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1983-03-22 第98回国会 参議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十二日(火曜日)    午後二時三十五分開会     ─────────────    委員異動  一月十三日     辞任          前田 勲男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         八百板 正君     理 事                 高橋 圭三君                 成相 善十君                 大森  昭君     委 員                 沖  外夫君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 長谷川 信君                 片山 甚市君                 福間 知之君                 太田 淳夫君                 山中 郁子君                 中村 鋭一君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 任  桧垣徳太郎君    政府委員        郵政大臣官房長  澤田 茂生君        郵政大臣官房経        理部長      奥山 雄材君        郵政省郵務局長  永岡 茂治君        郵政省貯金局長  鴨 光一郎君        郵政省簡易保険        局長       魚津 茂晴君        郵政省電気通信        政策局長     小山 森也君        郵政省電波監理        局長       田中眞三郎君        郵政省人事局長  奥田 量三君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    説明員        日本電信電話公        社総裁      真藤  恒君        日本電信電話公        社副総裁     北原 安定君        日本電信電話公        社総務理事    山口 開生君        日本電信電話公        社総務理事    西井  昭君        日本電信電話公        社営業局長    信澤 健夫君        日本電信電話公        社業務管理局長  神林 留雄君        日本電信電話公        社計画局長    池沢 英夫君        日本電信電話公        社経理局長    岩下  健君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査  (郵政行政基本施策に関する件)  (日本電信電話公社事業概況に関する件) ○電話加入権質に関する臨時特例法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律を廃止する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 八百板正

    委員長八百板正君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一月十三日、前田勲男君が委員を辞任され、本委員会は一名の欠員となっております。     ─────────────
  3. 八百板正

    委員長八百板正君) 次に、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  先般、当委員会が行いました郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する実情調査のための委員派遣について、その報告書提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 八百板正

    委員長八百板正君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 八百板正

    委員長八百板正君) 次に、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題といたします。  まず、郵政行政基本施策について所信聴取いたします。桧垣郵政大臣
  6. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 逓信委員会皆様には、平素から郵政省所管業務の適切な運営につきまして、格別の御尽力をいただき、ここに厚く御礼を申し上げます。  この機会に、所管業務の当面する諸問題について所信一端を申し上げ、皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。  まず、郵便事業について申し上げます。  今日、郵便取扱物数年間百五十億通にも達しており、郵便は、国民基礎的な通信手段として、今後とも重要な役割りを果たしていくものと考えております。  現在、郵便業務運行はおおむね順調に推移しており、今期年末年始におきましても、国民皆様の御協力をいただき、年賀郵便物の配達など、所期の運行確保することができました。  一方、郵便事業を取り巻く社会経済環境は一段と厳しさを増してきておりますので、今後とも、事業運営効率化合理化推進に努めますとともに、多様化する国民ニーズに即応したサービスを提供して、郵便事業に寄せられる国民皆様信頼にこたえてまいる所存であります。  次に、為替貯金事業について申し上げます。  為替貯金事業は、百余年にわたり、全国津々浦々に設置された郵便局を通じて、貯蓄・送金決済サービス年金恩給等国庫金の取り扱いなど国民生活に密着した幅広いサービスを提供し、広く国民皆様利用されてまいりました。  為替貯金事業といたしましては、今後とも国民皆様多様化する御要望におこたえできるようサービス改善に取り組むとともに、オンライン化推進を図り、利用者サービス向上に努めてまいりたいと考えております。  特に、今後の利用者サービス拡充基盤ともなるべき業務オンライン化につきましては、昭和五十八年度末の全国網の完成に向け、その拡大を図るとともに、オンラインによる各種サービス充実普及に努めていく所存であります。  また、昨年六月、郵政審議会から、個人金融分野充実郵便貯金サービスあり方等郵便貯金の今後果たすべき役割」について、時代の進展に対応した郵便貯金の進むべき方向を示した答申がなされました。郵政省といたしましては、本答申趣旨を踏まえ、国民皆様期待にこたえてまいりたいと考えております。  なお、郵便貯金総額制限額引き上げ郵便貯金資金の直接運用等につきましては、引き続きその実現に向けて努力してまいる所存であります。  次に、簡易保険郵便年金事業について申し上げます。  簡易保険郵便年金事業は、現在、簡易保険保有契約件数五千四百万件、保有契約金額六十四兆円、郵便年金保有契約件数十四万件、保有年金額三百八十億円となっており、また、簡易保険郵便年金を合わせた資金総額は十九兆円を超え、おおむね順調に運営されております。  ところで、郵政省では、従来から加入者国民利益増進を図るため、簡易保険郵便年金制度改善に積極的に取り組んできたところでありますが、このたび簡易保険積立金運用範囲拡大内容とする簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案を今国会提出いたしましたので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  なお、保険金最高制限額引き上げ等につきましても、引き続きその実現に向けて努力してまいる所存であります。  事業を取り巻く環境は厳しいものがありますが、今後とも、国営事業としての使命を深く認識し、時代の要請に的確にこたえた制度改善サービス向上に努め、加入者国民利益の一層の増進に寄与してまいる所存であります。  行政改革については政府の最重要課題として取り組んでいるところでありますが、郵政事業につきましても効率的な事業運営という観点から効率化合理化を積極的に推進しているところであります。  また、去る三月十四日、臨時行政調査会から最終答申が出され、政府はこれに関する対処方針を決定したところであります。郵政省といたしましては、今後各方面の御意見を聞きながら、適切に対処してまいりたいと考えております。  さて、申し上げるまでもなく、郵政事業は人力に依存する度合いのきわめて高い事業でありますので、事業の円滑な運営を図るためには明るく活力に満ちた職場をつくることが必要であり、今後ともそのために積極的な努力を傾けてまいる所存であります。  また、労使関係につきましても、相互の信頼関係の樹立を基礎に、より安定した労使関係確立に努めてまいりたいと考えております。  また、郵政犯罪の防止につきましては従来から省を挙げて努力してまいったところでありますが、今後とも防犯意識の高揚と防犯体制整備強化に努め、国民信頼にこたえられる郵政事業確立になお一層努めていく所存であります。  次に、電気通信行政について申し上げます。  まず、今国会提出をいたしております法律案についてでありますが、電話加入権質権を設定することについて、昭和五十八年四月以降も当分の間許容すること等を内容とする電話加入権質に関する臨時特例法の一部を改正する法律案加入電話加入申込者等による電信電話債券引受制度を廃止するための電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律を廃止する法律案及び通話料遠近格差是正を図るために遠距離料金を引き下げることを内容とする公衆電気通信法の一部を改正する法律案提出いたしましたので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  データ通信回線利用につきましては、昨年、公衆電気通信法等改正し、大幅な自由化を行うとともに、中小企業のための民間による高度通信サービスいわゆるVANもできるように措置したところでありますが、今後もわが国経済社会効率的発展を期するため、長期的視野に立った総合的なデータ通信高度化施策を進めるとともに、本格的なVAN制度につきましても継続して検討してまいりたいと考えております。  国内電気通信につきましては、電話需給均衡を維持しつつ、さらに、利用者高度化多様化する需要にこたえてサービス質的充実キャプテンシステム等ニューメディア開発実用化を図ること等により、国民生活充実社会経済発展に一層貢献をしてまいりたいと考えております。日本電信電話公社につきましては、事業運営合理化効率化をより一層推進することにより、こうした状況に対応し、事業に寄せられた国民期待に十分こたえていくよう指導監督してまいる所存であります。  なお、日本電信電話公社改革につきましては、臨時行政調査会第三次答申を受けて閣議決定された「今後における行政改革具体化方策について」の方針に沿って、各方面の御意見聴取しつつ検討を進めてまいる所存であります。  また、国際電気通信につきましても、増大し多様化する国際電気通信需要に適切に対処するための諸施策を引き続き講じてまいりたいと考えております。  電気通信は、御案内のように技術革新の著しい分野であり、また、将来に大きな発展可能性を有するものであります。  私といたしましては、長期的総合的な視野に立って、電気通信に対する国民期待にこたえ得る電気通信政策展開を図ってまいる所存であります。  次に、電波放送行政について申し上げます。  今日、電波利用わが国社会経済活動のあらゆる方面に及んでおり、今後ともさらに増大する傾向にあります。  このような情勢にかんがみ、宇宙通信テレビジョン多重放送など新たな技術開発及び高度化する国民情報需要動向電波に関する国際的動向とに即応し、適時適切な電波行政推進してまいる所存であります。  宇宙通信につきましては、我が国初実用通信衛星を打ち上げたことにより、まさに宇宙通信実用化時代を迎えたわけでございますが、非常災害対策用通信離島通信及び臨時通信等確保を図ることはもちろんとして、実用衛星時代にふさわしい衛星利用推進してまいりたいと考えております。  また、通信衛星に引き続き、実用放送衛星を打ち上げ、テレビジョン放送の難視聴解消等に役立てるため関係機関とともに準備を進めておりますが、今後ともこれら実用衛星計画を初めとして、宇宙通信発展普及のための施策を講じてまいる所存であります。  放送につきましては、近年の技術革新により、多重放送衛星放送等ニューメディア実現が可能となりつつありますが、その第一段階として、昨年テレビジョン音声多重放送及びテレビジョン文字多重放送実用化のため、放送法改正等制度面整備を行ったところであります。  これらのニューメディアは、放送サービスに対する国民の多様なニーズにこたえ、国民生活をより便利で豊かにしていく上に有効な手段であると考えられますので、今後とも技術開発動向及び既存のメディアとの調和等を考慮しつつ、その円滑な導入普及が図られるよう適切な施策推進してまいる所存であります。  本年は、国際連合が定めた世界コミュニケーション年であり、二十一世紀に向かってのコミュニケーションあり方について国民全体として考える機会とするとともに、コミュニケーション発展の契機とする年であります。  通信行政を所掌する郵政省としては、政府部内の中心となって世界コミュニケーション年事業推進を図り、将来のわが国情報通信発展のための新しい基盤づくりに取り組む所存であります。  以上、所管業務の当面の諸問題につきまして所信一端を申し上げましたが、郵政省所管業務の円滑な運営のため、委員各位の御支援、御協力をお願い申し上げる次第であります。
  7. 八百板正

