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国務大臣(
山中貞則君) 初めに、
皆様方与野党の御好意によりまして私の一連の国際
会議出席を可能ならしめるための審議をしていただきましたことを改めて御礼を申し上げます。
結果的に、やはりすべての
会議に出席していてよかったという
感じがいたします。
今朝の閣議に報告いたしました概要がございますから、その概要を一応御報告申し上げて、また個々の御
質問に答えたらどうかと思っておりますので、そのようにさしていただきます。
私は、四日二十七日から五日十三日まで、貿易
大臣会合、これはブラッセルの会合でございます。貿易・
大蔵大臣会合、これは最後になりましたパリの会合であります。OECD閣僚
理事会、
IEA閣僚
理事会への出席、アラブ首長国連邦、クウェート両国の
政府要人との意見交換等のために欧州及び中東を訪問した。
まず貿易
大臣会合。貿易
大臣会合は、四月二十八日及び二十九日の両日、日、米加、ECの貿易
大臣が参加し、ブラッセルにおいて開催された。本会合においては、債務累積問題は、
金融面の措置に加えて、先進国として市場開放を維持、推進し、貿易拡大の方向で解決すべきであること。急激な為替変動が貿易の拡大を阻害していることについて認識が一致した。ここで、急激な為替変動についての指摘と、後に出てくる具体的な手段を提唱したのは
日本であります。
アメリカはやや腰を引いた構えのようでございました。
貿易・
大蔵大臣会合については、五月十日及び十一日の両日、パリにおいて日、米、英、西独、伊、カナダ、スイスの貿易
大臣、
大蔵大臣等、及びIMF、ガット、OECDの代表を集めて開催された。
本会合では、さきに述べた貿易
大臣会合や、ワシントンで行われた
大蔵大臣会合の成果を受けて、債務累積、為替
問題等について議論がなされた。具体的には債務累積問題の解決のためには、貿易、
金融の両面からの検討が必要であり、貿易面からは先進国の市場開放を含めた貿易拡大の方向が要請され、また
金融面からは債務国に対する資金供給の確保に加え、先進国の金利引き下げによる債務国における金利負担の軽減が必要である等の意見が出された。また、ガット、IMF等
関係国際機関間、これ連携が余り薄いということで、
関係機関間の一層の連携強化が必要であるとの点で認識の一致を見た。為替問題については、為替相場安定の必要性に関して共通の認識が得られ、特に私からは為替の乱高下が貿易、産業活動を阻害していることにかんがみ、少なくとも異常時において介入をする用意ありとの意見表明を行うことが必要である旨を強調しておいた。これについてはおおむねの了解を得られたと思っております。
次に、貿易・
大蔵大臣会合の意義でありますが、これら二つの会合を通じて、現在世界
経済を悩ませている債務累積、為替等の問題は、貿易、
金融の両面から検討されることなしに真の問題解決はあり得ないことが確認され、話し合いを通じてこのような問題解決の第一歩が踏み出されたことの意義は大きいと
考える。また特に貿易・
大蔵大臣会合については、参加
各国の貿易・
大蔵大臣が一堂に会し、IMF、ガット、OECDといった
関係国際機関の長の参加を得つつ、自由かつ率直な意見交換を行ったことは初めての試みであり、有意義であったと思う。今後引き続きこのような会合を開催することが合意されたことは、さきに述べた諸問題の解決に当たって重要であると
考える。
この
会議については、
アメリカがなぜ
自分たちを集めたかというような疑問を出す国や、あるいはまた、
わが国においては意見が一致せずに、この
会議の性格あるいは出席することについての可否等についての閣議においても意見が分かれたと、したがって
自分の国は
通産大臣は出席を拒否したというようなことまで述べる国までございました。したがって今後このような会合が引き続き行われるかどうかについて、
アメリカが議長国をいたしましたが、非常に困難な
立場に追い詰められましたので、私の方がこの会合は有意義であったと、したがってこのような会合を引き続き開いていくこともこれは必要なことであるということで、最終的に
日本の提言によって結論がやっと得られたという形がございました。
OECD閣僚
理事会でございますが、第二十二回OECD閣僚
理事会は、五月九日及び十日の両日パリにおいて行われ、
わが国からは安倍外務
大臣と私が出席しました。
本会合では、相互
依存関係、貿易問題、マクロ
経済関係、東西
経済関係について討議が行われた。このうち貿易に関しては、
経済回復の進行を活用して保護主義的傾向を逆転させ、貿易制限的措置を漸進的に緩和、撤廃していくことの重要性が認識され、このためのフォローアップ、手続の策定について合意がなされた。また、マクロ
経済に関してはインフレなき持続的成長とより高水準の雇用という
政策目標の達成を確実なものとするため、
各国政策の整合性確保、為替の安定に向けての努力の必要性等が合意された。ここでも為替安定については
日本の主張が中心でございます。
本会合においては、ウィリアムズバーグ・サミットを前にして、主要先進国の閣僚間で貿易、マクロ
経済等の各問題について幅広く検討が行われ、世界貿易の拡大と世界
経済の回復という共通の
目標に回けて協力していこうという合意がなされたことは有意義であったと
考える。
次に、
IEA閣僚
理事会でありますが、第九回
IEA閣僚
理事会は五月八日パリで行われた。本会合には、
わが国からは私が出席するとともに安倍外務
大臣がその一環であった閣僚夕食会での討議に参加した。
本会合においてはエネルギー情勢の現状、エネルギー必要量、
