-
-
-
○
矢田部理君 私から
議事進行について
発言を求めたいと思いますが、三月九日の日に、私は
シーレーン防衛について、特に
外国船舶の
防衛問題について
政府に
問題点をただしました。その際に、場合によっては
外国船舶の
防衛も可能であるかのような
答弁がありましたので、それは大変なことであるということでさらに追及をしましたところ、
政府としてもしばし勉強をした上で
見解を明らかにしたいという
お話でありましたが、その後いかが相なったかをお尋ねしたいと思います。
-
-
-
-
-
-
○
委員長(
土屋義彦君) 御
異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────
-
-
-
○
政府委員(
高岡敬展君) お答え申し上げます。
先日の
吉田委員の御指摘は
放射線漏れの
原因についての
政府の
見解といいますか、
認識、それに対する
対応いかんということであったかと記憶いたしております。これにつきましては、四十九年に
放射線漏れを起こしました直後に、
科学技術庁と
運輸省合同で
原因調査のための技術的な
検討会を開いておるわけでございます。
〔
委員長退席、
理事嶋崎均君着席〕
この
検討会の
結論といたしまして、
放射線漏れの
原因となりましたのは、
高速中性子が
遮蔽体の間隙を伝わりまして漏れ出た、われわれ
ストリーミングと、こう称しておりますが、そういうことが
原因であるということであったわけでございます。でございまして、
遮蔽の
設計上の問題ということでございまして、
原子炉内部の問題ではないということが明らかになったわけでございます。この点は四十九年の十月に設けられました
大山委員会と通称しておりますが、この
委員会でも
確認をされておるわけでございます。
こういった不都合の
事態がどうして起こったんだということでございますけれ
ども、この点につきましては「
むつ」の
設計をやりました時点で、先ほど申し上げました
高速中性子が集まってあるところに集中して出てくる、そういった
ストリーミングという現象につきまして十分な
認識、
知見がなかったということは事実でございます。でございますから、
遮蔽設計に関する限り十分でなかった点があったという
認識でございます。この
経験に基づきまして、
大山委員会では
遮蔽の
改修ということを勧告しておるわけでございます。
一方、一応、まあ一応といいますか、
原子炉の
部分につきましては技術的に問題はないということでございますけれ
ども、「
むつ」を
設計しました以降、「
むつ」に搭載しております軽水炉につきましては、御案内のように
発電炉として技術的な
進歩が格段にございます。そういった
進歩を取り入れまして、
設計上の新しい
知見も取り入れまして再
検討をすべきである、念のためにやるべきであるという
結論が出たわけでございます。これに基づきまして
遮蔽の
改修ということについて、そのやり方その他を具体的に
検討いたしますとともに、
安全性につきましての
遮蔽以外の
部分につきましても総点検を実施したわけでございます。これに基づきまして、いわゆる佐世保におきます
改修工事を、
政府によります
安全審査を経まして実施をしたということでございます。
これが「
むつ」の技術的な
放射線漏れの
原因と経過でございますけれ
ども、こういった事情につきましては、私
どもといたしましても二度とこういう
事態が起こらないようにということで、この貴重な
経験を十分生かしまして、今後の「
むつ」の
開発、
原子力船の
開発を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
-
-
-
-
-
-
○
吉田正雄君
極東有事の際、
事態の
様相は千差万別であるということを先ほ
どもおっしゃっているわけです。そこで、集団的か個別的であるか一一区別がつけられるのかどうか、つけられるとしたら一体その基準はどこにあるのか、お教え願いたいと思います。
-
-
○
吉田正雄君
答弁になっていないですよ。千差万別の
事態が考えられるから、個別、集団の区別をどういう判断基準に従って区別ができるのかと聞いているんですよ。
-
○
政府委員(
夏目晴雄君) 千差万別でございますが、いま申し上げたような基本的な考え方に立って、個別の
事態に応じて判断をすべきものであるというふうに理解しております。
-
○
吉田正雄君
有事の際、戦場で一々前戦指揮官が国会論議を踏まえたり、どういう基準でもって一体判断できるんですかね。そんな暇がありますか。それをどう保証するんですか。その保証の担保の仕方ですね。
-
-
○
吉田正雄君 だれか判断するんですか、何の基準に基づいて。
-
○
政府委員(
夏目晴雄君) この判断はいろいろなレベルにおいて判断されるべきことであると思います。それら
事態の
様相に応じて、それぞれのレベルにおけるしかるべき人間が判断するということになると思います。
-
○
吉田正雄君
答弁になってないですよね。きわめて重要な
内容でありながら、私は、先ほどの国籍問題以上に重要な問題だと思うんですね。もうちょっと基準を明らかにしてください。
-
○
国務大臣(
谷川和穗君) 繰り返すようで恐縮でございますが、
わが国の
防衛はあくまで自衛のために行われる行動でございますが、先ほどから、基準を示せ、こういう御質問ございますけれ
ども、もし
委員の現在お考えになっているところで、こういう問題があるんだがこれについてどうかというお問い合わせをいただきますと、私
どもとしても
答弁が整理できる、こう考えますが、いかがでございましょうか。
-
○
吉田正雄君 明確じゃないですか。
有事の際、皆さん方も態様は千差万別だとおっしゃっているんですから、その判断はだれが、いつ、どこでやるのかということを聞いているんですね。戦争最中に一々上司にお伺いを立ててなんていうことになりますか。
-
○
政府委員(
夏目晴雄君) どうも先生の御指摘の御疑問がよくわからないんでございますが、千差万別の場合について一々どういうふうな判断をするか——これはもう
日本の
憲法で規定された大
原則でございまして、それに違反するようなことはあり得ないわけでございまして、個々の戦闘場面でもしそういうものがあればその場で判断する、こういうことだと思います。
-
○
吉田正雄君
憲法上の
制約に基づいての
共同研究、演習ということであるわけですね。したがって、当然、
有事の際における
日米の共同軍事行動というものはそれに基づいて行われるわけですね、
制約の中で。具体的には
有事の際の態様というのは千差万別であるわけです。したがって、それが直接的な
日本侵略という状況でなくて、広い意味での
極東有事という際ですね、
集団的自衛権の
範囲になるのか、あるいは
個別的自衛権の
範囲に入るのか、一体その判断というものはだれがどういう基準に基づいてやるのか、それを明らかにしていただきたい、こういうことなんです。
-
-
○
吉田正雄君 年防
計画の中で、例の政党鎮圧の問題では、
防衛庁長官はその事実を知らなかったということでありますが、そのようなことで、この
研究の中で制服組の枠を超えた
研究を一体チェックできるのかどうか、そのまた保証というものをどういうふうに担保できるのか、お答え願いたいと思うんです。
-
○
政府委員(
夏目晴雄君) 今回の
シーレーン防衛に関する
共同研究が、あくまでも
個別的自衛権その他
日本の
憲法の枠内、あるいは非核三
原則、
事前協議その他の大
原則というものを踏まえて行うということは先ほど御
答弁申し上げましたが、そういう中での
研究を行うことは
日米双方とも十分
認識した上で、まずこの
研究を開始するということでございます。
それから第二点は、こうしたいわゆるミリタリー・ツー・ミリタリーの
研究ではございますけれ
ども、必要に応じて今回のSDCというふうな機関を設けまして、必要に応じてこの報告を求め
検討を加える。しかもまた、その結果、必要に応じてわれわれとしてはこの
研究の進展に応じて、必要の都度、大臣に御報告を申し上げるという仕組みになっておりまして、決して制服の独走というふうなことはあり得ないというふうに考えております。
-
-
○
政府委員(
夏目晴雄君) まず、この
共同研究の前提が一つ。それから第二は、この
共同研究を進めるに当たっての仕組みがいま申し上げたようなことで、そういう
憲法に違反するようなことのないようなシステムになっておるということでございます。
-
○
吉田正雄君 不十分ですが、一応先へ送ります。
アメリカは、核の存在については一切公表しないたてまえになっておるわけです。
〔
理事嶋崎均君退席、
委員長着席〕
したがって、核戦争を想定した演習は
アメリカは従来からも行ってきておるのです。したがって、
研究の対象にしないと言っても、当初から
確認のしようがないのじゃないですか。核の存在というものは一切公表してないわけですから、核戦争を対象としない
研究と言っても事前に
確認のしようかないのじゃないかと、こう聞いているのです。
-
○
政府委員(
夏目晴雄君) 今回の
共同研究は、先ほど申し上げましたような非核三
原則を
研究の対象にしないということを申し上げましたが、もっとかみ砕いて言えば、核戦争というものは今回の
研究の対象にいたしませんということになっているわけでございまして、これはあくまでも
研究でございまして、この
確認云々という問題はそのまま出てこないわけでございまして、
研究のテーマとしてはそういうことは一切考えない、こういうことでございます。
-
○
吉田正雄君 対象にしてないと言っても、
アメリカは従来から核戦争の演習をやっているのですよ、想定した演習を。しかも、核の存否については一切公表していないわけです。
共同研究に基づく演習の実施段階で、核戦争想定の場合が仮に出てきたとした段階で、演習打ち切りや拒否ができるのですか。
-
○
政府委員(
夏目晴雄君) 演習の関係というものはいま直接関係ございませんが、少なくもこの
研究では、そうしたものは
研究の対象にしないことは
日米双方で
合意されております。
-
-
○
政府委員(
夏目晴雄君) あくまでもこの
研究はいわゆるオペレーションプランといいますか、
わが国に対する
武力攻撃があった際に、
日米が双方でどういうふうに整合のとれた作戦を展開するかということの
研究でございまして、
防衛力整備を前提とした
研究ではございません。これは先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、その
研究の過程でいろいろな
問題点は出ると思いますが、それは
研究の過程でそういうものが出ましても、それはその
日米双方を
制約するものではございませんで、拘束するものではございませんで、もしそういうものがあっても、それは
日本政府が独自に自主的に判断すべきことである。この
研究とは直接関係がございません。
-
-
○
政府委員(
夏目晴雄君) そういう要求が出ることも考えられませんし、また、出ても、それは
日本政府が独自に自主的に判断すべきことである、こういうことでございます。
-
○
吉田正雄君
極東有事、朝鮮半島
有事の際、シーレーン構想に基づく
日米共同軍事作戦による海峡封鎖、あるいは米韓共同作戦を
日本が支援して、三国共同での海峡封鎖や共同軍事行動があり得るのかどうなのか。
-
○
政府委員(
夏目晴雄君) まず、
極東有事、すなわち
日本に対する
武力攻撃がない段階において
自衛隊が行動することはございません。したがって、海峡封鎖というふうな行動もとり得ません。あくまでも、わが方の通峡阻止というものは、
わが国に対して
武力攻撃が加えられたときに、その
武力攻撃を加えている国の
船舶、艦船の通峡を阻止しようというものでございまして、それ以上のものは考えておりません。
また、いまいわゆる
日米韓というふうな
お話がありましたが、この海峡防備作戦、通峡阻止作戦というものは、
原則的に
わが国が主体となって行うべきものであり、必要に応じて米軍の支援を受ける、こういうことはあり得ようかとも思いますが、韓国との間に共同作戦、そういったものは一切考えておりません。
-
○
吉田正雄君 米韓共同作戦を
日本が支援する場合というのは考えられませんか。直接的な軍事行動でなくても、その他の便宜供与というものを考えているのかどうか。
-
○
政府委員(北村汎君) 先生の御質問は、いわゆる六条
事態における私
どもがただいまやっております
共同研究というものに関してのものであろうと思いますが、私
どもは、あくまでも
日本を除く極東の
事態で、
日本の平和と安全に重要な影響のある
事態に、果たして
日本政府が在
日米軍にいかなる便宜供与ができるかということを
検討しておる次第でございますが、この便宜供与というのはあくまでも便宜供与でございまして、実力の
行使を伴うものではございません。
-
○
吉田正雄君 便宜供与があるとしたら、その
内容はどういうことが考えられますか。
-
○
政府委員(北村汎君) この
共同研究は去年の一月二十一日に第一回を開きまして、その後一回開いた程度でございまして、いろいろな問題がございますので、なかなかこの
研究は進んでおらないのが現状でございます。いろいろな問題が出てまいりますので、ただいまこの段階でどういう
研究をいたしておるかというのは、まだここで申し上げるのは適当でないと思います。
-
○
吉田正雄君 次に、朝鮮問題に移ります。
政府は盛んにソ連や北朝鮮——朝鮮民主主義人民共和国の脅威ということを強調しておるのですけれ
ども、私は、
日本国民は必ずしも朝鮮に関する正しい情報というものが与えられていないのではないか、いたずらに
国民の不安感をあおっているのじゃないかという感じを強く持っているわけです。
そこで、幾つかお尋ねいたします。
韓米相互
防衛条約の概要はどうなっておりますか。
-
○
政府委員(橋本恕君) 米韓相互
防衛条約は一九五四年に発効いたしまして、その主な
内容は、一方の国に対する
太平洋地域における
武力攻撃がある場合には、他方の国は
憲法上の手続に従って、共通の危険に対処するように行動するというものであると承知しております。
-
○
吉田正雄君 第四条ほどうなっておりますか。第四条と六条。
-
○
政府委員(橋本恕君) 第四条を申し上げますと、「
アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を、相互の
合意により定めるところに従つて、大韓民国の領域内及びその附近に配備する権利を大韓民国は許与し、
アメリカ合衆国は、これを受諾する。」ということでございます。
第六条は、「この条約は、無期限に効力を有する。いずれの一方の締約国も、他方の締約国に通告を行つてから一年後にこの条約を終了させることができる。」というものでございます。
-
○
吉田正雄君 この相互
防衛条約に基づく韓米行政協定の概要はどうなっておりますか。
-
○
政府委員(橋本恕君) 韓米相互
防衛条約の補備といたしまして韓米行政協定がございますが、米韓相互
防衛条約第四条による施設と区域及び韓国における米軍の行政にかかわる事項につき規定したものというふうに承知しております。
-
○
吉田正雄君 要するに、米軍の必要とする基地の制限というものを一切なくして無制限にするということがここではうたわれているわけですね。
そこで、韓国軍の軍事力は現在どういうふうになっておりますか。
-
○
政府委員(橋本恕君) 陸海空の概略について申し上げます。
陸軍は五十二万でございます。それから海軍は兵力四万九千、それから空軍は兵力三万二千六百ということが概略の数字でございます。総兵力六十万余りでございます。
-
○
吉田正雄君 ちょっと低目な数字のようですが、まあよろしいと思います。米韓連合軍司令部の地上構成軍の編成と軍事力ほどうなっておるか。
-
○
政府委員(橋本恕君) この地域
防衛のために、在韓米軍とそれから韓国軍とが共同して、一たん緩急のときに備えるための統合作戦指導を行う合同の組織を持っております。指揮につきましては、基本的にはたてまえは米軍は米軍、それから在韓米軍は在韓米軍、それから韓国軍は韓国軍でございますが、しかしながら一般論として申し上げますと、
有事であれ平時であれ、在韓国連軍の司令官は在韓米軍の司令官を兼務いたしております。それから地方在韓国連軍の司令官は韓国軍の作戦指揮権をも有しているというふうに理解いたしております。したがいまして、在韓米軍と韓国軍との関係は、
有事に在韓米軍が在韓国連軍としての地位をどこまで持つかということによるところが大きいというふうに理解しております。
-
-
-
○
吉田正雄君 米韓連合軍があって、地上構成軍、空軍、海軍と分かれているんだから、だからその地上構成軍の軍事力がどうなっているか、その編成がどうなっているか。
-
○
政府委員(橋本恕君) 一番上部の構造といたしまして米韓軍事
委員会がございますが、その下に米韓連合軍司令部というものがございます。その米韓連合軍司令部の下に地上構成軍、それから海軍構成軍、それから空軍構成軍と三つございます。地上構成軍の司令官は韓国軍の大
部分、それから在韓米軍の一部を指揮する、それから海軍構成軍につきましては司令官は韓国海軍の提督でございます。それから空軍構成軍につきましては司令官は
アメリカの空軍中将でございます。
-
○
吉田正雄君 わかっておってもなかなか詳細におっしゃらないんですが、私の方では相当資料あるんですよ。まあいいですわ、時間がありませんから。
アメリカは、ヨーロッパと韓国には核兵器の配備を公表しているわけですね。その
内容どうなっておりますか。
-
○
政府委員(北村汎君) ただいまの先生の御質問は、たとえば報道におきまして、マイヤー米陸軍参謀長ですが、これが韓国にいましたときに、
〔
委員長退席、
理事嶋崎均君着席〕
北鮮が韓国を
侵略すれば米国としては必要に応じ戦術核兵器を含むあらゆる手段で
侵略を阻止する、こういうことを述べたとか、あるいはこれはシュレジンジャー元国防
長官な
ども、従来朝鮮半島において韓国に対する北鮮の
侵略が行われた場合の核兵器の使用の
可能性は排除できない、これは決してそういうことはあり得ないだろうということを前提として言って、しかしそういう場合の
可能性は排除できないという趣旨の
発言を行っているということでございます。しかしながら、
アメリカは先生御承知のようにいかなる形における
侵略といえ
ども、それに対しては通常及び核両方の抑止力をもって対抗する、これが
アメリカの
防衛の基本
戦略でございますから、以上でお答えにいたしたいと思います。
-
○
吉田正雄君 答えになってないですよ。だめだ、それじゃ。
内容を聞いているんだ。わかっているんですよ、それは。
内容を聞いているんですよ。どうして
答弁しないんだ。さっきからもう
答弁しまい
答弁しまいで詳細に
答弁してないんだ。
-
○
政府委員(橋本恕君) 韓国に核兵器が配置されているかどうかにつきましては新聞報道その他私
ども伺ったことはございますが、
アメリカは従来から韓国のみならず他の地域におきましても核兵器の存在については一切明らかにしないという政策をとっておりまして、私
ども正確かつ公式な数字あるいは情報は現在までのところ入手しておりません。
-
○
吉田正雄君 そんな程度の情報力で一体何を
研究されようとするのかさっぱりわからないのです。
朝鮮民主主義人民共和国の軍事力についてはどのように把握されていますか。
-
○
政府委員(橋本恕君) 北朝鮮につきましては、陸軍は総兵力七十万でございまして、うち機甲師団が二、機甲旅団が五でございます。海軍につきましては兵力三万三千、それから空軍につきましては兵力五万一千、そのうち作戦機が約七百ということで、総兵力七十八万四千でございます。
-
○
吉田正雄君 韓国には
アメリカの核戦術兵器が大体六百発から一千発近く配備をされておりますし、運搬手段としてのF16あるいはファントム等の航空機が七十二機も配置をされておる。
〔
理事嶋崎均君退席、
委員長着席〕
これが全部在日
アメリカ空軍の指揮下に入っておる。
陸海空軍の軍事力を南北比較した場合には圧倒的に南が優勢なのです。そういう状況の中で、北の方から
侵略があり得るなどということはとうてい考えられないし、北側としてもそういうことは毛頭考えてないということを言っているわけです。
そこで、お尋ねいたしますが、この二月一日から四月中旬まで行われておりますチームスピリット83が南朝鮮全域で展開されておるわけで、かつてない大規模な立体作戦、核を含む、想定した立体作戦と言われておるわけですけれ
ども、これに参加している
アメリカ側の部隊と兵力、規模、目的、作戦
内容、それに
日本の
自衛隊からも制服組が見学あるいは参観と称して参加をいたしておりますが、その数はどうなっておりますか。
-
○
政府委員(北村汎君) まず、私の方から
アメリカ軍の方の参加兵力について御説明をいたします。
これは、私
どもが在京の米大使館あるいは在米及び在韓の大使館を通じて得た通報を一般的に受けておるところでございますが、まず参加規模は次のとおりでございます。
米陸軍、これは合計約二万七千名。これは米本土、
太平洋地域の部隊と在韓米軍を含めた数でございます。それから米海軍及び海兵隊、これは合計約二万七千名。それから米空軍、これは合計約一万九千名。これらを合計いたしますと、米軍は総計約七万三千名でございます。
自衛隊の方につきましては、
防衛庁の方からお答えがあると思います。
-
-
○
政府委員(北村汎君) 目的は米韓合同の演習で、朝鮮半島における不測
事態というものに対する米韓合同の
防衛作戦というものを通じて、指揮官、幕僚及び部隊というものを訓練するということであると聞いております。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) お答えいたします。
83チームスピリットに
自衛隊から参加しておる、あるいは視察、見学に行っておる者は一人もおりません。
-
○
吉田正雄君 昨年春から
極東有事研究が
日米間で開始をされたわけですけれ
ども、この
研究成果が韓国軍関係者に提供されているということが言われております。事実ですか。
-
○
政府委員(北村汎君) 先ほど御
答弁いたしました六条
事態の
共同研究について、先ほ
ども御
答弁いたしましたように、まだ私
どもの
研究自体が全然そういう進展を見せていない状況でございますから、そういうものがほかのところに伝わるというようなことは絶対考えられないところでございます。
-
○
吉田正雄君 先ほど、
自衛隊からはこの演習に見学あるいは参観と称しても参加していないということですが、去年一年間、日韓制服組の交流が行われているわけですね。回数と佐官以上の軍人の数ですね、目的、それを教えてください。
-
○
政府委員(
夏目晴雄君)
昭和五十七年に三佐以上の自衛官で韓国を訪問した者は十二名でございまして、この訪問目的は軍事事情の視察ということになっております。
それから、
昭和五十七年に同じく向こうから、韓国からこちらへ来た人は少佐以上の韓国軍人で七十八名、その訪問目的は表敬及び視察、こういうことになっております。
-
○
吉田正雄君 ただいまの論議を通じてもわかりますように、韓国に展開されている米韓軍の軍事力や配置の状況ですね、さらに
日本がことし一月下旬に九州西方と四国南方海域で共同演習を行い、これに参加した第七艦隊の多数の艦船というものが演習後佐世保に寄港して、その後このチームスピリット演習に参加をしているわけですね。さらに中曽根首相の訪韓、四海峡封鎖という一連のタカ派
発言、それからチームスピリット83に対して朝鮮民主主義人民共和国がどういう受けとめ方をしているかということになりますと、
日米韓三国安保体制の強化、朝鮮半島の平和じゅうりん、北朝鮮に対する
侵略戦争策動、
アジアと世界平和に対する重大な脅威であるというふうに北側は受けとめているわけですね。これは当然だと思うんですね。北からの
侵略の脅威という事実というのはいまのところないわけです。むしろ逆に、北側がいまの言ったような一連の演習等あるいは南朝鮮の軍事状況というものを判断して受けとめているわけです。そういう受けとめ方は、私は当然だと思うんですね。また、このことが朝鮮半島における緊張というものを高めているのではないかと思うわけなんです。これに対する
総理の
見解をお聞かせ願いたいと思うんです。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 私の韓国訪問は、韓国の民生安定、福祉増進等のために役立つ経済協力を主にしてやったのであります。
また、韓国におかれては、全斗煥大統領は南北の対話を非常に強調されまして、非常に熱意を持ってこの政策を進めたいと言っておられました。いずれも平和目的の会談であったわけであります。
また、
日本の
防衛に関する一連の
発言は、皆
憲法の枠内におきまして
個別的自衛権の
範囲内において、専守
防衛を主とする
わが国のいままでの
防衛政策の枠内でやってきている
発言でございまして、外国が心配するという性格のものではないのでございます。
-
○
吉田正雄君
総理は、しばしば世界は平和でなければならないということを繰り返しおっしゃってきたわけですね。朝鮮半島に外国軍隊が駐留していること自体が緊張というものを高めているわけですから、外国軍隊が朝鮮半島から一切撤退をしていくということが朝鮮と北東
アジアあるいは
日本、ひいては世界の平和に私は大きく寄与するのではないかというふうに思うわけです。
そこで、
総理と外務大臣のそれに対する
見解と、一体朝鮮政策をこれからどういうふうに進められようとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 韓国に米国軍が駐留しているというのは、米韓相互
防衛条約に基づいて駐留しているわけでございますが、われわれとしては、朝鮮半島の緊張が続くということは、これはひとり
日本の平和と安定だけではなく、
アジアの平和と安定にも非常に悪いことでございますから、何とか朝鮮半島の緊張緩和という方向へ進むことを期待をしております。そのためには、いわゆる韓国と北朝鮮との対話が進むとか、その他やはりそうした朝鮮半島の緊張緩和のための環境が整備されるということが望ましいわけで、そのために
日本は
日本なりの平和的なそういう緊張緩和のための努力をしなければならない、こういうふうに考えております。
-
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは、ですから韓国がたとえば対話をいま北朝鮮とやっておるわけですから、この対話が進むことをわれわれとしては期待をするわけでありますし、韓国もそれに努力をいたしております。また、緊張緩和のための、たとえば韓国側がクロス承認というような問題も考えておるようでございますし、こういった具体的な措置がとられる、そのために
日本としてできるだけのやはり協力はしなければならない、緊張緩和のための努力はしなければならない。しかし、現実問題としては、非常に問題がむずかしい問題でございますから、急激にそうした緊張緩和の方向にいくということは、いまのところ望めないわけですが、しかし努力はしなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 朝鮮半島の平和安定の問題は、
わが国も熱望しておるところでございます。しかし、この問題は、まず第一には南北の両当事者がみずから行って、平和安定を自主的にかち取るようにわれわれも期待しておるところでございます。その両当事者間の努力は実らせるように、周囲の関係各国がそれに協力するということが望ましいと思います。
具体的には、ソ連、中国、
日本、
アメリカというようなものが当面のそういう当事者の環境づくりに協力するグループになるだろうと思います。これらの各国が、朝鮮半島の平和と安定を目指して協力して、そして緊張緩和を一日も早く現実的に実現していくということが望ましいと考えております。
韓国におかれても、一九八八年のオリンピックをソウルに招致するというようなこの行為は、非常に平和的な行為でありまして、そういうような問題についてもわれわれは協力して、平和を促進する努力に協力してまいりたいと思うわけです。
-
○
吉田正雄君 最後に、漁業問題についてお尋ねしますが、
日本海は御承知のように、イカ、サケ、マスの非常に豊富な優良な漁場であるわけです。現在、ここでは漁獲量が約四万二千トン、売上高約百五十億円、漁船が約二千隻、乗組員が約二万人という状況になっていることは御承知のとおりなんですが、北朝鮮海域は特に優良海域で、
日本の漁船も多くここに出漁しているわけでありますけれ
ども、安全操業について、昨年六月末で共和国との民間協定の期限が切れたわけですね。これは漁民にとっては大変な死活問題であるわけです。
そこで、
政府は、今日までどのような努力をされてきたのか、また、現状と将来の展望がどうなっておるのか、今後この協定の実現に向けて
-
-
○
吉田正雄君 どう努力をされるのか、お尋ねをして質問を終わります。
-
○
政府委員(橋本恕君) 先生御指摘のとおり、まことに残念ながら、昨年の六月三十日をもって、日朝民間漁業協定が失効したわけでございます。
わが国政府は、北鮮の
政府との間にいわゆる外交関係がございませんので、この問題につきましては、従来民間の当事者間の御努力で漁業協定が結ばれ、円滑な操業が行われてきたわけでございます。
政府といたしましては、操業の再開を目指しまして、できるだけ速やかに
日本と北朝鮮の当事者間の民間レベルでの話し合いができるだけ早く行われることが望ましいと考えておりまして、もし
政府としてお手伝いすることができれば、その努力にこたえて御協力を申し上げてみたいと、こういうことでございます。
-
-
○
委員長(
土屋義彦君) 次に、田沢智治君の総括質疑を行います。田沢君。
-
○田沢智治君 時間がもう二十五分きりございませんので、午前中は、
中曽根総理初め関係閣僚に今後の政局運営についてお尋ねをいたしたいと思うのでございます。
中曽根内閣は、発足以来はや四カ月を経た今日、
中曽根総理自身、わかりやすい政治、
国民に話しかける政治の実現に心がけ、内外における平和の維持と、
わが国の民主主義の健全な発展と、
国民生活安定の基盤づくりに努力してきたことは、多くの
国民の期待と関心の的となっていると思っております。
そこで、今朝の新聞報道を見ますとき、二十一世紀に向けての行政のあるべき姿を
審議した臨調は、昨日最終答申を提出したことが報じられております。
総理は、増税なき
財政再建を含む行革に対して、どのような決意で臨まれようとなされるのか、また行管
庁長官におかれても、それぞれの御所見をまずもってお伺い申し上げたいと思います。
-
○
国務大臣(齋藤
邦吉君) お答え申し上げます。
実は、本日をもちまして行政調査会の存置期間が切れるわけでございますが、その間、本当に二年の間、昼夜兼行で御努力なさっていただいた方方に対し、私は衷心から深く敬意を表するわけでございます。
そこで、昨日、
総理に対して最終答申が提出されたわけでございますが、行政改革は大きな
国民的な課題であり、中曽根内閣にとりましても、内政の重要問題の一つである、こういうふうに私
どもは理解をいたしておるわけでございますので、私、
行政管理庁長官といたしましては、行革の総括的な推進役でございますので、この最終答申案に対して、
政府の方針をできるだけ早く決めまして、最大限尊重する、そして逐次これを実行に移していくと、こういうふうな
政府の方針を決めていただきたいと念願をいたしておりますが、まだ
政府全体としては、これに対する基本的な方針を決めてございませんので、できるだけ早く決めていただいて、そういう方向で努力していくことが最も必要である、こういうふうに考えておる次第でございます。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 二年間にわたりまして、土光さん以下、
委員の皆さん、専門員及び参与及び顧問、これらの皆様方を初め、各省から派遣されました事務局の職員の皆さんが、非常な御熱意をもって最終答申までまとめ上げてくださいました御労苦に心から感謝を申し上げ、敬意を表する次第でございます。
内容は、拝見いたしますと、非常に御苦心の結果、非常にりっぱな