  8. 真藤恒

    説明員真藤恒君) 電信電話事業につきましては、平素格別の御配慮と御支援を賜りまことにありがたく厚くお礼申し上げます。  ただいまから日本電信電話公社の最近の事業概況につきまして御説明申し上げます。  まず、昭和五十七年度予算におきましては、事業収入四兆一千六百六十四億円と見込んでおりますが、一月末までの収入実績は三兆五千六百十五億円でありまして、これは予定収入に対し二・五%の増収で順調に推移いたしております。公社といたしましては今後とも収入確保に努める所存であります。  また、事業支出につきましても、五十六年度から月次決算の手法を導入するなどして、経費使用効率化合理化努力いたしております。  建設工事計画進捗状況について申し上げますと、工事費総額は五十六年度からの繰越額を加え一兆八千八百二十一億円であります。これに対し一月末における契約額は一兆七千二百二十九億円でありまして、年間予定の九一・五%の進捗となっております。  主なサービスのうち、一般加入電話の増設につきましては、年間予定百二十万加入に対して一月末で百九万加入となっており、公衆電話の設置及びビジネスホンなどの各種商品販売につきましても、おおむね順調に推移いたしております。  また、新しいサービスとして、五十七年十二月から磁気カード利用して通話できるカード公衆電話を設置するなど、利用者利便向上に努めるとともに、五十六年度に引き続き、ファクシミリ通信網サービス拡大ミニファクス販売を行うなど、非電話系サービスの積極的な普及を図っております。  さらに、農山漁村等における電話サービス改善のため、加入区域拡大につきましては、電話局から七キロメートルまでの区域拡大について、五十七年度で計画を完了するとともに、新たな施策として、七キロメートルから外の地域についても、おおむね十世帯以上の集落まで加入区域とするよう五十七年度より計画し実施いたしております。また、地域集団電話一般加入電話への変更につきましても、五十七年度で完了するよう推進いたしており、年間予定六万五千加入に対して一月末で五万七千加入進捗となっております。  公社は、発足以来電信電話サービス向上に努めてまいりましたが、健全な財務基盤確立なくしては真の公共性の発揮が不可能になることを銘記し、今後とも事業全般にわたり一層の合理化効率化を図るとともに、国民皆様に役立つ良質かつ低廉な高度情報通信システム、いわゆるINSの形成が社会的責務であると考え、その推進に全力を尽し、よりよいサービスの提供に努めてまいる所存であります。  通話料遠近格差是正につきましても、五十五年度及び五十六年度に引き続き五十八年度におきまして、遠距離通話料金等の引き下げを内容とする料金改定を予定いたしており、このための公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきましては政府から今国会提出されておりますのでよろしくお願いいたします。  また、臨時行政調査会第三次答申で提起されました公社改革問題につきましては、政府方針に沿いつつ対処してまいりたいと考えております。  以上をもちまして最近の公社事業概況説明を終わらせていただきます。
  9. 八百板正

    委員長八百板正君) 以上で所信及び説明聴取は終わりました。  本件に関する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  10. 八百板正

    委員長八百板正君) 電話加入権質に関する臨時特例法の一部を改正する法律案及び電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律を廃止する法律案両案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明聴取いたします。桧垣郵政大臣
  11. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) ただいま議題となりました電話加入権質に関する臨時特例法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主な内容を御説明申し上げます。  この法律案は、電話加入権質権を設定することができる制度存続を図る等所要改正を行おうとするものであります。  まず、改正の第一点は、電話加入権質権を設定することについて、昭和五十八年四月一日以後も当分の間許容することといたしております。  電話加入権質権を設定することができる制度につきましては、現行法昭和五十八年三月三十一日までを有効期限とするものでありますが、現在なお電話加入権庶民金融担保物として利用されている社会的実態等にかんがみ、当分の間その制度存続を図ろうとするものであります。  第二点は、質権の設定の登録をする場合等の手数料の額について、日本電信電話公社郵政大臣の認可を受けて定めることといたしております。  その他所要の規定の整備を行うことといたしております。  なお、この法律施行期日は公布の日といたしております。  以上がこの法律案提出いたしました提案理由及びその主な内容でございます。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  引き続き、電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律を廃止する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  この法律案は、電信電話等需要を充足するための態勢が整ったことにかんがみ、加入電話加入申込者等による電信電話債券引受制度を廃止しようとするものであり、その内容は、電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律昭和三十五年法律第六十四号)を廃止することといたしております。  なお、この法律施行期日昭和五十八年三月三十一日といたしております。  以上がこの法律案提出いたしました提案理由及びその内容でございます。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  12. 八百板正

    委員長八百板正君) 以上で両案の趣旨説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 片山甚市

    片山甚市君 電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律を廃止する法律案につきましてまずお聞きを申し上げたいと思います。  最初に、拡充法廃止によって資金調達を含め今後の公社経営にどのような影響を与えるのかという素朴な疑問がありますが、拡充法廃止に至る経緯、特徴点を簡単に述べてもらいたい。
  14. 小山森也

    政府委員小山森也君) 拡充法案は、昭和三十五年に加入電話等に対する国民需要の急激な増加に対応するため、その設備の急速な拡充に必要な資金を調達するために暫定措置として制定されました。その後、昭和四十八年に依然として需要増加が激しいことから十年間延長されたものでありますが、今日電話の積滞が解消する等電信電話等需要を充足するための態勢が整ったことにかんがみまして、加入電話加入申込者等による電信電話債権引き受け制度を廃止しようとするものであります。  また、電電公社においては、今後サービス拡充改善を図るための設備投資、あるいは債務償還等により引き続き相当額資金需要が見込まれ、五十八年度以降の資金調達については一層の努力と工夫を要するものと考えております。このため一層の経営効率化等により内部資金充実を図るとともに、これまで行ってきた公募特別電電債発行外貨電電債発行など資金調達多様化、及び自己調達力強化推進し、公社経営を円滑に行えるよう公社等を指導してまいりたいと存じております。
  15. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、加入者に強制的に債券を負担させるような法律は国際的に例がないと聞きますが、どうですか。
  16. 小山森也

    政府委員小山森也君) 先生おっしゃるとおり、世界的に例がございません。
  17. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、拡充法が制定されてから今日まで、加入者債券負担額総額幾らになっておるか、また公社の総建設投資額幾らになっておるか、まずお答えを願いたい。
  18. 岩下健

    説明員岩下健君) お答えいたします。  拡充法以前にございましたいわゆる負担法時代債券引き受けを含めまして、昭和二十八年から五十六年度までの実績で申し上げますと、資金受け入れベースで申し上げまして五兆三千億円ちょうどでございます。これはこの間の建設投資総額二十兆三千億円の約二六%に相当しております。
  19. 片山甚市

    片山甚市君 いまおっしゃったように、五兆二千九百九十八億円という加入者からの債券建設費を賄ってもらった。  そこで、私たちはこの法律については世界に類のない悪法だと言いましたけれども、この悪法によって加入者協力がなければ、今日のような電話完全充足全国ダイヤル化、津々浦々に至るまでのネットワーク、世界に冠たると自称する通信技術の達成はなかったと思いますが、それについての御感想を承りたい。
  20. 小山森也

    政府委員小山森也君) 先生が御指摘のとおりに、昭和三十五年この拡充法が制定される当時は、電話加入者数は約三百六十万加入ダイヤル化率は六七%でございまして、年度末の積滞数は加入数の四分の一に相当する八十六万という状況でございました。このようなときに国会並びに国民皆様の御理解により拡充法が成立いたしまして資金調達の新たな道が開かれ、さらに技術革新も加わりまして、当時の電話加入の数多い要求にこたえることができたわけでございます。おかげをもちまして、今日では電話は四千万加入を超え、さらに積滞も解消し、いつでもつく電話、どこにでもすぐかかる電話実現できたものと考えております。  拡充法わが国電信電話拡充発展に果たした役割りはきわめて多いものでありますが、今後におきましても飛躍的に発展するであろう電気通信にとりまして、きわめて重要な基盤づくりができ得たものと評価いたす次第でございます。
  21. 片山甚市

    片山甚市君 今日の情報化社会と言われるときに、以上のような礎石、基礎をつくられた電話は、国民にとって最低の情報通信手段であるとともに、データ通信ファクシミリなど、今後予想される非電話系の多様なサービスもこの電話基盤発展すると思いますが、いかがでしょうか。
  22. 小山森也

    政府委員小山森也君) おっしゃるとおり、これからのデータ通信ファクシミリ通信等がかなり高度に利用されまして、非電話系サービス展開がさらに進むものと見込んではおります。しかしながら、現在でもなお年間百万を超える需要があるということ、それから諸外国の例を見ましても、たとえばアメリカでありましても総収入の九一%が電話収入であるというような状況を見ますと、今後とも相当の期間基本的な電気通信サービスとして電話というものの地位は続くのではないかと思います。したがいまして、新たなメディアもこの電話を中心にいたしましていろいろ発展していくであろう、このように考えておる次第でございます。
  23. 片山甚市

