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1983-04-26 第98回国会 参議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十六日(火曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      福岡日出麿君     円山 雅也君      降矢 敬雄君     梶木 又三君  四月二十六日     辞任         補欠選任      梶木 又三君     宮澤  弘君      円山 雅也君     山崎 竜男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         亀井 久興君     理 事                 野呂田芳成君                 降矢 敬義君                 吉田 正雄君                 市川 正一君     委 員                 岩本 政光君                 大木  浩君                 川原新次郎君                 松尾 官平君                 宮澤  弘君                 森山 眞弓君                 山崎 竜男君                 阿具根 登君                 村田 秀三君                 田代富士男君                 井上  計君    国務大臣        通商産業大臣   山中 貞則君    政府委員        公正取引委員会        委員長      高橋  元君        公正取引委員会        事務局経済部長  佐藤徳太郎君        農林水産省構造        改善局長     森実 孝郎君        通商産業大臣官        房長       柴田 益男君        通商産業大臣官        房審議官     野々内 隆君        通商産業大臣官        房審議官     村田 文男君        通商産業大臣官        房審議官     池田 徳三君        通商産業省産業        政策局長     小長 啓一君        通商産業省立地        公害局長     福原 元一君        通商産業省基礎        産業局長     植田 守昭君        通商産業省生活        産業局長     黒田  真君        資源エネルギー        庁長官      豊島  格君        中小企業庁長官  神谷 和男君        中小企業庁計画        部長       本郷 英一君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        国土庁長官官房        審議官      有岡 恭助君        国土庁土地局土        地政策課長    木内 啓介君        農林水産省構造        改善局計画部長  永井 和夫君        建設省計画局総        務課長      浜  典夫君        自治大臣官房企        画室長      金子  清君        自治省財政局地        方債課長     森  繁一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○特定不況地域中小企業対策臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○高度技術工業集積地域開発促進法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 亀井久興

    委員長亀井久興君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十五日、福岡日出麿君及び降矢敬雄君が委員辞任され、その補欠として円山雅也君及び梶木又三君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案及び特定不況地域中小企業対策臨時措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 吉田正雄

    吉田正雄君 山中通産大臣には、明日から先進諸国貿易関係通産関係閣僚会議出席をされるとお伺いをいたしております。大変御苦労さまでございます。わが国の置かれておりますきわめて厳しい状況と申しますか、とりわけ国際貿易摩擦をめぐりましては、大臣も大変御腐心をなさっておるところでございます。  そこで、私は、それとは直接関係ないとも思われますけれどもわが国国際協力における役割りというものをより積極的に進める必要があるという観点から以下お尋ねをいたしたいと思います。  第一点は、ペルシャ湾の原油流出事故について日本政府汚染防止に対する国際協力がどのようなものであるか、また今後の方針等についてもお伺いいたしたいと思います。  御承知のように、汚染防止は、単に湾岸諸国だけの問題に限定をされるということではなかろうと思います。今後の石油情勢に及ぼす影響もきわめて大きく、一刻も早い汚染防止のための国際協力が望まれておるわけであります。政府は、現在国際協力の一環として事故調査専門家チームを派遣し、その帰国報告を受けて、関係諸国に対し、石油流出による海洋環境に与える影響などについての文献送付二つ目として、海岸部汚染防止のための専門家派遣などの協力を行うという方針を決めたと伝えられておりますけれども、現在までの湾岸諸国、とりわけイランイラク両国国際協力に対する態度というものと、それからいままでの国際協力実情がどうなっておるのか最初にお伺いをいたします。
  5. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 大変適切なお尋ねであり、また私もこれから述べられるであろう御見解を踏まえて、最初は産消対話、いわゆる消費国産油国対話をするというつもりで、総理大臣の御指名がありまして、総理にかわって日本国より産油国に対して消費国立場からいろいろとお話し合いを持つことが有意義である、そういうつもりで出張予定を組んでおったのであります。しかしながら、ただいまのお話のありました問題も、単に湾岸諸国のみにとどまらない問題等も予測されますために、それらの問題に急遽日本国側が何をなし得るのか、あるいは何をしてくれという御要望があるのか。とりあえず政府使節という形 で、一部、この間お話申し上げましたとおり、水島事故学識経験者という、変な経験者でありますが、民間の三菱の代表も入れまして現地を回らせたわけであります。その報告が先般のときにはまだ受けておりませんでしたので申し上げておりませんが、派遣いたしましたチームその他の内容とか、いろいろは省略いたしまして、大体どういうことであったかということについて申し上げますと、汚染状況は、クウェートにおいてはいまのところ全く汚染されている気配はない。バレーンについては北部海岸の一部に流出油破片がごく少量漂着しているが、いまのところ問題はない。カタールについては、北部海岸流出油破片がごく少量漂着し、近海に油膜等が発見されているが、いまのところ問題はない。アラブ首長国連邦はいまのところ全くなしという、実は私どもにとっては意外な報告でありました。  では流出油についてはそれぞれの湾岸国はどのような体制をとっているのかということ、汚染防止はどういうことをいままでやっているのかというようなこと等を見てみますと、どうもそれぞれがばらばらの反応対策、もちろん油が湾内を風と潮流に任せて水面下五メーターぐらいのところを漂流しているという感じなものでありますから、飛行機やヘリコプター監視などはしておるにしても、イランの方の、いわばここからイラン寄り交戦地域とみなすという、いわゆるイランの宣言しておる、国際的に承認をされていないんですが、交戦海域というものが線が引いてありまして、その中の方はヘリコプターといえども入ることは、イラン側攻撃をされても仕方がないということで、みんな流出油田並びにイラン寄りのところには入れないという環境のようで、ただ自国周辺というものを中心に見ておるようでありますが、なかなか表面だけを漂っているものでないし、よくそれらがつかめていない、また、その流出油等についてのサンプリングなど本格的対策についての監視どもやっていないようである。まあ、各国それぞれ担当大臣を決めていろいろの対策、対応というものは検討しているようであるが、その考え方というのがちょっと私どもと違うんですが、海岸線全体を守るというのではなく、ここですでに海岸線という言葉が出てくるのはおかしいと思うんです、湾内汚染という感じにつながっていないですね。海岸線全体を守るというのではなく、発電所とか淡水化施設とか及び産業施設——港等でしょう、を中心として水際汚染防止対策を講じている、あるいは油処理剤について飲料水海洋生物への影響を懸念し、これは使わない方針であるということは各国とも大体一様であるようでありまして、これは後ほど述べますが、きのうの日本サウジ合同委員会におけるサウジ立場も同じでございました。やはり海洋生物への影響心配している。向こうでは、私どもは知りませんが、何かはさみの大きなエビと言われたですかね、独特のおいしいエビがいますけれども、これらに影響がすでに出始めておることを心配しているというふうな話でした。水際から外に出た、たとえば沖合いにおける防除対策等はいまのところどの国も検討していない。現状も、したがってそこらのところの水際発電所とか淡水化施設とか申し上げましたようなところにオイルフェンスを張ったりなど、一応の拠点防衛をやっているという感じであります。  それで、水の問題をよく聞いてこいと言ったんですが、水による伝えられるような混乱はいまのところない。ということは、淡水化施設のところは一応いま手に入れているオイルフェンス、こういうもので守っているということで、ことに首長国連邦の方は山の方に水が大分出るらしいんでございまして、それらの点で地下水を輸出している、飲料水を輸出しておるぐらいで心配はない、他の国もそんな混乱はないようであると。  それから、各国調査団に対する要望でございますが、これがどうも、まずクウェートにおいては資機材リストを提出してくれということでありまして、これは湾岸諸国の機構でも資料や機材のリストを下さいということで準備して、持たせてありましたから、ちょっとした思いつきにすぎないようなものも含めてあらゆるものを一応持っていきまして置いてきてあります。  ことに日本の大使館にはそれぞれ問い合わせがあったら差し上げるだけの準備もしてございます。  そして、バーレーンは日本に対していまのところ特に要望はないということであります。  それから、カタールについては汚染海洋環境への影響に関する資料を下さい、水島事故についての詳細な資料を下さい、油汚染防止対策の新技術についての資料があったらそれも下さいということであります。  首長国連邦の方は汚染対策——広域的対処戦略等どういうふうにしたらいいかという戦略など、及び海洋環境への影響の分野での専門家を派遣してください、こういうのが調査団報告でございました。  したがって、これを踏まえて訪問をするつもりでおりましたが、日本サウジとのきのう合同委員会をやってみまして、テキスト以外の質疑応答の中で、私の方からいろんなことをお尋ねし、また食事を挟んでの会談でもいろいろと打ち明けた話し合いをしてみたんでありますが、サウジについてはいまのところ自分たちの方へは風向きと潮流によって北の方には来ないで南の諸国の方に行っているようだから、いまのところ自分のところはという気持ちは確かに言葉の上でもありましたけれども、しかし十月になると、今度は自分の国の方へ来る、こういうことで何かしなきゃいかぬというようなことで私にもまた同じような資料説明等を求められまして、急遽本省から取り寄せまして、本当に簡単なものでありましたけれども説明をしておきましたが、たとえば水島事故についての詳細な資料ということでいまつくらせておりますけれどもサウジのきのう来られたナーゼル企画大臣の感触は、それは規模が違うということでしたが、確かに規模は違います。しかし、同じ入り海であって、そしてその中で流出したものに対してどのような方法とどのような技術を用いて、結果どうなったかという、そのことは変わりはないんじゃないですかと言ったら、じゃそれも下さいということでございました。  まあ、そういうような感じを受けまして、私自身が思いますことは、やはりイランイラクというものの、お話にありましたような戦争による油田破壊という行為がなお続行の意図すら持っておる。サウジの方にそんなばかげたことはないでしょう、世界じゅうの国々が心配しておるし、ましてやあなた方は湾岸で隣接されておる国なんだから、しかりつけてでもやめさしたらどうですかと言って、率直な僕の表現で言ったんですが、いや、とてもとても、イランの方もイラクの方も悪いのはおまえだということで、それを湾岸諸国に印象づけるためらしいんです。こういうひどい状態にしておるのはおまえである、おれではない。いや、おまえが先にしかけたんだという、そういうことで延々と——同席はするらしいんですが、汚染対策で。しかし絶対にそのもとの油の流出する油井をふさぐということについては、その地域一帯だけを非交戦地域に指定する、それだけで、まず能力は——アメリカのカリフォルニア州の会社が持っているらしいんで、それがいわゆる戦争地域でないという、そこは攻撃をしないということだったら作業にかかると言うんだそうですが、しかし、やめないと言うものですから、どこか近くの国で足どめ食って待っているというふうな状態だそうであります。それで、これはしかし私どもは油をいただいている国ですから、いろんなことを、差し出がましいことは言えませんが、湾内のそういう生態系の変化、並びにおっしゃいましたように、将来ホルムズの入口を出て外洋へ出るおそれはないんですかと言ったら、いまのように噴き出していたんでは当然出るでしょうなというお話でございましてね、もうこれは私どもの方がむしろ切迫感を持っているような感じですが、会合を重ねてみても、イランイラクとが、その部分だけにおいても停戦してやるという意思を全く 持っていないので、まあ何にもやっていないわけではなくて、それぞれのルートで正気に返れというような意味の、そこの油井噴出口のふたをすることについては戦争が及ばないような配慮をするということだけでも協力したらいいじゃないかと言っているそうですが、いまのところ全然譲る気が両国にないそうです。ましてや一層その周辺交戦状態は、海上の砲撃等も含めて激しくなっておるというような状態を聞きまして、これはこれからお伺いをいたしましても、やはり最初に、われわれは消費国でありますから、今後の問題等を話し合うについても、われわれは産油国に対して気の毒である。ある意味では同情した立場も持っていかなきゃならぬと思います。しかし、汚染の問題については、いろんな、私どもにも提供できる技術、手段はあると思うのですが、それについて肝心の噴出をとめないで流出油だけを処理してみても、それは際限のない話であるなという感じがしておりますが、しかし、あと首長国連邦クウェートに行ってみて、総合した結果で私どもの国の対策を決めたいと思っております。
  6. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまのお話で大体わかったんですけれども政府が決めたと言われる二つの点だけでは、私は余り積極的な協力ではないんじゃないかと思います。せっかく大臣中東をも訪問をされる予定になっておりますので、相手国実情等を十分お聞きになって、より積極的に協力をするということが必要だろうと思いますし、それがまたこのイ・イ戦争早期停戦に役立つことになるかもわからないと思うのですね。つまり国際協力という場を通じて、停戦中東の平和への展望を見出し得る、そういう条件づくりにもつながっていくんじゃないかと思います。  そこで、よく手みやげなんという言葉があるのですが、手みやげというふうな、そういう観点でなくて、真の国際協力、平和の観点から具体的に何かあれですか、今度の訪問計画なり援助協力なりの案をお持ちになっておいでになるのでしょうか、どうなんでしょうか。
  7. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そういうものは、実は行く前に言うのはいかぬのですが、計画しておりません。というのは、まず産油国側カルテル崩壊の危機というものに対して悩んでおられるだろう、恩恵を受けて喜んでばかりいる日本であってはならないので、そういうときにいろんな向こう側としての、産油国側の御心配等について耳を傾けたり、そして御協力すべきものがあれば承って帰るというつもりでおります。しかし、汚染対策については、これはもう援助と申し上げるよりも、大きく言えば世界全体の問題にもとらえることのできる重大事件でありますから、この問題に関する協力は、いわゆる金目とか何とかというものでなくて、総力を挙げて御加勢をしたいと思うのです。  きのうの、サウジ・ナーゼル企画大臣との雑談の中で、もうわれわれの手に負えないから日本イランイラクを何とかしてくれという、これも半分は冗談まじりの話でしたが、日本アメリカとかソ連とかフランスとかのように、武器の提供とか、いわゆるパワーというものは、われわれの方からは持っていない。したがって、これもどうですかと。昔の鬼小島弥太郎の話ではありませんが、各国から一人ずつ出して、何でもいいからそこで勝敗決めて、それで決めたらどうだと言ったら、じゃホメイニと大統領、フセインとを、西洋においてはそういうふうに両軍対峙して勝敗決まらざるときは御大将同士がやったということで、ホメイニフセインをやらせるか、じゃいいじゃないか、それをリングの上に上げてホメイニフセインで決着つけたらどうだと言ったら、どうもホメイニさんの方は、それはちょっと年が年だからハンディが要るだろうというような、実は冗談を言っておりまして、ほとほと、よくイライラ戦争と言いますけれども、あの戦争そのものがいらいらさせる戦争であって、そして日本側から言えば、宗教のことに触れるのはタブーとされておりますし、湾岸諸国がもてあましているのもそこらに一つの原因があるわけでありますから、どうも日本が直接乗り込んで何かをというには、私が一遍反応現地で探りました後に、さらに帰ってから総理を含めた、日本がもし何か方法があるならばということを考えるしかないのじゃないか、そういう感じを実はきのう受けたばかりでございます。
  8. 吉田正雄

    吉田正雄君 それではこの問題については、石油開発とか、石油化学プラントの建設というふうなものだけでなくて、いま言ったこの問題についても積極的な物心両面にわたる、やはり援助というよりも、国際協力という観点で、ぜひ今後とも御努力を願いたいということを要望いたしておきます。
  9. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) はい。
  10. 吉田正雄

    吉田正雄君 それでは法案に入りまして、引き続きお尋ねをいたします。  特定不況産業信用基金についてお尋ねをいたしますが、この信用基金の主要な業務というものが三十九条に挙げてございますが、今日までの業務実績がどのようになっているか、最初お尋ねをいたします。
  11. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 特定不況産業信用基金利用状況でございますが、債務保証の総額といたしましては二百三十二億円ということでございまして、そのうち担保解除資金が八十四億円、退職金資金が百四十八億円ということになっております。
  12. 吉田正雄

    吉田正雄君 今度新しく法改正によりまして、第三十九条の二項のところで、この債務保証については一部変わっておるわけです。「設備処理のため必要な資金及び当該設備処理に伴って必要となる資金」その後、「並びに当該設備処理を行う事業者に対し支払補償金支払に必要な資金の借入れ」ということで、ここが変わっておるわけですけれども、このように変えた理由と、変えることによって基金の行う債務保証内容がどのように変わるのか、お尋ねをいたします。
  13. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) ただいま先生指摘のように今回の改正では、「補償金支払に必要な資金」についてというふうになっておるわけでございまして、これは現行法では、「設備処理譲渡により行われる場合」ということに限定をされておったわけでございます。それを広げまして、譲渡によらない場合まで拡大するというのが新しい法律趣旨でございます。このように譲渡によらない場合にまで拡大いたしますのは、企業数の少ない業種等におきましては、譲渡という形をとらないで補償金の授受が行われる場合もあるわけでございまして、設備処理の円滑な促進という観点からは、このような場合も保証対象に加えることが適当ではないかというふうに判断をした次第でございます。
  14. 吉田正雄

    吉田正雄君 もう一点、その後、それに伴って債務保証内容が、事業がどのように変わっていくのか、拡大をされるのかという点。
  15. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) いまのように拡大されることによりまして、設備処理譲渡によらない場合も入ってくるわけでございますし、そしてまた、運用の面では、設備を廃棄、撤去するために必要な資金も新たに保証対象に加えるということを考えておるわけでございます。  その後の点につきましては、今後業務方法書改正という形で、大蔵省と具体的に細目を詰める形になっておるわけでございます。
  16. 吉田正雄

    吉田正雄君 これは、特に内容そのものについてということではないんですけれども、法文の立て方として、三十九条の基金業務の一号というところで、ずっと同じことが書いてありましてね、また二項のところにいって、また「債務保証は」ということで並べてあるわけでありまして、これ一緒にしておいていいんじゃないかというふうな、素人考えなんですけれども、あえて一々そういうふうに分けたということはどういうことなんですかね、これ。
  17. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 先生指摘のように、確かに三十九条第一項とそれから二項というふうに書き分けておるわけでございますが、書き分けている内容といたしましては、第三十九条の一項 の方では、一項一号の方では業務として基金債務保証を行えることを明らかにしておるというのが一項でございまして、第二項ではその債務保証を行う場合の保証対象となる資金範囲を明らかにしておるということでございまして、このように書き分けることによりまして、保証対象債務範囲を第二項で限定しようというふうな趣旨に出ておるわけでございます。
  18. 吉田正雄

    吉田正雄君 むずかしい法案でもなくて、特に分けるほどのこともない内容じゃないかと思いますが、この問題やめておきます。  次に、第四十七条の「余裕金運用」という点でございますけれども、第一号で「国債その他大蔵大臣及び通商産業大臣の指定する有価証券保有」というふうなことがございますけれども実績はどのようになっておりますか。
  19. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 御指摘のように、第四十七条第一項第一号によりまして「大蔵大臣及び通商産業大臣の指定する有価証券保有」ということになっておるわけでございますが、国債及び有価証券保有高は五十七年の三月末時点で国債四十一億円、有価証券五十四億円ということになっております。
  20. 吉田正雄

    吉田正雄君 同じく二号の資金運用部への預託はどのようになっておりますか。
  21. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 資金運用部への預託は行っておりません。
  22. 吉田正雄

    吉田正雄君 これは行っておらないというのは、行う意思がないということなのか、必要がないというのか、ここに書いてあるものですからね、これどういうことで書いてあるか。
  23. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) これは、第二号に書いてございます趣旨預託できるという趣旨でございまして、そこから先は運用者の責任におきまして最も有利な運用ということに心がけるわけでございまして、そういう意味では第二号の資金運用部への預託というのは余り有利ではないということでございまして、実際の運用実績はないわけでございます。
  24. 吉田正雄

    吉田正雄君 大蔵省への気がねということでここへお書きになったんだろうと思うんですが、これはまさに空文ではないかというふうに思います。これ以上は申し上げません。  そこで、三号でございますけれども、「三十九条第一項第一号の資金の貸付けを行う金融機関(大蔵大臣及び通商産業大臣の指定するものに限る。)で基金との契約に従って大蔵大臣及び通商産業大臣の指定する条件で当該貸付けを行うものへの預金」と、こういうことになっておりまして、これ現行法三号でも前半は同じことが書いてあるんですね。改めてまたここにこういうことをつけ加えたということはあれですか、当該貸し付けを行う金融機関へ預金をふやすことによってその債務保証をスムーズにいたそうと、こういう観点なのか、どういう観点からこれがつけ加わったのか、お尋ねいたします。
  25. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) このお尋ねの点でございますが、この三号を加えました趣旨は、設備処理に伴いまして必要となります退職金に対しまして、低利融資の制度を設けるというのが趣旨のポイントでございます。低利融資制度と申しますのは、具体的には資金運用部が長期信用銀行三行の発行をいたします金融債を引き受けまして、その資金を原資といたしまして長期信用銀行三行が企業へ融資を行うことになるわけでございますが、その際、基金が有しております資金の一部を通常より低い金利で長期信用銀行三行へ預金することによりまして、長期信用銀行三行から企業への貸出金利を引き下げようということを考えておるわけでございます。で、本号はその場合の根拠規定ということになっておるわけでございます。
  26. 吉田正雄

    吉田正雄君 いままで現行法三号の指定金融機関、ここで預金できるということになっておるわけなんですけれども、この預金実績というのはどういう状況になっておりますでしょうか。
  27. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 基金の預金実績といたしましては、五十七年の三月末現在で普通預金及び通知預金の残高が一億円、定期預金残高が二十四億円となっております。
  28. 吉田正雄

    吉田正雄君 同じく金銭信託の銀行、会社にも行うことができるということになっておるのですけれども、前の場合には大蔵大臣と通産大臣の指定する金融機関と、こういうふうになっておるんですけれども、ここでは特に指定の明文が書かれてありませんけれども、なぜここだけ指定というものを外したのか、その理由をお尋ねいたします。
  29. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 「信託業務を行う銀行又は信託会社」といえばおのずから範囲限定をされるということでございまして、具体的には信託業法とかあるいは普通銀行等ノ貯蓄銀行業務又ハ信託業務ノ兼営等ニ関スル法律ということで免許制または認可制ということになっておりますので、改めて通産大臣とか大蔵大臣の指定ということを待たなくても範囲限定されるという趣旨でございます。
  30. 吉田正雄

    吉田正雄君 そういうことになりますと、その前の「資金の貸付けを行う金融機関」といっても、銀行等であればこれ、みんな大蔵省の認可を得てやっているわけですから、ここのところだけ外したという理由にはちょっとならないのじゃないか。やはりその会社なり金融機関の信用実績、そういうものを見てやはり選択をしていく必要があるんじゃないかと思いますので、これは今後の検討をお願いしたいと思うんですが、実績はどういうふうになっておりますか。
  31. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 第五号による実績はございません。
  32. 吉田正雄

    吉田正雄君 基金が持っておる資金というのは、これは国の出資金ということに限られると思うんですけれども、限られたものであって何でもとにかく一応並べておけばいいという発想はいかがかというふうに思いますので、あり余る資金でないものはやはり最も堅実な、しかも有利な運用を図るという点で、むしろ今後しぼって運用をやられた方がいいんじゃないかというふうに思いますが、その点はいかがですか。
  33. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 私どもは、具体的なその資金運用に当たりましては、基金の健全経営といいますか、安定的な資金基盤の維持という観点から運用に心がけたいというふうに思っております。
  34. 吉田正雄

    吉田正雄君 そういう心配は私は全然ないと思いますけれども、最近も銀行等からサラ金へ融資をするとかあるいは地方に参りますと信用基金の方で民間金融機関に預けたと、ところがこれが焦げついちゃったというふうな例もあるものですから、特に金銭信託等については非常にリスクを伴う面がありますので、そういう点で必要がなければこれは削った方がいいんだろうと思いますし、そうでなければやはり大蔵大臣それから通産大臣の指定をする機関というふうにやっぱり明示をした方がよろしいのじゃないかというふうに思いますので、これは今後御検討をお願いしておきたいというふうに思います。  次に基金の構成といいますか、たとえば人員がどうなっておるのか、それから基金へのファンドの内訳といいますか、これはほとんど政府資金だろうと思うんですけれども、それがどのようになっておるのか、その他運用面で金融機関から借り入れ等が行われておるのか行われていないのか、行われておったとしたら、それはどのような状況になっておるのかお尋ねをいたします。
  35. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) お尋ねの件でございますが、基金の資本金は約九十五億円でございます。このうち八十億円が日本開発銀行からの出資ということになっておりまして、残りの約十五億円が民間出資ということでございます。このほか民間の出損金が七億円及び基金運用益が約二十億円あると存じております。これは五十七年三月末現在でございます。それから、基金の従業員といいますか職員の数でございますが、役員、職員等を合わせまして十四名でございます。なお、最後のお尋ねの金融機関からの借り入れは目下のところでございません。
  36. 吉田正雄

    吉田正雄君 次に、今後の基金のあり方につい てお伺いいたします。  その前に、通産大臣お尋ねいたしますけれども、衆議院の論議等で、この新特安法は五年間の時限立法であったものをさらに今後五年間延長するということでありまして、これについて大臣は、やはり法案趣旨を十分に貫徹をしたいということで、そのためにはもう五年というものはやはり限度であると、もう絶対いまの段階から延長するなんてことを考えることはあり得ないというふうな趣旨の発言を確かにされておったと思うんです。私も時限立法である限りそれは当然だと思いますし、やはり見通しというものを持って五年と定めた以上は五年以内に目的の完遂を図るということで、いまからもう次の延長等を考えるというのはきわめて不見識ではないかというふうに思っておりまして、その点大臣は明確におっしゃっているわけです。そういうことを踏まえまして、法案は、これも日本独特の法案のやり方だろうと思うんですが、「廃止するものとする。」となっておりまして、廃止法案がなければ自動的に延長していくという、こういう仕組みになっておるわけでありますけれども、もし廃止になった場合この基金の存廃がどうなるのかということをお尋ねいたします。
  37. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 衆議院の審議においては、ただいま言われましたように、五年目で目的の達成、いわゆる私どもが後一人歩きをしなさいよという状態にならない場合も含めてどうするかということでありましたが、これはやはり国際的なOECDのPAP等の姿勢、物の考え方に沿ったものでなければならないこと、この法案はその内容に沿っておる。にもかかわらず、アメリカのどことは言いませんが、議会その他の周辺でこの法案を取り上げて、これが最も典型的な日本の産業に対する姿勢を明確にしたものであって、いわゆる国際競争の自由貿易主義の原則のもとではもう限界産業であって水面下になろうとするものを政府が力をかすんだというような声が少し聞こえるような環境もございます。あるいは予測ではありますが、これから一連の行われます貿易大臣の会合等においては、このことを一つの例にして取り上げてくる可能性もあるのではないか。その意味でも私どもはこれは企業自身がその間に立ち上がれということを言っているのであって、五年たってもなおアップ、アップしているから助けてくれと言っても、それはしないんだという姿勢は対外的にも明確にする必要に最近は迫られてきておるわけであります。したがって、改めて念を押しておきますけれども、この法律は再々延長はしない、新しい部分だけでもということも延長はない、五年限りである、そういうことを明言いたしまして、残りの基金の問題は局長より答弁いたさせます。
  38. 小長啓一

