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1983-09-27 第100回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年九月二十七日(火曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 江藤 隆美君 理事 海部 俊樹君    理事 津島 雄二君 理事 三塚  博君    理事 細谷 治嘉君 理事 矢山 有作君    理事 正木 良明君 理事 吉田 之久君       足立 篤郎君    愛野興一郎君      稻村佐近四郎君    今井  勇君       小里 貞利君    大村 襄治君       片岡 清一君    亀井 善之君       澁谷 直藏君    田中 龍夫君       谷  洋一君    中村  靖君       西岡 武夫君    橋本龍太郎君       原田昇左右君    保利 耕輔君       宮崎 茂一君    沢田  広君       清水  勇君    森井 忠良君       安井 吉典君    湯山  勇君       渡部 行雄君    草川 昭三君       鈴切 康雄君    岡田 正勝君       和田 一仁君    中路 雅弘君       三浦  久君    小杉  隆君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         法 務 大 臣 秦野  章君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 瀬戸山三男君         厚 生 大 臣 林  義郎君         農林水産大臣  金子 岩三君         運 輸 大 臣 長谷川 峻君         郵 政 大 臣 桧垣徳太郎君         労 働 大 臣 大野  明君         建 設 大 臣 内海 英男君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     山本 幸雄君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      丹羽 兵助君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      齋藤 邦吉君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (国土庁長官) 加藤 六月君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 谷川 和穗君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      塩崎  潤君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      安田 隆明君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 梶木 又三君  出席政府委員         内閣審議官   手塚 康夫君         内閣審議官   百崎  英君         内閣法制局長官 茂串  俊君         内閣法制局第二         部長      関   守君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    斧 誠之助君         内閣総理大臣官         房総務審議官  橋本  豊君         総理府人事局長 藤井 良二君         総理府恩給局長 和田 善一君         総理府統計局長 時田 政之君         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         行政管理政務次         官       菊池福治郎君         行政管理庁長官         官房審議官   古橋源六郎君         行政管理庁行政         管理局長    門田 英郎君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         北海道開発庁総         務監理官    楢崎 泰昌君         防衛庁参事官  友藤 一隆君         防衛庁参事官  冨田  泉君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁人事教育         局長      上野 隆史君         防衛庁衛生局長 島田  晋君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁総務         部長      梅岡  弘君         経済企画庁調整         局長      谷村 昭一君         経済企画庁総合         計画局長    大竹 宏繁君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         科学技術庁研究         調整局長    福島 公夫君         環境庁自然保護         局長      山崎  圭君         沖縄開発庁総務         局長      関  通彰君         国土庁長官官房         長       石川  周君         法務大臣官房長 根岸 重治君         法務省刑事局長 前田  宏君         法務省矯正局長 鈴木 義男君         公安調査庁次長 岡村 泰孝君         外務大臣官房長 枝村 純郎君         外務大臣官房外         務参事官    山下新太郎君         外務省条約局長 栗山 尚一君         大蔵大臣官房総         務審議官    吉田 正輝君         大蔵大臣官房審         議官      水野  勝君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省理財局次         長       志賀 正典君         大蔵省銀行局長 宮本 保孝君         大蔵省国際金融         局長      酒井 健三君         文部大臣官房長 西崎 清久君         文部省初等中等         教育局長    高石 邦男君         文部省社会教育         局長      宮野 禮一君         文部省体育局長 古村 澄一君         文部省管理局長 阿部 充夫君         文化庁長官   鈴木  勲君         文化庁次長   浦山 太郎君         厚生大臣官房総         務審議官    小林 功典君         厚生省環境衛生         局長      竹中 浩治君         厚生省医務局長 吉崎 正義君         厚生省薬務局長 正木  馨君         厚生省社会局長 持永 和見君         厚生省児童家庭         局長      吉原 健二君         厚生省保険局長 吉村  仁君         厚生省年金局長 山口新一郎君         社会保険庁年金         保険部長         兼内閣審議官  朝本 信明君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省経済         局長      佐野 宏哉君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省食品         流通局長    小野 重和君         農林水産技術会         議事務局長   関谷 俊作君         食糧庁長官   松浦  昭君         通商産業大臣官         房審議官    棚橋 祐治君         通商産業省機械         情報産業局次長 児玉 幸治君         工業技術院長  川田 裕郎君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君         資源エネルギー         庁公益事業部長 小川 邦夫君         中小企業庁指導         部長      粟屋  忠君         運輸大臣官房長 松井 和治君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         郵政大臣官房長 奥山 雄材君         郵政省貯金局長 澤田 茂生君         郵政省簡易保険         局長      奥田 量三君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         労働大臣官房長 小粥 義朗君         労働省労政局長 谷口 隆志君         労働省婦人少年         局長      赤松 良子君         労働省職業安定         局長      加藤  孝君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    吉田 公二君         建設省都市局長 松原 青美君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 沓掛 哲男君         自治大臣官房長 矢野浩一郎君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    坂  弘二君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         参  考  人         (日本国有鉄道         再建監理委員会         委員長)    亀井 正夫君         行政改革に関す         る特別委員会調         査室長     大澤 利貞君     ───────────── 委員の異動 九月二十七日  辞任         補欠選任   後藤  茂君     清水  勇君 同日  辞任         補欠選任   清水  勇君     後藤  茂君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣提出、第九十八回国会閣法第三九号)  国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案内閣提出第一号)  総務庁設置法案内閣提出第二号)  総理府設置法の一部を改正する等の法律案内閣提出第三号)  総務庁設置法等の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案内閣提出第五号)      ────◇─────
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国家行政組織法の一部を改正する法律案国家行政組織法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案総務庁設置法案総理府設置法の一部を改正する等の法律案総務庁設置法等の一部を改正する法律案及び行政事務簡素合理化及び整理に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古田之久君。
  3. 吉田公二

    吉田委員 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、行革関連法案並びに行革問題一般にわたりまして、総理並びに関係大臣に御質問をいたしたいと思います。  まず、私は、こうした行革委員会が開かれるたびに思い出すのでございますが、いまは亡き元総理大臣大平さんが、行革というものは言うべくしてなかなかむずかしいものだ、簡単にはできないんだということをつぶやかれたことがございます。また、物の本にもそういうことをお書きになったことがありまして、私どもは、それをとらえてかなり食い下がった経験がございます。もっとも大平さんも、ずいぶん行革の問題には真剣に対処されましたことは申すまでもございません。  次に、鈴木総理の場合でございますけれども、この総理に対してやはり行革特別委員会におきまして、わが党の岡田正勝委員が、総理綸言汗のごとしという言葉を御承知のはずだ、そういう意味で行革に対して総理は命をかけられますかという質問をいたしたことがございます。このときに鈴木総理は、私は行革政治生命をかけますと断言されたわけでございます。自来、行革に真剣に取り組み、五十九年度中には赤字国債体質から脱却しようという計画を立てられたわけでございますけれども、それがどうも実現不可能であるということがようやくはっきりいたしてまいりました段階で、前総理は引退をなさっております。私どもは、これは総理はそれなりに責任をとられたんだというふうに受け取ったわけでございます。  その後、中曽根総理が新しく総理になられたわけでございます。したがって、総理御自身は、事行革に関しては異常なまでの決意を燃やしてかかっておられるものと私どもは信じております。そういう点で総理は、この厳しい行革に臨むに当たってどういう決意をもってこれから臨もうとされるのか、改めてお伺い申し上げたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私は、前から申し上げておりますように、中曽根内閣ができました大きな理由の一つは、行革を断行せよという国民皆様方の御期待と御支援でできたと心得ております。したがいまして、全身全力を傾けて行革を遂行してまいるつもりであります。  特に、今回は特別に行革国会と名づけまして、行革法案を中心に御論議を願っておる国会でございますが、提出しておりまする七つの法案を成立させるためには、石にかじりついても地をはってもこれは成立させたい、そういう決意努力してまいるつもりでおります。
  5. 吉田公二

    吉田委員 いま、石にかじりついても地をはってでも行革を達成するとかたい決意をお述べになりましたことを私たちは評価いたしたいと思います。しばしば総理は、不退転決意をもって行革に臨むということもおっしゃってまいりました。不退転というのは、読んで字のごとく退けないわけでございます。このことで行き詰まったからおれは引き下がるということは、総理の場合にはあり得ないと思うわけでございます。だとするならば、猪突猛進してでも必ず目的を達成していただきたい。  ところが、今度の行革で一番厳しいむずかしい問題は、土光さんを初めとする臨調の方々がまさに心血を注いでなされた答申、この数次にわたる答申に基づいて内閣行革をやろうとなさっているわけでございます。この答申の一番の柱は「増税なき財政再建」ということになっております。「増税なき財政再建」、それは国民にとっては拍手を送るべききわめてすばらしい方針であることは間違いありませんけれども、同時に政府の側にとっては、これほど厳しい行革の進め方はないと言っても言い過ぎではないと思うのです。思い切って歳出を削減していく。もはや六十五年度以降は赤字国債を発行しないというわけでございますから、そうすれば地方交付税率を場合によっては引き下げていく、あるいは年金国民負担などを場合によってはふやしていく、そういうことでもしないと、なかなかに達成できがたい問題があると思うのです。ですから、国民の側から見ますと、そうは言っても、やはりいつかの段階で何らかの形で増税になってくるのではないだろうかという懸念を持たざるを得ない点もございます。  そういう点で、私たちは何としても、六十五年度における租税負担率というものがどういう数値になっていくのであろうか、その辺の目標をはっきり示していただかないと、この行革に対して国民がどのようについていけばいいのであろうか、非常に心配がつきまとうわけでございます。ところが、依然として政府はそのことをはっきり示しておられません。いわば目隠しのままで国民についてこいとなさろうとするのか、こういう疑惑が残ってくるわけでございますが、総理いかがお考えでございますか。大蔵大臣で結構です。
  6. 竹下登

    竹下国務大臣 鞭撻をも含めての御質問でございますが、「増税なき財政再建」、これはあくまでも理念として貫き通すべきである。一たび安易な増税を念頭に置いた場合は、歳出削減に対する心構えも手も鈍る。しかしながら、さはさりながら、行政水準を維持し続けながら今後の政策運営をするに当たっては、やはりそこにはある種の、政府側から見れば増収措置、そうしたものが必要になってくるではないか、また国民の側から見れば負担増というような懸念も残るではないかという御趣旨でございますが、私ども、したがって、そのためにはおよそこの展望の中に租税負担率というものを明記すべきではないか。あえて御指摘はございませんでしたが、かつての七カ年計画においては二六・五というものが一応記述されておったではないかということもお考えの底にあろうかと思っております。  したがって、この租税負担率をどういうふうにしてあらわしていくか。今度このようにして「一九八〇年代経済社会展望指針」というものの中におきましては、臨調答申考え方、あの記述の方法をも踏まえながら、「社会保障負担と合せた全体としての国民負担率は、ヨーロッパ諸国水準よりはかなり低い水準にとどめることが望ましい。」として、その望ましい方向が示されておる。しかし、たびたび今国会等においても議論がありますように、いよいよ五十九年度予算審議をお願いするということになった場合、その審議手がかりとして、それを下敷きにした財政展望なり指針なり試算なり、そういうことをかねて示すべきであるという御意見でございますし、われわれも、それに対してお示しするための最大限の努力をすることをお誓いもしておるわけであります。  その際、やはり租税負担率というのは、確かに二六・五というものが七カ年の中にひとり歩きしながら、それが将来の負担増を示す一つ数値であるという議論もなされながら、今日二三・七というところまでしか行ってないわけでございます。それは、いわゆる国民総所得を分母とし、国税、地方税をプラスしたものを分子とした場合、結局、その分母分子とも経済情勢に対して非常にぶれの大きいものであったと結果として言わなければならないと思うわけであります。  したがって、御審議をいただくに当たって租税負担率というようなものをどういう形でもってお示しするか、本院における議論等も承りながら、これから検討してまいりたい。ある段階において、また本院等で御発言のあった委員皆さん方意見も改めて聞きながら、慎重な検討をして、やはり手がかりとする何かのものはお示しすべきものではないか検討をさせていただきたいと思います。
  7. 吉田公二

    吉田委員 この間の予算委員会におきまして、わが党の大内委員らがこの租税負担率の問題について質問をいたしております。  そこで、それは当然政府が速やかにその見通しを発表すべきであるということで、予算委員長みずからが発言されまして、政府はそれに答えて、新財政再建方針を来年の一月に国会に提出する、そのときにこの租税負担率見通しをはっきりと発表いたします、こういうふうに答弁されたとわれわれは承っているわけでございますけれども、いまの大蔵大臣の御答弁は、少し後退したようなニュアンスを感ぜざるを得ないわけでございます。  私どもといたしましては何としても、それは、いつも大蔵大臣がおっしゃるとおり、結果としてあらわれてくる数値であって、二の段階ではっきりと見通しを設定することができるかどうかというような発言もなさるわけでございますけれども、私は、そういうお言葉はいただけないと思うのです。それならば、将来のGNP失業率もすべてのデータというものは全部予測でありまして、分母であるGNPについては予測をしながら、分子である租税負担率についてはまだ予知できない、こういうことでは全く行革の羅針盤を失ってしまうことになると思うのです。そのとおりなるかならないかは別として、こういう方針でこの目標に向かって進んでいきますから、どうか国民の皆さん安心して精いっぱい協力してほしい、こういうことが明示されませんと、どうにもならないと思うのでございますけれども総理いかがお考えでございますか。
  8. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 われわれは、「増税なき財政再建」という原則理念として、これを遂行していくために全力をいま注いでおるわけでございます。したがいまして、大体租税負担率というものは原則として現状維持を続けるということを目途に、全力を尽くしていくということであります。ただ、やはり行革を推進していくためには歳入歳出構造全般を見直す必要があると思っております。その過程におきまして若干の調整というものはあるかもしれません。しかし、負担率そのものにつきましては現状を維持するために全力を注いでいくというのが「増税なき財政再建」の趣旨を貫くゆえんである、そのように考えております。
  9. 吉田公二

    吉田委員 租税負担率については現状を維持していくという強い決意総理はお述べになったと思います。どうかひとつ、その点をはっきりとこれからの政府指針にしていただきたい。同時に、社会保険負担額等につきましても、当然同じような決意現状を維持していくという方針であることに間違いはないでしょうね。
  10. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 臨調答申によりますと、租税社会保険関係負担率等々を一緒にいたしまして、欧米が大体五〇%を超しておる、日本は三四%程度できわめて低い状況でございます。これは臨調でも述べておるところでございます。両方合わしたのが国民負担になるわけでございますから。したがいまして、その原則を貫いていくように今後できるだけ努力をしていく、これが「増税なき財政再建」の理念を貫くゆえんであろう、そう思いまして、われわれとしては、そのために努力を尽くしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  11. 吉田公二

    吉田委員 「増税なき財政再建」の理念あるいは目標、それに至るプロセス、そういうことがいまの総理の御発言でかなり鮮明になってまいったと思うわけでございます。どうかひとつ、政府は今後ともその方針を不変の方針として貫いていただきたいということをこの機会に強く申し上げておく次第でございます。  次に、補助金整理あるいは合理化について御質問をいたしたいと思います。  大蔵大臣にお伺いいたしますけれども臨調答申補助金総額の厳しい抑制を提言しておられます。しかし、実際には補助金年々歳々徐々にふえ続けております。ちなみに五十六年度は十四兆五千六十七億円でありましたものが、五十七年度には十四兆七千六百五十八億円、そして五十八年度には十四兆九千九百五十億円となっております。わずかずつではありますけれども補助金が依然として累増しておることは紛れもない事実でございます。だとするならば、臨調が、この補助金総額も厳しく抑制しなさい、こうおっしゃっておるわけでございますから、どこかこの辺で、たとえば五十九年度以降は前年度以下に補助金は抑え込みますというようなことをはっきりと国民の前に明らかにされなければならない。補助金総額をそろそろ設定なさらなければならないと思うわけでございますけれども大臣いかがお考えでございましょうか。
  12. 竹下登

    竹下国務大臣 いま吉田さんから御指摘のありましたとおり、補助金はわずかながらでございますがふえておることは事実でございます。ちなみに五十年度から見ますと、二六・六%、五十一年が二〇%、五十二年が一六・九、五十三年が一八・四、五十四年が一三・五、それから一けた台になったとは言え七・五、四・七、一・八、一・六、こういうふうにふえておることも事実であります。  ただ、これはもう百も御承知のとおりでございますが、その補助金の大宗を占めるものは、社会保障関係費、文教及び科学振興費、公共事業関係費、これがおおむね七九%ぐらいということになります。別の角度から、地方を通して交付するもの、これまたおおよそその程度の比率になります。それからもう一つは、予算補助でなくして法律補助になっておるものというくくり方をいたしますと、これもまたその程度のものになっていくわけであります。なかんずく、この社会保障関係費等法律に基づくものにおきましては、スライド条項というようなものもございますし、そしてますます老齢化いたしますので、言ってみれば政策増というよりも当然増ということもございますので、一概にこれを全部を画一的にひっくくってしまうということには確かにむずかしい点もあるわけでございます。ただ、かねてから御主張なすっておりますので、既得権化したり惰性的運用に陥って硬直化しやすいという弊害を指摘されておるところでございますから、見直しを行って、整理合理化を今日までも図ってきておるわけであります。  これからは、臨調答申及び行革大綱の趣旨に沿いまして、公的部門の分野に属する施策のあり方及び国と地方との間の費用負担のあり方の見直しなどを行うことによりまして、総額を厳しく抑制してまいりたい。したがって、あらかじめ補助金等の総額そのものに歯どめをかけていくというのは、それぞれよって立つ法律事項等がございますので、これは言うはやすく実際行うときには非常にむずかしい問題ではなかろうか。やはり一つ一つを御趣旨の線に沿いながら見直していくという姿勢で臨むべきであるというふうに考えております。
  13. 吉田公二

    吉田委員 もちろん補助金にはそれぞれそれなりの事情や沿革、理由があるわけであります。それは大臣のおっしゃるとおりでございますけれども、しかしそれにしても、この厳しい財政事情の中で「増税なき財政再建」をやっていこうとするならば、補助金総額というものをやはり抑え込んでいかなければならない、こうなるわけでございます。  どこで抑えていくか。私は、補助金は大別して恒常的な補助金とそれからその時点において必要やむを得ざる補助金と、二つに分類することもできると思うのです。そういう一時的な補助金については、補助を出す場合に、これは期限が五年間ならば五年間ですということをはっきりと当初において決めておく必要があるのではないか。そうでないと、補助金というものは、一たん受け取ればそれは慣習化いたしますし、既得権になってまいります。どの団体でありましても手放しにくいものでございます。その期限で必ずその補助金を打ち切ることができるかどうかは別として、やはりこれは一応ここまでだ、そこからはその時点で見直す、こういうサンセット方式というものが大胆に導入されないと、補助金総額というものは抑え込めないのではないかというふうに思うわけでございますが、いかがでございますか。
  14. 竹下登

    竹下国務大臣 これはかねて御指摘のとおり、いまおっしゃった方針そのものが私どもの予算編成に当たっての方針だというふうに御理解をいただいて結構だと思うのであります。  いま御指摘のありましたとおり、既定の奨励的補助金などにつきましては終期設定を進めてきておりますほかに、新規補助金等につきましても、原則として五年以内の終期を設定するということでもってサンセット化を推進して今日に至っておるわけでございます。今後とも臨調答申また行革大綱の趣旨に沿って、いま御指摘の趣旨のとおりでございますので、これが抑制に努めてまいりたい、このように考えております。
  15. 吉田公二

    吉田委員 サンセット方式は採用なさっておりますけれども、しかし私どもの見る限りにおきましては、一たんついた補助金というものはなかなかに消滅しそうな気配もない、そういう実態でございます。断固としてその方針を現実のものにしていく、そういう一層の決意をはっきりしていただくべき時期に来ていると思うのです。  次に、縦割り補助の弊害についてお伺いをいたしたいと思うのです。いろいろこの種の事例につきましては後で改めて御質問申し上げますけれども、各省庁の縦割り補助のため予算の効率的使用が多分に阻害されていると見られざるを得ない事例は枚挙にいとまがないと思うのです。  そこで、臨調の最終答申は、従来の統合メニュー化の推進に加えて総合化の推進を図れと述べております。これは、国が個別具体の事業個所などを特定しないで一括して補助金を交付するという補助方式を検討せよということだと私たち考えております。そういう点では、わが党は在来、各省庁の縦割り補助を改めて第二交付税制度を創設すべきではないかということをかねて提唱しているところでございますけれども、全く同じ発想であろうと思います。政府の対処の方針を伺いたいと思います。
  16. 竹下登

    竹下国務大臣 かねて貴党におかれましては、いわゆる第二交付税と申しましょうか、そういうことに対する御意見をたびたびちょうだいしてきておるところであります。  まず類似目的の補助金については、地方公共団体の自主性の尊重あるいは資金の効率的な使用、また事務の簡素化等の見地から、これは極力統合メニュー化を推進しているところでございます。今後とも補助金等につきましては統合メニュー化、総合化をできる限り推進していきたいというふうに考えております。  それから、補助金交付に伴うむだとか労力とか、そういうものを省いて地方の自主性を尊重するという御趣旨は私も理解ができます。ただ、公共事業関係費の補助金等にたとえてみますと、一つは、道路整備交付金また河川整備交付金というように地方団体に一括して交付するといういわゆる第二交付税的な発想につきましては、それぞれに長期計画等がございます。したがって、その長期計画の中で限られた財源を国民経済的見地から効率的に配分していくというたてまえに立ちました場合に、それぞれの長期計画に基づいた整備水準の必要度などを考えてまいりますと、一概に色をつけないでまとめていわゆる第二交付税的な方法でこれを交付していくというのは、その河川計画、道路計画というもの自体を実施していくに当たっては、計画的にやるためには一つ一つごとに補助金を交付していくという方がより効率的ではないかという考え方の上に立っておるわけでございます。  したがって、私は、この問題はある意味においては古くて新しい問題でもございますが、種々検討を加えなければならぬ問題が数ございますので、いま第二交付税ににわかに賛成するというわけにはまいりませんが、むだを省くとか効率的に執行するとかいう趣旨そのものは生かされなければならないわけでございますので、これからも議論をし続けながら、個々の問題について慎重ながらも検討は続けていかなければならぬ宿題だというふうに理解をしております。
  17. 吉田公二

    吉田委員 それでは次に、国家公務員の定数削減の問題について御質問をいたしたいと思います。  まず総理にお伺いいたしますけれども、国家公務員の定数削減は今次行革を進める最初の課題だと私は思います。まず隗より始めよということであるならば、ここから切り込んでいく以外に方法はないと思うのです。  昭和四十九年の石油ショック以後、民間企業が血みどろの努力を払いながらこの危機を回避いたしてまいりました。これら民間の場合には一様に一割ないし二割の人員削減を行って今日に至っております。私どもは、民間でできることが政府でできないはずはない、こういう信念を持っておるわけでございます。少なくともそれと同じぐらいの努力をどう図っていこうとなさるのか、まずこの決意につきまして総理の所信を伺いたいと思います。
  18. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 行革一つの大きな仕事は人員の合理化の問題でございます。ただ、十年ぐらい前に国会の両院の委員会におきまして、出血を伴う整理はやらないこと、そういう附帯決議が設けられておりました。先般の臨時行政調査会設置法及び今回の行革推進審議会、この法律を御審議願うときには、そういう附帯決議はつけないで本案を成立さしていただいたわけでございます。  だからといって、この出血を伴うことを勇猛果敢にやると育っても、できるものではありません。民間会社等において人員を整理する場合でも、どうしているかと見れば、大体子会社の方へ渡したり、いろいろそういう苦労をして就職のめんどうを見ているというケースがほとんど大部分であります。国家の場合には、子会社は別にあるわけじゃありませんから、したがって結局、減耗不補充、減っていった人を補充しない、そういう形でわれわれはいままで努力をし続けてきたわけでございます。  それで、今次の鈴木さんと私が始めました行革におきましても、定員問題というものは非常に重要視いたしまして、五年間に五%削減しよう、こういう目標ですでにそれはスタートしております。従来は大体四%ないし五%削減してきておるのでございますが、二%以上補充してきておるわけです。二%以上補充してきているということで、いままで辛うじて、全国各府県に医科大学をつくった、その病院の看護婦さんや先生の補充をやった、あるいは二百海里で巡視船をうんとつくった、その乗組員の補充をしてきた、あるいは各地に飛行場ができてジェット機化した、管制官が要る、その人員を補充してきたわけでございます。  それで、最近はそういう需要増が非常に多かったのでございますが、ともかく五年五%の目標を実現いたしておりまして、そして補充しない率をできるだけふやそうということで努力しております。臨調委員の中には、大体二%程度補充しないで五年たてば一割減るじゃないか、そういう主張をなさる方がおりまして、これはごもっともな話でありますから、その理想に近づくように、われわれの行革が始まってからは非常に努力をしておるのでございます。  そこで、昨年度は実員において約千四百人補充せず、本年度五十八年におきましては、千六百九十何人ぐらいですから約千七百人補充しない、そういうように思い切って切りまして、それで看護婦さんとかあるいは登記所とか、そういう要る部面については、農林省に主として非常に御協力を願って、農林の統計調査関係とか米穀の検査員とか、そういう方々を思い切った削減をして、大体これは数年の間に五〇%以上削減する、そういう計画を強行いたしまして、それをいま進めつつある、農林省にも御協力を願っておる、そういう形で官庁間のやりくりをしながら不補充率を高めようということで努力しておるのであります。  今回の七法案の中で定員削減、人員削減のことがないじゃないかと言われますが、これはまた別個に第六次定員削減計画というので進行しておるわけなのでございます。そういう目標に向かって今後やっていくつもりです。特に、六十年に六十歳定年ということが出まして相当数がおやめになっていくだろうと思いますが、そのときにもできるだけ不補充にする、いままで以上に補充しない、そういう形で実績を残していこう、そういうことで目下懸命の努力をしておる次第でございます。
  19. 吉田公二

    吉田委員 いま総理は、民間には子会社がある、官庁にはそれがないとおっしゃいましたけれども、子会社と言っていいのか悪いのか存じませんけれども、公団、公社とか特殊法人とか、そこへ高級官僚がじゃんじゃん天下りをして、しかも高給を受け取り、かつその都度退職金をもらっている。だから、いろいろ役所には役所の、これからの努力をする余地が多分に残されていると思うわけであります。  この論議はきょうはここでいたしませんけれども、しかし、ああいう、人もうらやむような天下り、そういうものが高級官僚に許されておる。この辺もやはり国民が国家公務員を厳しく見詰める一つの要因であると思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、いろいろと知恵の限りをしぼって人員削減をどう実現していくか、これはきわめて大事なテーマであると思うのです。  おっしゃるとおり、出血を避けながらやらなければなりません。年々四%近い離職者が出てくる、この自然減に対して、いまお説のとおり二%程度に抑え込んだ新しい補充をしていくということによりまして、私たちは五年間で一割の削減はできると思います。それは八万九千人の目減りであります。しかし、今日までは十六年かかって一万二千人しか減っていない。事情はよくわかっております。いまお述べになったようないろんな新しい行政需要があるわけでございます。それはよくわかっておりますけれども、それにしても、平均して一年間に八百人しか減っていないではないか、実質削減はそうだ、だとするならば百年かかるではないか、私は、この間本会議総理に申し上げたところでございます。  そこで、私が改めてこの席で申し上げたいことは、確かに臨調答申も、いまお述べになりました新しい医科大学の設立とかあるいは看護婦さんや時代の変化に伴う新しい充足、これをよく理解しております。また、それに対しては、この削減のパーセンーテージをはじくときにもいろいろと配慮なさっていると思うのです。しかし、そろそろ、この新しい需要と申しますかそういう新設もこの辺で終わりでございますね。若干、年を追ってまだ一、二年補充していかなければならない要因はわかりますけれども。だから、この機会に総理は改めて、この辺を一つの出発点として、原点として、そしてトータルで実質五年間で一割削減を目指してがんばる、少なくとも五%は必ずやってみせる。私は、五%ぐらいならばそれほどむずかしい仕事だとは思わないのですね。この辺につきまして行管庁長官はどうお考えでございますか。
  20. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 国家公務員の定員削減ということは、行政改革の上で非常に重要な問題であり、避けて通れない問題だと考えておりますから、御無知のように、四十三年以来定員削減計画というものを行っておるわけでございます。第六次定員削減計画におきましては、八十九万の公務員を対象といたしまして四万四千、約四万五千、こういう削減計画を立てておるわけでございますが、その実施に当たりましては、何と申しましても緊要な増員というものはやはり避けがたい状況にあることは御承知のとおり、それはもうできるだけ圧縮し、そして削減した数字の中で賄っていく、こういうやり方をしておることは御承知のとおりでございます。  そこで、一方では、増員計画というものを五年間にどのくらいあるのか見通しをつけるというのも私は一つの方法だと思います。しかし、それができるかということでございますが、五年間における増員の見通しを立てるということは非常にむずかしいのではないか。それと同時に、増員計画ということになりますと、とかく過大に見通しを立てる傾向がないでもないと思うのです。そういう意味において、五年間の増員の計画を立てるということは現実的にはむずかしい、そういうことでございますから、全体の削減計画の中で、その都度、毎年その増員計画を、ことしはこのくらいの増員をしたい、それをできるだけ圧縮して、そして削減計画の中で賄っていくということにすることが現実的ではないか、私はかように考えております。  したがって、先ほど総理が仰せになりましたように、五十八年度におきましては、そうしたやり方をしまして千六百九十五人の純減というものをいたしたわけでございますが、五十九年度の予算編成に当たりましては、私としては、千六百九十五人よりももっと大幅にふやすように努力をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  21. 吉田公二

    吉田委員 長官おっしゃるとおり、毎年厳しく対応していくその積み重ねしかないと思うのです。しかし、物には計画というものも必要でありますし、何よりも国家公務員の定数削減が実質的に厳しく進められていく、それを見て地方公務員の場合にもそういう機運が積極的になってくると思うのです。ですから、一層ひとつがんばっていただくことだと思います。  続いて、地方公務員の定数削減について御質問をいたしたいと思います。  自治大臣にお伺いいたしますけれども、国家公務員の場合は、先ほどもお話がありましたとおり、まことに徐々ではありますけれどもだんだんに減少しております。しかし一方、地方公務員の数は物すごくふえてきておるわけでございます。たとえば昭和四十二年から今日までを比べまして、当時二百三十二万三千五百人であった地方公務員の定数が、ただいま現在では三百十六万八千人となっている。何とそのふえ方は八十四万四千五百人であります。まさに国家公務員の数ほど地方公務員で新しくふえてしまっておると言っても言い過ぎではないと思うのです。このように急速に地方公務員がふえてこざるを得ないその要因は一体どこにあるのか、自治大臣にお伺いいたします。
  22. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 地方公務員につきましてもなるべく増員を抑制をしていくという方向は、行革あるいは地方財政の見地からいってぜひとも必要なことでございますが、ただいま御指摘のように、昭和四十二年から五十七年までの十五年間では、いまの数字より少し違いますが、八十六万三千人ふえております。  このふえているのは、一体どういう部門でふえているかということを見まするに、この八十六万三千人の人数をパーセンテージでとってみますと、教育が三七%、福祉が二七%、消防が八%、警察が七%、大きなものはそういうところでございまして、つまり教育、福祉あるいは警察、消防といったようなものがふえる部門としては大手である、こういうことになっております。  御存じのように、地方公共団体というのは住民に密着した行政をやるということでございますから、そういう密着した行政サービスの中できわめて住民の要望の高いところにいろいろな施設ができていくということの関係から、教育とか福祉というものが非常にふえたと思うのです。ことに、この十五年間のふえ方を見てみますと、四十八年から三カ年間くらいで約三十二、三万ふえているという状態にあります。その後はやや減った数でふえているわけでございます。ただ、一般管理部門につきましては、ふえ方はだんだんに減ってまいりまして、これは国家公務員との関係においては一般管理部門を抑制しなければならない、こういう関係だと思いますが、それがだんだんに減ってまいりまして、五十七年では初めてマイナスになって二千二百人くらい減員、こういう形になっております。  こういうふえ方を見てみますと、教育の場面なんかはいろいろ先生方をふやさなければならない、学校がふえてまいります。福祉関係にいたしましても、たとえば保育所とかあるいは清掃とか、そういう住民サービスの面でどうしてもやらなければならないというものがふえてくる、こういうことでございます。  しかし、いずれにせよ国の方からもいろいろな必置規制というものもやはりある。だから国の方とも連絡をしながら、国の方から地方団体に対する御要請も十二分に今後とも考えていただかなければ増員の歯どめはなかなかかけられない、こういうことだと思っております。もとより私どもの方も、地方公共団体で増員をしないようにと、抑制につきましては指導をしてきたところでございます。両々相まって地方公務員の増員についての抑制をしていきたいと思っておるところであります。
  23. 吉田公二

    吉田委員 教育とか福祉とか、その他時代の変化に伴って当然必要な新しい住民のニーズにこたえるために発展しつつある地方自治体がそれに対応していること、それは大変喜ぶべきことでありまして、私どもは、それを無視して切り込めというようなことをいささかも申し上げる気はございません。  しかし、いまも大臣が御答弁の中でおっしゃいましたとおり、いわゆる国の必置規制もそれぞれ理由あってのことでありますけれども、最近果たしてそれを必置しなければならないかどうかという点、これも世の中の方がどんどん動いているわけでございますから、その辺に対する見直しが何らなされていないように思うわけでございます。その点で、五十六年八月二十五日の閣議で、公共施設の民営化、管理運営の民間委託化を図るよう必要な措置を講ずるということを決定なさっております。この方針は再確認できますね。
  24. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 公的施設の経営を民間に委託する、それから管理運営を民間に委託する、こういうふうな考え方は民間活力を引き出すという考え方に基づくものでございまして、臨調のすべての答申の中にやはり国と民間との役割り分担ということを非常に強く力説しておりまして、できるだけ民間活力を引き出すということが臨調答申全部を貫く基本的な精神であると私は理解をいたしております。先般の閣議決定におきましても、公的施設の経営の問題、管理運営の問題を民間に委託すべきであるということを規定しておるわけでございまして、この方針はあくまでも強く貫いていくべき精神である、かように理解をしております。
  25. 吉田公二