内容であるように心得ております。ただいま行管
長官が御
答弁なさいましたように、誠心誠意これを受けとめまして、最大限に尊重して、これを実行していくために、われわれは全力を傾倒するつもりです。
中曽根内閣ができました一つの大きな使命は、この土光さんがつくってくれた臨調答申を実行するというところにございますと私覚悟しておるところでございまして、いよいよ方針が出てまいりましたわけでございますから、正直に、約束に従って一つ一つ着実にこれを実行していく所存でございます。これが、内閣の最大使命の一つであると心得ておるところでございます。現に、すでに本通常国会におきましても、国鉄監理
委員会設置を中心にする国鉄改革の法案あるいは近く出ますが、年金の統合の法案あるいはすでに出ております国家行政組織法の改正に関しまして、部局の設置を簡素、合理化に簡便な手続でやれる方向をいまつくりつつあるそういう法案等がもうすでにあり、また、この行政改革を推進し監督するための推進の
委員会を結成する、こういう法案も近く提出されるはずでございます。これらの現に出ている法案、これから出る法案をできるだけ早く成立せしめまして、行政改革へのわれわれの誠意と努力を示していきたいと思っておる次第でございます。
-
○田沢智治君 多くの
国民は大変関心を持って、ぜひこの行政改革を断行して、二十一世紀に向かう
日本の悠久の国家の姿をきちっと位置づけしてほしいという声が私はあると思います。そういう次元の中で、中曽根政権は行政改革に政治生命をかける、こういうように理解してよろしゅうございますか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 政治生命をかけるというのは一つの形容詞でございますが、私は前に、土光さんと心中するということを行管
長官時代に言ってまいりました。そういう決心で、
総理大臣として誠心誠意努力してまいりたいと思っております。
-
○田沢智治君 ぜひそういうお気持ちで御精進のほどをお願い申し上げるのでございます。
また、
中曽根総理は、発足早々一月に訪韓され、日韓の修復に成功し、また
日米間の懸案事項であった貿易摩擦の解消と
日米同盟の信頼のきずなを深めるためにみずから進んで努力され、さらに二月には二階堂幹事長を特使として中国に派遣し、中曽根政権の方針を伝達するなど、外交面における多くの成果を上げられたことはまことに喜ばしい限りであります。
今日、
日本国民の関心事の一つとして、ソ連のSS20極東配備の問題と北方領土の返還問題があると思います。
そこで、
日本の平和と安全を維持するために、対ソ関係の改善に中曽根政権は取り組み、
国民の不安材料をなくすことが肝要であると私は思っております。先般来、永野日商会頭を団長とした訪ソ使節団が日ソの親善を深めて帰国したこの機会を契機に、
中曽根総理は、近い将来みずから訪ソするか、特使などを派遣して日ソ関係にかかわる懸案事項の解決に前向きに取り組む決意がおありかどうか、御所見をお伺いしたいのでございます。
また、外務大臣におかれても、所管大臣として日ソ関係の改善のためにどのような決意で臨んでおられるのか、その展望、施策を含めて御所見をあわせてお聞かせいただきたいと存じます。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 日ソ関係の改善には努力しなきゃならぬことは当然のことでありますが、日ソ間には、御承知のように、領土問題という非常にむずかしい問題があります。われわれは北方四島という固有の
わが国の領土を何としても返還を実現しなきゃならない。そして、その上に立って日ソの間で平和条約を結ぶということが目的でございまして、
国民世論も盛り上がっております。われわれとしては、そうした基本的な対ソ政策に基づいて、今後とも粘り強く腰を据えてこの領土の返還、日ソ平和条約の締結に向かって今後とも努力をいたしたいと思っておるわけでございます。
そうした情勢の中で、確かにいまおっしゃいますように、日ソ間におきましてはソ連の
日本に対するいろいろな批判もありますし、あるいはまた極東におけるソ連の軍事力の増大、さらにまたSS20の極東配備といったような問題もあるわけでございますし、まだ
日本の高島駐ソ大使がソ連のチーホノフ
総理大臣にも就任以来会えないと、こういうふうな状況にあるわけであります。私たちは、日ソの間にはいたずらに対決を好むわけではありません。一方においては、やはり隣国でありますし、何としてもそうした基本的なこの姿勢は崩すわけにはいきませんけれど、日ソ間のやはり交流といいますか、関係の改善には努力を続けていかなきゃならない。今回の永野ミッションの訪ソというものはそういう意味において一つの意義があったのではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。私たちは、この四月にはまた日ソ間の高級事務レベル会談も予定いたしておるわけでございます。
そうした関係の改善あるいは経済の交流、そういう点については今後も進んでいくのではないかと、こういうふうに判断をいたしておるわけでありますが、首脳の、
日本から
総理大臣がソビエトへ行くとか、あるいは外務大臣がソビエトへ行くということになりますと、やっぱり外交というのは相互主義でありますし、
日本の
総理大臣はこれまで三回も行っておりますが、ソ連の
総理大臣は一度も
日本を訪れたことがない。外務大臣にしてもそういうことでございます。日ソ間には外相の定期会談というのがございまして、今度はグロムイコ外相が
日本に来られる番でございますから、私たちは、グロムイコ外相をひとつ
日本に迎えて、そうして日ソ間の懸案等につきましてひとつ腹を打ち割って話し合いをして、一歩でも二歩でも日ソの改善を図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 外務大臣が御
答弁申し上げたとおりでございます。永野使節団の団長さん、永野さん以下の御労苦を多とするものであります。日ソ間におきましては、領土問題という非常に基礎的な問題がございますが、粘り強くこの問題を解決して、そして友好協力の道を開いていきたいと思っております。
日ソ間には、領土問題を基本として、そのほかにも、漁業の協力の問題もございますし、あるいはシベリアの
開発の問題もございますし、科学技術や文化の交流の問題もございます。そういういろいろさまざまな問題もあるわけでございますから、領土問題というものを基本に解決するという根本的な
立場を堅持しつつ、いまのような幅広い関係の改善ということも心がけてこの関係を打開してまいりたいと考えておる次第でございます。
-
○田沢智治君 さらに、
わが国は平和
憲法のもとで、世界の平和と人類福祉の増進に寄与することを国是とした国であります。そうして世界の平和と安全を確保するためには、今日最も重要な世界的規模での軍縮問題があると思います。昨年六月七日から開催された第二回の国連軍縮特別総会においては、
鈴木前
総理が
出席して、世界唯一の被爆
国民を代表し、軍縮を通じる平和三
原則を中心とした演説を行い、大きな反響を世界に与えたことは記憶に新しいものであると私は思っております。
昨年の世界の軍事費は六千億ドル、
日本円で約百五十兆円と言われております。もしその一部が国際軍縮協定によって人類救済に使用されるならば、病気や飢えで生命を失う千七百万人の子供の命が救えるのであります。神仏の道にかのうとき、その国は栄えると、こう申されるごとく、
わが国は率先垂範して軍縮に力を入れるということが必要であると信ずるのでございます。
中曽根総理及び外務大臣は、軍縮問題に対して今後どのような方針のもとに取り組む決意であるか、その御所見をお伺いしたいのでございます。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 軍縮につきましては、いまさらもう申し上げるまでもございません。
わが国としては最もこれを望んでおる国であります。
わが国があの戦争中に、広島とかあるいは長崎に原爆の災禍を受けた。それだけに何としてもこの軍縮、そうして核廃絶、そういうところまで進まなきゃならない。そういう意味において、
鈴木前
総理が昨年の軍縮総会で述べられたことは、
わが国のこれまでの主張を世界に訴えたわけでございますし、われわれとしては、この軍縮実現のためにあらゆる外交の努力を今後とも進めてまいりたい。ただ、軍縮の場合は、しかし同時に考えなければならぬのは、やはり実効的な、効果が上がらなければ意味がないわけでございまして、ただスローガンだけ掲げてこれが実行されないというようなことでは意味がないわけでございますから、われわれは、軍縮総会あるいは軍縮
委員会あるいは国連等におきましては、あくまでも軍縮の実が上がるという
立場に立って一歩一歩この実効的な措置を講ずるための提案もし、そしてこれが実現に努力を重ねておるわけであります。今後とも全力をひとつ尽くしてそうした軍縮の実現に邁進をしていきたい。そして、いま
お話しのように、やはり軍縮によって生じた余力が、いま世界経済は大変不況でございますから、経済の好況にこれが使われるということになれば世界全体の幸福につながるわけでございますから、いま
お話しのような姿勢のもとに、われわれは今後とも全力を尽くしてまいりたいと考えております。
-
-
○田沢智治君 それから、
鈴木前政権もいろいろな仕事をやっております。私のところへ優生保護法改正問題について賛否両論の意見も来ております。この問題につきましては、生命を尊重するという次元においてはこれはやはり大切なことであると私は思うのでございますが、優生保護法改正
問題等について厚生大臣、御意見を伺えればと存じます。
-
○
国務大臣(林義郎君) 田沢議員の御質問にお答え申し上げます。
優生保護法の問題は、当
委員会におきましてもしばしば御議論をされたところでございますし、御指摘のように賛否両論いろいろと御意見のあるところでございます。
私といたしましては、この問題は言うならば人間の本性に基づくものでありますし、そういったことからいたしまして慎重に考えていかなければならないと思いますし、いろいろと問題が提起されております。そのことを考えますならば、私はやはり宗教なりあるいは倫理なり、こういうふうな点までさかのぼって問題を考えていかなければならないことではないかと思っておるわけです。
先ほど先生の
お話の中に仏教という
お話がございましたが、私は、どうも仏教の持っている考え方とキリスト教の持っている考え方の死生観というか、そういったものについては若干違うところがあるのではないかというふうに思うわけでございます。むしろ、先生の方が仏教につきましてはお詳しいわけですから、先生からお教えをいただきたい、こう思いますが、私はどうもその辺は、仏教の考え方というのは違っているような考え方もありますので、そういった点も含めましてこれから鋭意
検討してまいり、本当の意味での
国民全体が納得できるような形に持っていかなければならないものだというふうに考えているところであります。
-
○田沢智治君 ぜひ、世を救い人を救うという次元の中で、
結論を早急に出していただきたいと存じます。
午前中最後に、
中曽根総理はよく、戦後の総決算をして新たな転換期を求める時期に来ていると言われております。戦後の総決算とは何を意味するのか、その御所見をまずもってお伺いしたいのでございます。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 戦後三十八年になりますが、この間に、
日本は非常に輝かしい発展を行い、また世界の歴史の上におきましても
日本の歴史の上におきましても、必ず後世から、あの時代はすばらしい時代であったと指摘されるような時代であったと私は確信しております。しかし、光があれば影が出てくるのでございまして、最近の情勢を見ますと、明らかに大きな変革期に、転換期に来ているように思います。それは、経済の問題につきましても、いままでの成長路線というものが世界的停滞の中に入っておりますし、またOPECその他においても混乱が起きております。言いかえれば、世界経済の中における既成秩序が新しい方法、方向を求めて動き出していると思うのであります。ブレトンウッズ体制がいまほとんど崩壊して、新しいものを求めているのも符合しております。
そういう中において、
日本はいまや国際的孤立をいかに防いで貿易国家として伸びていくかという道をまた新しくスタートしなければならぬ重大なときにも来ております。それから内政の面におきましても、これだけの輝かしい福祉国家の理念を実践するために努力してまいりましたが、しかし
政府が膨張し過ぎたり、むだが多かったり、あるいは国鉄のように膨大な赤字を持つ公社が出てきましたり、非常に内政面におきましても新しい改革を要する段階になったわけでございます。ですから、土光さんが二年間、精力的にこの改革案を示してくだすったわけでございます。
そういうような内政、外政、全面的に見まして新しい秩序、新しい道へ向かって進むときに来ていると思うのでございまして、そういう二十一世紀に向かっての新しい秩序や新しい体系に向かって
ガイドラインをつくりながら、一歩一歩前進していきたいと考えておるわけでございます。
-
○田沢智治君 ただいまの
総理の総体としての
お話、私も理解できると思います。そういう意味で、この問題は重要な政策の転換もあるかと存じます。そうなりますと、戦後の総決算をするためには、どうしても
国民に信を問うという民主政治の常道が必要だと私は思っております。そこで、参議院の通常選挙がこの六月に行われる機会に、衆議院も解散して、同時に選挙を行って
国民にその信な問うというのも一つの方法ではないかと、私はそう思うのでございますが、
総理のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 戦後政治の総決算というのは非常に時間のかかることでございまして、ことしの六月でそれが終わるというような問題でもございません。解散する必要はないと考えております。
-
○田沢智治君 午前中は終わります。
-
○
委員長(
土屋義彦君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時まで休憩をいたします。
午前十一時五十七分休憩
─────・─────
午後一時三分開会
-
○
委員長(
土屋義彦君)
予算委員会を再開いたします。
この際、
昭和五十八年度
一般会計予算外二案の審査の委嘱についてお諮りをいたします。
本件につきましては、先刻の
理事会におきまして
協議の結果、次のとおり決定をいたしました。
審査を委嘱する
委員会及び各
委員会の所管はお手元に配付のとおりでございます。審査を委嘱する期間は、第一種常任
委員会については三月二十三日及び二十四日の二日間、特別
委員会につきましては三月二十五日の一日とする、
以上でございます。
ただいま御報告いたしましたとおりとすることに御
異議ございませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
委員長(
土屋義彦君) 御
異議ないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────
-
○
委員長(
土屋義彦君)
昭和五十八年度総
予算三案を議題とし、午前に引き続き、田沢智治君の質疑を続けます。田沢君。
-
○田沢智治君 近時、青少年の犯罪の急増に伴い、関係者の多くがその対策に苦慮しているのが現状でありましょう。特に、最近の新聞報道を見るとき、
日本の犯罪の四三%が未成年者であり、その半数が中学生であることが判明しております。こういう事実から見まして、国家、民族の将来に一抹の不安を与えている現象を呈していると思うのであります。
総理はこの現状に対してどのような御
認識をされ、具体的にどう対処されようとしておられるのか、御所見をお伺いいたしたいと思っております。また
国家公安委員長、総務
長官はこの事実に対しどのようにお考えになられておるのか、その所見をあわせてお伺いいたしたいのでございます。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 青少年の犯罪につきましては最も心を痛めておる状態でございます。いま田沢さんおっしゃいますように、特に最近の犯罪の四三%が青少年の犯罪であり、しかも、その大
部分が中学生という形になっておりますのは、何らかの欠陥があるからこういうことが起きておるのだろうと思います。そういう意味におきまして、いま内閣及び自民党を挙げまして、青少年の犯罪あるいは暴力対策に乗り出しておるところでございますが、一つ考えられますことは、いま閣僚席で雑談しておったときにお聞きしたんですが、二十四年間に中学生の身長は平均がもう百六十三センチになった、昔ですと百五十センチぐらいではなかったかと思います。高校生の身長は百七十センチになった、それで二十四年間に目方が八キロふえた。平均八キロというのは非常に大きな数字で、いかに子供たちが昔に比べて成熟しているか、また体力も増しているかという証明だろうと思います。それに比べて教育が進んでいるかどうか、あるいは人間としてのあり方の基本についての型を教えているかどうか、そういう問題がここで問われているだろうと思います。体重が増す、あるいは身長がふえる速度と同じように、精神的な面の教育が進んでいるかどうかというと、それに比例して進んでいるかどうか、学科の配当や、あるいは教師の心配りや、家庭の心配りというものが並行して進んでおるかどうかというと、この辺は非常に疑問な点があるんではないかと思うのです。
青少年犯罪の問題を考える場合には、こういう社会の変化、特にテレビの影響が非常に大きいと思いますが、それと肉体的な大きな変化というものと教育水準、教育の速度が追いついていけるかどうかという問題があるように思うのでございます。やり方については、学校の先生、家庭、社会、三位一体になってやらなければならぬということはかねてから言われているところでありますが、その中の仕分けといいますが、協調といいますか、それが必ずしもうまくいっておるとも思いません。そういうような点について深く思いをいたしまして、教育のことですからインスタントでできるはずはない。ここまで来るには三十年かかっておるわけですから、直すのにも三十年かかるかもしれません。しかし、一生懸命努力すれば、その犯罪の発生率とかその他はかなりスピードアップして防げるだろうと思います。そういう点について大いに
政府としても努力いたしたいと思っている次第でございます。
-
○
国務大臣(
山本幸雄君) 最近の犯罪の傾向は、だんだんと低年齢層に下がってきたというのが顕著な傾向であります。それらを考えあわしてみまして、いま
総理が仰せられたように、私は子供のときの人間としての基礎的な教養、あるいは社会の中で生きていくときにどうしてもこれだけは頭に入れておかなければならないという、そういう人間としての土台というものがまずできていないのではないだろうか。そういうたこの糸が切れたような式にやっている少年、しかも、それが小さいときから不良性を帯びてくる、それがやがて非行少年となってくるということで、私は非常にこれは根の深い問題であり、ひとり、家庭は一種のいわば教育機能をだんだん喪失してきたんじゃないだろうか、また学校も教育の上で何といいますか、野放しになっている子供がいる、また環境の方もそれに適応した抑止的な機能が働かなくなってきておる、それらがひっくるめて、こういう現在の驚くべき
事態がときどき起きるという、まことに根の深い問題であると思うのです。
私はいま警察側といたしましては、警察のこういう面においてやるべきことはおのずと一つの守備
範囲がありますから、それに適応して今後の対策に真剣に取り組んでいきたいと、かように考えております。
-
○
国務大臣(丹羽兵助君) 先生のお尋ねにお答えさしていただきますが、先生からも御指摘のありましたように、すべてのことは大事でございますけれ
ども、特に次代を託するところの青少年の育成ということは、これはもう非常に大事なことでございまして、それにもかかわらずその青少年の一部の中にまことに残念な行為が行われておりまして、こうした青少年の非行の問題というのは最も憂うべきことである。一日も早くこれは断ち切るような努力を政治の世界も社会も考えなくちゃならないことでございます。ところが、これは非常に複雑な要因が先生御存じのようにありまして、ただ学校の教育に問題があるとか、あるいは家庭がどうだとか、社会がどうだとかといっておる問題ではないと、みんなしてこれは考えていかなくちゃならないことだと、こういうように私
どもは思っております。
そこで、青少年の非行問題は複雑な要因があり、根の深いものでありまするので、その対応に当たっては家庭、学校、地域社会が相互に連絡、協力し合い、一体となって取り組む必要がある。したがって、いま自治大臣がおっしゃいましたように、各省庁が連携して幅広い角度から統合的な施策を講ずるとともに、地域ぐるみの取り組み方がなされるよう私
どもは
国民全体の運動としてみんなで取り組んでいきたいと、こういうように考えて、連絡の役所でございますから、各省の協力が得られるような努力をいまいたしております。
-
○田沢智治君 歴代の自民党内閣は、激動する時代にあっても
国民とともによく艱難辛苦に耐え、それを克服して
国民生活の向上、充実に努力してきた結果、今日では世界有数の経済大国に躍進し、世界の驚異の的になっていることは周知のとおりであります。しかし反面、社会が高度化し、組織化が進めば進むほど人間は自己の権利や利益を主張して相争い、人間にとって一番大切な人を思いやる心を忘れ、物豊かにして国滅ぶ現状を呈しているということは、今日の世の中を見ても明らかでございます。
中曽根総理はこの現実をいたく思われ、昨年十二月三日の
総理就任当初の所信表明演説の中で、心の触れ合う社会、礼節と愛情に富んだ活力ある高度福祉社会の建設を訴えられましたことは、歴代の
総理に比して私は特筆すべきことがあると、こう信ずるのであります。そして政治の光を家庭に当てて、夕べの食卓で孫をひざに抱き、親子三代の家族がともに住むことができる家庭基盤の充実を図り、たくましい文化と福祉の国づくりに政治の基本を定めるとの決意をなされました。その所信表明に対する決意、今日でも変わりないかと存じますが、そのほどをお聞かせいただきたいと存じます。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 変わりはございません。
やはり、
日本人の社会には
日本人が二千年にわたって築き上げてきた倫理観なり、生活
態度、潤い、いわゆる
日本的な生きざまというものが根底になければ長続きするはずはないのでございまして、やはり
わが国には世界に誇るそういう精神倫理面における伝統もあると思っております。そういうものを大事にしながら、しかも新しい時代に挑戦していく
進歩をねらって、言いかえれば
進歩と秩序という考えになりましょうか、秩序ある
進歩という考えに立ちまして前進していきたいと思っております。
-
○田沢智治君 そこで私は、家庭基盤の確立を図る大切な条件、これはよく衣食住と言われております。衣食はある程度満たされている今日、満たされないものは私は住宅であろうと思うのです。その意味において、親子三代が住める住宅政策の推進が重要な課題になっている。そこで、親子三代が住める住宅政策がいかに進展しているか、これは建設大臣にまずもってお伺いしたいのでございます。
-
○
国務大臣(内海英男君) 建設省といたしましては、親子三代がともに住みたいという
国民のニーズにこたえるために、住宅金融公庫における貸付利率の優遇及び割り増し貸し付け等を行うとともに、三世代同居が可能となるための公営住宅、公団住宅の供給を行っているところでございます。さらに、五十八年度からは公庫融資の貸し付け対象の拡大、住宅の増改築の促進等の対策によりまして、三世代同居世帯の増加に対応していく考えでございます。なお、三世代居住用の住宅の
開発、供給につきましては、さらに今後とも
研究開発を進めていきたいと、こう考えております。
-
○田沢智治君 今日、やはり家庭基盤がしっかりしていれば、私は青少年の犯罪の多くは片づくと思うのです。そういう意味で、本年二月の「住宅金融月報」によりますと、現在都市住宅の標準は三LDKであると言われております。親子三世代が文化的な生活を営むためには四または五LDKが必要と思いますが、建設大臣の御所見はいかがでございますか。
-
○
国務大臣(内海英男君) 御指摘のような方針で建設省も取り組んでまいりたいと考えております。
-
○田沢智治君 五十年から五十五年まで
政府の主導型のハウス55、百平米モデル住宅を試作した経緯から見て、
中曽根総理がせっかく親子三世代が住める、そういう住宅構想をも含めて、人間の環境条件を高度福祉社会の中で位置づけたいと、こう言われておるのですから、安くて丈夫で長持ちし、住み心地のよいモデル住宅構造の
開発を私は推進すべきであり、一般
国民向けに提供することによって、明るい健康な温かい家族づくり、家庭づくりに貢献する道であるのではないかと、こう思いますが、
総理、こういうような前向きの姿勢に対していかがお考えでございますか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 賛成でございます。
私は、前から三世代同居をいかに推進するかという点について努力もしてまいりました。考えられることは、たとえばおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に住んでくれる若夫婦には減税してやると、そういうことも考え、自民党におきましてもこの政策を推進して、いまたしか十五万ぐらい減税していると思いますが、この額をもっとふやしてやるということも一つの課題ではないか。あるいはおじいちゃん、おばあちゃんに離れをつくってあげるとか、あるいはおじいちゃん、おばあちゃん用に部屋を改造をして特別に充ててあげるとか、そういう場合に、特に住宅金融公庫等々において金融やら、あるいは利子等において特別のめんどうを見るとか、そういうような一つ一つ具体的にインセンティブを与えるという形でこれを促進することが好ましいのではないかと、そのほかさまざまな考え方や政策があると思いますが、一例を申し上げましたが、そういうような考え方によりまして大いに促進してまいりたいと思っております。
-
○田沢智治君 私はどうしてもこれをやっていただきたい。先ほど、
総理が大きく転換する時代であると、こう申されました。私はやはり
日本という社会は、戦前戦後に比較しますと、かなり大きく変革しているということを思うんです。なぜならば、
昭和十五年の時点と五十七年の時点で、人間構造、社会構成を分析してみますと、
昭和十五年、女の人の結婚平均が二十歳です。そして初めてお子さんを産むとすれば二十三歳。一番最後のお子さんを産み上げる平均が三十八歳です。平均的に出生児はどうかというと四・一一人という統計が厚生省から出ております。
そういうことになりますと、三十八歳で二十年間たったとすると五十八歳になります。しかし、残念ながら
昭和十五年の
日本人の平均寿命は四十九歳です。ですから、第五子、第六子の子供を二十、成人になるまで親が見届けずして死んでいく、これが実態なんです。ですから、長男、長女が妹、弟を親がわりということで育てる。そこにきょうだい愛、姉妹愛というものは当然輪廻の法則で言うと絡んでくるわけです。しかし、いまの時代はどうかということになりますと、結婚平均年齢は、女性は二十五歳です。早い人は二十六歳で産んで、二十八、九歳で産み上げちゃいます。二十年たつと五十前後、私はちょうど五十ですから、私の子供はもう成人しています。そうしますと、一人前に育てるとすると、五十五歳に達すると、男は世帯持ち、女も世帯を持っていくということで、いまの平均年齢は女の人が七十九・一三歳、男の人が七十三・七九歳でございますので、その後の老後のことを考え、男は二十五年間、女の人が三十年間、この高齢化、老齢化社会の中でどう生きるかという課題が当然出てくるわけです。ですから、私はそういう次元で若い御婦人がパートタイマーに出ている統計を見ますとき、約一割ぐらいの人たちがパートタイマーに出ております。物を豊かにする努力はしても、わが子に愛情を注ぐという努力がやや鈍っているんじゃないだろうか。そういうところに、家に帰っても勉強部屋はあるけれ
ども、お母さんのぬくもりがない。これは当然そういうような結果になるわけです。ですから、親子三世代が同居しながら、結局はお父さん、お母さんの足らないものをおじいちゃん、おばあちゃんが担って、人間愛、きょうだい愛、隣人愛というようなものを形成していく家族づくりということになると、家庭基盤の私は充足をしなければならない。しかし、先ほど、四LDKとか、五LDKが必要だとするならば、じゃこの四LDKとか、五LDKを購入する場合、どれだけの金額が必要かというと、三千万から三千五百万ぐらいかかるわけです。親孝行したいけれ
ども、金がなきゃ親孝行ができないという世の中があっていいか、私はそんな世の中はだからだめだと思うんです。そこに政治が家庭の中に福祉の光を入れるということになるならば、安くて丈夫で長もちして、機能的な住宅を
開発する努力というものは、これは
政府の責任で当然やるべきことであって、親孝行するという次元においては、こういうものを
政府は用意しますよという中に立って、
国民と
政府の権力的じゃなくて、人間的温かみというものが実現でき、かつ中曽根政権が言う家庭に福祉の温かい光を当てるんだというならば、進んでそういう面を早急に
開発する
計画を立てるべきではないだろうか、私はそう思っております。
そこで、最近の住宅ローン利用者数とその金額の推移について、所管当局より御報告をいただきたいと思います。
-
○
政府委員(宮本保孝君) 最近におきます住宅ローンの推移でございますが、民間金融機関におきましては、
昭和五十年度末が二百七十三万件、五十七年十二月末が四百九十六万件になっております。金額にいたしますと、五十年度末が九兆円でございますが、五十七年十二月末は二十三兆七千億に達しております。別に公的金融といたしまして住宅金融公庫がございますけれ
ども、これが五十年度末は二百四十万件、三兆円でございましたが、五十七年十二月末には四百七十二万件、十五兆二千億円に達しております。
以上でございます。
-
○田沢智治君 週刊ダイヤモンド誌によりますと、昨年の十一月十三日号によれば、ローンの破産者が二百万人、さらに予備軍と言われる破産寸前の入たちが二百万人存在していると報じております。その中でも住宅ローンがらみのものが多く、住宅ローン延滞規模はおよそ二十万件、総額で三兆円、事故率は六%になるのではないかと報じております。
そこで、最近の住宅ローンの返済がどのような状況になっているのか、所管当局より御報告をいただきたいと思います。
-
○
政府委員(宮本保孝君) 私
どもといたしまして、延滞状況、的確な統計数字はございませんけれ
ども、一応住宅ローンの保証保険の保険金の支払い額について見てみますと、最近の件数でございますが、五十三年度に三千件から五千百件に急増いたしました後、五十四年度は七千二百件、五十五年度は八千百件、五十六年度は七千八百件でございまして、一応この二、三年は七、八千件で推移いたしております。ただ、住宅金融公庫につきまして六カ月以上の延滞で見ますと、五十三年度が一千件であったのが、五十四年度は一千三百件、五十五年度二千七百件、五十六年度四千百件というふうに漸次ふえてきております。
-
○田沢智治君 建設省。
-
○
国務大臣(内海英男君) 住宅金融公庫の方のことにつきまして申し上げます。
住宅金融公庫の融資につきましては、住宅ローンの先生が御指摘のような事故を未然に防ぐといった意味から、利用者が住宅取得を無理のない資金
計画でやっていけるように、金融機関等の窓口によってできるだけ指導を強めていくようにいたしております。また、公庫資金の借り入れ後病気になられたり、あるいは失業をされたりと、こういった場合には、借入金の償還が困難となるというような観点からいきまして、従来から元金や利息の一部を繰り延べると、こういったような救済措置も講じておりますし、的確な運用を図って利便に供していくようにいろいろ
研究いたしておるわけでございます。
-
