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1983-05-17 第98回国会 参議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十七日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      林  ゆう君     亀長 友義君      竹内  潔君     衛藤征士郎君      野田  哲君     山田  譲君      安武 洋子君     宮本 顕治君  五月十三日     辞任         補欠選任      衛藤征士郎君     竹内  潔君      亀長 友義君     林  ゆう君      山田  譲君     野田  哲君      宮本 顕治君     安武 洋子君      柳澤 錬造君     三治 重信君  五月十四日     辞任         補欠選任      園田 清充君     桧垣徳太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         坂野 重信君     理 事                 板垣  正君                 大島 友治君                 山崎  昇君                 三治 重信君     委 員                 岡田  広君                 源田  実君                 竹内  潔君                 林  ゆう君                 堀江 正夫君                 勝又 武一君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 峯山 昭範君                 安武 洋子君                 秦   豊君    国務大臣        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       齋藤 邦吉君    政府委員        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        管理局長     服部 健三君        人事院事務総局        給与局長     斧 誠之助君        総理府総務副長        官        深谷 隆司君        内閣総理大臣官        房総務審議官   手塚 康夫君        総理府人事局長  藤井 良二君        行政管理庁長官        官房総務審議官  竹村  晟君        行政管理庁長官        官房審議官    古橋源六郎君        行政管理庁行政        管理局長     門田 英郎君        行政管理庁行政        監察局長     中  庄二君        北海道開発庁総        務監理官     楢崎 泰昌君        厚生大臣官房総        務審議官     小林 功典君        農林水産大臣官        房総務審議官   関谷 俊作君        自治大臣官房審        議官       田中  暁君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        内閣参事官    中村  徹君        沖縄開発庁総務        局総務課長    勝又 博明君        国土庁長官官房        総務課長     穂積 良行君        大蔵大臣官房参        事官       金野 俊美君        文部大臣官房総        務課長      加戸 守行君        社会保険庁医療        保険部健康保険        課長       奥村 明雄君        郵政省貯金局第        一業務課長    荒瀬 眞幸君        郵政省電気通信        政策局監理課長  吉高 廣邦君        労働大臣官房労        働保険徴収課長  石田  努君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○臨時行政改革推進審議会設置法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い理事が欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  3. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事三治重信君を指名いたします。     ─────────────
  4. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 臨時行政改革推進審議会設置法案を議題といたします。  趣旨説明は前回すでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 矢田部理

    矢田部理君 臨時行政改革推進審議会行革審と略すのでしょうか、これをつくる理由をまず御説明いただきたいと思います。
  6. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 臨調ができましてことしの三月十五日で満二年でございましたが、その間に五次にわたる答申をいただいたわけでございます。臨調答申をいただきますれば、政府としてはこれを最大限に尊重して逐次実行に移すということをいつも閣議決定をいたしておるわけでございます。したがいまして、累次の答申に対しまして政府はこれを実行するという責任があるわけでございますが、答申を受けて直ちに政府実行に移すということよりも、そのいただいた答申に基づいて諸般の行政改革に関する施策実行していくわけでございますので、その答申を受けて行政改革に関する具体的な施策立案実行するに当たりまして、まず各方面有識者方々の御意見を承って最終的な案をまとめ、法律でございますれば、それぞれ所要の手続をとって国会提案をすると、こういうふうにいたしたいと考えておるわけでございますので、結局これをつくるという意味は、答申を受けて政府実行するに当たって各界有識者の御意見を求めると、こういう趣旨でございます。
  7. 矢田部理

    矢田部理君 それは、臨調が数次にわたって答申をしたわけですが、答申そのものがまだ不十分である、あるいは各界意見を聞き足りないということが前提になっているのでしょうか。これが 第一点。  それから二番目には、いま大臣もおっしゃったように、推進実行するのは政府責任であります。それを尊重し実行すると政府が言っているのでありますから、実行のために改めて審議会などを設けて意見を聞くのもいかがかと思うのでありますが、なぜ聞くのか。その辺がどうもしかといまだにわからないのが私の感じなんですが。
  8. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 臨調答申の中には、幅広い答申でございますので、非常に抽象的であり、具体的でないものも相当あるわけでございます。したがいまして、そうした趣旨を踏まえてこれを実行するに当たっては、行革ということに御理解のある方々有識者方々の御意見をあらかじめ聞いて具体的な案をつくると。具体的な案をつくるために有識者方々の御意見を聞くと、こういう考え方でございます。  それからもう一つは、なるほど答申があれば政府はもう後は実行していけばいいんだということにはなるかもしれませんけれども、やっぱり実行するに当たって具体的にどうするかということのために有識者方々の御意見を聞く。いろんな問題が答申に出されておるわけでございますが、具体的にはっきり書かれているものもありますけれども、具体的でないものもやっぱり相当あるわけでございます。具体化のために各方面の御意見を聞いて案を固めると、こういうことでございます。
  9. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、一つは、答申内容に関連して、抽象的一般的には出ておるが、まだ各論的にとかあるいは具体的には出切れていない部分もあると。その内容具体化のためにさらに意見を聞く必要があるというのが第一点であり、それから答申そのものは具体的になっているが、実行をどうするか、手順、段取りをどうするかということについて意見を聞きながらやる必要があると。この両面行革審というのは必要だと、こういう御意見提案になるんでしょうか。
  10. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 先ほどもお答え申し上げましたが、内容具体化するということが非常に大きな問題だと思います。それからまた、手順等を決めるに当たってどういう順序でやった方がいいかとか、いろんな問題もございますので、そういう手順等々につきまして御意見を聞くということが必要であろう、こういうふうに考えております。
  11. 矢田部理

    矢田部理君 両面で必要だという御意見のようでありますが、この内容について言うならば、これだけ大がかりに相当なスタッフも集め、費用も使ってやったのになぜ具体的にならないまま抽象的な提案をされたのかということがどうしても疑問として残る。それから実行政府がやったらいかがですか。政府責任でやるべきことじゃありませんか。改めてまた審議会をつくってやるのはいかにも屋上屋を重ねるような感じがいたします。特に、政府責任でやるべきことをさらに審議会に御相談をしながらやるというのはどうなんですか。これは政府はもともとサボると、第四次答申でもこれをつくれと出ているわけでありますが、実行しないと、いわば政府性悪説みたいなものが基礎にあるのかどうか、そこの点が一点。  それからもともと実行ややり方についていかがすべきかについては、国会があるわけでありますから、国民国会、とりわけ国会意見を聞いてやるべきだというふうに考えますが、その点いかがでしょうか。
  12. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私どもはその答申を、何といいますか、サボるとかいう、こういうつもりはございません。実行するに当たって、答申の中でいろんな方向が打ち出され、具体的でないものがあります。そういうものについては具体化していくと。具体化のために有識者意見を聞くと、こういう考えでございます。  そこで、政府国会との関係でございますが、もとより政府は、政府だけでできるものじゃございません。それは国会審議を得なければなりませんので、国会提案する前にあらかじめ具体的な案をつくって、そして国会提案し、そしてまた国会で御審議をいただいて、最終的には国会でお決めいただく、こういう手順になることはもとより当然でございます。
  13. 矢田部理

    矢田部理君 いや、この間行管庁の役人の方が来て、要するに、臨調の側から見ると政府を信用していない、答申はしても実行するかどうかわからぬから、改めて第四次答申監視機関実行をやっぱり推進する機関を置いておかなければ危なくてしょうがない。いわば政府性悪説に基づいているんだという説明を聞いたので、私もそういうものかなと思っていま質問しているんですが、そうじゃないんですか。
  14. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 第四次答申に基づいてこの審議会法案というのは提案しておるわけですが、あの第四次答申が出るときに、新聞では監視機関だとかなんとかというようなことが伝えられたことは事実でございます。しかし、私どもはそういう監視されてやるという性質のものじゃないんで、政府みずからが責任においてやる、しかしやるに当たって、どうしても具体的な立案をするためには必要であるという調査審議機関としてこれを設けるということにしたわけでございまして、第三者的な立場に立ってこれを監視する、そういう性質のものでは全然ないということは御理解いただきたいと思います。
  15. 矢田部理

    矢田部理君 いま一つ改めてつくる理由がわかりにくいのでありますが……。  そこで、審議会任務というんでしょうかね、これはどんなふうに考えているんでしょうか。
  16. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) お答え申し上げます。  この臨時行政改革推進審議会、ただいま御審議をお願いしておりますこの審議会任務でございますが、これはこの法案の第二条でも書いてございますように、臨調答申を受けて政府が講じます行政制度行政運営の改善についての政府責任を持って講ずる施策、これの重要事項についての調査審議を行う、こうなっているわけでございまして、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、臨調後における行政改革臨調答申を受けての行政改革推進のために政府がいろいろ講じます施策、これの立案に当たってこれを調査審議する、こういった審議機関としての任務を持っている、こういうことでございます。
  17. 矢田部理

    矢田部理君 これは第四次答申を受けてつくる審議会ということになりますね。
  18. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) おっしゃるとおり、臨調の第四次答申を受けて、ほぼ第四次答申趣旨を尊重しつつこの法案を御提案申し上げております。
  19. 矢田部理

    矢田部理君 この第四次答申を見ますと、「委員会任務」というのがあったんです、まあ委員会審議会かというのは後でまた伺いますが。これ三つ指摘をしているわけでありますが、そのうち一つを省略してしまったのはどういうわけでしょうか。つまり第一点は、「臨時行政調査会答申における基本理念推進及び同答申において提起された問題点具体化、並びに同答申における具体的指摘事項実施状況等について調査審議を行う。」と、これもそのまま第二条の「(所掌事務)」の中に入れたわけではなさそうでありますが、特に第二項である「その他行政改革に関する重要事項について高い立場から提言を行う。」という委員会任務が求められているわけでありますが、この第二項を省略して一項と三項にかかわる部分だけを法制化したというのはどういういきさつ理由でしょうか。
  20. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 第二項、ただいま先生が御指摘になりました「行政改革に関する重要事項について高い立場から提言を行う。」と、この提言を行う部分につきましては、当然のことながら調査審議した結果に基づいて内閣総理大臣提言を行う、意見を述べる、こういうことで生かしているわけでございますが、その「高い立場から提言を行う。」、このトータルといたしまして御質問があったように承りました。  これは、まあ何と申しますか、新しくただいま御審議をいただいておりますこの法案に基づきまして、幸いに成立後設置されます臨時行政改革推 進審議会委員方々、この方々が非常に高い識見をお持ちになる有識者、そういったお立場から調査審議なされ、意見をお述べになる、こういうことで十二分に生かされるのではないか、かように心得ております。
  21. 矢田部理

    矢田部理君 どう心得ているか知らぬが、二項を抜いたのはどういうわけかと聞いている。これは、マスコミの報道などによると、余り高い立場から提言を行うとうるさいというので外したなどという説も流れているわけなんですが、そうじゃないんですか。
  22. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) うるさいからこれを逃げたなんという、そんなつもりは毛頭ございません。これは法律的な立場文字を書きますと、(1)の場合の——任務の(1)ですね、これはこの法律の方に「調査審議」、それからさらに「意見を述べる」ということに法律的にはなるんですね、提言ということは意見を述べることですから。  そういう意味で、この答申にあります(2)は、(1)の事項にも含むし(3)の事項にも含む、こういう意味で、法律的な文字としては(1)と(3)にしぼられて書いてあるというだけでございまして、高い次元に立っていろいろ提言されてうるさいからそれは避けたんだ、そんなつもりは全然ございません。しかも、恐らくこの委員になられる方々は見識の高い人たちをお願いすることになりますから、大所高所に立っての御意見というものをお出しいただきたい、こういうことでございます。
  23. 矢田部理

    矢田部理君 委員会性格というか、これは審議会ということになったわけでありますが、臨調答申では行政改革推進委員会という委員会構想にしたわけですね。つまり、行政委員会方式考えたのかと思うんですが、そうではなくて審議会方式にした。つまり、三条機関か八条機関かという問題でありますが、この点の経過、いきさつはどういうふうになっているんでしょうか。
  24. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) この臨調第四次答申臨調の方で御答申になるまでの間において、ただいま先生指摘になりましたような、その三条機関——行政委員会あるいは八条機関——審議機関、こういった御論議があったとは聞いておりません。最初から、やはり政府の行う行政改革に関する施策、これを見守りながら調査審議意見を述べる、こういった性格の、まあいわば八条機関として臨調の方でもお考えになっているやに承っております。私どもの方としましては、この第四次答申をちょうだいいたしまして、これを最大限尊重するという基本姿勢のもとに今回の法案を御提案申し上げ、ただいま御審議をちょうだいしているわけでございますが、これは第二条の任務、このところにも明定されておりますように、典型的な調査審議機関、このカテゴリーに入る、こういうふうに考えております。したがいまして、臨調第四次答申では「委員会仮称)」、こういう形でお示しになっているわけでございますが、やはり現在の国家行政組織法に示されているシステムと申しますか考え方と申しますか、この意味では典型的な審議機関になりますので、やはりただいま御提案申し上げておりますような審議会という名称にするのが妥当である、かように考えて御提案した次第でございます。
  25. 矢田部理

    矢田部理君 確かにこれは臨調答申でも委員会とは言っておりません、仮称だと言っておるから。性格が明確になっているわけではないのですが、審議会の場合にも、たとえば原子力委員会、これは審議会ですね、法的性格は。しかし、ある種の行政権限的なものを持たされているようにも思われるわけですが、どうもそれに近いような性格づけを構想して答申したのではないかと思われる節もあるんですが、そうではないですか。
  26. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 臨調の御答申はそこまでお考えになっていらっしゃるわけでは全くないというふうに考えております。
  27. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると審議会の中でも、つまり八条機関の中でも単に政府に対して意見を述べるだけの機関と、それから原子力委員会のように行政委員会性格にかなり近い機関と、二様あるかと思うんですが、前段の方の機関として構想しておった、答申がなされたと、こういうふうに受けとめておるわけですか。
  28. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 現在、行政改革というのは政府の非常に大きな喫緊の課題一つであるわけでございます。その意味で非常に重要な課題任務としている、こういう審議会ではございますが、ただいま先生指摘のように、たとえば原子力委員会あるいは先日可決成立されました国鉄再建監理委員会、こういったふうに委員会という名前がついている八条機関につきましては、これは御指摘のように、単なる調査審議と申しますか、もう一歩踏み込んでいろいろと計画をつくるとか、そういった性格を含んでいるわけでございますが、それとは違いまして、むしろ先生指摘前段の典型的な調査審議機関、こういう位置づけで御審議をお願いしている次第でございます。
  29. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、二百以上あるとか言われているわけですが、数ある三条機関にかかわる審議会と、いわば並みの審議会だというふうに考えてよろしいと、こういうことですね。
  30. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ただいま先生質問の御趣旨三条機関にかかわるとおっしゃったわけですが……
  31. 矢田部理

    矢田部理君 失礼。八条機関にかかわる。
  32. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 八条機関にかかわる審議会とおっしゃいましたように、二百十幾つあるわけでございます。いろんなカテゴリー審議会がございます。たとえば、国民権利義務に直接かかわる裁定事務等を行うようないわゆる審査会のたぐいのもの、あるいは典型的な調査審議機関、あるいは若干政策立案そのものを行いますような審議会、いろいろございますが、これは典型的な調査審議機関という位置づけで御理解をお願いいたしたいと思います。
  33. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、他の数ある審議会と同列で扱うわけでありますが、今度の臨調答申の中身、幾つか問題点もあるわけだし、われわれとして基本的に賛成できない部分が多いわけでありますが、すでに指摘をされておりますように、今度できる審議会意向と他の審議会、とりわけ専門的な審議会意向とが衝突したような場合の扱いがかねてから問題にされているわけですが、それはどういうふうに整理をされたのですか。
  34. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) よその審議会の中には専門的な事項調査審議する機関もあるわけでございます。行政改革となりますと行政全般にわたる問題でございますから、こちらと多少ニュアンスが違ったり、矛盾するということはないかもしれませんが、ニュアンスの違う答申専門機関の方に出るかもしれません。そういう場合どうするかということでございますが、それぞれの審議会はそれぞれの任務を持って調査審議をされるわけでございますから、もしそういう場合においては政府責任において総合的に判断をして結論を出す、こういうことになることは間違いないと考えておる次第でございます。
  35. 矢田部理

    矢田部理君 一つは、臨調答申基礎にした行政改革がいまの内閣の非常に大きな任務だと、こういうわけでしょう。特に、今度できる審議会は、従来出してきた抽象的、一般的な問題提起をより具体的に進めるための各論なり内容をさらに細目化するための作業を行い、それをもとにして意見を出すというようなことでありますと、非常に衝突する部分が多くなってくるわけですね。その衝突する部分で言えば、たとえば地方自治にかかわる問題なら地方制度調査会がある、あるいは郵貯に関しては郵政審議会がある、税金に関して言えば政府税調がある。こっちの方、後の方がいわば専門的なんですね。それと衝突した場合にどっちをとるんですか。
  36. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) お述べになりましたように、臨調答申行政制度行政運営全般にわたって行われておるわけでございます。そういうふうな行政全般について行われておるわけでございますが、その行政の一部分について専門的な審議会意見を出されるということは私はあり得ることだと考えております。そのときどうするかということでございますが、これは私をして言わし むるならば、行政改革全般ということについては政府最大限に尊重するというたてまえをとっておるわけでございますから、臨調答申に矛盾するような答申をよその専門機関で出されるということは好ましいことではございません。それはおっしゃるとおり、行政改革というのは政府は全般的に尊重するという方針をすでに決めておるわけですから、それぞれの専門機関においてこれと矛盾する答申を出していただくことは私は好ましいことではないと思いますが、しかしあり得ることであります。そういうときにどうするかという問題になりますと、それは双方を総合的に判断して政府責任において決めるということであろうと思います。
  37. 矢田部理

    矢田部理君 そこがちょっとあいまいなんですね。現に郵貯扱いなどをめぐってはもう衝突しちゃっているわけでしょう。どっちも土光さんが会長をやっておられて、どうするんですか。税金の問題、増税なき財政再建だということで、これは後で聞きますが、増税なきと臨調は言い、政府税調増税を否定しない、どうするんですかこれ。もうこれから先は少なくとも具体的な実行が問題になるわけですから、単に総論的あるいは原則的な話だけをしていればいいと、方向性を出せばいいということではなくて、具体的に現実的にやっぱり進めなきゃならぬ。当然これは衝突部分が非常に多くなってくるであろうということが想定をされるわけですが、単に統合的に勘案して政府責任において決めるということになると、どっちかが否定されることになる。二者択一を迫られることになる。その意味でもこのポスト臨調法などというのは非常にやっぱり問題が出てきやせぬかという感じがしているんですが、もう一度だけ答弁を願います。
  38. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 先ほど来申し上げておりますように、臨調答申行政制度全般にわたり、それぞれまた別な専門委員会審議会があるわけでございますから、その間に多少の意見の違いあるいはニュアンスの違い、さらには矛盾するとまではいかぬにしても、そういう意見が出ることは私はあり得ることだと考えております。  しかしながら、そういう場合にどうするかということでございますが、これは先ほど来お答え申し上げておりまするように、それぞれの審議会任務を持って出されておるわけでございますから、それは十分尊重いたしますけれども、そういう場合においては、政府が両方の審議会意見を十分に踏まえて政府責任において決着をつけると、こういうことに私はなると思います。
  39. 矢田部理

    矢田部理君 どうもいまの答弁で納得するわけではありませんが、次の質問で伺いたいと思いますのは、これは長官としてすでに土光氏に行革審の会長に就任してほしいと要請したんでしょうか。
  40. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 人事はこの法案が皆さん方の御同意を得て成立した後に行うということでございまして、人事の折衝などは一切いたしてございません。はっきりと申し上げておきます。
  41. 矢田部理

    矢田部理君 きょうの朝日によりますと、「十六日午後、経団連に土光敏夫前臨時行政調査会長を訪ね、政府行政改革実行を監視する臨時行政改革推進審議会の会長に就任するよう要請した。」と。正式には、いまおっしゃったように、まだ法律もできていないうちに少し手回しがよ過ぎるんじゃないかという感じがするし、また国会を無視するのもはなはだしいということにもなるわけでありますが、どうも以前から土光さんに裏では根回しをしているとか工作をしているとか、土光さんはうんと言わないとか今度は幾らかニュアンスが出てきたとかという話が回り過ぎているような感がするわけでありますが、そういうことをなさったんではありませんか。
  42. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私もよくその点は十分承知をいたしておりまして、法案の成立前に人事についていろんな話をするということは、折衝するということ、要請するということは、これはもう絶対に避けなければならぬ問題であることは御指摘を待つまでなく私承知いたしておりまして、全然さようなことはいたしておりません。新聞ではいろんなことを書きますけれども、私はこれについて責任を負うというわけにはいきませんね。新聞は新聞でいろんな方々意見を聞いて、こうなるであろうとかああなるであろうとか、推測をしたりして書いておられるわけでございまして、そのいまお読みになりました新聞の記事について私は責任を持ちません。人事についてはあくまでも白紙でございまして、成立後整々として人事の折衝に入る、それはもう当然のことでございます。
  43. 矢田部理

