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1983-05-25 第98回国会 参議院 本会議 第17号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十八年五月二十五日(水曜日) 午前十時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第十七号 ─────────────
昭和
五十八年五月二十五日 午前十時 本
会議
───────────── 第一
内閣総理大臣中曽根康弘
君
問責決議案
(
瀬谷英行
君
発議
)(
委員会審査省略要求事件
)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件
議事日程
のとおり ─────・─────
徳永正利
1
○
議長
(
徳永正利
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
内閣総理大臣中曽根康弘
君
問責決議案
(
瀬谷英行
君
発議
)(
委員会審査省略要求事件
)
本案
は、
発議者要求
のとおり
委員会審査
を省略し、これを
議題
とすることに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
徳永正利
2
○
議長
(
徳永正利
君) 御
異議
ないと認めます。 よって、
本案
を
議題
といたします。 まず、
発議者
の
趣旨説明
を求めます。
瀬谷英行
君。 〔
瀬谷英行
君
登壇
、
拍手
〕
瀬谷英行
3
○
瀬谷英行
君 私は、
日本社会党
を代表いたしまして、ただいま
議題
となりました
内閣総理大臣中曽根康弘
君
問責決議案
の
提案理由
を
説明
いたします。 最初に、
問責決議案
の主文を読み上げます。
内閣総理大臣中曽根康弘
君
問責決議案
本院は、
内閣総理大臣中曽根康弘
君を
問責
する。 右
決議
する。
理由
一、
中曽根総理大臣
は、
国会
において「私は
改憲論者
である」と
発言
し、「
タブー
に挑戦する」、「戦後
政治
の総決算の時」などと言って国務大臣の
憲法順守義務
をないがしろにし、
自民党総裁
として
憲法改正
の運動と
準備作業
を推進させている。また、一月
訪米
に際して「
日米運命共同体
」論を唱え、「
日本列島
不
沈空母
」化を説き、三
海峡封鎖作戦
について公言するなど、
憲法
の
精神
を蹂躙する多くの
言動
を重ね、
施策
のなかで、具体的に展開しようとしている。このような
政治姿勢
の
総理大臣
に率いられる
中曽根内閣
に対して、とうてい信を置くことはできない。 一、今
国会
の最
重要課題
の
一つ
は、
政治倫理
を
確立
し、
国民
の
政治不信
を解消することである。しかるに
中曽根内閣
は、法務大臣・
官房長官等
の
重要閣僚
が
ロッキード事件
の
裁判批判
、
検察批判
とも受けとれる
発言
をくり返し、また
中曽根総理
は
自由民主党
の
総裁
として
衆議院
における
佐藤孝行
、
田中角榮
両
被告議員
に対する
議員辞職勧告決議案
の取扱いについて、その
審議
を引きのばし
討論採決
を拒む
自由民主党
の
暴挙
を容認し、
ロッキード事件
の
政治
的、
道義的責任
を追及する道を封じようとしている。これは、
内閣総理大臣
の犯罪であり、
日本
の
政治史上
消すことのできない
汚点
である
ロッキード疑獄
の
政治
的、
道義的責任
を明らかにすることを妨げ、
国民
の
政治不信
を一層深めるものであって、厳しく糾弾しなければならない。 一、
中曽根内閣
は、国権の
最高機関
である
国会
の
決議
に背き、
憲法違反
の
軍拡政策
を進めている。
中曽根内閣
は、
核兵器搭載
の疑いがある
米国艦艇
・
航空機等
の我が国への立入りを容認しているばかりでなく、
武器技術
の対
米供与
を推進している。これは
憲法
と同時に、国是である
非核
三
原則
、
武器輸出
三
原則
に
違反
する
暴挙
であり、
軍縮
を目指す
国際世論
に背を向けるものであって、断じて許すことができない。 一、
中曽根内閣
は、本
年度予算
の
編成
に当たって
防衛関係予算
を異常に突出させ、
社会保障
、医療、
教育等
、
国民生活
に直結する
予算
をその
犠牲
にした。また、前
内閣
の
人事院勧告無視
の
態度
を改めようとせず、
福祉
諸手当や
年金等
にこれを連動させ、
福祉切捨て
を図ってきたことは断じて容認できない。 これが
中曽根内閣総理大臣
を
問責
する
理由
である。 次に、
問責決議案提案
の
趣旨
について
説明
をいたします。
中曽根総理大臣
は、組閣以来今日に至るまで、戦後の
歴代総理大臣
のだれよりも露骨に
軍事大国
への道のりを進もうとしております。
アメリカ国民
がどこまで
レーガン大統領
の
積極的軍備拡張政策
を支持するか予測をすることはできませんが、いやしくも
日本
の
総理大臣
が、いかに強い
米国
の要請があったとしても、節度を超え、先走って
レーガン政権
に傾斜をすることは厳に戒めなければならないところであります。
中曽根総理
は、新年早々
