運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-08-04 第99回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年八月四日(木曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 上原 康助君    理事 逢沢 英雄君 理事 工藤  巖君    理事 佐藤  隆君 理事 池端 清一君    理事 田中 恒利君 理事 柴田  弘君    理事 横手 文雄君       今井  勇君    植竹 繁雄君       越智 伊平君    大石 千八君       鴨田利太郎君    木村武千代君       北村 義和君    櫻内 義雄君       高橋 辰夫君    伊賀 定盛君       小川 省吾君    吉原 米治君       林  百郎君    田島  衞君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 加藤 六月君  委員外出席者         国土庁長官官房         審議官     田中  暁君         国土庁地方振興         局長      川俣 芳郎君         国土庁地方振興         局過疎対策室長 仁科 英麿君         国土庁地方振興         局山村豪雪地帯         振興課長    三上 惣平君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         文部省初等中等         教育局財務課長 菴谷 利夫君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       逸見 博昌君         厚生省公衆衛生         局保健情報課長 野崎 貞彦君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   森下 忠幸君         厚生省医務局指         導助成課長   柳沢健一郎君         厚生省社会局施         設課長     近藤純五郎君         農林水産大臣官         房審議官    田中 宏尚君         林野庁指導部治         山課長     今村 清光君        中小企業庁小規        模企業部参事官 佐々木恭之助君         気象庁予報部予         報課長     黒澤真喜人君         気象庁観測部管         理課長     山崎 道夫君         建設省河川局河         川計画課長   西原  巧君         建設省河川局治         水課長     玉光 弘明君         建設省河川局開         発課長     志水 茂明君         建設省河川局防         災課長     狩野  昇君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      設楽 武久君         建設省住宅局民         間住宅課長   鹿島 尚武君         自治大臣官房参         事官      二橋 正弘君         消防庁次長   大嶋  孝君         日本国有鉄道施         設局土木課長  村上  温君         日本電信電話公         社保全局災害対         策室長     福増 満広君     ───────────── 委員の異動 八月四日  辞任         補欠選任   笹山 登生君     北村 義和君   近岡理一郎君     櫻内 義雄君   阿部 昭吾君     田島  衞君 同日  辞任         補欠選任   北村 義和君     笹山 登生君   櫻内 義雄君     近岡理一郎君   田島  衞君     阿部 昭吾君     ───────────── 七月二十二日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(昭和五十八年七月豪雨災害)  派遣委員からの報告聴取      ────◇─────
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、昭和五十八年七月豪雨災害について、政府から説明を聴取いたします。国土庁田中審議官
  3. 田中暁

    田中(暁)説明員 五十八年七月豪雨災害につきましての被害の概況と対策につきまして、概要を御説明申し上げます。  七月二十日から梅雨前線が再び活発になったわけでございますが、特に二十二日の夜から二十三日の午前中にかけましては、停滞いたしました前線に向かって暖湿な空気が流入するなどいたしまして、島根西部中心に五百ミリを超えるような強い雨をもたらしたわけでございます。その後、梅雨前線の北上に伴いまして強い雨は北陸地方山間部に移りまして、これも相当強い雨を降らせ、また二十七日から二十八日にかけましては、雷雲などによる強い雨が関東地方等であったわけでございます。  被害状況でございますが、死者百十二名、行方不明五名、合わせて百十七名でございます。うち島根県が百七名を占めております。負傷者百七十八名、建物の全壊流失七百六棟、床上浸水九千七百九十四棟、床下浸水が一万一千三百二棟、罹災世帯数が一万一千百九十四、罹災者数三万五千七百十九名に及んでおります。道路損壊個所が一万一千七百三十カ所、河川施設被害個所が一万六百六十六カ所、山崩れあるいはがけ崩れが千五百八十五、鉄軌道被害が三百八十四等々となっております。  こういった被害対応いたしまして、警察、消防自衛隊海上保安庁等のいわゆる実動機関につきましては、それぞれ多数の人員とヘリ、巡視艇等を投入いたしまして、行方不明者の捜索あるいは食料、飲料水の供給といった救護活動に全力を尽くしたわけでございます。  次のページをお開きいただきまして、真ん中ほどに「主要施設等に係る被害状況」がございますが、道路河川等公共土木施設関係で、県からの報告によりますと千三百十三億の被害が出ておりますが、このうち、道路につきましては、九号線を初め、非常に多くの個所、七十八路線、二百二十四カ所で通行どめが出たような状態でございましたが、鋭意復旧に努めました結果、国道九号線につきましても七月二十七日二十一時までに緊急車両通行を確保いたしまして、八月八日までに一般車両通行を確保する予定でございます。国道五十四号、百九十一号につきましては、七月二十四日に通行確保済みでございます。  なお、そのほかの補助国道、県道につきましては、なお四十二カ所程度の通行どめがございます。  河川につきましては、二級河川益田川、浜田川、周布川等中心に非常に数多くの被害が出ております。  建設省といたしましては、道路交通早期確保につきましてさらに努力いたしますほか、台風期を控えまして、被災河川応急復旧でございますとか、あるいは市街地内の堆積土砂除去等に万全を期したいということでございますし、また、住宅被害者に対します災害復興住宅資金の貸し付けにつきましては、すでに住宅金融公庫に指示をいたしております。  国鉄につきましては、山陰線等六線区十一区間におきまして不通が出たわけでございますが、山陰本線と三江線を除きまして復旧済みでございます。山陰本線の最も被害の激しかった浜田—益田間につきましても、三カ月後には何とか復興するという見通しでございまして、鋭意努力中でございます。  農地農業用施設につきましては、被害状況は現在調査中でございますが、農林省といたしましては、農地等災害復旧につきまして、復旧工法等につきまして、現地指導あるいは営農指導を行っております。今後、農地農業用施設早期査定早期復旧を図ることといたしております。  公立学校施設等につきましては、公立学校百四十校等の被害が出ておりますが、文部省といたしましては、これらの早期復旧を図りまして、二学期からの学校運営支障を生じないよう措置する考えでございます。  中小企業被害につきましては、島根、広島、山口の三県につきまして、現在のところ二百二十八億余りの被害が出ておりますが、七月二十五日付で政府系中小企業金融機関に対しまして、災害貸付制度の発動をすでに指示してございます。  電気につきましては、島根県の益田市、三隅町を中心といたしまして、最大停電時には五万七千四百戸の停電を見たわけでございますが、七月三十日にはすべて復旧いたしました。  電話につきましては、市外伝送路が十一区間で約四千回線の不通となったわけでございますが、各般の措置を講じまして、現在すべて復旧し、市外通話は全部可能となっております。また、三隅交換局水没等によりまして、合計一万一千加入電話不通になったわけでございますが、これについては約七千四百加入復旧いたしております。残りにつきましても鋭意努力中でございまして、家屋流失によるものを除きまして、八月五日、あすまでには復旧見通しでございます。  郵便につきましても、八郵便局で業務に支障を生じましたけれども、すべて回復いたしております。  水道につきましては、三万七千百七十五戸の断水を見たわけでございますが、大分回復いたしはいたしましたが、なお三千八百四十一戸の断水戸数がございます。これにつきましては、給水車によります給水等実施いたしますとともに、応急復旧を急いでおるところでございます。  厚生省関係では、このほか消毒等の防疫の実施に努めますほか、屎尿、ごみ収集体制の回復を急いでおりまして、島根県下におきましても今月上旬までにはほぼ終了する見通しでございます。  なお八月三日、きのうでございますが、自治省は被害の特に大きかった島根県等に対しまして、当面の資金手当てといたしまして、九月分の普通交付税八十四億七千七百万円を繰り上げ交付をいたしたところでございます。  ページをお開きいただきまして、災害救助法適用につきましては、島根県におきまして十三市町村山口県二町でございます。  政府対応でございますが、五十八年七月豪雨災害応急対策を強力に推進いたしますために、七月二十三日に省庁連絡会議を開催いたしますとともに、同日の十九時三十分に持ち回り閣議によりまして、国土庁長官本部長といたします五十八年七月豪雨非常災害対策本部を設置いたしまして、同日第一回の会議を開催いたしまして、本部長団長といたします政府調査団被災地への派遣を決めた次第でございます。  政府調査団は、翌二十四日現地視察を行ってまいりまして、これを受けまして、二十五日には第二回の本部会議を開催いたしまして、調査団調査結果をも踏まえまして当面の重点対策を決定したところでございます。これは十二項目でございます。このうち、すでに実施いたしました主な措置等につきましては、被害状況の御説明のところで触れたわけでございますが、詳しくは八ページ以下に、各省庁ごとのとった措置、今後の施策の概要を書いてございますので、お目通しいただきたいと存じます。  今後とも、各省庁間の連絡を密にいたしまして、十分な対策を講じてまいりたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  4. 上原康助

    上原委員長 これにて説明は終わりました。     ─────────────
  5. 上原康助

    上原委員長 次に、去る七月二十九日及び七月三十日の二日間、昭和五十八年七月豪雨災害による被害状況調査のため、島根県及び山口県に本委員会から委員派遣いたしましたので、派遣委員から報告を聴取いたします。田中恒利君。
  6. 田中恒利

    田中(恒)委員 昭和五十八年七月豪雨災害による被害状況調査のため、七月二十九日、三十日の二日間にわたり、議長の承認を得て、島根県及び山口県に派遣されました派遣委員を代表いたしまして、私から調査概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、上原委員長団長として、自由民主党の逢沢英雄君及び工藤巖君、公明党・国民会議柴田弘君、民社党・国民連合横手文雄君、日本共産党野間友一君、それに私、日本社会党田中恒利の七名でありましたが、ほかに、島根県では吉原米治君並びに栂野泰二君、山口県では枝村要作君の地元選出議員方々の御参加を得まして、現地の実情をつぶさに調査いたしてまいりました。  現地被害状況及び政府対応等の詳細につきましては、先ほど政府の方から御説明がありましたので、これを省略させていただき、派遣委員視察日程に従い、御報告いたしたいと存じます。  派遣団は、第一日目に、まず島根県庁におきまして、知事から被害状況について説明を聴取いたしました。  同県におきましては、島根西部中心死者百二名、行方不明五名、重傷四十七名、軽傷七十五名に達し、家屋につきましては、全壊六百九十七棟、半壊九百二十八棟、床上浸水一万七百四十五棟、床下浸水七千四百三十三棟、このほか公共土木施設農地農業用施設商工業関係その他広範にわたる甚大な被害が発生し、現在、県が取りまとめた段階で被害総額一千五百七十六億円に上るということでありました。  島根県においては、戦後二番目の大被害であることにかんがみ、国に対して、激甚災害法適用改良復旧大幅採択災害復旧事業実施年度の短縮、災害復旧に係る査定早期実施応急復旧事業大幅採択その他についての要望がございました。  次いで、調査団浜田市に入り、市役所において、浜田市長ほか周辺市町村長から被害状況説明を聴取いたしました。  浜田市においては、山崩れによる家屋の全半壊が続出し、死者二十二名となり、特に穂出町中場地区では、一瞬のうちに地区住民の三分の一が生き埋めとなり、十五人の死者を出したということでありました。  この後、市役所を出て、同市周布川堤防視察いたしました。川沿い堤防上の道路は見るも無残に大きくえぐり取られ、わずかの縁を残して、すんでのところで堤防決壊を免れていました。視察中も、台風襲来期に備え懸命にブルドーザーで応急復旧を行っておりました。また、この川の上流の山々は方々で崩れ落ち、濃い緑の山腹はつめ跡のような赤い地肌をさらしておりました。その一つが十五人の痛ましい死者を出した中場地区であるとのことでありました。  次に、三隅町の視察地に向かいましたが、国道九号線はまだ完全に復旧しておらず、われわれ調査団が入った前日の二十八日にやっと救援活動のための緊急車両通行可能となったそうであります。  途中、道路がいきなり断崖のように数十メートルも陥没し、ガードレールのみがつり橋のように浮いているところがあり、その下には集中豪雨当時、前方の見えないまま転落した数台の車が土砂の中に残骸をさらしておりました。  そして三隅町に入りましたが、この町の中心部の三隅地区のほとんど全戸が壊滅状態であり、三隅川のはんらんした泥流家々の二階の床上まで浸水した跡が壁にくっきり残っており、被災当時の生々しさを物語っておりました。役場の前には流された車や材木が山と積み重ねられており、役場の一階は完全に浸水し、泥にまみれた机やいすが積み重ねられていました。三階の講堂には四百四十人の避難した住民が収容されており、視察の際には、老人、子供等数十人が所在なげに座っておりました。  調査団は、役場の屋上において被災した町を見渡しながら町長説明を聞きました。同町においては、死者三十二名、行方不明一名を初め全壊家屋百四世帯流失家屋三十九世帯床上浸水千六百八十六世帯永久橋十一橋の流失その他の被害を受けたということでありました。  町長の話では、この現状では立ち上がる気もそがれるようであるが、昨日から町の人たちは家の片づけを始めている。済んでしまったことは仕方がない。この災害を契機に、第二の過疎現象を起こさないよう、二十一世紀に向けてりっぱな町づくりをしていきたい。ぜひとも国の温かい思いやりをお願いしたいとのことでありました。  第二日目は益田市に入り、石西文化会館において市長から被害状況説明を聴取いたしました。  同市においては、死者三十一名、行方不明一名を初め、床上浸水は人口の三分の一に当たる五千八百三十一戸に上ったそうであります。中小企業の多いこの市では、商店の浸水被害には特段の配慮をお願いしたいとの要望がありました。  また、今次災害の特徴は、死者の大多数が山地崩壊により生じたとのことで、それも宅地開発等による造成地でなく、昔から平穏に住んでいる地域に発生したということであります。  その後、同市幸町の視察現場に入りましたが、どの家々も、梅雨明けの照りつける日差しの中で後片づけをしておりました。道路の両側はごみが山と積まれ、道路ごみを片づけると今度は家の中のごみ道路に捨てるという繰り返しで、ごみ処理に大変困っているとのことであり、調査団が行った際も、パワーショベル車を動員し懸命に後片づけを行っておりました。  次に、山口県北部の田万川町に向かいました。途中、国鉄山陰本線の道床が流失し、レールとまくら木が宙に浮いているのが見られ、保線工事を行っている人々の姿が見られました。  田万川役場においては、まず山口県副知事から被害状況説明を聴取いたしました。  同県における被害は、死者五名、負傷者四名、家屋の破損百九十九棟、床上床下浸水千十三棟を初め、公共土木施設農地、林地及び農林水産施設文教施設に及び、その被害総額は約七十八億円に達したとのことでありました。  また、田万川町、須佐町の両町では、泥流により養殖ハマチが死に、三億円の被害が生じたとのことでした。  県からの要望といたしましては、激甚災害法適用災害復旧に係る査定早期実施災害復旧事業早期完成改良復旧大幅採択応急復旧事業大幅採択災害復旧事業に係る国庫補助金負担金早期交付その他についての要望がありました。  引き続き田万川町長から、被害状況説明を聴取いたしました。  同町においては、各所に山崩れ河川はんらんによる被害をこうむり、十二戸の家屋が倒壊、七人の生き埋めとなる惨事が発生いたしましたが、消防団員による必死の救助活動により無事救出できたものの、一名のとうとい人命を失うことになったということでした。  その後、被災地である田万川町の江津川を視察いたしましたが、川がカーブしている個所はんらんの跡があり、コンクリートの分厚い堤防が大きくえぐり取られていました。ここにおいても、自然の猛威に驚嘆せざるを得ませんでした。  次に、隣町の須佐役場に入り、町長から被害状況説明を聴取いたしました。  同町においては、四人の死者を出し、その中には出産のため里帰りしていた身重の婦人が含まれていたそうです。また、河川決壊山地崩壊により、住宅並びに生活道路、さらに農林漁業等、町の基幹産業に甚大な被害をもたらしたとのことでした。  その後、役場を出発し、須佐港を臨む海沿いの道路が大きく陥没している現場視察いたしました。すでに迂回の砂利道ができていましたが、ガードレールのみがつり橋状に浮いている姿は無残でありました。  以上をもちまして現地調査日程を終えました。  われわれ調査団一行は、今次災害被害の激甚なる状況に身をもって接してまいりましたが、いずれの県、市町村におきましても激甚法早期適用について熱烈なる要望がありますとともに、その他、まだまだ報告し切れない、たくさんの地元からの要望がございました。これら島根県、山口県及び関係市町村からの要望事項につきましては、これを本日の会議録末尾に参照掲載していただくことを委員長にお願いしたいと存じます。  最後に、自衛隊を初め、地元防災関係者の目覚ましい活躍、昼夜を分かたぬ救援活動を展開した御労苦に対し、深く敬意を表するところであります。  また、今次災害で亡くなられました方々の御冥福と負傷されました方々の一日も早い御全快をお祈りいたしますとともに、本調査に御協力を賜りました島根県及び山口県の関係各位に心からお礼を申し上げ、報告を終わることといたします。
  7. 上原康助

    上原委員長 以上で派遣委員報告は終わりました。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでした。  この際、お諮りいたします。  ただいまの報告に係る派遣地からの要望事項につきましては、本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 上原康助

    上原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────     〔要望事項等本号末尾に掲載〕     ─────────────
  9. 上原康助

    上原委員長 本日は、特に昭和五十八年七月豪雨災害について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢沢英雄君。
  10. 逢沢英雄

    逢沢委員 五十八年七月豪雨災害につきまして、若干の点につきましてお尋ねをしたいと思います。  それに先立ちまして、今回の島根県、山口県の豪雨災害につきまして、多数の方々人命が失われた、また多くの方々がけがをされた、なお家を失われた、壊された、大変大きな被害が出ておりまして、さきにも説明がございましたように、私ども国会関係者といたしましても、心から御冥福をお祈りいたし、速やかに立ち上がってくださるように心から祈念を申し上げるところであります。  なお、応急復旧につきまして、電電あるいは電力会社あるいは地元消防団その他関係機関方々が、ずいぶんえらい思いをして一日も早く原状復旧を目指してがんばっていただいた。関係官庁の中には痛ましい事故も発生したやに聞いておりますが、まことにどうもお気の毒に存じますと同時に、それらの御協力をいただきました関係各位に対しまして、立法府といたしましても心から感謝を申し上げなければならぬ、かように存じます。  さき担当官庁の方から今次災害の大筋につきまして説明があったところでありまするが、以下、若干の点につきましてただしたいと思います。  今度の災害におきまして亡くなられた方が三日現在で百十二人、こういうことでございますが、この百十二人の亡くなられた方の、どういう原因で亡くなられたのか、その亡くなられた状態、それにつきまして関係の方からお尋ねをいたしたいと思います。
  11. 田中暁

    田中(暁)説明員 まだ詳しい状況調査中でございますが、島根県につきましては、その亡くなられた方の九〇%は土砂崩れによるものでございます。
  12. 逢沢英雄

    逢沢委員 亡くなられた方の九〇%が土砂崩れによるものである、かようなことでありますが、建設省は省内に傾斜地保全課という機関を設けまして、こういうことに平生から対処しておる。予防だとかあるいは処置だとか、こういうことに対して平生から対処しておられる。傾斜地保全課の立場から、今度の山崩れがけ崩れ等々に対してどういうふうに考えておられるか、どういうふうに状況を把握しておられるか、その点をお尋ねしたい。
  13. 設楽武久

    設楽説明員 お答え申し上げます。  島根県は全域にわたりまして特殊土壌地帯ということになっております。これは主として花崗岩風化土ということで、特殊土壌地帯に属しているわけでございますが、こういったことから、地質的に見れば崩れやすいという側面は持っていると考えられます。災害直後の現地での概略調査によりますと、花崗岩風化土個所だけで崩壊が起きたということではございませんで、他の地質地域におきましても崩壊が起こっております。  こういったことを考えますと、今回の崩壊というものは、地質特性ということよりも記録的な降雨によって発生したというふうに現時点では見ております。  以上でございます。
  14. 逢沢英雄

