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1983-08-11 第99回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年八月十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月二十九日     辞任         補欠選任      服部 信吾君     塩出 啓典君      下田 京子君     近藤 忠孝君  八月八日     辞任         補欠選任      高木 正明君     成相 善十君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         赤桐  操君     理 事                 仲川 幸男君                 粕谷 照美君                 原田  立君     委 員                 浦田  勝君                大河原太一郎君                 坂元 親男君                 下条進一郎君                 戸塚 進也君                 成相 善十君                 吉村 真事君                 塩出 啓典君                 近藤 忠孝君                 田渕 哲也君                 野坂 昭如君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  加藤 六月君    事務局側        常任委員会専門        員        田熊初太郎君    説明員        警察庁刑事局保        安部防犯課長   古山  剛君        防衛庁人事教育        局人事第三課長  宝珠山 昇君        国土庁長官官房        審議官      田中  暁君        国土庁地方振興        局過疎対策室長  仁科 英麿君        大蔵省主計局主        計官       兵藤 廣治君        大蔵省主計局主        計官       涌井 洋治君        文部省体育局学        校保健課長    青柳  徹君        文部省管理局私        学振興課長    奥田與志清君        文部省管理局教        育施設部助成課        長        逸見 博昌君        厚生省環境衛生        局水道環境部水        道整備課長    森下 忠幸君        厚生省医務局指        導助成課長    柳沢健一郎君        厚生省社会局施        設課長      近藤純五郎君        農林水産大臣官        房審議官     田中 宏尚君        林野庁指導部造        林課長      依田 和夫君        林野庁指導部治        山課長      今村 清光君       中小企業庁小規       模企業部参事官  佐々木恭之助君        気象庁次長    栗山 昌久君        気象庁予報部予        報課長      黒沢真喜人君        気象庁観測部管        理課長      山崎 道夫君        労働省職業安定        局雇用保険課長  齋藤 邦彦君        建設省計画局建        設業課長     藤原 良一君        建設省河川局治        水課長      玉光 弘明君        建設省河川局開        発課長      志水 茂明君        建設省河川局海        岸課長      大河原 満君        建設省河川局防        災課長      狩野  昇君        建設省河川局砂        防部傾斜地保全        課長       設楽 武久君        建設省道路局道        路防災対策室長  和田  惇君        消防庁危険物規        制課長      長谷川寿夫君        消防庁防災課長  清野 圭造君        消防庁震災対策        指導室長     金子 皓治君        日本国有鉄道施        設局土木課長   村上  温君        日本電信電話公        社保全局災害対        策室長      福増 満広君    参考人        地震予知連絡会        会長       浅田  敏君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (昭和五十八年七月豪雨に関する件)  (地震予知に関する件)     ─────────────
  2. 赤桐操

    委員長赤桐操君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  議事に先立ち、去る七月二十三日に発生いたしました昭和五十八年七月豪雨による災害は大被害をもたらし、とうとい人命を失いましたことはまことに痛ましい限りでございます。  ここに多数の犠牲者方々の御冥福をお祈りをいたし、黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立をお願いいたします。黙祷を願います。    〔総員起立黙祷
  3. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 黙祷を終わります。御着席願います。     ─────────────
  4. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 次いで、委員異動について御報告いたします。  去る七月二十九日、服部信吾君及び下田京子君が委員辞任され、その補欠として塩出啓典君及び近藤忠孝君が選任されました。  また、八月八日、高木正明君が委員辞任され、その補欠として成相善十君が選任されました。     ─────────────
  5. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  災害対策樹立に関する調査のため、本日の委員会地震予知連絡会会長浅田敏君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、派遣委員報告を聴取いたします。仲川君。
  8. 仲川幸男

    仲川幸男君 御報告を申し上げます。  八月二日、三日の両日、赤桐委員長粕谷理事浦田塩出近藤田渕野坂の各委員及び私仲川の八名は、山陰地方における集中豪雨災害の実情を調査してまいりました。なお、山口県におきましては江島、松岡両議員が現地参加をされました。以下、派遣委員を代表いたしましてその概要を御報告いたします。  島根西部山口北部地域一帯は七月二十二日夜から二十三日にかけて、いわゆる梅雨末期集中豪雨に襲われたのであります。降雨の状況は二十日から二十四日までに浜田、弥栄、益田などにおいては年間雨量の三割近くに相当する五百ミリを超え、特に、二十二日の夜半から翌早朝にかけては激しい雨に見舞われ、時間雨量益田では実に九十ミリを記録したほか、被害の多かった地域では、わずか十数時間に軒並み三百ミリを超える雨量を記録いたしました。このため、各地で土砂崩壊河川はんらんが相次ぎ、甚大な被害をこうむったのであります。  八月一日現在の県の集計によって被害状況を見ますと、島根県で死者百三名、行方不明四名、重軽傷者百二十三名に上り、家屋被害住家、非住家を合わせて、全壊千百六十二、半壊千二百十九棟、住家床上床下浸水はそれぞれ九千二百八十四、七千四百三十二棟となっております。河川道路等公共土木施設関係では八百三十億円、農地農業用施設関係二百二十六億円、山林関係二百六十七億円、商工関係二百二十六億円、教育施設関係十四億円等で、その被害を合わせますと、総額では実に一千七百二十九億円に達しており、今後の調査の進展に伴って被害額はさらに増加する見込みとのことであります。  そして、山口県におきましては、死者五名、重軽傷者四名、家屋被害全壊三十八棟、半壊十七棟、住家床上床下浸水それぞれ三百十一棟、七百二棟となっており、公共土木施設関係では四十四億円、農地農業用施設関係十三億円、山林関係十五億円、その他被害を合わせますと総額八十一億円余となっております。  また、国鉄土砂崩壊河川増水などにより、被災個所四百七十七カ所に及び、山陰本線三江線山口線不通となったほか、停電や電話不通などにより多くの世帯生活に著しく支障を来したのであります。  こうした被害の発生に伴い、島根県及び関係市町村では災害対策本部を設置し、島根県下では十三市町村山口県下では二町に災害救助法を適用するとともに、自衛隊や近県の警察などの協力を得て遺体の収容や行方不明者捜索全力を挙げる一方、寸断された道路復旧を急ぎ、孤立地区への交通の確保、当面の生活に必要な緊急物質輸送医療救護等措置がとられてまいりました。この結果、調査時点では応急的な措置はかなり進んでおりましたが、なお断水地区電話不通地区が残されており、家を失って避難所での生活を余儀なくされている者もまだ多く残っている状況とのことでありました。また、この地区の大動脈である国鉄山陰本線は三隅—益田間で鉄橋のかけかえの必要もあり、復旧までには努力しても三カ月程度を要すると見込まれている状況であります。このような状況説明を受け、われわれが被災地を回りました際にも、山腹や斜面の崩壊個所土砂で埋まった田畑、押し寄せた流木堆積、押しつぶされた車の残骸などが随所に見られ、今回の災害のつめ跡の深さを痛感した次第であります。  次に、視察いたしました被災地状況について申し上げます。  まず江津市の跡市地区に参りました。江津市は今回の災害を受けた地域では最も東に位置いたしますが、被害は二級河川敬川流域に集中しております。中でも被害の大きかった跡市地区は、川に沿った集落に家の軒近くに達する鉄砲水が押し寄せ、上流からの流木とあわせて、人家に多くの被害を出したところであり、また山腹崩壊道路決壊などにより、二日間にわたって孤立をした地区であります。山合いの地区であるため水の引きは早かったようでありますが、泥流に洗われた町並みは大きく破損しており、土ぼこりにまみれておりました。  次いで浜田市に参りました。浜田市は三隅町、益田市とともに最も被害の大きかった地域で、がけ崩れなどにより死者二十三名、重軽傷者三十九名を数えるほか、住家の全半壊浜田川、周布川等増水はんらんにより、床上床下浸水家屋も多くを数えております。われわれが参りました周布川下流地点では、増水によって左右両岸の堤防がえぐられ、決壊寸前状況を示しておりましたが、水防活動によって辛うじて決壊を免れたところでありましたが、もし決壊していたら流域に致命的な打撃となったであろうと想像をされます。災害の後、地元では至るところで寸断された道路復旧が急がれ、また、はんらん土石流等被害を受けた中小河川復旧に当たっては、その多くが改良を加えることが不可欠であるとのことで、すでに復旧査定に入っているとのことでありましたが、雨期に備えた抜本的な対策が望まれておりました。  次に、三隅町では河川はんらん山崩れなどにより、被害が町の全域に及んでおりましたが、町の中心部ではその中を流れる三隅川の水位が急に上昇するとともに堤防決壊し、押し寄せた水と上流からの大量の流木がもろに市街地を襲うという状況になり、町並みが完全に二階まで水没するという惨事を招きました。  この結果、倒壊や流失した家屋も多く、辛うじて残っている家屋も今後住居として使用にたえないと思われるものが大半のように見受けられたのであります。災害後十日を経た時点においても、なお住家の中には土砂流廃木が山のように堆積しており、炎天下に消毒薬のにおいが立ち込める中で、被災者たちは懸命に土砂等の排除に取り組んでおりました。  三隅町では、かつての災害教訓を生かして、防災無線がほとんどの世帯に普及しており、夜明けからの水位の上昇に伴い、いち早く避難命令を出すことによって避難が行われた結果、はんらんによる人的な被害は一人もなかったとのことでありましたが、山崩れという事態は想定できなかったということで、がけ崩れによる死者が三十三名にも達するという痛ましい結果となったのであります。  次いで益田市に参りました。益田市では中心を流れる益田川が六カ所も決壊をしたのを初め、中小河川はことごとく堤防を越して市街地全域浸水するとともに、山間部においては山崩れが相次ぎ、死者、行方不明が三十二名を数え、住家の全半壊五百二十八戸、床上浸水が五千八百三十一戸という大被害を出しております。現在、益田川の決壊個所土のう等で応急的にふさいでありますが、市街地では二階まで浸水した家も多く、居住するには少なくとも内部の造作は全面的に更新をせざるを得ない状況になっております。町じゅうには河川からの大量の流出物堆積をし、建設業協会等協力でこれまでに約四万トンを除去したとのことでありますが、なお相当量が残されております。集められたごみはとりあえず近くの高校の空き地に積み上げられてありましたが、地元ではこれらごみの捨て場の確保に困難を訴えておりました。また益田では、住宅を失った者五百五十名がなお避難所生活をしており、住宅確保が今後の大きな課題となっているようであります。  続いて山口県に入りました。山口県では田万川町、須佐町の二町に被害が集中しておりましたが、時間の関係現地を十分に視察できなかったことはまことに残念でありました。しかし、車窓からは島根県と同様、土砂崩壊道路決壊河川決壊等の惨状が至るところで見受けられたのであります。県及び両町の説明では、こうした山地崩壊河川決壊によりまして、初めに申し上げましたように、五名のとうとい人命を失ったのを初め、住宅公共土木施設農地山林等に大きな被害となりました。また、泥流により養殖魚が全滅した地区もあるとのことで、いずれにいたしましても、この地区ではかつてない災害とのことであり、地元財政力に比較して被害額が大きいことにより、今後の復旧については国の支援が不可欠であるとの強い要望を受けたのであります。  次に、今回の視察並びに関係者からの要望などを踏まえて、今後の対策などについて問題となる事項を若干申し上げます。  第一は、今回の災害の特徴は、一年前の長崎災害同様、山崩れがけ崩れに伴う被害が非常に多かったことであります。特に、死者負傷者のほとんどがこうした土砂崩れにより家屋もろとも埋没圧死したものであります。今回の被災地は平地が少なく、背後に山を背負った土地柄で、また花崗岩の風化した特殊土壌などで崩壊しやすい条件はあったにしても、七割が山林であるわが国では至るところにこうした災害危険性を持っていると言わなければなりません。もとより治山、砂防、急傾斜地崩壊防止等事業の促進や危険地域からの住居移転も必要でありますが、当面の土砂害対策としては危険個所の点検及び周知の徹底と的確な避難体制の確立がきわめて重要な課題であると考えられます。今回の被災地では河川はんらんに対しましてはかなりの注意が払われていたようでありますが、過去、安全であった裏山が多く崩壊したという教訓を今後の防災にぜひ生かしてもらうよう強く要望しておきたいと存じます。  第二は、今回の視察に際して地元関係者がこぞって強く要望していたのは、激甚災害指定ということでありました。激甚災指定には基準があり、なお被害額調査を行う必要はありましょうが、被災市町村の多くは過疎地であり、財政力がきわめて脆弱で、復旧事業を進めるにも限界があります。特別交付税の増額及び普通交付税の繰り上げ交付等措置とともに、地方公共団体財政力を十分考慮した制度の運用が必要であると痛感をいたします。  第三は、復旧事業についての早期査定早期着工及び改良復旧必要性についてであります。現在、被災個所については応急的な措置によってとりあえず対処されておりますが、今後、秋の雨期を控え、二次災害の危険もある状況で、緊急に本格的な防災措置をとることが必要であります。そして、一日も早く復旧するために、現行の三年復旧原則を短縮してほしい旨の要望も強いものがあり、また、再度災害を防止するという観点から、原形復旧原則にとらわれることなく、大幅な改良を加えた復旧もぜひ必要であると考えられます。  第四は、中小河川対策のおくれが指摘されます。今回の災害は、一級河川についてはほとんどなかったのでありますが、中小河川は軒並みはんらん決壊を生じて被害を大きくしているのであります。中小河川については国全体の整備率もようやく二〇%という低い状況にあり、今後格段の努力が必要であると存じます。  第五は、住宅対策についてであります。災害により失った住宅を再建する場合には、住宅金融公庫災害援護資金等貸し付け制度がありますが、今次災害では住宅を失った者が多数に上り、融資だけで十分に対処し得るかどうか心配されております。また、災害救助法による応急仮設住宅戸数基準全壊戸数の三割以内とされておりますが、地元ではこの戸数基準緩和を求めており、罹災者公営住宅建設に対する激甚法指定基準緩和についての要望もなされております。  これらのほか、農業対策中小企業対策等、多くの要望を受けてまいりましたが、時間の関係もあり、それらをすべて紹介できませんので、両県からの要望事項会議録に掲載していただくことを委員長にお願いいたします。  最後になりましたが、今回の災害により犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表し、また、罹災地の一日も早い復興を祈念いたしますとともに、今回の視察に際し、予定していた航空便の欠航によって大幅な日程変更を余儀なくされたにもかかわらず、関係者の御配慮により無事に調査できましたことに対し、厚くお礼を申し上げ、報告といたします。
  9. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 以上で派遣委員報告は終わりました。  なお、ただいまの報告の中にありました島根県及び山口県からの陳情事項につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  次に、昭和五十八年七月豪雨による被害について、政府から報告を聴取いたします。田中官房審議官
  11. 田中暁

    説明員田中暁君) 昭和五十八年七月豪雨災害被害応急対策実施状況等につきまして御報告申し上げます。  お手元に資料を差し上げておりますが、厚い方の資料をごらんいただきたいと思います。  一ページの下の方でございますが、島根西部中心とした七月豪雨災害状況でありますが、八月十日十五時現在、死者百十二名、行方不明五人となっており、このうち島根県の死者行方不明者は百七人となっております。また負傷者は百八十二人であります。  建物の被害全壊・流失七百十一棟、半壊九百七棟、床上浸水九千八百十五棟、床下浸水一万一千七百七十九棟であり、罹災世帯は一万一千三百七十八世帯罹災者は三万五千七百十人に上っております。道路損壊一万二千二百六十二カ所、橋梁の被害六百五十八カ所、河川施設被害一万一千百五十二カ所、山崩れ千五百八十七カ所、鉄軌道被害三百八十五カ所となっております。  これらの被害に対しまして、四ページにございますように、島根県及び益田市など五十六市町村において災害対策本部を設置いたしましたほか、災害救助法を十五市町村において発動したところであります。警察、消防、自衛隊海上保安庁等では職員を動員して、行方不明者捜索被災者救護生活物資輸送等災害応急活動実施いたしました。  政府といたしましては、五ページにございますように、七月二十三日に災害対策関係省庁連絡会議を開催し、同日十九時三十分に加藤国土庁長官本部長とする昭和五十八年七月豪雨非常災害対策本部を設置いたしました。  第一回の本部会議におきまして、翌二十四日、本部長を団長とする政府調査団を派遣することを決定するとともに、当面とるべき措置を決定いたしたところであります。  政府調査団は、島根益田市、三隅町及び浜田市の被災地調査いたしました。その結果をも踏まえまして、翌二十五日、第二回本部会議を開催し、行方不明者捜索に引き続き全力を傾注するほか、適切な応急救護措置実施河川道路等早期復旧など十二項目にわたる重点対策を決定したところでございます。  二ページに戻りまして、中ほどの「主要施設等に係る被害状況」について御説明申し上げます。  まず、道路河川等建設省所管公共土木関係につきましては、県からの報告による現在までの被害額は千五百十二億円となっております。  道路復旧状況につきましては、上の方の(注)1にありますとおり、寸断されました国道九号も八月八日に一般車両通行確保され、八月十日九時現在の通行どめは、補助国道、県道で三十一カ所となっております。建設省といたしましては、道路早期復旧市街地内の堆積土砂の除去、被災河川応急復旧に努めるとともに、河川激特事業あるいは緊急砂防事業、緊急急傾斜地崩壊対策事業等により、災害復旧に万全を期することとしております。また住宅被災者に対し、災害復興住宅資金貸し付けにつきまして七月二十三日住宅金融公庫に指示したところであります。  また、国鉄復旧状況につきましては、山陰本線等六線区十一区間で不通になりましたが、山陰本線三江線を除き復旧済みであり、被害の大きかった山陰本線復旧は鋭意努力中でございますが、全面復旧は九月下旬の見込みとなっております。  次に、農地農業用施設被害につきましては、八月八日現在、三百六十六億円となっております。農地等災害につきましては、復旧工法等現地指導を行うなど早期復旧に努めているところでございます。  また、公立学校施設等につきましては、全体で約二十一億円の被害を受けております。文部省といたしましては、早期復旧を図り、二学期からの授業に支障が生じないよう措置することといたしております。  三ページへ参りまして、中小企業被害は、現在までのところ島根県の三百八十四億円など、中国三県で三百八十七億円となっております。中小企業庁におきましては、七月二十五日付で政府系中小企業金融三機関に対し、災害貸付制度の発動を指示いたしたところであります。  電気につきましては、七月三十日、すべて復旧をいたしております。  また、電話につきましては、最大時に市外回線が約四千回線、加入電話が約一万一千不通となったわけでございますが、市外回線につきましては七月二十九日までに、加入電話につきましては、家屋損壊などにより工事のできないものを除きまして、八月五日までにすべて復旧をいたしました。  また水道につきましても、広域的な支援体制のもとに応急復旧に努めました結果、八月九日現在の断水戸数は千五百十七戸となっておりまして、これらにつきましても八月十五日までには復旧する見通しでごいます。  そのほか厚生省関係では、消毒等の防疫の実施のほか、屎尿、ごみ収集体制の回復に努め、島根県下におきましても八月十二日までに終了する見込みでございます。  また応急仮設住宅につきましては、島根県及び山口県で百八十戸着工済みでございまして、災害弔慰金につきましても三十二名に支給したところでございます。  自治省関係では、八月三日に、被害の特に大きかった島根県などに対しまして、当面の資金手当てとして九月交付予定分普通交付税八十四億七千七百万円の繰り上げ交付を行ったところであります。  以上、概要を御報告申し上げましたが、各省庁ごとのこれまでに講じました措置及び今後とるべき措置の主なものにつきましては八ページ以下をごらんいただきたいと存じます。  政府といたしましては、今後さらに関係省庁が連絡を密にいたしまして、万全の対策を講じてまいりたいと考えておる次第でございます。  以上で御報告を終わらしていただきます。
  12. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 以上で政府からの報告は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 粕谷照美

    粕谷照美君 先ほど派遣委員の代表として仲川委員の方から報告がありました。また、政府の御報告もいただきまして、本当に大変な災害だということをしみじみとまた思い浮かべているわけでございますが、この二十三日の早朝の大災害、早速災害対策本部を設置し、翌二十四日にもう長官が現地視察されるという大変素早い対応だというふうに考えているわけですが、その生々しい現地視察されました長官の、何といいますか、印象といいますか、そういうものをお聞かせいただきたいと思います。
  14. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 七月二十三日に設置されました非常災害対策本部の決定に基づきまして、翌二十四日、ただいま先生御指摘のように、政府としましては急遽島根県の被災現地調査してまいったところでございます。  現地では上空からヘリコプターで視察しますとともに、浜田市、三隅町、益田市では着陸して地上からも調査を行いました。至るところで山肌が削り取られ、路上や建物内までヘドロや流木等が散乱、堆積し、道路山崩れなどにより寸断され、橋梁が流失するなどの生々しい惨状に胸を打たれる思いがいたしたわけでございます。政府としてはこの対策には万全を期さなければならないという思いに駆られて帰ってきた次第でございます。  そして翌日、先ほど審議官から御報告申し上げましたような当面の重点対策十二項目というものを直ちに決定しまして、政府としても万全の対策を講ずる決意をいたした次第でございます。
  15. 粕谷照美

    粕谷照美君 そのときにそれぞれの市町村長あるいは関係者方々から長官に対していろいろな要望などもあったというふうに思いますけれども、被害状況をごらんになって、これは激甚災害に該当するのではないかというような感じはお持ちになりませんでしたでしょうか。
  16. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 二十四日の時点においてもそういう感じ等は強く持ったわけでございますが、私としては、孤立しておりました三隅町に対し、建設省あるいは自衛隊等に、どうしても三隅町に入る万全の措置、それから水、食糧、そういうものを指示することを中心にいたしたわけでございます。また、三隅町あるいは益田の市長さん方、ある面では茫然自失しておられる中を激励し、復興への意欲を持ってもらうように励ます。そして政府はそれに対して万全の処置をするから、とにかく住民の先頭に立ってがんばってもらいたい、復興への意欲を持ってもらいたいと、そういう意欲を喚起するというところに重点を置いたわけでございまして、生々しい現状を見ましたときに、この災害復旧市町村への負担が最小限かからないような方法で復興して差し上げなくてはならぬなという感じ等は強く持った次第でございます。
  17. 粕谷照美

    粕谷照美君 二十四日のときには市町村長さんたちは茫然自失の状態であったと、こういうふうにおっしゃっておられましたが、長官駆けつけていらっしゃって、そして政府の対応もよかったのでありましょう。私どもが調査に行きましたときには、もう先頭に立って、それこそ気合いがかかって非常にすばらしい陣頭指揮をやっておられたわけであります。その背後に、やっぱり国は何とかめんどうを見てくれるんじゃないか、こういう期待感が大きかったと思うんです。そのときに長官が、激甚災害指定をするという感じを持ったということも、一言もおっしゃらないでこられたというのでは、私は何か期待外れの感が市町村長さんはなさったんじゃないかというふうに思うんです。去年の議事録を読んでみたんです。ちょうどまた不思議なことに、長崎災害が同じ七月二十三日、この災害対策委員会が八月十一日、同じ日なんですね。きょうあったわけであります。そのときの議事録を見ますと、松野長官は現地で、これは激甚災害に該当するというようなことを発言をしていらっしゃったようでありますね。そのことが委員会でも質問がありまして、その質問に対しても、確かにそういうことを言いましたと、委員の各位におかれましてもよろしくというようなことが議事録上載っているわけであります。私は、加藤長官は大変慎重なのであろうか、あるいは長崎災害をごらんになっていらっしゃらないから、あれとの比較で物が言えなかったのであろうかという気持ちが頭の中を行ったり来たりするのですけれども、いかがですか。
  18. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 激甚災害指定につきましては、関係省庁が鋭意被害状況調査中でございます。調査が進むにつれて被害額は増大しているようでございます。私としては、現地視察さしていただきまして、大変胸が痛み、復旧への意欲を喚起したわけでございますが、今後さらに調査を急ぎまして、その結果を待って所要の手続を速やかに講じたいと考えておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、災害復旧施策の推進に当たっては、被災地域の方々復興の意欲を喚起しまして、一日も早く災害から立ち直れるように配慮してまいりたい。現地視察したときも今日も全く同じ気持ちでおるわけでございます。
  19. 粕谷照美

    粕谷照美君 私どもの行きましたときの調査報告に比べて、いま長官おっしゃったように、確かに被害調査が行き届きまして、きちんとした報告書になっておりますね。道路復旧状況が、通行どめが三十一カ所になった。私どもが行ったときには五十七カ所だったわけですから、大変な努力があったというふうに思います。また、道路河川等被害額も八月四日の時点では千百三十二億余りだったのが、いま千五百二十億ぐらいに、きちんと調査すると額が伸びているようであります、まだ伸びるのではないかという感じがするわけですけれども。それから、公立学校の施設なども、あのときは十六億だったんですが、いま二十億。それから、中小企業の被害はまだ把握されておりませんで、報告書の中になかったように思うのですが、いまはこれで三百八十七億と数字が出ておりますね。被害がどんどんあの時点よりも大きくなってきている。それなのに、いま長官おっしゃったように、調査を急いで、そして所要の手続が済んで速やかにやりたい、こうおっしゃっているんですが、速やかにやりたいというのは何をやりたいのですか。激甚災害指定をやりたいという、そういう気持ちでこの調査をしていらっしゃるのか、なるべく国の金を出さない方向でやろうと、こういうふうにやっていらっしゃるのか、いかがですか。
  20. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 繰り返して申し上げておりますように、復興への意欲を喚起し、地方公共団体への負担をなるべく小さくいたしたいという線に従って調査を急いでおるわけでございます。
  21. 粕谷照美

    粕谷照美君 はっきりと明言はされないけれども、そういう方向で調査をして努力をしたいんだというお心が私にはわかりましたが、島根山口両県から、また各市町村からも異口同音に激甚災を適用してほしい、こういう要望がされているわけですから、ぜひともその方向でしっかりと煮詰めていただきたいというふうに思いますけれども……。  この調査を急ぐというやり方について建設省は査定官、あのときももうすでに入ってあちこち走っていらっしゃったようですけれども、大蔵省は立会官、二人一組になって行くのですか、これ別々に行くんですか。一つ一つ現地に赴いて調査をされるわけでしょうけれども、長崎のときよりももっと早くこの報告が出るという感じですか、いかがですか。
  22. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) 公共土木施設被害報告でございますが、ただいま先生からお話ございましたように、建設省としては被災後直ちに査定官を現地に派遣しまして指導したわけでございますが、これは復旧の工法あるいは改良復旧についての方向等を現地で当たりまして指示、指導したわけでございまして、この被害報告につきましては、これは県あるいは市町村の担当者が現地を回りまして被害額を把握しまして報告していただくということになっております。  それから、先ほどちょっと先生おっしゃいました大蔵省との立会の問題でございますが、これは報告に基づきまして災害復旧の申請が出てまいりました場合に現地の査定をするわけでございますが、そのときに私どもの方の査定官と大蔵省の立会官、二名一組で現地で金額を査定していく、決定していく、こういうことでございます。
  23. 粕谷照美

