第二次的な部以下につきましてはそういう上限規制という文字を入れる必要はないのではないかということで、部以下についてはそういうことは必要ない、こう考えたわけでございます。しかし、さればといって、これの、おまえらは膨張することを考えるのかと、こうよくおっしゃいますが、私どもとしては、従来ともそうでありますが、あくまでもスクラップ・アンド・ビルドの方式にのっとって部の増設などは考えない。否、むしろ減らすように今後とも行革精神に従って努力する、こういう考えでございます。
  24. 和田一仁

    和田(一)委員 要するに、国会審議権外で行えるという政令にゆだねてしまいますと、今度は国民のサイドから、こういうものが欲しい、いわゆる行政機構をもう一回そういったところで再編をしたいなというときには、一体どうすればよろしいのですか。
  25. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、局の再編その他につきましては、国会の調査権の内容において御審議をいただくということもありますし、国会が一致したいろいろな意見をお出しいただくという場合もありましょうし、あるいは予算審議過程でいろいろ御審議をいただくということもあろうかと考えておるわけでございます。
  26. 和田一仁

    和田(一)委員 わが党の吉田委員質問に対して、いままでは法律事項であったために全部内閣委員会にかけられて、そして、これは一々審議をして決めていったわけですけれども、それが大変おくれる、そういうことをやっているとおくれるのでこれを政令にゆだねたい、それが変化への対応の道なんだ、こういうような御答弁があったと思うのですが、そうですか。
  27. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 今日までの例で見ますと、厚生省とか農林省、外務省等の局の設置等につきまして、審議未了になったり継続審議になったりしまして、大分おくれた例はたくさんございます。しかし、そういうおくれたとかいうことは別といたしましても、行政組織の規制のあり方として、今日のように議院内閣制というものがすばらしい発達を示してまいりましたし、国会における行政の機能に対するコントロールというものが非常に強くなったこの際でございますから、一定の枠の中で変化に対応するような局の再編成ができるように政令に御委任願うということがいまの時世において最も適当ではないか、かように考えておる次第でございます。
  28. 和田一仁

    和田(一)委員 先ほども申し上げたのですが、これは非常に大事なところを、ただそういう従来のやり方では遅くなるとかどうとかというそういう技術的なことで一番基本的な問題についての改正を図るということは、大変私は本末転倒ではないか、こういう感じがいたします。  それから、遅くなるあるいは審議未了とかおっしゃいますけれども、従来逆ではないか。むしろ国会がよく機能していたために新しい省庁等もどんどんできてきた、こういう実績が私の手元にございます。私は、そういう従来の国会活動を見ても、政令に任せるというこのあり方については、このままではどうしてもいけない、このままではどうしようもない、こう思うわけでございまして、もし認めたといたしましても、この改編の決定があった場合に、これを国会に報告をして、きちっとした意見を求める、そういう措置がどうしてもとられなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
  29. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、おくれた例があるからとかということではなくして、この法律ができて三十数年の間に経済社会も変わり、国会行政府とのコントロールの関係も非常に変わってまいってきたわけでございますから、この際は御審議をいただいて、政令にお任せいただきたいということを申し上げておるわけでございます。  そこで、そういうことになりますと、さっぱり国民も何も知らぬじゃないかというお尋ねもございましたので、御提案申し上げている法律におきましては、国会を含めて全国民に十分周知徹底させるということが必要であると考えましたので、官報公示の制度を採用いたしまして、それによってよく知っていただくということが必要であろうと考えておるわけでございます。  そこで、国会報告ということでございますが、私どもは、さようなわけで国会を含めて国民に公知をさせるということでございますので、提案者の政府としては現行の提案したままの法律が一番適当であると思いますが、そういう問題については、私の口からはそれは結構ですとも言えませんので、与野党で十分お話し合いをしていただきたい、こう申し上げておる次第でございます。
  30. 和田一仁

    和田(一)委員 この辺がどうしても私どもは承服しかねるところでございまして、やはり国会に対するきちっとした報告義務を明示していただかなければならない、こう考えております。  それで、上限を設けたから減らすのだ、こう言いますけれども、かつて四十三年に一省庁一局削減、こういう行革が行われました。しかしそのときに、百二十あった局は百二に減りましたけれども、そのかわりに九十六であった部が百六にふえているんですね。こういうことがやり得る。過去もそうやっている。こういうことを考えますと、私は歯どめには決してなってない、こう思います。それから、その下の課室等、こういうものについても、もっとはっきりと臨調答申は削減を要求しておるわけですね。これについてもやはりきちっとした方向を示していただきたいと思うのです。  私は、これはやはりこの辺がきちっと明示されないと、国民にとっては、痛みは国民の方に全部しわ寄せがあって、みずからは何も痛まずに、そんな行革あるか、これは行革全体に対する大変大きな反発になってしまう、こう思うわけでございまして、この長官の答弁の中でもう少し具体的に、五年間で一割なら一割という削減の方向を明示していただきたいと思います。  総理大臣いかがですか、これ。私はもうそこが基本だと思うのですがね。
  31. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 部につきましては、先ほど申し上げましたように、局の中に設置するところの第二次的な補助機関でございますので、将来一割とかいうことを言いましても、いま見通しを立てることは非常に困難でございます。そういう意味において、部については第二次的な補助機関でございますから、そういう上限の規制をする必要はないと思っておりますけれども、私どもは、臨調精神というものはやはり縮減にあるわけでございますから、スクラップ・アンド・ビルドを厳正に行い、さらにまた今後とも縮減するように努力をいたしたいと考えております。  それから、課室等につきましては、御承知のように、五年間に一割ということでございまして、千数百あるわけでございますが、五年間に一割、百幾つというものを減らしていくということは閣議決定をいたしておりまして、「整理再編」とありますけれども、整理に重点を置いた、縮減ということに重点を置いた課室の整理をやっていきたい、かように考えております。
  32. 和田一仁

    和田(一)委員 細かい具体的なことがなかなか出てこないようですが、総理行政改革は、これをどうしてもなさるためには、私は国民の本当の理解がなければできないと思います。その協力なしに実のある行革の実行はなかなかむずかしい、こう私は思うのですが、いまのような御答弁が繰り返されている限りでは、国民にとっては真剣に取り組んでいるのかなという感じがどうしてもしてくると思うのです。たとえば国民負担の面については、健康保険の改悪をやって、そして負担をふやそうとか、あるいはきのうも出ていましたけれども差額ベッドの比率を拡大するとか、こういう負担はふえながら政府自身は何の痛みも感じてない、こういうことではこれは国民行革に対する理解と協力というものがなかなか得られないのではないかと思うのですが、総理、一言いかがですか。
  33. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 政府はほかの面におきましても、まず予算についてゼロシーリング、マイナスシーリングということをやりまして、特に出張旅費とかそのほかの庁費の大削減をもう三年間もやってきておる次第でございます。ですから、よく申し上げるのですが、課長クラスが外国へ出張するときにはエコノミーでいくか、エコノミーの金もないというのでツアーの方へ紛れ込んで入っていくとか、それぐらいいま切り詰めてやっておるわけであります。また一方、定員の面におきましても第六次削減計画を進行させておりまして、昨年は実定員で千四百何十名の出血をやった。本年の五十八年度におきましても千六百九十七人でしたか、ともかく千七百人近くの出血をやっているわけです。来年はもっとやろうと思っています。  そういうわけで、実際的にもかなり厳しい措置をどんどんやっておるのでございまして、引き続いて努力してまいりたいと思う次第でございます。     〔海部委員長代理退席、江藤委員長代理着席〕
  34. 和田一仁

    和田(一)委員 戦前は国の出先機関というものはそうたくさんなかったと思うのです。最近は各省が出先機関を全部持っております。昔はむしろ例外的に出先機関を設けていたのではないかと思うのです。そして同時に、出先機関そのものの所掌事務も大変現業的なものに限られていた、こういうふうに理解しておりますけれども、それが戦後は新しい地方自治制度とともに大変各分野において増設されてまいりました。戦前のことにも詳しい総理ですけれども、これを眺めておられて、一体どうしてこんなふうに戦前にはなくて済んでいたものが、戦後の新しい地方自治制度ができてからこういう出先機関がふえてきたのだとお考えでしょうか。
  35. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 戦前は旧憲法のもとで官治行政というものが全国にめぐらされておりまして、知事さんも内務大臣が任命し、動かしておったわけで、中央集権的な性格が非常に濃厚でありましたから、出先機関というものは府県で統一されておりました。官治行政でありました。  戦後は自治行政が発達いたしまして、知事さんが条例をもちまして住民の意思によって自由に独断である程度ものができるようになった。そういう意味において、中央官庁の方で全国的統一を考えるとか、標準を維持するとか、あるいはある意味におきましてはその府県に対して任せられないという危惧感等々から、自分の手足が欲しい、あるいは官庁の縄張り的根性から出先機関が欲しい、そういうことで雨後のタケノコのように続出したと思うのです。  そういう意味におきまして、私は府県単位の機関というものはできるだけ整理してしまう、それでブロック機関に集中して、ブロック機関が適宜機動的に動けるようにしていく、そういう方針が好ましい。ブロック機関の場合でも、できるだけ省ごとに集中するとか、あるいは省も一緒にあわせて集中させていくとか、順次そういう方向に持っていくのがいいと思っております。
  36. 和田一仁

    和田(一)委員 おっしゃるとおりに、私はこれは不要だ、こう思っております。地方自治がここまで発達してきて、通信手段も発達してきて、いま行革一つ精神として地方分権、中央から地方へ、こういう一つのテーマが与えられているだけに、私はこの出先機関についてはやはり思い切った方向で整理していただきたい、こう思うわけでございます。特に、設置されたときには一応の任務があったかもしれませんが、もうそういう役目を終えてしまったような機関がそのまま存続されているというようなものは、これはもう一日も早く見直しをした上でこれの整理をしていただかなければならない、こういうふうに思います。  そこで、事務がいま三機関だけはあれがありますけれども、もっと府県単位機関で地方団体の事務と重複しているもの、こういうものやあるいは本省への単なる経由機関にすぎないようなもの、こういうものがたくさんあると私どもは思っておるわけでございますけれども、これについて答申では廃止、こういうふうに方向づけをされておりますが、いかがですか。
  37. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 ただいま総理から御答弁のありましたような趣旨で、地方の出先機関全般にわたって合理的な改革をやっていくべきである、私もさように考えておるわけでございます。  そこで、御提案申し上げておりまする三つの府県の出先機関の問題でございますが、臨調答申におきましても、やはり現地の住民に対するサービスというものを考えて全部やめ切りにしてしまえというわけではない、現地処理機関というものは最小限度あるべきではないか、こういう考え方に立脚をいたしております。そこで、この三機関につきましては、できるだけその府県単位機関の事務をブロック機関に集中して移す、そして、できるだけ要員も減らしていく、そして現地における住民に対するサービスの機能だけは果たしていくようにしたらどうだろうか、こういうことにいたしておるわけでございまして、大体要員規模も府県単位の機関からブロック機関には約二割程度は移していこう、こういう考え方であります。
  38. 和田一仁

    和田(一)委員 事務が残りますと、やはりこれは国民にとっては負担になってしまうので、事務を廃止することですね、事務を移管してしまう、このことが大事だと思います。  そこで、三機関の対象になっている各大臣にお伺いしたいと思うのですが、大蔵大臣見えていませんが、大蔵関係で財務部はこれは現在どういう仕事をされているのでしょうか。
  39. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 お答えいたします。  現在、財務部で所掌しております主な仕事は、国有財産の管理処分あるいは信用金庫の監督事務、地方公共団体に対する融資事務、こういった仕事を主な業務としております。
  40. 和田一仁

    和田(一)委員 それは現地で決着がつくのでしょうか。
  41. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 国有財産の管理処分あるいはいま申し上げました信用金庫の監督事務あるいは地方公共団体に対する融資事務、こういったものは現地ですべて解決する方向で現在仕事を処理しております。
  42. 和田一仁

    和田(一)委員 経由すべきものは本省に、現地で決着ができるものは県等に移管していくべきではないかと私は思います。信用金庫等のこういう金融機関の監督も、サラ金法のように地方自治体に任せていいのではないか、こういうふうに考えておるわけです。  法務大臣、地方の公安調査局は現在何をやっておられるのでしょう。
  43. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 地方公安調査局は、それぞれの管轄区域内におきまして、わが国の憲法秩序を暴力によって破壊しようといたします破壊的団体の動向につきまして、破壊活動防止法に定めます団体規制に関する調査、あるいは警察等関係機関との情報連絡、こういった業務などを行っております。
  44. 和田一仁

    和田(一)委員 いまお答えになったそういう中身と警察との関係はどういうふうになっているのでしょうか。
  45. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 公安調査庁の業務は、警察の業務とその目的とするところが異なるわけでございまして、公安調査庁は団体を対象といたしまして、団体の規制に関する調査を行う、これを業務としているわけでございます。それは警察が行いますところの犯罪の捜査とは異なった目的の業務でございまして、公安調査庁といたしましては、そのような角度から公安調査庁の立場から独自の調査活動を行っておるわけでございます。  また、一般的に申しますと、情報源が非常に多様化しております中で確度の高い情報を確保いたしますためには、複数の機関がそれぞれの立場からその特質を生かしまして情報を収集する、さらにこれを分析評価するということが望ましいわけでございまして、それがまた情報収集業務の成果の向上にもつながるわけでございます。  さらにまた、権限の分散という点から見ましても、警察とは別個に地方公安調査局が調査活動を行うということが必要である、このように考えておるわけでございます。  なお、参考までに外国の例を申し上げますと、西ドイツでも、わが国の公安調査庁と類似いたしました機能、すなわち憲法秩序擁護のための調査機能を持つ機関といたしまして、憲法擁護庁というものを警察とは別個の機関として設けておるわけでございます。
  46. 和田一仁

    和田(一)委員 破防法を踏まえて活動されておるのですが、法務大臣は警察にもお詳しいわけですが、警察の中には、いや、これはわれわれの方がようわかっておる、そういうものはもうなくてもいいんだというような声が聞こえるのですが、いかがですか。
  47. 秦野章

    ○秦野国務大臣 いまお答えをしたのに大体尽きるのですけれども、団体規制をする場合の証拠収集の材料と情報と、それから警察はどうしても犯罪というものに関連しちゃうんですね。確かにおっしゃるようにダブる面もあるのですけれども、団体を規制する場合の証拠収集というそういう情報は警察だけで賄い切れない部分があることも事実でございます。  いまの世の中を見れば、団体規制の状況というものは一ころとはちょっと違っている状況がありますけれども、破防法ができた時代とは違っておりますけれども、しかし、この世の中の変化というものはやっぱりあり得ますので、やっぱりこの法律を置いておく限り、その情報の収集ということを重点に機能していかなければならぬ国家機関というものは必要じゃなかろうかというふうに思うわけでございます。  ただ、おっしゃるように、なるべくそれが効率的に、ダブって行われるような——ある程度ダブることはしようがないと思うのですよ。これはよけいなことになりますけれども、ケネディが大統領になったときに、情報機関がたくさんありまして、あれを一本化しようとした。一本化しようとしたが、いろいろ検討した結果、一本化は情報というものが偏して、そしてまた、全体的にその情報に基づいて判断する材料が結局間違ってしまうということで結局一本化できなかったという歴史的教訓があるのですよ。私はそのこともやっぱり頭に置いて、警察は情報機関じゃなくて犯罪捜査機関でございますから、やっぱり要るのだろうな、これはやっぱり長期に見てしっかりやらせにゃならぬ機関だろう、こう思うわけでございます。
  48. 和田一仁

    和田(一)委員 私は、日本の優秀な警察能力をもってすればある程度、相当部分がここで消化できる、こう考えておりますので、ぜひひとつ見直しを徹底的にやっていただいて、むだなものは省いていただきたい、こう思います。  行管庁の長官、地方行政監察局というのは主として何をなさるのですか。簡単にひとつお願いします。
  49. 竹村晟

    ○竹村政府委員 行政管理庁の地方行政監察局におきましては、国の行政機関に対する監察、それに関連いたします調査、そういったことや行政に対する国民の苦情の処理、あっせん、こういったことを主としてやっております。
  50. 和田一仁

    和田(一)委員 私は行政相談の実態というのは、恐らく監察局というようなこんなもののあることも余り国民は知らないですね。こういう行政相談については市町村の窓口にいくのではないか。行政そのものの監察を要求するようなそういうケースは本当に少ないのではないかと思うのですね。そういう意味では、これは自治体に任せていいのではないか、また国へのいろいろな国民の意向は自治体から国へ上がってくればそれでよろしい、こう思います。行政管理庁はこういうところで思い切って範を示して、まず隗より始めよ、範を示すことが行革推進の一つの大きな推進力になると私は思うのですが、いかがでしょう。
  51. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 国の行政枠が縦割りできておりまする関係上、県の行政監察局は国の機関の監察ということでございますから、これを府県知事に任すというわけにもまいりません。それから、行政相談につきましては、国の機関に対してのいろいろな苦情処理ということでございますから、それを一概に回すということはできないと思いますが、御趣旨の点は私も相当理解できると思います。これは十分ひとつ検討していきたいと考えております。
  52. 和田一仁

    和田(一)委員 今回の整理法の中で国の出先機関の総称だけが法律事項ということになったのですね。これはどういうわけでしょうか。
  53. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 ブロック機関につきましては大体原則として八つということにその臨調答申は出ておるわけでございます。そこで、その八つにするという整理合理化の方針として考えてみますと、省に二つのブロック機関を持っておる省があるわけですね。陸運局とか海運局とか、こういったふうなものにつきましては、陸運、海運という別々の機関をやめて統合しまして運輸局にしようという動きもあるわけでございます。そういうふうな省によって複数のブロック機関を持っておるというところがあるわけでございまして、それはやはりあくまでも合理的に再編していこう、こういう動きも自発的にあるわけでございます。そこで、そういう大きなブロック機関はやはり総称として法律に規定をする、そして、その管轄区域なり所在地なりそういうものは政令にお任せいただくというふうにしていただきたい。それによって総称の地方財務局だとかあるいは地方運輸局だとかいうものが仮にできて、それがどういうふうに配置され、あるいは管轄区域をどの程度にするかということだけはひとつ政令にお任せいただきたい、こういうふうにいたしたわけでございまして、非常に重要なブロック機関でございますから法定事項にいたしたわけでございます。
  54. 和田一仁

    和田(一)委員 もっとほかの視点からも御質問したいのですが、総括いたしましてこういう地方出先機関の整理縮小について具体的にぜひひとつ計画を示していただきたい、削減の方向で取り組んでいただきたい、強く要望いたしておきます。  総務庁の設置に関してですけれども、これの一つの大きなポイントになっておりますのは統計局だと思います。統計行政改革について、この前の委員会におきましてわが党の岡田委員質問に対して長官から御答弁がございまして、その中に企画部門とそれから作業部門とは分割するのだ、こういう御答弁がございました。作業部門という表現をお使いになったんですね。これは製表部のことではないかと思うのですけれども、そうですか。
  55. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 そのとおり、作業部門という言葉を使いました。
  56. 和田一仁

    和田(一)委員 作業部門という言葉のニュアンスには、何か現業だからというようなニュアンスが私は受け取れるのです。けれども、統計というものを歴史的に見てみますと、これは最初は政表と言ったのですね。明治四年にわが国に初めてこういう統計事務が創設されたときには、統計なんという言葉がないころには政表という言葉を使ったのです。政表の政は、製造の製ではなくまつりごとの政ですけれども、政表という言葉が統計の前身の言葉なんですね。それぐらい製表と統計とは切っても切り離せないものだと私は思うのです。字は変わってはまいりましたけれども、これが統計の主要部分を占めているのではないか、こう思うわけでございます。それを切り離す、附属機関にする、こういう構想が示されておりますのでいろいろお尋ねしたいと思うのですが、まず製表部に対する長官の認識はどのようなものでしょうか。
  57. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 今回の総務庁設置構想の中に統計局というものを新たにつくることにしたわけでございますが、その統計局というのは、行政管理庁が所掌しておりまする各省庁の統計、その総合調整という部門が行管庁にあるわけでございます。これは統計法とか統計調査調整法といいましたか、要するに統計法というものに基づきまして各省が全部行っておる統計というものの総合調整を行って、あくまでも統計の重複を避けなければいかぬ、国民の負担を軽くしなければならぬ、こういう精神に基づいて、統計法というものに基づいて総合調整をやっております。それと同じように、国勢調査その他旧統計局が所掌をしておりまするもろもろの現実行っておる統計というもの、これは国勢全般にわたるきわめて重要な、基礎的な資料をつくる重要な仕事でございますから、こういう各省にまたがる統計の総合調整事務と国勢の特定的な基幹的な統計、それの企画事務というものを一緒に所掌させ、国全体として見ましたときには統計機能というものの中核的な機能というものをそこに確立しよう、これが一番のねらいでございます。  そこで、その中核的な統計機能というものを確立するということになりますと、従来旧統計局で行っておりました国勢調査等に基づく製表事務というものは、国勢調査等に基づく製表のほかに他省から統計の委託を受けて集計をやっている部門もあるわけでございますから、その部門を一括して独立の附属機関にするということが行政組織の上においては適当であろう。すなわち、新統計局は企画的な面、総合調整的な部局にして、現業という言葉が適当であるかないかは別といたしまして、集計表をいただいてそれをまとめていくというふうなことはむしろ独立した附属機関にすることが適当ではないか、こういうことで附属機関ということで独立させることにいたしたわけでございます。
  58. 和田一仁

