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1983-05-19 第98回国会 参議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十九日(木曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員の異動  五月十八日     辞任         補欠選任      勝又 武一君     山田  譲君  五月十九日     辞任         補欠選任      山田  譲君     勝又 武一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         坂野 重信君     理 事                 板垣  正君                 大島 友治君                 山崎  昇君                 三治 重信君     委 員                 岡田  広君                 源田  実君                 竹内  潔君                 林  寛子君                 林  ゆう君                 堀江 正夫君                 山内 一郎君                 勝又 武一君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 小平 芳平君                 峯山 昭範君                 安武 洋子君                 秦   豊君    国務大臣        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       齋藤 邦吉君    政府委員        内閣審議官    林  淳司君        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        管理局長     服部 健三君        人事院事務総局        給与局長     斧 誠之助君        総理府人事局長  藤井 良二君        行政管理庁長官        官房総務審議官  竹村  晟君        行政管理庁行政        管理局長     門田 英郎君        行政管理庁行政        監察局長     中  庄二君        通商産業大臣官        房会計課長    鎌田 吉郎君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        科学技術庁原子        力局原子力開発        機関監理官    松尾 光芳君        大蔵省主税局総        務課長      新藤 恒男君        厚生省年金局年        金課長      山口 剛彦君        資源エネルギー        庁石油部開発課        長        深沢  亘君        会計検査院事務        総長官房総務課        長        大沼 嘉章君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○臨時行政改革推進審議会設置法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  臨時行政改革推進審議会設置法案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 山崎昇

    山崎昇君 実は、行管長官に各理事の皆さんの御承認をいただきまして冒頭に一言だけ指摘をしておきたいと思いますのは、一昨日のこの委員会野田委員から、まだ私ども法案審議中であるにもかかわらず、人事について政府が動いていることについてはおかしいのではないか、こういう指摘をいたしまして、長官からは、そういうことはありません、こういう答弁がありました。  ところが、十七日の夕刊に一斉にそうではないという記事が発表になりまして、便宜私どもから整理して申し上げると、東京と毎日は同じ内容であります。これは就任を打診したということを長官みずから明らかにしたという報道。読売は、中曽根総理からお願いがあるかもしれないという意味で、事実上意向打診と受け取っております。朝日は、中曽根総理行革大綱のおくれていることを報告した際に長官からその旨報告をしたと。サンケイは、就任するよう要請したことを示唆した。こうなっておりまして、事実上動いていることはもう間違いがない。これはこの委員会であなたが答弁したことと全く食い違う。そういう意味で、この点は私ども納得いきませんので、強く指摘をしておきたいと思う。注意を喚起しておきたいと思います。  それからもう一点は、土光さんは前会長でありまして、大変御苦労を願ったと私も思いますが、しかし臨調が解散すれば一私人にしかすぎない。どういうわけで、いま委員会でこの法案審議している最中に、一々政府国会情勢なりあるいは行革大綱がおくれている情勢だとか、こういうものを何で御報告しなきゃいかぬのか。一体内閣行政権というのは何なのか。この点私どもの党でも大変議論がありまして、この点を強くひとつ長官指摘をしてほしい、こういう意見がございましたから、各委員皆さんのいま御承認をいただいて私が代表して申し上げているわけでありますが、今後ひとつ政府はそういうやり方については慎重に取り扱うようにきょうは私の方から指摘をして、私の発言を終えておきたいと思います。これに長官から遺憾の意が表明されるならばひとつしてもらいたい、こう思います。
  4. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) ただいまの御注意等についてお答え申し上げますが、いろいろ新聞に伝えられましたこと、まことに遺憾なことでございます。今後は御注意の点は十分体しまして慎重に対処いたしたいと考えておる次第でございます。
  5. 峯山昭範

    峯山昭範君 まず、大臣にお伺いをいたします。  何回かこの委員会でも御答弁をいただいておりますので重ねてではありますけれども臨調の五次にわたる答申が行われたわけでございますが、この臨調答申を受けまして政府行政改革をこれから進めるわけでございますが、行政改革を進めるその担当大臣決意を初めにお伺いしておきたいと思います。
  6. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私といたしましては、今日まででも臨調答申につきましてはその都度、政府としては最大限にこれを尊重し、逐次実行に移すということを閣議決定をいたしておるわけでございまして、私といたしましては、去る三月にちょうだいいたしました最終答申、これも最大限に尊重し、逐次実施に移していくという強い 決意で臨んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  7. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、私の方の党はこれ賛成なんですよね。それで、この臨調答申の中にも、いままで国会の論議の中から考えてみますと、非常に問題点も多いわけであります。問題点は多いけれども、そういうような中でもやっぱり行政改革を推進せざるを得ない。そこまで国の行政機構あるいはいろんな問題が行き詰まっておる、そういうようないろんな観点から行政改革を進めると、そういうふうな意味で私たちはこの法案にも賛成をしているわけでありまして、しかも今回の法案は第四次答申に基づいて行われた答申であります。そういうふうな意味で、これまず大臣行革大綱につきましてはこの委員会でも何回か御答弁になっていらっしゃいますが、五月二十四日ごろ決定をするというお話が出ておるわけでございますが、これは大体そういうとおりでございますか。
  8. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 最終答申が三月十四日に出されましたので、この答申につきまして、政府がこれに取り組む方向、手順、そういったふうな問題につきまして新しい行政改革大綱決定し、政府方針を決めたいと、かように考えておりまして、関係各省との調整を急いでおります。同時にまた、党との関係もございますので、最終結論は得ておりませんが、目下最終的な調整段階に入っておりまして、来週の前半、と申しますと二十四日の閣議になるかと思いますが、二十四日の閣議を目途として目下作業を進めておると、こういう段階でございます。
  9. 峯山昭範

    峯山昭範君 本来なら大臣、これは今回の法案審査段階——段階でというよりも、本来ならもう少し早く大綱を出していただいて、そしてわれわれがこの委員会で今回の法案審議する段階大綱中身もある程度お話しをいただいて議論をする、そういうふうな方向であっていただきたいと本当は思うんです。  何でそんなことを言うかといいますと、昭和三十七年に第一臨調ができましたね、あの第一臨調ができましたときにも同じことだったわけです。といいますのは、第一臨調答申昭和三十九年に出まして、その後大臣も御存じだと思いますけど、いわゆる行政監理委員会を早くつくらないかぬということで、もう国会の穴をたたかれて行政監理委員会をつくれつくれということで、さんざん急いでつくった。つくったのはいいんだけれども、それから後、実際に第一次の臨調答申を受けてつくったいわゆる行革大綱のようなものが結局は各省の反対でろくすっぽできなかった。そういうふうな強い反省があるわけですね。  そういうふうな意味では、本来なら行革大綱中身は、最近この委員会でも何回か議論をされましたけれども新聞に幾つか載りました、こういうようになるんじゃないかということで。そういうふうな意味では、行革大綱に対する取り組みをもう少し早めていただいて、そうして議論をした方がいいことなのか、そういうふうな考えでもいるんですが、そういう第一次臨調のときのような轍を踏まないでほしい、そういうふうな思いで私はいるわけでありますが、大臣のお考えもお伺いしておきたいと思います。
  10. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私といたしましては、最終答申をいただきましたのは三月十四日でありますから、できれば五月の上旬くらいと最初は考えたわけでございますが、御承知のような連休がありまして、役所同士の折衝というのがなかなか思うように進みませんでした。そういうふうなことで今日に延び延びになっておりますが、その点は私も、あるいは先に決めていろいろ御審議をいただくというのも一つの方法かと思いましたけれども最終調整ということで、まだ最終決定ができておりませんものですから、その点はまことに遺憾なことだと思っております。
  11. 峯山昭範

    峯山昭範君 大体大綱は、臨調最終答申に基づき、あるいは第一次から五次にわたる答申中身をほぼ網羅してできることになるわけですね。  実は大臣、いま私が質問しておりますのは質問通告にないわけです。えらい済みません。あとの各論はあれしましたけれども精神的な問題と思ってお答えいただいて結構です。  それで、要するにそういうような意味で、いろいろときょうは各論もお聞きしたいと思っておりますけれども、もう一遍お伺いしたいんですが、大臣としては、この答申の中に出てきた問題はできるだけ全部何とかして実行する、そういう決意でいらっしゃるのはこれはもう間違いありませんね。どうでしょうか。
  12. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私といたしましては、答申に盛られている事項については、まあ悪い言葉でしょうかどうか、つまみ食いなどはいたしませんで、全部これを誠意を持って実行するという方針で臨みたいと考えております。  したがいまして、今度の新しい行政改革大綱には、最終答申に盛られた事項のほかに、いままでの答申において政府がまだ実行に着手してないような事項、そういうものを含めて、いままでの答申全体を見て全般的にこれを実行するというふうな方向で取りまとめを進めていきたい、こんなふうに考えておる次第でございまして、私どもとしましては、一部だけは盛り込んで一部は盛り込まない、そんなふうな方針ではありませんことをはっきり申し上げておきたいと思います。
  13. 峯山昭範

    峯山昭範君 これから私が質問することは事務当局でも結構です。大臣ができれば大臣でも結構でございます。  まず私は、大臣から、この臨調答申につきましてはすべての面にわたって、つまみ食いなどはしないと、そういうふうな決意をお伺いした上でこれからお伺いするわけでありますが、まず臨時行政改革推進審議会のいわゆる性格ですけれども、これは本当にこの臨調答申をまともに受けているのかどうかというのが非常に疑問に私は思うわけです。これは局長で結構ですが、実際問題としてこの臨時行政改革推進審議会というふうになったいきさつ、どういうふうないきさつでこういうふうになったのか、そこら辺のところを一遍お聞かせいただきたいと思います。
  14. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ただいま峯山先生の御質問臨時行政改革推進審議会名称の件についてのお尋ねかと心得ますが、それでよろしゅうございましょうか。
  15. 峯山昭範

    峯山昭範君 名称と、まあそれはええがな。
  16. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) まず名称の件でございますが、今回御審議をお願いしております臨時行政改革推進審議会全体といたしまして、この法案臨調の第四次答申、これを最大限に尊重するという基本方針、これのもとに立案したものでございまして、この四次答申の趣旨というものを全面的に織り込んだものと、かように考えております。  なお、名称の点につきましては、再々お答え申し上げているわけでございますが、第四次答申では「行政改革推進委員会仮称)」という名称を用いております。しかしながら、この第四次答申の中にも触れられております、かつまた法案でもその任務のところで明定してございますように、今回設置されるべきこの新機関、これは政府の今後責任を持って実行していく、臨調答申を受けて講じてまいります行政制度行政運営改善に関する施策、これについての重要事項について調査審議する、そして総理大臣意見を述べる、かつまた諮問に応じて答申する、こういった形に相なっているわけでございまして、したがって典型的な国家行政組織法上の調査審議機関、これに該当いたします。その意味でやはり審議会という名前が最も妥当なのではないかと、かように考えましてただいま御審議をお願いしておりますような名称ということに相なっているわけでございます。
  17. 峯山昭範

    峯山昭範君 最大限に尊重するとかやっぱり口では言いながら、門田さん、もうこれはあきませんね。普通の人ならそれで通るかもしらぬけれども、それはあきませんな。  まず、臨時行政調査会答申によりますと、二項の「行政改革推進委員会設置」というところで、「臨時行政調査会答申に対する政府実施状況を見守り」というのがまず第一ですな、これ、「見守り」。それで二番目が、「行政改革を推進させていくため」というのが二番目ですな。三番目が「「行政改革推進委員会」(仮称)を設置する」と、こうなっているわけですよ。  まず、「見守り」というのはどこにあるんですか。
  18. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ただいま御審議いただいておりますこの法案、まあ法律という形になりますと「見守り」という字が非常になじまないという面もございますが、まず第一、目的、この頃で、「社会経済情勢の変化に対応した適正かつ合理的な行政実現を推進するため」ということ、並びに「(所掌事務)」の点におきまして、政府臨調答申を受けて講じます施策改善についての重要事項についてみずから調査審議し、そして内閣総理大臣意見を申し述べると、こういったことを全部合わせまして見守るという機能は果たされるものではないか、かように心得ております。
  19. 峯山昭範

    峯山昭範君 それは耳に入りまへんな、私は。そんな理屈ありまへんで。「見守り」なんというのは、この目的の「適正かつ合理的な行政実現を推進するため」。どこが見守るということなんですか、これ。  要するに、あなた方この間から答弁しています、大臣答弁もそうですけれども、非常にけしからぬと思うのは、いわゆる法律になじまない、だからこういうふうにしたんだと言っていますけれども、それでは臨調土光さん以下の委員皆さんは、要するに法律になじまぬことを言うておるからその言葉そのものを取り入れることはできなかったと、あなたはそう言うかもしれませんが、実際は臨調委員皆さん方というのは相当な専門家ばかりでしょう。そういう専門家皆さんが何で法律になじまないような言葉をここへ使ったんですか。法律になじまないような言葉を何でここで使わにゃいかぬかったんですか、要するに。  それはそれだけの理由があってやっぱり使っているわけでしょう。いわゆる法律になじまないからこういうふうにしたんだと。法制局長官に一遍来てもらって聞いてみましょうか、これ。「適正かつ合理的な行政実現を推進するため」なんという言葉が、いわゆる一般的にここに書いている「実施状況を見守り」という言葉と同じかどうか。含みますか、本当に。政府がこういうふうな行政改革を推進する、そのことを見守りという言葉はここに書いている言葉と違いまっせ、ちょっと。立場が違いますよ、まず第一に。違いますか。あなたの言うておるのは合うてますか、本当に。  それだったら、法制局長官に来てもらってここで答弁してもらってもいいですよ。本当に、これ「見守り」という言葉法律になじまないのなら、なじむように直したらこれはどういう言葉になるのか。あなた方が法律をつくるとき、臨調答申を一〇〇%受けて実施しよう、本当にそういう決意があるのならもっと違う形になるはずです。私は、そういうふうな意味では、もう少し臨調答申というものを本気で受けていただかないと困る。  うちの党なんかは党の命運をかけてほんまにこの法案賛成しているわけですよ。何でかいうたら、気に入らぬですよ、ほんまに。気に入らぬけれども行革を推進せにゃいかぬから、しょうことなしに賛成しているわけですよ、言うたらこれは。そんなことを言うたら怒られるかもしれませんが、本当ですよ。そういうふうな意味では、あなた方、もう本当に行革に取り組む姿勢なんて弱い。もっと何というか、毅然として行革に取り組む姿勢でないとどうしようもない。違いますか、これ。一遍よう考えてみな。私を納得させるような答弁をしてくださいよ、一遍。
  20. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 大変おしかりをちょうだいしたわけでございますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、特に所掌事務の点につきましては、政府が講じます行政制度行政運営改善に関する施策、こういったものについて全般にわたり調査審議を行うことができるわけでございます。そうしてその結果について、これはやはりこうではないか、もっとこうすればどうだということについて、審議結果、これに基づきまして内閣総理大臣意見を申し述べる。かつまた、内閣総理大臣はその御意見に対して尊重する義務を持つ、こういったことでございますので、この臨調の第四次答申、まあ見守るという部分、いわばウォッチしていくという部分については十分にその機能を果たしていただけるんではないだろうか、こう考えている次第でございます。
  21. 峯山昭範

    峯山昭範君 それはあかんわ。これは門田さん、いまあなたがおっしゃっている総理大臣意見答申、または意見を申し述べることができる、あるいは意見を尊重しなければならないと、総理大臣がね。それはこの臨調答申の四項目とか五項目にあるのであって、それは違うでしょう、要するに。行政改革推進委員会設置目的ですわ、言うたら、これは。二項目ですよ、これは。あなた方は四項目とか五項目を言って一生懸命逃げようとしていますけれども、違うでしょう。何でこの推進委員会設置せにゃいかぬかという、そこの目的のところの、この「政府実施状況を見守り」というのはどこにもないじゃないかと言うている。ないんだ、本当に。あると言うんですか。あるんですか、本当に。
  22. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) まさしく、御意見のように、この答申には見守るという言葉を書いておるわけでございまして、法律的な用語としてそれを書けるか書けないかということは別といたしまして、この審議会はまさしく実施状況を見守って行政改革を推進していかなければならぬという任務を持っておる審議会だと私は理解をいたしておるわけでございます。  実は、この答申が出ますときに、新聞紙上では監視機関監視委員会、こんなふうな言葉が使われたことがございます、新聞で。ところが監視というと、何か政府の外にあって監視するような印象を与えるので、まあ、こういう言葉は余り新聞紙上使ってもらいたくないなという考えを持っておりました。すなわち、それは政府部内の附属機関として、政府のやることを見守り、これを推進する、これがやっぱりこの審議会の本来の使命である、こういうふうに考えておったからでございます。  そこで、法律的な文字は別といたしまして、私どもはこの審議会性格は、政府答申を受けて行政改革実行する、その状況を十分見守って、鞭撻という言葉が当たるかどうか知りませんが、強力に推進するという精神でできているということだけははっきり申し上げておきたいと思う次第でございまして、弱腰であるというおしかりをちょうだいいたしましたが、私ども弱腰ではなく、あくまでも審議会のいろいろの御意見を承りながら強力に進めていきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  23. 峯山昭範

    峯山昭範君 いま大臣がおっしゃることを法律に書いてないんですね。大臣がかわったら、そんなこと全然もう関係なしになりますね。大臣がこれから三年間行政管理庁長官をやっておられるなら、それはその精神でいけるかもしらぬけれども大臣がかわったら、もう全然あきまへんで。何でかいうたら、いままでの経験があるから私は言っているんです。見守るなんというのは、やっぱりそれなりにきちっと法律の中に入れておかにゃあかん性格が違うんですから、要するに。推進する方というのと、それを見守るというのは、これは全然違う話や。だから、そういうような意味では、要するにきちっと私は入れておいてもらいたいと思うわけです。これは、そうでないと、いわゆる臨調答申誠意を持って実行するとか、最大限に尊重すると言いながら、もうしょっぱなからしていぬわけや、これは。そのとおりになっていないわけよ。そやから困るわけですわ。それだけ違いますよ。  大臣、一つ一つ引っかかって私はもう本当に申しわけないけれども、何も引っかかるつもりはないんですよ。ないんですけれども、たとえばその次の問題として、もう話を進めますけれども審議会ということにしたというわけやな、門田さん。あなた一遍答弁してみてください。この間から私、答弁を聞いていましてほんまに気に入らぬ、これ。あなた方は要するに内容そのもの審議会だ、ずばりそのものだと。だから要するに審議会とした方がいいというふうに一生懸命おっしゃっているわけですよ。  けれども、実際問題として臨調は、仮称とはいえ推進委員会としているわけですよ。どうして土光さんを初め、皆さん方推進委員会という名前を使ったのか。ここの委員会任務という中身から見れば、審議会ということであるということは、ああいう人たち専門家ですから、それはもう、よう知っている人ばかりですわな。よう知っている人ばかりがあえて委員会という名前をつけたという意味は、これはどこにあるんですか。そんなことは考えたことないんですか。局長、どうですか。
  24. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) このことについては先ほど御答弁を申し上げたわけでございます。確かに、御指摘のように臨調がこの第四次答申をおまとめになるときに、仮称ではございますが、行政改革推進委員会という名前をお使いになっていらっしゃるわけで、通常の調査審議機関の中でも委員会という名前を使っている例は、若干でございますが、見られる次第でございます。たとえば原子力安全委員会でございます。あるいはこの間可決成立をちょうだいいたしました国鉄再建監理委員会、こういった例が間々あるわけでございます。  これらにつきましては、それぞれ一般的な調査審議という枠を若干越えた、政策の立案等をみずから行うというふうな機能、こういったものがあるわけでございまして、今回の御審議をお願いしておりますこの審議機関性格、これは臨調の第四次答申におきましても任務として書いてございますように、全体として調査審議を行う、諮問を受けて答申をするというふうな機能が中心であるわけでございます。  やはり審議会という名称を使うのが一番妥当ではないか、かように心得たわけでございまして、現在、政府におきまして行政改革の推進というのが最大の重要課題になっております。こういった関係もありまして、この審議会に寄せられる期待というのは大変に大きいわけでございます。名称とその期待とが一致しないではないかというお話のように承りましたが、これはやはりその機能、形式的な機能というものに着目してそういう名称をつけさしていただいたわけでございまして、私ども、この審議機関に対する御期待、これは先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように大変大きいということは、この名称の問題とは別に申し上げさしていただきたいと思います。
  25. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、私が質問していることには全く答えてないね。いま答弁していることは、それはいままでと同じ答弁や。そんなことは全然聞いていません、私は。要するに、機能名称が一致しないとか、そんなことを私は言うてない。そうじゃない、私の言わんとするところは。  要するに、臨調皆さん方行政改革推進委員会でも審議会でもどっちでもええでと、そういう内々の話でもあったのかと言うんだ、逆に言えば。そうじゃないでしょう。臨調皆さん方は、仮称とはいえ総理府に行政改革推進委員会、これを設置せいと、こう言うておるわけです。これは、どうして私こんなことを言うかというと、臨調答申の中の一字一句というのは非常に大事です。その一字一句を大事にして、どうしてこういうことになったのかということを本気で皆さん方議論をしてやったのかと私は言っておるわけです。初めから私はこの行政改革推進審議会にうちは賛成やと言うておる。賛成だけれども審議会という名前をつけるからには、臨調はなぜこういう委員会という名前をつけたのかということについて、皆さん方事務当局は本気でこの問題について議論をしてないと今後耐えられないということです。本気でここら辺のところわかってないと何にもならないということですわ。  私だって内閣委員会で長い間やっていますからよくわかりますけれども審議会というのはどんなものか、委員会というのは三条機関であるということはわかっています、そんなことは。けれども専門家じゃないかもしれませんが、臨調土光さんを初め皆さん方がここにわざわざ推進委員会と、こう答申をしたからには、そのことを尊重するということに皆さん方は命がけでがんばってみる。だけれども、法制局やいろんなところからけちをつけられて、中身や役目の問題からいってこれはやむを得ず審議会に直さないかぬ、そういうことでしたというなら話はわかるけれども皆さん方が官僚的に、要するに仕事の内容はこうだからこうしようというそんな軽い考えじゃいかぬと私は言っているわけだ。  そこら辺のところは、皆さん方の中には臨調から帰ってきた事務局員さんがいっぱいいるんじゃないですか、どういうことだったのか、これは。そういうことを本気で議論をしてこれ名前をつけたのか、こう言っているわけです、僕は。どうなんですか、実際問題として。
  26. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 先生ただいま御指摘のような点は、私どもも当時の臨調関係者、第四次答申作成の際に当たった事務局職員あるいは関係者の先生、御意見もいろいろとお伺いした次第でございます。この法案の作成過程におきましてそういった御意見もいろいろお伺いしながら、この審議会という名称を用いることの可否についても御相談申し上げ、関係者大方の先生方の御了解もちょうだいしているという経緯があったことも申し添えさせていただきたいと思います。
  27. 峯山昭範

    峯山昭範君 いずれにしても、この問題でこれ議論していますと、これはそれだけで終わりませんので、もうこの議論はこの程度にしますけれども、これ大臣も含めてぜひお願いしたいと思うんですが、少なくとも私がこの問題を推察する限り、これは臨調皆さんも、やっぱり三条機関にした方がいいか八条機関にした方がいいかということはもう十分御承知だと私は思うんですよ。  そういうふうな意味では、いま局長からお話もございましたように、八条機関であっても、先ほどお話がありましたように、原子力委員会にしても第一臨調のときのあの行政監理委員会にしましても、また最近の航空事故調査委員会とかいろいろあるわけですよ。八条機関でも委員会というのはあるわけです。ないわけじゃない。しかしながら、中身が違うということもこれは十分わかっているわけです。あえてまた、それをこういうふうに委員会という名前をつけたのは、やっぱりこのしょっぱなにあります「見守り」という言葉と多少関係が私はあると思うんです。  政府機関でありながら、政府と一定の距離を保って、そして行政改革の推進のぐあいをチェックし、あるいは監視という言葉がまずいんならもっとやさしい言葉で言ってもいいわけですけれども、そういう考え方が多少あったんじゃないか。そういうふうな意味で本当はこれは詰めて、任務中身から言えば審議会なのかわからないけれども、しかしながらやっぱり委員会という名前をあえてつけた、そういうことにあったんじゃないかなと私は推察するわけですよ、実際問題として。そこら辺のところは事務当局としても十分その点をチェックして、それで話を進めていかなければいけないんじゃないか、こう私実際思うわけです。  そういうことについては、事務当局としてはそれこそもうそれは苦労して法案をつくったことはわかります。わかりますが、本当にそこら辺のところは詰めて、それこそ夜を徹してそこら辺のところを話し合っておかなければ、何かあったときには一々たじろいだりあるいはそうこうしちゃいかぬわけです。そこら辺のところも十分検討し議論した上でこうなったんです。これなら、私はそうですかとすっと下がるわけです。やっぱりそうなければいかぬのじゃないですか、大臣
  28. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 実はこの答申をいただきました後に、これを法制化するに当たってどういうふうな名称審議会にした方がいいのかどうかという問題でございますが、私としては、いまお述べになりましたように、答申の趣旨、気持ち、一言一句非常に大事にするということは私は十分考えておったわけでございます。  そこで、この答申が出るときも、実は法制局や皆さんといろいろ議論を本当はしたんです、いろいろ。行政改革推進とは何ぞやとか、そんなものは法律用語になじまないじゃないかとか、いろいろ議論あったんです。そういう実はいろいろな真剣な議論をいたしながら、実態が調査諮問機関であるからというふうなことで審議会という名称にしたわけでございますが、あくまでもこの審議会性格というものは、政府がこれから行わんとする行政改革施策について十分これを見守って、それを推進するんだという性格であると私は固くその点は信じておるわけでございます。御不満の文字の点についていろいろございましたが、私ども臨調答申というものは一字一句大事にしていかなければならぬ、この気持ちについては先生と同意見でございます。
  29. 峯山昭範

    峯山昭範君 ただいまの大臣のお言葉を、いわゆる目的及び設置意味の補足説明であると私は受けとめておきます。そうでなければいけないと思いますし、ぜひそうあっていただきたいと思います。  それから次に、これも大臣、また何も私は言葉じりをとらえてどうこうするつもりは全然ないんですけれども所掌事務の問題の中で、これもちょっと私は非常に問題があるんじゃないかと思っていることがあるわけです。それは何かといいますと、この行政管理庁がつくりました法案関係資料というのがありますね。これは所掌事務のところであります。この第二条の「(所掌事務)」というところで「審議会は、臨時行政調査会の行つた行政改革に関する答申を受けて講ぜられる行政制度及び行政運営改善に関する施策に係る重要事項について調査審議し、その結果に基づいて内閣総理大臣意見を述べるほか、内閣総理大臣の諮問に応じて答申する。」と、こうなっているわけであります。これはこのとおりですな。局長、何か補足説明することありますか。
  30. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 第二条の所掌事務については、峯山先生がただいまおっしゃいましたとおりでございます。
  31. 峯山昭範

    峯山昭範君 これ、どういうところが問題だと思いますか。
  32. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 私どもこういう形で法案を御提案申し上げたわけでございます。どの部分についてということについて、先生の問題意識についてみだりな憶測を申し上げるのは大変あれでございますが、たとえば、あるいは——あるいはでございます、先生は、「臨時行政調査会の行つた行政改革に関する答申を受けて講ぜられる行政制度及び行政運営改善に関する施策」、これは政府の行う施策でございますが、これについて調査審議すると、こう書いてありますので、政府が講じた行政制度及び行政運営改善に関する施策、これについて調査審議するだけで、政府がもし講じなかった場合にどうなんだと、こういう点についてのあるいは御質問かということでもしございましたら、この点につきましては——ようございましょうか、この点につきましては、講ぜられようとしている政府施策、これは当然そうでございますが、いまだ具体化に至りませんで今後講ぜられるべき施策、こういったものも当然含むということであるわけでございまして、さよう御理解をちょうだいしたいと思います。全く自問自答したようで恐縮でございます。
  33. 峯山昭範

    峯山昭範君 やっぱり気にはなっておるわけやな。  要するに、あなた方はその前段で、この臨調答申最大限に尊重するとか、誠意を持って実行すると口では言っているけれども法案はそうなってないやないかと私は言いたいわけや、これ。法案所掌事務はそうなってないねん。臨調答申が十あったら——いま局長が言うたとおりや、政府がその中でやろうとしていること、たとえば、五だけやろうとしていたら、その五について一生懸命見たり推進したりするだけで、あとの五は知らぬというわけや、これ。それをいまあなた説明したわけでしょう。それが問題やとも言うてはるわけです、自分で。問題でしょう、これ実際。どうなんですか。
  34. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) これはまことにあれでございますが、通常こういったことで臨調の行った答申を受けて講ぜられる施策についての調査審議、こういった場合には、先生からお示しの、十あったうち五講じようとしている、その五だけじゃないかと、こういうことではございませんで、臨調答申全体をこの審議会、新しく設置されるべき新機関におきまして調査審議することができるということに相なる次第でございますので、さよう御理解をお願いいたしたいと思います。  もちろん、新しくこの行政改革推進審議会が発足いたしまして、委員の先生方の御合議によって今後の運営方針というのは事実上固まっていくわけでございますが、その際に、私どももすべてについて御審議をちょうだいできるのであるということははっきりと御説明申し上げるつもりでございます。
  35. 峯山昭範

