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1983-08-04 第99回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年八月四日(木曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長 武藤 山治君    理事 麻生 太郎君 理事 岡田 利春君    理事 中西 績介君 理事 斎藤  実君    理事 小渕 正義君       北口  博君    北村 義和君       倉成  正君    三枝 三郎君       山下 徳夫君    細谷 治嘉君       小沢 和秋君    石原健太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  宇野 宗佑君  委員外出席者         北海道開発庁経         済課長     大江 郁夫君         大蔵省主計局主         計企画官    藤井 誠人君         国税庁間税部酒         税課長     中島 富雄君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   村田 文男君         中小企業庁計画         部長      本郷 英一君         労働政務次官  愛知 和男君         労働省労働基準         局監督課長   野崎 和昭君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       守屋 孝一君         建設省住宅局住         環境整備室長  中田  亨君         自治省財政局財         政課長     小林  実君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ───────────── 七月二十二日  一、石炭対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(北炭夕張炭鉱株式会社閉山に伴う諸問題)      ────◇─────
  2. 武藤山治

    武藤委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三枝三郎君。
  3. 三枝三郎

    三枝委員 前回の本委員会夕張の問題について、大臣におかれましてはわれわれの意見を十分にお聞き取りくださったわけでございます。それに前後しまして各方面意見を十分におとりになって、さらには、地元北海道知事あるいは夕張市長等関係者意見も十分に把握されました上で、地元知事とも連絡の上、再開については断念せざるを得ない、新会社の設立については不可能である、そういう意思表示をされたわけでございますが、本委員会において改めて、それに至るまでの経過、どういう理由でそういうぐあいになったか、それをお示しくだされば幸いでございます。
  4. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 当委員会におきましていろいろ皆さんの御意見を承り、なおかつ石炭協会に対しましてはもう一度いろいろ私から考え方をただしました。そして、あらゆる面の御意見を私といたしましても総合的に判断いたしまして、先月の十一日に、まことに遺憾な措置ではあるけれども万やむを得ざることである、こう思いましたので、私の責任と判断におきまして御承知のとおり再開発断念という声明を出した次第でございます。  その主たる理由といたしましては、やはりこれからの石炭炭鉱等、あの地域におきます経営そのものについての保安確保に自信を得られなかったということが第一点であります。  そしてもう一つは、これという経営主体がとうとう見当たらなかった。肝心かなめ石炭業界もこれはお断りすると、再三の私の照会に対しましてもそう答えておりますし、なおかつ前通産大臣北海道も一枚かまれてはどうかということに対する知事のお考え方も先般申し述べたようなことでございますから、いわゆる経営主体が見つからなかったこと、なおかつ石炭企業私企業でございますから、いろいろと政府といたしましても御支援は申し上げますが、そうした支援にも当然限度があること、こうしたこと等々を考えまして、私といたしましては断念をいたした次第でございます。  当日は特に、三時ごろこの声明を出す予定であるというので、十二時四十分か四十五分だったと思いますが、やはり知事にはあらかじめこのことは御連絡申し上げようと思いまして、電話でございましたが、知事には御連絡申し上げました。そうして、二時間ばかり後に私はこうせざるを得ないと、そのとき横路知事からも御再考願えませんかというお話がございましたが、これは考え考えた末のことである、こういうことで私といたしましてもそういう御連絡を申し上げまして、知事からいずれ各方面にも連絡があるだろう、こういうふうなことを思いつつ判断をしたというのが当日の経緯でございます。  もちろんその判断の裏には、このように期待をして待っておられた方々にはまことにお気の毒なことであると私は存じております。しかもまた犠牲者に対しましては、私はその御冥福を衷心よりお祈り申し上げます。しかし、一日も早く離職者方々、さらにはまた夕張を初めとする地元のあらゆる体制が今後の問題に切りかえられるよう政府といたしましても万全の措置をとりたい、こういう決意で声明を発した次第でございます。
  5. 三枝三郎

    三枝委員 いま大臣からお話がありまして事情はよくわかりましたが、私も選挙区に夕張を持つ立場の者としまして、まことに残念至極なことでございますけれども事情やむを得ないものがあろうかと思います。  その後、通産当局にも、またきょう御出席関係当局にも、地元北海道あるいは夕張市から、あるいは議会関係から陳情、要望があったことと思います。私のところにもたくさん参っておりますが、けさほどは、北海道知事が主宰いたしまして、北海道選出国会議員、超党派的に衆参の方との懇談会がございました。その席でも横路知事は、当面やってもらわなければならないこと、あるいは中期的、長期的な展望で措置をしてもらいたいこと、まあたくさんあるということでお話がありました。当面直ちにしていただきたいということについて言いますれば、会計年度で言いますと五十八年度に直ちに手をつけていただきたいということ、さらには、いま予算の編成の最中でございますけれども各省とも来年度、五十九年度予算に計上してもらいたい、そういうようなことも中長期的な立場要望が出ているわけでございます。  そこで、こういった要望がすでに出ておりますので、また私どもといたしましても、こうでなければならない、またあれをしてもらわなければならないというようなことが考えられますので、以下各省にわたることでございますけれども、若干項目についてお伺いいたしたいと思います。これにつきましては各省の担当の方で結構でございます。  最初に、現地で解雇されるであろう千名前後の従業員がおります。家族を含めますと三千人になるわけでございますが、この人たちに対する労務債支払いの問題があるわけでございます。すでに御承知のように、この労務債については、昨年十月の閉山前に発生した未払い退職金等のいわゆる旧労務債がございますし、またこのたびの閉山解雇に伴って発生する未払い退職金等の新労務債と両方あるわけでございますけれども、これについては北炭側も鋭意努力し、また組合と話のついたものもありますが、全般的に見まして、これは労働省所管だろうと思いますが、労働省の方としてはどのような対処をするか、どういう指導をしてまいるか、お伺いいたしたいと思います。
  6. 野崎和昭

    野崎説明員 お尋ねの労務債の件でございますけれども、まず旧労務債でございますが、そのうち三井観光開発支払い保証をしております八十九億二千万円につきましては、現在までに十七億五千万円が支払われておりまして、残っておりますのは七十一億七千万円でございます。これにつきましては、去る七月の二十九日に三井観光開発から具体的な支払い計画が示されまして、関係組合の方も了承されたと聞いております。したがいまして、私どもとしても約束どおり九月末までに完済されるというふうに信じております。  それから、もう一方の新労務債でございますが、これが五十一億三千万円ございますけれども、三十九億五千万円は処理済みでございまして、十一億八千万円が残っているわけでございます。これにつきましても現在管財人関係組合の間で協議が進められておりまして、近い将来円満に話し合いがつくものと期待しているわけでございます。
  7. 三枝三郎

    三枝委員 時間がありませんので細かいことについてお伺いすることは省略いたしますが、いずれにいたしましても、北炭としましてはこの財源確保のために、たとえば北炭が持っております所有地を売却するということで政府要望している場合もありますし、関係地方自治団体、市町村に要請しているものもあるように聞いております。そういった場合には、新しい石炭部長はこの間まで札幌通産局長であったわけでございますので、十分現地の実情は承知していると思いますが、ひとつ通産省中心になりまして関係方面にもできるだけ配慮してもらうように努力していただきたいと思います。  次に、緊急にしなければならないことでございますが、離職者が出るわけでございまして、この人たち雇用の問題でございます。離職者対策につきましては非常に深刻であるわけで、どうしても地元に残りたいという者もおりますし、あるいは札幌等に出たいという者もあるようでございますが、この対策について労働省としてはどのように対処しているか、簡単に御説明願います。
  8. 守屋孝一

    守屋説明員 私どもといたしましては、やはり何といいましても、こういう離職者方々に安定した職場への再就職を強力に進めるというのを基本にして各般離職者対策を講じていきたいというように考えております。  そういう中では具体的にはどういうことが中心になるかと申しますと、一つは昨日、きょう、あすにかけまして、もう一度職業相談の全面的なやり直しを全員についてやっております。といいますのは、二十七日まではまだ山元組合閉山の合意ができておりませんで、二十七日にそれが確定いたしました関係上、その後でこれを進めていこう。再開発を期待されて山元にいらっしゃる方が現在の離職者方々の中の約八割を占めておる、こういう状況でございましたので、もう一度それを再点検し直そうというのがまず一点。  それと、求人についてはもちろん地元就職が一番好ましいと思いますが、何せこれは地域振興との関係もございまして、われわれはできるだけ地元、また道内、さらには東京とか大阪とかこういう需要地に向けても積極的な求人開拓を行いますし、また石炭から出られた方でありますから、できるだけ炭鉱への再就職も進めていく。そういう中で住宅確保問題ということが重要でございますので、これについても私どものいまの雇用促進住宅について十分入居を確保していくという方向各般対策を進めていきたい、こういう考え方でございます。
  9. 三枝三郎

    三枝委員 次に、山とともに生きてきた地元商工業者は、下請も含めましていま非常に困窮しているわけでございます。これは通産省所管中小企業庁所管になろうかと思いますが、たとえば、地元商工業者経営を安定するために、ことしの十一月一日で期限切れになります閉山地区中小商工業者対策調整額制度というのがありますが、これは少なくともこの取り扱い期間を一年間は延ばしてくれという切実な要望が出ております。さらに、下請は二十社以上に上る、これもうっかりすると見逃されてしまう。これも同様に非常にいま困窮しておりますので、こういった下請業者中小企業方々のすべてを含めまして、中小企業庁としてはどういう対策考えておられるか、御説明を願いたいと思います。
  10. 本郷英一

    本郷説明員 ただいま御指摘夕張地区中小企業あるいは商店街人たちに対する対策といたしましては、昨年の十月から産炭地域貸し付け及び産炭地域特例保証というような制度活用いたしまして、すでに措置をとっておりまして、これらの金融上の措置を引き続いて実施していくというのが基本的な考えでございます。ただいま委員から直接御指摘のございました調整額制度につきましては、実は中小企業庁所管ではございませんが、私の承知しておりますところでは、十一月一日から先に延ばす方向で検討をしておるというふうに承知しております。  そのほか、金融以外の対策といたしまして受注確保問題等ございますが、すでに七月十四日及び二十八日に、道内官公需確保の観点から、関係官公庁出先機関八十一機関に対しまして地元中小企業への発注促進を強く要望しておりますし、また道内大手企業百六十六事業所に対しましても同様の発注促進を強く要請したところでございます。今後ともこういった施策の効果を見ながら、地元地方公共団体と連携をとって地元中小企業経営の安定を確保すべく努力をしていく考えでございます。
  11. 三枝三郎

    三枝委員 次に、夕張地域についての地場の石炭中心にした資源活用について要望が出ております。その中には、石炭資源賦存状況調査してくれ、広い範囲について改めて調査をしてもらいたい、そういうことも出ております。また御承知北炭真谷地あるいは幌内、こういったところの企業もいま赤字で相当苦しんでおりますけれども、そういった面の措置も十分にしてもらいたい、そういうのも出ておりますが、一つ新しい問題としまして、選炭の際に出る低カロリーのいわゆる石炭かすを燃焼して熱源にして暖房をとる、それを関係方面暖房として使うというのが、これは非常に新しいやり方で通産関係で七億ぐらいの予算を必要とするものでございますが、新年度お願いしたい。そういうのが出ておりますが、この選炭廃棄物活用についての要望についてはどうお考えになっておりますか、お聞かせください。
  12. 豊島格

    豊島説明員 選炭廃棄物活用して熱供給事業をやろうというボイラー建設事業でございますが、私どもの方の代替エネルギーを推進する事業一つとしまして、地域エネルギー開発利用モデル事業費補助金という制度がございます。これはローカルエネルギー開発利用を促進するためで、地方公共団体等、これは第三セクターでもよろしいわけでございますが、そういう場合に二分の一補助するという制度でございまして、この夕張でお考えになっておられる事業は、こういうわれわれが考えておる補助事業にかなうものではないか、このように考えておりますので、申請があれば本年度からこの対象として推進することにいたしたいと思っております。
  13. 三枝三郎

