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1983-04-04 第98回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月四日(月曜日)    午前十時二十八分開会     ─────────────    委員の異動  四月二日     辞任         補欠選任      福田 宏一君     木村 睦男君      宮澤  弘君     岩動 道行君      森山 眞弓君     岩崎 純三君      近藤 忠孝君     山中 郁子君  四月四日     辞任         補欠選任      鶴岡  洋君     桑名 義治君      三木 忠雄君     塩出 啓典君      田  英夫君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         土屋 義彦君     理 事                 嶋崎  均君                 関口 恵造君                 長谷川 信君                 藤井 裕久君                 赤桐  操君                 矢田部 理君                 大川 清幸君                 立木  洋君                 伊藤 郁男君     委 員                 井上 吉夫君                 岩動 道行君                 板垣  正君                 岩崎 純三君                 大島 友治君                 長田 裕二君                 梶原  清君                 亀長 友義君                 木村 睦男君                 古賀雷四郎君                 後藤 正夫君                 坂元 親男君                 田沢 智治君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 谷川 寛三君                 林  寛子君                 藤井 孝男君                 村上 正邦君                 八木 一郎君                 粕谷 照美君                 勝又 武一君                 瀬谷 英行君                 寺田 熊雄君                 本岡 昭次君                 吉田 正雄君                 和田 静夫君                 太田 淳夫君                 桑名 義治君                 塩出 啓典君                 中野 鉄造君                 山中 郁子君                 田渕 哲也君                 秦   豊君                 野末 陳平君    国務大臣        内閣総理大臣   中曽根康弘君        法 務 大 臣  秦野  章君        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        文 部 大 臣  瀬戸山三男君        厚 生 大 臣  林  義郎君        農林水産大臣   金子 岩三君        通商産業大臣   山中 貞則君        郵 政 大 臣  桧垣徳太郎君        労 働 大 臣  大野  明君        建 設 大 臣  内海 英男君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    山本 幸雄君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖縄開発庁長        官)       丹羽 兵助君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       齋藤 邦吉君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官)  加藤 六月君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  谷川 和穗君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       塩崎  潤君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       安田 隆明君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  梶木 又三君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長内閣総        理大臣官房審議        室長       禿河 徹映君        内閣法制局長官  角田禮次郎君        内閣法制局第一        部長       味村  治君        内閣総理大臣官        房総務審議官   手塚 康夫君        警察庁警備局長  山田 英雄君        宮内庁次長    山本  悟君        皇室経済主管   勝山  亮君        行政管理庁長官        官房総務審議官  門田 英郎君        行政管理庁行政        管理局長     佐倉  尚君        防衛庁参事官   新井 弘一君        防衛庁参事官   西廣 整輝君        防衛庁参事官   友藤 一隆君        防衛庁長官官房        長        佐々 淳行君        防衛庁防衛局長  夏目 晴雄君        防衛庁経理局長  矢崎 新二君        防衛庁装備局長  木下 博生君        防衛施設庁長官  塩田  章君        防衛施設庁次長  森山  武君        防衛施設庁総務        部長       伊藤 参午君        経済企画庁調整        局審議官内閣        審議官      横溝 雅夫君        経済企画庁調査        局長       廣江 運弘君        科学技術庁研究        調整局長     加藤 泰丸君        環境庁自然保護        局長       山崎  圭君        国土庁長官官房        会計課長     金湖 恒隆君        法務省刑事局長  前田  宏君        法務省入国管理        局長       田中 常雄君        外務省アジア局        長        橋本  恕君        外務省北米局長  北村  汎君        外務省欧亜局長  加藤 吉弥君        外務省中近東ア        フリカ局長    波多野敬雄君        外務省経済局長  村田 良平君        外務省経済協力        局長       柳  健一君        外務省条約局長  栗山 尚一君        外務省国際連合        局長       門田 省三君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        高倉  建君        大蔵省主計局長  山口 光秀君        大蔵省主税局長  梅澤 節男君        大蔵省理財局長  加藤 隆司君        大蔵省銀行局長  宮本 保孝君        大蔵省国際金融        局長       大場 智満君        文部省初等中等        教育局長     鈴木  勲君        厚生省年金局長  山口新一郎君        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産省経済        局長       佐野 宏哉君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        食糧庁長官    渡邊 五郎君        林野庁長官    秋山 智英君        通商産業大臣官        房審議官     斎藤 成雄君        通商産業省通商        政策局次長    山田 勝久君        通商産業省貿易        局長       福川 伸次君        通商産業省機械        情報産業局長   志賀  学君        資源エネルギー        庁長官      豊島  格君        運輸政務次官   関谷 勝嗣君        海上保安庁長官  永井  浩君        郵政省電気通信        政策局長     小山 森也君        労働省婦人少年        局長       赤松 良子君        労働省職業安定        局長       谷口 隆志君        建設大臣官房長  豊蔵  一君        建設大臣官房会        計課長      牧野  徹君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局選        挙部長      岩田  脩君    事務局側        常任委員会専門        員        桐澤  猛君    参考人        日本銀行総裁   前川 春雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和五十八年度一般会計予算内閣提出衆議院送付) ○昭和五十八年度特別会計予算内閣提出衆議院送付) ○昭和五十八年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算昭和五十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。     ─────────────
  3. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  昭和五十八年度総予算案審査のため、本日の委員会日本銀行総裁前川春雄君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) それでは、これより寺田熊雄君の締めくくり総括質疑を行います。寺田君。
  6. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 日銀総裁大変御苦労さまです。  景気見通しについては、大別いたしますと悲観論楽観論とがあるようであります。総裁は、前回この予算委員会の席上、見通しの困難について意見をお述べになりましたが、総裁としては景気見通しについては楽観論をおとりになりますか、それともやっぱり悲観論者でしょうか。その点をお伺いしたいんです。  それから、いずれの説をとるにせよ、金融政策出番というのが近い将来あるんでしょうか、また、その効果はどの程度のものなんでしょうか。それをお伺いしたいと思います。
  7. 前川春雄

    参考人前川春雄君) 景気の現状は毎々申し上げておりまするように停滞傾向が続いておるわけでございまするが、先行きやはり悪い材料といい材料とが両方ございまして、なかなか判断のむずかしいところだと思います。  ただ、いい材料の中で、たとえば海外景気がだんだんよくなるだろう、油の値段が下がったということ、それからインフレが全体としておさまってまいりましたので、世界的に金利がだんだん下がっていくだろうというようなことを総合して判断いたしますると、これから先行きさらに落ち込むということではなくて、どちらかと申しますれば明るい方ではないかというふうに私は判断しております。ただ、そのテンポは余り早いものではないのではないかという感じがしておりまするけれども、必ずしも悲観論ではございません。
  8. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 金融政策出番がございますか。
  9. 前川春雄

    参考人前川春雄君) 失礼いたしました。  いまのようにインフレが安定して、おさまってきておるわけでございまするから、景気にいい方に作用する政策はとれればとった方がいいというふうに判断しております。金融面におきましても、いまのインフレ率から申しますると金利を下げる余地はあるだろうというふうに思います。ただ、それをとりますときに、その悪い方の効果影響ということも十分判断しなきゃならないものでございまするから、その辺を判断して対応しなければいけないというふうに考えております。  その効果はどうかということでございました。金利水準金利が全体として下がりますれば、企業としてはそれだけ金融費用が少なくて済むわけでございまするから、それが回り回って企業収益をよくし、新しい設備投資その他住宅等もいいかもしれませんが、そういうふうな景気全体をよくする方向に作用するであろうというふうに思います。ただ、金融政策効果財政政策のように需要を直接つくり出すものではございませんので、どうしても間接的な効果金利機能を通ずる間接的な効果でございまするから、その効果の及ぼすスピードは財政政策に劣るかもしれないというふうに思います。  また、金利全体が下がることが必要でございまするが、一つの問題は短期金利長期金利との関係でございます。短期金利の方は大体下がっていくと思いますが、長期金利の方は主として債券市場価格債券市場利回りは決まるものでございますから、短期金利が下がれば長期金利にも何ほどか影響するわけではございまするけれども長期資金の方の需給関係は、現在の日本では国債大量発行ということで需給が大きくゆがめられておる。そういうことから国債、あるいは金融債短期金利が下がっただけ下がるかどうかという点については、必ずしもそうだと断言できない環境にございます。ただ、長期金利が下がりませんと、金融機関といたしましては貸出金利を下げるためには預金金利がやはり下がらないといけない。長期金利が高どまりしておるときに預金金利を下げますと、どうしても資金長期資金の方へシフトしてしまうということがございまして、銀行としては預金がなかなか集まりにくいというような環境になるおそれがございます。そういう意味長期金利はやはり下がることが全体の金利効果経済全体に及ぼすためには必要であろうというふうに思っております。  以上でございます。
  10. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いまの総裁の御説を拝聴いたしますと同時に、前回のこの委員会和田議員の質問にお答えになりまして、公定歩合引き下げについて慎重な態度をおとりになっていらっしゃる理由として、円安を招くことの危惧、原油価格引き下げのメリットを滅殺するおそれ、その他いろいろお述べになりまして、長期金利引き下げに連動しない他の事情ということをおっしゃったのですが、いまお話しの公債の大量発行金融市場状況をゆがめている、そのために長期金利が下がりにくい、そのことを意味しておっしゃったのでしょうか、ちょっと。
  11. 前川春雄

    参考人前川春雄君) そのとおりでございます。
  12. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そういたしますと、国債大量発行は今後も持続いたしますので、近い将来に公定歩合引き下げるチャンスというものは論理的にはないようにもとれるのですが、それは別として、やはり公定歩合を下げる条件というのは生まれてはくるわけでしょうか、近い将来。
  13. 前川春雄

    参考人前川春雄君) 長期金利につきまして、先ほど申し上げましたように、いまこれは日本ばかりでございません、アメリカでもそうでございまするけれども長期金利がとかく下げ渋っておるわけでございます。その背景は、先ほど申し上げましたように、国債大量発行されるということが一つの大きな要因でございます。しかし、国債の市況を見ておりましても、そのときどきの市場状況だけではなくて、先行きに対する予測というものからやはり大きく左右されるわけでございます。また、最近では円相場が弱くなりますると債券価格が下がる、円相場が強くなりますると債券価格が上がる、つまり長期金利利回りが下がるというふうな現象が生まれてきております。それはやはりこういうふうに内外の資金移動が活発になってまいりましたので、円相場が上がってくるということが円に対する信頼というものがそこへ生まれてきて、海外から国内に対する投資がふえるという論理を考えておるのだというふうに思います。  そういうふうに市場の反応はそのときどきの状況でいろいろ変わりまするものですから、国債大量発行が続けば、長期金利は一概にもうこれ以上下がる見込みがないとも言い切れない。その辺のところは、もちろん国債大量発行がなければ、少なければ、それだけ長期資金需給にはいい影響がございまするけれども、それだけで長期金利はもう下がらないとも断言できない環境にあるというふうに思っております。
  14. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 最後にお伺いしたいのは、サラ金の問題なんですが、これは最近サラ金に対する都銀や、あるいは生保の進出、貸付金なんかの増加ということがときどき喧伝されております。銀行局長大蔵委員会でその額は大体千八百億円程度というふうに答弁なさっていらっしゃるのですが、最近業界第一位の武富士、それから第二位のプロミスは出しておらぬようですから、第三位のアコム、この二つの有価証券報告書を調べてみますと、正規の貸付金というのは都銀生保はほとんどないようですね。ところがダミーといいますか、たとえば武富士の場合は株式会社東輝リースというペーパーカンパニーをつくりまして、そのペーパーカンパニーを通して八百九十億も融資をしておる。それからアコムの場合もやはり同じように、これは後で名称申しますが、子会社を通じましてこれは一千億円以上の融資をしておる。その利息の安さなどを見ますと、やはり都銀生保からの資金と見ざるを得ないわけですね。  こういう公共機関である都銀とか生保とかというようなものが、いま問題になっておる社会悪現象の原因にもなっておるサラ金に対して、そんなにダミーを通じて大量の資金を貸し出ししておる、社会悪を助長しておるというようなことは、公的機関としては少し折り目を外しておるのではないだろうか、そういうダミーを通しておるというのはモラルリスクを避けようという意図だろうと思うんですが、金融機関としては好ましくないと思うんですが、総裁の御意見いかがでしょう。
  15. 前川春雄

    参考人前川春雄君) 銀行がどこへ金融するかということは銀行の自主的な経営判断であろうというふうに思います。  日本銀行といたしまして、どういう業種がいい、どういう企業にはどうというふうに個々には指示をするのが適当だと思っておりません。銀行の自主的な経営判断というものは、もちろん銀行の社会的、公共的な使命からいって当然一定の限界があってしかるべきものだというふうに思っております。また、銀行はそういうふうな使命を持っておりまするので、健全性というものをぜひ念頭においた経営をしてもらわないといけない。したがいまして、その資産運用に当たりましては、預金者保護という見地から十分に健全なる資産運用をしてもらわないといけないということでございます。  そういう意味におきまして、いわゆるサラ金、直接ではないかもしれませんけれども、いまのお話のように間接でありましても、それは通常は金融機関融資は適当な担保をとって融資するものでございまするけれどもサラ金の場合にはあるいは個人向けの債権を引き当てにしておるのかもしれません。しかし実質的には無担保といってもいいものであろうと思います。そういう意味におきまして、資産運用健全性を確保するということから、銀行もおのずからそこには限界があろうというふうに思います。  ただ、それは銀行のあくまで自主的な経営判断であって、私どもはそれに対して、余り望ましいことではないと思いまするけれども、私どもの方からそれに対して指図するという立場にはないというふうに考えております。
  16. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 日銀総裁結構です。どうもありがとうございました。
  17. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 総裁、ありがとうございました。
  18. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 総理御存じのように、サラ金苦のために一家心中するような悲惨な事件が連日のように報道をされております。これは重大な社会問題と言えると思うんですが、総理はこれについてはどのような御所感を持っておられますか。
  19. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 新聞でときどき悲劇の記事を拝見いたしまして非常に胸を痛めておるところでもございます。ただ、社会的にそういう需要があることもまた厳然たる事実でございまして、そういう無担保庶民金融というものをどういうふうに合理的に解決するかという課題は消えてないというふうに思います。  現在、超党派的な議員提案によりまして貸し金業規制に関する立法が行われておりまして、これは現在の情勢にかんがみまして、各党である程度合意した、より厳重な監督をやるという規制内容を持っておりまして、現在の状態におきましてはこれを成立させるということは一歩前進ではないかと私は思いまして、その成立を期待している次第であります。
  20. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いま総理は超党派的な提案とおっしゃったんですが、これはやはり自民党と新自由クラブの提案なんですよね。衆議院においては余り問題点を論議しないで、あっという間に通過してしまいましたが、参議院ではいま非常に問題点は指摘されておるんです。  それで、特にその中の法的な制度の欠陥というのは、御承知のように利息制限法をどの程度生かしていくかという問題点があるんです。それで、最高裁判所経済的な弱者を保護するためにやはり利息制限法サラ金の分野にも適用するという判例昭和三十九年から確立して、もうすでに二十年近くその判例が生きてきているんですね。そうして経済的な弱者を救済してきたんです。  ところが、この自民党案なるものはその最高裁判所判例を没にしてしまって、サラ金業者は自由に利息制限法を超えた利息をとってもいいという効果を持つようなおそるべき麻薬的な内容を持つわけですね。それから、利息を下げるといいましても、いま現に武富士なんかは御承知のように大体四〇%ぐらいで貸しておるんですね。ところが、その案は七三%を三年間やって、そのときに五四%にして、これを半永久的にやろうとしているわけですよ。これで前進と言えますか。
  21. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は内容をよく知悉しておりませんが、前に聞いたときの話ですと、利息制限法と出資法との間をどういうふうに調整するか、そういうことがいろいろ論議の主題になったやに聞いております。  それで、目標とするところは、現在のものを日歩三十銭ぐらいに一応する、それをさらに最終的には十銭何ぼまで下げる、その間に過渡的措置として二十銭にし十五銭にする、そういうような段階的な方法で現実に適応しながら、ともかくいまの高い利子というものを下げていこう、それから届け出制度によって業者規制を厳重にしよう、そういうふうなことがあるので、いまのように放置されている情勢から見れば、これは大きな一歩の前進ではないか、私はそう考えておりました。
  22. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 総理余り御存じないのは無理もない。だから、余りいじめるつもりはないのですが、いまはもう届け出制なんです。法案は登録制にしようというんですね。ですから、そういう点の認識もちょっとまあ是正してもらわにゃいかぬのですよ。それは五四%という十五銭というのも、はっきりと日を決めるというのじゃなくて、業者に対しては、これははっきり日が決まっていないのだから安心しなさいと言って、業者をなだめているような状態なんですよね。委員会のその審議に出ているわけですね。だから総理も、そういう何といいますか、お聞きになっている点は相当やっぱり改めていただかなければいけません。  それはまあ第二として、先ほども申し上げましたように、業界第一の武富士、三位のアコムなんか調べてみますと、これはいずれも同族会社ですね。ほとんど同族で五十何%という資本を持っておる。それがアコムに至っては会社設立後まだ三、四年しかたっていないのに、あっという間もなく何百という店舗を持ち、二千億円もの融資を得て、そういうふうな同じぐらいの貸し出しをしておる。そういうような秘密を私ども有価証券報告書から探り出してみますと、金融機関がやはり現在の社会悪サラ金社会悪ですね、これを考えて、あんまりモラルリスクを冒したくないというので匿名でやりたいわけですよね。  そこで、先ほど申しましたように、業界第一の武富士の場合は株式会社東輝リースという、場所はどこにあるかというと、その武富士の本店の中にある。職員の数も定かでない。資本金わずかに一千万円である。それが何と八百九十億も武富士融資しておる。資本金一千万円のほとんど財産のない会社が、どうして八百九十億円もの巨額の金を武富士融資できますか。それはやはりトンネル会社でやって、都銀やそれから生保資金を供与しているということを考える以外にない。アコムも同じく、子会社のマルイト、エヌエスケイ信販、これがそれぞれ四百五十六億と五百九十五億、合計して一千五十億円もの融資アコムにやっているわけですね。この借入金の相当、もう四〇%ぐらいのパーセンテージをこういう子会社が生保都銀から受けて、それをサラ金業者融資しておる。ですから、いかに急成長し、もうかるかという、そこの秘密が当然解明されなければならない。  総理、この間福岡県にいらっしゃったでしょう。福岡県の知事さんが何か八億の公舎をつくったという大変指弾を受けていますが、武富士の社長などはその何倍もの、最近三十八億の豪邸をつくったと。一夜のうちに大森林ができたというような、これは「FOCUS」という、これはわりあいに的を射た、焦点を射たものが出て、おもしろい雑誌だけれども、これごらんください。(資料を手渡す)どうですか。都銀生保というような公共的な機関がダミーを通して秘密裏にサラ金業者資金を供与して、それがまた社会悪の原因になっているというようなことは、これはどういうふうに思われますか。
  23. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は個人の行動や資産のことは余りよく知りませんが、いまの知事の公舎の問題は、私は調べてみましたら五億九千万円でできている。ところが、それは公舎全体で、その中には迎賓館みたいに使うところ、会議場に使うところ、それから運転手、秘書の家、ガレージ、それから知事の住むところ。知事の住むところは一億五千万かかっているんです。大部分は、メインホールというようなものは、ちょうど総理官邸と同じで、迎賓館的に、ムバラク大統領が来たら晩さん会やるとか、あるいは閣議をやるとか、委員会や審議会に使うとか、そういう場所に使われるので、それ全体を豪華な家というふうに宣伝されたのは非常に私はかわいそうだと思いました。実際は一億五千万のところに住むと、そういうことになっておるので、私、総理官邸に住んでいるのを見まして、知事さんもあらぬ誤解を受けて気の毒だなと。いまの知事公舎というのは大正元年にできて七十年間使ってきたものだと。今度つくったものを七十年間使う、こういうことになれば、よくあのころつくったなと、そう言われるものじゃないかと思うんです。  これを個人の財産にするとか、知事の名前で登記するというのはこれは大問題ですけれども、これは県の財産であり、どうせ知事はそんなに長くやらないので、一期で終わるでしょうから、後の知事さんが、また代々知事さんが使うので、県民の財産ですからね。だから福岡県ぐらいの大県で、国際性をあれだけ持ってきた県だとすると、あの程度はまあ認めてやるべきではないかと。県の監査請求があって監査も行われましたが、問題ないと、そういうことにもなっておるようです。ですから、これはまあ見方の基準によって、人によって考え方が違うんではないかと思うんです。  個人の家の問題は、私はよく調べてもおりませんから論及できませんが、個人があんまり豪華な家に住むことは私の趣味としてはありません。
  24. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これは、裁判常識ではそういうのを傍論と言うんです。つまり本質的な議論をはみ出したものを傍論と言うんです。あなたの答弁は傍論ばかりです。いまのサラ金融資のことをお伺いしているんです。これが公的機関として妥当かどうかということをお伺いしているんです。
  25. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いま寺田委員御指摘になりましたように、いま参議院で継続して御審議いただいているのは、自由民主党と新自由クラブ提案のものでございます。八十七国会、八十八国会、九十一国会と、これはまさに各党から法案を提出していただきまして、いろいろ議論してみました。当時、私も大蔵大臣、前の大蔵大臣の時代でございます。したがって、それを一遍継続審議にして、各党の代表者を出して、そこでいろんな議論を詰めてみようというところから、いろんな経過を経まして今日に至っておるわけでございますが、その際も、いま委員御指摘になりましたとおり、最高裁の判例の趣旨を否定する規定を設けることは、庶民の高利に対抗する手段を失わせるではないかと、こういう議論が中心でもございました。  それから、出資法の上限金利について時期を明示しろと。いまおっしゃいましたように、当分はこうだというような形でなしに。そういう議論が焦点になっておりました。  いずれにしましても、その法案が各党の専門家の方で御協議いただいて、いま御審議のさなかでございますので、私どもは一歩前進として、これを成立することを御期待申し上げておる、こういう段階にあるわけであります。  したがって、一方、今度は本質論になりますと、事実わが国の銀行生保含めて金融機関というものは、基本的には投資家保護、預金者保護、被保険者保護、これがまあ世界で一番すばらしくよく位置づけされているんじゃないか。だから免許事業であるわけです。  しかし一方、社会的責任の中でそれを、自由とは申せどういうところへ、さればその投資家、預金者のより有利な利回りを確保するために融資していくか、こういうことになりますと、戦後の歴史から言えば、委員にたしか大蔵委員会銀行局長でございましたか、お答えしておりました、いわば企業優先になりがちでございましたと。やっぱりこうなれば、いわゆる個人に対する融資ということに心がけて、住宅ローン等がずっと伸展してまいりましたものの、もっともっと個人融資の方に配慮をしなきゃならぬと。だから、本来それが徹底しておれば、いま委員の御指摘のようなサラ金というようなものの介在自体がなくて済んだではないかと、まあ極端に言えば。そういう点は私どもも理解しております。  一方、正規な金融機関が国民のニーズにこたえてその社会的責任を全うするために、そういう分野への配慮をしていくようにということを指導し、期待をかけながら、一方、いま総理からもお答えがありました、いろいろな社会問題等を惹起する、その弊害が逐次半歩でも一歩でも是正されていく方向と、両面からこれに対応していかなければならない課題ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  26. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いまの大蔵大臣の御答弁はある程度良心的だというふうに私は考えますね。それは、いま本当に金融機関が個人金融、消費者金融にもっと力を入れておれば、こんなにサラ金をはびこらせなくてもよかったんじゃなかろうかと。その点は確かにそうなんだとおっしゃった点は、これは私、大蔵官僚などは本当にもっとよく考えて反省をしてもらいたいところなんですね。確かにあなた方の御努力もありまして、住宅ローンのシェアというものは、全体の住宅金融の中で銀行ローンは三〇%を超えていますね、いま。ですから、もう少しあなた方の御指導が個人金融、消費者金融の方に向いて金融機関を御指導になっておれば、今日のようなサラ金の被害は食いとめ得たかもしれません。  それともう一つは、金融機関サラ金に対する貸し出しを考える場合に、何か大蔵省の方はかつては自粛を求めた口頭指導をしているわけですね。それが何か最近ちょっと方向転換をしたように思えるわけですよ。ところが、相銀や信金などの中にも、たとえば信金の全国組合長の小原さんという方がいらっしゃるでしょう。あの方などは、サラ金というものは麻薬みたいなものだと。だから、需要はあるだろうけれども、そういう麻薬みたいなものに公的な使命を持つ金融機関は絶対に融資すべきでないと、非常に道徳的な立場を堅持していらっしゃるわけですね。  ところが、最近の金融機関は、もうかればいいということでダミーを使って一社に一千億、片一方の方には八百九十億というような巨額の融資をするというようなことは、これはやはり折り目正しい態度とは言えないでしょう。ですからもう少し、過去において大蔵省が金融機関に対して個人金融、消費者金融に対する指導が足りなかったということを真剣に反省なさって、この方面にもっと抑制的な行政指導をなさるように希望したいわけです。というのは、いま一歩前進というサラ金法案が通れば、なおさらサラ金業者はふえてきます。現に通ることを見越して五十七年度には年間一万四千件も届け出があるんです。ですから、これはもう最高裁の判例が取り除かれたと、障害は何もないということでどんどんどんどんサラ金業者になっていく、銀行がそれをバックアップするということになると、このサラ金社会悪は一層拡大しますよ。いかがですか。
  27. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 要するに、いままである程度潜在化しておったものが、顕在化することによって社会的監視の中に置かれる。この意味においては、私はプラスの面があると思います。しかし、かつては潜在化しておどおどしながらやっておったものが、公にやれる場合になったときによけいその悪が跳梁ばっこするではないか、こういう議論でございます。これがやっぱりサラ金問題を一番最初議論するところのベースにその議論が私はあったんじゃないか。それをもろもろの角度から御検討されて知恵を出して、それでいまいろんな意味で歩み寄りを、私から見れば期待をしておるわけでございますが、歩み寄りなり、相互相入れない、いま言ったグレーゾーンの問題とか、いろいろな議論をしていただいておる。だから、やはり私はこの法律がきちんとすることによりまして、それそのものの位置づけがきちんとすれば、そこにまた逆に、いま御指摘になっておりました社会的責任を持つ金融機関が、たびたび事務連絡等において指摘しておりますが、社会的批判を受けている行為を助長するおそれのある融資等についての自粛がなおのこと徹底するではなかろうか、そういう期待感も含めながらこれを見守っておるという現段階であります。
  28. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 くどいようですが、大蔵大臣、ダミーを通じてのああいう巨額な融資ですね、これはどうなさいますか。ほうっておきますか。
  29. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) そこのところが私は、金融機関のいわゆる融資先というものに対して一つの自由というものがあるわけでございますが、高金利による融資、過当な収益の追求その他利用者の利益を不当に害するとして社会的批判を受けている行為を助長するおそれのある融資が、いま御指摘になりましたダミーに対する融資であるとしたならば、まさにこれこそ自粛を図ってもらいたいその対象であろう。ただ、いま具体的に御指摘になりましたものが、それはまさに社会的批判を受けている行為を助長するダミーでございますという指摘は、私の方からすることはいかがなものかなというふうに思っております。  だから、一般論として、やはり社会的批判を受けている行為を助長するおそれのあるものということに対して自粛を図っていただくということでありますが、たまたま例示的にではございますが、御指摘のありましたものはまさにそれに該当するということを私からお答えするということは、まあ御勘弁いただける課題ではなかろうかというふうに思います。
  30. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 総理にお尋ねします。  総理、最近解散はしないということを盛んにおっしゃいますね。これは現時点では解散するに足る大義名分がないということを意味するんでしょうか。
  31. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は前から、衆議院議員というのは任期四年の期限をちゃんと持っておるのであって、任期満了が一番よろしいと。解散は考えておりません。
  32. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いま現に解散論がかなりやかましいんですよね。議員の中には解散をもう頭の中に入れて駆け出している人も多いわけですよね。それだから、やっぱり余り任期いっぱいやるのがあたりまえだというようなことで片づけ得ないものが現実に政治の世界にあるわけですよね。総理としてはどういう場合に解散をなし得るかというふうにお考えなんでしょうか、    〔委員長退席、理事長谷川信君着席〕 解散論一般について。
  33. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり不信任案が提出されて通過したときじゃないかと思うんです。
  34. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これは非常に憲法の勉強が足りないわけですよね。もうちょっと憲法を勉強していただきたい。  解散を憲法六十九条以外にもなし得るというのが憲法上の通説でして、これは法制局長官よく御存じでしょうから、総理余り御存じないようです、成りかわって、六十九条以外に解散をなし得ると普通学説上言われている幾多のあれを、理由ですか、言ってください。
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 苫米地訴訟というものがあったのを私は知っておりますが、いいことを教えていただきましてありがとうございました。
  36. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 長官
  37. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 憲法上どういう場合に解散をなし得るかということについては、当初はいわゆる六十九条に定められている場合に限りというような説もございましたけれども、今日におきましては、六十九条に定められている場合以外に、一定の政治的な理由がある場合には解散をなし得るということについては、学説においても、また慣行においても確立していると思います。  しからば、どういう場合にそういう政治的理由があるかということについては、これはいろいろな理由があると思いますが、要するに解散というのは内閣が国民に改めてその民意を問うというところに本質があると思いますから、そういう理由がある場合には、内閣判断において解散をなし得る、こういうふうに言うべきだと思います。
  38. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 結局いままで解散論が同時選挙を目指して動いていました理由の一つに、これは田中角榮氏に対する判決が年末にはある、これはほぼ裁判所の訴訟指揮によって確実となりました。これが有罪判決が大体専門家の間ではほぼ予想されるところなんですが、その場合には田中角榮氏自身が有罪判決を受けて選挙をするということの困難さというものを当然考えるでしょうし、田中派の皆さんもやはり自分たちのキャップが破廉恥罪で有罪判決を受けたのだということでは、ちょっと選挙がやりにくいのじゃないかということは当然常識上考えられますね。そこで、判決前に早く解散をという意図が動いていたように一般的には報ぜられておりました。  総理は、解散のことも考えない、任期いっぱいやるのだということをおっしゃるその視野の中には、田中判決の問題は入っていなかったわけですか。
  39. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 裁判所、司法部の方で行われていることは、私には眼中にありません。
  40. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 眼中にないとはどういうことですか。私が伺っているのは、解散論を考える場合に、その問題はあなたの頭の中に去来したことはなかったのか、全くらち外にあったのかということをお伺いしているわけですよ。
  41. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 全く去来したことはありません。
  42. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 男女不平等撤廃条約、これがもう大体八五年までに批准をしなきゃならぬ。批准を予定して外務省の方で国内の法制の整備に当たっていらっしゃると思うんですが、いま外務省として特に着目してこれだけ改めたいという点はどこにありますか。
  43. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) できるだけ早く批准をしたいということで、いま鋭意準備をいたしております。  問題点については政府委員から答弁させます。
  44. 門田省三