    吉田委員 委員長の許可を得て、一つの表を配らせていただきいと思うのでございます。  実はいまお配りいたしております一つの表は、都市経営総合研究所の人たちが研究の結果発表した資料でございます。  いま長官は、政府はこれから国民に活力を与える意味でもいろいろとり得る限りの民営化を図っていこう、こういうことをお述べになったわけであります。しかし、果たして民営化した場合に直営とどのくらいの差が生じてくるであろうかという点は非常に関心の深いところでございます。  ここに書かれておりますとおり、たとえばごみ収集の場合、トン当たりでございますけれども、直営で行います場合には一万三千四百三十五円かかりますものが、民営で行いますと五千二百五十五円でできるようでございます。その比率はまさに三九・一%。これは伊勢崎市など十八市の平均でありますから、かなり信憑性の高いものと思われます。屎尿収集の場合、トン当たりでございますけれども、直営で六千四百四十五円、民営の場合には二千七百六十円。函館市の例でありますが、四二・八%。後でもいろいろ申し上げますけれども、特に問題多い学校給食の場合であります。一食当たり、直営では百七円三十三銭が、民営では五十三円五十七銭となっております。  一々読み上げませんけれども、たとえば関係深い保育所の場合、園児一月当たりに直しまして、市費の持ち出し額でございますけれども、直営の場合には一万七千四十五円、しかし民営の場合にはわずか五千七百六十八円で運営できるようでございます。これは高尾市初め十三の都市の平均の数値でございます。この三三・八%という数字はかなり信頼できるものだと思うわけでございます。このように、民営委託の方がコストが安いということはだれの目にも明らかであります。それだけコストが安いということは住民への負担が軽くなるということに通ずるわけでございます。  そこで、文部大臣にお伺いいたしますけれども、各自治体が今日最も望みながら民間委託が進んでいないのが学校給食であると聞いておりますが、その責任は文部省にないでしょうか。
  26. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 学校給食は、御承知のとおりに栄養の問題あるいは食事マナーの問題等教育関係の観点から進めておるわけでございますが、これを民営でやってならないということではございません。地方公共団体で民営の方がそういう教育目的あるいは衛生管理その他支障がないということになればいいと思いますが、その点がなかなかそう簡単にいかないのではないか、かように考えております。
  27. 吉田公二

    吉田委員 大体いま大臣が御答弁になったそういう雰囲気、そういう考え方が、文部省の上から下まで全部浸透しておるようでございます。だから表面的には、やってやれないことはない、十分に条件が整い、安心して任ぜられるものであるならば任しても悪くはない、こうおっしゃっているだけでありまして、それはきれいごとであります。全くそのような実態ではないわけでございます。  したがって、いまも申し上げましたように、直営であろうが民営であろうが、ほとんど余りコストに変化のないものでありますならば、私どももあえて民営にしろとは申しません。直営には直営の確かさがありますし、利点があると思います。しかしこれほどに、たとえば学校給食の場合五〇%以下で給食ができるわけなんですね。それはそうだと思います。一日一回だけの給食に正規の職員や公務員を全部配置して対応することと、給食を生業としているそういう人たちがきわめて合理的に知恵の限りをしぼって給食を運んでいく、これはもともと競争にならないと思うのですよ。しかし、今日こういう財政再建の深刻な事態の中で、しかも地方自治体というのはまさに苦しみ抜いておる、そういう中で、地方自治体の方が一斉に学校給食だけはこの段階で民間に委託したいものだと言っているのでございますけれども、しかし、それを頑固に阻んでおりますのが昭和三十二年、三十三年、三十五年の文部省通知であることは御承知だと思うのです。これをこの段階で一度破棄しないと、学校給食の民間委託は未来永劫に進まないのじゃないかと私は思わざるを得ないわけでございます。大臣いかがでございますか。
  28. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 いま御指摘の昭和三十年初頭の数回の給食に関する通達、これは吉田さんも御承知だと思いますが、多くは父兄といいますかPTAの方から民営では困るのだ、いま申し上げましたように衛生の問題、いろいろ問題があるということでやかましくなりまして、できるだけそういうことのないようにということで、ちゃんとした管理ができるようなことをしなさい、したがってそういうものについては国家が助成をしておりますが、それがいいかいかの問題は別といたしまして、そういう人件費等は公費で払うようにちゃんとしなさいという通達を出しておる。しかし、民営でちゃんとできるような運営ができるのであれば、これを阻止する、こういう関係ではございません。
  29. 吉田公二

    吉田委員 やはり大臣の御答弁は全然進歩してないと思うのです。反省の色がないと思うのです。  昭和三十二、三年当時の社会事情、私たちもそのころ子供を学校へやり始めたころでありますけれども、当時の社会事情であるならば、親たちである私たちもやはり大事な子供の給食だけはきちんと直営で十分な管理のもとにやってほしいと言ったと思います。しかし、当時といまとでは全く世の中というのはさま変わりをしているわけなんです。今日そのような不衛生きわまるような給食業者がありとするならば、それは厚生大臣、とても許可なさらないと思うのです。最も厳しく衛生管理をしながら懸命に対処しているのは、むしろ直営というよりも民営ではないか、私はそういう時代が来ていると思うです。  いま一つ、私は総理に篤とこの辺を聞き分けていただきたいのでございますが、もちろん金があり余って、税金が集まって集まってどうにもならぬというようなときでありますならば、私は民間委託よりも直営であっていいと思うのですよ。しかし、そういう時代はもはや再び来ない。だとするならば、一面において精神的に万全を尽くして子供をかわいがっているようでありますけれども、こういう不経済きわまる直営をすべての行政全般にわたって広げることによって、結局残ってくるものは何か。それは恐るべき膨大な国家の借金でございますね。その借金はだれの肩におぶせられるものであるか。それは、いまいたいけない子供たちではありませんか。いま子供たちに親心で万全を期して親切にする、金に糸目はつけないのだ、そろばんを無視してやっているのだ。その気持ちは了といたしますけれども、そのことによって生ずる被害者はだれであるか。やはり行革をこれから本気でやるからには、この辺のところまで掘り下げて考えないと行革というのは取り組めないと私は思うのですね。総理いかがでございますか。
  30. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私は、吉田さんのお考えに賛成です。  いまのこの表を拝見してみますと、これがもし本当にそのとおりであるならば、ずいぶんむだをしているものだ。ごみの収集でも屎尿の収集でも学校給食でも学校警備でも、あるいはそのほかの施設の管理等においても大体半分以下でやってますね。私も大体こういうものだろうという予想はしておりました。しかし、いまこの数字を見せてもらうと――しかし政府の方も地方自治団体等にお願いして、民間委託をできるだけやるようにと、自治大臣もずいぶん勧奨しておるのです、学校給食は別ですけれども。そういう意味において、各地方公共団体も大分民間に委託してきて努力しておられます。ここにある、例を挙げた市はそういうことをやっておられる場所であります。そういう意味において、私はあなたの考えに賛成です。しかし、現実を直していくについては時間もかかるし、調和が必要ですから、そういう方向に努力してまいりたいと思います。
  31. 吉田公二

    吉田委員 さすがに総理は回転も速いし、判断も的確だと思います。要は、いかに厳しくそれを指導していただくかということでございまして、ここの国会の答弁だけでは事は前進しないと思うわけでございまして、私は本当に国家のために祈る思いで総理に、いまそう判断されるならば、関係各大臣を叱咜督励して、やれるところから民営委託をやっていく、こういうことをひとつ真剣に進めていただきたい、国民の名においてお願い申し上げる次第でございます。  次に、文部大臣に御質問いたしますが、開発行為に対する文化財の発掘手続について、これは私の奈良県でも多いわけでございますが、むしろこれは千葉県の町の例でもございます。  国の指導員が不足しているとの理由で、申請をいたしましても、半年、一年もかからなければそれを受理、そしていろいろと指導してくれない、調査してくれない、こういうことで地主らは困り果てております。御承知のとおり、開発していこうとするときにストップがかかるわけでございますから、これは地主にとっても容易ならぬ損害でございます。しかし、文化のために、国家のためにということでみんながまんして協力しておるわけでございますけれども、こういう事態の場合に、県は、急ぐならば資格ある人を紹介するので町で採用すればよいではないかということであった。それでやむなくその町はそういう指導員あるいは専門員を増員せざるを得なかった例がある、こういうことでございます。大変ささいな問題でありますけれども、これもこれからの地方の行革を進めていく一つの問題点だと思われます。大臣いかがお考えでございますか。
  32. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 いまの問題の前に、先ほど給食の問題がございましたが、現在民間に委託しておる学校もあるわけでございますが、これは何か文部省が阻止しておるような印象でいろいろ言われておる点があると思いますが、そういうことではなしに、これはまさに市町村の学校経営者、それからPTA、父兄、こういう人たちがこれでよろしいということになれば結構なことでありまして、先ほど来の表に出ておりますように、そんな安くてちゃんとできるものならば、それがいいに決まっておるのです。ただ、問題は人件費を父兄負担にするということがなかなか困難でありますから、その点はこちらで助成します。人件費が安くなれば結構なことであります。その点は申し上げておきたいと思います。  それから、いまの開発の問題と文化財の保護、これは両方から考えなければいかぬのじゃないかというふうに思います。  文化財は祖先伝来の文化の遺跡であり遺産でありますから、これはできるだけ保存しあるいは記録し、そして後世に残す、日本の文化を高める、こういう史料にしようということで進めておるわけでございますが、さて、日本はたくさんの文化財を埋蔵しておるわけでございます。現在指定されてやっておりますところだけでも一万数千件ある、こういうことでございますから、専門家でなければわからないところがある。そういう点で、それじゃそういう専門家を全部国で養成するかというと、そうもいかない。各地方公共団体、県等でそういう専門家を養成して備えてもらって、そして調査して文化財を保存するあるいは史跡に指定する、こういうことにしておるわけでありまして、率直に申し上げて、奈良県あたりはそれに応じられない、件数の多いところはなかなか応じられないという御迷惑をかけておるところがある。こういう点で、できるだけ国といたしましても文部省といたしましても、そういう専門家を養成するということで進めておるわけでございます。  ただ、それを置くのは行革に反するのだ、人員削減に反するのだと言われますと、文化財の保存とこれの関係はどうあるべきか、こういうことを考えなければならぬわけでありまして、私は、やはり必要なところは必要に応じて置くべきだという考えで、ただ減らしさえすればいいんだ、文化財なんか要らないんだよ、こういう議論にはならないのじゃないか、かように考えております。
  33. 吉田公二

    吉田委員 文部大臣でいらっしゃいますから私も余り失礼なことを申し上げませんけれども、私が申しておるのはそういう意味で申しておるのではないのです。  この千葉県の場合――奈良県ならば、これはどこを掘ったってそういうのがずいぶん出てくるわけでございまして、悩んでもおりますし、半分あきらめてもおりますし、国家のためにはやらなければならないと思ってみんながまんしておるわけなんでございますが、たとえば千葉県のような場合、たくさん出るのかどうか私も詳しくは知りませんけれども、例外的に出てきた。対応する体制が恐らくないと思うのです。どうにもならない。じゃ開発できない、どうすればいいんだ、それじゃ人を紹介してやるから町で雇え、町で雇ってすぐにやめろと言えますか。だから、その辺をどうするのだということ。だから、場合によれば、大臣おっしゃるとおり、文化財は大事ですから国でプールなさってもいいじゃありませんか。そういうことで金を惜しめとは私どもは言いません。必要な金は出さなければならない。しかし、同じ出した金をいかに有効に使っていくか、費用対効果の問題だと思うのですね。私はそういう意味で申し上げている。大臣、おわかりいただけるのでしょうかね。
  34. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 余談でございますが、私は長いこと国土開発の面にずっとタッチしておりました。至るところこの問題が起こるわけでございます。まあ二千年か三千年かの問題は別として、日本国じゅうに文化財があるんじゃないか。最近また何十万年前とか何百万年前とか出ます。  そういうことで、文化財を余り厳格にやりますと、日本国じゅう開発ができない、道路もできない、河川の改修もできない、こういうことになるおそれがありますので、率直に申し上げて、私は文化庁にも、余り文化財だけ言っておると日本国民は国土に対して何も手をさわれないようになる、ここまで言っておる人間でございます。千葉県の実情は存じませんけれども、そういう臨時に出たような場合には、国から専門家を出してやるということも考えなければならない、かように考えております。
  35. 吉田公二

    吉田委員 私も大臣のおっしゃることはわかります。何でも保存しなければならないということは本当に保存したことにならないと思うのです。これはもうなければならない、これはもう類似のものがあるからほどほどでよろしいとか、そろそろ文部省や文化庁の方でもその辺の一つの基準と申しますか見直しと申しますか、その辺もやっていただきたい。ともかく早く対応してやりませんと、何も文化財研究のために土地を開発しているのじゃないのですから、これはもう大損、致命的な場合もあるわけなんです。余り国や地方の対応がおくれますと、大変悪いことだけれども、もう出なかったことにしようとばんとブルでもかけてしまったら、それこそ文化財というのは滅びていくのですね。だから、その辺の対応についてはさらに親切に、しかもさらに効果を考えて処置していただきたい。  いま一つ、文部大臣にお伺いいたしますけれども、これも大阪府のある市の例だそうでありますけれども、公民館を建設した。ところが、その運営は基準どおりの人員配置が義務づけられております。しかし、最近、こうした大都市周辺におきましては、住民のニーズもかなり変わってまいりました。いわばお役所仕事の公民館よりも、むしろ普通民間人が参加した、そういう半官半民による運営の方がはるかにぴったり来る、こういう雰囲気であるようでございます。しかしながら、いろいろと補助の制約、基準等もありまして、それができなくて困っているという例を聞いているわけでございますが、この種の例は文部大臣としてはお気づきでございましょうか。
  36. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 公民館については吉田さん御存じだと思いますが、公民館は社会教育の機関でございますから、そこで公民館には館長、主事等を置いて、ちゃんと教育の場にふさわしいようにしなさい、こういう規定があるわけでございます。ただ、それを置かなければ公民館設置に対する補助を出さない、こういう条件にはなっていない、こういう関係にあることは間違いありません。ということで、これはさっきの給食の問題と似た出題があると思いますが、運営をボランティアなりちゃんとした教育機関にふさわしい運営ができれば、いまおっしゃったようなことをやることはちっとも差し支えない、かように考えております。
  37. 吉田公二

    吉田委員 大変ありがたい答弁だと思います。実はその辺のところがどこまで許されるのか許されないのか、恐らく文部省も、こういう場合にはやってよろしいというような指導までなさっていないと思います。だから、やはり下部に参れば参るほど、町村は県を、県は国をいわばある意味で恐れて、間違ったこと、よけいなことをしてはいかぬ、しかしこうしたいのだがと思いながら黙っている例が多いと思うのですね。しかし時代の変化に対応するために、あるいはまた、できるだけ小さい政府あるいは小さい地方自治体、しかも効率よいそういう政治を進めていくためには、こうした配慮が一層必要だと私は思うのです。  くどいようでございますけれども、もう一つ文部大臣に申し上げます。  これも千葉県のある町の例でございますけれども、この町は昭和五十二年度に公民館と商工振興館を複合施設として建設した。一、二階を公民館、三階を商工振興館とした。これは非常にいいことだと思うのです。ところが、その際、公民館補助金は使用面積比で算出され、これは当然と思われますけれども、公民館と商工振興館の出入り口を別にするよう指示された。したがって、商工振興館は裏口を入り口として利用するようにし、看板も裏口に掲げてこの件を解決した。こういう例があるそうですよ。笑い話のようでございますけれども、こういう実態なんですね。いかがでございます。
  38. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 千葉県の実情を私は詳しく知りませんが、そういうことは従来文部省ばかりじゃなくて各省にあったわけです。私はそういうのを憤慨している方ですから。役所というと、そういうところでございます。  そこで、同じ建物の中に両方から助成する場合がある。同じ建物に助成するというわけじゃないのですけれども、敷地等の関係で合同した建物をつくるという場合がある。そこで文部省なら文部省、厚生省あるいは労働省なんかもあります。そういうことで、入り口を別にしなさいとかいろいろな条件というのでしょうか、一般国民、利用する方から見ると不可思議な現象が起こってくる。  こういうことは相ならぬということで、もう数年前からは、お互い住民がいかに利用するかの問題ですから、利用ができるように、便利なように、有効に活用されるようにということで協議をして進めるということで、これは各省そうなっていると思いますが、数年前からそういう申し合わせをして文部省は指導しておりますから、千葉県にいつできたのか知りませんけれども、そういうことは今後はないものと思います。
  39. 吉田公二

    吉田委員 千葉県ではこれは五十二年度でございますから、少し前であります。  しかし、さすがに文部大臣は正直な方でございます。それが役所なんだとおっしゃいました。いや、本当にそうだと思うのです。これはしかし、お互いにそれを率直に認め合って、さてそれをどうしていくかということを、総理大臣が一人考えたってだめだと思いますね。皆さん方を初め全部、末端の役所の隅々の一職員に至るまで、しかもそれが中央官庁と意を通じて気楽にそんなことが話し合えるというようにしないと、こういう問題はなかなかに進まない、私はこう思うわけでございます。  厚生大臣にお聞きいたします。  石川県のある町の場合に、ごみ収集運搬のための機械車二十三台を持っている市でありますけれども、運転手一名、作業員二名で運行いたしておりますが、作業員の方はどうも一名でやっていけそうだということで一名にしようと思ったけれども、今度は従業員組合の方から、地方交付税算定基礎第四款清掃費の項で基準は運転手一名、作業員二名となっておるから、そういうことはできない、こう言われたらどうにもできなくて、結局改革はできなかった、こう言っておるのでございますがね。大臣いかがでございますか。
  40. 林義郎

    ○林国務大臣 吉田さんのお話のようなことは、私は現実問題としてあるのだろうと思うのです。そういった点は積極的に改めていかなければならない、こう思います。  先ほど総理からも御答弁がありましたように、いろいろな事業をしていくときに効率性というものを考えいかなければ、しょせんは皆の、お互いの税金に返ってくる話でございますから、私は、やはりその辺は十分考えいかなければならないと思います。ただ、ごみ処理の問題というのは汚いものを片づけるわけですから、やはりきれいにしてもらう、途中でこぼしたりなんかするようなことがありましたらこれは大変ですから、そういったことがないような業者にやってもらわなければなりませんし、それから一人、二人、こういうふうな話がありますが、私は一人、二人というのは、石川県のどこかよく知りませんが、田舎だったら恐らく私は一人でやれるのだろうと思うのですね。ところが東京の大都会で、それじゃ駐車をするときにどうするか、駐車をしたときに一人の運転手とまた別な人が要るのじゃないかとかいうような議論もあるのだろうと思います。そういったことを少し考えて、これは何か弾力的にやっていける方法を考えなければならない、こういうふうに思っておるところであります。
  41. 吉田公二

    吉田委員 いままさに厚生大臣がおっしゃるとおりケース・バイ・ケースだと思いますね。ところが、役所というのはケース・バイ・ケースになっていないのです。東京のど真ん中で決めたことを、全部日本一律に一斉にやらせようとするところに、こういう問題がずいぶん派生しておると思うのです。  これも、養護老人ホームと特別養護老人ホームを併設してある。その栄養士を兼務としているけれども、それぞれ一名置かなければいけませんというふうに指導された。だから栄養士一名分、平均給与として年間三百二十二万円余分に、千葉県のある市でございますけれども計上しなければならない、こういう事態もあるようでございますね。養護老人ホームと特別養護老人ホームと、それはスケールによりますよ。これもケース・バイ・ケースですけれども、私は、全部一人でいけなんてそんな乱暴なことは言いませんけれども、一人でいけるなら栄養士は一人でいいのでしょう。
  42. 林義郎

    ○林国務大臣 吉田さんのお話に私も全く賛成でございまして、一人でやれるものをなぜ二人置かなければならないかというのは、私らもわからない話です。ただ、形式的に特別養護老人ホームとその他のホームということになっているから一つ一つのところで置け、こういうふうな話になっているのだろうと思うのです。特別養護老人ホームとほかのホームと一緒にしてやっているところはだんだんふえてきております。だから、そういったところは事態に応じてうまくやるようなことを考えいかなければならない。先ほどから先生もお話がありましたように私も思っておるのですが、そういったものについても効率性というか予算のむだ遣いをしないという考え方は常にとっていくということは、私は必要なことだろうと考えております。
  43. 吉田公二

    吉田委員 そういうことで絶えず上の役所に気楽に問い合わせできる、そういう雰囲気をつくる指導は、そこにいらっしゃる大臣方がやっていただかないと、これはちょっと簡単に途中の人が始めるわけにはいきませんので、よろしくお願いしたい。  特に、これは国の縦割り行政が非常になじまない。今日私たち自身でもどうもおかしいな、理屈としてはわかっているんですよ。しかし、なぜ保育所と幼稚園が公立の場合に併設できないのかということでございますね。  時間もありませんので、余りくどくど申しませんが、この辺は、それは片方は厚生省だ、片方は文部省だと言えばよくわかります。しかし実態は、それは保育所と幼稚園とはいろいろその中身、対応の仕方は違いますけれども、しかし、一般社会から言えばこれはまあ隣近所、親戚づき合いでしょうね。似た者夫婦だと思うんですよ。すでにもう私立の場合には、幼稚園と保育所と併設して実にうまくやっているところが幾らでもありますね。なぜ役所だけがそれができないか。送り迎えも、あるいはお母さんが一人で一緒に妹と弟を送っていくというようなこともできます。迎えにもあるいは一緒に行けるかもしれない。そういうことを国民現状に対応して、私は縦割りは縦割りとしてわかりますけれども、しかし、そういう応用動作と申しますか、そういうものはそろそろ開かれてもいいのではないかと思うのですが。
  44. 林義郎

    ○林国務大臣 私のところの地元でも、町立で並べてつくっているところがあります。先生のおっしゃることも非常によくわかるのです。  ただし、これは基本原理が一つございまして、私からくどくど申し上げるまでもありませんが、保育所は、保育に欠ける乳幼児について市町村長が措置を行い入所させる児童福祉施設であるということになっておりますし、幼児教育を目的とする幼稚園とは目的、機能を異にする、こういうことでございます。五十六年の六月に、幼稚園及び保育所に関する懇談会というようなことがありまして、簡単には一元化できないという報告も出ておるわけです。出ておりますが、私は、やはり幼稚園との関係を考慮しながら、そういった原点を考えながら、いろいろなことはもう少し弾力的に考えていっていい話ではないだろうか、こう思っているところでございます。
  45. 吉田公二

    吉田委員 まあ、この辺は答弁は要りませんけれども総理、そろそろ時代の変化の中で、むしろ国民の側はぎごちないと思っていますね。何も必ず全部一緒にしろとは言いませんけれども、民営でちゃんと一人の園長でりっぱにやっていることが国でできないはずはない。しかし、国というのはそういうところなんだという観念がびまんいたしますと、私はやはり行革を阻害することになると思いますので、あえて申しておるところなんでございます。  農林水産大臣にお伺いいたしますけれども、農業試験場の研究員というのは、これはそれぞれ大学の先生の専門分野にいろいろとつながっております。それぞれのそういう学会に参加している人が多いわけであります。したがって、勢い応用研究よりも基礎研究に興味を持ちたがるというのは無理もない話ではあると思います。しかし、農業試験場というのは基礎研究をやるところではありませんね。むしろ農家の実態に役立つような応用研究をするのが主たる任務であると思うのです。にもかかわらず、そういう若い農業試験場の研究員の方々が、これはちょっと私は極端な例で笑い話のようで失礼でございますけれども、たとえば蚕は生まれてから死ぬまで何キロメートルぐらい運動するかとか、繭は西を向いてつくるのか東を向いてつくるのかというようなことを研究なさる方もいらっしゃるそうですよ。これには農家ももうやりきれぬと言うんですね。そんな役に立たない試験場ならない方がましではないか、私はこうなってくると思うのですが、これがもしも実態であるとするならば、農林大臣、困ったものでございますね。
  46. 金子岩三

    ○金子国務大臣 ただいまの御指摘が実態であるかどうかは、私はまだ調べておりませんけれども、ただ、試験場のあり方についてはいろいろ問題があろうかと思います。私どもも、吉田委員が言わんとするところはよく理解できます。いろいろ国に試験場があり、県は県に試験場がありまして、同じようなことを両方でやって、似たような点も幾つもあるようでございます。こういった面はやはりこれからひとつ合理的に善処していかなければならない、かように考えております。
  47. 吉田公二

    吉田委員 まあ、あり得る話の実例であったと思います。そういうことになりませんように、これはやはり絶えず適確な指導を各機関が行っていただかなければなりません。  くどいようでございますが、あと一つ二つ建設大臣にお聞きいたします。  これは大阪府のある市の場合でございますけれども、国から押しつけではないけれども、モデルケースとしてコミュニティー道路、ジグザグ車道で車がスピードが出ないよう歩車道を区分した道だそうでありますけれども、そういう道をつくった。ところが、国庫補助対象になる構造にすれば、それは国庫補助をもらう方がいいわけでございますから、そういう構造に持っていこうとするならば、車の歩道乗り入れ禁止ブロックを設置しなければならない。ところが、このブロックは盲人の方々にとっては非常に危険な施設である。盲人の方々からは殺人道路と言われている。しかし補助基準に合わないので、一応は基準どおり築造して、国の検査が終わって、それからやっと時間を置いてブロックを取り外すことにしようと思っている、こう言うのですね。この辺もやはり役所の仕事の最たるものだと思うのですが、建設大臣、ついでに伺っておきます。  私はいつも思うのですが、たとえば国道で橋のかけかえなんかなさいますね。当然車は通さなければなりませんから、実にりっぱな一時的なバイパスと申しますか、一時通行するそういう道をちゃんとつくられますね。これは完璧な舗装をなさいますね。それでちゃんと橋がついたら、今度は完全にそれをぶち壊して、もとのたんぼないしは畑になさるわけでございますね。それは貸し主が、地主が原状に戻せとおっしゃれば、それはもうそうする以外にないと思うのです。しかし、いまや休耕、転作の時代でございましょう。場合によって地主が、もうせっかくそこまでりっぱにできたのだからそのまま置いてくれませんか、私は私なりにちょっと使い方があるのですというような場合、それは認めていいんじゃないかと思うのですね。あるいは将来道を広げる場合には、それはそのまま道に提供されるわけでございますね。  この辺も型どおりの硬直した行政ではなしに、少し運用の妙を発揮するというようなことをなさってもいいんじゃないかといつもひとり考えているのでございますが、いかがでございましょうか。
  48. 内海英男

    ○内海国務大臣 コミュニティー道路のことにつきましてのお尋ねでございますが、この道路は大阪府の高槻市だったと思いますが、五十六年の補助事業でやりまして、御指摘のような問題がございました。したがいまして、車乗り入れをとめるためのブロックを取り外して、盲人誘導用のでこぼこしたブロックを張りつけて、車乗り入れブロックにかわっては植樹をしようというようなことでいま具体的に取り組んでいるようでございます。  それから、もう一点の橋等のかけかえにつきまして、別なところに仮橋をかけて工事を進めるということでございますが、橋の点につきましては、従来から既存の橋に対して道路ができておりますので、どこまでも仮橋というのは曲がった形でわきの方から通っていくという形になりますので、やはりこれは仮橋は仮橋でございますので、新しいりっぱな橋ができれば仮橋は撤去する。そういうことにいたしませんと、仮橋がりっぱにできているとおっしゃいますけれども、やはり鉄鋼等を使いまして取り外しが比較的できるように、しかも舗装等もやっておりますけれども、これはあくまでも現在の交通が重量トン数のものが多いわけでございますから、素人が見れば大変りっぱだということに相なるかと思いますが、これはりっぱな橋ができれば撤去した方がよろしいのではないか、こう思うわけでございます。
  49. 吉田公二

    吉田委員 橋は撤去すべきなんですよ。ただ、橋に誘導する別の道があるでしょう。それを全部ぶち壊して、またたんぼか畑に戻すんでしょう。それはそれでいいのですけれども、私は、そのままそこへ店を出したいとか、あるいはちょっと子供の駐車場にしたいとか、いろいろな場合もないとは限らぬと思うのですね。私はそのことを言っているのですが、答弁はいいです。  もうくどいようですからやめますけれども、これもひとつ聞いておいてください。  これは、文部省と労働省と厚生省と三つの省にわたる縦割り補助をもらって複合施設をつくった場合、山形市の福祉文化センター、昭和五十五年オープンでありますけれども、公民館は文部省ですね、それから老人憩の家は厚生省と県、それから身体障害者センターは厚生省、働く婦人の家は労働省、こういう四つの種類のものが同居してりっぱな文化センターができたわけなんです。しかしながら、縦割り行政のもとで補助をもらうために、図書館と事務室がそれぞれ四つずつあるそうですね。それで、図書館は使っているのは一つだそうですね。行政管理庁長官、私はこれはむだだと思いますね。この辺のところ、なかなかすぐにはどうにもならないとは言っておれませんので、ひとつ総点検をやってもらってもいいのじゃないでしょうかね。よろしくお願いいたします。  私は、ここであえてこういうことを申し上げましたのは、先ほどからも申し上げておりますとおり、やはり少しでも合理化できるものは、節約できるものはしていかなければならない、そういう積み重ねが行革を成功させることだ、私はそう信ずるからでございます。同時に、こういうことがそれぞれできるということになってまいりましたならば、市長も一職員もみんな、行革におれたちはおれたちなりに参加しようという気持ちになってくると思うのですね。意欲と関心がわいてくると思うのです。そういう国民総参加の体制ができてこないと、私は、本当の行革、「増税なき財政再建」なんかできないと思うのですね。  それから総理に申し上げますが、わが党の竹本孫一代議士などは、絶えず行革行革デフレを伴いますよと。それは、心理的にやはりそういうおそれはあると思うのです。よくそのことを竹本代議士は私どもに御指導くださっております。一方、確かに人員削減します。生首は切りませんけれども、だんだんに自然減を待って補充を少なくしていく。しかし、それはいかに自然減でありましても、やはり失業者を押し上げていく要因にもなると思うのです。潜在、顕在は別として、そういう失業者を今度は役所に吸収できないわけでございますから、それを民間にどう吸収していくかということが非常に大事だと思うのですね。  私は、そういう意味でやはり民営委託という面は、この行革を行っていくときに絶えず伴わなければならない、配慮しなければならない重大な一つの問題点ではないか。しかも、行革というのはデフレを伴うおそれがありますので、そうさせない意味で、絶えず景気を刺激しなければならない。私は、その重要な柱がやはり減税だと思います。だから、できるだけひとつ減税をして刺激をし、民間委託をふやして活力を出させて、そしてみんなが税金を納めていく、そういう一つのサイクルをつくりませんと、行革といったって、ただ押しつけや強制だけででき上がるものではないと思いますけれども総理いかがお考えでございますか。
  50. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 そのお考えには賛成でございまして、そういう方向で政策を進めてまいります。
  51. 吉田公二

    吉田委員 結構でございます。  次に、地方公務員の給与と退職金の問題について質問をいたします。  各府県の人事委員会がございますけれども、これがほとんど同じ内容の勧告を最近行っておりますね。同じ水準の勧告で、ほとんど変わりませんことに自治大臣は気がついておられるかどうか。また、九月の八日と九日に指定都市の人事委員会の給与勧告が出そろったわけでございますけれども、これら指定都市の勧告は、国の改定率六・四七を若干下回っております。六・三ないし六・四五%でありますが、これはもうほとんどイコールでございます。これらの都市のラスパイレス指数は平均一〇九・四でございまして、すべての市が国の給与水準より上回っているということは、皆さん御承知のところでございます。にもかかわらず、ほとんど国の人事院勧告の率と同じような率を勧告してくる、これは正常なんでしょうかどうでしょうか、自治大臣にお伺いいたします。
  52. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 地方公務員の給与あるいは退職手当につきましては、私は、徐々ではありながらだんだんと是正されつつある。これは、給与につきましても、昇給の延伸であるとかわたりの是正でありますとかあるいは初任給の是正でありますとか、そういうので、徐々ではありますけれどもラスパイレスはだんだんに下がり、非常に高い地方公共団体もだんだんと少なくなってきているという現況にある。それから退職手当につきましても、これは国家公務員並みということで最近大分是正もされてきたと思いますが、しかし、なおまだ相当に高い地方公共団体もございますので、これらについては、今後とも指導をしていきたいと思っておるところでございます。  そこで、ただいまお尋ねの人事委員会の勧告でございますが、それぞれ、やはり高い給与の地方自治体の人事委員会は、そういう高い給与を踏まえた勧告をしていただきたい、そういう認識をひとつぜひ持っていただきたい、ただ漫然と人事院勧告を一応敷き写しをしたような勧告でないことを私ども願い、そういう指導をしてきておるのであります。  確かに、おっしゃるような実態のあることは私どもも承知をいたしておりまして、今後とも地方公共団体の給与問題についての大きな関心の中で、ぜひ人事委員会もそういう認識を持っていただきたいと思っておる。最近、御存じのとおり、納税者である住民が非常にこの問題について関心を持ってきております。私は、やはりそれをバックに、議会もそれぞれの機能を十二分に発揮していただきたい、また同時に人事委員会も、そういう本来の機能をひとつ発揮していただきたい、こう願い、そういう指導を今後ともしていきたいと思っておるところでございます。
  53. 吉田公二