○田沢智治君 よく実態を調査して——住宅はたくさんつくる、年百三十万件ぐらいつくる。借りるのは借りる。しかし、余り住宅をつくり過ぎるというか、事故が多くなると、不消化現象を起こしているきらいが私はあるんじゃないだろうかと。つくればいい、売ればいいということじゃなくて、それがやっぱり
国民生活の中に回転していく次元に有効に生きていくというようなことを、将来もう一度慎重に御調査を依頼したいのでございます。
そこで、先ほど申したように、親孝行したいけれ
ども、住宅公庫を二千万円借りた場合、一体どうなるか。二十年間借りるとするならば、大体五分五厘、公庫で一番安いのでございますが、二千万借りると三千三百万二十年後で返さなきゃならない。民間住宅ローンで借りますと、これまた八・三四%ですから四千百二十万。要するに、二十年間で倍の金利を払わなければ親孝行できないというようなことになったとすれば、
政府は三世代同居がいいと。私もそれが人間環境をつくるのにいいと思うんですけれ
ども、二十年間、倍、二千万借りて二千万またプラスして利息を払わなければならない。一体これで親孝行できるかというと、私は余りできないと思うんですよ。ですからそこが問題なんですね。ですから、老人同居多人数世帯や、せめて心身障害児同居世帯への住宅ローンの利息の軽減措置というものは私はやるべきじゃないか。中曽根政権が非常にいいことを言っているんだから、それをやっぱり裏づける政策が、それに合っていかなければ、協合しなければこれは意味がない、そういう点について大蔵大臣、建設大臣の御所見を伺いたいと思います。
-
○
国務大臣(内海英男君) ローンの利息の軽減ということになりますと、大蔵大臣の所管だと思いますけれ
ども、住宅政策ということから考えますと、住宅金融公庫におきましては、現在でも老人やあるいは身体障害者の方と同居をされるというような世帯に対しましては、貸し付け対象とする住宅の規模や貸付利率の面で、一般の場合よりも有利な
扱いをすることにいたしております。貸付額を増額すると、あるいは割り増し貸し付けを行うと、こういうような施策を行っておるわけであります。今後におきましても高齢者社会に対応いたしまして、これらの世帯の住宅取得については十分配慮していくつもりでございます。
現在行っておりますのは、先ほど先生がおっしゃいましたように、五分五厘の金融公庫の利息で、適用の金利の緩和ということも、百六十五平米以下のものでも、こういった三世帯に該当するような御家庭につきましては六・五%の利息にするとか、あるいは割り増し増加してお貸しするというようなことにつきましても、その状況によりまして六十万、百二十万、百八十万と、こういうような割り増しの制度もとっておるわけでございます。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは御指摘のとおりでありまして、先ほど
総理からも御
答弁がございましたように、とにかくこの税制面が一つございます。これにつきましては、住宅取得控除、ローン控除の控除率を七%から一八%に、控除
限度額を五万円から十五万円と、こういうふうに大幅に引き上げたわけでございます。この措置によりまして、三年間で四十五万円所得税額から控除されるということになりますし、そうして民間住宅ローンも八・四六%から八・三四%、これが一月十七日実施でございますが、これと両方相まって、私は大きな効果を期待できるんじゃないかと、こういうふうに考えております。三年間で四十五万円ということになりますと、これは税の面から見ると相当な規模であるというふうに御理解をいただければと思うんであります。
それから、老人同居多数世帯、身障者世帯、これの割り増し貸し付けの対象ということについては、いま建設大臣からお述べになったとおりでございます。そして、これについては当然のこととして、いわゆる金利等についても格別な配慮をしておるというのが実態であります。
-
○田沢智治君 まあ将来格別なる御配慮をいただいて、お年寄りを大切にし、小さなお子様の命を大事にしていくというような政治体系の実態を位置づけていただきたいと思います。
厚生省の
昭和五十七年
国民生活実態調査によれば、
国民の四割が生活の苦しくなっていることを訴えております。もとより所得税減税問題は与野党間で長い時間をかけて話し合いがなされ、
昭和五十八年度においてその実施を行うことになったと思うのでございます。その規模、時期について
総理及び大蔵大臣より御所見を伺いたいと存じます。
-
○
国務大臣(竹下登君) この
財政事情困難な時側ではございますが、
政府としては与野党の
合意、これを尊重いたしまして、しかも一方
財政改革の基本的な考えも踏まえながら、減税実施のために真剣な
検討を進めてまいらなければならない、このように考えております。ただ、税収動向についての見きわめや、そうしてまた当
委員会等で御議論をいただく問題を前提にした税制調査会、こういうところの
検討が必要でございますので、したがって、与野党
合意の中でも、いわゆる概念的な言葉をお使いになったんではないか。減税の時期、規模、財源と、こういうものついて、いま御明示をする時期には率直に言ってまだございません。与野党の
合意は財源の問題についても触れていらっしゃいますし、実際問題特例公債をもって充てるというようなことは、
財政改革の点からも、また逆に別な面において民間金融の金利を上げる結果になったら、いわゆる景気そのものに逆行した措置にもなりますし、いろいろな問題がございますので、この
合意というものを最大限尊重しながら、これから私はやはりその
立場こそ異なれ、野党の皆さん方にもかつての小
委員会においていろいろ御議論いただきましたが、そういうものも念頭に置いて意見を承りながら、その方向を見出していかなければならない課題だというふうに、重大に受けとめております。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 大蔵大臣の御
答弁のとおりでございますが、減税の実施につきましては熱意を持っております。
-
○田沢智治君 次に、校内暴力事件関係について質疑をいたします。
校内暴力事件だけでも数多く、東京町田市立忠生中学校初め、横浜市の中学生による浮浪者暴行致死事件など、悪質化している現状に対し適切な対策措置が推進されておられるか、その進捗状況を文部大臣にお伺いしたいのでございます。
-
○
国務大臣(
瀬戸山三男君) 校内暴力とか、先ほど来いろいろ
お話がありますように、青少年の非行が特に低学年に及んでおると。これはまことに残念でありますし、またまさに放置できない将来にわたって重大問題だと思っております。どういうふうに措置しておるかという、こういう問題はいま突然始まったわけじゃございませんで、従来から、先ほど来
お話しのように、学校の教育のあり方、家庭のあり方、地域社会のあり方等について、いろいろな方策を講じてきておるわけでございますが、特に今回のような非常にショッキングな事件が起こりまして、従来のあり方をさらに反省をして、どこに欠陥があったのかということ等をつぶさに識者に
検討していただいて、対策を講じております。
私は、いろんなところに
原因があるわけでございますが、先ほ
ども他の閣僚からも
お話がありましたが、これは家庭が悪い、あるいは学校の先生の教え方が悪いとか、あるいは文部省が悪いとか言っておる時期じゃない。けさほど新聞にありましたから、ごらんになったかもしれません。私も急ぎ読みでございますが、いま
お話しのように、町田市の忠生中学校の後の処理の問題がちょっと報じられておりました。あの当時二十数人関係しておった子供たちも、非常に何といいますか、反省といいましょうか、先生方も校長初め一致団結して、教育の立て直しといいましょうか、校内の規律の立て直しをしようということでがんばってもらっておるようでありまして、壊したガラス、あるいは壊した廊下、便所その他の修繕、掃除に、非行少年もまじって一生懸命やっておるという姿が、写真も一部出ておりました。
私は、まあ中学校の二、三年という年は、腕白でもそう非常に性根が悪いんじゃないと思うんです、率直に言って。先ほど来
お話しのように、しつけが足らない。まだしつけをする時期であります。そういう点で、親御さんたちもそうでございますが、学校の先生方が非常な深い愛情を持って、一面においては厳しさがある、この子を何とか一人前に育ててやろう、この情熱を傾けて対応してもらう、そういうことにもけさの新聞じゃありませんけれ
どもなるんだと思う。悪党じゃないんですから、ほとんどは。だから、そういう意味で今後、とにかくこの大問題を、この間も全国の教育長の皆さんがお集まりになって、立ち上がって決意をしてやれば世間に心配かけないようにできるはずだ、時間はかかってもひとつやろうじゃありませんかということを呼びかけたんでございますが、私の見たところでは非常に決意あふれる顔つきに映っておるわけであります。短兵急にはいきませんけれ
ども、全力を挙げていろんな方面を
検討して進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
それからもう一つ、しつけの問題で、私のところに全然知らないいろんなところから、全国からほとんど毎日のように御激励の手紙が参るわけであります。あれは日教組が悪いんだとかなんとか言われますけれ
ども、その前に、こういう手紙を見て、私はしつけということを子供に教えるということがどんなに大切かということを一つ感じたことがありますから御参考までに申し上げますが、もう相当の年配の方だと思いますが、男の方で、われわれ子供のときに学校で授業を受ける際に、まず先生が教科書を持たれたときに、教科書をいただいて教えてくださった、ちょうどお寺さんがお経を読まれるときには必ずいただいて読まれる、そういう心境だろうと思うんです。これによって、子供を成長させ充実させていこうという願いを込めた教科書でありますから、それをいただいて教えてくださっておる、それがその当時は自分はどういう意味かわからなかった、大して感じなかった、しかしいまになると、その姿というものが非常に自分が成長をしてから人生に生きておるということを感じております、そういう教育の方法はないものでしょうかということを手紙で書いてくださったわけです。
よけいなことでございますが、そういう意味でも今後努力をしていきたいと考えております。
-
○田沢智治君 五十七年中の校内暴力事件の発生件数と特徴的傾向について、所管庁より御報告願います。
-
○
政府委員(
大堀太千男君) お答え申し上げます。
昭和五十七年中に発生をいたしました校内暴力事件は、発生件数千九百六十一件、補導人員八千九百四人、被害者四千二百六十七人でございます。前年に比べまして、発生件数では百二十四件、五・九%、補導人員では千五百六十四人、一四・九%、被害者では百七十七人、四・〇%減少をしております。
しかし、問題の多い教師に対する暴力事件について見ますと、発生件数が八百四十三件、補導人員千八百九十四人、被害教師千百六十二人となっております。前年に比べまして、発生件数では七十一件、九・二%、補導人員では二百八十二人、一七・五%、被害教師二百十九人、一二二・二%と著しい増加を示しておりますが、特に中学校での発生が全体の九七・九%と大
部分を占めております。しかも、中学校はすべて公立中学校でございます。
昨年の中で特徴的なものを申し上げますと、第一は犯行
内容の凶悪化、粗暴化の傾向が続いておるということでございます。集団で角材などの凶器を使用して、教師に対して
計画的かつ執拗に暴力をふるったり、あるいは暴力団まがいの言辞により脅迫するといったような悪質な
事態で、学校の手に余るというような事件も多いわけでございます。
また第二は、学校内の粗暴グループが学校の枠を超えて相互に結びつきを強めまして、ピラミッド型のいわゆる総番長連合組織を形成をいたしまして、暴力団を模倣する傾向、あるいは背後に卒業生の元番長であるとか、暴走族、あるいは地域の不良グループなどが存在をして、それとの関連で犯行が行われるといったような点で、校内暴力を一層悪質化させておるというような特徴がございます。
-
○田沢智治君
昭和五十七年十月に発行された家庭裁判所の月報、これは五十六年中に起きた校内暴力事件で家庭裁判所において処理された中学、高校生の統計が出ております。これは私、非常に興味があるわけなんですが、その当該者は二千四百十九人、そのうち中学生であった者が全体の七七・三%、高校生であった者が二二・七%、中学生が高校生の三・四倍で、特に中学三年生が全体の六五・六%を占めております。それを中学生だけの中で中学三年生の割合を見ると、八四・九%。ですから、中学生の校内暴力は中学三年生がもう九〇%だということなんです。これが特色です。
こういう実態を見てみますと、中学生の校内暴力事件は縦型事件で、先生をぶんなぐるというのが大体主体です。高校生は生徒間同士の暴力、横型事件、こういうのがその特色として位置づけられておるわけです。
なぜそういう事件が起こるのかということを要因分析しますと、教師の授業
内容に、生徒全体のニーズに適した創意工夫が足りない、先生が自分のしゃべるだけのことじゃなくて、生徒がいかに理解しているかということをもっと創意工夫をして授業を教えなさいということが私は大事だと思う。
二番目は、教師間の連帯性が乏しく、生徒との信頼関係が確立していない。
三番目は、中学三年生が多いということは、進学や進路を決める時期を控えて、生徒一人一人が内心深刻に悩んでいる心を教師は理解し、適切な指導と愛情を持って生徒に接しなきゃならぬということに欠けているんじゃないか、そういう使命感に欠けている。
四番目は、学校がマンモス化すればするほど、生徒一人一人をどう掌握するか、学校の管理運営システムの改善の意欲が足らぬ、そういうところにもあります。
五番目には、生徒の非行の芽はあらゆる機会と現象を通して教師と親にちゃんと示している。だから、生徒一人一人の現象に注意し、早目に適切な指導が必要であると思うんです。
これは、文部大臣に聞くとまた長うございますから、後にしたいと思うんですが、校長中心の校内教育運営体制の確立を図り、校長に必要な権限を付与すべきではないかというような意見も出ております。しかし、私はこの意見にはいろいろ問題があるのではないか、こう思っております。
しからば近来起きた、ことしの二月、三月に起きた紛争校における校長の在任期間を私は調べました。一つは九カ月、一つは一年十一カ月、もう二ケースは二年十一カ月、もう一つは十一カ月、もう一つは一年十一カ月、もう二つは三年十一カ月、文京第八中学校は一年十一カ月、大体二年か三年でぐるぐる校長さんがかわっちゃう。
ですから、自分の在任中はもう定年間近だから余り問題を起こさないようにと、ふたして渡り鳥していっちゃうから、問題を残したまま次の新任の校長さんが来る。またこれがふたをする。ふたをしっ放しで行くから管理運営体制がうまくいかないんじゃないかというような実態がここに出ているわけなんです。しかも、生徒においては、千百人から千八百人を収容するマンモス校的な実態が判明しておる。一体この問題について文部省の所管はどうお考えで、どうしようとするのか、御
答弁をいただきたいと思います。
-
○
政府委員(
鈴木勲君) ただいま田沢先生から、問題が起こりました学校につきましての校長の在任の期間とか、学校規模とか、あるいは生徒指導の
問題等につきましてお触れになりましたが、確かに問題を起こしました学校についていろいろと調べてみますと、まず学校内の協力体制と申しますか、校長のリーダーシップのもとに生徒指導体制がしっかりできていて、それを支える全般の学校の管理運営の体制がしっかりと確立されているかどうかということが非常に大きなポイントだと思います。忠生中学校等の例も見ましてもいろいろとそういう点に問題があるようでございますし、私
どもが調べました幾つかのケースでもそういう点が指摘をされているわけでございます。
そこで、実はこの間、大臣が
お話し申し上げましたように、三月の十日に各都道府県の教育長を招集いたしまして、改めて生徒指導体制を中心といたします学校の管理運営の点検を依頼をしたわけでございますけれ
ども、それは中心は生徒指導体制を中心といたします学校の管理運営体制でございまして、四十九項目にわたりまして点検すべきチェックポイントを示し、それによって不断にその問題をどのように努力して改善するかという目標を与えまして、学校みずからがそういうことを点検していく、さらに都道府県なり、市町村の教育
委員会もそれをサポートするというような体制が必要ではないかと思いまして、そのチェックポイントを示し、それによって今後自主的に各都道府県が努力するように要請をしたところでございます。
それから、人事の問題につきましては、確かに人事異動なり、人事が適正に行われるかどうかは学校運営のかなめでございまして、まずしっかりした校長を据えて、それがある程度腰を据えてやっていくということが可能であれば、いろいろ問題がございましても回復することは可能だというふうに思いまして、そういう事例も含めまして、このチェックポイントの中には校長の在任期間、あるいは生徒指導担当の先生の在任期間というふうなものを十分にチェックできるようにしてございまして、それらを十分調査をして、今後の指導に資してまいりたい、かように考えております。
-
○田沢智治君 初等中等
教育局長が先般通達を出されたあの
内容を徹底すれば、間違いなくこれは解消すると思うんです。学園紛争というのはそんなむずかしいことじゃないんです。先生がしっかりすればもう解決する、これは決まってるんですよね。ですから、先生がしっかりすればいいわけです。
そこで文部大臣、一言お伺いします。
校長在任期間を六年から七年に延長して、教育の管理運営を徹底してその先生に責任を持たせるというためには、やっぱり在任期間を長くする必要があると私は思うんですが、御意見いかがですか。
-
○
国務大臣(
瀬戸山三男君) 田沢さんの御意見に非常に傾聴しているわけですが、何しろこの教職員の任命は文部省がやるわけじゃありませんから、そういう点をよく先ほど申し上げましたように、地方の各教育
委員会等とそういう問題解決の方法を考え、
研究したいと思います。
-
○田沢智治君 私はこの問題を、じゃ私立学校がなぜ少ないか、これはいろいろの要因がある。そのうちの一つは、私も管理運営の責任をやっていますけれ
ども、その学校の管理運営は、これは理事者がやるわけです。教育の責任は校長を中心とした教員体制がやるわけです。これ分担がもうはっきりしているわけです。結局、そういう次元の中では校長が授業を持たないなんていうのはだめなんですよ。校長が授業を持って生徒に直接接すれば、生徒は一体何を考え何を思っているかよくわかる。そこで親愛の情というものが出てくるわけですよ。最高責任者が授業を持たずに教育
委員会に飛んで行ったり、文部省に飛んで行ったり、
予算がああでもない、こうでもないなんて、そんなことをやってるから現場の授業がだめになっちゃうわけですよ。ですから、こういうような問題も含めて考えなきゃならぬ。
もう一つは、私は率直に言って組合との団交に時間がかなり割かれているんじゃないだろうか。組合との団交は私は阻害しちゃいかぬと思う。大いに話し合い、大いに対立して、この学校に何が必要なのか、そのためにはわれわれはどうしたらいいかという共通点を見出して、学校現場の意見を吸収しながらより発展させるというのが、これはこの世の中の原理
原則なんです。そういう前向きの姿勢をやっぱりとるということになると、極端に申しまして、マンモス校については教育主事みたいな人が団交専門で、それをやって教職員の意見を聞き、教職員組合の物の見方、考え方、そして学校運営の中にどうしたらいいか、どうあなた方が協力してもらわなきゃだめなのかということをやっぱりきちっとこう決めていく、そういうくらいの根性のあるひとつ人材を養成することが肝要であると私は思うのでございますが、
総理大臣いかがですか。
-
-
○田沢智治君 それは違うよ、全部一緒じゃ困るんだ。
もう時間がないんで困っちゃっているんですけれ
ども、これはあとまたそういう問題で……。
要するに、校内暴力なんていうのは家庭がしっかりすること、学校の先生が団結すること、校長がちゃんとしたことをやればもうなくなっちゃう一過性の問題だと私は思っております。そんなことができないような
日本じゃ、あしたはありゃせぬ。だから、しっかりそういう点をやってほしいということを提言するものでございます。
最後に、非行青少年の実態と、その対策について二、三お伺いしたいのでございますが、ここ数年来青少年非行が急増し、その中でも刑法犯少年は三年連続して戦後最高を更新しています。
そこで、過去三年の青少年の非行の推移と特色について当局から御報告を伺いたいと思います。
-
○
政府委員(
大堀太千男君) お答えいたします。
過去三年間少年非行の推移を見てみますと、刑法犯少年では五十五年が十六万六千七十三人、五十六年が十八万四千九百二人でありまして、二・三%の増加でございます。さらに五十七年は、十九万千九百三十人で三・八%の増加でございまして、伸び率はやや鈍化をいたしましたものの、戦後最高を記録したわけでございます。
それから、十四歳に満たない触法少年につきましては、五十五年が五万三千八百八十三人でしたが、五十六年が六万七千九百六人、二六・〇%の増加でございますが、五十七年は六万五千九百二十六人ということで、わずかではございますが、二・九%減少をいたしました。しかし、五十七年の成人を含めた全刑法犯の検挙人員に占める刑法犯少年と、それから触法少年の割合は五〇・八%ということで過半数を超えております。
それからもう一つ、御質問のございました特徴ということでございますが、十四歳、十五歳の年少少年が刑法犯少年全体に占める割合が、五十五年が四八・三%でございましたが、五十七年は五四・一%ということで、過半数を超えました。低年齢化の傾向が見られるわけでございます。とりわけ中学生の非行が、これは触法少年も含みますが、五十七年は十二万七千四百二十二人で、前年に比べまして一万四百五十人、八・九%の増加、しかも全体の四九・四%を占め、非行の中心ということが言えるかと思います。
罪種別に見ますと、窃盗が五十七年は十四万三千五百七十六人でございまして、前年に比べて三・〇%の増加でございますが、刑法犯少年の罪種別の構成比では七四・八%を占めております。
それから粗暴犯でございます。これは五十七年が二万五千九百八十人、前年に比べまして九百二人、三・六%の増加でございます。
それから校内暴力事件は、先ほど申し上げましたように、全体の件数では減少をしておりますが、特に教師に対する暴力事件がふえております。
それから、シンナー等乱用少年、これが五十七年は四万九千六百三十八人、前年に比べまして六千百二人、一四・〇%の増加でございます。
また、覚せい剤乱用少年も二千七百五十人、前年に比べまして百七十五人、六・八%の増加と、こういう状況でございます。
-
○田沢智治君 過去三年間の青少年非行のうち、終局処分別年齢構成比と再犯者の実態について所管当局より御報告いただきたいと思います。
-
○
最高裁判所長官代理者(
栗原平八郎君) お答えいたします。
過去三年間というお尋ねでございますが、裁判所の統計では、昨年の統計がまだまとまっておりませんので、五十四年、五十五年、五十六年、三年間の統計をもとにして御説明申し上げたいと思います。
この三年間に交通事件を除きます一般保護事件で全国の家庭裁判所で終局処分を受けました少年の数を年齢別で比較いたしますと、十四、十五歳のいわゆる年少少年の数は他の年齢層の少年の増加に比べまして著しく増加いたしておるわけでございます。すなわち、この間に終局処分を受けました十四、十五歳の少年の数は、
昭和五十四年には五万千五百八十一名でありましたものが年々増加いたしまして、
昭和五十六年には六万六千三百九十四名にも達し、約二八・七%もふえておるわけでございます。ちなみに、この間十八、十九歳のいわゆる年長少年の増加率は四・一%、十六、十七歳のいわゆる中間少年の増加率は八・七%にとどまっておるわけでございます。これに伴いまして、各年齢層の全体に占める割合、私
どもはこれを年齢構成比と呼んでおるわけでございますが、これを見ましても十八、十九歳あるいは十六、十七歳という年長、中間少年はいずれもむしろ低下いたしておりますのに比べまして、年少少年の構成比は、
昭和五十四年には二八・六%でありましたものが、
昭和五十六年には三二・七%と増加いたしておるわけでございます。また、それぞれの終局処分、つまり保護観察であるとか、少年院送致などの処分について見ましても、十四、十五歳という年齢の数は確実にふえております。このように、裁判所の統計から見ましても、いわゆる非行の低年齢化現象というものはさらに進んでいると、このように認めておるわけでございます。
以上でございます。
-
○田沢智治君 警察庁。
-
○
政府委員(
大堀太千男君) 少年非行の再犯者の実態についてお答えをいたします。
昭和五十七年中に警察が補導をいたしました刑法犯少年のうち、過去に何らかの犯罪または刑罰法令に触れる行為を行って、警察に補導された経歴のある者が五万五千七百六十七人でございます。全刑法犯少年に占める割合が二九・一 %でございます。過去三カ年の推移を見てみますと、五十五年が四万五千七百二十四人、五十六年、五万百九十九人、昨年がいま申し上げました五万五千七百六十七人ということで、増加の傾向にありますし、全刑法犯少年に占める再犯者数の比率も五十五年の二七・五%から昨年は二九・一%と増加をしております。
-
○田沢智治君 いまの報告を聞かれて、
国家公安委員長の御感想をお聞きしたいんですが。
-
○
国務大臣(
山本幸雄君) いまの数字はまことにショッキングな数字でございますが、これは一応警察なりそれぞれの機関で見つかったといいますか、そういう数字でありまして、私は底辺にはまだあるのではないかと、根はもっと深いのではないかということで心配するわけでございます。それだけになるべく初期に、警察も私は補導活動を中心としまして、各機関と連携をとり、また民間ボランティアの皆さんの御協力も得て、こういう少年の補導活動をひとつ今後とも努力をしていきたいものだと思っておるところであります。
-
○田沢智治君 義務教育中の非行のある少年の取り
扱いについて、家庭裁判所ではどのような配慮をなされておられるのか、お聞きいたしたいと思います。
-
○
最高裁判所長官代理者(
栗原平八郎君) お答えいたします。
義務教育中の少年、つまり中学生について裁判所の取り
扱いをお尋ねでございますが、中学生というのは申し上げるまでもなく可塑性に富む若年者であるばかりでなく、義務教育中であるということにかんがみまして、他のケースに比べましてはるかに種々の配慮が要求されておるわけでございます。それで、裁判所といたしまして、特にその少年が在籍いたしております学校との連携を密にするということに配慮をいたしております。具体的に申し上げますれば、家庭裁判所の調査官が調査をいたします過程において、学校に照会することはもとよりでございますが、多くの事件の場合には、当該学校に出向きまして、担任の先生であるとか、あるいは校長さんに面接いたしまして、学校生活における当該少年の
問題点はどこにあるのか、学校側はこれに対してどういうように考えておられるかというようなあたりを、十分に把握するということに努めておるわけでございます。また、裁判官が少年と保護者を呼んで審判を開きますが、その審判の場に学校の先生に
出席を求めまして、その審判の場における少年、あるいは審理の経緯な
ども学校の先生に見てもらいながら、学校側の意見をさらに聴取して処分を決めると、このようなこともいたしております。
また、終局処分を決定する際でございますが、このような十四、十五歳といういわゆる年少少年の多くは、いわゆる一過性の非行の少年が多いわけでございまして、必ずしも施設収容の必要のある少年はそう数は多くないわけでございますが、中には先ほど来問題になっております校内暴力事件を犯しておりますような少年の中に、施設収容やむなしという少年もあるわけでございます。このような場合には、裁判所といたしましては、少年院であるとか、あるいは教護院という、法務省もしくは厚生省所管の施設の実態をよく見きわめました上で、ケースによりましては、たとえば短い期間の少年院処分といいますか、短期の少年院処分にするというような義務教育少年に向いたような、つまり復学を前提にしたような、そういう処分をするというようなことも心がけておるわけでございます。
以上でございます。
-
○田沢智治君 少年保護処分後及び退院後の義務教育者の取り
扱いと、中学校の卒業資格をどのように与えているか、御報告を法務省と厚生省からお願いしたいんです。
-
○
政府委員(
鈴木義男君) お答えいたします。
少年院に収容された者の中で、まだ義務教育を終了していない者につきましては、その義務教育に相当する教科を行う特別の少年院、これを指定しておりますが、この少年院に入れまして、中学校課程の学校教育に相当する教科を、中学校の教育指導要領に基づいて行っているわけでございます。先ほど最高裁判所の家庭
局長からも
お話がございましたように、校内暴力等で少年院に送致され、まだその他の点では非行がそれほど進んでいないというふうに思われる者につきましては、少年院での教育期間を大変短くいたしまして、たとえば一月とか二月にいたしまして、その後今度はもとの学校の方へ戻ってもらう。ただ、これも退院ということで戻るんではなくて、一時帰省という形でもとの学校に戻しまして、その学校で一、二カ月様子を見る。それで、これならばもう大丈夫であるというような場合は、仮退院という措置をいたしまして、学校の方へ戻ってもらうと、こういう措置をとっておるわけでございますが、こういう場合につきましては、学校へ戻りますので、その学校に復学いたしまして、その学校から卒業資格を得るということになるわけでございます。
それからもう一つ、少年院に在院中に学齢期を過ぎるという者もございますが、こういう少年につきましては、少年院法によりまして、少年院の長が中学校卒業証書と同等の資格証明書を発行するということができるようになっておりますので、それを行うということになるわけでございます。ただ、少年院の名前で卒業証書に相当するものを与えるということになりますと、どうも将来の問題と申しますか、少年院で卒業証書を受けたという問題も出得るところでございますので、私
どもといたしましては、何かそういう形でないような方向で解決ができるような方向をいま考えておるところでございます。
-
○
政府委員(正木馨君) お答えいたします。
教護院でございますが、教護院は先生御案内のように、教護職員が児童と日常生活をともにしまして、家庭的な処遇のもとで、生活指導を中心にいたしまして学習指導、あるいは職業指導を行い、社会復帰を促進するわけでございますが、お尋ねの義務教育該当年齢の児童の教育につきましては、教護院長が学校教育法の規定による小学校、あるいは中学校の学習指導要領に準じて入所中の教育を行っております。義務教育終了前に教護の目的が達成され、退院する児童につきましては、家庭に復帰するわけでございますが、そこで一般の小学校、あるいは中学校に通学する。それから、教護院在院中に義務教育を終了した児童につきましては、先ほど法務省の方からのお答えと同じでございますが、これは児童福祉法に規定がございまして、教護院長が終了証明書を授与することができることになっております。ただ、児童の福祉という点を考慮いたしまして、運用で原籍校に依頼をいたしまして、もとの籍のある学校の校長の卒業証明書を授与するという
扱いをいたしております。
-
○田沢智治君 非行少年問題は、予防が私は肝心だと思うんです。厚生省としてどのように取り組んでいるか、厚生大臣にお伺いしたい。
-
○
国務大臣(林義郎君) 田沢議員のいまの
お話を聞いておりまして、私も本当に非常にむずかしい問題である。私も同じ年ごろの子供を持っておりますし、また先生も
お話がありましたが、私も学校法人の経営にかつてタッチをしておったことがございまして、大変むずかしい問題であると思いますし、教育が非常に大切だということもよくわかるわけです。しかし、非行問題一般について申し上げますならば、未然に防止していくということがやっぱり重要なことだろうと考えておりますし、児童の非行の
原因は家庭内における幼児期からのしつけ、大人自身の生活
