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1983-03-30 第98回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月三十日(水曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      山田  譲君     和田 静夫君  三月三十日     辞任         補欠選任      玉置 和郎君     関口 恵造君      加藤 武徳君     内藤  健君      小林 国司君     宮澤  弘君      和泉 照雄君     藤原 房雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         宮田  輝君     理 事                 亀長 友義君                 松浦  功君                 志苫  裕君                 田渕 哲也君     委 員                 岩上 二郎君                 金井 元彦君                 上條 勝久君                 後藤 正夫君                 関口 恵造君                 内藤  健君                 原 文兵衛君                 宮澤  弘君                 上野 雄文君                 佐藤 三吾君                 和田 静夫君                 大川 清幸君                 藤原 房雄君                 神谷信之助君                 美濃部亮吉君    国務大臣        自 治 大 臣  山本 幸雄君    政府委員        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        警察庁刑事局保        安部長      大堀太千男君        警察庁警備局長  山田 英雄君        大蔵大臣官房審        議官       水野  勝君        国税庁税部長  角 晨一郎君        厚生大臣官房会        計課長      坂本 龍彦君        厚生省公衆衛生        局長       三浦 大助君        厚生省公衆衛生        局老人保健部長  吉原 健二君        厚生省医務局長  大谷 藤郎君        自治大臣官房長  矢野浩一郎君        自治大臣官房審        議官       田中  暁君        自治大臣官房審        議官       津田  正君        自治大臣官房審        議官       土田 栄作君        自治大臣官房審        議官       吉住 俊彦君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省行政局公        務員部長     坂  弘二君        自治省財政局長  石原 信雄君        自治省税務局長  関根 則之君        消防庁長官    砂子田 隆君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        大蔵省主税局税        制第三課長    真鍋 光広君        大蔵省銀行局銀        行課長      大須 敏生君        国税庁税部所        得税課長     日向  隆君        文部省管理局企        画調整課長    福田 昭昌君        通商産業省産業        政策局企業行動        課長       藤原武平太君        建設省道路局路        政課長      真島 一男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 宮田輝

    委員長宮田輝君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十九日、山田譲君が委員辞任され、その補欠として和田静夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 次に、地方税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山本自治大臣
  4. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  明年度地方税制につきましては、地方税負担の現状及び地方財政の実情にかんがみ、その負担公平適正化を図るため、法人住民税均等割、娯楽施設利用税等税率調整固定資産税等に係る非課税等特別措置整理合理化等を行うとともに、住民負担軽減及び合理化を図るため、住民税所得割について低所得者層に係る非課税措置を継続し、及び同居特別障害者に係る扶養控除等特例を創設し、並びに料理飲食等消費税について基礎控除額を引き上げる等の措置を講じ、あわせて日本国有鉄道の納付する市町村納付金算定標準額に係る特例措置を改めるほか、所要規定整備を図る必要があります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方税法改正に関する事項であります。  その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。  まず、個人道府県民税及び市町村民税につきましては、低所得者層税負担に配慮するため、引き続き昭和五十八年度におきましても所得割非課税措置を継続することといたしております。  また、在宅における特別障害者介護等に配慮するため、同居しておる控除対象配偶者または扶養親族特別障害者に該当する場合には、配偶者控除または扶養控除特例として二十五万円の所得控除を行うこととするほか、山林を現物出資した場合の山林所得に係る所得割納期限特例措置適用期間昭和六十年度まで延長することといたしております。  次に、法人道府県民税及び市町村民税につきましては、均等割について、最近における物価水準等推移地域社会との受益関係等を勘案して 所要税率調整を行うことといたしております。  その二は、不動産取得税についての改正であります。不動産取得税につきましては、住宅取得円滑化等に資するため、既存住宅及びその土地に係る課税標準特例措置等自己の所有する住宅に居住していた者に対しても適用することといたしております。  また、農用地開発公団譲渡契約解除または買い戻し特約により取得した不動産に係る非課税措置を廃止する等特別措置整理合理化を行うほか、心身障害者を多数雇用する事業所事業主助成金支給を受けて取得した一定事業用施設に係る減額措置適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。  その三は、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税についての改正であります。たばこ消費税につきましては、たばこ定価改定に伴って、昭和五十八年度におけるたばこ消費税減収が予想されますので、定価改定のない場合に見込まれる税収を確保するよう昭和五十八年度のたばこ消費税に限り、製造たばこ売り渡し本数について所要の補正を行うことといたしております。  その四は、娯楽施設利用税についての改正であります。娯楽施設利用税につきましては、最近の所得物価水準等推移を考慮して税率調整を行うこととし、ゴルフ場に係る標準税率並びにパチンコ場マージャン場及び玉突き場に係る標準となる率をおおむね一〇%程度引き上げることといたしております。  その五は、料理飲食等消費税についての改正であります。料理飲食等消費税につきましては、大衆負担軽減を図るため、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食に係る基礎控除額を二千五百円に引き上げることといたしております。  その六は、鉱区税狩猟者登録税及び入猟税についての改正であります。これらの税につきましても、最近の物価水準等推移を考慮しておおむね一〇%程度の税率調整を行うことといたしております。  その七は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。固定資産税及び都市計画税につきましては、農業機械化研究所検査用固定資産に係る非課税措置を廃止する等特別措置整理合理化を行うほか、地域エネルギー利用設備に係る課税標準特例措置適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。  また、区分所有に係る家屋敷地の用に供されている一定共用土地に対して課する固定資産税については、当該土地共有者当該土地持ち分割合等によって案分した額を納付する義務を負うこととし、課税合理化を図ることといたしております。  その八は、電気税についての改正であります。電気税につきましては、産業用電気に係る非課税品目縮減を行うことといたしております。  その九は、自動車取得税についての改正であります。自動車取得税につきましては、地方道路財源確保を図るため、軽自動車以外の自家用自動車に係る税率特例措置等適用期限を二年延長することといたしております。  その十は、軽油引取税についての改正であります。軽油引取税につきましては、その課税免除対象範囲に、一定公用または公共の用に供する機械電源または動力源用途に供する軽油引き取りを加えることとするほか、地方道路財源確保を図るため、税率特例措置適用期限を二年延長することといたしております。  その十一は、事業所税についての改正であります。事業所税につきましては、新増設に係る事業所税申告納付期限を新築または増築した日から二月以内とし、課税合理化を図ることといたしております。  その十二は、国民健康保険税についての改正であります。国民健康保険税につきましては、被保険者所得水準上昇等を勘案して、課税限度額を二十八万円に引き上げるとともに、減額基準のうち基礎控除額相当額を引き続き昭和五十八年度においても二十四万円とすることといたしております。  第二は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律改正に関する事項であります。  日本国有鉄道市町村納付金軽減を図るため、その算定標準額につきまして、東北新幹線及び上越新幹線に係る償却資産のうち、新たに敷設された一定構築物及び新たに建設された変電所または送電施設の用に供するものについて、さらに特例を設ける等の措置を講ずることといたしております。  以上の改正の結果、明年度におきましては、同居特別障害者に係る扶養控除等特例の創設、料理飲食等消費税基礎控除額引き上げ等により九十八億円の減収となる一方、法人住民税均等割、娯楽施設利用税等税率調整等により四百五億円の増収が見込まれておりますので、差し引き三百七億円の増収となる見込みであります。  以上が地方税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 次に、補足説明を聴取いたします。関根税務局長
  6. 関根則之

    政府委員関根則之君) ただいま説明されました地方税法等の一部を改正する法律案の主要な内容につきまして、お配りいたしております新旧対照表により補足して御説明申し上げます。  第一は、地方税法改正であります。  まず、道府県民税改正であります。  第三十四条の改正は、同居している控除対象配偶者または扶養親族特別障害者に該当する場合には、配偶者控除または扶養控除特例として二十五万円の所得控除を行おうとするものであります。  第五十二条第一項の改正は、法人均等割標準税率資本等金額による法人等区分に応じて、引き上げようとするものであります。  次は、不動産取得税改正であります。  第七十三条の四第一項の改正は、放送大学学園がその本来の事業の用に供する一定不動産取得について非課税としようとするものであります。  第七十三条の七第十三号の二の改正は、農用地開発公団がその譲渡した一定不動産譲渡契約解除または買い戻し特約により取得する場合における当該不動産取得に係る非課税措置を廃止しようとするものであります。  第七十三条の十四第三項及び第七十三条の二十四第二項の改正は、既存住宅及びその土地に係る課税標準特例措置等自己の所有する住宅に居住していた者に対しても適用することとしようとするものであります。  次は、娯楽施設利用税改正であります。  第七十八条第一項の改正は、ゴルフ場に係る娯楽施設利用税標準税率を一人一日につき、現行の千円から千百円に改めようとするものであります。  第七十八条第三項の改正は、パチンコ場マージャン場及び玉突き場について利用物件の数量を標準として娯楽施設利用税を課する場合の標準となる率を一〇%程度引き上げようとするものであります。  次は、料理飲食等消費税改正であります。  第百十四条の三第一項の改正は、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食に係る基礎控除額現行の二千円から二千五百円に改めようとするものであります。  次は、鉱区税改正であります。  第百八十条第一項の改正は、税率を一〇%程度引き上げようとするものであります。  次は、狩猟者登録税改正であります。  第二百三十七条第一項の改正は、税率を一〇%程度引き上げようとするものであります。  次は、市町村民税改正であります。  第三百十二条第一項及び第二項の改正は、法人均等割税率区分について、従業者数区分による基準現行の百人から五十人に改め、資本等金額が一億円以下である法人についても従業者数区分による基準を設けるとともに、その税率を引き上げようとするものであります。  第三百十四条の二の改正は、個人道府県民税と同様でありますので説明を省略させていただきます。  次は、固定資産税改正であります。  第三百四十八条第二項第二十三号の四及び第三百四十九条の三の改正は、農業機械化研究所検査用固定資産に係る非課税措置を廃止し、課税標準特例措置を設けるとともに、鉱工業技術研究組合機械及び装置に係る課税標準特例措置について新たに適用期限を付し、附則規定しようとするものであります。  第三百五十二条の二の改正は、区分所有に係る家屋敷地の用に供されている一定共用土地に対して課する固定資産税については、当該土地の各共有者は、連帯納税義務規定にかかわらず、それぞれの持ち分割合等によって案分した額を納付する義務を負うこととするものであります。  次は、電気税改正であります。  第四百八十九条第一項の改正は、燐の製造に係る電気税非課税措置を廃止しようとするものであります。  次は、軽油引取税改正であります。  第七百条の六第二号の改正は、軽油引取税課税免除対象範囲に、一定公用または公共の用に供する機械電源または動力源用途に供する軽油引き取りを加えようとするものであります。  次は、入猟税改正であります。  第七百条の五十二の改正は、税率を一〇%程度引き上げようとするものであります。  次は、事業所税改正であります。  第七百一条の四十一第二項の改正は、心身障害者を多数雇用する事業所等に係る課税標準特例措置対象範囲身体障害者雇用促進法規定に基づく助成金支給に係る事業所等に限ることとするものであります。  第七百一条の四十八の改正は、新増設に係る事業所税申告納付期限について、現行の新増築をした日から一月以内を二月以内にしようとするものであります。  次は、国民健康保険税改正であります。  第七百三条の四第四項の改正は、課税限度額現行の二十七万円から三十八万円に引き上げようとするものであります。  次は、都における普通税特例改正であります。  第七百三十四条第三項の改正は、道府県民税及び市町村民税法人均等割税率改正に伴い、都が特別区の区域内において課する法人均等割税率を改めようとするものであります。  次は、附則改正であります。  附則第三条の三の改正は、昭和五十八年度分の個人道府県民税及び市町村民税に限り、所得金額が二十七万円に本人、控除対象配偶者及び扶養親族合計数を乗じて得た金額に、控除対象配偶者または扶養親族を有する場合には九万円を加算した金額以下である者について、所得割非課税としようとするものであります。  附則第十条の改正は、農山漁村電気導入促進法規定する農林漁業団体取得した発電所または変電所の用に供する家屋に係る不動産取得税非課税措置適用期限昭和六十年三月三十一日まで延長しようとするものであります。  附則第十一条第二項、第四項及び第五項の改正は、不動産取得税について、農用地利用増進計画に基づき取得した農業振興地域内の土地に係る課税標準特例措置及び農住組合が行う交換分合により取得した土地に係る課税標準特例措置適用期限昭和六十年三月三十一日まで延長し、また、日本専売公社補助を受けてたばこ耕作組合等取得した一定共同利用施設に係る課税標準特例措置縮減の上、その適用期限昭和五十九年三月三十一日まで延長しようとするものであります。  附則第十一条の四第七項及び第九項の改正は、不動産取得税について、心身障害者を多数雇用する事業所事業主助成金支給を受けて取得した一定事業用施設に係る税額減額措置及び入会林野等整備により取得した土地に係る税額減額措置適用期限昭和六十年三月三十一日まで延長しようとするものであります。  附則第十二条の二の改正は、昭和五十八年度分の道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税に限り、課税標準算定基礎となる額に乗ずべき製造たばこ本数については、製造たばこ本数一定の率を乗じて得た本数としようとするものであります。  附則第十二条の三の改正は、電気自動車に対して課する自動車税軽減税率現行昭和五十一年度改正前の税率から、昭和五十四年度改正前の税率とするとともに、その適用期間昭和五十九年度まで延長しようとするものであります。  附則第十三条の改正は、砂鉱を目的とする鉱業権鉱区で河床に存するものに係る鉱区税税率を一〇%程度引き上げようとするものであります。  附則第十五条第五項から第二十一項までの改正は、固定資産税について、営業用倉庫等省エネルギー設備地方鉄軌道乗降場延伸工事により敷設された構築物並びに心身障害者を多数雇用する事業所家屋及び償却資産に係る課税標準特例措置縮減の上、その適用期限を二年延長するとともに、地域エネルギー利用設備に係る課税標準特例措置適用期限を二年延長しようとするものであります。  附則第十六条第五項及び第六項の改正は、固定資産税について、市街地再開発事業施行により従前権利者取得した一定家屋に係る税額減額措置縮減の上、その適用期限を二年延長するとともに、住宅街整備事業施行により従前権利者取得した一定施設住宅に係る税額減額措置適用期限を二年延長しようとするものであります。  附則第三十条の二の改正は、電気自動車に対して課する軽自動車税軽減税率現行昭和五十一年度改正前の税率から昭和五十四年度改正前の税率とするとともに、その適用期間昭和五十九年度まで延長しようとするものであります。  附則第三十二条第一項、第三項、第四項及び第五項の改正は、自動車取得税について、国の行政機関の作成した計画に基づく政府補助を受けて取得するバスに係る非課税措置対象地域住民の生活に必要な路線輸送人員減少等により運行の維持が困難になっているものの運行の用に供する一般乗り合い用バスにかわる一定バスを加えるとともに、免税点特例措置及び軽自動車以外の自家用自動車に係る税率特例措置並びに電気自動車に係る税率軽減措置適用期限をそれぞれ昭和六十年三月三十一日まで延長しようとするものであります。  附則第三十二条の二の改正は、軽油引取税税率特例措置適用期限昭和六十年三月三十一日まで延長しようとするものであります。  附則第三十三条の改正は、昭和五十八年度分の国民健康保険税に限り、減額基準を二十四万円に一定金額を加算した金額としようとするものであります。  附則第三十五条の二第一項及び第三項の改正は、個人市町村民税について、山林を現物出資した場合の山林所得に係る所得割納期限特例措置適用期間昭和六十年度まで延長しようとするものであります。  第二は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律改正であります。  附則第十七項及び第十八項の改正は、日本国有鉄道市町村納付金について、現行納付金算定標準額特例措置縮減の上、その適用期限を二年延長するとともに、東北新幹線及び上越新幹線に係る償却資産のうち、新たに営業路線を開業するために敷設された一定構築物及び新たに建設された変電所または送電施設の用に供するものの納付金算定標準額について、さらに特例を設けようとするものであります。  第三は、昭和五十六年度の地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律改正であります。  これは、法人住民税法人税割課税標準定義規定において引用している租税特別措置法規定改正に係る施行期日が延期されることに伴う改正であります。  以上でございます。     ─────────────
  7. 宮田輝

    委員長宮田輝君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、玉置和郎君が委員辞任され、その補欠として関口恵造君が選任されました。     ─────────────
  8. 宮田輝

    委員長宮田輝君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 まず警察庁、過日の決算委員会調査を約されました大分県の歯科医師不正請求事件について報告を願います。
  10. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) お尋ねの件につきましては、現在大分警察におきまして医師など関係者から事情聴取を行いますほか、県内におきます問題の金銀パラジウム合金ニッケルクロム合金購入状況調査などを行っております。なお、この事件特殊性からいたしまして、現在大分県の保険課におきまして、昨年十二月以来県下の歯科医師対象にしまして保険診療報酬実態調査中でございます。この実態調査状況とタイアップしまして、私の方もこれから事案解明、これをやっていきたいと思っております。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 同じことでKNSPによる国内捜査疑惑について報告願います。
  12. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 二月九日の決算委員会で、委員からお尋ねのあった件でございます。  孫夫人上申書をめぐる関係でございますが、当時御答弁申し上げましたように、その上申書をめぐります事実関係で具体的な犯罪行為があればきわめたいと考えておりまして、孫夫人から何らかの申し出があるかと思っておりましたら、特段の申し出がございませんので、二月二十三日に大阪府警の方から孫夫人上申書の件についてお伺いしたいと御連絡いたしまして、御都合によって三月一日、生野警察署においでいただいて事情を伺いました。  結論的に申し上げますと、御主人のパスポートを孫夫人が、黄と称する、これは人定不明の者でございますが、その者に手渡したという事実関係をめぐりまして、犯罪行為、脅迫とか欺罔とか、そうした犯罪行為が介在したというふうには認められません。ソウルで御主人孫裕烱氏夫人が会われたときに、北に行った疑いをかけられておるということを聞きまして、そんなはずはないということで心配した、そのときに古いパスポートが大阪の自分の家に置いてある、それを持ってきてほしいということで、御主人のために必要なものだろうと考えて進んでその場所を聞いた、これは二階の居間にある机の一番上の引き出しだということを御主人から聞いておるわけですが、その収納場所を聞いて、帰国後、連絡のあった黄という人間にそのパスポートを手渡したと事実関係が認められましたが、その間において先ほど申し上げましたような犯罪というものはないと認められますし、また領置、押収というような手続がそのときにあったという事実も認められなかったわけでございます。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 兵庫県警本部尼崎中央署、北署の架空調書事件、これは把握されている事実、調査の概要を御説明願います。
  14. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) お答え申し上げます。  御質問の件につきましては現在調査中でございますので、十分まだ全貌は把握してございませんが、これまでの調査結果では、兵庫県警尼崎中央署の保安係長の松葉ほか数名の警察官が風俗関係事犯の参考人供述調書の作成に際しまして、供述人の真実と異なる住所、氏名などを記載したというものでございます。現在さらに調査を進めておるところでございます。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 これは一般論ですが、この関係というのはかなり詳しく報道をされていまして、非常に疑惑があるのですが、当然この警察関係幹部職員の責任問題というのが出てくる、そういうふうに思われますが、その辺はどういうふうにお考えになっていますか。
  16. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 事案の真相が明らかになった段階で上級幹部の監督責任を含めて厳正に対処いたしたいというふうに考えております。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 広域重要指定一一三号事件並びにその容疑者勝田清孝に係る強悪犯罪事件ですが、この概要を説明してください。
  18. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) 警察庁指定の一一三号事件でございますが、まず概要を御説明いたしますと、昨年十月二十七日の夜、愛知県名古屋市内の派出所の警察官が車で襲われまして、鉄棒で殴られたということで重傷を負わされまして、拳銃を強奪された事件がそもそもの発端でございます。  その後、十月三十一日に静岡県浜松市内のスーパーマーケット強盗未遂事件、それから翌日十一月一日、岐阜県の養老町の中にあります名神高速道路の養老サービスエリア、ここで千葉県の工員が射殺される、それとガソリンスタンドの従業員が発砲されまして重傷を受ける、こういう事件が相次ぎまして、続いて十一月二十八日に京都市内の山科区のスーパーマーケットに強盗事件がありました。  この一連の事件警察庁といたしましては指定一一三号ということで指定をしまして捜査中でありましたところ、ことしに入りまして、一月三十一日、名古屋市の昭和区内にあります第一勧銀の支店におきまして強盗傷害事件が発生いたしました。この事件で民間の方の御協力によりまして現行犯逮捕されましたのがこの勝田清孝、三十四歳でございます。その後、この勝田の取り調べによりまして、これはまだはっきり確定はいたしておりませんが、現在までのところ七件、七名、男性二名、女性五名、前の事件で男性一人が亡くなっておりますので、合計八件、八名になるわけでございますが、この事件を現在ほのめかしておる、こういう状況でございまして、現在鋭意裏づけの捜査に当たっておるという状況でございます。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 特に、後段の殺人の事件にかかわる問題については、かなり迷宮入りの様相を深くしておった。その原因、いろいろ最近報道されているところのものを総合して考えてみますと、どうも捜査の過程にかなり見込み捜査の疑いがある、その見込みが見込み違いになったという捜査過程のミスがあった、こういうふうに感じとられる向きが非常に強いわけでありますが、どういう所見をお持ちですか。
  20. 金澤昭雄

    政府委員金澤昭雄君) 一つ一つの事件はいずれも殺人事件ということでございますので、それぞれ府県警察におきましては捜査本部を設置いたしまして、鋭意捜査を行ったわけでございます。  ただ、一連の事件で、今回、いま自供のありました点を検討中でございますが、これまでのところで申し上げますと、一番大きな特徴点と言いますのは、犯行の手口が非常に一つ一つの事件で異なっておる。たとえて申しますと、絞殺というような手口の事件がございますし、また猟銃を使って射殺をする、それから警察の拳銃を使って射殺をするといったような、手口的に非常に異なった手口で、犯行がなかなか関連がつけにくいというのが一番大きな原因であったと思います。そのほかに、指紋その他の物的な証拠をほとんどが残していないということもございますし、また車を利用しまして非常に広範囲にわたって犯行を犯す、こういった点で非常に関連の犯罪だということの的がしぼりにくかったというのが現実の状況でございます。  したがいまして、こういった事件につきましては、今後一連の事件から参考になります、教訓になります事項を導き出しまして、今後のこういう事件の捜査の参考にしたい、こういうふうに考え ておるところでございます。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 警察庁関係者、結構です。どうもありがとうございました。  三月二十六日の報道で、根室の市立病院が東京医科大学に医師派遣を依頼した、根室市としては毎年六千万円の協力金を支払っている事実が明るみに出た。こういうような協力金の支出というのは、私は辺地の自治体病院ではやらざるを得ない状況であるとは思うのです。いわゆる町長になる資格が、医師を連れてくる能力があるかどうかによって選挙民から判断をされるというような、そういう実態があるわけでありますから。  ここで自治省の見解を伺うのですが、こういうような支出は市としても好ましいと思っているわけではないことはよく知っておりますが、どういうふうにお考えでしょう。
  22. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) お答え申し上げます。  北海道の東部地区といいますような医師の少ない地域におきまして、医師確保の方途の一環として行われた支出でございまして、現地の事情としてはやむを得ない面もあると思いますけれども、厳しい病院経営の状況ということから考えますと、決して好ましい支出ではないというふうに存じております。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 私は、あの辺の辺地のといいますか、僻地の自治体をずっと回って、町長の苦労や村長の苦労というのをずっと聞いて歩いたことがありますから、その実態をよく知っているつもりですが、ただ、病院収入の七分の一が派遣医師団に支払われていると言われるわけです。これはコストとしては過大なんでしょうか。あるいは医師が常置されるよりもこういう関係の方が安上がりだという説もないわけじゃないのですが、その辺はどういうふうにお考えですか。
  24. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 一般的に申しまして、医者の方々は常勤の医師で普通のところでございますと月間八十数万円ということですから、一千万円ちょっと超えるぐらいの金額で雇用することができると思います。ただ、特にこういう道東というような特別の地域につきましては非常にコストが高くなっている。恐らく医師の派遣協力費というものも加えますと、普通のところで常勤の医師を雇いますものの倍ぐらいかかっているという勘定になっておりますから、決して安くないというふうに思っております。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 結局、辺地の病院にはお医者さんが寄りつかない。そこに問題の原因があるわけですけれども、自治体病院は地域の医療センターとして位置づけられなければならぬし、基幹の医療機関とならなければならぬわけですけれども、実態としてはその機能が果たされないような状態になっている日本の医療行政全体の仕組みの問題も実はある。そういうことから、こういうやむを得ざる支出というような形のことで自治体が追い込まれているということもある。そう考えてきますと、その責任はやっぱり自治省側にもあるし、厚生省の医療行政側にもある、そういうふうに考えるわけですが、この点は御両者から答弁いただきたい。
  26. 大谷藤郎

    政府委員(大谷藤郎君) 自治体病院が地域医療の中核を担っておられるという点で、医師確保ということは不可欠のことでございます。しかしながら、不可欠と申しましても、そういった点で大変な御無理をされているということにつきましては遺憾なことであると存じます。  厚生省といたしましては、僻地の医師問題につきましては、過去もう三十年来にわたりまして僻地中核病院あるいは僻地診療所への医師派遣の問題でありますとか、僻地に勤務しようとする医学生等に対する修学資金の貸与、あるいは僻地医療に対する認識を深め、定着化を促進するためのワークショップの開催、あるいは自治体病院協議会に依頼いたしまして、僻地勤務医師の紹介あっせん等の事業を総合的に進めてきておりまして、できるだけこの問題に前向きに対処しようということでやってきておりますが、まだそういった点で不十分な点があるということについては、まことに遺憾に存ずる次第でございます。
  27. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 全国的な医師の需給関係を私どもいろいろ勉強してまいりますと、厚生省の資料によりますと、全国平均では十万人当たりの医師数が百三十八人でございまして、現在、国公立大学の新増設が行われましたので、十万人当たりにいたしまして毎年七人ぐらいずつの新卒のお医者さんが生まれているという勘定になっております。ですから、全国ベースで見ますと、ごく近い将来におきまして医師不足というのは解消されると思いますし、それから地域によりましてはむしろ過剰ぎみのところもあるというふうに聞いているわけでございますが、御案内のように、北海道は北海道全部では百二十四人ほどでございますけれども、特に道東の方は行き手が少ないということで、四十人ぐらいしかおらないというふうにも聞いております。  私どもといたしましては、自治体病院協議会ともよく協議いたしまして、全国的な医者の偏在、地域バランスというものをよくとりまして、できるだけ全国的に自治体病院に医師が行き渡るようにということで今後努力し、また検討を重ねてまいりたい、こういうふうに考えております。
  28. 和田静夫

    和田静夫君 文部省、東京医大が学校法人会計基準に基づく報告を怠っていたと言われているわけですね。この辺の処理はどうなりましたか。
  29. 福田昭昌

    説明員(福田昭昌君) 報道されまして、学校当局に対しましてとりあえず事実を確認しましたところ、東京医科大学では、根室市から医師が不足しているため医師の派遣をお願いしたいということで、市としては大学に対して研究協力という趣旨から助成金を供与したいという申し出がありまして、昭和五十二年度から医師の派遣を行っておるということでございました。昭和五十七年度は、内科、外科等八診療科十五人の医師を派遣し、五千八百万円の助成金を学校の方で受け取っておるということでございます。この金額につきましては、各講座におきまして、各教室におきまして管理し、研究費として使用していた、こういうことでございます。  医師の派遣につきましては、従来から各教室が行っていたために、慣習として昭和五十六年度までそのような形できたわけでございますが、五十七年度からは、誤解を避けるというようなことから、学長を中心に検討いたしまして、大学として一本で行うように改めることといたしまして、この助成金につきましても大学会計を通すように改めたという報告を受けておるところでございます。
  30. 和田静夫

    和田静夫君 これは過去の処理の問題については何か責任問題が起きるのですか。
  31. 福田昭昌

    説明員(福田昭昌君) これにつきましては、たとえば学校法人と市とが契約をして、そしてそのお金を学校法人会計に入れなかったというようなケースとはちょっと違いますわけでございます。いわば、たまたま慣習として各講座といいますか、教室と市とが契約をしてそういうことをやったということでございますので、学校としてそういう処理をする場合に、各教室と市と契約するよりは、学校として市と契約をする方が学校の運営としては妥当であるということから、今回そういうふうに改めたわけでございます。  したがって、過去やっておったことが全くけしからぬということには一概にはなりませんけれども、学校の運営のあり方としては、やはり学校と市とがちゃんと契約をして、そしてお金も学校法人会計にきちんと入れて処理する方が妥当であるということで、私どももそういうふうに考えますし、学校も今回そういうふうに改めたということでございます。
  32. 和田静夫

    和田静夫君 これは東京医科大学だけの問題としていまは処理をされているわけですね。恐らくこれは他の私立大学の関係でも十分にあることでしょう。その辺の一般的なおたくの行政指導というのはどういうふうになるのですか。
  33. 福田昭昌

    説明員(福田昭昌君) ただいまの問題につきまして、私ども具体に他の学校でどういうことをやっておるかということにつきましては、私学が自主的に運営されておるということから、個々の具 体例については私ども掌握はいたしておりません。  しかしながら、学校法人につきまして経理的な処理というものを適正に行わなければいけないということは、これはどこの大学においても当然なことでございます。したがって、一般的には私ども、法人の事務局長等毎年度集めまして、こういった面についての指導をいたしておりますが、そういうことを通じてやってきております。今回こういう提起がございますので、またさらにそういう趣旨の徹底をしてまいりたいと思います。
  34. 和田静夫

    和田静夫君 では、文部省結構です。  税制に入りますが、臨調答申と税制問題で少し論議してみたいのですが、主として大蔵大臣と他の委員会でずっと詰めた論議をしてまいりましたが、税制というと何か大蔵が主体であってということになるわけですけれども、地方税制の大担当者として、自治省としてもっと積極的に発言があってしかるべきであろうと、そういうふうに思います。  したがって、大臣にまず冒頭伺いたいのは、昨年七月の基本答申及び今回の最終答申を受けて、税務や財政当局に何か指示をされたとかということはございますか。
  35. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 昨年七月の第三次答申については、それに対する対応をやっているわけでございますが、今度の第五次最終答申については、いま関係部局で寄り寄り対応について協議中という段階でございまして、予算が成立後私どもは真剣にこれと対応をしていきたい、こう思っております。
  36. 和田静夫