    政府委員門田省三君) お答え申し上げます。  この婦人差別撤廃条約を批准するための必要な国内体制の整備を行うに当たりまして、わが国において特に関係のございますのは、国籍、教育、雇用、労働、社会保障等の分野におきますところの男女平等原則を確保するための国内法制等の整備であろう、かように考えております。
  45. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 具体的に言うてください、どの法制。
  46. 門田省三

    政府委員門田省三君) お答え申し上げます。  国籍につきましては、国籍法における子の国籍に関する父系主義。教育につきましては、学習指導要領で高等学校における家庭科の履修を、女子については必修、男子については選択といたしておりますこと。労働につきましては、採用、昇進等における男女平等を確保するための措置をとる必要があること、また、労働基準法等におきまして、女子について深夜労働の禁止等特別な保護措置を設けていることがございます。社会保障につきましては、厚生年金法において老齢年金の支給開始年齢を男子は六十歳、女子は五十五歳としていること等が考えられます。
  47. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 この学習指導要領の方では文部大臣、これを改める御意図があるのでしょうか。
  48. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 学習指導要領、特に高等学校の場合、女子については家庭一般について必修科目になっておるわけでございます。男子については選択してやってもよろしい、こういう点があるわけですが、いまお話しの条約の第十条の(b)項というのですか、「同一の教育課程」というものに該当するおそれがある、こういうことが問題になっておるわけでございます。ただ、これはいまのように早く承認しなきゃならないという状態になっておりますから、慎重に検討しなきゃならないと思いますが、諸外国の扱い等も見ながら慎重に検討しなきゃならないと思います。  こういう問題は、私の考えではやはりその国の風土、習慣というものがありますから、これを差別になるのかどうなのか、またこれを男女同じように履修させるようにした方が実際人間の生活上、社会構成上、いいのかどうなのか、慎重に検討しなければならないと思っておりますが、いずれにしてもこの条約を承認するという段階になりますれば、条約とそごしないような方向で検討をしなければならない、かように考えております。
  49. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いまの点、外務大臣いかがですか。
  50. 門田省三

    政府委員門田省三君) ただいま関係省と事務的な協議を取り進めておりますので、その関係から政府委員から御説明さしていただきたいと思います。  これまで検討いたしておりますところで、高等学校におきます科目である家庭一般の問題が、女子のみに必修となっているということにつきましては、私ども外務省として条約を解釈する立場におきましては、このような措置が条約上許容されると考えるのはむずかしいのではないか、かように考えているところでございます。  また、中学校の科目でございます技術・家庭につきましては、主たる履修内容が男子と女子とでは大幅に異なっているということがございますが、この点も本条約上問題があるのではないかと考えられるというふうに存じております。
  51. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 文部大臣、文部省はかなり抵抗しているんですよ、この問題。だけれども、文部大臣のおっしゃったように一国の伝統というような問題、これはやはり条約の中に前文の末尾で押さえてあるわけです。「社会及び家庭における男子の伝統的役割及び婦人の役割の変更が、男女間の完全な平等の達成に必要であることを認識し、」という一文があるんです。ですから、余り従来の伝統、実情というようなものを考慮なさると条約違反になるんです。いかがでしょうか。
  52. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私はこういう考えを持っておる、まだ結論じゃありませんから。人間の平等――男女平等その他いろいろ人間の平等という問題がありますが、その平等の際に、同一でなければならないというような意味にとられる向きが相当にあると思います。  よけいなことでありますけれども、人間の平等が先生も生徒も平等なんだ、同一なんだというような観念にすりかえるというんじゃなくて、誤解するというんでしょうか、それが社会生活上非常におかしな結果になるという現象が頭に浮かぶものですから、文字どおり一体そういうふうにするのが本当の意味の人間の幸せにつながるのであるのか。家庭、社会全般を見てどういうあり方が本当の平等であり、幸せになるのかということを文殊の知恵だけでなしに考えなければならない、こういう考えを持っておるわけでございまして、この条約の条文とそれがどうマッチするか、こういうことを慎重に考えたい、こういうことでございます。
  53. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これはもう外務省のいまの局長の意見は、条約の解釈上許されないと言うし、あなたは考えたいと言うので、あくまでもがんばっていらっしゃるんですが、これはやっぱり両省間の対立は何とか調整しなければいかぬのじゃないでしょうかね。総理、どんなふうにお考えになりますか。
  54. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この問題はよく慎重に考えていただきたい、そう思っております。
  55. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 どちらが慎重に考えるんですか。
  56. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 西田哲学の有名な西田幾多郎先生が、自由、平等、博愛ということに対して、自由の背後に責任あり、平等の背後に差等あり、そういう言葉を言ったのを私、昔、本で読みました。やはり自由の背後に責任というものがなければ本当の自由は成立しない、平等と言っても悪平等は本当の平等ではないんだと。人間おのおの天から与えられた生理的機能もあるし、職分というものがあるであろうと。そういう意味において、その人間が持っておる本能的な情緒とか望みというものはやはり性によって違うものがあると思うんです。  ですから、けさの新聞を読んでみますと、日本の女性と外国の女性とではずいぶん違います。日 本の女性は財布を握るのが非常にたくましいと。家計はほとんど女性が七十何%握っているけれども、しかし女は女らしく、男は男らしく育つべきであるというのが日本の女性の七〇%はそういうことであると総理府の統計で示しておりました。これはやはり日本の風土に根差した一つのものがあり、そういう一つのインスティチューションがあるから日本というものの安定性もあるんではないかと思うんです。そういう意味において、やはりこういう問題はその国の風土や歴史や慣習も考えて、しかも国連で決めた方向を目指しつつ慎重に考えるべきである、そういう意味で申し上げているのであります。
  57. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 総理の御所論は差別存続論の方にやや傾いていますね。  それではちょっとお伺いしたいんですが、年金の問題で、いま厚生年金では女子は五十五歳から給付が開始される。男子は六十歳ですね。年金の統合の場合に、男女の差別があってはいけないということで差別を撤廃しようという条約の趣旨でしょう。それを、何かいま総理の言うように悪平等の考え方で、女子の年金の給付開始年齢を引き上げて男子と同じにしようというようなことは、これは私は許されないと思う。差別を撤廃しようとしているのに、男子よりも女子が差別されて悪い条件にあるのを改めようというのを、あなた方は何か聞くところによると、男女の差別があってはいけないという形式的な差別撤廃論から、女子の給付開始年齢を男子と同じにして条件を悪化させようというような意図も働いているように聞くのですが、厚生大臣いかがでしょう。
  58. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 先生御指摘のとおり、現在の女子の老齢年金の支給開始年齢は五十五歳で、男子より五歳早くなっております。これは、昭和二十九年に厚生年金法を改正いたしましたときに、その当時の事情として女子の就業機会はまだ少ない、それから女子の年金については通算措置がとられてない等の事由がございますから、女子については五年早くしてもという形で決めたのがいま続いているところの制度でございます。  しかし、昨今では定年年齢の格差も縮小してきておるというような実態がありますし、女子の雇用状況というのは非常に進んできている。女子の社会的な進出というものも出てきておる。男子に比べて女子の平均寿命は長いということもございます。それからもう一つは、共済年金が男子と女子とは同じところでもらうようにしよう、こういうふうなことで段階的に六十歳へ持っていく、こういうふうなことをいまやっておりますから、年金の支給開始年齢を一緒にするというか、私はむしろ六十歳までに引き上げていくということが国際的に見てやっぱり妥当な方向ではないかと思っているんです。諸外国、特に先進諸国の年金制度を見ますと、五十五歳というのはちょっとないわけでございまして、人口の老齢化現象その他が進みますと、やっぱり六十歳以上ということを考えていかなければならないんではないかというふうに、いまいろいろと議論をされているところでございます。  いずれにいたしましても、この問題は今後の年金制度のあり方における一つの大きな問題でございますから、いろんな点を含めて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  59. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 総理は先ほど、いまの文部省の学習指導要領に関しては、どちらかというと差別存続のような御意見を述べられたんですが、あなたはフェミニストかどうか、そこまでは私存じ上げておらぬけれども、女子の非常ないま生活上の長い間続いた権利、これを男子との平等という形式論理から奪って、この条件を非常に悪化させるということは私は政治としてはとるべきでないと思うんですが、あなたはどうお考えになりますか。
  60. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いまの年金の問題等は社会制度一つでございまして、それはほかとの均衡問題あるいは年金財政の問題、定年の問題、そういういろんな要素でこれは考えられるべきもので、一律に何がいいということは言えない。すべて相対的にあるバランス感覚を持って決められていくべき問題だろうと思います。  しかし、一般論として私が先ほど申し上げましたのは、やはり男は男らしく、女は女らしく、しかもその中に国連が決めた一つの理想を持ってそれをうまく調節しつつ進むべきであろう。外国――アメリカあたりはフェミニストで女性尊重ということが非常に言われているようでありますが、実際アメリカの家庭の内部へ入ってみますと、必ずしもそうでもないんですね。それで、たとえばアメリカの男どもが集まったところへ行ってみますと、徴兵制度をやっていましたけれども、男女平等、ウーマンリブというんなら女も徴兵に出ろと、それならウーマンリブも男女平等もやろうじゃないかと、男が酒を飲んだときに言ったのを私、聞いたことがあります。そういう議論もアメリカの内部にはあるというのでありまして、男も女もみんな相当うっぷんを持っているのじゃないかと思います。それをいかにうまく調節していくかということは、その国その国によって社会制度やバランスを考えて逐次前進していくべきものではないかと思います。
  61. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大蔵大臣にお伺いしますが、景気対策上一つの検討事項として減税をこれから考えていくという政府の発表のようでありますが、そうなるとおのずから規模も決まってくるのじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  62. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 検討すべき課題という中に、減税問題というのが入っておることは御指摘のとおりであります。それで、しかも与野党合意の中にはいま委員御指摘のようなお言葉が入っておるわけであります。「景気浮揚に役立つ相当規模の減税を実施するための財源を確保し、」云々と、こうなっております。そうなると、財源の問題を考えてみますと、たとえばそれを赤字公債に求めたといたしますならば、金融市場を圧迫して金利の上昇等をもたらした場合、結果としていわゆる景気浮揚のマイナス効果ということになるということになりますと、やはりそこに財源問題をネグって景気浮揚というだけの単なる数値でもってこれをあらわすこともむずかしいのじゃないか。したがってこれこそ予算が通過、成立さしていただきましたという前提において申しますならば、やはり五十七年度の決算が確定する七月というようなものが、いわば時期、規模等について議論する一つの時期として考えるべきではなかろうかと、こういう考え方でございます。
  63. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 時期の点はそうかもしれませんが、これは景気浮揚に少なくとも効果を持つような減税ということになりますと、これは経企庁長官、あなた何かえらい精神的なものというようなことでかわされたようですが、おのずから数字的にも下限は出てくるでしょう。
  64. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 減税の規模等について私が申し上げましたのは、景気浮揚という意味は、これはもう経済的な、質的な概念であろうと、これは数量的な概念でございませんので、やはり経済的な観念から、おのずから決まりますところの景気浮揚、そこから財源等の兼ね合いを考えながら出てくるものであろうと、こういうふうに申し上げ、またいまでもそういうふうに考えております。
  65. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 規模は。
  66. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 規模については、いま申し上げましたように、数量的にはなかなか表現できないわけでございまして、「景気浮揚に役立つ」、こういうところから判断するしかないと考えております。
  67. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると大蔵大臣としては、赤字公債による減税という手法はもう全くとらないわけですね。
  68. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これはやはり景気浮揚に役立つ減税を実施するための財源と、こう書いてありますと、やはり景気浮揚というものに対しては一番マイナス効果のあるものではないかという認識の上に立った場合に、それを念頭に置いて議論をすべきではないというふうに考えております。
  69. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうしますと、これはもう節約にもおのずから限度がありますし、それからいま自然増、税収の自然増を期待し得る環境にはないようですから、ですからどうしたって既存の税目の税率を上げるというようなことしか考えられないでしょう。新税を起こすということもどうでしょうかね。この点どんなふうにお考えになりますか。
  70. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) そこのところがまさに各党の代表者の方でございますから、そうした最高の政治的判断も加えてこのような表現をなされておるのであろうと思いますだけに、それこそ各方面の意見、また国会において行われた意見を土台にしながら、税制調査会等でこれから審議してもらう課題であると。だから、予見を持ってということで申し上げることの非常にむずかしい問題じゃないかというふうに考えております。
  71. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 経企庁長官はどのように考えますか。
  72. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 減税の問題は大蔵省が財源との関係で十分慎重に御検討していただけるものと信じております。
  73. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これはいま大蔵大臣としてはとても言えないわけですが、新税を起こすということ、それから既存の税の税率を上げるということ、これも決して排除するものではないというところまではお考えですか。
  74. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 新税を起こす、あるいは既存の税率の税率構造そのものに手をつけるとかいう問題もやっぱり予見のうちに入るのではないかと。やはりこの国会の場等で議論された問題を土台にして税制調査会であらゆる予見なしに、やはり恒久税制につながる問題でありますだけに、御議論をいただくべき課題ではないか。これは排除するとか、これは排除しないとかという位置づけをするべき性格ではないじゃないかなと、こういう考え方であります。
  75. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、それもやはり税制調査会にお諮りになるという意味ですか、任せるという意味ですか。
  76. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 任せるという言葉が適当であるかどうかは別といたしまして、税制調査会から御答申をいただくべき課題だというふうに考えております。
  77. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それから、さっき男女不平等撤廃条約のときに私触れなかったのですが、いまの皇室典範の第一条ですね。これは「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」とあって、これは公法関係だけれども、男女の差別というものをうたったもう象徴的な規定なのですよね。これはどうお考えになりますか。
  78. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 皇室典範の一条については、皇室典範制定当時、いわゆる女帝を認めるかどうかということでずいぶん議論のあったところだと承知しております。まあ、当時の政府の見解といたしましては、男系の男子が皇位を継承されるというのが、わが国の古来の伝統であって、その伝統を守るということで現在のような規定ができたというふうに承知しております。現在政府としてその皇室典範の規定を改正するというような考えは全く持っておりません。
  79. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いや、長官、伝統じゃないのですよ。これは日本古来の伝統から言いますと、日本は女の天皇があったのです。むしろその方が伝統だ。それから、これはまあ美濃部達吉博士が私どもの教授のときに、昔は、旧憲法の第十一条は、「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」というのがあった。白馬にまたがるのに女子の天皇じゃ白馬にまたがれないのだと、それはジョークだったかどうか知らぬけれども、そういうことを言ってわれわれも唖然としたことがある。いまエリザベス女王はこういうふうに横に座わられるのですね。これは女子であったからといって馬にまたがれない、乗れないことはない。だから、日本古来の伝統というようなことではちょっとやっぱり説明が不十分だと思うのですよ。
  80. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) よくそういうことが世の中で言われますけれども、かつてわが国において男系以外の女系の方が天皇になられたということは一切ないと思います。男系の中でも女子の方が、たまたま推古天皇だとか持統天皇など十代ばかりの方が、女子の方が天皇になっておられますけれども、それは特別の事情があったときに臨時例外的になられたのでありまして、その後はそのお子様が皇位につかれるというようなことはないわけでございますから、私が伝統と申し上げたのは少しも間違いでないと思います。
  81. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いや、長官は男系ということと、それから男系の場合の男子と女子の選択とを一緒にしておるから、そこが問題になる。男系のそれじゃ男子と女子の区別をとってしまってもいいわけでしょう。その点はどうお考えになりますか。
  82. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) とっていいかどうかということを私は議論で申し上げたつもりではございませんで、男系の女子の方でもきわめて例外的な場合になられたのであって、伝統としてはやはり男系の男子の方がなられるのが伝統であるというふうに申し上げたつもりです。  それから、将来それをどうするかということについては、これはまたいろいろの御議論があると思いますが、現在のところ政府としてはそれを、皇室典範の第一条を改正する考え方は持っておらないということをあわせて申し上げたわけであります。
  83. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これはいまの男女差別撤廃条約には違反しないという考え方ですか。
  84. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) その点については、まだ条約は批准しておりませんから、批准までの間に当然関係省庁といろいろ協議はしなければならないと思います。そういう意味で問題意識は持っておりますが、皇室典範の第一条を改正するという考え方はないということを前提として問題意識を持っておると、こういうつもりでございます。
  85. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これは宮内庁はどういう意見ですか。
  86. 山本悟