    逢沢委員 わかります。わかりますが、わが国の場合は傾斜地あるいは急傾斜地、そうしたところがずいぶん多いわけで、将来ともにこの種の不幸が再現することがあると思いますので、今後一層ひとつ監督官庁としての責任を全うしていただくように、この際強く希望いたしておきます。  次に、さっき説明がありましたが、救助法適用市町村、これが十数市町村適用なさっておられます。この救助法の中身につきましてお尋ねしたいのですが、災害救助法の期間、何日間を適用するか、その期間はどうなっておりますか、現行制度のうちで。
  15. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 お答えいたします。  災害救助法応急的な救助でございますので、救助の期間につきまして一応の基準を定めておりまして、その期間としましては、個々の内容によって違いますが、具体的に申し上げますと、避難所の設置の場合では七日以内でございます。炊き出しも七日、飲料水の供給も七日、被服、寝具等の貸与、これが十日というふうな形で、災害の中身によって変わっているわけでございます。
  16. 逢沢英雄

    逢沢委員 災害の中身によってそれぞれに対応する、かようなことですが、今回の島根山口災害におきまして、この期間の問題で、地元市町村から期間を延ばしてくれというような要望があったと思いますが、それに対してどのように対応、処置をされましたか。
  17. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 先ほども申し上げましたように、これは一応のめどとしての期間ということで、この中でやってほしいということだけでございますので、事情によりまして延長ということが認められているわけでございます。したがいまして、今回の山陰の災害におきましても、避難所の設置あるいは炊き出し、飲料水の供給、被服、寝具の貸与、給与といったものにつきまして、すでに県から申請がございましたので、申請どおり延長を認めております。
  18. 逢沢英雄

    逢沢委員 同じ救助法の中身の基準額、基準単価、数年来物価が上がりぎみでございますが、現実に適用しております基準額、単価につきまして現地から文句が出なかったですか、どうですか。
  19. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 基準の単価につきましては、物価あるいは建築物資の増高、こういったものによりまして毎年引き上げているわけでございますけれども、これも一応のめどの基準でございまして、私どもとしましては、やむを得ないという事情があります場合には特別基準の設定というふうな形で対応してございます。たとえば、前回の日本海中部地震におきまして仮設住宅が狭いというふうなことがあったわけでございますけれども、多人数の世帯につきまして基準平米あるいは基準単価を引き上げるというふうな措置を講じていますとともに、それ以外の救助費目について具体的にやむを得ないという事情があります場合には、特別基準の設定ということで弾力的に対応しているわけでございます。
  20. 逢沢英雄

    逢沢委員 弾力的に対応してくださるということであります。われわれが調べましたところでは、いま出ましたけれども、応急住宅の問題、これにつきまして、ふろを設置してほしいという要望も出ておりまするので、この際申し出ておきます。  次に、さきにも調査団報告の中にありましたように、全体の自治体が一番関心を持ち、要望いたしておりまするのは、激甚災害になるかならぬか、この点であります。目下調査中であると思いますけれども、各種計数を合計中であると思いまするけれども、いま現在のこの問題に対しまする当局側の見通しを発表していただきたいと思います。
  21. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 激甚災害の指定につきましては、先生も御指摘されましたように、ただいま関係省庁において鋭意被害状況調査中でございます。その結果を待って所要の手続を速やかに講じたいと考えているところでございますが、いずれにしましても、災害復旧施策の推進に当たっては、被災地域の方々の復興への意欲を喚起し、一日も早く災害から立ち直れるように配慮してまいりたいと考えておるところでございます。
  22. 逢沢英雄

    逢沢委員 本問題につきまして長官からお話がございましたが、災害期を控えまして地元は非常に焦っております。民生安定上あるいは早期の産業、経済復興のためにも、ぜひひとつ万難を排してやってほしいということを強く希望いたしておきます。  次に、建設省の方にお尋ねをしたいのですが、建設関係被害状況の概況をかいつまんでひとつ御説明を願いたいと思います。
  23. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  七月二十日から二十三日にかけての豪雨による建設省所管公共土木施設被災状況でございますが、きのう現在までの状況によりますと、全国九県にわたりまして約二万三千カ所、金額にして千三百七億円余というぐあいになっております。内訳は、河川七百十三億円、砂防設備百五十七億円、道路橋梁関係四百三十七億円ということでございます。  特に島根県における主な被災状況でございますが、直轄国道九号、百九十一号等の交通どめとともに、浜田川、益田川、三隅川、周布川等の中小河川の破堤、河岸決壊等がございまして、河川被害個所は六千二百カ所、砂防が七百カ所、道路橋梁は約九千カ所という膨大な数に上っております。さらにがけ崩れ、地すべり等は二百十七件という、これも膨大な数に上っております。  その復旧状況でございますが、直轄国道の百九十一号は翌日直ちに通行可能となりましたが、特に被害の大きかった国道九号線につきましては、三隅町付近が被害が非常に甚大でございましたが、七月二十七日、緊急車両通行可能となりまして、現在、引き続き応急復旧に全力を挙げておりまして、一般車の供用は八月八日ごろの開始の見込みでございます。その他、県関係道路につきましても、応急復旧の必要な個所が約一千カ所ございますが、これについても全力を挙げて復旧に従事しておりまして、現在なお約十六路線、十九カ所が不通になっている程度でございますが、これらについても八月末には全面通行可能となる見込みでございます。  河川応急復旧対策でございますが、百五十七カ所の必要個所がございますけれども、そのうち百三十一カ所はすでに着工しておりまして、残りの個所も含めまして八月二十五日ごろまでに完了の予定で進めております。  また、今後の本格的な復旧につきましては、地元の準備のでき次第、早急に査定に入ることにしておりますし、直轄国道あるいは直轄河川についても早急に本復旧に着手する予定でございます。  以上でございます。
  24. 逢沢英雄

    逢沢委員 道路通行どめというのは住民にとって一番困ることなんで、一日も早く通行が全面的に可能になりますように今後一層の御精進をひとつお願いしたいと思いますし、河川の護岸堤防につきましてもしかりでありまして、早期復旧を強く要望いたします。  あわせまして、災害復旧につきましていつも出てきます問題が、いわゆる原形復旧ということだけにとどまらず改良復旧をしてほしい、要するに、壊れた前の状態そっくりそのままということでなくしてもっと丈夫なものにしてほしい、頑丈なものにしてほしいというのがいつも出てくるわけなんです。この問題に対する当局側の見解をこの際お聞きしておきたいと思います。
  25. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御質問がございました被災個所復旧の件でございますが、われわれとしましても、原形復旧という基本はございますが、その個所、その被災状況に応じまして適切な処置をするよう努力しておるところでございます。  今回の島根県の被害につきましても、県、市町村に対しまして被災状況の把握を速やかに行うよう指示しております。建設省といたしましても、災害査定官を現地派遣しまして調査に当たらせているところでございますが、このような調査の結果を踏まえまして、いま御指摘ございました工法等の決定に当たりましては、現地被災状況に応じまして望ましい復旧工法をするということのほかに、再度災害防止のために在来以上に河積を広げたりあるいは堤防を高くしたりといった必要のある個所につきましては、県、市町村とも十分協議しまして、積極的な災害復旧の助成事業、あるいは災害関連事業、あるいは河川激甚災害対策特別緊急事業等の改良復旧事業の実施を図ってまいりたいというぐあいに考えております。
  26. 逢沢英雄

    逢沢委員 予算の伴うことで大変やりにくい面もおありだろうとは思いますけれども、同じところが、同じ川が、同じがけが何日もやられるというようなことがあってはならぬわけなんで、修復をします時分にはできるだけ丈夫なものにしていただくという原則をひとつぜひよろしくお願いを申したい、かように思うわけであります。  次に、金融、融資の問題であります。あのような災害を受けますと、家がつぶれた、家が壊れたあるいは店の商品が水浸しになった、大変困った状態になります。さきにも指摘がありましたように、立ち上がる意欲すらこの暑さの中で失いかねないような深刻な悲惨な状態ということでありますが、これを救済する一つの手だてとして、安い、条件の楽な、限度枠の大きい融資措置が強く期待されるところであります。  私が行ってみました益田市、これは市内の中心部が水没いたしておりまして、商店街が水浸しになっておる。田舎の都会の商店街ということでありますから、中小企業のうちでも小規模企業あるいは零細企業、その中には小規模企業の経営改善資金なんか借りておるような方も必ずおられるに違いない。そういう人が今回の大きな災害に遭ったというようなことで、まことにお気の毒と思います。こういう商品を水浸しにした、使えないようになったといったようなまことに困った問題が現に起こっておるわけなんですが、こういうことに対する災害融資、これは通産省ですか、中小企業庁ですか、そういう筋から、現行の制度はどういうふうな金利でどういう条件で幾らまで貸してくれるのか、現行制度の内容についてお聞きをしたいと思います。
  27. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 御指摘のように、今回の災害では中小商工業者の被害がかなりの額に上るかと存じますが、現在すでに発動しております制度をまず申し上げます。  七月二十五日付で中小三金融機関、すなわち中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫、この三機関に指示をいたしました制度は、災害貸付制度と申しまして、通常でございますと、たとえば中小企業金融公庫の場合に二億一千万までの一般的な枠がございますが、これに特枠で六千万という枠で貸し付けをいたすことにしております。期間は原則五年でございますが、実情に応じまして十年まで延長が可能でございます。金利につきましては、これは通利ということでございまして、八・二%ということになっております。  この制度を運用する先に、今次災害が激甚災害に指定された場合にどうなるかということを御説明いたします。激甚災害に指定されました場合には、いま申し上げました災害融資、中小企業金融公庫の場合で六千万別枠がございますが、この六千万のうち一千万を限度といたしまして、三年間六・〇五%、被害が非常に多い方につきましては三%といった低利の融資が適用されることになります。この三年間六・〇五ないしは三%で運用されます一千万につきましては、四年目以降残りの融資期間につきまして六・五五%に戻るということになっております。  なお、この制度は、被災農林漁業者に対する天災融資あるいは住宅金融公庫の災害復興住宅等の金融につきましても同様の金利になっていると理解しております。
  28. 逢沢英雄

    逢沢委員 ちょっと早口で聞き取りにくいですが、普通の場合ですと八・二%の金利だ、たしかそう言われた、激甚災害の指定を受けたら三年までは六・〇五%に金利が下がる、そう言われましたね。
  29. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 先生言われました八・二%、六千万でございますが、このうち一千万までがおっしゃったように三年間六・〇五、または被害のひどいものにつきましては三%に下がるということでございます。
  30. 逢沢英雄

    逢沢委員 その場合、激甚災害になったという前提があるのですか、その六・〇五%は。
  31. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 そのとおりでございます。
  32. 逢沢英雄

    逢沢委員 そこで、この激甚災害になるかならぬかというのが一つの大きなポイントになるということになります。十分ひとつその点を役所側も理解をして善処してほしいということであります。  次に、同じ金融制度でありますが、家がつぶれた場合あるいは半壊した場合、この場合現行ではどういう災害金融措置がとられておるのか。現行制度をひとつ説明をしてください。
  33. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 今回の災害につきましては、一般住宅貸し付けよりも有利な条件によります災害復興住宅資金の貸付制度を適用することといたしまして、七月二十六日から受け付けを住宅金融公庫関係機関におきまして開始をいたしております。  有利なと申し上げました条件の内容でございますが、たとえば貸し付けの限度額でございますけれども、一般の個人の住宅を建設する場合の貸し付けは、ただいま四つの段階に分けまして限度額を決めておりますが、地方の場合で申しますと、木造で四百八十万の貸付額でございます。これに対しまして災害復興住宅の貸し付けの場合には全国一律に八百万円ということになっております。これは住宅災害によって失いあるいは二分の一以上被災をしたという人が住宅を建てる場合の限度額でございます。それに対しまして、補修をするという場合には、一般の住宅改良と申しまして、増改築をする場合には三百五十万の貸し付けでございますけれども、災害の場合につきましては四百万円ということといたしております。  それから金利でございますけれども、一般の住宅建設の場合には五・五%、それも当初十年間ということとなっておるわけでございますが、災害住宅建設の場合には五・〇五%ということで、二十五年間の貸付期間全期を通じまして五・〇五%ということとなっております。それから増改築をする場合に、一般の貸付条件は六・五%でございますが、これまた五・〇五%ということでやらしていただいておるわけでございます。  それから償還の期間は、木造につきましては二十五年ということでございますが、据え置き期間を普通三年間設けることができるということといたしております。これはもちろんお建てになります方の申請によるわけでございますけれども、二十五年の償還期間には含めないということで措置をいたすことといたしております。  それから、金融機関でございますので、貸し付けに際しましてはもちろん収入の基準を設けておるわけでございますけれども、償還の元利金の四倍以上の収入があればよろしいということと災害の場合にはいたしておりますのに対し、一般の場合には五倍以上収入がなければならないというような条件になっておるわけでございます。  以上、例を申し上げました。
  34. 逢沢英雄

    逢沢委員 いま通産系あるいは建設系からこうした場合の借金の内訳につきまして説明を受けたところでありますが、もう一遍重ねて申しますけれども、こういう異常な悲惨な事態ということでございますので、安い金利、そうして借りる側からして有利な条件で良質な融資が受けられるように今後さらにひとつ研究していただきたい。地元からもこの金融措置について強い要望、希望が出ておることは当局側も十分承知しておられるはずであります。金融問題につきましては以上で終わります。  山陰本線不通になっております。山陰本線は山陰の大動脈、過疎地域の大動脈ということでありまして、被災地域はこれが一日も早い早期営業を望んでおりますことは御存じのとおりであります。  運輸省にお聞きをいたしますが、山陰本線の中で災害個所で一番復旧に日にちを要する地点はどの地点ですか。それをお伺いしたいのです。
  35. 村上温

    ○村上説明員 山陰本線不通で御迷惑をかけておりまして申しわけございません。  現在の不通個所は江津から奈古まででございますが、島根県から山口県まででございますが、一番時間がかかると考えておりますのは三保三隅から益田までの間でございまして、三隅川の橋梁が約二メートル五十傾いておるというのがございます。それから岡見—鎌手間に大きい土砂崩壊がございます。それから益田の駅を出ましたところに二百五十メートルばかり切り取りの崩壊個所がございます。これらの三個所が一番時間がかかると考えておりますが、大体三カ月以内には復旧できる見込みと考えております。いずれにいたしましても一日も早く開通できるようにがんばりたいと思っております。
  36. 逢沢英雄

    逢沢委員 大体三カ月ぐらいかかるということですが、三カ月というとずいぶん長いわけなんです。地域にとってはこれはとても耐えられない三カ月になるのに違いない。いろいろ事情はあるでしょうが、一日も早く開通できますように、われわれ国会としても協力するところはしますから、早期に開通できますように一層努力をしていただきたい。  次に交付税の早期支給、これはさっき概況説明の中でありましたから省かせていただきます。  以上で私のお尋ねは終わらせていただきますが、あと若干時間をいただきまして、佐藤理事の方から質問をさせていただきたいと思いますので、委員長よろしくお願いいたします。
  37. 上原康助

    上原委員長 この際、佐藤隆君より関連質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤隆君。
  38. 佐藤隆

    ○佐藤(隆)委員 お許しをいただいて、一点だけ質問させていただきたいと思います。  そのことは防災無線についてでございます。この間の秋田沖の日本海中部地震の場合も津波の情報という問題がいろいろ問題になりました。今度の場合も集中豪雨によって多くの人命が失われた。それをどうしたら未然に防止することができるかということを詰めて考えていきますと、土石流なんかでどうにもならない、残念ながら現在の科学技術においては不可抗力だと言われるような部分、いやそうではない、こうしたことによって最小限度に食いとめることができたという部分、それがあるように思います。  特に島根県の三隅町においては防災無線の全戸戸別受信をやらせております。したがって、これには金がかかっているのですが、町でそれをやっているのです。生活保護世帯なんかは町が負担をして加入をさせているのです。ですから、土石流でやられた、がけ崩れでやられたところは別として、河川はんらん等によって避難命令を出し、適時適切に情報を流し、受信させることによって人命は最小限度の被害に食いとめることができておる、こういう事実があるわけでございます。  そういうわけで、最近の財政事情、いろいろ厳しいこともわかります。臨調の指摘もわかる。しかし、常襲被災列島というか、もう常襲化されておるこの日本列島の災害に対して、そしてその都度多くの人命が失われておるその事実を見ますと、ここでやはり新たな計画が必要ではないか。  私、関連でございまして、時間がございませんので簡潔に申し上げますが、消防庁の関係で、この防災無線についてすでに何年か前から施策を講じておられる。そのことを一言だけちょっと言ってください。
  39. 大嶋孝

    ○大嶋説明員 御指摘のように、私ども防災無線の整備に力を入れてまいったわけでございますが、現在同報無線を持っております市町村数が七百四十四市町村ございます。普及率にして二三%、それから戸別受信方式によります世帯数が二十一万六千世帯余というような状況になってございます。
  40. 佐藤隆

    ○佐藤(隆)委員 そこで、充足率もまだ低いし、各市町村の庁舎にそういうものが備えてあるだけで、全戸受信の設備なんていうのにはとてもほど遠い話になっております。  ところが、きのうの一部のマスコミの報道によりますと、通産省は来年度「”高度情報都市”作り」、これはよく聞いてみると、どうも都市づくりということでクローズアップされておりますけれども、農村には農村、漁村には漁村という形でメニューをつくりたいということのようで、まだ未公表なものがやや未成熟のままに報道されたやにも聞いておりますけれども、いずれにいたしましても、CATV、有線テレビ、それからINS体制、高度情報通信システム、こういうものがいまいろいろ議論され始めたところなんです。そういうものとの組み合わせの中で、有線テレビとINS体制の絡み合いの中でキーステーションと家庭を結ぶ防災体制ということに付言をしておるわけです。これは通産省にしてはでき過ぎだなという、ひやかした言い方は私はしたくないのですが、ひやかすのではなくて、本当によくそこまで考えておるな。ただ未成熟のまま報道されておるので、これからどの程度詰まっていくのかわかりません。大蔵の壁もあるいはあるかもしれない。しかし、これはどうしても進めなければならぬと思うのです。  消防庁が進めてきたものは無線でございます。私はやはり無線が必要だと思うのです。だから、いま通産省が考えつつある高度情報社会に向けて生活関連、特に防災も含めたそのシステムの中に防災無線というものをどう取り入れることができるか、これは消防庁のいままでの経験、いままでの実績と、通産省のこのことを考えておるプロジェクトと話し合う必要がある。そういう意味で、通産省からも担当の課長さんにここへ同席して聞いておいていただいておりますが、通産省、それから消防庁、それからもちろんこういう問題になりますと郵政省、こういうところとやはり横の連絡をとって、そして防災無線について、常襲被災列島であるわれわれの国から人命が失われるということがなくなるように、ひとつ新しい計画を来年度の予算に向けてぜひ立てていただきたい。  八月末概算要求の時期でありますから、その看板だけでも、計画を立てていただきたい。加藤国土庁長官ならそれぐらいできるわけです。あなたの時代にその看板を立てて、そして来年から——それは一年や二年で全戸加入は無理でしょう。しかし、こういうことでスケジュールを組んでちゃんとやっていきますよ、それが人命の尊重につながりますよ、防災につながりますよ、こういうレールを敷いてください。どうせ今週だってまた閣議があるのでしょう。閣議で長官発言して、そして関係省庁ひとつ横の連絡をとって、特に防災についてはぜひ防災無線の新しいシステムを、しかもいま通産省が考えつつあるCATV、それからINS体制、これを絡めたシステムにこれを織り込んで、そして関係省庁がいろいろな機能を従前以上に発揮できる、こういうことで計画を組んでください。  きょうは、消防庁の次長にもわざわざ来ていただいたけれども、答弁は要りません。そこまでは考えてないわけだからね。国土庁長官、ひとつ答えてください。閣議であなたが発言すればいいのですよ。
  41. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 七月十二日の昭和五十九年度のシーリング閣議におきまして、私は、防災関係予算、各省庁特別の御配慮をお願いいたしたいという発言はいたしておるわけでございます。その後に七月豪雨災害が発生したわけでございます。  三隅町における防災無線の有効性、そしてあの町役場に土石流が流れ込んでくるまで町役場の防災無線が町民のために活動しておった事実等も見聞いたしておるわけでございまして、その有用性につきましては十分認識いたしておるところでございます。ただいま佐藤委員から御質問、御意見のありました防災無線の拡充につきましては、さらに関係省庁と十分連絡してやりたい。  なお、INS並びにCATVについても言及されたわけでございます。実は国土庁におきましても、これからの一つの構想として、INS問題を地域生活の充実、環境整備の一環としてどのように活用していくかということで取り組んで勉強するように、数カ月前に担当の局の方に私自身すでに指示をいたしておるところでございますが、放送衛星、通信衛星、そしてINS、CATV、これらの問題は関係省庁との間に今後いろいろな折衝過程があると思いますが、こういったものを含めまして、防災無線を中心として今後その普及、施設の拡充強化、そして国民の生命、財産を守るという国の基本姿勢というものをはっきりさせていきたい、このように考えておるところでございます。
  42. 佐藤隆

