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1983-10-05 第100回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十八年九月八日)(木曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 原田  憲君    理事 三枝 三郎君 理事 三塚  博君    理事 宮崎 茂一君 理事 湯川  宏君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 中村 正雄君       阿部 文男君   小此木彦三郎君       鹿野 道彦君    久間 章生君       小山 長規君    佐藤 文生君       近岡理一郎君    津島 雄二君       浜野  剛君    細田 吉藏君       箕輪  登君    毛利 松平君       井岡 大治君    小林 恒人君       下平 正一君    田邊  誠君       浅井 美幸君    小渕 正義君       辻  第一君    四ツ谷光子君       中馬 弘毅君 ————————————————————— 昭和五十八年十月五日(水曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長 原田  憲君    理事 三枝 三郎君 理事 三塚  博君    理事 宮崎 茂一君 理事 湯川  宏君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 中村 正雄君       阿部 文男君   小此木彦三郎君       鹿野 道彦君    久間 章生君       小山 長規君    佐藤 文生君       近岡理一郎君    津島 雄二君       浜野  剛君    原田昇左右君       細田 吉藏君    箕輸  登君       小林 恒人君    浅井 美幸君       塩田  晋君    辻  第一君       四ツ谷光子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         運輸政務次官  関谷 勝嗣君         運輸大臣官房長 松井 和治君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         運輸省航空局長 山本  長君         気象庁長官   末廣 重二君  委員外出席者         議     員 三塚  博君         議     員 佐藤 守良君         議     員 竹中 修一君         議     員 細田 吉藏君         防衛庁装備局武         器需品課長   鈴木 輝雄君         外務大臣官房領         事移住部領事第         二課長     田中 三郎君         自治大臣官房地         域政策課長   鈴木 政徳君         自治省財政局指         導課長     浅野大三郎君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員の異動 九月十九日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     中馬 弘毅君 十月五日  辞任         補欠選任   毛利 松平君     原田昇左右君   小渕 正義君     塩田  晋君 同日  辞任         補欠選任   原田昇左右君     毛利 松平君   塩田  晋君     小渕 正義君     ————————————— 九月八日  日本国有鉄道経営再建促進特別措置法の一部を  改正する法律案井岡大治君外五名提出、第九  十四回国会衆法第三号)  地域交通整備法案井岡大治君外五名提出、第  九十六回国会衆法第二一号)  交通事業における公共割引国庫負担に関する  法律案井岡大治君外五名提出、第九十六回国  会衆法第二二号)  道路運送法の一部を改正する法律案三塚博君  外二名提出、第九十六回国会衆法第三六号)  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案三塚博君外三名提出、  第九十八回国会衆法第一五号)  道路運送車両法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、第九十三回国会閣法第一九号) 同月二十七日  国鉄在来線ダイヤ改正に関する請願小沢一  郎君紹介)(第一三七号)  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案早期成立に関する請願  (小沢一郎紹介)(第一三八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案三塚博君外三名提出、  第九十八回国会衆法第一五号)  陸運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  気象に関する件      ————◇—————
  2. 原田憲

    原田委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸行政実情調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため  陸運に関する事項  海運に関する事項  航空に関する事項  日本国有鉄道経営に関する事項  港湾に関する事項  海上保安に関する事項  観光に関する事項  気象に関する事項 について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原田憲

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 原田憲

    原田委員長 陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林恒人君。
  5. 小林恒人

    小林(恒)委員 運輸行政の中で、多くの重要課題を抱えている昨今でありますが、特にきょうは、国鉄監理委員会の要請、さらには臨調指導等もございまして、昨年出された緊急十項目に沿いながら、明年の二月一日段階貨物中心とした大幅なダイヤ改正を実施しようとしている、こういう状況の中で与える影響きわめて大なるものがあるだけに、その点を中心にして若干の御質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、国鉄の側ではダイヤ改正推進会議をすでに八月一日に設置をいたしまして、国鉄貨物輸送の歴史にとってもきわめて大がかりな、大改革となる五九・二ダイヤ改正に着手をしているわけであります。すでにダイヤ改正のための本会議あるいは地区会議等が終了して、近日中には新しいダイヤの大綱が発表されようとしている状況にかんがみてお伺いをしておきたいと思うのでありますが、きわめて大きなダイヤ改正であるということをも踏まえながら、目下まだ荷主やあるいは関係自治体との間で十分なコンセンサスは得られていないのではないかという判断一つあります。過般、当委員会におきまして、大改革であるがゆえに荷主自治体関係者の十分なコンセンサスを得るために最大限の努力をします、こういう御答弁をいただいているわけでありますが、逆算をいたしますと、すでに十月に入りましたから三カ月を切った準備期間の中で、国鉄の側としてもあるいは運輸省の側としても、二月一日ダイヤ改正という問題について作業は順調に進んでいるという判断をするのかどうなのか、この点についてひとつ御質問を申し上げておきたいと思います。
  6. 高木文雄

    高木説明員 ただいまお触れになりましたように、今回のダイヤ改正と申しますのは、従来の五十三年、五十五年、五十七年と三回にわたって実施してまいりました貨物輸送ダイヤ改正と比べますと、質、量とも非常に規模の大きいものでございます。しかも準備期間が非常に短いということもありまして、関係各位に御理解をいただくのに大変ふぐあいであるわけでございますけれども、いまの経営の実態からいって余り時間をかける余裕がないということで、日にちを設定して取り組んでおるわけでございます。いろいろございまして、まだまだ残っておる問題点は全くないというわけでは決してないのでございますけれども、しかし、三カ月前あるいは六カ月前と比べますと、かなりの程度いろいろ各方面の御理解を得ることができているのではないかと考えております。  なお、残っている問題につきましては、日にちは迫っておりますけれども、重ねて精力的にお話し合いをいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、現在のところまずまず間違いなく二月に予定どおり実施させていただけるものと思いますし、またそのつもりで取り組んでおります。
  7. 小林恒人

    小林(恒)委員 自治省に同じ質問になりまするけれども、各自治体議会決議等をもって反対だ、こういう意思表明をしている自治体が相当あろうかと思いますけれども自治省としての把握状況と今日段階における御見解があれば賜りたいと思います。
  8. 鈴木政徳

    鈴木(政)説明員 御指摘のとおり、関係地方公共団体におきましては、この輸送体系ダイヤ改正の問題は、地域経済あるいは住民生活に少なからぬ影響がある問題でございますので、真剣な取り組みがなされているところでございます。  御指摘のとおり、議会反対決議等も数多く参っておりますが、どのくらいの数という具体的なものまでは現況把握はしておりません。自治省といたしましては、そのような要望、意見に対しましては、随時運輸省あるいは日本国有鉄道当局にお伝えいたしまして、適切な対応をお願いしているところでございます。  この問題につきましては、やはり今後とも地方公共団体あるいは荷主等地元関係者理解と協力に立った対策の進め方が重要であるというふうに考えまして、国鉄及び運輸省に対しては、そのような適切な対応を今後ともお願いしていきたいと考えております。
  9. 小林恒人

    小林(恒)委員 総理府の林事務局次長もおいででございますから、一点質問しておきたいと思います。  公共企業体日本国有鉄道、こういう経営形態の中での経営が今日まで推し進められてまいりましたけれども臨調並びに監理委員会の今後の指導方針の中で、特に公共性という問題について、過般新聞に伝えられたところによりますると、たとえば民営分割という部分についても膨大な長期債務の取り扱い方などについてはいろいろと意見が分かれている。実際問題として国鉄再建を推し進めていく上での基礎を正確な意味で打ち立てていく必要があると考えられるわけですが、基本的に国鉄公共性、シェアという部分、それからもう一つ営業上における赤字黒字論、こういったものにプラスをして重要視をしなければならない課題は何々だと考えられますか。
  10. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ちょっと御質問の趣旨が十分受け取りかねるのですが、監理委員会におきましては、先般当委員会で御審議をいただきまして成立をさせていただきました臨時措置法に基づきまして、効率的な経営形態確立、それからこれに関連する長期債務等処理というふうなことについてこれから本格的な検討を開始しようという段階でございます。したがいまして、ただいま先生おっしゃった公共性の問題、鉄道というものの公共交通機関としての公共性というものは十分あるわけでございますので、当然そういう点も踏まえながら、さらには収支バランスがとれるような形になるにはどうしたらいいのか。これは当然のことながら、現在の国鉄経営自体の徹底的な合理化ということが必要だろうと思いますが、あわせまして、ただいまちょっと御指摘もございましたような長期債務とかあるいは年金問題とかあるいは大プロジェクトから発生する資本費の問題とか、こういうふうな問題について適切な処理をする、対処をするということがなければ健全な経営は将来にわたって維持できないだろうということで、そういう点を含めまして、これから本格的な検討を行っていくということでございます。
  11. 小林恒人

    小林(恒)委員 それにつけても、冒頭申し上げましたように、五十九年二月のダイヤ改正、この中で具体的に監理委員会の側からも示されている内容は、貨物の膨大な赤字、こういった貨物部門収支均衡をどう図っていくかというところが中軸になっているように見受けられるわけですけれども、今年の二月十四日に運輸政策審議会総合安全保障部会、ここが取りまとめた「総合安全保障に係る運輸政策あり方国際協調推進輸送の確保−」という表題で示された文書の中には、もちろん外航海運の主たる任務とあわせて二次輸送という課題の中では、トラック輸送あるいは大量定型輸送中心として鉄道に課せられた任務というのはきわめて大きいということが書き示されているわけであります。一方で監理委員会の側が指摘をする固有経費均衡、こういった課題と、それから将来的な課題を勉強する過程で出てくる審議会部会における議論との間にいささかの段差があるのではないのか。  それは具体的に申し上げますと、めったやたらにダイヤが打ち切られていって、輸送体制そのもの全国ネットワーク体制ではなくなっている、こういう状況になってしまって、しかし、国家的な見地から見れば、主として輸入に頼る国内経済、そして国民に対する安定供給体制の基本をなす輸送体系の中での鉄道役割り、こういったものが議論をされて、非常にアンバランスを感ぜざるを得ないわけです。運輸大臣としてここら辺の見方についてどのようにお考えなのか、御見解を賜っておきたいと思います。
  12. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 小林委員国鉄の問題について造詣深く、そしてまた研究されておりますことに敬意を払います。  おっしゃるとおり、国鉄はいま未曾有の危機でして、本年度も約二兆円の赤字を出す。分析をすると、その中の主なるものが貨物輸送である。こういうことからしますと、貨物輸送関係効率的にするのにはどうしたらいいかということがこのたびの直行輸送という形になり、そしてそれがいま推進されている。地方反対されていることもわかりますから、それに対しては運輸省としては、従来の荷主であり、お客さんであるから御理解を求めるためにはよく手を尽くしてもらいたい、こういうことを申し上げて推進しているわけであります。
  13. 小林恒人

    小林(恒)委員 理解を得て推進をしていくという部分については、私の質問といささか異なるのでありまして、具体的に言いますと、たとえば「主要物資国内二次輸送体制整備」という項目の中では、海外一般炭輸送体系についてどのように確立をしていくのか、こういった議論についても相当掘り下げて研さんされているわけであります。昭和六十年代後半に入ると、海外一般炭輸入量は間違いなく現在の五倍以上に達するであろう、そういう状況の中で、陸上二次輸送が担う役割り、とりわけ国鉄が担っていかなければならない役割り、こういったものについてここには書き示されているわけです。  ところが、一般車扱い輸送体制というのは非常に効率が悪くて、これはやめてしまうのですよということが、今回のダイヤ改正の中で明確に示されているわけですね。輸送体系がなくなってしまった後、いかに運政審部会が示したりっぱな方向があろうとも、これは絵にかいたもちであって、実際に国鉄が担えるものなんというのは何もないのですよということになりはしないのかなという危惧の念を持つわけです。少なくとも公共輸送という見地から、運輸行政全般にわたって目を通されている運輸省当局、とりわけ大臣の所見というのは、断片的な部分での御答弁では私どもちょっと理解するわけにはまいらぬわけでありまして、もっと正確な意味で掘り下げた御答弁をもう一度お願いしたいと思うのであります。
  14. 永光洋一

    永光政府委員 いま大臣が申しましたように、国鉄貨物につきましては、財政状況にかんがみて合理化し、かつ現在の物流ニーズ対応したようなかっこう輸送システムを変えていこうということが一つの命題でございますが、片や、先生がおっしゃいますように、国鉄貨物輸送につきましてまた別の見方があるのではないかということでございまして、やはりこの二つの面につきましては、どこかで調整をしていかなければならないとわれわれも考えておるわけでございます。  現時点においては、この窮迫した現状において、固有経費という面に着目しながら合理化を進めてまいるという方針をわれわれはとっておるわけでございますけれども、いま申されました第二次輸送運政審考え方と申しますと、特にいわゆる対外物資についての輸入を重点に置いておりまして、その観点から国内輸送に対して対外的な物資を円滑に供給して、安全保障的な機能を果たすためにどうしたらいいかということを議論しておるわけでありますが、国鉄としては、その特性が発揮できる、たとえば石炭なら石炭等につきまして大きな需要が第二次輸送としてあるというような問題につきましては、当然現在の輸送能力でも専用物資輸送というようなかっこう対応できる形にはなっておると思いますし、現実的には鉄道特性に合った形で輸入物資等の大量の物資について対応をするということで、安全保障的な機能を果たし得るということを考えておるわけであります。
  15. 小林恒人

    小林(恒)委員 監理委員会の私事務局次長、何かお忙しいみたいですから、あと一点だけ、これは正確に監理委員会としての考え方を示していただきたいと思って、先に御質問申し上げます。  当面、国鉄経営赤字という問題があることについては、私どもも十分承知しております。これをどうするのかという課題と、それから公共企業体日本国有鉄道が二十一世紀に果たさなければならない役割り、こういった将来展望、ここで最も重要なのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、効率性という課題ももちろん重要でありましょう。しかし、監理委員会としてぜひ正確な意味での議論を私は求めたいと思うのは、たとえば津軽海峡の青函構想に象徴されるように、一方で大プロジェクトトンネル工事をされている。十九年間もかかって工事が進められてきた。そして非常に長い期間青函連絡船という輸送航路を持ってきた。こういった個所で将来的にトンネルが果たす役割り、それからもう一つは、連絡船といいますか船が果たす役割り、こういったものが出てこようかと思うのです。いずれも将来展望が示されている状況ではありません。大体、再三にわたって、私ども運輸省に対して、青函トンネル利用方針ができ上がったかという質問を申し上げましたけれども、かくかくしかじかのという明確な答弁をいただいた覚えはないわけであります。  そういう状況の中で、議論は、トンネルができるまでの間に仮に限定をして考えた場合、連絡船というのは公共輸送上の動脈だという認識をするのか、いやいや、民間フェリーもたくさん就航し始めたし、静脈程度ですよという認識をしているのかという見方の違いが、もうすでに出てきているのではないだろうか。このことは公共企業体が果たさなければならない役割り公共性という問題について、監理委員会として、どのような議論を進めているのかというのが一つであります。  それから、効率性の中で、先般伝え聞くところによりますと、たとえば営業係数で、一体どれくらいの営業係数が出てきた場合に、公共性を維持しながら輸送体系を守っていくことができるのかという、若干中身は違うのかもしれませんが、議論があったやに伺っております。営業係数九〇台が望ましいのか、いまの特定地方交通線のように、二〇〇〇も二五〇〇もという営業係数線区もあるわけですから。しかし、膨大なことは申し上げません、公共企業体としてどうしてもなし得なければならない分野というのは存在をするだろう。その目安について、議論をされているのかどうなのか。されているとすれば、一般論として、どういった線区、どういう輸送航路を主軸にして検討されているのか。こういった部分について御検討の経過があるはずだと判断しますので、御見解を賜っておきたいと思います。
  16. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいま御質問いただきました諸点につきまして、監理委員会といたしましては、この六月の十日に発足いたしまして、当面、法律の規定に基づいて、緊急に実施しなければならない対策についての基本的な実施方針あるいは運輸大臣から付議をいただきました五十九年度予算についての意見提出というふうな作業を続けてまいりまして、ただいま御指摘のいろんな基本的な諸問題というものについては、これから検討を開始しようという段階でございます。  したがいまして、この場で私からその辺の模様について御報告をするのは、まだその段階ではないわけでございますが、いずれにしましても、亀井委員長しょっちゅう言っておりますが、この国鉄問題というものをこれから解決していくに当たりまして、国鉄あるいは国鉄鉄道として一体今後どういう役割りを果たしていくべきか、長期的な展望に立って、いろんな交通手段の中で国鉄役割りは一体何なのかというあたりを十分詰めて、その上で適切な再建案をつくっていきたいということを言っておるわけでありまして、その中には当然公共性という問題、これはいろいろ考え方があると思います。鉄道としての公共性あるいは現在公共企業体という形をとっておる国鉄というものの公共性というのが一体どういうものなのかというあたりの問題をいろいろ区別して考えなければならないと思いますが、その辺についてこれから十分検討していきたいということでございます。  それから、収支係数によって、一体鉄道として残すべきかどうかというふうな議論は、少なくともいままでの段階では監理委員会では行っておりませんで、収支係数によって残すか残さないかという考え方、それもあろうかと思いますけれども、そういうことよりやはりそれぞれの線区の果たしておる役割り、いわゆる公共交通機関として果たしておる役割りというものを、いろいろな交通機関との関連で考慮いたしまして、残すべきものは残すあるいは他の輸送手段に転換すべきものは転換するというふうな考え方でいくべきであろうというふうに考えております。
  17. 小林恒人

    小林(恒)委員 まだ正確な議論は進んでないようでありますが、個人的な見解を申し述べる必要はないかとは思いますが、運輸委員会監理委員会の将来的なあり方監理委員会監理委員会で突っ走る、運輸委員会は何も知らない、こういうようなことのないように、これは委員長にぜひお願い申し上げておきたいと思いますし、きょうは手続上私の方の手落ちもございましたけれども委員会の中には監理委員会構成メンバー皆さん方も御参加をいただいて議論のできる場をぜひ御検討を賜わっておきたいと思っているわけです。  具体的な課題として、貨物駅の廃止についてお尋ねをしておきたいと思いますが、貨物廃止、そしてヤードを廃止をするという課題、このことと経営体制を上向きにしていくこととは車の両輪である、したがって廃止を提案をした貨物駅の復活についてはあり得ない、こういう言い方を国鉄の側から一貫して私どもは承ってまいりました。なるほど、具体的な施策を進めていく過程で、特定地域のエゴが出てきては必ずしも好ましいことだとは思っておりません。しかしながら、先ほどもちょっとお伺いをいたしておりますように、自治体荷主理解が十二分に行き届いておらないという実情も今日段階でこれあり、反対議会決議をされた自治体も数多く存在をし、そういったものが解決を見ないままに早急にダイヤ改正を強行するということがあり得るのかどうなのか。このことは、具体的に御質問申し上げますが、たとえば運輸審議会の中で取り扱う課題として慎重審議課題になるのかならないのか。従来、同意書を添付をしたもの等については軽微な事案としての取り扱いを進められた経過もあるようでありますが、議会決議というきわめて重要な課題がその間に挟まっておる中で、運輸審議会はこのような事案を軽微なものとして取り扱うということがあり得るのかどうなのかという、この点について事務的な作業手続でありますから、見解を賜っておきたいと思います。
  18. 橋元雅司

    ○橋元説明員 私ども、来年の二月、きょうから百十九日に迫ってまいりましたが、駅配置の体制につきましては、一年以上の調査検討いたしました結果、先生方にも御報告申し上げておりますように、貨物の取扱量、これは大体十万トンを目安にいたしておりますが、それ以外にも貨物のまとまりぐあいであるとか、線区特性であるとかあるいは地域の開発計画、その他のもろもろの条件を総合的に判断をいたしまして、ことしの一月三十一日でございますが、発表させていただいたものでございます。  先ほども総裁に御質問ございましたけれども、その後の経緯で荷主さんと利用者の御了解はかなりいただいておるように思います。これは私ども二月から四月にかけまして八千の事業所、これは私ども輸送量の大体力〇%をカバーするわけでございますが、その八千の事業所のアンケート調査などを実施いたしまして、そういった御要望も踏まえまして、八月の上旬に最終的なダイヤの本会議を持ちましてはぼ確定をいたした、こういう次第でございます。したがいまして、この駅配置はどうしても完全実施をいたしたい。またそれが今回の全面的なシステムチェンジの大前提であるということでございますので、大きな事情の変化がない限り二月の一日にぜひ実施をいたしたい、また実施いたすべく私ども十分な自信と確信を持っておる、こういうことでございます。  ただ、先生御指摘のように、若干の地方自治体におきましていろいろな御意見があることは十分承知をいたしております。運輸審議会でのいろいろとお取り上げの仕方についても後ほど御答弁があると思いますけれども、私どもは必要な線区廃止につきましては、三カ月前に完全にできるだけ前広に運輸審議会に申し上げるということも考えております。その他のそういった手続の必要でないところは、ぎりぎりまで十分私ども御了解と御納得を得るべく努力を続けてまいりたい、こう思っております。
  19. 永光洋一

    永光政府委員 運輸審議会の件でございますが、運輸審議会自体の判断であると思うのでございます。確かに先生おっしゃいますように営業線につきまして、従来一年前までは運用としてそういう同意書あるいはそれに付随するようなものを一応の心証を得るためにお取りになっていたようでございます。今後こういう形で貨物合理化を進めるに当たりまして、われわれとしては運審の方に、従来のそれぞれの地方との経緯等あるいはどういうお考えか、こういう折衝をしてきた、こういう経済合理性があるということを種々お話しをしながら、この貨物合理化のための諸手続についてはお話し合いをしていきたい、こう思っておりまして、運輸審議会の方で、今後の合理化の手続につきましてどういうふうな形で対応されるかは、今後われわれと話をしながら決めていかれる、こう思っておりますが、当然地方についてどういうような考えであろうかということもいろいろ審査されることは当然であろうと思っております。
  20. 小林恒人