    片山甚市君 いまそう言われた四千万の加入のうち、住宅用加入電話数はどのぐらいあり、その利用者のうち月額にして約四千円から五十円までの間の利用者は何%に属しますか、電電公社わかっておるはずでありますからお答え願いたいと思います。——わからぬ。時間がもったいないですから私の方から申します。  公社からもらった資料を見ると、三千円から四千円の間の人は六〇・七%おられるようです。四千円から五千円までの間は七二・七%です。この人たちが電話を持っておる四千万のうちの大体過半数を占めておるのでありますから、いわゆる電話を大切にしてもらうということは、この利用者のあたりのところが納得できるようにしてもらいたいと存じます。  以上の諸点から、電話等の加入者は今後とも最も重要なお客様だと思いますが、これからも大切にしていくというおつもりが、郵政と電電の双方から、あるかどうか聞きたい。
  24. 小山森也

    政府委員小山森也君) おっしゃるとおり、電話利用というのは国民の基本的通信手段としていま定着いているわけでございますから、今後ともこれらの方々への利用が不自由にならないというと同時に、良質な電話サービスを続けられるよう努力すべきものと心得ております。
  25. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいま電気通信政策局長からお答えがございましたとおりでございまして、今後とも電話加入者というものに対して十分なるサービスを提供していくことは当然でございます。また、さらに今後いろいろ発展してまいります非電話系サービスにつきましても、今後なお一層力を注いでまいりたい、このように考えておるところでございます。
  26. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、先ほど申しましたように、家庭用電話の四千円から五千円までの人が七二・七%おられるようでありますから、この人たちの負担でINSが行われる、すなわちこれから料金を見直していくときに、ここの方に重荷をかけて、そして高利用しておる人たちが軽くなっていくような政策をとらないように期待をしておくということだけ申し上げておきます。御返答必要でありません。  そこで、拡充法を廃止することが可能となった直接の要因は、債券引き受けてきた加入者ではないかと思います。投資を安定させ、事業発展さしたその一番大きな力は加入債券を買ってくれた国民だと思いますが、このように世界に例のない加入者経営に対する直接な協力があったから今日の国民ニーズにこたえる電信電話公社が存在したのではないかと思いますが、公社からお答え願いたいと思います。
  27. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございまして、この加入者債券によりましてわが国電話社会というものの発展が非常な力になったということはおっしゃるとおりだと理解しております。
  28. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、先ほど総投資額の二六%強に属すると言われるように、この際、加入者債券引き受けたということによって、この役割りは今日のいわゆる電信電話事業基盤の形成にかかわったということで加入者の持っている意義は明らかだと思うんですが、その点についてのもう一度確認を願いたいと思うんです。
  29. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございまして、繰り返しになるかもわかりませんが、現在のわが国電気通信の資産形成にこの加入者の方々の債券引き受けというものが非常な力になって現在の電気通信のネットワークが形成されたと、このように理解をしております。
  30. 片山甚市

    片山甚市君 その上に、設備負担料もそのときに応じて引き上げてもらって負担をし、設備拡充については国民の全面的な協力があったことについてもう一度かみしめてもらいたいと思います。  公社の将来展望に触れて言えば、電話系事業が非電話系事業にとってかわるということにこれからいつごろなるのか、どのようなドラスチックな方法があるのか、それについてお答えを願いたいと思うんです。
  31. 池沢英夫

    説明員(池沢英夫君) 加入電話につきましては、いま先生おっしゃられましたとおり、大体行き渡ってまいったわけでございます。ただ、より便利なサービスということで、いわゆる黒電話以外のいろんな便利な電話サービスということでは今後さらにまた進めてまいりたいと思っておりますが、データ通信あるいはファクシミリなどのいわゆる非電話系、いま先生がおっしゃいましたそういったサービスにつきましていろいろ御要望も非常に高まっているわけでございます。  当面、いま公社といたしましては、御案内のとおりファクシミリ通信網あるいはDDX、そういったものを個別なネットワークで提供しております。また、宅内の方もいろいろ、電話だけでない複合した端末の利用も考えられるわけでござい ます。  そういったことで、電話系におきましても非常に効率的に安くサービスを提供できるディジタル通信網を構築してまいるわけでございますが、これとあわせて非電話系サービスも、このディジタルの通信網を通じて、親和性がありますので、やはり効率的に提供できるわけでございます。で、こういったINS、こういったより安く、より便利な、経営を含めましたサービス、まあINSの形成ということで申しておりますが、これは長期経営目標ということでございまして、まあネットワーク自体、システム自体十五年から二十年ぐらいかけて実現を図ってまいりたいというふうに考えております。  具体的な非電話系サービスもまだ始まったばかりでございますが、武蔵野・三鷹地区でモデルシステムを実施してまいるわけでございますが、御利用される方々の意向あるいは利用の仕方等をそのシステムでいろいろやるわけでございます。電話あるいはファクシミリあるいはデータ通信というように送受する情報量といたしましてはかなり電話よりも非電話系の方が多くなってまいるわけでございまして、今後の送受される情報量の中でとらえますと、非電話系サービスというものは重要な役割りを果たすものというふうに期待しているわけでございます。
  32. 片山甚市

    片山甚市君 非電話系電話系にいつ主導権を取りかわるのかという質問をしたんですが、わからぬということで答えたと思いますから、もうよろしい。そう長々言えと言ってないんですよ。時間がないんですよ。公社みたいに遊んでいるのと違うんですよ、こちらは。時間がないんだ。  今後の新しい投資とは金もうけのためであり、そのためには公共事業として公衆電気通信事業、また電気通信産業とは無関係ないわゆる情報産業などのサービスにこれから電電公社を変質さしていくつもりでありますかどうか、お答え願いたい。
  33. 山口開生

    説明員(山口開生君) 先ほどから先生がおっしゃっておられますように、私ども大宗は電話サービスは当分続くと思いますが、その後はやはり非電話系サービスがふえてくる。したがいまして、まだいま現在時点では何年度からこの方が電話よりも多くなるということはちょっとわかりませんけれども……
  34. 片山甚市

    片山甚市君 わからぬ。いいです。
  35. 山口開生

    説明員(山口開生君) これから十年とか、そういった単位になろうかと思います。
  36. 片山甚市

    片山甚市君 あとの分。新しい投資はどういう金もうけのための仕事をするのか。
  37. 山口開生

    説明員(山口開生君) したがいまして、そういった新しい投資につきましては、主としていま非電話系サービスがふえてまいると思いますので、そういったサービスを支障なく、しかも豊富に、しかも安く使っていただけるような形で投資を進めてまいりたいと思っております。
  38. 片山甚市

    片山甚市君 まだ見通しの立たない非電話系の仕事を模索しながら新しい投資をしていきたいということを聞いたと本日は承っておきます。  次に、現在の負債額と今後の債務償還計画はどのようになっているか。公社は九兆円を超える既存設備の維持改善のため、国民の要求にこたえ得る新規事業への投資、さらには電信電話債券債務償還等、引き続き膨大な資金需要が見込まれておりますので、それについてはどうなっておるか聞きたいんです。
  39. 岩下健

    説明員岩下健君) 五十六年度末の実績で申し上げますと、現在の長期負債、いわゆる固定負債でございますが、五兆三千三百億円でございます。これの過半が加入者引き受けいただいた債券、これが約二兆七千百億円でございます。五兆三千三百億円の今後の償還の計画でございますが、五十七年度は約五千九百億円、これはもう実施をいたしました。五十八年度の計画は現在御審議いただいております予算の中に計上してございますが、五千八百億円。五十九年度は現在の見込みでは五千七百億円。六十年度が五千九百億円。六十一年度以降は六千億円を上回るものと現在のところ考えております。  なお、今後の新しい投資、特に先生御指摘の研究投資につきましては今後特に重点を置いて実施をしてまいりたいというふうに考えております。
  40. 片山甚市

    片山甚市君 わかりました。  加入者債の廃止で、今後の電話加入増、債務償還等に対して特別債を大量に発行することになっておりますが、債券市場の動向と今後に予測される特別債発行の場合の消化の見通しについてはよろしいでしょうか。  公募特別債の場合、その発行手数料等で他の債券に比較して公社の負担が大きくなっておる。たとえば発行額面に対して〇・五%ぐらいの手数料を取られておりますが、これでいいのでしょうか。
  41. 岩下健

    説明員岩下健君) 今後の公募特電債を中心とします資金調達でございますが、債券市場につきましては御存じのとおり、昨今非常に目まぐるしい変動がございます。今後の動向を的確に予測することは非常にむずかしいわけでございますが、基本的には現在公社事業収支はおかげさまで黒字基調でもございますし、また極力各種の施策によりまして、債務の増加、つまり借金をこれ以上ふやすということを抑制するように努力をしております。こういう財務基盤確立努力というものを反映いたしまして、金融市場におきます公社の信用といいますか、レーティングといいますか、国内外を通じましておかげさまで良好なものになっておりますから、今後この公募電電債を中心といたしました資金調達につきましても、市場のそうした評価を基礎といたしまして、この消化は十分可能であろうというふうに考えておるわけでございますし、またそういった可能なような状況ができるように、今後さらにこの経営効率化、またこれによります財務基盤確立努力をしてまいりたいと、かように考えております。  それから手数料の問題でございますが、現在のいわゆる発行コスト、これは引き受けシンジケート側の手数料、それから利払い、元金の支払いの手数料等も含めますと、公募特電債の場合に約〇・三ないし四%程度でございます。したがいまして、現在公募特電債が応募者利回りで七・八六%でございますが、実際の発行コストが約八・三%前後に相なっておりまして、現在のところ日本のこうした債券市場の実態から見ますと、このコストはほぼ妥当なものだろうというふうに考えておるわけでございます。
  42. 片山甚市

    片山甚市君 公募特別債を発行していかれるそうであります。この場合、引受者側に魅力あるものにするためには、たとえば償還期間を十年とするだけでなく、弾力性のある配慮などについてどう考えておられるか。
  43. 岩下健