アメリカ
に飛び、先ごろは
ASEAN諸国
を歴訪いたしました。
アメリカ訪問
の際は
武者人形
のようにたけだけしく、その勇ましい
発言
の数々は
帝国海軍軍人
の再現を錯覚させるほどでした。
ASEAN諸国
を歴訪したときは、打って変わって、ひな人形のように優雅に振る舞い、鮮やかに変身して、
日本
は決して
軍事大国
にはならないことを強調されました。 しかし、
中曽根総理
が
日本列島
を不
沈空母
になぞらえ、
日本
を盾として、有事の際の三
海峡封鎖
を公言し、一千海里
シーレーン
の
防衛
に至るまで手を広げることを天下に表明したことをわれわれは忘れていないし、
ASEAN諸国
が知らないはずはないのであります。何はともかく、訪問する
相手国
によって色合いの全然違う
発言
をされることは、
国際信義
の上からも好ましくありません。これでは風見鶏ではなく七面鳥であります。 この
国会
の中で、
中曽根総理
みずから、
憲法論議
に
タブー
があってはならない、評価すべきは評価をするが、
憲法
は常に勉強し、
検討
を加え、
見直し
ていくことが好ましいと述べております。ところが、どこを
見直し
、何を勉強すればよいのかと問われれば、一切答えようとしませんでした。
タブー
があってはならないと言いながら、肝心の要点はみずから
タブー
の煙幕を張って
国民
をはぐらかしております。もし
国民
に対して何もはばかるところがなければ、いかなる
理由
で何を見直すべきかを明言できないはずはないのであります。 それを明言できないのは、
軍事大国
への障害が
現行憲法
の第九条であり、
総理
の
真意
が実は何よりも第九条を
中心
とする
平和条項
の
見直し
にあるからではないでしょうか。
日本列島
不
沈空母
を初めとする
一連
の
総理発言
は、その
真意
が
日本
の
戦時体制
の着実な推進にあることを示しており、眼中すでに
憲法
なく、このまま推移すれば、一億
国民
がブレーキのきかない車で山道を走る思いを忍ばなければなりません。信をおくことのできない第一の
理由
であります。 次に、今
国会
で何よりも先にはっきりさせなければならなかったことは、
政治倫理
を
確立
して
国民
の
政治
に対する
信頼感
を回復することであったはずであります。
ロッキード裁判
が長期にわたりなお決着を見ないのは残念でありますが、
被告側
の周到かつ綿密な
訴訟戦術
の展開によっていかに
裁判そのもの
が長引いたとしても、
国民
は決して
ロッキード事件
を簡単に忘れ去るものではありません。いわんや、
事件
がシロで、金銭の授受もなく、
汚職
はもともと存在しなかったなどという話を信ずる者はいないと思います。その裁きの結論ももはや時間の問題でしかないのであります。
国民
の注目を集めたこの
事件
も、ここまで来れば、
政府
はもちろん
国会
としても、
国民
の前に
政治
的、
道義的責任
のけじめを明らかにするための必要な
措置
を講ずる
義務
があると信ずるものであります。 にもかかわらず、
政府
も
与党
も
態度
きわめてあいまいのまま終始し、時としては
閣僚
の中から
田中被告
を弁護するための
援護射撃
と受け取れる
言葉
が何のため
らい
もなく発せられるに至っては、驚くほかありません。しかも
中曽根総理
は、そのような
閣僚
の
発言
をことごとく黙認し、
日本
の
政治史上
に大きな
汚点
を残したこの
事件
についても一切口をぬぐい、
政治
的、
道義的責任
を
国民
の前に明らかにすることを事実上かたく拒否しております。こんなことで、
国民
の疑惑を一掃し、
政治不信
を解消することができるでしょうか。
政治
の
最高責任者
がこのような
態度
では、青少年の非行を云々する資格なしと言わざるを得ません。
政治倫理
の
確立
という
基本
的な問題に対し、私情を差し挟んで、
国民
に対する
信義
をなおざりにするという無
責任
な
政治姿勢
は絶対に許すことのできないところであります。第二の
問責理由
であります。 次に、
中曽根内閣
は、
国会決議
に対し勝手な
解釈
を下し、
非核
三
原則
、
武器輸出
三
原則等
を骨抜きにして、
憲法
を空文化しようとしております。
アメリカ海軍
に所属する
世界最大
の
原子力航空母艦
、八万トンクラスのカールビンソン、エンタープライズや
原子力潜水艦等
が、丸腰で走り、
核兵器
を搭載していないというようなことは常識で考えられないことであります。この種の
艦船
の
日本寄港
やF16の
三沢配備
を認め、
武器技術
から、なし崩しに
武器輸出
三
原則
を形骸化していこうとするね
らい
は一体何なのか。
総理
みずからが
発言
をした
憲法見直し論
と、もくろみが全く一致をすることを改めて思い知らされるのであります。
中曽根総理
は、火中のクリを頼まれもしないうちから進んで拾いに行こうとしていると見られても、いたし方ないのではないでしょうか。
国会決議
のたがを勝手に緩めることがどんな危険を招くことになるかを真剣に考えるべきであります。元来、
国会
の
決議
や
憲法
の
解釈
は、時の
内閣
の
都合
で勝手に拡大したり曲げたりできるものではありません。
中曽根内閣
はやってはならないことをあえて強行しました。許しがたい
