運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-09-28 第100回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年九月二十八日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 江藤 隆美君 理事 海部 俊樹君    理事 津島 雄二君 理事 三塚  博君    理事 細谷 治嘉君 理事 矢山 有作君    理事 正木 良明君 理事 吉田 之久君       足立 篤郎君    愛野興一郎君      稻村佐近四郎君    今井  勇君       小里 貞利君    大村 襄治君       片岡 清一君    亀井 善之君       澁谷 直藏君    島村 宜伸君       田中 龍夫君    中村  靖君       西岡 武夫君    橋本龍太郎君       原田昇左右君    保利 耕輔君       宮崎 茂一君    村田敬次郎君       後藤  茂君    沢田  広君       森井 忠良君    安井 吉典君       湯山  勇君    渡部 行雄君       草川 昭三君    鈴切 康雄君       岡田 正勝君    中路 雅弘君       三浦  久君    小杉  隆君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 瀬戸山三男君         厚 生 大 臣 林  義郎君         農林水産大臣  金子 岩三君         運 輸 大 臣 長谷川 峻君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     山本 幸雄君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      丹羽 兵助君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      齋藤 邦吉君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 谷川 和穗君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      安田 隆明君  出席政府委員         内閣審議官   手塚 康夫君         内閣審議官   百崎  英君         内閣法制局長官 茂串  俊君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    斧 誠之助君         内閣総理大臣官         房総務審議官  橋本  豊君         総理府人事局長 藤井 良二君         臨時行政改革推         進審議会事務局         次長      佐々木晴夫君         行政管理政務次         官       菊池福治郎君         行政管理庁長官         官房審議官   古橋源六郎君         行政管理庁行政         管理局長    門田 英郎君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛施設庁次長 小谷  久君         科学技術庁原子         力局長     高岡 敬展君         国土庁長官官房         長       石川  周君         国土庁地方振興         局長      川俣 芳郎君         外務大臣官房長 枝村 純郎君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主計局次         長       的場 順三君         文部大臣官房長 西崎 清久君         文部大臣官房審         議官      齊藤 尚夫君         文部省初等中等         教育局長    高石 邦男君         文部省大学局長 宮地 貫一君         文部省社会教育         局長      宮野 禮一君         文部省管理局長 阿部 充夫君         厚生省医務局長 吉崎 正義君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         林野庁長官   秋山 智英君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         自治大臣官房審         議官      津田  正君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    坂  弘二君         自治省財政局長 石原 信雄君  委員外出席者         行政改革に関す         る特別委員会調         査室長     大澤 利貞君     ───────────── 委員の異動 九月二十八日  辞任         補欠選任   谷  洋一君     島村 宜伸君 同日  辞任         補欠選任   島村 宜伸君     谷  洋一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣提出、第九十八回国会閣法第三九号)  国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案内閣提出第一号)  総務庁設置法案内閣提出第二号)  総理府設置法の一部を改正する等の法律案内閣提出第三号)  総務庁設置法等の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案内閣提出第五号)      ────◇─────
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国家行政組織法の一部を改正する法律案国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案総務庁設置法案総理府設置法の一部を改正する等の法律案総務庁設置法等の一部を改正する法律案及び行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案の六案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯山勇君。
  3. 湯山勇

    湯山委員 お願いしておった大蔵大臣のお顔が見えないのですが……。
  4. 金丸信

    金丸委員長 早急に呼びますから、質問を後に回していただいてお願いします。
  5. 湯山勇

    湯山委員 それでは、総理は、行革は天の声、全力を挙げてこれをやるんだというようなことでございましたが、行革答申あるいはこれを受けて政府対応、これは神様がやるわけではございませんから、やはり場合によれば多少間違っている点もあるかもしれない。あるとは申しませんけれども、あるかもしれない。また、政府のこれに対する対応にも、必ずしもそれとぴったり一致していない点、問題点もあるかもしれないと思います。それらを正していくのがこの委員会におけるわれわれの役目だと思っておりますが、総理も同様でございましょうか。
  6. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 そのように考えます。政府がやっていることは必ずしも全部正しいとか間違ってないとか、そういう考えは持ちません。謙虚に皆様方の声をお聞きいたしまして、過ちがあれば、改むべきことは改めたいと思います。
  7. 湯山勇

    湯山委員 大変よくわかりました。  そこで、外務省在外公館設置に関連してお尋ねいたしたいと思います。  総理は、八月六日に広島原爆死没者慰霊祭並び平和祈念式に御出席になって、ごあいさつをなさいました。そのごあいさつは、要約いたしますと、戦争は人の心から始まると言われておりますが、このことはまことに至言であると思います、人数の目指すところはただ一つ、人類恒久の平和の達成であります、日本はその先達となるべき資格と責任を有する国であります、わが国の崇高な使命を果たすことができますよう全力を傾注してまいる覚悟でありますという、要約すればそういうごあいさつをなさいました。  私はこれを聞きまして、まことにりっぱなごあいさつであるというように感じたわけでございますが、総理も、いま私が要約して申し上げますと、なるほどうまいことを言っている、りっぱなあいさつだというようにお感じになったのではないかと思いますが、このお気持ちは今日もなおそのとおりだというように御確認願えますでしょうか。
  8. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 あの言葉は私が自分で書いた言葉でございまして、一貫して持っている考えであります。
  9. 湯山勇

    湯山委員 大変りっぱなお言葉でした。これは広島市長平和宣言とともに、国内はもちろん全世界にも伝えられたことだと思います。  そこで、総理のお言葉に、戦争人間の心から始まるという言葉を引用しておられますが、これは総理のおつくりになった言葉でないことは、言われておる、というので理解できます。  総理は、この言葉はどこからおとりになったのでしょうか。
  10. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 これはユネスコ憲章の中にそういう文章がありまして、戦争人間の心から始まる、人間の心を平和のとりでにしなければいけない、そういう趣旨のことが書いてあったのを記憶して申したわけでございます。
  11. 湯山勇

    湯山委員 そこで、ただいまの総理のお言葉を背景にしてこれからの質問を申し上げたいと思います。  いま総理が申されましたように、国連ユネスコ憲章の冒頭に、「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」とございます。総理がおっしゃったとおりです。そして、しかも総理は、そのために全力を傾注してまいる覚悟であるという決意を表明されましたが、これもそのとおりと理解してよろしゅうございますか。
  12. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 そのとおりと御理解願って結構です。
  13. 湯山勇

    湯山委員 したがって、言いかえれば、いまのような理念のユネスコでございますから、ユネスコ活動についても総理としては全力を注いでいくのだというように当然理解できると思いますが、そう理解してよろしいでしょうか。
  14. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 そのように御理解願って結構でございます。
  15. 湯山勇

    湯山委員 そこで申し上げたいのは、それじゃ、日本は本当に総理がいま言われたように全力を挙げてユネスコあるいはユネスコ活動に力を注いでいるかどうか、協力しているかどうか、その実態を少し明らかにしてまいりたいと思うのです。  現在、ユネスコ加明国は百四十三カ国と私ども理解しております。日本ももちろんこれに協力いたしておりまして、ユネスコに対する協力金の額、これは今日世界百四十三カ国の中で何番目ぐらいになっておりますか。これは事務当局
  16. 枝村純郎

    枝村政府委員 年間一千八百八十万ドルほどでございまして、加盟国百六十カ国のうち第三位でございます。
  17. 湯山勇

    湯山委員 私は百四十三カ国と申しましたが、いまのでは百六十だそうです。その中で第三番目に協力金を出しておる。これは日本の国力から見て妥当なところであって、なるほど協力を十分しているのだということが理解できます。  それから、日本執行委員を出しております。執行委員を出している国の数は幾つですか。
  18. 枝村純郎

    枝村政府委員 現在、四十五カ国でございますが、近く五十一名に執行委員の数を増員するような計画があるように承知しております。
  19. 湯山勇

    湯山委員 四十五カ国から執行委員を出しておる。その中に日本も入っておる。これも妥当だと思います。  さて、その次ですが、そのユネスコに対して日本は正式な代表部を置いておるかどうか。総理、言うことがおわかりでしょうか。ユネスコ日本は正式な代表部を瞬いているかどうか。総理はどうお考えでしょう。
  20. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 正式の代表という意味が、ユネスコ本部専属大使公使やその他を置いておるかという御意味であるならば、そういうことではない。フランス大使館におるしかるべき職員、しかるべき格の人間が、ユネスコ本部かどこかに別の署務所を持ってユネスコ専属の仕事をしておる、そういう関係にあると聞いております。
  21. 湯山勇

    湯山委員 じゃ、正式代表部は置いていないということですね、いまの御答弁では。
  22. 枝村純郎

    枝村政府委員 ただいま総理の御答弁のとおりでございまして、法律上正式の代表部は置いておりませんが、現在、公使がその常駐代表ということで専属してユネスコ事務に当たっておる、こういうことでございます。
  23. 湯山勇

    湯山委員 外務省設置法によれば、政府代表部というのはちゃんと設置法によって、法律によって定められたものを言います。それは置いていない。ただ、フランス大使あるいは大使館が兼務しておるということですから、いま答弁にあったとおり、正式代表部を置いておりません。  それじゃ、正式代表部を置いている国は幾つあるのですか。
  24. 枝村純郎

    枝村政府委員 私どもの把握しております限り、法令に基づいて正式の代表部というものを開設している国は、五十七カ国というふうに承知しております。
  25. 湯山勇

    湯山委員 ユネスコ加盟国百六十の中で正式代表部を置いている国が五十七。日本は置いてないのですから、置いてない国の最右翼にあったとしても五十八番目です。お金の方は三番目。今度は、正式代表部は置いてないですから、少なくとも五十八番目以下です。この点、よろしゅうございますね。  それから、ユネスコ代表部員をそれぞれ各国から届け出たのがあります。この数ですけれども、この数はいま日本は何名ですか。
  26. 枝村純郎

    枝村政府委員 現在、大村公使以下三名を常駐代表スタッフとして登録しております。
  27. 湯山勇

    湯山委員 お金はたくさん出しておりますけれども、正式な代表部は置いていない。それの代表部員数公使以下三名、公使を含めて三名、こういう構成です。  ちなみに他の国の状態はどうなっておりますか。日本周りをお聞きしたいのですが、南から、フィリピンは何名でしょう。タイは何名でしょう。韓国は何名でしょうか。朝鮮民主主義人民共和国は何名でしょうか。中国は何名でしょうか。とにかく近い国だけ言ってみてもらいたい。
  28. 枝村純郎

    枝村政府委員 近隣諸国の御指摘の国の数を申し上げますと、韓国は五名でございます。(湯山委員「六名じゃないですか」と呼ぶ)韓国は五名でございます。大使が在仏大使の兼任でございまして、あと次席常駐代表、参事官、三等書記官、アタッシェということで五名でございます。調査の時点によって一、二名の出入りはあろうかというふうに思うわけでございます。北朝鮮は八名、タイが四名、フィリピン四名、ビルマ四名、中国が七名、こういうことでございます。
  29. 湯山勇

    湯山委員 総理、いまお聞きのとおりですが、日本より少ない国があるでしょうか。――いやいや、いま聞いたのだから、本気で聞いてくれぬと困る。本気で聞いてくださいよ、大事なことを言っているのだから。
  30. 枝村純郎

    枝村政府委員 近隣諸国をとりますと、ただいま申し上げたように、いずれも日本より数は多くなっております。ヨーロッパの諸国日本と同じくらいあるいは少ない、こういうことでございます。
  31. 湯山勇

    湯山委員 総理近隣諸国をとってみましても、日本より少ない国はないということです。私が一九八二年五月のユネスコから発表になったもの、これで見ましても、いまのとは若干とり方が違うと思いますけれどもフィリピンが三名、韓国六名、それから朝鮮民主主義人民共和国が五名、中国七名、タイ七名、いずれにしてもそれらの国の方がはるかに常駐代表部部員を送っております。これで一体いいのでしょうか。  総理はいま、ユネスコ活動にももちろん全力を挙げて取り組んでいくのだという御意思の表明がありましたが、これで果たして全力を挙げて取り組んでいると言えるでしょうか。
  32. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 数から見ると残念な数でございます。ただ、いま日本行政改革をやっておりまして、外務省はその中でも三千何名かの定員で、外国が、イタリーが五千人持っているのに、日本はこれだけの外交活動をやりながら三千何人しかない。そういうことで行管庁に対して常に外務省からは増員要求があるのですけれども、まことに外務省もお気の毒な情勢であると御同情申し上げて、そのたびごとにできるだけやりくりをしてできるだけの努力はしておりますが、そういう状況でありますので、ユネスコ関係を増員するということはややむずかしい情勢にある、そういう行政改革で厳しい段階にあるということを御理解願いたいと思うのです。
  33. 湯山勇

    湯山委員 理解できないからお尋ねしているのです。いいですか、総理はとにかく、最初に確認申し上げましたように、戦争人間の心の中から生まれてくるのだ、それをどうしてもとめていかなければならない、そのために全力を尽くすということを世界に向かって言っておられるし、しかも、いまも御確認になったところです。そのお気持ちとこれとは合いますか。
  34. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 ユネスコ憲章に書かれてあるこの気持ちは、人類全体の共同の大事な規範であると思います。しかし、それを実行するというためには、単にユネスコ活動のみならず、むしろ軍縮活動とかあるいは戦争抑止のための平和外交であるとか、そういう面がまた非常に大事な機能を持っておって、ユネスコの場合は、ユネスコという名前が、エデュケーション・教育、それからサイエンス・科学、それからカルチュア・文化、それのオルガニゼーション、それでユネスコと言うわけですから、ですから教育とか科学とか文化活動の面で世界人類共通協力、提携していこうというのがユネスコでありますから、それは心の世界で平和を築き、生活を豊かにしていこうという面が非常に強調されて、文盲とか衛生とか、そういう面で非常に努力をしておられる。しかし、戦争防止という面は、心の世界もさることながら、やはり現実に外交活動とか軍縮活動とか、あるいは防衛による抑止力であるとか、そういうものが大事になってきて、それが政治の世界でも非常に大きなウエートを占めてきているのではないかと思います。
  35. 湯山勇

    湯山委員 総理大臣は、いまのような実態に対して行革関係もあるというようにおっしゃいました。行革はそういうことを言っていないと思うのです。読んでみますと、外務省機能強化すべきだ、広報、文化交流充実強化、これは最終答申に出ています。それから、発展途上国等に対一しても文化協力人的交流強化を図れというのが臨調指摘です。さらに、それだけじゃいけない。経済協力局は改めて国際協力局経済だけじゃなくて、もっと文化も含めた国際協力局、これに改める。これが臨調です。抑えよと言っていないんですよ。  総理大臣、ここはお読みになったですか。
  36. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 もとよりそのように思います。思いますが、やはり総定員の中で外務公務員も同じような関係にもおります。しかし、その中でも、毎年毎年ほかの省は減らしておるわけです、特に農林省なんかは激減させているわけです、だけれども外務省に関しては八十何人とか、毎年毎年ふやすような努力を実はしておるのでございます。
  37. 湯山勇

    湯山委員 それは御答弁としてはいただけません、臨調強化せよと言っておるのですから。そういう中にあっても、あれだけ人間の膨張は抑えなければならぬと言う臨調が、この方は力を入れてやれと言っておるのですから、まだ足りないのです。現にユネスコ国内委員会は、このことに関して、すでに今日までに三回も法律に基づく建議がなされている。これは総理は御存じですか。
  38. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 外交強化せよといったふうな気持ち臨調答申のあることは私どもも承知いたしておりまして、苦しい中にありましても、定員を何とかやりくりしてふやすような道はないだろうかということでいつも努力をしているわけでございまして、例を引いて、ことしの例を申しますと、五十八年度におきましては、定員総数において千六百九十五人、こういうふうに純減をしておるのです。純減をしている中にあって、各省ともみんな減っております。ふえておりますのは、国立大学病院とかあるいは国立病院、そういったところの看護婦さんその他のところはふえておりますが、よその省は軒並み減っているのです。その純減の数は千六百九十五人、こうなっておりますが、その中にあって外務省だけは、ことしは七十七人ふやしておるのです。純増外務省は七十七人、こういうわけでございまして、私どもとしては、定員の面から見ますれば、外交重要性というものは十分理解して、外務省だけは何とかやりくりしてでもふやしてあげたい、こういうわけで純増が七十七人、こういうことでございますから、臨調答申は十分反映されているもの、かように理解をいたしております。
  39. 湯山勇

    湯山委員 たった三名のユネスコ代表部部員、では、これはその中で何人ふえたのですか。
  40. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 その純増の中でどういうふうに配分するかということは、定員の効率的な配置ということが中心でございますから、さしあたりユネスコの方はふえておりませんが、全体的に見ますと、そういうふうな純増ということになっておるわけでございます。
  41. 湯山勇

    湯山委員 私はユネスコのことを聞いておるのです。総理ユネスコ全力を尽くすと言うが、こんな状態だ。じゃ、どうしていますか。一人もふえていないで、ほかがふえたからといってユネスコ協力したということじゃなくて、一層ユネスコを軽視している、こういうことになりますね。委員長、どうでしょうね。でたらめですよ、その答弁は。ユネスコの方を答えてください。
  42. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 ユネスコ外交につきましては、非常に大事なことは私も十分理解しておりますから、定量の効率的な配置ということを考えてなされておるものでございまして、なるほどことしは一人もふえておりませんけれども、軽視しているということにはならない、私はさように思います。
  43. 湯山勇

    湯山委員 そう思われるのは御自由ですけれども周りの国よりもはるかに少ない。それを追及しておるのに、ほかがふえたからといって軽視していないと言ったって、それは納得できません。  これはこれだけにとどまらないんですよ。日常接触というのが大事なので、安倍外務大臣もいま行って、国連の演説もさることながら、ロビー外交を大事にしておるでしょう。ユネスコだって同じです。執行委員会に出て会議に出てじゃなくて、日常接触が大事なんです。これができていないんです。  そこで、この国内委員会からは三回にわたって建議、これは法律に基づくものが出ている。出ておりますね。三回だろう。いつからいつまでか、ちょっと……。
  44. 枝村純郎

    枝村政府委員 国内委員会建議につきましては、昭和四十六年七月以来四回ちょうだいしております。(湯山委員「何回」と呼ぶ)四回でございます。昭和五十年八月、昭和五十四年七月、昭和五十八年二月、四回でございます。
  45. 湯山勇

    湯山委員 昭和四十六年から四回、同じ建議です。これを今日までほうって、なおかつ代表部も置いていません。正式代表部を置くのに、人も要るかもしれぬけれども、これは法律で決めれば置けることです。これもやっていないのですよ。人数は周囲の国のどの国よりも少ない。これを放置していいんですか、総理
  46. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 いいとは思いませんが、現状の外務省機能定員等においてはまことにやむを得ざる点もあるのではないかと思います。
  47. 湯山勇

    湯山委員 まあいいです。これは重大な影響を方々に及ぼしておるのです。  総理はゆうべ、外人の記者と会って、「総理に聞く」がありましたね。そのときに、日本は孤立してはならない、孤立しないように全力を尽くすんだということをおっしゃったが、そのとおりですか。
  48. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 そのとおりであります。
  49. 湯山勇

    湯山委員 国内委員会等での論議によれば、お金はたくさん出す、世界第三番目。協力費は出している。しかし、正式代表部、五十七カ国置いておるのに、置いてもいない。代表部員の数はアジアの近隣諸国と比べても最低。こういうことがずいぶん誤解を生んでおります。指摘されておるのですよ。そしてまた、同時に、このことが、金さえ出しておけばいい。どこやらのお寺のときもたくさん出した。そういう日常接触がないから、結局、エコノミックアニマル、金第一だ、こういう批判も受けている。これも指摘されています。  それから、まだもっとひどい人になりますと、ソウルと名古屋とオリンピックの誘致で争いました。五十二対二十七、大敗北いたしました。当時、韓国は六名の代表部員を持っていた。日本が三名。まさに、代表部員の数とこの数、票数と一致しておるのです。日本が二十七。五十四なら二倍ですが、五十二ですから、まあ二倍。代表部員の数と一致している。こういうことが敗北の原因だということを言っている人もある。これは公式の場じゃありません。  まさに、このユネスコに金だけ出して代表部も置いていない、人も置いていない、このことが、総理が言われた日本を孤立さしていくのじゃないですか。どうです。
  50. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 あらゆる面で努力しなければいかぬという意味においては、そういう現象も考えなければいかぬと思います。
  51. 湯山勇

    湯山委員 そんなになまやさしいんですか。あれだけ外国人の記者にまで孤立しちゃいかぬと言って、現に、するようにみずから仕向けておる。直そうとしない。直そうとする意思がないんですか。ないならないとおっしゃってください。広島で言ったのもうそ、それからゆうべ言ったのもうそ、みんなあれは言っただけで、やむを得ないんだ、こうですか。
  52. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 それはユネスコの常駐員の数と直接は関係ないんです。(湯山委員「ないんです。私も、ないけれども言われると言うんです」と呼ぶ)ですから、できるだけ今後も努力をしていかなければならないと思います。しかし、いまの外務省人間の状況から見ると、それは外務大臣や外務省の方々が定数の範囲内であんばいしていただくことでありましょうが、われわれの方もユネスコというものには大きな関心を持っておりますが、ほかの仕事の関係等から見てやむを得ないだろう、そういうふうに同情しているわけであります。
  53. 湯山勇

    湯山委員 人ごとじゃないのです、総理外務省はあなたと別な存在じゃありませんよ。同情するなんということは、あり得ないことです。あなたと一体なんです。孤立しちゃいかぬ。それから、やはり心の中に平和のとりでを築いていかなければならぬ。臨調答申も、いま申し上げましたように、文化活動にうんと力を入れないといかぬ、充実強化すべきだと。何が障害になるのですか。あなたの決意いかんでしょう。いかがでしょうか。
  54. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 御趣旨はよくわかりますし、ユネスコ活動重要性というのもわかりますから、今後できるだけの努力はしていきたいと思います。
  55. 湯山勇

    湯山委員 大分わかっていただいたようですけれども、まだ足りないのです。まだ足りません。本当ですよ。ユネスコ国内委員会という組織は御存じでしょう。四回も正式代表部を置いてください、人をふやしてください、そうしないとこれだけ日本は誤解も受ける。誤解を受けるというのは、誤解する方が悪いのですけれども、やはり考えてみないといかぬ。これを何とかして、昭和四十六年から今日まで四回建議があって、無視されてきておるのです。これでは、どう総理が人の心の中に平和のとりでを築く、ユネスコ活動全力を尽くすとおっしゃっても、そうなっていない。いま行管長官が言われたように、外務省は優遇しておると言われるが、その中でユネスコヘはちっともいまのように触れていない。これは総理の志、意思と違っています。臨調の意思とも違っています。できるだけじゃなくて、これは安倍大臣は、私がお尋ねしたときに、確かに、法律関係もあります、予算の関係もあります、それから政府の方針というのは臨調行革、その方針もあるけれども、しかし当然進んでやらなければならないことだから優先的に取り上げますと言っておりました。きょう見えてないからやむを得ませんけれども、そう答えましたね、官房長
  56. 枝村純郎

    枝村政府委員 過般の予算委員会の第二分科会でそういうやりとりがあったことは事実でございます。  若干補足させていただきますと、私ども国内委員会建議を受けまして、五十一年度に二名にふやし、五十五年度に三名にふやし、かなりのテンポでふやしてはきておるわけでございまして、さらに来年度の要求につきましても、これを四名にふやすということで、シーリング枠厳しい中でございますけれどもユネスコ常駐代表部スタッフの強化については鋭意努力してまいっておる次第でございます。
  57. 湯山勇

    湯山委員 それが問題なので、安倍外務大臣は、法律関係もある、それから予算の関係もある、いまの方針もあるが、優先的に努力しますという約束でしたが、いま官房長が言ったように、概算要求段階でどこかほかにもう一つ在外公館ができるようです。それが今度はいくから、ユネスコ代表部は次にしてほしい、そのかわり一名だけはふやすように概算要求をしましたということですが、そういうときに総理広島のごあいさつを聞いて、これは総理に訴えればできるという確信を持ったので、いま申し上げておるのです。  私はまだやる余地はあると思うので、外務省設置法の二十四条では、「特別の必要がある場合においては、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、」「在外公館を増置することができる。」とあります。だから、いまのユネスコ正式代表部を置くための予算措置、これは大蔵大臣、いまからでも御配慮できないのですか。
  58. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私は、昭和五十四年に大蔵大臣になりましたときに、外務省に対する予算の考え方は基本的に三つ持つべきものである、一つ、ODA、一つ、定員、一つ、日本人学校、こういうことを教わりました。日本人学校、これはそれなりの計画に沿って、今日軌道は敷かれました。ODAも政府の内部においての計画がございます。定員の問題につきましては、総定員法の枠内で、いま行管長官からもそれぞれ答弁があっておりましたが、まさにいま総理からも農林省というお話もございましたように、総定員の中において米穀検査員の方を外務省でお引き取りになるという話を聞きましたときに、最初は米の検査員様がロンドン、パリで間に合うかとも思いました。しかし、それはそれなりに旅券発行業務とか大変適した仕事があったということを聞いて、ずいぶん内部的に苦労をしておられるなという印象を強くいたしたわけであります。  このユネスコ、少し昔でありますけれども、かつて私も国内委員の一人でありました。が、外務省が内部におきまして、パリの大使館の人員配置等においてこれに工夫をして対応して、その成果を上げられておるというふうに私はこれを信じておるところであります。したがって、来年度予算ということになりますと、八月三十一日に概算要求が出そろったばかりでございますので、いままだ、いわば否定に手をつけたという段階でもございませんので、この問題については予見を持って申し上げる段階にはまだないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  59. 湯山勇

    湯山委員 概算要求でそれ入ってないのですが、しかし、まだ検討の余地がある、いまは決めてないのですから検討の余地があるということですが、そう理解してよろしいのですね。
  60. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いま各省から概算要求が出そろったばかりでございますので、まだかれこれ言う立場にないというふうに御理解をいただきたいと思います。検討の余地があるとかないとかも含めて、その立場にない。
  61. 湯山勇

    湯山委員 わかりました。ちょっとだめだというわけでもないんでしょう。
  62. 竹下登

    ○竹下国務大臣 それはどういう経過になるのでございましょうか。これとこれと、すべては、だめだなどというものも、これまた、聖域を設けてはならないように、だめの分の聖域も初めから設けてはならぬと思っております。
  63. 湯山勇

    湯山委員 よくわかりました。  それでは総理大臣、もうあなたです。大蔵大臣もああいう弾力的な御発言です。それから臨調も、申し上げたように、やれと言っておるのですよ、これは。現状はまことに情けない現状であって、総理がお聞きになってもこれをほっておけない。総理の言われた、孤立しちゃいかぬと言いながら逆に足を引っ張っているような状態代表部を置くのには多分予算は要りません、事務費ぐらいで。現に事務的にはそれをやっておるわけですから、代表部を置くというのは法律で置けばいいのですから、要らないことです。そういうことさえもやらないということになれば、総理は一体ユネスコのこの精神、あんなにりっぱに広島でおっしゃったが、さてどうだろうか。ゆうべの記者会見、一体どうだろうかということになりますが、そういうことを申したくありません。とにかくここでは総理の御決断です。よし、来年度から置きますというのか、できるだけ早く置くというのか、再来年から正式代表部を置きますというのか、これだけひとつ、この三つの中から一つを選んでお答え願います。
  64. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 湯山さんのユネスコに対する御熱情には心から敬意を表して、よく検討いたします。
  65. 湯山勇

    湯山委員 委員長、お答えが違いますよね、言うてください。
  66. 金丸信

    金丸委員長 私はあなたの熱意ある愛国心というか、敬意を表するわけですが、いま総理が言っておりますし、私も非常に感銘いたしましたし、われわれも協力して問題を解決するようにしたいということで、この話はおいていただいたらいかがでしょうか。
  67. 湯山勇