    説明員岩下健君) 先生御指摘のように、債券の円滑な消化のためには、債券の持つ市場におけるいわば商品性と申しますか、投資家にとっての魅力というものが必要でございます。これは私どもの発行コストの側から見ましても、こういった債券の種類の多様化ということは、いままでも努力してまいりましたし、今後もいろいろと研究をしてまいりたいと思っております。これにつきましては、国内の問題もございますし、また海外における外債の問題もございます。いずれにしましても、財政当局等の御協力も得ながら今後研究をしてまいりたい、かように考えております。
  44. 片山甚市

    片山甚市君 償還期間の十年というのを、五年または三年というようなものに考えられませんか。
  45. 岩下健

    説明員岩下健君) 現在のところ成案を得ているわけではございませんけれども、満期について十年以外のものにつきましても十分これは先生御指摘のような形のものも研究しなければいけないというふうに考えております。
  46. 片山甚市

    片山甚市君 財政投融資による政府引受債はその他の調達手段に比べてコストが低いと考えられますが、また簡保の資金運用権を持つ郵政大臣として、電電公社発行政府引受債をふやす意思はないか、どうでしょう。
  47. 魚津茂晴

    政府委員(魚津茂晴君) 電電公社にかかわる政 府引受債につきましては、簡易保険郵便年金資金運用対象としても好適なものでございますので、従来からその大部分を簡易保険郵便年金資金引き受けてきているところでございます。今後、財政投融資計画において電電公社にかかわる政府引受債が増額されるような場合は、簡易保険郵便年金資金でこれを引き受ける用意は十分ございます。
  48. 片山甚市

    片山甚市君 財投の融資による政府引受債は他の調達手段に比べてコストが安いと思いますが、いかがでしょう。
  49. 魚津茂晴

    政府委員(魚津茂晴君) 先ほど来電電公社の方から御説明かございましたように、資金調達としていろいろのものがございますが、たとえば縁故債から見ますと私どもの簡保の運用利回りというのは少し高いわけでございます。ただ、公募特別債というようなものを例にとりますと、私どもの運用利回りというのは低うございます。したがって、資金調達としては安いコストということになるわけでございます。
  50. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、時間も参りましたから、電話加入権質に関する臨時特例法改正案についてお聞きします。  質権法の再延長についてお聞きしますが、今回の改正によって本制度が再延長されることになりますが、その存続期間を「当分の間」といたしましたのは、先ほどの加入債券と同じように暫定的であるのですが、なぜ期限を切らなかったかについての御説明を願いたい。
  51. 小山森也

    政府委員小山森也君) この電話加入権質のそもそもの最初から申し上げますと、昭和三十三年に、当時電話の需給関係が非常に不均衡であった。それから生じますところの電話の財産的価値、これに着目いたしまして、本来法律では認めていなかったところの担保として使われまして、いわゆる譲渡担保のような形で非常に金融秩序の中においては秩序を乱した形で担保として扱われていたわけでございます。したがいまして、これを金融秩序に沿ったところの担保として取り入れるべきであるというところから、昭和三十三年にこの臨時特例的なものとして質権法が設定されたわけでございます。その後昭和三十五年に至りまして、今度は先ほど御質問等がありました電話拡充法ができまして、昭和三十三年にできました時限立法でありますところの質権法が昭和三十八年に時限立法として廃止されるところであったんですけれども、今度は拡充法によって債券の強制引き受けというところで、今度はその金融の手段加入者に与えるべきであるというところからうらはらの関係といたしましてこれを延長いたすことといたしまして、後に四十八年にも同様な考えでこれが延長されたわけでございます。  ところが、今度は拡充法を廃止するということでございますけれども、このような形で進行してまいりましたこの電話加入権質制度でございますけれども、いまや金融市場におきまして非常に定着しているというところから、いまこれを廃止することはむしろ金融担保ということで非常に金融秩序が乱れるおそれがあるということになってまいりました。したがいまして、これを延長することとしたわけでございますが、今後ともそういった意味で庶民金融の非常に重要な手段として定着しているからにはこれは存続すべきであろうと、このような考えのもとでの「当分の間」というように理解いたしている次第でございます。
  52. 片山甚市

    片山甚市君 最後に公社にお聞きしますが、電話加入質権の設定件数とその傾向はどういうことになっているのか。さらに、増加しているという事実について公社としてはどのような認識をされておるか。さらに三つ目に、電話加入権というものの社会的、経済的価値がそれなりにまだ高いということを認めておられるかどうか。  本法律案電話加入権の財産的価値を認めたものであり、現実にこの権利によって無担保融資などの利便を受けていることは、将来にわたって加入者に対する利便の供与という保証があるべきだと考えるが、その価値の見通しやサラ金、一部金融業者の動向などについてどのように把握されておるか。このサラ金や一部金融業者の動きなどというものについては郵政省にお答え願いたいと思います。  また、廃止するというような状態はどのようなことになったときに廃止されるのか。いまは当分の間続けていくというお話でありますが、それは郵政省のお考え。初めの質問の方は、公社の方が実態的にお答え願いたいと思います。
  53. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) 先の二問についてお答えいたします。  設定状況でございますが、五十六年度、前年度で三十六万九千件ございます。なお、参考までに五年前の五十二年どのくらいございましたかというと、三十一万八千件。したがいまして、先生御指摘のように微増しております。微増でございますけれどもふえておるということでございますけれども、一般的にこれまた先生御指摘のように、小口の金融というのは最近一般的にふえておるようでございます。いわばそういう意味でこれもその線に乗ったということでございますが、私ども特に調査をしたことはございませんけれども、それ以外に加入権質という意味で言いますと、だんだん制度といったものは皆さんに知れ渡ってきたというようなこともあるかと思います。それからまた、こういったものを扱う業者の方の宣伝といったものも私ども日ごろよく見かけるところでございます。そういったようなことが微増の原因ではないかと私考えております。
  54. 小山森也

    政府委員小山森也君) 電話質権制度というのは小口金融の担保手段としてしっかり国民になじんでおるということは先ほどお答えしたとおりでございますが、また同時に先生御指摘のように、この制度を取り巻く金融環境というのは常に変化しているわけでございます。したがって、利用の実態も変わっていくと思います。したがいまして、今日ただいま電話質権制度の廃止の条件を具体的な形でどういうものであるかというのはなかなか申し上げられない次第でございますが、ただしかし国民生活になじんだこの金融制度の実態的な利用の状態、それが現在のような形で推移している限り、この制度存続していくことがよいことではないか、こう思っておる次第でございます。
  55. 片山甚市

    片山甚市君 四千万の電話加入者があって日本電信電話公社経営が成り立っておる。その約七割近くが住宅用電話を使っている一般庶民の生活必需品である。これに着目した料金の問題あるいは事業発展を考えてもらう。産業用のために一般の国民が犠牲にならないようにしてもらいたいということで質権の問題についても賛成いたしますし、また加入債券については国際的な悪法でありますから、これが廃止されることは喜ばしいことですが、過去四千万つけるまでの間にこれだけの努力をしてくれた国民に感謝をせなきゃならぬという立場から、これで質問を終わります。御答弁は必要でありませんが、大臣にもし所見があったら言ってほしいんですが、一言。
  56. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) ただいまお話のございましたように、いまの電話というのはその加入口数において家庭電話が大半を占めておるわけでございます。別の言葉で言えば、電話通信サービスというのは国民生活の中に密着をした事業として運営をされているということでございますから、この点について利用者国民の負担をできるだけ軽減させるという立場で私どもとしては今後の電気通信行政運営いたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  57. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、ただいま議題になっております法律案につきまして質問さしていただきますけれども、私たちもこの法案につきましては賛成という立場でございますので、片山委員の方から御質疑がありました点につきましてはなるべく重複を避けて質問さしていただきたいと思います。  最初に、これは非常に素朴なあれなんでございますけれども、公衆電気通信法におきましては、この電話加入権に対する質権の設定というのは禁止しておるわけでございますけれども、ここでま たあえて臨時特例法改正してまで質権制度を認めようとしておるのは何ゆえなのか。  あるいは、先ほどちょっと御質問もありましたけれども、現在なお電話加入権庶民金融担保物として利用されている社会的な実態、これを考慮したと言っておりますけれども、その実態はどのようになっているのか。  あるいは、この特例法が廃止された場合に加入者等にどのようなデメリットがあるのか、その点お聞きしたいと思います。
  58. 小山森也

    政府委員小山森也君) 御質問の趣旨、多分法律で本則で禁止しておるものを延長延長と再三延長することについての御疑問だろうと思います。  公衆法で質権の設定を禁止しておりますのは、やはり担保の手段といたしまして、非常にこれは権利質でございますので、第三者に対する表示の方法とかいろいろ法定化されております。それを行いますのはなかなか手数の要る仕事でございまして、それと同時にこの財産的な権利義務の関係がございますので、万一これに瑕疵ある行為というものがございますと、その権利者間に相当な損害をかけることもあるということの本来的な意味があるということと、もしこれを扱うときに非常に電電公社自身の附帯業務であるにかかわらずかなりの事務量が増加するのではないかというところから本則にないわけですが、しかしながら先ほど御説明申し上げましたけれども、昭和三十三年当時の電話の需給関係からくる財産的価値というのは、当時の金融市場からいたしますとその担保力が非常に魅力あるものであるということ、それに伴いまして本来認められていない抵当権の設定というのが譲渡担保等別の手段によって行われて、権利関係はむしろ複雑になり、不正常な金融秩序に導くおそれがあるというところからこの質権が設定されたわけでございます。この質権法が設定されまして今日まで参りますと、現状は、ただいま先生も御指摘なさいましたように、まさに小口金融界の担保手段として定着しているという現状でございます。したがいまして、そのような現状を急激に変更するということによる秩序の乱れというものをむしろここで延長することによって防ぐことが、いろいろ庶民の実際的な生活上において実態に即しているというところから、あえて本則には関係なしにこのような延長の形でお願いしたという次第でございます。
  59. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど片山委員の方からも質問がございましたけれども、「当分の間」としている点も問題として指摘もありましたけど、さらにサラ金の法案ですね、規制がどのような状態になるのかという点も考慮にされていることでございますが、その点はどのような状態になった場合これが廃止できると、このように見ていらっしゃいますか。
  60. 小山森也