    粕谷照美君 その調査の結果なんですけれども、該当するか否かという確定の日程的な目標というのはいま立ちますでしょうか。去年の長崎水害では中小企業関係については八月の二十日、それから公共土木、農地関係については九月の十八日に決定をしているわけです。それよりも範囲が広いから遅くなるのか、あるいはもうそれこそ政府が翌日に出かけていって、各市町村もそれこそ大変な努力をされてこの復旧をされているわけですから、申請も早々と私は出るのではないかというふうに思いますけれども、昨年よりは遅くならないと、この辺のめどはありますか。
  24. 田中暁

    説明員田中暁君) 昨年の長崎の場合におきましては、先生御指摘のように、中小企業関係の政令指定が八月二十日でございまして、そのほかの全項目については九月十八日に政令を改正したという形でやったわけでございます。  今回の災害の場合、長崎の場合先行いたしました中小企業被害につきましては、家屋内に非常にたくさんの土砂堆積しておりまして、非常にその泥の搬出に追われておりまして、調査実施が事実上困難でございました。また、被災の市町村の範囲も非常に広いと、こういうようなことから昨年並みの八月二十日の指定ということは困難であろうと考えております。しかし、昨年の場合も大部分は九月十八日に指定になったわけでございまして、この点に関します限り、われわれといたしましてはこの被害見込みの把握に全力を挙げまして、少なくとも九月十八日というようなことではなく、もっと早い時期に政令を公布したい、こういう考えでございます。
  25. 粕谷照美

    粕谷照美君 できるだけ早くその決定をしていただきたいと思いますけれども、その前にひとつ激甚災指定基準報告していただきたいと思います。
  26. 田中暁

    説明員田中暁君) 御承知のように、激甚災はそれぞれ多くの適用条項がございまして、その施設ごとにそれぞれ基準が違っているわけでございます。その基準を全部御説明を申し上げますと非常に時間がかかりもいたしますものですから、代表的な公共土木、中小企業あるいは農地農業用施設等につきまして御説明申し上げますと、公共土木施設関係につきましては、これもA基準とB基準がございまして、どちらか一方の基準に該当すれば激甚災害になるわけでございます。  A基準は、全国的に被害が広がっております災害、これに対してB基準はまあいわば都道府県といった地域、これも相当広域でございますが、こういったものに被害が比較的集中している災害に対して適用されるものでございます。具体的に申し上げますと、A基準につきましては、当該災害に係る公共土木施設災害復旧事業等の事業費の査定見込み額が全国の都道府県及び市町村の当該年度の標準税収入、いわゆる標税と呼んでおりますが、これの総額のおおむね四%を超える災害であるというのがA基準でございます。  B基準は、当該災害に係る公共施設災害復旧事業等の事業費の査定見込み額が全国の都道府県及び市町村の当該年度の標準税収八、標税の総額のおおむね一・二%の相当額を超える災害であり、かつ都道府県が負担する当該災害に係る公共施設災害復旧事業等の事業費の査定見込み額がその都道府県のその年度の標税の一倍を超える都道府県、これが一つ以上ある、または一つの都道府県の区域内の全市町村がその費用を負担いたします事業費の査定見込み額の総額がその全市町村の当該年度の標税の総額の〇・二五倍、四分の一でございますが、これを超える都道府県が一つ以上ある、この組み合わせがB基準でございます。  農地農業用施設関係につきましてもA基準とB基準がございまして、A基準は、その災害に係ります農地等災害復旧事業事業費の査定見込み額がその年度の全国の農業所得推定額のおおむね〇・五%を超える災害であるということでございます。  これに対しましてB基準は、その災害に係ります復旧事業事業費の査定見込み額がその年度の全国農業所得推定額のおおむね〇・一五%を超える災害であり、かつ、一つの都道府県の区域内における当該災害に係る農地等災害復旧事業事業費の査定見込み額がその都道府県のその年度の農業所得推定額の四%を超える都道府県あるいはその査定見込み額がおおむね十億円を超えるという都道府県が一以上あるというのがB基準でございます。  中小企業につきましても同様でございまして、A基準は、その災害に係る中小企業関係被害額が当該年度の全国の中小企業所得推定額のおおむね〇・二%を超える災害であること。  B基準につきましては、被害額が全国の推定額のおおむね〇・〇六%を超える災害であって、かつ、一つの都道府県の被害額がその都道府県の中小企業所得の推定額の二%を超える都道府県が一つ以上ある、これがB基準でございます。  これは、いわば全国を対象といたしましたいわゆる本激に係る激甚災害指定基準でございますが、被害がさらに局地に集中しているような場合におきましては、市町村単位に指定を行うための基準、局地激甚災害指定基準がございます。  これについて若干御説明申し上げますと、公共土木施設関係につきましては、当該市町村がその費用を負担するその災害に係ります公共施設災害復旧事業等の査定事業費の額、これは査定事業費でございまして見込み額ではございません、その額が、当該市町村の当該年度の標準税収入の一倍を超える市町村が一以上ある災害であるということでございます。  農地農業用施設関係について申し上げますと、その市町村におきます農地等災害復旧事業に要します経費の額が当該市町村に係る当該年度の農業所得推定額の一〇%を超える市町村が一以上ある災害である、こういうふうに相なっておるわけでございます。
  27. 粕谷照美

    粕谷照美君 大変詳しく御説明をいただいたわけであります。しかし、その御説明をいただいて私が理解をしたかと言うと、なかなかよくわからないんです。  簡単に言いまして、全国の平均なんというのは出ているわけですね。そうすると、いまやっぱり具体的に、災害を受けた市町村あるいは県の査定がきちんと行われないと、これの該当を発表することができない、こう理解してよろしいわけですか。
  28. 田中暁

    説明員田中暁君) 一番問題になります公共土木施設関係について申し上げますと、A基準、B基準とも一方の比べる対象が全国の標税でございます。それはその年度の標税ということでございまして、今度の災害について申し上げますと、五十八年の標税を使うということで、これがまだ発表になっておりません。これは八月二十六日ごろ発表になるということで、それまでは事実上はっきりしたことは言えないわけでございます。  それから査定見込み額、一方比べます復旧事業事業費の方は、これは査定額ではございませんで査定の見込み額でございます。したがって、先生御指摘のように、現地でいろいろ査定を急いでおるわけでございますが、これはまあいわば早期に着工するためのものでございまして、この基準に当てはまるかどうかという点について申し上げますと、県からの報告によって過去の経験則に照らします一定の査定率を掛けまして見込み額を出す。ですから、県からの報告がまとまればそちらの方は算出できる、こういうことでございます。
  29. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、県からの報告がまとまればできるということになりますと、全国の発表がされる八月二十六日以前でも可能だということでございますか。
  30. 田中暁

    説明員田中暁君) 標税の確定いたしますのがことしの場合は八月二十六日でございますから、それまでは被害見込み額が確定いたしましても、比較する片方の方が確定しませんので出ないわけでございます。  それから、ちょっと言い落としたわけでございますが、いわゆる局激の方は、これは公共土木について申しましても、査定見込み額ではなしに査定事業費となっておりますものですから、これは結局ほとんど年度いっぱいまでかかるということでございます。
  31. 粕谷照美

    粕谷照美君 そのこともいろいろと問題があるわけですけれども、近年、標準税収入の伸びが非常に大きくて、公共土木については激甚災の該当が非常に少なくなっているということで、何とか基準緩和をしてもらえないかという声が大きくなっていると思いますけれども、いかがですか。
  32. 田中暁

    説明員田中暁君) 御指摘のとおり、公共土木の特に本激の指定につきましては、この激甚法制定以後、地方公共団体の標準税収入、標税が非常に物価に対して著しく伸びておりますために、近年におきましては非常に適用がまれになっているということは事実でございます。  ただ、この指定基準の制定の趣旨からいたしますと、国民経済に著しい影響を及ぼし、かつ、当該災害による地方財政の負担を緩和することが特に必要と認められる災害が発生した場合、こういう場合に指定するという法の趣旨がございます。したがいまして、標準税収入の伸びということは地方団体の負担能力がふえているということにもなるという見方もあるわけでございまして、大変国の財政も厳しい状況にございますので、指定基準の見直しという点につきましては、その両方の見解というものを十分考慮しながら検討してまいらなきゃならない問題であるというように心得ております。
  33. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、基準緩和については検討するということはあり得るという理解でよろしいのですか。
  34. 田中暁

    説明員田中暁君) 非常に重要な問題であるという認識は十分持っておりまして、十分検討していかなければならないと考えております。
  35. 粕谷照美

    粕谷照美君 全然わかりませんですね、それは。検討をすると言ったって、やる気があって検討するのか、もうやる気がないんだったら検討する必要もないというふうに思うのですけれども、非常に強い要望もあるところですから、その辺のところは地方の方々も交えてきちんと検討していただきたい、こういうふうに思います。長官、いかがですか。
  36. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 私も実は、日本海中部地震の視察に行ったときに、本激と局激との間にもう一つの基準、段階を設けないと本当の意味の復旧ができないのではないか等も考えたことがございまして、鋭意取り組んだことがございます。また、この基準見直しについてはいろいろな方面からの御要望等もあるわけでございます。  要は、地元の公共団体になるべく負担をかけないようにする、そして住民の皆さん方が復興の意欲を持ってもらう、こういう線に従ってやっていきたい、こういう気持ちでございます。
  37. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、大体いまの基準の問題とも絡み合わさって、私は、政府としてはきちんとした数字が出なければ激甚指定ができないとお考えになるかもしれませんけれども、もう該当するであろうということははっきりしているんではないかという、そういう具体的な例を取り上げてお話をしてみたいと思います。  美都町の陳情書があります。その陳情の中で町長さんが、公共土木、町分で五十億、農林関係で四十億の災害で、両方合わせて百億近い、こう言うのですね。町の予算が二十億円ですから、五年分ぐらいの予算が流れ去ってしまった。もともと過疎地だったけれども、ようやく過疎化がとまってこれから人口がふえ始めるというやさきで非常に大変なことなんだというお話をされておりました。ようやく「さくら2号」で、三日目、二十六日に電話が通じたけれども、第二次災害にならなきゃいいがなと、こういうふうに考えていました。特に谷とたんぼが一緒になって河原になってしまったということなんですね。  それからまた、三隅町では全壊、流失二百七戸、現在も役場なんかに、避難所に入っているわけです。私ども東京におりましても熱帯夜で眠れないというときに、ああいう中でどうして寝ることができるのだろうか、夜寝なければ復旧の作業もできないのにと、本当に胸の痛くなる思いをしてきたわけですけれども、これでも激甚災害にならないのか。局地的にはこれは確実になる。その他の町村もありますけれども、いかがですか。
  38. 田中暁

    説明員田中暁君) 美都町の実例を挙げての御質問でございますが、御指摘のようにもし公共土木で五十億円の被害が美都町にあったといたしますと、恐らく美都町の標準税収入等から比べまして市町村単位の激甚、つまり、いわゆる局激の指定の可能性は高いであろうと思われるわけでございます。
  39. 粕谷照美

    粕谷照美君 また、島根県の報告をいただきますと、三隅町の不明分を除きまして約千七百三十億、これは八月三日現在ですが、県の予算の大体六〇%に当たる、こういうのであります。国体をやった後というのはどうしてこう災害が来るのかと思うのですけれども、私新潟の出身で、国体をやった翌年に地震に遭いまして、本当にもう島根も大変だろうなと、こういうふうに思っているわけですけれども、当然島根県としてもこれは該当 するんじゃないんでしょうか。いかがですか。
  40. 田中暁

    説明員田中暁君) 大臣もちょっとお触れになったわけでございますが、御承知のように、県単位の局激のような制度は現在ないわけでございまして、県につきましてはいわゆる本激の指定があるかどうかということが問題なわけでございまして、この辺につきましては、いま先生が御指摘になった島根県の被害額だけでは本激の基準を現在のところ満たしてはいないということになるわけでございます。ただ、本激は島根県だけの被害額ではございませんで、あの一連の気象条件の、あの豪雨のほかの県の被害をも集計をいたして、それから五十八年度の全国の標税と比べて物を言うという制度でございますので、いまのところどういうことになるのか、われわれとしてはっきりしたことは申し上げかねるということは御理解賜りたいと思います。
  41. 粕谷照美

    粕谷照美君 次に、羽須美村の陳情書を私は見てみました。大体一千世帯のうち二百八十戸が災害に遭っている。村ですから所得も非常に低いし財政基盤も浅くて、特に老齢化に悩む典型的な過疎村である、こういう村長さんからのお話であります。その中で私が一番胸を痛めましたのは、廃村に通じかねないような大打撃だというんですね。これは村がなくなっていくなんということはもう本当に重大なことだというふうに思うわけですが、農業を維持できない者に対する金融的な措置なんというようなものがいろいろあろうかと思いますが、どのようになっておりますか。
  42. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) 被災者方々に対する金融的措置につきましては、いろいろな制度があるわけでございますけれども、そのうちの一番いままでも有効に働いてきておりますものは自作農維持資金でございまして、本資金につきましては、早速地元県とも資金事情等を調査を開始しておりますので、そういうものがまとまり次第できるだけ早く融資をいたしまして、被災者方々の再起のために万全を期したいと思っているわけでございます。
  43. 粕谷照美

    粕谷照美君 自作農維持資金、これは調査はどのくらい進んでおりますか。とにかく、百五十万円で年利四・六、それから三年据え置きの三十年返済という非常に有利な資金ですから、借りたいという方がいっぱいいらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、借りることもできない人もまた逆にいるんではないか。そういう展望も持てない人がいるんではないか。農業やっていくという展望も持てない人がいるんではないか。その辺のところも含めまして調査は一体どのくらい進んでおりますか。  それからまた、いままでに貸し付けを受けていらっしゃるというような方で、被災農家で、別途に借りることができますか。以上です。
  44. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) いままでは災害調査でありますとか、あるいは緊急的な人命救助であるとか、そういうことに地元も忙殺されていたようでございまして、まだ具体的な個々の農家の資金需要の把握ということについてはそれほど積み重なった結果になっておりません。しかし、できるだけ早くそういう資金需要をつかまえることは、何といいましても地元に対する対策としても有効でございますので、一日も早くそういうものを整理するようにということで地元との協議に入っておるわけでございます。  それから、自作農資金の性格でございますけれども、これは災害等によって収入が減じたものも融資対象になっておりますので、そういう収入補てん的な融資になっておりますので、かなり幅広く貸し付けはできるかと思っております。
  45. 粕谷照美

    粕谷照美君 そのほかにも再建整備資金などというものがありますけれども、この辺のところもやっぱり調査は進んでおりますか。まだまだそこまで手が届かないということになっておりますか。
  46. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) 残念ながら、いまのところ具体的資金需要については把握できておりませんけれども、できるだけ早く把握いたしまして、一日も早く復旧に努めたいと思っております。
  47. 粕谷照美

    粕谷照美君 災害復旧に当たりまして、国の直轄事業というのは二年間で行う、それから補助事業というのは三年間で行う、こういうことになっているわけでありますが、間違いありませんか。
  48. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) 公共土木施設については先生の御指摘のとおりでございます。
  49. 粕谷照美

    粕谷照美君 この補助事業というのは、初年度が三、二年目が五、三年目が二、こういう割合になっているようでありますね。しかし、去年の七月災害はこの割りではなくて特別の措置が行われたように思いますが、どうでしょう。
  50. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) 先生御指摘のとおり、昨年におきましては、通常の年の三、五、二の割合を大幅に初年度促進いたしまして、初年度七割強の予算措置がなされております。
  51. 粕谷照美

    粕谷照美君 七割強ですか。そうすると残された三はやっぱりあと二年間ということになるわけですか。
  52. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) 残りの三割につきましては、二年目に当たります五十八年度、本年度におきましてその半分一・五割、残り一・五割を五十九年度というぐあいに予定しておりまして、三カ年の予定は変わりございません。
  53. 粕谷照美

    粕谷照美君 そういう特例措置というのはなぜできたのですか。今回そういうことも考えられますか、いかがでしょう。これは長官の方ですね。
  54. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) 昨年度は、先生御承知だと思いますが、今回の災害と同じに七月二十三日に長崎市に非常に大きな災害がございました。引き続き十号台風が追いかけて八月一日、二日ごろにございまして、これが激甚災害指定されたわけでございます。その後十五号、十八号と相次いで台風が来襲しておりまして、長崎災害自身でも非常にまれに見る災害でございましたが、その後の被害額も入れますと、昨年度公共土木施設被害報告額で約一兆円といういまだかつてない大きな災害になっております。そういった激甚な災害にかんがみまして、民生の安定あるいは早期復旧事業の効果を上げるために促進の措置がとられたものだというぐあいに私どもは考えております。
  55. 粕谷照美

    粕谷照美君 この三年間の補助事業というものを国の直轄事業と同じように二年でやってもらいたいと、こういう要望も強いというふうに思いますが、長官いかがですか、この辺は。
  56. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 地元の御要望を十分勘案しながら、そして民生の安定と災害復旧への意欲を十分喚起しながらやっていかなくてはなりません。また国の財政事情等も念頭に置かざるを得ないところに私たちの一番の苦しさがあるわけでございますが、要は民生の安定と国民の生命財産を守るという基本的な姿勢に立って今後やっていきたい、このように考えておるところでございます。
  57. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は長官のおっしゃるとおりだと思うんですけれども、その辺が卵が先か鶏が先かということになるのではないかというふうに思うんですね。もう台風五号も今回近づいてきておりますし、その後また二百十日を控え二十日を控えなどということになりますと、本当に一日も早い復旧というものが望まれてくるわけで、地元要望は私どもは当然だというふうに思うわけですが、その復旧に当たりまして、原形復旧ということではなくて、もうどうしても改良復旧をしてもらいたいという陳情がどの市町村でも行われております。いまの派遣されました委員報告によりましても、浜田周布川の下流両岸の堤防がえぐられている、中小河川復旧改良を加えることが不可欠だと、こういうふうに指摘をしているわけでありまして、改良工事に対する考え方はどのようになっておりますか。
  58. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) 先生も御指摘のように、公共土木施設災害復旧につきましては、負担法そのものは基本的には原形復旧ということになっておりますが、しかし負担法の中にも、原形復旧することが著しく不適当であるとかあるいは困難であるといった場合にはそれにかわる施設を実施することが可能であるということにもなっております。そういうことを踏まえまして、私ども、目下、県あるいは市町村を通じまして現地被害の実態を把握さしておりまして、それに適切な対策を検討中でございますが、そういった実態を踏まえて適切な工法を実施するよう指導してまいりたいというぐあいに考えております。  それから、より根本的な改良でございます。ただいま先生からお話ございましたような中小河川といいますか、河川復旧のように、思い切って川幅を広げるとか川の形を直すとか、そういったような改良、根本的な改良の場合におきましては、災害復旧助成事業あるいは関連事業、あるいはまた別の制度でございますが、激甚災害特別対策緊急事業等の根本的な改良復旧とあわせて施行するといった制度もございますので、こういった制度の活用も、現地被害状況等を把握しながら、今後県あるいは地元市町村と十分協議をしながら進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  59. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、派遣委員報告はうんと尊重してやっていただけると、こう理解していいのじゃないかと思いますが、中小河川の整備管理がきわめて不十分でおくれているという指摘はもう事あるごとにされているわけですけれども、川本町の私は陳情書を見ました。江の川の水位、警戒水位で六メーターだというのですね。その六メーターが六・九メーターまで行った。九十センチオーバーなんですね。これが二十二日の午前四時ごろなんですね。それが減水していったからある程度安心をしていた。ところが二十三日、また連続雨量が四百二十九ミリで、最高水位が十一・五メーターだというんですから、警戒水位を突破すること五・五メーター、本当に大変な状況になったというふうに思います。そういう中で、ぜひ洪水調整ダムの建設、抜本的な川の対策もやっていただきたいという要望も入っております。  また、江津市では江の川の上流ダム、これ四つ必要だというふうに言われているんですが、十年かかってようやく一つでき上がって、一つは作業途中で、あと二つは調査中だと、こういうようなお話もあったわけです。十年に一つ半のダムができるということは、速いのか遅いのかは全国を比較してみれば普通だという意見もありましょうけれども、しかしその下流に住む人たちにとってみれば本当に遅い作業だというふうに私は思わざるを得ないというふうに思うわけであります。この地方には連続して昭和十八年、三十三年、四十六年、四十七年と大洪水が出ているわけで、今後もっと作業を進めていく必要があると思いますが、いかがですか。
  60. 志水茂明

    説明員(志水茂明君) 先生御指摘のとおり、江の川水系におきましては、ダムとして建設省の直轄で昭和五十年に土師ダムを完成させております。現在は灰塚ダムの実施計画調査を進めております。また補助事業といたしましても、波積ダムの実施計画調査を進めております。なお、そのほかダム建設の可能性につきまして予備調査実施中の地点も、先生先ほど御指摘のとおり幾つかございます。  灰塚ダム、それから波積ダム、すでに実施計画調査に着手しておりますダムにつきましては、地元関係者の理解と協力を得ましてその実施を促進してまいりたいと考えておりますし、その他の予備調査中のダムにつきましても、治水、利水の総合的な観点から必要な調査を進めていきたいと考えております。
  61. 粕谷照美

    粕谷照美君 本年度のこの治水、治山の予算ですけれども、こう見てみまして、一体そういう問題ある中小河川の改修が達成をされるというのはいつごろをめどにしていらっしゃいますか。
  62. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) ただいま先生から、河川改修がいつごろをめどにということでございますが、実は現在、第六次治水事業五カ年計画を五十七年度からやっておりまして、これの目標としましては、当面、大河川におきましては戦後最大の洪水に対処するということを目標に立てております。それから、中小河川につきましては時間雨量五十ミリ相当に対応できるということでやっておりますが、それにつきまして、第六次五カ年計画始まります前と申しますと、五十六年度末におきまして、大河川で改修率が五八%でございます。中小河川が一八%でございます。第六次五カ年計画終わりますと、大河川では改修率が六三%、中小河川では二三%ということになっておりまして、なかなか大変でございまして、何年に終わるというような最終的なめどというのはちょっと立ちませんが、そういうペースでやられているところでございます。
  63. 粕谷照美

    粕谷照美君 長官いかがですか。もう臨調もなかなか厳しい方針を出しておりますし、国家財政も大変な赤字でございますけれども、こういうことなしに本当に国民は安心して生活をすることができないというふうに思いますが、予算の獲得に全力を挙げてがんばっていただけますでしょうか。
  64. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 公共事業につきましては過去数年間横並びということ、そして五十九年度はマイナスシーリングと、先生御存じのとおりの予算編成をせざるを得ない非常に厳しい財政情勢にあるわけであります。そういう中で防災関係——国民の生命財産を守るという点についての特別の配慮を、私は先般のシーリング閣議におきましても各省庁関係大臣にお願いいたしたところでございます。  また、各種事業に伴いましてそれぞれ五カ年計画、十カ年計画等を立てております。これを一〇〇%遂行さすのさえ現在の財政情勢下では非常に厳しいんではないか。しかし、その厳しい中にも将来国民が安心していただける方途を一つずつ精力的に講じていかなくてはならない、このように考えておるところでございます。
  65. 粕谷照美

    粕谷照美君 実力大臣ですから、ぜひがんばっていただきたいというふうに思うわけであります。  さて、派遣委員のこの報告の中で、今回の災害の特徴は山崩れがけ崩れに伴う被害が非常に甚大であり、死者負傷者のほとんどが土砂崩れによる家屋もろともの埋没、圧死であると、本当に心からの御冥福を祈るにもこちらの方がまいってしまいそうな、こういう報告書を出さざるを得ませんでした。そういう中で特殊土壌の件と土砂害対策が取り上げられております。このことについて建設省としては一体どういう具体的な方策を持ち、努力をしていらっしゃるか、伺います。
  66. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) お答えを申し上げます。  昨年の長崎災害も非常に土砂による死者が多いということで、私どもといたしましては、土石流関係につきましては総合的な土石流対策ということで、従来、土石流あるいはがけ崩れに対しましても工事を積極的に推進するということはもちろんでございますが、それだけではなかなかとうとい人命が守られないということで、やはり警戒避難体制を拡充するということもあわせましてこれに対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
  67. 粕谷照美

    粕谷照美君 警戒避難なんといいましても、警戒水位を五・五メートルも上がるような水のときにどこへ逃げたらいいのかなんということだって非常にむずかしいというふうに思いますが、何といっても、その警戒体制も大事ですけれども、危険個所を直すということが大事だというふうに思うわけです。一体危険個所はどのくらいありますか。
  68. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) 私どもで担当しております急傾斜地崩壊危険個所について申し上げますが、急傾斜地崩壊危険個所は、調査の結果、全国で約七万二千カ所あることが判明しております。
  69. 粕谷照美

    粕谷照美君 全国で七万二千カ所。そうすると、今回のこの島根県はどのくらいありますか。そしてまた、今回の災害に遭いました島根山口で、その指定されていた地域山崩れがけ崩れなどがあったというところはどのくらいありますか。
  70. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) まず島根県におきます急傾斜地崩壊危険個所数でございますが、島根県で千八百七十カ所でございます。なお、山口県では二千四百カ所になっております。  それから指定個所の中で今回の崩壊が起きたかどうかということにつきましては、現在詳細な調査結果がまだ参っておりませんので、ちょっとお答え申し上げられないわけでございます。
  71. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、ここのところが非常にいま大事なことで、防災計画の中に入っていたかどうかということを知らなければならないというふうに思うんですね。テレビを見ておりまして、三隅町の町長さんが、生き埋めになった方のことをお話しして、ついこの間会って、町長、この前の方は直してもらったけれども背中の方を直してもらわぬと困ると、こう言われたその背中の山が崩れて亡くなられたということをお話をされておりましたけれども、住民たちにとって、自分の地域がその危険地帯に入っているのかどうなのかということを知ることができるのかどうなのか。今回の報告の中にも、周知徹底について努力をしなければならないということが指摘をされているわけですけれども、どのような取り組みをしてきたのか、これからしていかれるのか、何か問題点があるのか、それはいかがですか。
  72. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) 急傾斜地の崩壊危険個所をまず調べまして、この危険個所の中から——原則としては全体が危険区域として指定できればよろしいわけでございますが、私権の制限というような問題もございまして、危険区域の指定がおくれがちであることは事実でございます。この危険区域の指定をいたしますと地域防災計画の危険区域にも指定されまして、これは地域防災計画の中での警戒避難というようなことに組み込まれるわけでございます。そのほかの危険個所につきましても、府県を通じまして各市町村危険個所であるということを周知させるように指導をいたしておるところでございます。
  73. 粕谷照美