    湯山委員 委員長の非常に御理解のあるお言葉ですから、全面的に委員長のおっしゃるとおりにいたします。  ただ、総理にお願いしたいのは、あれだけ委員長も言われるのですから、やはり優先的に全力を挙げてやるという御決意をしていただきたい。どうですか。
  68. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 御熱意はよくわかりますが、しかし、外務省機能の中にはいろいろな仕事がございまして、たとえば情文局の中におきましても、ユネスコも非常に大事であるけれども、たとえば江戸文化展というのをロンドンでやったら、大変イギリス人の関心を呼んで日本に対する評価を深め、国際性を増した、あるいは歌舞伎をやった場合にメトロポリタンでも大変驚かれた、そういうようないろいろなものがありまして、そのときそのときによって、どういうことが日本の国際性を深めるゆえんであるか、外務省の都合もあるだろうと思うのです。ですから、私が頭越しにあなた様にお約束するということも、これは研究させていただかなければならぬ、そういう意味で申し上げているわけでございます。
  69. 湯山勇

    湯山委員 努力するくらい言えないのですか。
  70. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 努力をいたします。
  71. 湯山勇

    湯山委員 私は、また機会があったらお尋ねしますけれども総理のように、歌舞伎をやったとかなんとかというのと次元が違う問題ですよ。お忘れにならないように願います。行管長官も忘れぬように願います。  では、次に移ります。  次は、関係法律整理に関連してお尋ねいたしますが、関係法律整理は、特にその中で、法律事項を政令事項に落としたこと、このことについては新しい時代への機動的な対応のためだと行管長官言われましたが、そのとおりですか。
  72. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 今度の整理法に当たりましては、国家行政組織法の八条の関係について、審議会、それから施設等機関、その他の機関というふうに三つに区分をいたしまして、何と申しますか、国民の権利義務に関係のないものにつきましては政令で設置できる、こういうふうな制度、形式をとることにいたしました。全般的な話としてはそういうことを申し上げておきます。
  73. 湯山勇

    湯山委員 昨日来、新しい時代への機動的な対応のためと言われた、これはいまおっしゃいませんでしたが、どうなんです。
  74. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 国家行政組織法の改正全般は、変化に対応して機動的に行政機構の改廃を行っていく、こういう考え方でございます。
  75. 湯山勇

    湯山委員 そうすると、改廃、設置とか廃止とかを容易にやるためということにつながりますね。
  76. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 改廃を容易にするという意味じゃなくて、変化に対応するということを申し上げておるわけです。(湯山委員「ためには変えぬといかぬでしょう」と呼ぶ)変化があればですね。
  77. 湯山勇

    湯山委員 そこで、一つお尋ねしたいのは、国立博物館がそうなっておるのですよね、政令に。これはそんなに変化に対応して設置したり廃止したりする必要があるとお思いですか。
  78. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 変化に対応して改廃をするという必要は全然ないように考えております。  今度の問題は、国家行政組織法の中における第八条、附属機関、その附属機関を三つの区分に分けまして、規制の方式を法律でやるものは法律で行う、政令で行うものは行うということを決めただけでございまして、その機関を廃止するとか廃止しないとかいうことを問題にしているわけでは全然ございません。
  79. 湯山勇

    湯山委員 それは少しおかしいのじゃないですか。新しい時代への機動的な対応というのは、その機関をつくったりなくしたり統合したり、そういうことをしなければ対応にならないでしょう。じっと固定しておったままじゃ対応にならない。それを容易にする、それを頭に置かなければこのことは意味をなさないのじゃないですか。
  80. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 国家行政組織法は、全般的な考え方は変化に対応するということでございます。それはもうおっしゃるとおりでございますが、それと同時に、行政組織、行政機関の規制の方式についての一つの根本的基準法を制定しようというのがそのねらいでございますから、そこで、附属機関を三つの区分に分けてというふうにいたしたわけでございまして、すぐそれを改廃するとかなんとかいうことでは全然ございません。     〔委員長退席、江藤委員長代理着席〕
  81. 湯山勇

    湯山委員 これは矛盾があるのです。いまのおっしゃったことと新しい時代に機動的に対応するというのとは矛盾します。もし、そうでないとおっしゃるのなら、なぜ日本にたった一つしかない国立博物館を政令で改廃できるようにしたのですか。この御説明を願いたいのです。
  82. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 でございますから、国民の権利義務に関係あるものは原則として法律でこれから規制をしましょう、国民の権利義務に関係のないものは政令に移して規制をしていきましょう、こういうことにするだけでございまして、現在の博物館が必要でない、必要である、そんなことの価値判断は一切しておりません。現行法のままにそれを区分をする、こういうことでございます。
  83. 湯山勇

    湯山委員 政令で国立博物館をやめることできますね。
  84. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 法律的にはできると思いますが、そんなことは全然考えておりませんし、そういうことをだれも考えてはいないと思います。
  85. 湯山勇

    湯山委員 そんな必要のないことをやるというのも行革の精神に反する。やらないと思いますけれども、まあ、いいです。  そこで、国立学校設置法の改正で、これは大事な問題ですから。大学に置かれている学部は法律事項で残ります。その大学に置かれる大学院は今度は政令。これはまことに矛盾しておるのですね。これはどういうことでしょう。
  86. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 大学の学部は、まあ国立大学ですわね、それは御承知のように、教育の機会均等ということで、全国民に機会均等という精神でこれは当然法律でつくらなければならぬ、私はそう思います。  そこで、大学院は、特定の人について研究、教育というものでございまして、いわゆる国家行政組織法第八条による施設等の機関でございますから、それは政令で規制をするようにいたしましょう、現在のまま、そのまま規制をしましょう、こういうわけでございまして、大学院について何らの影響を与えているものではない。要するに、附属機関を三つに区分し、その組織の規制の方式をひとつ定めていこうというだけでございまして、何らの変更を来すという性質のものではありません。
  87. 湯山勇

    湯山委員 その大学院の法律事項をいままでどおりしておいたら何か支障がありますか。あるいは逆に言えば、大学院を政令に、きのうから使われている言葉は、落とすというのですよね、大学院を政令に落とすことによって大学院がよくなるのですか。
  88. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 ですから、よくなるとか悪くなるとかということではなくして、国家行政組織法というのは国家行政組織を規制する基準法でございますから、今後はそういうふうなやり方にいたしましょうという改正をしておるにとどまるものであって、大学院そのものについての価値評価をしているものでは全然ございません。何の影響もない、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  89. 湯山勇

    湯山委員 学部が法律事項ですよ。大学の学部というのは、これも全国民が入るのじゃありません。しかも、その一つ一つの大学の学部というのはごく少数です。その中にはきわめて限られたのもあるわけです。これは法律事項。それで、大学院は全国民一般じゃないからといって、やはり国民のかなり多数、何万か、それが行くところです。関係ないことはないわけです。どうしてこれをやらなければならないかが私は理解に苦しむ。よくおわかりでしょうか。しかも、同じ学部でも教養学部というのがあるのです。教養部は法律事項か法律事項でないのか、教養学部は法律事項か法律事項でないか。これはどうなりますか。
  90. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 学部は、教養学部について言えば法律事項でございます。教養部については、それは教育組織ということで法律事項にはならないものでございます。
  91. 湯山勇

    湯山委員 本来大学には二年課程の教養部というのがみんなあるわけです。これは法律事項ではありません。しかし、教養部というのはなかなか厄介なものですから、ちょっぴり細工を加えて、全体の中身は余り変わっていないのですが、幾らか変えて教養学部になっているのがある。これは法律事項。似たようなことをやっていて教養部の方は政令です。機構改革か何かわかりませんけれども、同じ大学でこんなにむちゃくちゃなことがあっていいかどうか。  総理、いまのをお聞きになっておかしいとお思いになりませんか。教養というのは二年課程あるのは御存じのとおりです。これは政令。その教養に名前をちょっぴり変えて学部とつけたらこれは法律。ここは課程は同じです。学部の上の大学院は今度は政令。こんな不統一な無定見なことがあっていいのでしょうか。総理、どうお思いでしょう。いい、悪いではなくて、感じを言ってください。
  92. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 大学院の場合は必置ではなくして、大学院は設けることができる。学部は必置になっていますね。大学というものができる以上は学部のない大学というのはあり得ない。そういう意味においてちょっと性格が違うのじゃないかと思うのです。
  93. 湯山勇

    湯山委員 いや、ちょっと性格が違うくらいでそういう扱いがあっていいかどうかです。総理教育に非常に御熱心ですし、あと私学のところで申し上げたいのですが、大学の学長の御経験もおありですね。総理いかがですか。だから、よくわかっていただけると思って聞いておるのです。  今日、日本教育の中でいろいろ問題があります。六・三・三の三・三の継ぎ目がどうかとかありますけれども、一番大きい問題は、私は一つは大学院だと思うのです。文部大臣に前にもお尋ねしましたが、大学院が本当に大学院の役目をしておると文部大臣はお思いですか。責任者として結論だけ簡単に言ってください。
  94. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 大学院の使命を果たしておらないとは言いませんけれども、不十分であると思います。
  95. 湯山勇

    湯山委員 アメリカの制度にならってきた日本教育制度ですけれども、義務教育、同校教育までは、これはニューヨーク・タイムズが七月十日に出しておりますけれども、大変な評価です。日本の方は九〇%、アメリカは七七%、GNP対比で教育予算もアメリカより大きい。教師の相対給与もアメリカより日本が高い。したがって、教師の資質も平均的にアメリカより高い。だから、りっぱな卒業生が出て、日本の国力を嵩めるために役立っておる。われわれが聞くと面映ゆいような評価です。大学になると、入るのはむずかしいが、卒業がやさしいから余り勉強しない、こういうことです。  その大学は、実はアメリカよりもはるかに大学の数は少ないのです。アメリカでは大学生が九百万、日本では百八十万ですから、人口比が二対一とすれば三対一ぐらい。同じ比率にして大学生の数は日本の三倍あります。ところが、大学院生になりますと、アメリカが百十万で日本は五方五千、約十対一です。ここらが、日本の受験地獄、大学が入りにくい、高校へ行き、中学へ行き、小学校まで及んでいる。ここに一つやはり大きな問題があるのです。  では、大学はむずかしいが大学院はどうかというと、五十七年の五月一日現在で、国立の定員は、修士課程においては一万六千八百五十一に対して入学は一万二千五百六十七、七五%。二五%はがらあきです。博士課程に至っては、定員六千百三十六に対して入学は二千九百六十三、四八%。五二%はがらあきです。しかし、設置基準に従って、これだけの定員に対する講義室も研究室も実験室、実習室、機械器具、教員、学生に対応してちゃんと整っている。それが博士課程は半分以上がらあきです。この数字間違いありませんか。
  96. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 国立大学の大学院の入学者の数については、先生御指摘のとおりでございます。
  97. 湯山勇

    湯山委員 そこで、それだけ大学院というのは学問の奥義をきわめるところではなくて、それに行く能力を養うのが大学院だ。昔と変わっておるわけです。その大学院へ入って博士課程に入って、無事に修了して学位を取る者の数、これも時間の関係でこっちから言って確認を願います。  五十五年の統計ですけれども、いまのように定数の四八%ですから、がらがらですから行き届きます。ここで四年間学習をして、二千二百四十二名の修了者のうちで学位を取った者が千三十八名、あとの千二百四名は博士課程を四年間やっておいてなお学位が取れない。学位を取った者の率は四六%。これは合っておりますか、局長
  98. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 先生御指摘の五十五年度の数字は私ただいま手元に持ち合わせておりませんが、五十六年度の場合で申し上げますと、国立については、課程博士の取得者としては、修了者が二千三百三十六人に対して千六百四十八人ということになっております。
  99. 湯山勇

    湯山委員 それにしても、四年間博士課程を大学院でやっておいて、半分程度しか学位が取れない。あとの者はどうなるか。退学でしょう。あと取れない者は大部分が退学ですね。
  100. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 数字は先ほど申し上げたとおりでございまして、基本的には博士について学位規則を改正いたしまして、その趣旨の徹底を各大学にも図っておるわけでございますが、博士についての考え方がなかなか従来の観念が抜けないというようなこともございまして、実際上学位取得者が御指摘のように少ないというような状況にあるわけでございます。
  101. 湯山勇

    湯山委員 残りは退学でしょう。
  102. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 残りは退学をするといいますか、博士を取らないで大学院の修業年限を超えた者については、なお残って研究に従事している場合もございますし、さらに就職をするという場合もあるわけでございますが、御指摘のように退学をしていくことになるわけでございます。
  103. 湯山勇

    湯山委員 ですから、いまのように大学院へ行って博士課程を四年やって、博士号を取って無事修了する者は約半数です。あとは退学なんです。ただ退学でもかわいそうだと思うのでしょう、満期退学という呼び方をしております。大学院というのは、正規に課程を終了して学位を取った者よりも退学者の方が多い。つまり退学者養成課程、こういうことなんです。  一体、大学院の学生一人当たりどれくらい国は経費をかけておりますか、四年間に。
  104. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 大学院学生一人当たりの経費そのものは私どもとしては算定はいたしておりません。と申しますのは、大学の教育研究に要する経費は、大学院学生、学部学生の別に経理をされていないものでございますので、国立大学全体の経費について、学部学生、大学院学生を通じた一人当たり経費を算出いたしますと、五十五年度で一年間で百九十八万二千円という数字が出ております。
  105. 湯山勇

    湯山委員 大学院はそれよりも実際は多いはずです、使っているのは。それで一人当たり約二百万。これで退学者がとにかく五十六年でもまあ千名ということになれば、どれだけむだになっておるか、重大な問題だと思うのです。そうお思いになりませんか、総理
  106. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 大学院というのは日本で、外国と違って、ひとつ相当な研究課題のコースである、そう思います。私も昔、私学に関係していたことがありまして、その当座から大学院というものを見ていますと、本当に学問に精進するというタイプとそうでないというのもございまして、大学院本来の趣旨に沿った大学院として機能しているかどうかという問題があると思いますし、そうであるならば、各大学連合の権威のある大学院というものを連合体でつくったらどうであろうかとか、さまざまなアイデアも浮かびまして、これは相当検討すべき場であると考えております。
  107. 湯山勇

    湯山委員 そこで、サッチャー首相が見えたときに、いろいろ見て、日本は応用は進んでいるけれども、基礎的な本当の研究というのは英国の方がすぐれている。負け惜しみか強がりかという批評もないではなかったですけれども、私は本当だと思います。それは日本科学者、技術者で本当にこのことを心配しておる人、たくさんありまして、いま薬の問題で、よそのを盗んだとか、アメリカの何とかを盗んだとかどうとかというようなことが問題になっていますけれども、本当に日本の基礎的なそういった大事な研究というのはできてないのです。できてないんじゃありません、弱い、これは事実です。これは大学院がいまのようなことで十分機能していない。いまのように、文科系などは五百人四年間いて、学位を取るのは十人ぐらい、あとの四百九十人は退学者です。これでは大学院は機能していない。いまのように大学にも責任があります。しかし、社会にもあるのです。大学院を出た人の評価、これがなされておりません。したがって、このことを改めて、大学院を正常にしなければ、日本の将来、人材の養成という点において大変な問題が起こってくる。このことを考えますと、これはこのままほっておくわけにはまいりません。  現に、この間、朝日新聞に出ておりまして、インドネシアの四十四歳の女の人、ジェニー・サオノさんという人が東京農大でワインの研究をして学位を取れることになった。その人が新聞のインタビューで答えているのに、「インドネシアと日本経済などで密接な協力関係にあるが、優秀な学生、学者はほとんどがアメリカやヨーロッパに留学してしまう。「日本ではなかなか博士号をくれない」というのが理由だ。」こう言って、ちゃんと出ております。ごらんになったかと思います。  総理はことしの五月に東南アジアへ行かれて、いろいろ友好を温めてこられました。しかし、いまのように、このインドネシアに限らず、こういう状態では日本へ若い優秀な学生や学者は来ない。この人たちは将来のインドネシアなりそれらの国の指導者です。それが日本の大学へ来るかというと、こうやってほとんど来ない。     〔江藤委員長代理退席、委員長着席〕 優秀な学生や学者はアメリカやヨーロッパに行く。それは日本の大学院が悪いからです。できてないからです。これでは、せっかく総理努力してこられたことにも水を差している。足を引っ張っている。ことに、いまから十年、二十年先にいまのような人がその国の指導者になったときに一体どうなるかということを考えますと、今日の大学院の状態というのは放置できない。これはもう十分御理解いただけると思います。総理、いかがでしょう。
  108. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 その点は同感に思います。大学院という問題は、よほど検討を要する状態にあると思います。
  109. 湯山勇

    湯山委員 これはいまお話しのとおりですし、日本の国の将来にとっても重大な問題です。  そこで、大学院というのは簡単に政令で、ここへ何を置く、ここへ何を置くなどという問題でなくて、ここへどういう大学院を置く、それはどういう任務をどうするというようなことについては、社会も理解が足りないのです、企業も理解が足りません。だから、オーバードクターなんかどんどん出てきている。これは日本のあらゆる周囲全体、大学だけにあるいは行政府だけに任せる問題じゃない。これこそ大学院については国会で審議して、どこへどういう大学院を置くのが適切か、そこでどうするのが適切かというのは、従来のように慣例でずっときておる学部よりもはるかに大事です。これはやはり法律事項にして、この中身を改めていくような審議をするということが大事だと思いますが、総理、どうお考えでしょう。
  110. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 私からお答え申し上げますが、大学院についての価値評価を変えようという意味において法律から政令に移すという性質のものではございません。今回の国家行政組織法によりまして、附属機関というもののつくり方、それは法律でやったがいいか政令でやったがいいかということで、権利義務に関することは原則として法律、そうでないものについては政令によって設置することにしようという国の行政組織の規制の方式を決めたにすぎないものでありまして、大学院についていますぐどうしようという考えは全然ございません。現行のままで大学院を政令でつくるようにしましょう、それだけでございますから。
  111. 湯山勇

    湯山委員 私の言ったことの意味が御理解いただけてないようです。いまの大学院をどうこう動かすというのは、それはおっしゃったとおりです。そうじゃなくて、これを改めていかぬといかぬ。改めていくためには、政府部内だけじゃなくて、広く各方面から論議しないと、今日こういう大学院は日本の将来にとっても大変な問題。これをよくしていくにはみんなの力を集めぬといかぬです。そのために必要な法律もあります。それから、そのために必要ないろいろな方策もあるわけで、衆知を集めて育てていかなかったらよくならない。そのためには国会で論議してよくしていくことが必要だということを申し上げておるので、手続の問題じゃないのです。  ちなみにお聞きしますが、行管庁長官、災害関係ですね、災害関係担当の局はいまあるのですか、ないのですか。
  112. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 国土庁でございます。
  113. 湯山勇

    湯山委員 ありますか。
  114. 門田英郎

    ○門田政府委員 災害関係を担当する部局というお尋ねでございます。大臣がただいまお答えを申し上げましたとおり、国土庁、これは庁として災害関係を所掌しているわけでございますが、その官房において所掌しているということで、局はございません。そのほかに自治省の消防庁、そういったたぐいのものもやはり災害関係に対処するということに相なっております。
  115. 湯山勇

    湯山委員 臨調答申では防災局を置けとなっていますが、長官、御存じですか。
  116. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 臨調答申には、そういう局を設けるべきであるという答申が出ております。そのことについては国土庁で十分いま検討中でございます。
  117. 湯山勇

    湯山委員 これも災害関係は、官房長が災害を持ったって、いまのこれだけの大きな災害、大地震をやれるものじゃないのです。ちゃんとそれの責任のあるポスト、人がなければならぬ。ないのです。審議官。だから、審議官が担当ですから、だれそれ審議官という名前だけで、防災、災害という名前がつかない。このことについても国会でずいぶん取り上げました。これは昭和五十三年四月二十五日、当時の福田総理をお呼びして、あの大地震対策が出たときに、これじゃいかぬ、担当の防災庁なり防災局を設けるべきだ、福田総理も約束したのです。今日それが出たのも、いままでは災害、だれに言ったらいいかわからぬ。官房長に言ったってわからぬし、それじゃだれだろう。審議官という、名前がわからない。まことに国民にとって迷惑千万。そこで、昭和五十三年に取り上げて、総理も約束して、それを反映して今度防災局ができますよね。  やはり国会で論議しないとだめなのです、局だって。それをいまのような別なところで線を引いて大学院も政令、こんな大事な大学院を政令、これも政令と、これは誤りますことを、この点については私は十分検討が必要だと思いますので、このことを御指摘申し上げたいと思います。総理、御感想いかがでしょう。
  118. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 そういうもろもろの問題について、国会は国政調査ということを行っておるわけでございますから、いろいろな面で御審議をいただけると期待をいたしております。
  119. 湯山勇

    湯山委員 長官、それはだめなんです。審議権があるからといって、法律案の審議と国政調査の審議とは違うと言ったら悪いですが、性質が違います。お互いの心構えも政府の心構えも違うわけです。それがあるから法律審議と同じようにやれるというのは、これは私は若干間違いだと思います。議会のことに詳しい委員長もそうお思いだろうと思います。ですから、その御答弁はいただけません。もう一遍これらのことはしゃくし定規じゃなくて、いまの大学院問題にしてもこれらの問題にしても御検討願いたいと思います。このことを指摘しておきます。  総理に最後に、どうでしょう、お考えは。
  120. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 先ほどお答えいたしたように、日本のいまの大学院という制度はいろいろな各方面から検討を要する、慎重に検討を要すると思います。
  121. 湯山勇

    湯山委員 そういうことですから、この法律に関連して改めて御検討願いたいと思います。  それでは、次に移ります。これは自治大臣もお聞き願いたいのですが、大蔵大臣もお願いしたいのです。
  122. 金丸信

    金丸委員長 二十分に入るそうですから。あと六、七分です。
  123. 湯山勇

    湯山委員 臨調答申も時には必ずしも完壁でないのがあると申し上げましたが、適切でないものもないではありません。その一つの例として、私学助成の問題を取り上げたいと思います。  先ほども総理もおっしゃったように、総理自身も私立大学の学長さんをしておられたのでおわかりいただけると思うのですが、来年度の概算要求で、文部省は私立大学関係の要求を二百七十七億、一〇%減、高校等を七十九億五千万、やっぱり一〇%減、一〇%減というのはシーリングの最大かと思いますが、これだけを減額して要求しておる。これはそのとおりでしょうか。
  124. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 そのとおりでございます。
  125. 湯山勇

    湯山委員 臨調答申によれば、私学助成は、私学等の経営状況が改善されている、それから高校等に対して都道府県の助成が相当の水準に達しておる、そこで総額を抑制すべきだ。なお、不正受給に対する措置は強化せよという指摘があります。しかし、これは私学の経営状態がよくなったというのは、助成があるからだけじゃなくて、私学の大学生は授業料で国立の二倍ぐらい、その他の負担を合わすと三倍ぐらいの負担をしています。それから高校では、私立高校の親は県立、公立へやっているものの五倍ぐらいの負担をしております。これは文部大臣、そのとおりでしょう。
  126. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 お答えをいたします。  公立高校と私立高校あるいは国立大学と私立大学の授業料等の負担でございますけれども、入学時に支払います入学金、それから授業料、それから一般の私学で取っております施設設備費、こういった基本的なものを合わせまして、国公立大学と私立大学との差では約二・五倍、それから高等学校レベルでは約五・五倍、かようになっております。
  127. 湯山勇

    湯山委員 だから、同じ負担で経営状況がよくなったというのじゃなくて、その高負担が背景になっていることを臨調が抜いています。  それからもう一つ。大蔵大臣はお見えになってないのですか。――ちょっと委員長、待ちましょうか。つながっていっておるのだから……。
  128. 金丸信

    金丸委員長 湯山さん、質問をしていただいている間に、こっちも努力して何とかします。
  129. 湯山勇

    湯山委員 それから、私学助成というのはそれだけじゃなくて、いまのように父兄負担の均衡、これが一つあります。それからもう一つは、私学へ子供をやっておる親は税金を納めている。その税金は国公立学校へ使われている。よろしゅうございますね。  そこで、大蔵大臣に聞いてほしいのですけれども、聞いておって後で言ってください、政府委員。その納めた税金で国公立は賄われている。その上に自分の子供のは自費でやるのですから、二重負担です。このことも見なければならぬというのがこの一つの趣旨なんで、臨調はそういうことを無視して、ただ経営状態が少しよくなった、持ち出しの額が多くなったということだけで抑えよというのは、これは臨調も認識不足だと思います。  これは指摘しておきまして、現在、私学助成は大学、高校等で大体経常費の幾らになっておりますか、何%ぐらいに。
  130. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 お答えいたします。  一般的に経常費と常識的に言われているものに対する比率ということで計算をいたしますと、大学の場合でございますけれども昭和五十七年度で二六%、五十八年度で約二五%という程度の金額に相なっております。  なお、ここで申し上げました経常費と申しますのは、そういう常識的な意味での経常費でございますので、法律上の経常費の概念とは若干違っております。
  131. 湯山勇

    湯山委員 これは文部大臣、私学助成法では私学助成はどこまで出せるということになっておるのでしょう。
  132. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 五〇%以内ということでございます。
  133. 湯山勇

    湯山委員 だから、五〇%とすると、二五%、ちょうど半分です。この私学助成の法律ができたときに、これは議員立法でした、私たちは五〇%以内の「以内」を削るようにという主張をしたのですが、「以内」というのは法律の予算に関するような場合の慣用語だからというので「以内」を入れて、五年間に五〇%にするということが説明であったこと、これは文部省、覚えておりますか。提案者、おるのですけれども
  134. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 過去にそういう応答があったことを承っております。
  135. 湯山勇

    湯山委員 もうこれはできて八年たっておりますから、五年間というのはとっくに過ぎているのです。約束は守られてない。それでいて今日また削ろうというのですが、まことにこれ理不尽なことではないでしょうか。  自治大臣、お見えですね。一〇%削ると言いますけれども、現在大学生の数は百七十万ぐらい、やがてピークには二百万になりますね。そのときにふえたのはどこが大部分見るのでしょう。
  136. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 先ほど来御指摘のように、五十九年度の概算要求では遺憾ながら一〇%減でやっております。これはしばしば出てまいるわけでございますが、きわめて窮屈な財政事情の中で各方面でしんぼうできるところはしんぼうしてもらわなければならない、こういうことでございまして、私学の場合も、先ほど来いろいろお話がありますように、必ずしも十全ではありませんけれども、幾らかしんぼうしてもらおう、と同時に、率直に申し上げて、私学の助成制度も相当年数がたっておりますけれども、ややルーズになっているところがありはしないか、また、いろいろな問題を起こしたところもあります。そういうところを再検討して、むだのないように、必要なところは配分ができるように、こういうふうに根本的に改めてみようじゃないか。こういうところから一〇%シーリング内で教育にそれほど支障のないように、また家庭の負担という問題がありますが、学校、学校でそういうことをよく研究して、授業料等の値上げを余りしないように、こういうことをいろいろ相談しておる、これが実情でございます。
  137. 湯山勇