    吉田委員 かなり自治大臣の御認識は甘いですね。最近かなり是正されてきた、わたりもだんだんなくなってきた、こうおっしゃっていますけれども、もはやわたりは必要でなくなったのですね。  これは、ある市の給料月額表でありますけれども、いままでは、四等級の人が一定のところで、あとは非常に昇給が鈍化してまいりますから、だから何らかの理由をつけたりして、役職につけるつけないは別として三等級に移る。すうっと段階を登っている者がエスカレーターに乗っていく、そしてまたある段階で今度は二等級にしてエレベーターに乗せていく、こういうやり方がありまして、これはけしからぬということで、いま大臣おっしゃったとおりわたりをやめろということを言ってこられたわけであります。  ところが最近、あちこちの給料表を見ますと、すでにわたる必要はありません。たとえば、軽易な業務の四等級は別として、これは当然主任や主事の三等級にある段階でなりますね。そういたしますと、こういうふうにずっと下まで表があるのです。しかも、この表の上がっていく額というのは、全部全く一緒なんですね。だから、部課長の上がり方もあるいは係長の上がり方も、主任も主事も全然一緒なんですから、もはやわたる必要さえなくなった。このままでいいのですよ。そして、ずっといくということでございまして、たとえば三等級の三十二号給というものは二等級の二十号と一緒でありますし、一等級の十六号と全く一緒なんです。だから、わたりというふうなものはもう古くなっているのですよ、大臣。わたる必要さえなくなってきておる、こういうことでございます。  これは、もはや職務給の片りんもとどめておりませんね。まさに年齢給そのものです。要するに、何歳で入って何年勤めたかということだけで全部決まっていくわけでございます。何をか言わんやと言わざるを得ないと思うのです。こういうような通し号俸というのは現在何団体ぐらいあるか、あるいはいつごろからこうなったのかということをお聞きいたします。
  54. 坂弘二

    ○坂政府委員 ただいま御質問の、給料表の仕組みそのものがわたりと同じ、つまり等級に関係なく間差額が同じになっているという問題でございますが、このような給料表を採用いたしております団体がどのくらいあるかと申しますと、これは、給料表は非常に細かいものでございまして、これを一々間差額を調べなければなりませんのでわかりかねますのと、そのような傾向のございますのは非常に市に多いわけでございます。市に多うございますので、これは県の地方課の方で直接には指導いたしておりますので、ただいまその正確な数字は持ち合わせておりません。     〔委員長退席、海部委員長代理着席〕
  55. 吉田公二

    吉田委員 ひとつこれについては関心を持って、いろいろ調査を始めていただいても私は決してむだではないと思うのです。これからの地方公務員の給与のあり方、これは基本的な問題でございますから。  一つの例で申し上げます。越谷市のある中学の校長さん、これはもちろん男性でありますけれども、五十六歳、大学卒で在職三十五年であります。この人の月給は、本俸が三十七万四千九古円、諸手当が約五万円、ボーナスは百八十九万二千百二十円、その内訳は四・九カ月プラスアルファ、こうなっているのですね。大体おわかりいただけると思います。ところで、同じ町のある用務員、これは五十九歳の女性であります。だから、校長さんより三つ年上であります。この女性は高等小学校卒、在職は二十七年ですから、校長は三十五年ですから、五十九歳から二十七を引きますと、恐らく三十二歳ぐらいで子供を産み終えて用務員になられたのではないか、これは想像するわけなんですが、この女性の月給は本俸三十八万三千七百円、校長さんより多いのですよ。諸手当約五万円、これはイコールでございます。ボーナスは二百三万五百四十円、これも校長さんより多いのですよ。四・九カ月プラスアルファ、内訳は一緒です。こういう実態なのです。  私は、何も女性だから給料が低いのが自然だ、そんなことは言いません。しかし、まあまあ常識から考えまして、どちらが給料が上かと言えば、これは社会的にも校長の方が上でなければならないと思います。そうでないと、やはり社会の秩序というのが、これは専門職ですからね。  私は、そんなことがどうしてできるのかと思うと、やはり先ほどの通し号俸のこういう給料表でさっといってしまえば、こうならざるを得ないのです。これは、私は心配でございます。ちょうど、主人がいない間に番頭と手代が全部山分けしようじゃないかと言っているようなものでございまして、主人とはだれかといったら国民なんです。住民なんです。これはわからないのです。だから、こういうことになっていくとするならば、私はそら恐ろしいと思います。  したがって、自治省は、地方公務員の給与や退職金、この退職金も武蔵野市の場合余りにも有名でありますけれども、何も武蔵野市に限ったことではないようであります。地方公共団体の自主的努力によるべし、自治省は絶えずそうおっしゃっております。したがって、この種の立法措置は必要でないとおっしゃっております。しかし、何回も退職金の是正やあるいは高額給与是正のための特別通達を自治省が出されましても、まさに馬耳東風ではありませんか。だとするならば、好まないことではあるけれども、立法措置もいつかの段階で必要ではないかと思うのでございます。  総理、ちょっと中座なさっておりましたけれども、回転の速い総理でございますから、大体私の言っていることはおわかりいただけると思うのですが、ちょっとこのままではどうにもならないのじゃないでしょうか。
  56. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 憲法で「地方自治の本旨」という明文がございまして、地方分権と申しますか、自主自律と申しますか、その精神はやはりわれわれは守っていかなければならぬと思うのです。  結局、条例によりまして各市町村、府県がおのおの自主的に住民の意向をそんたくして決めるべきものであって、もしそれが住民の意思に反することがあったら、これは住民の請求権の行使によるとかあるいは議会がそれに対して対応するとか、いろいろな面で自主自律的にやるのがやはり最も好ましい。しかし、それでも動かないという場合には、今回の武蔵野市の場合のように住民の決起あるいはジャーナリズムがこれに義憤を感じてキャンペーンを張るというようなことで結局は征伐された、そういうことがあります。  私は、これはやはり好ましい現象であって、中央が余り干渉統制することは、そのケースだけに限ってはよさそうですが、そういう風潮が生まれることはきわめて危険である。また、地方が自分たちで手に負えないことは結局中央に頼むというような風潮を選ぶというと、これまたよくない。  そういう意味において、あくまで住民の自主自律というものを中心に物を考えていって、そして自治省がそのいろいろな例を引きあるいは総合的、包括的な指導を行いまして、その指導を強くやっていく。もし指導を言うことを聞かないというところがあったら、これは起債を制限することもやむを得ない、あるいは交付税をいろいろ考慮して、それだけ金があるならお金要らぬでしょうと言って、中央から出す金を思い切って削減する。そういうような果断な措置をやることが好ましい。法律をつくるということは、私は余り感心いたしません。
  57. 吉田公二

    吉田委員 総理のただいまのお説は、民主主義の原理から申しましてもそうあるべきだと思いますし、そうありたいと思います。しかし、事態はなかなかにわれわれの思惑とはかけ離れた、どうにもならないところにのめり込みそうな状況にある。自治大臣の最初の御説明などは、だんだん是正されてまいりましたとおっしゃっておりますけれども、私どもはそのような事情にないと思わざるを得ないわけでありまして、やはり一層の指導といいますかリーダーシップを発揮していただいて、そして議会にも私たちも呼びかけます。地方議会にも呼びかけて、お互いに姿勢を正していくということにしたいものだと思います。  次に、国家行政組織法の改正について御質問いたします。  局以上の改廃について、いままで法律事項であったため社会の変化に対応して行政機構の再編がおくれたという例がありますかどうか、行管庁長官にお聞きします。
  58. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 具体的な例ということになりますれば政府委員に答弁させますが、今日までの例を見ますと、国会等の御都合によって継続審議になったりといったふうな例がありまして、成立がおくれたという例はあることはあるわけでございます。
  59. 吉田公二

    吉田委員 総理、この国家行政組織法の改正につきましては、お互いに行政の側とわれわれ国会の方とに、若干の相互不信があると思うのですね。法改正にゆだねるならばなかなか国会の事情で思うようにいかない、そんな例はないとは言えないと思います。だからこの際、行政機構の再編はある部分はもう政令にゆだねてもらいたい、私たちで時期を見て変化に応じて当意即妙にやっていきます、こういう気持ちだと思うのです。ところが、われわれ議会の方から見ますと、そうは言ってもそんな役所だけに任せられない、もともと官僚の人たちだから何をするかわからぬという、やはり不信がないとは言えないと思うのです。この辺をこれからどうするかということがきわめて重要な問題だと思います。  私は、そういう意味で、局以上の改廃について政令にゆだねられることは、決して悪いことだとは言いませんけれども、しかし、いま申しましたような意味で、それが絶えず国会の方でチェックされなければならない、国民の意思を代弁する国会の行政に関する監督権というものは絶えず確保されていなければならない、これはまた私どもの責任でもあると思います。総理は、この辺のことにつきまして、ただいまどのようにお考えでございましょうか。
  60. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 中央官庁の組織等につきまして、時代に合うように直したいという気分は各省庁にも実はあったのであります。私も閣僚を何回かやりまして、そういう空気をよく察知しております。ところが、たとえば国会へ出しますと、内閣委員会等は非常に込んでおる。防衛立法その他がまくらになって、なかなか進行せぬということもあります。実際それは現実の問題である。したがって、ついおっくうになってしまって、そしてそういう改革法案を出すことをちゅうちょしてしまいまして、各省庁にすれば、ほかにまた大事な仕事がありますから、省庁の仕事をそっちへとられてしまうというのじゃ困る、そういうようなのがわれわれが見た実態であると思います。結局、ついおっくうになってしまって改革を怠るというのが、正直、私たちが観測したところでございます。それがいいとは思いません。いいとは思いませんけれども、現実はそういうことであります。  そこで、この大きな時代の変化に適合した改革を各省庁が自主自律でやらしていただく。各省庁が自分でこれが一番いいと思ったものを出すことが、やはりわりあい能率的なやり方になると思うのです。そういうことを促進するという意味が一つございます。  もう一つは、戦前の国会と比べまして、今日の国会は物すごい大きな力をお持ちでございます。それで、たとえば国会の開会にいたしましても、私、所信表明で申し上げましたが、明治二十三年から五十七年間に九十二回でしたか、戦後は三十八年間に実に百回にも及んでおる。国会の回数それから会期の長さ、それから国政調査権の発動あるいは質問の活発性、こういうようなものから見ますと、完全にコントロールは行き届いていると思うのです。むしろ、各省庁のこと等に関しましては、戦後これだけ年数がたっていますから、その省の役人よりも国会議員の皆さんの方が詳しいという方もずいぶん多いし、エキスパートが多いわけでございます。  そういうようなところから、総定数だけ決めていただいて、その内部のことは自主自律で各役所がやれ、しかし国会には年じゅう連絡して監督を受けろ、そういうような御趣旨のやり方でやっていただいてもはや十分ではないか。それぐらい国会の力というものは出てきておりますし、また仕事にも精通していらっしゃる、そういう気持ちがいたしまして、その時代に合うような各省庁の再編成をできるだけやらしていただく。  これは、定員法ですでにそういう先例がございまして、総定員については国会ががちっと握っておるが、その範囲内において、各省庁の配分やらあるいは内部の都合については各省庁でおやりなさい。たとえば、農林省のいろいろな統計調査とかあるいは米の検査員とか、そういうものが少し余っていれば、それをこっちに持ってきなさい、そういうふうにやらしていただく。これがやはりいまの人間の使い方をかなり有効にやらしていただいていると思うのです。  それと同じような意味におきまして、局や部につきましても、その上限だけはがっちり抑えていただいて、内部はわれわれにやらしていただいて、しかも常時監督をしていただく、そういうやり方にぜひ変えていただきたいと思っている次第であります。
  61. 吉田公二

    吉田委員 いろいろ事情を知っていらっしゃる総理でございますが、多少問題発言もあったと思いますが、それは別といたしまして、政令で自由濶達にやられるということ、それが非常に効率のいいスムーズなやり方だと思いますが、一つ間違えば、これはやはりもろ刃のやいばでございますね。だから、その辺をわれわれ国会は絶えず総括的にチェックしていなければならない。私は、そういう意味で、政令が出される以前に国会に報告するというような義務づけ等が必要だと思いますが、これはまた後刻論議をいたしたいと思います。     〔海部委員長代理退席、三塚委員長代理着席〕  ここで私が申し上げたいことは、官房、局の上限を現状追認の百二十八から、将来やはりもっと積極的に切り込んでいくべきではないか。一応、百二十八の現状、これよりはみ出さない、それはよくわかります、そうでもしないと不安でございますから。しかし、とかくそうすれば、百二十八まではいいんだ、こうなりがちなきょうまでの経緯がございますので、その辺はやはり、五年先にはここまで削減していきたいというようなことを行管庁はお考えにならないか。あるいは、部の設置の上限を設けられていないという点は大変心配であります。官房、局にかわる形で、部の増設で行政機構が膨張したという例は過去に何回もあるわけでございます。だから、やはり官房と局の上限を定めると同時に、これを一方で切り込む。さらにまた、部の上限もこの際定めておかれる必要があるのではないかと思います。  先ほど総理のお話にありましたけれども、また英国のマネジメントレビューという方式もあるようでございまして、定期的な見直しという制度を導入することは、そろそろこの辺でわが国もいろいろ検討していい時期に来ているのではないか考えますが、先ほどの点で行管庁長官の御意見いかがでございますか。
  62. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 局につきましては上限規制をいたしたいと考えておるわけでございますが、その上限規制は、これ以上ふやすことはできませんよという政府の意思であり、その法律が通りますれば国会の意思でございますから、これ以上ふやせないという効果、そのほかに、やはり上限を設けたということは、その範囲内においてできるだけ縮減するような努力をする必要性があるということを示唆しておるものであると考えておりますから、百二十八という現状に固定をすることなく、将来とも改革を進めていくという必要があると私は考えております。  なお、部の問題でございますが、部は、もうすでに御承知のように、局の中の仕事を一部扱うという下部機関と申しますか第二次的な機構でございますから、私は、これまで上限の規制をする必要はないと考えております。しかしながら、上限の規制はないにいたしましても、今後ともそれを縮減していく、減らしていくという努力はすべきだと私は考えておりますから、スクラップ・アンド・ビルドの方式によって部の増設を抑える、さらにまた縮減をしていくという努力が必要ではないか考えております。  それから、最後のお尋ねでございますが、やはり行政というのは、そういうふうなある程度の組織の弾力性による規制ということを必要といたしますが、同時にまた、官庁が自分の所掌する業務あるいは事務、そういうもののあり方、執行の方法、先ほど来いろいろお話がございましたような業務なり事務のあり方、執行のあり方、そういうことについて常時自発的に見直していくということ、これが一番大裏なことだと考えております。臨調答申の中におきましても、恒常的な自己革新が最も必要である、それなくして行政改革はないよということを言うておるわけでございますから、そういうふうな定期的な見直しということは絶対に必要であると、私はかように考えております。
  63. 吉田公二

    吉田委員 次に、総務庁構想についてお伺いしたいのでございますが、ちょっと時間もございませんので、また他の委員に譲るといたしまして、率直に申しまして総理、今度の総務庁は、一足す一は一・五足す〇・五というような感じがしてならないんですね。いろいろと考えあってのことだと思います。推移をよく見守りたいと思うのでございますが、しかし同時に、総理は、本会議で私の質問に対しまして、総務庁設置以後中央省庁の統廃合計画についてどうなさるか、こう御質問いたしましたときに、国土庁と沖縄、北海道両開発庁、この統合のことを答弁なさいました。だとするならば、それはいつごろをめどとしてなさろうとするのか。いわゆるポスト総務庁ですね、これからの省庁の統廃合についてお考えをお述べいただきたい。
  64. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 時代は非常に激しく変化もしておりますし、新しいいわゆる高度情報化社会というものが出てまいりますと、交通、通信、運輸あるいは国民生活全般にわたって大きな変化が来ることは当然予想されます。行政もそれぞれに対応したような姿勢をつくる必要があると思いまして、総務庁設置以後さらに中央省庁の再編や統合や簡素効率化の問題につきましては積極的に検討を進めていく考え方でございます。  それから、いわゆる三庁統合と言われた問題につきましては、沖縄開発庁というものは、沖縄の特殊性、重要性という問題からある程度慎重にやる必要があると考えます。また国土庁というものも、いま四全総をこれからつくるという段階になっておりまして、そういう諸般の情勢から、これは一種の連絡協議会のようなものをつくって、そして共通部分につきましては事務の調整を敏速にやれるようにしたらどうか、そういう考え方を当面持っております。
  65. 吉田公二

    吉田委員 次に、国鉄の共済年金の統合問題についてでございます。  国鉄の共済年金がずいぶん苦境に立っていること、それはお互いに周知の事実でございます。だから、きのうもいろいろ大臣の答弁がありましたとおり、似た者夫婦じゃないか、ひとつ電電とそして専売とで一緒にやっていかいか、こういうことでございます。ところが、普通に統合して現状と余り変わらないようならばそれは一つの方法でありますけれども、特に電電の場合現在の掛金を六五%引き上げて、そして千分の八十五になさろうとしております。これは耐えられないことです。われわれは、だからといって絶対反対しているわけではありません。これは全電通労働組合の方々の意見でありますけれども、絶対反対しているわけではありません、しかし、単位共済年金としての単独運営を確保してほしい、それから既裁定の年金受給者の既得権を守ってほしい、それから、国鉄共済年金の財源問題については国で責任をとるべき分野がございますので、国による措置を原則としながらも、各共済組合からの資金対策についてはいろいろと私ども努力するから、さらにひとつ合意ができるように検討してほしい、こうおっしゃっているんですね。私は、同じ労働者の連帯意識としてもこれは本当に尊敬すべきことだと思うのです。しかし、いま政府がお考えになっているようなことでは余りにも乱暴過ぎると思うのですね。これが問題の一つであります。  それから、国鉄にしても電電にしても民営・分割という線が臨調の方で示されていることはお互いに承知いたしております。しかし、これがある日同じ時期にさっと民営・分割になるかといったら、そううまくはいかないと思うのですね。いま年金を統合しても、あるその一つは民営になった、あとはならない、この状況は整合性を欠きますね。この辺をどうお考えなんでございますか。時間がありませんので簡潔にお答えいただきたい。
  66. 林義郎

    ○林国務大臣 年金一般論の話でございますから、それぞれの担当大臣おられますが、便宜私からお答え申し上げさしていただきます。  いろいろと統合していかなくちゃならない、将来的には全国民一本の方向に持っていくというのが大方針でございまして、きのう来お話し申し上げております。まず似たもののところから、わりと近い性格を持ったものから統合をしていこう、こういうことでございます。いろいろと電電の方の御要望などもあるということも私らも十分承知しておりますが、やはりこれはやっていかなければ解決がつかないだろう、こういうふうに思います。  そこで、質問趣旨は、将来民営になるあるいは官営になる、官営と申しますか公社になる、それはおかしいのではないかということですが、私は、必ずしもそこはこだわらなくてもいい話ではないだろうか。要するに、公社とか国家であるから共済であるとか、あるいは民間であるから全部というような話にこだわらなくてもよろしい点はたくさんあるのだろう、私はこう思います。そういった意味で、一元化の方向につきまして大方針を決めたならば、その中でいろいろと問題を具体的に現実的に考えていくというのがいまわれわれが持っているところの考え方でございます。
  67. 吉田公二

    吉田委員 ちょっとそれは粗っぽ過ぎると思いますね。いずれみんな一緒になるのだから、どこから一緒になってもいいじゃないか、「われても末にあはむとぞ思ふ」というけれども、それは一緒になった方はいま申しましたように一挙に掛金が六五%も上がるのですよ。そういうことをあえて強いるというのには、やはりもう少し説得力ある説明や準備が必要だと思います。  国鉄総裁がお見えいただいているようでございますが、国鉄の場合の合理化でも、国の行革も一緒でありますけれども、どうしてもやはり弱いところいじめに終わってしまう傾向なしといたしません。今度は国鉄は貨物の取り扱いについて抜本的な再検討をなさっているそうでございますけれども、貨物駅は日本じゅうで幾つお残しになるのか、これからお聞きいたします。
  68. 高木文雄

    ○高木説明員 五十七年度末現在で八百四十八の駅がございますが、私ども計画では四百五十余りにいたしたいというふうに考えております。
  69. 吉田公二

    吉田委員 四百五十も残りますのに、わが奈良県は、百分の一の単位でありますけれども、今度はゼロにしよう、これは知事初め県民感情が承知いたしません。そういういままで一向に指導もせずに、予告もせずに、たまたま量が少ないからやめましょう、必要ならちゃんと貨車一台分用意して持ってきなさい、大阪まで持ってきなさい、国体もあるときに本当に県民感情としておさまらない現状でございますよ。やはり国鉄というのはもっと配慮しながら努力しながらやっていかないと、宅急便の精神を少しは見習っていただかないと、これは将来なお憂うべき状態になるのではないかと私は思わざるを得ないわけでございますが、その辺御再考いただけますか。
  70. 高木文雄

    ○高木説明員 今回の貨物の取り扱いの変更は、百年近くやってまいりましたヤードを中心とする輸送を全廃するということでございます。ヤードの仕事をやめるというためには、駅の数が少なくないとうまくいかないわけでございまして、そこで、主要駅については年間二十万トン以上の扱いのある駅、それから拠点駅でないところは十万トン以上のところは今後とも続けて駅としてやっていくということを大体の目安として決めたわけでございまして、県によって幾つとか地域によって幾つとかいうことでなしに、全体を見まして駅ごとの扱い量によって判断基準を決めておるわけでございます。  奈良県において駅がなくなるということで大変県の方に御迷惑をおかけすることになるわけでございますが、現在奈良県の陸上輸送の〇・三%しか御利用いただけてない状況でございまして、これはやはり県単位で物を見るよりは駅ごとの扱い量で見ざるを得ないのではないか考えておるわけでございまして、ただ、それにしても現に御利用いただいている部分について御不便をもたらすことになりますので、コンテナリゼーションということをいろいろいま全国的に考えておりますので、そうしたことを通じて御不便は来さないようにいたしたいと思っておりますが、駅をやめることだけはお許しを願いたいと考えております。
  71. 吉田公二

    吉田委員 納得ができませんが、時間が参りましたので、重ねて再考を促す次第でございます。  私の質問はこれで終わります。
  72. 三塚博

    ○三塚委員長代理 これにて古田君の質疑は終了いたしました。  次に、中路雅弘君。
  73. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、具体的な質問に先立ちまして、行政改革についての基本的な考え方を少し述べてみたいと思いますが、最も早くから、また最も一貫して、国民の立場に立って、腐敗や浪費をなくして公正で簡素で効率的な行政を断固やるべしと私たちは主張してきました。  九年前に田中金脈が政治を揺るがしたときに、田中角榮議員あるいは小佐野賢治氏が組んでペーパーカンパニーをつくって、建設省を巻き込み膨大な利益を手中にした虎の門事件あるいは鳥屋野潟事件、信濃川河川敷事件等を追及し、政界、財界、官界の癒着を暴露してまいりました。  いま、むだ遣いの典型と言われているあの欠陥の原子力船「むつ」、国会では百回以上この問題を取り上げて追及してまいりましたが、いまでは自民党の中でさえこれは廃船にしろという声も上がっているではありませんか。  四年前ですか、大平内閣のとき、一般消費税が出されたときですが、電電公社や鉄建公団あるいは大蔵省、環境庁などの官庁ぐるみの汚職や腐敗、こうした問題も追及してきたわけです。  昨年、三井建設の内部文書をもとにしまして、建設、土木大企業が政治家やあるいは高級官僚に働きかけて悪質な談合入札をやっていた実態、国民の血税がこうして公共事業を食い物にしているという実態も取り上げてまいりました。  また、私たちは、こうした摘発、追及というだけではなくて、この政界や財界や官界の癒着を断ち切って、浪費やむだをなくしていく、そのためには企業や団体からの政治献金を禁止をすること、高級官僚の天下りの規制をもっと強化する、公正取引委員会や会計検査院の権限を拡充する、あるいは悪質な談合入札の防止の具体策を繰り返し提案をしてきました。国民に身近な、開かれた行政にするために情報公開法案国会にも提出してまいりました。  総理臨調ができて二年半経過をしましたけれども国民世論が最も強く求めている、こうした腐敗や浪費、むだ遣いをなくして行政を民主化していく、こうした問題が実際に具体的に前進をし、メスが入れられてきたでしょうか。  たとえば高級官僚の天下りの問題ですが、役員の肩書きさえつかなければ中央官庁を退職後すぐに顧問という名目で大企業の中枢に座って、官庁機密は筒抜けで、顔をきかせて公共事業の発注をとってくる、これがまた汚職、腐敗の温床にもなっているわけです。全く野放しの状態ではないですか。また、国民にすべてマル秘の行政ということではなくて、要求していますこの情報公開法について、いつになったら出されるのか。私は、まず最初に、具体的にこの二つの問題、天下り高級官僚の規制を一層強化する問題、もう一つは情報公開法の問題、いずれも議員立法として提案をしている問題ですが、最初に総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  74. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 情報公開の問題は非常に大事な問題でございまして、特に行政に対する信頼性ということからいいまして、この問題は前向きに検討すべきであると考えておりまして、行管庁の中におきましても、各官庁の総務課長、課長級程度の方々にお集まりいただきまして研究会を設けて検討いたしておるわけでございまして、地方における条例において、県なり市町村ですでに情報公開の制度をつくったところもございますから、そういうところも十分に参考にしながら、前向きに検討を続けていきたいと考えておる次第でございます。何と申しましても、やはり行政に対する信頼性の確保、これが行政改革については最も大事なことである、かように考えておる次第でございます。
  75. 中路雅弘

    ○中路委員 天下り規制の問題ですね、それから情報公開法については総理のお考えもお聞きしたい。
  76. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 天下り、天下りと言いますけれども、役人であった時代の経験なり知識なり有能な知識を活用するということは、人材経済の上からいって私は大事なことだと考えておりますから、天下りは絶対悪いものだと、そういう認識には私は立っておりません。
  77. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 情報公開につきましては、私は、やはり行政の民主化を進めるために今後とも前向きに検討させていきたいと思っております。行管長官当時述べたことと同じ考えを持っております。  それから天下りにつきましては、これは内閣といたしましても、一定の基準を設けまして審査を行うとか、あるいは時間帯を設けるとか、あるいは職種その他を制限するとか、そういうような種種の時間帯規制等を設けておりまして、これを厳格に実施していきたいと思っております。
  78. 中路雅弘

    ○中路委員 高級官僚の天下りの問題にしましても、いまの法ではこれは全く手抜きになっているわけですね。国民が要望しているこうした情報公開法の問題や天下り規制の問題にしても、結局、この二年半ほとんど前進していない。行政改革という看板のもとで実際に何が行われてきたのか、また行われようとしているのか。国民は、結局福祉の切り捨て、これだけが残るのではないかという気持ちでいまいっぱいなんです。切り込みの方向が根本的に間違っているからではないかと私は思います。総理は、臨調答申どおり行革を進めていけば景気もよくなる、また、国民の暮らしもよくなると言ってこられたわけですけれども、事実はどうか。  総務長官にお伺いしたいと思いますが、総理府が家計調査をやっておられます。五月、六月、連続して国民の消費が落ち込んでいますけれども、最近、九月二十二日に発表になりました七月分がまとめられていると思いますが、消費はどうか。特に勤労者、サラリーマン世帯の実質収入と可処分所得ですね、手取りの方は去年の七月に比べてどうなっているか、御報告いただきたい。
  79. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 ただいま中路先生のお尋ねでございまして、家計調査の結果で見た最近の収入と支出の動向はどうなっているか明らかにしろ、こういうお尋ねでございますから、これはきわめて数字の問題のように思いますので、大変恐縮でございますが、私より、正確を期するために政府委員の統計局長から申し上げさせていただくことを御了承願いたいと思います。
  80. 時田政之

    ○時田政府委員 お尋ねの実収入でございますが、勤労者世帯の実収入は、昨年の一月以降、物価の分を調整いたしまして実質増加を続けてまいったわけでございますが、本年五月に若干減少になりました。六月が一たん増加に転じましたが、七月は名目で〇・五%の減少、実質で二・六%の減少となっております。  それから、実収入のうち税金や社会保険料等を引きました可処分所得でございますが、これも勤労者につきまして、昨年の一月以降本年六月まで実質増加を続けてまいったわけでございますが、七月には名目で〇・九%の減少、実質で三・〇%の減少となってございます。  それから支出の方でございますが、勤労者世帯の消費支出につきましては、昨年一月以降本年二月まで実質増加になっておったわけでございますが、三月に実質減少、四月に実質増加に転じましたけれども、五月、六月、二カ月続けまして実質減少となったわけでございます。しかしながら、七月には名目で二・六%の増加、実質では〇・四%の増加、このような数字になっておるわけでございます。
  81. 中路雅弘

    ○中路委員 七月の家計調査を御報告いただきましたが、消費が多少ふえているというのは、七月一日からの車検制度の変更を前にして買い控えがありまして、自動車の新車が売り出されて、これまでの買い控えていたものが一挙にふえただけですから、これは長続きするものではありません。特に問題なのは、いま御報告になった実質収入が勤労者の場合、名目で〇・五%、実質で二・六%、いずれも減少、可処分所得で、名目で〇・九%、実質で三・〇%、いずれも、実質、可処分ともまた名目、実質とも大きなマイナスになっていることです。こういうことがこれまであったでしょうか。もう一度お尋ねしたいと思います。
  82. 時田政之

    ○時田政府委員 勤労者世帯の名目の減少は、三十年の六月以来ということでございます。
  83. 中路雅弘

    ○中路委員 こうして実質収入、可処分所得とも、名目、実質ともマイナスになったのは、いまお話しのように昭和三十年の六月以降初めてであります。実に二十八年ぶりの事態が起きているわけです。  総理、景気はよくなり始めているとおっしゃっていますが、こうして勤労者の実質収入も可処分所得も、名目あるいは実質とも減少する、実に二十八年ぶりの事態が起きてきている。これで本当に国民の生活が、暮らしが改善されているというふうにお思いになりますか。この責任はどうされますか。
  84. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 景気の状況及び国民所得の状況等は一進一退の状態でございますが、しかし、これから秋、来年にかけましては、恐らくじりじりと景気は回復してまいりますし、それに伴いまして、パートとか残業とか、そういうものもふえてまいりまして、実質国民所得は、賃金は上昇に向かっていくのではないか、そう予想しておりますし、そういうふうにぜひいたしたいと思っております。
  85. 中路雅弘

    ○中路委員 このことは、来年度の予算編成を見れば、さらにどういう事態になるかということはよくわかるのじゃないかと思うのです。年金制度の改悪あるいは私学の助成も大幅に削減する、中小企業の助成も削減です。  一番問題なのは、私はやはり健康保険の改悪の問題だと思います。厚生大臣は改悪という言葉は好きじゃないようですけれども、今回の厚生省の医療保険制度の改悪で、国民負担増、患者の負担がどれだけふえるのか、これは参議院の予算委員会で上田議員の質問に対して厚生大臣はきちんとした数字を出すという約束をされていますから、ここで示していただきたい。
  86. 林義郎

    ○林国務大臣 中路さんの御質問にお答えを申し上げます。  私は、いろいろと考えましたあげくの末、この案がベストだろう、こう思って出していることでございまして、患者の一部負担の問題を含め、退職者医療制度を含め、また、若干ではございますが保険料の引き下げを含め、そういったことをもろもろの形で出しております。私たち考えておりますのは、そういった形で医療が適正に行われる、そしてあるべきところの望ましい医療の形へ近づけるという形で出しているわけでございまして、数字はお出しいたしますが、いまのこの数字の試算は、現行制度のままで、患者の受診ビヘービアであるとか医療機関の診療パターンが今後とも同様に推移するということを仮定しての数字でございますことをあらかじめ御了解をいただきたいと思います。私は、診療抑制というか、本当に必要な診療はやらなければなりませんが、いろいろな形でパターンは変わってくると思うのです。これは病気の状況も変わってきますから、やはりそういったものをトータルで考えいかなければならないと思いますし、一応いまはそういったことを抜きにしたところの数字で出しています。そういったことで、この額につきましては今後は変動するものだと考えているところでございます。  数字につきましては事務当局から御説明をさせます。
  87. 吉村仁

    ○吉村政府委員 今度の改革による患者負担あるいは保険料の増減等について申し上げます。これは満年度ベースで申し上げます。  まず第一の入院時の食事代でございますが、千二百億円の患者負担の増でありますけれども、これが保険料に転嫁、保険料が減額されますので、保険料率は〇・八パーミル減ることになります。それから一部薬剤の給付除外等でございますが、これは医療上不可欠な場合は当然給付をするということにしておりますので、直ちに患者負担となるかどうかはわかりませんが、一応の積算をいたしますと九百億になります。それから被用者保険、本人の十割給付を八割給付に引き下げるために患者負担が五千三百八十億ふえます。ただし、保険料引き下げに回せるわけでありますから、その引き下げに回せる保険料率は五・六パーミルでございます。それから高額療養費自己負担限度の引き上げ、五万一千円を五万四千円にし、低所得者につきましては入院時が三万円、外来三万九千円、こういうことにしておりますが、この負担が五十億でございます。それから保険料の引き下げでございますが、被用者保険の保険料は退職者医療に対する拠出を差し引きましても二千七百四十七億減ります。それから国民健康保険の保険料でございますが、これは七百五十億円ふえます。  以上でございます。
  88. 中路雅弘