    小林(恒)委員 正確な意味での審査のあり方などについては、運審規則の中でも非常に細かく明記されておるわけですから、なるほど運審の作業でありましょう。規則に基づいて正確にやっていただくことが大切なんだと思います。  それでは具体的に国鉄の側にお伺いをしておきたいのですが、一方で二月一日実施という方向ですでに進められている作業が幾つかございますね。たとえば専用線の問題については、地域別に若干の差はありましょうけれども、すでに九月三十日付で一方的に打ち切り通告をしてきた、こういった個所もあるわけでありまして、十二月末以降は、専用線がなくなれば事実上貨物取り扱いができなくなってしまうという問題がありますね。さらに発送受付停止の手続、こういったものはいつの時期にどのような方法で進めていかれるのか、一連の廃止に伴う手続、手順についてお示しをいただきたいと思うのであります。
  21. 橋元雅司

    ○橋元説明員 専用線につきましては、規則によりまして三カ月以上前に契約の解除の通告をする定めになっております。したがいまして、十二月一日に廃止をいたしたいというケースにつきまして九月に申し上げたのではないかと思っております。  専用線についてはそういうことでございますが、今回の二月のシステムチェンジは鉄道創業以来の大変革でございますので、ダイヤの最終的な確定によって今度は移り変わりの作業が大変でございます。これは一月二十日過ぎになりますと、大変きめの細かな作業、あるいはもう一月の初めからやるべきこともたくさんございます。たとえば空車の留置であるとかいったような手配はもう一月の初めからかかると思いますが、そのほか具体的に二月一日から従来のシステムと全く変わることになります。五三と五五あるいは五七・十一の改正は同じシステムの延長線でまいりましたので、仮にダイヤ改正後の貨車があるヤードに滞留いたしましても、それを引き出す列車がなお残っておるということでございますが、今回はヤードを原則的に廃止するということでございますので、その辺のあんばいを事前にうまく手配をいたしませんと、輸送すべき列車が消えてしまうといったことも起こり得るわけでございます。したがいまして、この十月の末には全国的な専門家による移り変わりのための会議を持ちまして、その辺のきめ細かな検討をいたしたい、こう思っております。さらにまた、異常時の場合の対策はどうするかというようなことをあわせ検討いたしまして、二月一日に円滑に新ダイヤに移行したい、こう思っておるところでございます。
  22. 小林恒人

    小林(恒)委員 手続、手順が大変複雑なことについてはわからないわけではないのです。ただ、九月三十日付で専用線の一方的な打ち切り通告を行ったということは、十二月末で終わり、こういうことになるわけですね。一月は、一カ月間全然専用線の営業はないということにつながるわけです。一カ月早いのじゃないですか。全体的な移行手順というのは理解はするけれども、すでに九月三十日の段階からもう早々に専用線打ち切り通告をしなければならないという理由は具体的にあったのですか。
  23. 橋元雅司

    ○橋元説明員 専用線につきましては、いまでも毎月何件か解除の御通告を申し上げる。荷主さんの御要請もございます。ですから、先生のおっしゃる具体的なケースにつきまして、具体的にまたお示しいただければ調査いたします。
  24. 小林恒人

    小林(恒)委員 具体的に幾つでも挙げられるのですよ、そんな例は。ただ、私はこういう場で個別の議論を余りすべきでないな、全体的な国鉄経営体制をどう見きわめていくのかがより重要だと判断するから、個別に線名を挙げておらないわけです。ただマクロの意味で、抽象的だからわからないというのであれば、以降挙げても結構なんですけれども、もっと正確に経営体制確立するという、そんな意味では商売に励んでもいいんじゃないですか。  たとえば、特定地方交通線などについても、四線五駅の復活が九月の末の段階で明らかになりました。私は、四線五駅に限定をせず、正確には四線六駅だと思っておるのでありますけれども、そのほかにも特定地方交通線というのはたくさんあるわけでして、総体的に特定地方交通線前倒しでどんどん貨物合理化だ、経営体制経営基盤をつくり上げていくための手だてだ、そういう認識だけで前へ進めていくことについては多くの疑問を持っているのです。そういう疑問があるだけに、廃止手順というのは正確な意味で国民の前に明らかにされるべきであろう、それから全国的にアンバランスがあってはいけないだろう、こういう認識をするのですよ。  それではお伺いしますけれども特定地方交通線四線五駅を復活させた理由についてお伺いしておきましょう。
  25. 橋元雅司

    ○橋元説明員 特定地方交通線の対象となる線区につきましては、本年一月末に来年二月のダイヤ改正に関する基本的な考え方を発表申し上げました際には、五十九年二月一日ダイヤ改正を機会に貨物駅を廃止いたしまして、国鉄としては貨物運輸営業廃止することを計画いたしておったわけでございます。しかし、対象となる線区のうち歌志内線、幌内線そして足尾線、二俣線という四線につきましては、いずれも年間輸送量がおおむね三十万トンを超えております。また特定地方交通線承認等の諸手続がおくれておるということ、さらには来年二月ダイヤ改正の時期も切迫してまいりましたということから、九月末、九月二十七日でございますが、私どもダイヤ改正推進本部におきまして廃止を当面見送るということにいたしたわけでございます。そういったことでございますので、私どもとしては、一月の時点で廃止を計画したということと現段階においてこれを見送りということの二つについて判断をいたした、決断をいたした、こういうことでございます。  それから、一つだけ、先ほど専用線についてのお尋ねがございましたが、私ども原則としては十月の未解除通告をいたすことにいたしておりますので、九月の末に何かいたしましたというのは、何か具体的な事情があったのではないか、こう考えております。
  26. 小林恒人

    小林(恒)委員 足尾線で、濃硫酸、硫化鉱の輸送体制、年間三十四万トンの実績のある線区ですけれども、ここで大問々の駅だけについては計画どおり廃止をする。取り上げた理由がございますか。
  27. 橋元雅司

    ○橋元説明員 大間々駅につきましては三万トン足らずの実績でございますので、当駅につきましては、全国的な目安、基準に従いまして計画どおり実施をさせていただきたい、こう考えております。
  28. 小林恒人

    小林(恒)委員 三万トンだから廃止をするとか十万トン以上あるからという議論だけでいくとすれば、他にもいろいろ問題となる個所がたくさん出てくるわけですよ。  やむを得ず個別的なことを申し上げまするけれども、社線連絡地域、こういったところでは五万トンという基準をほんの少々切れているだけで取り扱いが不可能になってしまうという実例もあるわけでございまして、そういったところの整合性といいますか具体的な例証というのは、今日まで示された段階では私どもはどうも理解の行き届かない部分がたくさんあり過ぎる。特に特定地方交通線の場合は、再建法の中に示されるように、線区別の協議会を設置して、その中で具体的に議論をしていくという中身もあったはずであります。貨物取り扱いについてだけ線区の中でただ一駅のみ先行して前倒しで廃止をしても構わないのだという論拠は、どこに求めたのか。三万トンというだけではちょっと理解できないのですよ。再建法の段階では具体的な省令の中での数字が示されていたことについては十分承知をいたしておりますけれども、この時期に全国の貨物廃止とあわせて足尾線の大間々の貨物取り扱いをただ一駅廃止をしてしまう。そのほかに北海道の何線区が、たとえば池北線であるとか羽幌線であるとかいうところからの貨物の撤退という問題についても同じように私は問題ありとしているわけですけれども、足尾線に限定をして三万トンだからというのは論理的に成り立つのですか。
  29. 橋元雅司

    ○橋元説明員 申し上げるまでもないことでございますが、特定地方交通線という考え方は旅客輸送にかかわる問題であると私ども理解をいたしております。したがいまして、貨物については貨物独自の判断において計画をし実行いたしたい、こう思っております。  なお、足尾線につきましては、昨年の十一月二十二日に特定地方交通線として運輸大臣の御承認を得べく手続を進めておるわけでございますが、私どもも、一刻も早く協議会が開催されまして、線区の取り扱い等につきまして御議論が進められていくことを強く期待をいたしておるわけでございます。ただ、大間々駅につきましては、貨物判断として三万トンという全国のある基準に従って計画どおり進めさせていただきたい、こう考えておるわけでございます。
  30. 小林恒人

    小林(恒)委員 特定地方交通線の中で貨物の取り扱い量関係なしという見解は、運輸省も同じですか。
  31. 永光洋一

    永光政府委員 地方交通線と幹線と分けましたときに、四千トンという貨物輸送量というのはございましたが、地方交通線あるいはその中の特定地方交通線として選定される基準は、幹線としての四千トンを除けば旅客を基本とした基準でございます。したがいまして、特定地方交通線に基づきます協議会等の関係も、厳密に申せば旅客の取り扱い転換方法等を討議する場である、こういうふうに考えております。
  32. 小林恒人

    小林(恒)委員 関係がないということではないという判断をしますので、もう少し正確な意味でこの足尾の取り扱い、とりわけ大間々の取り扱い方などについては以降も再検討を求めたい、こういう要望だけ申し上げておきたいと思っています。  運賃制度についてお尋ねをいたしますけれども、現行の輸送体制から大幅に変更する、こういったことを含めあわせて、運賃制度については国鉄本社の貨物局長の私的諮問機関、運賃研究会が九月の段階で中間答申を出しました。見せていただきましたけれどもダイヤ改正に間に合わせて貨物の運賃体制を新しくしようというお気持ちが国鉄の側にはありますか。
  33. 橋元雅司

    ○橋元説明員 仰せのとおり、今回の抜本的なシステムチェンジに対応いたしました運賃制度についていろいろと検討を進めてまいりました。お触れになりました貨物運賃制度研究会から九月十二日に中間答申を出していただいたわけでございます。その骨子は、まず第一に、今回はヤードというものがなくなりますので、従来非常に原価把握の困難であったヤードを廃止するということで、列車ごとの原価の把握がきわめて容易でございます。非常に単純、明快な輸送のシステムになりますので、列車ごとのコストの把握が容易になるということでございますので、これを前提にいたしまして三点御指摘がございました。  一つは、コンテナ化を推進するためにコンテナと車扱いの運賃制度の不均衡を是正したらどうか。これは、コンテナが三十四年に発足以来いろいろな経緯がございまして、多少割り高になっております。これをコンテナ化の推進のためにもっとこの不均衡を是正したらどうか、こういう御指摘でございます。  それから二番目に、拠点間に流動する貨物の育成に資する運賃の適用ということでございます。今回九十ばかりの拠点駅間に特に太い流動をつくりたいということでございますので、こういったものについての運賃の適用方をよく検討したらどうか、こういう御指摘でございます。  それから三番目に、今回のシステムチェンジは、いわば一車、一車の輸送から列車単位の輸送に変えるということでございますので、列車単位の一括販売を推進するために、契約数量に応じたきめ細かな運賃の適用を考えたらどうか、こういう三つの御指摘がございました。  そこで、具体的な項目につきましては、運輸省ともよりより御相談を申し上げながら十分詰めてまいりたいと考えておりますが、特にコンテナにつきましては、今月中にでもできるだけ早く決定をいたしまして、ダイヤ改正に間に合うと申しますか、それに先立ってひとつやっていきたい。なお、残りのその他のいろいろな項目につきましては、十分検討をいたしまして適時に実施をいたしたい、こう思っているところでございます。
  34. 小林恒人

    小林(恒)委員 目下のところ廃止のための通告はなされた。しかし、それに伴う手だてというのはほとんどといっていいぐらい示されていない。たとえば、廃止に伴う転換補償であるとかという分野については一切示されておらない。一方では、特定地域の中で一年間だけ補償しますよというようなことが管理局から通告をされている個所も存在をする。従来は、トン単価若干の上下はありますが、六百円前後の補償体制、こういったものがあったわけですし、また、あわせて通運事業者等に対しては、貨物廃止に伴って必要な措置の主たるものとしては、たとえば免許の書きかえあるいは路線の変更、こういったもの等についても検討の余地あり、こういう通告がなされておりますけれども、実際にそういった諸作業が進められた経緯があるのか。進められているのだとすれば、具体的にどういった形で全国横並びをしながら推し進められているのか、この点について御質問申し上げておきたいと思います。
  35. 橋元雅司

    ○橋元説明員 貨物合理化に伴う補償制度は大きく分けて三つございます。まず拠点駅への横持ちが距離が延びるということから、増加集配料と申しておりますが、その増加集配料を利用者、荷主に対して補償するという制度がございます。これは廃止後一年間、国鉄の指定する駅を御利用なさる貨物の集配経費の差額を補てんするという制度でございます。これにつきましては、従来の制度とおり大体いきたいと思っておりますが、ただ最寄りの駅をどう考えるかというところでいろいろちょっと御意見の分かれるところもございますが、いずれにいたしましても、これはおおむね従来の制度をそのまま存続をさせたい、こう思っております。  それから二番目には、通運事業者に対する補償の問題でございます。これは先生御指摘のように、トン当たり標準負担額というのを定めまして、これは廃止の場合が幾ら、つけかえの場合が幾ら、あるいは号給地によってこれも変わってまいります。いろいろきめ細かな定めになっておりますけれども、これにつきましては、若干今回の集約の様相が従来と違っております。大変扱い数量の多いところまでも集約をするということでございますので、現下の財政事情等からなかなか従来どおりの金額というわけにはまいらぬということでございます。そのほか、これにつきましては会計検査院等の御指摘もございますので、十分慎重にやりたいということで、現在通運事業者と話し合いをいたしておるところでございます。いずれにいたしましても、私どもとしては、通運事業者の廃止あるいは免許のつけかえに伴います不用施設の撤去等によって発生する費用を中心といたしまして補償を行う方向で措置をいたしたい、こう考えております。  それから最後に、専用線の廃止補償でございます。これも定めがございますので、これはおおむね従来の制度等考えておりますけれども、いずれにいたしましても、荷主さんとの相対ずくのお話でございますので、これは今後ともよく荷主さんとお話し合いを進める中で措置をいたしたい、こう思っておるところでございます。
  36. 小林恒人

    小林(恒)委員 旅客の輸送体制の中で一番早く手をつけられた三陸縦貫鉄道構想、いわゆる第三セクターでの営業体制、こういったものが議論になり、最終的には運輸大臣が認可をする、こういう手順になるわけですけれども、最近伝え聞くところによると、貨物輸送体制を中心とする第三セクター構想、こういったものも浮上しているやに伺います。どういう地域でどのような議論がなされているのか、あるいは運輸省としてそういった第三セクター構想、貨物輸送中心とする第三セクター構想についてどのような御見解をお持ちなのか、お知らせをいただきたいと思います。
  37. 永光洋一

    永光政府委員 特定地方交通線の関連で、お客さんは輸送密度が非常に少ないけれども輸送のベースとして非常に貨物があるというようなところにつきましては、国鉄の線としては存続できないけれども、何とか荷主サイドからこれを第三セクターにして、貨物を主にして、そして存続しようという考え方がございまして、たとえば第一次交通線におきましても二、三セメントとかあるいはそういう大口荷主なり大口の貨物輸送がベースにありますところにつきましては、そういう話が進んでおります。  われわれとしましても、そういう形で国鉄の線が第三セクターで肩がわりされていくということについて、もしそういう話が進んでいけば前向きに対応していきたい、こういうふうに考えておりますし、今後出るであろうと思われます特定地方交通線につきましても、たとえば石炭輸送とかあるいは化成品輸送等で何とか鉄道輸送として残していきたいというような地元のお話があれば、われわれとしてもそういう第三セクターというような形でその国鉄の線を鉄道の線として残していくということについては、積極的に前向きに対応いたしたい、こういうふうに考えております。
  38. 小林恒人

    小林(恒)委員 運輸省としての考え方、具体的に後ほどで結構ですから、基準となるべきものといいましょうか、そういったアウトラインについて書面で御提示を願えれば幸いだと思っています。出していただけますか。
  39. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 これは書面にしてお出ししましょう。
  40. 小林恒人

    小林(恒)委員 そういう議論が重なっていくと、当然のように問題になってくるのは、それぞれ決して裕福ではない地方財政の中で、地方における自治体がどのようなかかわり合いを持っていくのかという、こういう問題になろうかと思います。私の生活圏である北海道でも、もうすでに旅客を中心とした部分では美幸線、興浜線との工事完了と合わせた第三セクター論、最近は、これはちょっと驚いたのでありますけれども、青函連絡線の第三セクター論、こういったような問題が具体的に示されて、それぞれ自治体は補正予算を組んで調査費を計上するという、こういう作業を進めている個所があるわけであります。これは全国的にその他にも存在をすると判断をいたしますけれども自治省としてこういった議論が出てきた場合に、もちろん地域経済に果たす公共交通の役割りという観点からは、それなりの議論参画をすることになるだろうと思いますが、資金的な分野でも同時にどういう対応をするのかということになりますると、大きな議論を呼ぶ分野ではないのかな、このように考えるわけです。自治省として特に御検討されたものがあればお示しをいただきたいと思います。
  41. 鈴木政徳

    鈴木(政)説明員 国鉄が撤退する路線あるいは営業分野につきまして、第三セクターが国鉄にかわって経営主体となるということにつきましては、国鉄が撤退した後の地域経済あるいは住民生活に与える影響をできるだけ少なくするという意味では一つの方法であると考えております。  しかしながら、現在の採算状況を前提に考えますと、第三セクターが営業主体になりましても、多額の赤字というものが想定される可能性が非常に強いと思います。そういう意味で、その赤字がひいては地方公共団体の負担に転嫁されるという可能性があると考えております。したがいまして、自治省といたしましては、このようなものに地方公共団体が参加するということにつきましては、慎重でなければならないというふうに考えております。  また、特定地域でいまのような事情から経常的に赤字が生ずる、それに対しまして地方公共団体共通の財源でございます地方交付税によって補てんするということにつきましては、現在のところ特別に考えておりません。
  42. 小林恒人

    小林(恒)委員 もう一点お伺いをしておきますけれども、すでに議論になっている個所、たとえば三陸縦貫鉄道の場合、あるいは目下貨物の撤退に伴って特定地方交通線で第三セクター論が浮上し、相当議論が集中をしている個所、こういったものなどを踏まえて、自治省として一定の見解あるいは指導文書をお出しになったことがありますか。あればそういったものについてお示しをいただくことができますか。
  43. 鈴木政徳

    鈴木(政)説明員 毎年度の事務次官からの地方公共団体に対する地方財政運営通達におきまして、その点を書いてございますので、後ほど文書で提出させていただきます。
  44. 小林恒人

    小林(恒)委員 ありがとうございました。  総体的に申し上げて、大変ガードがかたい。何が何でも既定方針どおり貨物合理化を推し進めていきたい、こういうお考えのように見受けられますが、問題は地域経済とのかかわり合いの中でどうするのかといういわゆる公共部門の議論がきわめて脆弱ではないのかな、こういう指摘をせざるを得ません。  この際ですから、具体例を示してまいりたいと思いますが、たとえば奈良県総体からは一切貨物が撤退をしてしまうという状況になるわけであります。地元の意向としては、県知事を中心にして荷主団体あるいは運送業を営む皆さん方、そして多くの地域住民の皆さん方の意向としては、せめて一カ所奈良県に貨物駅が存続をしないものかというこれは単なる期待ではなしに要望が出ているかと思います。  さらに石川県の七尾線の取り扱い。七尾はもちろんのこと穴水からも貨物が撤退していく。能登半島総体の経済圏にきわめて大きな影響を与える。こういった問題があり、さらに青森県の場合、野辺地を中心とする南部縦貫鉄道との貨物輸送体制あるいは五所川原を中心とする津軽鉄道との貨物輸送体制、こういったものが全面撤退をされることによって、物資輸送そのものに、また地域の経済にきわめて大きな影響を及ぼすものという認識の上に立って、自治体は必死の努力を今日段階も推し進めているという実情があります。  さらに、福島県のごときはずいぶん多くの個所から貨物が撤退をしていく。従来国鉄輸送体制をお任せをしてきたという荷主地域経済団体にしてみるならば、こんなに大幅の貨物合理化を行うに際して、これはもう地域経済がめちゃめちゃになってしまう。具体的に申し上げるならば、相馬が撤退をし一万六千トンの貨物輸送体制は一体どうなるのか、原町七万七千トンは一体どうなるのか、浪江二万二千トンはどうなるのか。こういった三つの駅をトータルすると優に十万トンを超えてしまう。  これがすべからくトラック輸送に肩がわりをしていくということになると、現行の道路の幅員ではとうてい間に合うわけもない、こういう議論になったり、先ほども申し上げたように、青森県の場合のように七戸では南部縦貫鉄道再建のために町長みずからが社長となって再建過程であったにもかかわらず、国鉄が野辺地から撤退をすることを含めて考えるならば、従来二千四百万程度赤字が約六千万に近い赤字にはね上がってしまうであろう。当然小さな自治体財政の中では、これをフォローするだけの力量を持ちませんという、こういった具体的な例が示されてきているわけであります。  こういうまさに国鉄合理化施策、こういったものとうらはらの課題として、政治的な分野でぜひ解消方をという地元の要望というのは、単に地域的な課題ということで押し込めてしまうわけにはいかぬのではないだろうか、何らかの救済措置がそこに存在をしてしかるべきではないのか、こういう気がしてなりません。もちろん、運輸大臣もそういった分野では十分各界からの要請をお受けのことと思いますけれども、現状で、本日段階で特に知恵があるのかないのか、何とかしようとしているのか、全くもうあきらめてしまったのか、ここら辺について御見解を賜っておきたいと思います。
  45. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いま小林委員が挙げられた地域の問題、私も陳情などを聞いてもおります。何とかしたいという気持ちもありますが、ここまで国鉄貨物が決定的なダメージを受けて、鉄道特性を生かす方向に持っていくという革命的な段階になってきたときでございますから、これは何とかひとつ御推進方をお願いしたい、御理解をお願いしたい、こう申し上げつつも、計画の実施に当たりましては影響を最小限度にとどめるようにコンテナ化などの要請を私からもしております。なおかつ、そういう旨を含めて、国鉄関係者は私以上に熱心に地方の方々に理解と協力を求めてきているはずであります。
  46. 小林恒人