    ○佐藤(隆)委員 去る七月二十六日、私どもの党といたしましては長官にもこの防災無線のことについては具申をしたところでございますが、きょうはこの委員会において、これはもう本当にどこの党がどうのこうのじゃなしに、これは日本国としてやらなければならぬ問題だと思いますので、重ねて推進方を強く要請をしておきたいと思います。  最後に一点。先ほどの逢沢委員の激甚指定という問題について、少なくとも局激ぐらいは何とか指定になるように、持っていくといったって種がなければできないんだけれども、知恵をしぼり、精査に精査を重ねて局激指定ぐらいはぜひやっていただきたい。その見通し、におわすことができるならにおわしていただきたい。  以上です。
  43. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 先ほどの逢沢委員の御質問にもお答え申し上げたところでございますが、現在、関係省庁において鋭意被害状況調査中でございます。その結果を待って判断をしたいと考えておるわけでございますが、局激の指定を含めて、被災地の地方公共団体の財政負担について十分配慮をしてまいりたいと考えているところでございます。
  44. 上原康助

    上原委員長 次に、吉原米治君。
  45. 吉原米治

    吉原委員 昭和五十八年の七月集中豪雨に伴いまして被災をされた方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、特に亡くなられた百十二名の方々の御冥福をお祈りしたいと存じます。  また、今回の災害が発生しまして、とかく政府対応というのは遅きに失するといいますか、なかなか小回りのきかないというのが一般的な評価でございますが、今回の災害については、特に加藤長官を団長とした政府調査団にいち早く現地に駆けつけていただきまして、つぶさに調査をしていただき、さらに本院の災害対策特別委員会調査団上原委員長団長とする各位の皆さんに大変遠いところをお出かけいただきまして、私は一災害対策特別委員といたしまして、また地元の出身代議士として、心から皆さん方に敬意を表する次第でございます。  御承知のように、七月二十日以来、島根西部地域に集中的な豪雨を受けたわけでございまして、七月三十日現在でも死者百二名、行方不明五名、また被害額も一千五百億を超える、戦後最大規模の人的、物的被害を受けたわけでございます。したがいまして、被災者を初め関係地元自治体がいま強く政府に御要請をしております幾つかの諸対策を踏まえながら、以下数点にわたって時間の許す限り質問をいたしたいと存じますので、政府側の各位の誠意ある答弁をお願いしたいのでございます。  何といいましても第一の私の質問をしたい点、政府側の見解をただしたい点は、先ほど同僚逢沢委員等も触れられておりましたが、激甚災害法、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律、この法律の適用をぜひやっていただきたい。御案内のように、すでに災害救助法適用されております島根県側十三市町村山口県側二町、これは言ってみれば過疎地域にある財政力の非常に乏しい自治体でございまして、本法の適用を受けませんと一般の行政費にも大きく影響する、こういう実情も御承知のとおりでございます。  先ほど加藤長官、大変期待を持っていいような御答弁もございましたが、重ねて私の方からも激甚災の指定、これは、いま現在では数字を集計し切ってないからというお答えがあるということは百も承知でございますが、ちょうど一年前に長崎水害も起きておりまして、長崎水害のときの経過もこれあることでございますから、十年前でなくてたった去年でございます、そういう例もあることでございますので、ぜひひとつ前向きの御答弁をお願いしたい。加藤長官、よろしく……。
  46. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 先ほど逢沢委員にもお答えいたしたわけでございますが、吉原委員、選挙区、地元でということもあって強い御意思と承ったわけでありますが、現在は鋭意被害状況調査中でございます。その結果を待って、所定の手続を速やかに講じたいと考えておるところでございますが、どういたしましても災害復旧施策の推進に当たっては、被災地域の方々の復興への意欲を喚起する、一日も早く災害から立ち直れるような配慮をしていきたい、これが今日私の進めておる考え方でございます。被災地の皆さん方が茫然自失しておる中から立ち直れるようなあらゆる方法、施策を考えていきたい、これが考え方でございます。
  47. 吉原米治

    吉原委員 被災地の復興への意欲を喚起するそういう配慮も必要だという長官の御答弁でございますが、そういう意味でも、ぜひひとつ激甚災害法適用については特に余り間を置かずに、長崎災害の場合はもう二カ月後には決定を見ておるわけでございます。少なくともこの八月いっぱいないしは遅くとも九月の上旬ぐらいには、激甚災害の指定の問題については目鼻をつけていただきたい、またそういう作業を急いでいただきたい。このことをひとつ長官に重ねてお願いをいたしておきます。  そこで、二つ目のお尋ねでございますが、これは建設省、農水省、両省に関係のある問題だと思います。  何といいましても公共土木施設及び農林地、農林水産業用施設、この種の災害復旧については改良復旧が強く望まれておるわけでございまして、原形復旧がたてまえだ、こうおっしゃいますけれども、原形では災害に弱いという事実が今度の災害を見てもわかっておるわけでございますから、災害に対する改良復旧をぜひひとつお願いしたい。これは建設、農水両省にお尋ねをしたい。  もう一つ建設省の方にお尋ねしたいのは、災害復旧事業実施年度の短縮でございます。  現在は三カ年でというふうになっておりまして、何か原則的なものが三、五、二のような比率に聞いておりますが、これまた長崎水害の対応を見てみましても、初年度七、初年度でも七割から八割方は復旧をさせておる、そういう事業の進度率が出てまいっておりますので、これまたこんな例がたびたびあるのは余り好ましくないわけでございますが、ごく一年前に長崎の水害でその復旧状況というのは目をみはるような事実が出てきておりますので、ぜひひとつ長崎水害にならって、事業の進度率については初年度に大幅に力を入れていただきたい。このことをまず二つお尋ねをいたします。それぞれ各省でお答え願いたい。
  48. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  まず第一点の改良復旧の御指摘でございますが、先ほども申し上げましたが、私どもとしましても原形復旧という基本はございますが、再度災害を防止するといった基本的な立場に立ちまして、現地被災状況に応じまして適切な工法を選択するということに努めておりまして、再度災害の防止に努めておるところでございます。  また、基本的にといいますか、抜本的に川幅を広げたり河積を広げる等の対応が、再度災害防止上必要であると思われる個所につきましては、災害復旧助成事業、災害関連事業等の改良復旧事業の実施を図ってまいりたいというぐあいに考えております。  二点目の復旧事業の三カ年の件でございますが、先生御指摘のとおりここ最近十年ほどでございますが、三割、五割、二割の復旧進度というものが定着してございます。しかし、先生御指摘のように、昨年度は長崎県等における甚大な災害、激甚な災害といったものがございまして、初年度七割強の進度が図られたところでございまして、早期復旧に寄与したというぐあいに考えておるわけでございます。  今後ともわれわれとしましても、災害早期復旧の推進に努めてまいりたいというぐあいに考えております。
  49. 田中宏尚

    田中(宏)説明員 災害復旧事業につきましては、原則として原状に復帰するということが事業の趣旨でございますけれども、原形に復帰することが著しく困難でございましたりあるいは不適当、そういう場合には、これにかわるべき施設を整備いたすことも必要でございますので、現地被災状況等を十分見ながら、いずれにいたしましても適切な復旧に努めたいと思っております。  それから、災害復旧の初年度率につきましては、従来のルールがあるわけでございますけれども、今回の実情にかんがみまして最大の努力をいたしたいと思っております。
  50. 吉原米治

    吉原委員 建設、農水両省とも、最大の努力だとか推進に努めたいというきわめて——長崎水害の実績をもとに努力した結果が初年度七、続いて一・五、三年目が一・五というような数字もきょうの日経にたまたま載っておる。だから、推進に努めたい、最大の努力をするという、それは気持ちはわかりますけれども、具体的には長崎水害の実績を踏まえて、少なくとも復旧事業の実施年度についてはこれ並みに、あるいはこれ以上に、つまり長崎水害の現状を照らし合わせながらやってもらえますか、どうですか。もう一度建設、農水どちらでも結構です。
  51. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  昨年は、先生御指摘のように長崎に大災害がございましたが、年度全体にわたりましても、建設省関係で一兆円という非常に未曾有の大災害でございました。本年も、日本海地震あるいは今回の島根災害等、非常に激甚な災害が発生しておりますが、まだ災害の時期も、これから九月、十月ごろまでございます。全体の災害状況の結果も踏まえまして、われわれの気持ちとしましては、昨年同様の早期復旧の推進ということを考えていきたいというぐあいに思っております。
  52. 吉原米治

    吉原委員 昨年同様のというのは、私はいま長崎水害のことを、しつこく言うようですが実績を申し上げたのですが、長崎水害のということでございますかどうでございますか。昨年同様の取り組み、いまあなたがおっしゃったでしょう。
  53. 狩野昇

    ○狩野説明員 私申し上げましたのは、昨年の実績あるいは経験といったものを考慮いたしまして、また、今後の本年度の災害の発生状況も見まして、対処してまいりたいというぐあいに考えております。
  54. 吉原米治

    吉原委員 災害の額が大きいから小さいから、あるいは災害の額が長崎災害と比較して若干金額的にも落ちるから、そんなことで復旧実施年度を早めたり遅くしたり、これは金額が多いということはそれほど範囲が広いということでしょうし、額だけで判断をするというのはいかがなものでございましょう。少なくとも災害を受けた方々にとっては、もう耐えられない状況なんでございますから、ただ、被害の額が大きければテンポを速めます、そしてちょっと被害の額が少ないからテンポを緩めてもいいということにはならぬわけでございまして、だから、私はもうしっこく言うようでございますが、長崎災害たまたま進度率で大変前向きに取り組んでいただいた、感謝しておるのですが、少なくともこれをひとつ模範にしてといいますか、やっていただきたい。  これは長官、あなたの方からひとつ建設大臣にもぜひそういう方向で前向きに取り組んでほしい、こういう要請をしていただけますか。
  55. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 昨年は、わが国の災害史上特記すべきほどの一兆数千億円という災害が、長崎災害中心として幅広くあったわけでございます。私たちは、国の公共事業予算というものと、その中に占める災害復旧予算ということ、あるいはそれの景気に及ぼす効果あるいは公共事業の前倒し、そういうもろもろのものを判断する前提として、先ほど来建設省が答弁したような昭和五十八年度並びに昭和五十七年度の補正というものを行ったわけでございます。  今回の日本海中部地震並びに七月豪雨災害、こういうものすべてを勘案しながら今後やっていきたい、このように考えておるところでございますし、必要があれば建設大臣に十分お願いもいたしたい、こう考えておるところでございます。
  56. 吉原米治

    吉原委員 国土庁というのは多くの省庁にまたがっておるわけでございまして、そういう意味では、国土庁長官の指導性というものを強く御期待申し上げます。ひとつよろしくお願いします。  いまから各省それぞれ省庁別にお尋ねをいたしたいと存じます。関係省庁省庁ございますから、きょうお呼びいたしておる省庁は八つでございます。一省庁五分ずつにしましても、八つ省庁ございますと四十分たってしまいますから、そういう意味で、お尋ねの点もしぼってお尋ねしますので、御答弁もひとつ簡潔にお願いをしたい。  まず最初に大蔵省にお尋ねをしたいのですが、これは中小企業庁、通産との合議になるようでございますが、中小企業金融機関災害融資についてでございます。どちらが先にお答えになるか、通産の方が先でございますかどうですか、それは順番はいいのですが、特別利率適用限度の枠の撤廃をお願いしたい。現在、一千万円以内という枠が設定されておるようでございますが、少なくとも借りた金は返さなければならぬというのが原則でございますから、たてまえでございますから、そういう意味で、返済能力のない者がいたずらに能力を上回って借りるということは通常は考えられないわけです。ですから、ぜひひとつ枠の撤廃をお願いしたい。  そして、特別利率もそういう意味では、三年までは六・〇五、三年を超えれば六・五五という利率になっておりますが、それをそれぞれ三年までは三%、三年を超えるものは三・五%ぐらいに特別利率を引き下げていただきたい、こう思うのでございますが、大蔵省、通産省、お答え願いたい。
  57. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 吉原先生もよく御存じのとおりでございますが、この特利の制度の趣旨と申しますのは、災害から復旧する立ち上がりの時期の緊急の資金需要に対する資金供給ということでございまして、そういう観点から一千万に限りまして低利にする、こういうことでございます。加えまして、昨年、一人当たりの低利貸付額を一千万に引き上げたところでもございまして、これをさらに引き上げるということはなかなかむずかしいかと考えております。  また、金利の三%を一律にしろ、こういう御提案でございますが、この点も、この三%の金利自身がすでに政府系金融機関一般の貸出金利を大幅に下回っておりますし、また幾つかの特別な制度に対しましても大幅に下回っている、こういう現状でございますので、これをさらに引き下げるというのはなかなかむずかしいということでございまして、まことに恐縮ではございますが、現在の制度を十分に活用してまいるということで御了承いただきたいと思います。
  58. 吉原米治

    吉原委員 これは、時間があればもっと突っ込んで御質問をしたいのですが、昨年の長崎水害時に八百万のものを一千万に引き上げた、今回は去年上げたのだからちょっとむずかしゅうございますという御趣旨のように聞きましたけれども、私はさっきから言っておるように、一千万という額が果たして妥当な数字なのかどうなのか。また、先ほど質問しましたように、返済能力のない者が能力を上回って借りるはずはないので、そういう意味で一千万という枠は一つの目安に置いておきたいというなら別ですが、どうしてももう百万、二百万欲しいというような者が出てくる可能性があるわけでございまして、そういう意味で私は枠の撤廃をお願いしたわけでございます。ひとつ引き続き検討をしていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  続いて文部省。今回の山地崩壊あるいは浸水、こういうものによって学校施設や社会教育施設が大変な被害を受けたわけでございまして、幸いにいま夏休み中でございまして、学校の児童生徒には直接の影響を与えておりませんけれども、九月になれば学校は始まるわけでございまして、何としても義務教育あるいは社会教育施設等々に対しましては、ひとつ早急に復旧方に努力をしていただきたい。これは文部省、決意のほどをひとつお聞かせ願いたいと思います。  続いて厚生省。厚生省は、同じく社会福祉施設の中の保育所等々に対してこれまた甚大な被害を受けておるわけでございまして、ぜひひとつ社会福祉施設の復旧についても、民生安定という立場からも早期復旧に格別の御配慮をお願いしたいと同時に、この国庫補助率の引き上げについて一つだけお願いをしておきたいのは、災害に伴う廃棄物の処理でございます。  島根県の三隅町についてもそうでございますし、益田市についてもそうでございますが、町のメーンストリートは瓦れきとヘドロの山でございます。もちろん、床下に相当量の汚泥が入っておるわけでございまして、そういう意味では、廃棄物の処理に関係市町村は非常に頭を悩ませておる。また、この廃棄物の捨て場についても、適当な場所がなくてかなり遠距離を運ばなければならぬ、こういう実情でございまして、関係市町村は実は頭を悩ませているわけでございます。ぜひひとつ国庫補助率についても、そういう意味では災害に伴う廃棄物の処理については格別の配慮を願いたい。この二つをひとつ厚生省にお願いしたい。  文部省、厚生省、両省にお答え願いたい。
  59. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  私どもの課といたしましては、現地に直ちに係官を派遣いたしまして、校地校舎の泥土の排出整備、それから校舎や体育館の床の張りかえ、それからプレハブ校舎による対応、こういったことで、復旧に関しまして適時適切な指導を行っておるところでございます。いやしくも二学期からの授業に支障を生ぜしめることはないという万全の構えで進めたいと考えておるところでございます。
  60. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 社会福祉施設についてお答えを申し上げます。  社会福祉施設につきましては、保育所を中心にいたしまして床上浸水以上の被害がございましたものが二十一カ所ございます。中でもひどかったのが保育所でございますが、応急修理の実施あるいは土砂等の除去というふうなことで、一部の施設につきましては従来の施設で開園ということになってございますが、建物が使えないものにつきましては、寺の本堂でございますとか旧中学校の校舎、こういったものを使って保育をやっているという実情でございますので、こういった施設につきましては早急に復旧を図るよう、私どもとしては努力をいたしたいというふうに考えてございます。
  61. 森下忠幸

    ○森下説明員 市町村が行います通常の廃棄物の処理につきましては、通常国庫補助はしておりませんけれども、仰せのように、災害によって生じた廃棄物の処理を市町村が行う場合には、特に廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきまして、その費用の一部を実は補助できることになっております。今回も、私も現地を見てまいりましたが、おっしゃるとおり家庭の中から出るいろいろなごみにまざって土砂が含まれているとか、あるいは一遍で処分できないで、仮置き場に置いてさらにそれを最終的に処分しなければならぬということで、市町村の作業量も大変多いと思っております。  こういうことでございますので、今後実情を十分調査いたしまして、その実態に照らし、かつまた、過去の災害の例に照らしながら、市町村の財政負担をできるだけ少なくできますよう努力いたしたいと考えております。
  62. 吉原米治

    吉原委員 先を急ぎます。  続いて農林水産省。農水省は四点ございます。  一つは治山事業でございます。先ほど御答弁ございましたが、特に今回の死傷者を出した九割方は、実は山地崩壊によるものでございまして、そういう意味では緊急に治山対策事業を採択をしていただきたい。のんびり構えておりますと九月の台風シーズンがやってまいりまして、実は二次災害の危険も考えられる状況でございます。ぜひひとつ、この緊急治山事業あるいは治山激甚災害対策特別緊急事業、この種の事業の採択をお願いしたい。  また、林地崩壊防止事業の採択についても、承るところによりますと、全国で七千二百カ所の林地崩壊の危険個所があるようでございますが、そのうちでも要整備個所が五千七百カ所、こういうふうな数字を聞いておるわけでございまして、特に、ことしから五カ年計画で、林地崩壊防止事業は計画的に実施がスタートされておるようでございますけれども、今回の島根西部地域個所で、農水省があらかじめこの地域は危険だという危険個所の指定の中に入っておった個所は一体何カ所ぐらいあったのか。また、入ってないけれども、今回の集中豪雨によって林地の崩壊を来した、こういう個所もあるわけでございますが、林地崩壊の危険個所の指定の中に、大体何カ所ぐらい今回の場合は入っておったのか。調査をされておればお聞かせ願いたい。  三点目は、天災融資法の発動についてでございますが、天災融資法の発動というのは一体どういう基準があるのか。漠然とした基準というか、考え方はあるようでございますが、どの程度の被害で天災融資法の発動ができるのか。国民経済に大きな影響を与えるという場合、これは全国的な表現になっておりますけれども、少なくとも現状の島根西部地域は、そういう意味では県民経済に大きな支障を来しておるというのが現状でございますので、天災融資法の発動についての考え方もこの際お尋ねしておきたい。  四つ目は、自作農維持資金の貸付限度額、これが現行百五十万になっておりますが、この際二百万までぜひ引き上げてほしい。  この四点を農水省にお尋ねをしたい。
  63. 今村清光