    粕谷照美君 私権が制約されるといういまお話がありましたけれども、最近の不動産業者の案内なんかを見ますと、何々有名学校がありますとか、何々こういう施設がありますとか駅がありますなんというようなことが利益として述べられている、そんなところに危険指定個所ですなんというようなことを入れたら地価がうんと下がるのではないかと、こういうことで大変な反論も抵抗も大きいというようなことを聞いておりますけれども、しかし自分の命を守るということになれば、そういうことはきちんと指摘をしてもらわなきゃ困ると思うんですけれども、いかがですか。
  74. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) このことにつきましては、先ほども申し上げましたように、危険個所として把握したものにつきましては市町村を通じて現地に周知していただくように指導をいたしておるところでございます。
  75. 粕谷照美

    粕谷照美君 何か少し私は納得ができないものがありますけれども、このことだけで時間をとっているわけにはいきませんからやめますけれども、今回の山崩れですね、三隅町の町長さんが、木も生えていると、何百年も災害がなかったと、そういうところが崩れて、あたら人命が失われているんだというお話がありましたので、それで私はそういう場所が指定をされていたのかどうかということもお聞きをしたかったわけであります。  そのほかに、建設省としては急傾斜地崩壊対策事業だけではなくて、特殊土壌地帯対策などいろいろなことをやっていらっしゃると思いますが、その辺は幾つか例を挙げていただきたいと思います。
  76. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) 特殊土壌地帯というお話がございましたが、島根県の場合は全県が深層の真砂の風化ということで指定になっております。しかしながら、今回の崩壊でございますが、これは真砂の個所だけでなくて、ほかの地層のところも非常にたくさん崩壊が出ておりまして、先ほどお話がありました非常に古い先祖伝来住んでおるというところが今回崩れたということで、こういったことを現時点で考えてみますと、非常に急激な雨が降ったということが原因ではないかと思っております。  なお、今回崩壊いたしました地点につきましては、緊急急傾斜地崩壊対策事業等で年度内に対応するように配慮いたしております。
  77. 粕谷照美

    粕谷照美君 ぜひ安全な条件を早くつくっていただきたいと、こういうことを要望しておきます。  次に、気象庁に伺います。  現地で松江地方気象台の資料をいただきました。このいただいた資料をちょっと見てみますと、大変なことなんだなということをしみじみ思ったわけですが、この注意報と警戒警報が次から次へと更新されて発表されておりますね。この状況について御報告をいただきたいと思います。
  78. 黒沢真喜人

    説明員黒沢真喜人君) 先生御案内のとおり、七月二十日から山陰地方を通りまして東西に梅雨前線が位置するという状況になりまして、二十、二十一、二十二日と断続的に山陰地方から北陸地方にかけまして雨がすでに降っておりました。それに引き続きまして、二十二日の夜半過ぎから二十三日午前にかけて、御承知のとおりの非常に強い雨が集中したわけでございます。この豪雨に関連しまして、島根県を担当します松江地方気象台が注意報、警報を発表した状況について御報告申し上げます。  この雨の危険性につきましては、すでに二十二日の早朝あるいは二十二日の夕刻の時点におきまして、山陰地方から北陸地方にかけて二十二日の夜から二十三日の朝、その期間に大雨のおそれが大きいということで、気象庁本庁におきましては大雨に関する情報を発表して警戒を呼びかけたところであります。これを受けまして松江地方気象台では、七月二十二日の午後から大雨のおそれが出てきたということで、十八時四十分に大雨・雷雨、それに強風・波浪注意報を加えて発表いたしました。その後雨は午後十時過ぎまでは全然降っておりませんで、それから午後の十一時、十二時にかけましては一時間に十ミリ前後というふうな状況の雨の降り方でございました。  こういった中で、松江地方気象台では午後の五時から連続的にレーダーを運転しておりまして、アメダスを監視するとともに、豪雨の発現の危険を監視しておったわけでございます。午前零時のレーダー観測によりまして、海上にかなり豪雨危険性を伴う雨雲が接近しているということで、急遽二十三日の零時三十五分に大雨・洪水警報と、それから雷雨注意報をあわせて発表いたしました。その後も一時間ごとに雨の状況と、それから数時間以内の見通しにつきまして、大雨情報というものを県内に向けて発表いたしまして、豪雨に対する警戒を呼びかけてまいった次第でございます。
  79. 粕谷照美

    粕谷照美君 二十日の日にも午後三時半には注意報、そして二十一日の朝の五時には警報、そしてまた注意報、さらに午後九時半に警報、雨によってしょっちゅう警報が出されるわけですね。私ども戦時中の人間にとってみますと、警戒警報なんというと、初めのうちはもうびっくりして防空ごうの中に逃げていましたけれども、警戒警報、空襲警報なんていってもなかなか防空ごうの中に入らなくなるんですね。それで、敵機襲来であわてて入ったりなんかしたことを思いまして、警報発令して市町村の人たちがいつ避難せいというようなことを指示するかということは大変な判断なんだというふうに思います。いまの気象庁の御報告にもありましたけれども、六十ミリの大雨に突如として変わるのが午前一時ですから、その二十五分前に警報が出された。そうすると、それから一時間たって避難命令がそれぞれの市町村状況に応じて出されているようでありますけれども、よくここまで正確に私は警報をつかんだもんだと思うんですけれども、しかし今度は危ないぞというその警報が市町村に届くときにはウルトラ何とか警報とか、何かそんなものはないものなんでしょうか、どうですか。
  80. 黒沢真喜人

    説明員黒沢真喜人君) 昨年の長崎の大雨に関連しましてもそのような御質問がたしかあったかというふうに記憶しておりますけれども、現在気象庁が行っております大雨あるいは洪水に関する警報というのが気象庁で行います最上級の警戒の呼びかけということでございまして、気象庁では、現在、なるべくそういった警報を早期に発表するように心がけるということで進めておるところでございます。一日前とか半日前にこういった警報が時間と場所を指定して具体的に示して予想することができるとよろしいわけですけれども、なかなか回難な状況にございます。  そこで、現在の状況を申し上げますと、世界各地からの資料を迅速に集めまして予測計算を行います。それで、大雨の可能性につきまして半日ないし一日前という段階で予想できる状況と申しますと、九州とか中国地方とか、こういった地方単位のわりあい広い地域について夜半から明朝にかけてという時間スケールでの予想がようやく可能になってきているという状況にございます。それで、そういった状況が想定された場合には、その地域の気象台では、先ほども申しましたように、監視を強化いたしまして、気象衛星の資料はもとより、レーダーあるいはアメダスというような観測施設をフルに使いまして、大雨の前兆を一刻も早くつかまえて警報を発表するということで、少なくとも二、三時間前に発表できるようにということで努めておる次第でございます。  今回の島根県の西部の雨につきましては、一時間の最大の雨量九十ミリというのが益田市で観測されておりますけれども、午前六時から七時という段階でございましたが、今度の雨につきましては、さらにその前に二十日から降っていた雨のために土が緩んでいたというような状況もありまして、何回も注意報、警報の発表がそれまでにあったということも先生御指摘のとおりでございますが、それなりにやはり危険が迫っていたという状況で、私どもではその警戒を呼びかけてまいったという状況にございます。
  81. 粕谷照美

    粕谷照美君 気象庁の大きな単位の予報というのは大分当たるようになっていますけれども、集中豪雨についての予報がもっと的確にできるという、そういう技術的な展望というものはあるのでしょうか。
  82. 黒沢真喜人

    説明員黒沢真喜人君) 集中豪雨を十分な時間的な余裕を持って地域それからその発現する時刻を明らかにして予想するということにつきましては、これは世界各国の共通の念願といいますか、課題でございます。気象庁におきましても、こういった現象に対する基礎的な研究開発に努めておりまして、また雨量の予測等につきましても技術開発に努めておりまして、集中豪雨にもいろんなタイプがあるわけですけれども、その幾つかに対してはかなり成果が上がってきておる状況にございます。しかしながら、さらにすべてのタイプの集中豪雨を早期に予想するということになりますと、まだまだ技術あるいは基礎的な研究開発のほかに、観測施設の充実というようなこともあわせて進行いたしませんとなりませんというような状況もございまして、今後引き続き開発に努力して早期に発表できるようにと進めていきたいと考えておるところでございます。
  83. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は決算委員会委員のときに気象庁を見てみまして、すばらしい機械がいっぱい入っているわけですが、これからひとつ、予算の面なんかも含めまして、十分に皆さんの研究が実るように努力をしていきたいというふうに考えております。  それで自治省の消防庁に伺いますけれども、これから台風シーズンを迎えて、気象情報を受けて住民に警戒、避難を呼びかける自治体の対応というのは非常にむずかしいというふうに思います。三隅町で防災無線を活用して大ぜいの人命を救うことができたというこの成果についての御報告をいただきたい。
  84. 長谷川寿夫

    説明員長谷川寿夫君) ただいま先生の御質問の件でありますが、実は担当所管が参っておりませんで、私それにお答えするものをただいま持ち合わせておりませんので、申しわけありませんが、お答えを差し控えさしていただきます。
  85. 粕谷照美

    粕谷照美君 長官、私災害についての質問は初めてなんですけれども、一つ質問するとそれは何省の何課でなければ答弁ができない、一つ質問するとそれは何省の何課だと、実に細かく出席を要請しなければ答弁できないような形になっているのは非常に残念なんですね。もうちょっと大きな立場で答弁できるような体制をつくっていただきたい。いかがですか、その辺は。
  86. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) まずその前に、ただいまの防災無線の件について、私も今回の災害、特に三隅町における防災無線の効果と住民に対するいろいろな活動、特に防災無線を置いてある町役場の一階まで土石流が入ってくるまで避難を呼びかけ続けた一連の態度に対して、防災無線というものは必要だなと、こう思いました。そこで先般、防衛庁長官に電話を入れまして、これから防災無線の町村における必要性と本年度における予算、来年度における予算、こういうものについて強く要望いたしておきました。今年度、五十八年度の防災無線に対する補助金、消防庁大体十六億円準備されておるようでございます。そして六億円が都道府県、十億円が市町村、したがって一カ町村二千万円ということになると一年五十町村ぐらい町村の防災無線はおやりいただいておる。そこで、来年度はひとつこれらの単価を上げて——二千万では少ないんじゃないでしょうか、五割アップぐらいにひとつして五十九年度はさらにやっていただくようにというお願いはいたしたわけでございます。消防庁の方、本当に一生懸命こういう問題にもやっていただいておるということを再認識いたした次第でございます。また、防衛庁……、消防庁でございます。砂予田長官にしたので、防衛庁と申し上げたのは取り消さしていただきたいと思います。  それから、この非常災害対策本部という制度がございますので、先生後段の御指摘の場合には、今回でも日本海中部でも、政府におきましては、その非常災害対策本部をつくる場合には災害対策関係省庁連絡会議というのをやりまして、十分意思の疎通を図り調整いたしております。また、今回のような大きなときには非常災害対策本部をつくりまして、国土庁の方に関係省庁のそれぞれの皆さん全部お集まりいただきまして——実は私も不思議に思ったのは、水の一杯も出さずに会議をやる、どうしてだといっていろいろ聞きましたが、そういうことをやりながら真剣に各省庁集まって議論していただいておりますので、私は国の防災に対するいまの機構は相当充実いたしておると、このように思うわけでございますが、ただいまの、消防庁の関係の皆さん、答弁者が来ていなかったということについては大変申しわけなく思うわけでございますが、現在そういう政府は取り組み方をいたしております。きょう先生が次々御質問いただくと思うのでありますが、文部省、厚生省から自治省から各省庁にまたがっておりまして、そこら辺の連絡にそごを来さないように万全にやっておることを御理解いただきたい、こう思う次第でございます。
  87. 粕谷照美

    粕谷照美君 人のやることですからね、どこかにこぼれがあってもどうということないのですけれども、私が言いたいのは、この程度のことは担当でなくても答えられるのではないかということを言いたかったわけです。  いま長官御訂正なさったからよかったんですけれども、私はびっくりしたんです。防衛庁に電話をしてこのことについてそういう要望をしたと。それはなぜびっくりしたかといいますと、きのうの朝日新聞に、有事に備えて県民防衛隊をつくるという大きな記事が載っておりましたね。福井県でそれを何か条例でもつくろうという動きがあるのでしょうか。旧軍人を中心自衛隊の退職者、昔の在郷軍人みたいなものでしょうか、そういうものをやろうという動きがあると言っているものですから。  それで長官、この災害の救助の体制というのは、たとえば自衛隊はずいぶん市町村からの要望に応じて出ていきますよね。こういう災害に当たる団体というのはどこにあるんですか。どういうものがあるんですか。
  88. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 基本的には警察、消防、こういうところに当たっていただきます。そしてまた、自衛隊法においては災害時出動というのが明定されてあります。今回の七月豪雨におきましても、先ほど来の御質問あるいは答弁の中にもありましたが、七月の二十日から二十三日という三日間現地の人々はある面で言いますと疲労こんぱい、警戒警報が出る、いつ来るか、帰る、いつ来るか、帰るという中におきましてそれぞれの方々が必死にがんばっていただいたのでありますが、その間における警察、消防関係、特に地方公共団体の職員、こういう皆さん方の獅子奮迅の御努力には深甚な敬意を表しておるわけでありますが、三日間も四日間も続きますとそれぞれの地域で疲労こんぱいしておられる。そういうところに行きましたときに、自衛隊出動に対する強い要請というものも現地で私は体験した次第でございますが、こういう大きな災害になりましたら官民心を合わせて災害に当たるということが大切ではないか、このように思っておる次第であります。
  89. 粕谷照美

    粕谷照美君 九十八回国会提出の「昭和五十八年度において実施すべき防災に関する計画」をちょっと見てみたのですけれども、三十九ページのところに「コミュニティ防災センターの整備」というのが入っておりますね。その中で「自主防災組織等に対し高度な防災教育、訓練を行うとともに、広域的な備蓄、中継輸送を行う拠点を確保するため、広域防災センターの整備に要する経費についてもその一部を補助する。」などということがあるわけです。この「自主防災組織等に対し」というその自主防災組織というのは、一体先ほど言われた何かあるのですか。
  90. 田中暁

    説明員田中暁君) 自主防災組織と申しますのは、一般的に地域的な団体で申しますと、たとえば町内会、自治会というようなものを母体といたしまして、自主的に防災のために組織している組織でございまして、国とか地方公共団体のそれぞれの消防機関、警察機関等で災害時に事に当たるのは当然でございますが、特に地震等の大規模災害におきましてはそれだけではとうてい手が足りないわけでございまして、そういった意味で、その自主防災組織を育成強化するということが非常に大切な施策になっておるわけでございまして、国といたしましてもそういった施策を強化してきているところでございます。
  91. 粕谷照美

    粕谷照美君 いまの町内会とか自治会などが自主防災をやる場合にはそれを考えている、こういうお話。それ以外にあるものというのは一体何ですか。
  92. 田中暁

    説明員田中暁君) 地域的な自主防災組織ですと、やはり町内会、自治会というものが比較的一般的に存在しておりますから、それを母体にして組織するのが通常の形態であろうと思います。新しい団地等では、そのためにそういった既存の組織等がない場合には、新しく自主防災組織というものをそれ自体のためにつくるというケースもあり得ようかと思います。また、企業等を単位にそういった組織をつくるということもあり得るわけでございます。
  93. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、この朝日に載っておりました「「有事」に備え県民防衛隊」などというこういうものもその中に、自主的なものをもしつくられれば入りますか。
  94. 田中暁

    説明員田中暁君) 実は私恐縮でございますが、その新聞記事をよく読んでおりませんので内容をつまびらかにいたしておりませんが、たぶん、いま私の方なりあるいは消防庁の方でいろいろ育成しておると申しますか、タッチしておりますような自主防災組織とは関係がないのではないかと思います。
  95. 粕谷照美

    粕谷照美君 私はこれはまた後で取り上げてやりたいと思うのですけれども、「ことし三月二十日、東京・九段会館で開かれた国民防衛隊結成準備会で明らかにされた。」こういうことになっているんですね。「発起人として、自衛隊OBの堀江正夫、源田実両自民党参院議員、奇襲対策発言の栗栖弘臣・元統幕議長らが名を連らねた。「日本民族生き残りの為に」という副題のついた趣意書には「政府は国際非常の時局に対処する方策を知らず……まさに亡国の危機……」であるとか、こういうことを書いてある。非常に恐ろしい。こんなものが災害対策を前につくられて、そんなところに金を出されていく。教育するんだかされるんだかわからないようなそんなことについては、厳重に私たちは監視をしていきたいというふうに思っております。  質問予定じゃなかったんですけれども、長官がおかしな間違った発言されるものですから、ついつい気になりましていまのは質問をしたのであります。  同じく消防庁。  私は先日新潟へ行きましたら、新潟日報にこのくらいの小さな囲みで、日本海の沿岸市町村三十に高圧ガスボンベが流れてくるおそれがある、あるいはドラム缶が流れてくるおそれがある、だから注意をせいという発表があったのであります。もう海水浴シーズンですから非常にみんな恐ろしい思いをしたわけですが、これはもう安心なのですか、どうなんですか。出しっぱなしで、いつまでもいつまでもこういう不安があるんですか。
  96. 長谷川寿夫

    説明員長谷川寿夫君) ただいま先生御指摘のドラム缶の流出などでございますが、私ども県を通じまして調査した結果によりますと、昨日現在、島根県の水害地域から流出いたしましたドラム缶の本数が九百四本となっております。現在、日本海沿岸関係府県で回収いたしました本数は九百二本という数字になっております。なお、この数字、京都府、福井、石川、そして島根県、これが九百二本となっておりますが、これは現在まだ数字が動くものと思いますので正確なことは申し上げられませんが、おおむね回収されている。  なお、このドラム缶の中身でございますが、これが危険物が入っているものかどうかという点につきましても現在調査中でありますけれども、おおむね四〇%ほどのドラム缶は空であったという報告を受けております。
  97. 粕谷照美

    粕谷照美君 それじゃ、安全だというように理解をしてよろしいという報告と受け取っておきます。  国鉄に伺います。  政府報告をいただきましたから、ずいぶん復旧が進んでいるんだと皆さんの御努力を多とするわけでありますけれども、山陰線が全部通るという見通しはいかがなものでございますか。
  98. 村上温

    説明員(村上温君) 山陰線の不通で御迷惑、御不便をおかけしておりまして申しわけございません。  ただいま先生からお話がございましたように、罹災直後からの復旧工事は連日の好天で非常に進捗状況がよくなってございます。米子の管理局では、お盆の輸送あるいは新学期の輸送等を控えまして、一部の区間からでも通そうということで努力をしておりまして、現在までのところ、すでに八日に江津浜田の間が開通しておりますが、さらに十三日お盆から、災害のひどかった浜田三隅の間、それから奈古から江崎の間を開通することになっております。残りました区間のうちの橋梁の傾きました区間を含みます三保三隅益田の間につきましては、当初の見込みより若干早まりまして九月下旬には開通できる見込みでございますが、なお一日でも早く開通するように努力中でございます。
  99. 粕谷照美

    粕谷照美君 それは完全に復旧をするということで理解をしてよろしいですか。国鉄は赤字だからお金のことが心配でなかなか復旧がはかどらぬなんていうことはないのでしょうね。
  100. 村上温

    説明員(村上温君) 今回の被害は、線路、車両全部含めまして約七十五億ということで大変な額でございますが、完全に復旧する見込みでございます。
  101. 粕谷照美

    粕谷照美君 文部省に伺います。  公立学校施設等に関する報告が出ておりました。特に二学期に向けてどうしても授業がちゃんとできるような状況をつくってもらわなきゃならないわけですが、そのあたりの見通しはどういうものでありますか。  もう一つ、益田に行きましたら、私立高校のグラウンド近くが泥やいろんなものの置き場になっておりまして、大変な状況でございました。市長さんいわく、公立はみんな国で見てもらえるけれども、私立学校についての復旧は大変なんだ、同じような状況をつくってもらえないかという、こういう要望でございましたが、どうですか。
  102. 逸見博昌

    説明員(逸見博昌君) 前段の方についてお答えいたします。  私ども、被害が起こりましてすぐに現地に係官を派遣いたしております。そして校地、校舎の泥土の排出、整理、それから校舎、屋体の床の張りかえ、それからプレハブ校舎を一時期使用しなければならないものにつきましてはそういった指示、そういったことを適時適切にやっておるところでございまして、いやしくも二学期からの授業の再開、支障のないように全力を挙げたいと思っております。
  103. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) 私立学校のことにつきまして申し上げたいと思います。  先生御指摘のように、私立学校二校が被害を受けておりまして、私どももこの学校につきまして二学期からの授業に支障のないように、できるだけの協力をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  先生御存じのように、私立学校は自主性がございます。したがいまして、財政的にも本来自助努力でやっていくというふうなたてまえになっておりますので、したがいまして通常の場合、これは長期低利の融資で国としては御協力を申し上げるということになっておりますけれども、激甚災害指定されました場合には二分の一の補助をし、かつ長期低利の融資におきましても特段の配慮を行うというふうなことで御協力を申し上げるというふうな体制になっております。  なお、この学校の中には、すでに保険に入りましてこういう場合に備えているという学校もございます。  先ほど申し上げましたように、できるだけ支障のないようにわれわれも協力してまいりたいと考えております。
  104. 粕谷照美

    粕谷照美君 あなた、私立学校二つと言いましたでしょう。こういう学校の中で保険に入っている学校もあるというと、二つのうちどちらか一つということになるんではないですか。そうすると、あとの一つは保険にも入っていなかったと。大変な災害なんですから、その二つの学校でどのくらいの被害額ですか。それで保険では幾らぐらい出るんですか。
  105. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) ちょっと正確な数字をまだ私手元に持っておりませんけれども、県下におきまして高等学校二校、それから幼稚園につきましては三校ございます。合計で約四億ぐらいの損害額といいましょうか、そういうふうな報告を受けておりますけれども、高等学校の二校のうちの一つが約五百万円程度の保険に入っているというふうなことでございます。
  106. 粕谷照美

    粕谷照美君 確かに私立学校は自主性があるし、自助努力でやらなければならないというのはわかりますけれども、こういう大災害に遭って、自主性でやりなさいと言ってもそんなことはできない。結局父母負担、生徒に負担がかかってくるわけでありますから、どうしてもこの辺のところはもっと基準を緩めて努力をしていただかなければならないというふうに思いますけれども、局地激甚指定ではだめなんですね。益田市というような局地ではだめなんです。どうしても激甚指定をもらわないとこの公共土木の補助が受けられないという、大臣ここのところよく御存じですか。首でうなずいていらっしゃらないで、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  107. 田中暁

    説明員田中暁君) 先生おっしゃるとおり、私立学校施設についての特例としての国庫補助というのは、激甚法の十七条の適用がある場合、つまり公共土木についての本激の指定があった場合に限られることは御指摘のとおりでございます。
  108. 粕谷照美

    粕谷照美君 したがいまして、私が言いたいことは、こういう学校も救うために激甚指定を十分に考えていただきたいと。さっきから長官は大きく首を振っていらっしゃるので、多分その方向で指定がなされるものというふうに判断をして、一層の御努力をお願いしたいと思います。  厚生省にお伺いをいたします。  先ほどの政府報告によりますと、次々と仮設住宅なども建っているようでありますけれども、三隅町あるいは益田市、いまだに避難所生活をしていらっしゃる方々がいっぱいいらっしゃるんですが、その実態、住宅の実態、住民の要望などについて御報告をいただきたいと思います。
  109. 近藤純五郎

    説明員近藤純五郎君) 応急仮設住宅につきましてお答え申し上げます。  現在のところ、島根県で百七十六カ所、それから山口県におきまして四カ所の仮設住宅を着工しておりまして、そのうち島根県では四十六戸が完成して入居されております。被害が大きかった益田市と三隅町につきましては、益田市が着工が八十八戸で、完成が十五、入居ということでございます。三隅町が五十八戸着工いたしまして、そのうちでき上がりましたのは六戸で、これも入居済みでございます。  それで、なお百七十六戸、現在着工しているわけでございますけれども、なお益田市と三隅町につきましてはまだ増加の見込みでございまして、用地の確保とか人居についての最終的な確認ということを島根県を通じて急いでいるところでございます。
  110. 粕谷照美

    粕谷照美君 大体これは全壊と流失の三分の一というのが予算の措置ですね。三分の一で十分間に合いますか、どうでしょう。
  111. 近藤純五郎

    説明員近藤純五郎君) 御指摘のとおり、全壊世帯の三割ということで、自力で住宅確保できない者というものを対象にしておりますために、住民の経済能力でございますとか、公営住宅とか金融公庫による融資住宅、こういったものを考慮いたしまして三割という基準を一応設定しているわけでございます。従来の例から見ますと、県下での適用市町村の中で流用できますので、県下全体にいたしましては大体三割の以内に、まあ三割まで行くのがまれであるという程度でございまして、今回も恐らく、これからまだ増設いたしましても、三割の枠内でおさまるんではないかというふうに考えております。
  112. 粕谷照美

    粕谷照美君 三割の枠内でおさまれば一番いいわけですけれども、それをはみ出した場合にはゆとりも考えられるという答弁と受け取っておきたいと思いますが……。
  113. 近藤純五郎

    説明員近藤純五郎君) 三割というのは、先ほど申し上げました理由で一応のめどでございますので、やむを得ない事情があります場合には弾力的に対応いたしたいというふうに考えております。
  114. 粕谷照美

    粕谷照美君 まだ質問通告もしておきましたけれども、時間がありませんので、最後に長官の民心安定についての御努力、御決意のほどを伺って私の質問を終わりたいと思います。
  115. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 災害にかかられた皆様方、特に今回の災害で亡くなられた方々に対しては心から御冥福をお祈りいたしますとともに、災害復旧に必死で取っ組んでおられます関係諸団体の皆さん方に対し、政府としてできる限りの応援をいたしまして、一日も早い災害復旧、そして災害復旧への努力、これをやっていただくようにあらゆる方法を講じて応援していきたい、この気持ちでいっぱいでございます。
  116. 粕谷照美

