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1983-05-17 第98回国会 参議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十七日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      田代由紀男君     内藤誉三郎君      吉田 正雄君     竹田 四郎君  五月十三日     辞任         補欠選任      内藤誉三郎君     田代由紀男君      竹田 四郎君     吉田 正雄君      和田 静夫君     高杉 廸忠君      栗林 卓司君     井上  計君  五月十四日     辞任         補欠選任      玉置 和郎君     松尾 官平君  五月十六日     辞任         補欠選任      高杉 廸忠君     和田 静夫君      馬場  富君     太田 淳夫君      井上  計君     田渕 哲也君  五月十七日     辞任         補欠選任      田渕 哲也君     井上  計君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         亀井 久興君     理 事                 降矢 敬義君                 吉田 正雄君                 市川 正一君     委 員                 大木  浩君                 川原新次郎君                 楠  正俊君                 田代由紀男君                 福岡日出麿君                 降矢 敬雄君                 松尾 官平君                 森山 眞弓君                 阿具根 登君                 和田 静夫君                 太田 淳夫君                 田渕 哲也君    国務大臣        通商産業大臣   山中 貞則君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       塩崎  潤君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   禿河 徹映君        公正取引委員会        委員長      高橋  元君        公正取引委員会        事務局経済部長  佐藤徳太郎君        公正取引委員会        事務局取引部長  奥村 栄一君        経済企画庁長官        官房長      西垣  昭君        経済企画庁調整        局長       田中誠一郎君        経済企画庁調整        局審議官        兼内閣審議官   横溝 雅夫君        経済企画庁国民        生活局長     大竹 宏繁君        経済企画庁総合        計画局長     谷村 昭一君        厚生省環境衛生        局長       竹中 浩治君        厚生省医務局長  大谷 藤郎君        厚生省薬務局長  持永 和見君        通商産業大臣官        房審議官     斎藤 成雄君        通商産業省通商        政策局長     中澤 忠義君        通商産業省貿易        局長       福川 伸次君        通商産業省立地        公害局長     福原 元一君        通商産業省基礎        産業局長     植田 守昭君        通商産業省機械        情報産業局長   志賀  学君        資源エネルギー        庁長官      豊島  格君        資源エネルギー        庁次長      川崎  弘君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        松田  泰君        資源エネルギー        庁公益事業部長  小川 邦夫君        中小企業庁計画        部長       本郷 英一君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   仲村 規雄君        科学技術庁原子        力安全局放射線        安全課長     佐藤元之介君        大蔵省銀行局中        小金融課長    日吉  章君        日本電信電話公        社資材局長    池田  勉君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○てんかん診断総合的システムの充実に関する請願(第三一八号) ○中小企業対策に関する請願(第五一九号) ○希少金属備蓄基地建設候補地に関する請願(第一七九三号) ○景気対策に関する請願(第一七九四号) ○中小企業振興対策に関する請願(第二三三〇号) ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (山中通商産業大臣IEA等各種国際会議出張に関する件)  (日米産業政策合同委員会に関する件)  (日本電信電話公社資材調達に関する件)  (特定産業構造改善臨時措置法運用方針等に関する件)  (原子力発電所発電コスト漁業補償廃炉及び廃棄物に関する件)  (国際放射線防護委員会の勧告に関する件)  (原油値下げに伴う電力料金に関する件)  (政府系金融機関サラ金への融資に関する件)  (割賦販売に関する件)  (新聞販売正常化に関する件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     ─────────────
  2. 亀井久興

    委員長亀井久興君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  先般、栗林卓司君及び玉置和郎君が委員辞任され、その補欠として井上計君及び松尾官平君が選任されました。  また、昨十六日、井上計君が委員辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。     ─────────────
  3. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事吉田正雄君を指名いたします。     ─────────────
  5. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 和田静夫

    和田静夫君 まず通産大臣に、限られた時間でありますので若干のお伺いをいたしますが、先ごろIEA理事会でソビエトの天然ガスへの依存について一定の妥協案が成り立ったと言われています。欧米でも何か玉虫色の表現があるのだというような感じで、私も感心しているんですが、ところがどうもよくわからないわけでありまして、一つ通産大臣の解釈をお尋ねするとともに、わが方としてはいかなる方針で臨まれましたか、あるいは今後サミットなどでどのような御主張をなされますか。
  7. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 一応皆様方の御誠意に感謝をして今回の任務の全体について報告する予定でありましたが、IEAからの御質問が最初に出ましたので、御質問に沿うてお答えいたします。  IEAは、本来ならばずばり東欧圏なかんずくソ連天然ガス依存を三〇%以上依存することは危険であるという観点が下敷きにあるわけでありますが、これはアメリカ等がそういうことをはっきり言っておりますけれども、しかしIEAの会合の場になりますと、現実東欧圏等の国もないではありませんので、三〇%以上を依存すでにしている国等の反発もあり、あるいはまたヨーロッパ各国は地続きの関係天然ガス計画等がすでにパイプラインの段階等に入っているもの等もあって、そのようなパーセントによって制限の限度を決めようとする案は、これアメリカ考え方というものは通りませんでした。したがって、そこのところは特定の一国のみに過度の依存をすることは避けるように努めようではないかという表現ぐらいになったんです。しかし、私は日本を代表して発言して、そのことについて異議はないと。しかし、わが日本はASEANを中心とした東南アジア地域と密接な政治的な関連を持っておる国であって、これからもその関連は維持強化されなければならないわが国立場と位置にある。したがって、その中からインドネシア並びマレーシア等ガスについての依存は三〇%を現実に超えており、しかしそのことは決してそれが安全保障上に問題を、危惧を提起するものでもなく、今後とも安心した供給源として日本はその道を進むことを各国に通告し、かつ了承を求めるということで、日本に対するそのような反論、あるいはそれは一国だけわがままでは困るという非難もありませんでした。
  8. 和田静夫

    和田静夫君 私は、ソ連との経済協力というのはもっと進めるべきであると考えていますし、経済安保という観点から考えてみても、経済協力を進める方が安全を担保するだろうというふうに考えていますが、このIEA石油需給について楽観はできないという空気が強かったというふうに報ぜられていますが、この辺はいかがですか。
  9. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 一応は紀元二〇〇〇年を展望しての話でありますから、確かに有限の資源である石油について楽観前提とした議論をすることは許されないと私も思います。しかし、それは長期的な展望であって、現在私たちがいま受けつつあるバレル五ドルの値下げ恩恵というものは、それなりに各国経済活性化に注入し、生かさなければならない。そういうことについては、濃淡の差はあれ、いろいろと意見は出ましたけれども、わが国としてはやはり産消対話というようなことなども行いながらこの問題を処理していくべきである。したがって、長期的な展望について異存はない。しかも、産消対話についてはまだ御質問ありませんが、イギリスあたりはそれは違うと。産産対話を彼らは望んでいるのであって、産消対話ではないという、イギリスは一応産油国のうちに入ってますからそういうことを言っておりましたが、私は違うと。私が言ったのは輸入依存度一〇〇%に近い国として言ったわけであるけれども、それでも湾内汚染問題その他日本に対するいろんな技術の問題等についても大変な期待があったし、信頼があったし、産消対話は文字どおり産産対話を超えて産消対話の実態に近づいている、私はそう信ずると、いま行ってきたばかりだというようなことを言って、一応イギリスもそれには沈黙をしたというような経過もございました。
  10. 和田静夫

    和田静夫君 住友化学を中核としたシンガポール石油化学プロジェクトですが、秋から稼働することになっているわけですが、赤字が必至であるというような報道されていますね。私はどうもIJPCのように大変な荷物を抱え込むことになるのではなかろうかという危惧をこれらのものを読みながら思うんですが、大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
  11. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 初めからそうであったんではないかと思うんですが、しかしイランイラク戦争の余波がその工場工事現場にも及んだということから今日の事態に立ち至っているわけでありましょうが、いま日本に、イランの代表の石油省次官を長とする一行だと思うんですが、三井との間でいろいろと話をしておられるようであります。いろいろと漏れ承ってはおりますが、まだ聞いてはおりませんけれども、イラン側も何らかの資金面の配慮というものが少しずつ出てきたような感じがするようでありますし、かといって日本側は、これは民間の話でありますけれども、要するに戦争状態の中に作業員を派遣することはできない。どうしてもそこは戦争のない地域に、あるいは作業員が安心して働ける場所に保証してもらいたいというようなところでまだ交渉し合っているように聞きますが、問題は、これから先イラン石油化学の問題も含めてでありますが、今度行きましたクウェートで、われわれは原油輸出から製品輸出に切りかえる、そういうことを言って、事実製品輸出工場が完成しつつありました。現場でもそう感じたんですが、恐らく産油国はやがて石油を売る傍ら、あるいは石油よりも付加価値のついた石油製品販売に自然の形で進んでいくのではないか。そのときにわが国が、あるいはまたいままでの石油輸入国が受ける、あるいは先進工業国が受ける基本的な変化ですね、これに対してなるべく早く見通しをつけながら、法的にも行政上も対応しなければならない日が近いのではないかなという気がいたします。  これはちょっとよけいなつけ足しであります。
  12. 和田静夫

    和田静夫君 電力料金値下げ総理もきのうどっかでしゃべっていらっしゃるようですが、見送られるという報道になっていますがね。これは、結局この値下げ分設備投資に回すということで取りやめるということですか。
  13. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) きのうの消費者会議に私列席しておりませんでしたので、総理から具体的には聞いておりません。  しかし、総理のおっしゃっていることは、バレル五ドルというものの値下げが単年度であるならばという前提を置けばそのとおりであります。単年度でまた来年度値上げをするんだということにもできませんので。  しかし、総理にもきのう報告はしておいたんですが、どうやら産油国の方では三年間は値上げということは考えていない。むしろ、三年間値下がりをしないように、これ以上の値下がりをしないように努力するという目標を立てているようだから、そうするとわれわれは、三年間続くとすればどのような日本産業政策なり国民生活の展開を政治的に考えなければならないかという問題がこれから起こってきますということを言っておきましたが、単年度限りの話ならば一応去年値上げしたいと言っていた業界でもありますし、それらの残った分を設備投資に回すのも決して誤りではありません。しかし、これが最低三年続くとなれば、そこにおのずから、電力料金も含めて、日本国民生活にどのようなその恩恵を享受させるための新しい政策を展開すべきかということは別な次元になってくるであろう、そう考えます。
  14. 和田静夫

    和田静夫君 その設備投資について、たとえば各社増額計画は幾らで、どういうような投資内容になるかというようなことはもうおわかりですか。
  15. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、全体の話をいましておりますので、たとえば社によっても違うとしても、値下がり恩恵を受ける石油依存する燃料としてのパーセンテージはすでに四〇%を切っているわけなんですね、石油だけでは。ですから、そういう各社ごと企業計算、それから設備投資内容、それから電力コストに占める構成費の違い、そういうものを私のところに出すようにということをきのう事務当局に指示したばかりでございまして、いま手元にございません。
  16. 和田静夫

    和田静夫君 私はどうも電力政府景気対策の犠牲になるというと非常に大げさでありますが、現在の電力需要関係を見、考えてみますと頭打ちということになろうと思うんですね。そうすると、省エネはさらに徹底するという傾向は、これはもう厳としてある。そうすると、電力需要は落ちる可能性も私はあると思います。むしろ落とすことができるのではないだろうかというふうに考えるわけですね。  そうしますと、電力が無理して設備投資をする必要があるのだろうか。設備投資料金据え置きとをバーターして、電力に過重な設備を抱かせること、そういうことになるのではないかという危惧を持ちますが、いかがでしょう。
  17. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そこのところは私も一番国民誤解をおそれるところでございまして、したがって、五千億の設備投資の前倒しを決めるに当たっても、たまたま五千億という数字は今回の石油値下がり分の得べかりし収益、得た収益といいましょうか、得ると見られる収益とぴったり一致するじゃないかということで国民誤解を招く、いわゆる電力料金値下げをしないで済むような、あるいは値下げをしないための設備投資というふうに誤解を生むぞと言ったんですが、それは現在の何もそういう前提がなかったときの電力会社設備投資をそれぞれ前倒しさせて目標を五千億に置いたにすぎないということがわかりまして、結果は五千三、四百億くらいまでいくだろうと思いますが、しかし、いま申し上げておる設備投資はその既存の値下がり以前の状態設備投資の繰り上げばかりではなくて、いままでやっておいた方がいい、あるいはやらなければならないなどと思いながら陳腐化したものあるいは地下埋設を必要とするものあるいはコンクリート電柱等にしなければならないのがなかなかできなかったとか、そういう補修とか管理とか細々したもの等がやや最近見送られてしまっておる。そこらのところをこれは値下げ関係なしに設備の中でやっておきたいというものがあるということでございますから、そこらもまた誤解を招かないようにしなければならないということで十分注意してやっております。
  18. 和田静夫

    和田静夫君 大臣が述べられる趣旨は余り、わからぬわけではないんですが、私は電力設備投資景気誘発効果雇用効果、そういうのは落ちてしまっているというふうに見ます。むしろ料金値下げ所得税減税とあわせて実施した方がよいのではないかとわれわれの立場としては考えますね。今後料金の引き下げの可能性というのはございますか。
  19. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 当然可能性はあります。
  20. 和田静夫

    和田静夫君 ちょうど大臣外国に行っていらっしゃいましたからあれでしたが、決算委員会サラ金問題で突っ込んだ論議をかなりの時間かけてやらしてもらいました。  それで、日本信販の件を実は取り上げまして、一例として挙げまして住宅ローンを設定をして過剰融資を行ってきた状態のことをずっとやって、これはいま大蔵の側で調査中でありますが、信販サラ金というのはもともと業種的には違うわけですが、ここ数年業務内容が非常に接近してきていまして、信販サラ金に手を出すあるいは住宅ローン自動車ローンをやる、これは消費者金融という形になっています。  ところが、近年ローン焦げつきが大分ふえてきていまして、信販側金融機関に比べて審査体制が比較的ルーズでありますし、通産に言わせれば大蔵の管轄だ、こうなるもんですからね、往々にして過剰融資を行う、そこに悲劇が発生をしているというふうなことが起こっていますが、この信販との間のトラブルが発生しても、金融に対して通産省は残念なことに得意ではない。信販金融業務をどこが責任を持って対処し、規制するのかも、この辺はやりとりがあって、余り明確ではないということになっている。今度サラ金規制法ができましたから、消費者金融信販のそこの部分、登録制を含んであの法の適用下ということになっていきますが、ともあれ、私はこの間決算委員会では竹下大蔵大臣に――これらのことをいろいろ考えてみますと、通産大蔵両省をカバーするそういうような行政の体系とでもいいますか、そういうもののために仮称で言えば消費者信用法というようなものが今日必要になってきているのではなかろうか、そういう提案をするので、一遍検討をされたらいかがですかということに対して、大蔵大臣の側は、時宜を得ている問題でもあるので、前向きに検討していってみたい、こういうふうにお答えでありましたが、通産大臣としてはいかがお考えでしょうか。
  21. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 初耳の話ですから、初めて聞いた話ですけれども、大蔵省側がどのようなつもりで言ったのかわかりませんが、いま全体にいろんな新しい社会の仕組みの中で、たとえばアメリカではいまやカードを、プラスチックキャッシュとかなんとかいうような時代にまでなったということでありますから、金を持たないでカードを持って歩けばいいという時代ですね。日本もいずれそれに近いような状態になっていくであろう。そうすると、その過程においていろんな問題が発生していく。これはあながちどちらが加害者であったのか被害者であったのか、当初の原因がわからない問題等も出てくるわけですね。たとえば冠婚葬祭互助会なんかをめぐるトラブルとか、あるいはサラ金とか、借りるときにはむしろその人の方が一生懸命だったのではないかというものも、返す段になっては今度は被害者の会の結成をしなきゃならぬというような立場に追い込まれたり、しかし、やっぱり大蔵省通産省とで、そこの分野だけでやっていいものか、これから先、複雑多様化しながら金銭にかわるものが金銭と同じように取引をされ、あるいは通行をするというような時代になってきた場合に、どういう体制で国はそれに対して臨むべきなのかということはもう少し検討した方がいいんじゃないかと思うんです。  私は、全銀協の会長が交代をされたときの談話というものを読んで非常に感動しました。というのは、別段大蔵省からいけないと言われてはいないが、通常銀行サラ金の原資として金を貸す行為については自分は賛成できない、慎むべきだと思う、というのは、その金を借りた人たちが、直接銀行からではないにしても、結果的に一家心中とか自殺とかそういうようなことに追い込まれていく現状が余りにも多過ぎる、それでは正常と言えない、だから銀行協会としては今後サラ金の方に融資を回すことを慎むべきであると自分は思うという内容でありました。私は、これは民間銀行協会会長の言う言葉であるならば、その前に政府が、行政が反省しなければならないことが過去二、三起こっておりますから、もってこれは教訓とすべきであるという反省の念をもってその言葉を聞いたのでありますが、いまおっしゃったことに的確に答えてないようですけれども、一つの事柄だけでなくて、これからの社会対応について行政はどのように敏感に対応するかという問題の一つだろうと思うんです。  御提言については今後検討さしていただきます。
  22. 和田静夫

    和田静夫君 私も信販サラ金をトータルにカバーする行政対応が必要だと思っているんですが、経済企画庁長官はここのところが専門でいらっしゃいますし、非常に関心をお示しになって事務当局調査を命ぜられるなど、いろいろの行為があったようでありますが、長官はどういうふうに私の提案を受けとめられましょうか。
  23. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私は金融の流れについて、まず第一に、明治以来日本金融というものは産業金融で発達してまいりました。消費者金融はほとんど発達していなかったことはもう御案内のとおりでございます。  最近、産業金融の面において、御案内のように企業自体がみずから資金力を持ってきた、さらにまた設備投資の要請も落ちてきた、こんなようなことから資金需要が減ってまいりまして、そのような何と申しますか、欠席判決的な意味で逆に消費者金融の方に企業の側から、つまり金融機関の側から流れているように見えるわけでございます。そうなりますと、やっぱり私はなれていない消費者金融のことでございます、先ほど山中通産大臣が申されましたように、他の国は消費者金融が大変発達しておる、私は日本ではまだまだそこが発達しておりませんし、消費者というものは他の仕事を持っておりますために、金融といった問題あるいは金利がどのように計算されるかといった問題に対してはほとんど無知と言って、これは言葉が悪いかもしれませんが、私はそんな状態にあるかと思うのであります。そういった観点から見ますと、やはり消費者保護の見地を、新しいまた流れの最初でございますから、考えていく必要があるであろう。実は私はいま御指摘のように、自民党の中でサラ金問題の小委員長を仰せつかりまして、貸金業規制法、そしてまた、出資法の改正を提案した者の一人でございますから、その間のいきさつは知っておりますが、業者側だけの規制、金を貸す側の規制では不十分であって、経過的にも消費者保護の観点を入れなければならない。そこでさしあたって私が考えましたのは、企画庁は国民生活局という消費者保護の行政を担当しておるものでございますから、そういった観点からひとつ消費者にも消費者金融というものはこのような姿になるのだ、知識を与えるような観点あるいは消費者の信用の情報センターというものがきわめてまだまだ私は不十分だと思いますが、過剰貸し付けにならない方向で考える意味であるのですけれども、これがまだまだ十分に機能しているようには見えません。こんなような点を加味して、消費者から何と申しますか、社会的な問題に発展しない方向の私は保護を考えていく必要があるであろうということで企画庁で取り上げてひとついませっかく勉強中でございます。
  24. 和田静夫

