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1983-05-13 第98回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十三日(金曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員異動  五月十一日     辞任         補欠選任     村沢  牧君     目黒朝次郎君  五月十二日     辞任         補欠選任      和泉 照雄君     藤原 房雄君  五月十三日     辞任         補欠選任      谷川 寛三君     岩動 道行君     目黒朝次郎君     村沢  牧君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福間 知之君     理 事                 田代由紀男君                 仲川 幸男君                 鶴岡  洋君     委 員                 井上  孝君                 岩動 道行君                 岡部 三郎君                 古賀雷四郎君                 鈴木 省吾君                 高木 正明君                 松尾 官平君                目黒朝次郎君                 藤原 房雄君                 下田 京子君                 伊藤 郁男君                 江田 五月君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  加藤 六月君    政府委員        国土庁長官官房        審議官      荒井 紀雄君        農林水産大臣官        房審議官     大坪 敏男君        消防庁次長    大嶋  孝君    事務局側        常任委員会専門        員        田熊初太郎君    説明員        防衛庁防衛局運        用第一課長    萩  次郎君        防衛庁経理局施        設課長      大原 重信君        厚生省社会局施        設課長      近藤純五郎君        林野庁指導部長  鈴木 郁雄君        林野庁指導部森        林保全課長    古宮 英明君        気象庁予報部予        報課長      黒沢真喜人君        自治大臣官房参        事官       松本 和雄君        自治省行政局行        政課長      中島 忠能君        消防庁消防課長  清水 良次君        消防庁地域防災        課長       志村 哲也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (東北地方中心とした山林火災に関する件)     ─────────────
  2. 福間知之

    委員長福間知之君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一日、村沢牧君が、また十二日、和泉照雄君が、また本日、谷川寛三君がそれぞれ委員辞任され、その補欠として目黒朝次郎君、藤原房雄君、岩動道行君が選任されました。     ─────────────
  3. 福間知之

    委員長福間知之君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  東北地方中心とした山林火災について政府から報告を聴取いたします。荒井国土庁長官官房審議官
  4. 荒井紀雄

    政府委員荒井紀雄君) 去る四月二十七日発生いたしました東北地方中心とします山林火災状況及びその対応について御報告を申し上げます。  お手元に縦長の資料と横の資料と二通りございますので、ごらんをいただきながらお聞き取りいただきたいと思います。  当時の気象状況につきましては、移動性高気圧日本の南海上から本州付近を覆っておりまして、一方九百八十四ミリバールの低気圧沿海州方向、それから九百九十四ミリバールの低気圧北海道の西岸にございまして、日本列島は南北の気圧傾度が急になりまして、強風が吹いておったわけであります。東北地方の一部におきましては、フェーン現象が起こりまして、なお二十三日から雨らしい雨がなく、乾燥状態が続いておりました。  このような気象状況下におきまして、四月二十七日の十時ごろから十五時半ごろにかけまして、東北地方各地及び石川県で大規模林野火災発生いたしました。発生状況は十ヘクタールを超えるものをそこに列挙してございますが、合計十三件に及んでおります。被害状況は、五月十二日現在で、負傷者十二名、焼損建物百六十棟、うち住家五十七棟、焼損面積四千四百四・二ヘクタールでございます。詳細は横長のページの方に出ておりますので、ごらんをいただきたいと存じます。  これに対しまして、政府におきましては、四月二十八日の夕刻、災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして、講ずべき措置について協議をいたした次第であります。  まず、消火活動あるいは救助救護活動についてでございます。県知事の要請によりまして、青森県、岩手県、宮城県、石川県におきまして、陸上自衛隊、海上自衛隊合わせまして延べ約九千名、車両約千両、航空機約七十機を派遣しまして応急活動を実施いたしました。  また、警察におきましては、警備連絡室を設置いたしまして、現地におきまして警官延べ約三千人を動員しまして、住民避難誘導交通規制被災地特別警戒等応急活動に努めました。  消防庁では、庁内に東北地方林野火災災害対策連絡室を設置しまして、情報収集を行いますとともに、担当官久慈市の現地に派遣しまして、指導、調整に当たらせました。現地消防活動としましては、消防職員千八百人余、団員一万一千人余を出動させまして、消火活動住民避難等消防活動に当たっております。  海上保安庁におきましては、二十七日久慈市からの災害派遣要請を受けまして、直ちに巡視船避難民救出を指令いたしますとともに、久慈地区火災対策本部を設置いたしまして、巡視船五隻、航空機二機によりまして、避難民二十八名の救出火災状況調査等応急活動を実施いたしました。  それから次に、ライフライン関係におきましては、電力関係では久慈市で約二百戸が停電いたしましたが、二十八日十六時四十六分、完全復旧をいたしております。  また運輸省では、国鉄バスが一部不通に伴い、折り返し運転を行いましたが、二十九日始発から平常どおり運転をいたしております。なお、四月二十八日から五月二十七日まで救援物資無賃輸送を実施をいたしております。  厚生関係では、災害救助法久慈市に対しまして二十七日午後七時三十分に適用されまして、避難所の設置、炊き出し、応急仮設住宅供与等救助を実施いたしました。簡易水道は一時断水いたしましたが、二十八日じゅうには完全に復旧しております。  次に住宅関係でありますが、災害復興住宅資金の貸し付けを住宅金融公庫に対し指示を行いました。また、荒廃状況調査しまして、必要に応じて砂防工事を実施いたすことといたしております。  次に、林野関係であります。林野庁東北地方等林野火災対策室を設置し、担当官現地に派遣いたしまして被害状況の把握に努めますと同時に、森林国営保険あるいは水産庁関係漁船保険等保険金につきまして、すでに早期支払い指導をいたしまして、漁船保険につきましては一部すでに仮払いを実施いたしております。また被災漁業者方々につきましては、早期に操業できますよう漁船及び漁具の取得につきまして指導をいたしております。また農林漁業金融公庫融資につきましては、被害実情に応じまして公庫資金が円滑に融通されますように、盛岡支店に対しまして関係者資金の種類、融資条件等につき制度の徹底を図るよう指示をいたしております。被災林地につきましては、被害状況に応じまして緊急治山事業を実施いたしますとともに、造林等林業復旧事業の活用を図るなど適切な措置を講ずる所存でございます。  次に、中小企業被害久慈市において八件、四千三百万円報告されておりますが、政府系中小企業金融機関に対しまして災害貸付制度の発動を指示いたしました。  また地方財政におきましては、被災者団体が行います復旧事業等に要する経費につきまして、実情十分調査の上、被害状況財政状況を勘案いたしまして、地方債の配分あるいは特別交付税措置を通じまして適切に対処をいたしてまいります。なお、久慈市に対しましては、普通交付税一億六千四百万円を十一日に繰り上げ交付をいたしました。同時にまた、被災納税者方々の税の減免措置等につきまして関係地方団体指導いたしております。  最後に、郵政省関係におきましては、四月二十八日から五月二十七日の間、為替貯金非常取り扱いを実施いたしております。また、緊急時におきます特設公衆電話を設置いたしました。  現在までの状況は以上のとおりであります。なお今後被害状況の精査に応じまして、適確対策を講じてまいる所存でございます。  以上で御報告を終わります。
  5. 福間知之

