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1983-03-30 第98回国会 参議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月三十日(水曜日)    午前十時二分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         八百板 正君     理 事                 長田 裕二君                 高橋 圭三君                 成相 善十君                 大森  昭君     委 員                 小澤 太郎君                 沖  外夫君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 長谷川 信君                 片山 甚市君                 福間 知之君                 太田 淳夫君                 山中 郁子君                 中村 鋭一君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  桧垣徳太郎君    政府委員        郵政大臣官房長  澤田 茂生君        郵政省電気通信        政策局長     小山 森也君        郵政省電波監理        局長       田中眞三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    参考人        日本放送協会会        長        川原 正人君        日本放送協会副        会長       田中 武志君        日本放送協会技        師長       矢橋 幸一君        日本放送協会専        務理事      坂倉 孝一君        日本放送協会専        務理事      渡辺 伸一君        日本放送協会理        事        川口 幹夫君        日本放送協会理        事        荒井 治郎君        日本放送協会理        事        横井  昭君        日本放送協会理        事        林  乙也君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 八百板正

    委員長八百板正君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会関係付託案件の審査、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、放送に関する事項の調査のため、日本放送協会役職員参考人として今期国会中、必要に応じ随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八百板正

    委員長八百板正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 八百板正

    委員長八百板正君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。桧垣郵政大臣
  5. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十八年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について概略を申し上げます。  事業収支におきましては、事業収入は前年度に比べ四十二億七千万円増の二千九百十五億円、事業支出は前年度に比べ百四十八億八千万円増の三千二十一億一千万円となっております。  この結果、事業収支における不足額は百六億一千万円となっております。  この不足額につきましては、昭和五十五年度から昭和五十七年度までの三カ年間繰越金百六億一千万円をもって補てんすることとしております。  資本収支におきましては、資本収入は五百八十六億円、資本支出は四百七十九億九千万円となっており、このうち、建設費として四百億円を計上しております。  また、債務償還に必要な資金七十七億三千万円のうち六十三億六千万円が不足となりますので、長期借入金をもって補てんすることとしております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、視聴者意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな放送番組を提供すること、受信料負担の公平を期するため、受信料制度周知徹底を図り、受信契約増加受信料の確実な収納に努めること、放送衛星の打ち上げ等新しい放送サービスの推進を図ること等となっておりますが、これらの実施に当たりましては、極力合理的、効率的運営に努めることとしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元に配付されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでございますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願い申し上げます。
  6. 八百板正

    委員長八百板正君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。川原日本放送協会会長
  7. 川原正人

    参考人川原正人君) ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十八年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。  協会事業運営は、きわめて厳しい経営環境にありますが、昭和五十七年度最終年度とする三カ年の経営計画に引き続き、極力業務の合理的、効率的な運営を推進することにより、受信料月額を五十八年度もなお前年度どおりに据え置くこととし、視聴者要望にこたえて、放送全国普及とすぐれた放送実施に努めてまいる所存であります。  次に、昭和五十八年度の主な事業計画について御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、難視聴地域の解消をより効率的に推進することとして、テレビジョン局建設共同受信施設の設置、中波放送局の新設、増力及びFM放送局建設などを行うほか、放送衛星については、年度内に打ち上げることとして、必要な設備整備を進めることとしております。  また、テレビジョン文字多重放送等新しい放送サービスに必要な設備整備放送番組充実のための機器の整備を進めるほか、老朽の著しい放送設備の取りかえ等を実施することといたしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  まず、国内放送では、国際映像の活用によるニュース報道番組充実充足感のある特別企画番組の積極的な編成、さらにローカル放送の一層の充実など、公共放送使命に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めることとしております。  また、音声多重放送について、放送時間と放送地域の拡充を行うほか、文字多重放送については、東京及び大阪において聴力障害者対象放送を開始することといたしております。  国際放送においては、ニュースインフォメーション番組、各地域特殊性に即した番組を編成し、放送を通じて国際間の理解と親善に寄与することとしております。  広報及び営業活動につきましては、地域の特性に即したきめ細かい施策により、幅広い視聴者意向を積極的に吸収し、これを事業運営に的確に反映させるとともに、受信料負担の公平を期するため、視聴者生活態様に即した営業活動を積極的に推進して、受信契約増加受信料の確実な収納に努める所存であります。  調査研究につきましては、放送番組放送技術の向上に寄与する調査研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、一般にも公開することといたしております。  以上の事業計画実施に当たりましては、業務全般にわたり、効率化を積極的に推進して、経費節減徹底を図ることとし、要員については、事業計画遂行に必要な最小限にとどめ、年度内百七十人の減員を行うこととしております。また、給与につきましては、適正な水準を維持することといたしております。  これらの事業計画に対応する収支予算について申し上げますと、事業収支において、収入総額は二千九百十五億円、このうち、受信料収入については二千八百四十四億円を予定しております。これは有料契約総数において四十五万件の増加を見込んだものであります。  これに対して、支出は、国内放送費などの事業運営費減価償却費支払い利息など総額三千二十一億一千万円を必要とするため、事業収支において百六億一千万円の収支不足を来すこととなりますが、これについては、五十五年度から五十七年度までの三カ年間繰越金百六億一千万円をもって補てんすることといたしております。  次に、資本収支は、支出において、建設費四百億円、通信放送衛星機構等への出資に二億六千万円、債務償還に七十七億三千万円、総額四百七十九億九千万円を計上し、収入には、減価償却引当金放送債券及び借入金など合わせて総額五百八十六億円を計上いたしております。なお、債務償還に必要な資金のうち、受信料をもって充てるべき六十三億六千万円については長期借入金をもって措置することといたしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて資金需要及び調達を見込んだものであります。  以上、日本放送協会昭和五十八年度収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、一九八〇年代における公共放送としての果たすべき役割りがますます重要になっていることに思いをいたし、今後の事業運営に当たっては、協会の総力を結集して協会に課せられた責務遂行に努める所存でございますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  8. 八百板正

    委員長八百板正君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 福間知之

    福間知之君 ただいま大臣並びにNHK会長からNHK事業計画あるいは予算等についての御説明がございました。  まず、会長お尋ねをしたいのですが、会長NHKの部内の御出身でもございまするし、NHK事業については十分知悉されていると存ずるわけであります。今日、NHK放送自主性を支える上でその財政は必ずしも余裕はない、あるいは民間放送の力もかなり増大をしてまいっております。あるいはニューメディアへの対応という面もNHKとしては非常に強い切迫感があると思うわけであります。このように経営環境がかなり厳しいように感ずるわけでございますが、川原新会長としてはこれからのNHK経営かじ取り責任者としてどのような御抱負を持ってこれに当たられようとしているのか、総括的に所見を承りたいと思います。
  10. 川原正人

    参考人川原正人君) 御指摘のとおり、現在NHKの置かれております経営環境というものはまことに厳しい面があり、かつ、その上非常に激動の中に置かれております。御指摘のように、私ども経営財源、特に放送自主性を確保すべき財源の大半を占めております受信料が一%そこそこの収入増しか期待できないという状況の中で、私ども番組に対する視聴者要望はますます多様になり、かつ、期待も大きいものがございますし、さらに新しいメディアの発展に対しても私どもは積極的に取り組んでいかなければならない、そういう責務を持っております。  こういう状況の中で、やはり民間放送等はこの不況の中でも一〇%近い事業収益伸びを持っておりますし、率直に申しまして、そういう競業事業体との切磋琢磨も必要でございますので大変苦しいわけでございますので、さりとて私ども財源不足するからといってすぐそれをまた視聴者の御負担にお願いするという安易な道もとるべきではないと考えております。したがいまして、私どもが過去六十年近くやってまいりました仕事、そのすべてにわたって私は全部抜本的に根本からいま検討のし直しをしようと思っております。職員にもそれを求めております。  そして、その中から私どもがすでにその使命を終えたもの、あるいはより能率的に業務実施ができるものについてはさらに一層能率的な業務を進める、あるいは私ども関連会社等との共同作業によって協会自身負担を軽くするものがあるならばそういう方法も他に講じてまいりたい。それから、しばしばこの委員会でも御指摘いただいておりますけれども副次収入増加等にもなお一層の力を注ぎましてそのようなことを進めてまいって新しい事態に対応してまいりたい。  しかし、それには何と申しましても、私自身はもちろんでございますが、やはり職員が一致いたしましてみずからの体質を改革する、みずから自己改革をする、そういう努力がいま一番必要ではないか。その上に立って私どもがあらゆる努力を重ねて、なおもしどうしても私どもの力が及ばないところがあれば、あるいはさらに視聴者の方々に御支援をお願いするという事態も来ざるを得ないかと思いますけれども、まず第一に私どもがみずから自己改革を進めて、みずからの努力によってこの難局を切り開いていく、そういう気持ちを持って当たりたいと思っております。
  11. 福間知之

    福間知之君 いま会長の申されたように、将来にわたってNHK事業運営について全般的な見直し、抜本的な改革を目指そう、こういう御決意のように承りました。これは当委員会におきましても毎回指摘をされてきたところでありまするし、長期経営ビジョンというものもすでに策定はされておりますが、それを具体的に経営にどのように反映さしていくのかということがこれからの課題だろうと思います。  したがいまして、引き続いてこの問題は今後も議論対象にさしていただきたいと思っていますが、当面、NHKの今回の予算に関しまして二、三お尋ねをしたいと思うのですけれども、五十八年度のこの予算を見てみますと、事業収支で百六億円の赤字先ほども御説明がございました。さらに、受信料収入債務償還に充てる資金不足額は約六十四億円、合わせて百七十億円の収支不足ということになっておるようでありますが、この収支構造は、事業収入伸び率が一・五%、これに対して事業支出伸びが五・二%となっております。事業収入増収額ほぼ四十三億円ぐらいと見られておりますが、これで国内放送費増加分さえ賄い得ない、こういう状況のように伺います。もっとも事業収支赤字百六億円というのは、先ほど説明でも過去三年間、すなわち五十五年度から五十七年度までの繰越金で穴埋めをすることになっておりまして、五十八年度実質赤字債務償還、つまり長期借り入れ六十四億円弱、とういうふうに見られております。  そこで、しからば五十九年度以降果たしてどういう見通しがあるのか大変懸念されるわけでございます。これは後ほどお尋ねをしたいのですけれども、いわば中長期経営計画というものとも相まって、やや長期展望としてNHK当局はどうお考えになっておるか、こういうこととも関連してまいるわけであります。いままでNHK事業運営効率合理化、人員の一定の削減も含めましていろいろ努力されてきている面はわかるわけですけれども、問題はこれからでありまして、そういう点もあわせてお伺いをしたいと思います。
  12. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) ただいまの御指摘のとおり、本年度実質不足額は百七十億という収支構造になっているわけでございまして、先生御指摘のとおり、こういったような状況基礎として今後の経営見通し考えますと、先ほど会長が申し上げましたような効率的な経営努力をいたしましても年々この収支の不均衡というものは拡大することが避けられないわけでございます。現在、この経済上の基礎となります見通しを取りまとめるための基礎的な条件がいろいろまだ不分明な点が多いわけでございまして、具体的な見通しというものは、いま予測を立てるにはまだいろいろ不足をしている点が多いわけでございますけれども、今後の状況を申し上げますと、先ほど会長が申し上げましたように、放送衛星を初めいろいろニューメディアに取り組まなければならない問題を初め、公共放送として果たさなければならない仕事がたくさんあるわけでございます。こういったようなことで、徹底した効率的な経営を図るといたしましても、やはりここ数年間このままで推移をいたしますと、現在の見通しでは大体年間二百億から二百三十億程度収支不足が生じていくというふうに現時点では試算いたしているわけでございます。
  13. 福間知之

    福間知之君 五十五年度受信料が二四%値上げされたと記憶しておりますが、以後三カ年の経営計画をもとに五十七年度まで事業運営が行われてまいりました。本年度先ほどの百七十億収支不足ということではございますけれども、これは三カ年計画の枠外であったと思います。そしてまた、ことしはいま値上げ考えられているわけでもないわけです。したがって、この五十九年度以降というのが、いま坂倉理事お話のように、ほぼ二百億から二百三十億というふうな赤字年間で見込まれる、こういうことでございますが、テレビジョン放送が始まってことしが三十年、こういうことで、この間NHKは大体六回ばかり値上げを繰り返してまいっております。昭和二十九年あるいは三十四年、三十七年、四十三年、五十一年、そして先回の五十五年であります。そうしますと、当然ことしか来年か値上げということになると思うのです。  結局、大ざっぱに言って、昭和四十年以降ぐらいからNHK経営というのは収支的には慢性的な赤字構造というものが定着をしているのじゃないか、こういうふうに考えられます。そして、ほぼ四年ごとにこの受信料改定を繰り返してきているわけでございますが、先ほど会長お話がありましたように、安易に視聴者に対して値上げを許してもらえるというふうな情勢でもなくなってきた、新しいメディアを含めて料金をどうしていくのか、こういうことが抜本的に考えられなければならぬ、こういう御説明ですが、私はそのとおりだと思うのです。  そこで、これはかねて当委員会でも繰り返し述べてきているわけですけれども郵政当局としてNHKのこの受信料というものの算定、考え方をどのようにこれから持っていこうとされているのか。たとえば物価スライドというふうな概念も議論としては行われてきましたが、そういうことを考えるべきであるのか、考えるべきでないのか。あるいはまた、これはNHKにもお聞きしたいのですけれども、新しいメディア具体化に伴って、その部分については別途の料金受信料体系というものを考えるということがいいのかどうなのか。民間放送のようにスポンサーからコマーシャルをちょうだいするということができないNHKでございますので、その点をどう考えていくのか。また、会長も触れられた副次収入という面でございますけれども、いままでのところ、これはさほどの金額ではない、予算の全体額の中でわずかなウエートしか占めていない。もちろん昨年の放送法改正でいろんな投資ができるようになりましたし、そこから一定収益NHKがいままで以上に確保する道は開かれたわけですけれども、またことしも幾つかの新しい投資計画を持っておられますけれども、それでもいまの段階ではそう大きなものではない。そういうふうにも考えますので、やはり基本になる視聴者からの受信料というものが大宗ではないかと思いますから、その点に焦点を当てて今後の方策についてのお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
  14. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 幾つお尋ねがありましたようですけれども、まず郵政省の方から。  まず、NHK経営は慢性的な赤字構造となっているが、現在の受信料制度を見直す考えはないかというお尋ねについてでございますが、御高承のとおり、NHK予算国会承認いただくことによりまして毎年の受信料月額あるいは料金がその都度決まるという現行方式でございますが、それを御指摘のように物価スライド制によりまして現行受信料の額を決めていく等の方式に改めることについてでございますが、現行方式はもうすでに定着しておるというふうに考えておりますし、また、先ほども申しましたように、国会での御審議にかかわることでございますので、慎重に考えていくべきであろう、このように考えております。  それから、もう一つ御質問があったと思いますが、多重放送あるいは衛星放送等ニューメディアが出てくるにつけて、たとえば別建てにするということについてはどうかというお話のようだったと思いますけれどもニューメディアがだんだん新しく出てまいりまして、それに費用がかかるということは当然でございますけれども、これも現在の受信料制度というものは、ラジオ、FMテレビジョンすべてを含めましたNHKを支える費用全体につきまして受信料からいただくというようなたてまえになっておりますので非常にむずかしい。衛星放送等あるいはニューメディアの今後の普及にも非常にかかわりが深いということで、これまたいまの段階では慎重に検討してまいりたいというふうにお答えしたいと思う次第でございます。
  15. 川原正人

    参考人川原正人君) 私ども財政の基盤をなしておりますのは、御指摘のとおり、何といってもこれは受信料でございます、これは九八%を占めておりますので。先ほど申しましたように、副次収入を私どもおろそかにしてはいけないということで、鋭意力を入れて副次収入のふえ方、伸ばし方の面ではかなりの率で伸ばしてはおりますけれども、おっしゃるとおり、これは金額的に見ますと、やはり受信料に比べればわずかしか占める比率はございませんので、何といいましても財政の主たる大宗受信料でございます。  この受信料につきまして私ども気持ちだけを申し上げれば、確かに一つの数字でございますけれども昭和四十七年と五十七年あたり比べて消費者物価の方は二・二八か二・三倍ぐらいに伸びておりますけれども受信料は、先ほど指摘のように何回かの改定がございましたけれども、一・九倍ぐらいの消費者物価伸び以下にとどまっております。その点から気持ちだけを言えば、消費者物価ぐらいの伸びがあれば私どもの方ももう少しいろんな施策が講じられるかという気持ちはございますけれども、さりとてスライド制というものが一体私ども料金の決定になじむかどうか、これはよほど慎重に研究しなければいけないというふうに考えております。  それから、十年なりあるいはまたテレビジョンが始まりまして三十年の間に何回かの改定がございましたけれども、たとえばカラーテレビジョンという新しい手段が開発されてそのサービスをする、それによってカラーテレビジョンは従来の料金と別の料金をちょうだいするという形ですと、比較的視聴者の方の御理解も得やすいということはございます。その意味では、新しいメディア、いまいろいろ議論されておりますし、私どもも、先ほど申し上げましたように、今年度内にも文字放送とかあるいは衛星の打ち上げということを逐次実施してまいりますけれども、これによって新しいサービスが提供できて、それによってまた別の料金がちょうだいできるならば、これは一つ経営のあり方かと思っております。ただ、これは理論的には、私は新しいサービスについては新しい料金を当然考えるべきだと考えております。ただ、実際問題としてどのようなサービスが具体的に展開できるか、またそのサービスがどの程度普及されるかということはいろいろまたむずかしい問題がございますので、その辺のことは慎重に考えてまいりたい、かように思っております。
  16. 福間知之

    福間知之君 郵政当局NHK当局も、いまの段階ではニューメディアというものの実現に対応した料金体系の見直しということについて具体的にはまだ考え方が固まってない。ある程度私はこれはやむを得ないと思うのです。たとえば来年の二月に打ち上げられるBS2a号にしましてもチャンネルは二つしかありませんし、言うならば難視聴地域の解消が一つの大きな柱でありまして、さらに六十年、六十一年に予定されるBS3になってチャンネル数もふえて、そうして本当の意味でこの新しいニューメディアサービスを普遍的に行う基礎的、技術的条件が整うわけでありますから、そのときにどのような内容の番組放送を行うのかということによって、言うならば、いままでの受信料にプラス新しい別料金の制度が確立できるかどうかということだと思うのです。どういうような中身の放送をもって別料金考えることが可能になるのかということだと思いますので、それはまだ固まっていない。そこで、長期ビジョンの審議会での答申もあって、それをこれからの中長期経営計画に取り込んでいかれる予定でありまするし、すでにNHKもその検討委員会かなんかつくられたのでしょう。そういう働きはどうなっているのですか。その中には、やっぱり料金問題というのは大きな一つの課題として入っていると思うのですけれども、そうじゃないのですか。
  17. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) いまお話ございましたように、昨年ビジョン審議会の答申をいただきました後、部内に会長を長といたしますビジョン検討会議を設けまして、ここずっと、そういったNHKの将来の問題について具体的な検討を進めてまいっているわけでございます。当然、今後そういった新しい情勢に対応してのNHKのやるべき業務というようなものがどうあるべきかといったようなことを初め、すべての問題にわたって検討を続けているわけでございまして、ただいま会長から申し上げましたように、このNHK財政の問題、特にその中心となります受信料の問題もどうあるべきか、どういう形でなじむ方向が出てくるかといったようなことにつきましては、当然この検討の課題として検討を続けてきているわけでございます。
  18. 福間知之

    福間知之君 受信料の将来展望については、ことではこれ以上になかなか具体的なお話なり見解も聞き取れないだろうと思います。したがって、これは引き続いて鋭意ひとつNHKあるいは郵政当局でも検討を進めていただく以外にはないだろう、そういうように思いまして、今後に譲りたいと思います。  次に、文字放送のいよいよ実現を間近に控えているわけですけれども、その普及対策という観点からお聞きをしたいのですが、当面、聴力障害者向けの字幕放送、東京、大阪を中心に行われると聞いていますが、これは今日行われている朝の連続テレビ小説など週に約三時間余り、そのほかに独立放送として二十ページ余りの要約ニュース放送が文字多重で開始される、こういうふうに承知をしておりますが、その実施計画のあらましをお聞きしたい。あわせて、その四千万円ぐらいの経費をそれに充てるようでございますが、予算的な措置はどうなっているだろうかということでございます。
  19. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) NHK文字多重放送はこの秋から始めようと思っております。当面、社会的に非常に要望の強い聴力障害者向けサービスということに限定をして始めたいというぐあいに思っております。  五十八年度放送計画は、いま福間先生おっしゃいましたように、字幕番組、つまりテレビ小説の画面に字幕をダブらせまして、聴力障害者の方にテレビドラマを鑑賞してもらうというふうな形のものでございます。そのほかに、ニュースだとかあるいは天気予報、それから連続テレビ小説が四月から始まりますので、秋からの開始でございますと、たとえばその粗筋を入れるとかというふうなことなども考えております。番組関連情報というふうなことで、それをテレビ画面に文字づけなど全面表示する方法によりまして、原則としては毎日、総合テレビジョン放送開始から終了までの間、行いたいというぐあいに思っております。  なお、ニュースとか天気予報など、内容の更新を要するものは正午から午後十時までということで、当面サービス考えております。  なお、NHKではこの実用化試験放送実施を通じまして、字幕番組の表現手法等の開発とか検証などを行う予定でございます。  それから、お尋ね番組制作費は大体三千万円、これは主として字幕の製作等に要するお金でございます。それから技術関係の費用として九百十三万。合計いたしますと今年度は三千九百十三万円を予定しております。
  20. 福間知之

    福間知之君 そのほかに、この夏どろには文字多重の番組を制作するための会社が二千万円ぐらいの出資で設立されると聞いておりますが、そういう構想があるわけですか。
  21. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 字幕番組というのは、NHK文字放送をやる上で、字幕番組そのほか番組の字を制作するところ、これは会社をつくって、そこにNHKが出資をして、そこで字幕そのほかをつくらせるというふうな構想でございます。
  22. 福間知之

    福間知之君 その当否は私ちょっと即座に判断しかねるわけですけれども、そういうことが必要なのかどうか、少し検討してみたいと思いますので、改めてまた機会を見てお聞きしたいと思います。  いずれにしろ、NHKとしては、文字多重放送実現のために大わらわでいま体制づくりに当たっておられるということでございますが、これは後でちょっと御質問しなきゃならぬのですけれども放送のシステムとの関係でこれからの文字多重放送充実発展ということについて少なからず疑問も残っているわけでございますので、若干後に譲りたいと思います。  ところで、東京、大阪で実現するということでございますが、受信のできる範囲というのは果たしてどれくらいの都道府県になるのか、あるいはまたその区域にどれくらいの聴力障害者が存在をしておるのか、あるいは聴力障害者の公的な施設というものがどの程度分布しているのかというふうな点で、把握されているならばお聞かせを願いたいと思います。
  23. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 東京地区と大阪地区ということで予定しておりますが、両地域で受信できるところは、東京局につきましては、東京都、それから神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県の一都六県でございます。それから大阪局では、大阪府のほか周辺の一部というところで受信ができるというふうに思っております。  この範囲内の聴力障害者の数は、関東がおよそ八万六千人、それから関西がおよそ五万一千人、合わせますと十三万七千人ということで、全国にただいま四十四万人余りの聴力障害者の方々がいらっしゃるということでございまして、大体三〇%というふうに把握をしております。  この地域聴力障害者のための公的施設というものは、私どもが調べましたところによりますと、まず福祉施設、聾唖児、聾唖者の通園施設、それから厚生施設、それから身体障害者センター、それに職業センターなどを合わせましておよそ七十ということでございます。それから教育施設、これは聾学校が三十余校ございます。それから、それ以外の教育施設としまして難聴学級、それから言語学級というふうなものを設けておる学校が大体四百校近くある。以上、合わせますとおよそ四百九十という施設があるというぐあいに把握をしております。
  24. 福間知之

    福間知之君 すでに実施されています音声多重の放送につきましても、今回のこの資料によりますと、昨年度よりことしは十分間延長して二時間五十分程度放送するということ、あるいはサービスエリアの拡大につきましても、現在の十八地区に七地区を追加する、こういうふうになるようでありまして、結果としてカバレージが六八%から七八%、二千七百九十万世帯に対象が拡大される、こういうふうに音声多重の場合にことし方針が出ていますね。文字多重につきましても、私はやはりいずれ地域の拡大ということを考えないとやっぱり不満が出てくるだろうと思いますので、これはその視聴者のニーズが、果たして視聴率がどうなのかということですね、こういうことにもかかわってきますが、近い将来にこれを拡大したいという御意向なのかどうか。  それからもう一点は、ちょっと先ほど費用の面に返りますが、番組の制作に当然費用がかかるわけですけれども、さしあたって中央で制作したものが地方でも流れる、たとえば大阪でやっぱり流れる、こういうことだろうと思いますので、そうしますと、地方というのは放送設備費用がかかるだけで済むのではないかと思いますが、その点はどうなのかということについてお伺いしたいと思います。
  25. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) お答え申し上げます。  先生の御質問は、東京でたとえば全中という形で番組を流すわけです。文字番組を東京発全中という形で流した場合に、東京に送出装置があればあとは電電回線を通して全部地方へ流れますから、地方局ではそれをそのままオンエアすればいいのじゃないか、そういう御質問かと思いますけれども、私たちの実際に回線テストをいろいろいたしました結果によりますと、各地方のローカル局においては、ローカル放送を自分で出すときの処理、具体的に申し上げますと、文字の信号をローカルの信号に移しかえるという処理がどうしても必要になってくるわけなんです。全中の信号をローカルの信号に移しかえるということですね。それからもう一つは、長距離伝送をいたしますので信号が劣化いたします。それを補償する必要があるということでございまして、各地方局ごとに文字多重の信号中継装置というものが必要でございます。そういうものがよけいに要るということでございます。  それから次に、今後は東京、大阪で聴力障害者サービスということに限定してサービスをことしの秋に始めるということでございますけれども、文字番組のいわゆる表現の方法あるいは制作手順、そういったものにつきましてまだまだ開発、検証すべき点がいろいろございます。したがって、当面、東京、大阪地域において実用化試験ということで行っていきたいというふうに考えておりますけれども、今後の計画といたしましては、もちろん多重放送というものはNHKの必須業務として位置づけられておりますので、ハイブリッド方式、いわゆるコード方式とそれからパターン方式のメリットを一緒にしたハイブリッド方式でございますけれども、その実用化の時点でいわゆる地方局への拡大というものを図っていきたい、そういうように考えております。  なお、ハイブリッド方式につきましては、NHKといたしましては、電波技術審議会の審議がいま進められておりますけれども、それに積極的に協力してまいりたいと思っております。  以上です。
  26. 福間知之

    福間知之君 文字多重の対象地域の拡大は、ただいまのお話ではハイブリッド方式の実現に向かっての推移と相まって考えていく、こういうことのようでございますが、ある程度私はやむを得ないことではないかと思うのです。  そこで、郵政当局にお聞きをしたいのですけれども、昨年の放送法改正審議の中で、いわゆるパターンかあるいはコードかというこの問題、あるいはまた受信機購入の面で視聴者に無用の経済的負担を強いることになるのではないかという懸念などが議論されて、一応それは決着を見まして、パターンシステムでまずNHKから先行して実験的に電波を流す、こういうことになりました。しかし、パターン用の受信機とコード用の受信機といいますか、ただいまもありましたハイブリッドというそのシステム、これを共通的に持ったレコーダーといいますか、アダプターがいませっかく関係メーカーでも開発が進んでおるわけであります。  そこで、つい先日、三月の二十五日でしたか、電技審で一応コード方式にかかわる基本的なパラメーターというものに関する答申が行われたように聞くわけでありますが、それで六十年なり六十一年、コード方式の採用、実用化ということについて時間的に間に合うのかどうか。また、民放連、民間放送文字多重放送に対する対応の現状はどうなっているのか。その二点についてお聞きをしたいと思います。
  27. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) まず、最初の御質問の、先ほど説明しましたように、今年秋にNHKが始めるということでございますが、それまでに受信機の市販等が間に合うのかということでございますが、御指摘のとおり、三月二十五日に電波技術審議会から、いわゆるコード方式の技術基準のうち、パターン方式との整合がとれるポイントになります基本パラメーターというものが答申を受けたわけでございます。これによりましていわゆる二重負担というような問題が解決できるということで、簡易なコードコンバーターの接続が可能なパターン受信機の設計が行えるようになったということでございます。したがいまして、文字放送が開始されますことしの秋までに受信機の供給が間に合うように受信機メーカー側に、電機工業会の方からも製造態勢が整いますというふうな回答を得ているわけでございます。  次に、NHKの文字多重の体制に比しまして民放の方はどうかという御質問でございますが、御存じのように、文字多重放送は全く新しいサービスでございますわけで、民放各社といたしましても、今後需要動向がどうなるのか、あるいは番組制作面における技術的問題並びに収益の可能性等の営業的な問題、あるいはあわせまして、それを受ける受信機の普及がどうなるのか、これらは当然導入に当たって考えるべきことだと思いますけれども、いま申しましたような問題につきまして慎重に検討しているというふうに私ども考えております。  それで、放送法の改正に当たりまして、こうした計画を提出してもらうようなことの条文ができましたけれども、四月は新しい年度にも入りますので、ほとんどの放送事業者は新しい事業年度に入るということでございますので、その段階におきましてこの文字多重放送に取り組みます各民放事業者の態勢についても聴取してみたい、このように考えておる次第でございます。
  28. 福間知之

    福間知之君 すでに御案内のとおり、パターン方式よりもコード方式の方が情報量が一定の時間内で八倍ないし十倍多く流されるわけでありまして、そういう面から見れば当然民放の立場ではコード方式ということになるわけであります。  ところが、先般も私、NHKの技研を拝見さしていただいて、文字多重の、屋内いわゆる有線での実験でございましたけれども、まだまだ誤字が多くて使いものにならないということを目の当たりに拝見いたしました。  昨年秋に、わが参議院の視察チームでヨーロッパを回ったときに、イギリスのBBCの放送局に寄りまして、この文字多重についての意見交換をした機会がございまして、そのときに向こうの方はわりあいに大らかなんですね。文字が多少間違ったってそんなに視聴者から文句は出てこないということなんですね。少し国民性が違うと言えば違いますし、文字がいわばアルファベッドと漢字と違うということもあって、そこらが日本の場合にいまのコード方式の技術水準といいますか、あるいはまたゴーストなどの反射電波などの妨害、あるいはまた遠隔地における電波の衰弱などが影響しまして、どうしてもコード方式の場合に誤字が多過ぎる、こういうふうな感触をいま持っているのですけれども先ほどの電技審における基本パラメーター、それはそれで結構なんですが、それが具体的に技術的に解決できるものなのかどうなのか、この点が一つまだ疑問としてあります。  それからもう一点は、先ほどもちょっと触れましたように、ハイブリッドのいわばコンバーターを試作中でございますが、さしあったってNHKのパターン方式で出発する場合のコンバーターがどうしてもやっぱり十万近くはかかるのじゃないか、こういうふうに目されております。さらにまた、コード方式の共用パーツをそれに接続する場合に四、五万ぐらいのやはり負担が必要じゃないだろうか、こういうふうにメーカーサイドでは見ておるようであります。これはしかし全体として少し高いということのように私は感ずるわけです。もちろん普及度合いによってこれは一定のコストダウンを図ることは十分可能でございますけれども、当面そういうふうな価格というものが見込まれておるのかどうか、これは郵政当局にお聞きしたいと思います。
  29. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) まず、二つありましたかと思いますが、コード方式のパターン方式に比べての特徴、そのむずかしさと現在の実情の認識につきまして、私どもも、先生がただいまおっしゃいましたように、大変実際のコードの実用に当たってはむずかしい問題があるというふうに理解しておりまして、全く同じ認識だと思っております。  それにしましても、できる限り早くコード方式の技術基準を確立するという必要があると思っておりますけれども、やはり実用化までには室内実験のほか野外実験等も行う必要がある、なお二、三年はかかるのではないかというふうに思っておるわけですけれども電波技術審議会から基本パラメーターが幸い出されましたので、これでいわゆる二重投資は避けられるということで、受信機の価格につきましてはできる限り低廉になるようにということで工業会とも話を進めておるわけですが、コードコンバーターの接続が可能なようにしましたパターン受信機をつくってもらうわけですが、この内蔵型受信機の価格につきましては、工業会の方のお話でございますけれども、プラス三万円程度であろう、このように聞いておるわけでございます。  ハイブリッド方式の場合に、最初からどの程度かかるかというようなことにつきましては不確定要素もございますけれども、従来のパターンからコードになりましたときにコードをプラスする価格と、最初からコードの基準も決まりました場合にハイブリッドで受けられる値段というものは価格差がほとんどないようにというような予測のもとに進めてまいりたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  30. 福間知之