    和田静夫君 両大臣に伺いますが、通産大臣、もう時間があれですけれども、ウィリアムズバーグ・サミットについて両大臣は何を期待するか、伺いたいと思います。
  25. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは私どもがお答え申し上げるのには僣越であると思います。まず、総理がどのような覚悟を決めて行かれるのか、それに対して御相談、御下問があれば私どもの意見を申し上げるということでありますが、ヨーロッパで一連の行われました国際会議の雰囲気で、サミットに対して何らかの波及がありそうなものあるいはそこへ尾を引きそうなもの等については報告してありますし、しかし、日本の側から見てそう大きな難関には直面しないだろうと思っております。しかし、私の立場からだけで言えば招集者に当たるアメリカ、ホスト国といいましょうか、そのアメリカは東西問題に大変な苦労をするであろうという予感がいたします。その次は、債務累積国処理問題ということぐらいの順序になるのではなかろうかと、これは私個人の推測でございます。
  26. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私も山中通産大臣が申されましたように、この問題は総理が御判断される問題でございますけれども、先般OECDで、プレサミットと言われておりますOECDだけに重要だと思うのでございます、関連があると思いますが、インフレなき持続的な安定成長を取り上げるというふうな意見が出ておるようでございます。この問題は、私ども企画庁としては本当に願ったり、かなったりの政策目標でございますので、このような問題が取り上げられ、その中に一つ高金利の問題等、いろいろまた政策技術的に解決する問題があろうと思いますが、これはもうこれからの議題をめぐっての研究問題だと思っております。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 大量失業問題など特に取り上げて御議論を提起されるというようなお考えはありませんか。
  28. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これも前提は私の主観を申し上げるべき問題ではございません。しかし、ヨーロッパの国際会議、四つを通じて感じたことは、やはりアメリカも失業問題が絶えず背後にあっての物の言い分が出てくる、あるいはヨーロッパにおいてもともにピーク時は千二百万と言われましたけれども、失業問題を背景に事柄が展開して個別の問題にも絶えずそれが背景にあるような気がいたしました。かといって、それが日本のみがひとり失業者問題で余り大したことなくて、ふところ手をしているじゃないかというような批判にはなっていなかったようでありますが、これがしかしサミットになりますとどのような形でこれを議論し合うことになるのか、私にはその推測はいまのところつきませんが、失業問題もやはり大きな問題として一つの柱をなすであろう、そういう想像はできます。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 私はサミットによって成果がもたらされるものは何だろうかというようなことを考えてみますと、果たして期待どおりいくのかどうか。一部を除いて各国とも景気は底入れしたとも見ることはできますが、どうもこの急速な回復は楽観的に見ても期待することは無理であろう。アメリカの高金利にいたしましても下げどまりの感があると思うんですね。経企庁長官、こういう点はどういうふうに受けとめられますかね。
  30. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いま私が金利の問題を取り上げましたので御質問があったかと思いますので、私からお答え申し上げたいと思いますが、おっしゃるように私もアメリカの高金利が急速に下がるというような見通しは持つことはなかなかむずかしいことだと考えております。しかしながら、何としてもこのアメリカの高金利が日本だけじゃありません。世界じゅうの他の国々が大変この高金利によって影響を受けて、冒険的な直接的な投資が減ってきておることによって、やはりこの失業問題にも関連しておるから何としても高金利だけは早く直してくれという要求が強いことはもう事実だと思います。  それから第二に私が感じますことは、つまり名目成長率よりも名目金利が高いことは不自然な私は状態だと思います。アメリカはここ二年ばかりしかそんなような姿がないわけでございます。それはインフレが高かったからでございますが、日本はインフレがおさまって、しかも名目成長率が低くてそれ以上に金利が高い。いま私はそのために貯蓄が投資と見合わなくて日本は不況に陥っている。こんなことは、貯蓄過剰の日本が貯蓄不足のアメリカの影響を受けるのは非常に私は不自然なことだと思う。財政再建も私はこの面で大変な阻害を受けるということを予算委員会でも申してまいりましたが、こういった観点から日本もできる範囲において、アメリカの高金利の影響を受けない範囲においての金利引き下げの努力は私はやっていかないと、おっしゃるように本当に何と申しますか、依然として低成長を続けていかざるを得ない。しかもそれが金利の面からきての私は低成長だということは大変残念な不自然な経済成長だと思うんでございます。それが金融機関において預金という形で保護されて集めた金を高い消費者金融の方向に回さざるを得ない。産業の設備投資とか、あるいは都市の再開発等について金融の必要があっても、利潤がないために高い金利の方に回さざるを得ないといういまの不自然な現象は、消費者の問題を含めても非常な私は経済的な、同時にまた社会的な問題だと思っておりますので、この点は日本が努力すべき最大の目標であると私は信じております。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、そのサミットの協議で米金利が下がるですかな。
  32. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私は、アメリカはもう御案内のように財政赤字がGNPに対して六・四%、そして貯蓄率が五%というふうに言われておるわけでございます。したがいましてもう一・四というのは貯蓄不足でございますから、どこからか高い金利でも集めて金を持ってこなければアメリカの財政赤字は埋まらないわけでございますから、先ほども申し上げましたようにそう簡単に――アメリカの財政といえどもみずからの国を生きていくために必要でございます。それが先般テレビを見ておりましたら、シンガポールのリー・クアンユー総理は、アメリカの財政赤字が高金利のもとだから、しかもそれが軍拡にあるんだとすれば、そこから直すべきであるというようなことを言っておりましたが、キッシンジャー元国務長官は、それはそうじゃないんだと、社会保障がもとだというような話があって、そんなような議論があることを考えますれば、もう和田委員案内のようにそう簡単に財政赤字が解消され、アメリカの高金利がそう簡単に解消されるとは――考えると、これはもう楽観過ぎて企画庁長官落第ということになるかと思いますので、そのようなふうに私は考えております。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 設備投資についても私は悲観的な見方が強まっていると思いますが、サミットをインフレなき持続的成長の出発点となし得るのかどうか、非常に疑問に思いながら問題を提起してみたんですが、通産大臣も最後ですから、もっと大胆な世界的なニューディールとでも言いますかね、そういうような提唱をやられるおつもりありませんかね。
  34. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そこらのところは今回の一連の会議でもその周辺部に近い議論が大分ありました。たとえばヨーロッパを初めとして、日本もその一員でありますが、アメリカの高金利に対する批判は相当厳しいものがあります。しかし一方、アメリカはいまも塩崎長官が申しましたように、アメリカののっぴきならない情勢のもとに、結果において高金利になっておるわけでありますから、それをヨーロッパや日本の要請が強いからといって引き下がるような気配はみじんもないということになりますと、ここらのところは合意を得られることはサミットという場においてはむずかしいのではなかろうかと。しかしながら、みんなが異口同音にきれいごとを言うのは、保護主義は断じて排しなければならない。そして自由主義を徹底しなければならない。しかるに債務累積国であるメキシコとか、ブラジルとか、そういう国は逆に保護貿易に走ろうとしておるし、走っておる。こういうことはよろしくない。あるいはまた援助をする際の発展途上国中の一応まあまあのところにいっているもの、あるいはこれからそこにいこうとするもの、あるいはどうにもならない状態のもの、三つの種類に分けてありますが、その一番すそといいましょうか、最貧国という名前で呼ぶものですから、余り私は好きじゃない言葉ですが、国際的にそう呼ぶならば、あえて最貧国に対する態度についても日本とは際立った対照がありました。私どもは最貧国には手厚いめんどうを、融資、金利等においても日本はもちろんもう少し金利を下げた形でめんどう見てあげたらいいし、保護貿易も最貧国にはそう目くじら立てて言う必要ないではないか、むしろ先進国の方のふところを開いてあげる必要があるのではないか、保護のふところを、という立場に立ちましたが、しかしやはり最貧国といえども自立が先であって、甘やかすような、さらにまた有利な金利をしてはかえっていかぬ。あるいはそういうところは先進国が保護措置のふところを開けということは同感だが、そのかわり彼らも、最貧国も、自分たちの国を、保護貿易をとってはならぬという例を挙げて厳しいことを言っておりましたから、私どもはそんなことはしてない。日本はいろいろとできる限りのことをやっておる。IMFの第八次の増資にしても、少なくともアメリカよりか二倍近い増資の比率ですね。対前年比ですからまあ全体量じゃありませんが、そういう努力もしているんだからというようなことを言いながら、各国の中でその問題はもう少し検討はしていくが、原則的にはやはり発展途上国、債務累積国の援助は何とかしなければならない。しかし金融だけでは無理であろう。その際にはやはり活性化ということが、貿易が必要であるが、それは債務累積国もしくは途上国がみずからの市場を閉ざして外貨の支払いを減らそうとか、そしてそれで債務の支払いをしようとか、利子の支払いをしようといっても、利子すら払えないことに気がつかなければだめである。だから市場を開くことがやがては金融をしたところに対する償還にもなり、金利に対する、金利だけでも払えるという状態になるはずである。これは対立する両論とまではいきませんでしたけれども、入り乱れる議論の中で体系づければこのような流れの議論が進んだということで、終局的にはまあしかしそれでも債務累積国の問題はほうっておけない、発展途上国も、ことに非産油国もまたほうっておけない、それに対してもめんどう見ようじゃないかというようなことで丸くおさめたという感じでございます。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 経企庁長官、いまの私の通産大臣に求めた質問に対してはどうお考えになりますか。
  36. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私もいま山中通産大臣の御答弁を聞いておりまして大変むずかしい問題だと思いますが、まあ山中通産大臣と同じような意というような答弁で、ひとつ御勘弁を願いたいと思います。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 いまお話がありましたけれども、保護主義的な傾向の台頭が著しいわけですけれども、わが国としては断固として自由貿易主義を堅持をする。  以下具体的な法律案件の質問に入りますが、その通商政策の原則の堅持ですね、これはそういうふうに理解しておいてよろしいわけですね。
  38. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) もう世界全体、先般のOECDの閣僚理事会もそうでございましたが、やはり自由貿易体制は維持していく、さらにまた発展さしていこうということが私は世界の各国の強い希望であることを認識したわけでございます。しかもまた、自由貿易体制の利益を最も享受したのが日本だと言われておるのでございます。  御案内のように、戦後約四分の一世紀間世界貿易は大体八%伸びたようでございますが、日本はその四分の一世紀間に実質で二四%伸びた。こんなように考えてみますと、やはり自由貿易体制を維持することが日本の最大の国益であると、こういう考え方をとることはもう当然だと思いますし、そういった観点から私どもは率先してこの基準・認証法案を提案いたしまして御審議をお願いしているところでございます。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 先ほど山中大臣のお話にもあったんですが、最近の各国の傾向を見ていますと、反保護主義を確かに言葉では言っていますけれども、どうも実際の行動は保護主義的であると言った方がよいような傾向が見えると思うんです。この点はどういうふうにごらんになっていますか。
  40. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) いま和田委員お尋ねのように、ガットなどでは確かに自由貿易主義の堅持ということを強く主張いたしております。現実にはしかし、日本に対してのアメリカあるいはヨーロッパということにつきましては、モデレートな輸出ということを主張をいたしてきておるわけでございます。で、もちろんこの点が本来ガットの立場で主張していることと、実際に日本に言ってくることと差があるんではないか、こういう印象を私どもも持つわけでありますけれども、先ほど経済企画庁長官も申し上げましたように、この自由貿易主義ということ、これは一応世界経済活性化につながるわけでございまして、いまいろいろ自動車の分野でございますとか、あるいは電子の部分でありますとか、昔は繊維とか雑貨等々がございましたけれども、この点につきましては、アメリカあるいはヨーロッパ側もそういった産業の競争力をつける、その臨時的な措置ということの立場日本に対してのモデレーションの輸出ということでございます。私どもとしては保護主義が蔓延していく、あるいは保護主義が非常に政治問題化して大きなイシューになるということを避けるために、相手方との十分な話し合いの上に臨時的な措置として輸出のモデレーション政策ということをとっているわけでございまして、私どもとしてはガットあるいはその他の国際機関の場でやっぱり自由貿易主義、保護主義の回避ということについての各国指導者の決意という点についてぜひ必要なことであると思っておりますし、実際いたします措置も臨時の措置ということで、相手国との話し合いの上で自由貿易体制を守るための措置としてとっているところでございます。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 外電によりますと、五月十日、ブロックUSTR代表は、特に日本のたばこ市場の閉鎖性を取り上げています。保護主義的であると言ったとされているわけですが、何か経企庁長官コメントありますか。
  42. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 恐らく私は日本が明治以来とってまいりましたたばこの専売制度、この制度が私はアメリカにとってなかなか理解しにくかった、いわゆるパーセプションギャップというんでしょうか、認識の相違から来ているものだと思うのでございます。専売制度は専売制度の私は特色があると思うんでございますが、その点がたとえば広告費の使い方についても規制をしていることが大変理解できなかった。  さらにまた、流通市場において指定制度、こんなような制度があることが理解できなかったわけでございますが、日本政府もその点は十分理解し、さらに専売公社もこの点を理解して若干の修正をして、いまのところはそれに対する非難、批判は少なくなってきた。  さらにまた、アメリカの製造たばこを伸ばす方向でアメリカ自身も別なルートの販売考えるというようなこと、また、それを認めるというようなことでいま研究しておるようでございまして、和田委員が言われました当初の批判はいま大変緩和されてきておるんではないか、しかもまた、アメリカの製造たばこについての関税率を先般一月十三日の経済対策閣僚会議におきまして引き下げを決定したことによって、私はこの問題は大幅に改善されてきたと、こういうふうに考えております。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 日米産業政策合同委員会のことですが、十四日、十六日両日開かれた。この会議の性格というのは何でしょう。
  44. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) 御存じのように、この合同委員会は四月の二十八日にブラッセルで山中大臣とそれからUSTRのブロック代表の間でこういった産業関連政策、それからその貿易に与える影響に関していろいろ意見を交換しようということで開かれた会議でございます。したがいまして、十四日と十六日二日間にわたりまして開かれたこの会議におきましては、そういった産業政策あるいは産業関連政策について意見の交換、情報の交換を行ったわけでございます。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 そこでアメリカ側はどういう主張をしましたか。
  46. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) 情報の交換でございますので、日本側が行っております政策内容につきまして、こういう政策はどのような手続で行われるのであるかとか、あるいはその政策内容なり効果についてどう判断しておるかというようなことについての質問がございました。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、その新聞報道によりますと、USTRとライバル関係にある商務省代表は、会合では発言らしい発言はしなかったと報ぜられています。この辺はどういうふうに受けとめておいたらいいんですか。
  48. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) アメリカ政府の内部の対立が伝えられておりますんで、私ども正確にはまだわかりません。ブロック代表も今度こちらへ来られますので、その段階でまた話が出ようかと思っております。昨日までのところでは、商務省側からの意見というのは出ておりませんので、私どもまだ先方の内容について正確には理解をいたしていない状況でございます。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 そのライバル関係というのは、どういうふうに読んでおいたらいいんですか、あなた方はどう一体とらえているんですか。
  50. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) いまお尋ねの商務省とUSTR、対外関係の交渉権限はUSTRが持つということになっておるわけでございまして、商務管は御承知のように、国内の諸関係について所管をいたしておるわけでございますが、一部伝えられるところによりますと、あるいはUSTRと商務省の機構改革というようなことも報ぜられておるわけでありますが、これがどのような帰趨に相なるかということについては、私どももまだ予測の限りではございません。いろいろ考え方が政府部内の中で闘わされるということでございまして、私どもとしては、それぞれUSTRあるいは商務省との連絡を密にしながら、相互の理解を深めていくということで対応をいたしたいというふうに思っておるわけでこざいます。今回の会議も、USTRのスミス次席代表がヘッドになっていたしたわけでございます。これも代表ということでございますから、主としてUSTRのスミス次席代表が発言をするというのは通常の会議の場としては当然のことであろうと思いますが、いまその両者の関係、これがどうであるかという点につきましては、私どもとしては他国政府の内部のことでございますのでその評価は差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、両関係方面とは密接な連絡をとりながら、私どもとして意のあるところを十分伝えてまいりたい、理解を深めてまいりたい、かように考えております。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 今回のこの基準・認証制度の改善によって、わが国の市場が開放をされるかどうかということを考えてみますと、実効性というのはやっぱり疑問符がつくんじゃないかと、こう思うんですよね。ずばり言って今回の措置が輸入の拡大につながりますか。
  52. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私は、この貿易摩擦問題の解決についての即効薬もなければ特効薬もきわめて少ないと思うんでございます。しかし、御案内のように、一九六〇年代から関税障壁という問題に世界各国が取り組んでまいりました。そして、ケネディ・ラウンドが一九六〇年代、そして東京ラウンドで一九七九年に至るまで、関税障壁については各国とも自由貿易主義体制の維持のために大変努力してきて今日に至っているわけでございまして、その中で日本は御案内のように二年分の関税の前倒しを含めて、世界で最もいまのところ関税率は低目にきておる。私はこういった目に見える、戦前には古典的な貿易障壁でございました関税障壁がこうなったことは私は日本が世界に誇ってもいい、こう思っているところでございます。  しかしながら、世界各国とも最近の経済が大変低迷してきている、特にアメリカ経済の優位性が落ちてきてから、貿易を促進するためには関税障壁だけでは足りない、やはり非関税障壁という問題に気がつきまして、非関税障壁の問題をお互いにひとつ検討してこれを除き合おうではないか、こんなようなことで輸入割り当て制度からさらにまたスタンダードの問題、そして外国の製造業者にも日本の国内の製造業者と同じ認証制度についての法的地位を与える、こんなようなところまできたのが私は現状だと思います。関税障壁から非関税障壁、そしてまた非関税障壁はまた言葉から文化まで直さなければ貿易は拡大しないと言われておるわけでございますから、私はこれを直したからといって直ちに輸入拡大というような数量的な解決とは申せないと思うんです。しかし、こんなようなことをお互いに努力し合って粘り強く取り上げることによって、私は輸入は拡大していく、拡大しなければこのようなことをすること自体が余り意味がないと考えるわけでございまして、なかなか数量的な評価を直ちにすることはできませんけれども、拡大のためにやっておるという、そしてまた貿易摩擦を解消するためにやっておると、こういうふうに理解していただきたいと思っております。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 私も現在の保護主義の強さというのは世界不況の深まりの中でシビアになっていると思うのですが、いまの深刻さは一九三〇年代の保護主義、ブロック化と同規模の深さにあるだろう。ただ、戦後世界経済の構造変動によって三〇年代のブロック化が阻まれている、それは私は多国籍企業の展開と相互依存の高まりをそのメルクマールとするわけですけれども、そういう認識というのは誤っていましょうか。
  54. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私は、いま和田委員がいみじくも御指摘されました一九三〇年代のブロック経済の現出、それと現在とは違うというお話がございましたし、そういった見方は私は間違っていないと思っております。
  55. 和田静夫

    和田静夫君 これは「世界経済評論」の八三年一月号なんですが、きのう通告しましたから目を通されたかと思うのでありますが、広島大学三辺誠夫教授の論文を読んでみまして、日本通産省のお役人のやっていることは全く場当たり的な処方せんであるということで、その結果貿易摩擦は悪化するばかりだというふうに指摘しているんですがね。通産の側、何か反論がございますか。
  56. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 広島大学の三辺誠夫教授の論文、私どもも拝見させていただきました。いろいろ御主張を展開しておられるわけでありますが、大きなポイントとして二つ私どもとして感ずるわけであります。  一つは自動車問題への対応、もう一つは市場開放問題への対応ということでなかろうかと思うわけであります。  まず、自動車問題の点に関しましては、対米輸出自主規制。これにつきまして三辺先生の方は、むしろアメリカの自動車産業、これの回復に有効な効果をもたらさないのに輸出自主規制を行っておる。あるいはそのほか、たとえばクライスラーなどの例を挙げられまして、そういった何と申しますか糊塗的な措置を講じてアメリカ対応しようとしている、こういう御批判があるわけであります。私どもとしては、乗用車の対米輸出自主規制、これは非常にアメリカの大型車、これを中小型車へ転回をしていくオイルショックへの対応、このためにもう少し自動車産業の再建の努力をしていくと、こういう前提で自由貿易を守るための臨時異例の措置ということで実施をいたしているわけでございまして、私どもとしては十分慎重な検討としさいな分析あるいは米国側との緊密なる話し合いということで、日本の乗用車業界との連携もとりながらこのような措置をとっておるわけでございまして、私どもとしては、米国が再建の努力をしている、それで自由貿易を守っていこうということのラインに沿っている態度であるということでございますので、私どもとしては臨時異例の措置として実施をいたしているつもりでございます。御指摘のように非常に場当たり的とかいうようなことではなくて、それぞれの状況を踏まえ、また将来の展望を持って実施しておるつもりでございます。  また、自由貿易体制あるいは市場開放体制問題ということにつきまして、三辺教授は、たとえば日本側は市場開放問題についても誠意のない態度で対応してアメリカを硬化させておる。特に牛肉、オレンジ、たばこの自由化問題については、牛肉の自由化ということを、たとえばトマトケチャップとか別の品目の輸入枠の拡大で言い逃れをしようとしておる、こういうことでございまして、むしろ自由貿易にコミットするならば、比較優位でない農業とかサービスとか金融部門等についてはむしろ自由貿易にコミットすべきだ、その結果日本の農業、これは大きな打撃を受けるかもしれないけれども、食料品価格は下がって地価も下がって消費生活は向上していく、こういう論旨を展開なさっていらっしゃるわけでございます。  私どもも自由貿易秩序の維持強化ということが、世界経済の発展のために、またその活性化のために、あるいはまた日本経済の安定的な成長のために不可欠であるという点は十分認識をいたしておるところでございます。もちろん私どもとしては、保護貿易主義の台頭ということについて十分それの対応考えていかなければならないわけでございますが、三辺先生が御指摘になっておられるような農業問題、これも私ども貿易全体の拡大均衡という方向に持っていくべきだと思いますけれども、農業には農業それなりの問題がございます。また、金融あるいはサービス問題につきましては、現在のところ内外無差別の方が実現ができておると、こういうことでございまして、私どもとしては、それぞれの貿易体制のあり方につきましては、それぞれの状況を踏まえて相互の主張を十分耳に入れながら対応をいたしておるつもりでございまして、三辺先生のように非常に場当たり的だという御批判、私どもこれは謙虚に受けとめて、反省すべき点は反省いたしますけれども、今後慎重な対応をいたしていくという点には変わりはございませんけれども、このような御批判、御意見が出たという点は私どもとしては大変残念であると思っております。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 私は、貿易摩擦は制度上の問題に起因するのではないと思っているわけですが、それは私の基本的な立場でありますけれども、産業の国際競争力ですね、突き詰めてみれば生産性と賃金。その賃金は企業収益を左右するものとしての賃金政策とでもいいますか、そういうものに起因すると私は考えているわけですが、制度の手直しによって多少は輸入の風通しがよくなることは、これは長官も言われたように間違いないだろうと思うんですけれども、だが、基本はやはり別のところにあるという認識は認識として持っていないと間違うのではなかろうか。長官、いかがお考えでしょうか。
  58. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 確かに手続面だけで私は貿易摩擦が直ちに解消したり、輸入拡大にはならないかと思います。問題は、産業の生産性の問題とかという深いところにあることは御案内のとおりでございますし、また世界の分業の利益という問題にも絡む問題でございます。各国とも産業調整がうまくいっていないがために日本に対して貿易摩擦という要求を持ってくるんだという意見もあることも私も十分存じているところでございまして、このような根本認識は和田委員の御指摘のとおり、腹の中に十分持って対処することは当然なことだと思っております。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 たとえば、日米のパートタイム労働者といいますか、あるいは中小企業労働者の賃金を比較してみたらどうだろうと思うんです。日本製品の国際競争力の強さのすべてとは言いませんけれども、そのかなりの部分の原因として中小、零細、パート、これらの労働者の低賃金が寄与しているのではないだろうか、私は疑いのない事実だろうというふうに考えているんですが、いかなる見解をお持ちでしょう。
  60. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私も、日本経済構造、特に輸出面において下請あるいは系列産業の重要性、そしてその中に占める零細な企業あるいはまた家内工業まで含めてのそのウエート、その重要なことは私ども認識しているところでございまして、これらが大きく日本輸出産業に貢献しておると、このことは認めざるを得ないと思います。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 五月十四日の日経でありますが、日経によりますと、通産省が近く通達を出す、業界独自の品質認定制度の適用対象に輸入品を加えるという報道がありますね。で、業界による輸入品締め出しの状況というようなものですね、この状況というのはちょっと報告していただけますか。
  62. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 三月の二十六日に経済対策閣僚会議で御決定をいただきました基準・認証制度の改善ということによりますと、政府の措置に加えまして、非政府機関、まあ民間が中心であろうと思いますが、そこにおいて実施されております基準制定、認証活動、こういうことで、政府が全体決めました内外無差別あるいは透明性の確保あるいは国際基準への調和といったような趣旨が十分徹底されるように政府においても実情把握するように措置をする、こういうことが決められておるわけでございまして、私どもとしましては、この経済対策閣僚会議の一環といたしましてそのような調査を現在実施をいたしておりまして、私どももこの経済対策閣僚会議の決定を周知いたしますために近々通達を出そうかということで準備をいたしているところでございます。  私どもとしても現在調査中でございますので、集計結果がまだはっきりいたしておりませんけれども、いま内外に差別しているということが果たしてあるのかどうかという点をいろいろと私どもとしては慎重に検討いたしたいというふうに思っております。まだ実情が十分把握し切れておりませんけれども、たとえば二、三カ月前でございましたか、OTO、苦情処理対策本部に出されましたものの中で、たとえば空調工業会がエアコンディショナーにつきまして自主的に実施しております基準・認証制度、これにつきまして米国側から、外国の企業もそれに参画させてもらいたい、こういう御要望がございまして、これにつきましてはアメリカ企業にもそのような制度を開放すると、こういうような措置が講ぜられてまいったわけでございまして、それなりにアメリカはそれを評価をする、こういうことでございます。したがいましていまのところでも、現在までの調査では外国事業者によります申請が可能であるものがかなり多いと思っておりますが、一部にはいま申し上げました例のように、外国事業者に直接申請を認めておりませんで、改善措置を講じたというような経緯もございますので、私どもとしては関係の諸団体に対しましていまのような措置、内外を差別して締め出しておるということのないように、この点につきましては実情把握の上、十分指導をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 これがスムーズにいくとお考えでしょうね。
  64. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 私どもとしては、先ほど経済対策閣僚会議でそういうことが決定をいたしたわけでありますが、またその背景にはガット・スタンダード・コード、これは日本も昭和五十五年に批准をいたしておりますけれども、そのガット・スタンダード・コードにおきましても、第八条の第一項で、非政府機関が認証制度を運用する場合にも政府機関がやるものと同じようにやれということになっておるわけでございまして、私どもとしては、そういった外国製品を特定して締め出しておる、あるいはそういうような制度の運用をしていることのないように、私どもとしては十分意を用いてその指導に当たりたいと思っております。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 海外のメーカーと国内の業界との間でトラブルでも起きた場合に、これはどういうふうに対処されるわけですか。
  66. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 今回通達いたそうと思っております趣旨は、先ほど申しましたガット・スタンダード・コードあるいは経済対策閣僚会議の趣旨に基づきまして、民間で行っております認証制度につきまして、内外事業者の取り扱いの平等、無差別を実現すると、こういうことでございます。たとえば言語とかあるいは慣習の相違等から外国メーカーとあるいは国内の業界との間で意思疎通を欠くようなケースがございますれば、御指摘のようないろいろな問題があろうかと思いますけれども、私どもとしては、いまそういう点は日本の業界もかなり国際的な感覚を身につけ、国際取引に通暁してまいっておりますので、トラブルがそういうことから発生するということはないのではないだろうかと、かように考えております。もし仮に内外で何らかのトラブルが発生いたしたような場合、これは当然両当事者間で解決することが基本であり、それが望ましいわけでございますが、私どもといたしましても、もしそういう何らかの形で意思疎通に欠けてトラブルが発生すると、こういうときにつきましては、いまのガット・スタンダード・コードの趣旨等を踏まえまして、その両者の間の調整にも私どもとしてもお手伝いをし、努力もしてまいりたいと、かように考えております。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 中小企業保護政策等がそごを来すことはないだろうかと思うんですがね。通産省が通達をお出しになる対象民間三十団体の中には、主として中小企業によって構成されている団体が一覧すると多いですよね。食器だとか陶器だとか喫煙具だとかあるいは玩具などなどですが、これらは日本産業政策によって保護されてきた業種でしょう。今風の認証制度の改定で大企業が引き起こした貿易摩擦を、中小企業の犠牲に振り向けるという批判が起こりかねないと危惧するんですが、その辺はいかがでしょうか。
  68. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 今回、認証制度の改正あるいは民間におきます認証制度の内外無差別等の実現、こういうことは、先ほど申しましたように私どもとしてガット・スタンダード・コードで決められております債務を誠実に履行していこう、こういう趣旨でございます。  御指摘のように、いま私どもの方で検討いたしております民間の団体への指導あるいは通達ということの和に中小企業性の高いものが含まれていることは事実でございます。しかし、今回実施をいたしておりますのは、先ほど申しましたような趣旨で内外無差別の実現というガット・スタンダード・コード上の趣旨に基づくものでございまして、内外事業者の間での取り扱いを平等にしていこう、こういうことであるわけでございます。したがいまして、今回新たにこれによりまして中小企業の負担を増大させるということではございませんし、また中小企業は中小企業としてのいわゆる競争力の強化のためのいろいろな諸施策、国内上の諸施策、この点については何らこれを変更するということではございませんので、国際協定で定められました責務を一方で実現しながら、また中小企業に対しましては中小企業としての従来の施策、これを進めていく、こういうことで対応をしてまいりたいというのが私どもの考えでございます。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 いわゆる日本の中小企業は、この程度の制度改革ではびくともしない、そういうふうに認識すればいいわけですか。
  70. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 私どもとしては、もちろん中小企業も業種により競争力の比較的強いもの、あるいは諸外国からの競争にさらされているもの、いろいろな業種、業態がございますが、私どもとしては、この制度を実現し、さらにまたその上で――これが非常に中小企業の存立に大きく影響を与える、こういうことに私どもはならないと思っておりますが、さらにまたそういった中小企業全体のあり方、中小企業の存立あるいは競争力の強化といった点につきましては、そういった実情を踏まえまして、今後とも適切な対応をしてまいりたい、かように思っております。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 長官、やっぱり今回の法改正に伴って外国企業向けのハンドブックをつくるなど法改正を海外に向けてアピールする、そういうことをおやりになるおつもりなんですか。
  72. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いま御指摘のように、私どもはそのようなキャンペーンをできる限りやってみたいと考えております。日本人はキャンペーンが最も下手な受身の民族だと言われております。このようなことをひとつ、いま御指摘のような方向でキャンペーンができればと、こういうふうに考えておるところでございます。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 計量法の関係でありますが、型式承認の対象となっているものは二十一品目だけ、その他の工業用計器だとか、分析用機器、あるいは試験器、てんびん、電気式はかり、こういうもの、いわゆる輸入品目は入っていませんですね。はかりに関しては実効性が乏しいということになりませんか、これ。
  74. 志賀学

    政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、計量法におきまして型式承認の対象になっておりますのは二十一品目でございます。おっしゃるとおりでございますが、ただ、御案内のように、計量法の体系と申しますのは、取引あるいは証明に使う計器につきまして、これは検定に合格したものでなければいけない、これが一つ規制としてございます。その検定の合格の基準といたしまして、構造基準に適合してなければいけない。この検定と申しますのは一品ごとの検査、検定でございます。そこで、一品ことに構造上の基準に適合するかどうかをチェックすることになっておるということでございますが、これは一方、はかりの種類によりましては、たとえば非常に一品ごとの検定のときにその構造の中まで立ち入って検査しにくい、そういう構造のものがございます。たとえば部品が非常に複雑に組み合わさっているというようなもの、そういったものについてはなかなか一品ごとの検定では検査しにくい、こういう実態がございます。そこで、そういう一品ごとの検定では構造上の基準に適合しているかどうかをチェックしにくい、そういうものを選びまして、これを、検定に先立つ事前型式承認制度の対象にいたしまして、そこでサンプルについて構造上の基準に適合するかどうかをチェックする。そこで合格したもの、合格した型式に属するというものについては、一品ごとの検定に際しては、構造上の基準に適合するとみなして検定を合格する、こういう仕組みになっているわけでございます。そこで、そういう観点から選ばれましたのが二十一品目ということでございまして、私どもとしては、この二十一品目について、今回の法改正によりまして、従来国内の製造事業者あるいは輸入事業者だけに型式承認を受けることができるようになっていた点につきまして改正をいたしまして、海外の事業者にも検定を受けることができる、こういうふうに直すということによって十分対応ができるというふうに存じております。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 はかりというものの概念なんですがね、エレクトロニクス化で何か大きく変化しているんじゃないかというふうに素人なりに考えるんですよ。計量法が今日どこまで実態として機能しているかといったら、大変疑問だと思いますね。で、計量法のやっぱり抜本的見直しというのが今日の時勢に対応して必要なのではなかろうかと考えるんですが、いかがでしょう。
  76. 志賀学

    政府委員(志賀学君) おっしゃいますように、最近この計量器の分野におきましてもエレクトロニクス化の問題が起こっております。新しいそういうエレクトロニクスの発展に伴いまして、従来の原理と違う原理によるはかりというものがあらわれてきている、こういう実態にあることはおっしゃるとおりでございます。そこで、私どもといたしましては、そのような新しい原理に基づくはかりが実際の取引あるいは証明に使われているだろうかと、使用状況、ことを私どもといたしましてはチェックをいたしておりまして、そういう新しい原理に基づくはかり、これが実際に使用されてまいるということになりますと、そこで私どもとしては検定の対象あるいは型式承認の対象、こういうものに加えていくということで対応をしているわけでございます。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 計量法の抜本的な見直しなどということはいまお考えにはならないということですか。
  78. 志賀学

