○
参考人(
岡倉古
志郎君)
改革要綱の
策定に当たりました前
委員長ということで、
改革要綱の
策定のあらましの
経過とその
内容につきましてが第一点、それから第二点として、
改革要綱の
考え方等と比べまして、今回提案されております
改正法案とを比較してどういう
問題点があるかということを中心に申し上げて
審議の御
参考にさせていただきたいと思います。
まず、
改革要綱の
策定の経緯は、先ほど
久保会長から簡単にお触れになりましたし、お
手元に配付されております資料が四点ございますが、その中の昨年十月二十六日付の
内閣総理大臣に対する
久保会長からの
要望の
文書にその辺のことも書いてありますので、御
参考にしていただければ幸せと思います。
改革要綱ができるまででございますが、一昨年の秋から昨年の春にかけまして、
学術会議の
改革に関する第一次案、次いでそれを
検討した結果の第二次案をつくりまして、昨年の五月の
総会で
日本学術会議の
改革についての
試案というものを採択いたしました。この
試案は、
学術会議の内部で
検討をまとめたものでございますので、これだけで
改革の構想を決めてしまうわけにはまいりませんので、この
試案を広く
アンケートに付しまして
意見を求めたわけであります。
その
一つは、約二十三万の各
分野の
科学者で
一定の
資格を持っている
学術会議会員選挙における有権者の
方々に、これは大体二百分の一ぐらいの
ランダム方式でございますが、
アンケートをして結果を伺いました。それからすべての
学協会、それから
大学、
研究機関の長の
方々、それから最近の
学術会議の
会員であっていまおやめになっている
方々、合計三千数百通の
アンケートをいたしました。その結果は、およそこの
試案の
考え方を支持する、その他
幾つかのコメントがございましたが、そういうことでございます。
もう
一つは、
厳正中立の
立場でしかも深い
学識経験を持っておられる
方々を、当時の
伏見会長の
諮問機関として
組織いたしまして、そこでもこの
試案を
検討していただきました。その
委員長は元
文部大臣の
永井道雄先生で、ほかにここにいらっしゃる
向坊先生、同じく東大元総長の
加藤一郎先生、それから慶応義塾
大学の
石川塾長、上智
大学の
柳瀬学長、理化学
研究所の
理事長の
宮島龍興先生、それから元一橋
大学の
学長の
都留重人先生などでございます。
この
方々は大変慎重にこの
試案を
検討され、かつ独自の
学術会議改革についての御
意見を出されましたが、その中で
学術会議のあり方についていろんな御注文もいただきましたけれども、
学術会議の
会員の
選出方法につきましては、
会員には
科学者としての識見を持ち、学会において
指導的立場に立つすぐれた
研究者を選ぶことが第一の条件である。そして、この
会員の
選挙制度は
日本学術会議の根幹をなす
制度であるので、これを維持するとともに、
適任者を
会員に加えるための
推薦制を新たに取り入れるということで、その中身がこの
永井委員会の
答申にはございました。
私どもは、この
永井委員会の
答申というものを非常に重視しまして、この
考え方を大いに取り入れまして、その結果、昨年の十月の
総会でほとんど
満場一致、二、三不賛成の方があったようですが、ほとんど
満場一致で採択したものが
日本学術会議改革要綱という
文書でございます。これは、本日
理事会の御承認を得てお
手元にお配りしてございますので、ごらんになっていただければ幸せと存じます。
以上が、
改革要綱のでき上がるまでの大まかな
経過でございまして、お聞きのように、これは
学術会議の
会員だけでつくったものではない、広範な
科学者あるいは
学協会、
大学、
研究機関の長あるいは
永井委員会のそうそうたる公正な
立場の学者の
方々の御
意見を入れてつくったものであるということを御認識いただければ幸せでございます。
次に、この
要綱の重点でございますが、お
手元の資料をごらんになっていただくと幸せでございますけれども、その第一ページに
改革の基本的前提というものが六点ございます。これは
学術会議法によって
規定されている
学術会議の性格とか
目的とか任務とか、それから三十数年間の
歴史の中で打ち出されてまいりました慣例、慣行を含めた
