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1983-03-22 第98回国会 参議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十二日(火曜日)    午前十時七分開会     ─────────────    委員の異動  三月一日     辞任         補欠選任      本岡 昭次君     宮之原貞光君  三月三日     辞任         補欠選任      関口 恵造君     岩動 道行君      宮之原貞光君     本岡 昭次君  三月四日     辞任         補欠選任      岩動 道行君     関口 恵造君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長        目黒朝次郎君     理 事                 村上 正邦君                 対馬 孝且君                 渡部 通子君     委 員                 斎藤 十朗君                 関口 恵造君                 福島 茂夫君                 森下  泰君                 本岡 昭次君                 沓脱タケ子君                 藤井 恒男君                 山田耕三郎君    国務大臣        厚 生 大 臣  林  義郎君        労 働 大 臣  大野  明君    政府委員        厚生大臣官房長  幸田 正孝君        厚生大臣官房総        務審議官     小林 功典君        厚生大臣官房審        議官        兼内閣審議官   古賀 章介君        厚生大臣官房審        議官       新田 進治君        厚生大臣官房会        計課長      坂本 龍彦君        厚生省公衆衛生        局長       三浦 大助君        厚生省公衆衛生        局老人保健部長  吉原 健二君        厚生省環境衛生        局長       竹中 浩治君        厚生省医務局長  大谷 藤郎君        厚生省薬務局長  持永 和見君        厚生省社会局長  金田 一郎君        厚生省児童家庭        局長       正木  馨君        厚生省保険局長  吉村  仁君        厚生省年金局長  山口新一郎君        厚生省援護局長  山本 純男君        社会保険庁長官        官房審議官    入江  慧君        社会保険庁医療        保険部長     小島 弘仲君        社会保険庁年金        保険部長        兼内閣審議官   朝本 信明君        労働大臣官房長  加藤  孝君        労働大臣官房会        計課長      高橋 伸治君        労働大臣官房審        議官       平賀 俊行君        労働大臣官房審        議官       小粥 義朗君        労働省労政局長  関  英夫君        労働省労働基準        局長       松井 達郎君        労働省労働基準        局安全衛生部長  林部  弘君        労働省職業安定        局高齢者対策部        長        増田 雅一君        労働省職業訓練        局長       北村 孝生君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査  (派遣委員報告)  (労働行政基本施策に関する件)  (昭和五十八年度労働省関係予算に関する件)  (厚生行政基本施策に関する件)  (昭和五十八年度厚生省関係予算に関する件)     ─────────────
  2. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査を議題といたします。  先般、当委員会が行いました社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査のための委員派遣について、派遣委員から報告を聴取いたします。渡部通子君。