    政府委員小長啓一君) 大方針につきましてはいま大臣の御答弁のとおりでございますが、多少法律技術的に言わしていただきますと、基金の解散につきましては、先生指摘のとおり、五十三条第四項において「別に法律で定める。」ということになっておるわけでございます。これは本法の廃止期限でございます五年間が到来した後においても、基金保証債務が存続をしておるというような場合に、その基金法律の廃止と同時に解散するということにいたしますと、基金保証を前提として成り立っておりますいろいろな法律関係の安定性を害する結果となる、それを防止しようというための規定でございます。したがいまして、本法が廃止された場合においても、基金保証債務が存続する場合等の取り扱いは、別途その段階での法律関係等を踏まえた法律で定めようという趣旨で五十三条の四項の規定があるわけでございまして、大方針には変わりないわけでございます。
  39. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまの外国の批判の面についても、大臣からお答えになりましたけれども、もう一方国内におきましても、行政改革とか財政改革、財政再建が強く叫ばれております今日、特に大資本系列の企業に対する金融上の支援が必要であるかどうかというふうな批判がないわけでもないというふうに思いますけれども、この点についてはどのように受けとめておいでになりますでしょうか。
  40. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは当然このような産業政策を、しかも業種を指定してやるわけでありますから、いかに構造不況の業種であっても、それに対する国民的な見方では賛否両論あり得ることは当然であると思います。ただ、もしやらなかった場合においてはその産業がわが国から消えていく、あるいはその産業が消えなくとも、消えたと同然の姿にまで落ち込むということは、当然ながら、まずその企業の従業員である労働者の立場というものが同じような状態に、企業がなくなれば職を失うことになるわけでありますし、さらにそれらの臨海型と言っていい基礎素材産業軒並み不況の中でこれだけの業種をやるわけでありますが、しかしその周辺に下請の企業並びに下請けの孫請、あるいは関連の企業等がやはりそこに蝟集といいますか、集まっているような感じを構成しておるわけでありますから、企業城下町法とは明確に違うかというと、そこら関係はやはり同じような影響周辺に拡散していく、このことはやはり理解を示してほしい現状であり、もしこの法律を廃止、期限が来たからやめたということにしたならば、われわれの地方あるいはわれわれの業種はという目で見れば、労使ともに憂いは同じであり、使用者を先に解雇して労働組合は一人も解雇者がないということもない、それはないでしょうけれども、しかし憂いは同じだと思っております。したがって、われわれはなるべく解雇者の、労働省の法律にすぐにぽいと放り込むようなことをしない配慮をしながら、新しい道へも模索の道を残しておこうということまで考えて今回の法律をつくりましたので、その御批判に対しては十分にわかるようにわれわれの方が御説明を、御説明を申し上げるということが当然必要な法律施行に伴うわれわれの反面の義務であろうと、そういうふうに思っております。
  41. 吉田正雄

    吉田正雄君 先ほどの大臣のお答えの中では、五年間に限って、その間に企業の自主的な努力によって事態の解決を図っていくと、そういう条件整備をやっていくとおっしゃっておりますが、当然なんですけれども、ただ、いまの日本の補助金制度とか、税制面あるいは金融面におけるこういう援助政策と言ったらいいんですか、こういうものによって逆にこの法案の廃止ができなくなって恒久化をしていく危険性があるんじゃないかということをおそれておるわけです。論議の中でも、一般会計からは技術開発ということで、たとえば火力発電の建設費補助であるとか、あるいは石油代替エネルギー技術開発補助金であるとか、これは特にアルミ関係に関してでありますけれども、あるいは産業活性化技術研究開発補助金であるとか、こういうものが出されておりますし、それから、税制面についてもいろいろな優遇措置というものが講ぜられておるわけです。さらに信用基金に基づくいろいろな金融上の措置が講ぜられるということになりますと、逆にそちらが手かせ足かせになって結局また五年間ではなくてその後も延長せざるを得なくなるような仕組みというものが、そういう面からつくられてくるんじゃないかというふうに心配をいたしますが、この点はいかがでしょうか。
  42. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 全体の補助金の性格というものが、この法案を離れて考えても、一遍補助金をつくるとなかなかそれをやめることは、つくるときの数倍の努力が要ると、やめさせることはなかなかむずかしいというのがわが国の予算の仕組みであり、あるいはまた、単に産業界のみならず農林漁業等いろいろな分野の補助金に対する姿勢、あるいは地方自治体等の補助金行政を批判しながらも廃止に反対をするといういろいろな現象から考えて、わが国の一つの風土の特色であるかもしれませんが、これはそろそろ五十九年度予算をどう組むのだということ一つを考えてみても、何も行財政改革と言う前に補助金を相当に切らないと、相当に切っただけでもどうかという問題が残るわけですが、やっていけないわが国にい やおうなしに追い詰められてまいりました。したがって、この法律の持つ補助金部分、すなわちこれを廃止をしないでだらだらといってしまうおそれがあるということについては、基金は確かに手当てをしておかないといけませんので、それ以外のものは初めから五年間だけ延ばしますよと、こういうことは五年間のうちにつけ加えますからおやりなさい。しかし、新規に手を挙げるにしても、一年半の間に手を挙げないものは対象にしませんよ。したがって、実際には三年半ぐらいということになるわけでしょうが、自信のあるところで手を挙げてもらわないといけませんし、私どももまた、これならば立ち直れる計画であるということをきちんと見定めなければならない業種は、指定しても業種の安易な動き、あるいはまた、お上依存型、お上という言葉が古ければ甘えの構造と私が言っております、そういうもののないものにしてもらって、したがって、発想としては、五年たったらどうなるかという発想よりも、五年間の間に最大の努力をしてみると、あるいはするという決意をしてもらって、いまおっしゃったような意味の補助金等は法律の終了と同時に終わりますということを、きちっと最初計画から覚悟してやってもらうような考え方で取り組んでほしいと思っております。
  43. 吉田正雄

    吉田正雄君 次に、国際的な問題についてお伺いいたします。  これ先般も一通りお尋ねをいたしたわけでありますけれども最初に公正取引委員長お尋ねをいたします。  いままでの論議を通じて、通産当局は、構造的問題に直面した産業について、各国はその国の実情あるいは社会的政治的な伝統などにより形態はさまざまであるが、政策的な支援を行っているということを例も挙げて申されております。  そこで、OECD、経済協力開発機構の経済政策委員会、PAP特別グループの最終報告書との関連でお伺いをいたします。  まず先進主要諸国における構造不況業種の対策に関して、独占禁止法を緩和したりあるいはその適用除外を認めた例があるのかどうか、特にカルテル、合併に関しての制度運用状況はどうなっているのか、お尋ねをいたします。
  44. 高橋元

    政府委員(高橋元君) たとえばフランス、イギリスのように比較的国有化企業の多い経済と、ドイツのように進んだ独占禁止法制を持っております国と、アメリカのように典型的なアンチトラスト法を持っている国とさまざまございますが、ただいまのお尋ねの中で、各国の独禁法制の内容として競争制限を行った国があるのかというお尋ねであったと思います。  それで、概括で申しますと、一応の法制をとっておりませんけれども、競争制限的な、または適用除外を新たに立法しようとするようなそういう国というものは、私どもの調べております範囲では見られないわけでございます。  まずカルテルの例で申し上げますと、アメリカでございますが、従来水平、垂直いずれの方向のカルテルにつきましてもいわゆる当然違法ということで非常に厳格に規制をしてまいったわけでございます。レーガン政権になりましてから反トラスト政策の改定ということが行われたとしばしば伝えられるわけでございますけれども、事カルテルに関しますと、ことに水平的なカルテルに関しますと、全くその点では変更がない。むしろ具体的な法の適用という点から申しますと、レーガン政権下の方が水平カルテルの取り締まりは一層厳しくなっておるということが実情であろうと思います。  ただし、再販価格の維持行為というようないわゆる縦のカルテルにつきましては、水平的な競争との関連で考えるというようなことが言われておりますけれども、俗に言われております水平カルテルにつきましては全く従来と変わっておりません。  ドイツでございますけれども、ドイツも原則禁止の法制を持っておりますが、例外として幾つかのカルテルが認められております。その中で緊急カルテル、これはわれわれのいわゆる不況カルテルに当たるものだと思いますが、緊急カルテルと構造不況カルテルという不況対策のカルテル制度があるわけでございますけれども二つのカルテルの例外カルテルがあるにしても、いままで認可されましたものは粉をつくります製粉業これ一件だけでございまして、不況カルテル制度を運用しているとはとうてい言えない状況にあると思います。  イギリスではカルテルは登録制でございますが、裁判所に提訴をいたしまして、裁判所が適当と認定したものがカルテルとしての効力を発生するわけでございますけれども、一九五六年、昭和三十一年に独禁法が制定されまして以降、昨年まで十二件カルテルが認められております。そのカルテルの中で、不況という理由で認められたものはございません。  それから次に、合併でございますけれどもアメリカは水平の合併というのは御承知のように非常に厳格に取り締まられておるわけでございます。すなわち取引段階を同じくする競争者間の合併というものは、倒産寸前企業の救済のための合併というものを除きますと非常に厳格に規制されておって、昨年でございますか、合併ガイドラインでも私どもがたびたびお答えをしておりますわが国の合併ガイドラインよりも従来厳しかったのが、幾らかわが国のガイドラインに近づくように改定されたというのが実情だというふうに思います。  ドイツの場合でも合併の規制は非常に厳しくなっておりまして、三社で五〇%になる場合、五社で三分の二になります場合には市場支配的という認定が下る法制になっておりますが、不況産業についてもその認定は異なっておりません。合併に対して適用除外として許可が与えられる制度は法律上ございますけれども、許可が与えられたものはいままで四件で、いずれも不況理由ということではないようでございます。  イギリスは法制を異にしておりまして、合併につきましては独禁法施行機関が直接に規制をするという制度になっておりません。したがって、不況業種の合併につきましては、経済効率の向上や雇用に及ぼす影響も、競争に及ぼす影響とともに考慮されておるというのが実情であるというふうに思います。  概括で申し上げますと、そのようでございます。
  45. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまお聞きした状況ですと、単に不況を理由にしただけで独禁法の運用を緩めたとか、改正したとか、あるいはカルテル等を安易に認めたというふうには受け取れないわけです。  そこで、OECDのPAP特別委員報告書の第二十四項は次のように述べておるわけです。当然御承知なわけでありますけれども、一応読んでみますと、   積極的調整の観点からみると、カルテルは、必然的に大規模な企業の持っているすべての弊害を伴ないがちであるので、支配的企業や合併よりもはるかに問題がある。カルテルは本来、高コスト企業を保護するものであるから、カルテル協定は非効率企業から効率的企業への資本の流れを制限する。更にカルテルは、カルテル協定の微妙な安定性を混乱させるのをおそれて、革新的方法や製品の導入に消極的になる傾向がある。従って、か々る協定が過剰設備についての基本的な問題に対して、有効な解決策を確保するのはむずかしい。事実、政府がカルテルを容認すれば、しばしば国内生産者を国際競争から保護するためにカルテルが導入されるであろう。  こういうふうに述べているわけですね。  これは一言にして言うならば、構造的不況業種の不況対策としてカルテルによる調整は認めていないというふうに解するのが正しいのではないかというふうに思いますけれども、これについて公取としてはどのような見解をお持ちでしょうか。
  46. 高橋元

    政府委員(高橋元君) ただいまお示しのありましたような第二十四項でございますか、その要約 の中の表現は私どももそのとおりに思っております。  PAPは、これはたびたび通産省からもお答えございますように、経済を効率的にして、いわゆるスタグフレーションからもっと活力ある経済に持っていきますために、将来の産業のあるべき姿というものは市場の諸力が決める、いわゆる市場メカニズムの中で定まっていくということが原則だというふうに考えるわけだと思います。構造的に弱体な産業を援助するための政府の介入は、一時的またあらかじめ予定されたスケジュールに沿って漸減的に行われるべきだ、こういう考え方をとると同時に、カルテルについては、ただいまのように、非常に否定的な表現で述べられておるわけであります。  と申しますのは、そのような産業構造の調整すなわち市場の諸力に従った産業構造のあるべき姿への調整にかえて、ただいまお話のあるようなカルテルを行いますと、資源の不効率使用を来す、これは申すまでもないので、カルテルが構造的調整をおくらせ、またカルテル自身が恒久化していく傾向があるということがそれの、ただいまお述べになりました要約の後ろの詳細ペーパーの中には述べられておるわけでございます。  したがって、構造的調整政策は市場の諸力に従ってやっていくのが正しいわけですし、それにかえてカルテルによる調整を行うということは、PAPの認めていないところであるというのはただいまお話しのとおりでございますし、私どももさように考えておる次第でございます。
  47. 吉田正雄

    吉田正雄君 じゃ、もう一点だけ公取にお聞きをして終わりますが、四月五日の経済対策閣僚会議で決まった今後の経済対策という中で、「不況業種対策の推進」の項目で、「著しい需給不均衡に陥っている不況業種については、内需の拡大、不況カルテルの適正な運用等を通じて需給バランスの改善に努める。」と書いてあるわけです。  そこで、不況カルテルの適正な運用とは、新特安法の指定業種以外の不況業種についても新特安法に準ずる運用というものが行われるのかどうなのかということが第一点と、そうだとすれば独禁法がなし崩しにされるおそれというものがあるんじゃないかということで、厳正なやはり運用というものを公正取引委員会としては行っていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  48. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 独占禁止法の二十四条の三、これは御承知の不況カルテルの規定でございますが、不況カルテルを認可する場合には積極的に四条件、消極四条件と私どもが申しておりますような条件があるわけでございます。  御案内のごとく、ただいま御審議をお願いしております特安法の中でも、不況カルテルの認可につきましては独禁法の適用は排除されていないわけでございます。設備処理につきましての指示カルテルにつきましては公取の同意制度というものがあるわけでございまして、いずれの場合でも不況カルテルの認可につきましては、商品の需給の著しい不均衡でございますとか、価格が生産費を下回ること、または事業者の相当部分の事業の継続が困難になるおそれがある、それらの企業の合理化によってそういう困難を取り除くことができない、こういうような積極条件でございますとか、それから一般消費者、関連事業者の利益を不当に害するおそれがない、それから不況事態を克服するために必要な程度を超えていない、さらにはカルテルの内容が不当に差別的でない、カルテルの参加、脱退を不当に制限しない、というような消極的な条件を備えておりますとか、そういうことを認定した上で行うわけでございます。  本年四月の不況対策の推進の中で、ただいまお話しのような条項があることはそのとおりでございますが、これは昨年十月八日の総合経済対策と同じ文章でございまして、不況カルテルの適正な運用を通じてでございますけれども、同時に、内需の拡大でございますとかその他適当な施策もまた行われるということを頭に置いて書いておるわけでございます。したがって、これを通じて独禁法の運用がなし崩しにされていくというようなおそれは私どもはないというふうに思っておりますし、カルテルを適正な運用をするということは、現在の独禁法自身の中に認められている制度でございますから、したがってそういう観点から不況業種対策の推進に資するように努めてまいりたいと考えておるわけであります。
  49. 吉田正雄

    吉田正雄君 次に、通産大臣お尋ねいたします。  通産大臣といたしましては、国際貿易摩擦の最も焦点に立たされる、きわめて重大な役割りを背負っておいでになります。先般来話題になっております二月十二日のブロック米国通商代表の発言に関してでありますけれども日本記者クラブにおいてブロック通商代表がこの産構法案について、新法案は、米国が優位にある部門で日本市場への参入を制限し、真の貿易自由化の方向に逆行するもので、非効率的な国内企業を外国企業から隔離するようなカルテルは自由貿易に対する日本の約束に反するものだ、という趣旨のことを述べたと伝えられているわけです。これに対して通産大臣は、その後の正式なブロック代表との会談の中ではそういう話は全然出なかったと、仮に出たとしたらこれは内政干渉になるんではないかと思っております、というふうにおっしゃっておるわけです。  私は、事の真意を十分に理解しない面からくる誤解については、これはまた堂々と反論をすべきだろうと思いますし、そういう点ではさきに工作機械の輸入制限に関する通産大臣声明というものが非常に大きな成果といいますか効果を上げたということで、やはり言うべきものは堂々と言うべきだと思うんです。私がそういう点で最も恐れますのは、言わないでおいて単に誤解だと言ったんでは、これはますますすれ違いになりますし、そうかといって主体的な理解だけで相手がけしからぬと言っても、これもまた問題の解決にはならないと思います。  そこで、このアメリカ側の批判を、それは単に誤解だと言うことだけで放置をするということは、これはやはりいつまでたっても問題の解決につながらないと思いますので、この批判に対して、やはり、PAPの精神なりそういうものと照らして、どういうふうに批判にこたえていくのか、その心配を解く必要があると思うんです。  そういうことで、どのようにこの問題に関してお考えになっておるのかということと、それから同じくブロック代表が、米国、第三国市場を問わず、企業間の競争を公正なものとするため、米国と協力するよう日本に要請するということも述べておると伝えられておりますけれども、このいまの新特安法という小さな問題だけでなくて、今度はカナダでもローカルコンテント法案云々という問題が持ち上がっておるということも報道されておりますので、貿易摩擦に対する各国日本国内における産業政策に対する批判ですね、これが単に批判だということに終わらせるんでなくて、今後の産業政策の運用面で、相手側の憂慮、心配、こういうものを筋道を立てて解いていくといいますか、そういう姿勢というものがなければ、単に文字面だけで説明してもなかなか理解が得られないんじゃないかと思いますので、今後の国際貿易摩擦と国内における産業政策との関連で、どのように摩擦を解消されるのかお尋ねをして、一応この新特安法についての質問を終わりたいと思います。
  50. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) この点は、最初の事実関係は、そういうことはブロック代表は私に対して言わなかったと、そのとおりでございますからそれ以上は申しませんが、しかしながら全体として、先ほどの公取委員長各国はカルテル等に対して産業政策で何かやっているかという御質問がありましたが、もっと重大な問題は、アメリカにしてもECにしても日本に輸出カルテルを強いるような交渉をすると。日本が輸出カルテルに応じて自主規制をしなきゃならぬというのは、ビデオテープと自動車は最近の話でありますが、思えば繊維から始まっていろんなカラーテレビとかその他たくさんの経過を経てきて、今日心ならずも、 鉄鋼もそうでありますし、日本側の自主規制という名における輸出カルテルということを強いられておる状態であります。私は、いまのように国際経済というものが一国で成り立っていかないわが国を含めてよその国のやり方を問題にするような現象であるならば、まずその国が自分意思と反した国際カルテルというようなものを結ぶようなことを強要するような姿勢はやめてもらいたい。私は攻撃は最大の防御なりと思っていますので、そこらのところから具体的に質問があればこの基礎素材産業について話をする。たとえばアメリカは問題にしているのは何だといったらアルミだとすぐ言うと思うんですね。そうだろう。私どもアメリカの、カナダも一部含めますが、余りに安いアルミ地金の対日輸出攻勢に対してダンピングではないかという疑いをもってダンピング提訴の用意を前提として調べてみたが、残念ながら水力発電の電力価格の差であって、これはいかんともなしがたい。じゃアメリカに全部カナダも含めて日本のアルミの供給はお任せということにして、日本は国内においてアルミ産業は消えたという場合に、いまの価格で、そしてわれわれの希望する数量を必ず提供してくれるかという、これは国会の承認か何かを経るような高いレベルの協定かなんかを締結させる、それをやらなければ、いずれは売り手市場になっちまったときには、当然ながら商売というものは売り手市場が肩をそびやかして、これだけしか売ってやらぬ、この値段でなければ売ってやらぬと言うに決まっているんですから、そこらのところは念を押さなきゃならぬ。その場合に、向こう日本の国会で審議を経た後承認されるべきような高いレベルの協定に、確固とした約束に応ずるかどうかきわめて疑問でありますから、やり方は山中流の余りいままで使われていない戦術をもってやりますが、結果は同じです。要するにアメリカ、ECその他が言っていることについて、弁解は敗北の第一歩である、敗北への道は断じてとらぬ。要するに一つ殴られたら二つ殴り返した後、さっき殴ったのはどういうわけで殴ったのかと聞くというような戦術をとってまいりたいと思います。
  51. 吉田正雄

    吉田正雄君 次に、特定不況地域中小企業対策臨時措置法の一部を改正する法律案、いわゆる城下町法案についてお尋ねをいたします。  この法案はいわゆる特安法とうらはらといいますか、セットの関係で出されている法案だというふうに考えておりますけれども、この法案が施行された後の特定不況地域の指定状況あるいは認定中小企業等の状況がどうなっているか、当初に概略をお尋ねいたします。
  52. 神谷和男

    政府委員(神谷和男君) 特定不況業種につきましては、五十七年の十月に二業種を追加いたしまして現在まで九業種が指定をされております。これらの業種に関連をいたしました特定不況地域につきましては、五十一市町村が現在までのところ指定を受けておるところでございまして、それ以外に関連市町村の指定が行われておるところでございます。これらの指定地域並びに関連地域に存在します中小企業者のうち、特にこの法律に基づく認定を申請してまいりまして認定を受けました企業は五千企業強に上っておる、このような状況でございまして、関連した諸施策を講じて少なくも第一次オイルショック以降急激に参りましたこれらの地域に加えられたインパクトによる底割れ的な状況は防止できたと、このように考えておりますが、御承知のように第二次オイルショックの後遺症としての新たな構造不況業種問題等がこれらの地域には重なって覆いかぶさってまいっておりますので、今日これらの地域に対してはさらに一段と拡充した施策を講じて延長をお願いする必要がある、このように考えて延長法を御審議いただいておるところでございます。
  53. 吉田正雄

    吉田正雄君 この法案の施行によってどのような成果が上がったのか、また問題点がどういうところに存在するのか、たとえて言えば認定中小企業等で認定後倒産等も出たと思うんですけれども、その件数はどの程度なのか、把握をされておればお聞きをいたしたいと思います。いずれにしても成果と問題点についてどのように評価をされておりますでしょうか。
  54. 神谷和男

    政府委員(神谷和男君) 御指摘の認定中小企業者の中で倒産が何件あったかという形での統計はとっておりませんので、恐縮でございますが、具体的におのおのの地域のいわゆる倒産の状況というものはフォローをマクロ的にやっていただいておるところでございます。これらについて一言で申し上げますと、五十三年度から四年度にかけては好転の兆しが見えましたが、御承知のように五十五年度からかげり現象が特に中小企業に関しては出てまいりましたので、五十四、五と横ばい、六年あたりからまたやや状況が悪化しておる、このような状況でございます。  具体的な成果と申しますか、講じました対策といたしましては、先ほどの認定中小企業者の件数のほかに特定不況地域対策緊急融資は四百二十八億円が融資をされておりますし、信用補完の特例におきましても千六百一件、百八十五億円の特例措置が講じられておるほか、下請取引の広域あっせんが四千百六件、あるいは設備近代化資金の返済猶予等々が実績として上がっておりますし、また企業誘致の関係では、これは見方が非常にむずかしいわけでございますけれども、一般的な工業出荷額シェアで指定された地域を見ました場合に、そのシェア、すなわちこれらの地域が全国に占めるウエートでございますが、それ以上に一応これらの地域に対しては工場の立地が行われてきている。こういうような状況を見ますと、私どもといたしましては、先ほど申し上げました底割れ的なものを防止して、一定の成果を上げつつあったところではございますけれども、第二次オイルショックの影響で、御承知のように指定された地域のほとんどすべてが状況はきわめて現在悪いと答えておるわけでございます。したがいまして、この従来の対策に対しての評価と問題点ということで申し上げれば、第二次オイルショックの影響に対処するため、やはり再度五年間延長してこれらの地域に対しての特別の措置を講ずる必要があるほか、従来やはり企業誘致と、いわゆる城主様と言われておりました構造不況事業所の立ち直りというものにかなりの期待をしてまいりまして、中小企業に対しては緊急的な安定措置というものにウエートを講じて施策を遂行してまいったわけでございますが、やはりこれらの地域の立ち直りのためには、構造不況業種がかつての昔日の姿に戻るということを期待するよりも、むしろ地元の、地場の中小企業そのものを振興させていくということが、企業誘致対策等とあわせて今後前向き政策として必要になってくると、このように考えておりますので、問題点をそのように認識した上で振興対策を新たに織り込ませていただいておると、このように考えます。
  55. 吉田正雄

    吉田正雄君 地域によっては、企業側で不況地域に指定を欲しいんだという希望を出しても、当該市町村の方でこれを渋るというふうな傾向が一、二あるやに聞いておるんですけれども、そういう例があるのかどうなのか、あった場合にどのような指導が行われたのかお聞かせ願いたいと思います。
  56. 神谷和男

    政府委員(神谷和男君) 私の承知しております限りでは、一つの地域で、やはり一部と申しますか、関係中小企業者の中では地域指定をしてもらいたいという声があったようでございますが、まあ市当局あるいはその他その地域の関係者の中では、別に不況地域というレッテルをこの町に張ってもらうのは困るというような声も非常に強く、結局意見がまとまらずに申請がなされなかったという例を聞いております。そのほかにも実は一、二、いや地元の中小企業者は希望しておるんだけれども、どうもそっちへ行っていないようだというようなお話もございました。したがいまして、私どもでは、今後は、従来は出てまいりますものをチェックをいたしましてその上で指定するかしないかと、このように考えましたが、やはり問題がありそうだというような地域に関しては、できるだけ私どもの方からも実情をよく聞かしていただく、さらに先ほど申し上げましたような問題 点、どうもレッテルの悪さも今度の法律では取らしていただきたいと、このように考えておりますので、このような成果を踏まえ、かつ新しい法律趣旨法案を通過さしていただいた後にはできるだけ早く各地域にPRをして、少なくも中小企業者が希望している地域に関しては、実態が備わっておる、要するに法律の要件さえ備わっておれば必ず指定をするようにいたしたい、このように考えております。
  57. 吉田正雄