    峯山昭範君 だけど、御説明する言うたって、そういうふうになってまへんがな、これ。どこにそうなってまんねん。「審議会は、臨時行政調査会の行つた行政改革に関する答申を受けて講ぜられる行政制度及び行政運営改善に関する施策に係る重要事項について調査審議し、」というんでしょう。この文章はどこまでが主語で、どうなっているんですか、これ。要するに、これよう一遍教えてくださいよ。  あなたが言うように、臨時行政調査会答申したそのすべてに係るということはどこにも書いてまへんで、これ。「行政改革に関する答申を受けて」と、受けたそのもの全部とは書いてまへん。「受けて講ぜられる行政制度及び行政運営改善に関する施策に係る重要事項について調査審議し、」と、これちょっとむずかしいですな。もうちょっとわかりやすい言葉で言うてくれる、これ。
  36. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 法文上ただいま御審議をちょうだいしているような形になっておりますが、この「受けて講ぜられる」というのは、先ほど御説明申しましたように、講ぜられようとしている施策、さらに講ぜられるべき施策、こういったもの全体を含むのであると。したがって、臨調答申でおっしゃっていらっしゃる各項目、これ全体を受けてこの新機関調査審議を行うことができると、こういうことでございます。
  37. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、いま局長がおっしゃるようなことはどこに書いてあると言うねん。要するに「答申を受けて講ぜられる行政制度」でしょう。「講ぜられる」というのは、受けて政府が実際に行政制度をこうしよう、ああしようとするわけでしょう。するその中の「重要事項について調査審議し、」だから、たとえば政府行政制度、及び改善にタッチしてない、改善しようとしてない施策については調査審議する権限はないわけでしょう、これは。臨調答申したそのすべてについて調査審議しということにはなってまへんね、これ。なっていますか。
  38. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) これは何と申しますか、先ほどお答え申し上げましたとおりでございまして、その臨調答申、これを政府実行していく。これは責任を持って実行していかなければならないわけでございます。そしてその実行過程にあって、政府がまだ順序その他によって手をつけていない分野につきましても、これはたとえば先にやるべきではないかというふうなことまで含んで、そういうことまで含んで臨調答申全体にわたり、それを受けて今後実際のその推進のために、実現のための施策というものが必要なわけでございます。その施策全体を審議することができるんだと、こういうことであるわけでございますので、さよう御理解をお願いしたいと存じます。
  39. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、私が理解したってこれはあかんわけや、これ。これはこれから、君がいま言う、臨調答申があって、政府がまだ手をつけていないもの、あるいはまた全体にわたってという、そういうことはどこにも、ここからも法律的に読んだって——私もずいぶん法律のことはやりましたけれども、そんなこと出てきませんで、これ。出てきますか、これ。ここは明確にしておかぬと、後で法律通ってしまってからがっとやられたってどうしようもないですからね、これ。  門田さん、要するに、感情的なあなた方の、いまたとえば、どうしてもやらにゃいかぬのやと、きょうの答弁何とか切り抜けにゃいかぬのやというんじゃなくて、要するに、この言葉の中から冷静に見て、そんなことはどこに書いてあるかというわけや。どこにもないやないか、これ。ちゃんと答えてくれよ、これほんまに。
  40. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 再三御答弁を繰り返すわけでございますが、その「講ぜられる施策」、「行政制度及び行政運営改善に関する」が途中に入ってございますが、「講ぜられる施策」という字は、講ぜられようとしている施策と今後講ぜられるべき施策と、このいずれも含むという解釈が正しいわけでございますので、それはただいま先生からきょうの審議をどうこうというふうなお話がございましたけれども、そういうつもりは全くございませんので、その点御理解をお願いしたいと思います。
  41. 峯山昭範

    峯山昭範君 もっと学問的に答えてくれよ、これ。要するに、政府がこれから講ぜられようとしている施策、あるいは講じようとしている施策、そういうふうなものは当然ここへ入るわけやな。ところが実際まだ全く手をつけていないもの、政府が実際問題として手をつけたくないもの、あるわけや、それは。わかってますねや。ありますねん。そういうふうなものはこの中に入らへんやないか言うてるわけ。それちょっと具体的に、この文章の上から、これはこういうふうに解釈するんですときちっと、あなたができなきゃ法制局長官かなんかに来てもらって、これはこういう意味ですときちっと納得できるように説明してもらわなあきまへんで、ここは。
  42. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ただいま申し上げましたように、「講ぜられる施策」というものは、講ぜられようとしている施策と今後講ぜられるべき——これは臨調答申政府はこれを最大限に尊重し、逐次実施していくという姿勢を示しているわけでございます。したがって、臨調答申についてはつまみ食いとかそういうことではなく、今後講ぜられていくべき施策、この両方を含むということで御理解をお願いしたい。  さらに、「その結果に基づいて内閣総理大臣意見を述べる」、こういうふうに言っていらっしゃるわけですが、この審議機関におきまして調査審議なさいました結果、その結果に基づいていろいろと御意見を申し述べることができるわけでございまして、たとえば仮に百歩を譲って、政府がただいま講じつつある施策について御審議を行われたときにおきましても、それとの関連において、臨調答申の他の分野に及びいろいろと御意見をおっしゃるということも十分に可能でございます。非常に「その結果に基づいて」というのも広うございます。両方合わせまして、臨調答申にうたわれている行政改革に関する諸提言、そしてそれに基づいて行われるべき施策、こういったものがすべて入るんだと、こういうことでございます。
  43. 峯山昭範

    峯山昭範君 要するに、僕は局長の説明を何回聞いてもわからぬ。わからぬな、ほんまに。  いや、それは局長、言わんとすることはわかるんですよ。言わんとすることはわかるけれども、ここの上ではそうなってない。「行政改革に関する答申を受けて講ぜられる行政制度及び行政運営改善に関する施策に係る重要事項について調査審議し、」と、この中に、政府が全くやろうと思ってないもの、たとえばいやなものやな、それでまた全く手をつけてないもの、そういうふうなものについても調査審議をすることができるというふうにはこれは読めないんだ、やっぱりな。読めますか門田さん、これ。  あなた、これ同じ説明じゃなくて、ちょっと違う方向で説明してくれる。何で私こんなことを言うかというと、これも将来——いまは何とかかんとか法案も通って成立してしまうんですけれども、第一臨調のとき、そうやったじゃないですか。行政監理委員会ができて、行政改革のこの会議をここで何遍も何遍もやって、それでしまいには行政監理委員会委員長とまた委員とが一人一人別々に書いて答申して、行政監理委員長大臣と兼任していてうまいこといかぬで、とにかくこの委員会で何ぼやっても結局解決しなかった。現実にあるわけですよね。  だから、そういうような意味では、こういうような所掌事務にしたって、本当に私は、たとえばあなた方が言うとおりならもっとわかりやすく書けばいいですよ、ここを。臨調答申したそのすべてにわたって調査審議しと、こうなればそれはもっと明確じゃないですか。それを何で政府が行う、そのいわゆる答申を受けて講ぜられる——講ぜられるというのはだれが講ずるかというと、政府が講ずるわけやな。政府が講ずる、まあ講ぜられようという話もしましたけれども、それは結局、政府がやろうとするものだけについての姿勢を見守る、あるいは調査審議するだけであって、政府がやろうとしないものについては全くあかんということに私はなるんじゃないか。そうなりませんか、これ。感情的な問題じゃなくて、実際に法文的に見てそんなことないと、全部入っておりますと、そういうあれを説明してほしいんですよ。
  44. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) まさに先生がおっしゃいますように、これは全部入っていますと、こう申し上げているわけでございますが、やや細部に立ち入って恐縮でございますが、「講ぜられる」というふうな表現、これはいわば受け身の現在形の表現でございます。こういった字は未来形も入るというのが最も通常の解釈でございます。したがいまして、政府が手をつけていないものについても入るという解釈が十二分に成り立つ、かように考えていただきたいと存じます。  さらに、「その結果に基づいて」「意見を述べる」と、こうなっているわけでございます。調査御審議をなさいまして、その結果、意見をお述べになるわけでございまして、意見を述べる範囲については特に限定はされていないということもございます。主として受け身の現在形というのは未来形も入るという通常の解釈があるということを申し添えておきたいと思います。
  45. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう一回しつこいですけれども聞きますが、未来形も含むとかややこしいことを言うてはりますけれども、講ずる人というのは、これは政府でしょう。そうですね。政府が講ずるわけですからね。政府が講じたくないもの、講じようとしないものについてはどうなんだということですよ。
  46. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) そういったものにつきましてもこれは入る。そういったものが仮にあるといたしましても、政府最大限に尊重するということでございますので、この審議会においてはそれについての御審議が可能であるということでございます。
  47. 峯山昭範

    峯山昭範君 可能であるということでいいでしょう。その可能であるという証拠はどこにあるんですか。この所掌事務の中のどこに、どの文章、どこら辺。
  48. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 「講ぜられる」という表現が講ぜられるべきというふうな未来の形、こういうものを含むというのが通常の解釈であると申し上げました。そういう意味ですべて入るということでございます。
  49. 峯山昭範

    峯山昭範君 納得できまへんな、さっぱり。政府が実際講じようとしない、あるいは全く手をつけない、見送っているもの、そんなものが「講ぜられる」という中に入るんですか。そんな、僕、勉強したことないな、ほんまに。ほんまに入るんですかな。おかしいな。  まあこれは大臣、入るんですな、全部。
  50. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 「講ぜられる」ということの中には、現在講ずるもの、将来講じようとするもの、全部含む、これはもう御理解いただいているわけですね。そういうものを調査審議し、その結果に基づいて、その関連においてこれなぜやらぬのだという意見を申し述べる、そういうふうにすらっと理解した方がいいんではないかと、私は思います本当に。ですから全部含むと、こういうふうに私は考えております。怠けてたらなぜやらぬのだと、これははっきり言える仕事であると、私はさように理解しております。
  51. 峯山昭範

    峯山昭範君 これも大臣からそうはっきりおっしゃっていただきましたので、それはもういまの大臣答弁をはっきり覚えておきまして、こういうことだぞということは一遍何かのときに説明していただきたいと思っています。  それで次に、これは第一臨調のときに行政監理委員会というのができましたわけでありますが、これもやっぱりまあ過去の問題ではありますけれども局長とちょっと議論をしておきたいと思います。  これは、行政監理委員会のあり方についての反省というのはやっぱりあると思うんですね、今回のこの臨時行政改革推進審議会設置に当たっては。そういうような意味で、いわゆる過去の行政監理委員会のあり方等を含めましてどういうふうに反省をされていらっしゃるのか、またいままでの行政監理委員会というあれではどういう点がまずかったのか、あるいはどういう点を改善しようと考えていらっしゃるのか、そういう点を含めて一遍御答弁をいただきたいと思います。
  52. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 峯山先生の御指摘のかつての行政監理委員会、これにつきましては、そもそも第一臨調答申におきまして、    〔委員長退席、理事大島友治君着席〕 この答申のフォローアップもさることながら、どちらかといいますとこの行政監理委員会任務が、行政管理庁の行政監察や機構、定員管理、組織管理、こういったものを主たる対象とする調査審議機関的な色彩が非常に強かった、こういうことが一点ございました。やはり、答申を受けて、全般にわたってそれを推進するための審議機関という立場が比較的色彩が薄かったという点があったかと思います。  さらに、これも先ほどの御質問でございました行政監理委員会には、委員長行政管理庁長官——国務大臣であったわけでございますが、こういったことも踏まえまして、今回の臨調第四次答申では、やはり全体として有識者の方々、これだけで構成するというふうなことになっているものであろうと、こう考えております。  さらに申し上げますと、行政監理委員会行政管理庁に附置されていたということもあるいは一点あったかと思います。今回の第四次答申ではその点をお考えになりまして、これはいろいろとお伺いいたしましたが、やはり総理府に置いて総理大臣調査審議機関と、こういう位置づけをすることが適当であると、こういうお考えがあったように伺っております。  以上でございます。
  53. 峯山昭範

    峯山昭範君 確かに、いま局長がおっしゃるように行政管理庁の附属機関であって、そういう点ではやっぱり権威性から言いましても、今度の場合は総理府に置かれて、しかも総理に直接答申やら意見を申し述べることができるということになっておりますから、そこら辺のところは改善されるでありましょうし、また委員をすべて民間の方にゆだねるという点も、これはいままでのあれから言えば大分改善をされていると私は思うんです。  それで、やっぱり問題は、この答申中身を改めて審議するというのでは、これはまたいままでの答申中身が薄められるあれもあるし、いろんな問題ありますからね、そういうような意味では今回のこれはこの臨調答申実施させるための機関であると、そういうふうに認識していいわけですね、私たちは。いいですね、それで。
  54. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 第一条、第二条、こういった規定からして、先生がおっしゃったような任務と申しますか、趣旨でお願いしている次第でございます。
  55. 峯山昭範

    峯山昭範君 それから次にもう一点、所掌事務の問題で多少中身に入ってお伺いをしたいと思います。  これは局長、今回の臨時行政改革推進審議会のいわゆる中身ですね、所掌事務中身ですけれども、これは今度、御存じのとおり臨調答申を受けまして国鉄の再建監理委員会というのができたわけですが、この国鉄再建監理委員会と今回の審議会との関係性、これはどういうふうになりますか。
  56. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) この審議会所掌事務は先ほど来申し上げているわけでございますが、国鉄再建監理委員会との関係についての御質問でございます。国鉄再建監理委員会は、国鉄事業の再建に関する具体的な方策等の特別の事項を対象としております。いわばその分野についての審議機関であるということに対しまして、ただいま御審議をちょうだいしております臨時行政改革推進審議会、これは行革に対する一般的、総合的な政府施策の推進、こういった非常に一般的な事項を対象とするものでございまして、やはり国鉄再建問題を除きまして、行革に関する現下の重要課題を広く網羅する調査審議、これをお願いしたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 峯山昭範

    峯山昭範君 この審議会は要するに国鉄は含まないんですね。
  58. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 原則的に申しますと、いわば国鉄再建監理委員会が特別法、この審議会が一般法と、まあ法律的な用語をもって代置して物を申しますとそういう形に相なるわけでございます。したがって、一般法という立場から全く関係がないとは申せませんが、互いに時限でもって設置されるべき機関でございます。お互いの間に屋上屋を重ねるような審議があっては効率を阻害するということでございますので、実際の運用上に当たっては十分その点は留意してまいりたいと、こう考えているわけでございます。
  59. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、その点はわかって言っているわけですが、国鉄は除いていいわけですね、要するに。国鉄を除いてそのほか全部ということですか。
  60. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) おっしゃるとおりでございます。
  61. 峯山昭範

    峯山昭範君 総論的にはそれは含むけれども、国鉄の法案が通ってちゃんとあるわけですから、そちらの方で国鉄をやると。それで、その国鉄以外の問題についてはすべてこの法律審議をすると、そういうことですね。
  62. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) さようでございます。
  63. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、これまたいろいろ問題があるわけですな、これ。この第五次答申をずっと読んでみますと、この中にはもういろんなことが書いてあるわけですね、本当に。特に、たとえば国と地方との関係についてというところで、第五次答申のこれの九十六ページですか、この私の持っている本でね。これには、「国と地方の関係及び地方行政」というところに、「改革の方向」というところで、機関委任事務の問題ですが、    〔理事大島友治君退席、委員長着席〕 「機関委任事務、国の関与等の見直しについては、新たな審議機関設置して検討することをも提言した。」と、こうなっているわけですな。新たにこれ審議機関設置して検討すると、こうなっているわけですね。  それから同じくこれの百九十八ページにも、これは項目は情報公開のところですけれども、「国民的合意の推移、国際的動向、地方公共団体の状況等にも留意しつつ、我が国の実情に合った制度の在り方について速やかに検討を進める必要がある」と、そういうような意味で「専門的調査研究を行う組織を設けるべきである。」と、こうしているわけですね。  そうしますと、これ各所に、こういうふうな審議機関設置すべきだとか、検討すべきだとか、あるいはそういう研究の組織を設けるべきだという答申があるわけですね。ということは、これは要するにどういうふうにお考えなのか。これは、これからこういうものを新たにつくるのか、あるいはこの審議会の中でこういう問題も検討していくのか。これはそういうふうな問題としては非常に大事な問題でありますし、こういうことについてはどういうふうにお考えなのか、これちょっと一遍お伺いしておきたいと思います。
  64. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ただいま御指摘の地方機関委任事務のあり方あるいは情報公開制度、これについての審議機関、こういった点でございますが、確かに臨調最終答申あるいは第三次答申、そういった答申におきましてこういった幾つかの審議機関あるいは場の設置を提言しているところがございます。  お尋ねのまず国と地方との関係、とりわけその中での機関委任事務のあり方の問題、これにつきましては、私どもといたしましては今回設置されるこの新機関臨時行政改革推進審議会、この場において調査審議をお願いすることが適当なのではないだろうかと、こう考えておりますが、いずれにせよこれは審議会発足後、審議会の方で具体的にはお決めになることではないか。しかし、私どもとしてはこちらにおいて調査審議をお願いしたいというふうに考えているわけでございます。  また情報公開問題、これにつきましては、情報公開の問題というのが非常に高度の専門的な分野に属するいわゆる技術的な側面も相当ございますので、これをどのような場において御論議を求めるか、臨調答申でも「専門的調査研究を行う組織を設けるべきである。」と、こういう御答申でございますので、目下この問題については検討中でございます。政府部内において相談してまいりたいと、かように心得ております。
  65. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは端的に申し上げまして、こういうふうな機関委任事務の問題、情報公開の問題については、いま現在何にもできていないわけですから、国鉄以外は全部含むというんですから、この中で全部やるつもりなのか、あるいはここに指示しているようなこういう機関政府がみずからつくるつもりなのか、あるいは政府がつくる場合は、ここから言われて答申なり何なりを受けてつくるのか、そこら辺のところはどういう関係になるわけですか。
  66. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ただいま申し上げましたように、その機関委任事務のあり方については、この審議会でそのまま御審議をちょうだいするのが一番ベターではないか、妥当ではないかと、こうただいま考えているわけでございますが、そのほか幾つか臨調答申指摘されておりますような新しい専門的調査研究の場、組織、こういったものについては、ただいまその結論がそれぞれ出ているわけではございませんので、今後政府部内でいろいろと検討していきたい。  ただ、この新しく設置されます、ただいま御審議を願っておりますこの審議会、ここにすべてがかぶってきては、やはりお願いしておりますのは七人の委員の先生方でございますし、それぞれその学識経験の面でもごりっぱな方と期待しておりますが、非常に専門的、技術的な分野というふうなものが多々あるかと思います。たとえば情報公開の問題、あるいはそのほかに触れられております行政手続法の問題、非常に専門的、技術的な分野もございます。やはり一定の限界もございますし、かたがた三年間という時限の問題もございますので、あるいは別途にそういうものを考慮した方が適当なのではないだろうかということもあり得ると思いますが、いずれにしてもこれから部内で検討を続行し、結論をまとめていきたいと考えておる次第でございます。
  67. 峯山昭範

    峯山昭範君 後段の情報公開の問題はわかりましたが、前段の機関委任事務の問題ですね、これは審議会で御検討いただいた方が——何と言ったかな、いま。
  68. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) この臨時行政改革推進審議会においてお取り上げいただくのが適当ではないか、かように心得ておるわけです。
  69. 峯山昭範

    峯山昭範君 これがまたわからぬわけです。推進審議会で取り上げというのはどういうことなんですか。機関委任事務についてはもうある程度結論は出ていますね、答申の中で。それでこれ、取り上げというのはどういうことですか。
  70. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 臨調三次答申では、申し上げるまでもなく先生御案内のとおりでございますが、機関委任事務について二年間に一割整理、こういう具体的な答申が一つございます。またそれとは別に、国と地方との関係という意味合いにおきまして機関委任事務のあり方を見直す、こういった検討の場が必要だと、こういうことをおっしゃっていらっしゃるわけです。  それで、当然機関委任事務の整理合理化、一割整理と、こうおっしゃっている部分については、政府最大限に尊重しつつ、これを整理し鋭意励んでまいりたい、こう思っておるわけでございますが、これとは別に、機関委任事務のあり方、それについて見直すという機能、これをどこかでやっていくべきだと、こういう御答申がある。それをやっていっていただく機関としては、場としては、ただいま御提案申し上げております、御審議願っている審議会、この場が適当ではないだろうか、こう考えているわけでございます。
  71. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、要するに機関委任事務については、臨調答申の中の「新たな審議機関設置して検討する」ということは、それはもうしないで、臨時行政改革推進審議で検討せいと、そういうことなんですか。
  72. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) おっしゃるとおりでございます。
  73. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、おっしゃるとおりと言ったって、臨調の第五次の答申では新たな審議機関設置して検討することになっておるわけです。それはもうつくらないでここでやるということですね、それはそういうことですね。
  74. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) この臨調第五次答申で触れられておりますのは、実は第三次答申で触れられておりますことを、いわば総論的に要約して受け継いでいるわけでございまして、これはもう御案内のとおりでございます。  三次答申の方で昨年の夏にそういったあり方の基本的な見直しを行う、そういう場を設置すべきだと、こういう御答申があった。その後、第四次答申臨調答申全体を推進していく責務を負うべき機関としての臨時行政改革推進審議会の御提言があったわけでございまして、やはり諸般いろいろ見回してみまして、機関委任事務のあり方の見直しを行うための審議会というものを新しく起こすというのはこの時期にいかがであろうかという考え方、配慮もございますし、時間的な関係からいっても、やはりこの新しい審議会の場においてこのあり方の見直しを調査審議していただくということが最も適当ではないだろうかと、こう考える次第でございます。
  75. 峯山昭範

    峯山昭範君 わかりました。その点は、私もこれだけ答申が出た後で新たに審議会をつくるということについては余り賛成はできません。そういうような意味ではそれで結構です。  そこで、この臨時行政改革推進審議会がいよいよできるわけでありますが、私は先ほど一番初めに「見守り」という問題をやったわけですけれども、少なくともこの臨調答申政府が真剣に実行しているかどうかということを見守る機関としては、これはやっぱり国会だと私は思うんです。そういうふうな意味国会があるわけですから、そういうような意味では私たちがそれをしっかりすればいいと、そういうことになるわけでありまして、今度できる審議会がいままでの第二臨調答申中身をある面で水増ししたり、あるいは薄めたりするような役目では困るわけでございまして、そういう点ではきちっとしなければいけないなと、そういうふうに思っております。  またそこで、これは私が昨年の行革国会のときに本会議で質問をしたことでありますけれども、当時の鈴木総理に対しまして、私は、行政改革によって国民すべてに痛みを分かち合っていただかなければならないという立場はわかる。しかし、それは順序があって、隗より始めよの言葉どおりまず政治家、そして官僚、それから国民一般でなければならない。しかるに、今回行革国会——これは昨年の暮れのことでありますが、行革国会に提案された特別法では、まず福祉、教育の切り捨てがありましたし、国民に真っ先に犠牲を求めてきた、これも事実ですね。これから先、行政改革本番の行政機構、定員、公務員への改革は必ず実行されるかと、こういうふうに質問をしたのをいまでも覚えております。  そこで、いよいよ最終答申がやってまいりまして、これから始まるわけでありますけれども、これは行政組織、定員の問題とかいろんな問題これから出てくるわけでありますけれども、この答申中身が変に看板倒れに終わっても困りますし、確実に実行していただきたい、そういうふうに思っておりまして、この問題については多少抽象的な問題でありますので、大臣からここら辺の問題についてのお答えをいただいておきたいと思います。
  76. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 行政改革は国の行政全般にわたって行われるものでございますが、聖域は一切設けないということにいたしておるわけでございますが、やっぱり役所の組織の縮減、定員、そういう問題については真っ先に私は厳重に行っていく必要があると考えております。中央省庁の局の再編成の問題、中央省庁における課の一割削減の問題、それから出先機関の整理合理化の問題、そういうものにつきましては真っ先に私は取り上げていく問題ではないかと、かように考えておる次第でございまして、全国民に痛みを分かち合うという中にあって、やっぱり公務に従事しておる人々から行われていく、これは私は当然のことではないかと思います。そういう方向で今後とも努力をしていく考えでございます。
  77. 峯山昭範

    峯山昭範君 今回の臨調答申審議の経過等を含めまして、もう一点だけお伺いしておきたいと思います。  これは中曽根長官発言から、今回の臨調答申中身を見ましても、また臨調に要請をしたときのお話も何回かお伺いをいたしておりますが、それは結局、実効性のあるいわゆる処方せんを提出してもらいたいというふうな発言が何回かありまして、それでそれに基づいて臨調皆さん実現の可能性があるものを念頭に入れて今回の改革案がつくられた、私たち、こういうふうに聞いておるわけです。  それで実際問題として、その実現の可能性あるいは現実性というふうな問題についての、これは臨調皆さん方考え方というのはちょっと私は納得ができないわけです。というのは、臨調土光さんを初め皆さん方、総理からそういうふうに言われたものですから、いわゆる実効性のあるもの、あるいは実現の可能性という面から考えれば、やっぱり各省庁の担当のお役人さんを集めて、あるいはそういう人たちからレクチュアを受けて、そしてそういう人たちからの意見を聞いて今回の臨調答申ができ上がっている、実際そういうふうに思うわけです。  そこのところは、やっぱりお役人さんからそういう意見を聞けば実現の現実性があり、いわゆる現実性の確保という問題、実現性の問題、そういう問題ができるとお考えになったのは私はちょっと間違いじゃないかと。これは、こんなことを大臣に言ってもしょうがないわけですけれども、実際そう思うわけです。何でかといいますと、やっぱり実現の可能性あるいはいろんな問題を意見を聞くというのであれば、これはやっぱり国会意見を一番先に聞かなきゃいかぬ、ほんま言うたら。国会意見、あるいはたとえばそれぞれの専門の委員会でいままで相当議論をしてきておるわけですね、そういうふうな議論を踏まえた上でのいわゆる答申でなけりゃいかぬと私は思うんです。  こういうところが実際非常に厳しい問題でありますし、むずかしい問題にもなっているわけでありまして、これは大臣ももうすでに気がついていらっしゃるかもしれませんが、この国会議論した中身答申中身がまるきり違うのがいっぱいあるわけですよね。そういうことについては、私たちこれほんま賛成ですけれども、非常に行革は進めにゃいかぬけれども、そういうむずかしい問題が全部絡んでいるわけです。こういうような問題については、大臣、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、一遍大臣のお考えをまず、大綱的で結構ですから、お伺いしておきたいと思います。
  78. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 臨調答申をまとめるに当たりましては、最近の行政というものは非常に複雑になっておりますから、関係省庁から事情を聞いたり意見を聞いたり、そのことは私は適当であったと思います。それと同時に、また承るところによりますと、答申を出される前には各政党の幹部の方々の意見も十分聞いておったと私どもは承知をいたしておるわけでございます。しかし、各政党の御意見と違う点もいろいろ出ておったと私は思いますし、それから国会においていろいろ論議されたこととあるいはまた違っている点が答申として出されたものもあると思います。  しかしながら、私どもとしては、この臨調答申実行するに当たりまして法的措置を講じなければならぬ問題がたくさんあるわけでございまして、そういう問題については御審議いただいておりますただいまの審議会意見も承りながら、法制化の段階においては国会に提案されるわけですから、政府実行しようとする法的な施策というものは最終的にはもう全部国会の御審議を待つと、国会においてお決めいただくと、こういうことになろうかと考えておるわけでございます。なかなか、臨調答申実行するに当たりましては、役所側にもそれから各方面にいろいろ違った意見のあることは私も承知しておりますが、十分この審議会において一応の調整を図っていただいて、そして最終的には国会の御判断にまつと、こんなふうにしていくのが適当であろう、かように考えておる次第でございます。
  79. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、そのとおりでしょうけれども国会というところは国権の最高機関ですわな。そういうような意味では、国会の中で決議されたこととかいっぱいありますね。そういうようなものはやっぱり少なくとも守っていくというふうな考えでなければいけないと思うんですよね。それで、国会審議をし、最終的には国会法律が通らないとどうしようもないと。それはそうですけれども、一たんこういう答申としてまとまってしまいますと、われわれとしては非常に困るわけですよね。全体としては賛成各論反対じゃ困るというお話があるわけでして、各論反対にならないためにはやっぱり国会審議を踏まえてもらわにゃいかぬ。  大臣もよく御存じの問題を幾つか例として挙げましょう。たとえば地方事務官の問題があります。これはもう厚生大臣も長い間やっておられた大臣ですからよく御存じの厚生事務官の問題がありますね。この問題、結局この答申の中では明確に地方事務官制度の廃止ということで、これそれぞれ、厚生省関係最終的には厚生事務官とする、陸運関係は運輸事務官とする、それから労働省関係は労働事務官とすると、そういうふうに答申が出ておるわけですよ。  大臣も御存じのとおり、国会では、衆参の地方行政委員会におきまして昭和四十九年の五月ですけれども、これはそれぞれ決議がなされているわけですよね。それで、これは全部すべて「地方公務員とするよう努めること。」という趣旨の決議ですね。そうしますと、今回の答申はこれ全く逆ですね。これは非常にむずかしい経過があったのもよくわかっておりますけれども、これは非常に国会の事情からいいますと逆になっているということは明確ですね。  この問題が一つありますのと、それからもう一つ全く違う問題として、これはもうわが内閣委員会で何回も議論された問題でありますけれども、いわゆる国家行政組織法の一部改正という問題であります。これも基本答申中身の中で明確になっておるわけですね、これ。「各省庁の内部組織については、現在法律事項とされている局、部等内部部局及び次長等職の設置・改廃を政令事項とする。」と、これに基づいて国家行政組織法の改正がいま出されているわけでありますけれども大臣も御存じのとおり、この問題についてはもう相当長期間にわたって議論をしてまいりましたね。  政府もこの問題については、国家行政組織法の改正というのを三回にわたって国会に出しておられます。御存じのとおり第六十五国会昭和四十六年の三月ですけれども——に出して、これはそのまま廃案になりましたし、六十八国会、四十七年の三月ですけれども、このときも何にもされないまま廃案になりましたし、七十一国会、四十八年の三月ですけれども、このときにも衆参の内閣委員会で実質質疑が一回もされないまま廃案になっている。こういういきさつがあるわけですね。  ここら辺の問題は、私は、行政改革という面から言うとそれは大事な問題かもしれませんが、官僚の皆さんから言えば大事な問題でありまして、私たち国会の立場から言いますと、国会審議というのは、それぞれやっぱり設置法を審議する内閣委員会としては非常に重大な問題でありますし、これはやっぱりそれぞれその改廃をいいかげんにやってもらっては困る。もちろん、いいかげんにやらないと言いますよ。言いますが、われわれとしてはこれを非常に大事に見てきた問題でありまして、私もこの問題について先日の決算委員会で総理にお伺いしましたが、そのときにも総理から総定員法と比べてのお話がありましたけれども、しかしながら、これもやっぱりただ単に、国会でのいままでの議論の経過から考えてみますと、そう簡単に政令で済ませる問題でもないと思うんですね。そういうふうなやっぱり国会の果たす役割りというのがだんだん薄められている傾向がある。この点は非常に私は遺憾だと思うんです。そういうふうな意味で、大臣はそこら辺の問題についてどういうふうにお考えなのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  80. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 臨調答申の中では、いま先生お述べになりました例として二つ挙げられたわけですが、国会委員会の決議、それからまた過去のいきさつ等によりまして非常にむずかしい問題のあることは私は十分承知をいたしておるわけでございます。  まず地方事務官問題について一言簡単に触れておきたいと思いますが、従来ともこの地方事務官問題というのは、実は私は昔から非常に関与しておった問題でございますが、国家公務員でありながら府県知事のもとに指揮監督を受ける、こういうやり方でございます、これはもう私が申し上げるまでもなく。それじゃその行っておる事務というものはどういう事務かといいますと、国家的な統一性を保ちながら国全体一本でやっていかなきゃならぬ性質の仕事であると私は理解をしておるわけでございます。  そこで、国家公務員でありながら知事の指揮監督に置くということは、どうしてもやっぱり制度としては変則な制度でございますので、この制度を何とかしなくちゃならぬということはもう何十年来、三十年来のこれは問題であったわけでございますが、従来の地方行政委員会のいろいろな決議を見ますというと、身分関係だけを取り上げて、国家公務員を地方公務員に移す、こういう身分的な立場で立論されておったと私は理解をいたしております。  しかし今回は、大々的な大規模な行政改革をやろうということならば、変則的なそういう制度をやめ、そして国の行っておる行政、地方の行政、その仕事の筋を立てて、今回、いま全部が国家公務員ですから、それを大半は——大半といいますか、どのくらいになりますかわかりませんが国の機関の公務員に移す、それから一部は、なるほどその仕事の性質からいって地方公共団体、ローカルオートノミーになじむものはそちらに移したらいいじゃないか、こういう仕事を中心としてこの問題を考えたらどうだ、こういう提案であったと私は理解をいたしておるわけでございます。  それから、さらにまた国家行政組織法の問題。これは労働省設置のときに、実は私は当時厚生省の総務課長としてあの案を起案したわけでございますが、労働省というのは新しい役所、労働民主化ということでさらに大きく発展をしていかなければならない役所であるので、将来ふやす場合があるだろうということで、マッカーサー司令部の示唆によりまして、増設することを予定しながらその分は政令でと、こういう話であったわけでございますが、参議院においてそれは削除されたわけでございます。  それからずっと今日に至っておるわけでありますが、最近における行政需要の変化、そういうことを考え、特に今回は臨調答申において八省にわたる中央の部局の再編をやっていこうと、こういうわけでございまして、やっぱり最近における行政需要の変化に対応して機動的に部局の再編成ができるようにする必要があるのではないか、こういうことが出てまいりまして、従来の論議の中にありました、そうすることによって膨張するじゃないかという御懸念が非常に国会の場で出されましたので、膨張はいたしません、むしろ縮減の方向で総枠制限をして、いま行革実施するというやさきでございますので、御理解をいただきたいと、こういうことで答申が出ておるわけでございます。  私としては、最近におけるそういう行政需要の変化等々を考えてみまするならば、やはりこれは相当理解すべき内容のものではないだろうかと実は考えておるわけでございます。しかし、この問題をどう処理していくか、対処していくか、それは近く行政改革大綱の中で政府方針を打ち出したいと考えておりますが、まだ具体的に結論を得ていないというふうに理解をしていただきたいと考えております。
  81. 峯山昭範