    政府委員小山森也君) 金融界の実情がどういうときにということは明確に申し上げるのは非常にむずかしい点がございますが、ただいまサラ金の話が出ましたけれども、サラ金では、無担保でしかもかなりの金額であるけれども、逆に利子がきわめて高いというようなこともあります。それに対しまして、無担保でなしに電話加入権という担保が設定され、かつ、しかも金融秩序に沿った形での利用がされるということが続きますれば、これが実態的に利用が少なくなるというようなことになった場合に、やはり本則に戻って廃止すべきであろうと、このように考えております。
  61. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまの電話加入権の市価というのはどの程度ですか。  また、先ほどは質権の件数もお話にありましたけれども、質権に対する融資額等はどのようになっておりますか。
  62. 岩下健

    説明員岩下健君) お答えいたします。  電話の市価でございますけれども、これはお客様が売る値段、それから業者が売る値段といろいろございますが、大体私どもいま把握しておりますのは、業者がお客に売る値段で八万円弱ぐらいの程度、こういうふうに理解しております。  それから、融資の実態でございますけれども、当然、市価がそういう値段でございますから、そう高い金額はございません。五万円から高くて二十万円、こういうような金額のように私どもの調査では、一部特別調査でございますが、出ております。
  63. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 郵政当局では電話加入権を担保とした小口金融であると言われておりますけれども、いまのお話ですと電話加入権の市価以上に融資が行われている現状等も見られますので、私はこの質権制度というのは大きく変質をしているんじゃないかと思いますが、その点どうでしょう、どう考えますか。
  64. 岩下健

    説明員岩下健君) なかなか具体的な数字等でお示しできないんですけれども、私どもいろいろな形で把握しているところによると、融資条件というものが、大体年率でいいますと二〇%以下というのがほとんどのようでございます。一部二〇%を超すのもあるようでございます。二〇%というのは、先生御存じのとおり、利息制限法で言う限度でございますので、おおむね利息制限法の範囲に入っている融資が多いと、こういうふうに私どもは見ております。
  65. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この質権制度臨時特例法によりまして昭和三十三年発足してからもう四半世紀運用されているわけですけれども、臨時暫定的な措置とは言えないような長さになってきているわけですが、また今回もこうして当分の間延期するということでございますけれども、先ほど局長の方からも話がございましたけれども、むしろ本則に戻って、状況等の環境の変化も来ておりますので、公衆電気通信法の中で措置した方がよりすっきりするんではないかと思いますが、その点どうでしょうか。
  66. 小山森也

    政府委員小山森也君) やはり、公衆電気通信法の原則からまいりますと、この質権を設定しますのは、やはりまず第一に、権利関係が複雑になるという財産的ないわゆる権利義務との関係、これをまた電電公社の事務によってそれを保証していきますといいますか、証明していくということになりますと、本来的な業務でない附帯業務における責任関係が非常に強くなるということになります。また、そういったことから、実際この手数がかかるということのほかに、この事務を完璧にやるために、電電公社当局の話では非常に職員等も神経を使うというようなことでございます。ですから、この関係と質権存続することによりまするいわゆる庶民の金融としての担保力の問題との比較考量になろうかと思いますけれども、やはりこのような電話加入権質が恒久的であるということは、いまの電電公社制度、あるいは公衆電気通信法のたてまえから、本来のあるべき姿ではない、このように考えておるわけでございます。
  67. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、拡充法のことについてお伺いしますけれども、この拡充法の廃止に伴いまして電電公社では今後相当な資金需要が見込まれていますね。INS等の巨額な設備投資も必要でありましょうし、そういった点でどのような資金調達を進められるのか、お答えいただきたいと思うんですが、これによると「一層の経営効率化により内部資金充実を図る」、あるいは「資金調達手段多様化、自主資金調達力の強化等に努力することによって、財務体質の改善を図りつつ、コストの低い資金確保に努める」ということがおたくのお答えではないかと思いますが、もっと具体的にお話し願えますか。
  68. 岩下健

    説明員岩下健君) お答えいたします。  今後の資金調達といたしましては、継続投資のほかに、数千億に上る債務償還も実施しなければいけないわけでありますけれども、恐らく二兆円を超える資金を毎年度必要といたします。その場合にやはり企業といたしまして第一に考えるべきなのは、内部資金充実、端的に言えば、利子のかからない形での資金をまず確保するということが先決かと思います。これは、当然、経営効率化によりまして支出額の確保あるいは減価償却引当金の確保、こういったものが第一になるわけでございます。  次に、これで足りないものをいわば外部借り入れによるわけでありますけれども、この場合に、 先生もただいまおっしゃいましたような調達手段多様化、あるいは調達力の強化というものを具体的に申し上げますと、まず、国内におきましては、公募特電債を中心といたしまして、そのほかに金融機関引き受けのいわゆる非公募電電債という形がございます。それからまた、これは一昨年から実施をいたしましたけれども、いわゆる協調融資方式とでも申しましょうか、都市銀行あるいは信託銀行、生命保険各社等をメンバーとしますシンジケートを編成していただきまして、ここから長期資金を導入するということを実施してまいってきております。したがって、こういった一般の債券市場からの公募特電債の形での調達、金融機関からの非公募特電債ないしは長期のローンの借り入れ、こういったものが国内において考えられるわけであります。その場合、やはりこの満期あるいはその他債券の商品性としての質を高めるような努力を今後していかなければいけないだろうと思っております。一方、海外におきましては、現在アメリカは非常に金利が高うございますのでここ数年発行しておりませんけれども、スイスあるいはドイツの——これはマルクでありますが、市場におきまして発行実績を最近持っております。特に、本年初めでありますが、いわゆるマルクあるいはスイス市場よりもさらにふところのいわば広いユーロダラーのマーケットからユーロ債という形で資金を調達をいたしました。この場合でも、国内あるいは海外ともに共通でありますけれども、冒頭申し上げました内部資金充実ということは、経営基盤確立ということが、外部から資金を借り入れます場合にも、借入条件のまず最たるもののファクターとして働くわけでございます。したがって、資金の数量的な面でまず内部資金充実すると同時に、外部借り入れにつきましても、資金コストをできるだけ低くするという点から考えましても、この経営効率化ということが第一かと、かように考えております。
  69. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この資金調達状況を見ますと、五十二年に八百二十億円の借入金が、五十三、五十四年はなくて、五十五年から百億、百億になっているわけですね。五十七年度はまだ一応構成比はわかっておりませんが、全体として特別債、借入金で一九・二%となっていますね。今度五十八年度予算では二九・八%になるわけですが、この借入金の構成比がふえてくるのかどうか、その点どうでしょうか。
  70. 岩下健

    説明員岩下健君) ここ二、三年来の状況を申し上げますと、先ほど申し上げました内部資金とそれから利子のかかるいわゆる外部借り入れとの構成の割合は、内部資金が六〇ないし六五%、それから外部資金が三五ないし四〇%ということになっております。今後この傾向は基本的には恐らく変わらないかと思いますが、なおよりこの内部資金のウエートが上がりますように一層努力をしてまいりたいというふうに考えておりまして、結論的には、借入金のウエートが現在の三十数%のオーダーがそう基本的には変わらないだろうというふうに考えております。
  71. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いや、私の申し上げたのは、借入金というのは別項目ありますね、百億、百億と、五十五年、五十六年と。五十七年はどのぐらいになっているんですか。
  72. 岩下健

    説明員岩下健君) 具体的な形での債券発行ではない形の、いわゆる狭義の借り入れでございますが、これにつきましては、五十七年度は当初二百ないし三百億円程度を実は予定をしたわけでございますけれども、幸い増収等もございまして、借り入れをせずに、これをいわば利子のつかない自己資金に置きかえるのが可能でございますので、五十七年度は借り入れの実績はゼロでございます。五十八年度は恐らく数百億のオーダーで借り入れの形の資金調達をしなきゃいかぬだろう、かように考えております。
  73. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国庫への臨時納付金の件ですけれども、これが五十九年度分を千二百億円、これは五十八年度に前倒しをして、五十八年度は二千四百億円になっているんですが、何かこのときに政府側からいろんな面での圧力がかかったと聞いていますが、その点どうでしょうか、何かありましたか。
  74. 岩下健

    説明員岩下健君) 国庫納付金は、先生御存じのとおり、五十六年度から四年間総額四千八百億円を国の財政再建の協力として公社が納付するということが臨時かつ特例の制度として決まったわけでございます。五十八年度の予算編成の過程におきまして、政府の五十八年度における財政におけるいわば歳入補てんといいますか、財政状況からしまして、これは電電公社だけでないと聞いておりますけれども、各方面にそういった財政再建用のための協力という要請が行われたわけでございまして、その間、政府の間の調整がございまして、四千八百億円という総額の範囲内でいわゆる五十九年度のものを前倒しして五十八年度に一括支払ってほしいという御決定が政府側でございまして、公社としても、これはもちろん影響はあるわけでございますけれども、この影響額につきまして、できるだけこれを小さいものにとどめるというようなめども立ちましたし、また政府におきましても、五十八年から五十九年に至るいわば資金繰りが公社の方で苦しくなるわけでございますが、これにつきましては財政資金の方で手当てをすると、措置もございましたので、これをお受けすることにいたしまして今回の予算案の中に盛り込んだわけでございます。
  75. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ちょっと時間になりまして、最後になりますけれども、先日、行政改革の焦点の一つであります日本電電公社改革問題があった、専売公社と電電の両公社改革案につきまして、これが何か水入りになったとか、今国会改革案を提出する方向だったのが何か方向が変わったのじゃないかというような報道がされておりますが、十六日に自民党の小委員会真藤総裁と西井総務理事がいろいろと公式的に公社の見解を述べたばかりのうちに、何か幕引きされたような感じだということで報道はされておりますが、その点はどうでしょうか、何か総裁あるいは郵政大臣お考えになっていることがございますでしょうか。
  76. 桧垣徳太郎