    湯山委員 大学の場合、一〇%はそれとして、六十何年ですか、学生数がピークになると二百万、いまより三十万ふえます。その大部分は私学へお世話になる。これはもう必至ですね。総理、そうでしょう。現在八〇%は大学は私学です。三十万ふえる。これも大部分私学の御厄介になる。これはもう必至です。それのいまの助成を一〇%削る。  高校以下の場合、文部省から出るのは大体呼び水、誘導ということで、交付税で自治体から出るのが非常に大きいことは自治大臣御存じのとおりです。さて、これ、一人一人に割ってみますと、来年は高校生が相当ふえるのです。いままでひのえうまで少なかったのがずっと来ていますから三年間少なかったが、来年は全国で約六万ふえます。百三十万の高校生が百三十六、七万になる。そうすると、割りますと、六万として、百三十万の六万と言えば約五%近い。だから、一〇%減しても、一人一人に割ってみると一五%減です。授業料で埋めなくて何で埋めますか。しかも、いま大臣言われたように、私学にはいろいろ反省すべき点がある、こういうことですが、確かに大学ではいろいろ事件もありました。刑事事件まであった。  高校にこんないかがわしいというか不当な事件、事故があって返還を命ぜられたというような例があるでしょうか、自治大臣。
  138. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 今回一〇%削減と申しますか、シーリングどおりの要求を大学、高校ともあわせていたしました事情は、大臣からもすでにお答え申し上げましたように、現在の非常に厳しい国の財政事情、さらに臨調答申における指摘もございます。さらに加えまして、最近のいろいろ私学に対する社会的な批判、あるいはそういう事件等も起こっているというようなこと等を総合的に勘案いたしまして、シーリングの上に積み増しをするということをせずに、シーリングどおりの要求としたわけでございますが、こういった状況は、程度の差はございますけれども、大学に限ることではなくて、高校以下等につきましても、先般の行政管理庁の勧告等におきましても幾つかの問題のある例というような御指摘もいただいておるわけでございます。  なお、お尋ねの補助金の不正受領云々というようなケースはまだ耳にしたことはございません。
  139. 湯山勇

    湯山委員 これは自治大臣にお聞きしたかったのは、私立高校については都道府県の監査委員会がほとんど毎年やっています、東京なんか別でしょうけれども。だから、不都合な点はちゃんと指摘できるし、非常に気をつけてやっていますから、返せなんて言われた例は一件もないのです、いま局長の言われたとおり。  ただ問題は、いまのように、私立高校は生徒が五%ばかりふえる、助成は総額で抑えられておるわけだから、一人当たりにすれば一五%減るということになります。これは大変な問題なので、委員長、どうしても大蔵大臣がいないとここから聞けないのですが。
  140. 金丸信

    金丸委員長 すぐ見えます。
  141. 湯山勇

    湯山委員 ちょっと待ってください。もうここまでがまんしてきたら、ここで大蔵大臣がいないと。
  142. 金丸信

    金丸委員長 では、大蔵大臣が来るまでしばらくお待ちください。――それでは湯山さん、始めていただきますか。
  143. 湯山勇

    湯山委員 大蔵大臣は、私学助成の概算要求はごらんになりましたか。私大あるいは高校等、いずれも昨年より一〇%減の概算要求をしておることを御存じですか。
  144. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いわゆる投資的経費の五%、それから一般経費の一〇%のシーリングの対象になっておるということは承知しております。
  145. 湯山勇

    湯山委員 大蔵大臣、今年度予算では、昨年度に比べて大学で約六十五億、高校等で九億五千万減額になったこと、これは御存じでございますね。
  146. 竹下登

    ○竹下国務大臣 五十八年度予算、そのように承知しております。
  147. 湯山勇

    湯山委員 しかし実際は、末端の学生あるいは学校については五十七年度とほとんど変わりないような措置がとられたこと、これは御存じですか。
  148. 竹下登

    ○竹下国務大臣 臨調答申等にもありました方針を踏襲して、結果として御案内のような形になっておることは承知しております。
  149. 湯山勇

    湯山委員 したがって、名目では減額になっておったけれども、実質はいずれも減額になっていないで、むしろ高校等ついては前年よりも増額になっている、これは御存じですね。
  150. 的場順三

    ○的場政府委員 お答えをいたします。  五十八年度予算におきまして、私大等の経常費補助は、いま御指摘のとおり六十五億円の減額、それから高等学校の助成費は九億五千万の減額になっております。お申し出の趣旨は、多分、そのほかに五十八年度に新しい事項として私大等研究装置等施設整備費補助金を二十五億設けたということだと思いますが、これを合わせましても私大等経常費補助は全額で五十億弱減額になっておりますから、お申し出のようなことにはなっていないと思います。
  151. 湯山勇

    湯山委員 研究費でいまのように埋め合わせした、数字はちょっと違いますけれども。それから、高校等については、交付税での自治体からの助成が二%増になって前年度を上回ったこと、自治大臣、御存じですか。
  152. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 お話しのように、昨年は国費の方で減額になりまして、それを受けまして、実は地方財政計画の上で二%増ということにしたわけであります。
  153. 湯山勇

    湯山委員 したがって、私学助成を削るというのは容易にできない。それは教育というのは一年刻みではなくて、計画的、継続的に進められている。したがって、そこでぽこっとわずかでも削られるというのは大変な障害です。五〇まではいくと思って当てにしている、それがとまっただけでも影響がある。まして、それを一〇%削るというのであれば、これは大変な問題です。これは何か減さぬような名案、いまのように研究費とかなんとか、そのほかで実質減さないようにするという何か案があるのでしょうか。あるいはまた、自治省は、国から出る分で一〇%削られたから、あとは交付税で埋めてやらなければいかぬなというようなお気持ちがあるのでしょうか。そういうことについてお答えいただきたいと思います。
  154. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 国から来る助成、ことに府県の場合、私立の高等学校以下でありますが、それの方の助成額が減って、県を通じて私立の高等学校以下へ届く、こういうことでございますが、その場合に府県が一体どういう措置をするか、それは私は、やはり国の助成の額あるいはその考え方、あるいは地方財政の状況というものをお考えになってお決めになることだろうと思うのです。  もう一つ、来年度の地方財政計画はまだやっておりませんから、地方財政計画の上でどういうふうな考え方をするかということはまだ決めておりません。その辺は国の方のお考え、あるいは地方財政計画全体の中でひとつ今後の課題として考えていこう、こう思っております。
  155. 湯山勇

    湯山委員 ただいま国の方の考えと言って、第三者的に指された国の方というのはどこを指しているか。
  156. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 去年はまあそういう措置をしたわけでございますけれども、ことしも同じことをやれるかどうか、これは今後の課題として検討をさしていただこう、こう思っております。
  157. 湯山勇

    湯山委員 いまの点について、大蔵大臣いかがでしょう。
  158. 竹下登

    ○竹下国務大臣 先ほどちょっと荒っぽく申し上げましたが、臨調答申と私が申しました五十八年度予算の問題は、適切な教育研究プロジェクトについての助成を重視する等の改善を図るということの意味を申し上げたわけであります。今度申し上げるのは別でございまして、全体といたしましては、補助の一層の効率化、重点化を図って、その総額においては極力圧縮を図るという方向で、予算編成過程において、まだ概算要求出たばかりでございますが、これから検討することになるだろうというふうに認識をいたしております。
  159. 湯山勇

    湯山委員 私がいままで大蔵大臣お見えにならないときに申し上げたのは、大蔵省の事務当局、聞いておると思います。臨調答申は大変な間違いを犯しておるということをるる申し上げたわけです。だから、それが御理解いただいておればいまのような御答弁にはならないと思うのですけれども、非常にこの点は残念です。改めてよく御検討いただきたいと思うのです。  さて問題は、とにかく私学助成は何とかして維持しなければならぬというのが大蔵省にもあって、いまのようなことで別途お出しになってやった。それから、地方自治体の方は、こういう中でもなおかつ助成をふやして、前年度を上回る助成をして教育水準の維持に努められた。この配慮は非常に貴重だと思います。ただ、それを安易に一〇%だからというので応じた文部省に重大な責任があるのです。  文部省の責任についていまから申し上げたいのですが、当初文部省では大学五%減、高校等三%減の原案をつくっておったことを文部大臣は御存じですか。
  160. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 原案というわけではありませんけれども、予算概算の検討課題でいろいろそういうことが出たことは事実でございます。最終決定は、先ほど申し上げましたように、シーリングの線で出した、こういうことです。
  161. 湯山勇

    湯山委員 最終決定、文部大臣の言われるとおりです。しかし、大臣がそういう過程にあったというのを、これは局長とかなんとか段階じゃないのですよ、大臣で、そういう過程を御存じであるということは、これはよほど重大な問題です。なぜそれが一〇%にばさっとふえたのでしょう、大臣。
  162. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 私が、そういう経過があったということは後で聞いて承知しておる、こういうことであります。
  163. 湯山勇

    湯山委員 これは新聞にも出ておりましたし、ある新聞では社説にも出ておったのです。(「間違いだ」と呼ぶ者あり)間違いと言う人が一番あやしいのは、いまから申しますから。  当初文部省は、おおよそ五%、三%、これはまあ何とか、去年自治省の方は二%ふやしてくれたのだから、そういうことを期待してか何かわかりませんが、とにかく五%、三%減という原案をおおよそ掲げておったのを、いまいろいろあった方方、数名の人が私立七団体の代表を呼んで、そしてそこで、三団体一本になれ、共通一次試験に私立大学も入れ、それから、いろいろスキャンダルがある、これに対してみずから自粛せよ、補助金の使い方を考えろとかいろいろなことを言った。しかし、それに対して私学側の対応ははなはだ誠意がないということで、とにかくそれならいっそのこと一〇%いけということで、文部省はこれに屈したというのが社説にもあり、マスコミの伝えるところです。当たらずといえども遠からずです。  さて、問題はそこにあります。この減額したものはどこへ行くでしょう。結局授業料その他学生生徒の父兄負担、これに行かざるを得ないのです、この一〇%というものは。  そこで、いろいろそれは私立大学側には問題があります。補助金を受けておいてホテルの赤字埋めに使ったのもあります。それから、専任教授が設置基準に届かないだけじゃなくて、届かないのが二分の一以上もあります。これも事実です。これは行管でお調べになりましたね、行管長官。アルバイトに授業をさせておる、こんなのもあるのです。それから、研究費を集めておるのに、研究費の実際要ったものの倍も集めておるのもあります。校地面積が基準に足りないのもある。あるいは兼任教授の兼任というのはここまでと決められておる、それがオーバーしている、そんなのもあります。  そういうよくない点がたくさんあることは、これは非常に遺憾なことで、一体こんな状態に放置したのはだれの責任でしょう。文部大臣、だれの責任ですか、ぎりぎり。
  164. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 私は、だれの責任か、よくわかりませんが、実はこういうことがあるのです、余談でございますが。  私は昨年の十一月、中曽根内閣の文部大臣に指名されまして、それから五十八年度のあの窮屈な予算を編成いたしました。その際に私学の問題は、五十七年度よりかある程度減になっております。高校関係は幾分かあの窮屈な中でもふやしておる。先ほどいろいろ議論がありました。そういう際に、私学団体から感謝の言葉を言われました文部省でございます。  その際に私はこういうふうに、私学は非常に大事である、日本教育、学術あるいは社会経済全体に私学が貢献しておるのは大である、であるから、国民の負担において私学の経営に助成をするという私学助成法ができて今日きておる。だから、これを、いろいろな問題が伝わってまいりますし、世間にも出ておりますが、この窮屈な中でもこれでようやく予算編成ができたのだ。でありますから、皆さんがお礼を言われる前に、お礼を言われることはありがたいが、お礼を言われる前に、国民の税金である、全部これは国民の負担である、でありますから、これはもらい得だというような考え方で感謝されては困るのだ、これはいかにむだがなく有効に、いわゆる教育にどう使うか、こういう考えでやってもらいたいということを、これは昨年の十二月でございますが、予算編成がようやく終結をしたという晩で、三十日であったかもしれません。  そういう状況を見まして、その後の状況を見ておりますと、いろいろ問題がたくさん出てきておる。しかも、この間の行管庁の、これは一部でございます、サンプルでございましょうが、行政監察されたその結果がいろいろ報告されております。全部が全部悪いとは言いませんけれども、やや、これは十年以上になっておると思いますが、惰性に流れておる。私学振興財団の審査方法等もやや形式に流れておるのじゃないか、また申請する方も安易に流れておる。  いろいろなことは、湯山さんの方が専門家でありますから御承知のとおりでありますが、そういうことで、先ほど申し上げましたように、国民の負担がすべてにわたって非常に窮屈な状態であります。これは私学ばかりじゃありません。あらゆる面で工夫、努力をして、できるだけ有効に使うところは有効に使う、むだを省けるところはむだを省く、こういう工夫をするように私学振興財団にも文部省から指令をいたしまして、全私学、高校以下にわたっても、これは初めてだそうでございますが、全私学に、行管庁指摘されたようなことがあるかないかを報告してもらいたい。もし、これはうその報告でもあって後であらわれるということになれば、将来にわたって私学の助成は打ち切ることがある、ここまで厳格にやって今日きておるわけでございまして、まあ多ければ多い方が、教育は大事でありますからいいわけでありますけれども、いろいろここでも議論がありますように、非常に窮屈な状態の中でいま政治をどうしていくか、国民のニーズにどうこたえていくか苦労しておるときでありますから、ここ一番しんぼうのできるところはしんぼうして、そしてこれは、私学は将来にわたってしんぼうせいというわけにいきません。やはり将来国民の負担能力が出ればもっとよけい応援をしてやらなければならない、こういう考え方で進んでおるわけでございまして、私学をないがしろにして言っておるというわけじゃございません。
  165. 湯山勇

    湯山委員 大臣の言われることはまともなことをおっしゃっておるのですけれども、私が言いたいのは、文部省に責任はないかということです。私学振興財団の監督は文部省ですよね。その私学振興財団には収賄ですか、そんな事件まであったでしょう、助成をめぐって。それから、私学が正常に運営されているかどうか、その指導もやはり文部省がやらぬといかぬことです。いまの何人かの自民党の議員の方々から、マイナス一〇%でなければだめだと押しつけられて、その翌日か翌々日です、文部事務次官が何か私学の適正化を求める次官通達を出しました。これは御存じですね、大臣。事があって一〇%削ることにして、その後で次官通達を出したってこれは何の役にも立ちません。このことを前もってきちっとやっておかないといかぬ。だから、文部省の責任は重大です。このことを一応指摘しておきます。  それから、もっと悪いのは悪いことをした私学、これも悪いです。しかし、そこで勉強しておる学生に一体罪がありますか。どうでしょう。
  166. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 おっしゃるように、文部省が私学の管轄をやっております。また、私学振興財団も文部省の管轄の中にあるわけでございますから、そういう状況になっておるということは過去長い歴史の中で怠慢であった。これは責任がないとは言えません。そういう意味で、先ほど申し上げたように厳重な方法をいまとっておる、その後通達を出した、こういうことでございます。
  167. 湯山勇

    湯山委員 これは考えないといかぬのは、悪いことは、いまの助成を不当に受け取ったということだけじゃないのです。いまのように、専任教授が基準に達しないとか、アルバイトが授業をしたとか、研究費をよけい取り過ぎて少ししか使っていないとか、校地面積が足りないとか、これらの被害者は一体だれでしょう。大臣、この被害はだれが受けておるのでしょう。
  168. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 被害というとわかりませんが、父兄負担あるいは学生の負担になると被害ということになると思います。
  169. 湯山勇

    湯山委員 学生は基準に達しない学校で資格のない先生に教えられておる、これは大変な損害です。それから、いまのように国士館大学だとかいうようなところでは、それによって著しく生徒のプライドも傷つけられております。つまり、今日、文部省の監督指導の不行き届きによって私大が適正に運営されていない。その被害をもろに受けておるのは学生なんです。しかも、今度の措置によって授業料が上がる、つまり負担が上がるということになればダブルパンチです。これはまさにダブルパンチです。こんなやり方ってあるんでしょうか。親が悪いからといって息子を殴るような、見せしめというようなことが行政で許されていいでしょうか。これはきわめて重大な問題だと私は考えます。被害を受けておる学生の親は二重の被害です。何にもしていない、りっぱに運営されておる大学、その学生は見せしめの飛ばっちりを食って負担しなければならない、こんな行政、政治のあり方があるんでしょうか、  総理、どう思われますか、大学学長として御経験あるのですから。――総理、余り時間ないから総理から。
  170. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 見せしめということには私は受け取りたくないのです。(湯山委員「そうなるのです、結果的に」と呼ぶ)いや、それはそう解釈される方もあるかもしれませんが、見せしめという考えではございません。大体学校教育というのは、本当に教育でございますから、衆の模範となるような姿勢でやってもらいたいというのが私の考えでございます。従来から文部省はそれを等閑に付しておったわけじゃありません。  私は先ほど怠慢と言いましたけれども、結果が出ましたから怠慢と言いますけれども、幾ら指導をし、助言をしても、御承知のとおり間接的な問題であります。文部省が全部指揮監督するわけじゃございません。教育の中立というものをきわめて尊重しながらやっておる。歯がゆいという感じがするわけでございますが、これは教育というのはそういうものであるという観念でやっておりますから、そういう点について反省が足らなかった、そういう意味で処分をしなければならない、これはやむを得ないことじゃないでしょうか。学生を処分するというわけじゃありません。だから、そういう学校におったことはまことに不幸である、そういうことにならないようにひとつ学校経営者というものはやってもらわなければならない、かようなことでございます。
  171. 湯山勇

    湯山委員 現実に不幸になっておる上へまた負担がかぶさってくるということは、それは事実がそうなるのです。ならざるを得ない。こういうやり方って、大学学長の御経験のある総理大臣はどうお考えになりますか。
  172. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 学生たちには気の毒なことでありますが、しかし不正、不当なことをした大学とそうでない大学とを一律に扱うということもまたこれは行政上考うべき問題であると思います。
  173. 湯山勇

    湯山委員 さすがに学長経験者で、悪いことをしたのとしないのとを一緒に扱うこと、学生にいくことは問題だ、いまのような御指摘です。  文部大臣、五%、三%を、だれかが何かを言ったかもしれぬけれども、どうしてそこがはね返せないのですか。ここに問題があるのです。文部省はこうです、大学は五%、高校以下三%、それでお願いして、別途大学は厳しくやれというのだから、厳しくやっていけば、二十六億、九州産大なんか戻しているでしょう。二百七十七億の半分の百三十億ぐらいなら、九州産大だけで五分の一返る。あとやれば埋まります。ほかの学校に迷惑かけずに済む。三%ぐらいなら自治大臣がきっと、去年も二%埋めたのだから、ことしはかわいそうだから三%埋めてやろうとやってくれますよ。ここではね返さないで、もろに一〇%と言われたら、はあそうですが、この文部省の姿勢は断じて許せないと思う。もう時間がないから答弁要りません。許せませんよ、大臣。  まして、はね返さなければならぬ理由はもう一つあるのです。あなたに圧力をかけたこの人たちは、前科とは言いませんけれども、昨年こういうことをやっておるのです。それは同じ法律のもとに――幼稚園です。法人立の幼稚園と法人でない幼稚園がある。法人の建てていない幼稚園は補助対象にならないのです。これはもう御存じのとおりです。ところが、それらの幼稚園は、五年後に法人化するという約束、条件のもとに助成を受けておる。受けたのですよね。それは五年後には法人になりますという約束でやったのが、その約束を守っていない学校の方がはるかに多い。管理局長、そうでしょう。
  174. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 お答えします。  ただいま手元に数学を持っておりませんけれども、相当数のものがその予定の期間中に法人化することができなかったという事実はございます。
  175. 湯山勇

    湯山委員 つまり、五年たったら法人になりますというので助成を受けて、ならないのです。これは約束違反です。非常に悪い善業で言えば、詐欺と言っても――言い過ぎですけれども、とも言えるような状態です。  これに対してこの人たちはどういう態度をとったかというと、子供たちがかわいそうだ、経営が困るから、その約束を守らない、うそをついたのを許して、認めて、なお三年間延ばして助成してやるという法律を出して通しましたよ。私たちは反対した。  それだけ配慮のある人が今度は、文部省は五%、三%でおよそ決まっておったものを、同じ人たちが圧力をかけて今度は一〇%でいけと。しかも、その被害は学生生徒、親です。見せしめで飛ばっちりはそこへいく。こんなやり方が許されるのか。こういうことを知っておる文部省は、なぜこれを排撃しないのです。やった人もやった人、やらせた人もやらせた人、こんなことがまかり通っていいものですか。総理、どうです。
  176. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 圧力云々という話が先ほどからありますが、私は全然そういうことは感じていなかったわけです。そういう事実は私には全然ございません。私は、これは私学は大事であるけれども、こういう窮屈なときであるからやむを得ないという考え方でやっておるので、私はどこからも何も言われておりません。  それから、幼稚園の云々、これは私はその当時、直接の関係者じゃありませんが、法人になっておらないということで助成を打ち切られる、こういう場合がありました、私も党におりますから。そういう際に、さあそれでは大変だ、いまおっしゃるとおりに子供たちが大変だということで、じゃ三年間だけ延ばす、その間に法人化されなければ、それ以上はだめだぞ、こういう状況で立法されたということはこれまた愛情のある立法である、かように考えております。
  177. 湯山勇

    湯山委員 ですから、その愛情のある人が、それは当事者をやるのは厳しくやれと臨調も言っておるのだから当事者をやればいいのです。学生は当事者じゃないでしょう。もし、そう言うなら、これによって授業料は絶対上げさせませんという約束ができますか。文部大臣、自治大臣、大蔵大臣、それについてどうお考えです。
  178. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 学校にもいろいろ内容が千差万別あると思います。でありますから、絶対やらせませんと言うことはできませんけれども、できるだけお互いに、先ほど来申し上げましたように、学校経営その他でしんぼうのできるところはしんぼうして、学生が集まらなければ学校はできないのですから、学校をよくしなければ学生は集まらなくなる、これは当然のことだと思います。
  179. 湯山勇

    湯山委員 というのは、昨年はそういうことで国の補助が減った分については自治体補助で二%ふやして埋めましたよね。今度もその分カバーして、自治体にとっては自分の住民ですから、それらの負担を上げないようにする措置がとれるとお考えでしょうか。
  180. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 それは先ほども申し上げたと思いますが、要するに国から来る助成を県を通じて各校に渡すわけでございますが、その際に、地方独自で助成もする、その場合はいろいろな状況を考えて府県は決められると思うんですよ。それは私の方の地方財政計画ではそれをどうするかはまだ決めておりません。しかし、現実に都道府県でどういうふうにおやりになるかは、そのときの国の方の助成のあり方あるいは地方財政、府県財政の現状というもの、それから、いまお話もありましたけれども、公立の学校との授業料の均衡もあるでしょうから、そういうこともお考えになってお決めになることであろう、こう思うのであります。
  181. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私学の重要性は十分認識しておりますが、授業料という問題については、これはそれぞれの学校の事情によってお決めになることであって、私からとやかく論評する外にある問題であろうというふうに考えます。
  182. 湯山勇

    湯山委員 総理、いまお聞きいただいたとおりです。まことに前後ふぞろいなことをやっておりますし、一〇%という助成の削減は、これはどうしたって本人の負担にならざるを得ない。文部省も痛くもかゆくもない。大学も、これを授業料に転嫁すれば、削られても何ともありません。(「信用を落としましたよ」と呼ぶ者あり)信用を落としたのは当然です。がしかし、一番の被害者は、かえって被害を受けておる学生生徒の親たち。政治としては、そういうやり方というのは最も拙劣なやり方です。排除しなければならないやり方です。  私は、今回の措置が、しかも、いまのように幼稚園の場合はそういうふうに温情というか思いやりのある措置をとり、今度の場合はとにかく何とか百戒式のみせしめのような措置をとるというようなことは、文教行政のみならず行政一般にあってはならないこと、しかも、それを外からの力でやった。本来教育基本法は「教育は、不当な支配に服することなく、」ということがちゃんと明記されております。今回の措置は、まさに文部省が不当な支配に服したと言わざるを得ません。全く不当な支配です。精神分裂みたいに、この前幼稚園のときはこっち、こっちのときにはこうというようなそんなやり方は断じて許せない。そうしなければ私学の指導ができないと……(発言する者あり)黙って聞きなさい。(「黙ってじゃないよ。時間だ。約束じゃないか」と呼ぶ者あり)約束は、あなたさっき守っていないじゃないか。
  183. 金丸信

    金丸委員長 静粛、静粛。まあやってください。
  184. 湯山勇

    湯山委員 委員長の言うとおりです。  総理、私はこれは絶対承服できない、こういうことです。総理もこれについてはひとつ十分御注意を願って、正しい教育を行われるように願いたいと思いますが、いかがですか。
  185. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 御意見はよく拝聴いたしました。よく拝聴いたすということにしておきます。
  186. 湯山勇

    湯山委員 総理教育については関心をお持ちになってブレーンもおつくりになる。それから、この間何か、知育、徳育、体育じゃなくて徳育、体育、知育というので共鳴者もたくさんあるし、ずいぶんやっておられる。経験もおありになるのですから、何がいい、悪いということはおわかりですから、ひとつもうちょっと、われわれが納得できないまでも、お気持ちがわかるような御答弁を願いたい。
  187. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 御意見はよく拝聴いたしました。
  188. 金丸信

