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1983-04-26 第98回国会 参議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十六日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      田沢 智治君     梶木 又三君  四月二十三日     辞任         補欠選任      梶木 又三君     源田  実君  四月二十六日     辞任         補欠選任      源田  実君     関口 恵造君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         坂野 重信君     理 事                 板垣  正君                 大島 友治君                 山崎  昇君                 三治 重信君     委 員                 岡田  広君                 関口 恵造君                 竹内  潔君                 林  寛子君                 林  ゆう君                 山内 一郎君                 勝又 武一君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 小平 芳平君                 峯山 昭範君                 安武 洋子君                 秦   豊君    国務大臣        農林水産大臣   金子 岩三君    政府委員        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        農林水産技術会        議事務局長    岸  國平君        食糧庁長官    渡邊 五郎君        林野庁長官    秋山 智英君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        科学技術庁計画        局科学調査官   高橋  透君        農林水産技術会        議事務局研究総        務官       中野 賢一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、源田実君が委員辞任され、その補欠として関口恵造君が選任されました。     ─────────────
  3. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 農林水産省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 峯山昭範

    峯山昭範君 今回の農水省設置法の一部改正案につきまして二、三質問をさしていただきたいと思います。  今回の設置法の一部改正につきましては、先般の臨調答申ともかかわり合いがあるようでありますが、そういう点も含めまして、今回の二つ研究所設置意味等を含めまして初めに御説明をお願いしたいと思います。
  5. 岸國平

    政府委員岸國平君) お答え申し上げます。  今回の二つ研究所一つ農業生物資源研究所でございます。それからまた、もう一つ農業環境技術研究所でございます。  私どもは、最近の農業をめぐる非常に厳しい状況あるいは科学技術の進展の状況、そういったことを踏まえまして、将来を見通した上でこの二つ研究所をつくることによりまして、一方ではバイオテクノロジーその他の最近大変進歩を遂げております研究手法を活用いたしまして、従来の研究手法、すなわち新しい品種をつくる場合の交配の技術、そういったものだけでは達成できないような新しい生物資源あるいは新しい機能を持った新品種、そういうものをつくるような技術開発してまいりたい、そのための基礎的な研究の強化を図ってまいりたい、そういうふうに考えまして農業生物資源研究所設置したいというふうに考えております。  また、もう一方の農業環境技術研究所でございますが、わが国農業をめぐる、あるいは農業の基盤をなします土壌あるいは気象、水の問題、そういったような問題は必ずしもわが国状況農業にとって最も恵まれた状況であるというわけではございませんで、いろいろむずかしい状況もあるわけでございます。そういうことを踏まえまして、農業を将来ともしっかりと営んでいくために、あるいはこれを発展させていくためには、その基礎になります農業環境のいろんな要素の性格をきわめ、それらを組み合わせました適切な管理技術をつくり上げる必要がある。そういった考えから農業環境技術研究所設置してまいりたい、そういうふうに考えているわけでございます。  そのためには、現在の厳しい状況でございますので、新しい研究所をつくりますのに全くの新設でつくるというわけにはまいりませんので、二つ研究所を廃止いたしまして、また蚕糸試験場規模を縮小いたしまして、それらの研究の力を転用いたしまして新しい方面展開をしてまいりたい、そういうふうに考えているわけでございます。  御指摘臨調との関係はどうかということでございますが、私どもそのようなことを考えておりましたときに臨調からの御指摘もございました。たまたま臨調の御指摘ともかなり一致しているところがございまして、私ども臨調での御議論の途中で御説明を申し上げて、先ほど申し上げましたような計画については御理解をいただいているというふうに考えているところでございます。
  6. 峯山昭範

    峯山昭範君 今回のこの二つ研究所をつくることにつきましては、わが党としましても賛成をいたしておりますし、私は、これからの農業という問題を考えた場合に、必要なものは当然つくらないといけないと思うのです。  それで、そう思うんですが、実際問題として、いわゆる臨調から指摘があるまでもなく、農水省としてはいままでの二つ研究所を廃止してそれにかわって新しいのをつくるというそういう方向で進めてこられたわけですね。人間的な面では多少そのほかのところからの異動考えておられるようでありますが、それだけに農水省というところは大分全体的に余裕があるのじゃないか、そう私は考えるわけです。といいますのは、やっぱりもっと何といいますか農水省全体、これは担当者が違うのかもしれませんが、二十幾つかの研究試験機関があるようでありますが、こういう機関は それぞれ大事なことをやっていらっしゃるのでしょうけれども、最近の予算伸び率やまた人員のあれを見てみますと、予算もほとんど十年間大分少しずつ、伸び率も非常に悪いようですね。それから定員も毎年減ってきていますね。  私の手元にも資料があるわけですが、たとえば予算伸び率を見ましても、最近は五十六年が三百二十一億、五十七年が三百十一億、五十八年が三百六億と、絶対数で少なくなってきているわけですね。それから人員の面で見ましても、これは四十九年からの資料が私の手元にありますが、四十九年四千八百六十八人、それから毎年四十人、三十人ぐらいずつ減りまして、五十七年には四千五百七十四人、こう減ってきています、ずっとね。これは私はそれなりに理由があって、行革に協力をしてきたという点も言えると思うんですが、農水省のこういうふうな研究試験機関というのは、全体的に見直して、もっと減らすところがいっぱいあるんじゃないか、そういう感じもするわけですけれども、特に人員予算等の面を含めまして基本的に農水省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、一遍これは聞いておきたいと思います。
  7. 岸國平

    政府委員岸國平君) 農林水産関係試験研究あるいは技術開発といいますのは、わが国はもちろんでございますけれどもわが国だけではございませんで、アメリカあるいはヨーロッパ等におきましても主として官公立試験研究機関品種がつくられ、あるいは農業技術がつくられるというのが一般でございます。  その理由は、農業の場合には、特にわが国においてはそうでございますが、一つ一つ経営体大変規模が小さいというようなことがございまして、それぞれの農家で新しい品種をつくりますとか、あるいは病害虫が出た場合にそれの防除の技術を編み出すとかいうことは大変困難な状況にあるわけでございまして、それをカバーいたしまして農業のための技術開発をするためには、国あるいは都道府県といったところで試験研究を実施していかなければその農業のために必要な技術開発が行われないという状況でございまして、そういうことから、わが国におきましては明治の中期以降、国におきますそういった試験研究体制を整えてまいりました。また、都道府県におきましても必要なものを整えてきているというのがいままでの状況でございます。  私どもは御指摘のように農業関係で現在二十の研究機関を持っておりまして、今回の二つ研究機関をつくります場合にも、先ほど申し上げましたように二つ研究機関見直して、それを再編することによって新しい方向への転換を図っているところでございますが、その二十の機関内容を申しますと、ある部分、約といいますか八研究所でございますが、それらは野菜野菜、あるいは果樹果樹というふうに作目別研究機関を設けております。  それからまた、北海道から九州まで、わが国におきましては大変南北に長い、気候的にも大変変化の多い状況でございまして、北海道でできました品種東北に持ってきてもなかなか使えない、東北でつくりました品種九州ではとてもつくれないといった状況にございまして、やはりその地域での必要な品種はそれぞれのところでつくり出し、それぞれのところに合うような技術をつくり上げていかないと農業が営んでいけないというような状況にございますので、それに対応いたします地域農業試験場というものを六カ所に置いてございます。  そういったことで二十の研究機関が構成されているわけでございまして、それらは決してむだにあるいは多過ぎるというようなものではないというふうに考えております。ただし、研究でございますので、これは日進月歩でございます。研究内容からいってももちろんでございますし、また農業の現場から要請される問題から言いましてもいろいろと変わってまいりますので、その研究機関内容につきましても組織体制につきましても常に見直しをしながら、あるときに必要な場合にはその再編をして新しいところへ展開していかなければいけない。そういうことを行っておるのが基本的なところでございます。
  8. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、研究機関が多いとか少ないとかそういう問題ではなくて、要するに日本の将来の農業というものを考えた場合に、必要ならどんどんつくっていいと私は思うんです。それで、ただ単にスクラップ・アンド・ビルドをすればいいというものじゃない、そう思うんですよ。しかしながら、全体として人数も減ってきておるし予算も少なくなってきておる。やっぱり全体として落ち込んできておる感じがあるわけですね。というのは、逆に言えばそれぞれの研究機関の中にはむだなものもあって、統廃合というか、目的を達したものはどんどんどんどん廃止をして、要するに組織そのもの全体が生きておるのかと言っておるわけです。やっぱり生きた組織にしていかないといけないのじゃないか、そういうような意味できちっとした対応をしてもらいたい、こう言っておるわけです。  そこで、その問題はおきまして、いろいろ細かい問題もありますが、きょうは時間の関係もありますので、そのほかのことも幾つか聞いておきたいと思います。  今回のこの二つ研究機関設置に際しまして、農林水産技術会議におきまして、学識経験者から意見を聴取し、そこでの結論に基づき設置を決めた、こういうふうに聞いておりますが、どういうような形で意見を聴取されたのか。学識経験者とは具体的にはどういうような人たちがこれに当たっていらっしゃるのか、概要で結構ですから御説明いただきたいと思います。
  9. 岸國平