    粕谷照美君 終わります。
  117. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時三分開会
  118. 赤桐操

    委員長赤桐操君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  119. 成相善十

    成相善十君 まず最初にお礼を申し上げたいと思います。  加藤国土庁長官には、集中豪雨災害直後の二十四日には、交通や通信がともに途絶の中をいち早く現地に出向いていただきまして、被災状況をまずみずからで、自分で確かめられたり、また迅速適切な陣頭指揮を行っていただきまして、本当にありがとうございました。  引き続き、二十六日には二階堂幹事長、二十八日には建設大臣と、視察をいただきまして、御配慮や御激励をいただいたことは、県民の一人として厚くお礼を申し上げる次第でございます。  このたびの災害が、けさの資料にもございましたように、死者百三名、行方不明四人、重傷六十一人、そしてまた家屋全壊半壊浸水など、住家被害約一万九千戸でございます。この総数というのは、災害救助法の適用を受けました三市十カ町村の総世帯数が約五万七千戸でありますので、実にその三分の一の世帯山崩れで家が崩壊するあるいは死者が出る、泥土や流木、土石流を伴った洪水であの惨状の被害を受けたということになるわけでございます。こうした悲惨な状況の中で、自衛隊の皆さんや警察、消防等、各県から大挙して出動していただきまして、幅広い強力な救援活動で応急対策をとっていただきました。おかげさまで、心配された交通、通信、電気、国鉄水道などの応急的な確保も実に手際よく運ばれました。とかくこういう場合は被災者の焦り等も、いら立ちもございまして、県は何しているのだ、あるいは国はどうしているのだという声があるものでございますが、今回は、私の歩いた限りにおいてはそういったような声が聞かれなかった、被災者も大変感謝をしておったということでございまして、被災者被災地復興への立ち上がりを助けていただいたこと、本当に感謝にたえないところでございます。また、関係方面に対しても、この際厚くお礼を申し上げる次第でございます。  さて、そこで逐次お伺いいたしたいと思うわけでございますが、そうした惨状の中で、直ちに災害救助法の発動が見られたわけでございますが、ひどかった三隅町などは三千戸の戸数の町でございますが、その中の二千戸が被害を受けた。その被害も、ただ浸水するとかそういったなまやさしいものではないわけでございまして、加藤長官はみずから見ていただいたわけでございますのでおわかりいただいておるわけでございますが、また人口は一万人しかおらないわけでございますが、その中の七千人が被災者であるというように、まさに町は全滅状態といったような惨状であったわけでございます。こうした中でいち早く災害救助法の適用を受けて応急対策をしていただいたわけでございますが、災害救助法にはいろいろな基準があるわけでございまして、単価とか面積とかあるいは所得制限とか、いろんな制約があるわけでございますが、ああしたような全面的な災害、また混乱の中では、なかなかあの法そのままでは実態にそぐわないといったようなうらみが多々あるようでございます。そういったような場合には、やはり災害救助法で見てもらえない場合は町村が持ち出さなければならないというようなことになりまして、そうでなくてさえ貧弱な町村財政でございますので、なかなかこれを支えることはできない。町村が非常に財政的に困るというようなことになりかねない、こう思われるわけでございますが、この点は適切な幅広い対応をいろいろやっていただいてはおるようでございますが、さらに一つお尋ねをいたしたいと思います。
  120. 近藤純五郎

    説明員近藤純五郎君) お答え申し上げます。  災害救助法を発動しました場合に、私どもとしてはいろいろな救助費目をやっているわけでございますけれども、その救助はほとんどの形は現物給付という形でやってございまして、現金とかそういう形では、販売機構等が混乱しまして現物でないとだめだという方々の救済ということを念頭にしてやっておりますので、たとえば床下の浸水ということでございますと、その場合には被服、寝具等につきましてはまだ大丈夫であるというふうな認識のもとに、そういった方々には御遠慮願いまして、床上あるいは半壊全壊、こういった方々で被服等が水につかったとか、なくなって流れてしまったとか、こういった方々に対する救助ということでやっているわけでございます。その範囲内におきましては、私どもとしてはできるだけ、一応の基準は持っておりますけれども、やむを得ない事情の場合には弾力的に対応するという形で対応してきているつもりでございます。
  121. 成相善十

    成相善十君 現場では非常に弾力的な運用を図っていただいておるようでございまして、大変喜んではおるわけですが、床下、床上浸水といったところで、あの混雑の中ではなかなかむずかしいと思うわけですね。ひとつよろしくお願いしたいと思います。  と同時に、この法律は、聞くところによりますと昭和二十二年にできた法律のようでございます。その後所得制限等についてはいろいろ改正が行われてきておるようでありますが、後からも申し述べますが、災害の実態というものが昔とはまるきり変わってきておるわけなんですよね、様相が。ですので、新しい型の災害と言ったらおかしいんですが、最近の災害の実態に合うような法の見直しもやはりやっていかなきゃならぬと思うわけですが、そういう見直しを含めてひとつ所見をお伺いしたいと思います。
  122. 近藤純五郎

    説明員近藤純五郎君) 御指摘のとおり、災害救助法昭和二十二年ということでございまして、法律そのものはかなり古いわけでございますけれども、災害という極限状況におきます救助活動というものはそれほど変わってないわけでございまして、ただもちろん所得水準の問題につきましては、そのときそのときの低所得かどうかというのはあり方が違っておりますので、そのようなことは当然いままでも努力してきておりますし、基準単価あるいは基準の平米、こういったものにつきましても、生活水準の向上といったものを反映いたしまして私どもとしては対応してきているわけでございまして、今後ともそのような姿勢で救助内容のあり方につきまして改善の検討をいたしたいというふうに考えております。
  123. 成相善十

    成相善十君 続いて激甚災害についてお伺いしたいと思いますが、けさほど相当突っ込んだ質問もございましたし御答弁もございましたので、大体のことはわかりましたが、しかし今度の災害があれだけの大きな災害であり、また起きた地域が貧弱な市町村である、地帯であるということを考えますと、これを復興するということになれば、よほど強力な国の援助がないと復興はとうていできないのではないかということを心配をいたしておるわけでございまして、災害額も、きのうのお昼までは二千百億程度であったわけですが、お昼さらに集計をいたしましたところ二千四百億を超したという報告を私も聞いておるわけでございまして、調査が進むに従ってまだまだふえるのではないかというふうに思われるわけでございます。また、個所数も土木が二万七千カ所、耕地が二万二千カ所、林地その他入れますと莫大なものになるわけでございまして、局激は私ども素人でもこれは大体うまく間違いなく受けられるんじゃないかというような気もいたしておるわけでございますが、本激の指定を含んで、公共土木あるいは農地農業用施設災等を含めて、その見込みと、先ほど来長官のいろんなお考えや決意もお聞きしたわけでございますが、さらにひとつ長官の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  124. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 午前中にもお答えいたしたわけでございますが、激甚災害指定につきましては、現在、関係省庁におきまして鋭意被害状況調査中でございます。先生御指摘のように、調査が進むにつれまして被害額も増大しているようでございます。今後さらに調査を急ぎ、その結果を待って所要の手続を速やかに講じたいと考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、災害復興施策の推進に当たりましては、被災地域の方々復興への意欲を喚起し、一日も早く災害から立ち直れるような配慮をしてまいりたい、この気持ちでいっぱいでございます。
  125. 成相善十

    成相善十君 けさほどのこの問題についての質疑応答、ただいまの長官の御答弁で長官の意欲のおありになることは、また御配慮のおありになることは私も十分わかるわけでございますが、いずれにしても、相当、先ほど申し上げたように効率的な助成策を講じてやっていただかなければ復興は困難だと思うわけでございます。それで、公共土木についての本激の指定はなかなかむずかしいやにいまの答弁から私は受けとめておるわけでございますが、農地農業用施設についてはいかがでございますか。
  126. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) 島根県を中心とします七月の豪雨被害状況につきましては、八月十日現在で県から出てまいりました報告を一応集計いたしますと、全体で、個所数で三万五百カ所、それから金額にいたしまして四百六億というふうに現時点では推計されております。しかし、その具体的な被害額につきましては、現在のところそういう県からの報告をもとにいたしまして精査中でございますので、現時点ではまだ確定してないわけでございます。したがいまして、できるだけ早くこの被害金額の確定を急ぎまして、確定し次第、対処ぶりにつきましては関係各省とも相談いたしまして、万全を期したいというふうに考えているわけでございます。
  127. 成相善十

    成相善十君 どうもその辺はっきり、もちろん査定額がはっきりしないからはっきりした御答弁はいただけないと思うんですが、皆さん方も専門家ですから、大体の被害状況、金額等をお考えになれば、これはもう本激の指定の内容は、条件は整っているとかあるいは達しているとか、まあ見込みのほどはおわかりになろうと思うんですが、その見込みのほどはどうですか。
  128. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) まあ見込みにつきましていまここで気安く申し上げましても、いろいろむしろ混乱を起こすかと思いますが、いずれにいたしましても被害額を早急に把握いたしまして、御心配のないようなことで関係機関とも協議は進めてまいりたいと思っております。
  129. 成相善十

    成相善十君 ただいま慎重な答弁で、まあそれ以上まだ確定しないものを論議してみたところで、これ以上論議してもしようがないわけなんですが、まあ先ほど申し上げたような事情で、何とかひとつ助けてやっていただきたい。そしてまた、なるべく早く見込みだけでも知らしてやっていただきまして、復興に対する意欲をまず盛り上げてやっていただきたいと思います。また長官には、ひとつ条件の緩和とかあるいは法の運用の妙を発揮していただきまして、できるだけ本激を組んで、まあ局激等の指定を受けて効率的にこれが復興ができるようにしてやっていただきたい、このようにこれはお願いをいたしておきます。  と同時に、これは関連して水道被害が非常に多いわけなんですね。それで、水道は恐らく独算制をとっているというたてまえからでしょうが、激甚災の枠の中へ入っていないわけですね。ではありますが、大きな被害を受けて、これもやはり復興していかなければならぬわけでございまして、激甚災指定の中へ、枠内へ入れないとしても、それ並みのやはり補助率、援助額のアップというようなことを当然考えてもらわなければならぬわけでございますが、そういう点についてはいかがでございますか。
  130. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) お答えいたします。  被害を受けました水道施設の復旧につきましては、お言葉のように激甚災の対象事業になっておりませんが、従来から予算措置で国庫補助を行っておるわけでございます。  今回の被害につきまして、まだ概要でございますけれども調べてまいりますと、一つの町村の財政規模に対してかなり大きな被害を受けたとか、あるいは給水人口一人当たりの被害額というようなものもかなりのところがあるようでございます。  そういうことでございますので、これから現地におきまして被害施設にかかわる復旧計画書ができた段階で、できるだけ早く査定官を派遣して財政当局のお立ち会いのもとに査定を実施するわけでございますが、その結果を見まして被害額等を十分調査の上、財政当局と御協議いたしてまいり、過去にもいろいろ例があるわけでございますので、そういったものにならって、できるだけ事業体の負担を少なくするよう努力してまいりたいと考えております。
  131. 成相善十

    成相善十君 ありがとうございました。  一般的であれば半分の助成ですか、それでいままでの例とおっしゃいますと、どういう例がございますか。
  132. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 地震などによりまして大変大きな被害を受けた場合には、それよりもかさ上げになった例がございます。水害の場合につきましてまだ実施されたことはございませんが、それぞれの被害の内容につきまして精査の上、地震の場合の例なども参考にしながら御相談させていただきたいと思います。
  133. 成相善十

    成相善十君 よろしくひとつお願いを申し上げます。  それから、農林産物の被害救済についての天災融資法の適用でございますが、これも私が調べた限りにおいては、なかなかその適用もむずかしいようでございますが、その見込みをちょっとお聞かせ願いたいということと、どうしても、これも基準があることでございますから、できないものはできないわけでございまして、その場合には自作農資金とかあるいは公庫資金等は申すまでもないことでございますが、制限を大幅に緩和するとか運用の適切を図りながら御援助願いたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  134. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) 天災融資法の発動につきましては、先生御案内のとおり、いろいろと基準なり要件があるわけでございまして、今回の島根県を中心とする被害につきましては、現段階でまだ最終的な集計はできておりませんけれども、どうも農地であるとか農業用施設、こういうものの被害に比べまして農作物等の被害というものが、天災融資法で従来から考えてきております基準から言いますと、かなり下回るという感じがしておるわけでございます。したがいまして現時点では、まだ結論は出しているわけじゃございませんけれども、恐らく天災融資法の発動というものは至って困難であろうというふうに見通しているわけでございます。そうなりました際に、それ以外の金融制度でやはり被災農家の方々の今後の生計なりあるいは経営というものを何とか救っていかなければならないわけでございまして、先生御指摘のとおり、農林漁業金融公庫資金でございますとかあるいは自作農資金でございますとか、こういう長期、低利のいろんな資金制度というものを農林水産省の場合には手法として持っているわけでございますので、こういうものを十分に活用いたしまして地元対策に充てたいと思い、早速地元の資金需要の調査等もここのところ始めさせていただいているわけでございます。
  135. 成相善十

    成相善十君 それでは次に、緊急査定のことで伺いたいと思いますが、何分個所数が個所数でございます。莫大なものでございますので、聞くところによると、農林省、建設省ともに百数十班も編成されて、もうすでにどんどんお入りいただいてやっていただいていると。また県や町村も、県外からあるいは他の地域から技術者の方の応援を得ながら、対応しながらいま一生懸命で進めていただいておるようでございますが、この緊急査定の計画がもうおできになっていると思うんですが、農林、建設、それぞれその概要をお聞かせ願いたいと思います。いかがですか。
  136. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) 緊急査定につきましては、こういう深刻な事態でございますので、できるだけ前向きに取り組みたいということで、まず一番大きく被害を受けております農地農業用施設につきましては、八月二十二日から百四十一班にわたる緊急査定班を現地に派遣いたしましてやっております。それから治山施設につきましては八月二十九日から二班、それからあと林道でございますとか、それから漁港関係でございますとか、それぞれにつきまして緊急に査定すべく現地に派遣をいたしておるわけでございます。したがいまして、こういうことを通じましてできるだけ 早く査定を終えたいというふうに考えているわけでございます。
  137. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) 建設省関係公共土木施設でございますが、鋭意準備を進めておりまして、八月二十九日から緊急査定に入るというぐあいに考えております。もちろんこれは第一回の査定でございますが、この後につきましても準備のでき次第、できるだけ早急に実施するよう促進を図ってまいりたいというぐあいに考えております。
  138. 成相善十

    成相善十君 いつまでで大体終わる予定だというお話がなかったわけですけれども、急いでというお話だけですが、それも後からひとつ一緒に御答弁を願いたいと思います、いつごろまでに終わりたいということですね。  それから、この進度の問題ですけれども、二階堂幹事長がお出かけいただきまして、幹事長が被災地へお出かけになるということは全く異例のことだと私は聞いておりますが、それだけに大変ありがたく心強かったわけでございますが、その節にも幹事長も大号令をかけられたというようにも聞いておりますが、七、二、一の割合で早期復旧を急げというようなお話もあったやに聞いております。しかし、調査をして設計をして入札に付する、工事になると、こういうことでございますから、大変な作業がその中では必要になってこようと思いますし、また県や町村の行政がそれに対応できるか、力があるかないかということもまた問題であるわけですが、大体進度はどういうふうにお考えいただいているか、お聞かせ願いたいと思います。
  139. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) お答えいたします。  最初の一点の、査定がいつまでかかるかという御質問でございますが、今回の災害、先生が御指摘のように、特に島根県非常に膨大な件数を抱えておりますので、昨年の長崎等の経験から見ましても、月一回の査定を実施しまして、八月に入りまして十二月の中旬ごろまでかかるんであろうかというぐあいに考えております。  それから後段の、進度の件でございますが、これは先生御指摘のように、補助の公共土木施設災害復旧は三年で実施するということが近年定着しておりますが、初年度三割、二年度五割、通算で八割、最終年度二割ということになっております。昨年と申しますか、ここ近年、初年度の進度アップということが図られているわけでございますが、昨年は特に長崎に非常に大きな災害がございまして、その後引き続きまして十号、十八号等の台風による施設被害が多うございましたので、被害報告額だけで一兆円になんなんとする大きな被害でございました。そういった災害にかんがみまして、民生安定の観点あるいは事業効果の確保といった観点から昨年度は七割ちょっと、七割強と申しますか、ちょっとでございますが、進度の促進が予算措置されたわけでございます。まあわれわれとしましては、先生がおっしゃったように、これ実施については相当の問題がございます。技術者の応援等もいたしましたし、それからもちろん被災を受けた県、市町村等におきましても非常に担当職員ががんばったわけでございますが、まあ早期復旧の促進ということで、ただいま申し上げましたように、民生の安定あるいは事業効果の確保という面で効果があったんでなかろうかというぐあいに考えております。まあ本年につきましてもこの島根県、今回の災害非常に激甚なものがございますから、われわれとしましては、昨年の実績に徴しまして早期復旧の促進を図りまして民生の安定を図ってまいりたいというぐあいに考えております。
  140. 成相善十

    成相善十君 加藤長官は二十四日にお入りいただいたんですが、私は二十五日から六日間被災地におりまして、大体現場をほとんどと言えば少し大きくなるかもわかりませんが、じかに見て歩いたわけでございますが、まあそうした中で私が感じたことをこれから細かい問題ですが、二、三お尋ねをいたしたいと思います。気のついたことを申し上げたいと思います。  最初に、うちの県は御承知のように山が海岸に迫りまして、その尾根から尾根へ向かって谷をつないで道路がつくられあるいは鉄道が通っている、こういうようなことなんですが、そういう場合の道路災害とか鉄道の災害という、決壊しているところというのは大体暗渠が小さいんじゃないかと思うんですね。それで私は、今度の災害だけじゃないんですが、いままでの災害、たくさんそういうのを経験しておりますが、それでこの間県の方で、あなた方はあれを設計される場合にどういう基準によって設計をされるかと、こう言ってどんどん詰めてまいりますと、なかなかその資料を出してもらえなかったんですが、やっとそれらしき資料を見ますと、いろいろ区分はあるようですが、ABCとか三段階に分かれているようですが、Aの場合は排水程度の高いところということになっているんですが、これは十年以上の災害、こういうことなんです。続いて七年、五年。十年災、七年災、五年災というような基準でその暗渠の大きさをどうも決めておられるという設計になっておるようですが、これでは私は一たまりもなく最近の災害ではやられてしまうと思うんですね。昔のように水だけが出る洪水というようなことであれば結構水だけは通すかもわかりませんが、このごろは流木も土石流もある。すぐそういう小さい暗渠なんか詰まってしまいますね。ということになると、それがもとで大災害につながっていくというような災害が非常に多いように私は現場で見たわけなんですが、そういう基準を、先ほど申し上げるように災害の様相が変わってきておりますから、やはり見直すべきものは見直して今後に捕えていかなければならぬと思うんですが、いかがでしょうか。
  141. 和田惇

    説明員(和田惇君) 道路を横断します暗渠の設計につきましては、集水面積でありますとか降雨の強度といったようなものを勘案いたしまして、対象の地域から流量が安全に流れますように断面を決定しているわけでございます。  いま先生の御指摘がございましたように、道路の施設につきましては日本道路協会が発行しております「排水工指針」、これによって設計をいたしておるわけでございます。この指針によりますと、主要な道路におきましては降雨確率年を十年以上といったようなことで定めておるわけでございます。この降雨を参考にいたしまして経験的に求めているわけでございますが、通常の排水施設におきましてはこれで十分ではないだろうかなと思っているわけでございます。  さらに渓流等におきましては、豪雨の際に水だけではなくて土砂流木堆積してもその機能が失われないように、断面に相当の余裕を見込むように指導しておるところでございます。  今回の災害では、大変記録的な豪雨になったわけでございまして、異常に多くの土石流、流木が発生したわけでございまして、こういったような被害が生じたものであろう、こう想定しているわけでございます。災害の被災の個所の本復旧に当たりましては、現地を十分に調査いたしまして万全の対策を行いたいと、こう考えております。  それから被災の状況をさらに詳細に調査いたしまして、その結果を踏まえまして今後の設計に反映さしていきまして、土石流や流木対策に一層の配慮をしてまいりたいと、こう考えております。
  142. 成相善十

    成相善十君 配慮してもらうということはありがたいことなんですが、しかし私は、やはりそういう古い基準にこだわっておられるところに新しい災害を……。一文惜しみの百文なくしですか、なんていう言葉があるでしょう、と同じように、もう少し大きく余裕を持っておとりになっておればああいう災害は避けられるのじゃないかと思えるようなところがずいぶんあるのですね。  もう一つ、同じようなことで河川災害、たとえば河川には頭首工があり、またあるいは橋がかかっておるというようなところがずいぶん災害を受けているわけなんですが、頭首工にはそれぞれ幾らかそでがついているのですね。橋にもまあそうですね。そのそでごとひっくり返っているのですね。橋もそうなんですね。だからあのそで——そでというのですか護岸というのですか知らぬですが、その辺をもう少し長くとっておけば根こそぎあんなにひっくり返らない。またそれがために被堤をする、災害が大きくなるというような現場が、僕は素人なんで、素人の私が歩いてさえそういうことを感ずるわけですから、専門家の皆さん方は恐らく痛切にそれを感じておられるのじゃないかと思うのですが、そういうのは、頭首工は農林省あるいは護岸は建設省でしょうが、その辺の協議とかあるいは関連改良の施行の程度をもう少し上げるということかもわかりませんが、いずれにしても、もう少しそういう点を御配慮願えればずいぶん助かる面が出るのではないか、そういうふうに思っております。  と同時に、私はこれは昔からよく聞く話なんですが、査定をされる場合に各省の専門家の人と大蔵省の方の立ち会いで査定が行われる。後からいろいろもう少しこれを改良復旧等に何とかならなかったかとかいうようなことを聞きますと、どうも大蔵省が認めないものだからというような声を間々聞くわけなんですね。私はそれを聞いて非常に不思議に思うのは、設計をなさる人は専門家、技術屋さんですね。大蔵省からお出になる方は事務屋さんじゃないかと思うんですね。専門家がこれでなければならぬと査定したものを大蔵省の事務屋さんがそれはよけいだとか、これはそれほどに圧縮せいとか、そういうようなことがもしあったとするならば、これは私はまさに百年たっても災害の繰り返しだと思うんですね。そういうことがあってはならぬことだし、あるはずはないとは思うんですが、しかしよくそういう話を聞くんですね。よく耳にするわけなんです。いまいろいろなことを申し上げたわけなんですが、これについては大蔵省からもひとつ御意見を伺いたいと思います。  それから、そういうことを含めて今度の災害は、先ほど来のお話も聞いておりますと徹底した改良復旧に努めるというお話もちようだいいたしておりますので、完全な改良復旧を御配慮願えるものというふうに思っておりますが、以上申し上げたことについてお答えを願いたいと思います。
  143. 涌井洋治

    説明員(涌井洋治君) 災害復旧事業の査定方針につきましては従来から、十分な復旧ができますよう、建設省初め関係各省庁と十分協議の上決定しているところでございます。また、災害復旧事業に当たりましては、再度災害を防止するため災害関連事業及び災害助成事業をも取り入れているところでありまして、今後とも関係省庁と十分協議いたしまして、再度災害の防止に留意し災害早期復旧に努めてまいりたいと思います。
  144. 成相善十

    成相善十君 各省から改良復旧についてどうですか。
  145. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) 先生御指摘の改良復旧の件でございますが、通常の災害、土木施設の復旧原形復旧ということが一応基準でございます。しかしその基準の中にも、原形復旧が著しく不適当とかあるいは困難といった場合にはこれにかわる施設ということが定められております。今回の災害につきましても、現在、市町村あるはは県において復旧工法の検討、設計書の作成等の準備を進めておりますので、その準備が整い次第、十分、県、市町村と協議しまして適切な工法で復旧を図ってまいりたいと思います。  さらに今回、中小河川中心としまして非常に破堤、はんらん等の大きな被害が出ておりますので、こういった中小河川につきましてはよくやはり実態を調査いたしまして、必要と思われる個所につきましては抜本的な改良復旧につきまして、たとえば災害復旧助成事業あるいは災害関連事業あるいは河川激甚災害対策特別緊急事業等の改良復旧事業を、実態を十分見まして積極的に進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  146. 成相善十

    成相善十君 それから建設省の方でやっておられる急傾斜地崩壊対策事業、それから農林省の林地崩壊防止事業等々、これは受益者負担というものを特定されておるわけなんですが、この場合なかなか受益者というものの特定がしにくいわけなんですね。また、その実際の受益者というものは下流部全部が受益するわけなんでして、特定の人に負担をさせなければ直してやらないということでは困ると思いますし、こういう場合、町村の場合はその対応に苦慮して町村費で肩がわり負担をすると、こういうようなことになっておるようですね。町村の財政をこういうことで非常に圧迫するという結果になっているわけですが、自治省はこれに対して絶対認めない、こういうようなことで町村は困っているわけなんですね。これは建設省あるいは農林省のサイドで受益者負担をやめてもらうか、あるいは町村がこれを負担すれば自治省がこれを起債の対象に認めるとか、何らかの措置を講じてやっていただかなければ町村は非常に対応に困っているという実情でございますので、これはひとつお考えをいただきたいと思いますが、もう時間もございませんので、御答弁はもう必要ございません。  最後に、電電公社の方へ申し上げますが、本当に私も現場をずっと歩いておりまして、電話復旧に対して大変な御努力をいただきまして感謝をしておるわけでございますし、また中でもCS2、いわゆる「さくら2号」ですかを使っての電話回線の確保について御努力願って、これは日本で初めて非常災害に使われたわけでございまして、私も美都町へなかなか入れなくて、何とかして入りたいということで苦心したのですが、開局にはとうとう間に合いませんで、開局された下の日に私は現場へ入ったわけですが、まあ大変な威力を発揮しておりまして、感心をいたしたわけでございますが、惜しむらくは、こうしたようなりっぱな先端技術を駆使された設備をお持ちになっておりながら、非常災害の場合というのは交通が途絶するということをどうも余りお考えになってなかったのじゃないかというような気がしてならぬわけなんです、まあこれは皮肉を決して申し上げているわけではないんですが。機材を運び込むヘリコプターを借りるために苦心惨たんをされて、それがために一日ぐらいおくれたという話も聞いております。非常災害のときに借りようといったって、どこのヘリも総動員されておって、なかなかあいたヘリはないということもあろうかと思いますし、また相当重い機材であろうと思いますので、それだけの重いものを運ぶヘリというのはそうたやすく、まあ自衛隊に頼まなきゃないというようなこともあろうと思いますので、そういう運び込むための機材、いわゆるヘリもやはり衛星通信の機材とコンクリートした一体をなすものだと私は考えておりますが、今後の非常災害の場合の対応を考えて、電電の方ではどうお考えになっておるかをお伺いいたしたいと思います。
  147. 福増満広