    和田(一)委員 私が理解しております統計というものは、まず情報を集めて企画を立て、その企画に基づいて設計をし、あるいはその設計段階での手直しもあるでしょう、そして調整をした上で調査に入っていく、そして、その調査の結果を製表していく、さらに分析をして発表する。こういう一連のものがそろって初めて信頼される統計ができる、こういうふうに理解しておるのです。その設計の手直しやら調整やらという段階で、いまおっしゃる製表のあずかる力というのは大変大きい。これは相互に非常に密接な連携をとりながらやらないと、設計がうまくいかないだけでなく、設計どおりいかないということになりかねないわけです。それぐらい大事な部門を担っているのが、私はこの製表部ではないかと思う。これは一体なんですね。  またさらに、新しいお考えの中で、新しい統計局がいままでの統計主幹のやっておられたような仕事、そういう意味での総合調整をなさる、結構だと思うのですよ。ところが、いまたくさん各省庁がやっておる統計も、現実には統計局のいろいろな意見を参酌して、専門的な意見を組み込んで設計をし、やっている。指導もし、また連携もとっている。こういう実態ではないかと思うのです。ですから、私は一体になって一向差し支えない、こう思うのです。これが機能したればこそ、日本の統計技術というものは大変高く評価をされて、至るところで指導の要請を受けている、こういうぐらいな大きな成果を上げているのだと私は思うのですね。これを各省から委託されている業務もあるから、そういう作業部門だから分けるということは、私は日本の統計の考え方からいえば、これは行革とは反対じゃないかと思う。非常に能率も悪くなるし、不正確なものになっていってしまう。これは何としても一体でなければならぬ、こう思うのですね。  ただ、統計の製表の中でやっている作業そのもの、これは長官、ごらんになったことございますか。
  59. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 私は現場で見たことはございません。しかし、お話しのように、統計をりっぱに完成させるためには、製表部門の仕事というものは非常に重要である。これは私は十分認識しておるつもりでございます。  ただ、今度の新総理府というのは、現在の統計局が行っているような労働力調査とかあるいは国勢調査とか、そういったふうな特定した調査のみならず、国政の基本である各省全般の総合調整というものをあわせ備えたような統計の中核的機能を発揮させるための新局をつくるわけでございますから、そういうふうな新局をつくるということであれば、基礎作業部門だけは別に独立してまとめて独立機関にするということがむしろ効率的ではないか、かように考えたわけでございまして、作業部門の仕事の重要性、これはもう私はそのとおりだと考えております。
  60. 和田一仁

    和田(一)委員 実態はごらんになっていないようですが、作業的な仕事が多いということで言うならば、私は大蔵省でそろばんをはじいている方もこれは作業部門になってしまうと思うわけなんです。いま長官は、新しい統計局は総合調整の機能を果たす、それだけでいい、そういうことが中心だ、こういうふうに総合調整を主力にというお考えですね、この新しい統計局のあり方は。その以前に、行管庁にありました統計主幹というものの仕事は、先ほどの御説明のように、この総合調整をやっておったと思うのですね。実態は総合調整機能が果たせているとお考えですか。
  61. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 御質問の中の、総合調整を主力としてということを私は考えておりません。これはもう非常に重要な各省にまたがる総合調整、その仕事と、国政にとっては非常に大事な国勢調査だとかあるいは労働力調査とか消費者物価指数だとか、こういう国政全般を通じて非常に重要な統計、それの企画部門と一緒に行うというわけでございまして、どちらを主にするなどということは、私はそういうことは考えておりません。  それから、現在の行管庁の方で所掌をいたしておりまする総合調整という仕事につきましては、各省庁にまたがる統計の重複を避けたり、国民の負担をできるだけ軽くするようにということで、統計法に基づきましてそれぞれの統計をやろうとするときには行管庁に全部相談をし、そして、それをチェックしながら統計法の趣旨に従って運営をいたしておるわけでございまして、りっぱに総合調整機能は働いておると私は考えておるものでございます。
  62. 和田一仁

    和田(一)委員 日本の統計機構の、各省庁が持っております統計をやっておる課の一覧表がここにあるのですけれども、数えてみますと統計をやっておる課だけで七十一ぐらいあるのです。その中で総理府の統計局の課だけで十一ぐらいですから、六十ぐらい、各省庁それぞれ統計のための課をお持ちなんです。たくさんの統計が行われております。これを総合調整するのが統計主幹のお仕事でしょう。ところが、これはまだ相当調整すべきだと思うような調査が現実に行われておるのです。私の手元に、家計調査、これは統計局の調査名ですが、目的は、「国民生活における家計収支の実態を把握し、経済諸施策の基礎資料とする。」ために行われております。全国約八千世帯が対象です。これは統計局から県へ行き、指導員に行って、調査員に行って調査されております。経済企画庁調査局、消費動向調査というのがございます。これは調査目的は、「家計の収入、支出及び貯蓄を把握し、景気動向判断の基礎資料とする。」こういうことです。全国の調査対象は約六千。統計局のは八千ですね。これは企画庁から県へ行き、同じように指導員に行って調査をされておる。これは中身はほとんど変わらないんです。違っているのは家計の収入、支出だけでなく、貯蓄動向をここで調べておる。これは統計局の家計調査に一項目加えればできてしまうのです。同時に、統計局自体も貯蓄動向調査というのは毎年一回やっているのです。年末になって、貯蓄動向を調べるためにそういう調査をやっております。この基礎資料と、あるいはもっと、経企庁がやっておる年四回、こういう調査にふさわしいような密度でやりたければ毎月やっておる総理府の家計調査に一項目加えればできてしまうのですね。  こういうことがいま各部局、さっき申し上げた六十ぐらいの中でたくさん行われておるのです。これでは私は、統計主幹が本来果たすべき総合調整機能というものを果たしていたと言えるかどうか、大変疑問に思うのです。こういうものを整理していくということが私は行革ではないか。そして、むだのない、きちっとした統計情報を提供してもらう。このことが肝要だと思うのでございますけれども、いまのような実態をどのようにごらんになりますか。
  63. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 ただいまの先生の御指摘のございました、たとえば消費者動向調査とか家計調査とか、または貯蓄だけの調査というものは調査項目が重複しておるではないかというようなお尋ねでございますけれども、私どもとしましては決して調査項目の重複はない、重複しておるものはないと承知しておりますが、先生の御理解をちょうだいするために、簡単にひとつ政府委員の方から御説明をさせていただくことをお許しを願いたいと思います。
  64. 時田政之

    ○時田政府委員 お答えいたします。  私ども総理府統計局で実施しております家計調査では、家計簿に記入しました実際の収入支出を調べているわけでございます。先生御指摘の経済企画庁でやっております消費動向調査は、いわば過去の家計と比べてふえたか減ったか、並びに将来の支出にわたります今後どういうかっこうのものがふえるであろうか、こういった消費者の方の見通しを聞いているものでございまして、いわば実績と、あるいは意識を聞いているものでございまして、重複は私どもないと考えておる次第でございます。  それから、私どもの貯蓄動向調査と経済企画庁の方の消費動向調査の貯蓄部門、これにつきましても、やはり私どもの貯蓄動向が実績でございまして、企画庁の方は見通し、意識でございますので、重複はない、このように考えている次第でございます。
  65. 和田一仁

    和田(一)委員 局長、いまの御答弁で重複がないとおっしゃいましたが、それなら統計局でやればこういうことはもっと簡単にできるんじゃないですか。いかがです。
  66. 時田政之

    ○時田政府委員 私ども統計局の所管事務は、いわば統計の実績を把握するというのが目的でございます。経済企画庁の方でやっておりますのは、いわば景気動向の把握という点に主眼がございまして、そういう観点で二つの省庁で現在分かれておるわけでございます。  なお、補足いたしますというと、この点につきましては行政管理庁の方の報告調整法に基づきます調整という作業を受けておるわけでございます。
  67. 和田一仁

    和田(一)委員 いま統計調査にどれくらいの職員がかかわっているか、どれくらいの予算が使われているか、こういうことをちょっと私は私なりに調べてみましたけれども、これが正確かどうかちょっと一遍教えていただきたいと思うのです。  国の統計職員数というのが五十六年四月一日現在で総計四千十六人ですね。その中で総理府本府の職員が千九百九十五人。地方まで入れますと全部で一万三千二百七十八人いるのです。総理府本府は合計で千九百九十五人ですが、一万三千二百七十八人のうち一番多いのが農林水産省九千百七十五人、パーセンテージにしますと全体一万三千二百七十八人のうちの六九・一%、こういうたくさんの人を抱えて調査業務をやっておられるのですね。これは統計情報事務所というところが各地にありまして、ここにいる職員だろうと思うのです。こういうことですね。ここでやっておるようなことの調査統計が本当に有効に活用されているかどうか、この辺はどんなふうにとらえておられますか。どうも大変大きなむだをやっているような気がしてならぬのですよ。農林省、ひとつ。
  68. 井上喜一

    井上説明員 お答えいたします。  農林水産省でどういうような統計をつくっているかというお尋ねかと思いますけれども、耕地面積でありますとか農産物の収穫量あるいは生産費、災害状況、あるいは就業動向等、漁業、林業につきましても同様な項目につきまして調査をいたしております。いわば農林行政に必要な資料あるいは農林漁家の経営に必要な基礎的な資料を把握いたしまして、分析、配付をしているという状況でございます。  農林関係の統計は、御案内のとおり、米価を初め農産物価格の決定でございますとか、あるいは災害対策等の中身を決めます場合に重要な参考になるものでございますし、たとえば市況調査のようなものは、農家が農産物を出荷いたす場合にどういう市場へどれだけ出荷をすればいいかという重要な指標になるものでございまして、われわれといたしましては、現在調査をいたしておりますものは基礎的な必要限度のものである、このように理解をしておりますし、また利用についても十分利用されている状況であるというふうに考えております。
  69. 和田一仁

    和田(一)委員 必要ないとはなかなかおっしゃらないだろうとは思いますけれども、現実には、これはある民間の団体が地方の公務員にアンケートをとりましたら、その回答は、統計情報事務所の仕事は全く不要だ、圧倒的に、存在する必要ない、こう認めておりますね。これは廃止または縮小すべき、九四・五%、そういうような回答をいただいている、そういうデータもあります。ですから、したがって、こういうものを踏まえて、やはり統計主幹というような総合調整すべきところがもっと真剣に従来この統計全体を見ていれば、こういうことはどんどん削減されてきたんではないかと私は思うのです。これからはぜひそういう方向でやっていただかなければならないと思うのですね。  そこで私は、今度統計の機構について、従来の統計主幹とそれからいまの統計局の調査部だけを一つにして、そして総合調整をやる、これは従来より効率が悪くなってしまうのじゃないかというのと、それから統計主幹の仕事、これが従来も機能していたというし、これからもそういうことが大事だというならば、むしろこれを新しい総務庁の官房に入れたらどうか。そして統計は、従来どおり統計一本で、やはり内局の中にきちっと残しておく、その方が日本全体の統計の総合調整についてはむしろ、いま統計局長の御答弁にもあるし、その方が従来のそれぞれの役割り分担を生かしながら新しい日本の統計の行政としてはよりいいのではないか、そういうような感じがしてならぬのですね。これは法律に決めないで政令でやれることですから、ぜひひとつ十分考慮していただきたい、こう私は思うのですが、いかがでしょう。
  70. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 総務庁設置の構想をまとめ上げるに当たりましては、統計の重要性ということを十分考えまして、一カ月以上にわたりまして政府部内において慎重に検討をいたしたわけでございます。御意見のような御意見もあったかとも承知しておりますが、慎重に検討いたしました結果、行管庁の所掌しておる総合調整事務と、国勢調査等現在の統計局が所掌しておりまするもろもろの統計の企画事務を一元化し、一本に行って、そして統計の中枢的機能というものを政府全体として見たときに一元的に機能を強化するということで落ちついたわけでございますので、いろいろ御意見のある点は私も承知いたしております。いろいろな意見がございます。けれども、いまの段階においては、慎重に政府部内において検討いたしました結論でございますから、私はこの結論に従うことが最も適当であると考えております。  それからなお、既存の統計の見直し等について非常に強い、温かい御鞭撻をいただいたわけでございますが、そのとおりでございます。     〔江藤委員長代理退席、委員長着席〕 これはやはり国民の負担を軽くする意味からいっても、やはり重複しているような誤解があるならば、これはできるだけ整理統合していくとか、いろいろな措置を講じなければならぬことは当然でございますから、臨調答申におきましても三年間に二割整理再編しろ、こういう答申が出ておるのです。おっしゃるとおりでございます。でございますから、廃止すべきものを廃止するとか、あるいはよそのものと一緒にするものは一緒にするとか、国民の負担を軽減し、そして重複感を与えるようなことがあってはならない、そういう意味において今後とも精いっぱいの努力をいたしてまいりたいと考えております。
  71. 和田一仁

    和田(一)委員 総理大臣、いま統計局のことをやっておるのですけれども、今度の新しい総務庁構想というのを見ますと、これは行管庁から二局、それから総理府から二局、人事、恩給ですね、二局ずつ、こう来ておる。そして、統計を入れると総理府からの方が一局多くなるのですね。そこで、これをどうすべきかというようなことから、統計主幹と統計局の企画調査部門だけをちょうどこれは同じくらいのバランスで一つにして、そして製表部門だけを外局に持っていく、こういうバランスの上で私はこの総務庁構想というのができているような気がしてならぬのですが、そういう心配はないのですか、これは。
  72. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 総理府を行管庁と一緒にするという場合に、いろいろ考えまして、恩給はやはり総理府から行管庁統合の方へ持っていったらいいだろう。問題は栄典制度、賞勲局の問題ですが、これはやはり内閣の直属で置くべきである。  問題は統計でございまして、統計については行管庁と総理府がおのおの持っておったわけです。どっちかと言えば、行管庁が持っているのは総括事務、総理府が持っておるのは大体現場事務というものでございまして、それでこれをどういうふうに結合させるかというのが非常に大問題でありました。橋本君がつくった案によりますと、これは筋をとうとべ、そういうことで局と置くべきものは総括事務にすべきである、現場事務というものは局に置くべきではないという、これは筋道論がありまして、しかし、一緒にすべきであるという議論もありまして、結局いまのような局にすべきものは総括事務にして、現場事務はセンターというような発想で置こう、そういうことで内閣及び党が一致いたしまして、一応筋は通してできている。ただ、現場事務がたしか二千人ですか、非常に数も多い、そういうことでいろいろな過程におきまして身分上の問題や何かの心配も起こりまして、最終的には党及び内閣でそういうふうに決断を下しまして、一応筋は通っていると考えておるわけです。
  73. 和田一仁

    和田(一)委員 総理、そこをいまずっと議論してきたのですけれども、私は、ほかの部門と違って、これは現場だからといって外すというのは大変不安なんですよ。そうしますと、統計そのものが非常に従来と違ってしまう、機能が劣ってしまう、こういうふうに思うので、それはそれで一つにしておいて、総合調整というものが大事ならば、それを従来どおり統計主幹がおやりになるということで新しい官房にこれを設けておけば、私は機能としてそこで総合調整はできるし、統計は統計で従来どおり優秀な世界に誇る統計事務が存続される、こう考えます。ぜひひとつこの点は御考慮をお願いをしておきたいと思います。  それでは委員長、資料を委員皆さんにお配りいただきたいと思います。  地方公務員の特殊勤務手当あるいは休暇、こういうものについてお尋ねをしていきたいと思います。  現在、各自治体においては、地方公務員に対しまして大変たくさんのいわゆる特勤と言っておりますけれども、特殊勤務手当が支給をされておりますけれども、この特殊勤務手当はどういう仕事の内容に対して支給されておるのでしょうか。
  74. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 特殊勤務手当というのは、公務員に共通の給与の一つの形態だと思うのですが、これは国家公務員につきましては、一般職の職員の給与に関する法律という中で、著しく危険、不快、不健康、困難な業務に従事する者、この中で勤務の特殊性によりましてそれを給料の中に織り込むことが適当でない、こういうものについては、そういう特殊勤務に服している者に特殊勤務手当としてこれを給する、こういうたてまえになっておりまして、それは地方公務員についても同じようにやっているわけであります。
  75. 和田一仁

    和田(一)委員 いまの御答弁では「著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務」という規定のもとに出される、こういうことでございますけれども、いまお手元に差し上げました、これは都下の東村山市における特殊勤務手当の規則でございます。この中に一ページ目の下の方に保育所の保育に従事する保母さん、栄養指導に従事する栄養士の人あるいは保健指導に従事する保健婦、タイプに従事するタイピスト、自動車運転従事職員、バス運転従事職員、あるいは図書館の業務に従事する図書館職員、最後にもう一つ、運転手と書いてあります。さらに、その一番最後のページには電話交換手、調理員、主事、こういうふうにございますが、こういう規則でいろいろな手当が出ております。  自治体三千幾つかの中で、こういったいわゆる特殊勤務というものがそれぞれ各自治体において制定されているようでございまして、窓口手当であるとかあるいは運転手当であるとか雨中作業手当であるとか、いろいろな手当が出されておりますけれども、こういう特殊勤務手当の出し方、私はこういうものを見まして非常に不思議でかなわないわけです。窓口手当なんというのは相当あちこちの行政で出しているようです。これは市民が印鑑証明が欲しいとか住民票が欲しいとか戸籍謄本が欲しいとかいって役所に行って応接をしてもらうあの窓口の向こう側に座っている人なんですね。何の理由でこの窓口に手当が出るのか。著しく危険とは思えません。著しく不健康あるいは困難な仕事をしているとも思われない。何かといって一生懸命探すと、さっき長官の御答弁のように、著しく不愉快な仕事の部類にしか入らないのですよ。著しく不愉快になるのは、むしろ税金を納めて、印鑑証明をもらいに行って、あっち行け、こっち行けと言われている市民の方が著しく不愉快になるのであって、何で向こう側に座っている人に窓口手当を出さなければいかぬのか、これはどうしても納税者である市民に説明がつかない。  大阪の八尾というところで雨中作業手当というのを出しているそうです。これは雨が降った場合の作業の手当です。一時間当たり給料日額の一割支給、こういうことでございます。あらしの中でやるならこれはいいですよ。規定があるのです。一時間に〇・五ミリ以上の雨なら作業手当を出す、こういう規定です。私は気象庁に電話して聞きました。一時間〇・五ミリというのはどの程度のどしゃ降りかなと思ったわけですが、気象庁が予報などで出しているのは、一時間一ミリ以上を雨という範囲で出しているようですね。〇・五ミリというのは社会生活に支障がない範囲だ、こういう理解のようです。ですから、これでは降ってない日だって降ったような感じがすれば手当がもらえるのと違うんですか。そういう手当も出ている。民間はまずこういうことはないと私は思います。  さらに、映写手当なんというのもあるんですよ。百ボルトでもって映写機を回すと感電してはいけない、こういうことで手当を出している役所もあると聞きます。雨がざんざん降っている中で一万ボルト、二万ボルトの電柱に上って作業して送電を確保しよう、そういう民間の人たちにはこんな手当はないのです。  こういうことを考えますと、こういった手当の出し方そのものについて、政府としては適法であるとお考えなんですか、どうでしょう。
  76. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 国と地方の仕事というのは、やはり内容的に違うものも相当あると思う。特に市町村の業務は住民に密着した仕事がありますから、国の仕事とは内容の違う業務も相当あると私は思う。そういうものについては、それなりの特殊扱いをしなければならない職務も私はあるだろうと思うのです。しかし、何せ三千三百というたくさんの自治体でございますから、その全部は——やはりいろいろの形のものをおつくりになっているということも私は確かにあると思うのです。  いまお挙げになったいろいろな例がございますが、一々私どもそれをつまびらかにしておりませんけれども、お話を承っておりますと、それは相当不適当である、是正すべきものであろうというものもあるように思われます。  従来も市町村につきましては、府県を通じてそういう指導をしてきておるわけでございますが、今後とも一層そういう指導を、いま地方財政の苦しいときでもあり、また行革のやかましい時代ということになっておりますから、努力をしていきたい、こう思います。
  77. 和田一仁

    和田(一)委員 はっきり聞き取れなかったところがあるのですけれども、私は、こういうことは適法ではないと思うがどうか、こういうふうにお尋ねしたのですが、もう一回お願いいたします。
  78. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 直ちに違法であるか、業務の内容を、どういう場所で、どういうような仕事、どういう条件でやっているのかということを具体的に、それぞれ事情が相当違う面もあると思います。しかし、概念的には不適当であるということが言えるものも相当ある、こういう感じはします。
  79. 和田一仁

    和田(一)委員 民間の企業というものは、人を使うときには、一番暇なときに合わせて人員の計画を立てる、これは私はあたりまえだと思います。ところが、どうも見ておりますと、公務員というのは、一番忙しいときに必要な人員に合わせて人員計画を持っているような気がしてなりません。国家公務員には法律で決められた休暇がございますが、地方公務員になりますと、有給年次休暇以外にいろいろな休暇が設けられている。特に、夏季休暇あるいは誕生日のための特別休暇、銀婚式が回ってきた人には、その日は有給休暇であるとか、免許証の更新が三年に一遍ですか来れば休暇にするとか、そういう休暇についてもたくさんあるようでございます。  こういう休暇について、長官、いかがですか。これはやはり適法なんでしょうか。
  80. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 そういう休暇もやはり国に準ずる、あるいは他の地方公共団体の職員との均衡を失しないように、こういうことで休暇は決めなければならぬ。しかし、いまおっしゃるようなものは、やはり年次休暇というのはちゃんとあるわけでございますから、年次休暇の枠内で処理すべきものではないか。しかし、具体的な内容まで私ども存じませんので、そういう点の具体的なことまでは申し上げられませんけれども、しかし、いまおっしゃるような点であれば、やはり年次休暇の中で処理すべきものであろう、こう思います。
  81. 和田一仁

    和田(一)委員 やはり私は、十分こういった実態を把握していただいた上で個別に指導していただかないと、これはだめだと思うのです。そうでないと、これは地方の中で住民が本当に立ち上がって、市民運動、住民運動でも起こさない限りなかなか改まっていかないと思う。そんな感じがしてなりません。この実態をしっかりつかんでいただいた上で個別指導していただく、そういう意思がございますか。
  82. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 給与にいたしましても、いまの休暇の問題にしましても、一つの勤務条件でございますから、これは条例事項になっているわけでございます。したがいまして、議会もそれなりの機能を発揮していただきたい、こう思います。同時に、私どもの方も、市町村の場合は府県を通じまして、そういう是正の方向に今後とも指導をしていきたい、こう思っております。
  83. 和田一仁

    和田(一)委員 いまお手元に差し上げたこれもなんですが、これは条例でさらに規則にしてしまっているのですね。規則でこういう特勤手当が出ているのです。休暇の場合も条例で規則にして、労使の話し合いの中で休暇になっている。これは市民の目になかなか触れないのですよ。条例ならば条例として、それは市民の意思が反映する余地が残っておりますが、こういう規則ということで手当が出ている。私の手元にございます、これはある新聞の調査ですが、この差し上げました東村山市ですが、全員が特殊勤務手当をもらっているのです。いまずっと並べてこう出ていますね。これに該当しない職員については、最後に「主事」という、一番最後のページにございますけれども、「職務手当(8)主事、技師、係長」、これで全員網羅しています。超勤だけで年二百七十八万円もらっている職員がいる。これは全部この規則ですよ、規則。これで手当が出ている。こういう実態をやはり把握していただいた上で、私は適切な指導をしていただかなければならないと思います。いかがでしょう。もう一回。
  84. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 いままでの高度成長時代の一つの、まあ何といいますか、残り物みたいな形のものが残っておるように思うのです。ですから、いまの時代に合うように、また住民の理解と納得が得られるように、私どもも今後ともこれの是正の方向に努力をするということでやっていきたいと思います。
  85. 和田一仁