    三枝委員 さらに地元振興対策として、これは中長期的なものになろうかと思いますが、たとえば建設省関係あるいは農水省関係、いろいろな振興対策についての要望が出ております。これについては、御承知のように北海道開発庁が総括して地元開発についての取りまとめ、推進をやっておりますので、北海道開発庁にお伺いいたします。  道路整備とかあるいは農業基盤整備とか、そういったものについて要望が出ていることは御存じであろうと思いますが、全般的に見てどういう姿勢でこの公共事業について臨むか。特に来年度については大蔵省が、閣議の了解事項として公共事業についてマイナス五、非公共についてはマイナス一〇というシーリング枠を出しておりますけれども、これなどについてはあの地域についてはもう特別の扱いをするべきではないか、私はそういうぐあいに考えております。そういったものも含めまして、これはいずれ予算時期になりますと関係各省と十分に話し合いをし、さらには大蔵当局と折衝することになるわけでございますけれども、この公共事業中心にした地元地域対策について開発庁からひとつお答え願います。
  14. 大江郁夫

    大江説明員 夕張地方振興につきましては、その基盤となります産業基盤並びに生活基盤整備につきまして北海道開発事業費を通じましてその振興に努めてまいりました。特に本年度予算におきましては、国道二百七十四号線、それから道道が四本ほどございますが、こういう道路整備、それから石炭の歴史村公園というのがございますが、こういう公園事業農業開発あるいは農免事業等農業基盤整備、こういうようなものを中心にいたしましてその振興を図っているところでございます。ちなみに事業費を申し上げますと、五十七年度は十九億でございましたが、五十八年度は約二十三億ということで、四億ほど夕張地域開発事業費を増額してございます。  今後の振興策でございますが、明年度につきましては、厳しい財政事情でございますが、関係省庁ともよく相談しながら地元要望に沿うよう努力してまいりたいというふうに考えてございます。
  15. 三枝三郎

    三枝委員 次に、自治省にお伺いいたします。  地元夕張市は、かつて十万を超える人口を持っていた炭鉱の町でありますが、恐らくいまは四万を切っているのではないかと思います。したがって、国の地方交付税あるいは地方債、こういったものに依存している面が財政的に見て非常に大きいわけでございますけれども、今度のこういった事態になりますとさらにその点は非常に大きくなるわけでございます。すでに自治省に対しては、地方財政対策として地方交付税の配分についてあるいは地方債起債について格段の配慮をしてもらいたいという強い要望が出ておりますので、これについて一言だけお答え願います。
  16. 小林実

    小林説明員 ただいまの質問に対してお答えをいたします。  北炭夕張閉山に伴いまして地域振興のためにいろいろな施策事業が行われると思います。そのための起債につきましては、事業適債性、それから財政事情を勘案いたしまして行政運営に支障が生ずることのないように適切な措置をとってまいりたいというふうに考えております。  また、閉山対策に伴いまして市が行います施策に伴います財政需要につきましては、これも市の方からよくお話を聞きまして、必要があれば特別交付税等で適切な配慮を行ってまいりたいというふうに考えております。
  17. 三枝三郎

    三枝委員 最後に大臣にお伺いいたしたいと思います。  私は、いま非常に質問項目をしぼってさらっとお伺いしたのですが、お聞きになっておわかりのように、各省にわたって措置をしなければならない事項がたくさんあるわけでございます。しかも、それは当面緊急に措置すること、さらには中長期的な視野に立って手を打たなければならないことがあろうかと思いますが、私は、ひとつ大臣中心になっていただいて、関係各省には十分な協力をやってもらいたいという姿勢を示していただきたいなと思います。  それからもう一つは、夕張がこういうぐあいになりまして、わが国の国内炭対策をどう持っていくか、さらには、これは海外炭の輸入問題にも関係することでございますけれども、第七次の答申を今後どう読んでいくかということが大きな問題としてあろうかと思います。  第七次の石炭政策答申は、すでに御承知のとおりその理念枠組みを挙げております。そして、何項目か挙げておりますが、その中に、「今後とも引き続き私企業体制を維持することが適切である。」という、その私企業でいくということを原則にしていろいろな対策を、理念を、枠組みをうたっておりますが、その中で将来二千万トンの生産水準を一体維持していかなければならないのかどうか。私自身としましては、ここに二千万トンありき、それでそれに基づいて諸般の政策を打っていくということになりますと、どうしてもこれは事情変更原則に従いますと非常にむずかしくなる、したがって、弾力的にこれを見ていく必要があるのではないかと思います。この七次答申理念の中にも、「将来における年産二千万トン程度生産水準の達成」は一応目指しております。たとえば十年だけれども五年程度でまた見直すというようなこともうたっておりますけれども、ひとつ大臣は、この夕張の問題を踏まえて、さらにはたとえば北海道の赤平の住友にいたしましても、先ほど申し上げました真谷地にしましても幌内にしましても、あるいは三菱の大夕張にしても、非常にいま四苦八苦で企業努力を続けているという最中でございます。その中にあって海外炭の輸入の問題もあるわけでございます。したがいまして、大臣といたしましては第七次の答申の趣旨をどのように受けとめて今後対処していくか、基本的にお考えになっていくか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  18. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 再開発断念いたしましたときには、では続く問題として離職者方々の待遇あるいはまた地元夕張の今後の問題こうした問題に関しましても当然全力を挙げなくてはなりませんので、仰せのとおり今後も私が中心となりまして、そして十二分な成果を挙げてやっていきたい、かように考えております。  なお、今後の石炭鉱業の位置づけという問題は、もうすでに七次答申においても明らかにされておりますが、現在程度生産を基調といたしておりますけれども、しかし将来、石炭企業そのもの体質改善とかあるいはまた需給の環境が好転をした、そうした場合においてはやはり二千万トン体制というものを目指すべきである、こういうふうに示されておりますので、私といたしましてもそうしたことで今後対処をしていきたいと思います。  なおかつ、昨年の国会合理化臨時措置法も通りまして五年間の延長ということでございますから、そうした精神をも踏まえまして今後も十二分に石炭政策を実らせていきたいと考えておる次第であります。
  19. 三枝三郎

    三枝委員 要望を述べて質問を終わりたいと思いますが、御承知のようにことしの北海道は低温で日照時間も非常に少ないということで、いまや農業の冷害は確定したと言われております。そういった非常に条件の悪い中でこの夕張の問題が進んでいくわけでございますので、先ほどもお願い申し上げましたが、寒い冬を間もなく控えまして関係者政府の手厚い手当てを希望しているわけでございますので、どうか通産省中心となりまして、たとえば先ほども申し上げましたが、大蔵省のいろいろな制約予算面制約もございますけれども夕張の問題については特別な枠でいくのだというぐらいな構えでひとつ今後対策を講じていただきたい。心からこれを希望いたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  20. 武藤山治

  21. 岡田利春

    岡田(利)委員 質問に入る前に一つお伺いいたしておきたいと思うのですが、去る七月十三日の産炭地域振興関係省庁等連絡会、ここで配付された資料の中に、「大臣石炭協会に対して、道が中心となって再開発する場合に協力するよう要請」、こういう文書の記載が含まれておるわけです。また、通産省石炭部の内部の意思統一がどうなっているか知りませんけれども、ある局面で通産省石炭部若手事務官の発言、いわば今回の閉山北海道庁が公営企業として経営主体にならなかったことが再開発を困難にした、こういうことが述べられているのですね。これは事実と違うのではないかと私は思うのですよ。しかも、通産大臣とのやりとりの中でも、道庁が経営主体になり得るという判断はないということは、衆参質問の中で明確なわけであります。また、先般の石炭委員会でも、この場合は石炭協会以外に経営主体になることはできないでしょう、こう明確に有吉参考人からも述べられているわけです。したがって、もし北海道公営企業として経営主体になった場合ということを考えておったとすれば、いま三枝委員質問したように、第七次政策にも反するわけですね。こういう点について非常に問題だなと私は思うわけであります。  エネルギー庁長官は一番この関係を知っておるわけでありますので、この点についてこの機会に明確にひとつ見解を示しておいていただきたいと思うわけです。
  22. 豊島格

    豊島説明員 先生御指摘資料は、たしか経緯を書いた中に、五月二十日に大臣が会われたときのこと等であろうかと思います。それでいろいろな国会におけるお言葉を使っておられますし、横路知事大臣がお会いになったときの言葉もございますが、大臣としては、民間の石炭協会立場から言うとなかなかできない、したがって、北海道が乗り出してほしい、中心になってというお言葉もその間では使っておられます。もちろんこのことは、道が石炭開発の経験があるわけでもございませんし、そういう技術的なものもございませんので、道だけでやってほしいということではございませんが、道が相当力を入れてやっていただきたい、そのためには、たとえば資金が足らなくなれば道債の発行ということも、起債ということも必要になるのじゃなかろうか、そのときは私も、大臣としてですが、関係省庁と話し合って了解をとる、応援をするということもいたしたいということでございまして、公営企業というようなことを申し上げたわけではございませんが、道が中心となってとか、道が相当乗り出してほしいということをお考えになった、そうでなければなかなかできないということだと思います。  ただ、その再開発断念に至りましたのは、道の出資が少ないとか、そういうことだけではなくて、宇野大臣がしばしば申されておりますように、保安上の問題があるとか、あるいは経営主体ができなかったということを大臣声明でもちゃんと言っておられるわけでございまして、われわれ事務当局の考え方もそれと全く同じでございます。若干、資料の収集の中で「中心となって」というのはあったかもわかりませんが、以上のようなことがわれわれ通産省としての考えでございますので、御了解いただきたいと思います。
  23. 岡田利春