    説明員(福増満広君) 衛星通信機の運搬につきましては、先生がおっしゃられましたとおり、これまでヘリコプターとあわせての輸送システムといいますか、それはいろんなたくさんな災対機器がございまして、安全と確実性をわれわれ考慮いたしまして、車両で運ぶという形で今日まで来たわけでございます。今回、非常に道路が各地で寸断されまして、御指摘のように非常に苦労をしたわけでございますが、今後はこの機会にひとつ御指摘のように教訓といたしまして、ヘリコプター輸送もあわせてシステム的に運用していきたいという措置を考えていきたいと、かようなふうに考えております。
  148. 成相善十

    成相善十君 電電は経営状態も非常にいいわけですから、ヘリぐらいはお買い求めになっておいた方がいいのじゃないかと思うわけですが、まあ非常のときに使うわけですから、それを考えれば当然そういうことも必要であろうと思います。  もう時間も参りましたので、最後に、長官もどうごらんになったかわかりませんが、いままでの大洪水といえば水を心配しておればよかったんですね。はんらんしてくる水を心配をし用心をして、今度もそれで高いところ——これは昔から大洪水になればあの家へ逃げるんだと、こういうことにその部落は決まっておったそうですが、その家へ逃げたばっかりに、後ろの山が山崩れで十五人もの人がその家で生き埋めになって死んでしまう、こういう痛ましい事故が起きたわけなんですね。  先ほど来申し上げるように、災害の様相というものが全然変わってきてしまったわけでございまして、集中豪雨といえば大洪水という観念は、もちろんそれは当然のこと。その上にそういったように山崩れとか鉄砲水とか土石流とか、あるいは材木が流れ込むとかいうような新しい形の災害が非常に大きくなっておるわけでございまして、そういう農山村の集落というものに対してはもう安全な場所というものはなくなったんですね、家建てる。山すそへ建てれば山が崩れる、谷すそに建てれば鉄砲水でやられる、少し平たなところへ出て家を建てれば洪水にやられる、こういうことで安全な場所というものはなくなってしまったんですね。といって、護岸を急げあるいは山崩れ防止を早くといっても、これは財政的な裏づけもなかなかむずかしい、非常に時間のかかることだということになれば、当面そういう地域には集落の避難場所というものをつくっておく必要あるんじゃないか。それも国の助成でも手伝ってやらなけりゃなかなかできないと僕は思うわけですが、そういう施策をどこかで、各省の中で考えておるところはございませんか。そういうこともひとつ考えていただきたいと思います。  と同時に、そういうような災害の内容に、様相になっておるわけでございますので、災害復旧等も、先ほどいろいろ話がございますが、従来のようなものにこだわって、そういう基準に基づいて工事も施行するあるいは財政負担もするというようなことではもう実態に合わなくなっておると思うんですね。だから、そういうような財政補助基準等を含んで、根本的にこの際最近の災害の様相というものの実態をよく調査をしていただきまして、そういう新しい形の災害の実態に合うような各種関係法律を私変える必要があると思うんですが、いかがでございましょうか、これは長官にお聞きした方がいいのじゃないかと思いますが。  と同時に、最後にこだわるようですが、激甚災指定は大変に地元が強く要望しております。またそうでなければ私は復旧が可能でないとさえ心配しておるわけでございますので、そういった点を含めて長官からもう一回お言葉をいただきたいと思います。
  149. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 前段のお答えでございますが、実は私、アメリカの人、ヨーロッパの人とこの災害問題等でお話をしたときに、日本の人はなぜ災害が起きるところに生活を営んでおるんだろうか不思議でしようがないという話が出まして、わが日本の可圧面積の狭さあるいはまた土地に対するそれぞれの皆さん方の愛着、こういうものとわが国の災害というものについていろいろ話し合ったことがあるわけでございます。そしてまた最近は、集中豪雨あるいはゲリラ的豪雨、これの災害がいろいろな形で発生しておりまして、国民の皆さんに多くの不安とそして多大の被害を与えております。ここら辺に対しましては先般も、中央防災会議を五月に開きましたときにも、いろいろ対策を講ずるように中央防災会議で決定いたしたところでございますが、さらに国として、政府として一段とこういう問題に意を配慮し、検討すべきものは検討し、やっていかなくてはならないという感じを強く持っておる次第でございます。  そして後段の、先ほどの答弁ではちょっと激甚災害指定問題あやふやだと、もう少しはっきり答弁しろと、こういうお話のように、御意思のように承るわけでございます。冒頭お答えいたしたところでございますけれども、調査が進むにつれまして被害額が増大しておるというのは事実でございます。そして私は、この今回の地域全体を含めて相当な額に達する状況になりつつあるので、今後よく被害状況調査しまして被災地方公共団体の財政負担について十分配慮した措置を講じたいと、このようにお答えさしていただくところでございます。
  150. 成相善十

    成相善十君 長官の御配慮に厚く感謝を申し上げまして、この上ともひとつよろしくお願いいたします。終わります。
  151. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 私は、五十八年七月の豪雨災害につきましては、同僚委員からもいろいろ御質問がございました、全く御指摘のとおりだと思いますので、一刻も早く復旧並びに激甚の指定等適切な措置政府で講ぜられるように強く要望いたしておきたいと思います。  それから、午前中に粕谷委員から激甚の見直しについてお話がありましたが、まことに適切な指摘ではなかったかと、私は自由社会党と言われても結構ですから、ぜひその粕谷委員の指摘のとおりわかりやすい、しかもまた時宜に適した制度の見直しをやっていただきたい、これも要望いたしておきたいと思います。  そこで、島根災害について関連してちょっと二、三点だけ承っておきたいと思いますが、最初にマスコミ等の一部報道ですから正しいことはわかりませんが、役所の避難命令その他のことの対応がちょっとおくれがあったのじゃないか。そういったことが少し、この被害を受けた方々からも、声も出ているように聞きましたが、そういうことについては今後の一つの参考としていろいろ御指導願ったと思いますけれども、その辺のことをちょっと聞かしていただきたい。もちろん関係市町村の人たちがもう不眠不休でやっていただいたことについては私も高く評価しているのであって、別にこれを追及しようと思っているわけじゃない。しかし、今後のことがありますから、そのようなことについて教訓的にしていただけたちということで申し上げたことであります。  二番目には、たしか益田市だったと思いますが、あの中継をしておりました、アナウンサーが。ところが真っ暗やみの中でろうそくでもって、全市が停電だからやむを得ないとこういうことでございまして、夜中までろうそくでやっておったようでございますが、本来、市町村役場等は、これはそういう非常事態に備えて、たとえば自家発電だとか、当然そういうことをやはり今後災害対策として指導していくべきじゃないか。市役所が真っ暗やみじゃ仕事も何もできない。市役所に避難してきたり相談に来たりする人がいても、そこが一番こわいというところじゃ困るわけですから、その辺の対応を今後は考える必要があるんじゃないか。  三番目は、そのときの漂流物が先般石川県沖に流れ着いてきて大変な騒ぎになっておりましたが、伺うところによりますと、ああした漂流物についてはどこでどのように国が措置してやるかということがまだはっきりしていないようで、ちょうどいい機会で、何かいま検討中と伺っていますが、ああいうことはこれから起こっちゃならぬけれども、しかし起こる可能性は十分あるので、これを機会に市町村にだけあの負担をしょわしたり迷惑をしょわしたりしないで、国として適切な措置を詞すべきだと思うが、この点についてはいかがか。  以上について伺いたい。
  152. 金子皓治

    説明員(金子皓治君) 消防庁の方から避難命令の問題と自家発電の問題につきましてお答えしたいと思いますが、いろいろマスコミ等で報道されている避難命令の問題につきましては、現在、災害が落ちつきました段階で鋭意私ども調査をしておりますが、いまのところ適切に行われたんではないかというふうに思っております。  それから、自家発電の問題につきましては、今回の災害教訓といたしまして、これから公共団体等と十分相談をいたしまして、できるだけ設備するという方向で指導してまいりたいと思います。
  153. 田中暁

    説明員田中暁君) 三点目の漂流物の関係でございますが、御承知のように、漂流物の所有者と市町村とのいわば司法上の関係につきましては、水難救護法という法律等によりまして大枠が決まっているわけでございますが、その費用が非常に高くついたというような場合の公的な助成制度等につきましては現在制度がございません。関係する省庁もいろいろあろうかと思いますが、実情をよく調査いたしまして関係省庁集まりまして相談してまいりたいと思います。
  154. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 大臣、お聞きのとおりなんですが、最後の漂流物のことですね。これはあっちゃいかぬが、現実起こったわけだし、これからもこれは起こり得るです。そこで、これを機会に制度政府としてしっかり確立していただきたいと思うが、その点だけ、お気持ちだけ伺っておきたい。
  155. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 私も先生の御質問、それから今回のドラム缶の漂流についていろいろ考えたわけであります。海上保安庁、警察、消防、そして当該市町村、いろいろあるなと、こう考えたわけでございますが、先生の御指摘もございましたので今後検討さしていただきたいと思います。
  156. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 再度市町村だけに負担をしょわしたり迷惑を及ぼさないような対応を期待いたします。  それから、今度の島根災害におきましても、自衛隊さんがもう本当に涙の出るような活躍をしていただいたわけでございますが、私は災害委員会で質問に立つたびに申しておりますが、自衛官さんは二十四時間不眠不休で働いても本来が命がけでやっていることだからあたりまえだと、だから超勤手当もなければ何もないと、こういうことで、それは困るということで静岡の地震かなんかのとき、ようやくビール一本飲んでもらうというくらいの程度のことは何とかしてもらいましたが、その後進んでおりますか。防衛庁から一言だけ聞いておきたい。
  157. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 御説明いたします。  天災地変などに際しまして自衛隊は出動いたしますが、それの際に手当というようなものは、先生いま御指摘のように、現在出せる状況ではございませんで、出動いたしますと、日用品、特に消耗の激しい下着類など、それから加給食として若干のものを現物給与の形で出しているのが現状でございます。しかし、救援という状況というのは非常に内容は多種多様でございますけれども、勤務の態様としては大変過酷なものでございますし、危険を伴うという場合が多いわけでございます。そういう悪条件のもとで、かつ、時にはみずからの生命を賭してというような状況で勤務しなければならないし、あるいは天候、昼夜を問わないという勤務をとられるわけでございますので、そういうことを考えますと、何らかの形でもう少し処遇を改善できないかということで、以前から努力をしているところでございます。しかし、まだその成果を見るに至っておりませんが、逐次関係者の理解は深めておりまして、一般の公務員、特に警察官とか地方建設局の方々、そういう方には若干の手当が出ているというようなこともございまして、それとの均衡でぜひ、私ども災害派遣手当と呼んでおりますが、実現すべく現在努力しております。五十九年度の概算要求のまとめの時期に入っておりますが、この中にはぜひ計上いたしまして、何とか実現いたしたいということで努力しているところでございます。よろしくお願いいたします。
  158. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 大臣お聞きのとおりなんですがね、災害担当大臣として、これはぜひひとつ後押ししてやってほしい。これは自衛隊さんの月給なんかも本当なら一番最初に上げてあげるべきなのに、どうも国会の審議も一番後になっちゃって、私としてはいつもどうも不満でしようがないんです。ですから、幾ら国家のために生命を賭しているからといっても、二十四時間働いてあたりまえだと、死んでもあたりまえだと、それは私はどうも理屈としておかしいと思う。あれだけ一生懸命になって、自分の肉親を探すと同じくらいの気持ちになってがんばってくれている自衛隊に対して何らの手当も出ないのはおかしい。私は前からそう思っているので、これは担当大臣としてひとつ今後努力していただきたいと思うが、どうですか。
  159. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 私も二十四日現地で、三隅町が孤立しておるときに自衛隊の師団長に対して、どんな方法を講じてもいいから、ひとつ三隅町に入ってやってほしいというお願いをしました。自衛隊は快く引き受けてくれまして夜を日に継いで入ってくれた。大変感謝いたしておるところでございます。そういう人々に対するいまの先生の御意見よくわかりますので、今後がんばっていきたいと考えておるところであります。
  160. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 それでは予知連の浅田先生、大変お忙しいところをありがとうございました。  実は地震は、私静岡県でございますが、最もだれよりもだれよりも関心を持っているつもりでございますが、最近また大分、三日前ですか、揺れました。あるいはまた、秋田沖の地震ということで、あのときは、東海大地震が来るかと思っていたら、いつも余りこうまさかと思ったところに、秋田沖にあのような地震が来たと、こういうことで、非常に最近地震について国民の中で疑いの心といいますか、不安の心といいますか、そういうものが大分大きくなっております。  そこでまず伺いたいのは、先般の秋田沖大地震とかあるいは最近の三日前の地震とか、またこのごろちょっと揺れております。きのうもあったようですが、そういうものは、いわゆる先生方が言っていらっしゃる大規模地震というものの何か前兆なのか、関連があるのか全くないのか、このあたりの状況について少しお話し願いたいと思います。
  161. 浅田敏

    参考人浅田敏君) 東海地方にいずれ大きな地震が起こるということは数年前から言われておりますが、いずれというのは地学的な言葉でありますので非常に漠然としておりますけれども、このことについては今日も考えは変わっておりません。ということをもっと具体的に申しますと、太平洋沿岸に起こる他の大地震よりは一番先に起こるんだと、こういうふうに認識しているわけでございます。  ところで、いま先生のおっしゃった神奈川県西部の地震とか秋田仲の地震でございますね、これはこのようなたとえば神奈川県西部の地震あるいは山梨県東部の地震というのは、数年に一遍ぐらいの割合でマグニチュード四とか五とかいう程度の大きさのものが起こっております。これはもうその起こる理由があると言っている人もあるぐらいでありまして、土地の方はびっくりなさることはもうもちろんでございますけれども、東海地震と関係があるとは考えておりませんし、もちろん大地震とも考えておりません。  それから、日本海中部の地震でございますが、あのような地震が一つ起きるとわれわれは非常にりこうになりまして、地震の起きる前といまとではりこうさが少し違うわけでございます。ということは、起きる前からあそこに起きるかもしれないと予測することはやはりむずかしいのである。そういう経験を積み重ねて、その内陸の地震とかあるいは日本海岸の地震についても将来は予知をできるようになりたいと、こう考えておりますが、あの地震ももちろん東海地震と直接関係あるとは思っておりません。  それから東海地震、長期的前兆というものがあると学問的には言われております。ですから、これを上手にとらえれば、あと数年とかあと十数年とか、そろそろ迫ってきたとかわかるはずでございますけれども、何しろ東海地方で観測らしい観測を始めたのは数年前からでございますので、昭和五十一年に発生時期を決められるような意味の前兆というものは見つからないという統一見解を出しまして、この点については今日も変わっておりません。残念ながらまだどういう状況にあるのかということはわかっておりません。ただ、地殻変動の測量によりますと、地震の発生する方向に順調に、まさに順調に変異が蓄積しているということはもう非常に明らかでございます。  じゃ、その長期的予知はできないかと申しますと、たとえば一例としまして御前崎の沈下がはかられております。正直に申しますと、観測回数がふえるにつれて、いままでぼんやりしておったことがいろいろよくわかってきて問題がよけいむずかしくなってきたというのが実情でございますが、今日のところ、まだぎょっとするような変化は生じておりません。と言いまして、変化が生じておりませんからあと数年は大丈夫でございますと申し上げることはできません。ですから、毎日気象庁で監視しておるわけでございます。いまのわれわれの考えといたしましては、東海地震のような大地震が起こるときにはやはり数日前にはわかるのではないかと、かなりそういう心証を持って絶えず見張っておるわけでございます。
  162. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 先生から興味のあるといいますか関心のあるお話を承って大変参考になりました。ですから、大体わかったのですが、その順調に順調にという意味は、要するに、これは何と言いますか、刻一刻とそういう徴候が近づいておる。だから一部には、もう日本海の方に大きいのがあったから東海大地震は遠くなってしまったんじゃないかとかなんかということを一部に言う人もいるんです。そういうことじゃなく、やはり引き続いて非常に戒めを持っていまの地震対策というものを着々進めていく必要があると、こういうふうなお考えというふうに承ってよろしいかということと、それから、予想される規模でございますが、その規模については、従前言われております規模といま考えられていることは何ら変化はないかどうか、こんなことも教えていただきたいと思います。
  163. 浅田敏

    参考人浅田敏君) マグニチュードが一つ違いますとエネルギーは三十倍違いますので、小さい地震で大きな地震のエネルギーを発散するということは事実上できないことでございます。でありますから、日本海地震はかなり大きい方ですけれども、それでも東海地震にはとうていかなわない、数分の一以下だと考えられます。ですから何の影響もないのであります。  それから、順調にと申しましたのは必ずしも適切な表現ではないのですけれども、エネルギーの蓄積がとまるというようなことはもう絶対にないんだということでございます。  それから、さっきも申し上げましたけれども、いまのところ気象庁の機械に何の変化もあらわれておりませんから、あと数年は大丈夫だろうというようなことはどうしてもやはり申し上げられないのでありますので、災害対策などはぜひ怠りなくやっていただかなければならないと考えております。
  164. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 それでは先生に伺いたいんですが、言われております東海大地震以外に、たとえば新たに考えてみたが、こういうところもやはり日本列島の中で考えておく必要があるんじゃないかとか、いわばいま強化地域とかなんとか言われておりますけれども、そういう強化地域というものももう一遍見直してみたらどうかとか、そういうお考えはございましょうか。
  165. 浅田敏

    参考人浅田敏君) 太平洋沿岸の大地震は何しろ規模が大きいので歴史にもよく残っておりますし、数が逆に言えば少ないわけでございます。でありますから、東海地方が危ないんだということはすぐわかるし、地震学者にも異論がない。それに比べますと、内陸の地震とかあるいは日本海沿岸の地震などというものは、規模が多くの場合数分の一以下でございます。  それから統計的に見ますと、日本はやはり非常な地震国でありまして、数人程度の人命の損傷が出る地震は数年に一回の割合で、あるのでございます。もう少し、たとえば数十人あるいはもう少しとなりますと、平均しますと十数年に一回ぐらいの割合で、あるのでございます。ですから、東海地震が起こる前にかなりの地震が内陸のどこかに起こるということは非常にあり得ることでございます。  問題は、そういう地震がどこに起こるかということでございますけれども、簡単に申しますと、地震の起こりそうな場所ということは決めることはできないのですけれども、太平洋沿岸の地震の起こりそうな場所、主な地震というのはたとえば十個で決まってしまうのに対して、内陸の地震の起こりそうな場所というのはこれに対して何百個とか千個という割合であると思われます。でありますので、残念ながら、どこが危ないということは、今日では言えないのでございます。  そういうわけでございますから、今度逆に言いますと、どこも危ないのであるというふうに目下のところは思わざるを得ない、そういう状況でございますので、いろいろ防災的な手だては、大地震がそれらの内陸のある場所につきましては一遍起こると千年はないんだというふうに言われておりますけれども、自分のところはおじいさんの代から地震が一つもなかったから安全であるなどということはとうてい考えられないので、防災の手だてはぜひきちんとやっていただきたいと考えております。
  166. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 そういう浅田先生のお話しのようなことがある中で、最近、何月何日には必ず地震が来る、東京から全部退避させろとか、私は気象庁の元予報官であったとかなかったとかというようなことを言って、いかにも何月何日に地震があるかのような断定をしながら、民心の不安というか、そういうものをあおるようなことをやる人がおりますが、政府としてはこういう人をどんなふうに考えておられますか。ちょっと実態を聞かしてください。
  167. 栗山昌久

    説明員(栗山昌久君) お答えいたします。  地震予知に関する現在の学問的、技術的水準は、先ほど浅田会長からお話がありましたとおり、発生機構がほぼ明らかになっている海溝型の巨大地震については、気象庁の種々の観測データを常時監視することで何らかの直前の予知が初めて可能というのが限界だと、まして発生機構もはっきり解明されていない直下型地震や火山噴火を何カ月も前から特定の日時を指定して予測することは、いまの段階では全く不可能という状況です。こういうような学問、技術の現状を逆用しまして、国民にあたかもいつ幾日地震が起こるということを言っているのは、気象庁の元職員であるということで非常に嘆かわしいと考えております。  それに対して気象庁としてはどういうふうに考えているかということでございますが、まずこのような学問、技術の現状を広く国民各位に正しく認識していただきまして、流言飛語に惑わされることがないということが大切だと考えて、そういう方向でそういう考え方の普及に努めております。  まず御指摘の流言飛語は約二生前から流布され出したものでございます。当初、気象庁としてこれに表から反論しようかということは考えたんですけれども、逆にこれが著作、本だとかの宣伝に悪用されるというおそれもありましたので、それについては黙殺してきたわけでございます。その後一部週刊誌等の扱いにより、そういうものが非常にエスカレートしてきましたので、気象庁としては一応これに対する反論としての公式見解をまとめまして、科学的根拠のないものであるから惑わされることのないようにということで、閣議において運輸大臣からも発表していただきますし、またマスコミ等、それから一般国民からの照会に対しても、事あるごとに啓蒙に努めているところでございます。マスコミの中にも非常に良識のある報道を行っているものが非常に多いんですけれども、依然として一部雑誌や一部テレビの番組等で興味本位にこれらの流言を取り上げて報道している、非常に遺憾だ、こういうふうに考えています。  現在気象庁が監視しております東海だとか南関東に展開しておりますいろいろな地震の観測データ、常時監視網には、異常現象は現在のところ全く発生しておりません。また富士山についても噴火の前兆を示すような現象、火山活動、そういうものもあらわれておりません。山頂にあります気象庁の測候所では、気象庁職員が平常どおりの勤務を行っているということで、まず異常があれば、気象庁がいろいろな異常データをつかめば、気象、地象それから水象について気象庁はこれは公表することになっております。隠したりなんかはいたしません。公表することになっておりますので、その辺を信用していただきたいと思います。
  168. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 警察庁、見えてますか。  こういうようなことが、何か民心をあおり立てるような、不安をやたらかき立てるような、しかもそれも根拠も何もない。いま浅田先生も、数日前には東海沖地震程度のものなら必ず予知ができるということ、もうこれは大変大きな発言ですね。そういうことも言われている。にもかかわらず、どんなことを調べているかしらないけれども、政府のところへ行って、あんた必ず東京都民は皆引っ越しなさいとか、そんな常識では考えられないけれども、そういうことが余り高じれば刑法犯にもなり得ると思うが、どうですか。
  169. 古山剛

    説明員(古山剛君) 軽犯罪法に触れるかどうかという問題でございますけれども、私ども軽犯罪法を直接所管しているわけではございませんけれども……。
  170. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 軽犯罪法じゃなくて、私は刑法犯と言った。
  171. 古山剛

    説明員(古山剛君) 刑法犯でございますか。各条文をいろいろと見まして、恐らくまあ触れないのではないかというふうに思うわけでございます。
  172. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 私はそれはちょっとおかしいと思うな。大災害が起こるんじゃないか、地震が起こるんじゃないか——これは戦争が起こると言うのと同じようなもんですよ。そんなようなことを言いふらしてそれが罪にならないというんじゃ、これは日本国の秩序は保てません。これは警察庁、もう一遍ひとつよく考えてみてください。きょう別にここで問答しようとは思いません。私は夜学生ですけれども、法学部へ行きましたけれども、こういう場合には私は、これは刑法犯に場合によれば該当する、こういうふうに思いますので、よく御研究いただきたいと思います。  そこで大臣にお願いしたいんでございますけれども、マスコミのお話がございますけれども、本当にマスコミさんでも良識のある方々、わかっていただけると思うんですけれども、たまたま私の県じゃ、このごろマスコミさんが協定しまして、選挙が近くなったから国会議員の姿は皆来賓席にいる人は撮らないようにしよう、そういってみんな約束をして撮らないんですよね。マスコミさんがみんなそういうふうに約束すればできるんですから、やっぱりこのような流言飛語みたいなものはマスコミさんがあえて黙殺してもらうとか、大臣としてやっぱりそういう協力を求めるべきじゃないですか。
  173. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 実は先ほど気象庁の次長からもお答えいたしましたが、その前にある先生から質問主意書が出たときに、政府はこれに対してはっきりとそれぞれの項目について詳しくお答えをいたしたことがございます。しかし、それでもなおかつ先ほど来先生御指摘のいろいろなケースがございましたので、先般の閣議におきまして運輸大臣が具体的事実を挙げられまして、心配ないということで御説明があったわけでございます。  われわれは、言論、思想の表現の自由を認めた上でやっているわけでございますから、こういう問題は国民皆さん方の常識と良識に期待していかなくてはならぬところでございます。そしてわれわれの居住環境、わが日本は環太平洋地震地帯の中枢にあって、全世界の地震エネルギーの一割以上がわが国において発生しておるというまた厳粛な事実があります。先ほど参考人からもそこら辺の問題についていろいろお話がございました。この厳粛な事実というものを真剣に踏まえながら、そしてその中に、絶対起こらないとか絶対起こるとかということをはっきり言えないのが地震ではないか。そこら辺に隔靴掻痒の感を感ずるところでございますけれども、よく地震に対する常識と知識を国民各界各層の皆様方に持っていただいて、そういう常識、知識の上に判断をしていただいて、流言飛語その他にだまされないようにひとつしていただきたい、こういう気持ちでいっぱいでございます。
  174. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 国土地理院を御担当は建設省だと思いますが、来年度また一〇%削減なんということを言われているんですが、地震は一〇%削減はないんですから、これ逆にふえるんですから、これは予知連の予算を一〇%ただ無制限に切ったりいろんなことをされちゃ、無差別に切ったりされちゃ目も当てられませんが、建設省そのことをしかとお願いしておきますよ。
  175. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) お答えいたします。  先生御指摘のように、予知連関係は国土地理院の担当でございますので、五十九年度予算の概算要求におきましては本年を下回らないよう努力するよう配慮させていただきます。
  176. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 よくわかりました。  そこで地震問題、最後に、地震強化地域に対する地震の特別時限立法によりまして事業を進めているわけです。静岡県なんかもおかげさまで大変進んでいます。ありがたいと思っています。しかし、他の地域のこの間の日本海の地震を考えたりいろいろいたしますと、これは場合によると特定の地域だけでいいのかなということも思うし、それからまた特定の地域指定された地域も必ずしも時限までに果たしていけるかどうか、全部完璧にいけるかどうか、まだ不安を持っています。参考人からもこれからいよいよしっかりやってくれというお話がある中で、まだ少しありますけれども、この強化地域をもう少し拡大するという考え方とか、あるいはまた将来もし時期が来たときにもう一遍時限立法を少し延長なり何なり、そのときどきに合わせて考えていただくことを御検討いただくことはどうかと思うが、いかがでしょうか。少し早い話で恐縮ですが。
  177. 田中暁