    小林(恒)委員 何らかの形ということでは具体策にならないわけです。運輸行政上公共交通が撤退をする、こういう原案が出た段階では、少なくとも何らがその部分について正確な方策が示されなければいけないと考えるわけですけれども、実際問題、奈良県、石川県、青森県、こういった地域、こればかりではありませんよ、たくさんあります、こういった地域問題点というのはきわめて重要だ。たとえば農産品輸送などについては、いまもお話が出たようにコンテナ化あるいは季節波動対応、こういったようなものでフォローできる、こういう認識があったとしても、たとえば野辺地に存在する日本燃料工場などについてはより具体的に、国鉄輸送力を確立するために誘致した企業である。これはピッチ練炭を中心にして昭和三十年に創立をされたのだけれども、実際国鉄の側はもうピッチ練炭を使用しなくなった後家庭炭に切りかえた、こういうような実情等もあって、しかし、営々と続けてきた企業体がもういまや国鉄がなくなってしまえばトン単価で四千円から五千円のコスト上昇になる、こういう状況の中では、企業閉鎖をせざるを得ないという、こんな実態があるわけです。運送会社の場合についても、転換補償金、一年間については考えますよという地元管理局の営業部長からの通告だけであって、年間千トンから千五百トンの輸送量を担ってきた企業体が一片の通告で企業倒産の憂き目に遭う、こういう実情が出てくるとすれば、一体公共性というのはどこに存在をするのだろうか。先ほど議論をいたしましたけれども、不採算部門については固有経費をペイさせるためにのみ今回の施策があって、公共性というのはもう淘汰されてしまった事柄なんだろうかという認識をせざるを得ないわけであります。そうではない施策というものを今日の段階で正確に網羅をしておかないと、冒頭に議論いたしましたように、せっかく運輸政策審議会の中で議論して、将来にわたっての「総合安全保障に係る運輸政策あり方」などというりっぱな論文が大変多くの学者、文化人の皆さん方に御苦労を願ってつくり上げられたとしても、これは絵にかいたもちになってしまう。地域の経済を十分にカバーするような運輸省行政ではないではないか、こういう批判につながってしまうのではないかという危惧の念を持つのです。この点について、総体的に鉄監局として特に考えているものはもう何にもないのですか。あるのだとすればお示しをいただきたいと思うのです。
  47. 永光洋一

    永光政府委員 さっき大臣が、具体的な対応としてコンテナ化ということを申されましたが、いま先生おっしゃいましたように、一般的には、コンテナ化の慫慂あるいは季節列車の増発あるいは一般の停車駅を増加させるというような、いろいろな個別的なことを国鉄と相談をしながら、やはりこれはどうしても大きな変革でありますので影響は避けられないわけでありますが、その影響をできるだけ少ない形でいろいろな手を打ってはおるわけであります。  いま先生おっしゃいましたように、個別的なそれぞれの線についてどうだ、こういうお話でありますが、基本的に貨物輸送と申しますのは、経済原則ということが基本ではないかとわれわれは考えております。したがって、当該貨物の撤退によりまして、ある企業が非常に影響があるということは、ある程度その企業につきまして、国鉄がこういう情勢になりながらもある意味では補助をしておった、こういう形になるのではないかと思います。それがなおかつ公共性だという御議論がとも思いますが、やはり国鉄はある程度コストを賄うところで輸送をやっていくということが、原則的な貨物輸送の問題ではないかと思いますし、代替的な輸送機関としてトラック、自動車というものがあるわけでございますので、そういう経済原則を基本的に踏まえて国鉄輸送を考えるということは、現状の国鉄の財政から見てやむを得ないことではないかと思います。
  48. 小林恒人

    小林(恒)委員 やむを得ないのではないかということは、やりませんということであり、具体的な施策はありません、こういう受けとめをせざるを得ないわけです。  ただ、しつこいようですけれども、たとえば危険品輸送対策、こういった分野を検討してみますと、これはもう津軽海峡青函航送に限定をしますけれども、四万トンと言われてきたわけです。昭和五十七年度、私ども調査をしてみましたら、上下で五万二千トンの危険品輸送を担ってきた。特に、北海道曹達株式会社、これは大臣のところにもあるいは通産省にも陳情書が来ているかと思いますが、液化塩素の青函航送対策、こういったものを見ますと、従来、有川桟橋と函館桟橋双方で、青森側は三バースを使って危険品輸送を担ってきたのだけれども、今後のダイヤ改正からは函館桟橋のみに限定をされる。したがって、北海道曹達の液化塩素等については送ることはできなくなる。ここの会社は、具体的にいろいろな分野を模索をしてみて、国鉄輸送してくれないのであれば、みずから船をつくって送る手だてをつくりたい、しかし来年の二月までは間に合いません、こう言っているのです。  こういうものも含めて、これは送る体制がなくなったのだからやむを得ないのです、こういう言い方をするのかどうなのか。危険品輸送の青函航送というのはきわめて重要な課題であり、一方では、同じ岸壁から客貨、とりわけ危険品も積み込んで、輸送体制が、一体この五万二千トンのうちどれくらいカバーをされていくのか、この問題についてお尋ねをしておきたいと思うのです。
  49. 橋元雅司

    ○橋元説明員 仰せのとおり、青函を渡る危険品輸送というのはなかなかむずかしい状況でございます。ダイヤ改正以降は、函館におきましては第一岸と第二岸、それから青森桟橋につきましては第三岸を使用して航送することになりますので、この旅客安全上の見地から、危険品の荷役につきましては、三つの点に特に留意して、現在、関係省庁と折衝を重ねておるところでございます。まず、付近に旅客のない時間帯でやらなければならない、それから、一回当たりの荷役量の制限をしなければならない、さらには、爆発性あるいは引火性を有する火薬類は、深夜の時間帯でなければいけないというようないろいろな制限、条件がございますので、そういった条件をどのように満たすか、いろいろ苦慮をいたしているところでございます。  御指摘の北海道曹達の問題は、よく事情を承知いたしております。個別に、具体的に荷主さんとお話を進めているわけでございますが、私どもといたしましては、ぜひひとつ私有コンテナ化の方向で対応いただきたい。仰せのようにケミカルタンカーをおつくりになるというお話でございますが、それまでの間でもコンテナ化によって対応が可能ではないだろうかということで、荷主さんとお話をしておるところでございます。
  50. 小林恒人

    小林(恒)委員 具体的にコンテナ論が出ましたけれども、コンテナの作製そのものが二月一日までに間に合うのですか。
  51. 橋元雅司

    ○橋元説明員 これは、現にケミカルコンテナもございます。したがって、リースあるいはレンタルという方式もございますし、新たに製作をいたしましても、これは二カ月ぐらいあれば製作が可能ではないか、こう見ております。
  52. 小林恒人

    小林(恒)委員 大体この全体構想が見えてきたのですが、防衛庁にもおいでをいただきましたので、私どもは、国鉄が武器弾薬輸送に協力をしてきたことについて若干の違和感を感じないわけではありませんけれども、ちょっとお尋ねをしておきたいのです。  国鉄貨物輸送体制が変更することによって、防衛庁の側では従来、五十六年、五十七年度段階でどの程度の危険品を国鉄送りをしてきたのか、あるいは特大貨物等の輸送も今日まであったかと思いますけれども、そういった総体の輸送量と、それから国鉄貨物合理化に関連をして、特に具体化をしなければならない火工品の輸送体制などについて御検討された経過があるのかどうなのか、お伺いをしておきたいと思います。
  53. 鈴木輝雄

    鈴木(輝)説明員 国鉄貨物輸送合理化方針につきましては承知いたしておりますが、防衛庁といたしましては、弾薬等の装備品の部外委託輸送につきましては、全体でその約四〇%弱を国鉄に依存しておるのでございます。国鉄合理化を実施されました場合に、各自衛隊等におきまして大変大きく影響を受けますので、現在運輸省及び国鉄当局と事務的に調整しておるところでございます。特大貨物等、まあ全体ではそういうことでございまして、弾薬類につきましては、防衛庁が外に委託しております輸送の七五%を国鉄に依存しているところでございます。  いずれにいたしましても、国鉄の改善計画につきましては、その策定状況を見守りながら、防衛庁といたしましても民間輸送、または自隊における輸送等具体的な対応策を検討してまいりたいと考えております。
  54. 小林恒人

    小林(恒)委員 具体的に検討するということでありますが、たとえば弾薬等についてコンテナ輸送が可能だという御見解がどこから出されたのかわかりませんが、示されたやに伺っておりますけれども、こういった検討経過がございますか。
  55. 鈴木輝雄

    鈴木(輝)説明員 現在コンテナで弾薬等は輸送できないことになっておりますので、いま運輸省がこれから改正されます骨子であります拠点間のコンテナ化による直行輸送という方式に沿って私ども輸送させていただくということになりますと、コンテナで輸送できるかどうかが大きな問題になるかと思いますが、その辺を運輸省国鉄と現在事務的に私どもの実態を御調山しながら御調整申し上げている段階でございます。
  56. 永光洋一

    永光政府委員 いま防衛庁の方から火薬類の運送のことで運輸省の方にと話がありましたので、実は火薬類運送規則によりますと、現在は積載貨車が制限されておりまして、コンテナでは運べないということになっております。これにつきまして現在国鉄の全国ネットワークが車扱い輸送ではなくなりますので、そういう意味では弾薬に限らず火薬類全般のいわゆる荷主サイドからも何とかコンテナで安全性が保てないかという要望が大分前からございまして、この国鉄合理化計画が発表されましたのと並行しまして、運輸省でも安全性等についていろいろ議論をいたしておりまして、現在大体成案を得まして、公聴会等の手続等が必要だということのようでございますが、手続を経まして、積載貨車にコンテナを追加するということで大体安全性は問題がないというようなことでございますので、近々そういう省令の改正を行いたい、こういうふうに考えております。
  57. 小林恒人

    小林(恒)委員 コンテナ化ができる、コンテナ化した場合には、旅客と同時輸送はしない、こういう御認識ですね。国鉄さんにお伺いしておきます。
  58. 橋元雅司

    ○橋元説明員 そのとおりだと思います。
  59. 小林恒人

    小林(恒)委員 さらに国鉄にお伺いしますけれども昭和五十七年度五万二千トンの危険品輸送のうち、今度の若干の危険品のコンテナ化などを含めて危険品の青函航送はどの程度担っていかれるという見通しをお立てでしょうか。
  60. 橋元雅司

    ○橋元説明員 それは一にかかってコンテナ化がどの程度進むかということになろうかと思います。御承知のように、青函間はピーク時、四十六年度から半分程度にいま落ち込んでおりますが、上下で大体四百五十万トン程度でございますが、その中で特に上りだけ申し上げますと、現在二百十万トンの中で百万トン、半分近くはすでにコンテナ化されております。残りの百十万トン、これは危険品等も含まれるわけでございますが、それがどの程度コンテナ化されるかということでございまして、特に私どもは北海道の上りはコンテナも常にかなり大幅な空コンを回送する状態でございます。これは運賃条件等の問題もございます。しかし、これは北足同盟等々、内航海運とのいろいろな競争関係もございますので、その辺をどのように解決していくか。私どもとしてはやはり上りの空コンテナをうまく活用しながら、全体としてのコンテナ化の比率をさらに高めたい。北海道につきましては、紙とか根菜等を除きましてオールコンテナでもいいのではないか、こういうふうに思っておるところでございます。
  61. 小林恒人

    小林(恒)委員 貨物輸送ももちろん重要な課題でありますが、何といっても人命尊重の輸送体系を築き上げていく、このことが非常に重要だと考えます。危険品と旅客とについてはある程度分離ができるという、分離をした輸送体系を築き上げていくということについてはある程度理解をいたしますけれども、実際同じ岸壁から危険品輸送体制もとっていく、こういうことになると、旅客が存在する、しないにかかわらず、職員も日夜を問わずあの岸壁では仕事をしているわけですから、人命尊重の見地から取り上げて、設備の改造その他について検討された経過がございますか。
  62. 橋元雅司

    ○橋元説明員 特に設備について検討したことはございません。ただ、先ほど申し上げましたように、これは深夜の時間帯、貨物専用便に限るとかあるいはお客様の少ない時間帯、一回の取扱荷役量を制限するというようなもろもろの制限条件を十分踏まえながら安全輸送に心がけたい、こう思っておるわけでございます。
  63. 小林恒人

    小林(恒)委員 コンテナ化の促進という意味では、数字の上でもなるほどコンテナ化が進んできたということについては私ども認識をするわけですけれども、示された書類によりますと、全国でコンテナ個数四万八千個、過般の御報告ですと約一万個行方不明という実にだらしないお話を伺って、実は私ども面食らったのです。コンテナ重点の輸送体系をしいていく上で三万八千個で間に合うという認識をしているのかどうなのかという問題もあるわけですが、いままでどういう管理を推し進めてこられたのか。また、コンテナの耐用年数との関連から言いますと、一体何年間もつものなのか。これからコンテナの作製計画が年度を追ってどの程度計画をされているのか。この三点について国鉄の側に御質問を申し上げておきたいと思います。
  64. 橋元雅司

    ○橋元説明員 仰せのとおり、五十八年九月現在で四万八千個のコンテナがございます。一万個が行方不明というお話でございますが、私どもの把握では、現在四万八千個のうち四万四千個は電算調査によって使用可能なコンテナとして確認をされております。残る個数、約四千個につきましては、雨漏りであるとかあるいは破損等がございまして、現在使用不能な状況にございます。したがいまして、私ども、今後ともコンテナ取扱駅でのコンテナの保有状況というものを電算機管理によってきめ細かく把握いたしたい、また駅頭において長期未配という状態にございますコンテナがございますので、そういったコンテナの解消を図るということで全体として適正な運用を強化いたしてまいりたい、こう考えております。  申し上げるまでもないことでございますが、コンテナというのは駅から出ていくわけでございまして、オンレールにつきましては把握がきわめて厳格にできるわけでございますが、オフレールの部門にあるコンテナにつきましては、通運事業者と十分協力をいたしまして運用を適正に行ってまいりたい、そしてまたコンテナの運用効率それ自体を向上させていきたい、こう思っておるところでございます。  コンテナは備品でございますので、耐用年数という考え方はございません。しかし、実態上大体七年から十年ぐらい使用しておるということでございます。  今度の輸送によりまして、私どもの想定では運用効率がかなり上がるのではないか、こう考えております。現在大体一二%程度でございますが、これは一五%以上にできるのではないかなと考えております。したがいまして、コンテナにつきましては、先生ちょっとおっしゃいましたが、大変進んでおるという御評価もいただきしましたが、実は私どもこれはまだ不満足でございます。かって四十八年に千三百八十万トンという記録がございますし、現在は一千万トンをちょっと割り込んでおる状態でございます。コンテナの箱そのものを、もっと多彩な多様な、いま一枚扉のコンテナしかございませんけれども、二枚扉のコンテナであるとかあるいは冷蔵であるとか特殊なコンテナをもっと増備をいたしまして、荷主さんの御要望にこたえたいと思っております。それらも含めまして高ンテナ化をぜひもっともっと進展させたい、こう思っておるところでございます。
  65. 小林恒人

    小林(恒)委員 私有コンテナの活用も含めて、今後コンテナ輸送体制というのは幾ばくか改善されるのか、こういう期待をするのでありますけれども先ほどもちょっと議論しましたように、運賃問題が具体的に荷主に対して示されていない、車扱いからコンテナに移行した場合、一体どのくらいの値段が引き上がっていくのか、安くなるとは思われませんけれども、こういった心配をいたします。  そのこととあわせて、拠点間直行輸送体制ですから、Aの拠点間とBの拠点間を結んで再託送という議論がもうすでに出ているわけであります。再託送についてどの程度のスペースを考えられ、実際にどんな施策でもって荷主のニーズにこたえていこうとしているのか、検討の経過がございましたらお示しをいただきたいと思います。
  66. 橋元雅司

    ○橋元説明員 今回の拠点間直行輸送システムにありましては、原則的には車扱い直行貨物列車相互間の中継ということはないわけでございますが、先生おっしゃいました再託送という制度が昔からございます。到着貨物であって貨物の取りおろし前に荷受け人から新たな着駅へ運送の申し込みがある場合につきまして、貨車に積載したままで新たな運送契約に応ずるという制度でございます。この場合には運輸上支障がないという条件が付せられておりまして、いろいろ構内作業関係であるとかあるいは貨車の検修の問題であるとかというような問題がございますので、そういった問題が生じない場合に限って再託送に応ずる。託送がえと申しますか、再託送に応じたいと思っております。なお、この場合におきましては、運送契約はそれぞれ別個のものになりますので、運賃は併算でお願いを申し上げるということになります。  再託送というのはあくまでも特例的な措置でございますので、余り広くこれを一般にやるわけにはまいらぬ、あくまでも荷役線においてそういった問題がない場合について、この再託送という手段で荷主さんの御要望に応ずる、こういうことでございます。
  67. 小林恒人

    小林(恒)委員 再託送の制度は例外措置であるという言い方ですが、従来であれば例外措置でよかったのかなという気がしますよ。しかし、今回の大幅なダイヤ改正の中では、これは例外という認識をそのまま踏襲されたのでは、送りたくても結果的には送れない。一億一千万トン輸送体制から七千七百万トン体制にダウンをして、そういったものが次から次へと飛び出してくれば、現実問題としては七千七百万トンも早い年次のうちに割り込んでしまって、もう一度貨物合理化を、結果的には国鉄貨物からの撤退かという、巷間伝えられるようなそういう心配がしみじみするわけです。その意味では、従来と認識を変えた再託送体制といったものは必要ではないのかなという認識を持つのでありますけれども、その点ではそういう見解には立ちませんか。
  68. 橋元雅司

    ○橋元説明員 先生の御意見もよく理解できるわけでございますが、あくまでもその拠点駅における構内の事情がございます。そういった事情を踏まえて運輸上支障がない場合についてお申し込みを受け付けるということでございまして、これはあくまでも具体的に——現在、現実にかなりの荷主さんからそういうお話がございます。ですから、そういうお話を具体的に承った上で、私どもがそれに応ずることができるかどうか、これは特例的というか何というかいろいろございますが、私どもとしては、そういった運輸上の支障がない場合について御要望に応じたい、こう思っておるわけでございます。
  69. 小林恒人

    小林(恒)委員 いずれにいたしましても、今回国鉄の側が、あるいは監理委員会が、臨調が提起をした国鉄貨物合理化に対する基本的な考え方というのは、再建法の段階でローカル線の基準をつくったときと同じように、片や旅客一日二千人未満の個所、全国一律でもって一つの基準をつくる。今度の貨物の場合を取り上げてみると、七万七千トンや八万トンの輸送量を持っていようとも、一駅十万トン以下の貨物駅については集約をしてしまう。拠点間の中でそのエリアの中には一切入れないという、言ってみれば弱者を救済をするという措置は全くなくて、弱肉強食で過疎過密が進行しているように、国の方針からすれば、国土の有効活用とか全国どこにいても国からの施策にかかわる同じような恩恵を受けるといったものからはるかに遠い方策になっていると指摘せざるを得ないわけです。  先ほどから何回も何回もくどいように申し上げておりますけれども、私は国鉄固有経費、この問題に立ち至って議論をする場合は、公共性という議論とあわせて、私どもが何回か申し上げた総合交通体系の確立に向けた方向性、こういったものを放棄してもらいたくないと思うのです。ある人に言わせれば、総合交通体系というのは絵にかいたもちだ、こうおっしゃられるかもしれない。しかし、八十五国会の中の全党一致の決議にも示されるように、現に具体的に陸上交通審議会の「部会」は全国各地で、遅々としている部分はあったとしても、推し進められながら総合的な交通体系に向けての準備が詰められているというのが、運輸省の側としての物流を含めた交通体系確立のための一つの道程であろうというぐあいに考える。そういう意味では、今回国鉄が大幅な貨物合理化を行うという部面で、運輸省の側の施策やあるいは国鉄の側の具体的な施策がそれの肩がわりとして何を求めるかという分野では見るべきものは一つもないと言ってよいのではないだろうかと指摘をせざるを得ません。しかし、少なくとも行政の頂点に立っている運輸省の責任においてここは解消していく施策というのが大切なのではないだろうかという気がいたします。最終的に、いままでの私が申し上げたような内容も含めて、運輸省としての御見解を、これからとるべき手だて等について考え方を示していただきたいと思います。
  70. 永光洋一

    永光政府委員 国鉄貨物合理化との関連におきまして、物流体系と申しますか、総合交通体系のお話がございましたが、われわれとしてはやはり貨物の総合的な体系と申しますのは、それぞれの輸送機関がそれぞれの特性に応じた分野において相互に関連しあるいは相互に競争しながら利用者のニーズに適切に対応していくことが大事なことではないか、こういうふうに考えているわけであります。したがって、ある意味では国鉄はすでに撤退をしなければならなかったところ、あるいはもうすでに合理性を失ってその特性を失っておった分野において、なおかつ、残っておったところがあったわけでありまして、そういう面から言えば、全国的な交通体系の合理化という面からも国鉄輸送分野を調整し、そして特性分野に限って今回のようなシステムチェンジをすることが大事なことではないか、こういうふうに考えているわけであります。  ただ、そういう分野の変化というものに関連しまして、いま先生がおっしゃいましたいろいろな面での影響が総体的にあるいは具体的にあることは確かでございまして、いままでこの合理化を進めるに当たって、確かにまだ依然として問題があるところがございますが、先ほど来申し上げておりますように、コンテナ化等を含めて頭をいろいろ悩ましながら個別的に対応しておるわけでございまして、今回こういう形でシステムチェンジをしましても、なお並行的にまだ、説明いたしておりますように、さらにコンテナ化の慫慂等、荷主と直接にそれぞれ理解を求めながら影響を少なくしていくような施策を講じるように、国鉄ともどもわれわれも努力をしていきたい、かように考えております。
  71. 小林恒人