    金丸委員長 これにて湯山君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ────◇─────     午後一時三分開議
  189. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡部行雄君。
  190. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私は、まず総理に、今回審議されております国家行政組織法の一部改正法案についてお伺いいたします。  その一つは、今回の改正法を貫く思想についてであります。もとよりこれは、かつて総理昭和二十三年五月二十一日の衆議院決算委員会において御質問された事柄でありますが、今回、主客転倒の立場に立たされている総理が、一体前言が間違っておったのか、それともその後心境の変化等があったのか、その点について、今回この法律を貫かれている思想についてお伺いいたします。
  191. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 昭和二十三年の本院における決算委員会の発言につきましては、あの当時としては正しかったと思っております。  と申しますのは、戦前、戦後の日本を比較してみまして、戦前は、いわゆる憲法のもとに官制大権というものがございまして、政府が議会に関係なしに、法律を使わずして官制を決めたわけです。各省庁あるいは部局に至るまで、定員に至るまで。ただし、枢密院の諮詢を要するという点はございました。いわゆる勅令事項であったわけであります。しかるところ、戦後におきまして、そのような政府が過大な権力を持って独断専行することはよろしくない、民主的統制を加うべし、そういう考えに発出いたしまして、いまのような法律ができたわけでございます。それはやはり国会のコントロールを厳重にして、民意を暢達しつつ行政を監督しようという趣旨でできたわけでございます。それはその当時としては戦前の弊風を矯めるために正しかったと思っております。  しかし、最近の情勢を見ますと、三十数年、三十五年ばかりたちまして、その間において国会の力は十分に発展をし、またコントロールも十分うまくいくようになり、各常任委員会におきましては、各省あるいは各政策に対する監視の目もかなり十分行き渡っております。ところが、この三十五年の間に役所の側はどうであるかというと、法律事項で国会へ提出していろいろ機構改革するということについて非常に怯懦になってまいりまして、そして、いままでの既成の巣の中へ閉じこもって改革の志向が鈍ってきたように思われます。  そういうような情勢考え、かつまた、この高度経済成長時代からいわゆる高度情報化社会へこれから日本が進んでいくというときに、行政機構等においてもかなり時代に適応した改革が要請されており、各省内部においてもそのような改革へ出ようとする雰囲気がございます。特に、いわゆる許認可官庁から政策官庁へ脱皮していくというそういう方向の志向性が強まっておるわけでございます。そういう観点からいたしまして、弾力性と機動性を与えつつ、時代に合うように行政を変化せしめていくという面から、今回このような法律を出したということは適切であると思っております。  ただ、その場合、やはり国会の統制、コントロールというものは、ある程度厳として存続させる必要があるという点から、公務員の人員につきまして総定員法をつくりましたと同じような趣旨にのっとって局の総定員法をつくる。百二十八に限局いたしまして、それ以上ふやさない。それ以下ならば、これはその情勢に応じて政府がやり得る。そういうような局の総定員法をつくりまして、大体スクラップ・アンド・ビルドで、時代に合うような機動的な対応力を行政府に持たせようという趣旨でございます。  最近私が調べた範囲内では、アメリカ及びヨーロッパのほとんどすべての国が、そのような政府機構については政府がやり得る、国会の議決を要せずして政府が自由にやり得るという国が多うございます。それはやはりそういう時代の動向に即応してそういうことになっているのだろうと思います。そういう意味におきまして、日本も総定数の範囲内においては政府に弾力性を持たせるようにいよいよ改革していい時代に入ってきた、そのように考えまして、このような法案を提出した次第でございます。
  192. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 ただいまの御答弁を聞いておりますと、国会の方は一つの制御装置として安定してきておる、したがって、組織の方が強大化して、これを改める必要がある、そして、いままでは許認可官庁としての役割りしか果たしていなかったが、今度は政策官庁としての役割りを果たさなければならない、こういうふうにおっしゃいましたね。  そこで、私はここに非常に矛盾を感じるのです。というのは、国会の制御装置とそれから組織の強大化ということには何ら関係がないのではないか。今回の組織法の改正というのは、つまり国会の制御範囲を狭めて、その分行政府の活動範囲というか、権力の行使する範囲を広めることがねらいであるわけです。そうなると、この官庁として、いままでは許認可事務が主たるものであったが、今度は政策を実行しなければならない、こういうふうにすれば、なるほど政策というものは国民の期待にこたえるものでなければならない。そこで、ますますこの立法府の関与というものが必要になってくるのではないか。政策としての官庁というならば一層私はこの関係が重要になってくるものと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  193. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 政策は、大体局長あるいは官房、大臣、政務次官、こういうところで最終的に決められてまいるもので、それ以下のところはそれを準備する、仕込みをやるという部局であると思います。したがいまして、政策面におきましては局長、局の数、官房、こういうようなものを押さえておけば、私は十分コントロールはきくと考えております。
  194. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、これは総理がかつて質問した内容で私は質問したいと思います。  まず、二十三年五月二十一日、第二回国会において、読むと時間がかかりますから要旨を申し上げますと、議院内閣制というものが保障されていくためには、政党が責任政治をやって、国民の世論を政策に浸透さしていかなければならない。そしてまた、「その行政組織が憲法の精神に合うような組織でなければならない」、そして、この改正案は「多分に旧憲法的なにおいがあり過ぎる。むしろ旧憲法よりももつと官僚的な色彩が強いと私は考えるのであります。」云々とあるわけです。  そうすると、私は、このときの改正法といまの改正法は精神において変わっていないと思うのですよ。にもかかわらず、総理は、当時の改正法についてそのような御認識をなされておったわけです。一体この関係はどういうふうに解釈したらいいでしょうか。
  195. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 今回の国家行政組織法の改正というものは、百二十八と、局及び官房の数を限局しておるわけでございます。その点において前の場合と違います。その範囲内においては、スクラップ・アンド・ビルドで政府が裁量の範囲内において機動的に対応し得るというふうにしておるわけでございます。それから、国政調査権に基づきまして、国会の活動はあのころから比べればはるかに活発になり、国会は実力を持ってきておるわけでございます。そういうような戦後における民主主義の発展というものから見まして、その程度の裁量権を行政府に持たせるということは私はやむを得ないこと、そういうふうに考えておる次第でございます。
  196. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、内部組織の問題でございますが、それについてもこういう発言がなされておるわけです。  ずっと発言されて、その中で主なものを拾ってみますと、「あるいはまた各省の内部部局の設置の問題で、政令でこれを定めるというのがあります。この問題については昨秋労働省の問題で参議院においても大分論議された問題でありますが、これが一般化されて、あらゆる官庁の内部部局というものは政令できめられて、国会はこれに関与しなくなる。こういうような点もございます。こういう点から見ると、一体政党政治というか、そういうものは行政官庁にとっては無用なものなのであるか。」こういうことが述べられているのですが、私はいまもこういう立場は変わらないと思うのです。  一体総理は、議員の立場で議論するときと一たん総理になったときの考え方とは、こうも違うものでありましょうか。
  197. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 当時は終戦後わずかの短時日の間でありまして、まだ引き揚げ者も全部終わらずに、瓦れきの山の中でやみ市があったという時代でございます。したがって、日本の民主政治がどういうふうになっていくか、前途見当もつかない、そういう時代で、政党もまだまだ未発達の時代であったと思います。  しかるに、三十数年たつうちに、社会においても市民社会の岩盤は厳然とできてきておりますし、それに基づいて民意を代表する政党もしっかり足腰ができてきておりますし、行政に対する監督も常任委員会や部会等を通じてかなり有効に行われるような状態にもなってまいりました。その点はまるっきり違った状態になったわけです。  それと同時に、今回はともかく局の数を総定員数というような形と似た形で限局して、そしてアッパーリミットをつくりまして、その範囲内においては裁量を認めよう、こういう考えに立ってやる思想ですから、国会のコントロールは、その百二十八以上にはふやせない、行政権の単独ではできない、その内部における問題は、その程度は行政府にお任せ願った方が国政を効率的に運営する方途である、そういうふうに、時代の変化も考えましてお願いを申し上げている次第なのでございます。
  198. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時代の変化というものが、こういうもともと国家行政組織法というものの中に立法府が介入するようになってきたわけです。  本来、総理も先ほど言われましたように、国家行政組織に対する権限というものは王権から発していて、かつては国民が全然これに介入することは許されなかった。また日本では天皇の大権によってこの国家行政組織というのは専断されてきたわけでございます。そういうものが戦後の主権在民によって今度は様相を変えて、これに立法府が介在し、制御装置として民主的な一つの法体系としてこれをつくり上げたことは首相も同感してくれると私は思うのです。  しかし、そういうものをよく考えると、今度は立法府の介入する範囲が狭められていく。これはもとの行政権力専断の昔のあり方に逆戻りしていくのではなかろうか、私はこういう心配がなされてならないわけです。  そこで、この問題は、一つはそういう歴史的方向、封建社会からこの資本主義社会、そして資本主義社会でも発展途上の国と民主主義の成熟していく国とでは、おのずからその法のあり方が変わってきているわけです。日本が平和憲法に基づいてますます民主主義発展の方向を目指すとするならば、私は、いまのままでどこが悪いのか、どこが不適当なのか、こういうことに疑問を抱くのでございます。そういう点で総理の御見解をお伺いいたします。
  199. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 そうした問題につきましては、先ほど来総理が御答弁なさっておられるわけでございますから、私も繰り返して詳細に申し述べないようにいたしたいと思いますが、御承知のように、戦争前は旧憲法によりまして、国会が関与することのできない行政組織の大権というのが天皇にあったわけでございますから、勅令でできておった。ところが、新憲法になりまして国会が国権の最高機関ということになり、民主政治ということが強く叫ばれるようになってまいりましたために、やはり行政組織の中に国会が強く関与する必要があるであろうということになってきたわけでございます。  それで、私は、あの当時、昭和二十一年の憲法改正の際の議事録をちょっとこの前も読んでみたのでございますが、憲法改正の担当大臣の金森さんは、昭和二十一年におきまして、行政権に国会が関与する、組織に関与する、それはある省庁を設置するといったふうな大きな問題について法律で規制をする、しかしながら、その省庁の中の内部部局についてまで関与するということはどうであろうか、政令で委任してもいいではないかといったふうなことが新憲法のもとの解釈として示されておったと私は記憶をいたしております。  その当時は、先ほども総理が仰せになりましたように、新しい憲法に基づく議院内閣制というものはまだ未熟であったと私は思います。そういう意味において、国会が国権の最高機関としてできるだけ関与する、関与する面を多くしようというふうな政治的な情勢であったと思います。しかし、その後、廃墟の中から立ち上がった日本が、もう三十八年の間に大変な変化をしてきたわけであります。  そういうような経済社会の著しい非常な変化、それに対応して議院内閣政治というもの、政党政治というものも非常に成熟をしてまいりましたし、それから役所側においても、行政機構の組織に対するコントロールの仕組みというものも役所の中ではっきり確立されてきた、こういうことでございますので、時代の変化に即応して内部部局についての編成を機動的に行うということの必要性、これが非常に強くなってまいりましたので、大臣のもとにおける内部部局の組織については、この際政令で御一任を願いたい。しかし、それにつきましては、政令で任せるということになりますといろいろ問題があるわけでございまして、大分前に行政組織法の改正が出ましたときにもいろいろ議論があったと承っておりますが、組織膨張のおそれがないか、こういうのが一つの議論であったようでございますから、組織膨張はしないようにいたしましょう、そこで総理の仰せになりました百二十八という上限の組織を設けましょうということにいたしてきたわけでございまして、経済社会の変化、それに伴う行政需要の変化、それに対して機動的に行い得る、行いたいという必要性、そういう必要性が非常に強くなってきたということであろうかと思います。  しかしながら、国会におきましてはコントロールの面が減るではないかというお尋ねでございましたが、御承知のように、内部部局の編成につきましては官報で必ず公示をいたします、広く国民にお知らせするようにいたします、それから、もとより国会は国政の調査権というものをお持ちになっておりますし、また予算面でも、予算編成の際には局の数は幾つということをちゃんと予算の中に書いて出しておるわけでもございますから、私は、この変化に対応する機動性ということを十分御理解いただいて、そして御了承をいただくということが必要ではないかな、こう考えておる次第でございます。
  200. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 いま行管庁から答弁がございましたが、それではいままでに、機動性においていまのシステムではどうしてもまずい、そういう実例があったら出していただきたいと思います。
  201. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 まずいという表現は適当じゃないと思いますが、現実問題として、省庁の中における局の設置廃合等につきまして国会に提案をして、国会の御都合によって審議未了とかいうふうになりまして非常におくれた例はございます。しかし、私は、そういうまずい点があったからとかなかったというのではなくして、今後の日本の行政組織の規制のあり方として、省の設置廃合といったふうな大きな問題は、これはもう当然法律で規制しなければなりません。それから、国民の権利義務に関するようなことは、これは当然法律で規制をしなければなりませんが、大臣のもとにおける補助機関である省庁のものは機動的に設置廃合ができるようにしていただくことが行政需要の機動性を満たすゆえんではないか、こういうふうに考えているわけでございます。まずいからとか、まずくないからというのではなくて、行政組織を規制する基準法としてそうあってほしい、こういう気持ちでございます。
  202. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この間の九月十八日、NHKの討論会で、橋本龍太郎氏はこういうことを言っておられたのですね。行政需要に即応体制をとるためにはどうしてもこの改正が必要だ、そこで、かつて交通組織体系の整備をしようとしたとき、あるいはまた、厚生省の公害部を局にしようとしたときも、国会の審議の状態でできなかったような発言がされました。しかし、この中身を調べてみると、これは国会の責任じゃなくて、大体、法案が政府の中でつぶれてしまって、法案にならなかったわけです。その責任は皆、政府にあるのですよ。議会があるから、審議がおくれたのでも何でもない。そういうことをああいう全国民のいる前で、しかも、国会の立法府が非常にむずかしいことを言って妨害しておるような印象を与えるようなことでは困るので、これはそういうことから言いましても、決して緊急性とか即応体制とかいうものは、いまの制度の中でも何ら問題にならないと思います。そういう点でいかがでしょうか。
  203. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、過去のいままでの例においては、国会に法案を提案して審議未了になったり、そうした例はあります、おくれたことがあります。それは実例はあります。審議未了になったり成立が非常におくれたとか、いろいろな例はたくさんありますよ。例はありますが、私はそういうことよりも、よかったとか悪かったということよりも、行政組織を規制する基準法としては、こういうふうに目まぐるしく変化しておる社会にあっては、やはり行政需要の変化に対応した機動性のある規制のやり方、それはひとつぜひお願いをしたい、ぜひお認めいただきたい。しかもまた、反面において、議院内閣政治も、政党政治も非常に成熟してまいりまして、役所に対する、機構に対するコントロール、そういうものも十分成熟してまいりましたし、それから役所の中でも、私どもの行政管理庁における行政管理局は、組織の規制については厳重にいまでもやっておるわけでございますし、それから国会における規制のやり方もいろいろある、コントロールのやり方はあるわけですから、この際、行政需要の変化に対応したそうしたやり方をお認めいただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。しかし、どんな場合でも、省の設置とかあるいは国民の権利義務、こういうものに関することは、それはもうあくまでも法律でやらなければいけません。それは、そういう基本的な方針は絶対に変えない、こういうことでございます。
  204. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 局については一つの定員制というか定数制みたいなものを設けたから問題はないとおっしゃいますけれども、局を廃止して部をふやすということもできないことはないと思うのです、理論上。あるいは、実際やろうとすればできるのではないか。そうすると、いわゆる局の定員制というか定数制というのは一体どういう役割りになってくるのか、そういう点はどういうふうにお考えでしょうか。
  205. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 御質問の内容をはっきり理解しにくい点もございますが、局の数を百二十八と、こう押さえておるわけでございまして、その上限規制ということはふやしてはいけない、こういう一面があるわけでございます。それからまた一面には、行政改革のこの際であるから百二十八の数はできるだけ縮小していくという努力をしたらいいだろう、こういうことも私は含まれていると思います。したがって、将来百二十八の上限の以内において減らす分には私は結構だと思いますね。ですから、局が部になったりすることはあり得ると私は考えております。そのことは支障がない、百二十八の範囲内においてそれ以上ふやしちゃいかぬ、こういう規制でございますから、減らす分には一向差し支えない、こういうことだと私は理解しておりますよ。
  206. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 減らす分にはいいということも、私はいろいろ角度によっては問題があると思います。それは後でやることにいたしまして、まず政令事項と法律事項の問題についてですが、昭和二十三年の国会における衆議院決算委員長報告というのがありますが、これは六月二十六日でございます。ここの中にどういうことが書かれておるかと申しますと、   第四、委員会が特に考慮を拂いましたことは、これらの部局の設置や所掌事項の範囲、各職の定員等が政令によつて定められるとありましたのを、ことごとく法律をもつて定めることに改めたことであります。また政令によつて設け得る特に必要なる機関は第八條中に列挙し、この以外のその他の機関は、すべて國会の承認を経なければ設けることができぬよう修正いたしました。   以上は、官僚的割拠主義から発生する、いわゆる官僚の阿房宮といわれる厖大なる機構の拡大化を防止し、過去の宿弊を國会の意思によつて断固一掃せんとする意図に出たものであることを御承知願いたいのであります。 こういうふうに言っているのです。また、これを受けて参議院の決算委員長報告の中で主なことを拾って言いますと、  旧憲法の下におきまして、官制は勅令で決めることとなつておりますが、当時でさえ各省の部局の設置、廃止につきましては、ただ行政内部の権限だけでなく、枢密院の諮詢を必要とするような情勢であつたのであります。 云々と言われておるのです。  明治憲法でさえこの分については枢密院の諮詢を受けて制御しておったことを考えるならば、なぜ民主主義国家の今日にこの法律事項と政令事項をこういうふうに改正しなければならないのか、その点に対する総理の御見解をお願いします。
  207. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 旧憲法下におきましては、御承知のように、官制大権が天皇にありましたために、省の設置廃合、それから部局につきましては、局の設置、これは枢密院の御諮詢をいただいて勅令で定め、部の設置は普通の勅令で設置するというふうになっておったと記憶しておるわけでございます。  そこで、国家行政組織法の今回の改正に当たりましては、省庁の設置廃止、これはもとより当然法律として国会の御承認をいただかなければならない。しかし、その中における補助部局である局の設置廃止だけは行政上の変化に対応して機動的にやらしていただきたい、こういうことでございます。あくまでも大きな筋は法律で押さえていただく。それから、審議会やその他の問題等もございますが、国民の権利義務に関することはすべて法律。たとえば今度の新しい国家行政組織法の第八条でございましたか、その中における審議会あるいはまた施設等機関あるいはその他の機関等の規定につきましては法律または政令で規定をするというふうに書いてありますが、その中身は、国民の権利義務に関することは大きくても小さくてもそれは全部法律です。そうでない、直接国民の権利義務にかかわりない審議会や施設等機関等につきましては政令でお任せをいただきたい、こういうふうにしておるわけでございまして、国の行政組織の大本である省の設置は全部法律、その大臣を助ける内部の補助組織、これだけは行政需要の変化に対応して機動的にやらしていただきたい。そうすることによって行政が効率化されるし、さらにまた国会のコントロールということも、国政調査の問題あるいは予算の問題等々において政党政治下において十分コントロールできるではございませんか、こういうふうな考え方でお願いをしておるわけでございます。
  208. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、この法律の改正ということは、一つには、実態法律の内容が全く合わなくなった、こういう場合、二つには、近い将来一つの構想を実施に移さなければならない、そのためには法律で一つの誘導の役割りを果たそう、そういう一つの先導的な意味を含めた場合等が考えられると思います。たとえば国際的にはいま貿易の摩擦がどんどん拡大して、そういう意味での国際緊張もまた増大しておる、こういう場合に、何とかこれに対処するために法的な措置を講じてはどうか、こういうような考え方やあるいは行政組織上の対応をどうすべきか、その必要性に迫られた、こういう状態考えられます。また、国内的には、最近特に新聞紙上をにぎわしているような政官財の癒着によって汚職が続発し、綱紀が紊乱して社会、政情が不安になっている、あるいは組織内部の不均衡やその他の原因によって自律作用の内部的要請による場合等々が一つ考えられるわけであります。  そういう意味で、この改正を考えられた一つの国内的な要因、また国際的な要因あるいは組織内部の要因等々について具体的にひとつ御説明願いたいと思います。
  209. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 行政組織の機動的な要請ということは、私が申し上げるまでもなく、御承知のように、経済、社会両面にわたる最近における著しい変化、これが私は一つだと思います。社会的には、御承知のように、高齢化社会が急速に進んでもおりますし、さらにまた教育の振興等によって高学歴化の時代に入ってまいりましたし、さらにまた通信、交通、これはすばらしい発展を示してまいってきております。経済的には高度成長から安定成長に変わり、しかもまた財政の面を考えてみるというと、これは大変な危機的状況にある。     〔委員長退席、江藤委員長代理着席〕 こういうふうな戦後三十数年の間にこうしたすばらしい、目覚ましい経済社会の発展、それに対応してそういうふうに変わってまいったわけでございます。  ところが、そういうふうに変わってきた中にあって、行政機構だけは法律ですべて内部部局はつくらなければならないということになりますために、役所の機構もどうも硬直化してまいってきましたし、先ほど総理からの御発言にもありましたように、官庁の内部においてもとかく機構改革について自主的な自己革新という意欲が薄れてまいっておりまして、機構改革に関する熱意と申しますか、時代の変化に対応する変革というものに対して非常に消極的になってきている。こういうことであってはいけない。臨調が強く主張しておるのはその点でございます。すなわち、経済社会の発展、進展に、変化に即応して役所自身が恒常的に自己革新を行って、そして機動的な役所をつくり、国民の要請にこたえるような役所の編成がえをしていく必要があるのではないか、これが臨調の非常に強い要請であったわけでございまして、私どもとしては、いまの時世においてはこうした行政組織の規制の方式、これが一番適当であろう、かように考えて御提案申し上げた次第でございます。
  210. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、法律というのは常に歴史的な背景、社会的な背景というものが付随するものと思います。そういう点で、今日の社会現象をどのように見ておられるのか。とにかく、田中元総理を筆頭に、政府高官の汚職の連発とでも申しますか、政治家を含め非常に問題があることは、これは御承知のとおりであります。しかも最近は、最高学府の大学教授の汚職にまで発展し、そうして大学は入試をめぐってもかつていろいろと問題を起こしたとおりでございます。あるいはまた中高校におきましては、校内暴力が大変な社会問題になっていることも事実でございます。また、家庭内の暴力あるいは大阪、神戸に見られたような警察官と暴力団の癒着、警官による犯罪の増加傾向、人の命にかかわる医者やあるいは製薬会社と政府役人との癒着など、全く社会的には大変な問題が続出しておるわけでございます。こういうものをどのように行政組織の中で解消するようにしていったらいいのか、そういう社会的な条件をどういうふうにこの組織運用の中に解決していく方策を見出していくか、こういうことが当然考えられなければならないと思います。  そこで、この行政組織法の改正と行政改革との関連でどういうふうにいまの社会的あるいは歴史的な背景というものを受けとめておられるのか、また、これにどう対処されるおつもりなのか。これは総理にお伺いいたします。
  211. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 政府の機構を縮小して国民の期待におこたえするような清潔な効率的な政府をつくるということが行政改革の目的であり、また行政改革をやらずとも行政府を預かる者の心がけであると思います。そのため政府は、累次にわたりまして機構改革の閣議決定やら示達を行いましていろいろ努力しておるところでございますが、必ずしもそのとおり機構の縮小が行われるとは限らない状態が近ごろ出てまいりまして、はなはだ遺憾に思い、申しわけないと思う次第でございます。今後ともその面につきましてはますます努力をしてまいりたいと思います。  また、政治家あるいは政党といたしましても、やはり国民代表の地位にふさわしいような個人的な行動なり政党機能というものを確立して、今後とも努力しなければならぬと考えております。
  212. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 全然答えになっていないと思うのですが、これは総理自身、私は政治倫理というものの確立をどう考えているのか非常に疑問でございます。国民は少なくとも国の最高指導者の後ろ姿を見てついてくるわけでございます。その際、この最高の地位にある人あるいはそれに準ずる人たちが倫理性を厳しく見詰めて、そして自分に対する対処の仕方をより厳しくすることが何よりも前提になるのではないか。そういう点で総理が、今回、田中元総理のロッキード問題に関する一つの態度表明にいたしましても全然明確な態度は打ち出されていない、いつも三権分立を盾にして、そうして、これに対する自分の対処の仕方を明確にしようとしていない。私はここにいまの社会的ないろいろな混乱の原因があるのではないか、また社会的腐敗の原因があるのではないか、こういうふうに思うわけです。  そういう点で、たとえばこの制度の中にもそういう汚職にかかわった者、そういう者については厳しく処断していく、そういう一つの心構えを明確にして、あるいはどうしても癒着のできないような組織体制を考える必要があると思うのです。また、組織の配置の仕方あるいは関連づけの中で互いに牽制し合うような仕組みも考えられるし、あるいはもっと監察制度を強化して、そういうことが起こらないように、未然に防げるような一つの行政組織体制をつくっていく、こういうことが考えられて当然だと思いますが、そういう点は全然今度の改正の中ににおいもしないのでございます。その点はいかがなものでしょうか。
  213. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 最近のいろいろな不祥事が新聞に伝えられておりまして、私もまことに残念なことであると思います。公務員がそれに巻き込まれるというようなことは本当に遺憾なことでございまして、こうしたことが本当になくなることを私どもは期待しなければならぬと考えております。  そこで、こういう問題につきましては、政府は今日までたびたび綱紀粛正に関する声明を出したり、それを厳重に励行させるようにするとか、いろいろな措置を講じてはきておるわけでございますが、まだまだ後を絶っていないことを本当に私は残念だと思いますが、しかし、こうしたことは今回御提案申し上げておりまする法律改正以前の問題、倫理性の問題でございますから、この法律の中でそれをどうやって処理するんだ、こう言われましても、それに対する手当ては私はないと思います。しかしながら、この問題につきましては、政府全体が戒めていくということ、公務員全体が戒めていくということ、それからお互いに自戒をしていくということ、それから行政監察を徹底的に行うとか、いろいろなやり方は私はあると思いますが、こういうモラルの問題でございますから、組織の面でどうする、ああするということは一概には言えない問題ではないか。これは行政改革以前のモラルの問題である。これがやはり非常に大事な問題である、こういうふうにだけは申し上げることはできると思います。
  214. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは行政改革以前のモラルの問題と言われましたけれども、私は必ずしもそうではないと思うのです。一つの犯罪が行われるにはそれなりの原因が常につきまとうわけでございます。一体その原因はそういうモラルの欠如から来ておるのか、あるいは現在の、いわゆる自分さえよければいい、自分さえもうければいい、そのためには手段を選ばない、そういう一つの社会的土壌が、結局力を持っておる権力と結びついて、あるいは許認可権、そういうものと結びついて汚職が始まる。しかし、それらについても、たとえばそういう衝にある人に対する一つの注意深い監視その他の方法によって、これは食いとめることがある程度可能じゃないか、私はこんなふうにも思うわけです。  そしてもう一つは、時間の関係で簡単に申し上げますが、やはりここでこの国民モラル、それから特に政治家あるいは官僚、そしてまた人間の命にかかわっておる人たち、あるいは人間の教養を高める職に携わっている人たち、こういう人たちの倫理観の確立について総理はどのように考えておりますか、お聞きしたい。――総理にお聞きしているのです。
  215. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 まず私から。  役人自身がそういう倫理観に徹するということ、これは当然のことでございますから、役所内部におきましても、そういうことが発生しないようにお互いに自粛自戒をし、監督もやはりまた厳重にしなくてはならぬと思います。しかし、それをこの組織の法律でどうするということではなくして、行政の運営の問題でございますから、あくまでも公務員の倫理性に徹した努力というものが必要である、私はさよう考えております。
  216. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 総理一言……。
  217. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 行管長官が申されましたとおり、公務員は全体の奉仕者でございまして、これを統括する政府は、国民の意思を体しまして、ますます厳しく心がけてまいらなければならぬと思います。
  218. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、時間の関係で文部大臣にお伺いいたしますが、こういう最近の大学のまことに嘆かわしい状況、それから校内暴力、青少年の非行化、こういうものについて、行政官としてどういうふうにこれに対処したらいいのか、それは組織的に対応できないものかどうか、この点が第一点。  そして第二点は、私は、行政官というのは、常にそういう社会的な現象、事象について、それを一つの制度的なめがねで見た場合、それを解消していくためにはどういうふうに制度を持っていったらいいのかという、そういう一つの見識を持ってしかるべきではないか、こういうふうに思うわけです。  そこで、いまの六・三・三制を見てみますと、私は、校内暴力の一つの原因として、やはり六・三・三制というものがあるのではないか。戦前の教育制度というのは、大体、小学校は義務教育ですから、あとは高等二年に進む者と中学五年制に進む者とに分かれるわけで、そういう点では、小学生は力もひ弱いし、暴力化する危険性も余りなかった。ところが、中学という一つの年齢段階にいくと、これは非常に暴れたくなり、反抗心が旺盛になって、そういう集団心理もまた一番働きやすい年齢でございます。戦前は中学というのは五年制で、四年、五年は高等学校や専門学校の受験勉強に追われて、これはそういう暴力をふるったり暴れたりする余裕がない。ところが、二、三年生がそういう軌道から離れたような行動をすると、やはり四年生や五年生に殴られたりあるいはたしなめられたりするわけです。そういう点で、旧制の中学校はわりかたいまのような暴力に走るようなこと、特に教師に対して暴力をふるうというようなことは余りなかったと私は思います。あるいは高等二年制の方は、終われば就職ということで、比較的これは学問に追われることなく、わりかたのんびりと過ごすことができた。  そして、今日はどうかというと、一番反発したい、一番暴力をふるいたい年齢の者を中学に集めて、これを規制する人もいない。いまは先生より生徒の方が力を持っているような体格になっておる。こういうことであの校内暴力というのが一面惹起される原因になっているのではないだろうか。また、高校生になっても、もう受験勉強で、自分さえよければいい、人はどうでもいい、他人をけ落として自分だけが先駆けようという、こういう一つの風潮と環境、これからきていまの暴力のようなものが発生していると私は思うのです。昔の高等学校や専門学校の生徒を考えると、天下国家を論じて、まさにその意気壮なるものを感じさせたものでございます。  しかるに、今日の青少年の動向はというと、一体どうでしょうか。国家天下を論ずるような風潮がどこにありましょう。もうそれは遊ぶこと以外にない。将来の日本を担う青少年の今日のこんな状態を私は許すことができないと思う。そういう点の文部大臣としての一つの方策というものをお聞かせ願いたいと思います。
  219. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 渡部さんがいまこの青少年の状況をとらえて、将来の日本の国家社会のためにどうだと非常にしんから心配していただいておることに深い敬意を表します。  その前に、いわゆる大学の教授、たとえば最近の問題でありますが、東京医科歯科大学の教授選考をめぐる、あるいはその他のことで容疑者として取り調べを受ける、そんなことがあるわけでございますが、まさに教育者あるいは大学の先生として遺憾至極である、かように考えておりますが、これは過日も申し上げましたように、まだ残念ながら大学の自治、自浄能力では解決ができない、いま警察あるいは司法の手で詳細な調査を進めておる、こういう実態でございまして、まことに遺憾に思っております。これについては、文部省といたしましてもそれぞれ大学関係者等に厳重な警告、勧告を行っておるわけでございますが、究極はやはり教育者としての自覚あるいは倫理、こういう問題に帰すると思いますが、それだけに放置するわけにはいかない、かように考えております。  それから、いまお話しのように、最近非常にお互いに憂慮いたしております児童生徒あるいは青少年の非行、校内暴力等については、いま六・三・三制の問題が取り上げられましたけれども、これも一面は関係があると私は思っております。全部ではないと思います。長くなりますから申し上げません。これはいろいろな要素といいますか、原因が、戦後三十数年もたちまして重なっておる。でありますから、私どもはそういう原因をいろんな方面から洗い直してどこに原因があるのか、どこに欠陥があるのかということをいま一生懸命検討している、専門家の意見も聞いております。  六・三・三制の問題については、施行されてから三十五年経過いたしましたが、一面有効な制度でもありました。しかし、たってみますると、いろんな指摘をされておりますように、欠陥も生じておると率直に思います。特にいまお話しのように、昔の中学制度、いいか悪いか、これはいろいろ議論がありますけれども、ちょうど現在の中学校の二、三年といいますと十四、五であります。おっしゃるとおりに、羽を伸ばしたい、また、そうかといって社会に対する深い認識がない、判断力がまだ未熟である、そういうときに社会環境はいろいろな誘惑が重なっておる、そこに羽ばたきたい、まあ何といいますか、わんぱく時代があるわけでございますが、それ以上の忌まわしい事件が起こっておる、こういうことについては、いまおっしゃるように、ちょうどその時分が高校の受験なども控えておる、社会にはいろんな誘惑が重なっておる、羽ばたきたい、これを抑えるものがない。従来であればその上に中学校の四年、五年の兄貴分がおる、あるいは先輩がおる、たまには頭をこづかれる、生意気なことをするな、こう言われておった時代がある。でありますから、そういう抑えがきかない。  されば先生はどうか。先生が、おれとおまえは平等なんだよ、私はこれは間違った教育だと思います。人間の平等は平等でありますけれども、先生は先生、教え子は教え子、これは別であります。そういう戦後の風潮が災いして、いわゆる先公などと言われて先生を尊敬しない、長幼の序がなくなってきておる、先輩を尊敬しない、こういう状態がいろいろなことになってきておる。でありますから、こういうあらゆる問題をここで洗い直す。これは簡単なものではありません。教育は百年の大計と言われておりますから、思いつきや何かでやるとまた間違いを起こしますので、各方面の意見を聞きながら、これをいかに改めるかということをいまやっておるわけでございますが、結論を申し上げますと、政府もやっております。文部省もやっております。しかし、文部省だけじゃいけませんから、機関である中央教育審議会でもこの問題を含めて教育のあり方、受験のあり方、教科の内容、いろいろな問題について検討してもらっておりますが、この十一月には中間報告を出してもらう予定になっておりますから、それもまたもとにして各方面の議論をし、意見を承りながら改革を進めていかなければならない、かように考えております。
  220. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私からお願いしたいことは、確かに大臣の御答弁のとおり、いろいろな要素、問題があることは事実でございます。ただ、そういう点でいま一番緊急な課題は入試の問題、そして落ちこぼれがどんどんつくられていく、あるいは教育の内部の権威の問題。生徒と先生の平等と教える者と教えられる者との権威の関係はおのずから違うと私は思います。そういう人格の平等でなくて、教育者としての権威の問題をどういうふうに取り扱われるか。そしてまた、具体的には六・三・三制を含めて見直していきたい、検討していきたい、こういうふうに受けとめてよいのかどうか。
  221. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 簡単なことではございませんが、そこまでいかなければ根本的な対策はできない、かように考えております。
  222. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 文部大臣、大変ありがとうございました。後は御退席願って結構です。  そこで、次の質問に移りますが、国家行政組織法というこの法律は、いままでいろいろな学説を読んでもこれが一般的定説であるというものは見つからないわけでございます。しかし、政府は今回具体的にこの国家行政組織法というものを取り扱って、その改正をいま図ろうとしておるわけですが、その際に、この法律の定義については政府なりにどういうふうに考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  223. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 国の行政組織全般に通ずる基準法と申し上げていいと思います。すなわち、国がいろいろな行政を行うに当たりまして、どういう仕組みでこれをつくっていくか、それをどう規制をしていくか、そういうような国全体の、行政を行う組織、機関の規制の基準法というふうに考えておるわけでございまして、この基準法という行政組織法に基づいて、各省庁を設置するときは法律でなければいけませんよ、それから局や部の設置は政令で結構ですよ、それから各省庁にはいろいろなそれぞれの外局とかいうものもあります、それから審議会その他のものがありますが、そういう審議会等のものにつきましてもこういう法律なりあるいは政令でつくっていくべきである、国の行政全般にわたってこれをつくっていく、規制の基準法でございます。  しかし、その中に流れている根本は、省の設置のような基本的な問題、これはあくまでも法律でなければなりませんよ、国民の権利義務にかかわるものは法律でなければなりませんよ、こういう原則を貫いてできておる、行政組織全般を通ずる基準法である、かように考えております。
  224. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、基準法なるがゆえに最も重要であり、行政組織法というものはその法源を憲法に求めているわけでございます。そこで、憲法というものをどのように組織法の中に考えられているのか、その点についてお伺いいたします。
  225. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 旧憲法でない新しい憲法を制定するに当たりましての憲法改正に関する国会が、昭和二十一年でございますか、開かれたわけでございますが、そのときの担当大臣が金森さんであったと思いますが、国家行政組織に関する部分で申しますと、やはり国民の権利義務に関することはあくまでも法律でやるという基本を貫き、国家一行政組織でございますれば省の設置等は法律でやる、しかし、省の中に置かれる内部部局につきましては政令で委任することも差し支えないではないか、こういうふうに解釈を下されておるわけでございます。そういう憲法の論議の後に初めて政令問題が起こったのは、昭和二十二年の九月に発足いたしました労働省設置法、その中にそうした考え方が出ておったと思います。
  226. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 昔は、いわゆる天皇の大権あるいは歴史の中では王様の組織の専断権と申しますか、そういうものによってなされましたが、今度平和憲法によって、いわゆる主権在民、大権にかわるものが人民の権力、国民主権と申しますか、これになるわけです。そうした場合に、かつては天皇がすべての組織権を独占しておったのを、今度は天皇にかわって国民主権が作用するようになったわけですから、むしろそういう点では国民主権の代表機関である国会というものが一層関与していっていいのではないか、私はこういうふうに考えますが、この辺の考え方はいかがでしょうか。
  227. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 旧憲法におきましては、先ほど来お話もございましたように、官制大権が天皇にありましたから勅令で行うことができたわけでございまして、国会がこれに関与するということはできなかった。新憲法になりまして、仰せのとおり、国権の最高機関である国会、これが行政組織の内容にも関与しなければならない、したがって、国家行政組織の中の一番の基幹をなすのは省庁の設置でございますから、それは当然法律で国会がコントロールしなけりゃならぬ、この原則はあくまでも私は貫くべきであると考えております。しかしながら、あの当時は、そういうふうに旧憲法から新憲法に非常に変わりまして、国権の最高機関であるという国会、そういうものができたのでございますが、先ほど来いろいろ申し上げましたような議院内閣制とか政党政治というのはまだ未熟と申しますか、新しい憲法下において新しく発足しようという時代でございましたから、しかもまた、旧憲法におけるそういう反省というものがありましたので、部局の内容まですべて国会がコントロールするという時代があったということは、私はそれなりのりっぱな意義があったと考えております。  しかし、その後のいわゆる先ほども申し上げておりまする社会経済の変化に伴って行政需要も変わってきた。それを一々内部部局について国会がコントロールするということよりも、むしろ行政需要の変化に対応した機動性のある行政組織の仕組みというものを御委任いただくということがいまになって必要になってきた、かように考えておるわけでございます。あくまでも私どもは大事な点は国会の御審議を煩わす法律、そのもとにあるものについては機動性を発揮していただく、こういうことであろうかと考えております。
  228. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私の心配するのは、とかく行政権力というのは一つの原理として膨大化する性質を持ち、あるいは権力の集中としてその組織を利用しようとする本能を持っていると思うのです。そういう点で立法府と行政府のいわゆる縄張り争いというか、そういうものに発展するのは、一つのそのあらわれではないか、こんなふうに考えるわけです。  そこで、総理はいままでに議員の立場で言っていることと、今度総理大臣になってからやろうとすることがまるで正反対であるわけです。しかし、ここで考えなければならないのは、自由民主党の政権が永久に続くという保証はないということなんです。いつこの権力関係が変わるか、そういう政治的なこれからの変化というものをやはり想定するときに、少なくともこういう行政組織法というようなものは、それらの変化にたえ得るものとして存在しなければならぬのではなかろうか。  そう考えた際に、私は、このままでいって仮に政権交代になった際に、皆さん方はこの行政組織法について必ずその改正を求めてくるのではないだろうか、そのときのにしきの御旗はいわゆる民主主義と平和憲法になってくるものと思うのです。そういう点で総理は一体この問題をどうお考えですか。
  229. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 三十年の戦後の行政の体験にかんがみまして、しかも国会としてのコントロールの大事なてこと申しますか、かんぬきはちゃんと持っておって、そして行政の裁量権をある程度認めよう、これが効率性と弾力性を行政に保障する道である、そういうふうに考えておりますし、諸外国の例を見ましても、大多数の国はこの程度の裁量権を行政府に持たしておるのでありまして、アメリカでもイギリスでも同様でございます。あるいはフランスも同じであると記憶しております。そういう面から見ましても、国際水準並みへの行政の裁量というものは認めてしかるべきである。これは決して民主主義に違反することではないと考えております。
  230. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、自衛権というもの、つまり新憲法になってからは陸軍省とか海軍省というものがなくなったわけです。そこで、憲法の一つの柱としての第九条というものを、こういう国家行政組織の中にどういうふうに具現するかというのが一つの問題ではなかろうか。そういう点で自衛権というものは憲法以前の基本的な権利である、生物すべてが持つ生まれながらの権利であると私は思うのです。したがって、憲法九条に、あるいは憲法に自衛権というものが書かれていないから、憲法によって付与された権利ではないと思うのですよ。  そこで、この自衛権というものを、それじゃそういう基本権としてとらえた場合のいわゆる自衛するすべてのもの、総合的なものとしてこれを考えなければならないのではなかろうか。しかるに、憲法がなぜその自衛の問題について、戦争の問題について、一項を起こして指摘しているかというのは、それは自衛の方法の一部として私はこのことを一項を起こして指摘していると思うのです。  そういう点で、私たちが自衛と軍事力とを短絡的に結びつけるということは非常に危険な思想ではないだろうか。そういうふうに考えますと、こういう行政組織の中にその憲法の精神をどう生かすか、あるいは文民統制の問題にいたしましても、そういうコントロールをどういう仕掛けでやっていくのか、こういうことをやはり明らかにする必要があるのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  231. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 わが国の憲法は、わが国に対し自衛の権利を当然認めておる憲法であって、そして、その憲法のもとに防衛庁が発足をいたしておりまして、防衛庁はわが国の行政組織体の一部でございます。  そして、今回の改正と憲法九条との関係についてのみ申し上げさせていただければ、防衛庁の今回の改正そのものは、ただいまずっと政府の各答弁にございましたごとく、行政需要の変化の即応のために組織編成基準あるいは編成手続を改正する、今回の改正はそういう仕組みになってございます。防衛庁といたしましても、今度の改正に従って内部部局の改廃を他の省庁と平仄を合わせながら行わせていただくつもりでございますけれども、これはそもそも防衛庁がよって立っておりまする法律、組織法に基づきましてその所掌事務と権限の範囲の内部でその内部の事務の配分をいかに行うかということを考えておるのでございまして、今回の法の改正を御審議いただいておりますことは憲法九条と直接には結びついておらない問題だ、こう考えておる次第でございます。  なお、後段に自衛隊のことを念頭に置かれて御論議があったのではなかろうかと存じます。俗にシビリアンコントロールという問題が言われておりますが、今日に至るまですでにシビリアンコントロールの制度は十分に整っておると私どもは判断をいたしております。具体的には内閣総理大臣が自衛隊の最高の指揮監督者でございますが、当然文民たる内閣総理大臣が内閣を組織してその責任において行われるわけでございます。そのもとに防衛庁長官が、これも憲法に従いまして文民の身分をもって内閣総理大臣の指揮命令のもとに自衛隊を統括をいたしておるわけでございます。  そのほかに国会との関係がございまして、法律におきまする組織あるいは毎年審議いただきまする予算の審議、こういった形で国会の御審議をちょうだいをいたしておりまするし、さらには自衛隊そのものが国会の御審議をいただきまする編成その他の法律のもとにあるわけでございます。  こういうふうなことを考えてみたり、あるいはいろいろ緊急時におきます出動その他の判断から見ましても、今日のシビリアンコントロールの制度はわが国におきましてはすでに十分に整備され、機能しておる、こう判断をいたしておるわけでございまして、その問題と今回御提案をさせていただいて御審議いただいておりまする法改正の問題とは実は直接には結びつかない、今回はあくまで行政組織体の一部でありまする防衛庁としても、他の省庁と同じような効率化のための改正、こういうふうに御理解をいただきたい、こう考えておる次第でございます。
  232. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 法制局長官にちょっとお伺いしますが、いまの憲法の考え方、憲法に自衛権というものが規定されていないから、憲法から付与された権利なのか、それとも国は国なりに成立と同時に持つ基本権なのか、ここを明確に答えていただきたい。
  233. 茂串俊