    委員長福間知之君) 以上で政府からの報告の聴取を終わります。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は社会労働委員長の仕事でちょうど滝沢村に別な用事で行きまして、まあ、たまたま偶然滝沢村の周辺現地の一部を見ることができました。でも、久慈市の方にはまだ行っておりません。ただ見た感じでは、北海道の有珠山の災害の後、あれに私も三回ほど行っていますが、災害対策特別委員でも直接、爆発直後行きましたし、後ほど二回ほど、合計三回ほど現地へ行っておりますが、そういう点では山の被害というのは大体似通ったようなものがあるなと、こんな感じをしながら与えられた時間、問題点について質問したいと思います。  いま概況については政府側からありましたから、これは省略いたします。ただ、われわれ素人でわからないのですが、マスコミなどによりますと、気象状況で、フェーン現象というやつが今回の大きな現象を起こしたと、こういうことなどがマスコミで共通的に言われておるのですが、フェーン現象というのは、気象庁、どういう現象で、もうこれは対応はどうにもならぬのかなと、その辺の専門的なまず見解を、マスコミだけじゃだめですから、今後の勉強も含めて気象庁にこのフェーン現象というものと、それに対する対応があるのかないのか、これをひとつ要領よく、科学的にちょっと教えてもらいたいなと、こう思います。
  7. 黒澤真喜人

    説明員黒澤真喜人君) 先生指摘フェーン現象でございますが、この語源につきましてはヨーロッパアルプス方面の、山の方から吹いてきます局地風がその語源になっているというふうに言われております。それで、空気が山を越えて流れおりてくるという現象世界各地どこにもございますが、日本にも太平洋側から日本海側へ、あるいはその逆に日本海側から太平洋側へと風が吹く場合に同じような現象が起こりまして、湿った空気が山をはい上がっていきまして水蒸気が凝結し、それから雲になり、あるいは雨になって落とし、それが今度は山を吹きおりるときには非常に乾いた、それからまた気温がだんだん上昇しますので、暖かい空気になって風下側平野部におりてくるという現象フェーン現象と呼んでおります。それで、こういった現象は、規模はともかくとして、そうめずらしいことではございませんですけれども、その程度が非常に何といいますか、大きい場合には、つまり乾燥の度合い、あるいはその温度の上がりぐあいの大きい場合には、いろいろと火災等につきまして危険な状態を伴いますので、気象庁といたしましては異常乾燥注意報あるいは強風注意報というような情報を発表いたしまして、一般の皆さんあるいは防災機関にこれをお伝えいたしまして警戒を呼びかける、そういう処置をとっております。
  8. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これも私は古い記憶で、岩手県が、今回岩手県が大きな事故を起こしたんですが、昭和三十六年の四月と昭和三十七年の四月、このフェーン現象下大火があったと、こういう記録が残っているというのでありますが、このときフェーン現象と重なって火災が起きて、その教訓から何か対応ができなかったのか、どうにもならなかったのか、この記憶はありますか。昭和三十六年の四月、三十七年四月、フェーン現象下岩手県内で二回大火が起きておる、これいかがですか、消防庁でも結構です。
  9. 大嶋孝