    小林(恒)委員 終わります。
  72. 原田憲

    原田委員長 辻第一君。
  73. 辻第一

    ○辻(第)委員 まず最初に、三宅島の火山噴火の問題でお尋ねをいたします。  三宅島は普通観測の常時観測火山でございまして、地震計は一点だけということを聞いているわけでありますが、噴火前の有感地震は阿古では四、五回感じられた。しかし、地震計でとらえられたのは二回だけ。火山情報の第一回発表は噴火後というような状況だったと聞いているわけであります。もし人家のあるところで噴火をしたら大惨事になったのではないか。幸いにして今度はそのような人身の被害はなかったということは大変喜ばしいことでありますが、しかし、後から考えてみると、本当に大変なことであったのではないかというふうに思うわけでございます。地震計一点では震源決定も困難だということだと思うわけであります。少なくとも三点の地震計が必要なのではないか、私はそう考えるわけでございます。地震計一点でどうなのか、本当に三点必要なのではないか、この点をお尋ねをしたいと思います。  時間がないので、引き続いて、中央気象台測候所の火山担当者は、いま常時観測は全国で十七カ所、精密観測は四カ所、普通観測が十三カ所、こういうふうに聞いているわけでありますが、普通観測のところは大体一、二名、常時観測といっても、通常は自動的に地震計の記録をとっているが、データの解析処理はほとんどできていない、このように聞いているわけでございます。  九月の本庁の機動観測班による三宅島基礎調査観測も、「気象庁ニュース」(九月二十五日付)では、「詳細については、今後、磁気テープ式地震計の解析を待って行いたい。」このように書いているようでございますが、せっかくの観測も解析がおくれ、十分生かされていないというような状況だというふうに聞いているわけでございます。  しかも、来年度予算では地震火山都の新設を要求しておられるようでありますが、火山の人員増はなし。それどころか、本庁でも火山関係は定員十名なのに、それすら満たしていない、九名ということであります。私は必要な人員を確保すべきだ、このように考えるわけでありますが、この二点について気象庁の方から御答弁をいただきたいと思うわけです。
  74. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の第一点の三宅島における常時観測でございますが、御指摘のとおり、現在のところは常時観測、つまり一日二十四時間、一年三百六十五日の常時観測が一点であることは事実でございます。しかし、三宅島は玄武岩質、つまりマグマが水のように非常にざらざらした性質の火山でございまして、これがずっと上昇してくるまではほとんど音なしの構えで上がってくる。そこで、地上へ突き破りますときに微動を生じるというタイプでございまして、前兆の微動が火山活動に前駆する時間が大変短うございます。したがいまして、たとえ一点でございましても、高倍率の地震計が整備され、しかも常時観測をしていれば、現在の火山学の技術、学問の水準に見合った十分な監視に対応がとれていると思っている次第でございます。  それから、全国的な問題でございますが、日本は世界有数の火山国であることは事実でございまして、もうすでに御指摘のとおり、気象庁といたしましては、今後も地震あるいは火山の部門に対して充実の方向で努力を尽くしてまいりたいと思っております。
  75. 辻第一

    ○辻(第)委員 私がお尋ねしたのは、地震計一点で十分なのか、三点観測が必要ではないかというふうに聞いたように思うのですが、その点もう一度いかがですか。
  76. 末廣重二

    ○末廣政府委員 三点ございますれば、地震の起こった場所がどこであるかということをある程度の時間がかかれば突きとめることができるわけでございますけれども、ただいま御説明申し上げましたとおり、三宅島のような火山の場合には、まず微動が起こった、どこであろうとも微動が起こったということが非常な情報でございますので、必ずしも三点なくても一点で対処し得る、このように考えている次第でございます。
  77. 辻第一

    ○辻(第)委員 今後ともこのような火山噴火は必ずあることだと思うわけであります。十分な体制をとっていただいて、人員も確保していただく、このような御努力もいただいて万全の体制をとっていただきたい、改めて御要望をしておきます。どうも御苦労さまでした。  次に、私鉄運賃の値上げの問題で質問をいたしたいと思います。  私鉄の大手十二社が九月六日、平均一六・七%の運賃値上げを一斉に申請をいたしました。今日、勤労者の実収入が二十八年ぶりに前年より減少するという非常に厳しい状況の中であります。このような状況に私鉄の運賃の大幅な値上げ、国民生活に重大な影響を及ぼすということは火を見るより明らかであります。このような状況の中、申請各社は京成を除いては黒字であります。巨額な内部留保も持っているわけでございます。このような観点から、今回の値上げ申請は正当な根拠があると言いがたいというふうに私どもは考えるものであります。こういうことでありますので、私鉄運賃の値上げ、これについてはこれを認めないということを運輸省に強く要望をするわけでございます。  さらに言うならば、二年ごとのローテーションで一斉の値上げということ、また原価は過大に、収入は過小に計上している、こういう傾向もあるわけでございます。また、これらの私鉄会社は兼業部門、ことに不動産関係なんかで大きな利益を出しているわけでありますけれども、こういう利益も鉄道部門に還元すべきである、こういうことも重要だというふうに考えるわけであります。ほか、いろいろあるわけでありますが、先日、私ども私鉄運賃値上げに関する質問主意書というものも提出をしているわけでありますが、こういう観点で私鉄運賃の値上げ申請を認めるべきでない、このことで要望したいと思うわけでありますが、大臣の御所見を承りたいと思います。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕
  78. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 おっしゃるとおり、大手民鉄十二社から運賃改定の申請が出されまして、運輸審議会にこれを諮問しております。審議会でこれをいま慎重に御審議願っているところであります。役所といたしますと、公共交通機関運賃については、何といっても当該交通機関が能率的な経営のもとにその役割りを適切に果たしていけるような、コストに見合った運賃が設定されるように対処したい、こう考えておりまして、いずれにいたしましても、運輸審議会審議の結果を待って私たちは判断してまいりたい、こう思っている次第です。
  79. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣、私いまも申し上げましたように、本当に国民生活というのは大変な状況になってきておりますね。公務員の皆さん方には人勧の凍結、またそれに連動してお年寄りや障害者の年金、恩給の物価スライドをもストップをする、こういうことがやられている。こういう状況の中でこの大幅な私鉄の運賃の値上げ、しかも二年ごとにローテーションというような形ですね。しかも、これらの会社が黒字であり、巨額な内部留保を持っている、こういう状況の中での値上げというのは、私はどう考えてみても認めることは許せないというふうに考えるわけでございます。大臣、その点について明確な御答弁をいただけなかったということは、私は残念だと思うわけでありますけれども、どうかこのような不当な値上げを認めないということで御努力をいただきたい、重ねて要望して、次の質問に入りたいと思います。  次に、国鉄貨物の問題でお尋ねをしたいと思うわけでありますが、昭和五十六年度で七千百二十四億円という赤字が出ている。いま深刻な経営危機に陥っている国鉄赤字の最大の要因の一つになっているということであります。この貨物部門再建をするということは、緊急な国民的な課題である、私どももこのように承知をいたしております。しかし、政府、国鉄がいま推進をされている貨物合理化計画、いわゆる拠点間直行輸送体制への転換策、そして集結型輸送と申しましょうかヤード系の輸送、これをなくしていく、このような方向は、国鉄貨物再建、再生とは全く相入れないものだということだと思うわけでございます。  このような状況になってきた。それはいろいろ国鉄運輸省も、モータリゼーションの中、トラックヘあるいはまた内航海運へとこのような状況の中、四十年度に三〇%の貨物輸送のシェアがあったものが、今日国鉄は九%、このような状況になった、このように。言われているわけでございます。そして今度のこの削減計画ですね、いわゆるヤード系廃止ということになりますと、一億一千万トンが七千七百万トンに輸送量が減るというふうに言っておられるわけでありますが、もしそのとおりといたしまして、結局トラックヘかわる、私は大部分がトラックヘかわるというふうに思うわけでありますが、どれくらいのトラックの輸送にかわるのか、鉄監局長いかがでしょうか、どのようにお考えになっているでしょうか。
  80. 永光洋一

    永光政府委員 総体的に、個別の貨物なりに当てはめないと非常にわかりにくいかとも思いますが、全体的に二千万トン以上の貨物が仮にトラックに移ったとしますと、トラックは現在八百万台ぐらいあると思いますが、その中でその二千万トンの貨物をトラックで転移する場合の両数というものは、完全には把握できませんけれども、二万台ぐらいではないかなという推計をマクロな感じとしては持っておるわけであります。
  81. 辻第一

    ○辻(第)委員 全交運さんあるいは国労さんなんかが調査をされましたところによりますと、十八万台というような数字も出ているわけでございます。いま鉄監局長が言われたのとは大分違うわけでありますが、しかし、いずれにいたしましても、相当のトラックで代替をされるということになろうと思うわけですね。  いまこのようにどんどん国鉄貨物が利用されなくなって、そしてトラックヘと、こういう状況で、どんどんさらに国鉄貨物赤字が出る、だかももう消減をするんだ、こういうことなのですね、皆さん方のおっしゃることは。ところが、非常に長期的に見てまいりますと、大きく言えば国家百年の大計というところから見ますと、私は、国鉄貨物輸送というのは、土地の利用率の問題、それからエネルギーの問題、また交通公害、交通事故、このような問題から見てまいりましても、非常にすぐれた大量の輸送機関だ、こういうふうに考えるわけであります。  こういう観点から見てまいりますと、長期的な交通運輸政策としてはどうしてもこのすぐれた国鉄の特徴をもっと発揮させていくべきではないか、そのような方向がまた国鉄を本当に再建するような方向につながるというふうにも考えるわけであります。いま申し上げました土地の利用の問題あるいはエネルギーの問題あるいは交通公害の問題、事故の問題、こういう観点の国鉄の優位性というものについて、大臣はどのようにお考えになっているのかお聞きをしたいと思います。
  82. 高木文雄

    高木説明員 先に私の方からお答えさせていただきます。  私どもの今回のこの改正というのは、輸送のやり方を変えるということでございまして、一車一車をヤードに入れまして、そしてつながっているものを解きほぐす、そしてまたつなぎを変える、解放、連結という作業を何カ所でも繰り返しながら送っていくというやり方が、どうもいまの時代に合わないということから、一方においては直行輸送体系に変える、一方においてはコンテナ化を図るということでございまして、よく言われます貨物全廃論という考え方とは全然別の考え方に立っておるわけでございます。  どうもこのヤード系輸送というのは、コストの面において非常にふぐあいでございますのみならず、輸送に時間がかかり過ぎるということでございまして、トラックに比べて安いとか高いとかということは、単に一トン、一キロ運ぶのに幾らかということだけではなくて、そのサービスの内容によってトラックと比べて値打ちがあるかないかということを荷主さんが評価されるものだと思いますので、そういうふうに変えることによってサービスといいますか輸送の質が向上すれば、それなりによりお役に立ち得るのではないかと思っております。  したがいまして、いまの石油その他のエネルギー問題あるいは公害の問題、また事故率が非常に少ないといったような問題、そういう点では、私どもやはりいまでも決して道路輸送と比べて劣るものではないと思うわけでございますが、輸送コストと時間との関係だけが大変道路に負ける要因になっておるわけでございますので、この際、思い切ってこれを立て直してみまして、さてこれからどういうシェアを占め得るか、どういう役割りを果たし得るかということで改めて取り組んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。決してやめるという思想ではなくて、やり方を抜本的に変えてしまうということでございます。  そしてまた、一億トンを超えます実績が七千七百万トン程度に落ちるだろうということは、これは現在のやり方から切りかえることによって運べなくなるものを差し引いたものでございまして、逆にプラスになるものもあるはずなのでございますけれども、これは計算してないということなのでございますので、この切りかえをやりました後でさらに積極的戦略をとってまいりたいというふうに考えております。
  83. 辻第一

    ○辻(第)委員 それではお尋ねをいたしますが、いまヤード系の固有経費というのが大体千九百億の赤字ですか、直行系が二百億のプラス、プラス・マイナス千七百億の赤字というふうに理解をしておるわけでありますが、それを解消するということが今度の皆さん方貨物削減の一つの根拠になっているというふうに理解をしているわけであります。  ところが、いま一億一千万トンが七千七百万トンというふうにお考えのようでありますが、私どもは七千七百万トンはとても維持できまいというふうに考えております。これまでもずっと国鉄当局あるいは運輸省の計画というのは、大体そのとおり行ったことがないということも踏まえまして、やはりこの数字は非常に甘いというふうに考えるわけでございます。こういう点からも見てまいりますと、固有経費での収支均衡という目標そのものが破綻をする可能性が非常に大きいというふうに思うわけであります。しかも五十六年度でいえば、五千四百億というような共通経費の赤字が出ている。これには全く手をつけられないで、固有経費だけ収支合わす、こういうことでありますけれども、こういう皆さん方赤字だけ減らしていくのだという考え方でまいりますと、今度はまだその共通経費のところへ問題、観点が行けば、もう国鉄貨物はなくしてしまうのだということに進まない保証はないというふうにも私は思うわけであります。いま高木総裁は、国鉄貨物全廃論ではないというふうにおっしゃったわけでありますけれども、いまの考え方を突き詰めてまいりますと、そういうところへまでも発展しない保証はないというふうにも考えるわけであります。  そういう点も含めて、また先ほど申し上げましたいわゆる国鉄の優位性、これを否定して削減をしていく。しかも今度多数の貨物駅が廃止をされる。しかもヤード系という全国輸送網を解体することによって輸送ルートそのものが消滅をする。国鉄輸送を全く利用できない地域だとか貨物が広範囲に大量に生じるということになると思うわけであります。これは物流に果たしている国鉄の公共的役割りというものを全面的に切り捨てることであり、国民生活や地場産業、そして農業などにはかり知れない打撃を与えるものだ、このように考えます。また、いま国鉄を御利用いただいているそのような国鉄依存型貨物まで国鉄みずからが切り捨てるということであります。輸送距離が非常に長い、あるいは運賃上で鉄道輸送の方がメリットがある、あるいは危険物や原燃料の内陸輸送、このような鉄道特性が発揮できるものまで国鉄輸送から締め出されるということになるわけであります。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 その結果として、工場の廃止というような事態まで引き起こしかねない。地域経済あるいは住民生活に重大な打撃を与えるということにもなろうと思うわけでございます。  このような観点から、今度の計画は国鉄利用者である国民と国鉄労働者に多大の犠牲を強いるだけではなしに、国鉄再建にも逆行する、このように私どもは考え、直ちに中止すべきであるということを強く訴えるものであります。国鉄貨物の全国輸送網を維持すること、また本当にもっともっと私はサービスの改善であるとかあるいは営業政策の改善であるとか効率的な輸送体系確立する。このようなことを両立させて貨物対策を進めることによって国鉄貨物の再生を図る。その施策こそがいま本当に重要ではないかということを改めて強く指摘をするものであります。  いま、私、大臣というふうにお願いをしたわけでありますが、総裁がお答えになったのです。いま私が申しましたような観点から、今度の貨物部門の削減、このような計画は何としても撤回していただきたいと思うわけでありますが、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  84. 高木文雄

    高木説明員 先生のお尋ねを伺っておりますと、私ども考え方と多少違う御見解をお持ちのように思いますので、その点だけ私から申し上げたいと思います。  もともと鉄道による貨物輸送というのは、ごく一部を除きましてはそれでは完結をしていないわけでございまして、荷主さんのところから駅まではどうやって運んでくるか、それから駅から受け地まではどうやって運ぶかと言えば、常に両側には現在ではトラック輸送がついているわけでございます。  そこで、トラック輸送鉄道輸送を組み合わせて、どうすれば一番効率的かということを考えるべきだと思うわけでございますが、その場合に、横持ちの経費がよけいかかります。横持ちの距離が長くなりますけれども、今度のような方法に変えることによってむしろサービスはよくなるのではなかろうかという強い期待を持ちながら組みかえるわけでございまして、そのことがいわゆる総合交通体系という角度からいいましてもむしろよろしいのではないか。何か、鉄道をやめまして、それを全部トラックにかえると受け取られがちでございますけれども、そうではなくて、ヤードでのコストを減らすことによってコストを下げて、そしてかつ早く輸送するということによって内容をよくしたいという考え方でございますので、もろもろの見地からいって、これによってマイナス面が大変大きいことは否定いたしませんけれども、一面においてプラスがあることを前提にひとつお考えを願いたいと私は考えます。
  85. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 辻君にお答えします。  今度の貨物問題については、これは撤回する意思はありません。あなたもおっしゃるように、七千億の赤字も出るような貨物、これを何とか直して、国鉄機能をはっきり発揮させたいというところがこのたびの提案でございます。これは国鉄再建監理委員会の話もあり、いままで研究もし、そして国鉄国鉄として地元、地元にそれぞれいままで了解も求めてまいりました。少しでも改善するという意欲がなければ物事は進みません。そういう意味からしまして、これは撤回する意思なし、どうぞひとつ御協力を願います。
  86. 辻第一

    ○辻(第)委員 改善をするというふうにおっしゃったわけでありますが、私どもはどう考えてみてもこれは改悪だと考えます。高木総裁が、プラスもあるけれども、マイナスもあるとおっしゃったわけですが、私は、マイナスの方が非常に大きいということで、撤回をされるべきだということを再度申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  先ほど来、小林議員からもお話があったわけでありますが、奈良県は今度貨物駅がゼロになるということであります。すでに、県知事を初めすべての政党、それから県会、それから財界、産業界、もう県民こぞって奈良県に貨物駅の存置を、このような要望が国鉄あるいは運輸省に何回もされたと考えているわけでございます。私もすでに何回もそのことを申し上げてきたわけでありますけれども、今日なお私どもの要望が聞き入れられない、非常に残念な状況であります。  私が申し上げるまでもなく、奈良県の状況というのは、皆さん方もう御存じだと思うわけでありますけれども、やはり少し申し上げたいと思うわけでございます。  一つは、地場産業あるいは地域の産業経済に重大な影響を与えるということであります。それからまた、米の例で申し上げますと、これが大阪の拠点駅へ参ります。それから奈良へ送られるということになりますと、これはオンレールとかいうような約束事があったりする、あるいは国鉄の運賃で言えば、遠距離逓減制ですかそういうこともあるということで見てまいりますと、結局、大阪から奈良へのトラックでの輸送というものの費用が付加をされることになろうかというふうに思うわけであります。このようになりますと、当面はいろいろな施策が加えられようと、結局は、お米の値段が上がるということにつながるのは必然だと考えるわけであります。  それから、先ほど来いろいろ申し上げましたように、公害の問題であります。あるいは事故の問題であります。しかも、奈良県は御承知のように、盆地でありまして、いわゆる排気ガスなんか盆地のすり鉢の底へたまるような状況になる、大きく言えばそういうことですね。光化学スモッグもしばしば起こるというようなことであります。しかも、最近は大阪のベッドタウンということで、居住地として大きく変貌してきている、こういうところでもあるわけでございます。そのような状況のところへ、いわゆる交通公害の問題、排気ガスの問題、それから事故の問題、これは非常に重要な問題になろうと考えるわけでございます。  大体、中型トラックで換算しますと、五十七年で十七万トンでありますから、中型トラック四・五トンで換算すると約三万八千台、往復で七万六千台になろうということであります。奈良県はいまでは十七万トンでありますけれども、かつては非常に多がったですね。昭和五十年には三十四万トン、五十六年には二十一万トンというような、そのようなたくさんの人が国鉄貨物を利用されておった。それがだんだん駅が減らされるというようなことも含めて、あるいはサービスが十分でない面も含めて、だんだん減ってきたということであります。これが結局、トラックにかわっているということだと思うわけであります。その上にさらに、いま申しました三万八千台、このようなトラック、往復で言えば七万六千台というようなトラックが加わるということであります。  こういう状況の中、本当に産業界も経済界も、あるいはすべての政党、県議会、知事までが国鉄当局、運輸省に対しましてしばしば陳情した、要望したというのが今日までの経過だったと思うわけであります。私は、どうしても奈良県に一つは存置をすべきではないか、この奈良県民こぞっての要望はぜひ聞き入れていただきたいと思うわけであります。  しかも、この基準で大体十万トン以上とか十五万トン以上とかいろいろ言われております。もちろん、その荷物の中身といいましょうか、そういうことも言われているわけであります。また、拠点駅から五十キロですか、そういう一つの物差しもあるようでありますが、奈良県は百済あたりから大体三十八キロぐらい離れているというふうにも聞いているわけですけれども、しかし、大体、奈良県と大阪というのは皆、山を越えるか、いわゆる狭い谷のところ、狭隘なところを越えるということになりまして、そこのところは大変な交通渋滞も来しているわけであります。こういう点から考えてみましても、奈良県こぞってもっともっと国鉄を、貨物を利用するということに力を入れるというふうにも私ども考えておりますし、知事もそのような点で努力をするということであります。  こういうふうに見てまいりますと、国鉄が本当に貨物も含めて再建をしていかれるというときに、国民の理解や協力がなかったら、私は前へ進まないというふうに思うわけであります。いま奈良県民こぞって国鉄に協力もいたしましょう、何とかして残してください、こういう運動というのですか要望が非常に高まっているときに、これを聞き入れていただけないということは、私は非常に残念であり、今後の国鉄再建にも問題があるのではないかというような気がするわけであります。この点について、総裁と鉄監局長の御所見を賜りたいというふうに思います。
  87. 高木文雄

    高木説明員 私どもが今回立てましたこの考え方は、何度も繰り返しておりますとおり、ヤード系輸送をなくそうということでございます。ヤード系輸送をなくすためにはどうしたらいいかということになりますと、やはり扱い駅の数を減らしませんと、ヤード作業なしで輸送するということが非常にむずかしくなるということでございます。その場合にどこの駅を残すかということについては、県に一つは残すとかあるいは面積の広い県では二つ残すとか三つ残すとかということを基準にするのは適当でないのであって、やはり現在御利用いただいておりますボリュームを唯一の判断基準として決めるべきものではないかということで考えてまいっておるわけでございます。  確かにたまたま奈良県だけが貨物扱い駅のない県になるという点で、いわば県民感情の上からいって困るというお気持ちは重々わかるわけでございますけれども貨物輸送というのはもっばら経済行為でございますから、やはりそういう扱い量があるかないかということで判断すべきものではないかという考え方は、今日においても変わってないわけでございまして、現在それがなくなると非常に困るとおっしゃいますが、御承知のとおり、私どもの受け持たしていただいておりますシェアというのは、残念ながら今日私どもの資料では〇・三%ということでございまして、全国では八%ぐらいの輸送を受け持たしていただいているわけでございますが、それに比べましてきわめて少ない量しか鉄道に託されない。それは結局は私どものサービス内容がよくないからであろうかとは思いますけれども、そういうことになっておるわけでございますので、この一つの厳然たる事実ということを前提としてやはり考えざるを得ないのではないかと思っておるわけでございまして、また御承知のとおり〇・三%の中でもかなりの程度はすでにコンテナで御利用いただいておるわけでございますので、それらのことを考えますと、余りにもお役に立ってないということであるわけでございますから、いろいろいい面もありますけれども、現実にそういうことでお役に立ってないという以上は、やはりこの際は、全国全体のバランスから考えましてやめるということもやむを得ないということで、御理解を求めているところでございます。  何回も県の方がお見えになりまして、住民の方もお見えになったわけでございますが、その都度そういうことを申し上げているわけでございますが、何かそれは前提として認めるけれども、どうも駅がなくなるというのは県民感情上うまくないんだというお話でございますが、ちょっと旅客の場合と違いまして、貨物の場合は全くの経済行為でございますから、その辺はひとつ割り切っていただきたいなということでお願いをいたしておるのは御存じのことと存じます。
  88. 永光洋一