安全保障研究、
産油国、消費国
関係について討議が行われた。このうちエネルギー情勢の現状に関しては、
石油情勢が長期的にタイト化の方向にあるとの点で
各国の認識が一致し、エネルギー
政策推進の必要性につき合意された。またエネルギー必要量、
安全保障研究に関しては
天然ガスを中心として先進国のエネルギーセキュリティーを高めるための
政策提言が取りまとめられた。さらに
産油国と消費国との
関係については、
わが国の
提案に基づき二国間交流を中心に意見交換を強化していくことの重要性につき
各国の賛同が得られ、コミュニケにも取り入れられた。
ここのところで議論がすべて
天然ガスの方に行きがちでありましたし、
産油国問題は余り議題にならないような
感じでありましたけれども、私どもは
天然ガスについては、東南アジア、ASEAN、こういうところとの地政学的な、あるいは今後発展していくための
地域的な共存策あるいは
日本の役割り、そういう意味から一方の面においては、他方においてはインドネシアあるいはマレーシアからの
ガスの輸入に頼っていて、表からは消えましたけれども、三〇%を超える
依存度を持っておるけれども、これは決してセキュリティーとは無
関係であり、安心してわれわれは頼れる地政的な
立場にある、このことは
各国において
日本の独自性を認めてほしい、認められたいということで、これについては何の反論もありませんでした。
それから
産油国と消費国との産消
対話と言われるものでありますが、アラブ
産油国を訪ねて帰ってきたすぐの私の発言というのは非常な重みがございまして、たとえば
イギリスあたりは、いや
産油国がもし
対話したい相手があると思っているとすれば、それはわれわれのような、
イギリスのような
石油を持っている国との間の産産
対話であるとわれわれは思うという
イギリスの
大臣の話がありましたから、冗談じゃないと、われわれは輸入率全部を外国に
依存するような国であっても今後産消
対話しながら世界
経済の上にともに貢献する道を発見することが必要であるという
立場で言ったけれども、それは非常に有意義であったということで、むしろ産産
対話という変な
イギリスを中心とした国々の
考え方を
日本が無
資源国の
立場からそれを打破したといういきさつがございました。したがって、最終的には
わが国の
提案に基づき二国間交流を中心に意見交換を強化していくことの重要性につき
各国の賛同が得られて、これコミュニケに入れるか入れないかも問題があったんですが、強引にこれをコミュニケに私が入れさせました。
引き続いて御報告いたしますが、ウィリアムズバーグ・サミットを前に本会合において東西
経済関係検討の一環であるエネルギー
安全保障問題につき合意が得られたこと、
原油価格低下に惑わされることなくエネルギー
政策を維持していくことについて
各国の意見の一致が見られたことは意義深いものと
考える。
次に、個別会談についても御報告をしておきます。
これら会合の間、私はブラッセル及びパリにおいて米国のブロック通商代表、ボールドリッジ商務
長官、リーガン財務
長官、ホーデル・エネルギー
庁長官、カナダのリーガン貿易担当
国務大臣、ラロンド
大蔵大臣、ハーフェルカンプ及びダビニヨンEC
委員会副
委員長、西独のラムスドルフ
経済大臣及び英国のリーズ貿易担当
国務大臣、ローソン・エネルギー
大臣と個別の会談を行い、それぞれの二国間の問題、世界
経済の
問題等につき率直な意見交換を行いました。
このうちブロック代表との会談においては、両国における産業
関連政策の実態と貿易に与える影響について相互に情報交換し、相互理解を深めることが必要である旨意見が一致し、そのための日米合同
委員会を設置することとした。
この
委員会はすでに先週末来行動を開始いたしまして、第一回目を
日本できょう終わったわけであります。
さらに中東の訪問について、四月三十日から五月四日にかけてアラブ首長国連邦、クウェート両国を訪問いたしました。アラブ首長国連邦においてはザーイド大統領、タハヌーン・アブダビ国営
石油会社総裁殿下並びにオタイバ
石油・鉱物
資源大臣と会談を行い、クウェートにおいてはジャービル首長、サアド皇太子兼首相、カリーファ
石油大臣と会談を行った。
石油需給が緩和している現在のような時期にこそ
産油国との
対話が重要であるとの基本的
立場のもとに両国の
政府要人と率直な意見交換を行ったが、両国ともこのような
日本の姿勢を歓迎し、相互理解を深めることができました。具体的には
石油価格の引き下げ、
石油需給の緩和等最近の国際
石油情勢と今後の見通しについて話し合うとともに、
産油国と消費国との継続的な
対話及び相互理解の必要性について意見の一致を見ました。
イラン原油流出事故に関し、
日本政府はいつでも応分の協力をする用意がある旨表明したのに対し、両国から
わが国への積極姿勢を評価する旨の発言がありました。
取りまとめとして、全体の所感といたしましては、今回の訪問を通じて先進
各国の
経済閣僚や中東諸国の要人と腹蔵なく率直に語り合えたことはきわめて有意義であった。
ヨーロッパでの一連の会合を通じて
わが国に対する批判はなく、また世界
経済の回復、貿易の拡大に向けて
各国が努力していくべきであるとの共通認識が得られたことは大きな意味を持っていると思う。
また中東諸国においても
わが国に対する期待がきわめて強いものであることがうかがわれ、
わが国が今後世界
経済の中で果たしていくべき大きな責任を痛感したところであります。
以上が本日の閣議に報告したものに若干の御答弁の意味で私のとった行動、その結果等についてつけ加えました。