    ○茂串政府委員 ただいまの国家固有の自衛権をわが国においては憲法以前に持っているのか、それとも憲法そのものに基づいて持っているのかという点でございますが、確かにいろいろ考え方はあろうかと思いますけれども、私ども前々から申し上げておりますように、これはよく例に引きますけれども昭和三十四年十二月のいわゆる砂川事件に関する最高裁判決も言っておりますように、わが憲法の九条は、いま申し上げた主権国として有する固有の自衛権を否定しておらないということをるる述べておるわけでございまして、私どもの立場からしますと、やはり九条の解釈として、固有の自衛権はわが国も持っておるというような考え方を前々から持っておるわけでございます。
  234. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 固有の権利として否定していないというだけで、固有の権利はあるわけでしょう。あるから否定していないのです。にもかかわらず、その九条を一項起こして、九条として「戰力は、これを保持しない。」となぜうたわなければならなかったのか、そこが問題なんですよ。これは今度自衛の方法をうたったのじゃないでしょうか。だから、特別に戦力によって日本の国を守る、いわゆる軍事力によって守るということについてはこれはいけませんよ、その他の方法で自衛権の行使をしなさい、こういうことになるのじゃないでしょうかね。
  235. 茂串俊

    ○茂串政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御質問がございました点は、憲法九条の第二項でいわゆる戦力の保持を禁止しておる規定がございます。この規定の解釈に尽きると思うのでございます。先ほど申し上げましたように、わが国の憲法は固有の自衛権まで否定するものではない。したがって、この自衛権の行使を裏づける必要最小限度の実力を保持することも禁止されていない。九条二項で保持を禁止している戦力は、それを上回るものであるというふうに私どもは前々からそういう見解を持っておるわけでございます。したがいまして、いわゆる自衛力、必要最小限度の自衛力、これは憲法の禁止するところではない、そういう結論でございます。
  236. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは幾ら議論してもなかなか決着のつく問題でないようですけれども、ただ、それじゃ戦力というのは自衛力を上回るものが戦力だと言うが、その自衛力の限界がないのじゃないですか。限界がなければその上回る力を予測することができないでしょう。そういう言葉だけでへ理屈を言っても、私は厳密な意味での理論にならないと思うのですよ。しかも、陸海空軍、これを保持しないとなっているのでしょう。しかし、いま実際に陸軍も海軍も空軍もあるのじゃないですか、ただ軍と名づけないだけであって。ただ、そういう実態をごまかしてはならないと思うのです。  それでは、自衛権とこの憲法との間にある矛盾というものをどういうふうに調整していくのか。それでは、自衛権というのは軍事力で示した場合はどの程度なのか。たとえばGNPの一%までは差し支えないなら差し支えないという、一つの国民に対するその了解を得なければならないと思うのです。したがって、この憲法九条に疑義を持つような国政の動きについては、一々国民全体の了解を取りつける必要があるのではないか。こういう点ではどうでしょうか。
  237. 茂串俊

    ○茂串政府委員 それは常々問題とされている点でございますけれども、憲法規範というものの性格からいたしまして、一義的にここを超えたら憲法違反であるといったような具体的な限度、線が憲法から直接出てくるということは、これはできないわけでございます。あくまでも憲法の解釈といたしましては、いつも申し上げておりますように、必要最小限度の枠を超えてはいけないというのがいわば法規範としてぎりぎりのところでございまして、結局それをだれが判定するかということになりますれば、国民の代表者である国会が予算の審議等を通じて御判断になる、こういうことを常々申し上げているところでございます。
  238. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで次は、国家行政組織法の一部改正法案、関係法律整理法案についてお伺いいたしますが、これは法律と政令の一つの基本的な考え方を明確にしていただきたいと思うのです。この部分は政令でいってよいという一つの判断の基準というのはどこに置かれたのか、これは法律事項でなければならない、そういう問題について御説明願いたいと思います。
  239. 茂串俊

    ○茂串政府委員 私、立場上、まず一般論で申し上げたいと思います。  法律とは何かということでございますが、これは一般には、当然のことでございますが、国会の議決を経て制定される法を意味するわけでございます。したがいまして、国権の最高機関である国会が制定するものでございますから、国内法としては憲法に次いで重要な法規範でございます。  次に、政令は内閣が制定する命令でありまして、内閣がその制定権を有することは憲法の七十三条六号で定められておりまして、法律の委任に基づいて制定されるほか、法律の規定を実施するためにも制定されるわけでございます。  それでは一体、法律で規定すべき事項と政令で規定すべき事項の範囲はいかんという問題になるわけでございますが、これは憲法第四十一条におきまして「國會は、國權の最高機關であって、國の唯一の立法機關である。」と定められておるわけでございまして、もっぱら憲法のみが定め得る事項を除きまして、法律が定め得る事項は、広く国法の規律の内容となるべきすべての分野にわたるものと考えられるわけでございます。  そこで、憲法上法律をもって規定しなければならないとされている事項は、一般的なものとしては、国民の権利を制限し、あるいは国民に義務を課するというような事項になろうかと思います。また、政令によって規定し得る事項は、法律によって委任された範囲の事項及び法律の規定を執行するために必要な細目的事項に限られるわけでございます。  以上、一般論として申し上げたわけでございまして、具体的な問題としましては行政管理庁の政府委員の方から御説明を申し上げます。
  240. 門田英郎

    ○門田政府委員 ただいま法制局長官からお話がございました法律と政令の一般的な基準と申しますか、考え方、これに沿いまして、今回のいわゆる整理法、これを立案した次第でございます。  具体的に申し上げますと、今回の整理法、各省設置法等の改正におきましては、何度か御答弁申し上げておりますように、たとえば検疫所などに代表されますように、一般的に国民の権利を制限するあるいは義務を課する、こういった国家機関についてはこれは法律でもって規定することとしまして、そのほかのものにつきましては、国会によります行政組織に対する統制、これと、片や行政の機動性、弾力性の確保、こういった調和を踏まえながら、法制局長官のおっしゃいましたように、法律で規定すべきものは法律で、政令で規定すべきものは政令でこれを規定する、こういうことにいたした次第でございます。  なお具体的に申し上げますと、いわゆる三条機関と申しておりますが、府、省あるいはこれに準じます委員会、庁、こういったたぐいのものにつきましては法律で規定することといたしております。  また、府、省、また国務大臣を長とする庁に直接置かれます総括整理職、こういったものにつきましては法律で規定することといたしまして、国務大臣を長としない庁につきましての庁次長とかあるいは特許庁におきます特許技監とか、こういった国務大臣が長でない庁に直接に置かれます総括整理職は政令によって規定する、こういうことにいたした次第でございます。  さらに、府、省、庁等の下に置きます内部部局の問題でございますが、御承知の官房あるいは局、こういったものにつきましてはこれを政令に移させていただく、同様に、委員会事務局の次長あるいは局次長、部あるいは部に並ぶ官房、こういったもの、さらには、官房や部局に法律で置かれる職、あるいは日本専売公社監理官のたぐいでございますが、こういったものにつきましては政令で規定させていただく、こういうことでございます。  続きまして、いままで第八条機関というふうに言われておりました審議会等の附属機関でございますが、これはもう先生御案内のように、今回、基準法でございます組織法一部改正、ただいま御審議をお願いしておりますこの法案の方におきまして、八条「審議会等」、八条の二「施設等機関」、八条の三「特別の機関」、こういうことで明確に三区分させていただきたい、こうお願いしているわけでございます。  まず、その八条「審議会等」についてでございますが、これはまず、実体法ですでに審議会の設置、所掌事務委員等を定めております、こういったものが非常にたくさんございます。ただいま資料を手元に持ち合わせておりませんが、審議会全体が二百十三のうち、たしか百二十九が実体法で設置が行われている審議会等でございますが、これらにつきましては、その実体法における審議会というものの存在があり、これを政令に移すということを仮にいたしますと、実体法秩序に影響が生ずるという配慮がございますので、法律で規定させていただく。従来どおりでございます。  そのほかに、八十四という残りの審議会、これは設置法のみによって設置されている審議会でございます。これらにつきましては基本的に政令に移させていただきたい、かように考えているわけでございますが、その中におきましても、冒頭申し上げましたように、たとえば、みずから国家意思でもって決定表示するという機能を持ちます公衆衛生審議会のようなものでございますとか、あるいは当該審議会の構成員に国会議員を充てているようなもの、さらには、任命手続にたとえば国会同意等特別の規定を持っているもの、あるいは人口問題審議会のように、厚生省に置かれながら、その他産業的な政策の観点から人口問題に関心を持ち、当該審議会に諮問をするという必要がたとえば通産省からあるというふうな場合もございます。そういった関係大臣からの諮問を受けるという必要があるもの、こういったものにつきましては法律でもって規定させていただく、こういうことで考えておりまして、これらの事由に相当しないものが、八十四のうち六十五でございます。全体の審議会二百十三のうち六十五、三分の一弱でございますが、これにつきましては政令に移させていただくということで、今回の整理法案に御提案申し上げているところでございます。  なお、八条の二「施設等機関」についてでございますが、これにつきましては原則政令に移させていただくというふうにお願いしているわけでございます。施設等機関と申しますのは、試験研究機関でございますとか、検査検定機関でございますとか、文教研修施設、医療更生施設、矯正収容施設、作業施設、こういった区分になるわけでございますけれども、これらの中におきましても、やはり全体を政令に移させていただくという原則のもとではございますけれども、実体法上みずから国家意思でもって決定表示をする、かつ公権力の行使に当たるというふうな機関、たとえば検疫所でございますとか、あるいは国家権力に人を収容する施設でございますとか、実体法上そういう施設が定められておりますもの、刑務所等の監獄でございますとか、そのほか、たとえば特別会計等をもちまして、事務事業の経理区分、こういったものにつきまして国会の御審議を仰ぐべきもの、こういったものにつきましては法律でもって規定させていただきたい、こう考えているわけでございます。  なお、八条の三「特別の機関」につきましては、これは審議会等にも施設等機関にも該当しないというふうなそれぞれ特別な性格を有するものでございますので、すべて法律でもって規定させていただく、こういうことで御提案申し上げております。  以上でございます。
  241. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで次に、外務省にお尋ねしますが、これは特に総理に対して、外交活動についてでございますが、この外務省実態を見ますと、実に何といいますか、みすぼらしい姿であるわけです。経済大国などという片りんもうかがえないような実態に私は驚いているのですが、それというのは、この日本が、外交活動というものを国策の中でどういうふうに位置づけておるのか。私は、日本の平和と安全を図っていくには、どうしても外交活動を通して戦争のない状態、条件を築き上げなければならないと思うわけです。しかも、資源のないわが国においては、各国からいつでも安全に安定した資源の供給を受ける状態をつくっておかなければならない。こういうことを考えると、外交活動というものは一番重要だと言っても過言ではなかろうじゃないか、こういうふうに私は思うのです。  しかるに、この実態を時間の関係で詳しく述べるわけにはいきませんが、いま在外公館の問題にいたしましても、在外公館が公館として機能していくためには最低八人の定員が必要なんです。しかるに、この最低八名にも達しない公館が何と五二%あるのですよ。日本の在外公館の中の五二%なんです。こういう状態で本当の外交の展開ができますか。しかも、いま米ソの対立の中で何かすべてが米ソの問題に集中されがちでございますが、私はこういうときこそ第三世界との問題を大きく取り上げ、そして米ソ以外の国々に対して外交の展開を図るべきではないか。しかも、いま日本は危険じゃないですよ。この超大国の力はまさに日本の地点で、ちょうど幕末から明治維新にかけてアメリカやロシアやあるいはイギリスその他の国々の力が日本で均衡したように、いま私は均衡していると思うのです。そういう中では日本は独自の外交をもっと別の面に向けて展開する必要があるのじゃないだろうか、こういう点が第一点でございます。  それから第二点は、この間在外公館の視察をしてまいりましたが、たとえば具体的に申し上げますと、ユーゴスラビアの大使館なんかはまさにウサギ小屋とたとえたらいいのか、鳥小屋にたとえたらいいのか、実に問題なんです。暑いところで冷房も何にもない。そういう中で屋根裏をガラス張りにして天井から光をとって、そこで仕事をしておる。こういうものを知らないで、あなたはホワイトハウスあたりばかり見ているからわからぬと思うのですが、いい気になっていられないと思うのですよ。そうして、そこに行く外交官というのは、転勤すると全部、家具から一切自分で調達しなければならない。ところが、外国はそういう点で全部国がめんどうを見てくれる。そして、国有財産がほとんどである。日本は皆借家じゃないですか。  こういう問題をまず解決する必要があると思いますが、この点について御答弁をお願いします。
  242. 枝村純郎