    峯山昭範君 次に、これで終わりたいと思いますけれども、先日の同僚議員からの質問で、資料の公開という問題がありました。これはやっぱり第一臨調のときにも、会議録等につきましては、これはすでに御存じのとおり、内閣委員会の調査室に行きますとずっとそろっておりますですね。やっぱり資料、これは何とかならないものか、われわれとしてはぜひ一部は——全部出すなんというのは大変でしょう。ですから、たとえば一部どこか、内閣委員会の調査室だけでもいいんです。  たとえば、これは二通りあると思うんですね。委員皆さんの会議録というのが、きょうの朝の理事会でも会議録はないという話でしたけれども、要点はあるでしょう、ある程度。たとえば、それは非公開を原則とするということで始まったにしましても、一応審議も終わりまして答申も全部終わって、一段落したところですね。そういうふうな意味では、やっぱり答申の本当の意味というものを理解するためには、多少審議の経過ということを知る必要がありますね。そういうふうな意味で、会議録とかそういうようなものを何とかならないかというのが一つ。  それからもう一つは、政府が出した資料ですね。その資料は、当然われわれとしてもこれからの審議の資料としても必要でありますし、臨調皆さんがこういうふうに判断したその根底の理由ですね、そういうようなものを理解するためにもあるわけですし、土光さんがしょっちゅう言っておられた国民のための行革という意味から言っても、その資料をぜひ公開してほしいなという気持ちでいっぱいなんですけれども、この問題については何とかならないものか。そこら辺のところはどうでしょうかね。
  82. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 臨調のまず議事録の方でございますが、これにつきましては、いままで大臣からも御答弁がありますように、臨調の初会合におきまして審議を非公開にするということで来ておりますので、やはり自由濶達に議論をしていただいたという点から見て、公開するのは適当ではないのではなかろうかというふうに考えております。  それから資料の点でございますが、この点につきまして、臨調のいままでとってまいったやり方を見ますと、公開できます資料は、たとえばその審議経過を記者発表するときとか、そういうときに公表するというようなことで、公開できる資料は原則的に公開してきたというふうに伺っております。  それから審議に使用した資料でございますが、これにつきましては、非公開を前提にしてたとえば各省から提出されたような資料、こういったものも非公開を前提ということでありますので、公開についてはやはりむずかしいのではないかというふうに考えております。
  83. 峯山昭範

    峯山昭範君 そういうふうな資料は、臨調がなくなって、臨調皆さんが検討した資料というのはいまどこにあるんですか。
  84. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 臨調が解散いたしまして、その資料というのはまだ整理ができておりません。現在それを整理中でありますが、これは、臨調そのものはもうございませんので、行政管理庁から出向していた職員の一部が残りましてその整理に現在当たっているという状況でございます。
  85. 峯山昭範

    峯山昭範君 行管の中にあるわけですね、その資料は。
  86. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 場所的に言いますと、行政管理庁の中ではなくて臨調の行われたいわゆる臨調ビル、ここにございます。
  87. 峯山昭範

    峯山昭範君 それはだれが責任を持って管理しておるんですか。
  88. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 現在資料の整理中ということでございまして、この仕事を行政管理庁が担当しておるわけでありますので、いまの時点では行政管理庁というふうに言うことができると思います。
  89. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、そこら辺のところはやっぱり明確にした方がいいんです。特にそういうふうな公開した方がいい資料が多いわけですよ。しかも一般的に公開できるものはしていると言うていますけれども、それはそうでしょう。しかしながら、系統立てて臨調委員皆さん方にいわゆる供覧に供した資料ですね、そういうようなものは、これはどういうふうなものをきちっとどういうふうにしたのか、具体的に、少なくとも当該委員会の調査室ぐらいにはやっぱりきちっとそろえておいた方が将来のためにもいいんです。  しかも、いまの管理体制についても、臨調の庁舎で何となく行政管理庁がやっているみたいなそれですけれども、そこら辺の責任体制も明確にして、これはきちっとした体制に、大臣ね、やっぱりした方がいいんです。そうでないと将来のためにもどうしようもなくなりますよ、実際問題として。資料をきちっと整備して、それで第二臨調皆さん方が検討した資料というのはこういうものなんだと、たとえ非公開であったにしてもやっぱり管理体制はきちっとして、それで本当に、たとえば会議録そのものは非公開であったにしても僕はほとんどの資料は公開できるんじゃないかと。そこら辺のところも十分検討して、やっぱりきちっとした方が将来のためにいいんじゃないか、こう実際思うんですけれども、どうでしょうかね。
  90. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 資料の整理、保管につきましては、いま行管の職員がこれに当たっておるわけでございますが、これはまあ総理府の臨調でございましたから、総理府とも十分相談をいたしまして、どちらの役所がこの保管に当たるべきかはっきり決めまして整理をするようにいたしたい、かように考えております。
  91. 峯山昭範

    峯山昭範君 整理ができた段階でどういうふうにするか、たとえば国立国会図書館に置いてみんな見れるようにするとか、それは何らかの方法が私はあると思うんですよね。そこら辺のところはぜひやっぱりきちっとしていただきたいと思います。  それから、きょうこの後五十五年行革実施状況について一つ一つ詳しくお伺いすることにしておりましたけれども、大変たくさんの項目にわたりますし、行革実施状況についてはこの次の機会に質問さしていただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  92. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  93. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、臨時行政改革推進審議会設置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 安武洋子

    ○安武洋子君 今月の二十四日に行革大綱閣議決定をされる、こういうふうに聞いております。臨調最終答申実施方針といままでの答申のうちの未実施事項、これの実施方針が網羅的に盛り込まれるというふうにけさ長官は御答弁をなさっていらっしゃいました。それなら、総合管理庁の設置あるいは国土庁等の三庁統合、それからブロック機関等の整理合理化、それから電電、専売の分割民営化、地方事務官制度の廃止、これについて臨調答申どおり実施するという具体的な方針が盛り込まれるんでしょうか、お伺いをいたします。
  95. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 去る三月の十四日、臨調から最終答申、第五次答申をいただいたわけでございますので、これをどういうふうにして実施していくか、実施方向、手順、そういったものを中心として新しい行革大綱を策定したいと思っていま努力をいたしておるところでございますが、その第五次答申以外におきましても、昨年の八月でしたか七月でしたか出されました第三次答申の中でまだ実施されてない問題等についても、今後の実施の手順その他を策定をしていくというふうにいたしたいと考えております。  そこで、いま数項目のお尋ねがございましたが、地方事務官問題については多年にわたる変則的な公務員制度でございますので、行政の執行との関連において根本的に見直したらいいではないかという御意見でございまして、そうした線でいくのがいいのかどうか、そういう点について目下案を練っておるところでございます。  それから総合管理庁の問題につきましては、人事管理と定員それから組織管理その他を一元化したらどうか、こういう趣旨の答申が出されておるわけでございますが、私は、その人事管理、定員・組織管理、そうしたもろもろの管理を一元的に行っていくということについては十分理解すべき、評価すべきものがあると考えておりますが、それをどういう方向でどういう手順でやっていくか、それも目下調整中でございまして、まだ結論を得ていないわけでございます。  それから国土三庁問題につきましては、これはこの前も社会党の委員の方から御質問がございましてお答えをいたしましたが、沖縄の特殊の事情、北海道の地域の特殊の事情等もありますので、慎重に対処していく必要があるのではないだろうかと考えております。  ブロック機関の整理につきましては、これは第五次答申において非常に具体的に記載されておるわけでございますが、これを最終的にどうするかまだ決定を見ていない段階でございます。  それから電電、専売の問題につきましては、昨年の第三次答申において提言があり、昨年の九月に定めました行革大綱においては、こうした問題については次の通常国会に提案すべく準備を進めようという閣議決定をしておるわけでございますが、この電電、専売につきましては経営形態の変更等を含むというふうなことでもありましたので、関係するところきわめて複雑であり、困難な問題がたくさんございますので今日まで延び延びになってまいりまして、とうとうもう会期切れが迫ってまいりましたいまの通常国会に提案することは非常に困難な状況だと考えております。  なお、この問題については非常に複雑な、困難な要素を含んでおりますので、今後これをどういうふうに処理していくか、今後とも慎重に考えたいと思っておりますが、新しい行政改革大綱においてもどういうふうな手順で今後この問題の解決のために進めていったがいいのか、そういう問題についてはいま関係省と十分相談をしておる段階でございまして、いまのところコメントする段階ではない、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  96. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、いま私がお伺いいたしました数項目の点につきましては、これは新しい行革大綱にどういうふうにして盛り込むのか、その手順を調整中である、こういうふうにお伺いしてよろしゅうございますですね。  引き続きお伺いいたしますが、臨行審の調査それから審議の範囲、これは総理の諮問も含めまして第二臨調答申、これに関連をいたしますとすべて議題となりますのでしょうか。
  97. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 実際具体的には、この新機関が発足後、委員の先生方が協議してお決めになるということでございますが、ただいま先生が御質問になりましたように、臨調答申にかかわる事項につきましては全部審議の対象となり得るというものでございます。
  98. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、臨行審の設置期間、これが三年になっておりますけれども、この三年間の臨時期間の間に、短期的な課題というのは三年間、これで全面的に実施をしていこう、そして中長期を要する課題についても実施のめどの方向をつけておこうというふうに私思っておりますのですが、そういう理解で間違いございませんでしょうか。
  99. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) おっしゃるとおりでございまして、当面緊急を要する事項等につきましては早速手をつけ始め、かつ一定の時間の幅の中で着実にこれを実行してまいるということでございますし、かつまた中長期を要するような問題につきましても、やはりめどを立て、軌道に乗せるという期間が大略三年ということではないかという御趣旨で第四次答申も出たものというふうに承っております。
  100. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、緊急を要するものというのは具体的にどういうものでございましょうか。
  101. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 臨調最終答申、御承知のように非常に多岐にわたった課題を御答申になっていらっしゃるわけでございます。一々申し上げるのは何でございますが、たとえば行政組織の面で見ますと、各省庁、八省庁の内部部局の再編成でございますとか、あるいは国、地方の関係における出先機関、ブロック機関あるいは府県単位機関、あるいはさらにその先の支所・出張所のたぐい、こういったものにつきましても早速やはり昭和五十九年度から手をつけるという御趣旨に発した御答申であるというふうに承っているわけでございます。  その他、もろもろ幾つもございますけれども、かなり具体的に答申の方で示されているその御方針に沿って、政府の方としてもできる限り積極的に対応してまいりたい、こう考えております。
  102. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、中長期的課題とは具体的にどれとどれなんでしょうか。
  103. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 臨調答申におきまして、中長期的な検討課題というふうに指摘されておりますものはさまざまなものがございます。たとえば、最終答申におきましては、行政機構につきましてもその中で中長期的課題という位置づけをしておりますのが科学技術行政機構など幾つかの課題が、当面のたとえば内局再編成というふうな問題とは別に将来こういうことについて検討し進めていくべきだというふうなことで中長期の改革課題ということにしてございます。現段階でまだ状況が熟していないという、今後の事態の推移を見ながら検討を進めるべきだというお考えから中長期的課題とされたものと承っております。  そのほかに中長期という字が書かれておりますものは、たとえば国鉄の民営分割というふうな問題、これは中長期という字は使っておりませんけれども臨調第三次答申、いわゆる基本答申、昨年の夏に答申されましてから五年以内にそういうものについての成案を得なさいと、こういう形で五年を中期と申すのは通常の感覚でございましょうから、そういうふうにめどをお立てになって書かれたものもあるわけでございます。その他もろもろ、たとえば食糧管理制度の全量管理方式の見直しであるとか、こういったものも中長期というふうにうたわれている。いろいろございます。
  104. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、中期は大体五年とおっしゃいましたけれども、長期というのはどれぐらいな年月を指すのでしょうか。
  105. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 今後の情勢の推移にもよると存じますが、どのくらいの年次というふうにめどを立てることはやはり大変困難なことではないかというふうに存じます。
  106. 安武洋子

    ○安武洋子君 では具体的にお伺いいたしますけれども、基本答申で出されております地方の広域行政、いわゆる道州制でございます。また最終答申の総合安全保障機構、こういう問題の中長期的課題といわれるテーマでございますが、臨行審で具体化が必要であるという認識に立ちますと、こういうことが審議をされまして意見の申し出なり答申なりで総理に報告されると、こういうことはあり得るのでしょうか。それが法的に可能なのでしょうか。
  107. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、具体的には臨行審発足後、委員の先生方の御協議によって定まってまいるというふうに存じますが、いまお示しになりましたような案件につきまして、この御審議をちょうだいしております審議会発足後どういうふうになりますか、これはただいま私どもお答え申すべき立場にはございませんので、その点は御了解をお願いいたします。  なお、法的にどうなのかというお話でございましたが、これは臨調答申そのすべてにわたって御審議をちょうだいできるというふうに考えておりますので、審議をされるということはそれは可能であるというふうに存じます。
  108. 安武洋子

    ○安武洋子君 ですから、法的には審議をされて、そして意見の申し出なり答申なりで総理に報告をされるということがあり得ると、こういうことでございますね。
  109. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 原則としてはさようでございます。
  110. 安武洋子

    ○安武洋子君 では審議会についてお伺いをいたします。  二、三お伺いいたしたいわけでございますが、臨行審は臨調答申を全面的に実施をするために他の審議機関には例を見ない強力なものになっております。  まず、審議会の総数二百十一というふうに聞いておりますけれども、この中で独自の設置法で設けられたもので、そして内閣総理大臣の諮問に答申をして、そして独自の判断で内閣総理大臣に随時意見を述べる、こういうことができる審議会、すなわち三つの先ほど私が申しました性格をあわせ持っているというこういう審議会は幾つございましょうか。
  111. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ただいまの二百十一の既存審議会の中で、御指摘のような三つの機能をあわせ持っておりますものは四つであると存じます。
  112. 安武洋子

    ○安武洋子君 その四つの名前をちょっとおっしゃってください。
  113. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 申し上げます。  雇用審議会、選挙制度審議会、青少年問題審議会、科学技術会議、以上でございます。
  114. 安武洋子

    ○安武洋子君 臨行審は、すべての行政機関の長だけじゃなくて、すべての特殊法人の責任者、それからすべての地方自治体の長に対しても資料の提出などの協力を求めると、こういう権限が付与されることになっております。現在、すべての行政機関の長に資料の提出等の協力を求めることができると、こういうふうな各種の審議会というのは幾つございますでしょうか。
  115. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) おっしゃいました行政機関、地方自治体、特殊法人それぞれすべてにわたって資料の提出、協力要求ができるという審議会は二百十一の中にただいまございません。
  116. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、すべての特殊法人の責任者に資料提出の協力を求めることができると、こういう審議会は幾つなんでしょうか。
  117. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) それが実はないわけでございまして、先ほど申しましたように三つ全体にというのがないわけでございます。
  118. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、すべての地方自治体の長に資料の提出、協力を求めることができるというものもこれもないと、こういうことでございますね。
  119. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) これはございまして、手元にあります数字では七つございます。
  120. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、その七つの名前と、それから私は、すべての行政機関それからすべての特殊法人、すべての地方自治体、この三つに資料提出の協力を求める権限をあわせ持った審議会というのは、これは現存しないということを確認しておきたいのですが、そのことが間違いないかどうか、この二つをお伺いいたします。
  121. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 最初の御質問でございますが、すべての地方自治体に資料提出などのお願いができますもの、これ七つと申し上げましたが、歴史的風土審議会、国土審議会、土地鑑定委員会、国土利用計画審議会、水資源開発審議会、運輸審議会、航空事故調査委員会、以上でございます。  続きまして、すべての行政機関、すべての自治体、すべての特殊法人について全体あわせ持つものがないということを確認せよというお話でございますが、これはただいま二百十一の中にございません。
  122. 安武洋子

    ○安武洋子君 臨行審はすべての行政機関の運営状況だけではなくて、すべての特殊法人の運営状況も実地に調査をすると、また委員に調査をさせることができるということになっております。現在、すべての行政機関の運営状況を実地に調査することができる審議会、これは一体幾つございますでしょうか。
  123. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ございません。
  124. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、すべての特殊法人の運営状況を実地に調査することができるとされているのは幾つございますか。
  125. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ございません。
  126. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、確認でございますが、先ほど申しました二つの権限、行政それから特殊法人の運営、この調査の権限をあわせ持つというこういう審議会は現存しないと、こういうことでございますね。  次に進んでまいりますけれども、臨行審は、第一次臨調答申推進のために設けられましたのが行政監理委員会でございますが、これと比べてみましても格段に強力な機関となっております。  まず、行監委は行管庁の附属機関でございましたが、臨行審は内閣総理大臣直属の機関とされております。それから第二に、行監委は行管庁の通常業務についての諮問に答える任務を持たされておりましたけれども、臨行審は臨調答申の推進を主たる任務としております。第三に、行監委は行管庁の下請機関的なものとされておりましたけれども、臨行審は政府から相対的に独立した機関、こういうことになっております。第四番目には、行監委員は独自の事務局を持たなかったけれども、臨行審は独自の事務局を持つ、こういうことがございます。行監委と臨行審の違いという点は大まかにこういう点であるというふうに踏まえていて間違いございませんでしょうか。
  127. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) さようでございます。
  128. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまの審議を通じましても歴然といたしましたけれども、臨行審というのは、審議会の歴史から見ましても、きわめて特異な審議会と言わざるを得ないと思います。  そこでお伺いをいたしますけれども、ある一つの審議機関が出した答申を推進すると、そのために別の審議機関が設けられると、そのことを設置法上明記した例はおそらくこの臨行審が初めてだというふうに私は思いますが、他にこういう例がございましたら教えていただきとうございますが、こういう例がございますか。
  129. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 私の承知しております限り、他にその例はないと存じます。
  130. 安武洋子

    ○安武洋子君 臨行審と同じような権限を持っていたのが第二臨調であるというふうに私思いますけれども、権限的な面から見ますと、これはまさに臨行審というのは事実上のポスト臨調、第三臨調と言うにふさわしい審議会であるということでございます。  この臨行審と個別の審議会との関係についてお伺いをいたしますけれども、財界とか、それから臨調関係者などは、臨行審に個別審議機関の検討状況をチェックする機能を持たせよと、こういうふうなことを主張いたしております。臨行審というのはこのような機能を持つのでしょうか、お伺いをいたします。
  131. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ただいま御質問の、財界などにおきまして、いま審議をちょうだいしております臨行審、これにほかの個別審議機関審議状況をチェックさせる機能を持たせよというふうな御意見があった、こういう御質問でございましたが、私寡聞にしてそういう御意見があるということは承知しておりません。仮にそういう御意見があったとしても、この臨時行政改革推進審議会は、累次にわたって御答弁申し上げましているとおり、そのほかの審議会といわば形式の上では水平に並ぶ調査審議機関でございます。したがいまして、一般論として申しますと、何と申しますかほかの審議会と全く同じでございまして、国家行政組織法上の八条機関ということで位置づけられ、それぞれ独立した調査審議権限を行使しろということに相なるわけでございまして、今回の審議会がほかの審議会審議機関、こういったものの審議状況をチェックするというふうな性格のものではございませんので、今般の法案におきましてもそのような権能は付与されていないわけでございます。
  132. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、臨調設置を提言いたしました国鉄再建監理委員会と、それから臨行審、この関係審議対象が重なり合うというふうなことはございませんか。
  133. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 両審議会、この臨時行政改革推進審議会の方は一般的、総合的な行政改革に関する政府施策の推進というふうな総合的なものを対象とする機関でございますし、国鉄再建監理委員会は、臨調答申を同じく受けまして、国鉄事業の再建に関する具体的な方策についての企画、審議決定を行うと、こういうことでございますので、いわば比喩的に言えば一般法と特別法の関係にあると午前も御答弁申し上げたわけでございます。しかしながら事実問題として、国鉄再建臨時措置法に基づき再建監理委員会が取り扱う事項というものにつきましては、この新しい審議会、これは取り扱わないということになるわけでございまして、政府部内の考え方としても、両委員会審議会、この両方の事務が重複して行われることのないように適切に配慮してまいりたいと思っております。
  134. 安武洋子

    ○安武洋子君 では機関委任事務など、この見直しのための新たな審議機関を設けずに臨行審で調査審議、こういうことをするんでしょうか。
  135. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 機関委任事務のあり方についての臨調第三次答申の全体として見直してはどうか、そのための審議機関を置いてはどうかと、こういう御答申でございますが、この臨時行政改革推進審議会の場において御審議をちょうだいしてはどうかと、こう考えているわけでございます。
  136. 安武洋子

    ○安武洋子君 それでは、第二臨調答申をしております行政手続法制定のための臨時の調査審議機関、この関係はどうなるんでしょうか。個別な審議機関を設けずに臨行審で調査審議をするんでしょうか。
  137. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) これはもちろん具体的には臨行審発足後の御協議にまつところでございますけれども、私どもといたしましては、この行政手続法という対象課題の性格が非常に、法律的に見ましても実体的に見ましても、高度に専門的かつ技術的な部門にわたるという性格がございますので、果たしてこの臨行審おいて御審議をいただくことが適当かどうか疑念なしといたしません。今後どういうふうに具体的なこの論議を進めていくか、手続法制定問題について具体的な論議を煮詰めていくか、この問題につきましては今後政府部内において検討してまいりたいと思っております。
  138. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、総合企画会議と臨行審の関係についてお伺いをいたします。  総合企画会議は、臨調答申によりますと、「長期的・総合的な観点からの政策の重点、政府諸計画間の整合性の確保のための方策、長期的な計画と短期の経済・財政運営との関連等について調査・審議し、内閣総理大臣答申又は意見を提出する。」と、こういう機関とされております。瀬島龍三氏などは、安保、防衛などの国策全般にかかわる問題を審議する機関であると言っておられます。  そこでお伺いをいたします。  新たな行革大綱には総合企画会議の設置方針も盛り込むのでしょうか。
  139. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 新しい行革大綱、これは先ほど大臣答弁申し上げましたとおり、目下鋭意作業中でございます。最終段階調整に入っているわけでございまして、ただいま具体的に申し上げることを差し控えさしていただきたいと存じます。  この問題につきましては、臨調の御答申、いろいろな経済計画を初めとします計画、企画、こういった機能の整合性を維持するという観点から、その一つの案としてお出しになっていらっしゃるわけでございますが、いずれにしましても、私どもこういった整合性の維持、これをどういうふうにすれば確保できるのか、より前進することができるのかということについて考慮してまいりたいと思っております。
  140. 安武洋子

    ○安武洋子君 大臣もいまの考え方でございましょうか、それを御答弁いただきたいということと、それから総合企画会議は、その委員の構成と運営によりましては、第二臨調とか臨行審を上回る強力な審議機関となるというふうなことがございます。政府はこれをどういうふうな位置づけで考えていらっしゃるんでしょうか。大臣、御答弁をお願いいたします。
  141. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 答申の中には総合企画機能の強化ということで会議の提案がございます。国土計画、経済計画、そのほかもろもろの計画の整合性、総合的統一性、そういうものを保持するような会議をつくったらどうかと、こういうお尋ねでございますが、これをどういうふうに行革大綱の中でその方向を決めるか目下調整中でございますが、何かしらやはりそうしたもろもろの計画の総合性を確保するということは国政全般を運営する上において必要ではないかというふうに考えておりますが、どういうふうな方向を記載するかにつきましては、いまコメントする段階ではないと、かように考えておる次第でございます。
  142. 安武洋子

    ○安武洋子君 それは私は、この委員の構成とか運営によりましては権限が、第二臨調とかそれから臨行審、これを上回るような大変強力な審議会となるんじゃなかろうかと、そういうことを言っているわけです。政府はどういうふうにこれを位置づけてなさるかということで大臣答弁をお願いしたわけなのです。
  143. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 総合企画会議は、先ほども申し上げましたようにもろもろの国土計画なり経済計画なりの総合性、さらに整合性をどうやって確保するかということで提案されておるわけでございまして、これをどういうふうな形で方向づけをはっきりさせるか目下調整中でございます。私どもとしましては、屋上屋になったりするようなことは避けなければならぬ問題だと考えております。いま目下検討中、調整中でございます。
  144. 安武洋子

    ○安武洋子君 財界とか土光臨調会長などは、近く発足予定の行政改革推進連絡協議会とかそれから財界の行革推進五人委員会、こういうものと臨行審の取り組みとを互いに連携させて相乗効果が発揮できるようにすべきであるというふうに主張なさっておられます。運営は臨行審行うものだというふうに思いますけれども政府としては財界であろうと大いに協力してもらう考えだというふうなことを述べておられると、こういう見地に立っておられると聞いておりますけれども長官はどうお考えでございましょうか。
  145. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 経済界その他において行政改革を推進し協力をしたいという気持ちをお持ちの方々がおありになることは私も承知をいたしております。しかしながら政府においては、そうした動きとは一切関係ない、政府政府独自の立場で行政改革を進めていくべきものであると考えております。しかしながら、行政改革というのはやはり一つの大きな国民的課題でございますから、世論の支持というものが非常に大事である、それは私はそういうふうに理解しております。しかし、財界がどういうふうな提言をされようが、どういうふうな推進の団体をつくろうとするのか、それと私ども審議会とは関係はないと、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  146. 安武洋子

    ○安武洋子君 審議会とは関係がないということはよくわかっております。運営はこの臨行審が行うものであると。しかし、衆議院の方では、こういう連携して連動させていくということが望ましいというふうに御答弁を私はなさっていらっしゃるのではなかろうかというふうに思いますけれども、だからこそ長官のお考えをお伺いをいたしております。長官はいまでもそういうふうにお考えでございましょうか。
  147. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 財界のみならず、国民の各層の中から行革の推進について御協力をいただく、これは私は必要なことだと考えております。しかし、政府機関としてやる仕事と民間の方々の団体のおやりになる仕事とはそれぞれ違います。しかしながら私どもは、先ほど申し上げましたように、行政改革という大きな国民的課題を強力に進めるためには世論の支持、これは私は非常に大事だと考えておるわけでございます。
  148. 安武洋子

    ○安武洋子君 国民世論の支持を得なければならないというそのお考えは、これは私と全く一致をいたしますが、しかし私が御質問申し上げておりますのは、ここのところで財界とか土光臨調会長などが行政改革推進連絡協議会とかあるいは財界の行革推進五人委員会とか、こういうものを臨行審の取り組みと互いに連動させたいというふうな、こういうことについては長官はいかがなんでしょうかと、国民一般でお答えでございましたけれども、ここの財界に限って、いま私が申し上げたことに限っての長官のお考えを伺っております。
  149. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 財界は財界で協力する意味においてそういう会議をおつくりになって行革を推進なさると、私はそれは結構なことだと思います。しかしそれだからと言って、そのことがただいま御審議いただいておりまするこの審議会と連携をとってやるとか、そんなことは全然ございません。
  150. 安武洋子

    ○安武洋子君 押し問答になってしまいますけれども、それは長官のおっしゃることはあたりまえのことで、だけれども衆議院では好ましいというふうにお答えになっていらっしゃる、そういうお考えは変わりませんでしょうかと、やはり好ましいことであるというふうに思っていらっしゃるんでしょうかということなんです。
  151. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 国民の方々の御支持をいただくということが非常に大事なことでございますから、その一環として財界は財界でいろいろな支援をする、そういう連絡会議をおつくりになる、私はそれは結構なことじゃないかと考えております。しかしそのことは、この御審議いただいておりまする審議会と直接連動しているものでもない、関係しているものでもない、これははっきりさせておかなければならぬと思います。
  152. 安武洋子

    ○安武洋子君 国民の支持の一環としてということで御答弁ございましたが、国民が支持をしていないということは最後の方で申し上げとうございますので、この問題をおいて次に進ましていただきます。  臨行審は、機構整理とかそれから行政簡素化などのスローガンのもとで行われてまいった従来の行革とは本質的に違っております。臨調自身が、二十一世紀を展望したわが国をつくり上げる、これは基本答申の中に出てまいりますけれども、こういうものとして位置づけておりますし、総理も国家の構造改革と、こうお述べになっております し、齋藤長官も、世直しの考えがあると、こう述べておられるように、国家改造を目指すものだというふうに理解してもよろしゅうございましょうか。もし間違っていれば、どこがどう間違っているか御指摘をいただきとうございます。
  153. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 今回の行政改革は、もう御承知のように、経済社会の変化に対応して将来の福祉社会、そういうものを考えたときに従来のような機構でいいであろうか、行政運営でいいであろうか、そういうことを改革をし、簡素、強力な行政というものを打ち立てていきたい、そして明るい二十一世紀というものを展望していかなければならぬと、こういう趣旨で行政改革が行われるわけでございますから、ある意味において非常に大きな変革が私はあると思います。  行政機構においてもあるいは行政運営においても、従来のような惰性的な姿であっていいのかどうか、いろいろな反省の上に立って改革していこうというわけですから、その意味においては、常識的に言うて、相当思い切った改革、改造であると、こういうふうに私は考えております。
  154. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、世直し的な考え、そして国家改造を目指すものというふうな位置づけでなさっていらっしゃるということを確認させていただきまして、次の問題に移ります。  臨調は、行政の目指すべき二つの目標、すなわち活力ある福祉社会の建設とそれから国際社会に対する積極的貢献、いわばこの二つを前提といたしましてわが国社会の安心と安全の確保の必要性を強調しております。これは部会報告段階では、行政の目指すべき三つの目標の一つとされてきました。その意図は、各個人のライフ・ステージを通ずる生活面での安心と安全、それから大都市災害等に対する安心と安全、それから政治、経済、資源、防衛など対外的な安心と安全を中心とするいわゆる総合安全保障体制の整備であると思いますけれども、これは間違いございませんでしょうか、お伺いをいたします。
  155. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 臨調答申全体を通じてこれを見ますと、先ほど安武先生がおっしゃいました活力ある福祉社会の実現、国際社会への責任、こういった事柄を強く強調していらっしゃるということは事実でございますが、総合安全保障会議、これを非常に強く前面に押し出しているというふうな性格のものであるとは私ども考えておりません。
  156. 安武洋子

