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藤井恒男君 時間が大分経過しておりますから、ピッチを上げて質問しますので、よろしくお願いします。
法案に入る前に、
大臣に所見をお
伺いしたいことがあるわけです。
実は、昨年の暮れに日大主催の
高齢化シンポジウムというのが
わが国で開かれまして、「二十一世紀
日本の進路」というテーマで論議がなされたわけですが、ここにフィリップ・M・ハウザーという世界的に著名な社会学者、人口学者が来られまして、
わが国の
高齢化社会についてどのような感想を持つかというインタビューがありました。彼は、まず第一に言えることは働くことだ、つまり定年を延ばすことだ。二十一世紀の
日本は子供より老人が多い社会になる。私の
考えでは七十歳は早過ぎる、七十でリタイアするのは早過ぎると。まあこれは多少冗談も含めて言っていることですが、とにかく
日本の
高齢化社会を展望したとき、現在の定年制というものが全くお粗末だということを
指摘しているわけです。
もう私から申し上げるまでもないことでございますが、
昭和七十五年には六十五歳以上の方たちが一五・六%、実に六・四人に一人、九十五年には二一・八%、四・六人に一人。
高齢化社会ということは私は非常におめでたいことだと思うので、私
どもが生まれたときは人生五十年ということで生まれてきたわけなんだけれ
ども、大変なピッチで
日本に
高齢化社会が来る、私は非常におめでたいことだと思っているんですが、ついせんだって総理府が行った
調査によると、この
高齢化社会を迎えるに当たって、国民がこれは大変おめでたいことでありがたいことだという感想を持っているかといえば、そうじゃなくて、およそ三〇%近い人たちはきわめて不安であるという答えが返ってきている。近代国家の
わが国でかつてのおば捨てだとかあるいは子供の間引きというようなことはよもやないとは思うが、しかし同時に、高齢者がひとしく国民から敬愛されて余生を全うするという仕組みを早急につくらなければこれは大変なことになるというふうに思うわけです。
〔理事対馬
孝且君退席、
委員長着席〕
先ほど別の角度から
雇用の問題に触れて対馬
委員から定年延長の問題、
週休二日の問題、
労働時間
短縮の問題ということを
指摘しておられたけれ
ども、私はやっぱり
高齢化社会という観点に立って、ワークシェアリングという観点から私は定年制というものを見てみなきゃいけない。残念ながら現在
わが国において六十歳定年というのが半数に達していない。このことについて、
大臣の私的諮問機関もあって、政労使の話し合いというのがかなり頻度を多く持たれていることと思うので、私は
労働組合にも啓発して定年制延長という問題が単なる
労働条件として労使間の取引あるいは獲得
目標というような交渉事ということよりも、広く
わが国の
高齢化社会を見つめた
意味においてワークシェアリングという観点からこの定年制というものに取り組む。
労働省では
施策として定年延長に対するいろんな
施策を持っておられるけれ
ども、これはもう靴の外からかいておるようなもので、なかなかこれはああいったことでは定年延長が即効性を持って実行できるとは私は夢にも思っていない。だから広く国民の関心を呼び起こして、
企業もまた
わが国の産業構造というものを一遍洗い直すというような観点から、国民的な立場で
高齢化社会を迎えるに当たってのワークシェアリングというものを
考えなきゃいかぬ。その発想の中から、定年制の問題であるとかあるいは
労働時間、年間総
労働時間、あるいは年間の休業日数、
週休二日制という問題もフィードバックして物を
考えていくというような新たな発想を一遍やってみたらどうか。
労働省も同じような、ワンパターンで
施策を追っかけるんじゃなく、発想を全く変えてしまってやるぐらいの意欲でなければ、これはピッチの早い
高齢化についての産業構造、社会構造の構築という問題は、お手本はどこにもないわけなんだから、ひとつ
大臣、これ、あなたの
大臣在職中にでも一遍頭だけでも大きく出してみたらどうだろうということを強く感じておるわけなんで、きょうは時間がないから、このことについて
大臣の所見をまず最初にお聞きしておきたいと思います。