○中路委員 戦後の第一回、第二回国会の問題については、
総理自身も体験されていますからよく御存じなわけですけれ
ども、この局、部などの設置規制を政令事項にしていた当時の労働省設置法あるいは建設省設置法、
国家行政組織法案を修正した際に、衆参両院の決算
委員長は、本
会議の報告でこう述べているわけですね。
この部局というものは、これは明白に
法律によって決めねばならんものであります。
これを政令でやるというような
考え方は、戦時中に
法律で定むべき事項をやたらに勅令に委任したと同じ
考え方でありまして、これは勿論新憲法の精神に違反するのであります。
修正は、現われた文字から見ますると誠に簡単のようでありますが、その含むところの
内容は真に重大なものがあります。それは、従来の旧憲法の官制大権のごとき思想をさらりと捨てまして、すべては
国民の代表たる国会におきましてこれを
決定すべしとする国会至上主義、新憲法の精神に則る国会至上主義の実現であります。我々憲法を最も合理的に運用せんとする考えを持つものにとりまして、これは重大原則の確立であります。
本
会議で報告をされています。
総理もこの修正に賛成されたばかりか、議事録を読んでみますと、建設省設置法案に対しては、この修正案の趣旨
説明を当時の中曽根議員が行われているわけです。そして、いま
読みましたような趣旨を述べておられます。
私は、この問題は、戦後の民主化の
一つの大きな原点ではなかったかと思うのです。そういう点で、今度、戦後政治の総決算と
総理は言っておられますが、やはりこうした戦後の民主主義の原点であり、そして定着、確立した問題を崩すということは、私たちは絶対に賛成するわけにいかないわけです。いまの規定ですね、これが民主主義が定着してきたから、あるいは国会のコントロールができるようになったからというふうにおっしゃっていますけれ
ども、このことは、国会のコントロールを弱めるような法案をあえて提出する必要は、私はこの理由ではどこにもないのではないか。
決算
委員長が重大原則の確立だと言っていますけれ
ども、この三十年間定着した問題ですが、かつて佐藤内閣、田中内閣の時代に前後三回にわたって提案され、何の実質的な審議もなくて廃案になりました今回の法案と
基本的に同じ
内容の法案でありますけれ
ども、これについて、元内閣法制局参
事官の佐藤さんは、たしかいま上智大学の教授ですけれ
ども、こう述べています。当時ですね。
改正案の立場からは、現行の
国家行政組織法は
行政組織を硬直化させ、その弾力的な再編成を困難にしていると主張されるのであるが、この
法律そのものにその原因があるのではなく、省・庁の内部部局の弾力的な再編成はこの
法律の下においてもいうまでもなく可能なのである。端的にいって、
行政機構
改革の実現の成否はその
改革そのものの必要性が立法部によって支持されるかどうかに依存するのであり、この
法律の定めている
行政組織編成の方式そのものに依存するのではない。
と
指摘していますが、私もそのとおりだと思うのですね。
この
法律があるから弾力性が出ないのだということではなくて、まさにその時代の発展に応じて当然
行政機構の改編ということは必要になってきます。それはやはり国会のコントロール、国会がどういうふうにこの問題を判断していくかというところにかかっているわけであると思うわけです。そういう面では、硬直化しているからとか弾力性がなくなるということを理由にして外すというのは本末転倒ではないかというふうに考えますが、もう一度
総理のお考えをお聞きしたい。