    ○今村説明員 お答えいたします。  まだ調査中でございますけれども、確かに山地崩壊が多発しておりまして、中国地方の四県で二千カ所以上にも達しておる。これは小さい規模のものも含めてでございますが、そういうふうに聞いております。その中でお尋ねの山地災害の危険地でございますが、これもまだ調査中でございますけれども、島根県の方から聞いたところでは、約三〇%ぐらいは危険地であるというふうなことも聞いております。  それから、こういうことで大変山地崩壊が多かったわけでございますが、先生御指摘のとおり、次期降雨等によりまして大変問題があるような場所、特に人家、公共施設に次期降雨によって被害を及ぼすような場所につきましては、早急に緊急治山事業等によりまして対処してまいりたいということで、早急に復旧するように鋭意努力してまいりたいというふうに思っております。
  64. 田中宏尚

    田中(宏)説明員 天災融資法につきましては、先生御承知のとおり、「被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大であると認めて政令で指定する」という一般的な基準になっているわけでございますが、個々には、災害が発生しました都度にその態様なり規模、それから広がり、さらには被害の深度というようなものを総合的に勘案して従来決めてきているわけでございます。それで現在のところ、今回の災害につきましては、まだ最終的な調査結果が出てないわけでございますけれども、現時点でわれわれが把握といいますか、県から報告を受けています災害の金額というものでは、従来の扱いからいいまして若干基準を満たすには至らないのではないかという感じがいたしているわけでございますけれども、今後なお被害状況の把握には日時を要すると思いますので、その被害状況の把握を待ちながら検討してまいりたいと思っております。  それから自作農維持資金につきましては、災害による被害の程度なり、あるいは被災農家の借金の残っているぐあい、あるいは新しい資金需要等、そういうものにつきましての調査等もまだできておりませんし、いずれにいたしましても、これから県なり地元と十分相談しながら、被災農家の方々が立ち上がれるような円滑な融資対策に努めてまいりたいと思っております。     〔委員長退席、池端委員長代理着席〕
  65. 吉原米治

    吉原委員 時間が参りますから先に進めます。  次は建設省です。建設省に考え方をお尋ねし、格別の御努力をお願いしたい点は、一点目は中小河川対策です。  今回の被害の元凶を考えてみますと、建設省直轄河川についてはりっぱな工事も進めてもらっておりますし、今回の被害では河川はんらんはございません。堤防決壊も実は起こらなかったわけでありますが、これだけの大きな災害を生んだ元凶は、言ってみれば中小河川、県費支弁の河川が圧倒的に多いわけでございまして、そういう意味では直轄河川も力を入れていただくということが大事なことでございますが、同時に中小河川対策についても、国の補助率は現行二分の一のようでございますが、少なくとも三分の二程度に引き上げていただいて、中小河川の改良整備のテンポを一段と速めていただきたい。このことに対する取り組みの姿勢、考え方をお尋ねしたい。  二つ目は、急傾斜地崩壊対策事業でありますが、これは先ほどの山地崩壊と同様に、九月の台風シーズンまでには二次災害が起こらないような配慮をしていただいて、応急復旧というものもひとつぜひお願いをしたい。  それから、河川の改修事業の問題についてでございます。特に、今回はんらんを来した三隅川あるいは周布川という中小河川でございますが、今回の災害を予測して、それぞれ上流部に実はダム建設を計画いたしておるわけでございます。三隅川の上流には御部ダム、周布川の上流には大長見ダムという二つのダム建設を今日までも建設省でそれぞれ御配慮いただいておるわけでありますが、泥棒が来てからあわてて縄をなうということではなくて、今日の起きた災害はいたし方ないわけでございますから、このような過ちを再び繰り返さないような配慮が必要だ。そういう意味で、ダム建設についてはひとつ一段とテンポを速めて早期完成努力してほしい。この問題、二つ、三つを建設省にお願いしたい。  大方最後になりますが、国土庁に一つだけ。これは私は建設省の所管だと思ったら、国土庁の所管のようでございます。集団移転促進事業、今回浜田市でも山地崩壊に伴って一つの部落が全滅をした、こういう現状でございまして、もうこんな危険な個所には住みたくないということで、ようやくその集落の皆さんの意思統一ができて、集団で町、市のあっせんする場所に移転をしたい、そういう話がどうもまとまったようでございまして、こういう集団移転をする場合の対応策、一定の制度もあるようでございますから、この制度内容と今後の取り組みについて国土庁の方から担当課の皆さんにお答え願いたい。  普通交付税の繰り上げ交付については、先ほど繰り上げ支給をするという御回答が出ておりますので、これは省略をさせていただきます。  以上、建設省の方から、最後の質問になりましたが、お答え願いたいと思います。
  66. 玉光弘明

    玉光説明員 中小河川の改修につきまして、まずお答え申し上げます。  今回の豪雨は、大変局地性の強いものでございまして、狭い範囲で大変強い雨が降ったという特徴がございます。したがいまして、中小河川は比較的流域面積が狭いわけでございまして、それに集中して雨が降りまして大きな洪水を起こしております。ということでございまして、江川のような直轄河川、これは大変流域面積が広うございまして、広い流域の中に局所的に大きな雨が降ったという形でございましたので、それほど大きな災害にならなかったということが言えると思います。  中小河川の改修につきましては、浜田川、益田川等につきましてたくさんございますが、これにつきまして現在まで河道の掘削並びに築堤等を中心にしまして改修を進めてきたわけでございます。今回の豪雨は大変記録的なものでございまして、それぞれ各河川の計画の規模をさらに上回っておりまして、これにつきまして今後早急に今回の洪水を調査いたしまして、計画の見直しを行い、これに基づきまして今後とも改修を鋭意促進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  67. 設楽武久

    設楽説明員 急傾斜地崩壊対策事業関係でございますが、今回のがけ崩れ災害につきましては、現在詳細に現地調査をいたしておりますので、その調査結果がまとまり次第、採択基準に適合するものにつきましては、緊急急傾斜地崩壊対策事業等で速やかに対応したいと考えております。
  68. 志水茂明

    ○志水説明員 御部ダム、これは昭和五十四年度から建設に着手いたしておりまして、ようやく用地補償を完了いたしまして、現在県道のつけかえ、それから工事用道路等の準備工事を鋭意進めております。今回の災害にかんがみまして、本ダムにつきましては早期完成を図っていく所存でございます。  それから大長見ダムにつきましては、昭和五十七年度より建設に着手いたしておりまして、現在水没補償の妥結を図るべく鋭意交渉を進めておるところでございます。なお、工事用道路等、一部準備工事にもかかっておりますが、本ダムにつきましても今後地元関係者の理解、御協力を得まして、建設を促進していく所存でございます。
  69. 仁科英麿

    ○仁科説明員 防災集団移転事業の内容と今後の取り組みについてでございますが、この防災集団移転事業は、災害が発生した地域あるいは災害の生ずるおそれのある地域につきまして、当該区域内の住民に集団的に移転していただきまして、住民の生命、身体、財産を災害から保護しようという制度でございます。  具体的に申し上げますと、市町村住民の意向を十分尊重の上事業を実施するというものでございまして、この事業主体になります市町村等は、まず移転促進区域を設定いたしますとともに、他方、移転先となる住宅団地を整備する。またあわせまして、関連公共施設の整備あるいは農林水産生産基盤の整備、さらには移転跡地の農地等の買い取り等をいたします。あわせまして、移転者に対しましても住宅建設費及び移転に要する経費の一部を助成しようというものでございまして、これに対しまして、国においても国庫補助をいたすものでございます。  今回の被災地域につきましても、集団移転の希望が出てまいりました場合には、住民の意向を十分尊重の上、関係地方公共団体等とも緊密な連絡をとりながら、積極的に対応していきたいと考える次第でございます。  以上でございます。
  70. 吉原米治

    吉原委員 きょうは、時間が過ぎましたので以上で質問を終わりますが、少なくともきょう出ていただきました関係省庁、それぞれ単なる国会の答弁だけでなくて——私は、この被災現地の出身でございますから、休会中は絶えずこの選挙区を歩いております。そういう意味では進捗状況、皆さんかっこいい答弁をなさって、本当にそれが実施に移されておるのかどうなのか、私は別に意地の悪い監視をする気持ちはございませんが、いやおうなく目の中に入ってくるわけでございまして、そういう意味では、今後機会あるごとにこういった質問は続けていきたいと思います。  きょうの答弁を単なる答弁でなくて、実際の被災地の皆さん方の気持ちになってひとつ進めていただきたい、このことをお願いして質問を終わります。
  71. 池端清一

    ○池端委員長代理 次に、田中恒利君。
  72. 田中恒利

    田中(恒)委員 長官に御所信のほどを承りたいと思うのですが、長官はいち早く現地へ飛ばれまして、関係者の皆さんが政府の敏速な対応に対して大変感謝をしておりましたし、さらに、今回のこの七月豪雨災害に対する政府の施策の中身について大きな期待を持っておると私は思うのです。  私どももこの二十九日、三十日に、先ほど御報告いたしましたように現地へ参りましたが、確かに思った以上に大きな被害をこの肌で感じたわけです。特に今度の災害は、災害の広がりというよりも点というか、地域的、地区的に集中的に雨が降り注いで、そこに異常な大惨劇をもたらしている。したがって、島根益田であるとか三隅であるとかというところの中心部はまさに町自体が全部崩壊しておる、こんな感じを長官は一番まざまざと見受けられたと思うのです。こういう面の災害というよりも点の災害、これを私どもは今後の災害対策にやはり何か教訓として受けとめなければいけないと思うのです。  そういたしますと、いまいろいろ議論をしておったわけですけれども、現行の災害諸制度の中では律し切れない面がこういう場合にあるのじゃなかろうかと私は思います。被害にいたしましても、広域でないから一級河川はそれほどではないが、中小の県なり市町村管理の河川が傷み、道路も、国道もやられておりますが、やはり生活道路や県道などがさらに大きな被害を受けておる。あるいはこれは雨の場合はどこもあるわけですけれども、商品がああいう形で出てきておりますと、何か現行の災害制度にそぐわない、また別途に考えなければいけない課題があると思うのです。  これを全部いま一遍に解決しようといったってなかなかそれは無理でしょう。無理でしょうが、何か一つ二つ現地の皆さんに、今回の特殊な島根山口中心とした集中豪雨災害に対して政府として新しい対応策をつくり上げていただきたいと思うし、さらに現行制度の中で吸い上げられない面については今後検討していただいて施策を打ち出していただく必要があるのじゃないか、私はこう思っているのですが、この点について長官はどういうふうに受けとめておられるか、お尋ねしておきたいと思うのです。
  73. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 先生と全く同じ感じを持ったわけでございます。昨年の長崎災害と形の上で違うという実態をいろいろ見させてもらいました。また、感じから申し上げまして、日本のあちこちで起こる災害災害国日本といいますか災害に弱い日本といいますか、そこら辺の問題をしみじみと感じたわけでございます。特に、ヘリコプターで見ますと、田中委員報告にもありましたが、緑の山の全体でなくして、二、三メートルの幅で数多くの場所が崩れておる。私は、その瞬間に、出雲には昔ヤマタノオロチ伝説があったけれども、あのヤマタノオロチというのは災害のことを言ったのではないだろうかな、そしてスサノオノミコトというのは治水治山事業を行った人を言ったのではないだろうかなという気持ちを持つほど痛ましい気持ちになったわけでございます。  ただ、今回の教訓を今後いかに生かしていくかということでございますが、当面は被災者の方方、特に行方不明者の捜索に全力を注ぎ、応急復旧措置に全力を注いでいきたい。そして、それらを通じながら今回の災害の教訓を酌み取りまして、二度とこういうことがないように、関係省庁と相談をしながらあらゆる処置をとっていかなくてはならない、この気持ちを強く持っておる次第でございます。
  74. 田中恒利

    田中(恒)委員 私もいろいろ考えるところがありますが、これから現地知事さん、市町村長さんの方から政府に対しては具体的に御要望があると思います。そういう場合に国土庁、少なくとも災害担当の主管大臣としては今回の災害の特質を十分勘案した上で前向きに処理をしていく、こういうことでいま御意見があったわけですけれども、そういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  75. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 そのようにお受け取りいただきたいと思います。
  76. 田中恒利

    田中(恒)委員 余り時間がありませんから項目だけ二、三お聞きしておきますが、先ほど吉原委員の質問に対して、天災融資法が現状では基準額に少し足りないというような農林水産省の御答弁があったわけですが、天災融資法、三〇%、一〇%ですか、こういう一定のあれがありますが、あの現地のそれぞれの被災農林漁業者の諸君は、これは一〇%や三〇%どころではないのですね。ただ、全体としての広がりがないから集計していくといまのような数字になっているわけなんです。だから、災害救助法適用され、恐らく激甚法適用も時間の問題だと私は思っておりますが、そういう段階で天災融資法が発動されないということになっていったら、政府の施策に対してどういうことだという声が特に関係地区を中心に出てくると思うのです。ですから、天災融資法の適用の問題についてはもう少し——いまは金がなくなったからうるさいのでしょうけれども、昔はいろいろな手法をとってきたという経過があると思うのです。ですから、今回は、これは現地三隅にしてもあの付近の十五市町村の、救助法を適用した市町村状態は、個々の被災農家というのは完全に適用される条件を持っているわけでありますから、これは強力に適用させてもらうようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  77. 田中宏尚

    田中(宏)説明員 先生から御指摘がありますように、局地災という性格からいいまして、従来の天災融資法の発動条件からいいますと、現在のところの被害等では適用がなかなかむずかしいわけでございます。しかし、災害状況につきましてもわれわれ自身まだ的確な把握ができておりませんので、そういう的確な把握と並行いたしまして今後どう扱うかということは決めてまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても個々の農家に対してどういう資金手当てをするかということにつきましては、天災融資法だけではなくて、自創資金でございますとかいろいろな制度資金の手だてもございますので、その辺は地元と十分協議しながら円滑な資金対策ができるように努力してまいりたいと思っております。
  78. 田中恒利

    田中(恒)委員 それはいろいろ手はあるでしょうが、天災融資法というのはこういう災害のときには関係者にぴんとくる相当大きな一つのあれなんですよ。それができないなんて言ったら、長官、これは特に政治的には大きな問題だと私は思います。  それで、また七十億とかなんとかというようなものが、その根拠なんか詰め出したらいろいろ問題があるわけです。それから、この災害はほとんど島根山口山口はわずかですけれども、周辺の岡山だって鳥取だって農作物の被害等いろいろありますよ。大したことないから報告は上がっていないという面だってあるわけなので、そういう面でいろいろ考えればこれは適用される条件を満たす、こういうふうに私は思っておりますが、これはいろいろ工夫というわけじゃありませんが、現地の皆さんのいまの表情というものにこたえる姿勢として、政府として特に善処していただきますように強く御要請しておきたいと思います。  それから、いわゆる災害の原形復旧ではなくて改良復旧の方向へ、現地の実情を見ながら調査の結果を踏まえて十分に考慮していく、建設省も農水省もそうおっしゃっておられるわけでありますが、単に災害対策という視点で原形じゃなくて改良復旧の方向へ持っていくという面だけではなくて、ところによっては町づくり全体を変えなければいけない、地区の集落そのものがなくなるとか地区の状態全体を考えなければいけない、こういうところがあるわけなのですよ。だから、災害対策の視点というよりも地域の経済なり生活圏というものをどうしたらいいのか、こういう視点に立っての改良復旧に目を向ける場所が幾つか出てくると思うのですが、こういう点について十分考えていただく必要があると思います。  そういう意味で、たとえば農地、田畑等の流失あるいは崩壊、こういうものについては、農林省もわが国農政の基本として基盤整備事業といったようなものを大胆に打ち出して、十カ年計画を立てて大規模な圃場整備をやろうとしているわけでありますから、こんなものと結びつけて本格的な近代農業に向けての基礎条件の整備をする、こういう形でこの問題を取り上げていただきたいし、私どもが参りました地区の土地改良区の皆さんの中にもそういう御要望を持っていらっしゃるところが幾つかあったわけであります。あるいは山口県の副知事からもそういう点の特に強い御指摘があったわけですが、この点をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをしておきたい。
  79. 田中宏尚

    田中(宏)説明員 先生御指摘のとおり、農地等崩壊なり埋没がはなはだしくて、原形に復旧することが困難あるいはむだというようなことも現実問題としてかなりあるわけでございます。こういう地点につきましては、いま御指摘がありましたようにいわゆる区画整理方式というものでも十分対応できますので、そういう方向で現地要望などもよく聞きながら十分に対処してまいりたいと思っております。
  80. 田中恒利

    田中(恒)委員 私はわずかな時間でありますからたくさんは申し上げられないわけですが、いま一つ現地を見さしていただきまして感じましたのは、確かに、災害が発生いたしますと、最近は町も県もそれから政府も非常に対応が素早くなってきたし、必要な一定のルールがある意味ではつくられ、現地の皆さんを中心に、一緒になって復興対策に力を注いでいくさまが、私どももありありと体に感じられる。そういうことは大きな前進だと思うわけでありますが、やはり根本的には災害を起こさせない方策をどうつくるか、こういうことでありますし、今回のようにがけ崩れでたくさんの方が命を失う、こういう事態は何が何でも事前に防ぐというその対策がこれからの災害対策の一つの大きな方向として考えられなければいけないだろう、こういうふうに思うわけです。  そういう意味で、いま防災無線の問題も出まして、これなども十分考えていかなければいけないと思いますが、やはり気象庁の予報というものが的確に皆さんに伝えられていくということでありまして、そのためには当委員会でもいろいろ意見が出ておりますようにテレビの活用、徹底的にテレビを通して家庭に現状を伝えていく。今回なかなかむずかしかったのか、やれたのかどうかそれは知りませんけれども、できれば、集中豪雨が発生するような地域には、市町村なりあるいはテレビの画面を通して、やはり危ない、こういうことが伝えられるようにできないものか。ともかく気象の予報というものをもう少しきめ細かく、場合によれば地域的に、町村ごとにと言ったらちょっと細か過ぎましょうが、一定の地域で気象の警戒注意報というものが入っていく、あるいは町長なり市長なりのところへ気象庁から電話が入っていく、こういうことが大切なのじゃなかろうか。  三隅など聞いてみると、いまの無線の問題もありますが、何か町長さんの指示で職員が一軒一軒の家に避難せよと全部やったというのですね。それをやらないと、やはりなかなかみこしを上げなかったということなんでありまして、特に気象予報というものが戸別にというか、そこまで徹底的に入っていくというきめ細かさがこれから必要になっていくのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。この点について気象庁のお考えになっていらしゃる点があれば、ひとつここでお述べをいただきたい。  それからいま一つは、災害になりますと電話が非常に混線をして、電話のお仕事の人も大変でありますし、今回三隅町などでは衛星で通信をしていただくということで、私どもが参りましたときも関係者は躍起になってお骨折りをいただいておったわけでありますが、特に過疎地域における電話の回線をもう少しふやしてもらえないか、こういう御要望現地島根県などからも私どもに示されてまいりました。過疎地域では町独自の有線放送、電話、いろいろございますが、そういう通信が防災とどういうふうに結びついて個々に徹底さしていくかということについて万遺漏なきを期さなければならない、こういうふうに思いますが、その辺につきましても、災害復旧の施策の中に十分反映するように御努力をいただきたい、こういう感じを持ちましたので、電電公社の方から、お考えがございましたらこの機会にお知らせをいただきたいと思っております。  以上で、私の質問を終わります。
  81. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 お答えいたします。  先生先ほど御指摘のとおり、今回の豪雨につきましては点の災害だという御指摘がございましたけれども、確かに南北にして三、四十キロ、東西にして四、五十キロというような狭い範囲の大雨でございました。  それで、こういった豪雨に対しましての予測でございますけれども、気象庁におきましては、半日ないし一日前というような時点におきましては、九州あるいは中国地方といった、かなり地方的な範囲で大雨の心配あるいは可能性が大きくなっているということは把握できる状態になってきております。そういったことで今回も、前日の二十二日の夕刻には大雨情報を発表いたしまして、山陰から北陸地方にかけてあすの朝にかけて大雨のおそれがありますので御注意くださいという情報を発表したところであります。それでその後、そういった地域につきましては、各地方気象台におきましては天気図あるいは気象衛星の資料、レーダー観測の資料あるいは地域気象観測網の資料、その他もろもろのデータを監視しておりまして、大雨の発生の兆しをいち早くつかまえまして、それで警報を発表する。そして皆さんに、重大な事態になりつつあることをお知らせするということで進めております。  それで、きめ細かく情報を出すようにというお話に関連しまして、県の西部あるいは東部というふうに場所が特定できるような状況につきましてもなるべく的確に、早期にこれを把握するように努めておりまして、地域を指定した大雨警報というようなものも実施するように努力しているところであります。それから、その後の的確な、あるいはきめ細かい状況の変化等につきましても、このたびにおきましても一時間ごとに情報を発表いたしましてその重大性を刻々とお知らせしてまいったところであります。こういった情報が住民の皆さんのところに的確に伝わるためには、各防災機関あるいは報道機関等の御協力も得まして進めてまいりたいというふうに考えております。
  82. 福増満広