    永光政府委員 国鉄貨物合理化につきましては、御案内のように、昨年に緊急実施項目としまして、九月に貨物合理化につきまして、政府としましても拠点間直行輸送中心とする輸送体制に再編成することによりまして、国鉄の財政再建なりあるいは合理化に資するということを鮮明にいたしておりますし、それからことしの八月、国鉄監理委員会におきましても、その線をさらに徹底するような提言を受け、それを尊重して政策を進めているところでございます。その計画の中で、国鉄は実施する面におきましては全体の全国バランスを考えながら、一定の貨物のまとまりのあるもの、あるいは逆に言いますと取り扱いの少ないものにつきましては、全国バランス、公平の観点から一つの基準を設けてその推進を図っておるわけでございます。  政府の方針にのっとりながら一つの全国バランスを考えてやっておる国鉄の現在のあり方というものにつきまして、特にある一定の地域において、確かにいまお話がありましたように、県に一つもなくなるという心情的なものもあるかと思いますけれども、ぜひこういう形でやるという国鉄の計画の推進に、われわれといたしまして特段の別の配慮をということを指導することはなかなかできにくいところでございまして、県民の方々にも国鉄合理化につきまして御理解を得つつ御協力を願いたい、こういうふうに考えております。
  89. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまの総裁、鉄監局長のお話、とても納得はできないものでございます。ぜひ奈良県に一駅存置されることを再度御検討いただくように要望して、質問を終わります。
  90. 原田憲

    原田委員長 西中清君。
  91. 西中清

    西中委員 初めに、今回の三宅島の噴火についてお伺いをしておきたいと思います。  各種の報道で情報をいろいろ聞いておるわけでございますけれども、規模、状況、まず最初に概況をお伺いしておきたいと思います。
  92. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  今回の噴火は十月三日、午後三時三十分ごろから三宅島の南西山腹で始まりました。この噴火は、前回昭和三十七年の噴火と同じくいわゆる割れ自噴火でございまして、短時間に大量の溶岩を噴出するのが特徴でございます。溶岩流は噴火開始後数時間で南西の山すそに達しました。夜になりまして有感地震が増加し、午後十時三十三分には震度五の強い地震がございましたが、その後、溶岩噴出も地震もともに減少傾向にございます。  今回の活動の規模自体は、三宅島といたしましては、中の上というふうにランクされると思いますが、その後鎮静化が進みまして、私がここに参ります午前のつい後半におきましては、さらに微動も弱まり、地震も少なくなり、かつ溶岩の流出もほとんどとまっておるというのが現状でございます。
  93. 西中清

    西中委員 火山噴火の前兆と言われる群発地震ですね、これはいつごろから観測されておったのか。また、その噴火のおそれがあるというようなある種の判断、こういうものがあったのかなかったのか、そして三宅島の測候所から、東京都や三宅支庁にはこういった点についての警告はなされたのか、しておったならば、どういう形で行われたか、伺っておきたいと思います。
  94. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  三宅島では、雄山の付近に大変高倍率の地震計が備えつけてございまして、これが測候所にテレメーターされております。私どもは一日二十四時間、一年三百六十五日これを常時監視しておりますが、今回の場合には、十月三日十三時五十八分、ほとんど十四時でございます、この震動装置に震動が検知されました。直ちにこれが火山性のものであるかどうかという判断をいたしましたところ、これは火山性の微動であるという判定が下されましたので、十四時四十六分に三宅島の村役場の村長の代理をしておられます長谷川さんという方にとりあえず電話で、火山性地震が続発して異常な状況であるという注意を申し上げまして、現実には、それより約一時間後の十五時三十分に噴火したわけでございます。  三宅島の村役場の方から東京都庁の方にどのように御連絡になりましたかは、残念ながら私、ただいまちょっと把握いたしておりませんので、御容赦いただきたいと思います。
  95. 西中清

    西中委員 報道によりますと、噴火予測は非常に困難な島である、こういうふうにも言われておりますし、それなりのむずかしさはあると思うのですけれども、現状の観測機器、それから観測網の精度化、こういうものを図っていったとしてなおかつ予測は困難な現状なのかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
  96. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  昨今、火山噴火予知という言葉があちこちで大変使われておりますが、残念ながら火山学の技術あるいは学間の現状というものは、気象学等に比べますと大変おくれておりまして、天気予報といったような意味合いでの火山噴火予知というのはまだとてもできない状況でございます。したがいまして、今回は、三宅島の特性が前駆現象が起こってから活動までの時間が大変短いという性質の山であることも踏まえまして、精いっぱいのことをやったと私どもは考えております。
  97. 西中清

    西中委員 したがって、現状どれだけ観測機器を充実しても、また観測網の精度を上げたとしても、当面としてはそう容易に予測はできない、大体そういうところでございますか。
  98. 末廣重二

    ○末廣政府委員 たとえば今回の三宅島でございますけれども、大体二十年に一遍ずつぐらいの、これは決まった周期ではございませんが、大体そのくらいの間隔を置いて噴火活動をしておりますので、その折をとらえまして集中的に気象庁を初めとして関係諸機関が観測をし勉強をするということでだんだんその技術が進歩するわけでございますので、橋をかけるとか家を建てるといったように青写真に従って進むといったようなわけにはまいりませんので、その点御理解をいただきまして今後とも御叱正をいただきたいと思います。
  99. 西中清

    西中委員 ある学者がおっしゃっておったのですけれども、やはりいまよりも観測の機器等の充実を図っていかなければならない、こういう御意見もお聞きしておったわけですが、そういったことで積み上げをしていくということも非常に大事な問題だと思います。  そこで、噴火も終わってしまったわけですが、まだ継続されておるのかもしれませんけれども、今後の見通しですね、一体新たな被害を生むような爆発があるのかないのか、その辺のところはどのような判断をなさっておりますか。
  100. 末廣重二

    ○末廣政府委員 お答え申し上げます。  大変むずかしい御質問でございますが、いままでの過去の例を見ますと、三宅島の場合にはいわゆる割れ自噴火でありまして、大量の溶岩を噴出して比較的短時間、一日とか二日で活動が終わってしまうというのが通例でございますので、今回もそのような経緯をとる公算が多いと思っております。しかし、前々回の昭和十五年でございますかのときには、割れ自噴火が終わりました後から島の中央の雄山というところで噴火活動が新しく始まったという例もございますので、なお緊張を緩めることなく観測・監視体制は今後とも厳重に続けていくつもりでございます。
  101. 西中清

    西中委員 今回この溶岩によって埋没を余儀なくされた大ぜいの島民の方がいらっしゃるわけでございまして、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  同時に、政府としてまた気象庁としても、現状は気象等よりもはるかにおくれているんだというお話でございますけれども、そういった現状を十分認識して、他にも火山は日本じゅうにたくさんあるわけですから、ここでこれを一つの契機として観測体制また研究体制の強化、整備、これには十分配慮をしていく必要があると思うのです。そういう点で大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  102. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 おっしゃるように日本は火山国であります。ですから、学者でも日本はすぐれた方々がいままでもおりました。今日も、気象台の所長さんも先日は世界の地震会議に行って、たしか国際的な会長にも推薦されたと思っております。そういうふうなことで、地震、雷、火事、おやじですから一番こわい。しかしながら、空ならばあのとおりよく観測ができますが、地中はなかなかむずかしい。そこにむずかしさがあるわけですが、機器も用意をいたしますが、やはり専門家が非常に大事でございます。このごろは気象庁にちょっとぐらいいたような者が富士山に地震が起こるなんというばかなことを言って人心を惑わしている。これは学問を理解しないからああいうことになるので、そういう意味でも学問の裏づけのある話を聞いて、それに対してお互いが予算なり機器の問題等々で安心がいくようにしていかなければならぬ、こう思っております。
  103. 西中清

    西中委員 この部門におけるさらなる充実を御期待申し上げておきます。  次に、大韓航空機の問題についてお伺いしておきます。  私ども大変な衝撃を受けた事件でございました。いずれにしても無防備な民間機を撃墜するという行為は許されるべきものではない、このように思っております。この事件に巻き込まれた乗員また乗客の御冥福をお祈り申し上げるとともに、遺族の方に哀悼の意をささげておきたいと思います。  そこで、私はきょうは補償問題に限ってお伺いをしておきたいと思うのでございます。  ソ連政府は今回の事件につきましてはその責任と非を認めておらない、こういう立場を崩しておらないと思います。またソ連政府は、わが国が国際法違反を理由に賠償を求める口上書を送ってもこれを拒否しておるような現状であろうと思います。このような姿勢はきわめて遺憾ではありますけれども、その後何らかの進展があったのかどうか、今後賠償請求についてソ連政府と具体的にどのような交渉を続けていかれるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  104. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 このたびの大韓航空の被害者は本当にお気の毒そのものでございます。何さま夜中に飛行機に向かってミサイルをぶっ放して全部死亡でございます。皆民間人です。まさに人類が憤るのも無理がございません。その中に日本人の被害者もいるわけです。私は御遺族の方々に東京でお目にかかりましたし、またお葬式にも参列もいたしまして、その席上等々でも大韓航空の社長にも、日本人の被害者に対する補償はちゃんとやってくれ、政府といたしましても韓国、大韓航空に向かって正式にそういうふうな話をしておりまして、何かいろいろなことでお手伝いすることがあるならばこの補償の問題を推進してあげたい、こう思っております。
  105. 田中三郎

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  ソ連に対する賠償要求につきましては、九月十四日、東京及びモスクワにおいて日本側より日本人乗客及びその財産について生じた被害に対してソ連政府が十分な賠償を行うことを要求したわけですけれども、いま先生がおっしゃいましたように、ソ連側が日本側の口上書の受け取りを拒否したということは御指摘のとおりです。この点についてはその後新しい進展はございません。しかしながら、日本政府としましては、今回の事件についてのソ連政府の誠意のない対応については何回も強く抗議しております。反省も促しております。そして、ソ連側に対して事件の処理に誠実に対応することを要求しておりまして、具体的には九月九日及び十三日にソ連に対する措置を決定し実施したところであります。  いま御質問の損害賠償の問題についても、政府といたしましては今後ともあらゆる機会をとらえて、ソ連側が誠実に対応するよう粘り強く伝えていきたい、こういうふうに考えております。保
  106. 西中清

    西中委員 この種の事件は、とかく損害賠償がいろいろ長期化するということが懸念をされるわけでございますけれども、五年前のいわゆるムルマンスク事件、この日本人の被害者の遺族と大韓航空との損害賠償も非常に長期化し、裁判ということになっていると聞いております。ムルマンスク事件が起きた当初、外務省としては交渉に協力をする、こういうような姿勢であったようでありますけれども、その後個人レベルの問題として外務省の協力は得られていないというようなことも実は聞いておるわけでございます。その間には種々の経緯もあると思いますので、そういう問題についてとやかく言うものではありませんけれども、やはりこういう経過を見ていますと今回の事件も今後が心配されるわけでございます。  特に原告側が賠償を求める場合は、パイロットや航空会社の過失を立証しなければならぬということだと思うのです。しかし、個人個人が過失の立証をする困難というものはだれが見ても明らかなところでございまして、国際事件ということであればなおさら個人の手の及ぶところではない、こう言わなければならぬと思います。したがって、遺族が大韓航空側の過失を立証する、これもまた困難なことだろうと思います。したがって、政府機関がやはり遺族の皆さん方に対して十分なる協力、応援体制、こういうものを考えていかなければならぬ。ただ言葉だけでなくて長期的に応援をやっていくためには、制度上もいろいろと考え直さなければならぬ問題があるのではないかというふうに私は考えておるわけでございますけれども、何らかのお考えがないのかどうか、伺っておきたいと思います。
  107. 田中三郎

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  遺族に対する補償問題はい先ほど御説明いたしましたソ連という国家に対する賠償要求とは基本的にやはり性格が異なっておりまして、前回、いま御質問のございましたムルマンスク事件のときも、政府としては基本的には遺族に対する補償の問題は大韓航空と遺族の方々との間の民事上の問題だ、こういう原則は譲ることができないわけですけれども、その当時もできる限り政府として側面的に援助したいという考えで努力をしたわけです。  この機会にちょっと一つ二つ御説明申し上げたいのですけれども、ムルマンスク事件のときも、日本政府から韓国政府に対して、その当時の大韓航空が補償問題について誠実に対処するよう側面から協力要請をしております。それから、政府は直接大韓航空に対しても補償問題が円満に解決するようにというふうに申し入れております。  負傷者の方々の間の問題は無事解決しましたけれども、御指摘のとおり、死亡者、遺族と大韓航空との間の交渉というものはなかなかうまくいかず、まだ続いているわけですけれども、その問題につきましても政府はときどき韓国政府あるいは大韓航空に照会しまして、その話し合い、示談の模様を聞いたりあるいは遺族に対していろいろな相談に応じたり、助言というものは実際にやっております。その後、五十四年九月ですか、東京地裁に損害賠償の訴訟が提起されたということでございますけれども、いまもわれわれはこの問題ができるだけ早く解決するように関心を持って見ているわけでございます。  今回の問題につきましても、先ほど運輸大臣から御説明がありましたように、基本的に側面的にできることであれば可能な限り努力したいという考えでやっておりまして、ごく最近では、安倍外務大臣が国連総会に出席されましたけれども、九月二十七日現地で韓国の李外務部長官に対しまして、日本人遺族の補償問題が円満に解決するように韓国政府としても大韓航空側に話をしてほしいという要請をやっております。それから、大韓航空の社長みずからが慰霊祭のために東京に来たときも、安倍外務大臣から直接、事故原因の究明とともに賠償問題が円満に解決するように特別に努力を払ってくれということを要請しております。こういう考えで今後ともやっていきたいというように考えております。
  108. 西中清

    西中委員 民事においてもこの立証ができないということは大きな壁になりますので、いずれにしても個人の力ではとうてい太刀打ちはできない、こういう状況でございますから、政府の姿勢というものは、単に事故が起こってわずかな期間だけというのではなくて、継続的に問題解決までできる限りのバックアップをするように要望しておきたいと思います。  そこで、再発を防止するという立場から日本航空等に対してどのような具体的な御指示をなさったか、指示をなさったのであればお伺いをしておきたいと思います。
  109. 山本長

    ○山本(長)政府委員 お答え申し上げます。  事故再発防止策と申しますのは原因の究明が先決であり、それに応じて適切な対策をとるというのが基本ではございますけれども、この調査というのは現在韓国政府も行っておりますし、さらにICAOにおいても、国際的な場においてこの原因を究明するという調査の活動を現に行っておる最中でございます。  しかしながら、私たちといたしましては、原因の究明ができない段階におきましても打てる手は打っておくべきだという観点から、事件が起きましたのは九月の一日でございますけれども、一日に日本航空に対しまして即座に、日本航空においてもそれなりの適切な措置は従来からとっておるわけではございますけれども、コースの逸脱が生じないように、これは機械における配慮面、それから機器の取り扱いにおける人間の面からの配慮面、それから飛び立ってからのコースのチェックというものについて徹底的に行うようにということを改めて指示をいたしました。日本航空におきましては、翌日でございますけれども二日に、全パイロットに対してその趣旨を徹底をした、こういう措置をとったわけでございます。
  110. 西中清

    西中委員 そこで、レーガン大統領の提案として伝えられておりますけれども、民間航空機の安全確保のために、民間機の航行援助に軍事衛星の利用を提供する、こういう提案があったようでございますけれども、これに対する運輸省のお考えはいかがでございますか。
  111. 山本長

    ○山本(長)政府委員 レーガン大統領がそういう提案をされたということを、われわれ情報として承知いたしております。しかしながら、外交ルートを通じてとかあるいは国との間の機関の情報とし、あるいはそういう形においてのアメリカからの通報、連絡にはまだ接してはおりません。そういう段階でございます。
  112. 西中清

    西中委員 それでは、私は一つの方法だと思うのですけれども、航行援助の衛星をわが国が打ち上げ、利用するようなお考えはありませんか。
  113. 山本長

    ○山本(長)政府委員 この面につきまして、科学技術庁を中心といたしまして宇宙開発事業団の方で六十二年に国産ロケットの打ち上げ計画がございまして、そのロケットに搭載するところの衛星に航行援助のための諸機器を載せるという構想でもちまして、理社運輸省、科学技術庁等が中心になりましていかなる機器がいいかどうかということについて研究をしている、こういう段階でございます。
  114. 西中清

    西中委員 ICAOの特別理事会に西側諸国が提出をいたしました決議案には、軍用機、民間、機、航空管制サービス間の通信システムの調整を改善する方法の検討という具体的な通信システムの改善案が入っておりました。しかし、採択された決議は修正されておりまして抽象的な表現となっておると思います。わが国として当初決議案を提出した立場でございますから、決議の内容は変更されたといたしましても、ICAOの決議案に即しましてこの軍用機、民間機、航空管制サービス間の通信システムの調整を改善するというこの問題は、わが国として積極的に実施をしていくお考えはあるのかないのか、またそれは可能なのかどうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  115. 山本長

    ○山本(長)政府委員 ICAOの決議の趣旨は、かかる事件の再発防止のためには、こういった要撃があったときに民間機とそれから要撃側との通信の設定の方法、それとまた管制機関との通信の設定方法等につきまして検討するということでございますが、具体的に申し上げますと、現在すでにICAOの条約の附属書におきまして、世界的に統一されたこういう要撃を受けた場合における民間機と軍用機の交信の方法というものについては約束ができておるわけでございます。  今回の場合にそれが行われたかどうかということについては確認はできませんけれども、そういう方法が確実に実施されておるならば、この事件は防げたかもしれないと考えるわけでございますが、しかしながら、そういった現在設定されております。その方法というものが、民間側におきましてあるいは軍の側におきまして、さらに各国において十分実施されているか、あるいは徹底されているかということについてICAOは調査をするということになっておるわけでございます。その調査の結果によりまして、さらに現在のシステムの中においてそれをさらに徹底するということが出てくるものと思っております。  さらに、ICAOは現在のそのシステムといいますか、通信の方法等につきまして改善の余地があるかどうかということについて、民間機であるということの識別の方法も含めましてICAOの場において検討するということになっております。現在ICAOの事務局におきまして、その改善案というものについて検討が行われておると聞いております。私たち民間航空の行政に携わる者といたしましては、こういった作業に積極的に協力をしてまいりたいというふうに考えております。
  116. 西中清

    西中委員 いずれにしても安全な民間航空、こういう立場から積極的にわが国もそういった問題に取り組みをされるよう強く要求をしておきたいと思います。  それでは次に、国鉄の問題について若干触れておきたいと思いますが、まず貨物合理化、この問題についてお伺いをしておきたいと思います。  私どもは、今回こういう合理化が行われることについてさまざまな心配を実はいたしておるわけでございますけれども、中でも化成品、火薬類、こういった危険物の輸送については周辺の住民にも非常な影響のある問題でございますので、とりわけ慎重にやっていただきたい、こういう思いでおるわけでございます。今回、この改正によりまして、安全性が懸念されることが全くないと言い切れない、こういうように思うのですけれども国鉄としてはこういう化成品、火薬類等については現状どういうように把握をされておるか、まず伺っておきたいと思います。
  117. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お答え申し上げます。  危険品の輸送につきましては、現在私ども関係法令に基づきまして、火薬、液化プロパン、揮発油等七十二の品目を危険品貨物として特定をいたしまして、輸送の安全に留意して行っておるわけでございますが、その五十六年度の実績は約七百万トンでございます。これらの危険物のうち揮発油は、これは大半専用列車によって行われておりますし、それからドロマイトと申します石灰石を焼いたものでございますが、そのドロマイトとかあるいは硫酸の一部、これらは合計で約三百万トンございますが、それはいずれも専用貨物列車によって直行輸送を行っておるわけでございますので、今回のシステムチェンジとは関係がないということでございます。引き続き同じような輸送形態によって送られるということでございます。  問題はその残り、その他の約四百万トンでございますが、これがヤードを経由する集結論送によっておるわけでございまして、このヤード系の集結論送が低サービス、非効率であるということで、かつ、国鉄貨物赤字の原因となっておるということで、これは相当量まとまりのある区間だけについてやろうということで、直行列車を設定いたしておるわけでございます。  本来、危険物の大半が着駅が非常に分散しておりますために、この拠点が直行輸送にややなじみにくいという点があるわけでございまして、そういった意味で、私ども、これは個別具体的にそれぞれの荷主さんのそれぞれの貨物につきまして、必要であれば、現在の大きな枠組みのもとで、直行列車の停車駅を追加するとかあるいは私有のタンクコンテナにかえていただくとか、あるいは先ほどちょっとお話がございました再託送という手段で直行列車同士でつなぐというふうな措置、あるいは曜日によって運休する列車がございますので、数日あるいは一週間分取りまとめていただきまして列車を御利用いただくというような具体的な措置を御相談によって幾つかいたしております。  発表申し上げました当初は、大変な影響だということで、業界あるいは荷主さんの方々からいろいろお話がございました。その後、半年近くいろいろお話を重ねまして、大半問題点は解消しておる、私どもはそういうふうに理解いたしております。  なお、火薬類につきましては、法令上問題がございますので、これは運輸省にお願いを申し上げまして、法令の改正をお願い申し上げておる、こういうことでございます。
  118. 西中清