    政府委員岸國平君) 農林水産技術会議におきましては、技術会議そのもの会長並びに六人の委員によって構成されております。そのほかに、ただいま先生の御指摘にございますこの二つ研究所をつくるに当たって学識経験者からの意見を聞いた、その中身はどうかということでございますが、私ども、こういった問題が起こりましたときには、技術会議での議論だけでなくて、適宜学識経験者をお願いいたしまして必要な御意見を伺うというようなことを行ってまいっておりますが、今回の二つ研究所関係につきましては、昭和五十六年度に農業関係試験研究体制検討会というものを設けまして、農林水産技術会議委員をしておられる石倉秀次氏に座長をお願いして、そのほか江川友治江崎春雄金沢夏樹久木田睦夫、それらの十名の方々にお願いいたしまして検討会を行ってまいりました。そのほかにも、その検討会だけではございませんで、研究機関におきます場所長でありますとか、そういった方々意見も、分科会といったような形での御意見を伺いながら今回の考えを詰めてまいったわけでございます。
  10. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまおっしゃっていただきましたが、農業関係試験研究体制検討会と、こうおっしゃいましたかね。これは今回だけではなくて、前の昭和五十六年の農業研究センターですか、そのときにもこういうようなのがありましたですね。結局、これは農業関係試験研究体制検討会という、そこでいろいろ御意見を聞いたり検討したり、石倉さんとおっしゃいましたかね、座長さんでまとめたということでございますが、これはどういう会なんですか、いまの検討会というのは。
  11. 岸國平

    政府委員岸國平君) 技術会議委員のほかに専門委員という制度を設けておりまして、先ほどお答えを申し上げました江川友治氏ほかの十名の方々には専門委員として参画をしていただきまして、この体制検討会におきましては、現在の農業関係試験研究機関で行っております研究内容、あるいはこれから研究しようとする方向、そういったものを詳しく御説明を申し上げ、その検討会におきまして御議論をいただきまして、将来の方向を見たときに、たとえば蚕糸研究におきましては、現在の蚕糸をめぐる状況、それから蚕糸試験場の現在の規模体制、そういったものを勘案いたしまして、むしろこの際、先ほど先生の御指摘にもありましたように、かなりの見直しをして、蚕糸試験場における体制を将来に十分活用 するためには今回のような新しい方向への展開を図るのがいいんじゃないかといったようなことを、御議論の結果、結論をいただいたわけでございます。その答申をいただきまして、技術会議としては新しい研究体制の整備のための準備をいたしてきたというのが状況でございます。
  12. 峯山昭範

    峯山昭範君 その検討会というのは、農水省研究所とかそういうものを設置する場合の意見をまとめる機関としては非常に大事な位置づけがあるわけですが、私がこれはどういう機関かと聞いておるのは、いわゆる法的にはどういうふうな位置づけになるのかということを聞いておるわけです。
  13. 岸國平

    政府委員岸國平君) この検討会は、特に法律に従ったというようなものではございませんで、技術会議の中におきまして諮問をいたします機関、あるいは技術会議の中でお願いをして御意見を伺う機関、そういったような位置づけでございます。
  14. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、逆に言えば、技術会議の中の会長か、あるいは技術会議から委嘱を受けてそういう議論をする機関なんですか。  何で私これにこだわるかといいますと、これは内閣委員会ですからこういうことを議論するところなんですよ、大体ここは。そういうような意味では、要するに、農水省のこういうふうな研究機関とかこういうようなものをきちっと検討する、そういうような意味の非常に大事な、将来を決定する機関になっておるわけですな。しかも、そこの意見を左右する機関になっておるわけですから、そういうような意味では、その検討会というものがどういうふうな体制のもとに、どういうふうな枝葉から分かれて責任体制がなっているのかということになってくるわけです。  たとえば、法的には全く何にもない、責任も何にもないということになると、逆に言えば、今度はこれはもうむちゃくちゃなことになってくるわけです。そうじゃなくて、やっぱりきちっとした法律に基づいて、ある程度筋の通ったそういう体制検討会でなけりゃいかぬわけですね。そうすると、そこの人たちの、石倉さんや専門委員皆さんも、それじゃわれわれは何をやっているのかということになってくるわけです。そうじゃないだろうと私は思うんですよ。やっぱりきちっとした、そういうふうな何というか根っこがきちっとあって、それぞれきちっとやっておられるんだろうと思うんですが、そこのところだけは一遍はっきりしておいていただきたい、そういうことです。
  15. 中野賢一

    説明員中野賢一君) お答えいたします。  先ほど岸局長の方から御説明申し上げましたように、技術会議の中に専門委員というのを置くことができるわけでございまして、ただいま申し上げましたメンバーは専門委員委嘱してございます。ときどき、その技術会議における重要問題につきましては、そういう専門委員の方に集まっていただきまして、技術会議の方からかくかくしかじかの問題について検討していただきたいということをお願いするわけでございます。その検討の結果を技術会議の方にいただきまして、最終的には技術会議の方でそれをどういうことにするか決める、そういうことになってございます。したがいまして、全体の研究方向を決めるとか、そういった基本問題につきましては、すべて技術会議全体の責任において決められておるわけでございます。
  16. 峯山昭範