理由
の第三点であります。
最後
に、
内政
の問題に触れたいと思います。 本
年度予算
の
特色
が、
福祉
を
犠牲
にして
軍事
を優先した
防衛費突出予算
であることは周知の事実であります。戦前から、
軍事費
が増大すればそれだけ
内政
が圧迫される結果になることは、当然の成り行きだったのであります。本
年度予算
でも
人事院勧告
が凍結され、
公務員給与
が
犠牲
のやり玉に上がりました。事は
公務員
のみにとどまらず、全
勤労者
の賃金を抑える有力な口実になり、
年金等
に連動し、弱い者が結局重いしわ寄せを受ける結果となりました。また、
不公平税制
の是正や
国民
の待望久しかった減税問題についても、回答を渋り、
最後
まで逃げの
姿勢
に終始しました。
内政
、
外交
ことごとくが厳しい
批判
にさらされた中で、
中曽根総理
は
行革
に退路を求めたかに見えました。
行革三昧
などというきざな
言葉
も出ましたが、
中曽根内閣
の
行革
なるものが、
世間
を欺くとんだ食わせものであることを改めて指摘しなければなりません。
行革
の原点となった第二
臨調
がそもそも
財界主導
であって、決して民主的な人選、
運営
が行われたわけではないことは、いまや隠れもないところであります。
臨調答申
が、身のほどをわきまえず、
憲法
や立法府の
頭越し
に
政治
の分野に立ち入り、
政府
と
財界
の癒着に大きな
役割り
を果たしたことは見逃すことができません。非公開のまま、
議事録
も公にせず、重要な問題を一方的に決め、
国会
に追認させるような方法は
議会制民主主義
を形骸化するおそれがあり、断じて許すことはできないのであります。 果たせるかな、
答申内容
には不可解な点多く、
補助金
の
整理等
大きな問題にはほとんど触れず、
枝葉末節
に走ってお茶を濁しております。
中曽根総理
は再三にわたり
臨調答申
を最大限
尊重
すると言明しましたが、
内容
のない
答申
を
尊重
したり、実行したりすることは不可能であります。
国民
の期待するところには冷淡に答えることなく
責任
を回避して、問題をいたずらに先送りしました。それに反して危険な
火遊び
には異常な熱意を示す
中曽根内閣
を、これ以上黙って見ていることはできません。特に
総理
の
政治姿勢
を厳しく糾弾して、
趣旨説明
を終わります。(
拍手
) ─────────────
徳永正利
4
○
議長
(
徳永正利
君)
本案
に対し、
討論
の通告がございます。順次
発言
を許します。
大島友治
君。 〔
大島友治
君
登壇
、
拍手
〕
大島友治
5
○
大島友治
君 私は、
自由民主党
・
自由国民会議
を代表して、ただいま上程されました
内閣総理大臣中曽根康弘
君
問責決議案
に対し、断固
反対
の意見を表明いたすものであります。
反対
の第一の
理由
は、何がゆえに本
決議案
を
提出
したのか、
趣旨
、
目的
、
理由
がきわめて不明確である点であります。 およそ本院における
総理大臣
の
問責決議案
は、これを
提出
いたすには、
国民
がひとしく理解し、納得する重大な
政治的理由
がそこになければなりません。しかしながら、ただいま
提案者
よりその
趣旨説明
を承ったわけでありますが、
中曽根内閣
を真に
問責
するに値するほどの
政治的理由
ありと判断するにはほど遠い
内容
のものでありまして、
提案者
の
真意
は那辺にありやと疑問を持つものであります。
会期最終日
を明日に控え、
国民
の審判を仰ぐ
参議院選挙
が目睫の間に追っているこの時期に、突如として
理由
なき本
決議案
を
提出
するがごときは全く
党利党略
以外の何物でもなく、良識の府としての本院の権威を失墜させるものであります。
反対
の第二の
理由
は、本
決議案
の
提出
が一
党単独
ということであります。 およそ
内閣
を
問責
するからには、そこには与
野党
の激しい対立の場があるのがこれまでの通例でありました。しかるに、
今期通常国会
を振り返って、これまでかような例は一度もなかったではないでしょうか。
今期国会
ほど
各党各派
がきわめて協調し、円滑な
議会運営
が図られた例は少ないのであります。
衆議院送付
の閣法は本日までに全部成立し、残る
議員立法
の
有線ラジオ放送業務
の
運用
の規正に関する
法律等
の
改正案
も
最終日
に可決される見通しにあるのであります。 特に、
今期国会
の
特色
は、
国民
の負託にこたえて
重要政策
が中長期の
総合的展望
に立った
審議
ができるよう、与
野党
一致して
選挙
後の
国会
から
調査特別委員会制度
を導入する新しい
参議院
の改革が図られたことであります。このように
各党各派
が今
国会
ほど真摯な
立場
で
協力
して実り多き成果を上げたことはありません。 本院において本
会議
に上程された
総理問責決議案
は過去三回例がありますが、いずれも
野党各派
の
共同提案
に係るものであるということは、
野党各派
に共通した受けとめ方があったからでありましょう。しかるに今回は、
野党
一党のみの
提出
によるもので、本議場に公明党、
民社党等
が加わらないということは、一体どういうことでありましょうか。 すでに昨日
衆議院
で