    説明員田中暁君) 先生よく御承知のところでございますが、震災対策一般の推進につきましては、御指摘のとおり、東海地震に限らず全般的に進めなければならないということで、そのように進めておるわけでございますが、ただ大規模地震対策特別措置法の対象地域ということになりますと、前提として大規模な地震が発生するおそれが特に大きいということのほか、地震の直前予知が可能であるということが条件でございますので、これにつきましてはおのずから限定があるものだと考えておるわけでございます。  ただ、例の指定のときの宿題がございまして、これも先生よく御承知でございますが、その点につきましては現在、中央防災会議の専門委員会におきまして、引き続き、地盤の液状化が想定される地域あるいは長周期の地震波による被害が想定される地域等につきまして、各種の検討を進めていただいておりますので、その検討結果を待って適切な措置をとらしていただきたいと考えておるわけでございます。  地震財特の延長問題についてお触れになりましたが、これは現在では御承知のところ、進捗率四三%ということでございますが、残りの期間に極力この事業をやってしまうよう努力中でございますので、現在の進捗率から言えば先生の御心配もよくわかるわけでございますが、いまのところは延長問題に云々するのはいささか不適当かと心得ますので、御了承いただきます。
  178. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 浅田先生、ありがとうございました。しっかりがんばっていただきたいと思います。
  179. 赤桐操

    委員長赤桐操君) それでは浅田参考人に一言御礼を申し上げたいと存じます。  本日は御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただき、ありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。御退席されて結構でございます。
  180. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 もう時間も十五分もございませんので、少し駆け足でできるだけのことをお尋ねいたします。  まず大臣に、非常災害時におきまして、このごろまた話題になっておりますが、第二官邸をどこかへ設ける、非常事態の非常対策本部といいますか、あるいは政府の機関をこの東京以外に、他の地域に設けておく、そういう構想が議論されておりますが、大臣はこれについてはどんなふうにお考えでございますか。
  181. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 先生がおっしゃいましたのは、中央防災会議において決定しました仮称立川防災基地並びに横浜防災基地、そこら辺のことをおっしゃっておられるんではないかと思いますが、立川広域防災基地、横浜海上総合防災基地等については、先般中央防災会議その他において決定をいたしております。
  182. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 したがって、そういう最悪の場合にあっても最善を尽くして対応できると、こういうことでございますね。
  183. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 具体的には、立川につきましては来年度より予算づけをしてやっていくということで、財政事情非常に厳しい折でございますが、各省庁協力し、特に建設省中心にぜひこれは実現していくべく、来年度の厳しいシーリングの枠内において何がしかのうっ立てをつけたいと考えておるところでございます。
  184. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 実は大臣、御同僚であります佐藤隆議員がわが党の災害の専門家でいらっしゃいまして、防災国債ということを従前から主張しておられます。これは確かに借金には変わりないけれども、防災問題について、災害に強い国土づくりをするんだというための国債を発行して、そして国民にも災害についての関心を持ってもらいつつ、この財政の危機の中で防災対策を強化する、私は非常にいい考え方だと。大蔵省さんも恐らくいい考え方だと言っていただきたいんですが、いろいろ大蔵省にも御都合があって、なかなかそう御答弁が願えないようでございます。十分は知っておりますが、大蔵省さん、関心は持っていただいていますね。
  185. 兵藤廣治

    説明員(兵藤廣治君) お答え申し上げます。  防災国債の御議論につきましてはよく承知をいたしておりますけれども、私ども災害復旧事業費なり防災対策事業費の予算措置につきましてはこれまでも優先的に配慮しておりまして、また年度途中不足ということがございますれば、必要に応じて予備費の使用決定を行うなり、場合によりましては補正予算を国会に御提出申し上げ、御審議をいただきまして追加の措置を講じてまいっているところでございます。そしてこの財源は、先生も先ほど御承知のとおりでございますが、財政法四条の建設国債によるととができることになっておるわけでございます。そして、この建設国債の一部を区別して、目的財源化といいますか、目的公債化するということでございますけれども、建設国債の発行が可能になっておりますので、それでより得るというふうに考えておるわけでございます。先生もよくまたこれ御承知のことでございますが、ただいま大変大量の国債に依存しているような財政の現状でございますものでございますから、このような危機的な状況で国債の消化の方もきわめてむずかしい状況になってまいっております。このような状況で国債の増発につながるような新しい目的公債をつくるということはいかがであろうかと思っておるわけでございます。何とぞ御賢察を賜りたいと、そう思っております。
  186. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 大臣、お聞きのとおりなんですがね。私どもも党としてうんとがんばっていくつもりなんですが、災害担当大臣としてこれ関心を持っていただけませんか。
  187. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) この構想につきましては、数年前以来大変熱心に、先ほどおっしゃいました佐藤先生、戸塚先生等中心になってやっていただいておることはよく存じ上げております。防災対策を所掌します国土庁としては関心のあるところでございますが、先ほど大蔵省よりもお答えがありましたが、すでに膨大な国債処置が国政の大問題になっているところであります。また建設国債との関係等、多くの問題がなおあると思っております。国土庁としては基本的にはこの災害対策予算が確保されるかどうかというところに問題を置いて考えておるところでございまして、午前中にもお答えしましたが、厳しい財政情勢のもとでございますが、五十九年度の防災関係予算について私は閣議において発言もし、関係各省庁の大臣にもお願いしたところでございます。要は防災対策予算を今後確保していくというところに視点を置いて考えていきたいと思っておるところでございます。
  188. 戸塚進也

    ○戸塚進也君 それではもう時間が数分しかありませんので、まとめて伺って、一括それぞれから答弁していただきたいと思います。  まず、太平洋側の最近の海岸の沈下現象がどうなっておりましょうか。それに伴っていろいろ海岸の予算が非常に要望されているところでございますが、それについてできる限り拡大をしていけるように努力をしていただきたい。これは応援団ですからあんまり答弁結構ですが、しっかりがんばるということだけ言ってください。  それから最近この河川の中で、伺うと、全体には砂利がだんだん減ってきて河床が低くなっているというのですが、うちの地元一級河川あたりはもう土砂がいっぱいたまりまして、そのたびに、雨が降ることに大災害が起きる危険がある、また起こっている、こういう状態になっておりますが、やはりこういう河川等については早急に点検されて、国としてひとつその対策を講じていただくべきじゃないかと思うが、この点についていかがでしょうか。  それから個人所有の山について、非常に川がやられたとか、すぐ近くに危険があるというとやってくれるんですが、そうでないとそのまま放置されておって、そこからどんどんどんどん土砂が落ちてきて、結局みんなが迷惑する、こうなるわけですが、山持ちの人がこのごろ山が景気が悪いものですからどうにもならぬ。そこで、そういう場合、個人のものだからやってくれないのですから、もう国の方に全部それ取っちゃう、召し上げちゃう、山召し上げちゃう、そのかわり国で災害対策やってくれるという、何かそういううまい方法か何かで多くの人に迷惑がかからぬようにしていただくことができぬでしょうか。これについてひとつお考えを伺いたいと思います。  それから、がけ崩れのことで集団移転をやっておりますが、いい制度なんですけれども、十戸とかいわゆる基準が余り厳し過ぎるものですから、結局何とかして移転したいと思ってもそれが実現できない。もうちょっと思い切って緩和して、危ない人はもうおかしくなってから大騒ぎするのじゃなくて、早くひとつ安全な場所に行ってもらうように大幅な基準の改善、見直しをすることを私は要望したいと思いますが、これについてどんなふうにお考えか。  最後に、今度の災害でも出動していただいたわけですが、全国に民間パイロットの災害救助飛行隊というか、そういうのがあるんです。一生懸命やっているんです。この組織、赤十字でやっておりますけれども、これは厚生省が応援していただいていると思うけれども、これについてひとつもうちょっと育成をしていただいて、官の方ができないことは民間で飛行機も大いにやってもらう、こういうことがいいと思うけれどもどうか。  以上伺って終わります。
  189. 大河原満

    説明員大河原満君) お答えいたします。  最初の海岸の沈下の件でございますが、現在静岡県管内の直轄海岸あるいは補助海岸、毎年一回ずつ測量を行っております。現在のところ海岸の保全施設で大幅な沈下があるという報告はございません。  それから先生御心配の、海岸の予算でございますが、建設省のシーリングの中でできるだけがんばりまして予算を確保したいと、こういうふうに思っております。
  190. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 河川堆積の問題がございました。御指摘のように、大河川では現在河床低下の傾向がございます。しかし、最近は砂利の掘削等もとめまして、弊害のないようにやっています。比較的小さい河川におきまして洪水の後、砂利が出てまいりまして、それが河道を一時的にふさぐ、これらにつきましては、改修事業その他災害復旧事業等で十分流下能力ができるように河床の掘削を行い、築堤等とあわせて処理するようにしております。心配は要らないようにやっておるつもりでございます。
  191. 今村清光

    説明員(今村清光君) お答えいたします。  私どもの治山事業でございますけれども、天災等でいろいろ災害が生じた場合、これは先生御指摘の個人所有の山林でございましても下にいろいろと保全対象物がございますので、緊急の場合は緊急治山等でやりますし、あるいはその後、後年度も計画的に行うということで、復旧治山といったような方法でやっております。まずおおむね大抵の災害につきましては治山事業でやっていけ るというふうに思っておりますけれども、先生のお申し越しの、国が買い入れてというような、そういう所有を移してまでということはやらなくても対応できるんではないかというふうに思っております。
  192. 仁科英麿

    説明員(仁科英麿君) 防災集団移転促進事業でございますけれども、この事業は、被災地域あるいは今後災害が発生するおそれのある地域につきまして、当該地域の住民の生命財産の安全を確保するということで、そのためには安全な地域に移転していただくことが一番いいということでございますが、その場合に地元市町村においてある程度の規模の団地を新たに造成して、そこに集団的に移転していただくということによってこの移転を促進しようという制度でございます。したがって、この防災集団移転促進事業につきましては、この制度の趣旨から、移転先の団地の規模として十戸以上という基準が設定されているわけでございますが、御質問は、この実施基準緩和ということでございますけれども、現在、このほかの制度といたしまして、移転戸数が十戸に満たない場合でも、たとえば急傾斜地あるいは地すべり地域等の災害危険区域については、建設省所管でがけ地近接危険住宅移転促進事業がございます。これは個別の住宅でも移転可能でございます。さらにまた、過疎地域につきましては、十戸以下の移転につきましても集団移転事業実施しているわけでございまして、これらの制度を活用いたしまして、積極的に集団移転等、促進をしてまいりたいと考えているわけでございます。
  193. 近藤純五郎

    説明員近藤純五郎君) 先ほど先生が民間パイロットの集団と申されましたのは、赤十字飛行奉仕団あるいは赤十字飛行隊と呼ばれているものでございまして、昭和三十八年にできまして、日赤の事業協力いたしまして、災害救護活動とか人命救助に奉仕されている団体でございまして、操縦士でございますとか、航空機の所有者が隊員になっているわけでございまして、現在、自家用のセスナ機が中心でございますけれども、百十五機、隊員が三百五十名といったような団体でございまして、災害発生時には日赤の活動を支援するために非常に貢献をいただいておりまして、今後ともその協力を得まして、私どもとして活用を図っていきたいということで、ことしちょうど満二十年にもなるわけでございますので、厚生省といたしましても、その功績について表彰等を検討したいというふうに考えているわけでございます。  それから、助成の関係でございますけれども、ボランティア活動でございますのでなかなか助成はむずかしいわけでございますけれども、日本赤十字社の本社におきまして事故保険につきまして保険料を負担しておりますし、それから、支隊がございまして、支隊の隊長会議を毎年開催いたしまして、研修を行っているところでございます。
  194. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは最初に、今回の山陰集中豪雨で亡くなられた方々に心から御冥福をお祈りするとともに、あわせて日夜救援作業に働かれた関係者の御努力に深く敬意を表する次第でございます。政府におかれましても、国土庁長官を初めとして関係者現地に赴きまして、いろいろ現地の人を激励をし、以後努力をされていることに深く感謝をする次第でございます。私も本院の災害対策委員の一人として現地視察をさしていただいたわけでありますが、午前中からいろいろ質問等もございまして、できるだけ重複を避けて質問をしたいと思うのでございますが、ちょうど一年前に長崎の豪雨がありまして、ちょうど一年前のきょう、同じように災害委員会が行われたわけでありますが、一年前の災害委員会会議録を競ましていただきましたが、同じようなことを繰り返し、なかなか防災対策が前進をしない、こういう点を非常に残念に思うわけでございますが、まず最初に激甚災の問題でお尋ねしたいと思います。  現地の各市町村において一番大きな要望の一つは激甚災指定を早くやってもらいたい、またその指定基準緩和をしてもらいたい、こういうような要望であったわけであります。そこで、午前中からお話ありましたが、指定基準緩和という問題でございますが、たとえば同じ災害を受けながらこれは激甚災を受けたか受けないかと、こういうことで非常に、たとえば私立学校に対する助成にしても違う、あるいは天災融資法を受けたか受けないかによって農家の対応も違う。しかし、一戸一戸にとってみればこれは同じ災害は一緒でございまして、そういう意味で私は、この激甚災の考え方というか、指定基準緩和という点からもう少し抜本的にその対応を考えるべきではないか、見直すべきではないか、このように思うわけでありますが、災害担当の長官としての御意見を承っておきます。
  195. 田中暁

    説明員田中暁君) 先生御指摘のように、確かに災害を受けた個人なりあるいは地方団体から申しますと、ほかの地域なりほかの被災者が少ないからといって、それによって国の財政援助の対応が違うということは何となく納得できないという、そういう気分というものはよくわれわれも理解できるわけでございます。ただ、現在の激甚災害制度と申しますのは、いままでもお答えを申し上げておりますように、国民経済に対する影響が相当大きいものにつきまして、地方団体の財政負担もちょっとそれだけでは耐え切れないというものについて特別の考慮をしようと、こういう考え方に立っているものでございますので、その考え方を根本的に崩すということは、これは何かむしろ別の財政制度によって行うべきものではないかという感じもするわけでございまして、いろいろむずかしい点があろうかと思うわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、最近特に問題となっておりますのは、特に公共土木の本激指定というのがめったに該当する例が少ない、こういうことでございますので、この辺のところはいろんな意見がございますけれども、われわれとしては引き続いた検討課題として対処してまいりたい、こういうように考えているところでございます。
  196. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま言われましたように、確かに激甚災害法というものがいわゆる「国民経済に著しい影響を及ぼし、かつ、当該災害による地方財政負担を緩和」する、こういう点から言えば、その考え方も私は納得できるわけですけれども、しかし、最近そういう災害というものが、集中豪雨というか、非常に局地的なところに、しかも今回の島根県にいたしましても、三隅町等も昭和十八年以来三十年ぶり、こういうような点から考えますと、やはりもうちょっといわゆる激甚災害法とは違った別な観点からでもいいと思うんですけれども、何かそういう災害救済のあり方を私は考えるべきじゃないかと、やっぱり法のもとに平等であり、同じように税金を納めているんですから。それで一方、個人の場合、こちらの方で災害を受けた人とこちらで受けた場合と同じ災害を受けながら違うということは憲法の精神から言っても非常におかしいんじゃないかと思うんですけれども、そういう点で、新しい立法が必要かもしれませんけれども、そういう点を含めて私は検討してもらいたいと思いますが、その点、大臣の御意見はどうでしょう。
  197. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 私も国土庁長官を拝命しまして、東北の同時多発山火事あるいは日本海中部地震等で現地視察さしてもらいまして、そしてそれが現在の法あるいは政令、制度というものでなかなか現地の救済が困難であるという場合等にも遭遇いたしました。そういうときには各省庁よく相談し、協力し合いまして、ある面では政省令を、ある面では基準等を改正しまして、適時適切に現地の救済ができるように講じてきたところでございます。  先ほど審議官がお答え申し上げましたように、同じように災害に遭っても激甚災の適用を受けると受けないとでは違うものがいろいろ出てまいります。そこら辺何とか考えられないものだろうかとも思っておるわけでございますが、今日の厳しい財政情勢の中でできるだけそれぞれの災害を受けられた皆さん方に適用ができるように現行制度の中でまず当面最大限努力し、考えていく。そして、どうしてもというときにはまた各省庁よく相談をしなければならない、こう思っておるところでございます。
  198. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから次に、急斜地対策の問題についてお尋ねしたいわけでありますが、先ほどから質問にもありましたように、今回は特にがけ崩れでたくさんの方が亡くなっておるわけであります。しかも、これがいわゆる乱開発とかそういうことではなしに、いわゆる父祖伝来の地が非常に崩壊をした、こういうように言われておるわけでありますが、政府といたしましては、いわゆる急傾斜地崩壊危険個所というものを調査をし、そしてこの整備を進めてきておるわけでありますが、一年前の報告では大体六万四千カ所ぐらいありまして、そうして昭和五十六年末の整備率は約一三%である、それで現在さらに危険個所というものを再点検を行っておる、このようにお聞きをしておるわけでありますが、その再点検の結果はいまどうであるのか、現在の危険個所とそれから整備率、さらに大体これは一年間に何%ぐらい進むのか、このあたりをちょっと御報告願いたいと思うんですが。
  199. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) お答え申し上げます。  御指摘のように、五十七年に危険区域の見直しを行いまして、その結果をもちまして昭和五十八年、すなわち本年度でございますが、本年度を初年度といたします急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を策定したところでございます。  五十七年に調査いたしまして判明いたしました急傾斜地崩壊危険個所でございますが、七万二千二百五十八カ所ということになっております。この五カ年計画におきまして、これまで五十七年度末における施設の整備率が約一三%ということになっております。これを今後、五十八年度を初年度とする五カ年計画で二〇%に引き上げるということで計画を策定したところでございます。
  200. 塩出啓典

    塩出啓典君 今回の島根県のがけ崩れ等も、いわゆる急傾斜地崩壊危険個所として指定された場所は大体どの程度あったのか。かなり指定されたところが崩れなくて、指定されてないところが大分崩れたとか、こういうようにわれわれも現地においてはそういうお話も聞いたわけなんですが、大体数字的にはどうなっていますか。
  201. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) 危険個所が全国で七万二千二百五十八という数字でございまして、島根県で申しますと千八百七十カ所でございます。このうち危険区域として指定した個所は島根県で申しますと二百九十一カ所指定してございます。この指定率は一五・六%というふうになっております。  それで今回、指定した地区災害が起きたかどうかということでございますが、これにつきましては、現在詳細な調査結果が入っておりませんので、ちょっといまの時点ではわかりかねるので御了承いただきたいと思います。
  202. 塩出啓典

    塩出啓典君 私は、危険個所七万二千二百五十八カ所、五カ年計画で二〇%までいく。しかし、いまのような情勢の中では本当に二〇%いけるかどうか非常にむずかしい。しかも一方、だんだん危険個所の方が整備よりもふえていくわけですから、そうなると、やっぱり政府が急傾斜地対策を立てるのを、あるいは住民が負担をして整備するのを待っておったんではこれはいかぬわけで、やっぱり災害を早く予測をし、雨が降ったら逃げる、こういう体制をやはり強化をして、そして人命だけは守っていかなければならない、こういうことが私は非常に大事になってくるんじゃないかと思うんですけれども、そういう意味で、いわゆる危険個所の判定の基準、やっぱりこれは物理的な形だけではなしに、土質の問題とか傾斜とか、そういうような問題もいろいろあると思うんですけれども、それで大体この程度の雨が降ればこのあたりはこの程度の危険度がある、こういうようなのをもっと科学的に研究を進める必要があるんじゃないかと、その点はどう考えていますか。
  203. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) お答えいたします。  御指摘のように、危険個所につきましては、一定の基準のもとにこれを拾い出しているわけでございますが、なかなかこの中身につきまして、地質の個々の何といいますか、どういう地質に属する、あるいは若干風化が進んでいる、いないというようなものは表面から見てわかる場合と中が全然わからないという場合がございまして、私ども過去の災害等の実績からこれをいろいろ調査をいたしておるわけでございますが、なかなかその個所個所によって非常に中身が違うということで、いろいろ苦慮しているところでございます。今後ともこういったことにつきましては十分調査をいたしまして、今後の対策事業あるいは危険区域の調査、そういったものに生かしてまいりたいというふうに考えております。
  204. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから次に、気象庁の観測体制の問題についてお尋ねしたいと思うんでありますが、松江気象台からいただいた資料によりますと、こういう一番豪雨を受けた地点が途中で測定不能になっておる、これは雨量でございますけれども、これはどういうところに原因があるのか。やはり一番肝心なときに測定不能になるということは非常に困ると思うんですけれども、今後はどういう対策を考えておられるのか、これを気象庁にお尋ねしたいと思います。
  205. 山崎道夫

    説明員(山崎道夫君) 御説明申し上げます。  先生御指摘のとおり、気象庁が持っております観測点の中で若干収集不能になった時間がございましたことは事実でございます。ただ、これはすでに大きな災害、大きな降雨が山を越しました後でございました。これは幸いなことでございました。  これからの観測体制のことでございますけれども、気象庁では昔からございます気象官署——測候所あるいは気象台、これが約百五十カ所ございます。それから気象レーダーを備えておりますところが全国に二十カ所ございます。それに近年、ここ十年来全国に約千三百カ所余りの、アメダスと俗称しておりますが、地域気象観測システムというものを展開しておりまして、これがオンラインでいわばリアルタイムで観測データの集配信を行うというものでございます。先生先ほど御指摘なさいましたのは主にこの点かと思いますが、そのほかに、これもよく毎日報じられております「ひまわり」の気象衛星といったものによりまして総合的な観測を行っているわけでございます。この特に地域気象観測システムといいますのは世界でも非常に密度の高い、最も密な観測を展開しているものでございますが、これからも気象官署におきます観測施設、あるいは無線ロボットでありますとかそのほかのものを整備強化を続けますと同時に気象レーダーの映像、これをディジタル化といいますか、数量化いたしまして電算機処理にかけやすい形、かけ得る形にいたしまして、これらと先ほどの地域気象観測システム、すなわちアメダス等とあわせまして、各種情報の総合、効率的利用ということを一層図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  206. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、なぜ測定不能になったのか。それと対策等はどうなるのか、今後は。
  207. 山崎道夫

    説明員(山崎道夫君) 御説明いたします。  アメダスの故障の原因でございますけれども、島根県内に二十七カ所観測点がございます。このうち一番集信ができなかったのが多かったのは七月二十三日の午後九時でございまして、これは雨のやんだ後でございますが、このときが九地点でございます。それから二十三日の午前九時ですが、これが七地点ございます。そのほかにも七地点の時間が二、三ございますが、午後九時の場合の故障の原因といいますのは側器の流失、浸水というのが二カ所ございます。それから電話回線の話中及び故障というのが六カ所でございます。それに停電が一カ所、これが九カ所の内訳でこざいます。  それから二十三日の午前九時の場合には側器の流失、浸水、これは先ほどと同じでございまして二カ所でございます。それから電話回線の語中及び故障というのが四カ所、それぞれ二カ所ずつございました。それから停電が一カ所といったような故障の内訳になってございます。現在、特に流失、浸水いたしましたところにつきましてはできるだけ早く復旧ということで力を尽くしているところでございます。
  208. 塩出啓典

    塩出啓典君 この中のたとえば島根県の波佐というところですか、こういうところはもう二十三日の三時に測定不能になっておる。あるいは三隅も五時ですから、その前に時間雨量四十四ミリ降っているそのさなかに不能になっちゃったわけで、やっぱりこういう災害のときの一つの指針ですから、やはり測定不能にならないように今後ひとつ十分検討してやっていただきたいと思うんです。  それと、もう時間がございませんから答弁も簡潔にお願いしたいと思うんですが、午前中にもお話ありました洪水警報と洪水注意報ですね。洪水警報と洪水注意報というのは、これは大体、簡単に言ってどういう段階で注意報、どういう段階で洪水警報になるんですか。これは地域によって違うんですか、やっぱり。
  209. 黒沢真喜人

    説明員黒沢真喜人君) お答え申し上げます。  気象庁におきまして防災のために発表します注意報、警報でございますが、雨に対する場合でございますが、それぞれ雨量基準がございます。この雨量の数値につきましては、過去に起こった災害とそのときの雨量との関係を調べてありまして、その数値に基づきまして各県で注意報、警報の基準としております。それで、注意報と申しますのは災害が予想されるとき、それから警報は重大な災害が予想されるときということで、島根県の場合ですと、警報の場合ですと一時間に五十ミリ以上の雨あるいは三時間に八十ミリ以上というふうにいろんな雨に対する基準を設けてございまして、これによって運用しております。
  210. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、これはきょう午前中にも粕谷委員の方から御意見もありましたし、一年前の当委員会でわが党の鶴岡委員も質問しているわけですが、やはり洪水警報というものがこの松江気象台のを見ましても二十一日の五時に出て、それからこれがまた解除になって二十一時三十分に出る、さらに解除になって二十二日の五時四十五分にも出ると。まあこのころは全然災害はなかったわけで、それが二十三日の零時三十五分、こういうように同じ洪水警報でありますとなかなか聞く人に対しても余り大変だなということはわからないと思うんですね。そういう意味で、そういう洪水警報というその中にも、たとえば松江気象台としても、島根県も非常に長うございますので、この地域は特に非常に五十年に一度の雨の危険があるとか、もうちょっとそういう警報の出し方についてこれは検討の余地はないのか。一年前にもそういう意見が出て、気象庁としては検討するということだったわけですけれども、その点はどうなんですか。
  211. 黒沢真喜人