    政府委員大嶋孝君) 御指摘のように、昭和三十六年の五月二十九日でございます。岩手県の下閉伊郡におきまして炭焼きの口火、それから造林地の地ごしらえの火入れ、開拓畑作業たき火の残りといったようなことがフェーン風にあおられまして林野に延焼し、一時に十数カ所から出火をいたしました。それで九市町村にわたりまして大規模林野火災に拡大をいたしたわけでございます。各地焼損面積を合わせますと、四万平米を若干超える、焼損家屋が千百四十二戸、死者四名、負傷者九十五名、こういうのを出したわけでございます。なお三十七年の記録は私の手元にちょっと残っておりません。  その前に、広島県の呉市におきまして、やはり山林火災発生をいたしました。これも異常乾燥下強風にあおられまして、焼損面積三百四十ヘクタール、損害額四千二百万円余、そして消防職員が十七名殉職をしたという惨事を起こしております。この教訓によりまして、消防庁におきましては直ちに黄落期におきます林野火災発生防止に万全の対策を講ずるように、都道府県それから市町村指導したわけでございます。また人命尊重を第一義といたしました林野火災警防戦術につきまして研究をいたしまして、その成果をマニュアルとしてまとめて全国の消防機関に配付をし、指導すると同時に、林野火災用消防施設整備、それから空中消火体制の確立といったような消火戦術近代化を推進してきたわけでございます。
  10. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、私が聞きもしないことばかり答えて、政府答弁書をつらつら読まれては、呉市のことなど何も私は聞いてないので、ちょっときのうのロッキード裁判弁護側陳述と同じだよね、聞きもしないことを。まあ、それはそれとして、とにかくフェーン現象下火災経験が過去にあったわけですね。ですから、私はやっぱりそういう経験があるし、また気象庁ではこのフェーン現象があれば大変な危険状態である。これは仙台気象台にちょっと聞いたんですが、湿度が四十%になれば何とか消えることに努力するけれども湿度が三十%以下二十五%などに下がっちまったら、なかなか消すにも消せないという点で、自然現象とは言いながら、災害防止上からはほうっておけない気象現象だということをわれわれは認識をして、これはひとつ気象台などを中心に、あるいは科学技術委員会などを中心に、このフェーン現象異常現象下における防火対策というのはどうあるべきかということを専門的に私はメスを入れてもらいたい。マスコミを全部読んでみますと、行政官庁答弁はもう不可抗力だというだけで逃げている。本当に不可抗力であるかどうかということになりますと、やはりまだメスを入れる余裕があるんではなかろうかと、こんなふうに思いますので、フェーン現象下における災害対策ということについて、ひとつこれは大臣の方から検討してもらいたいと思うのですが、いかがですか、このフェーン現象下対応について。
  11. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 目黒先生おっしゃいましたような、フェーン現象そのものを防ぐことはできないと思うわけでございますが、気象庁異常乾燥注意報あるいは強風注意報等を発令する前後になりますと、国民各階各層に火の始末という問題、ここら辺に対する事前PR訓練、まあ、出火原因はいろいろありますが、山林の場合、木と木がすれ合って自然発火する問題よりか、たばこの火あるいは、たき火の火の後始末、その他いろいろな問題がございますが、こういう問題について事前に十二分にPRして、責任を持って消さすPR並びに訓練を十分にしていって、このフェーン現象から発生する山火事その他を防止するということが第一ではないかと思います。  それからフェーン現象そのものにつきましては、先ほど気象庁から答弁がございましたが、ここら辺の問題について、さらに科学的に勉強すべきことはしなくてはならぬ、こう考えております。
  12. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 消防庁にお伺いしますが、消防白書などを出しておるわけですが、山火事関係年間どのくらいの件数があって、どのくらいの被害をこうむっておるのか。それから季節的に四月、五月とかというときに集中しておるのか、あるいは地域的に東北北海道などに集中しているのか、そういう季節的、地域的な関係、それから、それからくる消火体制整備強化ということについて白書もちょっと触れておって一通り見せてもらいましたが、重点的にこれらの問題についていままでの統計的な現状をお聞かせ願いたいと、こう思うんです。
  13. 大嶋孝