    峯山昭範君 わかりました。結局、それじゃ農林水産技術会議というのがあって、その技術会議から委嘱を受けて専門委員が集まってその研究体制検討を行う、そういうふうにやっているということですね。それで専門委員皆さんの御意見をまとめて、それを技術会議答申をしてそこでもう一回検討してやる、そういう体制ですね。それで了解です。  それでは次に、きょうは、「バイオテクノロジーの健全な発展に関する基本的見解と提言」というのをわが党も先般発表したわけでございますが、その点について二、三お伺いをしておきたいと思います。  特に、人類福祉の向上に資するため、人間生命尊厳を大前提に、軍事利用禁止とかあるいは事前評価による安全確保社会的合意のもとに研究開発利用推進することが大切であると私たち考えております。この問題につきまして科学技術庁の基本的な考え方を初めにお伺いしておきたいと思います。
  17. 高橋透

    説明員高橋透君) 御説明申し上げます。  バイオテクノロジーを含みますライフサイエンスは、生物学、医学、農学、さらには化学、物理学工学等の分野にかかわる幅広い知見を活用して生命現象を解明するとともに、そこで得られました成果人類福祉のために応用しようとする科学技術でございまして、将来さまざまの方面で画期的な技術革新をもたらすものとして期待されているところでございます。  ライフサイエンス振興に当たりましては、御指摘のとおり、その結果が人間社会に及ぼす影響について格段の配慮を払うとともに、生物兵器への利用禁止あるいは安全の確保を図ることがきわめて重要と考えているところでございます。  人間生命尊厳につきましては、すでに昭和五十五年八月に科学技術会議が出しました「ライフサイエンス推進に関する意見」におきまして、ライフサイエンスにかかわる研究の中には、倫理、ひいては宗教の問題に及ぶと考えられるものがあることを踏まえ、その成果を直ちに人間に適用することなどには格段の配慮をすべき旨の指摘がなされているところでございます。  また、わが国はすでに昨年六月に生物兵器開発等禁止に関する条約に加入し、その実施のための国内法を措置しているところでございますし、また安全の確保につきましては、「粗換えDNA実験指針」を定めまして、わが国における組みかえDNA実験の安全を確保するために必要な基本的要件を示しているところでございます。  科学技術庁といたしましては今後とも、これらの「ライフサイエンス推進に関する意見」、あるいは生物兵器開発等禁止に関する条約、また「組換えDNA実験指針」を踏まえ、ライフサイエンス研究開発にその利用推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  18. 峯山昭範

    峯山昭範君 そこで、これもこれから当然こういうふうになっていくんじゃないかなと私たち考えていることでありますが、五原則というのを私たち考えているわけであります。「次の五原則が遵守されるべきである。」というふうに発表をいたしておりますが、その五つにつきまして御意見をお伺いしておきたいと思います。  まず第一は、平和利用原則であります。バイオテクノロジー研究開発目的は少なくとも平和利用のみに限るというこの原則は、皆さんも御理解いただけると私は思っております。  それから二番目に、安全の原則であります。遺伝子操作等人間及び環境に対する安全の確保のもとに行う、これも当然ではないかと考えておりますが、ここら辺のところについても御意見を後ほどお伺いしたいと思います。  それから第三番目に、民主原則であります。バイオテクノロジーの適正かつ健全な発展を図るため民主的に研究開発を行う、これもそんなに異議がある問題ではないと思っております。  それから第四番目に、同意原則人間に対する遺伝子操作等は適正なる情報の告知のもとに当該者または保護者同意を必要とすることというのを私たち同意原則として四番目に定めました。  それから第五番目に、公開の原則であります。バイオテクノロジー研究開発に関する情報は公開されるものとすること  。以上、五つ原則というのが少なくともこれから進められる研究開発に大変大事なことではないかと考えているわけでありますが、この問題についての御意見を一遍聞いておきたいと思います。
  19. 高橋透

    説明員高橋透君) ただいま、バイオテクノロジーの健全な発展のために五つ原則を遵守すべきものと思うがどうかという御質問でございまし た。  バイオテクノロジー人類福祉に大きく貢献すると期待されている技術でございまして、その一層の振興が必要であるわけでございますが、平和利用原則につきましては、先ほども申し上げましたように、生物兵器開発禁止に関する条約に加入し、その国内法を措置したというところでございます。  また、安全の原則につきまきては、「組換えDNA実験指針」を示しまして、その中で十分に安全に配慮するようにその基準を定めて指導しているところでございますし、またそれに含まれていないものにつきましては、個別に科学技術会議の方で審査をして、安全性を確認した上で認めているという形をとってございます。  また、民主原則につきましては、当然国民の理解を得るような形で考えておりますし、また科学技術会議の中でもいろいろと議論がなされているところでございます。  同意原則につきましては、これは主として医療の面で大きく問題になっていると思いますけれども、たとえば体外受精問題等につきましても、いま各大学等で患者との間で、また臨床家の間で十分な話し合いがされているというふうに伺っているところでございます。  このようなことから、特別に現在新たに五原則という形で原則を設けなければならない事情があるというふうには考えていないところでございます。  以上でございます。
  20. 峯山昭範

    峯山昭範君 当然、それは五原則なんというものはだんだん国民的合意を得て自然にでき上がっていくものだろうと思いますが、御意見はよくわかりました。  それから次に、バイオテクノロジーは、今後生命科学の進展による生命現象あるいは法則の解明とその技術化による生命、産業への応用によって人間社会に巨大なインパクトを与えることになるであろうと私たち考えております。したがって、人類社会への悪影響を未然に防止するためにも、遺伝子操作等の許容範囲等倫理的、法的、社会的問題について、科学者、行政、企業及び国民の間の広範な討論を重ね、その上でいわゆる妥当な倫理的ガイドラインですね、そういうようなものがつくられるべきじゃないかと、そういうふうに考えておりますが、この問題について一遍お考えをお伺いしておきたいと思います。
  21. 高橋透

    説明員高橋透君) 近年の科学技術の進歩に伴いまして、このバイオテクノロジー人間との関係をめぐる種々の問題が提起されていることは十分承知しているところでございます。これにつきましては、従来から科学技術会議の場におきまして議論がなされてきておりまして、先ほども申し上げましたが、バイオテクノロジーを含むライフサイエンスの視点から、昭和五十五年八月に同会議が取りまとめました「ライフサイエンス推進に関する意見」の中におきまして、ライフサイエンスに係る研究の中には倫理、ひいては宗教の問題に及ぶと考えられるものがあることを踏まえ、その成果を直ちに人間に適用することなどには格段の配慮をすべき旨の指摘がなされているところでございます。  科学技術庁といたしましては、これら倫理に係る問題につきましては、国民の多様な価値観と深くかかわり合っておりまして、哲学、社会制度等広範の議論を踏まえる必要があると考えております。科学技術会議の御指摘の趣旨あるいは先生御提言の意等を含めまして、国民的合意をどのように得ていくか、ここら辺からの検討を行ってまいりたいと考えております。
  22. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは科学技術庁はそこら辺にしまして、農業分野ではこのバイオテクノロジー技術の活用によってどのような技術開発を期待しておられるのか。そこら辺のところを一遍ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  23. 岸國平