    説明員黒沢真喜人君) お答え申し上げます。  最初にお話のありました、七月二十一日から二十三日にかけて警報が何回も発表になったということでございますけれども、やはり七月二十日から梅雨前線が山陰地方に停滞しておりまして、断続的に雨が降っておりました。必ずしも島根西部だけに降っておったわけではございませんけれども、県の東部、中部あるいは西部というふうに場所を変えて断続しておった次第でございます。そして、それぞれの発表した警報につきまして雨の降り方を調べてみますと、二十一日の警報の場合には、波佐というところで基準を超える雨が降っておりますし、波佐以外の数カ所におきましてもやはり基準を超えているということで、かなり危険性が高かったわけでございます。同じく二十二日の警報につきましても同様でございまして、午前中にもお話がありましたとおり、ある河川においそ警戒水位を超えているというお話もございましたとおり、かなり危険な状態が継続していたということで、警報を頻繁に発表したという事情がございます。  それから、上位の警報ということに関しましてですけれども、警報の内容、表題は大雨警報あるいは洪水警報ということでございますけれども、警報の内容に、何時から何時ごろにかけて、できれば県の西部とか東部とか、それから量的には一時間にどのぐらいの雨が降るあるいはトータルでどのぐらいの雨が降るという中身をもって警戒を呼びかけ、お知らせをしているわけでございまして、今後ともそういった中身を充実し、また早期に効果的に発表していくように努力したいというふうに考えております。
  212. 塩出啓典

    塩出啓典君 これはひとつ国土庁長官災害担当として、特にこういう的確な予報体制というのは非常に大事になってくると思うんですけれども、そういう意味でできるだけ危険を早期に的確にやはり住民に知らせ、そしてその対応をとらせるということが非常に大事じゃないかと思いますので、そういう点は強力に推進をしてもらいたい、このように思うんですが、お考えどうですか。
  213. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 災害防止には予報、警戒体制というのが一番大切でございまして、そういう意味からも今回の被害を反省しまして、今後の教訓として再度かかる事態がないような防止策を講じていきたい。そのための気象庁の一連の問題等についてもさらにお願いしまして、十分にできるようにやっていきたいと思います。
  214. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから、今回の三隅町では昨年十二月にいわゆる緊急防災無線、こういうものができたために、今回は市の中央部においては一人の死者も出なかったわけであります。昭和十八年のときには中心部が同じように水没いたしまして七十人を超える死者が出たわけでありますが、そのときの体験が生きていることは不幸中の幸いではなかったかと思うのであります。そういう意味で、今後そういう特に危険な地帯については防災無線の整備ということを積極的にやるべきである、このことは先ほど長官からも御答弁がございましたので要望だけにとどめておきたいと思います。  特にこれ自治省の方から、いまどういうシステムでこの防災無線を整備しているのか、そのあたり御説明を簡単でいいですから。
  215. 清野圭造

    説明員(清野圭造君) 防災行政無線につきましては、消防庁といたしましては昭和五十三年度から国庫補助制度を取り入れまして、災害のおそれのある市町村中心としまして整備を進めてきたところであります。現在の設置状況は、自主的に整備したものも含めまして約七百五十の市町村が整備をされておりましてという現状でございます。災害時において地域住民に対する避難勧告でありますとか指示を出します場合に、防災無線、特に同報無線、つまり役場でスイッチを入れて放送しますと、それが各スピーカーを通して各地の住民に一斉に伝達される方式でございますが、そういった同報無線が非常に有効だということが今回の災害でも立証されたわけでございます。したがいまして、今後ともこういった未整備の市町村に対しまして整備の促進を図るように私どもとしても努力したいというふうに考えております。
  216. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから、やはりこれからはそういう自分たちの生命は自分たちで守ると、そういう意味でそういう自主的な組織もつくるように政府もされておるようにお聞きしておるわけでありますが、私は、特にこの防災教育というか、こういうものが非常に必要じゃないか。私たち子供のころには小学校でたしか「稲むらの火」という、そういうのがあったと思うんですけれども、あれは非常に地震が起きてだんだん水が引くと、そうすると、これはもう津波の前兆だということでみんなに伝えてもなかなかみんな聞かない、そこで稲に火をつけて名主の家に火がついたということで皆大変だといってそちらに来て助かったという、こういうような記事があったわけで、私は先般の日本海中部地震の惨害を見てああいう「稲むらの火」というのを読んでた撲らにとっては、そういうときになぜ逃げなかったのかという、そういうような気がしたわけでありますが、これは地震の問題でありますけれども、そういう点も含めて、やっぱり災害に対してみずからを守るという、こういうやっぱり教育も非常に必要じゃないかと思うんでありますが、現在文部省においてはそういう防災教育というようなものが指導方針の 中に入っておるのかどうか、そのあたりのお考えをお聞きしたいと思います。
  217. 青柳徹

    説明員(青柳徹君) お答えいたします。  学校におきます防災に関する安全教育につきましては、火災、地震、それから今回問題になっております風水害などの緊急時に起こるさまざまな危険とその際の安全な行動の仕方につきまして理解を深めさせて、状況に応じて安全に行動できるようにということをねらいといたしまして、社会科等の各教科あるいは道徳、それから避難訓練等やっておるわけでございますが、学校行事あるいは学級指導、そういった学校におきます特別活動等を通じまして、学校教育の活動全体を通じて計画的、組織的にその指導を行うというふうなことで努力をいたしておるところでございます。文部省におきましてはこれらの指導を効果的に進めるために、小学校あるいは中学校におきます「安全指導の手びき」というようなものをつくりまして各教育委員会、学校に参考資料としていただいて、これらを指導資料として十分な指導をしていただくようにということでお願いをいたしておるわけでございますし、また各県の担当の指導主事あるいは中堅教員等を中心に研修会等も実施をいたしております。また各県の段階におきましても、教員の安全指導に対する研修会等も毎年実施をいたしまして、その充実に努めておるところでございます。
  218. 塩出啓典

    塩出啓典君 最後に、今回の山崩れ等に対しましていろいろな学者等が島根のそういう罹災地調査をいたしまして、植林地に非常に崩壊が多いと。ある学者の中には、植林のやり方が間違っているんじゃないかと、やっぱり傾斜地には余り木を植えちゃいかぬとか竹なんというのもこれは実際は非常に災害に弱いんだとか、こういうような意見を述べているのを私新聞で拝見したわけですけれども、やはり土質とか傾斜とかそういうその土地の状況等も十分考えて、防災見地からはいかなる植林が非常にいいのかですね、こういうような点を私は十分やはり検討していかなければいけないと思うんですが、林野庁といたしましては今回の災害を通して今日までの方針についてどう考えているのか、これをお伺いをしたいと思います。
  219. 依田和夫

    説明員(依田和夫君) お答えいたします。  最初に、今回の災害についてでございますが、私どもの認識といたしましては、やはり連続雨量が五百ミリを超えるというような非常に森林の持っております水土の保全機能をはるかに凌駕するというような異常なる豪雨があったことによるというふうに私どもは推定いたしておるわけでございます。  ただいま先生からお尋ねの植林事業、私ども造林事業と普通呼んでおりますが、この造林事業につきましては、林野庁といたしましては従来から、一つは国土の保全、水資源の涵養などの森林の持っております公益的機能の向上といった見地から、二つ目には林業の発展によります就業機会の増大などを通しました山村の振興といった視点、それから三つ目には国民生活に不可欠の住宅建築資材といいますか、こういうものの安定供給といったようなことを目途といたしまして、昭和二十九年度から実は全国的に土壌調査実施いたしておりまして、日本の山林全体としての土壌調査実施いたしまして、この土壌調査の成果に基づきまして、地域の立地条件に応じました、いわゆる適地に適木を植える、適地に適木の森林を造成するという観点に立ちまして、従来から造林事業の推進を進めてきたところでございます。私どもといたしましては、今後ともこのような基本的な考え方に立ちまして、森林の総合整備事業というような事業がございますが、こういう事業の適正な活用を図りながら植栽、保育、間伐といったものに至ります森林の造成を進めてまいりたいと、かように考えている次第でございます。  ただいま先生お尋ねの、いわゆる防災的見地の植林といいますか、こういう問題につきましては、現在、私ども林野庁とそれから島根県におきまして、今回の災害の実態というような問題につきまして調査を進めているところでございまして、この成果なども見ながら、必要に応じまして、防災的見地からの造林事業のあり方というようなことにつきまして長期的に研究を進めてまいりたいと、このように考えている次第でございます。
  220. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃ結構です。
  221. 赤桐操

    委員長赤桐操君) それでは黒沢予報課長より発言を求められておりますので、これを許します。
  222. 黒沢真喜人

    説明員黒沢真喜人君) 先ほどの御質問で数字にちょっと誤りがございまして訂正さしていただきます。  注意報、警報の基準の問題でございますが、先ほど一時間雨量五十ミリ、三時間雨量八十ミリと申し上げましたけれども、これは山口県の基準でございまして、島根県の場合には、土質その他の関係があるかと思いますけれども、一時間雨量は四十ミリ、三時間雨量が六十ミリというふうになっておりますので訂正さしていただきます。  どうもありがとうございました。
  223. 塩出啓典

    塩出啓典君 どうもありがとう。
  224. 原田立

    ○原田立君 長官、一年前は長崎で大災害、今回は山陰地方で大災害、一日も早くこれが復旧回復に御努力願いたいと思うのです。その覚悟でおいでだろうと思うのでありますが、実は私、八月の九日に長崎へ行きまして、そして現地調査してきたんです。川平地区、奥山地区、鳴滝地区等々ずっと見てきたのです。先ほどの予算のつけ方は七つけたということですから大変工事も進んでいるのだろうなと思って期待していったのですけれども、見た目はまるきりやってないのに等しいという感じを私は持ってきたのです。  冒頭にお伺いしたいのは、大臣、今度の山陰災害調査に行かれたことはこれは大いに結構。だけれども、一年前の長崎災害で一年たったらどんなふうに進捗したかということを災害担当大臣として現地へ行ってごらんになって、もしおくれているような点があるならばきちっと指摘して、そしてもっと促進を図るように、こういうふうになさったらばいかがだろうかと、こう思うのですが、いかがですか。
  225. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 昨年の災害に対しましては、先ほど来お答え申し上げましたように、前倒しで初年度七〇%強、そして本年度予算で残りの三〇%のうちの一五%、合わせて八六%前後の予算づけはいたしておるわけでございます。ただ、先ほど来お答え申し上げましておるように、早期査定そして早期実施というその早期実施その他についていろいろあったのではないかと思いますが、予算づけとしましては八十数%、昨年とことしでいたしてあるわけでございます。しかし、先生御指摘のような点もございますので、さらにその進捗状況の問題について今後注意を払っていきたいと思います。
  226. 原田立

    ○原田立君 注意じゃなくて、実際ぜひ長官行ってもらいたいと思うのです。というのは、いまいみじくもあなたが言われたけれども、査定がおくれる、査定がおくれるから決定が遅い。したがってお金はついたけれども工事はろくに進んでいない、こういう結論なんですよ。  余り時間がありませんから申し上げるのですけれども、川平地区では、これ浦上川ですけれども、仮復旧として石かごが置いてありました。これはもう当然しようがないのだろうなと思うのですよ。緊急のためには土のうをやったと、土のうじゃ危ないからその次に石かごをやったと、その次には今度は本式のコンクリートと、こうなるのだろうと思う。これはどうしようもないのだろうと思うけれども、ずいぶんむだなお金も使うのじゃないかなという感じもする。  それからこの川平地区で浦上川の川幅を少し広げる、三メーター広げる。この決定が何とことしの三月か四月ごろ決まったのだ。そんなことを夢にも考えていなかった河川の近所のお方が、この一月完工で約千二、三百万円金かけて家を建てた。三メーター下がるものだから使い物にならないんですよね。ばさっと玄関口、頭を突っ切られちゃったというようなことがあって、非常にその方は嘆いておりました。また、ああいうふうに家を建てるのはお年寄りが多い。要するに老後の生活の安定という意味であります。そのためにも住宅金融公庫の枠の拡大をしてほしいとかいうような意見が出ました。川幅を三メーターも広げるだなんてそんな大事な計画をするんだったら、もっとそこいら辺のところをしっかりしていて、家を建てるときなんかについては行政側でもうちょっと待てとかなんとかいうことをしてやるべきじゃないでしょうか。これは国じゃなくて県あるいは市当局がやるんだといえばそれっ切りになると思うんですけれども、そこいら辺も目をつけていただきたいと思う。  また、概して全般的なことでありますけれども、いわゆる建設省から受ける元請—下請—孫請、ちょっちょっちょっと、やっぱり頭をへずらられていくんでしょうね。実際仕事をしているのは孫請の人たちです。やっている方は一生懸命やっているんだろうと思います。だけれども、見るからに、見ていてどうしてこんなに遅々として進まないのかなという感じを私は持つんです。だからもうけが少ないのか、それとも技術が足りないのかどっちかだろうと思う。ここいら辺も、これは建設業界の問題ですから、土木関係の業界の問題になりますから何とも言えないかなとも思うんでありますけれども、これも今後十分見ていかなければならない問題じゃないかと、こう私は思います。  それから、鳴滝地区には砂防壁を二段階つくるということでありますけれども、まるっきりこれは進んでおりません。材料を運ぶトロッコのレール、これ敷いてあるのは五月ごろから敷いているんです。そういう現状です。  それから奥山地区は、先ほど塩出委員からもお話ありましたけれども、避難命令、これが何とこの四月から六回も出ている。そこいら辺は、じゃ一体どんなふうに工事ができているかといったら、これまたお粗末千万。僕は、一体防災担当大臣として一年たってあんな工事の実態を見て唖然となさるだろうと思う。この点は十分指摘しておきたい。というようなことで、いまいろいろと二、三指摘した点についての御答弁をいただきたい。
  227. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) お答えいたします。  昨年度の長崎の災害復旧の件、われわれ災害復旧担当の方としましても、それから特に現地の長崎県あるいは長崎市の事業もございます。担当者日夜努力している最中でございますが、先生御指摘のように、事業が若干おくれているといった事態も現象としては起きているわけでございますが、以下述べるような事情等もございますので、いろいろまた今後とも御指示、御協力をいただきたいと思います。  まず浦上川の件でございますが、これは下流の方二・八キロほど激特事業、それからその上流八・五キロほどを災害復旧助成事業という事業でやっております。先生お話出ました川平地区の三メーター広げるというのはこの助成地区の件でございます。この災害復旧助成事業と申しますのは、災害に関連しまして非常に激甚な被害が出た場合に抜本的に河川改良するという事業でございまして、通常の復旧については四年、きわめて大規模なものについては五年、発生年を含めてでございます、という計画でございまして、浦上川につきましては全体計画六十九億でございまして、四年間、六十年を完了目標にしておるわけでございます。  それで、先ほど七割と申し上げましたのは、こういった助成事業ではございませんで、単独の復旧という事業原形復旧を基本にしてやる単独災でございます。この助成事業につきましては、五十七年と五十八年と合わせまして約半分の予算措置がなされております。六十九億の半分の三十五億。そのうち昨年度が二十八億円、本年度が六億円でございます。  昨年度につきましては……。
  228. 原田立

    ○原田立君 時間があれだから簡単でいい、簡単で。
  229. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) 昨年度の分につきましては本年の一月に契約しまして、こういった根本的な事業でございますので、用地を交渉しながら、用地の解決したところを順次やっていくということで精いっぱいがんばっておるわけでございます。こういった基本的な事業でございますので、査定は昨年の十月に一応完了しておりますが、その後、根本的な改良設計を作成しまして、いろいろ手続ございまして、計画が決定いたしましたのは三月でございます。その後、用地の話し合いに早速入りまして、現在鋭意努力中でございます。  御指摘の川平地区につきましては、三メーターの拡幅ということでございますが、われわれとしましても、県に確認したわけではございませんが、こういった拡幅計画のあるときには早目に地元方々にお知らせして御協力いただくというのが一般的でございますので、先ほどの先生のお話によりますと、その辺の問題は若干あったのじゃないかと思いますが、現在、用地の交渉中でございまして、一日も早く地元の御協力をいただきまして、その工事予算を執行いたしたいというぐあいに考えております。  以上でございます。
  230. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) ただいまの御指摘でございますが、私も近いうちに長崎風水害の跡を視察に参りたいと、こう思っておるところでございます。  なお、けさほど来の御質問でも、たとえばダムとか暗渠とかいろいろな問題についての御指摘がございましたが、災害が起こったときにはいろいろ言われるのですが、事前に現地を見たときに、なぜここの暗渠はこんなに曲げておるのだ、なぜここのダムはなかなかできないんだということを追及しますと、それぞれの多くの問題があります。こういう問題は国民皆さん方の理解をいただかないとなかなか災害防止事業も推進しません。特に改良復旧並びに災害関連復旧事業ということになりますと、相当大幅な問題が起こるわけでございます。そういうときには、地権者の皆さんを初め、多くの地元の皆さん方の御理解をいただかないとできないわけでございます。そこら辺等の問題もぜひ国民の皆さんには御理解とおわかりをいただきたいし、また長崎災害につきましては、先ほど申し上げましたように、近いうちに一度視察させていただきまして復旧を促進いたしたいと考えます。
  231. 藤原良一

    説明員(藤原良一君) 下請代金の問題でございますが、御指摘のように、基本的には当事者間の契約上の問題という性格が強いと思うんですが、建設省といたしましても、合理的な元請、下請関係というのは建設業全体の健全な発展のために非常に重要でございますので、指導、通達等によりまして、元諸業者は十分下請、孫請業者に配慮するよう指導しておるところでこざいます。特に、緊急重要な災害復旧事業が不適切な下請関係によりまして進捗が影響されるということがあってはならないと考えておりますので、さらに指導を進めたいと考えております。
  232. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 まず加藤長官に、今回の山陰災害についての基本的な認識と決意についてお伺いしたいと思います。  災害発生直後の二十四日に島根へ行って、しかもヘリコプターで三隅町におり立ったということでありますが、私も大臣が行かれた翌日に、その時点では立ち入りが辛うじて可能であったところで、最も被害の大きかった三隅町の町役場付近、それから古湊地域、それから浜田市の穂出町、江津市の跡市、その辺の実態を見てまいりました。私もあちこちの災害見ておりますけれども、現地におり立った印象といたしますと、その範囲、深刻さ、被災の種類の多様さ、こういう点でも全国的に最近例を見ないほどのものである。そういう意味では全国最大規模のものだと、こう思いました。恐らく大臣も現地におり立って、途方に暮れている町長など見まして、やはり国も全面的に救助あるいは復旧に力を尽くさにゃいかぬと、こういう決意を持ったと思うんですが、いかがですか。
  233. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) そのとおりでございまして、茫然自失されておる皆さん方を何とかして激励し、災害復旧への意欲を持ってもらいたい。過去のことにこだわらずにたくましく前進してもらいたい。そのために政府として国としてできるだけのことをいたしたい。率直に感じ、また率直に申し上げた次第でございます。
  234. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私は、その認識と決意が大変大事だと思うんです。というのは、先ほど来指摘されている激甚災指定の問題ですね。数字なんですね、数字がひとり歩きする場合がありまして、大臣はこれは国が全面的にやらなけりゃいかぬと思いながらも、数字で外れてしまう場合も万が一にもあり得ることもあると思うんですね。そうあってはならないと思うんです。  そこで私は逆に、大臣の決意としますと、こういうようなところが指定にならなければ大体激甚災指定になる場所ないんじゃないか、そういう認識ですね。となれば、大体その認識の方が正しいので、むしろそれに合わない数字の方が間違いだと、それほどの認識と決意を持って臨むべきだと思うんですが、その辺はどうですか。
  235. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 現地視察された諸先生方、全部同じような感じをお持ちになったと思うわけであります。私も現地を見ましてそういう感じを持ったわけでございまして、ただ激甚法には、けさほど来議論されておりますようなそれぞれの基準がございます。それぞれの基準がございますので、あるいはこれをA基準、B基準、それぞれの基準に合えばこれは問題ないわけでございます。ただ、気持ちの中では災害被害はなるべく少ない方がいい、激甚災の適用を受けない方がいい、災害が少なくあってほしいというそういう気持ちと、それとまたその反面、その後の調査によりまして災害被害額が次々と大きくなってくる、やはり大きかったんだなとこういう感じ、復興という問題には意見が一致するのでありますが、人間として考えた場合に、被害額は少ない方がいいなという気持ちと何としても復旧したいという気持ち、これがあったわけでございます。けさほど来申し上げておりますとおり、その後被害額も次々と増大しておるようでございます。要は、復興に対する県民、市町村民の皆さん方の意欲を喚起し、そして関係地方公共団体に財政負担をかけないように何とか国として応援いたしたい、こういう気持ちでございます。
  236. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 、大臣から決意の表明ありましたのでそれに期待し、かつ強く要望いたします。  次には、この災害の原因の問題です。これは先ほど来言われておりますように、予想を超える異常な雨量であったという点は確かにそうだと思うんですが、そう言い切ってしまっていいんだろうか。と申しますのは、わが党の島根県議会では、これは昭和四十七年の江の川災害、その一年後に調査しまして、このままでは大惨事になるということの申し入れを県当局にいたしましたし、その後も、最近も含めて相次いでその指摘をし、かつ建設省などとも政府交渉をして、この危険性ですね、この江の川流域、大体地質等同じですからこれは県域全般にわたると思うんですが、そういう指摘をしてまいったわけです。それから今回の災害に当たりましても、島根県の恒松知事はこう言っています。田畑や山が荒れていなければここまで被害が大きくならなかったろう、国土のむだな使い方が災害を招いたとも言える、これまでも国に口を酸っぱくして言ってきたが、これを機会に根本的な政策の見直しをさらに求めるつもりだということで、この場合には乱開発ということはないと思うんですが、私は、山林に対する手入れが、人手がだんだん少なくなっていることとか田畑に対する手入れ等々が少なくなっている、そういう自然に対する人力の不足がこういう原因の一助となったのじゃないかと、こういう指摘もせざるを得ないのですが、その点はどうですか。
  237. 田中暁

    説明員田中暁君) 災害の原因という点につきましては、基本的には、たとえば山林の保水能力をはるかにオーバーするような大雨が降ったというようなことが基本であるとわれわれも思っておるわけでございます。ただこう申しましても、だからと言って行政の側に全く、もっとこうすれば被害は少なくなっただろうという要因がないということを申し上げているわけではないわけでございます。そういった意味では先生の御指摘もわかるわけでございますが、ただ今回の場合は、むしろ乱開発とかあるいは都市的な開発によって災害被害が大きくなったという感じはむしろ少のうございまして、何回も議論は出ましたけれども、父祖伝来一度も山崩れのなかったところに山崩れが起きたというようなむしろケースが多かったわけでございますので、その辺も含めまして今度の災害を今後の防災対策教訓としてまいる必要があると、このように心得ておるところでございます。
  238. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この点も午前中来指摘されているように、急傾斜の危険地域ですね、これは指定地域以外のところがずいぶん多かったということも、知事も言っておったわけであります。ということは、私も二回にわたる調査で、印象としてはもうあの地域至るところがその可能性があるところだと思うんですよね。全国で七万カ所というけれども、これ十数万カ所になるのじゃなかろうかと、そういう状況から見ますとね。だから私は、そういうことを基本にしてこれからの対策をしてほしいと思います。  そこで次に、災害直後の災害救助法の適用、これは素早くされましたし、各自治体関係者があの悪条件の中ではそれぞれ最大限の努力を尽くしたということを、私はこれは実際見てまいったわけであります。ただ私は、やっぱり一度災害が起きたらそのとき以降自治体も国民も利口にならなきゃいかぬという点で、この災害救助法の運用について、現地を見、かつ皆さんの意見を聞いてきたことから、若干指摘をしたいと思うんです。  実際、災害直後まず水がないわけですからね。そうしますと、復旧活動をしたりしているその汚い手のまま握り飯を握ったりあるいはおかずをつまんだりしているという——大体炊事する人自身が、ラジオやテレビじゃ盛んにクレゾール使えと言ったって、そんなものないのですから、現地にね。それから皆さん、はだしのままのような状況で歩いているわけです。われわれの車もパンクしたのですよ、調査に行っているときに益田でパンクしましたけれどもね。あんなでっかい車がパンクするぐらいだから、人間の足なんかすぐパンクしてしまうぐらいの、その辺くぎだのガラスだのたくさんあるわけですね。だからそういう点で私は、あの直後見た状況では、まさに食事の問題、衛生の問題、排便の問題あらゆる点見ましても、まさにあの一万数千人の人が生と死の境にある、こういう印象を受けたわけです。  そこでお伺いしたいのは、これは厚生省だと思うのですが、それに対する医療体制ですね、医療班も派遣されましたけれども、その派遣の状況について簡単に御報告いただきたいと思います。
  239. 柳沢健一郎

    説明員柳沢健一郎君) 今回の水害に対する医療体制の一環といたしまして、島根県におきましては早速松江赤十字病院あるいは県立中央病院あるいは済生会江津病院等に対しまして医療救護班の編成を要請いたしまして、これら要請に基づきまして医療救護活動を現在まで行っているところでございます。
  240. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 たとえば県立中央病院、それから済生会江津病院等々、それからまた赤十字もありますね、そういうところでたしか医療体制とったことは事実です。ただ、私が実際に現地へ入って認識したところでは、まず確かに医療班おります。たとえば三隅の町役場におりましたが、そこにおってほかへは出ていけないんですよ。人員の不足もあるかもしれぬけれども、また山もなかなか行けないということもあるかもしれぬけれども、そこにおるだけですね。それからもう一つは、だからそういう意味じゃ巡回やっぱりしないと実際の役に立たぬのじゃなかろうか。そして医療体制があるということが周知徹底されていないんです。だから皆さんはそのまま。要するに町役場に行けばあるということは知っているけれども、大体みんなそこまで行ける状況じゃないですから、医療機関を利用できる状況にない。  それからもう一つは、診療時間が午後五時なんです、五時で打ち切りなんです。すると、それまでは皆さんは復旧活動にもう一生懸命やっておるわけですよ。それから疲れが出たり、またそれからやっと体があいて診察してもらうということなんですね。私は今回のこういう経験から見まして、一つはやっぱり巡回ができるだけの体制をこれくらいの大きな災害の場合にはまず率先してやるべきだろうと、それからそういう周知徹底をすべきだと。そしてもう一つは、むしろ一番皆さんが求めている時間に、たとえば夕刻以降、その時間にこそやるべきじゃなかろうかと。実際そういう医療体制不足なものですから、わが党も各地の医療機関に呼びかけまして現地へ入ってもらいました。そうすると大体一日、私たちがお願いして入ってもらった医療機関には百名ぐらい来るわけですね。民間のそういう機関でもそれだけ来るわけですから、それだけ需要があったんじゃなかろうかという点で、この辺の体制を今後どうとっていくか、これが第一点。  それからもう一つは、地元の開業医もずいぶんその家まるごと被災を受けたわけですね。するとやっぱりこういうお医者さんの力も大いに活用すべきだと思うんです。そういう場合に、やっぱりそこへ優先的に救助隊を派遣し、医療体制ができるようにしたり、あるいは医療器具や医薬品をそこへ送ってそこができるようにする、あるいはそのお医者さんがすぐ、あるいは町役場のどこでもいいですね、そういう緊急診療所をつくってそこで活動ができるようにする、私はこういう点で今回の経験を大いに生かすべきじゃないかと思うんですが、実際今度はそういう点がされてなかったわけです。今後どうするか、その点お伺いしたいと思います。
  241. 柳沢健一郎