    西中委員 今回の合理化によりまして、こういった危険物を取り扱っておる駅は何駅ぐらいになるのか、そして、トラック輸送に切りかえる可能性のある駅というのはどの程度になるか、この点はつかんでおられますか。
  119. 橋元雅司

    ○橋元説明員 化成品等の危険品を発送しております貨物の取扱駅で、今回廃止の対象となる駅が約八十駅ございます。そのうち火薬類につきましては、八駅程度となっております。  以上でございます。
  120. 西中清

    西中委員 その他の危険な化成品等はどうなっておりますか。
  121. 橋元雅司

    ○橋元説明員 危険品を含めます化成品全体の貨物取扱駅で廃止の対象になっておるものが八十駅、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  122. 西中清

    西中委員 そういった問題は、関係地方自治体も非常に関心のあることでございますので、当然話し合いは十分行われておるとは思いますけれども、その点については十分な理解を得ておるのかどうか、伺っておきたいと思います。
  123. 橋元雅司

    ○橋元説明員 鼻先ほど申し上げましたように、そういった廃止の対象となる駅から発送される個々の化成品につきまして、たとえばダイヤ作成途上で一部関係駅に対して停車措置を追加するとか、あるいは私有コンテナに転換していただくというようなこと、さらには、取りまとめて輸送していただく、そのためには、貨物跡地で、たとえば中継保管のための施設が必要だというようなお話もございまして、そういったものをお貸しするというようなことで問題の解消を図ったというような、具体的なケースがいろいろございますが、いずれにいたしましても、この点については十分注意して対処いたしておるつもりでございます。
  124. 西中清

    西中委員 この種の問題はもう少し議論をさせていただきたいのですが、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、最後に一つだけ伺っておきます。  先ごろ、歌志内、幌内、足尾、二俣、この四線が計画変更をしたということでございますけれども、こういった事例は今後また幾つかの駅で出てくるのかどうなのか、その点はどうなっておりますか。
  125. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お話のございました歌志内、足尾線等の四線五駅でございますが、いずれも年間の輸送量が三十万トンあるということ、あるいは第二次特定地方交通線承認等の手続が大変おくれておるということ、さらには来年二月という時期が切迫しておるというような事情から、当面廃止を延期いたした、推移を見守るということでございます。したがいまして、これ以外のことについて、私ども、今後計画を変更することは予定されないと思っております。  なお、ただいま申し上げましたのは二次の特定地交線でございますが、第一次の特定地交線のうちで貨物輸送量の多いものが五線ございます。これはいずれも協議会がすでに設置されておりますので、協議会において対策等を御協議いただくということで、私どもとしては、来年二月のダイヤ改正時期までに国鉄からその営業を切り離すという方向で、ある場合には引き続き第三セクター等で輸送が継続されるもの、こういうことを考えております。その他の特定地方交通線上の駅が幾つかございますが、これはいずれも輸送量が小そうございまして、トラックでの代替が十分可能であると考えております。  以上でございます。
  126. 西中清

    西中委員 最後に、山陰線の問題について伺っておきたいと思います。  この山陰線の複線電化という問題は、現在工事を継続していただいておるわけでございますけれども、これは当初の計画からまいりますと、国体に間に合わせたいというような希望があるわけでございます。ところが、五十七年度に比べて五十八年度の工事費が非常に少なくなっておるわけで、果たしてそれが計画どおり行われるのか、時期が間に合うのかということは、実は、非常に重要な関心事に地元ではなっておるわけでございます。  この点について、今後どういう見通しをわれわれは持っていったらいいのか、こういうところにあるわけですが、この工事の進捗状況その他、これからの見通し、こういった点についてお伺いをしたい。  同時にまた、もう時間もありませんから一緒にお伺いをしておきますけれども、片町新線の構想がかねてからあるわけでございます。この構想については、京都府南部の開発と非常に関連のある問題でございまして、その早い実現が待たれていることは御承知のとおりでございますが、この考え方について、いま国鉄ではどのような調査、またお考えを持っておられるのか、これからの見通しも含めてお伺いをしたいと思います。  時間が参りましたので、通産、それから逓信の関係皆さん方、お待ちをいただきましたけれども、ちょっと時間切れでございますので、お帰りいただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。
  127. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいまお尋ねのございました山陰線の複線電化でございますが、先生御承知のように、五十四年に大臣の認可をいただいて以来、鋭意これに着手してまいったわけでございます。この中で特に、工事として一番難航が予想されます、あるいはまた、線路状態からいっても早く直したい、電化のためにはどうしてもやらなければいけない、いわゆる保津峡の部分のルートの変更、トンネルの掘削ということに着手いたしました。景勝の地でありまして、環境保全の条件等々なかなかむずかしい問題がありましたけれども、地元の御協力をいただきまして着工に至ったわけでございますが、一方、予算的にはいま非常につらい状況になってまいりまして、再建監理委員会からも、投資については極力抑制という御指示も出ておるやさきでございます。  したがいまして、現在私ども、そういった諸情勢を踏まえながら、また投資のあり方について運輸省あるいは監理委員会の方の御理解を求めながら進めているわけでございますが、この線そのものは、やはり都市交通線として鉄道特性が十分発揮できるし、また地元の御要望も非常に強い、特に、六十三年の京都国体にぜひ間に合わせていただきたいという、府知事さん初め地元の御要望が非常に強いということで、現在、何とかそれに間に合わせられないかということで、最大の努力を続けているわけでございますけれども、現在、五十八年度、対前年三千三百億の投資規模を圧縮する、また五十九年度以降につきましても、なかなか投資の規模を予測するのはむずかしい状況でございまして、私どもとしては今後とも精いっぱいの努力をするつもりでございますが、いまの段階でいつということがまだはっきり申し上げられないという状況でございますので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。  それから、片町線、奈良線の短絡ルートの問題でございますが、これも前に近畿圏の都市交通審議会の案の中にも盛られた経緯がございます。私どもといたしましてもいままでに概略の調査といいますか、踏査をした経緯がございますけれども、現在奈良線の電化工事を進めているような状況でございまして、いまのこの諸情勢の中で、このルートそのものが持つ意味というものは将来に向かって非常に楽しみなと申しますか、都市交通としては当然検討に値するものだという見方をしておりますけれども、もともと敷設法別表にあるルートでございますけれども、これをいまの段階で私どもが積極的に取り上げて具体化し、計画実施に向かうというところまではまだちょっといっていないわけでございまして、今後この付近の輸送事情その他眺めながら、あるいはまたこのルートの扱い方等につきまして運輸省のお考えなどを承りながら対処していきたいとこうふうに考えている次第でございます。
  128. 西中清

    西中委員 終わります。
  129. 原田憲

  130. 中馬弘毅

    中馬委員 行政改革の法案も出てまいっておりまして、それに関連いたしまして運輸省は組織の再編をされます。これも長年私もこの場でも口を酸っばくして言ってきたことでもございますが、運輸省というのは局あって省なしだ、しかも許認可だけに頼っているような役所で、もう少し政策的なことが総合的にできないのかということを言い続けてきたわけでございますが、遅まきながらでもこうした交通機関別の組織を政策項目別にお改めになったことは、私たちは非常に評価をいたしております。しかし、初めから完全をねらうことはなかなかむずかしゅうございましょうけれども、しかし、今回の出てきております改編におきまして、それによって人員が減るわけでもない、看板をかけかえただけだといったようなところがかなり、特に地方の運輸関係の省庁にあるわけでございまして、しかしこれを今後そういった批判をそのまま甘受されるのか、それともやはり一つの行政改革の実を上げるためにも人員を減らしていって、もう少し政策的な、国家全体の運輸行政の面にタッチして、あとは、少々のことは民間やあるいは自治体に征していくのか、そういうひとつの今後の御方針大臣から承りたいと思います。
  131. 松井和治

    ○松井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、私ども運輸省といたしましては、創立以来、始まって以来と言ってもいい大規模な機構改革に取り組みつつございます。御指摘のように本省、地方を通じての改革でございますが、先ほど先生は機構改革が看板のかけかえに終わり、人間が減らないではないかというような御指摘がございましたが、定員の削減はこれはもう全然また別の見地から私ども進めておるわけでございまして、これまでも数次にわたる定員削減計画を着実に実施してまいりました。私どもといたしましては、今後もその定員の削減につきましては、定められました線に沿いまして縮減を図っていくというつもりでございます。また今回の組織改正によりまして、その後の許認可事務の整理というようなものにつきましても、今後検討を進め、取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  132. 中馬弘毅

    中馬委員 大体わかりましたが、政治家としての長谷川先生からの一つの御見解も伺っておきたいと思います。
  133. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 中馬君が、局あって省なし、従来の運輸省はそうだったという御認識、こういう批判もあったでしょうけれども、これは運輸省がいままで縦割りの行政であったものを全部ひとつ横並びにしてやろう、そのためには大胆に機構を変革して、政策中心のところにしよう。陸海空、関係するものは全部政策です。そういう意味で、そちらの方に、しかもこれは明治以来初めてのことだと人も評価しておりますが、そんなところに運輸省関係している者はみんな意欲を持ってこれに取り組んでいる、こういうところでありますから、ぜひひとつ推進に御協力をお願いしたい、こう思います。
  134. 中馬弘毅

    中馬委員 ということは、それがためにはかなり許認可あたりも、ただいま挙がっておるような小規模なものではなくて、もっともっと放していく、それぞれ民間にあるいは自治体に渡していくというお考えと受け取っていいわけですね。
  135. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 許可認可の大きい役所でありましたから、いまから先は民間の活力を大いに引き出すためにも、許可認可のつまらぬものは整理して自発的な意欲を出すようなところに持っていきたい、こう思っております。
  136. 中馬弘毅

    中馬委員 ぜひともその意欲で進めていただきたいと思います。  この行政改革にも関係してくるのですが、国鉄監理委員会が発足し、そして経営形態検討されていくわけでございますが、私たちはかねてから民営化を主張しておりました。ただ分割じゃなくて、やはり一本の国鉄であるべきだ、この主張は変えていないわけでございますが、ともあれ、そして国鉄経営形態が今後変わっていくということの中にあって、国鉄が、現状の、いま打たなければならない対策に対して少しちゅうちょするような面が出てきているのじゃないかと思うのですね。  これは経営形態が変わってからでないとなかなか判断ができないという面があることはわかっておりますけれども、しかし日本の国内における国鉄輸送役割りというのは変わるわけではないわけですし、特に大都市圏における一つ輸送役割りというのは非常に大きいものです。しかし、それが経営形態がはっきりしてから手をつけたんでは遅いといったようなことがある。逆にいま手を打っておけばまだまだ需要が喚起できるといった問題もあるわけで、これは民営になってからとかあるいはこのままでいくからだとか、そういうこと以前の問題として、いまでもそういうところがたくさんあるはずです。  いま西中委員も御発言になりましたけれども、都市の中に新線は、地方については新線も含めて、設備投資はストップということになっておりますけれども、そのように需要があるところは積極的にやっていったらいいじゃないか、こういうことを私たちはかねてから主張しております。その点についてまず高木総裁にお伺いしましょうか、御方針をお伺いしたいと思います。
  137. 高木文雄

    高木説明員 国鉄役割りが全国にネットワークを張って仕事をしているということではなくて、むしろ地域に密着をした交通といいますか、そういうフィールドをより拡充していかなければならない情勢になってまいっておりますので、経営形態の問題ということとは全く関係なく、そうした面に徐々に力を入れてまいりたいというふうに考えております。  その一例といたしましては、在来線の新駅設置といったような問題についても、従来はきわめて消極的でございましたけれども、最近は都市部におきまして新しく団地開発等が行われるといったようなことに関連して各地域からの駅設置のお申し出がございますものにつきましては、いままでとは大分スタンスを変えてきておるつもりでございまして、現実に新設しました駅の数もここ一、二年は少しずつふえております。  ただ、その場合につきましても、どうもまだまだ全体の物の考え方が、国鉄役割りの変化というものについての認識がまだ十分でない点があるわけでございまして、今後とも職員を叱咤激励してそういう方向に持ってまいりたいというふうに考えております。
  138. 中馬弘毅

    中馬委員 いま高木さんもおっしゃるとおりに、たとえばそれまでの新駅設置の内規みたいな基準はあったかと思うのです。環状線ならともかく、それから延びるそれぞれの線においては、たとえば駅間距離が四キロを割るところは中間駅をつくれないんだとか、そのようなことで現実には逆に拒否する形が多かったと思うのですね。  しかし、それまでは確かにそれから先はたんぽであったり林であったかもしれませんけれども、東京、大阪の都市圏におきましてはここがずっとかわらを並べるようになってきております。そこの中に中間駅をつくることが確かに——この間も聞いておりますと、両方の駅に何とか行っているのだからその中間駅をつくったら分散して、その分だけで大して乗車人員がふえないんだといったような一つの理屈はおっしゃいます。しかしもう少し長期で考えてみると、そこの人たちはやはり不便でもって行っている。逆に私鉄の方がそこに新線を延ばすならば、あるいは私鉄がそこにつくるならば、そちらへ流れていってしまいます。最近は地下鉄がいろいろ要望が出ておりまして、地下鉄をそこにつけてしまう、国鉄がやってくれないから、じゃ地下鉄でということで地下鉄をつけてしまう、そうするとそこの住民は地下鉄の方へ流れてしまう。ますます国鉄は乗客が減ってくるじゃないですか。  ですから、そういうことを考えますと、ただ短期的に物事を考えるのじゃなくて、国鉄が大都市の中で通勤客までも含めた交通の大きな担い手となるためには、少しそういうことまでも含めて、国鉄がせっかくあるのにそこに中間駅がないために地下鉄をつくってしまうということは国家的に言えば二重投資ですよ。むしろ、そこに国鉄の中間駅をつくることによってその人たちの利便も捉えれば、これはそれだけ二重投資をしなくて済むわけですから、そういうことをもっともっと積極的にやっていくべきだというわけでございます。  かなりいろいろな要望が出ているのですね。東京圏と大阪圏にしぼってみまして、どうですか。いろいろな請願の形はあるかと思いますけれども、たとえば高崎線、東北線にこういう駅をつくってくれたらというような住民の要望がどの程度出ているものか、ちょっと国鉄側からお教えいただけますか。
  139. 橋元雅司

    ○橋元説明員 現在、東京、大阪の大都市圏におきまして御要望の出ております個所が約六十カ所、正確には五十八カ所でございます。このうち、ここ五年間で十五駅を設置いたしました。総裁が先ほど申し上げましたように、最近では多少スタンスを変えましてテンポアップを図っておるということでございます。現在、設置を進めている駅がさらに四駅ございます。建設に伴う費用につきましては、私どもの事情がございますので、全額地元負担でお願いしておる。そしてすでに設置になりました駅について実績等をフォローしておりますが、おおむね想定いたしました計画数値に到達をいたしておる、こういうふうに考えております。
  140. 中馬弘毅

    中馬委員 その際の設置基準といったものを国鉄はお考えになっているのかどうか。ただ住民の要望があるから何でもつくれということを私は主張しているわけでもないのですね。国鉄はもっともっと主体性を持ってほしい。何か政治家の圧力があるから駅をつくるんだとか、そういうことではなくて、やはりそろばんをはじいて、これはいけると思ったところはむしろどんどん積極的にやっていくべきだと主張するわけでございますけれども、そろばんというのは、先ほど言いましたように短期的なそろばんではなくて、ほかの交通機関を二重投資させないためにも、あるいは逆にほかの交通機関を、自動車を外してでもそちらに乗りかえるというぐらいの積極性を持たせる意味のそろばんをはじいてもらいたい、それで計算してもらいたいと思っているのですが、そういう一つの基準がおありでございましょうか。
  141. 橋元雅司

    ○橋元説明員 新駅の設置につきましては、全国一律の基準というわけにはなかなかまいらぬわけでございまして、個別具体的にいろいろな条件を総合的に勘案して考えております。  まず、設置箇所が地形、線形等技術的に問題のないこと、これは当然でございます。なお、列車ダイヤに重大な影響を及ぼさないこととか、さらには通勤通学等のお客様の急増も見込まれる、さらにはまた地元の市町村等の都市計画事業等の将来の開発計画が明らかでございまして新規の需要増が見込まれること、開業後の運営に要する費用その他新たに増加する費用を上回る新規の収入増加が見込まれること、さらには設置に関しまして関係地方公共団体の合意がある、そして用地費、工事費等の地元負担等の地元の御協力が得られるというような幾つかの条件を私ども判断基準にいたしまして、設置の可否を判断をいたしております。  現在のところ、大都市圏でございますと一駅十億から十五億ぐらいかかるということで、私どもの投資で新駅を設置するというところまでの計画はございませんけれども先ほど申し上げましたように、地元の御協力が十分期待できるという場合について、かつまた利用者が相当見込めるという箇所については今後とも積極的に対応してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  142. 中馬弘毅

    中馬委員 これまでおつくりになったところが十五カ所とかおっしゃっていましたけれども、そういうところでは、つくってみたけれども成績が非常に悪かったとか、あるいは逆に、大体予定した人員以上に実際の乗降客があったとか、そこら辺を少し具体的に御説明いただけないでしょうか。
  143. 橋元雅司

    ○橋元説明員 五年間で十五駅を新設いたしたということを申し上げましたが、それぞれの駅について申し上げることは省略させていただきますけれども、東京圏につきましてはおおむね横浜線とか東海道線の新駅は成績がよろしゅうございます。大阪圏で、たとえば福知山線の駅につきましては計画数値をちょっと割り込んでおりますが、これは先生おっしゃいましたように多少長期的な目で見なければいけないと思っております。いずれにいたしましても、その辺を少しよくフォローアップいたしまして今後の判断材料にいたしたいと思っております。
  144. 中馬弘毅

    中馬委員 では、そういったことをひとつ背景として、今後はいままでの形でなくして、少し積極的に大都市圏の交通需要を国鉄が担ってみせるといった気概も含めて積極的にお取り組みになる、そのように判断していいわけですか。総裁の御答弁をお願いいたします。
  145. 高木文雄

    高木説明員 まさにおっしゃるとおりだと考えております。ただ、駅が一つできるということは、逆に言いますと到達時分をおくらせるというような問題もありますし、地元の御協力を得られるといってもいろいろな形での強弱もありますので、ここ二、三年やってまいりましたことをさらに徐々にテンポアップしていくというような形での取り組みをいたしたいと考えております。
  146. 中馬弘毅

    中馬委員 国鉄のことに若干関連いたしますが、先ほどもちょっと質問が出ておりましたが、青函トンネルを開業するに当たって、国鉄経営形態がどうなろうとも、これが民間会社になるとしたら民間会社にそれを背負わすのか、あるいは国鉄が背負うのか、そこを私たちは少し疑問に思っております。これはやはり国が一つの新しい土地をつくったといったものと同じでございまして、そこに逆にいろいろな意味も含めて、北海道と本州をつないだわけですから、穴を掘るまでは確かに国が国民の負担においてやるのであって、そしてそこに線路を敷いて、どうぞ国鉄がお使いくださいという形が本来の形ではないかと思うのですね。でなかったら、そこの赤字を背負わせることによって赤字が出る、その赤字を一般財政でしりぬぐいすれば、結局みんな国民が負担しているのと同じことなんです。わざわざ国鉄を経由させずに直接やったらいいことなんですね。  そういうことを考えますと、同じことがまた空港なんかにも言えるかと思うのです。関西新空港、これは大きな土地を造成しますね。松下さんじゃないですけれども、国土創成ですよ。新しい国土をつくったわけだ。そんなものが一航空業界だけでは、何か乗客だけに背負わしていかなければいけないというのは、少しおかしいような気もするのです。その辺で、そういうことは本当に全くの公共事業であり、特に国土を造成する、創成するといったような中にあっては、そのことは国が持つべきだと思うのですけれども、その辺どうなんですか。それはやはり独立採算のそれぞれの企業体に持たさぬといかぬのかどうか。まず青函トンネルのことも含めて、先に国鉄青函トンネルの問題として高木さんにお答え願います。
  147. 高木文雄

    高木説明員 青函トンネルの建設並びにその後の運営の問題につきましては、率直に申しまして、私どもとしては大変不満を持っておるわけでございます。現在鉄建公団で建設をしている線路につきましては、どういう費用負担にするかということは原則として各線区ごとに決まっておりまして、AB線、CD線といったようなことでそれが表現されておるわけでございますが、青函トンネルにつきましては、費用負担が明確でないままに工事が進んでおるわけでございまして、これはいずれ決めるということになっているままで、今日まで何ら方針のお示しかなく進んでおるという実態でございまして、このことについては私どもは大変不満でございますし、機会あるごとに政府でもっと力を入れていただきたい、建設費の負担について力を入れていただきたいということを強く申し上げております。  また、新線の建設のことについて審議がございますところの審議会等においても、私も委員の一人になっておりますので、機会あるごとに申し上げておりますが、なかなか実現しないという状態のところへ今回の行財政改革という問題にぶつかったということでございまして、私どもとしては、今後とも建設費についてしかるべき負担がなされなければならないというふうに考えますし、本四架橋の鉄道部分の建設費についてのいまのルールについても実は相当疑問を持っておるわけでございます。政府にも申し上げておりますけれども監理委員会等でいろいろ私ども国鉄経営問題全般について意見を求められております際にもその都度申し上げておるわけでございます。
  148. 中馬弘毅

    中馬委員 本四架橋の問題は、少し僕は違うと思うのですが。本四架橋問題、これは構造物で何十年かすれば耐用年数が来て壊れてしまうものです。しかし、先ほども言いましたような土地とか、トンネルも土地ですよ、こういったものは国がつくって国がそれを供用していいのではないかと思うのです。ですから、それにかかるものはわざわざ国鉄に持たすことはないんじゃないかというのがこちらの主張であるわけです。  それは同じことが先ほど言いました成田の土地の問題にもありましょうし、今度できようとする新関西国際空港の問題にもあろうかと思うのですね。成田の場合でも、あの土地の取得費用、相当負担されてそしてそれの金利をまだ払っている、単年度の黒字ももちろんのこと、累積の赤字がたまっていく状況の中でこれが果していいのだろうか。そしてそれだけを、空港の離発着料、こういったもので回収できるのだろうかどうか、非常に疑問に思っているのですが、その辺のお考えを大臣、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  149. 山本長