    ○安武洋子君 生活面での安心と安全とか、それから大都市災害等に対する安全とか、それから政治経済、それから防衛など対外的な安心安全というような総合的な安全保障体制、この整備ということは否定なさるわけでございますか。
  157. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) その三つの局面にわたる安心、安全というのは、部会報告ではあったようでございますが、基本答申ではその部分は削除されているというふうに理解しております。
  158. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、こういうことは全く目指さないと、そういう御認識でございましょうか。
  159. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 全体の答申のウエートの問題でもございますけれども、もちろん臨調は全体として聖域なき行政全般にわたる見直しをやるという見地から出発し、かつ御審議がされたということでございます。したがいまして、一部にたとえば防衛に関する基本的な考え方というふうなことは触れられておりますが、これが大きなポイントであるというふうには全く考えておりません。
  160. 安武洋子

    ○安武洋子君 臨調は結局第一次答申の中で、防衛とかそれから経済協力などの国際的任務を果たすための経費の増加は必至であると、こういうふうにうたっております。そして、軍事、外交、経済協力などの総合安保の関連分野は、これは基本答申ですが、基本的に行政の責任領域に属する、こう申しております。臨調の第一次答申に基づいて編成されました五十七年度の予算、そしてまた基本答申に基づいて編成されました五十八年度の予算というのは、まさにこのことを裏づけまして、国民向けの予算はゼロまたはマイナスシーリングにいたしておりますけれども、軍事費、海外協力費、これは突出の予算になっております。こういう臨調の中で「国際的責任を果たすための経費の増加は必至である」というふうにうたっているということまでは御否定にならないと思いますけれども、一応確認しておきます。
  161. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 臨調第一次答申では、ただいま御指摘の防衛の部門にかけましては、「防衛関係費については、装備品使用、調達方法等の効率化、合理化に努め、極力抑制を図る。なお、民生安定施設の助成及び周辺整備調整交付金については、その事業内容を見直し、当該経費を抑制する。」と、こういうふうにうたっているわけでございます。
  162. 安武洋子

    ○安武洋子君 私が先ほど申し上げましたのは、「国際的責任を果たすための経費の増加は必至である」と、「国際状況の変化と我が国の国際的役割の増大に伴い」云々と前段がつきますけれども、こういうふうに第一次答申は申しているわけです。そして、いまの御答弁からいきますと、じゃ一体なぜ五十七年度、五十八年度の予算編成、これが国民向けの予算というのはゼロとかあるいはマイナスシーリングにしておきながら、軍事費、これだけを突出をさせたのかということにはならないじゃありませんか、その説明には。これは、軍事費を聖域扱いにしないというふうにおっしゃいましたけれども、本当に軍事費を聖域扱いにしないんですか。
  163. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) これは本来財政当局から御答弁すべき筋合いのものでございまして、行政管理庁から申し上げるのはいささかなにでございますけれども臨調自身が全体として、先ほどお答えしましたように、聖域なき見直しを行うということでございましたし、かつまた政府における予算編成の方針その他におきましても、これは全体としてこういう厳しい財政状況の中でございますから、厳しいシーリングを行ったり、ゼロシーリングあるいはマイナスシーリングというふうな過程を経て、全体として聖域なき抑制というものを図ってまいるというのが基本方針であったというふうに私は理解しております。
  164. 安武洋子

    ○安武洋子君 大臣にお伺いをいたします。  私どもは、どう申しましてもやはりこの臨調答申の、先ほど私が申し上げておりますように「国際的責任を果たすための経費の増加は必至である」というふうなことで、軍事、外交、経済協力などの総合安保面、この関連分野、これを基本的に行政の責任領域に属すると、こう申しておりますね、基本答申で。ですからこれは、こういう答申に基づいて編成されたのが五十七年度の予算、あるいは臨調基本答申に基づいて編成されたのが五十八年度の予算であろうと思うわけです。それを国民向けの予算というのはゼロまたはマイナスシーリングであると、こういうことはだれの目にもこれはもう確実であるわけですし、それから軍事費、海外協力費、これが突出しているというのは否めない事実でございます。これでもなお軍事費というのは聖域扱いでなくおやりになったということでございましょうか、念のために伺っておきます。
  165. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 行政改革は、行政全般にわたって聖域を設けない、こういう原則に立っておるわけでございます。防衛の問題につきましては、日本の平和憲法に基づく専守防衛、そういうふうな観点に立って自衛力の整備を当面必要なものはやっていかなけりゃならぬ、こういうことでございまして、国際的な協力の面である程度の予算もふえると、国際的責任を果たす、私はそれはもう当然のことだと考えております。  しかしながら福祉につきましても、もうすでに御承知のように、福祉の水準というものはこれはもう維持していかなけりゃならぬという前提に立っておるわけでございます。ただ、福祉につきましては、自立・自助の精神に立脚したある程度の見直しというものはやっぱりしていく必要があるのではないかということをうたっておるわけでございます。私どもとしては、あくまでも福祉の水準を守りながら、経済社会の変化に対応した行政姿勢をこの際見直し、正していくべきであろ う、こういうふうに考えておる次第でございます。
  166. 安武洋子

    ○安武洋子君 ちょっと念のためにお伺いいたしますけれども、防衛はこれ行政の責任の領域に属するというふうなことで突出をさせました。そして責任領域の見直しが必要だというふうなことで、自立・自助というふうなことをおっしゃりながら、社会保障とか文教とか農業とか、こういう面の国民関係はゼロまたはマイナスシーリング、こういうことになさいました。しかし軍事費は聖域扱いをしていなかったと、そして今後もしないんだということでございましょうか。
  167. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 行政改革は、防衛庁のいろいろな仕事につきましても聖域は設けないというたてまえにしておるわけでございます。ただ、憲法に基づく専守防衛という精神に従って必要な自衛力の整備はある程度していかなければならない、それはもう当然なことだと私は考えております。福祉を切り捨ててそちらと、こういうふうにすぐおっしゃるんですが、福祉についてはあくまでもその水準は推持しながら国民生活は守っていかなければならぬと、これはもう基本的にこの行革の中心的な基本にあると、私はそういうふうに理解しております。
  168. 安武洋子

    ○安武洋子君 その理解は長官と違うわけです。  それでは長官にお伺いいたしますけれども、軍事費を聖域扱いしないと、こういうことでございますと、臨行審に対して、臨調が聖域化したと私は思いますが、この軍事部門に抜本的なメスを入れよというふうな諮問をすべきではないかというふうに思います。臨行審にそのような諮問をするお考えをお持ちでございましょうか。
  169. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 防衛問題そのものというものは、私はやっぱりこういう行政改革にはなじまない性質のものではないかと、かように考えておるわけでございまして、この審議会に諮問する考えは持っておりません。
  170. 安武洋子

    ○安武洋子君 防衛部門に対しては全くむだがないと、こういうお考えでございますか。
  171. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 自衛力の整備を中心とした防衛問題そのものについては審議会に諮問する考えはないと、かように考えております。ただ、防衛庁のもろもろの事務費等については聖域は設けないで必要なものは改革をしていく、これはもう当然のことだと思います。
  172. 安武洋子

    ○安武洋子君 それではその論議、ちょっとまたもう一度後でやります。  大企業向けの助成について通産省にお伺いをいたします。通産省おられますか。——わが党が試算をいたしましたところ、七八年度から八三年度までの六年間でございますけれども、技術開発援助の名で通産省から直接、あるいは財団法人や研究組合、これを通じまして、三菱重工それから東芝、日立、石川島播磨、川重、この関係する補助金、五社に平均的に渡ったといたしまして、五社で一千二十億に上るというふうに思います。これは中小企業に直接交付されます唯一の補助金、これは技術改善費補助金でございますが、これが六七年から八一年の十五年間に六十五億円であったというふうに思うんです。ということを見ますと、いかに大企業が優遇をされているかということがわかります。  さらに八三年度の予算でも、第五世代コンピューター開発委託費、これは一挙に六倍化されたのを初めといたしまして、大企業補助金のほとんどが手つかずのままに残されております。それから土光さん御自身、それと稲山経団連会長、この方たちが役員をなさっておりましたアラスカ石油でございますが、これは最近解散いたしましたけれども、石油公団を通じまして国から受けていた出資と融資のほとんどが返済を免除されております。その金額は十五億円余にも上っております。  いま私が申し上げた事実は間違いがないかどうか、通産省、御確認をお願いいたします。
  173. 鎌田吉郎

    政府委員(鎌田吉郎君) 初めに技術開発関係の補助金等の数字でございますが、通産省のこういった関係の補助金、委託費は、いま先生御指摘ございましたように公益法人とか研究組合に交付されているのがほとんどでございまして、個別企業に直接いっているものはほとんどないわけでございます。そういった意味で厳密な意味での把握は困難でございますが、御指摘の数字は、一定の仮定を置きました場合の一つの試算としてはそういうことだろうかというふうに考える次第でございます。  それから中小企業関係の技術改善費補助金でございますが、先生御指摘になりました六十五億円ということにほぼ近い六十四億円という数字になっております。  それから第五世代のコンピューターでございますが、これは一九九〇年代に実用化が期待されております超革新的なコンピューターの開発ということでございまして、十年間にわたって研究開発をやるということで実は昨年度からスタートしたわけでございます。昨年度は初年度でございますので四億円程度という準備的な経費が計上されたわけでございますが、ことしは二年目ということでございまして、当初三年間の基礎的研究の本格的な開始ということもございまして、先生御指摘のように約二十七億円の予算が計上されているわけでございます。  ただ、こういった予算は通産省全体の中のやりくりで出しておるわけでございまして、一般会計に計上されております通産省関係の技術開発関係の補助金、委託費等でございますが、全体としては四・七%の減ということになっております。
  174. 深沢亘

    説明員(深沢亘君) お答え申し上げます。  アラスカ石油は、先生御案内のとおり昭和四十一年に財界挙げまして、産業界挙げまして資本金四十億でスタートし、その後若干増資しておりますが、石油発見に至らずに解散に至ったものでございますけれども、探鉱事業は非常にリスクの大きな事業でございますものですから、公団等の融資につきましても御指摘のような制度を設けておるわけでございますけれども、金額につきまして先生御指摘のとおり十五億円余ということになっております。
  175. 安武洋子

    ○安武洋子君 大臣、早速なんですけれども、先ほどの質問は聞いていただいていたと思うんです。それはいま御確認をいただきました。私は大企業向けの助成についていろいろいまも申し上げたわけなんです。  私は、やはりこういうところにこそ国民のための行革というならメスを入れるべきではないか、こういうふうに思うんですが、長官の御所見をお伺いいたしたいんです。
  176. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) いまお述べになりましたような助成は、そういう企業といいますか、そういう会社に対するものではなくて、技術開発、発展のために研究組合と申しますか、そういうものをつくって出されておるわけでございまして、その組合の方に支出されていると、こういうふうに私は理解しておりまして、大企業の会社、そういうところに出ているものではない、技術の開発、進展ということは私は非常に大事なことだと思っておりますので、そういう研究組合に出されているものである、こういうふうに理解しておりますから、ちょっとその点が私には理解しかねる問題だと思います。
  177. 安武洋子

    ○安武洋子君 それは、私は直接であれそれから間接的であれというふうな表現で申し上げました。しかし、これは通産省の方で御確認願ったわけなんですが、こういう大企業向けの助成で六年間に一千二十億、それから片方中小企業に対しては十五年間に六十五億と、こういう差がやはり出ているわけですね。  それから土光さん御自身が臨調の会長をなさっておりながら、このアラスカ石油の分について十五億円にも上る免除があると、出資と融資の。こういうところがやはりむだでなくてメスを入れる必要がないというふうに長官がお考えなら、私は何のための行政改革なんだということを申し上げたいわけです。これは私が幾ら申し上げてもそれがむだであるというふうに長官はなかなかおっしゃらないであろうと思いますが、だからこそ、やはり大企業を擁護するというふうに言われるわけですよね。私は言われても仕方がないのではない かというふうに思います。  会計検査院はお越しいただいておりますでしょうか。——会計検査院が昨年発表なさいました五十六年度の検査報告によりますと、八%弱の実地検査だけで二百七十四億円に上る税金のむだ遣い、これが明らかになったというふうな報道がございます。最近五年間におきます各年度ごとのむだ遣い——そちらの方ではむだ遣いとはおっしゃらないんでしょうけれども、検査して不当であったというそういう金額というのは一体幾らでございましょうか。
  178. 大沼嘉章

    説明員(大沼嘉章君) お答え申し上げます。  会計検査院の指摘事項につきましては、先生御案内のように不当事項、処置要求事項改善処置済み事項、特記事項、こういう四つの分類で検査報告に掲記しております。  本院の検査の対象は、御案内のように国等の会計の全般に及びます関係で、指摘しております事項内容も支出の関係ばかりではございませんで、収入あり債権ありといったように、きわめて多岐多様な内容になってございます。  そういうこともございまして、本院といたしましては、ただいま先生おっしゃいましたようにむだ遣いといったような区分での件数、金額は公表はしておりませんところでございますけれども、せっかくのお尋ねでございますので、どのように考えましてもむだ遣いあるいは国損といった言葉で表現するには適切でないと、具体的にたとえば申し上げますと、租税の収入の過大徴収あるいは保険料等の取り過ぎ、こういったようなものでございますが、こういったものなどを除きました件数、金額でお答えさせていただきますと、五十二年度は百八件百四十九億七千三百万円、五十三年度は百九十二件百六十五億五千万円、五十四年度は百七十六件三百三十四億七千九百万円、五十五年度は二百二件の二百九十一億三千三百万円、それから五十六年度でございますけれども、二百九件の二百七十四億円ということになってございます。合計いたしますと、五カ年間で八百八十七件千二百十五億三千五百万円ということでございます。  以上でございます。
  179. 安武洋子

    ○安武洋子君 行管庁の行政監察によりますと、住宅・都市整備公団、これが四十八年度からの列島改造ブームの中で買い込みました土地というのが遊休地になっていると。それが一万三千ヘクタールに及んでいる。その利息を含む用地代というのが千八百億円になっていると聞いておりますけれども、これはいかがでございましょうか。
  180. 中庄二

    政府委員(中庄二君) 私どもの監察を行いました中で、先生いま御指摘のものは取得後五年以上経過しておってまだ地区内の工事に着手していないと、こういう定義のものでございまして、おっしゃるとおりでございます。
  181. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、科技庁はお越しでございましょうか。——原子力船「むつ」、これにつぎ込みました金額でございますが、五十八年度までに累計で約六百億円、それから将来を含みますと投資額というのは約千二百億円に上ると見込まれていると思いますが、いかがでございましょうか。
  182. 松尾光芳

    説明員(松尾光芳君) お尋ねの原子力船「むつ」開発にこれまでかかりました経費でございますが、原子力船開発事業団発足の昭和三十八年度からすでに決算の出ております昭和五十六年度末までの十九年間で、支出決算ベースで総額四百十億円支出しております。また、五十七年度政府支出予算は七十二億円でございまして、なおそれに加えまして五十八年度予算は約百八億円でございます。これらを単純集計いたしますと、総額六百億円弱ということでございます。  それから今後「むつ」開発にどのくらいかかるかということでございますが、まず新定係港を今後建設を進めてまいりますとともに、陸上では行えません海上での諸試験等を行います実験船としての使命を全うするために、機能試験及び出力上昇試験、実験航海等を行う必要がございます。これらに要する経費につきましては、陸上施設を含む新定係港建設に、これは五十八年度分も含めてでございますが、五百ないし六百億円程度かかるという見積値がございます。また、諸試験等に要する経費につきましては、いまだ詳細、具体的な計画が決まってないため、現段階で具体的な数字を申し上げることは困難でございます。  これまでかかった経費、それから今後かかる経費を合わせて幾らかということは、いま申し上げましたように正確には申し上げにくいわけでございますが、ただいま申し上げましたような数字を単純集計いたしますと、千億円を上回ることとなろうというふうに思っております。
  183. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官はいまの数字は全部お聞きいただいたと思いますが、私どもにとりましては本当に驚くような数字ばかりが並んでおります。臨調は、こういうふうな浪費それから腐敗の構造、そういうものに何ら抜本的なメスを私は入れなかったと思います。国民のための行革だと、こういうことでございますけれども、国民のための行革というなら、臨行審に対しまして、臨調がほとんど触れなかったこういう浪費と腐敗の構造に抜本的なメスを入れるように私は諮問すべきだと、これこそまさに国民が望んでいる行政改革の姿であろう、こういうふうに思いますが、長官の御所見をお伺いいたします。
  184. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) いろいろな御意見、十分私も承りました。しかしながら、原子力船開発事業というのは政府の既定方針でございまして、造船技術の進展、発展、そういうふうな上からいって、この方針を変えるという考えは全然持っておりません。さように御了承願いたいと思います。
  185. 安武洋子

    ○安武洋子君 原子力だけしかお答えがございませんが、私はそれ一つをとりましても、政府の既定方針だからむだ遣いを続けてよいと、そんなことにはならないと思います。原子力船「むつ」がいま本当にどうにもならないのであるというのは、これは国民がだれもが思っていることであろうと思います。ですから、政府の既定方針はむだであるけれども変えられないという、そういうことでは何のための行革かと、国民の望んでいる行革というのはそういうものではございません。いかに政府の既定方針であろうと、そのことがむだであればそういうものはやめるというふうなことではないでしょうか。私は、遊休地の問題あるいは会計検査院の検査の問題、こういうものも皆いま数字を挙げてお伺いをいたしました。御答弁をいただきます。
  186. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 先ほども申し上げましたように、私どもは原子力船開発事業というものはむだなものだとは考えておりません。従来のとおりの方針で進めていくべきものである、かように考えております。
  187. 安武洋子

    ○安武洋子君 先ほどの遊休地の問題、それから会計検査院の摘発した問題、こういうものに対しての御答弁がございません。こういうところに抜本的なメスを入れよというのが国民のまさに世論ではございませんか。長官はどう御認識でございましょう。
  188. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 先ほどのお話でございますが、むだな点があればそれはもう排除すると、当然でございますね。むだを排除する、これはもう行革の基本でございますからそれは当然だと思いますが、原子力船開発事業そのものがむだであると、そういうふうには私どもは理解をしておりません。
  189. 安武洋子

    ○安武洋子君 原子力船開発がむだであるかむだでないかということでここで論議をいたしましても——私これは明らかにむだであるというふうに申し上げたいわけですが、これはいま平行線をたどるでしょうが、私がいま申し上げているのは、そのほかの検査院が発表した数字、税金のむだ遣いとかそれから遊休地の問題、列島改造で買い込んで、列島ブームで買い込んだけれども遊休地が遊んでいて、その利息を含む用地代というのが千八百億円にもなっているじゃないか、こういうところに臨調が全くメスを入れない、腐敗、浪費の構造、ここに根本的なメスを入れるのがあたりまえではないかと、これこそ国民の望んでいる行政 改革ではなかろうかと、それを私はお伺いいたしております。——長官にお伺いをいたしている。
  190. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) いや、私は詳しく聞いていなかったものだから。
  191. 安武洋子

    ○安武洋子君 そうしたらもう一回言いましょうか。そんなのむちゃだわ、齋藤長官。  会計検査院も御答弁なさったでしょう。実地調査をしただけで私は税金のむだ遣いだというふうに申しましたけれども、それは会計検査院の方だからむだ遣いだと言うんではなくて、それはいろいろとおっしゃいますよ、官庁用語で。しかし、実際にこういうふうな八%弱だけの調査をしたって二百七十四億円の税金のむだ遣いが明らかになってきているというふうなことだから、最近五年間の数字はと申しますと、五年間で合わせて千二百十億円だと、こういうのが出てきたわけですよね。それから行管庁の監察で、これは四十八年からの列島改造ブームで土地を買い込んだ、しかしその土地が使えないということで遊んでいるのが一万三千ヘクタールだと。こういうふうになると、これは利子を払わないとだめでしょう。だから、その用地代と利子だけでも千八百億円にもなる、こんなむだがあるじゃないかと。長官はもう原子力船「むつ」ばかりおっしゃって既定方針だとおっしゃっているけれども、一体これも既定方針ですか、こんなむちゃくちゃなことをするのもね。
  192. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) むだを排除することは私は行政改革の基本だと思いますから、むだだということであればそれを排除する、これはもう当然のことだと思いますよ。
  193. 安武洋子

    ○安武洋子君 やっと意見が合ったんだけれども、しかし、ここからよく聞いていただかないと困るんです。  臨調がこうした浪費と腐敗の構造に抜本的なメスを入れてないわけですよ。ですから、国民のための行革というのであれば、国民が望んでいる、長官もいまそうだとおっしゃった、こういうところにメスを入れるということであるなら、臨行審に対してここに対してメスを入れよというふうなことで諮問をなさるべきだというふうに私は思いますが、その点はいかがでございますか。
  194. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 先ほど来申し上げておりますように、むだを排除することは行革の基本でございまして、それは各省庁とも全部そのことは十分理解をしておるわけでございまして、個別的な具体的な問題は各省庁がそれぞれむだを排除するように努力をしなくちゃならぬし、私はしておるとも思っておるわけでございますが、むだを排除という原則をこの審議会に諮れといいましても、これはもう諮る以前の問題だと私は理解をしております。
  195. 安武洋子

    ○安武洋子君 その諮る以前の問題を臨調が避けて通っているからこそ問題があるんです。何のための国民のための臨調だ、行革だと言いたいのはそこにあるわけなんです。こういうところにこそまず率先してメスを入れるのが私は臨調であろうと思います。  臨調の「活力ある福祉社会の建設」の目指す方向というのは、先ほども問題にいたしましたけれども、そして長官もお答えになった、個人の自助それから自立とか、社会保障、文教、農業などの行政分野、こういうところは責任領域の見直しが必要と。こういう名目で、なさったことというのは老人医療の有料化あるいは医療保険に対する国庫負担の削減、それから公的年金に対する国庫負担率の引き下げ、それから私学助成の総額抑制、四十人学級計画の停止、それから食糧管理に対する財政負担の縮減、それから中小企業助成や公務員給与改定の抑制と、こういうことで、こういう路線というのは私は明らかに国民を犠牲にする方向であると断言をいたします。長官はいかがお思いでしょうか。
  196. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 老人保健法は先般の国会で成立をした法律でございますが、老齢化社会に対処して国民の保健事業、医療、そういう問題を総合的に解決していこうという法律でございまして、その法律を施行するためには、ある程度のやっぱり国民に負担をお願いしなくちゃならぬというふうなことで、いままで無料でありましたものにつきまして一部負担をお願いする、こういうふうになったわけでございます。そのほか、医療その他すべて社会保障につきましてはその水準を維持していかなければならぬと、これは私どももそう考えております。  しかしながら、医療費の問題を一つ考えてみましても、まあ皆さん国民の中からは、薬漬け医療だとか薬の乱用だとか、いろんなことを言われておりますので、そういうことをちゃんとやっぱり締めていく、これは私は当然なすべきことだと思いますね。乱診乱療というものを規制する、これは当然なことじゃないでしょうか。薬漬け、検査漬け、新聞でいろいろ言われておりますね。こういうものについて、そういう行政が適正に行われるようにする、これは私は筋だと思いますね。そういう方向でやっぱり行政のあり方を正していきたい、こういうことでございまして、福祉の切り捨て切り捨てとすぐおっしゃるのですが、そんな考え方は私どもは全然ありません。
  197. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官は何か一つだけ取り出してぱっとおっしゃるくせがおありでございますね。私は何もここで老人医療の審議をしているわけではございません。全体的な姿として、老人医療の有料化、これは長官もはっきりおっしゃったように、ある程度国民に負担をしていただかなければならない、やっぱり国民に負担をかぶせているということでございますよね。  それから私が申し上げましたのは、医療保険に対する国庫負担を削減するとか、あるいは公的年金に対する国庫負担率の引き下げとか、私学助成の総額抑制であるとか、あるいは四十人学級計画の停止の問題であるとか、食糧管理に対する財政負担の縮減とか、中小企業に対する助成、こういうものとか、公務員の給与は凍結してしまうとかいうふうな、まだ挙げましたらいろいろありますけれども、これを一つ一つ長官の御答弁を何か法案審査みたいにお伺いしている時間はございませんので、そしてその法案審査ではございませんけれども、私はそういうことは全部これは長官、はっきりと認識していただかなければ、国民に対してこれはしわ寄せ犠牲になっている、国民に負担をしわ寄せていると、こういうことぐらいはおわかりいただけるんじゃないですか。国民の負担が軽減されたというふうな御認識でございましょうか。
  198. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 行政改革は、もう先ほど来たびたび申し上げておりまするように、経済社会の変化に対応して効率的な行政というものを打ち立てていかなければならぬと、こういう観点に立っておるわけでありまして、その行政改革行政全般にわたってどの分野においても聖域を設けないと、そしてみんなでひとつ新しい変化に対応した効率的な行政になるようにしていかなければならぬと、こういうことであるわけでございまして、私は一般国民が将来の福祉というもの、福祉社会というものを維持し建設していくために、みんながある程度のごしんぼうを願いながらそういう方向で進んでいくと、こういうことだと考えておるものでございまして、そういう段階においてある程度の国民に負担増をお願いしなくちゃならぬと、私はあり得ることだと思って考えております。そういう意味において、私どもは今後とも一般国民の要請にこたえて、そういう福祉社会を築いていくということでございますから、私はそういう方向で今後とも進んでいくべきではないか、かように考えております。
  199. 安武洋子

    ○安武洋子君 効率的な行政というものは国民のみを犠牲にしてよいものではございません。そしてみんながある程度しんぼうせよとおっしゃいますけれども、しんぼうさせられているのはこれは国民でございまして、財界はちっとも先ほど申し上げましたようにしんぼうなんていたしておりません。それどころか、補助金というのは増大をいたしているという姿を私は申し上げました。  そして臨調行革というのは、これは私は地方財政にとりましても重大な問題をはらんでいると思います。臨調は、地方行財政のあり方につきまして、地方財政計画における一般歳出の伸び、これは国の一般歳出と同程度に抑制せよとか、国の一般会計における地方財政関係費の見直しを行えとか、国基準を超える地域の独自性に基づく行政サービスについては、基本的には受益者である地域住民の選択と負担によって行えとか、道州制など広域行政に対応する地方行政の体制を整備せよと、こういうことで改革方針を打ち出しております。  政府は、この答申に基づきまして、五十八年度地方財政計画で初めての交付税削減、これをやりました。それに続きまして、従来全額国が負担をしてきた地方財源対策のための借入金の利息の二分の一の肩がわり負担、これを地方自治体に強要し、そして各種の補助金を軒並みに縮小させていると、これは地方自治を破壊する方向ではないか。先ほども、国民に対しては大変むごいと、そしてこれもまた地方自治に対し、そして国民に対し大変むごい方向ではないかと、こう思いますが、いかがでございますか。
  200. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 一般の要請にこたえてそうした行政改革をやりますためには、ある程度のやっぱりお互い痛みというものは分かち合うということは私は当然じゃないだろうかと思います。  そこで、そういう意味において負担を国民にお願いしなくちゃならぬということはあるわけでございますが、その基本にありますのは、国民からちょうだいする税金というもの、これは限りがあるわけでございますから、その国民からいただく税金というものを最も効率的に使うということが私は基本だと思うんです。御承知のような危機的な財政でございますから、国民にある程度の負担はお願いしたい、その基本にある精神は何かと、国民からいただく税金はあくまでも効率的に使うということでなければならぬと、こういうふうな考え方で行政改革というものを進めていくべきではないだろうか、かように考えておる次第でございます。
  201. 安武洋子

    ○安武洋子君 痛みを分かち合うというのは、みんなが同じような状況に置かれたときのことを言うんです、長官。大企業などは何の痛みも感じないどころか、この中で大変優遇をされているということは、痛みを分かち合うという日本語は当てはまらないわけです。  やはり国民はそういうことをちゃんと見ておりますから、長官は国民的な支持が必要なんだというふうにおっしゃいましたけれども、決していまの政府がおやりになっているこの臨調行革路線というのは国民的な支持を得てはおりません。それは私どもが決めつけているわけではございませんで、一連の世論調査をごらんになれば調査結果がはっきりと示していると思います。  たとえば読売新聞に、昨年の十月実施されました世論調査が出ておりますけれども、これによりますと、「五十八年度予算編成で、とくにきびしく削ってもやむを得ない」と答えた第一位というのは防衛費の六一・七%でございます。第二位は経済協力の二〇・六%でございます。逆に、「特に重要なので削減すべきでない」という第一位は社会保障費の五四・八%でございます。第二位は教育費の三九・四%でございます。政府がおやりになっていることと全く反対のことを国民は望んでいるわけです。  この世論調査の結果というのは、臨調行革だと、政府がこうおっしゃいましても、国民はこういうことを望んではいない、国民の意に真っ向から逆らうことを政府はおやりになっていると思いますが、長官の御所見を伺います。
  202. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 行政改革は、御承知のように行政機構の簡素化それから機構の縮減、人員の整理その他行政に関する運営において税金を効率的に使わなければならぬ、こういうふうなことで行政全般にわたって行われておるわけでございまして、国民が絶対反対だというふうに言われますが、その点は私は、もう見解の相違で、これ以上何も申し上げることはございません。一般の国民の要請にこたえて、すべての行政について聖域を設けることなくお互いに痛みを分かち合って限られた税金を効率的に使っていかなければならぬ、私は国民は理解していると思います。
  203. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、いかに国民がそういうことに対して理解をしないで怒っているかというのは、まださらに申し上げますが、NHKがことしの二月の五日と六日に行いました世論調査結果がございます。  これは、五十八年度の予算で防衛費を特別扱いにしていると、聖域を設けないと言いながらこれはもう完全な特別扱い、だれの目にもはっきりしているわけですが、異常突出をさせております。これに対しまして、防衛費を特別扱いにしても当然と答えた人はわずかに六・二%でございます。これに対しまして、それは反対であると答えた人は四七・二%にも及んでおります。一体これをどういうふうにお考えでございましょうか。
  204. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 自衛力の整備の問題についてはいろいろ御意見は私はあると思いますが、やっぱり現憲法のもとにおいて専守防衛ということで、国の安全を守っていくということで必要な経費は忍ばなければならぬと、私はもう当然のことじゃないかと、かように考えております。
  205. 安武洋子