    政府委員山本悟君) ただいま法制局長官から御答弁がございましたように、ああいった経過をもちまして現行の皇室典範ができていると私どもも存じている次第でございます。したがいまして、またかつ現在は皇太子殿下を初め血統の近い男子の方がおられるわけでございまして、そういった面からいたしましてもいま直ちにこの問題について云々すべき必要性はないというように存じております。
  87. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それではその問題はひとまずおきまして、ソ連のグロムイコ第一副首相兼外相が去る二日、モスクワで記者会見を行いました。そしてINF交渉の暫定合意提案、これはアメリカの提案を拒否しました。そのときに、沖縄及び韓国にアメリカの核兵器がある、その核ミサイルはソ連に届くのだと、それに備えるためにSS20を極東に置く必要があるのだということを述べていますね。これは記者会見で総理も述べておられるようですが、もう一度総理のお考えを。
  88. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) グロムイコ外相の声明は、事実の認識はなはだ足らざるものがありまして、はなはだ失望した次第であります。わが国には核兵器はございません。また、持つ意思もございません。非核三原則を遵守するという意味で申し上げているわけでございます。沖縄で核兵器を撤去するために佐藤内閣がどれぐらい苦労したか。そしてついにその撤去に成功いたしました。自来、日本の列島、日本の領域の中におきましては核兵器というものはないのであります。それをあたかも沖縄あるいは本州等にもあるようなごとき言辞が行われましたということは、非常に事実認識が間違っていることでありまして、この点はわれわれはさらに正確に日本というものを見詰めてもらいたいと強く要請したいと思っております。
  89. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 問題は、ソ連に対してそれが説得力を持つかどうかの問題ですよ。つまりアメリカは核があるともないとも言明しないでしょう。この間、エンタープライズが来たときも、艦長に新聞社がマイクを突きつけても、それはペンタゴンの方で言うことだといって回答をしない。ないならないと言えるかというと、それも言えない。それからラロック退役海軍少将あるいはライシャワーさんでさえも、やっぱり核を持った艦船が入ってくることを前提にして、それはもう当然なんだというようなことを言っていらっしゃる。そういう責任がある地位にある者がそういうことを言われておるのと、もう一つはやはり核の存在ということはいま軍事常識になっているでしょう。あなた方も核に依存するのだと。核に依存して、核抑止力によって日本の安全保障を達成するのだと言っておられる。じゃ、その核は一体どこにあるのかと言うと、それはわからないということをおっしゃる。アメリカ本国かどこなんだと言ってもわからないわけでしょう。しかし、大体世界の軍事常識では、原子力潜水艦あるいは原子力空母は積んでいるのだというそういう前提に立っています。それからまたSIPRIの八〇年から八一年の「世界の軍事力」を読んでみますと、韓国におけるオネストジョン、これは韓国部隊に引き継いだが、引き継いだときに核弾頭を外したと書いてあります。そうすれば、核弾頭をそれまでは持っていたのだと、オネストジョンには核弾頭を装備しておったのだということが世界の権威ある軍事研究所、平和研究所、それにも肯定されているわけでしょう。だからあなたのようにアメリカを信頼しろと、だからソ連は間違っているといって説得力を持つと思いますか。
  90. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いま寺田さんが申された議論はもうここですいぶん論じ尽くされた議論でございまして、ラロック証言のときにもずいぶん国会でここで論ぜられましたし、それから非核三原則、特にイントロデュースという持ち込みの問題につきましても、ここで先日まで論ぜられたところで政府は明確に答弁をし、安倍外務大臣はマンスフィールド大使にもこれをただして確認してきておるところでございます。そういう点もよくお考えいただきまして、日本には核兵器はございません。
  91. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いやいや、あれはイントロダクションじゃないのですよ。ライシャワーの言ったのはトランジットの問題ですよね。そういう責任ある人が言っておる。それをいやないのだと、アメリカを信用しろという、それであなたはございませんと言うが、それがソ連に対して説得力を持つかどうかという点を伺っているのですよ。
  92. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) グロムイコ外相の記者会見でこういうことを言っています。沖縄は核兵器の巨大基地であると、こんなことはだれも信用しないと思います。全くの事実無根でありますし、沖縄の人だって沖縄が巨大な核基地なんて考えておらない。また、いま持ち込みの問題は、これはしばしばアメリカ政府と再確認をしておりまして、日本は非核三原則を厳守するということでありますし、アメリカもそれを踏まえて安保条約、その関連規定、さらに事前協議は誠実にこれは守るということをはっきりと言明しておるわけでありますから、日本に関してはそういうことは絶対にあり得ない。特に、沖縄が巨大な核基地だなんということは、まさに荒唐無稽な発言ではないか、これをこのまま置いておくわけにはいきませんから、ソ連に対して日本の立場をはっきりとして抗議をしなきゃならぬと、こういうふうに考えております。
  93. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 沖縄の巨大な核基地というソ連の認識が間違っておるとしますね。その場合、韓国の核の存在などというものがいまSIPRIなんかの方で、まあ単にオネストジョンのことだけをいまここで挙げたわけですが、それから、あのINF交渉の前提になってソビエトが常に言っておるのは、これは航空機を運搬手段とする核、それからSLBM、潜水艦による核、これを考えなければこのINFの交渉というものは実らないということは予備交渉時代からソビエトは一貫して言ってますね。そういうことについては、あなた方はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  94. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) そういうことを含めていまINF交渉というのが行われておりまして、確かにソ連は、たとえば英仏の核というものを勘定に入れて交渉を行うべきである、アンドロポフ提案はそういうことで言っているわけでありますし、また同時に、アメリカはそういうものも含めたいわゆる中距離核ミサイルというのは全廃しろと。私はこれが一番正しいと思います。そういうことを提案をしておるわけですが、現在の状況では、このゼロオプションというのがいまの米ソで合意されることは不可能であるという現実の状況でありますから、これを最終目標として、いわゆる暫定提案としてアメリカがとにかくSS弧を削減してください、一定の水準まで下げる、そうなる場合にアメリカがいま準備をしておりますパーシングIIとか、あるいは巡航ミサイルの配置の軽減、減らしますと、こういうことを言っておるわけでありますから、まさにいま問題になっているのはおっしゃるような中距離核兵器、これもSS20というのはいわゆる運搬が自由でありますから、ヨーロッパにあるSS血にいたしましても場合によっては極東に持ってくるかもしれないし、あるいは極東にこれを移動したとしても、これをまたいつの日かヨーロッパに移動できる可能性のあるSS20、中距離核兵器でありますから、そうした全体を踏まえてのやはり交渉、そうして全体的なバランスのとれた縮小というものをいまねらってINF交渉が続けられておるわけでございますし、したがって、われわれとしては、こうした冷静な立場に立って米ソが交渉に臨んでこれを妥結するという方向にいくことを心から念願をしておるわけでございますが、そういう段階にあって、日本に巨大な沖縄島に核基地があるというふうなことを指摘して、そしてこの極東に場合によってはSS20を増強しよう、そのやっぱり一つの名分をつくろうということは、まさにためにする議論としか私たちは言いようがないと、こういうふうに判断をせざるを得ないわけであります。
  95. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 こういう平和か戦争かというような、国の運命を決するような問題を余り敵がい心を持って判断をしてはいけないと思うんですよね、冷静に、やっぱりあなたのおっしゃるように。ソ連の主張が本当に間違っておるんだろうか、たとえばこっちを全廃しちゃったって、あとに英国のミサイルが残るじゃないか、フランスの核が残るじゃないか、おれたちはそれをどうしようもできないのかというようなのは、やっぱりある程度の説得力を持ちます。それから、極東にも韓国に核があるじゃないか、それはソビエトの方へ届くんだ、それからSLBMが日本の近海にはうようよしているじゃないか、航空母艦だって原子力空母が核を積んでないという保証はないじゃないか、だからそれは無防備でいるわけにいかないのだというのは、それなりのソ連の大変な恐怖心といいますか、日米軍事同盟に対する恐怖心というか、懸念というか、そういうものはやっぱりわれわれとしても頭の中へ入れて冷静に判断する必要があると思うんですよ。  やっぱりここは私、外務大臣がいつも言っていらっしゃる、また総理も言っていらっしゃる核の抑止力とか核の均衡とかいうような、そういう考え方をここでやっぱり捨てなきゃいかぬと思うんですよ。もう今度は要するに核は全廃だ、核を一切否定してもう凍結してしまってくれ、それから廃止に持っていってくれ、先制使用はいけないんだと踏み切ってくれというような発想の転換をしないと、どちらも結局相手の核はこわいのだ、相手の方が多いのだということで、いつまでたっても交渉は実らないのじゃないでしょうか。私はこの際は発想の転換をあなた方に求めたいと思うんですが、どうでしょうか。
  96. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いわゆる核の均衡論というのは、これはアメリカだけじゃなくてソ連もとっておるわけです。ですから、ソ連としても極東にアメリカの核基地あるいは核運搬手段が充満をしておるから、極東に対しては核配備を強化をしなけりゃならぬ、こういう理屈が出てきておるわけでございますし、私は今回のグロムイコ発言というのは、アメリカの暫定提案というものを否定はしておりますけれども、しかし、INF交渉そのものを否定しておるわけじゃありません で、これからもINF交渉は続けていこうというやっぱり考えが基本に私はあると思っております。  しかし、問題は、いま日本に対して向けられたグロムイコ発言というものが全く事実無根である。ですから、これははっきりしなけりゃならぬ。その上に立ってINF交渉というものが冷静に行われて、そしてこれが解決をすることをわれわれは期待をしておりますし、いま寺田委員のおっしゃるように、核がなくなることが一番いいのですから、われわれとしてはこの中距離核兵器というものが世界からなくなる、いわゆるアメリカのゼロオプションというのが最終的に実現されるということを心から期待をいたしておるわけであります。
  97. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 総理、いかがですか。
  98. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まず、沖縄に巨大な核基地があるなどという荒唐無稽な事実無根なことを言うということは、私らは非常に迷惑千万でありまして、この点についてはわれわれは厳重に抗議したいと思っております。また、日本の列島の内部、日本列島につきましても、非核三原則というものをわれわれは誠実に遵守しておるのでありまして、そういう点の認識不足についてもわれわれは改めてもらいたいと思っておるんです。アジアの問題について見れば、中国も核兵器持ってますね。その中国については何も言わないで、全然ない沖縄についてこれを言及するとか日本列島について言及するというのは何か政治的なにおいがするのであって、何か日本というものにある影響を与えようという意図があるのではないかと私には感ぜられる。私は間違っているかもしれませんが、私は日本総理大臣としてそういうふうに感ずるので、非常に不愉快です。
  99. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 ソ連がそういう日本に対する厳しい態度をとった根底には、あなたがアメリカでバックファイアを阻止するんだ、日本を巨大な空母にするんだ、三海峡を封鎖するんだという、ソビエトを敵国としたあなたの御発言がソビエトをそういうふうなものに追い込んだとは思われませんか。つまり、あなたは国を守るのはすべて軍備だけだとおっしゃった。しかし考えてごらんなさい。スウェーデンにしろ、スイスにしろ、オーストリーにしろ、みんな外交手段を駆使して、そうして国の安全保障を達成しようとしておる。あなたのように、ともかくアメリカと一緒になって軍備を増強すれば日本の安全保障は達成できるんだというような、軍備一点張りのそういう外交を無視したような考え方が、かえって日本をソビエトとの間に厳しい対立関係に置いて、日本の安全を損なうのじゃないですか。
  100. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 逃げ腰やへっぴり腰で国の安全が保持されるとは私は思いません。やっぱり、自分の国は自分で守るというはっきりとした信念を持って、そしてその範囲内において憲法を守り、いままでの国是を守って、そして節度ある防衛力を整備しながら、しかも安保条約を有効に機能させるように心がけていくというのが私らの考えでありまして、これは日本の主権の範囲内のことであり、しかも国民の大多数が支持していることを私たちはやっておるのであります。
  101. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 強がりだけが国を守るのじゃないですよ。われわれはへっぴり腰でも何でもないですよ。あなた方のように、要するに強がりを言って敵がい心をあおれば国の安全は守れるというふうな態度が一国の外交方針として間違ってはいないかと私は言っているのですよ。  あなたは、何か最近の記者会見で、アメリカは日本を守ると。アメリカは爆撃機も原爆もやってくれというようなことを言ったというのでしょう。あなた、核を否定しながらどうしてそんな言葉が出ますか。
  102. 長谷川信

    ○理事(長谷川信君) 寺田君、時間が参りました。
  103. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それこそ日本を危殆に陥れるものじゃありませんか。どうしてそんな発言が出るのですか。
  104. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、前から申し上げておりますように、世界の平和は、まことに残念だけれども、均衡による抑止力で平和が維持されておる、手をこまねいていて平和が維持されているものではないのだ、そういうことを言っておりまして、その抑止力の中には米ソの核の均衡あるいは相互抑止力というものが動いている、日本もその核の傘のもとにやはり平和を維持しているのだ、そういうことを申し上げているので、これは国民の皆さんも知っておるし、世界的にも通用している常識であると私は思っているのです。
  105. 長谷川信

    ○理事(長谷川信君) 以上で寺田熊雄君の質疑は終了いたしました。(拍手)    午前の質疑はこれまでとし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時二十七分開会
  106. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十八年度総予算三案を一括して議題とし、これより立木洋君の締めくくり総括質疑を行います。立木君。
  107. 立木洋

    ○立木洋君 まず、総理にお尋ねしたいんですが、非核三原則というのはきわめて重要な問題になっているということは御承知のとおりだと思うんです。  それで、昨年の十二月のNHKの世論調査によりますと、いわゆる核持ち込みに関しては、寄港や領海通過を含めて核が持ち込まれているんではないかという結果が七九%というふうに出ております。核の持ち込みは一切行われていないと思うというのが七%という結果に出ておりますが、このNHKの世論調査を総理はどのようにお考えでしょうか。
  108. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 調査はいろいろとあると思いますけど、日本政府としてはこれからも、しばしば言明いたしましたように、核の持ち込みについては、これは事前協議の対象であるし、その場合はすべてノーだということでありますし、アメリカとの間にも完全に了解がついておるわけで、お互いに条約を守る、こういうことでございますから、そのおそれはございません。
  109. 立木洋

    ○立木洋君 総理
  110. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本は、広島、長崎の原爆の被害を受けておりますから、国民の中にはそういうものに対する関心が非常に強いのではないかと思います。
  111. 立木洋

    ○立木洋君 これほど八割近くの人々が、日本に核が持ち込まれているんではないかという疑惑を持っているわけですね。ですから、これは事実ですから、いままでの政府が核がない、核がないということだけを述べていたんでは、こういう疑惑を解消することができない。ですから、こういう国民の大多数の疑惑に対してもっと政府としては積極的な態度をとって、国民の疑惑を晴らす必要があるんではないかというふうに考えますが、いかがでしょう。
  112. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は同感で、努力してまいりたいと思います。
  113. 立木洋

    ○立木洋君 再々私たちも日本に核が持ち込まれているんではないか、あるいは寄港しているんではないかという疑惑を政府に解明してもらうように提起をしてきました。その際、日本の外務省としては米側に対して核の存否そのものを直接確認したことがありますか。
  114. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 核の存否につきましては、アメリカはしばしばわが政府に対しましてもこれは明らかにしない、これは日本だけじゃなくて全世界に対して明らかにしないというのがアメリカの基本的な方策であります。
  115. 立木洋

    ○立木洋君 確かめたことがあるかないか、アメリカの態度じゃなくて。
  116. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはアメリカ側から私に対しましても、今度のマンスフィールドさんとの話でも、核の存否についてはこれはアメリカ政府の政策として明らかにすることができないということははっきり言っております。
  117. 立木洋

    ○立木洋君 五十六年度の十一月十二日参議院の外務委員会で、核の存否を直接確認したことはあるかという質問に対して、外務省は直接確認したことはございません、こういうふうに答弁しております、つまり一回もですね。だから核があるかないかということを日本の政府としては一回もアメリカ側に確かめたことがないんですよ。つまり極端な言い方をすれば、泥棒をつかまえておまえとったのか、とらないのかということを聞かないで、とってもらったら困るんだけれどもなんていうようなことを言っておったってだめなんです。どうですか。
  118. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) アメリカ自身が政策として核の存否を明らかにしないということはアメリカの口からはっきり言っておるわけで、日本についての核の持ち込みについては、これは安保条約、その関連取り決め、事前協議の条項を誠実に遵守するということは、これは明確に言っておるわけでございますから、それで私は十分であると思います。
  119. 立木洋

    ○立木洋君 つまり、最も疑惑の焦点である通過、寄港、この問題については直接問いただしをされてないんですよ、安倍さんが行かれたときも、マンスフィールド大使に対して。それから同時に、沖縄に対しては核が存在しておったという疑惑、現に複数の核基地があって、復帰後核弾頭が持ち込まれていることを示す米軍内部文書まで明るみに出ているわけですが、こういう状況を踏まえて、こうした国民の疑惑を解明するために積極的にどういう努力をされるのか。具体的に総理ひとつお示しいただきたいんです。
  120. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは具体的に努力をしておるわけでありまして、先般もマンスフィールド大使に会ったときに、私の口からエンタープライズの入港であるとか、あるいはまたF16の三沢配置ということによって核が持ち込まれるんじゃないか、こういう疑惑を国民は待っておる。そこで、この際はっきりしておきたいということを前提にして、私から日本の非核三原則の立場をはっきりと申しまして、それに対してアメリカ政府としての見解は、先ほど申し上げましたように、それはもう安保条約は守ります、関連規定を守ります、同時に事前協議の条項についてもこれを誠実に遵守しますということを、アメリカのマンスフィールド大使からも言っておるわけで、アメリカのマンスフィールド大使も、同時に、日本国民の皆さんがそういう疑問を持っておられることは私も承知しています、ですからこれに答えて、アメリカとしての立場をはっきり申し上げますということで、先ほど申し上げましたような安保条約を守るということを明言しておられるわけでありますから、これ以上のことは私はないんじゃないか、実に明快、明白である、こういうふうに確信をいたします。
  121. 立木洋

    ○立木洋君 中曽根総理、午前中の質疑を私聞いております。グロムイコ外相が述べられた発言については私たちも核のバランス、いわゆる軍事力のバランスに基づいて平和を維持するなんていうような考え方、ソ連自身もそういう考え方を持っておるようですが、私たちはこういう点については厳しく批判をし反論をしております。同時にまた、極東におけるSS20の配備についてもわれわれは絶対に容認することはできません。しかし、先ほど国民の八割近くの人々が日本に核が持ち込まれているんではないかという疑念をやっぱり持っているわけです。ですから、総理がただ核がない核がないということを何ぼ強調されても、これは国際的に疑惑を解消して、国際的に理解を求めることが私はできないんじゃないかと思うんです。ですから、本当の意味でこの疑惑を解消するために、どういう態度をおとりになるか、総理のこのことについての御見解を伺いたい。
  122. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 八割近くが日本に核があると考えていると私思いません。その世論調査は何かの拍子でそういう結果が出たんだろうと、正確に調べた場合には私はもっとそれは下がるんではないか、そう思います。
  123. 立木洋

    ○立木洋君 国際世論の疑惑、国際世論の理解が得られますか。
  124. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) グロムイコさんがどういう根拠と資料に基づいてそういうことを言ったか知りませんが、私は日本周辺の諸国及びそのほかの国々の情勢を見れば、日本に核兵器があると思っている国は非常に少ないんではないかと思います。
  125. 立木洋

    ○立木洋君 じゃ若干別の角度からお尋ねしたいんですが、いままで再々問題にしてきました岩国の米核兵器専門部隊ですね、いわゆるMWWU1、これが先月ハワイに引き揚げたということですが、これについて事前に外務省との何か打ち合わせか、あるいは通報か何かあったでしょうか。どういう内容のものがあったでしょうか。
  126. 北村汎

    政府委員(北村汎君) ただいま先生おっしゃいました第一海兵航空団の第一武器隊、これは岩国飛行場におったわけですが、これはこの三月の十三日にハワイではなくてグアムに移動するということを、前日の十二日に在京米国大使館から外務省の方に通報がございました。
  127. 立木洋

    ○立木洋君 その理由については。
  128. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 米側の説明によりますと、これはこの部隊の訓練の機会をふやすために前から検討してきた問題なんであるが、岩国はスペースの関係でいろいろ制約があって、施設状況からして、より効果的な訓練をするために不十分である。そのためにグアムに移動することにしたという説明を受けております。
  129. 立木洋

    ○立木洋君 じゃ岩国に再び戻ってくることがあるのかないのか。あるいは岩国に戻らないとしたらその他日本のどこかの基地に戻ってくることがあるのかないのか、その点はいかがですか。
  130. 北村汎

    政府委員(北村汎君) これは米側の説明によりましても、米軍の運用に関する事項でございまして、米側としてコメントできないということでございまして、私どもも、将来の計画については何ら存じておりません。
  131. 立木洋

    ○立木洋君 総理、非核三原則の問題ですが、これはいささかもゆるがせにできないので、この非核三原則を国是として堅持するということはお間違いないですか。
  132. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのとおりであります。
  133. 立木洋

    ○立木洋君 極東有時の際にも堅持する。お間違いないですか。
  134. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) そのとおりであります。
  135. 立木洋

    ○立木洋君 総理も。
  136. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 外務大臣の答弁のとおりであります。
  137. 立木洋

    ○立木洋君 日本有事の際にも堅持されますか。
  138. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 非核三原則を厳守いたします。
  139. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 外務大臣の答弁のとおりであります。
  140. 立木洋

    ○立木洋君 シーレーン防衛の共同研究なんですが、これ夏目防衛局長は、去る十五日当委員会で核戦争というものを想定した研究、これは対象にしないということを述べましたけれども総理のお考えはいかがです。
  141. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 核戦争を前提にしないということで日米間に話し合いがついております。
  142. 立木洋

    ○立木洋君 核戦争を想定した研究を対象にしないということの歯どめはどうなってんでしょうか。
  143. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 「もともとこの研究の前提として日米防衛協力のための指針、ガイドラインというものがあるわけですが、ここではいわゆる日本の憲法上の制約、あるいは非核三原則、事前協議等については対象にしないということが前提として決められているわけでございます。また、今回のシーレーン防衛の研究をするに先立ちまして、三月十二日にアメリカ側と協議した結果、核戦争というものは前提にしない、あくまでも通常兵器による戦争を前提にした作戦計画の研究をするということに決まっておりますので、これ以上の歯どめはないんではないかというふうに思っています。
  144. 立木洋

    ○立木洋君 それじゃ、公海、公空上におけるアメリカの核部隊との共同作戦をシーレーンの共同防衛の共同研究として行いますか。
  145. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 自衛隊の戦術技量の向上のために、アメリカの各種の部隊と共同作戦、共同訓練というものは行いますが、しかしながら、アメリカの部隊というのは核を積んでいる積んでいないということでなくて、あくまでもわが国の自衛隊の戦術技量の向上のために共同訓練を行うというものでございます。
  146. 立木洋

    ○立木洋君 アメリカ政府当局は、通常兵器による同盟国への攻撃に対しても核兵器使用の可能性を排除するものではないというふうに述べているわけですね。そうすると核部隊ということと事実上共同作戦をやるということを共同で研究するならば、核戦争を想定したという結果になるじゃないですか。
  147. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) わが国はあくまでも核の脅威に対してはアメリカに依存する、わが自衛隊は通常戦争による対処を考える、こういうことでございます。
  148. 立木洋

    ○立木洋君 共同研究で、核戦争の危険に、そういう核戦争を想定した研究を行わないということの歯どめを明確にしないと、事実上核部隊とも共同作戦をやる研究ということもあり得るし、あるいはアメリカ自身がそういう態度をとってんだからそういう危険性にのめり込んでいくという結果になるじゃないですか、いかがですか。
  149. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 今回の研究におきましての前提、あるいは研究開始に先立っての日米の合意についてはすでに御説明をしたとおりでございます。なお、本研究については必要に応じてこれは本来作戦計画という純粋に軍事的、技術的な問題でございますから、統幕事務局あるいは在日米軍が中心になって研究を実施しますけれども、必要に応じてわれわれにも報告をされ、必要があれば大臣にも報告するというふうなことから、いろいろなレベルにおけるチェックも可能でございまして、まず前提としてそういうことはやらないということが日米間で話し合いができておりますので、そういう心配は万々ないと思っております。
  150. 立木洋

    ○立木洋君 長官、いまお聞きのような状況で、これはシビリアンコントロールというのは大変重要なことなんですね。制服同士で研究しておって、どんどんどんどん実際に核戦争を想定したような研究がやられていったらこれは大変なことになるんですから、だからこれは明確に歯どめをしなきゃだめなんだ。この点については、そういう核戦争を想定とするような核部隊との共同作戦の研究をしないだとか、そういう歯どめを明確にすべきだと思うんですが、アメリカ側にもそういうことを伝えて。いかがですか。
  151. 谷川和穗

    国務大臣谷川和穗君) ガイドラインに基づくシーレーン研究は防衛庁長官の責任においてこれをスタートさせましたが、スタートさせるに当たりましては、先ほど政府委員が答弁をいたしましたごとき了解を両国の間で確認をし合ってスタートいたしております。
  152. 立木洋

    ○立木洋君 大変私は不満足ですが、総理にこの点で最後にお尋ねしておきたいんですが、総理、非核三原則は不変の原則である、いかがですか、わが国にとって。
  153. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国是であると考えております。
  154. 立木洋

    ○立木洋君 不変の原則であり、国是である、いかがですか。
  155. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 終始一貫して国是であると申し上げます。
  156. 立木洋

    ○立木洋君 いかなる場合もアメリカを適用除外するというようなことはしないと。
  157. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 議会で明言しているとおりの国是であります。
  158. 立木洋

    ○立木洋君 国是以外のことは一切お述べにならないようでありますけれども、これはきわめて重要な問題でありますので、引き続いてしかるべき機会にこの問題は追及していきたいと思います。  次に、農業の問題でお尋ねしますが、猫の目農政と言われるような批判が依然としてあるわけで、今日、農業問題というのはやはり重大な局面にあると思うんですね。そこで、ことしの十月末の米の持ち越し量が十万トンということは、きわめて異常な事態ではないかと思うんですが、農林大臣いかがですか。
  159. 金子岩三

    国務大臣(金子岩三君) 三年続きの不作の影響で十万トンになりましたが、これは平年作で計算しますと、当然御心配になるようなことはないという計算で、一応需給調整をやっておるわけでございます。八月から早場米が出ますので、政府買い上げが二百万トン、自主流通米が百五十万トン、十月までには三百五十万トンの出荷がありますので、今年度の食糧の需給には何ら影響はないわけでございます。  来年の問題でございますが、来年は当然、第三期の水田再編の見積もり、計画、一切を慎重にこの予算時期までに計画を立てますので、このように端境期に十万トンなどという少ない数字にならないように立てていきたい、こう考えております。
  160. 立木洋

    ○立木洋君 大臣、やはり問題がないとおっしゃるけれども、つまり翌年のお米を早食いする結果に事実上なっているわけです。まあことしが平年作になればまだしも、ことしも不作になったらこれは大変なことになるでしょう。つまり、そういう問題というのは、事前にきちっと見込んで計画は立てるべきだと思うんですが、こういう点で農政がやっぱり不十分であったと反省すべき点がいささかもないんですか、いかがですか。
  161. 金子岩三

    国務大臣(金子岩三君) 反省の上に立って第三期水田の再編については慎重に検討いたしております。
  162. 立木洋

    ○立木洋君 その検討する内容ですが、これはその際、備蓄体制の確立ということもきちっと踏まえて検討していただきたいと思うんですが、その検討の内容というのは、どういう方向に向けて検討されるのですか。
  163. 金子岩三

    国務大臣(金子岩三君) それは減反計画をどのようにしますか、大体米はなかなかむずかしいんですね。平年作であると直ちに生産過剰が起こるし、消費は毎年十五万トンぐらい落ち込んでおりまして、生産は、やはり生産性が非常に毎年高くなっておりますので、この需給の調整をどうするかということは大変な問題なんですよ。したがって、やはり国民に安定して心配のないような供給体制を確立するということがまず先決でございまして、そして、むだないわゆる過剰米をつくって、かつて四年前、あるいは八年前みたいに、六百万トン、七百万トンもの米を持ち越して、大変ないわゆる財源を食いつぶしたということを繰り返さないように、最も合理的、理想的に調整をして食糧の安全を図るということは大変な問題でございます。したがって、五十九年度の第三期の時期に、いわゆる減反をどのようにいまの六十万あるいは六十七万ヘクタールを動かすかとか、あるいは転作の補償金をどのように扱うか、いろいろ検討をいたしております。
  164. 立木洋

    ○立木洋君 工業用米についても、過剰米の処理が進んで五十九年度にはほぼゼロになるんですね。いまいろいろ見てみますと、現実には米の輸入というふうに見られるようないろんな動きもあるわけですが、これはこういう状況では農民が安心して耕作ができないので、米を輸入することは一切ないと明言していただけますか。
  165. 金子岩三