    福間知之君 時間がございませんので急ぎたいと思いますが、放送衛星についての対策をお伺いしたいと思います。  BS2の打ち上げという段階をいよいよ来年二月に迎えるわけでございますが、当委員会でも今日まで多額の費用NHKあるいは国としても負担をして打ち上げるわけでございますので、単にそのNHKの四十二万余りの難視聴世帯を対象にそれを利用するというだけでは不経済ではないだろうか、その有効な活用を図るべきだということが当委員会の附帯決議をもって再三にわたって要望が出されてまいりました。まず、郵政当局ではこれについてどう対応しておられるのかということ。また、NHK当局としましても、このBS2をどういうふうに活用する心づもりでおられるのか。あるいはNHKにはさらに五十八年度一億八千万円余りの予算が計上されておるのですが、これはその地上施設による難視聴解消対策、こういうことでありまして、これは原則として終了するわけでありまして、この補助金制度といいますか、予算というものを今後は衛星放送の受信設備の設置のために活用していく、支出をしていくという考えがあるのかないのか。さらには、このBS2によって小笠原諸島とか大東島が最も恩恵をこうむるのではないかと言われていますが、私はこの衛星放送受信のモデル地区をつくりまして、それを一般に報知することによって普及を図っていくのも一案だという観点で、小笠原あるいは大東に衛星放送の受信施設を建設するというふうなお考えはないのか。以上、お聞きをしたいと思います。
  31. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) BS2の有効活用の基本的な考え方だけ私からお答えをいたしたいと思います。  申し上げるまでもなく、衛星放送一つの波で全国一斉にカバーができるという特徴がありますし、また地上電波とは違った電波帯の活用ができるという特徴があるわけでございます。そういう特徴を生かしまして、BS2は主たる目的としては、NHKテレビジョン放送の難視聴世帯約四十二万世帯と推算をされておるわけでございますが、その解消に役立てるということが主目的でございます。ただ、このBS2には多額の金がNHKからも国からも出ておるわけでございまして、自余の時間帯等を活用いたしまして新しい衛星放送技術の開発実験というようなことを行いまして、将来の多様化する、あるいは高度化する放送需要というものに対応するための実験利用をさせたいというふうに思っておるわけでございます。  自余の問題につきましては、事務当局ないしNHKから答弁をしてもらいます。
  32. 川原正人

    参考人川原正人君) 私ども、この放送衛星はBS2の段階から主としてこれは難視解消ということで打ち上げを予定しておりますけれども、当委員会においても御要請もちょうだいし、附帯決議もちょうだいしておりますし、私ども自身でもこれはやはり国民的な財産でございますし、単に難視解消だけでなくて、いろいろな面で多角的に活用してまいりたい。もちろん非常災害対策とか、いままで地上では不可能であった多角的な中継機能も持っておりますし、あらゆる面でこの衛星の能力を十分に活用してまいりたい。それには、編成上の工夫もございますけれども、国民の財産を有効に活用してまいりたい。ただ、これにはいろいろ財政的な——活用の仕方によりますと、また財政的にも非常に多額の経費を必要といたしますので、その点は今後の私ども財政施策とも見合いまして、検討を続けてまいりたいと考えております。
  33. 福間知之

    福間知之君 終わります。
  34. 沖外夫

    ○沖外夫君 ただいまの議題の件につきまして、十点ほど御質問をいたしたいと思います。  私は、昨年末の補欠選挙で議員に当選いたしまして、本委員会に所属いたすことになりました。先輩の皆様方あるいはまた関係各方面の方々の御指導のほどを、まずもってお願い申し上げる次第であります。  さて、本題に入ります前に、郵政大臣お尋ね申し上げますが、公共放送のあり方、そして民間放送のあり方、その両者の位置づけについて大臣の御所見を承っておきたいと存じ上げます。
  35. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 御案内のように、わが国の放送体制は、受信料によって維持運営が行われる全国的な公共放送事業を受け持つNHKと、自由な経営をたてまえにいたしました地域社会に密着した放送事業を担当する民間放送とがあるわけでございます。この二本立てになっておるわけでありますが、この公共放送民間放送の二本立てによる放送体制は、わが国ではすでに定着をしたものになっておるというふうに思い、またその成果も上がっておると思うわけでございます。でございますので、今後ともその両者がそれぞれその長所を生かしながら、相互に切磋琢磨することによって、よりよい放送普及が図られるという方向で放送行政を進めてまいりたいというふうに思っておるわけであります。
  36. 沖外夫

    ○沖外夫君 私は、多年にわたり経済人として競争経済の中で厳しい企業経営に携わってきたのでありますが、そうした観点から、次の二点についてお尋ねをいたしたいと思います。  第一には、NHK長期経営計画についてであります。  第二には、放送番組についてでございます。  手前みそで大変恐縮でありますが、たとえば私どもの企業では、工場のある地元、それからお客さんである得意先、そして企業に携わっておる従業員の、この三者が相協力して企業の発展を図ることを経営の基本的理念としてやってまいっております。NHKの場合も放送法等の枠をはめられておりますが、民間企業と比較することはもちろん筋違いのようでございますけれども、大世帯のNHKを動かしていらっしゃいます会長さんはどのような姿勢で経営に当たっておられるのか、まずもってお伺いをいたしたいと思います。
  37. 川原正人

    参考人川原正人君) 私どものというか、私自身経営に対する基本的な考え方としては、何と申しましても視聴者によって私どもは支えられている、その視聴者の絶対の信頼がなければいけない、視聴者にとってNHKがなくてはならない存在である、そういうことでなければNHKは成り立たないと考えております。そのためには、放送法規定にもございますけれども、私ども視聴者すべてによって支えられる受信料、これによって経営を賄うわけでございますし、それがまた私ども放送の、あるいは経営自主性を支える最大のよりどころと思っております。私どもが、そのような受信料をもととして経営を続け、そして放送自主性を確保し、放送法の定めにもございますけれども、表現の自由を確保し、日本の民主主義と文化の向上に役立つような、本当に視聴者にとって欠くべからざる番組を出していくということがすべての基本であろうかと思っております。
  38. 沖外夫

    ○沖外夫君 まず第一に、長期経営計画についてお尋ねしたいと思いますが、NHK昭和五十五年度から五十七年度までの経営計画を策定し、これを基礎料金改定を行われたと承っております。そして、五十八年度はこの計画の期間外ですが、現行どおり据え置かれております。その努力は私は評価すべきだろうと思いますが、どのような財政基礎の上に料金据え置きを行われましたのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  39. 渡辺伸一

    参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。  五十八年度は、先生おっしゃいますように、五十五年から三カ年間計画を過ぎました計画外の年度でございますけれども収支の均衡がいよいよ激しくなってくる状況ではございますけれども、要員の効率化あるいは経費の節減を一層徹底しまして、新しく受信者に負担をかけないで何とか協会使命を達成していこうということで、具体的に申しますと次のような措置を講じてまいったわけでございます。  まず、収入につきましては、五十八年度中に有料契約者三千万を迎えるわけでございまして、年度伸びというのは大変に窮屈になってまいりましたが、それでもなお五十八年度中には四十五万件の純増の受信者を計画したわけでございます。  さらに、受信料の免除につきましては対象見直しをしまして、高等学校等の免除の一部廃止をいたそうと考えたわけでございます。  それから、受信料の一層の収納徹底という面で、前納利用者につきましては新たに四十万件を前納利用者に加えて全体の利用率を四九%まで高めようということでございます。  それから、口座振替による受信料収納につきましても、この年度は百四十万件を新しく口座利用の対象に入れまして、全体の五〇%以上を口座利用で収納さしていただきたいというふうに考えているわけでございます。  それから、いまお話ございましたように、受信料以外の収入といたしましては副次収入があるわけでございますが、これは五十七年度予算として十億を計上したわけですが、これを十二億、一七%まで前進させようと考えているわけでございます。  一方、支出につきましては、財源の重点的、効果的な配分を行いまして、全般にわたりまして見直しを徹底いたしまして、そして物価の上昇による諸経費はこの節減をもって完全に吸収できるというところまで詰めていったわけでございます。こういたしましても収入支出にはなお差がございまして、百六億円の差があるわけでございますが、これは五十五年から五十七年までの過去の三年間における経営努力による繰越金をもって埋めるということにいたしましたわけでございまして、やむなく受信料負担すべき五十八年度債務償還経費六十四億は借入金によって賄うことにしたわけでございます。  以上の措置をやりまして、五十八年度は少なくも事業収支におきましては外部資金の助けをかりないで予算の編成をいたしまして、受信料値上げを思いとどまったわけでございます。
  40. 沖外夫

    ○沖外夫君 ただいまも御説明ありましたように、NHK経営努力は大変されておるわけでありますが、現実に五十八年度予算は単年度でも百七十億円の収入不足になっております。今後、さらにその先はどのような状況になると試算しておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  41. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) ただいま五十八年度につきましては、御説明申し上げましたように、単年度実質収支不足が百七十億あるわけでございます。これから先の五十九年度以降につきましては、これは先ほど申し上げましたように、現時点ではなかなかはっきりした見通しを取りまとめるには基礎的な、いろいろ経済状況、物価、その他等々の不透明な部分がございますので、非常に予測がむずかしい点があるわけでございますけれども、現時点で試算をいたしますと、大体各年度二百億から二百三十億の収支不足が累増いたしまして、大体五十九年から六十一年までの三カ年では合算いたしますと約千八百億円の収支不足を招来するというふうに試算いたしているわけでございます。
  42. 沖外夫

    ○沖外夫君 次に、ローカル放送充実をどうするかということについて御質問したいと思うわけですが、五十九年には放送衛星の打ち上げあるいはロサンゼルスのオリンピック等があります。また、視聴者要望も多様化してきておるわけでありまして、特に各地方のローカル放送充実を希望する声も多くなってまいっております。これらの要望にこたえて計画せられねばならないことがこれからかなりの事項にあるように思われますが、その基本的な事項を伺っておきたいと思います。
  43. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 先生おっしゃったように、ローカル放送NHKの全中放送と並んで車の両輪というふうに言っていいかと思います。われわれは、全国的な放送をきちんと出すというふうなことも必要でありますが、それぞれの地域においてローカル放送充実させるというのも、これまたあわせてやらなければいけないことだと承知しております。現実に番組の方でもいろんな計画を新しく立てておりますし、それから取材等についても強化充実の方向をとりたいと思っております。
  44. 沖外夫

    ○沖外夫君 われわれローカルから出ておる議員にしてみれば、だんだん情報化社会によりましてコミュニティーがどんどん喪失してきておるわけでありまして、ローカルにおける伝統とか芸術とか文化、こういうものの温存にはやはり非常に大きく放送関係は影響を与えるわけでありまして、今後よろしくひとつお願いしたいと思います。  次に、経営合理化効率化をどう進めるかということについて御質問をさしていただきたいと思います。  視聴者の期待にこたえるという、当然五十九年度以降の支出の不均衡の問題、これはどんどんそういう形にニーズに合うようにやると、年を追って支出が拡大していくわけであります。しかし、それを補うために受信料改定を行うことは、いまの法律制度のもとでは視聴者負担増を強いることになりますので、安易に行うべきものではありません。もし改定を行うにしても、その前に徹底した経営合理化効率化が実行されねばならないと思うのであります。その点、経営の責任者として会長さんの決意をお伺いしたいと思います。
  45. 川原正人

    参考人川原正人君) 御指摘のとおりだと思います。私どもとしては、現在のNHK経営を取り巻く環境は大変厳しいものがございますし、NHK自身財政収入大宗をなす受信料は一%ちょっとぐらいの増しか見込めませんので、この増の中でいま私どもに求められておりますいろんな視聴者からの要望あるいは新しいメディアへの対応をすべて賄うということは、実際問題として率直に申し上げてこれは非常に困難でございますし、いろんな努力を重ねましても、あるいはわりあい早い機会に視聴者の方々に対しましてより一層の御協力を仰がなければならない時代が来るのではないかと思いますけれども、しかしそれにしましても、やはり私どもがこれまでやってきました仕事、これを全部徹底的に見直しまして、過去何十年かやってきました仕事の中には、この際より能率的なやり方もありましょうし、あるいは他の方法でこれを別の団体に頼むということも可能かと思います。そのような効率化徹底的に進めてまいりたい。すでにこのことは、いまではなくて、すでに五十五年度のときから協会経営としましては非常な決意を持って臨んでおります。五十五年度から六年度、七年度にかけまして、すでに純減で要員の数を二%減らしております。さらに、この計画は引き続いて五十八年、五十九年にも続けてまいるつもりをしておりますけれども、私としましては、それだけにとどまらないで、もう一段といままでの仕事を全部見直しまして、みずからその業務改革効率化を図る。その上でなお、もしもどうしても私どもが対応できないという財政問題がございましたならば、そのときには率直にまた視聴者の御協力をお願いしたい、かように考えております。
  46. 沖外夫

    ○沖外夫君 次に、放送番組の関係について基本的な考え方をひとつお尋ねいたしたいと思います。これは一視聴者としての立場として質問さしていただきます。  NHK番組で大変印象に残った番組といたしましては、「シルクロード」を初め、食糧やあるいは教育問題に関する「NHK特集」等、いろんなものが挙げられるわけでありますが、NHKの健闘はたたえられると思います。私どもがまずNHKと接触しますのはテレビのブラウン管を通じてということになるわけでありますが、NHKは国民の放送局として今後ともその存在意義を明らかにし、最近のような少年非行あるいは中学生の暴力等問題となっているときでありまして、社会の健全化のために寄与していくためにも、まずこの番組面の充実こそ私は最も重要な課題だと思うのであります。  そこで、まず五十八年度においてどのような諸点に重点を置いて番組編成を行うお考えをお持ちなのか、伺っておきたいと思います。
  47. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 放送番組NHKの命であるというふうに申し上げていいと思います。私どもは、番組がよくなければあるいは報道が信頼されなければNHKの存在意義はないというぐあいにも思っております。したがいまして、年々歳々、番組をよくしていこう、より的確な、より迅速な報道をやろうというのが基本的な精神でございます。五十八年度は、先ほど来申し上げておりますように、厳しい財政状態の中でありますけれども番組についてはその質を向上する、そして視聴者の御要望にこたえるというふうなことで、幾つかの重点事項を策定いたしました。  今回は、七つ重点事項がありますけれども、その中で特に私どもが声を大にして申し上げたいのは、一つは、国際情報ネットワークというものを拡充強化して、世界のニュースが、世界の情報が非常に速いスピードでわれわれの手元に届く、それから日本の状況が世界の隅々までできるだけ行き渡るようにするというふうなことをまず第一に大きな目標にしたいというふうに思っております。  それから二番目に、先生いまおっしゃいました青少年の問題でありますけれども、次代を担う国民として、青少年関係の番組というのは非常に大きな意味を持つと思います。したがいまして、非行化防止のみならず、家庭の問題、学校の問題、いろんなものを青少年問題ということで重点強化していこう、そのための番組をたくさんつくっていこうというふうなことが重点の第二でございます。  それから三番目は、特集番組、特別番組あるいは臨時番組というふうなものを編成して、視聴者の御期待におこたえしたいということにしております。これは、「シルクロード」が御好評を得ましたけれども、この四月からは第二部としまして、中国から西の方、ローマまでの長い長い距離を、今度は西の方へ行く「シルクロード第二部」を放送したい。現在、関係各国の了解がとれましたので、十八シリーズというのですか、毎月一本ずつ、十八カ月で放送を終わる予定にしております。そのほか、たとえば共同制作でございますとか、それから「日本の条件」の続編でございますとか、それから臨時に、たとえばこの前の少年非行問題が起こったときに特別番組を四本組みましたけれども、あのような形での臨時番組の編成も重点的にやっていきたいというふうに思っております。  それから四番目がローカルの強化充実でございます。ローカル放送の形というのは、いままである一つのパターンができておりましたのですけれども、これからのローカル放送は、より機動的に、より重点的に番組実施していくという方向にあるのじゃないかというふうに思いまして、朝の「ニュースワイド」を初め、いわゆるローカル特番あるいはローカルの臨時番組というものについてより一層の工夫をして地域の方々のお役に立ちたい。  以上の四つを五十八年度の重点計画として策定をしております。
  48. 沖外夫

    ○沖外夫君 次に、国民の非常に関心の高いオリンピック放送権料の調達をどうするかということについてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  最近の新聞報道を見てみますと、アマチュアスポーツが純粋な形で存続していくということにいろいろの困難が生じているようであります。そのような中にあって、われわれ国民の大多数が関心を寄せておるオリンピック大会、特に夏季のオリンピック大会の放送権料が、回を追うごとに高額となってきております。受信料経営財源としておるNHKとしては、これに対応していくことがますます困難になってきているように見受けられるのでありますが、どのようにNHKとしては考えられているのか、また将来これらの問題にどう対処をされるのか、お考えお尋ねいたしたいと思います。
  49. 田中武志

    参考人田中武志君) いま御指摘のとおり、オリンピックの放送権料と申しますのは、大会ごとに異常に高くなってきております。たとえば来年開催されますロサンゼルスのオリンピックにつきましては、すでに二年前にアメリカの三大ネットワークの一つが二億二千五百万ドル、日本円にいたしますと五百億円以上の高額で放送権利を獲得した、こういうようなことがやはり引き金になりまして権料の高騰を招いているということでございます。  こういった中で、私ども二年数カ月にわたりましてロサンゼルスの組織委員会と交渉してきたわけでございまして、この二月にこれを一応調印いたしましたけれども、これは放送権料が千六百五十万ドル、それからオリンピックのいろいろなサービスを受けるサービス提供料が二百万ドル、合わせまして千八百五十万ドルということで一応調印いたしましたけれども、これも二年前のロサンゼルス側の提示はこの倍以上ということでございまして、私どもとしましては、御指摘のように受信料の中からいろいろ負担する分もございますので、非常な決意を持って調印したわけでございます。  なお、この交渉に当たりましては、御存じのように、NHKと民放連とがジャパンプールというものをつくりまして、国内的にお互いに競争し合わないで協調してやろうということで成功したというふうに思っております。今後ともオリンピックの放送権料の交渉につきましては、こういったようにNHKと民放とが一緒になりまして、共同で一枚岩で交渉に当たっていくという形が高騰を招かない一番いい方法ではないかというふうに思っておりますので、次の次のソウル大会等につきましてはこういう方法で今後もやっていきたいというふうにNHKとしては考えております。  さらに、もう一点つけ加えますと、こういった放送権料の高騰の歯どめという意味合いから言いますと、単に一国だけではなくて、それぞれの地域放送連合というものがございます。アジア放送連合、ヨーロッパ放送連合というところがございますので、こういった世界の各放送連合間で、このオリンピックの高騰の歯どめという意味合いで共同の交渉機関をつくって、ひとつ何とか安く放送権を手に入れるというようなことも今後の検討すべきよい方法ではないかというふうに考えておりますので、こういった面でも今後いろいろ努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  50. 沖外夫

    ○沖外夫君 いまほどの副会長の、まことにぜひそういった民放と、そして公共放送という特殊性を発揮しながら協調して、国益を考えながら推進していただくことを特に希望したいと思います。  次に、国際放送の強化についてお尋ねしたいと思うのであります。  たしか三月の十六日の新聞記事によりますと、国際放送に関する調査研究委員会国際放送充実の提言を行い、郵政省にその報告書を提出されたとあります。  NHKの海外放送は、内容が公正かつ中立であるとして国際的にも高い評価を得ているのであります。しかし、残念なことに、きわめて聞き取りにくいという苦情が多く出ております。私もそういった体験を持っておるわけでありますが、日本は経済大国と言われながら、情報に関しては後進国並みのようでありまして、KDDの八俣の送信所の古い設備電波を発信しておられる。国際間で比較すると、どうも十五位ぐらいになるとも承っておるわけであります。最近の経済摩擦あるいは貿易摩擦の現象を見るまでもなく、日本をよく理解してもらうためにも、よく聞こえる国際放送にすることが急務だと思うのであります。のみならず、年間約四百万人以上の日本人が海外に出かけます。また、在外企業も約七千社ほどありますし、短期の駐在者も約四十五万人に及ぶそうでありますが、それらの人が敏速で精度の高いニュースを切望しておるのであります。また、海外法人のための情報サービスのためにも、パワーアップ、増力、増波、送信体制の強化充実が望まれますが、その対策と財源調達について当局の御所見を伺いたいと思います。
  51. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) ただいま御指摘のように、国際放送が、今日のようにわが国の国際的な地位も向上してまいりましたし、また国際交流もきわめて活発になってきたということでございます。  ただいま御指摘の報告書につきましては、現在八俣から送信しておるわけですけれども、かなり古いものであるのでこれの増力及び更新するという、この国内から出しております国内設備の更新、増力、並びにあわせまして海外に適当な中継所というものを設けまして、そちらの方からよく聞こえるサービスをすべきであるというのが大きな二つの柱でございます。また、時間的にももう少し番組数等もふやしていく必要があるかと考えておりますけれども、このような御提言を受けまして、政府といたしましては予算のまず取り扱いにつきまして格別の配意を加える必要があり、また五十九年度予算において思い切った予算措置をとる必要があるというような提言をいただいておるわけでございます。また、NHKとしましても、受信改善のための送信体制の強化に積極的に予算を充当することが必要だという指摘も受けておりますので、国、郵政省としましても、NHKとも十分な連絡をとりながら、財政当局等の関係機関と討議しながら、国際放送の抜本的な充実強化に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  52. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 私から補足して申し上げたいと思うのでございますが、国際放送の受信改善の対策を早急にとらなければならないということを、いま局長のお答えしたとおりに私も思っておるわけでございます。  ただ問題は、八俣の送信所の施設の改善にいたしましても、その運営をするにいたしましても、あるいは海外中継基地の設置をするにいたしましても、先立つものはこれ経費、金の問題になるわけでございますが、率直に申し上げまして、郵政省の一般会計予算二百四十一億という粋内の中で、しかもゼロシーリング、マイナスシーリングという一般ルールの中ではとてもこなせないと私は思うわけでございます。でございますので、私は海外放送国際放送充実の問題は政府全体の問題として取り組まなければならないであろう。そういう意味で、政府内部におきまして、それぞれ関係各省にも呼びかけまして、一種の政府内世論を形成する必要があるというふうに思っておるわけでございます。また、当委員会の各党の諸先生方にもぜひ強力な御支援をいただくということが必要でございます。沖委員も与党の中でいろいろ御苦労いただいておるようでございますが、引き続いて御尽力を賜りますようにお願いを申し上げて、私の補足説明といたします。
  53. 沖外夫

    ○沖外夫君 御丁重な大臣の答弁でありまして、私も一生懸命その趣旨に賛成して努力いたしたいと思います。  もう一つ、今度は電波放送行政全体にかかわる問題について郵政当局に一点お伺いいたしたいと思うのでありますが、それはテレビジョン放送局の全国の配置状態についてであります。電波法第一条には「電波の公平且つ能率的な利用」がうたわれ、また放送法第一条にも「放送が国民に最大限に普及され」るよう掲げられています。NHK、民放含め、全国でテレビ局を見ますと、県により地域により相当偏ったようになっておるように思うわけでありまして、できるだけ地域格差をなくして放送文化をあまねく享受できるように努める必要があるのではなかろうかというふうに思うわけでありますが、聞くところによりますと、どうも二県四波体制とか、あるいは一局二波体制とか、いろいろ構想があるやに聞いております。テレビ局の配置をどのように進められるのか。これはなかなかむずかしい問題があるわけですが、結論だけちょっと見解をお聞きしたいと思います。
  54. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) ただいま御指摘のように、民放テレビの普及につきまして、全国的に見ました場合に不均衡があるということだと思いますが、少し説明いたしますと、民放局を二チャンネル割り当てておる、見れる地区でございますけれども、これは十七県、世帯数で申しますと一八%に当たると思います。ちょうどそういう形で、あと三チャンネル地区が五県と四チャンネル地区七道県。十八都道府県、全国世帯数の五〇%以上は全五チャンネル、NHKの二波に加えまして民放の五チャンネルが見えているという実情でございますけれども、御指摘のように、中央と地方で見えますチャンネル数に差があるために、地方では東京や大阪並みに同じチャンネル数を見たいという要望は強いものがございます。郵政省といたしましても、こうした要望にこたえまして、従来からも地方の経済力あるいは周波数事情等も勘案しながら、順次地方にもよけい見えるようにという施策をとってまいったわけでございますけれども、今後とも全国各地域の受信機会の平等を実現するということを目途にいたしまして、いま申しました、繰り返しになりますけれども、周波数事情あるいは地域の経済力等を勘案しながら、中央と地方とのチャンネル格差というものの是正に努力してまいりたい、こういう考え方でございます。
  55. 沖外夫

    ○沖外夫君 ただいまの答弁よく理解できますが、ぜひひとつFMも含めて、今後、地方の経済力に合った開局の積極的な対応をよろしくお願いしたいというふうに思います。  さて、時間もありませんので、最後にもう一問だけお尋ねをいたしたいと思います。  これは、先ほど福間先生も基本的に触れられたわけでありますが、衛星放送文字多重放送を初め、今後各種の放送関連のニューメディアの時代を迎えるわけでありますが、郵政大臣意見書第三項に「協会は、衛星放送等の新しい放送サービスについては、これらの持つ特質の有効な活用を図るとともに、放送普及、発達に資するよう十分配慮すること。」とあるのでありますが、これについて、大臣NHK会長さんの基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
  56. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 先ほどもちょっとお答えをいたしましたように、放送衛星は、一つの波で全国一斉に伝送ができるということが特徴であり、また地上電波とは違った周波数の電波が活用できるというような特色があるわけでございますから、当面BS2による難視聴世帯の解消の問題に当たると同時に、将来の放送需要というものを念頭に置きながら新しいメディアの開発研究を進めて、そして多様化します放送需要というものに対応できるような準備のためにこれを活用してほしいということが私の意見でございます。
  57. 川原正人

    参考人川原正人君) 放送衛星を今日まで準備し、かつ、いよいよ来年の二月に打ち上げることになったわけでございますけれども、これは何といいましても、視聴者である国民の方々からちょうだいしました受信料を多額に使って今日まで準備し、かつ、今後も継続的にそういう経費が必要かと思います。である以上、この国民の財産であります衛星を私は十分に活用しなければいけない。もちろん難視聴の解消についてはこの放送衛星の機能が、いま大臣からもお話がありましたとおり、大変有効な能力を持っておりますので、まず主としてそのように活用させていただきますけれども、同時に、この衛星は非常災害の場合にも、地上の伝送施設等が破壊されましても十分に使うことができますし、あるいは従来できなかったような全国各地からの機動的な番組中継にも使えると思いますし、都市の難視聴の解消にも有効な働きをすると思いますので、そのように活用してまいりたい。  さらに、番組の編成上いろいろな工夫をこらしましてこの衛星放送普及に努めてまいりますし、さらに行く行くは、この衛星の持っている従来考えられなかったような能力、たとえば高品位テレビジョンというものを私どもの技術陣が開発して、いま実用化へ着々準備をしておりますけれども、こういうものの実験にも、できればこの衛星を使いたい。あるいはPCMと申しまして、非常に音質のいい放送もこの衛星を使えばできるはずでございますので、そのようなものにも十分将来使えるように準備をBS2の段階からやってまいりたいと思っております。ただ、先ほども申し上げましたけれども、これらの番組の送出にはまたそれなりに相当の経費もかかりますので、その点、私ども経営財政のことも十分勘案して対処してまいりたいと考えております。
  58. 沖外夫

    ○沖外夫君 本日は、大変ふなれな質問にもかかわりませず、皆さんから大変親切な御答弁をお聞きいたしまして、よく理解することができました。どうか、今後、視聴者要望にこたえて公共放送使命を果たされるよう一層の努力を期待いたしまして、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  59. 八百板正

    委員長八百板正君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時五十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十七分休憩      ─────・─────    午後零時五十一分開会
  60. 八百板正

    委員長八百板正君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  61. 大森昭

    ○大森昭君 午前中にいろいろ質問がありましたから、ダブるところは避けますが、この意見書を読みましても、おおむね妥当と認める、こう書いてあるのですが、私の記憶違いかどうかわからないのですが、NHKは三年計画で大体収支計画を出しまして、五十五年から始まっているわけですから、五十五、五十六、五十七年で、その計算からいけば、本来五十八年度は若干値上げをしなきゃいけないというような計画じゃなかったと思うのですが、しかし五十八年度はいろいろ効率化も行ったのでしょう。経費の節減も行ったのでしょう。その計画とは違って、五十八年度は一応値上げをしないで予算が出ているというふうに理解をしているのですが、そういうことですか。
  62. 川原正人

    参考人川原正人君) 確かに五十五年度料金改定値上げをお願いしましたときには、五十五年、六年、七年とこの三カ年の計画を立てまして、そこに事業計画と必要な財源を計算いたしまして、それに必要な料金をお願いしたわけでございます。その意味で言えば五十七年度でちょうどいっぱいになりまして、今年度はだから赤字というのは本当は必ずしもいいことではないかもしれませんが、いろんな私ども仕事の実態等を考えますと、どうしても赤字に入ってまいりますし、料金を当然考えなければいけないという当初の計画ではございました。  ただしかし、おっしゃいますように、私どもとしてはだからといって安易に考えるのではなくて、協会の内部では極力経費の節約をする、効率化も図るということに努めました。かつまた、これは幸いにして、五十五年当時に私ども事業計画を立てましたときに予想しました物価の上昇がそれほどにはなかったということから経費を残すこともできました。そういうことで百六億円というものを、三年間収支とんとんというところを、百六億円という剰余金といいますか、貯金を残すことができましたので、五十八年度は何とかその中で予算を編成しようという決意のもとに編成いたしまして、それで料金を据え置きのままで予算を編成した、こういうことでございます。
  63. 大森昭