    ○安武洋子君 国民の支持がなければいけないと、国民の世論は大切にするとおっしゃりながら、こう勝手なときには私の見解だというふうなことでおっしゃってしまう。私は、もうちょっと国民の声に耳を傾けていただきたい。五十八年度予算につきましても、国民はこれは福祉の切り捨てである、国民犠牲の予算だと受け取って支持をいたしておりません。  このNHKの世論調査でございますけれども、いまの財政事情だからと、いまの財政事情だからという前提がこれはきちっとついているわけです。ですから、国の財政が大変だということを国民は踏まえながらも、福祉対策費が切り詰められてもやむを得ないと、こう答えた人は三二・七%でございます。これに対して、福祉を切り詰められるということはもう納得できないと、こう答えた人が五六・六%にも達しております。  それから所得減税、この見送りの実質増税でございますけれども、これに対しましても、いまの財政事情だからということで、減税が見送られても仕方がないという人は二八・一%でございます。しかし、所得減税を実施すべきだという人は五九・七%に達しております。明らかに臨調行革路線、これとは違うわけで、長官の御認識とも私は相違すると思いますが、この国民の声を長官はどうお聞きでございましょうか。
  206. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 政府施策についていろいろ意見があるということは、これは承知しなくちゃならぬ問題だと思いますが、本年度の全体の予算を考えてみましても、総予算の中で福祉の予算というものはわずかながら伸びているわけでございまして、必要な項目についてはそれぞれの増額もなされておるわけでございます。寝たきり老人の問題とか生活保護費の問題等については、それはいろいろな御意見はあるにしても、苦しい財政の中に多少なりともという努力の跡は私は認めていただかなければならぬと考えておるものでございます。  こういうふうな財政の苦しい中でございますから、お互いにやっぱり痛みを分かち合いながらこの財政の非常に苦しい危機を乗り切っていかなければならぬと、そういうことでございますから、やはり増税なき財政再建というものをてことして行政改革をやらなきゃならぬという問題について、私は十分理解していただけるものと考えておる次第でございます。
  207. 安武洋子

    ○安武洋子君 国民が理解していないからこそこういうアンケート結果が出るんじゃございませんか。アンケート結果というのを国民の声として私はつかまえられて政治をやっていかなければならないというふうに思います。ですから私は、わずかのこの経費の中で国民にも痛みを分かち合ってもらわなければいけないんだと再三繰り返しておっしゃいますけれども、大企業はちっとも痛んでおりませんよ、痛むどころかのうのうとしておりますよということを申し上げております。  それから苦しい財政の中で福祉も伸ばしたとおっしゃいますけれども、軍事費を大突出させているわけです。これは、いま国民が考えているのは、この苦しい財政の中でなぜこんなに大突出させなければならないのか、だから削減する第一位として軍事費を挙げているわけです。私は、こんな中でアメリカに追随して軍事費を大突出させていくというやり方自体が間違っているということを国民のこの世論は示しているというふうに思います。  そして、その行革そのものについて国民ははっきりと答えているわけです。行革性格について「リストの甲、乙のようにあらわすと、あなたの見方はどちらに近いでしょうか。」ということで、甲は「大きくふくらみすぎた行政や財政を見直す上で、画期的な意味がある」、乙は「改革のメスの入れ方が甘く、むしろ国民生活へのシワ寄せが目だっている」ということなんです。この甲、すなわち「大きくふくらみすぎた行政や財政を見直す上で、画期的な意味がある」ということでイエスと答えた人は一六・四%なんです。ところが、「改革のメスの入れ方が甘く、むしろ国民生活へのシワ寄せが目だっている」と、行革性格でこう答えた人が六四%にも上っております。このことは私は厳粛に受けとめていただかなければならない。  すなわち、行政改革というのは国民生活へのしわ寄せが目立つと、こう答えた国民が六四%いるということについて行管庁長官としてはどういう御認識をお持ちでございましょうか。
  208. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) そのアンケートがどういうふうな資料でつくられているのか、私もよく承知はいたしておりません。しかしながら、これだけの財政危機の中にあってどういうふうにして行政改革をやっていくかということであれば、ある程度のやっぱりお互い国民は痛みを分かち合うというふうな寛容さがなけりゃならぬのじゃないんでしょうか。そういう気持ちの上に立って、経済社会の変化に対応した将来の福祉社会の建設というものを展望して、ひとつみんなで努力していくと、こういうことが私は必要だと考えておるわけでございます。
  209. 安武洋子

    ○安武洋子君 長官のお耳には国民の声というものは全く入らないらしゅうございます。そして、繰り返しお互いに痛みを分かつと国民に寛容さを求められますが、私は、寛容さをお求めになるなら財界に求められて、財界に対して厳しい態度をおとりになるべきだと、財界は絶対に痛みを分かち合っていないということを再三再四繰り返している。長官はここのところをお避けになって、国民互いに痛みを分かち合って、国民は寛容さを示せという御答弁に終始をいたしております。  ということは、私はここの先ほどの行革性格というところでも申し上げましたように、国民はこれを支持をいたしていないというのが六四%にもなり、明らかにもう臨調行革路線というのは破綻をいたしている、国民はこれを支持していないということでございます。だから私は、この行革を強力に推進しようというふうなこの審議会、こういうものを設置するということには断固反対で、この法案の撤回を要求いたします。  それから一つ言い忘れましたけれども、軍事費の突出については当然だというふうなことをおっしゃいますけれども、こういう財政の中でアメリカの核戦略に巻き込まれていくような、こういう私はアメリカに追随した軍事費を突出させるということにも断固反対であると、こういうことを申し上げまして、ちょうど時間になりましたので、残念ながら私の質問を終わらせていただきます。
  210. 三治重信

    ○三治重信君 私は、民社党の立場に立って御質問をさせていただきますが、本日大変審議が遅くなるのもどうかということで、できるだけ切り詰めてという委員長からの御要望がありますので、質問についてはひとつ簡にして要を得た御回答をお願いしていきたいと思っております。  それで、臨調のポスト臨調をどういうふうにやるかということでこの法案が出てきたわけなんですけれども、この審議会法案は、何と申しますか臨調答申の要望によって政府がつくるという提案になっておりますが、このつくる審議会と当面行管長官がたびたび言っておられます政府が今度つくる行革推進大綱閣議決定、これはなかなか中身はおっしゃらないわけですが、ポスト臨調が発足する前に政府としては行革推進大綱を決められるわけなんですね。これはまた臨調の言う行政改革のプログラムに相当する第一の重要なものだろうと思うんです。行政改革のプログラムを新行革推進大綱で近く決定される。  一方、この審議会ができると、臨調答申についての監視機関ということでいろいろ審議するということになると、まず行革推進大綱について最初に審議会に報告されて、そこからポスト臨調審議会が発足すると、こういうふうに理解されて政府の方は臨調答申に言う行政改革プログラムを、これで行革推進大綱として閣議決定をしていく、片方この法案の成立によって審議会がこの国会終了後発足すると、まず最初にこの審議会行革推進大綱について意見なり何なりを述べるという仕事に最初に取りかかる、こういうふうに理解していいわけですか。
  211. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 去る三月の十四日に臨調最終答申、第五次答申をいただきましたので、この答申政府最大限に尊重し、逐次実施していくという方針を決めたわけでございますので、その方針に基づいて、答申の全項目について具体的にどういうふうな方向で、どういうふうな手順で、あるいはまたすぐやれるもの、中長期的にやらなければならぬもの、いろんなものの仕分けをしましてそういう方針を決めていきたいと、こう考えておるわけでございまして、お述べになりましたような一つの今後の行政改革プログラムと申し上げて結構じゃないかと思います。  そこで、この大綱ができ上がりました後に、皆様方の御協力をいただきましてただいま御審議審議会が成立いたしますれば、審議会に当然私はこれは御報告を申し上げ、逐一詳しく御説明を申し上げ、そして了承を得ると、こういう手順になると考えております。そういうふうに詳しく御報告申し上げ、御了承を得て、そしてその御了承を得た上で今度は具体的な問題を処理していくと、こういうことになろうかと考えておる次第でございます。
  212. 三治重信

    ○三治重信君 そういうことだということになりますと、結局政府のやるこの行革行政改革プログラムは、これは政府が決めてやっていくわけですね。そうすると、審議会にこういう案をつくったということの説明はいいわけですよね。それに対して審議会はじゃ行政改革プログラムによって政府のやるのを見ていこうということになると、そこで一時審議をすることもないし、実施状況を見た上でないと意見も言えないしということで、ことしは来年度の具体的な、五十九年度ですか、五十九年度で政府が予算や法案のいろいろの問題等々やって具体的に決めていこうとするわけなんですが、それまでちょっと用事がなくなると、こういうふうに理解してもいいわけだと思うんですが、どうなんですか。
  213. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 御説明を申し上げればもう用はなくなるじゃないかというお話でございますが、私は必ずしもそうはならぬと思います。しかし、毎日のように審議会を開くということは私はないと思います。そうしたプログラムについて審議会に御報告を申し上げ、そして今度はそれに基づいて具体的にいろいろなことを各省がやっていくわけでございますから、毎日毎日審議会を開くと、さようなことはないと私も考えております。
  214. 三治重信

    ○三治重信君 と申しますのは、いままで二年間臨調が、本当に精力的に二年前につくって、すぐ五十七年度の予算の編成に向かって第一次答申からずっと最終答申まで五次にわたってきて、その都度非常に国民的な関心を呼んだ答申をやってきて、そういうふうな非常にはでやかな臨調の過程を見ると、このポスト臨調について、またそういうことの継続みたいにとられないかと、そういうぐあいにするとまた三年間第二臨調が続くようなかっこうになってくると、政府はまた臨調の御意見意見といって、実施がだんだん延びることになるような気がしているわけなんです。だから臨調は、これだけ大きな膨大なのでも答申には、「今後の行政改革にとって必要最低限のものであり、早急かつ完全な実行が求められる。」と、こういうふうになっているんで、唯一に実行を求められていると思うんです。  だから、そういう意味において、今度この答申意見によって行管庁長官を中心にして答申に言う行政改革プログラムに相当する行革推進大綱閣議決定されるということは、これは臨調答申の線に沿った非常に早い対応だと思うんですが、問題は、これはやはり実行過程、その行革推進大綱による実行をいつから始め、どういうふうに具体的にやっていくかということになると、やはり私は五十八年度でできることはもう一度何と申しますか、新しく参議院の選挙後に開かれるすぐのは別で、秋にいわゆる臨時国会がまた開かれると、それまでにできることを用意して、法案なりまた予算の、何といいますか予算を出すということから始まって、基本的には、本格的には五十九年度の予算の編成といろいろの問題から入っていくだろうと思うんですが、そういうものをポスト臨調にかけてというふうな、またこの審議会にひっかけてひとつ行管庁長官である齋藤大臣が中心になってポスト臨調審議会の、私のやるのを見ていてくださいと、じっと見ていてくださいと、私はこれによってずっとどんどん政府実行していきますと、こういうような姿勢であるべきだと思うんです。  そういうふうなことでいかないと、いままでの臨調は、臨調答申をつくるのに、あらゆるところが一生懸命になっていわゆる大枠、やり方、そういう問題についての思想統一をやった。しかし、実施ということになってくると、これは行管庁長官が中心になって実行過程かなんか、これは予算であり、法案の改正でなければいかぬと思うんですが、余りまたポスト臨調に頼らぬようにぜひ進んでいくべきだと思うんですが、それでいいんですか。
  215. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) この御審議いただいておりまする臨行審が成立いたします暁には、今度つくろうとしておりまする行政改革大綱についてもいろいろ御報告を申し上げ、御了承をいただくと、この辺からまず出発するわけでございますが、その行政改革大綱の中には、早期に実施したらいいじゃないかという問題もあります。それから中長的にやるべきものもあると思います。それから補助金の整理のような問題は当然来年度の予算を通してこれを実行していくと、こういうふうになるわけでございます。  それで、参議院選挙終了後の臨時国会は別といたしまして、その後国会が開かれるかないのか、そういうことは私が口出しする性質のものではございませんが、仮に秋にそういう国会が開かれるようなことになれば、なるべく早く解決したいものはそこに出すと、こういうことになろうかと思います。しかし、国会が開かれるかどうかは、そういうことについて私はこれ以上申し上げることはできませんが、そういうことになろうかと思います。  それから予算等につきましては来年度の予算編成、ですから十二月ですね、そこでやっていく、こういうことになろうかと思います。いろんなそういうふうなプログラムができてきますから、それを実施するとき一々全部事細かく諮問するということがいいのかどうか、あるいは大綱、大筋、大所高所についてのお諮りでいいのかどうか、そういう問題はこの臨行審ができた段階において臨行審の委員の方々が、どういうふうなやり方でいった方がいいのか、その運営の方法は臨行審成立のときに委員の方々が合意の上でお決めいただく、こういうことになろうかと思っておる次第でございます。
  216. 三治重信

    ○三治重信君 そういうことでひとつ意見大臣意見と大体合っているんじゃないかと思うんですが、このポスト臨調をまた隠れみの的——通俗的言葉で言えば隠れみの的に言って実施をおくらす、こういうことのないようにできるものから政府の責任においてひとつやってほしい、こういうことでございます。  この最終答申で増税なき財政再建ということや財政についても非常にいろいろの問題が出ておるんですが、これは歳出とも非常に関係がある問題で行政全般に関係するから、やはりポスト臨調のこの審議会と離れて、ひとつどうしても行われなくちゃならぬのが私は税制改正だと思うんです。そうすると税制改正の方は、これは本法案審議会にどうのこうのということではなくて、やはり内閣の税調が主体になってこの臨調答申中身の中でどういうふうにやっていくかということをやっていくべきではないかと思うんですが、その点はどういうふうな今後の見通し、大蔵省は税調とこの臨調答申中身実行等どういうふうに見通されておるか、いま現在着手されているものがあればそれについて、それを大体どういうふうな順序で展開をしていくつもりか、お話し願いたいと思います。
  217. 新藤恒男

    説明員(新藤恒男君) 臨調最終答申の中に税制に関する部分がございまして御指摘をいただいているわけでございますけれども、いろんな観点から税制の見直しを行う必要があるんではないかというふうな指摘だと思います。税負担の問題とか、あるいは税体系のあり方につきましては、税制調査会の各年度の答申、毎年年度答申を行っておりますけれども、その年度答申の中で幅広く検討する必要があるのではないかというふうな指摘がなされておりまして、そういう観点から申しますと、臨調最終答申考え方と税調の従来の税制のあり方を検討すべきであるという考え方と沿ったものというふうに考えておるわけであります。  税調でどういうふうに取り上げていくかということでございますけれども、税制調査会は三年に一度諮問をいたしまして御検討をいただくわけでありますけれども、諮問自体がかなり一般的な仕方になっておりまして、幅広く税制全般について検討できるというふうな内容でございます。したがって、臨調答申と同じような趣旨で税調の姿勢も同じでございますから、そういう観点から幅広い審議が行われていくというふうに考えておりますけれども、たとえば、この指摘の中にございます租税特別措置の見直しというふうなことにつきましては、毎年これは努力を傾注いたしておりますし、それから申告納税制度のあり方というふうな問題につきましても、昨年の六月に特別部会というものを設置いたしまして現在検討中ということで、税調は税調の立場で現在幅広い観点から税制の検討を行っておるという状況でございます。
  218. 三治重信

    ○三治重信君 いまお聞きしている限りにおいては、三年に一度ずつ大まかな諮問をやっていて、その三年間の中で何やっても、税調としてはそのときどきまたは基本的な問題も何でも討議できるようになっているんだということで、税調は税調のマイペースで進んでいて、それはまた臨調答申とそんなに税調が考えていることと離れているわけじゃない、こういうことであるわけなんで、だから結果としては同じようなことかもしれぬけれども、やはりせっかくこれだけ行革行革臨調といって、統一的に国政全般を見直して行政改革から財政再建をやるというわけなんだから、それに沿った審議というものの態勢を税調はひとつ持ってもらわぬと、いわゆる異なった税調は税調の立場というものを余り強く出されると、臨調のいわゆる増税なき財政再建という大きな枠と離れやせぬかというような感じを持つのですが、それはやはり増税なき財政再建の線に沿った税制の改正というものを臨調で出している、そういうふうに理解した上で税制調査会が税制改正に進むものと、こういうふうに理解していいわけですか。
  219. 新藤恒男

    説明員(新藤恒男君) 臨調の立場で全体の行政改革方向とか財政改革の方向というのは示されておりまして、その中で税制に関する部分がごく概括的に指摘がなされておるわけであります。税制調査会は、もっぱら税制の制度自体、それを検討する審議会でございますから、その中のごく一部ということになるわけでございますけれども臨調答申指摘されたような税制に関する部分考え方は、税制調査会のこの考え方と軌を一にするものというふうに見ておるわけでございます。  ただ、具体的にどういう取り上げ方をいたしますかということになりますと、これは税制調査会の運営の問題、あるいは税制調査会の中での御議論でございますから、私どもとしていまどういうことが申し上げられるということではございませんけれども、先ほど申しましたように、現時点でも指摘された問題について部会を設けて検討しておるという状況でございます。
  220. 三治重信

    ○三治重信君 では、次に国家公務員の定員管理の問題について触れてみたいと思うんです。  国家公務員の定員管理というと、議論は普通、常に行政改革ということになるとこれが一番見やすいし、判断しやすいということで、総枠の削減、一割削減、二割削減というようなことで今日議論されておるわけなんですが、これはやはり私は、行政改革を具体的にやっていく場合には、今後はそういうふうな一律削減とか、または現業と非現業とあわせて現業がどう、非現業がどうというような大枠の定員管理ということでは、やはりもう何といいますか定員管理の削減の底がついてきているんじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。  そして現在ある九十万人、こう言われるけれども、その中を大ざっぱに分けてみても、いわゆる国の公権力を実施する企画調整とか公権力の行使、具体的に言えば予算をつくるとか法案をつくるとか、法の実施上管理監督するとか、いろいろな報告を整理統合するというような国家権力の行使に関する公務、いわゆる一般的な公務、これが一般にみんな民間では、それが公務員だ、こういうふうな感じが多いと思うんですが、しかし実際の公務員の定員の中には現業部門が非常に多いんですね。九十万人の中でも四現業——郵政、林野、造幣、印刷とかいうことになってくると、非現業の数よりか多いんじゃないか。それにさらに学校、病院とか研究機関の職員、これはもう公権力とかなんとかいうことでもなくて、ただ国がやっているから国の公務員として勤務している。しかしこれは何も、もちろん国が必要とするから国立の学校であり、国立の病院であり、国立の研究機関であるけれども、いわゆる国家公務員という特別の枠にはめて、その勤務なり、それから勤務態度なり、そういうものを規制するという問題ではないじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。  この問題は、だからもう少し何と申しますか、行政改革をやっていく場合に、非常に私は、公権力を行使する国家公務員の方が、やはり何と申しますか小さい政府として本当にふさわしい定員になっているのかどうか、こういう問題としてしっかり姿をあらわしたらどうかと思うわけなんです。現業の方とか学校とか、そういう問題は、これはやはり国民のニーズといいますか、国の行政行政施策として必要だけれども、これは国家公務員という、いわゆる何というんですか、公権力を行使するものではない。これは、だから福祉と申しますか、そういうものに当たるものであるというふうにはっきり分けて、いままでも大分わかっていると思うんですが、そういうことが必要ではないか。また、それによって、この定員管理のやり方によって、公務員のあり方という問題が再検討されるチャンスといいますか、当然そこから公務員のあり方について、その公務の勤務形態や管理というものや、それから採用、それから将来の年金というような問題が非常に響いてくるんじゃないか。  後でまた問題にしますけれども、年金一つとってみても、官民統一というけれども、やはり国の本当の公権力をやるもの、しかもこれが警察とか、何といいますか自衛隊とかいうような、本当に身の危険をいざとなるときには果たさなくちゃならぬという職務を持つ者とのやつを、一般の民間なり一般的な年金として統一しちゃっていいものかという問題が出てくると思うんです。  議論すれば長いことになっちゃうからそれはとにかくとして、国家公務員の定員管理について私が主張したいのは、本当に公権力をやる、いわゆる一般的な、常識で言う小さい政府としてみんなが関心を持つ部分はどの辺だ、こういうものについてはこういうふうな問題として処理するというふうな公務員の定員管理が進まないと、いつまででも、何割削減しろとかまだ多いとかいう議論になってしまうんじゃないかと思うんですが、その点についてどういうふうにお考えか。
  221. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 先生御指摘のように、ただいま私ども政府全体を通じて行っております定員管理の方式というのは、昭和四十三年、総定員法が成立しまして以来第一次から、現在第六次でございます。六次にわたります計画削減を、もちろん計画削減といいましても実は一律にやっているわけではございませんで、それぞれ職種の実態等に応じて、削減の難易度、こういったことを考慮しつつ、職種別に計画的に積み上げていっているわけでございますが、こういった定員削減、これをてこにしながら、かつまた片方におきまして、どうしても必要な行政需要に対応する増員と、典型的には、これも先生もお触れになりました学校でありますとか病院、病室でございますとか、こういったいわゆるサービス部門に対する需要というのは、四十年代、五十年代に入りましても種々の事情がございまして非常に大きな定員需要にある。そういった定員需要にある部門に対して増員という形で振り向けていく、こういう基本的な姿勢で定員管理を行ってきたわけでございます。しかしながら、こういう財政も非常に厳しい、かつまた政府、公的部門も合理化、効率化を行わなければならないと、こういう時代でございますので、そのあたりの定員管理も厳しく、非常に抑制的に年々の査定を続いてやってきているというのが実情であるわけでございます。  先生御指摘の戦前で言いますれば官吏、公権力の行使とおっしゃいましたか、公権力の行使に当たる部門、特にそれが官吏と補助者というふうな感覚でいま分けるということは、これは戦後の国家公務員法のたてまえ、先生も篤と御案内のとおりで、非常にその辺はできないことでございますし、私どもにも、実はどういうカテゴリーが公権力行使に当たるのか、これを明確に区分せよとおっしゃられても、現在の状況ではなかなかこれをやるのは困難と申しますか、相当詳細な分析をしましてもなかなかむずかしい、そういった性格のものではないかというふうにただいまとっさに考えているわけでございますけれども、非常に一般的に申しますれば、非現業部門の本省庁内部部局、それからさらにその出先機関、ここにおります特に行(一)職員、このあたりがいわばそれに近いのかなという感じがいたします。  もちろん、先生御指摘のように、別途に学校である、病院であるというふうないわば公的サービス部門、さらにはただいま四現業というふうな部門、いろいろな公務員の性格があることは確かでございますが、これ全体につきましてそれぞれを区分しつつ定員管理を進めるということは、事実、現に少なくとも増員査定の面でもやっておりますし、それから計画削減の場合においても、先ほど申しましたように職種別に区分しつつ積み上げていっているというふうな方式を使いながらやっているということでございまして、やはり、臨調第一次緊急答申を受けまして第六次定員削減計画、これを一昨年閣議決定さしていただいて、ただいま五十八年で三年目になっているわけでございますが、こういった方式をなお継続することが現在の段階では一番シビアな定員管理を実施していく上に非常に効果があるんではないだろうかと、こう考えている次第でございます。  しかしながら、ただいま先生が御指摘になりましたようなそういったお考え、こういったものも念頭に置きながら今後ともよく勉強してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  222. 三治重信

    ○三治重信君 いまの、何といいますか、ごく狭い昔の官吏的な問題、官吏とそうでない者という問題はいろいろ問題があると思うんですが、私が申し上げるのは、国のやる範囲が非常に多くなって、そこへえらい赤字になってきた。ことに国鉄というのは、だれが見てもどうやっていいかわからぬような赤字をつくっている。だから分割民営でもしなければめどが立たぬだろう、こういうふうな結論に臨調はなってしまったわけであります。したがって、いろいろ理屈をこねてみても、やってみて赤字になるとか、国民から非難を受けるような形態や実態になってくれば、そこで何とか改革をしなくちゃならぬという改革ののろしが上がってくるわけなんですね。  いま臨調なり国民が行革で一番期待しているのは公務員の削減なわけなんです。だから、公務員の削減と言っても、これは一般の九十万人とか、それから地方公務員を合わせて何百万人とか、さらに一般の人から言えば、国鉄も電電もこれは皆国家公務員だ、こんなものがたくさんおるからみんな税金で負担してやっていかなきゃならぬ、だからわれわれは税金が高くてえらい困るんだ、こういうふうな議論にぱあっといってしまうわけなんですよね。  だから、常に政府当局とすれば、やはり行政改革でいう国家公務員、そういういわゆるお役人というものはこの程度で、あとは公務員でやってもいいし、それから民間でやってもいい問題だ。だから、民間と国とは、それぞれ必要の限度において、また従来の慣行上やっているけれども、元来は何と申しますか、いわゆる政府プロパーの問題でなくて、福祉のものとか中間的な問題だということの、何かそこに区別をやっていかぬと、小さい政府なり税金のむだ遣いという問題について、ひとつ定員管理が私は国民的納得をさす非常に大きな重要なポイントだと思うわけなんです。  それで、定員も十把一からげで九十万人、また地方公務員でも国のやつと同じだと思うんですよ。本当の公権力を使うものとそうでない、民間でやってもいいし財団法人でやってもいいしという問題の地方公務員もたくさんあるだろうと思う。そこを区別して大体のやつをやる、一括してそれぞれの専門過程において厳しく査定をしているんだと言えば、それはそれで名前を別々にせぬでもいいかもしれないけれども、そういうものの認識を国民にはっきりさせることが、小さい政府を目標としている、ここが問題だ、この点については国民が考えるほどむだの人員はおりませんという宣伝にするかどうか、もっと整理すると言うかどうかは別として、何か僕が聞くときに、すぐ四人に一人、七人に一人の公務員を抱えているんだというふうにぱっと宣伝されることが非常に多いですよね。  だから、そこを今度の行革の過程の中で、やはり国家公務員というものの、いわゆる政府というものについてはどうなっているんだ、どういう地位になっているんだということについてのひとつわかりやすい説明なり、そういうものが欲しいものだと、こう思っているから、その定員管理について、本来の行政行為をやる者と、地方公務員がやってもいい問題だし、また財団法人や民間がやってもいい問題と同じような仕事に従事する者というようなものと分けていく方法はないものか。また、そういうことについて、やはり小さい政府を目指すという政府の目標から言えば、その範囲を公務員の勤務形態についてのカテゴリーをやると、国民的納得をさすと、じゃ国が全部そんなところまで抱える必要はないという問題になってくるか、またもっとやれということになってくるか、そこをはっきりした方がいいんじゃないかと、こう思って申し上げたわけなんです。  その次に、何というんですか、今度の行政改革大綱には出ないようなんですが、この答申の中に出ている総合管理庁案の中で指摘されている、私は、これは本当に非常にむずかしいことだけれども、やはり最終的にはひとつぜひ総合管理庁問題の検討の中で解決してもらいたいと思うんですが、人事院の勧告機能というものは、これは非常に重要なことでいいんだけれども人事院の中で実際政府の行う人事管理機能に属するような問題とも絡めてあるし、そうかといってまた退職金の問題や年金の問題については、これは僕は人事院が勧告権を持つべきだと思うわけなんです、むしろ。毎年の給与水準だけでなくて、本当は公務員の退職金の問題、それから公務員の共済年金の問題、これは一括して公務員全体、採用から退職まで、退職後のやつまでの問題を人事院として、国家公務員の待遇なりそういうものとしてやはり政府に対して勧告権を持つべきだと思うんです。  ところが、最小限度の毎年の給与改定ぐらいしか勧告機能としてはやらしてない。しかし今度は、実際の昇給昇格の級別定数とかなんかまで人事院が持って、各省陳情して、各省の課長職は何人なんというようなある程度の枠は必要だと思うんだけれども、一々具体的に枠はめるまで人事院の承認をとらなければ昇給昇格はさせられないというふうな、これは実施の場面まで少し人事院が入っているところもある。そのいわゆる臨調が言う人事院の機能というものと中央の行政機関としての機能というものとが、どう考えてみてもやはり若干出入りがあり過ぎる。  これ行政管理庁、何といいますか、国家公務員のいわゆる法に定めているような問題というものは、これは民間でもどこでもどんな会社でも、ある程度の近代的な企業、会社ではどこでもみんな必要なんです。だんだんみんな同じようなかっこうになっていくと思うんですよ。これは本当の人事管理なりそれから給与という問題を検討していけば、国家公務員だろうが会社の従業員だろうが、また会社の機能でも、部や局の名前は変わっても、いわゆるヒエラルキーの体制、スタッフと執行部との関係とかいう人事管理、仕事の管理の面で、だんだん僕は、やはり官民、企業体としてまた行政組織体として、その中の効率的な運営をやっていくための人事管理というものは変わらぬだろうと思うんです。  そういう意味において、人事院なり中央人事行政機関がやる一つの基本的な決め方というものが非常に民間にも響くし、また公務員もいま非難を受けないためには、民間のそういう人事管理の状態とかそういうようなものを研究調査して、いいところは採用していくという相互作用がなくちゃいかぬ。それが両方の機関人事院とむしろこの中央人事行政機関というものは、いま政府としてはあってなきがごとしだと思うんだけれども、それを総合管理庁の案として答申していると思うんです。  総合管理庁をつくるかつくらぬかというか、そういう行政機構の組織の問題はまだ結論が出ないし、そうだと思うけれども、ひとつぜひ国家公務員の人的管理、人的の制度という問題は、やはり人事院と中央人事行政機関とどういうふうに整合的にやるか、あるいは中央の人事管理機構というのを人事院と別につくるというのはどうもうまくいかぬから、それじゃ主要なところは実施の部面にまで人事院に勧告を任すかというような問題も、ある程度ここでやはり最初に取り組むべき問題ではないかと思うんですが、ひとつぜひこれを、総合管理庁はまだ時期尚早だということからこの問題を外さぬように、やはり人事院の勧告制度、またこれが採用から退職まで、それからすべての給与、勤務、それからそういうふうな各機関における活動、機能、いわゆるやりがいのある組織、やりがいのあるポストを考えていくと、こういうことになるとこれは非常にかなめ的な問題だと思うんです。  ひとつ行管長官、そういう問題については、行政組織としてというものとか、人事院といまの総理府人事局とでは、また大蔵省が年金を持っているというような問題からいくと、これは何か政府としては総括的に扱うところ、人事院とやる、あるいは人事院に大綱はみんな持っていくか、いろんな問題を早急にやはり今度こそやるときじゃないかと思うんですが、せっかくILO八十七号条約を通したときに、いろいろ問題あって、労使関係を中心としてやはり政府として窓口になり、中央的な管理機構をつくるべきだということで総理府の人事局をつくったんだけれども、どうも見ていてそれほどの期待ができぬような気がしているんですが、こういう問題についてどういうふうにお考えになりますか。
  223. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 第五次答申には総合管理庁の提言がなされておるわけでございますが、それによりますと、人事管理、定員管理、組織管理を一貫して行う役所をつくるべきではないかと、こういうふうな提言がなされているわけでございます。もとより人事問題については、定員、組織それから人事管理、これを一本でやっぱり所掌するということについては、非常に評価すべき内容のものがあると私は理解をいたしております。そういう意味において、新しい行政改革大綱の中にこの問題を今後どう取り扱っていくかということについての何らかの検討する構想の方向だけは打ち出していく必要があるんではないかと、こんなふうに私は考えております。  そこで、今度は人事管理そのものになりますというと、人事院といまの総理府人事局との関係、これが果たしてこのままでいいのかどうかという私は問題があると思うんです。これはもう御承知のように、ILO八十七号条約批准に際して、実はああいう人事局というものでは初めなかったんですね。初めなかったんですよ。非常に違っていた構想で出たわけでございますが、ああいう決着になったわけですが、ああいう現在の人事局が果たして、労働基本権制約の代償としての給与勧告権、これはもう人事院が当然持つべきものでありますが、現実的な任用を中心とした人事管理、これやっぱり多少入り組んでいるような気がして、いまの人事局でいいのか私は多少疑問があるような感じがいたします。  これ私、いまどうしたがいいかということを申し上げる立場にありませんが、私はやっぱりこの関係は多少なり、もう少し真剣に考えていくということが大事ではなかろうかと、こんなふうな感じは持っております。しかし、これは私のまだ熟してない個人的な意見でございますからそれは別といたしまして、この答申の中に出されておりまする人事管理と定員管理、組織管理、これは何とか一貫して所掌するようなひとつ構想というものを打ち出すことはできないかということでいま苦慮しておるわけでございまして、最終の案ができるまでに何とか決着をつけていきたいと、こんなふうに考えておる次第でございます。
  224. 三治重信