態度、家庭を取り巻く地域環境など複雑多岐に絡んでおって、非常に根深いものだと思います。したがって、家庭、学校、地域社会及び行政が十分に連絡をとって、一体となって対応することが必要なことではないか、こういうふうに考えております。
-
○田沢智治君 そこで、いまの話を聞くと、法務省の方の所管の、少年院の中で中学の課程を卒業すると中学同等の資格は少年院長が出すと、厚生省の方は現場の学校、父兄が所属している住所の学校の卒業証書。これは二つ非常に矛盾するんですが、これはやはり少年院の卒業証書をもらってもだれも喜ばない。ですから、やはりこれは厚生省の教護院と同じような
扱いを法制上できるものかどうなのか、いかがですか、文部省。
-
○
政府委員(
鈴木勲君) 少年院なり教護院に参ります児童、生徒につきましては、学校教育法上は就学義務の猶予、免除という
扱いになっておりまして、それぞれの施設に参りましたときにどのような
内容の教育、補導と申しますか、それを行いましてどういう資格を与えるかということは、少年院法なり、児童福祉法に規定されておりますように、それぞれのところの
内容によりまして相当する学校の証明書を与えるということになっているわけでございますので、事実上の取り
扱いといたしまして、ただいま厚生省の方から御報告がありましたような形の措置によりまして、一たんもとの中学校に帰して、そういう中学校の卒業証書を与えるというふうなことも種々配慮されているわけでございますけれ
ども、現在の法制におきましては、やはりそれぞれの施設におきます課程を十分に考えて、そこで何らかの証明書を与える。非常によくできている場合にはもとの中学校に帰して、そのような措置をとり得る場合もあるというふうなことでございまして、現行法制のもとではそれぞれのところで中学校の卒業証書を与えるというふうにはまいらないたてまえになっておるわけでございます。
-
○田沢智治君 ぜひそれを考えてやってください。
それから、最後になりますが、少年非行防止の重要対策の一つとして、不良少年の実態を把握することが大切だと思います。その実態について所管庁より御報告をいただきたいと思います。
-
○
政府委員(
大堀太千男君) お答えいたします。
昭和五十七年の統計がまだまとまっておりません、五十六年で御報告をいたしますが、
昭和五十六年中に飲酒、喫煙、けんかなどをした少年のうち、警察が発見をいたしまして指導助言や、あるいは家庭、学校への連絡などを行いました不良行為少年、これは少年法で言います非行少年とは違いますが、この不良行為少年の数は全国で百十九万八千三百九十八人でございます。内訳は、高校生が三三・六%で一番多いわけでございます。次いで職業を持った少年、有職少年の三一・二%、中学生の一四・八%の順になっております。
不良行為の態様別で見てみますと、喫煙が三九・八%を占めて一番多いわけでございますが、次いで深夜俳回をする二二・八%、暴走行為七・三%、不良交友七・二%、こういう順になっております。
-
○田沢智治君 結局、非行少年を減らすということは、これ不良少年を減らせば非行少年は減るわけなんです。
-
-
○田沢智治君 ですから、不良少年が百二十万人いるんだから、これをどのように救済して更生するか、これによって大体非行少年は少なくなっちゃうということは、これはもうあたりまえのことであって、ここに
問題点があるということで、私は内閣を挙げてこの問題に取り組むという中曽根内閣の政治生命がある面においてあると思うんです。ですから、不良少年をどのように更生していくか、この辺のところに内閣を挙げて一生懸命やってもらいたいと思うんですが、最後に
総理の所見をお聞き申し上げまして質問を終わりたいと思います。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 青少年の非行対策、特にいまおっしゃいました不良少年対策につきましては、内閣を挙げまして全力を尽くす所存でございます。
-
○
委員長(
土屋義彦君) 以上で田沢智治君の質疑は終了いたしました。(拍手)
─────────────
-
○
委員長(
土屋義彦君) 次に、勝又武一君の総括質疑を行います。勝又君。
-
○勝又武一君 昨日臨調の最終答申がありました。
政府はすでに一月に
財政改革のための中期試算を出しております。このうちの最大の
問題点は、三年、五年、七年
計画で字宇国債をなくすという、いわゆるA、B、C案の三つです。これによりますと、年々四兆とか八兆とか十兆とかいう膨大な歳入、歳出の不足額がありますが、この穴埋めをどうするおつもりなのか、昨日出ました臨調答申を踏まえて
総理の御決意をお伺いをいたしたい。
-
○
国務大臣(竹下登君) 昨日臨調から最終答申をちょうだいいたしたわけでございます。その基本的
認識といたしましては、
財政当局からこれを受けとめますならば、やはりこれはまず増税なき
財政再建、これをてことして臨めと、こういう哲学が基調に存在しておるというふうに考えております。
今度
予算審議の手がかりとしてお出しいたしました中期試算、三つのケースがございます。いずれにいたしましても、その中に要調整額というものは御指摘のとおりでございます。
そこで、この要調整額をどうしていくか、これは等率等差というような前提のもとに書かれたものでございますので、弾力性があることは当然のことでございます。したがって、やはりまずみずからは歳出構造そのものに徹底的なメスを入れると、こういう姿勢で臨むべきであると思っております。そうして、その歳出構造そのものに徹底的にメスを入れて、なおこういう国会の問答を通じたり、
国民の意思というものをそんたくしながら、現行制度、施策というものを継続すべきであるという
認識の上に立ったときに初めて、ではそれに伴う財源はと、こういう進め方でもって対応をしていかなければならぬ。したがって、要調整額というものは、今日の時点でいわば負担増を幾ら、あるいは削減を幾らと、こういうような性格のものではまだないという
認識の上に立っております。
-
○勝又武一君 この答申のうち、特に補助金の項について、一月の十日の臨調第三部会報告、補助金等の整理合理化という、これと私は対比をいたしてみました。ほとんど大綱において変わりがありません。中身は、総額を抑制する、こういう表現であります。そこで、各省ではすでに一月以来十分に
検討済みと思います。中期試算の数字についても
検討をされていると思うんです。そこで、この約十五兆に及ぶ補助金について具体的にどういうように削減をなさるおつもりか、まず文部大臣いかがですか。
-
○
国務大臣(
瀬戸山三男君) 臨調の答申も出たようでございまして、文部省関係でも各種の補助金について抑制、削減等の勧告がございます。これは
政府部内で
検討をいたしまして、最大の尊重をするということになると思いますから、それに従って対応策を考えたいと、かように考えております。
-
○勝又武一君 厚生大臣。
-
○
国務大臣(林義郎君) 勝又議員の御質問にお答え申し上げます。
臨調の答申が出ましたから、補助金の整理合理化につきましては、社会保障制度が長期的に安定し、有効に機能し得るよう、その合理化、効率化、体系化を図る見地に立って、従来から努力をしてきているところでありますし、私のところはたくさんございますから、一々御
答弁するのは差し控えたいと思いますが、臨調答申の線に沿って一生懸命やりたいと、こういうふうに考えております。
-
○勝又武一君 農水。
-
○
国務大臣(金子岩三君) 農林水産関係
予算においては、臨調の第一次答申等の指摘もありまして、五十七年度、五十八年度
予算の編成に当たり、統合メニュー化等の推進、五十六年度千百二十六件を五十七年度は六百件、五十八年度においては五百六十二件に減しております。
一般補助金の削減は五十七年度一〇・四%、五十八年度一一・四%。人件費補助の見直し等補助金の整理合理化に格段の努力を払ってまいっております。
昨日報告されました第五次答申につきましては、これを尊重して引き続き所要の改善合理化を図るべく取り組んでまいりたいと思っております。
-
○勝又武一君 公共事業費の六兆六千億、建設大臣、幾ら削減なさいますか。
-
○
国務大臣(内海英男君) 建設省といたしましては、従来から補助対象を基幹的施設にしぼりますとともに、補助金交付事務手続等につきまして簡略化を図り、積極的に対応してきたところでございます。今後とも臨調答申の趣旨に従いまして最善の努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
-
○勝又武一君
防衛庁いかがですか。——削減ですよ。
-
○
国務大臣(
谷川和穗君) このたびの最終答申で御指摘のありました基地
周辺対策事業のうち、民生安定施設の助成及び
周辺整備調整交付金については、五十七年度に引き続きましてその事業
内容を見直すとともに、当該経費を厳しく抑制をしておるところでございますが、今後とも
防衛施設の安定的な使用の確保とその
周辺の生活環境の整備の
重要性に留意しつつ、臨調答申の趣旨に沿い、できるだけの努力をしなければならないと、こう考えておる次第でございます。
-
○勝又武一君 通産大臣のところも、総額抑制ですけれ
ども、幾らぐらい。
計画は。
-
-
○勝又武一君 総額抑制というふうになっているけれ
ども、どれだけ抑制なさるか。削減なさるか。
-
○
国務大臣(
山中貞則君) 総額の抑制のみならず、補助率の引き下げ、収益納付金の期間を五年から七年に延長するというようなことをやっています。
-
○勝又武一君 大蔵大臣に伺いますが、この五十八年度の一般歳出で幾ら削減できましたか。
-
○
国務大臣(竹下登君) ちょっといま正確な数字が手元にございませんので、申しわけございませんが主計
局長からお答えをさすことをお許しいただきたいと思います。
-
○
政府委員(
山口光秀君) ちょっと伺いますけれ
ども、補助金の整理額でございますか。
-
○勝又武一君 いやいや、一般歳出です。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 一般歳出は前年度より五億円少ない金額でございます。
-
○勝又武一君 五億。
-
-
○勝又武一君 そんなことないでしょう。何聞いていらしたんですか。じゃ、聞き直します。
それでは、五十八年度
予算の一般歳出の使途別の分類について、金額と構成比を挙げてください。
-
○
政府委員(
山口光秀君) まず、トータルから申し上げますと、一般歳出が、五十七年度では三十二兆六千二百億円、それから五十八年度が三十二兆六千百九十五億円、つまり五億円少ないと、こういうことでございます。
なお、人件費、旅費、物件費、施設費、補助金・委託費、他会計繰り入れ、その他という分類について申し上げますか。
-
○勝又武一君 はい。金額と構成比。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 人件費は、五十七年、五十八年と続けて申しますが……
-
○勝又武一君 いや、五十八年だけでいいんです。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 五十八年だけでよろしゅうございますか。——五十八年度、人件費二兆七千十二億円、八・三%、構成比でございます。それから旅費が八百八億円、〇・二%。物件費一兆三千二百八十一億円、四・一%。施設費八千八百六十二億円、二・七%。補助金・委託費十五兆二千四百五十八億円、四六・八%。他会計繰り入れ九兆一千三百八十二億円、二八%。その他三兆二千三百九十二億円、九・九%でございます。
-
○勝又武一君 それで、大蔵大臣に伺いますが、この使途別の三十二兆何がしのうちの、特にこの項目別に、私はやはり二千四百九十二億円ぐらい削減されていると思うんです。それで、この項目に従って、どことどこをそういうように削減なさったのか、お聞かせいただきたい。
-
○
政府委員(
山口光秀君) ちょっと御質問の趣旨がわからない点があるのでございますが、この項目の中で減になりました大きなアイテム、これは他会計繰り入れでございまして、前年度に比しまして三千八百二十億円の減に相なっております。一方、補助金・委託費は二千四百七十一億円の増に相なっております。あと、物件費、施設費等ででこへこがございますが、主なところはそういうところでございます。それで合計いたしますと三角の五億円と、こういうことになっております。
-
○勝又武一君 臨調の答申も踏まえまして、大蔵大臣としては、この使途別の分類からいきますと、五十九年度以降どこを重点的に、具体的に幾らぐらい削減をしていこうという御
計画ですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは、どこをどのぐらいと、これが大変むずかしい問題でございまして、これを私はやっぱり、まず補助金で見た場合に、法律補助でくくってみれば約八〇%。あるいは文教、社会保障、公共事業でくくればこれが八〇%、地方を通じて交付するものが八〇%、こうあるわけでございますが、従来法律そのものをいじって補助金を削減したというところまでまいりますには、かなりの努力が要ったわけでございます。したがって、私
どもは、今度はその全般について、言ってみればそういう制度ができたその歴史的淵源にさかのぼって、そしていまの時代の中でこれについての必要の度合い等を総合勘案して手をつけていくべきものである。やっぱり制度そのものにさかのぼって、そして企業なり個人が分担すべきもの、あるいは自治体が分担すべきもの、あるいは国の責任においてやるべきもの、そういう区分というようなものについて作業を鋭意進めていかなきゃならぬ課題である。だから、現在、まずあらかじめ何で幾らと、こういうことが言えるような状態には今日ございません。
-
○勝又武一君 昨年の十二月二十四日に
財政審が「歳出の節減合理化の方策に関する報告」というのを出しています。これは大蔵大臣は、この中にも具体的に項目別に削減
計画が出ているわけですけれ
ども、これについて具体的にどことどこをどう削減なさるのか。この
財政審の報告について
見解はいかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは御指摘のように、
財政審のいわゆる歳出の節減合理化の方策に関する報告でございます。具体的な御指摘をいただきました点については、制度、施策の抜本的な見直しを行いながら、極力その実現を図るよう努めてまいりました。したがって、これからもそういう姿勢の中で、いわば
財政が関与すべき分野というようなところから、行
財政の守備
範囲の見直し。そして、いずれにしても、受益者も
国民であり、負担する者も
国民でございますので、そういう受益と負担の両面にわたる見直し、そういうことを一層厳しくやっていかなければならない課題であると思っております。一つ一つにつきましては、各省庁との折衝の中で、それなりに御指摘をいただいたものについては手をつけたり、あるいはこれからどうしましょうという作業の順序等についての手がかりだけは、ある程度
合意に達してきたというふうに理解をいたしております。
-
○勝又武一君 抽象的でさっぱりわかりませんけれ
ども、一つだけ具体的に聞きましょう。
大臣、分野調整とよくおっしゃっていますね、この
委員会席上でも。たとえば
研究開発助成というのを指摘されていますね。これ、大企業を中心にした大幅削減を大蔵大臣の守備
範囲としてはやるべきじゃないか、そう考えますけれ
ども、いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 個々の問題ということになりますと、これはいわゆる
研究開発の
問題等につきましては、それが将来にわたって国家経済、あるいは
国民生活に大きな影響を持つものでございますので、大企業がその
研究開発の主体になっておるからこれはいけないと、こういう論理ではなく、それこそ国、あるいは
研究機関、あるいは企業、そういうような総合的な形の中で、そのものの
重要性というものを位置づけてこれは
予算編成をすべきものである。一概に企業の、なかんずく利益が上がっておる企業に対して助成するのはおかしいという論理には結びつかないと、こういうふうに考えております。
-
○勝又武一君
総理、ちょっとこれごらんください。お手元へ配付してありますこの資料をちょっとごらんください。
総理にお伺いします。このいまごらんになっていただいている資料のように、先ほど主計
局長が言いました一般歳出の使途別分類、補助金が十五兆二千四百五十八億、四六・七%。まさにダントッですね。いま私は各大臣にお聞きをしたんです。これはきのう出た答申じゃないですよ。一月十日にすでに第三部会報告がされているんです。皆さん十分もう
検討をなさったはずなんです。しかも、中曽根内閣が補助金の徹底的な削減ということは公約されているんでしょう。だとすれば、いま各大臣のきわめて抽象的な
答弁、大蔵大臣の
答弁も私はきわめて抽象的で、不満です。
総理としては、この十五兆二千四百五十八億円の四六・七%の補助金についてどういうようにこれから削減
計画をなさるのか、きょうは具体的にお聞かせください。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 補助金の抑制、削減というのは、行革の一つの大きなアイテムになっておると思っております。たしか五十八年度
予算におきましても、大蔵省は非常な努力をして、五千数百億円ぐらい切ったと思いますが、それでも自然増そのほかで、結局二千数百億円ふえている。切ってその上ふえている。そういうことで、これは自然増やそのほか義務的経費の累積でそういうふうになったわけであると記憶しております。
ですから、補助金というのは、ほうっておくというとどうしても自己増殖するような性格を持っておると思うんです。この自己増殖する性格をいかに断つかということがまず第一ではないか。臨調はそういうような考えを基本にお持ちだと思うんですが、総額規制というような発想をお述べになっているやに記憶しておりますが、これをどういうふうにやっていくか、これから当内閣挙げて取り組んでまいりたいと思っているところです。
-
○勝又武一君 これからでは五十八年度
予算の
審議はできないわけなんです。
そこで、具体的に、他会計を抜きますと、二番目が人件費二兆七千十二億、八・三%、これはまだこれから削りますか、
総理。
-
○
国務大臣(竹下登君) この人件費の中には、いわばときどきの
財政運営の中で節減対象になるべきもの等も、旅費とか、そういうことはあり得る
可能性は皆無であるとは申しません。一般的に、給与費の中にはいわゆる給与改善費等も含まれておるものでございますので、この給与改善費というものを五十七年度補正においてはこれを削減さしていただきましたが、今年度は、
総理から絶えず
答弁がございますように、いわば人事院勧告実施を二年間凍結するようなことはしないようにという御趣旨からすれば、そのものが削減される
可能性というものは非常に少ない、こういうことで理解いただきたいと思います。
-
○勝又武一君 そうしますと、ダントツの補助金も大幅に削れない、人件費もそうだ、その他も余り明示できない、こうなりますと、私は、五十九年度
予算も、いわゆる一般歳出の三十二兆何がしを三千億、四千億削るというのは大変なことになるんじゃないか、とてもできないんじゃないか、いまの方針では。よっぽど別のことを考えれば別ですよ。そう思いますけど、いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 削るというようなことは、これは非常に困難を伴うことであるということは私も
認識を同じくいたしております。
今度指摘されました問題の中で、引き続き
検討というような問題も私
どもとしては手元にまとめておりますので、そういうものをまず対象にし、そして新たに今度ちょうだいいたしました臨調の最終答申、三十二項目でございますか、それらと対比しながら、作業を鋭意進めていくべき問題である、このように考えております。
-
○勝又武一君 具体的な反論がおありでしたら、具体的な数字で言っていただきたいわけであります。
それは、たとえばここに、五十六年の三月にわが党の小野明議員が要求して大蔵省が提出をいたしました「
財政の中期展望」、これに係る主要経費別
予算の金額と伸び率という表があります。こういうことを大臣御承知ですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 五十六年三月十一日、小野明
委員の御要求に基づいて
予算委員会に提出して公表した資料としてございます。
-
○勝又武一君 今度の中期試算、
財政改革にはかかる具体的な
計画がない。私は、この
予算委員会にも、当然これと同じような五カ年
計画、こういうものを出すべきだ、出していただきたい、そう思いますけど、いかがですか。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 一昨年は、御指摘のようにお出ししたわけでございます。昨年は、実はお出ししなかったわけでございます。
そういたしましたのは、実は、主要経費別に推計するわけでございますが、個別積み上げで主要経費別に積み上げる
部分もございますけ
ども、一部人件費などにつきましては、マクロ的に推計いたしまして、それを主要経費に割り振る。しかも、人件費につきましては、一%の給与改善という前提で組んでいるわけでございまして、そういたしますと、その主要経費の姿が実態とややかけ離れたかっこうになる面がございます。
それから、シーリングその他を議論してみました過程におきまして、これはまことに残念なことではございますが、一種その数字を既得権化するような錯覚に陥る向きもございまして、議論が混乱いたしましたこともございました。
先ほど申し上げましたように、どうしても限界のある数字、実情を必ずしも反映しない数字をお出しすることにもなりますし、お出ししました結果、そういう弊害もあったものでございますから、去年以来、提出するのを差し控えさせていただいているわけでございます。
-
○勝又武一君 こういう五カ年
計画を出していただきますと、私はまた別途五十七年、八年についても、あるいは五十五年、五十六年についても比較表ができるわけです。こういうことができない。
そこで、
総理に伺いたいのは、よく
総理は、何か経済
計画をやると社会主義だ、自由主義だからそういうものはやらないんだとおっしゃいますけれ
ども、これじゃ
総理、中学の社会科でも及第点がもらえないんじゃないですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 私が申し上げましたのは、経済展望ないし経済指針、いわゆる
ガイドラインというやり方の方がより適切である、こういうふうに申し上げているわけであります。
-
○勝又武一君 いや、そんなことはないよ。あなたは、経済
計画というのは社会主義だからという言い方をされましたよ、何回も。取り消してくださいよ、そういうのは。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) いわゆるいままで五カ年
計画とか、七カ年
計画とか、そういう
計画性を持ってやってまいりましたが、しかし
日本の自由主義経済、特に市場経済というものを中心に物を動かしていくという考え方から見ると、社会主義的な性格を持ったものは必ずしも
日本には適当ではない、そういうことは言ってきております。いままでの
計画性というものは、ややもすれば既成の事実に固着してしまって、現実と非常に遊離してきた、それが相当な
財政欠陥を生んだ、そういう現実も最近
経験したところであって、そういう点は是正されなければならぬというふうに申し上げたわけであります。
-
○勝又武一君 とんでもない話ですよ、それ。いままで経済企画庁がやってきたのは、みんな社会主義的だなんという話になりかねませんよ。
私は、具体的な数字で答えていただかないと、本当は
予算委員会の
審議というのはいけないと思っているんですよ。質問の続行ができませんよ、こんなことでは。本来そうじゃないんですか、
予算審議は。
-
○
国務大臣(竹下登君) 恐らく、かつて
財政収支試算、これは
昭和五十五年まででございます。それから中期展望になり、そして中期試算に今度御提出するものの名前も変えたわけであります。
それは、いろいろ御議論なすっているように、いわば非常に国際経済等流動的であって、あらかじめ規範性を持った
計画というよりも、それこそもっと弾力的に運営し得るというような物の考え方からいたしまして、いわば今日の時点においては、後年度負担を推計して、そして幾つかの仮定を立てて、等率、等差の要調整額というものがはじき出されておる。
財政の側から申しますならば、大変不透明な今日、一遍いままでお示ししたことに対する反省もあったと私は思うのであります。だから、これが御
審議の手がかりとして非常に
計画性が乏しい、もっと数字をきちんと出せと言われても、
予算の単年度主義、そしてまたそういう数字に対するある種の既得権化というようなものもございますので、やはり私は、推計の中で御
審議の手がかりというものをお示ししていくというのが、現状をあからさまに申し上げた筋じゃないかなと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
-
○勝又武一君
政府のA、B、C三案、四兆とか八兆とか十兆という要調整額でしょう。この収支の差額のギャップをどうして埋めるのか、何にも書いてないじゃないですか。こんなのが
計画と言えますか、
総理。私はそのことを聞いている。
-
○
国務大臣(竹下登君) これはかつてのいわば
財政の収支試算のときにお示しした数字から見ても、たとえば
予算規模でも、五十八年度というものだけを見ましても、八兆円程度現実とは低くなっております。昨年お示ししたものからしても、現実の場合は三兆五千億ぐらいですか、少なくなってきておる。ことほどさように総合的な経済情勢の中に歳入を見積もり、そして単年度主義という
原則の中に責任を持って
予算を編成するという場合、非常に規範性を持った後年度負担というものを推計でお示しするような状態には、現実、よってもって立つ——私は社会主義的という言葉は別として、自由主義経済の中のもとに、そのことを、
計画性のあるものを全部出せとおっしゃっても、これは実際問題、御参考に供するようなものは出せない。結局、ある種の仮定計算に立った推計しかお出しすることができない。これがやっぱり世界じゅうの現実の姿ではないかなと、私はこういうふうに考えております。
-
○勝又武一君 四兆とか八兆とか十兆とかいう金額をただ表で並べてあるだけでしょう。これはどうするんだということを具体的にしなければ、まさに
財政再建とは言えませんよ。
中曽根総理の公約違反ですよ、これでは。
私はこれから
財政再建、国債管理政策についてお伺いしたいと思っていましたけれ
ども、こんなことでとても質問できませんよ。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは何回か申し上げておりますように、ある種の後年度負担を推計した等率、等差でもってお示ししたものでございますので、それによっていわゆる要調整額というものがお示ししてあるわけでございます。したがって、この要調整額というものをいかにしてやるかと、こういうことになれば、それは具体的に申し上げますならば、いわゆる歳出を削減することによって要調整額そのものを縮めていくという方法もあるでございましょう。それからいま一つは、いわば負担増を求めるという手もそれはあるでございましょう。あるいは理論的には公債の発行の増額ということもあるでございましょう。
しかし、われわれは、歯どめとして、公債も、とにかく五十七年度の補正後に比べれば一兆円というものを減額させていただいた。それを基礎にまず置かなければならない。そしてまた、歳出カットという問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、とにかくその制度の根源にまでさかのぼって、これにメスを入れるように皆さんの御協力をいただこうと、こう言っているわけです。そして、新たなる負担、いわゆる負担増、言ってみれば、景気の推移、動静によりましての自然増、これは別といたしまして、その新たなる負担増ということについては、現行の制度、水準をそのまま置いたものが絶対に動かしがたい必要であるというのが、国会の問答を通じたり、あるいは
財政審の御意見を聞いたり、その中で初めて
国民の皆さん方にこの負担と選択を求めるべきものであって、まずは歳出削減というものに全力投球しなければならない、こういう基本的な考え方で臨むわけであります。
したがって、いわばこれはずっと八年ぐらいの議論になりますが、いわゆる
財政再建
計画というものを出せというものは、これはやっぱり自由主義経済を基調に置いた各国においては、それはお気に入るようなものを提示するということは、とうてい実際問題としてはできない。精いっぱい要求に応じて工夫したものが、
財政の収支試算であり、中期展望であり、中期試算であるというように、あえて評価してくださいとまでは申し上げませんが、半分ぐらい——半分ぐらいじゃございません、御理解をいただきたい、こういうことであります。
-
○勝又武一君
総理にお伺いしますが、行革三昧の三昧というのはどういう意味ですか。国語辞典にはどういうように書いてあるのでしょうか。
-
-
○勝又武一君
総理は行革に浸って徹する、補助金の削減について徹してもらいたい。さっき私がお聞きをした。いま大蔵大臣も、歳出の削減をやるか。新たなる負担増をやるかどっちかだと言う。だから、さっき歳出の削減についてお聞きしたんですよ、主要なる各省に。だれも具体的に答えていないじゃないですか。大蔵大臣も
総理もお答えになっていない。
私は、歳出の削減というのはせいぜい五千億程度しかできないのじゃないか、そういうことも申し上げたんです。反論してくださいよ。四兆でも五兆でも一般歳出を削減できるというなら反論してください。あと残るのは新たなる大増税をやるしかない、こうなぜおっしゃらないか。中曽根行革、その中に浸って徹する、中曽根一刀流の切れ味を具体的にひとつ数字で示してくれませんか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは現実問題として、いまの十五兆円の中で五兆切れと仮にいたしましょうか。それこそ
国民の理解と協力を得られなければ、五兆はおろか五千億もできる問題じゃない。それだからこそ、これからあらかじめ数値を示すことなく、本当に一つ一つを掘り上げて、そして理解を求めながらこれに対応していかなきゃならぬ問題であります。したがって、
予算編成というものに対して、これからいわばシーリングの段階でどのようなことを各省にお願いをするか。そういう具体的な手順を通じながら、総合的に、いわゆる増税なき
財政再建、だから現行制度、水準をそのままに置いて等率、等差ですべてを見るということでなく、その根源にさかのぼる、こういう考え方で臨まなければならないと考えております。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君)
政府はいま五十八年度
予算成立に全力を注いでいるのでございまして、まずこの
予算を成立さしていただく。ところが、きのう臨調から最終答申が出されました。いまこれを点検し始めておるところでございます。私も読み始めておるところでございます。そこで、行政管理庁が中心になって、この答申をどういうふうに処理していくかという方針をいま
政府は決めようとしております。近く恐らく行政管理庁から案が出てくると思います。恐らくいままでと同じようにまず包括的はこれを受け入れて、そして最大限尊重して逐次実行するという趣旨の包括的なまず
合意を党及び内閣で行って、その次に今度は具体的にどういう手順でこれを実現していくか、補助金を含めまして次の方策が出てくる。それで五十九年度
予算の編成は、いわゆる概算請求が七月末までに行われるいままでの慣例でございます。恐らく七月末までの間に、それがさかのぼって六月になるか、あるいは七月になるか、これからの作業でございますが、そのときに大体五十九年度に対する
予算の編成の基準が大蔵省から示される手順ではないかと思います。その際までにいろいろ議論をいたしまして、補助金はどういうふうに処理するか、あるいは皆さんが一番御関心を持っている給与はどういうふうに処理いたすか、そのほかの問題を一つ一つ方向を決めまして、そして手順を決めて、そして