    政府委員(志賀学君) ただいま申し上げましたように、使用実態を踏まえながら、型式承認あるいは検定の対象に加えるということによって十分現在のところは対応し得るというふうに存じております。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 この型式承認を行う主体は通産大臣または日本電気計器検定所であるとされるわけですが、この日電検の場合臨調答申で民間法人化の線が出てますね。私は、電気計器の検定というのはやはり公の機関でやるべきではなかろうか、どうも臨調答申この辺釈然としないんですが、業者サイドで自主検定をするということは大変に問題があると指摘せざるを得ないわけですけれども、この辺はいかがお考えになっているわけですか。
  80. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 先般の臨調答申では、検査検定法人は、業務の効率化とか民間能力の活用という観点からだと理解しておりますが、民間法人化を進める、こういう方向が打ち出されまして、ほかの六法人とともに、この日電険につきましても民間法人化の方向が出されたことは御指摘のとおりでございます。通産省といたしましては、電気計器というのは、消費者個々と供給者である電力会社との取引の証明にこのメーターを使用するという取引証明のために行うものでございますから、非常に厳正に公正中立なものでなければならないということでございます。そういう意味でいままでは公的法人である特殊法人の日電険が運営してきたわけで、その点を先生御指摘だと理解するわけでございます。  私どもこの臨調答申の出るまでの過程でその点については大いに議論してまいったところでございますが、臨調答申はただいま申し上げましたように、民間法人化という方向を出しております。政府としましては臨調答申を尊重するということになっておりますので、当省といたしましてもこの答申を踏まえてまいらざるを得ないわけでございます。  しかし他方、この検定というものの公正中立性が十分担保されまして、その公正さについて消費者の理解が得られるという形で日電検のあり方を検討していくべきであると考えております。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 私はどうも日電検の財団化というのは、電力業界なりあるいは検定機器メーカーを利することになりはしないだろうか、消費者が結局電気料金を余分にとられるというようなことに落ちつくのが関の山ではないだろうか、そういうふうに心配をするわけです。その辺の保証はどうお考えなのですか。
  82. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 確かに機器メーカーはいわば検定を受ける客体の側にございます。それから、電力会社はメーターのユーザーでございますが、その電力会社自身と消費者との取引の一方当事者に電力会社は立っているということでございますから、こういった機器メーカーや電力会社に有利な検定業務ということにはこれは絶対になってはならない、あくまで厳正に公正中立を担保することは必要であると考えております。  ただ、民間法人にした場合にどういう形で担保できるかというのはこれからの問題でございます。  ただ、臨調答申自身も言っておりますように、民間法人化を進めるにしましても業務の公正性とか中立性の確保というものは十分確立しなければいけないと臨調答申も指摘しておるわけでございますから、この観点を十分政府部内、関係者で議論して、その公正中立性の担保を確立した上で具体的な法人のあり方を考えたいと思っております。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 考えたいという、そういう余裕がまだありますか。きのう私ほかの問題で官房長官と交渉した。二十日は無理だろうけれども二十四日には政府成案得たいと言っているのです。その辺の中には入れない、延ばしていく、今度の成案の中に、大綱の中にはずっと入ってこないわけですか。
  84. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 今度個々の法人、具体的にはこの日電険の場合についてどういう形にするかということはまだ具体的には盛り込まれておらなくて、方向だけが示されております。したがって、臨調答申で民法法人化と言っておりまして、その民法法人化の考え方の中にも比較的幅がございまして、狭い意味の商法上、民法上の法人ということから、あるいはそういうことでなくとも、政府の監督権限を緩和し、機関の独占性をなくするというような形の法人を考えるということも一つの方法だと言っておりますように、臨調答申もやや幅を持たした答申内容になっております。その幅の中で具体的にただいま御指摘のありました公正性、中立性というものを担保するという形でどうするかは必ずしも具体的にはっきりいまだ示されておりませんので、今後の課題だというふうに考えております。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 私はこの計器の計器検定というのは国際化をする、その際に、もし仮に民間の業者サイドに立った検定機関が検査するということになりますと、せっかくの型式承認の門戸開放がふいになるのではないだろうかと思うのです。新たに国際的な問題を引き起こす危険性がやっぱりあるということを非常に心配しますが、この辺は長官、どうですか。
  86. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いま通産省からいろいろ御答弁がありましたが、行政改革とも絡んでいる問題でございます。  業者の自主的な検定という問題はいろいろ問題を含んでおり、私どもも独占禁止法になれないころは大変いろいろ問題があることを教えられたところでございます。しかしながら、これは一つの私は合理的な経済的な行き方だとも思いますし、やはりこの点を弊害のない形で運用していくべきではないか、こんなふうに考えております。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 国際化の方向との関係において担当の部長はいま私の指摘はどういうふうに考えますか。
  88. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) この電気計器検定につきましても当然国内品、外国品無差別に公正、厳正にチェックすべきであるというふうに考えております。その点を担保することは、先ほど来御指摘のございましたこの検定法人の検定業務が真に公正、中立に行い得るかということにかかっておるかと考えますので、私どもといたしましては、その検定業務の公正確保のための具体的な行政的手段というものは今後の具体化の段階で十分詰めさしていただきたいと考えております。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 私は一連、この海の向こう側とでもいいますか、そういうところから最近ずっと発言をされている言い分というのはかなり誤解といいますか、握りこぶしの振りおろし先がない、八つ当たりぎみだというような感じもしますがね。したがって何から何まで向こう側の言い方が正しくて、はいそうですというふうに聞く必要はないだろう。私はナショナリストではありませんが、理不尽な要求にはきちんと反論し、はねつける、そういうことは当然のことでありましょう。だが、貿易摩擦を回避するためには、構造的な改革というもの、やはり日本経済構造の全般にわたる構造的な改革が求められているという、そういう気がして仕方がないわけです。長官はそういうお感じはお持ちになりますか。
  90. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 先ほども手続面だけの改善で貿易摩擦の解消ができるはずはないという御指摘がございましたが、私も確かにそのとおりだと思いますし、いま申されましたような構造的な面について世界各国からいろいろな要望がある。ともかくもアイデアは外国から取って、工業化、企業化によって外国の産業に脅威を与えていくようなことについてのいろいろの批判もあることも十分存じているところでございます。  しかし、このような問題は大変深い、むずかしい問題でございまして、必ずしも外国の指摘のように簡単な問題ではない。私どもは私どもなりにまた生きていかなければなりませんし、ここまでの私は経済水準、生活水準を享受しておるのは、やはり日本のすぐれた産業適応力、これによるものだと思います。  外国との間の調整、調和をどういうふうにするか大変むずかしいものがございまするけれども、この点を十分御指摘のように考えていくべきことは、貿易摩擦の手続面の改善以前の大きな問題として今後もまた常に検討していくべきだと考えております。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 次に消費者保護との関連で二、三質問いたしますが、貿易摩擦を回避するために国民生活の安全性についての配慮が軽視されてはまずいのは当然です。そう私は考えますが、厚生省、食品添加物BHAの使用禁止が再度延長されるという報道があるわけですが、これはなぜたびたび延期されるんでしょう。
  92. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) BHAの安全性の問題でございますが、昨年からことしの初めにかけましてBHAの安全性について米、英、加、日本の四カ国で学問的な検討を行っておったわけでございますが、その学問的な評価が、結論が分かれた結果、この四月に開催をされますFAO・WHOの合同の専門会議でひとつもっと広い国際的な学者の議論をしていただこうというようなことで、本年の二月一日に施行予定でございましたBHAの実質上の禁止というものにつきまして一時延期をしたということでございます。  この四月の十一日から二十日にわたりまして開催をされましたFAO・WHOの専門会議において、このときも大変いろいろ詳細な議論が行われたわけでございますが、そこの会議での議論の中身といたしまして、現在動物実験でラットの前胃にのみ発がん性が見られる。前胃と申しますのは人間にない器管でございますので、この知見と人間との関係を評価するにはなおデータ不足ではないか。したがって前胃のない犬、豚、猿等の動物の胃に対する作用を見る実験をして、その結果人間の影響についての確認をする必要がある。この言われております実験は数カ月から半年ぐらいの期間に実験結果が出るということでございますので、との会議各国で至急その実験を進めようということになったわけでございます。その実験結果が出るまでの間、現行のBHAの一日摂取許容量は現状のままで差し支えないというのがこの合同委員会の結論であったわけでございます。  こういったFAO・WHOの会議の結論を受けまして、実は本日朝から現在食品衛生調査会をやっておりまして、そこでいまの会議の結果の報告をいたしまして、調査会の御意見も伺って最終的にどうするかを決めるということで考えておるわけでございます。  きょうの調査会の意見を踏まえるわけでございますが、厚生省といたしましては、世界の国際的な専門家がいま申しましたように一日摂取許容量を現在の段階では変える必要はない、実験の結果まで変える必要はないということ、それから動物実験が非常に短期間に結果が得られ、そう長い時間を待つ必要はないというようなことでございますので、私どもとしてはその実験結果を待って方向を決めていきたいと考えておるわけでございます。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 いまお話ありましたが、伊東名古屋市立大学教授の動物実験でもラットあるいはハムスター前胃におけるところの発がん現象が確認をされたということで使用禁止になっているわけですが、今後このFAO・WHOで犬や猿の胃にがんができなければ使用禁止を解除するということになるんですかね。それともきょうもし――あなたこちらへ来てもらった、いまも継続しているんでしょうが、この会議でもって厚生省が考えているのと反対の結論が出た場合は、それはすぐ実施するということですか。
  94. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) 先ほど申しました犬、豚、猿の実験と申しますのは、がんができるかどうかということでございますと大変時間がかかりますので、この会議では過形成――細胞の若干異常増殖で分厚くなるわけでございます、それが見られるかどうかを確認をして、過形成ができるということであればそのBHAの発がん性について最終判断を下したいと、こういうことでございます。したがいまして、その結果によりまして私どもも考えていく。  それからきょうの調査会で先ほど申し上げましたようにこれまでの経過及び私どもの考え方を御説明をいたしまして、それで御了承をいただければいま申し上げたようなことで対応をしていきたいということでございます。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 どうもやっぱり行政の方が御了承いただければということは、審議会や調査会で私はずっと長い間意見をそれぞれ行政やあるいは政府の隠れみのに使われているんじゃないかという感じを述べてきましたが、いまの答弁の中にもいみじくもそういうのがあらわれているような気がいたしますけれども、それはきょう本題でありませんから続けませんが、この処置はまさか貿易摩擦問題とは関係ありませんでしょうね。
  96. 竹中浩治

    政府委員(竹中浩治君) BHAの問題は全く学問的な問題でございまして、貿易摩擦とは何ら関係がございません。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 弗素ですが、この弗素について筒井日本歯科大学助教授の実験によって発がん性の疑いが強い、また薬効の方はと言えばさして明快ではない。こういうふうに思うんですが、この評価はそれでいいですか。
  98. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 弗素の発がん性の問題についていま先生お話しの日本歯科大学の筒井先生の方からハムスターを使っての研究結果が発表されておるところでございます。この研究結果が五十七年の八月に発表されておりますが、私どもといたしましては、五十七年の十月に中央薬事審議会でこの研究結果を検討をしていただいたところでございます。  この検討の結果によりますと、この実験、筒井先生の実験はいわゆる予備試験的なものとしては一つの方法であるけれども、発がん性を確立するだけの要するに再現性と申しますか、試験方法自体についてすべて同じ試験をやって同じ結果が出るというようなことについて多少ばらつきも出るんじゃないかというような、そういうことで再現性に問題があるというような指摘がございました。したがって、現在の段階でこの試験結果で直ちに弗素に発がん性があるという判断はできないという見解を中央薬事審議会でいただいておりまして、その線に沿っているところでございます。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 たとえば新潟県では昭和五十年から組織的な反対運動がずっとある。あるいは弗素の利用についてはここに持っていますが、日弁連の八一年十一月付の意見書がありますね。日弁連の意見書というのは、「本来任意であるべきであるにもかかわらず事実上強制にわたる方法で実施されているところがあること」、ほか四点にわたっているわけで、改善措置を勧告しているわけですが、厚生省としてはこの日弁連の意見書を踏まえて何かおやりになったわけでしょうか。
  100. 大谷藤郎

    政府委員(大谷藤郎君) 日弁連の御意見もありますが、私どもといたしましては保護者等の御意見も承りましてこれを実施いたしておりまして、その点につきましては問題がないというふうに考えているわけでございます。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 私はどうも日弁連のこれ「むし歯予防へのフッ素利用に関する意見書」、かなり分厚いものですが全部目を通してみましたし、最近世田谷の弗素問題についての主婦の方々の訴えなどがございまして、弗素の安全性に疑問が呈せられてからもうかれこれ五年、新潟県で運動が起こってからもう足かけ十年、こういう状態になっていまして、いかにも対応が遅いというふうに言わざるを得ないんですが、かなり自治体で幼児に弗素が塗られているわけですね。当然虫歯予防のために自治体は補助をしながら、そして危険な状態の中に幼児を追い込む、体内における弗素の限界量を超えた弗素が幼児に与えられる。主婦は非常に心配する。やっぱり早急にこれは白黒をつけられるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  102. 大谷藤郎

    政府委員(大谷藤郎君) 虫歯予防のために弗化物を応用する、歯面の局所応用を行うということにつきましては、WHOにおいてもこれを世界的に勧告をいたしておりまして、諸外国においても広く活用されておりまして、その有効性と安全性については私どもとしては確認されているというふうに考えているわけでございます。  もちろん、虫歯を予防するためには、単に弗化物を応用するだけに頼るというのではなく、やはり日ごろの正しい歯、口の清掃、衛生問題、あるいは食生活の指導等、総合的な歯科保健対策の促進が必要であるというふうな観点に立ちまして、私どもとしてはこれを総合的に進めているわけでございます。そういうことで、弗化物の歯面局所応用という問題につきましては、私どもとしては御心配がないというふうに考えているわけでございます。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 今度の制度改正で、制度的には安全性の見地から変更はない、そうとらえておいていいんですかね。
  104. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 医薬品としての問題でございますが、弗化ナトリウムにつきましては、五十五年の一月に中央薬事審議会の方で再評価の対象成分にいたしております。で、再評価の対象成分にいたしまして、その後薬事審議会で十五回程度もいろいろと調査会を行っております。この中には、弗化ナトリウムについては再評価の申請内容が非常に多いという問題もございますし、また各方面で、先生御指摘のようないろいろな研究報告もございますから、そういったものも踏まえまして審議会では新たな知見もいろいろと出てまいっておりますので、そういったものを含めて鋭意審議しておるところでございまして、私どもとしてはできるだけ早くこの問題について再評価の結論が得られるようにいたしていきたいというふうに考えております。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 長官、この問題も含んでの話でありますが、制度的にたとえば問題はなくて、制度を運営する気構えといいますか、いわゆる貿易摩擦とか関連業界の絡みでぶれる、あるいは動揺する。そういうことはあってはならないと思うんですが、その辺はどうですか。
  106. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) この点は、もう和田委員の御指摘のとおりだと思います。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、仄聞するところだとこの医薬品の前臨床試験データについて従来受け入れていなかった安定性試験データですか、及び規格試験方法に関するデータ、それはことしの十月から受け入れるということですが、安定性の見地からこれはいかなる保障が担保されましょうか。
  108. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 御指摘のとおり、物の、医薬品の安定性を試験する安定性試験データと、それからいわゆる実測値と申しますか、物の成分なり純度、そういったものを試験するための規格試験方法につきましては、ことしの十月から外国のデータを受け入れるということにいたしておりますけれども、これはあくまで日本でいろいろ試験の基準をつくっております。たとえば、対照例を幾らにするとか、あるいは投与期間をどうするとか、投与方法をどうするかといったような試験基準をそれぞれつくっておりますから、そういった日本の試験基準にのっとった試験で行われた外国のデータでないと受け入れられないというのが前提でございます。したがって、そういう意味合いでは現在はいかなる外国で行った試験であろうとも日本で再試験をやるというようなことでございましたけれども、ことしの十月からと申しますのは、私どもいろいろ試験基準をきちっとつくって、そういった準備期間も置いて十月ということにいたしておるわけでございまして、そういったきちんとした安全性なり、あるいは有効性についての試験基準をきちんとつくりまして、それに基づいて行われた試験にのっとったデータならば受け入れましょうと、こういう趣旨でございます。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 安全上必要があったならば製造現地で調査されるというようなことも当然あるわけですか。
  110. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 医薬品の場合は、特に国民の安全性に留意することが必要であることは申し上げるまでもないところでございまして、今回お願いしている法律におきましても、法律に新たに規定を設けまして、厚生大臣につきましては、外国の事業者に立入検査を請求することができるという規定を設けております。この立入検査を請求することができるという規定を設けまして、これを拒否された場合には直ちにその承認の取り消しを行うというような担保措置を講じているところでございます。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 BHAにしてもあるいは弗素にしても、公立の医科大学あるいは民間の大学が実験したものについて、なかなか行政上取り上げられないというか、認めようとされない。種々のデータについて、やっぱりどうも何か取り扱いに差異があるような感じがいたしますが、そんなことはありませんでしょうね。
  112. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 医薬品について申し上げますと、実は医薬品につきましては製造業者とかあるいは輸入業者が、がんの発生であるとかそういった重大な副作用の発生するおそれがある場合には、そういったような研究報告があったというような場合には法律に必要な報告をさせるという規定がございまして、それを受けて施行規則で、いま申し上げましたようながんその他重大な副作用が発生するおそれがある場合には厚生大臣に報告しなければならぬという義務規定がございます。  したがって、この研究報告を受けまして中央薬事審議会でいろいろと専門的、科学的に御検討いただくというようなことでございますけれども、したがって、これは官立だろうとあるいは私立だろうと、こういった業者自体にそういった義務を課しておりますので、実験の結果が、民間の大学だから、あるいは官立大学だからというようなことでその評価に差をつけるということはございません。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 BHAにしろ弗素にしろ、やはり私はこういうデータというものにもっと留意をされるべきであろう、そういうふうに思います。まああえて見解を求める必要もないと思うのでありますが、ただ、弗素については、改めて自治体に行政指導をされるというようなお考えはございませんか。
  114. 大谷藤郎

    政府委員(大谷藤郎君) 当面その考えはございませんが、先ほども申しましたように、WHOあるいは国内におけるいろんなデータから推しまして、私どもとしてはこれは安全性が確保されているというふうに考えておるわけでございますが、なお先生御指摘のようないろんなデータがあるといたしますれば、これにつきましては十分注意をいたしたいというふうに考えるわけでございます。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 あとの問題に入りますともう時間がありませんから、それじゃここで……。
  116. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  118. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、吉田正雄君から発言を求められておりますので、これを許します。
  120. 吉田正雄

    吉田正雄君 私は、ただいま可決されました外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の点について特に配意すべきである。  一、医薬品、農薬等各種製品の輸入に際しては、国内における使用者の健康及び生命、身体が損なわれることのないよう、その安全の確保について十分留意すること。  二、今回の改正が、自由貿易体制を維持強化する観点から、市場開放措置の一環として行われるものであることにかんがみ、その運用に当たっては、これが各国の相互理解と国際的ルール確立への前進に資するものとなるように努力すること。   右決議する。  以上であります。
  121. 亀井久興

    委員長亀井久興君) ただいま吉田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  122. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 全会一致と認めます。よって、吉田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、塩崎経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。塩崎経企庁長官
  123. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 本決議につきましては、政府といたしましてこれに従って善処したいと思います。     ─────────────
  124. 亀井久興

    委員長亀井久興君) これより請願の審査を行います。  第三一八号てんかん診断総合的システムの充実に関する請願外四件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議いたしました結果、第五一九号中小企業対策に関する請願外二件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第三一八号てんかん診断総合的システムの充実に関する請願外一件はいずれも保留とすることに意見が一致いたしました。  以上、理事会の申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  127. 亀井久興

    委員長亀井久興君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  128. 吉田正雄

    吉田正雄君 山中通産大臣には、先月のたしか二十七日からだったでしょうか、今月の十三日まで非常に長い間ヨーロッパにおきます一連の経済社会、さらにはまた、その間を縫って中東を訪問をされてまいりまして大変御苦労さまでございました。私も非常に関心を強く持っておりまして、連日の新聞報道等読ませていただいてまいっております。  まあいろんな評価というものがなされると思いますけれども、いままでの国際会議における日本の代表というのは寡黙と言ったらいいんでしょうか、沈黙という典型的なという評価もいただいてきておったようでありますけれども、山中通産大臣の場合には所信を堂々と表明をされて、きわめて鮮烈で鮮明な印象を与えられたという点でこの点は高く評価をされるべきではないかというふうに思います。  そこで、幾つかの国際経済会議、たとえば四極経済会議であるとかあるいはOECDの閣僚理事会、あるいは主要国貿易・蔵相会議、あるいはIEA閣僚理事会というふうな盛りだくさんの会議であるわけです。一々詳しくお聞きをいたしておりますと時間もございませんので、これらの一連の諸会議での主要な議題と申しますか、それと論議の内容、そこに出てきた問題点、それに対する日本側の主張、そして、この会議に対する成果といいましょうか、評価、こういうものについて概略お聞かせを願えれば幸いだと思います。
  129. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 初めに、皆様方与野党の御好意によりまして私の一連の国際会議出席を可能ならしめるための審議をしていただきましたことを改めて御礼を申し上げます。  結果的に、やはりすべての会議に出席していてよかったという感じがいたします。  今朝の閣議に報告いたしました概要がございますから、その概要を一応御報告申し上げて、また個々の御質問に答えたらどうかと思っておりますので、そのようにさしていただきます。  私は、四日二十七日から五日十三日まで、貿易大臣会合、これはブラッセルの会合でございます。貿易・大蔵大臣会合、これは最後になりましたパリの会合であります。OECD閣僚理事会、IEA閣僚理事会への出席、アラブ首長国連邦、クウェート両国の政府要人との意見交換等のために欧州及び中東を訪問した。  まず貿易大臣会合。貿易大臣会合は、四月二十八日及び二十九日の両日、日、米加、ECの貿易大臣が参加し、ブラッセルにおいて開催された。本会合においては、債務累積問題は、金融面の措置に加えて、先進国として市場開放を維持、推進し、貿易拡大の方向で解決すべきであること。急激な為替変動が貿易の拡大を阻害していることについて認識が一致した。ここで、急激な為替変動についての指摘と、後に出てくる具体的な手段を提唱したのは日本であります。アメリカはやや腰を引いた構えのようでございました。  貿易・大蔵大臣会合については、五月十日及び十一日の両日、パリにおいて日、米、英、西独、伊、カナダ、スイスの貿易大臣大蔵大臣等、及びIMF、ガット、OECDの代表を集めて開催された。  本会合では、さきに述べた貿易大臣会合や、ワシントンで行われた大蔵大臣会合の成果を受けて、債務累積、為替問題等について議論がなされた。具体的には債務累積問題の解決のためには、貿易、金融の両面からの検討が必要であり、貿易面からは先進国の市場開放を含めた貿易拡大の方向が要請され、また金融面からは債務国に対する資金供給の確保に加え、先進国の金利引き下げによる債務国における金利負担の軽減が必要である等の意見が出された。また、ガット、IMF等関係国際機関間、これ連携が余り薄いということで、関係機関間の一層の連携強化が必要であるとの点で認識の一致を見た。為替問題については、為替相場安定の必要性に関して共通の認識が得られ、特に私からは為替の乱高下が貿易、産業活動を阻害していることにかんがみ、少なくとも異常時において介入をする用意ありとの意見表明を行うことが必要である旨を強調しておいた。これについてはおおむねの了解を得られたと思っております。  次に、貿易・大蔵大臣会合の意義でありますが、これら二つの会合を通じて、現在世界経済を悩ませている債務累積、為替等の問題は、貿易、金融の両面から検討されることなしに真の問題解決はあり得ないことが確認され、話し合いを通じてこのような問題解決の第一歩が踏み出されたことの意義は大きいと考える。また特に貿易・大蔵大臣会合については、参加各国の貿易・大蔵大臣が一堂に会し、IMF、ガット、OECDといった関係国際機関の長の参加を得つつ、自由かつ率直な意見交換を行ったことは初めての試みであり、有意義であったと思う。今後引き続きこのような会合を開催することが合意されたことは、さきに述べた諸問題の解決に当たって重要であると考える。  この会議については、アメリカがなぜ自分たちを集めたかというような疑問を出す国や、あるいはまた、わが国においては意見が一致せずに、この会議の性格あるいは出席することについての可否等についての閣議においても意見が分かれたと、したがって自分の国は通産大臣は出席を拒否したというようなことまで述べる国までございました。したがって今後このような会合が引き続き行われるかどうかについて、アメリカが議長国をいたしましたが、非常に困難な立場に追い詰められましたので、私の方がこの会合は有意義であったと、したがってこのような会合を引き続き開いていくこともこれは必要なことであるということで、最終的に日本の提言によって結論がやっと得られたという形がございました。  OECD閣僚理事会でございますが、第二十二回OECD閣僚理事会は、五月九日及び十日の両日パリにおいて行われ、わが国からは安倍外務大臣と私が出席しました。  本会合では、相互依存関係、貿易問題、マクロ経済関係、東西経済関係について討議が行われた。このうち貿易に関しては、経済回復の進行を活用して保護主義的傾向を逆転させ、貿易制限的措置を漸進的に緩和、撤廃していくことの重要性が認識され、このためのフォローアップ、手続の策定について合意がなされた。また、マクロ経済に関してはインフレなき持続的成長とより高水準の雇用という政策目標の達成を確実なものとするため、各国政策の整合性確保、為替の安定に向けての努力の必要性等が合意された。ここでも為替安定については日本の主張が中心でございます。  本会合においては、ウィリアムズバーグ・サミットを前にして、主要先進国の閣僚間で貿易、マクロ経済等の各問題について幅広く検討が行われ、世界貿易の拡大と世界経済の回復という共通の目標に回けて協力していこうという合意がなされたことは有意義であったと考える。  次に、IEA閣僚理事会でありますが、第九回IEA閣僚理事会は五月八日パリで行われた。本会合には、わが国からは私が出席するとともに安倍外務大臣がその一環であった閣僚夕食会での討議に参加した。  本会合においてはエネルギー情勢の現状、エネルギー必要量、安全保障研究、産油国、消費国関係について討議が行われた。このうちエネルギー情勢の現状に関しては、石油情勢が長期的にタイト化の方向にあるとの点で各国の認識が一致し、エネルギー政策推進の必要性につき合意された。またエネルギー必要量、安全保障研究に関しては天然ガスを中心として先進国のエネルギーセキュリティーを高めるための政策提言が取りまとめられた。さらに産油国と消費国との関係については、わが国提案に基づき二国間交流を中心に意見交換を強化していくことの重要性につき各国の賛同が得られ、コミュニケにも取り入れられた。  ここのところで議論がすべて天然ガスの方に行きがちでありましたし、産油国問題は余り議題にならないような感じでありましたけれども、私どもは天然ガスについては、東南アジア、ASEAN、こういうところとの地政学的な、あるいは今後発展していくための地域的な共存策あるいは日本の役割り、そういう意味から一方の面においては、他方においてはインドネシアあるいはマレーシアからのガスの輸入に頼っていて、表からは消えましたけれども、三〇%を超える依存度を持っておるけれども、これは決してセキュリティーとは無関係であり、安心してわれわれは頼れる地政的な立場にある、このことは各国において日本の独自性を認めてほしい、認められたいということで、これについては何の反論もありませんでした。  それから産油国と消費国との産消対話と言われるものでありますが、アラブ産油国を訪ねて帰ってきたすぐの私の発言というのは非常な重みがございまして、たとえばイギリスあたりは、いや産油国がもし対話したい相手があると思っているとすれば、それはわれわれのような、イギリスのような石油を持っている国との間の産産対話であるとわれわれは思うというイギリス大臣の話がありましたから、冗談じゃないと、われわれは輸入率全部を外国に依存するような国であっても今後産消対話しながら世界経済の上にともに貢献する道を発見することが必要であるという立場で言ったけれども、それは非常に有意義であったということで、むしろ産産対話という変なイギリスを中心とした国々の考え方を日本が無資源国の立場からそれを打破したといういきさつがございました。したがって、最終的にはわが国提案に基づき二国間交流を中心に意見交換を強化していくことの重要性につき各国の賛同が得られて、これコミュニケに入れるか入れないかも問題があったんですが、強引にこれをコミュニケに私が入れさせました。  引き続いて御報告いたしますが、ウィリアムズバーグ・サミットを前に本会合において東西経済関係検討の一環であるエネルギー安全保障問題につき合意が得られたこと、原油価格低下に惑わされることなくエネルギー政策を維持していくことについて各国の意見の一致が見られたことは意義深いものと考える。  次に、個別会談についても御報告をしておきます。  これら会合の間、私はブラッセル及びパリにおいて米国のブロック通商代表、ボールドリッジ商務長官、リーガン財務長官、ホーデル・エネルギー庁長官、カナダのリーガン貿易担当国務大臣、ラロンド大蔵大臣、ハーフェルカンプ及びダビニヨンEC委員会副委員長、西独のラムスドルフ経済大臣及び英国のリーズ貿易担当国務大臣、ローソン・エネルギー大臣と個別の会談を行い、それぞれの二国間の問題、世界経済問題等につき率直な意見交換を行いました。  このうちブロック代表との会談においては、両国における産業関連政策の実態と貿易に与える影響について相互に情報交換し、相互理解を深めることが必要である旨意見が一致し、そのための日米合同委員会を設置することとした。  この委員会はすでに先週末来行動を開始いたしまして、第一回目を日本できょう終わったわけであります。  さらに中東の訪問について、四月三十日から五月四日にかけてアラブ首長国連邦、クウェート両国を訪問いたしました。アラブ首長国連邦においてはザーイド大統領、タハヌーン・アブダビ国営石油会社総裁殿下並びにオタイバ石油・鉱物資源大臣と会談を行い、クウェートにおいてはジャービル首長、サアド皇太子兼首相、カリーファ石油大臣と会談を行った。  石油需給が緩和している現在のような時期にこそ産油国との対話が重要であるとの基本的立場のもとに両国の政府要人と率直な意見交換を行ったが、両国ともこのような日本の姿勢を歓迎し、相互理解を深めることができました。具体的には石油価格の引き下げ、石油需給の緩和等最近の国際石油情勢と今後の見通しについて話し合うとともに、産油国と消費国との継続的な対話及び相互理解の必要性について意見の一致を見ました。  イラン原油流出事故に関し、日本政府はいつでも応分の協力をする用意がある旨表明したのに対し、両国からわが国への積極姿勢を評価する旨の発言がありました。  取りまとめとして、全体の所感といたしましては、今回の訪問を通じて先進各国経済閣僚や中東諸国の要人と腹蔵なく率直に語り合えたことはきわめて有意義であった。  ヨーロッパでの一連の会合を通じてわが国に対する批判はなく、また世界経済の回復、貿易の拡大に向けて各国が努力していくべきであるとの共通認識が得られたことは大きな意味を持っていると思う。  また中東諸国においてもわが国に対する期待がきわめて強いものであることがうかがわれ、わが国が今後世界経済の中で果たしていくべき大きな責任を痛感したところであります。  以上が本日の閣議に報告したものに若干の御答弁の意味で私のとった行動、その結果等についてつけ加えました。
  130. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまのお話の中で、日本側の果たした役割りというのは非常に大きかったというふうに思いますが、それだけにこれら一連の諸会議の中で合意を見たと申しましょうか、相互に努力を、確認をした事項、そういうふうなものがあるんじゃないかと思いますけれども、特に今後日本として守っていかなければいけないとか、あるいは実行に移していかなければならないというふうな何か主要な課題というものがあったのかどうかお聞かせ願いたいと思います。
  131. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 日本は、今回の会合を通じて、特別に諸外国から日本に対して要望とか、あるいは日本の円に対する指摘とか、そういうものはございませんでした。たとえばしかし、私が強調した通貨の安定という問題についてこれ以上傍観していてはならない。たとえば日本はいままで日本政府が円を安くして輸出ドライブをかけるための外貨獲得のための政策を弄して円が安いんだという批判が一時あった。しかし、それも最近はそれはなかったということを認めたようであるが、しかし、石油が五ドル下がったことによってその国の経済のファンダメンタルズに一番大きな好影響を受けるのは日本であろうというのはアメリカも指摘しているとおり、われわれもそう思っている。ところが、それに反してファンダメンタルズの正確な投影であるはずの円レートはどうも動きを一向に高目に動くはずの姿を見せない。とてもこれには投機資金の流入あるいはオイルダラー等の動き等が入ってきて正確な投影がなされないのではないか、ここまで来た以上は日本一国はやろうとしてもできないし、操作も不可能である。となればここにアメリカの強いドル、そして西ドイツのマルクでもいいし欧州フロー等でもいい。とにかく日本の円と基軸通貨による協調介入の姿勢を明らかにすべきである。具体的に言えば、それは固定制度には返れと私は言っているわけではない。しかし、それにかわる政策をわれわれは介入の用意がある。あるいは調整しなければならないという姿勢を示すということだけでも投機資金等は非常な大きな影響を受けるはずであるから、この言葉を――はっきり言ってアメリカは入れたくない。そしてドイツは、ちょうど先々週ぐらいに欧州通貨制度の中でフランスに痛い目に遭わされたばかりでありますので、どうも、さらにそれを超えて国際的にという感じは、少し私どもが受けている感じよりか後退した感じでありましたけれども、日本はこれは絶対にやってほしい、やってもらわないと困る、こういうことを言いまして、なかなか意見が一致しませんでしたが、じゃ結論として、これから日本は世界に向かってはっきり宣告する。われわれはいかなる円レートの事態にあっても、国策をもって安くしたり、国策をもって高くしたりすることは絶対にないし、そのようなことを言わせない。その旨宣告するということを申しましたら、じゃ緊急、あるいはまた異常な激動等の場合は、形は後で詰めることにして、協調介入の姿勢は示そうということに折れてくれましたので、私もやいばを引いたというようなことがございまして、特別に日本が何かを求められたと、あるいは日本がこれから回答しなければならないという問題はなかったと、そういうふうに考えます。
  132. 吉田正雄