  3. 渡部通子

    渡部通子君 去る一月十九日から二十一日までの三日間、目黒朝次郎委員長大坪健一郎委員佐々木満委員山田耕三郎委員と私渡部通子の五名は、最近の雇用失業情勢地域保健医療等実情調査するため、香川兵庫の両県に行ってまいりました。  調査では、両県における雇用労働需給及び失業実態労働行政並びに老人実態保健医療対策中心説明を聴取するとともに、川崎重工業坂出工場石川島播磨重工業相生工場を、また、老人保健法関連兵庫県立姫路循環器病センターを視察いたしました。  まず、両県における雇用情勢の現況について御報告いたします。  世界同時不況国内経済低迷等を反映し、両県とも最近の県内経済及び雇用の動向は厳しさを増しておりますが、地場産業中心とする中小企業の多い香川県に比し、産業構造が各大手企業主体としている兵庫県ではその影響がより大きく、特定産業での雇用調整動きが強まるなど、深刻な状況が続いております。  これを最近の経済指標で見ますと、香川県では、実質経済成長率は五十四年の六・四%から五十五年には一・八%に下降したまま低調に推移しておりますが、有効求人倍率は五十四年に一倍を割って以降漸次低下したとはいえ、なお五十七年上期で〇・八三倍と、全国平均の〇・六倍を上回っております。また、新規学卒者求人倍率も、中学、高校、大学のいずれも四倍を超えております。  これに対し兵庫県では、景気停滞を反映して常用雇用指数も低下しており、また、有効求人倍率は五十五年の〇・五一倍、五十六年の〇・四四倍から五十七年十一月には〇・三九倍にまで低下しています。このため、五十六年度の雇用保険初回受給者数は約七万八千六百人と対前年比で九・七%、受給者人員では約四十六万五千四百人と対前年比で七・八%と、それぞれ大幅な増加傾向を示しています。  このような状況の中で、両県とも中高年齢者身体障害者有効求職者増加している一方、求人側若年者志向が強いこと等から、これらの者の就職は一層困難となっているのが実情です。  香川県は、全国八番目の高齢県として、中高年齢者雇用生活の安定を重要課題として取り組んでおります。すでに民間企業の高年齢者雇用率は、五十七年六月で九・六%と法定雇用率を三・六%も上回っているほか、六十歳以上の定年制企業全国平均を上回るなどの実績を上げていますが、さらに、六十歳代前半層継続雇用推進のほか、高松市、丸亀市に設立されたシルバー人材センター育成強化各種給付金制度活用による再就職促進等の諸施策をより強力に推進しているところであります。  また、兵庫県におきましても、中高年齢者雇用維持基本とし、定年延長を基軸として、企業に対する集団指導個別指導を積極的に展開するなど、諸施策を講じているところです。ここで特に注目されたのが身体障害者、ことに就職の困難な重度障害者に対する雇用確保のための受け皿づくりであります。それは昨年末操業を開始した加西市の第三セクター方式による身体障害者雇用モデル工場でありますが、当工場は、電子レンジ用マグネトロン部品製作により年間約十億円の生産高目標に、三年計画で約七十人の従業員の半数を重度障害者雇用に充てるというものです。  なお、本州四国連絡橋児島—坂出ルート進捗状況について、坂出現地説明を受けました。本工事就業者は、現在千五百人から千六百人でありますが、五十九年度から工事が本格化することに伴い、地元優先雇用公団等要望していくとのことでありました。  次に、特定産業実情について申し上げます。  香川県におきましては、需要停滞により木材産業減産基調にあるほか、造船関連企業新規受注の不振などにより、全般的に生産活動は低調に推移しています。これが対応雇用調整助成金支給決定状況で見ますと、五十七年四月から九月の間に、八十件、二万七千五百五十人日となっておりますが、その八五%が木材関連及び窯業、土石製品製造業など、住宅関連産業となっています。また、特定不況業種離職者臨時措置法に基づく指定業種関係労働者は、下請企業を含めて約四万人でありますが、五十六年以降では、平電炉の八十人を除けば現在までのところ大量離職者はなく、また、求職手帳発給者の大部分は再就職しているとのことであります。  これに対し兵庫県では、鋼船生産が五十年当時の四分の一程度に落ち込んでいるほか、高炉鉄鋼では輸出の低迷在庫高などにより大幅減産が続いており、余剰人員対策として、残業規制、配転、採用抑制等に加え、雇用調整を実施する動き大手企業中心に広がっています。これにより雇用調整助成金支給決定件数は、五十七年四月から十二月までに二百三十五件で、休業延べ日数約四万二千五百人日、支給決定総額約一億四千五百万円と大幅な増加を示しております。