    ○三治重信君 この問題は、臨調のこのチャンスに、この前の八十七号条約のときに人事局をつくった結果を勘案して、ぜひひとつ人事院とも十分御相談の上、臨調の言い分も十分聞いて改革に取り組んで実行していただきたいと思います。  その次に、年金の統一の問題なんですが、これはまた具体的には国鉄の共済組合の改革の問題のときに具体的には触れたいと思うのですけれども。  この年金の改革統一は官民統一の方向というふうになると、これは非常にいまのところ格差と申しますか、制度的に変わり過ぎている。これをどういうふうな方向で統一をしていこうとするのか、まだそれすらも何といいますかこれからだ。しかし厚生省の方が担当大臣になっているわけです。たとえば、給付開始は公務員の方は五十五歳で厚年の方は六十歳。この五歳を縮めるのにいまの案だと何か十五年か十八年で六十歳ということになってくると、今度の行政改革でやる年金の統合化というものといま政府が六十歳の給付にまで延長するその法改正のいまの実施のやつとテンポが合わぬじゃないかと、こう思うのであります。  それから国鉄の財政破綻に見るごとく、国鉄は改革のために、僕は国鉄は五十五歳で定年になって、まだ赤字のために延ばさぬでいたと思っていたら、定年はもう六十歳まで制度として延ばしてしまっている。しかし、現実に定員削減のために五十五歳でやめてもらっているのだ。だから、結局退職金をいわゆる勧奨退職になって割り増ししなければいかぬ。また、そこで割り増しをやることによって勧奨退職が機能していくということだろうと思うのですけれども、そういうふうにして早くやめたところの結局五歳の年齢がある。それが全部どっともらっていくものだから国鉄はすぐ破綻になってくる。  これは公務員も同じことだろうと思うのです。これから行革をやっていく、あるいは地方公務員の方はいままで何といいますか、えらい極端な年寄りもいるけれども、平均年齢がむしろ低いということからすぐにはなかなか年金にそう響かぬという問題があるのかもしれませんと思うのですが、こういう方向というものも、これはやはり国鉄がいまもう現に火のついていると同じように、この改革、これは当面の火消しと申しますか暫定的なものなのですが、その方向をはっきり早く示さぬと、みんな年金の行く末に対して非常に不安を持つ。これが行革にも非常に影響すると思うのです。  したがって私は、年金のこういうような大変革による企業体の変革とか、こういうような大変革によって、しかも政府が多数抱えている定員を急激に減らす場合には、その将来について、やはり年金の赤字部分についてはこれこそ政府が負担をしていかなければならぬ。これはまた、この負担もそれ多い少ないではなくて、一定の方向さえ出せば金額は多くなってもそれは政府が負担していく理屈が立つ。しかし、経営の赤字を穴埋めする、めちゃくちゃに投資したやつの赤字の穴埋めをする、こういうことではやはり国鉄の赤字の穴埋めでも国民が納得しないだろう。こういう問題が私はあると思うのです。  結局この年金の統合化は、民間のこういうような高年齢化、行政改革とともに共済組合の方も予想以上に早く財政破綻の問題が来るような国ですから、したがって、これはやめる人にとってみれば自分がまだ八十まで生きるか九十まで生きるかわからぬ、そういう問題で非常にこれは重大な関心問題だと思う。したがって、将来の問題を早く保障の体制をつくっていくと、甘い考えはもちろん規制すべきだろうけれども、その最低保障の線はやはり早く出さないと、国鉄の財政破綻みたいになって、もう暫定的な三、四年ぐらいしかめどがつかぬようなことをやっていると大変なことになると思うんですが、どういうふうに考えられているか。
  225. 山口剛彦

    説明員(山口剛彦君) 公的年金につきまして、ただいま御指摘のございましたような種々問題点指摘をされております。私どもはそういった問題点を解決いたしまして、公的年金制度を長期的に安定した制度にしていくためには、お話がございましたように、一元化の方向が望ましいということで現在検討を進めております。  具体的には、昨年九月の行革大綱によりまして、将来の一元化を展望しながら年金担当大臣のもとで見直しを進めていこうということで、いま総点検の作業をしております。五十八年度末までに具体的な内容、手順等を明らかにするということにいたしております。  そういうことでございますけれども、そういったものを最終的に決めます中間段階で、いわばそのたたき台ということでおおよその方向なり段取りの目安を定めておこうということで、四月一日に関係閣僚懇談会で「公的年金制度改革の進め方について」というものを決めさしていただいておりますが、その中では、ただいまお触れになりました厚生年金と共済年金制度の関係でございますが、五十九年から六十一年にかけて公的年金制度の一元化を展望しながら制度全般の見直しを行うということで、まず国民年金、厚生年金、船員保険、いわば厚生省が所管をしております年金制度につきまして関係を整理する。それを受けまして、共済年金についてもその改革の趣旨に沿って国民年金なり厚生年金との関係を図っていこう、それを六十一年度までにそういう措置を講ずるということでどうだろうかというのを一応たたき台にいたしております。  そういうことでございますので、今後の検討の方向としましては、やはりわが国の年金制度の被保険者をとりましても受給者をとりましても、その九割が厚生年金と国民年金で占めておりますので、厚生年金、国民年金をどういう方向に一元化をしていくのかということをまず決めることが非常に大きなポイントになろうかと考えておりまして、現在年金担当大臣のもとで検討しておりますが、厚生省といたしましては、できましたらことしの秋には厚生年金、国民年金をどういう方向で一元化をしていくべきだと考えるのか厚生省案を決めまして、関係審議会等の御意見もお伺いをしたいということで準備を進めております。そういたしますと、御指摘ございましたような共済年金、これがまた御指摘ございましたようないろんな性格を持っておりますので、どういう整理をしていくかということが具体的な課題になっていこうかと考えております。
  226. 三治重信

    ○三治重信君 それではこれで質問を終わりますが、ひとつ後また実施の問題で、やはり国鉄の監理委員会と関連して、まだ政府の特殊法人の中で、全部で百九十四現在あるやつの、これは赤字ばかりじゃないんですが、公共性と効率化、企業体としての性格の再検討の問題があると思うんですが、これについては意見だけ申し上げておきますが、政府として、ひとつ国鉄の改革の方向と、あれは非常な巨体なんですが、一般の政府が抱えている特殊法人の経営の効率化について、ひとつぜひ具体的な指導的なやり方というものについて早急にまとめてやっていっていただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  227. 秦豊

    ○秦豊君 きょうの質問の前に念のために戦後の行政改革の歴史を一応引っ張ってみたんですが、長官もこの時代の記憶はどうかわかりませんが、敗戦直後の東久邇内閣から幣原喜重郎内閣、それから第一次の吉田茂政権、この間非常にめまぐるしくて、二十年の八月十七日から翌年の十月二十七日までの間に内閣が三段跳びしまして、それでそのころに戦時行政機構の廃止問題を抱えまして三内閣を縦に貫いた改革が行われた。もしこれを第一回の行政改革に算入するならば、現在の中曽根内閣の行政改革は十七回目になるわけですよ。それぞれ時代の年輪を刻み込んでいるわけですけれども、私の概括的な印象は、残念ながらどの場合にも総論あって各論なし、理念あって実行なしというわけで、人間の皮膚で言えばせいぜい表皮を裂いただけで、真皮、いわんや肉、骨髄に達するようなメスは深々とはふるわれなかったというのが残念ながら私の痛感した印象なんです。  特に私が問題にしたいのは、中曽根行管庁長官のころから現実可能性、言葉を変えれば実行可能な行革案というふうなことがしきりに言われまして、それがレールになり大枠になったと。私がその当時から言っていたのは、官僚の許容限度が行革の到達点であり行革の限度である、なりかねないという危惧を当時から持っていたんだが、やはり今日に至ってなおかつその印象はぬぐえない、これが私の概論です。齋藤長官は私まだよくわかりませんけれども。特に、中曽根総理に至りまして、総理特有のポーズは大変目立つんだ。レトリックは華やかだし非常にポーズは目立つんだが、依然として断然たるリーダーシップにおいては根本的に欠落をしておったという印象を述べておきたいと思います。  特に、去る三月の最終答申をずっと通読しますと、もちろん評価は立っている場所によって、切るアングルによって違うけれども、これをあえて一言で言うならば、たとえば論より証拠、財界とか官僚群からする抵抗感というのはほとんど聞かれないでしょう。政界はさまざまです。それというのも、やはりそういう世界から、階層からさほどな批判が噴出しないようにたくみに刈り込まれている、トリミングされているというのが私の印象です。特に、これを全部言うわけにいかないけれども各省庁の内部部局の再編であるとか地方支分部局の整理問題にはそれが著しいと言わざるを得ない。  これはある日刊新聞のリポートの中にあったんですけれども、こういう記事があった。これは、ある臨調事務局の職員ミスターXがこう言っている。特に内部部局の再編問題等についてこう言っている。これについてあなたどういう印象ですか、振り返って、と言ったら、こう言っている。まあこの程度であれば、有閑マダムがジョギングで汗を流す程度ですねと言っている。非常に感覚的な表現で、私は直截に理解できましたね。つまり、非常に手軽だ、大して実効はないということを私は言い得て妙だと思う。  以上が私の概括的な印象なんだけれども、これは局長に聞くべきだと思うが、そこで少し質問をしてみたいが、答申の大詰め、つまり一月以降になって、私はずっと注目をしておったんだが、あなた方、特に行管庁の局長連中、幹部人のきわめて巧妙な戦術ね、言葉を飾って言えば戦術だが、人によっては悪知恵を働かしたと言うんだけれども、とにかく非常にそれが有効に働いた。どういうことかというと、主要な答申の原案である部会や分科会報告の提出期限を本格的な本答申の直前に設定したことによってタイムスケジュールを、調査会の委員がそれをひもといて解析をして、いざ修正意見を出そうと思ったって時間との勝負に敗れる。もはや修正や手直しは抜本的にとてもできないというところをねらって全体の作業日程を設定したというあたりは、私はあなた方の明らかな悪知恵であり、作為ではないかとさえ思っているんですよ。どうですか。
  228. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ただいま先生がおっしゃいましたような点、私はそういうことは全くなかったというふうに考えております。私当時、この一月、二月という時期には私自身は行政管理庁の官房総務審議官を務めておりましたが、当然私はそういうことに手を触れたこともございませんし、かつまた臨調事務局に出向していた幹部職員、これは臨調事務局職員として働いていたわけでございますが、そういうことはいささかも考えたことはなかったというふうに思っております。
  229. 秦豊

    ○秦豊君 おっしゃるとおり作為ですなんという答弁はありっこないんだから、それはいいでしょう。そういう答弁を私は全然期待も予想もしてなかったから、それはいいです。  ところで、臨調の第三次答申と第五次答申、この問題にちょっと触れておきたいんだが、盛り込まれている膨大な内容の中で、臨調答申を待つまでもなく、あなた方政府機関としては十分熟知していたと、こういう事項。それからその次は、これまでは政府としての認識を基本的に欠いていたか、あるいは認識が足りなかったかという事項、つまり認識が足りないとすれば、当然臨調答申によって蒙を開かれたと、啓蒙された、あるいは目を開かれたということになるわけだけれども、それに該当するものとしては、主な事項に限定していいですよ、どんなことが挙げられますか。
  230. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ただいまとっさになかなか思い浮かべにくいんでございますけれども臨時行政調査会、非常に短い期間にいろいろと御審議をおやりになったわけで、その調査審議の御過程で、その素材としまして、熟知というお言葉をお使いになりましたが、いままでに政府のたとえば各審議会答申していたような各種答申を調査の審議の素材としてお使いになったり、あるいは既往各内閣の行いました行政改革、その中のいろんな観点、それを御検討になったり、それは当然になすったわけだろうと思います。しかしそれは、何と申しますか、熟知していると申しますよりも行政改革の一つのルーチンのやり方、これをお取り上げになったのではないかと、こう思うわけでございます。  私ども、はたと目を開かれたものという御指摘でございますが、そうでございますね、たとえば定員管理について申し上げますと、国家公務員定員管理につきまして、それと関連する問題としまして行(二)職員と申しますか技能労務職員、この方々の欠員の後埋めの真に必要な場合を除く原則停止、こういった問題を打ち出されていらっしゃる。これは従来政府が余り手をつけた、あるいは考えたことのなかった問題、こういうことではないかと思います。
  231. 秦豊

    ○秦豊君 これは挙げ出すと切りがないから先に進めますが、齋藤長官ね、これはあなたに伺っておきたいんですけれども臨調設置法によると、この臨調は、言うまでもなく「行政制度及び行政運営改善に関する基本的事項調査審議する。」と、こうなっていますね。その「行政制度及び行政運営改善」ということに実は藉口して、あるいは名をかりてというか、拡大解釈と私は思っているんだけれども、国民生活に関連の深いより個別な実態的な施策をも、われわれ国会にも諮らないで、いわば密室的な審議で検討をし、検討されて出てきたものを政府がそれをあたかも既成事実のように扱っているというふうに私には見える。そのことは、言いかえれば、われわれ立法府の見地から言うと、この国会機能を軽視するものであるとともに、あなた方キャビネットを構成している内閣の第一義的な使命を自己放棄することにつながらないかという私は疑いと懸念を持っていると思うんだが、齋藤長官はどうお答えになられますか。
  232. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 臨調の設立の趣旨は、いまお述べになりましたように、行政制度行政運営の基本に関する問題、これを調査審議するということになっておるわけでございますが、その中で、臨調答申その他を見ると、いろいろ個別的な国民生活に関連ある事項にまで切り込んでいるじゃないかと、こういうお尋ねのようだと思います。しかし、これは見方でございまして、やっぱり個別的な生活に関連ある事項といえども、全般的な行革という角度から触れることは当然じゃないでしょうか。  といいますのは、行政改革は、結局、御承知のように経済社会の変化に対応をした、要するに効率的な行政の確立ということにあるわけで、当然それには財政の立て直しということが裏にあるわけでございますから、財政的な面からも全般的な面からも触れる必要がある、それはあってしかるべきものではないかと、こういうふうに私は考えておるものでございまして、法律に定められたその権限を逸脱しておるものとは考えておりません。
  233. 秦豊

    ○秦豊君 それから政府姿勢に連関をした設問ですけれども最終答申に対しては政府は、さっきも局長が言っていたように、最大限尊重という日本語を使っているわけなんだ。ところが、臨調答申が取り扱っている問題というのは三百六十度だな。オールラウンドの問題を扱っているわけだ。その中には、むしろこれからじっくり解析して、そこをセレクトしてプライオリティーを決めて、そうして対応しなければ、第一討議の判断自体にまだ時間がかかるというものも入っているはずですね。ところがそれにもかかわらず、いち早く尊重ないし最大限尊重なんていう言葉を使っているのは、私は、このことを言いかえればかなり軽率だなと、迎合的だなと思うんで、尊重というのは基本的な意向のこと、方向を言っているんであって、個別的な項目を全部うのみにするわけではあり得ない、こういうふうに判断しているんだけれども、それはそうでしょう。
  234. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 政府行政改革に対する姿勢という見地からも、当然にただいま行政改革は喫緊の課題であるわけでございます。臨調に御審議をお願いしていただきました御答申、これは全項目にわたって、答申全体として最大限に尊重して受け取りながら、逐次検討すべきものは検討しつつ成案を得て、着々とこれを実行に移していくという姿勢閣議決定したわけでございます。当然、中には今後、御指摘のように中期的に検討を進めていかなければいけないようなむずかしい課題も含まれておることは事実でございます。
  235. 秦豊

    ○秦豊君 それは非常に優等生的な答弁でね、文章にすれば完全なんだけれども、たとえば本来の行政改革の眼目であるべきあなた方官僚機構の改革、特に整理簡素化ですな。これなんかは改革案、これは作文のようなものだ。案を提示することよりも、いざ実施に移し実効を上げるという段階の方が幾層倍もむずかしいのは常識です、それは抵抗があるんだから、摩擦抵抗が。  それで私は、行政改革土光臨調の場合でも、官僚機構のところをずっと熟読すると、これは相当ポイントが抜かれている、骨格が。エネルギーが感じられないんだ。だから、すでに相当すりかえられてもいる。トリミングという言葉を僕は使ったけれども、やっぱり各省庁の連合勢力によって、突出した部分、とんがった部分、痛みを感ずる部分というのは全部すり合わせをしているわけだから痛みを感ずるはずがない、単位面積当たりのエネルギーもそう感じないというふうになっていて、私は官僚機構の改革については前途はなはだ危うしと思っているわけです。  たとえば、私がいま一項だけ挙げた官僚機構の整理簡素化についてだけでも、加わってくる、加重されるであろう圧力とか、あるいはサボタージュ、抵抗、じゃ、こういうものを排除していく具体的な方法として行管庁は一体どういうことを構想しているんですか、たとえば。
  236. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 御指摘の官僚機構とおっしゃる点は、たとえば行政組織の整理合理化、あるいは当然に出先機関の問題を含むと、あるいは定員の問題と、こういったものをおっしゃっているんだろうと思いますけれども、この全体に関しまして申しますと、臨調答申、特に最終答申はかなり具体的に固有名詞等も指示し、あるいは目標数字等も示しながら御答申になっていらっしゃるわけです。先ほど申し上げましたような政府の基本姿勢のもとに、私どもとしてはこれをできるだけ前向きにとらえながら、新しい行政改革大綱に前向きに盛り込むと同時に、できるだけ早く、たとえば昭和五十九年度予算編成という過程を通じながら、着々と実行に移していこうと、こういいう考えでおる次第でございます。
  237. 秦豊

    ○秦豊君 私がこう申し上げているのは、たとえば第一次臨調後に設置された例の行政監理委員会ですな、あの歴史的な体験が現にあるわけよ。僕は絵そらごとで推測に基づいて物を言っているんじゃなくて、かつて苦い体験があったではないかという一つの事実を踏まえて言っている。だから、あのような行政監理委員会においてさえ実現できなかったものが、今回、やがてきょう夕刻採決されて、あしたの本会議にかかれば体をなすわけだけれども、この審議会程度のもので、法律のタイトルには「推進」と書いてあるけれども、推進はおろか、突き破れないという印象が非常に強いものだから、宙に浮きそうだという印象が強いものだから私は伺っているんです。これについては答弁要らない。  それで、たとえば少し各論に分け入ると、今度の土光臨調答申の中で、ひとつまず補助金を挙げたいんだけれども、補助金でも許認可でも総括的な提案はしているんだけれども、具体的で個別的で実体的というものの整理簡素化は、たとえば総数一万三千の許認可事項に対しておよそ三百二十件、非常に限定されていますね。しかし、限定されたその少数の分野に対してでも、実効を上げるためには相当これからの手順が必要なわけです、作業が。個別に詰めてどうだとあなた方が推進審議会へ言ったって、今度各省庁が相手なんですよ。毛細管のように末端に、第一線につながっている、これを相手にするわけだ。そうすると、具体的な事項というのを摘出し解析しなければならないんだけれども、その作業なんというのは具体的にどう進めるんですか。
  238. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 許認可を例にとって御質問があったわけでございますが、確かに臨調、許認可については最終答申でもかなり数多くの具体的な事項を御答申になっていらっしゃいます。なお、これより前に、臨調第二次答申、昨年の春先でございましたが、第二次答申で許認可だけを中心にする御答申がございました。これを例にとって申し上げますと、このときに御答申になった事項、ただいま何事項かつまびらかに覚えておりませんが、この事項のほとんどもう一〇〇%近く、これは法律によって、実施すべきものは直ちにその通常国会におきまして行政事務簡素合理化法という法案を御提案申し上げ、幸い御可決をちょうだいしたわけでございます。かつ、政省令、 通達等によって実施できるものも着々とすべて実施してきているというふうな状況で、まず、一〇〇%とは申しません。が、ほとんどのものを実行してきているということでございます。  今回の答申につきましても、できる限り早急に具体化、詰めてまいります。おっしゃるような困難な点も多々ございますが、逐次これをまとめて国会の御審議をちょうだいする、こういう運びにしてまいりたい、こう思っております。
  239. 秦豊

    ○秦豊君 それじゃ門田さんね、今度の審議会はどの程度の事務局機構を想定しているんですか、考えているんですか。
  240. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ただいま御審議をお願いしております臨時行政改革推進審議会、小規模の事務局というふうな第四次答申、御示唆いただいているわけでございまして、具体的にはやはり各省からの出向、併任という人事でやってまいるということに相なろうと思いますが、大体十人内外というふうなマンパワー、こう考えております。
  241. 秦豊

    ○秦豊君 だからそれごらんなさいなんというつもりはまだない。始動してないからね。ただ、併任。専任じゃなくて併任、兼任、それで寄せ集め連合軍、振り返るのはみんな本省庁、本家だという事務局機構は、今度のあなた、推進審議会をサポートして何をどうやれと言ったってそれは酷な要求ですわ。そんなものは期待できるはずがない。だから言っている。  同じような観点で、たとえば特殊法人の整理のところを見ると、今度の答申が廃止しなさいと明らかに指摘していますのは、例の医療金融公庫ただ一件なんですね。そうでしょう。きわめてこれは僕たちにすれば生ぬるいという印象になる。これについても、じゃ答申はこれだけだから最大限尊重、どうも一つだけこれを実行すればいいんだ、こういうようにトリミングしてはいけないので、やっぱりむしろこれは国民世論が、特殊法人の整理という問題は、行革の世論調査をやると第二番目の重点項目に入っていますよ。どの調査でも、どの時期でも。ならば、それを素直に受けるならば、やっぱり今度の推進審議会、相当がんばって、最終答申はこうであったが今後の展開はかくあるべしというものは出さなきゃいかぬでしょう。どうですか。
  242. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) その前に、先ほどのことについてちょっとお答えさしていただきたいのでございますが、私、ちょっと答弁漏れがあったようでございますけれども、併任と申しましたが、実際には事務局の職員として完全に専任的に業務に精励するという体制をとることができるというふうに思っております。  ただいまの御質問の問題でございますが、特殊法人、臨調答申では、第三次基本答申で特殊法人の中でも非常に大粒のものである国鉄、電電、専売、こういった問題について非常に抜本的な御答申がなされているわけでございます。一方、最終答申で示されている特殊法人、これは七十一法人についての、廃止は一つでございますが、統合あるいは民間移行、こういった問題を含めて、整理合理化等も含めまして全体で七十一法人についての指摘があるわけでございます。かたがた、別途昭和五十五年行革、大平内閣のときの行政改革、五十四年末の閣議決定にかかるものでございますが、これで原則五カ年計画と。若干六カ年、七カ年というものもございますが、非常にたくさんの特殊法人の整理合理化計画を打ち立てているわけでございまして、目下その途上にあるということも踏まえまして、当面そういうものを着々と実行していく、今回答申されたものも着々と実行していくということが私どもに課せられた課題ではないか、かように考えております。  新しい臨行審、これが発足した暁におきましてどういうふうに相なりますか、具体には委員の先生方の御協議によって決まる問題でございますが、この審議会においてまた新しく特殊法人の整理合理化というものが取り上げられるかどうか、いま私の口からどうである、こうであると言うわけにはまいらないことをひとつ御了解いただきたいと思います。
  243. 秦豊

    ○秦豊君 私がこういう強い懸念を持っているのは、長官ね、たとえば太田薫氏とか安西氏とか佐藤功氏、つまり行政監理委員会のときの当初メンバーですね、六年間、あの御苦労を願った方々が方々に書いていらっしゃるもの、ずっと単行本になっているものもあるし、座談会も入っていますね、これをずっと読んでみますと、こう言っているんですよ。われわれに与えられた事務局は、全般的な印象として「各省に対して全く頭が上がらず、第一次臨調答申実現をサボりにサボった」、こういう表現が、これは秦豊の表現じゃないんだな、三人がこもごも同じトーンで述べていらっしゃる。これは記録されているんですよね。だから私は、門田さんの答弁にもかかわらず、こんなことで大丈夫ですか、非常に安易過ぎはしませんかと言っているんですよ。長官、いかがですか。
  244. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 第一臨調、それからその後にできました監理委員会、これについては過去においていろんな十分でなかった点は私は相当あったと思います。これは率直に私は認めざるを得ないと思います。特に、監理委員会行政管理庁に置いたということですね、そういうふうに行政管理庁に置かれましたために、その監理委員会行政管理庁の所掌事務だけに限定されて動きがとれなかった、私はやっぱりそういうことが非常にまずい点ではなかったかと思うんです。  それで、この第四次答申を出すに当たりまして、承りまするというと、臨調意見の中に非常に、第一次臨調のあの失敗を繰り返してはならぬと、したがって今度の新しい行政改革推進審議会というものをつくるにしても行政管理庁に置いちゃならぬと、これがもう圧倒的な意見でございました。これなどは過去のあの委員会ができたときの反省の上に立ってできたものでございまして、今度はひとつ、事務局の人数は少ないかもしれませんが、行政改革答申が出て、行政改革方向というものがこれは打ち出されたわけですね。これは打ち出された。内閣としてこれを尊重してやっていきましょうと政府が強い決意を出して、先ほどお話がございましたが、最大限に尊重すると。具体的に何も決まらぬのに最大限尊重は何だと、こういうふうなお尋ねもございますけれども、要するに、答申が出たら政府の責任において全力を尽くしてやりますと、私は強い政治の姿勢を示したものだと思うんですよ。だから、その意味において私は秦委員に大いに評価していただきたいと思っているんですが。  しかも監理委員会のあの失敗といいますか、不十分な点の反省の上に立って、内閣に置く、それで総理大臣の責任においてやっていこう、こういうことにしたわけでございますから、過去の反省の上に立って、強い決意を持って、このとき失敗すれば二度とない、こういう決意で臨みたいと思っておりますから、ひとつ政府の努力の跡、真剣な気持ちを具現化してまいりますから、もうしばらく見守っていただきたいと、私はさように考えておるものでございます。
  245. 秦豊

    ○秦豊君 こう横並びの各官僚機構を見ると、行政機構、官庁の中の官庁は大蔵省であると、こういう意識が大蔵官僚には定着している。ところが、事行政改革推進に関する限り、官庁の中の官庁は齋藤長官指揮する行政管理庁でなければならぬ。自明のことですよ。だから、あなたの御答弁は、善意の部分は私は大いに共感しますけれども、それはそれでわかるんだけれども、そう言いながら、たとえば専門委員がいない、発令してみてすぐわかることだけれども、さっきの門田氏じゃないが、併任という措置もどうしても織り込まざるを得ない。そうすると調査機能全体の評価としては非常に低いと思わざるを得ないじゃないですか。  たとえば今度任命されるであろう委員土光さんのほか六名になっちゃう。この委員が仮に主体的に意欲的であればあるほど活発に活動したいんだから、そうでしょう。それを実施しようとした場合に、その調査活動、そういうものを保障するだけ、裏づけるだけ、サポートするだけの事務局機構とは言えそうもないから私は聞いているんですよ。どう保障されます、専門委員もいなくて。
  246. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 御指摘のように比較的小規模の事務局でもって発足するということであるわけでございますが、諸般、行政各分野全般にわたって定員事情もあるいは機構の問題についてむしろ縮減、効率化ということを図っていく時代でございますので、やはり臨調が御答申なすったそのみずからの御答申の中においても小規模ということをうたわれたのではないだろうかと思うわけでございます。  要するに第二次臨調、これはおっしゃるような専門委員あるいは参与というふうな先生方も非常に多くいらっしゃいましたし、かつまたそれをサポートする事務局も非常に多かったわけでございます。かたがたその過程におきまして、行政管理庁行政監察局の調査機能、こういったものも大いに活用さしていただいた部面がございます。活用さしていただいたと申しますよりも、活用していただいた部分もございます。  こういったことであったわけですが、臨調はやはりみずからの調査審議によって行政改革の処方せんというものを打ち出すという、非常に根底からさかのぼる大きな努力が必要である、したがってああいう大世帯でやらざるを得なかった、必要であったということであろうと思いますが、しかし今回、私ども臨調答申を受けまして政府が責任を持って実行していく、こういう実行の時を迎えているわけでございます。こういう季節でございますので、その政府実行に当たってのいろんな成案を得る、勉強をしていく、こういった過程においていろいろと御叱正を賜り御意見をちょうだいする、こういったことを中心とするこの審議会でございますので、こういったことで発足するというのが適当ではないだろうか、こう思っておる次第でございます。
  247. 秦豊

    ○秦豊君 それからこの審議会答申、それから意見の提出は重要事項に限られている、素直に読めばそうでしょう。「重要事項」というのはどんなことを意味しているんですか。
  248. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) やや法律例文的にまず申し上げれば、おおむねこういった調査審議機関、いわゆる審議会の場合には、何とかかんとかに関すると分野を限定し、それに関する重要事項あるいは基本的事項に係る調査審議ということを置くのが非常に多い例でございます。  「重要事項」というのは何をそれじゃ具体的に想定できるのか、これはもう再三同じような御答弁をしましてまことに恐縮でございますが、やっぱり新しい審議機関が発足いたしまして先生方の御合議、御協議によりまして具体的に決定されてしかるべきものでございます。かたがた、政府の方もこういったものが現下の状況では重要ではないだろうかというふうなこともよく御説明してまいりたいと、こう考えております。
  249. 秦豊