    ○福増説明員 電信電話公社の災害対策室長でございます。お答えいたします。  七月二十三日未明でございますけれども、集中豪雨によりまして私どもの設備、主としてケーブル並びに電話交換局の浸水などによって被害を受けました。電話も利用ができませんで、まことに御迷惑をかけた次第でございます。  早速、地元通信部を初め通信局が一体となりまして復旧に努めてまいりました。市外回線につきましては七月二十九日までに復旧、仮復旧でございますが終了いたしました。あと加入電話でございますが、被害状況は、先ほどもお話があったかと思いますけれども、一万一千ばかり故障いたしまして、三隅局が一番大きな被害を受けたわけでございますけれども、三隅局を除きまして昨日中にほぼ復旧いたしました。三隅局につきましては交換局を、移動型の交換機でございますけれども、現地に運び込みまして、交換機の復旧は二十六日に終わっております。あとはいろいろおうちの都合などで電話がつかないおうちがございますので、それらを待って取りつけるということになりますが、明五日までにはほぼ一段落する予定でおります。  電話回線をふやしてほしいという先生のお話でございましたけれども、われわれ、平常時にはいまの回線を維持しておけば特に問題はないのでありまして、今回の災害によりまして市外ケーブルとか同軸ケーブルが切断、流失いたしました。そのために当初非常にかかりにくかったということでございますので、現在ではほぼ回復しておるというふうに考えております。
  83. 池端清一

    ○池端委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ────◇─────     午後一時三分開議
  84. 池端清一

    ○池端委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田弘君。
  85. 柴田弘

    柴田委員 今回の島根山口両県を中心といたします七月豪雨災害で亡くなられました犠牲者の皆様方の御冥福を心からお祈りを申し上げますとともに、被災をされました皆様方が一日も早く復旧されますことをこれまた心から念願をいたしまして、質問をさせていただきたいと思います。  そこで、国土庁長官に最初にお尋ねをしておくわけでございますが、災害は起こった後の復旧も大切ではありますが、起こる前に、災害防止対策中心にして人命尊重という立場からしっかりした予防措置をどう講じていくかということが大事である、私はかねがねこのように考えております。しばしば当委員会においてもそういった意味において御質問をさせていただいておるわけであります。今回いち早く長官は現地関係省庁の代表の皆さん方と飛ばれまして、心から私は敬意を表するものでありますが、私どもも、先ほど来御報告がありましたように、委員長以下各党代表調査団現地に参りまして、つぶさに調査をしてまいりました。  そこで私が思いますには、今回のこの山陰の豪雨災害には、昨年、ちょうど一年前に起こりました長崎大水害の教訓というものが本当に生かされておったかどうか、私はそれをしみじみと感じました。今回のこの災害でも、亡くなられた方の九〇%以上ががけ崩れ山崩れあるいは土石流による被害であった、あるいはまた中小河川はんらんによる被害であった、こういうことを考えまして、まあ益田市におきましては時間雨量九十ミリ、あるいはまた三日間における雨量が五百ミリを超える、確かに天災的な要素というものはあるかもしれませんが、やはりそういった過去の教訓というものが生かされておるならば、たとえば山崩れの防止対策がけ崩れの防止対策も万全な措置が講じられておれば、まあそれは予算の関係でなかなかそういった防止工事というものができない、危険区域の指定をしようと思ってもいわゆる私権の制限等々の問題があってなかなかうまくいってない。しかし、これは長崎のときでもそうでしたが、今回もしっかりした防災工事が行われているところはほとんど被害がなかった、こういう現状であります。  だから、その防災工事というものが行われなかったにしても、せめてもいわゆる緊急避難体制、どれだけの雨が降ったならばどういう避難路を通ってどこへ避難をするかという万全な体制が整っておったならば、今回のこのような百十数名という死者ももっと少なかったのではないかというふうに私は思っておるわけであります。  そこでお尋ねしたいのは、今回も確かに大災的な要素は多かったが、あくまでも人災としてとらえて、いわゆる万全な災害復旧あるいはまた今後の防止対策というものをしっかりとやっていかなければならない、こういうふうに現地視察してまいりまして第一印象として感じたわけであります。長官も先ほど申しましたようにいち早くヘリコプターで飛ばれまして、ひとつ率直な、この人災か天災かという談論を含めまして長官の今後の対応する決意というものをここで表明をしていただきたい、お願いを申し上げます。
  86. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 柴田先生の平素から災害に熱心に取っ組んでいただいておる姿に心から敬意を表する一員でございますが、私も先般の二十三日の朝からの刻々の情勢を聞いておりまして、現地被害の実情について大変心配をしておりました。  それとともに、果たして去年の長崎豪雨の災害の教訓というものをわれわれはどの程度生かし、教訓として国民の生命財産を守るようにしておったかということ等も考えてみまして、そこで一つはっきり申し上げられることは、こういう問題を踏まえまして、昭和五十八年度予算におきまして急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画というものを新規に発足させたわけでございます。この計画を着実に推進していきたい、これも政府として決意を新たにした一つのあらわれではないだろうか。これが一点でございます。  また、先般五月二十四日になると思いましたが、中央防災会議を開きまして、いろいろこういう問題についての処置を徹底いたしたわけでございます。いろいろございますが、気象観測及び予警報体制の充実ということを一つの大きな柱にいたしております。また総合的な治水対策の推進、あるいは土砂災害対策の推進として、危険区域等の指定の促進、それから警戒避難体制の整備、この場合の警戒避難体制の整備はいろいろございますが、先ほど先生もおっしゃいました避難場所の確保、避難訓練の実施等警戒避難体制の整備を図るようにする。その場合には、土砂災害の危険個所について標示板の設置とか、あるいは雨量計の設置、予警報等の災害情報の伝達等を含んだ警戒避難体制の整備ということを決定いたしました。  また、土砂災害防止施設等の整備の促進ということで、先ほど申し上げました急傾斜地崩壊対策、治山事業等の一層の推進を申し上げておるわけであります。  また、危険区域における住宅建設の制限、これも、危険住宅の移転促進を図るとともに、そういう問題もやろう。五月二十四日の中央防災会議において、総理が議長でございますが、この席でいま申し上げましたようなことは実は決定いたしております。厳しい財政情勢のもとでございますが、いま申し上げました決定に基づき、各省庁協力してこういう災害を防ごう。  ただ、先生がおっしゃいました、それは天災であるか人災であるか、これは二つにすぽっと割り切るべき問題であるか。今朝来申し上げましたように、災害列島日本という感じを私は持っております。ある面で申し上げますと、狭い国土にたくさんの人間が住んでおる。そうすると、いろいろなところへ住むということが出てくる。しかし、国として、政府としては、そういう災害から国民の生命財産を守るというのが政治の一番基本である、こういう立場もあるわけでございますけれども、先祖伝来住んでおるところだからというので、こういう面もなかなか推進できない事情等もございまして、災害が起こったときには、いかぬな、こう思うわけでございますが、そういう問題をもう少し強力にやらなくてはならぬのではないだろうか。人災か天災かと言われますと、足して二で割っていただいたような災害であるというようにお考えいただく以外に方法はないのではないかというふうに思う次第でございます。
  87. 柴田弘

    柴田委員 長官の決意としては、天災か人災かということは、要するに天災的な要素が強いということは、先ほど申しましたように私もわかっておる。しかし、国を治め、いわゆる治山治水、これが国政の根幹であると言うならば、やはり災害については、あくまでも天災ではなくて人災として決意を持って対応していきなさい、こういう意味で申し上げておるわけです。  それから、これは追及しませんが、私が申しておるのは、長崎の教訓というのは今回生かされなかった。それは、確かにこの五十八年度から急傾斜地崩壊対策事業は五カ年計画でやられている。これだって、七万二千何百カ所ある危険区域を全部指定して五カ年計画ではなかなか推進できない。あるいはまた、それは確かに五月二十四日に中央防災会議を開いて、いろいろと予警報体制だとか避難体制とか、あるいは危険区域の指定等も積極的にやっていかなければいかぬ、こういうことでありますが、私はせめてもの防災体制というものをとろうとするならば、やはり工事には金がかかる、しかし、そういったハード面でなくてソフト面だけでもきちっと、午前中も防災無線という話があったわけでありますが、体制をとって、人命の損傷だけはいわゆる極度にその被害を抑えていけないか、こういったことを申し上げておるわけでありまして、もうこれ以上申しませんが、どうかひとつしっかりとした決意で今後とも災害対策に取り組んでいただきたい、心から要望をしておきたいと思います。  それで、先ほど来、激甚災害の指定という問題がありました。局地的な激甚災害の指定というのは、確かに損害の査定というのは今後各省庁調査にまつわけでありますが、私も災害対策委員をやっておりまして、今回の場合は恐らく可能性がある、こういうふうに見ております。回りました島根県、山口県両県を初めといたします災害を受けた各市町村、全部激甚災害の指定をしてくれ、こういうことでありまして、これは絶対にやっていただきたい、こういうふうに私も要望をしておきたいわけであります。  もし、その激甚災害の指定、法の適用がどうしてもされない、されるだろうと思いますが、されない場合は、その指定基準の緩和措置をやっても、特例措置をやっても今回はやっていくべきではないか、こんなような実は考え方を持っているわけです。この点、先ほども質問がありましたが、ひとつ重ねてお尋ねをしておきたいわけであります。いかがでしょうか。
  88. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 今朝来お答えいたしておるわけでございますが、被害状況は現在調査中でございます。その結果を待って所要の手続を速やかに講じたい、こう考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、災害復旧の推進に当たっては、被災地域の方々の復興への意欲を喚起し、一日も早く災害から立ち直れるように配慮してまいりたい、このような決意で臨んでおる次第でございます。  また、基準の緩和その他を考えてはどうかという新たな御提案といいますか御意見もただいま拝聴したわけでございますが、先ほど申し上げましたように被害状況調査中でございますが、その結果を待っていろいろ検討、判断をいたしたい、このように考えておるところでございます。
  89. 柴田弘

    柴田委員 そうしますと、被害状況調査というのが問題になってくるわけですけれども、長官の心の中では、基準を緩和してでも、局地激甚災害の指定を含めても、やはり何とかひとつ前向きに指定をしていきたいな、こういうふうに受け取らせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
  90. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 局激の指定を含めまして、地方公共団体等に負担のかからないような方法を考えなくてはならないという考え方を持っておるわけでございます。
  91. 柴田弘

    柴田委員 それから過疎化の問題ですが、長官がヘリコプターで三隅町へ行かれたときに町長からお話があったかどうか知りませんが、私どもが参りましたときに、とにかく三隅町は壊滅的な打撃を受けた、役場の屋上から見ましても全くそのとおりの惨たんたる惨状であります。かつて三隅町が町村合併をしてできたときには人口は一万五千人くらいいたということです。ところが、最近は減って九千何ぼだ、こういうことでございます。今回のこの災害を通しまして過疎化が起こる心配が非常に大きい、何とかそれを食いとめたい、それには積極的な地域振興対策あるいは町づくり、こういったものを町民の皆さんの理解と協力を得て一生懸命に町長としてはやっていきたい、がしかし、どうしても国の援助というものも必要であり、理解、これも必要である、こういうようなことを言っておったわけであります。  この点、今回の災害を通して私は特徴の一つであると思いますが、三隅町だけに限らず災害を受けた関係市町村は、やはりそういった問題も、それは口に出して言うかどうかだけで、大きな心配ではないかと私は思います。先ほど来、災害は原形復旧ではなくていわゆる改良復旧である、こういう各委員の御意見もありました。全くそのとおりでありまして、そういった点も含めて、被災市町村に対するこういった過疎化が心配される今日、その地域の産業、経済あるいは町づくり等を含めた積極的な国の援助なり対応というものがいま必要ではないか、私はこんなふうに考えて帰ってきたわけでございますが、この辺についての長官の御所信もひとつお伺いをしていきたい、このように思います。
  92. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 私も島根三隅町だけを例にとらしていただきますと、ただいま委員がおっしゃいましたように、昭和三十五年、一万四千四百十一名おった三隅町が、昭和五十五年、私は一万名をまだ超しておると思っていたのですが、正式の数字を見ますと、九千七百六十五名、二十年の間に三二・二%の減になっておるという代表的な過疎町ではないか、こういう数字を見て実は愕然といたしたところでございます。  そこで、今回の七月豪雨地区というのはそれぞれ過疎地帯に属しておる。もちろん益田市、浜田市は違いますが、それ以外の町村はほとんど入っておるわけでございます。したがって、これに対する災害復旧を急げということはいち早く指示したわけでございますが、今次の災害を契機として人口が流出し過疎化がさらに進行することのないような配慮が一番必要ではないだろうか。そのためには何をしたらいいだろうか。一は防災対策であります。危ないところに住んでおれないということになってはいけませんから、一は防災対策。そして、生活環境施設の整備あるいは産業振興など地域の振興対策について積極的に取り組む必要があるな、こう考えた次第でございます。  そこで、現在過疎地域振興計画に基づいておるいろいろな計画を三隅町を中心として調べてみました。そして、この過疎地域においての振興計画というのは、道路、上水道、集会施設、農林水産業関連施設の整備というような一連の過疎対策というものを現在政府は行っておるわけでございますが、これらについて一層円滑に実施するように国として配慮していかなければならない、こう思ったわけであります。  そしてまたもう一つは、被災地域あるいは今後災害を生ずるおそれのある地域について御存じの集団移転問題があるわけでございますが、この集団移転の要望が出た場合には、防災集団移転事業を積極的に活用して地元要望にこたえていかなくてはならないな、ここら辺の問題を総合的に考えながら、災害に遭ったところの町村の過疎化がさらに進展しないように、その町村に住んでおる皆さん方に生きがいと誇りを持ってもらえるような町村にするようにしなくてはならないと決意を固くいたしておる次第でございます。
  93. 柴田弘

    柴田委員 いま長官のお話があったわけでありますが、どうか口先だけでなくて、これは絵にかいたもちにならないように、当該市町村が非常に期待をいたしておると思いますので、しっかりとした対策を進めていただきますことを御要望してまいりたいと思います。  そこで、中曽根総理もこの災害が起こってからいち早く記者会見をされた。災害復旧には全力を注ぐ、そして、このような災害が起こらないような予防措置もしっかりと講じていきたい。長官も先ほど来の御答弁の中で、今後ともしっかりとした対策を整えていきたい、こういうことであります。  そこで、いよいよ九月に臨時国会が始まりますね。ここで災害復旧費を中心とした防災対策は国土庁としても大蔵省当局に対してしっかりと予算要求をして、必要なものは予算措置をしていただくような方向へどうか働きかけていただきたい。これが第一点。  それからもう一つは、来年度の予算編成、いよいよその時期に来つつあるわけであります。とにかく災害は起こってからじゃ遅い。私はもう口ぐせのように防止対策、防止対策と言っておるわけでありますが、過去の災害の教訓に照らし、そしてまた今回の痛ましい犠牲者を伴った山陰災害の教訓に照らして、二度とこういった災害を起こさないというような万全の対策を講ずる。そういったことで、五十九年度予算編成はいまマイナス一〇%のシーリングの中で行われるわけでありますが、私は私的な意見を言えば、これは別枠で、防衛費が別枠で扱われているわけでございますが、そうでなくて災害対策費、人命尊重、国民の生命と財産を守るというのが国政の基本であり根幹であるということに照らしていけば、やはり別枠ぐらいにしてでも、先ほど申しましたようにいわゆる原形復旧じゃなくて改良復旧だ、あるいはまた、いまの過疎対策でしっかりとした対策を整えていくのだ、こういうことであるならば、私は五十九年度予算編成に向けて長官としてのしっかりした対応があってしかるべきである、このような考えをいたしているわけでありますが、その辺の問題につきまして、二点ですが、決意を御披瀝いただきたい、このように思います。
  94. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 当面の問題は、先ほど来申し上げましたような応急措置でございます。諸先生方からも言われておりますように、早期査定、早期事業実施ということ、そして、台風シーズンも参りますので、二次災害を起こさないように万全の措置を講ずるということには、各省庁いま一致結束しまして必死の努力をいたしておるところであります。  それから、五十九年度予算問題につきましては、七月十二日のシーリング閣議の際にも、私、災害対策関係費について各省庁、各大臣、特別の御高配をお願いするという発言をいたしておるわけでございまして、各省庁いまその線を踏まえながら来年度予算の編成作業に必死に取り組んでいただいておる、このように私は確信いたしておる次第であります。
  95. 柴田弘

    柴田委員 次は、細かい具体的な問題について数点お尋ねをしていくわけでありますが、一つは、今回の災害人命の損傷という立場、こういったことを考えてまいりますと、やはり長崎大水害と同じように山崩れ土砂崩れによる死者が多かった。これは防止工事というものを第一義にしていくということも私は必要であると思いますが、そういったハード面でなくてソフト面、つまり避難警報の問題、先ほど防災無線という問題がありましたが、そういった問題。あるいはまた、避難路や避難場所の整備、標識板の設置、こういったいわゆるハード面、ソフト面、両面から成る総合的な土石流対策、現在危険地帯が全国で六万二千カ所あるということでありますが、こういった総合的な対策をしっかりと打ち出してやるということが必要ではないか、こういうふうに痛感をいたします。  この辺は建設省としてそういうお考えがあるのかどうか、まずお尋ねをしていきたいわけであります。
  96. 設楽武久

    設楽説明員 ただいまの土石流に関します総合的な対策ということでございますが、まずお話しのように工事を促進するということはもちろんでございますが、ハードな面での対応ということも限度がございますので、ソフト面におきましても対応していくということで総合土石流対策を講じているところでございます。  まず、土石流危険渓流の周知あるいは警戒避難体制の確立ということにつきまして、五十八年度砂防事業の中でテスト的にといいますか、モデルとして警戒避難システムのための雨量計の設置、標示板の設置というようなことを始めております。また、周知徹底ということの一面でございますが、昭利五十八年度から毎年六月一日から三十日までの間を防災知識の普及と警戒避難体制整備の促進等に努めるということで、土砂災害防止月間を創設しているところでございます。  具体的に申しますと、周知徹底という点ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌等の協力をいただきましたPR、それからパンフレット等の配布というようなこともやっておるわけでございます。このほか、各都道府県におきましては地域住民への広報活動あるいは危険区域の点検、警戒避難訓練というようなものも実施しているわけでございます。こういったことをあわせまして各関係機関関係部局とも十分に連絡調整を図るということで対応していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  97. 柴田弘