    吉田正雄君 アメリカが対ソ戦略上から強調した東西間の経済、貿易問題のあり方については、午前中も和田委員の方から質問が出ておりますけれども、特にシベリアの天然ガス・パイプラインの機器輸出の問題とか、あるいはいまも大臣からお話のありました天然ガス特定国への三〇%以上の依存という点ですね。これらの問題について、私は、特にアメリカとの関係大臣アメリカとヨーロッパとの間のそういう意見の対立についての、仲裁的といいますか、調停的といいますか、意見の調和を図られる努力もされたというふうに聞いておりますけれども、今後の日本側の態度といたしましては、私は、むしろこの東西間の、とりわけソ連東欧圏諸国との間の経済交流、あるいは貿易の拡大、そういうものを通ずることが東西の緊張緩和、あるいは平和の促進に役立っていくんではないかと。もっと率直に言いますならば、今日の世界同時不況と言われる中で、ソ連経済も非常に国内的に多くの困難を抱えておるというふうに聞いておりますけれども、こういう経済的な困難というものに対する協調ということが私は米ソ間の対立というものをやわらげていく一つの大きな力になるんではないかというふうに思っております。余りにも軍事戦略面だけで物事を考えていくことはかえって軍事的な緊張というものを増大させる結果になるんではないかというふうに思いますので、この東西間の経済、貿易関係について、これから日本側としては基本的にどういうふうに対処されようとするのか、大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  133. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私は、初めからこの問題はソ連をはっきり念頭に置いて、活字にまでしたい気持ちであるはずのアメリカですね、そして活字なんかに書かれたら絶対会合に出ないぞというぐらいの姿勢を持っているはずのヨーロッパ各国、ここらのところの対立は三〇%の上限というのが取っ外されたことで、一応はとげとげしい表現にはなりませんでしたけれども、最初にアメリカの連中と打ち合わせをしまして、アメリカが国際会議においては意外とアメリカ一つの国であるにすぎない、一票と一人の発言者ですね。たとえば、ヨーロッパといっても、ECは一つですが、その中に十の頭がある。十の頭が全部発言し、また行動をするわけですから、それにまた、IEAにしても、OECDにしても、共産圏に準ずる国々も入っているし、もうすでに石油ばかりでない、依存度、国の自立そのものがソ連と切り離せない国も入っている。その中で、アメリカというのは、非常に国際会議場ではわれわれが考えている以上な苦境に立っているということを見ましたので、どうだ、アメリカのその気持ちはわかるが、国際会議場において日本アメリカとの問題はお互いいつでもその都度会って話し合える国の間なんだから、その問題はまず横に置いておこうじゃないか。そうして国際的な会合の場合において、アメリカの基本的なスタンスは日本は支持してある、そういう姿勢でいるから十分に議論したらいいということで――裏面工作というのもおかしいんですが、無策で会議に臨むよりか策ありて臨む方がいいわけですから、そういうことをやってみて臨んだんですが、それでも、アメリカ自身も会合の場合においてはソ連という言葉は出しませんでしたし、やはりその中にソ連経済圏の中の国も来ているものですから、アメリカがふだんに言っているような姿勢はついに出せずじまいであった。したがって、私も、わが国が将来シベリアの油田とか、あるいはガスはサハリンとかになりましょうが、そういう問題について何か発言するという環境でも雰囲気でもありませんでした。したがって、私は、もっぱら東南アジアの例を挙げて、インドネシアとマレーシアの石油という問題で発言を終わったわけでありますが、どうも、この問題は、私は、ウィリアムズバーグのサミットであっても、東西問題について、はっきり東西問題ということでやると、これは仲裁の労をとってやろうにもちょっととりにくい感じの空気がございます。もちろんヨーロッパは地続きであるということ、そのことは決定的にアメリカ日本とは考え方を異にする地政学的な立場を持っているわけでありますから、したがって、わが日本がそれに対して直接に調整することもまた困難でありましょうが、また、それによってわが国のみがしばられるということもあり得ない。したがって、われわれは、日本としてはいままでの考えどおりに、ソ連との関係における、アメリカが、たとえば石油の掘削についてリグの部品を供給しないとか何とかということを一時やりましたけれども、そういう異常な情勢でない限りは私たちは私たちの道を歩けばいいんで、日本の立地条件から考えて、ソ連と話がつけばついた部分についてはやはり日本のリスクの分散になるかどうか、それが危ないですけれども、しかし、多角化あるいは善隣友好というようなことも考えながら、エネルギー依存についてもソ連をその対象外とすべきではない、いままでの政策でいいのではないかと考えております。
  134. 吉田正雄

    吉田正雄君 次に、五月の十四日から第一回日米産業政策合同委員会が開催をされましたけれども、この第一回会議で、アメリカ側のスミス次席代表が、議会の中には日本産業政策に対抗するため輸入制限立法をねらう動きがあると警告をしたと言われておりますし、それから合同委員会の成功が自由貿易体制と世界経済活性化にとって重要であるということを述べておるようでありますけれども、この産業政策合同委員会が持たれるに至った経過と、それから設置の目的、それからこの委員会の性格が何なのか、それから合同委員会で検討される具体的なテーマはどういうふうなものなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  135. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、アメリカが、日本側のとりようによっては、日本産業政策というものを問題にするというような動きが激しくなってまいりました。しかし、日本産業政策アメリカが文句をつけてくるのは、それは内政干渉であります。断じてお断りをいたしますが、そうではなくて、日本産業政策というものはどういうものであるか知りたい、そのためにはお互いの二国間で十分に実態を知り合う必要があるということがそもそもの話し合いが始まる原点になったわけでありますが、その中で会合をやりながら、日本の先般御審議願いましたような基礎素材産業等の問題について、限界産業を、国策で、ほうっておけばなくなるはずのものを救ったのじゃないかというような意見等があったように書いてありますが、これはそういうことの質問はあったけれども、それに対して日本は独占禁止法、アメリカは非常にこれアメリカの産業界なり一般国民も独占禁止法というものをわれわれの想像以上に重大視する国でありますから、日本の独禁当局との間の話し合いのもとでやるのであって、適用除外という政策はとっていないのだというような、もっぱら民間の自活というものが前提であるというような話をして、そのことは十分にわかったということで、新聞に一部ですが出たようなそれに対する非難というようなことはしていなかったということで、きのう私も会いましたけれども、全くそういう口調はございませんで、勉強会であると、大変和気あいあいとして自分たちも多くのことを学んだし、この次はアメリカで二カ月後にやりたい、こういうことを言っておりました。  細かな問題のやりとりはいずれお答えいたします。
  136. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) この日米合同委員会で問題になりました内容について簡単に御披露申し上げますと、日本側からは第一回の会合としまして土曜日の会合におきましてわが国産業政策の基本的な考え方あるいはビジョンとか、審議会の意義、役割りあるいは産業政策実施の手段にかかわる考え方などの説明をいたしております。アメリカ側からはアメリカの産業活動に関する政策及び措置についての基本的考え方、あるいは通商法による貿易調整援助等具体的な産業関連政策内容について説明がございました。  いろいろ質疑を交わしまして、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、残る問題につきましては次回にまた質疑をとり行うということになっております。会合の性格は先ほど大臣から申し上げましたように、きわめて友好的でございまして、日米理解に資する意義深い会議であったというふうに考えております。
  137. 吉田正雄

    吉田正雄君 昨日からボールドリッジ商務長官が訪日をされて、十七日から二十一日までですか、日本側政府代表といろいろ話し合いをするというふうに聞いております。  いまの大臣のお話ですと、日本産業政策に対するそういう強い批判というものは直接聞かれないということであるようですけれども、ワシントンでの十三日の記者会見では、訪日の最大の目的は日本産業政策について協議し、アメリカの高度技術製品、サービスに対し日本中場を開かせることであるということを表明をして、具体的には電電公社のアメリカ製品調達をふやすことであるというふうに述べておるということが新聞報道で伝えられておるわけです。  もしこれが事実といたしますと、私は特定の国の特定の公社であるとか企業に対する輸入問題あるいは輸出問題等で他国の政府がそこに直接注文をつけるというのは、いま大臣がおっしゃったように内政干渉の疑いといいますか、そしりを免れないのではないかというふうに思います。そこには、たとえば電電で申し上げますと、電電の今日までの輸入の実態とかそういうものについての制度面あるいはいろんな規格上の誤解なり理解不足、そういうものもあってこういう批判というか、要求というものが出てきたのじゃないかというふうに私は思うわけです。  そこで、後ほどは大臣にこれに対する御見解をお尋ねいたしますけれども、その前に電電公社の方お見えになっておりますか、もしおいでになっておりましたら、この問題について電電公社側の見解をお尋ねをいたします。  電電公社の過去五年間、これは五年間でなくてもいいんですけれども、通信機材の品目別、国別の調達額がどういうふうになっておりますでしょうか。
  138. 池田勉

    説明員(池田勉君) お答えいたします。  五十三年度は三十五億でございます。それから、五十四年度が二十七億、五十五年度が三十八億、ここで日米の政府資材調達の協定が結ばれたわけでこざいますが、その後五十六年度が四十四億、五十七年度、先年度はまだ推定でございますが、大体百億円くらいでございます。  内容でございますが、ほとんどが研究用の手段物品、測定器でございますとか、あるいは一部紙ですとか、磁気テープですとか、そういったものでございまして、ここ二、三年で通信機と言われるものはポケットベルをモトローラから買っておりますし、ごく一部の機器が入り始めているという程度でございまして、ほとんどは冒頭申しましたように、研究なんかの手段物品が主でございます。
  139. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまお話のありました五十五年の日米合意に基づいて策定をされたと言われる電電公社の資材調達に関する日米合意の主な内容というのはどんなものでしょうか。
  140. 池田勉

    説明員(池田勉君) 経緯について簡単にそれでは御説明申し上げます。  電電公社の資材調達がクローズアップしてまいりましたのはちょうど五年前でございますが、五十三年の春でございます。この問題については、当時から米国政府が電電公社にもっと米国製の通信機を買うように主張し、電電公社が外国製品は使えないと主張して政治問題、貿易摩擦問題になったというふうに受け取られている向きが多うございますが、実際にはそうでございませんで、当時ジュネーブで交渉が行われておりましたガット東京ラウンドの一環の政府調達協定の中に電電公社を含めるか含めないか、もっと平たく申しますと通信機の調達に競争入札が向くか向かないかという議論でございました。当時ジュネーブで、東京ラウンドでいろんな交渉がございましたんですが、その中に政府調達協定をつくるという作業がございました。その協定の対象に各国がどこを含めるかという議論が持ち上がりまして、加盟国の各通信主管庁は、通信機器というのは既存のネットワークに合わせて特注品的な性格であるから競争入札的な政府調達協定にはなじまない。したがって、これに含めないということで、ECその他の各国は含めないようにいたしましたんですが、それと同じように電電公社も主張したわけでありますけれども、米国は日米間の貿易のインバランスが非常に大きいということもあって電電公社を政府調達協定の対象に含めるように主張してまいりました。その結果、五十四年に多国間交渉の方は一応決着をいたしたのでございますが、その後も日米のバイラテラルの交渉が続きましていろいろ紆余曲折をたどりました。最終的には政府調達協定とは違いますが、通信機器の調達にふさわしい競争的内外無差別の調達手続をとるということで、五十五年の十二月の十九日に当時の日本政府代表の大来さんとUSTRのアスキュー代表の間で書簡が交換されて、そしてこの問題一応決着したということでございます。  以上、経緯申し上げました。
  141. 吉田正雄

    吉田正雄君 このボールドリッジ米商務長官の記者会見の中では、これは新聞報道ですからどこまで正確だかわからないんですけれども、電電公社への調達増加要求の一つの理由として、同公社の年間調達額が六十六億ドルだと、アメリカからの購入はわずかに六千万ドルで一%弱じゃないかというふうなことを挙げておるわけです。この数字というのが日本全体としての輸入額なのか、電電公社単独を指しておるのかという点も実は不明であるわけですので、通産当局として、との通信機材の対米輸出、輸入の金額とか主要な品目、あるいは主要な購入先等、そういうものがどういう状況になっておるのかお聞かせ願います。
  142. 志賀学

    政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。  これは、大蔵省の通関統計によりまして、一九八二年の数字で申し上げたいと思います。  まず、対米輸出でございますけれども、対米輸出は、通信機器に属するものといたしまして九百八十一億円でございます。この九百八十一億円の通信機器のうち六百三十億円が有線通信機器の関係でございます。残りの三百五十一億円、これが無線通信機器の関係でございます。  そこで、まず有線通信機器の主な品目を申し上げてみますと、これはかなり多岐の品目に分かれておりますけれども、最近の傾向といたしましては、いわゆるオフィスオートメーションの関係から・ファクシミリ、ボタン電話装置あるいは電子交換機、こういった関係の品目がかなりふえてまいっております。  なお、アメリカにおきますユーザーでございますけれども、これは必ずしも明確でございませんが、基本的にはその電気通信業者、アメリカの電気通信業者でございますけれども、先ほど申し上げましたようなOA機器関係の品目につきましては、一般企業で使われているというふうに思われるわけでございます。  一方、アメリカからの輸入でございますけれども、輸入は、同じく一九八二年におきまして二百十一億円でございます。この二百十一億円のうちほとんどの百七十五億円、これは無線通信機器の関係でございます。有線通信機器の関係は三十六億円ということに相なっております。  なお、この無線通信機器がメーンでございますけれども、その内訳といたしましては、たとえば船舶用の無線通信装置といったような、輸送業関係の無線通信装置がメーンであるというふうに思っております。
  143. 吉田正雄

    吉田正雄君 電電公社にまたお尋ねをいたしますけれども、いまのお話で、日米間の協定といいますか、その概略はわかったんですけれども、ボールドリッジ商務長官の言っている内容が必ずしも明確でありませんから、そういう点ではっきりした回答はできないと思うんですけれども、電電公社としての今後の調達のあり方といいますか、やり方について、国内調達を中心としてやるんだ、つまり輸入制限をやるんだという考えがあるのかどうなのか。それから、通信機材の日本における規格という点と、それから性能であるとか、そういうものを第一義として今後も調達をしていくということなのか。そうだとするならば、アメリカ側の、よくわからないんですが、仮に、単にふやせという要求というものについては、ちょっと無理があるんではないかというふうにお考えになっておるのかどうか、お聞かせ願います。
  144. 池田勉

    説明員(池田勉君) お答えいたします。  五十五年の暮れに決着いたしましたのは、あくまで内外無差別に競争的な手続を電気通信機器についてもとるということで合意を見たわけでございます。その後二年余を経過しておるわけでございますが、私どもとしては、日米間で約束いたしました内容を忠実に実行するということで努力してまいりました。約束事は守っておりますし、その上に、新しい調達の手続の内容を広く内外に知っていただこうということで、アメリカ、EC等でセミナー等もやってまいりました。  そういうことで努力はしてまいりましたんですが、いかんせん実績が、先ほど申しましように百億ちょっと。全調達額六千数百億買っておりますので、その中に占める百億といいますと、比率が非常に小そうございます。この協定が発効してから、四十四億、百億というふうに伸びてはきておりますが、絶対値が小さいということで、アメリカの中で本当に真剣にやってないではないかという批判があることも事実でございます。  しかし、この問題が出てまいりましてから現在までの経緯を、先ほど御説明しましたとおり、あくまで電気通信機器が、一般の市販品と違って、特注品的な性格であるから、なかなか競争入札になじまないというところからスタートして、それでいろいろ議論を重ねて、通信機器の調達にふさわしいかっこうで決着をさせていただいたということでございますので、これからもこの手続を忠実にやっていくことによって、いい製品を安く買って、そうしてわれわれの電気通信を向上させていくというのが電電公社の責務であろうと、そういうふうに思っております。  電気通信のネットワークといいますのは、それぞれの国で歴史的な背景がございますので、どこどこの国で使っているからといって、それをそのまま持ってきても、なかなかうまく機能しないということでございますので、先ほど申しましたような電気通信機器の調達にふさわしい競争的な内外無差別の調達手続を合意していただきましたので、今後ともこれを守っていくのがわれわれの責務であると、このように考えております。
  145. 吉田正雄

    吉田正雄君 山中通産大臣にお尋ねをいたしますけれども、いまの電電公社側の答弁を聞いておりますと、日米間の話し合いの線に沿って忠実にやってきたつもりであるというふうにおっしゃっております。  そこで、いまも話がありましたように、やはり通信機器というのは、その国の制度、規格というものがあるわけです。自動車等でも、右側通行、左側運転席、右側運転席ではなかなか各国の実情に合わないというふうなこともあるわけですから、そういう点で、この問題についてはやはりアメリカ側にまだ若干の認識不足といいますか、理解が不十分な点があるんじゃないかという感じもいたしますし、それから特定の品目ということになりますと、農産物等については、もう日本の輸入額の中でも農産物というのは大変な割合を占めておりますし、そのほとんどはアメリカが中心であると。しかし、それでもなおかつ農産物の輸入が足りないじゃないかという圧力がかかってきておりまして、農業団体等では、それは不当ではないかということで、この輸入枠の拡大には反対をしておる状況もあるわけですね。  そういうところで、さらにまたこの電電の輸入額が少ないということで、額のみに着目をして調達額をふやせということは、何か問題がそれだけでは解決し得ないというふうに私は思いますけれども、そういう点で、通産当局としてはアメリカ側に対してどういうふうな話し合いをされるのか、あるいは国内の行政指導といいますか、そういうものを通じて電電公社に対して何らかの指導を行われる考えがおありなのかどうか、お尋ねをいたします。
  146. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ボールドリッジ長官アメリカで言ったという、それも私は本当だろうと思っています。ヨーロッパでも会いましたけれども、そのときには私には言っておりませんが、私が本当だろうと思うと言ったのは、シュルツ国務長官がことし私のところに来ましたときに、そう大きな問題がたくさんあったわけではないんですけれども、電電公社の問題だけはアメリカとしてはもう少し問題が残っていると思うと言うよりも、むしろ解決をしていないと思うというようなことを言いましたので、それはおかしいではないかと、ちゃんとお互いの話し合いが済んで、そして透明性といい、あるいはまた相互性といい、承認されたものがあるんだからと言ったら、いやそれはわかっているけれども、非常に金額がいまおっしゃったように少ないと。それによってふえたというほどのこともないし、やはりこの問題はアメリカ自分たちはすぐれた技術を持っている分野だと思っているようです。また、事実そうかもしれません。そこのすぐれた分野のところが日本で純民間でもないあるいはまた国でもない電電公社という機関によってある程度独占的な形態というような運営形態を持っておるために、だから入り込めないんじゃないかという疑いを持っておるような話でありましたから、それはおかしい、そういうことはない、私のところに来たってこれ以上はしようがないから、電電公社の総裁と会って話をしなさい。自分は今度はその話で来てはいないから、会えたら会って帰るつもりだがというようなことが一件ありました。したがって、今度商務長官参りますから私も会いますが、郵政大臣あるいは電電公社、そういうところと会ってもらって、恐らくアメリカ側の誤解あるいは無理解あるいは市場参入への仕方というようなもの等においてまだ日本の市場へふなれな点があるのではないか。ならばこちらの方でも、公正な競争なんですから、アメリカ側に落札させるためのサービスではないんですから、せいいっぱいアメリカ側が対等に参入できるような道があればそれを教えてあげるというようなことで、その結果なお伸びないというなら、これはもう市場原理による競争でございますから、それを伸ばせとか半分よこせとかということは、これはもう私ども絶対にそんなばかばかしい話し合いはいわゆる内政干渉の最たるものとして受け付ける気はありませんが、どうも電電公社の問題はこのままでおさまりそうにはない。あさってですか、やってまいりますボールドリッジと私との会談がトップになるでありましょうから、その間それらの問題も踏まえながら、郵政大臣まで会ってやらなきゃいかぬのかどうか、そこらの判断を私の方でして、必要があればいろんな会合なり討論なり、そういうものをさせてみたいと思っております。
  147. 吉田正雄