    ○中路委員 総計は。
  89. 吉村仁

    ○吉村政府委員 単純に、先ほど申しました一部薬剤の九百億を加えない場合には六千六百三十三億の増になります。加えれば七千五百三十三億でございます。保険料は差し引きいたしますと千九百九十七億、約二千億の減でございます。
  90. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの試算でも七千五百億の新しい患者負担がかかってくることになります。  総理は、所得税減税はやるのだということを繰り返し言っておられますが、これも規模あるいは時期、財源についてはまだ具体的に明らかではありません。仮に一兆円近いとしても、その分がほとんどこの健康保険の改悪分として取り戻されてしまう、もしその上増税ということになれば、どんな減税効果が生まれるのかということも問題になります。健保の本人二割負担になりますと、いま百万、二百万の支出はざらですから、その二割、二十万、四十万という負担になる。一千万の場合だと二百万ですね。もちろん高額療養費制度で後から返ってくるとはいっても、とりあえず払わなくてはならない。健保本人ですから一家の大黒柱です。家族が金策に走る、サラ金に頼るという事態も起きてくる。家族の苦労を考えると、医者にかからないとかあるいは入院しない、後になると病気も重くなる、結局医療費がかさんで国庫負担もふえるということにもなるわけです。この今度の健保の改悪、これについては関係団体からも強い批判と反対の声もいま出てきています。この問題については一度撤回して再検討すべきだと思いますが、いかがお考えですか。
  91. 林義郎

    ○林国務大臣 総理への御指名でございますが、私が担当しておりますし、私の責任におきまして概算要求を出したわけでございますから御説明申し上げますが、いろいろな形での患者負担というものを取り上げていえば、先生のような御異論はあると思います。しかし、毎年毎年一兆円ずつ医療費が上がっているというこの事実にはやはり目を向けてもらわなければならない、お互いの持っている制度で、社会保険制度という非常にすぐれた制度でこれをやっているわけであります。この負担が出てくる、また毎年一兆円出てくるというものをどうしてやっていったならばよろしいか。安易に財政に頼るということはおかしいのじゃないか社会保険制度でありますから、この社会保険制度の中で何とか考えいかなければならないということのもとに発想しているわけでありまして、社会保険制度といえばやはり一つの保険制度である。保険というのは、私から申し上げるまでもありません、大きな火事が起きたり何かしたときには保険でカバーしよう、たばこをちょっと落として燃えたからそれを保険会社に請求するなんということはできないでしょう。  そういった意味で、いま先生のお話にありました医療がますます高額化してくる、百万円から三百万円というのが出てくるでしょう、そういったことにこそ保険を充てるべきだろうと私は思うのです。そういうことが制度でありますし、その中でやはり社会的な公平というものを考えいかなければならない。低所得者に対しましては三万円ということ、また一般の方については五万円という限度を設けまして、それ以上は保険で負担をしてもらうということを私たちの方は考えておるわけであります。そういったことを考えるときに、いまの医療の実態から見ますと、少しの御負担をしていただくこともまた必要なことではないか。  特に申し上げますが、組合健康保険と政府管掌保険の本人が十割であり、家族は皆八割、七割ですよ、非常に安い。零細に困っておられる方の入っておられるところの国民健康保険の給付は七割なのですよ。そういったことを考えていくならば、この健康保険制度というものをうまく将来にわたって維持していくためには、お互いが知恵を出し合って、また力を出し合って、負担をすべきところは負担をしてやっていくというような制度をつくっていかなければ、将来においてこの医療保険制度というものは崩壊の危険に瀕する。私は、そういったことを考えましていま御提案を申しておるわけでありまして、決してことしの財政対策だけの話ではありません。私たち考えていますのは、中長期において医療保険制度が安定して、本当に国民の健康のためになるような制度をつくっていくという考え方でございます。
  92. 中路雅弘

    ○中路委員 私が言っているのは、メスを入れるところが、方向が全く間違っているのではないかということを言っておるわけです。一例で挙げますけれども、たとえば来年度薬価基準の若干の引き下げを予定されているそうですけれども、いま製薬大企業というものはもうけほうだいなんですね。だからこそ、新薬開発をめぐって国立衛生試験所の汚職も起きてくるわけであります。  たとえば、一例でお尋ねしますけれども、代表的な抗生物質、塩野義のケフリンという薬ですが、これはわが国の薬価基準では幾らで、同じものでアメリカでの価格はどうなっているかおわかりになりますか。
  93. 林義郎

    ○林国務大臣 薬価のお話を申し上げます前に、いまお話し申し上げましたのは、私は単に一部負担だけでもって問題を解決しようとは思っておりません。御指摘のように、薬の問題についてもメスを入れなければならない点がたくさんある。同時に、診療体制につきましてもやはりメスを入れていかなければならない問題があります。私は、いま報告を受けて一生懸命取り組ませておるのでありますが、あるところで社団法人で七十億ぐらいの医療費のなにがある。それが大きな借金をして、その借金のもとでどうするかという話が出てくる。毎年十億ずつもうけて返すなどという話が出ているのはとんでもない話だと思う。私はすべてにわたってやらなければならないと思うわけでございます。  数字の話でございますから、担当局長から答弁をさせていただきます。
  94. 吉村仁

    ○吉村政府委員 薬価の日米比較の問題でございますが、高いものもありますし、安いのもございます。一概に論じられませんが、いま先生が御指摘のケフリンは日本の方が高いわけでありまして、塩野義のケフリンは一グラムバイアル当たり二千百二十円、アメリカでは八百八十四円でございます。
  95. 中路雅弘

    ○中路委員 私が持っている資料ではみんな高いですよ。ただ、その中で平均的な代表的なのでケフリンを挙げているのですが、いまおっしゃったように、日本の場合は一グラム二千百二十円です。アメリカのレッドブック一九八二年版によります数中で見ますと、二ドル九十八セント、一ドル二百五十円として七百四十五円、二百四十円なら七百十五円二十銭ですから、全く同じ薬が日本はアメリカの三倍ということになります。こういう状態を放置しておくことに大きな問題があると思うのです。  薬価基準は原価プラス適正な利潤で決めていくべきです。いまの医療費の三割以上四割近くの比率を薬代が占めているわけですから、ここにもっと大胆なメスを入れるかどうかということが重要だと思うのです。大製薬メーカーの目玉であるこの抗生物質ケフリンを含めて六品目で見ますと、一応の例としてアメリカ並みに引き下げますと、いまの推定の売上高で計算しますと、これだけで五百億近い医療費が削減されることになります。こういう点で、私はやはり薬価について大胆な思い切ったメスを入れるべきだということを思いますが、厚生大臣決意はどうですか。
  96. 林義郎

    ○林国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、薬価につきましていろいろなメスを入れていかなければならないことは当然のことであります。私も一生懸命これをやるつもりです。ただ、アメリカと単純に比較して、アメリカの値段がどうだということは当たらないと思う。それはアメリカにレッドブックというのがあります。そのレッドブックというのをそのまま持ってきて、それでは日本でというわけにはなかなかいかない。諸外国ともいろいろと比べてみる必要はやはりあります。ありますから、そういったことで、これは薬価につきましては毎年とにかく薬価の見直しをやるということになっていますから、私は、できるだけ今回も一生懸命がんばって、いろいろな点で公正な価格に近づけたい、こういうふうに考えております。
  97. 中路雅弘

    ○中路委員 メスを入れる方向の問題で、私は、別の問題ですが一つ例を挙げたいのですが、臨調行革が軍備拡大とともにもう一つ民間活力を尊重するということをとらえて、これを保障していく体制をつくり上げてきておりますが、私たちは、臨調行革が財界主導だ、そうでないといつも政府は反論されますが、この財界奉仕を最も顕著に示す問題で、大企業向けの技術開発補助金を挙げることができると思うのです。大企業向けの補助金等については通産省、科学技術庁に限られているわけではありませんけれども、私たちが調査し、これまでの国会論戦でも明らかにしてきましたように、これらの二省庁分につきましては中小企業向けはほとんどありません。少額であります。  毎年の科学技術庁を見ますと、資料を配っていただきたいのですが、科学技術白書を見ますと、政府の施策の中に、科学技術に関する民間への補助等による助成費という表が載っています。これを見ますと、いま資料をお配りいたしますが、通産省、科学技術庁合わせて八一年度実績は四千七百八十六億円であります。これらは直接あるいは財団法人や研究組合、いわゆる受け皿を通して間接的にほとんどが大企業に流れていると考えられるわけです。  そこで通産省にお聞きしますけれども、通産省所管の補助金等を見ますと、コンピューター、航空機、原子力、エネルギー、新材料等の開発にきわめて多極多様な補助金が大企業に集中しています。いまお配りしました資料を見ていただきますが、通産省からいただいた資料に基づいて三菱重工、日立製作、東芝電気、川崎重工、石川島播磨重工の五社が関係する補助金等の総額はお手元の資料にあるように、八三年度七百六十六億円、七八年から八三年まで六年間の合計では三千二百三十九億八千九百万円、また通産省の資料に基づいて補助事業ごとに金額を対象企業数で割り算し、一社当たりの平均額を企業ごとに集計しますと、三菱重工等の五社には、この六年間に千二十億円もの全額が渡っていることになっています。この金額は、先日の参議院の内閣委員会でも一つの試算としてそういうことができるということは通産省の鎌田政府委員が答弁されているところです。通産省分だけとってみても、大変巨額の補助金が渡っているわけです。アメリカの有力な経済誌であるフォーチュン誌が発表した一九八二年のアメリカを除く世界企業五百社の番付によりますと、日立は十二位、三菱二十六位、東芝は三十四位です。また、昨年九月期の有価証券報告書に基づいて調べますと、日立の内部留保額は六千二百七十五億、東芝は三千五百二十五億円にもなっています。国民に対して福祉、教育の切り捨てなど大変な犠牲を押しつける一方で、莫大な利益を上げ世界に冠たるこうした大企業に巨額の補助金をどんどんつぎ込む。  しかも特徴的なことは、いまグラフ、表でお示しをしていますけれども、八一年度の予算編成の時期さなか、第二臨調が設置をされて、国民がひとしく痛みを分かち合うということで進められてきたわけですが、第二臨調の会長を務める、現在行革審の会長である土光敏夫氏、東芝、石川島播磨の社長、会長を歴任し、いまも相談役になってしおられますが、その東芝、石播の二社にはこの六年間に三百十億円の補助金が出ていますけれども、特にこの臨調の期間、八〇年度の補助金額を一〇〇にして臨調行革が行われている期間の伸びを見ると、八三年度予算では一六七・九%になっている。また、第二臨調の第三部会長として、第三部会は補助金整理を担当する一つの部会ですね、現在国鉄再建監理委員会の会長である亀井正夫氏。同時に住友電工の会長、ことしの春までは日本電気の取締役を兼ねてこられた、住友グループの社長会のメンバーでもあります。そこで、住友グループ社長会傘下の七社の補助金を見ますと、六年間で三百三億円、やはりこの臨調の期間をとってみますと、八〇年度を一〇〇とすると八三年度には二一〇%にもなっているわけです。  ちょっと資料が細かいので大きい表にしてきました。グラフにしてきましたけれども、住友グループの場合二一〇%、東芝電気をとりますと一六・七%。この間にたとえば社会保障関係費は一一一%ですね。文教、科学振興費は一〇六%、中小企業対策費は九九・五%ということになっているわけです。大変なカーブの違いです。  国民や中小企業には大変な犠牲を押しつける一方で、これで臨調行革はいわゆる大企業というだけにとどまらないで、この臨調の主要なメンバーである土光氏や亀井氏のところが突出している。お手盛りと言っても言い過ぎじゃないと思うのです。痛みを分けるというならば、いろいろ口実はあると思いますけれども、少なくともこういう補助金にもメスを入れる必要がある。総理のお考えをまずお聞きしたい。
  98. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 ただいまの数字がどの程度正確であるか、いま急に出されたのであるから私にはわかりません。また、社会保障費との対比を番われましたが、絶対額は全然問題にならぬ。社会保障費の場合は非常に大きな絶対額を、何兆という絶対額を持っておるわけであります。それから土光さんや亀井さんが臨調関係になったからといってそれで補助金がふえるとかなんとかいうものではない。あれは研究開発を中心にした経費であって、日本の高度情報化社会に対応する、そういう意味において各国と競争している重要な研究等について自分の会社も相当持ち出して国家もある程度応援しながらやっていこう、そういうものであって、それ全体が将来は日本全体の産業の牽引力になってくる、そういう大きな仕事も引き受けてやってもらっているわけであります。
  99. 安田隆明

    ○安田国務大臣 いま総理から御答弁ございましたけれども、科学技術の総合調整機能を持っている私の立場からも一言御答弁申し上げたいと思います。  御存じのとおりに、中路先生、お手元に資料ございましょうが、わが国の五十六年度の科学技術に関する総投資額は五兆三千六百億、そのうち国の支出というものは一兆三千四百億、これは二五%。そして世界の各国いかがであろうか。考えてみればみるほど、アメリカにつきましては約十五兆、そしてソ連につきましては約八兆。そして国の負担というものは私どもは二五%前後、他の先進国はみんな四八ないし四〇%。そういうことで、わが国の科学技術の先端究明というものはほとんど民間の活力を誘導してしまって、それに産学官一体になって先端技術の究明に当たる、こういうシステムでやっておるわけであります。  したがって、われわれはここであるいは協力し、あるいは出資し、あるいは支援し補助する、これは産学官一体の中において業界の産のこの活力をわれわれは誘導する中においてやっている。たまたま、その知見の持ち主はだれか、その研究者はだれか、こうなりまするというと、そういうグループ。だから、財政の効率的使用、それから行政目的あるいは政策目標を効率的に達する、そういう立場においてそういう結果が出ているということであって、あながち大企業にと、こういう考え方はわれわれは毛頭持っていません。こういうことだけ申し上げておきます。
  100. 中路雅弘

    ○中路委員 いろいろ弁解されていますが、そのような弁解はとうてい国民を納得させるものではありません。日本の場合に、特定企業に集中しているというところに大変大きな特徴があるわけです。問題は、科学技術の名のもとに、きわめて多岐なあるいは多種類にわたる補助金が特定大企業に集中的に、系統的に交付されている。しかも、臨調行革のもとでこれを推進していくいわば企業の代表者であるそういう会社に、しかも世界有数の国際競争力を持った企業、痛みをひとしく分かち合うというそういう代表者、臨調、ここに集中しているということを指摘しているわけです。  問題は、もう一点挙げますけれども、一九七二年度から七六年度まで五年間に、日立、東芝、日本電気などの六社に六百八十六億円が出されている電子計算機等の開発補助金。ここで開発された電子計算機は現在も販売されて、メーカーは莫大なもうけを上げていますけれども、六社は四十三億六千万円、補助金額の六・四%しか返していない。あとはただ取りなんですね。  御存じのように、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律があります。補助によって収益を生じた場合には、その全額あるいは一部を返さなければならない。そういうことができるようになっている。調べてみますと、中小企業はわずかの金額の補助金。中小企業には全部一〇〇%完納させています。片方で、収益を上げているこの大企業の補助金、わずかに六・四%しか返納させていないじゃありませんか。私は、こういうところにも、いまの特定大企業はいかに優遇されているかということを象徴的にやはり見ることができると思うのですね。  これらのメーカーは、その後も超LSIの開発に二百九十一億円、第四世代電算機の開発に二百二十二億円と補助金が出されている上に、来年度予算概算要求を見ますと、第五世代電算機の開発に今年度予算の二倍に当たる五十四億円を計上しています。  また、こうした財政措置だけではなくて、メーカーが補助金によって開発した電算機の販売を促進するために、七・三%という低利の資金を含む開銀の融資枠を、今年度比さらに二三・六%増という六百八十億円も確保しようとしているわけです。あるいは、この販路の拡大のために、コンピューター等情報関連機器等については特別償却制度の新設までいま計画されているではありませんか。  私は、国民にいろいろ犠牲を押しつける前に、まずこうした点に、こうした不公正なところの拡大にこそメスを入れて検討すべきだということを主張しているわけです。総理、もう一度簡潔にお答えを願いたい。
  101. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 日本が工業技術国家として、また最近におきましては先端産業等において非常に優秀な成果を上げておる。またそれがために、発展途上国やあるいは世界じゅうの国々から経済協力等を求められておるというこの事実はどこからきているかといえば、やはり官民の協力によってこの技術を開発してきたという点にある。一部においてはアメリカとも肩を並べ、あるいはアメリカを抜くぐらいの力を持ってきている。光ファイバー等の技術等はもうそうでしょうし、一部のコンピューター、超LSI等においてもそうでございましょう。  そういうような大きな成果を上げているのはどうであるかといえば、結局、民間の活力、民間のバイタリティー、研究力というものに負うところが非常に多い。そういうものをやるためには、民間としてはかなりのリスクがある。そうして一朝間違えば相当巨額の金を出して、しかも配当がゼロになるというような危険性もなきにしもあらずの研究をやっているわけです。それ全体がまた国家のために非常に裨益してくるという効果も持っておる。そういうような面について、昔と違いまして、いまは相当大がかりの金がかかるということと、相当な危険負担を民間もやらなければならぬということ等々において変わってきておる。そういう意味において、国家もある程度の協力をやり、ある程度のまた相当な監督を行いながらそれをやり、大部分は民間が自分で金を出してやっていく、そういうシステムで官民協力で、民間の力を中心にこの技術開発をやって成功してきておるわけであります。  そういう点を見ますと、単にお金が出ているからといって目くじらを立てて、それが全部悪で、それが全部会社の利得につながるという考えは偏狭であって、そんなことをしておったら日本はこれだけの大きな工業技術国家にはなれないのであります。共産党のようなお考えを持っておったら四等国の農業国家に転落してしまう、そう思っております。
  102. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、企業の技術の開発あるいは役割り、そうしたものを否定しているのでは全くないのです。たとえばいま言っていますように、補助金を出される。監督していると言っていますが、法律でも、この補助金によって利益を上げればその分は返さなければならないということが法律で決められているにかかわらず、わずか六・四%しか返していないじゃないですか。ただ取り同然じゃないですかということを言っているのです。いま総理は監督すると言われますが、この点に厳しくメスを入れるべきじゃないかということを主張しているわけです。  大企業とともにもう一つの問題は、私は軍事費にあると思います。総理は、六月の参議院選挙で防衛費も聖域にしないと言っておられましたけれども、選挙の終わった、来年度の予算の編成が始まると、国民生活関連は軒並みマイナスシーリング、そして軍事費は六・八八%という異常な突出です。これは総理、聖域化じゃありませんか。
  103. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 鈴木さんの内閣のころから、予算編成については国際関係の協定とか約束のあるものについては例外を若干設けてきております。しかし、それの中でも相当精査してやってきているわけです。  それがどういうものがあるかといえば、海外経済協力費あるいはいまの科学技術の開発関係、特にエネルギー関係あるいは防衛費こういうものについては、いままでもいろいろな過去の例や国際関係を考慮してやってきておるのでありまして、しかし、その中でも防衛費についてはこれだけ海外、外国からの要請も強い中にあっても、一%以内におさめるために全力をふるっておる、そういう状況であるということをよく御承知願いたいと思うのです。
  104. 三塚博

    ○三塚委員長代理 午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ────◇─────     午後二時開議
  105. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中路雅弘君。
  106. 中路雅弘

    ○中路委員 午前中の私の質疑で、総理が「共産党のようなお考えを持っておったらこれは四等国の農業国家に転落してしまう、そう思っております。」という発言をされましたが、これは、四等国、三等国という国に格づけをする、差別でありますし、発展途上国、農業国は全部四等国なのかということにもなります。あるいは農業に対する侮辱でもあります。この発言だけは総理、取り消していただきたいと思います。いかがですか。
  107. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 別に取り消す必要はないと思うのです。例示ですからね。
  108. 中路雅弘

    ○中路委員 議事録を起こしてみたのですが、こうして国を四等国とか何等国とか分けるとか、あるいは農業国家に転落してしまう、これは農業に対する侮辱でもあります。私は重ねてこの点については抗議をしておきたいと思います。  異常突出が聖域でないというお話ですが、そういうことになれば全く最初から聖域化という言葉は存在しないことになるわけです。こういう言葉のあやでごまかさないでいただきたいと思います。  今度の防衛庁の概算要求の特徴は、六・八八%の伸びもさることですが、特に正面装備の大量発注にあります。頭金だけ払ってほとんどの支払いをツケにする。この後年度負担が急激にふえてきている。  防衛庁に一つ聞きますが、あのロッキード社のライセンスで新たに十一機買い入れられるP3C対潜哨戒機は、一機幾らで、そのうち来年度の頭金と翌年、六十年以降のツケは幾らになっていますか。
  109. 木下博生

    ○木下政府委員 P3C哨戒機の一機当たりの予算の要求額は百十六億二千五百万円、これは初度部品を込めた値段でございます。それで、要求額の中での五十九年度の歳出額は約三千八百万円。それから後年度負担額は百十五億八千六百万円でございます。
  110. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話しのように、初年度は三千八百万、後年度が約百十五億九千万ですね。九九%以上がツケ払いというわけです。後年度負担総額は一挙にこうして五千億円もふくらみ、総額は二兆五千億円にもなっているわけです。調べてみますと防衛庁の年間予算の実に八四%がツケになる。六十年以降にこれが支払われるということになりますから、まさに膨大な予算の先取りです。GNP一%の枠を突破することも必至だと思うのですが、こんなことを認めれば、これは結局国民の犠牲、負担がますます多くなる。  アメリカの国防総省が最近米議会に公表しました「共同防衛への同盟諸国の貢献」と題する報告書に、経済のパイが大きくならず、他方、各国が防衛支出増加を約束し合っている場合、どこからかそこに回す金を持ってこなければならない。そして、社会保障分野こそまさにその源である。これは相当の政治的勇気が必要だということを言っていますが、総理は、レーガン政権があからさまに福祉を削って軍事費に回せと要求している、こういう要求を受け入れられるお考えなのか、あるいは「防衛計画の大綱」では不十分だとこの報告の中でも言っている。総理は、この「防衛計画の大綱」を見直す必要があると考えておられるのですか。いかがですか。
  111. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 国の防衛は国家の基本政策だと私ども存じております。  わが国の防衛力の整備に当たりましては、「防衛計画の大綱」に従いまして更新、近代化を中心に質の高い防衛力を着実に整備いたしていこう、こう考えておるわけでございますが、実を申しますと、艦艇、航空機その他、多年を要する、数年かかってつくり上げていくものに関しましては、財政法に基づく国庫負担行為及び継続費の方式によって予算編成をいたしておるわけでございまして、頭金の問題がいま最初に御指摘ございましたが、この支払い方式は何も五十九年度に初めてとる方式でも何でもございません。過去にずっとこういう方式をもちまして、先ほど申し上げましたような整備をいたしてきておるわけでございます。  それから、もちろんそういう後年度負担の問題につきましても、頭金をセットするときに財政当局とも十分に話し合いをいたしながら必要最小限のぎりぎりいっぱいの要求で詰めてきておるわけでございます。  なお、アメリカが日本に対していろいろ日本の防衛力整備について発言がございますが、私どもといたしましては、日米安保条約の一方の当事国である、日本の国が攻撃を受けたときには日本の国を防衛する義務のあるアメリカが、日本の防衛力の整備についていろいろな機会をとらえていろいろ発言をする、そういうことはあり得ることであると思ってはおりますが、私どもの防衛力整備につきましては、わが国はわが国の自主的な判断をもちまして、国の他の施策、そのときの財政の事情その他を勘案しながら財政当局に要求し、財政当局との間で詰めてでき上がった予算の形で国会へ提出させて御審議をいただいておる、こういうかっこうになっておるわけでございます。
  112. 中路雅弘

    ○中路委員 私がお話ししているのは、後年度負担が、数年前は年間の予算に対して四割という時期もありましたけれども、いまや八四%ですね。同額くらいの予算を後から支払わなければいけない、それがすでにもう先取りになっている。これではますます財政が硬直するし、それが国民生活の分野に大きな圧迫になるんじゃないかということを言っているわけです。  簡単に一問だけお聞きしますが、いまアメリカの対日軍事圧力の問題でお話しになりましたが、アメリカが軍事力増強の要求の最大の理由の一つにしているのはシーレーン防衛の問題ですが、この国防総省の報告では、大綱や五六中業にはシーレーン防衛は含まれておらないと述べています。夏目防衛局長予算委員会で含まれているという答弁をされているわけですが、大綱にはシーレーン防衛は含まれていると考えておられるのか、いないわけですか。
  113. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 シーレーン防衛という用語が定着しつつあるのはほんのここ一年程度のところでございますが、わが国が海上交通路の安全を確保するという防衛力整備の計画を持っておるのは、実は第三次防、第四次防におきましてもございました。もちろんその後の防衛力整備の計画の中にも当然入るわけでございまして、そのことを私は大綱を指して答弁させていただいた次第でございます。
  114. 中路雅弘

    ○中路委員 全くいまのはごまかしで、これまでの大綱の中には明確に規定されていないですね、領域内の防衛ですから。鈴木総理との会談、中曽根総理との会談の中で、このシーレーン防衛が明らかになってきた、領域外の防衛。そして防御庁は、今度出しました防衛白書、この中で初めてシーレーン防衛の問題を提起してきた。事実上大綱を改定するような、そういう行為をいま続けられているということを強く指摘しておきたいと思うのです。  それで、私は時間の関係でもう一問だけ総理にお聞きしたいのですが、総理は七月にNATO諸国の国会議員が訪れたときに語っておられることが新聞で報道されています。「中曽根内閣は防衛を重視している」しかし「来年五月までに総選挙をやらなければならないので、選挙に負ける犠牲を払ってまでそれを前面に掲げるわけにはいかない」これは新聞の報道です。いま六・八八%、これも大変な増強ですが、この発言ですと、選挙が終われば本音を出して軍拡をもっと前面に出すというふうにも受け取れます。六・八八%をもっとふくらませる、そういうお考えですか。
  115. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私がそういうことを言ったのは事実です。ともかく、われわれは自足党として日本の国政に責任をしょっておる政党であって、もし自民党が選挙に負けたら、日本の安全保障もあるいは経済的な繁栄もだめになっちゃうと私は信じておる。そういう意味で非常に責任を持っておるわけでありますから、選挙に負けてはいかぬ。ただし、すぐ選挙があるという意味じゃありませんよ。来年任期満了までわれわれは任期があるのだから、ともかく政策を実行していこう、しかし選挙に負けてまでそういうことをやるというのは政党政治家がやることではない、おたくの国だって同じことでしょう、そういう趣旨のことを言ったのであって、だからといって、じゃ選挙が終わったら金をうんと軍事費に回すという反対解釈が成り立つという意味ではないのであります。
  116. 中路雅弘

    ○中路委員 いまのは全く詭弁で、この語ったのが事実だとすれば大変な発言だと私は思いますね。選挙があるから、選挙に負ける犠牲を払ってまで防衛力の増強を前面に掲げるわけにいかない、これはもう正確に言えば、選挙が終われば本音が出るということじゃないですか。あなたは、国会にも明らかにされない改憲への長期のタイムテーブルを持っているということを外国人に対してもおっしゃっていますが、いつも外国人に対しては相当本音をおっしゃる、国会国民に対してなかなか胸の内を明らかにされない、私はこのことを強くいまの発言でも痛感をします。  ただ、この後、私の質疑の時間の範囲内で三浦議員の方から関連質問をさせていただきますので、よろしく。
  117. 金丸信

    金丸委員長 この際、三浦料より関連質疑の申し出があります。中路君の持ち時間の範囲内でこれを許します。三浦久君。
  118. 三浦久

    ○三浦(久)委員 中路議員の質問に関連して御質問をいたします。  田中金脈やロッキード事件に見られるような金権腐敗政治というものを追放していくということは、清潔な政治を行うための原点だと私は思うのであります。むしろ、いま国民が求めている本当の意味での行政改革を行う、そのための原点でもあると私は思っております。そういう観点から、私は、田中の新金脈問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  建設省は、都市公園法に基づいて国営公園の設置を全国八ブロックに分けて推進中でありますが、北陸ブロックでは、田中系の企業であります浦浜開発が新潟市の巻町越前浜に所有しております新潟遊園、これは約二十三ヘクタールあります。約七万坪ですね。この土地に隣接をしてこの国営公園を建設しようとしておりますが、それは事実でしょうか。
  119. 松原青美

    ○松原政府委員 御指摘の国営公園調査につきましては、現在、北陸地方建設局におきまして、五十五年度以来四カ年の調査を続けておるものでございます。その中で十二カ所の候補地を選定いたしまして調査を進めております。本年度は、それを数カ所にしぼり込みましてさらに詳細な調査を行う予定でございまして、御指摘の地区に国営公園を設置するかどうかは全く未定でございます。
  120. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いま十二の候補地があると言いましたね。そのうちの一つに挙がっているのじゃありませんか。
  121. 松原青美

    ○松原政府委員 十二の候補地を調査対象にいたしておりますが、御指摘の地区もその十二の地区の一つとして調査対象になっております。
  122. 三浦久

    ○三浦(久)委員 総理、聞いてください。この地域は新潟市の佐潟というところを中心にした地域であります。私も昨年調査に行ってまいりましたけれども、非常に広い砂丘地帯です。どういう思惑で田中系企業の浦浜開発がこれを購入したのかはわかりません。しかし、この北陸ブロックに建設しようとしている国営公園、これは四百ヘクタール、そして総事業費で三百億円、こういう国営公園をこの土地の隣につくろう、こういうことなんです。もしかこの砂丘地帯にこういう国営公園を建設をするということになりますと、この田中系企業が持っている新潟遊園という土地は一体どうなるのかというと、これはもう土地が大変高騰するということは明らかであります。そして浦浜開発自身が、また田中氏自身がぼろもうけをするということも事実なんです。  二十三ヘクタールある新潟遊園の土地でありますが、これはどういうふうにして手に入れたかといいますと、一九六一年に坪三百三十円で買ったものであります。総額二千三百万円で買ったものです。現在の価格は坪一万か二万ぐらいだろう、こう言われておりますけれども、国営公園ができれば、地元不動産業者の話でありますけれども、時価坪四万円から五万円にははね上がるだろう、こういうふうに言われているのであります。そういたしますと、仮に四万円になるといたしましても、約三十億円の土地の価格ということにはね上がるわけです。こうなりますと、わずか二千三百万円で手に入れたものが三十億円にはね上がるということ、これはもう田中氏のぼろもうけ以外の何物でもない。こういうことに建設省自身が手をかしているというのが現在の状況だと思うのですけれども、こういう建設省の計画について、総理はどういうふうにお考えでございましょうか。
  123. 内海英男

    ○内海国務大臣 先ほど政府委員の方から答弁いたしましたとおり、北陸三県で十二の候補地を選びまして、それをいま調査をしている段階でございまして、先生の御指摘のように、断定的にそこに決まるという前提で御質問されるのはいかがかと思うわけでございます。
  124. 三浦久

    ○三浦(久)委員 候補地になっているということは、そこに建設される可能性もあるということじゃありませんか。特に有力候補地になっているということは間違いがない事実なんですよ。そうでしょう。いま政府委員もそういうように答弁されておりますよ、候補地の一つになっているということは。ですから、そこに建てられる可能性があるわけで、そこに建てられたとすれば、いまのように田中系企業にぼろもうけをさせるという結果になるのは明らかじゃありませんか。私自身は、これを候補地の一つに挙げることも間違いだというふうに思っているのです。  環境庁にお尋ねいたしますけれども、この佐潟地区は佐渡弥彦米山国定公園の一部にあるのではありませんか。
  125. 山崎圭

    ○山崎政府委員 お答えいたします。  佐渡弥彦米山国定公園の一部にその伝えられているような地域が該当すると思っております。
  126. 三浦久

    ○三浦(久)委員 五十一年の二月に都市公園法が改正になりまして、その際に、環境庁の自然保護局長と建設省の都市局長との間に覚書を結んでいるはずです。その覚書はどういう内容でしょうか。
  127. 山崎圭

    ○山崎政府委員 お尋ねの五十一年二月十九日、環境庁と建設省との間に覚書を取り交わしておりますが、その内容は、建設大臣が国営公園を設置すべき区域を決定しようとするときはあらかじめ環境庁長官と協議し、環境庁の了解が得られたものについてのみ決定するという内容でございます。
  128. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そういう協議の申し入れがいままでにありましたか。
  129. 松原青美

    ○松原政府委員 この国営公園の予定地の告示につきましては、環境行政との調和を図るための措置でございまして、国営公園の区域を決定する場合にはその都度協議をいたすことにいたしております。  なお、私の答弁があるいは誤解があったのかもわかりませんが、先生御指摘の地区につきまして国営公園を設置するということを決定しているわけではございません。全く候補地の一つでございます。
  130. 三浦久