    国務大臣(金子岩三君) それは、そのうわさが出ておるのは、米穀業者がアメリカに大勢視察に行って、そしてアメリカのいわゆるカリフォルニアを中心とした農業状態を見まして帰ってきての報告は、やはり非常にアメリカの方は生産性が高い、したがって、日本も早くひとつ生産性を高めていって、コストの安い米になさなきゃいけない、あるいは味はカリフォルニア米が日本米と余り変わってないとか、いろんな報告があります。それが誤解されて輸入に動いておるというようにうわさされているんじゃないかと思いますが、政府としては一切そういう動きをしているわけでも、考え方もございません。
  166. 立木洋

    ○立木洋君 次に、近く予定されている日米間の牛肉、オレンジ交渉に臨む基本的な姿勢について御説明いただきたい。
  167. 金子岩三

    国務大臣(金子岩三君) 牛肉、オレンジにつきましては、一月に中曽根総理が訪米いたしましたときに、この問題は日本の農業に重大な影響を及ぼすので、自由化はともかく、枠の拡大についても専門家によく検討させようということにしておりますので、やがて、やはり約束をしてきておりますので、専門家で枠をどうするかということは、来年の三月のいままでの約束の日切れがくるまでに検討を続けていかなければならないようになっておるわけでございます。私としては、自由化はもちろん、枠も、いま需要が急に起こって供給が大変困っているというわけじゃないんですから、輸入までしてわが国の生産者に迷惑をかけるようなことはやるべきではないと、こういう主張を私は続けておるわけでございます。
  168. 立木洋

    ○立木洋君 中曽根総理、農政の問題の最後に、いまお聞きのような状況で、農民が本当に安心して働けるような農政というのがいま強く求められていると思うんですね。ですから、減反問題あるいは健作物の自由化問題、さらには自給率の問題、こういう農政の今後の基本について、中曽根総理はどういうふうにお考えになっているのか御説明いただきたい。
  169. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は前から、農業は生命産業である、そういうことを言っておりますように、非常に重要な、単に経済的問題のみならず、共同体とか、あるいは国土の保全、環境、そういう問題まで影響を持っておる大切な産業であると思います。農政審議会の答申を尊重して政策を進めていくべきであると思います。
  170. 立木洋

    ○立木洋君 次に、雇用問題について若干お尋ねしたいと思うんですが、最近の総理府の調査によりますと、二月の完全失業者が百六十五万人、失業率が二・七一%、この三十年間できわめて高い状態にあるわけですね。これ一月のときには閣議でいろいろ問題になったそうですが、二月でもほぼ変わらない数字の状態であります。この失業問題の深刻化している事態に対してどういうふうな御認識をお持ちなんでしょうか。担当大臣の労働大臣からまずお伺いしましょう。
  171. 大野明

    国務大臣(大野明君) 依然として大変厳しい情勢にあると認識いたしております。
  172. 立木洋

    ○立木洋君 経企庁長官いかがですか。
  173. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 私も労働大臣と同じ認識でございます。
  174. 立木洋

    ○立木洋君 総理長官いかがですか。
  175. 丹羽兵助

    国務大臣(丹羽兵助君) お答えさしていただきますが、私の考えは、先ほど経企庁長官、労働大臣が述べられましたような同じ考えでやらしていただきたい、かように思っております。
  176. 立木洋

    ○立木洋君 総理大臣いかがですか。
  177. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 新しい統計を採用したものでございますから、二カ月前とはさま変わりがした結果が出てまいりました。私はあの数字を勉強してみまして、失職者の数というのはそうはふえていないんです、本当の意味の職を失ったという人は。ところが、いままでは職業がなかったけれども就職したいという数は非常にふえておる。それは御婦人がふえておる。そうなると、失業保険の受給率もそう変わっておりません。これは現に職を失った人はそう多くなっていないということになります。ですが、家庭におられた方や、パートをやっておられた方、大体いままで職についてない方が就職したいという、それが入ってきているわけですね。ですから、いままでのパターンと統計の基準が違いますから、その辺はもう少しよく分析してみる必要がある。その証拠には有効求人倍率もそれほど変化してない、こういうことであります。
  178. 立木洋

    ○立木洋君 どうも総理余り深刻にお受けとめになっていないようですね。いま統計いじりを中心に御答弁なさって、ほかの三人の大臣は深刻に受けとめていますと言うけれども、実際にどうなんだろうかという気がしてなりませんが、今後の失業者の動向をどういうふうにごらんになっているのか。また雇用対策をどのようにして強めておいきになるのか。労働大臣と、前段の方は経企庁長官からお伺いいたします。
  179. 大野明

    国務大臣(大野明君) いずれにいたしましても、まだ世界の景気というものは停滞いたしております。多少明るい材料も出てきたと言われ、わが国も景気の回復に向かうんではないかというような観測もございますけれども、しかし、景気よりもどうも雇用が先行するということはない、いわゆるタイムラグがあるということになりますし、ということを考えると、まだ当分の間は相当やはり厳しいというふうに受けとめております。と同時に、やはり一方において、いま総理から御答弁ございましたように、女子の求職者が大変にふえておられる。パート等ですね。それから高齢者社会であるとか、あるいはまた技術革新であるとかいうような、雇用構造の変化等もございます。そういうようなものに対応するためにいま鋭意努力をいたしておりますけれども、いずれにしても、これからの先行きについての研究と同時に、今日的なことも考えて、いま雇調金の活用によって失業を予防する、あるいはまたは離職者の方々の再就職をやるとか、あるいは不況地域、あるいは不況業種というような方々に対しても手厚い措置をするために、今国会でも法案をお願いを申し上げたところでございます。このようなものを総合して適切にこれを運用して、そして少しでも失業のまず予防ということ、雇用の安定ということを最大に考えてやっていく所存でございます。
  180. 塩崎潤

    国務大臣(塩崎潤君) 雇用の全般的な見通しにつきましては、五十八年度の成長の見通しの中で、五十八年度は、私がたびたび申し上げておりますように、経済の回復の過程の中において鉱工業生産が若干の上昇をもたらし、そしてその中で雇用が若干改善されると、こんなふうに見ておりました。
  181. 立木洋

    ○立木洋君 労働省の方にお聞きしたいんですが、障害者及び高年齢者の雇用率は、企業規模別に見てどういう状況になっていますか。
  182. 谷口隆志

    政府委員(谷口隆志君) お尋ねの身体障害者、高年齢者の雇用率の達成状況、あるいは雇用状況でございますけれども、規模別に見ますと、規模の大きくなるほど雇用率の達成状況とか、あるいは未達成の企業が多くなるということで、悪いのが現状でございます。ただ、最近におきましては、大企業におきましても経営者の方々の認識も高まっておりますし、同時に、行政指導を進めておる結果かと思いますけれども、身体障害者、あるいは高年齢者の雇用率の改善の幅は、規模が大きい方が高くなっているということが一つ。それから、六十歳へ向けての定年延長についてもいろいろ行政指導その他行っておりますけれども、その定年延長の問題につきましては、大企業の方がこの進展の状況はいいというのが現状でございます。
  183. 立木洋

    ○立木洋君 数字について。
  184. 谷口隆志

    政府委員(谷口隆志君) 雇用率の数字につきましては、まず、身体障害者の雇用率につきまして申し上げますと、これは毎年六月に調査をいたしておりますが、五十七年の六月で、全体が一・二二%、そのうち千人以上は一・〇五%でございます。雇用率未達成企業の割合は、全体が四六・二%でございますが、千人以上は七八・六%でございます。それから改善の状況は、雇用率が全体で〇・〇四ポイント改善されておりますが、千人以上は〇・〇七ポイント改善されております。高年齢者につきましては、雇用率は全体が六・九%でございまして、そのうち干人以上は五・四%と、未達成企業の割合は全体が四八・八%のうち千人以上は七一・四%、雇用率の改善状況について申し上げますと、全体は一年間で〇・三ポイント改善されているうち千人以上はそれを上回る〇・五ポイント改善されております。
  185. 立木洋

    ○立木洋君 労働大臣、たとえばこの高年齢者の雇用状況ですね。千人以上の規模が、いま言ったように五・四と、〇・六達成していないんですが、〇・六完全に達成されるようにすれば四十万人近くの人が就職できるんですね。また身体障害者の方々の場合も干人以上〇・四五、これは未達成の状況ですが、この〇・四五を達成すればやっぱり二十六万余り増加することができるわけですね。こういうような状態というのは、やはり未達成の状態が依然として続いているというのは好ましくないんじゃないかと思うんですが、大臣いかがお考えでしょうか。
  186. 大野明

    国務大臣(大野明君) ただいま谷口局長から答弁いたしましたとおり、現在大企業というものについては私もいまだしという感がありますが、しかし、この率においては近年非常に努力をして、成果を上げておるというところでございます。  私どもも、たとえばいま高齢者の方、あるいはまた身体障害者の方のお話ございましたが、身体障害者の方なんかの場合でも、やはり企業に対して、その身体障害者の方々の雇い入れの計画を作成さして、しかも命令制度というようなことまでやっておりまして、    〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕 これを適切に運用し、かつ一企業企業に対して具体的にその指導を強化して、そうして一日も早く、先生おっしゃいましたような人の問題もございますけれども、やはり同時に、身障者あるいは高齢者の方々がそういう場を得られるという希望を持たせるように努力をいたしておるところでございます。
  187. 立木洋

    ○立木洋君 障害者の雇用促進法で見てみますと、この法定雇用率ですね、これが一・五%。確かに努力はされてきているというのは数字の上では見ることができますけれども、まだまだ努力が不十分ではないかというふうに言わざるを得ないと思うんです。事実上大企業でこれだけの状態が守られていないわけですから、大企業は法律を守らなくてもよろしいのかというふうに言わざるを得なくなるんですが、いかがですか。
  188. 大野明

    国務大臣(大野明君) 日本は法治国家でございますから、法律は大企業といわず中小といわず守るべきものは守らなければならないと思っております。
  189. 立木洋

    ○立木洋君 この法の改正はいつ行われたんでしょうか。
  190. 谷口隆志

    政府委員(谷口隆志君) たしか五十二年から改正、施行されたと思います。
  191. 立木洋

    ○立木洋君 五十二年に改正されてからもう六年になるわけですね。未達成の企業が依然としてこういう状態にあると、これに対してはいろいろともっと強力な対応をするすべがあるんじゃないかと思うんですが、この、雇用促進法の中ではどういうような措置を講ずることができるようになっているでしょうか。
  192. 谷口隆志

    政府委員(谷口隆志君) 身体障害者の雇用の促進についきましては、国際障害者年という身体障害者の福祉なり、雇用を増進する年もございましたし、最近非常にこれに関します国民なり事業主の認識が高まっておりますので、そういうことを背景に進めていかなきゃならぬと思いますが、特に軽度の障害者の方につきましては、かなり雇用は促進している状況でございまして、問題は重度の障害者の方々の雇用がおくれているということで、雇用促進の全体の問題につきましては、重度の障害者の雇用に重点を置きまして、障害の程度とか、あるいは種類等に応じたきめ細かい施策を講じていかなければならぬと思います。  そこで、雇用率を達成するための施策なり指導でございますけれども、身体障害者雇用促進法におきましては、民間企業につきましては一・五%の法定雇用率を決めまして、これを担保するといいますか、守らない場合は納付金制度もございますが、ともかくまず雇用率を達成してもらうということが重要でございまして、そのための施策といたしましては、雇い入れ計画の作成、こういう制度につきましては、特に規模の大きい企業で雇用率の悪い企業につきましてそういう命令をつくらせまして、その命令に基づいて具体的に指導を進めますと同時に、その実施状況の悪い企業につきましては、適正な実施を勧告する仕組みもございますので、そういうものを活用しながら個別にいろいろ指導しなきゃならぬというふうに思っております。しかし、最近では経済情勢が悪いということで、たとえば新規採用が全然ないとかいろんな経営の事情もございますが、ともかくそういう全体の条件の中で雇用率の達成へ向けて具体的な努力をしていかなければならぬし、いっておるところでございます。
  193. 立木洋

    ○立木洋君 大臣、この問題の最後に、いわゆる何でも私はその罰則を適用せよというようなことを言うつもりはございませんけれども、何回勧告してもよくならないと、そういうふうなところは、やはり公表するぞとか、もう少しペナルティーを強化するだとかというふうなこっちも措置も講じて、やはり全体が前進するように、守っている企業もあるでしょうけれども、全然やろうとしないところもあるわけですから、そういうふうな点についてお考えはいかがでしょうか。
  194. 大野明

    国務大臣(大野明君) 詳細につきましては、ただいま局長からお聞き及びいただいたと思います。いずれにいたしましても、でき得る限り企業に対していろいろな手だてをもって啓蒙はいたしております。しかしながら、御指摘のような乙とが再三再四重なるようなところがあれば、状況に応じて公表もしなきゃならぬような事態も生じるかもしれないというふうに考えております。
  195. 立木洋

    ○立木洋君 次に、けさほども問題になりました男女差別問題ですが、婦人の差別撤廃条約の批准要件にもなっておりますけれども、雇用平等法についてどういうふうにお考えになっているか。大臣。
  196. 大野明

    国務大臣(大野明君) 雇用平等法、まあ男女の雇用の機会の均等とか、あるいはまた、それと同時に待遇の平等であるとか、こういう問題については、現在婦人少年問題審議会において、男女平等等の専門家会議の意見というものを尊重しながら鋭意検討をいたしておりますので、私どもといたしましては、検討結果を見た上で適切な措置をしていこうということで、いま見守っておるところでございます。
  197. 立木洋

    ○立木洋君 総理、これ最後にお尋ねしますので、ちょっとよく聞いておいていただきたいんですが、OECD二十四カ国の中で、この雇用平等法ができていないのはどことどこの国でしょうか。
  198. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) お答えいたします。  OECD二十四カ国のうちアメリカ、イギリス、フランス等十六カ国がそういう法律ができております。私どもの把握いたしております限りでは、あと七カ国、ルクセンブルク、スイス等は把握できておりませんので、できているとも、できていないともいまの時点ではわかりかねております。
  199. 立木洋

    ○立木洋君 わかりかねると言いましたけれども、ここで、三年ぶりに開かれたこのOECDの婦人労働作業部会では、最近次々とこの雇用平等法を設置したことを強調されて、参加した二十四カ国の中で、この法律がないのは日本とトルコだけでしたといって、読売新聞の三月二十六日に報道していますが、いかがですか。
  200. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 日本につきましては御指摘のようにございませんが、ただいま御指摘のトルコにつきましては、まだ実態はよく把握できておりませんので、ないと……
  201. 立木洋

    ○立木洋君 会議に行った人が報告しているんです。
  202. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) さようでございますが、会議に出た者が新聞に申し上げたことは、あと、わからない国があるというふうに伝えたようでございます。
  203. 立木洋

    ○立木洋君 では、次に、八一年におたくの方で調査した女子労働者の雇用管理に関する調査では、初任給、昇進機会、教育訓練、大卒女子の公募では女子労働者がどういう差別をされていますか。
  204. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 五十六年の女子労働者の雇用管理に関する調査では、その前の五十二年の調査に比べましてやや改善はされておりますが、募集、採用、定年退職に至るさまざまな面で、男女異なる取り扱いをされている企業がかなり見られます。中を具体的に申し上げますと、初任給額につきましては、男女同じ、または男女別に決めていないという企業の割合は三分の一程度でございまして、職種や仕事の内容が違うので、男女異なる額を初任給のときに決めているという企業が六割強を占めております。また、大学卒の公募採用状況につきまして、男子のみ募集採用した企業が七割強を占め、女子を募集採用した企業は三割弱でございます。教育訓練を実施している企業のうち、教育訓練を男女全く同じに受けさせている企業は四〇%でございまして、女子には受けさせない、女子にも受けさせるけれども、教育訓練の種類が男子と異なるという企業がまだ多うございます。女子に対して管理職手当、役付手当等が支給されている役職への昇進の機会が女子にもある企業が五四・九%ございますが、その昇進可能な役職が課長相当職以下とする企業の割合がなお六〇・四%となっております。
  205. 立木洋

    ○立木洋君 同じく一九八〇年におたくの方で調査された、非農業部門でのEC諸国及び日本での男女の賃金格差はどういうふうになっていますか。
  206. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 男女の賃金格差の国際比較でございますが、男女別の賃金格差につきましては、統計の定義、対象等異なっておりますので、単純に比較することは困難かと思いますが、ILOの調査によりますと、昭和五十六年には、男子の賃金を一〇〇といたしまして、女子の賃金が日本五三・三、イギリス六九・五、西ドイツ七二・五、フランス八七・七等となっております。
  207. 立木洋

    ○立木洋君 この数年間、日本の男女の賃金格差というのは是正される方向にあるのか、あるいは拡大する方向にあるのか。この数年間のデータをちょっとお示ししてください。
  208. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 賃金格差は、長期的に見ますと縮小の傾向があったわけでございますが、昭和五十三年ぐらいから再び拡大の傾向が、わずかではございますが見られるところでございます。
  209. 立木洋

    ○立木洋君 数字ございませんか。
  210. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 賃金格差は、昭和三十五年ごろは男を一〇〇といたしまして女子は四二・八でございました。それからだんだんに高くなってまいりまして、昭和五十年は五五・八でございます。ピークと申しました昭和五十三年は五六・二でございますが、それ以降再び拡大いたしまして、昭和五十七年では五二・八となっております。
  211. 立木洋

    ○立木洋君 それから次に、主な西ヨーロッパの諸国では、民間の女子労働者の育児休業制度はどういうふうになっていますか。
  212. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 労働省婦人少年局が把握している限りにおきまして、先進国では西ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、オーストリア等で何らかの育児休業請求権を認める法律が制定されております。    〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
  213. 立木洋

    ○立木洋君 局長日本では民間で、財界のおえら方がどうもこれ反対だというふうな御意向のようですが、そういう事実があるのかないのか。あるとしたら、その点については局長どういうふうにお考えになっていますか。
  214. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) 経団連、日本商工会議所、経済同友会、日経連、いわゆる経済四団体から労働大臣に対しまして、五十六年の十月に御意見が提出されておりまして、その中で、「女子に対する法制上の保護規定の全般的見直しの中で、総合的、長期的に慎重に検討される必要」がある。二番目に、育児休業制度の「普及にあたつては労使の自主的努力に委ねるべきである。本制度を、全業種・全企業一律に強制実施させることは無謀である」。三番目に、「育児休業制度の法制化により国・地方公共団体、保険財政または企業の著しい負担増は避けられず、現時点では妥当ではない」。この三つを挙げて反対の御意見が提出されております。
  215. 立木洋

    ○立木洋君 局長のお考えは。
  216. 赤松良子

    政府委員(赤松良子君) この問題につきましては、先ほどの男女平等法制とあわせて、婦人少年問題審議会で検討が進められておりますので、その検討結果を待って対処いたしたいと考えております。
  217. 立木洋

    ○立木洋君 労働大臣、いまお聞きのように、賃金の問題にしても、雇用の条件の問題にしても、いろいろな点で大変な状態になっておるわけですね。EC諸国の二十四カ国の中でも、日本が平等法を制定していない不名誉な一つに数えられているわけですし、いわゆる先進国と言われる状況の中では、賃金格差が日本が最もひどいというふうなデータすら出ているわけですね。こういう状態というのは一刻も早く解決されなければならないと思うんですね。大臣も、審議会というお話が先ほどありましたけれども、この雇用平等法の問題に関しては、もし審議会で平等法の制定が必要であるというふうな結論が出たとしたら、これはすでに日本の政府としても、国連婦人の十年の課題として八五年までに先ほど申し上げた差別撤廃条約を批准したいというふうな意向も述べられているわけですから、そうすると、そういう結論が出るならば、この雇用法の提出というのは次の通常国会になるんではないかというふうに考えられますが、いかがでしょうか。
  218. 大野明

    国務大臣(大野明君) 先ほども申し上げましたように、ただいま審議会において検討しております。その結果がまだ出ておりませんときに、仮定の問題にお答えするというのもいかがかと思っております。
  219. 立木洋

    ○立木洋君 総理大臣、この問題の最後にお尋ねしたいんですが、午前中のいろいろな御議論もありましたけれども、しかし、いまの大変な状態に日本がなっている、これは不名誉なことですね、男女不平等がこういう状態にあるということは。ですから、少なくともこの雇用平等法というものを早期に作成されてやるというふうな点を十分にお考えいただきたいと思うんですが、大臣のこの問題に対するお考えを。
  220. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 差別撤廃条約を早く批准するように準備を整えたいと思います。
  221. 立木洋

    ○立木洋君 これもすげないお話ですね。  もちろん、この問題に関しては、現在問題にされています母性保護の切り捨てというふうなことが当然あってはならないことだと思うんですね。ですから、十分な母性保護が保障されるということがあって、真の男女平等が実現されるわけですから、このことは十分に指摘しておきたいと思います。  次に、自衛隊基地の米軍との共同使用の問題ですが、最近アメリカは極東有事研究で日本に対して、戦略物資輸送と港湾施設の使用、物資調達、米軍による自衛隊基地利用などを提起するということが伝えられていますが、このような提起があったのかどうか、あったとしたらどのように対処されるんでしょうか、外務省お答えいただきたい。
  222. 北村汎

    政府委員(北村汎君) この六条自体の日米の共同研究は、一昨年の一月二十一日に第一回を開始いたしまして、その後まだ一回しか開いておりません。まだ余りはかばかしい進捗を遂げておらないのが現状でございます。  そういうわけで、ただいま先生がおっしゃいましたいろいろな問題も、まだそういう検討のあれには乗っておりませんが、自衛隊の共同使用ということにつきましては、これは私ども最初に日米防衛協力のためのガイドラインをつくりました際に、六条自体の研究の中に自衛隊の共同使用ということもあり得るというところはもう期待しておるところでございます。
  223. 立木洋

    ○立木洋君 いま言われた自衛隊基地の極東有事の際の共同使用ですが、これはできるのかどうなのか。できるとしたらどういう手続、条件を必要としますか。
  224. 北村汎

    政府委員(北村汎君) これはもう立木委員よく御承知の安保条約第六条によりまして、米軍はわが国における施設、区域をわが国の平和と安全、それから極東の平和と安全のために使用できるということがございまして、それをもとにして地位協定の第二条、もう少し厳密に言いますと、二条一項の脚とそれから二条四項の(b)ということで、これは施設、区域として提供できるわけでございまして、その場合には合同委員会にかけてやるという手続を決めております。
  225. 立木洋

    ○立木洋君 いわゆるわが国の防衛のための自衛隊の財産ですね、これを極東有事の際に米軍に使用させるということ、これは自衛隊法、あるいは国有財産法などの関連法律上問題がないのかどうなのか、防衛庁長官と大蔵大臣にお尋ねします。
  226. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 自衛隊の施設をいま御指摘の米軍の用に供するために提供することにつきましては、先ほど外務省からも手続についてお答えがございましたが、国有財産の管理法上も認められておりまして、特段の問題はないと思っております。
  227. 立木洋

    ○立木洋君 大蔵省は。
  228. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 施設庁長官が申しましたように国有財産管理法上問題ない。
  229. 立木洋

    ○立木洋君 最近の自衛隊基地の米軍との共同使用の状況ですね、どういう状況になっているのか。特に昭和五十六年からの共同使用になっている施設名、使用目的、使用期間について報告してください。
  230. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 昭和五十六年には特にございませんでしたので、五十七年以降について申し上げますと、滝ケ原駐屯地、これは使用目的は訓練施設、使用形態は年間約四週間、東千歳駐屯地、使用目的訓練施設、年間約八週間でございます。それから北海道千歳演習場、これは演習場でございますので面積を特に申し上げますと、八千七百二十七万九千平米、使用目的は訓練施設、年間約四週間。千歳飛行場、これは飛行場の施設でございますが、二百五十四万平米、使用目的飛行場施設、年間約四週間。三沢飛行場、これは三沢飛行場自体は米軍に従前から提供しておる施設でございますが、今回新しく追加提供しましたのは大湊分屯基地、いわゆるレーダーサイトでございますが、この追加提供を行っております。年間約四週間でございます。それから新田原飛行場、これも新田原飛行場自体は五十五年に提供しておりますが、追加いたしまして高畑山分屯地、これもレーダー施設でございます。これを提供しておりますが、年間約四週間。それから鳥島射爆場、これも射擬場自体は従前から提供しておりますが、久米島分屯基地、やはりレーダーサイトでございますが、これも年間約四週間ということで追加提供。それから小松飛行場、これは面積は百六十万六千平米、使用目的は飛行場施設で、やはり年間約四週間。  以上でございます。
  231. 立木洋

    ○立木洋君 これは長官、全部大体訓練ですね、使用目的は。
  232. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いま申し上げました中で、鳥島射爆場以外は、日米共同訓練を目的としたものでございます。
  233. 立木洋

    ○立木洋君 五十七年になってこういうふうに非常にふえているのは何か、どういうふうにお考えでしょうか。どうしてふえたんでしょうか。
  234. 塩田章

    政府委員(塩田章君) ただいまも申し上げましたように、目的が日米共同訓練でございまして、航空自衛隊が五十五年の新田原の基地の提供以来共同訓練をやっておりまして、それを逐次各飛行場に広げておりますということ。それから最初の方に申し上げましたのは陸上自衛隊でございますが、陸上自衛隊につきましても、御承知のように、逐次日米共同訓練を始めておりますので、その関係で追加提供をいたしたものでございます。
  235. 立木洋

    ○立木洋君 ドネリー在日米軍司令官がこれら自衛隊の基地を極東有事の際使用するために訓練するということを明らかにしています。しかし、これらの基地使用目的は、いまお話しのようにこれほとんどが訓練であります。また使用期間も約四週間というふうになっているわけですね。そうすると、いわゆる二4(b)のままでは、極東有事の際にはこれを米軍がそのまま当然使うということはできないと思うんですが、いかがですか。
  236. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 現在の基地の使用形態を変更するとか、あるいはそれ以上になるような基地の使用形態になります場合には、合同委員会にかけてそうして日米間に合意をつくればできることでございます。
  237. 立木洋