    ○山本(長)政府委員 公共事業のプロジェクトによりまして、土地の取得費あるいは土地の造成費というものがその建設主体あるいは後々それを利用する利用者の負担にどうかかってくるかということについては、相当ウエートが異なると思います。  お尋ねの、これからやろうとしておる関西国際空港と成田の二つの空港を比較してみますと、相当に大きな開きがあると思います。関西国際空港につきましては、先生も御存じのように、海面を埋め立てて土地を造成するというプロジェクトでございますから、全体で工事費一期で九千億程度かかるというものの中で土地を造成する費用というのが五千億くらいかかるだろう、こういう計算をいたしておるわけでございます。  こういった土地を造成する負担というものをそれを建設する主体あるいは利用する主体に負担をかけないで国が持つということは、結局国民全体で持つということになると思うのですけれども、国民全体の負担ということになれば、利用者あるいはそれの建設主体の負担が非常に軽くなる、こういうことは事実でございます。  しかしながら、こういった海面の埋め立てというような、一種の公共施設をつくるのに土地を造成するという事業はひとり空港だけではございませんで、これも御存じのように、各地におきまして海面の埋め立てによって土地をつくり、その上に公共施設をつくるという事業が行われており、それにつきましては、いままでのやり方というのは、それをつくる主体あるいは後々それを利用する主体がそれを負担をしていくという考え方で来ておるわけでございます。したがいまして、先生の御提案のように、今様の考え方と違って全く違った考え方をとるということは、現在の情勢においてはなかなかむずかしいとは思います。しかしながら、考え方によりましては、結局のところは、その負担というものを一般国民がどの程度負うのか、利用者あるいは建設主体がどの程度負うのかという、全体の負担は変らないけれども、負担の割り振りと申しますか、負担の分担の問題であろうと思うのでございます。  これにつきましては、成田の場合も関西の場合もそうでございますけれども、国からの出資金というものと、それから事業主体が調達いたします借入金というものでもって建設をしておるわけでございますし、またそれでやっていこうとしておるわけでございます。したがって、先生のおっしゃる後々の利用者あるいは建設主体が負担するというものは、結局は借入金の金利あるいはその償還というものが一番の大きな負担になる。出資金というふうなもの、あるいは場合によりましては利子補給という形をとっておる例もございますけれども、そういった形をとるものについては一般国民が負う、こういうことになるわけでございます。  したがいまして、プロジェクトを進めます場合に、そのプロジェクトにかかわる費用について、事業主体が金利のつかない金として国からどれだけ入れるか、金利のつく金としてどれだけを調達していくかという割り振りの問題に帰するのではないかと思うのでございます。その点につきましては、プロジェクトの採算に応じましてその経営がやっていけるようにという観点から出資比率というふうなものを設定いたしまして、そしてそのプロジェクトに応じた出資をしていくという形でもってその点はいままで解決をしてきた、こういうことであろうと思います。解決の方法としてそういう方法をいままでとってきておるということを御説明いたします。
  150. 中馬弘毅

    中馬委員 成田の場合はもう実際の数字があるわけですし、関西新空港の場合にはこれからの問題ではありますけれども先ほど私が言いましたように、国がもう土地も手当てして、あとどうぞ、滑走路を敷いて空港に供用してください、あるいは関西新空港の場合だったら、埋め立ては全部国がやって、そしてあとどうぞやってくださいといった場合と総コストの違いが出てくるはずで、このことをちょっと計算をお願いしておったんですが、出ましたか。事業主体として全体の数字から大体どのくらい安くなるか。
  151. 山本長

    ○山本(長)政府委員 ラフな計算ではございますけれども、成田の場合は現実に事業を行っておりますので、これの五十六年度の実績をもとにいたしまして試算をいたしますと、現在開港しております一期で工事費が五十六年度までに四千三百億ばかりかかっております。そのうち用地関連の建設費と申しますのが二百八十億ばかりでございます。そしてその用地にかかわる利息、それから公租公課等は約三十億でございます。したがいまして、この部分について、先生のおっしゃる用地については別の国が持つということになれば、その分が公団の負担が軽くなる、こういう計算になろうかと思います。  関西国際空港につきましては、先ほど申し上げましたように用地費のウエートが大変に多うございます。これにかかわる用地関係の利息、公租公課というものも一定の条件のもとに試算をいたしますと、開港後の平年度のベースにおきまして約二百五十億程度になろうかと思います。したがいまして、この点についでこれがプラスになりあるいはマイナスになる、こういう計算になろうかと思います。
  152. 中馬弘毅

    中馬委員 最後に大臣にお伺いしますが、日本の交通体系を預かる所掌の大臣といたしまして、いま言ったように、たとえば青函トンネルでも国鉄に持たしてしまって、結局的にはそれが赤字になって一般会計のしりぬぐいになるということと同じことなんですね、先ほどの負担の話じゃないけれども。関西新空港や成田の問題でも、いままでの成田の状況を見ておりましたら、累積赤字がそう簡単に消えるものでもなさそうだし、あるいは利用料を倍に値上げしてそれでまた航空会社が納得するものでもないし、交通体系の料全体系まで崩してしまうわけですから。そうするならば、もう少し大きい観点に立って、こういったものは国が持つのだということをひとつ閣議でも大蔵省あたりにでもどんどん積極的に発言されるのが本当じゃないかと思うのですけれども、そのお心だけお聞きをして終わりたいと思います。
  153. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 青函トンネルに代表されるように、中身はどうあれとにかくあれは国のすばらしいプロジェクトであり、それから後代が必ず活用するわけですから、活用の仕方については実はいま委員会を開いて研究願っておる。これから先、生まれるでしょうところの関西国際空港公団にしましても、そういうものが大きな金を使うでしょうけれども、その金を全部使って余りあるものが将来日本に残る。こういう自信がなければ、不況の時代にだれも投資するものはないと思うのです。  そういう観点から、私はいまの財政困難のときでもすばらしい将来の資産として残り、後代のお互いの子孫がこれを活用して、しかもそれが世界に向かって胸を張れる、二十四時間空港などというのは一つも日本にないわけです、こういうところは内閣の内部において大いにPRし、そして実現に向かって邁進したいと思います。何分御協力をお願いします。
  154. 中馬弘毅

    中馬委員 終わります。      ————◇—————
  155. 原田憲

    原田委員長 三塚博君外三名提出全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案につきましては、第九十八回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 原田憲

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律の   一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  157. 原田憲

    原田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉原米治君。
  158. 吉原米治

    吉原委員 ただいま議題となりました本法案についてでございますが、せっかくの提案でございますけれども、私どもはどうしても納得いかない、賛成するというわけにまいらない法案でございます。したがって、時間の制約はございますけれども、以下数点にわたって提案者並びに運輸省国鉄、それぞれお尋ねをいたしたいと存じますので、時間がございませんから、ひとつ答弁も簡略にお願いをしたいと思います。  最初に、この提案理由の中で触れられておりますが、事務的なといいますか、実務的な点でひとつお尋ねをしておきたいと思います。  「既設または工事中の新幹線鉄道の今後の停車場の新設につきましては、」云々、その設置基準、そして経営判断、こういうものに照らして日本国有鉄道が建設費を負担して設置することはきわめて困難な状況でございます、そういう表現になっておりますが、ここでその停車場をつくる設置基準あるいはまた経営判断というのは一体どういう観点の判断なのか。そしてまた、現在までこういう法案を出されるそういういきさつからして、提案者の方にも恐らく全国の新幹線沿線ではかなりの設置要望個所が出てきておると思います。その要望個所が一体どのぐらいあって、その要望個所のうちで、当然これは停車場をつくる必要性があるな、こういうことで認められるようなものが一体どのくらいあるのか、まずそこら辺からひとつ、これは国鉄がお答えになりますか。
  159. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 最初にお尋ねのございました新駅を設置する場合の基準という、私どもがいま新幹線の新駅につきまして考えております事柄について、御説明申し上げたいと思います。  何点があるわけでございますが、まず一点は、新駅をつくった場合にその駅を御利用なさるお客様が一体どのくらいいるだろうかということ、それからそのお客様の中で隣の駅から移ってくるというお客様以外に、駅ができたことによって純然としてふえるお客様がどのぐらいいるだろうかというような内容を見まして、駅を一つつくりますと経費も相当かかりますので、その結果相当の御利用のお客様が見込まれて、収入増に対しまして経費の増が十分見合うということが、やはり私ども経営判断として一つ必要だということでございます。  それから東海道線のように列車回数が非常に多いところは、駅をつくることによってダイヤ全体に相当の影響が出てまいります。こういったダイヤに及ぼす影響、これも一つの条件でございます。これは技術的なことと申し上げていいかと思います。  それから次も技術的でありますけれども、物理的に駅ができるという条件でございませんとその場所につくるということはできませんので、そういった技術的な面、それから駅をつくるに際しまして所要の設備ができる、用地問題その他周囲の条件から言いまして駅の設備が設置可能だということ、これも技術的な問題かと思いますが、そういう問題がございます。  それともう一つ大事なことは、やはり最初に申し上げました経営収支に関連するわけでございますけれども、私どもとしては数十億から百億超えるかというような一駅の工事費でございますので、工事費の御負担が願えるかどうか、あるいは用地買収とか駅周辺の条件等が整っているかどうか、地元の御協力意思というものが固まっているかどうかというようなことが、私ども設置基準と申しますか、設置に対しまして条件として考える諸項目でございます。  それから経営判断ということでございますが、これはただいま申し上げましたその駅をつくることによっての収支の問題、これが一つの大きな問題でございます。やはりいまの財政事情でございまして、相当のお客様の数があれば、これは当然収支——まあ工事費を御負担願えればという前提でありますけれども、収支は償うわけでございますけれども工事費を御負担願いましても、御利用なさる人間が余りにも少ない場合には経費がそれに見合わない、そういう場合にはやはり経営的な判断として私どもとしてはいかがなものかということになるわけでございます。  それから、現在どのくらいの御要望が出ているかというお尋ねでございますが、東海道・山陽新幹線、それから昨年開業いたしました東北、上越両新幹線を含めまして、現在十七駅の御要望が出てきております。  そのうち、いろいろ現在検討いたしておりますけれども、さしあたって具体的にいま動き出しておりますのは、東北新幹線上で御要望のありました水沢、花巻、この二駅でございます。これにつきましてはある程度想定いたしましたところ、工事費を全額御負担願うということであれば収支は何とか償っていくという見込みがつきましたし、技術上の諸問題もない、また地元としても全額負担してやる意思がある、広場、街路の整備も相当具体的に御計画なさっているというような諸条件がはっきりいたしてまいりましたので、いまやや具体的に進み出しているという状況でございます。  それらの駅以外につきましては、今後技術的な問題がいろいろございますけれども、それらと同時に地元といろいろお話し合いの上で事柄を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  160. 吉原米治

    吉原委員 そこで、国鉄側に再度お尋ねするのですが、この東北新幹線にしろ上越新幹線にしろ、東海道・山陽共通して言えることですが、全体の新幹線計画を立てる段階で、当然この地域には停車場が必要だ、人口の集積度合い等々考えてみて適当な個所というものは当初この計画の中に組み込んだ、そういう新幹線計画が当然立てられてしかるべきだと思うのですが、いまおっしゃった水沢、花巻、比較的近距離の間でそういう要望が強くなった、要望が強くなって駅舎を、停車場をつくる工数費を満額、それじゃ出してくるんなら考えてもいいや、こんなことで簡単に停車場をつくったりやめたり、まあやめることはめったにないでしょうけれども、そんな簡単な形で、当初綿密な計画の中につくられた新幹線のはずなのに、その程度のことでやれるのか。特に既存の東海道新幹線や山陽新幹線、そういう論法でいきますと、私は少々やりくりしてでも——決して裕福な市町村はあるはずはないのですが、やりくりをして駅舎をつくる、停車場をつくる財源さえつくれば、見通しさえつければ何となく駅舎がつくってもらえるそうな、そんな期待感が逆に出てくるわけでございますが、決して皆さんの方はいいかげんな計画でつくったものじゃないとお答えにはなるでしょうけれども、どうもそういう感じがしてならぬ。  そこで、余り時間をとって演説もできませんが、ちょっとここで提案者に、「当分の間こという表現が使ってございますが、当分の間の措置だ、この「当分の間こという意味は一体どの程度考えていらっしゃるのか。五年も当分だろうし、十年も当分だろうし、いろいろあるでございましょうけれども、これは提案者じゃないとわからぬはずだからね。お答え願いたい。
  161. 原田憲

    原田委員長 三塚君、簡潔に願います。
  162. 三塚博

    三塚議員 「当分の間、」は当分の間でありまして、固定化いたしません。これで全部負担をそういう方式でやれるというふうにしておくことも大事でありますが、その後、いろいろ諸状況が変わってきますことを想定をいたしておるわけでありますが、しかし提案者といたしますれば、「当分の間、」は十七駅、そのうち大体該当するのが十一かな、こんなふうに言われておりますから、その程度のことが終わる期間がいつまでになるか、こういうことで「当分の間こういうことであります。
  163. 吉原米治

    吉原委員 わかったようなわからぬような答弁でありますが、いまたまたま提案著聞かざることをお答え願っておるわけで、十一駅ぐらいが適当だろう、こういうお話でございますが、そこで、私はそれだけの強い要望のある停車場であるなら、建設計画の当初の段階で当然把握されてしかるべき問題だ、こう思うのですよ。それだけ既設のものができ上がって、沿線の皆さんがどうしてもうちのところに駅をつくってほしい、そういう要望が出るぐらいなら、当初からわかるはずなんですが、この点は、一体国鉄側はそこまでは実態把握してなかった、計画にミスがあったというふうにお認めになりますか。
  164. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いま先生御指摘のように、この問題については考えようによってはいろいろな見方ができるわけでございます。ただ、新幹線の一つのシステムとして国内交通機関、都市間を結ぶ高速輸送機関として当初計画したものでありまして、沿線都市の人口分布、流動状況あるいは営業運転上の諸問題等を考慮してこの駅を決めるわけでございますが、当初決めました線で、これで一応新幹線としての一つのシステムとしてはでき上がっておる。また御利用なさるお客様方にしましても、一応在来線あるいは道路交通等の連絡によりまして十分新幹線の機能としての使命は果たせるということで計画をし、大臣の御認可をいただいておるものでございます。  しかし、その後営業を開始いたしましてからいろいろ御要望が出るわけでございますけれども、これらにつきましては、たとえば東海道新幹線なんかでも大分早い時期から御要望があったわけでございますけれども、私どもとしては一つのシステムとしてでき上がっておりますし、これで十分機能を果たしておると思いますけれども、しかし、さらに営業後の実情から見まして、沿線のその地域の非常に強い御要望がある、その御要望に何とかこたえられないだろうかという面から検討した結果、駅をつくる可能性もあるということを見出しまして、その対応姿勢をいま出しているわけでございます。  したがいまして、これがなければ新幹線としてのシステムが全うできないというものではないと思うのでありますが、さりとて、では、いまできたもので後一切っくってはならないものかという目で見ますと、その地域の御要望にこたえられるように考えていけば何とか可能性がある。ただし、そこにはいろいろな条件があるということで、その条件をいま地元に御説明をし、その条件に合えばつくっていきたい。  したがいまして、御要望があるから全部つくるというのじゃなくて、たとえば技術上の問題もありますし、特に東海道新幹線のように、片道百本もいま動かしておるような状況でございますと、駅をつくることによる影響というのは非常に大きく出てまいります。したがいまして、私どもはこの地域に駅をつくりますということはまだ申し上げていないわけでございまして、なお検討を続けているという状況でございまして、先ほどから申し上げておりますような諸条件を勘案した上で結論を出していきたいということでございます。
  165. 吉原米治

    吉原委員 国鉄も計画の段階でちょっとお粗末だったということも認めるわけにいきませんし、なかなか苦しい答弁のように私は承ったわけでございますが、それ以上は私も追及はいたしません。  ここでちょっと一番問題の、地方公共団体がかなりの財源の支出を余儀なくされる。承るところによりますと、一駅大体五十億とも八十億とも言われておる。大変な額なんですが、地方公共団体がそういう財源を支出することについては、きょう自治省お見えになっていらっしゃるはずですが、自治省の立場で、従来の地方財政法あるいはまた地方財政再建促進特別措置法、こういったものでいろいろ地方公共団体に対する寄附金もしくはそれに類似するような財源支出は厳しく規制が加えられておる。そういう観点からいきますと、自治省が従来の法律との兼ね合いによって一体どういう考え方を持っていらっしゃるのか。それは、関係市町村が出すというのなら御自由でございますという考え方であるのか、好ましくないことだけれどもいたし方ないということなのか、自治省としての見解をひとつここで明確にしておいていただきたい。
  166. 浅野大三郎

    ○浅野説明員 ただいま御指摘のありました地方財政法あるいは地方財政再建促進特別措置法、これは国と地方公共団体の財政負担の関係について規律している法律でございまして、そこでは、いわば国と地方の財政秩序を乱さないように、維持するようにという趣旨からできておるものでございます。  今回の法案は、その点につきまして負担を強制するものではないが、一方でそういう支出をする機能を与えるということを規定しようとしているものでございますから、その限りで、法律論としてはこれは地方財政法と矛盾、抵触するということは起こらないだろうと思っておりますが、それでは後、地方公共団体が実際に財政支出をすることについて一体どうかということでございます。  私どもは、もともと幹線鉄道というのは国家的なプロジェクトでございますから、国あるいは国鉄鉄道建設公団、そういうところで負担してやっていただくべきものであるとは思っておりますが、一方で、この法案ができました場合にはそういう財政支出をする機能地方公共団体に与えられるということになるわけでございまして、その場合にはやはりそれぞれの地方公共団体において判断をして対処していくことであろう、ただ、これに対して制度的な財政措置をすることは考えられないだろうというふうに思っております。
  167. 吉原米治

    吉原委員 前段ではなかなかいいことをおっしゃるなと思って聞いておったのですが、どうも後が悪い。国と地方との財政の秩序を維持する、まことに結構な話なんです。しかし、新幹線の停車場、駅舎を建設するというふうなことは本来国もしくは国鉄がやるべきものだとあなたもいまお認めになっていらっしゃる。国と地方との財政秩序を維持するんだ、そういう意味のいままでの地方財政法であり、また地方財政再建促進特別措置法の精神だ、こう言いながら、現実には本来国ないし国鉄が持つべき費用を出すことについてただ単に機能を与えるだけだから、それから先、実質金を出すか出さぬかは各地方公共団体の御随意に任せますというふうな何か責任逃れのような答弁に聞こえてならぬです。だめならだめという、強い行政指導をするのならする、そうおっしゃるべきじゃないのでしょうか。  そういう自治省の行政指導にしても、なおかつ関係自治体が、別途の財源があるんだからこれでおれのところは駅舎をつくるんだ、自治省はやかましく言うなというぐらいなところまで、自治省としてはせっかく法律の精神からいってそういう行政指導をなさるべきが中央官庁の役目じゃないですか。その点はどうですか。
  168. 浅野大三郎

    ○浅野説明員 先ほども申し上げましたように、費用負担のあり方について私どもの基本的な考え方は、こういう幹線鉄道でございますから国等で御負担いただくべきものだと思っております。したがいまして、そういう地方公共団体が財政負担を仮にするとした場合に、それに対して制度的な措置をとるということは全然考えておりませんけれども、ただ、そういう機能が与えられた場合に、その中で地方公共団体がどう判断するか、それは地方公共団体判断の問題でございますから適切な判断をそこでやってもらいたいと考えております。
  169. 吉原米治

    吉原委員 どうもすれ違いの答弁になっていけませんけれども、責任を地方自治体にかぶせてしまって、法律の精神はこうだ、それを尊重して、やるかやらぬかは地方自治体考え方だなんというきわめて無責任な答弁だと私は思います。それはあなたに文句を言ってもしょうがないことなんだが……。  時間の関係で先を急ぎますけれども、五十六年の予算編成時に実は運輸省は、大蔵省あるいは国鉄も含めてだろうと思いますが、五十六年のこの法案の改正をしたときに論議になったことなんですが、今後整備新幹線を、どういう優先順位か順位はわかりませんが、つくっていくという段階では、それぞれ国あるいは地方自治体の負担区分、そういうものを明確にしない限り今後はやらない。あるいは整備新幹線に対するそれぞれの建設費、例年五十億とか六十億、それぞれ予算措置がしてある。肝心な地方との財源負担の問題が話がつかぬものですから毎年見せ金的な予算だけになってしまって流れてしまっている。この五十八年も実は五十億建設費を組んでいらっしゃるでしょう、整備新幹線。調査費十億。同額がまた鉄建公団の方にも組んである。合わせますと百二十億。こんなものがさも使えそうなことで計上してあるけれども、実質は負担区分が明確にされない。言ってみればきわめて形式的な空文化した予算。  そんなことを繰り返しておるということ自体、私は不可思議なことだと思いますが、それにしても今度仮にそういう地方と国と国鉄の持ち分、いろいろ話し合いで決めたとして整備新幹線を着工した場合、これまた駅の問題が出てくる。既存のものについては、五十六年当時新幹線、まだ東北、上越は工事中でございましたが、いまほとんど済んだ。駅舎を建設する、停車場をつくるという問題は、今後の整備新幹線と称する五線の問題、そこにも影響してくる問題だと思うのです。そうすると、整備新幹線の方は一〇〇%関係者の負担はしてもらえませんよ、こういうことになっておるとするなら、仮になるとするなら、既存のものに対しては停車場をつくるのに一〇〇%負担する、整備新幹線の方は全体の工事費を含めてそれぞれの負担区分をすることになりますと一部負担で済むという理屈になる。そういう観点からいってもこの新幹線の停車場建設については非常に不平等な取り扱いが容易に考えられるわけです。私は、そういう不平等な取り扱いをすべきではない。現行のものでも一〇〇%国鉄があるいは国の補助金を得て駅舎をつくってきた、そういうものとの不均衡もこれありでございますが、これから先の整備新幹線についてもそういう不平等が起こる。  まず、五十六年度の予算編成時に大蔵省との間で交わした覚書の趣旨が一体どの程度まで進んでおるのか。それからもう二年たっていますが、依然としてそのままなのか、そこら辺の説明からひとつお答え願いたい。
  170. 永光洋一