    ○秦豊君 長官ね、私がこういうことをくどくどとなぜ指摘しなければならないか。基本的な認識は、端的に言いますと、官僚機構の改革なんというのは、非常に抽象的に審議会答申とか意見程度では現状すら保てない、守れない、押される。強力に前を向くというためには、審議会みずからが改革に対する個々の法律案であるとか、場合によっては政令案あるいは省令案あるいは予算に立ち入ったことまで企画立案に当たる必要が本当はある、本当は。ところが、そういうものはつまり基盤的な部分、骨格の部分は官僚機構の一環である事務局であるとか内閣官房であるとか、場合によっては法制局であるとか、あるいは本家の各省庁であるとかにゆだねておいて一体実効が上がるとお考えになりますか。
  250. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 第三次答申、第五次答申とも行政機構の問題、行政運営等について厳しい私は答申が出されたと理解をしております。行政機構につきましても、地方出先機関の整理の問題、ブロック機関の問題、さまざまの機構の改革が打ち出されておるわけでございまして、これを実施するだけでも私は本当に大変なことだと思いますよ、これは本当に申しまして。いまだかつてこれほどの大規模な機構の改革を打ち出した例は私はなかったと思います。  そういうわけで、この答申行政機構行政改革についての一つの大きな方向を私は打ち出していると思います。あとは実行するかどうか、私はそうだと思うんですね。ですから、いまさらさらにまた調査研究をうんと進めてどうのこうのというよりも、まず答申で打ち出された方向に基づいたその内容を忠実に実行する、これが私は先だと思いますね。そういう決意をあらわす意味において、最大限尊重という閣議決定の意思を明らかにし、そしてさらにそれを強力に進めるために民間の方々の強力なる御意見の開陳をお願いしたい、こういうことで審議会をつくろうということにいたしたわけでございます。  したがいまして、この臨行審の当面の大きな問題は、答申に盛られておるいろんな行政制度行政改革を本当に政府はやるのかやらないのか、それを見守っていこう、推進していこう、こういうことだと思いますから、事務局の数は今度はそんなにたくさんなくても結構じゃないか。第二次臨調においては、この答申をまとめるまでに各省庁のお役人の方々、参与その他二百人以上の方がおられたと思いますが、その方々はいろんな案をつくるために動員されたんですね、二百人の方々はその案をつくるために動員された。そしてでき上がった。その案を今後はどう実行するか、政府実行あるのみ、こういう強い決意。しかしながら政府は本気になってやるかどうかわからぬじゃないかなんという不安が臨調の内部にありまして、それはいかぬよと、あの当時の新聞では監視機構をつくれ——監視というのはこれは適当じゃないと思っておりましたが、行政改革推進審議会というものができたわけでございますから、今後は政府としては強い決意を持って実行する、これに全力を尽くすべきだと思います。
  251. 秦豊

    ○秦豊君 それから第一次臨調答申の中ではこう言っているんですな。これは政府審議会全体ですよ。政府答申された意見と異なる措置をとる場合にはその理由を公表することと。念のための歯どめですな、チェック機能というのを提案しているわけなんですよ。今度はどうされますか。
  252. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 第一次臨調のその御答申を私不勉強でございまして記憶になかったわけでございますが、今回の臨時行政改革推進審議会、この審議会からの御意見につきましては政府はこれを尊重する、内閣総理大臣はこれを尊重するということになっておりますので、そういう取り扱いを行うこととしております。政府みずからもこの臨調答申実施、推進ということについては責任を持って実行していかなければならないということでございますので、この新しい審議会からの御意見政府施策とが本当に基本的なところで食い違うということは、そういう事態は予想していないわけでございますが、もっとも政府で改革の推進、それぞれの諸事項の推進に当たって若干検討に時間を要する、なかなか具体化がむずかしい、時間を要するというふうなことがあったり、あるいは臨調答申の趣旨を生かしつつ若干の細目上の変化というものがあったり、そういうことはそれはありがちなことでございますので、そういう場合にはこの審議会にそのよって来った事情等を具体的に御説明するということには当然やぶさかではございませんし、かつできる限りの御理解をちょうだいしてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  253. 秦豊

    ○秦豊君 それからこれは齋藤長官に伺っておきましょう。  これが設置されるのは総理府の中なんですけれども、総合企画会議ね、例の。経緯は、やはり例の総合企画庁の案が現実との中でもまれて今日の総合企画会議に後退したわけですね、矮小化されたわけなんだが、これは一体あの最終答申の文章だけ見ると、「社会保障、文教、科学技術、」さらに「安全保障、対外政策等について具体的な位置付けを行い、総合的な経済社会計画を目指す必要がある。」ということをうたっている。これもまるでオールラウンドですわな。  そういうふうなことをうたっておいて、そして現実には、たとえば細部にわたれば、今後とも恒久的に国家財政は硬直化しているであろう、そうすると弾性に乏しいから、弾力に乏しいから、大蔵省ペースとか政府・与党の連絡会議くらいではとてもおさまらないから、予算の査定、配分等についてもむずかしくなる一方だから、内閣主導のもと今度は総合企画会議というものを一種のフィルターというか、クッションにして、コーディネートを円滑にやろうというふうなことまで考えているのか。やりようによっては大変な権限と範囲を持っているんですよね。だから、委員の人選なんというのは大変むずかしい。一種の総理府に置かれる総合企画会議が独走をしてはこれはもちろんいけないわけだし、この総合企画会議について、私の設問したような内容を含めて、齋藤長官はどうイメージしていらっしゃるのか、それを伺っておきたい。
  254. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 最初の案には総合企画庁という設置構想があったわけでございますが、その後いろいろ論議を経た後で総合企画会議ということになってきたわけでございます。この総合企画会議は、答申にもありますように、経済の計画、さらに地域的な国土的な計画、そういうものを統合的に整合性を持たすようにやるべきではないか、そしてそういう国の政策の優先順位を決めてやっていかなくちゃならぬよ、こういうような定義になっておるわけでございます。  そこで、私はそれなりのこれは必要性はあると思います、その趣旨は。すなわち、もろもろの経済計画等についての整合性、各省ばらばらでやらないで整合性を保ってやっていかにゃならぬ、私はそれはごもっともだと思うんです。その点は非常に理解できることでございます。  しかしながら、果たしてそれが行政の進展をスムーズにさせるかどうか、かえって屋上屋になったんじゃこれは何にもなりません。だから、屋上屋ということは一番避けなければなりません。そういうことを踏まえながらもろもろの計画の整合性をどうやって把握していくか、そういうことについて、これは整合性を保つという意味においてどういう構想がいいのか、いま関係各省調整をしておりまして、最終行革大綱までにどういうことがやれるのか、そういう結論を出すようにしたいと思っております。しかしその精神は、あくまでももろもろの経済、地域的な計画の整合性、これだけはやっぱり守っていくようにどうしたらいいか、それだけはひとつ検討を続けていきたいと考えております。
  255. 秦豊

    ○秦豊君 二十四日に含まれているんですか。行管庁に対する質問としてはこれが最後ですけれども、残った時間は国鉄問題で活用したいと思います。  昭和五十五年三月十七日の当院の予算委員会で、私は成田空港の建設に絡んで、時の大平総理と伊東大臣それから法制局長官、お三方に行政手続法に絡んだ質問をしております。どういうことかといいますと、国家が巨大プロジェクトを推進する場合のアクセスそれからプロセス全体、有権者国民がこうむるであろう被害、その回復、これはやっぱり一行政管理庁がやっている行政監察、査察程度ではあるいは苦情処理程度では吸収、収斂できないものが膨大に積み重なる場合に、一体行政府としてはどう対応すべきか。その場合には、たとえばオーストリアとかチェコスロバキア、アメリカ、それからイスラエル、スイス、スウェーデン、西ドイツ等の各国がかなり積み重ねをして、行政手続法という分野を確定している、そのことによって国民の不満を収斂している、こういう事実に徴して一体大平総理はどう考えるか。私自身の立場は、成熟した民主国家というのは、必ずこれは備えておるべき法体系の一つである。一種のある意味で言えば、これは情報公開法とかそれからオンブズマンとか、いろいろなものとバランスをとりながら、一種の完熟した法治国家の法体系のゴールだというふうな観点で私が聞いたわけなんですよ。  そうしたら大平総理は、「検討するにやぶさかでございませんけれども、重大な問題でございますので、相当時間をかけてやらなければならぬと思っております。」と、こういう答弁でそのときには終わっております。  それが記憶にあって今度の最終答申を見ると、制度改革の主要点の中に、行政情報公開、それから行政手続に触れて、「行政の公正かつ民主的な運営のために、統一的な行政手続法を制定するものとし、所要の調査審議機関設置する。」と、ここまで前進をしてきたわけなんですよ。この間ほぼ三年の歳月ですわな。しかし、僕はやっぱりこのことは前進的であると、この部分についての評価はかなり高いんだけれども、問題は今後です。それをどう具体的に進めるのか、あるいは調査機関などをいつごろつくるお考えか、それを伺っておきたい。
  256. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) もうすでに御案内のとおり、行政手続、各個個別の行政法では部分的に手続がそれぞれうたわれているというふうなものもありますし、広い意味行政手続法の一環であります不服審査というふうな手続はもう一般通俗的なものができているということでございます。  秦先生おっしゃいました諸外国の行政手続法というのも、実は国ごとに比較考量してみますと、いろいろなパターンがございます。どういう手続がわが国の風土に一番合うのか、こういったことも非常に大幅な広範な検討を要する、しかも専門的な検討を要するということでございます。私どもとしては、従来から不服審査法を扱っているというふうな経緯もございます。行政手続法の問題について勉強会もずっと前からやっているわけでございますが、これは関係する各省非常に多うございます。政府部内においてどういう方法でこの研究の場を考えていくか今後詰めてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  257. 秦豊

    ○秦豊君 これは時間をかけてもわが国に適合性のあるいい法律をつくってもらいたいと思います。  残った時間が若干ありますから、国鉄の問題を伺いたいんです。  去年の九月だったですかね、政府行革大綱によると、「国鉄の改革は臨調答申に沿って」というような文言がありましたね。この答申に沿うという意味合いをちょっと確かめておきたいんですが、まず。
  258. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 「答申に沿って」、こういう言葉意味でございますけれども、これは臨調答申というものが指し示しております方向性というものについて、これを最大限にその方向というものを尊重しながら対処していく、こういう意味合いであろうかというふうに考えております。
  259. 秦豊

    ○秦豊君 それから林さんね、私は例の国鉄の法案に反対した一人なんですね。だからおのずから視野が限定されます。民営分割論というのは私は短絡的だと思うんですよ。もっと多面的な検討をされた上でという粘りが足りない、討議過程に、と私自身は思っているんですよ。あなた方は国鉄の改革についてあるべき経営形態というのをどの程度の幅で考えているのか、どの程度多様に考えているのか。つまり、言いかえれば考えられる形態のすべてをちょっと具体的に念のために伺っておきたい。
  260. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 臨調答申におきましては、現在の国鉄の破局的状況というものを踏まえまして、本当に国鉄を再建する、このためには現在の公社制度というものの枠組みを越えて抜本的な改革が必要である、こういう認識に立っておるわけでございます。  臨調答申のそういう認識の基本というものは、やはり現在の公社制度というものの制約、すなわち経営に対する自主性の問題、これは裏返せば経営責任の明確化という問題になろうかと思いますが、あるいは事業範囲、これは直営あるいは関連事業を含めまして営業の自由度という問題、こういうふうな問題について非常に問題がある。あるいは、さらには全国一本という経営のあり方というものは地域というものの実情を往々にして無視しやすい。そういう地域というものに即した経営というものを考える必要がある。これが臨調答申のいわば基本認識だと思います。  そういう認識のもとに、臨調答申におきましては分割民営化というものを最適の案として提示されておるわけでございますが、分割民営化と申しましても、これには臨調答申では全国七ブロック程度の分割ということを言っておられますが、これについても具体的にそれじゃどういうふうに分割したらいいのかということについては、やはり交通体系論その他いろいろな面から検討が必要だと思います。さらには、民営化という場合に、直ちに民間会社にしてしまうということが果たして可能かどうか。これについては臨調答申におきましても、過渡的にはやはり特殊会社というものを経て、究極的には民間会社を目指す、これが適当であろうというふうに述べておられますが、そういうふうに現実性というものを踏まえながらある程度検討がなされたということはあろうかと思います。  私どもとしては、これから監理委員会でその辺を検討するわけでございますが、どの程度の幅かという場合に、やはり臨調答申の基本的なその方向性というものはきわめて妥当性があるのではなかろうか。したがって、その方向性を踏まえながら、あとは現実にそれが実施可能かどうかという技術的な諸問題、こういうふうなものを踏まえながら、可能な限り臨調答申に沿った線で結論を出していくのが至当であろう。しかし、これはこれから検討することでございますから、やはりある程度の弾力性、幅はあろうかと思いますけれども、そういう考え方でこれから対処をしていくことになろうかと思います。
  261. 秦豊

    ○秦豊君 林さんね、こういう疑問がつきまとうんだけれども、わが国の狭隘な国土、超過密でしょう。ほとんどの生産機能と情報機能がメガロポリスに八十数%、人口を含めて集中をしているというふうな地政学的なポジション、シチュエーション、こういう中に日本の国鉄があるわけです。それは明治の藩閥政権から新橋—横浜から始めて今日に至って、それでやっぱり公共性ということを第一眼目にしてきた。同時に、テレビで言えば全国ネットワークのような精密なダイヤ運行のもとに今日に至る歴史を積み重ねた。  ならば、わが国のように有機的な全国均一の、一体の鉄道網、ネットワークを分割民営化して、しかも成果を上げたというふうな先進国の例があったら念のために伺っておきたいと思う。私はないと思うんですよ。
  262. 林淳司

    政府委員(林淳司君) おっしゃるように、諸外国におきまして、まあこれは鉄道の事業運営の環境というものはそれぞれ違うと思いますので、一概には言えないと思いますけれども、おっしゃるように全国一本のものを大々的に分割して事業経営というものを改善していったという事例は、私も現在の知識では持ち合わしておりません。  ただその辺の、おっしゃる、御指摘意味というものはよくわかるわけでございますが、やはり全国ネットワークというか、国鉄の現在の特性分野というのは都市間交通あるいは大都市圏交通、あるいは定型大量貨物輸送、こういうところだと思いますが、その場合の都市間交通というものが、いわゆる長距離、短距離、中距離、その辺で国鉄が一体どういう役割りを果たすべきか、その場合にそのネットワークというのは機能的にどうあるべきかというふうなところは、これはやはり国鉄の事業のこれからの基本にかかわる問題でございますので、こういうことについての検討も十分踏まえながら経営形態の検討がこれから行われるだろう。その場合に、分割ということによって技術的な諸問題は当然生ずると思います。しかし、その技術的な諸問題というのはそれなりに解決不可能だとは思いませんけれども、問題は、そういう諸問題というものを克服してもなおかつその臨調答申の目指す効率性というものが十分発揮できるかどうか、その辺の兼ね合いの問題もございましょう。したがって、その辺のところについてこれから相当突っ込んだ具体的な検討を行うということになろうかと思います。
  263. 秦豊

    ○秦豊君 林さんね、技術的な問題にあなた答弁を限定しちゃいけませんよ。起こってくる、派生してくる問題は、ほとばしってくる問題というのは経営採算の問題なんです。技術なんというこんな領域じゃありませんよ、あなた。  それからさらに進めたいんだけれども、これは国鉄総裁と私の意見はいまから申し上げる部分については完全に合致しているんですがね、これは私の偏見かもしれないが、少なくとも当院の運輸委員会の議事録をさっと読んだ限りでは、私の質問が成立するんです。  どういうことかといいますと、これは高木さんも言っておるんだけれども臨調は国鉄の民営分割のメリットの点だけをあげつらって、逆のデメリットの点は全然検討をしていないかにうかがえると。これは高木さんの言葉ですよ。私もその点は全くそうじゃないかと思うんだが、一体、あなたを含めて政府としてはデメリットなんという観点についての解析はやってないでしょう。違いますか。
  264. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 臨調は、二年間で国政全般にわたっての検討ということで、時間も限られていたということもございましょう。その辺についての検討が十分であったかどうか、その辺私必ずしも詳しくはございませんけれども、これから監理委員会におきましてまさにその点だけ、国鉄再建という点だけにしぼりまして検討するわけでございます。  その場合、当然その分割あるいは民営化ということにつきましては、ただいまちょっと先生から御指摘もございましたように、それぞれの分割体がどういう形ならば一体採算性がとれるのかという採算の問題。さらには二つ目には、長距離列車について見ますと一体どういうダイヤ編成をするのか。あるいは車両繰り、要員繰りは一体どうなるのかというふうな問題。あるいは運賃を設定する場合、分割した場合にどういうふうな運賃のとり方をするかというような問題。こういうふうな問題は当然これはございましょう。これはいろいろ御指摘も受けておりますし、私どもとしてもそういう問題があることは十分認識しております。その辺の問題についてまさに監理委員会で専門的な見地から具体的にこれから詰めていく、その結果によって適切な結論を導いていただく、こういうふうにわれわれとしては期待しているわけでございます。
  265. 秦豊

    ○秦豊君 あと一問、二問くらいできそうだな。  亀井さんが就任を内諾されたらしいから、まだ確報ではないにしても、亀井委員会が作業をする場合に、最初にして最後かもしれない最大の問題は、長期債務の肩がわり問題ですよね。これはもう避けて通れない、だれが委員長になろうが委員になろうが。そうでしょう。政府が肩がわりの意向を公式に政府の責任をもって裏づけない限り話が前に進まないというふうな、大きな私はアイテムだと思うんですよね。あなたが適当な答弁者かどうかは別として、きょうはあなたしかいないんで、政府にその明確な意思はあるのかどうか、私、伺えないわけですよ。一番大事な問題が一番あいまいになったままで分割民営というのがぼーんと進もうとしている。非常に安易で無責任だと私は思うんだが、あなたはどうお考えですか。
  266. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先生御指摘のとおり長期債務の問題、これは二十兆を超えると思いますが、これをそのままにしたんではどういうことをしても国鉄再建というのは不可能だろうと思います。そこで、国鉄事業再建ということを達成するためには、これについて何らかの対策が必要だと。  そこで、今回の法律におきましても、第二条の「国の施策」といたしまして、効率的な経営形態の確立と並んで、二本の柱として長期債務の問題等について政府として必要な施策を講ずるということで、政府としての施策を義務づけております。  私どもとしましては、この長期債務、これをどういう形で一体処理するか。この範囲とかあるいはその処理の仕方というものは、これはやはり経営形態のあり方その他の問題とも密接に絡んでおりますので、それだけ部分的に取り上げていまどうこうということはなかなかむずかしいわけでございますが、そういう問題の一環として、いずれにしても国鉄の過重な負担にならないように何らかの対策を講ずる必要がある、これは十分私どもは認識しております。監理委員会においても、そのような法律の表現から見ても当然そういう方向での検討がなされる、このように考えております。
  267. 秦豊

    ○秦豊君 これで最後の質問になると思います。  山崎先生のところも北海道ですな、横路新知事の北海道ね、これに問題を限定しますが、僕は一乗客の立場で常識を言いたいんだけれども、林さん、最後の質問ですが、たとえばいま申し上げた北海道、これを特定して北海道の鉄道輸送を考えた場合には、運賃を仮に三倍にして、現状じゃない、三倍に上げるんです。三倍にして、逆に職員は半分に減らす。半減さしたとしても、なおかつ大赤字ではないかという一種のシミュレーションがあるんですよ。これはもう発表されていますよ、これは。そういう地域について国民常識というか、僕は第三者、乗客の立場で考えて、一体民営分割路線を押しつけて引き受け手があり得るのか。私なら御免こうむるね。それから民間出資なんというのは一体期待できるんですかね。非常にこれは日常感覚的な設問ですが、この点はどうしても胸に落ちない。これを最後の質問にしたいと思うんです。
  268. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 御指摘の点につきまして、これ確かに現在の経営形態というものを前提とし、現在の経営の実態というものを前提にいたしました場合には、おっしゃるとおりこれはとても採算が成り立つものではないと思います。ただしかし、これからの検討というのはそういう枠組みを超えての問題でございまして、やはり経営の自主性とか、あるいは営業の自由だとか、そういうふうな諸問題も絡んでまいります。それからさらには緊急措置ということで、生産性の一層の向上というものもこれから緊急に図っていくという問題もございます。それから先ほどの長期債務の問題、これにつきましても仮に分割する場合にはそのつけ方、どこに一体どうするのかというこの配分の仕方の問題もございます。さらには、幾ら国鉄を改革するといっても、これをつぶしてしまうということではしようがありませんで、やはり国民にとって本当に必要な鉄道輸送というものは残さざるを得ない。その場合には、それに応じて必要な助成の仕組みというものを考えなきゃならぬと思います。  そういうもろもろの要素がございますので、それらを総合的に考えながら、果たして成り立つかどうか。その場合に純粋の民間になじむのか、あるいは、公社ではないけれども民営化の方向で何らかの途中の経営形態というものが考えられるのか、そういうことについての具体的な検討がこれから監理委員会で行われるというようになろうかと思います。
  269. 秦豊

    ○秦豊君 一分残っていますが、終わります。
  270. 山崎昇

    山崎昇君 いよいよ大詰めに来まして、もうすでに七人の委員から相当具体的に、また細かな質問等ございました。それでもなおかつ疑問点がたくさんあるわけでありまして、本来なら私も詳細にこの内容等についてお尋ねをするのが本筋だと思っておりますが、その点はきょうやめまして、少しく基本的な問題について長官の見解をお聞きをしておきたい。  そこで、長官にあらかじめ御了解をいただきたいんですが、政府委員の方がずいぶんおいでになりましたけれども、私はあらかじめ質問内容については通告いたしておりません。この点は政府委員の方が悪いんじゃありませんで、私の方がかたくなな態度をとったわけでありますから、その点は御了解を願っておきたい、こういうふうに思います。  そこで、私がきょう基本的なことを二、三お聞きをしたいと考えましたのは、実は行政管理庁ができましたのが昭和二十三年、法律第七七号でできました。したがって、歴史的に言えばすでに三十年を超える行政管理庁の歴史を持っておるわけです。そして、この三十年を超えた段階で、わが国の行政機構論としては初めて大規模な改革の時期にぶつかってきておるわけなんで、そこでまず第一にお聞きをしたいと思いますのは、本来ならば、行政とは一体何なのか、行政管理庁でやっております行政管理というのは一体何なのか、そこから私は論が起こされないとなかなかこの問題はただ技術論だけでは進まぬ点があるのではないかと思っておる一人なんです。しかし、きょうはとてもじゃありませんけれども、管理論だけやるにいたしましても、これは行政管理あるいは組織管理、運営管理、財務管理あるいは人事管理等多くの分野に分かれますから、とうていそれらのことを全部お聞きするわけにはいかないと思っております。  そこで、まずお聞きをいたしたいのは、行政管理庁としては管理というものについて基本的にどういうお考えを持っているのか、まずこの点をお聞きをしたいと思います。
  271. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 山崎委員にお答え申し上げますが、どうも先生は多年にわたる深い経験に基づく学識経験をお持ちの方でございます。その学識経験に深く敬意を表しておるわけでございますが、あるいは私のお答えが不満な点もあるかと思いますが、その点は御了承を願いたいと思います。  私も余りこれ専門家ではないわけでございますが、行政管理というものの基本的な考え方は、まず国民に対するものでございますから、あくまでも簡素、しかもコストの低い効率的なものでなければならぬというふうな感じをいたしております。  それから法律のもとにおけるいろんな行政は、常に経済状況の変化に対応するそういう力を持っていなければならぬのではないだろうかということを思います。  それからもろもろの政策の整合性が私は大事だと思うんです。整合性がありませんと一方に偏った行政が行われるんではないかと、こんなふうな考え方を持ちます。  それからまあ私も役所の経験を持っておるわけですが、官僚機構が非常に縦割り的な行政である。やっぱり総合性がない。そういうところに、ある一つのものを検査するにしましても、各省庁がそれぞれの権限というものが強い基礎でございますから、それぞれの権限の基礎に立って縦割り的に行われていく、そういうことにかんがみた総合性というものがなけりゃならぬのではないかと、こういうふうに考えます。  しかし、私は最後に、特に私の気持ちだけ申し上げておきたいと思うんですが、やっぱり行政に対する国民の信頼なくして行政はない、これが私は行政管理の基本じゃないか。特に、戦後民主化された日本において、行政に対する信頼なくして私は行政は成功しない。こんなようなことを、口幅ったい言い方でございますが、感じておるわけでございます。  また、いろいろ専門的な見識をお積みになられた先生でございますから、いろいろ御注意の点があれば私も十分お聞かせいただければ幸せだと存じます。
  272. 山崎昇

    山崎昇君 いや、きょうは私はお聞きだけしたいと思っておりますのは、いま申し上げましたように、行政管理庁ができて三十年超えて、行政管理専門にやられておるセクションでありますだけに、私はその面からお聞きをしたいという意味で聞いているわけです。  それともう一つ、これは多くの分け方があると思うんですが、人間の歴史の発展段階を、分け方は人によりましていろいろあります。しかし、私は外国の文献等を読んでみますというと、行政関係の方々の、人間の発展の歴史を三つの段階ぐらいに分けていると思っているわけです。  その一つは、まず最初の段階というのは、石器時代から始まりまして、道具の時代であった。第二段階は機械の時代である。まあ世紀で言えば十八世紀の中ごろから二十世紀の初めぐらいまでではないかと思う。そこで、最近はどういう時代かと言えば、それはすべて管理の時代である。まあ私は社会党でありますが、ある人の言葉をかりれば、残念ながら社会主義の時代の前に管理の社会になるのではないか。世の中すべて何でも管理、これなくして世の中が進んでいかない。そういう意味ではこの管理という問題はきわめ重大視をしなきゃならぬ。わけても、今度臨調答申で、行政の改革というのは、ある意味では行政の管理についてどうすべきかということが最大の問題ではないんだろうか。ところが、その点については理念とは言っておりますけれども、あの臨調答申を読んでみましても、行政管理の理念らしきものはほとんどございません。ただ対症療法的にいろんなことは書かれておりますけれども、そういう意味で私は少しくこの臨調答申に残念な気持ちを持っているわけです。  そこで、いまお聞きをしたわけなんですが、管理についてはいろんな説明の仕方があります。一つは、人は定義することができないことを何でも管理とみなすという言葉もあります。したがって、解釈できなければそれは何でも管理だ、こういうふうにしてごちゃまぜにするという考え方も一つあります。  もう一つは、これは管理というのは人間対人間の関係または働きを意味するものだという考え方もあります。したがって、こういうことからいけば英語で言うマネジメントになりますが、人対人ということになれば当然最高の管理者、これはトップマネジメントになりますし、中級の管理者、真ん中ぐらいになりますと、これはミドル管理者になる。それで一番下は何かというと、これは管理者と言っておりませんで、学者の言葉をかりますというと、スーパーバイザーという言葉を使われておるようでありますが、いずれにいたしましても人対人の関係をきちんとするのが管理だという、こういう方法があります。そういう定義からいけば、一体今度の臨調答申というのはそういう点についてこれはどこにも何も触れてない、一つも。これが私はやっぱり一つの欠陥ではないんだろうか。大変労作ではありますけれども、欠陥ではないんだろうかというふうに一つ考えます。  それからさらに、私の考え方で言えば、管理の目標というのは何かというと三つあると言われています。一つは行政の民主化だと、二つ目は行政の専門化だ、三つ目は行政の大量化だと、これが現代の管理の目標であり傾向だというんですね。そういう意味で言うならば、これはその点についてはところどころは触れておりますけれども、これまた体系づけて管理という問題についてはほとんど何にもございません。  そういう意味でいまあなたの見解を聞いているわけでありますが、特に行政の民主化なんという問題についてはほとんどこれはありませんで、ほとんどが効率化、能率化、中央から見た目で能率化、効率化だけ、民主化という路線は一つもございません。この点は、やっぱり心してこれから臨調答申実施するときにはやらなければならぬ問題ではないんだろうか。  二つは、行政は専門化されていきますから、したがってそういう意味では縦割り行政を横に直して総合性を持つという意味でかなりこれは指摘をされておりますから、この点は私はある程度評価していい点もあるのではないか、こう思っておりますが、いずれにいたしましても専門化の方向に向いていくことだけは事実であります。そういう点について一体行管としてどういうふうにされるのか。  それから行政がだんだんだんだん大量化の方向に向いていきます。たとえば最近の行政というのは、これもありますように、活力ある福祉行政なんというと給付行政が中心になってまいります。給付行政が中心だということになると行政は大量化していきます。この辺をどう克服するかということがきわめて重要な課題になってくる。こういうことを私は管理面から考えて、これから一体行管庁というのは行政の管理化という問題についてどのようにされていくのかお聞きをしておきたいというのが中心なんです。  さらに、時間がきょう一時間程度に縮めるという約束でありますから、申し上げますというと、一般的には管理はそういう定義であり目標を持っている、こう言われておるんですけれども行政におきます管理との関係というのがまた大変複雑なものがある。これは民間とまた違ったものがある。そういう意味では、行政におきます管理との関係というものについて一体行管庁はどういうふうにお考えになるのか。もう一つは、行政組織の原則というものをどう行管はお考えになってこれから進められようとするのか。もちろん、この答申を尊重するというあなた方のたてまえでありますから、これをおろそかにして私はやれと言っている意味ではありませんが、少なくとも行管庁としては行政組織の原則というものをどういうふうにおとりになるのか、その点をお聞きをしておきたいと思います。
  273. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 大変に私ども非才の身でございますので、むずかしいお話をちょうだいしているわけでございます。お答えになりますかどうか、きわめて危惧しているわけでございますが、まず管理一般の問題につきまして、先生は民主化、専門化、大量化という諸点をお挙げになりました。今回の臨調答申において民主化というもの、これについての指摘がほとんどないというお話でございましたが、その点について先に申し上げさしていただきますと、第八章、今後の課題の問題として、たとえばオンブズマン制度あるいは情報公開制度、行政手続法の問題、こういった指摘、もちろん今後検討すべきだというふうな程度にとどまっているものもございますが、やはり今後の民主化への一つの方向を示唆しているというふうなテーマではないだろうかというふうに考えているわけでございます。こういった問題につきましては、私ども臨調答申、これを受けとめまして今後政府部内において鋭意検討を進めてまいらなければならないというふうに考えているわけでございます。  一方、専門化の問題、これは片方専門化していく、それを今度は全体をバランスをとっていき、コンスタンシーを維持するというための総合性、これを維持する、こういった機能、これが非常に重要になってきている。特に戦後の行政改革の歴史、これを考えてみますと、総合性の維持ということが大きなモチーフになってきたのは、やはり昭和四十年代、非常に経済が発展し、それぞれかなり予算も豊富であって非常にいろいろな分野に行政が発展していった、こういう時期に総合性の確保というものの必要性が非常に強くなってきたんではないか。そして、この需要というものは、要請というものは、安定成長に入って矛盾が生じてますます重要になってきている、こういう時代ではないだろうかというふうに考える次第でございます。  一方、大量化の問題でございます。特に、これは情報化時代と俗称されているような世の中でございますので、やはり行政に即して申しましても、先生御指摘の給付行政という御指摘でございますが、たとえば、給付と申しますか年金行政一つをとりましても、これは年金成熟という社会に向かってまいりますと、今後こういった行政事務というのは非常に大量化してくる。こういった問題については、やはりここに機械化、能率化という見地からのいわば情報システム対策と広く申しますか、そういったものの導入ということを真剣に考えていく必要がありますし、かつまたそれの基盤をなすデータベースの成熟、こういったことにも大いに力を入れていかなければならないんではないだろうか、こういうふうに考える次第でございます。  一方、そういった管理の問題、行政における管理の問題を私なりに考えているところを申し上げたわけでございますが、確かに行政という部門における管理、より広く行政そのものは民間とかなり違った基本理念というものがあるわけでございます。俗に言います利益追求というふうなモチーフは初めからない。行政の公正確保、民主性の確保、こういったモチーフ、これの方がはるかに重要であるという点で大きく異なっているということはよく認識してかかる必要があると思います。  お答えになりましたかどうですか。大略以上のようなことを私どもとしては考えて、今後とも組織管理、定員管理と限られた局面でございますが、一生懸命やってまいりたい、かように心得ております。
  274. 山崎昇