    矢田部理君 行革大綱が二十日ごろには閣議決定になるというのがいままでのわれわれの伺っておったところなんでありますが、どうも政府内部であるいは自民党との関係でまだまとまらぬということで、二十四、五日ごろにまでずれ込んでしまうということがまたもう一つの報道としてあるわけでありますが、そうなのでしょうか。なぜまとまらないのか、どこに問題があるのか、少しく詳しく説明をいただきたいと思います。
  44. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 第五次答申をいただきましたので、これを実施するための具体的な政府の方針を決める、すなわち行革大綱、これはできるだけ早く決めるようにいたしたいと考えております。しかし、御承知のように、私ども提案をいたしておりまする行政改革推進審議会法案もまだ成立していない段階でございますので、最初は二十日ごろの閣議と考えたのです、率直に申しますと、私考えました。しかしながら、国会審議がまだそこまで至ってない段階で、第四次答申に基づく法案が成立もしていないうちに大綱を決めるというのはどうであろうかというようなこともありまして、難航しているという意味ではなくて、もう少し各方面意見を聞きながら最終的な答申というのは決めた方がいいんじゃないか、こういうふうなことを考えまして、しかし来週中には決めるようにしたいというふうに考えておる次第でございます。
  45. 矢田部理

    矢田部理君 どうも長官の話を伺っていると国会責任で遅くなっているというふうに聞こえるのですが、そうじゃないのですか。こっちが決まらぬから延ばしているんだと。それよりも、むしろ政府部内でまとまりが悪いんじゃありませんか。いろいろまた抵抗があったりしてうまくおさまらないので延びているんじゃありませんか。
  46. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 国会がどうのこうのという考えは私は全然持っておりませんから、その点はひとつ御了承願っておきたいと思います。  政府部内においていろんな意見調整が難航しているからではないかというお尋ねでございますが、いま事務的にもいろいろ折衝をし、調整作業を進めておるわけでございますが、そんなに難航しているとは私はまだ報告を聞いておりません。できるだけ早く調整を終えて閣議決定に持ち込みたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  47. 矢田部理

    矢田部理君 では具体的にもう少し聞きますが、総理府は見えていますね。——この臨調答申の中で総合管理庁設置という構想がありますね。一説によると、行管庁は行革を推進する主たる官庁だと、人を切って自分だけ太るんじゃないかという焼け太り説などもあるわけでありますが、この一つに総合管理庁設置構想、総理府は全面的に賛成でしょうか。
  48. 深谷隆司

    政府委員(深谷隆司君) 御指摘の問題につきましては、各方面意見を十分にお聞きをいたして、そして政府部内で十分なとにかく論議を尽くしていくということだと考えております。
  49. 矢田部理

    矢田部理君 総理府は賛成かと聞いている。
  50. 深谷隆司

    政府委員(深谷隆司君) さきに出されました臨調答申について、現在政府部内でさまざまな意見をどう対応すべきかということを含めて検討中でございます。私どもとしましては、そういう意見を十分に踏まえて政府部内で論議を尽くしていきたいというふうに思っております。
  51. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、いまにわかに賛成ではないということになりますか。
  52. 深谷隆司

    政府委員(深谷隆司君) 人事による総合調整機 能のあり方とか、内閣総理大臣直轄機関としての総理府本府の責務等について各方面から十分な意見をお聞きしなければなりません。そういうような問題を含めて、政府部内でこれからも十分な論議を尽くしていきたいというふうに考えております。
  53. 矢田部理

    矢田部理君 したがって、即賛成というわけにはいかないということになりますね。
  54. 深谷隆司

    政府委員(深谷隆司君) 私どもとしましては、現段階では十分に御意見を聴取して、政府部内で論議を尽くすという状況であると思っております。
  55. 矢田部理

    矢田部理君 だから、したがって以下を聞いているのです。即賛成ではないと、論議を尽くさなきゃならぬ、こういうことですな。
  56. 深谷隆司

    政府委員(深谷隆司君) 現在論議を尽くしている最中でございますから、賛成、反対を申し上げるべきじゃないと思っております。
  57. 矢田部理

    矢田部理君 人事院の方はどうですか。——これはわかったわけじゃありませんよ、いままだ聞きますから。
  58. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 副長官の方から区々分けていまの経過を御説明になったとおりであります。いわんや私、人事院の立場からこれについてとやかく言うべき段階ではございません。
  59. 矢田部理

    矢田部理君 齋藤長官、お聞きになってわかりますように、論議を尽くすと、各方面意見を聞くと言って決して賛成だと言わないんです、少なくとも。すでに政府部内ですらそうなんですよ、どうでしょうか。
  60. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 総合管理庁の構想、これは第五次答申にもはっきりと打ち出されておるわけでございますが、人事管理、定員管理、組織管理は連携のもとに一本の責任者のもとでやることが適当ではないかと、こういう提言でございます。私はこれはこれなりに十分理解できる問題であると考えております。  そこで、行革大綱にどういうふうに政府の方針を決めるかという問題になりますが、まだこれは決定しておりません、率直に申しまして。総理府は論議を尽くすと、こう言うし、人事院の方は私のところまでは及んでおりませんというような調子の話でございますが、これは政府部内においてどういうふうに——しかしあの基本的な精神は尊重すべき、理解すべきものであると私は考えておりますので、これをどういうふうに生かしながらこの問題に決着をつけるか、いま政府部内において党の意見も踏まえながら慎重に対処していくと、行政改革大綱をつくるときにははっきりした一つの方針は打ち出していきたい、こんなふうに考えております。
  61. 矢田部理

    矢田部理君 実際上は調整できないまま今後引き続き調整するなどということになるんじゃありませんか。
  62. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) この問題は、総理府本府と行政管理庁を中心としてでございますが、政府全体としての大きな問題でございます。政府全体としての大きな問題でございますから、今後ただ調整を進めるだけだなんというのでは、どうもやっぱり行政改革大綱に書くには余りいい方針にはなりませんので、ちゃんとりっぱな方向を打ち出していくようにしたいといって、今後まだ数日ございますから、その間に真剣に取り組んでいきたい、かように考えております。
  63. 矢田部理

    矢田部理君 総理府としては、そうすると数日内に結論を出すということですか、各方面意向も聞いて。
  64. 深谷隆司

    政府委員(深谷隆司君) 論議を十分尽くすつもりでおります。
  65. 矢田部理

    矢田部理君 論議を尽くすかどうかじゃなくて、結論を出すということかと聞いているんだから、正確に答えてください。
  66. 深谷隆司

    政府委員(深谷隆司君) 先ほどから申し上げましたように、非常に重要な問題でございますので、各方面意見を十分に聞きながら政府部内の論議を尽くしていくと、現段階ではそういう考えを申し上げたわけであります。
  67. 矢田部理

    矢田部理君 ということになると、いま齋藤長官が言われたように、結論を得るというようなことにはならぬのじゃないですか。ここ時間は幾らもないわけですね。
  68. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) ただいまお尋ねをいただいておるこのときは論議を尽くしている最中でございます。来週の前半には行政改革大綱を閣議決定したいと考えておりますので、そのときまでの間に十分論議を尽くして一つ方向を決めていく、こういうふうにしたいと、かように考えております。
  69. 矢田部理

    矢田部理君 もっと抵抗が強いのは、国土庁と北海道、沖縄両開発庁を統合すると、これはもっと抵抗があるんじゃないんでしょうか。
  70. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 国土庁と沖縄、北海道開発庁の三庁統合の問題につきましては、これは答申にも言われておりますように、沖縄については特殊な事情がありますよと、それは十分考えてくださいよと、考えるべきであるよという答申をいただいておるわけでございます。沖縄振興開発特別措置法でございますか、あれもまた十年さらに延長するというふうな状況にあるわけでございますね。特殊な事情というものは十分やっぱりこれは考えるべきではないか。それからさらにまた、北海道についてもそういう特殊な事情があるということは各方面から十分言われておる問題でもありますので、こうした特殊な事情というものは私はやっぱり十分頭に入れる必要があるんじゃないか、こんなふうにいまのところ考えております。最終の大綱の決定においてどういうことになりますか、いまのところはコメントすることを差し控えさしていただきますが、私としては、答申にも言われておるようなああいう特殊な事情というものはやっぱり十分考えるということは必要じゃないかと、かように考えております。
  71. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、総合管理庁の方は方向性を出すが、国土庁関連の方は少し無理のようだと、こういうニュアンスになりますか。
  72. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私が先ほど申し上げましたのは、総合管理庁というもので提案されておる中身の精神ですね、中身の精神。すなわち人事管理、定員管理、組織管理というものは一本で何かやらにゃいかぬのじゃないかという精神は十分尊重しながら、具体的にどう決着をつけるかということをいま盛んに論議をし模索をしておる最中であると、こういうふうに申し上げておるわけでございます。  それから北海道その他の問題については、最終の行革大綱にどういうふうに方針が決まるか、いまコメントするわけにはまいりませんが、特殊事情というものは十分考える必要があるのではないかということをきょうの時点において私は考えておることを率直に申し上げておるわけでございます。
  73. 矢田部理

    矢田部理君 その他いろいろな問題があるわけですが、そんなことがまとまらぬまま、したがって行革大綱がおくれているということじゃないんですか。まとまっているのなら、いまの総理府のような意見にはならぬはずだと思うんですがね。
  74. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 難航しているというのではなくして、慎重に論議を尽くし、検討をすべきものは検討をする、その最後の日を来週の前半にしたいと、こういうわけでございまして、余りまだ難航しているからというわけでもないと、これだけは御理解いただきたいと思います。
  75. 矢田部理

    矢田部理君 財政問題にちょっと話題を移したいと思うのでありますが、臨調答申の基本に増税なき財政再建ということが挙げられ、それが今日もなお臨調の看板であるというふうに受けとめてよろしいでしょうか。
  76. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 今日までの累次の臨調答申は、増税なき財政再建の理念は堅持して、これをてことして行政改革を進めなければならぬと、こういうのが基本的な考え方でございまして、あくまでこれは尊重していくべきものであり、政府としてもこの理念は貫いていくべきものである、かように考えておる次第でございます。
  77. 矢田部理

    矢田部理君 その増税なしかどうかは別として、財政再建というのはどういうふうに長官は受 けとめておられるんですか。どういう中身のことを財政再建というのか。
  78. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これも大蔵省のあれなんでしょうが、臨調答申では、財政再建とは、特例公債依存の体質から脱却し、一般の公債についてもその率をできるだけ減らしていくというふうにすべきものであるというふうに財政再建方向を打ち出しておるわけでございまして、私もさようであると考えております。
  79. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、臨調の大きな柱として、特例公債依存体質からの脱却をする、しかも脱却の方法は増税という方法をとらないと、これが臨調の非常に大きな柱だと、中身だというふうに伺ってよろしゅうございますね。
  80. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) さように私も理解をいたしております。
  81. 矢田部理

    矢田部理君 そうだとしますと、いつまでに特例公債依存体質から脱却するか、どういう手順、段取りでやるのかというようなことが明らかにならないと、臨調の役割りというのはほとんどないに等しかったという逆の指摘もできるのではないでしょうか。その辺はいかがでしょう。
  82. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) それがいつどういうふうな計画でそういうふうな財政再建ができるかどうかということについては、財政当局でない私がお答えをするということは適当ではない、かように考えておりますが、要するに行革というものをやるには、増税なんというものを頭に置いてやったのでは行革はできませんよと、行革をやりながら増税考えますと、そんな甘い考えでは行革はできませんよということを強く言っておられるわけでありまして、増税なき財政再建をてことして行政改革は進めるべきである、この基本理念というものは私は貫いていくべきものであると考えております。したがって、そういう観点から増税なんというものは考えちゃいけませんよと、補助金の整理とかそういう方面、あるいは機構の整理合理化というものをやっていくべきですよということを強く主張されていると私は考えております。
  83. 矢田部理

    矢田部理君 特例公債依存体質から脱却をするということになると、特例公債は少なくとも今後増発はしないということは臨調の歯どめとして考えているんでしょうか。
  84. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これはやっぱり財政当局でない私がとやかくのことを申し上げる立場じゃないと、私はさように考えております。
  85. 矢田部理

    矢田部理君 どうも齋藤さん、財政問題になるとトーンが非常に低くなったり、下がったりしちゃうんですがね。つまり財政当局が考えていることと、それはそれであると思いますが、臨調はしかし、かく考えるのだという臨調立場を聞いているわけですね。それを受けて主体的にこれから実行していく立場、これはもう一つあってしかるべきだと思うので、その立場からいかが考えるかを伺っているわけなんですけれども
  86. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 財政再建、すなわち特例公債依存体質から脱却するということでございますから、やっぱりだんだんだんだん減らしていくと、何年減らすか別としまして、減らしていくと、これはもう当然だと、私はかように考えております。
  87. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、一方で増税はしません、特例公債依存体質からは離れていきますと、その二つの条件がきちっとあった場合に、にもかかわらず財政再建というのは可能なんでしょうか。つまり、歳出削減という手法だけで財政の再建は可能だという処方せんに臨調はなっているんでしょうか。
  88. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 増税なき財政再建をてことしてやれと、こういう基本方針でございますから、あくまでも行革のその手法は歳出カット、これに重点が置かれていることは私は当然だと、かように考えております。
  89. 矢田部理

    矢田部理君 ですから、歳出カットだけで、たとえば大蔵省の試算による要調整額はこれから数兆円あるいはそれ以上出てくるわけですが、その財政再建は可能だと、こういうふうに行管庁あるいは臨調考えているんでしょうかと、こう言うのです。
  90. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 行革は、この第五次答申の中でも公債の発行額においては、発行額をどんどん減らしていくようにしなきゃいかぬとか、いろいろなことを書かれておるわけでございますが、臨調の基本的な考え方は、増税しなくても歳出カットというものを徹底的にやるならば可能であろうと、こういう考え方が基調にあると、私はさように考えております。
  91. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、臨調考えておる歳出カット、規模というのはどのくらいの金額のものを考えているんでしょうか。
  92. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 私ども行政管理庁でございますが、寡聞にして臨調が数量的にどういう規模でどういうふうにこの国債依存体質からの計画的な脱却を考えていらっしゃったか、これについては承知しておりません。
  93. 矢田部理

    矢田部理君 財政再建行政改革というのは同じなのか違うのかというのはいろいろ議論があります。しかし、少なくとも臨調は、増税なき財政再建ということを臨調の非常に大きな看板にしてきた、それがまた非常に重要な中身にもされてきたと思うんですが、いまの行管庁説明だと、増税はしない、特例公債は減らしていくということになると歳出カットで財政再建ということになるわけですが、その歳出カットの規模も明らかに承知しないままどうして財政再建が可能なんですか。行革を推進する立場に立っていると言えるんですか。そこら辺がどうもわからぬのです。
  94. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 財政の問題は私が答えるたてまえにはありませんけれども、いまの財政の再建ということもやはり行革の一つの大きな柱であることは事実でございます。その財政再建というものは、行政改革、これによって財政再建もやはりやっていかなければいけませんよということでございます。数字的なことは、その年々の財政の事情なり景気の動向によっていろいろ変わっていく数字ではありましょうけれども、あくまでも財政再建とは特例公債依存体質を脱却するんだよと、それが基本でなければだめですよということを強く打ち出している、その方針に基づいて大蔵省がそれなりの苦労をするということであろうと私は考えております。
  95. 矢田部理

    矢田部理君 他のことについては比較的具体的に出している部分もあるわけですが、どうも財政問題が行革の非常に大きな内容、焦点になっておる。しかも増税なしということが看板になっている。ところが、その中身になってくると、大蔵省にお任せして、いわば臨調行管庁も少し遠巻きに巻いている、理念だけ示す。これではちょっと行革の存在理由は過半が失われはせぬのかというふうに受けとめられているのですが、いかがでしょう。
  96. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) そうした見方は、これは人によって見方はいろいろおありだと思いますが、臨調としてはあくまでも増税なき財政再建ということで、税制についてはほとんど何にも触れておりません。増税なき財政再建一本やりで行革をやりなさい、まずそれからですよという非常に強い決意が出されておりまして、歳出カット一本やりででも進むぐらいのつもりでなければだめだよということをうたっておるわけでございます。
  97. 矢田部理

    矢田部理君 決意だけなら何もこれだけ大がかりに臨調を開くことはなかったはずでありますが、それはそれとして、もう少し具体的に伺いますが、臨調が言っている増税なき財政再建というのは、財政再建期間中、つまり特例公債依存体質から脱却するまでの間、それは五十九年度が破れたからそれから数年先ということになっているわけですが、その間は増税をしない、とりわけ大型間接税の導入などはしないということを増税なしと言っているんだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  98. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 増税なきという、その増税ということで定義を一応下しているんですね。国民所得に対する現在の租税負担率を上回るような新しい措置、それは増税ですよということを言うておるわけでございまして、要するに、大 体現在の租税負担率程度において、その中身は多少いろいろあるにしましても、それを大幅に超えたような増税をしないで歳出カットでいくべきであり、それがまた可能であるということが臨調答申の基調にあるわけでございます。したがって歳出カットにおいても、補助金の整理とか機構の改革とか、そういうものはどんどんやっていかなければなりませんよと、そうすることによって特例公債依存体質から脱却していくというふうにすべきであろうと、こういうことで述べていると思います。
  99. 矢田部理

    矢田部理君 それはそう書いてあるのですが、したがって大型間接税の導入などはしないというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  100. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これは私の立場ではございませんが、そういうことは臨調は予定していない、私ははっきり申し上げていいと思います。
  101. 矢田部理

    矢田部理君 それは一つ伺いましたが、その予定をしていない期間というのは財政再建期間中、つまり特例公債依存体質から脱却するまでの間、今後五年先になるかそれ以上になるかわからぬが、その間はそういう税金は導入しないという考え方であるというふうに受けとめていいですね。
  102. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 行政改革に何年かかるか、これは別としまして、増税なき財政再建をてことして行革をやるというんですから、行革をやっている間に一般消費税を導入するなんということは考えられないことではないかと私は考えております。
  103. 矢田部理

    矢田部理君 もう一点ですが、そこで、増税なしは一応長官の考え方を伺いましたが、歳出カットでやれということで臨調方向性を出したということになりますと、歳出カットというのは果たしてどのぐらい可能なのか、いかなる部分をカットすべきなのか、どういう年次でカットしていくべきかというようなことについては、もう少し具体的にならぬと説得性がないと思うんですが、この辺はどう考えていますか。
  104. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これは御承知のように、特例公債から何年計画で脱却するか、それはその年度年度においてまた私は変わってくる問題だと考えておりますが、臨調考え方増税なき財政再建、すなわち補助金の問題それから受益者の負担との問題、国と地方の問題、いろいろな問題を見直しながらこうした方向を達成していこう、こういうふうなことが基調にあるわけでございますから、そういう問題を各方面行政分野にわたって毎年度毎年度予算において慎重な努力をしながらこの特例公債依存体質から脱却していく、こういうことにすべきであろうというふうに述べておると思います。
  105. 矢田部理

    矢田部理君 たとえば、その補助金というのが十四兆前後あるんでしょうかね。これについては少なくとも三兆円ぐらいはカットしようという構想が示されていると伝えられているわけです。ところが、全部これは抵抗に遭ってだめになっちゃったと。特にそのきっかけをつくったのが昨年の十一月二十五日の部会審議だったと。部会審議の中で、財界出身の亀井さん、これは部会長ですね、あるいは富士通の赤澤さんなどが財界関係の補助金のカットに物すごく抵抗して、つぶれちゃった。それがきっかけになって補助金のカットが全面的に総崩れになったというようなことが漏れ伝えられているわけでありますが、そういう状況だったのでしょうか。
  106. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 一部の新聞報道で第三部会におけるいろいろな御審議の経過というのが報じられていたように私も記憶しておりますが、この第三部会におきます昨年秋から暮れにかけましてのいろいろな御審議の経過というものについましては、これは私どもも承知できない立場にありまして、ただいま先生の御質問に対しまして、こうであろう、ああであろうというふうな憶測さえ私どもとしてはできないと申しますか、知識を持ち合わせない状況でございますので、あしからず御了解いただきたいと存じます。
  107. 矢田部理

    矢田部理君 研究開発費といいますか、幾つか具体的に挙げてもいいんですが、これが財界に相当流れているわけでありますが、これを廃止するとか融資に切りかえるとかということが論議になったときに、物すごい抵抗があって、ついにそれは打ち切らざるを得なかったというような話が伝わっているんですが、行管庁、あるいは臨調にも事務方として出ていると思うんですが、全然そういう状況はキャッチできないんですか。
  108. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 当然に、事務局に各省から出向していた人間は、書記役としていろいろと御下命を受け、勉強したりあるいは御議論の整理をしたりというふうなことはやっていたかと存じます。これは臨時行政調査会及び同事務局、この内部の問題でございまして、私ども行政管理庁あるいはその他もろもろの役所、こちらの方ではその間の詳細について承知する立場にはなかった、かようなことでございます。
  109. 矢田部理