    和田(一)委員 最近は中央の行革と同時あるいはそれ以上に地方の行政に対して住民のこういった監視の目が厳しくなっておりますから、私は、それに対応できるように中央の指導がないと、本当に中央は何をやっているんだ、こういうことになりかねないと思います。この問題についてまだいろいろデータもあって申し上げたいのですが、時間もありませんので、次へ移ります。  許認可事項について、これも長い間に大変許認可事項というものはふえてきてしまいました。一万数千件、こういう中で今回整理が本当に微々たる範囲に終わっております。そういう中で、私、気になりますものについて二、三お尋ねしてみたいと思います。  法務省関係ですけれども、外国人登録法について、これは貿易その他ビジネスで日本へ来られる外国人に対して指紋をとるという制度がございます。これは商業活動をもっと活発に活性化させたり、スムーズな人の交流、こういうことを考えますと、これはない方がいいんではないか。一年以上、ただし全部ではないのですが、一年以上の滞在については指紋をとる、こういうことになっておりますが、もっとこれの期限を二年以上の人とか、延ばすなり、あるいはむしろそういうことはやらない、こういう方向でこれをなくしていく、そういうことができないかどうか。これがいま行われているために、これを拒否して、そのために告発をされ、裁判になっているケースというのもございます。これは何とかなくしていきたいと思いますが、いかがですか。
  86. 田中常雄

    田中(常)政府委員 お答えいたします。  いま現在の外国人登録法によりますと、一年以上わが国に在留する外国人は指紋を押捺する義務がございます。この一年で区切ったという理由でございますが、わが国に毎年百七十万前後の外国人が入ってまいりますが、そのうちの九九%は一年未満の滞在ということでございます。したがいまして、一年というのが、長期か短期か分けるときの一つの大きなめどになっておるわけでございます。また、国際的に見ましても、一年というのを長期と、一つのその区切りにしていることが慣例となっております。したがいまして、われわれといたしましては、一年を超す在留外国人というのは、日本社会との密着性というものも非常に濃いものと考えておりますもので、在留外国人の身分関係、居住関係、それを明確にするために指紋制度を一年以上ということにしているわけでございます。
  87. 和田一仁

    和田(一)委員 これは外国では、一律にはこういった指紋押捺をやっているところは少ないのではないかと思うのです。私が聞いておりますところでは、義務づけているところもありますけれども、イギリス、ドイツ、フランス、こういった西欧の先進国では、全員ではなくて、密入国の疑いがあるとか、あるいは正規の手続、きちっとしたパスポートではないというような、そういうような特殊な人たちについてはこれはやっているようですが、わが国のように、全員こういうかっこうで指紋押捺を義務づけているというところはむしろ少ない、こう思うので、これは廃止をしていただきたい、こう思いますが、大臣、いかがです。
  88. 田中常雄

    田中(常)政府委員 お答えいたします。  世界各国で何らかの形で指紋押捺を義務づけている国は三十数カ国ございます。ただいま委員御指摘のヨーロッパの各国でございますが、フランスの場合においては、旅券を所持していない外国人は指紋押捺の義務があり、またドイツ、英国等は、疑義がある場合において指紋押捺をさせております。  各国の在留管理の方法でございますけれども、それぞれその国の歴史的、地理的、民族的ないろいろな経緯があるわけでございますが、たとえばヨーロッパ諸国は写真、サイン、それからもう一つ、日本にない制度があるわけでございます。それはヨーロッパの各国においては、在留外国人を統括する官庁は内務省、具体的には警察官でございまして、警察署長が登録官の仕事をしているわけでございますが、居留届制度という制度がございまして、たとえばスイスなどは、ホテルその他宿泊施設に泊まる人は、二十四時間以内にそのホテルから所轄の警察署にその外国人の動向について報告するように義務づけられております。そのように居留届の制度をつくりまして、その国内を移動する外国人というものをとらえておるわけでございますが、それぞれ各国いろいろな制度がございまして、その国の歴史的、経済的、社会的ないろいろな要因を考えてやっておるわけで、一概にどの国のが厳しい、どの国のが厳しくないということはなかなか言えないのではないかと考えておる次第でございます。
  89. 和田一仁

    和田(一)委員 それでは、その問題はおきまして、次へ参ります。  政府は、今年度の予算で財源確保のためにいろいろな特別措置に関する措置をしております。その中に、財源確保のために自動車関連の自賠責保険、いわゆる自賠責特会ですが、これの運用益の二千五百六十億円を一般会計に無利子で繰り入れました。私たちはこの措置の不当性については、前の通常国会で再三にわたって言及しておるわけですが、財確法に対して、運用益の早期返還、それから安易な料率引き上げ、これの回避、これを決議したわけでございますけれども、六月の中旬の新聞等によりますと、どうも大蔵省は、来年からこの自賠責の保険料の三〇%の引き上げを検討しているようでございます、こういう報道がされておりますけれども、そのようなお考えがあるのですか、いかがでしょう。
  90. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 いまお話がございました自賠責特会から一般会計に繰り入れるということで五十八年度予算を組んだわけでございます。その結果、いま委員お話しのように、この自賠責特会に二千五百六十億円という資金の減があるわけでありますが、これは御存じのように、将来返還するということになっておりまして、これを理由に保険料を上げるというようなことは、われわれとしては考えていないわけでございます。
  91. 和田一仁

    和田(一)委員 自賠責特会は現在約五千億に上る運用益があるようですけれども、この運用益の使途については、五十三年六月の自賠責審議会で、収支改善に充てる、こういう答申がなされております。この答申どおりに収支改善に充当すれば、この先、三、四年は料率の引き上げは回避できるものだ、こういうふうに考えております。料率の引き上げを検討する前に、運用益の使途を明確化することが先決で、この収支改善にどう充当していくかについては、これは決まっているのですか、いかがでしょう。
  92. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 この運用益をそれではどのように将来使っていくかということにつきましては、五十三年六月十二日に自賠責審議会の答申がございまして、一つが、いま委員がおっしゃいました、将来の収支改善のための財源として留保しておくということも考えなければならない、そのほか、救急医療体制の整備や、それから交通事故防止対策等への活用についても考えられるのではないかというふうに言っておるわけでございます。これを受けまして、いま運輸省で、この運用益の問題をどういうふうに将来考えていくかという点について鋭意検討しているというふうに聞いております。
  93. 和田一仁

    和田(一)委員 同時に、運用の公開もぜひひとつしていただきたい。収支状況については、契約者にその運用の中身がわかるようにしていただきたい、そういう要望をしておきます。  それから、同じ自動車に関連してなんですけれども、いま自動車は日本の中で大変保有台数がふえてまいりまして、現在四千万台を超えるような、そういう状態でございますけれども、これの登録の制度は、まだ大変複雑煩瑣でございます。これを道路運送車両法制定時の五十万台程度のときから比べると、まるで変わってきておるわけでございまして、この登録事務手続について一考を促しておきたいと思うのでございます。  まず、登録をする場合に、自動車を運行するための登録検査手続、これに加えまして、自動車関係諸税の納付、自賠責証書の提示、車庫証明書の添付などと、こういった書類がたくさんございます。大変多くなっております。フランスやアメリカでは仮運行制度というのがあって、この制度でやると、登録すべき人、個人がやってもきわめて簡単に登録事務が終わる。日本ではいまそうはいきません。車を買った人が自分で行って登録するなんということはとうていできない。それを代行してもらっているわけですけれども、この仮運行制度の導入をやって、こういう簡単な申請手続でいける方法がある、これをぜひひとつ考えていただきたい、こう思うわけでございますが、いかがでしょう。
  94. 角田達郎

    ○角田政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、自動車は最近非常に伸びておりまして、大体新規登録で申しますと、年間四百万台ぐらいの登録台数になっております。  そういうような非常な自動車の伸びに対応いたしまして、私どもといたしましては、その登録検査を迅速に処理するということで、現在コンピューターのオンライン・リアルタイム・システムを使った仕組みで事務を処理しておるわけでございます。  ただいま先生おっしゃいました仮運行制度というのは、自動車の登録に必要な書類が整った時点で、販売店が仮のナンバープレートをユーザーに交付いたしまして、それを表示することによって運行ができる、また正式な登録が完了するまでそれで運行できるということでございまして、これは現在の日本の、必要な書類が整えば、陸運事務所の窓口へそれを持っていけば、直ちにコンピューターで登録手続が可能になる、こういう状況におきましては、その必要性は非常に低いのではないか、かように考えますし、またユーザーにとりましても、仮運行のナンバーをもらいまして、またさらに本登録のナンバーをもらうということで、二重手間になるといった問題が生ずるというふうに考えられます。  そういう状況でございますので、私どもとしては、いまの仕組みでこれがユーザーの立場からいろいろ具体的に問題があるとすれば、そういったところを改善してやっていきたい、そういうふうに考えております。
  95. 和田一仁

    和田(一)委員 そういった仮運行制度を導入というのでなく、そういう便宜的な運用方法もあるのだから、これからの登録事務についてはできるだけ簡単な方法をひとつ考えていただきたい。あわせて車庫証明なども、これも大変な警察の手数がかかっているようですけれども、こういう車庫証明についても、安全上の問題がございますから、そういった観点やら警察事務の簡素化という観点、こういうところから総合的に勘案して、こういう証明書の省略など、これからそういう措置について前向きにひとつ検討していただきたい。御要望申し上げます。  だんだん時間がなくなりまして、私、まだまだ伺いたいこともございますが、要約いたしまして、この行政改革につきましては、まず国民の理解の上にこれを行わないことにはなかなか実のある行革にはならない、こう思うわけでございます。どうぞ一つ一つ法案が看板のかけかえとかいうようなそういうものでなく、本当に国民の求めている実のある行革に、これからそれこそ三代十年かかってでも、期待にこたえられるような行革を、ぜひひとつ中曽根政府の手で始めていただきたい、強く要望いたしまして、質問を終わります。
  96. 金丸信

    金丸委員長 これにて和田君の質疑は終了いたしました。  午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ────◇─────     午後二時開議
  97. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。矢山有作君。
  98. 矢山有作

    ○矢山委員 最初に、委員長にお願いしておきたいのですが、実用通信衛星さくら二号の自衛隊利用につきましては、宇宙開発利用は平和目的に限るとする国会決議との関連で問題があるということで提起をいたしまして、これについては、国会決議に対する解釈国会で決めるということで、委員長の方から手続をとっていただきまして、国会意見を出していただけるようにしておるわけでありますが、きょうまでに出していただくようにお願いしておりましたけれども、残念ながら出ておりません。したがって、きょうはこの部分に対する質問は保留をいたしまして、ぜひ最後の総括の締めくくりの質疑の前までに、国会決議に対する国会解釈を明示していただくよう、委員長の方からお取り計らいをいただきたい。このことをお願いいたしまして、この点に関する質問を保留したいと思います。よろしくお願いいたします。
  99. 金丸信

    金丸委員長 その問題につきましては、議長の方にお話を申し上げて、なお現在、議院運営委員会でいろいろこの問題について話し合っておるようでございますが、きょうにわかに結論を出すわけにいかないような状況がありまして、矢山君のおっしゃるように、できるだけ早く結論を得るようにして、最後の質問に間に合うように、私の方から督促をいたしたいと思いますが、御了承願います。
  100. 矢山有作

    ○矢山委員 それでは総理、毎日御苦労さまですが、防衛の関係で少しお伺いしておきたいと思います。  御存じのように、第一次の答申におきましては、「防衛関係費については、装備品使用、調達方法等の効率化、合理化に努め、極力抑制を図る。」こういうふうになっているのです。それからまた、第三次答申、つまり基本答申では、「各年度の防衛力整備に当たっては、その時々における経済・財政事情等を勘案し、他の諸施策との調和を図りつつこれを行うべきである。」というふうになっておりますが、これは一体的にとらえてようございましょうか。それとも、第一次答申は五十七年度予算に関する問題である、第三次答申はそれとは関係ないのだ、こういうふうにお考えになっておられるのですか、どちらでしょうか。
  101. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 私どもは防衛庁といたしまして、臨時行政調査会からの御答申でございますので、相次いでなされました各答申につきましては、先生がおっしゃられた意味の一本化とはまた違った意味かもしれませんが、まさに防衛庁に対する一体的な、一本的な御答申だというふうに受けとめております。したがいまして、具体的に、それぞれどういうふうな判断をして、どういう形に概算要求をまとめるときなどにそれをいたしたかということにつきましては、また改めて御質問いただきましたら御報告をさせていただこうと存じます。
  102. 矢山有作

    ○矢山委員 いまの防衛庁長官の御解釈のとおり、第一次答申、それから基本答申、一体のものとして考えてようございますね、総理
  103. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 すべてを合わせて一体と考えております。
  104. 矢山有作

    ○矢山委員 それでは、その前提に立ってお尋ねいたしますが、五十七年度の予算は、御案内のように、ゼロシーリングということで編成されました。そして、一般会計は前年度比六・二%増、その中で防衛費は、最終的には首相裁断ということで七・八%の増になりました。それから、五十八年度の予算はマイナスシーリングということでありましたが、一般会計は前年度比の三・一%減、それにもかかわらず防衛費は聖域ということで六・五%増となっております。五十九年度の予算の概算要求は、私どもの承知しておるところでは一般経費は一〇%減、公共事業等は五%減という中で、防衛費は六・八八%増ということでありますが、これでは私は何と考えても、先ほど言いました臨調答申の線を踏まえておるとは言えないのではないかと思いますが、どうなのでしょうか。
  105. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 まず、基本的な問題点から御報告させていただきますが、当然のことでございますが、毎々答弁を重ねさせていただいておりますように、私どもには私どもの持っておりまする防衛力の整備の計画がございますが、この計画の基本にございまする「防衛計画の大綱」の水準にできるだけ早期に到達いたしたいという気持ちで、そのときどきにおきまする経済財政事情を総合的に勘案をしながら、国の他の施策などとの調和を図りつつ、毎年度の予算編成に当たって個別に積み上げてまいってきておるわけでございます。  臨調答申に関係をいたしまして、さらにその中で答申の指摘をいたしておりますような幾つかの課題がございますが、その課題の中の最大の課題は、経費の効率化、合理化等に努めることということが最大の課題であろうかと存じます。それにつきましては、私どもといたしましても具体的に幾つかの処理をいたしながら、概算要求をその年その年積み上げてきておるわけでございまして、五十九年概算につきましても、同じ努力をいたしております。  なお、他省庁との関連におきまする高いか低いかというような問題につきましては、これは私から答弁をいたすべきことではないと存じますので、その点につきましては、私からいまここでは申し上げさせていただきませんが、ただ一点だけ申し上げさせていただきますことは、われわれといたしましては従来から持っておりまする防衛力整備計画の水準にできるだけ早く到達をいたしたいという努力を続けておることでございます。
  106. 矢山有作

    ○矢山委員 防衛庁の立場としては防衛力整備計画ということで「防衛計画の大綱」水準に早く達したい、そういうことを中心に考えるというのはわかります。しかしながら、臨調の第一次答申、それから基本答申と照らし合わせて、その趣旨を踏まえた予算編成になっておるのかどうか。これは大蔵大臣から御意見をお聞かせいただきたいのです。
  107. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いただいた御答申を読んでみましても、いわば効率化、合理化、それにはやはり質的充実ということがうたわれておるわけでございますので、そうした方面に眼を注ぎながら、各政策との調和をとりながら今日まで編成されてきた。なかんずく今度は五十九年度ということになりますと、もとよりその方針を踏まえていくわけでありますが、特に伸び率がおっしゃったようなことになっておりますのは、やはり国際取り決めに基づく負担、これがかなりの比重を占めておるということ、それがまたいわゆる質的向上ということにつながるということであります。
  108. 矢山有作

    ○矢山委員 いまの御答弁では、私は答弁なさる方の立場というものはわかりますが、一般の国民から見て、先ほど言いましたような五十七年度予算、五十八年度予算、それから五十九年度の概算要求、これらを照らし合わせてみたときに、第一次答申で言われておる極力抑制に努めるとか、あるいはそのときどきの経済財政事情を勘案して、他の諸施策との調和を図る、こういう点の趣旨が貫かれておるというふうには受け取っていないのではないか、私はそういうふうに強く感じております。  そこで、大蔵大臣にひとつお伺いしたいのですが、これは二日の新聞で私は拝見したのですが、大蔵省は「防衛関係費の伸びを大幅に抑制する方針を決めた。」というふうに伝えられておりますが、これは事実なのでしょうか。事実だとするならば、具体的にどう抑制していこうとしておるのか、ちょっとお伺いしておきたい。
  109. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私もその記事を読んでおりますが、従来、聖域を設けず、きわめて厳しい対応をしなければならぬということはかねて申しておるところでございます。したがって、私どもといたしまして、その記事を見ますと、三%台とかいうようなそれこそ定量的な数字まで載っておりますが、いま八月末に予算の概算要求があったばかりで、まだそういうところへ私は行く状態にないと思いますので、その記事はその記事として推測記事と言わざるを得ないではなかろうかというふうに私は思っております。
  110. 矢山有作

    ○矢山委員 防衛庁はどうですか。こういうものをどう考えていますか。
  111. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 八月の末に概算要求を取りまとめまして、財政当局に提出をしたところでございます。政府原案の確定するまでは、私どもといたしましては最善の努力として、ぎりぎりいっぱい与えられましたシーリングの枠の中でつくり上げました概算要求でございますので、私は心からこの概算要求が財政当局において認められることのみを希望いたしながら、努力を目下続けておるところでございます。
  112. 矢山有作

    ○矢山委員 私は、大蔵省がこの新聞記事は記事というふうにおっしゃったわけだから、果たしてどう考えておられるかというのは、この場でははっきりしないわけでありますが、しかしながら、大蔵省でいろいろとこの抑制について考えておられると仮定をいたしましても、私はなかなか最終的にまでこれを貫くのはむずかしいんじゃないかと思っておりますね。  先般の八月二十二日の日米防衛首脳会談、この際にも六・八八%増は不満であるということを米側は言ったんじゃないですか。そして、もっと日本の方で努力をしてもらいたい、こういうことを言いながら、ワインバーガー国防長官は、政府の予算案決定の段階での上積みを期待しておる、こういうようなことが言われたというのですが、防衛庁長官、そういうお話があったのですか。
  113. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 わが国と日米安保条約を締結いたしておりまする一方の当事国でございまするアメリカの国防の最高責任者が、わが国の防衛力の整備についてきわめて強い関心を示しておる、これは当然のことだと思っております。そして、八月の二十二日、ワシントンで行われました日米防衛首脳定期協議の席におきましては、わが国の行いました、まだそれは概算要求が決定する以前の話でもございます八月の二十二日でございますが、シーリング枠については大蔵当局と防衛当局の間ではひとまずの決着を見ている時点でございましたが、その時点において、わが国の従来からなされておる防衛努力については一応の評価を示しました。しかしながら、インフレ率その他から考えて実質これよりも低くなるというのではなかろうか、そういう懸念を示しまして、さらに、まずわが国のみずからの、四つの島という言葉は使いませんでしたが、いずれにしても日本が自分を守る能力とシーレーン防衛について一層の努力を重ねてくれることを希望するという希望の表明もございました。  その後、実は私どもといたしましては、概算要求を取り決めて、八月三十一日の時点で大蔵当局へ提出をいたしたわけでございますが、基本的に、アメリカ側がさっき申し上げましたように、日本の防衛力の整備についてきわめて強い関心を持っておることは、私どもも十分理解はいたしますけれども、われわれはわれわれとして日本の国の現在置かれておりまする国際環境あるいは財政需要、国の他の施策その他から考えて、自主的にわが国の防衛費につきましては決定をしていくことだ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  114. 矢山有作

    ○矢山委員 同盟国としてわが国の軍備に大きな関心を持つのは当然だという言い方でありますが、私どもは、ここ一、二年来のアメリカの議会での日本の防衛力に対するいろいろな決議だとか発言だとか、あるいはワインバーガーさん初め政府高官の発言などを見ておりますと、まさにこれは内政干渉なんじゃないかと思われるほどの強力な圧力がかかっておる。その圧力の中でその圧力を受けてやっているんだとは、これはだてにも言えませんから、だから自主的、自主的ということをおっしゃっておるだけなんだろうというふうに私どもは受け取っておるのです。余りアメリカの方も、わが国の防衛力の問題について、予算編成がどうだこうだと言ってもらわないようにこちらもひとつ性根をしゃんとしてもらいたい、これは希望で申し上げておきます。  ところで、外務大臣にお伺いしたいのですが、七月の十二日に閣議で五十九年度予算の概算要求枠が決定されたその日の午後、あなたは早速マンスフィールド大使に会っておられますね。会われて、そして五十九年度防衛費の概算要求枠に対する説明をして米側の理解を求めた、こういうことのようですが、そういうことをやられたのですか。
  115. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 その七月にマンスフィールド大使と会ったのが、予算の説明のためだけで会ったのか、あるいはその他の用件で会ったのか、ちょっとはっきり覚えておりませんけれども、確かにマンスフィールド大使にはその際に、わが国の防衛予算についての概算要求について説明をしてアメリカの理解を求めたということはあったと存じております。
  116. 矢山有作

    ○矢山委員 私は、おかしいのじゃないかと思うのですね。その日の午前に概算要求の枠が決まった、その日の午後に早速マンスフィールドにどうだこうだと言って説明をして了解を求めなければならぬ、これはちょっと不思議なんですね。これはあなただけじゃないんだ。毎年毎年大体外務大臣はこういうことをやっておるわけですよ。何でそういうことをやらなければならぬのですか。アメリカに一々説明したりその了解を求めたりしなければならぬというのはちょっとおかしいのじゃないですかね。これは恐らく私だけではない。あの新聞を見ておる、報道を見ておる日本人すべてがちょっと奇異に感じておるところじゃないかと思うのですよ。何もアメリカに説明して一々了解を求める必要はないのですからね。  この点、総理、どうなんですか、まさにわが国の自主性という問題から言うと。
  117. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 アメリカに了解を求めたということじゃないんです。これは、わが国とアメリカとの間は安保条約で結ばれておるわけですから、日米関係が非常に緊密な状況にあるわけですし、アメリカが日本の防衛予算について重大な関心を持つということは安保条約のたてまえから当然のことであります。したがって、私から防衛予算についての説明をしてアメリカの理解を求めたということは事実ですけれども、しかし、了解を求めた、そういうふうなことではございません。日本の防衛は日本のみずからの独自の立場でやるということは、その際もはっきりと申し上げておるはずであります。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕
  118. 矢山有作