    吉田正雄君 この指定地域について、今後再び指定をするとかしないとか、あるいは追加の地域が出てくるんではないかというそういう見通しについては、どのようにお持ちになっておりますか。
  58. 神谷和男

    政府委員(神谷和男君) まず非常に法律の性格的なことを申し上げれば、延長法という形になっておりますから、何もしないで手をこまねいておれば、現在の指定された業種が、あるいは指定された地域がそのまま延長法でも指定地域ということになって進むわけでございますけれども、新しく法律改正したわけでございますし、さらに五年たった本来であれば法律が廃止される時期でもございますので、私どもとしてはこの際に、従来の業種はもちろん従来の指定地域に関してはすべてレビューをさしていただくと同時に、新しくやはり指定をしたいという希望があると承知しておる地域あるいは新しい拡充された法律ではぜひ指定してほしいというような地域に関しては、その地域に関しての状況を調査した上、要すれば追加指定をいたしたいと、このように考えております。したがいまして全体を再レビューした上で、見直し、さらに追加指定の政令を出させていただきたいと思っておりますが、しからば具体的にどのようになるかと、こういうことでございますと、五十一市町村の中では、ほとんどの地域が先ほど申し上げましたように状況が悪いと言っておりますし、われわれのデータでもそのように承知をいたしております。一部若干よくなったようだと言っておりましたのは造船でございまして、調査したのが去年の前半でございましたので、これらはその後地域によってはぐっと落ち込んでおる地域がございますので、この状況を調査した上で対処いたしたいと、このように考えておりますが、概括的に申し上げれば、従来指定をされた地域は卒業生は非常に少ない、したがってほとんどレビュー後も指定をされ、新しい地域が若干追加指定をされると、このようになるのではないかと考えております。
  59. 吉田正雄

    吉田正雄君 今度の改正案では、目的に「事業の新分野の開拓等を促進する措置を講ずること」というのが追加になっておりますけれども、具体的にはどういう内容なのか、またそれについての法上の補助制度と言ったらいいんでしょうか、そういうものについてどのようなことをお考えになっているのかお尋ねをいたします。
  60. 神谷和男

    政府委員(神谷和男君) 目的で新しく追加いたしました事業内容は、改正法三条の二の中に実施計画内容としてかなり具体的に細述されておりますが、ここでごらんいただくとおわかりのように、基本的には大きく二本の柱になっております。一つは、新技術の研究開発あるいは需要の開拓等いわゆる新分野の開拓事業でございまして、もう一つは、設備の近代化、人材の養成等事業の合理化に関する事業で、これらを総括いたしまして「新分野開拓事業等」と、このように呼んでおるわけでございます。しかしやはりウエートといたしましては、できるだけ従来の関連中小企業者等が積み上げてまいりました企業経験あるいは経験の蓄積といったようなものを、それらを踏まえた上でできるだけ新しい分野の方に拡張拡大していきまして、新天地、ニューフロンティアと、まあ大げさに言えばそういうことになりますけれども、きめ細かな多様化した需要に対応していくような力をつけ、それらの分野を切り開いていっていただくということをねらいとしておるところでございます。  これらに関しましては、いわゆる金融といたしましては、振興事業に関連いたしました新しい特別貸し付けを中小企業金融公庫、国民金融公庫等で特別枠として用意をしてもらっておりますし、信用補完制度でも、いわゆる近代化保険の枠をこれらのために、中小企業個々の業者ごとの枠を従来の三千万から五千万に拡大すると同時に、これらの事業に関連した資金の借り入れに伴って必要とする信用保証に適応できるようにいたしておりますし、税制上では試験研究に関連して、いわゆる組合等に負担金を支払った中小企業者あるいはその負担金を活用しようとする組合等に対しての特別の措置を講じておるほか、組合が取得いたしました土地建物に関して地方税での非課税措置等を講ずることといたしておるわけでございます。さらに加えまして、やはり疲弊した非常に力の弱い地域の中小企業者が行う前向きの努力であるということにかんがみまして、非常に財政事情厳しい折ではございますが、新しい補助制度といたしまして、一地域に一千万円という算定のもとに振興事業費補助金制度というものを新しく設けまして、この法律のスタートというものを実効あらしめるように補強していくつもりでございます。
  61. 吉田正雄

    吉田正雄君 いずれの地域も置かれている条件とか状況というのは似たり寄ったりだと思うんです。そこで、この新分野の開拓ということで、新商品、新技術の研究開発あるいは需要の開拓ということが述べられておりますけれども、新技術、新商品の開発がなければ需要の拡大というのは非常に困難ではないかと、それから同じ需要といっても大衆消費的なものなのか、先端技術的なものから生み出されるものなのかによって非常に違ってくると思いますし、これらの非常に困難な中小企業で果たしてそれらの先端技術を生み出せるのかどうなのかということになりますと、これまた人材との関係で非常な困難が伴うんじゃないかというふうに思うわけです。  そこで、新しい分野の補助金として一カ所、一千万円というふうなお話がありましたけれども、私は財政難とは切り離しまして、一千万円程度のもので果たしてそういうものを期待することができるのかどうなのか、単に金を出しただけでは別の面へ使われていく要素も非常にあるんじゃないかという感じがしますので、この使途の内容等について一定の方向づけが行われているのかどうなのかということと、それから四十カ所程度ということなんですが、この一千万円の額と四十カ所というもので果たして所期の効果を上げることができるのかどうなのか、時間も参りましたので、そのことを総合的にお聞きをして、質問を終わります。
  62. 神谷和男

    政府委員(神谷和男君) 御指摘のように一千万円でどのぐらいのことができるのかと、特に先端技術等をやるのはとうてい大変であろうという御指摘そのとおりであるというふうに存じます。ただ、新分野開拓事業といった場合にもいろいろな種類、段階がございまして、やはりいままで自分たちが歩んできた道、それを延長していくところで、じみな、先端技術というほどではないけれども自分の経営資質というものをできるだけ広げて、新しいいわゆるすき間と呼ばれておるような需要を開拓し得る能力をつけると、こういうところに当面の努力目標を掲げていただき、先端技術その他ニューフロンティア的なところに取り組もうという意欲のある地域に関しては、私どもの方で別途新しく予算化いたしました地域フロンティア技術開発事業といったようなものに、これは県ぐるみ等でやはりこれらの地域も一体となって取り組んでいただくと、こういう多重、多方的な取り組みを期待しておるところでございます。  しかも、この一千万円、それでも足りないんじゃないかという御指摘でございますけれども、やはり私どもといたしましては、すべてを補助金に頼るということではなくして、やはり井戸の呼び水的な効果というものも期待いたしまして、これらの補助金を糧にして、先ほど申し上げましたようなやはり若干の負担金等も税制上の恩典を受けながら負担していただくほか、あるいは中小企業金融公庫等の資金等も個々の事業所ではいろいろ活用をしていただく、これには特利を考えておるわけでございまして、そういった総合的な努力を集中していただくための呼び水としてこれらの資金を使っていただきたいと、このように考えておるわけでございまして、用途といたしましては新しい技術開発あるいは新種商品の開発事業あるいは人材養成事業等に関して使用するということで、御指摘のようにいわゆる本来の目的以外のところにこれが流れていかないように補助要綱等で厳格に規定をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  四十地域でも地域数は大丈夫なのかと、全体の予算は大丈夫なのかと、こういう御指摘もございましたが、これにつきましては、やはり私どもは全部の地域が手を上げてきてくれるほどの意欲を期待いたしておりますが、何せ新しい法律が通りましてから、具体的に五十八年度としては何地域が当初から準備が整って手を上げてきていただけるものかと、そのあたりを勘案いたしまして、四十の台は割りたくないということで四十地域というのを一応積算の基礎として財政当局と折衝をさせていただいたわけでございまして、またそのとおりつけていただいたわけでございます。したがいまして、新しい各地域からの計画あるいは補助事業に関しての申請がございましたら、その事業内容その他をよく見まして、一律に一地域一千万だから何でもかんでも一千万円ばらまくということではなくして、効率的な運用というものをこの範囲内で図っていくことにさせていただきたいと考えております。
  63. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認めます。     ─────────────
  65. 亀井久興

    委員長亀井久興君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、梶木又三君及び円山雅也君が委員辞任され、その補欠として宮澤弘君及び山崎竜男君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  66. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案について吉田正雄君から委員長の手元に修正案が提出されております。  この際、本修正案を議題といたします。  まず、吉田君から修正案の趣旨説明を願います。吉田正雄君。
  67. 吉田正雄

    吉田正雄君 私は、本案に対し、お手元に配付のとおりの内容の修正案を提案いたします。  これより、その趣旨について御説明を申し上げます。  第一は、現行特定不況産業安定臨時措置法の五年間の施行の結果は、設備処理について目標の九五%が達成された反面、当該産業に属する事業者の雇用する労働者の雇用の安定については、むしろ解雇促進役割りを果たしたものとなっています。  したがいまして、構造改善基本計画に定める事項として、本法律案の第三条第二項第五号の括弧書きで規定されている雇用の安定を図るための措置につきまして、新たに号を起こし、これを明確にしようとするものであります。  第二は、構造改善基本計画を策定するに当たり、関係審議会は、当該特定産業に係る主たる事業者団体及び労働組合の意見を聞かなければならないこととされておりますが、関係審議会が意見を聞かなければならない範囲を拡大し、関連中小企業に係る主たる事業者団体及び労働組合もその対象とするものであります。  これにより、最も影響を受ける関連中小企業に係る事業者の経営の安定並びに労働者の雇用の安定をより確かなものにしようとするものであります。  第三は、事業提携計画の承認に当たり、独占禁止法が産業政策や不況対策によってその運用がゆがめられたり、緩和されてはならないということであります。  事業提携に対して、公正な競争秩序の維持と企業の競争能力の確保を維持するために、独占禁止法が一定の枠組みを設定することは、競争経済体制が企業の自主的活動を前提としている当然の帰結であります。  本法律案の審議を通じて主務大臣である山中通産大臣より、独占禁止法は厳に尊重する旨の答弁がなされ、また、高橋公正取引委員会委員長より、運用に際し、独占禁止法をゆがめることはない旨の答弁がなされました。  しかしながら、本法律案第十二条に新たに加えられた第四項から第九項までの事業提携計画の承認に関する主務大臣公正取引委員会との調整条項は、将来、独占禁止法が産業政策に従属させられるおそれを含むものであり、これが第十二条第四項から第九項までの六項を削除する理由であります。  以上、修正案の趣旨を簡単に申し述べましたが、何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  68. 亀井久興

    委員長亀井久興君) これより特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案並びに吉田君提出の修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  69. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、日本社会党を代表いたしまして、特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、原案に反対、吉田君提出の修正案に賛成の討論を行うものであります。  以下、理由を申し上げます。  わが国の基礎素材産業は、産業構造を支える上で重要な産業であります。ところが、今日、二度にわたる石油危機の発生による原油の大幅値上げ等によって、重大な苦境に立ち至っており、今後これを放置するならば、国民経済に重大な打撃を与えることは明らかであります。したがって、基礎素材産業が陥っている構造不況の状態を打開し、再活性化することは、わが国経済及び産業構造上強く要請されるところであると考えます。かかる観点から、このたび政府が基礎素材産業の活性化のために本法律案を提出したことについては、わが党も一定の評価をいたすものであります。  しかしながら、本法案は、次の理由により、雇用及び事業提携の規定について重大な問題を有していることにかんがみ、これらの点については修正することが必要であると考えます。  第一の理由は、構造改善は、その進め方いかんによっては特定産業における雇用不安をつのらせるとともに、特定産業において、これまで以上に労働者が離職を余儀なくされることになり、重大な社会問題になるおそれがあります。そのことは、現行特安法の施行においても、造船を除く十三対象業種で四万人の労働者が整理されていることからも明らかであり、雇用が産業政策の副次的、派生的問題として扱われるならば、今後も構造改善の中で人員整理に拍車がかかるともに、関連中小企業や地域経済に著しい悪影響を与えることは必至であります。よって、本法の中で、雇用不安に対する歯どめをより明確な規定に改めることが必要であると考えます。  第二は、本法案中に新しく事業提携について、主務大臣公正取引委員会との間に調整規定が設けられた点については、法の運用いかんによっては、独占禁止法の趣旨を踏み外す重大な問題が発生するおそれがあることであります。  企業が、不況カルテル、合理化カルテルによって効果的な集約化を独占禁止法の枠内で自主的に行うことは認められております。産業政策と競争政策との調和の名のもとに独占禁止法の運用を緩めることが、結局、企業の甘えを助長し、その活力を損なうに至ることは必然であり、この調整規定を設けなくても、構造改善は独占禁止法の枠組みの中で十分達成し得るものと考えます。  以上が、原案に反対し、修正案に賛成する理由であります。  最後に、基礎素材産業の活性化に当たっては、雇用への配慮について、企業に格段の努力を促す とともに、厳しい自助努力を企業に求めることを政府要望いたしまして、私の討論を終わります。
  70. 降矢敬義

    降矢敬義君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、政府原案に賛成し、吉田君提出の修正案に反対する討論を行います。  まず、原案に賛成する理由を申し上げます。  第一は、構造的困難に陥っている基礎素材産業を活性化するために、新特安法の制定がいま強く要請されているからであります。  基礎素材産業は、わが国の産業構造の上で大きな比重を占めるとともに、国民経済全体においても重要な役割りを担っております。素材産業は、二度にわたる石油危機に起因する原、燃料コストの著しい上昇、需要の低迷、さらに過当競争の激化等により、現行特安法による施策の推進及び産業、企業の努力にもかかわらず、多くの業種において著しい過剰設備が発生し、国際競争力の低下に伴い、輸入の増大と輸出の減少をもたらし、産業の存立自体が脅やかされる事態に立ち至っております。したがって、今日、基礎素材産業の活性化を図ることはきわめて重要かつ緊急の課題となっているわけであります。  第二に、本法による構造改善は、決して産業保護政策には当たりません。あくまで企業の自助努力を前提とするものであって、OECDの積極的産業調整政策の理念とも合致するものであります。すなわち、将来とも改善の見込みのない非能率部分を円滑に縮小するとともに、他方では、経済合理性を回復できる部分の活性化を進めるという積極的、前向きの産業政策が取り入れられております。この縮小と活性化という考え方は、わが国の産業政策史に新しい一ページを加える画期的なものとして高く評価するものであります。  第三に、本法案中に、事業提携に関する規定が新たに設けられ、主務大臣公正取引委員会との間の調整についての独特の仕組みが置かれたことであります。  素材産業の活性化を図るためには、一企業の枠を超えて事業の集約化を実施し、規模の利益によってコストの低減を進めなければなりません。この調整規定は、独占禁止法の枠組みの中で産業政策上の要請を生かそうとするものであり、素材産業の構造改善を効果的に達成するために必要にして不可欠な措置であると考えます。また、本法案では、雇用の安定等についても配慮がなされております。  これら、本改正案に具体化されている諸施策は、基礎素材産業を活性化する上で今後五年間最も必要かつ適切な措置であり、産業政策上も画期的な意義を持つものであると確信し、原案に対し、賛成の意を表明するものであります。  次に、修正案につきましては、雇用対策についてはその趣旨はすでに原案の中に生かされており、また事業提携についての調整規定は、さきに述べました理由により、本法の目的達成には不可欠の規定であると考えます。  したがいまして、私は、本修正案には反対の意を表明する次第であります。  以上をもって、討論を終わります。
  71. 市川正一

    ○市川正一君 私は、日本共産党を代表し、特安法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  基礎素材産業が今日の不況を克服し、つり合いのとれた産業構造の中で、日本経済の自主的で民主的な発展に、それにふさわしい役割りを果たすべきことはもとより必要なことであります。  しかし、本法案には以下のような多くの問題があります。  その第一は、特定産業における大規模な人減らし、合理化に拍車をかけることになるからであります。  現行特安法の五年間がもたらしたものは、結局大規模設備処理と労働者の削減でありました。本法案は、現行法による指示カルテルを温存した上、さらに事業提携、すなわち、企業合併や共同販売など、産業再編成の推進によってこれまで以上に大規模な人員削減を促進する結果になるのであります。  その第二は、現実に特定産業の当該企業が人員削減とともに、下請中小企業の切り捨て、工場閉鎖等を強行し、地域経済に深刻な影響を及ぼしているのに対して、本法案は、当該大企業の社会的責任を果たすために必要な規制を加えるものとなっていないことであります。  その第三は、当該大企業やその企業グループによる国の内外にわたる無秩序な設備投資によってつくり出された過剰設備処理等は、当然これら企業の責任で解決すべきものであるにもかかわらず、これをあいまいにしたまま、財政、金融、税制上の新たな優遇措置をとっていることであります。  その第四は、設備処理に係る指示カルテルを温存した上で、事業提携に関して公取委員会とのいわゆる調整条項を設けて、事実上、独禁法の骨抜きに道を開くおそれがあるからであります。  なお、修正案につきましては、主務大臣と公取委員会との調整条項を削除するなどの改善点があるものの、大企業や大企業グループの責任には触れず、設備処理事業提携の推進を前提としているため、本法案の性格を基本的に変えるものでなく、また、雇用の確保、関連中小企業保護で実効を期待できるものではありませんので、棄権の態度を表明し、討論を終わります。
  72. 田代富士男

    田代富士男君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま議題となりました特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案について、社会党提出の修正案に反対し、原案に賛成の討論を行います。  第一は、本法律案の速やかな成立が構造的困難に直面する基礎素材産業の再活性化に必要であると考えるからであります。  言うまでもなく、基礎素材産業は、わが国の産業構造の中核としてこれまで重要な役割りを果たしてきております。ところが、この重要なる基礎素材産業は、二度にわたる石油危機に見舞われ、その経営環境はきわめて厳しいものがあります。これをこのままに放置するならば、国民経済、とりわけ地域経済、関連中小企業及び雇用に、まことに大きな影響を与えるところになり重大であります。  そのためには、一日も早く構造改善を推進し、これら基礎素材産業の活性化を図り、もって地域経済や雇用の安定に努めなければなりません。  さきの本委員会における参考人の意見聴取においても、業界を取り巻く深刻な経営環境を懸念する代表の方々から、それぞれ、本法律案の成立を強く要望する旨の発言が多数出されたことなども考えあわせて、長引く不況にあえぐわが国経済に活を入れるためにも、基礎素材産業の活性化は急務であると考えます。  第二に、きわめて重要なこととして、独占禁止政策の枠内において施策の推進が図られるということが挙げられます。  生産、販売の共同化、合併などの事業提携について、当初各方面から独占禁止政策と産業政策の調整でさまざまに議論が交わされました。  しかし、本法律案においては、これを独禁法の適用除外とせず、法律上、公正取引委員会と通産大臣の間で十分な意見の調整を図ることが明確にされ、市場の適正な競争の確保と産業活性化のための助成策が合理的になされるという整合性のとれたものになっております。  また、公正取引委員会との意見の調整に当たっては、同委員会の専管事項に立ち入るおそれのないように配慮していくことも明確にされ、しかも本法律案が時限立法という臨時的措置であることにかんがみ独占禁止法の基本的精神は守られるものと判断いたします。  さらに、本法律案は、民間の自主性と自助努力を前提としており、その内容もOECDの積極的産業政策に十分合致するものであって、諸外国の理解も得られるものと思います。  最後に、社会党提出の修正案については、その趣旨は原案において生かされていると判断し反対 いたします。  以上、本法案の原案に対し、賛成の意を表し、討論を終わります。
  73. 井上計

    ○井上計君 私は民社党・国民連合を代表して、特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、原案賛成、修正案反対の討論を行います。  わが国基礎素材産業は、第一次、第二次のオイルショックにより大きな影響を受け、その後の努力にもかかわらず、環境はますます厳しさを加え、いまや深刻な事態に陥りつつあります。このまま放置するならば、戦後わが国経済、産業の発展の中核として大きな存在を示してきたこれらの素材産業界は、国際競争力を完全に失い、雇用、関連中小企業、地域経済に重大な影響を及ぼすのみでなく、完成品産業に与える影響も大きく、貿易立国であるわが国経済、産業全般にわたって著しい障害が起きることが憂慮されます。したがって、これら業種の活性化を図り、素材産業各業種の安定化を促進することが緊要であります。  かかる観点から、わが党は、いち早くこれらの対策を立案し、政府に対し法律改正を求めてまいりました。  本改正案は、構造的な経営悪化に陥っている業種の法定化及び政令指定、構造改善基本計画の策定、業界内における事業集約化の促進と、これに伴う独占禁止法との調整、構造改善の円滑な推進のための税制上、金融上の特例及び雇用の安定のための配慮がなされております。  しかし、本改正案にもまだまだ不十分な点がありますが、これらの点は、質疑の中で示された政府の答弁によって補強されていると考えます。  ただ、基礎素材産業の構造不況の最大原因は、エネルギーコストが先進工業国と比べて著しく高い点にあることは、いまさら論ずるまでもありません。したがって、本法律の施行によって、それぞれの業界の自助努力を期待すると同時に、政府は、電力費を低減するための政策、すなわち原子力発電を初めとする新エネルギー、新技術等の開発をさらに促進することを強く要望するものであります。  次に、社会党から提案された修正案は、その趣旨が原案の中に十分生かされており、その必要はないものと考えます。  以上、原案に対して賛成、修正案に対して反対の討論といたします。
  74. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 他に意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、吉田君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  76. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 少数と認めます。よって、吉田君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  77. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、野呂田君から発言を求められておりますので、これを許します。野呂田芳成君
  78. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 私は、ただいま可決されました特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な対策を講ずべきである。  一、本法による特定産業の構造改善については、事業者の自助努力を前提として進めるとともに、開放経済下における産業調整のための臨時、補完的な措置としてこれを行うこと。  二、構造改善を効果的に進めるため、構造改善基本計画、特に目標年度における構造改善の目標については、当該産業の将来展望を基礎とする適確なものとするよう留意すること。    なお、内外情勢の進展に対処する産業構造の将来展望をできるだけ速やかに明らかにするよう努めること。  三、構造改善の推進に当たっては、構造改善基本計画の策定に際し、審議会は、当該特定産業の関連中小企業等にかかわる労働者の立場をふまえた関係労働組合の意見をきくとともに、当該労働者をも含めた雇用の安定、労働条件の維持、改善に最大限の考慮を払い、地域経済の振興に寄与するものであるよう配慮すること。  四、設備処理に当たっては、業種の実情に応じ、機械的一律的廃棄を避けるなど、適切な実施に努めること。  五、事業提携に関する実施大綱の作成及び計画承認の運用に当たっては、独占禁止法及び本法の趣旨を逸脱しないよう、当該特定産業をとりまく経済環境、その競争実態、構造改善の必要性等に照らし、厳正かつ適確に行うこと。    なお、事業提携計画の申請に際しては、当該事業者関係労働組合と十分所要の話し合いを行うよう指導すること。     右決議する。  以上のとおりであります。
  79. 亀井久興

    委員長亀井久興君) ただいま野呂田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  80. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 多数と認めます。よって、野呂田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、山中通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山中通産大臣
  81. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ただいま御決議をいただいた附帯決議については、その趣旨を尊重して、基礎素材産業対策の実施に遺憾なきを期してまいる所存であります。
  82. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 次に、特定不況地域中小企業対策臨時措置法の一部を改正する法律案について討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  特定不況地域中小企業対策臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  83. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  85. 亀井久興

    委員長亀井久興君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  高度技術工業集積地域開発促進法案を議題といたします。  本案の趣旨説明並びに補足説明はすでに聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  86. 村田秀三