    岡田(利)委員 道が一枚かむということと、道が中心になるということは大分意味が違うと思うのです。やはり中心になるということは経営主体であるということですよ。そういう点で経過をぴしっと総括をしておく必要があるのではないかと私は思うのです。  そこで宇野通産大臣にお伺いいたしたいのですけれども、三代の通産大臣にわたって、そして御存じの経過をたどって宇野通産大臣が最終的に再開発断念を決断されたわけでありますが、その間、災害発生以来この決断まで一年九カ月を要しておるわけであります。そういう意味では特異な線引き部分閉山も行っております。普通ならば完全閉山でありますけれども、線引きの部分閉山を行って、採掘対象区域の鉱区も残してきた。こういう経緯から考えますと、私はやはりこの決断に至るまでの政府の責任もきわめて重要だと思うのであります。今回決断をされて再開発断念されたわけですが、宇野通産大臣としての一連の経過を踏んまえたこの問題についての所見を、この機会に承っておきたいと思うのです。
  24. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 前二代の大臣が非常に熱意を持って、何とか再開できないものかと努力せられたことに対しましては、私は私といたしまして、非常に努力されたのだなと評価いたしております。当然、通産大臣といたしましてはそうした精神が生かされまして、そして一年有余にわたって再開を待ち焦がれておられた方々に万歳と言っていただくような結果を得たいということは、政治家として当然のことでございます。だから、私もそういうような結果が得られるものであるか得られないものであるか、いろいろな立場から検討をさせていただいたことも、すでに御承知いただいておることと存じます。最終的には、本委員会におきます各党また各代表の方々の御意見を私も踏まえて判断をさせていただきますということでございましたが、私自身といたしましては、そうした気持ちで十二分に各方面意見は聴取させていただきました。また、なおかつ足らざるところは、たとえばもう一度石炭協会に何とかならないのか、こういうことに対しましても執拗に私といたしましてはその答えを求めたのでございます。  しかしながら、残念にいたしまして、最終的には経営主体が見出せなかったということが大きな原因でございました。また同様の比重を持ちまして、やはり保安体制に私自身が自信を持ち得ない。もしこのまま、再び不慮の事故を誘発するようなことのまま再開発することは、最高の責任者としてどうであろうか、こういうこと等々も考えますと、これは非常にむずかしい問題であると私は判断させていただいた次第でございます。  また、先般の委員会におきまして、岡田委員からも懇々といろいろな立場からの御質問がございましたし、特に石炭企業は、これは本当にもっと国が力を尽くすべきではないかというふうな御意見もございましたが、石炭企業は今日はあくまで私企業であって国営ではない、国管ではない、そういう意味においては国としての援助にもおのずから限度があるので、したがいまして、やりたいと思ってもそこら辺のことを考えますとこれはなかなかむずかしい問題であろう。以上申し上げましたようなことを私は踏まえた次第でございます。  なおかつ残存の石炭に関しましても、何とか少しの方々でもここで働いてもらえないものかと思いまして、その点も詳細に調査をいたしましたが、これまた保安上の問題あるいはまた資金の問題等々むずかしい問題がございましたので、そうした以上申し述べましたようなことを総括いたしまして、七月十一日に、私は、これは地元で待っておられる方々に対しましては本当にお気の毒なことである、あの事故さえなかったならばと、私もそう思います。そして従業員方々に責任があるわけではなく、また町の中小企業者の方々に責任があるわけではなく、すべての問題に対しましていろいろな観点からやはりこれは私が責任を持って、そして最後の断定をせざるを得ない、こういうふうに存じましたので、まことに遺憾な措置ではございましたが、万やむを得ない、かように存じまして判断をいたしました。  そしてこのことは、やはり前通産大臣横路知事に対しまして、北海道地元として一枚参加されませんか、こういうふうなボールを投げられておったという経緯もございます。その経緯に対しまして、平易な言葉で言えば知事からもボールが政府に投げ返されたという経緯がございます。それで私は、そのボールを投げたり投げられたりというふうなことであってはいけない、やはりこれはできることはできる、できないことはできないということが本当に明らかになった場合には速やかにその後の善後策を講ずるべきである、こういうふうな気持ちでございましたので、私といたしましてはいたずらなるボールの投げ合いを避けまして、そして十一日に横路知事にはひとつ御連絡を申し上げよう、こう思いまして、たしか十二時四十五、六分だと思いますが、たまたま知事が道庁におられましたから私から電話をいたしまして、本日の午後三時ごろになれば私といたしましても万やむなき仕儀としての再開発断念声明を出すから、どうぞひとつこの点だけは御了解賜りたいということを申し上げました。もちろん知事は了解されるはずがありません。何とか大臣、再考できませんか、そういうふうにおっしゃいましたが、これもあれこれ考えての末である、八方手を尽くしたと私は思う、だからひとつこの点だけはあなたに御連絡いたしておきますから、いろいろと関係各位にもよろしく、そういう趣旨で電話をいたした次第でございます。  実は、この点におきまして、もっともっとほかにも連絡すべきではなかったかというような御意見もございました。あるいはそうした方がよかったかもしれませんが、しかし私自身といたしましては、いろいろな判断に立ちまして知事だけに御連絡を申し上げて、裏話を申し上げますと、その日政府・与党連絡会議がございましたが、知事連絡をした後で、政府・与党連絡会議で、本日三時ごろにこうした仕儀と相なりますのでこれは御報告申し上げる、別に御了解という意味ではなくして御報告申し上げるということで、政府・与党にもそうしたことで私から改めて報告をさせていただいたというふうなことでございました。  もちろん、ここまで決断するに際しましては、やはりアフターケアの問題に関しまして十二分に政府としても責任を持ってやっていかなければならない。したがいまして、この点に関しましても実は私は閣議で御報告を申し上げまして、そして関係各省の御協力をぜひともお願い申し上げるということを申し述べて、そしてその後はいろいろと関係各省庁間における連絡会議が開かれておるというのが今日までの経緯でございます。
  25. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんから、責任論についていろいろやりとりをする余裕がありませんけれども、いずれにしてもこの経過を考えると、政府としても素直にその責任も感じなければならぬ面が多かったと思うのです。したがって、今日の時点であれば、一体その意味を夕張の今後の対策にどう生かすかということで、いわば政府としても責めを果たさなければならぬ面が非常に大きい、こう思うのですが、率直な御意見を承りたいと思います。
  26. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 すでに、地元の代表といたしましては横路知事からも詳細にわたる具体的な陳情を承っております。したがいまして、これを個々に各省庁にまたがりまして検討していただいております。もちろん私といたしましては、非常に不幸な出来事でございますから、政府は全力を挙げてこの問題に取り組んでいく、そうしてもちろん私が中心となりまして各省並びに各大臣の御協力を仰ぎたい。詳細にわたりましては、また事務的にお答えいたしたいと思います。
  27. 岡田利春

    岡田(利)委員 夕張の場合は、先ほど申し上げましたように、普通閉山なれば全鉱区を抹消して、そして坑口を密閉して、そのことによって閉山交付金が交付されるわけです。しかし問題が、再開発ができるかどうかという配慮もありましたから、いわば線引きの部分閉山をして、鉱区を残して、立て坑坑口を残して、そして閉山の手続をとり、閉山交付金が交付された。これが普通の閉山と違うところであります。  そうしますと、現在残っている鉱区と坑道というものは清算会社の所有になっておるわけですね、現時点では。しかし本来であれば、もし二段階ではなくて初めから完全閉山をするのであれば、鉱業権は抹消されておるわけです。したがって、今後清算会社に対してこういう結論が出た以上どう対処するかということはきわめて注目をされなければならない問題だと思うのです。  私は、将来の展望を考えながら、この問題を、まず基本的には閉山、坑口の閉鎖、閉山交付金の支払いで鉱業権は抹消されておる、そういう精神に立って、清算会社に対して鉱区のその後の処分の問題について、いわば公的な管理下に置けるような方向の中で、そういう精神を生かして対処しなければならない問題だ、こう思うのですが、いかがですか。
  28. 村田文男

    ○村田説明員 法律的に申し上げますれば、当該鉱業権は抵当権の対象になって抵当権が設定されております。したがいまして、その処分につきましては債権者の意向に左右される面がございます。したがいまして、会社更生法の中でその処理が決められていくわけでございますが、私どもといたしましては、将来の開発を阻害しないように、その保全のあり方について十分検討を加えながら、関係方面に要請あるいは指導をしてまいりたいと考えております。
  29. 岡田利春

    岡田(利)委員 こういう変則的な閉山をしたのですから、事実経過は、その経過を経て完全閉山になったわけですから、そういう意味では、鉱業権の抹消を命ずることはできませんか。不可能ではないと思うのですが、いかがですか。
  30. 村田文男

    ○村田説明員 抹消はできません。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 抹消ができないとすれば、清算会社がその債権者と協議の上、これは自由に清算できるということになるわけですね。その場合の債権者の中にはNEDOもおりますし銀行関係もおるわけであります。こういう経過をたどっておるわけですから、石炭政策の中で閉山が行われたわけでありますし、しかも国費が閉山交付金として出されておるのでありますから、従来の一般的な商法上のものとは違うと思うのですね。だから通産省としては基本的に、余りきれいごとを言わないで、一体どう対処するか、どんぴしゃりと態度を決めていいのではないかと思うのですが、いかがですか。
  32. 村田文男

    ○村田説明員 先ほど申し上げましたように、将来の起こり得るであろう再開発を阻害しないようにこの鉱業権を保全していくという方向考えております。ただ、具体的にその承継先をどこにするか等につきましては、さらに検討を加えてまいりたいと考えております。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 これからの問題でありますけれども、新エネルギー開発機構も相当の鉱区を所有しておるわけでありますから、なじむわけですね。そういう点で、私はきちっとした態度でこの面は対処してほしいということを申し上げておきます。したがって、この対象可採炭量というものは――その後、夕張地域の総合的開発、一体的開発の可能性を残して今回の決断を、直接再開発はできないけれども、一体的な開発の可能性の問題についてはぴしっと結論は出さないで閉山をされたわけであります。そうしますと、夕張地域の一体的開発のために、これらに関連する隣接鉱区の調査や炭量の調査、あるいはまた場合によっては炭田ガスの利用という問題も当然検討の素材に上ってくるのではないか、私はこう思っておるわけであります。したがって、夕張地域の一体的な総合開発の可能性を残しているのだから、一体的開発の可能性をこれから手順を立てて追求をしていくということはきわめて当然だと思うのですが、いかがでしょうか。
  34. 村田文男

    ○村田説明員 先ほども申しましたように、将来の事情の好転による再開発の可能性の余地は私ども考えております。したがいまして、当該地域におきましてすでに二十九本のボーリングをいたしておりますが、今後とも夕張地域の全体の合理的利用という観点から、必要に応じまして適宜新たなボーリング調査を進めてまいりたいと考えております。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 すでにこの鉱区のガス利用という問題もしばしば話題になっておるわけであります。すでに既設のボーリングがありますけれども、依然としてガスの湧出が見られている、こういう例もあるわけです。あるいはまた、いまから十五、六年前に閉山した立て坑から依然としてガスが湧出をして、これがある程度活用できる量がある、こういうところもあるわけです、過去の閉山の中に。これらの問題が、やはり鉱区の問題をどうするかということと関連してくると思うのですね。だから、この問題は、できるだけ早く清算会社に対して結論が出るような方向で、国が最大の債務者なんですから、そういう点でやはり対処してほしいということを申し上げておきたいと思います。  同時に、真谷地、幌内の問題でありますけれども、しばしばこの炭鉱閉山に当たって、たすきがけになっている債務について、特にこれは他社に対してこの夕張炭鉱は一千億を超えるたすきがけの債務保証になっておるわけです。このたすきがけは排除して真幌には影響を与えないというのが基本方針である、そういう方向で今日まで施策をとってきたのであります。したがって、今後もそういう方向真谷地や幌内に影響を与えないという点についてはぴしっとここで確認してよろしいですか。
  36. 村田文男

    ○村田説明員 従来から夕張炭鉱の更生法の申請あるいは閉山に伴いまして、真谷地あるいは幌内に影響を及ぼさないように関係金融機関初め関係者に要請しておるところでございますが、今度の再開発断念の事態に当たりましても引き続き要請を続けていくつもりでございます。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 旧労務債の問題については、これは労使間で協定がされて、その計画に基づいて完済されるものと思います。  問題は、いま新労務債の協定について、この実施について問題点が出ておるのであります。しかし、すでにそれぞれの個々の従業員に対しては、退職手当のあなたの債務は幾ら残っていますと個人通知が清算会社の手によって行われているわけです。したがって、個人個人はすでに債務を確認いたしておりますから、これが完済できないということになりますと、きわめて重要な社会問題になるわけであります。したがって、この新労務債は、当然協定に基づき清算会社の個人に通知された債務については完済されるものである。そのためには労働省あるいはまた通産省も責任を持って指導しなければならないと私は考えるのでありますけれども、この点はいかがですか。
  38. 野崎和昭

    野崎説明員 新労務債につきましては、先ほど申しましたように、十一億円余がまだ未処理で残っているわけでございます。この処理につきましては、完済というお話でございましたけれども、基本的には関係者一致してそういう考えでいると承知しております。  ただ、現在労使間でいろいろ交渉中のようでございまして、承るところによりますと、その場合のいろいろな解釈等をめぐりまして、御意見関係者の間にあるというふうに承知しております。そういう状況でございますので、労使の間で十分お話を尽くされまして円満に解決していただきたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  39. 豊島格

    豊島説明員 旧労務債は解決したけれども、新労務債はまだなかなかはっきりしていないじゃないかということでございますが、いずれにしましても、五十二億のうち四十五億は払ったということになっておるのですが、実はその五十二億の中に離職金が入っているか入っていないかということで、若干管財人と労働組合との間で、やや従来の思い違いといいますか、必ずしも意見が一致していなかったというような状態があるのが現在起こっておる問題じゃないかと思います。  ただ、いずれにいたしましても、この問題は管財人と労働組合との間の問題でございますが、われわれとしては、双方満足するようなかっこうで一日も早く円満な解決ができるようになることを期待しておりますし、そういうことになるように要望したいと思っております。
  40. 岡田利春

    岡田(利)委員 離職金というのは、政策の流れからいいますと、これはスクラップ・アンド・ビルドを進める場合に、初めの方式は買い上げ方式を採用したわけであります。その場合でも、解雇予告手当に見合う一カ月分の離職金を当時の合理化事業団が支払う、こういう流れをずっと経て今日に来ているわけです。ですから、離職金の性格について、その解釈が違うなんということは、その政策を知らない人の言うことだと私は思うのです。もし、そういう点の問題の解釈の違いがあるとすれば、管財人の大きな思い違いだ、こう言わざるを得ないのですね。しかも、先ほど申し上げましたように、個人個人にはすでに通知が行われているわけでありますから、そういう点で、いまここでどうするこうするという結論は出ないでしょうけれども、これ以上混乱を拡大しないためにも、この点がぴしっと完済されるように強力な指導を強く要請しておきたいと思います。  そこで私は、いろいろ対策があるわけでありますけれども、その中で、当面特に取り上げて対策を講じなければならぬ問題点について承っておきたいと思います。  先ほど質問の中で、石油代替エネルギー勘定の地域開発モデル事業としてローカルエネルギーの問題が答弁されておるわけです。この性格は、いわば選炭廃棄物というよりも、いわゆる微粉だと思うのです。それと他の廃棄物、あるいは坑木などの廃棄物をチップ化して、これをまぜて、そして斜めのボイラーをつくって、このエネルギーを活用する、このことが具体的な内容だと思うわけであります。先ほど長官が、今年度からこれにかかる、こう述べられましたけれども、この点についてまだ正式に申請がないというお話でございましたが、申請があれば直ちに着手できる体制にある、こう理解してよろしゅうございますか。
  41. 豊島格