    ○大森昭君 そうしますと、外からの、いまの会長言われるような要因もありますが、企業内としては最大の努力をして、とにかく五十八年度予算を編成したということですよね。そうなってきますと、私は別に受信料を上げることに賛成しているわけじゃないのですが、安くていい番組が提供されることが一番いいのでありますが、ただ、そういう当初の計画よりかも努力をしているということになれば、少し郵政省意見書の出し方も当初の計画よりかも少なくとも努力しているというというところを認めるような内容にしませんと、何か初めて見た人にとりますと、私は端的に申し上げますが、これは「おおむね適当なものと認める。」というふうに書いてありますが、「記」以下三つ書いてありますが、これを読みますと、まさに郵政省意見というのは適当じゃないというふうに言うと少し言い過ぎになりますが、そういうようにもこれは理解できるのですよ。そうしますと、この放送法の三十七条を読みますと、郵政省意見書はつけなければいけませんが、この意見書に、その予算がいわゆるよくないというようなときは、三十七条三項でもって「協会意見を徴するものとする。」、こう書いてありますね。そうなってきますと、もう少し協会側の態度というのはしっかりしないと、収支予算あるいは事業計画及び資金計画に対するこの取り扱いというのは問題になると思うのですよ、私は。午前中の意見を聞いていますといろんな答弁がありますが、おおむね指摘されたことについては今後総体的に検討したいとか言われていますわね。そういうことになりますと、私どもこの予算自身は賛成の立場ですけれども、どうも発言といいますか、物を言いづらいんですよね。こういう郵政省から意見が出ていて、協会がそれに対応する対応の仕方が、今後検討するとか、全面的に洗い直してやりたいとかというだけでは、少し委員会としての審議を進める上で基本的に私は問題があると思うのです。  そこで問題は、郵政省がいろいろ意見言うのはこれは自由なわけでありますけれども、この一項を読みましても、「経営の安定に資する計画を策定すること。」、こう書いてあるわけですな。何か経営の安定になっていないのですな、NHKが出したこの計画というのは。というふうに、逆に言えばこれは読めますし、ですから、事務当局がこういう意見書を出すときに、協会とやっぱり十分にお互いに意見の交換をしていると思うのですけれども、その辺の真意ですね、文章に書いてあることじゃなくて。一体NHKに対する予算だとか、あるいは事業計画に対する一体何を真意として求めているのか、この辺のところは何かあるのですか。ただ、文章だけなんですか、これは。
  64. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 先生のおっしゃられることはよくわかるわけでございますけれども、一応五十五年度から五十六年、七年の三年間にかけまして鋭意節減を図り、また物価の安定等にも助けられまして五十七年まで参ったわけでございますけれども、いかんせん受信料伸びに比べまして、当然的に伸びますところの支出というものが収入を上回っている。五%と一%というようなことでございまして、五十八年度においてはやむを得ず百六億円の赤字が出、また公債等によりまして六十四億円というものを振りかえなければならない。五十七年からの努力にもかかわらず五十八年度といたしましてはどうしても赤字になるというようなことでございまして、一応毎年のように使っている言葉ではございますけれども、全体として「おおむね適当」というふうに判断したわけでございます。  なお、その「記」の中にことしも三点ばかり、従来見てみますと二点ないし三点というような指摘がうかがえますけれども、やはり第一点につきましてはどうしても長期的な見通しというものを立てていただく、そしてなお具体の点においても努力していただきたいということで、NHKといたしましても五十八年度に入りまして秋までにも計画を立てますというお話でございますし、また二点の面におきましても、なおきめ細かい検討を加えて節減に努力してもらいたいという趣旨でございまして、この辺については当然事務当局といたしましてもNHKとも相談いたしましてつくったものだというふうに理解しておる次第でございます。
  65. 大森昭

    ○大森昭君 だから、赤字が出ることはよくないのでありますが、当初の計画から見ればその計画よりかよくやったという状態であることは素直に郵政省も認めなきゃいけないでしょうし、ということを私は言っているのが一つ。  それから、協会側にも言いますが、長期計画を出せと言ったら出せばいいのですよ。それは長期だから、物価をどうやって見ていくとか、いろんなむずかしいことがあります。あるけれども私が一番心配することは、長期計画がないからそれぞれの計画がずぼらじゃないか、ずさんじゃないかなんて言われたのじゃたまらないわけですよ。ですから、計画ですから——郵政省だっていろんな計画出しますけれど、それはしょっちゅう当たっていないのですよ。この間も逓信委員会でやりましたけど、当たってなくたってそれはしようがないわけでしょう。それは協会がみずから景気浮揚策を立てるわけでもなければ、物価対策やっているわけでもないのですから。ですけれども、何となく長期計画を立てなさいよと言って立ててないで物事言われますと、NHKというのは一体何やってるのだということで、ただでさえ最大限に国民に信頼をさして料金をいただいてといったって、やっぱり郵政省計画出しなさいというやつを出さないで、いろいろ年度年度では一生懸命努力しておっても、まるっきり努力しないみたいなことを言われたのじゃかなわないから、いろいろむずかしい点はあるけども、出すものは出して、それが当たる当たらないはあるでしょうけれども、ぜひひとつ、これは毎回やっていることですからお願いしたいと思います。いいです、答弁は。  そこで、協会効率化合理化、経費の節減といろいろ言われていますから——との関係じゃないかという感じもするんですね。違うなら違うでいいのですが、どうも再放送が、再放送というのは、正直申し上げますと制作費がかからないわけですから、これを多くやればやるほど経費の節減ですから、一番端的なんです、これ。そうだと、これは視聴者NHKにいい番組を求めるということになると反対の作用が起きるのですが、一体再放送の比率はどういうことになっているのですか。
  66. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 再放送をやる目的あるいは形というのには、大きく分けて三つございます。一つは、学校放送のように全国の学校で利用するために正放送の時間と再放送の時間を設けるというふうな目的のためのものですね。それから、たとえば「NHK特集」のように夜見られない方が日曜日の朝見るとかいう形で視聴者の便宜を図る形が一つございます。それからもう一つは、土曜日のアンコールアワーのように、そういう再放送の時間をあらかじめ一つ設けておいて、そして週間ないしは月間で非常に要望の高かったものを放送するという形がございます。それからもう一つは、たとえば夏期特集だとか春期特集だとか、そういう時間に過去に好評であったものを再編集をしてもう一遍視聴者の御期待にこたえるという形がございます。それはいずれも番組視聴者に対してもう一遍お役に立つというふうな形での放送でございまして、いわゆる効率化とか、いわゆる経費の節減とかいうことの目的のためにやるというふうなものではございません。  ちなみに、総合テレビでの再放送率といいますのは、五十五年には一八・一%、それから五十六年には一七・五%、五十七年が一九・六%、五十八年の計画では一八・九%というふうになっておりますけれども、いずれもそのような再放送の意義を勘案して決めたものでございます。
  67. 大森昭

    ○大森昭君 じゃ、教育テレビは。——じゃ、いいですよ。  あなたの言われることはわかるのですよ。視聴者がいい番組だからもう一回放送してもらいたいと言うからやっているのだというのはわかるけれども、それじゃいい番組と悪い番組とあるみたいな感じもするし、大抵はNHKとしてはいい番組ばっかり流しているのじゃないかと思うのだけれども。  そこで、全然再放送をやっちゃいけないとは僕は言っていないのですよ。言っていないけれども、再放送をやっていく大体比率といいますか、経営合理化だとか経費の節約じゃないとあなたは言われているけれども、しかし再放送を多くすれば多くするほど経費が浮くことは事実なんだよ、これは。そうでしょう。だから、そういう意味からいくと、大体理想とする比率なんですか、いまやっていることが。
  68. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) ただいまは失礼いたしました。  まず、教育テレビの再放送率について申し上げます。五十五年が四二・九%、五十六年度は四二・一%、五十七年四二・一%、五十八年度計画としては四二・一%になっております。  で、いまの比率でございますけれども、教育テレビが四二%あるのは、学校教育、あるいはいわゆる生涯教育という形でやっておりますものが、時間帯を変えて出すことによって利用される率が非常に多くなる。そのための便宜で四二%平均の再放送を組んでいるということでございます。  私どもは、番組自体がどのように利用されるのかというふうなことについて、当然再放送というものがその役割りを果たしてくれるものだというぐあいに考えておりまして、現在考えておりますようなパーセンテージは妥当であるというぐあいに思っております。
  69. 大森昭

    ○大森昭君 一回見せるよりか二回見せれば視聴率が高いのはあたりまえなんだよ。三回やってごらんなさい、もっとふえるから。ただ、ふえ方が少ないだけの話で。だから、そういう意味からいくと、必ずしも——私も専門家じゃないから、いまここであなたと議論する気はないけれども、たとえば教育テレビの場合でも四二%が再放送でしょう。そうすると、仮に英語を勉強している人というのは朝から晩まで英語をやってくれればいいなという人だっているのだよ。そんなことをしたら大変でしょう。それと同じように、四二%も再放送しているということは、ある特定の視聴者と言っちゃ少し語弊がありますが、その人を大事にしているという意味なんですね。ですから、番組放送するときには、その番組に集中して見ていただく時間を予告でもって流しておいて、いろんな都合があるわけだけれども、その番組を見るためになるたけ集中させる方法と、それから何回か流して見てもらうという方法といろんな方法があると思いますが、しかし多くの人たちの希望あるいは多くの人たちが興味あるものを見たいという場合には、それは四二%も再放送ない方がいいのじゃないかという、これは私は素人ですから、川口さんは専門家ですから、そういう意味合いで私は——それが適合性があるのならそれでいいのですが、どうも再放送がだんだん高まっていくということはNHKとして好ましいことかというと、どうもそうじゃないのじゃないかという感じがありましたので私が発言しているだけでありますから、その辺をもう一回、私の言っていることがいいかどうか、私も時間がありませんから、検討していただきたいと思うのです。それが一つ。  それから、何といっても経営基盤というのは入るものと出るものということになるわけですが、いろいろいま振替でやっていますね。振替をやれば、どちらかというと滞納も少なくなってくるのじゃないかと思うのでありますが、その利用度合い、それはどういうぐあいになっていますか。
  70. 林乙也

    参考人(林乙也君) 御質問の口座振替の利用の状況についてお答え申し上げます。  口座振替の利用の促進につきましては、協会といたしましても、特に大都市圏に居住いたします不在がちの、特に昼間時の不在がちの世帯からの確実な収納を図ることができるというような、収納の安定に寄与する度合いが非常に高いところから積極的にその施策を進めているところでございますが、五十七年度におきましては、目標といたしまして百万件の口座振替の利用増を計画いたしているわけでございまして、一月末現在で大体百二十六万件の増加を見ておりまして、年度末には大体百五十万件の増加を産することができるのではなかろうかというように考えております。その結果、年度末の口座振替の利用件数は千四百四十五万件になるわけでございまして、契約総数三千三十八万件に対しまして、大体利用率は四八・九%ということになろうかと思っております。
  71. 大森昭

    ○大森昭君 前納分には割引がありますわね。私は口座振替割引説を従来から唱えているのですが、どうも余りなじまないようなんですが、いま林さんから言われたように、口座振替というのは非常に安定して収入が確保できるということになれば、次に、料金はどういうふうに決めるかわかりませんが、少なくとも口座を使っていただいている方は多少割引をしてということで、NHKの安定な収入を図るということもひとつ検討してもらいたいと思うのであります。それがいいかどうかというのは私もよくわかりませんが、何といってもいま共働きが多いし、家庭が留守が多いわけですから、したがって、そういう変化の中で、いただくものを少しいただきやすいようにするというかっこうにしたらどうかと思うのであります。後で検討してください。  それから、ちょっと郵政省にお伺いいたしますが、昨年の十一月に一斉に民間放送の再免許が行われましたですね。その状況というのは、どういうぐあいになっているでしょうか。
  72. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 御指摘のように、昨年十一月再免許いたしましたわけでございますが、その対象局数はNHKの場合七千五百五局、民間放送百十九社の場合五千五百五十五局、合計一万三千六十局でございました。  再免許状況でございますが、電波法の第七条第一項各号の規定に適合するかどうかということで厳正に審査いたしました結果、全局とも適合すると認められましたので、十一月一日付をもちまして再免許を与えた次第でございます。
  73. 大森昭

    ○大森昭君 先ほどオリンピック関係の質問がありましたけれども、また答弁がありましたけれども放送権料の問題などについてはいろいろ対策を立てているようでありますが、何かこれは聞くところによれば、放送権料及び施設使用料の民放との分担の割合はNHKが八五%で民放が一五%というように報道されておりますが、そういうことなのかどうか。また、そうだとすると、NHKの持ち分が大変大きいのじゃないかという感じがいたしますが、しかしそのことが決められているとすれば、当然その根拠などについてははっきりしているのでしょうから、その辺はどういうふうになっているのでしょうか。
  74. 田中武志

    参考人田中武志君) いま御質問の分担比率のモントリオール方式でございますが、今度のロサンゼルスのオリンピックにつきましては、NHKと民放との間でジャパンプール、一緒にやろうということで組織をつくったときに、御存じのように前回のモスクワは一社が独占いたしましたので、その前のモントリオールのときの分担比率をそのまま移行してやろうということで発足いたしました。そういった意味合いから、今回千六百五十万ドルが放送権料ということでございますので、それはモントリオールのときの分担比率と同じように八五%、一五%ということでございます。  残り、まだサービス提供料の二百万ドルがロサンゼルスにつきましてはございますので、この分につきましての分担比率につきましては一応今後ロサンゼルス・オリンピックの放送をどういうふうにNHK、民放がやっていくのかというようなことの、その放送の形、形式等をいろいろ現在詰めております。したがいまして、そういった具体的な方法等が詰まった段階NHKが何%持ち、民放の方が何%持つかということを早急に詰めていきたいというふうに思っておる次第でございます。
  75. 大森昭

    ○大森昭君 従来の経過からして、というお話もありますが、端的に申し上げまして、八五%と一五%では少しNHK負担が多過ぎるのじゃないかという感じがいたしますけれども、もちろん負担の度合いが多くても実現することによって、NHKも大変負担しているけども、やっぱりNHKはすばらしいということになればそれでいいんですけどね。どうも一般的にはみんな適当に経費分担してやっているのじゃないかというような認識の中で八五%も持つということになりますと、ただでさえ、さっきから、財政が苦しいんだ、やれ経営合理化しろとかなんとか言うわけですから、誤解が起きるといけませんので、少し民放の方で——もうかっているわけですから、民放の方も。ないところからたくさんもらうわけじゃないのですから、もうかっているところから出していただくということを少し工夫してください。  それと、最後になりますが、いろいろ協会側も努力しているのですが、さっきの報告を聞きましても、一年に百七十名ですか、五十八年は定員削減。なかなか人を減らすといっても私は大変だと思うのですが、しかし一方、日放労の方もお互いに経営者と話をしながらその合理化を進めているのだと思いますが、労使関係はやはり大事でありますから、いろいろ効率化を進める中でも組合側の意見を十分ひとつ聞いていただくということをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  76. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは最初に、会長が昨年七月に就任をされましたので、NHKのトップとなられまして公共放送としての使命についてどのように認識をされていますか、お尋ねしたいと思います。
  77. 川原正人

    参考人川原正人君) 私どもは、視聴者からちょうだいします受信料をもってすべての経営を賄っております。この意味は、NHK視聴者、すなわちすべての国民によって支えられるという存在であろうと思いますし、翻って私の方から考えますれば、視聴者から完全な信頼を得なければならない、そういうNHKは機関でなければならないと思っております。そのためには、やはりみずから自主性、主体性をはっきりいたしまして、表現の自由を確保し、そして日本の民主主義、文化の発達にNHKがすべての番組を通じて寄与する、そして視聴者にとってはNHKがなくてはならない存在になる、そういうことでなければ私ども事業は成り立たないと考えておりまして、すべてはそこから発して私は物事を処していきたいというふうに思っております。
  78. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 会長としましては、NHKの抱える最大の課題はいま何かと、このようにお考えになってみえるか、あるいはそれに対してどのような決意というか、覚悟で臨まれようとしていますか。その点お尋ねしたいと思います。
  79. 川原正人

    参考人川原正人君) 現在NHKの置かれました環境は大変厳しいものがございますし、しかもこれが刻々と変動しているという状況でございます。  具体的に申し上げれば、現在私ども実施しております放送番組、そのサービスに対しましても、視聴者の方からは次々といろんな新しい要望、期待が出ております。価値観の多様化と申しますか、時代の変化とともに視聴者の私ども仕事に対する要望は刻々と変化し、かつ常に新しいものを御要求になっておられます。これに対してもきちんとこたえなければいけない。加えまして、特にこの一両年来ニューメディアと言われる言葉で象徴されますように、新しい放送技術の進展がございまして、そのサービスに対しましても私どもは積極的に取り組んでいかなければいけないこれまた新たな仕事でございます。にもかかわりませず、私ども財政収入は、その大半を占める受信料が年々一%ちょっとの増収しか期待できない。そういう状況でございますので、このような財政状況の中でいかにして新たな仕事を展開し、消化し、積極的に取り組んでいくかということに尽きるかと思いますが、結論的に申し上げまして、この受信料の増収一%の中ですべてを賄うとなれば視聴者要望にこたえ切れない。つまり御要望があるにもかかわらず、その仕事を切って捨てなければならない。あるいは人間の方も、必要な人間が要るにもかかわらず、これを減らしていかなければならない。かような状況に立ち至るかと思いますけれども、それでは私ども任務が果たせませんので、いまやっております仕事をもう一度全部点検して、見直して重点的にその仕事考えていく、あるいは金でも人でも物でも重点的に配置していくということをまずやらなければいけない。それにはやはり相当の、みずから従来やってまいりました仕事の体制、それを改革していかなければならない。そういう自己改革が非常に必要ではないかというふうに考えております。  しかし、それをやりましても、なおどうしてもこれ以上の合理化、能率化ができないという段階には、やはり視聴者の方にいま一段の御協力をお願いせざるを得ない時期もあろうかと思っております。何よりも、いまみずからやっております仕事業務体制を改革して、より能率的な少数精鋭主義に徹していく、そういう自己改革が一番必要なときではないかと思っております。
  80. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 現在いろんな問題を含めまして、いま御回答いただいたわけでございますが、やはり値上げということが財政問題と関連しまして特に話題になってまいりますけれども、やはり安易な値上げというものはなかなか許されないような状況ではないかと思います。  それで、ちょっとお尋ねしますけれども、五十八年度予算受信料値上げは今度抑制されたわけですけれども、これについてどのように努力をされてみえたのか、あるいは予算編成の基本的な考え方についてお答え願いたいと思います。
  81. 渡辺伸一

    参考人(渡辺伸一君) 五十八年度財政につきましては、収支の不均衡が依然として続いておる中で極力要員の効率化を図り経費の節減を強化いたしまして、視聴者に新たな負担を求めることなく財政運営を行いまして、NHKの基本的な使命を果たしたいということを基本に考えまして、具体的には次のようなことをしたわけでございます。  収入におきましては、まず受信契約者の増加というのを、だんだん年度内増加がむずかしくなってまいりますけれども、四十五万件の増加計画したわけでございます。  なお、受信料の免除につきましては全般的に見直しを行いまして、高等学校等につきまして免除の対象外にしようという措置もとったわけでございます。  さらに、副次収入につきましては、五十七年度予算で十億ということでございましたが、これを十二億まで増加をいたすことにいたしておりまして、約一七%の増加計画したわけでございます。  支出につきましては、限られた財源でございますので、重点的に効果的に配分を行うということで、業務全般にわたりまして見直しを徹底いたしまして、さらに節減を強化いたしました。したがいまして、物価の上昇等につきましては、この節約の中で全部吸収をするという考え方をとったわけでございます。  そういたしましても収入支出につきましてはなお百六億の差があるわけでございますが、これは五十五年から繰り越してまいりました財源をもって補てんをしよう、そして五十八年度受信料をもって負担すべき債務償還の必要経費につきましてはやむなく借入金をもって充当しよう、このような努力をして受信料現行どおりに据え置いたわけでございます。
  82. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、五十五年度からの三カ年計画の実績について、その概要をお伺いしたいと思います。
  83. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) 五十五年度から五十七年度までの経営計画は、五十五年の予算を御審議いただくときに御提示いたしました大綱に従いまして事業遂行いたしてまいりまして、明日でこの三カ年終わるわけでございますけれども、ほぼそこに挙げました問題点につきましては計画どおり実行し得たというふうに考えているわけでございます。  多少具体的に申し上げますと、放送番組におきましては、各それぞれの番組において一層充実した番組ということで、特に「NHK特集」であるとか、あるいは「シルクロード」であるとか、御好評をいただいた番組等々を実施してまいりましたし、あるいはローカル放送等につきましてもそれぞれ充実に努めまして、特に新しい小型機器といったようなものをそれぞれの局に配りまして、そして相当それによる成果も上げてきたというふうに考えているわけでございます。  新しい放送サービスといたしましては、音声多重放送等も試験放送として実施してきているわけでございます。  それから難視聴解消につきましても、これも中継局、共同受信施設と合わせまして千五百地区を超える地区の置局あるいは施設の新設を行いまして、約十二万世帯ぐらいの改善をいたしたわけでございます。  さらに、視聴者との結びつきにつきましても、視聴者懇談会を六千回以上、あるいは視聴者会議というのも、各県別だけではなくて、ブロック会議であるとかあるいは全国会議といったような形でも実行いたしてまいりまして、効率化計画等につきましては、先ほどからも申し上げておりますように、予定どおりの三百四十名余りの純減というものを実行いたしたわけでございます。  こういったことで、経費的に申し上げますとその総計が百六億という金額になるわけでございますけれども、そういう意味でほぼ事業計画どおりの実施ができたというふうに考えているわけでございます。
  84. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 NHK経営基盤は何といいましても受信契約増加ではないかと思うのですけれども、この三カ年間の目標と実績でございますけれども、これが、総契約件数が百六十万件、総契約件数の実績が百三十三万件、カラー契約件数の目標が百八十万件でカラー契約件数の実績が百六十四万件ということでございますけれども、この目標と実績の差がこれだけあるわけでございますけれども、この原因は何でございましょうか。
  85. 林乙也

    参考人(林乙也君) 御質問の受信契約の三カ年計画と実績の乖離についてお答え申し上げます。  NHK受信契約計画策定の上におきましては、何と申しましても大宗をなします世帯契約の推計が基本になるわけでございますけれども、その場合に世帯数の増加傾向というものがやはり一番のよるべき根拠になるのではなかろうかというように考えております。五十五年から五十七年の三カ年計画の策定の際には、五十年十月の国勢調査の結果をもとに推計いたしたわけでございまして、世帯数の増加が三年間で大体約百九十五万世帯ぐらいではなかろうかというように私ども推計をいたしたわけでございます。ところが、五十五年の十月に国勢調査の結果が発表されまして、五十年から五十五年の五カ年間におきましては年間約四十五万の増加にとどまっている。五十五年から五十七年の間には百三十五万世帯の増加というような形で、世帯数の増加そのものが百九十五万世帯の増加見込みに対しまして実績が百三十五万世帯の増加にとどまっているというようなことに相なっているわけでございます。そうしたことから、世帯関係の契約の増加が三カ年計画で見込んだところには至っていないということが最も大きな要因ではなかろうかというように考えているところでございます。
  86. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま世帯数の増加が予想どおりいかなかったということが一つ原因と言われておりますけれども、五十五年に値上げをしているわけですが、その値上げによる影響というのは考えられませんでしょうか。
  87. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  確かに五十五年度におきましては契約の増加を五十五万と見込んだわけでございますけれども、実績は三十万九千の増加にとどまっておるわけでございます。値上げに関しますところの契約者に対する理解の促進ということにつきまして、協会としても極力努力いたしたところでございますけれども、やはり実績としてはこういうような形になっている。また、一カ月間の暫定予算というようなことも、収入の面におきましては四十四億円程度計画に対する減収にならざるを得なかったということはございます。
  88. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 三カ年計画をつくられた当時の受信料収入は、八千三百四十一億円ですか、を目標にされてましたけれども、実績が八千百六十二億円ということで、マイナス百七十九億円という状況でございますが、私たち素人でございますけれども、見てみますところによりますと、計画が予定どおり達成されたとしますと、五十八年度赤字百七十億円ですか、これを十分カバーできるものじゃないかと思うのですが、そういうことを考えますと、営業活動を強化することが経営健全化の根幹ではないかと思いますが、その点どうでしょうか。
  89. 林乙也

    参考人(林乙也君) ただいまもお答え申し上げましたように、先生御指摘のように、受信料収入の当初計画八千三百四十一億円に対しまして、実績見込みといたしまして八千百六十二億円、大体百八十億円程度計画に対する不足ということについては、ただいまの御指摘のとおりでございまして、大体、計画に対しまして二%程度不足ということに相なろうかと思います。そのうち四十四億円は五十五年度におきます一カ月の暫定予算の結果が響いておるわけでございますが、その他は、ただいま御説明申し上げましたように、世帯の増加計画と実績の乖離ということもあるのではなかろうかと思います。  ただ、やはり営業の部門といたしましては、御指摘のように、営業活動というものをさらに活性化し、適正化することによりまして、契約者の方々に御納得のいただけるような成果といいますか、受信料の公平負担の実績を確保していかなければならないわけでございまして、私どもといたしましては、価値観の多様化する、また生活の態様もいろいろ変わってまいっております。そういった社会情勢に即応したような形で、営業体制というものを改めて見直し、取り組んでまいりたいというように考えているところでございます。
  90. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この三カ年計画の実績を見てみますと、やはりこの営業の目標計画に無理があったと考えられるのじゃないかと思うのですね。五十五年度からの三年計画を立てるときに、いろいろな計画を立てるときに、いろいろと予想される数字においても、五十年の国勢調査とおっしゃっておりましたが、もうそのころでも、大体の世帯の増加傾向等についても、いろいろな面についてももっともっと厳しい見方ができたのじゃないかと思うのですね。また、これで見ますと、収入大宗を占めております受信料収入の目標計画につきましてもこれは無理があった。そういうような予算編成の立て方自体がこれは一つは問題じゃないかと思うのですが、やはり計画をもっともっと厳しくしぼって実勢に合わせていくような手直しをすべきじゃないか、このように思うわけです。五十八年度のこの予算ではどのような計画の立て方になっておりましょうか。
  91. 林乙也

    参考人(林乙也君) お答え申し上げます。  五十八年度計画におきましては、私ども、世帯の増加を四十五万世帯というふうに前提をいたしておりまして、そのうち、生活保護世帯等の無料契約の対象となります世帯三万件を除きました四十二万世帯が有料契約の対象世帯と考えておるわけでございますが、その中におきましても、独身世帯の増加というものが約三八%、四割近いものが独身世帯によって増加をいたしております昨今の情勢の中では、受信機の設置、テレビ所有世帯といいますか、テレビ所有世帯が大体三十六万世帯程度になるのではなかろうかというように考えております。そこで、少なくともそれを上回る程度の世帯契約を確保すると同時に、さらに事業所等の契約に努めることといたしまして、総計といたしまして四十五万契約の増加ということを予定いたしておるところでございます。
  92. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 計画の線が、やはり収入計画がふくらめばそれにつれて事業支出計画もふくらんでくるわけでございますし、ですから、いろんな国民の多様化するニーズに対応していくためにも、あるいは国民的な立場から、NHKというのは計画をそう縮小させることも不可能だと思いますけれども、やはり厳しい計画のもとにまた厳しい支出考えて、国民の負担にかからないようなやはり経営努力をしていただきたいと思うのです。  その中で、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、三カ年計画で六百人の要員の削減を予定されておりましたけれども、実績はどうでしょうか。特に、純減はどのようになっておりましょうか。
  93. 横井昭

    参考人(横井昭君) お答え申し上げます。  協会経営効率的な経営とそれから業務効率的に運営することは、協会公共放送使命を達成する上で視聴者の皆さん方の理解と信頼を得るという点で必要不可欠な基本的課題だ、こういうふうに考えております。  それから、さらにけさほど来話が出ておりますように、文字多重放送並びに衛星放送等々のニューメディアに対応していくためには、それなりの人も金も必要なわけでございます。そういう基盤整備をする上から言っても、効率化というのは現在のNHKにとって必要欠くべからざる基本課題である、こういうふうに認識をしておるわけでございます。  そういう認識の上に立ちまして、五十五年から五十九年の五カ年間の中に千二百人、七%の効率化を目標といたしました。その中で、五十五年—五十七年の経営計画の中では六百人、三・五%の効率化計画をいたしております。単年度別で言いますと、五十五年度百名、五十六年度二百名、五十七年度三百名でございます。  こういう効率化目標に対しまして、協会業務協会全部門にわたっての見直しを行いまして、二十数項目の効率化計画を立てまして、これを推進してまいりました。その結果といたしまして、五十七年度末までには六百名、三・五%の効率化の実現がほぼ確実でございます。  なお、単年度事業計画並びに収支予算につきましては、国会で先生方の御承認を得て、それに基づく事業運営しているわけでございますが、たとえて申しますと、ローカル放送充実だとか番組の強化刷新だとか、あるいは新放送技術に対する対応だとか、そういう面での要員の増が三年間で二百六十名ございました。そういう意味で差し引きして五十五年—五十七年の三年間に純減三百四十名、二%の純粋の減が実現する見込みである、こういうことでございます。
  94. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 効率化それから合理化の推進のお話がございましたし、それぞれに努力をされていることはわかるわけでございますが、その効率化の一環としまして三カ年計画でも部局数の削減と組織の簡明化ということが言われているわけでございますが、どの程度の部局数の削減が行われたでしょうか。
  95. 横井昭

    参考人(横井昭君) 組織につきましては、これまでも時代の進展に応じまして的確、効率的な運営をするための見直しと整備は続けてまいったわけでございますが、五十五年度からの三カ年計画の中で部局数の削減と組織の簡素化、簡明化につきまして計画を立て、五十五年度の組織改正の中で本部部局につきましては三局の削減をいたしました。  それから、そのほかの組織の簡素化としましては、たとえば北日本研修所であるとか、西日本研修所であるとか、そういう研修所の削減もいたしました。  それから、業務の統合、再編成ということで、たとえて申し上げますと、視聴者関係業務視聴者本部に統合して効率化を図る。  それからさらに、職位につきましては、これまで副部長、副主管、主管とかいろんな職位がございましたけれども、その職位も部次長という形で簡素化をしてまいりました。  そういう状況でございます。
  96. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 昨年の放送法の改正で出資の道が拡大されたわけでございますけれども、この出資を積極的に行うことでやはり合理化効率化を進めることもできるのじゃないかと思うのですが、五十八年度の予定はどうでしょうか。
  97. 田中武志

    参考人田中武志君) 先ほどから御指摘のように、非常に現在NHK経営環境というものは厳しゅうございます。そういった中でわれわれの事業を円滑かつ効率的にやっていこうということで、それと同時に先ほどから話題に出ております新しいメディア、新しい仕事というものもいろいろあるわけでございます。そういった中で、いま御指摘の昨年の放送法改正によりまして出資条項というものが認められましたので、これを有効にひとつ活用していこうというのが私どもの基本的な考え方でございまして、その中でひとつ必要に応じて新しい外部団体、そういったものをつくってやっていこうというふうに考えているわけでございまして、これによりまして協会業務をそういったところに分担させ、あるいは協会業務効率的にやるということをねらいにひとつ役立てていきたいというふうに思っております。  なお、五十八年度におきましては、そういった意味合いで予算の中にも、案の中にも書いてありますように、約二千万円の出資をいたしまして、文字放送のいろんな番組の制作をするような会社をひとつ新たに設立したいというようなことを考えております。
  98. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは一つの案でございますけれども、たとえばコンピューターのプログラム作成とかあるいは給与計算といった機械的な計算事務というのはそういう出資会社に積極的に委託をして間接部門の削減を図るべきじゃないか、このようにも思うわけですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  99. 田中武志