    政府委員岸國平君) 私ども、今回の二つ研究所のうち農業生物資源研究所におきましてただいま御指摘バイオテクノロジー関係については研究をしてまいりたいと考えております。  この研究所バイオテクノロジー関係研究といたしましては、主としていままでの研究では達成できなかったような新しいところをねらいとしてまいりたいというふうに考えておりまして、その中の一つの例としては、遺伝子の組みかえを現在はまだ微生物等で達成されている状態でございますけれども、これを植物の段階まで何とかして持ち込みたい。そのためにはいろいろなこれから開発しなければいけないところがあるわけでございますが、そういったことを開発いたしまして、植物にもそれを適用いたしまして、いままででは得られなかったような耐病性の強いもの、あるいは耐寒性のいままで得られたものの程度をはるかに超えるような強さのもの、あるいは乾燥にも強いようなもの、あるいは窒素固定能力を備えたような稲、あるいはそれらの能力を備えたそのほかの作物、そういったものにも挑戦をしてみたい、そういうふうに考えているところでございます。  そのほか、この研究所では、現在でもすでに実施しております放射線育種なども実施してまいりますが、それらについても、単にいままでの技術だけではなしにバイオテクノロジーと組み合わせたような形で今後新しい研究展開してまいりたい、そんなふうに考えております。
  24. 峯山昭範

    峯山昭範君 このバイオテクノロジー振興のために遺伝子の資源の調査あるいは収集、保存、これは非常に大事なことだろうと思うのですが、この問題についてはこれからどういうふうに対応していかれるおつもりか。これもお伺いしておきたいと思います。
  25. 岸國平

    政府委員岸國平君) 御指摘のように、新しい品種をつくるというような場合には、やはりそのもとになります遺伝資源というものが非常に重要でございまして、私どももこの点につきましては大変大きな問題意識を持っております。それで、現在でももうすでに農林水産省関係研究機関におきまして、約八万点ほどの遺伝資源としての品種、系統、そういったものを保存いたしておりますが、今後これらのものをさらにふやしていかなければいけない。そのためには、わが国の国内だけではとうてい足りないわけでございまして、多くの作物の原生地である諸外国、特に東南アジア方面でありますとかあるいは中南米、アフリカ、そういったようなところへも手を伸ばしまして多くの遺伝資源を収集し、今後保存し、活用してまいりたい、そんなふうに考えております。  ただ、この遺伝資源の収集に当たりましては、最近各国との関係でかなりむずかしい状況もございますので、これからは国際的な遺伝資源の収集のための機構、そういったものとも協力関係を結びまして遺伝資源の収集に万全を期してまいりたい、そういうふうに考えております。  現に中国との間におきまして、五十七年から中国の雲南省、ここは非常に農業関係の遺伝資源の宝庫と言われているようなところでございますが、中国側と協力関係を結びまして共同研究を実施していく。その過程で、当方の品種の提供もいたしますけれども中国側からも貴重な遺伝資源をいただける、そんなことを考えておりまして、そういった方面のことも今後十分に強化をしてまいりたい、そんなふうに考えております。
  26. 峯山昭範

    峯山昭範君 今回設置される予定の農業生物資源研究所におきまして、これからどんどん新しい仕事をやっていかれるわけでありますが、この研究所において行われます遺伝子組みかえによりましていろいろな新しい品種がこれから生み出されていくだろうと思いますが、そういうふうなものがいわゆる自然の生態系を混乱させるとか、あるいはいろいろ問題を起こすということも考えられるわけですが、そういう点についてはどういう配慮をしていらっしゃるのか。これも一遍ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  27. 岸國平

    政府委員岸國平君) 農業生物資源研究所におきましては、新しい生物資源、新品種でありますとかあるいは新作物でありますとか、そういったものをつくり出してまいりたいと考えておりますので、先生の御指摘のような点は十分に念頭に置 いて進めていかなければならないというふうに考えております。  しかしながら、私どものこの研究所でねらいといたしますのは、農作物の育種ということを最終的な目標にいたしておりまして、われわれ人間にとって、あるいは狭くは農業にとって有用なものをねらいとするということを原則といたしておりますので、その意味におきましても、またそれを進めてまいります場合に、農業上の有用性という目的をしっかりと踏まえまして計画的に事を運んでいくということを考えておりますので、万々ただいま御指摘にございましたような生態系を大きく乱すような植物をつくり出すというようなことはないというふうに考えているわけでございます。  ただ、それでもこういった新しいことをやるわけでございますので、先ほど科学技術庁の方からもお答えのありましたように、私どもも植物におきます遺伝子組みかえを実行してまいりますときには、内閣総理大臣の定められました「組換えDNA実験指針」というものを十分に踏まえまして、安全性等も十分に配慮した上で研究を進めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  28. 峯山昭範

    峯山昭範君 農業環境技術研究所でございますが、これは農作物の生育環境に関する研究を行うということになっておりますが、具体的にはどういうふうな方向を目指していらっしゃるのか、その主眼とするところをちょっと御説明いただきたいと思います。
  29. 岸國平

    政府委員岸國平君) 農業環境技術研究所におきましてはいろんな方面、たとえて申しますと、土壌の面でございますとかあるいは水の面、特に水質の問題でありますとかあるいは作物を侵します病害虫の問題でありますとか、農業をめぐる環境要素すべてにわたって研究を進めたいと考えておりますが、その中でどういったものが開発されていくのかという御質問でございますので、例を申し上げておきたいと思いますが、一つは、大変わかりやすい例で申しますと、害虫の防除ということになりますと、現在かなり多くの農薬を使わざるを得ない状況でございます。  そのために、ある場合にはその農薬による害なども問題になるわけでございますが、そういったことを踏まえまして、この環境技術研究所におきましては、生物的な防除というところに大きな主眼点を置きまして、今後できるだけ農薬の使用を少なくしながら、しかも有効に害虫あるいは病気の防除ができるようにということで、たとえて申しますと、昆虫の性フェロモンの研究によって、その性フェロモンを活用することによって害虫の防除を達成するといったことで農薬の使用を少しでも少なくするというふうなことも一つの例でございます。  また現在、都市におきまして、多くのごみでありますとかあるいは汚泥でありますとか、そういったようなものが出て、それらが農業の場面に持ち込まれるというようなこともあるわけでございますが、そういった場合に、やはり必要な技術開発をしておきませんと、それらによって農業自身が、農業の基盤であります水でありますとか土壌でありますとかを決定的に悪くしてしまうということもあり得るわけでございまして、そういったものを活用するような技術につきましても開発をしてまいりたい。そういったことを組み合わせまして、トータルとしては農業の生産基盤をできるだけ確固としたものにし得るようなそういった技術開発していくということをこの研究所では目標にいたしております。
  30. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題について、最後にもう一つ聞いておきたいと思います。  この試験場なりあるいは研究所開発された技術、それはどういうふうにして農家の皆さんの手に渡っていくのか、これ一遍ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  31. 岸國平

    政府委員岸國平君) この予定しております二つ研究所は、内容的にも大変基礎的なところを研究することを目的にいたしております。そのために、この研究所でつくりました技術あるいは手法あるいはつくられてまいります新しい生物資源、そういったものが必ずしもすべてがそのまま農業の現場に直接役立つものではないというような状況もございます。そのために私どもは、この二つ研究所でつくられました技術手法あるいはつくられましたもの、そういったものは私ども関係研究機関の中で、特に作目別の専門の研究機関がございますので、そういったところでたとえば野菜の新しい品種をつくるときに、あるいは稲の新しい品種をつくるときに、そういったところに活用をすることをまず考えております。  また、そういったところでつくられたものは、今度は都道府県の試験場におきましてそれぞれの都道府県農業の現場で活用されるような技術にさらに組み立てられるということが考えられるわけでございまして、新しい二つ研究所から直接そういった都道府県の試験場に情報が流され活用されるところもございますけれども、主としてただいま申し上げましたようなルートによってシステミックに研究がつながっていく、そして農業の現場に役立ってまいるというふうに考えているわけでございます。
  32. 峯山昭範