    吉田正雄君 そこで、この経済問題といいますか、貿易摩擦問題について最後に一つだけ大臣にお尋ねをしてやめます。  今度のヨーロッパにおける国際的な会議等でも日本側が積極的な発言もやり、調停的な役割りも果たしたというふうなことは高く評価をされると思います。そこで、国際的な経済摩擦の解消については本格的な論議をする、恒常的でなくてもそういう国際会議なり機関の場というものを今後設置をする必要があるんじゃないかというふうに思います。その場がないために日本は従来も不利な立場に置かれてきたと思いますし、その都度の弁解や不当な批判や非難に対する忍従あるいはがまんというふうな態度が逆に批判や非難というものを認めるかっこうになったり、あるいは解決をより困難にすることになると思うんです。  たとえて言いますと、自動車の例をとるならば、日本の自動車は性能もよく、高い生産性のゆえに価格も安いということでよく売れるのであって、アメリカ国民立場からすればこれは利益になるわけです。アメリカ自動車産業との関係のみで論ずべき問題ではないというふうに思いますし、最終的には国民の利益に合致するかどうかが私は自由貿易の重要な原則の一つではないかというふうに思っております。そこでそういう場を設けて理性的な論理と判断が通るようなそういう国際的な場というものを日本として積極的に世界に向けて提言、提案をしていくというお考えがおありかどうかお尋ねをいたします。
  148. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 過去はどういう態度を日本はとっていたのか知りませんが、私は日本側からは弁解する必要は全くない、弁解は敗北の第一歩だと思っておりますから、たとえば貿易、大蔵大臣、それに国際金融機構の代表、そういう者がおります席で、みんながしゃべっていることを聞いているとプラネタリウムの星をきれいだと言っているような美しい言葉だけが、自由主義経済の堅持という、貿易の堅持という言葉だけが並べられて、ちりばめられて、大変美しい国々が集まっているように思うが、わが日本はここにおる国々から全部、自動車、ビデオテープ、近くはオートバイ、自主規制というのを強制されて、そしてやむなくそれに従っておる。自主規制だから自分たちは保護主義はやっていないと言いたいんだろう。そういうことが一体言えるのか。プラネタリウムの星が手でつかめると思っているのか。日本はここにおるすべての国々から保護主義を強要されている国である。その国々が集まって保護主義打破、自由貿易堅持、日本は聞いていておかしいと、問題にならぬ。だから日本に発言をさせるということで中に入り込んでいったりいたしまして、大分日本の主張というもの、弁解ではなくて主張というものの前に、自分たちの方が逆に、口にしている保護貿易反対という言葉とうらはらの自分たち日本に対している行動を、国際会議の場でぶちまけられたわけですから、そうするとやっぱりうつむく、それに対して反論もできない。中には自分も確かにここの会議でこういうことを言っているが、国に帰ると自動車とかいろんなことで日本に対してまた文句を言う一人でもある、そういうことを言われるとざんきにたえないというようなことを言うのもいましたけれども、それをそのままほうっておくといけませんから、おれの言う前になぜ弁解する、言ってから弁解しろと言ってそれもやっつけておきましたけれども、ですから今回の会議における限り、日本がそのような姿勢を貫いたために、日本を無視して会議の結論をあらかじめつくってみたり、日本はただ座っていてそして通告した文書を朗読して発言をして、決まったものについては日本は大体異存はないという国ではなくなったということは明確になりました。  そこで、恐らく今回の日米両国の二カ月に一回の会議をやろうというのも、そういうことから相手方も応ずる気になったんだろうと思いますし、ECの国々も一カ国ずつ会っていきますと、たとえば先般ビデオテープレコーダーの問題等で台数規制をやりました。ECとの間においてやりましたが、ドイツとかイギリスはそれに対してそれではせっかく日本の合弁その他で進出してくれた企業にシャシーキットとかブラウン管まで制限されたんでは何のために来てもらったか、貢献がわが国に対してできにくくなるではないかという反論等がありましたから、その文句はECに言いたまえ、ECが日本に対してその規制台数を制限してきたんだから、それが君たちを代表している機関であるというならば当然ECに対して文句を言ったらよかろう、正式な提訴をしてECからこちらに持ってきたら、日本はその需要に対して応じてやる用意があるということを言っておきましたが、したがってECの中も一皮めくれば自分の国のためにはなっていない。自分の国の主張はECの言い分のもっと裏側に隠れているというようなものが大分表に出てまいりました。したがってそれらも定例の会合を持つとECという機構にとって邪魔になるでしょうし、ECの機構とはほぼ定期協議みたいな形になっておりますが、それをどんな形で何カ国かというのは大変むずかしいようでございますので、目下のところは産消対話でも使いましたように各消費国それぞれが、一国ずつということで日本が先頭に立って対応する決意でやったわけでありますから、そういう表現で満足しましたけれども、まずはいまやっているように日本アメリカがやる。そうするとECの方も中から突き上げられてきたものを今度はECの方から日本に向かってもう少し緩めてほしいという交渉が来るのではないかと私は思うんです。それらのものをしばらく個別に受けてみまして、そして何点かを抽出して、定期的な国際的なあるいはまた何カ国かによる定例会議というようなものに持っていけるかどうかは、今後実際の経済の動きを見ながら各国の反応を見ながら、御提言のようなこともあるいは役に立つ一つの手段かなと思いますから、考慮さしていただきたいと思います。
  149. 吉田正雄

    吉田正雄君 次に、先般成立をいたしました新特安法、いわゆる特定産業構造改善臨時措置法の今後の運用、取り扱いについてお尋ねをいたします。  なぜかと申しますと、これも新聞報道によりますと、今度の日米政策合同委員会の議題ということにアメリカ側がしたいと。つまり、構造改善法は衰退産業を不公正なカルテルや政府支援で保護するものでおかしいという見解を伝えてきて、これについて今度の会議の中で協議をしたいというふうな報道がなされております。したがって、この産構法に対する今後の通産対応なり公正取引委員会対応によっては、それが誤解であったということにもなるでしょうし、逆にそれ見たことかというふうな批判にもなりかねないというふうに思いますので、二、三お尋ねをいたします。  最初に通産省に対してお伺いをいたしますが、特定不況産業の指定に際しては、業界の自主性、景気回復の兆しなど経済情勢、あるいは欧米などからの批判を考慮して慎重に行うべきであるというふうに思いますけれども、通産方針はいかがでしょうか。
  150. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) お尋ねの点でございますが、新しい法律での特定産業のまず指定の問題でございます。  いま業界の自主性をという御指摘ございましたけれども、この法律の指定に当たりましては、候補業種に属する業界の大部分の申し出に基づいて行われるということでございまして、あくまでも業界の自主性を基本にして運用するということにいたしております。  それから景気回復、経済情勢という御指摘もございましたけれども、もちろん業界の申し出にあったものにつきましては、法律で定められております指定要件に該当するものについてもちろん指定の手続きをとるということになりますけれども、その場合にも景気動向あるいは経済情勢については、当該基礎素材産業に及ぼす影響について十分検討した上で判断をしていくというふうに考えております。  欧米の批判につきまして、先ほど日米産業政策の合同委員会で質問があったようにお尋ねございましたけれども、これは先ほど大臣からちょっと御説明申し上げましたように、この合同委員会では、先方からは本件については特に指摘はございません。席上では、当方から積極的産業調整政策を志向するわが国産業政策考え方についての具体的な例として、本件についての説明はこちら側から行っております。  欧米からの批判の問題でございますけれども、法律の御審議の過程でいろいろ御説明してまいっておりますように、新しい法律というのは、わが国の開放市場体制前提として非経済的な部分の縮小と、回復可能性のある部分の活性化ということを目指す積極的産業調整ということでございますから、御存じのようにOECDのPAPの考え方、積極的調整政策考え方に合致をするものというふうに考えております。今後、仮に質問がございましても十分各国の理解は得られるものというふうに考えております。  以上でございます。
  151. 吉田正雄

    吉田正雄君 公正取引委員長にお尋ねをいたします。  産構法の施行と同時に公表することになっております特定産業における合併等の審査基準の内容はどのようなものでしょうか。
  152. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 法案の政府の部内での決定をいたしました際に、審査基準の骨子というものを明らかにしておるわけでございますが、その骨子に基づいて現在産構法の施行と同時に公表いたしますべき合併の審査基準の内容の詰めを行っております。  そこで、ただいまお尋ねでございますからその内容についてお答えを申し上げますと、特定産業の合併とか営業譲り受け等、いわゆるかたい合併でございますが、この場合には特定産業の置かれております特殊性というものに即して審査するために留意事項を四つ、考慮事項を四つ挙げておるわけであります。  まず第一が、構造的困難に陥っている業績不振の状況について考慮する。これは、構造不況に陥っております企業同士が合併をいたしましても通常の健全な経営状態にあります企業の合併ほど競争力の強化につながらないことが多いということから、いわゆるフェーリングの状況と申しますか業績不振の状況を勘案するというのが第一点であります。  第二点は、代替品が競争に及ぼしている影響の程度について考慮するということでありますが、代替品につきましては、代替品がございますとその代替されるもの、それの価格についても自然競争が働いてまいって、任意な引き上げ、恣意的な引き上げというのはそれだけ抑制されてくるわけでございます。代替品につきましては、それが当該商品の競争にどの程度影響を及ぼしているか評価して、代替性の程度に応じて考慮するということであります。  第三の考慮事項は、外国製品との競争の状況など当該特定産業に係る市場を取り巻く環境について考慮するということでありますが、これは外国製品との競争の状況、これは外国製品、それから国内の製品ともにいわゆる自由貿易のたてまえのもとでは国際的な市況によって価格の変動というものが抑制されてまいるわけであります。そういう意味で外国製品との競争の状況を勘案する。また、取引先の取引上の地位が強いかどうかということによって当該の合併等が競争に与える影響が異なってまいりますので、それらの市場を取り巻く環境についてケース・バイ・ケースに考慮してまいるわけであります。  それから第四の考慮事項が、構造改善基本計画の目標が達成されたときの市場構造、そのもとでの競争の状況を考えるということであります。三年――法律は五年間でございますが、構造改善計画の期間が五年以内でそれぞれの業種ごとに定められることに相なろうと思いますが、そのターゲットを達成した後にどういう競争状態になっておるのか。計画の目標に沿って過剰設備を処理した、その時点における市場の状況というものを考えまして、そのもとでの競争状態がどのようになるかを考えて合併の可否を判断する。これが実態的な考慮事項であります。  その次に、いわゆるシェア、市場占拠率につきまして記載いたしたいと思っております。当該合併等の市場占拠率が二五%以上となる案件でも、ただいま御説明いたしました四つの考慮事項を考慮するとともに、合併等によりまして市場構造が高度に寡占的とならないように考慮しながら、競争の実態に合わせて判断をしていくということであります。  高度に寡占的と申しますのは、ケース・バイ・ケースに業種ことにまた考えていかなければならないことでございますが、独占禁止法がほかの条文において規定をしております高度寡占状態、たとえば二社で五〇%でございますとか三社で七〇%でございますとか、そういう状況に、そういう条文と矛盾いたさないようにという形で市場占拠率等の基準を考えたいと思っております。  以上のようなかたい合併のほかに、それ以外の事業提携というものもあるわけでございますから、それ以外の事業提携につきましては、その態様や内容に即して、競争に与える影響を勘案しながら、合併等に準じて取り扱うということで、これはそのつながり方の中身によってかなり競争に与える影響を異にいたしますので、これまたたとえば生産のスワップでございますとか、いろいろな事態があろうかと思います。そういう状況につきまして、それぞれに勘案していきたいと思います。  以上申し上げましたのが審査基準のおおむねの中身でございますが、内容はただいま詰めておりますので、法の施行が決まりました際に同時に発表いたすという所存であります。
  153. 吉田正雄

    吉田正雄君 業績不振の状況であるとか、あるいはその状況というのをどういう基準に従って判断するかという問題が出てまいると思いますし、アメリカ等では倒産理論と言われるふうなものもありまして、相当厳しいものになっているというふうにも聞いております。  それから、代替品であるとかあるいは輸入品の扱い等、いろいろ抽象的な内容でして、なかなか簡単に判断はできかねると思うんですけれども、これは法案審議の際にもいろいろ論議をしてまいりましたので、基本的と申しますか、原則的には、この基準の運用に当たってはやはり独禁法の趣旨を損ねないという立場に立ってこれは運用すべきではないかというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  154. 高橋元

    政府委員(高橋元君) いまお話のございましたとおり、自由で公正な競争の確保、それによる国民経済全体の活性化、効率化、そういう趣旨に従いまして独禁法の運用を図らねばならぬことは申し上げるまでもないわけでありますし、法案の御審議の際にも明らかになっておりますように、構造改善法に基づく合併等の集約化は独禁法の枠内で行われるということでございますから、ただいまお答え申し上げましたように、独禁法の趣旨というものを踏まえて合併等の審査基準の運用に当たっては適切に対処してまいりたいというふうに思います。
  155. 吉田正雄

    吉田正雄君 石油化学業界における共販会社というものが四グループということで、当初は三グループというふうなことであったらしいんですが、公取ではそれに難色を示したということで業界側が四グループに再編成をして申請をしたというふうなことが報道されておりまして、公取はこれ認可するんじゃないかというふうに言われておりますけれども、この前の法案審議の際にも申し上げましたように、塩ビの例では調査が必ずしも十分でなかったというふうな回答もございましたけれども、しかし、そういう実情なり批判が出ていることは間違いございませんので、不当な価格の引き上げに連動するような動きというものをやはり十分監視をしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。具体的には一体どういうふうに対処されるのか、そういう動きに対して。この点について公正取引委員会通産当局の両者の御見解をお尋ねいたします。
  156. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いま石油化学の問題を例にとられましたが、これはまず通産大臣である私の手元でそのような承るような御構想では今回の法律でもって承知することにはならない、すなわちそのような三社構想は無理であるということで、これは公正取引委員会の中のことになるんですが、独禁法上明らかである外形的に先ほど委員長が言いましたような三社七〇とか七五とか、いろんな基準がありますから、そういうものでもって三社体制というものではむずかしいということで、私の手元でまず難色を示して、この間も答弁したかと思いますが、公正取引委員会にも行って指導を受けたいと言われるのを行きなさんなと、行ってもむだですからと言うたのは通産省の方でございまして、それでも聞かずに行かれて、私と同じようなことを感触としてやっぱり言われて、そうだったかということで改めてAグループと申しましょうか、トップグループがそれを二つに分ける形で再調整をされたという経過がございます。  したがって、ほかの大臣であればまた考えは、別な人がいたかもしれませんが、私の手元で、私のときにつくった法律の運用に当たって細心の注意をしてございますし、政省令等にも細かな私の目が行き届いておりますから、後は問題は、いま言われたように、その結果それらの業界が行う行為というものについて問題が起こった場合は当然ながら私どもまず一義的に法律の責任を負わなきゃならない立場にあるものでありますから、その監視役の公取の注意を待つまでもなく、行政機関である私たちが親官庁としてそれは行き過ぎであるぞと、それは是正しなさいというようなことをまず言うべき義務があると思います。しかし、なお私どもの監督の立場から漏れていたけれども、公取への報告、あるいは内通ではありませんが、事実の通知というようなものがあって内部からそれがばれてきたような場合、これはやはり仕方がありませんが、独禁法に基づく公取の行動が時には先になるかもしれませんけれども、結果としては是正の方向に動くことについては行政官庁である私たち公正取引委員会とは結果的には同じことをするであろうということになるかと思います。
  157. 高橋元

    政府委員(高橋元君) いまのお話のございましたポリオレフィン、樹脂業界でございますが、十八社あります業界が全体で四つのグループになりたい、グループごとに共販会社をつくりたい、こういう計画を立てておられまして、事前相談に私どもの方に来ておられます。私どもといたしましては、まだこれをどうするかという最終的な決定に至っておりませんけれども、関係事業者から資料の提出を求める、また、関連加工業界、事業界、そういった関連の事業者からも意見を徴するというような手続を経て現在慎重に検討をいたしております。そこで仮に共販会社の設立をいたすということになりました場合に、いまもお話のございました塩ビの共販の場合に起こりましたような問題を避ける、すなわち、ポリオレフィン業界において競争を実質的に制限するようなものでないということを見きわめる必要があるわけでございます。塩ビの共販の場合には、ほかのグループに属するメーカーまたは共販会社と塩ビの販売面で協調的行動をとらない、第二に、製品の輸入を妨害しない、第三に、交錯輸送の解消等によって流通経費の低減を図る、第四に、共販事業の実施状況について定期的に当委員会へ報告してもらうとともに、経済事情の変化等によって独禁法上の問題が生じた場合には是正のための指導に従う、四つの条件をつけたわけであります。  ポリオレフィンの共販会社をつくりますのは、全体としてポリオレフィン業界の合理化、構造改善に資するための手段でありますから、全体としての構造改善を進めている上で、通商産業省の御指導、いまも大臣からお答えのありましたように、非常に重要でありますけれども、私どもといたしましても、ポリオレフィン樹脂業界における競争の実質的制限に至らないというような体制を十分立てまして、その活動を通じて不当な価格引き上げが行われることのないように業界の動向について十分監視していきたいというふうに考えております。
  158. 吉田正雄

    吉田正雄君 公正取引委員長、ありがとうございました。  次に、この前の委員会から論議をやってまいりました発電原価の内容についてさらにお尋ねをいたします。  いまお手元に三枚の資料を配付をいたしたと思いますけれども、横の表になっておりますものをごらんおき願いたいと思います。  発電原価の算定方法については、いままで通産省が発表した見解とかあるいは国会論議の中で明らかになった通産のやり方に従って私の方で計算をした試算表でございます。時間もありませんから詳しく申しませんが、そこにモデルプランということで、それぞれの電源種別ごとにそこに掲げたとおりでございます。  それからいろんな略号が出てまいりますけれども、Aというのはキロワット当たりの建設単価、それからnは耐用年数、それからPというのが設備利用率でございます。それから建設期間がm、こういう数字は大体いままで通産省が明らかにした数字でございます。それに基づいて試算をやったわけでございますが、左の欄外にカケ印といいますか、P分のAに比例する値、その印がついているのは、Pというのはいま申し上げました設備利用率ですから、P分の一に比例――逆に言えば、Pに逆比例ということになりまして、建設費に比例をするということになります。それからもう一つの米印は、設備利用率に反比例するということになるわけでして、それはただ一つしか出ておりません。燃料費の下から二段目の段の一番右の方に一・六七という数字のところにその印がついております。  そこで、詳しくずっと御説明を申し上げますとよろしいんですけれども、とにかく時間もありませんから、とにかく通産のいままで言われてきたその算定方法、数字等を用いて計算をした結果なんです。それによりますと、こちらの試算でも大体通産省が発表をしてまいりましたモデルプラントの発電原価とほぼ一致をいたしております。一般水力の場合、二十円程度とおっしゃっておったんですが、こちらの場合も二十円二十三銭ということですからこれはほとんど同じということになりますし、石油火力も二十円程度ということで、ことでは十八円となっておりますが、これ実は油の価格を二十九ドルに下げましたのでこういう結果になったということですから、前の計算もほぼ間違いないということになろうかと思います。それから石炭火力についても十五円程度とおっしゃっておりますから、ほぼこれも合っております。それからLNG火力についても十九円程度ということで、これ一九・一九と、こう出ております。それから原子力につきましても十二円程度ということで、ここでは十二円八十四銭ということですから、まあこの程度のものは程度ですから、中の数字が若干違えばこの程度の違いは出てくるだろうということですが、ほぼこちらの試算といままで通産の発表された試算が一致をいたしております。  そこで、問題はどこにあるのかといいますと、実は電気新聞の今月の十日号のところで、「米国電気事業の現状(下)」というところで、この料金のことが触れてあるわけです。これも時間がありませんから要約して申し上げますと、「石炭より若干有利な原子力」ということが書かれております。ところがその次のところで「コストの不確実性が相対的に高い原子力」ということで、「経済性を比較する場合、最も重要な点は将来のインフレ率や設備利用率などの前提条件をどう考えるかであり、その考え方によって結論は逆転することもある。」と、こういうことをここでも述べておるわけです。  そこで、私の方の試算ですけれども、どういうことが言えるかと思いますと、いまの設備利用率ですね。これは私が前から何回も申し上げてきたんですけれども、いままで設備利用率が原子力の場合には七〇%になったことは一回もないわけですね。数年前までは四〇%台とか五〇%台という非常に低いものであったわけです。最近いただいた資料によりましても、五十七年度が六七・六%というふうに高くなっておりますけれども、これが高かった原因というのは定期検査をこの一年間ほとんどやらないところが多くて十二カ月たって三カ月定期検査をやったと。つまり十五カ月分の三カ月というふうに変わってきたということがありますし、それからもう一つ年度途中で運転開始をやったものの率もそれには入っているわけですね。だからこれを年間に引き延ばして考える。つまり通年でもって計算をいたしますと同じ通産からいただいた資料そのものを計算いたしますと実は設備利用率が五二%になります。  そこで、この石炭火力と原子力の場合を比較したときに、石炭火力のこの発電原価の内訳を二つは分けて考えられるんです。一つはいま申し上げました設備利用率に逆比例する部分というのが七円二十九銭、それから設備利用P分の一に左右されない分が七円三十八銭ということです。それから原子力の場合ですと先ほどの十二円八十四銭のうちP分の一に比例する部分というのは十一円、P分の一に左右されない分が一円八十三銭と、こういう計算の内訳になっております。  そこで、これに石炭火力と原子力の実績を当てはめてみますとどういうことになるかといいますと、石炭火力の場合、まあ石炭火力に与えられた任務というのがありまして、夜間は休むと。いわゆる季節変動であるとか、あるいは揚水の場合だとか、これは水力ですけれども、いろいろな一日の需要変動に応じて休んだり、休まなかったりということで設備利用率違いますけれども、松島火力の一、二号機の場合には平均で八二・二%、つまり休ませないで使っておりますと大体これくらいの数字になっております。これは実績です。  それから原子力の場合にはいま申し上げましたように、通年で計算をいたしますと、皆さんの資料で計算すると五二%なんですね。これをこの算式の中に入れますとどういうことになるかといいますと、石炭火力の発電コストは先ほどは十四円六十九銭というふうにそこに表では出ておりますけれども、これが実は十三円六十銭というふうに下がってまいります。  それから、原子力の発電コストについてはそのP分の一のPが変わりますので、十二円八十四銭から十四円五銭というふうになって、この設備利用率というものを実績値でもって計算をしていくというと、石炭と石油の価格というものが逆転をすると、これはまあ皆さんの資料でやっておりますからこれは皆さん方もお認めになると思うんです。  さらに、私はここで問題にしたいと思いますのは、原子力の建設費というものが、このモデルプラントの場合には二十七万円というふうになっておりますけれども、もうこの建設単価もだんだん三十万円台に入ってきておるということでありますので、仮に建設費を三十万円といたしますと、設備利用率を皆さん方の発表の六三%にしても、実は発電コストは十五円二十一銭というふうになってまいります。で、さらに問題なのは、この発電コストの中には皆さんもお認めになっておりますように、実は廃炉のコストであるとか、あるいは高低レベル廃棄物の処分費というものがここには算入をされてないんですね。で、これは全く未知の部分である。特に、廃炉の経費についてはアメリカでも非常な幅がある。特にこれを三十年なり五十年なり管理をしていくということになりますと、もう建設費を上回るというこの計算をやっておる方もあるわけでありまして、そういう大きな部分がきわめて未確定である、空白としてこの原子力のコストというものがはじき出されておるということでございます。  これは前にもちょっと紹介したと思いますが、「エネルギーフォーラム」の八二年の五月号の高橋宏さんの論文にもまあそのようなことが触れてございますけれども、いずれにしても数字がちょっと変わることによって、決して原子力というものは――いまの場合には石炭と比較をしたんですけれども、決して安くはならないと、むしろやはり高いという結果がここでは出てくるということを申し上げたいと思うんです。きょうは時間もございませんので、こちらの試算ではそういうふうになりましたということで、これは一覧表もお上げしましたので、皆さん方でも十分さらに今後検討していただきたいというふうに思います。  ただ一言言っておきますと、燃料費という下から二段目の欄のところで、その上段のフロントエンドのところが〇・八三円というふうになっておりますけれども、実はここのところでは、皆さん方からいただいた資料で単位時間当たりの燃料消費率がどれぐらいになっているんだというふうな点について細かい資料が得られておりませんでしたので、こちらの方でその数字を入れました。しかし、これが違ってもそう大した影響の出てくる数字ではないと、その他の数字は皆さん方のいままでの算式なり数値に基づいてやったということでありますから、きわめてこれは信頼性の高い数字であるということを申しておきたいと思うんです。  次に、漁業補償についてお尋ねをいたします。  この漁業補償に関する資料もお手元に二枚いっておりますので、これをごらん願いたいと思うんです。お配りした表は、表1というのは「原子力発電所漁業補償額」と、この一番下の欄外の注というところに「通産省資料より作成」と、こういうふうに書いてありますけれども、これちょっと御説明しておかないとまた誤解が出るかわかりませんので、私の方で正式に漁業補償額について資料提示を求めたところ、いろんな支障が生ずるので新聞発表を取りまとめたものとして提示をいたしますということでこの数字が出てまいったわけですが、まあその確認の段階ではこの数字には間違いがございませんと、確認はできますと、こういうふうにおっしゃっておりますから、直接これということで出された資料ではありませんけれども、新聞発表の補償額についてはこれは信頼性の置ける数字であるというふうに確認をして、ここに載っけたわけでございます。  その点はよろしゅうございますね。
  159. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) そのとおりでございます。
  160. 吉田正雄

    吉田正雄君 なお、ここには――各自治体に対する協力費というものについても新聞発表取りまとめというふうなことがございました。これは補償額もそれから自治体に対する協力費も、実はこれは秘密にはされておらないんで、漁協とそれから電力会社との間ではきちっと補償額について協定をして調印をして発表されている数字なんですね。それから協力費についても、同じく自治体に対する協力費はその自治体の予算に計上をされております。したがって、その数字というものを見ますというと、同じく新聞発表の数字と自治体の予算に盛られた金額というものが一致をいたしておりますので、この点についてもその数字というものは確認できる数字であるということでよろしゅうございますか。
  161. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 協力金につきましてもそのとおりでございます。
  162. 吉田正雄

    吉田正雄君 そこで、最初に漁業補償額を算定するに当たっての算定基準というのはございますか。
  163. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) ございます。  もう少し敷衍いたしますと、昭和三十七年に閣議決定で公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というものが定められておりまして、これを受けまして通産省におきまして昭和三十八年に電源開発等に伴う損失補償基準というものが定められております。これに基づいて電力会社漁業補償が行われるよう、指導等行っておるところでございます。
  164. 吉田正雄

    吉田正雄君 その定めた基準というのは、第二十二条の趣旨の条文というものがそういうものだと思うんですが、もうちょっと数字というか内容を申し上げますと、純収益というものを利子率で割ったものだと、原則的にですね、そういうものだと理解をしてよろしいわけですね。
  165. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) そのとおりでございまして、補償基準の二十二条にそのように表現しております。
  166. 吉田正雄

    吉田正雄君 電力会社漁業補償額を算定するに当たって、いまお話のありました電源開発等に伴う損失補償基準という、この通産省の定めた算定基準に準拠しなければならないというふうに思っておりますが、その点はいかがでしょうか。
  167. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 仰せのとおりでございます。
  168. 吉田正雄