    矢田部理君 そこで問題なのが、臨調の議事録ぐらいはせめて公開して、どんな論議でどんな結末になったのか、この答申はいかなる経過と論議をもとにして出てきたのかをやっぱり国会国民の前に明らかにしてしかるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  110. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 議事録公開の問題は、参議院のそのほかの委員会においても、公開したらどうかという御意見拝聴をいたしました。これは、臨調が初めできました当時に、委員方々は、非公開でやろう、議事の公開はしないということで自由濶達な意見を述べようではないかということで来ておるわけでございますので、臨調のいまいろんな記録を公表するということは私は適当ではない、かように考えておる次第でございます。
  111. 矢田部理

    矢田部理君 十一月二十五日の臨調第三部会、この日の審議が大変に問題だったと、つまり補助金のカットが連鎖的に大きく後退をしたと、そのきっかけをつくったのが財界の人たちの反対だったと、こういうふうに伝えられているわけでありますが、このときの状況を少なくとも説明していただけませんか、あるいはその日の議事録を出していただけませんか。
  112. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 矢田部先生ただいま御質問の、十一月二十五日の審議の模様というものについてどうであるか説明せいというお話でございますが、先ほど来申し上げておりますように、臨調では非常に各部会とも長時間にわたって、しかも頻度高くいろいろな御審議を行われたわけでございます。その審議の詳細についてこうであったということをただいま御説明できかねる点は先ほども申し上げたわけでございます。あるいは議事録を提出せいと、こういう御指摘でございました。これにつきまして、先ほど大臣がお答えになりましたように、臨時行政調査会は、その発足に当たりまして、円滑な審議を確保するという見地から議事非公開の原則というものを立てたわけでございます。臨調はいまはもう廃止されたわけでございますが、この時期に当たりましてもやはり議事録非公開の原則というものは貫かれなければならないということでございますので、御提出申し上げることについては御容赦いただきたいと存じます。  なお、御指摘の十一月二十五日の審議の経過についてあるいは承知している者があるかと思いますが、これは後刻矢田部先生のところに御説明に伺わせるということにさしてもよろしいかと思いますけれども、これ果たしてそのことを知っている者があるかないか、その辺がございますので検討さしていただきたい、かように心得ております。
  113. 矢田部理

    矢田部理君 これ、後の情報公開の問題も絡まるわけですが、これだけやっぱり行政機構というか、も含めて大改革をやろうと、その論議が全く密室で外に伝わらない。特に、たとえば、補助金の整理などについて、私はやっぱり残すべきものもあると思います。それからこれはやっぱり切っていいというものも必ずあるはずです。それが全面的に後退をして、総枠抑制とか総額抑制みたいな変な抽象的、一般的なものにすりかえられてしまっている。これではとてもじゃないが行革は進まぬでしょう。行革にはならぬでしょう。特に私 学の問題なども新聞で指摘をされ、あるいは行管庁自身が問題にしているわけですがね。特に財界主導型の臨調と言われている、そのものずばりがこの日の審議だというふうに報道もされているわけです、伝えられているわけです。そうなってきますと、少なくともやっぱり議事録を公開する、問題のあった、少なくともこちらから指摘をした日の議事録ぐらいは明らかにするということを再度求めたいと思うんですが、委員長いかがでしょうか。
  114. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  115. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 速記を始めて。
  116. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 議事録は、部会全部についてこれはあるかどうかも私は承知してないんです、これ。委員会の方は全部あるようでございます、承りますと。部会はそれこそ自由濶達な意見をやると聞いておりまして、それの第一、部会の速記録があるかないか、これ私も承知してないんです、本当を言いますと、率直に言いますと、私。しかし、いつも部会の審議の際は、その後に部会の論議の報告を新聞記者会見で事務当局がちゃんとしておるわけでございます。そういうふうなこともありまして、いま議事録を公表せよと、こう言われましても、これを結構ですと言うわけにはまいりません。ただ、部会でそのころどういう議論があったのかと、補助金整理の段階で、ということでございますれば、その当時部会に立ち会っておりました者からひとつ皆さん方に申し上げてもいい場合が私はあると思います。しかし、全般的に議事録を公表せよと言われましても、これは応ずるわけにはいきません、こう申し上げておるわけでございます。
  117. 矢田部理

    矢田部理君 いまの答弁を納得しないから私は再度言っているわけですがね。たとえばこの日、民間産業に助成の中で行われている研究開発費について、それを切ることに財界出身の委員が反対をしたと。それに対して他の委員から、幾ら重要な研究開発でも超一流の大企業に巨額の金をやる必要があるのか、もっと企業に自主自立を求めていくべきだ、第一に土光会長が社長をしている石川島播磨重工業にも研究開発助成が流れている、真っ先にそうした補助金を切らなければ行政改革に対する国民の協力は得られないと、こんな論議まであったというんです。その点で議事録を、全体的に議事録を出すべしというのが第一でありますが、少なくともこの日の議事録を出してほしい。委員長の方でしかるべく取り計らっていただきたいと思います。
  118. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  119. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 速記を始めて。  いまの問題は、政府の見解もありますので、理事会で検討いたします。
  120. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) いま承りますと、部会には議事録というものはないと、こういうことでございます。しかし、部会がありましたときは、その都度きょうの論議はこういう論議であったということは記者会見で発表をいたしております。
  121. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっと伺いますが、部会があったときには、テープをとるとかメモをとるとか速記録をつくるとかということは一切しないんですか。
  122. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 具体に各部会の審議経過をどのように取りまとめているか詳細承知していないわけですが、審議の経過を簡単に要約したようなメモはあるということでございますが、具体的なそういう大きな議事録というものはないやに承っております。
  123. 矢田部理

    矢田部理君 正式な議事録がない場合にはやむを得ませんが、議事録があれば議事録、なければメモその他ですね、その日の審議の状況がわかるような資料ということで要求しておきたいと思います。
  124. 坂野重信

    委員長坂野重信君) では、この問題は後で理事会で検討します。
  125. 矢田部理

    矢田部理君 補助金の問題その他はもう少しやりたいんですが、多少時間も詰まってきておりますから、もう一つ伺っておきたいのは情報公開の問題ですね。これはほかにもテーマは幾つもあるんですが、これもどうも答申を見ますとぱっとしませんね。問題は、情報公開という問題をどういうふうに受けとめるか、基本認識が臨調は間違っている、正しく受けとめていないというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
  126. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 臨調最終答申におきまして、「行政情報の公開と管理」というへディングのもとに、いわゆる情報公開制度、「国民一般に対する情報開示制度」、こう言っておりますが、これの検討をするように答申しているわけでございます。この答申では、御指摘のように、わが国の関連する諸制度や諸外国の制度運用あるいは地方公共団体の状況なども留意しながら、今後専門的な調査研究を行う組織、場を設けるべきである、こういうふうな御答申があるわけでございます。  この御答申に至った経緯につきましてどういう御論議があったか、これまた寡聞にして私承知していないわけでございますが、やはりこの情報公開制度というものにつきましては、当然に諸外国ですでにアメリカやフランスあるいは北欧諸国において実施されているということもございますし、かつまた、今後行政に対する国民の信頼確保あるいは公正な行政運営の確保というふうなメリットがある、その反面で、臨調答申でも言っておりますけれども、わが国においては全く新しい分野の事柄である、さらにこれと関連する諸制度というものが非常に広範多岐にわたっていること、さらにこの制度を導入した際におけるその実効性あるいは費用対効果、こういった吟味も必要ではないか……
  127. 矢田部理

    矢田部理君 簡単にしてください、簡単に。
  128. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) さらに、こういう制度を導入した場合におきまして諸般起こり得るデメリット、こういったものについて慎重に検討する必要があると、こういうふうなお考えがあったのではないか、かように拝察しております。
  129. 矢田部理

    矢田部理君 行政管理局長があまり臨調答申をよく知らぬというのじゃ困るのですね。行革大綱で実施方針をやっぱり政府が決める中心でしょう、あなた。問題は、いろいろ説明していることはここに書いてあるから大体わかるんですよ。知る権利というのを基本的に認めた上でこれ出しているんでしょうか。
  130. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 臨調答申——再三申し上げるようでございますが、民主的な行政運営を実現する、行政に対する国民の信頼を確保すると、こういう観点からできるだけ幅広く改革のための方策を検討することが必要である、その意味でこの情報公開制度に対して臨調は前向きの姿勢をとっているということではないかと、かように心得ております。
  131. 矢田部理

    矢田部理君 質問と全然違うんですよ。臨調が出しているのは、行政に対する国民理解と支持を深め、行政運営の安定性と有効性を高める、そのために情報公開が必要だ、こういう議論なんですね。つまり、行政をうまくやっていくためには知らせた方がよろしいという、つまりわれわれがもともと情報公開を求めている基本理念というのは、行政をうまくスムーズに転がすために明らかにせいということじゃなく、国民の知る権利を基本的にやっぱり保障していくべきだ、行政をその意味でガラス張りにしていくべきだというのが基本なんですが、そういう立場臨調は立っていないんじゃありませんかと、こう聞いているんです。
  132. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) やはりそういう立場と、他方こういった制度を導入したときのデメリット、これをあわせて検討すべきであると、こういうニュートラルな立場であられたと、こういうことではないかと存じます。
  133. 矢田部理

    矢田部理君 ニュートラル云々じゃなくて、その知る権利なんていうのは全然出てこない。もっぱら行政の観点だけが出てきて、行政をうまくやっていくためには知らせないよりは幾らか知らせた方がいいと、しかし知らせるに当たってはということでまた幾つかの条件をつけて、結局具体 的には情報公開については何一つ進まない、こういう状況になっているわけですね。  しかも、情報公開だけじゃないのでありますが、どうも臨調、大変な大きな舞台をつくり、費用をかけ、マスコミも動員していろいろな問題を論議したやに聞こえてはくるわけでありますが、答申を見るとさっぱり具体化していない、重要な問題については進んでいない、これが現実じゃありませんか。たとえば情報公開の関係だけを見ましても、全部問題点を先送りにして、言うならばこの情報公開だけで審議会を二つつくれと言っているんですね。また審議会をつくるという提案なんですよ、これは。臨調というのは一体何だったんですか。ある人が数えたところによると、第五次最終答申だけで審議会を十以上もつくらなければならない。こんな臨調答申がありますか。その点どうお考えになりますか。
  134. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 一般的に申し上げますと、臨調、わずか二年の時限で設置された機関でございますが、この間にいろいろな御答申が非常に幅広く事行政改革に関する分野を網羅的に御検討になっていらっしゃるわけでございます。非常に検討すべき課題が多く、かつまた与えられた時間が短かったということで、ただいま先生が御指摘になったようないろいろな問題について残念ながら煮詰めることかなわず、問題点指摘し、そして今後さらに政府において検討を進めよと、しかし問題点はこういうところにあるよということを指摘しておられるという局面も多々あったわけでございます。かように理解しているわけでございます。
  135. 矢田部理

    矢田部理君 情報公開などについて見れば、この程度の問題点ならば前から出ておった。それは基本認識が大体間違っている。加えて、これから二つの審議会をつくって検討しなさいということで、審議会を整理すべき臨調審議会をまた山ほどつくるような答申に全体としてはなっている。こんな臨調答申はわれわれはやっぱり納得するわけにはいかぬし、今度のこの行革審というのも、いわば屋上屋を重ねるようなものであるということで、われわれとしては賛成するわけにいかないわけでありますが、他の点は他の質問者がおりますからそれに譲ることにしまして、時間がありませんので最後の問題点をもうちょっとつけ加えて伺っておきたいと思います。  行政監察についてでありますが、この行政監察、時折マスコミなどにも報道をされ、監察月報なども出て、行管庁の役割り、存在理由をこれによって私は一面評価をしているわけでありますが、この行政監察をした結果、勧告とかあるいは改善のための通知とかということを出されているようでありますが、その概況はどうなっているんでしょうか。
  136. 中庄二

    政府委員(中庄二君) 勧告等の後とります措置に二つございまして、一回目の回答と申しますかが、大体三カ月以降半年ぐらいまでの間に第一回を聞くと、その後、事案の内容によりますが、半年後または一年以内、予算あるいは法律等の関係ございますので、こういう二回の段階の各省からのとりました措置を見ておるわけでございますが、勧告の内容によりまして、実現率と申しますか、大分変わってきておりますが、少なくとも検討に着手しているというのは最低線ございますし、実行に移したものというのも相当数ございまして、手元にあります資料で申しますと、改善に完全に着手したというのが四割五分くらいでございますし、そのほかは全部検討中でございますが、大分具体化が進んでいるというのが二割ちょっという数字が出ております。ですから、結局検討中というのが大体三割ぐらいというのがここで六つほど抽出した場合の勧告の後の改善の状況でございます。
  137. 矢田部理

    矢田部理君 これは行管庁として改善の勧告なり通知というんですか、いろいろやられますね。年間どのぐらいやって、実効がどのぐらい上がっているのかというような整理をした資料というのはないんでしょうか。
  138. 中庄二

    政府委員(中庄二君) 簡単に申しますと、監察年報というのがございまして、その中に出ておるわけでございますが、数の一番多いのは、現地的な問題をやります現地の監視活動といいますか、そういうのが大体百五十本を前後にしまして、毎年百三十のこともございますが百八十、大体百五十本を前後にしたものがございます。これは実施の基準がいわば決まっておる問題でございますので、これは所見表示等で即これは直ると、こういうふうに見ていただけばよろしいかと思います。  それからもう一方の制度問題なり、施策の運営問題にかかわります中央計画監察の問題でございますが、これが先ほど申しましたように、年間十五本から二十本をやっておるものでございますが、それの改善率が先ほど申し上げたものでございますが、これらの全般につきましては毎年出しております監察年報でおわかりいただけるかと思います。
  139. 矢田部理

    矢田部理君 もともと勧告ですから強制力はあるわけじゃないんですが、実効がどの程度上がっているのかということに幾つか疑問を持つような部分もないわけではないんですが、きょうはとりあえずのところ、去年の十月に問題にされた社会保険の加入状況について改善の意見が厚生省と労働省に通知として出されておりますが、この実態はどんなふうになっているんでしょうか。報道によりますと、たとえば雇用保険は六割の事業所が加入していない、これは大変なことだと思うんですね。そのほか社会保険では、たとえばパートに対する適用の関係が非常にあいまいなままになっているというような状況も指摘をされているんですが、この辺は一体実態はどういうふうになっているんでしょうか。
  140. 石田努

    説明員(石田努君) 昨年の十月に、行管の方から地方監察結果報告として、雇用保険についてなお相当の事業所が適用されてないではないかという御指摘がありましたが、これにつきましては私ども非常に重大に受けとめております。この問題については、すでに国会におきましてもいろいろ御指摘があるわけでございます。御承知のとおり、昭和五十年度から、いわゆる原則的には労働者を雇用する事業所は一応労働保険は全面適用ということになっております。その後、私の方も全力を挙げて適用の促進に努めておるわけでございますけれども、なお現在のところ、特に雇用につきましては、お話のようになおかなりの事業所が適用されておりません。もっとも労働者数で見ますると、雇用につきましても七割以上の労働者の方は適用になっておるものと私どもとしては推定いたしております。  いま、行管等からも御指摘ございます雇用の適用の少ない分野は、やはりどちらかというと小さい零細企業、五人未満、それから特に五十年度から適用を始めております卸、小売とかサービスとか、非常に事業所の流動の激しい分野でございまして、そういうようなところを対象に適用を進めておるわけでございまして、四十九年度、いわゆる全面適用が開始される前には、雇用につきましても九十万程度の事業所が適用でございましたが、昨年度末につきましては百三十二万とかなり適用は進んでおりますが、全体といたしまして、なおたとえば事業所統計の数字等から見ますると、小さい非常に把握のしにくい分野での適用が進んでおりませんので、今回の行管の御指摘を受けまして、私どもとしても努力してまいりたいと思っております。この点につきましては、私の方といたしましては、やはりなお八年経ましたが、まだまだ事業主へのPRが足りない面もあるかと思いますので、この点についての努力を一層しなくてはならぬと思っております。  それから数が、何分対象が膨大で把握しにくいのでございますので、事務の省力化なり合理化を通しまして少しでも余裕を生み出して適用促進に全力を挙げたい。  それから、当然そういう事業所は事務処理能力等の点につきましてもなお不十分な点もございますので、こういうところのお手伝いをする意味で、全国に一万三千を超えるいわゆる労働保険事務組合という制度がございましていろいろ小さい 事業所のお手伝いをいたしておりますが、こういうのを一層充実して適用の促進を図ってまいりたいと思いまして、実はこの御指摘後、御指摘のありました関係県等の担当課長等を呼びまして指示をすると同時に、全国会議等の機会、あらゆる機会を通して徹底をいたしておりまして、今年度はさらにそれの努力を進めてまいりたい、こう思っております。
  141. 矢田部理

    矢田部理君 いま、労働省ですね。厚生省の関係ですが、これはもうちょっと両省に詳しく問題点を伺いたいし指摘もしたかったんですが、厚生省については健康保険とそれから厚生年金ですね。これにパートとの関係で非常に問題があるということのようですね。つまり、両保険の適用基準が不統一である、常用の従業員というのですか、労働者に準じて考えるべきだということで、県によっては、たとえば常用労働者の四分の三以上の労働時間を勤務した場合が適用になるとか、八時間労働で四分の三をとって六時間超えれば云々だとかということで県によってまちまちだというような状況にもなっているようですが、そのためにパート労働者の社会保険関係の保障が非常に希薄になっている、あるいは未加入者が多い、適用されない部分が多いという指摘があるわけでありますが、この辺どういうふうに考えておられるのか、実態をどう把握しておるのか。それから私どもとしてはパート労働者にも原則的にそういう適用を拡大して行うべきだという考えを持っているわけですが、いかがでしょうか。
  142. 奥村明雄

    説明員(奥村明雄君) お答えをいたします。  パートタイマーにつきましては、健康保険、厚生年金同じでございますが、具体的な労働時間とかあるいは就労日数というものから、就労実態がその事業所の同種の常用的な就労者、これに準じます場合には適用するという方針を示しまして、その徹底を図っておるところでございます。  先生指摘行政管理庁の地方監察におきまして適用の漏れがあるという御指摘がございまして、各都道府県についてはこの監察結果を示して、さらに周知徹底を図り適用漏れの解消に努めておるところでございます。具体的な加入状況につきましては明確に把握しておりませんが、今般の行政管理庁の監察結果のお示しもございまして、私どもとしては、このような結果を踏まえまして各種の広報活動を進めましたり、あるいは事業所への説明会等を通じまして徹底を図っていきたいと思っておる次第でございます。
  143. 矢田部理

    矢田部理君 基準があいまいだということについては。
  144. 奥村明雄

    説明員(奥村明雄君) パートタイマー適用基準につきましては、おおむね労働省に準じまして、就労時間あるいは就労日数等が同種の常用労働者の四分の三程度以上というものを基準といたしまして、個別の事業所の状況に応じて決めていくというふうな基準を示してその徹底を図っているところでございます。
  145. 矢田部理

    矢田部理君 もう一問だけで終わりますから。  あいまいなんですよ、そういう言い方をするから、約四分の三以上の労働時間とか。そこで、八時間労働の場合は六時間でわかるが、いま七時間労働なんというところがかなり出ているわけですね。そのために、やっぱり都道府県によって適用基準が違ってきていると。こういうことでは行政の統一性ということにも問題があるし、全体としてもう少し保障する方向で努力すべきだという意見を特に申し上げておきたいと思います。  いずれにしても、行管庁長官に申し上げたいのは、行政改革というのは新しい時代、特に高齢化社会が急速に進むとか新しい行政需要ということにこたえるべく行政改革というのは行われていくべきである。その点で全体的な制度改善が必要なんですが、同時に、行政監察結果などでいろんな問題点指摘されているわけですね。そういうのは一つ一つ運用の面で、あるいは制度改善の面で生かしていくことも行政改革のもう一つの重要な中身だということも、これはまあ言わずもがなでありますが、ひとつ十分お含みおきの上今後の問題点をやっぱり整理していただきたい。いま行われている行政改革はいささか、福祉を切り捨てたり教育費を切り詰めたり問題が多過ぎる。特に審議会などというのは屋上屋を重ねるもので私どもとしては納得できないということを最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  146. 勝又武一

    勝又武一君 最初に、新行革大綱について少しお伺いをいたします。  先ほどからいろいろ長官から答弁がありましたが、総理が十一日の私の本会議質問の際にたしか二十日というように答えていましたが、先ほども長官おっしゃっていましたけれども、何で二十四日になったんですか、もう一度御答弁くださいませんか。
  147. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 新行革大綱、私もできるだけ早くこれを閣議決定したいと考えておりました。したがいまして、できるならば二十日という日を目標にしておったわけでございますけれども、いろいろ各省との調整にある程度の時間もとる必要もありますし、さらにまた国会における行政改革推進審議会法案、それがまだ成立していない段階でもありましたので、来週の前半、ということになりますと閣議は二十四日になるわけでございますので、二十四日に閣議決定に持ち込みたい、そんなふうに考えて努力をいたしておるような次第でございます。
  148. 勝又武一