    ○矢山委員 総理も同じ考え方ですか。
  119. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 安保条約を結びまして相互防衛協力をするということでもあり、かつまた鈴木・レーガン会談等々もありまして協力も約している、そういう点でありますから、お互いがお互いの問題については関心を持ち合っておる。そういう意味において、大体の状況を先方に知らせるということは、これはある意味においては礼儀にかなったことではないかと思っております。
  120. 矢山有作

    ○矢山委員 そういうふうにおっしゃるだろうと思うたんですが、われわれの立場からすると理解に苦しむのですよ。一々概算要求の枠がどうなったこうなったということを国会に言うということにはなっておらぬようですが、午前に決まったら、午後早速とんとことんとこ行って了解か理解か知らぬが、求めるというその姿勢は、やはり奇異に思っているんじゃないですか。  そこで、防衛庁長官に聞きたいのですが、中期業務計画、これについては従前から、五三中業のころから、五六中業についてもそうですが、ハワイの安保事務レベル協議の席上とか、そういうところで説明されたり、あるいは防衛首脳会談でそういったものについて説明をされておりますね。
  121. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 まず申し上げさせていただきますが、中期業務計画は、五三にしましても五六中業にいたしましても、いずれも防衛庁内部の資料でございますが、防衛力整備の基本になる中期の業務の見積もりでございまして、これは当然のことでもございますが、中身においては必ずしも全部の防衛総額が入っておるわけでもございませんけれども、特に正面装備につきましては積み上げた積算がございます。そういう種類のものにつきましては、いまの御指摘のあるような日米の各レベルの協議の席上その他で逐一わが方の持っておりまする防衛力整備の計画の一端として明らかにしておるところでございます。
  122. 矢山有作

    ○矢山委員 ここでも私はちょっと疑問を呈しておきたいのですが、われわれ国会の方の側に対しては五六中業なら五六中業、決まった段階できわめて簡単な概要の説明があるわけですよ。従来そうだった。ところが、最近になりまして、それはだめじゃないかとやかましく言って、やっとこの補足説明資料というようなものが出てきたわけですね。だから、その程度の説明をアメリカ側にしておられるのか、あるいは五六中業なら五六中業の中身までかなり深く説明しておられるのか、恐らくこの中期業務見積もりの中には極秘の部分とされておる能力見積もりの点も入っておるのじゃないかと思うし、あるいは事業見積もりも入っておるのじゃないか。そこら辺をどの辺まで説明しておるのか。まるで引っぺがしてアメリカ側に皆しゃべっておるとするなら、これは一国の防衛に関する問題を、いかに同盟国といえども、友好国といえども、まるでさらけ出してしまうということは、一体どうなのでしょう。
  123. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 先ほど申し上げさせていただきましたように、中期の業務見積もりというものは必ずしも防衛総額ではございません。(矢山委員「中身がでしょう」と呼ぶ)はい。実は、防衛総額の中には人件費の絡みの問題だとか、糧食関係とか、その他も含まれますが、中期業務見積もりの積み上げの基本になりますのは、主として正面装備の積み上げでもございますが、この資料につきましては、国会に中期業務見積もりとして別表を添えて、国防会議で御了承いただいた資料をそのまま提出をさせていただいております。  なお、ハワイなどで従来行われてまいりました実務者会談は、必ずしも中期業務見積もりの中身について協議をする場ではございませんで、日米両国の実務者がその都度協議を重ねるわけでございますから、その中には、共同で有事の際に対処をする場合にどういう対処の仕方があるかとかいうことも含めまして、万般の問題について協議をするわけでございます。必ずしも業務見積もりについてのみ協議をするというわけでもございません。そこで、提出される資料の一つとしては、その時点で中期業務見積もりが、たとえば国防会議で決定をされた後とかいう場合には、当然でございますが、資料の一部として提出されることはあり得ることでございます。
  124. 矢山有作

    ○矢山委員 私は決して中期業務見積もりだけを協議の対象にしておると申し上げたのじゃないんで、いろいろの協議をなさる、しかし、その中で中期業務見積もりについても説明をなさっておる、こういうことでしたね。  そこで、私どもはハワイ協議で何が行われたのかということをときどき問題にしたことがあるのですよ。たとえば昨年か一昨年、ハワイ協議でアメリカ側の方から日本の防衛力整備について具体的な数字まで示していろいろ突っ込んだ話があった。そのことがすべていろんな部面で表に出て書かれておるじゃないか、これが事実か事実でないのかと聞いたら、いや、そんなことはなかった、こう言って一言のもとに消されるわけですよ。したがって、ああいう協議というのはわれわれにとっては全く霧の中なのです。だから、どうなっておるのか、何が話し合われたのか、一切われわれはめくらにされておるわけですよ。シビリアンコントロールだ、何だかんだといってうまいことを言っているけれども、そんなものはさっぱり機能してないわけです。  したがって、中期業務見積もりのごときものを——これは国の防衛についての極秘部分もあると思うのです。そういったものを、国会に詳細に報告しないものをアメリカに持っていって、その場でいろいろと説明しておるという、この点は私は非常に疑問を持っています。あなた方の立場に立って言うなら、こんなことが一国の防衛というものについて許されるのか。国民に、国会に詳細を知らせずにおいて、アメリカにすべて出してしまうというのは、いかに同盟国であろうと、友好国であろうと、私は問題があると思いますよ。  その問題はもうよろしい。私には時間が限られているから、次に移ります。  アメリカが日本に、防衛力の問題について議会や政府がいろいろなことを言う。やかましく言う。その言う背景には、俗に言う安保ただ乗り論というのがある。私は安保ただ乗りというのは一体何だろうかと思って、何ぼ考えても私の頭ではわからぬ。安保ただ乗りというのは一体どういうことなのでしょう。総理なり外務大臣なり防衛庁長官なりが、この安保ただ乗りということをどう理解しておられるのか、ちょっと聞きたいのです。
  125. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 安保ただ乗りという言葉は、巷間ずいぶんいろいろ耳にすることがございますが、いまここで先生がお使いになっておられる意味の安保ただ乗りというような概念が必ずしもはっきりいたしませんので、必ずしも先生の御質問に直接お答えする姿にならぬかもしれませんが、私どもといたしましては、いかなる侵略に対してもわが国自身がまずみずからを守り切るということで、限定的な小規模侵略に対する対処の計画を持って、それのために防衛計画というものをいたして整備を続けております。そして、その裏には、当然でございますが、日米安保条約というものが働いて、抑止はもちろんのこと、有事の場合に日米共同で対処して、その侵略を排除し、この地域の平和を確保していく、確立していくという形で日本の国の防衛を考えておるわけでございまして、そのことと、アメリカの議会が、日米安保条約の当事国でありますアメリカの国民と申した方がよいかもしれませんが、日本に対して、日本の防衛努力に対してその都度いろいろ希望を申し述べるということは別のことだと考えております。  それから、アメリカの政府の方が、安保条約第五条に基づいて、有事の場合に日本を防衛する義務を負っている側が、日本の防衛力の整備について、そのペース、そのスピード、こういうものに対していろいろな希望をその都度申し述べるということは、先ほど答弁させていただきましたように、それはこちらとしては十分理解できることだと思っております。しかしながら、われわれはわれわれとして決定をいたしておりまする防衛力の整備の計画に従って着実に、みずからをもって努力をしておる、こういうことでございます。
  126. 矢山有作

    ○矢山委員 それはこの場所では、あくまでも自主的にわが国の防衛上の問題を自分の頭で考えてやっているのだ、こう言わざるを得ぬでしょう。ただ、安保ただ乗りと俗に言われるのがどういうことかといったら、よく言われるのはこういうことなのでしょう。結局、貿易問題に結びつけて、日本の防衛負担が少ない、こういうことを問題視する、その考え方が根底にあって、もっと防衛責任を負えとか、そのためにもっと軍事力をふやせとか、こう言っておる。これが俗に言う安保ただ乗りだ、こういうふうに私どもは思っておるわけです。  そこで、この際はっきりしておかなければいかぬのは、日本が本当に安保にただ乗りしておるのかどうかということをよく考えてもらわなければ困ると思うのですね。私は安保にただ乗りしているのはアメリカだと思うのですよ。アメリカの方が安保にただ乗りしているのですよ。私はそう思う。  そこで、その議論をする前にもう一つ、先にお伺いしておかなければいかぬことがある。それは何かというと、日米安保条約が講和条約と引きかえに締結されましたね。そのときのいきさつはどうなっていますか。これをひとつどなたかその当時の御事情に詳しい方——総理はそのころ現職の議員でおられたかもしれません。もし、承知しておられたらお伺いしたいのですが。
  127. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 あのころは私は野党でして、吉田さんとダレスさんがどんな話をしたか、ベールに包まれておって、当時はよくわからなかったのです。それで、恐らくダレスさんが昭和二十六年の一月ごろに参りまして平和条約の話を始めた。私、当時野党でしたけれども、三木武夫さんと二人でダレスにも会いまして、平和条約に対する要望書というのを私、書いて持っていってダレスに見せて、彼は読みましたけれども、そんなことがありました。  それで、大体講和条約の話をしているときに安保条約の話がいろいろ出たようですね。巷間伝えられるところでは、ダレスは日本の再軍備を要求してかなりの防衛力を要請したらしいが、吉田さんは、とてもそんな力はない、われわれは食うのが精いっぱいだ、そういうことでダレスの要望を拒絶したと一般に伝えられております。そういうことがあったかどうか知りませんが、ありそうなことではないかと思います。  それで吉田さんは、平和条約にともかく非常に力を注がれて、マッカーサーも吉田さんに同調して、できるだけ寛大な平和条約にしよう。平和条約というものが常に次の戦争の原因になったという過去の歴史から見まして、また、アメリカは世界情勢の激変にかんがみまして、当時はソ連、並びに中国が独立したという現象も出てきておる。そういういろいろな面もあり、朝鮮戦争もあったりして、そういう意味で日本を非常に大事にしなければならぬという形で非常に変化が起こったと、私たちは自分の身でも感じておりました。それでわれわれは、それに乗じて寛大な、独立な平和条約を獲得しようと思って、当時非常に努力したものであります。私は、二十六年でありましたが、正月にマッカーサー司令部へ行って、マッカーサーに自分の意見書を出したりいたしました。そういうこともあり、吉田さんも非常に苦労されて、それで平和条約が大体できた。  しかし、安保条約をどうつくるかということはベールに包まれておりました。平和条約の大体の見当はついて、またアメリカ側もたしか発表もいたしましてわかりましたが、安保条約の内容についてはわからなかったのです。それで、いよいよサンフランシスコの平和会議で調印をするという段階になって、平和条約と安保条約と同時にやるということが明らかになってきた。しかし、安保条約の内容は、条約文に至るまで精細にはわからない。  そういうことで、私は野党の一員として、そういうわれわれが事前によくわからない安保条約というものに賛成するわけにいかぬ。苫米地義三先生が当時われわれの政党の委員長をしていまして、吉田さんが朝駆けをやって苫米地さんのところへ行って、一緒についていってくれという話になって、できるだけ超党派のかっこうを示したいというので苫米地さんも非常に意が動いた。そのときに苫米地さんをやるかやるまいかというので、当時大論争が野党の中でわが党内に起きた。私は、苫米地さんは行ってもよろしい、われわれは平和条約には賛成である、しかし安保条約というのは中身がわからぬのだから、そいつにはサインするな、立ち会いはいいけれども、われわれは中身を知らぬものには責任を負えない、そういうことで大分私も論陣を張りまして、そういう形で行ったと思うのです。  吉田さんは、安保条約の内容については余り当時の自由党の人にもしゃべっていないのではないかと思うのです。あの人は自分なりで骨身を削って向こうとも談判をして、これはこうしろ、これはああしろと強硬な交渉を向こうとやって、自分の腹の中でおさめて、自分の全責任でこれは処理するという、実に堂々たる政治家としての態度をとられたのではないかと思うのです。その結果、いよいよ調印という形になりまして、行きまして、吉田さんの責任において安保条約はサインしてきて、ほかの者はサインはしなかった。それで帰ってきまして、これが国会へ条約として出ましたときにまた大論戦が起こりまして、そういうものが原因で社会党と民社党に割れた、そういうふうに記憶しております。
  128. 矢山有作

    ○矢山委員 最後の方は必要ありませんが、私はいま総理の若かりしころの活躍を聞かせていただきながら、はあ、安保条約というのはアメリカの押しつけなんだな、日本が好んでやったものではないなということが、実情が明らかにされたと思うのです。まさに安保条約というのは戦勝国たるアメリカが敗戦国の日本に講和条約と引きかえに無理やりに押しつけた条約です。このことをまずひとつはっきりしておいていただきたいということであります。
  129. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 いまアメリカが押しつけたとおっしゃいましたけれども、そういう断定は早過ぎると思うのです。というのは、吉田さんが欲した可能性が非常にあるのです。というのは、安保条約をごらんになれば、アメリカ議会がいま非常に不満に思うように、アメリカは一方的に日本を守るけれど、日本はアメリカを守る義務がない、そういう、どっちかと言えば日本に虫のいい条約に実はなっておる。しかし、日本側から言わせれば、基地を提供しているじゃないか、これだけの基地を提供しておるということは偉大なる効能である、もし、この日本列島がほかの勢力に入っていたら太平洋はあらしになるじゃないか、そういう言い分が日本側にあり、吉田さんにはあったと思うのです。  そこで、吉田さんとしては相当そういう駆け引きをして、それでいわゆる双務条約とか片務条約とか言われますけれども、私は必ずしも片務条約じゃないと思いますよ。日本はこれだけ基地も提供しているし、それから思いやり費というようなものを金丸委員長もずいぶんふやしたり、そういうことで相当な対等のサービスはやり合っているわけですよね。だから、必ずしもそれは当たらない。しかし、それをやるについては吉田さんは相当な駆け引きを相手として、そしてダレスがやろうとしたものをけ飛ばして、日本の言い分をほとんど全部通して、いまのような、わりあい日本が楽で、防衛費には金を使わないで、アメリカの力を大部分うまく使って、それで経済発展を遂げた、相当福祉国家も伸びてきた、そういう方策を吉田さんは考えた。ですから私は、押しつけたものではない、むしろ吉田さんがうまいことやったと、一面においては考えていいと思う。  しかし、そのこと自体が、自分で自分の国を守るという根性を日本人に失わさせてしまって、アメリカをうまく利用すればいいんだという根性になってしまって、そのためにまたある意味において、自主独立の精神がむしばまれたという批判はあるわけで、私はそういう批判をした一人であります。
  130. 矢山有作

    ○矢山委員 いろいろとおっしゃった。私が、安保条約は無理やりの押しつけでしょう、こう言ったものだから、そうだということになると後の議論に困っちゃうから、そこで、無理やり押しつけじゃないんだというので、吉田さんが、これも霧の中ですから、吉田さんがえらい苦労してやられたんだろうという話に逃げられたと思うのです。  しかしながら、この問題は、御存じのように、あなた自身がおっしゃったように、苫米地先生が、この条約は不平等条約だ、われわれは他国の便宜のために自国を戦場として提供するほどお人よしではないし、憲法の精神を踏みにじることはできない、こういうふうに後日語ったというのを私も何かの文献で読みました。  私は、なるほど吉田さんはいろいろと苦労されたと思う。というのは、そのときは何が何でもまず独立をしよう、平和条約を結ぼうということが優先しておったから、したがって、アメリカのそれと抱き合わせの安保条約については、独立のためならやむを得ないということが吉田さんの心の中にはあったと私は思うのです。したがって、平和条約については日本全権団が皆調印した。しかしながら、安保条約については反対も強い。そして、これは恐らく中身はその土壇場まで、あなたがおっしゃったように、知らされていないのだから、したがって、こんなものには責任を持てぬということで全権団も調印しない。それで、吉田さん一人がこれは調印されたという経過になっておると思うのです。  しかしながら、これを率直に考えてみた場合に、アメリカがなぜ講和条約と引きかえに安保条約を結ぼうとしたのか。なぜそれほど熱意を込めて吉田さんを説得したのか。それなら、なぜそれをやったかということです。何でもないのにそんなことしやしません。戦勝国が、戦敗国と不利益になるような条約は絶対結ばぬのですから。アメリカはアメリカなりの判断があったと私は思う。それはあなたもおっしゃったように、中国における社会主義革命が成功する、そして連合国の間で米ソの対立が激しくなってくる、朝鮮戦争が勃発する、そういう中で、アメリカにとっては日本列島というのは大変な戦略価値がある。考えてごらんなさい。地理的にそうでしょう。日本の地理はどういうふうになっていますか。御案内のように、シベリア大陸から朝鮮半島から中国の真ん中辺までずっと日本列島は続いているのですよ。ここをアメリカが基地として保有するかどうかということは、その後のアメリカのいわゆるアジア戦略を展開する上に重要な意味を持ってくるわけです。そこが、アメリカが安保条約を結ぼうとした、何が何でも吉田さんを説得して結ぼうとした最大の理由だろう、私はそう思っているのですが、どうですか。
  131. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 それは日本とアメリカの利害が一致したのであります。  自由党並びに改進党あるいはそのほかのいわゆる保守主義者というものは、やはり自分で自分の国を守らにやならぬ、そういう気持ちもあって、そこへ前進していくためには安保条約を結んで、日本はまる裸であった状態で、辛うじて警察予備隊ができておった、そういう状態ですから、しばらく時間を稼いで、自分で自分の国を守れる体制に順次持っていく、そして米軍を帰す、占領軍を帰す、基地も縮小させる、そういう段階的な方策を選んでやったので、私がダレスに出した平和条約に対する要望書でも、やはり日米の相互安全保障条約を提議しておるのであります。しかし、そのときには、いまのような安保条約とは違って、やっぱりやる以上は両方とも双務的に義務を負わなくちゃできないのだろうな、しかし、その場合には憲法の問題があるな、そういうような心配もあって、それで憲法改正問題とかなんとかという問題はそのとき出てきた。しかし、その文章については私も非常に注意をして、そしてダレスに対して出したのです。  あのころ自由党あるいは改進党にあった人たちは、しばらくは米軍にいてもらって、自分で自分の力をつくって、そして米軍を帰して、基地も整理して、自主独立にさらに前進しよう、そういう非常に雄渾な精神がわき出してきた。それは緒方さんもそうだし、鳩山さんもそうです。ですから、あのころ、憲法改正、日ソ条約というので鳩山さんは選挙をぶって大勝したのです。あのとき社会党は惨敗したのです。あのとき憲法改正と日ソ平和条約を言ったのですよ、鳩山さんは。そういう因縁がありまして、日本人の要望が非常に強かったのであって、アメリカから一方的に押しつけられてやったのではない。  しかし、安保条約は、そのころわかってきた内容を見てみると、たとえば、アメリカ人が裁判権を持っておって、そして、公務中ならある程度やむを得ないが、公務中でないものについてもアメリカが裁判権を持っておった。あるいは内乱についてもアメリカ軍がこちらの要請によって出動できる、そういうような内乱条項というものもあった。それから、期限がない、無期限であった。それじゃ、いつまでこの条約が続くのか、ほっておけば永久になるじゃないか。そういう三つの点を私らは非常に心配をしまして、私らは安保条約では中へ入らなかった。平和条約には入って賛成したけれども、安保条約では入らなかった。  それで、安保条約を改正しよう、改正しようというので努力をして、安保改正になったわけです、藤山外務大臣、岸総理大臣の御努力によって。だから、あの安保改定というのは正しい内容であった。ただ、やり方が、清瀬さんが少しあわてて採決しちゃったもので、あのばあっという反対を呼び起こしたので、内容自体は堂々たるりっぱな内容であった。それで、いまの情勢に入ってきたわけであります。よく御了承願いたいと思います。
  132. 矢山有作