    峯山昭範君 きょう大臣もお見えになっておりますので、お米の問題についてちょっとお伺いしておきたいと思います。  米の需給につきましては、最近いろんな新聞情報も流れております。お米の需給が三年連続の不作から逼迫が懸念されている、そういうふうな新聞もあるわけであります。食糧庁長官の先般の国会における答弁でも、本年十月末には五十八年度産米三百五十万トンが集荷されるので在庫が底をつく心配はないと、こういうふうに答弁をしておられますが、米の生産は本来単年度のみで需給できるよう、国民に主食の需給に不安を与えないよう安定的に供給できるような米の需給計画を立てるべきであります。昨年の米の在庫量は六十万トンとしており、今後も米の在庫量が十万トンになるようなことがないように従来の六十万トン在庫の線は維持すべきである、そういう話があるわけでありますが、この問題については大臣なり食糧庁長官はどういうふうにお考えですか。
  33. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) 御指摘のように、五十八米穀年度——昨年の十一月から本年の十月にわたる米穀年度につきましては、全体の供給量が千七十五万トン程度、したがいまして需要量を最近の動向から見まして千六十五万トンといたしますと持ち越し米は十万トン程度になるわけでございますが、御指摘のように五十八年産の新米等が出回ります。政府米で約二百万トン、自主流通米で百五十万トン以上出回りますので、この年度についての御心配、御懸念は全くございません。  御懸念のある点は五十九米穀年度ということになるかと思います。本年の十一月から来年の十月にわたる期間でございますが、この点につきましては、先般転作等の目標面積を七万七千ヘクタール緩和いたしまして、これによりまして来年の秋の持ち越しは五、六十万トン、御指摘のような水準に回復させたいと、このように考えておる次第でございます。
  34. 峯山昭範

    峯山昭範君 大体心配ないようでありますが、食糧庁は二月上旬現在における五十七年度産米の集荷量は六百九十七万四千トンと、予約限度数量七百六十万トンはおろか、昨年十二月の集荷目標七百十万トンをも割っていると。今後七百十万トンを達成できるかどうか大きな問題となってきたと。このため、食糧庁では食糧事務所に集荷を督促しておりますが、その概況はどういうようになっているかお伺いしたいというのが一つ。  それから今後の推移によっては、今後十月末の政府持ち越し在庫数量の十万トンにも響くため、国民の注目を集めていると。食糧庁長官は在庫数量が十万トンを切ることはないと確信されておられるようでありますが、その確信に変わりはないか。先ほど答弁ありましたが。  それから米の集荷の期限が五月末までであるとはいえ、これまでの集荷実績のうち、予約限度数量に達した都道府県は秋田県と富山県など七県だと聞いております。そこで、今後の米の集荷の見 込みはどうなっているか、それもあわせてお伺いしておきたいと思います。
  35. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) 集荷の点について申し上げますが、御承知のように、昨年一月に改正食管法が施行されまして、新制度を国民の支持と信頼を得て定着するよう、特にその際に院の御審議でも問題になりました不正規流通の取り締まりといういわゆるやみ米の取り締まりという問題は、ともかく徹底してこれを実施すべきであるということもございます。したがいまして、昨年来食糧事務所、集荷団体、都道府県も当然入りまして、関係者を指導いたしまして、この不正規流通につきましてはかなりの効果をおさめてきておると考えております。いずれにいたしましても、この集荷、不正規流通の取り締まりということが食管制度運営の基本になる問題でございますので、こうした点についての徹底を図っておるわけでございます。  御指摘のように、五十七年産米のスタートする前に限度数量七百六十万トンといたしましたが、御存じの不作でございますので、集荷目標を七百十万トンということで先般基本計画も定めたところでございます。この見通し、現在約七百万トン近くまで来ておりますが、一方で三月末の検査数量等を見ますと七百十五万トン程度になっております。検査数量よりは若干いつも下回りますが、そうした点からも七百十万トンは集荷できるものということで鋭意目下努力いたしておるわけでございます。  十万トンの持ち越しにつきましては、本年産の新米の確保の関連もございます。こうした点については、さらに綿密に私ども都道府県なりと連携して十万トンの確保を図るつもりでございます。そうしたことによりまして全体の需給について御心配をかけることのないようにいたしたいと考えております。
  36. 安武洋子

    ○安武洋子君 本法案で設立しようといたしております農業生物資源研究所農業環境技術研究所、これは生物工学と環境工学の手法によりまして農業技術開発を可能にするための基礎技術研究に重点を置いております。しかし、農業に役立つための技術開発を掲げてはおりますけれども、両方ともまだ技術的に確立しているとは言いがたいと思います。当面はテクノロジーそのものの開発のための基礎的研究開発に当たらなければならないと私は思うわけです。  これらの研究が実際に農業に役立つという見通しのつく時期、そして実際に農業に役立つ時期というのは一体どういうふうにお見通しでございましょうか。
  37. 岸國平

    政府委員岸國平君) 先生指摘のように、新しい技術開発の場合にはいずれも大変時間のかかるものでございまして、私どもも特にこのバイオテクノロジー関係研究をいたします農業生物資源研究所での研究内容、そこから出てまいります成果、そういったものはすぐには農業の現場で役立つような状況ではないというふうに認識をいたしております。しかしながら、現在毎日研究を進めておりまして、毎年新しい品種もつくっております一般の品質改良のための研究、そういうものに対しましてどうしても新しい手法を、あるいは新しい品種育成のもとになるものを常に供給をしてまいりませんと、そういったすぐに農業に役立つ研究の面でもりっぱな研究ができない、あるいはりっぱな成果が得られないという状況にあると考えております。  そのために、今回の農業生物資源研究所で行います研究、それの成果は、そのものがすぐに農業の現場で役立つということから言いますと、かなり先になる。遺伝子組みかえによって新しい品種がつくられて、それが農業の現場で役に立つということは相当先になるというふうに考えておりますが、ただいま申しましたように、それらの研究の過程で編み出されました、つくり出されました研究手法なり、あるいは生物資源のもとになるたとえば系統でありますとか、そういったものは現在の研究を実際に進めております幾つかの試験場にそのまま渡されまして、直接農業の役に立つ研究につながっていく、そういうふうに考えておりまして、新しい研究所で行います研究研究手法開発であるから、農業の現場にはなかなか役立たないのではないかというようなふうには考えておらないわけでございます。
  38. 安武洋子

    ○安武洋子君 基礎的研究開発というのは、確かに長期にかかり、かなり先になるということはわかります。ですから、当面の研究開発というのは、直接にいますぐ農業に役立つということにはならないと思います。だからこそ農業の切り捨て政策がいま進められておりますし、そして農業部門の使えるところというのは、科学技術開発研究研究効果追求というふうなことで使っていこうとする、こういう臨調行革の枠組みのもとで、農水省が私はよほどしっかりした立場に立っていただかないといけないと思うんです。そういう立場に立たない限り、農業に本当に役立つ研究、特にいま問題になっております衰退のはなはだしい土地利用農業、これに役立つ研究機関にはならないのではなかろうかというふうに思います。逆にその足を引っ張る方向研究になりかねないおそれがあるのではないかと思うんですが、この点いかがお考えでございましょうか。
  39. 岸國平