    勝又武一君 法案成立前に行革大綱を決定するのはなぜいけないんですか。
  149. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 行革大綱とこの法律との関係、特にそれはないかもしれません。ですから、この法律との関係を言うているわけじゃありませんで、要するに、第四次答申というものが先に出ておるわけでございますから、その第四次答申がどういうふうに決着がつくのか、その辺も見定め、そして第五次答申を中心とした新行革大綱を決めるということの方がいいじゃないかなということでございます。直接的には何の関係もございません。
  150. 勝又武一

    勝又武一君 くどく聞きましたのは、矢田部委員の先ほどの質問にそうお答えになっていたから。  私はやっぱり逆じゃないかと思うんですよ。いま議論しているのは第四次答申に基づく審議会ですよね。私たちはこんなものは要らないというように思うんです。十一日の本会議質問の私の立場もそうなんです。ところが五次答申が出ているわけでしょう。それで、総理を初めとして行管長官も最大限尊重してやるとおっしゃっているんです。だとすれば、これが十七日だろうが十九日だろうが、内閣委員会審議がいつ終わって本会議でいつ決まろうが、関係なしに政府は第五次答申に基づきいち早く最終的な新行革大綱を決めるべきじゃなかったんですか。それをお聞きしているんです。
  151. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これは直接的に関係がないということはいま申し上げたとおりでございます。  そこで、三月の十四日に第五次の答申が出たわけでございますので、いち早く十八日でございましたか、政府において第五次答申につきましては最大限にこれを尊重し、逐次実施に移すという閣議決定をしました。この第五次答申というのは非常に広範囲にわたっておるわけですね、御承知のように。中央省庁の部局の問題、出先の問題、ブロック機関の問題、それから許認可の問題、各方面に非常に幅広くわたっておりますので、そういう問題について関係省庁の間で十分調整をしながら案をまとめていくということで今日まで時間がかかっておるわけでございます。  しかし、もうそろそろ五月の末にもなるわけでございますので、できるならば二十日ころと、こう考えたんでございます、率直に申しますと。ところが、もう少し時間をとって調整をした方がいいだろうというようなこともありましたので、大体二十四日ころと、来週の前半というふうにいまのところ考えておる次第でございます。
  152. 勝又武一

    勝又武一君 げすの勘ぐりはしたくございませんけれども、十七日、十九日と内閣委員会がある。きょう質疑を行って、あさっても質疑を行うとい う日程が決まっていますね。衆議院はたしか連休前に一日おやりになって、十日の日の本会議で可決成立をした。私は、やはりどうしても、政府が今回の法案審議会を具体的に、この内閣委員会での議論をわかりやすく国民にも納得できるように進めるためには、先ほどから矢田部委員質疑されましたように、私たちには多くのわからない問題があるわけ。このことをやはり国民に本当にわかりやすくするためには、政府は私たちの、内閣委員会審議の前に新行革大綱を決めて提示すべきでなかったか。  新聞が伝えるところによりますと、何か二十日に成立する見込みだから人選をどうするかというようなことが書かれていたり、政府は二十日に決めると総理も本会議答弁でされましたけれども、二十四日にずれ込んだ。この辺は本当に私は逆じゃないか、本当に国民の納得を得るための内閣委員会のこの審議会法案の議論であるなら、それこそこの前に政府は決めるべきだ。それを決めてもらわないから、いろいろ皆さんの方から言わせれば不生産的な議論だとおっしゃるかもしらぬけれども、幾つかのことをお聞きしなくちゃいけないわけなんだ。その点についての御反省はいかがですか。
  153. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) お話のとおり、この審議会法案と直接は関係ないわけでございますから、できるだけ早く決めるということが私は適当であると、その点はそういうふうに考えております。しかしながら、今日まで少しずつ延びてまいりまして、連休でもう十日間くらい、役所の方もなかなか容易じゃなかったですね。そんなこともありまして延び延びになっている点は私は十分認めております。
  154. 勝又武一

    勝又武一君 そうしますと、いまおっしゃったのが本音で、つまり各省庁間の調整、そういうこともいろいろ手間どっているんだということが本音であって、いわゆる現在審議しています審議会法案の成立前に決めるということは妥当でない、そういう意味の先ほどの答弁なり私の最初の質問の御答弁については、大臣、取り消していただけますね。
  155. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 承知いたしました。
  156. 勝又武一

    勝又武一君 それでは、そういう点はぜひ、私もいま申し上げましたように、本来私はこの法案審議にこそその中身を明らかにしてもらいたい、そういうことで、いま大臣の取り消しのお話がありましたから了解をいたします。  そこで、二十四日ごろとおっしゃっているんですけれども、そのときに出てくる内容というのは、総理の本会議答弁によれば最大限尊重すると。これは、私が答申の実施については小骨一本抜きませんねということに対する答弁だったというように、ここに正確に会議録がありませんからまだわかりませんが、そう理解をしている。  そうしますと、一番原則的にお聞きしますが、今度の新行革大綱には、担当の行管長官としても総理としても、小骨一本抜かない最大限尊重の答申どおりの中身を御決定なさるんですね。
  157. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 答申を尊重いたしまして、すべての答申にありまするようなすべての問題について網羅的に方針を決めるというふうにいたしたいと考えております。
  158. 勝又武一

    勝又武一君 小骨一本抜かない最大限尊重の中身にしてくださるんですね、そうお聞きしているんです。
  159. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 小骨一本抜かないというのは私もよくわかりませんが、大筋は間違いなくりっぱに大綱の中に盛り込む考えでございます。
  160. 勝又武一

    勝又武一君 同時に、具体的ないま中身がどの程度かということは明らかでないんですけれども、網羅的にという御答弁ですが、非常に抽象的ですので、手順だとか具体的な中身とか、そういうことについては相当何というんでしょうか、御決定なさるんですか。
  161. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 問題解決の方向手順、時期等についても相当具体的に決めていくというふうに考えております。
  162. 勝又武一

    勝又武一君 それから、これもたしか十一日の総理答弁であったと思うんですが、新行革大綱はその辺でつくる、先ほど言いましたような。私がさらに具体的な実施計画についてはどうだという質問に対しては、一カ月程度でつくるんだというようにたしか総理が答弁したように記憶しておりますが、その点はそうでしょうか。
  163. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私どもは、この行政改革大綱に基づきまして、それぞれまた具体的な手順等をさらに決めていくようにいたしたいと考えております。
  164. 勝又武一

    勝又武一君 そうしますと、最大限尊重の新行革大綱になるといういまの長官のお話ですので一、二具体的にお聞きしてみたいんですが、たとえば、この間の本会議のときの私の定額郵便貯金の問題についての大臣答弁はどういう内容であったんでしょうか、郵政省、もう一度言ってください。
  165. 荒瀬眞幸

    説明員(荒瀬眞幸君) 定額郵便貯金の見直しにつきましては、利用者国民に深くかかわる問題でございますので、今後各方面意見を徴しつつ、十分慎重に検討すべき問題であるというふうに郵政省としては考えております。
  166. 勝又武一

    勝又武一君 この最終答申の方は何と言っているんでしょうか。
  167. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 臨調最終答申におきましては、政府事業のあり方全般にかかわる問題のうち郵政事業につきまして、御指摘の定額郵便貯金、この部分につきましては「事業の在り方と改善方策」ということで題しまして、「定額郵便貯金の商品性については、個人預貯金の分野における官民のバランス維持及び事業の健全性確保の観点から、その見直しを行う。他方、民間金融機関においても、預金者のニーズに対応するため個人預金の商品性の改善が図られるべきである。」と、以上のように答申しております。
  168. 勝又武一

    勝又武一君 これはきのうも通告してありまして、行管庁がいまのようなことでは、私ちょっとどうかというように本当に思いますよ。  郵政省、先ほどの十分慎重に検討するという表現ですけれども、これは率直に言って、十分慎重に検討するということから言って、いままでの過去の事例を見ますと、これでやられたことは一度もありませんよ。官庁でお使いになる十分慎重に検討するという言葉は、私たち常識的に言いますと、これはやりませんという意味だ、いままでの実例から言って。これをおやりになるという意味ですか。
  169. 荒瀬眞幸

    説明員(荒瀬眞幸君) 定額郵便貯金という制度につきましては、これは収益性あるいは流動性を兼ね備えておりまして、個人の貯蓄性預金としては最もふさわしい商品である、経営的に見ましても採算がとれるという商品でございます。  最近、民間金融機関におかれましても、定額郵便貯金類似の商品がいろいろ出されておりまして、期日指定あるいはビッグ、ワイド等々開発されておりまして、定額郵便貯金が格別有利であるというふうにはなくなってきておる状況下にもございます。  いずれにしましても、定額郵便貯金は国民に広く利用されておりまして、この見直し問題につきましてはやはり利用者国民の納得が得られるように十分慎重に検討すべきであるというふうに私ども目下考えておる次第でございます。
  170. 勝又武一

    勝又武一君 そうしますと、もう一度行管庁にお聞きしますが、いまのような郵政省の方針の中で二十四日のタイムリミット、それまでの間にいわゆるいまのような点での商品性を見直すという意味の見直すということが、先ほど言いましたような観点で、最大限尊重した中でこのことが新行革大綱の中に文字どおりこのとおりに盛り込まれることになりますか。長官いかがですか。
  171. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 定額郵便貯金の見直しという問題でございますが、どうも私どものところへ盛んにいま投書がいっぱい来るんですね。それによりますと、何かしら定額郵便貯金はもうやめるのかなという非常な不安感を持っていっぱい、たくさん手紙が来ているんです、一般の方々 から。私はこれは適当でない、この不安というか、そういうものは払拭していく必要が私はあるんじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、この定額郵便貯金の問題について新しい行革大綱の中にどういうふうにこれを盛り込んでいくのが適当であるか、非常にいま苦慮しておるところでございます。率直に私申し上げます。苦慮しております。  そこで、この問題については近く郵政省とも相談をいたしまして、国民があらぬ心配をしないように措置していくことがいま一番大事なことじゃないか、こう考えております。どういうふうな表現になるか、いまのところ申し上げることはできませんが、これは慎重な態度で臨んでいくということが私は適当であると、かように考えております。
  172. 勝又武一

    勝又武一君 これも本会議でも私も御質問しましたが、すでにある審議会委員会とこの臨調答申との関連の問題、先ほども矢田部委員もありましたし、私も本会議でしましたが、たとえば郵政でもございますね、郵政審議会。この郵政審議会、各方面意見を聞くという中の重要な一つのモメントである郵政審議会意向、これが臨調答申と反する方向を出した場合にはどうなりますか。あるいはそれと二十四日までに決めようというこの行革大綱の所管官庁としての行管庁、行管長官としてはその辺のバランスはどうお考えになっているんですか。
  173. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 臨調考え方と、先ほど来お話もございましたが、専門的な審議会との意見がある程度の食い違いがあり、そごを来すという場合も一般的には私はあり得ることだと思っております。そういう場合にどうするかということになりますと、先ほど来申し上げましたように、政府責任において総合的に判断をして最終的な決着をつけるということになろうかと考えておるわけでございます。  そこで、具体的な定額郵便貯金の問題につきましては、いままでの郵政審議会等の御意見も十分私は承っておりますし、それから臨調答申も承っておりますから、それを総合的に判断して新行革大綱の中にどういうふうに規定をするか、今後郵政当局とも十分調整を図っていくようにしていくことが適当である、こういうふうに私は考えております。
  174. 勝又武一

    勝又武一君 重ねて郵政省に伺いますけれども、電電公社の民営化の問題について、これも本会議質問もしましたが、もう一度郵政省の考え方を言ってください。
  175. 吉高廣邦

    説明員(吉高廣邦君) 電電公社の改革問題につきましては、昨年秋の閣議決定でございます行革大綱によりまして、政府・自由民主党行政改革推進本部常任幹事会において調整を進めることとされているのは御案内のとおりでございます。当省といたしましてもこの大綱に沿って対処することといたしておりますけれども、現在まだ調整が整っていない状況でございます。  臨調答申には御案内のように各般にわたる要素が盛り込まれておりまして、いずれも電気通信政策上重要な問題であると考えております。したがいまして、今後電気通信事業というものの中に国民生活に不可欠になっている電話を中心としたサービスをあまねくかつ公平に提供するとともに、低廉な料金で安定的に提供していくということと、もう一方、今後の情報化社会の進展の中におきまして電気通信の果たす役割りがきわめて大きいことを十分認識いたしまして、需要に応じた高度かつ多彩なサービスの提供が可能となるよう、電気通信の健全な発展を図ること等を基本といたしまして対処してまいりたいと考えております。
  176. 勝又武一

    勝又武一君 いまのは非常に抽象的で、答申案に対して電電公社はどういうように対処しているのか、公社の方はどういう意見を持っているのか、あるいは電気通信審議会はこの民営化の問題についてどういうことを言っているのか、もうちょっとそこを具体的に言ってくれませんか。
  177. 吉高廣邦

    説明員(吉高廣邦君) 電電公社が当事者としていろいろな意見を持ちまして、臨調の御論議の際に参考意見を述べていたことは承知いたしております。ただ、先ほど申しましたように、昨年秋の行革大綱の中で今後調整を進めていくという状況でございまして、私どもそうした方向で対処してまいりたいと考えております。
  178. 勝又武一

    勝又武一君 答申で言っています特殊会社とか五年以内の中央会社と地方会社への分割とか、このことがそうそう簡単にいかないんだということは、もはやいま電電公社なり、あるいは当面の組合である全電通なり、あるいは与党である自民党の通信部会の皆さんの御意向もいろいろの点で伝えられていますよね。しかも電気通信審議会と先ほどから言っていますこの答申との関連、この辺も二十四日までに片づくんでしょうか。一体どうなんでしょうかね、長官。
  179. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) この公社の機構改革も含めての改革ということは昨年の行革大綱に示されておるわけでございまして、それによりますと、いま開かれておりまする通常国会提案をするようにということでございましたが、関連するところが広いわけでございまして、意見の調整が十分でございませんから、いまの段階ではこの国会提案するというところまでいかなかったことは私は本当に遺憾だと思っております。しかし、さらばといって、この問題は行革を進める上においては避けて通れない私は重要な問題だと考えております。したがいまして、その中身は別といたしまして、やっぱり電電公社の改革問題というのは行革の中で取り上げていく必要があると考えておりますので、新しい行革大綱の中にどういうふうにその方針を打ち出すか、さらに今後郵政省とも御相談を申し上げて、方向だけははっきりと決めていくようにしたいものだと、かように考えておる次第でございます。
  180. 勝又武一

    勝又武一君 公社の改革案は答申ではたしか五年以内ですか、五年以内というような表現になっておりますね。この審議会は三年という時限立法ですね。これいろいろのことがみんな関係すると思いますけれども、電電公社の民営化問題に限定してみますと、たとえばこの審議会の役割り、任務を後でいろいろお聞きしますけれども、これで一例をとってみますと、一体五年以内にやれという第五次までの臨調答申に基づいて政府はおやりになるのか、三年以内の時限立法の中のこの審議会でこのことをまたいろいろ議論なさり、監視したり、あるいはまた別途のことを検討したり、つまり第五次までの臨調答申をこの審議会で変更しても電電公社問題について論及をしていくのか検討をするのか、この辺はどうなんでしょうか、長官。
  181. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 御指摘のように臨調答申では、電電公社の基本的なあり方問題、これについて五年以内という御答申をなすっていらしゃるわけでございます。片や、ただいま御審議をお願いいたしております臨時行政改革推進審議会、これは三年の時限立法ということでお願いしておるわけでございますが、この審議会におきまして電電公社のあり方問題について基本的に見直す、考え直すというふうなことは、先ほど来御答弁申し上げているように、私ども期待しているわけではございません。昨年の、五年以内に電電公社のあり方を基本的にこういうふうに民営移行しろというふうな臨調の御答申、これを最大限に尊重しながら、今後政府責任として、果たしてそれではどういうやり方で、どういう段取りで、どういう形態に持っていけばいいのか、臨調の御答申を尊重しつつ、その点について具体的な成案を得まして、これを場合により臨時行政改革推進審議会、新しく設置されるこの新機関に御検討、審議をお願いし、御相談申し上げながら、政府責任においてこの御指摘の電電公社改革問題について着々と進めていく、こういうことであろうかと、かように心得ております。
  182. 勝又武一

    勝又武一君 その最後のところからは長官、わからなくなってしまう。関係ないと言っている。第五次までの臨調答申に基づいた、五年以内に電電公社を民営化、改革せよというものに基づいて やるんだと、政府責任でやっていくんだと。ところが審議会の中に、何ですか、相談をし、報告をし、検討をして、見てもらうんですか。何にも関係ないんじゃないですか。何にも審議会が電電公社の改革問題に必要ないんじゃないですか。その具体的な内容を検討するのかと聞いたらやらないとおっしゃっている。私は、いま公社の問題、たった一つしか例を挙げませんけれども審議会本来の任務なり役割りの問題を考えた場合に、たとえば一例として電電公社問題を考えたときに、これは必要ないんじゃないですか。後段のところは何かつけ足しで、そんな感じを受けますよ。いかがですか。
  183. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 臨調答申のうちかなり重要な項目につきまして、政府の成案を得た段階あるいは政府の成案を得る過程の段階におきまして、臨調答申趣旨を尊重しつつ当然にそういった政府原案というものはつくるわけでございますが、その具体的な手順、進め方、優先順位、こういった事柄につきまして、御審議をお願いしております新機関にお諮り申し上げる、場合によりましてあるいは御意見をちょうだいするというふうなことは、これは今後新機関の具体的な運営問題として新機関発足後に決められる問題でございますが、あるいは大いにあり得るんじゃないかと、こういう意味で申し上げた次第でございます。  なお、一言答弁漏れがございましたんですが、この電電公社改革につきまして例にとりますと、五年以内、昨年の夏の答申でございますからこれから四年余りということになるわけでございますが、それとこの三年間の時限立法という関係でございますが、やはりこの三年の間に電電公社改革について何ら具体的な成案を得ないということでは当然ないわけでございまして、この問題も含め、臨調の一次から五次までの御答申全体にわたります——もちろん当面やっていかなきゃいけないような問題もございますし、あるいはかなり中長期を要するというふうな検討課題もございます。そういったもの全般につきまして、この新機関の三年間という期間内にめどをつけ、軌道に乗せ、動き出すというふうなことはやはりいたさなければならないんではないか、かように心得ておりますし、また臨調の第四次答申もそういうふうなお考えのもとに三年間というふうな時限を御示唆になったんではないだろうかと、かように考えておる次第でございます。
  184. 勝又武一

    勝又武一君 専売についてはどうでしょうかね、大蔵省。
  185. 金野俊美

    説明員(金野俊美君) 専売公社につきましても、昨年の七月臨調答申をいただいて以来鋭意検討を進めてまいっております。大蔵省、公社はもとよりでございまして、関係の省庁ともいろいろと相談を進めながら鋭意検討を進めておりますが、何分にもいろいろと影響の大きい問題でございまして、経営形態問題につきましてはより企業性の発揮しやすい形態というものを考えていく必要があるかと思っておりますけれども、他方で多数のたばこ耕作者の問題もございますし、小売店の問題もございますし、そういう人々への配慮ということもあわせて必要でございますので、総合的に現在検討を進めているところでございます。  しかしながら、何分にも明治三十七年以来の専売制度の根幹にさかのぼって見直すという大作業でございますので、今日に至るまで成案を得るまでには至っておりません。引き続き鋭意検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  186. 勝又武一

    勝又武一君 先ほど十分慎重に検討するという、郵政省に申し上げましたけれども、いまの同じように十分に鋭意検討するというのも、私は二、三日で結論が出るような表現ではないと思いますね。  そこで行管長官にお聞きしたいんですが、いま大蔵省も非常に私はやっぱり苦悩に満ちた答弁だと思うんです。率直に言って専売公社も反対でしょうし、たばこ耕作者も反対だ。こういう場合に、同じようにこれも二十四日までには行管長官、臨調答申が言っているような中身で全くまとめるということは非常にやはり無理があるんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
  187. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) この専売公社の問題もこれまた非常にむずかしい問題でございまして、その経営形態の変更を含めた公社の改革、さらにまた、たばこについてはたばこ耕作者の問題もあるし、それから小売店の問題等もあり、そこで、こういうむずかしい問題を控えておりましたために、昨年の行革大綱ではことしの通常国会にと、こう申し上げたわけでございますが、問題を解決することができませんので、これも今度の国会に遺憾ながら提出することができなかったわけでございます。  そこで、今後ともこの問題は非常にやはり私はむずかしい問題だと、かように考えておりますので、新しい行革大綱の中にどういうふうに今後の方向を打ち出していくか、私もいま苦悩をしておる最中でございます。しかし、これはもう全然放棄したんだというわけにはいきません。放棄しないそうした中でどういうふうに記載していくか、今後とも大蔵省とも十分相談をして調整を図っていきたいと、こういうふうに考えております。
  188. 勝又武一