また、特定不況業種離職者臨時附置法求職手帳発給数は、累計で約四千六百件、うち特定地域指定相生職業安定所管内が約千二百件で、その大部分船舶製造修理業関係となっています。  このような動き対応し、特に高年齢者心身障害者にしわ寄せされないよう雇用率制度達成雇用調整助成金制度のより機動的、弾力的運用等を図り、失業予防雇用安定確保に努めているところでありますが、基本的には、先端産業の誘致、育成など、産業構造転換が今後の緊急かつ再製な課題となっているとのことであります。  なお、両県から特定不況業種離職者法等期限延長について、また、香川県からはシルバー人材センターに対する国の補助期限延長について、格別の配慮をされたいとの要望がありました。  次に、老人保健法関係について申し上げます。  香川県の老人人口比率は五十七年で一二・四%と、全岡平均より約十年早く高齢化が進んでおります。このため、老人保健医療対策を年々充実させてきておりますが、ことに老人医療費支給事業における六十八歳と六十九歳を対象とする県単事業は、五十七年四月現在で対象者約一万二千四百人、補助額二十六億円に及んでおりますが、老人保健法施行後も継続実施の方針とのことであります。また、県単で、寝たきり老人短期保護事業など各種上乗せ補助を行い、また、成人病対策においては、がん死亡全国平均に先行して高いことから、胃がんや子宮かん等集団検診のほか、県単事業として乳がんの早期発見に努めています。  これに対する医療従事職員は、全的平均を若干上回っておりますが、老人保健法施行に伴う要員確保課題となっております。現在、保健婦は二百七十名で、うち県内七カ所の保健所等地域に二百二十四人が附置されておりますが、これを六十一年には退職保健婦の雇い上げや新規採用を含めて三百四人に増員することにしております。なお、保健所職員設置費補助金の今後の堅持強化等について配慮されたいとの要望がありました。  兵庫県の人口約五百十四万人に対する老人人口比率は九・二%で全国平均並みでありますが、寝たきり老人は約八千四百人、ひとり暮らし老人は約二万九千人となっています。本県におきましても、老人医療費公費負担制度は四十六年から実施されており、現在、六十五歳から六十九歳の者十二万九千百人に対し、約四十二億二千万の補助を行っておりますが、老人保健法施行後は、国の制度と同様に医療費の一部自己負担を導入して継続実施するとのことであります。また、寝たきり老人等援護対策成人病予防対策等のほか、さらに健康づくり対策として、五十七年度には、三大成人病の一つである心疾患早期発見のための県下二十六保健所県立姫路循環器病センターとを直結する電送心臓検診システムを開設するなど、積極的に施策が行われております。  なお、本県医師歯科医師全国平均を上回っておりますが、保健婦OTPTについては相当数要員確保が必要となっています。保健婦は現在九十一市町に五百二十人が配置されておりますが、老人保健法施行に伴い六十年には九百四十五人に、また、OTは当面の目標達成のため三十三人から百八十五人に、PTは百七十五人から二百七十七人に、それぞれ増員することが必要であります。これへの対応としては、県内の各養成機関の定員を倍増するなど、その養成をもって充足するよう努めるとのことであります。  次に、私どもが視察いたしました川崎重工業坂出工場及び石川島播磨重工業相生工場の経営並びに雇用管理実情について簡単に申し上げます。  五十五年の底を脱し回復基調にあった世界造船需要は、低経済成長省エネルギー構造への転換、低輸送効率恒常化等により、五十七年をピークに再び下降局面に突入すると予測されるに至っております。  坂出工場においては、さきの石油ショック以後タンカー新造船受注はほとんどなく、建造能力三十五万重量トンの第一ドックは海洋機器等建造に切りかえる等大きくさま変わりしておりました。こうした努力により、船舶部門では、石油ショック時に大幅調整された後の従業員数は維持してきておりますが、このまま推移すれば、再び雇用調整は避けられないとのことであります。すでに昨年十一月に修繕部門の百六十二人が教育訓練のため雇用調整助成金を受給しておりますが、さらに、本年二月からは工作部門の百三十六人にも実施する予定であり、今後の雇用管理動きが注目されるところであります。  相生工場は、各種船舶、ディーゼルエンジン及び各種ボイラー製造を主軸とする三工場で構成されております。造船部門では、石川島播磨重工業全体の新造船受注量は五十五年の百二十万重量トンから五十七年には約三分の一に低下しておりますが、相生工場はフル稼働していることから、現在までのところ従業員の減員は行われておりません。