    参考人田中武志君) ただいま申し上げましたように、新しい出資をいたしまして関連会社をつくるということにつきましては、先ほど述べたようなことでございますけれども、いま御指摘のような問題につきましては、ひとつあくまでNHK業務の円滑化あるいは効率化という視点に立ちまして、総合的に検討をしていきたいというふうに思っております。
  100. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは、三カ年計画の中でもローカル体制を総合的に検討をし云々というお話がございまして、業務とか、あるいは要員の重点的な集約、あるいは再編成を行う、こういうことをおっしゃったわけですけれども、地方の放送局についてもどのような業務集約、再編成を実施されてきたのでしょうか。
  101. 横井昭

    参考人(横井昭君) 先ほど申し上げました効率化計画の二十数項目ということを私、申し上げましたけれども、その二十数項目の中の一つに地方放送局体制の見直しというものがございます。  五十七年度以降、三カ年計画でこの放送局の宿泊体制についての縮減を行うことを計画いたしました。すでに五十七年度に一部の局でその実施に移しております。  さらに、地方放送局体制の見直しとしましては、いわゆる県内複数局、県庁の所在地以外の都市にある放送局がございますから、これをわれわれ県内複数局、県複というふうに呼んでおりますが、この県内複数局についても五十八年度以降見直しを行う予定で、目下その具体案を検討中である、こういうことでございます。
  102. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 地方の放送局についても五十八年度以後いろいろと検討を進めているということでございますけれども、私たちも別にこれを廃局をしてもらいたいということではございませんで、    〔委員長退席、理事大森昭君着席〕 やはりそれぞれの地方において文化的な拠点となって、地方放送局はそれぞれ重要な任務を担って活動されているわけでございます。その点よくわかりますし、そういう中で、やはりいろいろとさらに効率化の推進をしていただきたい。県内複数局のお話もいまありましたけれども、さらに検討を進めていただきたいと思いますが、あと通信部の配置についても、一県五、六カ所あるところもありますし、疎密の問題を含めて抜本的な再編成が必要じゃないかというように言われているわけですが、今後はどのような見直しを進められるのか、その点の何か案がございますでしょうか。
  103. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 現在、NHK通信部は全国に百七十カ所ございます。ことに二百三人の通信部の職員が配置されておりますけれども、もっぱら地域ニュースの取材、それから広く地域に密着した報道ということでやっておるほかに、視聴者の皆さんからの、たとえば質問があるとか、受信料の問題についてのお問い合わせがあるとか、そういうような面でも十分お役に立つような仕事をしております。  その配置については、この際見直しを行いたいと思っておりますのは三つの理由がございまして、一つは交通だとか通信の手段が非常に変わってまいりました。つまり、地域のそういうものが極度に発達をしてきたという現状がございます。それからカメラ機材のいわゆる技術的な開発が進んでまいりまして、いままでのたとえばフィルムでニュースをとってきて、それを送ってというふうなことじゃなくて、もっと簡便に機動的に送れるような形ができつつあります。そういう機材の開発、それにもう一つは、地域の取材対象がいろいろ変わってまいりました。そのようなことを条件に見直しを行う、そのこと自体がNHK地域活動というものをさらによい方向に持っていくのではなかろうかというぐあいに考えております。  NHKとしては、いまの通信部配置がすでに数年を経過しておりますので、一番いい配置はどのようなものであるのかということで検討を進めておりますが、間もなく決定してまいりたいというふうに思っております。ただ、配置の見直しに当たりましては、いわゆるローカルサービスの低下というふうにならないように十に分意を用いていく所存でございます。
  104. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 五十八年、五十九年の二年間で約六百人の削減を図るということでございましたが、いまいろいろとお話のありました合理化とかあるいは効率化を推進してまいりますと相当の純減が可能なのかなというような感じもするのですが、どの程度の純減を実施される予定でございましょうか。
  105. 横井昭

    参考人(横井昭君) 先ほど五十五年—五十七年度の三年間における効率化六百名で、純減三百四十名、二%というお答えを申し上げました。五十八年度効率化につきましては三百名を効率化対象にしております。現在御審議願っている事業計画の中で、文字多重放送実施とか、衛星放送の実用化の準備とか、あるいは国際映像ネットワーク等の拡充等々がございます。そういう増員分を差し引きしまして百七十名の純減を五十八年度内に実現いたしたい。五十五年—五十八年度を見ますと五百十名、三%の純減が可能である、こういうふうに考えております。五十九年度につきましては、五十五—五十九年の効率化計画の中で残り三百名を実現すると同時に、できるだけ純減についても努力をしてまいりたいと思いますし、具体的には五十九年度予算審議の際に改めてまた御説明申し上げたい、こういうふうに思っております。
  106. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣意見書で拝見しますと、「受信料の確実な収納経営合理化及び経費の節減の徹底を図るとありますけれども、その趣旨をお伺いしたいと思います。
  107. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) いままでるる説明ございましたように、NHKは要員の削減を初めとして経営全般の効率化努力をするということでございますが、五十八年度中には、御案内のように百六億円の事業収支不足が生じ、また債務償還のためには六十四億円を借り入れるという、きわめて厳しい経営状態であるわけでございます。このような実情にかんがみまして、事業計画予算の実行に当たりましてはきめ細かい検討と配意を加え、収入につきましては新規契約の促進、また料金未納問題の解消等に全力を挙げてほしい、支出につきましては、いろいろな計画的な努力目標があるわけでございますが、さらに一層の知恵をしぼって節減に努めてもらいたいということがその趣旨でございます。
  108. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 再度会長にお答え願いたいのですが、最初にいろいろと自主改革等とかおっしゃいましたし、少数精鋭で臨みたいということでいろいろな御意見をおっしゃっておみえになりましたが、大臣のただいまの意見書の趣旨からいいましても、営業活動体制の拡充強化、それから組織や要員の再編、合理化の推進、これが事業運営のかなめ、NHKの今後のやはり重要な運営のかなめになってこようかと思いますが、その点、再度会長から決意のほどをお伺いしたいと思います。
  109. 川原正人

    参考人川原正人君) 私どもの方の担当の横井理事から申し上げましたように、すでに私どもは、かねてから事業効率化合理化を進めておりまして、五十五年度から五十七年度までに要員の面だけ見ましても実質三百四十人の人員を削減し、さらにこの五十八年度事業計画の中でも純減百七十人という、かなりの数の合理化計画しております。効率化することは当然とは言いながら、私ども程度事業規模の中でこれだけの人数を実質減らすということは、かなりこれはきつい作業でもございました。しかし、だからこれで終わりというわけには、もちろんまいらないと思います。  これから先に協会に課せられましたいろんな視聴者の期待、あるいはニューメディアに対する対応等を考えますときに、最終的には恐らく、いまの受信料伸びから見ますと何がしかのさらに料金負担を受信者の方にお願いせざるを得ないのではないかというふうに考えますと、やはり効率化がこれで終わりで、この後はもうすべて料金値上げということにはまいらない。やはり、さらに加えて、非常にきつい状況ではございますけれども、さらに職員一丸となりまして、より能率的な仕事を進めてまいりたい。その上で、あるいは視聴者の方にお願いすべきことがあれば、最後にはお願いせざるを得ないのではないか、かように考えております。
  110. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまもお話がありましたように、協会としても最大の努力をしていただきたい、このように思います。  次に、NHK報道機関としましては日夜情報収集に努力されていると思いますけれども、最近の一部の地方自治体に見られますような情報公開についてはどのように評価されておりましょうか。
  111. 川原正人

    参考人川原正人君) 自治体のお仕事については私どもいろいろな報道等で承知していることでございますけれども、大変一般論でございますけれども、自治体のありようと住民との関係から言えば、自治体がお持ちの情報を差し支えない範囲で住民に公開されるということは、それなりに私は評価できるお仕事ではないかというふうに考えております。
  112. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 広く国民の皆さん方に支持基盤を置いておりますNHKとしましても、国民にその活動内容を明らかにし、理解を求めることは当然ではないかと思うのですが、その点についてどのようにお考えになるか。あるいは具体的な広報状況をお聞きしたいと思います。
  113. 荒井治郎

    参考人(荒井治郎君) お答えいたします。  御指摘のように、国民にその活動の内容を明らかにして理解を求めるということは、経営財源を直接負担をしております視聴者の皆様に対する義務でありますし、当然のことだと私ども考えております。その経営に関する正確な情報をこれまたお伝えすることも、視聴者の方々の理解と支持を得るためにも、これはやはりNHKにとって不可欠の条件だと私ども思っております。  こういうような考え方に立ちまして、先ほどもう一つの点の、広報の現況についてちょっと申し上げたいと思いますが、NHKでは月一遍、会長記者会見というのをやっております。それから放送番組、こういう番組でも随時取り上げてございます。それから広報印刷物、それから新聞広告などでもこういうような経営情報というものを載せておるわけでございます。また、全国にございます視聴者会議を通じまして、対話活動を通じて、こういったさまざまな媒体なり機会を通じてこういう情報について積極的にお伝えするように努めてきておるわけでございます。  具体的にもう少し御説明申し上げますと、ただいまの御審議をいただいております収支予算でございますが、これは郵政大臣に提出した直後でございますが、これは記者クラブに説明をしております。それから先ほどもちょっと触れましたが、全国五十三カ所に視聴者会議を設けてございますけれども、その中でもこういった問題についていろいろと御説明を申し上げて御意見を賜っております。それから印刷物とか新聞広告、こういうところでも詳細にお伝えをしているわけでございますが、ただいまこういうぐあいに御審議をいただいている審議状況も、これは実は来月の四月に総合テレビと第一放送で全国の視聴者にお伝えする、こういうことでございます。このほか、毎年度業務報告書とか、それから決算書類につきましても、予算と同じように記者クラブに資料を配付してございますし、もちろん広報印刷物、新聞広告、それから御希望のおありになる視聴者の皆様方にもいつでもごらんいただけるように全国各地の放送局の窓口にその資料を取りそろえてございます。  それから、事業運営全般のことでございますが、これにつきましても御存じの日曜の夜の「NHKの窓」を初めといたしまして放送番組、こういうものでも御紹介いたしますし、記者会見はもちろんでございますし、いままで申し上げたもののほかに、放送会館の中でのいろいろなPRだとか、それから催し物の中で周知宣伝をする、こういうようなことを積極的に努力をしているわけでございます。私どもといたしましても、現在で決して十分だと申し上げられないかもしれませんけれども、さらに創意と工夫をこらしまして一層の周知と徹底を図ってまいりたいというぐあいに考えております。  以上でございます。
  114. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 昨年の委員会でもやはり同僚からもいろいろと質疑がございましたけれどもNHKに対する理解を求める上でポイントになりますのは、最高意思決定機関である経営委員会あるいは理事会の活動状況とか議事内容じゃないかと思うのですが、それについてもある程度公開をして国民のいろんな批判を受け入れ、あるいは理解を得るということがNHKの健全な発展にとっても必要じゃないか、私、こう思うわけですが、昨年もその点につきましてはなかなかガードがかたかったわけでございますが、その点どのように会長考えになりましょうか。
  115. 川原正人

    参考人川原正人君) 経営委員会のことは、経営委員会自体が私を任免する権限をお持ちの組織でございますので、私からとやかく申すのはいかがかと思いますけれども、少なくとも経営委員会とか理事会とかいうのは、経営の最高の問題を自由濶達にお述べいただき、また議論をしなければならない機関かと思います。  その中での御議論を公開するということにつきましては、やはり会議自主性を尊重し、また自由な御議論をいただくという意味では多少問題があるのではないか。経営委員会自身におかれましてもそのような意向をお持ちのようでございます。  それから理事会につきましては、私が主宰しておりますけれども、やはり経営の問題についてとことん自由濶達な議論を展開しておりますので、これをすべて公開していくということはやはりいろいろ問題があろうかと思います。  しかしながら、もちろん経営が外部に対して秘密があってはいけませんので、私は私なりに記者会見その他を含めまして御質問にはできるだけお答えしていく、あるいは先ほど申しましたように、視聴者会議等の運営の過程を通じましてできるだけ経営の内部はガラス張りにしてまいりたい、かように考えておりますし、経営委員会の方も、非常に重要な議事等ありました場合は経営委員長が随時記者会見等に応じてそのバックグラウンド等は詳しく御説明になっているようでございます。
  116. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 郵政省はどのように考えますか。
  117. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) NHKの最高意思決定機関でございます経営委員会、あるいは執行機関でございます理事会の活動につきまして視聴者理解を得るべきだということは、受信料制度に支えられまして、国民を基盤といたしますNHKとしてはきわめて重要な問題であるというふうに考えております。そうした観点から、その活動状況をできるだけ周知するということは当然必要かと考えますけれども、この問題につきましては、ただいまNHK会長からもお話がございましたように、経営委員会そのものの自主性あるいは円滑な運営の確保という観点からの配慮もやはりすべきものであるというふうに考えられるわけでございまして、具体的なこうした機関の活動方法、公表の方法につきましてはやはりNHKにおきまして検討を進めていただきたい、このように考えておるわけでございます。
  118. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、経営委員会実施されますとその都度記者会見が行われているわけですか。じゃなくて、重要な案件があったときに委員長が記者会見を開いている、こういうことですね。
  119. 川原正人

    参考人川原正人君) そのとおりで、その都度というわけではございません。重要な案件といいますか、クラブ等からの要請もありまして、その都度経営委員長の方で判断して行われているようでございます。
  120. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、次の問題にいきますけれども、昨年のこの質疑のときにも申し上げたのですけれども現行予算書をもっと詳しくすべきじゃないかということで質問したわけですが、やはり参考書類に記載すれば足りるというだけじゃなくて、できれば施行規則を見直しまして、予算書そのものを詳細にして国会審議に付すべきじゃないか、このようにも考えるわけですが、郵政省NHK、どのようなお考えでしょうか。
  121. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 御高承のとおり、NHK予算書の科目につきましては、放送法の施行規則第八条に基づきまして同規則の別表第一号に決められておるわけでございますが、この科目構成等につきましては、昭和四十七年のこの参議院当逓信委員会におきましての附帯決議がございまして、それを踏まえまして翌四十八年に手直し、同規則の改定もしましたわけでございますけれども、御指摘の面もあるかと思いますので、なお理解されやすいように今後とも検討はしてまいりたいというふうに考えております。
  122. 渡辺伸一

    参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。  一口に予算書と申しましても、三十七条に規定しておりますのは収支予算事業計画及び資金計画でございまして、これがお手元にありますように一体となって御審議いただいているわけでございます。  予算書につきましては、いま電波監理局長から御説明ありましたように、すでに定められた科目で言えば項の高さで展開しているわけでございますが、事業計画につきましては言わば総論と各論に分けまして、これは目の高さに金額を表示しながら説明をしているということでございます。さらに資金計画につきましては、年間を四つに割って示すというふうな詳細な資料をつけているわけでございまして、一応のレベルに達しているとは思いますが、昨年申し上げましたように、NHKでは自主的に参考資料をつくりまして目レベルの比較に便利なような配慮を加えておるわけでございますが、今後とも、先生のおっしゃるように、予算審議に便利なようにこの補足資料等についても工夫をしてまいりたいというふうに思っております。
  123. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 さらに検討を加えてもらいたいと思います。  昨年の春にもこの委員会で、ちょうど日航機の墜落事件に関連しまして、緊急初動態勢の整備を人事管理あるいは機材配備の両面で進めるということでございましたけれども、実績はどのようになっていますか。
  124. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 緊急に起こった問題あるいは災害が発生したときというのに対して迅速、的確に対応するというのは公共放送NHKの最も大きな任務であるというふうにも自覚をしております。  昨年の羽田沖の報道に対しまして非常に厳しいおしかりを受けましたことは、私ども非常に肝に銘じております。その後、緊急報道体制、それから災害報道体制というものにつきましては、部内でこれはもうかつてないほどの熱を帯びた議論を展開いたしました。それで、職員一人一人が自分たちの使命をはっきり確認しながら体制をつくってきたというのがこれまでの経過でございます。厳しい財政状態でありますけれども、その中で可能な限りその充実に力を入れてきたつもりでございます。  たとえば緊急報道用の車両みたいなものにつきましても、小型カメラによる現場からの簡易な生中継、それから現場で撮影したビデオ素材を伝送するのが非常に素早くなるようなそういうふうな施設だとか、新しい車を整備する、そういうことで体制の強化を図ってきております。もちろん、多様化する一方の社会現象でございますから、くまなくカバーするというふうなことではまだ十分でないかもしれませんけれども、現今の厳しい財政事情の中では精いっぱいの対応をしたつもりでございます。
  125. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そのときの経験がその後のいろんな災害に非常に生かされたということでお聞きしているわけですが、長崎の集中豪雨とか、あるいは浜松の自衛隊機の墜落事件等ございましたね。そのときに相当な、皆さん方でいろいろ討議され、研究されたそのことが生かされたと聞いておりますが、具体的にどのようなことをされたのですか。
  126. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 昨年の七月に長崎の集中豪雨が起きましたときは、たまたま時間的に非常に対応できる時間であったというようなことが幸いいたしました。在局いたしておりましたほとんどの職員を足どめいたしまして、放送技術関係の職員だけではなくて、たとえば営業だとか事務の職員まで動員いたしまして、一体となってその災害報道に全力を挙げたということでございます。  それから、現実の災害報道というのは、いわゆる人命の保護ということが非常に大きな問題になります。たとえば視聴者から問い合わせがある、そういうことに対しましても、電波をその個人の情報に開放するというふうなことをやりました。これはいわゆる法の上での制約を十分に考えて、いわゆるデマ報道とか、そういうことにならないように十分注意しながら行いましたけれども、そういった一種の個人情報もこういう災害報道の場合には非常に大きな役割りを果たすというふうなことがわかりました。いわゆる映像報道につきましては相当応援体制も得まして、的確な報道ができたというふうに思っております。  それから、自衛隊機が浜松で墜落した事故につきましては、ビデオ機材でもって航空ショーの取材に出ておりました浜松放送局の職員が墜落の模様をカメラにおさめましたのですが、これを伝送でもっていち早く全国放送いたしまして、こういう緊急の報道に対しての成果を上げたというぐあいに考えております。
  127. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど同僚委員の方からも国際放送につきましてお話があったわけですが、国際放送につきましても、調査研究委員会の報告書の中でも受信の改善ということが重点的に取り上げられておるようでございますけれども先ほど大臣からもこれについての格別の御発言もあったわけでございますけれども、やはり世界的ないろいろな情勢、状況等から比較しましても日本の場合は非常におくれているわけでございますし、これはNHKが主体としていまやっておりますし、重要なこれからの業務になってこようかと思いますので、その報告書の評価、そしてこの国際放送をやはり今後さらに充実さしていく立場から、再度、大臣会長から御発言いただきたいと思います。
  128. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、近年わが国の国際社会における地位が著しく向上をしてまいっておりますし、また国際交流も活発化しておるという情勢の中で国際放送の果たす役割りがますます重要になってきておると考えておるわけでございます。  特に、最近のヨーロッパ、アメリカ等との間に起こっております貿易摩擦問題、あるいは中近東等の紛争の生じております地域における在留邦人に対する的確な情報の提供ということを考えます場合に、ますます国際放送充実強化ということの喫緊性が考えられるわけでございます。私といたしましても、当委員会における御意見、御論議を踏まえ、また三月十五日でございましたか、郵政省が受けました国際放送に関する調査研究委員会の提言も念頭に置きまして、今後積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  129. 川原正人

    参考人川原正人君) 現在の国際情勢とわが国の立場を考えますときに、短波による海外放送の重要性ということは私ども十分に認識しております。かつまた、NHK国際放送を行いますのは本来業務でもありますし、いろいろな努力をしなければならないのは当然でございます。ただ、何分にも、先ほど来申し上げておりますように、NHK財政状況がきわめて逼迫もしておりますし、かつまた、この国際放送は受信者の直接耳に戻るということでもございませんので、やはり受信料をもって国際放送に充てる予算にはおのずから限界もあろうかと思います。その意味でいま一番問題になっております、郵政大臣もおっしゃいましたように、とにかく東南アジア、太平洋地域は別としまして、それ以外の世界の地域にどうしても電波が届かないと、大問題でございます。その辺の送信設備充実、あるいは海外に基地を置くということになりますと、やはり金額、予算のことを含めまして政府の多大の御協力をいただかなければ、とても私どもだけではできることでございませんので、今後、郵政大臣並びに政府等の格段の御協力をお願いしたいと思っておるところでございます。
  130. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまヨーロッパに対しましては、ポルトガルのシネスに中継局を借りてやっているようですが、これだけで十分なんでしょうか。それとも、もっとふやすような計画はあるのでしょうか。
  131. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 御指摘のように、ヨーロッパ向けにはただいま現地時間の午前三十分と午後のいい時間に三十分と一時間の放送をやっておるわけでございますけれども、それ以外には国内から、八俣送信所からやっているわけですが、何分にも非常に遠隔地にあるということで、南米、北米あるいはアフリカ地域あるいは南西アジア等々につきましてもかなり不十分である。これをやります方法といたしましては、国内放送充実強化、あるいは古いものを取りかえるという方策もございますけれども、やはり適当な地域におきます海外中継基地というものを見つけましてやるのが最も効果的であるというようなことで、海外中継局を三カ所程度考えたらどうかというようなことが報告書の提言にもございますし、私どももそうした方策が必要であろうというふうに考えておる次第でございます。
  132. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣もその決意を持って臨まれるようでございますので、ひとつがんばっていただきたいと思います。  最後に、先ほども同僚の委員からも質問がございましたが、オリンピックの件でございますが、放送権料につきまして、あるいはサービス料につきましてお話しいただいたわけでございますが、番組制作費等を含めますと相当な経費になろうかと思いますが、その点どのような試算をされておりましょうか。
  133. 田中武志

    参考人田中武志君) 先ほども申し上げましたように、今回妥結、調印いたしましたのは、権料が千六百五十万ドル、さらにサービス等施設提供料が二百万ドル、千八百五十万ドル、日本円にいたしまして約四十三億ということでございます。これによりまして権利はとったわけでありますけれども、この後、衛星中継を使いましての伝送の費用、あるいは要員派遣等を含めます番組制作の費用等々が重なってまいります。  そういったことにつきましては、現在、民放の方とNHKの方との間で、先ほども申し上げましたジャパンプールという組織をつくっておりますので、その中で実務者同士がいろいろ編成計画、あるいはどの程度放送実施の規模にするのか、あるいはNHKと民放との制作の体制をどうすればいいのかというようなことを詰めておりますので、まだ具体的にお答えするような金額は出ておりませんけれども、かなりの、数億のお金がかかるだろうということは予想されるわけでございます。
  134. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  135. 山中郁子

    ○山中郁子君 五十八年度NHK予算審議に当たりまして、年度内、具体的には二月というようにも承っておりますけれども、打ち上げられる放送衛星のBS2の実用化のための当面の対策につ いて本日は中心的にお伺いをいたします。  最初に、郵政省お尋ねいたしますが、郵政省放送衛星の実用化に当たって、衛星放送の発展の長期ビジョンを当然のことながらお持ちだと思いますが、簡単にお示しをいただきたい。
  136. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 最初の実用放送衛星につきましては、来年の二月ということでございますが、これにつきましては、原則といたしましては、現在なお残っております難視対策、難視世帯数四十二万世帯ですが、これを一挙にカバーするということで、BS2の利用計画については難視対策がまず目的であるということでございますが、それに引き続きまして、BS2の寿命は五年程度でございますから、この後継機という意味でのBS3、またBS3につきましては能力的に三ないし四チャンネル、BS2の場合は二チャンネルでございますが、そういう可能性が十分考えられるということでございまして、これにつきましては、放送大学あるいはその他一般の民間放送、民間が参入できるような機関にうまく使ってもらえばいいというようなことでございますけれども、BS2からBS3への引き継ぎ、つないでいきます場合に、何といたしましても地上の放送衛星受信用の機器というものの普及、あるいは量産によります低廉化ということが必要になってまいりますので、    〔理事大森昭君退席、委員長着席〕 BS2の時代におきましても、空き時間等、あるいは番組の再放送の時間、あるいは夜間の時間等を含めまして、単なる難視解消ばかりではなくて、新しい放送衛星でなければできないような実験あるいは魅力のある番組を流すというようなことで普及を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  137. 山中郁子

    ○山中郁子君 私も、BS2の電波視聴者である国民の生活、文化向上に役立つもので効果的に運用されるべきであるというように考えておりますので、NHKに対して、五十八年度予算審議に当たり、この重要な事業の内容であるBS2の放送内容、計画についての提示を求めてきたのです。しかし、NHKはことし六月ごろに放送衛星局の免許申請を郵政省に提出するという予定であるし、そしてこの免許申請にはその計画が必要なわけです、当然のことながら。だから、これは当然オープンにしてしかるべきものだと思いますけれども、これは提出していただけないできました。  NHKは、いままでさんざん議論をされているように、言うまでもなく、視聴者受信料から高額な出資をして進めてきたわけですから、また同時に、この新しい事業NHKの将来にかかわる重要な利用計画になるわけですので、国民の前に明らかにして、オープンに議論をしてその計画について決めていくべきだというように私たちは主張をしております。これは当然のことだと思いますので、改めてこの場でお尋ねをいたしますが、NHKはBS2の利用計画を提出していただけるかどうか。
  138. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) BS2の放送の利用計画につきましては、NHKといたしましては多額な経費をここに投入するわけでございますので、これまでも慎重に検討を続けてきているわけでございます。ただ、まだ現段階におきましては具体的な形での利用計画という形にはなっておりませんけれども、私どもといたしましては、いま電波監理局長からもお話がございましたように、やはり第一は難視解消ということを一番の目的として、それに沿った放送計画を立てるというふうに考えているわけでございます。しかしながら、その難視解消のほか、非常災害対策であるとか、あるいは全国各地からの機動的な番組中継といったようないろいろな方面にわたりまして、衛星の持つ特性というものが発揮し得るような有効活用を図らなければならないということは、会長が繰り返し申し上げているとおりでございます。そして、このBS2の段階から編成上の工夫を行いまして、一般視聴者のこの衛星放送に対する関心を高めて、衛星放送普及を図るということも必要であるというふうに考えております。  もう少し具体的に申し上げますと、いま放送いたしております総合、教育、この両方のテレビジョン番組の混合編成を含みます時差放送の活用であるとか、あるいは衛星放送独自のローカル情報サービスといったような編成などについても、いま、これは放送開始は五十九年以降になるわけでございますけれども、この五十九年度放送開始に備えまして鋭意検討を進めているわけでございます。それから衛星は夜間もずっと放送を続けた方が効果、いろいろな意味で機械のためにもよろしいということでございますので、深夜の空き時間帯につきましても弾力的な活用、たとえば放送時間を延長するとか、あるいは新しい放送方式の実験放送をするとか、そういった点についても利用していこうというふうに考えているわけでございます。
  139. 山中郁子

    ○山中郁子君 いま幾つかおっしゃるのですけれども、私は当然、計画内容の提示なくして免許申請はあり得ないと思いますし、そうしたものをきちんと提示をしていただきたいということをお願いしております。これは早期に行わなければならない。つまり常識的に考えても免許申請は迫っているわけですから、そのことを改めてここで指摘して、早期に国民の前にオープンに、国会も含めて、きちんとした提起をすべきだということを重ねて指摘をしておきたいと思います。  いまお話にもありましたけれども放送衛星は難視聴を解消するということが一つの大きな目的である、事実そのとおりだと思いますけれども、BS2によって現在の難視聴と言われているものがそれではすべて解決されるのかどうか。私はかねてからこれは問題にしてまいりましたけれども、全部解決されるということにはならない。どういうものが残るのかということについてのNHKのお考えを伺わせていただきます。
  140. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) いまも説明がありましたけれども、比較的まとまった難視地区に対しましては五十八年度までに解消するということで、五十八年度末におきまして、いろいろ難視施策によります残存難視、四十二万の残存難視、これ離島も含めまして四十二万世帯の難視が残るわけでございますけれども、これは推定値でございます。これらの残存難視につきましては、主として山間辺地、及びいま申し上げました離島等に散在しております。そういった、これらを地上施策で解消いたしますと大変膨大な経費が要るわけでございまして、これを五十九年度に実用化されます衛星放送によりまして、一挙に速やかに、かつ効率的に解消したいというのがわれわれの考え方でございます。  いま先生がいろいろ御指摘されましたけれども、われわれはもちろん五十九年度以降、衛星が上がりました後の難視解消につきましては、特に辺地、離島の解消につきましては、これは衛星放送によって解消を図りたいというふうに考えておりますけれども、やはり社会環境の変化と申しますか、都市周辺の宅造地、そういったこと、あるいは外国電波の混信というようなことも当然ございます。そういう難視に対しましては、やはりこれからも地上による置局をやっていかなければならないだろうというふうに考えております。  それからなお、辺地共聴でございますけれども、辺地共聴につきましては、衛星が上がりました後はこれを設置するということはいたしませんけれども、個別受信につきましては、やはりわれわれとしては難視解消という立場からきめ細かい受信技術指導というものを引き続き行っていきたいというふうに思っております。  それから最後にローカル難視、いわゆる自分のところの県のローカルが見えない地域が全国に十一万ほどまだ残っております。そのローカル難視に対しましては、やはり高性能受信アンテナ、そういった受信技術指導によって引き続き対処していきたいというふうに思っております。
  141. 山中郁子

    ○山中郁子君 難視というのは、大きく言って辺地難視、都市難視がございます。それで、この放送衛星の打ち上げによって解決するのはまずNHKのものしか解決しないということになりますね、郵政省にも確認をいただきたいのですけれども。つまり、いままでの地上設備による難視解消の中で解決に組み込まれてきた民放関係ですね、これの解決はとりあえずできない。それからもう一つは、NHKであってもローカル放送ですね、いまお話もありましたように、ローカル放送についてはこの衛星放送によっては解決できないというふうに残る。この点はどうしても残らざるを得ないということだと思いますけれども電波局長、その点は間違いないですね。時間が大変限られていますので、簡潔に御答弁いただいたら幸いです。
  142. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) そのとおりだと思います。
  143. 山中郁子

    ○山中郁子君 次に、衛星放送を受信する場合の経費の問題があります。これは視聴者が受信するためにはパラボラアンテナが必要になる。それで、このアンテナは直径一メートルぐらいのアンテナが必要になってくる。このほかにもコンバーターが必要だということになりますけれども、これが結構な経費になると思いますけれども、大体どのくらい見込まなければならないでしょうか。
  144. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 直径一メートルのパラボラアンテナとアダプターを合わせました予想価格でございますけれども衛星放送開始当時の年間平均一万台程度を想定いたしますと、個人受信で十五ないし二十万円ぐらい、普及段階 と申しますのは年間十万台程度というものを想定いたしますと六ないし八万円程度か、そのように推定いたしております。
  145. 山中郁子