    勝又武一君 教科書無償制度とか児童手当の廃止等につきましても、きょうは一々所管の当局にお聞きをしませんけれども、これも非常に大変な問題だというように思いますね。この辺については二十四日の行革大綱には、長官、この二つの問題はどう論及されるんですか。
  189. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) こういう補助金の問題につきましては、これはやっぱり五十九年度の予算編成の際に決着をつけるべき問題でございますから、具体的な項目は掲げないで五十九年度の補助金の整理、削減の中で決着をつけていく、こういうふうにした方が適当ではないかと、こういうふうにいまのところ考えておる次第でございます。
  190. 勝又武一

    勝又武一君 補助金問題はまた別途お聞きします。  それで、いままでこの既存の委員会審議会、これと今度の答申、このどちらをとるかという点についての、これも十一日の本会議での総理答弁も、きょう先ほどまでの矢田部質疑に対する長官答弁も大筋同じですよね。政策選択の問題であり、政府責任でどちらかをとるんだと、こういう表現だったと思うんです。これと、いまお聞きをいたしておりましたように、たとえば税調の問題が一つありますけれども、これもひとつ後にして、やっぱりそれぞれが独立したもので政府責任で政策選択するんだと、こういう答弁なんですけれども、もう一度重ねてお聞きしますが、政策選択ということになりますと、答申の方を選択しない、つまりやらない、そういう場合もあり得ますね、論理的には。
  191. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 先ほど来矢田部委員に対してもお答え申し上げたのですが、臨調答申と専門的な事項についての審議会との御意見がそごを来したり、食い違ったり、ニュアンスが違ったり、そういうふうなものが私は出てくることは否定はできないと思います。そういう場合にどうするかということでございますが、一般的には、具体的な問題が起こりましたときに政府が総合的に判断をして決定をしていくと、いまお述べになりましたような政策の選択をしていくと、こういうことになろうかと思っております。  しかしながら、私としては、行政改革大綱が決まりました後は、これは答申をできるだけ尊重しようという方針で恐らく新大綱をつくるわけですから、大綱ができました後は十分これを尊重して、よその審議会も尊重して行革一本で進んでいただくような方向で進んでいただくことが望ましいと思います。しかしながら、先ほどのように、食い違った意見が出ることがあるということは私は否定いたしませんから、その節は総合的な政策の選択として、統合的に判断をして政府責任で決めていく、こんなふうにいたしたいと考えております。
  192. 勝又武一

    勝又武一君 そこで、さらにそのことをもう少しお聞きいたしますと、私はこの段階で、両方の 委員会審議会ありますね——食い違ったと。食い違った場合に、政府は仮に、二十四日の日に新行革大綱を決めるので、それに基づいていま長官のおっしゃるニュアンスのように、ほかの委員会審議会にも相当強力に、そういうことをいろいろ政府なりの最大限の政治的な努力も重ねて臨調答申に沿うように努力をするんだというのならまた一つ考え方が生まれると思いますけれども、いまの場合ですと、ともかくやっぱり両方審議会があるんだからその両方の意見をお聞きをして政策選択するんだと、そうすると食い違う場合がある。そうすると行革三昧、行革内閣だと言っている中曽根内閣答申と食い違った政策選択をせざるを得ない場合もある、こうなりますね。そのときの政府責任というのは一体どうなるんでしょうか。
  193. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 先ほど来申し上げましたように、新行政改革大綱が決まりましたならば、その線に沿うて行政全般が動いていただくことを私は期待はいたしております。しかしながら、それでよその専門審議会を押さえ込むということはできないんですね。制度としてできません。しかしながら、私ども政府として、これだけ真剣に行革をやろうというのなら、その気持ちも十分理解してその線に沿うた意見が出ていただけるように望むことは望みたいと思っております。そしてまた期待もいたすわけでございます。しかしながら、残念ながらそれぞれのやっぱり独自性がありますから、専門の審議会から多少ニュアンスの違った意見が出るかもしれない、それは否定はできないと思います。しかしながら、そういう場合は政府が政策の選択によって最終的に総合的に判断して決めると、こういうことでございますから、政府がそれによって政府責任を果たすというゆえんになると私は思います。
  194. 勝又武一

    勝又武一君 先ほどからくどく郵便貯金とか電電とか専売とかいろいろお聞きしましたのは一つの事例にすぎませんで、あとは後でお聞きしますが、特に私は一番重要だと思うのは政府税調の問題です。これも私も予算委員会でいろいろお聞きをいたしました。そのときの竹下大蔵大臣の予算委員会での答弁も、臨調答申増税なき財政再建は哲学なんで、やはり政府税調の見解というのが大蔵省としては、大蔵大臣としてはその方にウエートを置いて考えるという趣旨の向きの発言がいろいろあるわけです。  だから、そういうことを考えますと、政府の政策選択が臨調答申と異なる場合が私はあり得るというように思います、いままでの討議経過から、予算委員会なりその他のいろいろの委員会での議論の中で。そのときに、それを私は政府責任でやるんだという点は、それはいい。どっちかに決着なさるんでしょう。ところが、行革最大限尊重という点とは食い違ってくるんじゃないんでしょうか。そのときの、中曽根行革内閣とおっしゃっているんですから、御本人が行革三昧と総理はおっしゃっているんですから、それが重要な問題でそういうことになったときには、やはり行革長官としてでなくて中曽根内閣として、この政治的な責任というのは私は大きいんじゃないかと思いますけれども、その辺は所管担当大臣としてはいかがでしょうか。
  195. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 中曽根内閣としては、行政改革は政治の最大課題であると、こういう位置づけをしておるわけでございますから、しかもまたこの行政改革答申等は行政制度全般に行き渡っておる問題でございます。したがって、政府のもろもろの活動というものがこの線に沿うて動いていただくということが政府としては一番望ましいことであり、そうあるべきものであると私ども考えております。したがって、そういう方向を比重に置いた政策選択になることは当然だと、私はそういうように考えております。
  196. 勝又武一

    勝又武一君 それから、これも先ほどの矢田部委員質問のときに長官がお答えになりました、行管長官としては財政再建というのは、あるいは矢田部さんの言葉をかりると、例の要調整額ですね、収支の膨大な差額、この分を埋めるには歳出カットなんだ、こういうように先ほど御答弁なさいましたが、本当に歳出カットだけで財政再建、つまりあの膨大な収支差額を埋められると、こういうように担当大臣としてはお考えなんでしょうか。
  197. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 財政の全体についての責任を負っているわけじゃありませんが、増税なき財政再建をてことして行政改革をやれというのが基本的理念でございますから、どうしてもやはり歳出を削減する、これは一つでしょう。それで歳出削減のいろいろな方策をこれから考えていかなけりゃならぬ問題だと思います。受益と負担との調整をどうするかという問題も出てきますね、それから国と地方との関係もどうするか、それぞれの分野をどう調整していくかという問題もいろいろ私は出てくると思うんです。そういうふうな歳出を減らす、その方法はいろいろまた考えなくちゃならぬ問題がたくさんあると思うんですが、そういう方向で進んでいくべきものである、私はさように考えております。
  198. 勝又武一

    勝又武一君 非常に抽象的なんですけれども行管庁としては、そうしますと歳出カットの具体的な中身、たとえば補助金でどうするとか省庁統廃合でどうなるとか、いろいろ国と地方の関係でいまおっしゃるようにありますね。それから人員削減をどうするとか、地方出先の例の統合問題がありますね、後でお聞きしようと思っておりますけれども、そういう具体的な問題を当然歳出カットということでいくというならば具体的計画を立てるべきですね。そうしないと、いまの御答弁だけではさっぱりわかりませんね、国民は。それは、そういう具体的な歳出カットの中身を行管庁としてはいつごろまでにお決めになるんですか。あるいはそういう計画はどういうように手順考えていらっしゃるんですか。
  199. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これは御承知のように、私どもの方は行政改革一つ方向というものを示していくわけでございまして、その方向に基づいて補助金をどういうふうに整理していくか、それは一年限りでできるものでもない、中期、長期的にわたるものもありましょう。そういう問題については差し当たり五十九年度の予算の編成の際に、具体的に五十九年度はこれだけの補助金の整理もありましょう、人員の削減もありましょう、機構の縮減による経費の節約もこうありましょう、こういうふうに決まっていくわけでございまして、その金額等についてはその年度年度の予算編成の際にこれをはっきり決めていく、こういうことになるわけでございまして、来年は幾らになる、その次は幾らだというようなことを私どもの方は決める立場にはない。やっぱり一つ行政改革をやる方向だけははっきり決めるということだろうと考えております。
  200. 勝又武一

    勝又武一君 歳出カットしかないんだとおっしゃらなければ別なんですよ。まだほかにもいろいろこういう方法があるんだ、こうなんだということでしたらそれはまだ別なんですけれども、ともかくもう歳出カットなんだ。そうすれば担当相としては、たとえば補助金の総額抑制ということだけですね、臨調答申は、たとえば補助金について見ますと。一体、総額抑制ということで補助金が抑制できますか。担当相としてはいかがですか。これ非常に臨調答申を具体的にやるためには、さらに補助金の具体的な削減計画というものを各省庁に指示するとか、あるいは閣議でその点を具体的に決めるとかやらなければ、各省庁にただ総額抑制しなさい、これだけでできるんでしょうか。
  201. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) ですから、先ほど来申し上げておりまするように、五十九年度予算編成の際に思い切った補助金の整理をやるとか、いろいろなものがそこで具体化していく、こういうわけでございまして、行政改革としては一つ方向を示すということであろうと思います。
  202. 勝又武一

    勝又武一君 いまの点は全く納得できませんけれども……。  もう一つ財政再建にかかわりまして、財政再建期間中増税しない、この点で大蔵大臣も総理も これも十一日の本会議質問の際に、大型間接税は指示も検討もしない、しておりません、こういう答弁で本会議も予算委員会も終始しているわけですね。ところが私は、本会議の際には、財政再建期間中絶対やらないかどうかという質問をしたわけです。それで本会議というのは、御承知のように一問一答式になりませんから、質問して答弁されっ放しということですからそれ以上できませんでしたけれども財政再建期間中、今度は行管長官としては答申にあります、増税はしない、こういうように私たち理解しておいていいんでしょうか。
  203. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 臨調答申にありますように、増税なき財政再建、これをてことして行政改革をやらにゃならぬ、こういうことを言っているわけでございますね。したがって、私は行政改革というこの大事業をやるには安易な増税なんか考えちゃいけない、こういうことだと思います、率直に言いましてね。したがって私は、この大事業を行うときに増税というものを考えてはならぬ、私はそういうふうに率直に受けとめていくべきであろう、こういうふうに考えております。
  204. 勝又武一

    勝又武一君 それから、これも先ほど行管庁としては財政問題は大蔵省だということなんですけれども、私はやはり臨調の最大の任務というのは、行政改革財政再建というのを決して切り離して考えていなかったと思いますね。また切り離して考えたのでは意味ない。だから、当然先ほどからお話がありますように、臨調としては財政再建ということを非常に重視をしてきた。だから、その観点からいけば、五十九年度赤字国債からの脱却という鈴木内閣の公約を、破綻はしましたけれども、鈴木内閣を継承した中曽根内閣とすれば、これは財政再建を最重要課題とする臨調考え方からいきましても、赤字国債からの脱却が八年後というのは余りにもひどい話じゃないか、総理や大蔵大臣の答弁だとね。これはやはり担当の、財政再建、行革を推進する行管庁としては赤字国債からの脱却ということをもっと真剣に前向きに短縮をして考えるべきだ、またそういうことを内閣に反映すべきだ、大蔵省等がそう言おうが。そう思いますけれども、その点はどうなんでしょうか。
  205. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 増税なき財政再建というのは、先ほど来矢田部委員にもお答え申し上げましたように、特例公債依存体質というものから脱却するということでございますから、私はなるべく早く脱却することが望ましい問題だと思います。しかし、財政当局では財政当局で景気動向等々いろいろな問題もありますから、何年にできるのか私もそれは具体的に明言するわけにいきませんが、なるべく早い期間に脱却していただく、私はさように熱望をいたしておりますし、さようにまた今後とも努力していきたいと考えております。
  206. 勝又武一

    勝又武一君 そこで、いろいろいまお聞きをいたしましたけれども、そういう点からいきますと、この審議会は一体何のためにつくるのかという点が私にはどうもまだ納得できない。もう一度、この審議会を何のためにつくるのか、設置目的は何なのか、第四次答申との関連はどういうように理解をしたらいいのか、国民にひとつわかるように説明してくれませんか。
  207. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 先ほど来お答え申し上げましたように、臨調の第五次答申というものは非常に広範囲にわたっております。この広範にわたっておる改革を具体的に立案をし実施をしていくということが一番大事なことでございます。ところが、臨調答申の中には具体的にそっくりそのまま法律案にしてもいいようなものばかりではないんですね。機構改革をこういう方向でやれとか、出先機関はできるだけ廃止して、そして現地処理機関は必要によったらつくってもいいよといったふうなものもあります。それから情報公開のように、これからまた諮問委員会みたいなものをつくって、そこで練り上げたらいいだろうというようなものもある。まあ、いろんなものがありまして、具体的でないものが非常に多いわけです。  そこで、その答申を具体的に立案をしていくということが作業として出てくるわけでございます。あとはもう政府が自由に何でもやってもいいもいうのでは私はないと思います。ですから、臨調の精神を生かしながら具体的な施策をつくっていく、その過程において行革に理解のある有識者方々の御意見も聞いて具体化する。そして、それを政府の案として採用するなら採用して、それを国会提案をする、こういう手順になろうかと思うのでございます。したがって、臨調答申具体化と申しますか具体化された立案、それについて調査、御審議を願う、こういうことだと思います。
  208. 勝又武一

    勝又武一君 そうすると、やっぱり第四次答申にありますね、実施状況を見守るとか政府行政改革推進するためにどういうようにやっていくのか、そのことの相談にあずかる審議会、そういう程度にしかならないんじゃないのか。幾ら心落ちつけて静かにお聞きしましても、どすんと落ちてこないんですよ、腹の底まで。もっと強力な、これとこれとこれを何としてもやるんだ、これを審議会としてやるから審議会を設置する必要があるんだ、こうなるとよく理解できるんですけれども、いまの長官の御答弁、先ほどの御答弁を聞いていますと、そういう程度にしかわからないんですけれども、やっぱりその程度のものなんでしょうか。
  209. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) その具体化について調査審議し、さらにまた意見を申し述べるというわけですから、その審議会がいろんな政府のやらんとしていること、行わんとしていることを十分お聞き取りいただいて、それはこれよりもこれの方が先でいいじゃないかとか、これはもう、少し怠けているじゃないかとかいうのがあっていいと思うんですね。そういういろんな意見の注文をつける、政府に注文をつける、具体化について。私はそういうことがあってもいいのではないかと思うのです。ですから、順序の問題もありましょう。これは急げよと、それからこれはもう少し慎重にしろとか、これは総合的にやれぬかとか、いろんな問題が私あると思いますよ。そういう問題について政府を鞭撻するというのもおかしいんですが、推進するんですね、行革推進という意味合いにおいて調査審議意見を申し述べる、私はこれは必要だと思うんです。そういうふうに私は理解をしておりますので、そのようにお考えいただければ幸せだと思います。
  210. 勝又武一

    勝又武一君 先ほども長官言われましたね、監視機関なんていう言葉を新聞が書いたけれども、そんなことじゃないんだと。こういうことなんでしたけれども、やっぱりいまの長官のお話を聞いていますと、政府が決定したことを見守る、決定したことの相談にあずかる、審議にあずかるということはやっぱりそういうニュアンス一つ。そこで突っ込んでお聞きをしますけれど、いやそうじゃなくて、臨調の第五次答申までのこととは全然違ってもいいから断固として独自の見解も決める、政府はこうすべきだ、こういうはみ出してやるということもあり得ますか。そういうことまでもこの審議会任務として持ちますか、持ちませんか。
  211. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) はみ出すかどうかということでございますが、第五次答申内容というものは行政制度各般にわたって非常に幅の広い内容についての答申ですから、それをはみ出るということがあるかないか私はわかりませんけれども、大体答申の枠の中に私はみんな入っていると思うんですよ。しかし、それには私はこだわりません。こだわりませんが、大体みんな非常に幅の広い問題ですから枠の中にほとんど入っていると理解しております。
  212. 勝又武一

    勝又武一君 それでは、これも十一日の本会議でこの関係を質問しましたときに、総理が私の質問に、これは例の八条に基づく審議会なんですよということをわざわざ断って御答弁になったんですね。そのことがよくわからないんですよ。なぜ総理はあのとき私の質問に、第八条なんです、第 八条に基づく審議会なんですと、この国家行政組織法の。あれをわざわざ御答弁になった意図、この審議会が八条だということをわざわざおっしゃった意図はどこにあったんでしょうかね。
  213. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) これは私も総理の御意図というのをつまびらかにする立場ではございませんので御容赦いただきたいわけでございますけれども、今回御審議をお願いしておりますこの新しい機関、この審議会、これは先ほど来御答弁申し上げておりますように、国家行政組織のシステムの面から見ますといわば典型的な調査審議機関であるわけでございまして、その意味で八条機関であることは疑いを入れないわけでございます。恐らく調査審議機関であるということを御強調になるために八条というふうなことをおっしゃったのではないかと、かように拝察する次第でございます。
  214. 勝又武一

    勝又武一君 そうしますと、臨調答申で言っています任務答申の方は三つ挙げてますね。そして、今度のいま皆さんがお答えになっていらっしゃるこの法案でできた審議会任務、これは全く同じなんでしょうかね。それともやはり法案作成の過程で第四次答申で言っている三つの任務とはやっぱり違ったものを期待してこういうように変えられたのか、変わっておりますね。この辺はどうなんでしょうか。
  215. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これは私は全然同じ三つの項目、委員会任務とされておりまする三つの内容法律という形になりますと完全に含まれていると私は理解しておるわけでございます。先ほども矢田部委員からお尋ねございましたこの答申の中の「委員会任務」の(2)はどこへいったと、こういうお話でございますが、(2)というのは「高い立場から提言を行う。」というわけですから、それは一項の中の「調査審議」にも含まれるし、それから三項の、独自に必要があるときは内閣総理大臣意見を述べることができると、こういうわけでございますから、法律文字として書くときにはこの法律を御提案申し上げている案の中に全部この委員会任務と称されるものは含まれていると、こういうふうに御理解いただいて結構だと思います。
  216. 勝又武一

    勝又武一君 この辺がやっぱり、さっきからお聞きしているんですけれども、どんと落ちてこないんですね、ずしんとおなかの中に落ちてこない、はっきり理解できない、そこにあると思うんです。だから、私は先ほどちょっとはみ出してという言い方をしましたけれども、非常に審議会の役割りと任務というのが不明確、はっきりしない。もっと端的に言いますと、いま皆さんがおっしゃっているような程度のものならば余り必要ないのじゃないか、そう言わざるを得ない。だから、本当にこの審議会が必要だということをもっと国民にわかるように、こういう任務をちゃんと持っているんですということを。いまの程度のものなら私は必要ないという意味は、政府責任で第五次までの臨調答申を御遠慮なくお進めになればいいと、やるならですよ。ただし、そのチェックというのは国会があるのだから当然国会の中の議論を尽くせばいいと、こう考えるんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  217. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) たびたびお答え申し上げておりまするように、答申内容具体化するために、行革に関心のある有識者方々の御意見を聞いてやるということは、私は政府行政を進める上において非常に民主的なやり方だと考えております。そして、そういうでき上がった法案を今度は国会提案して、国会で御審議をいただいて最終の決着をしていただくと、こういうわけでございます。各省でも行政をやるにはいろんなやっぱりたくさんの審議会を設けて各界有識者意見を聞きながら案をまとめていくというわけでございますから、私はこの点については必要性のあるものだと考えております。  それから答申の方の書き方は法律的ではないのでございますから、非常に行政改革の重要性というものを訴える意味において、この委員会任務等についても(1)、(2)といったふうに「高い立場から提言を行う。」というふうに言われておるわけでございまして、法律というものに書きますとやはりこの調査審議機関としての文字になってしまうと、こういうことだと思います。
  218. 勝又武一

    勝又武一君 この所掌事務としての「重要事項」とありますね。そうすると具体的にお聞きしますが、これはどういうことを指しますか。
  219. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) この「重要事項」は何かという御質問でございますが、これは実際問題としまして考えてみますと、やはりこの臨時行政改革推進審議会、この新機関が発足いたしまして委員先生方の合議によって決定されてくる。実際問題としてはそういうことではないかと心得ております。また、かたがた今後政府責任において推進していくべき臨調答申の諸事項、これにつきましての具体的な政策の立案動向、これとも関連するわけでございます。正直申し上げまして、具体的には発足後の運営問題ではないだろうかと、こう考える次第でございます。  ただ、ただいまこの法案を御提案申し上げております政府側の考え方といたしまして申し上げますと、この行革の課題というのは、先ほど来大臣からも申し上げておりますように、非常に臨調答申は広範多岐にわたっているわけでございます。この審議会、三年間の時限ということもかたがた含みまして、やはりその広範多岐な臨調提言の中でやはり重要な、とりわけ重要な諸問題につきましてひとつ重点的な御審議をお願いするという方向で期待していると、かようなことでございます。
  220. 勝又武一