    豊島説明員 夕張市としてそういう事業をお持ちのことは存じておりますし、強く望んでおられるということも存じております。  ただ、正式な申請はないわけでございますが、われわれが伺っておる事業内容であれば、私ども用意しております補助金の対象になるというふうに思いますので、申請があり次第、その若干の事務的手続はわかりませんが、五十八年度事業として対象としたい、このように考えております。
  42. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま夕張地域振興をやる場合に一番大事なことは何か、これは清算会社が持っている土地を、必要な土地をどう解決をして、その必要な目的に活用するかという問題なんですね。土地が解決しなければすべてが解決しないわけでしょう。元山の問題もそのとおりだと思うのですね。したがって、この土地問題というのは、結局、計画に基づいて必要な土地は夕張市が所有しなければ今後の地域対策はできないと思うのです。  一説によれば、大沢管財人は、市に売却する場合には十五億円だ、こう言っておるようであります。最終的にこれは決められるのでしょうけれども、その場合に、これを取得するとすれば、所有するとすれば大変な負担になるわけであります。当然、長期で返済するか何らかの方法を講じなければできないと思うのです。しかし、この問題を離れて地域振興はないわけでありますから、そういう場合には、土地所有のために、たとえば地方債を発行するとか、そういう点について、これはむしろ自治省からお伺いした方がいいんでしょうか、こういう例がいままでもあったと思うのですが、いかがでしょうか。
  43. 小林実

    小林説明員 地方団体が土地を先行取得する場合には、近い将来公共用地または公用地として利用されることが確実であると認められる用地取得を対象として起債を認めておるわけでございます。御質問の問題、市がどのように処理されるのか私どもよく承知しておりませんが、適債性があるかどうかが基本になるわけでございまして、その要件に当たらなければ起債を認めるわけにはいかないというふうに考えております。
  44. 岡田利春

    岡田(利)委員 炭鉱というのは、炭鉱会社がほとんど土地を所有して、そこに町ができているわけですね。だから、こういう形で閉山になって清算会社になれば、他に売られたのでは土地計画や地域振興は成り立たないという特殊事情があるわけです。これはいままでも例があったわけです。したがって、普通一般の考え方ではなかなかこれに対応できないのではないか、こう思うのですけれども、すでにこの点は要望が出ておるのではないかと思うのですが、この対応策について検討されておりますか。
  45. 村田文男

    ○村田説明員 市の財政援助の問題も含めまして、夕張市並びに北海道からの要望は、最近におきましては七月十三日並びに八月一日の各省連絡会で要望説明し、早急な検討をお願いしているところでございます。
  46. 岡田利春

    岡田(利)委員 この問題は特に優先的に検討を進めていただきたいと思うのです。このことの解決の展望がないと地域振興はなかなかできないのでありますから、この点を強く要望いたしておきます。  次に、先ほど質問に答えられた中で私、はっきり聞こえなかったのでありますけれども閉山地区中小商工業者対策調整額制度について、一年延長するという考えですか、これから検討するという考えですか。
  47. 村田文男

    ○村田説明員 現行制度を、十一月まで生きておりますが、延長する方針でおります。
  48. 岡田利春

    岡田(利)委員 次に労働省関係にお伺いいたしたいと思います。  雇用求人の開拓をする場合に第一の対象になるのは炭鉱労働者でありますから、石炭企業がどれだけ採ってくれるかということだと思うのです。エネルギー庁長官からもしばしば、三百名程度は現存の炭鉱企業がこれを雇用する、そのように指導しているし、その協力は得られる、こう述べられてまいったわけであります。だがしかし、今日の時点でも、各社がどの程度の人数を採るかというのはまとまっていないようでありますし、しかも自然減までということになれば、ことしは幾らか採って、来年は来年の自然減まで採るということになりますと、ちょっと問題点が残るように思うのです。この点は確たる確信をすでにお持ちなのかどうか承っておきたいと思います。
  49. 守屋孝一

    守屋説明員 先ほどお話が出ました三百名につきましては、これは後で資源エネルギー庁長官からのお話があると思いますが、まず私の方の数字をちょっと申し上げようと思います。  いままでにすでに石炭に再就職されております方は、これはことしの七月末現在でございますが、七百十八名でございます。現在私の方で安定所で持っております石炭関係求人は二百三十八名という状況でございます。ただ、私どもはできる限り炭鉱離職者の方をまた石炭への再就職を図るという考え方から、すでに二回に及びまして石炭協会の方に、石炭各社が極力この離職者方々を採用していただけるようにという要請をしておりまして、恐らく近くこの要請に対応しまして各社がどれだけ採れるかという数字が出てまいると思います。私どもは、いま先生のお話しのように、できるだけ石炭企業へと、またできるだけ北海道の中へというような方向を持って再就職の促進を進めておるわけでございます。
  50. 豊島格

    豊島説明員 夕張炭鉱で働いておられた方々が当然のことながら再開発を望んでいるということは、山で働きたい、こういうことだと思います。  そこで、私どもとしましては、七月十五日に私の名前で石炭協会に対して、三百名を目標として再就職の確保、こういうことを文書でも要請したわけでございますが、実はこの背景になるものとしましては、ことしの四月、年度当初に石炭鉱山で雇う労働者の数といいますのは大体千人ぐらいで、北海道五百とその他の地区で五百というぐらいの数字がございました。いろいろの条件があろうかと思います。新卒があったりいろいろあろうと思いますが、そういうことを踏まえて、われわれとしては三百人ぐらいはどうしても優先雇用していただきたいということを石炭協会に強く要望したわけでございます。このわれわれの要請に対しまして、協会では七月二十日に社長の集まりである評議委員会を開きまして、われわれの要請を基本的には受け入れるということで決定がなされております。そして現在協会が中心となって各社別に受け入れ可能数ということをいまはじいておるわけでございまして、これは今月中旬ぐらいにならないと最終的にわかりませんが、われわれとして要望に近い線が出てくることを期待しておるわけでございまして、それと大きく外れるようなことはないものと思っております。
  51. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま労働省からも説明がありましたけれども炭鉱に行きたいという希望があるという意思は確認できても、炭鉱だっていろいろあるわけであります。北海道だって釧路の太平洋炭鉱から、お隣りの真谷地や南大夕張、こういう炭鉱もあるわけでありますから、同じ炭鉱でも炭鉱によってまた希望があると思うのですよ。そうすると、いま長官が答弁されたように、中旬までかかるというわけですから、本格的な就職あっせんというものは今月の中旬以降でなければ実際問題としてできない。炭鉱希望以外の人については広域紹介ができますけれども、そういうことになって時間的なずれを大変感ずるわけですね。この点、労働省通産省でどのように調整されるつもりですか。やむを得ないからそういう方向で中旬になって出るものを待ってやらざるを得ない、こういう態度ですか。
  52. 守屋孝一

    守屋説明員 いまお話ししましたように、すでに手持ち求人としては二百三十八名がございます。私ども、きのう、きょう、あすにかけまして、現在の約千名の方々に対し、再度全員についての就職相談をやり直す体制をいま進めております。こういう中で御希望の方がどの程度出てくるか。いままでの場合には、実は離職者の方の八割以上の方が再開発を希望されまして、再開発後の会社に就職を希望されて山元に滞留されていたというのが現状だと思います。しかし、今度新たな事態を迎えましてこれがどのような御希望になるか、そういう面も十分踏まえた上で私どもは進めていこうということを考えております。  当面の手持ち求人もございますので、それを消化しながら、また私ども通産省とともども石炭協会にも強力に働きかけておりますし、また私ども北海道地元の業界に対しましても、石炭のみならず、関係各社にも強力に働きかける所存でございますので、決してゆっくり対応するということではございません。現在も早急に対応していくという考え方でございます。
  53. 岡田利春

    岡田(利)委員 いまの離職者の構造を見ますと、なかなかむずかしいなという感じが私はするから念を押して聞いているわけです。五十五歳以上が百九十六名おるわけですね。五十二から五十四歳の間が二百十三名おるわけです。四十五歳から五十一歳が二百九十一名です。四十四歳未満が二百六十五名。特に必要な希望の坑内員になるとまだ減るわけであります。こういう構造になっているわけですよ。ですから、よほど構造的な分析に立ってぴしっとした方針を早目に出さないと、結局は言うだけに終わってしまう可能性が非常に強い、このことを心配するわけです。この点は、そういう意味で通産省に重ねて伺っておきますけれども、当初の約束どおり方向で間違いなく実施できる、こういう確信がありますか。
  54. 豊島格

    豊島説明員 石炭協会に要請しております場合も具体的な雇用でございますので、たとえば新人でなくてはいけないというところは当然外れるわけでございまして、年齢的にもいろいろな制限があるということは当然でございまして、求人の内容としてそういうことになっておるわけです。しかし、そういう実態を踏まえていま検討していただいているわけでございまして、決して千人あるから三百人ぐらいどこかということじゃなくて、実行可能な案としての検討をお願いしておるわけでございます。ただ、就職の問題でございますから、たとえば採るといっても就職される方がそこは行きたくないというような問題は、これはまた個々の方と会社の関係でございますが、会社側としては一応三百名ぐらいを採れるようなことで御検討をいただいておる。  それから、時期についてでございますが、年間を通じて千名ということで、年度当初からいろいろ採っておるわけでございまして、すでに石炭山でも一部採用しておられるところもあるわけですが、今後のわれわれの要請にこたえて採用なさる時期というのは恐らく九月以降、下期の採用計画の中で処理されるものと思います。その間若干の時間はかかると思いますが、われわれとしてはできるだけ早く進めていただくようにお願いしたいと思います。
  55. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、本当は年齢別の職種内容の分析表を欲しいと言ったのですが、出てこないわけですね。そういうものがないとなかなか対策はむずかしいのではないか、こう思います。いずれにしても非常に厳しい内容を含んでおると思いますので、そういう厳しさを十分受けとめながら対処してほしいということを申し上げておきたいと思います。  そこで、職業訓練校の問題や職業訓練の問題は参議院の方で大分質問がなされまして、政府答弁があったようでありますから、その点でこれは省略をいたしますが、いま石特予算の中で緊就、開就がございますけれども、緊就の場合にはこれは制度が変わって黒手帳ができて、これは対象外でありましょうけれども開発就労あるいはまた一般会計の炭鉱以外の特別開発就労、こういう制度が現在存在いたしておるわけです。この開発就労の今日の就労期間は何カ月ですか。
  56. 守屋孝一

    守屋説明員 開発就労事業につきましては、これは十カ月でございます。
  57. 岡田利春

    岡田(利)委員 これはたとえば産炭地の場合、特開予算による就労期間も十カ月ですか。
  58. 守屋孝一

    守屋説明員 特開もほぼ同じでございます。
  59. 岡田利春

    岡田(利)委員 北海道開発就労がなじまない、冬の期間がありますから、こう言うのですけれども、私は組み合わせの方法によっては成り立つと思うのですよ。いま答弁は十カ月でありますけれども、私の聞いておる範囲では、今年から就労八カ月、そしてあとは地方自治体がプラスをする、こういう方向だと聞いておるわけです。北海道には積寒給付金制度もあるわけですね。いろいろありますが、いまの政策を組み立てる場合には、北海道としても開発就労ができないことにならぬではないのか。やるやらないは別ですよ、頭からできないと決めつけるのはおかしいのではないか、工夫すればやれるのではないか。やるやらないの問題は別に置いて、できないという前提条件に立つことは間違いだと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  60. 守屋孝一

    守屋説明員 非常にむずかしい御質問でございますが、なるほど福岡を中心にしてやっておることはやっておりますから、物理的に可能かどうか、あるいは論理的に可能かどうかとおっしゃられれば、やっておる以上、同じ日本の国内でやれないということはあり得ないと思います。ただ、私どもの基本的方針といたしましては、あくまでも安定した職場への安定した就職を念頭に置いて各種の対策を講じていこうということでございます。  といいますのは、こういう就労事業は、御承知のように中身としては非常に不安定な職場でございまして、またそれがある意味では滞留を引き起こすという反省にわれわれは立った上で、できるだけ安定した職場へ持っていくという姿勢から申し上げているわけであります。その点非常におしかりを受けるかもわかりませんが、論理的というか物理的な話は別にいたしまして、政策方針としてはそういうことであるというのをひとつ十分御理解いただければ非常に幸いかと存じます。
  61. 岡田利春

