○加藤国務大臣
柴田先生の平素から
災害に熱心に取っ組んでいただいておる姿に心から敬意を表する一員でございますが、私も先般の二十三日の朝からの刻々の情勢を聞いておりまして、
現地の
被害の実情について大変心配をしておりました。
それとともに、果たして去年の長崎豪雨の
災害の教訓というものをわれわれはどの程度生かし、教訓として国民の生命財産を守るようにしておったかということ等も考えてみまして、そこで一つはっきり申し上げられることは、こういう問題を踏まえまして、
昭和五十八年度予算におきまして急
傾斜地崩壊対策事業五カ年計画というものを新規に発足させたわけでございます。この計画を着実に推進していきたい、これも
政府として決意を新たにした一つのあらわれではないだろうか。これが一点でございます。
また、先般五月二十四日になると思いましたが、中央防災
会議を開きまして、いろいろこういう問題についての処置を徹底いたしたわけでございます。いろいろございますが、気象観測及び予警報体制の充実ということを一つの大きな柱にいたしております。また総合的な治水
対策の推進、あるいは
土砂災害対策の推進として、危険区域等の指定の促進、それから警戒避難体制の整備、この場合の警戒避難体制の整備はいろいろございますが、先ほど先生もおっしゃいました避難場所の確保、避難訓練の
実施等警戒避難体制の整備を図るようにする。その場合には、
土砂災害の危険
個所について標示板の設置とか、あるいは雨量計の設置、予警報等の
災害情報の伝達等を含んだ警戒避難体制の整備ということを決定いたしました。
また、
土砂災害防止施設等の整備の促進ということで、先ほど申し上げました急
傾斜地崩壊対策、治山事業等の一層の推進を申し上げておるわけであります。
また、危険区域における
住宅建設の制限、これも、危険
住宅の移転促進を図るとともに、そういう問題もやろう。五月二十四日の中央防災
会議において、総理が議長でございますが、この席でいま申し上げましたようなことは実は決定いたしております。厳しい財政情勢のもとでございますが、いま申し上げました決定に基づき、各
省庁相
協力してこういう
災害を防ごう。
ただ、先生がおっしゃいました、それは天災であるか人災であるか、これは二つにすぽっと割り切るべき問題であるか。今朝来申し上げましたように、
災害列島日本という感じを私は持っております。ある面で申し上げますと、狭い国土にたくさんの人間が住んでおる。そうすると、いろいろなところへ住むということが出てくる。しかし、国として、
政府としては、そういう
災害から国民の生命財産を守るというのが政治の一番基本である、こういう立場もあるわけでございますけれども、先祖伝来住んでおるところだからというので、こういう面もなかなか推進できない事情等もございまして、
災害が起こったときには、いかぬな、こう思うわけでございますが、そういう問題をもう少し強力にやらなくてはならぬのではないだろうか。人災か天災かと言われますと、足して二で割っていただいたような
災害であるというようにお考えいただく以外に方法はないのではないかというふうに思う次第でございます。