    ○矢山委員 私は、話をすりかえておると思うのです。安保改定のところに私はまだ行っておらぬ。これから行くのですよ。安保を制定したときのいきさつを言っている。  安保制定のいきさつから言うなら、何ぼあなた方がそういうふうにおっしゃろうと、やはりアメリカが、自己にとってどれだけの値打ちがあるかということを知らないのに、あれだけ熱心に吉田さんをなぜ口説くかということですよ。あなたのおっしゃった理屈は、後からこちらが都合のいいように取ってつけたものであって、そのときの状況としては、アメリカは吉田さんを説得するために全力を挙げたでしょう。しかも、中身についてはだれにも知らせなかったわけでしょう。恐らく吉田さんも、ワシントンへ行ってそれを見せられて、びっくりしたんじゃないですか。それはそうでしょう。無期限に占領する、自由に日本の基地が利用できる、日本国政府の要請に応じてとはなっておるけれども、米軍を日本の内乱や騒動の鎮圧のために使用できる、しかも、自衛力は漸増するんだぞ、こういうことまでちゃんと条約の中に入れておる。しかも、行政協定で米軍の駐留費をちゃんと分担させるようになっておる。駐留米兵は治外法権。まるでこれは属国の条約じゃないですか。あなたが言うのは、後で取ってつけた理屈。そのときの状況というのは、私がいま言ったようなことなんです。  それで、アメリカにとっての戦略価値は、先ほど言ったように、大きなものがある。日本列島を基地にして極東ソ連軍の監視ができる。この行動を規制できる。朝鮮半島や中国の動向の監視もできる。佐世保や横須賀を基地にして、日本のあの工業力を背景にして補給や修理やその他心配なしにやれて、西太平洋からインド洋にかけてわが物顔に振る舞える。これはそういう価値があるのですよ、アメリカにとっては。これは大変なことだ。  そこで、あなたが改定の問題に移られたから改定の問題で言いますが、改定の問題で言うなら、一九五五年に改定申し入れをしていますわね、日本政府は。ところが、そのときにはアメリカはそっぽを向いて知らぬ顔をしていた。ところがその後、急に変わってきた。なぜ変わってきたか。一つは、その過程において日本の経済力もついてきた、国際的な地位も上がったという問題もあるでしょうが、決定的なのは、一九五六年に鳩山一郎先生がソ連においでになって、講和条約の調印を拒否しておったソ連との間に、共同声明を出して、ソ連との国交を開かれた。このことがアメリカに対して、従来のこのまるで属国扱いの安保条約、これは日本の言うとおりに希望を入れて変えなければだめだ、変えないと大変なことになるとアメリカが考えたと私は思う。そこで、アメリカはこの安保条約の改定に乗ってきたわけです。  そして、その結果から言うなら、なるほどあなたがおっしゃったように、主権の回復ということには新しい安保条約、つまり六〇年安保は貢献をしておる、これは私は否定しませんよ。ところが、本質的に言うなら、基地貸与条約であるという性格は一つも変わっていない。それどころじゃない。アメリカの軍事協力者として対ソ軍事戦略の片棒を担がされる危険な側面までがこの条約には入ってきたわけだ。  そういうふうに安保条約を考えたときに、あなたが何と強弁されようとも、安保条約は、アメリカのアジアにおける戦略、最近で言うなら、対ソ戦略の前進基地としてこれは手放しちゃいかぬという、このもとに私はできたものだと思う。  それからもう一つ、あなたは、日本が攻撃されたときにはアメリカは助けてくれる、そのかわり日本も基地を提供したのだ、こうおっしゃった。ところが、日本が攻めてこられたときにアメリカが助けに来てくれるとお考えになっておるのは、余りお人がいいんじゃないですか。なぜかというと、助けに来るか来ぬか、これはあの安保条約の中に、憲法上の手続に従いとある、それぞれの国は憲法上の手続に従いとある。アメリカが、憲法上の手続に従って、日本防衛に乗り出すか乗り出さぬかということを最終的に決めるのはどこで決めるのですか。もし、それが議会で拒否された場合には、何ぼ大統領が助けてやろう、助けてやろう、太平洋軍司令官が助けてやろう、助けてやろうと思っても、これはできませんよ。だからアメリカが、日本が攻撃されたときに日本を助けるというのは、ちゃんとアメリカは抜け道をこしらえてある。ここのところを総理、間違えてもらっちゃ困ります。
  133. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 矢山さんの話の根底には、例の非武装中立論というのがあるのです。(矢山委員「いやいや、そんなこと全然」と呼ぶ)いや、もう明らかにある。裸でいればいいんだ、自分の国は自分で守らぬでもいいのだ、何にもしないでいいんだという例のものぐさ理論が私はあると思うのです。  自分で守るという場合、つまり抑止力とか均衡によって戦争を引き起こさせないという、自分の汗を流して努力するという、そういう考えがあったならば、じゃ、どういう選択が出てくるか。中立自衛。共産党はやっぱりそういう点はよく勉強してらっしゃる。中立自衛で、自衛ということを考えておられる。いや、正森君がここで、いずれ時代が来たら中立自衛だ、非武装中立ではないとちゃんと言っておったじゃないですか。つまり、共産党の理屈は合っているわけですよ。しかし、社会党の皆さんは非武装中立で、まる裸で何にもしないでおろう、いわばそういうお考えが背景にあるから、アメリカとの協力ということを全部否定するわけです。  しかし、われわれは自由主義を信条として、いまの平和憲法を守り、平和憲法というものを侵害されてはならぬ、破壊されてはならぬ、言いかえれば国家の独立を維持していこう、そういう意味において自分で守る、しかし足りないところはアメリカと提携して守る。しかし、最初のやり方はやはり日本の地位がうまくなかった、そういう意味で、いまおっしゃったように裁判権の回復、十年の期限の設定、そのほか内乱条項の削除等、いろいろな面で直したわけです。ですから、それは大変な前進であり、その上、いわゆる核兵器の持ち込みについては、交換公文で、日本との事前協議を要する、そういうところまでちゃんとあそこは入れたわけなんです。それで三十数年間平和が保たれてきておるのは現に見ているとおりであります。  その後、極東における周りの国の軍隊がますます増強されてきて、北方領土まで一個師団も来ているという状態になる。こういう状態のもとで、国民が安心して夜も眠られるようにしていくためには、何にもしないで裸でいるままでは絶対危険です。そういう意味で、アメリカと提携して、手をかけたらひどい目に遭う、そういう危険性をある程度向こうが感じている状態にしておけば、それで平和が保たれるというのが、遺憾ながら現在の状態で、それで平和が保たれておる。われわれはそういうことを持続することによって永久に平和を維持していこう。その間に両方が核兵器に疲れてきて、もっと減らそう、そういう方向に促進していこう、そう思っているわけなんです。
  134. 矢山有作

    ○矢山委員 私は非武装中立の話を何にもしてないのです。そんな、人が議論しておる土俵をあえて外して、とんでもないところへ広げて、自分の有利な議論展開をしようというのは、総理ひきょうですよ。(「ひきょうとは何だ。ひきょうなんという言葉は取り消せ」と呼ぶ者あり)議論というのは共通の場でするものです。もし、ひきょうと言うた言葉が気に入らぬとおっしゃるなら、あなた、社会党の非武装中立をものぐさとおっしゃった。ものぐさというのは一体どうですか。これは許せませんよ。私は非武装中立の問題には触れてませんが、一党の党是と言われる政策をものぐさ論と言うのは承服できません。これは取り消していただきたい。そうおっしゃるなら、ここでいまひきょうとはけしからぬと言うから、私はひきょうは取り消します。どうですか。
  135. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 ものぐさという言葉がお気にさわるようでしたら取り消しても結構ですが、われわれから言わしむれば、汗を流さない、そして一生懸命自分の国を守るという努力をされない、そういう意味においてわれわれの考えとは違う。せめて自分で自分の国を守る……(矢山委員「取り消しなさい」と呼ぶ)だから、取り消しても結構です、そう言っておるのです。(矢山委員「結構だけ要らぬのです。取り消しなさい」と呼ぶ)それじゃ、取り消しましょう。だけれども、国民の中にはそう言っている人はかなりいるのです。私はそういうことを聞いているから、それを申し上げておるわけなんです。  そこで、もう一回もとへ話を戻しますと、安保条約ができ、平和条約ができ、そして安保条約がさらに改定された、そういういきさつは、われわれから言わしむれば、全く武装もないまる裸のひ弱な日本が営々として独立国家になる、その涙ぐましい努力の過程でここまで来たのだということを私は申し上げたいのです。昔のままの、占領中のままのマッカーサーの保護のもとにあるような状態でわれわれはいたくはなかった、米軍をできるだけ早く撤退させたい。しかし、日本を防衛する限度においては提携し、また協力していかなければならぬ、そういう考え方でございます。
  136. 三塚博

    ○三塚委員長代理 もう時間が来ましたが……。
  137. 矢山有作

    ○矢山委員 ちょっと待ってください、けじめをつけますから。
  138. 三塚博

    ○三塚委員長代理 いや、一言で。時間が来ました。
  139. 矢山有作

    ○矢山委員 これが行革に関係ないとかなんとかいう話が出ているから、関係ないことはない、大いにある。  一つは、何かといいますと、あなたは盛んに、国を守るためには軍備が要るとおっしゃる。そこで私は、時間があれば議論したいのは、じゃ日本がどこかの国から攻めてこられるような、日本独自としてそういう軍事的争点をいま抱えておるのかどうか、この議論一つあるわけです。なるほど、日ソの間に軍事的な争点があるではないか、ソ連が脅威だとおっしゃるかもしれない。しかし、日ソの間に固有の軍事的争点は何もない。もし、軍事的争点が日ソの間にあるとするなら、安保条約でアメリカが日本に軍隊を駐留させ、基地を持ち、それをほとんど自由に使用して対ソ戦略の基地にしておる、このことが日ソの軍事的な争点なんです。だから、ソ連が脅威だと言わなければならぬ、そういう問題が一つあります。
  140. 三塚博

    ○三塚委員長代理 簡明に願います。
  141. 矢山有作

    ○矢山委員 残念ながら議論できませんが……。  それからもう一つは、あなたは抑止、抑止とおっしゃる。
  142. 三塚博

    ○三塚委員長代理 矢山君、時間が来ましたので、簡明に願います。
  143. 矢山有作

    ○矢山委員 抑止というのはどういうものか、いまや抑止論は崩壊をしておるわけです。そして、この抑止論のいまの段階は、ワインバーガーが言ったように、すでにどうなっておるかというと、先制核攻撃の可能性を彼は言っているわけです。圧倒的な核をもって先制攻撃をかければ核戦争に勝利できるということを言っておるわけです。そうなると、そのことはどういうことになるかといったら、一つは、核戦争の危険が現実的なものになった、もう一つは、果てしのない軍備拡大競争になる、こういうことを私は言っている。したがって、この問題について、核抑止論にあなたが頼る限りは軍備の拡大というものは続く。
  144. 三塚博

    ○三塚委員長代理 それでは矢山君、これで終わらせていただきますよ、どうぞ結論を。
  145. 矢山有作

    ○矢山委員 軍備の拡大によって、日本のこの財政の困難なときに、膨大な軍備をアメリカから押しつけられる結果になる。この議論をしたかったのだけれども、残念ながら時間がなくなりましたので、これは改めてあなたとぜひやりたい。私は非武装中立論をいまやっているんじゃないのですから、よく考えておいてください。
  146. 三塚博

    ○三塚委員長代理 これにて矢山君の質疑は終了いたしました。  次に、金子みつ君。
  147. 金子みつ

    金子(み)委員 私は、行政管理庁長官に今回の国家行政組織法の一部改正に伴う関連法律整理、この整理に関する取り扱いの中でお尋ねしたいことがありますので、よろしくお願いします。  それは、労働省設置法の第二章の中の第二節に附属機関に関する項目があります。そして、その中で第十三条「その他の附属機関」というところがあります。「その他の附属機関」というところに、現行法では表が入っておりまして、全部で十四にわたる各種の審議会の設置が示されております。ところが、今回の関連法律整理に関係して、この中でただ一つだけ、婦人少年問題審議会が「政令で定める」になるということが示されているわけでありますが、私がお尋ねしたいのは、どうして婦人少年問題審議会だけが政令事項になるのでしょうか。なぜこれだけ問題になっているのか、まずお尋ねしたい。
  148. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 御提案申し上げてありまする国家行政組織法第八条の規定によりまして今後の審議会の設置のやり方について規制をしようと、一つの基準をつくったわけでございます。その基準によりますと、法律に根拠があるもの、実定法、よその法律ですね、実定法に根拠があるもの、さらにまた、この委員の任命について国会議員を充てるというふうに決めているもの、それからさらに、国家意思を決定表示するような権能を持っておる審議会、これは従来とも法律で規定をするようにしましょう、各省設置法だけでその設置が決められているものは、今後政令をもって規定することにしましょうという審議会設置の規制の基準を決めただけでございまして、婦人少年問題審議会につきましてその重要性が劣ってきた、こんなことを考えているものではありません。婦人少年問題審議会の審議する事項はきわめて重要な問題ばかりでございますから、その審議会の重要性は、今後政令で設置するようになりましても毫末も劣ってくるものではない、かように考えておるものでございます。
  149. 金子みつ

    金子(み)委員 いま御説明がありましたけれども、それでは重ねてお尋ねいたしますが、どうして勤労婦人福祉法や勤労青少年福祉法ができたときにその設置に関する規定をおつくりにならなかったのでしょうか。それがありませんために、いまお話しの実定法の中に設置がないから今度の基準でもってこれは政令に行くんだ、こういうふうにおっしゃったと思うのですが、なぜそれがつくられていなかったのかということについてお尋ねをしたいのです。
  150. 赤松良子

    ○赤松政府委員 お答えいたします。  婦人少年問題審議会ができましたのは昭和二十四年、広く婦人少年問題に関する労働大臣の諮問に答えるためにできたわけでございます。それから、昭和四十五年に勤労青少年福祉法ができました。そのときに御指摘のような点は考えられたかと存じますが、婦人少年問題審議会のカバーする範囲は非常に広くて、勤労青少年福祉法の中でその設置についての規定を設けることは適当でないというふうに考えられたと思われるわけでございます。その後、四十七年に勤労婦人福祉法ができました。そのときにも同様の考えで、設置法に基づいてつくられております婦人少年問題審議会の方が範囲が非常に広いということでただいまのようになっているものと理解しております。
  151. 金子みつ

    金子(み)委員 いまの御答弁を伺っておりますと、私はやはり納得できないのです。勤労婦人福祉法の中に規定をすると範囲が狭くなってしまうからというふうな御答弁でございましたけれども、私はそうじゃないのじゃないかと思うのです。これはやはりそれぞれの実定法の中にあるべきものであって、それがないから今度のようなことになったわけです。だから、なぜそのときにしなかったのかということについて、これは当時のことを聞いているわけじゃありませんので、いまお尋ねしたらそういうお返事になったのですが、私の考えですけれども、正直に言えば、当時労働省設置法の中にあるからついうかつにしていたとか、あるいは余り必要ではないと考えたからとか、あるいはもっと勘ぐれば、故意につくらなかったというふうな考え方にもなれるわけでございますが、そういうことがあったのではないかというふうに私は思うわけです。それが今度、後で申し上げますが、政令事項になったことについて、今後の動かし方について非常に大きな不安が出てくると思うのです。ですから、いまの設置の趣旨は私は納得ができませんが、それでよろしいんでしょうか。大臣、いかがでしょう。
  152. 大野明

    ○大野国務大臣 ただいま行政管理庁長官あるいは婦人少年局長から御答弁申し上げましたように、臨調答申に沿って政令事項にしたということであって、決してこの婦人少年問題審議会を軽視するとか、そういう意味ではございませんので、どうぞ御安心賜りたいと思います。
  153. 金子みつ

    金子(み)委員 そういうふうに御答弁なさるだろうと思っていたんですけれども、実際問題としてはこれは軽視になるわけですね。その点が非常に問題だと思うのです。私はひがんで言うわけじゃありませんけれども、婦人問題の審議会とか青少年問題の審議会というものを全体の計画の中で、政策の中で決して重視していらっしゃらなかったんだなということが、これでわかったような気がいたします。いろいろと言いわけのような御答弁をいただきますけれども、やはり率直に言って、その時期においてはそういうことがあったのじゃないかというふうに思います。  もう一つの心配事は、それと関連するわけでございますが、勤労婦人福祉法関係、今回の改正によりまして「勤労婦人福祉対策基本方針を定めるに当たつては、あらかじめ、政令で定める審議会の意見を聴くほか、」云々と書かれているわけで、青少年問題の場合も同じことだろうと思うのでございますが、「政令で定める審議会」と申しますと、何をお指しになるのですか。幾つも政令で定める審議会がある場合には、どの審議会でやっても構わないということになるのじゃないかということが考えられますから、私は軽視になるというふうに申し上げているのですけれども、この場合の「政令で定める審議会」というのは、婦人問題あるいは青少年問題審議会と特定の審議会であるのかないのか、それをはっきりわからせていただきたい。
  154. 赤松良子

    ○赤松政府委員 お尋ねの点は婦人少年問題審議会でございまして、特定でございます。
  155. 金子みつ

    金子(み)委員 そういうことであるならば、どうしてここに「婦人少年問題審議会」と明記なさらないのですか。     〔三塚委員長代理退席、津島委員長代理着席〕 はっきりわかっているたった一つ審議会であるのならば、はっきりと明記なすったらいいと思いますのに、明記しないで、どの審議会でも使えるような書き方をなさるというのはやはり軽視しているのじゃないか、重要視してない、ここへまた結びついてしまうのですけれども、この点はどこでおつくりになったのですか。原案をおつくりいただいたところで御答弁いただきたいと思います。
  156. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 お答えいたします。  「政令で定める審議会」という表現をとりましたのは、同じ法律レベルで具体的な審議会の固有名詞が別途あるものはその固有名詞を引くわけでございますが、そちらの方が政令委任というかっこうになりますので、具体的な法律レベルで具体的な名前が出てきませんものですから、立法技術としては「政令で定める審議会」ということで、その政令で定める際に具体的に特定の婦人少年問題審議会ということを政令の中で決めていく、こういうことになるわけでございます。
  157. 金子みつ

    金子(み)委員 ちょっとおしまいの方がよくわからなかったのですが、ここへ特定の名前を明記することは不可能なんですか、法的技術の上で。
  158. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 同じ法律レベルでそういう名前がもうすでに特定されているものはそれを引くわけでございますけれども、それが特定されてないわけでございますから、いわゆる法律技術的な問題としてそういう表現をとったまででございます。具体的に政令で書く際にはそれを特定するわけでございます。
  159. 金子みつ

    金子(み)委員 いま説明は聞いたんですけれども、私の質問は、特定の名前をここへ明記することができないのか、それは法律技術的に不可能なんですかと伺っているのです。
  160. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 法律技術といたしましては、同じ法律レベルで具体的に名前が挙がってないとそれを具体的名称として引きにくいという形で従来法律の表現の平仄を合わせてきているわけでございます。その平仄に従ってああいう形をとりましたものですから、法律技術上の問題として御理解賜ればと思っているわけでございます。
  161. 金子みつ

    金子(み)委員 やはり納得できませんね。やりにくいという答弁のなさり方でしたから、やりにくいのならやれないことはないというふうに理解ができますから、これをやっていただきたいと思いますし、もし、これをきちっとやろうとするのだったならば、こういうことになるのでしょうか。婦人少年問題審議会、それぞれの実定法律がございますね、勤労婦人福祉法あるいは勤労青少年福祉法、この法律の中に設置の規定があればできやすい、できる、こういうことになるのでしょうか。
  162. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 他の実体法で具体的な審議会の設置が規定されておりました場合、それを引くことは法律表現としては可能であると思いますが、先ほども婦人少年局長がお答えしたような事情がありましてそこはとらなかったということであります。
  163. 金子みつ

    金子(み)委員 それなら、いままでの扱いが適当でなかったと私は判断いたします。もし、本気で婦人問題や青少年問題を取り組むつもりであったならば、今回のこういうことが考えられるときに、あっ、この分だけはこうなるということはお気づきになるはずですね、専門家ですから。そうしたら、そのときにこれは直すべきであったなというふうに考えつかれるはずだと思うのです、私みたいな素人でも気がつくのですから。ですから、おできになるはずだったのをなさらなかった、その理由が一つ知りたいことと、いま一つは、それなら、それぞれの実定法である二つの法律の中に審議会の設置規定を設けるということをこれからなさる必要があると思いますが、それをなさる御意思がおありになるかどうか、これは大臣ですね。
  164. 赤松良子

    ○赤松政府委員 勤労青少年福祉法あるいは勤労婦人福祉法の関係では先ほどお答え申したとおりでございますが、将来婦人少年問題審議会の審議内容あるいはその審議会の性格が変わるというようなことがございまして、法律に規定するのが適当と思われるような場合には検討されるということはあり得ると存じます。
  165. 金子みつ

    金子(み)委員 私は赤松局長にはお気の毒だと思うのですよ。局長の所管になっていますから、御自分のところだけこういう形になったのは、本心から言えば残念だと思っていらっしゃると思うのです。しかし、そういうふうにおっしゃれませんからいまのように御答弁なさるのだと、私もそれはわかります。ですから、本当にお気の毒だと思っているのですが、しかし、そういう必要があるならばといまおっしゃいましてお逃げになりましたけれども、私はこの際できるだけ早い機会に、いま法律を直そうとしているときですから、いまからで間に合うのかどうか、法案ができてしまって国会に提出されておりますから、いまこれをどうすることもできないのかもしれません、それこそ法律技術的にむずかしいのかもしれませんけれども、できるだけ近い機会にこの実定法の中にその設置の規定を設けるということをぜひやっていただきたいと思いますが、その考え方でお進めになっていただけるかどうか。これは労働大臣でしょうか、行管の長官でしょうか、どちらからお返事をいただくのでしょうか。労働大臣ですか、労働大臣の所管の法律ですね。
  166. 大野明

    ○大野国務大臣 いま局長から答弁いたしましたようなことでございますので、いますぐということは法的にいろいろな問題もございますので、しかし局長が、あるいはその時期があったならばということも答弁いたしておりますので、そのときに考えたいと思っております。
  167. 金子みつ

    金子(み)委員 できるだけ早い機会に法律改正をして、そして、きちっと審議会の設置を規定していただきたいと思いますので、いまの労働大臣の御答弁ですが、できるだけ早くそれをしていただくように重ねて強く要望しておきたいと思います。  その次にお尋ねしたいことは、まず外務大臣にお尋ねするのですが、御承知だと思いますけれども、第三十四回の国連総会で、これは一九七九年の十二月ですが、採択になりました婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約というのがございます。この条約を日本も批准する目的で、「国連婦人の十年」の後半、一九八〇年でしたけれども、この目的でコペンハーゲンで開かれた世界婦人大会で署名をいたしましたね。これは高橋大使が署名をなさいました。ですから、署名をなさいましたということは、これを批准するという前提で署名をしたわけなんですけれども、批准するということについての積極的な方針、そして、やるという考えは外務省にはおありになるのでしょうか。
  168. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 婦人差別撤廃条約につきましては、これを批准したいということでいま努力を重ねております。国内体制、関係省庁いろいろ関係がございますから、そういう関係へのいま協議を進めて早期批准を考えておるわけです。
  169. 金子みつ

    金子(み)委員 それじゃ、事務当局で結構なんですが、現時点で批准した国の数と批准していない国の数とをちょっと教えてください。
  170. 山田中正

    ○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。  この条約に署名いたしました国が九十カ国ございますが、そのうち四十八カ国がすでに批准いたしております。さらに、条約に署名をしないで加入いたしました国が三カ国でございます。したがって、条約の締約国は現在のところ五十一カ国でございます。署名いたしましていまだ批准いたしておりませんのは四十二カ国でございます。
  171. 金子みつ

    金子(み)委員 私はこういうふうに承っております。条約を批准するための手続が必要なわけですね、それぞれの国で。それで、よその国では、諸外国では、一つ一つの国はわかりませんけれども、批准をするということをサインしたらその後直ちに批准はする、とりあえず批准をして、そして、その後、その国の中の関係法規を手直しをするなり何なりして、そして実質的な批准に持ち込むという形をとっている国があるというふうに聞きましたけれども、日本の場合はその逆であって、批准するという目的でサインはしたけれども、批准を取りつけるためには国内の関連法律、それを手直しをする、あるいは必要なものがあれば新しく法律をつくるというような手続をした上でなければ批准をすることができないということですから、時間的には大変に時間がかかるわけですね。それで、この条約の批准については、御承知と思いますが、「国連婦人の十年」、一九八五年に終わるわけでありますが、それまでの間にこれを実現させるという目的で進めていることだと思うのです。  それで、現在までこの批准をするために努力をしていると先ほど外務大臣おっしゃいましたが、その努力の次第をわからせていただきたいと思いますけれども、きょうは大変時間が短うございまして、すべてについて聞かせていただくことはできませんので、労働省の問題だけを外して、ほかのものでどういうことが進められているかということを、一言で結構ですが、外務省お返事いただけませんか、これは事務当局で結構です。
  172. 山田中正

    ○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃいましたように、わが国の場合は、締結した条約は誠実に遵守するという基本態勢をとっておりますので、批准の前に、批准いたしましたらこの条約が完全に実施できるような国内法体制を整えていただきたいということで、目下鋭意関係各省に御検討を依頼しておる次第でございます。この条約が対象としております分野、非常に広うございまして、二十二省庁関連いたしております。先生いま御指摘ございました労働関係以外に、主な分野といたしましては国籍法関係、それから教育関係、公職関係、社会保障関係でございますが、このいずれにつきましても、先生先ほど御指摘ございました、明後年に批准できるようにという計画の中で何とか批准できるよう、関係各省に鋭意御検討をお願いしておる次第でございます。
  173. 金子みつ