    岡田(利)委員 私もここですべて結論めいたことは出ないと思うのです。やはり広域紹介が優先されていますから、そして最終的にどうなった、それに一体どう対応するか、こういう問題が一番最後に出てくるわけでありますから、一応問題意識としてきょう御質問を申し上げたということを十分記憶にとどめておいていただきたい、こう思う次第です。  次に、緊急な中小企業対策ももちろん雇用問題とも関連がありますけれども、老朽炭住の解体事業、これは建設省で進められておるわけであります。今年これにかかるとすれば早急にやらなければ冬が参りますから、大体今年どの程度の計画でやるお考えなのかというのが一つであります。  同時に、これは同和の場合には三分の二の補助事業でありますけれども炭鉱の場合には二分の一の補助事業であります。二分の一を市に持てといっても財政負担にたえられるものではないと思うのです。あとの二分の一については産炭地の調整資金等を活用して速やかに今年着手され、そのことによって中小企業対策になる、雇用もそこに存在するということになるわけでありますから、一番急がなければならない問題だと思うのです。あとの問題については通産予算の中で、大蔵省の認可を得なければならぬと思うのですが、この点早急に結論が出て早急に発注できるということを、この機会に安心感を与えるために明言してほしいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  62. 中田亨

    ○中田説明員 老朽住宅除却促進事業についてのお尋ねでございますけれども、御承知のとおり炭鉱地帯では閉山に伴いまして空き家化した住宅が大量に老朽化してきておる。これがいわばゴーストタウン化いたしまして地域環境を非常に阻害しているということがございます。そこで、今年度から地方公共団体が、老朽空き家化した炭住で、ある程度以上まとまっておりますものについて除却をいたします場合、その費用の二分の一を国が補助するという制度を発足させたわけでございます。当面夕張市において今年度おおむね六百戸程度の除却を行いたいということで計画いたしておるところでございます。
  63. 村田文男

    ○村田説明員 いま建設省から御答弁ございましたように、建設省の補助事業に対して私どもの方から特定事業促進調整額の対象にする件につきましては目下大蔵省と細かい詰めを行っておりますが、今年度から実施できる見込みでございます。
  64. 岡田利春

    岡田(利)委員 この二分の一についてはすでに大蔵省と話がついておる、こう理解してよろしいですか。
  65. 中田亨

    ○中田説明員 今年度予算におきまして、大蔵省と話がついて制度として発足したわけでございます。
  66. 岡田利春

    岡田(利)委員 私が言っているのはあとの二分の一の問題です。これは二分の一の補助事業でしょう。今年度予算がついておるわけでしょう、あとの二分の一について。
  67. 村田文男

    ○村田説明員 残りの、調整額の対象にすることにつきましては、目下大蔵省と鋭意検討中でございます。
  68. 岡田利春

    岡田(利)委員 大蔵省の見解はどうですか。  もう一つつけ加えて、メロンブランデーの許可の問題がいま問題になっておるわけですね。これなどもこういう時期に朗報として早急に認可を与えたらどうか、経過はもうあるのですから。これについて大蔵省から答弁いただきたいと思います。
  69. 藤井誠人

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  産炭地域振興の臨時交付金の対象としていわゆる上乗せ補助を行うことにつきましては、現在の厳しい財政事情を考慮いたしますと非常にむずかしい問題ではございます。ただ、いずれにいたしましても、この問題につきましては通産省からも地元の実情等を十分伺いまして、先ほど通産省の御答弁もございましたけれども、今後とも鋭意検討を進めてまいりたい、かように考えております。  後の問題につきましては国税庁の方からお答えいたします。
  70. 中島富雄

    ○中島説明員 御質問夕張メロンのブランデー等の製造免許の点でございますが、実は夕張市におきましてはメロンブランデー醸造研究所というのが前からございまして、そこではすでに五十四年ころから試験製造免許を付与いたしまして、試験的に事業化に向けてブランデー等を製造いたしておるわけでございます。今回販売を目的としましてかなり大規模に製造を拡大しようというお話がございますが、これにつきましては、この試験免許にかわりましていわゆる本免許と申すものが必要でございまして、事業化した場合、実際にそれがよく売れるかどうかという点も含めまして経営の成否が問題になるわけでございます。現在、夕張市当局と私どもの所轄の札幌国税局岩見沢税務署等の間で商品設計なり販売計画、採算性、投資計画等の事業計画の内容を協議させていただいておるわけでございます。私どもとしましては、この辺の検討を踏まえまして、夕張市の置かれております特別な状況をも十分考慮いたしまして、前向きに処理をしてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  71. 岡田利春

    岡田(利)委員 検討、検討であれなのですが、いま言ったように前者の問題はもう早急にかからなければ、十一月ぐらいまでの仕事でしょう、十一月になったらもう雪が降りますから。そういう点で検討、検討が長くならないように、速やかに結論を出してほしいということを強く要請しておきたいと思いますし、いまのメロンブランデーの問題についても、こういう状況の中で政治に温かい思いやりがあるということを示されるよう強く要望いたしておきたいと思います。  そこで、清水沢には工業団地があって十三社入っております。四百八十五人いて、そのうち女子が二百七十九人です。夕張対策として、夕張地域に工業団地もしくは企業進出のある場合には七〇%の貸し付けをするという方針と承っています。これを七五なり八〇に上積みする考えがないかというのが一つです。  それと自治体に対する交付金の一〇〇%、七五%を五〇%、四〇%、そして二百、百万円という制度になっておりますけれども、いまの金額は、四年前の清水沢閉山のときにすでに決めた額でしょう。四年間据え置きになっているわけですね。夕張市がお願いしておるように五百円というわけにはまいらぬでしょうけれども、この点ある程度スライドして是正をするという点について検討される用意があるかどうか承っておきたいと思います。
  72. 村田文男

    ○村田説明員 融資割合をこれ以上ふやすことにつきましては、地域公団の財源事情その他から見ましてはなはだ困難と考えております。  それから工業再配置補助金の単価のアップの件は、実は私どもいま直接は担当しておりません。立地公害局で担当いたしておるわけでございますけれども、一般会計の中で厳しい制約を受けておりまして、ここ数年金額が横ばいという状況でございますので、この単価をアップすることも、また同様はなはだ困難な状況でございます。
  73. 岡田利春

    岡田(利)委員 最後に、北海道開発庁としての対応の問題について承りたいのです。  特に今年の公共事業費は、この地域には二十三億円の予算額だと思います。いまマイナスシーリングをやっておるわけでありますけれども、五十九年の公共事業費の確保がなければ公共事業関係対策が立たないわけであります。すでに大蔵省予算要求を出す段階でありますけれども北海道開発庁としては夕張対策としてはどうお考えなのか。あるいはまた、歴史村公園の実施の問題や畜産基地の問題については、調査に着手をし、実施に向かって進むという態度とも受けとめておるわけでありますけれども、いずれにしましても北海道開発庁夕張問題に対する対応について承っておきたいと思います。
  74. 大江郁夫

    大江説明員 五十九年度のこの地域への北海道開発事業費の投下につきましては、現在各省庁と詰めている段階でございまして、確たる数字を挙げて説明するという段階には至ってございません。非常に厳しい財政状況でございますので、関係省庁にできるだけ御理解いただいて、地元要望にこたえるように努力してまいりたいという考えでございます。
  75. 岡田利春

    岡田(利)委員 各省連絡会でもいま言った程度のことは出ておるわけであります。宇野通産大臣は加藤北海道開発庁長官に対して特に強く協力を要請をしたというお話も聞いておりますし、そういう意味ではこれは非常に重要な問題だと思うわけであります。それと同時に、所管は違いますけれども、この夕張対策の問題は通産省中心にならなければならぬ問題でありますから、いますぐやる問題、中期的に考えあるいはある程度長期的な展望を持つもの、いずれ内容は整理されるものだと思うわけであります。また、われわれも九月に現地に参りますけれども、その後さらに各省連絡会議も開かれる、こういう日程と承っておるわけです。こういう点についての通産大臣の決意のほどをお伺いしたいと思います。
  76. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 当然私が責任者といたしまして各省大臣とも、十分本日の意見を踏まえ、また、地元のいろいろな意見も踏まえまして、極力御趣旨に沿っていくように努力したいと思っております。
  77. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  78. 武藤山治

    武藤委員長 斎藤実君。
  79. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最初に宇野通産大臣にお尋ねをいたしたいと思うのですが、夕張の再開発問題については当委員会でずいぶん論議をしてきたところでございまして、いままでの経過を申しますと、安倍元大臣、山中前大臣も当委員会夕張開発問題については積極的に取り組むとか、きわめて前向きな答弁をされてきたわけでございます。そこで宇野大臣が当委員会に御出席をされて論議をされたときに、十分諸般の情勢を踏まえて、私が最高責任者として決断をするという御答弁がございました。就任早々大変だと私は思うのです。いろいろな御苦労もあったと思うのですが、私どもは率直に言って、ああ宇野大臣夕張新鉱の再開発については最大の努力はしたのだろう、こうわれわれは信じておった。ところが、断念ということになりまして、きわめて遺憾であり残念なことですが、大臣の決断を伺っておりまして、これはもう最初からそういうふうに断念と決めておったのではないか、私はそういう感じを持った一人でございます。就任早々大分大臣努力されたと思うのですが、どういう努力をされたのか、ちょっとその辺の心境を最初にまずお尋ねをしておきたい。
  80. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私が就任いたしましたのは六月十日。そして断念声明を発表いたしましたのがちょうど一月目の七月十一日。その間各方面の御意見を伺ったということは先ほど来申し上げておるとおりでございます。特に、前元大臣のうち前大臣がこの問題に関しましては非常に熱意を込めておられましたから、御病気中でございましたが私は一度お目にかかっております。非常に快方に向かっておられまして、快く二十分ばかり、お互いに先輩後輩ですから話し合いました。そうした中におきましても、やはりその段階における結論は非常に困難な方向へおもむきつつある、私がいかに努力しようが、あらゆるところの意見を聞こうが、なかなかむずかしい仕儀になるかもしれぬということを、私といたしましてはあらかじめ前大臣にも申し上げておる。もちろんこのことに関しましては、所管がかわったとはいえ、つまり人がかわったとはいえ、それは私も熱意を持ってやったことだが、しかし君がそこまで努力をしていろいろ判断されることに対して、前大臣として右せよ左せよということはこれは言えない話である、こういうようなことまで実はお互いに話し合ったということでございます。  そうしたあげく、この委員会で皆さん方の御意見を私は拝聴し、そして石炭協会に対しましてもさらにもう一度この委員会の雰囲気なり主張というものを伝えて、何とかならぬか、保安要員に関しては確保できないのか、そういう問題も私といたしましては照会をいたした次第でございますが、残念にいたしまして経営主体を見出すことができなかった。そして特に安全を期する保安体制に自信を持つことができなかった。また、当然私企業でございますから、ある程度国の援助にも限度がございますので、それを構わずにどんどん出すというのだったらまた話は別かもしれませんが、これとても現在許されない状態にある。  そういうふうなあらゆることを検討した結果、これならばむしろ速やかに職場にいらっしゃる方々あるいはまた地元方々にお知らせして、そして、いままでは本当に一縷の望みを託しておられたと思います、それに対しましては、私は先ほど来申し上げておるようにまことにお気の毒な仕儀であり、また私といたしましてもああいう結論を出すのは遺憾であったけれども、万やむを得ないということだけは知事に伝えまして、そして最終的な私の決断を私の責任において発表させていただいたというのが経緯でございます。
  81. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣の御心境を承りまして私も了解をするわけでございますが、あとはこの夕張地域振興とか、あるいはいま就職がどこにもなくて困っているという労働者の方々あるいは下請方々あるいは商店街方々を一体どう救済するかという問題に移ってきていると私は思うわけです。  それで、年間百万トン以上の出炭をしておった炭鉱が消滅をしてしまったということで地域関係者は大変ショックを受けているわけでございまして、じゃこの後の対策を一体どうするのかということがこれからの課題だと思うのですが、石炭行政にかかわる最高責任者の通産大臣がこの夕張振興あるいは雇用対策についてどういうふうにとらえていらっしゃるのか、ひとつ基本的な考えをまず承っておきたいと思うのです。
  82. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 せっかく新炭鉱開発されたにもかかわりませず、二年前の事故によりまして非常に不幸な事態を招いてしまった。だから、時の為政者は何とかして灯を消さずにおこうと努力されたということは、私たちもこれはその気持ちどおりであると考えております。しかし、不幸に灯を消さざるを得なくなったという以上、いわゆるアフターケアに関しましては政府といたしましても最大の努力を払うべきである。特に離職者方々に対しましても、本当に百万言を費やしてもその御心情にお見舞いする言葉はないほどお気の毒だと私たちは存じております。当然そうしたことに対しましても通産省各省と十分連絡をとって、そうして万遺憾なきを期したい、かように存じておりますし、また特に、かつては十万も人口を擁しておった夕張市が、おいおいその灯が細くなってきたということに対する地元方々の非常にさびしい気持ち、特にいままで炭鉱に頼っていらっしゃった中小企業のあり方、こうした問題に関しましてもわれわれといたしましては最大の努力を払うべきである。したがいまして、極力新しい企業を誘致するとか、そうしたことにおきましても離職者問題がその一助になればよいと考えておりますし、またそうしたことが町の今後の疲弊度を防ぐ意味においても一助になればよい。そうしたことに対しては、われわれ政府といたしましてはできる限りの努力をすべきである、こういうふうに考えております。
  83. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣から夕張問題の振興についてはきわめて積極的な決意のほどを伺って、今後の問題をぜひひとつ処理していただきたいということをまず申し上げておきたいと思うのですが、振興対策につきましては地元の市や道、これはやはりある一定の限界があるだろうと思うのですね。昨年十月の新鉱閉山に当たりましては直轄、下請合わせて二千百二十一人の従業員が解雇された。そのうちの八百五十五人が系列炭鉱などに再就職をしたわけでございまして、三百一人が他の市町村に転出をしたし、山元にはなお一千名近い方々が職も決まらず残っているわけでございまして、じゃこの方々雇用対策をどうするかということが大きな問題になるわけでございますが、先ほど大臣からも企業誘致につきまして御発言がございました。これは雇用対策のためにも重要な決め手だと思うので、ぜひひとつ取り組んでいただきたいと思いますが、企業誘致の場合、いまの制度としては該当市町村が地方税で、固定資産税の減免という措置をとっているわけですね。あるいは都道府県では不動産取得税、事業税の三年間の減免措置とかいうことで、地方税で、ぜひひとつ来てください、こういう優遇措置を講じますよということでやっておるわけですが、私はこれは提言なんですけれども企業はそろばんですから、ぜひいらっしゃいと言っても、それは誘導政策がなければ私は来ないと思うのですよ。アメリカの各州では、これは日本と違いますけれども企業誘致については手厚い保護をしている。ある州では、もう土地も提供しますよ、工場も建ててあげますよ、さあいらっしゃいと言うのですね。それから、三年ないし五年間法人事業税も免除しますよ、利益が上がってから払ってください、こういう制度をとっておる。  私はひとつ大臣に提言をしたいのですが、企業が出てくる場合、投資をするわけですね。そのときに、国の施策として投資減税をやる。これはあるデータによりますと、投資減税をやると五%ないし七%の波及効果というものが出てくる、こういうデータもあるわけでございまして、ただ単に工場に来てくれと言うだけでは来ないと思うのです。したがいまして、これは大臣夕張問題についてはもう基本的に超法規的といってもいい、そういう重点的な対策を立てて誘導政策をとらなければ企業は出てこないと私は思うのですね。いままでの制度だけでは来ないと思うのです。そういう意味で、この夕張雇用対策の上からも、町の発展のためからも、そういう誘導政策を国としてとるべきではないかと私は思うのですが、大臣の御所見はいかがですか。
  84. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 国といたしましても現在誘導政策をいろいろ講じておるところでございます。しかし、いま御提言なさいましたことも、われわれといたしましてはこうした場合の一つの御提言だと思っていま拝聴いたしておりました。各省連絡会もございますから、そこで、国が一地域だけにそうした手段が講じられるかどうか、こうした問題もございましょうけれども、十分いろいろな問題を提案していただいて、そうした連絡会で検討するということは、私も必要ではなかろうかと思います。  なお、詳細にわたりましては長官からお答えいたします。
  85. 豊島格

