運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-05-12 第98回国会 参議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      宮澤  弘君     梶木 又三君      山崎 竜男君     円山 雅也君  四月二十八日     辞任         補欠選任      梶木 又三君     降矢 敬雄君      円山 雅也君     福岡日出麿君  五月九日     辞任         補欠選任      金丸 三郎君     田代由紀男君  五月十一日     辞任         補欠選任      松尾 官平君     玉置 和郎君      馬場  富君     太田 淳夫君  五月十二日     辞任         補欠選任      高杉 廸忠君     和田 静夫君      太田 淳夫君     馬場  富君      井上  計君     栗林 卓司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         亀井 久興君     理 事                 野呂田芳成君                 降矢 敬義君                 吉田 正雄君                 市川 正一君     委 員                 岩本 政光君                 大木  浩君                 川原新次郎君                 楠  正俊君                 田代由紀男君                 福岡日出麿君                 森山 眞弓君                 阿具根 登君                 村田 秀三君                 和田 静夫君                 太田 淳夫君                 井上  計君                 森田 重郎君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       塩崎  潤君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   禿河 徹映君        経済企画政務次        官        辻  英雄君        経済企画庁調整        局長       田中誠一郎君        経済企画庁調整        局審議官        兼内閣審議官   横溝 雅夫君        厚生省薬務局長  持永 和見君        農林水産大臣官        房審議官     古谷  裕君        農林水産大臣官        房審議官     船曳 哲郎君        農林水産省経済        局長       佐野 宏哉君        農林水産省食品        流通局長     渡邉 文雄君        通商産業大臣官        房審議官     斎藤 成雄君        通商産業省貿易        局長       福川 伸次君        運輸省自動車局        長        角田 達郎君        運輸省自動車局        整備部長     丹羽 一夫君        労働省労働基準        局安全衛生部長  林部  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        外務省経済局国        際機関第一課長  沼田 貞昭君        厚生省環境衛生        局食品化学課長  藤井 正美君        工業技術院標準        部長       平河喜美男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 亀井久興

    委員長亀井久興君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る九日、金丸三郎君が、また、昨日、馬場富君及び松尾官平君がそれぞれ委員辞任され、その補欠として田代由紀男君、太田淳夫君及び玉置和郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。塩崎経済企画庁長官
  4. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) ただいま議題となりました外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  近年、国際社会におきましては、保護貿易主義の高まりが見られ、戦後の世界経済発展を支えてきた自由貿易体制の存続が危ぶまれるに至っております。  このような情勢のもとで、政府としては、自由貿易体制を維持強化し、貿易拡大均衡による世界経済発展を図るため、一連の市場開放措置を講じてきたところであります。  その一環として、政府は、さきにわが国基準認証制度等について抜本的見直しを行い、抱括的な改善策を講ずることを決定したところであります。この決定は、わが国市場開放努力を示すものとして諸外国から高く評価されるとともに、その帰趨について、内外から強い関心期待が寄せられているところであります。  この法律案は、この決定を踏まえ、国内における各種製品使用者に係る安全その他の利益確保を図りつつ、認証手続における内外無差別を法制度的に確保するという観点から必要な規定整備を行うことを目的として、関係法律を一括して改正しようとするものであります。  次に、法律案内容概要について御説明申し上げます。  第一に、外国において本邦に輸出される製品製造事業を行う者が、わが国認証制度において定められた各種認証をみずから取得し得る旨の規定を設けることとしております。  第二に、外国製造業者認証取得に係る手続 き及び当該認証取得した外国製造業者の遵守すべき事項については、国内製造業者と同様とすることとしております。  第三に、外国製造業者法令に違反した場合その他一定事由に該当するときは、認証を取り消すことができることとしております。  第四に、外国製造業者国内において恒常的に果たすべき義務を負っている場合には、これを履行する者を国内に置かなければならないこととしております。  以上のほか、所要規定整備を行うこととしております。  なお、今回改正の対象となる法律は、消費生活用製品安全法等十六法律であります。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 次に、補足説明を聴取いたします。禿河内閣官房内閣審議室長
  6. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) ただいま大臣が御説明申し上げました提案理由及び内容概要を補足して御説明申し上げます。  わが国基準認証制度等について、政府は、本年一月十三日の経済対策閣僚会議において、市場開放観点から全面的な検討を行うことを決定し、翌一月十四日、内閣官房基準認証制度等連絡調整本部を設置し、約二カ月にわたる検討を経て、去る三月二十六日にその具体的改善策を取りまとめたところであります。  わが国がこのような決定を行ったことは、わが国市場開放努力を具体的に示すものとして諸外国から高く評価されており、特に認証手続における内外無差別確保するための法改正の実現については、諸外国から強い関心期待が寄せられているところであります。  今回の法律改正案は、こうした背景を踏まえ、国内における各種製品使用者の安全その他の利益確保を図りつつ、認証手続における内外無差別を法制度的に確保するという観点から、消費生活用製品安全法等十六の関係法律につきまして必要な規定整備を図ることを目的としたものであります。  次に、本法律案内容概要を補足して御説明申し上げます。  第一に、外国において本邦に輸出される製品製造事業を行う者が、わが国認証制度において定められた各種認証をみずから取得し得る旨の規定を新たに設けることとしております。また、これに伴い、外国製造業者がみずから認証取得した場合には、当該事業者製品については、輸入業者認証取得義務を免除することとしております。  第二に、外国製造業者認証取得に係る手続き及び認証取得した外国製造業者の遵守すべき事項に関しましては、国内製造業者と同様とすることとしております。なお、本邦外における報告徴収立入検査等公権力の行使となるものにつきましては、国際法上、相手国政府の承諾を要すると見られることから、条文上「命ずる」等の表現を避け、「請求する」等の表現としております。  第三に、外国製造業者本邦外において法令に違反した場合その他一定事由に該当するときは、認証を取り消すことができることとしております。すなわち、製造業者に対し罰則をもって間接強制を加えている事項のうち、外国製造業者本邦外における行為に係るものについては、これは刑罰を科することは実際上不可能であることから、認証の取り消しをもって担保することとしております。  第四に、医薬品に係る副作用情報収集等国内における恒常的な対応を必要とする事項法律上要請されている場合には、外国製造業者に、当該事項を実施する者を国内に置くことを義務づけることとしております。  以上のほか、手数料の特則等所要規定整備を行うこととしております。  以上、この法律案につきまして、補足説明をいたしました。何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 亀井久興

    委員長亀井久興君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 吉田正雄

    吉田正雄君 ただいま提案をされました法律案につきまして、当初に経企庁担当することになった理由といいますか、背景についてお尋ねをいたします。  いまの提案理由の中にもございましたけれども、伝えられているところによりますと、貿易摩擦を抑制するため中曽根総理の強い指示でこの法案作成が行われたということを聞いております。  そこで、その辺の経過をもう少し詳しくお尋ねをいたしたいと思います。    〔委員長退席理事降矢敬義君着席〕 本来であれば、当然これは最も関係法律を抱えておる省庁担当するのが当然ではないかというふうに思っておりますけれども経企庁はいまの改正法案の中で一本も関係する法律というものを持っておいでにならないと思うんですね。したがって、ちょっと奇異な感じもいたしますので、この制定に至る経過をもう少し詳しく御説明願いたいということと、いま申し上げましたなぜ経企庁担当しなければならなくなったのか、その辺のいきさつについてもお尋ねをいたします。
  9. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 御指摘のように十六法案企画庁に関係するものは一本もございません。しかしながら、この法案に通じますところのすべての法案に私は共通する要素と申しますか、外国製造業者国内製造業者と同じ法的な輸入承認手続等を与えるというような、この抽象的な一つ一つ内容というものは、これは私は各省にそもそも専属するというよりも、むしろ企画庁のような経済一般を扱うところが取り上げてしかるべきものだ、こういうふうに考えるわけでございます。各省各省自体政策目的がございます。しかもまた、通産相は、もちろん通商所管大臣でございまするけれども消費生活用製品安全法、このような法律を抱えた、また、特殊な分野でございます。私はこれを全部この法案に通じますところの外国製造業者に同じ法的地位を与えるという輸出面におきますところの抽象的な基準法律化する——私は一本の法律だと思うのでございます。このような法律企画庁のような役所担当するのが最も適当である。かてて加えて、私は対外経済閣僚会議の主査でもございますし、このような観点から私がこの法案担当者として選ばれた、こういうふうに考えております。
  10. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまの説明は一般的な説明としてはわからないわけないんですけれども、御承知のようにこの十六法案のうち通産省関係認証制度にかかわる法案というのがたしかこれ六本ですか、七本ですかあるわけですね。しかもこの関連法案の中では最も重要な部分といいますか、中心をなす法案ではないかというふうに思っておりますし、それから具体的なこの法案改正の中でも、外国事業者登録であるとか、あるいは型式承認等に関しての主務大臣というのは、これは通産大臣になるわけなんですね。そういう観点から考えますと、最も事情に精通しておる省庁というのは、これは通産省になるわけですから、そういう点で所管外の、主務大臣以外の大臣がこの国会審議の中心的な答弁者になるというのは、従来の国会運営慣行からしても、また審議を実質的に深めるという観点からしても若干今回は異例ではないかというふうに思いまして、いまの説明では従来の慣行からしてもいろんな点からしてもちょっと合わない感じがするんです。もう少し突っ込んだ説明をお聞かせ願いたいと思います。
  11. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 従来の慣行からいたしますれば、私はもう吉田委員のおっしゃるとおりだと思います。特に縦社会日本でございまして、また縦社会縦社会の大変なよさがある、そしてまた常任委員会には常任委員会のよさがあり、そこでまた各省政策目的審議されることは当然でございますけれども企画庁はいわば横割り役所と申しますか、各省経済政策に共通いたしますところの何と申しますか、共通分子というものを扱うような役所でございまして、これはやはり企画庁がこの問題を扱ってしかるべきではないか。これもお答えとしては不十分かもしれませんけれども吉田委員のことでございますからこの程度の御説明で十分御理解をいただけると思います。
  12. 吉田正雄

    吉田正雄君 聞くところによりますと、実はこの法案作成に当たっての取りまとめをどこにするかという点や、どの省庁国会担当に当たるのかという点についてはなかなか閣内といいますか、政府内部においても引受手が当初はなかったというふうな話も実は聞いておるわけですね。まあそういう点で、最終的には経済閣僚会議の一員であり有力議員である塩崎経企庁長官のところへ、これは貧乏くじとは言いませんけれども、まあそういうものが行ったというふうに陰ながら聞いておりますけれども、これはうわさですからこれ以上幾らお聞きをしてもまともな答弁が出てくるわけはないというふうに思いますので……。  それでは次に移りますが、これと関連をしてもう一点お尋ねをいたしたいと思いますのは、行政改革法案というものが前の国会で通ったわけですけれども、その際にも国会審議のたてまえからして各省庁にわたる多くの法案というものを一本にまとめて一つ委員会審議をするということは、関連委員会審議権というものを大きく拘束するのではないか、また審議が必ずしも十分行われないんではないかという強い批判が出されたことは御承知のとおりだと思うんですね。その強い批判に対して、政府側としても今後はそういうことのないように十分配慮するといいますか、慎重な取り扱いをするという趣旨のことも述べられておると思うんですけれども、それにもかかわらず今回またこの十六法案というものを一本にまとめて商工委員会に付託をされた。法案の中身を見ますというと、社労委員会とか、あるいは農林水産委員会等においても審議をしなければならないような法案も含まれておるわけです。しかも、会期末でありまして、御承知のような政治状況等もございまして、衆参ともに院の体制必ずしも十分であるかどうかということは別にいたしまして、しかし国会審議という観点から考えるならば、やはりこの提案理由説明にございますように、各国とも国会でどのような審議が行われるのかという点についてきわめて強い関心を持って見守っておると思うんです。そういう点で、むしろ私は十分な審議が行われて今後に疑義を残さない、そのことが逆に通商摩擦というものを解消する上に、わが国国会の誠意というものもそこに反映をされたという評価を受けるんではないかというふうに思います。ところが、会期末も迫ったこの時点で、私どもから言わせれば、あたふたと提案をされて、しかも商工委員会というところでこの関連十六法案というものを一括審議をするということになりますと、これもう考えようによっては国会というものが政府の下請機関化するんではないかというおそれもなしとしないというふうに思います。  そういうことで、先般の行革関連法案審議の際にもそういう強い意見が出されておったにもかかわらず、また今回こういうものが出てきたということと、国会審議日程と合わせて、なぜここでこんなにあわてて、しかも急いで法案審議をやってくれというふうな状況になったのか、どうしても、どうもすとんと胸に落ちませんので、その辺についてもひとつお聞かせを願いたいと思います。
  13. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 繰り返すような答弁で申しわけございませんけれども、ともかくも一括法案という性格からも御案内のように、ここで御審議を願いますのは十六法律の中にありますところの外国製造業者に対して国内製造業者輸出手続面において、輸出手続面と申しますか、製造の認識、型式取得のための承認制度登録制度、このような制度について同じような法的地位を与えるかという、この一つ共通事項を突いて御審議を願うのが、私はこの法案目的だと思うのでございます。  行革においても、行革各省通ずるところの政策目的の中で、一つ行革目的に合ったものを選び出して、これを行革委員会において御審議を願うということは、私は他の常任委員会審議権を奪ったとか、あるいは拘束したものとは考えないのでございます。  ここでお願いいたしますのは、輸出手続面に関する面の、いま申しました外国製造業者国内製造業者と同じ法的地位を与えることがいいか悪いか、これはもう農水委員会にも関連する法律、あるいは社労委員会関連する法律、この中から抜き出した法律で、抜き出した一つ法律的な何と申しますか、共通要因をこの法律規定したものでございますから、私は別途の法律だと、しかも、この法律貿易関係経済関係を扱っていただける商工委員会で、その面だけで御議論していただくのは最も適当であろう、こういうふうに考えるものでございます。  したがって、私は十六の法律を直しておりますけれども、法形式的には別途の新法律だというぐらいに考えております。ただ、技術的には十六の法律改正したことになりますけれども改正する趣旨一つ法律改正したものであると、その一つ法律改正しておる事実をここで御審議を願うと、こういうふうに御理解を願えないかと思うんでございます。  そこで、なぜ各国とも、外国とも注目を招いておるところのこの法案を急いで提案し、急いで成立を図るのかという御質問でございますが、やはり現在関税障壁の問題から、非関税障壁の問題がこのようにクローズアップしてきた、しかもまた日本がいままで一番自由貿易体制利益を享受してきた、しかし世界では保護貿易主義体制が台頭して大変心配である、こんなようなときにこそ日本が非関税障壁の問題をみずから取り上げて、そしてこれを早目世界注目の前で取り上げて、そして法律の必要がございますれば改正をして、自由貿易体制を維持する体制を示すことは私は最も必要だと思うんでございます。型式制度等内容についての論議が長らく行われましたので、このような法的な制度についての改正についても提案がおくれたことは大変申しわけございませんけれども、これまで国会予算等で大変時間を忙殺されました。予算が終わりましたら、大至急提案をさしていただいておるわけでございまして、ともかくも世界経済に関する会議が盛んに行われておる今日でございます。日本の置かれました地位を考えていただきまして、できる限り速やかに御審議をお願いしたいと思うところでございます。
  14. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまの大臣答弁ですと、ちょっと納得しかねるんですね。と申しますのは、いまの答弁の中では、型式認証手続に関して、これはもうどこの法律についても、たとえば農水関係についても同じなんだから、そういうところだけ取り出して、一本の法律にまとめてもおかしくないんじゃないかと、これ都合のいい私は解釈だと思うんです。なぜかというならば、これは何も認証手続だけでなくて、共通する事項を全部選び出していくということになれば、これは何もこの事項だけにはかかわらずに、いろんな問題点について類似したものを全部集めて考えるなんということになったら、そういう面から法律を変えていくということになりますと、現在の法体系全体について、今後の審議のあり方というものは全部そういう方向でもってやられるということに私はなってくると思いますし、それから、単なる型式承認手続に関する問題だとおっしゃいますけれども、これは農水なら農水で、農業関係なら農業関係、あるいは薬品関係なら薬品関係、そういう全体の問題というものを討議をする中でバランスのとれたものであるのかどうかという、そういうことを考えなきゃいけないと思うんですね。  たとえば、Aという人間、Bという人間の目だけ取り出して集めてみたって、その目なり心臓なりというのはその人の体に合っている心臓なんで して、この心臓を他人に移植をした場合には拒否反応が起きてくるということも御承知なんでして、そういう点で心臓だけ集めて、心臓だけ研究すればいいということにはならないわけなんですね。したがって、それぞれの認証手続であっても、そのそれぞれの法律内における位置づけとか関連性というものがあるわけなんです。それを、そこだけ変えればいいんだ、だから一本にまとめたんだということだけではどうも納得できないということと、仮にそれを前提としたといたしましても、そうであれば、それなりのまた質疑というものを十分行う必要があると思うんですね。ところが、非常に差し迫っておるということでありますし、私、もっと率直に申し上げますならば、これだけの、私どもの一応理事会で約束をした時間ではきわめて不十分だと思ってるんですよ。しかし、残念ながら、何しろ与党絶対多数でありますので、そういう中でもってぽんとこういうふうに決められた。しかし、審議時間が十分かと言えば、私はこの法案に限らず前の新特安法等についても聞きたださなければならない点というのはまだまだ多く残っておるんです。そういう点で、私はこういう状況が続いていくというのは、まさに議会制民主主義というものが形骸化をしてくる、まさに国会審議権というものが形骸化をされる危険性というものが私は強まっていくんではないかということを恐れるんです。  そういう点で、いまの大臣答弁については、その限りにおいてはいささか納得しかねるということでありまして、そうであるならば審議時間は十分保証されるのかというと、これはまた時間が詰まっております、後が決まっておりますということで、なかなか審議時間も十分にとれないということであります。そういう点では力不足ですから、いたし方がないと言えばそれまでなんですけれども、しかし政府の立場としてこういうやり方がいいのかどうかということは、私はここでもう一回真剣に考えていただきたいと思うんです。  そして、これは私は何も野党だけでなくて、多数を握っている与党・自民党にとってもこういうことが今後どんどんどんどん行われるということになりますと、これはまさに与党も含めて議会制度のあり方についての疑問というものが生じてくるんではないか。そんなに大きな法案でないから言うほど大騒ぎする問題じゃないというふうに大臣はお考えになるかもわかりませんけれども、私は最近の国会審議状況というものを見ておりまして、非常にそういう傾向が強まっているという感じを強く持っておるものですから、あえてここで申し上げたいというふうに思います。  それからもう一つ予算審議等の関係もあったので、予算が成立した後、それではゆっくりやってもらいましょうかということになれば、ゆっくりでも何でもないんですね。もう会期末ぎりぎりのところへ来て国会審議が行われておるということであります。そういう点で、なぜ急がれるのか。いやそんなに急いでないんだということになれば、まだ会期末は五月の二十六日でありますので、もう一、二回委員会を持って、さらに十分時間をかけてやればいいじゃないかと思うんですけれども、そうはならないということでありますので、どうもその辺はつじつまが合わないんじゃないかというふうに思います。  そこで、これだけ急いだ背景として、中曽根総理のサミットに対する一つの——これはみやげ物になるほどの私は中身じゃないと思っているんですけれども、そういうこともうわさをされているわけですね。ここで大臣、そうだとはなかなか答弁はできないと思いますけれども、まあしかし、そういう背景としてあるんじゃないかということは、これは否定できないんじゃないかというふうに私は思います。サミットとの関係は全然ございませんか、これ。
  15. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 先ほどの国会審議権の問題、大変大事な問題で御心配でございますので、私も国会議員の一人といたしまして、国会審議権が拘束されるようなことがあってはならないと思いますので、重ねてまた御答弁を申し上げたいと思います。  確かにどの心臓でもすべての人に当てはまるわけじゃありませんから、その点は考えなきゃなりませんし、吉田委員の言われますように、各省が持っておりますところの政策目的に合致した法律、これはやはり何としても各委員会で論議をしていただくことはもう当然でございまして、むしろこれが原則だと思って——私が申し上げたことが原則だという意味じゃありません。ただ、日本人研究、アメリカ人研究に共通する人類学の研究みたいなものも、これはまたひとつどこかの委員会であってもいいというような、どこかの委員会でまたしかるべき検討を行うべきだという観点から私はこういった提案国会として十分御検討していただき、行革法案のような一つ一括法案というものも今後の大きな私は課題だと、こんなふうに考えておりますので、この点だけは御理解をいただいて、速やかなるひとつ御審議をこの商工委員会でお願い申し上げたいと思うわけでございます。  そこで、その次はサミットとの関係でございます。私はサミットにおけるところの議題とこの問題は直接の関係はございません。しかし、サミットにおいて論議されますことは世界経済の活性化の問題であり、そしてまたやはり自由貿易主義体制の維持促進であり、そういった観点から見ますと、この法案日本といたしまして、また世界から見ましても注日される法案であるということは、私は考えられることだと思います。貿易摩擦とか自由貿易主義体制維持のために即効薬とかあるいは万能薬というものがあると思いません。これは一つの大きな自由貿易主義体制維持のための方策であるという点は間違いないかと思うのでございます。     ─────────────
  16. 降矢敬義