活動の実態等を踏まえまして、そういった特色なり基本的な性格の中で欠陥があるので、改めるべきものはもちろん改めるが、この重要な特色あるべきものは今後とも
改革に当たっても維持すべきであるという、
改革についての基本的な
考え方がここにございます。
その六点はこの一ページにございますが、第一は、国の
機関であるけれどもきわめて独特な性格のものである、つまり独立してその
職務を行うという点でございます。
それから第二は、これとうらはらになりますけれども、
政府から独立して
職務を行う国の
機関である。
第三は、
日本の
科学者の
内外に対する
代表機関である。この点は今度の
法改正でも変更しないということが明らかにされております。
それから第四点でございますが、これが
改正法案とかかわりのある点だと思いますけれども、公選制を基盤とする、しかも重層構造性を備えているということが書かれております。この重層構造性と申しますのは、先ほど
久保会長からもちょっと御
説明がありましたが、二百十人の
会員によって構成されている
総会その他の
機関並びに六つの
常置委員会、約十近い
特別委員会、これは一部から七部までの学際的なメンバーによる
組織を持っているものでございますが、そういう基本的な
組織と並行して、先ほど
久保会長もおっしゃいました
研究連絡委員会というものがございますが、この
研究連絡委員会には
会員もメンバーになっておりますけれども、約千二百余りの
会員外の第一線の
科学者が加わっております。その
意味では、
学術会議は二百十名の
会員プラス千二百数十名の
会員外の
科学者によって構成されているという重層構造性がある。この点は
学術会議の大変特色でありまして、その
職務を果たす上で大変役に立っている。その点でこの研連の
組織というものの充実強化を図ることが必要であるという
改革の
一つの方向もそこから出ているわけです。
第五番目に、
組織、運営上総合性を持っている。これは一部から七部まで各三十人ずつの現行法では
会員がございますが、これは人文
科学、社会
科学、自然
科学、その中には
基礎と応用とございますが、そういう総合的な
組織形態あるいは運営がとられていて、これは諸外国のアカデミーあるいはカウンセルなどにもほとんど類例がない、また外国の
科学者からも大いに高く評価され、うらやましがられている点でございます。
それから六番目には、
学術会議はもとより国の
機関でございますけれども、しかし、この
学協会とか
科学者の
研究機関等々、そういうものに根をおろしていて、実質的には
科学者の自主的な
組織として機能している側面を持っている。この六つの点は相ともに一体をなしておりまして、
学術会議の基本的性格や特色、存在理由をつくり出しているものであるから、これはあくまで堅持すべきである。この前提の上に立ってこの欠陥を是正し、重要な
改革を施して、
目的、
職務を達成するために資したいということでこの
改革の
内容が定められているということでございます。
特に今回の
法案との対比におきまして注目していただきたいと思いますのは、五ページ目に、公選制を基盤とし重層構造性を備えていると、先ほど申し上げた特徴の
説明がございます。この中で、この
会員の公選制というものは
学術会議を「「
日本の
科学者の
内外に対する
代表機関」たらしめる最大の特色であり、非任命制は独立性の
制度的保障である。」と書かれております点。それから別のところでございますけれども、
学術会議の公選制が失われれば
学術会議の存在理由もまたあり得ないというふうにシリアスに
考えているという点に御注目いただきたいと思います。
先ほども申し上げました永井道雄元
文部大臣を
委員長とする
永井委員会の
答申でも、先ほど読み上げましたように、この
会員の
選出制度、つまり公選制というものは
学術会議の根幹である、これは維持すべきである、同じ結論というよりはむしろ
永井委員会によってオーソライズされたという点にもう一度御注目いただきたいと思います。
しかし、その後この
選挙制度については従来の全
会員を選挙で選ぶということについては深い反省が施されました。あらゆる
制度がそうですけれども、国
会議員の選挙も含めましてすべての
制度に欠陥がないというものはあり得ませんで、
学術会議の
会員公選制という