    和田静夫君 昭和五十七年度当初の政府見込みの経済成長率ですが、これは途中で下の方へ修正された、それに従ってこの租税負担率も二三・七%ということになった、そこで五十六年、五十七年度の租税負担率の横ばいは景気低迷によるものだ、その景気の動向次第では税制の改正を行わなかったならば負担率はますます上がる、政府は近く総合経済対策を打ち出すと言っています。何か昨日からの報道ではずっとおくれるようでありますが、景気の回復を図るということを考えてはいるようですけれども、この景気政策の中に減税策を織り込まないということになってくると租税負担率が上がるということになりますね。そこで、大臣、この辺は一体概括的にはどういうふうにお考えになっていますか。
  37. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これからわが国経済がどういうふうに動いていくのか、五十八年度の経済実質成長率三・四と、こういう見通しでやっているわけでございますが、この租税負担率という問題になってきますと、租税負担率というのは、つまり国民総生産GNPというものを分母にして分子に租税を置く、そういう一つの比率でございますから、その分母にしろ分子にしろやはり動くということは考えられるわけでございます。そこで、経済がうまく景気回復して成長していけばある程度分母が大きくなっていく、こういうことでございましょう。  そこで、今度はいま仰せのように減税が新年度早々にできるかできないか、まだこれから検討ということでございましょうが、そういうことを考えていきましても、成長率が上がってくれば自然増収もあるいはふえる面もあるのではなかろうか、その辺のところは一概に租税負担率にどういうふうに影響してくるのだろうかということは、いまここで私ども簡単には申し上げられないのではないだろうか。やはりそういう経済成長率あるいはGNPがどう動いていくかということによって算定をする、こういうことになるのではなかろうかと、こう思っておるところであります。
  38. 和田静夫

    和田静夫君 設定の仕方があるのですが、結局政府はこの景気対策によって五十八年度の実質成長率を三・四%から五%に引き上げると言われているわけですね。仮に五%に引き上げるとして上方へ修正する。そうすると租税負担率は何ポイント上がるのですか。これは大蔵、自治両方から。
  39. 関根則之

    政府委員関根則之君) 経済成長の実質成長率を五ポイントにした場合という前提でございますけれども、まだそういう実は目標設定も正規の政策として出てきていない段階でございますので、私どもとしてその結果、税制の方を果たしてどう動かすのかという問題も一方にあるわけでございますけれども、いずれにしろ現段階で責任のある数字的なお答えができない段階でございます。
  40. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 税収と経済の実態との関係につきましては、先生御承知のとおり弾性値という数値があるわけでございますが、この弾性値は過去ずっと傾向を見ましても必ずしも安定していない。場合によっては一から二近くなることもございますし、場合によっては一を切る、場合によってはさらにマイナスになるということもあるわけでございますので、単純に五%実質伸びたという場合に、税がどういう方向、どの程度の規模の弾性値がそこに実現されるかということにつきましては必ずしも明確に予測はできませんので、五%の場合の負担率がどうということを明確な数字をもってどうも申し上げることはむずかしいかと存じております。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 事前にもそういうお答えいただいたのですが、ちょっと私あした幸いにして予算の一般質問少し残っていますから、こういう計算方式どうでしょう。実質GNPがありますね。まあこれ時間の中に入れられると非常に困っちゃうのだけれども、物価上昇率を想定するというようなことを考えてみて、そして名目GNPが出てくる。そこから国民所得を割り出す。そうして租税の弾性値を、いま言われたとおり幾つかありますが、おたくは頭がよ過ぎるものだから、昨晩ずっと何にしようかと思われたのでしょうが、私なんか単純なものだから、弾性値を一か一・二として計算をしてみると出てくるのじゃないだろうか。そうすると税収の伸び率が出る。そうすると、その税収の伸び率に昨年度の税収を掛けてみれば今年度税収見込みが出てくる。そうすると、それを割り出した国民所得で割ってみれば租税負担率が出てくる。一応この方程式であしたは答弁してくれますか。
  42. 水野勝

    政府委員(水野勝君) きわめて大胆な仮定を置きまして、弾性値が一なり一・一、一・二、そういったものを置きまして、現在の規模の経済の大きさ、それに対します国税、地方税合わせました現在の現実の数字をそこに当てはめて仮定計算をいたしますれば、機械的な計算としてはできないということはないかと思いますが、そういったものを公式に、たとえ仮定の機械的な計算でございましても公式の数字として申し上げますと、そこからいろいろなまた議論も出てこようかと思いますが、なかなか微妙なところではございます。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 いや、いろいろ論議をしようと思うから、あなた、その基礎になる数字を確定しようと思って努力しているので、私の方は私の方でそういうふうにしてはじく、大蔵の方がそれを是認されるかどうか。平場で、何か速記が起こっているところで言うのがいやだというのなら、きょうの終わりごろまででもいまの方程式で数字出してもらう。そうして、それで論議をしてみる。おたくから出ているところの「税制改正の要綱」の二十三ページには経済見通しの数字も出ていますし、国民所得に対する租税負担率は二十一ページに出ているわけですから、何も想定する部分が全部が全部想定じゃないわけですからね。まあ検討には値するでしょう。どうですか。夕方ぐらいまでに出るのじゃないですか。
  44. 水野勝

    政府委員(水野勝君) いろいろな仮定を置きましての計算でございましたら計算はできるかと思いますが、工夫してちょっと当たってみます。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 私に出してくれますか。
  46. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 計算でございますか。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 ええ、計算。
  48. 水野勝

    政府委員(水野勝君) はい、計算をいたしてみまして。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 いたして、ふところへ入れておいては困るのですよ。  そこで、名目GNPに対する租税弾性値は、これずっと低下傾向にあるようですね。この背景は何でしょうか。これ、自治省、大蔵省。
  50. 関根則之

    政府委員関根則之君) 地方税につきまして申し上げますと、昭和五十七年度の一応弾性値として出しておりますのが減収の修正をした後で一・〇八となっております。かつて高度成長期におきましては、たとえば昭和四十五年が一・五八であったわけですから、そのころに比べますと大分下がってきておるということでございます。  その主な原因は、一口で申し上げますと、やはり景気の停滞によりまして法人関係の業績が上がらない、そのために法人関係税の税収が経済成長率ほどに上がっていない、税収の伸びが経済成長率を下回ったというようなことが全体としての地方税の租税弾性値の足を引っ張りまして低くなっているのではないかというふうに考えます。
  51. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 国税におきましても、ただいま自治省の方から御説明ありましたようなものと大体同じような事情でございまして、この十年間の間にオイルショックが二回ございますので、なかなか傾向的なものを見定めるということはむずかしいのでございますが、やはり最近の十年とその前の十年をとってみますと、傾向的にやはり若干低下しているかなという現象が見受けられるわけでございます。  その中で、やはり大きくこの弾性値を左右いたしますのは、いま自治省からも御説明ございましたように法人関係税でございまして、やはり法人税と申しますのは、法人の売り上げから結局いろいろな経費を引きました純剰余にかかる税金でございますので、景気変動によって非常に大きくぶれるわけでございます。そういったことからいたしまして、全体としての二回のオイルショックを挟みました経済の変動の影響を受けまして、法人関係税の伸びがそれまでの以前の時期に比べましてかなり低下しておりますので、これが全体としての弾性値も低下させている一つの原因になっているのではないかというふうな気がするわけでございます。
  52. 和田静夫

    和田静夫君 法人企業の租税回避行動があるのではないだろうかということをちょっと思うのですが、それはどうですか。
  53. 水野勝

    政府委員(水野勝君) やはり四二%の課税が行われるわけでございますので、企業としてはそれはそれぞれいろいろな工夫はこらしておられると思いますが、積極的にこれを回避しよう、脱税しようというようなことは、それほど顕著にあらわれているということはなかろうかと思います。いま申し上げましたように、やはり法人所得と申しますのは、人件費を初めといたしますすべての諸経費を引いた残りでございますので、人件費の方はどちらかと言えば安定的に推移いたしましても、やっぱり純剰余の方は景気によって非常に変動する、場合によってはマイナスになるということもございますので、個人関係税に比べますと、やはり法人関係税の方が景気に対応しますところの変動の幅は大きい、こういうふうな気はするわけでございます。
  54. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、国民全体のこの税負担問題、租税負担率というのは、やっぱりいま問題はサラリーマンの重税感ですよね。国税においても法人税収と所得税収、特に源泉所得税の納税比率が問題になっている。地方税の場合もやっぱりサラリーマンの重税感が強い。  そこで、この住民税の法人税割税収及び所得割税収合わせた全体の中の両者の比率ですね。この辺どうなっていますか。
  55. 関根則之

    政府委員関根則之君) 住民税の所得割でございますけれども、昭和五十八年度の財政計画におきましては所得割が税収全体の中で三〇%を占めております。それに対しまして法人税割は九・四%という見込みを立てているわけです。  これはたとえば最近の数字では、昭和五十二年度におきましては、これは決算ベースでございますが、所得割が二五%ありましたのに対しまして法人税割は一一%しかない、すなわち所得割二・五に対して法人税割が一あったという感じでございますが、それがいまは三対一になっておるということでございまして、地方税の中におきます法人税割のウエートがだんだんと低下傾向にある、所得割がそれに対しまして上昇傾向にある、こういう傾向をたどっているというふうに考えます。
  56. 和田静夫

    和田静夫君 昭和五十七年度の所得割の納税義務者、これはおたくの資料にあるのですが、四千百四十七万一千四百七人、五十六年度の四千四十万五百三十六人と比べると百七万人増になっていますね。最近百万人以上が年々課税対象に加えられている。五十七年度の実績、それから五十八年度の見込みですね、納税義務者数、これは何人になっていますか。四千二百万人ですか。
  57. 関根則之

    政府委員関根則之君) 五十八年度の納税者の数は四千百九十七万人と推計をいたしております。
  58. 和田静夫

    和田静夫君 年々百万人ぐらいの納税義務者がふえると考えてみまして、そのうち特別徴収分、これはどの程度でしょうか。
  59. 関根則之

    政府委員関根則之君) 五十七年度の数字で申し上げますと、特徴者の納税義務者数が二千七百六万人と見ております。全体に対する割合は約六〇%でございます。
  60. 和田静夫

    和田静夫君 現在景気がよくない、成長率も鈍っている、百万から百十万ぐらいのところにある、少し景気が上向いていくと納税人員もぐっとふえる、四十八年と四十九年比では百八十万人もふえる、子供やこの専業主婦を含めて一億一千七百万の人口の約三分の一が納税者である、これは何といっても課税対象が大衆化し過ぎているという感じを受けますが、そこで、課税最低限は五十五年からずっと据え置かれているわけです。この辺でやっぱり非課税措置額などという制度はやめて、早急に課税最低限の引き上げを図った方がいいと思うのですが、どうですか。
  61. 関根則之

    政府委員関根則之君) 確かに現在の課税最低限が昭和五十五年に改正をしたまま据え置かれていることに対しまして、一方ではいま先生御指摘の納税者の数がふえているという問題もありますし、また課税最低限が百五十八万四千円という金額でございますので、生活保護基準等と比較いたしましても、これに対して何らかの改善をすべきではないかという要請が強いということも私ども承知をいたしておるところでございます。  税そのものの理論から申しますと、一定の期間経過後には物価の上昇、所得上昇等に見合って、そういうものに対して改善措置を講じていくのが望ましいということが一般的に言えるわけでございますけれども、何せ地方財政が大変厳しい状況でございますので、課税最低限の引き上げということを正規に実施をいたしますと相当大きな減収が生じるというようなことから、ここ三年間課税最低限の引き上げによる減税ということがとれなかったわけでございます。
  62. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、ここのところをぜひ、何か政府側の中では、これは明日残っている予算の中でも大蔵大臣と少し論議をする用意をいたしておりますけれども、最低税率の引き上げ、いわゆる累進構造の緩和、あるいはこの最高税率の引き下げなどというようなことで課税最低限引き上げと抱き合わせで検討されているようなんですよ。私はやっぱり減税の策としては課税最低限の引き上げを中心に行う、低所得者層負担軽減を優先させる、そういうことはぜひ必要だと思うのです。これはもう地方税にも関係する大きな問題でありますので、国、地方を通じて所得課税の姿はどうあるべきだろうかということを大臣としてはどうお考えでしょうか。
  63. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) まだ減税のどういうやり方でやるかということについてはこれからの検討課題でございますので、私からここでどうこうするということはまだ申し上げられる段階にありません。また、いまお話しのように、国税が一体どういうやり方でおやりになるのかということも、これは当然に見きわめてやらなければならない問題でございますので、いまのお話の趣旨も酌んで、どういうやり方をするのか、今後のひとつ私どもの勉強にさしていただきたいと思っております。
  64. 和田静夫

    和田静夫君 大臣は実にもう答弁慎重でして、この間の決算委員会の自治省の決算でも実はそう 思ったのですけれども、長い政治生活を経られたもう政治家としても古ダヌキなんで、いつまでも有能な建設官僚であったわけではいまないわけですから、もう少しどうですか、政治家としての、大臣としての大きな展望を描いた御答弁ということにならぬですか。
  65. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 減税問題というのは、地方財政いま大変厳しい状態にありますから、財源問題も考えながらやるということになっておるわけでございまして、そういうことも考えながら一体どういう減税の方法、具体的なやり方をするかということについては、これは大蔵省の方もまだ私は申し上げられる段階にないと思うのでございますが、手前どもの方もまだまだ今日の段階で、いまここで申し上げられる段階にまだ来ていない、こう思うのであります。
  66. 和田静夫

    和田静夫君 「地方税」の八三年一月号の座談会で、杉原市町村税課長課税最低限と生活保護基準額とを比較する観点から議論を展開されています。私はこの観点が正しいと思っているのですけれども、自治省全体の見解として承ってよろしいですね、これ。
  67. 関根則之

    政府委員関根則之君) この座談会における杉原市町村税課長の発言は、おおむね私どもが考えている考え方に即したものとは思いますけれども、何せこれは非公式な座談会における発言でございますので、逐一わが方の公式見解であるというわけにはまいらぬわけでございます。
  68. 和田静夫

    和田静夫君 ずいぶん警戒した答弁したものだな。そんなあれこれほじくろうなんと思って言っているわけじゃないのですからね。  所得税の減税が緩やかな累進の構造をとるということになりますと、現在の市町村民税所得割税率の適用区分をさらに簡素化する、税率区分を少なくしたり、あるいは比例税率化という方向とでも言いますか、そういうものにならざるを得ないというふうに思うのですが、そうした方向が望ましいとお考えでしょうか。
  69. 関根則之

    政府委員関根則之君) 地方税におきます個人所得課税のあり方をどうするかということは、これは地方税だけで議論ができない問題でございまして、同じ住民といいましても国民であるわけでございまして、国民の立場で所得税が課税されておる。一方県民として県税が課税され、市町村住民として市町村税が課税されている。そういう形になっているわけですから、一個人に三つの税がかかってくるという仕組みになっておりますので、その個人をとってみますとやはり全体としてどうなるのかということを常に考えていかなければいかぬ、そういう基本的な課題に立って物を考えていかなければいかぬと思います。  ただ、地方税として言えますことは、税率問題については御承知のとおり最高税率で市町村税で一四%、県税で四%でございますから、国税の所得税の税率に比べまして私どもとしては比較的低い水準に抑えられておる、こういう考え方をいたしております。したがって、租税全体として所得課税についての全体としての国民負担をどうするかというときに、まず問題になるのは国税サイドのことではなかろうか、そうでなくても地方税の拡充強化が必要な時点でございますので、ストレートに税率の問題を地方税における住民税の税率の圧縮という方向へ持っていくということについては、われわれとしては問題があるというふうに考えております。  その税率の刻みなり、それから累進制をどうするのかという問題につきましては、これはそれぞれ一長一短がありますので、直ちにフラット税率に持っていくかどうかというような問題は相当慎重にやらなければいかぬだろうと思います。アメリカで最近フラットレートの研究なり、政治課題としてそういう議論がなされておるということもわれわれ承知しておりますが、これはそう軽々に乗っていけない話ではなかろうかという感じがいたしております。  いずれにいたしましても、国税とも絡む問題でございますし、将来の税体系、税率構造の基本問題に触れる問題でございますので、税制調査会等で十分御審議をしていただかなければならない問題であるというふうに認識しております。
  70. 和田静夫

    和田静夫君 給与所得の場合に、非課税措置額に達するような基礎、配偶、扶養の三控除、これ引き上げるためにはおよそ各控除をどのくらい引き上げることが必要だと考えるのだろうか、生活保護基準で考えてみますと五万円引き上げなければならない、私は理論的にはそうなると思うのですが、そうなりますね。
  71. 関根則之

    政府委員関根則之君) 生活保護基準をクリアいたしますためには、おおよそ各控除を五万円程度引き上げなければならぬというふうに考えております。もちろん中間段階で端数をつけて引き上げという方法はありますけれども、いままでも余りやっておりませんので、端数をつけないでやりますと大体五万円ぐらいになると考えます。
  72. 和田静夫

    和田静夫君 現実的にはおよそこれはどのくらいの見当をつけるということになりますか。同時に、その場合の住民税の減収額というのはどのぐらいだと考えるわけですか。
  73. 関根則之

    政府委員関根則之君) 所得三控除を各五万円引き上げますと、平年度ベースで約四千億程度の減収額が生じます。
  74. 和田静夫

    和田静夫君 所得税それから個人住民税を通じまして、どういうふうなやり方でどういう程度減税するのか、また今後政府として十分研究するということになるのですが、この財源の問題が、先ほど大臣言われましたように別にある。ともあれ臨調では「給与所得者の多くが所得の把握差等から所得税負担について不公平感をもっている等の現状を踏まえ」云々、で、「税負担水準及び税収構造の在り方を検討」せよと、こう言っているのですね。  野党一致の要求があって、政府でも減税答弁はした。まあ与党と言ったらいいでしょう、それを受けて政府もした。そうすると、自治大臣としても閣僚の一員として、答申を最大限に尊重するという意思決定が行われているようでありますから、住民税の減税には積極的な姿勢を示される、こう考えておいてよろしいわけですか。
  75. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これは当然に与野党合意の線であり、また衆議院議長の見解もあり、またその後官房長官も予算委員会でお答えをしている線にのっとりまして地方税の減税も私ども考えていかなければならぬ、こう思っております。
  76. 和田静夫

    和田静夫君 臨調の基本答申で「国土、住宅土地」の項の中で「土地の有効利用を保有コストの上昇を通じて促進するための税制上の措置を講ずるとともに、現在多元化している公的土地評価について公示価格との関連において適正化と一本化を進める。」、こう描写があります。市街化区域内の農地につきましては、これは別途答申があって、五十七年度に税制改正が行われているわけですが、いま述べた前段の部分の意味ですね。これは自治省どういうふうに御理解になっていますか。
  77. 関根則之

    政府委員関根則之君) 臨調のこれは昨年七月の答申じゃなかったかと思いますが、「国土、住宅土地」についての項で、いま御発言のありましたような指摘がなされておりまして、保有コストの上昇を通じて土地の有効利用を図るための税制上の措置を構ずる、こうなっているわけでございます。  私どもは、土地の保有に対しましての課税といたしましては、固定資産税と特別土地保有税という税を持っているわけでございます。そのほかに目的税ではございますが、都市計画税というような税もございます。これは直接その保有税という分類にどんずばり入るかどうかやや疑問がありますが、いずれにしろ土地なり住宅なりを保有している場合に課税をするものでございます。こういうものの課税を、少し保有コストを上昇するということですから、税率などを上げて税負担を重くするということだろうと思います。  一般理論といたしましては、確かに税負担を重くして有効利用を図るというのは成り立ち得る理論だとは思いますが、問題は、これは税であるわけでございます。特に固定資産税につきましては 市町村にとりまして大変重要な税でございます。年々の、三年に一遍の評価がえに基づきまして五十七年度におきましても二八%ほどの土地についての評価額のアップをいたしまして、その負担をお願いしたわけでございますけれども、その負担の増加をお願いするにつきましても、高過ぎるではないかという議論が非常に各方面から寄せられたわけでございます。そういう状況の中で、一つの土地政策という政策目的のためにこの際固定資産税を一挙に相当大幅に引き上げるというようなことは、私どもとしては現実の税を守っていくという立場から非常に問題があるのではないかというふうに考えております。  政策手段としては考えられますが、一定の限界がある、固定資産税をストレートにこれに使っていくということについては非常に大きな問題があるというふうに認識しております。
  78. 和田静夫

    和田静夫君 後段の公示制度一本化の問題はどうですか。
  79. 関根則之

    政府委員関根則之君) 一本化は、頭に置いておられるのは、多分地価公示の評価と、それから国税におきます相続税の評価をいたしますときのその評価と、わが方の固定資産税の評価、この三本を何とか一本化できないかという考え方ではなかろうかと思いますが、それぞれ税の性格が全然違うわけでございます。  御承知のとおり、固定資産税というのは、日本国に所在いたしますすべての土地についてこれを評価して課税対象にしていく。もちろん非課税対象土地なり何なりはありますけれども、原則として全部が評価対象になるわけでございまして、もちろん山林も含みますし、農地も含む。住宅地は当然のことでございます。全部合わせまして件数といいますか筆数で一億六千万筆あるわけでございます。一方地価公示の方の調査地点は、これは地目といたしまして宅地または宅地見込み地だけに限られます。農地とか山林とかいうのは一般的には入ってこないということでございまして、調査地点も一万七千六百、これは昭和五十七年度でございますが、その程度でございますから、ラフに比較いたしまして約一万倍の筆数があるわけでございます。そういったものを同じように統一して評価をするといっても、これは技術的にも実際問題として私は非常にむずかしい問題ではなかろうかと思います。  また、相続税の関係は、これは路線価によって評価をするということで、いわば代表地点のようなものをやっておるというふうに私ども認識をいたしておりますが、これにつきましてもやはり簡単に一本化できるような性格のものではないというふうに考えます。  評価の事務等についてお互いに連絡をしたり、ノーハウを分け合ったり、そういう面での協力というのは当然やっていかなければなりませんし、お互いの評価額について重要な参考資料としてバランスなどを考えていく、そういうことは当然やらなければいかぬと思いますが、評価そのものを一本化できるということはなかなか簡単にいく問題ではないというふうに考えております。
  80. 和田静夫

    和田静夫君 答申には「普通交付税不交付団体等に対する」「地方譲与税の配分額の調整方式を再検討する。」、で、譲与税はもともと地方で取る税を国がかわって徴収して地方に配分するものであって、本来地方のものであるわけですが、現在の調整制度自体について問題がある、さらに調整を強化しろということですね。これは全く現在の調整制度そのものにも問題があるのにちょっと理解できないわけですが、この辺は現行制度の状況とあわせて何か所見ありますか。
  81. 関根則之

    政府委員関根則之君) 現在地方道路譲与税の譲与につきまして、不交付団体につきましての譲与に調整措置が加えられているわけでございます。先生御指摘いただきましたように、税である以上、税源のあるところへその税を配分していくというのが、これが税の論理であろうと思います。それを調整する制度としては別な体系で、現在は交付税制度というのがあるわけですけれども、そういうやり方でやっていくべきだというふうに考えておりますので、私どもとしては譲与税について現在程度以上に財政力等によって配分を調整していく、財政調整手段の一環として譲与税を使うということについては、基本的には問題があるというふうに考えております。
  82. 和田静夫

    和田静夫君 「分割法人に係る法人事業税の分割基準について、税の性格等を考慮しつつ、その在り方を検討する。」、これはどうなんですか。
  83. 関根則之

    政府委員関根則之君) 臨調の議論の段階で私どももいろいろ意見を求められたわけでございまして、この答申の中の中間段階に「税の性格等を考慮しつつ、」という字句が入っておりますが、これはいわば私どもの説明によって入ったものというふうに私は認識をいたしております。  と申しますのは、この項目の頭の部分には「地方公共団体間で格差の著しい留保財源等の既存財源の一層の均てん化を図る方向で検討する必要がある。」、そういうくだりがありまして、その中にいま申し上げた「事業税の分割基準について」「その在り方を検討する。」という項目があるわけです。いわば財源調整といいますか、財源の均等化を図る一環として事業税の分割基準を見直せ、こういう趣旨に受け取られるわけですが、私どもといたしましては先ほど譲与税について申し上げたのと同じでございまして、税というのは税の持っている論理というものがありますから、それをできるだけやっぱり完結させていく、それが税を守っていく重要なことではないかというふうに考えておるわけです。そういう意味から、財源調整という立場から事業税という一つの税の帰属団体を変えていく、そこに濃淡の差を設けていくということはやはりちょっと問題があるのではないかというふうに考えております。  特に事業税というのは一種の応益原則というものをある程度頭に置いた税目でございますので、ある一定の地域において事業活動をやっておる、そうしますと、その事業活動に伴いまして地方団体のいろいろな公共サービスを受ける、その公共サービスを受けるから事業税として税負担をしますと、そういう関係を重視している税でございます。したがって、その事業活動の大きさとか、あるいは事業活動に伴う行政サービスに見合った税負担がなされるのが一番よろしいというふうに考えております。  そういう観点から、現在一億円以上の資本金の会社の本社の従業員数を二分の一にしておりますが、これは私どもいろいろ試算をいたしまして、償却資産が本社と支店との間にどういう形で存在をしているか、そういうような試算をいたしまして、現在程度に本社の従業員数を二分の一にするのが最も事業活動と行政サービスとがうまく対応するような配分になるという考え方でやっているわけです。したがって、そういう税そのものの論理から、現在の二分の一の割り落としというものを持っているわけでして、それを単に財源調整の観点からさらに強化するとか、あるいは薄めるとか、そういうようなことについては、やはり基本的な問題があるものというふうに考えております。
  84. 和田静夫

    和田静夫君 教科書の供給を行う事業については事業税を課することができない、七十二条の四ですけれども、教科書供給業者の営業の実態から見て非課税としておく必要が今日もあるのだろうか。
  85. 関根則之

    政府委員関根則之君) 教科書供給業につきましては、昭和二十八年だったかと思いますが、国会における修正によりまして非課税という取り扱いになっているわけでございます。その後そのままに据え置いているわけでございますけれども、多分先生御指摘の点は、そんたくをいたしますと、教科書が無償制度になってきたではないか、そういう事情変更があるにもかかわらずそのままというのはおかしいではないかと、あるいはそういう御趣旨があるのかと思います。  私どもといたしましては、やはり教科書供給業の公共性といいますか、できるだけ低廉に教科書を提供する、無償制度以前においては直接それを購入する児童なりあるいは父兄に対して低廉な価 格で供給するということが任務だったと思います。いまはそれが売り先が国であるというような形で変わってきているだけでありまして、依然として低廉な価格で教科書を提供するという社会的な必要性というものは変わっていない。そのために、たとえば取り扱いをいたしますときの取り扱い手数料のようなものも国の方で一応決めているようなふうにも聞いております。そういったことから、できるだけ教科書の価格を安くするという趣旨でその間のコストも引き下げていきたい、事業税というのは御承知のようにコストに算入されるものでございますから、そういった趣旨から事業税の非課税措置がとられているものというふうに考えます。  そうしますと、現在においても事業税の非課税措置は必要なものというふうに考えているわけでございます。
  86. 和田静夫

    和田静夫君 産業用電気税のコスト基準の見直しなどというのは考えていませんか。これは通産、自治。
  87. 関根則之

    政府委員関根則之君) 産業用電気につきましては、昭和三十六年の答申だったと思いますが、重要基幹産業におきまして、おおむね五%程度以上のものを基準といたしまして非課税措置をとるということになってきております。この基準の見直しにつきましても、もちろん税調でも指摘されたことがあるわけでございますが、この基準そのものを検討をしたことはあるわけでございますけれども、比較的製品コスト中に占める電気料金の割合が低いところに鉄鋼関係等わが国にとりましての重要基幹産業が入っているというような問題もありまして、なかなかこの五%を一挙に引き上げるというようなことがむずかしい情勢になっておるというのが実情でございます。  いずれにしろ、しかし、全然われわれとしてこれに手をつけないということではございません。今後ともやはり課税のあり方についての検討はしていかなければならないものというふうに考えております。
  88. 藤原武平太

    説明員藤原武平太君) お答え申し上げます。  電気税の産業用非課税措置につきましては、電気税が消費税であるという性格によりまして原料課税を避けるということで、私どもといたしましてはいわば制度上当然の措置として行われているものではないかというふうに考えておりますが、ただ行政の便宜上、基礎物資を生産する電力コストの高い産業に限ってこの非課税措置が認められているというふうに解しておるところでございます。  御承知のとおり、二度にわたる石油危機によりまして原燃料価格が上昇し、基礎素材産業の多くが産業用非課税対象になっておるわけですが、基礎素材産業がそういう原燃料価格の上昇を直接にかつ大きく影響を受けております。これは産業の多くは現在需要の低迷等と相まって深刻な構造的不況に見舞われておるところでございます。そういう状況でございまして、私どもは特定不況産業安定臨時措置法、この改正を現在お願いをしておるところでございます。そういう状況でございます。  したがいまして、産業用非課税措置にかかる現行基準を見直すということによりまして非課税品目縮減を図るということになりますと、むしろ構造不況産業に対する足かせが重くなるということになります。加工組み立て産業など、他の産業に与える影響も大きいというふうに考えられますので、私どもとしては大変むずかしい問題ではないかと思います。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 テクノポリス法案の中に、企業の固定資産税を減税してその見返りに地方交付税を補てんするという報道があるわけですね。これはまあタコの足食いだと思うのですけれども、どうなんですか。
  90. 関根則之

    政府委員関根則之君) いわゆるテクノポリス法案につきましては通産省から御提議がございまして、現在自治省と通産省の間で協議を続けているところでございます。  固定資産税の減免を法文の中へ織り込みたいという御要望も承っておるわけでございますが、私どもといたしましては、固定資産税非課税なりあるいは不均一課税というものをもし法文の中に入れるのであるとすれば、いままでの農工法でありますとか、低工法でありますとか、そういった前例もあるわけでございますから、そういったもののバランスも当然考えていかなければいかぬ。それよりも何よりも、やはりそれだけの必要性が税の立場からあるのかどうか、そういった立法趣旨も十分お聞きした上で最終的な決着を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。現在折衝中でございます。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、ここ一言だけですが、この法律の主管官庁ですよ。けさの報道によりますと、自治省抜けちゃっていますね。そうすると、計画主体が都道府県であるにもかかわらず自治省抜けちゃっているというのは、一体これ大臣、閣僚の関係ではどういうことの主張をされてきたわけですか。
  92. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これはまだ最終決定ということではありません。ありませんが、ほぼそういう方向になるであろうと思っておるのです。これは主務官庁というときは役所が大変熱心におやりになるわけでございますけれども、一つは私は役所の縄張り根性というのも強いのかなという感じも実はいたすわけであります。  仰せのように、このテクノポリスというのはこれからの地方のあり方としては大変重要な問題でありまして、日本の産業の将来を卜する大きな課題となってきます。そこで、実質的には自治省の方はたとえば開発の指針でありますとか、あるいは計画の申請があった場合の承認をするという場合、そういう場合には実質的には自治省としては必ずそれには参画する、こういう態度でやっていこうと、こういうつもりであります。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 五十七年度の評価がえの際に、家屋についてですが、基準表を全面改正しておおむね二五%引き上げたわけでしょう。その際に在来分については原則として前年度価格を上回らない、そういう据え置きの措置を継続しましたよね。ところが、木造が九百九十一市町村、木造でないもので四百七十八市町村が評価がえを実施した結果になっていますね。多くの市町村が原則に従っている中で、原則によらなかったということはそれなりの理由があると思うのですが、特徴的な理由は何ですか。
  94. 関根則之