    枝村政府委員 ただいま日本にとりましての外交重要性について大変御理解のある御発言をいただきまして、ありがとうございます。私どももそういう御期待にこたえて十分なる外交体制を整備していく、これが責務だと感じております。  特に御指摘のような第三世界でありますとか開発途上国に対する外交重要性、これはますます高まっておることでございまして、それにつきましても、ただいま御指摘のような小規模公館、私ども確かに八名というものが在外公館を維持する上でどうしても必要な規模だと思っておりますけれども、それに満たないところが五二%、これは事実でございます。したがいまして、かねがね査定当局あるいは内閣の御理解を得ながら定員の拡充に格別の意を用いているわけでございますけれども、その点で特に小規模公館の充実ということは一つの柱にしておりまして、来年度につきましても格別の努力をいたしたいと思っております。  また、先ほど御指摘の在外公館施設の貧弱ということも、中には御指摘ようなところもあろうと思われるわけでございます。私ども多年にわたって努力をいたしてきておりまして、たとえば公邸などはようやく国有化率六二%にまで及んでおりますけれども事務所についてはまだ二七%ということでございます。ユーゴの例などは、やはり社会体制格別のものもございまして、なかなか患うような家がうまく手に入らなかったというようなことで、ああいうことで事務所はとどまっておりますけれども、今後改善に努力してまいりたいというふうに思っております。
  243. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それからもう一つは、在外公館は全部法律事項になっているんですね。そして、外務省局長なんかは全部今度は政令で勝手にできるわけです。そうすると、局長クラスをこう見てみると、ほとんど大使の経験者ですね。ところが、その大使の経験者が、今度は何ら法律の洗礼というか、法律の承認事項でなくなって、そして政令事項になっていく。そして、在外公館は、どんな、まあ下っ端と言うと悪いが、そういう人たちでも皆これは法律事項で、こういうことは格式として問題があるんじゃないか、こういうふうに私は考えるのですが、ここに政府委員として局長が出てくるのも、これはやはり法律事項で承認されているから国会がそれを政府委員として承認し、みんながその答弁政府答弁と同じように聞いているんじゃないでしょうか。ところが、これが政令事項になったら、局長答弁というのはどういう権威を持つでしょうか。その辺についての一つの問題をお聞かせ願いたいと思うのです。
  244. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 外務省の内局の局は、これは外務大臣を補佐する補助機関でございまして、その局の設置等につきましては今後は政令でお願いしたい、こういうわけでございます。しかし、政令でできておる局長であるから、法律でできている局長よりも権威が薄くなるなんというようなことはちょっと考えられません。外務大臣の補佐である局長には一つも変わりない、かようにお考えいただきたいと思うわけでございます。  ところで、在外公館は、御承知のように、日本の国を代表して外国に使いし、法律または国際条約に基づいてそれぞれの職務を行う大事な機関でございますから、これは法律で規定するということは適当であろう、かように考えておる次第でございまして、内局の局が政令の局になるから権威が落ちるなんというようなことは全然ございませんから、その点は御心配ないように……。
  245. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、今回の行革は、何か定員を削減する、局を少なくする、それが唯一の任務のように聞こえるのですが、そういうところに目標を置くことは余り意味がないと私は思うのです。  たとえば、農林大臣にお伺いしますけれども、国有林野のあり方について、きのうの日経に出ておりますが、「構造赤字に陥っている国有林野事業を抜本的に立て直すため、大幅な人員削減、資産処分を内容とした改革計画をまとめた。」これは二十六日にまとめたということですね。「骨子は①現在、約五万五千人の定員を六十三年四月一日に四万人とする②林野庁が所有している庁舎、宿舎、林地など合計五万一千ヘクタールの不動産を十年間で処分、五十七年度価格で約四千六百億円の特別収入をあげる③生産現場での請負化をさらに進め、効率経営を追求する」、こういうことがその一連の対策としてうたわれ、「七十二年度までに収支均衡を達成したい」としております。  しかし、大臣はこの国有林野を民有林と比べてみたことがございますか。私は国有林と民有林の隣り合わせておるところに行ってよく見てきたのですが、民有林はもう杉でも何でもりっぱに育っているのですよ、同じ年限で。ところが、国有林の杉やあるいはカラマツというようなものは民有林とは比べものにならない。これは何を意味するか。つまり、林野庁の職員の怠慢によるのか、人手不足によるのかという問題なんです。行ってみると、怠慢ではないのです。管理の仕方が、人手減らしを徹底化するために、全部の下刈りをしないで、並木のように木の生えているところだけの部分下刈りをやっておる。そうして、人手が足らないために管理が不十分になって、せっかく植えたものがなくなっておるところあるいは成長不十分なものがたくさんある。こういうことで、国有林野で黒字にするなどと言ってもこれは空念仏ですよ。そうして、赤字がたまったから今度はひとつ財産をみんな売り払おうという、これでは話にならぬじゃないでしょうか。私はこういう実態を大臣によく見ていただきたい。そうして、人を減らせばいいのではなくて、必要なところにはどんどん人を注入してやることがまず大事である。それが一つ。  二つは、国有林の会計のあり方ですね。これを単年度会計で赤字黒字を論じることがどれほどばかげているかということですよ。これは総理は木材屋さんだそうですからよくわかっておると思いますが、木材というのは、木というものは五十年くらい過ぎないと売れないですよね。したがって、その五十年たった際の果実はどういうふうになるのかという想定のもとに、その植栽なり管理なりをしていかなくちゃならないですよ。そういうことをしないで、単年度で皆会計締め切っていったら問題にならないんじゃないでしょうか。私は、こういうものはやはり長年の一つの区画の中でどういうふうに国有林を育て、管理していくのかということ、それを経済的に見た場合どういうものかという、そういう一つの点検をしていかないとりっぱな国有林対策はできないと思うのですが、その点についての御答弁をお願いします。
  246. 金子岩三

    ○金子国務大臣 いろいろ御指摘をいただきましたが、国有林の経営は大変むずかしい問題でございます。公益性から申しましても経済性から申しましても、やはり経営の健全なる確立が何よりも大事かと思います。いま林政審議会にいろいろ御検討願っておりまして、先般、林政審議会の中の国有林野部会が中間報告をされておるわけでございます。それがいろいろ新聞記事になっておるのではないかと思います。やがてこの年末には成案が出ますので、それに基づいて今後の国有林のあり方、経営を検討してまいりたいと思います。  いろいろ御指摘の点、ごもっともの点もございますけれども、やはり根本は、私は、ちょうどよく言われておる民営と官営、こういったものも多分に、先ほど民有林と国有林の現状をごらんになっていろいろ御指摘されましたが、人ばかり多くてもどうにもならぬので、やはり合理性があって、そして生産意欲が旺盛でなければならないのではないか。まず根本にいろいろ問題があろうかと思いまするので、今後ひとつよく検討して、国有林の健全な確立を図りたいと思います。
  247. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間の関係でこれ以上掘り下げることができないのが非常に残念でございますが、最後に、直接法案とは関係ございませんけれども、いまシベリア抑留者の問題が非常に大きな問題になってきておるわけです。(「関係ないものをここでどうしてやるんだ」と呼ぶ者あり)黙ってなさい。いままでほかの人もやってきたじゃないか。法律関係ないが、行政に関係あるじゃないか。(発言する者あり)
  248. 江藤隆美

    ○江藤委員長代理 時間がありませんので、お静かに願います。(発言する者あり)御静粛に願います。
  249. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、このシベリアの抑留者というものは、全く国のために働いて、そうして、あの酷寒、零下何十度という中で苦労をしてきた人たちでございます。これがいまだに問題解決がされていない。  そこで、これらの戦後問題については処理懇談会が設置されておりますが、それも余り確たる見通しがない、こういう中で一体この問題をどのようにお考えになっておられるのか、お伺いいたします。
  250. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 お答えさせていただきます。  ただいま先生のおっしゃいましたシベリア抑留者に対する対策でございますが、政府としては、前々から戦後処理というのはこれで片づいたんだという方針をとってきておりましたけれども、国会等を初めとして、引き揚げ者の問題あるいはまた在外資産の凍結の問題等いろいろ出てまいりましたので、片づいたということでそのまま続けていくわけにいかぬであろうというので、総理府で戦後処理懇というものを設けましてそうした問題をいま御研究いただいておりまして、非常に意欲的に、きょうも開いておりますが、処理懇の方で御研究いただいております。その結果が出てまいりますれば、私どもその結果を踏まえて検討してみたい、かように考えております。
  251. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そうすると、この問題は前向きに対処したい、こういうふうに受けとめていいでしょうか。
  252. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 お答えさせていただきます。  せっかくのお尋ねでございますけれども、戦後処理懇で御検討いただいておるさなかでございますから、その結果を早くいただきたいというだけでございまして、前向きも後向きもない、本当に早く御検討いただきたい、そして、その結果によって私どもはひとつ検討したいと考えております。
  253. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 全く無責任な答弁と受けとめておきます。  時間が参りましたので、以上で終わります。どうもありがとうございました。
  254. 江藤隆美

    ○江藤委員長代理 これにて渡部君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴切康雄君。
  255. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総理、一昨日、私、公明党を代表いたしまして、総括でこの場所でやらしていただきました。時間の都合等がございましたけれども、きょうは幸いにして二時間ばかりの時間をちょうだいいたしました。何といっても、この行政改革というものについては、この間も話をいたしましたとおり、総理大臣のリーダーシップ、そしてまた決断力、実行力、これが非常に大事であるために、総理出席していろいろとその決意等をお伺いするということは非常に有意義であると私は思っております。  そこで、御存じのとおり、臨調は二年間、三公社改革あるいは年金等、あるいはその他行政組織、特殊法人、国と地方の関係等、各分野にわたって個別的、具体的な改革案を五次にわたって答申をまとめられました。その中に、もし行政改革が進まなければ日本の将来は非常に危ういのではないか、いまという時点を逃しては日本は永久に行政改革の機会を失ってしまうというふうに、御高齢である土光会長はそのように言われました。私も全く同感だと思っております。  公明党はそういう考えに立って、国民のための真の行革を推進していきたいというふうに考えもし、また、そういう決意をいたしておりますけれども総理臨調答申を最大限尊重をする、このように言っておられますけれども、最大限尊重をするという具体的な中身が何か、それは観念的なものであるか、あるいは姿勢であるか、あるいはまた実行の裏づけが伴うものか、こういうことについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  256. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 鈴切さん及び公明党の皆さんが、行革につきまして非常に御熱意を持ち、かつ御鞭撻をいただいておることには感謝を申し上げる次第でございます。  最大限に尊重するという意味は、あの答申でお示しになりました基本的考え方、政府としての心構え、それから、示された政策、各論、これらにつきまして、政府としてはできる限りの努力をしてその内容を実践することに努める、こういう意味でございます。
  257. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は、御存じのとおり、第一次臨調行政改革に対してさまざまな提言を行ってまいりました。しかし、実際には政府の都合のよいもの、やりやすいものだけをつまみ食いをしたという結果に実はなっております。極論を申し上げますれば、目ぼしいものは例の佐藤内閣の総定員法、一省一局削減であったかというふうに私は感じております。その一省一局削減も、その後、局がふえたというそういうことになっております。  そこで、臨調答申の最大限の尊重とは、その第二臨調の莫大な答申内容を政府として積み残すことなく実行に移される、こういうふうに考えてよろしゅうございましょうか。
  258. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 おおむねそのようなものとお考えいただいて結構です。
  259. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 臨調はほとんどすべての課題を網羅して答申に盛り込んでおります。最大限尊重をするということが、政府の勝手な解釈や官僚の作文による逃げをつくってしまったのでは、もはや答申の本質から逸脱してしまうことになります。臨調としては、高い次元に立って総合性を重視しながらつくられたものだけに、政府として実行に移す場合には十分その点を留意しなければならない、私はそのように思っておりますけれども総理大臣はどうお考えでしょうか。
  260. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私も大体そのように感じております。
  261. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、今回最終答申を受けて、五十八年五月二十四日、政府としては新行革大綱を作成されました。新行革大綱は、政府行革に取り組む一つの方針であって、その方針に基づいて作業に取りかかられるわけでありますけれども、具体的な内容が煮詰まったときに、臨調答申の実施状況を監視するための機関である臨時行政改革推進審議会の意見は必ず聞くということを原則にしたらどうかと思うのですけれども、その点については総理大臣は、その行政改革推進審議会と政府との関係についてはどのようにお考えでしょうか。
  262. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 推進審議会も政府を督励するためにできており、かつまた独自に改革意見等も出し得るようになっておりますが、この御鞭撻、御督励におこたえ申し上げまして実行してまいりたいと思っております。
  263. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はそういうふうにお聞きしたのではないのです。たとえば、政府行革の一つの方針を立てられますと、その方針が果たして答申とかけ離れたものになっているかどうか、あるいはまた、そのいわゆる一つの流れでよいかどうかということについて、行革審に、総理としては、そういうふうなものは、ある程度煮詰まったときに御意見を聞くとか、そういうことを原則にしたらいいのじゃないかということを申し上げたわけでございますが、その点についてはどうでしょう。
  264. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 行革審につきましては、随時御報告もし、また、必要あらば御意見も聴取いたしまして、その法律の精神にのっとりまして誠実に実行していきたいと考えております。
  265. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 かつての第一臨調のときには、御存じのとおり、行政管理庁の内部に行政監理委員会というものがございまして、それは行管庁長官の諮問を受けて意見を述べるということになっております。ところが、今回の行革審は、総理府に置いて、総理の諮問を受け意見を述べるとともに、勧告と提言について総理に尊重義務を負わせております。  ですから、そういうことから考えますと、臨時行政改革推進審議会と行政監理委員会とは権限も委員会としての性質も違うわけでございますが、その行政改革推進審議会の勧告とかあるいは提言については、政府としてはどのようにお受けとめになりましょうか。
  266. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 推進審議会とそれから行管庁長官委員長をしておりました監理委員会とは、性格ももちろん違います。私は、いわゆる行革審というものにつきましては、さらにいろいろな勧告やらあるいは意見具申等につきましても耳を傾けまして、誠実に職務を執行してまいりたいと思います。
  267. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中曽根総理は、行政改革を推進することについては不退転の決意で臨むというふうに申されました。また、行政改革をやるための内閣である、こういうふうにまで言われました。しかも、私ども質問に答えて、総理答申を実行に移すには三代の内閣で十年はかかるとの見通しを述べられました。十年という年月は、激動する社会情勢の中にあっていろいろのことが起こることも想像にかたくないと私は思います。その間、中曽根内閣そのものについても実は予測することはなかなかできないだろうというふうに思っております。  そこで、内閣がかわるごとに行革の方針が変わったり、行革に取り組む姿勢に強弱が出てしまったのでは、これは本当に国民が一番迷惑をしてしまうのじゃないだろうか、私はそのように思います。その点、総理としては将来にわたって行政改革の推進の布石をどうされ一うとしておるのだろうか。それは確かに、中曽根総理行政改革を断固やる内閣であるということについては何回も言われましたけれども、十年かかるその中にあって、いろいろ諸般の情勢等も出てくるでしょう。そうしたときに、たとえばポスト中曽根さんのそういう内閣ができた場合に、行政改革について途端にダウンをしてしまうようなことになってしまったら、これは私は本当に国民に申しわけないだろう、こう思うのですが、そういうことについて、中曽根さんはいま総理大臣ですから、中曽根内閣の中にあって、少なくとも長期的にこの問題に取り組むということについては、内閣としてはどういうふうにお考えであるか。
  268. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 そのような必要を感じましたから、臨時行政調査会の五次にわたる答申につきましては、その都度に政府として与党と重大な協議をやって、一致しましたところをいわゆる行革大綱という名前で閣議決定をいたしまして、これは党の首脳部、政府首脳部及び閣僚全員が参加して決定したものでございます。それを閣議決定で正式にまたやりまして、これで軌道をちゃんと決めて、この方針でいくということを厳然と決めたわけでございます。したがって、自由民主党が壊れない限りこれはやる責任があると思うのです。  それを今度は外部から監督して、目を光らして、やっているかやってないかということを担保するために土光さんの推進審議会というものをわざわざ法律でつくっていただき、人事も国会の御承認をいただいて任命していただきまして、それによってこれを監視していただく。しかし、国鉄とか、まだ現実案が出てこないところがございます。これらにつきましては、また一面において国鉄の監理委員会をつくっていただいて、この監理委員会は臨時行政調査会の答申を受けて職務を執行するようにしてありますし、内容につきましても、その答申を受けてやるというふうに法律ににじまして書いてあります。  そういうようなことで、一貫して臨時行政調査会の答申というものが継続して行われるような保障を法体系も行政上もしてあるわけでございまして、その線に向かって、三代、十年かかっても持続してやっていくという姿勢を示しているわけであります。
  269. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、中曽根総理はそういうふうにおっしゃいましたけれども、結局三代、十年という一つの長期的な問題で、たとえどういう状況があろうとも、先ほどはこれは自民党が続く限りとおっしゃったけれども、どういうふうな形になるかわかりません、わかりませんけれども、それはすべて内閣を拘束する、こう申し上げてよろしゅうございましょうか。
  270. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 重大な事情変更でもあって閣議決定を変えない限りは、そのまま遂行していかなければならぬと思っております。
  271. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これからだんだんと入っていくわけでございますけれども臨調答申としてまとめられた行政改革案がたとえどれだけの内容を持つものであっても、国民の理解と支持がなくては実行に移すことはできません。総理は、今国会を行革国会として位置づけ、テレビや報道を通じてこのように行政改革について国民の理解を求めるということは、私は一応評価はできるだろうと思います。しかし、それだけでは不十分な点もあるだろう。行政改革には何らかの国民に対しての痛みが伴うこともまた事実です。それから、国民にもがまんしてもらわなければならない点も出てくるだろうと私は思います。  その点、政府としては、これからの行政改革を進めるためにどのように国民の理解を求めようとされているのか。なかんずく、弱い立場の人々にしわ寄せされがちな点については大変に心配をしなければならない問題だと私は思っておりますけれども、その点についてはどのような御配慮をされるのでしょうか。
  272. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 行政改革は、御承知のように、行政全般について見直すわけでございまして、その見直すに当たりましては一切の聖域を設けないで行っていこうというわけでございますから、各方面にそれぞれの痛みを分かち合うということになることはやむを得ない、避けがたいことだと思います。しかし、そういう場合にありましても、社会的に、また経済的に弱い人々、これは当然、将来の福祉社会というものの建設を理想とする行革であればあるほど、そういう方々に対しては温かい配慮を加えるということは必要ではないか、かように考えております。臨調答申も、そういう点は十分配慮して提言されておるわけでございます。
  273. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 臨調答申の基本方針を踏まえて政府として実行に移していくにしても、実際に仕事に携わる人たちが行政改革への協力をしてくれなければ私は真の行革にはならないだろうと思っております。  一昨日のニュースで、実は私の地元なんですけれども、品川区役所では、行政改革に対する役所の機構や定員管理、仕事の簡素化あるいは住民のサービスまで、労働組合傘下の職員がすでに職場討議にかけて、真剣にこれを検討しようとしております。これは一つの例だと私は思いますけれども総理はその行政改革が下から盛り上がって自己革新をしようとしていることに対してどういうふうに評価されましょうか。
  274. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 行政改革は役所ばかりの仕事じゃなくて、やはり全国民の御協力、御支援がなければ成功しないと私は考えております。しかも、その動きは下から盛り上がるくらいにならなければだめではないか、かように考えておるわけでございまして、今回の臨時行革審におきましても、国民各層を代表する方々に委員になっていただいております。さらにまた、先般はこの行革審に顧問を設けることにいたしましたが、この顧問も国民各層から入っていただいて、全国民の御理解の上にこれを実施していこうというふうに考えておるわけでございますが、何と申しましても、いまお話のありましたように、下からと言っては失礼でございますが、そうした盛り上がりのあることは私は非常にうれしいことだと考えております。
  275. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の行革国会で、いろいろと野党と総理大臣とのやりとりを私はずっと聞いておりました。ある野党の方が、今回の行革は財界主導の行革ではないかというふうに言われたときに、総理は、少なくとも臨調のメンバーの中に労働界のメンバーが入って討議して出された答申だから反対するのはおかしいという趣旨の答弁をされまして、対立だけが実は鮮明になったわけでございますけれども、労使ともに国民の存在を忘れているというふうに私は痛切に感じました。その点、総理としては何とか工夫をして、そして労使ともにこの大変に大きな問題である行政改革というものを進めていくというお考えはないのでしょうか。
  276. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 臨時行政調査会を運営するにつきましても、会長以下非常な御苦心をなさいまして、労働界の代表にはいろいろ御意見もございました。中には自分の意見をパンフレットにして出した方も、報告書を出した人もおります。しかし、これは全国民から支持を受けておる大事な臨時行政調査会であるという意識のもとに、最終結論はともかく全会一致という形をとって出てきたわけでございます。少なくともそういう形式はとったわけです。  そういう意味から、これは国会が承認を与えた全国民的各層の意見を網羅した意見というふうにわれわれは受け取りまして、その御意見を尊重して実行するということが、労使あるいは全国民を超越して国民全体のコンセンサスというふうに受け取って、それを実行してよろしいものだ、そう考えまして、努力もし、また、そのような考え方も述べておるものなのであります。
  277. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はそれはよくわかるのですけれども、実はこの間の総理との質疑の中で、私が申し上げたようなそういうやりとりがあったわけですね。はっきり申し上げまして、私は大変に総理は大人げないな、そう思いました。また、硬軟あわせのむというような、やはりそういう雅量と度胸がなければこういう大きな行政改革はまず不可能だろうというふうに私は感じました。いまのように労使が対立をして行政改革が進むはずはないということは先ほどもお話があったとおりです。  ですから、この際、答申を尊重をするという一つの基本方針のもとにあって、それよりもより以上よいという方向に話し合いが進むというならば、やはり総理は率直に呼びかけなくてはならないだろう、私はそう思うのです。そこに初めてよりよい、さらに充実した内容の行政改革というものが生まれてくると私は思うのですが、総理どうでしょうか。
  278. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 その御意見には全く賛成であります。ただ、この間の御発言は、この行革は財界主導の行革である、財界の顔色ばかり見た行革である、そういうように歪曲した御発言をなさいましたから、それをテレビで全国民が聞いておるわけですから、そういうものを見過ごしておいては、臨調の土光さん以下にも申しわけないし、国民の皆様方にも誤解を与える、そういう黄味でそれは是正しなければならぬと思ってはっきり申し上げたものであります。
  279. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そのときはっきり申し上げた気持ちはわからないわけではないんですけれども、そういう考え方もあるということも聞いています、聞いているけれども、しかし行政改革を進めていくということは国民の税金のむだを省くということで、少なくとも国民は大変にその点については期待をしているんだ、だから、そんなことを言わないで、どうかあなた方もこの行革に対してぜひひとつ御協力を願いたいとなぜあなたはおっしゃらないんですか。テレビを意識したからやったのか。この点どうでしょうか。
  280. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 もうその気持ちは一〇〇%ありまして、そういう衷情は私はいつも答弁のときにみなぎらしておるつもりです。ぜひ御協力ください、われわれも誠意を尽くしてやりますし、御意見も承ります、そういうふうには申し上げておるのですが、鈴切さんみたいに円熟された方から見ると少し舌足らずの点があったのかもしれぬと思います。
  281. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ぜひそういうふうな形でこれからも国民にも呼びかけ、そしてまた、むしろ自分の組織を削られていくことに対して抵抗を示すそういう方々も参加していただくようにお願いをして、そして、よりよい国民の行政改革というものを進めていただきたいなと実は思います。  次に進みます。  行政改革はまず政府みずからが国民に手本を示すことが必要であり、ゆえに、隗より始めよというのはまさにそのことであろうかと私は思います。私は、総括質問政府の総務庁設置構想に対して厳しい批判をしたのは、実は臨調の総合管理庁構想として出された人事、組織、定員管理、行政監察の一元化という本来の総合調整機能という性格があいまいになってしまった点と、総務庁は統合再編してつくられて、定員や組織、金も何らやらないという看板のかけかえに対して私は厳しい批判をいたしました。国民にもがまんをしてもらう以上、なぜ中央省庁の統合再編に対して、組織も定員も国民の税金もこれだけ節約をしましたという改革案が出されなかったのでしょうか。非常に残念に思うのですが、その点はどうでしょうか。
  282. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 今回の御提案申し上げました総務庁の構想というのは、先般も申し上げましたが、臨調答申にありました総合管理庁設置構想ですね。総合管理庁を設置しようという基礎の上に立って、さらにまた政府全体に見てそのほかの総合調整機能も付加しよう、こういうわけでございまして、ある意味から申しますと、私は臨調答申よりも進んだ内容になっていると思います。  そこで、そういうふうな構想は、直接的には人員の縮減を目的としたものではありません。あくまでもこれは行政機能強化ということでございますから、その点は私は長い目で見ていかなければならぬ問題だと思います。  そこで、さればといって人員の縮減はやらぬで済むのか、これは私はさよう考えてはおりません。これにつきましては、御承知のように、第六次公務員の削減計画というのがございますから、ことしの暮れの予算編成に際して総務庁の定員削減というものはその方針に従って行っていきますし、さらにまた課を五年以内に一割整理再編という問題がございますが、それも当然に総務庁についてはことしの末の予算編成の際にはっきりけじめをつけていくというふうにいたしたいと考えておる次第でございます。
  283. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政改革を進める観点として、特に臨調はチェックポイントとして四つの点を実は挙げているわけですね。一つは「変化への対応」、一つは「総合性の確保」、一つは「簡素化・効率化」、一つは「信頼性の確保」という四つであります。この四つの物差し、制度を改革する以上はこの四つの物差しに注意をしなさいよというふうに臨調指摘をしております。  ところが、正直なところを言って、機構の強化ということだけで制度を改革されるということは、本当の臨調考え方に対して、それに沿ったものでは実はないと私は思うのです。それはもう少し後であれしますけれども……。  そこで総理、総務庁設置以後にも政府は中央省庁の統廃合を考えているということでありますが、具体的にはどういう構想を持っておられるのでしょうか。
  284. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 引き続き検討を加えていくということでございまして、まだここで発表する適当な時期ではございません。
  285. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、たとえば臨調答申の中で総合企画構想というもの等が発表されておりますね。その総合企画構想の中には、言うならば三庁の統合という問題等も議題に上がっているように私は聞いております。それについて、すぐにというわけにもなかなかいかない問題でしょうけれども臨調答申がそういう形で出されたということについて、総理は、そういうふうな臨調の問題については最大限尊重されるということであるとするならば、ただ、いまここで考えていないと言うよりも、率直に国民の皆さん方に、中央省庁の統廃合、今回はこういうふうな総務庁構想で大変に国民の皆様方には御批判をいただいたけれども、これからは私どもはさらに統廃合について進めていきますということであるならば、それはお話しになってもいいんじゃないでしょうか。
  286. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 たとえばあの中に総合企画会議という名前の構想が出ております。これらにつきましては引き続いて検討してまいりたいと思っておるところです。
  287. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中央省庁の統廃合とか統合再編とかいうのは別として、行政改革をするについては簡素で効率的な行政機構に改めなければならないと言いますけれども、簡素化とかあるいはまた効率化ということは、長官、どういうふうに御認識されているでしょうか。
  288. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 人員についてはあくまでも削減の方向に進んでいかなければなりません。それから、機構につきましても簡素にしていく。それは統合すべきものは統合し、あるいはブロックと出先機関との関係であるならば、なるべくブロック機関の方に事務の集中を図っていく、こういうふうなやり方であろうと思いまして、人事の面、組織の面、両面にわたって効率化、簡素化を図っていく、こういう考えだと思います。
  289. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに長官が言われるように、「簡素化・効率化」というこの二つの文言の中には、実は臨調としては「現在なされている仕事自体の必要度を再吟味し、仕事そのものを減らすことによる人員や予算の節減に力点を置くことが重要である。」こういうふうに言われておりますね。これは先ほど申し上げましたように、四つのポイントの中の一つであります。制度を改革するときは必ずそれをやりなさいよ、こう臨調は言われておるのですが、総務庁はそういうことについてどのように配慮されたのでしょうか。
  290. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 総務庁の構想は、先ほども申し上げましたように、総合管理庁構想というものを基礎とし、また政府全体としての総合機能をさらに強化しようということにしたわけでございます。そういうふうな考え方で総務庁というものが運営されていくべきであろう、かように考えておるものでございます。そして、人員や内部の機構等につきましては、先ほども申し上げましたような方針に従って、ことしの暮れにそれぞれ合理的な解決を図っていく、こういうふうにしたいと考えております。
  291. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、御存じのとおり、そういうふうな政府考えている形になれば、いよいよ五十九年の七月の一日に総務庁というものができるわけです。となりますと、実は五十八年の末にはいわゆる新しい総務庁に対しての予算を確定しなければならないでしょう。そのときには十分に組織とか人員とか予算とかというものは、現在ありますものよりもさらに削減をされる、間違いなく削減されていくんだというふうに判断していいのでしょうか。
  292. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 総務庁の母体となりますのは総理府と行政管理庁でございますから、来年の七月に発足するまでの予算というものがはっきりそこで決まるわけでございまして、その段階において行政管理庁なり総理府なりにおいて、課はどういう課が減るかとかあるいは人数は幾ら減るかとか、そういうものがちゃんと決まってくるわけでございまして、そして来年の七月にそうした姿において発足する、こういうことになろうと思います。
  293. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それにはやはり、私が申し上げましたように効率化あるいは簡素化、こういうふうなものが十分に加味される、それでなければ行政改革じゃないのですもの。ただくっつけて二に割って、看板書きかえじゃないですか。それではならぬので、いま総務庁というものをそれなりに考えたけれども、結局予算面においてはかなり厳しいとらえ方をして減らしていく、こういうことかどうかということを私は聞いているのです。
  294. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 来年の七月に発足いたしまするときには、仰せのごとく、人員なり課の整理再編について厳しく審査を受けてでき上がると思います。それと同時に、総務庁の出先でありまする監察局におきましても、これは来年の十月からでございますが、これも約二割程度の人を管区の局に移し、そして事務も移す、こういうやり方で、簡素な姿で県単位の監察局もそれで発足する、こういうことになろうと思います。
  295. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総務庁設置について、私がいま申し上げましたように、「変化への対応」とか「総合性の確保」とかあるいは「簡素化・効率化」、「信頼性の確保」、この四つの物差しで制度を変えるということになれば、「変化への対応」ということになれば、これはいろいろと論議の分かれるところだと私は思います。「総合性の確保」ということになれば、人事、組織、定員、行政監察の一元化による総合調整が一番重視しなければならない問題であるし、また臨調答申はそう言っております。ところが、青少年対策本部とか北方対策本部、恩給局、統計局、それに付随する審議会を総務庁にくっつけてしまいまして、後になってから、実は総合調整の名のもとに強化したなどと自画自賛をされております。また、この間の答弁の中では、行政改革推進審議会では結構なことである、こうおっしゃったそうでございますけれども、どこが結構か、私はわかりません。行管と総理府の縄張り争いの結果の産物じゃないのだろうか、ずいぶんいろいろとその間のことが報道されておりましたけれども、「総合性の確保」ということについては、やはり人事あるいはまた組織、定員、行政監査というものをすきっとやった方がよかったのじゃないだろうかと私は思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
  296. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 臨調答申のように、人事、定員、組織、監察、そういうものを一元的に調整をしていくという総合管理庁をつくろう、これはなるほど一つの見識だと私は思います。しかしまた、こういうふうな構想をいよいよ実行するに当たりまして考えました問題は、政府全体としての総合調整機能というのがございますから、総理府にありまする一般的な総合調整権能じゃなくて、特定の老人対策だとか青少年対策だとか北方対策だとか地域改善対策だとか、そういったふうな個別的な事項についての総合調整機能としての組織ができておりますものですから、その組織もあわせ行っても総合管理という機能を減らすものではありません、こういう考え方に立ってああいう総務庁というのができたわけでございますが、その基礎になりますものは、仰せのごとく総合管理、この機能が中心である、軸になるということは間違いないと思います。
  297. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いままでの総理府の考え方ですが、総理府は、各省庁間にまたがるものあるいは将来大きな政策課題として政府として検討を要するもの、あるいは総理のリーダーシップを必要とするもの等が実は総理府にいままであったわけであります。     〔江藤委員長代理退席、委員長着席〕 統計局も恩給局も統計センターも実は成熟した機関であるから総務庁にというふうに行管庁長官が言われました。成熟した機関であるならば総理府に置いても一向に差し支えないと私は思うんだ。わざわざ成熟した機関を、統計法あるいは恩給法に基づいてすべてが運用される、そういう局を成熟したならばそこへ置いたって、何ら、いわゆる内閣官房長官の足手まといになるということにならぬだろうと私は思う。また、交通の安全とか老人及び地域改善、青少年、北方対策は、これは一官庁に持っていく性格のものではないのですよ、実は。いいですか。総務庁というのは一官庁なんですよ。そこへ持っていくような筋合いのものではない。なぜないかといえば、それは当然各省庁にまたがる問題でもあるし、ここにおられる内閣総理大臣である中曽根さんのリーダーシップを発揮していかなければならない問題であるし、また将来本当に日本の政治課題の中に大きな位賢を占める問題であるだけに、私は必要であると実は思うのです。だから、先ほどあなたがおっしゃったように、人事管理、定員、行政監察という、筋の通ったものを一本ばちっと総務庁に置いて、あとこういうものはここに置いてもいいんじゃないかと、私はそのように実は思うのですが、間違いでしょうか。
  298. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 先ほども申し上げましたが、そういうふうに総合管理機能を一元的に所掌するという役所をつくるということも一つの見識だと私は思います。しかしながら、その総務庁というものをつくろうというそのときに、私どもは、総理府における総合調整機能をどうやるかという問題があるものでございますから、その一元的調整といいましても総合調整の一部でございますから、さらに次元を変えて政府全体として見ての総合調整機能をもっと強化したらどうか、そうすることによって国務大臣たる総務長官を廃止する、こういうことの方が将来の総合調整機能の発展強化のために必要ではないか、こういうふうに考えたわけでございます。  青少年問題あるいは老人対策問題等々は数省にまたがっている問題でございますから、やはりその意味においては総合調整の機能を果たしておるわけです。しかも、それは組織ができておるわけですから、組織ができておるものはひとつこの際総務庁に移そうではないか、そういうことによって政府全体として見ての総合調整機能強化していくということが望ましい、そして総理府本府というものはなるべく簡素にして官房長官が監督するに足るだけの量にしておくということの方が政府全体としては適当ではないか、こういう判断に基づきまして総務庁という構想ができ上がったわけでございます。
  299. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは、そういうふうなことをおっしゃっておるわけですけれども、やはり少なくとも総理大臣の判断を要する、あるいは各省庁にまたがるものをこの総務庁に持ってきた。一官庁ですから、一官庁に持ってきますと、なかなかほかの官庁は――それは人事とかあるいは定員とか行政監察、そういうものについては、総務庁はそういう使命があるということであるならば、これはどこでも聞きますよ。聞きますけれども、こういう問題について一官庁がそれを調整しようなんていったって、それはなかなか実際にできるものじゃないですよ。それくらい縄張り争いというものはすごいのですよ。それは行政管理庁長官であるならば、いたくおわかりだと私は思うのです。  そこでお聞きしましょう。臨調最終答申では、総合管理庁の総合調整機能として、特殊法人、認可法人の人事管理及び組織管理を実は指摘しております。総務庁構想には、実施運用の管理及び調整を行えという臨調答申の趣旨が盛り込まれていないわけですね。その点、どういうふうに検討されましたか。
  300. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 総務庁設置法案を立案するに当たりまして、ただいまお述べになりましたような特殊法人の人事の問題、これをどう取り扱うかということが問題になりました、間違いなく。そして、総務庁の権限の中に入れるべきであろうというふうな意見もございました。しかし、考えてみますというと、なかなかこれはむずかしい問題をはらんでおります。といいますのは、事柄の性質は、これはもう当然所管大臣がまず第一に監督すべきことでございますね。所管大臣がやるべきことでございます。そういうふうな所管大臣との関係をどういうふうに調整するかという問題もありましたし、さらにまた、もう一つの問題は、現行の、現在の行政管理庁が持っておる権能というものに基づいて行政措置としてこれを行うことができるではないか。各省大臣が持っておる権限でございますから、各省大臣が当然それをやるべきでありますが、現行法上の行政の仕組みにおいて、現行法上での権限を特に総務庁に与えなくてもできるではないかといったふうな議論もあったり、まあもう少し検討する必要があろうということで今回は見送ったわけでございまして、私どもは、やはりこれは現在のところ一つの検討課題である、そういうふうに理解をいたしております。
  301. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 だから、その一官庁に対して、各省庁との間の問題について説得をするなんてことは実は非常にむずかしいことです。総理がリーダーシップを持って、これはこうしなさいと言えばそれで決まる問題だけれども、それぞれの官庁は、官庁の縄張り争いが実はあります。あなたがおっしゃるように、特殊法人とか認可法人を管理するのは各省庁である、これは私もわかります。わかりますけれども、人事管理の総合調整を総務庁に権限を与えなければ、特殊法人のとかく水ぶくれしていく人員のチェックはできないのじゃないですか、あなた。できないじゃないですか。どういうことですか。
  302. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 直接的には仰せのとおりでございます。しかしながら、人員削減という、たとえば公務員の定員削減計画というものは一つありますから、これに人事で各省大臣にやってくださいと言うことはできるわけですね。そういう意味において、現行法でも相当の部分はできるではないか。各省大臣がその気になればできるじゃないかというふうな考え方もありましたので、この際はそれを法文の中に書くのはやめようではないか、こういうふうにしたわけでございます。  それから、なお一つお答え申し上げておきますが、青少年とか老人対策とかいろいろな総合調整機能としての組織ができておるわけでございますが、その権限はもともとは総理大臣が持っておる権限ですね。これは総理大臣が持っておる権限。その権限を外局の庁に委任することはできるであろうということで、委任するという形においてその機構の所管を総務庁に移したというわけでございまして、総理大臣の権限の委任としてそれができている、こういうわけでございますから、発足後、りっぱに総務庁というものは総合管理庁以上に行政全般についての総合管理機能強化して行うことができるではないか、かように私は考えておるわけでございます。  しかし、これについてはいろいろ考え方があろうかと思いますから、それ以上は私も申しませんが、やはりこのでき上がりました総務庁構想というのは、臨調答申の総合管理庁よりも幅広く行政全般にわたっての行政の総合機能を発揮するんだ、こういう意味において大きな進歩ではないか、私はかように考えておるわけでございます。
  303. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総理大臣、そこで総理大臣のリーダーシップが実は必要なんです。確かに特殊法人、認可法人を管理するというのは各省庁であることもわかっております。しかし、せっかく人事、組織、定員管理、そして行政監察、こういうものを兼ね合わした言うならば総務庁をつくろうというのだから、そういうものについては一切総務庁にあなたお任せしたらどうですか、ツルの一声ですよ、ツルの一声。いかがでしょうか。
  304. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 新総務庁におきましては、行管庁が持っておりましたような事務上の監査、いわゆる行監を行う、そういうような点は私はできるんだろうと思いますが、人事権というような問題は各省大臣との関係において非常にデリケートな問題がございまして、それはおのおのの特殊法人の設置法等によることでございますが、大方総理大臣が関与しているものが多いだろうと思います。それらにつきましては、やはり各省大臣と総理大臣との関係において処理するのが行政秩序の関係からして一応正しい。その総理大臣が持っている権限を、では総務庁の所管大臣に委任したらどうかという御意見なのでございますが、総務庁の大臣に委任したという場合に、総理大臣が直轄して各省大臣との間で話をつけるという場合と、総務庁の大臣がそれを委任を受けてやる場合と、ちょっとニュアンスが違ってくる、その辺のデリケートな差の研究がまだ十分でないし、当分この情勢がいいんではないかという判定のもとにそういうふうにしたと私は考えております。
  305. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それじゃ、今後の検討課題ということですね。
  306. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 実行してみまして、どういうふうに運用されるか見ていきたいと思います。
  307. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回総務庁を設置するに当たって、総理府の機構改正が行われるなど、総理府本府の事務は内閣官房長官が監督することになります。となると、総務長官のポストが浮くことになりますね。内閣法の改正をしないわけですから、無任所大臣のポストができるということになります。そこで、この無任所大臣を総理としてはどういうふうに活用されるのか、その構想についてお伺いします。
  308. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 まだ正式に決まっているわけではありません。先般御質問がありましてから、私が頭の中に去来していることをちょっと申し上げたのでございますけれども、やはり総理の仕事というものは実際やってみますと非常に膨大なものがございまして、やっている仕事の中で内政やあるいは外交等について、その時局から見て非常に重要なものが浮上してまいります。そういうようなものにつきまして総理を特別に補佐していただく、そういうような仕事をやっていただくということはどうであろうかという気持ちがしているわけでございます。
  309. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 では、かつて第一次臨調のときに内閣機能強化ということで内閣補佐官制度が答申されたことがございます。今回まで実は日の目を見ないままになっておりますが、今回の臨調答申は総合管理構想とかあるいは総合企画構想の二本柱になっておりますけれども、総合企画構想の一環として、内閣総理大臣のもとに補佐官としてのポストにお充てになるというふうにお考えなんですね。あるいはまた、国際社会経済が激動している現在、対外的に活用する、そういう大臣に充てるという考え方はもうないのでしょうか。
  310. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 内閣補佐官とはまるきり性格が違ったものです、国務大臣でございますから。したがって、内政、外政上の重要な問題につきまして総理大臣の命を受け、特別にいろいろ補佐していただく、そういうような仕事が適当ではないかと考えておる次第です。
  311. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと大変に重要なポストなんですけれども内閣総理大臣を補佐して各省の調整をやるとかいろいろの形をとるということになりますと、それはまさしく副総理格のポストを与えようということでしょうか。
  312. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 まだ別にそんなことを決めたわけでもないし、法律もできてないうちから、そんなことを言ったら越権でございます。そういうような具体的な構想というものはまだ持っておりません。白紙の状態で臨んでおる。しかし、先生からせっかくお尋ねがありましたから、頭に去来している考え方を一応申し述べたということでございます。
  313. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 どうせ頭に去来しているならば、そういうことまで中曽根さんはある程度構想に入れられていると私は思って実はお聞きをしました。  そこで、総務庁が設立したと仮定したときに、その法律の効力が発するのは五十九年七月一日であります。もちろん総理は、そのときには解散をして新しい閣僚を編成され、内閣の組織をされるわけです。六月二十日が最終の――総理がいつも、解散は任期満了をもってよしという考え方からするならばそういうことになりますけれども、また場合によっては途中で解散ということも実はあるわけですね。組閣をされるときには、少なくともそういう無任所大臣のポストは十分に考えられて任命をされるお考えでしょうか。
  314. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 法律施行されまして、それが適用されるようになりました時点からそれは活用すべきものである、そう考えております。
  315. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、法律施行されるというのは、要するに七月一日ですね。その前にもう解散があるのですよ。内閣の改造をやらぬのですか。
  316. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 確かにいまおっしゃいましたように、法律施行されてそれが適用される状態になったときからと、そういうふうに申し上げたので、七月一日以降ということになるでしょう。
  317. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、それじゃ七月一日以降に初めて無任所大臣のポストというものを新たに任命をする、こういうことですね。
  318. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 いま申し上げましたように、法律施行されてそれが適用されるという時期以降ということでございまして、その場ですぐやるとかどうとかということはまだ白紙であります。
  319. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 臨調は、省庁間の配置転換については、それぞれの省庁に勤務し、生涯公務員として働くとしても、他の分野への異動については、「公共のため働く機会であるという認識を職員の中に確立する必要がある。さらに、その運営についても、本人の希望を待って配置転換を行うという慣行を見直し、積極的な配置転換を推進する。」とあります。  五十五年度、五十六年度、五十七年度の配置転換の実績はどうなっていましょうか。
  320. 門田英郎