    ○立木洋君 政府がそういうことを決定すれば、自衛隊の基地をこのまま米軍が極東有事でも使える。いわゆるもともとが国有財産としてこの自衛隊の基地というのは行政財産になっていますけれども、これは自衛の目的のためというふうに限られているわけですから、そういうふうな政府が一方的に決定したからといって二4(b)でそのままやるというようなことは、これは地位協定すら違反じゃないですか。
  238. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 先ほども御答弁いたしましたように、まず安保条約第六条において、日本は極東の平和と安全のために米軍にその基地を使用させるということができるわけでございまして、そうしてその地位協定第二条におきまして、合衆国は安保条約第六条の規定に基づき、「日本国内の施設及び区域の使用を許される。」と、こういうことがはっきり書かれておるわけでございます。ですから、もちろんどういう場合に共同使用をするかということは、これはいろいろ日米間で検討いたし、わが国は自主的に判断をいたして、わが国のために必要であると考えるときには、安保条約及びその関連取り決めにおいてこれは対処できるところでございます。
  239. 立木洋

    ○立木洋君 中曽根総理総理防衛庁長官の時代にですが、昭和四十六年二月二十七日に、この「第二条四項(b)に該当しますのは、要するにわがほうが管理権を持ちまして、わがほうの責任において管理する、しかし一定期間を限って臨時に米軍に使用を認める、ねがほうが主であって、臨時に認められる米軍のほうは従でありあるいは客である、」、こういうことで四つの条項を示されたわけですね、これ総理が、その当時の長官の時代に。いま言われたような状態でこの二4(b)の形態で極東有事の際に共同使用なんというのは、こんなこと許していいんですか。
  240. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 二4(b)の解釈については防衛庁の専門家にしてもらいます。
  241. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) 委員御指摘のとおりに、昭和四十六年の二月二十七日に、二4他のいわゆる期間についての政府統一見解というものが出ておりまして、その中で委員御指摘の四項目、すなわち日数を限定して使用を認めるもの、それから日本側と調整の上その都度期間を区切って使用を認めるもの、それから三番目に、米軍の専用する施設、区域への出入の都度使用を認めるもの、その他右に準じて何らかの形で使用期間が限定されるもの、この四つを一応次のごときものが挙げられるということでお示ししておるということでございまして、先ほど御答弁申し上げました、北米局長の方から御答弁申し上げましたことも、二4(b)に基づいて自衛隊の基地の共同使用を米軍に認める場合には、このような考え方の範囲内で合意をするということは考えられるであろうということを申し上げた次第でございます。
  242. 立木洋

    ○立木洋君 大蔵大臣ね、これ略して言いますが、合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う国有財産の管理に関する法律、この第七条の違反にはなりませんか。どうなりますか。第七条がどういう内容なのかちょっと述べてください。
  243. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いま御指摘の法律の第七条でございますが、条文をそのまま読んでみます。「国が、第二条の規定により」、第二条といいますのはこのいまの法律の二条でございまして、提供できるという規定でございますが、「国が、第二条の規定により合衆国に対して政令で定める国有の財産の使用を許そうとするときは、内閣総理大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長、関係のある都道府県及び市町村の長並びに学識経験を有する者の意見を聞かなければならない。」、以上が第七条の規定でございます。
  244. 立木洋

    ○立木洋君 これに反していないかどうか。
  245. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私どもは、この条文は当然提供の場合に適用になるわけでございますが、この条文を受けまして政令がございまして、その政令を関係のところだけ読みますと、いまのその意見を聞くという点につきまして、「その使用を許すことが産業、教育若しくは学術研究又は関係住民の生活に及ぼす影響その他公共の福祉に及ぼす影響が軽微であると認められるもの以外のもの」、つまり軽微であるものはそういう手続は要らないが、軽微でないものはいまの申し上げた七条の手続が要ると、こういうことになっておりまして、この規定によって処理しておるところでございます。
  246. 立木洋

    ○立木洋君 極東有事の際に米軍が基地を共同で使用するというふうなことに、政府が新たな承諾を与えるというふうなことは、これ重大な問題であると思うのですね。これは憲法上から言っても私は問題だと思う。ましてやこの点いま言ったように軽微の際はというふうなことを言われましたけれども、極東有事の際に米軍が自衛隊の基地を共同使用するというようなことは……
  247. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 立木君、残念ですが時間になりました。
  248. 立木洋

    ○立木洋君 これは軽微じゃないわけですから、その際には明確に意見を求める、学識経験者その他の意見を聞くべきであるというふうに考えますが、長官並びに総理の答弁をいただいて私の質問を終わります。
  249. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほども申し上げましたように、この法律は適用があるわけでございますから、この法律に従って、その時点でどういう状態になるかを判断をした上で処理すべきものと考えております。
  250. 立木洋

    ○立木洋君 総理、ございませんか。
  251. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いま防衛施設庁長官が申し述べたとおりであります。
  252. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 以上で立木洋君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  253. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、田渕哲也君の締めくくり総括質疑を行います。田渕君。
  254. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 まず総理にお伺いしますが、四月二日の記者会見で、ソ連のグロムイコ外務大臣がINF交渉に関する発言をしております。この中で特に重要と思われる点は、まず第一は、レーガンの暫定提案を拒否しておること。第二は、SS20のアジア移転問題、これを交渉に含めることに強く反発しておること。第三点は、先ほども論議がありましたけれども、わが国の沖縄に置かれておる核に対抗するために、アジアのSS20が必要だと述べておる、この三つの点が特に重要だと思います。この点についてそれぞれについて総理の見解をお伺いしたいと思います。
  255. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) わが政府は、レーガン提案というものに対しましては、これはゼロオプションを最終目標として堅持しつつ、暫定的にその案を提示することについて賛成いたしました。それを拒否したことははなはだ遺憾であります。  それから第二に、沖縄に巨大な核基地がある云々という言葉は、これは全く事実無根のことでありまして、こういう事実無根のことを公に鮮明に言うということははなはだ失望し、かつ遺憾にたえない次第であります。  それから、三番目は何でしたっけ。
  256. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 SS20のアジア移転の問題。
  257. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) SS20についてアジアに移転する権利がある云々という言葉がございましたが、これは前から申し上げますように、アジア及び日本の犠牲においてこれが処理されてはならないということをかねがねソ連にも言い、かつアメリカにも強く要請しておるところでありまして、われわれはこの発言を認めるわけにはまいりません。
  258. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 レーガンの暫定提案に対して総理はどのように評価されますか。
  259. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いわゆるゼロオプションを終局目標として堅持しつつ、暫定提案としてこれを提出するということは、ソ連側がこれに協調して出ることを期待していたのでありまして、一歩前進である、そういうふうに解釈してやった次第で、われわれはこれを評価し、支持した次第であります。
  260. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 INF交渉の今後の見通しについてどう判断されますか。
  261. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) INF交渉はいま休会に入っているわけですけれども、アメリカの暫定提案が出て、まあグロムイコ外相が一応これを拒否したということでございますが、しかし、交渉そのものを否定しているわけではないわけですから、今後米ソ間にもいろいろと話し合いもあると思いますし、あるいはヨーロッパの動き、アジアの働き等もあると思います。そうした情勢を踏まえながら、今後交渉が継続をされて、そして両国の間で建設的な論議が行われるということをわれわれは心から期待をいたしておるわけであります。
  262. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 極東における核バランスはどうなっている、どのように判断されますか。
  263. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは正確に私ども判断することはむずかしいわけでありますが、しかし最近の状況から見ますと、少なくともSS20が極東において百八配備をされておる、こういうことでございますし、その他の米ソの核というものも存在するわけでございますので、私どもとしては新たな中距離核ミサイルというものの縮減、あるいは全廃、そういうものが行われなければ、これからの軍縮というものが進んでいかないんではないか。全体的に見れば、現在の情勢ではむしろソ連の軍事力というのが極東においては全体的に見て増強をされつつある、こういうふうに判断をいたしておるわけであります。
  264. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 防衛庁長官にもお伺いしますが、ソ連のSS20の極東、アジアに対する配備によって、米ソの核バランスは極東においては崩れつつあると見られておられますか。
  265. 谷川和穗

    国務大臣谷川和穗君) まず最初に、私どもは核抑止につきましてはアメリカの核に期待をいたしております。  それから第二点といたしまして、SS20の極東配備問題ばかりでなくて、たとえばバックファイアの配備その他から、ソ連の核を含めました、その他通常兵器まで含めまして、軍備の増強はこの極東では相当このところ続いてきておると存じます。  なお、その他言われておりますことは、多分恐らく三分の一ないし四分の一の全ソ連の軍事力が極東へ配備されておるであろう、これは一般論といたしまして核を含めての話でございます。
  266. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 極東において核を含めてソ連の軍備というものが増強されつつある。それに対抗する措置としてアメリカは第七艦隊にトマホークを配備するとか、あるいはF16の配備とか、対抗措置をとろうとしておるわけでありますけれども、この措置についてどのように判断されますか。
  267. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いま防衛庁長官から説明いたしましたように、ソ連の全軍事力の三分の一、あるいは四分の一近いものが極東に配備をされておるということでございます。  そういう中で、やはり平和を維持していくということは、いわゆるこの軍事力のバランスがその大前提になっておるわけでございますから、アメリカとしてもその軍事力のバランスを保つために、極東における軍事力を強化をしておるということは、当然これはソ連に対して軍事力のバランスをとるためにはやむを得ない措置であるとわれわれは考えております。
  268. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 もしヨーロッパの戦域核削減が行われて、SS20がアジアに回されるというようなことになった場合には、アメリカのそれに対抗する措置がさらにエスカレートしていくべきものではないかと予想されますけれども、この点はどうですか。
  269. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) それはやはりSS20、それでなくても百八基も配備をされておるわけで、大変強力なミサイルですから、さらにそれに加えてヨーロッパからのSS20が増強されるということになりますれば、これに対する対抗措置というものが、これはアメリカとしてももう当然考えざるを得ないのではないか、まあこういうふうに思うわけでございます。そういうことがないように、INF交渉が円満に妥結をする、そして核軍縮がバランスのとれた形で実行されることをわれわれは心から期待をいたしておるわけです。
  270. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 もし、双方の核装備がエスカレートしていくような事態になった場合に、アメリカがわが国に対して非核三原則の修正を求めてくる、こういうことが予想し得ると思いますけれども、その可能性はどうですか。
  271. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) われわれは御承知のように非核三原則は国是として持っておりますし、これを貫いておるわけでありますし、また、アメリカに対しても日本のこの立場というものは十分説明をし、そして理解を得ておるわけでございますので、わが国としてこの国是をもちろん変えるという考えは毛頭ありません。
  272. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 わが国はないということは先ほどからの答弁でよくわかっておりますけれども、アメリカがそういう要請をしてくる可能性は出てくるのではないでしょうか。
  273. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は、これまでの日米間の信頼関係、あるいは安保条約という面から見ましても、あるいはしばしばアメリカの今日までの日本に対する言明からいきましても、アメリカは日本のそうした基本的な国是を変更する、そういうところまでアメリカが求めてくるということはあり得ない、アメリカは日本の立場を十分に理解をいたしておる、こういうふうに判断しております。
  274. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先日、エンタープライズが佐世保に寄港したわけでありますけれども、それに次いで原子力空母のカール・ビンソンの横須賀寄港を求めてきておるということが言われておりますけれども、これは事実ですか。
  275. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) カール・ビンソンの横須賀寄港については、現在までのところ全くアメリカから何らの連絡も通告もございません。
  276. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 もしそれを求めてきた場合に、政府はどのように扱われるのか、扱いはエンタープライズの場合と同じようにするのか、いかがですか。
  277. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) もちろん日米間には安保条約があるわけでございますから、安保条約、その関連取り決めによって対処をしてまいる考えであります。
  278. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この間のときにはアメリカの大使にわが国の非核三原則に関連して確認をされましたけれども、カール・ビンソンの場合もまたそういう確認をされますか。
  279. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この前の場合は、これまでも国会でも政府から発言をしておりましたが、F16の三沢配備であるとか、あるいはまたエンタープライズの寄港、こういうこともあって、アメリカにもう一度確認しましょうということでいたわけでございますが、われわれとしては今回の私とマンスフィールドさんとの間の確認で十分である、こういうふうに判断しております。
  280. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 さらに将来ニュージャージー、これが改装して核ミサイルを搭載して第七艦隊に配備されるということになるわけでありますけれども、ニュージャージーの寄港要請の場合はどうされますか。
  281. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これもまだ全く連絡も通告もありませんが、私たちとしては、もしそういうことになれば、安保条約、その関連規定によって対処していくということであります。
  282. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ニュージャージーに対する核ミサイルの搭載というのは、やはりソ連の戦域核に対抗するためのものだと言われております。したがって、当然ニュージャージーに積まれるトマホークには核弾頭がついておるということになるわけであります。その場合はどうなんですか。
  283. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私の聞いておる範囲ではこのニュージャージーに積まれるトマホークは核、非核両用であると、こういうふうに聞いております。もし核が積まれて日本に入ってくるということになればもちろん事前協議の対象になるわけでございます。そのときの私たちの態度はこれはノーだということでありますから、アメリカがこのニュージャージーの入港を求めてくる、そして事前協議の対象として求めてこないということになれば核抜きで入ってくる、こういうことであります。
  284. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 核の制限交渉、あるいは核兵器のエスカレートを防ぐというのはきわめて重要な問題であると同時に、きわめてむずかしい問題でもあると思うんです。  ヨーロッパの場合、特に西独の場合は、ソ連の戦域核に対抗するために、国民の中にはかなりの反対があったにもかかわらず、シュミット内閣時代にパーシングIIの配備を決定して、決断をして、そしてそれを認めることによって核バランスを保ち、それをきっかけにして、同時に条件として核削減交渉というものをアメリカ並びにソ連にやらせるということをつけたわけであります。恐らく現在のINF交渉もそういうことが一つのきっかけとなって軌道に乗ってきたと思うんであります。  このような、西ドイツがとっておるような核のバランスを保ちつつ相手に交渉を迫るというようなやり方をどう思われますか、総理にお伺いします。
  285. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) おっしゃるように、ヨーロッパの場合は、いわゆるNATOの諸国がダブルデシジョンというのをやりまして、一方においてパーシングIIの配備を認めるが、一方においてはソ連に対して善処を要求する、そういうことでいまのようなINFが進展してきたと思います。  元来、ヨーロッパにおける場合は、軍事物理学的な均衡というのが、数量的にある程度明らかに出てきておるように思います。NATOとワルシャワ勢力の間におきまして、当初においては戦車部隊やそのほかの通常兵器軍がNATO軍、ワルシャワ条約軍が非常に優勢であるので、アメリカは戦術核をもってこれに対抗してバランスを保つと、そういう情勢であったと思うんです。ところが、ソ連軍が核兵器を非常に増強してきてバランスが崩れたためにいまのような情勢に変わってきた。ある意味においては軍事物理学的に量的な均衡というものが計算されつつあると思うんです。  しかし、アジアの場合には、そういうような軍事的、数量的バランスというものははなはだ不明確でありまして、ただ最近の情勢を見ると、ミンスクが来るとか、あるいはバックファイアが増強されるとか、あるいは三百三十三あるSS20のうち約九十がウラル以東に転回されてきているとか、そういう程度の情報でございまして、必ずしもそのようなヨーロッパ的な発想になじむものではない。ある意味において、アジアにおける全体の防衛戦略体系というものは中国というものを無視することはできませんし、朝鮮半島の問題もございます。  そういう意味において、必ずしもヨーロッパ的な発想はアジアにいますぐ適用することが適当であるかどうかはもう少し検討をする必要があると思うんです。アジアの場合には、ある程度の空白部分があったり、また国によって非常に文化や歴史の相違もございまして、ヨーロッパ的な均一性がございません。そういう点もよく深く考えて、われわれ独自の防衛戦略体系というものを考えていくべきであると思っております。
  286. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いまの総理のお答えから類推をしますと、わが国がソ連等の核戦力に対抗する措置としては、西ドイツのようにこちらもある程度の核を持ち、あるいはアメリカの核兵器の配備を認め、そういう対抗的な環境をつくった中から交渉を始めるという方式ではなくて、あくまでもわが国は非核政策を貫くことによって、ソ連の戦域核に対する何らかの外交措置を要求する、そういった方向に進むというような感触に受け取りますけれども、そうですか。
  287. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私はヨーロッパにおけるほど軍事的バランスというものが切迫性を持っているとは思わないんです。アジアの場合はやはりアジア的性格というものがありますし、いま言った中国やらいろいろ国々の関係も、均一性を必ずしも持っていないということでありまして、わが国が非核三原則を放棄しようとは思っていないわけでありますから、結局非核三原則を放棄しないで堅持しつつ、アメリカの核抑止力に一面においては依存する、そういうやり方をわれわれは考えておるわけでございますから、こういう点については慎重にしていくべきであると思っております。
  288. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 わが国の非核三原則に対する外国の評価というものは、どのように判断されますか。
  289. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは国によって違いますし、表で言っていることと腹の中で考えていることが必ずしも一致しているとは思いません。しかし、一般的に言って、第二次世界大戦というような原因やらその結果等から見まして、日本やドイツに対する警戒心というのは非常に大きいわけであります。したがって、ドイツの再軍備というものは、これはNATO体系の中で許されておるということであります。日本の場合は日米安保条約という形で、アメリカがそばにいるということでASEANや関係各国が安心しているという面もございます。そういうこともよく考えて行う必要があると思っております。
  290. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、非核三原則に対する海外の評価というものに、まあいろいろあると思いますけれども一つはこれは非常に高く評価する。前の国連事務総長のワルトハイムさんも言っておられるように、やはり日本は原爆体験というものを生かして、そういう非核政策をとることで世界平和に貢献できる余地があるということを言っておられますし、またその他の政治家や学者の中でもそういう立場をとられる方もたくさんいるわけです。ただ、一面において私は、米ソ間の核のエスカレート、核防衛力のエスカレートが進んでいくと、逆に日本だけ非核で自分のところさえよければいいのか、特にヨーロッパのようにいやいやながら核の配備を許容せざるを得ない立場にあるところからは、日本は虫のいいことを言っているというような意見もないではないと思うんです。この点はいかがですか。
  291. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ヨーロッパの情勢とアジアの情勢は非常に違う点がありますから、そういう点は専門家はちゃんと理解できるだろうと思いますし、また日本といたしましても、そういう情勢の相違というものはよく外国にも理解してもらうように努力してもらう必要があると思いますし、日米安保条約の運用につきましても、よくアメリカと話し合ってやっていく必要がある。言いかえれば、日本独自の考え方というものをよく世界に周知徹底させる必要があると考えております。
  292. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、日本の非核三原則というものがひとりよがりではなくて、やはり国際的に通用する、国際社会に通用し、また国際社会から評価されるものにしなければならないと思うんです。そのためには何が必要かというと、特に核軍縮に対する日本の平和政策というものをもっと強烈に出していくべきではないかということが一つ。  それからもう一つは、いまもトランジットの場合は非常に真偽のほどが疑問視されておる、外国もそう見ておるし、日本の国民さえも疑っておるわけでありますから、こういう面における本音とたてまえの使い分けをやめるべきだと思うんです。中曽根総理はタブーに挑戦する、そして本音の政治をやるということがモットーだというふうに伺っておるわけでありますけれども、この問題についてもやはり本音とたてまえの使い分けをやめなければならない。  それから、アメリカの立場とすれば、やはりソ連に対抗上どんどん核の配備をアジアにおいてもふやしてくる、そして、いつまでも日本が非核三原則を守ることを許さなくなるおそれもあるわけであります。そういう場合に、やはり毅然とした態度をとることが大事であるし、また国民や、あるいは外国が持っておる疑いについては、それを晴らす努力が必要であろうし、またそれをはっきりさせるならば日本の立場が鮮明になるわけでありますから、核軍縮に対するもっと積極的な外交というものを展開すべきであると思いますけれども、いかがですか。
  293. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、先ほど申し上げましたようないろんな理由に基づいて、日本が非核三原則を放棄しなければならぬ事態が来るとは思っておりません。また、アメリカがそういうことを日本に言ってくるという可能性もないと考えております。
  294. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先般、ソ連の共産党から民社党あての書簡の中で、日本が非核三原則を守れば、ソ連はしかるべき保障を日本に与える用意があると述べております。また、それについてソ連共産党理論誌の中で対日核不使用協定の締結について交渉を呼びかけております。  これは先日委員会でも外務大臣から見解を伺っておりますけれども総理はこれについてどう考えられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  295. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういうことを一方において言っておりながら、片方において沖縄に膨大な核基地があるというようなことを言っているのは非常に大きな矛盾でありまして、一体ソ連は何を考えているのか、よく理解しかねているところであります。
  296. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これは必ずしも矛盾ではなくて、日本は現在のところでは非核三原則を厳密に守っているのかどうかわからない面があるけれども、もし守るならばそういう保障を与えるといった趣旨ではないかと思います。  それから、わが国が核を持たない、非核三原則を堅持するということは、ソ連にとっても非常に大きなメリットがあると思うんですね。少なくとも日本はソ連に対抗するための核兵器を持たないということはメリットであるはずであります。相手にそれだけのメリットを与えておるんだから、われわれもソ連から何らかのものを取りつけるべきではないか。また、それが非核三原則を生かした外交ではないかと思いますけれども、いかがですか。
  297. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) われわれは非核三原則を国是として保持しておるのでありまして、この点は一点の疑いもありません。したがいまして、民社党におかれましてどういう御返事をなさるか知りませんが、わが国は非核三原則のもとに核兵器はないということをはっきりおっしゃっていただけばありがたいと思います。
  298. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私が言っているのはその点ではなくて、せっかくわが国が非核三原則というようないい政策をとっておるのだから、それを日本の国防上もやっぱり使える面があれば使うべきである。やっぱり核攻撃というものをしないと向こうが保障するなら保障させた方がいいと思いますけれども、いかがですか。
  299. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これはいろんな問題に関係してくることの一つの部分でありまして、そのことのみを考えて、そのことのみだけでこたえるということは、これは警戒を要し、慎重を要する、そういうふうに思います。
  300. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そういう面もあろうかと思いますけれども、そのことのみというだけではなくて、極東における戦域核の削減交渉の中でも、これは一つのわが国としての有力な立場になり得ると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  301. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういうお考えは総合的な一部として考慮に値するとは思います。
  302. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ソ連のアルバトフ・アメリカ・カナダ研究所長が、極東アジアにおける中距離核制限交渉についての発言をしておりますけれども、この点はどう思われますか。
  303. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 核の削減交渉は、これはもう米ソ両国によって行われておるわけでありますから、いまその他の国がこれに関与しておらないわけでありますし、われわれとしては巨大な核を持っておる米ソ両国によって、まずやはりバランスのとれた核の軍縮が行われるということが今日の最も現実的な解決方法である、こういうふうに考えるわけです。
  304. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ヨーロッパでINF交渉が進んでおりますけれども、その中でレーガン大統領はアジアの問題にも関連した提案をしておるわけです。これはグローバルな立場での核戦力の削減ということを言っておるわけであります。しかしながら、INFの交渉の進展の中で、アジアも含めて一挙に解決するなんていうのはなかなかむずかしいわけで、またヨーロッパの立場とすれば、アジアはアジアで別にやってくれ、アジアを含めたがためにINFの交渉の進展に邪魔になるなら困るということも当然あると思うんですね。したがって、極東においても米ソの間でINF交渉を始める必要があると思いますけれども、この点はいかがですか。
  305. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) レーガン大統領は、もちろんグローバルな立場でINF交渉を推進したいということをはっきり言っておるわけでありますし、この点については、ヨーロッパ諸国もやはりINF交渉はグローバルな立場でこれを進めなきゃならぬということを各国とも述べておるわけで乙ざいます。したがって、こうした問題についてのいわゆる西側陣営の足並みというものはそろっておる、グローバルな形でこのINF交渉を進めるという意見は一致している、われわれはこういうふうに判断しておりますし、この考え方をぜひともINF交渉の中で推進してもらわなければならない、こういうふうに思います。
  306. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いま、米ソで行われておりますINFの中には、アメリカ側並びにヨーロッパ側の考えとして、これは地球的規模で解決されなければならないということで進められておるので、アジアもその中に含まれておるのでありまして、特にアジアにおけるINFというものを特別に、ことさら新しく設定するというべきものではないと思います。
  307. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 わが国の核削減交渉に対する姿勢がどうも消極的なような気がするわけです。ヨーロッパにおいてもこのINF交渉が始まり、そして進められておるというのは、アメリカとソ連だけの問題ではない、その中間にあるドイツとか、フランスとか、イギリスとか、そういうところの声というものが非常に強く反映してああいう交渉が推進されておるわけです。したがって、私はアジアにおいてもそれに似たような立場に日本はあるわけですから、日本がその削減交渉というものを何か始めるきっかけをつくることにならなければならないと思うわけですけれども、いかがですか。
  308. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その必要は目下ないと思います。今回のINFに対するレーガン提案というものをやるについては、レーガン大統領は、われわれの方にドイツやイギリスと同じように事前に綿密な相談を持ってき、われわれの意見を聞いた上で行われているのでありまして、すでに地球的規模におけるINFはアジアも含めて行われていると私は解釈しております。
  309. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この問題に対しての中国の考え方はどうでしょうか。これは先日、自民党の二階堂幹事長が訪中された。その際、趙首相との間でSS20の話も出たというふうに聞いておりますけれども、何らかのそういう核に対する交渉とか、協力問題で話し合われたということはありますか。
  310. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 先般、二階堂幹事長が訪中されましたときに、中国の首脳と会われまして、そのときにいわゆる日本のINF交渉に対する態度といいますか、方針を説明をされ、ソ連のSS20が極東に増強されるということは、日本のみならず中国にとって、アジア全体に対して脅威が増大することになる、したがって、われわれとしてはこのSS20の極東の増強というものを、INF交渉で何としてもこれを阻止しなきゃならぬと、こういう日本の考えを述べたわけでございますが、中国側としてもこれに対しては異論はないと、こういうふうに聞いております。
  311. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 間もなく日ソ事務レベル協議が行われますけれども、これはどんなテーマを取り上げる予定になっていますか。
  312. 加藤吉弥