しかし、操業時間では、修理船の落ち込みが大きく、百万時間以上減少しており、時間外労働も月一人平均十時間程度となっています。こうした中で、相生工場では五十六年以降大卒採用はなく、高卒も大幅に減少しております。さらに、本年三月からはついに百三十人に対する雇用調整助成金の適用を行わざるを得ないとのことでありますが、産業全体が落ち込んでいる今日においては、石油ショック時以上の困難な事態となっているとのことでありました。  なお、両工場では、特定不況業種離職者臨時措置法等期限延長について要望が、また、官用船公共事業の発注を希望する発言等がありました。  最後に、兵庫県立姫路循環器病センターについて申し上げます。  県民の要望により建設され、昨年七月に診療を開始した当センターは、脳血管障害心脈管疾患などの循環器系の治療を主体に、最新鋭の医療機器専門医療集団による高度医療を行っております。また、地域保健医療機関との連携を重視し、県全体の医療水準向上にも寄与するなど、各般にわたる活動を続けております。  診断面の特徴といたしましては、重症患者集中監視システム核医学診断システムホルター心電システム等がとられており、広い地域からの外来患者は急増し、すでに三百病床の九割が活用されております。このほか、前述した電送心臓検査事業等整備されておりますが、このような高度医療体制を確立するためには、すでに六十余件の最新医療機器に二十三億円が支出されており、また、県の補助額は五十七年、八年の両年度にそれぞれ七億円から八億円に及ぶとのことであります。なお、当センターでは医師四十人、看護婦百八十三人でありますが、患者数増加事業充実拡大に伴う増員が今後の課題となっています。  以上で報告を終わりますが、今回の調査を通じて感じた点について一言申し上げたいと思います。  世界的不況の中で、わが国高齢化技術革新、財政難といった難題を抱えており、雇用情勢をめぐる状況石油ショック時以上に厳しいものとなっています。雇用の安定は、何といっても景気回復によるほかはありませんが、さらに実効のある雇用確保のための諸施策推進していくべきであること、また、老人保健法施行に伴う諸問題についても、運用面を含めてさらに改善に努めていくべきであることなどを強く感じた次第であります。  なお、調査の際提出されました要望事項会議録末尾掲載方委員長においてお取り計らいいただくようお願いをいたしまして、報告を終わりたいと存じます。
  4. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  なお、渡部君の報告中にありました要望事項につきましては、これを本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) この際、御報告を申し上げます。  去る三月十五日、予算委員会から、三月二十三日及び二十四日の両日、昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管労働省所管医療金融公庫及び環境衛生金融公庫について審査の委嘱がございました。  理事会で協議いたしました結果、明二十三日は厚生省所管分、二十四日は労働省所管分を審査することといたしました。     ─────────────
  7. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 本日は、厚生労働大臣から、所信表明に引き続き予算説明を聴取いたします。  予算説明につきまして、その概略を聴取することとし、詳細な予算説明につきましては、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  9. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) まず、労働大臣から、労働行政基本施策についての所信及び労働省関係予算説明を聴取いたします。大野労働大臣
  10. 大野明