    ○三浦(久)委員 だから、候補地の一つに選定をするときに、すでに環境庁といろいろ話し合いをして、了承が得られるのかどうかということを事前に察知しておかなければ、いろいろ予算をつけて調査をするわけでしょう、いろいろなことを調査したけれども、最後に環境庁に持っていったら了承が得られなかったというようなことでは予算の浪費になるでしょう。当然、候補地に挙げて調査をする段階でもうすでに環境庁の了承が得られるのかどうかというような打診をしておくというのは行政の常識でしょう。それをいまやってないということなのですね。  それで、私は、そういう環境庁と建設省との間の覚書が交わされたというのは、国定公園の中には国営公園をつくるということ、これは一般的に言って好ましくない、だから環境庁長官の了承を必要とするというふうに覚書を交わしたと思うのですが、その点はいかがですか。
  131. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 いまお話しの国定公園ですね、これはもちろん、委員も御存じのように、自然公園、これに基づいてやっておるわけですから、建設省でやられる都市公園法に基づく公園とおのずから異なっておる、これは当然だと思うのです。ですから、われわれの自然公園は当然、自然を保護するあるいはまたその利用を増進する、こういう目的なのですね。だから、原則的に言えば重複を避ける方が私はベターだとは思いますよ。しかし、あくまでも国民のレクリエーションとかいろいろ考えますと、重複してもやむを得ないなということも場合によってはあるわけなのです。現に、玄海国定公園で海の中道国営公園、これは協議がありましたから、われわれいろいろ検討しまして、これはあくまでもレクリエーションとかいろいろな点から必要だ、自然景観を破壊しない、こういう前提があるなればいいじゃないかということで調整し合った、こういうことですから、これはケース・バイ・ケースで考えざるを得ない、かように思います。
  132. 三浦久

    ○三浦(久)委員 原則としては好ましくないというような御発言があり、最後にはケース・バイ・ケースだ、こうおっしゃるので、それは全く禁止はされていないかもしれない。いまの海の中道公園の問題は、五十一年の二月以前の問題でしょう。協議があったと言いますけれども、この覚書ができる前の話ですよ。そしてまた、それも重なっている部分というのはほんの一部分ですよ。そういうことは私の地元ですからよくわかっておりますよ。  では、お尋ねしますけれども、この覚書ができた昭和五十一年の二月以降、国営公園をたくさんつくっておりますね。六つつくっておりますが、これは国定公園内にダブらせてつくったところがございますか。
  133. 松原青美

    ○松原政府委員 海の中道以降はございません。
  134. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ないんですよね。結局、いままで五十一年の覚書を交わした以降は、国定公園の中に都市公園である国営公園はつくらない方がいいということでこういうことが行われてきているわけです。それなのに、なぜいまこの田中角榮氏が所有している土地、その隣だけには国定公園でありながらつくるのですか。つくろうという候補地に挙げているのですか。それはやはり浦浜開発という田中系企業の土地があるから、そこにあなたたちは候補地に設定をしたのじゃありませんか。だれが考えたって、そういうふうにしか思えないと思うのです。どうですか。
  135. 松原青美

    ○松原政府委員 全く誤解でございまして、十二カ所の候補地を選定いたしまして、その自然条件、社会条件を調査しているわけでございます。その調査内容の中に、いろいろな法律によりまして土地の利用規制もございます、そういう土地の利用規制がかかっている状況等も調査いたすわけでございます。先生御指摘のように、どこそこの土地をどなたがお持ちになっておられるかということまで調査しているわけではございません。
  136. 三浦久

    ○三浦(久)委員 これはもうかなり進んでいるんですよ。私も建設省の皆さんからお話を聞いて質問しているのですから。十二の候補地につきましては地元の皆さんに全部相談をしていると言うんです。しかし、十二の候補地は、では全部教えてくださいと言ったらそれは教えられませんと言うんだね。何で秘密にしなければいけないんですか、そんなことを。  それは別として、いまこの佐潟の地域の公園の計画ですけれども、すでにもう土地利用構想の図面ができておるでしょう。そしてまた、県や市や町、それと国との間の費用分担のそういう表までできて、いろいろと打ち合わせをしている、そういうように言われていますよ。それはあなたの方の課長補佐さんがそういうように私に言うんだから。そうであれば、かなり具体化しているということなんです。そうすれば、もうすでに事前に環境庁と打ち合わせをして、了承が取れるかどうかということをやっておかなければいけない。それをやらずにあなたの方でどんどん強引に進めているということは、やはり田中角榮氏の政治力でこんな了承はすぐ得られるさ、そういうふうに考えてあなたたちがやっているとしかわれわれには思えない。どうですか。
  137. 内海英男

    ○内海国務大臣 最初からそういう前提で物を見られますと、どうしてもそういうことになるかと思いますけれども、まともに事務的にやっておることでございますから、余りそういう含みを持たないで、素直に見ていただきたいと思っております。
  138. 三浦久

    ○三浦(久)委員 結果的に見れば、ここに公園が建設をされれば田中角榮氏が二千三百万円で買った土地が三十億円の値段にはね上がるのですよ。素直に見ればそういうことなんですよ。国民が額に汗をしながら毎日働いていますよ。それでも生活水準が下がっているというのは家計調査ではっきりしているでしょう。それも私どもはいまのにせ行政改革の結果だと思っておりますけれどもね。そういうときに、田中角榮さんがぬれ手にアワのつかみ取りみたいに一気に三十億円もの金をもうけることができるような、そういう公園を計画するなんというのは、私は国民を愚弄したものだと思うのです。私は、こういう不明朗なこの公園の計画というのは再考すべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  139. 内海英男

    ○内海国務大臣 まだ決まっておるわけではございませんので、そういう前提に立って物をおっしゃっていただいても困るわけでございます。
  140. 三浦久

    ○三浦(久)委員 もう四年間これは候補地に上がりっ放しなんですよ。まだ候補地になっておるんですよ、内海さん。土地規制の問題についてもいろいろ調べるとおっしゃっているけれども、そんなもの調べなくたってわかるでしょう、自分たちが覚書を結んだそのものなんですから。そんなものは調査しなくたって、建設省自身はわかっているはずじゃありませんか。それで、本来であれば、国定公園の中に国営公園、都市公園をつくるというようなことは原則として好ましくない、こういう結論が出れば候補地から外すべきじゃありませんか。それを、まだ決まってないから断定的に物を言っちゃ困ると言うのは、あなたがやはり何とか派だからかなというふうに思われるんじゃありませんか。  私は、総理に、国民の労苦をよそ見しながら特定の政治家がぼろもうけをするというような、こういう公園計画の建設についてどういうふうに思われるのか、ちょっと所信を承りたいというふうに思います。
  141. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 公園の設置というものは、恐らく、その付近の住民、その地域の住民の皆様方の御要望に沿って、そして公園本来の目的を達することができる適地であるかどうか、特にそれは地域住民の要望というものが非常に大事であるだろうと思いますし、また、専門的に見てそれが果たして適地であるかどうか、社会経済条件まで入れて判定すべきものである。  したがいまして、いまお話を聞いておりますというと、何か前提を置いて独断し過ぎているような気がいたします。すべてはやはり科学的に――科学的社会主義と言われるのですから、科学的に果たして妥当性ありや否やという点で十分御検討なすってしかるべしであると思います。
  142. 三浦久

    ○三浦(久)委員 独断は、総理あなたの答弁だと思います。というのは、この十二の候補地を設定するに当たって、地元の要求を聞いて決めたのではありませんと建設省は答えております。建設省サイドでもって十二の候補地を決めた、こう言っておるのですよ。それはお間違えのないようにしていただきたいと思います。  私は、田中系の企業が、田中氏の政治権力を使って、そして政府をも巻き込みながら金脈をつくっている例というのはたくさんあると思います。その典型的なものは信濃川の河川敷の問題だというふうに思います。  長岡市の信濃川河川敷約二十万坪、これを田中系企業の室町産業が農民から買収をいたしておりますね。買収するに至る経過がいろいろあるわけですが、きょうは時間がありませんからそのことについては触れません。ただ、だまされたと言って農民が裁判を起こしているということは事実であります。国会でわが党その他各党が田中金脈のときにこれを追及いたしまして、そして大きな国民批判、国民世論の前にとうとうこの室町産業も、二十万坪のうちの約半分、約十万坪を長岡市に譲渡いたしました。  ところが、その河川敷の中には一万二千平方メートルの国有地があるんですね。これは、里道だとかいろいろ虫食い状態になってたくさんあるんです。ぼつんぼつんあるんです。ですから、そのままの状態ではこの土地を全面的に開発するということができないのです。せっかく農民をだましたりして手に入れた土地が開発することができない、そういう状況になっているわけですね。  ところが、ことしの八月十日に、その点在する国有地を長岡市に大蔵省が交換という形で払い下げたわけであります。そうすると、その五日後に今度長岡市が、室町産業が所有している南半分の約十万坪の土地がありますね、その中にある国有地、これは長岡市が交換で手にしたわけですが、それを今度は室町産業に払い下げているわけですね。これは都市計画道路をつくるということで、室町産業の土地を道路敷地にし、その分だというのでこの国有地を払い下げた。市に国有地を払い下げたという形になっているけれども、結果的には室町産業がその国有地を手に入れ、虫食い状態がなくなっている、それで全面的に開発ができるというようになっているわけですね。この払い下げを大蔵大臣は認可されたわけでしょう。どうですか。
  143. 竹下登

    竹下国務大臣 国と長岡市の交換契約は妥当なものであって、問題はないというふうに理解をしております。
  144. 三浦久

    ○三浦(久)委員 法律的に問題はないとしても、結局は、田中系企業である室町産業に、虫食いの状態で国有地が点在しておったら使えない、そういう土地を虫食い状態をなくしてやったということになるわけであって、これはもう田中系企業の室町産業に莫大な利益をもたらした払い下げ、交換だということは事実はっきりしていると思うのですね。  それで、この土地は現在どのぐらいかというと、近隣の土地の値段が不動産屋に出ていますけれども、坪三十万円するのですよ。これが十万坪ですと全部で三百億円の値打ちがあります。砂利も数十億円の値打ちがありますね。こういう田中系企業のぼろもうけに大蔵省は手をかしたんだというふうに私は言わざるを得ない。これが典型的な利権政治じゃないかというふうに私は思うのですが、どういうふうにお考えですか。
  145. 竹下登

    竹下国務大臣 妥当な手続をとったわけでございますから、私は、具体的にその中に畦畔が何ぼあるとか、そういうことをいまここで詳しくお答えするだけの知識がありませんから、その点については政府委員からお答えをさすことにいたします。
  146. 志賀正典

    ○志賀(正)政府委員 お答え申し上げます。  国は、去る八月十日長岡市との間で、信濃川廃川敷内に散在をしております国有地八十六筆、一・三ヘクタールにつきまして、他の国有地と合わせまして合計一・七ヘクタール、これを、長岡市から従来借り受けております科学技術庁所管の国立防災科学技術センター雪害実験研究所敷地との交換契約を結びました。長岡市から雪害実験研究所敷地につきましては国が借り上げをしておったわけでありますが、これを買い上げをしてほしい、こういう要望がかねてからございました。また一方、廃川敷内に散在する国有地につきましては、長岡市側から、まず長岡市が利用いたします北側半分の国有地につきましては、一帯の市有地と合わせまして長岡日赤病院、大学、テクノポリス関連施設などとして利用し、南側半分内の国有地につきましては、廃川敷を南北に縦貫をいたします都市計画道路、市道でございますが、都市計画道路敷の代替地として利用したい、こういう申し出がございました。  国といたしましては、北側半分に係ります長岡市の利用計画が去る七月五日の市議会の全員協議会の場で公表されまして、また、道路計画につきましても本年三月に事業認可があり、七月五日に市議会におきまして予算措置が講ぜられました。こういうことから、国有財産と長岡市所有地との交換を行います条件が整いましたので、事務的に慎重に検討し、所定の手続に従いまして八月十日交換契約を結んだものでございます。  廃川敷内の国有地は、地形が狭長な旧里道、水路等、単独の利用は困難な土地でございまして、しかも、これらが交換によりまして公共性、公益性の強い用途に利用され、また、そういう意味で国有地の活用としてふさわしいものでもございますし、国といたしましても、かねてから市側から要望のございました庁舎の敷地の借り上げ解消を図ることができる、こういうことから見まして、本件交換は妥当なものと考えまして交換契約を締結した次第でございます。
  147. 三浦久

    ○三浦(久)委員 何か国の利益になるからやったような話をしていますけれども、それなら国が何でこの時期に急いでそういう虫食いの状態の国有地を交換という形で払い下げをしなければならなかったのですか。そんな緊急な必要性というのはないのです。むしろ田中系企業の室町産業の必要性からやられていることじゃありませんか。そんなことは常識ですよ。  何で田中角榮氏がこんなに金脈づくりに狂奔をしているのか、私は、それはやはり裁判費用との関係があるのではないかというふうに思っているわけです。  田中元首相は二億円の保釈金を積んで保釈をされたわけでありますけれども、そのお金を大光相互銀行から借りております。この大光相互銀行はどういう銀行かと申しますと、もう御承知のとおり、乱脈融資で再建中であって、大蔵省の決算承認銀行になっているわけです。この二億円はもともと短期貸し付けで借りたものでありますけれども、七年たったいまも何も返済をされていないのです。延期、延期でまだ返済をされておりません。  大蔵省にお尋ねをいたしますけれども、保釈金の費用として短期貸し付けで借りたものを、借りかえ借りかえで七年間も返済をしない、また返済しようともしていない、こういうことは、国民大衆の預金を原資として貸し付けをしているいわゆる相互銀行のあり方として好ましいものなのかどうか、私はお尋ねを申し上げたいと思うのです。
  148. 竹下登

    竹下国務大臣 一銀行の個々の具体的な融資の件についてお答えするという立場にはないと思います。いまおっしゃった相互銀行というものの一般論としての貸し付けという問題につきましては、事務当局からお答えをさせます。
  149. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 相互銀行につきましては、一般的に申し上げまして、個人に対する貸し付けにつきましては一応自由に行うことができることになっております。ただし、同一人に対します貸付額は、自己資本の二〇%に相当する額または十五億円のいずれか低い額の範囲内に限られているわけでございます。  一般論として申し上げますれば、担保等によりまして保全措置が十分講ぜられ、約定どおりの利息が支払われておりますれば、特に法的な問題はないわけでございます。御指摘のことにつきましては、ただ、短期資金が長期化いたしまして仮に回収に懸念が生ずるようなことがありますれば、これは好ましくない問題ではないかというふうに考えております。
  150. 三浦久

    ○三浦(久)委員 相互銀行法の第一条には「国民大衆のために金融の円滑を図り、」というふうに書いてあるのですよ。ですから、この相互銀行の目的というのは、中小企業とか自営業者とか、また消費者金融、そういうものが本来の目的なんですね。いわゆる総理の犯罪と言われているこの事件の保釈金を融資するというようなのは、本来の目的でないというのはもうはっきりしていることであります。私は、大蔵省の厳正な指導というものを要求して、次の質問に移りたいと思います。  次は、総理に対する質問でありますが、私の以上の二つ、三つの質問でおわかりになりましたように、田中角榮氏は、刑事被告人となっても何らその政治的道義的な責任というものを感ずることなく、田中金脈の金脈づくりに狂奔しているということが明らかになったと思うのですね。ですから、私は、圧倒的な国民が田中角榮氏の議員辞職を望んでいるというのはもっともなことだというふうに思うわけであります。  問題は、その田中被告人が、刑事被告人である田中角榮氏が、そういう金権を背景にしながら、いまなお日本の国の政治というものに大きな影響力を持っている、民主主義国家では考えられないようなことがこの日本の国の政治では行われているということだと思います。  総理は、田中元首相がキングメーカーという名をつけられている、そして自民党の政治あるいは首相さえ動かしているのではないか、そういうような質問を参議院で受けられた。そのときに総理は、わが党に対する侮辱であり重大な内政干渉だ、こういうふうに答弁をされておられるわけですね。  私は、ここに越山会の機関紙を持ってきました。これは昨年の十二月十五日付でありますけれども、「越山」という機関紙です。ここには「日本最大の実力者ぶりを実証」という大見出しであります。そして「総裁選田中軍団が中軸に」、そしてその横にも大きな見出しで「『キングメーカー田中』海外でも定着」、こういうふうに書かれているわけですね。そして、本文を見ますとこういう文書もあります。「十月、十一月にかけて中央政界は大きく揺れ動きました。鈴木前首相の突然の辞意表明、自民党の総裁予備選挙、中曽根康弘候補の圧勝と新政権のスタート、臨時国会の開幕が、その中身です。この一連の政治ドラマの中で田中元首相は日本政治における最大の実力者、キングメーカー(首相を創り出す人)であることを国の内外に改めて実証しました。」こういうふうに書かれてあるわけであります。そうして、「こんどの自民党総裁予備選挙は、中曽根総裁の勝利であると同時に、田中元首相の勝利であったと言えます。」と書かれてある。そしておまけに、木曜クラブに行って中曽根総理自身が深々とお礼の頭を下げている写真も出ております。  田中角榮氏の後援会の機関紙「越山」自身が、田中角榮氏自身をキングメーカーだと言い、そして中曽根総裁の勝利は田中元首相の勝利とまで言っているわけですね。こういう記事が越山会の機関紙に堂々と掲載をされている、このことについて総理はどういうふうに御感想をお持ちでございましょうか。
  151. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 代議士がその後援会の機関紙あるいは編集者が後援会の人たちが喜びそうなことを特定の後援会員に流すという意味でつくっているものと、参議院という公の機関で、全国テレビで国民が聴視しておるところで同じようなことを言うということはまるっきり性格が違うことです。その辺のことは弁護士のそろっている共産党でもおわかりのことだと思います。
  152. 三浦久

    ○三浦(久)委員 有権者が喜びそうなことをいろいろ誇大に宣伝する、そういうことはあるかもしれませんね。しかし、これはただ一般的に田中元総理を褒めていることじゃないのですね。中曽根総理との対比において物を言っているというから、私は例にして引き合いにして出したわけであります。  それだけじゃありませんですね。ことしの二月十五日付の、これもやはり同じ「越山」ですけれども、田中秘書の早坂氏は越山会の役員新年会でのあいさつで何と言っているかといいますと、私もびっくりしましたが、「内閣を会社にたとえれば代表取締役社長が中曽根さん、先生は」、これは田中角榮氏のことでしょう、「先生は筆頭大株主ということになる。」そういうふうに書いてあるのですね。そして、この越山会の一面大見出しにはやはり「いまも堂々と政界最高の指導者ぶり」というふうに見出しがつけられております。このことは、田中元総理自身が自分がキングメーカーだということを自任しているということではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  153. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げましたように、代議士の後援会の機関紙に関係者がその代議士さんを称揚するようにいろいろ書くのはよくあることでありまして、そういう特定の後援会員の機関紙にそういうことを書いたことと、参議院という国会の神聖な議場において、そして全国民がテレビで聴視しているその場所で言うということは、まるっきり決定的に性格の違うことである、先ほど申し上げたとおりです。
  154. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それでは別の資料をお見せいたしましょう。越山会だけではないですね。  読売の九月十二日付の新聞にこう書いてあります。「大株主が社長を選ぶのは当たり前だ」、これが田中角榮氏の持論だ、こういうふうに紹介されております。また、八月二十九日の田中派の研修会で田中元総理はこう言っていますね。嫁をもらって一年もたたずに別れるなんて論外、いままで以上にバックアップしよう、こういうふうに発言している。嫁というのがだれで、しゅうとがだれかというのは、これはもうおわかりのとおりであります。これは私は、田中氏自身がおれはキングメーカーなんだというふうに思っていることの証拠ではないかと思いますが、総理いかがお考えですか。
  155. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 男が嫁さんなんかになるはずはありません。(笑声)
  156. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私の質問は、田中氏自身が自分をキングメーカーだと思っているのではありませんかという質問でございます。
  157. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 そういう、人の言ったことについては関知しません。
  158. 三浦久

    ○三浦(久)委員 もしかこの「越山」の記事が本当だとすれば、これは大変なことですね。いま総理の犯罪ということで裁判にかけられている田中角榮氏、刑事被告人であります。この方が政界の最高実力者で、首相をつくるのもまた首相をおろすのも自由だ、キングメーカーだ、こういうようなことを堂々と言う。そして、さっきも言いましたように、田中氏を褒めているだけではなくて、中曽根総理との対比において、中曽根総理は社長だがおれは筆頭大株主だというようなことまで言っている。こういうことは、私は日本の民主政治という点からいって見過ごすことのできない問題だというふうに思うわけであります。ですから、もしこれが本当だとしたら大変なことだ。もしかうそだというふうに中曽根氏自身がお考えになるのであれば、取り消しを要求するとか、また抗議をするとか、そういう措置をとられるべきだと思いますけれどもいかがでございましょう。
  159. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 後援会の機関紙にそれに類することはみんなお互い言っていることでありまして、別に意に介するほどのことではない。それより大事なことは、国権の最高機関である参議院の神聖な委員会において、全国民聴視のその場においてそういう不都合なことを言うということが問題なんです。
  160. 金丸信

    金丸委員長 三浦君、ここは行革特別委員会ですから、あなたの質問行革特別委員会の線には沿ってない。もう四十五分、あと十分ぐらいしかありませんよ。行政の問題もひとつ質問していただきたいと思います。
  161. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私は、やはり清潔な政治は行革の原点だ、そういう立場でお尋ねをしているわけであります。  ところで総理は、参議院の予算委員会で、田中元首相に議員辞職を求めたらどうか、こういう質問に対しまして、自民党員はそういう心構えでいかねばならないが、無所属の方は自分で判断すると考えるというふうに答弁をされておられますね。  しかし、田中元首相は自分で無所属とは考えていないのであります。たとえば、文芸春秋の八一年二月号の中でのインタビューで、「私を自民党でないという人はいないし、私もまた、「わが自民党は」とやっている」、こういうふうに述べております。これは田原総一朗氏とのインタビューであります。またさらに、八一年六月十九日付の週刊朝日でのインタビュー、やみ将軍と言われるのはキングメーカーとして君臨しているからではないか、こういう質問を受けて、「あたりまえだろう、」「自民党の総裁は数で決まるんだから。ぼくは自民党に籍がないから投票権はないけど、自民党所属の衆参両院議員の中で、わがグループは少なくとも三分の一はあるんだ。三分の一というのは、商法においても、ちゃんと拒否権を持っているんだよ。」こういうふうに述べているわけであります。これは田中角榮氏が、自民党をおれが事実上支配しているんだということを自任していることであります。これは、形は自民党籍はなくても、自民党員以上の自民党員だということが言えるのじゃないかと私は思うのですね。  ですから、総理が無所属の人だから辞職勧告をしないというのは、私は当てはまらないと思うのですね。そういう考え方は、私は社会には通用しないというふうに思いますが、いかがでございましょう。
  162. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 田中さんはしかし、パーティーなんかでは、私は自民党の周辺居住者だとしばしば言っているようです。
  163. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ですから、そういうことも言っておるけれども、しかし実質的には自民党員としての言動をしているというのが政治の実態ですね。  ここに毎日新聞の社説がありますけれども、この社説ではこう書いています。九月八日付の毎日新聞の社説でありますが、「「田中支配」の表現が一般化するような異常事態」、こういうふうにいまの政治の状況を指し示しているのですね。  そうすると、総理が、無所属だからおれは辞職の勧告をしないのだというふうにおっしゃることは、そういう田中支配というものがあるので勧告ができないのだというふうに受け取られても私は仕方がないのじゃないかなというような気がいたすわけですが、この点、総理の見解を伺いたい。
  164. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 あのときの質問は、あたかも田中さんが自民党員であるがごとき口吻で質問をしてきまして、自民党総裁としてやらぬのか、そういう質問がありましたから、自民党というところは、総務会もあればあるいは党紀委員会もあればいろいろな機関もある、そういう手続がちゃんとある場所であって、無所属の方に対して自民党総裁がそういうふうに、あなたが考えているようにやるべきものではないんじゃないですか、そういうふうに申し上げたのです。
  165. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ですから、実質的には無所属ではないわけですからね。ですから私は、あなたも政治の盟友でしょう、そういう意味では、同期生だとも言われておりますし、お互いに協力し合ってきている仲なんですから、当然辞職の勧告をしてもしかるべきだと思いますけれども中曽根総理自身のいまの態度というのは、国民の要求というものとはきわめてかけ離れた立場だということを指摘して、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次に、私は、参議院選挙中、総理を筆頭に中曽根内閣の閣僚の皆さんが非常に露骨な利益誘導の発言をいたしておりますね、この問題についてお伺いをいたしたいと思います。  内海建設大臣、私の方を見ておりますが、何か身に覚えがあるようですね。ことしの五月二十九日でありますが、青森県の自民党県連主催の集会で失言をしている。それを衆議院の災害対策特別委員会で追及をされまして、不徳のいたすところだ、こういうふうに一応反省の色を見せたわけでありますけれども、しかしその後、六月二十日、内海建設大臣は、横浜市中区にあります横浜市民ホールの神奈川県建設業協会主催の公共事業推進神奈川県決起集会、ここに天野代議士と一緒に出席をいたしまして、次のようにあいさつしていますね。  まず最初に天野代議士が、「来年度の予算については、十二分に公共事業を考えるという方針を、われわれ(自民党)決めてございます。しかし、これも、無理をいってとれるかとれないかは、こんどの参議院の選挙にかかっているわけであります。」「いったい、自民党を除いて、あとの政党でなにができるんですか。それをみなさん方、考えてみてください。」「こんどの選挙で自民党に協力するか、しないかは開票結果をみればわかるんです。」「そうですから全国区の投票の割合によって私は各府県に市町村の公共事業をわりあてるつもりであります。そうですから、この前よりもでたところには、かならず、上づみをするように努力いたします。これは、この前、幹事長同席の上、全国から集まった業界の最高幹部の方方のもとで、私はそういっておきました。これをやります。そうですから、杉元君が圧倒的に最高点でとらせるようでなければ、神奈川県の公共事業の比率は下がりますから。おわかりですね。こういう政策をとる。」こういうふうに発言している。これは速記録を起こしているわけであります。  続いて内海建設大臣が登壇をいたしまして、「建設関係の大先輩の天野先生から力強いごあいさつがあったわけでございます。それを受けて、私がやりますと、かならず表現の仕方がむずかしくなります。ただでさえも私は相当今度の選挙で激しいことをいって歩いておるわけですから、また、おしかりを受けるようになるかもしれません。どこの演説会にまいりましても、天野先生がおっしゃったようなことをいわないと、あまり効果がないわけであります。ところが、建設大臣という立場があるといいますと、国会によばれてお灸をすえられるわけでございます。ま、天野先生がおっしゃったことが〝まったく、そのとおりだなあ〟と私はうなずいておるわけでございます。」こういうふうに言われておるのですね。これは間違いございませんか。
  166. 内海英男

    ○内海国務大臣 天野先生がそこにお読みになりましたように相当激しくおっしゃったことは、私もわきで聞いておりまして、それ以上私がつけ加えることもございませんので、まあそうかな、こう言っただけでございます。
  167. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうしますと、現職の建設大臣が、自民党に票が出た県とか府とかまた市町村、そういうところにたくさん公共事業をやるけれども、自民党の票が出ないところには公共事業を余りやらないというような、そういう発言というのは、総理、どういうふうに思われますか。
  168. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 いまの内海建設大臣発言、いまお読みになったのを私は聞いておりましたが、それはこうしてくれという依頼をしているのではないので、自分の感想をかっこうで表示した、ですから、別に依頼をしているのじゃないから選挙違反にもなりませんし、そういう感じを出すということは人間としては自然にあり得ることで、これを抑えろというのが無理だという場合もありますし、また抑えるのが適当だということもありますが、やはり人間というのは自然の感情が出てくるので、やむを得ないのじゃないかと思います。
  169. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それは大変なことじゃございませんか。これは、法律的に云々と言われましたけれども法律的に言えば共謀なんですよね。一緒に意を通じて、ああ、あの先生のとおりでございますと言うわけですから、これは共謀ということですね。ですから私は、いま法律上どうのこうのということを聞いているのじゃなくて、現職の建設大臣として自分の所管の公共事業を、自民党が票を出した県にはたくさんやるが出さない県にはやらないというような発言が適当な発言かどうかということをお尋ねしているわけであります。
  170. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 選挙のときにはみんな思い当たることがあるので、大体それに似たような、近いことは言っておるのです。ただ、個々具体的な問題について、この橋をつくるからおれに票を入れろ、それは利益誘導になるのじゃないかと思いますが、一般的、政策的なことを言ったことは、私は利益誘導にはならないんだと思います。  それで、建設大臣に関する限りは別に依頼したわけでなしに、自分の感情を、人がそういうふうに察知して受け取ったか受け取らないか知りませんが、自然の行為である、そう思っております。
  171. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それじゃ、もう時間がありませんので、中曽根総理自身の発言についてお尋ねいたしましょう。  これは総理も本会議質問されて答弁されておりますので簡単に申し上げますけれども、二階堂幹事長が「割当数字を達成できるかどうか。それは来年度予算編成で皆さんのところに公共事業が余計つくかどうか、交付税が認められるかどうかにかかわってくるんですぞ」、こういうふうに、中曽根総理も、「各市町村毎に競争してもらう。中央と地方の補助金を悪用、濫用する気はないが、投票率の悪いところはそれなりのお仕置きをし、優秀なところは表彰する。これが民主主義だ」と、こういう発言をされておるのですね。  それについて総理は、本会議の答弁でどういうふうにお答えになっておられるかといいますと、まあ投票率をアップさせるというのは国民に対する国政参加の機会をふやすということだからあたりまえなんだ、こう答えられておるのですね。しかし、これは前後の関係からいって、決してそういうような発言趣旨ではないのですね。自民党への投票率の悪いところはそれなりのお仕置きをするということなのであって、棄権がたくさん出た県はお仕置きをする、そういうような意味でないというのは前後の脈絡からはっきりしているわけですが、しかし総理はそうおっしゃったわけですね。  それじゃ、棄権が多くふえた、そういう県にはどういうお仕置きをするつもりなんですか。
  172. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私が申し上げたのは、ともかく民主主義の原点は、住民の皆さんが権利を行使して選挙に参加すること、それが原点である、したがって皆さんが多数今度の参議院選には参加して、民主主義の有終の美をなすように協力してくれ、また、そういうふうにやらしてくれということを申し上げた次第です。
  173. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうしますと、投票率の悪いところはお仕置きをしたり優秀なところは表彰をしたり、これが民主主義なんですか。これはおかしいじゃございませんか、総理。棄権する権利というのはあるのです。投票をしない権利もあるのです。そういう人々に対してお仕置きをするというのは一体どういうことなんですか。総理の答弁は、全く私の質問に答えていないと言わざるを得ないわけですね。  また、二階堂幹事長の発言についても、これは政策を鮮明にしたものだ、こういうふうに本会議で答弁されておりますけれども、二階堂氏は「公共事業が余計つくかどうか、交付税が認められるかどうかにかかわってくるんですぞ」、こういうふうに言っておどかしておるわけでしょう。そうしますと、自民党の得票目標を達成したところには交付税や公共事業をたくさんつける、そしてまた、それが少ないところには少なくしか配分しない、こういうことを幹事長は言っているわけです。それが政策を鮮明にしたものだというふうに中曽根総理が本会議で答えられているとすれば、そのとおりあなたはこれからの政治で、実行されるのですか、そういうことを。どうなんですか。
  174. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 よく都道府県におきましては、投票率の優秀な町村は表彰しているところがあります。そういうことを意味しているということです。
  175. 金丸信

    金丸委員長 これにて中路君、三浦君の質疑は終了いたしました。  次に、小杉隆君。
  176. 小杉隆

    ○小杉委員 時間が限られておりますから、できるだけ簡潔に質問をしたいと思います。  まず総理に伺いますが、国民負担の限界というものをどのくらいに考えておられるかということです。臨調答申でも明らかなように、これからの日本の将来を考えますと、高齢化社会ということで年金や医療の負担がどんどんふえていく。それから、国際社会の中での責任が大変重くなっていくということで、日本の対外的な分担というものがふえていく。こういう将来展望考えますと、ほっておきますと、どんどん国民の経済的な負担がふえていくということは容易に想像できるわけですが、総理としては、この国民負担の限界についてどのような見解をお持ちになっているか、まずお伺いしたいと思います。
  177. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 臨調答申を拝読いたしますと、「増税なき財政再建」ということを言っていらっしゃいまして、その意図するところは、国民所得に対する負担率というものを原則として守っていくように、それを「増税なき財政再建」であるということを言っていらっしゃいまして、私は、そういう趣旨を一生懸命実現しようと思って努力したいと思っているわけです。
  178. 小杉隆

    ○小杉委員 もう少し詳しく、行管庁長官おられますか。総理は、いま、現在の負担率というものをそれ以上にならないようにしていきたい、こういうお話でしたけれども、その総理目標目標として伺っておきますが、臨調答申では国民負担をどのぐらいに考えているのか、行管庁長官に伺いたいと思います。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕
  179. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 租税負担率につきましては、現行の負担率を大幅に上回るようなことは好ましくない。と同時に、租税負担率社会保険料とを合わせました負担率、それはヨーロッパ等におきましては五〇%近くなっておりますけれども日本においてはそういうふうに大幅になってはいけないよ、その下でなければいけないよということを言っておると思います。
  180. 小杉隆

    ○小杉委員 それでは大蔵大臣に伺いますが、現在の租税負担率はどのぐらいになっているのか。それから、将来どういうぐあいになると考えておられるか。
  181. 竹下登

    竹下国務大臣 五十七年度が二三・七、それから五十八年度が、見込みですが二三・七、こういうことであると記憶をいたしております。  将来の租税負担率をどうするか。いつでも申し上げますように、租税負担率というのは結果として生ずるものでございますが、臨調答申にもございますように、大きく変化するような新たなる税というようなものは考えるな、こう書いてあるわけでございますから、そのような考え方でもって進んでいきたい。そして、それに社会保険負担をプラスしたものは、これははっきり「展望指針」にも書かれてありますように、ヨーロッパ等をかなり下回るという方向が明示されておるというところであります。  したがって、租税負担率の問題、いろいろ議論が出ておりますが、五十九年度予算の編成を終わりました後、いかに経済全体からいえば財政の受け持つ分野はその一部とはいえ、やはり予算審議手がかりとしてわれわれも展望等の中に示さなければならない課題ではないか。その場合どのような形でお示しするかということについては、本院に行われた議論等を通じながら、また個々に協議をしながら部内で検討をしてみたいというふうに考えております。
  182. 小杉隆