    豊島説明員 先生すでに御承知と思いますけれども、産炭地につきましては地域振興整備公団が設備投資の融資をしておりまして、その場合、夕張につきましては特例措置を実施しておるということで対象資金、設備資金の四〇%を七〇%に引き上げるということをいたしております。それから、公団が造成しました土地につきましても、土地造成自身を産炭地についていたしますとともに、その販売につきましても販売価格等弾力的にやっておるということでございます。また夕張雇用促進のために、若干離れておりますが空知の団地についてもこの際設備資金の融資について特例措置を設けたい、こう思っております。  それから、御指摘のいろいろの施策があるかないかということでございますが、アメリカと比べてどうかということになりますと、いま大臣がお答え申しましたように、今後とも皆様方の御意見を承ってやっていかなければいけないと思いますが、現在のところ産炭地につきましては、建物設備につきまして特別償却の特例等を実施しておるところでございます。
  86. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 現在国の制度といたしまして工業再配置促進費補助金の制度があるわけでございますが、これは大臣の権限でこの制度を改正して、炭鉱が大型閉山になった市町村に対する特例措置として、補助単価の引き上げだとか限度額を引き上げるとか、この夕張地域企業立地を促進すべきではないかと私は思うのです。なぜ申し上げるかというと、これは道としても五十八年度から五年間、床面積一平方メートル当たり一万円の道費を補助することを検討していくというようなことで、地方自治体もこれくらい力を入れてやろうとしておるわけですから、これは国の責任において大臣ひとつ、この制度の限度額を引き上げるとか補助単価を上げるとかということぐらいは私はやってもいいのではないかと思うのですが、いかがですか。
  87. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 工業再配置促進に関する限度額引き上げあるいは補助金単価の引き上げでございますか、これは私たちもある程度そういうことも考えなくてはならぬだろうなとは思いますけれども、やはり現在、政府自体が補助金を整理しよう、さらには財政再建しよう、歳出カットしよう、こういう気持ちの方が濃厚でございます。しかしながら、そういうことを言っておるとなかなかお金が出しにくいかもしれません。したがいまして、他のプロジェクトにおいていろいろ私たちも考えてみたいと思います。そうして考えた上で、いままではそういう促進費として六千万円ほど夕張市には出ておると思いますが、さらに何とかしてプラスアルファが出ないものだろうか、いまのそうした御趣旨に従いまして、他のプロジェクトとしてお金が出るということを考えてもいいのじゃないかと思っております。
  88. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これは大臣、幸か不幸か、えらいときにあなたも通産大臣になられたわけで、これを本当に処理してやればりっぱな通産大臣として後世に名が残ると私は思う。これほど大変な閉山後の夕張地域振興、また雇用について、あなたは党内の実力大臣ですから、本当に北海道の道民、また夕張のわれわれも期待しておるわけですから、ぜひとも政治生命をかけて万遺憾なきを期していただきたい、心から私はお願いをするわけでございますが、大臣の決意をひとつ伺っておきたい。
  89. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 もちろん私がこの問題に関しましては最高の責任者でございますから、通産のみならず他の関係省庁にも十二分に御協力をお願いしたいと思いますし、すでに閣議におきましても各大臣には御協力のほどをお願いしたいと正式に申し上げております。だから、しばしば各省連絡会も開いていただいて、いろいろな御提言等々も取り上げて、そして詳細にこれを分析して御期待におこたえいたしたい、全力を挙げる所存でございます。
  90. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 前向きな力強い大臣の答弁がございましたので、心から私はもう期待をしております。ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  私の質問を終わります。
  91. 武藤山治