    国務大臣大野明君) それでは、所信表明並びに一般会計特別会計所管分について、概要を御説明申し上げます。  社会労働委員会の御審議に先立ち、今後の労働行政について所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  今日の労働問題を取り巻く環境は、経済成長速度の鈍化、貿易摩擦問題の激化、さらに人口高齢化技術革新進展等大きな変化局面にあります。  このような変化対応した適切な施策を講じ、日本の社会が持つ活力をさらに発展させ、勤労者が安心して将来に夢を持てる生活を営めるようにすることが労働行政の使命だと考えております。このような見地に立って、当面次の事項重点を置いて労働行政を進めてまいる所存であります。  まず第一の課題は、現下の厳しい雇用失業情勢に適切かつ機敏に対応する雇用対策推進であります。  最近の雇用失業情勢は、景気停滞を反映して厳しいものがあり、適切な経済運営により景気の着実な回復を図るとともに、雇用調整助成金制度機動的活用による失業予防職業安定機関を挙げての求人の開拓、各種助成措置活用等による離職者の再就職促進等雇用対策を積極的に推進し、雇用情勢改善を図ってまいる所存であります。  特に、構造的な要因により不況に陥っている業種及びその関連地域については、本年六月に期限が切れる特定不況業種離職者臨時措置法及び特定不況地域離職者臨時措置法の二法を整備統合するとともに、離職訓練事業主あっせんによる再就職等についての助成措置新設等施策充実を図り、関係労働者雇用の安定に資することとしており、今国会にそのための法律案を提出いたしておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。  第二の課題は、高齢化進展対応した労働政策の統合的な推進であります。  本格的な高齢化進展する中で活力ある福祉社会を実現することは国政の最重要課題であります。このため、現在、六十歳定年一般化を当面の目標として取り組んでおりますが、その一層の前進を図るため、定年延長指導計画的推進定年延長アドバイザーの創設をはじめとする援助措置充実を図ってまいります。また、六十歳代前半層についても、雇用延長推進シルバー人材センター拡充等によりその多様な就業希望に応じた雇用就業機会確保に努めてまいります。  さらに、生涯職業訓練体制整備を進め、中高年齢者職業能力開発向上を図るとともに、中高年齢労働者の統合的な健康の保持増進対策の展開、財形年金貯蓄制度普及促進等による高齢者所得安定対策推進等高齢化進展対応した総合的な施策推進してまいります。  第三の課題は、産業構造及び就業構造変化対応する施策推進であります。  マイクロエレクトロニクス活用中心とした技術革新は近年急速に進展しており、今後さらに広範な分野で本格化すれば、雇用を初め労働問題全般に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。このため、今年度に引き続き統合的な調査を実施するとともに、マイクロエレクトロニクス化対応した能力開発対策推進産業用ロボット等に係る安全関係法令整備研究充実等を図ってまいる所存であります。  また、第三次産業分野拡大対応し、その多様な雇用就業形態に関する調査研究を実施するとともに、増大するパートタイマーについて、職業紹介体制充実労働条件明確化指導等推進してまいります。  第四の課題は、安全で衛生的な労働環境の実現と労働福祉増進を図るための施策推進であります。  労働災害については、長期的に減少傾向を持続するなどの一定の成果を見ておりますが、技術革新高齢化進展に伴う新たな課題にも対応した労働災害防止計画を策定し、積極的に労働災害防止のための施策推進してまいります。  また、財形持家個人融資制度普及促進、週休二日制の普及等労働福祉増進について積極的に取り組んでまいる所存であります。  第五の課題は、心身障害者等の、特別な配慮を必要とする人々の職業生活を援助する施策推進であります。  心身障害者雇用は年々着実に改善されておりますが、重度障害者等については依然として困難な状況が見られます。このため、身体障害者雇用率達成指導推進等に加え、新たに地方公共団体も出資する第三セクター方式重度障害者雇用企業育成を図るなど重度障害者重点を置いた心身障害者雇用対策推進してまいります。  さらに、心身障害者職業能力開発向上のため、一般職業訓練校への入校促進、職業訓練大学校における福祉工学料設置等その対策充実に努めてまいります。  また、駐留軍関係離職者及び国際漁業離職者については、その再就職促進等を図るため、関係法律有効期限延長を行うための法律案を提出いたしておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。  第六の課題は、雇用における男女の機会と待遇の平等促進のための環境条件整備であります。  「国連婦人の十年」の最終年を二年後に控え、「婦人に関する施策推進のための「国内行動計画後期重点目標」の達成を目指して努力してまいります。  特に、雇用における男女平等を確保するための諸方策について、関係審議会において検討を進めてまいります。