    政府委員岸國平君) 先ほどお答えを申し上げたとおりであろうかと思いますが、改めて申し上げますと、二つ研究所、特に農業生物資源研究所で行います研究は、研究内容あるいはテーマの名称、そういったものだけを見ますと、大変実際の場面からは迂遠なような、非常にむずかしい問題が羅列されるようなことになるわけでございますが、ただ、それらから得られます成果は、やはりそのものが直接農業の現場にすぐにつながるわけではございませんけれども、それがもとになりまして、土地利用農業にもつながるような品種開発、あるいは土地利用農業で特に重要になってまいります、できるだけ肥料を少なくして生産する物は多くするというような意味から申しまして、窒素固定の能力を稲であれば稲に与えていくといったようなところにもつながってまいるわけでございまして、また耐病性一つをとってみましても、耐病性の強いものでなければ、農家がつくっていくときにいつも病気が出るんじゃないかというような悩みを持ち、あるいはそのために農薬をまくといったようなことをしなければならないわけでございます。  そういったことを少しでも少なくして土地利用農業を楽に、しかも低コストにやっていくというときには、ただいま申し上げましたような耐病性あるいは耐寒性といったような性質を十分に持ったものをつくらなければいけない、そのもとになるのが今回の研究所で行われる研究であるというふうに考えておりまして、今回の研究が土地利用農業発展のために役立たない、あるいはそれと逆な方向に向かうというようなことは決してございませんし、むしろその土地利用農業発展させるためにぜひ必要である、そんなふうに考えております。
  40. 安武洋子

    ○安武洋子君 私がなぜそういうことを申し上げるかといいますと、この改編というのが現場の研究者、そういう方の意見あるいは農民の意見というものから出てきたのではなくて、これは臨調の国立研究所のスクラップ・アンド・ビルド、この一つとして浮上してきているということで、私はそういう危惧を大変持っているわけです。ですから、やはり日本農業発展に見合った研究所にしていくべきだというふうに申し上げたいわけです。  農業生物資源研究所、ここでは遺伝子組みかえ技術研究を重要な柱にいたしております。これは分子生物学の基礎研究の積み重ねを相当突っ込んでやらなければ研究達成は無理と思います。現在、この研究の到達点は一体どこまで来ているんでしょうか。そして今後どのように発展させていくお見通しをお持ちなんでしょうか。
  41. 岸國平

    政府委員岸國平君) 遺伝子組みかえの研究でどういう到達点を見通しておるか、あるいは現在どの辺のところにあるのかということかと思いますが、私どもが今回の農業生物資源研究所におきまして考えております遺伝子組みかえの研究とい いますのは、これは主として植物にこれを用いてまいりたい、そのことを大きな目標にいたしております。  御案内のように、この遺伝子組みかえの研究というのは、まだ始まって大変世界的にも日が浅いわけでございます。そのために、現在のところは遺伝子組みかえが実際に行われておりますのはまだ微生物の段階、特に大腸菌を対象にしたようなところが主として用いられているわけでございまして、最近ではそのほかに酵母でありますとか枯草菌でありますとか、そういったものも使われているようでございますが、植物を対象にいたしますと、これはまだまだそういったすぐに実用のものができるような段階になってないというのが現段階であるというふうに理解をいたしております。  そのために、私どもの今回の新しい研究所におきましても、その面ですぐに新しいものが出るというふうには考えておりませんで、その遺伝子組みかえを用いて植物において有用なものが出てくるのは、先ほどもお答え申し上げましたように、相当まだ先になるというふうに考えております。  しかし一面におきまして、従来行ってまいりましたような交配の技術といったようなことだけではもう達成され得ないようなところにわれわれの農業においてもものを求めるような、そういった状況わが国においてもまた世界的にもあるわけでございまして、そういうことを見通しますと、いまこういった研究農業においても十分に着手をいたしまして研究をしておきませんと、わが国農業はもちろんでございますが、世界的に食糧の問題がますます厳しくなる、そういった人類全体の要請のためにも役立たなくなるんではないか、そういったような問題意識もございまして、どうしてもこの機会にこういった研究をしっかりと始める、あるいは推進していかなければいけない、そんなふうに考えております。
  42. 安武洋子

    ○安武洋子君 今回の再編といいますのは、研究内容、これが詰め切れないままに臨調行革を先取りにいたしまして試験研究機関の改廃を行うというふうになっております。これは大変本末転倒しているのではなかろうかと、私は研究の論理から見ましてこれは外れていると言わざるを得ないわけですが、この点についての御所見を伺います。
  43. 岸國平

    政府委員岸國平君) ただいまもお答え申し上げましたように、私どもは基本的には、今回の研究所の設立というのが将来を見通したときに、いまこれをやらなければいけないという大変強い問題意識を持っておりまして、そのために二つ研究所を廃止してでも新しい研究所をつくらなければいけないという点につきましては、十分な検討をいたしまして、その結論として今回のような計画を立てたわけでございます。
  44. 安武洋子

    ○安武洋子君 ではお伺いいたしますけれども、そういうふうに十分検討をなさったというふうなことは、やはり現場の研究者の声、これが私はやっぱり大きな改編の、本当に研究者がそういう声を上げられているなら大切なことであろうと思いますし、農民の意見というものもこれは重視されなければならない、そういうものに基礎を置いてお考えになったんでしょうか。
  45. 岸國平

    政府委員岸國平君) 研究を進めます場合に、やはり本当に一つ一つ研究をいたしますのは人間でございますので、実際に研究を行う研究者の考え方を尊重しなければいけないということは私どもも十分認識いたしております。そのために、先ほど峯山先生のときにもお答えを申し上げましたが、今回の組織改正のための検討も十分各方面方々の御意見もお聞きいたしましたし、また直接研究機関におきまして研究の指揮をとっております研究部長、あるいは部の中にあります科、そこの科の長であります研究科長、そういった方々意見も徴しておりまして、それらの部長、科長等を通じて実際に今後研究をしてまいります研究所研究者の意見も十分に反映されているというふうに考えております。  また、農民の意見はどうかということでございますが、今回の二つ研究所の問題、特にバイオテクノロジーの問題というような点につきましては、一人一人の、あるいは特に具体的な農民の方のといったような意味での意見聴取を特別にはいたしておりませんけれども、いろんな機会を通じまして、農民の方々あるいは農民の方々と直接接しております普及関係方々、あるいはそういった方々意見を常に吸収しておられます専門家の方々、そういった方々の御意見も十分にお聞きしておりますので、現在、実際に農業を営んでおられる方々から、いまの品種だけではいけない、もっといいものが必要である、あるいはそれらの品種をつくる上でもっと新しい、世界にも負けないような技術をつくってほしいというようなことは常に要請を受けているわけでございまして、そういった要請にも今回の二つ研究所計画は十分におこたえ申し上げることができるのではないかというふうに確信いたしておるわけでございます。
  46. 安武洋子

    ○安武洋子君 ちょっと聞き漏らしたのかもわかりませんけれども、現場の研究者の意見をお聞きになったでしょうかということに対して、何だかいろいろ言われて、反映されていると思うというふうにお答えになったんですが、聞かれたのか聞かれなかったのか、端的にお答えください。
  47. 岸國平