    村田秀三君 私は、ただいまもお話ございまし た、いま提案されております高度技術工業集積地域開発促進法案について質問をいたします。  まず初めに、テクノポリス構想法制化の目的について概括御説明をいただきたいと思います。
  87. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 型どおりの答弁だとこの「目的」のところを読めばそれでいいんですが、こういう発想から来たものであります。  いろいろのいままでテクノポリスの構想とかその他言われましたけれども、それはいままで政府の方が何ら促進あるいは援助ということをしないままで先端産業が人口のすでに密集している、たとえば親会社のある地域も含めて日本全土の都市以外のところに工場もしくは立地し始めた、これは確かに原因があるんだと思って分析してみておりますが、たとえばある工場から本社まで運ぶ場合に、一時間半の自動車輸送という場合であっても一時間半だと思うんですね。しかし、飛行場から一時間半で運べるというのも同じ一時間半だ、こういう考え方をしてみますと、距離と時間とが全くいままでの概念と違ってきたということは、ローカル空港がずいぶん整備されてきたものでありますから、この現象に目をつけた企業が、企業は企業の胸算用と申しますか、論理でもって政府援助もあるいは政府の誘導も何もなしに選択地として立地していった、これはこれでいいわけでしょう。企業、工場が進出した地域のローカルの方の企業から飛行場に直行して、飛行場から本社工場かあるいは成田経由の外国へかということで、企業はそれで成り立つんでしょうが、こういう分布状態というものを地図の上で見て、これをほったらかしておく、勝手に出ていったんですからほったらかしておいてもいい。しかし、これを着目して、企業が自主的に出ていって立地しているところを、その技術を、これは企業も加勢をしてもらわぬといかぬわけですけれども、いやだという企業は仕方がありませんが、技術の地方拡散ということを図っていくことはできないものか。そうすると、日本列島の、昔は田舎と言われた、あるいは遠方と言われたところが飛行場や高速道路によってずいぶん形が時間的に変わってきたので、そこらの地域はほとんど浮揚力といいますか新しいものへ転換しようなどということを考えている人もいない。ただ雇用されて、その工場の、賃金収入がふえたなという、地域の雇用がふえたなという程度で無縁の存在として見ている地域に、その地域の人々があらゆる職業の分野で持っている何か特徴のあるものあるいは適正な条件のもとにその企業と技術を通じて、あるいは拡散の結成化をいただいて、あるいは共同でいろんなものを、県も中に挾まって研究してみて、そういうものが地域の経済の活性化と、しかもそれが新しい方向に全部先端産業技術分野の知識を波及してもらうわけですから、そうすると地域の活用という意味政府はなにもしていなかったんだけれども、そのでき上った現象をとらえて政治を展開することは可能である、そう思いまして、これを次官通達ぐらいでやるかあるいは法律として国会の御論議もいただきながらやるか判断に迷ったときもありました。しかし、いずれにしてもこの現象をほっておく手はない。これはほっておいたら、それは政治不在ということだ。そういうことで最終的に法律にして皆様方にお願いをしたわけでありますが、これは国会議員の皆さんの、各党いろいろ違いはありましても、そういう国会にかける法律案の方がよろしいという御意見が多かったこと、それから、関係しておる地域というのはまだあるようでないわけですが、要するに要望される知事さんなり都道府県議会なりそういうところの声も、政府方針というものじゃなくて、やはり国会の議を経た法律という地位を与えてほしい、それによって自分たちがどうこうわがままを申し上げるわけじゃありませんということでございましたから、あくまでも地域の自主性ですよということで、余り国のこれはインセンティブらしいものがよけい入ってないんです。だから、大きな顔はできないんですが、これがよすがとなってそのような高度技術の集積しておる地域というものが、地域で振興策を発見する努力を開始するということであれば、日本列島全体が産業構造の新しい、しかも将来の分野に向けて地方の、ローカルのそれぞれの特色を、恐らく全部同じものじゃなくて全部違うものになるだろうと思うんですが、特色を出しながら、日本列島が非常に脈々とした息吹を持つのではないか、こういうふうな私の勝手な観測でありますが、そうあってほしいということでやりまして法律にしたわけですが、一般の声を聞きますと、まあ世の中暗いことばかり、前途の明るさがない中で、明るいのはこのテクノポリス法案ぐらいかななんということを言ってくれております。ということは私どもにそれだけ期待がかかっておる。その期待はあくまでも地方がその期待どおりにがんばってくださる、下からの盛り上がる力となってくるということを願って法律案を提示したわけでございます。  ちょっと長すぎましたが、背景を説明さしていただきました。
  88. 村田秀三

    村田秀三君 段々伺いました。  そこで、何といいましょうか、この法案をざっと見た限りでは、私自身、実は、さて民間の活性を活用する、こういう前提に立つとするならば、それぞれ企業が自分で一番適切なねぐらを探してそこに活路を求めていく、こういうものであろうから——まあ私は福島でもございます。ヨシの髄から天井眺めるじゃございませんが、他の地域はよく存じません。そういう意味では福島県の地域からのみ物を判断するという傾向をお許し願いたい、こう思いますけれども、まあ当地方にも最近はセラミックができてみたり、あるいは五十人、六十人の小さな工場であるけれども、系列会社、まあ独立した形にはなっておりますけれども、若い技術屋が本当に自分で考案して自分のところで工作機械を製作して、そして製品を出していっているという工場もあります。そういう観点から見て、さてこういう法律というものが果たしてどれだけの効果があるのかという、そういう疑問を実はちらっとではございますけれども、持たざるを得なかったわけです。しかし、考えてみますと、そうは言ってみても、いま大臣がいろいろおっしゃいましたことも考えて、ここで政府自身がより積極的な手法を駆使するということも、またこれは必要であろうと、こういう考えに立っていろいろ考えてみたわけでありますけれども、そうしますと、いま大臣のおっしゃっておりますことは二つに分類できると思うんですね。というのは、このまま野方図に放置しておきまするというと、勝手ばらばらにあちらこちらに行ってしまうから、これをひとつ経済効果をより高からしめるためには、一つにまとめて育成した方がよろしいのだと、こういう考え方が前段にあるようです。それも一部肯定もできますけれども、しかしその後段にいきまするというと、いわゆるヨシの髄から天井眺めるじゃございませんが、ほかのことは知らぬからとにかく雇用機会をつくれ、つくれとは言うけれども、そこは更地のところも多い。これを放置するわけにはいかぬからというところにも手を加えて、そしていわゆる均衡ある国土全体の発展を図る、こう結ばれておるわけですね。  そう理解をしてまいりますると、ここで疑問があるのが、私はそれが正しいと思って物を言うわけですが、つまりは単にいいところだけを強める、悪いところはそのまま放置してもよろしいのだという前提で物を言っておるわけじゃございませんけれども内容的に見ますと、果たして主目的は何かという考えを持たざるを得ない面もあるわけです。  いま大臣がおっしゃったように、大都市と地方の経済的格差を改善するということをうたい、かつ法律内容を見ますと、それをもう少し細分化したようなかっこうでテクノポリス建設によって「その周辺の地域の経済の発達を図り、もって地域住民の生活の向上と国民経済の均衡ある発展に資する」、つまりこの周辺の地域だけを対象にして均衡ある発展を図るというような理解の仕方もこれはできなくもないわけですね。そうすると、この法律の主目的は何であろうかと。つまり、地域開発立法なのか、あるいは工業技術振興立法な のか、この法案内容をだんだんと触れざるを得ませんけれども、触れてまいりまするというと、この二つの疑問を持たざるを得ないわけですね。したがって、その辺のところはどう考えたらいいのか、まず前提となるこれは考え方でありますから、これをひとつお示しをいただきたいと、こう思います。
  89. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 最初の方の点、私の聞き違いであったらお許し願いたいと思うのですが、特定の地域を指定する、それ以外に新しい先端産業が以外の地域に出ることをなるべく抑えようという、その気持ちはございません。企業の自由に出て、いま勝手に国と無関係、国の意思も何も入ってないものですでに存在しているわけですね。したがって、これからも企業の自分たちの計算なりで出たいところがあれば、これは地域指定の対象外であっても企業の自由だと思うのです。しかし、今度は逆に企業が出ているところで、単なる企業と親企業というだけで、周辺には雇用効果の貢献しかしていないという存在を、技術的なものを地域に、それぞれいろんなものが地方にはありますから、そういうものと結合しながら、そして地域の全体を浮揚させていく。  そして、工科系の大学というのをなぜ入れたのか。これはやはり高度の知識をそのまま農山漁村の人たちに受け取れといったってすぐには受け取れないと思うのですね。そこいらのところは、大学がまず県の試験場とか、県庁とか一緒になってどういう受け皿をつくるかということをするためと同時に、そこで工科系で育っていく者は、その先端産業の高い技術の受け皿の受け主が養成されていくという二つの面を考えておりまして、それらのものが両々相まってその地域がまず発展を始める。それはいままでに考えられなかった分野への新しい前進ですね。これは必ずいまもう自動車道路が整備されておりますから、地域は指定されましても、たとえば県境を越えてもその効果というものはこれは時間が大分かかるにしても浸透をしていくであろう。あるいはそれによって労働を新しく必要とするものが生まれたとすれば、恐らく離島等の場合は別として、県下全体から通勤できる時間にいまはなっているのではなかろうか。  そういうことを考えましてこういう形にしたわけで、したがって第二の問題点である指定されたその地域だけが振興、発展して——全国的にバランスがとれればいいのかという問題もありますけれども、その地域がさらに浮揚することによって、雇用も含めて県下全体にその効果は拡散をしていく。そうすると、日本国が田舎の方は農業と林業と漁業しかないやというような状態から、田舎の方が飛行場周辺、高速道路その他いろんなことが輸送時間というもので短縮されたことによって国土というものが全体的にそれなりの特色を持ちながら動き出すのではないか。これはあくまでも地域の知事さんなり、市町村長さんなり、進出した企業の対応なりというものがそれぞれに違うわけでしょうが、大学も同時に参入して、われわれの地方ではどういうものを目指そうか、いまある既存の産業にこの高度の技術を加えたらこのようなものになるのではないか。事実一応そういうところがあることも聞いておりますし、そういう技術は全県下に拡散していくでしょうから、やっぱり最終的には日本全体をながめて、東京、大阪、名古屋だけという感じでも、あるいは太平洋ベルト地帯、メガロポリス形成という形でもない、臨海型から内陸型という形というふうにとらえてもいい。そういう取り残された地域という感じのところが意外な展望を持って前進を始めるのではないか。  ですから、この法律をつくったからその地方はもう三年後にはこんなになるだろうという、そういう自信も私にはありませんで、こういうものをつくりましたからどうぞひとつがんばって持っていらっしゃいということであって、将来の見通しと言われると、希望は持っておりますが、あるいは夢もありますが、それが本当に具体的に実現していくのか。日本列島が全部シリコンアイランドになるわけでもないでしょうから、いろいろなニュアンスのものが、新しい産業がそれぞれ適地に立地をしていった状態というものを考えると、非常に夢としては楽しい夢なんですね。そうあってほしいという願望を込めておるわけでございます。
  90. 村田秀三

    村田秀三君 わかりました。  そこで、別に皮肉な物の言い方をするわけじゃございませんけれども、この主務大臣というのが四人おられるわけですね。主務というのはこれは主としてつかさどるということであろうと私は思うんでありますが、特に所管するのはこれは通産大臣ということでありましょうけれども、他の大臣が入りましたにはそれぞれの意味があろうかと思うのですね。どういうふうにそれぞれの主務大臣はかかわりを持つのか。この点について逐次ひとつどちらからでもよろしゅうございますから簡単に御答弁をいただきたいと思います。
  91. 浜典夫

    説明員(浜典夫君) 御説明いたします。  本法は御承知のように高度技術に立脚した工業開発を図るために、道路、住宅あるいは住宅用地等施設整備を手段として当該特定地域の地域づくりを行うということを規定しております。したがいまして、建設大臣が本法の主務大臣となりましたのは、このような道路、住宅、住宅用地等の所管施設の総合的あるいは計画整備を通じて地域づくりを担う、そういう業務もつかさどっているという立場から主務大臣ということにしております。
  92. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 農林水産省といたしましては、テクノポリスの構想というのは、やはり地域社会における兼業農家の安定雇用機会を図るのに役立つと。いわば農村工業のような役割りを果たしている、農村工業導入促進法でやったような雇用面での役割りと同じような側面を持っている。さらに、私どもといたしましては、新しい技術革新というのが農業の振興に資すると同時に、先ほど通産大臣の御答弁にもございましたように、新しい立地条件のもとでの新しい農業づくりにも役立つ、さらに食品産業の技術革新につながっていくという意味で重視しているわけでございます。その意味で、やはりわれわれといたしましては農業生産基盤を確保していくという意味において、現在農振法により線引きを行い、農地法による転用基準を厳格に行うと同時に、土地改良投資をやっているわけでございますが、やはりこれらの地域におきましては、新しい用地を確保していく意味においても、それからまた残された農業自体をしっかりしたものにしていく意味におきましても、今日の分散錯圃のもとでは、やはり農振法の線引きの特例あるいは農地法の転用の特例をつくると同時に、関連する土地改良事業の実施をしっかり見詰めていかなきゃならぬ。そういう意味においては農水大臣の権限に属する事項について、一つの農村工業導入に準ずるような特例措置が必要である。このような意味におきまして、主務大臣として農業の立場、またテクノポリス自体がうまくいく、こういう二つの視点から参加しているわけでございます。
  93. 有岡恭助

    説明員(有岡恭助君) お答え申し上げます。  国土庁は所掌事務といたしまして国土の適正な利用に関する総合的かつ基本的な計画の企画、立案、推進あるいは地方における都市農村等の整備に関する総合的かつ基本的な政策の企画、立案、推進というような所掌事務を与えられているわけでございますが、この法案は工業開発を軸といたします地域開発立法として位置づけられるものでございまして、ただいま申し上げました国土庁の所掌事務から主務大臣としてこれに参加いたしまして積極的に推進してまいりたい。  具体的に申し上げますと、たとえば四条の指針の作成に関しまして、どのような地域が対象として望ましいか、あるいは当該地域の広がりはどの程度が好ましいか、さらにいわゆる母都市や周辺地域とどのように関連づけるのがいいかというようなことにつきまして、他の大臣とともに関係行政機関と協議しつつ指針を定めていく。あるいはまた、五条におきます開発計画につきましても、先ほど先生からもお話がございました全体として の地域開発のあり方が適正であるかどうかというふうな判断につきまして他の大臣とともにこれに参画し、かつ地方公共団体を指導、助言してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  94. 村田秀三

    村田秀三君 わかりました。  そこで、国土庁にひとつお願いをしておきますが、いまの答弁の中にも後段の部分がございましたけれども、これは均衡ある国土全体の開発を図っていく。この開発というのが、もちろん生活環境なり、経済生活なりというものが含まれておるという理解を私は持ちますが、それでよろしゅうございますか。
  95. 有岡恭助

    説明員(有岡恭助君) お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃったとおりでございます。
  96. 村田秀三

    村田秀三君 農水省にお伺いいたしますが、農産物ばかりではなくて、当然に水産物も林産物も入るものと私は理解をして受けとめております。それでよろしかろうと、こう思いますけれども、なおバイオマスですとか、あるいは遺伝子工学とか、そういう問題ですが、そういう分野というものは後ほども触れるつもりではおりますけれども、かなりすぐ農林漁業と関係する向きもあるやに思いますので、そういう問題も入るのか入らないのか、これは農水省あるいは通産の事務局の方で考えがあれば、やはりその辺のところをひとつお聞かせいただいておいた方がよろしいかなと思います。
  97. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、農業の振興を図る意味において、広い意味でのバイオテクノロジーの問題、たとえば光合成の問題とか、遺伝子操作の問題というのが、今日の中核的技術課題であることは御指摘のとおりでございます。そういう意味において新しい技術集約産業が発展していくことが、農業自体の振興にも密接不可分な関係を持っているということも事実でございますし、それからもう一つは、食品産業等の立場、あるいは木材加工業とか水産加工業の立場、特に食品産業の立場で申し上げますと、今日の電子工学の発達というふうなこと、それから膜処理とか高分子技術とか、さらにバイオテクノロジーの中で、特に酵素処理技術等がやはり一つの中心的な技術革新課題であることは事実でございます。その意味におきまして、そのことのもたらす効用を評価すると同時に、地域の問題といたしましては、やはりそういった新しい食品産業の育成にも大いにつながると考えておりますし、それからまた周辺の農業自体の問題といたしましても、新しい立地条件の改善、交通条件の整備というものが新しい集約的な農業をつくり出すのに役立つと、こういうふうな評価をしているわけで、御指摘趣旨のとおりだと思っております。
  98. 村田秀三

    村田秀三君 通産省もそれでいいですか、農水省の答弁でよろしいですか。
  99. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは波及効果はいま予断を許さないほどたくさんの種類があると思います。ですから、バイオテクノロジーの分野等をいま例に挙げて局長が答弁いたしたわけでありますが、直接の雇用貢献というものだけでなくて、それの技術は単に工業部門だけじゃなく、周辺のたとえば品種改良一つが行われれば、周辺を超えて全国にそれが広がっていく可能性もありましょう。でありますから、やっぱり農林漁業の振興と言っても、いままでのような考え方で前進していくのと違った、農林漁業の前途にいま一つの新しい分野が展開されてきた場合には、勧めなくとも、奨励しなくとも第一次産業の人たちはいま非常に心配をしたり苦労しているわけですから、飛びついてくると思うんですね。ですから、その効果はむしろ吸引されて出ていくので、広がりよりも自分たちが吸い取っていくというようなものも私は出てくるのじゃないかという期待を持っております。  したがって、ただいま農林、建設、国土、それぞれの役所からの答弁がございましたが、これはそれぞれの持っている法律の特例その他をひっ提げて、このテクノポリス構想のアイデアというものに参加をして、それを道路とか、住宅とか、あるいは土地の適正なる配備とか、あるいは構造改善事業等の調整費をそこにつぎ込むとか、いろんなことで手みやげを持って助つとに駆けつけてきてもらった、そういう意味で四大臣共管というのはちょっと異例かもしれませんが、とすると、総理大臣を主務大臣としてわれわれが協力する形をとらないと、法案の体系がおかしくなるものですから、ちょっと異例でございますけれども、要するにテクノポリスに対しても、これを持ってあるいは弁当を持って参加してくださった役所がほかに三つあるということで御了解を願えれば幸いだと思います。
  100. 村田秀三

    村田秀三君 いまなぜそういうことをお伺いしたかといいますと、やはりこの法案説明を受けまして感じますことは、あるいは説明を受ける前にこれを見まして直感いたしますことは、工業という概念、ずっと分類いたしますとさまざまあるわけですね。そしてそれじゃどうかというと、恐らく法案を出す方も事細かにずっと分類して頭の中に入っているものではないと私は思うんですね。といたしますると、いま私が申し上げましたような問題は運営のときに直接関係してくるわけですよ。ある人はこれは工業だと思っている、電子であるとかあるいはロボットであるとか、そんなふうに思っているかもしれない。しかし、高度な技術ということになりますと、いわゆる遺伝子工学なんていうのは、はて、私はこれ余りよく勉強していませんからよく存じませんけれども、遺伝子を組みかえる云々というものを工学という表現にすること自体、何とはなしに私これ、おてんとうさまに申しわけないような感じさえもしているわけですね。しかし通常それを工学と称している。それを作成する機械、その機械をつくる、それは工学であるということであれば工学ということにあるいはなるかもしれませんけれども、その辺のところが非常にあいまいになってきて、いわゆる具体的に法律を運営する段階で一番問題になる点ではなかろうか、こう私思いますんで念を押してお伺いしたわけであります。  ちょっと見るというと、これ農林水産大臣が入っておる。はて何だろう。いわゆる農地法の関係もあるし、まあ通産大臣が網をかけたら農林水産大臣よ、すぐにひとつ解除してくれなどというような協力の度合い、このくらいっきり考えられないわけですね。だと思うんですよ、率直に言って。が、しかし、そうではないんだ、農水省の分野といたしましてもこのテクノポリス構想の中にはこういう分野で押し込んでいくんだという、そういう積極的な姿勢というものを私は持ってもらいたい、そういう意味で申し上げているわけであります。  それからあと、国土庁ですね。前段に言ったことはこれは事務なんですよ、はっきり言えば。しかしそうではなくて、いわゆる国土の均衡ある発展を図るためには、言ってみれば、山形県は少し落ち込んでいるじゃないか、ここへどういうものをつくったらいいんじゃないかという積極的な提言をしていくという、そういう意味でやはり主務大臣の位置を与えた、こう理解してもらわなけりゃこれは何のために入ったんだかわからぬということになりはしないか、こう心配して申し上げたわけであります。よろしゅうございますか。
  101. 有岡恭助

    説明員(有岡恭助君) ただいま先生おっしゃいましたように、地方開発という点につきましては、三全総の定住構想におきましても、自然環境、生活環境、生産環境というものが一体となりまして、これによりまして産業や人口の定住構想を推進する、こういうことになっているわけでございます。この結果、いろいろの形の地域振興立法があるかと思うのでございます。それぞれの地域の特性を生かしました形でその産業振興ということを図っていく必要があると思うのでございますが、本法案におきましては、地域の自主性を尊重するというたてまえになっておりまして、どの地域に開発計画を定めるかということにつきましては、実は都道府県の自主性に任せてあるわけでございます。御承知のような、新産・工特法におき ましては、国があらかじめ地域を指定するという形をとっているわけでございますが、この法律はそうではございませんで、地方から申請が出てまいりましたときにその条件に合致しているかどうかということを判断することになっております。したがいまして、国土庁といたしましては、国土の均衡ある発展から見まして地域的バランスが考慮されるということは非常に望ましいことだと、こういうふうに信じておりますが、しかし法律のたてまえといたしまして、どのブロックに幾つというようなことは、ちょっと数を指定するというようなことはなかなか困難ではないかと考えております。  それと同時に、そういった地域的なバランス以外に、この条件にございますような工業開発能力、あるいは都市環境技術環境、交通へのアクセスといったいろいろな熟度、その地域の持っております熟度というようなこともあわせ考えまして、その申請の地域が法律の要件に合っているかどうかということを判断する必要があると考えますので、バランスがあることが望ましいのでございますが、特定の地域にないからといってもこれにテクノポリスをどうしても設けるという従来の新産・工特のような考え方ではまいらないのではないか、かように考えている次第でございます。  しかしながら、国土庁といたしまして、できるだけそのブロック計画あるいはいろいろな総合開発計画等の中でそういった先生おっしゃったような全国的展開ができるような形で各地方を指導助言してまいりたいと考えております。またそういう形でいろいろなお手伝いもしてまいりたい、かように考えております。  具体的に私どもが考えておりますお手伝いといたしましては、従来私どもの国土庁として蓄積いたしております地方都市、農村等の整備に関する知識、経験等を生かしまして、できるだけその計画づくりをお手伝いしていくとか、あるいは、先ほども申し上げましたが、新産・工特地区やあるいは首都圏その他大都市圏の都市開発区域等と重複が生じておりますような場合には、その制度をうまく組み合わせまして、できるだけ計画の調整を行いまして、いろいろな制度の持っております助成措置を組み合わせることによりまして地域開発をより活発に行っていくとともに、たとえば国土庁の持っております定住構想推進調査費あるいは国土総合開発事業調整費等につきましても関係省庁と協議いたしまして必要に応じてこれを活用していくというようなことで御協力したい、かように考えている次第でございます。
  102. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それぞれの責任を持って局長が来ているわけでありますが、要するにこの構想について何が自分たちの分野で貢献できるかという形でやってもらわないと、最初の国土庁の答弁を聞いているとチェック機関みたいに、それじゃそういうのが入ってもらったら邪魔ですから主管大臣から削らぬといけませんが、そうじゃなくて、最後に読み上げたところが実はお弁当を持ってくるというわけですから、そういう意味で、出先を持っていないのが国土庁だけでございますので、ほかの三省庁は幸い出先がございますので、知事さんの作成される作業の段階から出先でそういう相談をして上げてくる。国土庁の場合は大体そういう形の中には、入ってもらうことが理想ですが、機構上入れない場合は、その決定の前に、国土庁の判断あるいは援助、そういうものが期待できるかどうかを相談するという形で知事さんの案が参りまして、参りましたら地方自治体がやるわけですから、これは当然ながら自治省の方にも、主管大臣じゃありませんが自治大臣に対して私の方で、これで地方自治体の計画として自治省はよろしゅうございますかというような、ほかの大臣関係があれば随時相談はいたしますが、そういうふうにいたしてございます。自治大臣も主管大臣にしたらいいではないかという考え方もありますが、都道府県の主体性というものを考える場合に、当然、上は自治省だということよりも、そのことによってかえって都道府県知事並びに市町村長の伸び伸びとした自主性というものが途中で遮ぎられる、地方財政にそれは無理じゃないかとかいろんなこと等もありますし、だから、むしろ伸び伸びとやっていただくために当然ながら自治大臣も主管大臣であってもいいんですが、そういうことを考えて、最終的には自治大臣には必ず相談をするという法律の仕組みにいたしました。  大変ややこしいと思いますが、簡単に言うとテクノポリスというものをある地域に指定をしたと、それには道路も住宅もあるいは住宅のための敷地も、あるいは恐らくそれは農林漁業の振興地域その他のところがほとんどだろうと思うんです。そういうときに農水省が積極的にいろんな手段で加勢をしてくれる、そしてまた国土庁がそういう意味の配慮を行うということで、中央においても各省とのそういう事務段階の協議、機構——機構というのは大げさかもしれませんが、協議の体制をつくりまして、そして実行するときにどっちの役所に行けばいいんだいというふうに、知事さんやその他が心配されないようにそういう仕組みをつくって対応していこう、そういうふうに考えております。
  103. 村田秀三

    村田秀三君 それでなくては困ると思うんですね。私も前段聞いていまして、これは通産大臣の監査機関じゃないかなと思って物を言おうかと思ったのですが、いずれにしろ結局いまいろいろ申し上げました、また答弁をいただいたわけでありますが、後段の部分ですね、結局、単にチェック機関であるとかというのではなくて、出てきたものが適切か、適法かなどということばかりではなくて、普遍的な国土の開発、これには環境をつくるということも、経済的な側面ももちろんあるわけでございましょうが、そういう意味における積極的な発言をしてもらいたい。これは先ほど農水省に申し上げましたと同じ趣旨であるわけであります。四人いるわけでありますから、何のためにそこに入っているのだかわけがわからぬということでは困るわけでありますから、そこを強調するわけであります。  そこで、具体的な問題に入りますが、テクノポリス開発構想調査対象地域ですか、この表をいただきました。事は簡単なわけでありますけれども、これは当初、その構想が発表された段階においては、四十カ所に及ぶところの希望が出されてきた。しかし、現在はこれをいろいろ調査をした結果適当と思われるような地域が十九カ所であると、こういうことでありますね。もちろん、これをいま指定しようとするものではないことは私も承知をいたしておりますけれども、この十九カ所に現在のところ固定された検討の経過などというものがあるはずでありますが、その理由について、これをお伺いしたいと思います。
  104. 福原元一

    政府委員(福原元一君) テクノポリス構想が最初に発表されましたのは、昭和五十五年の三月でございます。八〇年代の通産政策ビジョンにおいて提唱いたしましたわけでございますが、その後、全国から非常に多数の地域がその調査の希望を表明いたしました。先ほど先生四十とおっしゃいましたが、正確には三十八カ所でございます。通産省といたしましては、これらの候補地について県内自身での自主的な調整等を経まして、残りました地域が十九あったわけでございます。これらの地域はテクノポリス構想、われわれ提案いたしましたその理念でございますところの、工業の集積の程度が著しく高い地域及びその周辺地域を除いた地域、それから大体人口で言いますと十五万から二十万人ぐらいの人口を持っております都市が、いわゆる母都市というものが付近に存在するということ。それから空港あるいは新幹線といったような高速交通機関がすでに存在いたしまして、あるいは近い将来に完成してそれが利用できるというようなことの条件に照らしまして、五十六年の六月、基本構想調査対象地域として現在の十九地域を選定いたしたわけでございます。これらの地域につきましては、五十六年度基本構想を策定をいたしまして、現在開発構想の作成の段階にあるわけでございます。今日までの経過は大体そういうところでございます。
  105. 村田秀三