    ○理事(降矢敬義君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、高杉廸忠君が委員辞任され、その補欠として和田静夫君が選任されました。     ─────────────
  17. 吉田正雄

    吉田正雄君 先ほどの趣旨説明の中で本法案目的というものについて説明がございました。それはそれなりにわかります。そういうことで、改めてここでまた法案趣旨とか説明についてはお尋ねをいたしません。後ほどの質問と関連して、果たして目的どおりのものになるのかどうかという点もお尋ねをいたしたいと思っております。  そこで、この基準認証制度の改善ということに関連をしてこの法案というものが作成をされたということになっておりますので、基準認証制度というものについてもう少し詳しく御説明を願いませんと本法案との関連というものが明らかになりませんので、この基準認証制度そのものについてもう少し御説明を願い、そしてどこをどのように改善するのだということをもうちょっと具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  18. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) いまお話がございました基準認証制度というものでございますが、まず、その中の基準と申しますのは、各種の製品、産品につきましては、安全性の確保とか、あるいは人体の健康保護、あるいは環境の保全とか、こういういろいろの目的から、法令等に基づきましてその品物の品質とか性能とか安全度あるいは寸法とかいうふうな産品の特性について遵守すべき基準というものが定められておるわけでございます。ガット・スタンダード協定におきましては、このような産品の特性について文書により記載されたものを基準と言うと、こういうふうに言っておりますが、いま申しましたとおり、各種の産品につきまして、主として安全あるいは環境保全とかいうふうな観点から一定基準を定められることが多いわけでございます。それを基準認証制度におけるところの基準というところでございます。  それから次に、認証制度と申しますのは、いま申し上げました定められた基準にある産品が適合 しているか否かを検査しまして、それに合格したという場合には、たとえば適合証明書だとか、あるいはマークとかいうふうなものによりまして証明を行うよう法令上等で要求されておりますような場合、このような申請から検査、証明と、こういうふうな一連の行為を実施するための規定全体を指しまして認証制度と称しております。  それで、私どもがこの一月から作業をいたしまして、基準認証制度改善策というものも講じて検討してまいりました内容はいろいろございますが、第一が、今回御提案申し上げておりますところの法律改正で、法制度的に外国事業者というものを、日本認証手続、これに直接参加し得る道を明確に開いていこうというものでございます。  それ以外に、基準認証制度全般の改善策といたしましては、法律外の問題でございますけれども、たとえば、基準を定めます場合におきますところのいわゆる透明性の確保、わかりやすくしてやるというふうなための措置、それから基準自体につきまして、国際的に広く認められておりますような基準があります場合にはできるだけその基準わが国基準も整合性を保つように持っていくということ、さらに国際的な基準検討作業が行われておりますような場合には、わが国もできるだけその作成作業に参加していく、こういうふうないわば国際基準に対します国内基準の整合性の問題、それからいろいろ検査をするに当たりましてデータをとりますが、そういう試験データ等々で国際的に認められておりますようなものがありますならば、できるだけそういう試験データというものを、もちろん国内の安全性の確保ということを十分図りながら、それを取り入れていくように推進していくという検査あるいは試験データの採用の促進ということ、それからさらに、この認証手続におきまして過度の負担をかけないようにできるだけ簡素合理化を図っていく、そしてその手続の迅速化を進めていく、こういうふうなことが基準認証制度全般につきまして検討され、その方向が三月の二十六日に決定を見たところでございます。
  19. 吉田正雄

    吉田正雄君 改善ということで、いまちょっと御説明がありましたように、型式承認の申請というものについて、従来は輸入代理店などが行うことができなかったのが今度認めるということになるわけですね。従来は外国メーカーには直接は認められておらなかったものを今度は外国メーカーにも型式承認というものを認めていくという場合に、その手続というか、だれがどういうふうにやるのか、これは輸入代理店などかかわってやるということになるのか。その点がどうかということと、それから製造工場の検査というふうな場合、いま出てきたデータ等を見てというふうな言葉もあったんですけれども、具体的に外国のメーカーの工場というものについて検査をされるのかどうなのか。やるとしたら外国へだれか担当官が日本から出向いていって直接その検査をやるのか、あるいは在外公館の何か係官にかわってやってもらうのか、その辺はどういうふうになるんですか。
  20. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 現在、この十六本の法律におきましては、おおむね輸入業者につきましては認証手続に参加する道が開かれております。しかし、外国のメーカーが直接この認証手続に参加するということが明確に認められていないということから今回の改正をお願いしておるわけでございます。そうなりますと、恐らく外国のメーカーは直接わが国認証制度に参加してくることもあると思います。あるいはまた、従来どおり、その量とか内容とかによりまして、恐らく輸入業者を通してその認証手続に参加するままというものもあろうかと思いますが、いずれにしましても、法体系的にはわが国国内のメーカーと同じように外国のメーカーもこの認証手続に参加し得る道を開くというのが今回の改正内容でございます。  それからまた、各法律におきまして、工場等の検査等の規定を設けられておるものがございますが、それは、その法の運用といたしまして、それぞれ所管の省庁がどういうふうに行うかということになろうかと思いますけれども、私ども聞いておりますところによりますと、やはり認証を与える前には外国に直接日本の審査官、それを派遣いたしまして十分なる審査を行おうというのが多いようでございます。
  21. 吉田正雄

    吉田正雄君 聞くところによればではなくて、いま法案提案されておるんですからね、そこのところ明確にしてくださいよ。聞くところによればじゃ、後になっていや聞き間違いでしたでは困るんでして、だから私は担当大臣はやっぱり主務官庁の方できちんと答えないと、聞くところによればなんて話になってくるので、当初に心配をしてお尋ねをしたんですよ。どうなんですか、それ。
  22. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 私ども通産省の例につきまして御説明させていただきたいと思いますが、私どもといたしましては、原則としてはやはり国内担当者を派遣いたしまして検査をさせるという方針でございます。  ただ、外国にも同様の検査機関がある場合がございまして、その場合にはその外国の検査機関、これが十分その能力があるということで契約ができます場合には、外国の検査機関が検査をいたしまして、その検査結果をわが日本の検査機関に持ってきて、そしてそれを活用する道も検討いたしたいと思いますが、原則としては私どもとしては現地に担当者を派遣いたしまして検査をする、こういう仕組みを考えております。
  23. 吉田正雄

    吉田正雄君 次に具体的な問題として、消費生活用製品安全法の場合、危険な製品が出回ったときに主務大臣がメーカーに防止措置を命ずることになっておる。今回は公権力といいますか、それによって外国のメーカーにそういうことを命ずることはできないということで「請求する」というふうに今度は変えられることになっております。  そこで、「請求する」というのはどういう手続を踏んでやるのか。直接メーカーに請求をするのか、あるいは国内で先ほどもありましたように型式承認申請の場合、たとえば輸入代理店等が代理をして行うという場合にはそこを通じてやるということになるのかどうなのか、その辺、請求するというのはわかりますが、どういう手続、どういう方法でやられるのかお聞かせ願いたいと思います。
  24. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 私どもとしては、外国製造事業者が登録あるいは型式承認を得たという場合に、それについての改善命令等につきましては直接向こうの製造業者に要請をする、こういうことを考えておるわけでございます。
  25. 吉田正雄

    吉田正雄君 それから、請求にメーカーが応じない場合、国内の場合には罰金を科すとかあるいは登録承認を取り消すというふうなことが今度行われるということになるわけなんですけれども、そこで問題は、登録を取り消しても、たとえば危険な製品が市場に出回る。これは従来も外国一流ブランドの製品が模造品が国内にずいぶん出回って、今日でも多くの問題が出ておるわけです。したがって、今後そういう事例がなしとしないということを考えますと、実効が上がるのかどうなのかということなんですね、単に請求だけで実効が上がるのかどうか。もし、請求をしてもその実効が上がらない場合、どのような措置をとられるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  26. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 不良品が、不合格品が出回っておるという場合の取り扱いにつきましてのお尋ねでございますが、いま委員も御指摘のように、外国登録製造事業者に対しましてこれの回収の要請をする、請求をするということになるわけでございますが、もしそれに従わない場合どうするかという点でございますが、その場合にはもちろん請求をいたしますが、どうしてもそれに従わないという場合には、最終的には行政代執行法に基づきまして代執行を行うということがいまの日本制度として可能でございます。もちろんこれは何も外国だけじゃありません、国内におきましても住所不明の事業者があった場合にはそのようなことが行われるわけでございますが、そう いったことで行政代執行によりましてそして国が代執行をする。その場合その費用を外国製造事業者に請求するということでございまして、最終的にはそういった行政の代執行ということによってこの実効は確保し得る道があるというふうに考えております。
  27. 吉田正雄

    吉田正雄君 それからもう一点。仮に粗悪品が出回ったという場合、それによって消費者が何らかの損害をこうむった、あるいは人身事故等が起きた、こういう場合に、その損害補償というのは業者は業者なりにやると思うんですね。ところが、具体的な消費者が損害補償を請求するという場合には一体どこへどういう形でやるのか、その辺どのようにお考えになっておりますか。
  28. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) いまの民事上の損害賠償をどういうふうにするかというお尋ねでございますが、これはやはり民事上の問題でございますので、当然これは被害を受けた方がその被害をもたらした人、外国登録製造事業者ということに対して請求をする、その間で損害賠償関係の話し合いが行われるということが原則でございます。もちろんその場合販売関係は国内の輸入代理店等々がございましょうから、その場合に、その販売業者に責任がございます場合には、販売業者との話し合いも行われる可能性はあろうと思いますが、原則は民事上の問題として直接外国製造事業者に対して請求をする、こういう法的な扱いになると考えております。
  29. 吉田正雄

    吉田正雄君 具体的な訴訟という形になりますと非常にむずかしい問題が出てくると思いますね。まずそういう安全性の面やその他の面で俗に言う欠陥商品であったというふうなものが入ってくる。ところが輸入業者もそれを承知しておったのかおらないのかという点があるわけですから、被告——俗に言う被告というものが輸入業者になるのかあるいは直接の外国のメーカーになるのかという点では、まずメーカーと輸入業者といいますか、販売業者との間の関係が出てくると思いますし、よりややこしくなりますというと、輸入元というのがあって、さらにまた販売業者というのがあって、こうなりますというと消費者から見ますと販売業者を相手取っていいのか、輸入業者を相手取っていいのか、メーカーを相手取っていいのか、非常に複雑になってまいるわけですね。個人として一体それだけの訴訟負担に耐え切れるのかどうなのかということでは泣き寝入りという事態が出てくるんじゃないかという心配をいたすわけですね。そういう点で従来の法体系であった場合と今度の法体系であった場合には今度の方が型式承認とかそういう点では簡素化されると言うんですけれども、消費者の場合から見た場合に、いざそういう問題が生じた際にはかえって複雑になるんじゃないかということを心配するんですけれども、それはどのようにお考えになっておりますか。
  30. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) もとよりこの基準認証制度内外無差別を実現するというわけでございますが、事前に基準との適合性、十分審査をいたしますし、また外国製造事業者自身もこれももし欠陥商品を出した場合には登録の取り消しあるいは一定期間その後また申請ができないといったようなかっこうで強制力がございますので、そういうことはないし、また事前に十分その辺はしなければならぬというふうに思うわけでありますが、もし仮にそういう事態が起こった場合、確かに御指摘のように日本国内の産品におきましてもかなり日本の流通段階が多段階になっているような場合には販売業者の、どこの販売業者の段階にも責任を追及し得るのか、あるいは製造業者に行かなければならないのか、これはまたいろいろケースに応じて非常に複雑なケースは、国内品についても流通機構のあり方いかんによってはあり得るわけでございますが、外国の場合でもそういう意味ではいままさに先生御指摘のように、輸入総代理店あるいはまた、輸入代理店から通ってきたいわゆる末端の販売店、一体その辺がどういった責任関係があるのか。事情を知っていたのか、知っていないのか、いろいろな複雑な問題が確かにこういった問題は出てまいります。出てまいりますけれども、考え方といたしましてはやはりその責任がどこにあるかということをとらえまして、民事上の問題として、そこの製造業者あるいは場合によっては責任がある場合には輸入業者、これに対しての損害の請求等をして、これで民事上の救済を図る、こういうことで考えていくというのが現在の日本法体系からいきます場合の方向ではないんであろうかというふうに思うわけであります。  もちろんケースによりましていろんなケースがございますので、また、その段階によりましてはそれは本来、民事上で解決すべき点ではございますけれども政府あるいは行政のベースで、それについて何らかの支援措置等を講ずる可能性あるいは必要性があります場合には、その点につきましては適切な対応をしなければならないと思っておりますが、一応民事上の問題ということでございますと、いま申し上げたような形で法律上の救済解決を図るということになるのではないか、かように考えております。
  31. 吉田正雄

    吉田正雄君 そこで、いまの問題に関連をして、違反製品の回収命令というものを輸入販売業者にさせるということなんですが、当初はこの外国メーカーの代理店を必ず日本国内に置かせて、これに回収命令を出すという案であったということが言われておるんですが、それがなくなって、今回のような形になったということを聞いておりますが、そのいきさつはどういうことからそういうふうになったんでしょう。
  32. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 法律によりましていろいろ立て方が若干違いはございますけれども、いま議論の過程でいろいろと方法が検討をされたわけでございます。いま輸入代理店に回収命令をさせるということでございまして、もしそれができない場合には、先ほど申しましたように、行政代執行法で行政庁がそれの執行を行う、こういうことの最後のとりでにそういう救済方法があるわけでございます。  したがいまして、いま仮に輸入代理店にさせるということになりましても、いま申しましたように、いろいろその間の責任関係ということが議論になり得るのでございまして、いろいろな議論はございましたけれども、むしろそういった救済といいましょうか、回収命令というものにつきましては、むしろそこの責任があります外国製造事業者、これに請求をする、そして、それにやらせる。それで、やらない場合には行政庁が代執行をしてその費用を取り立てるということの方が、これが救済の方法として明確になっておるというような考え方でこのような方法をとった次第でございます。
  33. 吉田正雄

    吉田正雄君 それでは次に、この法案趣旨説明背景の中にも関係各国、アメリカ、EC等の関心も非常に強いということが言われておりますし、それから三月二十六日にこの改正案が決まったときに、ブロック米通商代表が、早期成立を期待するという談話を発表いたしております。  そういう点で、裏返してみれば、通商摩擦をできるだけこれ以上高めない、緩和をするという観点でこの法案が出された。逆に言えば、それだけの圧力というものを感じてこうせざるを得なかったというふうにも受けとめられるわけなんですけれども、そこで、この具体的な法案の中身を見て、アメリカなりヨーロッパなりではどのような受けとめ方と評価をしておるというふうにお考えになっておりますか。これ、大臣、お聞かせください。
  34. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) この法案につきましては、私は非関税障壁といういわゆる貿易摩擦を起こす原因の数々ある中で、輸入手続等の内外無差別をもたらすものとして各国とも高く評価しているかと思うのでございます。  特に法案の一々の内容というふうには私は考えませんけれども、進んで法律の形で、つまり立法の形で外国製造業者国内製造業者と同じような地位を与えていく、しかも詳細にそれを規定している、こんなようなことはまだヨーロッパに は見られませんから、私はこの点については高く評価されているものだ、こういうふうに考えております。
  35. 吉田正雄

    吉田正雄君 評価という観点は二つあると思うんですね。形を整えたという意味での評価と、それは形ではなくても実質的に貿易摩擦を緩和する効果というものがこれによって上がるだろうという二つの側面があると思うんですね。  そこで、最近の諸外国状況を見ますというと、これは前の特安法改正のときにも一時諸外国では日本の産業政策について批判が出ました。ところが、最近も先端技術等をめぐってアメリカでもまた産業政策に対する批判が強まっておりますし、それからASEAN諸国の状況等を見ましても中曽根総理の訪問に際しても貿易上のいろいろな諸要求というものが出ておるわけです。    〔理事降矢敬義君退席、理事野呂田芳成君着席〕 つまり、まだまだ貿易摩擦というのは今後も継続をしていくだろうというふうに見なければいけないと思っておりますけれども、この法案によって、たとえば具体的に貿易摩擦が緩和するとか、あるいは輸入が大幅にふえるとか、そういうふうにお考えになっておるのかどうなのか。  逆に言うと、これが一つできた、しかし実効は上がらないじゃないかということで、ますます今度はこれを足がかりにして具体的な輸入制限の撤廃等いろいろな障壁の撤廃ということでの要求が今後強まってくるんではないかというふうに思いますけれども、いま言った評価、こちら側としてこれを通すことによってどういうふうな結果が出てくるんだろうという評価と、いま言ったさらにこれを契機としてより圧力が強まってくるんではないかと、そういう見方についてはどのように判断をされておりますでしょうか。
  36. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 大変デリケートな御質問で答えることがなかなかむずかしいようでございますけれども、私が高く評価されておると申しました点は、言うまでもなく法形式の点でございます。これが具体的に輸入の増加をもたらす、外国から見れば輸出の増加をもたらすというふうに、直接私は結びつけて評価することは簡単には言えないかと思うのでございます。ともかくも関税障壁のように何%を何%にする、そういうことによって貿易はどうなるかということの評価は比較的目に見えやさしいもんだと思います。非関税障壁は、吉田委員御案内のように、言語から文化までを含めて一つの障壁というふうに考えられておりますだけに、なかなかこれを取り除くことによってどの程度貿易が伸びていくかというような評価は私はなかなかできないもんだ、こういうふうに考えるわけでございます。  しかしながら、世界各国とも東京ラウンドを完成した後は非関税障壁をとにかくできる限り除いていこうというふうな合意のもとで世界各国努力しているところでございます。私は、このようなことの努力を一つ一つ積み重ねることによって、自由貿易主義の体制が維持でき、結果として私は貿易は伸びていく。御案内のように、戦前は関税障壁のために一年間の貿易の伸び率は〇・九%しか伸びなかった。戦後は、一九四八年から七三年の間でございまするけれども、自由貿易主義体制のために毎年八%近く伸びてきた。このような実績から見て、やはり私は自由貿易主義体制を維持していく、それは関税障壁のみならず、戦前は関税障壁がその中心でございましたが、戦後はやはり非関税障壁まで含めて取り除いていこうという各国の努力、これは大変貴重なものだと思っているわけでございます。したがって、その中でのこの法案の位置づけというものは、私は相当重要なものだと、そしてそういった意味においてそれ相当の評価が与えられると、こういうふうに考えております。
  37. 吉田正雄

    吉田正雄君 通産当局にお聞きしますが、具体的に今度法改正による対象特定製品の輸入でどの部分がそれでは増大をするのか、障壁が取り除かれるのか、一番問題点だったのは大体どの辺なんですか、ちょっとお聞かせ願います。
  38. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) いま塩崎長官から御答弁がございましたように、実は日本の市場の閉鎖性という点について諸外国からの非難が非常に強いわけでございます。特にちょうど昨年の後半当時の状況を考えてみますと、日本基準認証制度が非常に問題であるというようなことで、そのために日本が非常に市場を閉鎖的にしておる、したがって輸出意欲が、外国事業者の輸出意欲というのもさっぱりわいてこないというのが諸外国からの強い指摘であったわけでございます。そういう意味で基準認証制度を、内外無差別を実現するということは、輸出業者に対しまして日本の市場が開放的になったという意味で非常にその輸出意欲をかき立てる非常に大きな効果があるんではないか。しからば、じゃ何億ドルこれで日本への輸入がふえるかということになりますと、それは定量的な評価はむずかしいと思いますけれども、それは向こうの輸出業者が何とか日本の市場もいけるんだと、こういう意識を持って市場開拓をしてくるという意味では非常にこの摩擦解消の効果は大きいと思っております。特に、じゃどこが一体欧米で一番関心があったかというお尋ねでございますが、じゃそれを取り除かれたことによって定量的に幾ら輸入がふえるということはちょっと定量的には評価はむずかしゅうございますけれども、非常に欧米が問題にいたしておりましたのは大きく言って三つぐらいあったのではないかと思っております。  一つは、私ども省庁だけのことでございませんけれども、自動車関係についての検査手続、もう一つ薬品関係についての問題、さらにもう一つは私どもの方で言えば消費生活用製品安全法の問題、ここらあたりに非常に関心があったようでございますけれども、全体といたしまして先ほど申しましたように、日本の市場の閉鎖性の象徴としてこの検査認証制度が昨年は非常に大きくクローズアップされておって、今回先ほどの基準認証制度等調整本部での方向が出されまして以来日本の努力は多とすると、こういうことに評価が固まってきているという意味では、私どもとしてはこの法律というのは日本の対外関係の形成にきわめて大きな効果があるというふうに思うわけでありますが、ただ定量的にはいまそれを幾らという点は、なかなか申しにくい状況にございます点は御理解いただきたいと思います。
  39. 吉田正雄