    政府委員大嶋孝君) 昭和五十二年から五十六年まで過去五年間林野火災状況を見てみますと、年間平均で五千百六十件発生をいたしております。焼損面積が、これも平均でございますが、四千九百四ヘクタール、損害額が二十四億四千二百万円ということになっております。  統計上いつごろが多いかということでございますが、過去の統計によりますと、全国的には三月の出火というのが最も多いわけでございます。ただ、これは地域によって若干違いまして、地域別に見ますと茨城、千葉、静岡、宮崎、鹿児島といった各県では二月が一番多いわけでございます。それより北の都道府県に行くに従いまして、この林野火災の多い月が三月、四月というふうに順次おくれてまいります。今回林野火災発生をいたしました岩手宮城、福島、石川といった各県は四月、青森、秋田の各県は五月というのが最も多いという統計になっております。
  14. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この出火原因などについてはどんな傾向になっておるんでしょうか。
  15. 大嶋孝

    政府委員大嶋孝君) まず今回の林野火災出火原因でございますが、これは関係県からの報告を受けたところによりますと、たき火が三件、ごみ焼きが一件、それからたばこの火の不始末といいますか、たばこによるものが三件となっておりまして、その他のものにつきましては現在なお調査中でございます。  過去五年間におきます林野火災出火原因について見ますと、たき火によりますものが三二・五%、それから、たばこの不始末によりますものが二二・四%、以下火遊びなりあるいはマッチ、ライターといったような人為的なものがほとんどを占めておる状況でございます。
  16. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あるマスコミ自然出火二%という数字を使った記事を見たんですが、この自然出火二%というデータは消防白書なり消防署の書類ではなかなか見当たらないんですが、実際山火事自然発火というのはあるんだろうか。あるとすれば、葉と葉が仲よくして出るのかどうか知りませんが、どういう現象なんだろうか。消防的な見地から、この自然発火というのはあるのかないか。今後の質問の関係ありますから、専門的に教えてもらいたいと、こう思うんです。
  17. 大嶋孝

    政府委員大嶋孝君) 私ども自然出火というのはほとんどないと思っております。ただ、落雷等によります出火というのが若干ございます。
  18. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 林野庁来てますか。――いまの自然発火消防庁見解ね。ほとんど人為的だと、仮にあるとすれば落雷などであると、こういうことについては、山を実際管理し、民有林指導している林野庁から見れば異議ございませんか。
  19. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 自然発火は私ども林野庁の方でもまずめったにないというように思っております。
  20. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 めったにないということは、たまにあるということだからね。そのたま落雷だと、こういう消防庁見解と同じですか。
  21. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) そのとおりでございます。落雷によります発火というのはたまにはございます。
  22. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、私は今回の最大の被害であった岩手県の久慈市の問題に入る前に、いま出火原因について――まあ順次やりましょう。久慈市の出火原因については、この前の荒井審議官説明では、調査中ということでありましたが、その後出火原因はわかったところありますか。
  23. 大嶋孝

    政府委員大嶋孝君) 先ほど国土庁荒井審議官の方から御報告を申し上げましたようなことでございまして、あれはたしか十二日現在の調査結果だと思います。したがいまして、その後原因が明確になったものはございません。
  24. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 では久慈市の問題も含めて、十二日現在まだわかったものはないということですね。じゃ、この久慈市の災害、いろいろ岩手県の先生もいらっしゃいますから専門的になさると思うんでありますが、私は特にいま宮城県の場合は岩手県のほどあれではありませんが、海岸地帯に絶壁が出ておって、そこにずうっと国有林民有林がありまして、この合間を縫って漁村が点在するというところがわれわれ宮城県にもあります。東北には往々にしてあることですな。そういう岩壁に建っておるところが火災になった際に、町村別に十分な消防体制ができているんだろうかいないんだろうかということについて非常にわれわれも疑問に思っておるところであります。したがって、あるとすればどういう体制になっておるのかということを御説明願うと。そのあるべき姿が今回の久慈市の災害で実際に機動したのかしないのか、そういうことについて、まず消防体制について教えてもらいたい、久慈市の全体の。
  25. 大嶋孝

    政府委員大嶋孝君) ただいま御指摘がございました村落がいろいろあるということでございますが、久慈市につきましては周辺の種市町、それから野田村といったようなところ、いわゆる一市一町四村で広域行政事務組合をつくっておりまして消防事務を共同処理しておるわけでございます。で、そこの消防体制といたしましては一署五分遣所消防職員が八十九名配置してあるわけでございます。また、その地域におきます消防団員の数が千八百二十四名でございまして、消防車両消防団管理のものを含めまして百二十七台、これは水槽つきポンプ車でありますとかあるいは普通ポンプ車でありますとかいったようなものでございます。それから消防水利といたしましては防火水槽消火栓等四百七十八というものを設置しておるわけでございます。  今回の山林火災被害のありました地区は玉の脇、二子、それから大尻の三地区というふうに聞いておりますけれども、これらの地区消防体制は、久慈消防署のほかに久慈消防団第三分団対応しておりまして、この分団分団員五十名、普通ポンプ車一台、小型動力ポンプ積載車三台というふうになっておるわけでございます。で、今回の火災に当たりましては消防組合の諸所からの消防職員十八名、それから応援協定に基づきまして消防車両三台出動したものを含めますと、消防職団員六百名、消防車両等五十台が災害防御に当たったというふうに聞いておるところでございます。
  26. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから私は、それだけの機動力とか、消防団員千八百なんぼですかな、千八百二十四名おって、そういう体制を敷きながら、今回の山火事あるいは山火事からくる地域住民への延焼、そういうものに機動的に対応できなかったのか。私は対応できなかったからこんな問題が起きたと思うんですよ。そうすると対応できなかった原因は何なのかということを究明しないと、これこれの車がおります、これこれの人間がおります、自衛隊何ぼ出ましたといっただけでは私は災害問題の究明にはならない。ですから、これだけの常備体制広域事務組合がおって、これが十分に機能したけれども、どうにもならなかったということなのか、機能しようとしたけれども、これこれの障害があったために十分な機能が発揮できなかったと。その辺の交通整理はいかがですかと。
  27. 大嶋孝