    武藤委員長 小渕正義君。
  92. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 約一月ほど前、先月七日、当委員会におきまして宇野大臣と、この夕張開発、再建可能かどうかという問題についての質疑をいろいろ交わしたわけであります。今回はもう、一つの結論が出されて、それに追随するような形での質疑になって非常に残念でありますが、この点だけぜひひとつ明らかにしておきたいという意味で御質問申し上げます。  前大臣が一%の可能性でもあればそれをやはり追求していくのが政治だという非常に高邁な理想の中でこの再開発に情熱を燃やされるような形でこの問題がずっと推移してきた直後であっただけに、大臣になられて最終的なやむを得ないと断念せざるを得ないような決断をされるということは大変だったと思います。しかし、それはそれなりに理解いたします。  私どもとしてこの経緯を静かに考えてみますならば、経営主体がはっきりしない、どこも引受手がない、それから端的に言いますと保安上の問題がある、それに人的要因も絡んでいますけれども、大体この二つの内容をもちまして断念せざるを得ないということになっておるわけでありますが、そもそもこの二つの問題について考えてみますならば、前通産大臣の時代でありますが、石炭協会が再開発可能かどうかということについて委員会を設けられていろいろと検討されたその結論を大臣に出されようとしたときに、大臣はそれを受け取らないという形の中で問題を一つ前に進めたわけですね。そして、北海道庁に一つの問題提起をされたわけです。だから、そういうことから考えますならば、いま宇野大臣が決断されたその主な理由の中に言われていることは、当時、何といいますか山中通産大臣北海道庁にも問題を投げかける以前にそのことはもうはっきりしている問題だったわけですね。石炭協会としては、もう自分たちは引き受けられるようなあれは持たない。それから、いま言われているような内容については、これは一つも変わってないわけです。もしあるとするならば、経営主体をどうするかということで問題を北海道庁にも投げかけたわけでありますから、それを受けて通産大臣として、所管官庁としてどのように、経営主体をどこにするかということで、そういう意味での監督指導のリーダーシップを発揮すべきではなかったのか、またそれをやられたのが大臣ではないか、その結果として断念せざるを得なかったということになったんじゃないかというふうには思いますが、じゃそういうふうなことをどういう形で具体的に努力されたのかということについて考えてみますならば、果たしてどうだったろうかなという疑念を非常に持たざるを得ない状況だと思います。はっきりしておったわけですから、石炭協会からの答申書を見れば、その中には、もう断念せざるを得ないような、いま言われたような理由のことがはっきり二つ問題提起されているわけですからね。ただ、変わったのは、山中通産大臣はそれをおれは見ない、受け取らない、そして問題を何とかもう少し前進させようという形で一歩踏み出した。宇野通産大臣は、そういうことじゃいかぬということで、石炭協会のそれも十分見、聞き、話もよく承り、そうして、これはいかぬなということで決断した、こういうことになったのじゃないかと思うわけですが、その点いかがでしょうか。そういう意味で本当に通産大臣として、あそこまで状況が大方の期待を得て今日まで来ておったわけですから、最後の最後まで本当に徹底的にそういう意味でリーダーシップを発揮して努力されたという形がどうしても私には見えないし、わからないわけであります。そういう意味で、再度この問題を蒸し返しているようでありますが、この点についての状況をお示しいただきたい、かように思います。
  93. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 前通産大臣のときにすでに石炭協会主体たり得ずということはあるいは明らかであったかもしれません。しかし、私は私で六月十日に就任いたしました以上は、そうした問題も、一応承継性の問題もございますが、私の判断の資として、やはり石炭協会に再三にわたりましてその意図を伺うこと、これも必要でございますし、さらに一般的には、その中で保安要員の確保、これは非常にむずかしい、果たしてそうであるのか、いろいろな話を聞くと、いや簡単なんだという御意見もあるが、果たしてどれを信用すべきか。私としては、最終的には石炭協会がやはり専門家として答えられました現状をしっかりと認識をして判断をした次第でございますが、そうした面におきましても、私は私なりの努力をいたしたということは申し上げられると思います。  なおかつ、前通産大臣横路知事に対しましても、北海道が一枚かんではどうか、経営主体となるべく参加されてはどうか、こういうボールを投げておかれたと私は思います。だから、それが私のときに返ってきたということでございまして、私も、できたならば、これはひとつそういう前通産大臣のお気持ちを体した答えが出てくることを期待いたしておりました。  もちろん何回も申し上げましたとおり、知事は非常に努力をされましてあの答えを持ってこられたと思うのですが、私との話の間におきましては、やはり技術並びに保安確保等々の問題に関しましては、北海道庁そのものは余り体験豊かでない、ただ会計上の問題に関しては十二分にこれは検討し得る問題として検討さしていただきました。だから石炭協会がはじきました八百数十億というそうしたことに対しましても、北海道北海道庁として検討さしていただきました結果、海外炭の輸入に関する権利をもらえるならば何とか黒字になるのではないか、もしそれを政府が承認しなかったのならばとうてい経営主体となることはできません。これは私は知事考えとしてやはり道の一つの責任者として当然だと思いました。しかし、そのことに関しましてはやはり詳細にわたって検討する必要がございますから、こういう知事の提案そのものがのめる提案かのめない提案か、どこまでのめて、またもう少し私が努力すれば何とかなるのか、こういう問題に関しましても、やはりユーザーの貴重な意見も必要でございましょうし、あるいはまたその関係者意見も必要でございますから、私といたしましては十分時間をかけて、いろいろとそうした各方面意見を聞いた次第でございます。したがいまして、いまおっしゃいましたとおり、私は私なりの一つのリーダーシップというものを確立しながら、十二分にその間の事情を私みずから判断いたしまして、そうして最終的な決定をしたということでございます。
  94. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 当委員会では、山中通産大臣がああいった方向で一歩前に踏み出そうとした後も、こちらへ来ていただいて、山中通産大臣の所感なり見解なりをいろいろただしたわけですね。だから、そういう中で非常に私どもも懸念したのは、そう言っても経営主体となるべき業界あたりが果たしてどこまでその気になるのかという意味で非常に懸念しておった関係からの質問をした際にも、ともかく有無を言わさず、言葉は悪いですけれども、そういう業界だっていろいろな関係で国の世話になっているわけだから、国からこういうことでもひとつぜひやってくれということで頼めば、業界だってそれを断ることはできぬだろうという、有無を言わさずでもやらせるぞというふうな感じにとられるような言い方をされておったですね。だからそういう意味で、私は今回、業界の方のいろいろな参考人としての意見等聞きまして、有無を言わさずリーダーシップを発揮してやるべき内容かどうかという意味については、保安技術上の問題、保安技術職員の問題等について、これはどのようなことをやっても有無を言わさずやらせる性質のものと違いますから、そういう意味では山中通産大臣宇野大臣の違いは、業界の話も謙虚に本当に耳を傾けて聞かれる。そうして真剣に聞かれれば聞かれるほど、これはもうえらいことだということになっていったんじゃないか、その違いがこういう結論になったのかなと私なりに実は理解をしているわけです。  そういう意味で、先ほど申しますように、夕張の市民の皆さんから言わせますならば、まさに大変な政治不信といいますか、通産省に裏切られたというような発言さえ出るような、現地は非常に期待をしておったわけですから、それを結果的には期待に沿い切れなかったという意味で、宇野通産大臣としては大変な決断だったと私は思います。しかし、それなりにその決断があればあるほど、せめてその後の事後対策夕張のそういう地域振興対策、そういうものについてだけは自分の責任でもってこれとこれだけは絶対して、夕張市民に少しでもそういう期待にこたえるよう政治として報いていきたい、そういうものにこたえていきたい、そういうものが私は当然出てくるべきであるし、また当然だと思いますが、そういう意味でひとつ大臣として胸を張って、これとこれだけは私の在任中にでも何としてでもやってやりたいということでの御所見といいますか決意があれば、ひとつ聞かせていただきたいと思います。
  95. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 決断をするときには、当然その後のことは私といたしましても責任を持たなければならぬ。後のことは少しも考えずに決断をした、そういうことでは絶対ございませんので、決断するときにも、記者会見におきまして私は、それぞれの問題に関して私の考え方を申し述べておきました。  これは改めて申し上げるならば、当然離職者対策でございます。そうして二番目には地元夕張市の問題でございます。またそこに住んでいらっしゃる方々及び商店街の問題でございます。いずれにいたしましても、一つの山が灯が消えていくわけでございますから、これは大変なことでございます。それぐらいの意味を私も重々に受けとめまして、そうしてそうした一連の問題に関しましては、政府といたしまして全力を挙げたい、こういうふうに決意をいたしている次第であります。
  96. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 夕張市民の皆さん方が政治に対しても期待できるような、そういう意味での対応をぜひやっていただきたいということを特にお願いいたしておきます。  それから、率直にお尋ねいたしますが、今回夕張もこのような形になって非常に残念なことになったわけでありますが、これと直接的にすぐには結びつかないにしても、やはりこれは第七次石炭政策にかなり影響を与える問題だと私は思います。そういう意味で行政当局として、この夕張問題は一応このような結末を迎えたわけでありますが、それとの関係の中において、第七次石炭政策についてはいささかなりとも見直すということでなしに、そのままこれは強力に推進するということで取り組まれるのか、そこらあたりについての御見解をお聞きしたいと思います。
  97. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 第七次の答申は、石炭生産に関しましてはまあおおむね現状を基調としよう、しかしながら将来石炭企業の体質が改善されたり、また今日非常に需給が緩和されたというエネルギー事情ではございますが、そうした需給の環境石炭に対しましても好転したという場合におきましては、やはりわれわれといたしましては二千万トン体制ということを目指してやっていくべきだ、こう考えておる次第でございます。
  98. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 その二千万トン体制を目指すという言葉だけでは、実質的には夕張もこうやって一つ灯が消えるわけですから、それは単なる言葉としては幾らでも出ても、実際問題としてかなり距離が出てきたと思うのですね。そういう点で、なおそれを目指してやっていこうということになれば、それなりの雇用対策その他の面においてももっと適切な指導がなされないことには、私は先ほどからいろいろ御質疑を聞いておりまして、残された離職者対策についても強力にそういうものの一環としてやっていこうというようなものが一つも感じられないという思いを実はしているわけであります。  そういう点で、これは本日の議題の主ではございませんから多くは申しませんけれども、少なくとも第七次石炭政策の二千万トン体制を目指すことにいささかなりとも変化ないということでこれからもいこうとするならば、もっともっと思い切って離職者対策についてもそれなりの角度からこの問題をとらえて、もっと施策をやるべきではないか、かように思いますので、その点については一応そういう意見だけを申し上げておきます。  それから、時間もありませんので労働省の方にお尋ねいたしますが、先ほど就職された方は七百十八名と言われましたね。この方たちは就職先はほとんど炭鉱なのかどうか。それから、現在業界に雇用できる人員がどの程度かということを打診して、いま取りまとめ中だと言われましたね。それで、先ほどから求人が二百三十八ある、これは労働省の方で言われておりましたが、この七百十八名の就職先の主たるところ、職種、産業は炭鉱か一般かということ。あわせて、二百三十八の求人というのは、そういった意味における一般的なところの求人なのかどうか。それから、現在一千人程度の残っておられる人たちに対して最後の――最後じゃないかもしれませんが、いろいろ希望調査といいますか、本人の就職はどこを希望するか、どういった状況かということについての調査をされているということでありましたけれども、これのめどは大体いつごろにつくということなのか、そういった三つについてお尋ねいたします。
  99. 守屋孝一

    守屋説明員 先ほど申し上げた数字は全部石炭関係の数字でございます。くどいようですが繰り返しますと、七百十八名、これはたとえば北炭真谷地であるとか北炭幌内、あるいは三菱の南大夕張であるとか、こういうところが入っております。それから、二百三十八と申し上げました数字も石炭各社の数字でございます。ちなみに全求人を申し上げますと、私どもは七月末で約千二百名くらいの求人を持っております。こういう中で先ほどもう一度離職者の方全員に対して職業相談のやり直しをしておると申し上げましたのは、きのう、きょう、あすにかけて、いま現にやっておるということで申し上げたつもりでございます。
  100. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 現在残っておられる人たちがいままでの経験を生かすという意味では、やはり石炭関係のところに第一に就職を希望されるだろうと思います。現在、企業石炭協会の方に、それぞれ必要な数についての取りまとめを依頼しているというお話でありましたが、これは私なりに考えても、坑外と坑内という形でいろいろ職種がありますから、企業として必要とする数からいきますと、残されている千人の人たちがいかに石炭関係に働きたいと言われてもかなり限られてくるのじゃないか、そういう意味での制約がどうしても出てこざるを得ないのではないかと思います。そういう点では、これからの職業指導という意味では、残された千人程度人たちの実態調査というか希望調査がいよいよ取りまとめられると思いますけれども、いたずらに石炭関係のところに全部あっせんできるような幻想を抱かせておっては、結果的には離職者対策の中での問題がますます前に進みにくい形になるのではないかということを私は懸念いたします。そういう点では、本当に石炭関係人たちが必要とするような年齢とか職種と、皆さんが希望するから石炭ならすべて石炭に行けばいいということとが、なかなか合い切らない状態にあると思いますが、そこらあたり十分わきまえながら、早く頭の切りかえといいますか考え方の切りかえといいますか、そういうものに対する指導もやらないと、この離職者対策は前に進まないのではないかと思います。そういう意味での一層の努力をお願いしたいと思います。  何かこの件についてお考えがあればお聞きしたいと思います。
  101. 守屋孝一

    守屋説明員 まさに先生おっしゃったとおりでございまして、私ども石炭求人もとりますが、それ以外の求人も、道内中心にあるいは東京、大阪という大需要地に向けての積極的な求人開拓も進めていく。要は、安定した職場に安定した就職をというのを一つのスローガンにしてわれわれは全力を挙げていきたいというように考えております。まさに先生のおっしゃるとおりだと思います。
  102. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 炭鉱で働いている方たちは、一般の人たちと非常に違った生活環境に置かれておる。電気代もただ、社宅もただみたいな環境の中においては、かなり一般の生活のあれと違いますから、そういう人たちが一般の中に入り込んでいくということは、実は大変なことになるだろうと思います。だからそれなりに行政の中でも、離職者対策の場合においてはそういったものも十分考慮しながらきめ細かい指導をよろしくお願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。  以上です。
  103. 武藤山治

    武藤委員長 小沢和秋君。
  104. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私も今日のような事態を迎えて大変残念でならないわけであります。残念と言うよりも腹が立ってならないと言った方がいいような気持ちでおります。  私自身のこの北炭夕張とのかかわり合いを振り返ってみても、あの大災害が起こる二カ月ほど前に、たまたま現地の労働者の皆さんから北炭夕張が非常にひどい状態になっているからぜひ見てほしいと言われて坑内にまで下がって、その結果に基づいて、ここでこのままだったら大災害必至だぞということを私は警告をしたわけであります。あのときに私自身がいろいろ言ったことが早速にも取り上げられておったならば、まずああいう大災害そのものが起こらなかったのではなかろうかということを一つ感ずるわけでありますけれども、いまそこまでさかのぼってもちょっとどうにもならぬと言われるかもしれません。しかし、私としてはそこからいろいろ思い出さざるを得ないわけです。  その後、ああいう大災害が起こりまして、私自身もぜひ山を再建しなければという立場に立って、今日までここでの論議にも加わってきたわけでありますけれども、あの閉山問題が持ち上がりましたときに、管財人などは、一たん閉山を認めることが山を残す唯一の道だというようなことを言って、そのために労働者の皆さんがその言葉を信頼をして、それ以外にないというのであればもうしようがないということで、それにかけたわけですね。その結果がこういうことになった。一たん閉山をして再建ができるくらいだったら、もともとそんな閉山なんかしなくてやれるんだ、だから一たん閉山を認めてしまったら、これは永久閉山になる危険があるということを私たちは当時から警告をしておったわけですが、残念ながらいままさにそういうような状態になってしまったわけです。  私は、あなた方がペテンにかけたのではないかとまでは、これは証拠はないけれども、しかし、いま振り返ってみると、結局一たん閉山を認めることが山を残す道だというような言い方をして、そのまま永久閉山にしてしまったということは、これはもう山で長いことこの再開を待ちわびておった人たちを全くだました結果になったとしか言いようがないというのがいまの状態ではないかと思うのですが、大臣、そういうような点についていまどういうふうにお考えになっておりますか。
  105. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 結果的にはいろいろと御批判があろうかと思われますが、しかし、私の前任者の二人の大臣は、その時点、時点において最善を尽くすべく努力されたと思います。また私も六月十日以後は最善を尽くしたと思っております。
  106. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 最善を尽くしたというふうに言われますけれども、いま言いましたように、閉山をすれば再建の可能性が開けてくるというふうに言われておったけれども、では、その後の期間の政府自身の具体的な努力はどういうものだったのでしょうか。  私が見ているところでは、石炭協会に再建の可能性を依頼して、その結果が出るのを待つ、悪い結果が出そうになって、あわてて山中さんがああいうような態度をとられはしたけれども、しょせんはこれはもういまになってみればスタンドプレーみたいなものだったのではなかろうかとしか私には思えぬわけですね。実際、この期間、あなた方がどういうような積極的な努力をなさったのか、私にはそういう努力が振り返ってみて全く見えないのですが、どうでしょうか。
  107. 豊島格