    村田秀三君 その点いろいろと聞いてみたいこともありましたが、前へ進みます。  この分布を見てみますと、西部の方に偏っているのじゃないかという感じがするんですね。感じじゃなくてこれ数字が示すわけですが、西の方が少し多過ぎるんじゃないかと、少し減せと、こういう意味じゃ決してございません、誤解されては困るわけでありますが。中部を中心として見ますと、西部の方は十二カ所、東部は七カ所、そして東北は六県ありますが、秋田と青森、北海道は一カ所だけなんですね。これ、お笑いになる方もおるようでありますが、私は何も福島県のためということでこれ物を申し上げているわけじゃ決してございません、大局的判断に立ちまして物を言うわけでございますけれども。ここでちょっと農水省に聞きますが、協議の過程でこういう結果になったのは、東北とか北海道なんというのは日本の食糧基地として優良な農地はひとつ温存しておこう、こういうような意思が働いているものなのかどうか、ちょっとお伺いしてみたい。
  106. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) いま問題になっております十九の調査地域は、通産省が関係都道府県との間に調整されて選定されたものでございまして、特にその地域の選定については農水省としては何ら意見を申し上げておりません。私ども先生指摘のように、やはり北海道、東北は日本の重要な食糧基地であり、その生産基盤の維持培養は農政上重要な課題と思っておりますが、しかし、具体的に先ほども申し上げましたように、テクノポリスの導入が東北地方に行われるということは私どもは必ずしも農業の振興と矛盾するものではないと思っておりますので、そういう一般論から東北とか北海道を特にテクノポリスの導入について抑制するような御意見を申し上げるつもりは全くございません。
  107. 村田秀三

    村田秀三君 ところでこれを見て感じますことは、なるほどこういう結果よくわかるのです。というのは法律にその指定の条件というのがこれ、示されておるわけでございますから限定されるわけですね。そうしますと、いろいろ探してみたけれども、東北や北海道には数少なかったということになるのです。条件に適合しているところが数少なかったということにこれはなる。とするならば、先ほど大臣から御答弁をいただきましたけれども、いわゆる全日本列島の均衡ある発展に必ずしもこれは役立たないのではないか、こういう疑問を持ったわけであります。先ほど大臣の答弁の中にこれは各企業が自分のサイズに合った穴を掘るという点については別に歯どめはかけませんよと、こういう御答弁はありましたけれども、しかし、政策的にそこに集中するという指定地域が仮にできたとするならば、むしろそこへ積極的に立地した方が、その企業の経営発展のためにはこれは当然裨益するということになるはずなんです。また、そうならなければこの法律法制化の意味はないということになるわけでありますから、こう考えてまいりまするというと、つまり国土庁が声を大にして仮に発言をしたといたしましても、いわゆる均衡ある全国土の発展にはつながらないのではないか。自分の好きなところに行ってもいいんですよと、こう言ってみても、そこに企業の立地というものは減少の傾向をたどるのではないか、こういう不安を私自身持つわけでありますけれども、その辺のところはどうお考えになりますか。
  108. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) この法律をもう一つの側面から概観していただきたいと思うんですが、いままでのたとえば新産都市みたいなものは、そういうふうな状態をまず新産都市が立地してもいい状態の整備ということが先に行われた。しかし、今回の場合は、飛行場にしても高速道路にしても、まあ新幹線も入れてもいいですが、そういう輸送手段というものは時間的にきわめて短縮された条件下において企業はもう立地しているわけですね。ですから、九州に多過ぎるというのは、これは政府がやったことじゃなくて、いつの間にか数えてみたら九州は日本のシリコンアイランドみたいになっちゃったというんですね、アメリカのあれに比べればごくわずかなものにしても、そういうような傾向が自然にできている。じゃこれを逃がす手はないというのが冒頭に申し上げたことでありますから、したがって、いままでの法律と全く異質の法律であって、それだけに国のめんどう見がもう少し足らぬとか、あるいは地域の均衡、まあ国土の均衡というものを考えるためには、北海道、東北にもっとふやすべきであるというそういう概念の法律ではなくて、すでに自主的に、国の意思にも何にも関係なく、国土庁にも相談なく勝手にでき上がっているところ、これを地域の経済の浮揚に利用できないか、これを政治が見逃す手はないということでやったわけでありますから、そうすると、十九カ所が一応私の就任前の作業でやっているようでありますが、衆議院予算委員会で聞かれたものですから、何げなく、まあ最終的には十九前後を指定することになりましょうという答弁をした翌日から、もう都道府県は、ああどうせ前か後かの違いで全部指定されるんだなあというような顔をしちゃって、いわゆる地域から沸き上がってくる力というものがふつっととだえちゃったわけですね。だからその次の答弁で、こういうことがはっきり全部やると言ったら途端に熱意はすうっと下がっちゃったんで、これだと今度はお国にぶら下がりという意識にまたなってくる、こういう条件をつくってくれ、こういうものを頼むというようなそういう中史依存型では自治体からの活力、地方からの活力の沸き上がるということに逆行すると思ったものですから、答弁を変えまして、十九地域の中でも全部指定するとは決めない、そしてその選定に当たっては厳しく選考すると、そして現在十九地域の中に入っていない地域であっても、これは何年も続くわけでありますから、その過程において条件を備えてきたところが手を挙げたらそれも十九地域以外に指定することもあり得るという答弁にしましてから、また一生懸命都道府県も気を取り直して、おくれてはならじという気持ちに——そうでなきゃいかぬのですが、なったという経過がございまして、まあ先生のところがどうこうという話はもうやめますが、いま指定されていないところだから絶望的なんだということはあり得ないと思うんです。知事さんの努力、関係市町村長の努力、何らかの形で、企業も、第一土地の取得から立地から全部一応は届け出をしなきゃならぬわけですから、それらの地方自治体の首長さんたちのあるいは議会の同意や協力を得ているはずですね。そういうものがこれからもまだ続くとすれば、いま十九地域に入っていないからといって、この法律で適用を除外された地域以外はこれ全部望みなきにしもあらずということでがんばってほしいと思います。
  109. 村田秀三

    村田秀三君 がんばるように私も福島県に申し上げたつもりでありますけれども、いずれにしろ、しかし、どうこう御答弁いただいても、最初いわゆる議論といいますか、お話し申し上げました、答弁もいただきました、つまり技術中心とするのか、あるいは地域開発を主とするのか、これの問題点がやはりどこまでもついて回るわけですね。だからこれを両面からこれは攻めていく法律でございますという限りは、これはいま私も指摘をいたしました、九州がシリコンアイランド、最近のことでありまして、それは結構なことでありますけれども、それを分散をしたい、分散をして生産を飛躍的に拡大して、それが果たして日本経済あるいは国際貿易にどういう影響を与えるのかという点についても当然これ考察しなくてはならぬ課題かもしれませんけれども、いずれにいたしましても、とにかく私が申し上げておりますのは、技術も大切だがこの際は国民の願い、恐らく手を挙げてくる自治体というのは地域開発という観点に立って物を考え、自治体の金も投入しようとしているに違いないわけですから、だとすれば、それを主としてわれわれは考えていかねばなるまい、こういう発想だったのです、私のは。ということからいたしますると、これは五十四年の古い資料ですからよくわかりませんが、この立地してある個所、かなり水準よりも高い地域というのが十カ 所あるわけです、十九のうちですね。当然何もこちらが手を入れなくてもそこはそこの地域の中で恐らく研究機関も存在するでありましょうし、それだけの大企業が立地されておるに違いないわけであります。ということであれば特段にそこを指定する、いや、指定してならないとはこれ言いにくい話ではございますけれども、ある程度やっぱり個数があると、十九を一遍にやるわけにいかぬと、こういうことであればやはり地方の普遍性を尊重をしなくてはならないのではないかというのが私の意見であります。  時間もありませんから続けて申し上げますけれども、私のその考え方が認められるとするならば、とにかく東北、東北と、こう例を申し上げますけれども、つまりこの条件に適合する都市がはっきり言ってないという。それは高速道路はある、あるいは新幹線はある、が、しかし飛行場はないとか、あるいはまた大学がないとかということだと思うのですね。しかし、そこへあなた方が大学つくれば何年か先には指定しますよなんと言ったんではこれ普遍的な国土総合開発にはならぬわけですから、そういう意味では多少工夫してはどうだろうかというのが私のこれから言いたいところなんですね。  そこで、これ、これまた手前みそなことを言うわけじゃありませんからそこは誤解しないでお聞きいただきたいと、こう思うんですが、こう見ますと、栃木県の宇都宮が、これ調査対象地域になっております。そうしますとこれは新幹線が通っております、高速道路も通っております。これ、私、福島県の白河出身だから言うわけじゃございませんけれども、見てみますと、鳥栖であるとか、あるいはこれ久留米ですか、二県にまたがって指定されようとしているということであれば、先ほどお話もございました、つまり県とかという行政区域というものは——昔はあったんです、つまり藩制のころはいわゆる藩制以外のところと結婚するなどということはなかなかできなかった。いまは区域があって区域がないような状態であることは私も認めるわけでありますから、そういう意味で考えますると、つまりテクノポリスというのは、住宅などが不足している研究者を、頭脳集団を動員する、そういう人々が快適な環境の中で生活ができて研究もできる、こういうものも考えておるのではないかと私は思うのでありますが、だとすると、これは白河と宇都宮をまとめて一つの指定をしても差し支えないのではないか、こう実は考えます、これは例ですよ。先ほども申し上げましたように、ヨシの髄から天井を見ているたぐいのお話になるかもしれませんが。でありますから、福島県を中心として物を言わざるを得ないわけでありますけれども。今度は福島県の北部を見ますと相馬港ができました。そうしてこれは制度に基づくところの地域振興事業団の開発する計画ですか、こういうことでいま工場用地を確保するための作業にすでに着手をしております。そこへどういう企業が立地するのかということについてはまだ私は承知をいたしておりませんけれども、新産都市と農村地域工業導入促進法は、あれはダブっちゃいけないということになっておりましたものを私強引にダブらせた記憶があるわけでありますが、いずれにいたしましても、今度はダブってもよろしい、むしろその方を歓迎するということであれば、この福島県の相馬地域と仙台、仙台はここに対象地域にはなっておりませんけれども、もちろん工業技術関係の学部は存在するはずでありますから、だとすれば一つにくくって一つの地域に指定することは可能である、こう実は思うのでありますけれども、こういう構想というものについて、どうですか、私は積極的に採用すべきであると、何もこれは福島県に特定をして物を言っているわけでありませんが、こういう、つまりテクノポリス構想に適するであろう地域というものが存在するんだという、そういう意味で申し上げるわけでありますが、この点についてはどうお考えになりますか。
  110. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 久留米の関係で福岡県と熊本県ということは、まさに県境にこだわっていないということを証明しておりますが、ただいまお示しになりました新しい考え方、これは、どうも私どもの一応開発指針で定めようと思っておりますその地域の半径は、大体二十キロぐらいのものが適正なのではないか。あるいは、近傍のいわゆる政令で定める要件を備えた都市、これを母なる母都市という呼び方を一応概念的に俗語で、俗に言う言葉として使っておりますが、そこまではいまの道路普及の状態等を考えると、大体三十分ぐらいの範囲内のところと考えております。自動車の時間でいきますと五十キロないし六十キロぐらいの時代にいまなっていると思いますが、そこで、母都市といっても田舎の方にはそんな県庁所在地以外には余り都市らしい都市のない県も多いわけですから、そこでは母都市といっても十五万から二十万ぐらいの都市というものでいいのではないか、こういうことを念頭に置いております。したがって、この考え方からしますと、構想としての二県にまたがることは可能だけれども、それが相当な距離が離れて、それの有機性ですね、相互の有機性というものがない場合には大変むずかしいのではないかなと思いますが、しかし、そういうことのみによって対象地域から除外されるというようなところがあるならば、また、私がこれは選定した十九地域じゃありませんので、私は私なりの目で見ることはお約束をいたしますが、特定の地名を挙げられるとちょっと答弁がやりにくいんですな。だから、概念としてそういうふうな御意見を踏まえて、私の目でもう一遍見てみましょう。
  111. 村田秀三

    村田秀三君 ぜひお願いしたいと思うんですが、ちなみに申し上げておきますけれども、これは新幹線で白河—宇都宮というのは三十分かからない程度ですからね。相馬と仙台というのは特急で三十分ぐらいの程度ですから。だから二十キロ云々ということになりますると、そういうことでの事務的な枠のかけ方でございますとこれは多少問題はあるかもしれませんが、先ほどから私が申し上げてまいりましたように、少なくともこれは十九カ所に固定されている理由というのは他にないということなんです。だから、そのないものを前提としてこうやったのではむしろ地域間格差を拡大するから、これはやはり普遍性を持たせるためにもっと知恵をしぼってくれとこう言っているわけですから、地方自治体がやりたくないというものを無理にやれという意味ではございませんよ、いずれにせよ、条件に適合しそうもないから言ってやらなかったというのが仮に多いとするならば、やはり地域の枠組を少しぐらい一足、二足外れてもいいじゃないですか。そしていわゆる普遍性をこれを尊重して全国的に拡大していくという物の考え方がなければこれは政治じゃありませんよ。この点はどうですか。
  112. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) カメラでも一眼レフ全盛時代ですが、二眼レフもあるけれども、映像を結ぶのは一つです。双眼鏡も望遠鏡も映像はこうやってもこうやっても一つということでありますから、目的がそれにかなうものであれば、私としては双眼鏡で競馬を見ちゃいかぬ、あるいは望遠鏡で競馬を見ちゃいかぬとかそういうことはないわけでしょうから、いま私が概略述べましたことに著しく乖離しているとすれば、二眼レフにしたことによって焦点がぼけてしまう。せっかくの政策をこれも一遍にずっと全国やるわけじゃありません。逐次試行錯誤も出てくるでしょうから、少しずつ指定をして模様を見ていくわけですから、最初から焦点がピンぼけになってしまうおそれがあるということを、なお目をつぶって指定するということは、指定行為はできましょうけれども、その後の目的である地域の連帯した感じの浮揚性というものが二カ所で連結性なしでというのが果たしていいだろうか。過去の新産都市その他の幾多の例を見てみても成功した例もあり、思わざる失敗をした例もある。私どもはいつも前ばかり見ていてはいけませんので、自分たちの歩いてきた道、政府全体としてもあのときはよかったかもしれないが、たとえば臨海工業地帯というものを原材料を持って運ぶ国であるからつくった。しか し、それが燃油とかそういう資材の高騰によって苦しい状態になった。それで、先ほど御賛成をいただいた法律などに端的にあらわれているわけでありますが、そうすると、今度は内陸というものに活力を与える法案というもの、これも後で振り返って間違いだった、あるいは結果的に失敗だったというようなことにならないように後ろをちゃんと振り返りながら前の方に進んでいかなければならない教訓をもたくさん持っておりますので、ただいまの御意見は私の大臣としての参考にさせていただきます。
  113. 村田秀三

    村田秀三君 先ほど若干その議論に触れておるわけでありますが、たとえば水産加工に関する技術、それを製品化する機械工業との関連、こういうことではこれも高度技術の分類の中に入ると、こういうお話を承りました。  そこで、この十九カ所を一応検討してここに残ったその地域にどういういわゆる技術を育成しようなどという、そういう検討というものはすでになされておるものでしょうか、それはどうでしょうか。
  114. 福原元一

    政府委員(福原元一君) それぞれの地域において具体的にどういう工業を開発していくかということにつきましても、これも地域の自主性を尊重いたしまして現在各地域において検討中でございますが、私どもここで申します高度技術というのは、技術革新の進展に即応した高度の技術という言葉を略して使ってございますが、具体的には時代のニーズに十分こたえ得るものであると。ただこれは、資金とか人手を使えばだれでもできるというものではない高度な、たとえば情報の高度化といったような新規性をまず必要とする技術、それから開発を行うためにさらに今後資金的、人的に相当な投入が必要であろうという高度性を必要とする技術、さらにその利用によりまして工業の付加価値が非常に大きくなる、付加価値性が著しく向上するという高付加価値性、それからさらに工業生産活動において実際に活用できる工業技術性、この四つを兼ね備えたものを高度技術というふうに私どもは考えております。  先ほど先生御質問ございました食品加工業等におきましても、これも工業でございますが、新製品あるいは新しい生産プロセスに活用されるというような事柄であれば、これはバイオテクノロジーであれあるいはロボットを活用するメカトロニクスであれ、これはわれわれ考えております高度技術ということに含まれるというように考えております。これをどの地域においてどの技術を盛り上げていこうかということは、現在各地域において御検討中というところでございます。
  115. 村田秀三

    村田秀三君 それをお伺いいたしましたのは、開発指針——これは主務大臣が定めるわけですね。だから、それを定めて公示して、その目標を達成するためにわが県はわが市町村はそれを達成するための計画をこうつくりましたと、こういうものやら、いやおれのところひとつやってみたいと手を挙げたから、そこの条件を主務大臣が眺めて、それじゃここではひとつこういう目標を設定してやってほしいと、こういうのか、その順序はどうなるわけですか、順序は。
  116. 福原元一

    政府委員(福原元一君) 開発指針におきましては、これは国として各地域が具体的な開発計画をおつくりになる場合の指針でございますから、いわばマニュアルといったものと私どもは考えております。  まず、高度技術に立脚した工業開発を行おうとする地域ですが、地域の設定についてはどうしてやってほしいとか、これにつきましてはおおむねの面積あるいは市町村単位で決めていただきたいというようなことになろうかと思います。それから、高度技術に立脚した工業の開発の目標を定める上の指針となるべき事項と申しますのは、マクロの経済で見まして、経済成長はどうなっていくだろうか、あるいは産業構造の変化はどういうふうになっていくだろうかということに基づきますマクロな立地動向というようなものを国としては指針で定めたいと、このように考えております。  また、高度技術に立脚した工業開発に必要な事業の実施に関する事項につきましては、たとえば工業用地、工業用水道、住宅、道路等の整備のあり方、あるいは農用地の整備のあり方といったようなもの、あるいは実際に開発計画に入りましてテクノポリス建設の段階に入りますと、産業技術振興機構というような機構をつくっていただくことになろうかと思いますが、その場合の機構の働きというものはあるいは運営はどうやったらいいだろうかというようなことをいわばマニュアル的に定めますのが指針でございまして、この指針を受けまして各地域は具体的な開発計画を作成していただくということになるわけでございまして、その内容につきましては、第五条の開発計画に書かれました項目について具体的につくっていただくということになるわけでございます。
  117. 村田秀三

    村田秀三君 そうしますと、具体的な計画はまだ存在しないけれども、おれの県でひとつやってみたいと手を挙げた。挙げた段階で、その地域の条件を勘案しながらいわゆる主務大臣が開発指針を与えると、そういう理解になりますか。
  118. 福原元一

    政府委員(福原元一君) 法律ができました後、私どもは早速この開発指針の作成にかかります。これは国として一本のマニュアルということで、一つでございます。これを指針といたしまして、テクノポリス構想をお持ちの地域は具体的なそれぞれの地域に合った開発計画をつくっていただく、こういうことになります。
  119. 村田秀三

    村田秀三君 そうしますと、法律ができまするといわゆる羅列的に開発目標を指針として出す。出したものについて各自治体が、これならおれの方でやれる、こういう意味でいわゆる指定申請がなされていく、こういうふうに理解していいわけですね。
  120. 福原元一

    政府委員(福原元一君) 開発指針につきましては、先ほど申し上げましたように、地域地域によってたとえば地域のとり方も違いましょうし、工業開発の目標の設定につきましても、何年計画でやるかということも地域によって異なると思います。あるいはその目的とするところの生産性であるとか、雇用がどうなるとか、企業がどうなるとかというようなことはそれぞれ違いますが、そういうことを書いていただきたいということを指針に書くわけでございます。
  121. 村田秀三

    村田秀三君 まあ、それはそういうふうに理解しておきますが、この指針の三ですね、「前号の目標を達成するために必要な事業に関する事項」と、こうなっております。これは説明の段階では、産業技術開発機能といいますか機構というものもその指定された地域内に企業が企業内につくるか、あるいは共同の研究機構をつくるか、そういうことを考えておると、こう言うわけです。それはどうなんでしょうか。
  122. 福原元一

    政府委員(福原元一君) 第四条第二項第三号に書いてあります「前号の目標を達成するために必要な事業に関する事項」と申しますのは、テクノポリス建設を実際にやっていく場合に、その地域におきまして中心になるべき機構が必要であろうかと思います。私ども恐らくこれは民法法人という形になるだろうというふうに考えておりますが、そういう法人を設立していただきまして、私どもはこれを産業技術振興機構と仮称しておりますが、これの業務はどういうことをするのかというようなこと、あるいは施設の整備に当たってはどういうようなことをするのか、そういうような事項をここでは書いてもらうということでございます。
  123. 村田秀三

    村田秀三君 まあ私、かなりこれしつこく事務的なことを聞いておりましたけれども、私が問いたいことは、実はそれだけではなくて、法人組織として共同研究機構を設置する、こういうことであります。そして開発目標、研究目標、これを設定するということと重要な関係があって、私はかなりテクノポリスという一つの構想の中ではきわめて重要な部分を占めるものと私自身は実は判断するわけですね。そういうことでありますからいろいろと聞くわけでありますが、いろいろな言い方をしなくてはならぬわけでありますが、時間の関係ありますから私は簡単に申し上げます。  実は私図書館議連の理事長をやっておりまして、図書館を日本全国ひとつ統一して、そして工業技術に関するデータなんかも中央図書館に置いて、それをコンピューターオンラインでいつでも好きなものを取り出せるような施設にしようかなどという構想も実は練ったことがあるわけです、まだ実現いたしませんが。それほどこの大都市には技術もかなり進歩しておるし、情報もある。それをどう活用できるのかという一つの疑問と、それからこういう機構をつくった、つくって目標を与える、その目標というものがかなり過大であって、いわゆる四つの条件、お伺いいたしました。そういう研究に耐える機能をつくるということになるとかなりこれは容易ではないんじゃないかという疑問と、それから共同研究と、こう言うけれども、今日企業秘密などというものはかなりやかましい存在でございまして、果たして共同研究というそのことがこちらが要求する期待にこたえ得るのかどうかという問題。と同時にまた、さて工業技術院があっていろいろ研究をしておる、これはまだ企業化されない段階の研究ということになりましょうから、これはまあ多少このテクノポリス構想の中における研究機構とは異質なものとして私は理解しますが、同時に各地方に、まあ農水省は農水省、あるいはその他の分野におきましても、あるいは自治体も研究機関を持っておられる、こう思うんです。それとの関連をどうするのかというようなそういうさまざまな疑問を実は持ったものですから、一々申し上げるのも時間ございませんから一まとめにして申し上げましたが、それにはどう対応なされるのか、その辺のところもひとつお聞かせをいただきたい、こう思います。
  124. 福原元一

    政府委員(福原元一君) 最初の、非常に技術情報その他が地域にあると流れにくいだろうということで、その辺をオンラインで結んだらというようなお話でございました。テクノポリス地域の設定の場所の要件といたしまして、高速交通機関の利用は可能であるというようなことも実はその技術情報の伝播といいますか、いわゆる東京、大阪、名古屋三大都市圏へ日帰りで行ってこれるというような地域であれば情報におくれをとるということもないであろうというのが一つの考え方でございます。  それから産学官の共同ということでございますが、私どもここで目指しておりますのはいわゆる先端技術産業の振興でございますので、工科系の大学がそこにあった方が望ましいと考えまして、これも一つの要件になっておるわけでございますが、これはまた研究機関としてこの地域に役に立つであろうし、あるいは人材の供給源として役に立つであろうということで私ども要件に入れたわけでございます。  それから企業秘密の問題のお話もございました。私どもそういう大企業がやって、単に雇用の面でだけ貢献をして地域の地場の産業の技術の発展に寄与してくれないというようなことがあっては、私どもテクノポリス構想その目的の半分も達せられないわけでございますので、むしろ地場の産業がそういう中央の大企業の工場が来ることによって刺激を受けて先端技術についても力を養っていく、あるいは大企業に対してはそういう地域への技術の伝播を期待するというのがテクノポリス構想の一番大きな目的でございますので、私どもはそういう意味におきまして大企業との、単に導入を図るというだけでなくて、地場技術の振興ということについても大企業にも協力をしていただきたい、同時に公設の試験研究機関あるいは工業技術院あるいは中小企業庁でやっております中小企業の技術振興補助制度、これらを大いに活用して進めてまいりたいと、このように考えております。
  125. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 関連質問を許します。阿具根登君。
  126. 阿具根登

    ○阿具根登君 関連です。時間がないそうですから……。  先ほど通産大臣は望遠鏡の話から一眼レフの話までされたんですけれども、その意味から考えても、何か言っておられることを聞いておりますと、日本列島改造論から新産都市から今度のやつまで一貫して同じようなことを言っておられるような気がしてしようがないんです。そうすると、ピントが合っておればいいじゃないかと、こういうことになると思うんですけれども、ピントが合っておらないような気がするんです。なぜならば、よそのことを言っちゃいけませんけれども、北海道の先生おられますけれども、北海道の苫小牧というのはもうこれはずいぶん前から企業誘致を盛んにやってこられた。たとえば今度福岡の問題でも、いま久留米と鳥栖の問題がテクノポリスで出てきた。ところが今度回ってみますと、筑豊地区から宮田町付近はこれはもう工業団地でいっぱい整地してある、ちゃんと。そのときも地方自治体の意見は十分聞いた上で、そして新産都市として地域開発、振興としてやられたはずなんです。今度そういうものは問題なくてまた別なところにやってこられる。どうもピントが狂っておるような気がするんです。そういう企業誘致の団地もいま大臣がおっしゃるように一番便利のいいところにつくってあるはずです。そうじゃなかったら企業は来ません。それを今度は別にそういうものはほったらかしてまた別なところにつくると。どうも私はそれが、結果的に言えば日本列島改造論から始まって、土地の値上げをどんどんどんどんつくっていくような結果になっていくじゃないかというような気がしてしようがないんですが、関連ですから一問だけ大臣にお答え願いたいと思います。
  127. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ごもっともな御意見と思っております。したがって、先ほど申しましたように、過去の歩いてまいりました道を丹念に点検しながら過ちを犯すことのないようなものにしなければならないということを申し上げましたし、新産都市を例にして、国がこういうめんどうを見るということが先に出るのではなく、国はめんどうを見ていないが、そういう適地というものは形成されている現状を政治の上に生かしたいという着目をしたということでございまして、これはたとえば全面的に四十七都道府県全部にというような構想等とは全く異質でありまして、たとえば一県一医科大学という流行語みたいになってとうとう全部つくっちゃったんですがね。そうすると日本は間もなく大医師過剰国になるというようなときに、一体どうするのか。それは東南アジア等ミクロネシアその他に日本が貢献できるという先の展望まであってつくったのかどうか。しかし、私たちの場合はやはりそういうような均一的に各県がみんな喜ぶというようなことではなくて、すでに何もしないのにそのような好条件が醸成されている地域をさらに地域の浮揚発展から地域経済、地方経済の活性化、新しい未来への展望のある産業への進展ということを考えているわけでありますから、私の方としては一応ピントは合わせておるつもりでございます。
  128. 村田秀三