    吉田正雄君 次に、先ほどたとえば欠陥商品等で消費者が損害をこうむる場合ということを申し上げたんですが、もうちょっとお尋ねをいたしますけれども、たとえばいただいた資料の中の消費生活用製品安全法にかかわる対象品目が八品目掲げてございます。たとえば家庭用の圧力なべ及び圧力がま、野球用ヘルメット、乗車用ヘルメット、それから炭酸飲料瓶詰、同じくガラス瓶、それから乳幼児用ベット、それからローラスケート、登山用ロープと、こういうふうなものが掲げてございますけれども、今度の制度の改善によりまして従来は製造販売輸入業者が輸入したものが検定を受けてからSマークと、こういうことになっておったものを、今度は外国製造業者登録を受けることによって型式承認を受ければ直ちにSマークというものがつけられると、こういうことになるわけですね。したがって、検定制度というものがここでは逆に言えば省かれておるというふうなことで、形式上は整うようでありますけれども、現実に日本における厳密な品質管理上の検定という面から見て、こういう制度改善によって果たして品質が従来ほど保証されるのかどうかという点で私は問題が出るんじゃないかという感じがするわけです。つまり、安全確保の面で本来の法目的がこれによって弱められることが出てくるんじゃないかという点についてはどのようにお考えになっていますか。
  40. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) いま御指摘のように、八品目が消費生活用製品安全法で指定をされておるわけでございますが、いま現状では御指摘のとおりに個別の検定によって外国製品日本の市場に入ってきて、検定に合格した場合Sマークを付す、こういうことになっておるわけであります が、今後は日本製造業者がやっておりますと同様に、直接外国事業者が型式承認を受けて、そしてその場合、十分基準に適合しているか、あるいはその製造設備の段階でそういった型式に沿ったものが十分つくり得るのかどうか、あるいはまた検査設備等が十分であるかどうかといった点を十分慎重に判断をいたしまして型式承認を与える、こういうことになるわけでございます。そういう意味ではこの検査の型式承認を受けます承認の仕方自身につきましては、これは国内製造業者と同様の内容で処理をいたすわけでございまして、したがいまして、そういう意味では、ここで不良品が出るということにはならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。  なお、運用に当たりましてはもちろんこの法律目的が安全の確保という点にございます。今回内外無差別を実現をいたすということにいたしましても、その運用につきましては厳正を期さなければならないと考えております。
  41. 吉田正雄

    吉田正雄君 それから今度の法改正の大きな目的一つに、認証制度内外無差別ということが言われておるわけですけれども、逆にこれは外国業者に対して甘くなるんじゃないかという見方も出てくると思うんです。  たとえば、いま言った防止措置の点に関して言うならば、いままでは国内業者に対してはあるいは従来は命令という形がとられておったんですけれども、今度は請求というふうな形になってくるわけです。ずるずるいっているうちに違反製品がどんどん出回ってきたりというふうなことで、その責任もメーカーに及ばないで、逆に輸入業者とか販売業者のところへ、さっき言ったような事故のしりが持ち込まれていくというふうなことになって、外国業者は従前以上にこれによって有利になることは間違いないわけですけれども、そういう点では国内業者との間に命令とか請求という点でもすでに差が出てくるということになるわけですので、いろんな一連のそういう取り扱いを見たときに、無差別というよりもむしろ差別が逆に出てくるんじゃないかという批判も出るんじゃないかと思いますが、その点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。  それと同時に、日本の場合にはそういうふうに制度改正をした、じゃ今度は日本から外国に輸出をする場合、いままでの状況はどうであったのか、あるいは同様な制度というものが外国にあって、そして外国でも日本に準じたような手続を今度やるのかどうなのか、その両面からひとつお聞かせ願いたいと思います。
  42. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 今回の法律改正に当たりましては、日本製造業者等に要求いたしますのと同等の安全基準、これを外国製造業者に要求をいたすわけでございます。その場合、法令違反——いま委員がいろいろ御指摘になりましたが、法令違反を行った外国製造事業者に対しましては、これは直接罰則の適用がむずかしいという法律的な制約から、いわゆる認証の取り消しを行うといったような形で強制実効性を確保するという法律体系をとっておるわけでございますが、そういうことによりまして、いま生命あるいは健康の保護、こういったことについては十分な担保措置を講じていく、こういうふうに考えているわけでございます。  いま御指摘のように、外国に対して甘くなりはしないかと、むしろ無差別ともいいながら、逆に外国を優遇するんではないかということでございますが、これはいま申し上げましたような担保措置を講じ、それからまた外国の運用、外国に対しましてのこの指定適用ということにつきましては、先ほど申しましたように、わが国製造業者に要求されるのと同等の基準を適合していくと、こういうことでございます。  また、先ほどの要請等をいたしますのも、これは法令上の適用の限界ということから請求をする、あるいは要請をするということでございますが、その実効性は十分担保はできているというふうに考えております。したがいまして、また、最後に回収命令等は、先ほど申しましたように行政代執行というところまで担保をいたしますので、そういった意味でこの安全の確保という点について、特に私どもとしては問題は生じないんではないか。また、御指摘のように、外国に対して甘くならないように、この点につきましては、運用で十分厳正な措置を講じなければならないと考えております。  また、外国がどうであるかということでございますが、アメリカに例をとりますれば、いまいろいろな基準が、もちろんそれぞれ環境問題、安全問題で法律によりまして、目的によりまして基準が定められている分野がございます。これにつきましては、アメリカに対しましては、日本の業者は、ダイレクトアクセスと申しましょうか、直接アクセスできるような制度にいまのところ私どもの調査の限りではなっておるわけでございます。もちろんいろいろ全部の国に当たりますれば、このガット・スタンダード・コードの点に関しましての問題があるいはあるのかもしれませんが、欧米などに関しましては、大体いまのところそういったガット・スタンダード・コード上の問題は、いま申しましたように、特にアメリカに例をとりますればダイレクトアクセスは認められている、こういうことでございますので、日本の業者が、直接アメリカの型式承認等々の待遇は受けられる、こういう状況になっております。
  43. 吉田正雄

    吉田正雄君 次に、ガットとの関係でお尋ねをいたしますが、ガットの内容というのは非常にどうも複雑なようでありまして、三年前ですか、日本もガット協定を承認をしたといいますか、締約国として受諾をしたということになりますか、その辺の経過を若干お聞かせを願いたいと思います。  それと、この前の事前の説明で、消費生活用製品安全法関連する対象品目等、ここのところで何だかガットに提訴中だというふうなこともちょっとお聞きをしたんですが、それはどういう内容で、ガットの一体何条によって行われておるのかという点、ガットとの関係で少し詳細にお聞きをしたいと思うんです。  最初に、ガットのいま全体の状況というのはどうなっておりますか。従来は暫定協定という形でずっと動いてきて、正式な協定というのはまだ発動していないといいますか、有効にはなっていなかったというふうに聞いておるんですが、ガットの現状を最初にお聞かせください。
  44. 沼田貞昭

    説明員(沼田貞昭君) お答えいたします。  まず、ガットの一般協定についてございますけれども、一般協定につきましては、いま先生が最後に言われましたように、暫定協定と申しますか、そもそもそのガットをつくるに当たりまして、国際貿易機関——ITO憲章というようなものをつくろうという動きがございまして、その中で、貿易及び関税に関する部分についてつくった取り決め案のみがガットとして成立したと、それを各国が受け入れて、貿易及び関税に関する国際的なルールとして運用してきているという点では、いま先生の言われたとおりでございます。  それから、いま御審議いただいております基準認証制度に関係いたします法律との関係で申し上げますと、ガットの一般協定の規定におきましても、第三条の内国民待遇等々の規定はございますけれども、大ざっぱに申し上げて、基準認証制度というような、各国国内手続に関する問題について、一般協定の規定ぶりは必ずしも徹底していないという問題意識がガットの運営上だんだん生じてきたわけでございます。この点は、先ほど経企庁長官からも御答弁がございましたように、ガットの重点というものが関税を下げるということと同時に、だんだんと非関税障壁の問題に当てられてきたということの一環でございます。  そこで、非関税障壁につきまして、一九七三年から行われました東京ラウンドにおいて、いろいろな分野の非関税障壁について新しい協定をつくるべきではないかということで交渉が行われたわけでございますけれども、その中でこの基準認証制度と申しますか、各国が有している基準であるとか、あるいは認証制度というもののそういう 手続や、国内産業を過度に保護するというようなことであってはならない。あるいは認証制度が輸入品に対して閉ざされていたり、あるいは輸入品に対して開放されている場合でも、そういう行政上の手続が輸入品について必要以上に厳格であったりする場合には、その結果国際貿易が阻害されることになるという問題意識が出てまいりまして、そういうような弊害を除去するために協定をつくろうということでガットのスタンダード協定が作成されたわけでございまして、先ほど先生も御指摘されましたように、わが国といたしましてもこのスタンダード協定に加入したということでございます。
  45. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 先生御指摘のガットここのスタンダードの関係で提訴されているということの経緯ということでございますが、この点につきましては消費生活用製品安全法、当時主としてアメリカは金属バットの問題を念頭に置いておったわけでありますが、この点につきましては、内外の無差別を保証しておりますガット・スタンダード協定上の七条の規定に反しているということから、ガットのスタンダード協定の十四条の第一項の規定によりまして協議に入っておった次第でございます。さらに、そのためにいまの一般的な十四条一項の協議に続きまして、十四条の第二項ということで、貿易上の利益が著しい影響を受けていると認めるときには、さらに書面による申し立てまたは提案ということが規定されておりまして、それで十四条の二項ということで、ガットの手続を進めたいということになっておったのが先生の御指摘の点であったかと思います。この点につきましては、その後別途の判断で、この金属バットの問題は、政令から、適用品目から外す措置が講ぜられまして、これは安全性上特に不良品が出ないという判断で外れたわけでございますが、そういったことからいきますと、いまガットのこの続いておりました手続というものは、いまそういったことで、先ほど申しましたような事情でガット上の協議の手続ということは停止されておる、こういうことになっておるわけでございます。
  46. 吉田正雄

    吉田正雄君 いま、金属バットの話もちょっと出たんですが、金属バットというよりも、私が一番心配いたしておりますのは、消費生活製品の場合の対象品目というのを見ますと、これは仮に事故が起きてもさほど大したと言うと、これはまあ語弊がありますが、そうそう一身にかかわるような重大事故が発生するような品目ではないんですけれども、ただこの高圧ガスの場合とか、あるいは石油ガス保安の確保に関する部分とか、それから化学物質、あるいは電気用品取締法に関するもの、あるいはガス事業法に関係する部分ですね、こういう対象品目等について、今回の改正によって、特に保安上といいますか、安全上問題が出てくるということはございませんでしょうか、どうでしょうか。
  47. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) いま先生御指摘になられました諸法律、この点につきましては、先ほども説明申し上げましたように、基準そのものはそのまま維持をし、そしてその運用の点につきましては国内製造業者と同様の条件を求めていくと、こういうことでございます。で、LPガスの問題、あるいはガス用機器の問題、あるいはまた化学物質の審査に関する問題、こういったことにつきましては、その審査の内容ということにつきましては、国内製造業者と同様のものを求めていくということでございますので、もとより安全の確保という点については、私どもとしては特に問題を生じないと考えております。また、運用におきましては遺漏なきように慎重を期す、厳正を期すというように対応いたしたいと考えております。
  48. 吉田正雄

    吉田正雄君 いま、ガットに関連をして、三年前にそれを受諾したといいますか、承認したというときに、工業標準化法というものが改正をされております。今度こうやって一括十六本の法案が出てきたんですけれども、なぜこの前のときにあわせて一緒にやらなかったのかどうなのか、一体今回まで持ち越した理由というのはどういうことなのか、その点をお尋ねいたします。
  49. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 三年前ガットのスタンダード協定を受諾いたしましたときに一応の検討がなされたわけでございますが、その際に工業標準化法、いわゆるJIS法についての改正を行いましたのは、このJIS法が明らかに外国産品を排除しておる、こういう規定になっておりましたためにその時点で改正を行ったわけでございます。それ以外の法律につきまして言いますと、これは外国産品に対しましてわが国認証制度が完全にJIS法みたいに門戸を閉ざしておるというふうには実は認められておりませんで、たとえば産品についての個別審査の規定があったり、あるいは実態的な面では輸入業者でありますならばこの認証手続に参加し得るとかいうふうなことになっておったわけでございまして、そういう点から見ますと、このガット・スタンダード協定の趣旨に明らかに抵触するものではないと、こういうふうに実は認められておりましたもんですから、その時点におきましては直ちに法律改正するということはしなかったわけでございます。先生御高承のとおり、このガット・スタンダード協定には、ガットにおきます他の諸協定と異なりまして、国内法令改正義務条項というものがございません。それから協定違反というふうな問題が提起された場合には、ガットで定められておりますところの協議あるいは紛争処理手続によって解決を図っていくということになっておりまして、いままで、これまでのところ、わが国認証制度につきましてはガットとしての判断が下されたことは実はなかったわけでございます。そういう状況でございましたもんですから、これまで進んでこの法律改正というものは行わなかったわけでございますが、先ほど来お話がございますとおり、関税障壁の問題から、最近におきましては、いわゆる非関税障壁の問題というものが国際貿易上大きな問題になってまいりまして、そういう状況のもとにおきまして、わが国法律外国の業者を明確に締め出すというものではございませんけれども、いろいろ先ほど来お話がありますとおり、罰則の適用とか、あるいは立入検査とかいうふうな問題をとってまいりますと、国内法が国内のメーカーなり輸入業者というものを念頭に置いてつくられておる法律でありますために、外国事業者がストレートに日本のこの認証手続に参加し得るということが明確には示されていないというふうなことがございましたもんですから、この際、自由貿易体制確保、保持という観点、あるいは貿易摩擦解消の一助とするというふうな観点からこういう法律改正を御提案申し上げたわけでございます。
  50. 吉田正雄

    吉田正雄君 大臣お尋ねをしますが、いまそういう答弁ございましたけれども、やはり、相当外国からの圧力といいますか、摩擦が強まらなければじゃやらなかったのかということも言えると思うんですね。確かに、ガットの協定に明白に違反をしていないとかどうとかと、いろいろあると思うんですけれども、三年前でも貿易摩擦というものはものすごかったわけですし、今日とそう状況は変わっていないと思うんでねす。そういう点では、今度出されたというのはやはり政治的判断だろうというふうに私思っているんですけれども、三年前の認識が逆に言えば甘くて、せっぱ詰まってここでとうとうやらざるを得ないという状況に追い込まれたという見方も私はできるんじゃないかと思うんですね。そういう点で、私は、この問題だけに限らず、これからのやはり産業政策、あるいは国内における経済政策全体との関連で、こういうその都度主義といいますか、追い詰められたたんびにやるとか、そういうことでなくて、やはり長期的な展望を持った対処というものが必要ではないか。とりわけ、国際関係というのは日本国内問題とは違いますから、せっかちにすぐ変えるとか変えないとかいうふうなことでは困りますし、また、のど元過ぎたら熱さ忘れるという日本人のそういう習性でも困るというふうに思いますので、私は、この問題を契機にして、今後の国 際通商上の問題点というのは、直接主管は通産が大体中心になっていくと思うのですが、いま大臣胸を張ってやはり広い意味で経企庁が一番至当ではないかというふうな答弁もありましたので、そういう点でこれからの、いままでの経過と将来の展望を踏まえた場合、どういうふうに今度の法改正に当たってお感じになったのかということと、もう一つ、これは当初にお尋ねをする予定だったんですが、最初は法律二十九本と規則二本を対象に考えておいでになったようでありますけれども、十六本にしぼられたわけですね。いままでの説明の中でそれでいいんだといえばいいというふうにも聞こえるんですけれども、また後になって、やはりいまのこの新法案を実施をしてみたらいろいろ外国から注文が出てきた、問題が指摘をされたというふうなことで、再びこういう法改正をやるというふうなことになったんでは、これまた今回やったことが、何か、泥縄式であった、展望がなかったのではないかというそしりを免れないと思うんですが、これらを含めましてきょうはひとつ大臣答弁をお聞きをして、これでやめたいと思います。    〔理事野呂田芳成君退席、委員長着席〕
  51. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 大変重要な意味を包含しております御質問と申しますか、御提案のように承るわけでございますが、私もまた吉田委員の御提案は確かに重要な点だと思いますし、いま申されましたように、圧力によって日本は動いていくんだとか、あるいは小出しにしてやっていくんだとか、このような批判があっては大変に残念なことでございます。おっしゃったように、三年前に率先して直しておけば吉田委員の申されましたような御批判はなかったかと思うんでございますが、そこは何と申しましてもいろいろ認識の相違と申しますか、考え方の相違があったことも事実でございますし、またまた緊迫する貿易摩擦状況もだんだんと私どもの身にしみて感じたところがあったことも事実だと思います。ともかくも受け身の民族というふうに日本人はよく言われておりまするけれども、そんなことがないように、自由貿易体制を一番享受しておるのは日本だという観点から、この点は私ども十分自覚して対処していく必要がある。今後非関税障壁というような概念自体——私も長らく大蔵省におりまして関税障壁しか頭になかったような男でございます。非関税障壁というような概念というのは恐らく外国渡来の概念ではないかと思いますが、そんなところの認識が十分でなかったことも私は事実だと思います。  それから私は、率直に申し上げまして、内国民待遇という日米通商航海条約にも古くからあるような法的な規定でこのような問題はもう十分対処できるんではないかということも主張したんでございますが、やはりなかなか法律を明文化して具体的に書いていかないと日本というところは動かない国である。アメリカのように抽象的な規定に基づいて、解釈、運用によって十分このような日本が今度いま提案しておりますような制度が動いていくような国とは違った法体系、法運用の国であるとよく言われますので、こんなふうな立法化がいま行われているわけでございますが、各国との認識の相違、さらにまた法体系の相違、これらも十分考えまして、いま御指摘のように私はもう進んで貿易摩擦の解消、市場開放問題についての取り組み、これはもういまおっしゃいました御批判がないような方向でひとつやっていかなければならぬと考えております。
  52. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 私どもは今回の措置を講ずるに当たりまして、その基準認証制度というものを規定しております法律を全面的にまず検討の対象といたしまして作業を開始したわけでございます。その時点におきましてはいま御指摘がございましたとおり二十九の法律と二つの規則というものをその対象として取り上げたわけでございます。たとえば消防法におきまして消火器についての基準とか認証制度が定められておりますし、あるいは電波法におきましては無線設備等に関します基準なり認証制度というものが定められておる。そういうことから全面的にこういう基準認証制度を定めておりますところの法令というものを当たりましたのが二十九法律と二つの規則ということであったわけでございます。  それぞれにつきまして私どもしさいに検討いたしました結果、十二の法律と二つの規則につきましては、外国製造業者わが国認証手続への直接参加の道は開かれておる、現行法で十分やれるということが実は明確に確認されたものでございますので、それは今回の法律改正の対象から外して、十七本の法律につきまして内外無差別の原則というものを法制度的に確保しよう、こういうことで改正をお願いをしておるわけでございます。  その中で一本、家畜改良増殖法につきましてはそちらの法の単独法で別の改正内容とあわせて御審議いただくことになっておりますので、今回ここでお願いしておりますのは十六本の法律ということに相なったわけでございます。
  53. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十四分休憩      ────・─────    午後一時二分開会
  54. 亀井久興