    勝又武一君 そうしますと、いまの「重要事項」といううちで、これも先ほど矢田部委員質問とどうしても関連してまいりますけれども、できるだけ重複を避けますけれども、これによりますと、第三次の基本答申あるいは第五次の最終答申、これから見まして、総合調整機能を強化するため内閣機能の強化を図る、総合管理機能の強化を図る観点から総合管理庁(仮称)、総合企画機能の強化を図る見地から総合企画会議の設置、こういう問題がございますね。これも先ほどからいろいろ議論がありましたけれども、総合管理庁の設置、これについて先ほどいろいろございましたね、この点についてもう一度お伺いしますけれども、二十四日ですか、今度の新行革大綱までにこの具体的な中身というのはどの程度にまとまるのですか。
  221. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) この答申にありまする総合管理庁設置構想というものが提案されておるわけですが、その内容を見ますというと、人事管理機能、定員管理、組織管理、そうした機能を一本化していくということが望ましいと、こういう考え方で出ておるわけでございます。私自身は、行政管理庁長官である私としては、こういう機能を一本化していくということは非常に理解できる問題だと考えております。  そこで、これをどういうふうに成案を得るように努めていくかということが問題になるわけでございますが、この問題については、こうした精神を生かしたやり方で機構のあり方というものを考えていく必要があるんじゃないかということでございますので、何かしらそうした精神を尊重した方向をどういう形で打ち出していくか、これは総理府本府の方とも十分打ち合わせをし、調整を図りながら進めていきたいと考えております。どういう形になりますか、いまの段階でコメントすることはできませんが、私はこの精神というのは非常に望ましい考え方を持っているのではないか、こういうふうに考えております。
  222. 勝又武一

    勝又武一君 人事院総裁にお伺いしますが、いま行管長官からありましたが、いまのこの基本答申のうちの「現行の人事院の事務のうち行政の執行責任を有する内閣総理大臣が所掌することが適当と考えられる事務」「人事院の承認事項の整理・基準化の推進により各省庁が実施する事務について統一保持上必要な総合調整に関する事務」を含めて、こういう事務の具体的な問題については、人事院総裁としてはどういう御見解をお持ちになるのか。
  223. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 総合管理庁の所掌事務等を表現いたしまする場合に、ある過程で人事院の現在持っておる事務の一部を総合管理庁の方に移したらどうかというような御提言があった時期は確かにございます。ただ、その後いろんないきさつがあったようでございます。また、われわれも直接に臨調の方から御意見を求められまして、われわれの考え方というものを申し上げたというような事実もございます。  そこで、私が現在の時点で解釈をいたしておりまするのは、人事院の権限の中で具体的に申して法律その他の規定でもって総合管理庁ができた場合にそこへ移ってまいるということはないと思っております。ごくせんじ詰めて見てまいりますと、一つは研修の問題がございまして、研修についてはもう少しやっぱり人事院とそれから新しい機関というものとの間で密接な連絡を遂げた方がいいものがあるのではないか。現在、先生も御承知のように、合同主任研修というのがございまして、上級試験に合格した者を四月の初めに各省庁に配属いたしまする前に全部一堂に会して、若干合宿もやって、そして各省庁にこだわらない要するに全般的な政府の公務員としての心構え、一体感というものを養うようなねらいを持ちまして研修をやっております。  そのほかに、私のところで三つの段階に分けて係長研修、課長補佐研修、それから課長さんを対象にする管理者研究会というものもやっておるわけでありますが、そういうものの中でやはり政府立場としてもう少しこういう面もやってもらった方がいいじゃないかというような御意見もあるだろうし、そういう点は十分ひとつ連絡をとってやっていくことはいいのではないか。そのことは、私は具体的には御相談申し上げていくわけですから、そのこと自体はそんなことは要らぬことだとは申し上げるつもりはございません。  それからもう一点、いま先生がお述べになりました内閣としての各省庁の人事行政統一上、調整上必要であるというような事項の——これは人事局にもいまあるわけですね、新しく仮に総合管理庁ができればどういう形になるかしれませんけれども、そちらへ移るということになるんでしょうが、それの具体的な一つの適用の例として、現在人事院がいろいろやっておりますものの中で、たとえば各省庁の課長級の選考その他ですね、これはやっぱり政治的な中立性ということあるいは情実が入ってはいけないということでチェックしておりますが、そういうことで、やはり従来の経験上から見て、一定の基準を人事院が決めさえすれば余り細かいことで一々手続的に承認申請を出してというところまでいく必要もないものが出てきておることも事実です。  そういうことでだんだん各省に任しておりますが、任した事柄について各省庁としてはやはり足並みをそろえることが必要ですから、そういうことは現在人事局がやっていらっしゃいますが、そういうものが今後幅がある程度ふえる可能性はあろうと、それは人事院が行政の変化に従って各省庁にお任せすべきものはお任せするというものが出てくれば、それの統一保持上その仕事をやっていくということになるのではないかというようなことを言われておりますが、その程度のことでございまして、私といたしましては総合管理庁云々については、いま政府部内でどういう取り扱いをされるかということを検討中でございますので、これについてのいろんな批判は避けさしていただきたいと、こう思っております。  ただ、若干饒舌になって恐縮でございますが、私は、この公務員制度というものを考える場合には、いま行管長官言われましたように、やっぱり政府責任においてやる場合に、組織管理、定員管理あるいは人事管理、これを集中的、ある程度能率的にやっていくというのは一つのポイントであろうと思います、能率を上げるためには。それと同時に、公務員制度全般を考えまする場合には公務の特殊性、したがって公務員、その公務に携わる公務員にはやはり不偏不党で人材を集めていくという必要がございますので、それ相応の処遇はしてあげなければいけない。  それと同時に、やはり公務員としての立場からいろいろなむずかしい服務規定というものは遵守を願わなきゃならぬ。なかんずくその中では、これもいろいろ御議論のあるところですが、労働基本権というものの制約もある程度はやむを得ない。それは現行制度がそういうふうになっております。それだけにやはり職員の利益の保護、採用する際にはやっぱりいい人が採れなきゃいけませんからそれ相応の処遇をすると、そういうような意味の政治的中立性を確保するため、あるいは利益の保護を図るため、安んじて職務に精励し得る体制をしくため、こういう配慮は常に総合的にやっていかなきゃならぬ。やはり全般的に見て事を決する場合にはこれは忘れられてはならない視点ではないかと、これが私の基本的な立場でございます。
  224. 勝又武一

    勝又武一君 いま総裁おっしゃいましたように、やはり私も人事の公平性を確保するということがこういう組織機構の改編のときに忘れてならない観点だと思います。特に、労働基本権を持たない公務員でありますから、なおさら最後に強調された総裁の御見解のところを、ぜひ私は人事院としてもそこのところは一番基本に重要視して対処していただきたい。いまの総裁の最後のところですね、行管庁長官、労働基本権を持ってないんだから、その点の配慮というものを十分考えて公平性なり職員の利益、その問題のバランスですね、そのことは逸してはいけないという見解については、私はやはり行管庁長官のこの改編に当たっては慎重に、人事院の機能なり人事院の守備範囲を移行する場合ですね、そういう場合には十分考えるべきだと思いますけれども、この点の見解はいかがでしょうか。
  225. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 公務員のいろんな問題を考えるときには、労働基本権というものが制約されているということ、これを十分頭に入れて慎重な配慮をしなけりゃならぬということは、これはもう当然のことであると私も理解をしております。
  226. 勝又武一

    勝又武一君 幾つかの問題で各省庁をお呼びしておったんですが、もう時間がなくなりましたから最後に少しお聞きをしますが、たとえば基本答申の中で触れております国土にかかわる行政体制のあり方、あるいは国土庁、北海道開発庁、沖縄開発庁、こういう問題がございますね。この「沖縄開発庁については、統合の時期等について特殊事情を考慮する」、こうなっていますけれども、これも今度の新行革大綱の中との関連はどうなりますか。
  227. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 沖縄、それから北海道それぞれ、沖縄については特に沖縄振興開発特別措置法ですか、あれをさらに十年延長しなくちゃならぬといったふうな特殊な事情もあり、臨調答申の中にもその時期については慎重にという意見も述べられております。北海道についても特殊ないろんな事情があることは関係方面から十分承っておるわけでございますから、そういう問題をやっぱり慎重に考えなくちゃならぬということを頭に描きながら新行革大綱の中に位置づけていくと、こういうふうにしたいと考えております。
  228. 勝又武一

    勝又武一君 各担当省いらっしゃいますか。どうですか。
  229. 穂積良行

    説明員(穂積良行君) 国土庁といたしましては、この三庁統合の問題につきましては、かねてから、事柄が大変重要な問題でございますので、関係各方面意見を十分お聞きして対処してまいるという姿勢で参っております。
  230. 勝又博明

    説明員勝又博明君) 臨調答申におきましては、先生御案内のように、沖縄開発庁の統合につきましては沖縄の特殊事情を考慮するというふうになっておるわけでございますが、私どもといたしましては、統合は当面見送ることにいたしまして、その時期については別途検討するという趣旨だというふうに理解しておるわけでございます。  現在、新行革大綱を御検討中でございますが、沖縄開発庁の統合問題につきましては、ただいま申し上げました臨調答申の次第もございますし、 また復帰後十一年という短い期間でございまして、今後ともなお厳しい沖縄の事情にかんがみまして、振興開発計画を策定し、その執行活動を推進していくという事業がございますので、この振興開発計画の達成状況等を十分見きわめた上で統合問題については慎重に検討する必要があるのではないかというふうに考えております。
  231. 楢崎泰昌

    政府委員(楢崎泰昌君) 臨調答申の統合問題につきましては、私どもといたしましては、北海道が全国土の五分の一を占める地域でございますし、また豊かな国土資源に恵まれた地域でございまして、二十一世紀に向けて開発可能性を十分に有する地域であるというぐあいに考えております。また、北海道の道議会初め二百十二の全市町村が北海道開発庁、国土庁等々の統合について反対の決議をしている等々の特殊な事情もございまして、私どもとしましては関係方面意見を十分聞きまして対処していきたいというぐあいに考えておる次第でございます。
  232. 勝又武一

    勝又武一君 先ほど総理府にお聞きしませんでしたけれども、総理府は先ほど行管長官答弁されていましたけれども、どうですか。
  233. 手塚康夫

    政府委員(手塚康夫君) 私ども、先ほど行管長官も答弁されましたように、総合管理庁構想と申しますのは、人事管理機能それから組織・定員管理機能、この二つの機能の連携をもっとやれと言っているのではないかと理解しております。現在でも、たとえば省庁間配置転換、こういったものについては行管と総理府、さらには内閣も三者共同して行っているところでございますが、それではまだ不十分かという御指摘かと思います。そういう意味ではそういった連携を強化するという趣旨はわかりますが、どういった方策が最も妥当、適切であるかという点については、さらに政府部内で十分論議を尽くしていかなければいけないのではないかと、このように考えております。
  234. 勝又武一

    勝又武一君 時間もなくなりましたので、この幾つかの機構改革部分のうちの一つといたしまして、特殊法人の役員の問題がやはり論及されておりますね。この特殊法人問題で、これは五十四年十二月の閣議了解ですか、五十五年四月以降任期を満了した特殊法人の役員を補充しない方法で三年間に常勤役員総数、これが五十四年一月現在総役員七百九十七人、この一割を縮減することとし、臨調の第一次答申では、この計画を強化し五十九年度末までに二割縮減することを求めている。この実態は現在どうなっているんでしょうか。
  235. 中村徹

    説明員(中村徹君) ただいまお話のございましたように、五十四年十二月の閣議了解があったわけでございますが、臨調の第一次の答申によりまして「現行の縮減計画を更に強化し、各特殊法人の業務内容、職員数等の実態に応じて、昭和五十九年度までの間に常勤役員総数のおおむね二割を縮減する。」と、こういうことでございます。したがいまして、五十九年度まででございますので、五年間に二割縮減するということでございますが、五十七年度までにおおむね七〇%の縮減を実施いたしております。したがいまして、今後二年間に目標を達成するようにさらに努力してまいりたい、かように考えております。
  236. 勝又武一

    勝又武一君 これは第一次答申でしたか、例の、皆さんは余り耳ざわりがいい言葉でないんでしょうけれども、いわゆる天下り役員という問題ね。この全役員の半数以内にとどめるという、私など個人的には全然別の見解を持ちますけれども、さしあたって決まっている半数以内というこの五十四年十二月の閣議了解ですか、この辺の実態はどうなっていますか。
  237. 中村徹

    説明員(中村徹君) 五十四年十二月の閣議了解によりまして、「国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標とする。」ということで進めておるわけでございます。臨調答申によりましては、その趣旨を徹底するということになっておるわけでございますので、この方向で今後も進めていくつもりでございますが、五十八年の四月一日現在におきまして、常勤役員数のうち国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者は五五・三%になっております。
  238. 勝又武一

    勝又武一君 機構改革部分等についていろいろ細かくお伺いをいたしましたが、この質疑を通しましても、あるいは内部部局の再編の問題等についてはもはや触れる時間がなくなりましたのでやめますけれども、私はやはりきょうのいろいろの質疑、御答弁の中でまだ何としましても、いまの皆さんの御説明ではこの審議会の重要な任務というのは全くわかりません。目的もわからない。ぜひひとつ後の討議の中で、いろいろといまお聞きいたしました二十四日に決めるであろう新行革大綱の具体的な中身というのは大体見当がついてきたような気がするんです、この程度では、正直言いまして。そうして非常に臨調答申の中身とは、具体的に幾つかお聞きした諸問題について、かけ離れてくるんじゃないかという心配も一つ持ちます。そういう意味で、この審議会が何を一体やるのか、そしてまたもっと、私が最終的にお聞きをした答申最大限尊重するという政府責任の問題、この辺の問題を二十四日までにどの程度までに盛り込んでもらえるのか、この辺を最後にひとつお聞きをして、きょうの質問を終わりたいと思います。
  239. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 新行政改革大綱は、第五次答申を中心として政府がこれを逐次実施に移していく方向手順等々について、より具体的なものとして記載できるように今後とも一層努力をし、答申最大限尊重という実を上げていきたい、かように考えておる次第でございます。
  240. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後一時二分休憩      ─────・─────    午後二時一分開会
  241. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、臨時行政改革推進審議会設置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  242. 野田哲

    野田哲君 まず齋藤長官に伺いたいわけですが、これは齋藤長官に伺っていいのか、本当ならばこれは土光さんに伺いたいんですけれども、もう私人になっておられるわけで、私の伺いたいのは、この臨時行政調査会が三月十四日に広範にわたる最終答申を出されたわけで、これはまさに国政全般にわたる改革のための答申を出されているわけです。三月十五日には、これを出した臨時行政調査会というのは法律によって期限が来て消滅をしたわけです。  ところが、この行政改革に対する第五次答申、これをずっと目を通してみると、この答申の意図とか、あるいはきわめてあいまいな表現になっているところとか、ただしていかなければならない、ただしたい問題点というのがいっぱいあるわけなんです。それを聞かなければならない臨時行政調査会という、この答申を出した機関といいますか行政組織、これは消滅してしまって答える組織も人もいない、こうなっているわけですが、長官はここに書かれていることすべてにわたって、これは一点の疑念も持たずに、また臨時行政調査会の方に尋ねる必要もないほどこの中身はすべてにわたって明快にこれを理解できますか。
  243. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 仰せのごとく、三月十四日に最終答申が出され、十五日にその存置期限が切れまして解散になったわけでございます。  そこで私どもとしては、もちろん、土光さんこのときはどういうお気持ちでこういう文字になさったんですかとかいうことを聞くすべはございません。土光さんばかりじゃなくてその他の委員方々にも聞くすべはないわけでございますが、この答申につきましては、ですから私どもはできるだけ答申文字——答申文字といいますか、その文字にあらわれておる趣旨、そういうものを尊重しながら実行に移していくという以外にはないんではないかと、私はさように考えております。  それからまた、従来とも臨時行政調査会のいろんないままでの累次の答申等につきましても、私は相当明確に、まあ抽象的なところもあるかもしれませんが、私は十分理解できる内容を持っていると、かように考えておる次第でございます。
  244. 野田哲

    野田哲君 これから行革ということで、もう聞くすべがないこの答申をもとにして行政改革の議論をしていかなければならないということになるわけですが、政府の方は恐らくこれによって我田引水、都合のいいところだけはこれは臨調がこうおっしゃったということでにしきの御旗にされるでしょうが、しかし国民にとっては、これはこのまま受け取りかねる、あるいは真意は一体どこにあるんだろうか、いろいろただしたいことがいっぱいあるわけであります。  そこで、もう一つ齋藤長官に伺いたいわけですが、行政の継続性ということの意味なのかどうか私どもには意味はわかりませんが、いま提案をされている臨時行政改革推進審議会の会長についても、土光さんにずいぶん総理ばかりでなく齋藤長官御執心なようでありまして、追っかけ回されているように新聞で報道をされているわけでありますが、この点いかがですか。
  245. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 皆さん方の御賛同を得てこの法律案が成立いたしました後において会長以下委員の人選を進めていかなければならぬと考えておる次第でございまして、いまの段階におきましては会長の人選も委員の人選も白紙でございまして、どちらにも折衡をいたしておりません。法案が成立いたしました後において、この法律趣旨に従って有識の方々、七人の方々にお願いをしまして発足をさしたいと、こう考えておる次第でございまして、きょうの時点におきましては私は何の動きもいたしてございません。新聞ではいろいろ推測のことで書いておりますが、私自身何も動いておりませんし、総理も何も動いておりません。白紙で臨んでおる次第でございます。
  246. 野田哲

    野田哲君 私は、ずっと内閣委員会審議をいままで担当してまいりましたし、それから一昨年来行革問題が大きな課題になって、一昨年は秋の国会行政改革のための特別委員会理事を務めてまいりましたし、それから社会党の行政改革問題についての担当をしてまいりましたが、そういう経過、経験からして、この行政改革の問題についての臨時行政調査会の会長を務めてこられた土光さんについて、この方のそれなりの識見なりいろんなキャリアというものについて私どもはそれなりの敬意は持っているわけでありますけれども、ただ、こういう大仕事の臨調という問題について、いままでは臨時行政調査会の会長を務めてこられたわけですが、これから先さらにこの問題の最高の責任者といいますか、このいま予定をされておる審議会、この法案が通れば再度会長にという、いま長官は白紙だと言われましたけれども、新聞等によって既成事実はだんだんできつつあるやに私どもは受けとめるわけですけれども、果たして私はこういう仕事の責任者を務めるということについて適任かどうか、こうなってまいりますと疑念を持たざるを得ないんです。  虚像と実像ということになれば少し失礼な言い方になるかもわかりませんが、少し政府や与党やマスコミの方で虚像をつくり上げているのではないかという疑念を端的に指摘といいますか、表明せざるを得ないわけなんです。余談ですが、NHKで放映をされた目刺しを食った場面なんというのは担当者の演出によるものだという話も聞いたわけですがね。  なぜ私がそう言うかといいますと、私も何回か行革の問題で党のメンバーの一員として土光さんなり臨時行政調査会の委員の皆さんとも会いました。それから行政改革特別委員会審議の際にも臨時行政調査会の方々に出席を願って意見を聞く、こういう機会を持ちました。しかし、そういう際に臨時行政調査会の事務局の方が私どもにどういう根回しをされたかといいますと、土光さんはもうお年寄りですから、初めのあいさつだけで土光さんへの質問はひとつどうか遠慮してもらいたい、答えは圓城寺会長代理なりあるいは瀬島さんの方から答えますからそれで了解をしていただきたい、こういうことで、ずっと私が行革問題について社会党で担当し、委員会を担当しておりましたけれども、ついに臨時行政調査会の会長をされている間に土光さんからじかに見解を聞く機会は一回もなかったわけなんです。  そういうことで、なおかつこれから先も土光さんの名前を利用してこの審議会の会長にということであるとするならば、私は余りにも国民に対しても虚像を利用し過ぎるんじゃないか、こういうふうに言わざるを得ないわけでありますけれども、これは長官いかがでしょうか。
  247. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 土光さんが臨調の会長として二年間、本当に真剣に御努力いただいたことに対しては、私としては非常に深く敬意を表し感謝をいたしておるわけでございます。  そこで、今度の御審議いただいておりまする臨時行政改革推進審議会の会長をどなたにお願いをするかということについては、いまのところ全然白紙でございます。したがいまして、この問題については私はお答えすることを差し控えさしていただく次第でございます。
  248. 野田哲