    村田秀三君 もう時間もなくなりましたが、いま阿具根委員の方からも発言がございました。心配をされておる発言だと私は思います。私も実はそう思っております。というのは、この法律を実際に効果あらしめるための試行錯誤というのはこれからも続くであろうということを私は十分承知しております。とにかくどなたに聞いても、一から十までぴたっとではお答えになっているかといえば、いや実はできるけれども時間がないからできないと言えばそれまででありますが、まだ頭の中ではある程度何といいますか、宇宙ができて、その中である程度星ができる段階のような感じもしなくはないわけですね。でありますから、その点については特に私申し上げません。上げませんけれども、いわゆる土地の造成であるとか、網をかければすぐに土地に入ってくると、こういうような傾向というのもこれはあるわけですから、その辺のところは、これ建設省も国土庁もよく考えてやらなければうまくないんじゃないかという感じもいたしますし、同時に、そういうのをつくればまたいまのお話のように地方自治体だけがこれ損をすると、こういうかっこうになります。同時 に、何とはなしにこれをずっと構想して企画をするということは、まあ言ってみればいままでの工業再配置計画であるとか工業団地造成計画であるなどというよりも、いわゆる中身の濃い膨大な資料と、展望した、予測したいわゆる計画といいますか、そういうものも当然含まれるわけですね。結果的にこんな分厚い計画書だけが残ってしまいましたというようなことになったではこれは大変ではなかろうか、こう実は憂慮するわけです。でありますから、結果として五年十年たって、それ見ろと言われるような始末にならないように、主務大臣の主たる通産大臣となおまた主務大臣、力を合わせてひとつ責任を持ってやっていってもらいたい、こういう要望を申し上げまして終わります。
  129. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 御要望は、具体的に申し上げますと第四条第三項に「主務大臣は、経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、開発指針を変更するものとする。」ということが念のために入れてございます。これは自信がないという意味の開発指針をつくるわけではないんで、つくったが、情勢の変化、経済事情その他が急速に変わっていくといういまの時代でございますから、その物差しでは間尺に合わないとか、あるいは足りないとかそういう場合は、この第三項を利用して遅滞なく、政府法律を出したときのメンツとか、そんなことは地方は大迷惑でありますから、そういうことにこだわらずに変更をするということ、それも直ちにこれを公表するというようなことで、なるべく時の流れにうまく合うようなものにしたいというふうにあらかじめ準備してありますから、したがってこれは自信のなさのあらわれじゃなくて、変貌を遂げるスピードの非常に速いものに、先端産業といって、いま考えているものだけじゃなくてもっと超先端産業というのが出てくるでしょうし、そういうときに最初の指針では考えていなかった状態が出てくる、これは好ましいことでしょうが、そのときには指針そのものを変更をするんだということも念のために万一の場合を考えて法文にちゃんと載せてあるわけでございますので、御注意の点は重々地方自治体の膨大な作業と汗のみが残って何にも実現はしなかったということのないようにしたいと考えます。
  130. 田代富士男

    田代富士男君 テクノポリス法案に対して質疑を行います。  このテクノポリス構想につきましては、過日の予算委員会の委嘱審査の折に私が疑問に感じております点について若干お伺いをいたしました。御承知のとおりだと思います。その時点では、いま一つ明確でないように思う点もありましたが、今回法案といたしましてまとめられまして出されております。  この際改めてお伺いをしたいと思いますが、そういう立場からまず最初に、通産省といたしましてこの法案を通じまして将来の日本の産業構造のあるべき姿をどのように描いていらっしゃるのか、同僚の村田先生からこの法案を出された目的についてというところでもお話をお聞きいたしましたけれども、改めてまず最初お尋ねをしたいと思います。
  131. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) この法律の特徴は、第一条で適用除外をする地域が書いてあるという変わった書き方をしておるわけであります。それはいまの御質問に的確に対応するものでございまして、いわゆる太平洋ベルト地帯として呼ばれておりました、あるいはメガロポリスという呼称も一時ありました、あるいは臨海型工業地帯ということも言われておりました。しかしそういうものが、まあ主として石油でありますけれども、大変袋小路に入りつつある。しかしながら、かといって東京の二十三区あるいは大阪の市、名古屋の市、その周辺ぐらいはこの法律対象からはやはり除いた方がよかろう。そこで高度技術が集積されてもいいわけですけれども政府が奨励をし都道府県知事がそれをつくっていくような地域からは除外した方がよかろう。しかし論理的に言うと、後の方に「都道府県」という言葉が出てまいりますが、本当は都道府県知事ですけれども、これは臨調の方の機関委任事務についてのちょっと答申があるものですから、余り地方の長に負担をかけないという意味で「都道府県」という表現にしてありますが、それに都と府が入っております。ということは、東京都二十三区以外のたとえば桧原村あたりで何かそういうものが新しくできればそれは対象になりますよ、あるいは将来大阪市以外の府内あるいは府境、府と県の境目にどこかあるとしても、そういうものもいいんですよという意味でございまして、そういうことを前提にしますと、日本列島のあるべき——産業立地の地域的な傾きですね、瀬戸内海沿岸の方は過密になり、中国山脈沿いは過疎地域振興法そしていまは過疎地域振興特別措置法ですかの法律の適用を受けているというような、一県の中でも非常に傾いてしまっているいびつな形、日本列島全体を見るとやはりそれが極端にまた感じられるわけでありますね。そういうものをなるべく平準、ならした形で、しかもそれは既存の産業を踏襲するのではなくて、新しい未来へ向けての歩みというものを、いわば内陸部という形に、あるいは遠隔地、東京の私どものいまおるここから言えば遠隔地というものが、日本列島の中で遠いとか田舎だとかということと関係なしに、それが発展への新しい足取りを進めることができる道を開いたらどうかというのが、いわばすでに国が何もしないのにでき上がっておる条件、あるいは道路、住宅等はこれからでもありましょうが、そういうような先端産業等が出ている地域に、悪く言えば便乗という形になりましょうか、そのアイデアをそれによって政治に展開するべく取り上げたということでございますから、日本列島がこれによって私は工場、工業の偏在も是正されるし、地域の所得格差というものもこれが大きく貢献してくれるであろうという願いを込めておるわけでございます。
  132. 田代富士男

    田代富士男君 いま日本の将来の産業構造のあるべき姿に日本列島を見た場合に産業立地の地域的傾きがあると、それを平常に戻していかなくちゃならないと、そういうために新しい未来に向けての内陸部、遠隔地に対し発展の道を開いていこうということでございまして、私がこの前、予算委員会の委嘱審査のときテクノポリス形成の可能性についてお尋ねをしたときのその際の答弁として戻ってきたのに、Uターン思想の定着、また地域の研究開発に必要な諸条件の整備を理由として挙げられたわけなんですが、いま将来の日本の産業構造のあり方についてのお話もございましたけれども、もう少し具体的に地方への高度技術工業の集積化の可能性についてお答えいただきたいと思います。
  133. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) なるべく場所を名前を挙げないで答弁しておるのは大変苦痛なんですが、今度も挙げませんが、実はこういうところがあるんです。  ある県に、たまたま私が新空港というところにおりた。まあ何というへんぴなところに空港をここの知事さんはおつくりになったんだろうなという、その後ずっとその思いが消えなかったんですが、実はそのへんぴなところであったということが、いつの間にか先端産業の工場なり、新会社なり、外国の企業なりが立地してきたんですね。そして、しかもその中にこういうことこそ本当に奨励すべきであるし評価すべきであると思う企業もある。ということは、漁業補償を受けた漁業者は普通はみんなで分けたり、あるいは系統に預金したり外部に預金したりなどして、あるいはまあひどい話になると、家をつくりかえたり、酒食で身を持ち崩すもとになったりというようなことがありがちであります。まあ私は漁業に関係しておりますが、それを酷な意味で言うのではなくて、そういうありがちな現象の中で大変賢明な人たちだったと思うんですが、その補償金をみんなで分けることをしないで、みんなでそれをもとにしてある工場をつくられたわけですね、会社をつくられたわけです。ところが、その人たちは漁師さんの子供たちや漁師の人たちですから、大変純朴で、一生懸命働くその姿というものがある大手の 弱電機の会社から目をつけられた。それで、そこからの乗っ取りじゃなくて、その企業に技術を差し上げることによっていまやまさに先端産業としてのりっぱな企業に成長しておる。これなどは私はよくも漁民の人がそこまでりっぱな企業をつくったものだと思いました。そういうのが、実は大変かけ離れたところに、とんでもないところにつくられた飛行場であるがゆえに、その周辺にそういうものが出てきて、外国の先端産業まで立地しておる。そういう事情を見ますと、これは、やはりそういうことはこれから、ほったらかしておいてそうなっているわけですから、それをそのままにしておけば先ほど言いました地域との連結性というものがないんですね。企業の中から製品が東京、成田あるいは羽田という形の、時間だけの問題になりまして、地域へは何にも貢献はないと、雇用貢献だけであるというんではもったいない。その漁業者の知恵をわれわれが学ばなきゃいかぬ。とすると、そういうところを指定をして、東京から見るとはるかかなたのあんなところにというところが、しかもいままでの産業よりかずっと異質の進歩した形の産業として、地域へ拡散して、定着して、その地域の特色あるものが製造され、提供され、それがあるいはいいものであったら全国に波及していくだろうということで、具体的なことをちょっと言いましたけれども、地名は言っていませんからね、そういうものが見落とされてはならない。これを今度着目したということでありますから、これから果たしてどれだけのものが最終的に自主性でもって持ってこられるのかわかりませんが、そういう意味では、私はこの法律によって私どもの夢がかなえば、各省庁の協力を得て基礎、インフラその他も整うでしょうし、日本列島全体を見た場合に、先ほどは北が少しという話でありましたが、そのことは確かにあり得るかもしれませんが、まずはこの分野においては、いま言ったような形で日本の産業をもう少し、遠いとか、田舎とか、そういうようなところに定着をさせていくことによって国土の均衡がとれた姿にしたいというのが念願でございまして、じゃどれぐらいになるかと言われても、私も目下わからないと、ぜひりっぱなものをつくってきてくださいという願いの方が現時点の姿でございます。
  134. 田代富士男

    田代富士男君 いまさっきも話が出ておりましたけれども、これまでの地域開発というのは、多くが政府主導で進められてきたのに対しまして、今回のテクノポリス法案につきましては、それぞれ地域の産、学、自治体が知恵を出し合って策定する形になっておるわけでございます。いまお話を聞いておりますと、なるほどこれは新しい構想である、まあよい面だけが出てきて、照準が合っている、合ってないのそういう論議もありましたけれども、私もしかしまだまだちょっと不安を持っております。これでよいと言うわけにはいかないわけなんです。  たとえて言えば、企業が地価の高騰に見舞われずに必要な土地を手当てできるかどうか、これは一番大きいのではないかと思うわけなんです。また、中央、大都市に偏っております、いまも質問いたしました先端技術、頭脳というものをどういうふうに地域に引き寄せられるのか。よい例をいま申されたけれども、こういうようなことなどを考えてみますと、どうするのかと。  そういうわけで、この法案の中身を見てみますと、法案に規定されております助成措置を見る限りでは、まだまだこれは予算の関係もあるでしょうけれども不十分ではないかと思うわけなんです。こういうようなことで、ここらあたりのギャップについて、単にこれは地域の努力で穴埋めするということで、りっぱなものを持ってきてくださいといまも大臣最後におっしゃったけれども、これができるかどうかという、ここらあたり不安があるんですけれども、どうでしょうか。
  135. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 予算折衝は昨年末にやったものですから、そのときにはテクノ法というものを法案にするかどうかについては私は決めかねておりました。したがって予算折衝の際も、いろいろな国の優遇策というものも考えればいろいろまだあるわけですけれども、しかしこれは企業をめんどう見るというものではない、企業にむしろ加勢してもらう、地域の企業としての存在になってほしい、ならないと困るわけです。そういう意味で、予算の額はことしは少のうございます。しかしながら、来年からは新しい法律が通ったことを踏まえて、国会の御論議等も念頭に置きながら、私の頭の中で整理をして、そしてはっきりと予算にももう少し明確な形で出していきたいと思いますが、これ以上に企業そのものに、いま立地しているのにめんどう見るとかいうことじゃなくて、これから地域のために研究開発機関をつくったり、大学との協同をやったりするような場合の投資について不均一課税を認めるとかという程度のものでございますから、あるいはまた、基金に対する出資に対して損金算入を認めるというぐらいのわずかな恩典しか与えてありません。そこらのところは私はこのままでむしろ行った方がいいんじゃないかと思うんです。  それからその次の点の、こういう構想が発表されて、大体ここらだなということはみんな知ってるでしょうから、地価に注意しろというお話は確かにそのとおりですが、これもう一歩手前に戻っていただきますと、まず、飛行場ができる、高速道路ができる、そういうときに、すでに地価と、進出する——これは公共事業ですけれども、問題はもうすでに発生しておるわけです。発生したことのある土地なんですね。そして、さらにその周辺に立地した企業が行ったときにも、企業の敷地の取得について交渉が行われて、すでにその交渉は、その後の物価その他の値上がり等はあるでしょうけれども、大体定着をしておるんだと私は思うんです。したがって、これから急に大きな工場が幾つも林立するようなことは念頭に置いておりませんから、そうすると、地域全体がその恩典を受けて、地域が徐々に徐々に変貌していく過程の投資とかその他はありましょう。その際に、土地の価格が指定をされたことによって値上がりをすることはもうないんじゃないか。すでに経験済みのところであるということであります。  それから、果たしてこれでもってそれらの企業が本当に協力するかという問題ですが、これはきわめて疑問であります。企業はそれぞれ企業秘密を持っておりますから、とんでもないところに自分たちが立地したためにとんでもない指定を受けちゃって、企業秘密を出せと言われるようなことになったら困るという、それは法律でも書いてございません。そのとおりでございまして、企業秘密まで吐き出せと私どもは要求もしませんし、企業の協力を得たいが、企業秘密まで出しなさいよということは要求もいたさないつもりであります。また、要求したって応じやしませんです。  そこで、そういう出資をしてみんなでつくる法人というものの中で、お互いが出し合える限りの、企業の許容する限度内における知識を出してもらって、幾つか違ったものが出ますと、そこの法人活動の中で思わぬ集積、拡大というようなものが、あるいは新方向というものが出るかもしれません。そこには企業秘密は恐らく持って入ってこないだろうと思うんですね。そういう意味で、なるべく、しかし出しやすい、一社だけが出させられたというようなことでなくて、みんながそれぞれ応分の地域への負担をした、貢献もしたという形にしたいというのがその願いでございます。
  136. 田代富士男

    田代富士男君 自治省、お見えでしょうか。  自治省といたしまして、このテクノポリス構想につきましていかに評価していらっしゃるのか。自治省の立場から。
  137. 金子清

    説明員(金子清君) このいわゆるテクノポリス法案でございますが、このテクノポリスの建設と申しますか、テクノポリスづくりと申しますのは、この法案の第一条にも書いてございますように、高度技術に立脚いたしました工業開発にとどまらず、地域経済のあり方や住民生活の向上に重要なかかわりを持ってくることでございます。したがいまして、この法案の考え方といたしまし て、総合的、広域的な地域振興の主体でございます都道府県が開発計画を作成するということになっておりますし、また、この計画の策定に当たりましては都道府県が関係市町村と協議するということになっております。  そういうことで、地方の主体性を発揮した計画づくりに、この法案が成立いたしましたら、地方といたしましては積極的に計画づくりに当たっていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  138. 田代富士男

    田代富士男君 次に、国土庁にお尋ねをいたしますが、国土庁はお見えになっていらっしゃいますですね。  昨年の秋に、国土庁は財投の地域経済に及ぼす効果に関する調査、この結果を発表されましたけれども、その中で、国と地方公共団体の予算など、財投支出によって、地方圏では建設業またはサービス業が成長いたしまして、地域間の所得格差の是正に役立っておるけれども、製造業の地方立地を促し、地域経済の自立性を向上させるまでには至ってない、このような結論を出していらっしゃるわけなんですが、現状の公共事業の実施等を見る限り、国土庁が心配される方向に進んでいるのではないかと思うわけでございますが、こういうような状況の中でテクノポリス法案を出して、これでよいのではないか、事足れりとする、あとは地方経済の自立を期待する、そういうところあたりまではちょっと無責任ではないかと思うんですけれども、国土庁としてはどのようにお考えでしょう。
  139. 有岡恭助

    説明員(有岡恭助君) お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘のございました調査は、国土庁が財団法人国民経済研究協会に委託いたしまして実施いたしました調査でございます。結論は、ただいま先生おっしゃったような内容でございます。  先生指摘のように、地方経済を自立させるためには、財政依存型の産業、つまり建設業とか第三次産業だけではなくて、工業を中心といたしました移出型の高付加価値性の産業を育てなければならないという点はまことに同感でございます。昭和四十年以降、工業の地方分散が進みまして、地方圏におきます工業出荷額の伸びは、先進工業地域の伸びを上回っております。ただいま先生がおっしゃいました調査をしさいに見ましても、その域内の地域間の収支を見ますと、地方圏の純移出額マイナスというのは次第に小さくなる傾向がございます。これは先ほど申し上げましたように、かなり産業の地方分散というものが進んでまいって、地域の経済の自立化というのが進んでまいったということになるかと思うんでございますが、しかし最近の状況を見ますと、成長率の低下、産業構造の変化等によりまして工業立地が減退いたしまして、工業の地方分散が鈍り、地域間に生産構造格差が残っているというような状況でございます。このため、私どもといたしましては、工業誘致に一段と努力いたしますとともに、他方、内発的な地元産業につきましても、たとえばブランドの形成あるいはマーケティング等を図ることによりまして、移出力の強化を図るということが課題ではないか、こういうふうに考えております。三全総のフォローアップ作業の中におきまして、地域産業興しというような御提案がありますのもこういう趣旨でございます。今回の法案は、まさにこうしました地域産業の振興を図るものでございまして、私どもは積極的にこれに賛成し、推進してまいりたいと考えております。  しかしながら、現下、国の財政の窮迫という状況にございまして、なかなかかつてのような手厚い財政支出はむずかしい。他方、各地域の実情を踏まえまして、その自主的な努力を主体とする現実的な対応というものも必要かと考えております。  先端産業は、これまでのような装置型産業、臨海型産業等と異なりまして、フットルースといいますか、インフラに対する依存度が小さい、あるいは技術、人材等、ソフトな産業基盤の整備のための助成が必要である、こういうふうな特徴を持っておりますし、本法案のねらいはまさにここにあるんではないか、こういうふうに考えております。今回の法律を御制定いただくことによりまして、国の支援の方向づけということが明確になり、政策手段配分に当たっての方向づけも明示されるという点で大変結構ではないかと考えている次第でございます。
  140. 田代富士男

    田代富士男君 自治省にお尋ねをいたしますけれども、このテクノ法案を考えていく場合に、やはり中央経済の問題を考えていかざるを得ないわけでございますが、しかし、現在は中央経済は低迷を続けておりますし、この低迷を続けておる中央経済にてこ入れをする切り札といたしまして、自治省では、広域市町村圏を核に、隣り合っている十前後の市町村が共同で工場団地の造成や、あるいは地場産業の振興に取り組んでおるわけでございますけれども、その方が投資効率も高く、また、地方税収の確保や、地方の雇用の安定にも役立つと判断してそういうような新構想を考えていらっしゃるということを聞いておりますけれども、その具体的な考え方を御説明いただきたいと思いますし、それと、いまも御答弁いただきましたけれども、このテクノポリス構想とどう関連するのか、そこらあたりもあわせて御説明いただきたいと思います。
  141. 金子清

    説明員(金子清君) 自治省におきましては、現在全国百七十九地域、二百二十九市町村を対象といたしまして、地域経済振興対策というものを実施いたしております。この対策は本年度をもちまして一応区切りを迎えるということになっておるわけでございます。現在のこの振興対策は、主として単独の市町村の自主的な地域経済対策に対しましていろいろと助言、援助を行っておるわけでございますが、五十九年度以降のこの地域経済対策につきましては、これまで五十六年から三カ年続けてまいりましたこの施策の成果あるいは問題点というものを踏まえまして、より広域的、総合的な観点から新しい施策を進めていってはどうかということで昨年の六月に学識経験者など十九名の委員によりまして調査研究委員会を設置をいたしまして、これまで五回にわたりまして会合を開き意見を交換をしてまいったところでございます。  現在までのところ新しい地域経済活性化のための対策といたしましては、まず第一に地域におきます人材、資源などの有効な活用を図りますため、広域市町村圏などの広域的な圏域を中心として対策を進めていってはどうかということ、二番目に、国、都道府県、それから民間部門の施策、事業を積極的に活用した総合的な施策を進めていってはどうかということ、三番目に、文化、福祉、国際化など新しい時代に対応した地域づくりの新たな手法を活用してはどうかというようなことにつきまして調査研究委員会で大方の意見が一致を見ておるところでございます。  細部につきましては来月中旬に最終の報告をいただくことになっておりまして、現在調整が進められておるわけでございますが、この報告を待ちまして五十九年度以降の具体的な地域経済活性化対策をまとめてまいりたいというふうに考えているところでございます。  それで、新たな地域経済活性化対策とテクノポリス構想との関連でございますが、いま申し上げましたように自治省が五十九年度から進めようとしております施策は、地方公共団体が自主的に地域の実情を踏まえた振興戦略と申しますか、そういうものを定めて地域経済を活性化させていこうというものでございまして、伝統的な地場産業の振興でございますとか、広域観光ルートの開発でございますとか、そういうような振興戦略のほかに、テクノポリス構想で言いますように高度技術に立脚いたしました工業開発を進めていこうという地域もあるいは出てくるかと思います。  このような場合にはテクノポリスの計画の一部というものが地域の経済活性化計画内容に含まれるということもあろうかと思いますけれども、これは今後その地域の総合的な行政体でございます市町村を中心とした広域的な圏域におきまし て、国のいろいろな施策も取り込んで総合的な計画を立てるということでございますので、格別問題が生ずるということはないと思いますけれども対策の推進に当たりましては各省庁の施策との関連性を十分配慮してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  142. 田代富士男

    田代富士男君 では、国土庁に同じような内容になりますけれどもお尋ねいたしますけれども、国土庁では現在二十一に及ぶ新産・工特地区をチェックいたしまして、工業開発の進んだ地区については目的を達成したかどうか明らかにする一方、今度は開発のおくれた地区にはその原因をつかんで地場産業の振興を含む工業開発のための新たな振興策を検討されるということを聞いておりますが、その中で新しいタイプの新産都市として先端技術産業を核とした内陸型の工業地域を加えるべきだとの意見も出ているようであります。こうなってきますと、テクノポリスとの調整が問題となってくる。この実情及び今後の見通しについて、いまも自治省にも尋ねました。今度は国土庁でもこうやっていらっしゃる。昔から下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、こういうことでは困ると思うんですけれども、ここらあたりも含めて、どうでしょうか。
  143. 有岡恭助

    説明員(有岡恭助君) 新産・工特制度につきましては、発足後約二十年を経過したわけでございます。先ほど通産大臣からもお話ございましたように、私ども、やはり古いそういう制度につきまして、十分その後づけを行いまして、反省すべき点は反省してまいりたい、こういうことで勉強をしているわけでございますが、特に最近の情勢から考えますと、新産・工特制度といいますのは、特に基礎素材型産業だけに限定したわけではございませんが、やはりどうしても臨海装置型、基礎素材型産業のウエートが高いものでございますから、最近の産業構造の変化、あるいはこれに伴います立地条件の変化等によりまして、この運用に当たりまして改善すべき点もいろいろ出てまいっている、こういう状況でございます。  したがいまして、国土庁といたしましては、国土審議会地方産業開発特別委員会というもので関係各省の御意見を伺いながら、現在検討を進めているところでございまして、ただいままだ検討中でございまして、はっきりした結論を得ていない段階でございます。今年度にかけまして、各省庁とも御相談しながら検討をさらに進めてまいりたいと考えているわけでございます。ただ、その検討の中間過程におきまして、ただいま先生から御指摘のようなお話が出てまいっていることも事実でございます。二十一の新産・工特地区の中には、非常に立地が進み、工業開発が進んでいる地域と、なかなかそうではない地域と、かなりその発展の状況は不均衡になっていることは事実でございます。しかしながら、その進んでおります地域につきましても、現在の段階で必ずしも目的を達成したと、こう断言できる段階ではございませんでした。  なお、生活基盤施設の整備がおくれていたり、あるいは安定成長下にその中心となっております基幹産業が不況化したり、ただいま対応に迫られているようなところもございまして、必ずしも現在すでに目的を達成したと言いがたい状態でございます。  さらに、地域の中におきまして、かなりおくれている地域でございますが、こういった地域につきましては、各地方公共団体におきまして、企業誘致のための助成制度を設けて非常に努力をいたしておられる段階でございます。  新産・工特地域というのは工場適地である場合が非常に多うございますので、かつてのような素材産業にとらわれずに、加工組み立て型産業を含めまして、広く当該地域に適しました産業の想定というものを行いまして、その産業の誘致を図るとともに、物流施設等を含めました用地の活用にさらに一段の努力が必要ではないかと、かような考え方もございます。特に今回の法律の要件を備えているような地域がかなりございます。候補地域だけ申し上げましても、六地域完全に重複しているところがございます。こういうふうなところでは、本制度を活用いたしましてテクノポリス化という方向に向かうことによりまして、新産・工特地区にさらに活を入れるというようなことも期待できるのではないか、かように考えている次第でございます。
  144. 田代富士男