第七の課題は、労使相互理解信頼を強化するための環境づくり推進であります。  わが国労使関係は、相互信頼基調として社会の安定と経済の発展に大きく貢献してまいりましたが、高齢化進展産業構造変化等労使を取り巻く環境は厳しさを増しており、このようなときにこそ労使信頼関係の維持発展に努力を払っていく必要があります。  このため、今後とも産業労働懇話会を初め各種レベルにおける労使の話し合いの促進に努めてまいる所存であります。  第八の課題は、国際社会におけるわが国の地位にふさわしい労働外交の推進であります。  国際社会における相互依存関係は年々深まっており、労働分野における諸問題も国際経済動きを初めとして国際社会動きと密接な関係を有するようになってきております。資源に乏しく海外に多くを依存しておるわが国としては、技術協力、相互理解の促進を通じて労働分野においても国際社会と協調していく必要があります。  このため、海外職業訓練協力センターの新設等により海外技術協力の一層の充実に努めるとともに、わが国労働事情の積極的な広報、ILO等国際機関、国際会議への積極的な参加、協力を通じ国際理解の促進を図ってまいる所存であります。  以上、当面する労働行政重点事項について、私の所信を申し述べました。委員各位の一層の御指導と御協力をお願いする次第であります。  次に、昭和五十八年度一般会計及び特別会計予算のうち労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。  労働省の一般会計の歳出予算額は、四千九百五十億九千四百万円で、これを前年度当初予算額五千十六億六千五百万円と比較いたしますと、六十五億七千百万円の減額となっております。  次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。  この会計は、労災勘定、雇用勘定、徴収勘定に区分されておりますので、勘定ごとに歳入歳出予算額を申し上げます。  労災勘定は、歳入歳出予算額とも一兆五千七百六十一億九千九百万円で、これを前年度予算額一兆四千八百六十五億二百万円と比較いたしますと、八百九十六億九千七百万円の増加となっております。  雇用勘定は、歳入歳出予算額とも一兆八千三百六十四億五千九百万円で、これを前年度予算額一兆七千二百五十二億三千七百万円と比較いたしますと千百十二億二千二百万円の増加となっております。  徴収勘定は、歳入歳出予算額とも二兆三千四百六十三億四千八百万円で、これを前年度予算額二兆二千四百六十三億五千五百万円と比較いたしますと九百九十九億九千三百万円の増加となっております。  最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計の石炭勘定のうち当省所管分としては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として百八十四億四千九百万円を計上いたしておりますが、この額は、前年度予算額百八十七億三百万円と比較いたしますと二億五千四百万円の減額となっております。  昭和五十八年度の予算につきましては、限られた財源の中で各種施策について優先順位の厳しい選択を行い、財源の重点配分を行うことにより、最近の雇用失業情勢にも十分配慮しつつ、きめ細かく、かつ、効率的な労働施策の実現を図ることといたしております。  以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付してございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞ、本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第であります。
  11. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 次に、林厚生大臣から厚生行政基本施策についての所信及び厚生省関係予算説明を聴取いたします。林厚生大臣