    政府委員大嶋孝君) 私が聞いておりますところによりますと、まずその状況から申し上げますと、初期でございますが、風下の方に住家等市街地がございまして、まずそちらの方を防ぐということで、消防職団員一応そちらの方へ重点的に移ったと。ところが、途中で風向きが急に変わったかどうかわかりませんが、谷を越えて、今度は逆の方へ火種が飛んでいったと。そういたしまして逆の方へ燃え広がっていったということで、それから急遽、返るにつきましては、道が一本しかございませんので、そこで返るのが若干おくれたかどうかというようなことになっております。したがいまして、私としては、消防としてはその必要な防御線というものを十分組んだ。ただ、気象条件がいろいろ変化する中で、大変に防御に苦戦を強いられたということが実情ではなかろうか、こういうふうに思っております。
  28. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、広域事務組合、これは、おたくが火事の現場に立ち会っておったわけではないから聞くのは酷かもしれませんが、しかし、消防の担当として、広域事務組合というかっこうで千八百二十四名、百二十七台の消防体制を持っておるにかかわらず、山火事という問題にぶつかってしまうと、山の陰におる住民の救済、あるいは海岸線におる住民の救済、そういうことについてはきわめて十分な活動ができないものだと、できなかったということを、やっぱり今回の火事が教えたということについてはお認めになりますか。
  29. 大嶋孝

    政府委員大嶋孝君) 現場の消防職団員は、今回の山火事に対しましても適確対応をしたというふうには思っておりますけれども、なお現実に山火事が相当燃え広がりましたし、それによりまして類焼した家屋等もございますので、その辺、完璧であったというふうには私どもも申し上げられない状況でございます。これは正直なところでございます。
  30. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 林野庁、私ら、まあ山に行って林道の問題、あるいはいろんな作業の道路の問題、住民の安全の点から、やっぱりいろいろ、金はないだろうけれども、大変だろうけれども、林道その他を通じて十分な対応やるべきだ。あるいはいま言ったふうに、山の陰にある住民火災になった場合に、いま言ったとおり、ポンプ車がおっても風にあおられて、いわゆるポンプ車が通れないと。住民から見ると、ちっとも――これ新聞に見られますわね。いつまで待ってもポンプ車が来ない、ポンプ車が来ないと言ってポンプ車を待っているわけですよ。ポンプ車の方は、車が行ってもがんがん遮られるから突破していけないと。どっちもやきもきだね、どっちもやきもき。そうしますと、それを解決するのは国の管轄なり、あるいは公有林も含めてやはりそういう地域には十分な林道、しかも複数の林道を、平常用と救急用も含めて複数の林道をつくっておかないと、こういう事態は解決できないということを逆に今回の火災は教えたんではなかろうか。山火事自体も大変でありますけれども、山の前後に散在している住民の生命安全ということを考えると、やっぱりそういうことが必要ではなかったんじゃなかろうかと、こういうことを私は教えていると思うんでありますが、山を管理している林野庁は、この林道あるいは救急用の林道などについてどうお考えでしょうか。
  31. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 先生ただいまお話しのように、林道は火事に当たりまして、特に初期の消火に大変効果的でございますし、今後とも林道網の整備計画に従いまして、林道の開設に努めてまいりたいと、このように思っております。
  32. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これ、国土庁長官、そうは言っても、農林水産委員会へいくと、林野庁、金がない、営林署の統廃合までやるんで金がないと、とても林道の整備までは手が届きませんと。民有林にいくと、民有林はそんなことに手をかけるのはもったいないと。公有林は公有林でもったいないということで、林道は非常に消火の初期の体制に必要だということは林野庁も認めていながら、いざ実行段階になると金の関係が絡んでなかなかうまくいかないんですよ。金の関係がわりあいにスムーズにいくのは、こういう災害関係発生したときの、災害復旧に絡む金を含めて、災害には大蔵省も、林野庁がどうの、国鉄がどうのって、これは言わないですよ。まあ、ゆうべだかきのう、新幹線百七十キロでドアみなあいたなんて、私、午後から行ってやるけどもね、何やってるんだって。――だから、災害っていう場合には非常に理解あるんですよ。だから長官ね、あんたこの災害の親分として、林道、それから救急用の林道を含めて、今回の災害について、全国の山を点検して、林道の整備ということについては林野庁長官とかそっちの方も指導を強化して、大蔵省からきちっとお金をもらって、人手はかかっても、金がかかっても、この際今回の教訓として林道を整備すると、全国の山を見直しするということについて、ひとつ国務大臣として私にお約束願いたいと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  33. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 林道の整備促進につきましては、今後とも引き続き一生懸命やっていきたいという気持ちを強く持っておるところでございます。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ、林野庁よりもじゃんじゃん要求出してね、大臣とよく相談して、林道を整備してください。お願いします。  それからもう一つ、私は今回の災害で死亡者が出なかった、あるいは行方不明がなくなったと。いまのような消防機能が十分に機能しなかったという中においても、何で事故がなかったかということを聞きますと、三陸津波の経験のあるあの三陸地帯の皆さんが、津波警報用のラッパを、まあ田舎で言えばラッパだ、山だからね、ラッパを皆備えておって、それで有線放送で、いまどこに火事が出たと、風はいまどっちの方に向いてると、だからどこどこの部落の人たちはどっちの方に逃げなさいと、こっちの方に逃げなさいと、そういう漁船の警報用の有線放送が非常に大事な役割りを果たして、それで住民がそれに従って行動したと、それで今回は不幸中の幸いで、あれだけの広大な火事に遭ったにかかわらず人災、いわゆる死者、行方不明ということはなかったということを、これは不幸中の幸いで教えておるということを新聞記事を見たんですが、これは私は本当だと思うんですよ。そうしますと、この教訓も、山火事というものについて私はやっぱり検討し、生かすべき一つの施策じゃなかろうかと、こんなふうに経験としてわれわれが教えられたと、こういって私は大きく評価したらどうかと、こう思うんでありますが、この点については、事実関係について消防庁、それから、この問題については今後の防止の一環として検討に値するんじゃなかろうかなあということを、消防庁の事実認識と見解を伺いたい、こう思うんです。
  35. 大嶋孝