国民の皆様方にも御理解をいただいて御支援をいただく、こういう段取りになると思うんです。
その際に、補助金というものも臨調でこれだけ大きく取り上げられている問題であり、また各党の声明をけさ新聞で読んでみますと、みんな補助金の切り方が足りないと書いてあります。各党がこれだけ補助金を切れとおっしゃっているならば、
政府が一生懸命やった場合には御協力していただけるんではないかという淡い期待をきのうは持ったわけであります。そういうようなことで、これからいよいよ作業に入るということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
-
○勝又武一君 これも理解できない点は、第一点は冒頭申し上げましたように、昨日臨調の答申が出て初めてわかったんではなくて、補助金についてはすでに一月の十日に第三部会報告が出ている、これとほとんど同じなんです、きのうの臨調は。だったら、とっくにやってあるはずだと。何かきょうから始めるなんという
総理のお答えはこれは全然承知できません。
それからもう一つ、具体的にこれからやるという
お話ですけれ
ども、私は特に、三昧とおっしゃっているわけですから、ひとつ四兆、八兆、十兆というような膨大な収支のギャップを埋めるために
総理に三昧になっていただきたい。どこかの組合の、日教組の運動方針を長々と解説をなさったり批判なさるお暇があるなら、むしろこっちの方に徹底してやっていただきたい。そういう意味で、具体的にこの収支の差額の埋め方を本気で三昧でやりますと、こういうふうにひとつ
答弁していただけませんか。
-
-
○勝又武一君 これも昨年の暮れの十二月の二十四日に、私は
総理と大蔵大臣に特に補助貨幣回収準備金と外国為替資金特別会計、これを五十八年度
予算に使うことについての不当性を徹底して追及しました。しかし皆さんはこれを五十八年度
予算に入れたんです。もう洗いざらいかき集めたという感じが私はしますけれ
ども、この特別会計はもはやもう底をついて五十九年度以降もうかき集めるものはほとんどない、こう思いますけれ
ども、大蔵大臣いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) いわゆる税外収入、確かに暮れの臨時国会の最終日でございましたか、この御質問を受けました。ただ私
どもといたしましては、去年の六月でございますか、今後
検討さるべき税外収入というものの中にそれをすでに御提示しておったと。結果として今度五十八年度
予算の税外収入としてそれを使わしていただくことになりました。これについてはいろんな理屈はございますが、とにかく五十六年度の繰り戻しだけはきちんとやりたい、こういう問題もございました。しかし、一過性のものでございますので、これは毎年毎年同じようなものが期待できるものではございません。そうして、その他の税外収入ということになれば、大変な困難を伴うだろうとおっしゃることはそのとおりでございまして、その中でもいろんなことを考えていかなきゃならぬ、これほど大きな税外収入に期待するということは困難であるということを十分承知の上で取りかからなければならない課題であるというふうに考えております。
-
○勝又武一君 私なりにこの特別会計いろいろ当たってみましたが、もうやるとすれば中央競馬会にまた無理を言って頼むか、あるいは
日本航空の株券なんか将来売って財源つくる、こういうようなもうお気持ちはおありじゃないでしょうね。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは協力をお願いしてできることは何でもしなきゃならぬと思いますが、中央競馬会に対しましても今年度非常に厳しい中で御協力をいただいております。そうしてまた一方、まあ日航の株を売るか、こういう話でございますが、いわばそういう国を代表する航空企業としてのものに対して、おのずから国自身が株を取得しておく限界というものもあろうかと思いますので、安易に手をつけられる性格のものではない、これは私からお答えすることが必ずしも適当とは思いませんが、安易に手をつけられるべき性格のものではないというふうに理解をしております。
-
○勝又武一君 次に、
財政再建についてお伺いをいたします。
中期試算によりますと、三年、五年、七年といううちで、最もやりやすい毎年一兆円ずつ減らしていくというC案、この場合に六十五年度赤字国債からの脱却と、こういう
計画ですけれ
ども、いままでの御
答弁をお聞きをしますと、私はとうていこの六十五年度での赤字国債の脱却ということはできない。たしか第一勧銀の試算によりますと、十九年から二十六年ぐらいかかるという試算もございますね。そういう意味で、
鈴木内閣を継承をしている中曽根内閣、その
総理として、この赤字国債からの脱却の時期ですね、これをひとつ、中期試算の程度のああいう不明確なものじゃなくて、明確に何年度赤字国債から脱却しますと、こういうことを
国民に公約すべきだと思いますけれ
ども、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは私
どももいわゆる暮れの臨時国会、五十七年度補正
予算を御
審議いただきます際から、五十九年度脱却ということは事実上むずかしくなりましたと。しかし、これを数字的裏づけをもって明瞭にしなければなりませんと。それが中期試算がその一つの数字でもって御提示したものだと思うんであります。また五十八年度の
予算そのもので御提示したということになると思うんであります。
そこで、やはり
財政改革ということ、大筋から申しますならば、
財政の対応力を回復するという意味においてはこの国債依存度というものをだんだん下げていかなければならぬ、とりわけ、やはりその時に際しては赤字国債からまずは脱却をしなきゃならぬということになると、それをどの辺にめどを置くかと。いま御指摘のように七、五、三と申しますか、三、五、七という試算をお出ししたわけであります。現実問題として三年ということになると、これはぎりぎり詰めた議論は別といたしまして、非常にむずかしいじゃないかと。そうするとまあ数年ということにならざるを得ない。数年といえばセブラルイャーズと、こういうことになります。セブラルイヤーズというと五—七年とでも言うべきかなと。したがって、これを明確に申し上げるというのはなかなかむずかしい課題であると。したがって、まさに中期試算としてお示しして、五十八年度
予算編成をその第一歩として位置づけしたわけでございますから、これから、それこそ勝又
委員との問答などを通じながらそれを確定すべきものであって、いま私は正確に何年と言える状態にはないということを残念ながら申し上げなければならぬというふうに考えております。
-
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) それをつくるのが非常にむずかしいから、実はいま苦悶しておるわけなのであります。
五十九年度赤字公債脱却というのは事実上むずかしくなりまして、ほとんど不可能であるといま考えております。そういう状況のもとに、じゃ、将来どれくらいでできるんであろうか、これはいろいろ変動要因が多いわけであります。一方において増税なき
財政再建ということを臨調から示されておりまして、われわれこれ守っていきたいと思っております。そういう中にあって、じゃ、どういう経費を節減していくのか、どうしていくのか、そういうような問題について非常に慎重な
検討が必要であるわけでございます。そういうわけで大蔵大臣も苦悶されまして、七、五、三というようなそういう一応の試算としてお出しをしておると。これを単一の、一つの
計画としてストレートに出すということは勝又さんも非常に強く御要望である、また社会党の皆さんからいつもわれわれはそういう御請求を受けているわけですけれ
ども、そこがむずかしいので実は苦悶している状態なのだと。正直に申し上げて、いま直ちに出すということはむずかしいということを御了解いただきたいと思うのであります。
-
○勝又武一君 全然了解できません。
国民に公約をするということは私はあたりまえじゃないかというふうに思います。いまの程度の中期試算の中身で、しかもギャップの埋め方も明示できない。まさにやみの中手探りでやれという
お話ですから、こんなことでは本当に
予算審議は私はまともにできないというふうに思います。具体的にお聞きしますと、国債は一兆円ずつ減らしていく、特別会計からの税外収入ももうかき集めて、ない、自然増収ももう期待をできない、歳出の削減もやると言っているけれ
ども、できない。そうしたらもう後で、これからお聞きしますけれ
ども、国債の利子と国債の償還額は大幅にふえていくわけでしょう。そうして増税をやらない。どうやる気ですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) だからこそむずかしい問題でございまして、そこでやっぱり国会の議論というものは、私は
日本国民の英知の集結がそこにあると、こういうふうに理解して、そういう議論を通じながらわれわれもその方途を模索すべきものである、こういうふうに考えております。
-
○勝又武一君 私は正直言いまして、もうこうなってきて、幾つか私が挙げた点ができなければ大増税をやるのか、インフレ政策でもおとりになるのか、もうこれをはっきり
国民の前になさったらいかがですか。私はそういうふうに本当にお勧めいたしますけれ
ども、
総理いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 私は現行の制度、施策をそのままにおいてという前提でものをすべて推しはかることなく、やはり時代の推移に応じて、世界不況の中で
日本だけが例外であるわけではないわけでございますから、先ほ
ども申し上げましたように、こういう国会の場を通じたり、あるいは
財政審、税調、また今度いただきました臨調の最終答申、そういうものを、各方面の意見を聞きながら、議論を尽くして対処すべきものであって、二者択一というような性格のものではないじゃないか、それがやっぱり話し合いによる議会民主主義の根源ではないか、こういう感じすら持っております。
-
○勝又武一君 一般歳出の削減ができるかと言えばできないとおっしゃる。いま私が聞けばああいう言い方をなさる。増税なきというのは理念だというようにお答えになったときがございましたね。そして、その間で、今度は直間比率の見直しということを言い出している。私はもうまさに大型間接税の実施しかないというふうに思いますよ。
国民もそう思いつつあるのじゃないでしょうか。もしそうでないと言うなら——大型間接税の大増税をやらないんだと、そうおっしゃるなら、そうおっしゃるんで、それでは私がお聞きしているような具体的な
財政再建の方策を示していただきたい。これを、じゃ、いつ出すのか、その時期をいつにするのか、このことを確約してくれなければ、私たちは五十八年度
予算審議がまじめにできないというふうに考えますよ。
-
○
国務大臣(竹下登君) まあ
予算は、五十八年度
予算の編成を通じて、まず
財政改革への第一歩を踏み出そうと。最初は五十五年度
予算を通じて
財政再建への一歩を踏み出そうというので、初めに一兆円の減額ありきと、こういうことから進んできたわけであります。しかし、その後の世界経済の低迷というものからして、そのことで、まずお約束をしておった五十九年度赤字公債の脱却、これは事実上できなくなりましたというところで、そこで、五十八年度
予算編成がまず第一歩だということでいろいろな角度から、いま御指摘のありました臨調答申、あるいは
財政審の報告、これらを基礎に厳しい
予算編成をしてきたわけであります。したがって、まさにその第一歩を踏み出したところでございますから、そこに
計画性を持って数値を示せと言われることと、そして、そこにこれを短絡的に負担増か、あるいは歳出削減かという二者択一的な議論は、現実問題として今日の時点でできることではないと。それではいつ出すかと、こういうことです。かねて国会で御主張になっております
財政再建
計画というものは、これは私は、自由主義経済を基調とするわが党の
政府として、これはなかなかお気に入るようなものは出せないと思います。だから、いつでも御要請に応じた形で、その時点において最大
限度努力できる資料を提出するというのがわれわれの限界となっておるわけであります。ただ、いまセブラルイヤーズと申しましたが、少なくとも赤字国債の脱却年度ぐらいは示したらどうだと。これは一つの私は、かつても示しておりましたから、御意見だと思うんであります。それはいつかと言われれば、まさに今日の時点においてはセブラルイヤーズと、こう言わざるを得ない。それは本当にまじめに考えれば考えるほど、私
どもはうそをついてはいけませんので、それだけにこのセブラルイヤーズというのが、いま申し上げられる限界ではないかと、決してふまじめではなく、まじめそのものでセブラルイヤーズと、そうお答えするのが現状の厳しい
認識の上に立ったお答えではないかと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
-
-
-
○和田静夫君
総理、やはり増税なき
財政再建を堅持したいといまも御
答弁になりました。それで、まず
確認をしておきたいのは、
財政再建を達成する指標というのは一体何なんだろうか、それはやはり赤字国債発行をゼロにするということがまず第一の目標であるということですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは
財政の対応力を回復する、そうすれば当然のこととして、公債依存度を引き下げていく、が、まずはということになると、和田
委員の御指摘の問題は、やっぱり一つの大きなめどになると思っております。
-
○和田静夫君 そうすると、それまでの
財政再建期間中は増税をしない……。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは、増税なき
財政再建というのは、まさにてことしてこれは堅持しなきゃならぬ問題であります。ただ、いまいろいろな議論が出ておりますので、とことんやってみて、なお
国民のニーズというものが現行の施策、制度をそのまま置いてという
結論であると見定めれば、これは負担増というものも考慮しなきゃならぬことになると思います。したがって、その負担増というものが、ある期間までは全くないということを断言すべき問題ではなく、これらもまさに含めて、こういう議論を通じながら
国民の意思がどこにあるかということを見定めるべき問題であると。しかし、安易にその方向に考え方が走ったら一番いけないことであるということは踏まえたいと思っております。
-
○和田静夫君 ここの
部分は、私は自分のときにもう一遍やります。
そこで、臨調の増税の定義ですが、これはかなりあいまいですね。大蔵大臣、現行の租税負担率一二二・七と考えておいてよろしいですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは、租税負担率そのものが経済の変動によりまして分母、分子の変わるものでございますだけに、私はそれをきちんと金科玉条として踏まえるべきものでは必ずしもないというふうに理解をしております。ただ、齋藤行管
長官とも時に
お話をしておりますが、臨調の今度のいろいろな御答申を見てみましても、最終的には、税制の問題については権威ある
政府税制調査会というものがある。いわばその骨子、哲学をお示しなすっておるというふうに理解して対応すべきではないかというふうに考えております。
-
○和田静夫君 そこで、増税の定義に関連する問題なんですが、あなたも言われたと言われるEC型付加価値税、税率五%で三兆二千億。何か大蔵大臣が言われている三兆四千億というのと符合がずっと合ってくるような感じがするんですが、こういう税目というのは増税であるというふうに思いますが、そうですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これはいわば、あの臨調の答申にお書きになっておるものを素直に読んだ場合は、新たなる措置でもってかなり大幅な歳入が確保できるものというふうに読むべきじゃないかなと。さはさりながら、では、いわゆる幅広いという表現を使っておりますが、幅広いとはその幅はどこだと、あるいはかなり多額なという、かなりというものはどこだと、こういうことになると、これは臨調にお願いして詰めていただくべきものではなく、そういう一つの思想を背景にして、こういう問答やら税調やらの意見を聞いて判断すべき問題であるというふうに考えております。
-
○和田静夫君 いま勝又質問にありました大型間接税の導入ということをちょっと考えてみますと、これは一方で見合う額の減税をしなきゃなりませんね。そうすると、臨調の定義する増税になってしまう、そう理解していいですね。
-
○
国務大臣(竹下登君) 大型、中型、小型のまた基準が非常にむずかしい問題でございますが、少なくとも概念的に大型の新税を導入するということは、もとよりやっぱり「増税なき」の範疇には入らないというふうに理解すべきだと思っております。
-
○和田静夫君 入らないですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) はい。増税だというふうに理解すべきであると思います。
-
○和田静夫君 大蔵大臣、臨調答申の言う「税負担の公平確保」ですが、こういう観点からすると、大型間接税が所得税減税とセットで導入をされたとしても、税負担の公平からは私は背反するのではないだろうかと。ということは、大型間接税はどう考えたって所得に対して逆進的ですよね。そうすると、低所得者層には相対的に厚くなるわけですから、この点は一遍、大臣はどういうふうにお考えになるのですか、確かめておきたい。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは
原則的に言えば、いま和田
委員の御指摘はそれなりに私は理論的に位置づけすることはできると思うのであります。ただ、いまいただいております臨調答申は、「税負担の公平確保の観点を踏まえ、申告納税制度の適正な運営のための基盤の強化、租税特別措置の見直し等を推進するとともに、所得税制における課税最低限及び税率構造並びに直接税と間接税の比率等について
検討する。」と、こう書いてあるわけでございます。これはこれから——従来も議論してきたことでございますけれ
ども、やはり最終答申ということになれば、
総理から先ほどのお答えにもございましたように、これから衆知を集めて
検討すべき課題であるというふうに考えております。
-
○勝又武一君 国債の発行残高につきまして、C案の場合で、五十八年度から六十五年度までに残高は幾らになりますか。
-
-
○
政府委員(
山口光秀君) 五十八年から何年まで申し上げますか。
-
○勝又武一君 六十五年。
-
○
政府委員(
山口光秀君) C案で——C案というのはそれ相応の前提に立った仮定計算でございます。五十八年が百九兆八千億円、五十九年が百二十一兆六千億円、六十年が百三十兆一千億円、六十一年が百三十六兆二千億円、六十二年が百四十兆円、六十三年が百四十三兆八千億円、六十四年が百四十三兆九千億円、六十五年が百四十二兆一千億円でございます。
-
○勝又武一君 赤字国債の借りかえは、大蔵大臣、これはおやりになりませんね。
-
○
国務大臣(竹下登君) 赤字国債の借りかえというものは、法律そして国会
答弁からしてもそれは念頭にありません。
-
○勝又武一君 五十二年度と五十八年度の主要経費の内訳の比較を、上から五つだけで結構です、構成比だけで結構です。
-
-
○勝又武一君 社会保障、文教、何%、何%という構成比だけ。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 構成比を申し上げます場合に、一般歳出における構成比で申し上げるか、あるいは一般会計全体の中の構成比で申し上げるかという点でございますが、五十八年は例の五十六年度の決算不足額の補てんの金がございます。それから国債費が非常に膨大にふえております。そういう関係で、一般歳出における構成比を申し上げた方が実情がわかるのじゃないかと思いますので、それで申し上げてよろしゅうございますか。
五十二年、五十八年の順序に申し上げます。
社会保障関係費二六・四%が二八・〇%へ、文教及び科学振興費一五・六%が一四・八%へ、それから
防衛関係費七・八%が八・四%へ、公共事業関係費一九・九%が二〇・四%へ。あと、実は雑件でございます。その他の事項……。
-
○勝又武一君 国債費。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 国債費は、いま国債費は除いたところで分母をつくりましたので、一般会計に対する比率で申し上げますと、国債費は一般会計全体に対しまして八・二%でございましたのが一六・三%と、構成比が非常にふえております。
以上でよろしゅうございますか。
-
○勝又武一君 主計
局長、後の数字で言ってください。国債費の八・二と一六・三の関係で言ってください、もう一度。
-
○
政府委員(
山口光秀君) じゃもう一遍申し上げますが、一般会計に占めます構成比で今度申し上げます。
最初が五十二年度で次が五十八年度。社会保障関係費が二〇・〇%から一八・一%、文教及び科学振興費が一一・八%から九・五%、国債費が八・二%から一六・三%、
防衛関係費が五・九%から五・五%、それから公共事業関係費が一五・〇%から一三・二%、以上でございます。
-
-
○
政府委員(
山口光秀君) 地方
財政関係費が一七・三%から一五・二%でございます。
-
○勝又武一君 いま読み上げてもらいましたように、国債費は、五十二年度には五番目だったのが、五十八年度は定率繰り入れの一兆三千億を加えれば当然一位になりますね。これはお認めになりますか。
-
-
○勝又武一君 いま
予算委員会にお配りをいたしました資料でごらんいただきたいと思いますが、この資料によりますと、
政府の中期試算の数字をもとにしてつくったものでありますけれ
ども、国債発行額の方が利払い費よりも少ない。利払い費の方が国債発行額よりも六十年度には多くなる。赤字国債の比率でいけば、むしろ赤字国債の発行額より国債費の方が四〇九・五%、四倍を超す。この事実もお認めになりますか。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 先ほどいただいたばかりで、実はこういう分析をしていなかったものですから急いでチェックいたしましたが、これも前提のある数字でございますが、こういうことになるのではないかと思います。
-
○勝又武一君 この
政府のC案でいきますと、毎年の国債の利子だけで十兆から十一兆、主要経費別に見ても当然もうトップになります。これを改善しなくて何の
財政再建と言えるかというように私は思うわけです。
まさに六十四年度を見ましても、利払い費は国債発行額の一・五倍、建設国債も含めてですよ。こういう状況について、
財政再建上、
予算規模の二割、一般歳出で見れば一般歳出の三割近い国債の利払い、これが正常と言えますか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これが非常にノーマルなものだとは断じて思っておりません。これをやはり、基本的にはまず国債の発行額そのものを減すことによって将来の利払いへの軽減を図っていきたい。しかし、基本的に今日まで私は、国債政策というものが
財政への対応力として機能したという事実は十分に認めておりますものの、いまの姿がノーマルなものであるとは思っておりません。
-
○勝又武一君
総理にお伺いしますが、サラ金
財政というのはどういう意味でしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 経常収支がバランスを失しまして、経常収入以外のものによってこれを補っている、そういう状態を言うのではないかと思います。
-
○勝又武一君 俗に言っているのは違うんじゃないんでしょうか。建設国債も含めた国債発行額よりも国債の利払いの方が多い、こういうのをサラ金
財政と言うんじゃないんでしょうか。
総理の御意見を聞かせてください。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) いまのものと大同小異だろうと思います。つまり経常収入——税であるとかあるいは税外、適当な収入、専売収入であるとか、そういうものによって経常支出を補える情勢、つまり赤字国債を必要としない情勢、それをサラ金でないと。それを必要とするもの、収支均衡がとれないものをサラ金的な性格を持ってきているものと、そういうふうに意味していると思っております。
-
○勝又武一君 借金した額より利息の方が四倍なんというのを、こういうのを言うんじゃないんですか。いまそうなっているんでしょう、皆さんの
計画で。私は、
総理がこのサラ金のこわさを知っていらっしゃるかどうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 借金をしてもいいんです、それは。借金と共存して経済を拡大させていくというやり方で
日本経済は太ってきたわけでありますから。問題は、収支がバランスがとれているか、経常収入でそれが払えるか。つまり、サラ金で借りてきても、自分の収入が非常に多くてそれで返せればいいんだと。しかし返せない、そのためにまた借金しなきゃならぬ、こういう場合になるとこれはいわゆるサラ金
財政と称せられるものになるでしょう。だから、借金が悪いんじゃなくて、それが返せなくなって無理した手段でその資金を得るというやり方が適当でないと、こういう意味だろうと思います。
-
○
国務大臣(竹下登君) いわゆる利払い費、これは勝又
委員の御提示なすったのをAとして、そして国債発行額をBとして、B分のAという問題についての御議論でございますが、たとえて申しますならば、ケースAあるいはケースCに至りましても、六十五年度には「うち特例債」というものがなくなると。こういう形になりますと、今日までやはり国債政策というものは、いま
総理のおっしゃいました一般的に考えられる経常収支からは外枠に出たものとはいえ、建設国債というものが果たしてきた役割りというものは、これは私はそれなりに大いに意義があったと。そしてこれの返済期というものに当たりまして、これが歳出に対しての大きな比重を持っておるわけでございますけれ
ども、それはそれなりの資産を形成したものに対するいわば支出である、こう理解すれば、私は赤字公債の場合よりも良心的苛責を感ずる度合いは少ないと、こう思っておりますが、いまの勝又
委員のB分のAの議論というのはそれなりに理論としてあり得る議論でありますので、そこのところを整理したものを主計
局長からもう一遍お答えをさすことにいたします。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 利払い費が多くなるのは不健全な
財政じゃないかと、これはもうおっしゃるとおりでございまして、じゃ利払い費を減らすにはどうしたらいいかというと、利子を無理に安くするわけにいきませんから、要するに発行額を減らすしかないということなんでございます。ですから、
財政再建の一つの努力目標はまさにそこに象徴的にあらわれるのだと思います。片一方でC分のAでございますね、この表で申しますと。この数値がどういうことを意味しているかと申しますと、Cが小さくなりますとC分のAという数値が大きくなるわけです。つまり、Cが小さくなるというのは赤字公債が少なくなる。極端な話ゼロになりますと無限大になるわけでございますので、C分のAというところだけ見て御議論いただくのはどうだろうかなという気がいたします。
-
○勝又武一君 私も、だからC分のAだけ言っているわけじゃないでしょう。建設国債も含めた国債発行額よりも利払いの方が多いというのはきわめてアブノーマルだと、全然違うと、異常だと、こう言っているわけですよ。もう一つは、利払いが二割にも三割にもなっている。これもきわめて異常だと、こう言っているわけです。ひとつ日銀総裁にこの辺のことについての御所見を賜りたいと思います。
-
-
○勝又武一君
総理は、本当にサラ金
財政のこわさというのをお考えをいただいてこの点について抜本的な御努力を願いたいというのがこの
結論です。
そこで、この国債の利子の引き下げについて、市中消化、こういうような観点からも含めまして、公定歩合との関係もあるのでしょうけれ
ども、この辺についての
政府の現在の
検討はどうなっていますか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは、国債の大量発行をいたしますと、当然のこととして長期金利を押し上げるわけでございます。いわゆる市場に絶えず売り圧力が働くと、こういうことになるわけでございます。したがって、まずは国債発行そのものを減らすということがそういう総合的な金融市場に対してもまた経済政策としても大事なことでございます。したがって、いわゆる国債発行というものはその都度都度シ団と
協議するわけでございますが、やっぱり発行額自身に一つのめどを置いて長期金利の押し上げ要因、いわゆる市場に売り圧力が働くというような形にならないように、すなわち、何と申しますか、国債市況が悪化することがないような配慮をいつでもしていなきゃならぬ、基本的にはそういうことであると思います。
-
○勝又武一君
政府の
計画で、百四十四兆にも国債発行残高がなる
計画でありますが、四十年国債発行を始めてから五十八年までの国債依存度について申してください。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 決算ベースで申し上げます。四十年度五・二、四十一年度一四・九、四十二年度一三・九、四十三年度七・八、四十四年度六・〇、四十五年度四・二、四十六年度一二・四、四十七年度一六・三、四十八年度一二・〇、四十九年度一一・三、五十年度二五・三、五十一年度二九・四、五十二年度三二・九、五十三年度三一・三、五十四年度三四・七、五十五年度三二・六、五十六年度二七・五、五十七年度は補正後の
予算でございますが、三〇・二、それから五十八年度は、当初
予算でございますが、二六・五でございます。
-
○勝又武一君 五十八年度は二兆一千億にも及ぶ税外収入がありますから、数字はそれを含めれば大分変わってきますね。それを考慮すると幾つになりますか。
-
○
政府委員(
山口光秀君) まことに申しわけございませんが、その二兆二千五百億を引きました数値をいま持ち合わせません。
-
○勝又武一君 百四十兆残高時代、C案でいきますと、これに毎年十兆円以上の新規発行債、それに借換債を含めますと年二十兆ぐらいに発行額はなるのじゃないでしょうかね。こうなっていった場合に市中消化、こういう意味での国債の歯どめとしてのもう一つの機能、この辺について日銀総裁の所見を承りたいと思います。
-
○
参考人(
前川春雄君)
政府支払いがございますると、国債がそれだけ出るということは
政府支払いがそれだけ多いということでございますが、それがもし貯蓄に回ります、まあ貯蓄に回る
部分もかなりあるわけでございまするので、その貯蓄との関連で考えなければいけないわけでございます。そのときのその貯蓄に対するその他の資金需要がどういうことになっておりまするか、その辺によって非常に変わってまいりまするので一概には申せませんけれ
ども、しかし国債の金額がふえれば借換債もふえてまいるわけでございまするから、自然そういう状態でない場合に比べれば、なかなか消化についてはむずかしい問題が起きてくるだろうというふうに考えられます。
-
○勝又武一君 同じように大蔵大臣にお伺いしますが、一つはこの依存度の問題なんです。国債残高が百四十兆時代が続くということは、私はやはりいままでの国債の歯どめとしての依存度についての厳しさ、これがやっぱりイージーであった、もっとやっぱり厳しくなければいけなかったというように思いますが、そういう点についての
政府の反省と、今後の歯どめとしての依存度をどういうようにお考えになっているか、これが一つ。