    政府委員関根則之君) 家屋につきましては、従来からあります家屋が、経年減価でだんだん家屋の値段というのが下がるべき筋合いのものが評価がありますと高くなりてしまう、古くなってかえって高くなってしまうというような矛盾が生じることがありますので、普通の場合はそういうことはしないようにしましょうというので、従来から評価がえのときには措置をしてきたわけです。  いわゆる在来家屋については据え置きというのが原則でやってきたわけですが、しかしそれにいたしましても、昔つくった家でも大変りっぱなつくりをしているというようなものがありまして、新しくできたたとえば比較的簡単なプレハブの住宅だとか、最近郊外にできております小さなミニ開発に基づく住宅とか、そういうものと比較いたしまして、新しい建物が比較的簡単なものであるにもかかわらず評価額が相当高くなってしまう、昔からある住宅で非常にしっかりしたものが相対的に著しく低くなってしまう、そういう場合にはバランスをとって評価のし直しをしても結構ですよ、その場合には従来よりも多少評価額が上がってもいいですよ、そういう調整は市町村長の段階でやってよろしいという指導をしているわけでございます。そういう具体的な事例がある市町村が先生御指摘になりましたようなところで出てきているというふうに考えます。そういう事情によりましてお示しのような事例が出たものというふうに考えます。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 グリーンカード制の実施が延期になって凍結される、ずいぶんこれ論議をしてきたのですが、こういうことをやる。利子配当所得に対する源泉分離課税制度が当分維持されていくと いうことになって、地方税にも相当な影響が出ざるを得ないと思うのですが、どういうふうに把握していますか。
  96. 関根則之

    政府委員関根則之君) グリーンカード制度の延期につきましては、私どもはこのグリーンカード制度によりまして、直接少額の非課税貯蓄の限度管理ができるというだけではなしに、それをもとにいたしまして利子配当の総合課税ができるようになるということで、大いに期待をいたしていたわけでございます。  と申しますのは、源泉分離選択をいたしましたときの利子配当については住民税が課税されないという事態がありまして、これが地方団体から問題とされ、課税できるように何とかならないかという要望が強かったわけでございまして、長い間のそういう懸案の問題がこれで解決するということで期待をいたしておったわけでございますが、残念ながらこれが凍結をされるということになったわけでございまして、ただしかし、そのこと自身は、現状といいますか、国民のコンセンサスが必ずしも得られなかったというような現状の中から、やむを得ないことというふうには考えておるわけでございます。  源泉分離選択によりまして住民税が課税されていない金額というのは、正確には把握することができませんが、私どもとしては大体一千億円程度あるのではなかろうかというふうに推計をいたしております。これが総合課税になれば捕捉し課税することができるわけでありますが、これができなくなったということでございます。従来からこの分につきましては毎年行われます地方財政対策の中で措置を講じていただいてきているわけでございますけれども、この問題が総合課税が延期されるということになりますと、従前と同様なやはり何らかの措置をとる必要が出てくるというふうに考えております。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 主税当局、非常に自信をもって打ち出して、あれだけの論議をしてできた。そうしたら、何か法律違反的だと考えているのだが、さっと一片の政令でもってああいうふうにしてしまうというのは疑問ですが、どういうふうに総括されているのですか。
  98. 水野勝

    政府委員(水野勝君) この制度は、御承知のように五十五年の九十一国会で御提案申し上げて成立さしていただいたわけでございます。今年の一月一日からカードの交付を開始するということで五十九年から本格的に適用さしていただく予定でございましたが、いまお話しの、昨年末に政令を出さしていただきまして、一月一日からの交付はさしあたり延期をさしていただいたわけでございます。それから、本体の制度につきましては、三年間このすべての制度をそのまま延期するというふうな内容を、法案を盛り込みまして、現在大蔵委員会で御審議をいただいているところでございます。  この制度の趣旨は、御承知のように利子配当課税につきましての公正な課税を行うという目的から御提案申し上げたわけでございますが、この制度をめぐりまして、制度ができましてからいろいろな御議論をいただく、それからまたいろいろ金融情勢につきまして、これが必ずしも私どもグリーンカード制度というものと関連するものではないだろうと思うわけでございますが、世の中の議論としては非常に密接に関連づけられて議論されるようないろいろな事態が発生したということでございまして、こういったものを背景といたしまして、昨年の夏に多数の議員先生方の御賛同のもとに議員提案が行われたということでございます。この議員提案は昨年の末で廃案にはなっておるわけでございますが、こういったもろもろの情勢を総合的に判断いたしますと、現時点でこれを円滑に実施できるというふうな環境が整っておるというふうにはどうも見がたいのではないかということから、今国会に政府提案といたしまして三年間延期という法案を御提案申し上げておるわけでございます。  こういった事態は私どもとしてもいろいろ異例なことでもあり、残念な面もあるわけでございますが、諸般の情勢を総合的に勘案いたしまして、こうした法案提出をさしていただいているということでございます。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 大変残念で、あなたの方も万いかんともしがたいという感じの答弁ですね。  臨調答申、現行制度の枠組みの中で不公平税制を是正しろと言っているのですが、私はクロヨンだとかトーゴーサンだとかいう徴収しやすいところから一〇〇%取って、取りにくいところは放置するというような課税実態、徴税の姿勢を改めなければならぬと思うのですが、これはもう時間がなくなりましたから、ちょっと簡単に国税庁せっかく来てもらっておりますから、どういうふうに考えられますか、同時に自治省も。
  100. 角晨一郎

    政府委員(角晨一郎君) クロヨンとかトーゴーサンとか言われますのは、主として個人事業所得についてでございますけれども、事業所得の場合には業種業態によりまして所得の範囲、把握に難易があるということは事実でございます。  私ども税務調査はできるだけ厳密な対象選定のもとにやっておるわけでございますけれども、いままでの調査結果などから見ますと、言われているような大きな所得の把握の格差はないというふうに認識をしておりますけれども、世上そういうような所得者間の不公平感があるということも厳然たる事実として受けとめなければいけないと思うわけでございます。したがいまして、執行当局といたしましては、じみちなやり方ではございますけれども、納税環境の整備のための諸施策、それと並びまして、高額、悪質重点の税務調査をできる限り努力していきたいと思っておるわけでございます。その過程におきましては地方税当局ないしは種々の民間団体の御協力もぜひ必要である、こう思っておるわけでございます。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと一つ、もう一つ続けて国税庁。  都内に一億円以上するマンションが三千戸近くあって、中には十億円のものもあるというようなことで、まあ買いかえによって入ったとか、あるいは高額所得者として来たとかいろいろあるのですが、それはもちろん蓄積によって購入した人もあるでしょう。しかしながら、庶民から見れば夢のような話であるということが言われています。いまの日本の税制ではこのような高額なものを手に入れるということは通常ではなかなかむずかしいはずですね。現実にはそうした事実がある。国税局も億マンション、別荘、高級車、宝石、高額物件購入者、資金源を洗ってみなければならぬというふうに言っていらっしゃるようでありますが、実際には税務調査にも限界があるわけでしょうから、どの程度のことをお考えになっていましょうか。
  102. 角晨一郎

    政府委員(角晨一郎君) いま御指摘がございましたように、もろもろの高額資産の取得者をまず把握する、その把握した所有者につきまして所得形成ないしはその所得の源泉を洗うということは、いわば税務調査の一つの基本的な動作でございます。限られた事務量でございますから、これを悉皆的にやるということはなかなかむずかしい面がございますけれども、先ほども申しましたが、高額、悪質な脱税者と申しますか、そういう所得漏れの状態がそういうものに顕現されないように、あらゆる工夫をこらして、そういう資料収集から所得の把握に結びつけていく努力を怠らないようにやるということではないかと思って日夜努力をしておるということでございます。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 国税庁、ありがとうございました。
  104. 関根則之

    政府委員関根則之君) 税務行政上公平を確保するということは、やはり基本的に重要な問題であるというふうに考えております。  所得課税につきまして国民の間に税負担の実質的公平が害されているではないかという声が強くなっておるということを私どもも感じているわけでございまして、制度的な問題といたしましては、税制調査会の中に昨年の六月から申告納税制度特別部会が設置されまして、そこで正確な申告をいかにして確保すべきかという問題についての 議論が熱心に続けられているわけでございます。私どもも資料の提供なり何なり、そういうサイドからこの特別部会に協力を申し上げ、できるだけ的確な方策の結論が得られることを期待をいたしている次第でございます。  また、実際の執行面におきましては、先ほど国税庁からお話がございましたように、資料の交換でありますとか、お互いに持っている情報の提供でありますとか、そういったことも今後協力をいたしまして、少ない人数の間で国と地方が協力をいたしまして、的確な所得の把握等に役立てていきたい、効率的な税務執行をやっていきたい、そのことによって実質的な公平の確保がなされるのに寄与していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 あとわずかですから急いでやりますが、税金の金融機関への収納事務について、各官公庁の納付書の書式がこういうふうにばらばらです。非常にたくさん前々から訴えられていたのですが、機会がなかったものですからあれですが、特に中小の金融機関の処理が大変困っている。コンピューターならコンピューター処理がうまくいかない、もう手でもってやる、様式を統一してほしい、または納付書のうちの領収済み通知書を厚紙にして処理方式をまとめてほしい、そういうような要望があるわけですが、これは自治省どういうふうにお考えですか。
  106. 関根則之

    政府委員関根則之君) 申告書でありますとか、納付書でありますとか、こういったものの様式をできるだけ統一いたしまして、最近活発に導入をされております事務処理機械等にうまく能率的に乗せていく、そういう方策を講じることが必要であるという基本的認識を持っております。すでにそういった観点から昭和五十七年度から法人事業税及び法人住民税の申告書については統一を図ったところでございます。  次の段階が、いま御指摘のありました納付書の問題でございまして、お話の中にもありましたように、この問題はきわめて細かい事務の問題でございますので、私どもが机の上で、頭の中で考えて結論が出るものではありません。したがって、課税当局の実際事務に携わっている人たちにも参加をいただき、また銀行等のやっぱり実務担当者にも参加をいただいて、現在、法人住民税と法人事業税の納付書の統一につきましては、法人二税納付書問題研究会という会をつくりまして、そこで具体的なあり方についての討議をいたしております。そういうものの結論もできるだけ早く出して実施に移していきたいというふうに考えております。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵、何か考え方ありますか。
  108. 大須敏生

    説明員(大須敏生君) お答え申し上げます。  ただいまの自治省からの御答弁のとおりでございますけれども、私どもといたしましても、銀行の機械化、事務合理化を促進する観点から納付書の様式等が統一されることを希望しておるということでございまして、全国銀行協会が一昨年十月に自治省と御協議の上要望書を出しているというふうに聞いておりまして、いま現在、御答弁がございましたような研究会の成果が早い機会に実ることを期待しておるわけでございます。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 せっかく銀行局から来ていただいたからもう一問だけ言っておきますが、都市銀行のコンピューターの導入状況というのをずっと調べてみたのですよ。それで、どうもやっぱり金融機関の側にも問題がある。いわゆる融資系列別に機械を入れているものですから、それで大変な問題が起きるという状態になっているわけですわ。この辺のところも何か処理しなければいかぬと思うのですが、そういうもの何かお考えありますか。
  110. 大須敏生

    説明員(大須敏生君) ただいま御指摘の点でございますけれども、銀行同士がネットワークを組んでいろいろ事務的な提携を結ぶ、いわゆるオンライン提携というようなことを行っております。それの中身につきましては、現在たとえば現金自動支払い機による支払いを相互に融通するというようなことをやっておるわけでございますが、そうしたオンライン提携を進めていく上におきまして、コンピューターをつくっておる会社が違うということが現在のところそれほど著しい障害になっているということはないのでございます。  ただ、将来の問題といたしまして、御承知のとおりデータ通信技術というのがだんだん発達してまいりますと、これが銀行取引にも活用されるようになってまいります。その過程で非常にお客さんの便宜ということをだんだん追求してまいりますと金融機関相互のネットワークが現在以上に進んでくるということは考えられるわけでございまして、その過程におきまして違うコンピューター、これはハード面とソフト面とあるようでございますけれども、その標準化ということを進めまして、できるだけ規格等、まあ標準化というのはなかなかむずかしい概念でございますけれども、いろいろ約束事でございますが、コンピューターに入れる過程あるいは出す過程、それの暗号の翻訳とか、そういういろいろな約束事でございますけれども、そういうものを標準化してデータ通信の利用がスムーズにいくようにしなければならないということは一つの課題として受けとめておるわけでございまして、現在金融制度調査会で専門委員会が設けられておりまして機械化問題を御議論いただいているわけでございますけれども、その中でもただいまのような問題が議論されているところでございます。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 消防庁長官、行管庁が「適」マークについて的確な交付をすべきだと、これ一月に勧告しましたね。何かその後改善方法をとられましたか。
  112. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 御案内のとおり「適」マークの制度というのは、旅館なりホテルにおきます防火安全上必要な要素のうちで、特に人命の安全に直結する二十四項目を判定の基準にいたしているわけであります。これは御案内のとおりであります。したがいまして、この「適」マークの交付に当たりましては、特に行管庁が指摘しております建築の防災上必要な項目、これが二十四項目以外の問題について指導がなされることがございまして、そういうときには、消防庁としては「適」マークを交付しない、してはならぬということに実は指導を行っているわけであります。ところが、たまたま建築の行政庁と出先の消防機関との間で連絡が不十分なためにそういう物件に対して「適」マークを交付することがある、それはよく十分に連絡をとって対処するようにというのが実は勧告の趣旨でございます。  そこで、私の方といたしまして当然そういう勧告はあたりまえのことでございますから、従前われわれの指導の方針もそうでありましたし、勧告もそういうことでありますから、私の方といたしましては、近いうちに課長通達を出してそういうことをよく連絡調整するようにということをいたすつもりでおります。
  113. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 和田君、時間が参りました。
  114. 和田静夫

    和田静夫君 はい、もう一問だけ。  この間、決算委員会でずっと視察に出まして各知事の訴えがありまして、特にその中で自治省出身の知事さんがこもごも超過負担問題の新しい事態について訴えていらっしゃいました。したがって、この最後の一問、簡単に要約して私申し上げます。  たとえば二月一日から老人保健法が施行された。超過負担の新しい問題が出てきている。たとえば健康手帳なんですが、地方交付税の積算と実際の金額にかなりずれがある。市町村の持ち出しがずっと出てきている。こういう状態になっています。私の試算では標準団体人口で一団体当たり五十九万六百二十円、これは手帳単価を七十歳以上七十円、任意が六十円として、そして厚生省人口問題研究所の年齢構成比率をこの間掛け合わしてみたわけであります。そうすると、こういうことになるのです。ところが、五十七年度当初の地方交付税の積算額というのは三十三万八千円でしょう。差し引いて二十五万二千六百二十円の足が出るということに初めからなっているのじゃない だろうか。しかも当初の交付税額も、制度の実施が二月にずれ込んだわけでありますから、補正減額がなされていますね。より一層足が出ているということになるわけであります。これは知事さんたちの訴えを帰ってから逆に計算してみると、私はそういうふうになるのじゃないだろうか。こういう事実があって、さらに必要な部数が見込みより多かったとか、あるいは地元の医師会との関係で記載内容に変更を加えたとか、そういうために単価が非常に高くなったという、これはそういう訴えであります。  これらの超過負担問題というのは、長い懸案の問題を過去何回か皆さん方と解決をしてきた経験を持っているのでありますが、新しく出てきているこういうような事態についてどのように対処をされるのか。
  115. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 老人保健法の施行に伴いまして医療、ヘルスそれぞれ大きく制度が変わるわけであります。  まず医療の方につきましては、施行期日が四カ月おくれたということに伴いまして、五十七年度の補正の際に必要な減額措置を講じました。ただ事務費の方につきましては期日がおくれても経費の面ではそう減らないであろうということで、事務については全く当初計上した額をそのまま確保したわけであります。  ヘルスのいろいろな健康手帳の交付、その他の経費の積算でございますが、私どもも実態はよくわかりませんので、この点については厚生省の方の御意見をよく承りまして、私どもとしては人員の確保を初め必要な経費については最大限意を用いたつもりでございます。ただ、その後の実態面との突合、これらについては今後実施減でまいりますので、よくこれは調べてみたいと思っております。今後の交付税の標準経費の積算の際に十分これは考えていかなければならないと思っております。
  116. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時四分開会
  117. 宮田輝

    委員長宮田輝君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方税法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  118. 大川清幸

    ○大川清幸君 初めに、五十七年度の地方財政計画に関連して、ちょっと税収見込みでお伺いをしておきたいと思います。  この時期は大変時期的にむずかしい時期で、お聞きしても明確なめどのお答えがなかなかむずかしいのだろうと推測をいたしますが、御承知のように、地方財政計画の中で当初見込んでおったところの地方税収分、これは法人税の落ち込み等が大変大きいということで、昨年十月に下方修正されました。ところで、この下方修正された十七兆八千八百五十一億円ですか、これの確保はほぼ大丈夫なんですか、どうですか。
  119. 関根則之

    政府委員関根則之君) 御指摘のとおり当初計画を一兆二千九十二億円減額をいたしまして、現在修正見込みといたしましては、十七兆八千八百五十一億円を予定いたしておるところでございますが、都道府県の五十七年度の税収の調定状況を一月末で見てみますと、前年同期比で五・七%の伸びを示しております。先ほど申し上げました下方修正後の年間を通じましての目標伸び率は四%でございますので、その伸び率を一・七ポイント上回っております。すでに一月末段階で都道府県税収というのは九割程度が調定済みになっておりますことを考えますと、少なくとも都道府県税に関する限りは、大体修正後の見込み額は確保できるものというふうに考えております。  市町村税につきましては、的確な資料が手元にといいますか、私どももつかんでいないわけでございますけれども、いろいろな電話等での照会で状況を把握しておりますと、大体都道府県税と同じ程度の収入の状況ではないかと推測されますので、まあまあ地方税に関する限りは今年度の修正後の額は確保できるものと見込んでおります。
  120. 大川清幸

    ○大川清幸君 ほぼ確保できるという見込みであるそうですが、引き続いてこの五十八年度の経済成長、政府が設定したのは三・四%、この中身が二・一%分個人消費の伸びというふうに基本的には置いておりますから、これずっと打ち続く不況の状態でございまして、たまたま原油の値下げ等で経済効果のいい材料も出てきたという背景もあるにはあるのですけれども、なかなか消費が上向かないという実情、当分やはり続くのじゃないか。その辺を解消して、個人需要を喚起するにはやっぱり減税対策その他をやらなければならない。  前から論議があるところですが、五十八年度の地方税収十九兆六百八十九億余でございますが、この見込みですね。五十七年度がほぼ何とかいくということと、五十八年度、これからどう経済が展開するか、不確定要素はあるものの、この辺の確保も現在の時点で判断して心配ないということでよろしいですか。
  121. 関根則之

    政府委員関根則之君) 不確定要素は御指摘のとおりいろいろとあるわけでございますけれども、一方におきまして石油関連のいい方の変化もぽつぽつあるわけでございます。いずれにいたしましても、来年度名目成長で五・六%の経済成長が達成されるという前提で、的確な見込みを立てたつもりでございますので、特に法人関係税等につきましては、地方の法人関係税は約三・三ポイントぐらいの実質伸び率で抑えておるというようなこともございまして、私どもの方の五十八年度の地方税収の見込みは、いまの状況の中で確保し得るものと一応考えております。
  122. 大川清幸

    ○大川清幸君 これは経過をこれから今後見ることにいたしまして、次に住民税の課税最低限は五十四年度からずっと据え置かれてきた状態ですね。現行課税最低限、これが百五十八万四千円ですな。生活保護基準額というのが百八十六万四千円ですから、いわばこれ差額二十八万ですね。逆転現象起こっているわけで、毎年これ単年度限りということで三年続いてきたわけですね。  ですから、このような措置がとられていること自体がちょっと大変好ましいことではないと思うのですよ。これは今年度は法律もそういう措置をしてしまったし、税法もこれで出ているわけですから、いかんともしがたいのですが、今後もこういう状態を放置しておくということは形としては大変よくないと思うのですけれども、これ今年度限りでやめられますか。どうですか。
  123. 関根則之

    政府委員関根則之君) 最初に事実関係でございますけれども、国税は五十二年度以来課税最低限が据え置かれておりますけれども、地方税につきましては五十五年にちょっと課税最低限を上げておりますので、五十五年以降据え置かれているということでございます。しかし、いずれにいたしましても地方財政が大変厳しい状況でありますので、所得控除を引き上げるという本格的な減税が実施し得なかったために、低所得者層に対する配慮をするという必要性から非課税措置をとらしていただいているわけでございます。  この非課税措置につきましては、確かに所得課税の体系から申しますと特例的なものであるというふうに私どもは理解をしております。できることなら所得控除の引き上げによって課税最低限を引き上げるという正規のやり方をして低所得者層税負担軽減を図るというのが本筋であろうという基本的な考え方にはかわりません。ただ問題は、果たして所得控除の引き上げによって現在の生活保護基準程度の所得の者まで課税最低限を引き上げることができるのかどうか、その辺につきまして、いま問題になっております所得税減税と絡みまして、その規模なり方法なりがどの程度どういう形で実施されるのかまだ不確定であるわけでございますが、私どもといたしましては真剣にこの問題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。税の本筋から言いますと、できるだけ課税最低限の引き上げという方法によって対 処していきたいものと基本的には考えております。  ただ、これは来年度からは一切やめることができるかという約束をいまの時点で申し上げることができないのはまことに残念でございます。
  124. 大川清幸

    ○大川清幸君 大臣、いまお聞きのとおりで、この課税最低限とそれから生活保護基準額との逆転現象が一方にある。これ好ましくないことは大臣もそう思っていらっしゃるのだと思うのですよ。  それで、今後のことを考えてみると、五十八年度はとにかく、五十九年度なども考えてみると、やがて近い将来生活保護基準額の方も引き上げをせざるを得ないような状況というのが起こってくると思うのですね。そうすると非課税限度額との間がだんだん縮まってくる奇妙な現象が起こるわけですね。こういうことを考えますと、所得減税その他のこともこれからの課題になるわけですけれども、そういうことを考えると、いつまでもこのままでほうっておくこと自体は、国税との関連もありましょうけれども、まずいことは明らかですね。これどんなふうに処置されますか。何かお考え持っていますか。まあ来年の約束できないのは私は事情もよくわかりますけれども、どうですか。
  125. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いま局長がお答えしましたように、やはりこれは課税最低限で何とかするのが本筋で、いまのように生活保護基準までを非課税措置で、そこまでの所得の人には税はかからない、こういうことでいまやらしていただいておるわけでございますけれども、やはり本筋は所得控除といいますか、三項目についてやはりそれぞれ、いまはたしか二十二万円だと思いますが、それをやっぱり上げるべきであろう、もし仮に生活保護基準まで上げようとしますとそれぞれ五万円程度上げなければならぬ、そういたしますと、どうしてもやはり四千億ぐらい減収がくるというのは今日の地方財政としては大変痛い、こういう気持ちもあるわけでございまして、そういうことも考え合わせて、五十八年度で何とか住民税減税をやるようにということでございますから、私どももその線で、一体どういうふうなやり方をやるのかということを国税の方ともにらんでやらなければなりませんから、国税の方は課税最低限をおやりになるのかならないのか、それも私にはわからないわけでございますが、その方のこともにらみながら、本筋のことを考えながらやっていきたいとは思っております。
  126. 大川清幸

    ○大川清幸君 お答えにあったとおりでございまして、低所得者層税負担に配慮するという基本的な姿勢が政治的にあるならば、いまのような臨時的な措置じゃなくて基本的に直していただくような方向で努力していただくことが大変望ましいと思うので、これだけは要望申し上げておきたいと思うのです。  ところで、減税につきましては政府見解も御承知のとおり出ておりまして、景気浮揚に必要な規模の減税ということでお約束が一応できておるのですが、これもどんなふうになるか、代表者会議等で論議をしているところでございますが、この減税の扱いをどうするかという方向については、政府側というか閣僚の間では、どうなんですか、どの程度進んでいるか。中間報告なり状況の御報告ができる状態ですか。どうですか。
  127. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いや、まだ予算委員会が開かれておる最中でございまして、なかなかそこまで手が回らないというのが実情でございます。まずはやっぱり国税の方でどうお考えになるかということでございますが、大蔵大臣はなるべく早く税制調査会でひとつまず論議をしていただこうと、こういうことでございまして、まあ減税の財源ということを考えなければなりませんから、そういうことになってきますと税収の入りぐあいもひとつぜひ見たい、こういうこともありますので、それは七月ごろだということも言っておるようでございますので、なるべく早くめどをつけたいとは思いながらも、そういうような段階で、今日のところはまだまだ規模、実施時期というものを明らかに申し上げるところまではいっていない、こういうことでございます。
  128. 大川清幸

    ○大川清幸君 これはまたいまここで論議してもちょっと本当にお答えが出てこないと思いますので、次の問題に移りますが、先ほどもちょっと論議が出ていたかと思いますけれども、地方公共団体で行っている事業所税ですが、これは昭和五十年度に税制改正で創設をされた地方税ですが、これ設置当初のねらいといいますか、理念はどういうことだったのでしょうか。
  129. 関根則之

    政府委員関根則之君) 事業所税ができます経緯につきましてはいろいろな議論があったわけでございまして、一つの考え方は大都市の都市財源がきわめて貧弱である、特に大都市が人口集中によりまして過密になってまいりまして、いろいろ公害その他の過密の弊害が出てきたというようなことから、人口の地方分散というようなことも考えなければいかぬじゃないか、いわゆる追い出し税的なものという考え方も一方にはあったわけでございます。  しかし、最終的に事業所税ができました段階での私どもの公的な物の考え方は、一定の集積があります都市、いわば大きな都市でございますが、都市というのは小さな中小の都市に比べまして都市整備の財源をよりよけい必要とするではないか、その財源を調達するためにその都市に所在する事業所等から応分の負担をしていただこう、こういった都市整備財源をそこに所在する事業所からいただく、こういう趣旨の税であります。こういう説明をいたしてきているところでございます。
  130. 大川清幸

    ○大川清幸君 私もこれ記憶があって、たしか美濃部先生が知事のときに東京都でも実施をしたような記憶があるのですよ。確かに大都市での集積の利益、これをこうむっている事業所等から協力してもらうというようなことが一つと、それから人口集中を排除しようという考え方も確かにあったように思うのです。  で、一つはそうした当初のねらいの人口集中排除というか、その辺の効果がどうだったかということが一つと、もう一つは、いま御説明があったように都市環境整備あるいは都市施設の整備のためというような考え方があって、それは今日も受け継がれていると思うのですが、そういう精神から考えると、これは現状から考えてもう少し地方の都市に拡大するような考え方で取り組んでもよいのではないかというようにも思いますが、この点はどう考えておりますか。
  131. 関根則之

    政府委員関根則之君) 当初、五十年に事業所税ができましたときには、先ほども申し上げましたように、人口集中を排除していこうという考え方がそもそも議論の発端にあったことは間違いないのでございます。しかし、できました翌年の五十一年に三十万都市まで拡大をいたしました段階で、ほぼ集中排除という観点というのはいわば横へ置かれたといいますか、ちょっと別な観点から、もっぱら都市整備財源をそれによって集中の利益を受ける事業所からいただこう、そちらの方に転換をしてきたのじゃないか。公式的には私どもも五十年にできました時点からそういう説明をしてきたと思いますけれども、まあまあ五十一年以降は少なくとも集中排除ということを表へ出した議論としてはしていないというふうに考えます。  また、集中の効果があったかどうかというお話でございますが、税そのものの政策的な効果の限界というのはやっぱり相当ありますし、税だけでどれだけの効果があったのかということを申し上げることはできないと思いますけれども、ほかのたとえば工場の再配置の立法政策でありますとか、そういったものと兼ね合いまして、かなり集中排除の効果というものは出てきているものというふうに考えております。  また、今後の拡大の問題でございますが、これは税制調査会等におきましても、いろいろと議論がなされてきております。私どもは関係の地方団体の要請もございまして、これを拡大すべきである、何とか拡大できないかという方向で議論を続けてまいりましたけれども、五十一年に三十万都市にまで拡大いたしました段階で、その年につけ られました税調の答申では、今後さらに拡大することについては慎重にやりなさい、こういう答申がつけられております。しかしそれにもかかわらず、地方団体の要望を背景といたしまして、われわれは毎度毎度実は税調の場へ議論を出してきているわけですけれども、そういう私どもの要請を受けての税調の議論では、いわば両論併記といいますか、片方では拡大をしたらどうかという意見があるけれども、しかしやはり問題もいろいろあるから引き続き慎重に検討すべきである、こういったトーンの考え方が支配的であるわけです。非常にむずかしい問題ではございますけれども、私どもといたしましては、現在の課税団体とほとんど条件を同じくするような都市に対しましては何らかの方法で拡大すべく努力を続けていきたいというふうに考えておるところでございます。
  132. 大川清幸

    ○大川清幸君 昭和五十一年に三十万以上ということはいま御説明のあったとおりですが、この事業所税についてはいろいろ意見があることも私承知はいたしておるのですが、集中の排除とかということは確かに発想の原点にはそれがあったろうと思うのですが、実際にこれを実施してからの考え方は、大分財源確保の方に考え方が移ってきたということは事実だろうと思うのです。そういう状況から考えて、財政事情の厳しい地方公共団体の立場から考えますと、やはり多少拡大をしていただく方向で実施できれば、地方公共団体の方も財政的には財源がそれだけ確保できるわけですから、ありがたいという考え方が基本的にあるのだろうと思うのです。  五十一年の改正は三十万以上の都市という規定ではっきりしておるわけですが、これは三十万以上を、人口たとえばもう少し二十万ぐらいに下げるとか、あるいは人口の規模にかかわらず県都ぐらいは何とか対象に入れるというようなことは考えられないものかどうか。その辺についてのお考えがありましたら聞かせていただきたいと思います。
  133. 関根則之

    政府委員関根則之君) 私どもは事業所税をできれば拡大をしたいというふうに考えておりますが、その拡大をする際に、どの程度の範囲まで拡大するのかという議論がいろいろあるわけでございます。  たとえば大都市周辺の近郊整備地帯に所在するような都市には、たとえ小さな都市であってもすべて課税権を与えたらどうかというような議論もありますけれども、余り小さなところについてはやはり問題があるのではなかろうか。一定のやっぱり都市集積というものがありまして、そのことによって小さな都市とは違った特別の財政需要がそこから出てくる、財政需要のかかり増しがしてくる。そこに着目をして課税するのがこの税でございますし、都市計画税等と一応区分けをいたしまして、この税のアイデンティティーを立証しなければいかぬ、そういう問題もございます。  そういう意味からいたしますと、いま先生ちょっとお話がありましたように、少なくも大体三十万都市と余り実質的に変わらないような都市ということになりますと、大体都市の人口が二十万程度になりますと一応のかっこうのとれた市になるものですから、その辺のところが一つの目標範囲ではないかなというふうに考えております。それからもう一つは県庁の所在地でありまして、課税団体になってないところがありますが、やはり県庁がございますといろいろ文化的な集積もありますし、結構企業なども張りついてくる。特に情報産業系統の企業が相当立地をしているというような問題もございますので、人口二十万まで広げるのであれば一緒に県庁所在地まで広げてもいいのではなかろうか、こういった考え方も実は持っております。そういうことを実はわれわれが考えているだけではございませんで、関係市からも強い要望があるわけでございますので、大体そういったことを一つの目標といたしまして、私どもはここ二、三年税調の場で相当強く要請もしてきているわけでございます。  今後拡大の問題を検討するに当たっては、一つの考え方としていま申し上げたようなところがめどになっていくのではなかろうかと考えております。
  134. 大川清幸