    国務大臣桧垣徳太郎君) 電電公社経営形態の改革の問題につきましては、昨年の九月に閣議決定されました行革大綱に従ってとり進めるという方針に変わりはないわけでございます。  ただ、この問題は各方面にいろいろな御議論がございますし、また郵政当局といたしましても、事は経営形態だけの問題ではなくて、電気通信行政の基本にかかわる問題でもあるわけでございますから、慎重に検討を進めており、また与党・自由民主党と政府との行政改革推進本部におきましても、慎重な検討の姿勢で取り組んでおるわけでございますので、新聞報道ではいろいろ言われておりますが、私自身は、基本的には昨年九月の大綱に従って物事が進んでおるというふうに理解をいたしておるわけでございます。  なお、電電公社から意見の開陳があったことも承知をいたしておりますが、補足してのお答えがあろうかと思いますけれども、郵政大臣としては、これは電電公社内部において御勉強中の案が御披露をされた、また御勉強中の段階での御意見が述べられたというふうに理解をいたしておるところでございます。
  77. 真藤恒

    説明員真藤恒君) いま大臣から御説明がありましたとおりでございまして、私ども行革大綱に従っていま郵政当局の御指導を得ながらいろんな勉強をいたしておりますが、こういうことについてどういうふうな勉強をしておるか、またどういうふうに暫定的に考えておるかという御質問に対しては、そのとおり、勉強をしておるとおり素直に御説明申し上げるということを続けておる次第でございまして、結論的なものではもちろんございません。
  78. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 では、また次回に。
  79. 山中郁子

    ○山中郁子君 拡充法の関係につきましては、私どもは不当で過大な負担を加入者に強いるものであるという立場で、この制定並びに延長について一貫して反対をしてまいりました立場でございますので、廃止はもちろん当然のことであると考えております。  質権法の問題は、いろいろ御説明もあった実情に照らして、本法案についても賛成の立場をとるものであります。  拡充法の廃止に関連いたしまして、法案の理由に「電信電話等需要を充足するための態勢が整ったことにかんがみ、」という言葉が使われておりますが、それなりに政府公社の判断としても一つの区切り点という形の理解だと思うんですが、私はそういう立場からこの法案の審議に際しまして、加入者負担ということにつきまして設備料問題を大変短い時間なんですけれども二、三お伺いをしておきたいと思います。  関係者の方、覚えておいでだと思いますが、たしか五十一年の値上げの際に私はこの設備料問題についてかなり突っ込んだ分析もし、公社のお考えも伺い、値上げの不当性ということについて提起をしたわけでございますが、つまり、簡単に言ってしまえば設備料というのは加入者に返却しないお金なんだから、これは当然収入に計上するべきである。資本勘定に入れて結局減価償却の対象にしていくということは、簡単に言ってしまえば二重取りじゃないかということで問題提起いたしました。少なくとも、やはり返さないならば、しかも設備料を取ってこれを収入に計上しないならば減価償却の対象から外す、圧縮記帳ですね、そういう扱いをとらなければ論理的にも矛盾するし、実際上は当然加入者に二重の負担を押しつけるという不当なものになっている。この点については御検討をなさる気がおありにならないかどうかちょっとお尋ねをいたします。
  80. 岩下健

    説明員岩下健君) 設備料の性格、特に会計処理と関連いたしました設備料の性格並びにそれに基づく取り扱いにつきまして山中先生からの、五十一年の秋でございますが、当委員会におきまして種々御質問がございました点は十分承知をしております。そのときに公社側から答弁いたしましたものを引き続き私どもは検討してまいりましたけれども、基本的にはあのときお答えをいたしました考え方を現在特に変えてはおらないわけでございます。  と申しますのは、設備料の性格といいますか定義から申しまして、先生御存じのとおりに、これは加入電話の新規加入の際に工事をして電話利用できるようにするための料金でありまして、新規架設の工事に要する費用のうちに充当する、こういうことになっておるわけであります。したがって、この点で電気通信設備利用者に御利用していただく通常の対価としてちょうだいします基本料、あるいは通話料といった形で日々のサービスの対価としていただくものとは性格を基本的に異にする。つまりこういう日々の経常的に受け入れる料金はいわゆる経常勘定として損益勘定収入に計上するわけでございますけれども、設備料はそういった性格でございませんので、これをむしろ工事のための経費の一部に充当するということをわかりやすく会計処理の面でも表示するためにも、これは資本勘定収入、つまり財務諸表で申しますならば資本剰余金に経理をすることが妥当であろうというふうに現在でも考えておるわけでございます。  したがって、そういたしますと、これの見合いとして形成されました固定資産につきましても、先生ただいまおっしゃいましたようないわゆる圧縮記帳という方法はとるべきではないだろうというふうに考えておるわけでございます。つまり、圧縮記帳と申しますのは、これは私申し上げるまでも……
  81. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっと待って。  委員長、ちょっと聞こえないんで、私語に御注意くださいませ。ちょっとうるさくて聞こえないんです。
  82. 八百板正

    委員長八百板正君) お静かに願います。
  83. 岩下健

    説明員岩下健君) と申しますのは、圧縮記帳というのは、私が申し上げるまでもございませんけれども、商法に準拠いたしまして入ってきた、いわば外から入ってきた収入は、特定した収入だけが資本準備金として経理できますけれども、そのほか収益勘定に経理をするということがございます。したがって、この点で税法との間の調整が出てまいりまして、税法上特に特例を設けまして一種の減価償却を設備料相当の——これは具体的には電気事業等の工事負担金でございますけれども、設備料相当の金額のものを固定資産の額から除外しまして、いわゆる圧縮記帳をしまして減価償却を行う、つまり減価償却の金額だけ利益がふえるわけでございますので、一年度にその課税対象利益増加をするということを避けるために、いわば償却期間にこれを分割していわば納税するという一種の徴税上の必要から圧縮記帳というのは出たように承知をしているわけでございます。  公社の場合にはただいま申し上げましたように収入の性格がむしろ資本取引だということと、それからまた税法の適用でもございませんので、五十一年にお答えしましたように圧縮記帳を行わないで、すべての固定資産につきまして本来の取得価額で計上するという方法が妥当だというふうに考えておるわけでございます。
  84. 山中郁子

    ○山中郁子君 次の機会にまたそれは引き続き解明していきたいと思います。  それでこの設備料ですけれども、一貫して指摘しているんですけれども、一般加入電話の一加入当たりとサービス工程原価を見ますと、一般加入の場合には一加入当たり二万円余円、ファクシミリ四十万円、ミニファクス十七万円、ビジネスホン五万円、ビル電話二十二万円、こう出ていますね、今度の公社の予算でも。これがやはり一加入当たりの比率というのは非常に不公平になっているので、もしその設備費の一部負担と言うなら、その負担割合も同程度に、つまり同率に少なくともするべきではないかということもかねてから私指摘してきたところで、これはたしかこの前の質問のときに郵政省もその不公正さについては問題があるということを認めておられましたので、この辺の御検討がされていらっしゃるかどうか、そのお考えについてお伺いいたします。ちょっともう余り時間ないんで、簡単に答えて。もう一つ伺いたいことがありますから……。
  85. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 設備料の性格につきましては先ほど申しましたとおりでございますが、加入電話設備料とファックス、ホームテレホンなど、先生がいまおっしゃいましたものとは性格が異なっておりまして、設備料というのはまず加入契約を結んでいただく加入者の方に、基本的な電話を、一台日の電話をいつでも利用できるようにしていただくための費用に充当するという性格のものでございます。  ところが、プッシュホン、ホームテレホンなどはこれはすでに加入権を持って加入電話を引かれた方が、二台目あるいは三台目の電話として、あるいはその電話線を使ってファックスを送りたいという方がファクシミリをお使いになるという、そういう附属設備あるいは接続機器のような形でお使いになるものがその他の機器でございます。したがって、そのようなものを設置するときにはお客様からは設備費というものはいただきませんで、工事費相当額、それから使用料につきましてはレンタルで使っていただくという形になっております。
  86. 山中郁子