それからもう一つは、いま申し上げましたもう一つの歯どめである市中消化が可能かどうなのか、この点についてお伺いをするわけです。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは、当初オリンピックの翌年の戦後最大の不況というような時期、この国債発行をした場合の歯どめ措置ということでいろんな議論がなされてまいりました。それがだんだんだんだん依存度が高くなってきたわけです。一つのやっぱりエポックとでも申しますか、一つの限界とでも申しましょうか、
昭和五十四年度の当初
予算じゃなかったかなと——少なくとも三九%ぐらいに達したというところから、そこに限界というものを感じて
財政再建というものが真剣に国会等の場において議論されるようになった。ただ、そこでやっぱり不思議なものでして、その五十四年というものは大量発行に踏み切ったその集積のいい面がまた出てきて、結果からすれば自然増収に恵まれて、発行すべき予定よりも一兆八千億でございましたか、発行しなくて済んだ。その辺がやっぱり私は
限度であったと思うのです。それから発行
限度額というものをずっと減らしていくという努力は重ねられておりますものの、この世界経済の変動の中でそれに対応をできなかった、したがって、今年度
予算編成に当たって、これは当初
予算ならもっと大きな声で言えるのですが、結局補正
予算に比してまず一兆円の減額ありきというところからかかっていこうと、そこで歯どめ論と、こういうことになるわけです。これにつきましては、これは
委員百も承知での御議論でございますが、実際いろんな議論をいただいております。
政府は公債発行額や公債依存度等について簡明な指標により公債発行に歯どめをかけると、こういう議論があるわけでございます、このことにつきましては五十八年の一月の臨調の部会でもございますし、さて、では簡明な歯どめとは、こういうことになりますと、これはなかなかむずかしい問題でございますので、したがって簡明な指標としてのまず公債依存度というものを留意しなきゃならぬ。いろんな各種の指標があるわけでございますから、どういうのが一番適切かと、こういうことはこれからまさに総合的に考えていかなきゃならぬ課題であるというふうに理解をいたしておるところであります。
それからまた御指摘のとおり、
財政法上定められておる公債の市中消化の
原則を堅持すべきことは言うまでもない、こういう御指摘もいただいておるわけでございますので、市中消化の
原則と、こういうものはこれは貫いていかなければならない。日銀引き受けというようなことをこれは制度上も今日できるわけのものではございませんけれ
ども、そのような安易な物の考え方は持っていくべきものではないというふうに考えております。
-
○勝又武一君 国債発行が始まりました四十年以降、私は参議院の
予算委員会の会議録を中心に丹念に勉強してみました。わが党の羽生三七、木村禧八郎両氏を初めとして私がいま言ったようなことをずっと指摘をしているわけですよ。そして国債の利子を払うために国債を発行することになるのじゃないか、国債の歯どめはどうか、
財政法四条は守られるのか、こういうことを具体的に質問をしておるんです。当時の
佐藤総理、福田、水田蔵相を初めとしてこの国債発行は大丈夫だと、一〇%以内にとどめる、税収がふえるから全く心配ない、償還
計画も心配するな、社会党が言うような二十年も三十年も国債政策が続くなんということはそんなことは心配するな、こういうことをみんな
佐藤総理なんかが
答弁をしていますよ。こういう私は長年にわたる自民党
政府の国債管理政策の失敗、この責任の取り方とけじめを明確にすべきだと、こういうことこそ午前中から
総理がおっしゃっている大転換じゃないのですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) まさに
昭和四十年、ずっとひもといてみますと、一〇%以内こういうことは一つの私は歯どめであったと思うのであります。結局それがどういうふうにして今日の経過をたどったかというと、やっぱり私は
昭和四十六年、一九七一年のドルショックであると思うのです。これが建設国債ではございますが、国債増発の一つの契機になったと。そしてその次が第一次石油ショック、第二次石油ショックと、こういうことであったと思うのです。しかしそれを世界経済全体の中では一番巧みにという表現は別といたしまして、この
日本経済がそれからの苦難を脱却したということはやはり国債政策があずかって私はそれなりに力はあったのじゃないか、だから先人のおやりになったことを私は失敗であったという考えはございません。それなりの効果は上げられてきたものである。しかしながらそれが
限度に来た今日、あるいは戦前の総決算というよりも、第二次石油危機以前の問題に対する対応策と
財政の対応力の復活ということは、新たなる課題として考えるべきではないかというふうに考えております。
-
○勝又武一君 資金運用部はいま国債をどれだけ持っていますか。
-
○
政府委員(
加藤隆司君) 正確な数字は覚えておりませんが、大体十六兆でございます。
-
○勝又武一君 私は約二十兆ぐらいだというふうに思いますが、五十六年度の資金運用部と日銀の間に二兆三千億ぐらいの売りと買いですね、こういうことがあるというふうに思いますけれ
ども、この点はどうでしょうか。
-
○
政府委員(
加藤隆司君) 最近の数字が二十一兆一千でございます。
日銀との間で公債の売り買いがございます。これは御質問がないわけでございますが、御説明させていただきますと、現先というようなやり方で買い戻し条件つきで日銀に持ってもらって、運用部が金繰りが楽になりますと買い戻すというようなことで、マネーフローの増というようなことには関係のない取引でございます。
-
○勝又武一君 国債を日銀が直接引き受ける、このことは
財政法で禁止されていると思いますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(竹下登君)
財政法何条でございましたか、そのとおりであります。
-
○勝又武一君 日銀総裁いかがでしょうか。
-
-
○勝又武一君 先ほど申し上げた資金運用部資金で新規の国債を買って、これをまた日銀に売りつける、またその金で資金運用部が新規国債を買う、こういうやり方も私はこの
財政法五条で問題がある、こういうふうに思いますけれ
ども、この点はどうでしょうか。
-
○
政府委員(
加藤隆司君)
財政法の五条からは直接禁止されておりません。ただ、
財政法五条の趣旨が通貨創造によって公債を引き受けるのはやめろというような趣旨と解しますと、そういうような場合にはやるべきでないと、そうでないような場合には法律上は可能であるわけです。それをどうするかということは、そのときどきの金融情勢なり
財政事情なりの総合判断だろうと思います。
-
○勝又武一君 私はこの
財政法がしり抜けになるような、そういう抜け穴になるような方策は現実にとっていただきたくない、そういうふうにこれは大蔵大臣と総裁に重ねてお伺いしますが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(竹下登君) いわゆる国庫資金の買いオペ、売りオペということの問題がいま理財
局長がお答えしたことでありまして、
原則的な問題は勝又
委員の言うとおりです。
-
○
参考人(
前川春雄君)
財政法第五条の精神を踏まえまして、間接的にではございましても
日本銀行の資金運用によって国債の消化を図るということはするつもりもございませんし、第五条の精神に反するというふうに思います。
-
○勝又武一君 日銀総裁、結構です。
-
-
○勝又武一君 私は以上で国債の問題を終わりますが、
国民の国債に対する信頼、このことをぜひ
総理にはお考えをいただきたい、強くこのことは要望をしておきます。
最後に私は、この
財政再建問題で
結論として申し上げたいのは収支の差額、先ほどから繰り返しますギャップを埋めるための方法、それは歳出削減で努力をしてもらいたい、しかしそれができない。赤字国債は発行を減らしていく。自然増収は見込みがない、見込みが薄い。こうなっていけばまさにけさの新聞にも出ております直間比率を見直すということからくる大型間接税を実施する、こういうことに私は率直に言ってなっていくんじゃないか。まさに選挙の年でありますから
国民に信を問うべきであります。そういう意味では
政府・自民党は大型間接大増税を行うということを明らかにすべきだ。私たちは、増税の
内容というのは、土地の増価税、金融資産に対する課税、不公平税制是正の実施、税制の抜本的な改革、こういうことを
国民に訴えていく。同時にまた、支出では軍事費の削減を図って
財政の再建をしていくということを提起していく。こういうことが
国民の前に明らかになってこそ
中曽根総理・総裁の言うわかりやすい政治だ、こういうことになると思いますけれ
ども、総裁の所見はいかがですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 勝又さんは筋をおっしゃっていると思います。その中で軍事費の削減とか、そういう点で必ずしもそのとおりやっていいものがあるかどうかは疑問でございますが、しかしその筋は正しいと思っております。
-
○勝又武一君 それでは人事院勧告について伺いますが、衆議院の議長
見解に、人事院勧告制度の
重要性を踏まえとありますけれど、この
重要性を
政府はどう受けとめていらっしゃいますか。——何だ、いなくなっちゃった。
官房長官いなければ
総理答えてください。
-
-
○勝又武一君 ああ、ごめんなさい。
-
○
国務大臣(丹羽兵助君) お答えさしていただきます。
今回の衆議院議長の
見解について、先日衆議院の
予算委員会において
官房長官から述べられたように、これを尊重してまいるというのが
政府の考えでございまして、私としても同様であります。したがって、
昭和五十八年度の人事院勧告の取り
扱いについては、勧告が行われる段階で
検討していくものであるが、私としては良好な労使関係の維持に配慮しつつ今回のようなことが繰り返されないように最善の努力をしていくことが私の責務と、こう考えております。
なお、衆議院議長
見解においては、五十七年度にかかる問題については、各党国対
委員長間で継続して
協議を行うこととされておりまして、私はその推移を見守ってまいりたいと思っております。
-
○勝又武一君 「
重要性をふまえ」というのを聞いているんですよ。全然だめだな。「
重要性をふまえ」というのはどういう意味ですか、どういうふうに受けとめているんですか、
政府は。そうお聞きをしているんです。
-
○
国務大臣(丹羽兵助君) もう一遍お聞かせいただきたいんですが、
重要性というのは……。
-
○勝又武一君 「人事院勧告制度の持つ
重要性をふまえ」、こう議長が言っているんですが。
-
○
国務大臣(丹羽兵助君) お答えさしていただきます。
その重用性、お尋ねの
重要性とは、私
ども政府は労働基本権のいわゆる代償措置としてこの制度があり、こうした方法で行っておると、こういういわゆる労働基本権の代償的な措置、こう考えておる、それを重要と考えております。
-
○勝又武一君 公労委の仲裁制度と人事院の給与制度というのは、いま総務
長官も言われましたが、労働基本権
制約の代償機能という点においてきわめてその
重要性においては変わりがないと思いますけれどいかがですか。これは労働大臣。
-
○
国務大臣(大野明君) お答えいたします。
人事院勧告もまた仲裁裁定も、両者ともに公共部門に従事する方々の給与決定に係ることでございますので、均衡を保てという御意見もございますし、また一方におきましては、その財源あるいはまた制度、運用等も異なるからということで考慮すべきであるという御意見もございます。ただ、いま先生おっしゃいましたように、いずれにいたしましてもこの人権制度というものは労働基本権
制約の代償措置の一つでございますからこれを維持尊重することは当然でございますけれ
ども、まあ本年度に限っての
お話だと思いますけれ
ども、いずれにしても国家的な
財政危機ということで見送らざるを得なかったということでございます。
-
-
○
政府委員(
藤井貞夫君) 労働基本権
制約の代償措置として仲裁裁定も人事院勧告も私は実質的には同じものであろうというふうに考えております。制度のたてまえなり制度の仕組みというものは違いますけれ
ども、実質的な意味、
内容については私は同じものであろうと。したがって、そういう理解のもとに従来等しく尊重されてこれが実施に移されてきたというふうに考えておりまして、この点については今後とも同じ取り
扱いでなければ平仄が合わないと思っております。
特に申し上げたいと思いますのは、実は仲裁裁定の対象には三公社のみならず四現業がございます。この四現業の職員の中で特にたとえば林業関係の職員について見ますると、これらの人々の中には同じ役所の中で同じく机を並べて仕事をやっておるというような人がございます。それが人事院勧告の対象の人もあれば仲裁裁定の対象にもなっておるということがございまして、そういう意味からいいますと、非常にやっぱり職場の管理上からいいましても問題があるのじゃないかというふうな
認識の上に立っております。
-
○勝又武一君 そうしますと、五十七年度の仲裁は裁定どおり議決をしている、実施をしている。人勧も当然勧告どおりやるというのがあたりまえじゃないか、そう思いますけれ
どもいかがですか。まず
政府からいさきす。
-
○
国務大臣(丹羽兵助君) お答えさしていただきますが、先ほど
人事院総裁からもまた労働大臣からも言われましたように、人事院勧告と仲裁裁定はともに公共部門に働いている方の給与の問題であることから均衡を図る必要があるとする考えでございますけれ
ども、しかし両者は給与財源、給与決定方式、慣行が異なっており、それぞれの手順に従い別個に決定されるのであるから、その取り
扱いが異なることもやむを得ないと思っております。
政府としては、五十七年度の人事院勧告の取り
扱いについて、人事院勧告制度を尊重するという基本的
立場に立って、その実施について種々の観点から
検討してできる限りの努力をしてきたのでありますが、しかしながら本年度は六兆円を超える税収不足が見込まれる等未曾有の危機的な
財政事情のもとにおいて、
国民的課題である
財政再建を担う公務員の方々が率先してこれに協力していただく姿勢を示す必要があること等を総合的に考えまして、きわめて異例の措置として公務員の給与の改定を見送らざるを得ないとの
結論に達したのでありまして、はなはだあれでございますけれ
ども、御理解をちょうだいいたしたいと思います。
-
○
政府委員(
藤井貞夫君) 五十七年度の人事院勧告についての取り
扱いにつきまして私が機会のあるごとに繰り返し申し上げておりますように、やはり仲裁裁定と実質的には同じく取り扱っていただかなきゃ困るということで、
政府がいろいろな御事情があったことは私自体もよく知っておりますけれ
ども、それを超えてやはり尊重をしていただかなきゃならぬものとして、したがって今回の
政府の取り
扱い自体は遺憾でございますということを申し上げてきておるわけでございます。
-
○勝又武一君 総務
長官が言っていますね、何か法律が違うとか言っているのね。これは全然
お話になりません。むしろ団交権とか協約とか協定締結権とか、この辺を考えますと、むしろ仲裁以上に弱い
立場にある方は人勧の方の国家公務員の方じゃないんですか。むしろそっちの方こそあなた方は尊重すべきじゃないか。この点はどうですか。反対だ、全然反対だ。
-
○
政府委員(
藤井良二君) 非現業の国家公務員と三公社四現業の職員については、それぞれ人事院勧告と仲裁裁定の制度が設けられておりまして、いずれも労働基本権の
制約に対する代償措置の一つであるという点では共通の性格を持っていると思います。しかし、給与財源や給与決定方式は非現業の国家公務員と三公四現の職員の場合は異なっております。三公四現の給与は労使交渉によって決定されるたてまえであり、紛争がある場合には仲裁に移行し、さらに仲裁裁定が公共企業体の
予算上、資金上の実施不可能なときは国会が関与することとされております。これに対して人事院勧告は国会及び内閣に同時に出され、最終的には国会で決定されることになっておりまして、国会のこれらの二つに対する関与の仕方が違っているわけでございまして、その取り
扱いについて差が出てくることもございますし、過去においても異なる取り
扱いをいたしたことがございます。
-
○勝又武一君 そんなこと聞いているんじゃない。総務
長官だよ、総務
長官ですよ。解説じゃないんだ。
-
○
国務大臣(丹羽兵助君) お答えさしていただきますが、先生から先ほど御指摘の、法律が違うと私が申し上げたというように、もしもそう聞こえておりましたら、私の言い方が間違っておったのでありまして、私はさように言っていないはずでございます。両者は給与財源、給与決定方式が、こういうことを申し上げたのでございますから、法律と申し上げましたのは私が言い間違いか、もし先生のお聞き違いか、御訂正を願って、訂正さしていただきたいと思います。
-
○勝又武一君 そんなことを聞いているんじゃない。給与財源とか給与決定が違うなんということを聞いているんじゃないんです。仲裁の方は実施をしていて、何で人勧の方は実施をしないのか。むしろ弱い
立場の方は国家公務員の方じゃないか、そう言っている。その点についてお答えください。
-
○
国務大臣(丹羽兵助君) 決して私
ども仲裁が強いとか人事院勧告の方が云々という、こちらが強いとか弱いとかとは全然考えてないんです。しかし、それでありますが、先ほど来言っておりまするように、決定のそれぞれの手順に従い、個別に決定されるのであるから、その取り
扱いが異なるのもやむを得ない、こう申し上げておるのでありまして、さよう御承知を願いたいのであります。
-
○勝又武一君 わからない。
-
○
政府委員(
藤井良二君) 人事院勧告と申しますのは、先ほ
ども申し上げましたように、国会及び内閣に同時に提出されまして、最終的には国会で決定されることになっております。国会のこれらの二つに対する関与の仕方が異なっておりますわけでございまして、その取り
扱いに差が出てくることは過去にもございましたし、今回も異なったというわけでございます。
-
○
国務大臣(丹羽兵助君) お答えさしていただきますが、どういうぐあいに申し上げると御理解が願えるのか。いわゆる先生のおっしゃいましたように、均衡を図る必要があるとする考えもございます。ありまするが、しかし両者は、先ほど来言っておりまするように、給与財源、給与決定方式とか慣行が異なっておりまするので、それぞれの手順に従い、別個に決定されるのでありますから、その取り
扱いが異なることもやむを得ないと私
どもは考えております。
特に今回のように、
政府としては五十七年度の人事院勧告の取り
扱いについて、人事院勧告制度を尊重していきたいというこういうたてまえ、こういう基本的たてまえに立って、その実施について種々の観点から
検討し、できる限りの努力をしてきたのでありまするが、ことしのように六兆円からを超える税収不足がございまして、万やむを得ず、今回、まあ何と申しますか異例の措置として、万やむを得ずこの措置をとらしていただいた、こういうことで見送りをさしていただいた、こういうことでございますから、それはなかなか了承はいただけぬでしょうけれ
ども、
政府のとりました考えだけを申し上げて私の
答弁にかえさせていただきます。
-
○勝又武一君 重ねてお伺いしますけれ
ども、仲裁は裁定どおり議決をしている、人勧は勧告どおりやらない、これはおかしいんじゃないか。仲裁を当然裁定どおりやるなら人勧も勧告どおりやるべきだ、このバランス論を一つお聞きをしている。
もう一つは、比較をするとすれば、むしろ人事院勧告の方が、国家公務員の方が団交権なり協約なり協定締結権なりにおいて弱い
立場に法律的にもあるんだから、むしろ差をつけるというなら国家公務員の方をまず先に、人勧の方をまず先にやるべきじゃないか、こういうことを言っている。それについてお答えをいただきたい。
-
○
国務大臣(丹羽兵助君) お答えさしていただぎますが、まあ先生のおっしゃるような、いわゆるそういう考え方もございます。そういう考え方もあるでしょうが、しかし、もう御専門の先生がよく知っていらっしゃいまするように、裁定と人事院勧告とのあれは違うんでしょう。それで、結局いままで私
どもとってまいりました、特に人事院勧告の方の給与の財源は税金で賄うことでございまするし、企業の方は企業の中の財源でいくというたてまえになっております。いわゆる財源も違えば給与の決定方式も違うし、いままでの慣行も異なっておりまするので、それに従って私
どもやってきたことでございまして、いま私は総務
長官に指名されたというので、にわかにお役所に勤めていただく方々を困らせるような、苦しめるような、働いていただく方々の気持ちがわからないようなことを私はやっているのじゃないですから、どうぞひとつ御了承を願いたいと思います。
-
○勝又武一君 同じことを繰り返してもいかぬと思いますけれ
ども、この仲裁をやって人勧をやらないという
答弁には全くなっていない。これはやっぱり具体的にそういう解明をしてもらいたい、こういうように思います。これはきょうはやめます。
そこで、次にお伺いをしたいのは、この人勧が完全凍結をされたままでいきますと、まさに代償機能、労働基本権
制約の代償措置というのは全くなくなる、喪失をする、こう思いますけれ
ども、これは人事院と
総理の両方にお伺いをしたい。
-
○
政府委員(
藤井貞夫君) 給与に関する人事院勧告は、お述べになっておりますように、労働基本権
制約の代償措置ということでございます。そういう意味で、これの凍結あるいは見合わせということにつきましては、厳しい
財政状況という、そういう大変な問題があることは私もよく承知をいたしておりますが、なおこれが見合わせをされたということに仮になりますれば、大変遺憾千万であるという考え方に変わりはございません。
-
○勝又武一君 いや、なくなるかどうかという、そこだけお答えください。代償措置はなくなりますね、代償機能、代償措置、このままでいけば、凍結のままで。
-
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君) ことしの五十七年度の人事院勧告を凍結したというのは、かねがね申し上げておりますように、
政府としてはやはり公務員の生活を保障するという重大な責任があるわけです。したがって、まさにこれは今日のような厳しい
財政事情のもとにおける異例の措置だということを申し上げている。
私
どもとしましても、二年連続凍結をするというようなつもりはないと。八月に人事院からまた当然勧告がございましょう。その際には私
どもとしては人事院の勧告をできる限り尊重して実施すると、こう言っているんですから。
そこで、まさに五十七年度の件については異例の措置なんですね。だから、この措置で代償措置そのものが失われたと、
政府はそれを、代償措置をやらない、こういうことは言ってないので、まさに異例の措置として御了解を願いたい。もちろんこの件については、例の衆議院の議長さんの
見解も、それに対して私は
政府を代表していま言ったようなことをお述べをしておるわけですから、そこはひとつ
政府を御信頼をしていただきたい、かように思います。
-
○勝又武一君 解除するまでなくなりますね。そこだけ答えてください、最後だけ。代償措置はなくなりますね、凍結したままなら。そこだけを答えてください。
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君) 五十七年度は例外の措置でございますから、それによって代償措置がなくなったとは私は理解をしておりません。
-
○勝又武一君 そんなことはないよ。それはだめですよ、いまのは。そんなのは全然違いますよ、いまのは。だめ、だめ。凍結を解除するまではなくなると答えなきゃだめですよ。
人事院総裁も言っているじゃないの。
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君)
人事院総裁はああいうような御
答弁しなきゃそれは私はどうにもならぬと思いますね。しかし、私は人事院の勧告というものは
政府としては尊重をすると、ことしはまさに異例の措置として五十七年度に限って作動をしなかったと、こういうことでございます。
-
○勝又武一君 いや、異例とか何かを
委員長、聞いているんじゃないですよ。代償措置とか代償機能が解除するまではなくなるでしょうと言っているんです。それを答えてください。
-
-
○勝又武一君 いまの何か
日本語がよく聞こえませんでしたけれ
ども、作動とかなんとかしないとか言っていましたが、代償措置はなくなると、凍結解除をしなければね。そういうふうに
官房長官の
答弁をお聞きをいたします。(「そう聞こえなかったんじゃないの」と呼ぶ者あり)聞こえなかったの。そう言ったんだよ。作動しないと言ったんでしょう。
そこで次の問題ですが、ILOについての問題です。このやはりILOの今度の勧告凍結は遺憾である、これは三月四日の
理事会、
政府は当然この勧告を尊重してやるべきではないですか。
-
○
国務大臣(丹羽兵助君) ILOの勧告に対してどう考えているかということをお尋ねくださいましたのでお答えさせていただきますが、本年度の人事院勧告の取り
扱いに関連して関係労働組合の方々が行われたILOに対する申し立てについて、
政府としては、労働基本権
制約の代償措置の一つである人事院勧告は尊重されるべきであるとの従来からの方針に立ちつつも、国家
財政の危機的状況のもとで人事院勧告の実施見送りを決定せざるを得なかったという事情等をILOに対して十分説明してきたのでありまして、ILO結社の自由
委員会は、このような
政府の
見解を十分理解された上で本報告を作成されたものと評価しております。
ILOが指摘しておる、ストライキが
制約され、または禁止される場合には、関係労働者の利益を十分に保護するために適切な代償措置が必要であるとの
原則の
重要性は
政府としても十分理解しております。
政府は、人事院勧告を尊重するという基本方針を堅持しており、今後もこの方針を変える考えはございません。
本年度は、いま申しましたように、
財政が未曾有の危機的な状況となったため、きわめて異例の措置としてやむを得ずその実現を見送り決定いたしたのでございますが、
政府としては今回のような措置を繰り返されることのないよう最善の努力をいたしたいと考えております。
-
○勝又武一君 昨年の暮れですが、十二月二十四日、私は当
予算委員会で
総理にこの問題でも再三お聞きをいたしました。私のこの五十七年度人勧実施について
総理は、引き続いて誠意を持って努力するということを二度
答弁をされました。この誠意ある努力はその後どうなりましたか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) この問題は与野党間におきまして話し合いが進められており、まだ話し合いは続行中であると、こういうふうに私は理解しております。
-
○勝又武一君 私はその十二月二十四日のときにもこのことは重ねて申し上げました。
中曽根総理は
総理・総裁分離論に反対をされてあくまでも総裁に就任をされた。そこで、
総理としての御努力と、各党代表者会議に臨む自民党総裁としての中曽根総裁の努力はどうですかと、こういうことをお聞きをして、その点についても誠意を持って努力をするということをお答えになりました。自民党総裁としての、中曽根総裁としてのその各党代表者会議に対する、当然イニシアをとった、指導力を発揮した御努力をなさるべきでないんですか。誠意ある努力という意味は
日本語では私はそういうように解釈しますけど、私の間違いですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 内閣といたしましては、当時臨時国会におきまして補正
予算を提出いたしまして人事院勧告に関する措置を実はとっておったわけでございます。それに対しまして勝又さんの方から強い抗議的意味における御質問があったわけであります。そこで、内閣はこの方針を変えるわけにまいりませんと、こういうふうにお答えを片方でしております。しかし一方において、政党政治であり国会の仕事でもございますから、片方における国会のいろんな
結論を見守ってまいりたいと思いますと、こういうふうに申し上げたのでございまして、まだ国会の
結論は続いて
検討されておる、そういうふうに考えております。
〔勝又武一君「総裁としてのイニシアはどうなんですか」と述ぶ〕
-
-
○勝又武一君 総裁としてのイニシアはいかがとられましたか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 誠心誠意見守っておるということであります。
それで、自民党には自民党全体の党議がございまして、なかなか党の考えを一総裁の考えでひっくり返すというようなことは、なかなか非力でございまして、必ずしも十分いかない点もあるのでございます。
-
○勝又武一君 この点は引は続き総裁としての御努力を願いたい、重ねて申し上げておきます。
そこで、後藤田
官房長官が衆議院で、二年続けての凍結にならない、そういう
政府としては最善の努力をする、こういう
政府の
見解を表明されておりますが、これは具体的にはどういうことですか。
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君) 八月になれば人事院の勧告が当然ございますから、その勧告が出た段階で、国政全般との関連の中において、特に
財政状況あるいは行
財政の改革、いろんなものとのにらみ合わせの中で、いずれにいたしましても二年連続凍結はしないということはお約束をいたしておりますから、精いっぱいの実施の努力をする、こういうことでございます。
-
○勝又武一君 五十七年度末退職者といいますのは、このままでいきますと退職手当で七十万から九十万程度の損失が生じます。来年度人勧を完全実施しますと本年度の退職者だけの損失になる、これはまさに公平平等の
原則から言っておかしい。こういう救済措置についてはどういうようにお考えになっていますか。
-
○
国務大臣(丹羽兵助君) ただいま先生から、今年度の退職者に対する退職手当について何らかの救済措置を考えてやるべきではないか、講ずべきではないか、こういうお尋ねでございますが、いま
政府の考えておりますることを申し上げますると、過去に人事院勧告が完全に実施されなかった場合にも、退職手当は退職時の俸給月額を基準に計算することとしており、特段の救済をしないのが通例であります。
特に、近年公務員の退職手当が民間と比べて高いという批判がございまするし、特に
昭和五十六年に退職手当を削減し現在はその経過期間中であるにもかかわらず、退職手当支給の
原則を崩してまでも、お気の毒でございますけれ
ども、特例措置を講ずることは好ましくない。以上のような点にかんがみまして、今年度退職される職員については、いま申し上げましたように情においては耐えられませんしまことにお気の毒ではございますが、やむを得ないものと考えております。
-
○勝又武一君 私は退職手当だけやってやれなんていうことを言っているんじゃないですよ。そんなことを質問しているんじゃない。私は当然五十七年度完全実施すべきだと、こういう基本的な主張を繰り返しているわけです。ただ、これは三月二日の衆議院
予算委員会ですか、竹下大蔵大臣が、将来にわたって他の年度の退職者と比べて不利益にならないことを前提とした調整措置をとると言うなら——こういう意味合いのことをおっしゃっていらっしゃいますか、どういう意味ですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 私が衆議院
予算委員会で申し述べましたのは、与野党間の話し合いの経緯を踏まえて、五十七年度中の退職者の年金につきましては、将来にわたって他の年度の退職者と比較して不利益とならないような今後調整措置を講ずることとしたいと、このように申し上げたわけであります。
-
○勝又武一君 年金はやるわけですね。
-
○
国務大臣(竹下登君) 年金は、まあやると申しますか、調整措置をきちんとやると、こういうことでございます。
-
○勝又武一君 そうすると、年金は救済するけど退職手当は救済しないというのも、これもまたずいぶんおかしな話ですよ。将来にわたって他の年度の退職者と比べて不利益にならないと言うなら、当然退職金についてもやるべきでないんですか。予備費は三百億あるし、