    政府委員加藤吉弥君) 来る四月の十二、十三の両日、第三回目の日ソ事務レベル協議を行うことについて合意が成立しております。前二回の場合同様、国際情勢一般並びに日ソ関係について立ち入った意見の交換を進める予定でございます。  先般来お話が出ておりますINF、特にソ連のSS20の極東配備の問題は、日本にとってのみならず、このアジア全般にとっての平和と安定にきわめて大きな影響を及ぼす問題であり、しかも、ソ連の主張は事実の根拠に基づかないという点が多々ございますので、この点を徹底的に究明いたしまして、かつわが方の懸念をしかるべく先方に伝え、改善方を強く要望する所存でございます。
  313. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 来るべきサミットにおいてやはりINF問題が取り上げられると思いますけれども、この点はいかがですか。また、これに関してわが国はどういう主張をされますか。
  314. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まだ議題につきましては、総理並びに大統領の個人的代表は協議している最中でございまして、どういうふうなものをどういうふうに取り扱うかということは決定しておりません。しかし、これだけの大問題でございますから、あるいは出てくるかもしれません。それに対する用意は十分していきたいと思っております。
  315. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 さらに、総理がサミットへ向けて、クラ地峡とか、第二パナマ運河とか、砂漠の緑化などのいわゆる世界公共投資基金構想というものの提案について検討されておるというニュースがありましたけれども、この内容はどうですか。
  316. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういう考えを持ってサミットに臨むというようなことは言ったこともありません。いまのところ考えてもおりません。
  317. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それでは次に、議会制度の改革の問題について総理にお伺いをしますけれども、先日、近代化協会というところが、衆議院は四十名、参議院は全国区はもう要らぬと、百人の定数削減をしたらどうかと、こういう骨子の議会改革に関する提言をまとめて、これは中曽根総理のもとにも届いておると思いますけれども、各政党の党首のところへ届けたというニュースがありました。まあ行革というものが必要性が叫ばれておる今日において、政治の最も中枢とも言うべき国会においてこのような改革を行うということ自体は必要だと思いますけれども、この点について総理はどう考えられますか。
  318. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 非常に大胆な御提言があったと思います。現在地方議会におきましては、議員の定数削減がかなり進行しておりまして、私の群馬県でも先般、渋川という市で三十人の議員を二十六人に減らしました。県下にかなりまた影響を与えて、まねする市町村も出てまいっておるようです。そういう意味においては、行政改革という面から出発する一つの考え方であると思います。  ただ、これは各党各派が、国会の基礎的な問題として重大な問題でありますから、よく話し合って考うべき問題でありまして、私がここで行政府として私見を差し挟むのは必ずしも適当ではない。しかし、行政改革という面から、行政府として見てみると非常に大胆な提言をしたと、そういうふうに見ております。
  319. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その中では、去年自民党が強行された参議院の全国区の制度改革は余り評価されていないようであります。現在も選挙が近づいていろいろあれによる好ましからざる現象も出ておるようでありますけれども、私もあれは余り評価しておりませんけれども、やはりこういう議会の改革ということについても、総理は行政府の長という立場でありますけれども、議席の最大数を持つ自民党の総裁でもあるわけです。やはり自民党がやる気にならなければ何もできないです。自民党がやる気になっても、野党が反対してできないこともありますけれども、同じやるなら、ああいう 参議院の全国区制度の改革のような、へんてこなみみっちいことをやらずに、たとえばこういう思い切ったことを考えられたらどうなんですか。
  320. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 参議院制度が始まってから私は国会で初めてそういう御発言をお聞きいたしまして、非常にまた勇気のある御発言であると思いました。しかし、この問題は民社党だけでなしに、各党各派みんなが関係する問題で、共通のグラウンドづくりの問題でございますから、これは慎重に検討してまいりたいと思います。
  321. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に、衆議院の解散についてお伺いをします。  総理は、いままで衆議院の解散について言われたことを総合しますと、まず第一は、軽々にやるべきではない。原則的には任期満了まで議員は仕事をすべきだ。第二には、しかし、政局を打開するため、やむを得ず国民の審判を仰ぐ場合は解散もあり得る。節三は、ダブル選挙は邪道であり、目指してやるべきではない。しかし、たまたま政治が行き詰まって重なることは偶然としてあり得る。これはいまでも総理の考え力として間違いはないですか。
  322. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が総理大臣就任以来の発言を全部網羅しておっしゃっておるようでございますが、私は一つの筋を言っておるのでありまして、いま解散する考え方はありません。
  323. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 衆議院の解散については、野党だけでなくて、自民党の内部からも大義名分のない解散はやるべきではないという意見があるようでありますけれども、大義名分とは何かとお考えですか。
  324. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いろいろあると思いますが、その中の一つの大きな問題は、野党が不信任案を出すということではないかと思います。それに対して与党がどういうふうに反応するか、それを否決するか、あるいは解散するか、そういうのはやっぱり政治のある一つの、重大な局面に立った場合の想定の一つではないかと思います。
  325. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いまダブル選挙が盛んにうわさされております。その理由として、今度全国区の制度が変わった。今度は比例代表制だから衆議院とダブルでやらないと、投票率が下がって何ともならぬと。だからダブルでやるべきだという意見がありますけれども、これは大義名分の中に入りますか。
  326. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは皆さんがどういうふうに御判定なさるかということでありまして、投票率を上昇せしめるということは民主政治における参加のチャンスを多くつくっていくという意味において意義のあることではないかと思います。だからといって、私がダブル選挙をやるという意味ではありません。
  327. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私はこんなのは大義名分でも何でもない、全く不名分だと思うんですね。参議院の投票率を上げるために衆議院の解散をやるなんてもってのほかです。こんなのは問題にならない。  それから、これはけさほど言われたから間違いないと思いますけれども田中ロッキード裁判の判決が秋ごろにある、その前にやった方が得だからやろうというのはどうですか。大義名分になりますか。
  328. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 裁判所のやっていることと行政府や国会がやっていることは連動いたしません。
  329. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 したがって、これは大義名分にはならないということだと思います。  それからもう一つは、やっぱり別々にやるより一緒にやった方が選挙資金が少なくて済むからやろうと、これはどうですか。
  330. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 資金関係も私は大義名分には入らないと思います。
  331. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、やはり総理が原則として言われた、野党が不信任案を出すとか、あるいは不信任案が通るとか、あるいは何か国民に信を問うような重大な政争点が持ち上がってきたとか、政治が行き詰まって、国会がにっちもさっちも行き詰まって、日本の政治が動かなくなったとか、こういうことに限られるわけですね、いま言ったような理由は大義名分にはならないとすれば。そうすると、ダブル選挙をやるにはこの国会中に解散をしないといけませんけれども、この国会中にこういった政治が行き詰まるとか、それはどういう事項が予想されますか。どういった面でそれは国民に信を問わないといかぬことがあるかというふうに考えられますか。
  332. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは野党の皆さんの胸先三寸にあると思います。
  333. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 確かにこれは与野党相互の問題ですから、総理大臣が一方的に答える問題ではないかもわかりません。私はこの中で一つ、この予算委員会の論議を聞いておっても感じたことですけれども、財政再建というのは、非常に重要なやっぱり政争のポイントになり得ると思うんです。  それから、五十九年度の見通しも、大体三つぐらいのケースを試算されておりますけれども、どのケースでも五兆円前後の要調整額が出る。これをどうやって埋めるかということは全く明らかにされていない。私はそういう解散――国民に信を問うなら、政府は堂々と増税なら増税でやるとか、あるいは赤字国債の発行を増発でやるとか、あるいは歳入欠陥をこれだけ切り詰めるとか、そういうものを明らかにして選挙に臨まれるべきだと思いますけれども、いかがですか。
  334. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御意見として承ります。
  335. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 余り時間がなくなりましたけれども、減税についてももうかなり論議がされておるわけです。この中で減税に関する政府の答弁は、与野党の話し合いを尊重するということと、七月前後の税収の状況を見ないと具体的に中身、実施時期は決められないと、大体こういうことだと思いますけれども、私は七月にならないと決まらないというのはおかしいと思うんです。これはどういう理由からですか。
  336. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これはやっぱり税制というものは、国の予算のいわゆる歳入の大宗をなす一番大事なところでございます。したがって、七月と申しますのは、すでに昨年暮れに議了いただきました五十七年度補正予算を含めたその歳入のいわば決算が確定するわけであります。その決算が確定した段階で、弾性値等初めて五十八年、いま見積もりとして御審議いただいております税収というもののまた新たに輪郭がつかみ得ると。したがって、やはりこの五十七年度の歳入のいわゆる決算が確定するというのは、今後の財政運営を展望するに当たって、一番一つの時期を画する時期ではなかろうかというふうに考えております。
  337. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私はその論議はおかしいと思うんです。われわれが与野党の代表者の話し合いで要求したことは五十八年中の減税でありまして、五十七年度の決算がどうなるかというのは大勢には影響ないと思うんです。それから、補正予算も組んで、大体のところそんな大して余りもせぬ、若干足らぬようになるかというところじゃないかと思うんですね。それもまた補正予算を組んでおりますから、またむちゃくちゃに足らぬということもないんじゃないか。だから、それを待ってというのは、これはちょっと筋が通らないと思いますけれども、いかがですか。
  338. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 田渕君、時間が参りました。
  339. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) やはり次年度のいわゆる財政運営の基礎になるものは前年度の歳入歳出の決算、なかんずく歳入の決算というものは財政運営の基礎となるべきものであると思います。財政運営の中の大きなポイントがまた税の問題でございますので、当然その基礎となるものは重大であると、こういう論理につながると思います。
  340. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 以上で田渕哲也君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  341. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、秦豊君の締めくくり総括質疑を行います。秦君。
  342. 秦豊

    ○秦豊君 中曽根総理、あなたは大変足速でいらっしゃるし、しかもかなり大またでいらっしゃる。そのために在任四カ月半にして国民との隔たりは、特に防衛問題については大きくなる一方だと、私の認識ですが、いかがです。
  343. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最近はまた非常に縮まってきたように思っております。
  344. 秦豊

    ○秦豊君 それはマスコミ用語では軌道修正というのですが、客観的には毎日新聞調べ三月二十一日、中曽根内閣の防衛姿勢に不安七二%、これが現実です。あなたのイメージチェンジにかかわりはない。これをどう思われますか。
  345. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一応世論調査というものはこれを受けとめて考えなきゃいかぬと思いますが、必ずしも国民の声を本当に代表しているとは思いません。たとえば、あなたの心配は何ですかと言うと、いつでも物価、減税、景気、そういうものが出てくる。物価が相当上がったときもそうです。いまみたいに物価が一・八%と、これぐらい下がったときでも物価、減税、景気と、こう出てくるんですから、何か癖みたいなものもあるんじゃないかという気がいたします。
  346. 秦豊

    ○秦豊君 大方の世論を癖と切り捨てる感覚に問題が大きいが、総理は防衛については国民の間にどのような合意がすでに形成されているとお考えでしょう。
  347. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) われわれが言っておりまする、憲法を守り、専守防衛に徹し、非核三原則のもとに軍事大国にならないと、こういうことがコンセンサスだろうと思います。
  348. 秦豊

    ○秦豊君 非常に冷徹というか、冷静でいいんですがね、あなたが日指していらっしゃるのは本当は新たな国民合意の形成じゃございませんか。
  349. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いま申し上げたとおりであります。
  350. 秦豊

    ○秦豊君 事防衛に関する限りあなたは歴代、いわゆる保守党、保守本流とは明らかにスタンスが違う。日米同盟路線、安保の実体を直視せよ――いままでより一歩踏み込んでいるんじゃありませんか。
  351. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いわゆるガードレールをはっきりしたということはあると思います。自動車の通行について右と左のガードレールがあります。そこを雑草が茂っていたり、あるいは手入れが悪かったり、そういうところを草刈ってここまでは行けます、ここまでは行けます、これ以上は行けません、そういう点をはっきりした点はあります。しかし、それは日本の安全保障をより明確にしたと、日本の平和のために非常により役立つという意味でやっておるわけであります。
  352. 秦豊

    ○秦豊君 たとえば、前鈴木総理は日米同盟に軍事は包摂されずと、あなたは大胆にそれを直視している、その違いはあるでしょう。
  353. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日米関係は安保条約で結ばれているのでありまして、広義の軍事同盟関係にあると、軍事同盟関係と、そういうことは私は前から肯定しておりますし、鈴木さんもそういう認識でいると思います。
  354. 秦豊

    ○秦豊君 総理日本に総合的な国家戦略はすでに形成されているという御認識でしょうか。
  355. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 以上のような、さっき申し上げたような諸原則のもとに軍縮を求め、国際世論を喚起し、外交によってこれを行っていくと、そして防衛についてはいわゆるシビリアン・シュプレマシー、文民優位を堅持していくと、こういう点で決まっておると思います。
  356. 秦豊

    ○秦豊君 あなたは、大平政権が残されたいわゆる総合安保構想、政策、これは十分だとお考えでしょうか。
  357. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が昭和五十三年に書きました「新しい保守の論理」という中には総合安全保障政策が非常に重要であるといって一項目設けて論じております。
  358. 秦豊

    ○秦豊君 にもかかわらず総理は、今後の防衛を展望された場合に新たにかなりな規模の第三者機関によって、あるべき安全保障構想等について改めて有識に聞くというふうな考えはおありですか。
  359. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、防衛政策とか安全保障政策とか自衛隊のあり方について、常に国民がこれを問題視し、そしてこれをどうするかというような機会をつくっていくと、国民の中の自衛隊、そういう考えで自衛隊を運用していくことは非常に重要であると思っております。
  360. 秦豊

    ○秦豊君 より具体的に伺いたいんですが、そのためには特定の機関をつくって時間をかけてじっくり来し方を解析し、行く手を展望するというお考えと結びつきますか。
  361. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたような考えに立ちまして、私は防衛庁長官就任のときに自衛隊を診断する会というものをつくりまして民間有識者に診断をしてもらい、意見を聞きました。その意見を採用して防衛政策を進めてまいりました。こういう考え方はいい考えだと思っております。
  362. 秦豊

    ○秦豊君 あなたもしかしたら二期四年担当されるわけですから確認ですが、第三者機関の設置はあり得ると受けとめてよろしいですか。
  363. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 任期四年というのは怪しいんじゃないですか。
  364. 秦豊

    ○秦豊君 任期は不確定にせよ、第三者機関の設置はあり得ると、安保問題について。いかがでしょう。。
  365. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、自衛隊というものを国民の広場に据えてみんなで自衛隊というものをよく見、また国会が監視し、そして国民の自衛隊として成長させていくと、そして文民優位を全うするということは大事である。それ具体的にどうするかというようなことはいまのところ考えておりませんが、そういう原則を実現していくことは大事であると考えております。
  366. 秦豊

    ○秦豊君 特に第三者機関に求めなくてもいまのままで十分というふうな御認識ですか。
  367. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 適当なときに必要あらばそういうことをやることも意味があると思っております。
  368. 秦豊

    ○秦豊君 その必要は現在感じていらっしゃいますか。
  369. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 目下のところは感じておりません。
  370. 秦豊

    ○秦豊君 総理のこの国際情勢認識の根底を伺っておきたいんだが、これは大事なことですから。大規模な米ソ戦などはあり得ない、こういう御認識ですか。
  371. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大規模な米ソ戦もないし、第三次世界大戦もないだろうと、私は人類の良識を信じております。
  372. 秦豊

    ○秦豊君 ならば、それに伴った特定国による対日侵攻等の蓋然性、可能性もまた大きくはないということですね。
  373. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのとおりです。ただし、日本が自分で自分の国を守るということを決意して、そしてもし日本に手をかけた場合に相当な被害が出ると、だからそれを抑えると、そういうような保障を日本人みずからがやらなければいけないと思います。
  374. 秦豊

    ○秦豊君 今回のグロムイコ発言はしょせん一つのプロセス、曲折であって、INFとSTARTの一定の進展の後、米ソ首脳会談が早ければ年内にも開かれるという公算は依然として大きいというお考えでしょうか。
  375. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) きのう福岡で記者会見しました際に、記者の皆さんからその問題について聞かれましたが、私はいろいろなことを言った後で、これは交渉のある特定段階における一つの経緯であろうと、したがって終局的には両方が妥協して適切、合理的な線におさまることを希望しておると、そういうことを言っておるのでありまして、私はこの問題はもう少し息を長くして見詰めていきたいと思っております。
  376. 秦豊

    ○秦豊君 いずれにせよ、中曽根総理、この米ソ双方にそれぞれ内在する困難な、さまざまな要因によって、米ソはいま一度緩やかに英知を働かして新しいデタントの再構築に向かうと私は見ていますが、総理はいかがですか。
  377. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは私は大賛成でありまして、そういう意味の考えからレーガン大統領にワシントンでホワイトハウスで会ったときにも言っておるわけであります。レーガン大統領も相手の出方を見てそういう考えを持っていると、ある手続を、必要な手続を経た上でそういう考えを持っておると、そういうことを私に言っておりました。ですから、アメリカもソ連もみんな、ある国は非常に財政欠陥で困り、ある国は経済上の非常な苦痛を味わっておるという状態ですから、次第次第に良識が働いてくるんではないかと思います。
  378. 秦豊

    ○秦豊君 防衛庁、五九中業というのはいつまでに策定を終えればいいんですか。
  379. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 五十九年度に作成する、すなわち翌々年度からの五年間を対象期間として五十九年度に作成するということで五九中業、五六中業というふうに申しております。
  380. 秦豊

    ○秦豊君 ならば、五六中業の何をどのように乗り越えよう、再検討しようというものでしょう。
  381. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) いま大綱の水準に速やかに達成するための五六中業の初年度としての予算、最後の一日をお迎えしておるわけでございまして、まずそれを達成することが先決であるというふうに考えております。
  382. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、五九中業の重点としてはどう把握していらっしゃいますか。
  383. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) いま、ようやく、この五六中業をいかに達成するかということが私どもの念頭にいっぱいでございまして、五九中業というのはその後どうなるかということを必ずしもいま明確に申し上げる段階ではございません。ただ一般論として申し上げれば、五六中業が完全に達成されたとしてもまだ大綱の水準には若干の隔たりがある、そういうものも改善していかなければならない、回復していかなければならないというふうに考えております。
  384. 秦豊

    ○秦豊君 おっしゃるとおりですね。五九中業も、ならば、あくまでこの大綱水準の達成をマキシマムにするのか、上限にするのか、あるいは突き破ることも含めて検討されるのか。
  385. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 大綱の水準を突き破るような情勢にはまだ当然当分の間ないであろう。五六中業もそういう状況でございますので、われわれとしてはとりあえず大綱の水準を達成したいというのが精いっぱいの念願でございます。
  386. 秦豊

    ○秦豊君 総理の認識と選択の中では、五六中業の期間内達成と財政再建、いずれを優先させます。
  387. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 両方を達成したいと思っています。
  388. 秦豊

    ○秦豊君 しょせん不可能でしょう。  五六中業のその期間内達成というのは対米公約に類しますか。
  389. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) アメリカがわが国の防衛努力についての関心を持っていることは事実だと思いますが、公約というふうなものではないというふうに理解しております。
  390. 秦豊

    ○秦豊君 総理、選択としては、あなた防衛最高責任者、御苦労が多いんですが、下方修正または達成期間の繰り延べというのも賢い選択の一つじゃないでしょうか。
  391. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 目下のところ達成するために全力を尽くしておるのでございまして、修正とか延長とかということは考えておりません。
  392. 秦豊

    ○秦豊君 あなたは去る二日私への答弁において、計画大綱は非核三原則と軽重を問うならばそれほど重くはない、当面の方針と、実は微妙な答弁をされた。ならば、たとえば五六中業からさらに五九中業を目指す中で大綱の水準が見直されても、それはそのときの内閣、政権の責任の中で可能だというふうな認識に結びつきませんか。
  393. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは五六中業をつくったのもある特定の内閣がつくったのでありますし、それを維持してやっているのもその後の内閣内閣の方策としてやっているのでありますから、理論的可能性としては直すことは可能であると思います。
  394. 秦豊

    ○秦豊君 外務省、日本有事の際に在日米軍基地から沿海州等を目指して発進するアメリカの空母機動艦隊が核弾頭を搭載しないままで出撃するというふうなことは軍事常識上あり得るでしょうか。防衛、外務、両省に聞きたい。
  395. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 一概に言えないと思います。
  396. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 先生の御質問は、日本が有事でない場合に、米軍が日本の基地から戦闘作戦行動をとる場合のことであろうと思います。これは、その米軍の施設、区域を利用しての任務、態様が直接戦闘作戦行動に参加するというものでありますれば、これは事前協議の対象になるわけでございます。そして、その際の政府の対応は、これはわが国の安全を確保するというところに最も――自主的にこれを判断いたしまして、その場合、イエスもありノーもあるということでございます。
  397. 秦豊

    ○秦豊君 その場合の事前協議は日本側から提起したらどうですか。
  398. 北村汎

    政府委員(北村汎君) 事前協議という制度は、これは常に米側から協議が発議されるということでございます。
  399. 秦豊

    ○秦豊君 防衛庁、ソ連海軍航空隊所属のバックファイアの主力基地はどこですか。
  400. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) お答えいたします。  樺太の対岸にありますソフガワニという町の近辺にあるというふうに承知しております。
  401. 秦豊

    ○秦豊君 北緯四十六度十五分だから、抵抗の大きい日本本土を突っ切る必要はありませんね。
  402. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) これはもちろんソ連の意図によりますが、必ずしもそういう必要はないと思います。
  403. 秦豊

    ○秦豊君 すると、レーダーの覆域外を迂回する東方コースだから発見できませんね。
  404. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) どういう場合を御想定になっているか必ずしもつまびらかでございませんが、たとえば、シーレーンに対する攻撃というものを前提にして、わが国の地上レーダーサイトの覆域の外を通れば発見はできません。ただし、将来E2Cを持つことになりますので、その辺はまた別問題でございます。
  405. 秦豊

    ○秦豊君 では、三沢で運用するE2Cを東方洋上に出しておけば発見可能ですね。
  406. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) これはE2Cの哨戒地点にもよりますが、このE2Cが哨戒している場合にそのE2Cのレーダー覆域の外を通れば発見できません。
  407. 秦豊

    ○秦豊君 明快そのものである。  その他の選択としては、小笠原か硫黄島に地上レーダーを設置すれば捕捉は可能でしょう。具体的に考えますか。
  408. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 硫黄島については、これも再三御答弁申し上げているとおり、いま訓練基地としての整備をしているわけでございまして、そういったいわゆる要撃のためのレーダーサイトを置く計画は現在のところございませんし……
  409. 秦豊

    ○秦豊君 将来構想を聞いておる。
  410. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) まして、小笠原についてもそういうことを、いまは現在考えておりません。
  411. 秦豊

    ○秦豊君 シーレーンの洋上防空というのは将来構想に属するのですよ。だから、その中においては可能性ありやと聞いている。
  412. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) シーレーン防衛のあり方についての共同研究については着手したばかりでございまして、これが今後どういうふうになるか。いずれにせよ、現在私どもの具体的な構想ないしは計画としていま御指摘のような計画はございません。
  413. 秦豊

    ○秦豊君 日本のはるか東方、つまりレーダーの覆域外で行動中のたとえばバックファイア等に対して対抗措置をとるというようなことが果たして個別的自衛権の範囲内でしょうか、あるいは行使と言えますか。
  414. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) わが国の海上交通に対してのもしバックファイアの攻略があるということを前提として、それを守るための防空機能を重視する、あるいはそのための作戦を実施するということ自体は、わが国の個別的自衛権の範囲を逸脱するとは考えておりません。
  415. 秦豊

    ○秦豊君 仮に日本有事の場合でもバックファイアの攻撃目標がアメリカのタスクフォースであった場合には、日本のF15や艦艇は対応できませんね。
  416. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 前提がまずわが国に対する武力攻撃があった後のことであれば、これはアメリカがわが国を防衛するために行動しておる共同対処の一環として、わが国を防衛するためにそれが必要な範囲であれば、それは守ることができるというのは、先般の衆議院予算委員会でも御答弁申し上げたとおりでございまして、この範囲に入るか入らないかということだろうと思います。
  417. 秦豊

    ○秦豊君 だから入るんですか、それを聞いておる。
  418. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) それはそのときの事態によって判断すべきことであろうというふうに思います。
  419. 秦豊