    ○山中郁子君 かなりな経費なんですけれども、日本全地域をカバーするのに一メートルのアンテナでは足りないという部分が出てきますわね。一メートル以上のアンテナが必要になってくると、これはまたもっと物すごい経費がかかるというふうになると思うのですけれども、私の素人判断では、北海道だとか九州だとか、もっとたとえば小笠原だとかというのは、とても一メートルのアンテナではカバーできないというように考えられますけれども、その点はいかがですか。
  146. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 先般、実験用の衛星によりましていろいろ実験いたしたのでございますけれども、その後の技術の進歩というものもございまして、現状では大体本州では一メートル程度のパラボラアンテナ、いま先生御指摘のつまり九州とか北海道になりますと若干電界が弱くなりますけれども、一メートルより若干大きいという程度、一・二メートルといいますか、その程度でございまして、コストとしてはそんなに大差ないだろうというのが一つ。もう一つは、いま申し上げました最近の技術の進歩によりまして非常に低雑音の、雑音の低い素子が開発されておりまして、だんだんとそのパラボラの大きさも小さくなってきているという状況にございます。
  147. 山中郁子

    ○山中郁子君 ことで私は、ちょっとその中身ですね、番組の内容について立ち入ってお伺いをしたいのですが、つまりどういうものがそれで放送されるのかということです。難視解消が大きな目的だとするならば、現在放送されているものが、衛星放送によって同じものが放送される。それによって現在の難視地域をカバーできる、こういう理屈になってくると思うのですけれども、そういう理解になりますか。つまり衛星放送によって難視を解消するのだ、だとすれば、その衛星放送の中身というものは現在放送されているものと同じものを放送する。したがって、現在受けられないところが受けられるようになる。一つの理屈ですわね。そういうふうに理解がされますでしょう
  148. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) それが、先生いまおっしゃったことがBS2の最初の主たる目的という、NHKの総合、教育の難視解消というわけでございますから、それが第一義的になるというふうに考えております。
  149. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、BS2を上げて、新しい二チャンネルをNHKがそれを使って放送する、それは現在放送している第一チャンネルと三チャンネル、これと同じものを放送する、こういう計画になるということですか。
  150. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 難視解消のために、現在地上でやっております総合と教育の両波を、再放送を抜いた部分を全部出したい、こういうのが原則でございます、難視解消については。残りの時間を衛星普及のため、あるいはそこで新しい魅力的なものを開発するというふうな意味で活用したいというのが基本的な考え方でございます。
  151. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、あなたの大体の見当でよろしいのですけれども、大体いまおっしゃったようなことで放送するとすれば、どのくらいの時間帯、全体の放映時間の半分だとか、三分の一だとか、三分の二だとか、どんなふうに見当をつけておられますか。
  152. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) これはまだ最終的な詰めをしておりませんので、はっきりした数字はまだ出ておりませんけれども、現在の総合、教育両テレビの放送時間の大体七五%は難視解消のために星から放送するというふうな考え方でございます。
  153. 山中郁子

    ○山中郁子君 番組の内容の問題について後ほどまた触れますけれども、難視対策そのものについてもう少しお聞きをしたいと思います。  その一つは、辺地難視の対策なんですけれども郵政省NHKも、放送衛星の打ち上げによって来年度から地上における難視対策費は考えない、こういうふうに言っておられる。この点は、私が先ほど確認をしましたように、放送衛星が打ち上げられても、衛星放送が行われるようになっても解決しない難視というものはあるという観点から、基本的にその解決のために、引き続き地上における難視対策に取り組むべきだと考えておりますけれども、この点はまずいかがでしょうか。
  154. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 辺地難視聴の解消のために、郵政省といたしましては、昭和五十四年度から放送衛星が打ち上げられるまでの間ということで、NHK放送の難視解消が当分見込めないという過疎地域対象といたしまして、テレビ放送共同受信施設設置費の一部を補助するという考え方で、ただいま御審議いただいております五十八年度政府予算案にもそのための経費を計上しているわけでございます。ところで、放送衛星打ち上げ後、五十九年度以降の難視聴解消でございますけれども、大方はこれで解決はつくわけでございますが、先ほど指摘いただきましたようなローカル難視等についての問題はあるわけでございまして、そうしたNHKの難視聴地域の散在状況等も勘案しながら、今後なお措置については検討する必要がある、残っているというふうに考えております。
  155. 山中郁子

    ○山中郁子君 まず一つは、衛星放送の受信設備でもって、先ほどかなりコストを下げた段階普及した段階でも六、七万からの個人負担になるわけですよね。しかも、それは地域によっていろいろ違ってきますし、雪の降るところなんかだったら屋根の上にそのアンテナを置くことができるのかどうかというような問題も出てまいります。そういう点で、衛星放送によって受信しなければならない人たちの負担というのは大変不公平な負担を強いられる、ある言い方によれば。いままでは最高でもやはり三万程度負担だったと思うのですね。それがやはりかなり大きな負担を強いられることになるという問題が一つあります。これは個人で持たなきゃならないということになるのかどうか。  それから、それをやっても、先ほども確認いたしましたように、ローカル放送も届かないということは未解決で残りますし、民放の問題も残るわけですね。そういう点がございますから、私はやはり地上における、現在まで取り組んでまいりました難視対策をやはり引き続き取り組んでいくべきだというふうに思っておりまして、そのことを主張しているのですけれども、いまの局長の御答弁はそのように理解してよろしゅうございますか。引き続きそういう点について、残された問題について解決をしていくために努力をする、つまり衛星放送が始まったのだからもう難視対策はこれでおしまいということではなく、努力をしていかれるというお考えだと承ってよろしいか、確認をしておきます。
  156. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 検討すべき問題は残っているというふうに理解しておりますが、これを少し翻訳をいたしまして、具体的な補助というものを考えているのかということになりますと、いま少しく検討させていただきたい。まず第一には、量産によります価格の低廉化あるいは魅力のある工夫番組、実験等によりまして受信機の普及を図るというようなことが初めに出てくるかというふうに考えております。
  157. 山中郁子

    ○山中郁子君 何か翻訳をしてくださると余り期待ができないような中身になってくる感じなんですけれども、それでは困るのであって、難視対策が後退するということになってしまうと思います。  それから、もう一つは都市難視問題なんですけれども、これも五十六年度、資料を見せていただきますと、六十万世帯というふうに言われております。従来も原因者負担ということで解決をするという方針でやってきました。私もこの国会でも何回かこの問題についてはただしてまいりました。しかし、都市における原因者、つまり企業者、高層ビル、その他ですね、そうした企業者の中には衛星放送が開始されるから都市の難視が解消されるかのように考えて、そしてそれを理由にして難視解消の対策を放置したりするという傾向がなきにしもあらずだと受けとめております。こういう動きがありますから、なおさらのことに、いまの辺地難視と同様に郵政省としてもこの都市難視の解消策については原因者負担という原則をやはりきちんと保持して、堅持して取り組んでいくべきであると考えておりますけれども、この点についても御意見をお伺いしておきたいと思います。
  158. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) ただいま言及されましたように、都市におきますテレビジョン放送の受信障害についてでございますけれども、従来から原因となります建造物の建築者等の負担におきまして対策を行うよう指導してまいったわけでございます。そしてまた、実績としても大多数の障害につきましてはそうした考えによって解消もされてきたというふうに思っておるわけでございますが、なお近年、東京のような場合、非常に複雑化し、また広域化した障害が起こっておるわけで、それにつきましてはその原因を特定することもむずかしいというような事例も出てきておるわけですけれども、こうした受信障害につきましては、関係する原因者と申しますか、建築者あるいは放送事業者あるいは国、地方自治団体、あるいは直接恩恵を受けるといいますか、関係いたします受信者等が協力してその対策に当たる必要がある、郵政省もその主管の省としてそうした方向への努力を積み重ねるべきだというふうに考えております。
  159. 山中郁子

    ○山中郁子君 原因者負担の原則は堅持されるということですね。
  160. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) そういうことです。放送衛星によりまして全部解決するというふうには考えておりません。
  161. 山中郁子

    ○山中郁子君 難視聴解消のためということが一つの大きな目的で打ち上げられる衛星放送によっても、幾つかの問題が残るということは明らかになっております。郵政省NHKもそれを認めていらっしゃる。ですから、私はNHKに対しても、先ほど電波監理局長からはちょっと頼りない答弁しかいただけなかったのだけれども、いずれにしても地上における難視解消対策というものを引き続きやっていくということの姿勢ははっきりさせていただきたい。これは、技術はやはり日進月歩でございますから、地上における難視対策にしてもコストの低下ということは十分考えられていくことでもありますし、そのことについてはNHKの姿勢としても明確にしていただきたいものだと思っておりますけれども、いかがでございましょうか。
  162. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 衛星受信機の普及ということも衛星放送普及という点から見まして衛星受信機のコストを安くする。もちろん衛星放送普及ということにつきましては番組が、もちろん魅力ある番組ということが大事でございますけれども、それ以外に受信機のコストを下げるということも大変重要でございます。NHKにおきましても、研究所におきまして長年にわたってコストの低下のための研究をやってきまして、その成果をもとに内外のメーカーにいろいろ技術指導いたしまして、それをベースに各メーカーでも受信機の量産によるコストダウンということを検討しているようでございます。
  163. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっといまよく御答弁がわからなかったのですが、たとえば五十八年度も一億五千三百万円の難視対策費を計上されているわけです。いままでも逐次そういうことで解決してきたわけですね。衛星放送が始まっても解決できない部分がまた残る。仮に衛星放送によって解決できるとしてもそれはかなり過大な負担を強いられることになる。そういういろんな問題が出てくるから、地上における難視対策も引き続き必要なものに対しては積極的に取り組んでいっていただきたいということを私は要求もし、その姿勢について確認を求めておりますので、ひとつ端的にそこのところを教えていただきたい。
  164. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) この放送衛星によって難視解消を図るというのは、NHKが全国の放送普及義務を持っているということは、いまテレビが全く見えない世帯あるいは大変見えにくい世帯、そういった難視地区を解消するということで、これをいままでの放送衛星によらない施策でもって進めてまいりますれば、今後十数年にわたって千三百億円の経費も必要であるという前提に立ちまして、この際そういった御家庭がなくなるように一挙に放送衛星によって解決をしようということでございますので、放送衛星を上げますには、これは申し上げるまでもございませんけれども、また多額の経費を要するわけでございますので、いままで進めてきたような地上施策をこのまま継続してやっていくということはやはり方針を転換せざるを得ないわけでございます。  ただ、いろいろ外国混信の問題であるとか、宅地造成とか、いろいろそういった状況等につきましてはケース・バイ・ケースでもってそういった対応は当然やっていかなければいけないわけでございますけれども、原則としてやはりいままで進めてきたような地上施策というものは、この際放送衛星にかえるというふうに考えているわけでございます。
  165. 山中郁子

    ○山中郁子君 私も、衛星放送で解決するにもかかわらず同じようにやっていけということを一つも申し上げているわけじゃないのです。最初から確認していますように、衛星放送が始まっても解決できないものがある。それは民放の場合ももちろんそうですね。それからローカル放送もそうです。それからアンテナの設備によって過大な負担視聴者が持たなきゃいけないという問題もあります。そういう残る問題について積極的な対応を、姿勢を堅持していただきたいということを申し上げているのです。このことについては、受信設備負担その他具体的な細かい問題に入る時間的な余対はいまありませんけれども郵政省に対しても、またNHKに対しても、そういう立場からの積極的な視聴者の立場に立った、国民の立場に立った姿勢を堅持し、取り組みを進めていただきたいということを強く要望もしておきたいと思います。  それで、衛星放送が開始される場合の中身の問題になりますけれども、来年の年度内、二月ごろに打ち上げる、そして五十九年度放送開始というように言われておりますから、当然のことながら免許申請が近づいていると思うのですね。免許申請の前には予備免許申請が行われなければならない。したがいまして、私はいまの時期にはもうすでに計画がかなりはっきりと示されて、しかもこういうことでNHK衛星放送を行いますよということが国民の皆さんにオープンに示されて、そして皆さんの御意見もそこから吸収されていくというような仕組みが必要であるし、またそのような立場に立たれるべきだというふうに考えております。若干先ほど内容的な御答弁があったことは私も承りましたけれども、いつごろ予備免許の申請をなさる御予定でございますか。
  166. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 衛星放送が開始されますのは、五十九年の大体五月ごろというふうに思っております。  この衛星で何を放送するのか、いわゆる番組の編集の基本計画とか、それから編成計画につきましては、これは五十九年度計画になります。したがいまして、その五十九年度計画番組編成全体の作業の進捗に合わせてしかるべき必要な手続を進めていくというふうなことになると思います。ただ、この五十九年度計画を立てる前に免許申請をするというふうなことが当然必要になってまいりますので、その免許申請上に必要な資料をつくりまして理事会で審議をし、それから経営委員会にかけて了解をしてもらうというふうなことを考えております。
  167. 山中郁子

    ○山中郁子君 ですから、その免許申請をいつごろなさるおつもりですかということをお伺いしているのです。免許申請、それに先立つ予備免許申請がございますね。いつごろなさる御予定ですか。
  168. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 免許申請は六月に予定しております。
  169. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから、免許申請する時期は近づいているわけですよね。そして、その前に予備申請をしなきゃいけませんね、当然のことながら。それで私は、この予備免許審査の中に、放送局の開設の根本的基準ということがあって、これに合致することが必要である、私が申し上げるまでもないと思います。この根本的基準には「放送番組の編集及び放送は、左に掲げる事項に適合するものでなければならない。」として、番組の種類、放送時間の割合、その内容を規定しているのですね。だから、当然その内容を含めていまもうすでに計画がされてなくちゃいけないし、そういう段階で、私は当然しかるべき時期に国民的な合意を得るという御努力をされるべきだと思っておりますけれども、この点についてはどのようにお考えですか。  そして私は、いま経営委員会とかお話がございました。必要なそうしたさまざまな手続があることは十分承知しておりますけれども視聴者の立場から言うならば、少なくとも中央放送番組審議会でこのことが検討されるというか意見を求める、そういう手続がなければ、国民の声を代表する新しい放送の内容としてNHKがオープンに協議をして努力をして準備をしていくということにはならないと思っておりますので、中央放送番組審議会でこの衛星放送局の番組内容について検討をされるという、そういう御予定がおありになるかどうか、そこのところをお尋ねします。
  170. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 中央放送番組審議会というのは、年度の基本計画を諮問して了解をしてもらうということでございますから、これは五十九年度の基本計画を樹立する際に諮問をいたしまして、それに対する御答申をいただくというのが正式な手続なんです。ところが、それに先立ちまして、やっぱりこの衛星に関してはどのような番組考えているのかということは、当然のことながら事前に説明をし、御了解を得なければいけないというぐあいには思っております。
  171. 山中郁子

    ○山中郁子君 六月といえば、もうあと二カ月しかありません。目前に迫っているわけでして、そしてある意味では画期的な衛星放送による放送が行われるわけですから、そこのところはあくまでも視聴者の立場、皆さん方がいつも繰り返される国民のNHK、こういう立場に立った番組の内容の準備を進めていくべきであると考えておりますので、重ねてその点を申し上げておきます。  次に、この点に関して郵政省お尋ねをしたいのですけれども、こういう衛星放送という新たな放送を始めるに当たりまして、当然のことながら郵政省としての免許をする場合の方針ですね、これがおありだと思うのですけれども、そうしなければ免許申請に対する審査ができないわけですけれども、どのような方針をお持ちか。
  172. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 五十九年二月に打ち上げられまして五十九年の五月ごろ実用に供されるということで、先ほどNHK側からも説明がありましたけれども、六月ごろに申請をお出しになるというわけでございまして、私どもといたしましては、それの審査に必要な関係省令の改正あるいは免許手続等に必要な作業をただいま進めているわけでございまして、免許方針の成文化につきましても、これらいま申しました関係省令の整備とあわせましてできるだけ早く決めたい、このように考えている次第でございます。  そうした方針を打ち出します場合に、当然放送衛星の利用のあり方ということにつきましても電波監理審議会に諮問する必要があると思っておりますし、その答申を得て決定するものでありますけれども、その過程におきましては、NHKはもちろん、民放あるいは学識経験者等の御意見等も参考にしながら今後の衛星放送普及に資するようなものをつくらなければいけないということで鋭意作業中であります。
  173. 山中郁子

    ○山中郁子君 その内容の問題について、やはりかなりまだ不分明なところがありますし、これから検討しますという部分もある。しかし、免許申請の時期は迫っている。そして、放送開始はもうそのように決められている。  そこで、私はお尋ねもし、また意見としても申し上げたいのですけれども、本放送局としてでなくていわゆる実用化試験局としての、衛星放送の今後のさまざまなまだ未知の問題ありますけれども、そのような位置づけで放送開始をするということは考えられないのかどうか。本放送局として開始をされるということは、もう変わらないわけですか。
  174. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 先ほども申し上げましたように、BS2の利用は、本来的といいますか、第一目的はNHKの現在の難視解消用に使うということでございますので、その限りにおいては、たとえば放送衛星局というようなものになろうかと思いますけれども、あわせまして、放送衛星でなければできない技術、あるいは放送用受信機の普及を図るための施策として、放送衛星でなければ達成できないような実験もやろうというふうに考えておりますので、その面からこのBS2をつかまえますと、同時に実験局という性格も持たせなければいけない、このように考えております。
  175. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、せっかく電波が新しくふえるわけですから、難視対策はもちろんですけれども、できる限り有効に、国民のニーズに、期待に合った利用を考えるべきだというふうに思うのです。  それで、昭和五十五年に電通が行った「放送の多様化に関するアンケート調査」というものがありまして、その結果によりますと、テレビ放送の時間が単にふえることを望んでいなくて、東京で千三百二十三人、調査のうちの六九・二%の人が現状をちょうどよいというふうに答えている。それで、長過ぎるという人が一九・九%。また、番組の種類はどの局も似たようなもので種類が少ないと答えている人が五〇%以上にもなっている。だから、電波はあって、いろんなチャンネルあるけれども、同じようだというふうに考えていらっしゃる方もある。こうしたテレビに対する国民の意向を十分踏まえて有効利用の方法を検討していくべきであると考えておりますけれども郵政省にそこでお尋ねをしますが、放送衛星の利用についてはもうすでに幾つかの団体や個人が提案や提言もされている。たとえば民放関係でも民放労連、民放連、その他放送問題の専門家の方々も多くのところでさまざまな意見を出しておられます。こういう意見を積極的に広くお聞きになって、そしてナショナルコンセンサスというか、国民的な合意の上に、この新しい放送衛星放送をよりよいものにしていくというお立場に立っていただけるものであるかどうか、お尋ねをいたします。
  176. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 放送衛星といたしましてBS2の段階とBS3の段階があろうかと思いますけれども、ちょっとはっきりさせますと、BS2では難視解消というのが第一義ですけれども、その段階でもあわせて放送衛星でなければできないような実験、あるいは魅力のある番組という工夫も考えておるわけでございまして、いまおっしゃられました、民放等が参入いたしましていろいろ計画といいますか論議しておりますのは、具体的にはBS3の段階での話だと思いますけれども、そのような方向で活発に議論し、魅力のある衛星放送普及に資するような施策をとるのが私どもの役目だというふうに考えております。
  177. 山中郁子

    ○山中郁子君 BS2から始まるわけですけれども、BS2に限らず、今後の新しい衛星放送というジャンルが開かれるわけですから、そのことを踏まえて申し上げておりますが、たとえば、これは私がごく個人的に考えるのですけれども放送文化基金というのがあって、これでもって番組部門で表彰されたものだとか、それからいろいろな公的なコンクールだとか、そういうものがございますね。そういうところで優勝した記録映画だとかいうものも多くあります。それから全国各地の伝統芸能などの番組、それからそういう地方文化の全国的な紹介、先ほど大森委員の再放送の問題がございましたけれども、私はそういうところに一つの焦点を合わせて国民の文化的、芸術的要求にこたえるという、そういうことも考えられるし、それからまた、これも私は前から主張しているのですけれども経営委員会や、あるいは視聴者会議など広く国民の場所に公開をして、そして放送によってそれを知っていただくという問題もありますし、それからまた国会議論ども、現在は本会議における代表質問あるいは予算委員会における総括的な質問の放映がされておりますけれども、それだけに限らない、より幅の広い必要な放映が行われるということも考えられる。そうした幾つかのことがいろいろと考えられると思いますけれども、たとえばの話として、私はそういうふうに考えますが、その辺のことについてどういう御見解をお持ちか。これは参考のためにお伺いをしておきたいと思っています。
  178. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 衛星が始まった段階での魅力ある放送番組とは何かということにつきましては、私どもも非常に腐心をしております。といいますのは、この衛星番組も現在の地上局の受信者の負担によってやらなければいけないというふうなことでございますから、そこにどれだけの経費をかけるのか、あるいはもっと効果的な使い方はないかとか、いろんな新しいことを考えていかなければいけないと思っております。その中で、いま先生がおっしゃったような教育番組あるいは教養番組、科学番組、そういうもののコンクール入賞作品だとか、それから現実に起こっているもののニュース的な長い中継だとかというふうなものは、当然のことながら衛星が上がった段階での番組には十分考えられると思います。なお、そのほかにも、もっと経費はかからなくて効果の上がるものはないかとか、いま鋭意考えておるところでございます。
  179. 山中郁子

    ○山中郁子君 視聴者の、広く国民の意見を率直に聞かれて、積極的な対応を進められることを重ねて要望申し上げておきます。衛星放送の問題については以上で終わります。  次に、NHKで働く職員の方々の労働条件、特に転勤問題について、ひとつお尋もし、改善も図っていただきたいと思っております。  どの企業でもそうですけれどもNHKにおきましても、大変転勤が激しいというふうに聞いていますけれども、この転勤についての基本的な考え方というか、大体どのぐらいのサイクルで転勤をさせているのか、ちょっとNHKの実情をお伺いしたい。
  180. 横井昭

    参考人(横井昭君) 御指摘にございますように、NHKはかなり転勤を行っておりますし、御承知のように、日本放送協会は全国にそれぞれ七十余りの放送局ないし事業所を持っているわけでございまして、およそ、転勤、異動というのは、協会の組織がより能率的、効果的に業務遂行できるように組織の活性化を図る、そういう意味で適材適所に人を配置するということ、並びにそれぞれの転勤していく職員の能力の伸長ということを考えて、業務上判断して転勤をやっているわけでございます。大体年間に千五、六百近くの転勤を行っておりますが、全体の一万六千人の要員で割ると十人に一人、十年に一回という大ざっぱな計算になろうか、こう思います。
  181. 山中郁子

    ○山中郁子君 伺うところによりますと、報道関係は三年から四年、あるいはプロデューサーとかディレクターの方たちは四年から六年、技術関係の方は六年ぐらいというように伺っております。現に、私たちもテレビでお見受けするアナウンサーの方たちが、いつの間にか別な局の方に行っていらっしゃるなんということに気がつくこともあるわけですけれども、そういう転勤について起こってくる問題、単身赴任の問題がやはりどうしても起こってまいります。  それで、まとめてお伺いいたしますけれども、単身赴任手当、これが大変少ないのですね、伺ったところによりますと。こういうものは改善されるべきだと思っておりますけれども、その改善の状況。  それから、単身赴任した場合に家族の方がその現地に残る。その場合に、社宅ですか、社宅を出なければならないみたいな状況にかつてあったというふうに聞いておりますけれども、それもまたちょっときつい話じゃないかと思いますが、その辺の改善方がされているのかどうか。  それから、転勤の時期ですけれどもNHKの場合は八月ですね。これがやはり子供さんの新学期に合わせた転勤ということの方が、より多くの人がその方がいいというふうに思っていらっしゃる向きもある。だから、別に四月でなければいかぬということはないと思いますけれども、やはり子供さんの学校の問題が大変重要な問題だというふうに思います。  それから、もうちょっと細かい問題になりますけれども、寒冷地へ行くとか、それからかなり離れたところへ行くというふうになりますと、たとえば寒冷地における特別な経費の必要なこと、それから電気器具のサイクルが変わりますね。そういうことによってまた新しく買い直さなきゃいかぬとか、そういういろんな負担が強いられるわけなんですけれども、こうしたことについて、現状も一定調査は私いたしましたけれども、やはり職員の立場に立ってできる限りの改善を図ってしかるべきだと考えておりますので、御見解を伺います。
  182. 横井昭

    参考人(横井昭君) お答えいたします。  四点ほどございましたが、まず第一点が、単身赴任者の単身赴任手当でございます。  御承知のように、転勤になりまして、子弟の教育等の関係で職員が単身で任地へ赴く、これを単身赴任、こういうふうに称しておるわけでございまして、単身赴任手当を出しております。これらにつきましては、社会的な状況も常に勘案しながら、その中でしかるべく配慮をやっていきたい、こういうふうに考えております。  それから二番目に、宿舎の件でございますけれども協会の場合は、転勤者に対して五年を限度、四十五歳を限度にして共済住宅というのを貸与しておるわけでございまして、共済住宅から転勤でA地からB地へ転勤になると、そういう場合に単身赴任をするという状況下におきましては、B地の転勤先で共済住宅を貸与するか、家族を残したA地の家族に共済圧宅を貸与するか、それは職員の選択判断に任せるように現在なっております。そういう状況でございます。  それから三点目に、異動の時期でございますけれども、御指摘のように、四月、新学期という考え方もございますけれども、何といっても、新年度が始まって、大体放送番組は新年度に変わるのが多うございまして、それが安定するというようなことと、私どもの転勤のケースはかなり多うございまして、期間がやっぱり前後一カ月以上はかかるわけです、最初から終わりまで。そうすると、学年の変わりの三月、四月というのは、いろんなこういうこともございましてなかなかやりにくい。そういう意味では七月、八月の時点が一番、いろんなことを検討して、かつて二月ごろやったことございますけれども、やっぱり七月、八月に戻ってきたというような状況でございますので、非常にむずかしい問題ではございますけれども、いまのところはやっぱり七月、八月が一番いいのじゃないだろうか、こういうふうに考えております。  それから第四点目の寒冷地の手当でございますけれども、寒冷地に転勤する場合につきましては、寒冷地の暖房費の補助としまして寒冷地冬営手当の給付がございます。これらにつきましても、社会のいろんな企業の情勢等を勘案しながら、できるだけの配慮はしていきたい、常にそういうふうに考えております。  以上でございます。
  183. 山中郁子

    ○山中郁子君 転勤時期なども、私も画一的に四月でなければいかぬというふうに申し上げているわけではありませんけれども、そうしたさまざまな職員の方々の実際の生活から出てくる要求、実情、そうしたものに見合った配慮をさらにしてしかるべきであろうという意見を申し上げております。  また、転勤の話があっても、おうちで寝たきりのお年寄りを抱えているとか、やはり簡単に転勤できないという事情はかなりあります。これはNHKに限りません。そういう場合に、それぞれの事情で転勤が困難で断らざるを得ないといった場合に、それを理由にした報復的な考え方は持っているとはおっしゃらないとは思いますけれども、やはりとかくそれが出てくるものでございますので、そういうことはゆめゆめないようにしていくべきである。特に、公共放送であるNHKという立場に立っていればなおさらのこと、そこのところははっきり責任を持った管理をしていただかなければならないだろうと考えておりますけれども、その点のお約束を念のためいただいておきたいと思います。
  184. 横井昭

    参考人(横井昭君) 個人のそれぞれの異動、転勤につきましては、私どもではそれぞれ考課表というものがございまして、本人の希望申請もございますし、そういうものに目を通しながら総合的に協会業務上必要と認めるものについて異動を実施しているわけで、先生御指摘のような家庭的な事情も十分その中に勘案をしつつ最後の意思決定をするように今後も心がけていきたい、こういうふうに考えております。
  185. 山中郁子

    ○山中郁子君 やはりどうしても、普通の企業もそうですけれども、そうなりますと人事上の不利益がついて回ったり、さまざまな問題があって、私も率直に言って、NHKでそういうことがないということは考えられないでおります。ですから、そのことは重々御注意をいただかなければならないと思っております。  最後になりますけれども、昨年三月三十日に行われましたNHK予算審議の際に、私はNHK番組を批評する番組ですね、単なる番組紹介でない、番組を国民の立場から、視聴者の立場から踏み込んで批評をする番組をつくって放映することによって一層番組向上、国民の世論を、視聴者意見を取り入れていくという、そういう試みをぜひしていただきたいということを申し上げました。これは、一昨年もたしか申し上げた記憶がございます。そのときのやりとりはいろいろありましたけれども、今月二十二日に、これが「わたしの番組批評」ということでNHKで実現をいたしましたね。私は、大変喜んでおります。それで、この番組内容は、いま社会的に大きな問題になっている教育の非行問題、こうした問題についてかなり踏み込んだ番組の批評番組というものになって、コクのあるものであったという印象を受けております。私は、ぜひこうした番組をさらに引き続き積極的に実現をしていっていただきたいと思っておりますので、その辺のお約束をいただくことにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  186. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 「わたしの番組批評」という番組放送いたしました結果、非常にたくさんの方からNHKがみずからの番組視聴者の率直な意見でみずからを批判したというようなところで御評価いただきました。私どもは、前にも、たとえば「受話器の向こうのNHK」だとか、それからいわゆる投書による幾多の御意見を御紹介して、それにNHK側の答えを出すというふうなものもやりました。今回は、先生の昨年の御示唆もございましたし、全く部外の有識者の方の御批評をそのまま放送するというふうな形をとってみたわけでございます。これにつきましては、いま申し上げましたように、評価としてはNHKの自己批評に対する姿勢がうかがわれてよろしいというようなことで御賛成をいただきましたと思いますので、今後、機会を設けてこのような番組については実施をしていくつもりでございます。
  187. 山中郁子

    ○山中郁子君 終わります。
  188. 青島幸男

    ○青島幸男君 いま、放送衛星の問題につきましてかなり突っ込んだ御議論がありましたので、私伺っていて多少疑問に思う点がございましたので、その点からまず順序を変えてお尋ねをしてまいりたいと思います。  私の考えでは、難視聴対策のために放送衛星を使うのだというのがまず話の始まりであったということからしますと、総合と教育をそのままの形で放送するのが一番望ましいし、疑問がないのではないか、こう思うわけですね。しかし、衛星放送普及、進展を図るためには多くの方に、ただ単に四十何万世帯という、何台という受像機の数ではなくて、もっと多くの方々に幅広く興味を持っていただいて普及に尽くしていただこうという考え方もわからないじゃありませんが、そのために全くいままで行われている放送と違った内容のものを放送するということは、それに名をかりて新たな一局をつくることだと思いますよ、違った内容の放送をするということは。  CATVで、ケーブルでもって難視聴を解消するということでケーブルがかなり普及してくると、かなりの台数の受像機にケーブルがつながってくる。これだけの受信者がいるのだからこれで結構自主放送したら商売になるぞというので、ケーブルビジョンが自主放送を始めるようなことがありますね。これは新たな局が一局誕生したことになります、公開ではありませんが、しかし、今度の場合はケーブルに閉じ込められて流れるわけじゃありませんから、電波衛星から来るわけですから、パラボラアンテナを持ってそれなりの受信施設を持っていればどなたでもごらんいただけるわけですね。そうすると、本来難視聴対策のためだけに私ども衛星を使うのですという話とは全く別のものになりますね。違う内容のものを放送する。  一方、翻って考えてみますと、四〇%から七〇%近くの再放送も行われている。しかも教育と総合の中で交互にそれが行われたりしていますね。しかも、それと全く同じ内容のものを衛星から出したら、それは三重の重なった投資になるのじゃないか。いつもいつも同じものをどこをひねっても見えるような結果になってしまいやしないかというむだな点も考えられますし、衛星放送普及、発展にはかえって役に立たないかもしれないから、衛星を使って行うNHK放送は、総合並びに教育のほかにもっと魅力あるものを追加して放送したいというのはこれは筋の違った話だと思いますね。その点どういう御見解をお持ちでしょうか。
  189. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) お答え申し上げます。  あるいは先ほどからの議論におきまして説明不足の面でそういうふうに先生おとりになった面もあったかと思いますけれども、まず、BS2におきましてはNHKテレビジョンの総合、教育あわせましての難視聴解消に利用するというのが大前提でございます。それが主目的でございます。ただ、この衛星放送につきましては、衛星放送でないとできないような魅力的な面があるということで、新しい放送技術の実験というようなことで御説明申し上げた次第でございまして、局の種別でとらえますと、第一に申しましたNHKの難視聴解消、これが放送局でございます、放送衛星局というか。その辺ございます。  あとの面につきましての放送衛星受信用の受信機の普及等を考えると、あるいはいままでなかったような番組の工夫も考えるというようなことにつきましては、これは実験局というようなつかまえ方でございまして、第一番目に言いましたNHKテレビジョン放送の難視聴解消に利用するのだということを忘れてはいけないと私ども思っております。
  190. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから、二波使えるのだったら一波はNHKだけ専用にお使いになって、総合、教育そのままを流す。もう一波で実験でも何でもおやりになるというのが筋道の立った考え方かと私は思うのですがね。大臣は、その点、どんなふうにお伺いになっていますか。
  191. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) まず、BS2は二チャンネルをおろしてくるわけでございまして、三チャンネルないし四チャンネルになるのはBS3の段階でございます。そのBS2の段階におきましては、いま言いましたように、本来的にNHKの総合番組あるいは教育番組は一回はともかくそのままの形で地上の受信者は受けられる。これを難視聴解消の主たる目的。それで、たまたま地上では再放送に当てている時間等、あるいは夜間遅く等で余った時間、あるいは再放送の時間につきまして新しい展開を求めた実験を行いたい、こういうことでございます。
  192. 青島幸男