    柴田委員 いまいろいろ御説明をいただいたわけでありますが、今回の災害被害を見ましても、亡くなられた方の原因の実態を見てまいりましても、十分にそれが機能していない、こんなふうに考えるわけでございます。だから、より一層の強力な推進をお願いをしていきたいと思います。  それから次に、急傾斜地崩壊対策事業、先ほど来長官からも五カ年計画でしっかりやっている、こういうことであります。先回の委員会におきましても私は質問をいたしたわけでありますが、五カ年計画の予算が三千九百億円、完成するのは三千四百カ所ですね。七万二千二百五十八カ所の中で二十分の一程度だということです。しかも、危険区域の指定が、しばしば建設省の方から答弁をいただいておりますように、私権の制限等があってなかなか住民の理解も得られぬ、指定三カ年計断を立てて鋭意推進しているのだが現在は一万一千カ所ちょっと程度だ、こういうことです。だから、この土石流総合対策を含めてこういった急傾斜地崩壊対策事業についても、ハード面はもちろんでありますが、ソフト面も充実したこの五カ年計画の中における総合対策というものをいま一歩現実のものとしていく必要があるのではないかというふうに私は考えているわけであります。この辺はどうでしょうか。指定を含めて、山陰災害を教訓とした建設省のこの五カ年計画を今後より一層の取り組みという意味において、私は切なる要望をしながら前向きな対応をお願いしたい、こういうふうな質問をいたしておるわけでありますが、これはどうでしょうか。
  98. 設楽武久

    設楽説明員 お話しのように非常にたくさんの危険個所があるわけでございまして、これに対策工事で対応していくことに努力することはもちろんでございますが、あわせて危険区域の指定の促進ということもやっていかなければならないというふうに考えております。指定されますと地域防災計画の危険区域にも入るということで、地域での警戒避難というような対応にもなってくるわけでございますので、こういった点も力を入れてまいらなければならない、また現在力を入れているところでございます。  なお、危険個所としてわかったところにつきましても、県を通じまして市町村に危険個所の周知徹底を図って地域の防災に役立てていただくというようなことで今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。
  99. 柴田弘

    柴田委員 指定の問題ですけれども、これは私どもの党の調査団現地に参りまして、それでそちらの方からいろいろお話があったわけでありますが、今回の山陰地方は、国土庁が特殊土壌地帯として指定をされているいわゆる白山火山帯の軟弱な真砂土状の土壌である、こういうことです。現在の建設省の考えている指定基準というのは、高さが五メートル以上で角度が三十度以上ですか、それから関係の集落戸数が五戸以上、こういうことですね。こういう特殊土壌に国土庁が指定をされているようなところは、指定基準というものの中にそういったいわゆる軟弱な土壌でありますよということも考慮していかなければいかぬじゃないかということを言うておるわけでありますね。私もなるほどなと思っておるわけであります。  翻って考えれば、九州の宮崎県あるいは鹿児島県の土壌も軟弱でありますね。だから、全国一律にこういった指定基準を決めるのもそれはそれなりの建設省当局のお考えもあるかと思いますが、やはりこういった被害が起こった現状を考えて、指定基準あるいはまたそういった軟弱な土壌というものを配慮したいわゆる防災対策がけ崩れ対策というものに真剣に今後とも取り組んでいかなければならないんじゃないか、こんなようなことを私も考えているわけでございますが、この辺はどのようなお考えでしょうか。
  100. 設楽武久

    設楽説明員 急傾斜地崩壊危険区域の指定基準は、ただいま先生がおっしゃいましたようにがけの高さが五メートル以上のもの、被害のおそれのある人家が五戸以上、人家が五戸未満でありましても官公署、学校等の公共建物等に被害が生ずるおそれのあるものについてはこれ以下でもということで指定することになっております。  先ほども申し上げましたが、全国で約七万二千カ所こういう個所がございます。そういったことで、先ほども申し上げましたが、危険区域の指定率が非常に低いということで、現状におきましては、当面はいまの体制、指定基準での指定の促進ということを強力に図らなければならないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、特殊土壌地帯ということで、確かに崩れやすいという面での特殊土壌もあるわけでございますが、今回の災害を見ますと、特殊土壌地帯以外のところでも非常にたくさん崩れておりますので、そういったことも今後勘案してということになろうかと思いますが、現状では指定が非常におくれているということで、現行の指定基準内での促進を図っていきたいというふうに考えております。
  101. 柴田弘

    柴田委員 あなたの考えもそれはわからぬわけじゃないですけれども、やはりこういった軟弱な土壌であるということも今後考慮をしていかないと本当の防災対策にはなりませんよ、こういうことを申しておるのですから、その辺の理解を深めていただいて今後とも研究、御検討をいただきたい、こういうように思います。  時間があと五分になってまいりました。午前中からの質疑の中でいろいろと各委員がおっしゃいましたが、私ども公明党といたしましても心から要望してきたわけであります。  先ほど御質問いたしました局地激甚災害指定を含めてのいわゆる激甚災害の指定、これをいち早くお願いをしたい。  それから二点目は、やはり天災融資法であります。これは天災融資法が発動されなくても、先ほど来農水省の方から御答弁がありましたように、いろいろな災害復旧に対する資金の貸付制度があります、それで十分対応できるであろう、こういう考えであろうかと思いますが、先ほどどなたかがおっしゃいましたように、これは政治的な問題も含んでいるというふうに私は思います。ぜひともひとつ知恵をしぼっていただいて、天災融資法の発動、これをお願いをしたい。  それから災害復旧は原形復旧がたてまえでありますが、民心の安定を図るために徹底した改良復旧、これを要望しておきます。  それから第四点は、災害復旧事業、これを三年を少しでも短縮をしていただきたい。  それから第五点目は、いわゆる台風時期との関連もありまして、災害査定を速やかに実施をしていただきたい。  それから交付税の問題でありますが、これは八十数億、もうすでに九月分の繰り上げ交付が行われたということでありますが、特別交付税の増額の問題。  それから最後に第七点目は、中小企業に対する融資の配慮、こういう点を含めて、これは答弁は要りません。心から私ども公明党といたしましても御要望させていただきたい、このように思います。  最後に一点、文部省関係お尋ねをしておきますが、私ども公明党も今回のこの山陰災害について現地調査をいたしまして、いろいろと十五項目の御要望を申し上げました。長官の手元にも行っておると思いますが、その中の一つに、今回災害に遭われました義務教育の児童生徒に対して教科書とかあるいは学用品、こういったものをひとつ無償配付ができるように、使えぬようになった人たちに対してお考えをいただけないだろうか、こういう要望もその十五項目の中に入っております。  確かに今回の災害によりまして学校の施設関係に大きな被害がもたらされました。何とか二学期からの学校運営なり学校の授業には支障がないように御努力をしておみえになるわけでありますが、こういった災害に遭った児童生徒に対してせめても教科書あるいは学用品の無償配付への配慮を心からお願いを申し上げたい、こういうふうに思っておりますが、この点についてのお考え方をひとつお聞かせをいただきまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  102. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の教科書とかあるいは文房具類、通学用品、こういった学用品につきましては、今回災害救助法適用を受けた地域、これは県を通じましていろいろな費用の給与があると思いますけれども、その中に含めまして対応したい、これを国も一部国庫負担をするという、そういう制度の中でやりたいと思っております。  同時に、必ずしもこの災害地域指定の適用がないところにつきましても、文部省所管の教科書関係の会社でつくっております社団法人の教科書協会、それから取り次ぎのいろいろな協会、そういったところが従来から無償でもって給与する、こういう体制を整えておりますので、実態に応じて対応していきたい、こう思います。  教科書、文房具類のほかに、御承知のように、経済的な理由によりまして就学が困難な児童生徒の家庭、これに対する就学援助の措置が現在もございます。そういうものにつきましても、従来普通の状態で就学困難な子供さん方も対象にするわけでございますが、こういう災害その他の不可抗力によりまして急に困るようになった家庭に対しても市町村教育委員会中心とした認定を行いまして、学用品以外の対象となる経費についても認定された家庭に対して支給するようにしたい。そこら辺についてどういうふうにするか、至急関係県及び市町村に対して連絡をいたしまして、いま実態を調べているところでございますので、それがわかり次第早急に対処したい、こう思っております。
  103. 柴田弘

    柴田委員 じゃ終わります。
  104. 池端清一

    ○池端委員長代理 次に、横手文雄君。
  105. 横手文雄

    横手委員 今回の山陰地方における集中豪雨、その大きな被害について私も現地視察してきた一人であります。  大変な被害でございましたし、そしてあの被害の中でお亡くなりになった皆さん方に対して心から御冥福をお祈り申し上げると同時に、御遺族の皆さん、御親戚の皆さん方にお悔やみを申し上げる次第であります。  そして、地域の皆さん方が一致協力して一日も早くあの災害から立ち直り、そしてまた楽しい市民生活に戻られる日が一日も早く来ますように、このことを心からこいねがう次第であります。  また、国としてもいち早く災害対策本部を設置され、加藤長官は本部長としてあのまだ濁流渦巻く現地を御視察をいただきました。心から敬意を表します。そしてまた、多くの問題について次々と適切な手が打たれておるやにお聞きをいたしております。  また、現地で電気、水道、いわゆるライフライン、こういったものを一日でも一時間でも早く復旧をしたい、こういったことで関係者の皆さん方が、文字どおりみずからの困難あるいはみずからの危険を顧みず民生の安定のために働いておられたお姿を見て、頭の下がる思いでございました。  きょうも炎天下であのような形で後片づけが行われているであろうということを考えたときに、大変胸が痛む思いがいたしますし、自治体の皆さんあるいはそれぞれの皆さん方は、国に対して大きな期待をしながらきょうもがんばっておられるわけであります。  そういった前提に立ちまして、以下、私から御質問を申し上げます。  なお、けさから質問が続いております。したがいまして、各省庁に対する質問の内容は重複をする部分も大変あろうと思いますけれども、私ども民社党として現地視察してきた経緯もございます。これからの対策等もございますから、確認の意味で重複の点についてお聞きをいたしますので、お答えをいただきたいと存じます。  まず一つは、島根県あるいは山口県地方は、鹿児島、宮崎のシラスに見られるように崩れやすい特殊土壌によって形成されておる、こういったことをお聞きをいたしておりますが、国土庁としてどういうぐあいに御掌握をいただいておりますか。
  106. 三上惣平

    ○三上説明員 お答え申し上げます。  特殊土壌地帯は、御存じのようにシラス、花崗岩風化土等の特に侵食を受けやすい特殊土壌で覆われている地域につきまして、台風の来襲を受け、雨屋がきわめて多く、災害を受けやすい地域を指定しておりまして、県または郡、市単位で特殊土壌の分布面積が大半を占める地域を指定しております。  御質問のありました、まず島根県でございますが、島根県につきましては花崗岩風化土が広く分布しておりますので、県単位で指定しておりまして、全県が特殊土壌地帯となっております。  次に、山口県でございますが、花崗岩風化土が県東部の瀬戸内海地域に主として分布しておりますので、特殊土壌地帯につきましては当該地域を指定しております。  それで、御質問のありました被害地域との関係でございますが、島根県は全県が特殊土壌地帯に指定されているというところで、被害市町村は全部特殊土壌地帯にあります。それから、山口県の被害のあった日本海沿岸地域でございますが、これは特殊土壌地域の指定区域外となっております。  以上でございます。
  107. 横手文雄

    横手委員 建設省お尋ねをいたしますけれども、このような特殊土壌地帯である、こういうことがいま述べられたわけであります。今回の山崩れ、これによる死亡が犠牲者のほとんどを占めるわけでございますけれども、よく言われるのは、乱開発によって山崩れが起こったという被害はよく私ども見聞きをいたしておりますが、今回の場合には、いままで崩れたことがないというところで起こっているのであります。したがって、住民の皆さん方も、避難命令が出ても、うちの裏山は崩れたことがない、だから絶対に大丈夫だ、こういうぐあいに思っておられた。それは先般NHKテレビで特集しておりましたけれども、生存者の皆さん方、口をそろえてそのようなことを言っておられたわけであります。これは一体どういうぐあいに理解すればいいのであろうか。  まず一つは、いままで崩れなかったところが今回の豪雨によって崩れたということは、今回の雨が文字どおり異常であったということなのか、あるいはもう一つ考えられるのは、そういった特殊土壌である、したがって風化が進んでおる、かつてはこの程度の雨では崩れなかったけれども、しかし、土壌の風化が進んでもろくなっている、したがって今回、いままで崩れた経験のなかったところに山崩れが起こった、こういう二つのことが考えられるわけでございますけれども、建設省としてどのように分析をしておられるのでございましょうか。私は、もしその後者であるとするならば、風化が進んでおる、したがって以前よりも崩れやすくなってきておりますよということであるとすると、住民の皆さん方の常識を変えていかなければならない、そういう状態になっているということを周知していかなければならない、このようにも考えておりますので、建設省としてどのようにお考えでございましょうか。
  108. 設楽武久

    設楽説明員 島根県が特殊土壌地帯であるということは国土庁の方からお答えがあったとおりでございますが、私ども、災害直後で今日までに概略調査をちょっとやっておりますが、いままで得られました調査結果では、この花崗岩の風化土、真砂土だけが崩壊しているということではございませんで、その他の古生層でありますとかいうところでも崩壊が同じように起こっておるということでございます。詳しいことはよく調べなければわかりませんけれども、こういったことから今回の崩壊原因というものは、地質特性というようなものよりは、雨の降り方もいろいろございますけれども、やはり記録的な降雨によるものであるというふうに考えておるわけでございます。  それから、風化が進んでいるというお話でございますけれども、地質の風化というのは、地質年代という言葉がございますように非常に尺度が長い見方をしておるわけでございますけれども、そこの辺につきましても今回の崩壊の現状等調べないと、ちょっといまの時点でははっきりしたことは申し上げられません。
  109. 横手文雄

    横手委員 よくわかりました。  それでは、気象庁にちょっとお尋ねをいたしますけれども、今回の集中豪雨が結果としてこのような分布であった、五百ミリ以上はこの範囲内であったというような結果の分布図はきれいなものができ上がって、私どもも見せていただいたわけでございますが、何というんでしょうか、このごろ気象学もかなり発達をしてきておるわけでございますから、宇宙衛星から見た雲の厚さあるいは梅雨前線の位置、こういった関係から、これが少なくとも半日、五時間ぐらい前には、降るであろう、結果としてでき上がったああいったものが予測できないものかどうか。この点についてはいかがですか。
  110. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 こういった集中豪雨の予想についての御質問でございますけれども、現在気象庁では世界各国の観測資料それから御指摘の気象衛星「ひまわり」の資料、こういったものを総合いたしまして一日二回予測計算を行っております。この予測計算の結果に基づきまして、中国地方あるいは山陰から北陸地方にかけてというかなり広い地域になりますけれども、その範囲で半日ないし一日のうちに大雨の降るおそれがあるという地域を予測することは、かなりの程度に可能になってきております。今回の場合も、前日の夕方にそういった情報を発表しておるところであります。しかしながら、その時点におきまして、先生御指摘のとおりの結果的に得られる雨量分布図というような形のものを、しかもいつ発現するかというような時刻も明示した形で予想することは、はなはだ困難な状態にあります。  そこで、そういった大雨の可能性の大きい地域に対しましてはその監視を強化いたしまして、あらゆる観測施設を使いまして一刻も早い時期にその前兆現象、前兆的な動向を把握いたしまして、少なくとも二、三時間前に大雨警報あるいは洪水警報というような警報を発表いたすように、努力しているところであります。  こういった集中豪雨を十分な時間的余裕を持って、しかも地域あるいは発現時刻をはっきりした形で予報するということは、世界各国の悲願といいますか研究課題になっております。気象庁におきましても、この点につきましては、豪雨の発生機構あるいはもろもろの新しい観測データの処理の方法等につきまして、基礎的な研究を進めておるところでありますし、また、雨量の量的な予測等につきましても、技術の開発を進めているところであります。こうしたことによりまして、集中豪雨の中でもかなりの集中豪雨につきましては成果を上げてきているところでありますけれども、すべての集中豪雨につきまして早期に、しかも十分なきめ細かさで予想することははなはだむずかしいわけでして、今後とも研究開発を進めまして、警報を早く発表するというふうに努力していきたいと考えております。
  111. 横手文雄

    横手委員 私はこの委員会で、地震の被害等のときにもよく発言をしてきたわけでございますが、たとえば地震の予知というものはいまの予知学ではほぼ不可能に近い。いま、東海沖地震を予想していろいろな観測網が敷かれておるけれども、これとてマグニチュード八なら事前につかまえることができるであろうということで、あれだけの膨大な観測網をやっておる。しかし、これが七、六というようなことになってくるといまのところはできません、こういう議論もしてきたわけでございます。  いまおっしゃいましたように、方面には豪雨のおそれありというようなことについては予測ができるようになってきた、予報ができるようになってきた、あるいは前もって警報が出せるようになってきたということでございますが、このような結果として降った、こういうものをたとえば五時間なら五時間前に五十キロの範囲内に区切って予報ができる、そして警報が出せるということはいまの気象学では無理なのか、あるいはやがてこういったものができるようになる、それは大体いつごろだ、どんなことになっておるのでしょうか。私らが生きているうちにはここまで進みますよということなのか、それはもう永遠の願いでございます、とてもそこまでの予想、予知はできないのだ、こんなことなんでしょうか。
  112. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 お答えいたします。  大変にむずかしい問題であるかと思います。学問の進歩、研究開発につきましては、先ほどお答えいたした次第でございますけれども、もう一つは観測、資料をきめ細かく手に入れるということにも限界がございまして、現在予測計算というのはおおむね百キロとか百五十キロとかいう格子をつくりましてそこで計算しておりまして、今回の豪雨に見られますように東西南北数十キロというようなスケールの現象に対しましては、細かい状態までを予測することはなかなか困難な状態にあると思います。  何年後にどのようになるであろうかということは、現在の集中豪雨の予想よりもさらにむずかしいように思われまして、当面、私たちといたしましては、なるべくそういった方向に向かって研究開発あるいはデータの監視、そういったことに力を入れて進めていきたい、そのように考えております。
  113. 横手文雄

    横手委員 ひとつ御努力をお願い申し上げますが、結局、いまのところはそういった予測が出される、広い範囲内においてこのような危険性があるというところまでは気象庁としては責任を持って申し上げます、あとは自分たちが、来たときにどうして守っていくか、自分で自分を守っていく、いまのところそれに頼るしかない、こういうことであろうと思います。  そこで大臣、先ほど来確認をされていることでございますが、私はこれからの復旧に当たって、多くの施策を国としてもしております。けさも資料もいただきました。大変御苦労さんなことでございますし、御期待を申し上げますが、ただ、被災地の皆さん方に多くのメニューが出される、それが大変食べやすい、おいしいメニューであるということにこなしていくためには、激甚災害法適用、これがされると、融資問題にしてもあるいは多くの措置にしても緩和措置がなされてくるわけでございますし、優遇措置がとられるということに法律でなっておるわけでございます。したがいまして、どこの地域へ行ってもまず激甚災害法適用をお願い申し上げるということでございましたが、確認をいたしますが、この適用については間違いなくやります、私に任しておきなさい、こんなことでございますか。
  114. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 けさほど来たびたび申し上げておるところでございますが、関係省庁において鋭意被害状況調査中でございます。その結果を待って所要の手続を速やかに講じたい、このように考えておるところでございます。  いずれにしましても、災害復旧の施策の推進に当たっては、被災地域の方々の復興への意欲を喚起し、一日も早く災害から立ち直れるように配慮してまいりたい、このように申し上げておるところでございます。
  115. 横手文雄

    横手委員 長官は、あの災害発生間もなく現地へ飛ばれました。そして、道路が寸断をされておりますから、ヘリコプターを使って三隅町に行かれたとお聞きをしております。ヘリコプターの操縦士は着陸は無理だと言われるのに、わしは大臣だ、現場を見たいということで、大変な危険を冒してあそこへ着陸をされたというぐあいにお聞きをいたしております。しかし、せっかく行かれてもなお泥が深くて、あの町の中を歩くことはできなかった。しかし、大臣はあの学校の庭におりていただきましたということで、町長さんも大変感激をしておられました。  いろいろな資料を集めなければならないということは承知をいたしておりますが、あの被害の真っただ中におりていかれた大臣の感じとして、これは激甚災害の指定間違いないという感じを持たれたと思いますが、いかがでございますか。
  116. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 激甚災害の指定、いろいろ条件がございますが、私は、局激は間違いないだろう、このような印象を強く持ちました。
  117. 横手文雄