    吉田正雄君 電気事業法第百五条においては、「通商産業大臣は、毎年、電気事業者の業務及び経理の監査をしなければならない。」とされております。その際、電力会社の支払った漁業補償額がいま話の出ましたその損失補償基準の算定基準にのっとって適正に算定されたものかどうか、チェックをされておりますでしょうか。
  169. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 監査のやり方につきましては、料金改定時の特別監査、あるいは定期監査、あるいは大きい発電所の完成の際における建設監査という監査のバリエーションはいろいろございますが、その諸監査の過程において漁業補償額につきましても基準に照らしたチェックはしております。
  170. 吉田正雄

    吉田正雄君 そこで大臣、いまお配りをいたしました「表1 原子力発電所漁業補償額」という表をごらんいただきたいと思うんです。  福島第一の場合は六基ありますけれども、約四百七十万キロワットということで、交渉妥結年が四十一年です。そのときの補償額というものがわずかという言い方は変ですが一億円であった。ところがだんだん年が経過をしてくるにつれましてだんだん補償額というものがふえてきております。たとえば福島第二というのが中ほどよりちょっと下にございますけれども、これは出力が福島第一よりも約三十万キロワットほど少ないんですけれども、補償額が十七億二千万円ということで、わずか七年間の間に十七倍にはね上がったということであるわけですね。  それからそういうことでずっと見ていただきますと、たとえば女川の場合ですね、下から四段目ですが、宮城県の女川の場合は出力が五十二万四千キロワットですけれども、これがもう九十八億円というふうにふくらんでいる。確かに女川の場合には漁獲高が高いというふうなことを私どもは客観的には承知をいたしておりますけれども、しかし、それにしても全体の傾向から見たときには、とにかく年とともにどんどんどんどんふくらんでいっておるということが非常にこの表からも明らかであるわけです。  それから、実はもう一枚資料も用意したかったんですけれども、まあ時間もなかったし、そこまではいいだろうということでつくりませんでしたけれども――これはまあ総額であるわけです。ところが漁協組合員一人当たりの平均補償額というものを見ますと、これは平均ですよ、平均というものを見ますというと、昭和四十七、八年の、ここはまあ伊達火力ですね、伊達火力の場合には伊達漁協の組合員は一人当たり平均三百二十万円台、それから豊前火力の八屋漁協というんですか、これが百四十万円であった。ところが四十九年ですね、すぐ一、二年後の四十九年以降、柏崎の漁協であるとか、先ほど申し上げました宮城の女川漁協では一千万円以上になっておるんですね。  そこで、私の方でこの電源開発に伴う損失補償基準に基づいて試算をしたところ、柏崎の漁協の場合多く見積もってもせいぜい一人当たり二百万円から三百万円程度にしかならないんですよ、これは。これでも比較的、有利も何もないんですけれどもね、式があるわけですし、いろんな統計というものがございますからね、有利にするも不利にするもないんですけれども、大体そんな数字に当てはまるということが言えるわけです。そこで、結局この漁業補償の実情というものを見ますと、電力会社は基準を守っていないのではないか。あるいはまた通産省としては、先ほど監査規定に基づいて定期監査であるとか、電力料金引き上げの際等では基準に基づく監査というものはきちっとやっておりますということの答弁であったわけですけれども、そうすると監査の段階におけるチェックが甘かったのか、あるいはなかなか魚価の判断だとか利益率なんていうのが非常にむずかしいと、あるいは資料等も十分得られないというふうなことで、まあむずかしいから多分電力会社の試算というのは間違いないんじゃないかというふうな善意の立場でお見逃しになったのかということになると思うんですけれども、この辺についてはどのようにお感じになっておりますでしょうか。
  171. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) 確かに漁業補償基準の考え方は、先ほど御指摘の二十二条を基本の理念にしておりまして、これをもう少し開きますと、基本的にはその漁場における漁獲量、その地域の魚の魚価といったものが基本になります。そして、その地域の漁法による経費というものを差し引くことにしまして算出するんですが、非常にむずかしい部分は、その漁場の将来性というものも加味するという方式になっております。その将来性というのは港湾等の整備をすることによってその漁場はさらに発展するとか、あるいは養殖計画があることによって現在以上に収益が上がるとか、いろんな要素がございますが、そういった要素も含めて勘案するということでございます。  私ども監査におきましては、そういったある意味では客観指標と言える魚価、漁獲量、そういった経営経費、あるいは将来性というもので算出しておることをチェックしておりますが、率直に申し上げまして、その魚価が真正なものであるか、その当該地域の実情においてその各魚種ごとのその単価は適正であるか、漁獲量について本当に適正であるかというような、非常に個別具体の中身につきまして、監査側の通産省側として十分漁業知識、専門的知識を持ち合わせていない面も確かにございます。したがって、方式の面できちっとこの基準に沿った算出方式をとられておること、プラスその内容が客観的に妥当であるかはみずからが判断するのも素人でございますからそれはしないで、当該地域における県の判断、あるいは県漁協の判断、さらには学者の調査報告等を勘案して判断をするということになっております。その点が専門家でない私どもの監査であるがゆえに、非常に中身についてあいまいさがあるかどうかという御指摘の点については、さらに私どもとしても検討しなければいけないところがあるとは思います。そういう実態だということを御理解賜りたいと存じます。
  172. 吉田正雄

    吉田正雄君 大臣、ここにお示ししたのは、これは客観的な数字ですが、私どもとして、通産省はそれではどういうふうな基準に基づいて算定をしたのか。その算定に必要ないろんな資料、たとえば補償金算定方法、補償額総括表、補償額の事業別負担の考え方及び事業別負担額内訳、補償額計算表というふうないろんなものを資料として要請をしたんですけれども、この資料というものが得られなかったということでありまして、しかし、いままでの、現実に電源開発に当たっては漁協側としては各漁協に対する補償額がどうなっているかということで、反対をすればするほど補償額が高くなっていくということを知っておって、事実そうなっている。また電力会社としても、わずかなことでいつまでも電源立地がおくれては困るというふうなことで、補償額をもうつかみ金で、一々めんどくさいことを言わないでつかみ金で、他とのつり合い上、これならば漁協が納得するだろうというふうな政治的な配慮でもってこの漁業補償を行っているんではないかという疑いをどうしても消し去ることができないんです。いや、そんなことはないというふうにいま部長もおっしゃって、ただ正確な資料がなかなか得られないという点はお認めになったんですけれども、そのいい例を一つお示しをしたいと思うんですが、それがこの表2なんですよ。これはむつ小川原の漁業補償なんです。これは通産大臣あるいは経企庁長官も御存じかもわからないんですけれども、実はこれは運輸省の所管で行われたやつです。通産のも実は全然ないわけじゃないんだと思ったんですけれども、余りにも生々しくてもあれだと思いましたから、運輸省のものを持ってまいったんですけれども、これについて若干説明をしないとおわかりにならないと思いますので申し上げますと、その表2の一番上の欄のところで六ケ所村海水漁協というところで、平年漁獲量というのが二つずつ書いてございますね。Aというのは、これは青森県が提出をした漁業補償額集計表に記載をされている数字なんです。それからBというのは、各漁協の業務報告書による昭和四十八年度から五十二年度の平均販売実績なんです。で、先ほど事業部長は将来のというふうなこともおっしゃったんですけれども、この算定の場合には、あいまいもことした十年先、二十年先なんというのは考えておらないんでして、平年という言葉が使われているんですね。これは過去何年間かの平均なんです。そうやってこの二つの数字が出ている、その数字でも大分違いがありますけれども。ところが実際、これはいま訴訟も起きておりますけれども、この中で明らかになった数字はどうなのかというと、これは県も漁協もごまかしてやったということがこの左側の欄なんですね。どういうことかというと、そのBのところを見ますと、実は漁協の場合は三十万八千キログラムといって記載をしておったのが、漁業補償の段階では三百八十八万キログラムというふうに数字をもう十倍にふくらまして出しておる。みずからの業務報告書の中には一億六千四百八十五万円と出しておるのが、今度は県の漁業補償という段階になってきたら十五億七千九百万円ですね。というぐあいにべらぼうにふくらましておるということなんです。  そこで、さらに農林水産省の漁業経済調査報告というのがございます。それが表3です。ここのところを見ますというと、この漁業種類というのが、そこに小型底びき網あるいは釣り・はえ縄漁業、採貝・採草漁業、小型定置網と、こういうぐあいに書いてあるわけですね。そして、そこで純収益率がずっと書いてありますし、それから集計戸数がこうだということで、加重平均をした純収益率というのが一二・九%、一一・四%、三〇・六%ということで、ずっと一番右のところに書いてある。  この農林水産省の漁業経済調査報告書に基づく数字というものをかいたのが、「図」というところで「補償事例における純収益率の分布」というので、農林水産省ののはそこの一番左のところで破線でもってすうっと入れてあります。上の図で見ますと一二・九%というところ、これは農林水産省のいま言った報告書の数字なんです。ところが実際の補償額というのは、小型底びき網のところを見ますというと、どれもずっとはるかに高いところで補償されてるということなんですね。収益率が二〇%から三〇%という件数が一、三〇%から四〇%というのが約三件、それから四〇%から五〇%が四件と、こういうぐあいに、いずれも非常に高い純収益率ということになってるわけです。それは、その右の釣り・はえ縄の場合も同様です。農林水産省の数字では一一・四%というのが、実際に補償をもらってる人たちというのは全部右の方へずれておると、こういうことなんでしてね、大変なごまかしが行われておるということなんです。まあ、これらを見ますと、実際の漁業補償では大体純収益率を四、五倍にふくらませておるということがはっきりするわけですね。  そういうことで、私は通産大臣、経企庁長官もおいでになりますけどね、これだけの漁業補償というのは、先ほども話がありましたように、電気料金算定でもってこれ、こうチェックをしていくわけですけどね、まあ、チェックは私は率直に言って資料不足ということもあって、なかなか厳正なチェックができなかったという点はわかりますけれども、いずれにしてもこれが電気料金に全部はね返ってくるわけですね。そういう点で私は、反対運動は反対運動といたしましても、私は適正な補償はすべきであって、適正な補償までやるなと言ってるわけじゃございません。適正な補償はすべきであるけれども、とにかく何でもいいから反対を抑えるためには金でもって、つまり札束でもって漁民のほっぺたをたたけばいいという、そういう漁業補償のあり方についてはきわめて問題があるんではないかというふうに思いますので、通産大臣といたしましては、今後の漁業補償はまさに通産の基準に基づいて各電力会社が適正に算定をするような指導というものを今後強化をしていただかなければいけないんじゃないかと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。
  173. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 漁業補償の問題は、一つ一つの件数が全部違うわけです。基準というものも確かにありますけれども、ある漁協の問題は、先ほど例を挙げられました、漁獲高に及ぼす今後逸失利益と申しましょうかね、そういうものを主にするところもあれば、あるいは総額で海面の平米当たりの面積の単価というものを議論をして、そしてまあ分配すれば一人当たり幾らになるというようなことを積み上げていったりするところもあり、あるいは場合によっては温排水が及ぼす影響を漁獲に金額換算をしたり、いろんなケースがありまして、一律にどのケースがよかったか悪かったか、あるいは適正であったかなかったかの判断は、客観的には大変むずかしい作業になるだろうと思います。ことに、これらの場合には仲に県が入りまして、一生懸命漁業者、あるいは漁業協同組合、あるいは県の漁連、そういうところとの間に半公的に立ちながら、発電所建設についてのまあ協力と言いましょうか、そういうことについて仲に入ったりいたしますと、今度はまた県会あたりの問題などになりましてですね、大変むずかしい事例を私自身も二、三――私も漁連の会長してますので体験もしておりますが、まあ、どれが適正なのか。要するに電力会社から言えば、紆余曲折はあっても、そこに立地できればそれが成功であったというようなケースもあるし、あるいは、そんなことを言われたんではもう他に場所を探さざるを得ないというところに追い込まれるような、企業にとってはもう耐えられないというようなものがあったりするし、なかなか一律にはむずかしいと思うんですが、要するに、もうここらでよかろう、いや、もう一声だというような交渉をやるんですね。それで、まあ最終的にはその金額が出るわけですが、これはやっぱり建設する方の会社も相当期限をせかれるような交渉の仕方でない、すなわち交渉が成り立てばそうしたいというようなゆっくりした時間から開始をしませんと、もう通産省の許可を得てしまったと、まだしかし詰まっていないということになりますと、羽目板しょっての交渉というようなことになって、かえって双方に弊害が起こると私は見ております。したがって、十分に詰まったもの、あるいは私どもが審査を通産省でいたします場合でも、そこらの背景をいままでと違って、最初挙げられましたように、一億で済んだものが第二になると十七億二千万円になっておるようなことの背景は何かということは、おぼろげながら環境破壊とか汚染とかあるいは保護とか、いろんなこと等も含めてこういうことに時代がそうなってくるんだと思うんです。したがって、狭い日本列島の中の立地というのは今後もきわめてむずかしいでしょうし、そういうものについては、今後これを毎年度決めまする際は、もちろんいまやっておりますけれども、どの程度ぐらいまで話が詰まっておるものなのかも念頭に置きながら、その発電所建設の許可というようなもの等にも配慮をしていきたいと考えます。
  174. 吉田正雄

    吉田正雄君 時間もありませんし、私の説明については大臣も十分理解をしておいでになるはずでございますので、もうくどくど申しませんが、いずれにしても内閣の決定として、さらに各省庁が、補償は今後この基準によって適正に行われたいということで、各電気事業者あてにこうやって出ておるわけでございますから、そういう点では大臣が一々チェックをされるわけではございませんので、担当事務局としてこれはひとつ適正な算定というか、チェックだけはやはりそれなりの厳しさがないと、これはかえっておかしなものになる。指導官庁として、何だ、甘いということになって、その他の通産行政にも余りいい影響というものは出てこないんじゃないかと私は思いますし、また電力料金に対する無用な誤解なり疑惑というものが持たれますので、そういう点で今後ひとつ十分適正に行われるよう慎重な取り扱いを要望して、この問題については終わりにいたします。  次に、産業政策と言って振りかぶりますと、ばかに大上段に聞こえますけれども、私は通産行政の中でやはり地域開発等大規模開発というのは非常に大きな課題だろうと思いますし、従来も大規模開発等における環境汚染の問題、公害の問題等が論議をされてきておるわけです。まあ、いまさら釈迦に説法でございまして、申し上げるまでもないと思うんですけれども、憲法は十一条で国民の基本的な権利というものを保障し、これはまあ侵すことのできない永久の権利だというふうに述べ、続く十二条、十三条、九十七条とともに基本的人権の保障に関する基本原則というべきものも定めておることは御承知のとおりです。この基本的人権の中には自由権である身体の自由、言論の自由、信教の自由などのほか、社会権である勤労の権利、これはまあ二十七条ですが、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、二十五条などが含まれていることは御承知のとおりです。  そこで、当初申し上げましたように、それにもかかわらず、電源開発等の大規模開発あるいは工場立地等では強権による用地買収や漁業権の放棄、あるいは公害による生命や健康への危害などというものが今日まで数多く事例が出ております。そこで、基本的人権が産業政策によって侵害を許されてはならないという立場から、幾つか質問をいたします。  第一点は、アメリカ連邦最高裁が四月の二十日に、連邦政府が放射性廃棄物処分の安全な手段、これは最終処分を含むというふうに思われるんですけれども、を考案するまで、各州政府に新たな原子力発電所の建設を禁止する権限があるという決定を、賛成九、反対ゼロで決定を下したわけですね。そこで、科学技術庁おいでになっておりますか。――これは通産にもお尋ねをいたしたいと思うんですが、高レベル廃棄物及び廃炉の処理等、最終的な永久処分の技術的方法について現状がどうなっておるのか。また通産省としては、これら放射性廃棄物、特に高レベルのものについての最終処分をどのようにするのか、方針が決まっておるのかどうか。もし処理処分技術の未定の中で今後も原発建設を進めるとしたら、これはきわめて無責任と言わなければならないというふうに思いますが、以上いかがでしょうか。
  175. 松田泰

    政府委員(松田泰君) 廃炉と高レベルの廃棄物の処分問題でございますが、まず廃炉から申し上げますと、現在日本におきましては、原子力発電所が何年ぐらい実際上使えるかということにつきましては、普通三十年ないし四十年と言われているわけでございますので、まだ当面すぐというわけではございませんけれども、廃炉の技術の開発ということは心がけてやっているわけでございます。この問題につきましては、通産省独自の方針といいますよりは、原子力委員会におきます計画、最近では長期計画に今後の方針が述べられておりますが、その方針に従って国全体として研究開発を進めているという状況でございまして、一番現在やられておりますのは、JPDRにおきましてこの廃炉の解体の技術というものを現在研究中であるということでございます。基本的な方針としては、一九九〇年代の終わり、二〇〇〇年の初めごろまでに技術を確立したいということ、その内容としましては、跡地、日本のような立地の状況ですと、跡がそのまま使えないというよりは、できるだけ使える方がいいというようなことから、三つぐらいの方式があるわけですが、最終的には解体撤去して再利用ができるというような方針等々が決まっているわけでございまして、それに向けまして、動力試験炉でありますとか、あるいは私どもの方では原子力工学試験センター等に委託をいたしまして、解体の技術等につきまして研究をしている、あるいは除染、遠隔操作等の技術について研究をしているという状況でございます。もちろん廃炉の技術そのものがじゃ確立してないかということにつきましては、まだ大型のものにつきまして現実にやった例といいますのは外国で幾つかございますけれども、それほど大型ではないということからはっきり確立するまでにはいろいろな問題があると思います。しかし、その内容は除染あるいは被曝管理あるいは解体といったような内容から推しまして基本的に大きな困難があるということではないというふうに考えておりまして、ただ、実際運用に当たっては細かい点につきまして、これ特に被曝などが少ないように、あるいは経済的に行えるようにということにつきましてはさまざまな工夫がなされる余地は十分残っているというふうに考えております。  それから高レベルの廃棄物の処分につきましては、これも動燃事業団あるいは原子力研究所等を中心といたしまして、高レベルの廃棄物につきましては、先生御存じのようにある程度冷却期間を置きました後ガラス固化をいたします。で、ガラス固化をした状況でまた何年か冷却いたしまして、最終的には地層処分をやるという方針がこれも原子力委員会の方針として決められているわけでございまして、その方針にのっとりまして動燃事業団あるいは原子力研究所等で現在研究が続けられておるところでございまして、ガラス固化の方法でありますとかあるいは最終的な地層処分をする場合の地盤の状況等々といったことについていま研究が行われているわけでございます。もちろんこれにつきましては今後もいろいろと勉強していかなければいけない問題がたくさんあるわけでございまして、それが必要となる時期というのはまだかなり先でございますので、その間十分研究を上げていくということでやっていけるのではないかという見通しがあるわけでございます。もちろん先生が御指摘になりましたように見通しがないんではないかという見方をする方もいらっしゃるわけですが、これにつきましては従来と同じように私どもの方としては十分技術的にはこのような研究を続けていくことによって対処できるんではないかという方針を変えていないわけでございます。  先ほど御指摘ありましたアメリカの判決といいますのは、正確にはカリフォルニアの州法によりまして、州で廃棄物の技術がない場合にその州が原子力発電所の建設を禁止することができるという内容の州法につきまして、最高裁が電力会社の訴えを受けまして、州がこういう権限を持っているかということについて判決を示したわけでございまして、その場合、最高裁の判決の内容は、州は――州と連邦政府の権限の分担というのがアメリカではいつも問題になるわけでございまして、州は経済的な理由からいまのような状況……
  176. 吉田正雄

    吉田正雄君 簡潔にしてください。内容はわかっているんですから。
  177. 松田泰

    政府委員(松田泰君) そうですか。どうも失礼いたしました。
  178. 吉田正雄

    吉田正雄君 聞いたことにもうちょっと端的に答えてください。
  179. 松田泰

    政府委員(松田泰君) はい。それはアメリカの例は例としまして、日本の場合には、何といいますか、高レベルの廃棄物の処分につきましては十分将来確立できるという方針のもとに現在いままでどおり原子力発電所の建設はそれとして進めていくという方針でございます。
  180. 吉田正雄

    吉田正雄君 大臣、いまの答弁をお聞きになっていてわかると思うんですけれども、私が聞いているのは廃炉の解体技術ももちろんまだ未完成である、これからやろうと。それから高レベル廃棄物についてもガラス固化がいいか何がいいかということも、これもまだ研究中なんです。それはいいですよ。いずれできるかもわかりません。私が一番お聞きをしたいのは、そうやって、なおかつ最終処分ですね、永久処分ですよ、これをどういう方法で、どこへやろうとするのかということが全然未定なんですね。さすがにこれアメリカの場合でも処分場所であるとかその他についてはまだこれから研究しなきゃならないということで、すぐそれでいいということはいってないんですよね。トイレなきマンションなんというものとは比較にならない大変な課題を抱えておると。で、プルトニウムの放射能の半減期というのが二万四千年もかかるんですね。これはもう人類が管理できるなんというしろものじゃないんですよ。そういう点で、私は使用済み核燃料の、いわゆる高レベル廃棄物の処理も非常にむずかしいけれども、最終処分というものについては、これは現在の科学、人類の最大の悩みではないか。場合によってはこれが環境汚染によって、かつて申し上げましたように、人類を破滅に追い込む、そういう危険性というものをこれは核と同時に持っているんじゃないかという警告も、認識をしている科学者によって厳しく問われておるということでありますので、現在のエネルギー需給の状況等を踏まえ、さらには公害のおそれのない、再生可能な自然エネルギーですね、こういうものの開発にもう少し力点を置くべきではないか。予算を見ましても、原発だけはもう必要にしてかつ十分な予算が出ておる。ところがその他の代替エネルギーについては、先端技術でないとか、石炭の液化だのどうだの言ってみても余りぱっとしないという、これまた科学者の立場もあると思うんですけれども、そういうものについては行政も学者も余り目を向けないということでほとんど進んでいないんですが、やはりこういう問題を考えますと、いまのお話しのように、廃炉の時期というのは三十年か四十年先だからそれまで考えればいいという、そういう無責任な態度は許されるとは思いません。そういう点で、その他のクリーンな自然エネルギーの開発にもう少し重点を入れるべきではないかということなんです。いま原発をやめろと言ったって、国策でありますからそうはまいりませんという答えが返ってまいりますので、そこはいいですわ。その他の代替エネルギーについてはどのようにお考えになっておりますでしょうか。
  181. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) さすがのアメリカも、原子力潜水艦がだんだん耐用年数が来ると、そこで初めてはたと困って、これをどうしたらいいかというのでいま頭をひねっているような状態、これもう一連の問題点の一つだと思うんですね。  そこで、私は、とんでもない話をするとお聞きにならぬでください。アラブに行きまして、産油国の指導者といえどもやはり英邁であると感嘆したことがございます。それは私どもが言っている言葉を向こうが私に言った。すなわち、これ以上に石油の値を下げることは、私どもの国家の再建なり財政収入減の問題を超えて、人類のために代替エネルギーの建設のコストが、いわゆる引き合わないところにデッドクロスする値段があります、これは私たちも避けたいと。したがってわれわれは省エネ、新エネ、代替エネ、太陽エネルギー、そういうものを人類が手にするように、そして私たち石油は長くもてるようにというようなことを向こうの指導者から言われて、私は本当に恥ずかしいと思いました。油さえ戦略に使えばいいと思っているんではないかと思いがちな私どもの表面的な皮相な観察は誤りであって、アラブ湾岸の産油国の指導者も英邁であって、そしてやはり地球の未来を考えている、そのことに深い感銘を覚えました。このことを私はヨーロッパのIEA会議でも訴えました。そういうことはとんでもない話とはお考えでしょうが、しかしそこまで考えている問題を私たち自身が、それにもちろん、一生懸命後退しちゃならぬと言ってはおりますが、産油国の人まで心配していることを私たちが行ってはならぬ。したがってわれわれは、いま確かに原子力というのは、私たちの右手と左手に平和利用と軍事利用と二つ、一つは人類壊滅への道、一つは人類の未来を創造する道、二つの火をわれわれはつかんでしまったわけでありますが、しかしこの火も、平和の火であっても、人類の未来を無限に開拓をする火であっても、やはりそれは自然、原子力は原子力であるということを考えて、その先を対応していかなければならないということでありまして、先ほどのお話もそこらのところに結論としては尽きるかと思います。したがって私どもはいままでどおり新しいエネルギーに、コストの問題その他でちゅうちょすることなく、国家としては取り組んでいかなきゃならないし、民間は恐らくコストとして引き合わないようなものには及び腰になるであろう、あるいはやめようとするであろう。そういうようなところにはやはり国の方で、未来は、そう長い未来私たちは保障されているんではないからということでいろいろ説得をして、日本資源のない国であって、エネルギーのない国であるが人類の英知によってつくり出すエネルギーをこんなに創造し得た国であるということになる可能性もわれわれにはあると、日本民族は私はそういう力を持っていると、そういう自信も抱いておりますので、いまの御意見も念頭に置きながら今後の日本民族の未来、人類の未来もそうですが、日本民族の未来というものをわれわれがいち早く先がけて開拓した民族になりたいものである、そのように考えます。
  182. 吉田正雄

    吉田正雄君 非常に時間が迫ってまいりましたが、まだ質問をしたい事項がずいぶん残されておるんですけれども、幾つかの点は省きます。  ただ、大臣に要望しておきたいと思いますのは、私も原発問題ではこの六年間ずっと一貫してやってまいったんです。事故の現状等についてもずいぶん論議をしてきたんですけれども、率直に言って通産省それから科学技術庁の事故に対する調査というものがきわめて不十分であり、ずさんだということが実はこの前の原電敦賀の事故のときに私どもも現地へ参りまして調査をやった結果明らかになったんです。それもう時間がありませんから繰り返しません。そういうことでもう少しこの原発について事務当局としても大臣に実情についてはぐあいが悪いから隠しておこうというふうなことでなくて、やっぱりありのまますべてを報告して大臣の正しい判断を仰ぐ、そういうふうに努力をしてもらいたいというふうに思います。  そこで、国際放射線防護委員会――ICRPの新勧告の国内制度取り入れについてお伺いいたします。時間がありませんので早口で述べますし、答弁もひとつ簡潔にお願いをいたします。  このICRPの新勧告に対して、三月二十四日に日本の放射線審議会基本部会がその検討結果を取りまとめ、審議会会長あてに報告書を出しております。この報告書に対して科学技術庁原子力安全局は四月二十日付文書で、部会報告の取り扱いについて放射線審議会の総会でさらに審議を行い、その検討結果を関係大臣あて意見具申をし、各省庁では、この意見具申をもとに法令改正の検討を進めることになると述べております。  そこで、科技庁にお尋ねをいたしますが、まず一点は、この基本部会報告の中で、今後整理すべき部分とはどのようなもので、それに関連して改正すべき法令はどのようなものと予想しておいでになりますか。またその改正の時期をいつごろと考えておいでになりますか。
  183. 佐藤元之介