政府がやる気になれば、三月の一カ月実施なんていうのは当然やれるし、退職金問題も一挙に解決できる。せめてこのくらいは
政府として当然考えるべきじゃないですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 共済年金は現職公務員の給与水準等の事情を勘案して法律改正によって上がった場合にやるわけでございます。そういう措置を現時点で、まだ将来のベースアップの問題が勧告されていない前に、法律措置をそういう場合には講じますと、こう申し上げておるわけでございます。これはやはり与野党間の話し合い等に基づいた措置であります。
いま一つ、退職手当のことそのものにつきましては、いま総務
長官からお答えがございましたように、民間よりも高い、いわゆる官民格差ということで、たしか国家公務員については、五十七年の十二月三十一日までの人が百分の百十七でございましたか、それからそれ以後の方が百分の百十三でございましたか、それで地方公務員の方は、いろいろ調べてみますと、沖縄、和歌山を除く県は、先生方の異動等があるからでございましょう、三月三十一日までが百分の百十七になっておりました。だから、そういうふうにして、言ってみれば退職手当そのものにつきましては官民格差を是正するという過程にございますので、それと逆行するような措置をとることはいかがかと。こういうふうな措置に対して、では年金はと、こういうことで年金の問題についての救済措置についてお述べをした、こういうことであります。
-
○勝又武一君 重ねて
総理に伺いますけれど、この問題は解決をしていませんね。各党間の代表者会議の方向を
総理は見守ると、こういうことをおっしゃっているわけですし、重ねて私は……
-
-
○勝又武一君 重ねて総裁としての御努力を願いましたので、いまの出ているようなそういう諸問題も含めて、
政府がやろうとすればできることがあるわけですから、最後までの御努力を
総理・総裁としての中曽根総裁にお願いをしたい。強く求めますけれど、決意をお伺いをして私の質問を終わります。
-
-
○
委員長(
土屋義彦君) 以上で勝又武一君の質疑は終了いたしました。
─────────────
-
○
委員長(
土屋義彦君) 次に、大川清幸君の総括質疑を行います。大川君。
-
○大川清幸君 私は
財政改革の見地から何点かについて
総理並びに関係大臣に御質問を申し上げたいと思います。とりわけ、この九日からずっと論議を聞いてきたんですが、
財政問題、経済政策について余り実のある論議ができない体制になっているのはまことに残念だと思います。したがいまして、
財政運営の点に重点を置いて質問をいたしたいと思いますが、それにしても
確認をしておかなきゃならない問題が何点かありますので、初めにその点について一、二お伺いをしておきたいと思います。
そこで、本年の一月に大蔵省が発表なさいましたこの「今後の
財政改革に当たっての基本的考え方」ですね、これと中期試算、このことでいままで論議がありましたが、私は
確認をいたしますが、これを出してしかも五十八年度の
予算案を
政府は
予算委員会に
審議を依頼をしているわけですが、この
昭和五十八年度の
予算というのは中曽根内閣の
財政改革、
財政再建の出発点という
認識でよろしいのかどうかということです、まず第一点。
-
○
国務大臣(竹下登君) この五十五年度を
財政再建の初年度というふうにしたいと、こういう考え方でやってまいりましたが、しかし、国際情勢の推移等からそのときの掲げた目標を達成することができなかったと、したがって、五十八年度
予算編成から一歩を踏み出そうという考え方には間違いございません。
-
○大川清幸君 それでは、五十八年度が中曽根内閣の
財政再建の第一歩、
財政改革の第一歩というか出発点であるという
確認は明確になったと思います。
〔
委員長退席、
理事嶋崎均君着席〕
ところで、重ねて
確認をいたしておきますが、ここ数日来の
財政論議をお聞きいたしまして大変おもしろい表現があるんですが、実は会議録がまだでき上がっていませんから正確には申し上げられないのですが、今後の経済の展望なりあるいは要調整額を埋めていく方法なりについていろいろ御説明がありました。たとえて言うと、より長期的でよりふんわりした、より弾力的で年々修正できる
ガイドラインみたいなものと、これ
総理おっしゃっています。ずいぶんおもしろい説明なんですよ。もう少し行儀よく言い直しますと、経済展望の作成は自由主義的な性格を強め、規制や統制をできるだけ排除していくような方向でやりたいと、こういうことになるんだろうと思うんです。この点は間違いないですね。——首振っているから間違いないでしょう。大蔵大臣もこの中期試算の要調整額の埋め方についても、国会で皆様方と御論議をしながら考えていくとおっしゃるわけですね、これからつくるということですから。そこで
確認を、いままでの
お話になった言葉にほぼ間違いないとすると、それぞれ以上のような趣旨の御
答弁でありますので、現時点で中曽根内閣としては経済政策といいますか、経済を運営していく意思といいますか、羅針盤は持っていませんということでいいですね。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは、私は五十八年度
予算編成をその一歩として位置づけたと、それは何をやったかと、とにかく先ほど来議論がありましたが、一般歳出で五億円という初めてのいわば対前年比減額した
予算を編成をいたしましたと、それから少なくとも——当初
予算ではございません、補正後とはいえ一兆円の公債の減額というものを貫きましたと、これが第一歩でございますと、こう申し上げておるわけであります。
-
○大川清幸君 第一歩です。第一歩だということはさっき
確認したから私もこれは理解をいたします。しかし、いま申し上げたように、スタートラインは決まっているのですがね、これからどうしてどこへ行くかというゴールはありませんね、まだ、全然ね。しかも羅針盤でどっちの方向でどういう手法でやるかということも全くいままでの
答弁でないのですから、政策を持たないということでいいんでしょう。
-
○
国務大臣(竹下登君) 羅針盤、方向は後ろに行くんじゃなく前へ行くようにきちんと定めております。ただ、前へ進むに当たっていかなる手法をとるかと、こういうことはそれこそ国権の最高機関たる国会の議論を通じたりあるいは税調、
財政審そして最終答申をいただいた臨調、そういうようなものの意見を聞きながら具体的な方法についてはこれから
検討をしていこうと、こういうことであります。
-
○大川清幸君 もういろんな論議、この点については余り長くやりたくないのですが、もう一、二点聞いておきますけれ
どもね。何も経済政策、いま現時点では中曽根内閣は持っていないということは、ずっとこれ聞いていただいているので記者の方もよくおわかりになったと思うし、
国民もわかっていると思うんですが、たとえば要調整額自体一つだけ見ても、、五十八年度の
予算案を国会へ出しておいて、これをこうやって出したのですがね。そうするといままでの大蔵大臣や
総理の
お話を聞いていると、これは一体何なんですかね、これ。状況はこうなりますよというのを出したのですが、五十八年度
予算とのかかわり合い、これ一体どういう意義を持っているのですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは
財政改革の考え方、これはきちんとお出ししたわけであります。それに基づいていわばこの中期試算というものを出せと、こうおっしゃった。これにつきましては従来とも
財政収支試算からいわゆる中期展望、そしてことしも皆さん方と国会の議論を通じて要求があって、したがって、われわれは仮定計算ではございますが
審議の手がかり足がかり、われわれも編成に際する
審議の手がかり足がかりといたしましたから、御参考までにごらんくださいませといって御丁重にお出し申し上げたと、こういうことであります。
-
○大川清幸君 それでは
審議の足がかり、参考にしてくださいということですが、先ほどからの御説明と御
答弁聞いていますと、A、B、C三案ありますね。これはこれからいろんなことを聞いて材料を集めてから
検討して積み重ねて
財政運営なり経済政策の案つくるのだとおっしゃるのですけれ
ども、こんなもの——こんなものと言っちゃ失礼かもしれませんけれ
ども、こんなもの、本当にこんなものを出しておいて、先ほど勝又
委員も怒っておられたけれ
ども、もう国会で
予算案を
審議しろというのは失礼な話だと言っていましたが、私、そのとおりだと思うんですよ。だけれ
ども御参考までにと言いますが、それではいつごろまでということ、さっき御
答弁ないのですけれ
ども、一体
財政再建なり赤字公債依存体質脱出を三つ案出しておいて一体どれでやるのか、どの程度にしようと思っているのか、それさえも考えないで大体三通りありますがというので出したのですか、これ。参考とかなんとかって、そういう
態度では失礼過ぎますよ。どうなんです。
-
○
国務大臣(竹下登君) これはたびたび国会でも、特にこの
財政計画を出せと、こういう御議論がございました。したがって、それにつきましては、率直に申しまして、各党の政審関係者の方にわれわれの出し得る
限度はここまでですと何回か議論をいたしまして、実際考えてみるとちょうど大体八年ぐらい議論しておるのであります。だからいいことだと思うんですけれ
ども。
したがって、現段階においてこの御提示し得る、これが御要求に応じて御提示できる限界ですと、こういう御理解のもとにお出ししたわけでございます。それだから評価しようと言っていただけるものとは私も期待をいたしておりませんが、精いっぱいの努力であるというふうに御理解をいただければ幸いであります。
-
○大川清幸君 この論議果てしがないんでね、平行線というか、そういうことになりますので。初めにスタートは
確認ができました、ゴールインは決めてありません。しかも中曽根内閣のその基本の基本というか、大綱の中の一番大事なことは
財政再建、五十八年度第一歩の
財政再建の
予算案を
審議してもらうのに、スタート決めてゴールインも決めてない、方向も決めてないって、こんなひどい話はないんですよ。だから先行きの経済不安、いま不況の中で
国民が心配するんです。
まあ拙速は私も好みませんけれ
ども、
総理のおっしゃっているとおり、財源の裏づけあるいはそういうような材料をきちんとした上で、なるべくならば狂いのない経済政策を打ち立てていただきたいとは思いますけれ
ども、年々これ変更することについても私は決して反対なんかしませんが、手がたい方向で
国民に明るい展望の見える経済政策なり、あるいは赤字体質脱出ができるような案を早急に立ててもらいたいと思うんですよ。このお約束はしていただけるんでしょうね。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは今後の
財政改革に当たっての基本的考え方というものに、五十八年度
予算と今後の
財政改革、いわばここで一歩を踏み出さんとしておりますという姿勢を出したわけであります。そうして
財政改革の進め方につきまして、いわゆる守備
範囲の見直しとか受益負担両面による見直し等に対する姿勢を出してまいりました。そこで、その中で特例公債依存体質の脱却については努力しましたが、とにかくできませんでしたと。したがって、でき得れば数年をめどにその達成を図ることが望ましいが、
財政をめぐる環境はきわめて流動的であるので、引き続き経済についての中長期的展望、指針の
検討ともあわせて具体的な
検討を進めますと、こういうふうに申し上げておるわけであります。
したがって、やはりかつて五十九年というのは脱却の目標であったわけでございますから、私
どももそれは一生懸命
検討をして明示すべきものであるという
認識は決して変わっておりません。
-
○大川清幸君 そこで、三年か五年か七年か、終点をはっきりして物を言いなさいって私は言いませんがね、いま私が聞いているのは、これも余り当てにならないような
お話ししていると当てにならないみたいな感じがするんでもう聞きませんけれ
ども、この
財政再建、
財政改革の
計画みたいな、
計画というか展望ですかね、それはいつごろつくりますか。先ほどそれも何かはっきり言わないんですよ。終点が十年後になるかどうか、それは話は別として、おつくりになるんですか、ならないんですかって聞いているんです。
-
○
国務大臣(竹下登君) いわゆる
財政改革の基本的な考え方というものをお出ししたわけで、その中期試算というものできちんとしたものを、半ば
財政再建
計画としてこれを数字をもって示せと言われますと、従来から議論しておりますようにそのことは困難なことであるというふうに申し上げておるわけであります。
-
○大川清幸君 中曽根内閣が何年これから続くか私も知りませんけれ
ども、赤字、その特例公債脱出の大体スパンぐらいどの程度をめどにするとかということで、それで積み重ねて
計画を出すと。その
計画を発表できるのはいつごろまでにするとかぐらいは言えないんですか。ずっと慎重に考えて、内閣が終わるまで慎重にいっちゃっちゃ困るんですよ。どうなんです。
-
○
国務大臣(竹下登君) だから数年と、こういうことを申し上げておるわけであります。でき得れば数年をめどにその達成を図ることが望ましいと。したがって、今度は経済についての中期的展望、指針の
検討ともあわせて
検討をさしていただきます。
そこで、経済の展望、指針というものは、これは経済企画庁でございますが、それなりにいま作業を進められておる。それができなければできないとかいうものではございませんが、それをも勘案しながらそのめどはつけたいというふうに思っておるわけであります。
-
○大川清幸君 くどいようですが、でき得れば数年をめどに脱出を図りたいと。これわかりますよね。だからこの数年をめどに脱出をするその方向なり手法なり、それについての構想なり考え方も発表する気はないんですか、あるんですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) それで、これはもちろん
予算そのものは単年度主義でございますが、したがって、私
どもといたしましては、それを脱出するための進め方として、歳出面におきましては行
財政の守備
範囲の見直しをやってまいりますと、そして後年度負担についてはこれを極力抑制いたしますと、こういうことを申し上げ、そして臨調、
財政制度
審議会等による各施策についての改革方策——きのうもいただいたわけですが、それの実現に努めますと、これがいわゆる歳出面においての基本的な考え方であります。
そうして、このような努力を背景として歳入面につきましては、この各種公共サービスの確保は
国民の負担により裏づけされるものであるとの基本的な考え方に立って公平、適正な税制のあり方についても今後とも
検討をいたしますと、税外収入についても
検討をいたしてそれを確保に努めますというこの姿勢をまずこの基本的考え方の中に申し上げておるわけであります。
そこで、さればその公平、適正な税制のあり方とは何ぞやと、かくかくしかじかのものですという作業にはいまだ到達していないと、こういうことを申し上げておるわけであります。
-
○大川清幸君 いま大蔵大臣の御説明の経過というか、考え方の説明がありましたが、その考え方にのっとっていつごろまでに基本的な考え方を明らかにするおつもりでしょうか。
総理にお伺いいたします。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは具体的な数値とか、あるいは税目とか、そういうことを申し上げるということになりますと、それは
予算単年度主義のたてまえからいつということは言えないと思うのであります。したがって、やっぱりまずはでき得れば数年をめどにという問題でございますが、それこそ経済についての中長期的展望とか指針とかの
検討とあわせてこれは具体的に進めていく。何年と言えるものが、私はそんなに、そういうめどを示すこと自体に、そう十年もかかってはいかぬとも思いますしですね、が、何月とも言えませんが、しかしそうむちゃくちゃに長いこととは言えないと思うのであります。
-
○大川清幸君 大蔵大臣は基本的なことを、これから
国民も安心してもらわなければならないので経済の指標なり何なりをはっきりある程度してもらわないと困る。発表されたものは——前の渡辺大蔵大臣とさんざんやり合ったのですが、予測なり見通しが多少狂うのはそれはしようかないと私も思っているのですよ。だけれ
ども方向はどうなるかぐらい、スタートが決まっているのに終点はないし、どの道通るのかもわからないじゃ困る。しかもそういう不確かな説明をされたんじゃなおさらこれは
国民は心配ですよ。ですから、数年をめどに脱出するというのは、私はここに説明の中身わかりましたと言うのです、数年をめどに脱するその積み重ねの作業をやって、その時間の予想はどのぐらいで、一年か二年で発表できるのかどうかと聞いているんです。どうなんですか、それは。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは数年をめどに脱出すると、それの数年をいつかと、セブラルイヤーズを確定するのはいつかと、これに若干の時間がかかると思います。しかし、それはもう何年も先にそんなことを言う考えはございません。ただ、その手法につきましては、ここに書いてありますとおり、まず歳出面で制度、施策の根源にさかのぼってやらしてみてくださいと。それをやらしてみていただいた上で、どうしても現行の制度、施策、水準を維持したいというときに初めて
国民の皆さん方に理解と協力と
合意を得ることができるんであって、それはこういうきょうのような問答が何よりも有益な問答であると、こう申しておるのであります。
-
○大川清幸君 要するにいまは、
総理、何も持っていないということですな。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 施政方針演説で私が
財政に触れた
部分もございますし、大蔵大臣及び
経済企画庁長官が本国会におきまして施政方針として申し述べたところもございます。これは五十八年度に関する方針でございます。ただ、五十九年度以降につきましては、ただいま大蔵大臣が申し述べましたように、非常に不確定的要素がございます。いままで御議論になったほかに、私は臨調答申というものも一つ出てまいります。その臨調答申の中には恐らく歳出歳入構造の根本的見直しというような関係のものもあり得る。現に一月の答申の中にそういう要素もありました。そういうような面から臨調答申というものを一つは見て、それによってどういうふうに
財政や行政を改革しなけりゃならぬかというスタンダードが一つ出てまいります。それから、いかに歳出歳入構造を根本的に見直すかという問題をやるにつきましては若干時間がかかります。それからもう一つ大事な点は、いわゆる五カ年
計画というものにつきまして、経済の展望と経済の見積もりという方向に方向転換をしまして、いままでは五カ年であったのを五カ年から十カ年の間ぐらいの間取りにしてくださいと、大体そういう方向で動いております。この経済展望が基礎で、その上に
財政改革の方向が出てくるわけであります。この経済展望と
財政改革は整合性を持ってなければ、これまた皆さん方からおしかりを受けます。そういう意味において、この両方をいかに整合させていくかということから見ましても、いまにわかにこの長期的展望やら方法を確定するというわけにはいかないわけであります。そういうことで、がっちりしたものをつくりたいと思っておりまするので、御了承いただきたいということでございます。
-
○大川清幸君 そのがっちりしたものを発表する時期についても、いまは明確には言えないというか、自信がないというか、また
答弁しづらいんだろうけれ
ども、なかなかむずかしいということですね。そういう理解でいいんですか。
-
-
○大川清幸君 それでは、次の質問に進みます。
最後の繰り延べに関連して何点かお伺いをいたしたいと思います。
御承知のとおり、五十三年度の税収区分の変更ですな、歳入と歳出の時間的なずれがあのときにできちゃって、それが契機で税収見込みの困難性も出てきたし、それからまた近年の不況もこれありということで、私も前回の
予算委員会で指摘をしたように、大蔵省証券の乱発と言うとまた怒るんだろうけれ
ども、大分その大量発行があって、いわば私は
財政の紊乱の一種だというふうに見ているんですが、そういうようなことが背景にあって、五十七年度の
予算のころから、本来その当該年度で国が負担しなければならない分を後年度に繰り延べるような措置をした、そういう措置をしたものが幾つかあると思います。これは種類別に御報告願えますか、どういうものがあるか。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 債務の繰り延べあるいはつけ回しとかという表現は私は適当じゃないんじゃないかと思うんです。
財政負担の平準化としてどういうことをやったかというお尋ねと心得ましてお答え申し上げます。
五十七年度と五十八年に続けてやりましたものが三つございまして、住宅公庫の補給金の一部繰り延べでございます。それから厚生年金の国庫負担金の繰り延べ、それから外航
船舶の利子補給の繰り延べ。一番大きいのは厚生年金の国庫負担金の問題でございまして、国庫負担金をとりあえず四分の一カットすると。将来それを戻すというものでございまして、五十七年度が二千億ぐらいの効果、五十八年度が二千四百億ぐらいの効果がございます。これは実は臨調答申に基づいてやった措置でございます。それから五十八年度に新しくやりましたのが
国民年金の国庫負担金、これはこの
委員会でも何遍か御説明申し上げましたが、
国民年金の国庫負担金が、この老齢福祉年金受給者の趨勢の関係でここしばらくはかなり大きいんでございますが、その先にいきますとずっと減ってまいるというのを平準化しようという措置でございます。これは別途法律改正を御提案申し上げておる次第でございます。これが約三千百八十億ぐらいの効果であろうかと思います。
以上でございます。
-
○大川清幸君 それで、ただいま御報告願ったうちで将来の返済
計画を決めてあるものがありますね、それはどれですか。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 最も明確に決めますものがことし御提案申し上げております
国民年金のことでございまして、これは法律に何年に幾ら返すということをはっきり定めたいと思います。あとは精神というか、考え方を決めておると。たとえば住宅公庫でございますと、六十年から六十六年の間に
予算で定めるところにより補給すると。それから厚生年金でございますと、これは特例適用期間経過後、つまり行革特例法でございますから、それで決めました適用期間の経過後に国の
財政状況を勘案しながら特会への繰り入れその他適切な措置を講ずるというやり方にしてございます。それから外航
船舶の利子補給につきましては、結果的に五十九年から六十六年までの補給額がその分だけふくらんでいくというかっこうになろうかと思います。
-
○大川清幸君 ですから、いま御説明が一部あったのですが、平準化して返すのは決めてあるのは一つだけで、あとは時期を一応規定したみたいなものがあるけれ
ども、それで
財政事情を見て返そうというような言い方ね、これはこれから発生してくる予想のつかない負担じゃないんですよ、はっきりしているんですから。これから
財政再建、
財政改革をやっていこうというときに、こんなツケ回しとかなんとかという言葉は悪いかもしれぬけれ
ども、大蔵省はお嫌いらしいけれ
ども、後送りだし、ツケ回しだし、
国民の負担になるのはいずれ間違いないんですよ。こんなはっきりしているものぐらいは返済
計画をきちんとした方がいいんじゃないの、これ。法律上、政令上規定がないからほうっておいてもいいという問題じゃないんじゃないですか、どうなんです。
-
○
政府委員(
山口光秀君) そういうお考え方もあろうかと思いますが、もっと弾力的に
財政状況を勘案しながら、こういう期間に返すんだということを法律にそういう趣旨で定めましても、これはちゃんとした約束になっておるのじゃないかというふうに思います。
-
○大川清幸君 大蔵大臣、こういうふうに後送りというか、繰り延べをした債務というか、借金ですよ。どうせ国が将来払うんだし、
国民の税金で払わなきゃならないから。これが毎年、これからずっと残っていくんですけれ
ども、その年度の
予算を
審議するときに、
財政改革が大前提になっていながら、新しい借金なり発行された国債の金額はわかるけれ
ども、繰り延べられたり、ツケ回しをされた債務がどのくらいかという実態がわからない形ではまずいと思うんです。返済
計画も何か弾力的にというと、話聞いていると非常に言葉いいんですよね。長期
計画も弾力的にと
総理がおっしゃるんだけれ
ども、よりいいかげんにという意味にもとれちゃうんだね、これ意地悪くとると。御説明をずっと聞いているとそういう感じになるんですよ。ですから、これはひとつ念のために伺いますが、それでは先ほど、平準化して返済をする、あるいは地方交付税の将来一般会計で戻すやつもあるでしょう。それは決まっていますな。だから、返済
計画の決まっているやつと決まってないやつと
扱いが違う根拠は何かあるんですか、ないんですか。どうなんです。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 平準化というようなことで一括して申し上げますからみんな同じでなきゃいかぬという御議論になるわけでございますが、それぞれ、それぞれのアイテムにございます事情に応じてこういう措置を講じていると、その目的は確かに平準化でございますけれ
ども、それぞれの事情に応じてやっているということで処理の方針が違ってまいる。いずれにしましても、事業に差し支えないということが大前提でございますが、そういうことも考えながらやっているわけでございまして、処理の方針が画一的にできないというところは御理解いただきたいと思うわけでございます。
-
○大川清幸君 いや、後年度の返済の仕方なり、これを解消するのを画一的にやれなんて私、全然言っていませんよ。
財政事情を見てやってもらうのは、これは現実的な考え方だから承知します。ただ、残っている後年度負担がはっきりしていて、どうせ
国民の税金で返すんでしょう。それなら返済
計画ぐらい、
財政を見てやれというけれ
ども、これ各会計、こんなことをほうっておくと、ツケ回しというとまた悪いんだけれ
ども、厚生年金だとか
国民年金の特別会計の基本的な問題の、大蔵省の責任じゃないのかもしれぬけれ
ども、それをどうするかという基本的な問題をなおざりにして金のやり繰りをやるようになっちゃって、国鉄と同じように国の
財政も年金も健康保険もみんなだめという
事態になるんですよ。だから、わかっている借金とか後年度負担分ぐらいは
計画をきちんとして、そして
予算委員会で
予算案を
審議するときには実態を明らかにするように資料をそろえるぐらいの心がけはしてもらった方がいいと思うが、どうですか、これ。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 先ほどから申し上げておりますように、まず法律をもって御
審議を仰いでおります。それから毎年度こういうのが新規にどのぐらい発生するかという点については本
委員会にも資料としてお出ししてございます。
-
○大川清幸君 これ先ほ
ども議論がありましたが、これからの国の
財政の行方を見てみますと、六十年度から御承知のように特例公債も返さなきゃならないし、大量の国債の返還等も始まるでしょう。それから、ちょっと見てみても、六十五年あたりのいまわかっているだけで返すことを決めてあるのだけちょっと足しても、これ七千億近くになるでしょう。そのぐらいになるでしょう、これ仮に六十五年度だけ見ても。地方交付税の一般の方でしりぬぐいするやつと、それから住宅金融公庫の補給金の平準化分と入れただけで七千億近くになりませんか。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 中期試算をつくりましたときに六十一年までやっておりますが、その先については試算しておりません。
-
○大川清幸君 試算はしてないんだけれ
ども、返す年度をずっと平準化して決めた金額からいったらそうなるでしょうと言っているんです。金額ははっきりしているじゃないですか。
-
○
政府委員(
山口光秀君) ちょっと手元にすべてをトータルしたものはないわけでございますが、交付税の関係で六十五年を見ますと六千三百億程度かと思います。
-
○大川清幸君 いま、たとえば六十五年で六千三百億、これ地方交付税の特会の借り入れの一般会計肩がわり分ですよ。それから
国民年金の特別会計の国庫負担の繰り入れ分の平準化分で五百十億ぐらいあるかな。そうすると約七千億になるんですよ。だから、C案なんかで一兆円ずつなんといったって、こんな先へ送ったこれだけで約七千億になっちゃうんですよ。だから、将来の返済なんかを、さっき言ったように全部出していただいて、国の借金なり
財政の状態がすっかりわかるようにしていただいて、毎年度の
予算審議をできるようにしていただかないと困るわけ、資料そろえて。しかも、これから先いつ
財政計画あるいは経済政策をどんな方向でどうするのか、スタートだけ決めて行き場所も方向も決めないで論議しろなんて言われたって
予算の
審議なんかできないとさっき勝又先生怒ったのはあたりまえなんですよ。この資料のことについては、今後
予算審議をするときに後送りの分は一覧表かなんかでそろえていただくなり、できますかな。
-
○
政府委員(
山口光秀君) その年に発生いたします分については現在でもお出ししているわけでございますが、将来のこの返還
計画がどうなるか。それは返還
計画が、先ほど申し上げましたように、リジッドに決まっているものも、そうでないものもございますから、リジッドに決まっているものはお出しできる、そのほかのものは年度別にはお出しするのは無理かと思います、それはそういう決め方でございますから。そういう前提でございますれば、お出しできるかと思います。
-
○大川清幸君 大蔵大臣、大体
財政の事情を見てから返すとかという説明があったとおりのものもあるんですけれ
ども、なるべくならばこれは返済
計画をきちんとして努力をするようにした方がいいと思うんですが、返済
計画のあるものとないもの、ないものについてはこれは返済
計画をつくる気は全くありませんか。どうですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これはなかなかいま行き先不透明なときに、新たなる税外収入として今度考えたものについてはなかなかむずかしい点ございます。が、
予算編成の段階等におきましてあるいはおおよそのめどになるような覚書というようなものもやったことございますが、そういう限りにおいて現状を素直に御説明するということについては、私は御
審議いただくための参考資料として御要望に応じてお出しすることはできるというふうに思います。
-
○大川清幸君 なるべく実態がわかるようにしていただいた方が、
財政の状況を見て
財政再建のためにいろいろ有効な意見も聞けるから材料はきちんとそろえて出していただいた方がよろしいですよ。今後ともその努力をお願いいたします。
次に、今度は大蔵省証券の運営について何点かお伺いをいたします。
一般会計の
予算を執行するについて税金の収入と支出の時間的ずれ、先ほど申し上げたとおりですが、五十三年度からできちゃった。ですから、金のやりくりが大変だと思うんですが、見てみますと、これ大蔵省証券の発行
限度額ですが、
予算総則の中に二年置きぐらいに大幅にはね上がっているんですな。この根拠は何ですか。
-
○
政府委員(
加藤隆司君) 本年が七兆八千でございます。
それから、跳び上がっているかどうかでございますが、たとえば五十一年の場合には二兆六千——五十八年七兆八千にいたしました根拠を御説明すると一つの御説明になると思いますが、七兆四千から七兆八千にいたしましたのは二つございまして、昨年七兆四千の
限度額のピークが五月に七兆二千というのがございました。そういうような昨年の、いまの御指摘の歳入と歳出との差額の動き状況、もう一つは昨年の補正後の