内閣不信任案
が否決され、法的には何ら拘束されない本
決議案
とは申せ、
政治
的に大きな意味を持つ
本案
が一党のみの
政治目的
のために
提出
されたことは、
議会政治
を全く私物化するものでありまして、断じて承服できるものではありません。
反対
の第三の
理由
は、
中曽根内閣
に対する
政治姿勢
の
認識
の違いであります。 その第一は、
憲法
問題であります。
憲法
第九十六条に
改憲規定
があるからには、
憲法
は不磨の大典ではありません。多くの
国民
より強い要望があれば、必要に応じこれを見直す
検討
は全く自由であるはずであります。
総理
は
改憲
を
政治日程
にのせないと言明し、
内閣
として
憲法
の
尊重擁護
の
義務
を忠実に果たしているのでありまして、非難すべき
理由
はございません。今回の
参議院選挙
におけるわが党の公約においても
憲法
問題には一切触れていないことを見れば、いまわが党が
改憲
を意図するものでないことは、十分御理解いただけるはずであります。 続いて、
総理
の
訪米
における
発言
問題でありますが、
わが国外交
の基軸が
米国
との
友好関係
の
確立
にあることは申すまでもないことであります。
日米安保条約
に基づいて、
わが国
が
自分
の国は
自分
で守るという
姿勢
を表明することは、今日の
国際軍事情勢
を厳しく受けとめ、西側の一員として、
同盟国
、パートナーとして強い
連帯関係
を持ち、
運命
をともにすることは当然のことではないでしょうか。 次は、
政治倫理
の問題であります。 わが党は、この問題は
政治
の
基本
に係る問題として
認識
し、三年前の
臨時党大会
において
党倫理憲章
を決定して、全党員がこれを
尊重
し、厳しい
政治倫理
に徹して、公正な
責任政治
の
確立
に努めているところであります。
提案者
は、
衆議院議員
の
辞職勧告決議案
に触れておられますが、そもそもこれは
国会マター
の問題であって、
総理
の
姿勢
とは
関係
ないことであります。仮に一歩譲って
政府与党
一体という
立場
をとるならば、
自民党総裁問責決議案
として
提出
し直してはいかがなものでございましょうか。ましてや、本院に属さない他
院議員
の身分に関する件については余り干渉なさらない方がベターと考えますが、この点いかがでございましょうか。
提案者側
もお急ぎになられて
衆参同文
の
決議案
をお出しになったようでありますが、多少なりともここに細工があった方がよかったかと存じますが、これまたいかがなものでございましょうか。 次は、
武器輸出
三
原則
の
違反
があるとの指摘でありますが、
わが国
の
防衛力整備
は、
憲法
及び
基本的防衛政策
に基づいて、
非核
三
原則
を守り、専守
防衛
の
精神
を貫いており、
提案者
の言う
憲法違反
の
軍拡政策
を進めているとの
批判
は全く当たりません。
武器技術供与
の問題は、
日米安保体制
の
効果的運用
を確保する上から、
日米相互防衛援助規定
の
関連規定
に基づく枠組みのもとで実施するものでありまして、
憲法
の
平和精神
に反するものでなく、
国会決議
、
武器輸出
三
原則
に何ら抵触するものではありません。われわれは、
武器技術供与
の道を開くことにより、
わが国
及び極東の平和と安全に大きく寄与することを信ずるものであります。
最後
は、
予算編成
の問題でありますが、今回の
予算
は過去に例を見ない
マイナスシーリング
を採用し、徹底した
削減合理化
を行い、
一般歳出
の
伸び率
は
昭和
三十
年度
以来の
抑制予算
となったのであります。しかも、厳しい財源の中でも、真に国家にとって重要な
施策
、たとえば
経済協力
、エネルギー、
防衛
には格段の
措置
を講じておりますほか、
社会保障
、文教、
中小企業等
に対してもきめ細かい
配慮
をいたしております。
防衛予算
の
伸び率
六・五%について
異常突出
と申されておりますが、
防衛予算
二兆七千五百四十二億円は、
社会保障費
九兆一千三百九十八億円の三分の一以下であり、対GNPの
国際比較
を見ても、
ソ連
は約一五%、
アメリカ
は六・一%、イギリスは五・四%、西ドイツ四・三%であるのに対し、
わが国
は〇・九八%であります。一方、
社会保障
の中でも
社会福祉費
は二千億円、一一・五%と
大幅増額
をいたしまして、
各種福祉
の
給付水準
の維持や
在宅福祉
の拡充など、社会的に弱い
立場
の方々に対する真に必要な
福祉
については手厚い
配慮
をいたしておるのでありまして、
福祉切り捨て
というがごときは事実不
認識
もはなはだしいと言わなければならないのであります。 いま、
行革
は天の声であります。
人事院勧告実施
の見送りについては、
公務員
が
国民
の公僕として、この際率先して痛みを分かち合うことは当然のことではないでしょうか。官公労の
組織労働者側
から見るのではなく、広く全
国民的立場
から物事を判断願いたいのであります。 以上、総じて今回の
問責決議案
は全く
問責
に値しない理不尽な悪例を残す以外の何物でもなく、かかる時期にかかる
内容
の
ひとり相撲
で、
中曽根内閣批判
の
世論喚起
が起こるほど現下の
政治情勢
はなまやさしいものではありません。私は、