制度にもさまざまな欠陥がございます。そういう点をどう是正するかという配慮から、この三分の二までは有権者たる
科学者による直接選挙で選ぶ、残りの三分の一についてはその当選した
科学者が、これなかなか
日本語にうまくならないので横文字で申し上げますが、いわゆるコオプションに基づく
推薦制を併用するというのが結論でございます。
なぜこういうことを
考えたかと申しますと、そもそも
改革を
考える基本的前提として、今度の
法改正の理由にも挙げられておりますが、
学問、
科学研究の
多様化とか
細分化とか、とりわけ複合的、学際的領域の出現というような状況がございまして、これに対応しなければ
学術会議の
職務は果たし得ないということでございますので、その点を
考えますと、たとえば複合的、学際的領域からの
会員を選挙によって選ぶというのは大変むずかしいことで、そういう
方々に
推薦によって加わっていただける。それからまた、
国際学術団体がいまたくさんございますが、
日本人の
科学者でその
会長とか副
会長をやっていらっしゃる方もいっぱいございます。そういう方の中の主な方だけでも
学術会議の
会員にいわばなっていただく。これも選挙では必ずしも
制度的にうまくまいりません。
それから、お隣におられて大変失礼なんですけれども、
向坊先生のような
日本でも屈指の見識のある
科学者がおられますが、
向坊先生は
会員選挙では落選されたことがございます。これは
選挙制度の
一つの欠陥でございまして、そういう方に、選挙でたとえ出られなくてもぜひ出てほしい、
会員になってほしい方は、
推薦制度でコオプション制ならば加わっていただけるというような配慮で、この一部
推薦制というものを取り入れられたのがこの
改革要綱の基本的な
会員選出制度についての
考え方でございます。
これにつきまして、お
手元にお配りしてあります
久保会長から提出されました二つの
要望がございますが、この中で一貫しておりますのは有権者による直接選挙に加えて
推薦制を併用するというやり方が最善であるということ、これは必ずしも保守的な
立場ではありませんで、本当にこれが一番すぐれていると
考えましたので、現在もなおこの
考え方は、
久保会長も含めて
学術会議は捨てていないということでございます。
次に、それと比較しまして今回
政府から御提案になりました
改正法案について、どういう
問題点が
改革要綱と比べてあるかということを簡単に申し上げたいと思いますが、若干私見も加わるかもしれませんので御了承いただきたい。
一つは、これは私見でございますけれども、この
改革要綱が、ぜひ
法改正をして実現していただきたいというふうに
政府に要請しておりました若干の部分が取り入れられていることは、これをごらんになれば一目瞭然でございますが、この点は大いに評価したいし、かつ感謝もしたいと
考えております。
ただ問題は、先ほどから申し上げております最も根幹的な部分、つまり
学術会議の基本的な構成の仕方でございますが、要するに
会員の
選出制度でございますが、この点が、この
改正法案では全面
推薦制ということで、私どもの
考えた三分の二選挙、三分の一
推薦という
考え方とは、公選制の全面的な否定という点では質的に全く異なっております。したがって、いわば致命的とも言うべき——
改革要綱の中にある文章をそのまま引用しますと、これがなくなれば
学術会議の存在理由はなくなるとまで
考えている、そういう部分が否定されているということから申しますならば、ほかの部分はなるほど取り入れられて、その点は評価できるわけですけれども、それとこれとは実は比べものにならないほどの違いを持っているわけで、その
意味からは、大筋において
改革要綱が取り入れられたというようなことは言いがたいと
考えております。
そこで、先ごろ四月の半ばの
学術会議の
臨時総会、各部会では、当然のこととして、これに対する反対論、あるいは
技術的不可能論、あるいは保留
意見というものがかなりたくさん出ました。特に反対
意見は、人文・社会
科学部門ではほとんど圧倒的であります、一部、二部、三部では。
その主な点だけを御
参考までに申し上げますと、この
改正法案の
内容という
文書でわれわれは
検討したのでございますけれども、順序不同で列挙いたしますと、もしこういうことになれば、
学術会議の独立性、それを支える支柱が失われるおそれがある。
