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柄谷道一君 この問題が
国会で
議論されましたのは、私の承知する限りでも、わが党に限っても、神田厚
衆議院議員、中村鋭一参議院議員、塚本書記長を含めまして、五十七年三月二十四日以降約十回に及んでおります。私自身も去る五十七年七月五日に決算
委員会の場でこの問題を取り上げてまいりました。
そのときの
答弁、そしてきょうの御
答弁を見ますと、
政府の考えは、スポット
財源であって
減税という恒久
財源には使えないんだ、今回は決算整理基金への繰り入れというスポット的な
財源に充てるんだから、スポット・イコール・スポットということでつじつまが合っているとか、それから途中から財投計画に穴があく、今回は五十八年度の財投計画全体の中で組み入れられているんだから穴はあかないんだとか、それから
補助貨幣に対する信認性は、もし不足すれば繰り入れるという形をとっているんだから、信認性は損なわれない。私は、何かつじつま合わせの
答弁であり、かつての
答弁は
減税を阻止するために、今回はいままで言ったことをうまくつくろってつじつまを合わせるために、そういう印象しか私は受けないわけでございます。
そこで、問題を別の観点から
指摘したいと思うんですが、五十七年二月二十八日、各党政審会長におけるNHKの討論会が行われております。これはそのときのNHKの速記録です。長々とさきに言っておられますのを省略しますが、最後の締めくくりで田中政調会長は次のように述べているわけですね。
金本位制を離脱して
管理通貨制度だから、そんなら裏付けは要らないかといいますと、そんなことを許しておったならば、誰でも時の
政府がいろいろ変わっていった場合、それを
日銀にやって、
日銀が輪転機回しますね。そうすると、それが
発行されていくと。そうしますとインフレになりますわね。しかもまたイージーにいろいろそういうこと、やはり
通貨、つまり
貨幣というものはその裏付けというものがちゃんとあって、手形の裏付けがあってきちんとしておかなくては、これは重大な国家の問題でございますのでね。私は安易にそれをそうというふうに納得できません。
こう述べておられる。これは
国民の前に明らかにされた与党の政調会長の御
意見ですよ。わが国は政党政治ですね。
そこで、私はいままでの経緯、そして
国民の前に明らかにされた与党の政調会長という
責任ある人の
国民に対する
説明、これから考えて、公の場で表明してきたことに対して、
国民に対してその不明をわびるとか十分の解明もしないまま、いままでの
説明を翻して、
財源がないんだからスポット
財源に充てるんだという姿勢をとるということは、私は、極端かもしれませんけれども、これは大蔵省の思い上がりの姿勢ではないだろうか。私はもっと端的に言うならば、これは大蔵当局の独善とも言って過言ではないのではないかとすら思うわけでございます。この点は
大臣のしかとした御
答弁を賜りたいと思います。