    委員長亀井久興君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、井上計君が委員辞任され、その補欠として栗林卓司君が選任されました。     ─────────────
  55. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案議題といたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  56. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、午前の同僚に引き続きまして、ただいま議題になっております法律案につきまして質疑をさせていただきます。  最初に、市場開放策の実施状況についてお尋ねしたいと思います。  世界的な保護貿易主義の高まりの中で、日本はこの市場開放措置を講じてきたわけですけれども、その第二弾発表後、海外の諸国はその措置を一応評価しながらもその実効性を見守るというのが大勢じゃないかと思うんですが、その後の市場開放策のフォローアップがおくれているとの批判の声も一部に聞かれるようになってきているわけですけれどもわが国がこれまで発表してきました市場開放策を迅速かつ誠実に実施することが自由貿易体制を維持強化していかなきゃならない貿易立国としての日本にとって重要な課題じゃないかと思うんですが、その点長官最初にお尋ねしたいと思いますが、これいかがお考えでしょうか。
  57. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) ただいま太田委員御指摘のように、わが政府は最近の自由貿易主義体制の維持、逆に申しますれば保護貿易主義台頭の抑制の見地から一連の市場開放対策を講じてきたところでございます。政策といたしまして特に取り入れましたのは六回ばかりございますが、いずれも世界各国からそれなりの私は評価を受けていると思うんでございます。  まず昭和五十六年の十二月十六日に関税率の一律二年分前倒しの引き下げ措置を含んだ五項目の対外経済対策を決定いたしました。御案内のように、関税障壁は最も大きな貿易摩擦の原因だと思うわけでございますが、一九六〇年代から始まりましたケネディ・ラウンド、そしてさらにそれに引き次ぐ東京ラウンド、その東京ラウンドで決定いたしました分を二年分前倒しをいたしまして、御案内のように日本は現在二年分の前倒しを含めますと全産品の関税率は四・四%。一方、アメリカは現在のところ五・一%、ECは七・五%、このような平均の関税率のあり方を示しているわけでございます。このような点において、市場開放対策措置は、関税率の点においては私は世界から高く評価されていると思うんでございます。  そこで、第二に、昭和五十七年の一月三十日に 輸入検査手続の改善、市場開放問題苦情処理推進本部、いわゆるOTOの設置を決定いたします政策を打ち出しました。これらの点につきましてもいろいろ評価されているところでございますが、OTOは経済企画庁にございまして、御案内のように各界の有識者の方々が入っておられまして、各方面から広く意見を求められ、そしてそれを市場開放政策その他の措置の中に十分反映していただいておるのでございます。しかもまた諮問会議のメンバーの方々に一連の市場開放措置についてのキャンペーン等をお願いいたしまして大きな成果をおさめていると私は考えております。  第三番目は昭和五十七年の五月二十八日でございます。輸入検査手続等のまた改正を行いましたほか、関税率の引き下げ、輸入制限の緩和等の八項目の市場開放対策を決定いたしました。  そしてまた本年の一月十三日に、四番目の措置といたしまして新たに関税率の引き下げ、基準認証制度等の全面的な検討内容とする「当面の対外経済対策の推進について」という政策項目を決定したところでございます。基準認証制度等を取り上げるということがあらわれましたのがこの四度目の本年一月十三日の市場開放対策措置の中身でございます。  その後五回目といたしまして、本年の三月二十六日に、一月十三日に決定いたしました中に取り入れられました「基準認証制度の改善について」具体的な検討が行われました。そしてまた今日の内外無差別の原則に基づきますところの外国製造業者の取り扱い、これが決定されていまここで御審議をお願いしているところでございます。  さらにまた政策として取り上げられましたのは、第六番目といたしまして本年四月五日の「今後の経済対策」、こういった政策の中で基準認証制度の改善につき所要法改正案を今国会に提出するというふうに明らかにいたしまして、世界に向かいましてこのような措置をとるということを明言したところでございます。  以上六回ばかり市場開放措置決定いたしまして世界各国の認識を求めますと同時に、理解を広め、そしてまた私どもといたしまして大きくキャンペーンをしているところでございます。それなりの評価がありましたことはいま御説明のとおりでございます。
  58. 太田淳夫

    太田淳夫君 いまいろいろと大臣の方からお話がございましたけれども、今回のこの基準認証制度改善以外の市場開放対策のフォローアップの状況ですね、それはどのようになっているか、ちょっとお聞きをしたいと思うんですが。
  59. 田中誠一郎

    政府委員田中誠一郎君) ただいま大臣から六回にわたります対外経済対策について御説明申し上げたところでございますが、まず最初の、五十六年十二月十六日に対外経済対策を決めておりますが、その中で輸入検査手続等の改善を御案内のとおり決めておるわけでございます。この改善措置につきましては、第二回目の措置といたしまして五十七年の一月三十日にとりました輸入検査手続等の改善というところで諸外国から改善すべき旨指摘を受けております輸入検査手続等九十九事例について処理をしたわけでございます。そのうち六十七事例については改善措置を講ずるということを決めておりますし、引き続き九十例について検討を行い、改善を行ったところでございます。その他、一昨年の十二月に決めました輸入制限の緩和につきましては、その後レビューを行っておりますし、関税率の引き下げについてはただいま大臣から申し上げましたとおりでございまして、東京ラウンドで合意いたしました二年分の一律繰り上げ措置はすでに実施したところでございます。その他、OTOにつきましては一月三十日に決めました後、いままで事例といたしまして、百十事例ございますが、それについての検討を行ってきたというところでございます。  なお、昨年の五月に決めました対策につきましては、輸入検査手続等の改善等がございますが、これにつきましては、特にOTOの設置を行いまして、引き続き改善措置を講じたということでございますが、同時に通関手続等についても、事後審査制あるいは包括審査制の導入等によりまして改善を図っていくというところでございます。  なお、昨年の五月の際にも、関税の引き下げについて決めておりますけれども、さきに決めました一律前倒し措置につきまして、五十八年度から行うという所要手続をその際決めてございます。その他、輸入制限の緩和あるいは輸入の拡大等について各般の措置を決めておりますが、その後すでに実施に移しているところでございます。  ことしの一月の十三日には、引き続き関税の引き下げ農産品四十七品目、工業品二十八品目について引き下げを実施するということを行っておりますが、これはすでに関税率の引き下げを行ったところでございますし、また輸入制限の緩和につきましては、六品目についてすでにその実施を図ったところでございます。そのほか輸入検査手続の改善等につきましては、引き続きOTOの機能強化という見地から代理申し立て制度の導入、あるいは先ほど大臣から申し上げましたOTO諮問会議の設置、あるいは地域別連絡会議の拡充等を図ったところでございます。  基準認証制度につきましては、ただいま大臣から申し上げたとおりでございますが、そのほか輸入の促進、製品輸入の拡大等につきそれぞれ具体的な措置を行ったところでございます。  以上でございます。
  60. 太田淳夫

    太田淳夫君 先ほど同僚議員の質問の中で、今回の消費生活用製品安全法等の十六法案法律改正案以外に、改正案が検討されながら除外されたものにつきましては、質疑がございましたので省きますけれども、同じように今回の改正案の対象外になっております工業標準化法ですか、これは五十五年に改正されたわけですが、そして、外国製造業者にJISマークの表示を認めることができるし、またそのようにして海外にその門戸を開放しておるわけですけれども、現在までのその国別あるいは品目別承認実績とか、あるいは現時点で国別、商品別申請状況はどのようになっておりますか。
  61. 平河喜美男

    説明員平河喜美男君) 五十五年の四月二十五日に改正し、海外の工場にもJISマーク表示制度を開放しておりますけれども、それ以来、ことしの四月末日までに五カ国十八件について表示承認を行っております。  内訳としましては、シンガポール二件、韓国八件、台湾六件、マレーシア及びフィリピン一件ずつでございます。  なお、業種別に申し上げますと、土木建築三件、機械二件、電気七件、鉄鋼一件、化学二件、船舶一件、その他二件となっております。
  62. 太田淳夫

    太田淳夫君 そうしますと、ガット・スタンダード協定の加入に当たりまして、海外からの要望もありまして外国産品に対して日本の市場を開放するためにこの工業標準化法を改正したんですけれどもわが国の市場が閉鎖的であるという非難の声が高い欧米諸国関係の承認実績は一件もないということなんですけれども、その点につきましては周知不徹底が原因なのか、ほかに原因があるんでしょうか。
  63. 平河喜美男

    説明員平河喜美男君) 現在アメリカから一件申請が出ております。フランス等でも勉強しているようでございます。今後、ぼちぼち出てくるんじゃなかろうかと思っております。  実数は、御存じのとおり任意法規でございますので、企業の方でその意欲があるというところが出てくるようになっておりますので、今後を期待しているところでございます。
  64. 太田淳夫

    太田淳夫君 次に参りまして、今回の改正の対象となっている法律の中には、現行法で輸入業者外国製品について型式承認を申請できるものもあるわけですが、それぞれ輸入業者がこれまでに型式承認を受けた件数はどのくらいあるでしょうか。
  65. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 私どもの今回改正で出しております七本のうちで、輸入業者型式承認を受けられるケースといいますのは、計量法と電気用品取締法でございます。  計量法につきましては、現在までのこれまでの 取得実績は二十二型式でございます。その中には、いわゆるPH計でありますとか、公害関係計量機器が中心でございます。  電気用品取締法につきましては、これも輸入事業者が所定の型式区分ごとに型式承認を受けられるわけでございますが、これは件数が大体五十三年度以降二百件から三百件ぐらいでございますけれども、五十七年度は百九十七件の取得実績がございます。
  66. 古谷裕

    政府委員(古谷裕君) 私どもの所管しております法律、肥料取締法、それから農業機械化促進法、農薬取締法について申し上げますと、肥料取締法におきましては、現在輸入肥料について輸入業者登録を行っておりますけれども、その件数は輸入業者数で百二十四、これは登録業者の約七%でございます。登録件数で申し上げますと、現在の有効登録件数が千五百八十七ということになっておりまして、これも約全体の七%というふうな状況でございます。  それから機械について申し上げますと、これは過去五カ年間の型式検査の合格数を調べたものでございますが、全体の合格件数八百六十四のうち百十七型式が輸入に係るもの、これは機械でございますけれども、これは約一三・五%ということになっております。  それから農薬については、これは農薬自体の輸入というのは非常に少のうございまして、業者数で申しますと六業者、これは全体の登録業者の約三%程度でございまして、登録件数になりますとさらに少なく十二件、これは全体四千六百八十五という有効登録件数がございますが、その〇・三%というふうな状況でございます。
  67. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) 今回の一括法の中に含まれてます私ども法律は、道路運送車両法でございますが、この道路運送車両法に基づきまして輸入業者外国の自動車について型式取得いたしました実績は二型式でございます。五十六年の八月に取得しております。
  68. 林部弘

    政府委員(林部弘君) 先生のお尋ね型式検定の関係でございますが、私どもの所管法律は、労働安全衛生法でございます。  型式検定の対象機械は十二品目でございまして、五十四年から五十六年までの累計を申し上げますと、六十二件でございまして、検査検定総数のうちに占める割合は一%強でございます。
  69. 太田淳夫

    太田淳夫君 大臣、今回の改正によりまして、どうでしょうか、アメリカの側も輸入拡大に余り実効性がないというようないろんな説もございますが、その点どのようにお考えでしょうか。
  70. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私は、いわゆる貿易摩擦の解消のための特効薬あるいは即効薬というものはないかと思うんでございます。あらゆる努力を積み重ねることによってこれを解消するしかない、こういうふうに考えているところでございます。しかもまた、関税障壁と違いまして非関税障壁という問題は余りにも数多くの問題があり過ぎて、しかもまた、いつも申し上げますように言葉から文化まで非関税障壁というふうに言われておりますことを考えますと、やはりこれはなかなか容易なことではない、こういうふうに考えるのでございます。  そういった意味で、今度の外国製造事業者に対する内外無差別の原則の法制化、この問題もこれが直ちに数量的に輸入の増大にどの程度つながるかと言えば、答えることはなかなかむずかしいわけでございますが、このような措置を一歩一歩積み重ねることによって、全体として日本の市場は非常に近づきやすくなってきた、こういうふうな認識は必ず得られるものだと確信しているところでございます。しかし、アメリカの高官の中にはこの措置を効果がないと言う人もあるけれども自分は高く評価する、こういったことが伝えられていると聞くわけでございますので、私は、識者の中にはこの措置を高く評価しておる、こういうふうに考えて間違いはない、こういうふうに思います。
  71. 太田淳夫

    太田淳夫君 法制度上の改善だけでは、諸外国からのいろんな要望にこたえることはできない、いろんな対策も講じていかなければならないと思うんですけれども、たとえば非政府機関——国内の業界、団体、こういうところで独自に実施をしています商品の安全あるいは品質に関する基準の制定、あるいは認証活動、これも改善する必要があるんじゃないか、このように思うわけですけれども、現在国内の業者、団体などが独自に実施をしている基準認証制度はどのぐらいあるかということですね、一つは。  また、これら業界、団体の基準認証制度が、海外の輸入品を事実上締め出しているような事実がある場合、政府各省としてはどのような方針を持って改善されるのか、各省にお聞きしたいと思います。
  72. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) 御指摘のように業界、団体が行っている認証制度もございます。  三月二十六日の政府決定いたしました内容によりましても、非政府機関において実施されているものにつきましても、このときに決めました基準認証制度の改善、これに基づいてその徹底を図るように政府においても実情を把握するように、こういうことに相なっておるわけでございます。私どもの方の所管の業界、団体でも任意の事項としてこれを実施をいたしておるものがございまして、かなりの数に上っておるわけであります。したがいまして、私どもといたしましても、この決定に基づきまして、私どもの関係団体、これにつきましてお集まりをいただきまして、内外無差別あるいはそのほか透明性の確保、それから検査データの受け入れ、こういうようなことにつきましての周知徹底方をいたしたわけでございます。  私どもで把握いたしまする限りでは、大体三十を若干上回る程度の団体がこのような任意のと申しましょうか、業界の自主的な活動としての検査・認証制度を行っておるわけでありますが、いま先生御指摘のように、諸外国からの不満が生じないように政府で講じます措置に準じまして、適切な措置をするように指導をいたしておるところでございます。
  73. 太田淳夫

    太田淳夫君 通産省としては、政府の改善決定を受けまして具体的な措置を決めたというふうに聞いておるわけですけれども、それはどのような内容のものでしょうか。
  74. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) もとより、今回提出いたしております法律制度の改善、さらにそのほかにも、実は、三月二十六日の基準認証制度の改善には、先ほど申しましたように、透明性の確保とか、国際化とか、いろいろなことが盛り込まれておるわけでございますが、特に外国からも運用上で関心の深い、私どもに関係いたしますもので運用上関係の深い透明性の確保というようなことに一つの焦点を置きまして、私どもといたしましては、四月二十一日に、貿易局の中は、通産省関係の規格・基準作成過程につきましての情報提供、これをいたします窓口といたしまして、基準情報センターというふうな名前をつけまして、省内のこういった規格・基準作成過程についての情報提供、こういったようなものの窓口を決めたわけでございます。で、そこにおきましては、まず規格・基準作成過程に関する情報の収集及び提出、さらに規格・基準作成過程についての照会の受け付け、あるいはこれに対する回答、さらにまた、規格・基準の原案を作成いたしますその過程において外国事業者等が意見の提出をいたします、そういった機会を持ちたいということについての要請の受け付け、あるいはそれについての回答、また、私どもの省の関係いたします民間団体の規格・基準等についての情報がほしいという場合にはそれのあっせんをするといったような窓口を設けた次第でございます。また、今後この法律が成立いたしました暁におきましては、またいろいろなことでそういった情報提供もこの窓口を通じて外国事業者にも遺漏のないような情報提供活動をいたしてまいりたい、かように考えております。
  75. 太田淳夫

    太田淳夫君 先ほど同僚委員の方から、この改正案のいろいろな問題につきまして、やはり外圧 ということでいろいろと質疑もございましたが、私たちもやはり、ガット・スタンダード協定加入後、外圧をかけられるまでやらなかった政府の姿勢というのを反省しなきゃならないんじゃないかというふうに思うわけでございます。いま通産省の方からお話がありましたけれども各省庁としては、同じような、先ほどの非政府機関における認証制度の改善についていろいろな具体策を立てているんでしょうか。
  76. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 非政府機関におきますところの基準認証手続の問題につきましては、先ほど通産省関係具体的な御答弁がございましたが、全般的な方向といたしまして、去る三月二十六日に決定をいたしました「基準認証制度の改善について」、これは法律改正以外にも各種の問題がございます。透明性の確保とか、あるいは国際基準との整合性の確保の問題、あるいは外国におきますところの試験データの採用の推進とか、その他、手続の簡素化、迅速化、こういうふうな項目があるわけでございますが、それらにつきまして、単に政府だけでなしに非政府機関につきましても、この非政府機関には政府機関に準ずる機関を含むということで、特殊法人等も含めてございますが、それにおいて実施されている基準の制定、認証活動にあっても、いま申しましたような各事項の徹底が図られるべく政府において実情を把握するとともに措置することとする、こういう方針を決めたわけでございます。その方針に基づきまして、各省が現在あるいはこれからその非政府機関におきますところの活動の実態を把握をいたしまして、その内容をしさいに検討いたしまして、今回の法律改正を含む基準認証制度の改善の方向に沿うべく検討がなされるものと考えております。個別には、各省におきましてその実態の把握と検討、改善ということになろうかと思います。私どもといたしましても、その辺の各省状況わかりましたならば、総体的にこれを把握し、必要な連絡調整を図るべきことがあればそういう役に任じたい、かように考えております。
  77. 太田淳夫

    太田淳夫君 次に、薬事法の改正部分についてお伺いしてまいりたいと思います。  今回の改正によりまして、外国において医薬品を製造しようとする者は、直接厚生大臣にその承認を受けるための申請ができることになったわけですが、しかし、医薬品でありますから、保健衛生上、その外国業者に対して国内でいろんな措置をとらなければならない場合が生じるのではないかと思うんですが、その場合はどのように対応をしていくおつもりでございましょうか。
  78. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 御指摘のとおり、医薬品は国民の生命なり健康に直接関連をいたすものでございますので、副作用被害などにつきまして、保健衛生上の危害の発生あるいは拡大を未然に防止しなければならないことは当然のことでございます。  国内におきましては、現行の薬事法におきまして承認された医薬品について、日常的な副作用情報の収集報告でございますとか、製品検査の義務づけでございますとか、あるいは一たび危害が発生したような場合には、緊急に情報をお医者さんなりあるいはそういったユーザーの方々に連絡、伝達するといったような問題、あるいは場合によっては、医薬品の廃棄をするとか回収命令をかけるとかいう、そういったような措置が現行法で定められておるところでございます。  今回、外国の医薬品につきまして直接承認を与えることにつきましても、当然のことながら、国内における医薬品と同様の措置をとることは必要でございます。今回のお願いしております法律改正では、御案内のとおり、外国のメーカーは居住が外国でございますので、こういった、いま申し上げましたような副作用被害の発生を未然に防止する、あるいは保健衛生上の危害の拡大を防止する、そういった措置は、恒常的に、しかも迅速に行う必要があるわけでございます。そういった意味で、外国居住の製造業者といったような事情も考えまして、国内の管理人を置くことにいたしております。で、国内の管理人に、いま申し上げましたような実効を担保させるというような措置をとることにいたしております。  なお、今回お願いしております法律改正によりましては、承認された医薬品を国内で流通過程に乗せると申しますか、国内の市場に出すためには、これは従来どおり、輸入販売業者を通じて輸入販売をするということになっております。したがいまして、承認は外国製造業者に直接与えますが、実際の国内での輸入販売は、輸入販売業者を通じて従来どおり行うということになっておりまして、したがいましてそういう意味で、輸入販売業者とそれから承認取得者あるいは承認取得者の国内の管理人、そういったものが相互に緊密な連絡を取り合って、事故の拡大防止あるいは事故防止を図る必要があるかと思いますが、そういったものも法律規定しているところでございます。
  79. 太田淳夫

    太田淳夫君 国内に管理人を選任して申請が可能になるということで、従来のように輸入販売業者を通ずる必要がなくなるということですけれども外国製造業者には、現在のこの方式がどのような点でデメリットがあるのか。それがどのように改善されることになるのか。また、外国における基準認証制度は、改正日本のとどのように相違してくるのか。その点どうでしょうか。
  80. 持永和見

    政府委員(持永和見君) いま御説明いたしましたように、現行の制度では、直接外国製造業者に医薬品の承認を与えておらずに、輸入販売業者を通じまして外国製造業者は医薬品の承認を取得し、かつまた、輸入販売業者を通じて許可を受けた上で国内に流通させる、こういうようなことでございまして、承認という問題について見ますと、従来の承認のやり方というのはいわば間接的な承認でございます。今回、みずから直接医薬品の承認を取得できる、いわゆる人の名を借りるのではなくて、自分の名前で日本国の医薬品の承認を受けることができるというような問題が一つあろうかと思います。  また、これをやることによりまして、直接承認を受けました医薬品は、先ほども説明いたしましたように、輸入販売する場合には輸入販売業者を通じてやるということになりますけれども、承認を受けました医薬品については、輸入販売業者の変更が非常に事務的に簡素化されるという問題がございます。従来は、輸入販売業者が変わるたびに改めて承認をとるというような煩瑣な手続がございましたけれども、それが承認を取得した医薬品に限って申し上げますと、輸入販売業者の変更が容易になるというようなメリットがあろうかと思います。  それから、お尋ねのありました外国との関連でございますけれども外国における医薬品の認証制度について見てみますと、アメリカではすでに直接の承認申請を認めております。この点においてわが国と同じような状況になるのではないかと思います。
  81. 太田淳夫

    太田淳夫君 この管理人でございますけれども、これはどのような業務を行い、どのような責任を負うことになるのでしょうか。当然、薬剤についての知識、経験が必要であるというふうに考えますけれども、選任に当たっての資格はどのようなものを定めるお考えでしょうか。
  82. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 御説明いたしておりますように、国内の管理人を設置する理由というのが、いわゆる医薬品でございますだけに、保健衛生上の危害の拡大の防止、あるいは発生の防止、そういったものを常に恒常的にやっていかなければならないという面と、それから一たび、そういった危いというようなことがありました場合には、迅速な対応措置が必要でございます。この場合に、先ほど申し上げましたようにいろいろと義務がございますが、義務内容としては、お医者さんに対する情報伝達でございますとか、あるいは医薬品そのものの管理の面にかかわるものでございますとか、そういったものがございますために、医薬品に関する相当の知識、経験を有することが必要であろうかと思います。そういった情報の伝達、あるいは副作用報告といったような問題 がございますために、やはりそれ相応の知識、経験を持っているということによって、初めて適切に義務が履行できるというふうに考えております。  具体的な中身は、この法案の成立後におきまして厚生省令で決めるというようなことにいたしておりますが、いま申し上げましたようなことでございまして、具体的には医薬品に関する相応の知識、経験を持った人たちを配している、具体的に申し上げれば、たとえば外国事業者の支店でございますとか、出張所でございますとか、あるいは国内製造業者でございますとか、そういった者が管理人になるのではないかというふうに考えられるところでございます。
  83. 太田淳夫