  12. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 社会労働委員会の御審議に先立ち、厚生行政について所信の一端を申し述べてみたいと思います。  二度にわたる石油ショックは、全世界に大きな影響をもたらし、アメリカを初めとする先進諸国もこれに対処するため、大きな努力を払ってまいりました。しかしながら慢性的な経済停滞は引き続き、社会の活性をいまだ取り戻すに至らず、いわゆる先進国病に対する適切な処方せんはなかなか書くことができない状況にあります。  わが国経済社会は、欧米諸国に比べ比較的柔軟に石油ショックを受けとめてまいりました。わが国はこれまで欧米へのキャッチアップを目指してまいりましたが、石油ショックを経た今日、欧米の模倣の時代は終わり、わが国独自の創造力に基づく新しい福祉社会の建設を目指す時代が到来したものと考えます。私は、皆様方の御意見を伺いながら活力ある福祉社会の建設を通じて、新しい時代の創造に全力を挙げてまいる所存であります。  わが国社会保障制度は、すでに国民の生活の中に深く根づき、国民一人一人は社会保障給付を織り込んだ生涯の生活設計を立てております。このような社会保障制度の安定的発展を期するためにも、活力ある福祉社会の建設という見地からその見直しを行う必要があることを私は率直に申し上げたいと思います。  ただし、見直すというのは、長期的視野に立って高齢化社会、成熟化社会、そして国際化社会という新たな時代に対応できる制度に改めるということであって、決して福祉を切り捨てるということではありません。家庭、コミュニティーなど、社会的連帯をはぐくみ、国民が生きがいと安心を見出していけるような基盤を充実していくとともに、国民の健康や老後に対する保障あるいは社会経済的に弱い立場に置かれている方々に対する援助を効果的に実施していくことが、これからの社会保障行政に課せられた役割りであると考えております。  昭和五十八年度予算案の編成も、マイナスシーリングというきわめて厳しい状況のもとで行われましたが、これからの時代に対応する予算の第一歩として、積極的な健康づくり対策あるいは老人身体障害者の在宅福祉対策など真に必要な施策に関する経費については、全力を挙げて確保するように努力いたしました。その結果、全体としては、現下の厳しい財政状況のもとでも実質的な福祉水準が維持できる予算になったものと考えております。  以下、昭和五十八年度における主要な政策について申し述べます。  社会福祉対策につきましては、厳しい状況にあるときこそ、社会的、経済的に弱い立場にある方方が不安なく生活できるよう、地域社会との関係を考慮しながらその一層の充実に努めていく必要があります。このため、これらの方々が家族や地域の人々とともに生きがいを持って生活できるよう、家庭奉仕員の大幅な増員、デイ・サービス事業の拡充など在宅福祉対策推進に特は重点を置くとともに、引き続き必要な施設の整備を進めていくこととしております。  また、生活保護につきましては、国民生活水準の動向を勘案して、生活扶助基準の引き上げを行うこととしております。  児童家庭問題につきましては、社会に活力をもたらしてくれるかぎである子供たちの健全な育成と家庭基盤の充実を図る必要があります。そのため、児童館の増設、母子・寡婦資金の貸付原資の増加、母子保健対策充実など施策全般について、その推進を図ってまいる所存であります。  国民医療の確保につきましては、社会変化に応じ、医療需要の増大、多様化に対応するため、医療供給体制の整備を図っていくことが現下の急務であると考えております。このため、予防からリハビリテーションに至る包括的な医療体制を確立し、地域の医療需要に沿った診療機能のネットワークをつくっていく必要があり、その一環として地域医療計画の策定などを内容とする医療法改正法案を今国会に提出すべく、鋭意準備を進めております。  老人保健制度につきましては、保健と医療の両面にわたり、総合的な事業の円滑かつ的確な実施を図るために全力を挙げてまいる所存であります。  また、老人精神保健対策といたしまして、保健、医療及び福祉の緊密な連携を図り、包括的な地域ケア体制づくりを目指すこととしております。  医療保険制度につきましては、現に国民生活の安定向上に重要な役割りを果たしてきております。  しかしながら、高齢化社会の到来を控え、医療保険を取り巻く環境は厳しく、医療費の適正化が強く要諦されており、厚生省といたしましても、不正請求の徹底的排除を初め、薬価基準の改定、診療報酬の審査の充実など、これに鋭意取り組んでいるところであります。  なお、国民健康保険につきましては、都道府県を単位として高額医療費について逐次保険者の共同事業を実施してまいりたいと考えております。  公的年金制度につきましては、本格的な高齢化社会の到来を控え、制度の長期的安定を図ることが現在最も重要かつ緊急の課題となっております。このため、厚生年金並びに国民年金について、関係審議会の意見等を踏まえ、わが国社会高齢化のピークを迎える二十一世紀を展望しつつ、制度全般のあり方について見直しを行い、次期通常国会に所要の改正法案を提出いたしたいと考えております。