    政府委員岸國平君) 聞いております。
  48. 安武洋子

    ○安武洋子君 では研究内容が詰め切れていないままの改編ということで承って、次にまいりますが、遺伝子の組みかえで病気に強い作物をつくり出すとか、豆科以外の作物に根粒バクテリアをつけて肥料の要らない農作物をつくっていくとか、細胞融合で新品種を生み出すとか、こういうことは技術者の夢であり、私はこれを否定するものではございません。しかし、大変一面的な強調というのは危険でもあろうかと思うわけです。バイオテクノロジー開発に当たりましても、農水省農水省に私はふさわしい方法があるのではなかろうかというふうに思います。  そういう点で、植物ウイルス病の防除という目的から出発いたしまして、分子生物学手法を深めまして、プロトプラストを世界に先駆けてつくり出すというふうな成果を上げてきました植物ウイルス研究所、これを解体するというのは非常に問題であろうかというふうに思うわけです。植物ウイルス研究所開発いたしました技術、このバイオテクノロジーを応用しました品種改良を目指しての周辺技術として動員する、また研究者もそのために動員する、こういうことではなくて、植物ウイルス研究をきちんと生資研の中に位置づけましてその中からバイオテクノロジーも深めていく、こういう方向がぜひ必要ではなかろうかというふうに思います。この点について御意見を伺います。
  49. 岸國平

    政府委員岸國平君) ただいま御指摘研究所は植物ウイルス研究所ということで、現在筑波に置いてあります研究所でございます。植物ウイルス研究所におきましては、御指摘のように、いままで作物に寄生いたしまして被害を及ぼすウイルス病の防除のための基礎研究を実施してまいりました。そのために、その研究によっていろんな成果が得られまして、御指摘の中にありましたようなプロトプラストの大量安定作成の方法といったようなものも世界に先駆けてつくられたというようなこともございます。ただ、ただいま申し上げましたプロトプラストの作成方法といったようなものは、植物ウイルス研究所成果といたしましては一つの副産物でございまして、植物ウイルス研究所でねらいとし、また任務といたしておりましたのは、ウイルス病の防除を達成するということを対象にいたしてまいりました。  今回の二つ研究所をつくります場合に、私どもはこの植物ウイルス研究所研究を、特にウイルス病を防除するという意味で今後ともしっかりと研究は継続していかなければいけないというふうに考えておりまして、その一つといたしまして、ウイルス並びにウイルス病に関する基礎研究の面では、今後環境技術研究所においてこれを行ってまいりたいというふうに考えております。  それからまた、特にウイルス病を防除するため には、ウイルスに関する分類でありますとか、あるいはどういうふうにウイルス病が伝播されるのかといったようなことを次々と明らかにしてまいらなければいけないわけではございますが、そういった研究につきましては、すでに植物ウイルス研究所が設けられましてから十数年以上を経過いたしまして、その間に私ども試験研究機関におきましては、野菜試験場でありますとか果樹試験場でありますとか、そういった多くの作目別の試験場あるいは地域の試験場等におきましても、ウイルスに関する研究を積極的に進められるような実力がついてまいりました。そういったところの研究所の力と、それからまた、今回農業研究センターにおきまして新しく三つの研究室を振りかえて新設いたしますので、それらを用いますといままで以上にしっかりとウイルス病の防除に関する研究は行っていける、そういうふうに考えているわけでございます。  先生の御指摘の、農業生物資源研究所においてもウイルスの研究位置づけていくべきではないかという御指摘でございますが、私どもは、農業生物資源研究所におきましては、先ほど来何回も申し上げましたように、農業生物資源研究所の明確な目標というのがございますので、その中におきまして植物ウイルスに関する研究も、今後新しい生物資源をつくってまいります場合の一つの手段として活発に研究も行う必要が出てまいる、そんなふうに考えております。
  50. 安武洋子

    ○安武洋子君 そこらの農水省の御認識が私はおかしいというふうに思うわけなんです。  ウイルスそのものの防除方法もまだはっきりわからない、十数年かけたというふうにおっしゃいますけれども、まだそこまでいっていないというふうに私は思います。地域の農試、こういうところとか、あるいは作物別でウイルス研究ができるような段階になった、実力がついてきたとおっしゃいますけれども、そういうところはいろんなものが雑多に持ち込まれて、本当にそういうウイルスそのものの基礎防除をやっていくという、基礎的なそういう研究ができるような立場ではなかなかありません。  ですから、いまおっしゃるのは、大変このウイルス研究ということに対して軽視をなさっている。もっとウイルスの防除のための基礎研究、これをきっちりと生資研の中に一応位置づけてやっていこう、日本農業発展さすためにはというふうにやはりお考えにならないと、いま日本農業にこのウイルス病の与えている影響というのは大変多うございますからね。金額にいたしましても、それから農業全体に与える影響としても大きいわけなんです。そこをもう一度考え直していただきたい。いかがですか。
  51. 岸國平

    政府委員岸國平君) ただいまお答えいたしましたとおりでございますが、農業生物資源研究所におきまして植物ウイルスに関する研究を、特にいままでの植物ウイルス研究所におきまして実施してまいりましたように、それを目的とした研究を行うつもりはございません。それは先ほども申し上げましたように、今回の農業生物資源研究所におきまして方法としては十分に活用してまいるつもりでございますが、農業生物資源研究所においてウイルス病の防除を目的とするような研究を行うつもりはございません。
  52. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、農業被害のウイルスの防除そこのけということで、世界の種子戦略という大企業奉仕のやはり食糧戦略のペースにはまり込んでしまうという危惧を私は感ぜざるを得ないわけです。  生資研の当面の目玉としておりますべクターの開発に当たりまして、植物ウイルス自体の研究をもっと深める必要があるという意見があります。これをどうお考えなんでしょうか。それから専門家の意見などを十分に聴取をなさいましたでしょうか、お伺いをいたします。
  53. 岸國平

    政府委員岸國平君) 御指摘にございます遺伝子組みかえの場合のべクターとしてウイルスが使えるのではないか、その研究をもっと進めるべきではないかということでございますが、私どもも現在植物において遺伝子組みかえを行います場合に、ウイルスがべクターとして有用であるということにつきましてはそのように認識をいたしております。そういうこともございますので、今回、植物ウイルス研究所のいままで積み上げてまいりました研究のキャリアを十分にこの農業生物資源研究所の中で活用してまいりたいというふうに考えております。  そういうことでございますので、農業生物資源研究所の中でべクターとしてのウイルスの活用あるいは今後もっと別な面でのウイルスの活用ということも出てまいるかもしれません。そういうものについては、あくまでも農業生物資源研究所におきます研究目的を達成するための手段ということで位置づけ研究発展させてまいりたい、そういうふうに考えておりまして、それらの点については十分に議論を尽くした結果でございます。
  54. 安武洋子

    ○安武洋子君 専門家の意見を十分聴取されましたかという、これは。
  55. 岸國平

    政府委員岸國平君) 専門家の意見を十分に徴しております。
  56. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、新環境技術研究所につきまして、これは農蚕園芸局対応の研究ではなくて、構造改善局対応の研究をさせるというふうな声が農水省の内部にあるというふうに聞いております。農林水産技術会議としてもそのようにお考えなんでしょうか。
  57. 岸國平