    横手委員 そういうことで大臣が感じて帰ってこられた。そして、局激は間違いなかろうということで、大臣がおっしゃったわけでございますから、間違いないし、これがまた局激でなくして、全体にその恩恵が及ぼされるような激甚災害法の指定等についてお願いを申し上げておきたいと思う次第であります。  そこで、建設省にお聞きをいたします。  先ほど来申し上げてまいりましたように、今回の被害は土木関係に大きなつめ跡を残しております。なかんずく、河川決壊堤防道路崩壊等きわめて大きく、それぞれ甚大な被害をもたらしたのであります。  そこで、災害復旧というのはつまり旧に復するということでありますが、これは改良復旧の必要があると存じます。先ほどから述べられてきたとおりであります。現地へ行きましても、言われておりましたように、以前あった災害からこれを災害復旧した、これが全面改良復旧された部分については今回は被害はほとんどなかった、軽微であった、しかし、復旧部分が部分復旧に終わっていたところはほとんどやられました、こういう事実があるわけであります。  あるいは河川にいたしましても、洪水防止のため、多目的ダムでございましょうが、そういったダムがっくられている河川については、このダムが助けてくれました、しかし、要望しながらいまだにできていなかったところはやはり暴れました、そして家の中まで濁流を持ってきてしまいました、こういったことが言われておりました。これは事実としてあるわけです。  これはやはり、自然というものは正直にわれわれにそのことを教えてくれた、このようにとるべきであろうと思います。私たちは、自然の教訓をむだにしてはならないし、これを無視してはならない、このように考えておりますが、建設省、いかがですか。
  118. 西原巧

    ○西原説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、河川改修あるいは改良復旧等をやっておりますところで被害が少なかったというのは、そのとおりのように報告を受けております。  私どもは、災害復旧と同時に、改良と申しますか改修工事、あるいは洪水調節用のダムの建設等をやっているわけでございますけれども、それが非常に効果が大きいということは御指摘のとおりでございます。私どもは今後とも、河川改修、ダムの建設等の治水事業を推進し、また、被災状況に応じまして改良復旧事業を積極的に実施するということによりまして、災害に対処し、また国土の保全を図るということが重要であると考えておる次第でございます。
  119. 横手文雄

    横手委員 申し上げてまいりましたように、調査でわかっておると言われますように、そういった災害が起こった後に対して、災害を防ぐということで一生懸命に人間が自然に対してこれでどうだといったところは、やはり自然もよけていった。ところが、いいかげんといっては変ですけれども、部分的復旧で終わっていたところは、やはり自然もよく知っていて、そこは横っ面を張っていった、こういうことを示したのだ、このように思っておるわけでございます。ですから、いまの答弁をお開きいたしますと、これからは災害復旧ということよりも改良復旧に全力を挙げる、このように理解してよろしゅうございますか。
  120. 西原巧

    ○西原説明員 お答え申し上げます。  御案内のように、河川改修には改良の面と災害復旧とございます。災害復旧につきましては、御案内のように、原形復旧というものが基本になっておりますけれども、被災状況その他に応じて、必ずしも原形に復旧しませず、改良復旧をいたしております。  いまの先生の御指摘は、原形復旧中心にするよりも、むしろそういう被災状況等に対応して改良的に復旧していくべきである、こういう御指摘であろうと存じますが、それにつきましてはそのように考えております。
  121. 横手文雄

    横手委員 建設省にもう一つお聞きをいたします。  今回に限らず災害が起こった際には、けさほどから議論されておりますけれども、早期に査定をしてください、そして復旧の年限を短縮してください。特にこの地方にあっては、かつては台風銀座と言われていた、このごろはおかげさまで余り台風も来ませんというような話でございましたけれども、ことしあたり、あるいは来るかもわからないというような心配もあるわけでありまして、そういったところでは、復旧の年限を短縮してもらいたいという要望も非常に強いわけでございます。  今日まで建設省としても、同じ三年間ではあっても、初年度にうんと力を入れる、そして二年度でほぼ完成をして、三年度は後片づけ程度にして、できるだけその要望に沿って仕事を進めておられるということも承知をいたしております。大変結構なことでありますし、敬意を表する次第でございますが、今回も、短縮をしてもらいたいという地元の皆さん方の希望に対して、短縮そのものはできないけれども、実質的に今日までもやってきたし、今回もやります、こういう姿勢でありますか、いかがですか。
  122. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  まず早期査定の件でございますが、被災個所現地査定につきましては、発生直後に直ちに査定官を現地派遣いたしまして、復旧工法についての指導を行っております。さらに、今後県及び市町村の体制が整い次第、本省の担当官あるいは地方建設局の担当官等により、災害査定を早期かつできるだけ短期間に実施できるようこれから努力してまいりたい、かように考えております。  後段の短縮の件でございますが、先生御指摘のように、近年は、最近におけるいわゆる初年度三割といった標準を超えまして予算措置がなされておりますが、特に昨年は、被害が激甚であったということもございまして、初年度七割の予算措置がされております。それによりまして大幅な早期復旧が推進されまして、民生安定の観点あるいは事業の効果を上げるという観点から、非常に前進してきたというぐあいに考えております。  本年の今回の災害復旧事業につきましても、被害が非常に激甚でございます。先ほど申し上げましたように、今後の状況にもよりますが、昨年の実績にもかんがみまして、早期復旧の促進を推進してまいりたいというぐあいに考えております。
  123. 横手文雄

    横手委員 ぜひ、地元の御要望を聞いてやっていただきたいと思います。  次に、中小企業関係お尋ねをいたします。  商店街を初め地場中小企業、特に河川はんらんによって町じゅうが濁流にのまれたところは、大変な被害でございました。これから懸命に立ち上がりのために努力をされることでございましょうが、中小企業庁としても、手をかしてくださいという地元要望は非常に強いわけでございまして、その声はもうすでに届けられていると思いますが、わかりました、かくのごとくやりますというような、どのような方針がございましょうか。
  124. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 横手先生よく御存じのとおりでございますが、すでに七月二十五日付で、政府系中小企業金融機関災害貸付制度を発動いたしまして、通常の、たとえば中小企業金融公庫でございますと二億一千万までの枠がございますが、これに対しまして特枠で六千万円の特別の貸付枠を設ける等、その他融資条件の緩和も図っております。  先ほど来国土庁長官からも御答弁がございますように、この後被害額の確定を待ちまして、激甚災害指定等所要の手続が済みますと、この貸し付けにつきまして低利の融資枠がその中に設けられますので、そういったことを通じまして、あるいは、同じ激甚災の指定によりまして、信用保険の裏打ちを見ました信用保証が通常の別枠で倍に用意されますので、そういったものを活用しながら対応してまいりたいと考えております。
  125. 横手文雄

    横手委員 それぞれの被害地の自治体においても、いろいろ低利の融資制度等の研究がなされているようでございますし、これもまたやはり地元の皆さん方にとっては大きな励みであろうし、立ち上がりのための大きなつえになるだろう、このように思うわけでございます。  そういたしますと、激甚災害の指定を受けるということになると、いま御説明ございましたように、低利、六・〇五%ですかの金融が受けられる、あるいはもっとひどいところ、特別被害者等については三%程度の融資が適用される、こういうことでございますし、地元の皆さん方はそのようなことを望んでおられるのでございましょうし、その査定に当たって、地元市町村長さんがそのような査定をされるというぐあいにお聞きをいたしておりますが、いずれにしても、それらの指導機関である中小企業庁の力の入れ方というものは、やはりそのまま地元に反映をされることだと思いますし、あるいは、借りて立ち上がっていかなければならないけれども、いますでに借りておるもの、これをちょっと返済を待っていただけませんか、とても余裕がございませんというようなことも、当然一方では出てくるわけでございます。  これらの問題について、きめ細かな指導あるいは助成を行っていただきたい、このように考えますが、いかがでございますか。
  126. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 いま先生御指摘のとおり、既往債務あるいは今後貸し付けがされます融資につきましては、極力企業の方の実情に応じまして融資条件の緩和あるいは償還猶予、担保の弾力的な適用等々、所要の措置を講じてまいるつもりでいますし、地元の県あるいは市町村の皆様と十分に実情を協議しながら対処してまいりたい、こう考えております。
  127. 横手文雄

    横手委員 まだそのほかに厚生省あるいは農水省、自治省、多くのところに来てもらっておるわけでございますが、もう時間がございません。さきの先生方がお述べになったこととほとんど重複をするようなことでございます。どうかひとつ、適切な措置をお願い申し上げたいと思います。  最後に、大臣にお伺いをいたします。  先ほども申し上げましたように、大臣は、道路がまだ開通をしていないというときに、ヘリコプターでここを強行突破して現地に赴いていただきました。実は、あの東北地方の火災の問題で、その審議をされた災害委員会、五月十九日でございましたけれども、このときに、わが党の和田議員の方から、あの山火事の消火作業その他の問題について、ヘリコプターが勝負だったという指摘をされて、ですから、これから日本の国は、災害列島と言われるように毎年毎年どこかで大きな災害が起こる、そのときにやはり一番大きな機動力を発揮するのはヘリコプターだ、大臣どうだ、こういうような御質問を受けて、大臣は大変積極的に、ヘリコプターは災害に当たりまして、人命救助から始まり、いろいろな状況もつかめますし、すばらしい活躍をしてくれている、このように答弁をされて、積極的にこれらの問題について取り組む姿勢を明らかにされたわけでございます。  そのときに、和田議員の方から、このヘリコプターについては、それぞれ消防庁あるいは警察、自治体が持つにしてもこれは厄介なことだし、だからそれぞれの自衛隊の基地を使ってそこに置く、訓練その他の関係から見ても、やはりそういった自衛隊のそれぞれの基地の駐屯地に置くというのが一番いいことではなかろうか、したがって、そういう前提に立って、災害のときにも二十メーター以上の風が吹いても出ていけるようなヘリコプターを開発するとか、年度を区切って五カ年計画なら五カ年計画、こういうようなことで積極的に取り組むべきではないか、このような提言もしておられるわけでございますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  128. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 和田先生から前回の東北の同時多発山火事の際の御質問のときに、ただいま先生がおっしゃいましたとおりの応答をいたしました。災害時にヘリコプターというのが非常な威力を発揮してくれます。また、今回の災害におきましても、自衛隊、海上保安庁、警察のヘリコプターが発災直後から被災地状況の偵察、応急対策用の要員、資機材、物資の輸送、急患の搬送等、各般の応急対策活動に非常に威力を発揮してくれ、また、活用されたわけでございます。私も、そういう観点から、今後も関係省庁連絡を密にしつつ、ヘリコプターの整備、ヘリコプター着陸適地の把握等、防災機関全体としてのヘリコプターを活用した防災体制の整備を図るようにいたしたい。  なお、防災の日が近く来ますが、ひとつヘリコプターを中心とした防災訓練をやるようにしたらどうだろうか、これはまた総理からもそういう御指示もございまして、目下そういう点について検討いたしておるところでございます。  ただ、いろいろ今回でも、広島県警のヘリコプター、これが間に合わない場合は福岡から呼ぼうということ等もやったわけでございますが、三隅町のようなところには、実は、災害がひどかった点もありますけれども、ヘリコプターのおりる場所がまだその時分にはなかったというようなこと等もございましたが、こういう地帯においては、ヘリコプターの離発着地というものも今後事前によく関係市町村と相談しておかなくてはならない。大都市においても、実はヘリコプターの離発着地、機能は発揮する能力を持っておるのでございますが、そこら辺の問題が一つございます。  それから、ヘリコプターというのは夜間あるいは強い風でだめでございますが、今日、わが国の力でこれを開発するかどうかということよりか、世界各国におけるこういう風に強いあるいは夜間に強いヘリコプターの開発というのを大いに注目して、わが国の災害に役立たせるようなヘリコプターというものを導入しなくてはならないのではないだろうかといった点等を目下考えておるところでございます。
  129. 横手文雄

    横手委員 実力大臣に大きく御期待を申し上げます。  時間が参りましたのでこれで終わります。ありがとうございました。
  130. 池端清一

    ○池端委員長代理 次に、林百郎君。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 最初に大臣にお尋ねしますが、私の方の党も、被災者の方々、ことに亡くなられた方々に心からの弔意を表しますと同時に、直ちに実地調査をいたしまして、七月二十九日に総理大臣あての申し入れ書を後藤田官房長官にお渡ししました。この中に八項目の申し入れがありますが、きょうの各委員の質問の結果について二つほどお聞きしたいことがあるのです。  この私たちの申し入れの第五項に、「災害復旧については、査定被害に即してすみやかに行い、「局地激甚災害」として指定し、国の財政援助を強めること。」こういう項目がありまして、これに対して官房長官は、局地激甚の災害については、各省をいま督励をし、その調査を進め、前向きの姿勢で取り組んでいくということをその当時私たちに回答されておるわけですが、きょう加藤長官は、局地激甚災についてはまず適用があるものと考えられるというようなお答えがありましたけれども、これは政府の方針としてもそういう方向で前向きに進んでいるのでしょうか、その点をまずお聞きしたい。  これごらんになりましたか、わが党の総理あての申し入れです。
  132. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 日本共産党さんが内閣総理大臣に出された五十八年七月豪雨災害に関する申し入れ、熟読させていただいております。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 熟読は結構なんですが、その項目について局地激甚災の問題がありますので、これについては政府全体としても前向きに検討されているかどうか。きょうあなたは積極的な答弁をされましたので、政府の方針としてもそういう前向きの態度で臨んでいるのかどうか。これは各省庁関係しますからね。
  134. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 今朝来申し上げておるところでございまして、目下、現地状況把握、被害調査について各省庁鋭意取っ組んでおるところでございます。政府は一体となって災害復旧に当たっておるところでございます。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 それは当然のことで、局地激甚災の指定については積極的に、あなたきょう答弁しているんだから、責任が持てると思いますと言えるのですか。間違いないとあなたは言っているんだから。
  136. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 局地激甚災指定を含め地方公共団体に対して万々遺漏ないようにいたしたいというお答えをいたしておるところでございます。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 わかったようなわからないような答弁ですが、一応次に進めていきます。  それから、官房長官はこう言っているのです。このたびの災害は乱開発の結果である、これは政府としても最近の乱開発についてチェックしていかなければならないということを言っているのですが、きょうの質問と答弁の間では乱開発がされているんだというようなことが薄められているように感じるのです。官房長官はこう答えているのですが、この点についてはどうお考えですか。
  138. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 今回の災害と長崎災害とを比較検討した場合に、一番違うのはその点ではないだろうか。今回は局地的なごく限られたところにおける山崩れ中心として起こっておりまして、益田市、浜田市、三隅町等多くの町村において乱開発というような形跡は余り見受けなかったところでございます。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 住居については前からの古い家ががけ崩れ等で被害を受けているわけですが、しかし、このおびただしい流木ですね、これはやはり山林行政の中における手入れが薄められている。要するに、開発とは言えないにしても、そこに山林行政の手落ち、ただ従来の災害が発生することが予想されているような地域でないと言い切れない最近の山林行政の手落ちがあったということは認められませんか。物すごい流木がそういうことなくして突如として出てくるはずはないわけですね。ただ雨量が多かったということだけでは言えないのじゃないですか。
  140. 今村清光

    ○今村説明員 お答えいたします。  私も政府調査団の一員といたしまして、また昨日、一昨日と参議院の調査団におともいたしまして現地へ参ったわけでございます。先生御指摘のように、確かに今回の被災地には多数の流木が残置されておるわけでございますけれども、今回の記録的な豪雨がやはり大きな原因でございます。確かに森林は水源涵養機能あるいは土砂の流出防止の機能、そういったものを持っているわけでございますけれども、そういった水土保全機能をはるかにオーバーするような豪雨であったということがまず一点言えると思います。  それともう一つ、この地帯でございますけれども、花崗岩の深層風化地帯でございます。そういうこともありまして、私ヘリコプターの上からも見ましたけれども、至るところ崩れておりまして、山林の手入れが悪いとかどうだとかいう以前の問題ではなかろうかというふうに思っているわけでございます。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの方の林業白書を見ますと、緊急に間伐を必要とする林野が百九十万ヘクタールもあるのに五十六年度の実績はわずか二十三万ヘクタールで一二%にすぎない。しかも間伐材のうち半分以上の百六十三万立米、五一%が利用できないとして林内に放置されている。こういうことが林業白書にあるのですが、これでは大きな雨が降ればこれと連動して、間伐して放置されている木が流されてくるというのは当然じゃないですか。雨だけの理由じゃなくて、やはり林業行政の中に大きな欠陥があるのじゃないですか、間伐した半分がそのまま放置されているのですから。それはあなたの方の林業白書にちゃんと書いてある。
  142. 今村清光

    ○今村説明員 御指摘のとおり、間伐につきましては確かに手おくれになっているところが大変あるわけでございまして、これにつきましては、間伐の総合推進事業とかそういったものを行いましていろいろ進めておるわけでございます。  ただ、今回の災害におきましては、私も現地を見ましたが、間伐材である、そういったものだけじゃございませんので、広葉樹もありますしあるいは竹もございましたし、いろいろ崩れておりまして、間伐が手おくれだからこうなったというふうなものではなくて、やはりそれを超える豪雨であったというふうに認識しております。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた方がそういう考えを持っているから、責任は何でも雨が多過ぎたんだということだったら災害復旧なんてできませんよ。あれは不幸だったんだ、われわれの方には手落ちはなかった、そういう考えを林野行政で持っているとすれば——こんな物すごい流木が、しかもみんな根のないような流木ですよ、あなたも現地へ行って見たと思いますけれども、根から崩れて、そして流れてきたものじゃないですよ、これは。あなたも専門家だからそんなことはおわかりでしょう。  それから大臣にお尋ねしますが、もしここがそういう崩壊を必然的なものにするというような土質だったとすれば、そこは危険地域ですね、崩壊する危険地域でしょう。ところが十五名の犠牲者を出した浜田市の穂出地区は県の急傾斜崩壊危険地域にも指定されてないのですよ。そういう本来土質が崩壊的な危険があるとするならば、十五名も犠牲者を出すようなところを何で危険地域に指定してないのでしょうか。それも雨が多かったと言うのですか。
  144. 設楽武久

    設楽説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の個所につきましては、危険個所としては把握しておりましたが、危険区域の指定がまだされていなかったということでございます。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 それはどういうことですか。危険個所としては把握していたけれども、指定をしていなければ、住民にはわからないじゃないですか。そういうことを住民に徹底させなければ防災にならないでしょう。それはそれでいいですよ。だから、手落ちがあった、天災ではなくてむしろ人災とも言うべきものだ。  マスコミなども、七月二十五日の朝日新聞の社説には「なぜ生かされぬ大水害の教訓」、それから、七月二十四日の山陰中央新報では「集中豪雨——がけ崩れ山崩れ)——死者発生というパターンが恒常化した形である」、マスコミはみんなこれを指摘しているのです。ただ政府だけは、いや雨が多かったからやむを得ませんでした、こういう地質だったからやむを得ませんでした、木は決して切って切り捨ててはありませんでした。そんなことを言っていたら、あなた国民に笑われますよ。マスコミはもう鋭くそういう点を指摘しているのですよ。昨年の長崎水害の教訓はどうして生かされないんだ。  そこでお尋ねしますが、大臣、急傾斜地崩壊の防止五カ年計画を立てられたと言いましたね。それでお尋ねしますが、いま全国に急傾斜地崩壊の危険個所、きょういただいた資料によりますと七万二千二百五十八カ所あるのですね。しかも、把握してまだ住田に知らせないところもあると先ほどの建設省の答弁にあるわけですが、このあなたが言われた急傾斜地崩壊防止五カ年計画というのは、この七万二千二百五十八カ所のうち何カ所、五カ年計画で手当てをすることになっているのですか。
  146. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 三千四百カ所でございます。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 七万二千二百五十八カ所で三千四百カ所というと、約五%ですね。この調子でいくと二十年以上かかるわけですが、その間はどういう手だてを講ずるつもりですか。待っていろというわけですか。
  148. 設楽武久