    金子(み)委員 ありがとうございました。  それでは、きょうの短い時間の中でございますので、この批准に持ち込むための法律改正あるいは法律準備、これについて、やはりこの批准を取りつけるために一番中心的な問題になっておりますのが婦人労働の問題でございますので、労働省にお尋ねをさせていただきたいと思います。  婦人労働の問題としていま取り上げられて鋭意御検討中と伺っております問題の一つが、労働条件の平等ということで、労働基準法の手直し、それから婦人を採用する場合、雇用する場合に大変に不公平があるということを直さなければならないから、雇用の平等ということを前提といたしました男女雇用平等に関する法律、これをつくろうというふうにしていらっしゃるということを伺っておりますので、この問題について伺わせていただきたいのでありますが、最近の検討の進め方としては、この二つを統合して、いまの時点では婦人少年問題審議会のところですでに検討を進めていらっしゃるというふうにも伺っておりますから、その模様を、簡単に経過を聞かせていただきたいと思っております。
  174. 赤松良子

    ○赤松政府委員 先生御指摘のように、この問題は雇用における男女の機会均等、待遇の平等という点が非常に大きなウエートを占めるというふうに私どもも考えております。  そこで、先ほどお話の出ておりました婦人少年問題審議会がまさにこの問題を検討する審議会でございまして、そこへ新しい法律を必要とするか、あるいはするとすればその内容はどういうことか、あるいは先ほど御指摘のございました労働基準法についても改める必要があるかどうか、どういう内容が必要となるかというような点について御審議を願っているわけでございます。  さらに、それに先立ちまして、男女の平等とはどういうことかということを基本的に考えていただくために、労働大臣の私的な諮問機関としての役割りを持った研究会に討議をお願いいたしまして、その中にも労使それぞれ、あるいは公益を代表する専門家の皆様方から御意見を伺ってその報告をいただきまして、その報告の基本的な考え方の上に立って、審議会はただいま集中的に審議をしていただいているところでございます。
  175. 金子みつ

    金子(み)委員 いまのお話から二つほど質問させていただきたいことがあります。  その一つは、経過をお話しくださったわけですけれども、時間的な制約があるわけですね、この問題については。ですから、その時間的な制約との兼ね合いがどうなっているのだろうかと大変気になりますので、そのことをひとつわかりたいと思いますこと。  いま一つは、婦人の労働問題の中で男女不平等ということが言われております点は皆さん御承知だと思いますけれども、労働基準法の中にそのことがはっきりと出てきているわけなのですね。それで、その労働基準法を改正するという考え方があったと思いますが、いまのお話の中では私はそのことをはっきりと受けとめられなかったのですが、労働基準法の改正をなさるおつもりなのかなさらないおつもりなのか、そして新しく雇用に関する法律をおつくりになるということはお話を伺っておりますが、そちらの方を鋭意進めていらっしゃるようにも伺えるわけなのですが、この労働基準法についてはどうなさるのか、そのこととを聞かせていただきたい。
  176. 赤松良子

    ○赤松政府委員 労働基準法につきましても、その内容は審議会の検討事項となっております。
  177. 金子みつ

    金子(み)委員 もう一つ答弁、時間的制約の問題。
  178. 赤松良子

    ○赤松政府委員 失礼いたしました。  批准に間に合うようにということを前提にいたしまして、審議会にお願いいたしておりますことは、今秋、遅くも年内には結論をお出しいただきたいというふうにお願いをいたしております。
  179. 金子みつ

    金子(み)委員 二つお尋ねしたのですけれども、労働基準法の改正の問題についてはいま審議会で検討しているというお話でありましたけれども、労働基準法の方を先に改正をする、あるいは同時にやらなければ、男女雇用平等法、これはそういう名前は仮に言うわけですけれども、男女雇用平等に関する規定をおつくりになる場合にそごを来すのじゃないかと思うのですが、その辺の兼ね合いはどうなっていますでしょう。
  180. 赤松良子

    ○赤松政府委員 雇用の機会の均等、待遇の平等を確保するための法律と現行の労働基準法の改正と、同時に審議会に検討をお願いいたしております。
  181. 金子みつ

    金子(み)委員 私もしつこくて悪いのですけれども、同時に審議会に検討を依頼しているということは、改正をするという趣旨でやっていらっしゃるのですか、そして両方の法律を同時に仕上げていこう、こういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
  182. 赤松良子

    ○赤松政府委員 具体的には審議会の御答申を待ってということになりますが、私どものお願いいたしておりますのは、法律が必要かどうか、その内容、そして基準法の改正が必要かどうか、必要だとすればその方向、両方を同時にお願いしているわけでございます。
  183. 金子みつ

    金子(み)委員 いま答弁をいただきましたから、大体見当はつきます。ただ、労働基準法を改正することが必要かどうかというのは、やはり役所の答弁の仕方だと思うのですね。現在の労働基準法に男女不平等の規定があるということはみんなよくわかっているわけですから、これを改正することが前提で審議会にかけていらっしゃるのじゃないかというふうに私どもは想像するわけです。そして、平等とは何かという専門家会議も持っていらっしゃることも聞いておりますし、だから、これを改正したいという考え方で進めていらっしゃるに違いないと思うのですが、どうしてもそれをおっしゃらないわけですね。政府立場としては言えないのかもしれませんけれども、それをはっきりおっしゃってくださいませんので、何となくもやもやとしてはっきりしないわけでございますけれども、いまのお話で大体わかりましたからこれ以上申し上げませんが、いまの御答弁では、審議会の意見を遅くともこの年内にという話です。年内に意見が出てまいりますればそれを検討して、いつ、どのようにというところまで本当は知りたかったのですけれども、それを言っていただけませんでしたので大変残念ではございますけれども、こちらからそれではこのようにということを申し上げてみたいと思うわけでございます。  これは期間の制限があるわけでありますからどうしてもその期間に間に合わせなければならないということがあるので、それを急いでいただきたいと思って私は言うわけでありますが、ところが実はこういう問題が出てまいりました。  御存じだと思いますが、九月二十七日並びに二十八日の夕刊に男女雇用平等法に関して日経連が反対をするということが出ておりました。近く声明をする。「十月上旬にも反対声明を出すことになった。」というふうに書かれております。もちろんこれは、男女雇用平等法などと勝手に名前を決めておりますのは報道機関が名前をつけたのだと思いますが、しかし私ども関係者の間では、男女雇用平等法案ができるということはもう周知の事実でございますから、こういう名前が使われても別に不都合だとは思いません。思いませんけれども、反対をするという声明を出すということがはっきりとうたわれたわけでございます。  これを見てみますと、「深夜労働の禁止などの女性保護規定の撤廃がむしろ先決であり、現状のままで法の成立を強行すると、わが国の労働慣行を根底から覆し、終身雇用制にも影響を及ぼす恐れがあるというのが反対の理由。」となっているわけなんです。そういうことを反対の理由として、十月の上旬にも反対声明を出すという日経連の声明があったわけですね。そういう考えを示したわけでありますけれども、もし、こういうことになるといたしますと、労働省としてはどうなさいますか。中にはもっと細かくいろいろと書いてはございますけれども、もし、こういう声明が出された場合、あるいは声明はまだ出ませんけれども、二十八日、日経連が反対するということを言っておりますが、これに対して労働省はどうなさいますか、そういうものが出た場合。
  184. 大野明

    ○大野国務大臣 日経連の意見表明が新聞に出されたということでございますが、まだこれは検討の段階だということで、いま先生がおっしゃった具体的なようなことも、これはいま日経連内部でいろいろやっておられるかどうか知りませんが、私ども労働省には何の要望も来ておらぬというところでございます。  御承知のとおり、婦人少年問題審議会は公労使三者構成ということでございますので、その場において、先ほどから答弁もございましたように、男女の雇用の機会の均等とかあるいは待遇の平等その他含めて御審議いただいておるということでございます。  そういうことですから、この問題も、先ほどこれも局長答弁にございましたように、今秋あるいはまた年内ぐらいには御答申をいただいたら検討するということでございますから、私どもそれについてつぶさに何も知らぬというのが現段階でございます。
  185. 金子みつ

    金子(み)委員 直接労働省には連絡がなかったということで、当然そうだろうと思いますけれども、先ほど局長が御説明くださいました専門家会議の中には、日経連、経済関係の代表者も入っていらっしゃるというふうに私は伺っております。それなのになぜこういうことが行われるのか、その辺非常に疑問があるわけですね。代表者を送り出していて、その代表者がほかの代表者と一緒に話し合いを進めているにもかかわらず、経済関係の人たちだけがこういうことを突然発表してみたり、あるいは考えがあるなんということを出したりするということは、何を意図しているのか、私は非常に判断に苦しみます。本来、賛成でないのに、しょうがないから一緒になって話し合いの中に入っていたんだというような形になるんじゃないかというおそれが非常にございます。経済界の方たちにとっては、ここにも書いてありますけれども、男子と女子と同じように採用するということになると、たとえば採用した二年目からの幹部職員の訓練は男子だけになっているのだからそれは困るとか、あるいは採用基準を打ち出すことができなくなるとか、男の人を何人、女の人を何人というようなことも決められなくなって非常に大変なんだということが書かれておりまして、私は、この言葉から真意が悟れるような気がするのですが、やはり平等にはしたくないという基本的な考えが底を流れていてこういうことになったのじゃないかという感じがいたします。  ですから、そういうような声明がいままだ発表されておりませんから手のつけようがないというふうに大臣はお考えかもしれませんが、もし、ここで声明が出た場合には非常に問題だと私は思いますので、いまの専門家会議のあり方についてももう一遍検討していただかなければならなくなるのじゃないでしょうか。そうしますと、大変時間がかかりますね。おかしなことになったということになって、それで予定どおり年内に答申が出ないかもしれない。年内に答申が出なかった場合には、私は大臣に申し上げたいと思いますのは、これは昭和六十年には完成させなければならないわけですから、そうすれば五十九年度、来年度の通常国会には法案が提出されなければならない、そうして国会を通過しなければならないと考えますけれども、その手順がきちっとおできになるかどうか、大臣の御決意を聞かせていただきたい。
  186. 大野明

    ○大野国務大臣 ただいまの点につきましては、いずれにしても審議会の答申を待っておるという現況でございますので、それもことし中には出していただきたいということでお願いもしてございます。その答申を受けたら速やかに労働省としては対処していきたいと考えておるところでございます。
  187. 金子みつ

    金子(み)委員 追っかけてお尋ねするわけでありますが、速やかにとおっしゃいましたから、それじゃ、それでいいというふうにならないんで、来年度の通常国会には法案を提出するつもりだということをおっしゃっていただきたいと思ってお尋ねしたのですが、それはおできになりますか。
  188. 大野明

    ○大野国務大臣 いまここでお約束するというわけにちょっと、なかなかむずかしいと思います。
  189. 金子みつ

    金子(み)委員 大臣の意思をお示しいただきたい。
  190. 大野明

    ○大野国務大臣 意思があってもできない場合もあるということでございます。
  191. 金子みつ

    金子(み)委員 それはおかしいと思いますよ、労働大臣。やる気があるのだったら、やるつもりですとなぜおっしゃれないのですか。やろうと思ってもできないことがある、そんなことわかっています、何の場合でもそうなんですから。あすのこともわからないいまの時代ですから、それを言っているのじゃない。大臣がこの法案国会に提出する意思がおありになるかどうかということを伺ったわけなんですから、それをお答えいただきたかったわけです、五十九年度、来年度。
  192. 大野明

    ○大野国務大臣 いずれにしても、批准との関連もあるということを重々承知した上でお答えしているつもりであります。
  193. 金子みつ

    金子(み)委員 それ以上御返事がいただけないようですから、もう重ねて申し上げませんが、私の希望として申し上げますが、五十九年度の通常国会にぜひ法案をお出しいただきたい。そうでなければ、批准をする時限までには間に合わなくなるから、そうすれば、日本が文化国家で、そして東洋の先進国だの何のかんのと申しておりましても、男女の問題についてだけは日本は後進国だということを改めて認識していただきたいのです。男女平等の問題では、日本は確かに後進国になっています。     〔津島委員長代理退席、三塚委員長代理着席〕 それは戦前の思想が戦後も続いている関係だと思いますが、一遍には直らないかもしれませんけれども、事ここに至って、戦後も三十八年、もうきちっとやっていい時期が来ているのじゃないでしょうか。そうでなかったら、やはり先進国としての位置を保つことはむずかしいと考えますが、そういう点からいいましても、ぜひこれを期間内に仕上げて、そして批准を全うしていただきたい。これは最後に労働大臣に対しての私の希望でございますが、ぜひよろしくがんばっていただきたいと思います。
  194. 大野明

    ○大野国務大臣 御意見と御希望は十二分に承っておきます。
  195. 金子みつ

    金子(み)委員 残念ですけれども、努力するとおっしゃっていただけなかったので、がっかりしました。  それではその次に、話題を変えます。労働大臣、ありがとうございました。次に、厚生大臣の所管の問題で少し質問させていただきます。外務大臣、御苦労さまでございました。  厚生大臣にお尋ねしたいことは山ほどあるのですけれども、きょうはもう時間も制約されておりますし、いずれ社会労働委員会もございますことですから、そこでまた引き続きということもございますので、時間のある範囲内で質問をさせていただきたいと思っております。  いろいろ問題はございますけれども、何と申しましても、いま一番世間を騒がしておると言っていいでしょうか、国民がみんなひとしく心配している問題についてお尋ねをしたいと思っております。  それは、申し上げるまでもございません、大臣が発表なさいました医療保険制度の見直しの問題でございます。これは医療費の抑制策だということはみんな知っております。一つ一つ申し上げなくてもいいと思うのでございますけれども、確実に毎年一兆円ずつ上昇しているというような国民医療費の増加は大変に大きな問題だということは私どももよくわかります。国家財政を圧迫することもわかるし、保険制度としては成り立たなくなってしまうのじゃないかという必配があることもわかるわけであります。したがいまして、それらを勘案しての制度の見直しをすることは私は結構だと思います。しなければならないのじゃないかというふうに私も思いますけれども、今回の見直し案の内容は大変な問題になっているということ、これは厚生大臣御自身でもお気づきなんだと思うのですけれども、大変思い切った案をお示しになったわけであります。  私は、案は思い切って示されても構わないと思うのですけれども、私が申し上げたいと思っていますことは、この中身でございますと、結局国民の健康を守るという基本的な目標はそれてしまって、財政破綻の問題を解決することにだけ集中しているというふうになっていくのは大変残念だと思うわけでございます。もちろん、財政をきちっと立て直しをし、そして進めていかなければ国民の健康は守れないんだよ、そういうふうにおっしゃるかもしれませんけれども、私は、やはり視点は国民の健康を守るというところにまず置いて、そして、そのためにはどうと、こういうふうに考えていただきたいと思ったのですが、そこら辺がすりかえられたような感じがいたしますので大変に遺憾に思っておりますが、大臣、その点はどのようにお考えでしょう。
  196. 林義郎

    ○林国務大臣 金子議員、医療改革をぜひやらなければならない、大変であるという御認識をいただいておりまして、私も心から感謝を申し上げるわけであります。先生は社会労働委員会におられまして、その方のベテランでもありますので、私は、いろいろな点で御議論を賜ればありがたいと思っておるところでございます。  今年最初に社会労働委員会がありましたときに、私の所信表明を申し上げました。私はその中で、わが国独自の創造力に基づく新しい福祉社会の建設を目指す時代が来た、すでに欧米の模倣の時代は終わったということをはっきりと申し上げておりまして、これからどんな形で建設していくかにつきましては皆様方の御意見も聞きながらやっていかなければならないということを申し上げておるわけでございまして、それからもうかれこれ一年たつわけでございますけれども、私も私なりにいろいろと考えてきたわけでございます。決して、国保の財政が赤字であるから、財政計算上そのつじつまを合わせるためにやるということではなくて、お互いが持っておるところの社会保険医療制度、社会保険によって行われるところの医療保険制度というものをやはり健全に運営し、長期的に安定させるということが一番大切なことではないか、私はこう思っておるところでございまして、そうした中長期的な問題におきまして給付と負担との割合をどうバランスをとっていくかということを考えてきたわけでございます。  当委員会で、最初に御質問がありましたのは安井先生からでございます。先生のお話の中に、社会党としても平和、公平、効率ということを大原則として行革に取り組んでいく、こういうお話がありました。私も公平の原則、効率的な原則というものはやはり医療保険の中でもとっていかなければならない、そういったことを考えて、その点におきましては全く安井先生と同じ考え方である、そういった物の考え方に立ちましていろいろなことを御提案をしておるというような次第でございます。
  197. 金子みつ

    金子(み)委員 わかりました。それはそれとして承っておきまして、私は二、三、具体的な問題ですけれども、考え方の問題についてお尋ねをしたいことがあります。  その一つは、今回の見直しをしようと思って考えていらっしゃる問題の中で、一番目玉になると申しますか、みんなが一番関心を深く寄せておりますところが、いわゆる被保険者本人の十割給付を八割にするという問題、二割自己負担があるというこの問題なんですが、私は、本人が二割自己負担をするということが、国民医療費の上がっていくことを阻止するということにはならないと思うのですね。そこへ結びつかないと思うのですよ。  なぜかと申しますと、医療費が上がるということはひとえに医師の診療内容に基づくわけなんですから。患者は、医師のところへ行って何の注射をどれだけしてくださいとか、どういう薬をこれぐらい出してくださいとかということを注文するわけではないのですから。お医者さんが、あなた薬は要りませんよ、毎日の食事でこういうふうにすれば治りますよというふうにおっしゃれば、一銭もかからないわけです。ですから、医療費が上がっていくというのは、患者が数がふえるとか減るとかという問題ではないと私は思うのです。これはやはり医師の診療内容次第だというふうに考えます。ですから、どっちかと言えばそちらの方をしっかりと見ていただかなければならないのでありまして、たとえば、よく言われます乱診乱療とか、あるいは不正請求とか過剰検査とかというようなものが大変に金額を引き上げているといつも言われますね。ですから、それはぜひ見直さなければいけないと思いますが、見直す方法としては、なぜそういうふうに乱診乱療があるのか、あるいは過剰検査があるのかと言えば、もとはと言えば診療報酬出来高払い制度にあるのだと私は思いますね。ですから、これを何とかしない限り、どれだけ患者に自己負担を与えて、三遍行くところが一遍になるとか、あるいは二遍のうち一遍しか行かないとかいって足をとめても、医療費の値上げを阻止することはできないというふうに思いますし、これは考え方が少しおかしいのじゃないか、そういうふうに考えます。  臨調答申でも、臨調が目指してきたのもやはりこの点だったと思うのです。医療費を抑制するためには診療報酬出来高払い制度を何とかして改めなければだめだということを臨調も言っておられたと思います。ですから、これが直らない限り医療費の値上げはなかなかおさまらないというふうに私は考えるわけでございますので、その点は大臣、どういうふうにお考えになりますか。この診療報酬出来高払い制度を何とか改善するということをお考えにはならないのでしょうか。私は、これが直らない限り国民も納得できないだろうと思うのですけれどもね。
  198. 林義郎

    ○林国務大臣 金子先生御指摘のように、私も二割を自己負担にしたからそれで事足りるとは思っておりません。全くそのとおりだと思います。ただ、数字的に見ますと、十割もらっておられる本人の方の受診率と家族の受診率は同じである、しかしながら、通院をしておられる方々のその費用を見ますと、十割もらっている方の方の薬代が多いということも事実でありますから、そこはやはり問題があるのではないかと私は思っているところです。おっしゃるとおり、お医者へ行ったらお医者の言うとおりである、こういうことでありますが、これはお医者の方でも、そこにはやはり、ある程度まで患者に負担をということになれば自制が働くだろうと思うのです。そういったことを考えながら、その一環としてやっていかなければならないと私も思いますし、診療報酬が非常におかしい、いまの出来高払いは非常におかしい——経済学者によりますと、こんな出来高払いなんというのはとんでもない制度であるということを言う学者もおる。これも正しい議論だと思うのですよ。ただ、出来高払いがどうだということ、この出来高払いに対応しますのは、ヨーロッパでもありますような請負式というのもあります。償還方式というような考え方もある。いろいろな制度をやっております。それからまた、ホームドクターみたいな形でやっている制度もある。いろいろな制度がありまして、どの制度もなかなかうまくいっていないということも事実だろうと思う。これは先生よく御承知のとおりだと思います。したがいまして、出来高払いの制度をいまのまま温存していくということではなくて、出来高払い制度につきましてもよりいい方向に改善を図っていかなければ、本当の国民の信頼にこたえる方途にならないのではないかと思うわけでございます。そうした意味で、診療報酬体系の合理化というのはもちろんやっていかなければならない。言うまでもありませんけれども、その中に薬価基準の合理化という問題も当然に入ってくるわけでございますから、そういった問題も含めてありますし、同時に要りますのは、不正請求の徹底的排除であるとかいろいろな各般の施策を講じていかなければならないと思っているところでございます。  同時に、いま先生から、臨調からもいろいろな指摘があるではないか、こういうふうなお話がありました。臨調答申の中でも、各般にわたりまして医療制度につきましては御指摘をいただいておるところでございますが、臨調答申におきましても給付率の問題につきましては、給付率について本人、家族間の格差の問題を含め、給付率の見直しを行うことという御指摘があるわけでございまして、私は、そういったものをも踏まえ、将来にわたりまして医療保険制度全体を通じて均等な給付が得られるということがやはり望ましいのではないかと考えておるところであります。医療の中にプライスメカニズムというものをある程度まで入れていくということが、私は、全部にそれを入れるということは考えておりません、社会保険ですから。おりませんが、やはり一部にはそういった原則を生かしていくということが、先ほどお話し申しました効率の原則にはかなうものではないだろうか、こう思っておるところでございます。
  199. 金子みつ

    金子(み)委員 時間もなくなりましたので、あと一つだけお尋ねしたいと思います。  それは、大臣がよくお口になさる、給付の公平とか負担の公平とかということをおっしゃるわけでございますね。それはまさしくそのとおりだと思うのですが、そのたてまえ、考え方からいけば、今回のような見直し方でございますと公平になっていないのですよ。いままで確かに公平でなかった、それを今度は公平にしていかなければならないという段階だと思うのですが、十割を八割にしたということではあっても、まだ家族は七割ですし、国保も七割ですね。この国保や家族をこの際八割に上げる、見直し論ですから。見直し論の中でそれも八割に上げるのだ、そうすれば公平だということは言えるのじゃないかと思いますから、それを考えていらっしゃるかどうかというのが一つ。  いま一つは、こういうこともおっしゃっているのですね。今回の場合に十割を八割にして二割自己負担にするけれども、財政基盤の強い組合については付加給付も認めることができるから、ということになりますと、その組合では本人は還付されますから問題ないのでしょうけれども、しかし、それは大企業の健保組合の場合だけであって、中小零細企業の政管健保やあるいは国保などではそのことはできない。そうだとすると、やはり弱者へのしわ寄せということになって、決して給付の公平、負担の公平にはならないのじゃないだろうかと思います。  ですから、公平ということに関して二つ問題があるわけなんですが、この二つに関して御答弁いただきまして、もう時間がないようでございますので、質問は残念ながら打ち切らせていただいてまた別の機会にと思いますが、どうぞよろしく。
  200. 林義郎