    政府委員大嶋孝君) いま御指摘のように、今回の林野火災におきましては、漁業組合の有線放送を活用いたしまして避難誘導を行った、迅速な情報伝達を行ったということもありまして、死者が出なかったわけでございます。で、災害時におきましては防災行政無線なり、あるいはサイレンなり半鐘、広報車、あるいは消防職団員の巡回といった、あらゆる手段を活用いたしまして、住民避難誘導に当たる必要があります。今回の災害で、有線放送もまさにその有力な手段であるということが実証されたわけでございまして、今後とも住民避難誘導に当たりましては有線放送等を積極的に活用するように指導してまいる所存でございます。
  36. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 やっぱりそれは、当然今後の災害用で、林野庁と、それから民有林を扱ってる森林組合の皆さんとか、そういう方々と具体的に協議をして、火事の多発地区と言っちゃ変でありますが、火事の多発地区には早急にそういうものを具体化するように、これは大臣の方でも、各省に関係することですから、消防庁林野庁、自治省と、こういうところに関係することでありますから、その教訓を生かすという意味で、ひとつ大臣の決意を聞かしてもらいたいと、こう思うんですが、いかがですか。
  37. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今回の同時多発、そして広域的な山火事発生という点につきましては、いろいろな教訓も得ております。今後これを十二分に分析しまして、再発防止のためにがんばっていきたいと、こう思っておる次第でございます。
  38. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 加藤大臣なかなかうまい馬蹄型答弁だから、ずっと歩いているうちにどこかごまかされちゃって、まあ、この問題を含めてと、私はこれ以上もうあなたを追及しません。そういうふうに善意に解釈します。  それからもう一つ、今回の教訓で寝たきり老人ね、特別養護ホームの和光苑というのが、海岸にりっぱなのをつくったと。これは結構だと思うんですよ。しかし、こういう山火事とか一般の火災に、寝たきり老人のホームが火事に囲まれるというときに、事前救出体制といいますか、救い出すといいますか、避難といいますか、そういうことが当然並行して行われるべきだと、こう私は思っております。これは新聞記事でありますから、私は現地へ行っていません。幸か不幸か、和光苑のすぐ近くまで来て火がとまったと、こういう記事なのであります。したがって、私はこの和光苑におる五十名程度の寝たきり老人に対して、地方自治体なり消防署の皆さんなり警察の皆さんが、この火災の真っ最中に寝たきり老人の救出体制をとったのか、とらないのか、その辺の事実関係をぜひ教えてもらいたい、こう思うんですが、いかがでしょう。
  39. 大嶋孝