    設楽説明員 お答え申し上げます。  工事の推進を図るということはもちろんでございますが、先ほど申し上げました七万二千二百五十八カ所という危険個所を把握しているわけでございます。この危険個所につきまして、危険区域としての指定を促進するということに鋭意努力しているところでございますが、これは地域住民あるいは地域市町村の意見を聞いて県で指定するということになっておりまして、いろいろの事情がございましてこの指定が非常におくれているということでございます。  指定された場合には、地域防災計画に組み込みまして、地域防災という観点から警戒避難等の対応をしていただくということにしておりますが、この未指定の個所につきましても、都道府県を通じまして各市町村に危険個所がここにこれだけあるということを周知徹底させまして、警戒避難というようなことに役立たせるということをやっておるわけでございます。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 苦しい答弁でありますが実情が、そういうことならそういうことでお聞きしておきますが、この急傾斜地の危険防止のための五カ年計画の最初の概算要求が大蔵省から削られたために、個所数にすると約一千カ所ぐらい概算要求が予算上減らされた、こういう事実はありませんでしたか。
  150. 設楽武久

    設楽説明員 当初策定に際しましてはいろいろな数字が出たわけでございますが、折衝の結果、五千五百億という数字になったわけでございます。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵省来ていますね。こういうように建設省が専門的な見地から至急手当てをしなければならないということで、急傾斜危険防止五カ年計画を立て、そして予算を要求されたのに、約一千六百億ですか概算要求を減らし、そのために危険個所の約一千カ所が削られてしまって、先ほどの大臣の答弁にもあるように、危険個所として把握しているものの五%程度しか進んでいかないということになったわけですが、これはどういう経緯でこの概算要求を大蔵省では削られたのですか。
  152. 涌井洋治

    ○涌井説明員 この五カ年計画の事業規模の決定に当たりましては、財政事情、それから他の同じような砂防等の事業とのバランスを考慮して決定したわけでございます。今回の五カ年計画には、その中でも特に危険度の高くて緊急的に実施が必要なものについての必要な事業費を計上しておるわけでございます。  ただ、この急傾斜地事業につきましては、予算の配分上は、従来からも重点的に配分をしておりまして、五十八年度予算におきましても、公共事業ゼロの中におきましても伸びを図っているわけでございます。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 中国のことわざにも、水を治める者は国を治めるということがありますが、膨大な軍事費はどんどん要求どおりに出しておいて、こういう国民の生活や生命にかかわる切実な予算要求を削っていくという大蔵省の態度も、基本的には今度の災害の原因を招いている大きな責任者の一人だと思うのですよ。このことについては十分考慮していってもらわなければいけないと思いますね。  それと関連して、来年度は予算全体がマイナス一〇%のシーリングだ、公共投資の予算もマイナス五%のシーリングだということを大蔵当局では言っておりますけれども、こういうことになりますと、まず最初に建設省お尋ねしますが、仮に大蔵省の言うとおりに災害対策の予算がことしよりまた五%マイナスになったとすれば、建設省、あるいは国土庁もそうですけれども、どういうような対策を講じていくつもりですか。  そしてまた大蔵省にお尋ねしますが、その公共投資をマイナス五%のシーリングの中に入れるという場合には、こういう災害に対する復旧あるいは傾斜地の危険の防止をする予備的な手当て、そういうものも含まれての公共投資のマイナス五%シーリンーグというのですか。それを建設省、国土庁と大蔵省にお聞きしたいのです。
  154. 設楽武久

    設楽説明員 お答え申し上げます。  先ほどお話しございましたように、五十八年度予算につきましても、非常に厳しい中ではございますが、ゼロの上の伸びを確保しているわけでございます。五十九年度につきましても非常に厳しいということでございますが、昨年の長崎あるいはことしの島根災害というように非常に多くの人命が失われているということにかんがみまして、できるだけ予算の獲得に努力してまいりたいというふうに考えております。
  155. 田中暁

    田中(暁)説明員 国土庁といたしましては、五十九年度も引き続き非常に厳しい財政事情の中ではございますが、災害対策予算につきましては、その緊急性にかんがみまして、特段の御配慮をお願いしたいということを大臣の方からも閣議の席で発言していただく等、その確保に全力を尽くしているところでございます。
  156. 涌井洋治

    ○涌井説明員 シーリングは当初予算の枠でございますけれども、そのシーリングの計算上は、災害復旧事業費についてもマイナスシーリングの対象にしております。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 長官、いま大蔵省は災害復旧も含めてマイナスシーリングの枠組みの中に入れるのだ、こう答弁しておりますが、あなたは災害復旧、国土と国民の生命を守る最高の責任者ですが、これの予算折衝はどうするつもりですか。この委員会であなたの決意を述べてもらいたい。
  158. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 誠心誠意関係省庁にお願いし、災害を防ぎ、災害復旧をやるために一生懸命がんばりたいと考えておるところでございます。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵省に対してどういう決意を持って交渉に臨むかということをあなたに聞いているので、そんな一般的なことを聞いているわけじゃないですよ。しかし、あなたは私の質問となると急にそっけなくなるから、これ以上賛同しても仕方ないと思うのですがね。  そこで、第六次の治水事業五カ年計画が立てられているわけですが、これに対しては河川整備率、これは年間どのくらいずつ高めていくというお考えですか。建設省河川局でもいいですが……。
  160. 玉光弘明

    玉光説明員 ただいまの治水第六次五カ年計画でございますが、ちょっと手元に資料を持っておりませんけれども、現在、大河川におきましては、目標を戦後最大の洪水に対処するということで、改修率は五九%でございます。それから中小河川におきましては、五十ミリに対応するという目標を掲げておりまして、それに対して一九%でございます。  五カ年計画でこれがどの程度上がるかということでございますが、ちょっと正しい数字を記憶いたしておりませんので、後ほど御説明したいと思います。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 最近の災害は、各委員からの質問もありましたけれども、一級河川、国が直接管理権を持っている河川についてはある程度手入れをしているわけです。私も長野県で千曲川だとか天竜川を見ておりますが、しかし問題は一級河川へ流れ込む二級河川というか、要するに県が管理を委任されている河川が最近は非常に荒れてきているわけですね。そのための水害が非常に大きく出て、一級河川、国が直接治水の責任を持っている河川とそこへ流れ込む支流とを比較すると、もう問題にならないほどの手の入れ方の差があるわけですね。だから、一級河川、二級河川と言うのですか、河川の格づけがありますが、一九%しか進んでおらないという地方自治体が管理権を任されている河川に対して国が十分援助してこれに至急手入れをしませんと、そこから大きな水害、災害が生ずることがもう最近の典型になっているわけですね。そういう点についてはどう考えていますか。
  162. 玉光弘明

    玉光説明員 御指摘のとおりでございますが、河川改修はまず根元になります幹川から改修をやりまして受け入れをつくってまいりまして、それから順次それに結びついております中小河川の改修へと伸びているわけでございます。  御指摘のように、大河川と申しますと、これは幹川になりますが、その改修はかなりと申しますか先ほどの数字でも高いわけですが、これも完全ではございません。  これに並行しまして、中小河川の改修を現在非常に力を入れてやっておるわけでございます。最近の予算におきましても中小河川を重点というような傾向も見ておるわけでございます。中小河川におきましては、特に災害の大きかった河川、それから流域の開発が行われているところでそれに整合させなければならない中小河川、あるいは下水道事業及び圃場整備事業等に関連した河川につきまして特に重点を置いて進めておるわけでございます。
  163. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたはそう言われますが、昨年の八月十八日に「がけ崩れによる災害防止体制の強化について」ということで知事に指示を出されて、「急傾斜地崩壊危険箇所の総点検の結果に基づき、急傾斜地崩壊危険区域の指定基準に該当するものについては、速やかに指定すること。」というようなことも河川局長として災害防止体制の強化を言われている。  それからまた、住宅局長も「がけ崩れ等による住宅災害の防止対策について」という通達を、これも知事あてに出している。  しかし、いまの河川局の答弁を聞きますと、まず国が管理しているものからやっていかなければいけないのだと言いながら、一方ではこういう各知事対策を強化しろという指示を出している。これはどうしたらいいのですか。
  164. 玉光弘明

    玉光説明員 私は河川の方を担当しておりますが、河川について申し上げますと、やはり同じようにいろいろな通達を出しております。また、出水期の前には特に念を押しまして、十分出水に対処するようにというものを事務次官から出しておるわけでございます。  これは鋭意改修を促進しておりますけれども、完成するまでには大変長い時間がかかります。その間においてできるだけ災害を少なくしようという目的で、いろいろな河川管理施設の点検をやるとか巡視をする、それから水防体制を十分にやるということを含めまして、さらにいろいろな方法で水害をできるだけ未然に防ごうというような趣旨でいろいろなものが出ている、こういうふうに思っております。
  165. 林百郎

    ○林(百)委員 中小河川については年間一九%程度しか手入れをしていない、幹線河川については五十何%だ、そして通達だけは災害防止体制を強化せよということは、いかにも上から地方自治体に無理なことを押しつけているという感じですね。それで、これの予算的な措置はおまえの方でできるだけやれ、おまえの方でやれば国の方もそれに応じてやるよという行き方では、これはいつまでたったって防災の体制はとれないと思うのですよね。  そこで、長官にお尋ねしますが、防災白書を見ますと、長崎水害の教訓として、一、急傾斜地等における都市形成のあり方、二、気象情報収集や警戒避難体制など豪雨初期の対応の問題、三、土砂災害危険個所等における早期避難体制の問題、四、道路の確保、五、交通機関や都市施設などの電力設備の防水対策というようなことが長崎水害の教訓としてまとめられて、これが防災白書に載っているわけですが、今回の大水害でも同じことが言えると思うのですね。  そういう意味でマスコミが、一体長崎水害の教訓が酌まれているのかという主張まで出ているというようなことになるわけですが、こういうことを国土庁がもっと総合的にまとめて、日ごろ防災体制について注意心を喚起するために、科学者等の知恵もかりて総合的な災害調査を行って、そしてその結果を公表して地域住民に十分知らせる。中央の役所が握っているだけでなくて、地方にも各大学があり科学者等もおりますから、その人たちの知恵もかりて、総合的な災害調査を行って、それを地域住民に知らせる、あなたが大臣の時代にこういう体制は考えられないのでしょうか。防災のための審議会が中央にあることは知っておりますけれども、しかし審議するだけではなくて、もっときめの細かい調査をして、それをまとめて地域住民に知らせる、こういう組織、体制をとられるようなお考えはないのでしょうか。
  166. 加藤六月

    ○加藤国務大臣 先ほど来先生の御意見をいろいろ承っております。そしてまた長崎災害の教訓としてはおっしゃったとおり防災白書の中に五つを入れておるわけでございます。それらを踏まえまして、ことし五月二十四日に開催されました中央防災会議におきましてその教訓を踏まえました多くの決定をいたしたわけでございます。  それは先ほどもお答えいたしましたが、気象観測及び予警報体制の充実、それから総合的な治水対策の推進、それから土砂災害対策の推進として、危険区域等の指定の促進、それから警戒避難体制の整備としましていろいろのことをやるとともに、雨量計の設置とかあるいは標示板の設置により周知徹底を図る等のことをやるとともに、予警報等の災害情報の伝達、避難場所の確保、避難訓練の実施等警戒避難体制の整備を図る、土砂災害防止施設等の整備の促進、危険区域における住宅建築の制限等ということを、五月二十四日の中央防災会議で決定いたしたわけでございます。  したがいまして、これらの線を踏まえ、さらに地方防災会議においてもよりきめの細かい、より徹底した案をおつくりいただくようにいたしておるわけでございます。  そこで、林委員がおっしゃいました、学者先生等を集めるということでございますが、地方防災会議あるいは中央防災会議等においてそれぞれのケースの場合にそういう学識経験者の意見等を取り入れながらやっておるわけでございます。  要は、どのようにして災害を防ぎ災害から国民を守るかということについて、さらにきめの細かい方策を今後講じていかなくてはならないということではないかと思いますが、政府としましてもその線に従って一生懸命がんばっておるところでございます。
  167. 林百郎

    ○林(百)委員 そのまとめの中の一つに、気象情報収集や警戒避難体制など、豪雨初期の対応の問題、これはもう各委員も質問されたのですが、今度の山陰災害で問題になっておるのは、これは気象庁にお尋ねしますが、アメダスが故障してしまって情報が結集できないという事態が生じているわけですね。何でこのアメダスが故障してしまったのか。  先ほど電話の回線の問題がありましたけれども、一般電話回線を使ってもこういう災害のときには混乱してしまって情報が災害として集中できないことがありますので、災害災害のための専用回線を気象庁として設ける必要があるんじゃないか。この二つの点、地域気象観測システムのアメダスが何で故障してしまったのか、そして回線が混乱してしまっているときにやはり気象庁としては災害に備えるための専用回線が必要ではないかと思うのです。この点は先ほど佐藤議員のいろいろ近代的な技術を取り入れるべきだという御意見もありましたが、とりあえず災害用の専用回線、これでも設ける、将来は先ほど佐藤議員が言われたのが参考になりますけれども、それがとりあえず必要だと思いますが、この点について気象庁の答弁をお願いします。
  168. 山崎道夫

    ○山崎説明員 お答え申し上げます。  今回の豪雨に際しまして、先生御指摘のとおり一部アメダスと申しますデータの収集システムが十分働かなかった、集信できなかったということはおっしゃるとおりでございます。実際に島根県下には二十七カ所観測点がございます。そのうち今回一番集信が思うようにまいらなかったのは二十三日の午後九時でございました。これは九カ所でございました。ただ、このときにはすでに雨がやんでおりまして、いわば御親戚あるいは身内の方の見舞い電話の集中時期であったということでございます。そのほかの時間帯は、多いときで七カ所収集ができないところがございました。  今回の場合は二十三日の零時半過ぎに気象台が大雨洪水警報を発表しておるわけでございますが、雨が一番強まりましたのはこの後の二時ころから朝方にかけてでございます。この午前二時まではアメダスといいます観測点はすべて生きておりまして、完全に集信できておりました。午前三時から収集できないところが一ないし三カ所、その後四、五カ所、多いときで七カ所、それから先ほどの午後九時に九カ所というようなことでございました。全般的に言いますと、この間にも予警報等の更新あるいは情報の発表といったことは適切に実施されておったということでございます。  何で故障したかということでございますが、二カ所は災害が起きた後のがけ崩れあるいは水没をしたところということでございます。そのほかにつきましては電電公社の回線にかかわるところというふうに把握してございます。  それからもう一点、一般の公衆回線を使っているから、専用回線を使えばよろしいではないかということでございますが、予警報を出しますことにつきましては、いまのアメダスはもちろん重要な手段ではございますけれども、このほかにもレーダーでありますとかあるいは衛星でありますとか、また、同じ県内でも県あるいは建設省等で観測しております、つまり、他の機関で持っておられますものも可能な限り活用しているわけでございます。  専用回線のお話につきましては、現在ではそのような、できるだけほかのいろいろな手段を有効利用いたしまして十分対応できるというふうに思っているわけでございます。  なお、このレーダーにつきましては、現在、ディジタル化と申しまして、いままでよりも送りやすい、利用しやすい形という計画を進めているところでございます。
  169. 林百郎

    ○林(百)委員 私がアメダスの問題を言っているのは、これは地方紙なんですが、一番水害の多かった三隅町と益田市、ここのアメダスが故障してしまって情報が集まっていないというのですから、これは大変なことなんですね。それでお尋ねをしたわけなんですが、その改善については鋭意努力しないといけないと思いますから、予算の関係もいろいろあると思いますけれども、工夫していただきたいと思います。  最後に、地元から出ている要望を、お待ち願っている各省庁に簡単に御答弁を願いたいのですが、一つは衛生問題で、依然として消毒がまだ行われていないということが三隅町全域、益田市、それから七尾町ですか、というようなところから来ております。これを八月の暑い時期であるので至急やってもらいたいということが来ております。  それから医療問題は、病院まで出かけていけないので、日赤や国立病院などを動員して、巡回診療の実施や仮設診療所の設置をしてもらいたいということ。  それから飲料水について、益田川東部、遠田、本部地区の簡易水道復旧三隅町古湊地区などの飲料水確保がまだできておらないので飲料水を確保してもらうようにしてもらいたい。  それから、依然として流木と瓦れきの山がもう見るも無残な状態にあるので、このために救援の人員を派遣して至急これを整理するようにしてもらいたい。  それから、仮設トイレや仮設住宅が非常に不足しているので、仮設の住宅等の増設と仮設トイレを建設してもらいたい。  それから、学校教育施設の復旧についてはもう質問が幾度かありましたので結構でございます。  それから、二次災害防止の対策として、三隅大橋上流の右岸と益田川堀川橋の上流右岸など欠壊個所について早急に仮堤防をつくってもらいたい、そして二次災害の防止に努めてもらいたいということがございますので、査定も大蔵省も協力して早めて、これらのことを至急に措置をしてもらいたい、こういう要望地元から来ております。  もう時間もございませんので、とりあえずこの医療と、飲料水と、流木と瓦れきの整理のための応援、それから仮設トイレと仮設住宅の問題、この四つだけ簡単に答えてくれませんか、関係省庁、時間がありませんので。
  170. 野崎貞彦

    ○野崎説明員 防疫活動につきましては、災害防疫実施要綱についてやっておりますが、御指摘の一部について交通事情、滞留物の処理等の関係からおくれておる部分がございますが、早急にやりたいと考えております。
  171. 柳沢健一郎

    ○柳沢説明員 医療の確保といたしまして、巡回診療でございますけれども、現在県立中央病院等を初めといたしました巡回診療班が活動をしております。これらにつきましては、今後とも活動をされる予定でございます。
  172. 森下忠幸

    ○森下説明員 益田市の簡易水道関係でございますが、浅井戸が一つつぶれてしまいましたものですから、これの復旧をいたしまして、八月三日には新しい井戸が掘れまして、揚水のテストをしております。それから配水管も大分傷んだわけでございますが、これは八月八日ごろ復旧できる。国道に埋めた部分についても、相当延長は長うございますけれども、大体その八日ごろ終わる。  全体的に益田の東部地区につきましては、十日までには給水ができるという情報でございますけれども、さらにこれを一日も早く通水できるように支援あるいは指導してまいりたいと考えております。  それから三隅町でございますが、これは橋梁に添架した部分で破損しておりますが、一両日中に給水ができるという予定になっております。  それから浜田市、三隅関係土砂、瓦れきの関係でございますが、廃棄物の処理ということになりますと、三隅町におきましては大体五〇%程度いま片づいております。車両もいま一日百四台ほど入っておりますが、ほかの作業用の車両の関係とか輸送車両等の交通の問題もありまして、必ずしも効率的な作業ができておりませんが、台数は十分入っております。  それから浜田市につきましては、おおむねこの瓦れきの処理は終了しております。  それから飲料水の供給につきましては、関係市町村あるいは自衛隊の応援を得まして、いまのところ不便なくやっていただいております。
  173. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 仮設住宅でございますが、災害救助法適用地のうち比較的被害が小さかった市町村につきましては、すでに仮設住宅の中身といいますか、数が決まりまして着工に入っておりますけれども、大規模な災害でございました益田市、三隅町につきましては、現在県におきまして調整中でございまして、早い機会に決めて早く着工して入居者を入れたいというふうに考えております。  それから仮設トイレの関係でございますけれども、避難所を設置しておりまして、その便所の活用とともに、足りない分につきましては仮設の便所も導入しております。三隅町につきましてはそのほかに公衆便所をつくったというふうに聞いております。
  174. 林百郎

    ○林(百)委員 終わります。
  175. 池端清一

    ○池端委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後三時十八分散会