    ○秦豊君 仮に三沢配備の米軍のF16がバックファイアの阻止行動に立った場合に、日本のE2Cが指揮、管制で協力することはあり得るか、いかがですか。
  420. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) E2Cにつきましては先般アメリカから二機受領して、これから各種の試験を行った上での運用を考えているというのが現状でございますし、また、F16の三沢配備のにつきましても昭和六十年以降四年間にわたって配備する。いずれにしましても両者ともまだ先の話でございますので、必ずしもその運用構想というものがつまびらかでありませんが、F16というものは先生御承知のとおり、空対空のみならず空対地にむしろすぐれた任務を持っている。そういうF16が一体要撃に立つかどうか、その辺もはっきりしませんので一概にここでどうかということは申し上げられませんが、いずれにせよ、E2Cがそれを指揮するというようなことはございません。
  421. 秦豊

    ○秦豊君 アメリカが単独で海峡封鎖するケースでも――いや、その前に外務省、日本国内の基地からアメリカが海峡封鎖に軍用機、艦艇等を出す場合、発進する場合は事前協議の対象でしょうな。
  422. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) 委員承知のとおりに、事前協議の対象になるのは戦闘作戦行動のための施設、区域の使用でございまして、従来政府の統一見解でも述べておりますように、これは「直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動」、そういう軍事行動の発進基地としての施設、区域の使用という場合でございますから、いま御質問のようなケースがまさにことに言う「直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動」に該当すれば、これは当然事前協議の対象になります。
  423. 秦豊

    ○秦豊君 ノーという回答はあり得ないんでしょう。
  424. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) 事前協議――戦闘作戦行動の発進基地としての事前協議がありました場合のイエス、ノーの対応につきましては、従来から政府は一貫してわが国の国益、すなわち、わが国の安全というものに直接密接に関係があるかどうかということを判断の基準として決めると、こういうふうに御答弁申し上げておりますし、それから、通峡阻止との関連では、先般来総理等から申し述べておりますように、やはり同じような考えのもとにわが国に対する武力攻撃が非常な緊迫性を持っている場合においては、わが国の判断というものを――イエスを言う場合もあり得ると、そういう判断を留保しておく必要があるであろうということを総理から御答弁になられております。
  425. 秦豊

    ○秦豊君 また、アメリカが単独で封鎖をするケースでもソ連による報復行動は当然考えなければいけない。その場合に備えて防衛庁は三軍に対して防衛出動待機ぐらいはかけるんでしょうな。
  426. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 防衛出動待機命令というのは、自衛隊法第七十六条による「防衛出動」の下令が予想されるような緊迫した事態と、こういうことでございまして、そういうふうな事態であるかという判断が必要であろうというふうに思います。
  427. 秦豊

    ○秦豊君 可能性をあなたは否定しなかったわけですね。
  428. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 直接この自衛隊の隊法七十七条の防衛出動待機命令を出すことがあるかどうかということとは関係ないことだろうと、別途に判断されるべきことであろうというふうに思います。
  429. 秦豊

    ○秦豊君 じゃ、日本が海峡封鎖をするときには、当然これは隊法による七十六条防衛出動ですね、発令ですね。
  430. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) ちょっと前半の先生の御発言が聞き取りにくかったんでございますが、いずれにせよ、防衛出動が下令されるというのは、わが国をめぐる国際情勢あるいは相手方の軍事の動向、そういったものから、わが国に対する武力攻撃がきわめて明白に確認されるような場合に命令が出されるというものできらざいます。
  431. 秦豊

    ○秦豊君 それは私、海峡封鎖で言ったんですよ。確認。日本が海峡封鎖をすると大きな声で言ったんですが、間こえなかったですか。――じゃ、もう少しゆっくり。  日本が海峡封鎖をする場合に防衛出動。
  432. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) わが国の海峡封鎖というのは、あくまでもわが国に対して武力攻撃が行われた後防衛出動が下令され、実際に自衛権を発動する要件が成立したときに海峡封鎖という実行行為が行われるというふうに理解しております。
  433. 秦豊

    ○秦豊君 防衛出動は当然これ国会の承認事項ですが、仮に国会が要請を否決した場合は一体どうなります。
  434. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) これも、防衛出動の発令というのは当然のことながら国会の承認を得て発令されるわけでございますが、緊急の場合には事後に行われることあり得べしということになっておりまして、国会で防衛出動が否決された場合、不承認になれば、当然当該防衛出動の部隊はまた撤収することになるというふうに思います。
  435. 秦豊

    ○秦豊君 防衛白書にもうたわれているが、シーレーン防衛と有事法制について、防衛庁は基本的にどう考えていらっしゃいます。
  436. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 双方ともに、いわゆる防衛力のハードの装備と並んで重要な事柄であるというふうに認識しております。
  437. 秦豊

    ○秦豊君 総理、自民党の国防部会を中心にしまして、シーレーン防衛に関連した有事法制、たとえば民間船舶の運航統制、航空、通信等の関連法規をずらっと全部見直すという動きがあるんです。御存じだと思いますが、それについて総理は基本的にはどうお受けとめでしょう。
  438. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  有事法制の研究は、先生御承知のように、七十六条防衛出動下令以後の自衛隊の行動が、法に定められた権限をスムーズに行使でき、その任務が果たせるようにするため、現行の法規に何か穴はないかどうか、これを研究すると。まだこれは立法を前提とはいたしておりませんけれども、そういう問題点の洗い出しをやっております。  御指摘のいろいろな法規の問題につきましては、現在三つの分類に分けてやっておりまして、第一分類が防衛庁、自衛隊所管の法令、第二分類はその他の省庁の所管に係る法令、第三分類はどこの省庁の所管にも属さざる問題と、こういうことでございまして、先生ただいまお尋ねの件は、むしろ第二分類と第三分類の問題であろうかと思います。特に第三分類の国際法絡みの問題は十分研究が、まだ未着手の状態でございます。第二分類のいろいろな通信その他の問題につきましては、百項目を超える項目につきまして、十数省庁に対して現在既存の法規の有権解釈等を照会しておる段階でございます。
  439. 秦豊

    ○秦豊君 総理、自民党の党内で国防部会をやっている、その基本方向ですね。シーレーン防衛を完璧にするためには法の改定もという基本方向は御賛成ですか。
  440. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私はそういう作業をしているかどうか知悉しておりませんが、法の定 むる範囲内において予備的にいろいろ勉強しておくことは結構であると思っております。
  441. 秦豊

    ○秦豊君 総理、わが国に必要な、戦術ではなくて戦略情報は、十全に収集、解析されているとお考えでしょうか。
  442. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 私どもも、専守防衛を本旨とするわが国にとって情報の収集ということがきわめて重大である、重要な問題であると認識し、努力をしておりますが、これが十分であるかどうかというのはそれぞれの判断によって異なる場合があると思います。私どもとしては、より一層充実させたいというふうに考えております。
  443. 秦豊

    ○秦豊君 実態はアメリカ一辺倒ですけれども、戦略情報はかなりな部分独自に収集すべきであるという基本認識については、総理いかがですか。
  444. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は昔防衛庁長官のときに、日本はこういう憲法の範囲内でそして節度のある防衛力を持っている国であるから、ウサギのように長い耳を持たなければいかぬと、そう申し上げたので、情報は非常に重要なのであります。情報を自分で持たない限りは人に振り回される危険性があるわけです。そういう意味において情報というものは非常に重要視しまして、いろいろ考えたり言ったりしましたが、なかなか思うとおり動かなく、改革できなかったことをいまでも残念に思っております。
  445. 秦豊

    ○秦豊君 防衛庁、偵察衛星ね、あれの一般的有効性についてはどうお考えです。
  446. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 偵察衛星というものが情報収集のためにきわめて有効であるという認識を持っております。そうして、わが国の情報収集手段の充実ということが大事なことはいま申し上げたとおりでございまして、そういう見地から、各国の利用の動向あるいは打ち上げの状況等に注目し、関心を持っている状況でございます。
  447. 秦豊

    ○秦豊君 法制局長官、お聞きのとおりです。独自の戦略情報収集のための一つの手段として偵察衛星を保有することについては、どのような妨げ、障害があるとお考えですか。
  448. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 憲法の範囲内であくまで専守防衛という見地から必要な情報を収集するために偵察衛星を保有するということについて、現行法制の規定だけに限って言えば、それを妨げるものはないと思います。
  449. 秦豊

    ○秦豊君 安倍外務大臣、先日私への答弁、対馬西水道問題ですが、立場を逆にして、日本からあちらではなくて、韓国の李範錫外相があなたに、対馬西水道封鎖概念をつかむために話し合いしたいと言ってみえた場合はどうされます。
  450. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) そういうことは考えておりませんけれども、いろいろとむずかしい事態が想像されるわけですから、また仮定の議論ですし、ちょっと考えられないわけですが、そういう提案がといいますか、話し合いをしたいというようなことがありましても、これはいまここで話し合うという必要のある問題じゃないんじゃないかと。いまここで考えられる問題というのは、仮定の議論であるし、どういう事態が将来起こるかわからぬわけでありますけれども、いまここで話し合うような事態ではないというふうに、まだ会うか会わぬかわかりませんから、答えるしかないと思います。
  451. 秦豊

    ○秦豊君 お苦しそうでしたね。  極東有事の局面によっては西日本各地に対して大量の難民が殺到するという、やや専門家的な、専門家の間の憂慮がありますけれども、政府はどの程度に考えていらっしゃいます。
  452. 橋本恕

    政府委員(橋本恕君) いま現実の、しかも近い将来に起こり得る問題として私ども真剣に検討したわけではございませんが、もし実際に将来において仮に先生御指摘のような問題が発生する可能性がきわめて十分大であると思われるときには、急遽そのための関係各省挙げての体制を組むべきであろうと、こういうふうに考えております。
  453. 秦豊

    ○秦豊君 先般の不幸な光州事件のときに、海上保安庁はどう対応されました。
  454. 関谷勝嗣

    政府委員(関谷勝嗣君) そのような事態が発生した場合には、当該海域に巡視船艇あるいは航空機を増強するということをやるわけでございますが、先般の光州事件、五十五年の五月でございますが、この場合は山陰あるいは九州北西部にかけてわが国の領海線付近の警備を増強いたしました。
  455. 秦豊

    ○秦豊君 今度は幾十万という規模ではないかというシミュレーションもある。警察としてはどうお考えです、基本的に。
  456. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 難民の問題につきましては、難民に対して一時庇護を与えるかどうか、それからそもそも難民として認定するかどうか、これは法務省の御所管でございまして、われわれ警察としては、入国時の事情を伺うとか、それにも増して重要なのは、人道上の見地から上陸直後の一時救護についていかなる対策を講ずるかということであろうかと思います。関係省庁と十分に連携をとって、その際には適切な処置をとりたい、かように考えております。
  457. 秦豊

    ○秦豊君 法務省、いかがですか。
  458. 秦野章

    国務大臣(秦野章君) どこからどのくらい来るのかもさっぱりわからぬでしょう。
  459. 秦豊

    ○秦豊君 もちろん、わかりません。
  460. 秦野章

    国務大臣(秦野章君) だから、そういうことは余り言わぬ方が私はいいと思うんです。
  461. 秦豊

    ○秦豊君 いや、イフ論争ではあるが聞いている。あえて伺っている。
  462. 秦野章

    国務大臣(秦野章君) いや、私の方はとにかく入国管理事務というきわめてじみな仕事で、来てからでいいですよ。余りそんなことを言って――ないですよ、大体予想されることが余り
  463. 秦豊

    ○秦豊君 それは全く逆だな。
  464. 秦野章

    国務大臣(秦野章君) ないですよ。私はないと思うんです。
  465. 秦豊

    ○秦豊君 この問題、イフ論争の一つですけれども総理ね、数、シミュレーションは別として、政府としては大量であろうとも人道上受け入れざるを得ない、こういうお考えでしょうか。
  466. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 秦さんのお話や政府に対する質問書を伺いますと、非常に想像をたくましゅうすることが多くて、われわれ常識で考えられないようなことがあるのでございますが、いずれ、仮定の問題といたしましてとらえてみましても、やはり人道的見地というのはやっぱり考えなきゃいかぬではないかと思います。
  467. 秦豊

    ○秦豊君 防衛施設庁、突然ながら、厚木基地にかわる例の浮体滑走路というのは、もう決着をして、決まった方向でしょうか。
  468. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) いま代替飛行場の選定を含めて検討中というふうに聞いております。
  469. 秦豊

    ○秦豊君 浮体滑走路というのは、実はただ一つの残された案じゃありませんでしょうかね。
  470. 森山武

    政府委員森山武君) 厚木の代替につきましては、浮体滑走路の建設も含めて、国内においてほかの飛行場でやれるか、それから新たな飛行場を設置できるかというふうなことを考えることにしております。したがって、三つの選択の中の一つでございます。
  471. 秦豊

    ○秦豊君 あとの二つというのは、どういう方向です。
  472. 森山武

    政府委員森山武君) 一つは、関東周辺において厚木と同じようなNLP、夜間着艦訓練ができる飛行場があるか、それを見出すということでございます。それからもう一つは、新たにそのような飛行場を取得できるかどうかということでございます。
  473. 秦豊

    ○秦豊君 これが最後になるかどうかわかりませんが、中東問題で、政府は最近モザンビークに米一万トンを無償供与した事実があるでしょうか。
  474. 柳健一

    政府委員(柳健一君) 食糧援助規約の一環といたしまして、KR食糧援助としてそういう事実はございます。
  475. 秦豊

    ○秦豊君 いま湾岸が水です。専門家の派遣は大変結構です。それからレバノンは米と衣料品です。医薬品です。こういうものを緊急に、官房長官中心型にして政府で調整して、緊急で送ってあげるというふうな対応についてはいかがでしょう。どうお考えでしょう。
  476. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 秦君、時間が参りました。熱弁ありがとうございました。
  477. 秦豊

    ○秦豊君 はい。  その答弁を伺いたいと思いますが。
  478. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いまレバノンに対しましても、国際赤十字等を通じまして約二百万ドルあるいはそれ以上の援助をいたしておりますし、先ほどお話がありましたいまの油の流出等につきましては、政府から調査団を派遣をする、そして場合によってはこれに対する協力をいたしたいと考えております。全体的に中東の平和というのは非常に大事ですから、政府としてもできるだけのことはしなきゃならぬと思います。
  479. 秦豊

    ○秦豊君 米の問題を含めてですか。
  480. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 米の問題、KR援助等も含めましてできるだけのことはしなきゃならないと思っております。
  481. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 以上で秦豊君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  482. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、野末陳平君の締めくくり総括質疑を行います。野末君。
  483. 野末陳平

    野末陳平君 幾つかの提案をさしていただきますが、先ほども質疑にありましたとおり、わが国は議員の数が多いと言われておりまして、地方議会ではこのところ非常に議員の定数を積極的に減らす、こういうことが行われております。  そこで、自治大臣にお伺いしますけれども、資料によりますと、減員条例を実施した市が八〇%に及び、そしてこれまで三千百七十議席を減らしたということですね。ですから、地方議会における行革の波というものは、都道府県とか特別区とか、つまり大きな自治体にまで今後及んでくるであろうと思われるわけなんですが、自治大臣はこの辺のところにどのような認識をお持ちか、これをお聞きしたい。
  484. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いまお挙げになった数字は大体そのとおりでございますが、これはいま地方財政は相当厳しい状況にある。それから、やはり行革ということも相当私は地方には浸透をしてきたのじゃないか。そこで、自発的に議会が御発議なすって、自分たちの組織の定数を減らそうという、そういう傾向にあるだけに、私どもは今後ともこれを十分評価して、さような方向で地方自治体全体の行革の中での牽引車となって進んでいってもらいたい、こういう気持ちでおるところでございます。
  485. 野末陳平

    野末陳平君 非常にいいお答えをいただいたわけですが、しかしながら現実にそれが実現していかなきゃ何にもならないわけでして、先ほど田渕委員の質問にもありましたけれども総理、民間の団体がいち早くいわゆる議員を減らせという、議員減らしをやれという世論、それを受けて削減案をつくりましたね。もう当然、先ほど出ましたから。あれは恐らく大多数の国民は支持するであろうと思うんですね。ただ、国会のいろんな内部の事情を考えますと、あんな簡単なものじゃないとも思いますが、しかしながらああいう意見が出てくるということは、いずれこの議員減らしという波はこの国会にも押し寄せてくるであろう、こういう感じがするんですが、総理はそんなふうに思われませんか。
  486. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最近自治体でそういう風潮が起こって、盛んになりつつあることは非常に歓迎すべきであると思います。私の選挙区の群馬県渋川市におきましては、三十人の定数を二十六人に減らすと同時に、いままで何とか委員、何とか審議員というのは一年に一回は二泊旅行をやっておったのを全廃したそうです。それから議員は一年に一回中国旅行をやっておったそうですが、これもやめたそうです。最近そういう情報を耳にいたしまして、非常にまじめで、りっぱだと感心したところであります。こういう風潮が全国的にいま波及しつつあることは非常にりっぱなことであると思い、それに対して国会がどういうふうに反応するか、これは国会の皆様方が自主的にお考えいただくことであると思っております。
  487. 野末陳平

    野末陳平君 これはやはり国会の皆様方が自主的にというふうな人ごとじゃありませんで、一緒に考えなきゃいけないことだと思いますね、これは当然。地方を評価する以前に地方に先にやられてしまったということに、むしろ恥ずかしいと思わなきゃいけないと思うんですね。  そこで、私の提案なんですけれども、世論が国会も議員減らしをやれというような、高まってくる前に立ち上がった方がやはりいいと思うんですよ。地方議会を見習ってやるなんというのはみっともない話ですけれども、しかし、これは先か後かの問題じゃありませんから。そこで、私はこの天の声にこたえて、こういうふうに考えるのですね。議員の数が多い少ないを論じているときでなくて、どれだけ減らせるかということを、この議員減らしを定数の是正と一緒に早急に検討してやらなければこれは政治は見放されるであろう、そういう提案をしたいので、それは、総理、いかがでしょう。国会に任せておくというようなお答えではちょっと物足りないのですがね。
  488. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 非常に勇気のある貴重な御提案であると思いますが、よく真剣に検討さしていただきたいと思います。
  489. 野末陳平

    野末陳平君 じゃ総理、個人的にお答えできる範囲の質問をしたいと思うんですが、私はこれで二期やらしてもらって十二年なんですが、衆、参両方のいろんないままでの経験で、これは議員の数はこれほどたくさん要らないんじゃないかと思いますよ。ですから、そこでやはり減らすという、まず前向きの姿勢を固めることの方が先ですから(「自分でやめりゃいいんだ」と呼ぶ者あり)それは選挙が決めますから、別に気にすることないと思うんですね。  そこで、改めてこれは個人的にお聞きしますが、ちょっと多いような感じがしますが、そんな気、長い政治生活でなさいませんか。
  490. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最近、新聞の投書あるいは新聞のキャンペーン等を見ますと、議員の定数を減らせ、中央も地方も減らすべきである、そういう投書やらあるいはキャンペーンをよく拝見いたします。そういう国民の声が次第に高まってきつつあるのかなと考えております。議会もこれに対してどういうふうに対応するか、自民党としても各党と一緒になって考えてみたいと思います。
  491. 野末陳平

    野末陳平君 臨調答申の実行というのは、やはり国会が行革とは必ずしも、国会が行革というのはちょっとそぐわない表現ですけれども、やはりお手本を示すということは絶対必要なんでして、願わくは総理みずからがイニシアチブをとっていまの問題に取り組んでほしい、そういうふうにお願いしておきまして、そのときには当然各党とも反対はできないだろうと思うんです。その辺のイニシアチブをどこがとるかであって、国会に任せるという姿勢の方が僕はちょっとおかしい、こういうふうに思います。  それから次の提案は、すべての公的年金を七十年に一元化しようというような日程が大体組まれましたけれども、これは非常に結構なことだと思います。しかし、いま国民は非常にこの年金を含めた自分の将来に不安を感じておりますから、この年金一元化の内容というものは、一日も早く具体案を出して検討しなきゃいけないと思うんですが、その中にいわゆる官民格差の問題という、この問題点が反映されていないようなんですね、いまのところ。うやむやのままで一元化が進められますと、支給開始の年齢とか、あるいは給付額の問題とか、給付の条件とか、いまいろいろ言われている官と民の格差、これがこのままになってしまうと何のための年金改革か、年金一元化かわからなくなってしまう。  そこで、総理にお聞きしたいのですが、官民格差というものは現実にある。これをどういうふうにしたらいいと総理はお考えなんですか。
  492. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 公的年金制度の改革の問題につきましては、先生すでに御承知のとおり、これを着実に一本化の方向へ持っていかなければならない、こういうふうな方針を出しております。  具体的には、今回のこの国会で国家公務員と公共企業体職員の共済組合制度の統合を行うとともに、国鉄共済組合に対する財政上の対策を図る、二番目としては、地方公務員共済制度内の財政単位の統一、一元化を図っていくというのがことしやることでございまして、五十九年度におきまして国民年金、厚生年金の問題についての整理を図っていこうということで考えておりますし、いま御指摘のありましたような問題も含めまして、そういった段階で当然考えていかなければならない問題であろうと思っております。私の方としては、厚生年金及び国民年金の統合の予後をどうするかという問題につきまして、ことしの夏には何らかのめどをつけてお話を申し上げたい。いろいろな問題がございますから、そんなときに当然いま御指摘のありましたような問題も考え方を出していかなければならないものではないだろうか、こういうふうに考えているところでございます。
  493. 野末陳平

    野末陳平君 この年金一元化の検討というのは早急にしなきゃいけないけれども、この官民格差というのは、一番最後にひょっとするとほとんど無視されかねないんですね。そこで、総理にこれはお願いですから、官民格差の抜本的改正という言葉を使うと、じゃどことどこなんだと非常にむずかしいんですが、少なくもこの格差を解消するという方向をこの年金一本化の中で必ず盛り込むということを当局に強く、いま厚生大臣のお答えありましたが、総理が強い指示を与えなければいけない、こういうふうに思うんです。これをほっておいたまま、もしこの案がどんどん進んでいきますと、そうするといつまでも不公平感は残る。不公平感というよりも、不公平そのものがかなりあるわけですね。これが残りますと、これは年金問題の解決にはなりませんし、もっと悪いことは、国民のいま将来への自分の生活、年金、医療、その他もろもろありますが、この不安感を解消することに全く役立たないですね。ですから、ぜひ総理、この官民格差を年金一本化の中で是正していくという姿勢を強く持っていただいて、その指示をお願いしたい、そういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  494. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 総理から御答弁いただく前に申し上げておきますが、年金の官民格差の問題というお話がございましたが、年金というものは保険料を積みまして、それで後それに相応したような給付というものをもらうわけでございますから、いろんな問題があるわけでございます。いろんな点で差というものが出てくるわけでございますが、単純に一本化してどうだという話になかなかならない問題がたくさんあると思います。そうした問題の一環としていまのような問題も当然に考えていかなければならない問題であろうか、こういうふうに私は考えているところでございます。
  495. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 退職金、年金について官民格差を是正しようということは、いままで内閣の方針といたしまして何回か努力してきておるところであります。しかし、国民の皆様方の中においても官民格差が大きいという声もまだ残っております。終局的には、これを統合するという場合には公平に持っていかなきゃならぬと思います。もちろん公務員あるいはその他公共企業体等において掛金の額が高いという場合もなきにしもあらずであります。そういう点もよく考慮して、公正妥当に行われるように持っていくように努力したいと思います。
  496. 野末陳平

    野末陳平君 これは強くお願いしておきます。  それから次の提案は、これは非常に夢のある楽しい話題という受け取られ方で結構なんですけれども、近い将来、わが国が国家的なおめでたがあって記念の硬貨を発行するようなことがありましたときに、私個人が考えるに、これは記念の金貨を出すというのはどうか、こういうふうに考えているわけなんですね。これは特別立法しかないと思いますけれども、しかしながら金貨の形としては無額面の地金型にするか、五万円とか十万円の額面にしていくか、これはむずかしいところで、いろいろ当局で検討すべきと思うのです。しかしながら、時代も変わりつつあることでして、この記念金貨の発行ということについて総理は興味をお持ちですか。
  497. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いま興味をお持ちですかという表現でございますが、興味はだれしも持つと思うのでございますが、率直に申しまして、先般法律を御審議いただきました際にも、「造幣局事業について、今後、国民の需要に即し、記念貨幣の発行、貨幣セットの製造等が弾力的に行えるよう検討すること。」、こういう附帯決議もちょうだいしておるわけでございます。しかし、さて金貨と、こういうことになりますと、やはりこれはいわばメダルでございますが、産金国ならともかくといたしまして、いま勉強をしろとおっしゃるから勉強はしようかなと思いますが、現実問題として産金国でない日本で造幣局がこれを発行するということには、まあ法制上の問題は何度か議論なすっておりますからむずかしい問題多々ございますが、なかなか実現するということはむずかしい課題だなあと。  まあ一つの夢としては私も、まあ夢を理解するというのは表現がおかしいんでありますが、勉強はさしてもらいますが、なかなかこれはむずかしい問題だというふうに御理解をいただきたいと思います。
  498. 野末陳平