    田代富士男君 このテクノポリス構想によりまして、いまもお話がされております技術先端産業の導入を図りまして、また、高度技術の交流等によりまして、既存産業の技術先端化をも促進していくことということでありますけれども、問題は、高度な工業技術というものは、ただいまも山中通産大臣が申していらっしゃったとおりにこれは企業秘密でもあります。そういう意味で、地域の技術先端産業化にどれほど波及していくか疑問だと。いま山中通産大臣は、企業秘密は守る、しかし吐き出せと言ってはいない、要求もしないと、企業の出せるものを出してもらえれば、そこから新しい方向性というものも出てくるのではないかという答弁をされておりましたけれども、私は、こういう技術先端産業化にどれほどこういうような企業秘密という立場から波及するか疑問であると、まして、これは民間に出せるものだけ出してもらうというような民間の努力のみに頼るということであるならばなおさらではなかろうかと、私はこのように思うわけなんです。  そういうわけで、技術の交流をいかに考えているのか、また、そのために何かの助成措置を考えているのか、ここらあたりまでちょっと御答弁お願いしたいと思います。
  145. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは実際問題として、企業は勝手に出ていったと私は申しました。しかし、その出ていく際は、さっき土地の取得についても触れましたが、関係知事さん、関係議会の方々も含めて、あるいは町村長さんですね、これらには企業の方々は無理やり——企業が赤字覚悟で出ていくはずはないんで、出るについては、やはりそこにお世話になったという関係はなお残っているんだろうと思うんですね。そうすると、それらの人たちが中心になってつくられる計画に——企業秘密というものはそれは企業自身が決めるもので、秘密にしていても、みんな知っている公然の秘密というものもあるでしょうし、また、その自分たちが立地したところの周辺を見回して、私のところのこの技術を提供すれば、既存の産業のこれがこういう形の新しいものにできていくのではないだろうかというような提示等もなされる間柄にある。要するに、計画をつくる人たちが企業進出には何らかの影響なり関係を持っていた人——いい意味のですよ、人たちであるから、その人たちがつくる計画に、企業は、出るときは出るとき、出た後の話はまた別ですとそっぽを向けるのかというと、私は、そこはやっぱりお世話になった人たちがつくる計画に私は入りませんとか、うちの門は外にはあけませんというそっけない態度の企業は、実際は少ないんではないかと思います。しかし、本当に私の方は、これは外国にわかっても困る、国内にわかっても困る、そういうもので独自の分野をいま取り組んでおりますというものまでそれを地域に吐き出せと言っても、それは地域が受け取れないですね、非常に高いものだと思うんです。ですから、地域に適応するものといえば、大体そういう工場が外に出さなかったものを、工場から親会社へと出していたものとか、さっき言いましたけれども、そういうものを地域のために知事さんの御要請、相談に応じて、じゃ、こういう分野でこういうものに御協力をさしていただきますというようなことに、現象としては私はなるんだろうと思います。強制はできません。    〔委員長退席、理事野呂田芳成君着席〕
  146. 田代富士男

    田代富士男君 続いてお尋ねいたしますが、いまもお話がありましたけれども、この先端技術の問題が一つの問題点になってくると思います。そういう立場から、幾ら先端技術の工場を誘致してみても、そこに研究開発機能が欠けていたならば従来の生産加工基地と何ら変わらなくなってくるわけなんです。そうすると、本来の目的と違って くるわけであります。  そういうわけで、テクノポリスもまた、要は、この研究開発機能をどう集積することができるかどうかということがこの課題解決の一番問題点ではないかと思うわけでございまして、その課題解決のためには何が必要なのかと、果たして、国及び地方自治体の要請程度で十分であるかどうかと、この点はどうでしょうか。
  147. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) その点数少ない政府のめんどうを見ているものの一つに法人に対する出資の分を損金算入として見ますということですから、これも出資するのも企業の主体性、その結果については国の方が租税特別措置をもって経費とみなす、損金算入の処理をしてよろしいということだけ、これも結果について認めてあげるということで、損金算入やるから出しなさいということには税はならないわけでありますから、中央、国としてのめんどう見は余りよくないんでしょうけれども、私としては、先ほどいろいろ申しましたようなことでまず一応出発してみますが、これは私はもう大分前から通産省のビジョン等を読みながら、それに若干物足りなさがあると思います、受ける地域も。そこらの人々はやっぱり相当長い、もう青写真だけでなくて、いろんな研究等を具体的にしておられますので、意外と滑り出しも滑らかにいけるのではないか、そういうような気も一方ではいたしております。
  148. 田代富士男

    田代富士男君 言うまでもありませんけれども、この研究開発というのは創造の過程であるわけでございまして、したがって、何よりもまず創造のための社会的土壤を広く形成するということが肝要ではないかと思うわけでございます。そういう立場から先進国の例を見てみますと、地域においての企業誘致に依存したのではなくして、自前で独創的な研究開発を活発化するところから始まりまして、ハードな投資というものは事後的に進められている。こういう点から今回のテクノポリス構想というものを見てみますと、わが国のテクノポリスは発想が逆のような感じがしてならないわけなんですが、お任着せの母体をつくったからといって即集積化に結びつくのか疑問が残りますけれどもそこらあたりの考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  149. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 現時点をとらえてみますと、そういうことが言えると思うんですが、出ていった企業の方を見ればそこには大変広い底辺がありまして、そういうものが逐次いろんな形の、集積回路にしてもあるいは最近のセラミックみたいなものにしても、いろいろ今度はアメリカあたりが、どうも日本がこういうものを育てて輸出をしているんじゃないかと、輸出補助をしているようなふうにまでひがんでおるほど日本の能力は高くなっているわけです。その下には大変広く深い根があって、それが初めてあらわれたのがその技術であるということを考えますと、そのあらわれたものの工場が地方に出ているわけですから、そこらのところは地方の方でどちらが先かという議論よりも、その成果を地方に、なるべくローカルのものに与えて、享受して、そしてそこで工場の方は、はた迷惑と思うものもいるかもしれません。しかし、それを知事さんが頼み、市町村長さんが頼みなどしながら、じゃ私の方もここのところで大学の研究室と、あるいは工業試験場というような、こういうものを知事さんが言われたものをやりましょうとかいろんなものが自然に醸成されてくる。ですから、どちらが先か後かということよりも、むしろ現状を、それに何を与えればそれが地域として活性化していくかというそういう問題だろうと、私はそういう角度から取り上げております。
  150. 田代富士男

    田代富士男君 これはちょっとアメリカの例でお尋ねしますけれどもアメリカではベンチャーキャピタルの投資を受けて数多くの成長企業が次々に登場したわけでございます。これはもう御承知のとおりだと思います。そこで、大企業や大学から企業家的人材がスピンオフいたしまして、徐々に大規模な研究開発産業コンプレックスが形成されることになったわけでございますが、ここで不可欠とされた条件、これ幾つかありますけれども、一番には企業家的な環境、二番目には養成組織と経験ある企業家集団の存在、三番目にベンチャーキャピタルの存在、四番目に大学の役割り、五番に関連企業のコンプレックス、六番目に魅力的な生活環境、七番目に政府資金の投入、こういうことが言われているわけでございまして、いま審議されておりますわが国のテクノポリス構想にこれほどまでの内容感じられないと。お国柄も違うわけなんですけれども、どうお考えになるのかお答えいただきたいと思います。
  151. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 実はそこらのお国柄の違いが、いま経済摩擦の一番底辺であったものが論点になっちゃって、アメリカだってこういうことをやってるじゃないかと私は言うんですが、しかしやっぱりこういうものはその国その国の特殊な民族性とか伝統とかというものがあるものをつくり上げていき、あるものの上にあるものがまた生まれていくという過程をたどっていくんで、こういうことを自由に一般社会なり企業というものがやっていく体制を許す国という意味では日本アメリカとその手法の違いが若干ある。したがって、アメリカ日本のみが悪いようなことを言っていますけれども日本日本の手法というものを持っている。それはアメリカをやっつけるためにやったことではない。アメリカアメリカの手法でやって成功もしあるいはまたとんざしたものもあろう。しかし、それは日本がそれをそうさせたものではない。内政干渉はしていないし、アメリカの内政干渉もわれわれは受けないということでいかざるを得ないと思いますので、アメリカについて学ぶ点もまだ多くあります。しかし、アメリカについて、逆にアメリカのこの道を歩んではならぬ。たとえば設備の老朽化、陳腐化等による大企業の立ちおくれ、国際的な立ちおくれというようなものの道を日本もそろそろ石油とか自動車とか考えていかないと、自分たち自身が陳腐化していると気がついたときはもう遅いというような教訓等もありますが、まあアメリカのやり方も一つの手段であろうし、日本日本のやり方でやってみるということで、その意味ではこの今回の法律はちょっと異質かもしれません。国はまず最初にめんどうを何も見ていない、これから先も積極的に補助とか助成とか融資とかはしない、こういうことですから、その意味では日本の地方自治体が自分たちだけで、しかも自治体の財政負担を新たに伴うようなことのないということも背景にあるわけですから、どのようないろんな知恵を出してこられるか、これこそ高度の頭脳で計画をつくって上げてこられるだろうと、それを楽しみにして待っておるということであります。
  152. 田代富士男

    田代富士男君 いまさきも御答弁の中に出ておりましたけれども、最近テクノポリスの建設計画を見込みまして一部で投機的な土地売買が見られていると聞いております。これに対して山中通産大臣は値上がりすることはないと、もう経験ずみであると、そういうような御答弁をされていたけれども、現実にはこういうことを耳にしているわけでございまして、このため国土庁では国土利用法に基づく規制区域指定事前調査を始めているということを聞いておりますけれども実情はどうであるのかお尋ねしたいと思います。またテクノポリス計画というものは指定地域だけでなくして、御承知のとおりに周辺地域の土地取引にも影響を与える可能性が大きいことを考えますれば、調査対象範囲も拡大すべきじゃないかと思いますけれども、あわせてお答えいただきたいと思います。
  153. 木内啓介

    説明員(木内啓介君) お答え申し上げます。  先生の御指摘のような調査、規制区域指定事前調査という調査は、国土庁が投機的な土地取引防止、地価の高騰防止のために国土利用計画法に基づきまして規制区域制度とか届け出制度がありますけれども、それの補完的なものとして実施している調査でございます。  こういう調査でずっとやってまいりましたところでございますけれども、簡単に申しましてこの規制区域事前調査の対象地域に、従来までテク ノポリスを構想している各県等はおおむねこの調査の対象区域としまして従来から調査をやってまいっておるころでございます。しかし、現在までのところ、いわゆる不穏な動きというふうなものはこの調査によりましては認められておりません。  なお、今後五十八年度の予算におきましても、この調査の対象経費もふやしていただいておりますので、今後さらにこれまで対象となっていなかった構想対象地域についても対象にしてまいりたいと思いますし、また先生の御指摘のように周辺地域におきましてもそういった心配が出た場合には、地域拡大をしまして対象地域に取り込むように県等を指導してまいりたいと考えております。
  154. 田代富士男

    田代富士男君 テクノポリス開発に必要な業務を行うものといたしましてテクノポリス開発機構というものを考えていらっしゃるようでございますけれども、この法案説明のときにも説明を一応受けましたけれども、どのような形態を考えていらっしゃるのか、またその業務内容についてあわせてお答えいただきたいと思います。
  155. 福原元一

    政府委員(福原元一君) 法案の第五条第二項第三号に、テクノポリス——産業技術振興機構というのをつくるというふうに書いてございますが、これは、この組織はテクノポリス構想推進の中核的な機関といたしまして、研究開発の支援それから人材の育成といった地域のソフトな企業立地基盤の形成を担うこと、これを目的とした組織と考えております。このような組織を実効あらしめるために民間の積極的な参加が、市町村、都道府県だけではなくて必要であろうかと、このように考えております。したがいまして、その公益性の確保と民間活力の活用という観点から財団等の民法法人になることが多いのではないかと私ども考えております。  現在のところ、その業務として考えておりますのは、ベンチャービジネス育成のための債務保証業務及びこれに付随する低利融資業務、それから高度技術に立脚した工業開発を担う人材の育成の業務、高度技術に立脚した工業開発の円滑な実施に資するような社会システム、たとえばローカル・エネルギー・システムといったような開発の業務というようなものを考えております。
  156. 田代富士男

    田代富士男君 本法の第九条には国の援助規定が明記されておりますけれども、これはあくまでも配慮規定にとどまっております。研究開発には膨大な資金が不可欠であることは御承知のとおりでありまして、このような資金が不可欠となるだけに開発機構だけに任せて対応し切れると考えているのか、あるいは研究開発型の中小企業のリスキーな研究事業に対してこれは配慮が足りないのではないかと私は思うんですけれども、あわせてお答えいただきたいと思います。
  157. 福原元一

    政府委員(福原元一君) 確かに五十八年度予算につきましては、特にテクノポリス構想のための予算というものは特定してございませんが、かつまたこういう財政事情でございますので、既存の助成措置、たとえば工業再配置補助金であるとか中小企業庁の中小企業育成のための補助金あるいは工業技術院の重要技術研究開発費補助金等々を活用をいたしまして対処してまいりたいと思いますが、来年度以降は、先ほど大臣もおっしゃりましたようにもう一度見直しましてその予算の形も考えてみたいと、このように思っております。
  158. 田代富士男

    田代富士男君 もう一度アメリカの例をお話しいたしますと、テクノポリスの原型とも言うべきアメリカにおける研究開発型産業コンプレックスの形成は必ずしも自然発生的なものではなかったわけでございまして、既存産業が衰退をして、それにかわる新しい産業を育成すべくボストン財界がベンチャーキャピタルを設立いたしまして、ハーバード大学やMITに蓄積された人的資源と資金を結びつかすことによって初めて研究開発型企業が生まれ、育成されていったわけでございまして、いま私が第九条の国の援助規定の問題を質問したのはこの点でありますけれども、この点わが国の基盤が弱いのでありますけれども、まあ、これアメリカの例をとっての質問でありますけれども、どのように考えていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
  159. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほど的確に日本アメリカとの対比について、それを同じ物差しでははかりにくいということを申しましたが、ボストンというのは市街地までイギリス時代の姿を、面影を残しながら、しかしながら学問の方はハーバード、MIT等を中心に、いわば最先端、政府と直結している研究なども大学でやっているような、そういうある意味では古きものとよきもの、新しきものと共存している町だけに、ボストンの人々の知恵というのはいろいろなアイデアを過去にも出してきておられますが、そのことによって財界の人々が大学というものといわゆる産学というものが動き出したということは、私はなるほどボストンならあり得るなという感じがいたします。日本の場合はそういう条件下のところは、地域としても産業界と学校という問題についてもなかなかそういうふうに一遍にいきにくい環境がありましょうが、いい意味の産学協同というものは、私はやっぱり大学の自主性を失わず、産業を強制せずというもので生まれてくるならば、日本もそういうところは見習った方がいい方に入る例じゃないかと思います。
  160. 田代富士男

    田代富士男君 最後の質問でございますけれども、このテクノポリス構想というものは、いまさっきも何回も御答弁いただいているとおりに、地域が主体になるという意味でも、また技術の先端化を内容とする意味でも従来と一種異なった開発構想であることから、主体である地方自治体にとりましては期待とともに戸惑いもあるのではないかと思うわけでございます。したがいまして、地域指定には安易に取り組むことがあってはならないと思うわけでございますけれども、これについて大臣の決意を伺うとともに、そういう期待と戸惑いもあるという立場から、当初は地域を限定し、ある地域をモデル地域として開発のノーハウを蓄積することも一つの案ではないかと思いますけれども、あわせてお答えいただきたいと思います。
  161. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 知事さん方もやはり自分たちの責任の重大さを感じておられるとみえて、十九カ所ですがまたがっているところがさっき言いましたとおりありますけれども、二十の知事さんたちがテクノポリス推進の知事会をつくっていらっしゃいます。まあ、それらの方々と、法律が通りましたならば、私を囲んで大臣室でいろいろとこれから先の相談もいたしたいと思いますが、基本的な姿勢は、一遍全部指定すると言ったときのあの意欲の高まりが急速にしぼんだ状態から見て、そうそう簡単に関門をくぐり抜けられませんぞと、ことに最初は厳選いたしますぞという、いま田代さんの御意見は、大体私がまた言うと影響があるかもしれませんが、そういう意味で私は厳しい姿勢というものは崩さないつもりでございます。
  162. 市川正一

    ○市川正一君 本日は法案審議の日程でございますけれども、過日来報道されております商工中金系列会社のサラ金会社への融資問題、これは中小企業の金融にかかわる重大問題なので、緊急に質問をさしていただきたいと思います。  今回、深刻な社会問題を引き起こしておりますサラ金会社、その大手三社に、国の資金の提供を受けて中小企業金融の一翼を担っている商工中金の系列会社が商工中金の了解のもとに三十億円に上る資金を都市銀行から借り入れて又貸しするというようなことは、これは政府系金融機関にあるまじき行為であり、とうてい許すわけにいかぬ問題であると思います。中小企業や多くの国民から抗議が殺到しているというのも当然であると思いますが、大蔵大臣とともに指導監督の責任をお持ちの通産大臣は、この問題をどうお考えでしょうか。
  163. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まさにおっしゃるとおり、大変、報道を見て初めて知ったんで、私もどうも何だかキツネにつままれたような気持ちで、その後は報告をちゃんと、そして最後には長官がおりますが、きちっと今後の厳正なる運営を命じ ましたけれども、もういつの間にかできていてしまって私は知らなかったという、これは私が就任する前にできていたせいもありましょうが、そういうことをやっていることを知らなかったせいもあって、おっしゃるとおりそんなことまでなぜしなきゃならないんだろうという、まず疑問がかすめましたけれども、その後そのサラ金の原資を借りて貸したというような問題以外に、商工中金が長い間悩んできた返済が、やはり相手が中小企業でありますから、相当おくれたりなどする場合の回収に大変いままでの業務として困っていたそうであります。そのために、それらの問題について詳しくは長官から説明させますが、やはりそういう傍系の機関をつくって資金回収をまずそこで一遍公庫の方へは回収しておいて、逐次そこのワンクッション置いたところで、後、中小企業者から逐次返してもらうことにしようという一種の清算をしやすくするという形で出発したものらしいんですが、まさかそういう目的と違う方向の方の活動が活発であったなんということは知らなかったわけでありまして、まあ長官から厳しく申し渡しましたので、以下は長官に答弁をさせたいと思います。
  164. 市川正一

    ○市川正一君 長官には後で引き続いてお聞きします。  大臣からいま基本的姿勢を伺ったんで、安心して以下続けさしていただきます。  私、商工ファクターというのは、これは商工中金のファクタリング会社として設立されたものであります。ですから、社長は元商工中金の理事です。そしてまた社員も元商工中金の従業員であります。現にまた、現役の商工中金の職員も出向しております。株主も八重洲興産、八重洲商工、中央共同等々、商工中金系の会社であります。直接出資の形ではありませんけれども、事実上の商工中金の子会社というか分身といいますか、そういう存在です。ですから、つまり商工ファクターがやるということは商工中金がやると同じ意味合いを持つ、こう受け取られてもやむを得ぬ性格であります。だからこそ大蔵省との事前協議も商工中金が、報道によりますと自身でやっておるわけですね。  私は伺うんでありますが、商工ファクターには商工中金系列の会社で協同組合をつくって商工中金から融資を受けているはずだと思うんですが、間違いございませんか、長官。
  165. 神谷和男

    政府委員(神谷和男君) 商工ファクターは御指摘のように、ファクタリング業務を行うことを主たる目的として、サラ金に融資をするためにつくった会社じゃございません。ファクタリング業務を行うための会社ということで銀行周辺業務を行う会社になっておるわけでございます。したがいまして、これに本来的業務の部分に関しては商工中金の資金が融資が流れていることは事実でございまして、御指摘のように商工中金の関連した業務を行っております協同組合、いわゆる八重洲緑関連事業協同組合、それから多くの商工事業者が共同事業を行っております都商工協同組合、この二つの組合を通じて融資を受けておる、こういう状況と承知しております。
  166. 市川正一

    ○市川正一君 そうしますと、その資金がサラ金会社に転貸しされているということはないでしょうか。
  167. 神谷和男

    政府委員(神谷和男君) サラ金業者の方に転貸されておるということは、少なくも貸し付けた資金をフォローしておる限りでは、われわれの方ではそのような事実はないと了解をいたしておりますし、    〔理事野呂田芳成君退席、委員長着席〕 商工組合の方ではそのような事実はないと。いわゆる一般の金融機関から融資を受けたものをそちらに回しておると、このように報告をいたしております。われわれといたしましても、その報告に関連して、もちろん転貸先のことでございますので直接商工中金と同様な対処というわけにはまいりませんけれども、事実を正確に把握すべく商工中金の資金に関しては現在チェックをいたしておりますが、いままで調べたところでは、少なくもその説明に矛盾するような形の資金の流れはない、このように考えております。
  168. 市川正一

    ○市川正一君 もっともお金には色がついておりませんから、これはやっぱり厳格に調べていただきたいのですが。ところで、この商工中金は三十億円を返さす、返済さす、こういうふうに措置をしたとされておりますが、いつ返さすのですか。
  169. 神谷和男

    政府委員(神谷和男君) 先ほど大臣からお答えさせていただきましたように、大臣の指示を受けまして商工中金の理事長を私どもの中小企業庁に来ていただきまして、まず私どもといたしましては直接商工中金の金が流れていない、それから資本関係のない会社だということになっておりますが、独立した会社が別途の資金を回しておるものであるという説明は受けましても、やはり中小企業者の身になってみますれば、やはり非常に商工中金そのもの、従来非常な信頼を受けて中小企業者に育てられ今日まできた中小企業のための政府金融機関の信用を、少なくも誤解であるかどうかは別として失墜するものであるので、まず遺憾の意を表明し、このようなことが二度と起こらないよう厳重に処置していただくということを要請すると同時に、できるだけこのような事態を早急に解消するようにということをお願いいたしました。具体的にこのように申し上げました理由は、やはり商工中金としては通産省からこのような指示を受ければ、できるだけ早く事態を原状に戻したいという気持ちはありましょうが、やはり関係があるとは言いながら、あるいはまた独立の会社だとか、いろいろ商中とファクターとの関係はいざ知らず、独立した企業が、サラ金業者と申しますか、一部の他の者と結んだ契約というものは民法上ございますので、これを一方的に商工中金が破棄せよとか、あるいは役所が破棄せよと言うことは、なかなかできない問題でございますので、これに関しましてはやはり相手方と相談をしながら、相手の同意を得てできるだけ早く回収すると、こういうことになろうかと思いますので、まず商工中金としては商工ファクターにできるだけ早く回収するような努力を要請し、またそのような指導をしていただき、商工ファクターとしては相手方とよく話し合いをした上で、もちろん契約上問題のないものはできるだけ早く回収する、こういう姿勢で原状回復の時期をできるだけ早く持ってきていただくよう要請しておるところでございます。
  170. 市川正一

    ○市川正一君 私は、それは本当に手ぬるいといいますか野放しだと思うのです。私の手元に武富士、それからアコム、こういういわゆる大手サラ金の有価証券報告書の写しがここにございます。これによりますと、これは商工ファクターからの長期借入金になっておるのですね。そうしますと、これはあなた契約どおり云々とおっしゃるけれども、こういう不正常なものがいつまでも向こうからは会社の名前で三十億という金が放置されているということに相なると思うのですが、これでいいんですか。
  171. 神谷和男

    政府委員(神谷和男君) 私ども商工中金を監督する者、あるいは中小企業行政に携わる者としては、やはり余りありがたくはないし、結構ですとは申し上げられませんが、しかし、別途やはり民法上の契約がございますので、役所としても一方的にこれを破棄せよと。これが公序良俗といいますか、法律の許さない契約でございますと別でございますけれども、社会的な価値判断いろいろあるかもしれませんけれども、一応正確な契約であると、こういうことでございますので、やはりそこは、相手方の了解を得てやる努力が必要であろう、こういうことでございまして、私が承知しておる限りでは武富士にはすでに四月二十三日に、それから他の二社には四月二十五日にその方針をファクタリングからは通告し、現在話し合い中と聞いております。  したがいまして、一方的破棄はやはりできないと思いますが、できるだけの努力をしていただくと、こういうことで要請をするということが、私どもの心情とは別に、やはり事実上の推移としてはそうならざるを得ないのではないかと思ってお ります。
  172. 市川正一

    ○市川正一君 私はこの問題は本当に国民が、なかんずくもう生き死にの中小業者が、そして一家心中したり、あるいはまた自殺、蒸発しているそういう家族の人たちが、本当にどんな思いでこの問題を見ているかということを受けとめてほしいと思うんです。  私は、商工中金は御承知のように、昭和六十一年に中金法の期限が切れて将来に向かってそのあり方が問われているいま本当に大事な時期だと思うんです。だとすれば、商工中金自身この問題について襟を正して対処するとともに、私は通産省としても中小企業金融機関としてまともな役割りを果たすために、いまの問題の迅速な処理を含めて厳しい指導を行うべきであると思いますが、最後に大臣に所見を承りたいと思います。
  173. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 厳しい指導を私は現在もいたしておりますし、これを正常な姿に返すことはできないものかということで、いま具体的な案を考えております。
  174. 市川正一

    ○市川正一君 では、私どももその成り行きをきわめて関心を持って国民とともに注目しております。  法案に入らしていただきます。  この法律は新法なので、条文そのものの解釈について若干逐条的に確認をいたしたいのでありますが、まず条文の中に、「高度技術」という規定がございますが、どういう技術を指すのか、簡潔に御説明いただきたい。
  175. 福原元一