なお、五十八年度における年金額の改善につきましては、諸般の厳しい状況にかんがみ、これを見送ることといたしました。  中国残留日本人孤児の問題につきましては、先般四十五人の孤児が来日し、その肉親捜しを行いましたが、今後ともその推進を図るとともに、帰国後の定着化対策の一層の充実強化に努める所存であります。  医薬品につきましては、昨年国民の信頼を失わせるような事件が生じ、まことに遺憾に存じております。国民の健康を預かる者として一層心を引き締め、薬事行政を厳正に進めてまいります。  このほか、厚生行政は、水道、廃棄物に関する施設整備環境衛生関係営業の振興、食品、家庭用品の安全確保対策など、国民生活に直結した問題に関するひとときもゆるがせにできない施策ばかりであります。  私は、皆様の御支援、御鞭撻を得ながら、このような厚生行政推進に全力を挙げて取り組み、国民福祉の着実な向上を図ってまいる所存であります。  何とぞ、よろしくお願いいたします。  次に、昭和五十八年度厚生役所省一般会計特別会計及び政府関係機関予算の概要について御説明申し上げます。  昭和五十八年度厚生省所管一般会計予算の総額は九兆六百十四億円余でありまして、これを昭和五十七年度当初予算額九兆百六十八億円余と比較いたしますと四百四十六億円余の増額、〇・五%の増加率となっており、国の一般会計予算総額に対し一八%の割合を占めております。  御承知のとおり、最近におけるわが国経済情勢及び財政事情はまことに厳しいものがあり、明年度予算も引き続き財政再建を強力に推進し、その対応力を回復することにより、経済の着実な発展と国民生活の安定、向上を図る基盤を確立することを目標に編成されたところであります。  厚生省予算につきましても、歳出内容の見直し、合理化を徹底的に行い、限られた財源を最大限活用するため、給付の重点化、公平の確保に努め、将来にわたり社会保障制度を安定的かつ効率的に運営していくことを編成の基本方針としたものであります。  このような厳しい制約のもとにおきましても、幸い厚生省予算は各方面の絶大な御理解と御協力によりまして、社会福祉、保健衛生、社会保険等各般の施策推進に必要な措置を講ずることができ、福祉水準は全体として維持されたものと考えております。  この機会に各位の御支援に対し衷心より感謝申し上げますとともに、責任の重大さに思いを新たにして、国民の健康と福祉を守る厚生行政進展に一層の努力を傾注する決意を表明する次第であります。  さて、昭和五十八年度の予算編成に当たって特に留意した点を申し上げたいと存じます。  第一に、地域社会の中で老人心身障害者、低所得者等社会的、経済的に弱い立場にある人々を支えるため、生活保護基準の引き上げ、身体障害者社会参加促進事業充実、家庭奉仕員の増員等を初めとする各種在宅福祉施策の拡充強化を図るとともに、社会福祉施設についても運営の改善等を行うことといたしております。  第二に、本格的な高齢化社会の到来を控え、国民の健康を増進し、治療中心の医療からの脱却を図るため、本年二月から施行されている老人保健制度及びこれを円滑に推進するための関連保健衛生施策の拡充整備並びに医療費の適正化に特に配慮いたしております。  第三に、国民の保健医療を確保するため、僻地医療体制の計画的な整備、救急医療、医療従事者の養成確保、母子保健対策、精神衛生対策充実を図ることとしているほか、難病対策、特定疾病対策等の拡充を図ることといたしております。  以上のほか、生活環境施設の整備、原爆被爆者、戦争犠牲者のための対策、医療品、食品の安全対策、血液、麻薬・覚せい剤対策環境衛生関係営業の振興等につきましても、引き続きその推進を図ることといたしております。  なお、所得保障の中核であります年金制度におきましては、昭和五十七年度の消費者物価上昇率が三%をも下回る見込みであることや、公務員給与改定の見送り、恩給、共済年金等の据え置き等諸般の情勢にかんがみ、年金額を据え置くことといたしましたが、所得制限につきましては、現に相当の水準にある母子・準母子福祉年金を除き、本人所得制限限度額を引き上げることといたしております。  以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付いたしてございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
  13. 目黒今朝次郎

    委員長目黒朝次郎君) 以上で所信及び予算の説明聴取は終わりました。  本件に関する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時四十九分散会