    永光政府委員 整備新幹線の予算につきましては、先生いま申されましたように調査費とそれから建設費と合わせて六十億程度つけてございますが、建設費につきましては、おっしゃるように公的助成及び地域負担の程度、方法というようなものの整備を進めるというか前提として、着工するということになっております。  そこで、地域負担の方法等につきましては、五十六年の改正のときに地域で負担する方途を一応道を開いたということでございますが、公的助成につきましては、国家財政上の問題等ございましてその財源問題等についていろいろ関係方面と検討いたしておりますけれども、まだ結論を出すに至っておりません。
  171. 吉原米治

    吉原委員 時間が参りましたから、私は最後に念を押しておきたいと思いますが、いずれにいたしましても、せっかくの提案者の提案ではございますが、どういう角度から考えてみましても不平等な取り扱いになる、したがって私どもとしては賛成はできない、そういうことを主張して、時間が参りましたから質問を終わります。
  172. 原田憲

  173. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 時間がございませんので端的に質問をさしていただきます。  まず提案者にお聞きをしたいのですが、この法案は新幹線に新駅を建設する場合、その費用を自治体に負担させる道を開く、こういうものだと考えられますけれども、確認をしておきたいのですけれども、この法案に対していろんな条件がつけられております。これは自民党の方から資料としていただいておりますけれども、その中で端的に確かめておきたいのですけれども、必ず全額負担を自治体におさせになるのか、それとも協議ということもあり得るのかどうか、その辺をお答え願いたいと思います。
  174. 三塚博

    三塚議員 これは、御案内のように国鉄はいま瀕死の重症にありまして、とうてい新駅の建設はでき得ない状況にあります。しかし、ぜひとも地域が出してつくってほしいという熱烈な御要望があり、先ほど半谷常務からお答えがありましたように、すべての基準に合っております、こういうことでありますればその道を開こう、こういうことで御提案をさしていただいたわけでございまして、その趣旨からいいまして、仮にBという駅が五十億ででき上がります、こういうことでありますれば、全額五十億御寄附をいただきましてそれでやらさしていただく、こういう趣旨に相なっております。
  175. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いまのお話の中で、それぞれの地域でつくってほしいという御要望があればということですが、全額負担でそのまま国鉄に無償でお渡しするということになれば、つくってほしいんじゃなくて、地域がつくってあげるから国鉄は協力しなさい、こういう立場になるのではないだろうかと思います。言葉は相当気をつけて使っていただかないと、お金を出す方が困るのではないかというふうに思います。  次に、国鉄に対してお聞きをしたいのですが、さっき半谷常務理事の方から設置基準については御説明がございましたので、これは重なりますから聞くのはやめますけれども経営収支を悪化させないという条件がございますが、それでは一日当たりの最低利用人員をどのくらいにお考えになっているのか、その辺をお答え願いたいと思います。
  176. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 この新駅の基準でよくお尋ねを受けるわけでございますが、実は収支を見る場合に、駅の利用人員だけでなかなか判定がつかないものがございます。それはなぜかといいますと、一つは、一体列車本数がどのくらいとまるのかということ、それから御利用なさるお客さんが平均してどのくらいの距離をお乗りになるお客さんであるかどうかというようなこと、それからその駅がどのくらい工事費がかかるのか、これらはいずれも収支をはじく場合のインプットすべきデータでございます。こういうものがそろってそれで収支が出るわけでございまして、一駅当たり千人あればいいとか二千人あればいいという目安をつけるのは、実は非常にむずかしいわけでございます。  御参考までに申し上げますと、先ほど出ておりました水沢、花巻、東北の御希望のある二駅でありますが、その利用人員は二千人前後でございます。
  177. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは、「経営収支を悪化させないこと。」こう書いてあるのですね。国鉄からいただきました基準も、それから自民党さんが前に法案を御説明なさるときにいただきましたそこにも、「経営収支を悪化させないこと。」こう書いてあるのですけれども、この経営収支を悪化させないというのは、一体だれが悪化させないのですか。だれがですか。それは提案者と国鉄と両方にお聞きしたいと思います。
  178. 三塚博

    三塚議員 経営を悪化させないというのは、そのことで経営が悪化する、これは困るわけです。今日までのものは全部財投でやるわけですね、国鉄みずからの借入金で。これはもうできぬわけです。ですから、悪化させないということは他に寄附を求める、こういうことでありまして、先ほども申し上げましたとおり、自治体だけではない、経済団体も地域団体も一緒になって全部これだけちゃんとしますからと、こういうことでありますれば、その部分経営悪化につながらないし、ただいまの答弁のように、お客さんにたくさん乗ってもらえばその分だけ収入が上がるわけで、これはよろしいことだな、こういうふうに思っておるわけです。
  179. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 言葉の上での御質問で非常にお答えしにくいのでありますが、要するに、新駅をつくることによって結果として収支がどう出てくるかということだと私どもは受けとめております。
  180. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いまのお言葉ですけれども、新駅ができることで、確かにその新駅は皆さんがお金を出し合ってというふうなことになると思えば、なるべくたくさんのお客さんを乗せようというふうに運動もされると思うのですけれども先ほどもちょっとお話がありました近隣の駅の利用客が減るということも考えられるのじゃないでしょうかね。たとえば水沢、花巻の駅ができますと、いままで一ノ関とか北上に行っておられたお客さんがそっちに移るということもありますね。  それからもう一つ具体的に駅の名前が出てきています尾道ですと、福山、三原というところのお客様が尾道へ移られるということもあるでしょう。だから、新駅ができることで、新しい駅にはお客さんが来るけれども、近隣の駅のお客が減るということも考えられるのですけれども、この収支を悪化させないということの責任、これはまさか地方自治体にあるのですなどというふうなことをおっしゃらないでしょうね。これは国鉄があくまでも責任をお持ちになるということでしょうね。駅ができるから収支が償えるなんというのだったら、いまごろ国鉄赤字はできていないはずでしょう。それがいまいっぱいできているのだから、新しい駅をつくったからといって必ずしも収支が償えるという保証はどこにもないのですよ。その点についてはどうお考えですか。
  181. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 お答え申し上げますが、ちょっと御質問と狂うかもしれませんけれども、要するに、駅をつくることによって私ども収支がはじけるわけでございますが、その結果が赤になって出ればこれは収支が悪化したわけでありまして、黒字になって出る場合はこれはもうかるということでございまして、要するに、必ずしも駅をつくることによって赤字になるとか黒字になるとか決めてかかるわけにはいかないのではないかと思いますが……。
  182. 高木文雄

    高木説明員 収支償うというのはちょっと不正確でございまして、駅をつくることによって増加する収入と増加する経費を比べた場合に、増加部分の経費と増加部分の収入でマイナスにならぬという意味でございます。根っこにおきましては、東北新幹線、上越新幹線とももちろん赤字になっておりますけれども一つ駅ができた、そうすると、駅の建設費を全部地方自治体に持っていただきましても、光熱水料であるとかあるいはまた駅舎の補修であるとか、それから、そこへ配置します職員の経費であるとかいうものがかかります。そういう経費と、それから、隣の駅から移ってくるのではないネットのお客さんの収入増見込み額、その比較の問題でございます。
  183. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは次に、時間がありませんので質問を続けたいと思います。  これは国鉄にお聞きしたいのですけれども、駅間距離ですね。たとえば車両性能ですとかダイヤの編成だとか遅延時分、それから、新幹線はスピードが大事ですけれども、そういうふうなものを考えますと、幾ら御要望があっても、どこにでもつくっていくというわけにはいかないのではないかと思うのですが、そういうふうな駅間距離の最低基準を決めていらっしゃるのかどうか、それが一点。  もう一つは、地元の協力ということがありまして、これは財政的に協力をしてもらうということもありますけれども、駅広計画だとか都市計画の問題が出てきておりますけれども、自民党さんの方からいただきました資料の中で、「都市計画等により、駅周辺の町づくり計画が具体的に進められる見込みがあること。」こういうふうになっていますね。そして国鉄さんの方では、駅前広場あるいは街路というふうになっているのですけれども、都市計画だとか駅広計画というのは、これだけ単独に考えましても、地方自治体の相当大きな事業になり、大変大きな財政を要するわけですが、ここのところで言っておられる地元協力の中の「見込み」というのは、相当確かな進められる見込みがあることということになりますと、見込みというのは計画立案なのか、それとも計画決定なのか、すでに工事着工をしているということなのか、その辺はいかがなんでしょうか。  二問続けてお答え願いたいと思います。
  184. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 最初の駅間距離の問題でございますが、これも駅間距離という距離だけを問題にするのではなくて、実は駅間が短い場合には、当然その列車ダイヤ等に影響してまいります。したがいまして、駅間距離が極端に短いといろいろと問題が出るのでありますが、その問題というのは、結局、列車の到着時分が延びる、あるいはその駅ができたことによって全体のダイヤヘ非常に大きな影響が出る、あるいはつくる駅の配線がどうなっているか、あるいは列車本数がどのぐらいあるか、そのうちで停車する列車回数がどのぐらいあるかというようなもので決まるわけでございます。したがいまして、一概にそれが二十キロであるとか三十キロであるということはなかなか申し上げにくいのでございますが、ちなみに申し上げますと、現在営業中の東海道新幹線で申し上げますと、一番短い距離は十六キロをちょっと割り込んでおります。  それから、二つ目のお尋ねの駅前広場等の整備の問題でございますが、これはいま私どもの方として、都市計画決定されていなければいけないとか、計画立案段階でいいとかはっきり決めたわけではございませんが、これは、駅をつくるということで地方自治体といろいろ御相談する段階で、当然、駅を中心にして広場をつくり、それに至る街路を整備し、また周辺の土地の利用計画を決めるということで、駅を中心にして町が発展していくわけでございますから、また駅の機能を果たすためにも、そういった広場、街路網が整備されるということは当然必要な設備でありますから、それらについての具体的なそれぞれの自治体の御計画というものを承って、一番いいのは、計画決定されてもうすでに事業に移るというようなこと、あるいはもう事業が進んでいるということになればいいわけでございますが、その場合にも、これは私どもの方が駅を設置するという判断とタイミングを合わせなければいけないという問題もございますので、今後、個々具体的にいろいろ御相談しながら決めていくということになるかと思います。
  185. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 これは別に、水沢と花巻だけのためにつくっている法案じゃないと思うのです。全国で十七カ所ばかりの御要望があるようですけれども、まだこれからいろいろ検討していかなければならないというふうなことで、これでは、地方自治体の方も大変なお金を出すということでは、きわめて頼りない話ではないかというふうに思いますね。  最後に、自治省にお伺いをしたいのです。  先ほども社会党の方からも御質問がありましたので、重なる部分は避けたいと思うのですけれども先ほど自治省の御答弁では、地方自治体に負担をする機能を与えるというふうな、えらいむずかしいお言葉がございました。  いま、水沢、花巻、それから尾道というふうなところが話が具体的に進んでおりますので、その辺の各自治体財政状況を私がちょっと見てみますと、これは自治省が毎年文書で各省庁に対しての、地方自治体の財政負担にならないようにそれぞれ配慮をしてほしいというお申し出がありますけれども、こういうふうなことからはほど遠い状況になっているのではないかというふうに思うのです。  花巻、水沢、尾道と、これはもうすでに期成同盟等もつくられたり、あるいは子供さんまで二千円、三千円のような寄附を集めていらっしゃるということで、非常にそれぞれの御要望が強いということはよくわかりますので、私も、全面的にこの新駅をつくるということについて否定をしているわけではないのですけれども地方自治体の財政ということを考えると、これは一体どうなることか、自治省は一体こんな問題をどういうふうに指導していくのかというふうに、大変気になるのですね。  たとえば、水沢の駅が五十億でしょう。花巻が五十五億、尾道が、これははっきり提示していないけれども、自民党の資料によると大体五十八億、相当な額に上るわけですね。ところが、これらの市の財政規模は大体百億から二百億程度ですよ。歳出総額が五十六年度で、水沢は百十二億、花巻が百四十六億、尾道は百八十五億なんですね。そうしてちなみに、尾道あたりの総土木事業費は約二十数億ですよ、三十億にも満たないのです。  先ほど自治省の方は、その機能を与えた、後はもうその自治体のいわばかい性でおやりなさいというふうなことですけれども、結局、交付金も別にふやそうとしないあるいは地方債の起債も認めようとしない、こういうことでしょう。こういうふうな小さな財政規模の地方自治体で、仮に、工事が二年ないし三年としても、一年間の自治体がこの新駅をつくることだけにかぶらなければならない金額というのは、十数億から二十億になるのですよ。そうしますと、学校の設備、それから公共事業、いわゆる国民生活、市民生活全般に及ぶ、そういうふうなものがおくれてくる。これは、地方自治体が覚悟したからいいと言えばそれまでのことですけれどもね。そういうふうな状態を一体自治省は、それは機能を与えるのですから後はかい性です、それはそれで結構ですなどというふうな先ほどの御答弁で事が済むとお思いですか、いかがです。
  186. 浅野大三郎

    ○浅野説明員 私どもの基本的な考え方につきましては、先ほども申し上げましたとおり事務の配分がございまして、それに見合った財源配分というのがなされておる。この新幹線鉄道というのは国家的な事業ですから、それは本来的に国、国鉄等で負担していただくべきものであるという考え方を持っておりますし、またそのために地方団体に制度的な特別の財政措置ということはとうてい考えられないわけでございます。まさにいま御指摘のありましたようなことも含めまして、個別の地方団体がその地域の個別の問題として適切な御判断をいただくことではないだろうかというふうに考えております。
  187. 佐藤守良

    佐藤(守)議員 いま尾道の話が出たものでございますから。実は三塚委員からちょっとお答えしましたけれども、お金は地方自治体の寄附ばかりではございません。基本的にはどうしても地元が欲しいということで、民間、個人、法人が出すという方針を持っております。たとえば尾道の五十八億の場合、いまのところ四、五十億は大体民間で集まるのじゃないか、その不足分をどうするかということにこの法案が生きておるというようなところでございます。たとえば水沢、花巻など、水沢などは七億から八億で非常に民間の要望が強いのです。尾道の場合を言いますと、新幹線がつくられて十年間に百万人の人が減りました。これは仮に一人二千円とした場合に二十億です、十年二百億です。  そういうことでございまして、自治省は二つの点を言っております。一つは最小限の寄附にしなさい、もう一つ地方財政の運営に支障のないようにしなさいということで、それを踏まえてやっておるということを御理解願いたいと思います。
  188. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いま、そういうふうな寄附を集めてということでしたけれども、それじゃ全額をお集めになったらどうですか。こんな法律をつくらなくてもいけるじゃありませんか。私はその辺も思うのです。これは何も水沢や花巻や尾道だけの問題じゃなくて、そう言えば新幹線の駅は皆さんはぜひつくってほしいという御要望が全国十七カ所もあるわけでしょう。その中には仮に寄附金は、たとえば水沢だったら十一億ですか、そのぐらいはお集めになる、後は岩手県は県が三分の一ですか、それから市が負担をされるわけですけれども、もし寄附がそのように集まらなかった場合には集めるまで県なり市が債務負担行為もしなくちゃならない。それで水沢などはすでに借金というのですか、山林まで売る、そういうふうな市の財政で補おうというふうにもう涙ぐましい努力をしていらっしゃることについては、私もこれは大変だなと思うのですけれども一般論とした場合に、先ほど自治省が言ったように、それはもうそれぞれの県のかい性だから、自治省としてはそれ以上は何も言うことはありませんなどというふうな無責任なことを言って事が済むのかということです。  これはもう再度一というのは、いま国は金がない金がないと言って、緊縮財政だということで臨調を進めているでしょう。これだって私たちから見ればずいぶん変なところに金を使っているわけだけれども地方財政の方だって何も豊かなことはないでしょう。本当に進めなければならないことがたくさん残っているわけなんですけれども、そういうことは、これは自治省とは意見が一致するのだけれども国鉄のそういう基礎施設は当然国がつくり国鉄がつくる、あたりまえのことなんですよ。つくってほしい、つくってほしいという御要望があるとおっしゃるけれども、これだったら全部地方自治体がおつくりになって、駅舎だけじゃないですね、CTCのような設備まで全部つくる。それじゃつくってほしいんじゃなくて、つくってあげますから国鉄は、こういうことに地方自治体の方はなるんじゃないでしょうか。つくってほしい、つくってほしいと言ってはるからこういう法案を出しますなどと言うのは、まことにおこがましいと私は言わざるを得ないと思うのですよ。そんなに地方財政を圧迫するような法案というのは、実現性はなくても窓を開いているのですとおっしゃればそれまでのことだけれども、きわめて無責任な法案を皆さん方はお出しになっている、こういうふうに思うのですけれども大臣に最後に一言。  こういう問題について、地方財政の問題も考えて、先ほど収支バランスの問題についてお伺いしましたけれども、これは地方自治体がお金を出してつくった、収支バランスがとれて黒字になるように、こういうふうな条件が一つ入っています。しかし、これは運輸省並びに国鉄が、せっかく皆さんが努力をしておつくりになったときに、もし収支が悪化いたしましたというふうなことでは責任を果たせないではないかと思いますが、その辺も含めて大臣の御見解を承りたいと思います。
  189. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 新幹線の新しい駅をつくりたいというお話は、東海道新幹線が開通して以来ずっと聞かれたことであります。私もそれは承知しておりました。これだけの新幹線の発達、発展、またそれの経済的効果というものを見ながら、自由民主党の国鉄に非常に理解のあるりっぱな方々、郷土に対して理解のある方々が練りに練って出した法案でもあり、また御案内のように国鉄の諸君のこれに対する答弁自治省答弁等々を聞いてみても、あなたの御満足いくようなことじゃなかろうけれども、良識のあることを自由民主党の国会議員はおやりくださるものだというふうに思って、私は注目して関心を持っているものであります。
  190. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 最後にちょっと一言。  良識のあるとおっしゃいましたけれども地方自治体にこのような大変な財政負担を負わせるようなことをお出しになって何が良識があるかということを最後に一言申し上げて、質問を終わります。
  191. 原田憲

    原田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  192. 原田憲

    原田委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎茂一君。
  193. 宮崎茂一

    宮崎委員 私は、自由民主党を代表して、本案に賛成の討論を行うものであります。  御承知のとおり、新幹線鉄道は、昭和三十九年開業以来その利用者は十九億人を超え、わが国の都市間高速輸送に大きな役割りを果たしてまいりました。思うに、既設または工事中の新幹線に新駅を設置することは、沿線住民の利便の向上と当該地域の開発発展に重要な役割りを果たすのみならず、需要の誘発により国鉄の収益の改善にも資するものであります。  しかしながら、新駅設置に要する工事費及び用地費につきまして、現下の国鉄財政のもとでは国鉄にその負担を求めることはきわめて困難でありますので、現行の全国新幹線鉄道整備法を改正し、地方公共団体が新駅設置に必要な資金について支出ができるようにする本改正案は、まことに時宜を得た適切な措置であるとして賛意を表するものであります。  今後、速やかに地方公共団体との意見の調整を図り、設置基準、経営判断等を勘案し、新駅設置工事の早期着工を期待をいたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  194. 原田憲

  195. 吉原米治

    吉原委員 私は、日本社会党を代表して、本案に反対の討論を行うものであります。  本改正案は、現行の新幹線鉄道整備法を改正し、地方公共団体が新駅設置に必要な資金について支出ができるようにするものでありますが、既設または工事中の新幹線沿線地域の住民の強い要請があるからといって、地方公共団体が新駅設置に関し必要な資金を支出することは、地財法、並びに地財再建促進特別措置法の精神を無視したものである。この点からいって反対であります。これが反対の第一の理由であります。  反対の第二の理由は、すでに開業している駅はすべて国または国鉄の費用で設置し、今後新駅は地元負担というのは不公平であるばかりでなく、今後新設する駅についても、比較的財源の豊かな自治体とそうでない自治体との間に大きな不平等が生ずるということからいっても反対であります。  反対の第三の理由は、そもそも新幹線鉄道は国土の総合的かつ普遍的開発、国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与するものでありますので、新幹線の建設及び新駅設置が必要な場合は、当然国及び国鉄の責任で処理すべきであり、また現存の駅は、全体の基本計画を定める時点において、新幹線システム全体として適正な駅配置を考えて決めたものであることを考えるときに、沿線住民の希望があるからといって、地方公共団体の資金によって新駅を建設しようとすることは、新幹線の性格を考えるとき、また、本質的な観点からいっても反対であります。  以上をもって、私の反対討論を終わります。(拍手)
  196. 原田憲

  197. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対の討論を行います。  論議の中でも明らかになったように、新幹線の新駅建設には国鉄の試算や自民党自身の試算でも五十億円から百億円の費用を必要とします。新駅要求の出ている地域はほとんどが中小都市であり、当然のことながら財政規模も小さく、これらの自治体に数十億円もの財政負担を行わすことは事実上不可能であり、仮に強行すれば、自治体の財政危機を一層促進し、住民の福祉、教育、生活環境対策の予算に重大な打撃を与えることは確実であります。  わが党は、新幹線新駅設置そのものを全面的に否定するものではありませんが、真に住民要求にこたえて新駅設置を実現させる上でも、わが党がこれまで一貫して主張しているように、実際上不可能な自治体負担の導入ではなく、国が財政措置をとり、国鉄の責任で解決する方向を確立することこそ現実性のある道ではないでしょうか。  わが党は、国民本位の国鉄整備国鉄の民主的再建のため、今後も全力を挙げて奮闘することを表明し、反対討論を終わります。(拍手)
  198. 原田憲

    原田委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  199. 原田憲

    原田委員長 これより採決に入ります。  三塚博君外三名提出全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  200. 原田憲

    原田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 原田憲

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  202. 原田憲

    原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十三分散会      ————◇—————