    ○大川清幸君 大臣、確かにいま御答弁があったとおりで、ある程度集積の利益を受けられるような都市構造というか、経済的な基盤がなければ事業所税を実施しても実際にはその効果がないというか、その町が今度は会社等に逃げられてしまって逆効果になるということも確かにあるわけで、その辺の状況は私よくわかるのですが、五十一年に改正をされたまま今日に至っておりますので、これは状況によって拡大をすること自体も慎重にやっていただかないとまずい問題が起こることはよく承知をいたしておりますが、ある程度のけじめというか、めどをつけて、いま話も出ておりましたが、二十万前後の都市であればそれなりのやはり経済力もついてくると思うし、都市の体裁も整ってくるはずでございますので、その辺までの拡大の方向では扱っていただけるでしょうか、どうでしょうか。
  135. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) この問題は当初できたときの、何といいますか、趣旨よりは、いま都市の環境整備という方に重点がいっているように思うのです。  そこで、この問題はいつも十二月の税制調査会には必ずといっていいほど出るわけなんです。出ますが、残念ながら相当反対意見もありまして、その反対意見とぜひやりたいというところのなかなか合意がむずかしいので、そのたびに、まあことしも見送るかなと、こういうのが実情でございます。しかし、だんだん条件は私は熟しつつある、何年も何年もそう見送りももうできないなという気分には大分なってきておりますから、来年というか、ことしの十二月の税制調査会でまた出すことは出すというつもりでやっておりますので、何とか地方税収の上がるという目途からやっていきたい、こう思っております。
  136. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは次に、国の租税特別措置によって地方税の減収という事態が起こるわけですが、それが一つと、それから地方税の非課税措置ですね。これによっても減収が起こるわけですが、この両者の減収見込みはおわかりになりますか。
  137. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) 五十八年度の見込みで申し上げますと、両方合わせまして五千四百二十六億円の非課税措置等による減収額が生ずるものというふうに見込んでおります。なお国税の影響に伴いますものがそのうち六百三十九億円、残りの四千七百八十七億円なるものが地方税独自の減収、こういうことに相なります。
  138. 大川清幸

    ○大川清幸君 これ、毎年問題になるのですが、税制上公正を図るという観点から言いますと、地方税の非課税措置の見直しあるいは国の租税特別措置による地方税減収への遮断、こういうようなことが毎度論議になるのですけれども、これは毎年同じことを繰り返さないでいつか整備をしてもらいたいと思っているのですけれども、どうですか。
  139. 吉住俊彦

    政府委員(吉住俊彦君) あるいは同じお答えになるかとも思い、大変恐縮いたしておりますけれども、やはり非課税措置整理合理化という問題につきましては、それなりのたとえば既得権化は許さないとか、慢性化してはならないとか、実効が上がらないものは削除するとかという一般原則にのっとりまして個々に対応してきているつもりでございますし、今後もそういう方向でやっていかなければならないというふうに考えておりますし、他方、国税の特例措置によりましてこの影響が地方税に及ぶというものは、これはいろいろな考え方がございますが、もちろん遮断する方が適当なものもございますし、そのような場合には現在でも遮断しているものがあるわけでございますが、やはり貯蓄の奨励でございますとか中小企業対策といったような問題につきましては、国税と歩調を合わせて地方税でも措置した方がより適切であるといったようなものもございますので、やはり個々に判断しながら厳正な態度でやってまいりたい。同じお答えになったかと思いますが、大変恐縮でございます。
  140. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは、ちょっと具体的に伺いますが、電気税非課税特別措置、これが相変わらず存続をされておりますが、この存続理由はどういうことですか。
  141. 関根則之

    政府委員関根則之君) 電気税につきましてはいろいろな御意見をいただいておるところでございますけれども、電気税が産業用に使われておりますという場合に非課税措置をとっているわけです。  この産業用の電気というのは物を製造したりいたします場合の原料として使われるわけでございますから、原料に電気税をかけますと、その分だけコストが上がる、コストが上がると製品の価格の上昇を伴う。国の基幹産業等が主に電気を原料として使っているわけでございますけれども、そういった基幹産業の製品価格が上がってまいりますと、勢いそれをもとにして消費物資等をつくっている消費者の価格が上がってくる。こういう循環が生じてくるわけでございます。そういう観点から物価に及ぼす影響を考えまして、重要基幹産業等につきましては製品中に占める電気料金の割合がおおむね五%を超えるものについて現在非課税措置をとっているわけですが、主としていま申し上げましたように、そういった物価に対する影響というものを無視できませんので、五十八年度においても引き続き一品目を除きまして存続することとしているわけでございます。
  142. 大川清幸

    ○大川清幸君 おっしゃるとおり電気が産業用の特に原料として使われる状態、これは見てみますと、たとえば山形県の酒田なんかでは一生懸命地元で産業誘致で来てもらったのだけれども、実際電気料が高くて倒産をするというようなことがある。あれは住友軽金か、それから、この間北海道へ視察に行ったところが、苫小牧の日軽金あたりでも電解施設の工場が十二棟あるのですが、一棟しか稼働していないとか、深刻な状態なので、やはり日本経済が国際経済社会の中で生き延びていくには、そうした面での産業対策はかなりこれ考えてやっていかないと日本経済全体がもたないといういきさつはよく私もわかるのですけれども、いま御答弁にあったとおり、仮に物価対策あるいは国の施策としての経済政策の一環として考えるということであれば、これはもっぱらやっぱり国の側の施策として行う結果出てくるわけですから、したがって非課税特別措置によって地方の方へ影響が出るわけですから、この辺は国でカバーしてもらうのが筋論だ、こう思うのですが、どう思いますか。
  143. 関根則之

    政府委員関根則之君) そこのところは非常に議論の分かれるところでございます。地方の税については本来地方が課税自主権があるのだから自由に取れるようにしておけというような議論まではなはだしくはあるわけでございます。  しかし、税というのは、ある特定の地域で、あるものに対して課税をいたしますと、それは大変その経済に大きなインパクトを与えるわけでございます。物の流通等に対しましてストレートに大きな影響を与える場合がある。経済そのものを攪乱してしまう、競争条件を変えてしまう場合も時にはあるわけでございます。そういったことを考えますと、税制というのは国税あり地方税ありで、そのそれぞれにやっぱり経済に与える影響をできるだけ少なくする、租税の経済的中立性というふうに言われておりますけれども、そういうことも頭に置きながらうまく配分をしていかなければならない、仕組みをつくっていかなければならないわけでございます。  それで、そういう仕組みの中で地方がいま電気税というものを引き受けているわけですけれども、電気税を地方がいただいておるといいますか、地方税の中へ入っておる。その電気税というのは、またその電気税そのものの中での論理というものをその限りにおいてやっぱり貫かなければならないということも言えるのではなかろうかと思うのです。電気税はもらったのだから根っこから全部電気税については地方の財源としてしまって、政策的にその電気税のある一定部分がやはり取るべきでないというふうに判断をしたときに、それはもう国のものなんですよ、国が補てんすべきですよと、まあそういう考え方も全然成り立たないとは私言うつもりはございませんけれども、やはり自分の方に割り振られた税の中でその税の持っている限界といいますか制約といいますか、そういうものはやはりその税を所管している方で処理していくという仕分けも一つの仕分けの方法ではないかというような感じがいたします。物価は国の政策であるからすべて国がやれというお話もわからないではないわけでございますけれども、やはり同じ国民を相手にし、住民といっても国民でございますから、国と地方が協力していろいろな政策を運営していく関係にある。そういう意味におきまして地方税は地方税なりに、物価なりあるいは国民生活なりそういうものに対して対応していくといいますか、そういう必要性もあるのではなかろうかというふうに考えます。  電気税の場合には、私どもはやっぱり電気税の持っている一定の制約条件の中で、何とかできるだけ財源をよけいいただくというような工夫をこれはしていくべきではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  144. 大川清幸

    ○大川清幸君 大臣重ねてこのことについて伺いますが、確かにいまの答弁も理解できるわけですが、物価対策、経済政策、それから言ってみれば電気事業というか企業に対する一種の優遇措置、これで地方の方に影響の出る部分についてはやっぱり考えていただく必要のある性格の問題ではないか、こう思うのですが、大臣、御見解どうですか。
  145. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 物価にはね返るからぐあいが悪いというのはきわめて公式的な返事だと言うておしかりこうむるのですけれども、実際問題としてそういうことはあると思うのです。  それで、できるだけ私どもこれやめたいとは思うのです。確かにそうなんです。しかし、たとえばアルミニウムなんというのは電気の缶詰というようなものですから、やっぱりこれをやめたら、たちまち日本のアルミ産業というのはつぶれてしまうというようなことになるのじゃないだろうか。項目を見てみますと、やはり産業と言いますけれども、国民生活になければならぬものを生産しているという基幹産業なんですね。これまたおしかりをこうむるのは、大企業の留保財源をつくっているだけじゃないか、こういうおしかりも中にはございますけれども、しかし中身は一つ一つ見てみると、なかなか国民生活としては大事な品目だなというものが多いわけなんです。しかし地方税収という立場から言えば、やはり見直しはやっていかなければいかぬ。それから電気料金も動いているわけなんで、早い話が油が安くなったら電気料金も下げたらいいじゃないかという議論もたちまちあるわけなんで、そういうことも考え合わせながら、通産省とよく連絡しながらできるだけこれは廃止の方向に、やめてもらう方向で今後ともやらなければならぬ、こう思っております。
  146. 大川清幸

    ○大川清幸君 ところで、電気税非課税措置整理合理化、これはかつて地行の委員会でも租税負担の公平化を期するための精神で附帯決議が付された経緯があるのですが、一方、税制調査会内にもこれに関しては全面見直し等の必要を認めている意見もあるやに聞いております。したがって、現状から考えて、この意見に沿った方向で撤廃の範囲を現状よりも多少広げるような考え方、これはおありなんですか、どうなんですか。
  147. 関根則之

    政府委員関根則之君) 電気税産業用電気につきましての非課税品目の整理でございますけれども、税調の答申におきましてもいわば両論併記みたいな形になっておりまして、見直しを行う必要があるとの意見が一方にあったが、片方では見直しを行うに際しては物価等に及ぼす影響について配慮する必要があるというようなことを実は五十六年十二月の答申でも言っておるというような状況であるわけです。  ただ、基本的にどうなのかということでございますけれども、私どもとしては昭和五十一年以来鋭意非課税品目を整理をしてきているわけです。大臣が答弁されましたように、私どもとしてはで きるだけ早く整理する方向で持っていきたいと思っておりますが、産業界の状況、物価に及ぼす影響、そういうものもやはり留意せざるを得ないわけでございますから、しかもすでに相当程度、これもおしかりを受けるかもしれませんが、整理を私どもとしてはやってきたつもりでございます。    〔委員長退席、理事亀長友義君着席〕 残っておりますのは一覧表でごらんいただければすぐおわかりと思いますけれども、ともかく不況産業等がいっぱいありますし、基礎素材産業等がありまして、なかなか簡単に整理できるような業種というのはすでにもう整理されちゃっておるというような状況でございますから、なかなか政府部内において理解を得ることもむずかしい、それから税調等においても突破するのがなかなか困難である、そういう状況下にあります。したがって、簡単に大幅に今後整理できるという見通しを申し上げることはできないわけですけれども、われわれは一つでも二つでもできるだけ早く整理の方向で片をつけていきたい、そのための努力は惜しまないつもりでございます。
  148. 大川清幸

    ○大川清幸君 いまの御答弁で尽きていると思うのですけれども、この非課税特別措置の撤廃の方向ですね。これは確かに経済の状況等を見ませんと、その効果の波及するところがまずい結果を招く場合もあり得るので、その辺は私もよく理解をいたしますが、特別措置と名づけてある以上いつかは撤廃の運命にあるのだろうという解釈をこちらはするのですけれども、しかし何でもかんでも撤廃しちゃえという乱暴な意見を私持っているわけではありません。整理の方向でいくとするならば、ある程度の計画をお持ちなのですか。それとももう大体ほとんど主なものは済んじゃっているから状況を見ながら個々にやりたいと、こういうことですか、どうですか。
  149. 関根則之

    政府委員関根則之君) たとえば五カ年計画というような形で目標の整理のパーセントを定めている、そういったようなものはございません。  ただ、税調でも税負担の公平確保が大切ですよという考え方は示されておりますし、また臨調でも再三にわたりまして非課税等特別措置の国の租特を含めて整理合理化を図れと言われてきておりますので、少なくも私ども昨年臨調答申がありましてから、昨年と申しますか、すでにもうおととしになりますが、全面的な見直しという考え方で洗い直しをしているつもりでございます。個々にただ行き当たりばったりというのではなくて、全面的な見直しをするという考え方の中で整理可能なものについて極力整理を図っていく、そういうやり方でここ二、三年推移をしてまいりました。今後におきましてもやはりそういう態度を続けていきたいというふうに考えております。
  150. 大川清幸

    ○大川清幸君 今回の措置で、これは第四百八十九条の十六に「カリ塩及びりん化合物」云々というところがありますが、この中で今回は燐だけ非課税措置の撤廃が行われたわけですが、この理由は何ですか。それと、この撤廃によって税収はどのぐらい見込めるのですか。
  151. 関根則之

    政府委員関根則之君) 燐を整理いたしましたのは、昭和三十六年の税調の答申で重要基幹産業についておおむね五%以上のものを非課税という形にしなさいという基準が示されております。その基準に従って判断をいたしますと、燐が最近生産量等がきわめて落ちてきてしまっておりまして、昭和五十二年度には一万五千トンの生産量が国内の企業であったわけでございますけれども、五十六年度はわずか二千トンという形に七分の一に落ちてきております。そういうことで、いわば国民生活に重大な影響を持つ基幹産業というにはちょっと適しなくなってきているのではないか、燐産業の重要性というものが落ちてきているということで、これの電気税非課税を廃止いたしましても、国民生活なりあるいは物価なりにそれほど大きな影響を与えないのではないかということで、通産省と協議をいたしまして今回整理対象にさせていただいたということでございます。  なお、これの廃止に伴う増収見込み額でございますけれども、二千五百万円でございます。
  152. 大川清幸

    ○大川清幸君 次に、市町村納付金関係について二、三お伺いをしておきたいと思います。  電電公社関係では昭和五十六年から五十九年までで年間千二百億円ですか、これを国庫納付金としてずっと納めることになっております。現在までに、ですから幾らになるのか、四千八百億ぐらい納め、これからも五十九年まで納めることになるのだろうと思うのですが、これが国庫納付金これだけ納められるということは、電電公社の経理内容、財政状況が、これきわめていいという解釈でいいのですか。どういうことなんでしょうね、これ。
  153. 関根則之

    政府委員関根則之君) 私どもといたしましては、電電公社の最近における経営状況は、公社からの数字をいただいておりますけれども、おおむね年間四千億近い利益を計上しておるというふうに承っております。そういう状況の中で国に対しまして、昭和五十六年度から毎年千二百億ずつ四年間、合計四千八百億円を納付するという制度といいますか措置がとられたわけでございますので、それを五十八年度においては五十九年度分を一年繰り上げていただくという措置までとるということでございます。  電電公社の経営状況というのは、したがってそういう納付金まで納められる程度によろしいというふうに理解をいたしておりますので、基本的には私ども納付金特例をやめていただいて固定資産税に見合う程度のものはいただきたいというのが私どもの基本的な物の考え方でございます。
  154. 大川清幸

    ○大川清幸君 これまた国庫納付金と、それから利用者に還元するのとの論議をやっていると時間がなくなりますから。  ところで、三公社関係市町村納付金、これは固定資産税に見合うものの二分の一を納めさせるような形になっておりますが、これ現行の納付制度、これを見ておりますと、本来は固定資産税ですから地方財源であるべき制度のものだろうと、こう思うのですね。これが二分の一、まあ横取りという言葉は余りよくないのだけれども、そんな形になっているような気もするのですが、この点、これは法の精神から言うと、どういうことになりますか。
  155. 関根則之

    政府委員関根則之君) 御指摘がございましたように、公社の納付金固定資産税に相当するものというふうに私どもは理解をしているところでございます。それが二分の一の特例規定されているわけでございますが、その趣旨は、公社が国の設立する公共企業体であるという公共的な性格に由来するものであるというふうに理解をいたしておるわけでございます。残り二分の一が国に横取りされているような形になるというお話でございますが、実質的に公社の負担がそれだけ軽減されているということは間違いのない事実であろうというふうに考えます。
  156. 大川清幸

    ○大川清幸君 どっちにしても一種の優遇措置ですよね。そうでしょう。ですから、これ税の優先順位というか、地方財源を確保するという考え方から言いますと、やはり地元の地方公共団体、市町村から言うと、やっぱり横取りされているような気分というのはなかなかぬぐえないと思うのですね。これは全面撤廃というと、またいろいろ影響が出ると思うのですね。いま御返事があったとおりですが、やはり何とか緩和、まあ緩和と言っていいのか、これ二分の一ですね。これは地方財源に将来幾らかプラスになるように、二分の一か三分の幾つにするかというようなことでの将来の改定の見込みはありますかありませんか。可能性はどうですか。
  157. 関根則之

    政府委員関根則之君) この問題につきましては、私ども実は自治省のいわば総力を挙げて、何とか二分の一特例をやめられないかということで、五十八年度の税制改正は当たりましての各段階での論議に相当精力を費やしてきたつもりでございます。  ただ問題は、臨調の答申が一つございまして、三公社について民営化を志向した改革案が出されていると思います。そういう段階でどういう形で臨むべきか、民営化が本当に進むのであるとすれ ば、民営になれば、これは固定資産税まるまるいただくのはあたりまえの話というふうに私どもは理解をしております。したがって、そういう現在の特例措置というものが、国の設立する公共企業体であるという一つの特殊法人といいますか、人的な特例というものが設けられているというふうにも理解をできるわけでございますので、その人格が変わるということによって自動的に一般民間並みになるということが近い将来期待されるのであれば、またわが方のいろいろ作戦なり物の進め方も変わってきていいのではなかろうか、そんな議論も一方にあるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういったいろいろな情勢の変化なり、これからの動きを見つめながら、私どもとして最も有効な戦術、作戦を立てて、この問題については先生御指摘のとおり、まさに地方財源として観念すべき筋合いのものだという考え方はわれわれずっと持っておるわけですから、そういう実現に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
  158. 大川清幸

    ○大川清幸君 いまの御答弁の中でも出てきたのですが、民営化の方向ですね、大臣。これ臨調の方で三公社についても示唆をしているのは御承知のとおりだと思うのです。ですから、その方向で、まあこれ今後のことでなかなか大臣お答えがしづらいかもしれませんが、臨調の方向で検討なさるのでしょうなということが一つ。それから、いまお話がありましたように、市町村納付金の優遇措置みたいなものは民営化になれば当然消えますね。そういう認識でよろしいのですね。
  159. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これ、三公社といいましても、専売は金額は小さいし、国鉄は赤字でちょっと取るのは気の毒だなという感じが先に立つのですが、何といっても電電だと思うのです。電電は業績はよろしい。  先ほど来お話しのように、ことしは前倒しだということで二年分国庫の方は税外収入で持っていったわけです。そこで、四カ年間という約束ですから来年はもう一応ない。しかし国庫の方はなかなか思い切らないでまた要求するかもしれませんけれども、しかし来年は一つのチャンスだ、電電公社の方も、経営形態から見て少しもうかっているのじゃないかということに対しまして、たとえば遠距離の電話料金は引き下げなんかしまして、そういう企業上の国民へのサービスの努力もしなければならぬ、だから余り金ないのですよと、こういう言い方をするわけでございます。そういうことでございますが、何とか来年は、いま税務局長の自治省の総力を挙げてという話もございましたが、これは率直に言いまして、なかなか政治的な綱引きみたいなものなんです。ですから、来年は一つのチャンスであるかなと、こう思っておるところであります。  それから、民営の問題ですけれども、これは私がここでこれが臨調の答申どおり民営にいくのだとか、いかないのだと言うのは、これちょっと適当じゃありません。これはそんな簡単な問題ではどうもなさそうだと、そう私は個人的には思っております。
  160. 大川清幸

    ○大川清幸君 ところで、今回の措置でも、たばこ消費税のことは減収分について措置をされるような考え方がはっきりしているから、これはこれで私納得なんですが、専売公社の市町村への納付金分、これはやはり二分の一規定のやつでやっておりますね。ですから、私が調べたのが間違ってなければあれですが、五十二年から五十六年までで大体九十五億円程度でしょう。毎年十二億とか十五億程度じゃないでしょうか。ですから、これは二分の一措置、まあさっきと同じ話になってしまうのですけれども、近い時期にやめてもらわなければいかぬかなと思うのですが、これはどうですか。
  161. 関根則之

    政府委員関根則之君) 私どもとしては、専売公社の市町村納付金につきましては電電公社と同じように認識をいたしておりまして、二分の一の特例措置を廃止していただきたいというふうに考えております。額につきましては五十七年度で二十六億程度入る、各年度最近ではその程度の金額になると思います。
  162. 大川清幸

    ○大川清幸君 時間がなくなってきましたが、その市町村納付金の関連で、もう一点だけ伺っておきたいのですが、上越新幹線東北新幹線、これについては軽減措置がされるわけですが、青函トンネルが通じて稼働するのが六十一年ですか、稼働された時点では、供用開始以後の措置については、これはどうなるのですか。どこの市町村が納付金を受けて、どうなるのですか、これ。    〔理事亀長友義君退席、委員長着席〕
  163. 関根則之

    政府委員関根則之君) 青函トンネル、現在つくっているものがどういう形で運営管理されるかということについてはまだ方針が決定していないというふうに承っておりますので、仮にの話でございますが、青函トンネルが国鉄の営業用の資産として使われるということになりました場合には、仮に日本鉄道建設公団が所有権を持っておりましても、いわゆる国鉄が借りている場合でありましても納付金対象にはなるということです。その際に納付金が入る町村でございますけれども、青森県側と北海道側の出口の町村が納付金を受ける資格を持つというふうに考えております。
  164. 大川清幸

    ○大川清幸君 わかりました。  それでは時間かないのであれですが、道路目的税でちょっと一、二お伺いをいたします。  これは自動車取得税と、それから軽油引取税、これの税率を今度の地方税法改正では暫定措置として二年延長、こういう措置をとられたのですが、この延長措置をとられた理由はどういうことでしょうか。
  165. 関根則之

    政府委員関根則之君) 軽油引取税自動車取得税につきましては、従来から本則税率によらずに特例税率によって高い税率を設定いたしまして税金を徴収していたわけでございます。  これは道路目的財源でございますので、地方公共団体の管理する道路の建設促進が必要でございます。国道に比べて改良率、舗装率ともに劣っておりますので、それらの整備を図っていくための財源が必要であるということ、それから国に比べまして道路特定財源が低い、第八次計画におきまして四四・六%しか特財率がないわけでございますので、そういう状況を加味いたしまして、今後九次の五カ年計画が始まるわけでございますけれども、それを見越しましても地方の事業量、地方費の額というのは決して減ってはまいりません。ふえていくだけでございますので、そういう財源に充てますために引き続き特例税率をとりあえず二年間据え置きでやらしていただく、こういうことにしたわけでございます。
  166. 大川清幸

    ○大川清幸君 ところで、従来も整備計画によって道路建設事業がずっと行われてきたわけですが、この経過の実績を見ますと、やはり地方単独事業達成率の方が、結果から見ますと重点的にそっちに力を入れてやっているのかなという感じですね。  そこで、第九次もいずれ始まる時期に来ておるわけですが、従来の考え方でこのまま事業をやるという形になりますと、市町村側の方の立場でいいますと、持ち出し財源については一般財源を食わなければならぬということにもなりますので、このことについては道路の整備充実をすることは結構なんですが、地方財源の何かやっぱり裏づけというか、バックアップをしてやらないと無理な市町村も出てくるのじゃないかという心配があるのですが、その辺はどうお考えですか。
  167. 関根則之

    政府委員関根則之君) 国の場合には比較的道路目的財源が充実をいたしておりますので、一般財源の投入額は少なくて済むわけでございますけれども、地方の場合には特定財源比率が半分にも達していないというような状況でございまして、御指摘のとおり一般財源からの持ち出し等が多くなっているわけです。その分だけ地方の一般的な財政を圧迫しているという結果になっているということも言えると思います。  そういう意味におきまして、第九次の計画の実行を図ってまいりますためには、財源の面でやはり必要な措置を講じていかなければいけないだろうというふうに私どもは考えております。したが て、先日閣議了解がなされました九次の道路整備五箇年計画につきましても、その第二項におきまして「事業の円滑な執行を図るための財源措置について所要の検討を加えるものとする。」という条項を入れていただきまして、今後地方の道路目的財源の拡充のためにいろいろと関係各省と折衝を続けながら相談をし、その充実を図っていきたいというふうに私どもは考えております。
  168. 大川清幸

    ○大川清幸君 時間が来ましたから、大臣にもその方向でこの道路財源についてはひとつ御配慮を要望しておきます。  終わります。
  169. 神谷信之助

    神谷信之助君 まず、住民税減税の問題をお聞きをしたいと思うのです。  それで、先ほどから同僚議員が質問をしておりますので、五十八年度の所得税減税及び住氏税減税、この実施をするのかしないのかという点については予算案の審議中だから差し控えるという御答弁のようです。そこで、ひとつこういうことを聞いておきたいのですが、五十八年じゅうに法案は出して成立を期待するけれども、しかし実際の減税の実施は五十九年に入ってからだというような話もありますが、そんなごまかしのペテンのような減税ということはあり得るのか。いかがですか。
  170. 関根則之

    政府委員関根則之君) 官房長官が予算委員会におきまして幹事長の発言につきまして確認をいたしておるわけでして、五十八年中に住民税についても法案を作成をして国会に提出すると。そういうことを尊重いたしまして、私どもとしては鋭意具体的な内容をどうしたらいいのかということを現在検討している段階でございます。したがって、いま先生が御指摘になりましたような内容を五十九年度に持っていってしまいますということを決めたわけでも何でもありません。ただ、住民税につきましては、五十八年中に減税を実施するといいますと、住民税独自の性格といたしまして大変事務処理上もいろいろな問題が出てまいりますよと、そういう問題を踏まえて検討しなければならないということはありますけれども、いまその問題をいつからどの程度やるのかということを真剣に検討している最中であるわけでございます。
  171. 神谷信之助

    神谷信之助君 検討している最中はわかりますね。だから、二階堂幹事長の約束というのは法案を出すと言う。いつから減税とは言ってないのですね。だから、法案の中身いかんによっては五十九年一月から実施という場合もあり得るということなんで、さあ、だんだん検討している検討の結果によってはそういうことも起こり得るということになるのですか。
  172. 関根則之

    政府委員関根則之君) 理論的な問題としては別でございますけれども、いま私どもといたしましては幹事長の代表者会議における確約なり、官房長官のこれを尊重する旨の発言なり、それを受けて何とか早く処理ができないのかということを研究をし検討を続けている最中でございますので、何か来年になってしまうのだというようなこともあり得るというようなことを私が答弁申し上げるのは、これはやっぱりいかがなものかという考えでございます。要するに早く具体案をつくりたいということで努力をしているというのが現状でございます。
  173. 神谷信之助

    神谷信之助君 実際の処理業務から言って、たとえば秋に住民税の減税をやりますという法案をつくって実施は本年四月にさかのぼってやるという場合、住民税の場合、実際上は実務的に可能なことになるのかどうか。この辺はどうですか。
  174. 関根則之

    政府委員関根則之君) 実際的には非常にむずかしいと思います。しかし、物事というのは要するにインプットとアウトプットの関係でございますから、少ないアウトプットを求めるのにアウトプット以上のインプットを入れてもいいのだというような場合も中にはあり得ると思います。そういう意味で、どんなに手間がかかってもいろいろ役場の事務が大変なばかりではなくて、民間企業の給与支払い者にも相当重荷がかかるわけですけれども、そういうものがかかっても構わないのだということでやれば、理論的には年度内実施も決して不可能ではない。一切だめかと言われれば、それはそうではありませんというふうにお答えする以外にないわけでございます。ただ、実際問題として大変手間がかかる、いろいろな方面にいろいろな問題を起こしてしまうということは事実でございます。
  175. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで大臣、所得税減税をどうやるかというのを具体的に向こうの大蔵中心に考えますわね。住民税減税、同じようにいまのように秋の時点で本年四月に遡及して実施をする。所得税もやる、したがって住民税もやる。実務的にはいろいろな問題が起こるにしても、それはそういうことであれば必ずやるということははっきりしているのですか。
  176. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 減税についての与野党合意、あるいは衆議院議長の見解、それから代表者会議における二階堂幹事長の発言に対する官房長官が尊重しますと言った発言、それらを受けまして五十八年中に減税についての法案を出す、こういうことになっておることは私どもも十分理解をしております。  そこで、いまお尋ねの国税の場合は、所得税の場合、私は五十八年度中にやるということは、わりあいに事務的には余り問題はない。財源には私はいろいろ問題があると思いますが、今度は反面、地方税はいま局長がお答えしましたように、地方税の住民税の、何といいますか、課税対象額に当たるものは御承知のように前年度の所得でやっている。それは国税の方と地方税との連携をうまくやって、そして地方税の徴収をやっている、こういうことは皆様御存じのとおりでございます。  そこで、いま局長の言いますのは、そういう地方税には特殊性がございますから、どうしてもこの五十八年度中にやろうということになりますれば、国税と違った面でのその溝をどうやって埋めるかということにいろいろ考えなければならぬ点がたくさんございますと、こういうことをいま申し上げていることでございまして、一概に五十九年度になってしまうのかと、こうおっしゃっても、それはそんなことを考えているわけではありません、何とか五十八年度にできないかな、しかし五十八年度中にやるには地方税としては大変むずかしい点が多々ございますと、そういうことを申し上げていることでございます。
  177. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、所得税の方は五十八年からやります、住民税の減税は五十九年です、住民税の方は前年度所得についてですから一年おくれですということなのか、それとも住民税の方も五十八年にちゃんとやりますということなのかということです。だから実務的にいろいろ問題があるというのはわかっています。それは局長が答弁された。だから自治大臣としての政治方針はどうなんだと言っているのです。
  178. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いま申し上げたように、何とか五十八年度中にやれないかな、しかしそれには国税よりは地方税はめんどうな問題がいっぱいございます、だからそういう溝をどうやって埋めるか、この溝を埋めるのはなかなか私は努力が要ると思います。ですから、その溝をどうして埋めていくのかということについて鋭意心を砕いておりますというのがいま税務局長の立場でございまして、私どももそういう立場で、だから、いまおっしゃるように、どっちかとお尋ねになれば、ただ五十九年度にやるのだなと、それに対してはさようでございますなんというようなお答えは一切しておりません。ですから、五十八年に地方税の特殊性にかんがみて何とかやれるようにその溝を埋めるという努力をしたい、こういうことを言っているわけであります。
  179. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう一つのこの問題の心配は、これは予算委員会で私がやりましたが、減税をやるとすれば結局増税を考えざるを得ぬ、いろいろ歳出のカットその他努力をしてもというのが小倉税調会長の意見です。そして大蔵大臣は臨調答申と税調答申とどっちを重視するか、尊重するかといったら税調答申尊重する、こうなんですね。そ うすると、財源は増税やるということになりますね。ほかの方を仮に切り詰めたにしても、足らなければ増税やる。増税は大型間接税の導入だ、一遍にやるか小出しにやっていくか、その辺はこれから考えますというのが小倉会長の話ですよね。そうしたら、減税は一方でやってもらって、それ以上ごそっと増税やられたのじゃ、たまったものじゃない。それこそこれもまたペテンじゃないかということになるのですが、この辺は問題はそうなると財源をどこに求めるかということなんですよね。  それについては、われわれは、結局歳出カットなんだけれども、歳出カットと言えば福祉や教育の方のカットじゃなしに軍事費を削りなさいというのがわれわれだ。その道を選ぶか増税するかですよね。あるいは大企業に対するいろいろな優遇税制や仕組み、これにメスを入れるかどうか、それやらなければ増税以外にない。これは政策の選択の問題で、中曽根内閣が国民向けの政治をやるのかアメリカ向けの政治をやるのかという、あるいは大企業向けの政治をやるのかということの分かれ道、試金石になるわけですね。この点しかと申し上げておきたいと思う。これは御意見を聞かなくてもわかります。もう結構ですから。だからそういう問題になりますよということだけ指摘をしておきたいと思うのです。  そこで、自治省にお伺いしますが、仮に住民税の課税最低限を物価スライドで五十六、五十七、五十八、いま三年間とまっていましたけれども、これをそのまま引き上げていった場合の累積減収額、これは一体どれぐらいになるかお答えいただきたいと思います。
  180. 関根則之