    ○門田政府委員 お答え申し上げます。  省庁間配転につきまして臨調からいろいろと御指摘、御指示、御提言があったことは承知しております。ただいま先生の御質問でございますけれども昭和五十五年度八十九人、五十六年度八十三人、五十七年度百三人、この三年間で計二百七十五人ということに相なっております。  なお、五十八年度につきましては、ただいま鋭意各省庁と協議中ということでございます。
  321. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 政府は、五十四年の十二月二十八日、閣議決定で「行政需要に応じて部門間配置転換の推進を図ることとし、配置転換推進連絡会議の場等を通じて、その具体的実施に着手する。」として、五十五年度予算編成時に、五十五年度受け入れ可能数を全体として二百五十四人とすることとし、今後具体的な配置転換の実現努力をするということになったけれども、実際には、いま御報告がありましたように、わずか三分の一しかできなかったというのはどういうわけなんでしょうか。
  322. 門田英郎

    ○門田政府委員 やや事務的な問題でございますので、事務当局の方からお答えさせていただきたいと思います。  非常に少ないではないかというお話がありましたその数字と申しますのは、五十五年度計画の受け入れ可能数をお指しになっていらっしゃるというふうに存じますが、これは受け入れ可能数という言葉でおわかりのように、受け入れを希望する省庁、外務省でございますとか、当庁も受け入れを希望しておりましたが、受け入れを希望する省庁が受け入れることの可能な限度数というものを足し算したという数字でございまして、いわゆる配転計画というものではないわけでございます。  実際には、省庁間配置転換、これにつきまして、送り出し側というのが当然あるわけでございます。そして、配置転換をなさる当該職員という方もいらっしゃるわけでございます。それぞれの職員の方にとりましては、臨調の御答申というのはあるわけでございますけれども、やはり現在の段階では、たとえば農林省にお入りになった、あるいは建設省にお入りになったというのは、やはりそれぞれの役所に骨を埋めようという意思でお入りになった方が非常に多いという、まあ情緒の問題もございます。かたがた、また、送り出し側の役所あるいは職員の方々、それと受け入れ側の役所、こちらの方でお互いに希望する職種であるとか、あるいは希望する年齢でございますとか、そういったものがなかなかマッチしない、合わないというふうな事情もございます。したがいまして、それぞれのいわばお見合いの成立いたしましたものが先ほどお答え申し上げたとおりの数字になっております。  私どもとしましても、今後とも各省関係者の御協力、御理解を得ながら着実に推進してまいりたい、五十八年度にはさらに大きな数字に持ち上げてまいりたい、かように考えているところでございます。
  323. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実際にはそうじゃないのです。そうじゃないということは、実は参議院の内閣委員会で、行政機関の職員の定員に関する法律案に対する附帯決議が昭和四十四年五月十五日に出されているわけですね。それに対して「公務員の出血整理、本人の意に反する配置転換を行なわない」ということに実はなっているのです。私は、約十四年前の社会情勢というものに対しては、附帯決議がなされたということは、これは委員会として当然だろう、そのように思っております。また、政府も、国会の意思を尊重してきたから配置転換ができなかったという政府考え方もそれなりの理由があるだろうと私は思います。  そこで、臨調答申に基づいて新たな変化への対応が求められているのに、省庁間の配置転換が、先ほど受け入れがどうのこうのとか言われたが、実績が全くないんじゃないですか。こんなことが民間で許されるわけがないじゃないですか。それは民間と公務員とは当然違います。違いますけれども、民間はそれは厳しいものですよ。社命があれば、直ちに東京から北海道へ飛んでいかなければならぬという、そんなこともある。  ところが、わずかにこんな八十九人とか百人未満で受け入れがどうのこうの、すった転んだというふうなことを言ってみたって、それはとてもとても私は問題にならぬだろう。だから、臨調の方だって、配置転換についてはやはり大いに進めなさい、こういうふうに言われているわけでありますけれども、この委員会の附帯決議が実はあるわけです。これは国会の意思でかつてはあった。いまでもそれは生きているわけでございますけれども臨調答申を最大限尊重するという総理、いいですか、あなたは臨調を最大限尊重する、こうおっしゃっている。そうすると、配置転換をやりなさいと臨調は言っている。附帯決議はある。この関係についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  324. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私は、行管長官のころからその点は鈴切さんからずいぶん御質問もいただいたわけで、なかなか答弁が苦しかったわけでありますが、実際問題といたしまして、各省を横断して配置転換をするということは、現実問題としてきわめて厳しいことでございました。私も、そんな百人台ということではどうかとずいぶん関係職員を督励いたしましたが、やはり子供の問題だとか、あるいは職種が合うとか合わないとか、あるいは自分の給与や格付がどういうふうになるとか、そういういろいろな問題がございまして、なじまないものが非常にあるのです。しかし、これは初めはそういうことであろうけれども、だんだんやっていくうちにはやはり住み心地がよくなるぞ、住めば都だ、そういうような環境をつくってやることが大事だから、そういう意味において研修をよけいやるとか、各省庁を督励してそういう住み心地のよい環境づくりに積極的に努力せよとか、そういうことをいろいろやってまいったのでございます。しかし、その点でまだ努力が不徹底であるということは申しわけないと思っています。
  325. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、総理、やはり臨調答申をこれから大いに尊重するという立場から配置転換を進めたい、こうはっきりおっしゃった方がいいんじゃないでしょうか。
  326. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 そのとおりでございます。
  327. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういうときにぜひ私はお願いしたいことは、出血の整理、これだけはやってもらっては困る。首切りですからね。だから、そういうことはもうやりません、やりませんけれども、いまの事情から言うならば、省庁間の配置転換はやはり進めなくちゃならぬ、こういうことで御理解を願うように私は呼びかけをすべきじゃないだろうかというように思うのですが、その点、明確にちょっと……。
  328. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 昭和四十四年の附帯決議がございまして、これは国会内部の問題でございますが、私どもといたしましては、配置転換をできるだけ強力に進めるように進めていきたい、かように考えておる次第でございますが、やはりその基本は本人の理解と協力、この理解と協力という基本の上に立って積極的に進めていく、こういうふうにいたしたいと考えております。
  329. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 理解も協力も結構ですけれども、やはり本人の意思に反したあれはしないなんという、そこであれしますと、臨調答申のあれが非常に進まないということを申し上げておきますが、少なくとも参議院内閣委員会の附帯決議は、十四年前のことで、事情がどう変われども、やはり私は国会の委員会が附帯決議をしたことは厳然たる事実だと思います。総理は、答弁されたことで、それで全部いいのか。附帯決議の性質とか法的の効力等についてはどうなんだろうか。さらに何らか手続が必要であるとするならば、手続もある程度しなければならぬだろうと私は実は思うのです。私は国会の方の立場ですから、当然そういうことは、私どもとしてはそういう附帯決議等についてこれは方針転換をされるわけですから、その点についてはどういうふうになりましょうか。
  330. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 政府側の方から附帯決議をどうしてくださいということを申し上げる立場にはありませんので、国会における与党、野党十分お話し合いをいただきまして、行革協力するということであれば、この附帯決議はどうなさるかということを与野党でお話し合いをしていただくことが望ましいのでありまして、それ以上のことは私の方からは申し上げることはできないと思います。  ただ、政府としては、積極的に配置転換は進めていきたい、こういう熱意は持っておるということだけ申し上げておきます。
  331. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今度は、臨時職員とかあるいは非常勤職員のことについてちょっとお伺いします。  各省庁は、仕事の臨時的な増大とか、必要欠くベからざる場合において、人事院規則に基づいて職員を臨時雇いしておるわけでありますけれども、臨時職員については、それぞれの予算に基づいて雇い入れる人数もほぼ決まっているようであります。各省それぞれの事情により、たとえば郵政省の場合、年賀はがきや暑中見舞い等、時期的な仕事量の急増のため、短期臨時職員が必要になることは、これは私もよく知っておることであります。また、人事院でも各種試験運営のための臨時職員が必要なことも当然であり、同様に各省庁の仕事に応じて、当然それなりの理由があるということも私どもわかっております。しかし、短期臨時職員の実態となると実は全くわからないわけでございます。臨調答申では人件費の総額抑制ということを明確に言っておりますが、実態がわからなくては抑制のしようがないわけでございますが、昨年度の非常勤職員の総数は、全体で何人になっているでしょうか。
  332. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 いま先生、非常勤職員についてのお尋ねでございますが、これは正確な御答弁を申し上げねばならぬと思いますので、政府委員の方から説明させていただくことを御了承を願いたいと思います。
  333. 藤井良二

    藤井(良)政府委員 非常勤職員の数でございますけれども、五十七年七月一日現在の非常勤職員数は、おおむね十九万九千人となっております。  その内訳は、保護司が四万七千人、各種統計調査員が三万二千人、審議会の委員等が二万七千人、それから大学病院の研修医、国立病院看護婦等の医療職員が二万人、それから国立大学の非常勤講師、助手等の教育職員が一万八千人、それから労災防止指導員、職業相談員等が一万二千人、水位観測員、密航監視員等が五千人でございまして、この大半は毎日勤務することを要せず、必要な場合に随時従事する職員でございます。これの中には現業職員は入っておりません。
  334. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまそういうふうな御答弁をされましたけれども、そのうち六カ月以上の長期の非常勤数は十七万人ぐらいだ、そのように私は思うのですが、それにもし間違いがあったとするなら訂正をしてください。  総理府が毎年調査している六カ月以上の長期非常勤職員は、五十三年の七月一日で十六万七千人、五十四年が十六万二千人、五十五年が十六万六千人、五十六年が七月一日で十六万四千人、五十七年七月一日は十七万一千人と実はなっております。すなわち、毎年十六万人以上が長期非常勤職員として雇用されているわけでありますけれども、これらのいわゆる長期非常勤職員に対する人件費は、私が申し上げましたのでどれくらいになっておりましょうか、大蔵大臣
  335. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 いまお話がございました非常勤職員の中には種類が二つございまして、日々雇用される職員等とそれから日々雇用されないできわめて臨時に雇用される職員と、二つに分かれるかと思います。  その場合、前者はいわゆる非常勤職員手当ということで予算に計上しておりまして、後者の場合には庁費の中に賃金ということで計上されております。(鈴切委員「幾ら」と呼ぶ)その金額を申し上げますと、非常勤職員手当の方でございますけれども、一般会計で三十四億九千六百万円、それから庁費の中のいわゆる賃金でございますけれども、百二十五億四千八百万円というふうになっております。
  336. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 短期の臨時職員の人件費は、各省庁からもらったいろいろ資料によりますと、非常勤手当あるいは庁費あるいは賃金、運営費、需品費等ばらばらに実はなっておるわけですね。聞くところによると、各省庁の官房費や事業費のうちの管理費の中からこの種のものが支払われている、それが慣例になっているというふうに聞いております。それではもうばらばらの、各省庁に与えた、いわゆるこういう非常勤の方々を雇うのに、各省庁はばらばらの予算の項目に従って出しているということ。言うならば、文部省の国立大学の職員、国立大学の教授なんか、年に五百万から六百万研究費ということで出している。出しているけれども、そのお金は研究費に使われるべきものであるにもかかわらず、実際には研究費に使われていないということは、国会でもいろいろと御論議があったことなんですね。  そのように非常勤職員というものが全くばらばらに使われ、何に使われるか実際わからないというようなことでは、総合的な人事管理というものはなかなかむずかしいだろう。こういう点にやはり少なくともメスを入れて、各省庁においてどういうふうな非常勤職員――もともとからこれは閣議決定においても、非常勤職員については、あるときにはすべて常勤職員にしてあとはもう使わないんだ、実はそれまで厳しくとらえているわけですね。ところが、各省がもうばらばらで、そして、ばらばらの庁費とか賃金、運営費とか需品費とかいうようなことをやっているということは、これは臨調の言う総人件費という大きな、それを抑制しろという趣旨が、全く問題があろうかと実は私は思うのですが、大蔵大臣、そういう点について、各省に任せているからあとは各省の大臣が適当にやればいい、こうおっしゃるのでしょうか。
  337. 竹下登