    説明員柳沢健一郎君) 医療救護班活動といたしましては、種々の制約された条件のもとにおきまして今回も精いっぱいの活動をいたしたわけでございますけれども、いま先生御指摘のように、この活動をより有効に行うためにまだ改善すべき点も多々あろうかと思います。たとえばいま先生おっしゃいました夜間診療等につきましては、今回の活動におきましても、診療時間の延長等でもって現実に夜間診療等を行ってきたりいたしたわけでございますけれども、さらにたとえば地元医師会等との連携その他を含めまして、今後ともさらにこういったような場合につきましての有効かつ適切な医療活動ができるように、私どもといたしましても努力いたしたいと思います。
  242. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 いま私が指摘した点は、実際直後に現地に入って、本当に生の皆さんの声ですので、それも参考にしてやっていただけますね。どうでしょうか。
  243. 柳沢健一郎

    説明員柳沢健一郎君) 今後とも貴重な御意見を十分に参考にさしていただきまして、より充実した医療活動になるようにいたしたいと思います。
  244. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それから次に、これは児童生徒への学用品の支給ですね。これは基準では小学生が三千二百円、中学生が三千四百円、これは大体教科書と実際の物書きをする学用品程度がこれで支給されるというんですが、実際多くの人々がまさに着のみ着のままで飛び出したわけですね。そうすると、これだけでは学校に行けないんですよ。いま県の教育委員会の試算によっても、これはたとえばいろいろほかの衣類なども含まれていますけれどもね、大体この四倍ぐらいはかかるんじゃなかろうか。こういう状況ですと、私は、やはり児童が単に教科書があり鉛筆があっただけじゃこれは勉強できないわけだから、もうちょっと勉強ができやすい状況、これについての国の援助もされるべきじゃなかろうかと思うんですが、どうですか。
  245. 近藤純五郎

    説明員近藤純五郎君) 災害救助法に基づく学用品の給与についてお答え申し上げます。  先生御指摘のように、災害救助法に基づきます学用品の給与は、教科書と教材、これは実費でございます。そのほかに文房具と通学用品で就学にいま当面必要なものと、こういったもので、対象者一人当たりで、小学校の場合で三千二百円、それから中学校で三千四百円という基準を設けているわけでございます。この基準は県内の対象者の平均でございまして、これも市町村間でやりくりができるということになっているわけでございまして、必ずしも災害が軽かったものにつきまして限度いっぱいまで配る必要はないわけでございまして、その間でやりくりがある程度つくのではないかというふうには考えているわけでございますけれども、学用品の給与は県下全体でまだ一部の市町村しか支給されてないというふうな実態でございまして、まだ詳しいことを聞いてないわけでございますけれども、やむを得ない事情がある三隅町とか益田市については県と相談いたしたいというふうに考えております。
  246. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それから障害物の除去ですが、これは現地に行っても市町村長からの陳情を受けたんですね。いまの制度では家の中のものを出すにはそれは補助になるけれども、敷地にはならないと。これは厚生省に聞いても意見はわかっておるので、むしろ大臣にお聞きしたいのですね。これは家の中のものも敷地のものも実際被災者の人たちは関係ないんですよ、一緒に来たんだから。そしてこれは、私はともかく緊急な状況を脱するという意味での制度だとは聞いていますけれども、受けた被災者から見れば、それに対して多少補償的な観点から、もうちょっとその枠をどんどん広げていくという方向を今後考えないと、実際の復旧がおくれたり十分にされない、こう思うんですが、これは大臣のひとつ政治的な立場からの御答弁をいただきたいと思うんです。厚生省はもうわかっているからいいです。
  247. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 私も現地を見まして、まず道路、それからそれぞれの家庭内に堆積しておる土砂、材木その他、これは大変なことだと思ったわけであります。当時一番切実に感じましたのは、これらを一カ所にまとめる場所を確保してあげることである。これを確保しなかったら、それぞれの町内、地域内における交通の確保ができない。そこで現地の皆さんに対し、相談してどこかの地権者の土地を借りてそこへでも集めるようにしてあげてほしいと。その場合に、この政府対策の中で入れたのでございますけれども、「衛生・防疫・清掃対策及び市街地内の堆積土砂の排除の徹底」と、こういうことを二十五日に決めたわけでありますが、そういう問題等一日も早くきれいに片づけるということが大切だと思って、そういう対策要綱の中に入れたわけでございます。そして当時特に思いましたのは、清掃対策としてそれぞれの家庭の便所も壊れてしまっておる、そしてその中にヘドロやいろいろなものが流れてきておる、これらのくみ取り対策も含めて早急にする必要がある、このように考えた次第でございます。
  248. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 今回の救援活動の中で、私は、特に孤立集落が多かっただけにヘリコプターの威力が大分示されたと思うんです。このヘリコプターについて、いまのところはやはり自衛隊のヘリコプターを借りて利用している。だから、市町村長の要求の中にも自衛隊のこの地域におけるヘリコプターの配備をもっと強化してくれと、こういう要望になっておるのですね。ただ、それはわが党はちょっと賛成できないんですね、自衛隊反対だから。そこで、わが党も賛成できるようなひとつ方法をお願いしたいと思うんですが、これはやはりどこがやるのか、消防庁がやるのか警察がやるのか、あるいは自治体独自に持つのか、持ち方いろいろあるかと思うんですが、もうちょっと災害用のヘリコプターを強化すべきだろうと。先ほど大臣に聞いたらば、偵察用が大体一億から一億五千万、それから救助用で大体五億から六億とこう聞くんですね。  そこで、これ少し前の新聞記事ですが、これは、運輸大臣が貿易摩擦を解消するために総理用の専用機を百数十億で買ったらどうかと、こんなことを言っているんですね。本当に買うんだろうかというこういう気持ちがしておるんですが、この百数十億ありましたら、各都道府県に全部偵察用一機ずつ、それから救助用をこれは数十機買えて災害対策万々ですよ。この辺ひとつ閣議で検討してもらって——利用方法はいろいろむずかしいようです、消防庁にやっていいのかどうなのか、なかなか技術的にむずかしいようですけれども、その辺、ちょっとこれわれわれも賛成できるようなヘリコプターの強化ということをひとつ考えてもらえないかと、こう思うんです。そしてそれから、大臣も言ったとおり、災害救助の中心は消防、警察と、こう言うんですから、やはりその趣旨に沿って災害に強い国土づくりということをお願いしたいと思うんですが、どうでしょうか。
  249. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) ヘリコプターは、防衛庁を初め警察、消防、海上保安庁、そうして民間と、それぞれ調べてみますと大体千機ぐらいいまわが国内にあるようでございます。そうして、それぞれのヘリコプターがそれぞれの分野で十分に活動してもらっておるわけでございます。そして毎年、政府としても警察や消防や海上保安庁関係のヘリコプターの増強には努力いたしておるところでございます。このヘリコプターが災害のときに非常な威力を発揮してくれまして、災害活動万般について非常な活躍をしてくれておる点は先生御指摘のとおりでございます。  ただ、これらの問題は購入費だけの問題ではなくして、メンテナンスあるいはまた維持管理というものに相当膨大な、購入費の何倍かの費用を要するようでもこざいますが、政府としましては、九月一日の防災記念日にも実はヘリコプターを中心とした防災訓練をぜひやりたいと考えておるほどヘリコプター問題は重視いたしておるところでございます。しかし、その中でも一番たくさんヘリコプターを持っております防衛庁に、ある面では率直に申し上げまして期待するところ大であり、またここに大変お世話になっておる、こう感ずるわけでございます。  今後、災害とヘリコプター問題というのはさらに勉強しまして、まあ災害がないのが一番いいのでありますが、あったときの救助救援その他もろもろの活動に十二分な効力を発揮してもらえるような方法を考慮していきたい、このように考えております。
  250. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 自衛隊のヘリコプターをふやすことは特に求めませんけれども、その他のやつはひとつ大いにふやしてほしいということを要望したいと思うんです。  それから、大蔵省、中小企業庁、せっかく来てもらったのですが、ちょっと時間がないので要望だけにしておきますけれども、それぞれの制度融資あるいは住宅復旧等、これ激甚災指定まで時間がかかって、その前にやってしまうんですね。その後で適用になった場合に、さかのぼって有利な利率などを適用してほしいという、これは要望にとどめたいと思います。  それから大臣、これは衆議院でもそれから先ほども出ていますけれども、マイナスシーリングの関係で、特にこれ防災予算確保に努めるというけれども、いまのところマイナス一〇%にどうも大臣押されてしまうのではなかろうかと。まさに体を張ってそれをはねのける、こういうひとつ意思をお示しいただきたいと、こう思うんですが、どうですか。
  251. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 厳しい財政情勢のもとではございますが、災害対策というのは国民の生命と財産を守る基本でございます。そういう立場に立ちまして、七月十二日のシーリング閣議におきましても、私は災害関係対策予算について発言をいたしたわけでございますが、関係省庁に対しさらに一生懸命お願いします。災害関係予算の確保についてがんばっていきたいと考えているところでございます。
  252. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 時間が来てしまったのであと一言、せっかく農水省に北海道の冷害のことを質問通告しておったものですから、簡単で結構なんですが、やはりかなり凶作の様相を示しているんじゃないかと、これについて災害は必至という認識があるかどうか。そしてそれに対する対策としていまのうちからとっておく必要があると思うのですが、これについての農水省の態度、これをお聞きして質問を終わります。
  253. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) 五日後半以降、北海道それから北東北を中心にいたしまして異常低温が継続したわけでございます。しかしその後、七月下旬から若干持ち直しまして、特に八月に入りまして幸いなことに好天が続いております。したがいまして相当、当初思っていたよりは戻ってきた感じがいたしておりますけれども、ただ、特に北海道の場合、道東を中心にいたしまして小豆でございますとかあるいは青刈りトウモロコシ、こういうものについては相当な被害というものが現時点でも予測せざるを得ないような感じになってきております。したがいまして、われわれといたしましては早い時点から、そのときどきの生育状況に応じた技術指導、それから気象の移り変わりの的確な末端への浸透ということを中心にいたしまして、関係県、道なりあるいは地方農政局、気象庁、こういうところと相協力しながらずっと技術指導に努めてきたところでございますけれども、これからの天気に期待すると同時に、作物によりましてはこれからが正念場のものが多いわけでございますので、なお一層努力いたしたいと思っております。
  254. 田渕哲也

    田渕哲也君 それでは、まず加藤国土庁長官にお伺いをします。  日本列島には水害と地震がつきものだと言われておるわけであります。これらはもちろん天災と呼ばれるわけですけれども、天災は常に人災を伴って起きるということも言われておるわけでありまして、しかも年間、治山治水事業だけでも一兆円余りの予算を使っておるわけです。そういう事業をやってきておるわけですけれども、果たしてこういう天災に対する対応が前進してきておるのかどうか、少しはよくなってきておるのかどうか。いつも同じようなことを繰り返しておるような気がするわけですけれども、この辺の判断をまずお伺いしたいと思います。
  255. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 私は、前進いたしておると、このように判断いたしております。公共事業関係中心といたしまして、各種五カ年計画あるいは十カ年計画その他の計画におきまして、国民の生活を守るための生活基盤に対する国の投資比率というのは毎年大きくなってきておる等の点から前進しておると思うわけでございますが、一時のような、高度経済成長時代のような、毎年の公共事業関係予算並びに各種五カ年計画を膨大にふくれ上がらし、それに適応していくということができないわけでございますが、効率的な運用を図りながらこういう問題は前進させなくてはならぬし、また前進いたしておると、このように判断いたしておるところでございます。
  256. 田渕哲也

    田渕哲也君 大臣はそう言われますけれども、私は必ずしもそうは思えないわけです。水害の場合も、過去のいろいろな水害の例を詳細に調べる時間はありませんでしたけれども、山陰地方に起こった過去の水害の例を見ましても、大きなものが昭和三十九年、四十七年。そして五十八年と言われております。三十九年の場合は、雨量その他は若干規模は小さかったと思いますけれども、このときは非常にたくさんの死者を出しております。しかし、四十七年と五十八年の水害は非常に状況が似ておると思うんですね。たとえば気象条件とかそれから降雨量の分布、それから降雨量、これらは比較的似通っております。五日間雨が降り続いたことも同じでありますけれども、その総雨量は四十七年の方が、浜田地域中心にして六百二十一ミリですから、今回より多かった。今回も浜田地区中心にして五百二十一ミリと言われております。ただ、今回の前回と違っておる点は時間当たりの雨量、いわゆる短時間にすごく降った。時間当たりの雨量は九十一ミリで、これは前回をはるかに上回っておる、こういう違いがあるけれども、総体的なスケールは非常に似ておると思うんです。  しかし、この被害状況を見ますと、大体この規模は似たような被害を出しておりますね。死者はもちろん今回の方がはるかに多いわけですけれども、これは短時間に急速に大量の雨が降ったがために、がけ崩れ、そういうもので死者がふえたというふうに言われておりますから、これは前回よりはるかに大きくなっておりますけれども、これは特殊な要因ということも言えようかと思います。全体の規模で見ますと、罹災世帯が四十七年の場合は一万三千世帯、今回が一万一千世帯罹災者が三万七千名に対して今回が三万五千名、そのほかいろいろの項目を比較しましてもほぼ同じような被害状況、規模はですね、ということが言えるわけであります。  ということは、この十一年間をとってみても何も変わっちゃいないじゃないか。確かに前回は大河川があふれたり、あるいは堤防決壊したりした被害が多かった。今度は大河川が比較的安泰であったけれども、中小河川がめためたにやられた、こういう違いはありますけれども、水害に対する対応力というものは余り前進していないように思うんですけれども、いかがですか。
  257. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 私も益田市へ参りまして、先生御指摘の、一級河川とそれ以外の中小河川との被害状況等調べたわけであります。一級河川関係については幸いにも崩れなかった。ただ、中小河川が五、六カ所決壊して大変な被害を生じた。腹の中ではじだんだを踏む思いであったわけですが、先ほど申し上げました一級河川だけでも災害が起こらなかった、堤防決壊等が発生しなかったというところに、せめてもの気持ちを持ったわけでございます。そういう意味において前進したのかなと、こう感じたわけでございます。
  258. 田渕哲也

    田渕哲也君 先ほどの質疑の中でも、答弁の中で、整備率の進捗が大体年間一%程度と、これでは私はなかなかおぼつかないという気がするわけです。特に全体的な傾向を見てみますと、たとえば治山治水事業に予算が年々ついております。これは五十三年から五十七年ぐらいまでとってみまして、大体一兆円前後の予算がついております。予算というか、これは実算においても同様であります。ところが、災害復旧の実算というものを見てみますと、これ年々ふえてきておるわけですね。五十三年度が二千六百億円、五十四年度が三千億円、五十五年度が三千七百億、五十六年度が五千億円、五十七年度が八千億円。これはどんどん災害の規模はふえてきておるということなんです。それで、五十七年度においては治山治水に使う予算が一兆一千億であるのに、災害復旧、やられたところを直すのに八千億円もかかる、こういう状態が果たしてこれまともな状態かどうか。  それから、長官はだんだんよくなっておると言われますけれども、この予算、実算を見てみる限り、だんだんこれ悪くなっているんじゃないかという気がしますけれども、いかがですか。
  259. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 公共事業全体がこの数年間据え置き、横並びにいたしてあるわけでございます。そこら辺で、また逆に災害は時と場所を問わず発生してくる日本の情勢でございます。そういう観点で、しかも政府災害関係に力を入れておるから災害関係の予算はふえてきたんではないか、このように思う次第でございます。もちろん私たちは、治山治水あるいは災害の予防、防止、復旧ではなしに災害の予防、防止に事前に十二分に金を入れることが一番重要であり大切であるということは認識いたしておるわけでございますが、何さまわが国の地勢、地形から見て、至るところに治山治水の要求というのがございまして、それらを四方八方目配りをしながら予算をつくらなくてはならない、こういった観点等から、数字の上であるいは予算の上でごらんいただくと若干物足りない気持ちを持たれるのはやむを得ぬのではないかと思いますが、少なくとも前進しておるということだけはぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  260. 田渕哲也

    田渕哲也君 この数年間の災害復旧費の増大がきわめて特殊な要因で、一時的な傾向ならいいんですけれども、私が心配するのは、予防に使う治山治水事業というものが不十分なために結局災害復旧予算がふえていくと、これなら何ぼ財政が苦しいといっても逆で、ますます同じことなんですね。やっぱり予防にもっと金を入れて、でないと後追いの方がだんだん予算がふえていくというようなことはきわめてまずいことだという気がするわけであります。  それともう一つは、同じ予算を使うにしても、果たして適切に使われて効果を上げておるんだろうかという気がするわけです。今回の場合も、中小河川は一時間当たり五十ミリの雨量基準ということで整備をしておる、しかもその整備率はまだ二〇%いっていない、こういうところに一時間当たり九十ミリの雨が降れば、これは惨たんたることになるのはもう目に見えておるわけです。一時間九十ミリというのはとても予測を超えた問題だから仕方がないと言えばそれまでですけれども、私はやっぱりその地域とかあるいは実情に応じて有効に予算配分をして、とにかく整備率を上げたりパーセンテージを上げることが目的じゃないんで、災害をいかに防ぐかということが目的なんですから、そういった面でよりきめ細かな予算配分というものもやっていただきたいと思いますし、それから整備の基準にしても、私はやっぱりこの計画が現実に合っていないというようなことが間々見られるわけで、こういう点もやはりきめの細かな対策を打ってもらいたいと思います。  それから、今回の被害現地からは改良復旧に一等力を入れてくれということが言われておりますけれども、先ほど申し上げましたように、特に島根県は土壌の状態も悪いということでありますから、全国的な基準にとらわれずに、この際うんと整備の基準というものを上げていくということが重要ではないかという気がしますけれども、いかがでしょうか。
  261. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) いま、中小河川の整備基準ということでございました。先ほど申し上げましたように、ただいま当面目標にしてありますのは、中小河川で一時間に五十ミリ対応ということでございます。これは全国平均で五十ミリでございまして、それと同じ確率、頻度でバランスをとっておりますので、南の方の多いところではさらに六十ミリに相当するような、それから少ないところでは若干五十ミリを下がるというようになっておりますが、大体五年から十年ぐらいの確率ということになるわけでございます。それで確率、規模を上げたらどうかという話でございます。ところが、これを上げまして、たとえば九十ミリ対応というような方へ持ってまいりますと、あるできるところはできてほかのところは全然できないというふうなことになるわけでございます。どうしても全国かなり弱いところございますので、同じように少しずつ安全度を上げていくということを、目標を立てなきゃいけませんので、当面五十ミリという対応をやっているわけでございます。大河川につきましては、戦後最大というのを当面にやっているわけでございます。  ところで、それじゃそれを計画しておりますと、改修しましても、五十ミリで改修すれば九十ミリが出ればあふれるわけでございます。それは、そういうところは異常気象現象で、いかなる規模で対応したにしましても、それをオーバーする規模の洪水必ず起こるわけでございまして、どこかに起こるというのはしようがないことだと思っておりますが、しかし災害が起こりましたところでは、災害復旧しますところにつきましては、いまの五十ミリ対応と同時に実績——実際に起こった過去の洪水の大きさというものをやはり見捨てることができませんので、その後の災害復旧改良事業に当たりましては、その実績が起こったそれだけの規模に対応できるような何らかの方策を立てるというようなことでいろいろ計画をつくるように努力しているところでございます。大変細かい話になりますが、それぞれそういう配慮をしてやってまいりたいと思っております。
  262. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に、誘致企業というのがあるわけですけれども、これの被害に対する対策についてお尋ねをしたいと思います。  三隅町に三つの誘致企業、これは十三年ほど前に県と町が協力をして誘致をした。一つはキーパーというオイルシールをつくっておる三隅工場、それから三隅電機、それから浜松中央織物の三隅工場、これは縫製工場です。この三つが大体同じところにあるわけですけれども、大体二メーター以上の水につかって莫大な被害を受けておるわけです。そしてこの企業の代表者から私が伺ったところによると、本当にここに将来とも工場存続していいかどうか自信を失っておる、それで存続する条件としては少なくとも次のことをお願いしたい、一つは、また何年後かにこんな洪水が来るんじゃもうとてもかなわん、だから今後こういうことで工場が二メートルも泥水につかるというようなことがないようにしてもらいたい、でないとこういうところに企業を持っておることそのものがもう企業にとっては致命的なことになるんだと、こういうことを言っておりましたけれども、この点はいかがですか。
  263. 佐々木恭之助

    説明員佐々木恭之助君) 田渕先生御指摘の誘致企業でございますが、地方自治体が誘致した企業と、そうでない全く誘致せずに企業みずから立地した企業とのバランス等の問題もございまして、誘致企業だけが特段の救済措置を受けられるということには現在なっていないわけでございます。ただ、いまお話しの三つの企業のうち二つほどは中小企業と聞いておりまして、これに対しましては政府系の中小企業金融三機関の災害貸付、あるいは激甚災害指定が行われた場合には特別な制度が講ぜられることになります。残ります一つの企業は、私どもが調べた限りでは大企業の範疇に入るようでございまして、御承知のような災害時の特別措置というのは、特に中小企業につきまして地域に密着した存在であること、あるいは非常に経営基盤が脆弱であること等から特別に中小企業に向けて施策を講じているわけでございまして、大企業については特段ないわけでございますけれども、一般のいろいろな制度を使いまして極力最大限の、何といいますか、復旧への支援をしたいと考えております。
  264. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に労働省にお伺いをしますけれども、この企業が設備なんかがみなやられて当分操業不可能だという状況であります。そうすると従業員の人が働きにいっても仕事がない、こういう場合に、激甚災指定された場合には雇用保険で失業保険のようなものが出されるというふうに聞いておりますけれども、激甚災指定されなければこれは全くそういう計らいができないのか、私はそれは非常に矛盾しておると思うんですね。三隅というところはほかに目ぼしい企業ありません。だから、ここがだめだからあそこに働きにいくとか、臨時でも雇ってもらうというようなことはできないわけですね。そういうことも考えた場合に、やはり雇用保険の適用について弾力的に運用してもらえないかどうか、この点はいかがでしょうか。
  265. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) お答えをいたしたいと思います。  現在、雇用保険法の適用の問題といたしまして、まあ災害救助法の適用を受けています市町村にありますような被災事業所、そういうようなところから離職をした方につきましては、特例といたしまして再雇用の予約がある場合にも求職者として取り扱うという取り扱いをいたしております。この取り扱いによりましてある程度、一時的な離職者につきましても、その生活のめんどうを見ることができるんではないかというふうに考えておる次第でございます。現に県当局に対しましては、そのような方式で失業保険の給付を行うように指示しておるという現段階でございます。
  266. 田渕哲也

    田渕哲也君 最後に大臣にお願いしたいのですけれども、こういう製造工場の場合は、中小企業でもせいぜいその救援が受けられるのは融資あるいは信用保証程度であって、結局損害受けた者は自分たちが返していかぬといかぬということであります。それから中小企業でない企業は——中小企業でないといっても必ずしも大企業とは言えないわけで、資本金一億円、従業員三百人以上なら中小企業に入らないわけでありますから、そういう企業の場合はその措置さえも受けられないというような状況であります。また、これは三隅町にとりましても、中心部が壊滅的な打撃を受けたと、それでマスコミ関係の人が心臓部がこれ徹底的にやられましたねと言ったときに、三隅町長は、いやうちの心臓部はこの工場地帯なんだと、企業のある団地なんだということを言われたということもありますように、三つの企業合わせて五百名足らずという小さな規模ではありますけれども、過疎地帯の三隅町にとっては、まさにこれは死活の問題だと思うんですね。企業がもうやめた、ほかへ行くというようなことになると大変な打撃を受けると思うんです。その意味で、ぜひこの面につきましても特段の御配慮を賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。
  267. 加藤六月

    ○国務大臣(加藤六月君) 田渕先生御指摘の三つの工場、実はあそこに和紙をすく人間国宝がおります。そしてその人間国宝のもとに何名か働いております。そして大都会から和紙のその現実の製造工場に参加したり何かするいろいろな御婦人が都市から行ってその作業に参加するということで、過疎地にならない一つの町あるいは過疎地が活力を持つ町として三隅町が一生懸命がんばっておられた姿に、私もかねがね敬意を表しているところです。ところが、その和紙の人間国宝の工場も家も全滅したということ等を聞きまして、何とか伝統工芸としても立ち直ってもらいたい、こういう気持ちで、実は関係省庁にあらゆる方法を講じて再起するようなことを考えてやってもらいたいということをお願いいたしておるところでございます。三隅町に限って申し上げますと、かつては一万三、四千人おられたのが今日一万人弱の町になり、しかもそれかようやく安定して流出がとまったというときにこういう災害に遭いまして、工場その他が出ていったりなんかして過疎現象が再発し、さらにこれが激しくなるということは大変なことでございまして、いろいろな知恵を出しながら、そういうことにならないように一生懸命がんばりたいと思っておるところでございます。
  268. 野坂昭如

    野坂昭如君 まことに残念ながらと言うべきか、あるいは僕自身のこの委員会における委員としての才能、うぬぼれていいのか、僕自身が用意してきた質問は午前中からの委員の諸先生がみんな御質問なさったんで、まことに困っているんですし、    〔委員長退席、理事粕谷照美君着席〕 また、集中豪雨によってひどい災害を受けた、つまり天災に見舞われた山口島根地域についての災害に対する政府なり各関係省庁の、これまた天才的要領を得ないお返事も伺いました。いまさら僕が質問を重複してみても、新しい見解とか具体的な方策を引き出すことはとても無理だと思いますので、僕自身は質問を取りやめます。
  269. 粕谷照美

    ○理事(粕谷照美君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後四時三十分散会