    政府委員関根則之君) 御指摘のように五十五年度に課税最低限を百五十八万四千円に設定をいたしておりまして、その後据え置いております。それを物価にスライドいたしまして五十六年から七年、八年と課税最低限を引き上げたと仮定をいたしまして試算をいたしますと、おおむね五千四百億円程度の減収が累積で生じるものと思います。
  181. 神谷信之助

    神谷信之助君 言うなれば、ほかの予算は別にして物価だけの関係で言えば、少なくとも課税最低限を三年間据え置きにしたことによって住民の側から言えば五千四百億ぐらい自然増税になっておる、自然増収じゃなくて自然増税になっておるという状況ですね。  そこで、今回百八十八万五千円で非課税限度額というのは据え置かれたのですが、これによる減収額及び対象人員、これは幾ら、どうなりますか。
  182. 関根則之

    政府委員関根則之君) 非課税措置を五十六年度以降とっておるわけですが、これによる減収額の額の試算及び対象人員の試算というのが実は非常にむずかしいわけです。なぜかといいますと、税金をいただいてない人についての試算をしなければいかぬということですから、もともとこちらにデータがないわけでございます。  ただ、関連する資料から推計をすることはできます。まあ大胆な前提を置いての話でございますが、推計をいたしますと五十六年、五十七年と置いて非課税限度額を設定いたしまして、それぞれ減収額なり人員なりを出しておりますが、それらを累計をしてまいりますと、金額にいたしまして三十億円程度、それから対象人員にいたしまして約百二十五万人程度というふうに考えております。
  183. 神谷信之助

    神谷信之助君 ちょっと時間を急ぎますから、あとこれはお聞きをしていますから、それを含めて申し上げておきたいと思うのですが、これは衆議院で三谷議員の方が、現在の生活保護基準額と非課税限度額との差が十三万円だ、その十三万円を今度は生活保護基準額の引き上げに伴ってスライドさす、そうした場合の減収額と対象人員はどうかというのに対して、自治省は減収額三十三億円、さらにいま先ほどおっしゃった数字にふえる、対象者は五十八万人さらにふえるということなんですが、それでさらにこの非課税限度額並みに課税最低限を引き上げた場合、つまり各種控除を大体五万円引き上げた場合の収入百八十九万二千円で計算をした減収額というのは、自治省にお聞きをすると、これで平年度で約四千億、対象人員は百十万というように、先ほどの百二十五万にプラスしてというお話です。  したがって、先ほど当初に申し上げましたが、この三年間据え置いただけで、物価スライドで見ても約五千四百億減収になっているわけですからね。したがって、われわれはそういったいろいろな点から言っても、少なくとも住民税で四千億の減税をこの五十八年度中に実施をすべきだという一つの根拠にしているわけです。この点についてひとつ大臣の見解をお聞きしておきたいと思うのです。
  184. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 減税の規模あるいは時期につきましてはまだはっきり申し上げられる段階に来ていない、これは私どもの自治省だけで決められる問題ではなくて、大蔵省との関連において考えなければならぬ問題でございますから、あるいは政府全体として考えなければならぬ問題ですから、ここで私がいま四千億がどうとかこうとかという、これに対して何らかの意見を申し上げるというのは適当でなかろうと、こう思うわけでございます。ただ、課税最低限で国税の方もおやりになるのかどうか、国税の方の減税のやり方も私どもは伺ってみなければならない。ですから、国税の方の減税のやり方を受けて私どもの方もそれに対応できるように考えていかなければなるまいと、こう思っておるところでございます。  したがいまして、いまお尋ねの四千億ぐらいはどうかというお話については何とも私からは申し上げられない、こういうことでございます。
  185. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、お答えにならなければいたし方がありませんが、少なくとも私どもはそういう要求をしておるということだけ明らかにしておきたいと思います。  次の問題に移ります。先ほど同僚委員もやりましたが、電電公社のまず市町村納付金の問題です。五十八年度に向かって、先ほどのお答えでは自治省は総力を挙げてこの二分の一特例を廃止しようという、そういう努力をなさったようでありますが、結局そうはならなかったのですね。いろいろこれも言い分があるのですけれども、三十一年から二分の一特例が発足して今日までずっと続いてきておりますね。これはなぜ三十一年にこういう制度が生まれたのか、そしてそれがなぜいままで続いておるのか、この点はいかがですか。
  186. 関根則之

    政府委員関根則之君) 電電公社等公社納付金の二分の一特例は、公社等が国の設置をいたします公共企業体であるという特殊な公益的性格を有することに着目して制度ができたものというふうに理解をいたしております。  その後、相当年数が経過をいたすわけでございますが、その間にこの特例がそのまま据え置かれている理由ということでございますが、これは一口に申し上げますと、この制度ができましたときの理由がそのまま存続をしている。公社の公共性と申しますか、人格も変わっておりませんし、そういう状況も変わっていないということによるものと考えております。
  187. 神谷信之助

    神谷信之助君 それならば五十八年度へ向けて自治省はなぜ総力を挙げて廃止を要求したのか。廃止を要求する根拠は何ですか。
  188. 関根則之

    政府委員関根則之君) 公共性と税負担との関係というのは非常にむずかしい問題でございますけれども、特に最近におきます電電公社の経営の状況なりあるいは専売公社の経営状況というものが比較的順調に推移をしてきております。特に電電公社につきましては昭和五十六年から国に対しまして特例的な納付金制度ができておる。そういう状況を背景といたしまして、もともと公社納付金というものが固定資産税にかわるものという性格を持っておりますので、経営状況がその程度であれば、まず固定資産税相当額につきましては、事業を行っている地方団体に対して固定資産税相当額を納付していただきたい、こういう考え方に基づきまして特例を撤廃をしていただきたいという要請をしてきたところでございます。
  189. 神谷信之助

    神谷信之助君 ですから、そういう立場から言いますと、何も五十八年へ向けて、いわゆる去年あわてて言わなければならぬ問題ではないはずだ。  大体わざわざそういう公共性ということと、それからまた三十一年そういう特例を設けたときは電電公社の経営自身も赤字経営だったという状況も実際は加味されて、そうしてそういう特例を設けてきたわけでしょう。言うなら、本来出すべきものを半分まけてやっているわけです。そういう恩典を与えたわけです。それで出発してきているわけですからね。ところが、国の方には納付する義務はないわけでしょう。五十六年、財源確保のあの法案で特例措置として四年間で年千二百億納付せいと、こういう法律をつくったわけですね。こちらの方はもともと固定資産税としてもらわなければいかぬやつを三十一年以来半分まけてやっているのですよ。それは経営状況がよくなれば、少なくとも負担能力がある状況になってくれば、それから公共性、公益性とおっしゃるけれども、これも大体全国的に電話の普及も広まっているし、そういう点では大分状況は変わってきているわけですね。これからどんどんふやさなければいかぬのとは違うわけです。普及していかなければいかぬという設備投資が必要な時期とは違ってきているわけです。  だから、そういう状況を見れば、本来は自治体市町村の方に早くちゃんとまともに払ってもらうというのがあたりまえじゃないか。それを何か国の方から、さっきも出たけれども、横取りされて、それであわててこっちやっているというような感じを受けるのですよね。これは自治省の怠慢だと言われても仕方がないのじゃないのか。この辺、市長会や町村会やそれから指定都市会も皆こぞってこれは要求していますね。それで地方制度調査会もそういう答申を出しているということを考えると、これは大臣、私はどうしても今度がチャンスで、しかも四年間にもらうやつを五十八年度に五十九年度の分も繰り上げて納付させるのですから、そうすると五十九年度にはもう国への納付金は要らぬわけです。こちらの方は幾らかと言うたら、自治省に聞くと金額にしても大体約六百億でしょう。だから、国がいま千二百億取り上げているという分から言うたら、そのまだ半分にしかすぎぬわけですよ。だから、そういう点で言えばこれは非常にきわめて可能性が強いのです。片一方市町村の財政はもうぴいぴい言うているのですよ。  だから、この辺でひとつ今度はそういう意味では大臣ひとつこの問題はけりをつけるということで覚悟を決めて、自治大臣以下自治省全体で取り組んでもらうということを約束をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  190. 関根則之

    政府委員関根則之君) 自治省怠慢であると言っておしかりを受けたわけでございますが、自治省は五十八年度の税制改正に当たっていきなり持ち出したわけではないわけです。毎年のように、ここ数年来、税調の場等において強く主張をしてきたところでございますが、やはり関係各省との折衝でありますとか、あるいは税調内部におきますいろいろな先生方の御意見がございまして、結果的に税調の意見も両論併記のような形でしかまとめ得なかったという状況があるわけでございます。  来年度に向けていい機会であるからひとつ本格的に取り組めというお話でございますが、私どもといたしましてもできるだけ早くこの問題には片をつけてまいりたいという考え方は一貫して持っているわけでございますので、さらにまた来年度と申しますか、五十九年度の税制改正に当たりましても私どもとしては最善を尽くしていきたいというふうに考えます。
  191. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これ電電公社のことが二つ出てきましたので、この問題は対電電公社との折衝の眼目になるわけでございます。この電柱というのは……
  192. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、電柱の話しているのじゃない。いま納付金の話。
  193. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 納付金の問題は先ほど申し上げたようなことでございまして、来年度は何とか自治省としても強く主張をしていきたいと思います。
  194. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、本来三公社でも固定資産税固定資産税として払ってもらう、たとえば国鉄のように経営が困難な場合はそれはそれの対策として国がどうするかということで考えてもらわないと、国鉄の経営を地方自治体がどうのこうのするわけにいかぬわけでしょう。そんな力はない。だから、同じことですよね、電電公社にしても何にしても。それはその問題として、別の問題として考えてもらわないとぐあいが悪い問題ではないかというように思うので、この点も一つ申し上げておきます。それで、それはそれで出してもらい、逆に自治体の方で負担をしなければならない問題があり、それが筋が通るものなら出すというようにけじめをつけないと、何というか、二分の一特例という形で税の中にそういう特例を設けて、しかも公共性あるいは公益性といえばわかったような理屈だけれども、わからぬわけです。あいまいな理屈ですからね。だから、この問題はずるずるごまかされていくということに私はなっていると思います。  その次の問題は道路占用料の問題であります。電力会社や地下鉄などの道路占用料については、五十五年にこの委員会で私が見直しなどを提起いたしました。その後、建設省、自治省でそれぞれ御検討なりあるいは指導をされておるように思うのですけれども、その点をまずお聞きしたいというように思います。自治省と建設省。
  195. 真島一男

    説明員(真島一男君) お答えいたします。  五十五年の御質問の後、私ども五十六年十二月に建設省におきまして有識者によります道路占用料制度に関する調査特別委員会というものを設置いたしまして、道路占用料全般につきまして種々検討をお願いしてまいっております。来年度中にはこの委員会に御結論をお出しいただくようにお願いしているところでございます。特に占用料の問題につきましてはその改定問題でございますが、前回五十二年に改定をいたしましてから六年というような月日もたっておりますので、その算定の基礎条件がいろいろ変わってきておりますので、この委員会の結論をちょうだいしてすぐに動き出したいというふうに考えております。  電力についてはそういうことでございますが、地下鉄についての御質問ございました。これにつきましては、私どもは地下鉄の公共性からこれまで一部しか取ってこなかったわけでございますが、現在もその考えを持っておりますけれども、先ほど申しましたこの委員会の意見もまた伺ってみたいなというふうなことを考えております。  以上でございます。
  196. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 一昨年、当委員会におきまして、神谷委員から電電公社の道路占用料問題について御質問がございまして、その点自治省といたしまして、従来の建設省からの通達というのが一つの要請として出てはおりますけれども、占用料の徴収いかんについてはあくまでこれは地方団体が自主的に判断するものであると、こういうお答えをしておりました。その考え方は今日も全く変わっておりません。あくまで自主的な御判断で地方団体が対処すべきものと考えております。
  197. 神谷信之助

    神谷信之助君 きょうは電電公社の電話柱、電話ボックス、地下ケーブル等についての占用料の問題で質問をしたいというように思うのです。  そこで、建設省に聞きますが、法令上電電公社からの道路占用料、これは道路法あるいは施行令その他に基づいてどういうことになっていますか。
  198. 真島一男

    説明員(真島一男君) お答えいたします。  道路占用料につきましては、道路法の三十九条に根拠規定がございまして、指定区間と申しておりますが、建設大臣が管理する区間の国道につきましては政令で徴収をする、それからその他のそれを除く区域につきましては地方公共団体に道路管理者をお願いしておりますので、地方公共団体 の条例で定めるところにより徴収するという仕掛けになっております。  それで、電電公社の占用物件につきましてでございますが、私どもは道路法施行令十九条の二第二項というものに基づきまして建設大臣が特に必要があると認める場合は占用料の免除ができるというふうな規定があるのでございますが、この規定に基づきまして建設大臣は必要があると認めて通達により同公社の占用物件にかかわる占用料を免除しているものでございます。  ついでながら申し上げますと、三公社五現業同等の扱いというふうにいたしております。なお、指定区間の国道以外の道路につきましては先刻御承知でございますが、国と同様に徴収しない方針で処理していただきたいという通達を出さしていただいております。  以上でございます。
  199. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、建設大臣が管理をする国道、これは徴収しない、しかし地方団体が管理をしているやつは徴収してもよろしい、しかし局長通達で取るなと、こう言っているわけですか。徴収するなと言っているわけですか、どうなんですか。
  200. 真島一男

    説明員(真島一男君) さようでございます。
  201. 神谷信之助

    神谷信之助君 徴収するなというようなことを言えますか。
  202. 真島一男

    説明員(真島一男君) 地方公共団体の条例に対して、私どもがこうでなければならぬということを言うという意味においては言えないと思いますが、電電公社の持っておる公共性は国においても地方においても同じものであるから、したがいまして同じ扱いをしていただきたいということで協力方をお願いしているという意味でございます。
  203. 神谷信之助

    神谷信之助君 自治省の見解はどうなんですか。
  204. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) これは従前にもお答えしておるところと思いますが、電電公社の公共性ということからこういう問題が起こっておるのだろうと思います。思いますけれども、道路法自体が占用料の徴収について建設大臣の管理するものは政令で、それから地方団体の管理するものは地方団体の条例でこれを徴収する、こう書いてある趣旨は、地方団体が条例で徴収するということはやはり住民の意思を反映して徴収するのが適当であろうという立法趣旨かと存じます。
  205. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで、電電公社の黒字の状況は、御承知のように五十一年は赤字でしたが、五十二年以降は大体四千億前後から三千二百億ぐらいまでの黒字をずっと重ねてきています。それから一方、自治体は御承知のように財政難で往生しているという状況です。  したがって、財源を求めるというのは非常に大きい問題になるので、これは京都市で調べてみたのですけれども、五十七年度のやつで見ますと電話柱が四万八千二百五十五本で、道路法の別表の占用料、あれを基準にして計算をしますと、これだけで千九百三十万円、電話ボックスが千十六カ所で百四十万円、ケーブルの延長が六十五万メートルで二億五、六千万、言うたらこれで二億七、八千万円になるのですよ。それから、さっきの納付金、あの二分の一が大体七億ぐらい、七億から八億、だから両方合わすと大体十億になるのですよね、京都市だけで見ても。この占用料だけで見ますと、全国的にどうなるかというので聞いてみると、約六百億になるのですよ。で、そっちの納付金の二分の一が六百億円、こっちが五百億ですか、合わせて千百億ぐらいの財源なんですよ。そういう状況になっているのですね。  だから、いまの話ですと、これは自治体が条例でやればいいということになるのですが、ただ道路局長の通達、四十何年と五十二年と二回出ていますが、都道府県知事、指定市長あてに「標記について地方建設局長あて別添二のとおり通達したので、参考までに添付する。 おって、貴管下道路管理者にもこの旨周知徹底方お取り計らい願いたい。」というて、こういうやつが出ているのですけれども、これは自治体に、おまえのところも従えというやつが出るわけね。こういうのは自治省には相談があったのですか。
  206. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) その通達につきましては当時相談はございませんでした。
  207. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、こういう条例で徴収するかしないか、自治体の権限ですよね。そういうのを建設省が自治体を担当し所管をしている自治省にも相談をしないで、こういう言うならば、おまえのところ条例をつくって徴収したりせぬようにせいよと言わんばかりのこういうものをやるというのは、これ越権行為でしょう。どうなんですか。
  208. 真島一男

    説明員(真島一男君) 私どもの立場でございますと、電電公社の占用料についてかくかくしかじかの考えを持っているということに決めさしていただいて、そしてその公共的性格は国、地方を通じて異なるものではないというふうに考えさしていただきまして、地方公共団体に対しましても、国の指定区間内の道路における占用料の免除の取り扱いと同様の措置をとるようにひとつお願いしたいというような趣旨で出しているつもりでございます。自治省に対して特に協議をしたということはございません。
  209. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは重大な問題ですよ、そういう考え方は。国がどう考えようと自治体は自治体で考える自由がある。そのことは、道路法ではちゃんとそういうたてまえになって法律ができているわけです。だから、条例をつくってやったらよろしいと、こうなっておるのですよ。初めからそうだったら、国の言うとおりしなさいと、こう法律がなっていればそうですよ。しかし、そこは地方自治権に対する侵害だからできないのです。ですから、さっき行政局長が言ったように、自治体はその住民の意思に従って徴収しようと思ったら条例をつくって徴収ができます、それが道路法のたてまえになっていると、こういうことなんです。  それをあなたのところは、いや、それは国の方針は「日本電信電話公社の占用物件に係る占用料は、徴収しない方針で処理すること。」、これに右へならえせいと、こう言う。これはおかしいじゃないですか。まさに自治権に対する重大な侵害である。しかも自治省にも相談しない、する必要はないと。
  210. 真島一男

    説明員(真島一男君) 私ども条例に対する侵害とか、そういうことを考えているわけじゃございませんが、ただ一つの電電公社というものの行う事業公共的性格というものは、いわばオールジャパンでございますので、それが道路管理者が違うということによって判断が違うということは、われわれ道路法を所管する者としては望ましいことだと考えておらないということでございます。
  211. 神谷信之助

    神谷信之助君 それは違いますよ。だから、それならば昔の府県制度にしたらいい。国が考えるとおりやりなさいと。だから三公社あるいは五現業、あるいは日本電信電話公社に対してその公共性を重視して考えるのか、それは占用料を取るのか取らないのか、それは自治体が決めるのですよというのが法律のたてまえなんです。それだったら、初めから条例で定めると、こう決める必要はない。建設大臣が管理する道路のみならず、地方公共団体が管理をする道路の占用料についても同じだと、こう決めればいい。そうじゃない。  これは大臣、お聞きのように、行政局長の見解は、これは自治体住民の意思に基づいて条例を定め徴収することができる、そういうように法律はなっています、だから自治体が徴収しようと思えばそうしなさいと。だから、自治体の権利なんですね。そこの判断をするのは自主的な判断にまっています、自治体の自主的な判断にゆだねておりますと。ところが、そういうことを乗り超えて建設省は、もうおれの言うとおり考えるのがあたりまえだといって相談もしないで通達を出す。これでいいのですか、自治大臣。
  212. 真島一男

    説明員(真島一男君) 法律の趣旨を述べさしていただきますと、法律の道路法三十九条二項の問題でございますけれども、条例で定める場合であっても、三公社等につきましては、政令で定めるものについてはその政令で定める基準というもの の範囲は超えてはならないということにいたしております。ただ、御案内のとおり、この政令は定められておりませんが、それは定められていない事情というのがいろいろなかなか全国一律に定めがたいというところで政令未制定になっておりますことは御承知のとおりでございますが、これにかわるものとしていわゆる指定区間の政令を定めておりまして、それをひとつ御参考に供していただきたいという意味でお願いしているものでございます。
  213. 神谷信之助

    神谷信之助君 違いますよ。だから、政令の範囲を超えたらいかぬ、しかしその政令はない、その政令はないのです。だから、結局はその範囲を超えてはならないという場合の基準というのは別表についている占用料ね。だから、これとの均衡を失しないその範囲内でやってくださいよという意に解さざるを得ぬのですよ。それに基づいて三公社は取らぬと建設省が決めたからおまえのところは取ったらいかぬ、それと全然問題は違う、対象物件をどうするかという選択の問題は。占用料をべらぼうにそれを勝手に高かったり低かったりしても困るから、均衡を失しないように、あるいは政令の範囲を超えないようにしてくださいよと、こうなっているのでしょう。あなたの言うように、全部何でもかんでもみんな広げていけば、国が決めたとおり地方公共団体は右へならえしなさいと、そういうことになってしまう。  そこで、もう一遍自治省に言いますが、だから、こういう問題が起こるのですよ。だから、自治体の方では、建設省がこう言ってぎゃんぎゃん言う、この建設省の方からもらう補助金というのは多いですから建設省にそう逆らうわけにもいかぬ。だから、自主的に自分のところで条例をつくったらいいのだけれども、こういう通達があって、しかもいまお聞きのように、頑強なんだから、電電から取ったらいかぬといって、いかにも国が決めたのだから、それに従うのはあたりまえだと。そうすると、道路の補助金もらいに行くのにぐあいが悪いわけだ。できないのですよ、実際問題としてやりたくても。だから、こんな通達を勝手に出さして、そしていま自治体の財政が困っているときに、やろうとしてもできない状況をつくっている。こうなったら、自治省としては物申さなければいかぬと思うのですが、どうですか。それは見逃していいのですか。
  214. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 結局使用料あるいはその他の負担金、いますべてそうでありましょうけれども、それぞれの公共性に応じてそれぞれの行政分野で施策を講じられておるわけであります。電電公社の持つ公共性というのも、それぞれの行政分野においてそれぞれの行政を所管する省庁がその行政目的に応じて公共性を判断し、それに沿った行政をされるということであろうと思います。したがいまして、道路管理の責任を持っておられる建設省の方がまず第一義的にそういった公共性を御判断してどうされるかということをお考えになる。同時に、国道の一部については国が管理をする、ほかの部分については地方が管理をする、その場合に占用料の取り扱いがちぐはぐになるというのも、まずいとお考えになるのも建設省のお立場としてはもっともであろうと思います。  そういう状況のもとで、今後電電公社の公共性を見直して占用料についてどうするかということを省内で検討委員会をつくって勉強をされておるというふうに伺っております。結論が出るのもそう遠くないと思いますし、当面は私どもとしてもその結論を見守ってまいりたいと思いますが、少なくとも現在の段階におきましては、確かに従前どおりの要請が出ておるといたしましても、法律の条文の上では条例で処置をするということになっておるということは、地方団体の自主的な運用に任すのが一番いいのではないか、こう考えておるわけでございます。
  215. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは大臣にも一遍お願いした例の京都のお寺さんが徴収義務者の文化観光税、あれは約十億円なんですよ。だから本来この税も考えたのですよ、これで七億余りになりますから。しかしさっき言ったように、建設省がなかなかこわいということで、ああいうものをつくらざるを得ぬことになってきているのですよ。こういう問題はあちこちに出てきているし、いま自治体は何かの財源を何とか見つけたいということで苦労しているわけなんでね。  だから、いまの行政局長の話ですと、検討委員会の検討結果を待ってということなんだけれども、検討委員会の方は、占用料の改定、それから占用料の徴収の対象も検討される課題の一つになっているようですけれども、こんな電電公社の占用料についても検討課題になっているのですか。
  216. 真島一男

    説明員(真島一男君) 建設省の考え方はすでにいま申し上げたとおりでございますけれども、こういう研究会を、調査特別委員会を設けておりますことですので、この委員会の御意見も承る予定にさしていただいております。
  217. 神谷信之助

    神谷信之助君 建設省内部でそうやって御検討なさるのはいいのだけれども、道路管理者が違う地方団体も非常に多いわけです、ほとんど皆。だから、これは重大な影響を持つので、いま省内の検討委員会、調査特別委員会らしいのですけれども、それの結論が出れば地方団体の代表の意見を聞いたりなんかもするということはあり得るわけですか。
  218. 真島一男

    説明員(真島一男君) この委員会を始めるに当たりまして、道路管理者の方々の地方公共団体の御意見をずいぶんといろいろな形で承ってから始めております。また、この委員会の委員のメンバーに東京と大阪の道路管理者に御参加いただいて御議論をいただいております。
  219. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間がありませんから、もうこれ以上やりませんが、大臣最後に、やはりこういう問題、建設省は建設省の権限でやるといえばそれまでのものだけれども、同じ政府部内の問題ですから、だから、自治省がいまの行政局長の見解と、それからそれを、まあ本来は私は行政局長の見解は正しいと思うのですよ。道路局長の方は協力要請であって、国がもう三公社は公益性に寄与しているから取らぬようにしてくれというように頭越しにやってくるような、すべき問題ではないと思います。こういうことは当然だと思います。東京、大阪の代表も入っているというようにおっしゃっていますが、それだけじゃなしに、現実にそういう問題が起こってきていますから、当然それで条例をつくり占用料を徴収しても建設省がそういう不当な干渉をしたり、いけずをしたり、しっぺ返しをすることはないと思うけれども、しかし自治体の方はそういう心配をしていることは事実ですね。こういう点、不安をなくす意味から大臣のひとつ見解を聞いておきたいと思います。
  220. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 自治省というのはやはり地方の立場に立って関係各省とも折衝をするという立場にある役所でございますから、当然にいまの問題は建設省ともひとつ詰めて話をしなければならぬ問題だと思います。建設省の方も検討をする、検討会もやっている、こういう話でございますから、両方の事務当局で少し話をもっと詰める、こういうことにしたいと思います。
  221. 神谷信之助

    神谷信之助君 いずれも先ほど言いましたよううに、この電電公社だけで見ても、いま言ったように納付金と占用料だけで全国で千百億の財源になるのです。だから、この点をひとつそれに着目して、この問題両方解決するということで努力をしてもらいたいというように思います。  次の問題にいきますが、これも財源の問題です。一生懸命この財源探しをしてもらいたいと思う。電気税の問題です。先ほども同僚議員からありましたが、この電気税非課税品目の見直しについて自治省は昨年の年末の税調に対してどういう態度でお臨みになったのか、まずお伺いします。
  222. 関根則之

    政府委員関根則之君) 政府の税制調査会の審議に当たりましては、その前に出されておりました税調そのものの考え方も、税の負担の公平を確保する見地からも租税特別措置等についての整理合理化を進めていくべきだという考え方が示されておりましたし、臨調答申におきましても同じようなことが言われておりました。そういう考え 方を受けまして、私どもといたしましては電気税非課税産業用電気非課税品目整理合理化につきましてもこれを積極的に整理したいということを税調におきまして御説明申し上げ、御審議をわずらわしたわけでございます。
  223. 神谷信之助

    神谷信之助君 最近五十年以降の税調答申をずっと見ますと、大体毎年度のようにこの問題について触れられています。ただ、五十五年度と五十八年度の答申にこれは触れていないものですから、だから去年おとなしかったのか、あるいはおっしゃらなかったかと思ったのです。  そうじゃないということですが、この問題ですが、自治省の方針としては、この見直しの問題の中身ですが、いわゆる三十六年の税調の基準といいますか、合理的基準というか、「おおむね五%」程度、それから新規の分について三年間に限定するという趣旨ですね。これが出ているのだけれども、この五%という基準そのものを見直してもらいたいということで言っているのか、それとも五%以下のやつで残っているやつがあるから、それをちゃんとしてもらいたいという主張なのか、どちらでしょうか。
  224. 関根則之

    政府委員関根則之君) この産業用電気非課税の整理を進めるに当たりまして基本的にその基準を見直すのか、あるいは基準は一応そのままに置いておいて、対象となります産業用電気の品目について議論をするのかということが分かれると思いますけれども、現実の問題といたしまして、大変その五%程度以上のところでそれほど製品コスト中に占める電気料金の割合が高くないものでも重要な基幹産業に該当するものがあるわけでございますので、なかなかこの五%基準というものを基本的に見直してしまうということはむずかしい問題であるという私どもは認識をいたしております。  したがいまして、最近におきますといいますか、ここ数年来の私どもの物の考え方は、むしろ五%基準を見直すのではなしに、それ以外の方法で個別に各品目、まあ八十残っておったわけでございますけれども、各八十品目全体にわたってそれぞれ個別は見直しをした方が戦術的にもいいのではなかろうか、そういう観点で対処をしたわけでございます。
  225. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、昭和五十一年以降を見てみますと、五十一年度九十七品目だったのが、今回の燐も含めまして十九品目が削除され一品目が新設されて、現在七十九品目という状況になっているのですが、これですけれども、品目数では一九・六%減ってきたというようになるのですけれども、その中身を見ますと、予算委員会への提出資料に基づいて見てみますと、生産金額の総額から十九品目の生産金額を見ますと、わずか一・四四%なんですよね。だから半端物だけ削っていった、言うたら非課税金額の少ないもの、たとえば今度の燐なんかはマッチなんかの添加剤が中心になってくるが、これはライターに押されてずっと生産減になってきている。まあ大したことはなかろうと、こういうことになる。だから、減税分も増収分も大したことはないわけだ、先ほどの説明があったように。  これでは、当委員会でいままでこの電気税問題というのはしばしば論議をし附帯決議もついたのだけれども、そういう趣旨が反映をされていないということになるというように思うのですが、いかがですか。
  226. 関根則之