    ○林国務大臣 今回の改革案は大変世間を騒がしておりまして、まことに申しわけないと思うのですが、いま給付の公平ということを申しました。いろいろな点がありますが、将来的には、いま家族なんか、あるいは国民健康保険は七割でありますから、そこはやはりできるだけ早い機会に八割に統一することが望ましい、私はこう考えているのです。今回は、金の問題もありますからなかなかできませんけれども、できるだけ早い機会にそれをやるのが方向としては正しい方向だろうと私は思っているところでございます。  それからもう一つ、付加給付のお話が出ましたが、付加給付につきましては、健保組合の自主的な運営の観点によって行われてきたということが過去においてございます。今般の改革におきましては、こういった付加給付というのは健保組合からのものは認めていかないということでやっておるところでございます。それは、社会保障制度として、制度としてあるときに、公的な医療負担におけるところのものはやはり社会的公平という観点から同一である、先ほど申しましたような考え方でございますが、そういった形で考えていくのが筋だろう、こう思っておるところなんです。ただ、これは自己負担ということでございますから、自分の負担を会社の方が何か負担をするとか、あるいは自分の家族にいろいろな形で負担があるとかというようなことまで、これまで私の方がどうだと言うことはない。社会保険としてはそういった形のものをひとつとっていくことが私は望ましいのではないか、そこがやはり給付と負担との公平さを確保する上において必要なことではないかと思っているところであります。
  201. 金子みつ

    金子(み)委員 時間があるそうですので、ちょっと続けさせてください。大臣にお尋ねしたいことがまだございます。  その一つは、基本的な問題になるのじゃないかと思いますのでお尋ねしたいのですが、今度の見直しで年収二千万円以上の高額所得者に対しては健保から外して自由診療にするというお考えのようでございますね。そういう人たちは自由診療にしても支払えないわけじゃないでしょうから、実際問題として問題はないのかもしれません。  しかし、私は問題になると思いますのは、せっかく日本は国民皆保険という制度を持っております。しかも、この日本の国民皆保険制度というのは世界で大変に評価されているのです。ですから、余りいろいろと評価されることの少ない日本の場合に、社会保障制度はやっとこぎつけたというところまできて、その一環としての国民皆保険制度でありますが、こういうことになりますと、これが崩れるおそれがありますね。その点はどうなんですか。せっかくそういう評価のある、日本の社会保障制度の一環として国民の健康を守るためにつくられているというのに、それが崩れるおそれがある。そして、何と申しましても国民の健康を犠牲にするような形で財政をつくっていこうというふうに見えるのですね。だから、これは大変に問題だと私は思うのですけれども、そのお考えはいかがですか。
  202. 林義郎

    ○林国務大臣 金子先生おっしゃるようなことは私も考えておりまして、二千万円とか三千万円とかいいますと、言うならばこれは金持ちですね、金持ちを外してみたらという考え方が実は一つあるのです。そこまで税金で負担することはないじゃないかという考え方がありますが、えてしてそういう方はわりと健康であって、保険料は払ってもらうけれども、という話もありまして、計算すると、やはり入ってもらって保険料を払ってもらった方がいいではないか、得ではないか、こういうふうなことです。  それと同時に、基本論として、先生のお話がありましたように、社会保険でありましたら、それは貧しき者も富んでいる者もすべて入るべきであるというのが私はたてまえであろうと思いまして、そういった考え方でいまこれは中で検討しておるところでございます。先生の御趣旨は私も非常によくわかりますので、そういった方向でひとつ検討してみたいな、こう思っておるところであります。
  203. 金子みつ

    金子(み)委員 時間になりましたので終わりますが、いろいろとまだ検討事項だとおっしゃることが多いようでございますので、どうぞしっかり検討して、国民の健康を犠牲にするような形でなさらないようにお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  204. 三塚博

    ○三塚委員長代理 これにて金子君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  205. 三塚博

    ○三塚委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件につきお諮りをいたします。  各案審査のため、本日、参考人として石油公団理事松村克之君及び日本原子力船研究開発事業団理事長井上啓次郎君、専務理事福永博君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 三塚博

    ○三塚委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────
  207. 三塚博

    ○三塚委員長代理 関晴正君。
  208. 関晴正

    ○関委員 まず第一に、行革とは何かということなんですが、私ならば、今度政府考えているこの行革というものは軍拡のためにやるものなり、こう認識しておるのですが、いかがですか。
  209. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 行革は、総理大臣がたびたびお答え申し上げておりますように、経済社会の変化に対応いたしまして、行政のあらゆる分野にわたって聖域のない見直しを行って、簡素効率的な行政をつくっていく、こういうふうに理解をいたしておるわけでございまして、軍拡のためにやるものではない、かように信じております。
  210. 関晴正

    ○関委員 信じるということは宗教の方でございまして、具体的にこの行革国民の足を削り、国民の福祉を削り、教育予算は後退させ、そうして、あらゆる部面においてのしわ寄せを、あるいはおしんのごとく耐えろなんといって変な話をして、すべて軍拡の道を拡大しているわけですよ。そこで、私はこの論をさらに重ねようとは思いません。いま長官が、何か信じるなんという話をしているけれども、現実に五六中業の十六兆円の金を生み出すためにこれはやっているものなりと、私はそう認識しているわけなんです。そのために、あらゆる国民生活が今日犠牲を強いられているものだ。そういう意味において、はなはだ間違った方向を歩もうとしているのじゃないだろうか。  そこで、第二番目は、総理府と行政管理庁を一つにするというのですが、総理府というのは、全般的な、ひとつの政府の執行の任務を多く持っておる機関ですよね。行政管理庁というのは、どちらかといえば監督、監察、そういう部面を持っておる。会社でいえば理事者と監査委員みたいなものだと思うのです。これを一つにして何の意味があるのだろうかと私は思うのです。そうして、ここからどれだけの金が浮くということになるのでございましょうか、具体的にお答えください。
  211. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 前段の御意見でございますが、行政改革というのは行政全般について見直しを行っていくのでございまして、軍拡のためとかいったふうな御意見がございますが、特定の分野について後退をさせるとか、あるいは特定の分野について増強していくとか、そういうものではない、かように考えておりまして、そういう方向で努力をしているということをまず申し上げておきます。  それから、二番目のお尋ねでございますが、総理府は執行機関であり、行管は監督機関であるといったふうな趣旨の御意見がございましたが、総理府というのは、総理大臣の持っておりまする総合調整の役所でございます。これは私が申し上げるまでもなく、すなわち各所管大臣に属さないものあるいは数省にまたがるようなものを総理大臣が総合調整をしていく、こういう役所でございます。それと同時に、行政管理庁も、監察ということはありますけれども、組織の管理を行っておりまする行政管理庁というものも、これはもう機構の総合調整の役所でございます。そういうふうなことで、総理大臣の持っておる総合調整機能と、行政管理庁、これはもともとは総理府の外局なんですから、権能は、御承知のように、これも総理大臣の持っておる総合調整なんです。そういうわけで、総理大臣が現在持っておる総合調整機能と、行政管理庁をつくってすでに総合調整の権能を委任されておる事項、その二つを合わせまして、政府全体として見れば総合調整機能の範囲を広げていく、こういう役所でございまして、総合調整機能の強化であると考えております。  それから、しかし、その機能の強化はいいが、人員や予算はどうなっているというお尋ねでございますが、これは御承知のように、人員につきましては第六次定員削減計画というものができておりますから、さらにまた、課の設置等については五年以内に一割減らす、こういうことも決まっておりますので、年末、予算編成過程において、それぞれ人員の削減あるいは機構の縮小あるいはまた予算の縮小ということになるわけでございますので、この法律そのものによっていますぐできるというものはございませんが、年末に必ず予算の縮減なり機構の縮減等は実現をしていく、こういう考えでございますから、この法律としては機能の強化ということでどうか御理解をいただきたいと考えております。
  212. 関晴正

    ○関委員 二つのものを一つにして、そうして機能の強化だとかあるいは行革だとかと言っておりますが、この法律、どんなに大事な法律だろうと思って何度か読んでみたけれども、じゃ、この法律によってどれだけ金が浮くのか、どこにむだが、ここによって省かれるのか。いま人員の整理云々と言われましたが、人員の整理云々は何もこの統合によらなくてもいろいろ計画があるわけでしょう。統合しなければ人員の整理にならないなんていうことにならないはずです。そういう意味において、せめて大臣だけでも一つ減らした、こう言うならば、なるほどなと国民も納得するでしょう。減った大臣を無任所に置くというのでしょう。これはむしろ趣旨からいってむだじゃありませんか。この点はどう思っています。
  213. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 二つの役所を一つにするということは、私は大変なことだと思っているのですよ。もう私が申し上げるまでもなく、戦後ずっと各省というものは膨張の一途をたどってきているのですね、最近においても国土庁をつくったりあるいは環境庁をつくったり。そういうわけで、役所がどんどんふえておりますよ。昔のことを言っては恐縮でございますが、私も内務省に入ったのは昭和八年でございますから、あの当時の内務省というのはどんどんふえておりまして、現在は八つくらいの役所になっているのですね。そういうふうに今日までの日本の中央省庁の発展の歴史というのはまさしく膨張の歴史なんです。それを今回初めて、これは総理の決断というのですか、二つの役所を一つにするというのですから、私はこれは褒めていただけるものだとばかり思っておったわけでございます。そういうふうに御了承を願っておきたいと思います。  それから、機能の強化というのは、これは本当に金だけで評価できないものでございます。金の問題なり人員の問題は予算編成の際にちゃんといたします。法律そのものは機能の強化ということでございますから、これはひとつ長い目でごらんをいただいて評価をしていただければありがたいなと、私はこう考えておるわけでございます。  大臣につきましては、そういうわけで二つの役所を一つにしますから、大臣が、総理言葉をもってすれば浮く、こう言っているのですね。御承知のように、これは私が総理大臣でもないのにこんなことを言ってはどうかと思うのですが、やはり内外の情勢、非常にむずかしい問題がありますから、そういう内外のむずかしい問題に対して、大所高所に立って総理大臣を補佐するような無任所大臣の設置というのは必要ではないかと、これは私が答えるのもおかしいのですけれども、私はそう思っております。
  214. 関晴正

    ○関委員 とにかく総理府と行政管理庁の統合ということについての意味は、ただいまの長官の答弁を妥当なものとするならば、これまでのやり方というものは機能がよくふるわなかった、能力がうまく発揮できなかったのだ、よって、こういうことで強化したいのだ、こういうふうに理解だけはします。  そこで、この問題で大臣の首を一つぐらい減らしたというならば、これは中曽根もやったな、こう思われますよ。浮いた首をまた別なところに置きかえているわけですよね。せっかく浮いた首をなぜ置きかえて、またとっておかなければならぬのだろうか。ここがむだですよ。せっかくぜい肉をとる、むだ遣いをやめさせる、そういうことで出てきた法律案だとわれわれは思っている。しかし、実際は全くそうじゃないですよね。ごまかしですよね。知らない人は、よほど中曽根は行政改革をがんばっているのだろうな、こう思うのだけれども、いや何もやってないのですよ、ごまかしですよと私は説明に歩く。ああそうですか、どのくらい浮くのです、何千億もこれで浮くのでございましょうか。何も浮かないよと言って浮かぬ顔をしていなければならぬような問題だと僕は言っておる。そういう意味では、私どもは、こういうやり方で行革を進めているなんという粉飾的な姿勢、これをとにかく批判しておきたいと思っております。  そこで私は、いかに今日の政府がむだな金の使い方をしているか、この問題について具体的に申し上げて、お答えをいただきたいと思うのです。  まず第一に、新全総というのがありましたよね。それから、三全総というのがありましたよね。それで、このことは昭和四十四年からこの方、もう十五年ですよ。そうしておいて、描かれた一つの構想というものに向かって進まれた結果として、かけられた金額はどのくらいあって、現状はどうなっているのか、これをお答えいただきたいと思います。
  215. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 お答えいたします。  ただいまのお話は、三全総で大規模工業基地といたしまして開発を予定いたしました苫東、それからむつ小川原、志布志湾、秋田湾等の開発について、現在までにどの程度の投資が行われているかということだろうと思いますが、まず、志布志湾と秋田湾につきましては、まだ事業に着手しておりませんので、事業費として投資した額はないわけでございます。  苫小牧東部、むつ小川原につきましては、港湾等の基盤整備につきまして、苫小牧東部で約七百八十億円、むつ小川原につきまして約四百九十億円と相なっております。  なお、苫東につきましては、苫東開発株式会社で土地造成等を行いましたもの、それから国家石油備蓄基地等の建設に要しました経費を合わせますと、一千八百三十四億円でございます。むつ小川原につきましては、土地造成関連及び国家石油備蓄基地建設を含めますと、約三千二百億円程度となっております。
  216. 関晴正

    ○関委員 いまの数字は大体正しくないと思うのですよ。苫東に七百八十億、むつに四百九十億。むつに四百九十億というのは、これは何の話ですか。内容を言ってください。
  217. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 港湾整備の関係で、五十七年度までに二百九十三億、それから小川原湖総合開発事業につきまして四十五億、道路整備事業につきまして五十二億、合わせまして三百九十億でございます。  なお、先ほど四百九十億と申し上げましたのは、五十八年現在、本年度で執行いたしますものを含めますと四百九十億でございます。
  218. 関晴正

    ○関委員 こんな安い金と言えば変ですけれども、こんな程度の金じゃないのです。これは一応国の方で道路だ、港湾だという程度に使った金の話なんです。むつ小川原開発というのはそれだけじゃない。ここに土地を造成する、ここに企業を誘致する、ここに備蓄基地をつくる、そういうことにおいて会社がつくられ、その会社においてまた投資がなされまして、驚くなかれ、そのトータルでいきますと、総額においておよそ三千五百億は超えているのだ。それでいて、ここにつくられたところの備蓄タンクが機能を発揮しているのか、ここにつくられたところの一点係留ブイバースが機能を発揮しているのか、こういう問題が一つあります。  私は、その問題に入る前に特に申し上げたいことは、このむつ小川原開発の地域の住民たちというのは、あすにでも開発が来るであろう、どうかひとつ漁業権を出してくれ、あるいはまた農地を出してくれ、こういうことで、あすにでもここに工場ができた場合には自分たちの働き場所があるであろう、あるいはまた自分たちの孫子の時代においては活用されるであろう、そのためには孫子も学校に入れ、工業系統の大学にも入れて投資をしておいて、そして備えて待っておったのに、いまあるものは何か。ただの一人も採用するような企業は来ない。願っていることは一つも行われない。土地代金は家を建てることに使われて、大きな家はできたけれども、生活の手段はそこに一つもない。まさしく開発を期待しておるところの六ケ所の村民たちは、何というものだ、こう言っている。そうして、考えておられましたところの三つの計画、石油精製、石油化学、そして火力発電所、この三つの計画というのは全然行われない。むつ小川原開発の計画というのは、この三つのことを行うことなんです。備蓄基地、タンクをつくるなんということは、五十二年度の閣議了解のときには全然ないことなんです。ないことは行われるし、決められたことは行われていないで、青森県民に多大の迷惑をかけているのです。私はこの点についての責任を問いたいと思っているのです。政府の責任、これについて政府はどう考えているのか。とてもこの話は地方振興局長では答弁できないのじゃないですか。あるいは総理大臣にでも聞かなくてはならないと思うのです。総理がおられたら、総理に出てお答えいただきたいと私は思っている。総理が出なくてもいいというならば副総理格の方でもどなたでもいいですよ。この問題についてお答えいただきたいと思います。
  219. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘のように、むつ小川原の第二次基本計画におきましては、工業用地を二千八百ヘクタール造成をいたしまして、先ほど申されましたような石油コンビナートを中心に開発を進めるということに相なっておるわけなのでございますが、現在二千八百ヘクタールのうち、石油国家備蓄基地といたしまして二百六十ヘクタール余が売却をされておるという状態で、国家石油備蓄基地の第一号としてすでにオイルインが始まっているということでございます。しかしながら、御指摘のように、石油コンビナートに係る企業の進出が進展していないということは事実でございます。このような状況がありますもので、地元の青森県、むつ小川原開発株式会社等におきましては、企業立地に全精力を傾注して、目下努力をしておるということでございます。企業の立地を進めてまいりますためには、御案内の東防波堤の一部、内港地区の一部が最小限整備されることが必要なのでございまして、そういった意味合いから、国費のむだ遣いにならないようにするためには、今後とも港湾、道路等の整備を積極的に進めていかなければならないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、むつ小川原地区は全国でも数少ない、かけがえのない大規模工業基地でございまして、このような観点から、今後とも開発を推進していく必要があるのではないかと考えております。
  220. 関晴正

    ○関委員 まあ、よくもこんなことをぬけぬけ言えるものだと思うのです。四十四年の新全総、そして五十二年の三全総。三全総の計画というものは、もう三、四年で全くこっぱみじんに砕かれて、いま四全総をつくらなければならないということで作業に入ることになっているでしょう。そういうときに、まだこの計画が行えるような話を言うから私は怒りたくなる。石油精製や石油化学や火力発電、できるのですか、やれるのですか。お答えください。
  221. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 お答えいたします。  石油精製、石油化学といったいわゆる石油シリーズの立地の見通しにつきましては、きわめて厳しい状況下にあるということは私どもも承知いたしておりますが、このむつ小川原の開発につきましては、そのほかに、いわば関連の産業の立地も予定をしておるわけでございまして、そういった意味から石油備蓄基地もできたわけでございます。今後の問題といたしましては、ただいまお話がございましたように、いよいよ四全総の策定作業を始めることにいたしておりまして、地域開発プロジェクトのあり方の検討の一環といたしまして、従来の計画に加えまして、むつ小川原開発の企業立地のあり方についても検討を行うことといたしております。
  222. 関晴正

    ○関委員 通産大臣、おられますか。いまのお答え、なっていません。石油備蓄に関連する企業を誘致するためにもやろうなんて、関連する企業が、いま三つしゃべったけれども、来ないでしょう。やれないでしょう。それでいて、長期的視点に立って待ってくれとか言う。長期的視点に立って待つなんということは、これは待望の方ですよね、待機の方です。むつ小川原開発というのは計画なんです。計画というのは期日が明確なんですよ。期日のあるものを計画と言うのです。期日のないものは計画にあらず。幻想であれ、妄想であれ、あるいは構想であれ、何でも別な方ですよ。これは第一次基本計画、第二次基本計画、そうして第一期計画、第二期計画というて、一応計画に載って、少なくとも昭和六十年の前期、そうして昭和六十年の後期、これにおいて石油精製は百万バレル、それから石油化学は百六十万トン、そうして火力発電は三百二十万キロワット、こうちゃんと出しているのです。だからこそ本気にしたし、だからこそ命がけで協力した方々が出たわけです。そういう意味で、できもしないものをこれからやろうと言ったって、いま石油精製や石油化学やそれらの施設は、一日に六百万バレルの施設があっても六割操業でしょう。ある施設をつぶせと言っているのでしょう。つぶせというときにここに開発が来て、やるということになりますか。これほど明々白々な、できもしないものをまだやれそうな話をしてやるということは、本当に罪つくりだと思うのです。こんな罪つくりなやり方でいつまでも青森県民を困らせるということはおよしいただきたいと思うのです。大体、地方振興局長なんというより地方滅亡局長みたいなものだ、ちっとも振興してないのだから。そうして、言うことはいつも同じことです。私は情けないのです、こんなことを言わなければならないということについて。もっと正直に言うて、しかも四全総につなぐような話をいましたでしょう。これはつながるのですか、四全総に。お答えください。
  223. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、いわゆる石油シリーズの立地について、現在きわめてむずかしい情勢にあるということは、先ほども申し上げたと思うのでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、青森県、むつ小川原の会社におきまして、鋭意立地すべき企業を、現在いろいろ工夫をしながら、その誘致に実は努力をしておるという面が一つございます。  ただいまの計画に加えまして、やはり四全総におきましては、三全総のときもそうでございましたけれども、地域開発プロジェクトについて検討を行うということは必要なことでございますし、その局面におきまして、むつ小川原の開発のあり方についても検討いたしたいということであります。
  224. 関晴正