最後
に、
中曽根内閣
のたくましい前進を期待いたしまして、本
決議案
に対する
反対討論
を終わります。(
拍手
)
徳永正利
6
○
議長
(
徳永正利
君)
広田幸一
君。 〔
広田幸一
君
登壇
、
拍手
〕
広田幸一
7
○
広田幸一
君 私は、
日本社会党
を代表して、ただいま提案されました
中曽根総理大臣
に対する
問責決議案
に賛成する
立場
から
討論
を行うものであります。
決議案
に賛成する最も大きな
理由
は、
中曽根総理
が、
平和主義
、
民主主義
、
基本的人権
の
尊重
を定めた
わが国憲法
をじゅうりんしようとするきわめて危険な
政治姿勢
が明らかになったからであります。
憲法
九十九条に規定された
憲法尊重擁護
の
義務
を無視して、
中曽根総理
はみずから
改憲論者
だと宣言し、
憲法改悪
をねらっているのであります。しかも
総理
は、「
憲法論議
に
タブー
を設けてはならない。常に
検討
を加え、
見直し
を行うべきだ」と再三述べられながら、本院での、何を
見直し
、
検討
を加えるのかという具体的な質問には、
総理大臣
の
立場
では影響するところが大きいとの
理由
で、貝のように口をつぐんで答えませんでした。 このことは、
総理
の持論である再
軍備
など、聞かれて
都合
が悪いことは
憲法論議
を回避する
タブー
をつくり出すもので、
言行不一致
の
政治姿勢
であると同時に、同じ
総理
の
立場
で
憲法改正論者
と宣言してはばからないことは、
世間
に悪影響がないとお考えかどうか。全くの
矛盾撞着
であると指摘せざるを得ないのであります。 戦後三十八年、この間
世界
の至るところで
局地的戦乱紛争
が繰り返され、罪も
責任
もない多くの民衆が
犠牲
をこうむったのであります。しかし、幸いにして
わが国
は
戦争
と絶縁した結果、一人の青年の血も流すことなく、一軒の家も焼かれることなく、平和に生活することができました。加えて、
民生中心
の
産業構造
、勤勉な
国民
の努力によって、
世界有数
の
経済大国
を築き上げることもできました。 こうした恵まれた戦後
体制
の構築は、
世界
に本当に誇り得る、
戦争
を永久に放棄した
平和憲法
を大多数の
国民
の
協力
によって大切に守ってきたからではないでしょうか。
中曽根総理
の
憲法改正論
は全くの的外れであり、
わが国
の平和と安全、
国民生活
を根底から覆す大変危険な考え方であるとともに、
憲法
第九十九条に
違反
するものであって、とうてい容認することができないのであります。 賛成の第二の
理由
は、
憲法違反
の
軍拡路線
を推進している
中曽根総理
の
政治姿勢
に対してであります。
中曽根総理
は、一月の
訪米
で「
日米運命共同体
」を唱え、
レーガン米大統領
の
積極的軍拡競争
の片棒を担ぐことを約束し、「
日本列島
不
沈空母
」や「三
海峡封鎖
・
シーレーン防衛作戦
」を言明するなど、
総理
の
一連
の
言動
は、
核戦争
の危険が
現実的脅威
となっている今日、大変危険な
火遊び
であり、あすの
日本
を破滅に引きずり込むことが憂慮されるのであります。
歴代保守党政府
が
米国
の圧力に抗しながらも
自衛隊
の
活動
をできるだけ限定的に
解釈
、
運用
してきたその
規範破り
を、意図的、積極的に
中曽根内閣
は行おうとしておるのであります。 本
院予算委員会
で、
シーレーン防衛
を従来のラインから海面ないしは
海域防衛
に拡大したのを手始めに、「
米国艦船
が
日本周辺
から
ソ連基地攻撃
に向かう場合
自衛隊
の護衛を認める」とか、「
防衛
に役立つなら
自衛隊
が核を搭載している
米艦船
を公海上で守ることもあり得る」、こういったように
個別的自衛権
の
範囲
を逸脱して
集団自衛権
に踏み込むべく、外務省、
防衛
庁は意図的に
自衛隊
の
活動範囲
をエスカレートさせておるのであります。 さらに、五十八
年度予算
では対前
年度
比六・五%の
防衛費増
という
聖域扱い
をしたのを初め、五六中業の達成のため五十九
年度
以降は毎
年度
一〇%から一二%の
伸び
をもくろむなど、危険きわまりない
軍拡
、
タカ派的路線
を指向しておるのであります。
米国向け
の
軍拡協力
の
姿勢
を、先ごろの
ASEAN諸国訪問
では「
軍事大国
にはならない」などの耳ざわりのいい
言葉
を乱発して、
東南アジア諸国
の
中曽根軍拡路線
への警戒と
批判
をかわそうといたしましたけれども、口先だけでアジアの人々に幻想を与えても、
総理
が実際実行している
政策
を変えない限り、必ずメッキははげ落ちて、
わが国
は信用を失い、
日本
の将来に禍根を残す危険があります。 さらに、五月二十日、
中曽根内閣
の
経済
五
原則
の中で
軍縮
を提案していますけれども、全くそらぞらしいとしか言いようがありません。こうした二枚舌で
軍拡
を推し進める
中曽根総理
の
政策
を許すわけにはいかないのであります。
決議案
に賛成する第三の
理由
は、
政治不信
を増幅させて恥じない
総理
の
態度
であります。 今
国会
の最重要な
政治課題
の
一つ
は、
政治倫理
の
確立
を図り、
国民
の
政治不信
を解消することであります。しかるに
中曽根内閣