    政府委員(福原元一君) 高度技術ということでございますが、本法におきましては、高度技術とは技術革新に即応した高度な工業技術という言葉を略して用いております。現在のような技術革新が非常に激しい時代におきましては、高度技術内容は日々変化しておるわけでございますが、本法では高度技術の今後の進展を考えまして、その内容を具体的に明記しておりません。弾力的に対応できるようにしております。  内容につきましては、具体的な技術に即して判断をするということになると思いますが、一応の目安として私どもはこのように考えております。  まず第一に時代のニーズ、たとえば情報の高度化等でございますが、それに十分こたえ得るものであり、かつ資金手当てさえすれば普及できるというような確立された技術ではないこと。すなわち新規性があるということでございます。  二番目でございます。その開発を行うために、資金的、人的に相当程度の投入がなおかつ必要であるという高度性を持ったものであるということでございます。  第三番目が、その利用によりまして、工業の付加価値性が著しく向上するというものである。いわゆる高付加価値性のあるものと考えます。  四番目でございます。工業生産活動、主としてこれは製品の製造でございます。におきまして、十分活用が可能であるという工業技術性を持った技術であると、このように私どもは解釈しております。
  176. 市川正一

    ○市川正一君 わかりました。  そこで、この高度技術の中には原子力関連技術は含まれているんでしょうか。たとえば、原子力開発は原子力発電技術あるいはウランの濃縮技術、あるいはまた使用済み核燃料の再処理技術、放射能の廃棄物の処理等々、きわめて広範な分野にまたがる高度な技術が必要だと思うんですが、こうした技術も含まれているんでしょうか。
  177. 福原元一

    政府委員(福原元一君) 高度技術につきましては、ただいま申し上げましたように工業生産活動、主として製品の製造において活用、利用されるというものであることを要求されております原子力関連機器の製造業は対象となり得ると思います。ただし、原子力関連産業のうちでも原子力発電のように製造業でないもの、これは本法案対象にはならないと、このように考えています。
  178. 市川正一

    ○市川正一君 次に、第三条で定められております本法案対象になる地域の要件でありますけれども、一から七まであります。本来ならばそれぞれお聞きしたいことがたくさんあるんですが、もう時間の関係もありますので、特に第三号で高度技術の関連企業に成長する可能性について判断すると、こうなっています。この判断は手がける高度技術そのものの将来性とその企業の将来性という二つの側面があると思うんですが、非常にここの見分けがむずかしいと思うんですが、どういう基準でお考えなんでしょうか。  それからもう一つは、ついでにあわせてお聞きしますが、第六号で教育及び研究を行う大学というふうに、大学だけに限定したのはなぜか、この二点ちょっとお聞きしたいのですが。
  179. 福原元一

    政府委員(福原元一君) 第三号でございますが、成長する可能性のある企業といいますのは、一般的には高度技術に関する開発あるいはその利用に積極的な意欲を有する企業というふうに解しております。現在すでに一定の生産設備を持ち、資金的にも人的にも実績があると認められる企業を指すと、このように考えております。それから、これらの企業が相当数存在するというのは、それぞれの地域の人口規模あるいは生活活動水準等々から見て決定されるものでありまして、一義的には決められないと、このように考えております。  それから、第六号でございますが、「高度技術に係る教育及び研究を行う大学が存在する」と申しますのは、高度技術の研究開発におきましては、当然その研究機能というものが必要でございます。ここで申します大学は工科系の大学を考えております。研究機能を持っておるということで、地域におきまして産学共同の場合、企業の開発に協力をするあるいはこれを支援するということが考えられますと同時に、工科系の学生を育てる、いわゆる人材の育成に役立つと、このように考えております。
  180. 市川正一

    ○市川正一君 私の質問がまずかったかもしれませんけれども、私がお聞きした第三号は、要するに高度技術そのものの将来性と、それからその企業の将来性と二つの要素をどういうふうに推しはかるのかということをお聞きしたのだけども、後者の企業の将来性、意欲がどないこないというお話だったので、それはもうよろしいわ、時間が私ないんで。  それでもう一つ大学ということですね、工科大学というとカレッジ、わかるのですが、私はこの機会にちょっと大臣にもぜひ聞いてほしいのですけれども、大阪に大阪工業試験所というのがあるのです。そこをこの間見学に行ったのですけれども、たとえばこうした地方にある国のあるいは公共的な試験研究機関ですね、その役割りが非常に重要だということを私、行って痛感いたしました。しかし、現状ではこういう先端技術に対応するためには、もっとそういうたとえばこれは全国各地に工業試験所がございますけれども、そういうところへの積極的措置をとる必要があると思うんですね。私は大学だけじゃなしにたとえば高専なんかもあるし、こういう公共の研究機関ですね、そういうところへの人材の養成とかあるいは試験研究機関の充実ですね、こういう点ももっと重視すべきじゃないかということを私、痛感しておりますので、この機会にぜひ私は強く要望をしておきたいと、こう思っております。
  181. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いまの大学というのは国立、公立、私立を問わないわけでございます。したがって、これは法文の中にあるわけでございますが、計画をつくられるのは地方自治体とそれから主務省、三省を含めた出先、国土庁は出先はありませんが、それらの調整をやっていくわけでありますから、まず、都道府県段階の計画をつくられる段階で国の出先の研究機関とかあるいは都道府県のそういう試験所とかそういうものは知事さんのところで案をつくるときに十分な連絡がとられていくものということで、法律には書いてございませんが、この延長線上には、国立、公立、私立を問わない大学の工科系ということの延長線上には国、地方の公共団体の試験所、そういうものも当然案を作成する段階で御相談にあずかる、こういうことに私はなっていくだろうと思うんです。
  182. 市川正一

    ○市川正一君 逐条的なので前へ進みますが、い まの第三条に関連してでありますが、三つお聞きしたいのです。  一つは、ここにある七項目の条件が全部そろわないと対象地域にならぬということだと思うんですが、そのとおりかどうかというのが一つです。それから二つ目は、指定の要件がそろえば期限に関係なく対象地域に今後なっていくのかどうか。要するにタイムリミットというのはないのかどうか。第三に、もしそうだとすれば対象地域はいまの十九地域、十九はアコーディオンだということをさっきから盛んに大臣、おっしゃっているのだけれども、それを超えて広がっていく可能性があると思うんですが、そう理解していいかどうか、この三点です。
  183. 福原元一

    政府委員(福原元一君) 第一の地域の要件につきましては、ここの第一号から第七号まである要件をすべてを満たすということが条件でございます。それから期限でございますが、私どもは県が、各地域が開発計画を策定いたしますその策定されました計画を審査いたしますが、その場合にその計画の実現可能性と、フィージビリティーといいますか、これを一番重要視いたしたいと思います。あわせて県の財政その他等々から見て無理があるかないかというようなことは自治大臣に協議をするわけでございますが、等々私どもはこれを計画の熟度と申しておりますが、その熟度に応じまして十分フィージブルであると認められた地域から逐次厳選して指定をしていくというふうに考えております。  それから三番目のお尋ねでございます対象地域でございますが、現在十九地域が約二年ほど前からこのテクノポリス構想を実現しようということでいろいろ構想を練っておるところでございますが、もちろんこの十九地域以外でも法律に定められました要件にはまる地域がテクノポリスをつくろうということで構想をお立てになり、計画をおつくりになりましたならば、それをまた当然私どもは審査をさせていただくわけでございますが、先ほど申し上げました熟度という点から見ますと、現在の十九地域というのはすでに二、三年前からそれに向かって準備を進めておるわけでございますので、その辺で当然その二年半のこれから新しい地域も熟度の面において追い越されればそれは当然指定の対象にはなるということでございますが、現在、私どもの聞いております各地域の対応、現状から見ますとしばらくの間はこの十九地域の中からということになるのではないかと考えております。
  184. 市川正一

    ○市川正一君 逐条解釈伺っていますので、承っておきました。  次に、第四条ですが、先ほど村田委員も触れられた主務大臣が四人いることですね、のやりとりを私聞きまして、農水省の方いらっしゃると思うんですが、先ほど十九の対象地域の選定に関しては、農水省としてはまだ関与していないと、こうおっしゃっているんですが、私はスタート時点でそういう状況が現に起こっておると。実は私はこういうことからも、本来本案については関係委員会、たとえば農水だとかあるいは地行だとかあるいは建設だとか、そういう連合審査を行って十分に審議を尽くすべきだと、そういう強い私は意見を持っておりますけれども、それはさておいても、農水省は今後どういう関与をなさろうとするのか、少しちょっと具体的に伺いたいんですが。
  185. 永井和夫

    説明員(永井和夫君) 農水省といたしましては、まずこのテクノポリスの構想というものが三つの点から私どもの農政の立場からも非常に意義があるというふうに考えているわけでございます。  その第一点は、私どもの所管しております食品産業におきましても、このテクノポリス構想のねらうところの高度技術というのが非常にこれによって促進されるということが有意義ではないかということが第一点。  それから第二点は、この技術開発によりまして、やはり特にバイオテクノロジー等を中心といたしまして農林水産業の技術開発にも大いに役立つのではないかということが考えられるということが二番目でございます。  それから第三に、このテクノポリスの構想の推進によりまして、地域におきましての産業の振興が図られることによりまして、これをインセンティブといたしまして地域の安定兼業機会が図られる等農業の構造改善にも非常に役立つのではないかという点からこの構想を評価しておるわけでございます。  ただいま十九地域の構想について、では関与したかというお話でございますが、これはかねてから通産御当局が数年前から構想を進められてこられた過程におきまして、十九の地域においてこのような構想が取り進められてきたということを了知しておりまして、その過程におきまして、私どもが関与をしてこれがいいとか悪いとかいうことを申し上げたということではないということでございますが、この法案に従いましてテクノポリス地域を選定していく段階に当たりましては、この法の趣旨に従いまして私どもも積極的にこの構想の実現に努力をしてまいりたいと考えております。  そこで、具体的な対応といたしましては、まず省内におきましては先ほど申し上げました各般の関与がございますので、省内の関係各局の担当課をもちまして連絡の体制を組織化いたしたいというふうに考えております。  それから地方農政局におきましても、同じく企画調整室を窓口にいたしまして関係部を糾合いたしました組織体制をつくりたいということを考えております。  それから第三に、同時にこのテクノポリス構想は地方が非常に自主的な計画を立てるということが重要でございますので、都道府県の農林水産担当部局がこの計画作成に積極的に参画するということが重要であるというふうに考えておりますので、私どもの農水省としての考えている考え方を地方にも十分徹底するようにいたしたい。特に農林部局が農政、農地、林務等各般にわたる場合もございますので、少なくとも農林水産部局の中におきましても、まず意思の統一を図り、そして積極的にこの計画作成に関与するようにという趣旨を徹底いたしたい、以上のように考えております。
  186. 市川正一

    ○市川正一君 どうも私の聞き方が下手なのか、評価やなしにどういうふうに関与していくのかという、また機構でどんなしかけでいくなんちゅうようなことは私は聞いておらぬのだよ。農地を守って——もうええ、もう私の時間なくなってしまう。大体わかりました。  それで大臣に聞きますけれども、四人の主務大臣がいるわけでしょう。それでその指針を作成する際に、それは何ですか、合議機関のようなものを置くのですか、それとも責任者はだれになりますか。
  187. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 政府としての責任は私が最終的にとらざるを得ないと思います。ということは、テクノポリス構想というものを打ち出して、そして主務大臣をふやしていったのは、これらの三つの役所の人々がそれぞれ自分の所管している事項でテクノポリス構想に対してこのような貢献ができますということを、いわば弁当を差し入れることができる、あるいはお茶をくんできますとかという、そういうことで加勢してもらえる省ということでやってもらいました。ですから、自治大臣ども関係は密接な大臣ですが、これは都道府県知事が自主的におやりになる。したがって、自治大臣は必ずその出先で一緒になって知事さんがつくられた計画が上がってきたら、これを横へ自治大臣にはすべて連絡するということをいたしておりますが、この法律ができ上がってから各省でもそれぞれ考えてもらっておりますが、どのレベルにいたしましょうか、それらの局長レベルかどうか、そこらの連絡機構を一つもう確定しておきまして、地方がとまどいされることのないように、そこらの調整を済ませて決定されるようにということで、これから考えてみたいと思っていますが、その必要があるというふうに考えております。
  188. 市川正一

    ○市川正一君 農水省ありがとうございました。何か遠慮せんと、弁当ばかり持っていかぬと、言うことは言うて、それはあなた農業をやはり守る立場からも物を言うてくれぬと、それはあきまへんで。
  189. 永井和夫

    説明員(永井和夫君) 御質問の趣旨を取り違えまして申しわけございません。  具体的なこのような地域開発を図る場合に、私どもやはり基本的に考えなきゃいけないのは、優良農用地の確保という問題と、こういう地域開発という命題をどういうふうに調和させるかという問題でございます。今回私どもが主務大臣として参画いたしましたのは、やはりある程度この地域開発を、たとえば具体的な土地を買収に応ずる地主から適当に手金を打って話をつけてしまって、したがって、立地はこことここという、いわば土地が買収できたというところを、できそうだということを前提にして地域開発を図るということは、われわれ農林水産業の立場からも非常に問題がありますし、同時に地域開発という点からもいろいろ問題があり、かつまたその地域のコミュニティーの形成上からも非常に問題があるという経験をわれわれいろいろな事業開発において経験を持っておるわけでございます。したがいまして、私どもはこのようなテクノポリス構想が未開地ではなくて、やはり農林業に利用されている地域、集落に入ってくる場合が非常に多いと考えますので、このテクノポリスの建設がやはり農林業と摩擦なく行われる、立地されるということが非常に好ましいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、このテクノポリスの開発計画を立てるに当たりましては、そういう点を十分踏まえ、かつわれわれだけが独占しておる土地ではございません、経済の発展に従って他の用途に転用するということは当然必要なことと考えておりますので、計画の段階においてそれを調整をして、一度それが決まれば、逆にそれが有効に実現される方向に努力していきたい、こういう考え方で末端まで趣旨の徹底を図りたいというふうに考えております。
  190. 市川正一

    ○市川正一君 ひとつ言うことはちゃんと言うてしっかりやってくださいな。お引き取り願って結構です。どうも……。  次に、第九条なんですけれども、国の援助等について規定しておりますけれども、この種のほかの法律と違うて、財政上の措置とか、あるいは資金の確保というような条項がないんですね。さっき大臣は、国はめんどう見ぬけれども、自然に敵地がこう形成されてんのやと、まるでキリストの天地創造みたいなことをさっき言うておられたけれども、そんなにいくわけじゃないんですわね。結局地方自治体が苦労しているんですよ。そういう地方自治体のつくる開発計画について、国は口は出すが金は出さねという腹なんですか。
  191. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 口は出すが金は出さぬというよりも、国は地域の自主性でおやりくださいということで計画も受けとめるわけでございます。したがって、国は少し冷たいじゃないかという声があるかもしれません。しかし、これを企業が地域に貢献をしてくれる、そのために地域も一生懸命になってそれを吸収しようとする、しかしその企業は国の何のインセンティブも受けることなく、企業の論理でもって出ているのでありますから、そのようなことを考えて立地したわけじゃなかった。だから、そういうことを私たちに頼むんなら、少し金をよこせというような話になってくるわけですけれども、そういうことは私どもは強制をしないかわりに口も金も出しませんと。しかしながら、みんなで共同して法人等をつくって出資をされると、その金については、これは特別措置でもって損金で見ましょうということで配慮はいたしますが、一般会計からこれのために特別に金を出すということの構想はいままでやってきたことと同じ構想になります。私は、この法律はいままでやってきたことと違う構想のもとに出発をして、そして地域の盛り上がる力というもので花を咲かしてみたい。そのために国は冷たいと言われるかもしれないけれども、大蔵省に対して、一緒に共管大臣になって金をたくさん出せよということを要求しなかったという経過がございます。
  192. 市川正一

    ○市川正一君 自治省、お見えになっていますか——いま配慮という言葉大臣からも出たのですが、第九条の第二項で、起債について特別な配慮をするということになっておりますが、地方自治体はこの開発計画の承認を受けるために工業用地、工業用水道、あるいは住宅、道路など多くの施設を整備しなければならぬというのがあります。ところが、地方財政の現状は御承知のようにもう大変なわけです。そうすると、この対策のために特別の起債の枠を自治省は用意なさっているんですか。
  193. 森繁一

    説明員(森繁一君) 私ども毎年地方債計画というのをつくっておりまして、たとえば昭和五十八年度では七兆五千四百億余りの数字になっております。この数字は毎年地方団体が実施いたします、たとえば補助事業に対応いたします地方の負担額とか、あるいは地方の単独事業の量とか、あるいは地方団体の要望額とか、こういうものを積み上げてつくったものでございます。いま御質問にありましたこのテクノの法案が立案されます以前にこの地方債計画をつくっておりますので、昭和五十八年度の計画の具体的な中身としては、形式的には入っておりますが、この総枠が七兆五千四百億余りありますし、かつまた、実際の起債の許可に当りましては適切な運用をしていきたいと考えておりますので、支障がないようにいたしたいと考えております。
  194. 市川正一

    ○市川正一君 そういうお答えのようですが、地方自治体は、それはもうえらいことになると思うんですが、前へ進んでいきます。  次は、内容についてちょっと二、三お伺いしますが、テクノポリス構想はこういううたい文句なのです。「技術と文化に根ざす新しい「まち」づくり」、「産、学、住の各分野が、豊かな伝統と美しい自然をもつ地域社会に調和的に溶け込んだ、全く新しい発想により建設が進められる「まち」づくりである」云々というのを私方々で見たんですが、ところが、本法案を見ますと、先端技術、産の方ですね、産の方の先端技術産業の立地については非常に具体的なんですけれども、学、要するに研究開発機関、それから、住、住宅地については特に対策が具体化されていない、こう私は思うんです。大いに喧伝された当初のテクノポリス構想と今度の法律というのは、大分変わってきているように思うんですが、そうは思いませんか。
  195. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはあくまでも地方で、いま言われましたような環境をつくり上げていくということでございますから、そこの地域の段階で話し合いが何回も何回も持たれていくと。したがって、住宅はどういうふうな程度にやるか。そうすると、県の土木部あるいは建設省の出先機関それから本省というふうに、その地域に対して傾斜配分等ができるのかできないのか。あるいは道路等も計画はあるがまだ先の話だと思っていたけれども、その新しい地域から飛行場へ結んでやる道路、あるいはインターチェンジはあるけれどもその新しい指定された地域のそこを高速道路が入っていてもインターチェンジはないというものは、取りつけ道路ぐらいはじゃ優先して配分してやろうとか、そういうものがセットされたものが計画になって上がってくる、それに対してほかの三省庁が協力をしてくれるということでございますから、そこらのところで御心配の点は、法律上は確かにただ住宅、道路と書いてあるだけでございますから、しかし、計画がつくられるときには十分にそこらの点は調整がなされたものとして、青写真ばかりでなくて、裏づけの具体性というものもそれぞれのお役所の方で応援してくれるわけでありますから、それができ上がってセットされたものが知事のつくる最終計画になる、そういうふうにお受け取りいただければ幸せであります。
  196. 市川正一

    ○市川正一君 そうしますと、この法律それ自体について言うと、これは目的とするところは、たとえばエレクトロニクスとかニューセラミックス とか等々の先端技術産業の立地促進策をとるものであって、直接地域振興を目的としたものではないと、こう理解してよろしゅうございますか。
  197. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それはよろしくないんです。そういう産業の立地を促進し、あるいは誘致するための手段というものは何も書いていない。いま現在出ている、あるいはこれからも出るでしょう、それは企業の自主性です。自分で決めることです。それがくしくもある飛行場とか高速道路中心であったところに集まっている状態を政治でとらえて、これを地域の浮揚に資したいということでありますから、企業がこれから出ていけばどうだこうだという、そういうことはどこにも法律にありませんし、企業誘致促進に資するものでもありません。
  198. 市川正一

    ○市川正一君 私、テクノポリス構想は非常に宣伝の巧みさというか、さっき大臣は暗い世の中での明るい話というような、あたかも夢と期待に胸があふるるような何か御発言があったんだけれども、また、通産省始まって以来のヒット商品だと、こう自賛される通産省幹部も私耳にいたします。ですから、これがやはり地域経済への活性にわらでもつかむような思いに駆られている地方自治体は、大きな期待と、やはり私から言わせるば幻想を持たざるを得ない。しかし実際には、この地方自治体が対象地域になるためには、企業誘致に特別な優遇措置をとるとか、四つの関門という言葉をさっきおっしゃったけれども、私はあえてハードルを起えなければならない。そのハードルを越えたときにそれならほんまにうまくできるかと言ったら、そのときにはもう企業がやるかやらぬかで結局決まってしまうのであって、対象地域の要件を備えても開発計画の承認を必要とするためには工業用地も工業用水も住宅も道路も基盤整備をみずからの負担で実施し、そして国の援助は余り期待できぬ、盛り上がる力でやれと草の根みたいなことを言われるわけでしょう。で、後で残るのはぺんぺん草だけだと思うんだけれども、これでは地方自治体の財政を破綻させるか、あるいは途中でもう取り組みを放棄するというようなことにならざるを得ぬと思う。  私はもう時間が参りましたので最後にお聞きしますけれども、もう一つは、開発の中心に据わるのは先端技術産業でしょう、ところが、その先端技術産業というのは、技術開発のテンポがものすごく早いためにやはり技術のライフサイクルが短い、こう言われております。そうすると、この法律による地域開発がかなり中長期的な目標を置いたものである、とすると、プレーボールというときに、そのときに果たしてそれが先端技術であり得るのかどうかという問題が実際問題としてあるんですね、きょうの先端必ずしも永久の先端ではないわけですから。そうしますと、かつて先端産業であった中心的企業、たとえばけさもやった例の基礎素材産業ですか、石化なんかそうですね、それがパンクしたときにやはり地域の経済がどうなるかという点は非常に深刻なんですよ。昼に特安法がここで採択されましたけれども、あの教訓から見ても特定の企業を中心にした地域開発では現在の不況地域と同様になっていく、要するに、特定の産業、特定の企業だけに頼るという形ではね。やはりそういうことの保障というか、歯どめはどうお考えになっているのかということを最後に伺って、私の時間が参りましたので終わりたいと思います。
  199. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そのことは、私たちは過去の失敗も含めてやってきたことへの反省を忘れてはなりませんので、今回も対象技術革新の目覚ましい進展の中にこれを据えるわけでありますから、したがって第四条の開発指針というものを決めまする際にも、過ちがあってそれをもう乗りかかった船だからということで傷を深くしていくようなことがあってはいけない。だから、国の方が腰が据わってないように見られるかもしれませんが、第三項において「主務大臣は、経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、開発指針を変更するものとする。」ということで、せっかく法律をつくって出しながら変更するかもしれぬとは何事だと、普通ならしかられる法律、法文、案文だと思うんですね。ここのところはやはり、そういう機敏に対応するということに根差していると受け取っていただきたいと思います。
  200. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  202. 市川正一

    ○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、高度技術工業集積地域開発促進法案に対して反対の討論を行います。  反対理由の第一は、技術先端産業の立地促進対策をとることによって、その反射的利益として経済発展につながるという立場をとっているために、技術先端産業の中心の地域開発が進められることになり、大部分の地元企業や農業などが事実上放置され、地域経済の総合的な発展が阻害される危険性があるからであります。  その第二は、地方自治体に過重な財政負担を強いるものとなっているからであります。国は、対象地域に厳しい要件を要求し、開発指針で地方自治体の計画に枠をはめた上、開発計画では、工業用地、工業用水道、住宅、住宅用地、道路の確保などを地方自治体の責任で整備することを義務づけているために、大きな財政負担が要求されることになります。  第三に、進出企業が経済情勢の変化を理由に一方的に工場を閉鎖したり撤退して、地域経済や雇用に衝撃を与えることは、これまでの臨海コンビナート地帯や企業城下町の事例からも大いに予想されるところであります。これへの対策の必要性は、従来の地域開発の経過からしても重要な教訓でもあるにもかかわらず、具体的保障が明確にされていないことであります。  結局この法案は、すでに破綻が明らかになっている新産・工特あるいは列島改造などによる地域開発について、今度は通産省が八〇年代の戦略産業として位置づけている技術先端産業を中心に据え、装いを新たに、地域開発の名のもとに、これら産業の立地促進を地方自治体の責任で図ろうとするものであります。これでは地場産業や農業など、その地域経済の民主的で総合的な発展につながるものとならないことは明白であります。  以上、反対理由を述べ、討論を終わります。
  203. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  高度技術工業集積地域開発促進法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  205. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、吉田君から発言を求められておりますので、これを許します。吉田正雄君。
  206. 吉田正雄

    吉田正雄君 、私は、ただいま可決されました高度技術工業集積地域開発促進法案に対し、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     高度技術工業集積地域開発促進法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について努力すべきである。  一、開発計画の実施には、相当の財政負担を要することにかんがみ、開発計画の策定に当たっては、地方財政に過重な負担を生ずることのないよう十分指導すること。  二、開発事業の円滑かつ効率的な運用を図るた め、関係行政機関の緊密な連絡体制を確立すること。  三、開発指針の策定に当たつては、地域の工業の現状に十分配慮するとともに、都道府県の作成する開発計画については、関係市町村の意見が十分尊重されるよう指導すること。  四、開発計画の作成及び開発事業の実施に当たつては、自然環境の保全、地価高騰の防止、用地確保における農業政策上の要請等について適切な配慮を払うよう指導・助言すること。  五、技術先端産業の導入・育成に当たつては、地域経済の振興に資するよう配慮するとともに、地域における雇用創出及び労働条件の向上について十分な指導を行うこと。  六、開発事業推進の中核的機構の組織・運営については、各地域の創意、工夫が十分活かされるよう指導すること。   右決議する。
  207. 亀井久興

    委員長亀井久興君) ただいま吉田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  208. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 全会一致と認めます。よって、吉田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、山中通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山中通産大臣
  209. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ただいま議決いただいた附帯決議については、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。
  210. 亀井久興

    委員長亀井久興君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  212. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ちょっと発言さしてください。  このような席で御礼を申し上げるのもどうかと思いますが、国際会議とは申しながら、国会を留守にしなければならない私の日程について十分御配慮をいただき、与野党ともに私の国際会議に遅延しないように御配慮を日程上いただきましたこと、終生の感激であります。各党に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
  213. 亀井久興

    委員長亀井久興君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十七分散会