    ○山中郁子君 私の申し上げているのは、たとえばそれじゃデータ通信の場合を引き合いに出してみればすぐわかるんですけれども、おたくの方なかなか数字をお出しにならないんだけれども、投資額一千二十五億円という莫大なお金で、そして設備料は六十六億円という、ものすごくそれは均衡を欠いているわけですよ。一般の国民が使う一般加入電話と、企業が中心的に使うこうした企業用の施設、そうしたものについての設備料の負担というのがまるで公正でない。そのことは、あなたがいまおっしゃったのは全くすりかえの議論でありまして、そのことを私どもは一貫して主張しているわけです。もう時間ありませんからそれはいいです。引き続きこれはやりますけれども……。  それで、この際、この拡充法の廃止ということについては、初めにも申し上げましたように電話普及が一段落したというような背景もおたくの 方はおっしゃっている。であれば、この際設備料を引き下げてみたらどうですか、一般加入の。そして、いま電話普及したとは言うけれども、実際問題としてまだまだ電話需要を喚起する努力というのはあなた方されているはずだし、それで現に電話をつけたくても実際についてない下宿にいる学生さんだとか、そういうような層というのはまだ相当あるはずだと思うんですね。それが設備料を引き下げることによって需要を喚起していくということは大いに考えられることであるというふうに思っておりますから、まず第一に設備料の引き下げを検討するべきであるし、なさる気があるかどうかということをお尋ねします。
  87. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) いま先生おっしゃいましたとおり、電話需要というのは、いまも百万以上ございますし、今後もそれ以上の需要が出てくるものと想定をしております。  で、電話の架設をこれからもわれわれは一生懸命やっていかなければならないわけでございますけれども、そのための資金調達については、いま御審議いただいている拡充法の廃止によって必ずしも容易なものとは考えられませんし、これからも安定、良好なサービスを維持していくためにはやはり現行設備料を存続させる必要があるだろうと思っております。  それから、設備料というのは新規に加入する場合に一回限りの負担でありますし、これをお払いいただくことによって加入者としての地位が永久に取得できる、それから譲渡等もできるという性格を持っておるということも考えまして、やはり加入者の新規架設に要する費用についてはこれからも相当額の費用がかかりますので、現在のところ現行料金を引き下げるということは考えておりません。
  88. 山中郁子

    ○山中郁子君 独身者用の社宅などに個別に電話はついていないケースはずいぶんありますわね。で、管理人さんのところでまとめてめんどう見ていると。そういうようなところに、いま私がたとえば設備料を下げてというふうに申し上げましたけれども、そういう需要ですね、潜在需要なんかについてはどういう調査をされていらっしゃいますか。何か数字があったらお示しいただきたい。
  89. 池沢英夫

    説明員(池沢英夫君) お答え申し上げます。  二人以上の普通世帯普及率はほとんど一〇〇%近くいっているわけでございますが、いま先生おっしゃっておりましたアパートの一人住まい、単身の世帯の普及率でございますが、およそ半分ぐらいではなかろうかと、世帯数の。普及率で申しまして二世帯に一人ぐらい、単身ですから一世帯くらいではなかろうかというふうに考えております。
  90. 山中郁子

    ○山中郁子君 何だか余りよくわからない。余り調査がされてないということかしら。意味はどういう意味ですか。たとえば、電話のついてない世帯で需要があるのはその半分ぐらいだろうと、こういうお話。
  91. 池沢英夫

    説明員(池沢英夫君) 単身の世帯数のうち半数ぐらいが電話をお持ちだということでございます。半分の世帯がですね。
  92. 山中郁子

    ○山中郁子君 わかりました。終わります。
  93. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ちょっと腰を痛めておりますので、座ったままで質問をお許し願います。  質問通告してないんですけど、カード式の電話利用状況、わかっておりましたらちょっとお教え願えますか。
  94. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) 利用のデータ等についてはちょっといま把握できませんが、カードの売れ行き状況、設置状況というかっこうでお話しいたします。  本年ただいま現在で約三百台、都内及び主要な空港ですね、成田とか千歳とかそういうところに現在三百台ついております。これに対しまして、いままでカードの売れ行きがどのくらいかということでございますが、トータルで約五万枚売れております。カードには、先生御存じかと思いますが、五百円、千円、三千円、五千円と四種類ございますが、これら合わせて約五万枚であります。圧倒的に五百円と千円が多い。合わせますと約九割以上が五百円と千円でございます。こんなことでひとつよろしくお願いいたします。
  95. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 それは公社の最初予想した利用状況を上回る利用状況ですか。ということは、ユーザーの皆さんにそのカード式の電話が非常に喜ばれていると理解しておられますか。
  96. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) 実は去年の暮れから始めたばかりでございまして、いま時点で何ぼというようなかっこうでは当初は実は予想してなかったんですけれども、私どもふたをあけてみまして、約三カ月ですね、三カ月にして約五万枚というのはかなり売れたなと実はいま感じでおります。
  97. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私自身あれ空港なんかで見かけるんですけれども、どうもやっぱり普通の電話に比べて何かとっつきにくいような使いにくいような感じがありますので、さらに今後も努力を怠らないで、よく皆さんにわかりやすい使い方のPR等をこれからもおさおさ怠りなくお願いを申し上げておきたいと思うんです。  この電話加入質権利用状況、これまでお伺いしてきたんですけど、加入権の移転ですね、これは質権者の同意書なんかも必要なわけですが、これまでにトラブルは発生したことございますか。
  98. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) 加入権質の設定された電話の名義変更ですね、譲渡、これをいたすに当たりましては、私ども、まあそういうものでございますから質権を廃止していただくか、電話加入権を買われた方がその質権をそのまま持って譲り受けていただくか、この二つの方法をとってございます。扱う方というのは大体皆専門家の業者の方ですから、その辺のことは十分御存じでございますので、そういう設定に伴うトラブルというのはございません。ただ、たまたま、これは私どもの関係ではございませんけれども、質権者の方が質権をとったと。そのうち払えなくなったと。で、実際その電話について料金の滞納が十万も二十万もあったということがありまして、業者の方が結局回収の方法がないというようなかっこうで公社に何か御相談に来るようなことはたまにございますけれども、これは業者の方の問題でございますので、特にトラブルというようなかっこうで私どもとの間では起こることはございません。
  99. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 業者の方の問題ですけれども、そういう点につきましても、もしそういう苦情とか相談があった場合は、やはり電電公社としてはよく指導というんですか、教えてあげるというんですか、できれば積極的に介入してでも双方にそういうもめごとのないようによく仲裁役として活躍してくださることをお願いしておきたいと思うんです。  電話加入権質権の対象とすることができる協同組合、これはどういうものがございますか。郵政省電電公社両方に……。
  100. 小山森也

    政府委員小山森也君) この協同組合は、質権法では第二条に列挙しておる中に一つあるわけでございます。  この事業協同組合は、中小企業等協同組合法、これに基づきます法人組織であります。たとえばこれに加入しておりますのは、金融、保険、不動産業、食料品製造業、農業等、全業種で約四万六千八百二という多数に及んでおります。  なお、この協同組合で実際に電話の今度の質権質権者となる協同組合でございますが、これは三つのものが非常に多数を占めております。全国電話取引業協同組合連合会、これは二十二組合があります。その組合員が五百人、それから全国金融業協同組合連合会、これは五十の組合から成り立っておりまして、構成人員が五千人でございます。それから全国質屋組合連合会、これが六十九の組合で成り立っておりまして、組合員は八千人ということでございまして、五十六年度に設定されました質権の九九%はこれらの事業協同組合が質権者となっているという実態でございます。
  101. 神林留雄

    説明員(神林留雄君) このうち事業協同組合が圧倒的に多いというお話をいま政策局長からしたわけでございますけれども、これはいろいろございますけれども、いまお話がございましたように、電話取引業者の数が多いわけですね。あと質 屋さんみたいなもの、実はこれは沿革的に三十三年にこれができる前から電話の業者の方は当然電話に大変親しみがあった。それから質屋さんは、いわゆる譲渡担保という形で質権設定みたいなことをやっておったわけでございますね。それがそのまま流れたというかっこうでございまして、したがいまして事業協同組合の方がほとんどでございます。  こんなふうな状況かと思います。
  102. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 この権質は庶民の金融の非常に重大な一翼を担っていると思うんですけれど、どうなんでしょうね、こういった特例措置というんですか、これを解消するためにも、郵政省、従来も努力はされているでしょうけれども、本当に生き生きとした、たとえばゆうゆうローンのような庶民金融をさらに開発拡大していく御方針はございませんか。
  103. 鴨光一郎

    政府委員(鴨光一郎君) 郵便貯金の預金者貸付制度でございますが、いわゆるゆうゆうローンと申しますもの、これは制度創設が四十八年にお認めをいただいたわけでございますが、貸付限度額あるいは弁済方法等の改善にこれまで努めてまいっております。  限度額につきましては、前通常国会で法改正をお認めいただきまして、昨年の四月からこの限度額を七十万円から百万円に引き上げさせていただいたところでございます。  なお、この貸付制度につきましてはこれからもその利用動向あるいは預金者の方々の要望等々を念頭に置きながら、御利用なされる方々の利便にかなったものにするように適時適切に改善に努めてまいりたいというふうに考えております。
  104. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 あと二、三、拡充法につきましても質問がございますけれど、われわれの会派は今回のこの両法案につきまして賛成でございますので、時間の都合もありますからこれで私の質問は終わります。残余の点は、あすの委員会でひとつゆっくりと質問をさしていただきたいと思います。  終わります。
  105. 青島幸男