    太田淳夫君 ちょっとお尋ねしますけれども、現在医薬品の製造承認の申請件数は年間どの程度ありますか。また、そのうち輸入承認の件数はどの程度の割合になっておりましょうか。また、今回の措置によりまして輸入販売業者を通ずることなく管理人を選任して申請してくる企業というのは、どの程度増加するとお考えになられますか。
  84. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 昭和五十七年を見てみますと、医薬品の承認申請でございますが、全体として二千五百九十九、品目数でございます。このうち、輸入の承認申請が三百四十一ということで、約一割強というような状況でございます。  お尋ねの、今後こういった外国からの輸入承認件数がいかが相なるかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、今回の措置が、一つは自分の名義で承認を取得できるといったような問題がございますが、もう一つ輸入業者、輸入販売業者の変更が手続的に容易になるというような問題もございまして、こういった制度を利用する外国企業もあるいは出てくるかと思います。しかし、実際にその現在のほとんどの外国の大きなメーカーは、すでに日本に進出をいたしておる状況でございまして、これがきっかけとなって非常にたくさんの増加ということは余り考えられないと思いますけれども、いまのところ、そういった手続が容易になるというような問題がございますので、どの程度増加するかということはいまのところ私どもとしてはどうも数字的に把握できないといったのが実態でございます。
  85. 太田淳夫

    太田淳夫君 一部に、今回のこの外国製造業者が直接承認申請ができるようになったことと同時に、その承認申請に当たりまして、日本国内での動物実験、臨床試験のデータ添付が緩和されたように報道されているわけですけれども、必要なデータで緩和された部分があるんでしょうか。またあるとすればその理由は何でしょうか。
  86. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 外国検査データの受け入れでございますけれども、これにつきましては昭和五十一年ぐらいから諸外国との話し合いも進めまして順次データの受け入れを運用上いろいろと図ってきております。今回の三月の二十六日に出されましたいわゆる基準認証制度の改善措置の一環といたしましては、従来受け入れておりませんでした一部の安定性試験データあるいは規格試験方法に関するデータ、いわゆる実測値データと言っておりますが、これにつきまして私どもの方の準備期間も含めて本年の十月から受け入れることにいたしております。  なお、臨床データでございますが、臨床データにつきましては外国人と日本人との人種差、食生活の差、あるいは生活環境の差、そういったものがございますので、この点についてはなお専門的、学術的な検討を今後していくということにいたしておるわけでございまして、現在のところ外国の臨床データを直ちに受け入れるということは考えておりません。  また、外国試験データを受け入れるに当たりましては、やはり日本国内に流通する医薬品でございますために、日本国内で決めております、厚生省が決めております有効性、安全性のための審査基準というのがございますが、その審査基準を満たしていなければならないことは当然でございまして、そういった内外差別なくわが国の審査基準にのっとって適正な審査をするという前提の上で、そういった諸外国の全臨床のデータを逐次受け入れているといったような状況でございます。
  87. 太田淳夫

    太田淳夫君 種々お話がありましたけれども、やはり動物実験データ、実験につきましてはいわゆるGLP基準、それを定めて、それが国内では本年四月一日から施行される。それと同様の基準に基づいて行われました動物実験データは国際間でもお互いに信頼して、二重に必要としないということは一応は理解できるわけですけれども、そのデータの適正さというのはどのように担保されるんでしょうか。日本でもアメリカでもいろいろなデータ捏造のうわさも聞かれるわけでございますが、その点どのようにされますでしょうか。
  88. 持永和見

    政府委員(持永和見君) いま申し上げましたように、外国の試験データにつきましてもわが国の試験基準を満足するという前提で受ける、また審査に当たりましてはわが国の審査基準にのっとってやるというようなことでございまして、先生御指摘のGLP、いわゆる動物実験などの安全性データでございますけれども、これにつきましては、動物実験につきましてはいわゆるGLPに適合している旨の証明、これは私ども政府機関あるいはそれに準ずるところから証明を出してもらって、それの証明があればそういったGLPにのっとった動物実験データを受けるということにいたしておるわけでございます。  データの信頼性の確保と申しますか、不正の防除措置につきましては、国内と同様厳正な措置をとるということで、外国メーカーにつきましても今回の法律の中身で立入検査請求あるいは承認手続、そういったものの措置を法律上盛り込んでいるところでございます。
  89. 太田淳夫

    太田淳夫君 医薬品というのは使用者の健康、生命の安全にかかわるものでございますから、より慎重に外国の実験データの受け入れについては当たっていただきたいと思うわけでございます。  次に添加物の問題についての認可に関連して若干の質問をさせていただきます。  食品衛生調査会の毒性・添加物合同部会、これでいろいろ審議されたようでございますが、添加物の問題についてどのような結論を出されたんでしょうか。
  90. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) 四月十一日に食品衛生調査会の毒性並びに添加物の合同部会が開催されておりまして、その意見具申におきましては、九品目の食品添加物について指定差し支えないという意見具申を得ている次第でございます。
  91. 太田淳夫

    太田淳夫君 九品目については認可を了承したということでございますね。  添加物につきましては、参議院における、あるいは衆議院における社労委員会でも、極力使用を制限する方向で措置するというような附帯決議がされて以来、非常に厳しいこれはチェックが行われてきたわけでございまして、どうでしょうか、十年間にわずか五品目だけが新しく認められた。逆に九品目を削除するようなこともされてきたわけですね。使用は三百三十六品目にとどめてきた経緯があるということでございますが、それは事実でございましょうか。
  92. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) 過去十年間におきまして五品目の追加を行い、九品目の削除を行ってきたという点では事実でございます。  なお、私ども衆参両院におきまして食品添加物の使用を制限するという決議があることを承知いたしておりますし、この決議は現時点においても妥当なものというように考えている次第でございます。  しかしながら、こうした考え方は、わが国のみではなく、国連の一部でございますFAO・WHOが共同してやっております食品添加物の国際的な食品規格の会議におきましても、食品添加物が正当と認められるような場合は、別の経済的並びに技術的な代替の方法がなくてなおかつ特別の目的のもと、かつ特定の条件のもとにおいて最低の使用量で使うべきである、こういった約束のもとに評価が行われております。したがいまして、食品添加物の使い方というような点については、諸 外国とも同じような考え方をしているわけでございます。  なお、極力制限すべきであるという考え方でございますが、新しい食品添加物並びに安全性が担保された食品添加物、こういったものを増加すべきでないというようには私どもは解釈いたしてない次第でございます。
  93. 太田淳夫

    太田淳夫君 四月の十二日の社会労働委員会におきましても、基本的な方針は不変である、従来の基本姿勢の中で環境の変化に対応をしていくというような御答弁があったように聞いておりますけれども、これはいままでいろいろ厳しくやってまいりました従来の方針から厚生省が基本方針を変更されてきた、このように考えてよろしいんでしょうか。
  94. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) 添加物を九品目増加させることが私ども必ずしも規制の緩和とは考えていないわけでございますが、規制の緩和というような面と安全性の緩和とは私ども全く別個のものと考えている次第でございます。  今回の九品目につきましても、個々に資料を求め、それぞれ食品衛生調査会について安全性並びに必要性を慎重に審議した結果の意見具申というように受けとめている次第でございます。
  95. 太田淳夫

    太田淳夫君 今回は規制の緩和と私どもはとらえているわけですが、まず外圧があって、それから行政の側が追認したような形になっているように見えますが、学術的な専門的な安全論議よりもそういった諸外国からの市場開放要求を優先させた、きわめて政治色の強いものじゃないかということに不安を感じているわけでございますが、やはり食品行政というのは非常に国民の生命の維持について基本的なものでございますので、そういった点につきまして十分に今後も国民に不安を与えないような道を講ずべきじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。
  96. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) 今回の九品目につきましては、わが国からの指定の要請がありましたものが四品目、並びにアメリカから指定の要請がありましたものが十品目、一部品目はダブっておりますので一応十三品目について審議を行ったわけでございますが、三品目については資料の不足、あるいはまた使用実態等の有無、こういった関係に疑問が残っておりまして、九品目について、現在、意見具申が出ている段階でございます。  国民の食生活に直接に結びつくものでございますので、食品添加物の安全性については、今後、より一層さらに充実した資料において審議を行ってまいりたいと考えております。
  97. 太田淳夫

    太田淳夫君 今回の九品目が認可される際に有力な根拠となりましたのは、FAOあるいはWHOの評価が済んで、慢性毒性が最も少ないとされているいわゆるA1リストですか、ここに収載をされているという点が大きな根拠じゃないかと思いますが、その点、どうでしょうか。
  98. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) FAO及びWHOにおいて、約二十五年前から国際的に食品添加物として使用され得るもの、こういった安全性並びに必要性の評価が続けられているわけでございます。  その評価の中におきまして、Aランク、Bランク、Cランクと分けまして、Aランクにおきましては評価するに十分な資料もあり、安全性についても確かめられるものというのがA1のリストという形で、一九七九年のリストでは三百三十九品目が列記されているわけでございます。こういったものについては一応十分な資料があるわけでございますが、やはりこの安全性の評価というのは年々進歩をいたしております。また、動物実験等のやり方もさらに複雑化しているわけでございます。  こういった観点から、もしわが国が新しい食品添加物の安全性を評価する場合には、一九八三年のいまの時点における動物実験等の評価が要求されるわけでございます。  したがいまして、FAO・WHOのA1のリストに挙がっております食品添加物であっても、これを無条件に追加するのではなく、食品衛生調査会におきまして個々にこれを審査して、この意見具申を求めていく考えでございます。
  99. 太田淳夫

    太田淳夫君 そうしますと、アメリカ政府は昨年の十一月の日米通商実務協議以来、このリストに収載されながら日本が使用を認めていない百二十八品目の添加物すべて認可するように求めてきているわけでございますけれども、厚生省の立場としてはあくまでもこれは日本基準各国それぞれ独自の認可基準というのはこれは必要だと思います。習慣やら食生活やら違いますから。日本はあくまでも日本としての基準でやっていくんだと、こういうことでございますね。
  100. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) そのとおりでございます。
  101. 太田淳夫

    太田淳夫君 そうしますと、この添加物につきましては、指定されたものであってもやはり国民の生活に非常に関連の深いものでございますので、薬事法の規定に準じた再審査、再評価の制度を定めることが必要だと思いますし、安全性に疑問が生じた場合には販売停止等の規制も必要だと思いますが、その点、どうでしょうか。
  102. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) 食品添加物はわが国におきましては認可制ではなくて指定制をとっております。その関係上、既存の食品添加物の安全性につきましても国側にこの評価する義務があるかと考えております。  昭和三十七年以来、既存の食品添加物につきましても安全性の再評価を行ってきております。その結果といたしまして、安全性に疑わしい点が出たものについては削除あるいは使用制限を加えるなどの措置をとってきておる次第でございます。
  103. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、次は道路運送車両法関係にまいりますけれども、今回の法改正にあわせまして型式指定の手続及び要件を簡素化しているわけですが、その概要はどのようなものでございますか。
  104. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) 今回の一括法で御提案しております法律内容は、一つ型式指定というものが外国製造事業者等も直接取得できるということを明確にすることが第一点でございます。  それから第二点は、外国製造事業者等に対しましては、直接罰則による間接強制等が事実上困難でございますので、それにかわるものとして立入検査あるいは報告徴収等に応じなかった場合に、それを指定の取り消しの要件とする、これが今回御提案申し上げております道路運送車両法の法律自体の内容でございます。  これとあわせまして、三月二十六日に政府において自動車の認証制度の簡素化の中身を決定したわけでございますが、その中身は二つございまして、一つ型式指定を取得するための手続、要件を大幅に簡素化した、これが第一点。  それからもう一点は、安全基準につきまして欧米等との調和を図るということで十一項目ばかり基準についての見直しを行った、これが概要でございます。  それで、その型式指定の要件、手続の簡素化でございますが、これは大きく分けまして三つございますが、第一点は、従来、型式指定を取得するために提示を要求されておりました耐久走行車二台、これは安全関係で運輸省が要求しておる走行方法によって三万キロばかり走行いたしました車一台、それから公害関係で同じく運輸省が要求しております走行方法によって三万キロ走行したもの一台、こういう耐久走行車二台とそれから新車一台、この提示を要求しておったわけですが、このうち耐久走行車の二台につきましては、耐久性を証明するデータを御提示いただければ車自体の御提示は省略する、これが第一点でございます。  それから第二点は、日本の試験方法とほぼ同等の試験方法で外国メーカー等がやりました試験のデータにつきましてはこれを受け入れる、これが第二点でございます。  それから第三点は、そのほか諸元表の記載項目とか、そういったものにつきましても大幅な簡素化を図っていく、こういうような型式指定の手続、要件の取得のための簡素化を図った次第でございます。
  105. 太田淳夫

    太田淳夫君 運輸省は今回の措置につきまして説明会を開いたりあるいは直接アメリカを訪問して説明、説得に当たっているようですけれども、向こうの反応はいかがだったんですか、アメリカ側の。
  106. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) 今回、ただいま御説明いたしましたような措置につきまして、いま先生おっしゃいましたように、私どもは相当いろいろな方面、外国のメーカーであるとか、あるいは政府機関等につきまして、相当な、できるだけのPR、説明をしたわけでございますが、アメリカは安全関係それから騒音関係につきましては自己認証というわが国と違った認証制度をとっております。ただ、排ガス関係についてはわが国と同じように事前の認証制度をとっておりますが、安全関係とそれから騒音関係につきましては自己認証といいまして、連邦政府なりあるいは州政府が決めた基準について、メーカー自身がこれは基準に合っているということで証明をすれば市場に出せる、こういう仕組みをとっております。  それで、わが国に対しても同じように自己認証という仕組みを採用したらどうか、こういうような要求はこれは以前からあったわけでございますが、やはりアメリカというような国情と、それから非常に過密な車社会を構成しているわが国と事情が異なりますので、事後にトラブルがあったときにいろいろな政府の強制措置が働くという自己認証では、わが国の社会の中では、やはり安全なり公害の防止という見地からそういう仕組みに変えることはできませんので、私どもとしてはこの自己認証という制度はとれないという御説明をしております。しかし今回、ただいま御説明しましたような型式指定の要件の手続の大幅な簡素化によりまして、これは一台一台の車について型式指定をとれば、同じ型式のものであれば一台一台の車について国の車検場に車を持ってくる必要がないわけでございますから、そういう型式指定の大幅な要件手続の簡素化によりまして十分これをアメリカのメーカーも活用できるものというふうに考えておりますし、その点についての詳細な説明、これも現在やっております。そういうことでアメリカ側もこの型式指定制度の簡素化された中身をよく御理解いただければ、この制度というものを評価し活用していただけるものというふうに私ども考えている次第でございます。
  107. 太田淳夫

    太田淳夫君 いま説明を受けてわかったわけでございますが、アメリカはいまお話のように、自己認証制度というのを導入を求めてきているわけでございますけれども日本の自動車検査制度のたてまえとは非常にこれは相入れないものがあろうかと思うんですが、今後の外国自動車メーカーから型式指定の申請があった場合に、海外へ係員を派遣して審査に当たる体制というのは、特に導入するとかそういうような必要はないわけですか。
  108. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) 審査官を海外に派遣いたしまして事前に予備的な審査を向こうの外国の要望によりましてやり始めたのは五十二年度からでございますけれども、この審査官の海外派遣という問題は、これは今後も外国側からの要望があれば続けていきたいと思っておりますし、この型式指定の要件の簡素化その他によりまして、特に審査官の増員とかそういうことは、当面は必要はなかろうと思っています。ただやはり、外国側の要望に私ども真剣にこたえていかなければなりませんので、そういう審査官の派遣体制というものは十分にやはりこれから相手側の不満が起きないようなことを考えていく必要があろうというふうに考えております。
  109. 太田淳夫

    太田淳夫君 長官、今回のこの基準認証制度の改善で問題はすべて解決されたんじゃないと思うんですね。今後も、各省からいろんな話もありましたけれども、海外からの注文とかいろんな面でますます出てくるんだと思いますし、日本としましては実質的な輸入制限ととられないような措置は、極力これはがんばって努力していかなきゃならないんじゃないかと思うんですが、しかしまあそういった諸外国の不満の中には社会経済制度、あるいは慣行の相違とか、食生活の相違に根づいたものが多いわけでございますし、いまの自動車メーカーの自己認証制度どもその一例だろうと思うんですけれども、今後もいろんな注文が出てくると思いますけれども、その中にはやはり日本のいろんな国内体制から見ても無理な注文なども多いんじゃないかと思うんですが、それに対しては堂々とやはり反論していく必要があろうかと思うんですが、その点はどのようにお考えですか。
  110. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 太田委員の御指摘は全くごもっともでございまして、やはり日本にはまた日本社会独特の慣行があり、考え方があり、また政策目的というものがあってしかるべきだと思います。  そのような観点から、私どもはできる限りその内容についての理解世界各国に求めていく。そしてまた協調もしていきますけれども、いま申されましたような日本独自の必要性から生まれました制度、あるいは目標、これはやはり尊重していくべきであると、こういうふうに考えております。
  111. 太田淳夫

    太田淳夫君 そこでお尋ねしたいんですけれども、ガット・スタンダード協定加入国の中で、今回の日本のような基準認証制度の改善措置を講じている国がないと言われているんですが、それはどうでしょう。事実でしょうか。
  112. 沼田貞昭

    説明員(沼田貞昭君) お答えいたします。  ガット・スタンダード協定が三年前にできまして、各国がガット・スタンダード協定に加盟した後において、今回わが国がやりましたように、その国の抱えている基準認証制度関係の法律を一括的に直すというような措置をとるのは、わが国が初めてでございます。ただ、それぞれの国のもともと持っている認証制度を見てみますと、大ざっぱに申し上げまして、アメリカにつきましては今回わが国法改正の結果持つこととなるようなシステム、すなわち外国のメーカーからの直接のアクセスが可能であるシステムをもともと持っているわけでございます。また、もう一つつけ加えますと、アメリカにつきましては、いま申し上げましたように、もともとの法律外国のメーカーに対しても開いていたわけでございますけれども、それに加えまして東京ラウンドの諸協定、スタンダード協定を含む諸協定を受け入れるに当たって、議会から大統領に授権いたしました一九七九年度の通商協定法の中で、基準認証制度というものを外国に開くということを、また念のため確認するような規定が含まれております。
  113. 太田淳夫

    太田淳夫君 そうするとアメリカにおいてはそういうような状況でございますが、EC諸国においてはどうでしょうか。やはりそういうようなことでそういう欧米諸国に対しても同様の努力がなされるように、やはり日本としても積極的に働きかけが必要じゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  114. 沼田貞昭

    説明員(沼田貞昭君) EC諸国につきましては、まあ国によっていろいろ認証制度内容は違うわけでございますけれども、その中を見てまいりますと、国によって一部のものについて認証制度を開いているものもあるわけでございます。非常に細かくなりますので、具体的に何については何が開いているというようなことはこれはちょっと差し控えさしていただきますけれども、一部の産品について、たとえば英国などについては外国からのメーカーの直接のアクセスを認めているものがかなりあるということが言えると思います。  また、この諸外国との関係で日本と同じようなシステムにしてはどうかというようなことを呼びかけてはどうかとの御趣旨の質問かと思いますけれども、まあわが国と全く同じような法改正をすべきであるということを外国に求めるか否かということは別といたしまして、私どもスタンダード協定の趣旨に照らしても、今回の法改正によってスタンダード協定の目的を一層推進するという措置をみずから率先してとるわけでございますので、わが国がそういう努力をしているということも踏まえて、外国制度についてももし何か具体 的な問題にわが国として直面するようなことがあれば、そういうような立場を踏まえていろいろ問題の指摘をしていくこともあろうかと考えます。
  115. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは最後に長官にお伺いしますが、予算委員会が終わりましてから初めてお会いするわけですが、四月の十三日に日銀の前川総裁が景気底入れ宣言をしたですね。また、それから大蔵省も景気の見通しについては景気回復の兆しがはっきりしたと、こういうことでおっしゃっているんですが、なかなか現実にちまたではそんなような気配は見受けられないんですが、経企庁長官としてはいかがお考えでしょうか。
  116. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 突如として景気問題と申しますか、経済問題についての、経済の見通しについてのお話がございましたが、日本銀行あるいは大蔵省、それなりの見方をしておるようでございますし、私はそんなに企画庁と違った見通しではないと思います。なかなか指標で見る限りこれまでの状況ではまだまだ厳しいものがございます。失業率にいたしましても、さらにまた設備投資にいたしましても、鉱工業生産にいたしましても、厳しい面もございます。しかしながら、御案内のように、アメリカ経済の回復は相当早いように見受けられる。さらにまた、原油の引き下げの影響は輸入物価を通じて消費者物価あるいは卸売物価についてもあらわれつつある。そして、昨今は円レートも二百三十円に至るような状況でございまして、私はこれらの明るい兆しはいま見えつつあるところではないか。そしてまた、輸出でも在庫積み増しの形で、いま徐々に引き合いがふえているやに見受けられるわけでございます。こんなような状況から、もう五十七年度は、私はたびたび申し上げておりますように、三・一%の政府の修正見通しは達成されるものだと。その基礎固めの上に五十八年度の経済成長三・四%を目指して私は進んでいるものと考えますし、これを確実に達成するために、いまこのような法案を通じて各省とも努力をしている最中だと、こんなふうに見ているところでございます。
  117. 太田淳夫