    政府委員関根則之君) 三十六年の税調の答申で設定をされました整理基準といいますか、逆に言いますと非課税基準になるわけでございますが、それにおきましても重要基幹産業について五%以上と、こういう定め方をしているわけでございます。したがって、一応五%以上の電気料金がコスト中に占めておる産業でありまして、重要基幹産業になるというものについてはなかなか整理がむずかしい。いわゆる税調の答申で言っております非課税基準に該当をしておるということでございますので、これを整理することがなかなかむずかしかったわけでございます。  したがって、中にはだんだんと製法等が変わりまして五%を割り込むというふうな産業もあったかと思いますが、整理をしてまいりました十九品目の主体的な部分は、やはりその産業が産業構造の変化によりましてウエートがだんだん低下をして、重要基幹産業とは言えなくなった、その結果国民生活にもそれほど大きな影響を与えてこない、こういうものを中心といたしまして整理がなされたということであろうと思います。したがって、御指摘をいただきましたように、その整理をいたしました品目についての増収額というのは、そう大きなものにはなり得なかったということだと思います。
  227. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると現段階では、五%条項よりも、その品目が重要産業になるのかならないのかということが中心になってきている、こういうことなんですか。
  228. 関根則之

    政府委員関根則之君) おいおい整理も進んできておる現段階におきまして、なかなか重要基幹産業で、特に基礎素材産業で相当そのウエートの大きい品目につきましては実際問題としてこれを整理するということがむずかしい。整理をいたしますと、やはりそれをもとにいたしましたいろいろな加工産業、加工製品、それが消費者に回ってくる段階での消費財の価格に与える影響というものが大きくなってくるというようなことから、整理がむずかしくなっているというふうに考えています。そういう意味で、やはりいままでもそうでございましたし、これからの整理の私どもとしての方向もどうしても重要基幹産業としての資格があるのかないのか、その辺の性格が変わってきているかいないかということに主眼が置かれざるを得ないであろうと思います。
  229. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういう見地というのは、これはやっぱり財界の考えですよね。われわれから言わすと、必ずしもこの電気税非課税措置を外したことによってそれが物価コストに影響するというようには考えない。  そういう点で具体的に申し上げますが、たとえば五十六年の資料によりますと、非課税品目の生産金額の中で鉄鋼関係だけで約五五%になりますね。だから、ここにメスを入れるかどうかというのがこの非課税措置を外すかどうかということになってくる。しかし、これは先ほどからあなた方盛んに、これは重要基幹産業で、だから非課税措置を外すとコストにはね上がって他の消費産業その他に影響してくる、したがって物価に影響すると、こういうことをおっしゃる。  そこで、通産省、具体的にお聞きしますが、鉄鋼の非課税品目の中の鋼材とか銑鉄、これの製造原価に対する電気料金の割合、これは何%ですか。
  230. 藤原武平太

    説明員藤原武平太君) 個々の物資につきまして、この原価の中に占める電気税の割合というものを公表することは企業の秘密に属することにもなりますので、御容赦願いたいというように考えております。
  231. 神谷信之助

    神谷信之助君 通産省に聞いたら盛んにそうおっしゃるのですよね、企業の秘密と。だけれども、鋼材、銑鉄の製造原価、一社がやっているわけじゃない。だからそれを何%だという割合を平均値を出して言ったからといって、それが企業秘密を漏らすということになるのかならないのか、私はどうもこれは理解できない。  だから、結局本当にそのコストに対する電気料金の割合が実際はどうなのかというのがわからぬということでしょう。国民の前にはっきりできないということでしょう。ということは結局、財界と通産省で適当につくっているという、そういう疑いを持たざるを得ない、こうなりますが、いかがですか。
  232. 藤原武平太

    説明員藤原武平太君) コストの中に占める割合につきましては、毎年任意でサンプルによりまして調査をいたしております。全企業を網羅するのは大変なことでございますので、サンプルでやっております。この調査の際に、この数字につきましては公表しないということの前提で調査をやっております関係上、公表するということになれば今後の行政にも支障をいたしかねないという懸 念を持っておるわけでございます。
  233. 神谷信之助

    神谷信之助君 一社だけのやつを公表すれば、それはいろいろ出てくるでしょう。数社なら数社、数を適当な数でやれば別に企業秘密が漏れるわけじゃない。それの平均値を出すということになればいいわけでしょう。いずれにしても、非常に私はそこで今度のこの問題の資料、数字をお聞きしてもなかなかおっしゃらない、そういう財界、大企業に遠慮をされる通産省の姿勢というものに対して非常に怒りを覚えるのですね。  そこで、時間を食いますからもう先へいきますが、予算委員会の資料で仕方がないからやったのです。試算をしてみました。鋼材、銑鉄、鋼塊ですか、これらの生産金額に電気料金のコストの比率、これが鉄鋼関係は五ないし一〇%ですから、だから一番低い五%としてそれを掛け、そして電気税が百分の五、五%ですから、それを掛ければ大体電気税非課税総額というのが出てくるということで見ますと、銑鉄で一億九千万、鋼材で四百八十六億九千万、それから鋼塊で二億二千万です。合わせて約四百九十一億ほどになります。このうち鉄鋼大手五社の市場占有率が通産省のお話では七割ということですから、その七割といたしますと三百四十四億が鉄鋼大手五社の税金免税額といいますか、まけてやっている電気税であるということになります。これを今度は同じ通産省でもらいました資料で鋼材の売上実績で割ってみますと、新日鐵が百三十三億、それから日本鋼管が六十億、川崎製鐵が五十五億、住金が七十二億、神戸製鋼が二十四億、非常に膨大な減税措置をやっているということがわかります。これはそういう不十分な資料ですから正確な数字とは言えませんが、概算そういうことになるだろうと、こういうことに思うのです。そこで、これだけの税金が免除されているということになりますね。  それで、それじゃ、この鉄鋼大手五社、これは一体どれだけ収益を上げているかという点ですが、これも商工委員会の調査室で調べてもらった資料に基づきますと、五十六年三月で鉄鋼五社の内部留保、いわゆる利益以外の内部留保です。これが一兆二千五十二億円、五十七年三月期の決算では一兆三千五百八十億円、一年間で千五百二十八億円内部留保をふやしているのですね。だから、いわゆる利益以外にこれだけの分が内部留保としてふえてきている。だから、減税分を全部合わせて先ほど言いましたように三百四十四億、まあ三百五十億としてもこの内部留保の一かけら分で済むのですよね。何もコストに上げなければならぬことはない。コストは上乗せをしなくたって、内部留保をよけいもうけ過ぎているのだから、その分を少しはき出したら済むことだ。あなた方の方は、これを保障した上で、利益も内部留保も保障した上で企業の経営をやらそうというからコストにはね上がる、こういうのですよ。  問題はそこのところが一番大きい。非課税対象の品目の鋼材関係で鉄鋼大手、これは市場七割の占有率を持っている。そういうことで見ても、十分は内部留保のなにをちょびっと崩せばちゃんと税金は払える、こういうことになっているのですよ。この問題何回も議論されておりますし、とりわけいま地方財政の危機が深刻ですし、実際としても非常に財源確保が切実な問題になっている。住民の方は先ほどから議論になっている三年間住民税減税は据え置き、見送られている。その中でこのような企業に対する減免措置はちゃんと残っている。  これ、八一年十月号の「地方税」という雑誌がありますね。あれは松尾さんという税務局の当時企画課長補佐、いまかわっているかどうかしりませんが、その松尾さんがこう言っていますね。「企業優遇として悪名高い電気税産業用電気に対する多くの非課税措置」と、こういう言葉を使っております、企業優遇として悪名高い産業用電気税に対する非課税措置と。だから、自治省の皆さんもお認めになっている悪名高い企業優遇税制なんだ。それを物価にはね返るからという企業側の論理をそのまま引き受けて、そうしてそこにメスを入れようとしない。私はそこが問題だと思うのですよ。あなた方も大企業優遇税制の一つだ、悪名高いのだと言うているのだから、これははっきりしたらどうだと。  現にこれは四百八十九条の一項の減収額というのは四十九年当時は五百七億でしたが、五十七年には千二百九十一億になり、五十八年には千百八十億、金額としては倍以上にふえてきていますわね。こういう状況になっているし、それから五十八年度の電気税の一般用、産業用別の税収見込み額というのを自治省からの資料を見ますと、一般用の電気税の収入が二千百六十七億円、それに対する一般用の免税による減収額というのは二百三十三億です。わずか九・七%ですね。ところが、産業用の電気税収入は四千四百三十五億円、非課税額は千百八十億円です。だからこれは二一%ですね。だから、産業用電気税の非課税率というのが現実に高いわけですよね。こういう状況になっているでしょう。  もう時間ありませんから急ぎますが、たとえば、お聞きをしますが、五十六年度ですか、産業用非課税減収割合、これが大牟田、北九州、倉敷、市原、これをパーセントでちょっと言ってもらいたいと思います。
  234. 関根則之

    政府委員関根則之君) 御指摘の市におきます非課税の割合でございますが、大牟田市が七五%が非課税でございます。北九州市が同じく四七%、倉敷市が五〇%という数字が出ております。
  235. 神谷信之助

    神谷信之助君 市原は。
  236. 関根則之

    政府委員関根則之君) 市原は五二%でございます。
  237. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、こういう何といいますか、高度成長の初期に工場誘致を集中してしたところ、あるいはもともとからの鉄鋼産業の都市、こういうところの電気税非課税分というのは七五%から半分、あるいは半分そこそこというぐらいのものが非課税措置になっているということですよね。だからこれを何で自治体がかぶらなければいかぬのか。これも先ほど同僚議員から議論がありましたけれども、どうにもわからぬ。この辺はどうですか。
  238. 関根則之

    政府委員関根則之君) いま申し上げました市における非課税の割合がきわめて高いものになっておりますけれども、これはその市へ集中的に非課税品目製造している工場等が立地をしていることに伴うものというふうに御理解をいただきたいと思います。  しかし、そういう減収額が生じることについておかしいということでございますけれども、これは地方税として電気税を持っているわけでございますけれども、地方税となりました電気税の運用に当たりまして電気税そのものの持っているやはり一定の限界といいますか、その性格に根差しました制約条件があるわけでございます。物価等の問題については国に任したらいいじゃないかという御議論もございますけれども、やはり地方は地方で、地方の立場において税制の運用等の面におきましても国のそういった施策に対して協力をしていく、あるいは地方の立場でそういう施策を追求するということもまた必要かと考えるわけでございます。  そういった意味で先ほども申し上げましたように産業用電気非課税につきましてはやはりコストにはね返ってこざるを得ない。そのコストをできるだけ引き下げて国民の生活に重要な資材の確保でありますとか、あるいは物価の安定でありますとか、そういったものに資するための施策としてこの制度が設けられているわけでございますので、一概にそこで減収額が起こるからといってすべて国の責任にしてしまうというのもいかがなものかと考える次第でございます。
  239. 神谷信之助

    神谷信之助君 資材の供給とか、物価のはね上り、物価への影響とかいうようにおっしゃるのだけれども、いま私、鉄鋼の問題で言ったでしょう。これについてはどう反論されるのですか。
  240. 関根則之

    政府委員関根則之君) 企業そのものの経営内容につきましては、私どもは個別には理解をしていないわけでございますけれども、やはり企業というのは一定の収益を目的として永続的に存立す るものであるわけでございまして、電気税課税される、それがコストになるということになりますと、これは経済学の原理から申しましても製品コストにそういうものが反映してくる。ということは、それの集合体であります物価全体に影響を与えるということは否めない事実であろうかと思います。
  241. 神谷信之助

    神谷信之助君 それは否めない事実といっても、企業の方の経営側がそういうものを価格に転嫁をすればそうなるだけの話であって、価格に転嫁をする必要のないものを、そういうものを認めてそしてやっているわけですから。  それからもう一つ、これ諸外国を調べてみたけれども、自治省に聞いたらわかりませんということなんだけれども、大蔵省主税局の内部資料で見ますと、そういう特定品目に基づく電気税非課税措置はないわけですよ。これもいま貿易摩擦問題が起こっている中で、そういう日本は免税なり補助制度なり何なりという批判が一部にありますわね。だから、これとも関連をする問題もありますし、それから大体経済構造に対する政策を市町村税の電気税で処理をする、国が国の施策として別の方法を考えるのはこれはわかりますよ。あるいは不況の時代に特定不況業種に対してどういう政策をとるか、これはその中身のよしあしは別にしてあるでしょう。国税の範囲内でそれについて処理をされる、これもわかります。普遍的に産業用電気の免税をするそういう企業があるわけじゃない、特定のところに集中をするという状況が強いこの電気税非課税措置、これを市町村税の電気税でやって、そして経済構造全体の運営に資するというのはどう考えても、あなたの説明でもわかりません。  地方団体が、たとえば大牟田なら大牟田だけが何でまけてやらなければならないのか、よその土地でもまけてやったらいいじゃないか、どこもかしこもそうやってやられるならわかるけれども、おれのところだけ何で七五%もまけてやらなければならぬのだと。この理屈は成り立たぬですよ。たまたまそこへ鉄鋼が来ておるとか化学産業が来ておる、アルミ産業が来ておる、そんな殺生なことがあるかということになるわけじゃないですか。
  242. 関根則之

    政府委員関根則之君) 先ほども申し上げたかと思いますけれども、やはり電気税というものの税のもともと持っております性格に根差す制約ではなかろうかというふうに考えております。
  243. 神谷信之助

    神谷信之助君 具体的にどういうことなんですか。
  244. 関根則之

    政府委員関根則之君) 電気税というのは、やはりこれを一応消費税として構成はいたしておりますけれども、純粋の末端消費にかかる消費税というふうに私どもは考えておりません。したがって、事務用の電気でありますとか、たとえば鉄道の駅の照明でありますとか、こういったまさに事業に使われておる事業のために消費されている電力にも課税はいたしておるわけです。したがって、産業用の電気も一応課税対象にはしますけれども、それが課税をされますと、その産業に大きな影響を与える、あるいは国民生活に重大の影響を与える、あるいは物価に対して悪影響を与えてくる、そういうものに対してそこのところのそういういわばマイナス要件というものを除去しないで電気税を貫徹させようといたしますと、電気税そのものが成り立たなくなるという面もあるわけでございまして、そういう意味におきまして電気税というものがある一定の制約条件下に置かれて、その中で電気税というものの運用をしていかなければいかぬ、そういう性格を持っている税ではなかろうかと思うわけでございます。  たとえば固定資産税なんかでも同じようなことが言えるわけでございまして、官庁の国の施設等については固定資産税課税することができません。たまたま官庁の総合事務所等があって、りっぱな土地が占拠されておるといいましても、これはやはり固定資産税というものの持っている制約によって、人的非課税なりあるいは公的な土地建物に対しての非課税が生じてくる、これはやっぱり固定資産税というものの持っている内在的な制約に根差すものではなかろうかと考えますけれども、それとぴったり同じだとは申し上げませんけれども、税にはそれぞれの制約条件というものがあるわけでございまして、電気税にはやはりそういった意味での産業用の電気すべてに全く同じ税率課税できないという制約が事実上の問題としてある。そういう制約をしょった電気税を貫徹させる道といたしましては、重要基幹産業等について製品コスト中に占める電気料金の割合が一定割合以上のものについて何らかの措置をしなければならない、そういう条件下に置かれているのが電気税ではなかろうか、そういうふうに理解をしているところでございます。
  245. 神谷信之助

    神谷信之助君 それは当然納得できないですね。電力を事業に使い、そしてそれによって収益を上げているわけですよ。だから、その電力の使用料に対して消費税として税を取る、それが物価に対してそういう影響を与えるとか、経済に対してどういう影響を与えるというのは、それは別の問題だ。それはそれに対してどういう政策をとるのかというのは別の問題で、市町村の税源として付与されておる中で特定の自治体に大きい影響を与えるようなそういう減税措置というものを与えるというのは、まさに私はこれはもう、それこそ地方税そうだったら意味ないですよ、地方税として自治体の税として与えられても。後は国の都合でそうやってぽんぽん取り下げますよ、免税にしますよと。そして自治体の方は文句言えない。逆に訴訟をやらなければならぬでしょう。まああの訴訟も中途半端になったけれども。そういう問題が起こるわけですよ。  だから、その点は私はこれは納得できないし、直ちにそれが物価や経済に影響するという問題ではない。それは先ほど申し上げた例が示すので、だから、これに対して反論もできないのに、言葉の上で抽象的に物価に影響があるあるとおっしゃるのは、これは企業側の論理でおっしゃるだけです。企業はそう言いますよ。賃上げをすればそれはコストにはね返る、だから賃上げと物価上昇とは追いかけごっこするというのは向こう側の論理ですよ。もうけをどれだけ抑えるかということに着目すれば物価には影響を与えるわけではないというのがわれわれの主張で、したがって、この産業用の非課税措置というのは全部外して、本当に国民の生活に重大の影響を与えるものについては別の方途で政策的措置をとるべきだというように考えます。  いずれにしても、きょうは電電公社の納付金問題と、それから電話料その他占用料の問題と電気税、いま逼迫している自治体財政に少しでも寄与する方向で自治省が努力をされることを期待をしてやったのだけれども、事電気税に対しては、いまの自治省の態度でいけば、やっとことし燐だけが一つ入りましたというようなもので、これはもう取るに足らないものですよね。影響の少ないもの、少なくなってきたものを順番に外していくだけであって、大きくどんどん減免額がふえるような、そっちには手をつけないのだからね。まさに自治省の皆様もお認めになっている企業優遇と言って悪名の高いそれを自治省の皆さんも温存するという、そういうことをやっているということにしかならぬ。この点は全く見解を異にするというように思うのです。  最後にこの点についてちょっと自治大臣の意見を聞いておきたいと思います。
  246. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いまの電気税非課税の問題、これは各企業の業績がどうこうであるからといってそれを基準にしてやっているのではなくて、やはり生産コストの中に占める電気料金の比率というものに着目してこの税が決まっているという性格のものだということから、いま仰せのように各企業でもうけている会社もあるじゃないかと。しかし、アルミの例を引いて恐縮だけれども、アルミなんというのはもうとても日本では生産できない。こういう状態にある。またこの中には、たとえば硫安とか石灰窒素のような国民生活にも非常に関連のある品目もある。ですから、私 は一概にこれを全部やめてしまえというわけにもいかぬものであろう、しかしさりとて、それじゃこのままでいいのかと仰せになれば、私はこれは検討する必要は確かにある、こう思うのでございます。  まあ税制全体、地方税制についても私は見直さなければならないという時期がいずれ来るだろう、もうこれは来る、その節には、いまいろいろ御指摘になりました点もひとつわれわれも参考にして今後の処置に当たっていきたい、こう思うわけでございます。
  247. 神谷信之助

    神谷信之助君 終わります。
  248. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 地方財源は可能な限り自主税源によって賄うべきであると言われておるわけでありますけれども、またそれが地方自治というものの本旨である、このように考えるわけであります。ところが、現状を見ますと国と地方間の税源配分というものに非常に不均衡があるのではないかと思います。  たとえば五十八年度の国と地方の租税総額の配分を見ますと、全体の六三・六%が国であります。そして三六・四%が地方税ということになっておりまして、一方、支出の方を見ますと、国は交付金とかあるいは補助金といった名目で地方にその財源を回わしておるわけであります。したがって、支出の方では国が二七・七%、地方は七二・三%。国、地方を通じて見ますと、七割の大きな財源というものを地方が使っておるにかかわらず、税収の面では三分の一程度しかない。これはもちろん国がコントロールするというような必要性もあるでしょうけれども、私は地方独自の自主財源というものがもう少し確保されなければならないと思いますけれども、この点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  249. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 確かにいまの地方の自主税源ということについては考えていかなければならない問題があると思います。ただ、税目をふやしてみましても、三千三百というそれぞれの地方公共団体の中で、その税目に当たる課税対象があるのかということになってまいりますと、これまた非常に複雑な形になってまいります。したがって、その辺はやはり私はある程度、まあ税目がいまたしか十九か二十ぐらいだと思うのですが、それをもっとうんとふやせということになれば、その選択でそれぞれの地方団体がやれれば税収は上がる、こういうことだと思いますが、しかし税目をふやすというのはこれはなかなか増税につながるというのでむずかしいことだと、こう思うのです。  そこで、三千三百の各自治体がおおむね行政需要にこたえて行政サービスができるだけの財源を、特に税源を確保するということになってまいりますと、私はなかなか具体的に言うとむずかしい問題があるのではなかろうか、こう思うのでございます。しかし、さりとてそれじゃ現状でいいのかといえば、決してさようではございませんので、いま先生がおっしゃるように、やはり何とか地方の税源配分を国との配分の上において是正できるものは是正した上で、その上で調整機能をひとつ発揮できるような仕組みというものを考えて、そして三千三百の地方公共団体がおおむね同じような行政サービスを国民に対してできるような仕組みというものを考えていかなければならぬ、こう思っているところでございます。
  250. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それに関連しまして、私は現在の地方税のあり方そのものに非常に疑問を持つ面があるわけであります。  具体的な例で申し上げますと、道路財源。道路財源にかかわる自動車諸税というものについて見ましても、たとえば揮発油税は、これは一部地方道路税として地方へ分配されておるわけでありますけれども、その国が取る分と地方の取る分の割合が果たしてこれでいいのかという問題があります。それから石油ガス税というのは、これは国が道路財源として使い、そして地方にも譲与されるということになっておるわけであります。それから軽油引取税というのは、これは地方の道路財源ということになっておる。それから自動車取得税は、これは地方の道路財源、こういうふうになっておるわけでありますけれども、揮発油税の大部分は国が取っておる。それから軽油引取税は、これは地方である。このことを考えましても、たとえば軽油を使うのは大型トラックである、あるいはバスである、それから揮発油、ガソリンを使うのは大体乗用車を主体とするということになりましても、別に乗用車が国道を走り、大型トラックが地方道を走るというわけではない。だから、このような分け方もきわめて便宜的になされておるものにすぎない。  特に問題なのは自動車取得税でありまして、道路財源をその受益者である自動車に求めるということ自体はやむを得ないというか、あるいは妥当性があると思いますけれども、自動車取得税を道路財源にするというのは、果たして受益者との関連においていいかどうかという問題があるわけです。これは自動車を買うときに一回かかるだけでありまして、だから頻繁に買いかえる人は何遍も取得税を払う、道路の使用とは無関係な取られ方をするわけであります。  なぜこういうことになるかというと、目ぼしいところはまず国税で国が取ってしまう、地方はあと何か残ってないかという財源探しに血眼になって、何か取れるものはないかということで取っている。これの一つの典型ではないかと思うのですね。これは一例にすぎません。道路財源と自動車諸税との関係で見ても、私はこういうやり方は本当はおかしいのであって、特に道路投資の額というのは、国と地方とでは大体六分、四分ということになっておると聞いておりますけれども、それならガソリンも軽油も石油ガスもこれはもう全部これ自動車が道路の上を走ることによって使うものでありますから、ひっくるめて道路財源とする、それを六対四の割りで国と地方に分けるというふうにして賄うべきものではないかと思うのですね。ガソリンは大部分が国、そして軽油引取税が地方、それで地方は足らぬから今度は自動車取得税を設けて充てる。こういうやり方は基本的におかしいのではないかと思いますけれども、いかがですか。
  251. 関根則之

    政府委員関根則之君) 自動車なり燃料の関係税が非常に数多くなっておって、しかも複雑であるというお話でございますけれども、私どもは自動車関係税を構成するに当たりまして、一つには国と県と市町村の間にそれぞれ財政需要に応じて目的税なり一般財源なり、そういう形で財源付与をしていかなければいけない、こういう問題が一方にございます。  また、税の性格といたしましても、たとえば自動車税のようなものはいわゆる保有課税でございまして、一種の資産課税固定資産税がかからないかわりに、そういったまとまった資産に対して保有税を課税する、こういった理屈からの課税であるわけでございますし、御指摘をいただきましたように、燃料課税の地方道路税でありますとか、軽油引取税はまさに道路そのものの損料といいますか、道路損傷負担金的な性格を有する道路目的財源としてこれを横成している、こういうことでございます。  課税主体が類型にして三つある。しかも税の性格が保有税あり、燃料課税あり、消費流通課税あり、あるいは自動車重量税に至っては権利創設課税という概念構成をいたしております。そういうことでバランスよく税源を付与し、また目的税源につきましてはその目的にかなうような財政需要と税負担とがバランスがうまく合うような形で構成をする、そういう要請からどうしても数も多くなりますし、勢い複雑にならざるを得ないということではなかろうかと思います。  先生が御指摘いただきましたように、国がいいところを取ったものですから、地方がちょっと重箱の隅をつつくような税を設けざるを得ない、そういう御指摘がありましたけれども、これは各税はそれぞれいままでの長い歴史の中で、個々にそれぞれ経緯があって、存立といいますか設定された税であるというふうに考えております。確かに、私どもは正直な話言わしていただければ、い ま少しまとまった形で地方の道路目的財源なり、そういうものをいただきたいという気持ちはあるわけでございますが、これはこれでそれぞれ機能を果たしている税であるというふうに思っている次第でございます。  もちろん今後における自動車関係諸税のあり方の問題については、現状のままでこれでもう万全のものだというふうに思っているわけではございません。いろいろ税制の基本的見直しの中で、税制調査会等におきましても御議論をいただかなければならない問題でございますし、また九次の道路整備五箇年計画に関連いたしましての財源の問題というものも当面控えているわけでございますので、今後各方面の御意見等を承りながら、私どもとしても研究を続けていくべき課題であると考えております。    〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
  252. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は税というのは国民の最大の義務であり犠牲だと思うのですね。だから、それの取り方と使われ方というものには合理的な関連がなくてはならぬと思うのです。私は、これだけ妙なかっこうになっている、いままでの長い経緯があると言われましたけれども、その経緯そのものが問題なんですね。  たとえば自動車税が全部で九種類もあると言われますけれども、なぜこれだけこんなにふえたかというと、地方で道路投資の需要というか必要性が非常に高まった、財源が足らぬ、何か取るところないか、それで自動車を見たらほとんど税金かかってもう取るものはない、そこで取得税というものを新たにつくった、こういう経緯があるわけです。だから、私はそういうやり方そのものに問題があるのであって、道路財源が要るなら国、地方合わせて全体の道路財源をもっとふやせばいいのです。そして、それは燃料から取るのが一番合理的だとするならば、国、地方含めてその枠をふやしていけば、道路財源に見合うだけふやせばいいわけであって、取得税というようなものを新たにつくって道路財源に充てるというやり方そのものに問題がある。自動車税を見てもこれだけ複雑多岐になっておりますけれども、しかもそれが使われ方との関連で合理性が必ずしもない。  私は、これは一例であって、ほかの税金についてもこういう例は非常に多いのではないかと思うのですね。そこで基本的な問題として申し上げておるわけで、基本的な考え方についてお考えを伺いたいと思います。
  253. 関根則之

    政府委員関根則之君) 自動車取得税のお話が、直接お話がございましたけれども、これは全然ないから取ったということではございませんで、いわば自動車税が保有課税として課税をされておる、固定資産税が一種の資産の保有に対する課税でございますが、固定資産税対象にならない自動車について、一種のまとまった資産といたしまして保有税を課税いたしております。  固定資産につきましては取得税、家屋なり土地なりを取得いたしましたときに不動産取得税というものが保有税とは別に課税をされる。そういうこともありまして、そういったものとのバランスにおきまして保有について自動車税課税し、その資産を取得したときに取得税を課税する。ただ目的を、これを道路財源として目的税としてリンクしている、こういう性格のものであるわけでございまして、それはそれで税の理論というものはやはりあるものというふうに考えております。ただ、それを離れまして、もっと基本的に考え方を整理すべきではないかという御議論でございますけれども、やはりもちろんそういう方向でのわれわれ研究なり討議なり、そういうものは続けていかなければならないと考えます。  ただしかし、その際にも先ほど申し上げましたように、国と県と市町村がそれぞれ別々の対象の道路についての管理責任を持っておるというようなことから、その三類型の管理者に対しまして、できるだけまんべんなく財源を付与するというようなことを考えますと、これらのものを一本なり二本なりにまとめてしまって課税をして、それでうまくいくかということになりますと、やはりいろいろのむずかしい問題が出てくるのではなかろうかというふうに考える次第でございます。  いずれにいたしましても、先生御指摘のような問題も含めて、今後私どもとしては検討をしていきたいというふうに考えます。
  254. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 自動車取得税に対する取る理由も、全くこれこじつけでありまして、不動産と自動車とは全く違います。自動車は耐久消費財、テレビとか電気冷蔵庫と大体同列のものであります。したがって、使う人は頻繁に買いかえる人もおれば長く使う人もおる。だから、頻繁に買いかえる人は、それだけなぜ道路財源を負担しなければならないかという問題が起こるわけであります。したがって、これは全く便宜的に取って、そのこじつけた理由を無理にくっつけておるにすぎないのであって、こういう税ができるのも私は基本的に財源の調達方法はついてそれぞれ国、地方が、あるいは国、都道府県、市町村がそれぞればらばらに取らなければならない、そして大体ガソリン税という一番うまみのある税源を大部分国が占めておる。地方は道路財源として取るものがないからこういうことをやるわけですね。こういうことがやっぱり非常にまずいのではないかということを申し上げたいのであります。  それから、もう一つの点は、地方の自主財源確保のために大事なことと思うのでありますけれども、現在は地方税法というものがあって、これは国税と地方税との調整とか、あるいは地方団体相互間の課税権の行使の分野の明確化とか、あるいは全国的な一つの標準化、余りばらばらにやられたら困るというようなこともあって、その枠とか手続等が決められておるものだと思います。しかしながら、現在の地方税法は、実質的には条文が千百ぐらいに及んでおりまして、税の種類のみならず、それの特例あるいは非課税措置、こういう細かな規定がぎっしり詰まっておるわけですね。言うならば、地方が自主的に決める余地なんかないぐらいがんじがらめにもう地方税法というものは決めておる。こういうやり方も地方財源の自主性というものを損なうのではないかと思うのです。  われわれは従来からもう少し地方税法そのものを簡素化して標準地方税法というようなものを設けて、ある程度の幅を持って地方が自主的に決定できるというふうにすべきではないかと思っておりますけれども、この点はいかがですか。    〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
  255. 関根則之

    政府委員関根則之君) 考え方の基本においては、私どもも先生お話しありましたような考え方に立っているつもりでございます。しかし、いかんせん、地方団体の数が三千三百という大きな数に上りまして、税源が地域的に大きく偏在をしているというような問題もございます。  田舎の小さな町村では、なかなか一般的なごく普通の税収が上がらないというようなところがある。たまたま山村で木材の搬出等が行われるということで木材引き取り税なんていう税も設けられておりまして、それが国全体の総額としてはわずかなものでございましても、その町村へ行きますと結構貴重な財源になっているというような例もありますように、地方団体全般に対しまして、まんべんなく税財源を付与できるような制度を持っていくということになりますと、どうしても税目等もふえてきてしまうわけでございます。ただ、実際の税法の規定の制定に当たりましては、できるだけそういう中におきましても、地方団体の自主性を尊重いたしますように、通常の場合には標準税率税率を設定いたしておきまして、それに対して超過課税が可能なような仕組みをとっているところでございます。  しかし、税というのは、いつも申し上げておりますように、ある地域で一つの税を課税いたしますと、それが経済に対していろいろな影響を与えます。物の流通に障害を生じるような場合もありますでしょうし、あるいは同じ産業間での企業の間に競争力に差を設けてしまうといったような問題もあるわけでございまして、そういった観点から、私どもとしては税の仕組みの大枠というもの をこういう形で定めざるを得ないというふうに考えているわけでございます。また、そういった普通税のほかに法定外普通税の設定もできるようになっているわけでございますが、こういったものの運用につきましては今後できるだけ弾力的な運用ができるように努めていきたいというふうに考えております。  考え方そのものは、できるだけ地方の自主性を尊重したような形で税法を組みたいと考えておりますけれども、実際問題として相当複雑なものにならざるを得ないというのが実情であるというふうに考えます。
  256. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 法定外普通税の弾力的運用と言われましたけれども、現在はこれは自治大臣の許可制になっておりますけれども、これを考え直すとか、そういう意味も含んでいるわけですか。
  257. 関根則之