    ○小杉委員 厚生大臣に伺います。  これから高齢化社会ということで、年金、医療の負担がますます重くなっていく。今回の国会でも、国家公務員と公企体の職員の年金統合という法案が出ておりますが、そういった社会保険料の分野で、厚生大臣は、国民社会保険負担現状と将来の展望はどのように考えておられるか。
  183. 林義郎

    ○林国務大臣 小杉委員にお答え申し上げます。  現在大体一〇・一%ぐらい、こういうことでお考えになっていただければいいと思いますが、高齢化社会を控えて当然に年金等については上がっていくということは考えいかなければならないと思います。  それからもう一つ、医療でございますが、これはなかなか見通しがつけられない、ほっておくと大変なことになってくるわけでありますから、私は、これはできるだけ抑制をすると申しますか、適正なところへとどめる努力をしていかなければならないだろう、こう思っておるところであります。  トータルしてどのくらいがいいかというのは、私は、これはいますぐにどうだということはなかなか言えないと思うのです。一つ申し上げますと、東洋倫理で四公六民とかいうようなことはあるんですね。租税負担率は先ほどのようないろいろな話がありますが、そういった中でやはり社会保険料というものも一緒に考えていくというようなことを考えいかなければならないので、将来こうなりますというようなところまでは私まだやっておりませんし、むしろ、できるだけ抑え目になるようなことをやっていかなければならない。しかし、趨勢としていくものは、必要なものはやはりやっていかなければならないのではないか、こう思っておるところであります。
  184. 小杉隆

    ○小杉委員 経済企画庁長官に伺います。  最近出しました「展望指針」、これは数字なき展望というふうに言われておりますが、大体経済企画庁としては、将来の国民負担の限界というものをどのくらいに考えておられるのか、見解を伺いたいと思います。
  185. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 お答え申し上げます。  小杉委員御指摘のように、今回の「展望指針」では、これまでの経済計画の将来の租税負担率等の予測と違いまして、数字の展望は示しておりません。しかしながら、私どもは、ヨーロッパ諸国負担よりもかなり低いところにとどまることが望ましい、こういうふうに述べているところでございます。
  186. 小杉隆

    ○小杉委員 いままで大蔵大臣あるいは厚生大臣経済企画庁長官、また総理からも冒頭に御返事をいただきましたが、現在のわれわれの租税負担率並びに社会保険料の負担率というのは大体三四、五%というところですね。それでなお厚生大臣からもお話があったように、これからの趨勢としてはやはり膨張は避けられない、高齢化社会で年金あるいは医療の負担というのはだんだんふえていくという御答弁がありました。一方において、これから対外的に国際社会の中での日本の経済負担がふえていくわけですから、恐らくこの租税負担率もこれは上がっていかざるを得ないということになるわけです。  そこで、いままでの答弁を総合してみますと、現状に抑えたいけれども膨張はやむを得ないだろう、しかし膨張していくにしても、現在のヨーロッパ、西ドイツ、フランス、イギリス等、大体五〇%から五一%くらいだと思いますが、これよりも大幅に下回るということを目標にするのだというふうに理解できるのですが、総理、そのように理解してよろしいですか。
  187. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 社会保険プラス税における負担率というものをできるだけ現状を維持するように私たち努力していきたい、それが「増税なき財政再建」というものの趣旨ではないか。ただ、いまの厚生大臣のお話のように、高齢化社会を控え人口がまたふえてまいりますし、そういう意味においてはなかなかきつい、むずかしい問題があるのです。その上に、これだけ大きな国債をしょいまして、国債の処理費用だけでも十兆ぐらいにもうすぐなる。そうすると、三十二兆から三十四兆ぐらいの税収の中で十兆を国債で取られてしまう。そういうような厳しい財政の中で行政費が非常に少なくなってくる。その中で、やはり社会福祉とかあるいは教育費というものについてはできるだけわれわれも考慮しなければならぬ、そういう面がございますので、その関係をどうバランスとるかというのが一番頭の痛いところです。しかし、率直に申し上げて、ともかく租税プラス社会保険料の合算額というものをできるだけ現状に近い線で努力し続けていく、原則としてもその態度を守っていくという立場でいきたいと思っておるのです。
  188. 小杉隆

    ○小杉委員 経済企画庁長官にもう一度伺いますが、あの「展望指針」の中では経済成長率を大体四%程度というふうに見込んでいるわけですから、従来のように自然増収が大幅にふえてくるという背景はないわけですね。ですから、収入の方つまり分母の方はそんなに大きくならない、そして一方において分子の、いわゆる支出の方はどんどんふえていくということになると、現在五十八年度で租税負担率が二三・七%ということですが、経済企画庁の内部的な試算の中では、この租税負担率というのはやはりふえていくという見通しなのか、あるいは減っていくという見通しなのか、明らかにしていただきたい。
  189. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 最終の見通しにつきましては、ヨーロッパ諸国よりかなり低目のところと言っただけでございまして、それ以上詳細に私どもは述べていないところでございます。  しかしながら、先ほど厚生大臣も言われましたが、GNP国民所得の増加に応じて、現行税制をそのまま据え置いても税収はGNPの伸び以上に伸びることは御案内のとおりでございます。このようなやり方等でいろいろと計算したこともございましょう。しかし、いろいろやり方がありまして、これについては私どもは一義的な、いまこういうふうになるのだという計算は持っておりません。
  190. 小杉隆

    ○小杉委員 大蔵大臣にもう一度伺いますが、先ほど総理からお話があったように国債の償還費用とかという問題もありますし、また社会保障費あるいは対外経済協力費等がふえていきますと、いままでの趨勢から見て、国民租税負担率というのは上がることはあっても下がることはない、やはり少しずつ上がっていくというふうな見通しに立っておられるかどうかです。
  191. 竹下登

    竹下国務大臣 これは一つ基礎になるのはやはり五十八年の三月の臨調答申。ここには、租税負担社会保障負担とを合わせた全体としての国民負担率というものを基準にヨーロッパ諸国水準よりかなり低位にとどめることが必要だ、こう書かれてありまして、それを受けて「一九八〇年代経済社会展望指針」も、これはいま御指摘のありましたように高齢化社会が必然的に来ておる、したがって将来の租税負担社会保障負担を合わせた全体としての国民負担率は、このヨーロッパ諸国水準よりかなり低い水準にとどめることが望ましいと、大体同じような文言で書かれておるわけであります。そのような努力の積み重ねによって、特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引き下げに努めて、財政の対応力の回復を図ることが必要だ、こういうことが規定されておるわけでありますが、現行の施策、制度、水準を維持するという前提の上に立って歳出の方を考えた場合は、租税負担プラスいわゆる社会保障負担、なかんずく社会保障負担、この受益者も国民であり、そしてそれを負担する者も国民であるという観点に立てば、総体的には現行の施策、水準を維持するという前提の上に立てばふえていくであろうというふうに考えられますが、なおしかし、それについてはやはりヨーロッパの水準よりもかなり下の方が望ましいという方針に向かって進んでいきたいということであります。
  192. 小杉隆

    ○小杉委員 そこで、ヨーロッパ社会が日本よりもはるかに進んで高齢化社会になっているわけですけれども、その結果としていまヨーロッパの先進諸国は国民負担というのが大変重くなってきている。その結果として、たとえばイギリス病とも言われるような、国民が働くのはばからしい、黙って遊んでいて社会保障をもらった方がいいというような無気力な国民というか、そういう活力を失うというような状況が出てきているわけですけれども、わが国のように国土も狭い、資源も少ない、こういう国において国民の間にそういう空気が出てきたら、これは大変な事態になるわけでありまして、いまお話しのように、できるだけヨーロッパの負担率よりも低く抑えていくということは至上命題だと思うのです。  しかし、いままでの大蔵大臣や厚生大臣の答弁を聞きましても、これから膨張する要因はあっても減少する環境にないということになりますと、国民の間には、これから高齢化社会がどんどん進んでいってしまって年金や医療の負担がふえていく、あるいは国際化という中で日本の防衛費も含めて分担がふえていくということで、一体これは国民負担がどのくらいまでいってしまうのだろうかという一つの不安感、危惧感があるわけです。  そこで、やはり政府としても、われわれは「増税なき財政再建」と言うけれども、この臨調答申にもあるように、私たちはやはり歯どめなく国民負担がふえていかないようにしなければいけない、しかし、その目標政府から示される必要があると思うのですね。たとえば防衛予算GNP対比で一%というのは、やはりあれは一つの歯どめにもなってきたと思うのです。これから行政改革を強硬に進めていくということになりますと、ある一定の目標値というか、国民負担はこれまで以上には絶対させないのだという、政府としての一つ目標というものをやはり出すべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  193. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、小杉さんの前段、いわばイギリス病とかあるいはヨーロッパ病というお話がございました。  私も常々考えておりますことは、財政改革というものの基本は、かつてあのような国になりたいと言って、いわば追いつけ追い越せの目標であったヨーロッパとか、あるいはアメリカもその中にすでに入っておるかもしらぬ。それを、ある種の水準においてはその追いつけ追い越せは達成した。これ以上は、あんな国にならないように事前にまずぜい肉を落とし体力を回復しなければならぬ。極言すればそのような気持ちで対応していかなければならぬ。そうなれば、当然のこととして国民負担率の問題というのがあのような国ほどになってはならないということが結論として出てくるわけであります。  しからば、かなり下回るという表現で、ヨーロッパ諸国水準よりはかなり低い水準という、さてそのかなりとは何ぞや、こういうことになりますと、私は、それに対しては、これから国会議論なり各方面の意見を聞いておよそのめどはつけたいものだなと思っておりますが、いま仮に三四・三をわが国といたしまして、イギリスが五一・〇と仮にいたしますと、かなりとはどの辺の水準かということについては、にわかにここで明言するわけにはなかなかまいらない。しかし、おっしゃる意味、ある種の指標的な目標を掲げて、いまこそイギリス病とかヨーロッパ病とかにならないような財政改革をしろという考え方は、私も完全に同じ考え方と理解していただいてもいい、こういうふうに考えております。
  194. 小杉隆

    ○小杉委員 総理にも再度伺います。  総理は、現状ふやさないということを再三答弁されているのですが、先ほど来指摘しておりますように、国民負担がふえていくということは避けられない趨勢にあるわけですね。ですから、たてまえ論だけじゃなくて、どうしてもふえざるを得ないけれども、このぐらいまでは何とか抑えたいのだという一つの指標というか、国民に対して本当に犠牲を求めるということならば、私たちは皆さんにこれから将来もこれ以上の負担をかけません、こういう一つの指標というか、ものを示される必要があると思うのですよ。先ほど厚生大臣から四公六民なんという言葉がありましたけれども、ヨーロッパの水準よりもかなり下回るということになりますと、たとえばいま五一%、それに対して現状が三四、五%ということになれば、半分をとれば四二・五%ですし、それよりもっと低くするのだということであれば四〇%だということになるわけですが、そのような具体的なわかりやすい国民に対する一つの指標というものを政府として出すべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  195. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 われわれがいま行政をやっていくについて一番のベースになっているのは土光さんがつくった臨調答申、これをまずベースにして実行していく。その上に経済政策が出てきて、この間の「指針展望」というものが出てきました。これで経済を運営していく。その上に財政構想が出てくるわけです。これはいま財政審議会に審議をお願いをいたしまして、その財政的裏づけの構想を出していただく。その上に四全総が出てくるわけです。四全総は二〇〇〇年までの発想のようですから時間がかかりますが、ともかくそういう四つのものが今後二十一世紀にかけてわれわれが考えていく一つ計画的体系としてつくられていくと思うのです。財政審がいまやっておるそれらをまたよく見まして、それらをよく検討した上で大体どの辺がいいのかなという構想がわいてくる。いま定量的に物を言うことはむずかしいし、また危険があります。定性的には行革の、土光さんの臨調の方で欧米よりもかなり低い線でやれ、そう言われておるので、そういう定性的な線をできるだけ守っていく、そういう形で財政審そのほかの結果を見守って、大体この見当という見当をつける、そういう手順ではないかと思っています。
  196. 小杉隆

    ○小杉委員 ぜひそういった指標を出していただきたいということを申し上げて、次の質問に移ります。  国とか地方自治体あるいは特殊法人がつくり、また運営している公的施設のあり方について取り上げたいと思うのですが、行管庁長官に伺いますが、去る十五日に「国及び特殊法人による宿泊施設の設置・運営に関する地方監察の結果」というのが出ましたけれども、これを概略でいいですから簡単に御説明いただきたい。
  197. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 特殊法人等の経営いたしておりまする宿泊施設につきまして、民間の業者と競合したりそれを圧迫するというようなものについては、今後新規はやめたらどうだということが第一点。それから第二点は、そういうふうな福利施設は会員の方々の利用に供することが一番の目的でございますから、会員の方々の料金はある程度安くても、会員外の方はそれと同じようにしたのではかえって民業圧迫ということにつながるから、そういう会員外の利用料というものは適正化すべきではないか、こういうふうな監察の結果の勧告でございまして、私は、それはもっともなことだ、かように考えております。
  198. 小杉隆

    ○小杉委員 そこで、いま行管庁長官が申されたとおり、大変民業圧迫という実態があるわけですね。  それで特に、私は一概に公的宿泊施設がいけないと言っているのではなくて、やはりできるだけ安い料金で国民の利用に供するということはいいことだと思うのですが、これが大変行き過ぎていると思うわけでして、たとえば先日の行管庁の調査結果を見ましても、政府管掌健康保険の保養所は宿泊利用率が二八・一%、それから労働福祉事業団体養所というのが二〇・五%、それから勤労者いこいの村というのが三五・四%ということで、各宿泊施設の平均の利用率が書いてありますが、いま申し上げた三つは極端に低いわけです。一般的に民間の宿泊所で経営の採算が採れるというのは四〇%と言われているのですが、こうした施設は特に利用率が低いわけですが、これは厚生大臣になりますか、厚生大臣と、それからあと労働大臣に、このような利用実績に対してどんなお考えをお持ちか、お答えいただきたい。
  199. 林義郎

    ○林国務大臣 ちょっと御質問の数字を手元に持っておりませんので、事務当局おりましたら事務当局から御答弁させていただきます。
  200. 小杉隆

    ○小杉委員 もう時間が限りがありますし、答弁に手間取っていますと持ち時間がなくなりますから結論を急ぎますが、要するに、こういう公的宿泊施設というのは、税金面でも固定資産税を免除されたり、それから建設資金とか運営費に非常に公のお金が使われていたり、あるいはその宿泊所に働く従業員なんかもいわゆる公務員として採用できるとか、いろいろな恩典があるわけでございまして、そういうところが地域の民業圧迫で紛争を起こしているケースが非常に多いわけでございまして、こういう点はぜひ是正をしていただきたい。  それで、環境庁の方も、これは勧告を出したばかりですけれども、今後これらの結果についてフォローしていくべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  201. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 私の方でつくっておるのには国民宿舎と国民保養センター、宿泊の方と日帰りのレクリエーションの方があるのですが、これは全部つくりました地方公共団体がやっておるわけなんですが、いま委員御指摘のように経営がうまくいくように、私どもの方もつくっている各町村には常に注意を促しておる、こういう状態でございます。大体私どもの方は場所がいいところへつくっておるものですから、なかなかよく運営されておるように思っております。
  202. 小杉隆

    ○小杉委員 もしすぐ答弁ができるようでしたら、労働大臣いかがですか。
  203. 大野明

    ○大野国務大臣 いま手元に先生御指摘のパーセンテージ等に関する資料はございませんが、行管庁から改善の意見が出されたということでございますので、いずれにしても、現状は、この点を踏まえて、関係というと雇用促進事業団とかあるいはまた関係の公共団体であるとか、そういうところと話し合ってやっていこうということでございます。
  204. 小杉隆

    ○小杉委員 時間が大部切迫してきましたのではしょりますが、これは宿泊施設だけではなくて、余暇関連の施設も大変ばらばら行政というのか、縄張りの悪い点が出てきているわけです。  たとえば昭和五十二年に行管庁が指摘をした例に、新潟県のある村のケースが出ております。これは、人口わずか六千人のある村に、しかも半径五キロ以内のところに同じような施設が五カ所も建っている。たとえば、そこの村と隣の町とが共同してっくった福祉センター、そして厚生省の関係の国民年金保養センター、そして環境庁所管の国民宿舎あるいは国民保養センター、農林省所管の生活改善センター、こういうことでお互いに同じような施設をつくったために足を引っ張り合って利用率が思わしく上がらない。こういうむだなことが行われているわけです。これは五十二年の調査ですから、その後改善はされたと思いますけれども、もし現状がわかりましたら、環境庁長官から代表して御説明いただけますか。
  205. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 先ほども申し上げましたように、湯之谷村には宿泊施設の方とそれから日帰りのレクリエーションに使う方と二つつくっておることは事実でございますが、行管庁から指摘を受けまして、その後いろいろの施設、私どもの方だけじゃなく、いま御指摘のようにほかにもございますが、これらの施設が競合しないように、十分効率がいいように、いま町村にずっと指導をいたしておるところでございまして、大体うまく改善されたやに承っておるわけでございますが、まだ実態は十分には調査はいたしておりません。その後はうまくいっているようには聞いております。
  206. 小杉隆

    ○小杉委員 環境庁の関係は比較的うまくいっているようですけれども、しかし、私はやはりこういうケースはここだけじゃないと思うのです。  私もいろいろなところを見まして、たとえば区の総合運動場の隣に厚生年金のセンターがあって、それからその隣にレクリエーションセンター、これは労働省ですか中小企業かな、そういう類似の施設がいっぱいあって、同じところにプールが三カ所もあるなんということがあるわけですよ。ですから、そういう縦割りの弊害をなくして、もっと地元市町村なんかと調整をとって、これから財政の厳しいときなんですから、そういう交通整理を行管庁長官はもっと各省に徹底してやるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  207. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 労働省、厚生省それから郵政省、簡易保険の関係がありますね。そういうわけで、福利施設といいますか宿泊施設といいますか、各省がばらばらにやっておりまして、それが総合性が一つも発揮されてない、こういう例はたくさんあるわけでございまして、まだ是正されてないと私も考えておりますから、今後はやはりそういう施設については総合的に各省が相談し合ってやるとか整合性を確保するとか、そういうふうなやり方に努力をすべきだ、かように考えておる次第でございまして、今後とも、先般来の監察の結果を踏まえて、そういう方面に努力をいたしたいと考えております。
  208. 小杉隆

    ○小杉委員 まだいっぱい質問があるのですけれども、この問題ばかりやっていられないので、最後に締めくくりとして、たとえば国家公務員の共済年金で最近竹橋会館なんというのをつくりましたけれども、大変デラックスな、一流のホテル並み以上の設備を持ったところがありますし、こういう点ももう少し私は考えるべきじゃないかと思うのですね。それから、文部省の国立の入試センター、これも最近完成しましたけれども、その周辺に今度区や都がいろいろな施設をつくるわけですが、その関連を全然考えないで自分のところだけテニスコートを二面もつくっている。こういうような大変むだなことをやっておりますので、この辺は特にこれからひとつ各省とも注意してやっていただきたいということをお願いしておきます。  そして、最後になりましたけれども、私は、国有財産の有効活用ということを申し上げたいと思うのです。時間が大変切迫しておりますから、ちょっとまとめてお話をいたします。  中曽根総理が今度公務員の住宅を建てかえるに当たって民間活力を大いに導入しようという考え方、私は評価していいと思います。この国有財産は、数字を申し上げるとちょっと長くなりますから申し上げませんが、大蔵省が所管している普通財産と各省が持っている行政財産と二通りあるわけですけれども、各省が持っている行政財産の中に、まだ有効に活用されていないのが多分にあるわけです。  きょうは例を一つ一つ出して各省の大臣から御答弁をいただく予定でしたけれども、そういう時間もありませんので私は具体的に名前を挙げられませんが、ちょっと二、三例を申し上げますと、たとえば大蔵省が昭和五十四年に行政財産特に土地について調査した結果によりますと、当時処理すべき件数と面積というのは三百五十四件の三百六十四万二千百五十一平方メートルであった。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕 それを五年計画で適切に処理をすることになっていましたけれども、五十八年度までの予定では大体半分程度しか処理がされていない。その後進んでいる面もあるかもしれませんが、そういうことで、せっかく有効活用すればもっと生きた使い方ができると思われるような場所がかなりあるわけです。  たとえば広島大学の工学部の敷地、これはいま地元の市町村との話が進んでいるようですけれども、あと渋谷の日本社会事業大学、これなんかは原宿の一番の一等地で、昭和十二年に建った老朽建物が依然としてあって、これの移転をするのかしないのかあるいは建てかえるのか建てかえないのか、それなんかももうちょっと集約して建てかえてその跡地を利用するとか、そういう方策も考えられるのじゃないか。それから郵政省の港区の麻布台、ソ連大使館の前にある郵政本省の飯倉分館、これなんかも二万二千二百四十四平方メートルあって、これも昭和十年ころの古い建物をいま国土庁が使っているようですけれども、こういうものももうちょっと有効活用を図るべきじゃないか。  だから、中曽根さんがそういう公務員住宅だけに、いま戸山と白金とそれから代々木ですか、こういうところだけを民間の活力を導入すると言っていますけれども、もっと広く各省が持っている行政財産を総点検をして、これをもっと有効に活用する道というのは大いに残されていると思うのですよ。そういう点については、総理、どういう御見解でしょうか。
  209. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 その点は全く同感でございまして、とりあえず公務員宿舎を中心にする東京都区内のものを調べさせましたら、私の記憶では四十二カ所十九万坪ぐらいあります。その中でも一番大きい、わりあいにやりやすいのが新宿、西戸山という場所ですか、あの辺が一番早い。そういうので、理財局長を中心にして諮問委員会をつくりまして、この間その構想を発表したわけです。あれを手始めにして、あのやり方を一つのモデルのやり方にして、そしてほかの場所をずっと手をつけて民間活力を導入しよう。その次には国鉄の問題もあります。国鉄は錦糸町をもうすでに手をつけて始めようとしている。そのほか、汐留であるとか巣鴨であるとか新宿であるとか、これもかなりあるわけです。これを持続的に計画的に都市計画とあわせて開発を進めまして、そして長期、持続の東京の繁栄とそれから緑の供給あるいは景気浮揚、そういうものを考えていこうと思ってやっておるところでございます。
  210. 小杉隆

    ○小杉委員 運輸大臣に伺いますが、いま総理から言われた国鉄用地を具体的に活用するプログラムが進んでいると思いますが、それを、場所とどのぐらいの進捗状況か、おわかりでしたらお答えいただきたいと思います。
  211. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 錦糸町、梅田地区の再開発、これは国鉄に設置された計画検討委員会で年内を目途に開発計画を策定しております。それから新宿、汐留、この再開発については、まだそこを使っているものですから、そういう前提条件を検討して、将来の問題としてやろうと思っております。いずれにいたしましても、民間活力を活用しなければこういうものはできません。
  212. 金丸信

    金丸委員長 小杉君、時間です。
  213. 小杉隆

    ○小杉委員 もう時間が参りましたからやめますが、もうすでに錦糸町は約四万平方メートルについて東京都や地元の区も入って具体的な検討委員会がスタートしているわけですね。それから、そのほか梅田、汐留、新宿なども大体三万平方メートルから十七万平方メートルという大変大きな敷地の計画考えているようですけれども、これから国鉄は貨物部門の縮小というようなことに伴って相当そういう用地が出てくると思うのです。国鉄の用地というのはやはり駅そのものでありますから、非常に有効利用しやすいし、総理が大変本格的にそういった財産の活用を図ろうというのであれば、国鉄のこういった土地についてももっと積極的にやるべきだと思うのです。それで、いま国鉄が考えているやり方というのは、国鉄を中心とした第三セクターで……
  214. 金丸信

    金丸委員長 簡単にやってください。
  215. 小杉隆

    ○小杉委員 はい。  国鉄が大体五一%の株を持って、あと民間あるいはその他が四九%ということですけれども、すべて国鉄用地をそういうふうに国鉄主導型の再開発でやるのか、あるいはまた、私は国鉄の親方日の丸経営を信頼しないわけじゃないんですが、そういう懸念がつきまといますので、たとえばある部分は思い切って民間主導型でやらせるというようなことも考えるべきじゃないかと思うのです。そういった点はまだ運輸大臣の方は恐らく国鉄主体でやりたいということでしょうが、総理はどんな見解をお持ちでしょうか。
  216. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 大体あなたの考えと同じでありまして、場所によってバラエティーに富んだやり方をやる。それで、いまの公務員の宿舎でありましても、これは放出してしまう。放出して売り渡す、そして民間にやらせる。そういうふうにして、官庁や国鉄が未練がましく中へ入ってこようということを固執しない。一番思い切った民間活力が出る方法は何かという考えに立って、思い切って勇断をふるってやりたいと思っています。
  217. 小杉隆

    ○小杉委員 ありがとうございました。
  218. 金丸信

    金丸委員長 これにて小杉君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  219. 金丸信

    金丸委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────
  221. 金丸信

    金丸委員長 次に、沢田広君。
  222. 沢田広

    ○沢田委員 総理、大変長い間御苦労さまです。  ただ、いまの時代は三カク時代とか、ときには四カク時代だ、こうも言われているのでありますが、じゃ三カクって何なんだ、こうきたら、原子核の核が一つなんだ、あと田中角榮の角が一つなんだ、もう一つ行革の革だ。四カクと言ったら何だと言ったら、それはいま景気が悪くて泣いているから、三角になっちゃっているから、しかめっ面でとりあえず泣いているんだ、こういうふうに世間でも言われているくらいであります。でありますから、それらのものがやはりいま政治の焦点になっているんだというふうに思います。  そこで、おいでをいただいている関係者の方もおられますので、各大臣にはまたそれぞれお伺いいたしますが、人事院の総裁にまず最初お伺いをいたして、お帰りをいただこうと思っております。  細かい部分は省略をいたしますが、罷業権、団体交渉権の代償として公務員に与えられた人事院というものによっていわゆる公務員としての義務も果たし、同時にその労働条件を満足をさせる、こういう目的のためにあなたの職場はあり、またあなたの使命は存置されている、こういうふうに思っております。これだけなめられて、と言っちゃ悪いですが、これだけ無視されていると少しは怒らなくちゃいけないんじゃないかという気が私はするのです。その点について、どういうふうにいまあなたが思っておられるのか。もしこのことなければ、人事院総裁、とにかくおれはもうやれぬ、やはりそのぐらいの決意を固めなければなかなか聞いてくれる顔ぶれじゃないんじゃないかというような気もしないでもないのでありますが、その点、率直な御見解を承って進めさせていただきたい、このように思います。せっかくおいでをいただきまして御苦労さまです。どうぞ。
  223. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 いまお述べになりましたように、給与に関する人事院勧告制度というのは、繰り返し繰り返し申し述べておりますように、公務員については職務の特殊性から労働基本権が制約を受けておるということのために、それの代償措置として認められております。しかも、この勧告というのは内閣のみならず国会に対しても同時に行われるという、非常に重い意味を持った制度であるというふうに理解をいたしております。この点は長い間の慣行で、一般の支持を受け、完全実施という慣行はすでに過去において十数年にわたって定着をして今日まで来たっておるわけでございます。それが、いろいろな情勢の変化あるいは財政状況等のこともあったとは言いながら、ここ二、三年前から抑制あるいは去年の場合にはついに凍結ということになりましたことは大変遺憾千万でございまして、私は、内心大変残念に思っておるわけであります。  そこで、ことしの場合は、すでに四月時点において詳細に調査をいたしました結果、六・四七という差額が出ましたので、ことしは去年の轍を踏むようなことになってはならない、ぜひともこのとおりに実施をしていただきたいということを強く要請をして、今日にまで至っておる次第でございます。  この制度は、先生もすでに先刻御承知でございますように、公務員についてもやはり適切な処遇をしなければならぬ、これを確保しなければならぬ、そのことがひいては士気の高揚ということにもなりますし、事実公務員もやはり生活をやっているわけですから、その生活に対する配慮ということにもなります。また、過去の、非常にいい制度が定着をいたしました結果、良好な労使関係というものが確立をいたしておるわけでありまして、これを保持する意味からも、本年も引き続いていろいろな制約を受けられることになりますると、大変憂慮すべきことになるということを心配いたしております。本年の場合は、ぜひともひとつ完全実施を早急にお決めいただきたいというふうに心から念願をいたしておる次第であります。
  224. 沢田広

    ○沢田委員 この前の行革のときには、いまの金丸委員長の名処理によりまして裁定は御処理をいただき、また人勧は参議院で御処理をいただきました。こういう経過を考えて、総理、このいまの回答と含めて、人勧の実施について改めてひとつその決意のほどをお聞かせいただきたい。裁定は国会の方で扱っている問題ですからこれはまた国会の方で考える、こういうことでお答えをいただきたいと思います。
  225. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 人勧につきましては、国家公務員法等に基づきまして、政府はこれを尊重するという基本的立場を保持しております。これを具体的にいかにするかということは、財政問題も絡んでまいりますので、いま閣僚協においていろいろ御協議を願っておるところでございまして、適当なときに結論を出すようにお願いいたしたいと思っておる次第です。
  226. 沢田広

    ○沢田委員 もう一つは、実はこれだけ全部見させていただきました。大臣はこのうちの一冊見ればいいのであります。自分のところだけ見て、よそは見なくたっていいのだ。われわれは全部これは見なければ質問できない。しかも、きのうもらって一日でこれを見るのはとにかく大変な騒ぎである。総理大臣は見られたかどうか、全部一応見たかどうかだけひとつ御返事いただきたい。
  227. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私は、まだ全部はそのとおり読んでおりません。しかし、それができる過程において、八月以降一々詳細な報告を受け、意見を言っております。
  228. 沢田広

    ○沢田委員 今度の行革法案一つの柱は、トップマネージメントという体制を強める、これは臨調方針ですね。それで、あとはいわゆる企画部隊、部隊という言葉がまたこれ間違いかもしれない、企画の部門とそれから実働の部門、こういうふうに分離をしなさいというのが臨調の大きな発想。言うならばやはり日本株式会社にして、重役は大臣と政務次官、事務次官、あと審議官ぐらいまでの者を役員として、あとは実務部隊であるから、局長以下はそれぞれ役はどっちでもいいというのがどうも発想の原点にある。ですから、つくられた方々が、やはり自分の会社を考えますから、自分の会社で成功すると、その会社のやり方でやれば成功するんじゃないかという錯覚を起こしているのじゃないのかと思うのであります。  同時に、日本の官僚というものは、もちろんこれは御承知でしょうが、この官僚の持っている力というのは、これまた政治家以上に侮りがたい力もあるわけでありますね。ですから、これを無視して行革をしていくということにも相当な困難が私はあるのだろうと思うのだ。  ですから、ここで総理にお伺いしたいのは、トップマネージメント組織によって、上の方だけで、あとはただ動け、その目標に向かってただ働けばいいんだという形だけで、果してこの行革は成功するのだろうかというふうな疑問を持たざるを得ないのでありますが、その点、どのようにお考えになっておりますか。
  229. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 トップマネージメントという意味も私はよくはっきりわからないのですが、国家行政組織法の改正というのは、経済社会の変化に対応して機動的に組織の改編を進めていく。それは、あくまでも各官庁におきまして自主的に恒常的な自己革新をやっていこうという考え方に基づくものでありまして、大臣や次官があって、あとはもうついてこいという性質のものではない。官庁の職員全体が常に変化に対応した自己革新をやっていこう、こういう精神に基づいて国家行政組織法なりその他の法律というものを考えておるわけでございまして、社長さんの命令一下みんなついてこいという性質のものではない、否むしろ、恒常的な自己革新というものを中心として今後の行政機構というものは変化に対応していくべきものではないか、こういう考えであるということを申し上げておきたいと思います。
  230. 沢田広

    ○沢田委員 もしそうであったとすれば、ひとつ書きかえた文書を後で出していただきたい。これは、勧告にある「トップマネージメント体制の強化」「企画部門における専門官制の導入」それから「企画事務と実施事務の分離」等々がこの前勧告されて、今日に至っておるわけですね。いまおっしゃっているようにそうじゃないんだというのなら、この勧告と今度の勧告の違いを、いまお答えいただかなくて結構ですよ、この勧告との違いはどこにあるんだということを後で書面で出していただきたいのです。そのイエスかノーかだけお答えいただきたい。
  231. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 私は、そのトップマネージメントという内容が十分に理解しにくいけれどもと、こう申し上げておるわけで、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。  臨調答申というのは、企画調整ということを非常に強く見ておるわけでございまして、企画と実行、そういうふうな点についてよく調整を図りながらやっていかねばならぬ、こういう精神に貫かれておると思います。
  232. 沢田広

    ○沢田委員 この見出しも見ていないという行政管理庁長官というのはあるのかしら。勧告が出て、「トップマネージメント体制の強化」、勧告の第一に書いてあるのですよ。私はよくわかりませんけれどもと言って、その一番最初もわからないで、かたかなもわからないで、今度は後が読めるというのはどうもおかしいということにもなる。だから、それをやはり承知の上で、これは大人の話だと思いますが、承知の上でおっしゃっておられる。だから、もしこの勧告と違う点があるのならば、それは明確にしてほしいということを私は言っておるわけですから、そこはプロですから、これと違うところがあればそれは書面で出していただけますかと、さっきは違うと言うから私はそう言ったので、違わないでこれと同じだというのなら私はこれ以上追及しませんから、それで結構なんですよ。
  233. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 承知いたしました。
  234. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、この内容を見ていきますと、あとは各審議会の廃止、それから許認可事務等、その中で予算編成に対する項目についてはどう処理されたのかお伺いをいたしたい。これはやはりあなたなんですね、済みませんが。
  235. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 予算関係につきましては、補助金整理、そのほかいろいろなもろもろの予算の節減でございますが、これは、本年度におきましては五十九年度の予算編成に際し行革方針に即して努力をしていこう、こういうことでございます。
  236. 沢田広