    政府委員大嶋孝君) まず、その和光苑自体の災害時におきます防災体制といいますか、そういうことがどうなっておるか、それから災害時におきます救出体制にどのような指導をしたかという二点についてお答え申し上げたいと思います。  まず、その和光苑、これはいまお話にございましたように、収容されている人たちが自力で避難することが困難な老人がほとんどでございまして、火災等発生をいたしました場合に容易に避難できるように、二階につきましては各部屋から直接地上へ避難できる建築構造にするといったような配慮がされております。また、和光苑の消防計画におきましては、そのような建築構造に対応いたしました避難誘導計画を立てる。と同時に、自衛消防隊員に対しまして総合訓練、部分訓練、基礎訓練といったような実地訓練以外にも、円滑な避難誘導の動きを隊員に定着させるように図上訓練を随時実施するというようなことで、避難対策に重点を置いたものになっておるわけでございます。  今回の災害時におきます行動でございますが、和光苑を管轄いたしております久慈地区広域行政事務組合、いわゆる消防本部におきましては、予防査察の際に、あるいは毎年春秋に実施いたします火災予防運動の際といったような機会をとらえまして、火災等の緊急時におきます避難体制の確立を指導する。そして避難訓練の実施等につきましても、現地に出向いて指導をしてきておったというふうに聞いております。と同時に、また消防機関といたしまして、老人を収容しておりますというその施設の特殊性を考慮いたしまして、事前消防職員に対して適切な消防活動が展開できるように、日ごろから周知徹底を図っておったというふうにも聞いております。  当日の山林火災におきましては、和光苑に火災が接近をしてきましたために、施設の職員で編成をいたしました自衛消防隊が屋内消火栓を使いまして予備注水をして、和光苑への延焼の防止に努めていたわけでございます。消防機関といたしましては、当初、和光苑に通じます道路が一つしかございません。その道路が玉の脇地区におきます火災のために通行できなかった。そこで、まずその消火を行って通行が可能になった後、直ちに水槽つきポンプ自動車を現場に急行させまして、自衛消防隊とともに和光苑への延焼を阻止いたしまして、収容者の安全を確保したというふうに聞いておりますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては死傷者がなかったということを大変ありがたく思っておるところでございます。
  40. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 委員長、いまの件で。  私、現地視察をしまして、この和光苑、特養がよく奇跡的にもこのように助かった。五十一名の皆さん方を守り、そして和光苑の類焼を防ぐために必死に働いた和光苑の皆さん並びに市の関係の皆さん、消防団員の皆さん方には、目頭が潤むような気持ちで、もう周りが全部燃えておる、この中で和光苑が守られておったというのを現実に見まして、この席をかりまして、あれを守っていただいた多くの皆さんには心から敬意を表しておきたいと思いますので、あえて発言を求めまして申さしていただいた次第でございます。
  41. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣現地を見てそういう感じを受けたということは、非常に私も感謝します。私も社労を預かっておって、やっぱり特別養護老人ホーム、いろいろな災害のときにこれが見捨てられていくという点においては非常な関心を持っておりますので、ただ、一部マスコミを見ますと、いま大臣の言ったこと、あるいは消防庁の言ったことが十分に伝えられないままに、大変危険じゃなかったかという取り扱いをしている報道もあるものですから、やっぱり事実関係は事実関係として、こういう涙ぐましい努力をして守ったということをこの場を通じて明らかにしながら、今後そういう体制をさらに厚生省、消防庁ともに努力して、地方自治体も含めてやってもらうということを、私はそれはそれとして認めて、要請したいと、こう思います。  それからその次に、住居、それから久慈の場合は漁船ですね。まあ、見るも無残になったわけでありますが、これらに対する、毎日毎日生活するための緊急措置といいますか、これは当面何よりも最優先さるべき問題だと、こう思うんでありますが、この漁民の方々の商売上の問題、損害とか、新しく船をつくるとか、新しい生活の場を求めるとか、当分の間は県と町と国で一定程度生活を保障するとか、その被害者の方々の人間として生きるための緊急措置はもう十分にとられていると思うんでありますが、この辺の状況について、これはどこになるのかね。農水省から、あるいは必要があれば自治省も含めて、この被害に遭った方々の生きるための当面の緊急の諸方策ということについてはどの程度現時点で進んでおるのか、これをお聞かせ願いたい、こう思うんです。
  42. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) 今般の火災によりまして、岩手県の久慈漁港におきまして漁民の方々の住居あるいは漁船、漁具、あるいは漁業関係の施設が焼失したという事態が発生しているわけでございます。ちょうどただいまはコウナゴの漁期でございまして、焼失いたしました漁船を早急に手当てをする、かわりの船を手当てするという必要性がございます。そこで、私どもといたしましては、県を通じまして極力焼失いたしました船のかわりの船につきましては漁協でまとめて購入する、あるいは漁具につきましてもまとめて購入するということで指導している次第でございまして、最近時点の情勢で申し上げますと、四十隻につきましては一括して購入する方向でまとまりまして、目下、県があっせんをいたしまして、具体的に漁船の調達、現地への搬送を行っている状況にございます。  また住居でございますが、承知する限りにおきましては、たしか二十戸程度簡易の住居ができたということでございまして、漁民の方々の一部の方々はその簡易プレハブ住宅に入居しているというふうに承知しているわけでございます。  