    野田哲君 国会審議の場で直接自分が答申をしたことについての見解が述べられないような方は、いかにかつてりっぱな業績を上げられ、識見を備えた人であろうとも、残念ながら適格性を欠く、私はこういう見解を表明しておきたいと思います。  そこで、次の問題に移りますが、また一つ新たな審議会が設置をされようとする、そういう法案が提出をされているわけですが、この臨時行政調査会自身が答申をしている各般にわたる答申の中で、審議会という問題に触れている項がございます。「各種審議会等については、行政機構の簡素化、行政運営の効率化、行政責任の明確化等の見地からその在り方を全面的に見直すとともに、委員の一層適切な人選の確保等によりその活性化を図る。」と、こういうふうに答申をされているわけでありますが、これは政府委員でも結構ですけれども審議会については全面的にそのあり方を見直せ、委員の一層適切な人選の確保を図れ、活性化を図れ、これはもっとわかりやすく言えばどういうことなんですか。審議会の数を減らせということなのか、あるいは人選についてはどういうことを言っておられるのか、これについてどういうふうに受けとめておられるか、まず承りたいと思うんです。
  249. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 野田先生指摘のように、審議会について臨調最終答申指摘されている部分はきわめて抽象的に相なっております。これにつきましては、もうすでに先生御案内のように、政府におきましては過去数回にわたりまして審議会の整理再編成、さらには審議会委員の数の縮減、あるいは審議会委員人事の基準化、こういった事柄についてやってきているわけでございます。こういった事柄につきまして、さらにもう一度全面的に見直して審議会の合理化を図り、さらに委員選任の合理化を図れ、かような御趣旨で御提言があったと理解しております。
  250. 野田哲

    野田哲君 各種審議会について全面的に見直せ、あるいは委員の一層適切な人選の確保を図れ、こういう意味のことを言っておられるわけですが、政府自身もいままでこの問題については何回か議論になって、この委員会でも答えられたことがあるわけですが、この行政改革推進のための審議会と各種審議会の関係について午前中の矢田部勝又委員質問とも関連をするわけですが、重ねて承っておきたいと思うんですが、いま法律に基づくこの種の審議会——この種といいますか、国家行政組織法の八条ですか、これに基づく審議会というのは幾つあるんですか、二百をかなり超えていると思うんですが。
  251. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 仰せのとおりでございまして、ただいま現在におきます審議会等の数は二百十一でございます。
  252. 野田哲

    野田哲君 昭和五十年の資料によると二百四十六でありましたね。だから、それから比較をすると三十幾つの委員会審議会が減っているわけで すが、昭和五十年のときと比較をしてみますと三十ばかり減っているんですが、これは長官、どういう形で減っているかといいますと、いままで二つあった審議会を名前を並べて一つにして、そして部会を分けるとか、そういうやり方で減っているんであって、実際はちっとも減っていないんですよ、これ。ほとんど減っていない。  そこで、もう一つ伺いたいんですが、大臣の私的諮問機関というのがいま現在どういうものがあるわけですか。
  253. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 現在、各省大臣のいわゆる私的諮問機関でございますが、こういった私的懇談会の数は手元の資料によりますと四十三ございます。  その内訳を申し上げますか。
  254. 野田哲

    野田哲君 ちょっと読んでみてもらえませんか。
  255. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 内閣総理大臣関係でございますが、老人問題懇談会、婦人問題企画推進会議、栄典に関する有識者会議、物価安定政策会議、国民経済計算調査会議等たくさんございますが、それから総務長官がらみの問題でございますが、公務員問題懇談会、戦後処理問題懇談会、退職手当制度基本問題研究会、これはむしろ非常に専門的、技術的な見地のものであろうと思います。公取では独禁懇話会、独禁法研究会。科技庁では放射能分析評価委員会、原子力軍艦放射能調査専門家会議、こういったたぐいでございます。
  256. 野田哲

    野田哲君 いや、もう結構です。これは後でその四十三を表にして私に提出していただけませんか、それで結構ですから。
  257. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 後ほどお手元に差し上げます。
  258. 野田哲

    野田哲君 大臣の私的諮問機関だけで四十三。それ以外にも何かありますよね、どうですか。
  259. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) たとえば、局長が諸般の有識者の御意見を伺うために時に応じ必要に応じて御参集をいただいたり、あるいは場合によりましてある課でもって非常に専門的、技術的な今後の政策立案を行うために専門家の方々の御意見を聴取したり、こういったものはかなりあろうかと存じますが、その詳細については把握しておりません。
  260. 野田哲

    野田哲君 この私的諮問機関については、当委員会行政機構問題、各省設置法の問題等を審議する際に、何回か私的諮問機関は遠慮しろという議論にこたえて、政府も遠慮しますと、こういう見解を表明された経過があると思うんですが、行政管理庁はその経過は承知されているはずだと思うんですが、いかがですか。
  261. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) ただいま野田先生指摘のように、昭和三十六年でございますか、続きまして昭和三十八年に内部的ないわば一つの見解というものを打ち出した経緯もございますし、また最近でございますと昭和五十七年でございましたか、これはほかならぬ野田先生の御指摘が当委員会でございまして、その結果も含めまして当時の長官が閣議で発言をした経緯もございます。承知しております。
  262. 野田哲

    野田哲君 齋藤長官、いまお聞きのとおりで、法律に基づいて、国家行政組織法の八条なりあるいはいろんな法律に基づいて設置された審議会等、これは私ども責任があるわけです、その法律審議をやっているわけですから。それが現在二百十一ということなんです。恐らくこれは国鉄再建監理委員会はこれへ入っていないと思う。今度のも入っていないから二百十三になるわけですね、これが成立すると。整理統合して減らすようにしましょうと言いながらこれはちっとも減っていないし、減ったように見せかけているけれども、実際は、一つの省で同じケースの審議会が二つあるとそれをくっつけて、名前を別々の名前であったものを縦に並べて一つにして減ったように見せかけているという例もかなりあるんですがね。  そういうものとは別に、政府でも国会でもそういうものはつくりなさんなよということの意思統一がされた私的諮問機関が四十三もあるわけですね。しかも、その私的諮問機関がどういう形で運営されているかといいますと、私の承知しているごく最近の例でも、法律に基づいて設置されている審議会の方の諮問を経ないで、私的諮問機関の方の答申によってここに法律を出してくる、こういう例があるんですよ。こういうずさんな、そして審議会を隠れみのにしたり、審議会がうまくなければ審議会は棚上げにしておいて私的諮問機関の方で実際は処理をやっている、こういういまのやり方について齋藤行政管理庁長官としてはどういうふうに受けとめられますか。
  263. 門田英郎

    政府委員門田英郎君) 野田先生指摘の、私的諮問機関と申しますか、こういった懇談会の問題につきましては、やはりこれは通常の、法律に基づいて国家行政組織法八条に位置する機関として設置されました審議会と違いまして、審議会の方は合議制機関としての公の意思を決定する、こういった機関であるのに対しまして、こういう私的懇談会がいやしくもそれと紛らわしいような運営がなされるべきではない、あくまでも個々の有識者の御参集をいただいて御意見をちょうだいするというにとどまるように運営すべきである、こういうことは私どもかねて各省庁に申し上げておるわけでございますし、かたがた、最近におきましては閣議におきましても、先ほど御答弁申し上げましたように、行管庁長官から閣僚各位に御注意をお願いしているということでございます。
  264. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 行政組織の上で審議会の数が二百幾つ、私も本当にこれは多過ぎるなという感じ、私率直に言いますよ、率直にお答えいたしますが、本当に多過ぎると思いますね。  どうしてこんなにふえたのかといいますと、いつも言うてくるのは、行政の民主化のために有識者意見を聞かなければならぬと、こういうのが大体決まり文句で来ておるわけですね。整理しようと思いましてもなかなかこれ、各局で一つや二つ持たにゃいかぬというような風習が出てきているんですね、いま。私は本当に残念なことだと思います。だから、私は今後ともやはり審議会というものは本当に数をできるだけ整理していくということは必要だと思います。  それと同時に、私的の審議会というのは——懇談会といいますか、これはやはり公の権威を持った審議会ではなくして、その委員方々が集まっての意見の交換の場程度なんですね。ですからそれを常設的につくる必要があるのかないのか、必要なときにそういう数人の人にお集まりいただくというやり方の方がやはり本当じゃないだろうかなという、いま御質問を承りながら私はそんな感じをいたしております。やはり審議会と仮に言うのならばそれは権威のあるものにすべきであって、あとはもう個人、私的懇談会というんですか審議会というんですか、それは数人の人にその都度集まっていただくというやり方に切りかえていくというのが本当じゃないかなと。常設的にそういうものを置いておくというのは適当かどうか、私も非常にその点は、野田先生も同意見かどうか知りませんが、疑問を持っておる次第でございます。
  265. 野田哲

    野田哲君 私も長官と同意見なんで、特に私的諮問機関というのは、これはいま全部局長から聞かなかったですけれども、四十三の私的諮問機関をよくしさいに検討すれば、国家行政組織法八条によって設置されている二百十一の公的な審議会に必要に応じて諮問すれば済むような、そういう重複した私的諮問機関がかなりあるんじゃないかというふうに感じるわけです。  そこで、次の問題に入ってまいりますが、いま審議しているこの法案が成立をして審議会が発足した場合に、どのような運営が行われていくのかという点で私はかなり疑念といいますか心配をしているわけです。午前中も矢田部委員からもそれに関連した質問がありましたが、私は、第二次臨時行政調査会のような運営がずっと今度の審議会でも踏襲をされるとするならば、それは密室の協議である、国民に閉ざされた審議、協議、こういう印象を持たざるを得ないわけであります。  具体的に言えば、臨時行政調査会の実質的な中 身を詰めていった部会、そして最終的に臨時行政調査会としての意思決定を行った委員会、この会議がまず非公開で行われている。そして、その議事録なりあるいは審議の過程を示すメモさえも公開をされてない、されない。国会が要求をしても出さない。この間、国鉄監理委員会法案審議をする運輸委員会で要求をしても、これは出されない。これではまさに密室の審議、こういうふうに私は言わざるを得ないわけです。  なぜ審議の経過が公開をされないのか、なぜ審議の経過を記録した議事録なりメモが公開をされないのか、大変に私は疑問に思っているんですが、そのことをただす相手はもういないんですがね、これはどうすればいいんでしょうか。
  266. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 臨調ができました最初のときに、行政改革をやるにはやっぱり自由濶達な意見をみんなでしようと、それを保障しようというふうなことで当初非公開ということを決定したわけでございます。その後承りますところによりますと、部会には速記録というものはなく、議事録というものも正式なものはないようでございます。しかしながら部会等におきましては、審議のその都度できるだけクラブの諸君にはその内容等を新聞記者会見ということで発表をしておったようでございまして、私自身も実は部会で何を議論しておったか知りませんし、聞こうとも私はしておりませんでした。そんなことでございまして、臨調の運営の当初において、自由濶達な意見を保障し、できるだけ活発に議論をしていただきたいと、こういうふうなことから私は非公開ということになったものと考えておるわけでございます。  そこで、今度皆さん方に御審議を煩わしておりまする審議会の今後の運営はどうなるのかということでございますが、私の方からとやかくのことを申すべきものではない。やはり審議会が発足いたしましたその時点において、委員方々の御意見によってどういう運営をしていったがいいか、そちらの方でお決めいただくというのが筋ではないか、かように私は考えておる次第でございます。
  267. 野田哲

    野田哲君 この答申の中では、公開の精神を徹底して情報公開の充実に努めなさいと、こういうふうに言っているんですよ。答申では公開の精神を徹底して情報を公開しろと言いながら、自分のところは公開しない、情報は秘密にする。これはどうも私はきわめて片手落ちな答申になっているのじゃないか、こういうふうに思うわけです。  さらに、これは事務局といいますか行政管理庁といいますか、何しろ相手が答申を出した後なくなっているんですからこれは聞きたい適任者がいないんですが、いろいろ部会をやり、委員会をやった経過のメモとか、あるいは公開されないまま記録があると思うんだし、それから各省庁あるいは民間等も含めてかなり膨大な資料が集まっていると思うんですが、大体どのぐらいの資料が集まっているんですか。
  268. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 臨調の二年間にわたる審議の間におきまして、その審議の議事録でありますとか、あるいはその審議におきまして議論されました資料はかなりの量になろうと思いますが、数的に量でちょっと私も把握しておりません。
  269. 野田哲

    野田哲君 これらの集めた資料は、私は国民にとっては大変貴重な資料だと思うんだし、私どもも機会があればぜひ一遍見せてもらいたいものだと思うようなこともあるんですが、これはどこが責任を持って管理しているんですか。
  270. 竹村晟

    政府委員(竹村晟君) 議事録等の整理でございますが、役所といたしましては行政管理庁が現在担当しております。これは臨調に出向しておりました職員の大部分行政管理庁から出ておりまして、引き続く資料の整理につきましては併任を解除した形でその職員が当たっていると、そういう状況でございます。
  271. 野田哲

    野田哲君 さらに、これから発足した場合の審議会の運営に関連をして、いままでの臨調行政調査会の運営が非公開であり、非常に機密性を持っていた。こういうやり方とあわせて、私はこの臨時行政調査会の答申が作成をされていく過程を見ていると、本来ならば、臨時行政調査会が行政改革提言を行うということであれば、現実の政治あるいは行政システムからは距離を置いて全く白紙の立場で日本のこれからのあるべき政治課題とか、あるいはそれを進めていく行政システムというものを検討していくということであるべきだと思うんですが、そうではなくて、現実二年間の状態を見ていると、結局は財政再建のための行政のスクラップあるいはびほう策、これに追われてきたのではないか、そしてそのスクラップの対象は政治的な声の薄いところへ全部集中されてしまったと、パワーのある声は非常に尊重されたと、こういうふうな形の非常に偏った内容、運営になっているのではないか、こういうふうに指摘をしなければならないと思うんです。  そこで、これからの発足した場合の審議会の運営について、これは発足した場合に委員の皆さんで決められるんだろうと思うんですが、私は産婆役をされる齋藤長官あるいは中曽根総理大臣に要望しておきたいと思うんですが、まず一つは、密室性を排除して国民に開かれた運営をやってもらいたい。それから二つ目は、政治的にも公正中立の立場を守ってもらいたい。こういう非常に強い希望、本来なら私どもはこういうものは必要ないと思っているんですけれども、発足した場合の運営について見解を持っているわけですが、長官の方で何かこれについて御見解があればお答えいただきたいと思います。
  272. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) この審議会が成立いたしました後に委員方々でそういう運営問題をお決めいただくと、こういう方針は私は貫いていくべきだと考えております。役所側の方でこうしたがいいでしょう、ああしたがいいでしょうということは言きべき性質のものではない、私はさように考えております。  それから第二点は中立性、これは私は非常に大事なことだと思います。でございますから、委員の人選に全然まだ着手はしておりませんけれども、あくまでも中立性を守った意見を出し得るような人をお願いしなくちゃならぬではないだろうかというふうに私は考えております。  それから同時にまた、こういう審議会でございますから、中立性を守るといたしましても、やっぱりそれぞれの委員方々はいろんな意見をお持ちだと思うんですね。だから、その自由濶達な意見が吐露されるような場にしていくということがやっぱり一番、それは公開するとか公開しないとかいうことは別問題としまして、日本の将来の行政についての貴重な意見がそこで出されるわけですから、自由濶達な意見が保障されるということが一番大事なことであり、そしてまた中立ということだと、私はさように考えておる次第でございます。
  273. 野田哲

    野田哲君 人選について生臭い話を伺いたいと思うんですが、先ほど土光さんを追っかけているんじゃないかと言ったらまだ白紙だと、こういうふうにお答えがあったんですが、委員の数ですね、初め私どもが漏れ承るところでは構想としては五人であった。それが七人という形で提案をされているわけですが、五人が七人になったいきさつというのはどういうことなんですか。
  274. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) この第四次答申では委員若干名となっておるわけでございます。そこで、若干名というのについて、恐らくこの臨調答申審議する段階において——新聞でも私拝見したんです。五人くらいがいいんじゃないかといったふうな説があるというふうな話は聞いておりました。新聞では見ておりました。しかし私は、初め五人と考えて七人にふやしたというそんなつもりは全然ございません。この行政改革というのは非常に国民生活に関連した多くの問題を審議していただくわけですから、やっぱり各層からできるだけ有識の方々に入っていただくには、私は初めから五人と考えたことないんです、本当を言いますと。まあ七人くらいが適当ではないか。従来の臨調は九人でございましたから、九人じゃちょっと多過ぎやしないかな、七人くらいがいい ところかなというふうに考えて、政府部内で相談いたしまして七人にいたしたわけでございまして、初め五人ありきということはなかったと、かように御承知をいただきたいと思います。
  275. 野田哲

    野田哲君 初めに五人ありきではない、七名だと、こういうことですが、そして臨調委員は九人であった、九人では少し多いかなと。  そこで、何かこれも風聞かどうかわかりませんが、聞けば長官はそうじゃないとお答えになるだろうと思うんですが、臨調委員九人の中で審議の過程あるいは結果について一番批判的であった者二人を、あるいはそういう分野を外すんだと、そういう説、端的に言えば、一番批判的であった労働界の代表、それからもう一つは地方六団体の方の代表といいますか地方行政関係の代表、この二人を外すために七人になったんだと、こういう説が流れておりますが、長官いかがでしょうか。
  276. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私は、九人の委員方々それぞれの立場立場はありましても、将来の日本の行政のあり方を考えて非常に真剣に御審議いただいたと敬意を表しておるわけでございます。したがって、どなたが批判的であったかどうか私知りません、率直に申しまして。委員会内容は、私は出たことがございませんから、したがって私はどなたが批判的なのかどうか知りませんが、九人の方々全員が真剣にあるべき将来の行政改革についての貴重な意見を開陳された方々ばかりだと私はいまでも信じておりますから、そんなような意図は私の頭には全然ありませんということだけはっきり申し上げておきたいと思います。
  277. 野田哲

    野田哲君 初めからチンイチ——チンイチというのはこれは余り、わかる人とわからぬ人がおりますが、一色の人ばかり集めるのであれば、これは何も審議会を設ける必要はないんですよ。いろんな意見が反映されるというのがこの審議会意味だろうと思うんで、そういう意味からすれば私は、特定の階層の意見が排除される、そして政府にとって都合のいい意見を持った人だけが集まる、こういうような人達は厳に排除してもらわなければならぬ、こういうふうに思うんです。  そこで、それではこの七名のどういいますか区分といいますか、経済界とか労働界とかあるいは地方自治体、地方六団体の地方自治関係の代表とか、いろいろ分野の構想が人選に当たっては出てくると思うんですが、その構想はもうほぼ固まっているわけですか。
  278. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私は、先ほど来申し上げておりますように、法案が皆さん方の御審議によりまして成立した後に人事に着手するという基本的な考え方があります。それと同時に、したがいまして人事についてはいま一切私は折衝をどなたにも呼びかけてもおりませんし、いたしてございません。ただ私は、この行革推進のために広く各層から委員を出していただくようにすべきである、かように考えておりますから、経済界からも出していただきますし、労働界からも出していただきたい、かように考えておりますし、さらにまた学者といいますか、そういうふうな学者とかあるいはまた新聞関係の方々とか、そういうふうに幅広く私は各層から委員を出していただく、こういう考えを持っておる段階でございまして、いま、この階層からはとらぬとかこの階層から必ずとるというようなことを申し上げることは差し控えるべきだと思います。いずれにせよ、私は国民の各層から広く有識者を選ぶというやり方で進んでいきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  279. 野田哲

    野田哲君 いま私ども審議している審議会とそれから二百幾つの各種審議会委員会等があるわけです、二百十一。この関係について伺いたいわけですけれども審議会性格としては、これはすべていずれにしても二百十一現在ある審議会といま審議しているこの審議会国家行政組織法の八条に基づく審議会ですから、横並びの審議会で上下の関係は私はないはずだと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  280. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 上下の関係にないと、私もそのとおりに考えております。
  281. 野田哲

    野田哲君 午前中の矢田部委員勝又委員質問の中でもその点が触れられていたわけですがね。いま三月十四日の答申がある。その答申を実施していくために、お目付役といいますか、あるいは残された分野を検討するためにいまの行政改革進審議会の設置について議論をしているわけですが、この答申に出されていることを実際に実施していこうとするならば、当然これはそれぞれの法律に基づいた既存の審議会があるわけです。それとの関係は一体どうなるんですか。
  282. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 臨調のこの答申を実施するためには、それぞれの関係の審議会意見を聞くということも私はあり得ることだと考えております。そうしたものとの関係——けさも、午前中の委員会におきましては矢田部委員勝又委員からもいろいろお話がありました。行政審議会との関係はどうなる、税調関係はどうなる、地方制度の問題についてどうなるとか、まあいろんなお話ございました。私はしかし、臨調答申というものは政府として最大限に尊重するという政府の方針を決定しておるわけでございますから、それぞれの審議会もこうした気持ちは十分私は理解していただけると考えております。しかしながら、このとおりにやってくださいと言うても、これ対等の立場で上下の関係にありませんから、そのとおりになるかどうかはそれは私もわかりません。  したがって、この答申あるいはこの審議会意見とそれぞれの専門的な審議会意見の食い違いとかニュアンスの違いとか、あるいは極端に言えば矛盾、そのようなものも私は一般的には想像はできると思います。しかし、そういう場合には、けさもお答え申し上げましたが、それぞれの審議会から出ました意見政府としては総合的に政策選択をして政府責任で決定していくということになろうかと思いますが、行管長官としては政府最大限に尊重するという行革の答申はできるだけ尊重していただきたいということは熱望はいたしております。しかし、現実問題としてそういう問題が私は出るとは否定しておりません。その節には総合的な判断で政府が政策の選択を行うということになろうかと考えております。
  283. 野田哲