    太田淳夫君 最後に、日銀総裁は十一日の定例記者会見の中で、いよいよ円高の背景と申しますか、円相場がいよいよ円高基調に向かった、底離れしたんじゃないかということでお話しされておりますけれども、経済界、いろんな面で公定歩合の引き下げを求める声がまた出始めているわけですけれども、これは当然日銀が決定することでございますけれども、長官としてはいかがお考えですか。
  118. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 公定歩合の問題はもう日銀の専管事項、また聖域みたいに言われているわけでございまして、私もこれについて強制がましいことは言うつもりはございませんけれども、やはり日本銀行にしても私は最もいま念頭にありますのは日本全体の、特に長期金利の引き下げだろうと思います。ともかくも貯蓄不足のアメリカに引きずられました高金利、しかも日本はそれが貯蓄過剰であって、投資先がなかなか見つからないような状況、それが私は不況の象徴だと思うんでございますが、どうも不自然な姿が——たとえば消費者金融に回っておりますところの、金融機関の正規のとにかく預金の方という形のもとで集められた金が、資金が、高い金利を求めざるを得ないようないまの状況から見ると、やはり何と申しますか、冒険的な投資、直接投資を奨励しなければ私は正常なる経済成長はないと思うんでございます。そのような意味で、日本銀行もこのような状況から、当然もう一刻も早くという気持ちを持っておられると思うんでございます。公定歩合を通じ、特に長期金利の引き下げをねらっているんじゃないか。しかし、その前提として長期金利が非常に高どまりしているのは国債が多いからだということもございますので、恐らく財政再建もひとつ大きく前進さしてくれということが日本銀行の要望だろう、こんなふうに思いますし、政治家といたしまして、政府といたしまして、この財政再建も金利引き下げのために重要な政策目標だ、こういうふうに考えております。
  119. 太田淳夫

    太田淳夫君 終わります。
  120. 市川正一

    ○市川正一君 今国会経企庁長官と相まみえるのはどうも本日が最後のようであります。また、来年度予算編成、いわゆるシーリングと各省概算要求の時期も近づいておりますこの折、若干冒頭に見解を承ることをお許し願いたいと思います。  いまも長官は明るいというか、祈るような希望的観測をお示しになったんですが、しかしことし一月の政府の財政中期試算では四兆円から五兆五千億の財源不足になる、こう予想しておりましたんですが、一般歳出の当然増が試算よりももっとふえそうな雲行きなんですね。ある新聞も「歳入不足五兆円の恐れ 五十九年度予算編成更に深刻」、こういうふうなことを報道いたしております。そこから、来年度予算については昨年のマイナス五%シーリングよりももっと厳しくシーリングを設定する、そしてさらに増税をという声すら聞こえるのであります。  経済政策の責任者として、私、長官に三点だけ率直な見解を伺いたいんでありますが、第一点は人勧凍結あるいは年金の凍結、こういうものが不況対策あるいはまた景気対策、これにプラスになったのかマイナスになったのか、どうお考えになるかというのが第一点です。  それから第二点は、個人消費の拡大がかぎであるということは長官御自身もかねがねおっしゃっていました。ことしの春闘はかつてない超低率にとどまってしまいました。その上に、大幅のマイナスシーリングで、たとえば福祉関係だとか教育関係だとかというものが切り詰められるとなれば、消費はますます落ち込まざるを得ないと思うんですが、どうお考えであるのかというのが第二点です。  第三点は、私、さきに本委員会において、長官に所得減税と大型間接税とを抱き合わせる意向を大蔵当局が示していたということを、大臣の名前も挙げて指摘したんですが、その後実際に小倉税調会長はそういうことを示唆されております。そうしますと、こういう大型間接税など国民に対する増税が景気対策にとってどういういわば効果を与えるのか、私は、何よりも減税こそがいま必要な時期ではないのかと、こう思うのでありますが、所得税減税などの問題がいよいよ終盤国会会期末を迎えてこれから重大な問題になろうとしているとき、以上三点について、もうめったにこれからお会いできぬので、この際ひとつ歯切れのいい御答弁を承りたい。
  121. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) まず、大変ありがたいことに、きょうで最後にしていただけるようなお話と、もう法案よりもむしろ財政論争というような御質問でございまして、大変ありがたいと思うところでございます。  まず三点、市川先生、例によって大きく御質問をいただきました。大変むずかしい問題ばかりでございます。  まず、第一は、人勧凍結、年金凍結が景気あるいは経済の成長にとってプラスであったかマイナスであったか、こういう御質問でございます。  この点はたびたび私どもが御説明申し上げましたように、人勧あるいは年金を凍結すれば、いまの財政事情のもと、しかも赤字公債をあれだけ多額に発行しております今日、しかもまた赤字公債を発行すること自体を抑制していこうという今日ならば、財源を離れてプラスかマイナスかという議論はできないということを申し上げてまいりました。人勧を実現するために所得税の増税をするということはまさしく適当じゃありませんし、私は、所得税減税はむしろ国民的な要望でございます。他の増税によって賄うこともむずかしいわけでございますから、私は財源を離れて凍結の問題をプラスかマイナスかということは議論することはできない、こういうふうに第一点として思うわけでございます。  第二点は、個人消費支出はどのような傾向を示し、また落ち込んでいるのではないか、あるいは落ち込んでよいのかという御質問でございました。  春闘の現在の状況あるいは福祉予算の削減という御指摘がございましたが、私は、消費支出は現 在のような低成長のもとでは経済成長を支える大きな柱である、こういうふうに思っているところでございます。しかしながら、これは何としても賃金水準の上昇をもたらすことによって初めて消費支出も伸びていく、そしてもう一つは、御案内のように消費者物価の安定によって消費の支出が内容的に充実できる、この二つだと思うわけでございます。そういった観点から見ますと、まず第一の賃金水準の上昇がどの程度によるかでございますが、これはもう経済全体が活発化する、活性化するということでございまして、私は、今後を含めてやはり私どもの見ておりますような消費支出の増大は、上昇は期待できるのではないか。春闘、若干大企業の面におきましては表面的には低目のように見えるんでございますけれども、これはひとつ消費者物価が低目であったためも考慮いたしますとまだ実質的な消費支出は増大する面がある。五十七年度の消費者物価の上昇は二・七とかいうふうに見ておりましたけれども、実は二・四であったというような実績が示しておりますように、この点とあわせて考えなきゃなりません。さらにまた、これからの経済状況は、私は下期に至りますればおいおいしり上がりに上昇いたしますことを考えますれば、この消費支出についてはまだまだいまのところでこういうふうな影響であるというふうに考えることは少し早過ぎはしないか、こんなふうに考えているのでございます。  それから第三点は、所得減税の問題と、その見返り財源と申しますか、それを賄うところの財源、特に大型間接税との抱き合わせということはどうかというお話でございます。これはもう私はたびたびこの点については市川先生と同意見と申しますか、暖房をかけておいて冷房を同時に吹くようなことはやるべきではない、むしろ大型間接税のように選択の余地のない消費税、しかも間接税のように購入前からあらかじめ価格が上がるような仕組みの税金、こういうものは消費に対してまともに直撃するものでございます。所得税というものは御案内のように貯蓄と、消費にかかる税金でございます。したがって、消費にかかる税金の方が経済に直接及ぼす影響はより大きいわけでございますから、たとえば、同じ一兆円の減税、同じ一兆円の大型間接税の増税ならばこの方が景気に対する影響は悪いという私は教科書流の判断を期待しておるわけでございます。したがいまして、選択の余地のある間接税、そういったところに財源を求めるんなら別でございます。しかしながら、選択の余地のない、しかも間接税という形で事業主に価格の形で転嫁させるような税を所得税減税の財源に求めることは適当ではない、こういうふうに考えます。
  122. 市川正一

    ○市川正一君 となりますと、もう一度またこれやらんといかぬので、ぜひ本国会中にそういう機会をつくっていただきたい。しかし、きょうはもう時間がありませんので、今度また別なので、前へ進めざるを得ません。  まずそこで、この改正法案の前提といいますか、背景について若干お聞きをしながら質問を進めたいんでありますが、アメリカやECは日本との貿易不均衡問題の原因について、日本の関税率が高いとかあるいは輸入制限品目が多いとか、あるいはまた輸入障壁が多い、こう言うとる。そこで伺いたいんでありますが、関税率あるいは輸入制限品目数、あるいは輸入障害、これについて日本はアメリカ、ECと比べてどういうことに相なっておるのか、簡潔で結構ですからどなたかから伺いたい。
  123. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 貿易摩擦の原因は数多くあると言われておるわけでございます。先ほど来御指摘のように、関税の問題、さらにまた割り当ての、クォータの問題、これらの問題があります。一番これまで重視されましたのは、御案内のように関税障壁の問題でございます。これもたびたび申し上げておりますように、わが国は最もこの点につきましては努力をしてまいりまして、つまり、一九六〇年代から始まりましたケネディ・ラウンド、そしてまたそれに引き続きまして七九年に終わりました東京ラウンド、私は、日本はこの問題については優等生であったと思うんでございます。したがいまして、いま関税率を見てみますと、二年分の前倒しを含めまして、いま日本は全産品につきましては平均四・四%である。アメリカは五・一%でございます。ECは七・五%と、こういうふうに言われているわけでございます。  一方、輸入制限品目、つまりクォータ等をやっておるところの品目でございますが、これにつきましても、何回か市場開放措置という形で私どもはこれを解除してまいりました。一九七〇年代には百六十品目ありました残存輸入制限品目は現在二十七品目ばかりになっている。
  124. 市川正一

    ○市川正一君 二十七ですか。
  125. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 二十七でございます。  そうしてこれを主要諸国と比較いたしますと、たとえば、まだまだ日本より多いところでは、ノルウェーが四十九、フランスが四十六といったような国もございます。日本はもうほとんどが、二十七のうち二十二が農産品でございます。農産品を除きますと工業品はわずか五品目でございまして、フランスの二十七品目、アメリカは六品目、それからイタリーは日本と同じく五品目、こんなような状況でございますので、特殊な事情がありますところの農産品について私どもは残存輸入制限品目が比較的多い。しかしながら、これはもうたびたびここでも申してまいりましたが、農業の特殊性から、世界的に保護貿易的な措置はやむを得ないというような考え方で支持されているものだと、こういうふうに考えております。
  126. 市川正一

    ○市川正一君 ただいま御説明があったように、実際に日本の関税はアメリカやECよりも低かったし、また輸入制限品目や輸入障壁についても諸外国と比べて多いということはないわけであります。つまり、アメリカやECなどの日本に対する批判は事実に反する。ところが日本貿易黒字を理由にして、貿易摩擦の原因が日本だけにあるかのようにいろいろ言って、特にアメリカあたりが無理な要求を突きつけてきているわけです。しかもそういう事態に対して従来見られた日本政府の態度というのは、これは残念ながらアメリカの言いなりになっていくという傾向を私は指摘せざるを得ぬのです。たとえば一九八二年三月、去年のことですが、アメリカの下院の外交委員会の報告書はこう言うておるんです。日本政府は圧力をかければ譲歩する、圧力をかけ続けなければならない、こう言うておるわけです。私は、今度のこの改正案を審議するに当たりまして、いまこそ日本政府は、こういうアメリカの不当な圧力に屈するんではなくて、毅然とした対応をとる必要があると思うんでありますが、本改正案の審議の前提として、まず政府の基本的姿勢、これをしっかりお伺いしたいと思います。
  127. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 私どもは圧力に屈してこのような法案を提出したのではございません。私どもはやはり自由貿易主義体制を維持発展させ、さらにまた市場開放措置といいますか、貿易摩擦というような現象を排除したいと、このねらいでこのような法案を提出したわけでございます。もう御案内のように、いま市川委員御指摘がございましたけれども関税障壁がかつての貿易摩擦の最大の原因でございました。戦前はブロック経済と言われまして、各国が宗主国と植民地との間にブロック経済をつくりまして、関税で高い障壁をめぐらしまして、他のブロック経済との間の貿易を拒否したということは御案内のとおりでございます。したがいまして、関税障壁の高かった戦前の貿易というものは年に〇・九%ぐらいしか伸びなかったわけでございますが、戦後の一九四八年から一九七三年までの数字を見ますと貿易は約八%程度は伸びたわけでございます。それはもう一九六〇年から——あるいは戦後すぐにガット等IMF体制をつくり、そして一九六〇年代から御案内のようにケネディ・ラウンド、そしてそれに引き続いて東京・ラウンドという形で関税障壁の排除、そしてこれを自由貿易主義体制の大きな柱にしていこうということで進んでまいりまして、先 ほど申し上げましたような、私は、各国努力した関税率の姿ができ上がったと思うんでございます。戦前にはなかった非関税障壁という言葉、これがやはり関税障壁についてのお互いの間の譲歩が成功した後は非関税障壁までひとつメスを入れる、そうしてお互いの間の貿易を促進して、自由貿易主義体制を守ろうではないか、保護貿易主義体制を排除しようではないか、私はこういうような世界のコンセンサスのもとに非関税障壁の問題がその次の問題として出てきたと思うんでございます。  非関税障壁という問題は言うまでもなく非常に幅の広い、残存輸入制限問題を含めて、あるいはクォータシステムの問題を含め、さらには産業政策の問題までこれを任の中に含め、あるいはまた言葉や文化の違いまで含めるような状況でございます。それだけにむずかしい問題でございまして、私は、今度のつくろうとしておりますところのこの法案は、その一環として外国製造業者にも日本製造業者と同じような法的な地位を与えることによって、外国から見ましたら一層容易ならしめる、このような仕組みをとるということを、私どもは対応しておるわけでございまして、このこと自体外国の圧力によってこういうふうにしたんではないと私は考えております。少なくとも自由貿易体制を最も享受したのは日本であると言われております。いま申しましたように、八%、世界は二十五年間のうちに貿易は伸びましたが、その間の日本貿易の伸びはもう二〇%、輸出については二五%成長しているわけでございますから、私は、日本自身が、外国よりも率先して、どんな国よりも率先して、非関税障壁の問題についても、理由があるならば、これは各国各国の習慣があり、慣行があり、独特の心理状態があるわけでございますから、理由のあるものは別といたしまして、非関税障壁についてはメスを入れることは当然日本がまず率先してやるべきである、こういうふうに考えているところでございます。
  128. 市川正一

    ○市川正一君 私がお聞きしたのは、今後外圧に屈することなく毅然とやられますかということをお伺いしたんで、だから、長官は、外圧に屈してやったんじゃないんだと、したがって当然これからも屈することはないと、こうおっしゃっていただければいいんですが、念のためにもう一遍お聞きしますが、今回の法改正でこの外国事業者が、いまおっしゃったように、国内事業者と同じように供給産品の申請を日本に直接できると、こういう認証制度にすること自体については私どもも賛成できることであります。しかし、午前中、同僚の吉田委員も指摘いたしましたけれども、この改正案がいわゆる一括法案方式になっているわけですね。そのために、本日も大ぜい政府関係者がお並びになってみえますが、やっぱりそれぞれの各論的論議が十分に尽くされないままに進んでいくというおそれが多分にあるということは吉田委員も指摘したところであります。そういうことから、私は、国民の生命の安全あるいは環境保全のために、政令などで定めている規格あるいは基準、それの個々をめぐっての、本来ならば厳しい検討、あるいは歯どめがここでも深くやられるべきだと思うのでありますが、それはこういうことになっておりますので、そこで私は、そういうものを総論として長官に、貿易障壁ということでいわゆる欧米諸国の不当な圧力でそれが緩和される、仮にもそういうふうなことは絶対にないんだということを、私は重ねて、何というんですか、取りまとめ責任者というんですか、国会担当者というんですか、その当事者である長官から明確にお答えをいただきたい、こういうわけであります。
  129. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) 市川委員御指摘がございましたけれども、私どもは、外国の不当な圧力によってスタンダードあるいは規格あるいは基準とかいったものを曲げることは絶対にするつもりはございません。この法案は、外国事業者に国内事業者と同じような登録等の法的地位を与える、いわばその手続のための法制化でございますので、私は、内容についてはこの法案の規制するところではございません。なお改正するところでもございません。これからも御議論も願って当然結構でございますが、これは多分に法律問題よりも政令以下の問題でございますし、私は、各省日本の実情に即したところの、そうしてまた日本の政策目標に照らした適切なる基準を選んでいくものだと、こういうように考えております。
  130. 市川正一

    ○市川正一君 そこで、具体的に厚生省にまず伺いたいのでありますが、厚生省は去年の八月に油脂等の酸化防止剤として使用しております食品添加物のBHAの発がん性が動物実験で確認されたことから、ことしの二月一日からこれを規制することにしておりました。ところが、規制が施行される前日の一月三十一日、厚生大臣の談話で施行期日の一時延期が発表されました。延期になった経過理由は何ですか。
  131. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) BHAにつきましては、昨年の五月に食品衛生調査会におきまして再評価の動物実験を審議いたしております。その調査会におきましてはBHAの動物発がん性が弱いながらも認められるという結論に達しまして、BHAの食品添加物としての有用性並びにBHAが少量でありますならば逆に発がん性物質に対する抗がん性を持っている、こういったような性格をも踏まえまして、十分な経過措置をもって行政上使用を中止するよう意見具申を得たわけでございます。その結果、私どもは、ことしの二月一日にBHAが残留するケースにおいては使用を認めないという措置を告示したわけでございます。しかしながら、去年の五月、この措置につきまして、現在、ガット事務局に規制の措置は通報することになっているわけでございますが、この通報によりまして世界各国がこのBHAの動物実験に興味を持ったわけでございます。とりわけアメリカにおきまして、日本国民に危険なものはアメリカ国民にも危険である、したがって十分にこの学問的な評価を行いたいという申し入れがございまして、さらに英国、カナダ、こういったところが加わり、BHAに限らず、この系統の酸化防止剤すべてを総合的に安全性について評価をしたいという提案がなされ、通称四カ国会議と言っておりますが、純然たるそれぞれの専門学者が集まりまして、三つの部会に分かれてさらなる検討が行われてきたわけでございます。その四カ国の検討の結果につきまして、三カ国は、この学者会議の結論から、レポートから、BHAの規制を当面行わなくても危険性はきわめて乏しいというような結論を出したわけでございます。これは、あくまで科学技術上の問題でございまして、一言で言えば、学問上の見解が分かれたわけでございます。そしてまた、一方におきまして、EC諸国がハイデルベルクに集まりまして、また同じく、日本の文献、資料その他を集めて評価を行ったわけでございますが、同じく結論は、BHAの安全性について問題はないという結論を出したわけでございます。しかしながら、さらなる国際会議でございます、WHOとFAOの合同の安全性評価会議、これらのレポートをすべて提出して、そしてさらなる学問上の評価を加えるということが約束されたわけでございます。わが国は、二月一日、規制の実施を予定いたしていたわけでございますが、四月にこの会議が行われます以上は、国際社会の一員として、あるいはまた、この話が科学技術の分かれというようなこともございますので、その間、規制の実施を延期した次第でございます。
  132. 市川正一

    ○市川正一君 私は、人の命にかかわる問題は、やっぱり多数決でやるようなことじゃないと思う。いま学問上のこととおっしゃいましたけれどもね。しかし、直接にはそれは人間の健康、命にかかわってくるわけです。私は、ここに林厚生大臣の談話を持ってまいりましたが、その中に、結局そういう外国での動向、これに屈したということを表明しておるのでありますが、「現在BHAの安全性につき学問上の評価が国際的に分かれていることを配慮したためである。」こう言っているわけですね。ですから私は、たとえ国際的に分かれていようといまいと、わが国において行われた実験データに基づいて、専門家の意見も聞き、そ して規制措置を、日本国民の安全を預かる日本政府、厚生省として自主的にお決めになった、そういう経過であります。また、国際的には学問上の評価が分かれることは、いろいろなことであり得ることだと思うんです。あり得ることなんだけれども、厚生大臣は、その談話の結びで、「国民の健康を守ることを責務とする厚生行政の考え方にいささかのゆるぎもない」と、こう、まあいわば大みえを切っていらっしゃるんですが、もし本当にそうであるならば、発がん性があることを知った段階で規制すべきじゃないですか。そして仮に、仮にですよ、国際的に安全性が完全に確認された段階で、規制解除の措置をとるということだって私はあると思うんです。だから私は、学問上のこの論争に介入するということではないけれども、しかし、そういういわば疑わしきものは規制する、文字どおり国民の命、健康に直接関連のある問題については、こういう慎重な態度、特に食品添加物だとかあるいは薬品というものに対応する基本原則がそうであらなければならぬと思うのでありますが、私は、いまからでも遅くないと思うんですが、厚生省としてはこのBHAの規制をどういうふうに今後対応されようとしているのか、この機会に見解を承りたいと思います。
  133. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) 厚生省の基本姿勢は、先生がいまおっしゃいましたとおりでございます。ただ、BHAの問題につきましては、発がん性という単純な問題と申しまするよりも、発がん性をめぐるその他の自然科学の進歩、これがきわめて著しくなったというような観点から、酸化防止剤の有用性、これを使わないために起こる公衆衛生上の危険性、こういった点が非常に特殊な問題点としてあるかと考えている次第でございます。  さて、BHAの今後の問題でございますが、四月の中旬にFAO・WHOの専門学者会議がジュネーブで行われております。その結果については一応レポートがまとめられておる次第でございますが、こういった資料並びに去年の五月からさらなる一年がたっておりますので、追加された諸実験が幾つもございます。こういった点を持ち寄りまして、五月の十七日に食品衛生調査会を開催し、審議をお願いいたしておる次第でございます。
  134. 市川正一