    ○青島幸男君 それは郵政省NHKにその実験をする許可を与えるというかっこうですか。
  193. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) あくまでも一次的にはNHKからそうしたいということ、あるいは難視聴解消についての番組編成あるいは実験をやりたいというような御提案を受けまして、私ども郵政省として判断する。その場合の態度で、そのNHKからの提案を受けました段階でのことでございますけれども、本来的にNHKの難視聴解消という本来の趣旨を捨ててなければ、それ以外の利用についてもフレキシブルな考え方をもって対処したい、こういう考え方でございます。
  194. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうすると、非常に条件のいいところにいる人がいますね。それでパラボラも要らなきゃCATVも要らない、普通にアンテナ立てておけば全部NHKがよく見えるという人がいますね。その方は何もパラボラアンテナ要らないわけですから設けないわけですね。そうすると、パラボラアンテナを持った人だけしかまた再放送のところで流してくれている非常に魅力的な番組は見えないわけですな、逆に言えば。そういう矛盾が新しいパラボラアンテナの普及を生む、こうおっしゃるわけですか。そういう不公平というのはどこまでも残っていってしまうような気がしますが、いかがなものでしょうね。
  195. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 先生の最後のところ、ちょっと聞き損ねましたわけですけれどもNHKが仮に実験でいろいろ放送衛星でなければできないような番組を送ったとしても、パラボラアンテナを備えなければその番組の恩恵にあずかることはできないという実態はございます。
  196. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから、そこに不公平が生じるでしょうということを申し上げているわけです。だれもかれもがパラボラアンテナをつけなきゃいけないわけじゃないでしょう。たまたま非常に電波の受信するのに条件のいい場所にいる人はそういうものが要らないわけですね。教育も総合もよく見えるわけです。ですから、あえてパラボラを持とうと思わないわけです。ところが、NHKさんは衛星を使って、その重複する再放送の時間帯がありますね、いま四〇%から七〇%というような幅があるのだそうですけれども、それを使って大変魅力的な放送を流してくださったとしますね。そうしても見えないわけですね、パラボラのない人は。衛星からの放送を受信する設備のない人は見られないわけですから、見られる人と見られない人の間に大きな不公平が生じるでしょうということを申し上げているのですけれども
  197. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) そういう言い方もできるかとも思いますけれども、別に申しますと、放送衛星用アンテナなりアダプターを備える方は、第一義的には、テレビ放送が始まって三十年になりますけれども、その間放置された人間ということでございますので、そういう面から見ると、必ずしも不公平というのはちょっとどうかとも思うのですけれども、いかがでございましょう。
  198. 青島幸男

    ○青島幸男君 それは私に聞いたってだめですよ。そういう事実は残るわけですよ。  確かに、いままで離島、僻地においでになった方なんかはなかなかごらんになれなかったでしょう。それにしても、とてもお困りになっていらっしゃる方は四十二万ですか。そうすると三千万の受像機から考えますと、それはやっぱり誤差の範囲ですよね。ですから、本来ならこの誤差の範囲——誤差の範囲と言いながら、皆さん条件のいいところにおいでになる方と全く平等に日本国民としての権利を持っていらっしゃるわけですから、その方々の権益を放置する気持ちは私にはありませんよ。しかし、普通の企業の考え方とか普通の資本主義経済のあり方からすれば、四十二万というのは本当に誤差の範囲ですよね。その誤差の範囲のために、それこそ膨大な金のかかる難視聴対策等、しかも衛星放送まで考えなければならないというのは、そこにNHKがあまねく人に同質のものを見せなければならないという宿命が法でかぶされているからでしょう。だったら、それ以上のものでも、それ以下のものでもないじゃないか。衛星が上がってどんなに便利であろうと、総合と教育と地上でだれもが見られるのと同じ電波が出てさえすればそれでいいのだという考え方を私は持ちたいわけですね。それから先のことはまた別途考えたらいいじゃないかということです。それをNHKに押しつけるなり、NHKにそれだけの権益をよけいに与える必要はないじゃないかということを申し上げているのですよ。そういうことをこんがらかしていきますと、話がどんどん錯綜していっちゃうわけですね。  それで、今後BS3ですか、もっともっと幾つものチャンネルの可能性があるものがありますと、そこへどういう形で民放は競合して入ってくるかということも、その辺をきちっとしておきませんと、後、大変乱れたことになりはしないかという懸念があるわけですね。いままでそういうことを放置してきて、可能性がある技術が先行している。それがどんどん先走ってしまう。仕方がない、後で法制で取りつくろおうというようなかっこうをしてきたからいろいろ矛盾が出ているのじゃないかという気がしますよ。  実際にはCATVの普及もこれからはもっと目覚ましくなるかもしれません、アメリカやヨーロッパの普及度なんか見ていますと。もっとも、CATVが普及する主たる原因は、特別な放送に大変興味をお持ちのある方が争って線を引かれるということも聞いておりますけれども、それはどなたがどういう興味で線を引かれようと、それは私どもの関知することじゃありませんが、これがCATVでたとえばこういうことがありましたね。全部UHFに移行してVをあげようじゃないか、そんな無理な話はできっこない。UHFに移行するのだったら、その前にCATVで全部カバーできるだろうし、CATVがカバーできる前に衛星が上がって一括カバーすることになりますよと、私は十五年も前に、いみじくも五十九年度に上げられる衛星のことを予測しておりますよ。そのときにしっかり対策を立てておかなかったら間違いのもとじゃないかという感じがするのです。  それで、NHKさんにお伺いしますけれどもNHKさんはどう考えているのでしょうね。NHKの総合並びに教育が日本全国あまたの方々に平等に見られるということが確保できれば法的要件を満たせるからそれでいいとお考えなのか。その上、もし上がった星から返ってくる電波に可能性があるのだから、そこは重複する再放送の時間で新たなことを積極的にやりたいという御希望を持っているのか。機能があるからやろうか、あるいは郵政省が実験してもいいと言うのならやろうかというふうなお考えなんですか。その辺の基本的な姿勢をまずお聞かせいただきたいと思いますけれども
  199. 川原正人

    参考人川原正人君) この放送衛星というか、衛星放送の問題は、いまの青島さんの質疑のように、理詰めでいった場合にはかなり問題はあると思っております。あると思っておりますが、私どもは本来、これは先ほど来の御議論にもありますように、NHKが法律で義務とされております、あまねく全国にラジオもテレビジョンも聞こえる、見えるようにしなさいという目的を達するには、いままでやっておりましたような地上の設備をもってしては大変膨大な金もかかるし、金だけじゃなくて実施に移していく上に非常に時間もかかる、それならば技術開発の成果である放送衛星を利用すれば一気に難視聴の解消ができるではないかということから、これを主として難視聴に使えば非常に効果が上がるということで、かなり早い段階から衛星放送を難視聴対策に使うことを主張し、申し上げてここまで来たわけでございます。ただ、その過程におきまして、この衛星放送が持つ非常に多角的な機能というものが、これはNHKだけでなくて各方面においてそれは指摘もされ注日もされ、かつまたこの衛星を使うのに受信者からちょうだいしております受信料、かなりの額を投資するというのであれば、それをその四十万の方の難視解消だけでなくてもっと多面的に活用すべきではないか、こういう御意見もちょうだいいたしましたし、これは、私はその際は役員でありませんでしたけれども、当委員会におきましてもとの衛星に対する多角的、効果的な活用方策の達成に努めろ、こういう趣旨の御意見もちょうだいしておりますので、かつまた私どもも、これだけのやはり国民の財産であるならば、その能力はできるだけ活用した方がこれはまた国民に対する還元であろう、かように考えて積極的にこの衛星の活用を図っていきたい、このように考えております。ただし、それにはやはり相当の経費を逆にまた伴う結果にもなります。そこのところは、私ども財政状況、経理状況をよく勘案いたしまして十分に検討していきたい。  それからもう一つ、いささか私が少しオーバーランするかもしれませんけれども、恐らくはその際に料金の問題というものが当然慎重な検討の対象になるであろう。つまり、この衛星放送については、いまの一律と申しますか、通常の受信料の範囲内で現在まで準備は進めてまいりましたけれども、これから先、そこから新たなサービスが出る場合に、それはいままでの料金の中で引き続きやるのか、それともそのサービスに見合うまた別の料金というものを考えるべきなのか。これは率直に申しまして、当然後の議論になりますし、私どもも慎重に検討しなければならない問題だと思います。
  200. 青島幸男

    ○青島幸男君 その辺が、どうもまゆつばみたいな気がするのですな。その再放送の部分で、いままでよりよりチャーミングなものを、内容を流すこともありますので、パラボラアンテナで衛星放送を受信できる設備をお備えになった方はより楽しめる番組が受けられますよ、ですから、その方々は別料金で別途お支払いいただく、割り増しでというようなことが、事実上の値上がりにつながる。それも、それは了解して加入なさるわけだからいいわけでしょうけど、そういうことになりますと、多重でこれだけのサービスをいたしますからその分をいただきますというようなことになりますと、またその貧富の差と申しますか、これは受像機も大きいも小さいもありますけれども、まあ大体同じように受信できますよ。しかし、片っ方はお金が潤沢にあるために設備ができて質の高い放送が見られる、片っ方、普通の従来型の受信機だから普通の放送しか見られないというギャップなんかが出てきますね。そういうギャップができるということは、私は本来NHK使命から外れることだという気がするのですがね。その辺のところはどういうふうにお考えになりますか。
  201. 川原正人

    参考人川原正人君) そのサービス程度、あるいはこれは仮にでございます、まだ私ども料金問題を一つの結論を持っているわけではございません。恐らく、そういうことが議論対象になるであろう、あるいは私どもが研究し慎重に考えなければならないテーマになるであろうということを申し上げたわけで、その意味で少しオーバーランかなということもつけ加えたのですけれども、やはり私はその際の私どものやる事業の幅なり、サービスの内容なり、仮にもし料金を設定したとすれば、その料金のまた幅と申しますか額と、そういう全体の調和の問題だろうと思います。  翻って考えてみますと、テレビジョンが始まりまして、当初モノクロ、モノカラーというのですか、白黒で放送して、それがカラーの放送が可能であるという段階におきまして、やはり私どもの都内には一体色をつけたテレビというものが本当に必要なのか、白黒だってある種の情報はかなり的確に伝えられるではないかという議論もございましたし、かつ当初はその色も必ずしも正確な自然の色がつくとも限らない、そういうものでサービスすることは果たしていかがなものか。それから、ある段階からはこれはカラーの料金別々にちょうだいしましたけれども、そのときにも、負担能力という問題も含めましていろんな御議論はあったと思いますけれども、やはりある段階における技術の進歩というものと情報サービスというものと、国民の方々、視聴者の方々がそれを受ける能力というものは、一つの調和は考えなければいけないけれども、やはり技術の進歩に応じましてその能力というものはやはり国民の財産として活用できるものは活用していくべきではないか、私はそう考えております。
  202. 青島幸男

    ○青島幸男君 私も基本的には大体同じように考えているのです。と申しますのは、せんだっての委員会でも発言しましたけど、白黒のテレビだって年俸より高かったぐらいですね、最初のころは。それがカラーができ、あっという間にこんなに普及してきまして、いまは学生さんがちょっとアルバイトをすれば買えるというぐらいになってまいりましたし、それこそ卓上電卓なんていうのは、それこそIBMにあってビルほどの大きさのコンピューターが、いまはもうゲーム場の景品にあるぐらいな普及率ですね。ですから、もしそういうスピードで、パラボラ並びに衛星から来る電波を受信するための装置というのは、いまは十五万か二十万かかかるかしれませんけれども、それこそ一千万台を突破するようになれば、まあ少なくとも一万円、二万円あるいは何千円という単位でできるかもしれませんね。それこそBS3が上がるころには、あるいはそうなるのも夢じゃないですね。  そうなりますと、それを重ねた実験の結果、すばらしい内容のものがだれにでも低廉に享受できるということになれば、しかもそれだけの需要も呼び生産設備も設けなきゃならないでしょう。経済に活力を与えていくかもしれないし、新たな需要も生むかもしれませんし、失業者の対策になるかもしれません。結果は、国民に知識をもたらすことになるかもしれません。でも、一方においては、これだけ情報があるのだからもうこれ以上必要ないと言う人もいるかもしれませんけど、しかし資本主義社会というのはそういうことで転がってきているわけでしょう。これをいまさら否定することはできません。  しかし、スタートの問題でできることだからやるのだとか、あるいは初め実験でスタートして、それからずるずるべったりにそうなってしまうというようなやり方が私は気に入らないのですよ。それはおわかりいただけると思うのですね。可能性があるからいいじゃないかというような考え方ではなくて、基本的にはこうなんだけれどもということを明確に定めて、最初は難視聴対策で始めたのだからそれ一本でやりましょう、それならそれで結構。それからその後に、こういう可能性もあるのだからそれは実験局を設けてこうやりましょう、それでその普及対策のためにはどうしましょうというかっこうがだれの目にも明らかなように秩序立って理論立って法的な裏づけがついていけば、私は文句言う筋合いはないのですけどね。 こういう形でずるずる行われるみたいなことが大変気に入らないのだという愚痴だけ申しておきますけど、御見解がありましたら承ります。
  203. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) ちょっと先生の直接のお答えになるかどうかはわかりませんけれども、少し整理させていただきたいと思っております。  いま地上と全く異なる番組をやる場合もあるというところを、少し論議の過程において強調され過ぎた嫌いがあるかとも思います。放送衛星は、主として私ども考えておりますのは実験でございまして、高精細度テレビジョン放送あるいはファクシミリ放送あるいはPCMの音声放送等についての実験は、BS2からBS3へのつなぎにおいてぜひとも実験をやりたい、そういうようなことでございまして、BS2が本来の難視聴解消という主目的が達せられる中で、なお衛星放送普及に役立つならばそうした試みもやってみようということでございまして、これによりまして、たとえば直ちにNHKにモアチャンネルを認めるというような考え方はございません。したがいまして、衛星放送がもう少し普及した段階、受信機等もふえました段階におきまして、従来の地上放送衛星放送とのあり方につきましては、放送全般の観点から今後十分検討を必要とする課題だというふうにつかまえております。
  204. 青島幸男

    ○青島幸男君 十分注意して組り組んでいただきたいと思います。  せんだってNHKに私は、ペイテレビみたいなかっとうで、普通の受信機の状態じゃそのまま受けられなくて、ちょっとした信号を入れて、それをコンバーターで解析して受けられるということにして、そのコンバーターを貸与する、そのリースの代金として受信料をいただくというかっこうにすれば、いまのようにNHK料金があるいは放送の対価なのか、あるいは税金みたいなものなのか、募金なのか、よく実態がわからないようなかっこうは解消できて、実に明確になるのではないかということをNHKさんに申し上げまして、検討を促したのですが、その結果どうなりましたか。お答えをいただきたいと思います。
  205. 林乙也

    参考人(林乙也君) ただいまの御指摘のペイテレビの方法によりますところの料金の体系の検討でございますが、この点につきましては去るNHK長期ビジョン審議会におきましてもいろいろ御審議をいただいたところでございます。その際に、結論的に申しますと、現在の地上波によりますところのペイテレビ方式につきましては、やはりNHK放送の基本的な性格あるいは受信料の性格にもいろいろ関係してまいる点がある。端的に申しますと、現在は全国あまねく放送いたしておりまして、その中から受信者の方々の御理解を得て契約を結ぶという形で進めておるわけでございますけれども、ペイテレビ方式をとりますならば、一義的には放送が受信できないと、デコーダーをつけた方に限って放送の受信ができるというような形で、どちらかといいますと開かれたNHKというようなことからしますといささか問題があるのではなかろうかというような委員各位の御指摘もございまして、現在の地上波によりますところのペイテレビ方式につきましては、どちらかといえば消極的でございました。  ただ、今後、ただいまいろいろお話もございました衛星放送等の運用の場合に、ニューメディアとの絡みにおいての検討ということについてはいろいろ検討の余地はあるのじゃなかろうかというような大体の結論ではなかったろうかというふうに私ども承っておりまして、確かに御指摘のように、現在の受信料制度の性格、いわばNHKのあらゆる放送についての負担といいますか、受信費によります負担というのは私は必ずしも御理解いただけない性格のものではないと思いますけれどもメディアの多様化の中で、また権利意識の非常に高まっている中で、受信料制度をよりわかりやすくするという意味の一つの方策としては検討に値する問題ではなかろうかというように考えております。今後、なおこの点につきましては、いろいろ受信者の方々の納得の得られるような方策としてどのようなものがあり得るかということも含めまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  206. 青島幸男

    ○青島幸男君 ぜひ、そうしていただきたいと思います。  お言葉ですけれども、いま普通に見られる、しかしデコーダーをつけた人でないと見られないというのはNHKの性格からするとおかしいのじゃないかという検討がなされたと言いますけれども、どだい受信機がなきゃ見られないのですから、幾ら電波流れていても。ですから、それは余り議論対象にはならないと思うのですよ。  それからもう一つは契約の伸びがないですね。鈍化していますね。ですから、余り受信料収入伸びがないという基本的な原因になっていますけども、契約してない受像機の台数というのはまだかなりあると思うのですよね。ですから、デコーダーをつけることで——一たんそう踏み切るまでにかなり経費がかかると思いますけれども、そのかわりこのシステムを確立したら、一軒の家でも二台も三台もお持ちの方おいででしょうし、事業所等で受像機は持って見ているけれどもNHK受信料契約を結んでないという方はかなりおいでになるはずですよ。NHKさんとしては、どのぐらいの数だと推定なさっていらっしゃいますか、契約してないでNHKを受信していらっしゃる方。
  207. 林乙也

    参考人(林乙也君) 現在、全国に世帯数といたしましては三千六百万世帯ぐらいあるわけでございますけれども、その中には、いわゆる施設入居世帯と申しますか、社会福祉施設その他の施設に入居している世帯あるいは生活保護世帯というような形で受信料契約の対象にならない世帯がございまして、そういった方々を除きました世帯といたしましては、私ども、有料受信契約三千万に対しましてあとやはり一割ぐらいの方々が契約の対象とすべき世帯ではなかろうかというように考えております。三百万世帯ぐらいではなかろうかというように考えております。  ただ、そういった中でも実はただ単に未契約ということになるわけではございませんで、大体全世帯の一割ぐらいが転居等によりまして年間世帯移動しておるわけでございますが、転居から新しいところに、新居で契約いたします際に、現在の受信料の規約と申しますか、契約のシステムからいたしまして、どうしてもタイムラグが出てまいる関係がございまして、そういった世帯を除きますと、それら未契約の世帯というのはやはりかなり現実の問題としては下回ってくるのではなかろうかというように考えるわけでございます。それらの世帯を除きまして一体どれだけが未契約の世帯として把握すべきかということについて正確に詰めた数字はございませんが、私どもの営業の目標とすべき世帯というのはやはりなおあるということは認めざるを得ないと思います。
  208. 青島幸男

    ○青島幸男君 NHK受信料を集金して歩く人、集金して歩くことで御苦労なすっている方なんかの言ですけど、電電公社はいいな、払ってくれなかったらとめられるのだからと言うのですね。それはそうなんですよね。電波とめられないから、追っかけ回してもなかなか払ってくれなかったり、それは御苦労は御苦労でおありになると思うのです。だから、そういうケースはなくなりますよね、少なくともデコーダーをつけなきゃ見られないということになりますと。しかも、これを一台のテレビ、一台の受像機についてデコーダーのリース料が幾らということで厳密にやっていきますと、おおむね私の雑駁な計算でございますけど、五千万台ぐらいあるのだろうから二千万台ぐらい浮くのじゃないか、だからデコーダーで追いかけ回す費用は十分に余りあるだろう。しかも、今度は不払いがなくなるのだから、こんなうまい話はないのじゃないかという雑駁な計算に基づいて御質問申し上げたわけです。ですから、私の言っていることも、まだまだ穴もいっぱいあるでしょうし、なかなかそうはいかないよというネックもあることも承知しておりますけれど、この上検討を重ねて、契約の体系のあり方自体がもうちょっとすっきりわかりやすいものになるだろう。欧米的な契約ということの基本が確立するから、そのことをきちっとしていただくことと、いま申し上げました利点もあるのではなかろうかと思いますし、これからまた文字多重なんかをサービスする場合に、そのために料金格差を設けるなんというようなことをするよりは、あるいはそういうことで収益を上げるとかしていった方が一般の方にも御理解が受けられやすいのじゃないかという認識を持っているということだけ申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  209. 片山甚市

    ○片山甚市君 私は、国際放送の拡充強化について政府NHKに質問をしてまいりたいと思います。  NHKの本来の業務としての国際放送、ラジオ日本について昭和五十八年度国際放送に対する政府の交付金はどうなっておるのか、まず答弁を願います。
  210. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) お答え申し上げます。  国際放送交付金の五十八年度予算でございますけれども国際放送の重要性というものを私どもも感じまして従来から増額を図ってまいったわけでございますけれども、五十八年度は補助金等の一律削減というようなことで交付金もその中に入るのだというようなことで、きわめて厳しい財政事情の中であるわけでございます。そうした中で十億六百万円を計上しておりまして、五十七年度に比べまして額で百七十万円の増加、こういうことになっております。
  211. 片山甚市

    ○片山甚市君 予算書にもそう書いてありますが、国際放送に対する交付金が若干増額されたとしても、それでも国際放送経費の二五%に満ちません。昭和三十九年九月八日、いまから二十年前ですが、臨時放送関係法制調査会の答申によれば、国際放送役割りとともに交付金の飛躍的増額を求めておりますが、この程度の交付金の増ではこの二十年前からの指摘についてこたえたことにならないと思いますが、これについて感想を願います。
  212. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 御指摘のとおり、国際交付金が国際放送実施経費に占める割合は二五%程度でございます。そうした中におきまして、国際放送の重要性、それから日本がこれに対応しております送信体制の実態、非常に古い機械を使い、また電力につきましても十分ではないというようなことで、私どもこれではいけないということで、抜本的な対策に取り組まなければいけない時期に来ておるというふうに自覚しております。
  213. 片山甚市

    ○片山甚市君 昨年、郵政省が外部委託をいたしまして、国際放送のあり方について検討されて、三月の中ごろにその結果についての御報告があったように聞いていますが、その内容について御説明願いたいと思います。
  214. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 報告書は、国内送信施設と海外中継局の二つに言及されておるわけでございますが、国内送信施設の整備、増力を図るべきである、それから海外中継局についても三カ所程度について確保すべきであるというような御提言をいただいておるわけでございます。
  215. 片山甚市

    ○片山甚市君 この報告を受けて、今後どのような対策をとっていかれるおつもりですか。
  216. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 私ども、この調査研究委員会の報告を大変貴重な提言であると受けとめておるわけでございまして、この提言を踏まえ、また当委員会の御議論も十分拝聴し、念頭に置きながら、国際放送充実強化に努めてまいりたい。先ほど申し上げましたように、政府全体の課題として受けとめて推進をいたしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  217. 片山甚市

    ○片山甚市君 そこで、国際放送の拡充強化が必要であるとするならば、その規範とするものを明確にしておかなければならないと思います。  端的にお聞きしたいのですが、先進国並みの規模ということになれば、日本の国でどのような規模をつくるのか。  二つ目に、国策的な意義とは文化的なものなのか、謀略的なものなのか。大体、謀略の方に重きを置いてこれから放送しようと思っておるのか。ラジオ日本のイメージをお聞かせ願いたい。
  218. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 受信改善の方策としましては、国内送信所の整備増強と海外中継局の三カ所程度の獲得ということでございますが、国内送信所につきましては、現在八保送信所のトータルの電力規模を申しますと、九百四十キロワット程度かと記憶しておりますが、これを千六百キロワット程度、つまりもう少し内容を申しますと、三百キロワット程度を四台、百キロワット送信機四台、そういうふうな規模にすれば一応の目的は達せられるかというふうに考えております。  また、海外中継局の規模につきましては、まだ検討中でございますけれども、三百キロワット程度を何台か三カ所に置きまして、借りるなりあるいは建設するなり、その方法についても相手国の承認も必要とする問題で、まだ検討中の問題もございますが、一応三カ所程度の中継局を備える、こういう形で、繰り返しますけれども、国内送信所の整備と海外中継所の三カ所、いまのシネスに加えまして三カ所程度獲得すればまあまあの規模になろうかと考えておるわけでございます。  それから、国際放送をどういうふうにつかまえているかということでございますが、これにつきましては、放送法の四十四条の五におきましてきわめて明確に書かれておるわけでございまして、「わが国の文化、産業その他の事情を紹介してわが国に対する正しい認識をつちかい、及び普及すること等によって国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資するとともに、海外同胞に適切な慰安を与えるようにしなければならない。」ということですが、そうした線に沿って国際放送を進めるべきだというふうに考えております。
  219. 片山甚市

    ○片山甚市君 ただいまの電監局長の御答弁を了としながら、その線を守ってもらいたい。私たち聞くところによれば、後からも質問いたしますが、国営放送化のための、いわゆる聞こえないから強化する案が出てまいる、非常に心配をしておるところであります。  そこで、当面しますKDDの八俣の送信所の施設整備や海外中継所、いま御説明がありましたものについて、総額としてどのくらいの経費を見込まれるのか。その経費はどのような調達方法をとられるのか。いまのところ、明確にお答えができましょうか。
  220. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 最後のところ、ちょっと把握しかねましたけれども、経費につきましてですが、八俣送信所の増力規模、老朽化しておりますので、それを置きかえまして、百キロワットを四台、三百キロワットを四台備えるということにつきましては百四十億程度というふうに考えております。運転経費は別でございます。
  221. 片山甚市

    ○片山甚市君 いかなる調達方法をとるつもりですか、資金の。
  222. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 財源でございますか——それにつきましては、現在のところ大変そこが問題なわけですけれども、御提言につきましては、報告書の提言などを読ましていただきますと、政府も、こうした国際的に重要になり、わが国の実情を理解してもらう、あるいは海外におります在留邦人に災害等の際に的確な情報を伝えるということで、国としてもその重要性を認めていただいているところでありますので、まず国が抜本的な手当てをすべきであろう。それからNHKといたしましても、その重要性にかんがみて格段の経費を充てるように努力をしてほしい、このような提言になっておったかと記憶いたしております。
  223. 片山甚市

    ○片山甚市君 その報告書についての局長の感想として、提言をされたような形の方が望ましいと思われていますか。それともコメントはできませんか。
  224. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) いま鋭意検討しているところでございますけれども、いずれにいたしましても相当規模の財源を必要とするわけでございまして、国あるいはNHK、その他から出る道があるのかどうか、大変に関心のあるところでございますけれども、報告書の線は一応妥当なものと申しますか、そうした方向しかないであろうというような感想を持っております。
  225. 片山甚市

    ○片山甚市君 先ほどから、NHK財政状態、環境の話、受信料のこれからの増徴の問題等については見込みが大変厳しい、むしろ効率化を図ることに精いっぱいだと言われておるところです。しかし、喫緊なこととしては、日本の声が世界に届くということは非常にいいし、ラジオ日本に対する評価も公正に行われておるようでありますから、これについては施設的に言えば百四十億円、百五十億円程度要りますが、維持運用をするためにも相当なお金を出してもらわなきゃならぬ。そういう意味で、これは大臣、実力大臣ですから、大変いままで農林水産省を切り回してきて、つぶされかかってもつぶれない、伸びてきた大臣でありますから、私は桧垣大臣に期待するところが大きいのですが、百二十億や百五十億の金がひねり出せないようなことで、二兆五千億円も二兆八千億円もの国防費をつくる内閣はあり得ない。あれだけやる余裕のある内閣でありますから、これは何としても五十九年度に向けて国がこれはめんどう見ようという姿勢、先ほど大臣からもおっしゃっていただきましたけれども、全閣僚が、全省庁が力を合わさなきゃならぬと言っていますが、その中心はやっぱり郵政大臣じゃありませんか。あなたがそういう気持ちになって、おれはこれによっては棒に振るぞ、大臣やめてもいいぞ、いいかげんにするなというような気持ちにおなりになられたかどうか。これは研究会でありまして、何も肩書きの大きいものでありませんけれども、しかしまじめに議論をしていただいたように報告書を見て感ずるので、大臣から、いま局長のおっしゃったことについての裏づけをひとつ発言願いたいと思います。
  226. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 先ほど来、私の見解を申し述べてまいったところでございますが、国際放送充実強化の重要性は私もよく認識をいたしておるつもりでございます。そのために八俣の送信所の送信改善を図り、あるいは中継基地の設置を検討しなければならぬということになってまいりますと、お話のように先立つものは経費、資金の問題であるわけでございます。  私は率直に言って、郵政省だけじゃいまの厳しい財政事情のもとで定められます補助金、交付金等のルールの中でこれをこなそうとしてもなかなかできないということであります。しかも、国際放送は単に郵政の課題ということではなくて、私は全政府の課題として受けとめるべき重要問題であると思っておるわけでございます。でございますので、一つは、政府の中での国際放送充実強化の世論といいますか、合意の形成に努力をしなければならぬ、その中心的な役割り郵政大臣が背負わなければならぬと思っておるわけでございます。  現に、こういう席で申し上げてどうかと思うのでございますが、与党・自由民主党の方にもこの問題について検討とまた御協力、支持を得たいということを申し入れてあるわけでございますので、今後私の重大な責任課題であるというふうに受けとめて努力をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  227. 片山甚市