    ○竹下国務大臣 確かにおっしゃるように、いま主計局次長からもお答えしましたように、いわゆる非常勤職員の給与の支給の問題につきましては、非常勤職員手当でこれは統一してあるわけですね。一般職給与法第二十二条というのに「非常勤職員の給与」とあって、ここにいまおっしゃるように、「各庁の長が人事院の承認を得て手当を支給することができる。」という項があり、それから「予算の範囲内で、給与を支給する。」ということがあって、これは言ってみれば発令を要するものということでございます。そこで、いまもう一つの庁費と申しておりますのはいわゆる賃金でございますが、契約によるもの、こういうことになっておりますので、その限りにおいては、発令を要するものとそして契約によるものということにおきましては、それなりにばらばらということにはなってはいない、それなりの整理はなされておるということでございます。  しかし、非常勤職員の定義ということになりますと、日々雇い入れられる職員、すなわち一日八時間を越えない範囲において勤務する職員及び常勤職員の一週間の勤務時間の四分の三を超えない箱囲内において勤務する職員、こう書いてありますが、いわゆる契約によるものというところに庁費ということになっておるわけでございますので、いま人事管理全体の中から賃金等についても検討しろとおっしゃるそのことは、素直に私も受けとめて検討をさしていただきます。ただ、一応契約によるものと発令によるものという区分はなされておるということをお答えしておきます。
  338. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はそのことはわからないわけではないのですが、この問題は非常にあいまいになっている。ですから、各省庁でそれぞれ任せてあるからいいというものでなくして、もし人事とか定員とかあるいは組織とかあるいは監査、そういう中にあって総合的の一元化ということであるならば、確かに人事院規則によってそれが雇用されるにしても、行管庁長官、それまでやはり目を通さないとあなたの言われる総合管理構想というものは非常に小さいものになってしまう。臨調はそんな小さいものを言っていない。人件費の総抑制という大きな網をかけているわけですから。こういうものは、実際に毎年同じような形で同じ金額が払われておるのです。チェックされていないのですよ。どう思いますか。
  339. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 その点については、十分検討すべき問題であると考えます。
  340. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院総裁、おいでになっていますか。――人事院勧告の問題についてちょっとお伺いします。  この問題については、先日来いろいろ質問がなされ、それに対する答弁もいただいておるわけでありますけれども、現在はまだ人勧の完全実施に対する政府の決定はなされていません。人事院の総裁として、どうなるだろうかということで大変に御心配のことだろうと私は思うのですけれども、この問題についての御所見をまず伺っておきましょう。
  341. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 去年のこともございますので、本年度の人勧の取り扱いについては、御指摘になりましたように、私自身非常に心配をいたしております。事柄の性質上、一日も早く完全実施ということでお決めいただいて、国会でもって御審議をいただきたいというふうに心から希望いたしておる次第でございます。
  342. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま総裁が言われたわけでありますけれども政府は一日も早く完全実施の方向で私は結論を出すべきだと実は思うわけでありますが、総務長官は給与担当大臣といたしまして、いわゆる給与関係閣僚会議等も主宰をされるわけでありますけれども、当然総務長官は、完全実施ということについて、そうしなさいとあなたは主張されておると私は思うのですけれども、皆さんの御意見がいろいろあって自分の主張は全く何もできていないのだとおっしゃるのでしょうか。それとも、完全実施は、とにかく労働基本権の代償機関であるからそれはやってやらなくちゃならぬということであなたは臨まれているのでしょうか。公務員はみんなあなたに注目しているのですよ。どうなんでしょう。
  343. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 お答えさせていただきます。  本年度の人事院勧告の取り扱いについては、ただいま先生も申し述べられましたように、すでに八月の五日、八月の二十六日、九月三日の三回にわたり、特に職員組合の方からも大変強い要請がございますので、三回にわたって給与関係閣僚会議において御審議をいただき、昨年のようなことを繰り返さないことを前提として慎重に検討しておるのでございますが、いまのお尋ね、私としては給与を担当するものでございますから、特に昨年の経緯を踏まえ、労働慣行の大切なことを考え、しかも、それは生活がかかっておるということを十分踏まえまして、ただいま人事院総裁の申されましたような実施に向けて最大限の努力という気持ち努力しておるということを申し上げておきたいと思います。  そこで、これは早く決めてあげるべきことでございますので、せっかくのお尋ねでございますからお答えさせていただきたいと思いますが、勧告の取り扱いの決定時期についてでございますが、現段階では、私としてはできるだけ早くと思っておりますけれども、なかなかいつごろという見通しは立っておりません。しかし、いまも申し上げましたように、公務員の生活がかかる問題でございますので、とにかく早く決めていただきたいというので、私は誠心誠意、最善の努力をしておるということを御報告を申し上げておきたいと思います。
  344. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いわゆる給与担当大臣であれば、それをやはり一生懸命やって、人事院勧告の完全実施を主張しているというのは当然のことで、もし、そういうことが言えないような大臣なら、もうおやめになった方がいいです。それは私は、そういうことから言いますと本当にそのとおりだと、まじめな丹羽総務長官ですから、額面どおり受け取っておきます。  そこで、人事院総裁にちょっとあれしますが、人事院の勧告は民間準拠ということでお出しになっております。そこで、毎年民間給与の調査ということをおやりになっているわけですけれども、この調査の対象となっている事業所について、最近もう少し範囲を広げた方がいいのだろうという議論もあります。いわゆる人事院勧告は必ずしも小さい零細企業まで網羅してない。だから、そういうことから言うならば高い水準が出ているのじゃないだろうかというふうに、そういうふうなことを言っている世論もございます。だから、私はただ単に小さい零細企業はもう体系が確立していないからとてもその対象にならぬなどという、そういうえこじなことを考えないで、少なくとも私はそういうところも網羅して、国民に民間準拠という、そういうことについて確信を持てるという形にした方がいいのじゃないかと思うのですが、その点どうでしょう。
  345. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 民間企業の調査対象の問題、これは御指摘になりましたように、私も従来からそのことはよく承知をいたしておるわけであります。すなわち、現在の企業規模百人、それから事業所規模五十人、これは御承知のように、三十九年以来ずっと踏襲して今日に至っております。これは三公社関係も同じようなことで歩調を合わせてやっておるわけであります。  ところが、これによりますと、現在民間従業員の六割を網羅をしておるということでありまして、まずは平均的なところで妥当ではないかという考え方も実は根深いものがあるわけでございます。これも先生御承知のように、また別の角度からは、もっとやはり国家というものはその組織から言っても非常に膨大な組織、巨大な組織を持っておるのだから、むしろ対象としては少なくとも千人以上の従業員のところを対象にすべきじゃないか、また団交でもって事を決めておるところに限定すべきじゃないかというような議論も別のところからはございます。また、それに対して、やはりもう少し零細なところも参考にしてはどうかというような御意見もあるわけでありまして、私といたしましてはいろいろ考えておるところでございます。  そういう点から、実はことし少し本格的に、零細企業と言われるものについても相当範囲で調査をいたしました。これはことしの勧告には取り入れるというような方針ではございませんので、参考でどうなるかということで調べておりまして、いまそれの分析をやっておるわけでございます。ただ、中小企業ということになりますと、調べたところで職種の関係対応するものがきちっと出てくるだろうか、その実効性がどうであろうかというような点もあわせ考えてまいらなければなりません。しかし、世論の点もございますので、こういう調べはもう少し緻密にやってまいりまして、そこにおのずからなる結論が出ますれば適当な措置を講ずるということについてはやぶさかではないというような気持ちを私としては持っておる次第であります。
  346. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 せっかく人事院が民間給与との較差を調べて、それを給与に反映しようと努力されて、膨大な国家予算を使ってやっておられるわけですから、私はやはり中身についても、それは人事院の調査は私は正しいと、もうそのように申し上げるのですけれども、やはり国民の中には、まあ小さいところのそういうあれがないから、そこがちっとも反映されていないから、いいところのものばかりというような率直な実は意見もあるわけです。ですから私は、それについてやはりそれなりのことを、モデル的に調べたりあるいは調査をすることによってそれも反映して、もうそれは全く人事院としてはこの調査は下まで調査をしてやったのだと言えば、国民の方々はそういう疑問は残らないだろうというように思いますから、ぜひそういうふうな方向でやっていただきたいということ、これが一点です。  それからもう一つ、最近、官民の生涯給与という問題がいろいろ論議されております。それは給与とか退職金とかあるいは年金を合わせた公務員の生涯給与、私どもはこういう判断をしていますけれども、民間より高くなっているのではないだろうか。やはり公務員はいいな、生活はいま非常に苦しいだけに、言うならばそういうふうな生涯給与という問題について、官民の間においてもやはり違ってきているのじゃないか、こういうふうな意見が実はあります。  人事院は確かに民間給与の方はお調べになるし、退職金も調べたりなんかしておられますが、年金という問題はまた違うというふうな、そういうふうなことから、生涯給与について必ずしも明確な御答弁はいままではいただけなかった。しかし、やはりそういう国民の率直な疑問とかあるいはそういうものに対して、私は、もう少なくともある程度は国民の方々が納得する方向へと進んでいかなければならぬだろう、賃金とか退職金とかあるいはまた年金とか、そういうものを含めて、言うならば生涯給与としてなるほどという、そういう整合性を生むためには人事院にぜひひとつお力添えになっていただかなければいかぬじゃないかという感じがするのですが、その点はどうお考えでしょう。
  347. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 近時、生涯給与比較論というのが非常に盛んになっておりまして、私もそれはそれなりに意味のあることであるというふうに考えております。  ただ、給与というのは、これは在職中の毎月の生活の資に充てるというものでございまするし、また、退職手当なり年金というのは、これは退職後の給与ということでありまして、性格がおのずから違うという点が一つございます。  それと、先生も御指摘になりましたように、現在の法制のたてまえでは、人事院は給与は本来の仕事として所管をいたしておりますけれども、これは言いわけにはなりませんが、退職手当は総理府である、それから年金は大蔵であるというようなことで分かれておるわけでありまして、そこで、人事院がタッチをいたしますることができますのはおのずからなる限界があることは、これは事実でございます。  しかし、私といたしましては、やはり生涯給与論ということについては意味のあることだと思いますし、また、国民一般がそこにやはり一つの疑念を抱いておる、全体として見た場合は、何か官が高いのじゃないかというふうに思っております。これは実はわれわれの対応も反省してみてまずかったのではないかとは思いますけれども、日経連あたりが一つの試算を出しておって、あの試算に対しては、これは間違った面もございますので、それはそれなりに指摘はいたしておりますけれども、しかしなお、全体として見た場合はどうであろうかという疑問が国民の間に非常に強いということも事実であります。したがって、これに対してやはり何らかの対応をいたしませんと、誤解がそのまま定着をしてしまうということになっても、これははなはだ遺憾千万なことでございます。  そこで、私といたしましては、まず第一に、退職手当について、これは先生よく御承知のように、従来のいきさつもございまして、大体五年に一回やってまいりまして、この間は五十三年の調査に基づいて退職手当法の改正をやりまして、若干の引き下げをやったわけでございます。そのときの附帯決議で、六十年度までにもつと根本的に掘り下げて退職手当自体もよく調べなさい、そして成案を得て出しなさいということに相なっております。それを踏まえまして、これは総理府とも相談の結果でございますが、本年の十月から本格的に退職手当の調査をいたします。約五十日間ぐらいかけまして、精密な調査をいたします。この点は鈴切先生からも従来も御指摘を受けまして、給与と違って若干退職手当についてはへっぴり腰ではないかというような御指摘もございまして、それについては当方もいろいろ検討いたしました結果、調査機構その他もよく整備をいたしまして、本年からは相当本格的に調査に入りたいというふうに思っております。そういうところから、やはり国民に納得できるような一つの線を全体として出していくというようなことも必要ではないかと思います。  なお、年金につきましては、御承知のように、むしろこれは全国民的に一つの平均したものを出していこうという線が出ておりますので、これについては、いま調べてみましても、いろいろ企業年金その他の取り扱い、いま非常に進行中でございますので、そういう点もあって限界があろうかと思います。しかし、総じて生涯給与というものについてもかくかくでございますよと、なかなか技術的にむずかしい面はあるかと思いますが、こうでありますというような線を、大体の輪郭を示して国民の御理解をいただくという努力は積極的にひとつやってみたいと思います。
  348. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院総裁がそういうふうに言われたということ、国民の方々も経済状況が非常に厳しいですから、しかも公務員というものについては税金の中からいわゆる給与も支払われている、こういう状況の中にあって、われわれよりいいのじゃないかというようなひがみ的なことを起こしてはいけないので、少なくとも人事院という独立機関として厳然とそういうものに対してはそうじゃないのだと言える根拠があるものを、これからやはり、いままでもやってくださったことはよく知っておりますけれども、やはりやっていただくということは必要じゃないだろうか、そのように思いますので、そうしませんと、役人は何かいま非常に気の毒な状況の中にあると私は思うのです。一生懸命役人の方は働いておられるにもかかわらず、もう何か役人が悪い立場を背負わされてしまっているというような実は感じがしますので、ぜひそういう点で御配慮いただきたいなというふうに私は思います。  さて、自治省にちょっとお聞きします。  地方公共団体の定員モデルなんですが、地方公共団体の定員モデルについては、第二臨調第一答申で、類型別の標準定数による地方公共団体の定員適正化の推進という提言を受けて、各地方公共団体に定員モデルを活用して定員管理の適正化を要請するということにしているわけでありますが、政府は、地方自治の尊重の要請を踏まえつつ、どのように地方の行政改革を推進していくお考えでしょうか。
  349. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 地方公務員につきましても、定員の上でだんだんふえてくるのをやはり抑制をしなければならぬという必要があるわけでございますが、地方公共団体自体で、やはり国と同じようなことでございますけれども、仕事、事業の見直しとかあるいは機構の見直し、あるいは地方公共団体というのはいろいろな国と違ったような仕事をしていますから、そういうのを委託をするとかいろいろな手段を尽くして、定数のふえていくのを抑えてもらうということでなければならないわけなんで、その場合に、自治省は、定員モデルというものを地方公共団体の大きさに応じたモデルを示してそれについてやっていただくということです。それは一般管理部門を中心としてやるものだと思います。それからさらに、自治省としましては、地方の自治体にいろんな仕事を中央からもおやりになるわけでございますが、その際にやはり定員がふえないような方途というものはぜひひとつ考えていただきたい、こういうことをやっておるわけでございます。  現在、地方公務員の仕事別にそれを考えてみますと、やはり教育とか福祉というのが非常に多うございますので、それはやはり中央と仕事は自治体の場合は少し違う、やはり住民に密着して最も身近な仕事をやっておりますから、そういうことも考え、住民サービスのことも考えながらやらなければならないということがございます。しかし、少なくとも一般管理部門につきましては国と同じように抑制措置がとられておりまして、五十七年でも初めて二千二百人ばかり減員という形になりました。それから、過去十五年ぐらい見てみますと、特に昭和四十七、八年ごろは一年に十万人もふえておるということで、しかし最近五十七年になりまして初めて一万台のふえ方に減っておりまして、だんだんに減ってきておるということなのでございまして、今後とも定員抑制については私ども地方団体を指導していきたい、こう思っておるわけであります。
  350. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まあこの定員モデルをもとに考えますと、実際には、多いから減らすというところと、それから少ないというところも私はあると思うのですが、少ないところをふやせなんということにはならぬと思いますが、大体どれくらい削減されましょうかね。定員モデルに当てはめた場合には、大体どれくらい削減されると予想されていましょうか。  そしてまた、昭和四十九年の地方公共団体の定員管理調査が始められたときから見ても、実際には三十六万七千人の増加になっておりますけれども、もっと私は具体的な定員削減計画をつくって強力に指導していかなければいけない。これは自治省はやはり地方自治というものを生かさなければならないけれども、しかし、それかといって余り定員が多いために赤字に転落してしまったということになっても困りますから、その点についてはどうお考えでしょうか。
  351. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 定数モデルでいろいろやった場合に、定数モデルの出た数よりは少なかったというような場合でありましても、それはもちろんふやすなんてことは考えていないわけでございます。いま申し上げましたように、いろんな仕事の種類がございますし、国の場合と地方の場合とはやはり仕事の内容が違うということがございますが、それぞれの部門に応じまして、やはり全体として今後ともふえないような努力は、地方公共団体も一瞬やりますし、中央にもお願いをするということで今後とも努力をしていかなければならないと思っております。
  352. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後の質問に入ってまいります。  政府は五十四年の十二月二十八日、いわゆる五十五年行革を閣議決定して特殊法人の整理合理化を決めております。その中で、日本鉄建公団については、上越新幹線及び青函トンネルの本体工事が完了した時点、昭和五十八年度において他との統合を図るというふうに閣議決定されております。ところが実際には、工事がおくれているということを理由に統合をおくらしているんじゃないかという声も実はあるわけでありますが、閣議決定した以上は、五十八年度のいつ統合を図られるのでしょうか。
  353. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 お答えいたします。  おっしゃるとおり、閣議決定、五十四年にやりました。その際に、両方の仕事が完成した暁に統合を図るとしましたけれども、それは上越新幹線が五十七年の十一月に開業したこと、それから青函トンネルについては、まだ海峡の中央部の地質が予想以上に軟弱なために完成時期が六十一年度に見込まれております。そのために、統合などの具体的な内容については、鉄道建設に対する社会的ニーズの動向、鉄道建設技術の承継の方法、鉄建公団職員の処遇の方法、国鉄経営再建問題の影響等、多方面から検討を進めているところであります。
  354. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは第二番目、日本原子力船開発事業団については、昭和五十五年度において、研究開発機関に改組の上、昭和五十九年度末、すなわち六十年三月末まで存続させることとし、当該時点において科学技術庁主管の原子力関係機関と統合する、こういうことになっていますね。  原子力船「むつ」は、すでに何百億というか、四百億くらいでしょうか、もっとかかっておるのでしょうか。さらに大変な金がかかるというふうに伝えられております。自民党の議員の中でも、国費のむだ遣いである、廃船の運動すら実は起こっておるわけであります。原子力船開発事業団については、五十五年行革で、五十九年度末までに他の原子力関係機関と統合することになっているが、どのような検討がなされていましょうか。     〔委員長退席、江藤委員長代理着席〕
  355. 安田隆明

    ○安田国務大臣 五十四年の十二月二十八日の閣議決定、これは仰せのとおりでございまして、これを受けまして法律改正を行いまして、六十年の三月三十一日までに原子力関係機関とこれを統合する。これは法定、もう決まっておりますから、この線に沿いましてこれに対応するような準備を整えておるわけであります。  これを統合するにつきましては、やはり円滑に、しかも有効な今後の研究開発ができるように、こういうことでございまして、いま慎重に検討をいたしておるわけでございますが、いま御指摘のとおり、約十年間、定係港の問題等々がございましていろいろと難渋をいたしておりました。幸い、先般合意を得まして本格的な研究開発に取りつく、こういうことになったものでありますから、関係省庁、これは運輸省がございまして、運輸省は航海実験のいわゆる作動がどうなるであろうか、船員の操作あるいは操舵がどうなるであろうか、あるいは原子力委員会考え方はどうであろうか等々、いま検討協議をいたしておるわけであります。いまだ決定には至っておりませんけれども、近くこれを決定いたしたい、こういう考え方でおるわけであります。  なお、自民党の中に云々というお話がございましたけれども、これは鈴切さんも同じようでございまして、自民党も多数の政策集団でございますから、いろいろな御意見のあることは御承知のとおりでございますが、先般、十二日の本会議質問がございましたときに、総理答弁のとおり、本当にわが国の置かれている立場は他の国と違っておるわけであります。もう先進国は全部その知見を手中におさめてしまいました。現にソ連は、これまた御存じのとおり、大型タンカー船の建造を急いでおるわけであります。わが国に関する限りは、既定方針どおりこの知見の究明、そして舶用炉の、しかもコンパクトの炉の開発というのは、わが国としては絶対なさなければならない原子力委員会の長期計画の問題でもあり、政府の態度でもあるわけでございます。  以上であります。
  356. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは通産省ですね。「沖縄電力株式会社については、離島を多く抱えている沖縄の実態に配意しつつ、諸般の措置を講じ、昭和五十六年度末を目途に民営移行する。」こうなっております。現地事情が厳しいということは私はよくわかるのですけれども、閣議決定されて、五十六年度末がすでに実は過ぎているわけですが、どう対処されるのでしょうか。
  357. 豊島格

    ○豊島政府委員 沖縄電力につきましては、五十四年の閣議決定で確かにそのようなことになっております。しかし、その後御承知のように、その後といいますか、五十四年から、第二次石油ショックということで油の値段が十二ドルから三十ドル以上に一挙に上がるということでございまして、沖縄電力の経営が非常に大幅な赤字を出すというような状態になりまして、そういう情勢のもとに、とても五十六年度末までにはできないというような情勢の変化がございました。したがいまして、昭和五十六年十二月の閣議了解におきましては、「沖縄の実態に配意しつつ、他の一般電気事業者の協力の下に、早期に民営移行すること」というふうに、もう一度閣議了解がし直されているわけでございまして、いずれにしても「早期に」ということで「五十六年度末」ということは一応なくなったわけでございます。  それで、その後でございますが、通産省におきましては、地元の意見を踏まえまして民営移行の方式を検討するというような立場で、実は資源エネルギー庁長官の諮問機関、沖縄電気事業協議会というのがかねて設置されておるわけでございますが、そこでいろいろと審議をお願いしておりましたところ、昨年の十二月にその協議会から、民営移行方式につきましては合併方式というのと独立民営方式、沖縄の会社独立でやる、この二つがあるが、そのいずれが適当であるかについてはさらに関係者間で詳細な検討をする必要がある、こういう御報告を受けておるわけでございます。この報告をもとにいたしまして、沖縄県におきましては、県知事の諮問機関に沖縄県電気・エネルギー対策協議会というものがございまして、ここで地元としての意見を取りまとめるということで進んでおるわけでございまして、現在検討中でございますが、その検討の中身としましては、また、ことしの三月でございますか、バレル当たり五ドル石油価格が下がったということで若干情勢が変化しておる、それでこの影響が現在は出ておるわけですが、これが今後中長期的に見てどういうふうに沖縄の電力に影響するかということを主として見きわめる必要があるということで、現在この協議会で検討されておるというのが現状でございます。  しかし、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、地元関係者との調整を初めといたしまして、引き続き民間移行の実現のために努力を進めていきたい、できるだけ早く決着をつけるよう努力したい、このように考えております。
  358. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、閣議決定というものはやはり相当重みがなくてはいけないと実は思うのです。ですから、各省大臣に私は申し上げましたけれどもちろん日本原子力船開発事業団についてはまだでございますけれども、ほかのところはもう期間を過ぎてしまっているという中にあってその方向性というものが明確にまだ打ち出されていない、閣議決定自体がこういうことでなし崩しをされていくということと、もう一つは、やはり各官庁自体が見通しが非常に甘いということについて私は指摘をしておきたいなというように思います。これについては、閣議決定というものについては厳格に受けとめていただかなければ、もはや内閣の統制はとれない、そう思います。     〔江藤委員長代理退席、委員長着席〕  さて、最後になりまして、時間があとわずかなんですが、臨調最終答申では、特殊法人の統廃合を指摘されたところが七法人あります。文部省所管の国立競技場、国立教育会館、日本学校健康会が文部省にはあります。厚生省の所管では医療金融公庫がございます。農水省の所管では農業信用保険協会、林業信用基金、中央漁業信用基金、この七法人の統廃合について、新行革大綱でも「医療金融公庫、国立競技場等統廃合を答申指摘された法人については、原則として、昭和五十九年度末までに措置することとし、所要の法律案を次期通常国会に提出すべく、諸般の準備を進めるものとする。」と閣議決定されているわけであります。  そこで、これらに関係する各省庁にお伺いをいたします。これらの統廃合の問題については、実は予算に関連する問題だけに早く結論を得なければならないと思っております。もちろん、臨調答申の中にあって統廃合に対する物の考え方、これは単純統合であってはならぬということを明確に言っております。となりますと、もちろん特殊法人の役員、定員が減らないでこれが単純統合という形は許されないと私は思いますが、これらの指摘を受けました七法人の所管大臣、文部大臣並びに厚生大臣、農水大臣、この三方に、私のいま申し上げます、言うならば徹底的に削減をしなければならない、統廃合するときには削減しなければならない、これは臨調でもはっきりここに言っております。「今回事業の廃止又は縮小を指摘した法人については、それに応じて機構を縮小し、定員を削減する。また、今回統合を指摘した法人については、統合のメリットが十分発揮されるよう、機構・定員を抜本的に見直して、新組織を定める。」こう書いてありますが、それについて御答弁を順次やっていただきたい。
  359. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 文部省所管については、鈴切さん御承知のとおり、三つあります。三項目。日本学校給食会と日本学校安全会を統合しろ、これはもう五十七年の七月に済んでおります。  それから次は、オリンピック記念青少年センターについては文部省直轄にしてしまえ、これもすでに五十五年の四月に済ましております。  それからもう一つ、このほかに一つ減らせ、こういうことになっておりますが、これについては、現在、国立競技場と学校健康会、これを一本化して統合しよう、こういうことで政府部内で研究中でありまして、次の通常国会には結論を出したい、かように考えております。
  360. 林義郎

    ○林国務大臣 医療金融公庫と社会福祉事業振興会の統合につきましては、さきの臨時行政調査会の答申及び行政改革の具体化方策に関する閣議決定、新行革大綱の趣旨を踏まえまして、昭和五十九年までに統合することとし、所要の法律案を次期通常国会に提出すべく、現在、統合に伴う種々の課題につきまして事務的に鋭意検討を進めておるところでありまして、先生の御趣旨を十分に体しましてやっていきたいと考えております。
  361. 金子岩三

    ○金子国務大臣 御指摘の三つの法人につきましては、組織なり業務の基盤がそれぞれ異なる等いろいろむずかしい問題がありますが、臨調答申行政改革大綱の定める方針に従い、関係者の意見もよく聞きまして調整を図ってまいりたいと思います。
  362. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、統合についても、役員も減らない、定員も減らない、機構も減らない、こういうような統合であってはならぬ、こう思います。少なくとも、統合した以上はそれなりの効果があらわれなければならないと実は思っているわけでありますが、これについて私どもは、ぜひ次の通常国会に提出されるであろう特殊法人等について厳しい目で見ていかなければいけないと思っております。ですから、大蔵大臣もやはり査定に当たっては目を通していただかなければなりませんし、行管庁長官も特殊法人等についてはやはりそれなりの人事管理等も含めて目を通さなければならない問題だと私は思いますが、その点について最後にお二人に私は質問をして終わりたいと思います。
  363. 齋藤邦吉

    齋藤国務大臣 ただいまお尋ねになられました特殊法人の廃止問題に関連いたしましては、機構等につきましては行政管理庁の審査を受けるわけでございますから、その節に臨調答申の趣旨に即して審査をいたしたいと考えております。
  364. 竹下登

    ○竹下国務大臣 特殊法人の今後の方向、具体的に統合、そうした問題につきましては、機構の関係につきましては行管長官からお答えがあったとおりであります。その予算、なかんずく人事管理等につきましては、私どもの方といたしまして、臨調答申の趣旨、そして、いま鈴切委員の御指摘を踏まえて厳正に対処をいたします。
  365. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総理、きょうは総理を含めて約二時間、行政改革に対して私ども考え方も申し上げました。ですから、本当に国民のためになる行政改革であるならば、公明党はそれを強く推進しなければならないと実は思っております。そういうことから考えて、いろいろと問題点指摘してみました。ですから、そういうことから考えまして、きょうはいろいろと質問を交わしたということについては、私は有意義だったというふうに思っております。  これからの総理のさらに行政改革を進めるそういう決意を最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  366. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 鈴切さんの詳細にわたる御質問をお聞きいたしまして、公明党が特に強調せられておるところや、われわれの欠陥を指摘された点につきまして非常に勉強させていただきました。今後とも誠意を持って努力してまいります。
  367. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ありがとうございました。
  368. 金丸信

    金丸委員長 これにて鈴切君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会