    政府委員岸國平君) 農業環境技術研究所におきましては、農業生物資源研究所とは違いまして、非常に広範な研究を予定いたしております。特に、農業の基盤をなしております土壌の問題、水の問題あるいは気象的な問題、それからまた作物に影響を及ぼす病害虫の問題でありますとか、あるいは作物をめぐる生態系の問題でありますとか、そういったような問題について研究を進めてまいる予定でございます。それらの研究成果と申しますのは、これは単に一つの局だけに限られるようなものではございませんで、私ども考えとしては、構造改善局はもちろんでございますが、そのほか農蚕園芸局でありますとか、多数のわが農林水産省の局、庁、いずれにも関係を持つものというふうに理解をしております。
  58. 安武洋子

    ○安武洋子君 臨調、行革で農水省関係の補助金に大なたがふるわれる、その分を土木工事費で埋め合わせするというふうなことで、その呼び水になるような研究をさせるという考え方ではなかろうかと私は思います。  技術会議は、これまで病虫や雑草として駆除の対象としか考えていなかった昆虫や植物も含めての生態系を生かしての農業のための研究とか環境保全のための技術開発、こう説明をされております。この説明とは違って、日本全国を掘り返すための研究と、こういうことになってしまうではありませんか。
  59. 岸國平

    政府委員岸國平君) 私ども、いまお答えを申し上げましたように、農業環境技術研究所におきましては、決して日本全国を掘り返すためのもとになるような研究をしようとは毛頭考えておりませんで、先ほどお答えいたしましたような農業の基盤をなします土壌、水、また作物をめぐります各種の環境要素の問題、そういった問題を研究いたしまして、トータルとして農業が今後も健全に発展できるような、その基礎になるような技術開発してまいりたい、こういうふうに考えております。
  60. 安武洋子

    ○安武洋子君 おっしゃることは私はなかなかにわかに信じがたい。やはり先ほど私が申し上げたような考え方でなかろうかというふうに思わざるを得ないわけです。  ここで、人事の問題について、時間がありませんので、お伺いをしておきます。  衆議院の審議で、この再編に当たりまして、研究者の活力を十分に引き出すようにしたいとか、あるいは研究者がやる気を持って研究に向かえるようでなければいい研究ができないので十分に配慮する、こういうふうに御答弁なさっておられます。筑波の現場では、十二月一日以降は職がないものと考えてほしい、こういう当局側の大変穏当 でない発言がありまして、一方的な強引な人事のごり押し、この動きがございます。これは農水省のこういうのが方針なんでしょうか。国会の答弁とは大変違っておりますが、いかがですか。
  61. 岸國平

    政府委員岸國平君) ただいま御指摘の、十二月以降云々ということは私ども全くそういうようなことを申していることはございませんので、その点については特に直接お答え申し上げることはございませんが、ただ、ただいまの御指摘あるいは御質問内容に対しまして、私どもの現在考えておりますところについてお答えを申し上げますと、今回の二つ研究所の設立に当たりましては、先ほど来申し上げておりますように、農業技術研究所並びに植物ウイルス研究所二つ研究所を廃止いたします。それからまた、蚕糸試験場につきましては、現在おります定員を約半分に縮減をいたします。その縮減をいたしました半分の定員のかなりの部分は新しい研究所において研究を進めていくような配置を考えておるわけでございます。  そういう意味におきましては、現在の農業技術研究所あるいは植物ウイルス研究所蚕糸試験場、それぞれのところにおります研究者は、いずれも研究の対象が変わってまいりますし、また研究室の名称等も変わってまいります。そういうことが先ほど先生の御指摘のような表現になっている部分があるいはあるのかもわかりませんが、実態としてそういうことでございます。  その場合に、私どもは衆議院のときにもお答え申し上げましたように、研究を進めるのはあくまで人間でございますので、その研究を進める人間が積極的に活力を持って研究ができなければ、どんなに組織をつくってもその組織は動かないというふうに考えておりますので、研究者の配置につきましては十分に配慮をいたしまして、現在の研究をしております専門分野あるいは現在の研究者の持っておりますテクニック、そういったものを十分に配慮した上でそれらが十分に活用できるような配置をしてまいりたい。そのためには適材適所の原則をしっかりと守って配置をしてまいりたい、そういうふうに考えております。
  62. 安武洋子

    ○安武洋子君 強引な人事を進めるというふうなことは絶対にやっていただいては困ると思います。  岸局長は、「えてして一人一人の研究者はその自分の入り込みました研究の場面にとらわれ過ぎてなかなか全体が見通せないというようなことが起こりますので、」「その点を常に戒めながら研究推進しているところでございます。」と、こういうふうに述べておられます。いま農水省が当面している問題といいますのは、私は先ほどから論議をいたしておりましてわかりましたが、局長のお考えのような視点ではなくて、臨調行革と、こういう枠組みが先にあって、これに農水省としてどう対応するかというところから出発なさるからいまいろいろ問題が起こっているというふうに思います。一人一人の研究者というのが研究発展させる方向をいま見失っているというふうな問題ではございません。ですから、スクラップ・アンド・ビルドの研究機関の再編と申しますけれども、そのスクラップもそれからビルドも、どちらもつまり農業切り捨ての道に私はつながっていくという危惧を抱かざるを得ないわけです。  農水省技術開発の夢を語っていらっしゃいます。しかし、それを着実に達成していくプログラムを提起はなさっておりません。日本農業のいま大変な危機でございます。日本農業は危機だから、それから農水省が大変な危機に置かれているんだからというふうなことで、職員に対してがんばれというふうなことでは私はだめだと思うんです。研究者がどういうことに着目をしているか、そしてどういう研究をしようとしているのか、あるいは農民が何を要求しているのか、そして農民が何を農水省に期待をしているのか、日本農業の真の発展のために私はもっとこういうところに耳を傾けて現状を見ていただきたい。いまのままの農水省の態度というのは、私は再び農基法の誤りを繰り返すことになるのではなかろうかというふうに思います。  古くからの言葉でございますが、農学栄えて農業滅びるという言葉がございます。やはり私は、この行革の中で農水省が生き残るということばかりを考えるということになりますと、試験研究機関が残って一定の業績を上げても農業そのものが滅びることになる、こういう危惧を大変抱かざるを得ないわけです。先ほどからの農水省の御答弁を伺っていて、私はその危惧をますます深めるものでございます。そういう点は絶対にやっていただいてはならない、日本農業を真に発展させていただかなければならない、私はこのことを申し上げまして、これは御答弁よろしゅうございます。  これで、私の時間が参りましたので、質問を終わります。
  63. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もなければ、これより直ちに採決に入ります。  農林水産省設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  64. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  山崎君から発言を求められておりますので、これを許します。山崎君。
  65. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は、ただいま可決されました農林水産省設置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び無党派クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     農林水産省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、今後農業関係試験研究を一層推進するため、先の衆参両議院における「食糧自給力の強化に関する決議」の趣旨を踏まえ、次の両事項について特に留意の上善処すべきである。  一、農業生物資源研究所及び農業環境技術研究所の発足を契機に基礎研究を一層充実すること。  一、時代の要請にこたえた試験研究体制の整備、研究条件の改善を図るとともに、開かれた研究機関として農業振興及び農業者の要請にこたえるよう努めること。   右決議する。  以上でございます。
  66. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいま山崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  67. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 全会一致と認めます。よって、山崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、金子農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。金子農林水産大臣
  68. 金子岩三

    ○国務大臣(金子岩三君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
  69. 坂野重信

    委員長坂野重信君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十六分散会