    ○片山甚市君 これは仮に八俣の送信所の整備に国、NHK、KDD以外の資金が充てられた場合、そういううことを認めておるのではありませんが、その施設の所有権等はどういうことになるのか。そうして、その場合に維持運用するのはだれかとなりますが、先ほど申し上げましたように、国際放送についてはNHK本来の業務でありますから、そういう意味でそういうことはあり得ない段階として受け取ってもよろしゅうございましょうか。大臣からお答え願えると非常によろしいのですが。
  228. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) ちょっと大臣からお答えする前に私、事情を説明させていただきたいと思いますが、いま御指摘のありました第三セクター構想、つまりそういう話の出どころは、報告書におきましてはNHKが本来所有運営する形態が望ましい。しかしながら、現在あります八俣送信所はKDDが所有しておる施設でございますので、整備増力に当たってはKDDの諸事情も考慮する必要がある。NHK財政状況は当然である。そうした中に将来はそうした送信所もNHK運営することも望ましいけれども、そうした形態のほかに、たとえば送信業務を専門に担当する事業体の設立の可能性についても検討を加えてみたらどうかという御提言があるのが、先生いまおっしゃいました御質問の背景にあろうか、このように理解しております。
  229. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 経緯等について局長から御説明申し上げたわけでございますが、私も、国際放送に関する調査研究委員会の提言にもございますように、最終的な姿といいますか、本来の姿としてはNHK公共放送機関として固有の任務として背負っております国際放送でございますし、またNHK国内放送との連携による効率的な運営ということが考えられるわけでございますから、NHKが送信施設を所有し、またそれを運営していくというのが私は本来の姿であると思っておるわけでございます。ただ、提言の中で、その間に第三セクターのようなものに所有運営をさせるということの可能性について検討してみたらどうかという提言がありますから、そういう可能性を探るということは考えても決してむだではないとは思いますが、私は本来の姿はNHKが所有運営することが望ましいというふうに思っております。
  230. 片山甚市

    ○片山甚市君 放送衛星一つとってみても大変NHKの果たしておる役割りは大きいものがありますし、民放の方々に対しても先導的な役割りを公共的に行っておる。そういうことでありますから、私は八俣の施設についてはあくまでもNHKが管理ができる、あるいは使用について余り心配をせずに国からきちんとした保証のあるものでやっていただきたい。これはもうこれ以上聞きましても、今日の段階大臣がお金を出しましょうと言わないのですが、むずかしいという話をさんざん言われた。これは損でありますから言いません。  そこで、国際的に最も逼迫しておるのは放送用の周波数の短波の割り当てだと思います。昭和五十九年、もうあと一回国際会議が行われるのですが、そこで、先ほどの三百キロワット含めて周波数をふやしたり、増力をしたりすることについては大体局長の方で、政府郵政省として、大丈夫、これは任しておきなさい、こういうことになっておるのでしょうか。国際会議に行ったら、捕鯨委員会じゃないけれども、世界からこてんぱんにやられてもらえなかった、一生懸命やろうとしたけれども帰ってきてからしゅんとなっておるということになりませんでしょうか。それのお答えを願いたいと思います。
  231. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) まず、現在のシステムから説明させていただきたいと思いますけれども、現在は国際電気通信条約のもとにおきまして必要な増波、増力を各国が行っているということでございまして、国際放送に使用いたします周波数あるいは電力につきまして、短波の性質上、年四回、季節ごとに三カ月程度の期間に使う周波数、電力を国際周波数登録委員会、IFRBと申しておりますが、そこへ通告するというのが基本になっております。  そうしました場合に、IFRBは各国の要求を見まして、抵触するといいますか、もっといい方法がある、混信が避けられる方法があるというような場合には勧告、アドバイスもいたしてくるわけでございますけれども、そういう経過を経まして各国がその要求を実現しているということでございます。  それで、このWARCでHFBC、短波放送をもう一度見直すといいますか、国際的な問題を解決するために来年早々国際会議がございます。それから、その後二年後にもう一度国際放送会議をやるということが予定されております。ここの場におきまして、こうした周波数のとり方あるいは登録の仕方というものはどういう形になるのか、まだ各国の提案も見ていない段階で申し上げることはいささか控えるべきだとは思いますけれども、従来の例からいたしまして、こうしたものにつきまして各国の要求というものは主権に基づくものでございますので、その範囲内において最も技術的によい周波数で折り合いのつく形でおさめされているということで、長くなりましたけれども、結論的にわが国がどういう周波数、どういう電力でやりたいという希望は基本的にはかなえられるものというふうに理解しております。
  232. 片山甚市

    ○片山甚市君 百五十億円程度かけて強化しようというお話の最中でありますから、その周波数がいただけない、電力がアップされないということになれば、これは絵にかいたもちになります。何よりも、国際会議で日本の主張が受け入れられるようにいまから努力国際的に願いたい。これはやると言っているのですから、私どもから願いたいと申し上げておきます。  そこで、増波、増力でカバーし切れない遠隔地の受信対策について、先ほどカリブ海についての中継基地をつくりたいとおっしゃっていましたが、これは三カ所でありますけれども、主として在外公館などの力を大変大きく入れてもらはなければ実現できないと思いますが、外務省、その関係はどのように進んでおるのでしょうか。
  233. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 海外中継局の取得あるいは借用等につきましては、外交関係が重要な要素を占めるのは当然でございます。ただ、契約によりまして貸しましょうというような中継局もございますので、そうした中継局につきましては、外交関係もさることながら、金銭的な契約というものがより重要になってくるという面もあろうかと思いますが、いずれにしましても、外務省等とも密接な連携のもとに話を進めてまいりたい。  ちょっと、あと説明のようになりますけれども、中継局の場合にいろんな方法があるわけでございます。たとえば技術協力によりまして日本が中継局を建設しまして、それを借用するという方法もございますし、また設備があいているので借りないかというような話のところもあるわけでございます。
  234. 片山甚市

    ○片山甚市君 先ほど大臣の方からもお言葉がありましたが、国際放送実施主体はNHKが適当だという調査会の報告について受けとめていただいておる立場から、これからNHK財政の悪化に伴ってこのことが後退をしないように、ひとつ十分に協力を賜りたいと思います。  今日の国際情勢下でわが国の置かれている立場を考えるとき、国際放送充実強化は時宜を得たものでありますが、多額の費用を要するため国費を投じなければならない。これを待っていたかのように、最近、政府の広報機関、宣伝機関的なものがすなわち国策に沿うものとしての大義名分から国営放送化を意図する動きがあることでありますが、これはまさに放送の不偏不党及び表現の自由を確保するNHK公共放送に反する動きであると思いますが、大臣のこれについての御所見を賜りたいと思います。
  235. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 国際放送充実強化のために、私も申し上げましたように、相当の国費を投入しなければ現実的にこれは実施はできないと思っているわけであります。ただ、国際放送充実強化のために国費を出すからといってそれを国営放送化していくというような考え方は、私はさらさら持っておらないのでございます。公正な、客観的な放送を担当し得るNHK運営に任したいというふうに考えております。
  236. 片山甚市

    ○片山甚市君 先ほど、先進諸国の規模というのに日本を当てはめればどうなるかということについての施設のことについてはお話を聞きました。そこで、そのときに国策的な意義で文化的なものを中心とされるのか、謀略的なものにするのかについてお聞きしたのですが、これは郵政省もさることながら、番組編成責任のNHKとしても、それについてまずお答えを願いたい。先ほどお答えをいただいておりませんから。
  237. 川原正人

    参考人川原正人君) 国際放送につきましては、ただいま郵政大臣お話にもありましたように、また先ほど来御指摘調査会の報告にもありましたように、これはあくまでも実施主体はNHKにお任せいただくのが私どももよろしいと思いますし、また私どもが過去に実施してまいりました国際放送については高い評価も得ておりますし、今後も私どもの公正な立場で、客観的な立場で日本の立場あるいは考え方を紹介する方が対外的にも信用があるというふうに考えております。その意味では、私どもが責任を持ってこの番組内容については編集、制作をさせていただきたい。その自信を持っております。  ただ、いま御指摘のように、国策云々というような言葉でございましたけれども、私どもは、あくまでいまのような国際情勢の中でのわが国の立場、これはやっぱり正確に紹介しなければいけないというふうに考えておりますし、その意味ではいろんな各方面の御意見もちょうだいして誤りなきを期したいと思っておりますが、謀略的な立場での放送というようなことは毛頭考えておりません。それは私どもの任務ではございません。
  238. 片山甚市

    ○片山甚市君 何回も聞くのは、国営放送化の問題がやはり私としては非常に心配でありますから、念には念を入れておるだけでありまして、疑い深いのではありません。いまおっしゃったことをそのまま受け取ったと先ほど私が態度表明しましたが、国威発揚の宣伝放送、すなわち謀略放送などではなく、貿易摩擦や経済摩擦で国際的な孤児となりつつあるわが国の本当の姿を紹介し、理解してもらい、教育、文化、芸術を通じて親善を促進し、わが国の果たす役割りの合意を国際的に得るための重要な手段としてラジオ日本が果たしていただきたいと考える。そうでなければ、今日まで国際放送のために貴重な受信料を割いて協力してきた契約者は納得しないと思います。その考えについてはいかがでしょうか。
  239. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 結論から申し上げますと、片山委員のおっしゃるとおりの考え方でおるわけでございます。私は国際放送というのは、わが国の国際社会における地位が著しく向上し、また国際交流が活発になってきておるこの段階で、わが国の実情、わが国の政治経済、文化、芸術等について正確な認識を持ってもらうような報道をすること、また在外邦人に対して適切な、また正確な情報を提供し得るような事業として認識をいたしておるところでございます。
  240. 片山甚市

    ○片山甚市君 さきの国会で法律改正を行いまして、NHKが出資ができるようになりました。そこで、特殊法人、認可法人については、これまで行政官庁のいわゆる高級官僚救済事業と言われた悪例が非常に多いのであります。これらが生え抜きの職員のやる気を失わせることも事実であります。NHKの出資が効率経営を指向するために必要だとしても、これらの不信を招かない確信があるのでしょうか。NHK投資条項活用に当たっての会長の所信を聞きたいと思います。
  241. 川原正人

    参考人川原正人君) この出資条項を活用してNHK業務を委託する等の、団体に対しまして出資する場合にはあくまでもNHK業務に役立つという観点、同時にまた、その業務を委託します出資先の会社が能率的に運営されること、かつNHKとそれらの出資先の会社との間が緊密に業務の連絡ができること、それを目的にして行うものでありまして、あくまでそれぞれの企業のより能率的な発展、向上のために行われるものでございます。それ以外の目的はございません。
  242. 片山甚市

    ○片山甚市君 それでは、国際放送は一たんこれで終わらしていただきまして、放送衛星について、同僚議員からすでに詳しい質問がありましたから、私から初歩的なことをお聞きいたしたいと思います。  五十八年度設備投資、すなわち建設投資総額が四百億円でありますが、過去三年間昭和五十五年から五十七年の総投資額八百十億円に比べてかなり多いが、受信料値上げがうわさされる今日、これが過大な負担とならないかどうか。これはNHKの財務の関係から御答弁を賜りたいと思います。
  243. 渡辺伸一

    参考人(渡辺伸一君) 五十八年度建設費は四百億円でございまして、五十七年度の三百億に対しまして百億円ふえているわけでございます。  これは大きく三つの理由を上げることができますが、まずは、放送衛星に絡んででございますが、るる御説明しておりますように、放送衛星は来年の二月に上がるわけでございます。つまり五十八年度中に上がるわけでございまして、その工程に従って支出が出てまいりまして、それが五十八年度は五十七年度に比べまして約三十五億ほどふえざるを得ない状況にございます。  それから二つ目は、老朽設備の更新でございます。テレビ放送三十年になりますが、かなりの施策が老朽をしております。この老朽をこのままほうっておきますと、いたずらに補修経費がかかるばかりか、何かと効率的な業務の連行に支障を来してまいりますので、どうしてもこの効率化を進めて経費の節減に役立てようという発想でございまして、この効率化、老朽更新に充てます金が昨年に比べまして五十八年度は約三十六億ほどふえるという勘定になっているわけでございます。  三つ目は、小型ビデオ機器関係でございます。これは、御承知のとおり、NHKが緊急取材に当たりますのに小型機器、これはローカルにおいては若干不足しているわけでございますが、この緊急報道体制に備えてローカルにおける小型機器を整備いたしたい。これが五十七年度に比べて約二十四、五億ふえているということでございます。  この三つの理由が五十七年度に比べて建設費が百億ふえた理由でございまして、いずれも業務上やむを得ない、あるいは経費節減のためにむしろ積極的にやらなければならないというふうに考えているわけでございます。
  244. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、建設費の内訳は緊急不可欠なものばかりであって余裕がない、これは当面やらなければ放送に支障を来すものとして計上した、こういうふうに受け取っておきます。決算のときに、またいろいろとお伺いすることがあると思います。  そこで、衛星関係の経費の増大をやむを得ないものとして受け入れても、先ほどお話がありましたように、予備免許を含めてNHKの準備体制、受け入れる準備体制は十分にいま整っておるのかどうか。当面、五十九年度については十万加入ぐらいが難視聴解消だと聞いておりますが、その程度視聴者のための経費として妥当なのかどうか。難視聴解消について四十五万おりますが、先ほどお話しのように、大体十万から二十万ぐらいの受信機をつけて、それで大体解消はできるとお考えですか。
  245. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) 来年打ち上げますBS2についての準備体制はどうなっているかということにつきましては、これはいろいろ打ち上げ等に関する業務を、これは通信放送衛星機構に委託をいたしまして整備を取り進めてきているわけでございまして、順調にそちらの方は進捗しているわけでございます。  それから、いろいろ空に上がる衛星だけではなくて、地上設備につきましても、これはこれまでこの衛星機構に何年間かにわたりまして出資をしてきておりますので、そういった整備もされてきているわけでございます。  それから、先ほどいろいろ番組の編成面については御指摘あるいは御意見があったわけでございますけれども、そういった具体的な番組内容につきましてはこれからさらに詰めを急ぎまして、先ほど電波監理局長の方のお話もありましたとおり、六月あたりをめどに免許申請を進めようということで、この準備体制は万全を期したいと思っているわけでございます。  ただ、その放送衛星にかかる経費につきましては、繰り返し申し上げるわけでございますけれども、多額の経費を要するわけでございますけれども、やはりこれはいままで三十年間テレビの見られなかった方あるいはよく見えないところにおられるところの、離島なりに散在している、そういったところの方々の難視をこの際一挙に解消しようということでございますので、やはりこれは今後の、これからつくります長期経営計画についても中身としていろいろ検討をしなければならない点はあるわけでございますけれども、やはりこういった難視解消という大きなNHKの目的のためにやっていかなければならない業務であるというふうに考えているわけでございます。
  246. 片山甚市

    ○片山甚市君 そうすると、放送衛星が打ち上げられる来年には一挙に解決をするという考え方でございますか。
  247. 坂倉孝一

    参考人坂倉孝一君) 放送衛星を上げることによってそれは解消できるわけでございますけれども、その受信体制というものにつきましては、これはいろいろ、離島対策をどうするか、あるいはそういった僻地のところに対するそういう衛星の受信に対する指導、相談といったものをどうするかといったような問題は当然残るわけでございますけれども、一応全国どこでも受信できるという体制にはなるわけでございます。
  248. 片山甚市

    ○片山甚市君 先ほどから同僚議員からも言いましたように、そういう放送衛星を打ち上げましても受信体制が整わなきゃならぬということになれば、離島、僻地における対策を国がやはり重要な問題として取り上げる。たとえばアンテナをどういうように購入できやすくするのか。初めのうちは高いけれども最後になったら安くなるというのなら、それは十年後払ってもいいということにして、十年後安くなったらこの金で払うとか、先ほどの話によれば、受信者がたくさんできれば安くなるけれども、今日の段階では二十万円程度あるいは十万円程度かかるというのでありますから、そういうことについて個人の負担だけでなくて、離島におる方々あるいは僻地におる方々、そういう難視聴地帯におる方々に対する法的ないわゆる助成措置、こういうことについて検討してみていただけないでしょうか。
  249. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 放送衛星が来年二月に打ち上げられ、五月ごろから実用になりましたときに、最大の問題は受信機の普及でございます。かなりのコストが当初はかかるわけでございますけれども、これについての対策といたしましては、まず受信機の性能向上によりましてパラボラアンテナの大きさをできる限り小さくする、小型化を図る、また低廉化を図るということで、メーカーあるいは日本電子機械工業会等に対する接触、指導をまずやるべきことであろうというふうに考えておる次第でございます。
  250. 片山甚市

    ○片山甚市君 受信者に対しての措置は、まず機械を小型にして安く購入ができるようにするということが郵政省として最大のことだ。そのための地方自治体あるいはその地域における措置をとることについてはまだ考えてない、こういうふうに考えてもよろしゅうございますか。
  251. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 現在のところ、そのとおりでございます。
  252. 片山甚市

    ○片山甚市君 放送衛星の開発が視聴者のニーズにすべてこたえられるというものでないことは先ほどからの話でわかったとおりです。たとえば地上方式での施設老朽化に対して放置しておけるものではありませんが、地上方式についての現状と、更新をしていく順序についてNHK考え方を述べてください。
  253. 矢橋幸一

    参考人(矢橋幸一君) 地上の設備につきましては、放送衛星打ち上げ後も従来同様に更新をしていきたいと思っております。  それから、辺地共聴の受信設備につきましては、当面設備維持に要する経費の軽減、新しい技術などを導入しまして軽減を図りながら維持管理を継続していくつもりでございます。  なお、衛星放送の受信が普及した段階におきまして、この辺地共同受信設備につきましては、その維持管理のあり方につきまして見直しをしていきたいというふうに考えております。
  254. 片山甚市

    ○片山甚市君 放送衛星に巨額を投じる当初の理由は、先ほどからお話があったように、難視聴解消ということがにしきの御旗でございました。放送体系としては、全国中継、ローカル放送、民放などとの役割り分担などや、放送内容などの整合性が示されていると思えません。先ほどからの同僚議員の質問に対しては、難視聴地帯を含めて聞きにくいところがたくさん、都市における障害の問題など解決できておりません。  そこで、わが国のようにテレビ電波のカバーエリアが高い国では難視聴解消のためだけなどというのはナンセンスでありまして、結局、赤道上の静止衛星について権利を確保するという国策のために利用されてきたのではないかと思いますが、そういうことはありませんか。  その次に、打ち上げロケット技術自主開発に財界が傾いたのも、むしろメーカーの要望であって、ユーザーの要望でないと報道されていますが、それはどうでしょう。国税で開発費を科学技術庁が負担をし、防衛庁で開発技術を横取りし、通信衛星放送衛星利用は私的資本の参入で利潤追求の道具にされた上、この衛星打ち上げ、維持のための受信料値上げとなるのでは、NHK視聴者にとっては二重取り、三重取りされることになり、納得できないことでありますが、二重取り、三重取りをされることにならないように、それについてのお答えを願いたいと思います。
  255. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 御質問の前段の点について、私から先にお答えいたしたいと思いますけれども、来年二月に予定されております実用放送衛星のBS2でございますけれども、その時点、昭和五十八年度末現在でなお四十二万世帯のNHKの難視世帯が残ると推定されておるわけでございまして、これの解消を一挙に図りたい。もし、それを地上方式でいくならば、試算でございますけれども、千三百億もの巨費がかかるというようなことで、NHKの難視聴解消を目的といたしまして五十五年度から衛星開発に着手しまして、五十八年度及び六十年度に予備機を打ち上げるということで、NHKとも十分連絡をとりながら計画を推進してきたものであるというふうに理解しております。  いまも申しましたように、BS2の利用者機関はNHKであり、その利用は難視聴解消等を目的としますけれども、なお技術の進歩によりましてBS3への引き継ぎというようなこともあり、また衛星放送の持つ特異なその周波数と衛星からおりてくるという電波の特性上、衛星放送にしか使えない新しい技術の発展の実験を行う必要もあるというようなことで、そうした考え方に沿いましてこのBS2の開発を進め、またBS3へつなごうとしておるものでございます。
  256. 川原正人

    参考人川原正人君) この放送衛星の使い方につきましては、御指摘のとおり、主として難視解消ということを目的としていままで計画を進めてまいりましたし、そしてその目的のためにいよいよ打ち上げるわけでございますけれども、御指摘のように、この衛星は非常に多角的な機能も持っておりますし、私どもとしてはこれを多額の受信料をもって製作し打ち上げるわけでございますので、やはり受信者の方に還元できるよう、その能力は十分に活用してまいりたいというふうに考えております。  また、なお昨年度の当委員会の附帯決議にも、衛星放送など新メディアの多角的、効果的な活用方策の早期策定に努めようという決議もいただいておりますので、その趣旨も十分に体してこれからの活用に遺漏ないように期したいと思っております。  なお、ロケットの経費につきましては、これは確かにロケット開発のための経費負担を私どもにかけられるというか、受信料でもってそれを負担するということは、これはちょっと筋が私ども違うと思います。したがいまして、この点につきましては、すでに打ち上げ経費については関係方面と十分なお打ち合わせをしまして、私どもがその経費全額を持つものではなく、全体の六〇%ということでお話し合いができているわけでございますので、この趣旨は今後ともぜひ貫いてまいりたいと考えております。
  257. 片山甚市

    ○片山甚市君 時間が来ましたので、少し早口に質問をします。  職員の待遇改善ですが、私は組織は人だと考えますが、特に新聞、放送、マスコミなどにはよい人材が集まらなければ企業としては衰退すると思いますが、NHK職員構成、大学卒、短大卒、高校卒の比率はどうなっておるか。  また、特に第一線で働く放送総局の職員構成がどうなっておるか考えてみますと、大変厳しくなっておるように思います。そこで、それはどうなっておるか。  NHK職員の平均賃金は、民間の方々に比べると百五十万円から二百万円程度年間低いと言われていますけれども、それらの実態はどうか。  職員の待遇改善は、NHK公共放送としての使命を達成し、国民の支持を得るためにぜひ必要なので、重ねて要望しておきたいと思います。  最後に、NHK学園の問題でございますけれども、現状はどうなっておるか。これまで果たしてきた役削りはどういうことになっておるか。特に、放送大学学園がスタートするときにはNHK学園と競合することはないか。  非常にはしょって聞きましたけれども、御答弁賜りたい。
  258. 荒井治郎

    参考人(荒井治郎君) NHK学園の現状から申し上げてまいろうかと思います。  NHK学園は、昭和三十八年に広域通信制の高校といたしまして発足いたしましてから二十年一応たったわけでございます。その間に八万人の入学者を見まして、それから二万六千人の卒業生を世に送り出しているわけでございます。  現在の状況を申し上げますと、五十七年度は千七百二十七人入ってまいりまして、在校生はただいま五千九百六十一名となっております。このうち、今月の二十日に八百九十二人の方を送り出しております。また、来年度、五十八年度の入学生につきましては現在募集中でございます。  NHK学園では、五十年度から生涯教育の要求、こういうものの社会的な高まりに関連いたしまして、社会通信講座というものを開設してございます。これは、五十七年度は、たとえば書道だとか簿記だとか英語、こういったものを十一講座設けております、そういう社会の要望にこたえまして。大体十万人を超える方々がこれを受講しておられるわけでございます。  それから、放送大学との関連でございますけれども放送大学とこの高校の関係は、大学と高校の関係でございますので、直接的な競合関係はないというぐあいに私ども考えております。ただ、教育の手段が通信制であるということが共通しておりますし、それから教材、そういうものについて放送を利用するということが共通になっておりますので、いまのNHK学園の在校生の中にもやはり放送大学に対して関心を持っている人たちも多いようでございます。
  259. 横井昭

    参考人(横井昭君) 先ほど学歴構成の御質問がございましたけれども協会の学歴構成は大体大学、短大出で五五%、高等学校から四五%、こういう比率でございます。  それから、職員の給与の比較につきましては、その労務構成や業務の内容の違いから厳密な比較は非常に困難な面があるわけでございますが、協会の一般職の平均の基準賃金は約二十四万五千円ぐらいでございます。これに対して同業他社、新聞の千人以上の十数社並びに民放の先発VHF局五十数社の平均をとりますと二十六万数千円ということで、民放に比しては低位にございます。協会としてはこういう公共放送使命を達成するにふさわしい人材を採用し、育成しなければならないわけでございまして、それにふさわしい処遇もしなければならない、こういうふうに考えておるわけで、そういう意味から申し上げますと、処遇は同業他社に遜色のないものをできることが望ましいというふうに考えますけれども、一面、NHK財源受信料が唯一の財源でございます。そういう面からは社会的に納得のいく給与でなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。そういう点から職員の待遇改善につきましては、協会財政状況を見ながら同業他社の賃金水準、それから一般私企業の動向等社会状況を勘案しながらできる限りの努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  260. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大臣参考人、御苦労さんでございます。  ほかの委員会と重複しておりましたので失礼をいたしました。これからの私の質問でもし他の同僚委員と重複する点がありましたら、その答弁はごく簡略で結構でございますので、あらかじめお含みおきをお願い申し上げたいと思います。  きょうの朝刊を見ておりますと、NHKの大河ドラマ、これが現代物に転換をされると報じられております。私は、NHKのあの大河ドラマは武者が狩り衣、烏帽子姿で歩いているか、よろい武者がたき火の中を右往左往しているか、書生がほうば姿で歩いている、そればかりを御専門に二十年一日のごとくおやりになるのがNHKであると理解をしておりましたが、今回実にコペルニクス的転回で現代物をおやりになる。この理由と発想の転換を見るに至った心理的経過とでもいいますか、そういうものからまずお伺いをいたしたいと思います。
  261. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 先生コペルニクス的転回とおっしゃいましたけれども、まさに私どもも非常に大きな決心を持って変えました。と申しますのは、二十年、正式には二十一年でございますけれども、いまのが二十一作目でございます。いわゆる歴史ドラマ、時代劇としてやってまいりましたので、それなりに非常にたくさんの視聴者の方がこの番組、この枠に対して愛着を持っておられる。ですから、その時代物をやめるということについては、そういう愛着を一方には断つということが起こってくるわけです。したがって、そこを新しい路線に変えるということは、なかなか大きな決心が要りました。  ただ、私どもが思いましたのは、これまでの一年五十二回か五十一回ですが、四十五分間の番組をつくりますと非常にスケールが大きゅうございます。したがって、日本史の上であることをなし遂げた人あるいはその時代というものを取り上げますと、なかなかそういう素材には恵まれないということがございますので、どうしても同工異曲になります。したがって、ある種のマンネリズムというのが当然起こってくるわけでございまして、それではドラマがかえって死滅するのではないだろうか。そういうふうな感じを持ちまして、現在やっております「徳川家康」を一応の終わりにしまして、この後いわゆる近代路線というものに切りかえよう、新しいドラマの展開を図ろうということでございます。
  262. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今回設定されたテーマは、新聞によりますと、市川森一さんの「山河燃ゆ」、こう発表されておりますが、これはほかにいろいろ候補作品があって、その中からこれに御決定をされたわけでございますか。
  263. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 当然、近代ドラマ、近代大河というふうな形でやります上には幾つかの作品を候補に立てまして、それでその中から選んだものでございます。
  264. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 せっかく思い切って転換されたのですから、本当におもしろい、NHK変わったなという番組をぜひつくっていただきたいと思うのです。私がいまこれを題材にまず第一のテーマに取り上げたのは、大河ドラマも二十一年間時代劇でおやりになる、どうもNHKというのは一遍こう決めますとなかなか決めたことを変えにくい体質があるのじゃないか、それは番組についてもそう言えるのじゃないか、こう思うのです。  大阪は漫才さんたくさんいらっしゃいますが、漫才さんがおもしろくないネタをやるでしょう。漫才にはぼけと突っ込みがこうありますが、そうすると、おもしろくないことを言いますと、突っ込みは、おまえ、そんなんやったらNHKの「明るい農村」やってこいと、こう言うわけですね。ということは、大阪あたりではおもしろくない、マンネリで、健全ではあってもインパクトのないそういう発言ないしは番組NHKの「明るい農村」と、こう言っているわけですね。これは人の口に戸は立てられませんから、漫才さんがそう思っているのでしょう。漫才さんがそう言うことは、大方の世論がNHK番組は、たとえば「明るい農村」でありますとか、昼にやっております「ひるのプレゼント」ですか、「ひるのプレゼント」は私も時折拝見いたしますけれども、どうもやっぱりおもしろくない。だから、私も当委員会に所属いたしました当座は、おもしろくてためになる番組は民放に任せて、NHK報道の本義と、それからまじめで健全で良識的な番組をつくっていればいいというふうな考えを持たないでもなかったのですけれども逓信委員会に所属をいたしまして、NHK予算でありますとか決算の審議に携わっております間に考えが私も変わってまいりました。NHK番組もやっぱり生き生きとしておもしろい、おもしろくてためになる番組でなければならないし、そして常に、表現は古いですけれど、進取の気象というのですか、一カ所にとどまらないで常に百尺竿頭一歩を進めるていの番組開発をやらなきゃいけないのじゃないか、そう思っているのですけれども、その点でどのようにお考えか、会長、お聞かせ願えますか。
  265. 川原正人