    ○沢田委員 これも読んでこられてないようですね。予算編成における内閣の主導権を確立しなさい、これについては、今回これが出ていないのですよ。抜けている。これは閣内が不一致で出せなかったのか、準備が悪くて出なかったのか、そう出し得ない理由があったのだと思うのですね。わかっていたらひとつお答えいただきたい。わからなければまた次に行きますから。
  237. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 行革臨調答申については、内閣機能の強化とかいろいろな問題が掲げられておるわけでございますが、そういう問題については、機構的な問題は逐次今後検討の対象にしよう、こういう考え方でございます。
  238. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、別に後から出してもらえるものだというふうに解釈していいですか。
  239. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 今後の検討事項としておる、こういうことでございます。
  240. 沢田広

    ○沢田委員 実は、これは一体のものなんですね。「トップマネージメント体制の強化」と同じ一体のものなんです。  これをちょっと読みますと、「「内閣補佐官」が中心となって」これは内閣補佐官を置けというわけですが、「中心となって予算編成方針、予算規模その他予算編成に関する重要事項について審議し、これを基礎として大蔵省は予算編成事務の執行にあたり、また、内閣補佐官は、大蔵省と各省間の協議不調事項について調整を行なう。」だから、大蔵省が全部いままで編成をしてきたというプロセスはもうとるなと。だから、いわゆる内閣補佐官を中心にして予算編成をやって、大蔵省は予算の編成事務だけやればいいじゃないか、そして、各省が意見が違っているときは内閣補佐官が調整をする、こういう形で、従来の方式を改めなさいというのがこの答申の勧告の考え方なんですね。  これも一つ考え方だとは思います。考え方だとは思いますけれども日本のいまのやってきたものに適合するかどうかの判断は、私の意見は別にありますが、しかしそれをなぜ採用しなかったか。これは一体のものだと思うのですね。こういう点についてはどうお考えになっていますか。
  241. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 私は思い違いしておりまして、いまお尋ねの点は第一次臨調ですね。それを私は土光臨調だと思ったものですから……(沢田委員「だって、この内容はそうじゃないですか」と呼ぶ)いや、今度のものは土光臨調を中心にして出ておるわけでございます。  そこで、第一次臨調についてはもろもろのいろいろな意見は出されたわけでございますが、その中で、なかなか思うように実行することのできなかったものが相当たくさんある、そういうことにかんがみまして今度の土光臨調というものができ上がった、こういうふうに理解していただきたいと思います。第一次臨調は大分以前の調査会でございます。その点をひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。
  242. 沢田広

    ○沢田委員 だけれども、いま出した臨調の提言とこの前に出したのを現実は実行しているんですよ。これは内容をよく読んでいただけばわかるように、前の文章に従って大体許認可事務の扱いもやっているし、それからそれぞれの審議会の処理もこの答申に基づいてやっているし、それからその他の地方自治体の委任の問題もこれに基づいているし、大体が――こっちの項目には、それ以外の国鉄であるとかそれ以外の問題が提起をされている。ですが、内容的なものからいけば、ほとんどが以前のものをようやくこの段階で取り入れられるようになったということだと思うので、その点は、そういう意識が全然なかったということですから、これ以上言ってもしようがないのですけれども、もう一回ごらんになっていただけば、大体ここに書いてあるものがこの中に今度は含まれて提案されている、こういう状況になっていることは否定できないでしょう。いかがですか。
  243. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 以前の第一次臨調と今度の第二次臨調との間には似通ったものもありますし、その当時実行しようとして実行できなかったものもあります。そういう点について、第一次臨調と第二次臨調とのいろいろな関係等につきましては、調査をいたしまして差し上げるようにいたしたいと思います。     〔委員長退席、江藤委員長代理着席〕
  244. 沢田広

    ○沢田委員 提案された内容の細かい項目については、時間の関係で後で一つずつぽつぽつ各省のを出していきますが、ちょっと大まかなものだけ先に進めさせていただきます。  第一は、これは総理もそうでありますが、われわれも、国民も、きょうはもうテレビはないのでありますから安心してお答えいただいてもいいのですが、十月十二日を迎えて、とにかく国民も、どうなるだろう、あるいは国会議員もそわそわ、とにかくどうなるんだろうということで、十月十二日における動きというものについては、大きく言えば世界も注目をしているところだろうと思うのですね。また、中曽根総理がどうこれをさばくか、これもまた大きく社会が注目をしているものだと思うのであります。  そこで、やめろとかやめないとか「そういうことを私は言おうとしているのじゃなくて、法務大臣並びに刑事局長の方に事務手続的にお伺いしたい。この間、わが党の安井さんがお聞きをいたしましたから。  この十月十二日という日を言えば、Aという人にしておきます。そう言ったってこれはわかってしまうことですが、それでも十月十二日、Aという人が、要すればいま訴訟中である。私は頭が悪いか一つずつ聞いていきますが、それで、いま第一審の判決を受ける段階に来ている。いま保釈中である。第一審の判決を受けたとき、第一は、保釈は消えるのか消えないのか。これもわかり切っていることですが、初めにそこから。  それでその次が、保釈が消えれば当然手錠ははめられるのかはめられないのか。  それから、保釈の申請を出すのには保釈金を積まなければならないが、それは、保釈金を積むことと同時に裁判所の決定が出なければだめなのか。保釈になるかならぬかの決定はその次の段階のものか。  それから、この保釈をされる場所は裁判所ではなくて当然留置場ということになりますか、勾留の場所である、でなければならない。  こういうふうに、まずその辺までですね。余り多く言うと忘れられてしまいますから、この辺までの手続はそのとおりですかどうですか、お答えいただきたいと思います。
  245. 秦野章

    ○秦野国務大臣 ただいまの御質問でございますけれども、どういう判決が出るかということが来月に控えてわからない状態のもとに、仮定の上に立って具体的な対応を申し上げることは余り適当ではないというふうに考えますので、御了承をいただきたいと思います。
  246. 沢田広

    ○沢田委員 だから、私はだれだとは言いません。一般の場合にそういう係争中の事件にある人、国会議員だなんということはなおさら私は言っていませんよ。ですから、全然そういうことには触れてないのですから、お答えができないというはずはないと思うのですね。ですから、それは一般の人の場合で言っているわけですから。もう一回繰り返すのは時間がもったいないですから、お答えいただきたい。
  247. 秦野章

    ○秦野国務大臣 だれかは言ってないとおっしゃっても、十二日ということもさっきおっしゃったしね。これは大体、一般論と言うても決まっているのじゃないですか。具体性がないとおっしゃるけれども、実は一般的ではないと私は解釈します。したがって、さっき申し上げたように、どういう判決がおりるかわからないのに、それを予定して仮定のもとに対応を考えるということは、いまの段階で余り適当ではない。それは御理解いただきたいと思いますよ、どうぞ。
  248. 沢田広

    ○沢田委員 いや、私も理解をしてもらいたいのだ。何も東京の第一審の裁判所だけじゃないでしょう、全国の裁判所皆行われているわけですから。だから、Aという不特定の人が第一審の係争中の問題で、ただ十二日と質問通告にはそうなっておりますけれども、その政治的な判断は後から総理に聞くから。ただ、裁判上の問題は法務大臣に具体的な問題としてお聞きをしておく、しかし政治判断は総理に聞こう、こう思って、法務大臣に政治判断は聞こうとは私も思ってないから、その部分は外して、支障のないように、差しさわりのないように私は申し上げているのですから。  ある特定の人じゃなく、Aという人が係争中であって、そして第一審の判決が出る、その場合の取り扱いはどうなるのですか、通常の場合でお答えをいただきたい、こう言っているわけですから、これはぜひひとつ。お答えしないということは答弁の拒否ですから、これは委員長からひとつ注意をしていただきたいと思います。
  249. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 先ほど来大臣がお答えになっているとおりでございまして、私も同じような質問で昨日一般論を申し上げましたけれども、すぐにそれを具体的な案件に結びつけて報道されるようなことでございますので、そういう意味でも、この段階ではお答えを差し控えさせていただいた方がよろしいのではないかと思います。
  250. 沢田広

    ○沢田委員 きのうの話は、そうすると、じゃこういうふうに聞けばいいですね。きのうは一般論で答弁をしました、それはそのとおりでいいですか。それだけ答えてください。きのうは一般論の場合として返事をしました。
  251. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 そういうことでございます。
  252. 沢田広

    ○沢田委員 したらば、マスコミその他が特定の案件として扱ったことは遺憾でした、こういうことですね。それもそのとおりですかどうですか。
  253. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 別にそのマスコミの報道について遺憾であるとかどうとか、そういうことを申し上げたつもりはございません。
  254. 沢田広

    ○沢田委員 じゃ、マスコミの報道でないとすれば、何がいままずかったと、こう言ったのですか。そのまずかった理由だけ挙げてください。
  255. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 別にまずかったとかいう言葉も使ったつもりはございませんが、報道等でそういう扱いをされた事実があるということをただ申しただけでございます。
  256. 沢田広

    ○沢田委員 そういう扱いをされたということは、一般的な問題で答弁をしてみたが、周りの雰囲気というかそういうものは、ある種のものに似たように書き立てられたか言われたか、そういうふうに解釈される誤解があった、そういうふうに言いたいわけですね。どうですか、イエスかノーかで言ってください。
  257. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 大体おっしゃるようなことでございます。
  258. 沢田広

    ○沢田委員 じゃこれは、全然これとは別に、ちょっと時間をおいてまた聞きます。だから少し、二、三分おこうかと思ったのですけれどもね。  委員長、とにかくこれは、きのう言った言葉では最小限度言えるわけですから、それが今度は引っ込んじゃって、答えがそれよりも後退するということは、これはよほどの事情がない限り許されることではないと思うのですね。
  259. 江藤隆美

    ○江藤委員長代理 きのうと同じことを言えばいいのですか。
  260. 沢田広

    ○沢田委員 同じことを言えばいいですよ、当面。間違いなく言ってください。
  261. 秦野章

    ○秦野国務大臣 いまのお尋ねでございますけれども、同じことのようでも重なって、いろいろ言論が重なりますと、裁判を控えていますので、司法権の独立というものは、その環境についても配慮するということは私は必要なことだと思うのですよ。そういう意味において、一般的一般的とおっしゃるけれども、実は一般的ではなくなっているという状況もだんだん出てきておりまするので、それは差し控えさせていただきたい、こういうわけでございます。     〔江藤委員長代理退席、委員長着席〕
  262. 沢田広

    ○沢田委員 いま委員長が、前の委員長が、人はかわっても委員長の職責は同じですからね。だから、前の委員長が前田刑事局長を指名をして、きのう答弁したとおりでいいですかという念を押されたから、結構ですと私も言いながら、答弁の指名をしたわけですから、きのうのとおり前田刑事局長からお答えをいただくのが筋道だと私は思います。(「指名したら大臣が出てきたから、大臣の方が偉いのです」と呼ぶ者あり)
  263. 金丸信

    金丸委員長 大臣の言うことではまだ理解できませんか。
  264. 沢田広

    ○沢田委員 だから、前田刑事局長を……(「大臣の方が偉いから」と呼ぶ者あり)偉いからとか偉くないからではない。
  265. 金丸信

    金丸委員長 大臣の説明で満足しないのだね。
  266. 沢田広

    ○沢田委員 満足しない。だから、職責は委員長としては同じですから、前田刑事局長を指名して……。
  267. 金丸信

    金丸委員長 では、いま一回やりましょう。前田刑事局長
  268. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 同じようなことの繰り返しで恐縮でございますが、先ほど申し上げたとおりに御了承いただきたいと思います。
  269. 沢田広

    ○沢田委員 全然違いますよ。これは、きのう言ったとおり答えるのでいいですかと、こうそのときの江藤委員長は言って、よろしいですかと私は念を押されて、私はよろしいですと、それで言って指名したのですからね。そのとおりに、これは委員会の権威にも関することですから、やはりきちんとそのとおりやってください、確認してから指名したのですから。ちゃんときちんとその点はけじめをつけてください。
  270. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 昨日も申し上げたところでございますが、一般的な法律論と申しますか、そういうことでは、きのう申し上げたとおりでございます。
  271. 沢田広

    ○沢田委員 諸般の事情があるということで、あとは、この問題は一般的な問題でという念を押したのですから、ちょっとほかの問題にかかって、時間をおいてから――全然次元の違ったもので質問をしていきます。  実は、予算委員会の中でちょっと出ていた問題ですが、その後の進行その他もあわせてちょっとお伺いしますが、福岡の白島石油備蓄基地、これは国においてもエネルギー対策として現在備蓄を行おうとしているわけで、五百六十万トンですかの備蓄基地をつくっているわけでありますが、四十八億の漁業補償が支払われた。ところが、その金の行方についてどうもはっきりしない。わかりやすく言えば、使途不明金みたいなものが出てきちゃった。そういうようなことで、かえってこの石油基地が建設ができないでいる。こういう不明朗なものがあったのでは、建設するのも反対だ、建設もしにくい、こういう両者の意見もあるようなんでありますが、その後の捜査及び進行状況について、警察及び通産の方からお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  272. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 お答えをいたします。  白島石油備蓄基地の問題でございますが、昨年の秋からことしにかけまして、警察といたしましては、地元の脇ノ浦漁協の組合長外七人につきまして、この備蓄基地の建設に伴います漁業補償金の配分をめぐる背任事件ということで、一億六千万余の金額でございますが、その背任事件ということで検挙をいたしました。そのほかに証人威迫事件、それから強要事件、こういった事件で現在までに三件十三名、これを逮捕いたしております。事件は現在公判係属中でございます。
  273. 豊島格

    ○豊島政府委員 白島の国家備蓄プロジェクトでございますが、五十六年から鋭意進めておるということでございます。ただ、着工の時期につきましては、国家資金も非常に巨額に要るということもございますし、それから特に最近では石油価格がバレル当たり五ドル下がったということで、そういう石油税収入を主たる財源とする石油特会の金繰りも非常に苦しいということもございまして、これは国家備蓄は進めていく必要があるのでございますが、そういうこと等もございまして、慎重に現在検討しておるということで、まだ時期についてはっきり申し上げられる段階ではございません。
  274. 沢田広

    ○沢田委員 きわめて遺憾だという言葉が抜けているのじゃないのかね、執行する行政府としては。そういうことによって事業がおくれているということは、国民に対してきわめて遺憾ですという言葉がつかなければおかしいのじゃないですか。
  275. 豊島格

    ○豊島政府委員 おくれている理由について、先ほど、いゆわる疑惑があるかどうかということでございますが、この解明につきましては私どもの担当ではございませんで、警察の方でいろいろと御説明がございました。国家備蓄という重要なプロジェクトでございますので、これができるだけ早く着工できるといいますか進むということが、われわれとしても期待しておるところです。まあおくれたことにつきましてはいろいろ問題があろうかと思いますが、われわれとしてはできるだけ早くやっていきたい、このように考えております。
  276. 沢田広

    ○沢田委員 法務省にちょっとお伺いしますが、今度の行革法案の中で、個人の権利に属する事項を省令で示すというような措置を講じたということはいかがなものか、これは総理がいないので残念なのでありますが、いかがなものかと思うのでありますが、いかなる立場に立って、いわゆる国民の権利に属する事項について政令その他に移管をしたのか、その理由をひとつお聞かせいただきたい。
  277. 秦野章

    ○秦野国務大臣 今度の組織法で、法律で決めるべきことを政令で決めたということはないのです。破防法という法律にはきちっと書いてある。したがって、おっしゃるようなことは私はないと思いますが、詳細の具体的条文については政府委員から説明させます。
  278. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 それではお答え申し上げます。  公安調査庁の取り扱います事務につきまして、たとえば「破壊活動防止法の規定による弁明の聴取及び処分の請求に関すること。」ということにつきまして、現在は公安調査庁設置法で総務部の所管事務ということで決められておるわけでございます。これが、今度の改正によりまして、法律事項から政令事項に変わるということになるわけでございます。しかしながら、弁明の聴取という手続につきましては、破壊活動防止法で決められておる手続でございます。したがいまして、今回の公安調査庁設置法の改正のいかんにかかわらず、破壊活動防止法といたしましてそういう手続が必要だ、こういうことでございます。
  279. 沢田広

    ○沢田委員 行革は、いわゆる行政事務を簡素化をするというのが本来法案の目的であった。少なくとも、この破防法ができるまでにはものすごい国会議論を続け、それぞれ白熱した討論を行いながらできた法律なんです。これもきっと、事前にレクチュアで教えてやっているから答えられたのだと思うのです。教えてやらなければ答えられっこない。いかにも知っているようなふりをしているけれども、そう教えたからなんです。  「破壊活動防止法の規定による弁明の聴取」というのは、国民の固有の権利です。「及び処分の請求に関すること。」も国民の固有の権利なんです。そういうものまでいわゆる法律から省令に移すなんということを勝手にやるというのは間違いだ。これは少なくとも法務委員会を開いて、いままでのいきさつあるいはいままでの議論の経過というものを考えた上で処理すべきものではなかったのか、これでまとめて一本の中で処理してしまうという性格のものではなかったはずだと思うのであります。これは総理大臣がいないから行政管理庁の方で答えてもらいますが、そういう意味までこの行革法案の中に含める意図はなかったと私は思うのであります。しかも、当時の歴史を考えれば、これは大変な法律だったわけです。そういう中から国民のそれぞれ一人一人の権利に属するものまで一緒くたにして含めていったということだけは、これは許しがたいことだと思うのです。この部分は撤回してほしいのです。
  280. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 実はこの整理法は、公安調査庁の総務部その他についてのばらばらの所掌事務を一本に書き上げました関係で非常にわかりにくい点があるかと思いますが、この新しい法律の所掌事務の中の第四号に「前三号に掲げるもののほか、法律に基づき」とこう書いておりまして、破防法はこの「法律」に含んでおるわけでございまして、この整理法におきましては従来の所掌事務権限を変更していないということを申し上げておきたいと思います。
  281. 沢田広

    ○沢田委員 たとえそうであったとしても、なぜそういうふうにまで再確認をするような法令が出たかという歴史的な経過というものを無視して処理するということにはやはり問題があったのではないのか。だから、たとえばそうであるとすれば、法務委員会を開いて事前に、国民の権利に属する事項だから、「弁明の聴取及び処分の請求」もこの文章の中に入っている、十二項目に入ってしまっている、これは、だから別に上げるとかあるいは別に処理をするとかということで了解を求めて提案をするのが筋道ではなかったのか。これは私は手落ちだと思うのですね。出したのが悪いとまでは言わないけれども、やはり、そうだったらそれだけの配慮をして、普通言う根回しとでもいうでしょうか、法務委員会を開いて、これはこの中で削りますよと、行革法案とは違うのだけれどもお許しくださいというぐらいな理解を求めるのは当然の措置ではなかったのかと思うのですね。これは法務大臣答えてください。
  282. 秦野章

    ○秦野国務大臣 国民に対する人権の立場の規定でございますから、当然これは法律の根拠が必要だ。その法律というのは破壊活動防止法という法律にございますね。(沢田委員「ええ、ありますよ」と呼ぶ)あるのだから、それをもって足るというふうに私どもは理解している。あとの組織の問題では、その権限は基本法にあるのだから、組織は政令でつくるということで支障ないのじゃなかろうかというふうに思います。
  283. 沢田広

    ○沢田委員 これはそうじゃないのですね。所掌事務の中に含める項目と破防法に持っておる国民の固有の権利と規定しているものは、同じ文章であっても、所掌事項として規定されているものと、それからその法律の中で規定されているものとは意味が違うのですね、同じ言葉を使われても。  次へ行きますが、これは後で次の委員の人にやってもらうことにしますが、保釈をする場合には「検察官の意見を聴かなければならない。」、こういうふうになっておると思いますが、そのとおりですか。
  284. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 一般的な問題といたしまして、保釈の場合に検察官の意見を聞くことになっております。
  285. 沢田広

    ○沢田委員 職権で保釈をする場合には特定の要件が必要だと思います。ですから、いままでの慣例において、職権において保釈をする場合はいかなる場合であったか、お答えをいただきたいと思います。
  286. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 どうもお尋ねの趣旨をよく理解しておらないかもしれませんけれども、保釈というのは裁判所がお決めになることでございますから、裁判所がお決めになるについて検察官の意見を聞く、こういうのが制度でございまして、職権でという意味自体がちょっとよく理解しがたいわけでございます。
  287. 沢田広

    ○沢田委員 これは裁判所の職権を言ったのです。だから、慣例としてお答えをいただきたい、こう言ったわけです。  次に、上訴をするまでの間、やはり上級審に上訴をするまでの間は勾留をされている状態は継続される、こういうふうに解釈していいですか。一般論として聞いておるわけですよ。
  288. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 ただいまのお尋ねも御趣旨が十分よくわからない点がございますが、上訴をすることと身柄の扱いとは別問題でございまして、上訴をするまで当然に身柄は拘束される、こういうことではないわけでございます。
  289. 沢田広

    ○沢田委員 刑事訴訟法の九十七条の上訴と勾留というものは、上訴をされるまでの間必要な要件が具備されなければ勾留は継続をされる、これが常識的な解釈と私は判断しますが、いかがですか。
  290. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 勾留が続くかどうかということは、逆に申しますと、裁判所が保釈の決定をするかどうかということにかかっておるわけでございます。
  291. 沢田広

    ○沢田委員 これは同じことで、それは裁判所が保釈を決定するまでの間勾留される、こういうことであります。  それから、九十四条の保証金を積み終わらなければ、完了しなければ、当然保釈の要件は具備しない、こういうことについてはそのとおりと解釈していいですか。
  292. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 保釈につきましては、裁判所で定められる保証金の納付ということが必要でございます。
  293. 沢田広

    ○沢田委員 保釈をする場所については、保釈ということは勾留中の者を保釈するわけでありますから、当然勾留中という勾留されている状態の中において保釈という条件というものは発生すると解釈してよろしいですか。
  294. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 お尋ねの点も前提がちょっと定かでないような気もいたしますけれども、どういう場合を想定するかによるわけでございますから、直ちに言いかねるわけでございますが、一般的には保釈というものは勾留されている状態から釈放されるということでございますが、場合によりましては、その保釈の決定が先行するということも一般的にはあり得ることでございます。
  295. 沢田広

    ○沢田委員 匂留中でなければ、勾留されている状態でなければ保釈という条件は発生しないのではないのか、こういう質問なんですが、いかがですか。
  296. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 先ほど申しましたように、それが通常の形でございましょうということを申し上げたわけでございます。
  297. 沢田広

    ○沢田委員 以上で大体わかりました。  これは常識的な解釈を確認して、これにこだわっている行政府の方が少しおかしいので、法律の条文どおり申し上げているわけなんであって、そのことをことさらに後ろ暗くあるような態度をとるから、こっちも後ろ暗いのかなと、こう感じるのであって、これは条文どおり私は確認しているので、いまの態度はどっちがあれかわからぬような状態で答えていたことはきわめて遺憾であります。  結果的に以上のような状態で、総理国民が大変注目している状態の中で、社会にどういうふうな影響を与えるか、私も予想つかないものがあると思うのです。それだけに国会も予想つかないでいろいろと問題があっちこっちに波及しかけたり、あるいはしようとしていたりということもあると思うのです。だから、やはりこの段階における総理の決断なりあるいは総理の正確な指導性というものが日本の政治にいま必要だというふうに私は考えてもいいと思うのであります。そういう意味に立って、いまの質問の経過の中でどのように十二日を受けとめておられるか。平常心で受けとめる、こう言っておられることは十分わかります。それはそのとおりでいいのだと思うのです。しかし、それ以上のことまでは考えいかなくちゃならぬという条件は、やはり政治家として必要性を持っているのではないかという感じがいたしますが、いかがでありましょう。
  298. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 この問題につきましては、静かに静かに見守るという態度が正しい態度であると考えて、そのようにいたします。
  299. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、国会の方の関係もそうでありますが、減税もあります、あるいは人勧もあります、裁定もあります、いろいろ問題は山積をしているわけでありますし、また景気の浮揚、国民もそれぞれ期待をするものがあると思うのでありますが、そういう中において、総理は、従前のとおり任期満了までは解散なんということは考えないでいくのだということは言っておりますけれども、しかしながら、微風であるか台風であるか別として、ともかくそういう状況が現実の問題として近づいていることは、これは事実とわれわれも考えなければならぬのではないか。実はこの委員会にいながら、いる者にとってははなはだ迷惑な話なんでありますけれども、そういう状況もこれは感じるところです。ですから総理も、その辺のことは、これはうそ言ってもいいことにはなっていますけれども、いまの状況は静かに見守るだけで済むのかどうか。その辺もう一回、大変恐縮でありますが、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  300. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 三権分立という原理を踏まえ、かつ行政府の長として、ただひたすら静かに見守ることが正しいと思います。
  301. 沢田広

    ○沢田委員 では、同じ答弁を繰り返しても千日手みたいなものでありますから、それでは同じですから、次に行かしていただきます。  大蔵大臣、大変恐縮でありますが、十月の中旬には減税法案を出す、こういう約束で、この約束はもう御承知だと思うのでありますが、そのとおりと解釈してよろしゅうございますか。
  302. 竹下登

    竹下国務大臣 十一月前のできるだけ早い機会に答申をいただくということに対して協力してやろう、こうおっしゃったわけです。そういうことを受けて、この十月中に国会へ提出するという、提出させるでございますか、幹事長の方がおっしゃった。そこで政府側としてのお答えは、幹事長のおっしゃったことは十分承知いたしておりますという表現になっておるわけであります。
  303. 沢田広

    ○沢田委員 それで、この段階へ来て金額も目鼻がつきません、それから何も全然見当つかないのですということで果たしていいのかという、私は自分で自問自答しているわけなんです。幾らかでも大蔵にいて皆さんの御指導をいただいた私としても、事務の方のことを考えてみたり、あるいはどういうやり方をやっていったらいいのだということを考えてみたりすれば、そろそろこの委員会の中ぐらいで概要が出ていかなかったならば、事務的には大変困難なのじゃなかろうか。たとえ事務的に、たとえば七十九万のパートを上げるにしても、二十九万の扶養家族の控除額を上げるにしても、あるいは基礎控除を上げるにいたしましても、これから決まって年末調整に間に合わせるということは、事務的にはきわめて困難ではないかというふうに思うのであります。戻し減税はやれないと言ったが、戻し減税という方法は、一人幾らにして、ラーメン減税と言われたあの減税方式を一応戻し減税と定義づけるとすれば、そういう形ではないにしても、ややそれに類似する方法をとらなければ、事務的にはむずかしいのではないかと思うのでありますが、その点はいかがでしょう。
  304. 竹下登

    竹下国務大臣 いま自問自答とおっしゃいましたが、沢田委員は減税小委員会のメンバーでありましただけに、恐らく中身が詳しいだけに自問自答をなすっておるのではないか。私も自問自答をしております。  ただ、せっかくいま税制調査会でまさに精力的に審議を進めてもらっておるところです。したがって、いましばらくお待ちいただきたいということになるわけでございますが、いま私の立場で予見を持ってお答えするわけにはいかぬ。ただ、私が昨日もちょっと安井さんの御質問に対してお答えいたしましたが、いずれそういうものが出てくるという――そういうものじゃございません、答申がいただけるということになると、少なくとも事務的にいろいろな場合を想定した準備のための勉強は開始していなければいかぬということが、いまお答えできる限界じゃなかろうか、まさに精力的に御審議いただいておるわけでございますから、まさにウエイト フォア ア モメント、こういうことでございます。
  305. 沢田広

    ○沢田委員 続いて厚生大臣、きのう、きょうの答弁で、医療問題でお答えをいただいたのでありますが、これも減税というか税金に関することですから、五万円の医療費控除の限度額は、厚生大臣は五万円というふうにここでお答えをいただきました。このことはやはり閣議の了解事項、原案作成の中の基本としてお答えをいただいたものだと解釈をしてよろしいですか。
  306. 林義郎

    ○林国務大臣 私が五万円云々と申し上げましたのは、医療保険制度におけるところの頭打ちの問題でございまして、医療費控除とは違ったものでございます。医療費控除制度は別に税法で決まっておりますから、それは違う話でございます。  それで、いま申し上げておりますのは、現在概算要求で私の方で出しております。その概算要求の中の積算の中におきまして、先ほど申し上げたようなことを出している。正確に申しますと、五万四千円ということでございます。
  307. 沢田広

    ○沢田委員 いわゆる被保険者が医療にかかった場合にお医者さんに支払うべき最高限度額、その意味で申し上げた金額です。それはいま言った。それは、では変更ない。五万四千円に変更するという案になっていますが、そういう意味で言ったのだというように解釈していいですね。
  308. 林義郎

    ○林国務大臣 お答え申し上げます。  高額医療制度というのがございますから、それの適用いたしますのが五万四千円を限度としてということでございます。
  309. 沢田広

    ○沢田委員 税制については触れておらないのですが、これは大蔵大臣の方なのか、これも税調待ちということなのかわかりませんが、いままでの医療制度の説明ではもう輪郭はできている。それがいいかいかの問題は別問題として、輪郭ができている場合の医療控除額は、現状で置いておくということが前提でなければ、これは筋道が立たないと思うのであります。ですから、医療控除額の限度はそのまま据え置かれて、この改正案はくっついてきているのだ、こういうふうに閣内としては統一されたものだというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  310. 林義郎

    ○林国務大臣 私の方で先ほど来御説明申し上げておりますように、概算要求を出すときの話でございます。医療費控除の問題をどうされるかというのは、大蔵省税務当局の方におきましていろいろお考えもあるでしょう。当然ながら医療の問題に関連してきますから、もしも変えるということになれば、いろいろな点で御相談はあることになるだろうと私は期待しておりますが、まだそういうお話は承っていないところでございます。
  311. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、聞いていない範囲内においては、現状で大体置かれる、こういうふうに解釈して、これは大蔵大臣の方のことなんでありますが、大蔵大臣はその後全然関知していないと言えば、では大体現状どおりでいく、こういうふうに判断するのが常識的な解釈ですね。あれだけ厚生大臣はハッスルして物を言っているのですから、しかし、税金のことは一向に一言も触れてなかったのですから、そうなれば、税金はそのまま据え置かれて、こういう改革なんですよという説明に全体的にはなるというふうに、常識的には解釈できると思うのですが、厚生大臣も相談に来ないとこう言っているのですから、そのとおり解釈してよろしいですか。
  312. 林義郎

    ○林国務大臣 くどいようでございますが、いま出しておりますのは、概算要求を私の方の責任で出しているわけでございまして、税制改正の話は、もう少し先になっていろいろな御議論があるのだろうと私は思います。普通の形であれば当然そういうことでございますから、いまお話がないというのは、来年に向かってどうだ、こうだということは、いまの現段階ではまだお話は私の方は当然聞くような時期でもないし、また聞いておらないということでございます。
  313. 沢田広

    ○沢田委員 いや、これは重大な関係があるので、二割負担をして領収証をもらって、五万円以上になれば税額控除になりますから、それを今度七万に上げられるとか、やれ八万に上げられるとかということが後でくっついてくるのであるとすれば、それは詐欺みたいなものなのです。そういうことですから、それは一体的な問題として、われわれ受ける側としてはとらえなければならない。だから片方、二割が正しいか一割が正しいか、これは別問題として、それは一体的なものとしてわれわれは受けとめるので、もし二割取られるとした場合にも領収証を集めれば、五万円以上になれば税額控除になるのだということを計算の中に入れてこの法案をどうするかということを決めるわけですから、だからそのことに触れてないことは、当然現状にそれは据え置かれる、その上に立っての提案だと受け取るのは至極私の方が常識的で、委員長は常識マンですから、私の言うことを理解してくれるだろうと私は思う。もしそうでなかったら、政府の方がおかしい、私はそう思います。
  314. 林義郎

    ○林国務大臣 沢田先生は税の方、大変お詳しいのですから、私からくどくど申し上げることもありませんが、常識的にはそういうふうな話というのはあるのだろうと思います。  ただ、私が先ほど来くどくど申し上げておりますのは、政府の中の行政手続の話でございまして、そういったような問題があると、現段階ではまだそこは話をしておらぬ、こういうことを申し上げておるだけのことでございます。
  315. 沢田広

    ○沢田委員 要望だけ言っておきますが、それはやはり不即不離の関係にある問題である、だから、厚生省だけが勝手に二割だとかいろいろ言って、税金の方のことを全然触れないでいって、後でもしそれを上げるようなことをすれば、繰り返して言いますが、それは詐欺的なことだということになりますから、そういうことはせぬように、ひとつ十分閣内でも意見調整して物を言っていただきたいということを要望しておきたいと思います。非常におとなしくなったと言われてしまったのですが、そういうふうに特に念を押しておきたいと思います。  あと国鉄の亀井さん、おいでになっていただいたのですか――五分ですか。  では、次の問題にいきます。続いて財政再建の前に、ちょっと法律の関係がありますから、それを言っておきます。  米価審議会をわざわざ法律から落とした理由はなぜか。ただ審議会という名前がついていれば、みんな落とせばいいんだという物の考え方でやったのではないのかという気がするわけですね。審議会と名のつくものはみんな外せということで、政令をつければいいのだというのが、どうもこの案をつくったときの発想じゃなかったか。今日までの日本の米価というのは、日本の政治の上において重要な役割りを占めてきた。その米価審議会を政令で落としちゃって、まあ軽んずると言っては悪いですが、まさに軽んずるような扱いをして、そしてこれからの米価問題が片がつくのかどうか、その点はこれは農林大臣ですが、承知の上で、だから見ておるかと聞きたいのですが、見た上でこれは出してきているんですか。それともうっかりしたんですか、どうなんですか、その点。さらにもう一つ言えば、営林署の問題の処置も、これも政令で置くようになっておりますが、これもどういう立場で了解をされたのかどうか、あわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
  316. 金子岩三

