○
国務大臣(
中曽根康弘君) 民主政治は
国民の信頼の上に成り立つものであり、民主政治は国会を主にして運営されるものでございます。したがいまして、国会の構成員である議員、あるいは地方議会におきましても同じように議員の職責というものは非常に重要であると思います。特に、議員おのおのが民主政治の重要な運び手でございますから、その信頼
関係というものは民主政治の価値を問われる問題にもなりかねまじきものでございます。そういう
意味におきまして、議員一人一人がまず自粛自戒して、
国民から指弾されることがないような行動をとること、あるいは議会そのもの全体が機能を発揮して、
国民から信頼される議会になっていくということ、そういうことが大事であると思っております。そういう点につきましてまず議員個々人が自粛自戒して、品位を高め、かつ信頼に足るだけの言動、挙動、行動をとるというようなことを努めることがまず第一義であると思います。
それから、今度は組織としての国会、あるいは政党というものはおのおのまた
国民の
期待に沿うような改革、改善を志していくということが大事であると思っております。
いままでいろいろ国会で問題になりましたのは、政治資金の規制
関係の問題であるとか、あるいは議員個人の倫理の問題であるとか、あるいは倫理
委員会の問題であるとか、そういうようなことが問題になっておりました。また、
田中議員のいまの辞職決議案というような問題も出てきたことでございます。このロッキード
関係に関する問題につきましては、事態が裁判所に係属される前と係属された後とは、非常に様子が変わってきておると思うのであります。それで、国会決議あるいは両院議長の介入で合意ができましたときは、まだ事件がどういうふうになるかわからぬという状態で、暗中模索という状態であの決議がなされたと思います。その後逐次ロッキード
委員会が国会としてはつくられて、調査権を発動して活動が行われ、また一方においては検察当局の捜査が進んで事件は一段と検察的には明確になると。それから裁判所に係属されまして、その後は裁判事件として扱われて、刑事事件としての扱いを受けてきております。
そういうふうになりますと、三権分立の
関係もございまして、おのずから
行政権や立法権の行動には限度が出てくる。これは事件が係属される前と後では非常に様相が変わってきているというふうにも
考えられます。そういうような点につきまして、おのおの分限を守った行動をとることが望ましいとも
考えておりまして、そういう限度を守るということを一方において、立法権に対して、あるいは司法権に対して、
行政権の首長として慎みを持って
考えていきたいと、そう思ってきておるところでございます。