    野田哲君 この問題は、行革問題が大きな政治テーマになった鈴木内閣以来、いろんな場で議論をされているわけですが、行政改革審議を一番最初に始めたといいますか、行政改革審議は今度の土光さんの委員会が発足して始めたわけじゃないんで、ずっと四六時中よくやっているんですが、この臨時行政調査会の答申を受けて初めに国会で議論をした昭和五十六年の十一月四日に、当参議院では、私なりあるいは嶋崎委員行政改革特別委員会で総理に見解を聞いているわけでありますが、そのときに質問として出されているのは、嶋崎委員がこういうふうに質問されています。   この臨調答申は、その中身として行政の制度及び運営のあり方について答申をされておるわけでございます。しかし、政府の中にも御承知のように地方制度調査会であるとか、あるいは税制調査会であるとか、社会保障制度審議会であるとか、総理の諮問機関として考えられているものだけでも相当たくさんの諮問機関があるわけでございます。こういうものとのバランス、その運営の仕方、いま臨調については本当に真剣に問題が取り上げられておるんですが、これらの審議会についてどういうようなお考えを持っておられるのか、まず最初に総理にお聞きしたいと思います。 こういう質問に対して鈴木総理が、   臨調答申を受けました際におきましてはこれらの既存の調査会、審議会等に、やはりその臨調答申を受けて政府でそれを最大限に尊重をして制度及び法律の改正をこうしたいという案をまとめた場合におきましては既存のそれぞれの専門の調査会、審議会にお諮りをする、こういうことにいたしたいと考えております。 こういうふうに基本的な考え方を鈴木総理が述べておられるわけですが、大体これをこのまま受け とめておられるということで理解していいわけですか。
  284. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 行革のこの答申を実施するためには、厚生省の関係で言いますれば社会保険審議会とか、あるいは内閣にある社会保障制度審議会とか、実施するためにそういうところにかけなければならぬものもありましょう。労働関係ですと職業安定審議会だとか労働基準審議会とか、あるいは税制の改正でございますと税制調査会にかけると。さまざまな法律に基づいて各省に設置されておる審議会がございますから、国会提案する場合には、これを実施する案をそれぞれの審議会にかけて御審議をいただいて国会提案する、これは私は当然のことだと、かように考えております。
  285. 野田哲

    野田哲君 そこで、いま審議している行革推進審議会と、それからいま現にある各種審議会との関係について具体的に伺ってまいりたいと思いますが、総理府の方にまず伺いますが、公務員制度の問題がかなりこの答申の中では大きなウエートを占めているわけですが、この公務員制度の問題について具体的に検討をしていく場合には、これは午前中は出席をされていましたが、人事院という公務員制度の問題についての勧告なりあるいは実施部面を受け持っている機関があるわけですが、公務員制度の問題は一体どういうふうに具体的には処理に当たっては考えておられるわけですか。
  286. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) 先生御案内のとおりに、臨時行政調査会の答申におきましては、公務員の採用、昇進、研修、職員の士気高揚等公務員制度につきまして各般にわたる非常に広い範囲の提言がなされております。総理府といたしましては、この答申を受けまして関係庁と緊密に協議をしながら逐次実施に移すべく鋭意検討を進めてまいりたいと思っております。  なお、臨調答申におきましては、成績本位による人事運用あるいは職員の能力開発、省庁間人事交流等さらに積極的に推進して、職員の士気の高揚、公務能率の推進等に努めることとしておりますけれども、私どももこれを人事管理運営方針の中に取り入れまして、その中で実施してまいりたいというふうに思っております。  なお、人事院におかれましても、現在長期的かつ安定的な人事行政施策の検討が進められておりまして、その動向をも勘案しつつ検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  287. 野田哲

    野田哲君 この行政管理庁がつくっている「審議会総覧」というのを見ると、公務員制度審議会というのが一番最初に出てくるわけです。この公務員制度審議会というのを見ると、総理府設置法の十四条によって設置されているもので、所掌事務としては「内閣総理大臣の諮問に応じて、国家公務員、地方公務員及び公共企業体の職員の労働関係の基本に関する事項について調査審議し、及びこれらの事項に関して内閣総理大臣に建議する。」と、こういうふうになっておりますね。この公務員制度審議会に諮問をし、検討を願うようなことは今度の答申ではないと考えられるんですか。
  288. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) 先ほど申し上げましたように、臨調答申におきましては、公務員制度全般にわたって提言をしておりますけれども、いま先生がおっしゃいました公務員制度審議会の所掌になりますような公務員の労働関係の基本事項にまで及ぶ変更を求めているものはないというふうに考えております。
  289. 野田哲

    野田哲君 昭和五十七年度で人事院勧告の見送りという措置を政府が決定をしたわけですが、この人事院勧告制度の見送りという措置は、これも公務員制度審議会の所掌事項になっている国家公務員の労働関係の基本に関する事項について調査審議し、あるいは内閣総理大臣に建議をする、こういう事項には該当しないとあなたはお考えになっているわけですか。
  290. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) 先ほど申し上げましたように、公務員制度審議会というのは国家公務員、地方公務員及び公共企業体の職員の労働関係の基本に関する制度についての調査審議機関でございまして、人事院勧告の具体的取り扱いに関する個別の措置について調査審議する場ではないと考えております。
  291. 野田哲

    野田哲君 そうすると、たとえば人事院勧告を見送るなどというような、従来の政策から言えば公務員の人事管理についての大変な政策の変更、まさに国際的にも議論をされている、こういう問題が公務員制度審議会に述べているところの公務員制度審議会の所掌事項になっている公務員の労働関係の基本に関する事項ではないということであれば、これらの問題は一体国会にかかるまでに議論をする場はないと、政府がもう自由自在にできるんだと、こういうふうにあなたはおっしゃるわけですか。
  292. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) 私どもといたしましては、人事院勧告を受けとめまして組合ともいろいろ折衝がございます。それで、最終的には給与関係閣僚会議を開きまして、そこで決めていただいて、閣議でこれを追認していただいて、その間においていろいろな議論が行われているわけでございます。
  293. 野田哲

    野田哲君 そうすると、公務員制度審議会というのは、いま臨時行政調査会の答申でも、公務員制度の非常に広範な分野について答申提言がされている。公務員制度審議会にはしかしそれはかけるほどのことでもないんだと、こういうことであれば、公務員制度審議会というのは何のためにいまも残っているんですか。委員も任命されていない、廃止もされていない、存在だけは名目上はやっているが、あなたの言うことであれば完全に死に体じゃないですか。何のために形だけ、看板だけ上げているんですか。
  294. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) これがこのまま残ってきたいきさつについては余りつまびらかにいたしませんが、恐らく、ここに書いてございますように、労働関係の基本に関する制度について調査審議するということになっているわけでございます。したがいまして、いま問題はないけれども、何か問題が起きてきたときに直ちにこういう審議をする必要があるのでこのまま置いてあるのではないか、かように考えます。
  295. 野田哲

    野田哲君 何か問題があるときに審議をするために存置しているということであれば、人事院勧告が見送りになるというような大きな問題が起きたときに、なぜここへ協議をするような措置がとられないんですか。そうではないでしょうか。公務員の労働基本権問題について、その代償措置である人事院勧告が凍結をされるというような問題が起こった、これ以上の労働基本権問題がありますか、これ。どうですか。
  296. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) 先ほど申し上げましたように、公務員制度審議会と申しますのは国家公務員、地方公務員及び公共企業体の職員の労働関係の基本に関する制度について調査審議する機関でございまして、人事院勧告の具体的取り扱いに対して、個別の措置について調査審議するというようなことにはなっておりません。ただ、たとえば臨調答申等におきまして人事院勧告制度を改めろというようなことになれば、当然公制審にかけなければならなかったと思います。
  297. 野田哲

    野田哲君 制度について議論するんだ、そのために設けてあるんだと言われるが、人事院勧告の見送りというのは、まさにこれは制度が形骸化している、制度の運用について重要な政策の変更が行われたわけでしょう。それは制度にかかわりないとあなたはおっしゃるんですか。
  298. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) 人事院勧告の見送りにつきましては、いままで何回も申し上げておりますけれども、六兆円に及ぶというような未曾有の国家の危機的財政状況のもとにおいて見送ったわけでございまして、私どもといたしましてはこのことをもって人事院勧告が機能しなくなったとは考えておりません。
  299. 野田哲

    野田哲君 現に五十七年度については機能していないんじゃないですか。あなたはあれでも、完全に凍結になっても人事院勧告制度は機能していないとは考えていないと言うんですか。どこでそ れではそういう根拠はあるんですか。
  300. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) 人事院勧告が機能しているか機能していないかという問題でございますけれども、これは最高裁の判例にもございますように、全部人事院勧告を受け入れなければそのまま機能しなくなるのかといいますれば、必ずしもそうじゃないと思います。その辺は見解の相違があると思いますけれども、私どもとしては人事院勧告の機能が失われたとは考えておりません。
  301. 野田哲

    野田哲君 全部実施されなくても機能していないとは考えられない、こう言うんだけれども、ゼロじゃないですか。一部じゃないんです。ゼロじゃないですか、五十七年度に関して言えば。それでも五十七年度については機能していないとは言えない、機能している、こういうことなんですか。
  302. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) 人事院勧告制度というのは、要するに公務員の労働基本権の代償措置でございます。そういった点から、憲法上の運用をもってわれわれは考えてきたわけでございます。それで、過去におきましては非常に苦しい財政事情の中でも実施をしてまいったわけでございますけれども、ことしは何分にも未曾有の財政的な危機でこれを見送らざるを得なかったという事情がございまして、これをもって直ちに人事院勧告が制度としてだめになったとは言えないと思います。
  303. 野田哲

    野田哲君 五十七年度に関する限りは、これは全く機能していないわけですよ。そうじゃないでしょうか。これ以上あなたとこの問題だけで押し問答してもしょうがないから、その問題は改めてまた議論をする場でやりたいと思いますが、総理府の人事局長ともあろう者が余りそんな財政当局のような見解をここで述べていたんでは、私はそれこそまさに人事院勧告制度というものを一番機能させなければならないポジションのところが一番無視している、こういうふうに言わざるを得ないと思うんですよ。そのことだけ私は述べておきたいと思うんです。  農水省の方に伺いたいと思うんですが、「行政施策の基本方向」というところで農政とか社会保障とか文教とかいろんな各分野のことが述べられているわけですが、農業について一番最初に述べられております。「国際化の進展の下で、産業として自立し得る農業の確立を目指し、生産性の向上に重点を置いた農政を展開する。とりわけ、食糧管理の制度・運営においては、市場原理の導入に努め、米の需給均衡化と財政負担の縮減合理化を図る。」と、こういうふうに述べておられるわけです。そして、各論については、また別のところでずいぶん農政の問題についてこの臨調答申は触れているわけですが、このいま私が読み上げた農業政策について、「行政施策の基本方向」の冒頭に述べている農政の問題について、農水省としてはどういうふうに具体的に受けとめておられるわけですか。
  304. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) ただいま先生の御指摘のございました最終答申の農業についての考え方部分でございますが、私ども率直に申し上げまして、農政審議会等で従来議論もしていただいております農政の基本的方向と基本においてそう大きな食い違いはない、基本的な方向においては方向が同じであるというふうに考えております。  答申全体を見ますと、個別事項につきましてはいろいろなかなか実施困難な問題もございますが、ここにただいま先生の挙げられました農政の基本的な考え方については、おおむね私ども農政審議会等で議論しております点、さらに具体的に申し上げますと、一昨年出しました農政審議会の「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」、こういうふうなものに述べられました考え方と大体一致しておる、かように考えております。
  305. 野田哲

    野田哲君 ここにある、食糧管理制度について市場原理の導入に努めるというのは、これは具体的にはどういうことを意味しているわけですか。
  306. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) ただいまこの部分は最終答申でございまして、これに該当する部分がもう少し具体的に臨調考え方として出ておりますのは昨年七月の基本答申でございます。そこにおきましては、市場原理の導入の具体的な考え方といたしまして、たとえば自主流通米の機能をもっと拡大するとか、それから米価については売買逆ざやをできるだけ縮小する、そういうような幾つかの方向を挙げられまして、市場原理の導入を図る、かようなことでございます。  これにつきましては、私ども考え方をつけ加えて申し上げますと、食糧管理法の改正が昨年行われまして、それの中で、従来のような統制という考え方が強く出た制度から、需給が過剰基調であろうとあるいは遍迫基調であろうと、そういう幅広い需給状況に対応できるような制度改正をしまして、その中で、たとえば政府管理の中で自主流通米の機能もできるだけ拡充していく、こういうような方向に対処しておりますので、市場原理導入というような基本的な考え方において、現在のような需給状況のもとでは、これに真っ向から反対するというような立場では私どもはございません。
  307. 野田哲

    野田哲君 関谷さん、農業政策について、いまの基本方向と、それから後段の方にずっとまた農業政策についていろんな分野で出ていますね、補助金の整理合理化のところにもあるし。農林水産省所管事項について臨時行政調査会の答申がされた分野について、これを実施していくためにいろんな法律改正を伴うことがあると思うんですが、そのためにはどのぐらいの法律を変えなければいけないのか、そして、その法律を改正するためには、その手順としてどういう審議会の諮問を経なければいけないのか、いまおわかりでしたらちょっと述べていただきたい。
  308. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 法律の改正を要する本数等につきましては、いま具体的に申し上げられませんけれども法律改正が該当する分野としましては、たとえば許認可制度の関係でございますとか、それから特殊法人等の機構改革というようなことは法律事項でございますし、食糧管理制度の運営的な面においてはわりあい法律事項になるものはむしろないというような状況でございます。  その中で具体的にどういうものが審議会にかかるかというようなお尋ねでございますが、全体的には余り審議会に直接かかるものはございませんけれども、分野によりましては、確かにこういう事項であれば、具体的な法律改正を考える場合に、あるいは運用の問題として、たとえば米価決定というようなことにしましても審議会に諮る必要があることは確かにございます。
  309. 野田哲

    野田哲君 農水省、もう結構ですから。  文部省に伺いたいと思うんですが、いま農水省の方に伺ったことと同じ項で、「行改施策の基本方向」の中で文教について二番目に述べておられるわけですが、この中で「学校教育の多様化・弾力化を推進する」、こういうふうに述べておられるわけですが、これは読んだだけではなかなか意味がつかみにくい、門外漢には意味がつかみかねるんですが、「学校教育の多様化・弾力化」というのは一体どういう意味なんですか。
  310. 加戸守行

    説明員(加戸守行君) お答えいたします。  ここに最終答申の中で書いております文言は、多分に基本答申の中でいろいろ指摘された事柄も集約した意味で書かれていると理解しているわけでございますが、端的に申し上げますれば、学校教育の内容におきまして、カリキュラムの編成その他実際上の教育内容の多様化あるいは弾力化という意味と、それから学校相互間でいろいろな単位の取得、資格、入学、転学等の関係、そういったものにつきましても、現在よりもそれを弾力的にするとか、そういった教育課程の面あるいは卒業資格、転学関係、そういったもので総合いたしまして「多様化・弾力化」という表現を使われておるものと理解いたしております。
  311. 野田哲

    野田哲君 文部省の所管事項についてもいろいろ審議会がありますね。中央教育審議会というのがありますが、この答申に述べられている基本政策なりあるいは各論について、これを実施してい くためにはやはり中央教育審議会なりあるいは各種の審議会に諮問をし、答申を得なければならない事柄があると思うんですが、大体どういうふうに把握をされておられますか。
  312. 加戸守行

    説明員(加戸守行君) 先生指摘のように、文部省に置かれております各種審議会の中でも、中央教育審議会は、教育、学術、文化に関する基本的な重要施策について調査審議することになっておりますし、特に学校教育の多様化、弾力化というような観点になりますと、やはり基本的に文部省の重要施策考えられるわけでございます。ただ、実際問題といたしましては、すでに現在中央教育審議会に対しまして学校教育の内容、教育課程の内容の取り扱い等につきましての諮問を行っているところでございまして、現在、その教育課程の内容等につきましても審議が行われている段階でございます。したがいまして、臨調答申を受けまして、こういった方向性も十分総合的に念頭に入れながら御審議をいただけるものと考えているわけでございます。
  313. 野田哲

    野田哲君 自治省は見えていますか。——文部省、もう結構ですから。  自治省の関係で、国と地方の関係及び地方行政についてかなりの分野で答申の中に触れられているわけですが、その中で機関委任事務の整理合理化について触れている部分があるわけですが、この機関委任事務の整理合理化というのは具体的には自治省だけで処理できる問題でもない、いろんな各省庁から機関委任されているわけですけれども、この機関委任事務の整理合理化については具体的にどういうふうにとらえておられるわけですか。
  314. 田中暁

    政府委員(田中暁君) 先生御承知のように、機関委任事務の整理については、具体的な目標といたしましては、例の一割カットということが提示されておりまして、その具体的な詰めを現在行政管理庁を中心に急いでおるわけでございますが、われわれといたしましては、機関委任事務制度自身の抜本的な見直しということが必要であろうと考えておりまして、これも答申に、新たな審議機関を設置して行うということでございますので、その審議に期待をいたしておる次第でございます。
  315. 野田哲

    野田哲君 自治省の所管事項について、地方制度調査会というのがありますね。この地方制度調査会というのは、ずっと総理の諮問機関として地方自治制度についていろいろ検討をし、必要事項について答申をされたり提言をされたりしてきていると思うんですが、地方制度調査会でいままで扱ってきた問題と今度の答申と矛盾をするような点はありませんか。
  316. 田中暁

    政府委員(田中暁君) 臨調の各答申は、その基本理念におきましては、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体において処理すべきであるという原則を確認されていると考えておりまして、これは従来から地方制度調査会の御意見を含めます地方自治関係者の主張でございました、国、地方を通ずる行財政の簡素合理化等地方分権の推進という基本的な方向に沿ったものであると考えておる次第でございます。ただ、具体的な個々の事項にかかわります提言の中には、その具体的な内容手順が必ずしも明らかでない、あるいは従来の地方制度調査会の具体的な提言から言いますと、やや何と申しますか、ぴったりは一致しないというような面も多少見受けられるというように考えております。
  317. 野田哲

    野田哲君 ずいぶん、齋藤長官のそばに座っているから審議官も遠慮した物の言い方をされましたが、あることは事実ですよね。地方制度調査会でいままで議論してきた方向と違う方向答申されていることがあることは事実です。  長官、幾つかの省の担当者に伺ったわけですが、個々にずっといままでの既設の審議会でやってこられたことと今度の答申を比較をすると、現に食い違う、一致しない部門があるわけなんです。それぞれの省の担当審議官は遠慮をして余り具体的には述べられなかったわけです。私、時間があれば、ずばり聞けば明らかに違うところが出てくるんです。そういう問題の調整は、長官、どういうふうに考えたらいいんでしょうか。
  318. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 行革の最終答申が出る以前にいろいろな既存の審議会で出たものでこの答申と矛盾しているもの、私はあるとは思います。率直に言ってあると思います。しかし、この答申が出た以上はこの答申最大限に尊重するというのが政府の方針でございます。したがって、この方針に基づいて今後はそれぞれの専門の審議会も動いていただくことを私は期待をいたしております。今後は期待をいたしております。  しかし、そうでない場合も私はあると思うんですね。先ほど来お答え申し上げましたように、今後はこの行革の臨調答申の線に沿うて行政全般が動いていただくことを期待はいたしておりますけれども、専門のそれぞれの審議会が多少ニュアンスの違うものとかいろんなものが出てくるということは私は否定できない。その場合にどうするかということについては、先ほども申し上げましたように、一般的な問題としては、政府責任において総合的に政策の選択を行って政府責任においてこれを実行に移すと、こういう手順になるのではないかと、かように考えております。
  319. 野田哲

    野田哲君 臨時行政調査会の方だけをにしきの御旗にして、いままで審議会で積み上げてきた議論、これを一切一刀両断に断ち切ってしまうというようなことでは、私はまさにこれは行革ファッショということになると思うんです。これはやはり十分経緯を見て調整をしていく、こういう努力も私は大事なことではないかと思いますので、個々の具体例はきょうは申し上げませんが、そういう点を要望して、時間が参りましたので終わります。
  320. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時三十二分散会