予算と本年度の当初
予算の割合、ここいらを当たりをつけますと大体七兆八千、四千億の増で余り大きな増になっておりませんが、そういうふうに、そのときどきの翌年度の状況によって変わってくるわけでございます。必ずしもこの五年間を見ますと、そう跳び上がっているという年は余りないような気がいたしますが、たとえば五十四年が四兆三千で五十五年が五兆三千と、ここは一兆ふえておりますが、そんなところだろうと思います。
-
○大川清幸君 五十三年三兆八千億でしょう。五十八年七兆八千億だから、五十六年五兆四千億だから、これ二兆円もこの二年間でふえちゃっている。この四月の状況を見ると
限度額いっぱいまで出ているからふやしちゃっているんですけれ
ども、それは実績から言えばそういう言いわけできるかもしれませんけれ
ども、じゃ一体この蔵券というのは、
財政法七条で決めてある精神は一体どういうことなんですか。
-
○
政府委員(
山口光秀君)
財政法第七条は、「国は、国庫金の出納上必要があるときは、大蔵省証券を発行し又は
日本銀行から一時借入金をなすことができる。」、二項で、「前項に規定する大蔵省証券及び一時借入金は、当該年度の歳入を以て、これを償還しなければならない。」。つまり年度内の資金繰りのためということになるかと思います。
-
○大川清幸君 年度内の資金繰りのため法律の規定でそうなっている。私もわかりますが、そういうことであるから、この蔵券というのは金融市場に余り影響しない、そういう基本的な精神があって、要するに大蔵省証券というのは中立的な性格であるという解釈でよろしいんだね。要するに年度内で日銀引き受けをして蔵券を発行する、年度内にそれを平準化するということで考えてみれば、蔵券の発行見合いの貨幣というのは吸収されるんだから余り影響は、ほかの国債なり証券とは性格が違うと、そういう解釈でいいんでしょう。
-
○
政府委員(
加藤隆司君) 二つございまして、一つは、
財政のディシプリンの方から申して、当該年度の歳入で返すわけでございますから年度を通じて何らマネーサプライの増にはならないというような感じがあります。ところが、各月を見ますとそうではないので、国の方は収入、支出の差額をどうしても調達せざるを得ない。その場合に蔵券を出して日銀券を集めるわけでございますが、そういうような短期的な場合には短期的な影響が出るわけです。ところが、これは中央銀行の金融政策の方でそういうことを考えて、毎月資金需給過不足というようなことを理財局との間でやっておるわけでございますが、できるだけ短期の攪乱要因を消すような金融政策の方の問題になるわけでございます。
-
○大川清幸君 いまのあなたの
答弁だとやっぱりこれはまずいんだよ、そういう説明は。ところてんじゃないけれ
ども、蔵券を発行し過ぎて押し出されたやつは、その資金を吸収したりするのに影響を受けて日銀が苦労しなければならないという話になるんでしょう。そういう影響が出ないように運営する精神になっているんじゃないの。違うの。
-
○
政府委員(
加藤隆司君) 年度間を通じますとおっしゃるようなことになるわけでございますが、短期的にはそれはしようがないわけでございますね。歳入と歳出との差額があれば調達をしてやらなければならない、それは当然のことだと思います。
-
○大川清幸君 何を言うんだね。それじゃ、いままでの流れを見ると、そういうことを言うと私も怒りたくなるんだよ。従来は当該年度発行の蔵券は同一年度内に償還されていた。五十三年度以降、五十四年を除いて五十六年度まで年々蔵券残高が三月から四月に年度越えをして金額がずっと残っているでしょう。オーバーラップしているでしょう。この理由をもう一回説明してください。しようがないでしょうという言い方ないじゃないか。
-
○
政府委員(
加藤隆司君) 会計年度を通じますと必ず歳入で返されておるわけでございます。それで、出納整理期間というものがございますので、三月三十一日に蔵券の残高がある場合がある。ただ、これはごく最近時に、たとえば五十六年、五十七年にやったわけございまして、通常はないわけでございますけれ
ども、そういう問題でございます。年度を通ずれば中立的と言えばそういう効果であるわけです。
〔
理事嶋崎均君退席、
委員長着席〕
-
○大川清幸君
財政運営上、もう少し大蔵省は金の運営の仕方については考え方をしっかりして厳しくしてもらわなければ困るんですよ。
それで、時間がなくなってきたから細かい説明は省かなければなりませんけれ
ども、五十六年、五十七年度にかけて、はっきりこの表でもしているのは、蔵券が発行されて切れ目がないんですよ。常に巨額な残高がずっと残って推移しています。いま説明のあったとおり、五十七年五月七兆二千億、六月七兆九百三十億ですか、その前が六兆だから、ずっと残っている。見ますと、五十三年から五十五年まで、年度越えのあった年はあるけれ
ども、必ずどこかの月にはゼロの月があったんだけれ
ども、五十六年から五十七年にかけては切れ目がないんだ。残高がずっと残っちゃっている。だから、貨幣供給が連続的に行われる状態は間違いないんですよ。したがって、日銀引き受けが禁止されている国債の引き受けと同じようなパターンで日銀券が発行される形態に陥っていることは間違いないですね。さっきの説明があったとおりでいいですね。
-
○
政府委員(
加藤隆司君) 特殊五十六年現象でございまして、たとえば五十七年度を見ますと、二月の初めと二月の中旬、それから三月初めに蔵券がゼロになっております。それで、長期国債の日銀引き受けとは全く性格が違うわけでございまして、必ず歳入で償還するわけでございます。長期国債の方は長きにわたって返すわけでございます。明らかに機能は違うわけでございます。
-
○大川清幸君 日銀総裁、いまあっちで認めたようなものだからいいですが、念のため、恐縮ですけれ
ども、五十七年の四月と五月——四月が二兆二千六百六十億、五月が二兆六千四百七億、資金過剰が出ていると思いますが、この数字は間違いないでしょうかどうでしょうか、ちょっと参考のために。短期金融市場の四、五月です。もし、おわかりにならなければ結構です。
-
○
参考人(
前川春雄君) ちょっとその御質問の数字を持っておりませんけれ
ども、五十七年の四月、五月に私
どものの保有しております
政府短期証券を売却して、昨年の四月に二兆四千億、五月二兆三千億、合計いたしまして四兆七千億売却しております。
-
○大川清幸君 いままでずっと経過を見ていただけばわかると思うんですが、この蔵券の大量発行と対その多額の残高、そのまま金融へのしわ寄せがずっと生じていることは、いまずっとの経過ではっきりしているわけ。したがいまして、この五十七年の五月、六月に蔵券残高が
限度額いっぱいまで使ったというのはいま説明があったとおり、こういうふうに膨張してきている。すると、資金需給の実績でも、いま日銀総裁もおっしゃっていたように大量の資金過剰というのが発生する。これは金融市場にそれだけやっぱり影響が出てきちゃう。日銀ははみ出しちゃったものをやっぱり吸い上げないと、いろいろ経済的な影響出ちゃうわけだから、これは短期債をどうしても売り出さなきゃならないということで、これは日銀総裁どうでしょうね、金融政策上問題が起こる心配はないでしょうか。どうなんですか。
-
○
参考人(
前川春雄君) 問題の本質は、
財政資金の収支に非常に時期的にアンバランスが出るということであろうというふうに思います。それで、これはある程度はしようがないわけでございますが、
財政の規模が大きくなりまするに応じまして、収支のアンバランスの分がふえつつあるということはございます。それだけではなくて、たとえば
政府がいままで支払いをいたしまするものの資金調達に当たって、資金運用部あるいは国債整理基金が持っておった余裕資金を崩して支払う。そういうことになりますと、それに対応する歳入がそのときに出てこない、あるいは五十七年度も歳入欠陥が実は出ました。その歳入欠陥の後始末がその春には行われない、後になって行われる、補正
予算が組まれるということでございますから、その間どうしても一時的には不足が起きるということが大きな
原因でございます。そういう点につきましては、もちろん余剰資金を吸収いたしまするのは金融の職能でございまするからできるだけのことはいたします。いたしますけれ
ども、やはり金額が大きくなってまいりますれば、売り出し手形、あるいはいま私が申し上げましたような
政府短期証券の売却とか、そういういろいろな方法を使わないと吸収ができないということになりまするので、そういう点では、そういう収支の不均衡が大きくない時代に比べますると、やはり金融的にはいろいろ手を加えなければいけないという段階になってきております。
-
○大川清幸君 やっぱり影響出るんですね。ですから、
財政法第七条で規定している精神から逸脱しているし、蔵券の使い方が、
財政事情がまずいから苦し紛れにあたりまえだって使っているんだけれ
ども、本来は厳しくこれは運営してもらう必要があるんですよ。しようがないという考え方でみんな大蔵省へいらっしゃるようだな。資金繰りだからいいわということですかな、これは。
それで話は別ですが、総裁、蔵券と同じTB全体のことですが、
原則としてほぼ全額近く日銀でお引き受けになる形にいまなっていますね。これは金利その他のことを考えるといろいろ意見があるんだろうと思うんですが、実はこのTBは歯どめがないんですよ、ある意味で。発行というか、日銀がずっと全部引き受けますんでね。ですから、これは市場消化をするような方向が歯どめ論の上から言うとあってもいいんじゃないかと思うんですが、この辺の御意見どうですか、むずかしいですかな。
-
○
参考人(
前川春雄君) 歯どめは、一つは
限度額がございまするので、その
限度額以上は出ないわけでございます。
ただ、いま申し上げましたように、
政府短期証券があるから、まあ金がなければ
政府も払えないわけでございますから、
政府短期証券がその背景にあることは当然でございまするけれ
ども、先ほど
お話がございましたように、やはり
財政資金の収支が余り大きくアンバランスが出ないようにしていただくということをお考えいただくのが第一であろうというふうに思います。そのアンバランスにつきまして、いまの
お話のように
政府短期証券が出ておりまする
部分につきまして私
どもは余剰資金を吸収いたしまするのに
政府短期証券を売却しておるわけでございます。売却するぐらいならば初めから市中で消化されるということがあればその点は若干スムーズにいくという面もあります。ただ、これは金利の
問題等財政負担とかいろいろ問題がございまするので、なかなか一挙にまいらないようでございまするけれ
ども、本来から言えば市中で消化される、そういう需要もあるときは私
どももその市中の売却をしているわけでございまするので、そういう点を考えて将来はいろいろ工夫をこらしていくべきであろうというふうに思っております。
-
○大川清幸君 いま
お話をしたんでおわかりになったと思いますが、蔵券が一応年度を越えるというか、オーバーラップをする、その
原因は何かというと、先ほど初めに言ったように五十三年の五月の税収の取り込み、あのときは苦しいからやっちゃった、その後の状態一体どうなっているかということですよ。これは
財政運営の諸悪の根源ね、この五十三年やったことは。あのときしようがなかったんだと思うんだけれ
ども。五十四年度に蔵券の年度越えがなかったのは、たまたま自然増収があのときあったからだけのことでしょう。毎年度四月から翌年の三月度の年度を前提に収支のバランスというのを従来とってきた。しかも自然増収があったから年度越えの必要がなかった。ところが五十三年度以降本来後年分の税収であるものを前へ取り込んじゃった。ですから税収の方はそれだけ向こうへ先送りされて前で取っちゃうから、次年度からは税収の方ががあんとずれちゃう。しかも二カ月ずれただけじゃなくて、今度は特例公債の方も六月まで発行して操作をするようにした。歳入の方はずっとそういうふうになっちゃった。ところが歳出の方は四月から三月の従来の形でぱんとやっておる。この時間的なずれが五十三年に法律で決めてそういう措置をとったから、しょうがないと言えばしょうがないんですがね。資金繰りの苦しいのは五、六月がどうしても銭が足らなくなって
限度額いっぱい発行せざるを得ない形になっているんですよ。大蔵大臣ね、ここのところを今後の
財政運営上も、税収を前へ戻すか、あるいは歳出の
部分をどっちかへ合わせるかしなきゃならないんですよ。
財政改革だの何だの言ったって、基本的な問題どうします、これ。ほうっておきますか。
-
○
国務大臣(竹下登君) いまおっしゃいますように、
昭和五十三年でございます、
昭和五十三年にああしたいわば全く従来からいたしますならば大転換をいたしましたので、ある意味においてそれがこの年度を越して蔵券の発行額が残っておる一つの要因であるというふうに私も思います。そして次年度からは一応それは平年度化するわけでございますが、そこへもってきて公債発行額が大きくなりますと、いわゆる年度内消化ができなくて、それが五月、ずっとずれて出納閉鎖期間までずれていくということが私はその要因になっていると思いますので、必ずしもいまそういう意味における年度区分を議論するよりも、やはりそういう公債発行というものを年度内消化のできる
範囲内におさめる努力をしていくということが大事じゃないかなと思っております。
-
○大川清幸君 まあ大蔵大臣の
お話を聞けば、その方向で当面は努力をしてもらう以外に方法はないだろうと思うんですが、国家
財政の運営が、地方公共団体から見たらかんかんになって怒りますよ、ずいぶん自治省の年度の指導なんかやかましいんだから。法律でやったからと言って、国の方は法律をつくるところだから、こんないいかげんな操作したんだけれ
ども、
財政運営から言ったら、こんなふざけたやり方ないんですよ。二年も取り込んでおいて、歳出はそのままで、びっこじゃないの。ずっとほうっておく、これ、しょうがないと言えばしょうがない。そういうふうで、行きがかりでしょうがないから、蔵券が
限度額いっぱい出たり、日銀を押し出しておいて、しょうがないからTBも売って金を回収する、あたりまえのことですよというような
答弁をなさるというのは、本当に不謹慎ですよ。
財政運営というよりこれは資金繰り、
財政操作をやっているだけのことで、経済政策も立ってないから、
総理、問題なんだけれ
どもね。これは
総理の時代のお好みの言葉で、家貧しくして孝子出ずという言葉あったはずですよ。
財政の厳しいときに、景気が一番大変なときに
国民に対して、経済運営もそうですが、
財政運営をもっと大蔵省が、あっちもこっちも何か余っているところからかき集めればいいやとか、あれを取り崩せばいいや、向こうへツケ回せばいいやという考え方が基本的にあった上でやっていられたんじゃ困るんです。
財政運営についてはもっと厳しい姿勢で臨んでもらうことと、こんなゆがみをいつか直そうということで考えてもらわなきゃだめですよ。大蔵省の人間としておかしいと思ってないのかね、これどうなんです。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 御承知のように、五十三年度からいわば五月税収を前年度に取り込むという改正を行ったわけでございます。考え方の基本は、税収の所属年度は発生主義によるのがいいんだというので、これは数次にわたってそういう改正を行ってきたわけでございますが、最後の大物でございました三月決算の法人税、これが五月に納付されますので、前年度の歳入とするという制度改正を行ったわけでございます。
その結果、確かに御指摘のように、歳出の支出パターンが従来のとおりでございますとギャップを生ずる、年度内で、という現象を生じたことは、私はそうだと思います。それから、年度越しの蔵券がその結果できたんじゃないか、これもそういう面があろうかと思いますが、ただ五十六年度が大きな年度越しが——年度越しと申しますか、三月から四月にかけて越したという意味でございますけれ
ども、出たということは、五十六年度に三兆円の赤字が出たということからくる問題ではないかと。ですから、いつもああいう大きな年度越しがあるかというと、そうではないんじゃないかと思います。
確かに、御指摘のようにもとの制度に戻したらどうかと、その方が税収の予測もやりやすいじゃないかというような御議論があります。これはただ、法人税収の三割にも及ぶのがこの三月の決算期の法人税収でございますから、これをもとへ戻すというのは、これは言うべくして大変なことでございまして、まず、先ほど来御議論ございますように、特例公債脱却というところから入っていかざるを得ないんじゃないか。はるか先の問題としてあろうかと思いますけれ
ども、御指摘のような点が、現実の問題としては特例公債脱却を目指して最大限の努力をする以外にないんじゃないかと、こう思います。
-
○大川清幸君 総裁、これは資金繰り上事情があって、大蔵省の方がしようがないというのは、状況をよく冷静に見れば私もわからないこともないんですよ。だけれ
ども、TBが押し出されることが四、五月になると始まっちゃうからね。だから、やっぱりこの運営は慎重にしてもらいたいという気持ちはあるんですよ、総裁どうなんですか。
-
○
参考人(
前川春雄君) もし
政府短期証券の発行余力がなければ金が出ないわけでございまするから、そういう収支不均衡ということも起こらないということではございまするけれ
ども、しかし問題の本質はやはり蔵券が出せるから安易に歳出をする、支出をするという面はございます。基本的にはやはり歳入と歳出の大きなアンバランスがないような運営にぜひしていただきたい。どうしても規模が大きくなりますにつれて金利に対する負担がふえてまいりまするので、そういう意味では収支均衡をもう少し図るような運営をしていただきたいという希望は持っております。
-
○大川清幸君
限度額が大きくなったことについてあたりまえみたいな返答がありましたけれ
ども、
山口主計
局長が答えたように、歳入の
予算を手がたくやって、そして歳出の方もきちんと締めて
財政運営、
予算執行がうまくいっていれば、
限度額でっかくする理屈は何もないんだよ。くしくも言ったように、歳入が落ち込んだり、見込みが違ったら——多少違うのはいいけれ
ども、大幅に違って、五十六年度の補正なんかあんなみっともないことやるからこういうことになっちゃう。まあ大蔵省の責任というか、
政府の責任ではあるんだけれ
ども、これは慎重にやってもらいたいと思う。時間がなくなりましたから次へ移ります。
これは資金運用部資金の運用についてです。これを見てますと、五十八年度
予算で将来一般会計が負担する約束で資金運用部にツケ回した、これも嫌いな言葉で済みませんな。それはどういう状況になっていますか、どれとどれですか。
-
○
政府委員(
山口光秀君) いまおっしゃいましたのは交付税の関係じゃないかと思うのでございますが、この交付税の特別会計が資金運用部から金を借りると、それで地方団体に対する交付金を地方
財政に支障のない程度まで大きくするということをやっておるわけでございまして、それじゃその資金運用部に対する借金をどういうふうに返すのか、どう負担するかということなんだろうと思うのでございますが、結局
原則から申しますと、交付税率を動かすなり、あるいは地方行
財政制度を変えるというのが
原則なんでございますけれ
ども、いまの国、地方の
財政状況から直ちにそういうことをやることができませんので、将来の地方
財政の好転をあるいは期待するなり、あるいは地方行
財政制度の基本的な改正というのが行われるまでの間のいわばつなぎ的な措置としてやっている制度でございまして、そういうわけで、こだわるようでございますが、ツケ回しとかそういう話ではないんじゃないかと思うわけでございます。
ただ、数字でございますが、五十八年度に新たに交付税の特別会計が借りました金額は一兆八千九百五十八億円でございまして、従来の国、地方の負担のルールに従いますと、国が負担すべきものが一兆五百二十一億円と相なっておるわけでございます。
-
○大川清幸君 それで、一兆八千九百五十八億と、それから臨特の交付金の二千何十億かもある。それから住宅金融公庫の補給金の七百七十八億、こういうことでしょう。このツケ回しですけれ
ども、嫌がるけれ
ども繰り返しますが、経済高度成長時代、これは資金運用部へのツケ回しというのは悪いかもしれぬが大体公共事業関係だったんですよ。要するに健全な運用をしていたということ。最近はいま言ったように赤字補てんというか、一般会計でもしりぬぐいしなきゃならないような状態の形で使っている。これは私は資金運用部資金の本来の目的から言うとまずいんじゃないかと思いますが、どう考えていますか。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 借りておる方の
立場から申し上げさしていただきます。
特別会計におきまして所要の歳出を歳入で賄うことができないという場合には、本来、制度の趣旨に従いまして歳入歳出を見直してバランスをとるというのはこれは当然のことなんでございますが、そういう改善措置というのは一挙にできればよろしいんでございますが、なかなか一挙にできない。そういう場合に仕事に差し支えないようにするためにどうするか。それを安易に一般会計が負担するというようなことになりますと、これはえらいことになりますし、第一、そういう力はもう一般会計にないわけでございます。そこで、つなぎとして借り入れを行ってその間にバランスの回復に向けて、たとえばその法律をつくるとか、そういう努力を重ねていくのが現実的であろうかと思うわけでございまして、いまのような一般会計の極度に厳しい状況におきましては、資金運用部資金法の許す
範囲におきまして資金運用部資金を活用するということもやむを得ないんじゃないかというわけでございます。
-
○大川清幸君 たとえて言えば、いま話題に上っている地方交付税の不足分なんかは、私も地方財源の不足を補う意味でこういう措置をとらざるを得なかったということはわかりますよ、地方
財政がパンクしちゃ困るから。しかし、基本的に言うと、これ、一般会計というか、
財政の基本的な問題にさかのぼらなきゃ論議にならない問題かもしれませんが、いま言っているように、資金を確実かつ有益な方法というか、有効な方法で使うことが本来の資金運用部資金の運用の精神だと思うんですよ、そうでしょう。
まあ好もしいことではないというみたいな返事があったからやむを得ないと思いますけれ
ども、日銀総裁、これ、TBその他、国庫の中の金繰りでは資金運用部資金と密接な関係があるわけなんですが、こういう形で、不健全と言っていいかどうかわかりませんが、赤字補てんというか、しりぬぐい的なことでこの資金が運用される形についてはいろいろ日銀さんにも影響が出てくると思いますが、これはなるべくやめてもらった方がいい措置ではないかと思うんですが、総裁、御意見どうですか。むずかしいですか。
政府でやることだから。
-
○
参考人(
前川春雄君) 主として
財政当局の
お話であろうと思いまするので、私
どもの方では資金繰りに余り大きな変動が起きないようにということが一番金融面から言うと大きなことでございます。
いま
お話しのようなことが
財政資金の面で大きな不均衡の
原因になるのかどうかということになりますと、必ずしも、その面では同じじゃないかという気もしておりますが、
財政面の方の問題につきましては、私
どもも専門ではございませんので、ちょっとどちらがいいかということの御判断はいたしかねますが、私
どもの
立場から申しますと、金融面から大きな収支不均衡が起きないようにぜひしていただきたいと思います。
-
○
委員長(
土屋義彦君) 日銀総裁、御退席いただきまして結構でございます。ありがとうございました。
-
○大川清幸君 それでは、一つだけ。
しょうがない、しょうがないって、資金操作するのに、やりくりがしょうがないんだというけれ
ども、たとえば住宅金融公庫の補給金、一つだけ、これは赤字補てんの性格が明らかでしょう。一般会計が負担していたものを運用部資金で肩がわりするわけね。これはやっぱり道理に合わないんじゃないかと私は思っているんですが、どうなんです。
-
○
政府委員(
山口光秀君) これもやっぱり平準化措置でございまして、住宅公庫の補給金は、五十五、六年ごろ金利が高水準に推移したということから急に拡大する傾向があったわけでございますけれ
ども、今後、中長期的に見ますと——臨調答申に沿いましていろいろ改善を加えました。たとえば段階金利制の導入というようなことをやってまいりました。そういう構造対策を講じましたので、今後は緩やかな伸びを示していくんじゃないか。そこで、高負担になっております、急増した要補給金額の一部を後年度に繰り延べて、山を崩して谷を埋めるというような一般会計負担平準化の措置を講じたわけでございます。
-
○大川清幸君 平準化の措置を講ずる——まあやりくりでしょうがないといえばしょうがないんですがね。どうして私がこんなことをやかましく繰り返して言うかといいますと、
財政再建、これ大事でしょう。それはやらなきゃならぬことだけれ
ども、それを余り強調して、当面の一般会計の歳出を削らなきゃならない。これも事情わかりますけれ
ども、至上命令だから。
そこで、資金運用部資金の運用に、またいやな言葉だけれ
ども、しわ寄せせざるを得ない。さっきの話じゃないが、蔵券を
限度額までうわあっと発行しなきゃならないと、ところてんじゃないが、資金を回収するように日銀が苦労しなきゃならないと、こういうことになるわけだ。
この財投と国債に対する運用のほかに、資金運用部資金というのは、五年未満の資金の運用として、TBやそれから金融債の運用と一緒に約九兆円前後の一般会計、特別会計の短期運用に向ける金も用意しとかなきゃならないし、それから、その大
部分というものが、何というんですか、さっき言った地方財源の補てんの特別会計の貸し付けとか、それからさっき
お話のありました厚生保険の政管保険の
部分の関連とか、あるいは日雇い健保の赤字の資金、これらの繰り入れに使う、あるいは国有林、その林野事業等に対する貸し出し等を含めますと、何だかんだで大体月平均八兆円ほど用意しとかなきゃならないんですから、多いときは九兆を超えるくらい状況としては用意しとかなきゃならないときがあるわけでしょう。ですから、そういう点から考えると、常に貸出金としての現金化をして用意しとかなきゃならぬわけだ。そういう状況から考えますと、資金がそれだけ固定化している実態というのがはっきりしているわけです。だから、その実情というのをよく考えてみると、資金運用という点から考えた場合に、決して好ましいことじゃない。しようがないということで、さっきから蔵券についてもしようがない、これについてもしようがないというお答えがあったんですけど、これは一つはおかしいということ。やっぱりしようがない、改善の方法がない、やむを得ませんということですか。理屈で言うと、これ好ましいことじゃないんでしょう。大蔵省感覚で言うとしようがないということになるんだな。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 先ほど来申し上げておりますように、平準化ということなんでございます。
およそ
財政運営を行う場合に、平準化ということを考えないわけにいかない。一番端的な例が公債を発行するということなんでございまして、たとえば小さな市町村で庁舎を建てるなら庁舎を建てる。その負担をすべてそのときのじゃ住民の負担にするかというと、やっぱりこれは負担を平準化して、後代の人にも負担してもらう、これが地方債の機能なんでございます。それからまた、積立金という逆のプラスの面の平準化ということも、
財政事情が許せばあり得る。ただ、そういう全体的な
財政全体の平準化の手段を
行使するということのほかに、個々のアイテムにつきましても、平準化ということを考えざるを得ない。それは、実はある一つの年度に何か特別の事業がある。たとえば、参議院の選挙があるというと、二百数十億自治省にその年だけ計上される。翌年はまる落としになるわけで、それはそうかなと思うわけでございますが、数年にわたってそういう臨時的なたとえば支出が続くというようなのは、この数年が過ぎました暁においても、とかく既得権化して、
財政の面から言うと弊害が起きる場合が多いんでございます。ですから、そういう場合にもやっぱり平準化を図るという努力が必要なんで、そのやり方につきまして、この資金運用部のつなぎ融資ということもあるわけでございます、特別会計等では。と申しますのは、
政府の特別会計に対してそういう機能を果たしますのは、結局は一般会計がやれれば一番いいんでございますが、これは安易に流れてしまう、また、力もないということだと、資金運用部しかないわけでございまして、その間に、つなぎの間に健全化への努力がきちんと行われるかどうかということが議論の本質かと思うのでございまして、そのいい例は、先ほどちょっとおっしゃいましたが、政管健保の勘定でございますね。これは四十八年以前の分はまだでございますが、その後生じました赤字につきましては、その後の努力、医療費節約の努力とか、あるいは保険料を上げるという努力を通じましてほとんど解消されてきたといういい例がございますわけでございまして、そういうふうに運用してまいりたいと思うわけでございます。
-
○大川清幸君 それは私もそこのところがねらいなんで、いまの私が言ったことを逆に言えば、こういう資金繰りが可能だから、要するに、地方
財政のことも、あなたさっきみずからおっしゃったように、一番あなたが反対して抑えている御当人がそう言うんだから希望が持てるかな、地方交付税率なんか上げることについては。それから健保や国有林野業のあの問題だって、全部それぞれ基本的に解決しなきゃならない問題をみんな抱えているんだよ。金繰りでやっておいて、基本的に抜本的に始末しなきゃならないのを後送りにすることがけしからぬとぼくは言っているわけです。だから、資金繰りのところをもっと厳格にやってもらうし、各事業別に洗い出すことは臨調からも答申があったんでしょうから、こういうこともきちんとやってもらわないと
財政再建できないんです。本質を見失わないように、資金繰りができるからいいわということでやってもらっては困るというふうに申し上げているんで、ここのところはきちんとできますか、どうですか。
-
○
政府委員(
山口光秀君) 資金運用部は安易に貸し出しに応ずるということはございません。
-
○
国務大臣(竹下登君) もとより資金運用部資金というものは、その法律に示されるごとき運用を本来やるべきものであります。ただ、政策需要に、
国民のニーズに対応するために、いわゆる財投資金というものが、それなりの政策効果をあらわすために機能したという事実はございます。しかし、それを踏まえての御質問でございますから、本来やっぱり
財政再建をして、いわゆる一般的に言われる歳入歳出の均衡化の中で政策運営がなされることが好ましい、こういうふうに考えます。
-
○大川清幸君 最後に
総理にお伺いをいたします。
先ほどから、私限られた時間の中で主に
財政問題について幾つか、何点かただしてまいりまして、基本的な
財政政策……
-
-
○大川清幸君 等についても、いま何にもないということの
確認もできたといっても言い過ぎではないと思うのです。外交、
防衛では内閣成立以来、かなり、突出という言葉がいいかどうか知らないが、イニシアを発揮して
総理は行動されたんですよ。経済についてはいつ方針立てて、いつはっきりするのですか。イニシアいつ発揮なさるのですか。これだけお答え願いましょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 大川さんが、いま応答を聞いておりますと、
政府はややもすれば便宜主義に走って、その場しのぎのような印象を与えることを一々お詰めになったのを、非常に敬意を表する次第でございます。確かに
財政をしっかりやっていくためには、そういうところをぴちっぴちっと詰めていかなければ
財政改革はできないと思って拝聴しておりました。
それから、
財政政策等につきましては臨調答申もいただきましたので、
予算が上がりましたら精力的に詰めまして、できるだけ早く見通しをつくってまいりたいと思っております。
-
○
委員長(
土屋義彦君) 以上で大川清幸君の質疑は終了いたしました。
明日は午前十時に
委員会を開会することとし、本日はこれにて散会します。
午後六時四分散会