    ○市川正一君 私はあいまいな態度を続けることはさらなる国民の不信を招くことになると思いますので、この点はひとつ厳格に対応していただきたいと思うんであります。  続いてもう一つ、厚生省にお伺いしますが、四月十一日に新たに食品添加物十三品目の使用を許可する方向を明らかにし、すでに九品目については許可された問題が先ほど質問のやりとりの中でも出てまいりました。そこで伺うんですが、一九七二年の第六十八国会で、御承知のように食品添加物については常時その安全性を点検し、「極力その使用を制限する方向で措置すること」という国会決議がございます。厚生省はそれ以来約十年間にわたって、この決議を体しながら、食品添加物の使用を許可したのは五品目でしたですね。そして逆に九品目を取り消している。私どもの調査では三百三十六品目になってきていると、こう記憶しておりますけれども、要するに、数字はよろしい。全体として厳しい態度をとってこられた、そう私ども認識しております。それが今回、にわかに十三品目を新たに許可しようというのは、私はさきの国会決議、一九七二年、そしてまた食品衛生法のたてまえからいっても、本来全面的に禁止すべき方向性ですね、そういう立場を崩すことになるのではないか、こういうおそれを私持つんですが、いかがでしょうか。
  135. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) 私ども、昭和四十七年の衆参両院の国会決議、食品添加物の使用を極力制限する方向で措置をとるということを十分承知いたしておりますし、現時点においても私どもはその考え方は正しいものというように受けとめている次第でございます。  先生の御指摘のように、過去十年間において五品目を追加し、そして九品目を削除したというのは仰せのとおりでございます。それに比べまして、今回九品目というような指定についての意見具申が出ているというような形で、数の上では大きな変化というようなことがあることは事実でございますが、しかしながら衆参両院の決議の以降も、食品添加物を全く一切新規に認めてこないというような経過をたどっているわけではございません。十分な資料があり、その有用性が確認され、かつ、人に使っても健康等に対する危害のおそれがないということが明らかな場合には追加を図ってきたわけでございます。  ただ、数の上の大きな変化があったというような関係につきましては、確かにわが政府の今回の市場開放と全く無関係ではないというようなことがあるかと思いますが、国際的にその使用が十分に安全として認められている国連機関でのこの品目、こういったものについて諸外国から日本政府に対し、十分な資料というものを用意しながら要請があった場合には、私どもはその安全性並びに必要性を独自の立場、特にわが国の食生活の立場からこの審議を行うということは、これは当然のまた役目ではないかと思います。  ただし、外国から言われたから無条件にそれを全部入れるというのではなく、個々にわが国特有の食生活等を配慮してこれを審議を行っているわけでございまして、安全性について緩和する、こういったような背景は全くない。基本精神は従来と変わっておりません。
  136. 市川正一

    ○市川正一君 いまの答弁の中でいみじくもあったように、市場開放と全く無関係じゃない、事実そうなんです。さっきもあなた答弁なすったようにこの十三品目のうち十品目はアメリカからの要望なんですね。ですから、私はこういう点からも実際にいままでやってきた態度と、にわかに十品目アメリカの要請を受け入れる、これもアメリカからのいわば外圧によって厚生省がいままでの基本姿勢を崩すものというような非常な危惧を私は率直に言わざるを得ぬのです。  この機会に私、もう一つ伺いたいんですけれども、厚生省が去年の八月に出した「食品化学行政当面の課題」というのがございます。その中で、食品添加物について現行の指定制度に加えて、不確定計画として承認制度を採用することを示唆されているくだりがあります。先ほどもこの承認制あるいは指定制のことが少し出てまいりましたけれども、私が聞きたいのは、この十三品目の指定というのは、こういういわば承認制度の先取り的な内容を示唆するんではないか。  去年の九十六国会で衆議院の物特委員会におきまして、わが党の岩佐議員がこういう質問をいたしましたが、承認制度導入は白紙であるとあのときお答えになりました。しかし、私は承認制度の導入は食品添加物の使用を非常に多面的に導入していくというか認めていくということと結びつくと思うんでありますが、私はこの機会に、先ほど厚生省の藤井さんでしたかの御答弁がそうであるとするならば、国会決議あるいは食品衛生法の精神に基づいてこういう承認制度は導入しないということを明確にお答えを願いたいと思うんであります。
  137. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) 承認とか許可とかいう用語がございますが、特定のものに自由を付与するというようなふうに解釈いたしておりますが、食品添加物については必要性、有用性を考えて厚生大臣が指定するという形をとっております。したがって、特定の者に権利を付与したというような関係が出てこないわけでございます。しかしながら、この十三品目の申請があった、要請があったというような関係、この要請という過程におきましては承認、許可と類似する点は同じでございます。その取り扱いが違っているというような点で指定制と承認制というのは厳然とした区別が現在存在いたしております。  なお、食品衛生法を改正いたしませんと承認制の導入ということはできないわけでございますが、現時点におきまして食品衛生法の改正云々というような話題はございません。したがいまして、岩佐議員に私が答弁いたしましたように、承認制の問題は全く白紙の状況でございます。
  138. 市川正一

    ○市川正一君 白紙というのは色がこれからつくわけでしょう。その白紙というのはどないにもなるという、そんな無責任なことじゃなしに、やっぱり現在の指定制度を守って、承認制度については考えてもいないと、こういう翻訳でいいわけですね。そういうことでしょう。
  139. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) 現在の食品衛生法では、承認制とは全く無関係でございます。
  140. 市川正一

    ○市川正一君 それを堅持していると。そうでしょう、無関係と。無関係というのは白紙とどない違うんじゃ。要するにそういうことはいま考えていないということやね、日本語でわかりやすく言えば。色の話にしてもろうたら困る。
  141. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) 現在考えておりません。
  142. 市川正一

    ○市川正一君 よろしい、わかった。  厚生省ばかりなにだけれども、本来連合審査やって厚生大臣来ればいいんだけれども、気の毒やけれども、もう一発。  厚生省の農薬の残留基準があります。それによりますと、小麦についてはディルドリンあるいはアルドリン、これは残留してはならぬことになっておるんです、これは農林省とも関連いたしますが。またドリン剤は、おととしの特定化学物質に指定されて、その製造、輸入あるいは販売、一切禁止されている物質であります。  私、ここに持ってきましたのは、アメリカの環境保護のための連邦取締規則であります。これの五百五十三ページを見ますと、ここでは、アメリカのこの規制では、グラインという品種の小麦に、いま申しましたディルドリンあるいはアルドリン、こういうのがそれぞれ〇・〇二一ppm残留してもいいことになっておるんです。この小麦が日本に入ってきているとするならば、これは重大問題でありますが、この実態について調査なさいましたでしょうか、厚生省か農水省か。
  143. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) アメリカ、カナダ、オーストラリアがわが国に小麦が入っております主要な生産国でございます。私ども、この小麦中のディルドリン、アルドリン、輸入品につきまして検査を行っておりますが、いまだかつて検出されたことがございません。ノンディフェクトというデータを得ておる次第でございます。
  144. 市川正一

    ○市川正一君 それはまことに幸いであったんでありますが、しかしながら、そういうものが今後入ってこないという保証はないわけであります、向こうで現にそれを使っているわけですし、つくっているわけですから。こういうケースは、すなわち日本外国——日本とアメリカ、日本とECとの基準の違いが現実にあるわけですね。長官、さっきあなたは人類学の話をなすったけれども、その人類学一般では規制できない、こういう違いがあるんです。こういう違いは出てくるわけでありますから、これが違うからといって直ちに輸入障壁だとは言えぬわけであります。ですから、こういう日本基準を輸入障壁としてアメリカやあるいはECがその基準緩和を求めてくるというのは、これは全くの筋違いだと思うんです。  ですから、日本はこういう基準あるいはこういう規則、こういうものはやはりきちっと守り抜いていくということは、先ほど御質問し御答弁をいただいたとおりで、これが非常に私大事な問題だということを再確認をいたしたいんであります。  同様の問題で運輸省の自動車に関する基準、あるいは認証制度の改善の問題でも、欧米との基準調和をうたっておりますが、その中で、排ガス基準は除くとしております。そうしますと、排ガス基準の緩和は絶対にやらぬということをひとつはっきりここでしておいていただきたいんですが、いかがでしょう。
  145. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) 御案内のように、わが国の車社会というのは非常に高密度に形成されておりまして、わが国のいまのような状態のもとにおきまして、国民の身体、生命の安全、それから沿道の住民の健康、こういうものを考えました場合に、これはやはり排ガスの規制の緩和というものは私どもは受け入れられるものではないというふうに考えております。基準調和の名のもとに排ガス規制を緩和するという考えは持っておりません。
  146. 市川正一

    ○市川正一君 わかりました。  もう一点でありますが、また騒音基準についてはやはり触れておりません。これでは、騒音基準について緩和するんじゃないかというような誤解も出てまいりますとよろしくないんでありますが、この点もいかがでしょうか。
  147. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) 今回の三月二十六日の政府決定によりまして基準についての見直しをいたしましたのは安全基準についての十一項目でございまして、これは最近の自動車の技術の進歩、そういったものを踏まえまして合理的な範囲内での改善、つまり安全につきましての現在の水準を下げない、維持する、こういう観点、前提の上に立っての見直しを行ったわけでございまして、排ガスと同様に騒音につきましても現在のわが国特有の車社会のもとにおきまして、これを緩和するというような考えは持っておりません。
  148. 市川正一

    ○市川正一君 わかりました。その立場を貫徹、堅持していただきたいと思います。  次に、医薬品の問題であります。薬の方でありますが、この医薬品の臨床試験データについて、外国のデータを受け入れるという問題については、午前からも若干のやりとりございましたけれども、私は、この点ではまさに人種の違い、そして、生活習慣等々で、こういう医薬品の効果とか、あるいは副作用もまた違ってくると思うんです。ですから、長官の人類学のお説ではございますけれども、やっぱり人種によって違ういろんな特殊的条件を十分考慮する必要があると思うんですね。ですから、そういう立場で申しますと、薬事法に基づくところの第一相については外国にいる日本人で臨床試験は、これはできると思います。ところが、第二相、第三相になるとこれはかなり無理があると思うんですよ。この点で中央薬事審議会で検討しているというふうに伺っておりますが、現状、どういうことに相なっているのか、まず、伺いたいと思います。
  149. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 医薬品の承認審査に当たりましてのいわゆる臨床データでございますが、先生御指摘のように、臨床データの問題につきましては、日本人としての人種差、体格の差あるいは食生活の差、そういったものがございますので、そういったものを十分考慮しなければならないことは当然でございます。  それで、三月二十六日の基準認証制度等連絡調整本部の改善措置におきましても、臨床データにつきましては専門的、学術的な見地から検討を加えるということにいたしておりまして、現在の段階で私どもが臨床データとして外国のものを受け入れておりますのは、先生が御指摘になりましたように、第一相におきます外国にいる日本人での臨床データは受け入れをいたしておりますけれども、それ以外のものについては、現在、受け入れをいたしておりませんし、また、当面こういった専門的、学術的な検討の結果が出るまでの間は、私どもとしてはそういうことは考えておりません。  なお、この検討につきましては、これからこういった問題について、WHOなり、あるいは諸外国などの協議も含めまして、ひとつ専門的、学術的に検討していただこう、こういうようなところでございます。
  150. 市川正一

    ○市川正一君 今後検討なさるということなんですが、その際に私、お聞きしたいんですが、臨床試験では第二相は病気の患者数十名、こうなっていますね。第三相は数百人の患者、こうなっている。そうしますと、外国日本人の患者がそれだけいるということは考えられぬのです。ですから、この試験を外国でやるということになると、結局は外国人を対象にすることを認めるか、それとも試験データ数を減らすか、どっちかしかないわけですね。こういう点で、私は、基準を緩和するというふうなことになりますと、これはやっぱり重大な結果を懸念いたしますので、二相、三相の臨床試験は日本でやるべきだと、こういうふうに思うんでありますが、この点、ひとつしっかり確認をいたしたいんですが、いかがでしょう。
  151. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 基本的には先生御指摘のとおりだと思います。  ただ、私どもこれからいろいろと専門的、学術的な検討が必要だということを申し上げておる中に、これもある専門家の意見でございますけれども、たとえば医薬品の中に尿の検査をする薬だとか、血液の検査をする薬だとか、そういった体外診断薬的なものがあるわけでございまして、そういうものについてひとつ専門的、学術的な検討をしていただきたい。人種的な相違なり生活環境の差があるような問題については、これは先生御指摘のように、私ども基本方針として日本人を対象としたものをあくまで堅持してまいりたいというふうに考えております。
  152. 市川正一

    ○市川正一君 ぜひそういう方向でお願いしたいんでありますが、私この機会にただしたい問題は、もともと医薬品というのは、これは直接人間の生命にかかわるものであります。ところが、まことに遺憾なことに、わが国ではサリドマイドあるいはスモン、こういう深刻な教訓といいますか、事態を引き起こしています。再びああいう惨禍を繰り返してはならぬというのが私どもの本当に願いだと思うのでありますが、その際に、私いま指摘しましたように、今度の改正案が前臨床試験等が外国の実験データでいいということになりますと、そうすると結局、医薬品の重要な基礎となるデータの確実性、あるいはまた精度、信憑性、こういうことまで私は厳重に審査をしなければ、かつてのサリドマイドあるいはスモンのような惨禍を引き起こしかねない、こういう問題にもつながると思うんで、この点をもう一度念のためにお伺いしたいと思います。
  153. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 医薬品につきましては、御指摘のように、かつてない私ども不幸な経験をしておるわけでございますが、御指摘になりましたいわゆる前臨床のデータ、こういったものについて受け入れを図るということにいたしておりますけれども、これにつきましては先ほども説明いたしましたけれども、あくまでわが国の審査基準、試験基準、そういったものを満足するデータであることを必須の条件といたしておるわけでございまして、外国のデータ何でもいいというわけではございません。あくまで日本でつくりました日本の医薬品としての試験基準、審査基準を満足しているものが必須の要件でございます。  なお、試験データの信頼性を確保するために動物実験などの安全性データにつきましては、いわゆるGLP——医薬品の安全性試験に関する実施基準でございますけれども、こういったものに適合していることが必要でございます。そういった場合には相手国の政府あるいは政府に準ずる機関の証明を求め、そういった証明があるものに限りまして受け入れるということを考えておるところでございます。
  154. 市川正一

    ○市川正一君 ところが日本基準というものですね。その日本で、日本ケミファそれから明治製菓、こういうデータの捏造事件が起こっておるわけです。これは氷山の一角だとも言われております。私は、明治製菓のまさに動物実験の捏造、そしてこういう事態が両方とも発覚したのは内部告発なんだと、ここが私、大問題だと思うんです。内部告発がなければ、この両事件とも、いわばやみの中で表に出なかった。  ですから、私は、国が安全性を保障した医薬品として、これが堂々とまかり通っておる。両事件の摘発は厚生省がやったんでもなければ、あるいは薬事審議会で問題が提起された、そういうことからじゃないんです。ですから、こういうデータ捏造を絶対に許さない、こういう問題を私この機会にわが国自身の問題として、やはりきっちりとした方策を確立すべきだと思うんですが、この問題については一体厚生省はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
  155. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 御指摘のように、日本ケミファあるいは明治製菓といったようなことで大変遺憾なことでございますけれども、申請データの捏造というのが起こったのは事実でございます。  私どもといたしましては、医薬品についての申請データについては、あくまで信頼性が確保されていなければならないというようなことでございますけれども、したがいまして、こういう信頼性の確保について従来の私どものやり方というものにつきまして反省をいたしたわけでございますが、これにつきまして次のような改善を講ずることにいたしております。  一つは、ことしの二月からでございますけれども、すべての医療用医薬品について申請データのもととなった生データを審査をする場合にチェックをしてまいりたいというふうに考えております。  それから二つ目は、ことしの四月からこれを実施をいたしておりますが、申請データにつきまして試験者、試験を実施したお医者さん、研究者、そういった人たちの確認を求めるために署名押印を義務づけると、そういった試験者なり研究者、医師なり研究者のデータについての署名押印を義務づけるということで信頼性を確保してまいることにいたしております。  なお、ことしの四月からは先ほども説明いたしましたように、動物試験——動物などの安全性試験につきましてはいわゆるGLPを実施することにいたしまして、これを国内へことしの四月から適合を、国内製造業者義務づけをいたしております。またいろいろと、こういった新薬の臨床試験データの問題につきまして基本的に検討も必要じゃないかということを考えておりまして、ことしの二月に発足したものでございますけれども、臨床試験に関する専門家の委員会、医学、薬学の専門家、あるいは法律家から成る専門家の委員会を置きまして臨床試験の実施基準、こういったものの策定などについて現在鋭意検討をいただいているところでございます。  私どもとしては、申請データの信頼性の確保につきまして、御指摘のようなデータ捏造事件などの反省の上に立っていろいろとできる限りの措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  156. 市川正一

    ○市川正一君 いま若干のこう改善策を御説明いただいたんですが、私は今度の経過を見て、そういうことではどうにもならぬと思うんですよ。御承知のように、日本ケミファの場合は臨床試験をせずに捏造したデータ、しかもそれが有効であるというデータを会社がつくって、でっち上げて、それを医師に金渡して判こを押さしてるんでしょう。そしたら、いま署名して捺印すると言うたけれども、署名して捺印ちゃんとしているんですよ、これ、日本ケミファの場合は。そういうことがまた薬事審議会を通って厚生大臣が承認して、で、日本ケミファはノルベダンという商品名で、月商一億五千万円も堂々と患者に売りつけているわけですよね。私は、こういうことも内部告発でやっとわかったわけですから、どうしてこういう信じられぬようなことが起こるんかと、その原因はどこにあるのかと、そういうことをひとつメスを入れてほしいと思うんですが、どない思ってはりますか。
  157. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 日本ケミファの件でございますけれども、実はこの件につきまして、私どもとしてはあの事件が起きましたときにいわゆる私文書偽造というような問題までなるんじゃないだろうかということで、実は刑法上のいろんな観点からも検討をしたわけでございますが、現在のそのやり方ですと印刷物による名前のデータでございまして、本人の署名とか押印がないというようなことでございまして、そういった印刷物についてはなかなか私文書偽造罪の従来の判例の例から言って適用しにくいというようなことになったわけでございますが、今回、データにつきまして署名なり押印をさせると、本人の署名なり押印をさせるということになりますと、これは明らかにそういった刑法上の問題として、仮に今後こういった事故が出てくるとすれば刑法上の問題になりかねないというふうに私どもとしては考え、そういった意味からもこういった義務づけを行わしておるところでございます。  なお、このほかに先生御指摘になりましたようにいろいろと基本的な問題もあるわけでございますが、たとえばその学校の中の、大学内におけるいろんな研究体制について責任を明確化するような措置をとらせるとか、そういった記録管理、そういったものについてきちんとさせるというようなことについてもあわせて十分指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  158. 市川正一

    ○市川正一君 私もこれは一つの提起でありますけれども、薬のメーカーが薬の承認をとってそれを売るのにいま必死なんですね、業界の実情を御存じだと思いますが。その際に問題は、メーカーとそれから医師とが、これが直接臨床試験の依頼ができる、そういう仕組みにあるんじゃないかと思うんです。ところが、これに対して筑波大学その他の大学の医学部では、臨床試験の依頼をメーカーと医師とが直接に結ぶということをせずに、医学部長あるいは病院長その責任のもとに集団的検討を重ねるというようなシステムをとっているんですね。ですから、個人との結びつきにしない。こうすれば、個人でデータの捏造の余地はなくなるわけでありますが、私はこういう臨床試験の制度の改善、確立ですね、わが党もかねて主張しておりますんですが、厚生省でもいまいろいろ御検討中だと伺っているんですが、そういう構想などについてもしお考えがあれば、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  159. 持永和見