    ○青島幸男君 十五分しかございませんし、私の質問は最後でございまして、皆さん方御質問なされましたし、またそれに対する答弁で大方了解したつもりでおる部分もあります。  一つわからないのは、電話加入権の質の問題でございますけれども、再三お話も出ましたけれども、特に山中さんからは設備料を下げるという方向で検討することが望ましいんではなかろうかということをおっしゃられました。この経緯を見てまいりますと、三十年代に電話需要、供給の差が非常に大きくて、相当の金を払っても電話がほしいという状況がありましたね。だからこそ、当時で莫大な債券協力をしなければならないにしても電話がほしいということで、債券引き受けてくださるという方が大勢おいでになって、協力をしていただいたから電話のネットワークが設立できたということですね。しかし、状況が変わってきて、いまはすぐつく電話になったというようなことから、多額の電話債券をお引き受けいただかなくとも何とかやっていけそうだということになったから、これはこの制度は廃止してもいいんだと、こういうことですね。一方、加入権を質に入れるのは公衆電気通信法ですか、それはまずいんだというふうになっていながら特例の処置としてこれをつくったということは、つまりは電話加入しているという権利を持っているということは莫大に経済的な価値があったわけですね。だからこそ、質に置くだけの財貨として、権利として保有できたからこそこの法律をつくらなきゃならなかったわけですね。だから、本来ならば、設備料金をうんと下げるというかっこうを逐次繰り返していきまして、加入権そのものが経済的価値を持たないという方向になればこの加入質権に関する特例は要らないんですよ。で、先ほど山中先生のお尋ねの際には、設備料を下げるというような方向で、私が申し上げたような方向は検討できないというふうなおっしゃり方をしてましたけれども、そうなりますと、せっかくここまで、すぐつく電話まできて利用者の方々のサービスに皆さん尽くして来られたのはよくわかるんですけれども、だったら加入椎が経済的価値を持たないようになるための方途を考えていくべきだと思いますね。つまり、加入した権利を持っているということは加入して設備料を払ったということが基本になっているわけでしょう。その辺の認識が違ってますと私の話はまるで違ったことになってしまいますんで、それだけまず確認しますけれども、いかがなものですか。
  106. 信澤健夫

    説明員信澤健夫君) 先ほど私が申し上げましたのは、従来公社が拡張計画を進めてまいったわけでありますが、その拡張のテンポは今後も落とすわけにいかない。しかし拡充法はもうこの際おしまいになると。そうすると、やはり資金調達の原資として現在の設備制度というものは、これをなくしますと拡張資金確保に大変な負担がかかるということが一つと、それからまあ加入権そのものに権利がある、それから全国移転もできるというような状態でありますということを申し上げたわけでございまして、未来永遠にこの加入権というものの価値を維持するとか、あるいは高めていくことが必要であるとは思っておりません。そして将来の方向としては電話というものが庶民のものになっていくためにも、できるだけ経済的な価格でおつけできるようにしていくというのが私どもの使命だと思っております。
  107. 青島幸男

    ○青島幸男君 だから即座にただにしろというようなことを言っているわけじゃなくて、その方向で検討していくことが大事だということを私申し上げているわけですよ。それをやりますと、もう一つは、いま持ってらっしゃる方がありますね、四千万人ですか、いま持ってらっしゃる方は加入権、質に入れられるだけの経済的価値を持ってらっしゃるわけですよね。だから、いま公社が今度から設備料ただにしました、加入権というものは経済価値を持たなくなりましたとたとえ踏み切ったとしても、そうすることは、いきなりそこへいっちまうことは、いま持ってらっしゃる方の権益をいたく害することになるわけですよね。質に入れられるだけの価値があるものがただになってしまうというわけですから、そういうことはできません、それは。だから逐次やっていかなきゃならないことだろうと思います。その方向でいくんだったら料金徴収のときに少しその分の減額をお返ししますというかっこうででも、平等なかっこうで加入者の方々に平等に負担をかけるならかける、平等に返すものなら返すというかっこうでしていかなきゃなりませんので、そういう手続はわりあい繁雑になるかもしれませんね。しかし、この問題を放置しておきますと、この加入権質の問題も法律の上で大きな矛盾を持ちながらそのまま全く解消することなく推移してしまいますね。ということは決して私はいい方向にはならないと思うんですよ。そういう、いまこうなっている状態だからそのまま移行してしまったらそれでいいんじゃないかというような考え方で今後のことも検討していくということはきわめて大きな誤りを生じてしまうことになりますので、ですから、加入料金を下げるというかっこうで加入権自体に経済価値がなくなるような方向で努力してもいいじゃないか。これは私案ですけれども、そういうふうに考えていったら相矛盾した法律案を一方はやめるの、一方は存続するというようなことにならなくて済むだろうということを申し上げているわけです。その辺で御検討いただきたいと思います。それは希望だけ申しておきます。  もう一つは、遠近格差の問題なども含めまして、遠いところは高くて仕方がない。近いところは安いんだというのは、それは飛脚のころからそうなんですよね。しかし、飛脚のころと違いますね、即時通話ですし。それから、昔のように交換手がたくさんおいでになって、至急報でも朝頼むと九州までいくのに夕方になってやっと届いたという状態になりますと、何人もの手間がかかってそうなっているんだろうから高いのは仕方がないという認識があったですよ、いままで。そういう認識が尾を引いてきて、いまは九州へかけても同 一区域内へかけても大して電力がかかるわけでもないし、手間のかかるわけでもないし、いまある格差ほどもないのは事実ですね。しかし、その格差の認識の上にいまだに乗っかって料金格差というものを設けているわけですね。それで公社は財政的にもある程度安定したかっこうでもっていますけれども、これも遠近格差をなくさなきゃいけない方向で検討しなきゃならないとは終始申されているわけです。しかし、即座にはそういかない。そういう実際と違った習慣とか観念の上にそういう遠近格差を直そうとしないというそういう体質が、私が先ほど言った加入権の経済価値をなくすような方向につながらないということと同じ体質の考え方だと思います。一方ではそういう間違った認識、伝統的に引き継がれている事実と違った認識に基づいて料金格差を設けている、遠近格差を設けておきながら、それで収益を上げながら、こっちはだめなんだというのはやっぱり片手落ちだという気がします。  ですから、遠近格差も実際のコストに見合ったかっこうになるように検討していかなきゃならないだろうし、同時にそういう方向で、先ほどるる申し上げているような加入権の問題を検討していけば、かなり民主的にといいますか、だれにもわかりやすい料金というものに近づいていけるんではないかという気がしますが、私は、時間がなくてそんなに延々と申し上げられませんが、いままで申し上げた私の見解についてはどのようにお感じになっていますか、お聞かせいただきたい。
  108. 小山森也

    政府委員小山森也君) 非常に幅の広いお考えの御説を拝聴いたしたわけでございますけれども、要するに公共料金全般にわたることだろうと思います。  そういたしますと、やはり電信電話事業というのは、結果的には御利用皆様収入をもって賄っていくと同時に、これから先の設備投資もしなければならない、また当然従来の設備の保守を良好な状態に置くということにしなければならない、これが万一いい状態において循環しない場合においては、結果的に適正な料金でない場合には電話の品質が悪くなるというような結果になろうかと思います。  したがいまして、設備料、それから基本料、通話料すべてにわたっての検討の結果、そのような形のものができ上がるかどうかということをまず検討しなければならないんじゃないかと思います。  なお、遠近格差の問題でございますけれども、当然そのような総合的な公共料金の体系の問題として取り上げて検討しなければならないと思いますが、特に現在の遠近格差というのは、確かに御指摘のように現状の技術革新の上に立ちました設備からいたしますと不自然な点がございます。  したがいまして、今回、とりあえず遠近格差是正をするために公衆電気通信法改正をお願いいたしておりますけれども、さらにこれにつきましては、もっと検討しなければならないものがございます。遠近格差と申しましても、いわゆる区域通話料と最高の通話料との比較でございます。  そういたしますと、現在の区域内通話というのが大体世界的に見ますと二分の一というような状態で、日本は安い状態になっております。逆に遠距離料金は二倍から三倍というような、ちょっとかけ離れたような料金になっている。要するに、単純に比率のみで見るわけにはまいりませんでして、遠近格差の問題は実額等ともあわせなければならないと思います。  そうしますと、やはり実際のコストに見合った料金というのは何かということで、やはり近々格差という、近い、通り一つ隔てただけでとたんに三倍になるというようなことも問題でございますし、そういったものからグループ料金制というのも出てまいります。  要するに、こういったような遠近格差ということから生じますところの通話料の問題、それから基本料、それから設備料、全体としての体系としてやはり検討すべきものが公共料金の問題ではないか、しかもその中において、やはり公共料金の性格といたしましては、なるべく安い料金で、皆様方が十分お使いできる料金というのを目指すべきではないか、このように考えております。
  109. 青島幸男

    ○青島幸男君 それはそのとおりだと思います。そういうかっこうで検討していかなきゃならないと思うんですけれども、それにしては、向こう十五年間で二十五兆も使って高度情報通信システムを全部ファイバーケーブルにして、そういう機能を持ったものにしていこうというようなお考えも一方にあるんですね。そんなことをするくらいだったら、もうそれこそ加入料金なんか安くして、あるいは遠近格差もなくするし、それこそ基本料金だってうんと下げられるという感じがしますね。  それで、それを何のためにやるのかということですね。先ほどからも非電話サービスという言葉が出ましたけれども、非電話というぐらいで——電話というのは遠隔の地にいる人間が便利にお話ができればそれでいいんだと思う。それで、ファイバーケーブルを引いて、その上に乗って改めて出てくる権益というのは電話サービスとは違うと私は思いますよ、基本的に。ただ、ファイバーケーブルを引いたから、引いた人の権益だというのは間違いだと思いますね。そこから生じてくるものは、いままで猫だと思っていたらトラですよ。ファイバーケーブル一本引いただけで、それこそデータバンクも使えれば、ファクシミリも使えれば、映像まで見たりできるという、そこから生じて、将来、新聞だって全部なくなっちゃうでしょうし、ケーブルテレビと競ってくるところがずいぶん出てきますね。それをどうして電電がやらなきゃならないのかという基本的な疑問があるんです。  これをやりますと五、六時間もかかるかもしれませんから次回に譲りまして、じっくりとこの点はお話し合いを進めてまいりたいと思いますが、きょうはそういう疑問だけ提起いたしまして終わりといたしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  110. 八百板正

    委員長八百板正君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 八百板正

    委員長八百板正君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、電話加入権質に関する臨時特例法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  112. 八百板正

    委員長八百板正君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律を廃止する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  113. 八百板正

    委員長八百板正君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 八百板正

    委員長八百板正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十八分散会