は、
ロッキード疑獄
の
政治
的、
道義的責任
を明らかにすることを妨害をし、
政治不信
を増大させております。
田中
元
総理
が
汚職収賄
の罪で懲役五年の求刑を受け、
日本
の
政治史上
消すことのできない
汚点
を残し、国政の
最高責任
の地位にあった者として
政治
的、
道義的責任
をとるのは三歳の童子でもわかるはずであります。しかるに、
刑事被告人
が何ら
責任
をとらないばかりか、
自民党最大
の派閥の長として勢力を誇示し、みずから
キングメーカー
を自認し、
日本
の
政治
を陰で操っていることは断じて許されないのであります。
中曽根総理
は、この
田中軍団
の支持で
総裁
のいすを得て、直角、仰角の
内閣
を組織されましたが、法務大臣や官房長官らは、
ロッキード事件
の
裁判批判
、
検察批判
とも
国民
に受け取られるような
発言
を繰り返し、なりふり構わないロッキード隠しは目に余り、
政治不信
の解消どころか逆に墓穴を
内閣
自身が掘っておるではありませんか。 さらに、すべての
野党
が一致して要求してきました
田中角榮
議員辞職勧告決議案
、
佐藤孝行
議員辞職勧告決議案
の
審議
を引き延ばし、その成立、採決を阻んで廃案をねらおうという全く数の暴力をあえて強行していますことは、何人としても許されないところではないでしょうか。金とそして数の力をかりれば、三歳の童子でもわかる理屈がねじ曲げられ、正当化されるといった今日の保守党
政治
のやり方は、社会常識と社会の価値基準を破壊して社会秩序を混乱させる根本的原因となっていることを
総理
は反省するとともに、この
決議案
に明確なけじめをつけるべきであります。その
責任
を回避していることは実に重大であり、厳しく糾弾されなければならないと思うのであります。
決議案
に賛成の第四の
理由
は、国権の
最高機関
である
国会
を軽視する
総理
の
姿勢
であります。 一月
訪米
のおみやげに、対米
軍事
技術供与を
国会
の
武器輸出
三
原則
決議
の枠外処理という
暴挙
を行ったことをまず挙げなければなりません。
武器輸出
三
原則
は、
平和憲法
の
精神
と国際協調主義の
立場
から
武器輸出
を厳格に禁止することを
国会
が全会一致で
決議
したものであります。
中曽根内閣
は、安保条約締結国の
米国
は
国会決議
の枠外と勝手に決め、
決議
の当事者であり、当然に有権的
解釈
権を有する
国会
の考えも聞かずに
米国
に一方的に同意を与えたやり方は、
民主主義
政治
のじゅうりん以外の何物でもないのであります。百歩譲って、安保条約の
相手国
ということで
武器技術供与
を是認したとしても、
米国
を通じて第三国に
武器技術
が移出されることの歯どめすら取り決めておらず、紛争当事国への
武器技術
移出の可能性もあって、国連
決議
に挑戦し、まさに死の商人の迷路に落ち込まないとは言えないのであります。 さらに、最近、米原子力空母エンタープライズの
日本寄港
、F16戦闘機の
三沢配備
等、従来の自民党
内閣
の慎重な対処
姿勢
を
中曽根内閣
は放棄して、
わが国
を米軍核戦略基地にしようとしているかに思えるのであります。これは
国会
の
非核
三
原則
決議
に背反し、国権の
最高機関
の空洞化をねらっているもので、断じて容認することができないのであります。
最後
に、財政
経済
等の
政策
運営
について指摘しておきたいと思います。
中曽根内閣
発足当時のキャッチフレーズは、「仕事をする
内閣
」でありました。しかし、その
政策
運営
は
国民生活
を圧迫し、格差と不公正を拡大させるだけであります。五十八
年度予算
では、
軍事費
だけは対前
年度
六・五%の異常優遇突出型とした反面、
社会保障費
の
伸び
はわずか〇・六%にとどめ、文教
予算
の大幅切り込みを行い、さらに
憲法
が保障する労働
基本
権の代償機関である
人事院勧告
を棚上げにする等、まさに
福祉
、文教の切り捨ての
政策
そのものであります。
勤労者
とそして弱い人たちにしわ寄せをし、
国民生活
を
犠牲
にして顧みない現
内閣
のやり方を許すわけにはまいりません。 また、重要な
政治課題
であります財政再建も、赤字国債脱却の時期すら明確にせず、「財政の中期試算」では三案を全く機械的に計算しただけであって、どの案で再建を図るかも示しておりません。それでいながら、口では「財政再建ではなく財政改革」などと言っているのは、無
責任
もはなはだしいと言わざるを得ません。
最後
にさらに、長期深刻な不況についても、内需拡大型の
政策
運営
はかけ声ばかりで、減税は六年間棚上げ、公共事業は四年間横ばいといったやり方で、何らの景気浮揚対策もとっていないのであります。ただひたすら
世界
景気の回復と
米国
の高金利の是正を希求する他力本願の
政策
運営
であります。高い企業倒産と失業者は一向に減らず、増加しております。
国民
大衆の生活はますます苦しくなっておるのであります。
中曽根総理
は、最近にわかに
内政
重視のポーズをとり始めましたが、これが全くのつけ焼き刃の
選挙
対策としか言いようがないのであります。 四月五日に発表しました景気対策十一項目中、実際実行されたのは公共事業前倒しだけというお粗末なものであります。五月二十日に発表した