    ○金子国務大臣 米審が非常に歴史を持ち、そして重大な日本の食管を扱っておる使命を持っておるということは、沢田先生の御意見のとおりでございます。このたび米審も林野の方も、やはりこれも行政機構改革の一環で政令事項に落とされましたけれども、ただ、政令事項に落とされたからといって、この使命が軽んじられる、疎んじられるというようなことはないと私は考えます。従来と変わりのないような重みを持った、そして責任を果たしていきたい、このように考えております。
  317. 沢田広

    ○沢田委員 でも、やはり米審は、これは特別扱いすべきじゃなかったんですか。政令で米審を置くと、農家の方々に与える印象としても、それはやはり望ましい状態とは言えない。それで人口問題審議会とかそういう三つの審議会は、ちゃんとわざわざ法律の中に残しているんですからね。それで残しておいて、米価審議会は格下げされた。これはどうやってみたって印象的に見たらよくない。これはぜひ委員長も――人口とか三つくらいは厚生省関係は残してある。ところが米価審議会は格下げして政令に落とした。これはやはりいまの農民感情を逆なでするようなことですよね。だから、これは後で適当な時期に委員長においてひとつ適宜お計らいをいただいて、直していただくことが望ましいんじゃないかというふうに、これは委員長にお願いをしておきます。当局の回答を聞いてもだめですから。
  318. 金丸信

    金丸委員長 沢田さん、亀井さんが時間的に短いものですから、先を急いでいるようですから、それをやって後へ回してください。
  319. 沢田広

    ○沢田委員 日本国有鉄道再建監理委員会亀井さんがおいでをいただきましたので、国会に来られたのは初めてで、陰の方で影武者として大変御活躍をいただいて、国会も御指導をいただいたわけでありまして、厚く御礼を申し上げる次第であります。  そこで、いま国鉄の再建の方で御努力をいただいているわけでありますが、当面任務につかれまして、いま考えておられる再建への構想、簡単にひとつお答えをいただければ幸いであります。  なお、亀井さんには失礼があってはいけないということで、質問の中身は先にお知らせをしておきましたので、第二番目は、長期債務の処理についてどのようにお考えになっておられるかということもつけ加えて申し上げたはずでありますので、ひとつ御用意をしていただきましたならば、あわせてお答えをいただきたいと思います。お願いします。
  320. 亀井正夫

    亀井参考人 お答え申し上げます。  この六月十日に国鉄再建監理委員会委員長を拝命いたしまして、すでに八月二日には総理に国鉄の再建につきまして当面緊急にとるべき措置の提言を差し上げました。それから九月一日には昭和五十九年度の国鉄の予算に対する意見書を長谷川運輸大臣に差し上げた次第でございますが、目下国鉄再建監理委員会法律に定められました本来の任務について鋭意勉強中のところでございます。すなわち、国鉄の効率的な経営形態の確立と、その新しい経営形態のもとにおける適正な運営の方法というものが大きな任務になっておりまして、これを現在鋭意検討中でございます。まだ勉強中でございまして、確たる方針というものを私ども委員で確定しておりませんが、私どもの感じといたしましては、これは臨調の継続でございまして、臨調におきまして、現在の政治、行政につきまして基本的に私どもは四つの視点から検討を加えてまいりました。  第一は変化に対する対応であります。第二は総合性の確保であります。第三は簡素効率化であります。第四は信頼性の確保であります。この四点でございまして、現在の国鉄を見ましたときに、変化に対する対応というものがいままでにおいて不足の点があったんではなかろうか。これは、将来の日本の交通体系に対しまして国鉄というものがいかに変化に対応していけるか、こういう体制を考えなきゃいかぬ。また総合性の確保につきましては、非常に大きな膨大な人員、組織でございますが、この間におきまして縦割り組織というふうなものの欠陥がございますので、これの総合性というものが確立される必要があるであろう。また簡素効率化という面につきましても、民間経営と比べたときにいろいろと改善の余地があるのではなかろうか。また信頼性ということにつきまして、現在の国民の方々から信頼性を確保できるような方策というものを総合いたしまして、経営形態というものを効率的なものに確立をしたい、こういうことで鋭意勉強をしておるところでございます。  なお、長期債務の問題につきましては、現在すでに十八兆という膨大な金額でございまして、本年もまたさらに二兆円以上ふえるということでございますが、これをどう処理するかということは大変むずかしい問題でございまして、現在の財政事情もございますし、国鉄の経営の実情もございますし、そういうことを総合いたしまして、新しい経営形態の確立あるいは運営方法の適正化というものとあわせまして、この債務につきましても処理の方法を私ども勉強したい、これから検討を続けたい、そういうふうに存じておる次第でございます。
  321. 沢田広

    ○沢田委員 大変お忙しい中をおいでをいただきまして、厚くお礼を申し上げます。  ただ、国会はその回答ではなかなか満足できる状況にはないのでありまして、長期債務の問題一つとらえても、やはり何か指針を持って臨もうとされるものを示していただきたい。これは大変だ、大変なことはこっちもわかっておるのであります。だから、大変だからどうしたらいいのかということでせっかく御就任をいただいたということだと思います。だから、そういう意味において、いつごろになったらば目安の案というか、正確な案でなくても結構です、目安はつけられるのか。それこそ目安もない再建監理委員会だったらあってもなくても同じになってしまうだろうと思います。だから、そういう意味においては、長期債務はどの程度の時期までに目安をつけられるのか、われわれに御教示を賜りたい、このようにお願いいたします。
  322. 亀井正夫

    亀井参考人 ただいまいつまでにというお話でございますが、一般にはあれは膨大だから棚上げだよというような簡単な議論もございますけれども、現在なかなかそういうことはできない問題でございまして、財政事情とかあるいはいろいろな面から出しますので、私どもの現在国鉄再建監理委員会の任期は四年でございますが、私ども考えでは、二年間鋭意勉強、検討いたしまして、すべてのものについての成案を出したい、そして後の二年はそれの実施についてのフォローアップについて私どもいろいろ御協力を申し上げたい、こういう日程でおりますので、御了解をいただきたいと存じます。
  323. 沢田広

    ○沢田委員 大変御苦労さまです。初めてだったと思いますから、大変お忙しい中おいでいただきまして厚くお礼を申し上げます。これからはまた苦言も申し上げるかもしれませんが、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。御苦労さまです。  続いて、防衛庁にお伺いいたしますが、防衛庁の「装備品等についての調査及び研究に関連する技術的な調査及び研究の委託を受け、これを実施すること。」というのを十三号に一号加えました。いままでも防衛庁もレクチュアに来ておりましたから、もう時間の関係がありますから結論的に申し上げますと、これを防衛庁のいわゆる所管事項に含めた理由はどこにあるのか。前には、これはアメリカとの技術提携ということを背景にして、いままでは技術本部だけがやっていたものを、今度は防御庁の所掌事務に挿入をした。新しくは十四号になっておりますが、これに挿入をした根拠、その意味というものについてひとつお話をいただきたい。
  324. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 まず最初に私から原則だけ申し上げさせていただきまして、細部にわたっては政府委員から答弁いたさせます。  武器技術の対米供与に当たりましては、米国から要請のあった技術すべてについて供与を認めるというわけではございませんで、具体的な事例に即してわが国自身が総合的な国益の観点から自主的に判断をする、そして決める、こういう従来からの方針は全く変わりはないわけでございます。  ただいま御指摘のございました点につきましては、特に技術研究本部の行いまする研究開発の実施そのものと分けて規定したことと平仄を合わせるために、ただいま御指摘のような手続でやったわけでございますが、細部にわたりましては政府委員より答弁をいたさせます。
  325. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  五条十四号を、なぜこの規定を設けたのかというお尋ねでございますが、この整理法案の作成に当たりましては、御承知のように、各省の共通整理方針といたしまして、局等の所掌事務を政令にいたしました。現行法の十二条に防衛局はこういうことをやるとか、人教局はこういう所掌事務であるという規定がございますが、これを、任務権限につきまして、所掌事務という規定で従来の局等の事務の規定になっておりましたものを一括して改正法の中に所掌事務として規定せよという統一的な改正の方針に基づきまして整理をした結果、この十四号が設けられたものでございます。  従来も、たとえば現行法第三十四条の一項、二項、これは技術研究本部の業務として同じ内容が書いてございます。これが政令に落ちましたので、根拠法規であるところの設置法にその根拠となる所掌事務を一括して、新しい第五条ということにいたしました。この結果、従来権限法規でありました第五条が六条になっております。この事務の整理の結果、法律案の条文の全く立法技術上の整理からこういうことになったものでございまして、装備技術交流とは関係がございません。
  326. 沢田広

    ○沢田委員 あなたが幾ら関係がないからと言っても、御承知のとおり法律というのはひとり歩きをするものなんであります。  たとえば、いまは関係がないと言われましても、わかりやすく言いますと、委員長にもこれはわかってもらいたいから言うのですが、前は技術研究本部だけしかこの委託を受けて研究調査をすることはできなかった。ところが、その項目をこの法律で落として、そして防衛庁全体が委託を受けるという形に変えたということなんであります。そうすると、従来は技術研究本部が委託を受けるのですから、主として内局から受けたりあるいは外部の現場から受けたりという形が多いし、ときにはアメリカ軍から受ける場合もあっただろうと思うのであります。それはあったかなかったか、これは私は事実は確かめておりません。ただ、たてまえとしては、技術研究本部が委託を受ける形であった。ところが、今度は防衛庁の所管事項ということになれば、防衛庁が委託を受けるということになってくるわけです。そういう状況になりますと、防衛庁としては、中曽根さんもお約束をしてきた技術の提供についても、当然防衛庁としては委託を受けるものが生まれてくる。  もう一つ問題になるのは、この項目は幕僚長の所管事項には入ってないということ。ですから、シビリアンコントロールということで言えばかっこうはいいのでありますけれども、言うならば、防衛庁の長官が委託を受けてどう処理するかは自由になる。これは法律体系としてはそうなる。だから、本来ならば、この項目は技術研究本部のみに適用する、こういうただし書きがつかなければいまの説明とは合致はしないのです。一般的に委託を受けることが可能になる。これはアメリカからも当然委託を受けることが可能になる。しかもその場合、幕僚長は、これは法律上のミスでありましょうけれども、この権限についての所管事項は持ってない。こういう不規則な条文を特にこの防衛という法律の中に入れるということはいかがなものかというふうに私は考えるわけでありまして、防衛庁長官もどうも点検が足らなかったんじゃないか、事務屋に任せきりだったんじゃないのかという気がするわけです。  一つの例が幕僚長の所管事項には入ってない、これがまず第一。そして、いわゆる防衛庁の所管事項に委託を受けるという意味は何を意味するのか。技術研究本部とは切り離された存在である、別個の存在である、独立の存在であります。そういう状況にいけば、必ずやそういう総括的な受託あるいは委託というものを想定することは当然のことだと私は考えるわけです。私は、この法律上の問題も疑義がありますから、御回答をいただいた上でまたお伺いしますが、幕僚長の所管事項にはない、そして防衛庁の委託を受けるのである、この二つの疑問をお答えいただきたい。
  327. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 御指名がございましたので、まず事務当局から答えさせていただきます。  ただいま御指摘のように、防衛庁の所管事務に格上げになったからアメリカからの委託その他何でも受けられるか、そういうふうな御質問でございますが、防衛庁長官限りで技術研究本部以外の部隊であるとか機関であるとか部外者に対して受託業務を行わせるということは、他の条文との関係上これはできないようになっております。たとえば土木工事の受託、これは自衛隊法第百条、教育訓練の受託、自衛隊法第百条の二等に規定されておりますように、防衛庁と自衛隊のそれぞれの受託に関する規定がございますので、法律で規定しておるとおり、防衛庁の受託業務につきましては法律上の受け皿が必要である、こういうことから、お尋ねの試験等の受託につきましては、現行、これは先ほどの答弁をさらに正確に申し上げますと、局等はこの一括整理法案によりまして政令事項になっておりますけれども、第八条の特別機関として技術研究本部は法律事項で残っておりますので、そこに定められておる法律的な権限、職務分掌によりまして、これを受託をする、こういうことになりますので、そういう乱用のおそれはないかと存じます。  幕僚長にこれがないのはおかしいということでございますが、今回の一括整理法案の基本が組織、編成あるいは手続の改正にかかわるものでありまして、実体に及ぶものではない、そしてそれぞれの局その他の機関に合った事務分掌を一括して所掌事務として法律に掲げよという、こういう統一的な方針によって書いたものでございまして、従来の現行法に、幕に対してこの種の技術研究の受託を行うという規定がございませんので、幕等は現行法でも入っておりませんし、この改正法でも入ってはおらない、技術研究本部のみである、こういうことでございます。
  328. 沢田広

    ○沢田委員 そのとおりなんだ。だから、これは簡単に言えば、一つには故意か不作為か二つあるのですが、不作為の場合だと仮定をすれば、技術研究本部にあった法文を防衛庁の本文に入れた。結論はそれだけだった。でも、ただ、なぜこの委託の研究を防御庁の所管事務に入れたかと言えば、片方は政令に落とさなければならないから入れた。これは不作為の場合です。  しかし、いままで議論をされていて、故意だと仮定をすれば、技術研究本部だけであったのでは、アメリカ軍との協力関係がもう政令に落としてできなくなるから、根拠法規としては防衛庁の所管事項の中に入れて、ここでは従前と変わりありませんという答弁はするだろうけれども、時代が変われば、いざとなれば、これは防衛庁が委託を受けることが法律上可能なんです。それを技術本部にやらせるかあるいは北海道でやるか沖縄でやるか、そのことは防衛庁が決める権限を持っているのですということを可能にしていく法文になる。そういうことを、いまの答弁は、事務屋さんがそう処置したというだけの話であって、その法律の改正によって起こってくる事態というものについてはちっとも解明されていない。だから、特に私が気になっているのは、「装備品等についての調査及び研究に関連する技術的な調査及び研究の委託を受け、これを実施する」、これをやはり防衛庁の権限に含めてきたということは、将来に禍根を残す問題である。単なる事務屋さんのミスとしてとらえて処理するわけにはいかないというふうに判断をいたします。これはまた同時に、幕僚長の条項にも入っていないということも、これも今後の問題に波及する課題であります。でありますから、この点はミスならミスとして訂正をしてもらいたいし、もし作為があるとするならば、これはもちろん承認するわけにはいかない、こういうふうに判断をいたします。総理大臣、お答えというわけにもいかぬでしょうね。
  329. 谷川和穗

    ○谷川国務大臣 今回の改正は、先ほど来答弁させていただきましたごとく、他の省庁との平仄を合わせて、防衛庁の内部といたしまして現行法についての改正の所要の手続を踏んだわけでございまして、対米武器技術の提供義務とか、そういった関連がこれによって生ずるとか、そういうように私ども考えておりません。
  330. 沢田広

    ○沢田委員 これは法律ですから、幾ら長官考えていないとかいるとか言ってみたところで、やはり法律として成立した後、さっきの法務省の人権に関する条項もわけのわからないうちに消えてしまったという、これも故意かミスかわかりませんけれども、そういうような項目もある。ということならば、これは若干急ぎに失した法律案作成であった。米価審議会もそのとおりであり、それ以外にもたくさんあるのでありますが、漁業調整事務所、この問題も政令に落としていってしまっておるというようなことで、それ以外のものもあるのですが、その点はちょっと急いだ法案になり過ぎた。だから、もう一回本当は出し直してもらった方がいいというふうな気もするのであります。いまさらそういうこともできないでしょうが、この項目についてだけは、これは法制局でどう解釈されるか、ひとつ法制局の見解を承っていきたいと思います。
  331. 茂串俊

    ○茂串政府委員 ただいま、いわゆる整理法の関係で幾つかの御疑問を提示されたわけでございますが、それぞれ政府委員あるいは大臣の方から御説明があったとおりでございまして、特に法律的に問題があるということはないと私は確信しております。
  332. 沢田広

    ○沢田委員 法律的には問題はない。それは私があなたに言わせたのが間違いだったかもしれぬが、法律的には問題がない。法律的には問題がないが、技術提供という事務を委託を受けてくる可能性を防衛庁の権利として持つようになった。いままでも持っていたかもしれぬが、なお法律で明確になったということであって、あなたの方の法律の番人の方で答弁させても答えが出なかったので、これは私の間違いでした。だから、もう少しうまく答えてくれるかと思っているので期待をしたのですが、そうはいかなかったということなんです。  ただ、いずれにしても、いま言ったような危険性を予測ができる、そういう危険が予知される、あるいはそういう解釈が生まれる危険性がある、こういうことだけは間違いないのでありますから、これはひとつ、時間的には大変制約を受けてしまっているのでありますが、委員長、あとは理事会なりで率直に、こういう公の場所でなければ間違いは間違いとして謝るのは簡単に謝れるかもわかりませんから、その点は私は若干の手違いがあったと解釈しますが、後刻理事会において適宜お取り計らいをいただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  333. 金丸信

    金丸委員長 はい、わかりました。
  334. 沢田広

    ○沢田委員 よろしいですか。では、そういうことでひとつ理事会においてしていただきます。  続いて、時間の関係もありますが、これは経済企画庁長官に聞きます。  これはある人からの御注意もありましたので、率直に御注意を申し上げておきますが、たばこ耕作組合連合会の会長にあなたはなられているのです。「たばこ・塩専売制度ならびに公社制度の存続について」というやつになられている。どうも政府の閣僚の一人で行革をやるという人が、これは本音なのかもわかりませんが、そういう意味で出されたのかどうかわかりませんが、連合会の会長として名前は載っております。紹介議員は別の方になっておりますが、二律背反の立場というのはあるだろうと思うのですよ。それはそれぞれの仕事を持っている場合に、そういうことは当然起こり得ることだと思うのです。しかし、やはり大臣というポストについたならば、その辺については副会長の名前でもよかったのではないか。その程度ぐらいな配慮はすべきではなかったか、こういうふうに思うのです。本人は御承知だったのか、秘書が勝手にやったのかわかりませんけれども、その点は秘書の教育が悪かったということになるわけでありますから、もし承知でやったとするならば、それはやはり国会を侮辱しているということになりかねない。そういうことで、この点は一身上の問題でもありますので、ひとつ弁明の機会を与えますので、お答えをいただきます。
  335. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私の秘書が恐らく組合長という肩書きに幻惑されてそのようなことをしたかもわかりませんが、これからよく調べてみたいと思います。
  336. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、経済企画庁の「一九八〇年代経済社会展望指針」であります。大変御苦労をいただいた案だとは思いますが、結果的には、これは中曽根さんの性格をあらわしているのかもわかりませんけれども、いろいろ変わるだろうから余りはっきりした物の言い方を言って責任を後で負うようなまねはしたくない、そういう意思があったかどうか私もわかりませんが、社会主義社会じゃないから余りはっきりした計量は出さない方がいいという意図もあったのではないかとも思います。それからまた、あるいはまた情勢がきわめて流動的であり、変わるという条件の中にあるのだから、余り計量、数字は出さない方が無難である、こういうふうに判断されたのかもわかりませんが、大体意識的にはどうしてこう文章だけに終わってしまったのだろうか、もう少し何か具体的な中身が欲しかったと私たちは思うのでありますが、その点いかがでしょうか。
  337. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 この点につきましても、たびたびこの委員会でも、先ほどは小杉委員の御質問を通じてお答えしたとおりでございます。この方法も、これまでの手法とは違っておりますけれども、私は一つの行き方であり、長期経済計画の名として十分成り立つものだ、こういうふうに考えているところでございます。それは、過去の歴史から十分そのことは説明できることは言うまでもございません。  御案内のように、モデルから計算いたしました、たとえば租税負担率というものを初めから決めていって、それに到達するための手段まで詳細に書いていく、それを経済及び財政全般のこのような長期展望を立てる際に詳細に数字的に計量的に表現することは大変むずかしさがある。これは、やはり今度は、ひとつその経験から十分考えまして、リボルビングというような形でこの計画の実行の動きを見詰めていきたい、そして政策の実効性を確保していきたい、そして八年間の間においてりっぱな計画にして、そしてまた、この方法がよかったかどうか八年後にも十分御検討いただけるような方法で進めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  338. 沢田広

    ○沢田委員 これはいままでも議論がされてきましたから、私は別な視点で言うのですが、失業率、失業の問題だけをひとつとらえてみたいと思うのであります。  失業というのはやはり社会の不安を増大させたり犯罪が多くなったり、一番失業というものが世の中を乱していく一つの要素であることは変わりありません。ですから、アメリカがああいう状態において失業者が多いということが、特に犯罪が多かったりあるいは社会の不安が増大している。富める者と貧しき者との格差がうんと広がる。あるいはECの諸国においても同じようなことが言えると思うのであります。  そこで、二%と抑えたのでありますが、これは二%程度ということでしているのですが、われわれの推測によると、どうも三・二%程度にまでいくのではないのかというふうな危惧を持っているわけです。実質成長四%程度あるいは名目で六・三あるいは実質で三・八、それぞれにとり方はいろいろあると思いますが、いろいろと住宅、設備、政府支出その他の公的資本等も入れてみても、これからの日本の将来展望を見ていって、なかなか二%を確保することがむずかしい。これは希望だということかもしれませんけれども、どうも三%ちょっと上回ってしまうのじゃないか。しかも老齢化社会になってきて、その度合いは深まるということを危惧するわけでありますが、その点どうして二が確保できるのか。これは、いま答えができなければ後で書面でも結構でありますが、その確保できる見通しを、労働大臣も含めてひとつお答えをいただきたい。
  339. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 「展望指針」の中では四つばかり数字が出されておりますが、その中の基本的な数字として、完全失業率を二%程度として掲げておることはもう御指摘のとおりでございます。  経済政策の最大の目標はやはり完全雇用でございますし、私どもは、これまでの歴史から見まして、委員の方々、二%を割るような目標が立たないかというような希望も強かったわけでございます。しかしながら、現状を見まして二・七%というような数字が現在二・五一%ぐらいにまで低下しておる状況でございます。しかし、これはそのときの私どもの頭にありましたのは、前の統計資料の二・四%だった。しかし何とか努力するならばいけるような数字が二%、こういうふうに皆さん考えられてこのような答申をいただいたものだ、こういうふうに私は考えているところでございます。
  340. 大野明

    ○大野国務大臣 数字等につきましては、ただいま企画庁長官からお話があったわけでございますが、やはり雇用の安定ということは、勤労者が安んじて職場で働くことができ、これがまた社会に大いに貢献するということで、国政の重要課題の一つ考えております。  そのためには適切な経済運営を行うということは当然でございますが、いずれにいたしましても、この雇用の確保また労働力需給というものについて、いろいろ言われるのですが、年齢別とか産業別のミスマッチの解消とかということに鋭意努めておるところでございますし、また同時に、これからの高齢化社会あるいはまた技術革新、いろいろなことでもって産業構造の変化等々もございますし、社会構造の変化もございます。当然それに伴って雇用構造の変化もございますが、単に雇用というのみならず、産業政策あるいは社会保障政策等と関連していろいろこれからはやらなければならないということでございまして、これらを完全にやることにおいて、いま先生御指摘の、このような数字であっては完全雇用は無理じゃないかということでございますが、そういう経済的な面と同時に、私どもは現在、鋭意、失業者が一人でも一日でも早く少なくなるようにということでいろいろな政策をやっておるところでございます。
  341. 沢田広

    ○沢田委員 全く文章に書くと美辞麗句が並んだのでありますが、労働大臣というのは私は一番大切な職務なんだと思う。さっき人勧の問題も聞きましたけれども、中曽根さんをぶん殴るくらいな気持ちでこれはやってもらわなくちゃ困るというぐらいにひとつ労働大臣、がんばってもらわなければならぬ問題でもありますし、失業の問題もそうなんですよ。  これはあなたは楽――楽と言っては悪いのですが、失業している者の立場というのはきわめて不安な状況が多いのですから、これは十分承知しておると思うのです。だから問題は、それをどう具体的に通産なりあるいは大蔵なり、あるいはそれぞれの、厚生も含めて建設なり、じゃおまえのところでこの手はどうだ、身障者の場合もそうでしょうし、あるいは高齢者の場合もそうでしょうし、この手はどうだということの総意を出して、閣議に出して、幾らかずつでも、何%、〇・〇何%ずつでもやはり吸収してもらうような知恵を出して閣僚の中を歩き回る、そのぐらいの努力はしていいと思うのですが、そういうことはやったことがあるのですか。
  342. 大野明

    ○大野国務大臣 たとえて言えば一つの例でございますが、構造的な不況産業等あるいは不況地域に対して、今日までも失業の予防であるとか、あるいはまた離職者の再就職等にやはり通産当局と、いわゆる産業政策と結びついて鋭意行っておりまするし、そういうような類似したことについても、いま鋭意その政策を立案するというようなことで努めておるところでございまして、閣議等の前においてもでき得る限り、現在の不況の状態というのは案外日本の社会、何となく……(沢田委員「いいです、時間がないから」と呼ぶ)それじゃもうこれで……。
  343. 沢田広

    ○沢田委員 そこで労働大臣、終わったわけじゃない、終わったわけじゃないけれども、いまの回答でちっとも進まないから。  いま四十万人、この前の調査からふえましたね。四十万前に戻せと言うのじゃ酷だから、半分の二十万は、あなたが大臣の職にある限りにおいて、その間において二十万だけはとにかく雇用の場を確保する。何とかこの一カ月か二カ月くらいの間でしょうけれども、二十万は回復する。百四十六万を百二十六万ぐらいの数字にとにかく戻す。それは約束してください。それは総理のいる前で、とにかくどんなことしようとこの失業はそれ以下に戻す、そういうことを大前提に置いて、ひとつあなたの、労働大臣の最後の花を咲かせてください。
  344. 大野明

    ○大野国務大臣 これはなかなか大変なことでございまして、雇用がひとり歩きするというわけにもまいりませんので、やはり経済政策とまず連動してやらなければならぬということで、雇用の創出というような言葉がございますが、なかなかそう簡単に言ってもできることではございませんけれども、しかしながら、現在失業しておる人たちの心情を思うときに、私は最大限の努力をいたしますということをお誓いしておきます。
  345. 沢田広

    ○沢田委員 あなたの最大限は当てにならないから、僕は具体的な数字を言ったのですが、じゃ何万だったら大丈夫ですか、言ってみてください。これだけだったら私も約束してとにかくそれは実現します、そのぐらいの気構えがなければいかぬですよ。お父さんに申しわけないと思わなくちゃいけない。
  346. 大野明

    ○大野国務大臣 まあ、おやじは関係ございませんけれども、いずれにしても、私は労働大臣に就任した直後、労働政策というものは心と心なんだ、やはり情を持ってやる、これが一番大切なことでございますから、何万とか何十万という話以上に、私が誠心誠意やることにおいてひとつその成果を見ていただきたいと思います。
  347. 沢田広

    ○沢田委員 人柄が出ている答弁だと思います。とにかく全力をひとつ尽くしてください。  それで総理、最後に、大体時間的に厳しくなりましたから。いま安倍外務大臣が国連へ行って、レーガンさんもきのう演説をして軍縮への一歩を踏み出そうと努力をされているようであります。日本は、その軍縮においては世界じゅうに負けないほどの渇望をしている国民でもある。また政府もそう思っておられるのだろうと私も思います。いまのレーガンさんの言ったその主張に対して、総理としてはどう受けとめて、それからまた、どうこれから対応なさろうとしておられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  348. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 レーガン大統領は国連総会で演説をいたしまして、軍縮特にINFの問題に言及いたしましたが、私はこれを支持するものであります。  レーガン大統領の演説を見ますと、アメリカはわりあいにソ連との話し合いを妥結に導きたいという希望を秘めて、それを少しずつ出してきておりまして、ある程度の妥協を図らんとしているようにうかがわれます。この三月にいわゆる中間提案というものをいたしましたが、その中間提案の延長線上におきまして、アメリカの従来の主張を堅持しつつ、しかも相手の出方を見つつ、要するに、いわゆるグローバルベースで解決するということ、それからお互いにレベルダウンをやっていこうということ、またいわゆる戦略爆撃機もその中に入れるという提案もしてまいっております。しかし、いままでのような、たとえば英仏のものは入れないとか、あるいはグローバルベースでソ連がこれを考えるという場合には、アメリカはヨーロッパに配置するパーシングIIとかあるいはグラウンドミサイル、クルージングミサイル、それで全部あちらへ展開してそれに対抗するという考えは必ずしも持たない、しかし、われわれはそれを展開する権利は留保しておく、そういうような主張を言っておりまして、私らは、このレーガン提案に対してソ連が対応して出てくることを希望しておるものであります。
  349. 沢田広

    ○沢田委員 いまの話の手順からいくと、そういうことが限界なんだろうと思うのでありますが、さらにもう一歩進めて、日本が果たすべき役割りというのはないものだろうか。それは安倍外務大臣も向こうで大変お骨を折っているんでしょうけれども、竿頭をもう一歩進めて、やはり何か手を打っていくという、ただこれで傍観している、ソ連は受けるか受けないかは、情報では受けない率の方が高そうだ、そういうことになってくると、さらにもう一歩、それを傍観するのではなくて、何らかの措置を通じながら先に進められるような努力をするということがいま必要なんじゃないかというふうに思うのであります。非常にその辺においては勇断も持ち、非常に情勢分析も持っておられる中曽根さんですから、それなりの道を持って措置されるのではないかと思うのです。ただ、いまのままでいったのでは、それはそのままで終わりだろうと思うのですね。これは見通しは恐らく同じだと思うのですね。この話で終わってしまうだろう。先へ進まない。何か日本が進める役割りを果たさなくちゃならないのじゃないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
  350. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 このINFの問題についてわれわれが最も関心を持っておるのはわが国の防衛の問題でありまして、そういう意味で、アジアや日本の犠牲においてこの問題の解決を図ってはならない、その主張を強くレーガン大統領や関係方面に伝達しておるところでございます。  それのみならず、現在、極東地域に約百八のSS20が展開されておりますが、これが増強をされつつあるという情報はあるわけであります。ある情報によれば、三十幾つ強化されるであろうとかあるいは倍増される可能性もあるとか、ともかくふやす方向にいる情報は来つつあるということで、これはわれわれ重大な関心を持っておるわけです。現在ある百八のSS20ですらも、これは減らしてもらいたい、今度のINF交渉の進展に応じてグローバルベースでやるというのですから、ヨーロッパの方を減らす場合にはアジアの方も減らしてもらいたい、それはわれわれの希望でありまして、この極東に存在する百八のSS20が将来どういうふうに扱われるかということについて重大な関心を持っておるということをわれわれは言っておるわけでございます。
  351. 沢田広

    ○沢田委員 それもそのとおりだろうと思うのですね。だから、その先から社会党なり自民党と物の考え方が分かれていってしまうところなんであって、SS20がこうもあるのだから、今度は軍備拡張しなければだめなんだという論理になってくることが、われわれとしてはやはりこわいのですね。だから、もしならば国会でも決議をして各国に代表者を送るなりして、そしてやはり何とかこれを成功させるように努力をするとか、何らかの道を開きながら、だからおれたちは何かそれを守っていかなくちゃならぬのだという論理にならぬような配慮をひとつしていただきたい。また、しなければいけないんじゃないかというふうに、これは党利党略の問題で私は言っているつもりはありません。だから、そういう意味で、国会で決議をするなりして、それぞれ代表者を通じて世界各国にそれを訴えていく、そういう努力をしていくこともその道の一つではないか。これは私の本当のあれですけれども、それがどこの国であるにせよ、やはりそういう努力をするということがいまのわれわれに課せられている使命だ、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  352. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 われわれが努力して核兵器の削減、SS20の問題も含めて今後も継続して努力しなければならぬというお説には私全く同感でございます。どういう具体的方法があり得るか、よく検討してみたいと思います。
  353. 沢田広

    ○沢田委員 以上で私の質問は終わりますが、要望だけあと一つ。あとの方々にあと譲ります。  法制局でありますけれども、細かいことですから私はあえて触れなかったのですが、この法案の罰則が非常にまちまちであります。ですから、やはりこういう法案が出てくるときには法制局なり法務省が一応チェックをしながら、罰則の整合性、やはり法治国家ですから、罰則がこっちの法律がこんなに高くて三十万、四十万取って、こっちの法律は五千円だ、こういうちぐはぐな、これはごらんになっていただけばわかるようなちぐはぐな法律なんです。これはだれが悪いのかということになりますけれども、やはり法務省はそれを守る番人としてみれば、法治国家としての立場からちゃんとそれの整合性を図るようにチェックをして提案をする、そういう配慮が必要じゃなかったかと私は思うのですね。総理大臣もそこまでは気がつかなかったのだと思うのですけれども、やはりそのときは法務大臣に言わせて、これだけまとめて法案を出すときにはこうちぐはぐな出し方の罰則で出さぬように、あえて細かい点は触れませんでしたけれども、ひとつ御注意を申し上げて、今後直していただくようお願いして私の質問を終わります。
  354. 金丸信

    金丸委員長 これにて沢田君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十八日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十分散会