    山崎昇君 もう一点、先ほど行政組織の管理の原則的なものについてどういうふうにお考え——たとえば私の方から申し上げましょうか、一つは統括の幅に関する原則というのがある、二つ目には階層平準化の原則というのがある、三つ目には権限と責任の均衡の原則というのがある、四つ目には権限委譲の原則、そのほかかなりな原則が述べられておりますが、これが一応組織原則と、こう言われております。ところが、今度の臨調答申を見ましても、行政制度の基本及び運営の基本について答申するはずの臨調答申には、これら組織管理の原則についてはほとんど何もございません、これは。  これは、私は臨調のあり方としても、いつかこの委員会で私は臨調のあり方について少し批判めいたことを申し上げました。私ども欲しかったのは、まずそこから始まって、そういう原則に従っていまの日本の行政機構を見て、いまの社会を見てどうしていくのか、そういうことが一つも触れずに、ただこれを見ますというと、こういう場合はどうか、こういう場合はどうかという——これはできそうなものばかり並べたいという意思もあったようでありますが、いずれにいたしましても、そういうものがほとんどないということに私はどうも納得できないものですから、私の方から自分でかつてノートをとったものをいま申し上げているわけですが、いま申し上げましたような原則についてあなたはどうお考えになりますか。
  275. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 私ども日常の業務に忙殺されまして、かつまたそれに振り回されるという傾向が確かにございます。先生ただいま御指摘のような基本問題について、なかなか私自身としましても勉強不足ということを痛感する次第でございますが、臨調答申でそこからスタートしなかったという御批判は、あるいは当たっているのではないだろうかとも思いますが、統括の原則、あるいは階層平準化の原則、権限委譲の原則等々おっしゃいましたわけでございますが、たとえば現在の国家行政組織法、これの第二条で言っております「国家行政組織は、内閣の統轄の下に、明確な範囲の所掌事務と権限を有する行政機関の全体によって、系統的に構成されなければならない。」というふうにうたっていること、こういうことも、まあ訓示的な規定でございますけれども、それらの原則の一部をうたっていることではないだろうかと。  大変に感想めいた話で恐縮でございますが、御勘弁をお願いしたいと思います。
  276. 山崎昇

    山崎昇君 きょうは論争する時間ありませんから、御意見だけ承っておきます。  そこで、私はその次にお聞きをしておきたいと思いますのは、組織原則は、本来ならこれ一番重要でありますから、もっともっとやらなきゃなりませんけれども、あわせまして、きょうは時間ありませんので、人事管理について私は少しく人事院にもお尋ねをしたいと思っているわけなんですが、それはなぜかと言えば、行政管理の中でも最も人事管理の部門というのが重要だと思うんですね。と申し上げますのは、組織にいたしましても運営にいたしましても、あるいは財務の管理にいたしましても、結局は最後、人間がやるわけでありますから、この人間の管理というものをどうするかということが特に公務の場合には私は一番重要ではないだろうか、こう思うわけです。  そこでお尋ねをするわけでありますが、まず「土光さん、やろう」というこの本がございまして、細川さんと土光さんとそれから加藤寛さんの三人が座談をやっておるわけなんです。あなたもお読みだと思うんですが、この中で細川さんの言葉の中に、いまの行革というのは、明治維新で言えば倒幕だな。幕府に当たるものが官僚組織だ、これをぶっ壊さなければ行政改革ができないんだ、こう強調されています。これに加藤寛さんも同調しましてかなり述べているわけですが、そこで行管にも人事院総裁にもお尋ねしますが、一体官僚制というのはどういうふうにあなた方は認識されておりますか。官僚組織というのは、いま日本にあってどういうふうにこれが動いておるのか、その認識について行管と人事院にお聞きをしておきたいと思います。
  277. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) やや私にお答えしかねるようなむずかしい御質問であるわけでございますが、ただいまその例としてお引き合いに出されました「土光さん、やろう」という中での細川先生なりあるいは加藤先生の御発言、これは官僚制という言葉を使い、あるいは幕府という言葉をお使いになって、やや非常に比喩的にお使いになっていらっしゃるんではないだろうかというふうに思う次第でございます。  官僚制というものをどう認識しているかというお尋ねでございますが、何と申しますか、戦前におけるドイツというふうなところに典型的に見られるようなビューロクラシーというふうなものが、現在の日本を含め、欧米諸国における管理社会の中で果たしてあるのかどうか、この辺については私はにわかに自信を持ってお答えできません。むしろ現在は、行政の面でもあるいは一般的な大企業の場合にはやはり通用するかと思いますが、どちらかというとテクノクラート、テクノクラシーがむしろ優先するというふうな時代に立ち至っているんではないだろうか、こういう感じもいたします。  以上でございます。
  278. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 私はこういうふうに理解をいたしておるわけですが、官僚制という言葉を使いまする場合は、そのニュアンスとして、使う側の人は、これを非難するというか好ましくない一面を持っておるという立場からの発言が多いわけでございます。したがって、官僚制の非常に確固として決まった定義というものは私は恐らくないんじゃないだろうか。戦前の公務員制度、公務員制度の運用の仕方、そういうものと現在の公務員制度を批判する場合の公務員制度との対比の仕方というようなことが絡み合いまして、時にして非難めいたことを申す場合にはそういう発言になって出てくるというふうに理解をいたしております。  その場合に、使われる方の人々の立場はいろいろ違いますけれども、おおむねやはり官僚制ということでこれを非難する場合には、大変融通性がない、また弾力性がない、非常に総合性に欠けたひとりよがりの割拠主義であるというような点、しかもみずからを世間の情勢の変化に適応して脱皮していかない。これは諸外国でもよく使われます、アメリカでもレッドテープというようなことで、非難をする場合にそういう言葉を使いますけれども、そういうことの一つの象徴的な特徴を言いあらわすという場合に使われるということではないかと思っております。  そういう意味では、私はやはり現在の公務員制度というものの中にも、いわゆる官僚制の弊害と指摘されるものがこれは絶無ではないと思います。したがって、そういう点はやはり指摘にあるようなことが悪いことであれば、それは直していくという素直な純粋な立場でもって改善をしていかなきゃならぬという一つのよりどころと申しますか、教訓ということで受けとめていかなきゃならぬ面は確かにあるというふうに思っております。  ただ、それと同時に、戦後の日本の公務員制度というのは、先生も御承知のように、大変大きな民主化の線に沿っての大改革がございました。私の所掌さしていただいております専門の立場からいっても、人事制度、公務員制度というものも戦前と違って大変民主化された新しい制度になってきておるのではないかというふうに考えておりますが、ただこれもやはり戦後すでに三十五年経過しておるというところから、いろいろ反省を加えていかなければならぬ問題が出てきておることは事実でございます。  そういう点は、新たなる情勢の変化に適応させるために、やはり思い切った改革をすべきことは改革をしていかなきゃならぬという認識に立ちまして、累次この委員会でも申し上げておりますような角度から、人事行政制度自体についても抜本的な長中期の見直しというものを現在やっておりまして、六十年の定年制ということを頭に描きつつ、逐次これを実施に移していくという努力をやっておるということでございます。
  279. 山崎昇

    山崎昇君 事前に通告もせずにやっているわけですから大変失礼な点もあると思うんですが、いまお答えいただきましたけれども、これから私が申し上げることにもし異議がなければ御賛成なんだろうと思うんですが、私なりに官僚制というものを多少勉強いたしました。  たとえば、マックス・ウェーバーの本を読みますというと二つに分けておりまして、理念的官僚制というのと病理的官僚制というものに分けている。理念的官僚制というものは何かというと、これは一般的な定型を意味するという意味で理念的な官僚制という言葉を使っている。病理的な官僚制というのは何か。社会において一定の特権層を構成している官吏の集団が主たる政治権力の担当者としての地位を形成している統治構造である、こう述べています。そして病理的官僚制の症状が官僚主義である。その官僚主義というものの中身は何か。秘密主義、繁文縟礼、先例踏襲、画一主義、法規万能、役得利用、傲慢、不親切がその内容だと、これが官僚主義の本質だと、こう言うんです。  だとすれば、先ほど比喩的に使われたと、こうお答えになりましたけれども、それだけではこれは済まない内容をかなり述べておりますがね。これは、もっぱら高級公務員はこれにぶつかるんです。まあトップマネジメントの大臣まではいかぬかもしれませんけれども、少なくとも次官や局長クラスがこれにぶつかっておる。こういうものをぶっ壊さなければ日本の行政改革というのはできないという、裏側から言えばそうなってくる。これは私は大変重大なことではないか。  また、松本清張さんの解説によると、官僚とは公務員の中の一握りの権力を持っているグループを指す。政党や財界と連絡を持ち、政治的な影響を与える高級公務員のことである。これが松本清張さんの官僚という定義です。  こういうことを考えますと、私は先ほど冒頭に人事管理が重要だと、いま人事院総裁からも話がありました。これからの公務員制度というのは、行政改革を進める上においてもまた日常の行政を進める上においても、最も重要性を帯びてくるんではないんだろうか、こう考えますから、冒頭にこれを使っていまあなた方の見解を聞いたんですが、いま私が指摘したこの内容、どうですか、大体そのとおりだと思いますか。
  280. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 非常にむずかしいお尋ねでございますが、官僚的と言いますときには、とかく秘密的であり画一的であると、私はそう言われていると思います。しかし、私は官僚という——私も役人上がりでございますが、私は戦前、戦中、戦後の役人をしたわけでございますが、この役人というものの基本は何かというと、権限でございますね。権限なくして役人ないんです。公務員はないんです。権限がなければ普通の人と何にも変わりはない。ですから、その権限の行使をいかに公平に中正にやっていくかというところに私は真の官僚というもののあり方があるんではないか。権限なくして一般の人と、市民と何のかかわりはありません。やはり一つの国の統治権力の中で権限を持つと、統一された権限を分割されて持っているわけですから。しかしながら、その権限なくしてないんですが、その権限ばかりに固執しますと縄張りになっていく、そこからいろいろな画一的だやれ何だという批判が出てくると思うわけであります。  ですから問題は、しかし私は役人が権限を大事にするということはとうとぶべきことだと思うんですよ。これは大事なことですよ。その権限を逸脱して勝手なことをやられたら国の行政は乱れますよ。ですから権限の行使をいかに公平に中正にやるかということ、その権限の行使に当たって国民にどう信頼されるか、私はそれが一番基本ではないだろうか、こんなふうに考えております。
  281. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 官僚制についての御紹介がございましたが、これは学者なりあるいは評論家に類する方々が自分なりの考え方で見解を述べておられるわけでありまして、それによって、いわゆる官僚制ということによって代表されるもの、定義をしようとする事柄を非常に象徴的に特徴的にこれをつかんで言っておることでございまして、それが当たる部面もございます。しかし、余り誇張に過ぎて少し行き過ぎだという面もあろうかと思うんですが、この官僚というのは、やはり先生も御承知のように、権力が安定をするということになりますと、これは明治政府だけに限ったことではないんです。その前の徳川幕府あたりからそういうことはもうはっきりとあらわれておった事柄でありまして、そこにやっぱり出てくる特徴の一環としては、いま御指摘になりましたことも確かにあり得るというふうに思っております。
  282. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、こういうことがあっちゃいけませんし、こんなことが世間から指摘をされて、そのために何かそれと闘うことが行革みたいな物の考え方をされたんでは私は大変だと思うんです。  それから私は何も高級公務員の肩を持つわけじゃありませんけれども、全部がそうであるわけでもありません。優秀な人もいるわけでありますから、そういう意味で言えば、比喩的でありましても、私はやっぱり世間に誤解を与えるような言葉は使ってもらいたくないという気持ちも反面持っておるわけで、そういう意味でいま申し上げたわけです。  そこで私は、こういうことにならぬようにするためには、これからの人事管理、いま見直しの時期に来ておりますが、大変重要な時期だと思うわけです。そこで人事院にもお聞きをしたいんですが、たとえば国家公務員法の第一条を見ると、この法律は、もっぱら日本国憲法第七十三条にいう官吏に関する事務を掌理する基準を定めるのが人事院だと。五項では、この法律の規定に抵触する法律やあるいは命令等はこの法律の方が優先をする。また二十三条でいけば、人事院は、この法律目的達成上、法令の制定または改廃に関し意見があるときは、その意見国会及び内閣に申し出なければならぬと、こうなっています。これだけ人事院の重要性ということが法自体で整備をされているわけであります。  そう考えてみますというと、臨調答申の中にも公務員の一項がございましてかなりなことが書かれておりますが、私はこの人事院の任務というのがきわめてこれが重要視をされなきゃならぬし、大きくなってきているのではないんだろうか、そういう意味で一、二お聞きをしていきたいと思うんですが、私は戦後の公務員制度の中で大きく言って二つ特徴があったんではないか。一つは、憲法の理念とする平和で民主的な国民生活の確保と発展に奉仕する使命というものが公務員である。二つ目には、行政の担い手であるわけなんですが、身分的に区別することなくすべて公務員としたことが戦後の公務員制度の第二の特徴ではないんだろうか。第三は、メリットシステムでありまして、これは何といっても、アメリカ等のいま残っております猟官制度に比較して、やはり日本の公務員制度がある意味では発展した一つの私は側面ではないかと思う。したがって、これが後退するようなことがあっては私は大変じゃないんだろうかと、こう思っているんです。  そこで、いま人事院では再検討をいろいろされているようであります。たとえば試験制度あるいは研修制度、あるいは給与制度、あるいはその他の勤務条件等ひっくるめていろいろ御検討されているようでありますが、また関係する組合とも交渉等が持たれているようでもございますが、この前も少しはお聞きはいたしましたけれども、できればいま申し上げましたような点について総裁の見解をこの際聞いておきたい、こう思うわけです。  それからあわせまして、最近人事考課制度というのがまた大変大きく報道もされておるようでありますし考えられているようでありますが、私はこの勤務評定制度というものについてよほど慎重にやりませんと大変だと思っているんです。なぜかと言えば、人事院ができたときには三つの段階で一人の人を評価したんですね。たとえば、そこに局長おられると思うんですが、局長の評定をやるためには、一つは局長の上の事務総長が評定をする、二つ目は同僚が評定をする、三つ目は使っておる部下が評定をして、これをトップにおられる方が総合して判定をするというのが当初人事院のとられました評定制度でありました。しかしこれはうまくいきませんでした、正直言いまして。したがって、これから人事院がもし人事考課制度等をとろうとするならば、どういう方法をおとりになるのか。  私は人が人を評定することぐらいむずかしいものはないと思っているんです。ちょっと例としては適切でないかもしれませんが、一つの例で申し上げれば裁判の判決だと思うんです。同じ法律を適用し同じ証拠を使っても、死刑から無罪までありますね、人の判断というのは。しかし司法の場合はまだ救済の措置がありますけれども行政におきまして、あるいは人事管理制度において、一遍評定制度が誤れば救済の措置がないんですね、これは。こういうことを考えますと、この勤務評定制度といいますか人事考課制度といいますかね、私はきわめて重大な内容ではないんだろうか、こう思うものですから、つけ加えてこの点も総裁からお答え願いたいと思うんです。  それから先ほどちょっと項目で申し上げましたが、研修制度については臨調でかなり書いております。特に、私がこの委員会指摘をしましたノンキャリアの研修のあり方や、昇任のあり方についてもかなり触れております。そういう意味では、私はこの人事管理制度というのはこれから行政制度を変える根幹にかかわっていくんじゃないかと思うがゆえにいまお聞きをしているわけなんですが、総裁の見解も聞きたいし、あわせまして、行管としてこれからこれを審議会までつくってやろうとするわけでありますから、その中心になります人事管理については、ただ単に私は総合管理庁なんという問題だけで済む問題ではないと思うので、行管長官の見解もお聞きをしておきたいと思います。
  283. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 国家公務員法の第一条の二項、さらに五項、それから二十三条を具体的にお引きになってのお話がございました。  国家公務員法あるいはこれの運営の衝に当たりまするわれわれ人事院の責務というのは、いまお話もございましたように、少し行政組織としては、機構としては、できましたときの心構えといいますか意気込みと申しますか、それは非常にやはり高いものがあったというふうに思います。そういうことの特徴が随所に出ておる。これは申すまでもないことでございますけれども、一行政機関が内閣に対してのみならず国会に対しても勧告をするとか、あるいは意見の申し出をするとかいう制度はほかにはございません。それだけに、私は大変特異な行政機関として期待をされて生まれてきたものであるというふうに考えておる次第でございます。  そういう特異性のあるものとして、この運営には大変苦心をいたしてまいっておりますけれども、口幅ったい言い方でございますけれども、まずは大体においてはその法律のねらいというものはある程度定着をして今日まで実績を上げてきておるのではないかというふうに自負をいたしておる次第でございます。特に、お述べになりましたように、メリットシステムの貫徹というようなことは、恐らくこれは世界に類例のない実効を上げておるのではあるまいかというふうに考えておる次第でございます。  そこで、いまわれわれの方で大体六十年度を目途にいたしまして制度の見直しを全般的にやっております。せっかくのお尋ねでございますのでこの際申し上げますと、この制度の全般的な見直しは、私といたしましては三つの大きなねらいがあるというふうに思っております。  一つは、戦後生まれましたこの制度というものが、その後社会経済情勢が激変をしてきておる、なかんずくその中では高年齢化、高学歴化というものが非常に急激に進展をしてまいりまして、これにやはり対応するための制度の改変をやっていかなければとうてい時代の進展に間尺が合わなくなってきておるという点がございます。  それから第二の点は、これも先生よく御承知でありますように、遺憾ながらいまの公務員制度というものは、内容はほぼ固まってきておりますが、制度のたてまえ自体は多くのものが暫定制度ということになっておるわけであります。任用制度あるいは給与制度も、これは遺憾ながら職階制ということの実施がなされておりませんために暫定的な制度として運営しておると。この点はいつか先生の御指摘がございまして、私、率直にこれは大変遺憾千万でわれわれの怠慢であるというふうに申し上げたことがございますが、そのとおりであると思いまして、やはりこの際暫定的な制度なんというみっともないことはやめて、はっきりとした恒久的な制度にしなきゃならぬということが第二点。  それから第三点は、これも余り大口で言えないことでございますけれども、たとえば年末年始の休暇等によって象徴されますように、これは驚くべきことに、明治の太政官布告ということが直接のこれが根拠になっておるというようなことでございまして、そういうものについてもこれは新しい装いをさせなければいけないという点がございます。  そういう三点をここではっきり整理をして、新しい時代に対応した制度を確立したいというのが私たちの気持ちでございまして、いま大体いろんな基本的な調査を終わりました上でおおむねのデッサン的なものをつくりまして、各省庁また組合の方に直接関係のあることがございますので、組合にもいろいろ意見を聞いて率直に討議を重ねて、だんだん固めていく方向に持ってまいりたいというふうに考えております。  なお、お求めでございますが、具体的な内容については、さらにもう少し詳細にということになりますれば、局長が来ておりますので申し述べさせていただきたいと思います。  それから第二点の考課制度の問題でございますが、やはり考課について実績を上げる、本当にそれが適実なものにするということは、人が人を評価することですから、大変私はむずかしいことであろうと思います。それで、勤務評定制度が導入される際にいろいろ国会でも真剣な御論議があったことについても、私も当時からかかわり合いはしておりまして、よく承知をいたしておるわけであります。したがいまして、これのやり方については、よほど慎重にやりませんと実態に即さない上滑りなものになってかえって弊害が出るという点がございます。  そこで、われわれといたしましては、考課自体について、やはり成績主義の原則ということがございますので重視はしてまいりたいとは思っておりますけれども、特にとりたてて今回の場合にそれをさらに拡大して比重を重くするということは特段に考えておるわけではございません。いままでの改善すべき点についてはそういう改善方向で努力はいたしますけれども、大きくこの問題をさらに取り上げて拡大していく、大変重要なところへ比重を移していくということは目下のところ考えておりません。その点をはっきり申し上げておきたいと思います。
  284. 服部健三

    政府委員(服部健三君) ただいま総裁の方からお答えになりましたような三つの原則に基づきまして、私どもの方におきましては、この五月に管理者の方あるいはそれから職員団体の皆さん方に私どもの方の案を提示いたしまして、ただいま意見を求めている段階でございますが、その内容といたしましては、先ほど総裁からもお答え申し上げましたような高学歴化に伴う大学卒業者をどのように官に導入するかということにつきまして、現在の試験体系の整備ということを第一の観点として考えております。  次に、なお任用制度につきましては、昇進管理の問題がございまして、これは先ほど先生から御指摘のございましたような、いわゆるノンキャリと言われております上級採用者外の者をどのように幹部職員に登用していくかというような問題につきまして、これは研修制度とも絡めたり、あるいはその他先ほど先生の御指摘になりましたような勤務評定制度、あるいはそれからその他のいろいろの要素を考慮しながら、いかにして登用していったらいいであろうかというようなことにつきまして、各省庁あるいは職員団体の皆さん方と御相談を申し上げているという状況でございます。  それから給与制度につきましては、これは先ほど先生もちょっとおっしゃいましたんですが、専門職制の拡大とかあるいはいわゆる専門官職が増大しているというようなことに対応いたしまして、それらの職員につきましてはどのように処遇していくかということを職務分類の観点からも考えまして、これらについて新しい俸給制度を考える。それから現在の等級制につきましては、任用実態調査あるいは民間のそういった実態等をあわせまして、行政職の俸給表(一)につきましては等級を増設するというようなことで、その方向の検討をいたしている段階でございます。  それから休暇制度につきましては、先ほど総裁からもお答えを申しましたように、どのように体系的に整備をするか、これについても非常にいろいろの問題がございますので、御意見を承って成案を得たいというふうに考えている次第でございます。
  285. 山崎昇

    山崎昇君 もうそろそろ時間も来ましたから終わりにしたいと思うんですが、本来ならこの内容について私は相当な意見を述べなきゃならぬと思っている内容なんですが、とうてい時間ありませんし、またいませっかく人事院でも、それからあるいはこれらも含めまして、これから臨調でいろんな大綱等もおつくりになるんでしょうから、それらを見た上でなければ議論できない点もたくさんあると思いますから、私はきょうはごく二、三の原則的なことだけ、ちょっと見解だけお聞きした程度にしておきたいと思うんです。  ただ私は、これから大きく問題になりますのは、先ほど引用しました細川さんの倒幕論なんですが、この中で特に触れて述べられておるのが、こう述べています。「幕府に当たるものが官僚組織。官僚政治がいまほど強いときはないですよ。むしろ戦後の、封建主義がまだ残っとるとか、軍国主義がどうの言いよった時代のほうが、むしろ政治が先に出て、役人は後におった。その証拠に、役人から代議士になるなんていうのは非常に難しかった。いまは役人からばっかりでしょう。半分ぐらい役人がおる。役人でいながら、選挙区へ行ってやってるんですからね。」と、役人でいながら選挙区へ行って選挙活動をやっている、これがけしからぬ、だからこういうものを倒さなきゃならぬのだというのが、これ細川さんあるいは加藤寛さんの言葉です。  そういう意味で言うと、政党政治が進むことは私はいいと思いますが、その政党と上級管理職が結びついたときに、片方は政治権力、片方は行政権力を持っておるわけですから、そこに私は大変な問題が生じてくるのではないか。だから、いま公務員法の中に政治的な中立性の問題がありますけれども、高級公務員に関して物を言えば政治的な中立性なんというのはありません。現実には存在しないと同様です。  こういう点を考えてみるときに、私はこれからの人事管理制度のあり方というのは本当に真剣に考えてもらいたい。そして、給与問題等一つとってみましても、大変下の者は二重、三重に規制される、上級職はほとんど規制がありませんですよ。総裁に言って悪いですが、指定職俸給表なんぞというのを昭和三十九年につくって、昇給ができないから指定外なんという法律にないようなことをやって月給を上げる。上級職はそれで済んでいる。一遍に二等級も三等級も上がる。下級職は等級別定数で抑えられる、経験年数で抑えられる。  こういうことを考えますと、総裁、これからの給与制度を考えるときも、やっぱり十分そういう点は配慮してやってもらいたいと私は思うんです。そして、いま総裁から人事考課制度については特に考えないというお話でありますが、期末・勤勉手当をつくったときも、なぜ勤勉手当を分けたのかと言ったら、分ける理由がないと言いました、前の総裁は。あれは技術論であるという。しかし、勤勉手当で差別待遇しようというのがいま現実じゃないでしょうか。人事考課制度の一つのやり方として使われているのが勤勉手当制度じゃないでしょうか。つくるときはそうでなかった。つくったらひとり歩きする。こういうことを私、考えますと、これからの人事院の任務というのは重い、本当に公平に科学的に人事行政をどうするかということになると、私は人事院の任務は大変重いと思うんです。  したがって、行政管理庁長官もどうかひとつそういう点等を十分配慮してもらいまして、これからこの臨調答申、あなた方実行に移すのでしょうが、その際に、公務員の問題についてはひとつ慎重に御検討願って、少なくとも公務員に不公平感を与えないようにしてもらいたいということを申し上げて、時間でありますから、私のきょうの質問を終えておきます。
  286. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  287. 野田哲

    野田哲君 私は、日本社会党を代表して、臨時行政改革推進審議会設置法案に反対の討論を行います。  行政改革は、本来、政府の責任において、社会経済情勢、国際情勢の推移に応じて日常不断に推進すべき課題であって、ある特定の時期を限って、時流に便乗するかのような手法で拙速にやるべき行政課題ではないはずであります。  そして行政改革の基本は、日本国憲法の理念に基づき、平和と民主主義、基本的人権の尊重を柱にし、国民生活の向上、教育の民主的な改革、地方自治の発展に役立つものでなければなりません。  しかし残念ながら、第二次臨時行政調査会の第一次から第五次にわたる答申は、この視点が欠落し、財界と各省庁の意向に迎合して、弱者や過疎地域を犠牲にし、教育を後退させ、勤労国民とその家族にのみ犠牲を求めるきわめて不公正なものであります。  しかも、その答申実施するためにさらに審議会設置しようとすることは、いたずらに屋上屋を重ね、行政組織を複雑にし、行政の簡素化に逆行するものであります。現在、各省庁の所管事項に国民の意向を反映させるため、現に設置されている審議会は二百を超えており、それぞれの所管事項について諮問に応じた審議が行われております。  今回の臨時行政改革推進審議会設置は、この各種審議会の存在をないがしろにし、行政組織に混乱を招く懸念が多分にあります。  政府が、みずからの責任で実施すべき行政改革について、このような審議会設置することは、政府がみずからの責任を転嫁するための隠れみの、あるいは国民に犠牲を強いるための口実にも使おうとする無責任体制のあらわれであります。  過去二年間の第二次臨時行政調査会の経過を見ると、その審議は国民の目から閉ざされた密室の中で進められ、集められた資料や審議経過の議事録も非公開とされる等きわめて非民主的な運営がされております。引き続いて臨時行政改革推進審議会がこのような運営の中で国政全般にかかわる行政改革推進方針決定することは、国民の知る 権利に基づく情報公開への潮流に逆行するものであります。  以上の理由により、臨時行政改革推進審議会設置法案に反対をし、討論を終わります。
  288. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、臨時行政改革推進審議会設置法案に対し、反対の討論を行います。  反対理由の第一は、この審議会で推進しようとしている臨調行革そのものを容認できないということであります。  わが党は、第二臨調設置される当初から、繰り返し臨調行革は行財政構造を一層反動的、反国民的に再編するものであることを指摘し、その中止、撤回を求めてまいりましたが、その後二年間の経過はこの指摘の正しさをはっきりと裏づけております。  すなわち、臨調行革とは、一つには、日米安保優先、軍拡促進、大企業奉仕と、浪費、放漫、腐敗構造の温存であり、二つに、福祉、教育、農業、中小企業保護等の切り捨て、地方自治破壊、国鉄解体処分などによる国民生活の犠牲であり、三つに、国民の購買力の低迷、消費不況の長期化、税収の落ち込みという悪循環をつくり出して財政危機を破局的状態に追い込み、四つに、国民主権と国家主権、恒久平和、基本的人権、地方自治など憲法の平和的、民主的条項に挑戦するものであります。  すでに臨調行革は、国民の世論調査によっても、あるいは臨調の一枚看板である増税なき財政再建がいまや財政再建なき増税にほかならないという事態を見ても、その破綻は明らかであります。  反対理由の第二は、この審議会が、破綻した臨調行革路線を全面的に推進するだけでなく、事実上の第三臨調となっているからであります。  この審議会が付与されている調査権限は第二次臨調と同様に他に類を見ない強力なものであり、その任務臨調行革の一層の具体化とともに新たな提案もできるという、事実上の第二次臨調の後継機関となっております。しかも、予想される委員構成や運営では、財界の行革推進五人委員会行政改革推進連絡協議会と直結され、文字どおりの財界主導の審議会となる可能性が十分あります。  中曽根首相が、行政改革というのは統治権の行使の改革であり、国家の構造改革であると明言されていることが示すように、臨調行革はまさに財界の反動戦略による国家改造の路線にほかならず、審議会はこのことを一層具体化し推進する機関以外の何物でもありません。  わが党は、こうした反動的、反国民的な臨調行革を直ちに中止するとともに、本法案の撤回を強く求めて、討論を終わります。
  289. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  臨時行政改革推進審議会設置法案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  290. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  291. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会