    豊島説明員 一たん閉山した後で再開発の望みがあるということでございますが、これは災害が起こりまして、あのときの経営の状態その他から見まして、とうていそのままの姿では再開発できないということで、たとえば人員にしましても二千人からいたわけですが、とても二千人を擁するような山としての存続は――それから結果的にはどういうことかということはありましょうけれども、たとえば大沢管財人の一応の再開発の構想もゼロから出発するといいますか、当時七百億くらい債務があるわけでして、これをひっ提げてということではなくて、新しくその辺を裸になってやるというか重荷をおろしてやることがむしろ望みがあるということでございますので、閉山をすること自身がだましたということにはならないのじゃないかと私は思います。  その辺はともかくといたしまして、それでは何をやったかというのが先生の御質問でございますが、私どもとしましては、一応閉山をすることによって閉山交付金ということで労務債の解消というようなこともいたしましたし、それからさらに、再開発をするためには坑道を保坑といいますか保持しなければいけないというようなこともございまして、それを続けるために、たとえばいろいろな財産の処分その他につきましても、いろいろとあっせんをするといいますか、それから金融機関問題等々もございますが、そういうことで再開ができるようなかっこうで何とかこの更生会社を存続させていくという努力を直接間接にいたしてきたわけでございまして、そういうことで今日に至ったわけでございます。
  108. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この点については、いまのような答弁ではとうてい納得できませんけれども、時間がありませんから、具体的な問題について以下お尋ねをしたいと思うのです。  一つは、新旧労務債の問題であります。先ほどから、これについて解釈の違いなどがあるというようなお話があって、労使の間での話し合いが促進されることを期待しているというようなお話なわけですけれども、この話し合いがついた上は、原則として労働省としては明確にこの新旧労務債の全額を支払わせるべきであるという立場に立っていま指導を行っているのかどうかという点を、確認する意味でお尋ねをしたいと思います。
  109. 野崎和昭

    野崎説明員 労務債のうち、新労務債につきましては、先ほどお答えしましたとおり、現在、労使間で話し合いが行われているところでございます。  お尋ねの点は、旧労務債関係ではないかと思いますけれども、先生御承知のとおり、当初、裁判所に届け出られました債務は百二十三億でございました。しかしながら、北炭夕張支払い能力から見ますと、とうていこの処理は困難であるということで、関係者の御努力によりまして、そのうちの八十九億につきまして北炭本社並びに三井観光開発が支払うということで決着を見ているわけでございます。したがいまして、残りの部分につきましては更生債権として届け出られておりますので、更生手続の中で処理されるもの、そういうふうに理解しております。
  110. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 その更生債権の一部として処理されるものと思いますということは、さっきもおっしゃったように思うのですけれども、そうしたら、実際上は実現の可能性というのは余りないように私には聞こえるのですが、どうですか。
  111. 野崎和昭

    野崎説明員 今後の処理の問題でございますが、当初から北炭夕張自身の支払い能力というのは、非常に困難な状況にあるというふうに認識しております。
  112. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 だから、この問題についても結局、労働者の諸君が一生かかって稼いだようなものについて、その全額さえ退職金などを受け取ることができないという結末になるわけで、私たちとしては、これは最後まで労働省としてさらに指導を強めていただきたいということを、この機会に申し上げておきたいと思います。  それから、雇用対策の問題であります。現在残っている人々は、もともと再開発に望みを託して残っておった方々でありますから、大部分が炭鉱就職をしたいという気持ちをお持ちの方ではないかというふうに思うわけです。そうすると石炭協会に対して三百人再雇用を要請したというのは、いま山に残っておられる方々の数と比較してみると大変小さいような気がするのですね。三百人というのは、そもそもどういうようなところから三百人という数字が出てきたのか、そういういまの山の人たちの気持ちというものと考え合わせてみると、これはちょっと少ないのじゃないか、この辺についてどうお考えですか。
  113. 豊島格

    豊島説明員 三百人という数字、少ないのじゃないかというお話でございますが、先ほどほかの先生からも御指摘がございましたけれども、千人近く、九百何人残っておるのですが、その方々の年齢構成等考えましても、みんな山に勤められるということは非常にむずかしいのじゃないかという感じもいたします。それから雇用する側の採用計画から見ましても、ことしは新しくといいますか、千人の採用計画、補充計画があるわけですが、その中身は新卒から始まりましていろいろあるということで、そういう受ける方の側からいってもむずかしいということも一つでございます。それからもう一つ、これは多ければ多いほどいいわけでございますが、仮に再開発をいたすことにいたしましても、将来は千人以上の雇用人員になるわけでございますが、当初仮に再開発するとしても、それは三百名強ぐらいの方々を採用して、それから四、五年たってだんだんふやしていくというような計画でもございましたから、仮に再開発された場合でもそのくらいの数字でとどまるであろうということを総合的に勘案しまして、その中で最大限ということで、われわれとしては三百人を石炭協会に目標として要請したわけでございます。
  114. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 先ほど労働省の方のお答えの中で、七百十八名の方をすでに炭鉱にあっせんをした、そしてなお労働省が、いわば職業紹介であっせんしてくれといって申し込みを受けている数が二百三十八人残っておるというお話があったわけです。そうすると、もうすでにあなた方が三百人要請したとおっしゃるけれども、二百三十八名については石炭各社自身がそういう要求を持っておるわけでしょう。そうすると三百人というのは、その差の六十二名分ぐらいふやすという努力にしかならないんじゃないか。もうちょっと思い切った努力をする余地があるんじゃないでしょうか。
  115. 豊島格

    豊島説明員 数字がいろいろあるわけでございますが、すでに七百何名というのですか、これは二千人いたわけでございまして、その中から七百名がすでに就職されておられるということでございます。  それから先ほど労働省の言われました数字、二百数十名ということでございますが、この中には新卒といいますか、そういうものも入っておるようでございまして、いままで働いておったいわゆる炭鉱の労働者を再雇用していただく、こういうようないわば中途採用といいますか、そういうもの以外の数字が入っておるというふうに私ども承っておりますが、いずれにいたしましても、先ほど来申し上げておりますように、年間を通じて全体で千人しか雇う計画がない。他方、現在残っておる方々でも、年齢構成を見ても、とてもいまから新しい山で働くにはむずかしいという情勢を考えますと、私ども三百名というのも非常にがんばった数字ではないかということでございまして、多々ますます弁ずでございますが、私どもとしては三百名というのは決してそう簡単な数字ではない、特に努力をしていただいて雇っていただける数字じゃないか、このように考えております。
  116. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 あなたはそう言われるけれども、しかし実際にこの夕張がつぶれたことによって、先ほどから議論されているように第七次石炭政策が危なくなっている。そうすると、各山に少しでも増産をさせたいという気持ちは当然お持ちでしょう。そこへ持ってきて、全体として炭鉱では毎年かなりの離職者も発生をして、しかもその減耗補充という点で見てみれば、これは非常に困難だったから、さっきお話があったような七百十何名もこの一、二年の間にも欲しいという所要があったわけでしょう。だから、こういうような事情考えてみたら、私はさっきから言っているように、この三百人というのはもうちょっと努力をする余地がありはせぬか。現に三百人というものについては、石炭協会原則としていいですとあなた方にすぐ言ったというわけでしょう。これはどれほど向こうに抵抗感のない数字であるかということを裏書きしているわけでしょう。もうちょっと努力しなさいよ。
  117. 豊島格

    豊島説明員 私どもとしては、三百名を目標に優先雇用していただきたい、こういう要請をいたしております。それに対して、その要請については原則として要請を受ける、それに努力するということで目下努力をしておるところでございまして、具体的に雇用をする採用するということになりますと、各社別のいろいろな要請の中身が違いますから、したがって、三百名というのはわれわれの要請については原則として受けるということでございますが、それをどうはめるかという努力はいましておるところでございます。  それから、先生御指摘のように、それ以上の雇用がされることをわれわれとしてはもちろん期待しておるわけでございますし、そういうことを今後とも要望していきたいと思っております。
  118. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 労働省の方にお尋ねしますが、いまここで議論をしたように、炭鉱にできるだけ再雇用するように労働省としてもこれは努力をしていただくと思うのですけれども、しかしこれは、三百人で押し問答になるぐらいだから、かなりの方については一般就職でこの人たちをお世話しなければならないということになると思うのです。その場合、かつて高度成長時代に筑豊の山がどんどんつぶれていったときにでも、中高年の方というのはやはり取り残されて、緊急失対とか、ああいうようなところに入らざるを得なかったのですよ。いまのような状況の時期で考えてみたら、私は現実的にはこれだけの方々就職を何とかするということは相当に困難なのではなかろうかというふうに考えるのですが、その辺の見通し。そして困難であるとすれば、しかし、その人たちは一番生活費などかさむお年ごろです、五十歳代とかいったら。このような人たちの生活問題を一刻も早く解決するためにどうするのかというようなことについてあなた方のお考えを伺いたいと思います。
  119. 守屋孝一

    守屋説明員 先ほどから、三百人の数字と、私が申し上げました二百数十名の数字との食い違いの話が出ておったようでございますが、これは必ずしも全部が全部三百人の内数ということではございません。先ほどエネルギー庁長官が新規学卒と言われましたが、これは新規学卒という意味ではなくて、私の方は下請関連も入っておりますので、そういう意味ではこれが全部三百の内数ということではございませんで、一部分はダブる部分もございましょうけれども通産省が私どもの二百三十八をごらんになって、ちょっとあと足せばいけるんだという非常に実現可能な安易な数字と言われたわけでは決してないと私は思っております。むしろダブる部分は幾らかはあるといたしましても、全部が全部これは内枠ではないということをまず最初に申し上げておきます。  いまの御質問で、高年齢者の方をどうするかということ、どうも御質問の趣旨としては、あるいはこれは私の先走りかもしれませんが、就労事業というようなことをもし意味されているとするならば、私としてはそれは論理的という面において、福岡でやっておりますので、論理的に同じ日本の国土の中でできるかできぬかというお話をされると、それはちょっと別でございまして、むしろ安定した職場に就職ということを考えれば、こういう就労事業というのは非常に不安定な就労の場所である。また、北海道の場合、論理的にはあり得るとしても、これは気候の面から見ますと、また積雪寒冷地という面から見まして問題なしともいたしません。要は、私どもはいまの時点において再度職業相談のやり直しを全員についてやっております。その結果を見ました上で、他地域に移転就職していただく方ならば、私ども雇用促進住宅、これは相当の入居枠を確保しておりますし、とにかくいまの時点においては全力を挙げて安定した職場への、これは石炭のみならず他産業につきましても安定した職場への就職促進に私どもは努めてまいりたいということを申し上げておきます。
  120. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いまの部長の論理というのは私は余りよくわからないのです。安定した職場につけたい、だから不安定な職場はつくらないというお話なんですけれども、安定した職場があるのですか。安定した職場がないから、あなた方も四苦八苦しているわけでしょう。それだったら、せめて不安定でも当座何とかやっていけるように就労の場を少しでもつくりたいというのが、これが論理としては素直な考え方じゃないのですか。だからそういう意味では、あなたの方がもう先取りして答えたから、私もそういうようなことは当然あの地域のいま緊急の問題として考えるべきだということをこの機会に申し上げておきたいと思うのです。  時間も来たようですから、最後に一問だけして終わりたいと思うのです。  先ほど炭鉱住宅の除却というようなことが一つ話に出ました。私はこれはこれでそういう就労の場として緊急に大いに役に立つだろう、こういうことをもっといろいろ工夫してもらいたいものだということも含めていま言っているわけなんです。ただ、そういうことになれば、さっきも問題になりましたように、産炭地の夕張市なども財政力がない、だからどうしてもこれは産炭地振興のいまの予算の中からいわゆる特定事業促進調整額といったようなもので出していかなくてはいけないということが起こってくるわけですね。そういうことになると、いままででも手一ぱいいろいろそういうのは使われておった、そこにこういう新しい所要が加わってくるわけだから、私としては当然そういう新しい所要分をプラスして財源を確保していくという立場に立ってもらわないと、いままでの枠の中でだれかがはみ出すのだというような話をし始めたら収拾がつかないのじゃないかと思うのですよ。この点の姿勢だけ最後に一言お伺いして、終わりたいと思います。
  121. 村田文男

    ○村田説明員 現下の財政事情から申しまして、私ども予算について申しますと、各省それぞれいろいろ事情があろうかと思いますが、私どもの省に関する限りにおきましては、現状におきましては現在の産炭地振興予算八十八億の中をできるだけ効率的にかつ知恵を出して有効に使ってもらうというのを中心にやっていかざるを得ない状況でございます。
  122. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  123. 武藤山治

    武藤委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十二分散会