    政府委員関根則之君) 法定外普通税につきましては自治大臣の許可を必要とするわけでございますが、一定法律上の要件を満たして申請がありました場合には自治大臣はこれを許可しなければいけないということで、いわば法規裁量的な許可になっておるわけでございます。そういう意味におきまして、従来からも地方団体におきまして財源があり、それに伴う財政需要があり、かつ法定の欠格条項のようなものが三項目ほどあります。経済に対して悪影響を与えないとか、流通に悪影響を与えないとか、そういうものがあるわけでございますが、そういったものを満たしているものにつきましては、私どもとしては積極的に許可をしてきたつもりでございます。  ただ、問題は法定外普通税と一口に言いましても、なかなか適当な税目が見出せない、税源が実際問題としてはないというのが現状であろうと思います。制度そのものを特に私どもは変える必要はないと思いますけれども、実際の運用において地方団体が創意工夫をこらし、申請をしてまいりました場合には、できるだけ地方団体の意向に沿って法定外普通税が活用されるように運用していきたいというふうに考えているわけです。
  258. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 確かに地方に自主性を持たせるといっても、三千もある地方自治体がそれぞれ県でばらばらにやると困るということも事実だと思うのです。しかしながら、一面においてやっぱり地域福祉の充実等が非常に要請が強くなっておる。特に地方の特性を生かした福祉政策というものも要望されておるわけであります。そういう地域の特性を生かした政策をやるには、どうしても自主財源、財源の自主性というものがないとできないと思うのです。  そこで、現在の都道府県の数もそういった意味ではまだ多過ぎるという気もするわけであります。道州制ということが前から言われておるわけでありますけれども、私はその地域の地方自治体の権限をもう少し強化して自主性を与える、そういった面でもむしろ現在の都道府県よりも道州制の方がいいのではないか。地域の特性といっても、いまは非常に広域化しておりまして府県ごとでなかなかその特性というものが出てこない。それから現在の都道府県というものが大体明治に定められてからずっとほとんど変わっていないというものであります。現在の交通事情、通信事情あるいは情報の事情から見ても、そのまま置いておく必然性はない。さらに広域行政ということの必要性が高まっておる。それから地方の行革を進める上においてもこれは非常に有効だと思いますけれども、そういった面も含めて道州制について自治大臣はどう考えられますか。
  259. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これは大変な問題をいただいたわけですが、都道府県というものが長年の明治以来の歴史のある組織であり、これは国民の間にそれなりに私は定着をしている、やっぱりそれぞれの都道府県民であるという意識は相当強いものではないか、そういう垣根を取っ払って今度はひとつ道州制という広域行政の最たるものに移ろうというには、私はこれはなかなかたくさん重要な問題があるだろう、また非常な抵抗もあるだろう、これはよほどドラスティックな行政をやらなければ、あるいは政治が強力にやらなければとうてい実現は私はむずかしいのではないだろうかと思い、いまそういう御意見も一部あることは承知しておりますが、実現というふうになってくると、実際問題としては非常にむずかしい問題ではないか、こう思います。  ただ、いまおっしゃるように交通、通信の状態というのは非常な発達をしてきたわけですから、やはり広域行政というものはやらなければならないのではないだろうか、そういう意味では、府県内での広域行政というのは、まあ合併ということをすぐに言っても困るのですけれども、やはり広域的な行政というものを展開しなければ能率的、効率的な行政サービスができないのではないか、こう思っております。  ただいまのところは、道州制についてどう思うかとお尋ねいただいても、すぐにそれの導入ができるということは現実問題として私は非常に困難だ、こう思っております。
  260. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 最後に、私は減税の問題についてちょっと触れたいと思うのですけれども、住民税の課税最低限が五十五年度以来据え置かれている。そして、現在ではその課税最低限が生活保護基準額を下回るというようなまことに不合理な状態になっておるわけであります。それを是正する措置として非課税限度額というものを設定しておるわけでありますけれども、これは非常に大きな矛盾を生ずるわけです。  たとえば、今度の改正案で見ましても、百八十八万五千円の人は非課税限度額いっぱいだから住民税所得割はゼロということになるわけであります。ところが、一万円年収がふえますと、百八十九万五千円の人はどれだけ所得割がふえるかというと、六千五百円取られるわけです。つまり一万円収入がふえたら六千五百円は税金で持っていかれる。こんなばかなことが起こるわけですね。それから一万五千円ふえて百九十万円になりますと、一万五千円ふえたうち八千二百円が所得割でかかってくる、こういうばかげた矛盾が起こるわけであります。もし課税最低限の引き上げを百八十八万五千円まで行ったとしますと、百九十万の年収の人は税金は所得割は三百六十円しかかからない。百八十八万五千円の人がゼロなら百九十万の人は三百六十円ぐらい税金がふえるのは、これはあたりまえというか妥当だと思いますけれども、一万五千円ふえたら八千二百円も税金で取られる。こんなことを放置しておいてはいかぬと思いますけれども、いかがですか。
  261. 関根則之

    政府委員関根則之君) 現在、御指摘のように五十六年、五十七年と非課税措置をとらしていただきまして、五十八年度も同じような措置をお願いをいたしておるところでございます。この措置が、税理論から申しまして特例的な制度であるということについては私ども十分承知をいたしておるところでございます。  特に、その一番の難点は、いま御指摘がありましたように、非課税限度額を超えたところの段階で限界税率が六割にも七割にもなるという、きわめて高い限界税率が段階的に発生をするという問題があるわけでございます。こういう問題については、私どもとしてはできれば課税最低限の引き上げ等によって解消をしていくということが望ましいと考えておるわけでございますが、一方におきまして地方財政の厳しい状況もございまして、なかなか本格的な減税に伴う減収額に耐え得るだけの地方財政のゆとりがないというようなことからこの制度でお願いをしているような状況でございます。  減税問題につきましては、先ほどから申し上げておりますように、各党の合意等を踏まえまして私どもとしては真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
  262. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 もう少し時間があるようですので、もう少し続けさしてもらいます。  減税に対する要望は非常に強いわけですけれども、しかし、地方の財政状態から見てなかなかむずかしいということが言われておるわけです。しかしながら、ほかに財源を探せばいいわけでありまして、もちろん同時に地方の行政経費の節減と いうことも必要ですけれども、たとえば今回も住民法人税の均等割の引き上げが行われたわけです。前々から法人のうち赤字企業が非常に多い。百四十万余りの法人の中で約半分が赤字である。しかし、それは実態を調べてみるとほとんどが逆粉飾決算といいますか、利益、所得隠しをやっておる。これが調査によりましても大体赤字企業の調査をしたうち八割ぐらいはそういう所得隠しをやっておるということが発見されておるわけです。したがって、赤字法人税のようなもの、フランスでは赤字法人税というのがあるようですけれども、そういったものを設けたらどうかという意見が前々から出ておったわけですけれども、今回の法人所得割の引き上げというものもそういう考え方に基づくものですか、どうですか。
  263. 関根則之

    政府委員関根則之君) 法人住民税の均等割の引き上げをお願いをしておるわけでございますけれども、これの基本的な考え方はやはり昭和五十三年度以来据え置かれております定額課税でございますので、所得の上昇なり物価水準の上昇なりに見合いまして適当な期間経過後にその税額調整をしていくという必要がある、そういう考え方の税調答申もございますので、そういう考え方に基づいてやったものでございます。  ただ、その際にいま御指摘がありましたように、世間各方面から赤字法人企業の税負担についてやはり何とかすべきではないかという御議論が数多くあるということも私どもとしては配慮をしたような次第でございます。そのためはおおむね二倍程度の税収を目途として今回の税率改定は組まれているわけでございます。これは物価水準等の上昇よりも多少高くなっているということでございますが、そういうことを考慮した結果、おおむね二倍程度の税率引き上げをさしていただいたということでございます。  ただ問題は、赤字法人に対する税負担の適正化という問題は、法人均等割を多少上げる程度で私どもは追いつく問題であるとは考えておりません。多少とも役に立つかという程度の考慮が加えられたというふうに御理解をいただきたいと思います。赤字法人税負担の適正化のためには、今後基本的に税制調査会等で真剣な、しかも基本的な議論をしていただいた後でないと簡単に手がつけられない問題であるというふうに考えております。
  264. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そういう問題も今後の問題として残しておるわけですけれども、私は税の公正な徴税といいますか、そのためにやるべきことはまだまだ多いと思うのですね。そういうことはやっぱり早く手をつけて是正をする。それと同時に、先ほど言ったような非常にゆゆしい矛盾が生じておる、住民税課税最低限の引き上げということも、これまた早く手をつけるべきだと思うのです。  与野党代表者会議におきましても、所得税、住民税をあわせて五十八年中に減税をするということを二階堂幹事長は約束をされたようでありますけれども、自治大臣のこの減税に対する決意というものをお伺いしたいと思います。
  265. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) これはたびたび申し上げておりますように、ただいま仰せられたような与野党間の合意ということを初めとして、私どもも五十八年中に国税及び地方税の減税についての法律案を出す、こういうことに承っておるのでございまして、その線に沿って今後努力をしなければならないと思っております。
  266. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に、先ほどいろいろ論議された点ではありますけれども、いわゆる公社ですね。電電公社、専売公社、国鉄、こういうところの納付金が問題になっておるわけです。電電公社の場合は非常にもうかっているということで五十六年度から五十九年度までの四年間に各年度の合計四千八百億円を国庫は納付するということが行われたわけでありますけれども、私はこれはまことにおかしなことではないかと思います。公社の利益というものを国庫が足らぬからといって簡単に召し上げるということ自体もおかしいけれども、それをやるなら、むしろその前に納付金を現在二分の一の特例措置がとられておるのを普通の民間並みに直すのが先決ではないかと思います。  国は苦しいけれども地方財源だって苦しいのだから、国に持っていかれる前にちゃんとそういう措置をとるべきじゃなかったかと思うのですが、いかがですか。
  267. 関根則之

    政府委員関根則之君) 国に特別の納付金を納付するぐらいなら、その前に固定資産税見合いの納付金固定資産税並みに納付すべきではないかと、そういう議論が地方団体の中からも強く出されているわけでございます。  私どもも基本的には考え方としてはそのように考えているわけでございまして、そのための働きかけといいますか、税調等における議論の過程で私どもはそういう主張も実はしてきたわけでございます。しかし残念ながら税調等の議論の中で私どもの主張がそのまま通るというようなところまでまいりませんで、一方ではそういう措置をとるべきであるというような意見があります反面、なお公社等の性格にかんがみて慎重にやるべきだというような意見もございまして、両論併記のような形で結論を得るに至らなかったわけでございます。考え方といたしましてはまさに先生のおっしゃるような考え方に基づきまして今後この改善策について私どもとしては努力を続けていきたいと考えます。
  268. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、東北新幹線並びに上越新幹線についての特例措置というのはさらにこれは拡大されたわけですけれども、この理由についてお伺いをしたいと思います。
  269. 関根則之

    政府委員関根則之君) 東北新幹線及び上越新幹線が建設段階から営業段階に入ったわけでございます。営業段階に入りますと年度末の資産に計上をされまして、それをもとに翌々年度から納付金対象になってくるということで、東北新幹線及び上越新幹線分は五十九年度から納付金対象になるということが予想されるわけでございます。  国の予算編成等を控えまして前もって税制といいますか、納付金の制度を固めておかなければいけないということもありまして、五十八年度の税制改正でお願いをしているところでございますけれども、ここで問題は、総額にいたしまして両新幹線分が百億をちょっと超すような計算になるわけでございます。そうでなくても国鉄の再建は大変厳しい状況下に置かれているわけでございますし、また地元の地方公共団体からも新幹線につきまして地元に与える影響等からこれに対してできるだけ協力をしていくというような要請がございまして、私どもといたしましては財源としてはいただきたいことはいただきたいわけでございますけれども、国鉄の財政状況の厳しさということに着目をし、また国鉄の新幹線が地域の地方団体に与える恩恵と申しますか、利益と申しますか、そういうものとの兼ね合いの中で、今回、従来ありました新増設分の償却資産について、さらに従来の特例率を半分にするという措置をとらしていただいたような次第でございます。
  270. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  271. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 速記を起こして。     ─────────────
  272. 宮田輝

    委員長宮田輝君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、加藤武徳君及び小林国司君が委員辞任され、その補欠として内藤健君及び宮澤弘君が選任されました。     ─────────────
  273. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 あすの予定がきょうに繰り上がって、大蔵省関係はきょう四時から質問する予定をしておったのですが、直接ぶっつけになって大変申しわけないのですが、あしからずひとつ御了承いただきたいと思います。  そこで、ちょっと小さいのから、いろいろ質問もあったと思いますから重複する点もあると思いますが、二、三、まず自治省の方に聞いておきたいと思います。  住民税の課税最低限が今度百八十八万四千円ですか、所得税が二百一万五千円ですか、これは生活保護基準との関係はどういうふうにお考えなんですか。
  274. 関根則之

    政府委員関根則之君) 地方税の住民税の課税最低限につきましては、昭和五十五年に設定されております百五十八万四千円でそのまま据え置かれているわけでございます。現在の生活保護基準とは二十八万円ほどの逆転現象が起こっておるわけでございます。  そういう事態に着目をいたしまして、生活保護基準程度の所得しかない人に住民税が課税されるという事態はできるだけ避けることが望ましいと考えますので、非課税措置という制度を昭和五十六年度以来、各単年度の措置としてとらしていただいておるわけでございますが、昭和五十八年度におきましても、本格的な減税問題が現在議論をされておりますが、それとは別にいたしまして、五十八年度におきましても引き続き非課税措置を存続させていただくという地方税法改正案を御審議をいただいているところでございます。
  275. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 その差額が、いま数字があったのですが、生活保護基準は、私の計算では五十七年度が二百三万三千五百八十円、五十八年度が二百十万八千二百八十円、こうなっておるのですが、そういうことでいいのですか。
  276. 関根則之

    政府委員関根則之君) 昭和五十八年度の課税最低限について申し上げますと、昭和五十八年度におきます課税最低限は、先ほど申し上げました五十五年度の百五十八万四千円がそのままでございます。しかし、それに対しまして非課税限度額という制度を設けておりまして、それは百八十八万五千円でございます。しかし、それに対応いたします生活保護基準額は、夫婦、子二人の標準世帯におきまして、一級地で百八十六万四千円、これは住民税が前年所得課税であるという性格にかんがみまして、五十七年度の生活保護基準と比較をしているわけでございます。
  277. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 これは世帯主三十五歳、妻三十歳、子供、男性が九歳、女性が四歳という基準ではじいておるわけですか。ちょっとその中身を言ってくれませんか、ずっと数字を。
  278. 関根則之

    政府委員関根則之君) いま申し上げました標準世帯における一級地の生活保護基準が百八十六万四千円と申し上げましたが、正確には百八十六万四千五百十円でございます。家族構成は、夫三十五歳、妻三十歳、長男九歳小学校三年生、長女が四歳という構成を前提といたしております。その内訳でございますが、三つに分かれておりまして、生活扶助と住宅扶助と教育扶助、これを合わせたものでございます。生活扶助は百七十三万七千六百四十円、住宅扶助が十万八千円でございます。教育扶助が一万八千八百七十円、こういう積算でございます。
  279. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そういうのは国民年金などは入っていますか。
  280. 関根則之

    政府委員関根則之君) 生活保護基準の額の中には国民年金は入っておりません。
  281. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 前からいろいろ生活保護家庭に対する免除された分がございますね。保育料であるとか、いろいろ免除された分があるでしょう。そういう分は積算してないわけですね。どうなんですか。
  282. 関根則之

    政府委員関根則之君) 免除されておりますものは積算の中には入っておりません。
  283. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうすれば実際問題として、これは生活保護基準との対比の問題では対比にならぬのじゃないですか。むしろ保護家庭なるがゆえに免除されておる分が、保護家庭がないがためにしわ寄せしてくるというようなことになるのじゃないですか。そういう意味でこの百八十八万五千円というのは適正なものとは言いがたいのじゃないですか。いかがですか。
  284. 関根則之

    政府委員関根則之君) 私どもは、課税最低限の引き上げがなかなか地方財政厳しい折からその財源を生み出すことができませんので実施できないということから、しかしそうは言いましても、生活保護基準程度の所得しかない方々に住民税が課税されるということを避けるような方法を探したわけでございまして、その際、法律上の制度といたしまして非課税措置を設けたわけですが、そういう法律上の制度を設けますときには、やはり税でございますので画一的な基準に基づきまして一定の線を設定するという措置をとらざるを得ないわけでございます。その際、参考とさせていただきましたのが生活保護基準標準世帯の一級地のいわば典型的なものといいますか、ベースになるもの、そういうものをとらさしていただいたような次第でございます。すべてのあらゆるケースに応じましてその生活に必要な経費を賄い得る、そういった個別の具体のケースに基づいて比較対照をしているわけではございません。標準的なものについて一定のレベルをとりましてそれを参考にさせていただいて非課税措置の限度額を設定させていただいたということでございます。
  285. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 ただ問題は、保護基準と対比するということは、少なくとも最低限という表現にもございますように、そこまではやっぱり理屈の上からいっても実際の上からいっても免除せざるを得ない、こういう論理から私は設定が出ておると思うのですよね。  たとえば国民健康保険で月当たりいまの標準家庭でいきますと五千二百二十円でしょう。年間約六万ぐらいになりますね。それから保育料だって月当たり四千六百五十円ですね。こういうものを、私はそのほかいろいろあると思いますが、局長の方でもし思案があれば、一体どの程度保護基準家庭だったら免除になる分が年間見積もられるか、こういうことがもしおわかりになれば聞きたいのですけれども、いかがですか。
  286. 関根則之

    政府委員関根則之君) 具体の生活保護家庭に対しまして各種の公費負担等で減免されますものを積算したような数字は私の方にはございません。
  287. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 大臣どうですか。いまやりとりやったその問題、やっぱりこういういびつな方法をとるところに問題があるわけですね。本来課税最低限をこういう形でとるのでなくて、たとえば五万なり二万なり引き上げていけば、こういうあれは出てこないのですけれども、これは五十六年からか便法的にそうやっておったわけです。こういう結果が大変に矛盾を拡大しておるわけですが、あなたは率直に聞いてみてこの問題についてどういうお考えですか。
  288. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 非課税措置というのは一つの便法であると思うのです。いつまでもこれをやっているわけにはいかないことであろうと思います。ただ、いかにもいまの地方財政が非常に厳しい現況にあるものですから、そういうことからいまのような措置でことしも継続してお願いをする、こういうほかなかったわけでございます。しかし、本筋から言えば、やはり課税最低限の問題に手をつけて、しかるべき減税措置をするというのがこれは本筋であろうと思うのです。そこのところは今後の問題点であることは、私どももその問題の意識としては十分に持っておるつもりであります。
  289. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 大臣、抜本的な検討は五十九年度税制調査会の中でもやらなければならぬという方向も出されておることは知っています。しかし、こういう矛盾が年々拡大するというとり方も私は問題があると思いますから、これもぜひひとつ研究して改善するようにお願いしておきたいと思いますが、よろしいですか。
  290. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) いずれ税制全般について見直さなければならぬ時期が早晩来るわけでありまして、そういうときにこの問題は十分検討さしていただこうと思います。
  291. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そこで、大蔵省にちょっと聞きたいのですが、国税庁が資本金一億以上の大企業四千二百社の五十六事業年度の税務調査をやっておりますね。この調査の結果が対象企業の九四・六%ですか、四千社が言うなら脱税というか所得隠しというか申告漏れが明らかになった、三千三百七十五億ですか、これに法人税や重加算税など千三百四十五億円が追徴されておる、こういうこと は御存じのことだと思うのですが、これは法人税法による各種引当金、それから租税特別措置による各種の準備金、こういったものを落とした上でなおかつ所得隠し、申告漏れがあったと、そういうふうにとられておるのですが、これはいかがですか。それから全法人の一〇%、十八万法人ですか、この実態調査でも四社に一社がやはり同様に所得隠しを行っておる、こういう報告を聞いておるのですが、いかがですか。
  292. 日向隆

    説明員(日向隆君) いま委員が申されました数字について申し上げますと、法人税の五十六事務年度の調査におきまして資本金一億円以上のいわゆる大法人につきまして四千二百三十件の調査をいたしております。その四千二百三十件につきまして調査したところ、おっしゃられますように、九四・六%につきましてその非違が発見されております。それから税務署所管法人、これは中小法人でございますが、これにつきまして十八万三千六百十五件調査いたしました。したがいまして、合わせますと十八万七千八百四十五件の調査をしたことになりますが、それにつきまして十五万三千百五十四件、割合にいたしまして八一・五%について非違が発見されております。  そこで、第二の御質問であろうかと思いますが、準備金、引当金等を落とした後にと、こうおっしゃっておりますが、その意味は私ちょっとよく正確に理解できませんが、いずれにいたしましても、調査によりまして当初の申告が過小であったということが把握され、その修正が行われたものというふうに承知しております。
  293. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 いや、私が言ったのは、法人に対するいろいろな優遇措置がありますね。そういうものを全部落とした上で、積算の中でなおかつこれだけの申告漏れもしくは所得隠しがあったのかどうか、こう聞いておるわけです。
  294. 日向隆

    説明員(日向隆君) 税法、通達等で規定されております引当金、準備金の適法な処理は各法人ともそれぞれしていると思います。ただ、問題はその法人の決算内容によりましては十分に税法等で規定されている引当金、準備金の額を積み得ないものがあろうかと思いますが、それはそれとして御宥恕いただくといたしまして、そういった決算で許す限りのものは積んだ上での状況であろうかと推察しております。
  295. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうすると、これはどうなんですか。言いかえれば調査した九四・六%が優遇措置の上に所得隠ししておる、申告漏れしておる。さらに全法人で見ると調査した中で八一・五%がやはり所得隠しということになると、これは全法人に類推してもいい比率というふうに見てよろしいですか。
  296. 日向隆

    説明員(日向隆君) お答え申し上げます。  委員も御存じと思いますが、私どもの税務調査は、各種の資料、情報を的確に判断いたしまして、大口、悪質な脱税が見込まれるものを中心に実施しているものでございます。また、その実調率も定員等が限られております関係上、最大限の努力はいたしておりますものの、現在個人、これは医師もございますが、これは四・一%ございますし、お尋ね法人につきましては一〇・四%にとどまっている状況でございます。このことから見ましても、いまおっしゃいました非違割合を私どもといたしましてはすべての事業所得者、すべての法人に引き伸ばして考えることはややむずかしいのではないかというふうに考えております。しかしながら、このような非違の事実を少しでも解消することが私どもに課せられました責務と考えておりますので、そのために今後とも一層の努力をしたい、こう考えております。
  297. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 個人の場合、全体の何%やったのですか。
  298. 日向隆

    説明員(日向隆君) お答え申し上げます。  個人の場合には、これは五十五年分に係る調査が直近の調査でございますが、調査件数十四万七千二百二十四件のうち十三万七千六百六十一件、割合にいたしまして九三・五%について非違が把握されております。
  299. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 ついでに一つお聞きしておきたいのですが、いわゆる農業所得者であるとか、それから中小の、何というのですか、個人ですか、こういうところの関係調査やった結果はどうなんですか。
  300. 日向隆

    説明員(日向隆君) いま私が申し上げました数字がまさに営庶業、個人の営業及び庶業と言いまして事業をやっていらっしゃる方の数字でございます。
  301. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そこで、ちょっとわからぬから教えてもらいたいのですが、この中身は法人の場合の三千三百七十五億円の申告漏れ、所得隠しというのだが、このうち申告漏れと所得隠しというのはどういう分類になるのですか。
  302. 日向隆

    説明員(日向隆君) いま委員がおっしゃいました三千三百七十五億円といいますのは、先ほどおっしゃっておりました資本金一億円以上の大法人についての調査の結果によります増差所得金額だと思います。ですから、所得隠しという言葉の意味がややあいまいでございますが、私どもが調査によって当初申告されていなかったもので申告すべきものとして把握したものがいわゆる増差所得でございまして、その所得隠しという言葉を意図して所得を隠したというふうにとりますと、ややそれよりも広い概念だろうかと思います。
  303. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 やや広い。広いというのはどういう意味ですか。
  304. 日向隆

    説明員(日向隆君) 私の推定で恐縮でございますけれども、委員のおっしゃっております意味がいわゆる不正所得といいますか、もう一つ言葉をかえて言いますと、重加算税の適用の対象となるような仮装隠蔽の所得であるといたしますと、この三千三百七十五億がすべてそれではない、それはその一部である、こういう意味でございます。
  305. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうすると、脱税未遂というのがございますね。それとどういう関係になりますか、いまあなたの言うのは。
  306. 日向隆

    説明員(日向隆君) 申告期限がそれぞれ個人法人において定まっておりまして、その申告期限内に申告を出されたものについて正確な申告がなされていなかったという場合にはすべて脱税でございまして、その既遂とか未遂という意味がちょっとはっきりいたしませんが、そんなふうに御理解いただきたいと思います。
  307. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうすると、この場合は脱税ということですか。
  308. 日向隆

    説明員(日向隆君) そのようにお受け取りいただいて結構だと思います。
  309. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そう言いますと、脱税未遂よりもひどいやつだね、脱税というのは、実質的に。そうすると、それに対する懲罰というのはどうなっていますか。
  310. 日向隆

    説明員(日向隆君) 正しい申告をしていただく、つまり納税をしていただくということでその追徴税額をいただきますが、その際不足しております税額のほかに加算税といたしまして先ほど言いました重加算税、仮装隠蔽して所得をごまかしているというふうな場合には税額の三〇%をいただくことになっております。
  311. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 ひとつ後でまたその問題はやりましょう。  もう一つ聞きますが、法人税法百五十二条、施行規則六十六条に基づいて、各税務署ごとに四千万以上の所得のある法人については申告書提出後二カ月以内に一カ月公示をすることになっていますね。ところが、その一カ月が過ぎると一般の国民の皆さんが聞きに行ってもこれを教えてくれない、こう言うのですが、運用か何かでそういうことを規定しておるのですか、資料見せてくれぬということ。
  312. 日向隆

    説明員(日向隆君) これは公示の制度でございますから、大蔵省の方が適当かと思いますが——いま委員がおっしゃいましたように、その公示の制度は個人法人両方ございますが、法人についてはいま御指摘のとおりであろうかと思います。ただ、それを運用面で工夫しろと言われましても、いまのところ私どもとしては、その公示期間中に公示するということになっておりますので、それ以上のことは御勘弁いただきたいと思いま す。それ以上のことは、運用上工夫をしろというその検討についての御指摘でございますればそれは検討させていただきますが、現実問題としていまそれをしろと言ってもできません。
  313. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 できない理由はどういうことですか。
  314. 日向隆

    説明員(日向隆君) 大変形式的なお答えで恐縮ですが、法律及び……、ちょっと私、しかといま資料持っておりませんのであれでございますが、それに基づきます政省令等でそういうふうに決められておりますので、そういったものを改正しない限りは無理だということでございます。
  315. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 政省令でやっておるのですか、それとも運用でやっておるのですか、どっちですか。私は運用と聞いておるのですが。
  316. 日向隆

    説明員(日向隆君) 何分にも御質問を事前にいただいておりませんのでちょっと資料を持っておりませんから、正確に確認できない点はお許しいただきたいと思いますが、私の記憶しておりますところでは——いま手元に資料が来ましたのでございますが、申告書の公示につきましては規則でございます。規則に、ちょっと読み上げますと「法第百五十二条(申告書の公示)の規定による公示は、次に掲げる事項を、同条に規定する確定申告書又は当該申告書に係る修正申告書の提出の日から二月以内に、少くとも一月間当該税務署の掲示場に掲示する方法により行なうものとする。」と、こう大蔵省規則に明記されております。
  317. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうすれば、その後にもう一遍見せてくれと言っても、公示をする性格のものですから、特に見たいと言えばそれは断る理由はないじゃないですか。断らなければならぬというのはどこか規定がありますか。公示以外のとき来たときに断らなければならぬという規定があるのですか。
  318. 日向隆

    説明員(日向隆君) 公示そのものについての掲示期間についてのお尋ねというふうに私は先ほどの答弁ではとりましたので、まさにそれは大蔵省規則で二カ月以内に少なくとも一カ月間というふうに掲示する、こうなっておりますので、それに従って処理する、こう申し上げました。いまの委員お尋ねは後で教えろという話でございますので、掲示されましたことによりましてその事実は明らかになっているわけでございますから、その点につきましては教えることが適当かどうかの問題ございますけれども、少なくとも何らかの処置がとれるのであればとるよう検討してみたいと思います。
  319. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 せっかく一カ月の公示規定があるわけですから、何も秘密事項ではないわけです。したがって、ただその一カ月以内に見ることができない人だっておるはずですから、そういう方々に対してそれ以後の期間に行った場合に、それを運用とか、まあ恐らくそれは規定はないはずですよ。運用だと思うのですね。そういうことでそれは絶対に見せられぬ、こういうかたくなな態度をとっておるようでありますが、これは私はやっぱりおかしいと思うのですよ。  それは事務繁雑いろいろあるかもしれぬけれども、そういうものを見にくる人というのはそう毎日わんさわんさ押しかけてくるようなものじゃない。やっぱりいろいろ勉強もあるだろうし、調査する人ということで見るわけですからね。これは私は当然そういう情求があればいつでも、まあ若干の一週間とかいろいろの日程、あらかじめの通知とか、そういうことはあっても、ちゃんと見せるべきだと思うのですが、いかがですか。
  320. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) 公示制度にかかわる質問でもございますので、一言沿革的なことを申し上げておきたいと思います。  これは戦後第三者通報制度と並びまして申告書の閲覧制度、これが両々相まちましていわば脱税しておるぞということを第三者が指摘するといいますか通報する、こういう制度を設けたわけでございます。ただ、導入はいたしたのでございますけれども、日本的な風土、社会にはそぐわないということで第三者通報制度はやめた、また申告書の閲覧制度もやめたという経緯があるわけです。言ってみますれば、その尾てい骨といいますか、残っておりますのが所得の公示制度でございまして、この公示を通じまして納税のモラルを上げていく、維持していく、こういう意味合いがあるわけでございます。したがいまして、本来的に所得の公示を皆さんが見て、いつでも見られて、それを見てあの申告はおかしいのじゃないかとかいうところまでは現在の制度は期待していないということでございます。  したがいまして、公示の期間というものは私どもの所得税法、法人税法及びその規則に定めた期間内、そういうことで定めておる、またそういった厳格な運用をしておる、こういうことで御理解いただきたいと思います。
  321. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 だから、その考えは私はおかしいと思うので、今後はひとつそこら辺、これはいまあなたおっしゃったのは沿革という言い方をしたけれども、運用の問題でしょう。何か規定上それ以後は見せてはならぬという規定があるのですか。そういうものじゃないのでしょう。ですからそれは私はぜひひとつ検討してもらって、いつでも事前にちゃんと通知があれば見せる、こういう態度はひとつ検討していただきたい。これは中曽根さん自身が情報公開法を言っておるように積極的なんですけれども、そういうこととも関連して要請しておきたいと思いますが、よろしいですか。
  322. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) 御説明しましたのは、沿革でございますと同時に申告書をほかの方々にお見せするという趣旨は現在の税法の中にはないということでございます。
  323. 日向隆