第二は、
学術会議は
科学者の
代表機関というのが現在の性格、
規定ですが、これが
学協会代表連合に変質するおそれがある。
第三点は、複合的、学際的領域や、地方の
時代と言われておりますけれども、この学会
推薦制でやりますと、地方在住の
科学者を
会員として加えることが
制度上非常にむずかしくなる。ほとんど困難になる。
それから、
幾つかの
学問領域では、現在の関連
学協会の現状に照らしてみますと、
改正法案による全面
推薦制は実施不可能に近いという
技術的な困難論でございます。
それから
研究連絡委員会の性格と機能、これは
会員の
推薦母体の役割りを果たすことになりますが、そうなりますと
研究連絡委員会は、元来は国際、国内の
研究上の
連絡というようなことを主たる任務にしている。
学術会議法三条二項が主たる任務でございますが、そうなりますと、この
学術会議の
職務、主たる任務の二番目の方にこの性格が片寄っていくおそれがないかどうか。総合的な
科学技術政策を人文、社会、自然、諸
科学の学際的な
分野に属する
科学者が
審議して、たとえば
政府に
勧告等をして実現を図るというような主たる任務がひっくり返ってしまうのではないかという危惧。
それから六番目には、学会からの
推薦ということになりますと、
学協会の間に、あるいは
学協会の
会員の中にいろいろな混乱、動揺を招くおそれがある。たとえば学会から
学術会議に
会員を
推薦するということになりますと、たとえば山階宮のやっていらっしゃる鳥類学会がございます、それから天文学会、こういうところでは
会員の半分以上がアマチュアです。アマチュアと
専門研究者が一緒になってやっているところに
意味が大いにあるのですが、その中に差別が持ち込まれるおそれが少なくともある。こういう点で、へたをすれば学会に大変な混乱を与えるおそれがあるのではないか。
それから、ある
会員は、この
推薦制度の導入によって、
学協会、ひいては
科学研究に対する国家統制に結びつくおそれがあるのではないかということを、戦前と現在を比較して指摘した方もございました。
それからまた、選挙制をやめて
推薦制に変えるということは、実際問題としては、約二十三万のいわゆる有権者、
一定の
資格を持った
科学者から選挙権、被選挙権を剥奪することになるが、そのことについて、そういう有権者の意向も確かめないで一方的にやっていいのかどうかという御
意見もございました。
それから、保留の
意見の中には、私どもが
総会で
審議した
段階では、この
法改正の
趣旨も明らかでない、それから法文それ自体も見ることができない、そういうことでは責任のある賛否は決しがたい。これは主として
法律学者の間からの、これはもっともな
意見だと思いますが、そういう御
意見がかなりたくさん出まして、結果的には、先ほど
久保会長がおっしゃいましたように、この賛否を決しがたい。逆に言えば、
学術会議としては、
会長の見解という
文書がございますが、現在の
段階ではこの
法案に対してにわかに同意しがたいというのが
総会の状況であります。
で、これらの理由は、この
委員会で御
審議になる場合にぜひ御
参考にされたいと思います。
最後に、本日午前中に、
総理府総務長官がこの
法律案の
提案理由を
説明された、その資料もいただきましたが、
法案の中では、ただ簡単に
改正理由として、「
科学の
多様化等にかんがみ、」と書いてあるだけでございます。
長官の御
説明はもう少し長くて、五点ございますが、その中の一番重要な点は、
学術研究の
多様化が進む一方、
細分化や
専門化も多く見られる、そこでそれに対応するためには全面
推薦制というふうになっております。
これは私の私見ということになりますが、若干これは
考え方として短絡があるのではないか。 この
基礎になりました田邉前
総理府総務長官の
試案では、この
学術会議の
会員は
科学者の自主的な選出によることを基本とするとありますが、自主的な
科学者の選出ということであれば、この民主主義社会のもとでは一般には選挙ということになるわけで、それがどうして
推薦制に短絡するのかというのは、ちょっと
説明がないと理解しがたいと思っております。
そして、先ほどもちょっと触れましたけれども、
多様化あるいは
細分化にこたえるということでございますと、私どもの