    説明員佐藤元之介君) まず法令整備を要する主要点は大きく申しまして三点ございまして、まず第一点は、作業者の線量当量限度の問題でございます。これは実効線量当量限度を年五レムとするという点及びそれの例外といたしまして計画特別被曝等を含んでおります。二番目が、公衆の線量当量限度の問題でございます。それから三番目が、作業者の区分と個人管理の問題、これが法令改正を要する主要点というふうに考えております。それから放射線障害の関連関係する省庁は六省庁ございまして、法令で言いますと八つの法令がございますが、関係する省庁は科学技術庁、通産省、厚生省、労働省、人事院、運輸省でございます。法令で言いますと、原子炉等規制法それから放射線障害防止法、医療法、薬事法それから労働安全衛生法、国家公務員法、船員法、船舶安全法ということになっております。主として改正内容は規則レベル等になろうかと思いますが、今後の国内の取り入れ時期に関しましては、今後放射線審議会の総会におきましてさらに審議を行いましてその結論が出されると、それからということになりますが、行政庁におきましては、この審議動向を見ながら、この件が各省にまたがるということもございますので、関係各省庁間で十分連絡をとりながら検討して対処するということになろうかと思います。
  184. 吉田正雄

    吉田正雄君 時間が迫ってまいりましたから私が以下質問を何点か申し上げますので、後ほどで結構ですから科術庁と通産省の方から私にこの質問に対する回答を文書でも口頭でも結構ですからお寄せいただきたいと思います。よろしゅうございますね。  部会報告は、作業者の線量当量限度について、制限の例外として通常の作業における計画特別被曝の線量当量を一回につき十レムを超えず、また、生涯において、その和がこの限度の五倍を超えないならば許されてよいとしております。ただし、そのような事例はほとんどないと思われるが、きわめて限定された場合の特例措置としてその適用の余地を残しておくことが望ましい、適用に際しては行政当局の十分な監督のもとに行われることが必要であると述べております。  そこで、そのような事例はほとんどないと思われるがと述べておりますけれども、いままでそのような事例があったかというのが一つ。  それからきわめて限定された場合の特例措置とはどのような場合と解しているのか。もしこれを容認するということになりますと、特定の人を犠牲にすることになって、この報告に携わった人たちの良識と基本的人権、さらには人命の尊厳と健康の重要性に対する認識を疑わざるを得ないと思うんですね。これはこの前の科学技術特別委員会で私がユンクの「千の太陽よりも明るく」という最初の、冒頭で彼が述べた言葉について申し上げましたけれども、その言葉を私はこの人たちに再度熟読玩味をしてもらいたいと思っておりますが、その点をまずお聞きかせ願いたいということと、それから今日までの委員会審議での答弁でも明らかなように、被曝線量の低減に努力こそすれ、このような無謀とも言える特別被曝は認めるべきではないと思いますが、基本的な考え方はどうかということです。これは科技庁に対してですね。  それから通産省に対して。  昭和五十四年の十二月二十一日の国会法第七十四条に基づく私の内閣総理大臣あてに対する原子力発電所に就労する者の放射線被曝対策等に関する質問主意書とこれに対する答弁書の内容について承知をしておいでになりますかとお聞きをするところですが、これは出ておりますので、その点を十分検討をしていただきたいということと、それから部会報告を受けて、通産当局としても今後検討していくことになると思いますが、特殊作業において一日一レム以下の計画被曝線量の指導というものを今後も継続していく方針かどうか。従来は、先ほどの質問主意書の答弁にあるように、今後も低減に向けて指導を強めていきますということになっておるわけですが、その方針が変わるのかどうなのかということですね。  それから具体的な法令の検討で、従来の内容は線量を下げこそすれ、上げることは従来の方針に反すると思うということで基本的な見解をお聞かせ願いたいということであります。これもう時間がそろそろ参っておりますから答弁はいまは要りませんので、以上の点について後刻私の方に御回答をいただきたい。  それから、もう一分半か二分くらいありますので、まだもっと重要なのがあるんですが、時間切れでかえって質問になりませんから……。  島根の第二次公開ヒヤリングが十三、十四日と行われました。そこで、通産大臣あてにも過去何回か要求してきているんです。その要求というのは、公開ヒヤリングを抜本的に改善をすべきではないかという内容なんです。というのは、運営その他について本来あるべき民主的な公開ヒヤリングの内容になっていない。そういう点でアメリカ等の事例も参考にしながら、本当に納得し得る、そういう賛成、反対は別にして、同じ土俵で論議をできるような、そういう抜本的な改善をすべきではないか。これは要求書もずいぶん前から何回か出ておりますので、この点について、私は、このたび行われた島根のあの公開ヒヤリングの実情を、私は行っておりませんが、少なくともテレビや新聞等の報道で見る限りは、改善の実を上げたというふうにはなかなか評価をできないんではないかというふうに思っておりますので、第二次よりも第一次がきわめて重要であり、これは通産省の責任において開催をされることでありますから、今後ひとつ大臣、この問題について関係諸団体と十分話し合っていくというその話し合いの姿勢があるかないかだけいまお聞かせを願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  185. 小川邦夫

    政府委員(小川邦夫君) まず島根の第二次公開ヒヤリングは原子力安全委員会の開催でございますが、私ども通産省といたしましても、原子力発電所の建設に反対の方々が今回の公開ヒヤリングに参加されたということには非常に意義を見出しておるわけでございます。ただ、運営面においてまだまだ議事の混乱がある等問題があって、工夫が今後必要とされているという認識を持っております。  私ども、一次ヒヤリングにつきましても、さらにいまの状態ですべてやり方も凍結ということではなくて、関係者の意見を十分伺いながら、より円滑な運営に持っていくよう工夫、努力を重ねていきたいと考えております。
  186. 吉田正雄

    吉田正雄君 先ほど、経企庁長官ですね、当初の通産大臣に対する一連のヨーロッパの経済会議等について関連をして御質問を申し上げる予定でありましたが、ちょうど大臣おいでにならなくて、その後ずっと来てしまったものですから、これも時間が参っておりますので、項目だけ述べまして後ほど通産大臣の見解等について御答弁をいただきたいと思います。  それでは、明快な答弁が得られると思いますし、余りたくさんございませんので、ここで御答弁をいただきます。  第一点は、OECD経済政策委員会の状況、内容等については先ほども御説明がございましたけれども、たとえば、ここではGNPの上方への修正というふうなことも話し合われておりますが、そのときにおける日本側の態度がどうであったのかということが第一点です。  第二点は、同じくOECD閣僚理事会での共同声明に盛られた内容を今後の日本経済政策に具体的にどのように反映をされるのかどうか。  第三点は、東西間の経済、貿易関係のあり方について、特に経済政策の面でどのように対応をされるのか、その基本的な方針をお尋ねいたします。  それから第四点といたしましては、近く民間活力導入委員会を設置をするということが新聞で報道されましたけれども、この設置に至る経過とこの委員会設置の目的、そしてそこでは中心的な調整官庁は経企庁だろうというふうに思いますが、この間の法案の審議のように、全然関係のない経済企画庁が担当されたというふうなこともございますが、経済企画庁が担当されて十分機能が発揮できるのかどうか、その点についてお尋ねをいたします。
  187. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いずれも大変根の深いむずかしい御質問でございますが、簡単にお答え申し上げます。  まず第一、GNPの上方修正の問題、日本対応の問題でございますが、聞くところによりますと、OECDの中でも検討中でございます。私どももたびたび吉田委員の御質問にもお答えいたしまして、原油値下がりの問題、あるいは円レートの問題、さらにまた世界経済の回復の問題等の好影響の問題がありますので、常に経済見通しにつきましては検討しなければならないと思っているところでございますが、これらは今後の推移を見てひとつ検討をすることになろうかと思いますが、上方修正になるようなことを企画庁長官としては特に希望しておるところでございます。  第二は、共同声明の盛られた政策的な問題を具体的にどのように日本政策において反映するかという問題、これはインフレなき持続的成長をどのように反映していくかという問題でございますので、きわめて広範な問題でございます。去る四月五日決定いたしました例の内需拡大のための経済対策を中心といたしますところの問題を含めて、私は、今度の予算のシーリングの問題の決定、さらにまた今後の経済成長、経済の、何と申しますか、推移に応じて具体的に検討してまいりたいと思うところでございますが、特に金利の問題は、よほど私どもも、何と申しますか、期待をして、高金利が、アメリカにおいて検討される方向で持っていかなければならないと考えておるところでございます。  それから第三は、東西関係の問題でございますが、これは、御案内の、大変むずかしい、多分に政治的な問題が経済と非常に絡む問題でございますので、ひとつ慎重に扱っていくべき問題だと、無原則な政経分離はとらないというこれまでの方針は堅持していきたいと思うところでございます。  四番日の民間活力導入委員会の問題でございます。これは企画庁が委託調査をお願いしたところでございまして、近いうちに法規あるいは収益性の問題を含めて広範に日本プロジェクト産業協会の中に委員会をつくられて検討される、私どももその点において側面から大きく協力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  188. 市川正一

    ○市川正一君 会期末も近づき、私は、今国会を含めて昨今取り上げました若干の問題について、この際、締めくくり的質問を行いたいと思います。  まず、四月十二日の本委員会で、私は電気料金値下げ問題について山中大臣質問をいたしました。その際、大臣は、ここに議事録もありますが、「既定の計画として持っている電力会社設備投資を前倒しをしなさいということの積み上げが五千億であって、別途この五ドル下がった分についてのものは入っていません」、「五千億もう設備投資に回しちゃったから電力料金改定には回りませんよと、そういう数字ではございません」、こう答えられた。そして、利益還元策は料金値下げも含め検討すると、こう答えられたのでありますが、この見解、この立場というものはいまも変わらないと思いますが、いかがですか。
  189. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 全然変わっておりません。
  190. 市川正一

    ○市川正一君 ところが、きのう中曽根総理原油値下げに伴う電力会社のコスト軽減分は設備の補修や設備投資に回してもらうとこう述べられています。すでにこれは日経の四月二十六日付の新聞でありますが、こう報道しております。「原油値下げの利益還元策として政府電力業界が検討してきた電力料金の引き下げが見送られる見通しとなった。東京電力など電力九社が政府の要請にこたえて設備投資を増額する形で利益を還元する方法を選んだもの」、こう報じておりますが、これはいまの大臣の見解、立場と違っておると思うのですが、いかがでしょうか。
  191. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) きのうの総理の会合における発言は、私も出る予定でございましたが行っていなかったわけであります。したがって、きょうの報道において知ったわけでありますが、総理とその問題でその後話しておりませんけれども、ただ、五ドル値下げが単年度でどう処理されるかという問題ならば、総理の意見も私の意見も同じであります。ということは、来年はまた石油が上がるというようなことになるならば、そしたら料金値上げを少しでも先に延ばすために必要な設備投資その他をいまのうちにやっておくという考え方は誤りではない。  しかし、私がいま中東各国を回ったりなどしながら得ました感触では、最低三年は産油国の方が上げる気がないし、むしろ下がる方を心配しているということで、ほぼ確信を得ましたので、したがって改めて今後三年間は下がったままで、いまのままでいけるということを前提にして、あらゆる産業政策を急速に日本が再活性化するような誘導をしていきたいと、そう考えますときに電力料金のウエートというものは非常に私生活はもちろん企業にも大きなコストになるわけでありますから、そこのところはいじらないで、そして日本の産業に活力をと言ったところで、逆にいじらないでは不可能なのであります。したがって、私はこれを三年ぐらい、最低三年という射程でとらえながら今後検討していきます場合に、依然として電力料金値下げもその国民へ還元していくファクターの一つであるといういままでの自論に変わりはないということで、総理の意見とも変わっていないと思いますし、変わっているようでしたら私の方で総理と意見のすり合わせをいたします。私の意見は総理に従ってもらうような方向ですり合わせいたします。
  192. 市川正一

    ○市川正一君 私はきわめてこれは重大な問題であるし、また大臣もこの問題については責任担当閣僚としていまの御答弁の立場でひとつすり合わせでなしにきっちりした結論をひとつ、いつも持ち逃げ、食い逃げとは言わぬけれども、そうなっていますので。  もともと私は四月十二日の質問のときに大臣の答弁を聞いて若干奇異に感じた、正直に言って。そのときにすでに日経が、ここにありますけれども、「三千億上積み要請 通産省景気対策に盛る」という報道があったのです。だからこれは大丈夫かということでお聞きしたのです。そしたら大臣は、「既定の計画として持っている電力会社設備投資を前倒しをしなさいということの積み上げが五千億であって、別途この五ドル下がった分についてのものは入っていませんという注釈を口頭では一応説明してございますが、誤解されるおそれがありまして」、念に入って「市川先生は誤解していらっしゃらなかった質問でございましたが」、こうありました。  ですから、ここまで断言されたんで、私は一応矛はおさめた、あのときに。そうすると、今日の事態はこれが誤解だったのか、正解だったのかはっきりしてほしいんですよ。ですから、私はいまおっしゃった立場できっちりとこの結論をお出しになるということをもう一度念を押しておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  193. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私の答弁は正解でございます。私は初めからそう思っておりましたが、断定的に言うことができなかったのは、何年ぐらい続くのかなという見通しが立たなかった。そこで、今回は三年続くことをほぼ私としては確信を得ましたから、したがって、先ほど申し上げましたとおり、総理のおっしゃっているのは、単年度だけであったらそれは確かにいままで見送られてきた、あるいはそのために値上げ要請までしようとしていた業界でありますから、設備投資その他でたまっているところもありましょうから、それはそれなりに正解だと私は申し上げた。しかし、これが三年続くことを前提にやるとすれば、やはり電力料金の問題も含めた国民への五ドル分の活力というものがおりていく、それが日本企業がまた再び世界の最先端に立つ活力を取り戻す重大な天恵を握ったということにしたいということでございますから、私の答弁はそんなに疑問を持たれるような答弁ではなかったと思いますが、もう一遍繰り返します。  五千億円は――ちょっとふえましたけれども、既存の電力業界の設備投資の予定の前倒しの金額でございます。したがって、石油の五ドル値下げ分がたまたまその金額にほぼ近いからといって、それが相殺されて、もう金は、電力料金引き下げに回す余地はございませんということは言わせませんということをはっきり申し上げておいたつもりでございます。
  194. 市川正一

    ○市川正一君 大臣の御答弁をしかとさように正解として承っておきますけれども、私はいままでの通産省行政指導は、この点ではやっぱり電力会社の、いままでの実態から見るときわめていろんな危惧を持つんです。  具体的に申しますと、設備投資が利益隠しの一つの方法として大いに利用されてきたんです。五十八年度電力九社の設備投資計画は御承知のように、三兆三千九十六億です。これは電力需要の低迷を背景にして五十七年度実績見込みの約一・四%増にしかすぎません、非常に低いんです。ということは、そういういわば今日の電力需要状況にありますから、もし能力増加につながる設備投資をやりますと、これは過剰設備の負担を招くことになる。そこで、結局そうでない改良工事、先日私もここで指摘いたしましたが、そういうことをやらしていくということで、結局原油値下がり利益分をこの景気対策の名のもとにそこへ取り込んでいくおそれを私は率直に言って感じております。  ですから、この点私は、たとえば東京電力の例をとってみても、最近発表された資料によりますと、五十八年度の経常利益は二千七百億前後と、過去最高の水準だと、こう伝えられております。したがって、私はいまの大臣の御答弁、なかんずくあのときももう少し原油原価の趨勢を見届けてとこうおっしゃっていた。お帰りになって三年は大丈夫とこうおっしゃった。という上に立って、なおさら私はただいまの正解を文字どおり正確として確認をして、今後の御指導を注目いたしたいと、こう思っております。
  195. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) どうも通産省電力業界をかばって甘やかしているような印象がいままであったのかもしれません。しかし、私のいままでの答弁ではっきりおわかりのように、私は電力会社は九つに分かれているとはいえ、公益の性格を持つものであって、いま私は九つの電力会社のコストを全部洗えということが命じてありますし、そして、電力会社の社長、役員等の給与は周辺の民間企業に比べて高過ぎる。したがって、場合によっては役員の給与の削減を私が命ずるかもしれぬということまで内部で言っているんで――表に出しちゃいましたけれどもね。そこまで厳しいことを言ってますから、私の姿勢はおのずからおわかりであろうと思います。
  196. 市川正一

    ○市川正一君 次に、先日、私、大臣も御記憶だと思いますが、商工中金系の金融機関サラ金業界に融資をしている問題を取り上げました。それのフォローというか後追いと同時に、関連して消費者信用の問題で若干御質問いたしたいと思います。  消費者信用産業調査研究会、それが一九八一年、おととしの暮れに発表しました「消費者信用産業の現状とビジョン」という中間報告書が出ました。これでありますが、これによりますと、消費者信用の新規供与額の予測は、一九七九年の実績約十四兆円が、八五年には二十八兆円になるだろうと、こう予測しておりましたけれども、ところが、日本割賦協会の予測では、これが何と三十五兆円を超えるのではないかと、こういうふうに言われております。  こうした与信の膨張の中で、紛争またトラブル、非常に数多く発生しております。  それで、御承知のように、消費者信用というのは、サラ金などに代表される消費者金融と、それから耐久消費財などの月賦購入に代表される販売信用、この二つございます。  ところで、前者の消費者金融について見ますと、大蔵省が集計した貸金業者の一昨年度末の融資残額は一兆二百五十億円です。また、七七年度から五年間の年平均伸び率は、何と二五%であります。特に、武富士、プロミス、そしてアコム、レイク、この大手四社に至っては、年平均伸び率五七%、八二年の決算で、この四社の貸出残高は八千七百二十億、前年度比二・四倍であります。  こうした消費者金融の急成長の裏で、多額債務者の自殺、一家心中、蒸発等々の惨劇が昨今頻発しております。  そこで、大蔵省、警察庁にお伺いしたいんですが、消費者金融の現状、その紛争、犯罪、そういう状況をつかんでいらっしゃるかどうか。一つの指標として、たとえばことしになってから現在までの自殺あるいは心中、強盗、殺人、こういうデータについてどうつかんでいらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
  197. 仲村規雄

    説明員(仲村規雄君) お答え申し上げます。  警察庁では、本年一月一日から四月の十五日までに各都道府県警察で検挙をいたしまして、警察庁に報告のございました凶悪事件等のうち、サラ金からの借金が犯罪の原因動機となったものをとりあえず拾って調べましたところ、合計四十五件が把握されております。警察庁に報告のない事件の中にも、サラ金からの借金を原因動機とするものが相当数あるものと思われますが、とりあえず調べましたこの四十五件につきまして、これを原因別に見てまいりますと、その返済資金欲しさに犯しました強盗殺人事件が八件、強盗が二十一件ございます。それから、サラ金の借金をめぐるトラブルによります殺人事件が二件ございます。それから、サラ金苦によります前途を悲観いたしましての放火が全部で五件、殺人放火を含めまして全部で五件ございます。それから心中事案が九件ございます。  以上のとおりとなっております。
  198. 日吉章

    説明員(日吉章君) 現在ございますサラ金を含みます貸金業の実態につきましては、私どもは、その数が約二十万というふうに届け出数が多いこともございまして、必ずしも正確には把握いたしておりません。ところが、かつて私どもの方で実態調査を、アンケート調査をいたしましたところから推測いたしますと、大多数は個人営業を営んでいるというふうな事業形態になっておりますし、そのうち主としてサラリーマン金融を行っているという者は五割を割っているのではないかというふうに思われます。したがいまして、一業者当たりの貸出残高とか、消費者向けの一軒当たりの貸出金額等は、一企業者という形でとらえますと、それほど大きくはなっていないのではないかと思います。ただ、いまも申しましたように、二十万軒という非常に多くの業者がございますために、その実態は必ずしも正確にはとらえられていないというのが実情でございます。特に、繰り返しになりますが、個人営業が非常に多いために、その実態はなかなか把握しがたいというのが現在の状況でございます。  なお、サラ金にまつわりますいろいろな事件でございますが、犯罪につきましては、ただいま警察庁の方から御報告をいただきましたが、私どもは、都道府県に本件の事務を委任いたしております関係上、とりあえず大きな七つの都道府県から最近におきます相談件数を照会いたしてみましたところ、五十五年で約三千五百件、五十六年度が約五千件、五十七年度で八千件というふうに、その相談件数が著しく増加してきていることが把握されます。
  199. 市川正一

    ○市川正一君 警察庁、どうも御苦労さまでした。  いま、お帰りになる前に、ちょっとお聞き願いたいのですけれども、四十五件と、こうお話ございましたけれども、せんだっての朝日新聞の調査などによりますと、実態として自殺、心中だけで百五十三件百八十五名。いまおっしゃったのは、強盗、殺人等々とございましたけれども、むしろ私は、警察庁がにぎっていらっしゃるよりも、実際にはもっと実態は深刻である、もっと波及しているという認識をお持ちでやはり対処していただきたいということを、この機会に強く要望したいと思うんです。
  200. 仲村規雄

    説明員(仲村規雄君) ただいまお話にございましたように、いま申し上げました数字は、警察庁に報告のありました件数の中から拾い出したものだけでございます。ほかにも報告のないものの中に相当あるものと思います。したがいまして、ある一定期間を区切りまして、いずれ実態を調査したいということを検討しております。
  201. 市川正一

    ○市川正一君 ぜひそれを本格的にやっていただきたい。いま大蔵省からもあったように、五十五、五十六、五十七年と歴年激増をしているわけで、五十五年に比べてもうすでに相談件数だけでも倍以上になっているわけです。  そこで、大蔵省に引き続いてお伺いしますけれども、このサラ金業者二十万件あるというのだけれども、それを資金面から支えているものが、ほかならぬ大手の都市銀行であり、そして信託銀行、また地方銀行もそうですし、中には政府系金融機関までもそれにかかわっている。こういういわば金融機関からの融資の実態を政府側はつかんでおられるのかどうか。そして、こういう融資は私は、本委員会でも問題にし、大臣も許せぬと、こうおっしゃったんですが、まさに慎むべきだと思うんですが、それに対してどう対処されているのか、この点どうですか。
  202. 日吉章

    説明員(日吉章君) 庶民の資金需要に対しまして適切に対応するのは、金融機関の使命でございますので、私どもといたしましては、金融機関に対しまして、従来のように、もっぱら企業金融にのみ積極的に取り組むのではなく、個人金融にも積極的に取り組むべきだというふうに指導をしているところでございます。  ところが、五十年代に入りましてから、先生御指摘のように、サラリーマン金融に関しますいろいろな社会問題が惹起されてまいりましたので、五十三年に至りまして私どもといたしましては、各金融機関に対しまして、金融機関の公共的な性格にかんがみまして、社会的信頼を損なうことのないように、貸金業者に対する融資に対しては慎重であるべきであると、こういうふうな口頭の示達を流してございます。この点は全くいまも態度は変わってございませんで、私どもといたしましては今回貸金業規制法案が成立したことを契機といたしまして、さらにまた最近時点におきましてはサラリーマン金融問題が再び社会問題化しております事態に注目いたしまして、基本的には従来の口頭通達と同じ内容のものをある意味では若干ブレークダウンをしながら改めて文書でもって通達を流したいと、かように考えているところでございます。
  203. 市川正一

    ○市川正一君 慎重であるべきだというような、そんなことでは済まぬと思うんですよね、私は。この問題ではもっとやはりこういう惨劇が広がっているその事態を防止するという立場で私は手を打つべきだと思うんですが、その点で先日成立しましたサラ金規制法ですね、これは私にして言わしめれば結局サラ金業者の暴利をこれを公認するものである、そういう批判が高まっておりますけれども、そういうものであると思います。しかし、これから法施行までの間には駆け込み的に届け出をしたりあるいは債権の回収にあくどいやり口が横行すると思うんでありますが、法施行までの対策として大蔵省ではこれに対する具体的な対策を立てていらっしゃるのかどうか。  そして、いま口頭でなしに文書で出すと言われたけれども、政令ないしは省令でもって悪質不当な貸し付けや取り立てを厳しくあるいは効果的に取り締まるようにすべきだと思うんですが、この点はいかがですか。
  204. 日吉章

    説明員(日吉章君) ただいま私が貸金業者に対します融資につきましては慎重であらねばならないという通達を流していると申し上げましたが、実は社会的批判を受けている行為を助長するおそれのある融資については厳に自粛を図られたい、こういう厳しい口調で示達をしておることを申し添えさしていただきたいと思います。  なお、今回法律が通りまして施行までの間でございますが、これにつきましては去る五月の十三日に公布されました。早速われわれといたしましては一刻も早く施行にこぎつけられますように政省令、通達等の準備作業に入ってございますが、諸般の情勢から考えましてその施行は秋以降にならざるを得ないと考えております。しかしながら、先生ただいま御指摘のように、それまでの間におきましても十分法律の趣旨が生かされないといけませんから、私どもといたしましては早速に各貸金業者を指導する立場にあります都道府県に対しまして法律を添付いたしまして、法施行前でありましてもこの法律の趣旨を十分守られるように管下の金融業者あるいはその団体に指導方をよろしく要請したところでございます。  なお、具体的な実施に当たりましては政省令、通達等が必要なわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、われわれといたしましては通達の中に、法律では必ずしも具体的に列挙をされていない不当取り立て行為内容あるいは誇大広告禁止事項の内容等につきまして、これが法律で言う刑事罰の対象になるかならないかは別といたしまして、社会通念上望ましくないと思われるものは具体的に例示する等によりまして法の趣旨を周知徹底を図りたいと、かように考えております。
  205. 市川正一

    ○市川正一君 この点に関しては、私前の委員会で大臣に対処を商工中金のことでお聞きいたしまして、大臣は「厳しい指導を私は現在もいたしておりますし、これを正常な姿に返すことはできないものかということで、いま具体的な案を考えております。」と、こうお答えいただきました。私は、お帰りになった、帰国されたばかりですからきょうは別としても、ぜひこれの具体案を煮詰めていただくことをこの機会に要望いたしておきたいと思います。
  206. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) あの答弁の後、全銀協額の会長の交代がありました。新しく全銀協の会長になられたのはたしか三井銀行の頭取だったと思いますが、その人の就任の談話を聞いて、やはりみずから反省し、えりを正したいという気持ちになりました。それは銀行法上の禁止をされた行為だとはあながち思わないけれども、しかしその銀行融資した金が使われた結果、先ほどもありましたように、新しい会長は、一家心中あるいは自殺、その他の犯罪行為、そういうものの結果をもたらすことに銀行は思いをいたすべきである。したがって自分会長就任に際して、そのような行為が、いわゆる融資した結果がそれはサラ金の方に回っていくことがわかっているような金については、自粛していきたいという談話を見ました。  そのときに、やはりいわば国家金融機関とも言うべき商工中金の指摘されたような行為については、これはもう許しておけないということで、理事長も呼びましたし、内部の関係者とも相談をいたしておりますが、ただ、現在貸し付けてある金の、債権債務といいましょうか、それをどのようにするかについてちょっと詰め残しをまだしておりますんで、いずれにしても今後そのような行為はもうさせないということではっきりとした方向を示していま作業中でございます。われわれいやしくも政府関係機関と言われるような機関がそのような行為をするようなはずはないんで、商工中金の設置法にそのような行為をしてよろしいという解釈できる文字はないはずでありますから、そこらのところは理事長も十分にわかっておられましたし、また去年まではやっていなくて、長い商工中金の歴史があったんです。去年から急にそういうものをつくって始めたということに私は問題があるというふうに考えておりますから、これはきちんといずれ整理をいたしたいと考えます。
  207. 市川正一