    野末陳平君 しかし、時代が変わればそういういまの夢が現実になることは大いにあるわけですから、やはりその辺は必ずしも夢で終わるとは思わないんですね。  総理、積極的な金貨発行の理由というものは本当は大事なわけでして、大蔵省は余り乗り気じゃないと思うんですね。しかしながら、たとえば国民が非常に金貨に関心を持ち出したと、そして外国のものがかなり売れているという現実もあるわけですね。そうすると、ここで国家的な慶事を祝って国産の金貨が出ればこれはある程度歓迎されるだろうと思うし、それから金貨なら庶民にも買えますしね。だけれどももう一つ、この財政難の折から――これは別にそれでお金がどうというのじゃないんですが、しかし、どうでしょうか、少しでも政府が財源づくりに努力するということは悪くないんで、たとえば宝くじなんかはあれは紙切れになりますからね、最後は。となると、それに比べれば金貨の方がそれなりに夢もあるけれども資産性もあるわけでして、やはり国民にプラスになるんであろうと、こういうふうに思うんですね。  そんなわけで、過去いろいろ見てみましたら、これははっきりしたことはわかりませんが、オリンピックで銀貨を出したときに、時の総理が何か決断なさって特別立法になったというような話も聞いたんですが、いずれにしても、これは官僚の発想から出てくるものじゃないんですね。政治判断になると思うんですね。ですから、オリンピック当時は銀貨でもいまは金になってもいいと、こういうふうに思うわけで、重ねて総理が関心を持ってこの問題を受けとめていただけたかどうかをお聞きしたいですね。
  499. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一つの夢のあるアイデアとして承りますが、功罪がいろいろあると思います。何しろ金貨には利子はつきません。そういう面から見まして国民貯蓄というものは非常に重要性を持っておるこの国柄においてどうであろうか。それから金の相場というのは非常に変動しております。最近においては、特にソ連が売るか売らぬかという形によって大変な金の相場の乱高下があるわけです。そういうような大量に産金をしている国の動向がどういうふうに動くであろうか、こういういろいろな問題もありまして検討を要する問題がある。そういう点では関心は持って見ていきたいと思います。
  500. 野末陳平

    野末陳平君 最後に。関連するんですけれども、わが国の金の保有量はやはり少ないと思うんですね。ですから、将来のことを考えまして、金の保有量を少しずつふやしていくという方向を決めた方がいいんではないかということを考えまして、それのお答えをいただいて終わりにしたいと思います。
  501. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いまの御案内のように、金本位制という制度をとっておりません。と同時に、いわゆるドルの党換性停止がございました一九七一年、その際にもいま少し金の保有量を多くしておいた方がよかったではないかというある種の反省のような議論もいろいろなされましたが、その問題は古くて新しい問題でもありますので、検討をさしていただくということに答弁の限界をとどめさしていただきます。
  502. 野末陳平

    野末陳平君 どうもありがとうございました。
  503. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 以上、野末陣平君の質疑をもって締めくくり総括質疑は終了いたしました。  これにて質疑者通告の発言はすべて終了いたしました。昭和五十八年度総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。  暫時休憩をいたします。    午後四時二十五分休憩      ─────・─────    午後四時三十八分開会
  504. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十八年度総予算三案を一括して議題といたします。  それでは、これより総予算三案に対する討論に入ります。  討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。勝又武一君。
  505. 勝又武一

    ○勝又武一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十八年度予算三案に対し反対の討論を行うものであります。  とげを隠した美辞麗句、理念のみの先走り、危機感の不必要なあおり立て、かてて加えて、具体性がない中曽根内閣の空疎な政治体質は、今日までの予算審議を通じ、一層その正体が明らかになってまいりました。しかも、中曽根内閣によって日本経済はますます政策不況の様相を濃くしており、景気は一段と深刻な事態に陥っております。  しかるに、中曽根内閣は所得税減税を明らかにせず、人事院勧告を不当にも拒否し続け、中小企業経営悪化と勤労国民の生活を最悪状態に追い詰めているばかりか、最近の原油値下げについても無為に喜んでいるだけで、国民への利益還元は放置されたままであります。  さらに、中曽根内閣は、財界主導による行政改革を断行するため、大型間接税を初めとする各般の負担増をねらっているほか、財政再建も目標のないままに、政府・自民党の失政による巨額の赤字のツケを国民に押しつけて帳じり合わせを行っており、遺憾千万と言わざるを得ません。  しかも、政府が武器輸出に関する国会決議を無視して、対米武器技術供与を決めたことは、まさに国会の権威を軽視し、わが国が武器輸出国、死の商人となる道を開こうとするものであります。  さらに、シーレーン防衛と外国船籍の船舶防衛に関する政府見解は明らかに個別的自衛権を逸脱しており、まさに容認できず、政府は直ちに撤回すべきであります。  また、自衛隊の年度防衛計画が合法政党を警備の対象とするなどということは、憲法上断じて許されるべきものではなく、政府の責任を厳しく追求するものであります。  以下、本予算案の反対の理由を申し述べます。  反対理由の第一は、マイナスシーリング下の予算で、文教、社会福祉費の圧縮、防衛費の異常突出となっていることであります。  五十八年度予算では、文教関係費が〇・一%減、社会保障関係費が〇・六%増にとどまっている一方で、防衛関係費は六・五%増の突出となっており、海峡封鎖、シーレーン防衛等の米国の要請に呼応して、聖域なしと言って進めてきた予算編成を完全にほごにしているのであります。いまや対GNP比一%の歯どめ突破は必至であり、後年度負担も五十八年度二兆円近くに達するというきわめて危険な状況であります。  文教関係費は、四十人学級の編制を初め、各種の文化、教育関係事業予算が圧縮されており、いま国民が学校教育荒廃を修復してほしいと願っている中で、中曽根内閣は逆に次代を担う子供の教育切り捨ての政策を強行しているのであります。  社会福祉、社会保障費等の圧縮も、高齢化社会の到来が避けられないのに無計画に抑制し、みずからなし得ない弱者に対し、自助努力のむちをふるう政策をとっており、これもまた断じて許せないのであります。  反対の第二は、所得税減税及び五十七年度人事院勧告の実施を組み込んだ予算となっていないことであります。  国内投資の不振、世界不況の中で、景気を回復させる手段は、最終消費需要を高めることによって内需の振興を図ることこそ緊急不可欠の政策選択であることは論をまたないところであります。しかるに、中曽根内閣は、不要不急の歳出削減すらなし得ないまま、そのしりを所得税減税の拒絶と公務員給与改善の人事院勧告凍結に押しつけたばかりか、さらに人事院勧告に連動する全勤労国民の賃金や年金の不当な圧縮を行っているのであります。  政府は、与野党で減税実施が合意されたことを尊重するというものの、具体的実施は何一つ示さないのであります。人事院勧告の実施についても、人事院勧告制度の趣旨に基づき、速やかな凍結損失分の回復と今後の完全実施を確約すべきであります。  政府は、労働基本権制約の代償機能を果たしていないことを認めておりながら、勧告を実施しないことはまさに違法であり、かつ政府の義務違反であり、この暴挙は断じて許せません。  反対の第三は、財政再建の方途、目標を失い、かつ経済の進路を全く示さない予算となっていることであります。  五十九年度赤字国債脱却という目標の財政再建が破綻し、新たに出された中期試算はABC三乗のどれで財政再建を進めるかを示さず、国民を全く愚弄した内容と言わざるを得ません。しかも、毎年四兆円から十一兆円もの巨額の要調整額の処理に関する具体的な私の追及に対しても政府は何一つ明らかにできなかったではありませんか。  結論として、大型間接税という大増税だけを一気に推し進めることを示唆する発言は断じて見逃すわけにはまいりません。しかも、総理は、重要な経済計画について、有害で、かつ社会主義的なものだと放言し、その計画責任さえ放棄しているのであります。このような経済や財政のかじ取りに国民は先行き不安をいやが上にもつのらせ、強い不信と不安を抱いており、これもまた重ねて容認できないのであります。  反対の第四は、財政収支の帳じり合わせと財政のサラ金状態を無為に放置していることであります。  五十八年度予算では、五十六年度の作為的過大税収見込みの誤りによる大幅税収不足の穴埋め策と政府の失政による景気停滞による税収の落ち込み等から特別会計等の積立金の召し上げ等税外収入を四兆七千億円も見込むほか、歳出では国債費定率繰り入れの停止や国民年金特別会計への一般会計からの繰り入れを削減し、ようやく予算を編成する事態に追い込まれているのであります。  これは歴代政府・自民党が例外措置を繰り返し、正常な財政運営を軽視してきた、まさに行き着いた崩壊の姿と言って過言ではありません。そのツケは税金という国民への負担で穴埋めをせざるを得ないのであります。  すでに端的な例として国債残高百十兆円に達し、その利払い費は主要経費の一位を争うほどに膨張し、その額は一般歳出の約二割を占めようとし、財政はまさにサラ金状態そのものであり、十年後、二十年後の国の財政破綻を私は心から深く憂えるものであります。  このほか、国の財政優先による地方財政へのしわ寄せ等々、中曽根内閣の五十八年度予算に対する批判は枚挙にいとまがありません。  不況と失業に悩み、賃金抑制と増税にあえぐ国民の生活実態を無視したかかる国民不在の本予算案は断じて容認できないことを最後に重ねて強く主張し、私の反対討論を終わります。(拍手)
  506. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、長谷川信君。
  507. 長谷川信

    ○長谷川信君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十八年度一般会計予算外二件に対し賛成の意見を表明いたします。  第一次石油ショック以降の経済の停滞に対処するため、政府は国債の発行による積極的な財政政策を発動して、これまで各般の景気浮揚策を講じたほか、その他国民生活の重要施策についても、その着実な充実、振興に寄与してきたところでありますが、日本経済が高度成長から安定成長への移行過程の中で、近年税収不足の状況は、これら国民生活に貢献をしてきた諸政策は、一方において財政に過度の負担をかけることになり、このままではやがて来る日本社会の高齢化を初めとした種々の行政需要に的確に対応することができません。いまこそ未曾有の財政危機を打開して、財政が将来の国民的要請に機能し得るようその対応力を回復することが迫られております。  このため、政府においては、五十四年以降、五十九年度特例公債依存体質からの脱却の旗印を掲げ、歳出の節減合理化を中心とする財政の立て直しに努めてまいりました。しかしながら、第二次石油ショックが世界経済に与えた後遺症が予想を超えて大きなものであったため、当初目標の昭和五十九年度脱却は困難となりましたが、これまでその旗印のもとで努力を重ねてきたことにより、歳出のぜい肉落としは相当進んでおります。すなわち、五十年代前半の一般歳出の伸び率は平均一八%程度であったものが、五十五年度は五・一%、五十六年度は四・三%、五十七年度は一・八%と抑制をされ、さらに五十八年度予算においては画期的なマイナスシーリングを採用して厳しく見直しを行った結果、ついに一般歳出の伸びをマイナスとしております。  これは三十年度以来、実に二十八年ぶりのことであり、当時に比べ財政に課せられた役割りの飛躍的に増大をした今日において、この目的を達成できたことは高く評価されるものであります。  しかも、歳出の見直しに当たって、単にぜい肉落としにとどまることなく、構造的見直しにまで着手をしているのでありまして、総理はこれを財政改革という言葉で言いあらわしておられますが、昭和五十八年度予算はまさに財政改革の第一歩を踏み出したものであることと言えましょう。  以上のように、厳しい歳出削減努力に加え、歳入面においても、税外収入において特別会計など過去の蓄積をすべて吐き出すといった覚悟で増収努力を行った結果、昭和五十六年度決算不足補てん繰り戻しという二兆三千億円にも上る臨時的な支出があったにもかかわらず、増税に頼ることなく、公債発行額を前年度補正後に比し一兆円減額をしております。  一方、歳出の内容を見ましても、全体として歳出規模を厳しく抑制している中で、中長期的観点からの充実を図るべき施策や真に恵まれない人々に対する施策などについて十分の配慮がなされておるほか、景気に関連をする公共事業関係費についても、厳しい財政事情のもとで前年度同額が確保されております。  今次予算審議の過程において、防衛突出、福祉しわ寄せとの批判が聞かれておりましたが、防衛費につきましても、ソ連の軍事力増強を背景とした国際軍事情勢や西側の一員としての国際的責務を考慮して、わが国の独立と平和を守るための必要最小限度の経費を計上しておるところであり、一方社会保障等の諸経費につきましても、厳しい予算枠の中で、それぞれ必要な経費についてはその確保が十分図られておるところであります。そのような批判は当を得てないと言わざるを得ません。  このように見てまいりますと、五十八年度予算――はきわめて圧縮された規模の中で最大限のめり張りをきかせ、国民的要請に十分こたえることのできる最善の予算と考えられるのであります。  最後に政府に要望いたします。  いま米国では景気の回復基調が見られておりますほか、十年ぶりの原油の値下げの傾向は、わが国の三年有余に及ぶ景気停滞から脱却をする好機を迎えておるのであります。  政府においては、予算成立後の早い時期に景気てこ入れのための経済対策を講ずると聞いておりますが、この際政府は国内景気の不透明感を払拭するため、機を逸することなく、積極的な拡大策によりこの局面を打開し、わが国経済の持続的な安定路線をより確かなものにしていただきたいのであります。  この際深く主張いたしたいことは減税の断行であります。  昭和五十二年度以降所得税課税最低限が据え置きとなっておるのでありますが、景気浮揚及び課税負担公平の見地から減税の強い要望があります。  わが党の二階堂幹事長も景気浮揚に役立つ大型減税の必要性を訴えており、また当委員会におきましても、竹下大蔵大臣は七月の税収確定の時期に考慮する旨の発言をいたしておるので、政府におきましても、国民的世論の動向を十分踏まえ、その財源の調達を含めて真剣に検討され、ぜひ実施に移行されたいのであります。  以上をもちまして、予算三案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
  508. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 大川清幸君。
  509. 大川清幸

    ○大川清幸君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十八年度予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。  反対理由の第一は、国民生活の改善、向上を目指す福祉、文教予算の全面的な後退であります。  社会保障関係費はわずか〇・六%の伸びにとどめ、文教予算では、文教施設費の七・六%という大幅な削減を含む、〇・九%の削減を強行しております。政府は、財政再建のための緊縮予算という名目のもとに、社会的に弱い立場の人々への予算を真っ先に切り捨てたことは、国民に背を向けた冷酷な予算と言わざるを得ません。苦しい生活を余儀なくされている年金生活者や、不況の風をまともに受けて厳しい生活を強いられている低所得者への配慮を全く欠いています。  わが党は、年金生活者の生活を守るため、厚生年金、各種共済年金等の賃金物価スライド制の実施を再三にわたり強く要求してきたのでありますが、中曽根内閣はこれを無視し続けてまいりました。  反対理由の第二は、防衛費の突出であります。  国民が切実にその充実を望んでいる社会保障や文教等の各施策を切り捨てる一方で、聖域は設けないという方針を総理みずから打ち破って、防衛費を六・五%も伸ばすということは、総理の軍拡指向を如実にあらわすものであります。さらに、昨年度に続いて後年度負担を大幅に増加させ、GNP一%の歯どめについてきわめてあいまいな態度に終始したことについては、国民は不安ばかりでなく、反発すら感じております。平和主義を基本原理とする日本総理として、猛省を求めるものであります。  反対理由の第三は、経済政策景気対策が皆無なことであります。  今回の予算審議ほど財政、経済景気対策の論議がむなしかったことはありません。鈴木前内閣の公約であった五十九年度赤字国債依存体質脱却のめどが破綻したにもかかわらず、財政再建の目標年度を明らかにせず、当初予算案と同時に提示した中期試算そのものの性格も政府みずから不明確にするような不誠実ぶりは目に余るものがあります。加えて、増税なき財政再建の公約も、予算審議の過程でむしろ大型間接税導入をにおわせるなど、国民の政治不信をつのらせるばかりであります。また、五十八年度経済運営の基本に据えた内需中心の経済成長策でも、公共事業の三年連続据え置きによる実質減量を初め、国民の最大の要望である減税や、人事院勧告の完全実施等について、全く具体的な対応を示さなかったことは、国民の厳しい批判を受けなければなりません。  反対の第四は、不公平税制の是正と行政改革の不徹底であります。  租税特別措置の改廃、退職給与引当金の縮小などを見送り、グリーンカード制度の根拠不明確な実施の延期など、かえって不公平税制の温存を図ったことは納得できません。  最後に、財政民主主義の立場から、国家財政の実情を明確にし、財政再建の目標とその手法を国民にわかりやすくするとともに、景気浮揚に必要な規模の減税の実現を強く要求するものであります。  以上、昭和五十八年度予算三案に反対する主な理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
  510. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、立木洋君。
  511. 立木洋

    ○立木洋君 私は、日本共産党を代表し、政府予算の三案に反対の討論をいたします。  反対理由の第一は、本予算がレーガン核戦略に加担する大軍拡への予算であることです。  アメリカ政府の要求に応じた防衛費は、対前年度比六・五%と異常突出しています。五六中業の総額は十六兆円に達する巨額なものであり、まさにとめどない大軍拡路線と言わざるを得ません。予算審議で明らかになったように、外国船舶護衛に関する政府の見解、F16三沢配備、エンタープライズの寄港承認、公海へ対潜ソナー敷設などは、国土と国民を危険な道へ投げ入れて顧みない中曽根内閣の本質を明らかにするものです。  反対の節二の理由は、国民生活破壊、福祉、教育などの民主的諸制度改悪予算であることです。  人勧全面凍結、それに伴う年金、恩給の物価スライド停止、私学助成の後退、米価の据え置き、六年にわたる課税最低限据え置きによる実質的大増税、社会保険料、公共料金の引き上げ等は国民を苦しめ、深刻な消費不況の原因となっています。とりわけ、老人医療の有料化と診療報酬体系改悪による老人患者の相次ぐ病院からの締め出しは、今日重大な社会問題となっています。  わが党の市川委員参考人要求を、自民党は明確な理由も示さないまま拒否をいたしましたが、これは院の審議権、調査権を侵す全く不当なものであり、自民党政府が臨調答申の先取りである老人保健法施行の実態が国民の前に明らかになることをいかに恐れているかを明らかに証明したものであります。私は、このような自民党の態度に重ねて強く抗議をするものです。  反対の第三は、財政破綻を拡大し、軍拡推進のための大型間接税準備の予算であるということです。  昭和五十九年度末国債残高は百十兆円に達するのに、国債償還額は昭和六十一年度に底をついてしまいます。この深刻な財政危機に、中曽根内閣は何ら責任ある財政再建計画を示すこともせず、軍事費の伸びを年々二けたに見込み、GNP一%の歯どめ放棄さえ言明する一方で、直間比率の見直し、EC型付加価値税も検討対象として、最悪の大衆課税である大型間接税昭和五十九年度導入に準備さえ進めています。財政再建なき大増税路線と言わざるを得ません。  反対の第四の理由は、大企業奉仕と浪費を温存するものであることであります。  以上が反対の理由であります。  最後に、本委員会の責務の問題でありますが、委員会の当初から課題となったロッキード疑獄などの徹底究明のための証人喚問、国民の切実な要求である減税、人勧凍結の解除、院の決議を無視した政府の対米武器技術供与決定、さらに集団自衛権行使にまで踏み込むシーレーン防衛政府見解、憲法と議会制民主主義の根幹に挑戦する自衛隊の年度防衛計画問題などの重要課題こそ、当委員会が全力を挙げて果たすべき課題でありました。しかし、これらの重要課題はきわめて不徹底、未解決のまま残されるに至っています。この点で、私は自民党と政府の責任の重大性を強く指摘し、これらのわが国政治のあり方、国民生活安定にかかわる重大な問題の徹底的追及と解決のために引き続き全力を挙げることの決意を表明して、反対の討論を終わります。(拍手)
  512. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 伊藤郁男君。
  513. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております昭和五十八年度一般会計予算等三案に対して、一括して反対の討論を行うものであります。  第一に、いま国民の大多数を占める勤労者が政治に対して抱いている切実な要望は、重税感からの解放であり、不公平税制の是正であると言わなければなりません。  しかるに、政府は五十三年以来据え置かれたままの所得税の課税最低限の引き上げをまたも見送り、勤労国民の要望を無残にも踏みにじろうとしているのであります。六年間にも及ぶこの所得税減税の見送りは、勤労国民への過大な実質増税にほかありません。このため勤労国民は、自己の生活防衛のため四苦八苦のやりくりを強いられているのであります。のみならず、トーゴーサンとも言われる税の不公平感はいまやがまんの限界を超えるところまで至っていると申しても過言ではありません。  私は、政府が長い間にわたる各党の折衝の経過を踏まえ、所得税減税の実施を直ちに行うべきことを強く要求するものであります。そして、この減税は政府の約束どおり景気浮揚に役立つ規模、すなわち最低一兆円を超す規模のものとすべきことを要求するものであります。  第二は、財政再建についてであります。  わが国の財政は、大量の国債残高を抱えて、憂慮すべき危機的状況にあることはいまさら申すまでもありません。まさしく財政再建は国家の現下の最大の課題でありますが、政府は、鈴木内閣の公約であった五十九年度赤字国債からの脱却という大方針を早々と放棄し、かつ、しからばいつ再建を達成できるかの時期もいまだに明らかにしていないのであります。財政再建は、徹底した歳出構造の見直しから着手しなければなりません。しかるに政府は、第二臨調が指摘し続けている徹底的な歳出構造の見直しに十分着手しないばかりか、国債費の定率繰り入れの停止、自賠責特会からの一般会計への繰り入れ、住宅金融公庫利子補給金の繰り延べ、厚生年金等の国庫負担金の四分の一減額等々、約二兆円にも上る巨額を後年度に先送りするという、財政技術的、小手先の表面的な歳出抑制策をとろうとしているのであります。これこそ国民の目をごまかす、見せかけ、つじつま合わせの歳出抑制だと断じざるを得ません。  政府は、増税なき財政再建の方針を誠実に守り、歳出構造に徹底的なメスを入れるべきであり、後年度に負担を先送りするがごとき、一時的、緊急避難的措置が財政体質の改善には何ら意味のないことを自覚し、今後このような措置は一切行わないことを国民に明確に約束すべきであります。  第三は、不況からの早期脱却についてであります。  産油国の原油の値下げが、わが国の経済の行方にやや明るさを与えたといえ、なお不確定な要素が多く、過大な期待を持つことは禁物と言わなければなりません。  三十数カ月にも及ぶ長期不況の中で、中小零細企業はきわめて苦しい局面に追い込まれ、倒産企業はふえ続けているのであります。また、総理府の調査でも明らかなごとく、雇用情勢も次第に深刻さを増し、完全失業率二・七二%、百六十二万人を数えるという最悪の事態を迎えつつあります。さらに、多くの企業は、解雇に直結しかねない企業内失業者を次第に多く抱え始めているのであります。  問題は、このような長期不況が何によってもたらされたかであります。政府は、口を開けばアメリカを初めとする世界同時不況の影響がその大きな原因であると述べていますが、それも一つの要因であるには違いありませんが、私は、政府の対応のまずさが今日の日本経済長期低迷をもたらした最大の要因であると断ずるものであります。  すなわち、現下の不況は、政府が所得税減税や公共投資の拡大などの積極的な景気対策を怠ったばかりでなく、むしろ景気回復に逆行する大幅増税、公共投資の抑制を強行したことによってもたらされたものであります。  不況のとき、財源がないからといって増税を行い、公共投資を抑制し続けていたのでは、不況は一層深刻となり、結果的に税収が減って、かえって財政赤字が拡大し、そのため、また減税を見送る、公共投資を抑制するという悪循環の繰り返しとならざるを得ません。政府の今日までの対策はこの悪循環の繰り返しであり、明らかに政策不況と言わなければなりません。わが国経済景気低迷を必要以上に長引かせ、ひいては国民生活の安定を阻害してきたこの重大な失政について政府の猛省を促し、過ちを繰り返さないよう要望するものであります。  第四は、人事院勧告の見送りについてでありますが、人事院勧告は公務員の労働基本権制約の代償措置として行われるものであり、財政再建や行革とは直接的かかわりを持つものではなく、かつ、長い間完全に実施されてきたところであります。しかるに、政府が財政を理由に異例措置と称して二年間連続抑制措置をとったことは、断じて許しがたいところであります。  民主主義ルールは、政府が制度を忠実に守り実行することによって初めて機能するものであります。政府みずからがルール無視の態度をとり続けることは、民主主義の前進を阻むものと言えましょう。強く抗議の意思を表明するものであります。  最後に、政治倫理の確立は、民主政治発展の根幹をなすものであります。特に、政権内部に深くかかわり合いを持つ政治家の倫理感の欠如がやがて民主政治を崩壊の危機に導いていくということを総理は深く自覚すべきであります。日本の将来に禍根を残さないために、政府・自民党の猛省を促しつつ、私の反対討論を終わります。(拍手)
  514. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算昭和五十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決をいたします。  三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  515. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 多数と認めます。よって、昭和五十八年度総予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。(拍手)     ─────────────
  516. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) この際、委員長から申し上げます。  所得税及び住民税については、ここ数年来その負担が据え置かれ、その見直しを求める国民の声にはきわめて強いものがあり、昨年、当委員会においても減税について決議が行われているところであります。  政府は財政事情困難な時期ではあるが、与野党合意を踏まえ、景気浮揚に役立つ相当規模の減税を実施するための財源を確保し、所得税、住民税の減税を実施すべきである。  このため、経済、税収動向を見きわめ、速やかにその検討を進めるべきである。  以上でございます。  竹下大蔵大臣から発言を求められております。竹下大蔵大臣。
  517. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) ただいまの委員長見解については、政府としてもこれを尊重し、誠意をもって対処することとしたい。  なお、五十七年度税収の確定するのは七月ころであるが、今後できるだけ早期に税制調査会で課税最低限等の見直しを含め、減税の検討に着手していただくこととしたい。  以上、申し述べます。ありがとうございました。(拍手)
  518. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) なお、人事院勧告問題については、当予算委員会においてその実施につき種々論議が行われてきましたが、今後とも当委員会における質疑の経緯を踏まえ、引き続き誠意をもって努力を重ねてまいる所存でございます。  審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  519. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会