経済
運営
の五
原則
は、各新聞の社説が異口同音に、中身のない、きれいごとの羅列と指摘しております。そのことに尽きると言っていいでありましょう。皮だけのあん抜きもなかで、一見うまそうでも歯ごたえがなく、腹の足しにはならないとA社の社説は痛烈に
批判
を加えておるのであります。
中曽根内閣
の
経済
財政
運営
は、口先だけの仕事をしない
内閣
と断ぜざるを得ません。
中曽根内閣
が発足してちょうど半年になりますが、この間の足跡をたどれば、この
内閣
には一日も早く退陣してもらうことが
国民
の幸せにつながることは明々白々であります。 以上で、私の中曽根
総理問責決議案
に対する賛成
討論
を終わりたいと思います。(
拍手
) 〔市川正一君
登壇
、
拍手
〕
市川正一
8
○市川正一君 私は、
日本
共産党を代表し、また、平和、民主、生活安定を願う広範な
国民
世論にこたえ、ただいま
議題
になりました
内閣総理大臣中曽根康弘
君
問責決議案
に賛成の
討論
を行うものであります。 いま、
わが国
の
政治
には三つの転換が求められています。その
一つ
は、日米
軍事
同盟の強化、レーガン戦略への加担をやめ、
非核
、非同盟中立の
日本
への方向に歩みを変えることであります。その二つは、果てしない
軍備
拡大と大企業奉仕の
政治
をやめ、
国民
の命と暮らしを守る
姿勢
を貫き、
日本
経済
の危機を打開することであります。その三つは、
憲法改悪
と軍国主義復活がもたらすファシズムへの道を阻止し、
民主主義
を守り、発展させることであります。 私は、この三つの転換の実現こそが、
わが国
の
政治
に課せられた最も緊急かつ重要な課題であることをまず冒頭に強調するとともに、戦後
政治
の総決算などと称して
中曽根内閣
がこれに真っ向から対立し、
日本
民族の破滅につながる危険な路線を推進していることに対して、怒りをもってここに厳しく糾弾するものであります。
問責
されるべき第一の
理由
は、
わが国
を
核戦争
に引き込む
軍拡路線
を異常な勢いをもって進めていることであります。
中曽根総理
は、ことし一月の日米首脳会談で、
日本
と
アメリカ
は
運命
共同体だと述べ、
日本列島
の不
沈空母
化、四
海峡封鎖
、
シーレーン防衛
などを約束してまいりました。すでに
国会決議
は反した対米
武器技術供与
、日米
シーレーン防衛
研究開始など日米共同作戦
体制
の実戦化に名実ともに踏み出しております。また、F16核攻撃機の
三沢配備
、エンタープライズの寄港承認に引き続いて、原子力空母カールビンソンや巡航核ミサイル・トマホーク装備の戦艦ニュージャージーなどの寄港も認めようとしております。
日本
共産党は、いま
日本
を
核戦争
の危険から救うため、「
非核
日本
宣言」を
政府
に行わせることを求める署名運動に取り組んでおりますが、現在、
日本
と
世界
の平和にとって最も緊急に必要なことは、レーガンの危険な核戦略への
協力
加担をやめ、
軍拡
から
軍縮
への転換を図ることであります。この道をとらずに、逆に唯一の被爆国である
わが国
国民
の願いに背いて日米
軍事
同盟
体制
国家への道を突き進む
中曽根内閣
は即時退陣せよ、これこそまさに
国民
の声と言わなければなりません。
問責
されるべき第二の
理由
は、
中曽根内閣
による
国民生活
破壊の
政策
がもはや耐えがたいものになっていることであります。
中曽根内閣
は、今日の財政危機、深刻な不況の真の原因である
軍事費
の増大や莫大な大企業への補助は聖域として一切手も触れないばかりか、ますますこれを増大し、他方、
公務員
に対する
人事院勧告
は凍結、減税は六年間拒否し続け、逆に大型間接税の導入をたくらむ、これがその実態であります。とりわけ老人医療無料化制度を覆した老人保健法は、長い間社会に貢献した多くのお年寄りの老後へのささやかな願いさえ踏みにじり、お年寄りが病院から追い出されるというむごい事態さえ生み出しているのであります。このような
中曽根内閣
に、もはや
国民
がその暮らしの保障を託し得ないことは全く当然と言わなければなりません。
問責
されるべき第三の
理由
は、その救いがたい金権腐敗の温存、
田中角榮
議員擁護の
姿勢
であります。
中曽根内閣
は、
国会
での真相解明、
責任
追及を妨害し、
決議案
の採決を不当に拒否している自民党と一体になって
田中
議員擁護の
姿勢
を取り続けております。しかも、
中曽根総理
自身、広く報道されているように、政局の重要問題で
刑事被告人
田中
議員と連絡を取り、その了解のもとに行動していること、また、秦野法務大臣のたびたびにわたる指揮権発動を正当化する
発言
、後藤田官房長官の公然たる
検察批判
の
言動
などは、
中曽根内閣
の
姿勢
を立証して余りあるものと言わなければならぬのであります。
問責
されるべき第四の
理由
は、
中曽根内閣
の危険な
改憲
、ファッショ指向の
政治姿勢
であります。
中曽根総理
自身、みずからを
改憲論者
だと明言し、わが党の追及によって取り消しはいたしましたけれども、かつては徴兵制の導入などを含む
改憲
案を公表している人物であります。しかも、
中曽根総理
は
アメリカ
において、「
日本
の
国会
では言わない」が、「