改革要綱の、三分の二公選、三分の一
推薦ということで
考えますならば、たとえば学際的、総合的領域の
科学者とか、
国際学術団体の役員であるとか、地方在住の
科学者であるとか、そういう人を拾える仕掛けになっているわけで、そこまで配慮しているんですが、この
学協会を基盤とする
推薦制ですと、一〇〇%不可能とは申しませんが、
制度上はきわめて困難になります。そういうことで果たして
多様化や
細分化に対応できるかどうか、
時代逆行ではないか、極言すれば。そういうような危険をはらんでいるように
考えます。そういう
意見は私だけではございませんで、何人かのいろいろの
分野の
会員が言っている点でございます。
そういう点を
考えますと、最後に二言三言、
委員の
皆様方にお願いもございますので申し上げますが、
一つは、
学術会議がかねがね
政府にお願いしておりましたように、
学術会議法の
改革、特に
選出制度の
改革というのは、単に
学術会議の
会員をどうするこうするということではなくて、
日本の学会あるいは
大学、
研究機関、また
科学者に大変大きな影響をもたらす、ひいては
日本の
科学研究の将来のあり方にも重大なインパクトを及ぼしかねないきわめて重要なものを含んでいるので、本当は
政府が
改正法案をつくられる過程でももっとじっくり
審議をしていただければよかったと思うんですが、それがこういう形で性急に出されてしまいましたことは、朝日新聞の十八日付の社説が論じておりますように、きわめて遺憾だと。この後は、
皆様の慎重な御
審議をお願いするしかないと、いまとなりては私思っておりますが、そういう点が一点。
第二点は、元来
学術会議の
改革というのは、
日本の
学術体制全体の中で
学術会議をどう位置づけるか、その位置づけられた
学術会議を
改革するためにはどうすべきか、そういうコンテクストで
考えるべきでありますし、その
意味ではたとえば
科学技術会議とか文部省の
学術審議会とか、そういう
幾つかの関係の
機関がございますが、そういう全体の中で
学術会議をどう位置づけるか、その相互補完性はどうかとか、それならば
学術会議はどういう性格、任務を与えるべきか、こういう考慮があって出されてくるというのが本格的な
考え方だと思います。
学術会議の
改革要綱でもそういうことは一応やっておりますけれども、まだまだ不十分だと私どもも思っているくらいです。本来はそういうことを
検討してから
学術会議の
改革に
政府におかれても取り組まれるべきだというふうに私は
考えております。
また最後に、
学術会議の創設の
歴史につきましては、先ほど
久保会長もおっしゃいましたけれども、これは過ぐる太平洋戦争、あるいはそれに先立つ日中事変、そういう戦争に
科学者が盲
目的に協力した、またそのために
学術体制がゆがめられていた、そういう深刻な反省の上に立って
学術会議のような
組織をつくるべきであるという、そういう反省と
意見が
日本の各
分野の
科学者の間に強まりまして、それはGHQからももちろん指示されましたけれども、これは片山内閣のときでございますが、そのことについて
科学者に
諮問をする。その
諮問に当たったのが
学術体制刷新
委員会という
組織ですが、これは各
分野の
科学者の中から選挙で選ばれた人々が
委員になって、そしていろいろ知恵をしぼったあげく
学術会議のような
組織が必要であるという結論を得て、これが芦田内閣のときに国会に提案され、国会で採択されまして
学術会議が生まれたわけであります。
学術会議の創立
総会のときにはくしくも当時の参議院の議長の松平恒雄先生がわざわざ祝辞を述べられ、芦田総理大臣も祝辞を述べられましたが、総理の祝辞の中には、この
学術会議の
組織方法、つまり選挙による
組織方法というものが
日本中の
科学者が英知を傾けた結果であって、これは非常に重要であるということまで触れておられます。これは
日本学術会議の二十五年史の中に収録されておりますので、御
参考になさってくだされば幸いでございます。
いずれにしても、そういう点から本
委員会におかれましては十分関係の資料も
検討され、特に
学術会議の
改革要綱に盛られている
会員選出方法と
政府提案の方法と、この長短の比較を多方面的にやってくださることをお願いして私の陳述を終わりたいと思います。