    ○関委員 まだこれでも検討するなんという答弁をやっているわけです。検討の時代は終わったのです。これはもう決断の時代ですよ。そういう点で国土庁長官にお答えいただきたいと思うのだが、きょうはまた災害のことで特別出かけていくので何とか行くことを認めてくれと言ったものですから、災害優先ですから私も仕方ないと思いました。仕方ないと思いましたけれども、こんなざまで、こんなていたらくで、国土庁が青森県の発展のために仕事ができるなんというふうに思わせることだけはやめていただきたいと私は思うのです。  そこで、さらに申し上げましょう。一点係留ブイバースですよね。そして、このブイバースからオイルインがされて、備蓄タンクに油が入った。九月一日、オイルインしました。入った入ったといって大喜びでしたよ。ところが、このオイルイン、三日間働いたけれども、後、二回目のオイルインがぴたっととまっちゃった。     〔三塚委員長代理退席、江藤委員長代理着席〕 そして、十日ごろから残りの油を入れようというのでやった。初め十三万キロリットルは三日で入ったけれども、あとの十三万キロリットルは天候のかげんがあって入らない。やっと完了したのは二十九、三十日ですよ。二十九日の夕刻、大分無理したようですよ。それで、とにかく三十日の日に完了した。二十六万キロリットルの油を入れるのに、一カ月でやっとであった。  これはどこに原因があるか。言うまでもなく、天候というものをよく考えないであそこに一点係留ブイバースをつくったところに私は理由があると思うのです。運輸省においては、この着標率というものを七九%と見たのですよ。私どもはこのとき何と言ったかというと、着標率は四四%で、とても意味がないであろう、こう申し上げた。私どもの言ったことが現実に当たってきているわけです。  もう一つは、石油国家備蓄だというので備蓄タンクをつくった。五十一個です、五百六十万キロリットルの備蓄というので。ところが、この備蓄タンクが不等沈下を起こしました。どれだけの沈下量になったかといいますと、最小沈下量において四十ミリ、最高沈下量において三百二十五ミリ、差し引きまして不等沈下が二百八十五ミリというタンクが出た。このタンクはナンバー二十四であります。  そこで、私の言いたいのは、あの際も申し上げましたが、あの土地がタンクの置き場として適当であるかどうか、地質についてどういう調査をした、どういうボーリングをした、どういう判定をした、活断層のある場所ですよ、いいですかと言った。私は、海底の活断層も陸上の活断層も、活断層というものについて非常に関心があるものですから、そういうことでそういう場所は不適当であろう。こう言われても、何せここに備蓄タンクを置かなければむつ小川原開発株式会社というものが破産してしまうものだから、この会社のために土地買いをさせ、この会社のために買った土地を使わなければいけないという、企業のためにそうした方がいいだろうということでおやりになっているところに誤りがあるわけです。  そこで申し上げたいことは、私は、備蓄タンクを石油タンクの基地としてあそこに置く場合に、どういうようなボーリングをされました、どういう地質の調査をされました、その地質の調査をした資料を出せと申し上げました。ところが、石油公団は、しておったにもかかわらず持ってきません。きょうに至るも持ってきません。そこで、きょうはここに出してもらいたいと思うし、出す前に、やったのかやらないのかという話も出してもらおう。  その次は、ナンバー二十四のこの石油タンクのボーリング、九カ所やったことになっていますが、九カ所やったのでございましょうかということと、その内容は、いかに悪い地質のものであるかということです。こういうようなことについて、何が原因でこんなむだをつくったのだろうか。この二十四号についてはやり直しですよ。やり直しだってできないのじゃないだろうか、私はこう思っているのです。  そういう意味で、まず、こういう金のむだ遣いについて大蔵大臣はどう思うかということなんです。それから運輸大臣は、こうしたものをつくっておいて、迷惑がかからないと思ってきたかもしれないけれども、こういう現実が起きていることについて顧みるものがないかということと、通産大臣には、この基地が備蓄基地として適当であったとの判断を何を根拠としてなされたかということについてひとつ伺っておきたいし、こういう事態を招いた原因はどこにあるとお考えになっておられるか、まず、この点について先にお答えいただきたいと思うのです。
  225. 竹下登

    ○竹下国務大臣 むつ小川原開発に投じた巨額の金ということについて、言ってみればむだ遣いではなかったか、大蔵大臣の所見を問う、こういう御質問でございます。  むつ小川原地区の開発につきましては、昭和四十七年、港湾道路の整備、工業用地の買収等を今日進めてまいりました。一つは、経済安定成長への移行という問題と、それからエネルギーコストの上昇による基幹産業の低迷、これらによって工業用地の分譲が期待どおり進んでいないということは事実であります。  確かにこの計画を見ましても、昭和四十四年五月三十日に新全国総合開発計画が閣議決定されてからずっと経過を経て、四十七年にそのような青森県むつ小川原開発第一次基本計画及び住民対策大綱を決定というような形で進んできておりますが、確かにこの計画が最初できました当時は、原油価格が一九六〇年代、二ドル三十五セントから一ドル七十五セント、この間で推移しておるときの計画であります。したがって、その後の第一次石油ショック等からいたしまして、言ってみればエネルギーコストが上昇をした。これは単なるむつ小川原だけが例外であるわけではなく、確かに全国を見ましても工場団地ができましたところでは、工場が来ないためにあるいは網干し場になったり、ところによってはゲートボール場になったりというところもないわけではございません。  しかし、こうしたプロジェクトというものは、基本的に地域経済の振興の観点からは長期的に見ていかなければならぬではないか。青森県や私の島根県へ参りますと、人が出稼ぐのではなくして仕事場が出向いてくるようなふるさとさつくりたいというのが大変われわれの悲願でございますので、その意味においては長期的展望でもってこれは見ていかなければならぬし、今日もまた通産省や地元におきまして団地への企業誘致等について引き続き御努力に相なっておるやに承知いたしておりますので、大蔵省は直接この政策の立案官庁ではございませんが、それらの結果を見守りながらこれに対応していくべきである、このように考えております。
  226. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 むつ小川原は、私も東北出身ですが、東北にとって大変なプロジェクトと思っております。これに希望をかけているのは青森県だけではございません。そういう意味からしますというと、多額の金がかけられて、そこに大きな夢があったことは、お互いが非常に希望を持ってこれを見守ってきたわけです。その間において、時勢の変化等々もあって若干の変更のあることは当然やむを得ません。  このたびの揚油作業が長引いたというお話がありましたけれども、これは御案内のように、最初のオイルインでございます。そのために一点係留のブイというものの使用条件を特に厳しく設定したということが一つと、何さま初めてのことでございますから、着標時にたまたま非常に海が荒れた、これは予想外のことです。そういうことが重なっていまのように係留がおくれたということでございまして、私はこの事実からだけでこれは失敗だというふうに簡単に決めてもらったのでは、仕事をする者、希望を持つ者、そして現に施設があるんですから、これを充実させることにお互いに努力してまいりたい、こう思って、運輸省はそういう指導をしておりますから御理解いただきます。
  227. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 むつ小川原に関しましては、いま両大臣からいろいろと大切なプロジェクトである旨が表明されました。それは私も重複を避けますが、備蓄という観点から申し上げますと、やはり資源小国日本といたしましてはエネルギーの供給は常に安定的でなくてはならない、かように存じております。特に中東の情勢等々を勘案いたしますと、今日ただいま需給が緩和されたから大丈夫だというようなわけにはまいらないのではないかと思いますし、また、わが国の為替レート等を考えますと、まだまだ不安な要素もあります。私たちは極力、円高になって、そして輸入品が安くなって国民の生活が楽になるように望んでおるわけでございますが、しかし世間の情勢からこれまたむずかしい問題があるかもしれません。さようなことで備蓄というものは着実に今後もやっていかなくちゃならない、そういうことで実は大きなプロジェクトのむつ小川原にそういう基地を設けました。  なおかつ、公団が非常にいろいろとデータを出し渋ったというお話、いま私、着いたばかりで、承りましたが、その点は深くおわびいたします。そして、適切にそうした問題に関しましても指導をいたしたいと考えております。
  228. 関晴正

    ○関委員 答えがないよ。
  229. 江藤隆美

    ○江藤委員長代理 だれに聞きますか。
  230. 関晴正

    ○関委員 石油公団に。
  231. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生の御質問一つポイントは、どういう判断に基づいてこれをやったかということでございますが、この点につきましては、石油公団におきまして関係の専門家の方々、もちろん先ほどの港湾の問題その他いろいろな方々から成る委員会を設けまして、そこでフィージビリティースタディーをやりまして、大体やっていけるということが見通しがつき、さらにその後何度も検討を加えて、これでやれる、安全性その他から十分やれる、こういう判断に基づいて実施したわけでございます。
  232. 松村克之

    ○松村参考人 お答えいたします。  ただいま資源エネルギー庁長官から御説明いたしましたように、FSを昭和五十三年から五十四年にかけて行いまして、その結果、この地点が立地地点として適当であるというふうに報告が出ているわけでございますけれども、このFS段階の調査と申しますのは、プロジェクトの規模でございますとか、あるいは所要資金等の見込みを概括的に把握するための準備段階の調査でございまして、その後基本計画を策定するための予備設計段階でのポーリング、また詳細設計の段階での詳細ボーリング等を行っているわけでございます。  FS段階での使いましたボーリングデータの本数が十二本でございます。それから、予備設計の段階でのボーリング本数は、いわゆるボーリングといたしまして二十九本でございまして、その他簡易ボーリングとして九本行っております。また、詳細設計の段階では、ボーリングの本数といたしまして百八十四本、簡易ボーリングの本数として百五十六本、これだけの実施をいたしております。
  233. 関晴正

    ○関委員 長々とした答弁は要らないから、FSの結果なんというけれども、フィージビリティースタディーでどういうような内容でやったのか、その内容と、いま起こっている現実の不等沈下、これをどう判断したか、どう診断したかということを聞いているのです。  それから、ただいま十二本ボーリングをしたと言いました、二十九本やったと言いました。だけれども、十二本というのはどこの個所をやったのかということです。そのボーリングの結果の地質の内容というものを示してくれと言っているけれども、何にも示してくれないでしょう。あるならば、ひとつこれからでもいいです、示してください。  その次、この二十四号のところはどれだけボーリングしましたか。
  234. 松村克之

    ○松村参考人 ただいま申し上げましたボーリングのデータでございますが、これは非常に大部のものでございますので、私どもの方といたしましても、先生の方に提出するのがおくれていたことは大変恐縮でございますが、この点については早急に準備を整えて提出させていただきたいと思います。  次に、二十四号でございますが、二十四号についてのボーリングは九本行っているということでございます。
  235. 関晴正

    ○関委員 九本はどこで行いました。
  236. 松村克之

    ○松村参考人 ボーリングを行いました業者は、応用地質という会社と基礎地盤という会社でございます。
  237. 関晴正

    ○関委員 その二つの会社は、九本のうちどこをどうやったのです。
  238. 松村克之

    ○松村参考人 タンクの中心に一本掘ってございます。これが基礎地盤でございます。それ以外は応用地質でございます。
  239. 関晴正

    ○関委員 どうして同じ業者で全部やらなかったのでしょう。
  240. 松村克之

    ○松村参考人 最初に中心の一本を掘りまして、それから若干時間を置いて、次の段階として周辺を掘ったということでございます。
  241. 関晴正

    ○関委員 なぜ違う業者にしたのですかと聞いておるのです。
  242. 松村克之

    ○松村参考人 時間が違っておりますので、それぞれに業者を募集してやったということでございます。
  243. 関晴正

    ○関委員 九本のうち中心の一本だけは一つの業者、あと八本は同じ業者。八本ボーリングしましたか。
  244. 松村克之

    ○松村参考人 いま九本と申し上げましたその一本がセンターでございまして、その周辺に八本掘ったわけでございますが、その八本のうち四本がいわゆるボーリングでございまして、あとの四本は簡易ボーリングということでございます。
  245. 関晴正

    ○関委員 簡易ボーリングというのは何です。
  246. 松村克之

    ○松村参考人 大体同じ深度まで掘るわけでございますが、その工法が若干簡便なので、これを一般的にはラムサウンディングというふうに呼んでおります。
  247. 関晴正

    ○関委員 あなた何にもわからないで答えていますね。われわれをごまかすつもりで答えているのですか。裸になってお答えしようと思っていますか。お答えください。
  248. 松村克之

    ○松村参考人 できるだけ私の能力を使いまして、できる限り誠実に御答弁させていただいているということでございます。
  249. 関晴正

    ○関委員 知らないものは知らないと答えるしかないでしょう。だからといって誠実だということにはなりません。私は、石油公団の総裁にぜひきょうは来てくれ、あなたの監督ぶりというものがどういうものであるか教えてやるから出てこい。ところが、中国の方とのお話があるから出られない。日本人の方が大事なのか中国人の方が大事なのか、まずここから始まらなきゃならない。  そこで、九本ボーリングしたというのだけれども、九本ボーリングしてないでしょう。みんなちゃんとボーリングしたと思っているのにボーリングしてない。聞けば今度は簡易ボーリングだという。簡易ボーリングというのは何かと聞けば今度はわからないのでしょう。  大体、N値幾らになりました。あなた方はN値幾らと計算して、これが建設可能な地質と判断しましたか。
  250. 松村克之

    ○松村参考人 先ほどの私の御答弁が若干舌足らずであったかと思いますが、ボーリングと申しますのは地面に穴を掘ることでございまして、その中にいわゆるボーリングというもの、あるいはラムサウンディングというもの、その他いろいろあるわけでございます。それらを総称してボーリングというふうに申し上げたわけでございます。  N値について申しますと、実際に土木工学でいろいろな数字を使うわけでございますが、その代表的な一つとしてN値というものがあることは先生の御指摘のとおりでございますが、そのN値について消防法ではN値十五以上あることが望ましいというふうに言っております。
  251. 関晴正

    ○関委員 十五以上ありましたか。
  252. 松村克之

    ○松村参考人 ボーリングを行いました過程において、あの地域の地層につきましては地下水位が異常に低いとか、N値にランダムな数字が出ているとか、あるいは一部にN値の十五に達してない部分があるとかいうことがあったわけでございますが、それにつきましてN値十五相当の力を持つかどうかについて、さらに詳細な載荷盛り土試験その他を行ったわけでございます。
  253. 関晴正

    ○関委員 N値十五なんというものはほとんどありません。いいですか、これはあなた方で私に、青森に戻るときやっと持ってきたものですよ。これを見るというと、N値の十五なんというのはなかなか見られませんよ。ずっと下に下がってからです。一、二、三、四でしょう、N値が。しかも、場所によっては一もないところもあるじゃないか。たんぼにタンクをつくっているようなものじゃないの。あんこの上にかたいものを上げているようなものになるよ、これは。ですから私は、あなた方のおやりになったボーリングの調査、これがいかにでたらめであったか、診断がいかにでたらめであったかということを率直に自己分析しなければならないと思うのです。  なぜこんなことが起きたのです。何で不等沈下が起きたのです。多額の金を使って、しかも、どのタンクもそれぞれにみんな落ち込んでいますよ。でも、一応基準というものがあるからね。その基準を超えて落ち込んだものが隠しようもないものだから、このことが出てきた。それは一体何か。この下の方が、あなた方三メートルの土壌の置きかえはしたでしょう。その以下のところの置きかえしましたか。その下の方にやわらかいものがあるのだもの、重いものが乗れば沈下しますよ、これは。何にもむずかしいことはない。そういうようなずさんな計画で生じたこの原因をどの程度分析しているだろうかということで、一カ月以上たっているのですよ、あなた方。八月に水張り試験をして、その結果が出てきている。その水張り試験の結果を示せと言ったら隠して示さないのでしょう。何で水張り検査の結果を示せと言ったら示さないのです。聞いたら示したらいいじゃないか。水張り検査、五十一号やりましたよ。十二号は合格しましたよ。あとの三十号まで、それから残りの二十一号まで、あなた方がやったもの全部、私に水張り検査の資料を出せと言ったら出さないのでしょう。消防庁が出せと言わないから出さない、こんな話をしていますよ。消防庁は点数をつける方、つけられる方はあなた方なんだ。私、学校の先生をしたことがあるから、通信簿の結果を教えてくれと言ったって教えるわけにいかない。つける先生が、あの子は甲だとか乙だとかと言わない。つけられたものは親には言わなければならない。そこで、つけられた水張り検査の結果というものを出してくれと言ったら、なぜ素直に出さないのです。これからも出さないつもりですか。
  254. 松村克之

    ○松村参考人 いま先生から学校の教師と生徒との関係でお話がございましたが、私どももこういった資料を提出いたしますについて、関係省庁といろいろ御連絡をしながらやらせていただくということになっているわけでございます。先生から御要求がございました段階で、時間的にも非常に切迫しておりましたので若干おくれたわけでございますけれども、至急に関係方面とも御相談しまして善処したいと思います。
  255. 関晴正

    ○関委員 石油備蓄の会社の、言うなれば環境保全の調査報告書というのがあるのですよね。そして、貯蔵施設の基地というものがボーリングをした結果どういう状態だったかというのをちゃんと私持っていますよ。これを見ると、いかにやわらかいところが多いかわからない。これを見ると、とてもここには石油備蓄の基地をつくるなんという判断は出てこないはずです。全然なってないのだから。これはまた詳しく言うと時間がありませんから、いかにずさんであるかということについて反省してください。そして、いかに判断が間違ったかということについて考えてください。そして、今後このタンクを利用することにおいていろいろと問題があるということについてひとつ承知しておいてください。  そこで、私はなお通産大臣に聞きたいことは、とにかく一隻のオイルインするのに一カ月もかかってきた現状。いま運輸大臣は、いまのところ始まりだから、始まりはスムーズにいかないこともあるからというお話がありました。それはそれでわかる。だけれども、天候の問題は始まりじゃないのです。天候の基準のとり方、統計のとり方、ここに誤りがあるのです。あの太平洋は、名前は太平洋だけれども、ちっとも穏やかじゃないのです。天気晴朗なれども波高しという有名な言葉があるが、天気がいいからいいだろうと思ってもオイルインできないのです。これは日本海で起こったことですよ。まして太平洋だ。太平洋のうねりというものは天気がよくても百メートル、百五十メートルと出てくるわけです。それを、陸地から三千メートルの沖合いに、一点係留ブイバースだといって安上がりの岸壁をつくっておいて、そうして、この仕事をしようとしたことがいかに無謀であったかということに気がつかなければならない。私は、このことで運輸委員会においてどんなに申し上げてきたかわからない。時の局長の鮫島さんという方がおったが、おまえの名前のとおり、さめが悪くなると僕は言った。気味が悪いという意味ですよ。そのときに、気分が悪いと言って大分怒られましたが、私の言っていることを守らないばかりにこんなことが起こってくる。私は、このむだ遣いというものを今後いかにして防ぐかということが大事だと思うのです。  そこで、通産大臣に聞きたいのは、いま石油連盟において、一千万キロリットルぐらいタンクが余って、入れるのを待っているから、こちらに入れさせてくれないかという要求がありますね。洋上備蓄の油なんかみんなこちらの方に向けて、そして経費の節約を図った方がいいのじゃないだろうかと思うのですが、そういうお考えはありますか。
  256. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 洋上備蓄はいささかコストも高うつきますから、極力陸のタンクに入れて、民間のタンクに入れたい、かように思っております。
  257. 関晴正

    ○関委員 その点は、むだ遣いを防ぐという意味では大変いいことだ、こう思いますので、速やかに進んでいただきたいと思います。  この問題はまだ残しておいて、次にやります。あと時間がありませんので、その次、防衛庁。  三沢の基地というのが青森にありますね。三沢の基地に、基地の使用面積と契約面積と、さく外において実際に使っていないけれども残されている土地があるはずです。この土地にも金が払われていますよ。さく外の土地にどれだけの金が払われましたか、お答えください。
  258. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 事実関係でございますので、政府委員から答弁させていただきます。
  259. 塩田章

    ○塩田政府委員 三沢基地は、全体面積約千六百万平米のうち、いま御指摘のフェンス外となっておりますものが約十万平米でございます。この十万平米のうち、いわゆる契約によって借り上げているものが約六万六千平米でございます。残りの三万四千平米は国有地でございます。その借り上げ料金でございますが、五十七年度で千八百六十八万九千円でございます。
  260. 関晴正

    ○関委員 ただいまお聞きのとおりですよ。この三沢の軍事基地、言うなればさくが回してあります。私はそのさくの回されている中が基地の全部だと思ったら、さくの外にも基地があった。どれだけあるかといったら十万平方メートル。そのうちの国有地を除くと六万六千平方メートル。どうです、これに四十年も金を払ってきているのですよ。ことし払った金が、そこの部分だけで千八百六十八万でしょう。四十掛けたら何億になりますか。ざっと七億じゃありませんか。そんな金をかけて知らぬふりをしてきているというこのむだ、こういうのを直すのが行政改革でしょう。この話については、追ってまた内閣委員会で申し上げたいと思うから、ここのところはここでとめておきます。  最後に、原子力船「むつ」。この「むつ」の問題については、いまむつの漁民にいろいろ問題があって、長官知っているでしょう。作業しようとしたって陸からできないでしょう。陸上から工事ができなくて、仕方ないから海上からやろうというのでしょう。その海上も、関根浜の漁協の海を通ることができなくて、隣の大畑の漁協と石持の漁協の皆さんにお願いして、何とか水路五百メートルあけてくれと言っているでしょう。金を一銭ももらわないで、二十三億ももらったところも通らないで、おれのところを通るのは何かといって怒っていますよ。でも、あなた方は、金力と権力に物を言わせてしゃにむにやるでしょう。やっても、陸を通って歩けないのですよ、あなた。陸上の土地の所有権というものは不可能ですよ。そういうことになると、母港はつくった、陸は歩けない、どうなりますか。附帯施設はつくれない、こうなりますよ。十七万平方メートルの共有地並びに私有地を物にしないと母港は生きませんよ。それをしゃにむにやろうなんて言っているのでしょう。こんなことできますか。  私は、中山太郎君を初めとする「考える会」の諸君は、だから考えているんだろうなと思っているのですよ。だけれども、彼らもここまでは考えてない。それはわからないからですよ。だけれども、私は陸上部の土地所有の見通しがないままにしゃにむにやるということは不適当だと思う。  これをもし売ってくれなければ、あなた方、土地収用法で買い上げるつもりですか。絶対売らないと言っていますよ。特に三分の一の諸君たちは、反対の漁民たちが共用地を持ち、共用権を持っていますし、私も持っています。それらの諸君は、二十三億で海を売ることに反対したのだから、われらの土地は断じて売らないと言っている。やりたいと言ったってできないじゃないですか。それでも安田長官やりますか。やりたいということとできるということは同じじゃないのだから。  さらにまた、この問題で漁民たちは三分の一以上……
  261. 江藤隆美

    ○江藤委員長代理 関君に申し上げますが、時間が終わりましたから質問をまとめてください。
  262. 関晴正

    ○関委員 三分の一以上の反対があるわけです。この三分の一以上の反対がありましても、一年に二日か三日しか昆布をとらない諸君を正組合員に入れちゃって、それでやっと三分の二にした、こういうことになる。こんなインチキなやり方をして賛成させて、それで母港をつくるなんということが大人のする仕事であるのかということを私は思うわけです。  この二点について、水産庁長官もしくは農水大臣にお答えいただいて、あとは時間がありませんから終わりましょう。
  263. 安田隆明

    ○安田国務大臣 いま関先生が一番よく事情を御承知だと思いますが、いろいろ仕事をしてまいります開発行為、これには必ず地権者のいろいろな意見が出る。これは関根浜だけではございません。幸いなことに青森県の知事さん初め皆様方が非常にたゆまない努力を払っていただきまして、ようやく決着をつけました。これは先生御存じのとおりでございます。  あと用地の問題が一部残っております。この点につきましては、青森県の知事さん初め関係者事業団とともに一生懸命にいま調整中でございます。いずれのところにもこういう問題がございますけれども、私たちはやはり理解を求める、こういうことで、関先生御心配でございますけれども、県の方は責任を持ってこれに対応する、こういうことでいろいろ御報告も承っておるわけであります。関先生おっしゃいますとおり、必ず御理解を得てこれに到達いたしたい、こういうことを願っているわけであります。  以上であります。
  264. 金子岩三

    金子国務大臣 この問題は青森県の所管事項でございますけれども、いろいろ問題があるとすれば、水産庁を督励してひとつ適正な処置をしたいと思います。
  265. 江藤隆美

    ○江藤委員長代理 これにて関君の質疑は終了いたしました。  次回は、明五日午前十時より公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会