    説明員(日向隆君) ちょっと私の先ほどの答弁でやや不十分な点があったかもしれませんので補足いたしますと、いま言いましたように公示制度といいますのは守秘義務の一つの例外的な規定でございます。したがいまして、法律とかあるいは大蔵省規則で決められていることをやはり厳格に解釈すべきではないかというふうに考えますので、公示期間中に公示された場合は結構でございますけれども、それ以降においてそれを第三者に教示するのはむずかしいのではなかろうかと、こう考えます。
  324. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうなると、私はやっぱりおかしいと思うのですよ。それは守秘義務にかかわる例外事項としても、公示をしておるときには一カ月以内はどなたでも結構ですという前提でしょう。一カ月過ぎたら第三者に見せないという、そんなばかなことありますかね。そういう考え方があると思うから、こういうふうに運用でやっておるのだと思いますが、これは私はひとつぜひ改めてほしいと思います。きょうは時間がないから要望だけしておきますが。  それから、この問題とちょっと関連していまから出てくるわけですが、大阪で、われわれの方で五十六年一月から十二月にかけて証券取引法二十四条に基づく有価証券報告書を大蔵省に提出しておる資本金十億以上の企業のうち、申告所得が大阪で百位以内の十八業種七十三社を調査しておるわけです。その調査によりますと、五十六年度の決算期末現在で七十三社で資本金総額が一兆七千四百十七億九千七百万、申告所得が一兆九千二百十六億九千二百万、    〔委員長退席、理事亀長友義君着席〕 これに対して実質所得は三兆三千六百二十九億二千四百万、税法用語で言いますと、税の特別措置による軽減したいわゆる過少所得というのですか、税法上の特別措置軽減分、この分が実に一兆八千四百十二億三千二百万あるわけです。所得縮小率が四五・二%となっておる。実質所得は二分の一以下に縮小されている。こういうような軽減圧縮によって法人四税の法人税、法人事業税、法人県民税、法人市町村民税で一兆一千百九十七億二千九百万減免されておる。こういう実態が出ておるわけでございますが、これどういうふうに思いますか。これは大蔵省になるのか国税庁になるのか、どっちかな。主税局か、どっちかな。
  325. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) ただいまお聞きいたしました限りでは、それぞれが税法の定めに従って申 告した結果がそのような数字であり、    〔理事亀長友義君退席、委員長着席〕 また減免といいますか、軽減された金額も税法の定めに従って計算すればそのようになるということだろうと思いますけれども、詳しい具体的なお話は、ちょっと私どもは先生のお調べのもとは手元にありませんのでちょっと正確に申し上げるわけにはいきませんが、そのように推測いたします。
  326. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そこで時間があれば、まだ、きょうは一時間三十分とっておったのですが、時間がございませんから次にいきますが、そういう実態があって、なおかつ先ほど申し上げたような脱税が出ておる、こういうのがいまの実態だということはさっきの話と合わしていただければいいと思いますが。  そこで、偽りのまたは不正の脱税の際に更正決定というのがございますね。これは期間制限や徴収権の消滅時効というのが七年になっておると思うのですが、そういうことでいいのですか。
  327. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) 先生御指摘のとおり、偽りその他の不正の行為によりまして脱税をした者に対する除斥期間は七年となっております。
  328. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうしますと、結果的にはさっきの調査実態から見ると、法人で一〇%ですか、こういった実態調査から言いますと、七年の期間内に全企業を調査するということは事実上不可能じゃないかと私は思うのですが、いかがですか。国税庁ですか、これは。
  329. 日向隆

    説明員(日向隆君) 先ほど申し上げましたように、実調率が一〇・四%でございますから、単純に計算いたしますと十年に一度ということになりますので、七年の除斥期間内に全法人につきまして調査することはむずかしかろうかと思います。
  330. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 これはそうすると、いままでの実態から言えばそういう全法人調査というのはできないまま時効期限が切れていくという、そういう連続ですか、実態は。
  331. 日向隆

    説明員(日向隆君) 私ども全法人を除斥期間内に調査をするというのは一つの理想であろうかと思いますけれども、いろいろな申告指導をいたしておりますし、またその実調以外のいろいろな接触の仕方もございまして、そういったことによりまして適正な申告を期待できる法人もあろうかと思います。そういう意味で、実調率が高いことが望ましいのでございますけれども、除斥期間内に全法人を実調するという必要まではないのではないかという気がしております。
  332. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 しかし、先ほどの実調の結果、あれだけの高い約一〇〇%に近い脱税の実態があらわになっておるわけでしょう。これはそういうところをねらい撃ちやったかもしれませんよ。しかし、いずれにしてもそういった実態が出て全法人をやる必要はないという論理が出てきますか。西ドイツなどは三年に一回全法人調査やっておるのじゃないですか。各国の場合どうですか。
  333. 日向隆

    説明員(日向隆君) 私ただいま申し上げましたように、除斥期間内に全法人調査するというのは一つの理想であるかと思いますけれども、そうなりますと実調率はかなり高めなければいけませんので、やっぱり定員の問題が出てまいりまして、まあ私ども国税庁としては定員要求は毎年しておりますが、こういう厳しい行財政の折からなかなか思うような定員増加ができませんものですから、限られた定員の中で、また職員に過重な負担をかけないということの中で、一〇・四という実調率は最大限の努力の結果ではないか、こう考えております。
  334. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 確かに定員の問題はありますね。西ドイツと対比しても相当数の違いがございますね。しかしそれだけじゃなくて、源泉徴収の場合にはこれはびしっと完全に捕捉しておるわけですね。ところが自主申告を出すところとか法人については、いまあなたのお考えがいみじくも出たように、完全に捕捉するまでが理想と思うけれどもそうまでしなくていいのじゃないか、こういう論理が所得税法、法人税法の中にあるのじゃないですか、そういう趣旨のことが。いかがですか。
  335. 日向隆

    説明員(日向隆君) 税法の中にそういう意識なり思想があるかという点につきましては、ちょっと私所管外でございますので答弁を控えさせていただきます。
  336. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) 税法といたしましては、要するに納税者の理解と協力のもとに、いわば憲法に基づく義務でございます納税の義務を正しく履行していただくということが当然のことながら期待されておるわけでございます。ただ、それが調査によって担保、裏打ちされるということでございまして、そのために質問検査権という規定は置いておりますけれども、それじゃ、どの程度の実調率を確保しなければいかぬかといったことにつきましては税法の上では定めておらない、それはまた定めることが必ずしも適当でないということであろうかと思います。  といいますのは、やはり納税者皆さんが脱税をする、あるいは脱税予備軍だという前提でかかりますれば、これは大変な、何といいますか、どんなに人間がたくさんいてもしょせんおさめ切れない。そういった意味合いにおきまして、いろいろ租税教育でございますとか、そういったいろいろ国民の皆さんに理解と協力をお願いしてやっていくということを追求しなければいけませんし、またやむを得ない場合につきましても、調査をすることによりましてそれが効率的に行われ、またその一つの調査を見てほかの納税者の方々がこれは正しい申告をした方がやはり得でもある、まあしなければいかぬことは当然のことですが、得でもあるというふうにごらんになる、そういった調査の水準というものが確保されるということが暗黙のうちに期待されているとは思います。ただ、いずれにしましても、税法の上でそれを明確に書くということは適当でないというふうに考えられます。
  337. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 それではちょっと質問を変えましょう。  所得税法の二百三十八条の一項と二百四十一条はどう違うのですか。
  338. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) 二百三十八条は、つまり先生御指摘の条項はいずれも罰則に関する規定でございますが、二百三十八条一項は、偽りその他不正の行為によりまして確定申告義務のある者などが所得税を免れた場合の罰則の規定でございます。一方、二百四十一条の方は、確定申告義務のある人が申告書の提出期限までに申告しなかった無申告の場合の罰則の規定でございます。
  339. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうすると、二百三十九条と二百四十条はどう違うのですか。
  340. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) 二百三十九条の場合は、二百三十八条と同じく「偽りその他不正の行為により」という言葉が入っておりますけれども、こちらの方はいわゆるサラリーマン等、源泉徴収を受ける者等が徴収さるべき所得税を免れた場合の罰則規定でございます。二百四十条の場合は、ただいま申しました徴収される者側じゃなくて源泉徴収をする方、源泉徴収義務者が徴収して納付すべき所得税を納付しなかった場合についての罰則規定でございます。
  341. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうしますと、源泉徴収者の場合が二百三十九条ですね。これの罰則が「三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」こうなっていますね。それと、今度は自主申告の場合の二百四十一条ですか、自主申告の場合は「一年以下」もしくは「二十万円以下」、こうなっているのですね。これはどう違うのですか。
  342. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) 二百三十九条の方は源泉徴収義務者に関する規定ではなくて源泉徴収を受ける者、言ってみますればサラリーマン等の話でございます。で、この方は、二百三十九条の方は偽りその他不正の行為によりまして税を免れた場合、こういうことでございますが、二百四十一条の方は無申告であったという場合の罰則でございます。したがいまして、片一方では刑期にしますれば三年以下、一方、二百四十一条の場合では一年以下というふうに無申告の場合は軽くなっておる、こういうことでございます。
  343. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうすると、先ほど出たような事例、申告漏れとか所得隠しとか何とかございましたね。これは自主申告の場合はどっちに適用になるのですか。
  344. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) 先ほどの先生御指摘の調査の中には、偽りその他不正の行為によるものもございましょうし、単なる過少申告の方々もあろうと思います。したがいまして、偽りその他不正の行為によりましていわゆる脱税でございますね、こういうことをやった方につきましては二百三十八条が適用になり、無申告であったけれども税務署が調査に入りまして所得があった、税があったという場合には少なくとも二百四十一条が適用されるということになろうと思うのです。それから、申告書を出しておって更正を打たれたという場合には、ただいま御指摘の中の罰則にはいずれも当たらずに過少申告加算税であるとかそういったものがかかるというふうに考えます。
  345. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうすると、二日四十一条の冒頭に「正当な理由がなくて」と、こうなっていますね。これはどういう意味ですか。
  346. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) 二百四十一条の方は無申告に対する罰則でございますので、いろいろな御事情が納税者サイドにあるという場合に、そういう事情がありながら、やむを得ない事情があっても、なおかつ罰則を課さなければいかぬかどうかということがあり得るわけでございますので、正当な理由がない場合には罰則を適用いたしますということで、やむにやまれない事情についてはこれは不問に付そう、こういう趣旨で入っておるわけでございます。
  347. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 これには、また自主申告の場合には「ただし、情状により、その刑を免除することができる。」という条項がついていますね。ところが、サラリーマンや源泉徴収の皆さんにはそういうことは一つもないですね。これはどういうことですか。
  348. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) 一般の納税者につきましても、偽りその他不正の行為があります場合には当然のことながら二百三十八条、二百三十九条というのがかかっていくわけでございます。そういった偽りその他不正の行為がなくて無申告であったという場合が二百四十一条の対象になるわけでございますけれども、ここで「情状により、」というふうなただし書きがついておりますのは、やはり自主申告を奨励する見地から、犯罪成立後に自発的に申告書を提出した場合には情状により免除しよう、こういうふうな趣旨による規定でございます。
  349. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 そうしますと、その前にちょっと聞いておきたいのは、二百三十九条の「偽りその他不正の行為により、」というのは、これはサラリーマンがそうした場合ということが前提でしょう。そういう事例がありますか、源泉徴収で。
  350. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) サラリーマンの場合は源泉徴収されるわけですから、まず脱税等にかかわることは所得の源泉が給与である限りはないというのが一般的でございます。ただ、場合によりまして、たとえば扶養家族の数を本当は二人であるのに三人としてその雇用主に対して申告しておったということを通じまして、そういったうそ偽りを言うことを通じまして、そうしますと所得控除が多くなりますから税額は減っていくということでございます。そういった意味合いで、レアケースでございましょうが、つまり扶養家族等の申告等を偽るということによりまして税を免れるというケースがあり得るわけでございます。そういうものに備える罰則規定でございます。
  351. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 だから、もう時間がありませんが、やっぱり税法そのものに問題があるというように私は思いますのは、源泉徴収をするものに、いまたとえばという事例を挙げたのがぽっと思いつくのが扶養家族ですね。そのくらいの逆に言えばたかが知れたというか、きわめてそれほど源泉徴収者については完全捕捉しておるわけだ。徴収義務者がいろいろ作為でやる場合があるかもしれませんよ。これは別です。これはもうサラリーマンでしょう、対象としておるわけだ。  ここには私はやっぱり、たとえばアメリカなどでは後でそのことを正した場合にはその罪を免除するとかいろいろなことございますようなそういう配慮がなされていますよ。しかし、日本の法律、この所得税法を見るとサラリーマンには税法上も非常に厳しい。寸分のすきもないようにしておる。ところが、自主申告のところには、いま言ったように「正当な理由がなくて」とかいう、この正当な理由をだれか判断するかというと、皆さんが判断するのでしょう、正当な理由かどうかということは。そういう事項が入ったり、「ただし、情状により、」これを「免除することができる」とか、こういう規定まで入っておる。こういった税法のあり方に私は問題があるのじゃないかと思う。  しかも現実は何かというと、さっき言ったように法人だけでも、個人も九十何%のあれが出ておりますが、そこら辺をやはりきちっとしないと、サラリーマンの中から山ておるように、クロヨンであるとかトーゴーサンピンとか、こういったことがここにも根源的にあるのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  352. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) 営庶業の方は所得がある場合には確定申告を提出する義務があるわけでございますが、「偽りその他不正の行為」がある場合が二百三十八条で五年以下ということであり、そうしたことがなくて無申告であったという場合が二百四十一条で一年以下ということでございます。サラリーマンにつきましては一般的に確定申告義務が原則としてないわけでございますから、その方々については偽りその他不正の行為があった場合には二百三十九条で三年以下ということになるということでございまして、いずれが軽い重いということは言いがたいのではないか。特に営庶業の方々についてはうそ偽りがあれば五年である、サラリーマンはうそ偽りがあれば三年であるいうことで、かえって営庶業の方の方が重いという見方もあるのではないかというふうに思います。
  353. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 しかし、ちゃんと、あなた、偽り不正の営……何と言うのですか、皆さんは。
  354. 真鍋光広

    説明員(真鍋光広君) 営庶業と申しております。
  355. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 営庶業と言うのですか。そういう皆さんの場合を見ましても、ちゃんと二項の中に「情状により、」云々ということで、免除とは言ってないけれども削減するというか、こういう温情的な措置がとられているじゃないですか。サラリーマンに対してみても、私はやっぱりこの点はどう見ても問題があると思う。  それから、二百四十一条の中に「正当な理由がなくて」という、この「正当な理由」というのはだれが判断するのか、そういったことも問題だし、そうして免除するということがある、こういったことは、これは時間があればきょうはもっと細かい問題に入りたかったのですけれども、時間ございませんからこの程度で、中途半端になりましたけれども、これは私は、大臣、きょうの新聞読みますと、税制調査会もこの際抜本的な見直しをしなければならぬということが強調して出ておりましたが、これはひとつ、こういうところから、いま起こっておる実態から照らし合わしてみても、こういうところにトーゴーサンピンであるとかクロヨンであるとか、こういうことが言われないようにきちっとしないと、これは私はやっぱり税の不公平感はぬぐい切れないと思うのです。  そういう意味合いで、ぜひひとつこの問題を所得税法を含めて、法人税法を含めて検討してもらいたいと思うのですが、いかがですか。大臣に聞いておるのです。
  356. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) 所得税法、法人税法というのは大蔵省の所管でございますから、私ども所管外であるわけなんですが、先ほど来のお話を伺っておりますと、要するにサラリーマン、給与所得者、それから自主申告をする方との間の違いといいますか、それをいろいろとお尋ねがあったように思います。これはやはり根本は、私は課税対象額をいかに自主申告の方々の分を正確に把握 できるか、どうしたらそれができるかという方法論に尽きることであろうと、こう思うのでございまして、恐らくきょうは大蔵省の方から来てみえるのでございますから、いずれ上司にも報告をされ、税制調査会もいずれ近々に開かれることであろうと思いますので、そういうところでひとつそういう根本的な問題を検討してもらいたいと思います。
  357. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 よろしいです。時間が来ました。     ─────────────
  358. 宮田輝

    委員長宮田輝君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、和泉照雄君が委員辞任され、その補欠として藤原房雄君が選任されました。     ─────────────
  359. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  360. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 御異議ないと認めます。  本案の修正について、志苫裕君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。志苫裕君。
  361. 志苫裕

    志苫裕君 私は、本案に対し、日本社会党及び日本共産党の共同提案にかかわる修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配布されております案文のとおりでございます。これよりその趣旨について御説明申し上げます。  昭和五十年度以来の地方財政における財源不足額の発生状況を見れば、昭和五十八年度のそれは、従来とは大きく性格の異なるものと言えます。すなわちマイナスシーリングによる景気政策を排した厳しい予算編成下でも、なお生じた二兆九千九百億円という膨大な財源不足額は、地方財政の歳入歳出における構造的な不均衡がいまや頂点に達していることを示しています。それなるがゆえに、今後の地方財政対策は、国、自治体間の税源再配分という最も基本的な問題に立ち返るべきであり、またそれなくして今後の対策は存立し得ないというべきであります。にもかかわらず、本年度改正案においてはこうした課題に立ち向かう姿勢は皆無であるばかりか、逆に住民負担の増大を加速させているのであります。  増税なき財政再建が大企業優遇の別名であって、住民にとっては画餅であることは、もはやだれの目にも明らかであります。非課税限度額の設定によるごまかしの減税さえ、五十八年度においては据え置かれ、個人住民税の実質増税はいまや許容しがたい状態となっております。  われわれは、予算審議における野党一致の減税要求を踏まえ、所得税以上に過重な負担となっている個人住民税において大幅な減税を図ることこそ住民福祉に不可欠であるとの立場から、個人住民税の減税に焦点を当て、本修正案を提案した次第であります。  次に、修正案の概要を御説明申し上げます。  第一に、基礎控除、配偶者控除扶養控除の三控除についてでありますが、これら三控除を五万円ずつ引き上げ、二十七万円といたしております。これらの控除の引き上げに伴い、老人扶養控除等についても所要の引き上げを行っております。なお、これら三控除の引き上げにより標準世帯における課税最低額は、百八十九万二千円となります。  第二に、障害者控除、老年者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除についてそれぞれ五万円引き上げ、二十六万円とするとともに、特別障害者控除も五万円引き上げ、二十八万円とすることといたしております。  以上が本修正案の提案理由及びその概要でありますが、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  362. 宮田輝

    委員長宮田輝君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  363. 上野雄文

    ○上野雄文君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案に対して、日本社会党及び日本共産党共同提案による地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成をする立場から反対の討論を行うものであります。  近年、税制に対する国民の関心は著しく高まっております。企業課税と勤労国民間の税負担の不均衡、勤労国民内部の所得把握の不均衡、行政のサービス水準をはるかに超える勤労国民の税負担の急増を主たる理由とする税に対する勤労国民の関心と不満の増大は、政治への重要なインパクトとなっていることは明らかであります。  加えて、特に地方税財政においても、昭和五十年度以降の財源不足額の発生による地方財政の借金の累増と、所得税以上に過重な個人住民税の負担増を軸に、地方税制改革への要求が高まっておりますことは、これまた御承知のとおりでございます。  これに対し、政府が講じようとしている措置は、直間比率の見直しを口実とする大型大衆課税の新設であることは明らかであります。これを許すならば、勤労国民にとっては所得税や個人住民税の部分的減税との引きかえによる恒常的な租税負担の増大がまかり通ることとなり、地方税財政においては、住民福祉との均衡を逸した変質化が進行することとなります。  とりわけ直間比率の見直しがもたらす地方税財政の性格の変化は、地方自治の発展に大きく影響を及ぼすものであり、重大な危惧を表さざるを得ません。  このような認識に立ちつつ政府改正案を見ますと、大型大衆課税の新設をひたすら待ち望むそのことに終始し、昭和五十年度以来の地方財政の窮状については何ら積極的な対策を講じようとする姿勢、内容はありません。本年度マイナスシーリングのもとでの二兆九千九百億円の不足額の発生が端的に示しておりますように、地方財政の歳入、歳出の不均衡は頂点に達しております。このような変化に地方税制はいかに対応をすべきか、それはすでに自明のことであり、国、自治体間の税財源の再配分に着手することこそ、本年度地方税制改正の最大の課題であります。これを怠っている政府改正案が改正案たり得ないものであることは、あえて申し上げるまでもありません。  以下、具体的な問題について若干言及しておきたいと存じます。  第一は、法人市町村民税均等割の問題であります。均等割を引き上げることは大いに賛成でありますけれども、資本金五十億円以上の企業についてのみ引き上げ率が一・五倍とされていることは明らかに不公平の拡大であり、法人事業税の外形標準課税への転換を怠っていることとあわせて政府の猛省を促したいと思います。  第二は、産業用電気税の非課税措置の問題でありますが、一体一品しか整理されず、なお七十九品目が存置されていることはどういうことでございましょうか。少なくとも当面七%程度を目途に、それを超える品目については整理をすべきだと思うのであります。  以上、具体的な問題点に若干言及しつつ、本年度地方税制改正案の基本問題を指摘して、私の反対討論を終わります。  以上であります。
  364. 松浦功

    ○松浦功君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、政府提出の原案に賛成し、修正案に反対の意見を表したいと思います。  政府提出案は、個人住民税の所得割について低所得者層に対する非課税措置を継続すること、法人住民税の均等割及び娯楽施設利用税等について税率の適正化を図ること、料理飲食等消費税基礎控除額を引き上げること、道路財源確保のため所要措置を講ずることなどを主な内容とするものでございます。  地方財政は、昭和五十年以来引き続き財源不足の状況にあり、そのため、各年度とも借入金や地方債の増額等により収支の均衡を図ってまいりま した。このような状況にかんがみ、地方財政制度の抜本的改善を図り、地方財政の基盤を早く安定させる必要があるという声が強いこと、さらには最近負担感の増大した給与所得者について減税を求める要請のあることも承知いたしております。しかしながら、車の両輪の一方である国の財政もきわめて苦しく、また、減税の穴埋めを新たな税源に求めることがきわめて困難な事情にあることも配慮されなくてはならないところであります。したがいまして、当面の政策課題は、引き続き歳出の抑制に努めつつ、強力な経済政策の実施により景気を回復し、財政基盤の強化を図ることにあると思われます。  政府原案は、現下の厳しい財政環境の中で、他の施策等との整合性を考慮しながら、社会経済情勢の変化に対応し、地方税制について税負担軽減及びその適正化等を図ろうとするものでありまして、当面の措置としては妥当なものであると考えるものであります。  以上の理由により、私は政府原案に賛成し、修正案に反対の意見を表するものであります。  以上。
  365. 大川清幸

    ○大川清幸君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました内閣提出による地方税法の一部を改正する法律案並びに日本社会党及び日本共産党共同提案による同修正案に反対する立場から討論を行います。  反対理由の第一は、住民税減税についてであります。  住民税の課税最低限は標準世帯で百五十八万四千円と三年間据え置かれたままであります。わずかに低所得者層税負担軽減を図るために五十六年度以降所得割非課税措置の制度を設けたにすぎず、この間における実質増税や物価の上昇による可処分所得の減少を招き、国民の重税感は強まる一方であります。  一方、今日の経済は著しい停滞を来し、この回復を図ることが今日の政治に課せられた最大の課題であります。このように冷え切った景気を回復するためには、大幅減税、公共事業の追加、中小企業の投資減税の拡大などを盛り込んだ総合的かつ積極的景気対策を講ずることが急務であります。中でも五十八年度の経済成長率三・四%のうち二・一%が個人消費の伸びに置いていることから見て、減税の役割りは一層大きいと思われます。  これらの見地から、私どもは所得税、住民税合わせて一兆円以上の減税を行うべきであると主張してまいりましたが、今回の改正案にはこうした措置がとられておりません。  減税については衆議院議長見解が示され、これを受けて政府も景気浮揚に役立つ相当規模の減税を行うことにしております。私どもは政府のこの約束に期待するものでありますが、景気浮揚という減税目的を達成するためには、それ相応の規模の減税を行うことは当然でありますが、それと同様に重要なことは実施時期及び減税の方法であります。政府に対し五十八年度中の早期実施を強く要求しておきたいと思います。  反対理由の第二は、国、地方間の税源配分についてであります。  最近の住民の価値観の多様化に伴って、地方公共団体の行政は質量ともに増大しておりますが、これに対し国、地方間の税源配分は、国が二に対し地方は一となって国に偏重しております。このような国に偏重した税配分は、補助金主体の財政構造となって地方行政の隅々にまで国の介入を許す結果となっております。こうした実態は地方の自主性を喪失させ、民主主義の基盤としての地方自治を形骸化させることになります。  地方自治の本旨を達成するために自主財源の拡充は不可欠な課題であります。今回の地方税法改正にあたってもこうした改革の方向すら見当たらないのであります。  反対理由の第三は、非課減措置等についてであります。  現在、国の経済政策のために、地方税は各種の減免措置がとられているとともに、国の租税特別措置等により税の減免を行う場合にも、地方税はその影響を受け減収する仕組みになっております。地方税の非課税措置や国の租税特別措置の中には、社会経済情勢の変化から見て、当然廃止すべきものやすでに役割りが終わったものも少なくありません。  このような制度は税の公平を欠くとともに、地方公共団体の課税自主権が損なわれるものであります。したがって、地方税の非課税措置の根本的見直しを行うとともに、国の租税特別措置等による地方税の減収を遮断すべきでありますが、これらの措置がとられておりません。  なお、社会党及び共産党提案の修正案については、その趣旨は理解しつつも、その実現方について具体的な措置等をいかにするかなどの検討が残されたこの段階におきましては、にわかに賛成しがたい点があります。  以上をもちまして反対の主な理由を述べ、討論といたします。
  366. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方税法等の一部を改正する法律案に反対し、日本社会党、日本共産党の共同提案による修正案に賛成の討論を行います。  政府原案に反対する第一の理由は、住民税減税の見送りであります。  政府原案は、昭和五十六年度以来三年連続して住民税の課税最低限を据え置くこととしています。このため、国民の負担の増加は、国税の五十三年以来の減税見送りによる増税分と合わせて、実に六兆円にも及ぶ巨額になっています。  これに加えて、政府改正案は、生活保護基準すれすれの低所得者に対する課税を緩和するための非課税限度額の引き上げさえ見送っているため、昨年にも増して生活に困窮する国民にとってまことに過酷な税制となっているのであります。このことは、大幅減税を切望する国民の期待に反するものであり、とうていわが党の容認し得ないところであります。  反対理由の第二は、大企業優遇税制の存続強化であります。  わが党は、かねてから国税、地方税を通じて大企業優遇税制の本格的な見直しを提起してきました。しかし、改正案はこの仕組みにメスを入れるどころか、逆に強化しています。  たとえば、法人住民税の均等割の引き上げでは、資本金一千万円以下の中小企業には六倍、五十億円を超える大企業にはわずか一・五倍と、大企業ほど引き上げ幅を小さくする引き上げを行うこととしています。産業用電気税についても、先ほど来の論議のように、明確な基準が示されないまま大企業への非課税措置が温存されています。  こうして非課税など特例措置の廃止、縮減合理化二十二件による増収はわずか二億円、地方税における大企業優遇税制による減収分二千億円のわずか〇・一%にとどまっています。その上、東北上越新幹線納付金特例措置を設け、あるいは軽油引取税課税免除対象に自衛隊の使用する軽油を加えるなど、地方財政に新たな負担を加えるものとなっています。  もとよりわが党は政府案の改正点のすべてに反対するものではありません。中には中古住宅取得者に対する不動産取得税軽減措置の改善など、本委員会での審議に応じて改正されるものもあります。しかし、全体としては、以上述べましたように、住民税減税の見送り、大企業優遇税制の温存強化、地方財政負担など、住民の利益と地方自治を守るわが党の立場からはこの改正案に反対せざるを得ないのであります。  日本社会党とわが党の共同修正案は、個人住民税の所得控除額をそれぞれ五万円引き上げ、四千億円の減税を実施しようとするものであります。この減税が実現すれば、住民の期待にこたえることはもちろんのこと、個人消費を伸ばし、低迷する景気の回復に役立つことは自明の理であります。  以上、修正案に対する賛成、政府原案反対の討論を終わります。
  367. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、民社党・国民連合を代表し て、ただいま議題となっております地方税法等の一部を改正する法律案並びにその修正案に対し反対の討論を行うものであります。  反対の第一の理由は、政府提出の改正案においては、国民の切実な要求である住民税の減税が見送られたことであります。  それによって課税最低限が生活保護基準額を下回るという不合理な事態を生じ、それに対応するため、百八十八万五千円以下の所得の者に対しては非課税措置を講ずるというようなことは、まことにこそくな手段と言わざるを得ません。国民の重税感を払拭し、給与所得者と自営業者等との税負担の不公平を是正し、同時に、個人消費の拡大により景気の回復を図るためには、課税最低限の引き上げなど住民税の大幅減税を実現すべきであります。わが党は、この観点から、少なくとも四千億円規模の住民税減税の実現を強く求めるものであります。  反対の第二の理由は、現在の国と地方との税財源配分の著しい不均衡が今回も何ら改善されていないということであります。  地方財源は可能な限り地方の自主税源によって賄うべきであるとするのが地方自治の本旨であります。特に本格的な高齢化社会の到来を迎え、地域におけるきめ細かな福祉の充実が叫ばれ、また地域における産業振興、雇用機会の拡大等が求められている今日、地方の果たすべき役割りはますます重要となっております。この意味において、地方の自主税源の確保は緊急の課題であると言えます。したがって、この際、少なくとも地方歳入に占める地方税収入の割合が五〇%以上となるよう、国、地方間の税源の再配分を断行するよう、政府に強く求めるものであります。  さらに、公社有資産所在市町村納付金算定標準額特例を見直していないこと、たばこ専売納付金の地方への配分割合を変えていないことなど、地方財源の充実強化について努力が足りないことは問題であります。  以上の点について政府が善処することを強く求め、討論を終わります。
  368. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  369. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより地方税法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、志苫裕君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  370. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 少数と認めます。よって、志苫裕君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  371. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  372. 宮田輝

    委員長宮田輝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十五分散会