    参考人川原正人君) 私ども経営の成り立つ根拠は、まさに視聴者から信頼を受け、視聴者からの支持がなければNHK経営は成り立たないものでございますから、いかにその番組が有意義であっても、視聴者からそれが歓迎されないあるいは極端に視聴率が低いというものばかりでは私ども経営は成り立ちません。特に、その点は視聴者の期待にこたえるようなものでなければならないと思いますし、一般論でございますけれども、私、先ほど来、今後のNHKのあり方につきまして、まず何といっても私どもが従来やってまいりました仕事の体制、そういうものを全部この際見直して自己改革を始めなければいけない、その上でわれわれがやるべきことをすべてやって、なお力及ばないところはあるいはさらに視聴者に対して御協力をお願いせざるを得ない事態が来るかもしれない、まずいま必要なのは私ども職員が一丸となって従来やってまいりましたすべての仕事を見直して自己改革を進めていくというところにすべての仕事の出発の根源があるのではないかといま考えております。その意味では、番組につきましても、従来からやっておりました番組にただなれるのではなくて、常に新しいものを求めて新しい時代にこたえるべく、また視聴者の新しい要請にこたえるような番組をつくり上げてまいりたいと考えております。
  266. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 去年のNHKの世論調査で結構でございますが、NHK番組は何本ベストテンに入りましたですか。
  267. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 昨年の十一月にNHKが全国視聴率調査というものを行いました。この結果では、全国のベストテンというのはこれは母数が違う関係で出しておりませんけれども、関東と関西に分けますと、関東ではベストテンの上位六位までがNHK番組でございます。  ちなみに申しますと、第一位が「NHKニュースワイド」、それから第二位が「クイズ面白ゼミナール」、三番目が「NHKニュースワイド第二部」、それから四番目が連続テレビ小説「よーいドン」、それから五番目が午前六時五十五分の「天気予報」、それから六番目が「NHKニュースワイド第三部」というふうになっております。  近畿地区では、まことに残念でございますけれども、大河ドラマとそれから「クイズ面白ゼミナール」の二本がベストテンに入っております。
  268. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私は残念ながら関西でございますので、いま二本とおっしゃいましたが、だからあと八本は全部これ民放の番組ということになるわけですが、NHKはどうなんでしょうか、視聴率というものをやはりある程度重視していらっしゃいますか。民放は視聴率を非常に重視しておるわけです。これはもうはっきり申し上げましてスポンサーの要請がございます。死活の問題です、視聴率が高くなければスポンサーがおりるのですから。ですから、民放はそうですけどもNHKは視聴率というものは余り重視はしておられませんか。
  269. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 視聴率については、いわゆる重視、軽視じゃなくて、非常に大きな目安になるというふうな考え方をしております。つまり、私ども番組をつくる。そのことはたくさんの方に見ていただきたい。見ていただくととはやっぱりその番組視聴者の方に影響を与えた、あるいは受益感を非常に味わっていただいたというふうな結果になろうかと思うのです。ですから、その数が多ければ多いほどやっぱりうれしいという実感はございます。ただし、そのことでたとえば一喜一憂したり、視聴率のためにいろんなことをやるということはとらないというふうに思います。むしろ、その視聴率の陰に隠れている、いわゆる内容の良かそうでないかというふうなことについてより気持ちをそちらの方に向けたいというふうな気持ちでございます。
  270. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そこですけれども、私もいまから二年半以前の当委員会における審議のときには、まさにいまあなたがおっしゃったようなことを私が言ったように思うのですよ。でも、やっぱり現場の制作者やプロデューサー、ディレクターにしてみれば、やはり日本にビデオ・リサーチ、ニールセンという大きな調査の機関があって、そしてこれが数十年の歴史を持っているものですから、その数字が高ければ大いに士気が鼓舞されるということはあるわけですね。ですから、やはり私は、NHKとしても視聴率というのは、参考にするというよりももう一歩進んだ、非常に重大な、これが番組が国民にどの程度、どういうふうに評価されているという具体的な数字にあらわれた目安であるという理解で、やはり幹部の皆さんも番組がいい視聴率とったら、まあ民放の場合はいい視聴率とったら必ずパーティーやります。だから、それぐらいの意気込みで士気を鼓舞するような方向で視聴率を活用していただきたい。そうすれば関西地区でベストテンに二つしか入らないというようなことがなくなって、関東と同じようにもっともっと上がっていく。  ということは、また別の面から言いますと、地域性ということがあると思うのですね。関東、関西でそんなにベストテンが違うということは、やっぱり関西人というのはNHK番組に対して、これは非常に大ざっぱな議論になりますけれど、中央集権というのですか、ある種の権威主義的なものを感じ取っているから大阪の番組はおもしろい、NHKのつくる全国放送番組はおもろうないというふうに言うのじゃないかとも思いますが、そういう点もひとつ御注意を願いたい、こう思います。  五十八年度番組改定ですね、いま大河ドラマは近代路線に切りかえるとおっしゃいました。ほかに何か目玉商品とでもいいますか、これが大きな改革だというのがございましたら教えてください。
  271. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 五十八年度の編集の中で私どもは重点事項というのがございまして、その重点事項は七つございますけれども、その中で特に意を用いましたのが四つございまして、一つ国際情報ネットワークの強化による、それのニュースへのはね返りといいますか、ですから「ニュースセンター九時」だとか、それから朝の「ニュースワイド」の中にそういう国際情報をどんどん取り入れて、それでいながらにして世界のことがわかるというふうな形にしたいというのが一つございます。  それから二番目は、現在非常に青少年の問題が騒がれておりますけれども、次代を担う青少年というのはこれは私ども番組でも十分に取り扱わなければいけないというふうに思いますので、たとえば青少年がつける番組あるいは青少年のことを扱う番組いろいろございますけれども、それの強化充実ということを第二の重点にしております。  それから三番目は、大きな番組、大型企画番組といいましょうか、特集番組といいましょうか、そういうもので特に、たとえば「シルクロード第二部」だとか、それから「日本の条件」の後続だとかいうふうなことで特集番組をたくさん組んでまいりたいというふうなところがございます。  それから四番目がローカルの問題でございまして、ローカルの問題は朝、夕方、それから夜の時間帯というふうに分けて、定時の中でのたとえば扱い方を考えると同時に、臨時に番組を編成してそのときの地域の御要望に十分こたえるというふうな番組をつくりたいというふうに考えております。  以上が、いわゆる先生のおっしゃる目玉という言葉には当たらないかもしれませんけれども、重点の項目でございます。
  272. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これは質問通告にはございませんけれども、ちょっとお伺いいたしますが、いま民放で「戦争の嵐」というのをやっております。八時からきょうは一時間、きのうまでは三日間連続三時間ずつやっておりました。最終的には十八時間の大河ドラマですね。その前には「ホロコースト」というのがございましたね。それから「将軍」もあれ大変長いテレビドラマ。それから一番最初は「ルーツ」がありましたですね。これはみんなたしか私、民放だと思うのです。民間放送というのはそういうふうにアメリカへ行って、莫大な金をつぎ込んで、そういうすでにアメリカで放映されて驚異的な視聴率を上げたフィルムを買ってきて、民放の場合ですから各時間帯にびっしりとスポンサーが入っておりますが、これを疎開するのは大変な作業です。それをあえてして、たとえば今度の「戦争の嵐」なんかは十八時間にわたって放映する。こういう努力をしているわけですね。NHKはどうなんでしょうか。こういった国際的な映像争奪戦に加わって、やはり民放の届かないところへもNHKは行っているわけですから、皆さんにこういった大々的評判のあるいは映像を提供する、そのためには民放とあえて一戦も辞せず、国際マーケットに躍り込む、こういう気持ちはございませんか。
  273. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 過去にも「刑事コロンボ」だとか、それから「大草原の小さな家」など、アメリカのテレビで非常に好評を博した番組を購入して放送しております。ですから、いいものは外国のものでも買いたいということは今後とも変わりません。ただ、おっしゃるように、非常に競争が激しくなりまして、実際上NHKの、私ども受信料から預かっておる財源ではなかなか賄い切れないという面も非常に多くなってまいりました。したがって、そこをあくまでもお金の面で張り合っての競争ということになりますと、それは限度がございます。ですけれども、私どもが持っている一種の信頼感といいますか、国際的な信用みたいなもので、もしその中で権利を獲得できるならば、そのようなこともどしどしやっていきたい、そういう進取の気象といいますか、積極性は持っているつもりでございます。
  274. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これは会長、やはりああいったドラマは本当に見ていていいですし、たとえばいまの「戦争の嵐」なんか見ておりますと、おのずから第二次大戦の経緯というものがよくわかりまして、これは高校生の方なんかは大変な、あの番組見ていれば社会科の勉強にもなると思うのです。ああいう番組こそNHKにひとつぜひやっていただきたい。そういう点で、たとえば予算なんかもそれは苦しい中でしょうけれども、ひとつ大いにそちらの方にも御活用くださるようにお願いを申し上げておきたい、こう思います。  いま重点七項目の中の一つに、国際的映像ネットワークを活用して報道番組充実強化する、こうございましたが、具体的にはこれはどういうプランになっておりますか。
  275. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 国際映像ネットワークの活用によりますニュース報道番組充実というのは、幾つか私ども考えておりますけれども、その一部を御紹介いたしますと、まず第一に、「ニュースセンター九時」の中で国際情報コーナーというのを定時化したいと思っております。十年目という節目を実は「ニュースセンター九時」は迎えるわけですけれども、この番組が果たしてきた役割りをさらに前進させようというふうなことで、毎日二十時五十五分から二十一時二十五分の三十分間衛星回線でニューヨークと東京を結びます。その中で随時ヨーロッパあるいはアジアからの衛星回線を設定して、多角的にあるいは複眼的に国際情報を取り入れたいというふうに思っております。これが一つです。  それから二番目に、「NHKニュースワイド」の中で朝の時間帯にふさわしいニュースあるいは報道番組として海外、国内、ローカル、そういう的確な情報の充実を行いたいというふうに思っております。特に時差がございますから、時差の関係で国際情報というのはなかなか朝に幅広く集中いたします。したがって、この時間帯の国際情報の伝え方というのはまた非常に工夫をしなければいけないというふうに思っております。  以上が大きなポイントですけれども、さらにアジア地域の情報がなかなか日本には入ってこないというこれまでの経緯がございますが、この辺はさらに番組の面でも、たとえば「教養セミナー」の中で「アジアの目 世界の目」とか、「市民大学」という番組の中で東南アジア、世界の構造などの番組を入れるなどして情報と同時にこういう文化的な面でも充実をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  276. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大いにその点、画期的に斬新な報道番組を展開していただきたいと思います。全く同感でございます。  いまNC9十年目とおっしゃいました。磯村さん、ヨーロッパから帰ってこられて報道局長に御就任になりましたね。全く私事ですけれども、磯村さん、私と同年でございまして、NC9をおやりになったころに同時に、講談社から私も本を出すし、磯村さんも本をお出しになりました。講談社セットで宣伝したのですけれども、磯村さんの本ばっかり売れて私の本はちっとも売れなかったものですから、私のはもう再版で絶版ということになりました。それほど磯村さんというのは国民的な人気者であったわけです。現在は報道局長の重責におられるわけですが、私はいわゆるラインのそういった幹部職員がスターであってもそれはそれで一向差し支えはない、こう思うのです。ですから、NHKが磯村という一人の人物をフィーチャーして、これを一つの目玉として売り出されるということは結構じゃないか、こう思うのです。それだけの期待が集まっての報道局長就任でございますから、就任された以上は、注目されている人だけに磯村カラーとでもいいますか、そういったものを報道番組の中に何か打ち出してしかるべきだ、こう思いますが、就任以来今日までに、なるほどこれは磯村の仕事だと言えるようなものはありましたでしょうか。
  277. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 報道局長というのは、ニュース並びに報道番組のセクションの長でございます。ただし、報道仕事をどのように動かすかあるいはNHK報道をどうするかというふうなことは、放送局長である私あるいは会長の意思が入りまして一つの方向づけが決まっていくわけです。そのときに報道局の陣頭に立ってこれを引っ張っていく役目が報道局長ということになろうかと思います。おっしゃるとおり、磯村君は本人も言うとおり、ちょっときざですが、非常に明朗で開放的で、進取の気象に富んでおりますので、これから報道局を引っ張って、私どもが期待する方向に行ってくれるだろうというふうに期待しております。
  278. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 おいおいと成果が上がることを期待しておきたい、こう思うのですが、翻ってみますと昨年二月の日航機の事故、われわれは、NHKというのは少なくともいわゆる娯楽番組は民放にひけをとるかもしれないが、事ニュース報道に関しては一頭地を抜くと言うよりも、断然他を引き離して報道NHKという名前にふさわしい存在であると理解しておりましたが、あの日航機事故では民放にはるかに出おくれましたと私は記憶しております。  そのときに、案外NHKというのは、たとえば他の民放各局と比べて機材の整備やそれを機能的に活用する手段に欠けているのじゃないか、こういう指摘がされたわけでございますが、その反省も踏まえて、現在のそういったニュース報道に関する機材等の整備充実状況はどうなっておりますか。
  279. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) おっしゃるとおり、昨年の羽田事故におけるNHKの出おくれといいますか、映像伝達がおくれたことにつきましては非常に厳しい指弾をいただきまして、私ども深く反省いたしました。  それで、早速非常に短い時間にこれの対策を立てまして、いわゆる緊急報道体制というものにつきましては、現在までのところ、まずどのようなことが起こっても対応できるような形になったというふうに思っております。たとえば緊急報道車というふうなものをこしらえましたし、それから伝送体制とか緊急報道のあり方についての機材の充実、それから運用体制についても検討の上で、きちんとした形に直したというふうに思っております。したがって、現在は私どもは一人一人がそういうふうなことをきちんとやるのがNHKの任務だというふうなことで、十分自覚をしてやっているということを申し上げます。
  280. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私、関西でテレビのレポートの番組を長年やっておりました。たとえば具体的に申し上げれば、民放の瀬戸内海放送、香川県にございますが、あの局のごときは、ごくごく小さい局でU局ですよ、であるにかかわらずENGをたしか七台ぐらい導入いたしまして、スタジオでの番組にも手持ちのENGでやっているということなんですね。NHKはどうなんでしょう。あのENGというのは本当に軽量で小型で扱いやすくて実に便利な機材ですけれども、地方局には配属は終えておりますか。
  281. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) おっしゃるとおり、あの小型ビデオというのは非常に機材として有効な手段だということは重々認識しております。いま先生おっしゃったその地方民放の小型ビデオ機器の保有状況というものにつきましては、これは全く確実に把握しているというものではございませんけれども、大方このようであろうということは存じております。  NHKでも小型ビデオカメラ、これを全国の報道局に逐次整備をいたしまして、現在ではたとえば何か緊急事態が起こったとか、あるいは地方局で担当すべき番組、それからニュース対応というようなことにつきましては業務的に差しさわりのないところまで整備をしたというふうに思っております。まだもちろん十分ということはございませんので、これからも順次その計画は拡大していきたいというふうには思っております。  ちなみに、いまのところでは標準的な管内担当局、大阪とか名古屋とかいうところでは十一台ございまして、県庁のあるところの放送局は四台ございます。今後ともこの面については充実の方向をとっていきたいと思います。  もう一つは、この際にちょっと申し上げておきたいのは、地方の民放局はそこで独立した形でもって動いているわけですね。ところが、NHKのローカル局と申しますのは、いわゆる東京の全中体制と一体となって動くというふうな特質がございます。したがって、単にそこの独立した放送局の存在であるばかりではなくて、たとえば全中との絡みでローカルをどう生かすかとか、それから全国中継の番組の中にどうローカルを活用するのかといったやっぱり観点、視点が入ってまいりますので、そういう点については若干の機能的な違いは地方民放との間にあろうかと思いますが、一応、ビデオカメラ、編集そのほかについても、今後充実の方向で計画を立ててまいりたいと思っております。
  282. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ぜひ、これは充実をしていただきたいと思います。  おっしゃることはよくわかりますけれども、やはり本当にテレビの機器関係は、それはもう秒進時歩といいますか、物すごい勢いで進んでいっているものですから、音声多重、文字多重、そういった新しいメディアの開発、放送衛星を上げるとか、これも大変大切なことですけれども、一方では、足元を地につけて日々の業務のことでありますから、そのときに、たとえばまたあの日航機事故のような大事件が起きたときに機材の面で民放におくれをとった、こんな旧式の機材があったから、だからわれわれは出おくれたのだというようなことのないように、備えあれば憂いなしで、ひとつなるたけ努力をして重点的に配備をしてくださることをお願いしておきたいと思います。  NHKは、さっきから私、何回も言っておりますけれども、印象としては案外保守的で現状維持で、余り冒険をなさりたがらないように私には見えるのですよ。でも、たとえば和田勉さんでありますとか、それから佐々木昭一郎さんの「川の流れはバイオリンの音」、続編もございましたね、それから先週の月曜日に放送されましたコンピューターグラフィックを駆使いたしました吉田直哉ディレクターの「NHK特集 ジョバンニの銀河・一九八三」、こういった番組のように、時折冒険に満ち満ちた新しい試みをなさるわけですね。こういうことは国民もNHK視聴者も見た場合に、いま私が言いましたように、NHKというのはわりに保守的で現状維持的であると思っているだけに、こういう試みがなされますと、おうNHKやるじゃないかと非常に評価が改まるような面がある、こう思うのです。だから、こういった冒険が年に一回とか二年に一回じゃなくて、しょっちゅう出るようなそういう人材配置とでもいいますか、機能的なそういった一つのシステムをぜひおつくりになった方がいいのじゃないか、こう思うのですけれども、この点についてどうお考えでございましょうか。いわゆる番組の冒険を思い切ってどんどんやらせるということですね。
  283. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) おっしゃるとおり、企業には絶えず新しい意欲と、それから冒険に向かっての進取の気象というものが必要だと思います。NHKもやっぱりそういう意味で言えば、放送企業の一つでございますから、そういうことがなくしては視聴者の信頼はかち得ないというふうに思っております。したがって、いまおっしゃったようなことを含めて、私ども番組の新しい企画の開発というものについては特に意を用いているところでございます。  定時番組の中では、「NHK特集」をつくったときの一つの大きなテーゼの中に、実験的な番組をやっていこう、「NHK特集」の中に必ずそういうのを入れていこうというようなことが掲げてございます。それは開始して以来同じような形で進んでおりますので、そういう定時の中での試みもやります。  それから、いわゆる特別番組、特集番組というふうなものの中で、そのような企画の開発と、それからそれの育成ということについては意を用いていくつもりでございます。
  284. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 どうなんでしょう。これも民間放送の場合は、いわゆるステーションプロパーで制作した番組じゃなくて、日本にはたくさんのプロダクションがありますが、なかなかプロダクションがつくる番組にもいいのがありまして、民放の場合はこういった番組を買い取りシステムで買い取りましてそれを放映する、最近はそういうシステムが非常に多くなっているわけですが、NHKはこういったプロダクション、NHK以外のプロダクションがつくった番組を買い取って放映するというようなことはこれまではなさったことはありませんか。これからもなさるおつもりはありませんか。
  285. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) プロダクションがつくった番組で、いわゆる調達といいまして、できた番組を買うという形でやったのは、たとえば映画会社がございます。それからアニメーションの番組もございます。それからごく最近では、さだ企画のやりました「ニイハオ!中国」という番組を買いました。そういった事例がございますから、必ずしも門戸を全然閉ざしているというものではございません。
  286. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 番組の制作費の使い方ですけれど、たとえば傾斜生産方式とでもいいますか、総枠がありまして、今度は思い切ってこの番組にひとつ金をかけてみようじゃないかというようなことで、そのかわり通常番組の方はなるたけ節約をしてもらうということですね。これはむずかしいと思いますよ、それはそっちへ金かけりゃこっちへ金かけられないわけですから。その分が非常に落ち込みますから。ですけれども、そういった制作費の使い方、いわゆる傾斜生産方式をとるおつもりはありませんか。
  287. 川口幹夫

    参考人(川口幹夫君) 傾斜生産方式といいますか、重点制作といいますか、そういうことはやっぱりやらなければいけないというふうに思っています。特にNHKの現今の財政状態の中では、やはりそういうところに思い切った考え方で臨まないとなかなかいい仕事が出てこないということもあろうかと思います。したがいまして、私ども番組の企画の段階NHKがやってまさに視聴者に対して十分な満足感を与える、あるいはこれこそいま視聴者の方が望んでいるものだというふうなものは、経費は相当にかけてもやろうというふうなことでもってやっておりますので、おっしゃるような意思、そういうふうな考え方を入れているというふうに申し上げてよいかと思います。
  288. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 職員の待遇についてお伺いいたします。  これは朝から他の同僚委員もお伺いになっていらっしゃると思いますけれど、やはりNHKは本当に人が財産ですから、人が機材を使うのですし、それぞれのはじけるような発想の中からいい番組ができてくるわけですから、その基礎になるものはやはりわれわれはわれわれの努力に対して正しく報われている、こういう意識であります。したがって、NHKの全職員、特に現場で働いている職員が、NHKの給与水準はたとえば他の民放と比べても決して低くはないのだ、そういう自信があればやっぱり自分のところの番組つくりにも熱が入ってくる、こう思うのですが、現在どうなんでしょう、NHKの給与水準、たとえば民放と比較いたしまして。
  289. 横井昭

    参考人(横井昭君) 先ほどもちょっとお答え申し上げましたように、それぞれの企業の労務構成といいますか、職員構成とそれから仕事の内容で違いはございますから一概に比較というのはなかなかむずかしいと思いますけれども、私どもNHKの一般職員の平均の賃金が二十四万五千円ぐらいでございます。それに比較しまして、千人以上の新聞十数社ございます、それから民放ですと先発VHFの五十数社の平均が二十六万数千円という形で、それくらいの差があるという事実があります。
  290. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これは民放の場合ですと、たとえば大阪にキー局のある本社勤めの社員は、転勤といいましても東京支社勤務になりますね。この場合はそう都落ちという感じがしません、率直に申し上げまして。NHKの場合は、これは全国くまなく異動するわけですね。前の委員会でも私申し上げたと思うのですけれど、やはり地方へ異動で行かれる職員の皆さんからすれば、東京で華やかにライトを浴びてNC9をやっている職員というのはやはりうらやましいでしょうし、年末の「紅白歌合戦」の司会を担当される山川アナウンサーは、長い間地方局でローカルニュースか天気予報ぐらいやっているアナウンサーの方からすればこれは高ねの花といいますか、本当にうらやましい存在だろうと思うのです。  私は、NHKの人事というものは、給与にとどまらず、そういった人たちが本当に生き生きと仕事ができるような人材の配置といいますか、ローテーションといいますか、そういうものを考えてあげなければいけないと思います。もちろん能力がありますから、みんなをみんな東京へ連れてきて七時のニュースやらせるというわけにもいかないでしょう。これは一例としてアナウンサーを取り上げているのですけれども、そういう点の人事ローテーション、中央と地方というような点についてどのようにお考えでございますか。
  291. 横井昭

    参考人(横井昭君) お答えいたします。  先生のおっしゃるように、放送協会仕事というのはまさに人の問題でありまして、番組の生命というのはほとんど人間の力で左右されるものだ、それだけ大事なものだというふうに考えております。私どもとしましては、特に公共放送使命を達成するための能力とそれから識見と責任感とそういうものを持った方々を採用し、その方々を育成して、その方々がすべて満足して協会使命達成に邁進しなきゃならぬ。確かに七十幾つ事業所があって、そのすべての人々の力でNHK番組が成り立っているわけです。したがいまして、私どもの人事異動もかなり激しゅうございますけれども、そういうことを考えて、本人の希望等も入れながらできるだけ各局の組織が活性化できるような形、そして個人が満足して働ける形をとっていきたい、こういうふうに考えております。
  292. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ひとつ、ぜひローカルステーションで一生懸命働いている人たちの気持ちを中央の幹部の皆さんいつでも吸い上げるように、十分みんなの腹の中まで入ってよくくみ上げてくださるようにお願いをしておきたいと思います。  私、新聞記者をしておりましたときに、たとえばBKの職員がローカルニュースがきょうは中央に上る、全中だというときに、ほんの短いニュースでしたけれども、それが久しぶりに大阪発のニュースが全中のネットに乗るということで、本当に鬼の首を取ったように喜んでいたのですよ。さあ、きょうは祝い酒だと言っていた光景を思い出すのですよ。だから、そういうふうに思っている人たちがたくさんいるということ、そのことに対しては正当に報いてあげるということをぜひお考えいただきたいと思います。  いま申し上げていることとやや矛盾はするようですけれどもNHK効率化合理化ということをいま一生懸命やっていらっしゃるわけですね。これはこれで私大切なことだと思うのです。何でもいいから人をふやすとか、何でもいいから能力査定もしないで人事ローテーションをやっていく、これは全然いけないことですから、これは合理化はやっていただかなきゃいけません。その進捗状況はどうですか。
  293. 横井昭

    参考人(横井昭君) 先ほども申し上げましたので、ごく簡単に申し上げますけれども、五十五年から五十九年の効率化目標としまして千二百人の目標を立てました。五十五年—五十七年の経営計画の中で六百人、三・五%の効率化目標を立てまして、五十五年度が百名、五十六年度二百名、五十七年度三百名でございますけれども、この効率化実施目標のもとに協会の全部門、全業務につきまして二十数項目の効率化実施施策遂行してまいりました。この結果としまして、五十七年度末には六百人、三・五%の効率化が実現できる見込みでございます。  一方、各年度事業並びに収支予算はこうして国会で御審議をいただいているわけでございますが、その結果に基づく、たとえばニューメディアに対する対応だとか、さっき申し上げました国際ネットワークの充実だとか、そういう事業増がございますので、それが二百六十ございまして、差し引き五十五年度末までに三百四十名、二%の純減が達成できるという見通しでございます。
  294. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 人員削減と同時に、当然ながら業務の見直しもやっていただくわけですけれど、NHKプロパーの仕事とそれからNHKにはたくさんの関連事業団体がございますけれど、この仕事の職務分掌といいますか、事業分担をはっきりさせなければいけない、こう思うのですが、この点についてはどういうプランをお持ちですか。
  295. 田中武志

    参考人田中武志君) NHKが将来とも視聴者の皆さん方の支持を得て公共放送としての使命を果たしていくというそのためには、現在私どもが行っております業務の進め方あるいは組織などを根本的に見直さなければならないというふうに思っております。そういった中でNHKがみずから実施すべき業務の範囲はどこまでなのか、あるいは外部団体に協力の中で実施していく方法がより適当なものが何なのか、そういったことについて基本的に現在見直しをいろいろやっている最中でございます。そういった中で特に申し上げたいのは、放送番組の問題でありまして、私ども先ほどから話が出ておりますように、長い年限にわたりまして培ってきた経験あるいは創造的機能といったものを今後とも生かして、そうした中ですぐれた番組をつくっていくということについては基本的に考えております。  ただ、私どもが進めておる仕事の中では、私たちがみずから企画し、編集し、そして責任を持って創造していかなきゃならないものと、あるいは一部はNHKの企画あるいは責任のもとに適当な協力者を求めて業務を進めることができるというようなものもあろうかと思います。したがいまして、この辺のところを十分に選択しながらひとつ今後能率的に業務を進めていきたいというふうにわれわれ考えておりまして、業務の一部を、そういった先ほど申しました外部団体等に一部委託するという方法もあろうかと思っております。いずれにしても私どもは、もう一度申しますけれども、文化を創造するという仕事を担っておりますので、そういった意味合いで、本質的な業務につきましてはあくまでNHKのみずからの手で進めていくということについては基本的な認識として持っております。
  296. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 二年前に、外部団体の資金の流れが不明朗じゃないか、これをチェックしなきゃいけないと非難を浴びたことは当然御記憶だと思いますけれども、こういう点やっぱりきっちりしないといけないと思うのですよ。  それで、いま外部団体には、NHKのいわゆる天下りですね、何人ぐらいいらっしゃいますか。
  297. 田中武志

    参考人田中武志君) 現在、外部団体の役員は全体で九十三名でございます。そのうち、協会の元役職員協会職員というのは七十九名でございます。そういったことで、さらに細かく申し上げますと、そのうちの元協会役員が十二名、それから元職員が六十五名、それから現職員が二名という内訳になっております。
  298. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 というと、パーセンテージ何%ぐらいになりますかね。七、八〇%いっていますか。
  299. 田中武志

    参考人田中武志君) いや、とてもそんな多くではありません。
  300. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いっていませんか。  失礼ですが、もう一遍お伺いします。いま何人中何人とおっしゃいましたか。
  301. 田中武志

    参考人田中武志君) 失礼しました。全体が九十三名、それでそのうちに協会の方から行っております元役員あるいは職員というものは七十九名ですから、いまおっしゃったように八〇%以上超えていると思います。
  302. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうですね。別にNHKから外部団体へお出になった方が、役員の職につかれた方が私、悪いことするとは決して言っていません。そんなことはなさったことはないと思いますよ。でも、やっぱり李下に冠を正さずとでもいいますか、瓜田にくつを入れずといいますか、二年前のああいう不明朗な話題が国民の間に流れること自体が、ほれ見ろ、NHKからどんどん天下りで外部団体の役員におりていくからじゃないか、こういう批判を招きかねまじわけですね。将来はこのNHKの外部団体に出ていく人、いまざっと八〇%ですか、こんなにいらっしゃるわけですけれど、会長、この率を下げるという意思はございませんか。
  303. 川原正人

    参考人川原正人君) NHKの関連団体につきましてはやや特殊な事情がございまして、本来NHKがやるべき仕事をそのような外部団体をつくりまして、関連会社をつくりましてそこでやってもらうという趣旨のものがほとんどでございます。その意味ではNHKが委託します仕事が主流をなしますので、やはり相当NHKのことがわかった人間でないとできないという事情が少なくとも従来ございましたし、また歴史の長いものでも二、三十年、もっと歴史の短い会社もございますので、それはむしろNHKの退職しました職員が中心になってつくるというような性質もございました。そういう意味ですから、かなりの割合を占めておりますし、だんだんそれぞれの会社で育ちました職員がふえてまいれば当然、何といいますか、子飼いというと余りいい言葉じゃございませんけれども、そういう企業の中で育ちました職員から役員が出てくるのは当然ふえてまいると思います。  それから、一点だけ私申し上げておきたいのは、二年ほど前に確かに一部の雑誌でNHKの関連団体のとかくの記事が出ました。しかし、あの中には非常に間違った記事もございます。推測をもとにした記事もございます。特に、役員の収入等については明らかにこれは間違っている記事がございましたので、その点はあの記事をもとにいろいろ御議論いただきますことは私どもとしては、若干こちらとしてもそのままでは受け取れない面がございますので、その点だけははっきり申し上げておきたいと思います。
  304. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私、それは実名を挙げませんけれども、でも、やはりNHKの大変な実力者であった方が外郭団体へお出になりまして、またその外郭団体の実力者として君臨をされて、権能をほしいままにされたという報道がなされたということは事実ですよ。私、金銭的には間違いがあったと言っているのじゃないのですね。どこだって、これは国にしたって、組織にしたって、事業にしたって、独裁者が長年その位置にあって権能をふるいますと、ニュージャパンの横井や三越の岡田みたいな人間が出てくるのでございますから、その点でやはり新しき革袋に新しき酒を盛る。だから、NHKという大きな組織から外郭団体へ八〇%を超える人がどんどんおりていくというのじゃなくて、いま会長おっしゃいましたように、やはりその事業体で育ってきた人をどんどん上に上げていくという努力をなさることが、その事業体の中で入社をして育ってきた人たちの励みにもなるわけですね。それはそうだと思いますよ。その外郭国体に入社して幾らがんばっていたって、いずれ進駐軍が上から来るのだと。いや、まあそれは進駐軍と言っておられるかどうか知りませんよ、巷間ではそのように言われますが。それでは励みもありませんので、その点もひとつよろしくお願いを申し上げておきたい。また、そういうふうにすることによって正確なチェック機能を果たし得るとも私思いますので、そのことを特に指摘してお願いを申し上げておきたい。特にまた、最近週刊誌等でとかくの風評もすでに取り上げられているときでございますから、その点についてはひとつよろしくお願いを申し上げておきたい、こう思います。  以上をもちまして、私の質問を終わります。
  305. 八百板正

    委員長八百板正君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  306. 八百板正

    委員長八百板正君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  307. 八百板正

    委員長八百板正君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  大森君から発言を求められておりますので、これを許します。大森君。
  308. 大森昭

    ○大森昭君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び無党派クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一、放送の不偏不党を堅持し、放送による表現の自由を確保すること。  一、国際放送については、その受信改善が急務であることにかんがみ、すみやかに送信設備の刷新増強の計画を確立し、その具体化を図るとともに交付金の増額等に努めること。  一、衛星放送等ニューメディア放送サービスについては、その特質を生かした有効活用と普及促進を図るため、適切な措置を講ずること。  一、協会は、厳しい経営環境をふまえ、一層事業運営の刷新、効率化を推進するほか、多様化、高度化する新しい放送に対応した長期経営計画を策定すること。   右決議する  以上でありますが、この決議案は、本委員会における審議の経過を踏まえて作成したものであります。したがいまして、その趣旨につきましては、改めて説明するまでもないと存じますので、省略させていただきます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。  以上であります。
  309. 八百板正

    委員長八百板正君) ただいま大森君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  310. 八百板正

    委員長八百板正君) 全会一致と認めます。よって、大森君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、桧垣郵政大臣並びに川原日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。桧垣郵政大臣
  311. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 日本放送協会昭和五十八年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。  これまでの御審議に当たりまして、各委員の提起されました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきまして、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  どうもありがとうございました。
  312. 八百板正

  313. 川原正人

    参考人川原正人君) 日本放送協会昭和五十八年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認いただきまして、まことにありがたく、厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程でいろいろ開陳いただきました御意見並びに郵政大臣意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、十分に遵守いたしまして、執行の万全を期したいと考えている次第でございます。  まことにありがとうございました。
  314. 八百板正

    委員長八百板正君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  315. 八百板正

    委員長八百板正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会