改憲
の時間表を持っている」などと公言しているのであります。今
国会
でも
政府
は、「公海上での
アメリカ
の
核兵器
を積み込んだ
艦船
を護衛する」ことや、「核装備した
アメリカ
の
艦船
と
自衛隊
が共同対処する」ことも可能だとするなど、
憲法
に
違反
する
一連
の重大な答弁をあえて行っております。これは
憲法
の平和的、民主的条項を骨抜きにする
解釈
改憲
ばかりでなく、明文上の
改憲
にさえ至る歩みにほかならず、いまや
中曽根内閣
退陣は、平和と
民主主義
を願うすべての
国民
の一致した要求になっていることを私は重ねて強く主張するものであります。
最後
に、私は、来るべき
参議院選挙
において、
国民
はこの
中曽根内閣
、自民党及びこれに同調追随する
政治
勢力に対して断固たる審判を下すであろうことをここに表明し、賛成
討論
を終わるものであります。(
拍手
)
徳永正利
9
○
議長
(
徳永正利
君) これにて
討論
は終局いたしました。 ─────────────
徳永正利
10
○
議長
(
徳永正利
君) これより採決をいたします。 表決は記名投票をもって行います。
本案
に賛成の諸君は白色票を、
反対
の諸君は青色票を、御
登壇
の上、御投票を願います。 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。 〔議場閉鎖〕 〔参事氏名を点呼〕 〔投票執行〕
徳永正利
11
○
議長
(
徳永正利
君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。 〔投票箱閉鎖〕
徳永正利
12
○
議長
(
徳永正利
君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。 〔議場開鎖〕 〔参事投票を計算〕
徳永正利
13
○
議長
(
徳永正利
君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百七十二票 白色票 六十三票 青色票 百九票 よって、
内閣総理大臣中曽根康弘
君
問責決議案
は否決されました。(
拍手
) —————・————— 〔参照〕 賛成者(白色票)氏名 六十三名 阿具根 登君 青木 薪次君 赤桐 操君 茜ケ久保重光君 穐山 篤君 上野 雄文君 小野 明君 大木 正吾君 大森 昭君 加瀬 完君 粕谷 照美君 片岡 勝治君 片山 甚市君 勝又 武一君 川村 清一君 小谷 守君 小柳 勇君 小山 一平君 佐藤 三吾君 坂倉 藤吾君 志苫 裕君 鈴木 和美君 瀬谷 英行君
田中
寿美子君 高杉 廸忠君 竹田 四郎君 対馬 孝且君 寺田 熊雄君 野田 哲君 広田 幸一君 福間 知之君 藤田 進君 松前 達郎君 松本 英一君 丸谷 金保君 宮之原貞光君 村沢 牧君 村田 秀三君 目黒今朝次郎君 本岡 昭次君 八百板 正君 矢田部 理君 安恒 良一君 山崎 昇君 吉田 正雄君 和田 静夫君 市川 正一君 上田耕一郎君 小笠原貞子君 神谷信之助君 沓脱タケ子君 近藤 忠孝君 佐藤 昭夫君 下田 京子君 立木 洋君 宮本 顕治君 安武 洋子君 山中 郁子君 青島 幸男君 秦 豊君 美濃部亮吉君 山田耕三郎君 秋山 長造君 —————————————
反対
者(青色票)氏名 百九名 井上 吉夫君 井上 孝君 井上 裕君 伊江 朝雄君 石本 茂君 板垣 正君 稲嶺 一郎君 岩上 二郎君 岩崎 純三君 上田 稔君 臼井 莊一君 衛藤征士郎君 遠藤 要君 小澤 太郎君 大河原太一郎君 大木 浩君 大島 友治君 大鷹 淑子君 大坪健一郎君 岡田 広君 岡部 三郎君 沖 外夫君 長田 裕二君 加藤 武徳君 梶木 又三君 梶原 清君 片山 正英君 金井 元彦君 金丸 三郎君 上條 勝久君 亀井 久興君 川原新次郎君 河本嘉久蔵君 木村 睦男君 楠 正俊君 熊谷太三郎君 源田 実君 小林 国司君 古賀雷四郎君 後藤 正夫君 郡 祐一君 佐々木 満君 斎藤栄三郎君 斎藤 十朗君 坂野 重信君 坂元 親男君 山東 昭子君 志村 愛子君 嶋崎 均君 下条進一郎君 世耕 政隆君 関口 恵造君 田沢 智治君 田代由紀男君
田中
正巳君 田原 武雄君 高木 正明君 高橋 圭三君 高平 公友君 竹内 潔君 谷川 寛三君 玉置 和郎君 土屋 義彦君 戸塚 進也君 名尾 良孝君 内藤 健君 内藤誉三郎君 中西 一郎君 中村 太郎君 中村 禎二君 中山 太郎君 仲川 幸男君 夏目 忠雄君 成相 善十君 西村 尚治君 野呂田芳成君 長谷 川信君 秦野 章君 初村滝一郎君 鳩山威一郎君 林 寛子君 原 文兵衛君 桧垣徳太郎君 平井 卓志君 福岡日出麿君 福島 茂夫君 福田 宏一君 藤井 孝男君 藤田 正明君 降矢 敬雄君 堀内 俊夫君 堀江 正夫君 前田 勲男君 増岡 康治君 増田 盛君 町村 金五君 松浦 功君 円山 雅也君 三浦 八水君 宮澤 弘君 宮田 輝君 村上 正邦君 森山 眞弓君 八木 一郎君 安井 謙君 安田 隆明君 山崎 竜男君 山内 一郎君 山本 富雄君 —————・—————
徳永正利
14
○
議長
(
徳永正利
君) 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時八分散会