    ○市川正一君 その債権債務の問題の詰め残しのことも含めてひとつ詰めていただくことを要望いたします。  次に販売信用の問題に進みますが、いわゆる割賦販売による信用供与のうち、個別割賦購入あっせん契約というのは現行の割賦販売法の規制対象外になっているために、この部分でのトラブルが非常に多発しているとされておりますけれども、実態は通産省いかがでしょうか。
  208. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) 通産局を含めました通産省消費者相談室で受け付けております件数、要するに相談件数でございますけれども、その相談件数で見ますと、これはいろんな相談がございますので、その相談をたとえば表示にかかわる問題であるとか、安全にかかわる問題とか大きく分けて整理をしておりますので、おっしゃるような個品割賦というかっこうの細かい分類というのは実はないんでございますけれども、割賦販売、訪問販売あるいは商品取引等の契約にかかわる相談件数ということでまとめたのを見ますと、五十五年度が二千六百三十五件、五十六年度が三千五百五十五件、五十七年度は三千八百九十件というように逐年増加をいたしております。  御指摘の個品割賦購入あっせんがどのくらいあるかということにつきましては、こういった相談の中からいろいろ問題が具体的な問題といいますか法律上の問題、処理すべき問題としてこちらに上がってまいりますので、そういうところから判断をいたしますと、個品割賦購入あっせんというのは問題としてふえているというふうに理解をいたしております。  その内容を簡単に申しますと、個品割賦あっせんをやる場合の売り手に当たる販売店が倒産する場合、あるいは商品の売買のときに役務があわせてその取引に附帯しているような場合があるわけでございますけれども、それが守られないような場合、あるいは売り手側というよりはむしろ買い手側と若干共謀をいたしまして、買い手側が買ったという名義を売り手に貸しまして、そこで不正な信用供与と申しますか、融資が行われる、そういったような問題が存在するわけでございます。
  209. 市川正一

    ○市川正一君 趨勢は大体わかりましたんですが、たとえば国民生活センターですね、あそこがまとめた昭和五十六年度の全国消費生活相談統計年報を見ますと、商品をめぐる相談のうち、販売方法、契約サービスに関する項目が、昭和四十五年当時は相談件数三万六千件のうち三千九百件、つまり一二・五%だったのが五十六年には、十一年後にはこれが六万六千件で四一・八%にもふえているわけですね。先ほど申しましたこの消費者信用産業調査研究会中間報告、これを見ましても、現行割賦販売法の適用を受けない与信形態についても販売条件の表示、契約の内容を証する書面の交付、契約の申し込みの撤回等、消費者保護のために必要な措置を講ずる。さらに必要とあらば法制、行政指導等現行制度の再検討を行うということを指摘していることは御承知のとおりだと思うんですが、私は通産省もこれまでいろいろ通達を出して指導していると聞いておるんでありますが、状況は依然としてやっぱり改善されていない、こう思うんですが、この実態の認識はいかがお考えでしょうか。
  210. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) 御指摘のとおり、行政指導でいろいろ改善の措置は講じてまいってはおるわけでございますが、これも御指摘のとおり法律上の基本的な問題について十分処理ができてないところがあるわけでございます。御指摘の個品割賦のあっせんの場合のトラブルが起こった場合の責任をだれが負担するかというところが必ずしもはっきりしていないために消費者に不都合が生じておるということが問題点でございまして、御指摘の消費者信用産業調査研究会でもたしかそれを指摘しているかと思いますけれども、そういった問題を含めていま対策を検討しているところでございます。
  211. 市川正一

    ○市川正一君 そのためにもいまの実態、いまの現状、これをもっと詳細にリアルにつかむ必要があると思うんですが、その点そうお考えでしょうか。
  212. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) 先ほど申し上げました通産省消費者相談室を通して入ってくるいろいろな事案によりまして、問題の所在というのは私どもつかんでいるつもりでございます。これが何件くらいかということになりますと、これは先ほど申し上げましたように、契約にかかわるものということで、包括的にしか数字的にはとらえられておりませんけれども、これは件数がうんと多くなったら処理を急ぐとか、あるいは件数が少ない場合はほっとくという問題ではございませんで、基本的に消費者保護のために対策が必要な問題でございますから、現在の消費者苦情の状況をもとにしまして対策をいまいろいろと検討してもらっているところでございます。
  213. 市川正一

    ○市川正一君 私は量と同時にその中身ですね、数だけでなしにそれが一体どういう問題を内包しているのかということをつかんで、したがって、それにどう対応するかということが出てくると思うんですが、そういう立場でひとつぜひ調査を強化していただきたいと思います。  その上に立ってお聞きしたいんですけれども、個別割賦購入あっせん契約というのは、言うまでもないわけですが、整理して申しますと、消費者販売店との間の物品売買契約と、消費者信販会社との間のいわば立てかえ払い契約とが、それぞれ独立した契約になっているわけであります。  したがって、消費者は、購入した商品あるいはサービス、ここに瑕疵――きずがあっても、結局信用供与者である信販会社の支払い請求に対して抗弁によって対抗することができないわけです。債務の返済を行った上でしか販売店、いわば売り主に対して瑕疵担保責任等の追及をすることができない。非常にそういう不利な立場に置かれておるわけです。とにかく金払ってからでないと物言えぬわけです。文句言えぬわけです。  私は、こういう事態をなくすためには、消費者が売り主に対する抗弁をもって、そして信用供与者に対抗できるようにする必要があるんだと、こう思うんですよ。またそれは私の意見じゃなしに国民生活審議会消費者政策部会、ここに現物を持ってまいりましたけれども、この昭和五十三年九月の中間報告でも、「消費者信用取引の適正化について」というところで指摘をしているところであります。  私は、こういう問題の解決がいま火急に求められていると思うんですが、通産省はいかがお考えですか。
  214. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) 御指摘のように早急な処理が必要だと考えまして、現在消費者信用産業懇談会というところで対策を検討しているところでございます。
  215. 市川正一

    ○市川正一君 しかし、大臣も御承知だと思いますが、去年の九月に高松の高等裁判所において、「購入商品の欠陥を理由に買い主はクレジットの支払いを拒むことができる」という判決が下されている。この点での私はむしろ行政の側の立ちおくれ、いわば不備、まあ怠慢とは言いませんけれども、立ちおくれがやはりある。これに対する警告がこういういわば司法の側から下されたというふうに言っても決して過言ではないと思うんです。  私は、こういう点で直ちに是正をすべきである。いま火急にという言葉を私使いましたが、さしあたって現行の割賦販売法を改正して、そしてこれを規制対象に加えることで対応が可能であると思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  216. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) 御指摘のように、対策を法律の中にまとめるとすると割賦販売法になるだろうと思っております。具体的にそういう場合の責任の分担をどうするか、どういうかっこうで、どこまでの責任を、だれが分担するかというところにつきまして、これはいろいろ学説もあるところでございますから、消費者信用産業懇談会で検討してもらっているわけでございます。
  217. 市川正一

    ○市川正一君 日弁連ですね、日本弁護士連合会が、朝日新聞の報道するところによると、「商品について物販店と信販会社が共同して責任を負う形にすべきだと主張、すでに通産省に意見書を出している。」こういうふうに述べております。  私は、その懇談会がいろいろなすっているというんですけれども、いつまでに結論を出されるのか。ちょっとそれ、通産省の責任として、行政の側の責任として、ひとつきっちりこの機会に詰めさしていただきたいんですが、いかがですか。
  218. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) 消費者信用産業懇談会は、大体ことしの六月ぐらいまでには結論を出す予定になっております。
  219. 市川正一

    ○市川正一君 来月ですな。
  220. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) 来月です。  それから後、法律の具体的な準備をするようになろうかと思います。恐らく結論としては割賦販売法の改正案というかっこうになるんだろうと思っておりますけれども、まだ結論が出ておりませんからはっきりしたことは申し上げられませんが、大体そういう方向に行くというふうにお考えいただきたいと思います。
  221. 市川正一

    ○市川正一君 じゃ、六月に懇談会の結論が出て、それを受けて通産省としては直ちに法改正に取りかかると、こういうことですね。
  222. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) 御指摘のように、法律改正案の準備をいたしまして、しかるべき国会に提出をするということになろうかと思います。
  223. 市川正一

    ○市川正一君 まあ審議官がそう言わはるのやから、一番最後に大臣に裏打ちしてもらうつもりですけれども、もう一、二聞いてからなにしますが、もともとこの割賦購入あっせん契約というのは割賦販売法を逃れるために考え出されたいわばまあ脱法行為なんですね。  そうしますと、当面これを規制しても、信販会社の方はまた脱法行為を、抜け道を考え出す、そういうおそれがあると思うんです。現に、これは新聞報道もいろいろ出しておりますが、信販やクレジット会社が、キャッシングと称してサラ金を介入さしてそしてまたむしり取るといういろんな形がこう出てきておるわけですね。私は、こういう新手の脱法行為が横行するのは、消費者信用取引に関する包括的なないしは統一的な規制法がないからだと。とりあえずいまのことを言うてまっせ。それで、より根源的にはその問題があると思うんですよ。この点では、昭和四十七年の割賦販売法の改正の際に、本委員会においても消費者信用保護に関する基本立法の検討を附帯決議で、ここで決議しているんですよ。そういう経過もあるわけでありまして、むしろその火急の対策、と同時にこの包括的ないしは統一的な対策を急ぐべきではないかと思うんですが、この点はどうですか。
  224. 斎藤成雄

    政府委員(斎藤成雄君) 御指摘のように昭和四十七年でございましたか、附帯決議で消費者信用保護に関する基本法の検討が要望されておりまして、いろんなことがその決議の中に書いてございまして、たとえばその中では訪問販売とか通信販売についての規制もやれというふうなこともございました。そういう当面の問題から逐次処理をしてまいったわけでございます。  今後の問題といたしまして、そういった全体の法律がある方がいいかどうかということは、これはもう少し勉強する必要があろうかと思っております。と申しますのは、同じ信用でございますけれども、やはり販売信用とそれから消費者金融というのは、これは法律の構成も違っておりますし、所管の官庁も違うという問題がございまして、私ども、通産省の所管であります販売信用を中心にして従来からいろいろ勉強を進めてまいりましたので、いまの割賦販売法の改正になりますか、個品割賦のあっせんなぞはそういった問題の一つとして摘出しているわけでございまして、それ以外にもまだ幾つか販売信用にかかわる問題ございますから、そういった問題をどうやって解決するかということにまず専念いたしたいと思っております。基本法のようなその包括的なものがある方がいいかどうかということについては、まだ私ども十分検討いたしておりません。必要があればそういう方向も考えてまいりたいという考えでございます。
  225. 市川正一

    ○市川正一君 大臣、お聞き及びのようなことなんでありますが、一つは緊急に現行割賦販売法の改正の問題があると。これはもうあしたでもすぐやる言うてはるんです。それで、これはひとつほんまにそうなのか。  それからもう一つは、昭和四十七年の附帯決議があるわけですよ、本委員会における。で、そのときの通産大臣がだれかということは私は言いませんけれども、その通産大臣は特に本委員会での発言を求めて、「政府といたしまして、その趣旨を尊重し、万遺憾なきを期する所存でございます。」と、こう約束されて、それからもう十一年たっておる。だから、私は、こういう基本立法の方向というのはそのときからやっぱり方向づけられているんです。だから、この問題についても山中大臣のおられる間にひとつ歯切れのいい結論を出していただきたいと思いますが、以上についてひとつ御答弁を賜りたいと思います。
  226. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 権威ある日弁連のそういう意見書というものが、まだ本人も聞いているだけで見ていないと申しておりますが、これぜひ私自身も見たいと思います。ということは、先ほども吉田委員に答弁いたしましたけれども、午前中の和田委員でしたか、答弁をいたしましたが、とにかくこれから先の日本社会というものがいろんな形で変わっていく。たとえばアメリカカード時代、金を持って歩かない、それをプラスチックマネーと呼んでいるという話もちょっと聞きましたけれども、そこまで日本がいくかいかぬかは別にして、生活の利便さのためいろんな知恵を出しては、それがまた弊害をもたらすようなことが次々起こる。たとえば冠婚葬祭互助会等なども、大変美名であり、そして助かっているところも多いんでしょうけれども、しかし、そのはずではなかったというようなことで、被害者立場になった人等の話も聞きます。ここらの、いま問題になっていない周辺なりあるいはその他の問題は、全体をひっくるめてみて、これから日本国民が生活のためにどのような形で金を借りたり、あるいはどのような形で物を買ったりする場合に、便利さあるいは手軽さというものの方に走りがちであろう。あるいはそういう趨勢の時代に入っていくのであろう。そのときに法が不備であったがためにそこで結果的に犯罪者が出、あるいはその前に被害者が出るということは、やはり先ほど行政の怠慢と言われましたけれども、立ちおくれ、行政が先手をとれなかったということになるんだろうと思うんです。ですから、私は、これからいまの問題を中心に包括的に次の時代に備えて、いま起こっておる問題を踏まえて、日本国民生活の中でだんだん大きく腰を据えてくるであろう新しい産業形態といいましょうかね、そういうものについての法律その他で包括的につくるものがあればそれも考えてみたい。あるいは個別的に早急に直さなければならないものがあれば、それはまたそれで早急に処理したい、そのように考えます。
  227. 市川正一

    ○市川正一君 ぜひ研究し、具体的結論を最く出していただきたいと思います。大蔵省、長い間御苦労さまでした。  じゃ、次に公取に関する問題に入りたいと思います。  公収が去年の十二月十四日に、各新聞発行本社で組織されております新聞公正取引協議会に対しまして「新聞販売正常化について」という申し入れをなさいました。これは昨年六月末を期限に、新聞公取協が自主的に新聞販売正常化を行うことになっていたんですが、一向に実行されない。そこで、公取委が新聞販売正常化することについて十四項目を提案なすったわけでありますが、この問題を本委員会でたびたびにわたって取り上げてまいりました私といたしましては、この公取委員会が、おくればせながらではありますが新聞販売正常化について業界指導に積極的に乗り出されたことに対して、また十四項目の具体的提案をなさいましたことに対して大いに評価するところであります。  この公取委員会の要請と提案を受けて、新聞公取協は一月二十五日に公取委に回答を示し、この回答に沿って四月から販売正常化の新方針を実施することになっております。しかし、これがまだ実効あるものになっていないと私は思うんです。この点について、なお一層公取委の適正でまた強力な指導が求められていると私は思うんでありますが、以下具体的にお聞きしたいんです。  提案の第十項目に「新聞販売正常化のPRのため、中央協が責任をもって、正常化に至るまで繰り返して指導実施させるようにし、その結果をチェックする」というふうにしておりますが、これに対して中央協も、「中央協が責任をもって新聞販売正常化PRを指導し、実施に努める」こうなっておりますが、どういうふうな具体的措置がとられたのか、お伺いしたいんです。
  228. 奥村栄一

    政府委員(奥村栄一君) 新聞販売正常化のために、私どもの委員会では、先生御指摘のとおり昨年十二月以降、新聞公正取引協議委員会を通じまして発行本社に対しまして新聞販売正常化のPRを実施するように強く要請をしてまいったわけでございます。それで、発行本社の方はこれを受けまして、発行本社の名義で昨年の十二月以降正常化のためのPRのチラシを数度にわたりまして購読者に配付してきておるわけでございます。また、それだけでなく、私どもの方の要請に対しまして、本年の二月から三月にかけまして全国のほとんどの新聞紙にかなりのスペースを割きまして正常化のためのPRの広告を紙面に掲載いたしておるわけでございます。それのみならず、また五月につきましても再度掲載するということで、すでにもう一部の新聞社につきましては掲載をいたしておるという状況でございます。
  229. 市川正一

    ○市川正一君 確かに三月と五月に新聞販売正常化の広告を出しています。いま公取はかなりのスペースというふうに言われたんですけれども、まあ見てみなはれ、私、ここに持ってきたのは五月分です。五月十四日のこれは読売です、五月十五日のこれは日経です。どこにあります、これ。こういうあなた何か株欄があったり不動産情報のこういうところへいわば目立たぬように掲載しているとさえ疑いたくなるようなものです。奥村さんごらんになったでしょう。ですから、私は探すのに苦労したんです、本当に。かなりのスペースかそれはどうか知らぬけれども、新聞社がやっぱり正常化広告を広く読者全体に周知されてこそその効果を発揮するものでしょう。大体正常化を初めてアピールしたのは七七年です。あのときは各紙とも一面に社告として出したんですよ。今度は公取からのいわば要請も受けてPRしていると言うんだけれども、これですがな、あなた、見てみなはれ、これで公取は満足なんですか。私はせめて七七年並みの一面かもしくは社会面ぐらいに載せるのがあたりまえだと思うんですが、そういうふうに指導なすったらどうですか。
  230. 奥村栄一

    政府委員(奥村栄一君) 確かに先生おっしゃいますように、その欄が適切かどうかという御意見あろうかと思いますけれども、最近の分で見ますと、たとえばスポーツ欄でございますとか、もう少し見やすいところに載っけておりまして……
  231. 市川正一

    ○市川正一君 最近て、これ五月の十五日ですよ。
  232. 奥村栄一

    政府委員(奥村栄一君) はい。改善といいますか、状況はよくなっているのではないかというふうに考えておるわけでございます。これで決して満足しているわけではなくて、先生の方からも御指摘もございますように、やはりよく目立つところにということを強く要請はいたしております。何分しかし、新聞社の方でもそれぞれお立場というか、事情もあるようでございますから、繰り返しやるように要請はいたしておるわけでございます。
  233. 市川正一

    ○市川正一君 新聞社は、発行本社は自分のところでやるんやから、自分のところで一番いいところを選べるんやないですか。  それで、これは政府のPRは一体どうかというと、これはさっき吉田委員が放射能の問題やられたでしょう。それで、こういうまた安全性の問題でいろいろ問題のある、放射能は安全やという、原子炉は安全やという、こういうPRはこれはまさにこれだけ紙面を使うて一番いいところへやらはるわけですよ。そうしたら新聞社、発行本社はせめて社会の公器としてそれぐらいのことはやれと、ないしは公取の方がやっぱりPRを政府機関としてもやるぐらいの意気込みでやってほしい。僕はそういう点で激励しているんですよ、公取もっとがんばってくれと。  そこで、時間がないので前へ進みますけれども、公取の方は押し紙規制のためにも増減を管理する管理事務所を全国六十八の支部協ごとに設置するよう指導しておられるわけですね。ところが、この管理事務所に当たる機関は全国で現在のところ二十数カ所しかできてないんです。そして管理事務所がつくられているところ、たとえば、京都と滋賀が二府県合わせて一カ所、それから和歌山と奈良合わせて一カ所、こういうふうに一支部協一管理事務所というふうにはなっておらぬのです。おまけに管理が行き届かなかったためにいろいろこれはやっぱりトラブルが後で申しますが、起こっておる。早急に私は支部協ごとに設置するように公取委としては対処さるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  234. 奥村栄一

    政府委員(奥村栄一君) 確かに先生おっしゃいますように、強力な指導をいたしておりまして、形の上ではただいま六十八支部協の上でカバーしていないところが二カ所か三カ所ぐらいでございます。その内容につきましては、いま先生おっしゃいますように、一事務局でたとえば二支部協の範囲を管轄するというふうな点もございますから、行き届いていない面もあろうかと思いますけれども、その点につきましても業界からの回答は各支部協ごとに事務局をつくるということで回答参っておりますので、若干の時間のずれはあろうかと思いますけれども、速やかに設置するよう今後とも強力に指導してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  235. 市川正一

    ○市川正一君 強力に指導してほしいんです。  それからあわせて管理事務所の運営の問題なんですけれども、たとえば、大阪の例をとってみると、新聞社から、発行本社から出向した販売担当者が管理事務所の所長になっておる。また、管理事務所の運営経費も各発行本社の負担で賄われているわけです。本来押し紙は、発行本社が一方的に押しつけてくるケースが多いことは公取委御存じの通りなんです。私ここに持ってきたのは、奈良県の北田さんという方が数年間にわたって押し紙やその他拡材の問題をいわば資料を証拠として出されたものをまとめたやつです。この中にも、北田資料の中にもその実態が明らかになっておるんですけれども、したがって押し紙を取り締まるべき管理事務所が、これでは公取委が提言されている「違反を発見した場合、その処理を確実に行う」という内容での実効はきわめて期待しがたいおそれがあるんです。ですから私は管理事務所の役割りが実効あるものになるように、実態をぜひ調査して対処していただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
  236. 奥村栄一

    政府委員(奥村栄一君) 販売管理センターは、新聞販売正常化のために重要な役割りを果たすわけでございまして、その所長、事務局長は公正な第三者に就任していただくというのを基本にいたしているわけでございます。ほとんどは大体そういうふうになっているように聞いております。いま先生御指摘のように、かつてのOBが就任しているところも皆無ではないんでございますけれども、その場合には各社それぞれ利害関係もございまして、十分その人選については公平に対処できる人を選んでいる、このように考えているわけでございます。  以上でございます。
  237. 市川正一

    ○市川正一君 いわば押し紙を押しつけているのが押し紙の取り締まりをやるというふうなことになるのではどないにもならぬということを言うているので、そこをやっぱりよう調べてほしい。  それからまた拡張員の問題です。これも公取委員会の提言は、非常に適切にこうなっているんです。「本社登録制または新聞公取協登録制を実施し、本社または新聞公取協の身分証明書を携帯させること」こうしております。ところが実態は、たとえば新聞公取協の対応をここに見てみますと、「拡張員は販売店の依頼証明書を携行し」ここにサンプルもありますけれども、ひな形も。そして、「違法拡張の責任は販売店が負うもの」というふうになっておって、結局、違法拡張の責任を販売店に全面的に押しつけるという内容になっておるんです。これでは私は公取委の提案内容と違っていると思うんですが、私は公取委の提案どおりにこの指導改善をなさるべきだと思うんですが、いかがでしょう。
  238. 奥村栄一

    政府委員(奥村栄一君) 新聞の勧誘に当たりましては、拡張員がトラブルを起こす例があることは承知しておるわけでございますが、先ほど先生御指摘のように、当委員会としては、拡張員が証明書を携行するように指導いたしておるわけでございます。  それで、一応一次的には販売店が新聞の販売拡張についてカードを買うというような形式がございますので、一次的には販売店の責任である。しかし、販売店の方が、自分が頼んだわけではないというふうなことで責任を回避するというような問題になりますと、これは発行本社が責任を負うということを公正取引協議会の方から、業界の方から回答をいただいておりますから、その点は発行本社が責任を負うということに体制としてできるというふうに考えておるわけでございます。
  239. 市川正一

    ○市川正一君 この問題とも関連するんですけれども、公取委が最近、この違法な新聞販売について新潟市の読売のある販売店に直接立入調査をなさったそうであります。私どもが聞いたところによりますと、公取が調査に入って、そして帰ったすぐ後、またその拡張団によって一キログラム入りの洗剤を使った違法拡張がやられている、こういう訴えを私、聞いたんでありますけれども、公取委も御承知だと思うんですが、どう対処なさいましたでしょうか。
  240. 奥村栄一

    政府委員(奥村栄一君) 公正取引委員会としましては、販売正常化を進めるために、正常化の動きを眺めながら適時調査を実施して、その結果に対しましては、警告をするといった対応をしているわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、私どもの調査のすぐ後にまた違法が行われるというようなことがございますれば、これは正常化の流れに反することでございますし、事実関係を見きわめました上で、必要に応じて指導を一層強化してまいりたいというふうに考えております。
  241. 市川正一

    ○市川正一君 最後でありますが、私、そういうことでは結局、公取委の権威を落としてしまうというだけでなしに、せっかく新聞販売正常化しようという努力が水泡に帰してしまうということになってしまうと思いますので、厳正な処置をお願いしたいと思うんです。  最後に私、通産大臣にお伺いしたいんでありますけれども、この新聞界の正常化の問題については、説明は省略さしていただきますけれども、公取委みずからも、日刊新聞は本来、紙面の優劣によって販売を行うものであるとの原則に立つものである、こう指摘しております。ところが社会の公器としての責任を持つ新聞が、その中身ではなくて景品などでこれを売られるような状態を放置するならば、それは新聞の自殺行為と言わざるを得ぬのであります。  したがって、私は、こういう正しい世論を形成していく社会的責任を持つ新聞の果たすべき役割りは非常に大きいということから、実は九十三国会の八〇年の十一月十一日田中六助通産大臣でありましたが、田中大臣は、御承知のように新聞人でもありましたので、そういうかかわり合いからも御質問をいたしました。  当時の田中六助通産大臣は、景品などをもっての不当な販売については独禁法違反であり、社会の木鐸たるべき新聞関係者が反省しなければならぬというふうに答えられまして、自来、改善に私ども取り組んでまいりましたのですが、先ほど来お聞き取りいただきまして、特に公取問題では厳正な立場を堅持されておられる山中通産大臣新聞販売正常化についての御見解を承って、質問を終わります。
  242. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 田中君はあなたのおっしゃったように日経出身ですから、そういうことを答えたんでしょう。しかし、その後引き継ぎも何もありませんし、公取の方がどこまでやるのかわかりませんが、やっている人たち自分の紙面に、私たちはこういうことはいたしませんというのを書いて、それを実行するかどうか、はなはだおかしな広告を出すものだなと読者も思うでしょうね。まあ赤旗がどんなふうにりっぱな販売政策をとっておられるか、ひとついわゆる皆さんの言われる商業新聞の方にも……
  243. 市川正一

    ○市川正一君 一般新聞と申しております。
  244. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 一般新聞ですか、赤旗の手口をひとつ――手口と言ってはいかぬですな、赤旗を模範とせられたいというようなところを、その秘伝を公開してあげたらどうですか。  しかし、そういう冗談は別にして、これが公然と行われていることは周知の事実でありますが、私も実は新聞記者の端くれをしたことがありますので、その激烈な販売競争、まあ記事の優劣の抜き方の競争もありますが、販売売り上げの競争ですね、販売数量――広告費までそれで違ってくるわけですから、それは恐らく尽きることはない競争だろうと思うんですね。その意味では、私はいい競争だと思う。  しかし、それに別に何かをぶら下げていって別な新聞に変えさせたり、あるいは新聞を購読する意思のない者に買わせたりすることは、これはだれが見たって違法なことであるということは、やっておられる皆様が、知っておられる人たちがやっておられるのが、この厄介な新聞販売競争だと私は見ているわけですよ。  ですからしかし、そのことは皆さんも公取の指摘に対して対応する姿勢は、表向きかどうか知りませんが示しておられるわけでありますから、その行方をしばらくは見守ってみようというのが田中大臣と私とのちょっと違うところでございます。
  245. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  246. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成及び提出の時期につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  249. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  250. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十八分散会