    政府委員(持永和見君) 先ほどもお話申し上げましたけれども、臨床試験の基本問題いろいろございます。御指摘のとおりでございまして、そういった問題をひとつ専門的に検討してもらおうということで、現在臨床試験の実施に関する専門家会議というものを行っております。そういった専門家会議の席上でも、いま先生御指摘のような大学が責任を持って、個人の医師ではなくて大学当局として臨床試験を引き受けるというような形での御意見が出ておりまして、現在鋭意こういった問題について審議中でございますので、その審議の結果を待って私どもとしては適正に対処してまいりたいというふうに考えております。
  160. 市川正一

    ○市川正一君 これは、今後外国の医薬品との関係からしても、わが国のこの体制を本当に国民に責任を持てるきちんとしたものにする必要があるからという立場でいろいろお聞きしたわけでありますが、前へ問題を進めさしていただきたいと思うんです。  次は植物及び動物の検疫についてであります。  今度の連絡調整本部の決定によりますと、「輸入検査及び消毒技術の開発又は改善を図る」、こうなっておりまして、こうして見ますと、わが国の検査や消毒技術というのは他国と比較して改善を図らなければならぬような何か特別の問題点があるやにこう読み取れるんですが、この点はどういう意味なんでしょうか。
  161. 古谷裕

    政府委員(古谷裕君) 御案内のように、動物の方は畜産局から話があるかと思いますが、植物について申し上げますと、現在貨物あるいは旅行者の手荷物が通関する前に動植物検疫に接する場面が非常に多いわけでございます。そこで、従来から外国あるいは国内の旅行者も含めてでございますけれども、やはり通関手続を早くしてもらいたいという要望がございます。特に貨物の場合大量な物が入港あるいは飛行場に到着した場合に、迅速に手続を行って早く販売ルートに乗せたいというふうな希望があるわけでございまして、この点につきましては従来からも私どもいろいろ努力しているわけでございますが、今後ともいろいろな技術開発というものを行いまして、そういう要請にこたえていきたいという方向をはっきりさせたわけでございます。  具体的に申しますと、たとえば現在では飼料用にペレット類というのが入ってきておるわけでございますけれども、それはついてサイロ内で薫蒸する方法というのがないわけでございます。現在まあいわゆる麻袋でやっておると。そういうふうなことが改善されますればかなり迅速に荷おろしができるというふうなこともございますので、そういう方向をはっきりさせたものでございます。
  162. 船曳哲郎

    政府委員船曳哲郎君) 動物検疫につきまして御説明をさせていただきたいと存じます。  本質におきましては、ただいま御説明のございました植物検疫と変わらないわけでございますが、動物検疫におきましては、海外から輸入されます動物とか畜産物を介しましてその家畜の伝染性疾病がわが国内に侵入するということを防止しなきゃならないものでございますから、家畜伝染病予防法に基づきまして純技術的な立場から厳正に動物検疫を実施しておるわけでございます。  ところで、この動物検疫の目的を損なわないように配慮しつつもただいまお話のございました輸入検査及び消毒技術の開発改善ということを行いまして、その目的を損なわない範囲内において事務手続の簡素化、迅速化を図りたい、こういうことでございます。従来からの考え方を変更するものじゃ決してございません。  少し具体的に申し上げますと、過去におきましても、たとえば畜産物の消毒技術の開発につきましては、消毒用のガスの開発によりまして消毒時間を短縮するとか、それから動物の輸入検査技術の開発改善につきましては、たとえば馬の血液検査法の開発による検査期間の短縮といったようなことをやっておるわけでございます。  いまのは一例でございますが、今後におきましてもたとえばより浸透力の強い消毒薬の開発なり、より精度の高い血液検査法の開発なりに取り組んで、手続の簡素化、迅速化ということに動物検疫の目的を害しない範囲内において取り組んでまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  163. 市川正一

    ○市川正一君 続けてお伺いしますが、「禁止品目又は禁止地域の見直しを行う」こうございますけれども、解除される品目は何なんでしょう。また解除される地域はどこなんでしょう。具体的にお聞かせ願いたい。
  164. 古谷裕

    政府委員(古谷裕君) 植物防疫につきましては、現在の植物防疫法の中でいわゆる禁止品目というのがあるわけでございまして、これは禁止品目というのは一定の地域と連動しておるわけでございます。たとえば非常に有名なチチュウカイミバエということでございますとこれはもう禁止地域では非常に多い。むしろフリーな地域が少ないような問題がございまして、これにつきまして非常に要請として多いのは、やはり東南アジアの果物というものを取り上げました場合に、ああいう熱帯地域でございますので虫の種類も非常に多いわけでございますが、そういうところから消毒技術を開発したならばいわゆる輸入禁止を解除してもらいたい、こういう要請があるわけでございまして、実績を申し上げますと、いままでも九カ国約十九品目につきましてこういう要請にこたえておる。つまり消毒技術が開発されたということをわが国の専門家が確認いたしまして、そこでその国産の果物を受け入れるというふうなことをやっておるわけでございます。昭和五十年にはフィリピンのマンゴーにつきまして、これはミカンコミバエ、ウリミバエというハエ類でございましたが、薫蒸の技術開発が確立いたしましたのでそういう措置をとったということでございまして、これはいままでの実績でございますが、今後につきましても、現在十数カ国から多数の果物類、野菜類につきまして解除の要請がございます。それにつきましては具体的な科学的データを根拠として行う行政措置でございますので、いわゆる向こうで足りないデータ、そういうものについては追加データの提出を求めるとか、そういうふうなやりとりをしながら具体的に消毒技術がはっきり開発されたということが確認された段階で措置していくというふうな性質のものでございます。
  165. 船曳哲郎

    政府委員船曳哲郎君) 動物検疫について申し上げます。  ただいまお話のございました禁止品目なり禁止地域の見直しでございますが、この三月二十六日の決定の際に、具体的にどの地域のどの品目を解除するということを考えて記載したものではございません。  ちょっとここで御説明をさせていただきたいと 思いますが、禁止品目または禁止地域の見直しは、あくまでも輸入禁止措置解除要請国における防疫事情に見合ってその禁止品目なり禁止地域の見直しをしようということでございます。あくまで技術的に防疫事情を踏まえて措置していきたい、こういうことでございます。
  166. 市川正一

    ○市川正一君 ああ、ボウエキってあの疫病の……
  167. 船曳哲郎

    政府委員船曳哲郎君) はい。はやり病を防ぐということでございます。
  168. 市川正一

    ○市川正一君 ああ、ボウエキって言ったから、何でそんな貿易摩擦貿易やないかなあと、まさにこれは外圧やと思って……。ああ、防疫ね。
  169. 船曳哲郎

    政府委員船曳哲郎君) はい。
  170. 古谷裕

    政府委員(古谷裕君) 先生御案内のとおり、口蹄疫という病気がございますが、口蹄疫とか、牛疫とか、アフリカ豚コレラといったような非常な悪性の家畜伝染病の侵入を防止いたしますために、私ども、家畜伝染病予防法に基づきまして、悪性の家畜伝染病を対象といたしまして、大臣がその国々の防疫事情——通産の方でない防疫でございますが、防疫事情、具体的に申し上げますと、悪性の家畜伝染病の発生状況とか悪性の家畜伝染病に対する防疫体制などでございますが、このようなその国々の防疫事情を勘案いたしまして、一定の地域を定めまして、その地域ごとに一定の品目を禁止品目と定めて、そしていま申し上げました禁止地域からの禁止品目のわが国への輸入を禁止しておるわけでございます。  ところで、申し上げるまでもないところでございますが、輸入禁止地域の防疫事情は固定的ではございませんで、これら輸入禁止地域はその地域の最も新しい防疫事情に見合ったものにしていく必要があろうかと思うわけでございます。したがいまして、私どもかねてから、関係国から輸入禁止措置の解除の要請がございました場合には、その地域の防疫事情に見合って禁止品目、禁止地域を見直すこととしてきておるわけでございます。今後も従来の考え方に従って、あくまで防疫事情に見合って技術的に慎重に検討して措置してまいりたい、このように考えております。  なお、過去の例でございますけれども、見直した結果解除した地域もございますし、また突然の悪性家畜伝染病の発生によって輸入禁止地域として指定して、輸入を禁止するといったような措置もあわせてとってきておるところでございます。
  171. 市川正一

    ○市川正一君 いま御説明ありましたけれども、ある病害虫が根絶されたかどうかは、要するに防疫がどういうことに相なって、それがいわば処理されたかどうかというそれは、技術的評価とともに、その当該国との間で対立することがしばしばあり得ることなんですね。それはいまお話があったチチュウカイミバエもその実例の一つだと思うんですね。そうなりますと、見直しを行うというこういう表現は、私は誤解を招くもとになるというふうに思うんですよ。そしてこの日本の側の「輸入検査及び消毒技術の開発又は改善を図る」と、何か日本の方の消毒技術やら輸入検査の方が問題があって、それを改善し、そして今後禁止品目、地域の見直しをやるというふうなのはどうもちょっと誤解を与える。ここらにひっかかるんですよ。いまお話を伺って、植物や動物の検疫について現在のやり方を緩めるものではないんだということを私は承知したんでありますが、そうだとすると、外国から非関税障壁だという指摘を受けて、そして改善策をまとめたのがこの連絡調整本部の決定だということになるのか、それとも、この文章から言うとそう読めるんだけれども、そうでないのか。外国から何らかの規制の緩和要求の根拠にされるおそれはないのか、ここらあたりですね、ひとつこれは、まあ長官がもしお答えできるんだったら聞きますけれども、どなたか責任ある方、ちょっと明確にお答え願いたい。
  172. 古谷裕

    政府委員(古谷裕君) 植物検疫について申し上げますと、植物検疫制度というのは国際植物防疫条約に基づいて、それぞれの国が各国の主権に基づいてやるということがはっきりしておるわけでございます。ただし、その植物検疫事業自体がいわゆる貿易に対する不当な阻害要因になってはならぬということもこの条約ではっきりしておるわけでございまして、そういう点でまさに私どもは技術的、科学的な、いわゆる専門家によって運営さるべき制度だというふうに思っておるわけでございますが、それが当然物の出入りと関係するわけでございますので、そういうふうな運用がされてはならないというふうな心構えでやっておるわけでございます。
  173. 市川正一

    ○市川正一君 この問題を締めくくりたいと思うんですけれども、検疫の専門家からすれば、これは当然こういう表現というか、こういうことになるのかもしれませんけれども、私は、文書になるとそれはひとり歩きをして、特にやはり欧米諸国との交渉などの中でこの文書が政治的意味合いを持ってくる、そういうことは相なってはならぬと思うんです。検疫に対する海外からの苦情の多くが、その国の病害虫が完全に駆逐されていないのに、輸入を認めるべきだというような主張もチチュウカイミバエやその他からしてないとは言えぬのですね。私は、一たび外国の病害虫が日本に入れば、日本の農業あるいは国民経済にはかり知れない被害を与える。これは、たとえば周知のアメリカシロヒトリあるいはイネミズゾウムシですか、こういう例を見ても明らかなところであります。だからこそ、検疫については各国ともにその重要性を認識して国際条約を結んで、相互に実施し合っているのでありますが、私は農水省が消毒技術を開発して、実用化できるものは大いに活用していく、あるいは規制対象地域についても、その国での消毒技術が確立すれば解除するということなんだと、こうおっしゃっているんだけれども、そういうことならば改めてその文書に書かなくても、これは担当省として日常当然にやり得ることなんですね。それをあえて文書に入っているという、那辺にその意味があるのか。検疫の現場、いわば第一線でやっておられる方々は、外国からの理不尽な要求に対してはまさに水際でいわば大奮闘していると思うんですね。そういうことから考えてみると、私は今後検疫体制の強化、これは大いにやるべし、大いにやらなければならない。しかし、そのことと、何かその基準がそれによって見直される、基準と言ったらおかしいんですが、基準が緩和されて、そして禁止品目や禁止地域の見直しがやられる。言いかえれば、非常にそこが緩やかになるというふうなことではないんだということを政府の基本姿勢としていままでやってまいりましたけれども、非常にその与える影響が大きいので、もう一度確認をして、この問題については終わりたいと思います。
  174. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) いま市川委員大変詳細に、各省基準あるいは規格等についての、あるいは検疫等の態度についての御質問がございました。そして、また各省から、やはりこの問題は日本がみずからの主権に基づいてやっていくものだというお答えがあったわけでございます。私も伺っておりまして、これはもう当然のことである、こういうふうに考えておりますし、今回のこの法案は、もう御案内のように外国製造業者国内製造業者と同じ法的な手続上の地位を与えるだけのものでございます。したがって、基準・規格、内容について外国の要求どおりやるというようなものとは全く法律の上では関係ないものでございまして、この基準・規格等の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、わが国の主権に基づいて、そしてわが国の風土に基づき、わが国慣行に基づき、そしてわが国の遵法度の程度に基づいてやっていくことは、依然として守っていくことはもう当然である、こういうふうに考えております。  ただ、その基準等について、やはり常に技術の進歩、社会の変化、これら等に応じて研究していく、このことは国際協調という言葉と全く同じではございませんけれども、また必要なことでございまして、かつてありました天然痘はもう全くないような現在でございます。そして、人類学という言葉を使われましたが、日本人の研究はやっぱり人類学の研究によってさらに進歩する、こうい うふうな考え方が私はいつでも妥当する、こういうように思いますので、いまおっしゃったような方向で依然として政策の方向を打ち立てていきたいと思っております。
  175. 市川正一

    ○市川正一君 農水省は意のあるところはわかっていただいたと思うし、またわかりましたから、——何かありますか、よろしいやろ。  それで、時間がなくなってきましたので、いま長官の方からインターナショナルな発言があったので、最後に私、基準の国際化の推進についてお伺いして質問を締めくくりたいと思うんですが、ことしの三月二十六日に、基準認証制度等連絡調整本部決定は、基準に関する国際化の推進について、国際規格・基準が存在する場合にはわが国の規格のこれへの整合を促進する、改定作業が進められているものについては積極的に改定作業を進める、基準が存在しない場合は制定作業に積極的に参画する、こういうふうになっております。基準あるいは規格の問題は多くの省庁にまたがる問題であり、本来ならば一つずつお聞きしたいのでありますけれども、時間も迫ってまいりましたので、本日は通産省所管のものを例に挙げて質問をいたしたいと思います。  まず通産省に伺いますが、ISO、そしてIEC、こういう工業標準化を進める国際的機関でありますが、この機構を通じて進める国際標準化事業目的と役割りについて簡潔に伺いたいんです。
  176. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) いまお尋ねのISO、IECにつきましては、ISOは国際標準化機構ということでございまして、わが国は昭和二十七年に参画いたしております。もう一つのIEC、国際電気標準会議には昭和二十八年から参画いたしております。そこにおきましては、規格の審議はそれぞれ専門の委員会で行われておりまして、日本の場合、ISOにつきましては百六十三委員会がございまして、それぞれ品目に応じまして委員会審議をいたしております。そこに、百六十三のうち日本は百五十四参画をいたしております。またIECにつきましては、七十七ございますが、そのすべての委員会に参画をいたしているわけでございます。  これはいまこういった国際的な機構ということで専門家が集まりまして、技術の進歩等に応じてこの規格・基準の国際的な検討をいたしておるわけでございますが、わが国もこれについては積極的な参画をいたしておるわけでございます。もとより、これに参画し、またこれが国際的な規格ができましても、もちろんいまいろいろ御議論がございましたように、それぞれ日本に特別な事情がある場合には、それに応じました調整を加えまして、できる限りこの国際的な標準の機構、国際的な標準規格の国際化ということに努力をしていこうと、こういうことでございます。
  177. 市川正一

    ○市川正一君 私なりにこの積極的意味合いを整理はいたしておりますが、その積極的認識においては一致していると思いますので省略したいと思います。  そこで、このISO及びIECへのわが国の参加状況ですね、これをサミット参加各国との対比で見てみますと、ISOのTCですね、テクニカルコミッティーでありますが、これへの参加状況は、全体で百六十三のうち日本は百五十四ですね。参加してないTCが九つあるわけです。しかも、参加の内容は、積極的参加であるPメンバーが八十三になって、約半分ですね。残りは資料を提供されるだけのいわばオブザーバー参加なんです。また、ISOにはTC、それからSC、WG、この合計が二千百六もあるんですが、事務局を引き受けているのはそのうち三十九なんですね、二%弱です。フランスは一九%、西ドイツ、イギリスは一八%、アメリカが一一%というのと比べると、事務局を引き受けておるのが非常に少ないわけですね。  一方、さっきおっしゃったIECはすべて参加している。これも事務局引き受け数が三つで一・五%というふうに、全体としてサミット諸国と比べますと低い水準にある。事務局を担当するということ自体については、それはそれぞれの事情があると思うんですけれども、私はこういう実情というのは決して、事規格の問題に関して言うならば、必ずしも先進国とは言えない状況ではないかと思うんでありますが、この点は通産省としてはどう認識なすってますかしら。
  178. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) いまお尋ねのように、幹事国の引き受け数が少ないのではないかと、こういう御指摘でございましたが、本来この組織の加盟国が従来ヨーロッパが中心で比較的発展してまいりまして、会議の開催の便宜、便利さ等々あるいは地理的な条件といったようなことがございまして、そういう事情になっておるわけでございます。わが国といたしまして、これを軽視するというものではございませんし、また積極的にこれについては参画をしていこうということで考えておるわけでございます。  たとえば、IECに例をとりますれば、本年の秋にはIECの総会を東京で開くということで、東京大会を予定いたしておりまして、そこではIECの総会、理事会、専門委員会等を同時に開催するといったようなことを東京でも企画をいたしておるわけでございます。  ISO、IECの幹事国につきましては、いま申しましたような沿革がございますけれどもわが国としてはこれにつきましては決して軽視するわけではございませんで、御指摘のようにできる限り積極的に協力をしていきたいというのが私どもの基本の考えでございます。
  179. 市川正一

    ○市川正一君 確かにそういう歴史的経過ですね、またいろんな力関係があることは承知いたしておりますけれども、しかし事務局を取り受けている数がその国の規格問題に対する姿勢のバロメーターの一つであるという点では、これは私は国際的に見て間違いないと思うんですね。ですから、日本もその点では、わずかばかりでありますけれども、そういう努力がされていると思います。私は同時に、そういう量的参加とともに、こう質的なといいますか、構えの問題もこの機会にぜひ通産省として真剣に考えてほしいんでありますが、規格をつくるためにはそのための調査とか研究、こういう不断の努力がこれが前提であります。ところが、今年度の工業標準化関係の予算は、国際規格との整合を図るために業務量がますますふえるはずなのに、対前年比で一二%減っとるんです。これまさに行革のこういう形でのしわ寄せ、こういう形での弊がまさにあらわれているんであります。ところがまた、通産省内部にも、けしからぬのでありますが、規格は申し合わせ事項だから研究する必要はない、国際規格を翻訳して、そしてJISにすればいいんだ、こういうふうな意見もあるというふうに聞いてんです。私はこういう自主性のない無責任な態度では、わが国の考えや技術を国際規格に反映させるという点の責任は果たし得ぬと思うんですが、私は規格に対する取り組み、そしてそれを保証する措置、これやはり通産大臣がおられぬので、もうじき帰ってきやはるんでしょうけれども通産省としてはどういう姿勢でやろうとしているのか、この機会にひとつはっきりと答えていただきたい。
  180. 福川伸次

    政府委員(福川伸次君) いまお尋ねの御指摘のようなことがございます。いまその規格というのは翻訳をすればいいんだから調査研究は要らないじゃないかというようなうわさもあるという御指摘でございましたが、私どもとしては決してそのような軽視した態度をとっておるものではございません。  予算の点につきましては、非常に先生も御承知のとおりの財政事情の中でございますので、その執行につきましては重点的、効率的にやっていこうということで対応をいたしたいと思うわけでございます。特に国際標準化関係の事業ということにつきましては、国際間の情報交換、これが非常に重要でございますし、またIECの東京総会、先ほど申し上げましたけれども、そういった国際標準化関係の事業につきましては五十八年度よりはむしろ増額をするということでございまして、九千四百万円を一億三百万ということにふやして おるわけでございます。  予算につきましては重点的に執行いたしたいということでございますが、もちろん御指摘のように、そういった標準化事業を進めていくに当たりまして、調査研究等が十分必要であることは御指摘を待つまでもございません。標準調査会等の活動も含めまして、私どもとしては積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  181. 市川正一

    ○市川正一君 もう時間でありますんで、規格・基準に対する基本姿勢の問題点について私は大いに欠くるところありという立場で通産省にただしたんでありますが、いま決意も述べられました。しかし、私はこれは通産省に限った問題ではないと思うんです。たとえば人の生命、健康にかかわる基準を扱う厚生省、そしてまた過密都市の中で発進、停止を行う自動車の規格を扱う運輸省、また農薬についての農水省等々、同様にこの姿勢が問われていると思うんであります。  そこで、私は質問を終わるに当たりまして、こういう一連のやりとりを通じて長官の決意、所信をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  182. 塩崎潤

    国務大臣塩崎潤君) もう各省からお答えもすでにございましたが、私どもは主権に基づき、そしてまたわが国の特殊事情を十分考慮いたしまして、それが規格あるいは基準に反映できるような点を国際協調の場においても実現してまいりたい、かように考えております。
  183. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十九分散会