いずれにいたしましても、今般の漁民の方々被害に関しましては資金面等につきまして相当の必要が出てまいるわけでございますので、私どもといたしましては極力公庫資金等々の資金の円滑な融通を図っていくと。さらにまた、その間のつなぎ融資につきましては、系統資金等の円滑な融通も指導していくということ等々も考えまして、極力漁民の方々一日も早く立ち直りまして再び従来の生業につくよう、そういった面で関係の県当局とも十分連携しながら指導に十全を期してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  43. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、住居を失った方には仮住居などの手配をしながら緊急の手当てをしていると。漁船等については四十隻一括購入ということをやっていま現地へ配船中だと、こういう御説明ですが、そうすると、今回災害に遭った方々はそこで住まいを持つ、あるいは本格的な住宅についてはさらに融資などを含めていろいろこれから手を打っていくだろうと。問題は生活する手段ね。漁民は漁民らしく、あるいはその他の方はその他の方らしく。今回は、この災害に遭ったためにもう商売をやめて別な方に移ると、そういうような方はまだいらっしゃらないですか。そこまでまだ調査が届いておりませんか。いかがですか。
  44. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) 具体的な被災を受けた漁家の方々のそういった生活状況につきましては、申しわけございませんけれども、十分承知しておりません。ただ、先ほど申しましたような方向で各般の手当てをしている最中でございますが、やはり何と申しましても当面の生活面での必要性もあろうかと思うわけでございまして、農林水産省としてはその手段、手法につきましてはきわめて限定されているわけでございますが、一つは、林野庁におきまして、今般の山火事が起きまして、山の方が崩壊の危険性も発生している個所もあるわけでございますので、緊急治山事業に早急に着手するということで諸般の準備を進めているわけでございますが、これが実施されますと、相当程度の人を雇用することになるわけでございますので、そういたしますと、そういった被災されました漁家の家族の方々で就労を希望する方につきましては現金収入の機会を与えることになりますので、極力、緊急治山事業早期に実施するという方向で農林水産省なりに一つの対応を考えている次第でございます。
  45. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そういうことについては有珠山の経験もあることですから、それなりにわれわれも心得ておりますから、十分配慮をしてもらいたいと、こう思うんですが、これはあっちこっち飛んで申しわけありませんが、この前、宮城県の県庁に行ったならば、後始末関係では相当な金かかるだろうと、宮城県の試算では一ヘクタール当たり後始末で大体七十万、それから造林で約四十万、百十万程度かかると、こういう試算をしておったようでありますが、これは林野庁さん、有珠山のときも山をあれだけやられて、相当、三年五年の長期計画で山の植林、後始末、造林をやっているわけですね。今回のこの山火事の場合には、やっぱり後始末をして植林、造林するまではどのくらいかかるんですかな、年限として、一年とか二年とか。そういう心配がないのかあるのか。それから、やっぱり山火事状況にもよりますけれども林野の連中に聞けば、さあっと火がなめたやつは余り土質の変化がないと、ところが立木が焼けて下まで影響すると、山の地力が相当低下して、まあ壊滅というところまでいかないだろうけれども、やっぱり相当程度栄養剤を投入して山に地力をつけないと、力をつけないと、植林、造林しても成長しないという、消化不良の山になってしまうということも言われておるわけでありますが、今回の災害に遭った山の回復について後始末も含めてどんな構想を持っているのか教えてもらいたいと、こう思うんです。
  46. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 今回の山火事の被災跡地につきましては早期に復旧すると、こういうことで、現地被害状況、個所等につきまして十分現在調査をやっております。このため林野庁におきましても、災害発生後直ちに職員を現地に派遣いたしまして現地の把握に努めておるわけでございますが、岩手県とも十分協力いたしまして、被害の態様に応じまして、調査結果を待ちまして、造林の補助制度がございますが、造林補助事業あるいは林業改善資金、これ無利子の融資制度でございますが、このような制度も使いまして、あるいは森林災害復旧事業、このような各種の方法によりまして跡地の復旧造林に努めてまいりたいと。また、山が崩壊のおそれのある個所が発生をいたしております。特に梅雨期を目の前にいたしまして、人家の裏山等非常な危険な個所につきましては、先ほど審議官から答弁いたしましたように、緊急治山事業ということで早期に復旧に取りかかりたいと、こういうふうに考えております。また、被害木の搬出あるいは復旧造林、これに必要な林道の開設等につきましても万全を期してまいりたいと、このように思っております。
  47. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 仙台の場合は、県民の森が焼けて、六カ所ぐらい緊急に土どめをやらないと崩壊のおそれがあるということで、宮城県の仙台の場合は私は確認したんですが、じゃ、久慈市のような大火災に遭っているところは、崩壊を食いとめるために緊急工事が必要だというところは何カ所ぐらいあるかということはまだつかんでいないんですか。
  48. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 数カ所に及ぶと思いますが、現在調査中でございますので、近くまた県の方に調査をさせまして、その申請を待って実施してまいりたいと思います。
  49. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは調査調査と言われるけれども、仙台には林野庁の損害評価官という方が行って、手をつけたやつが大体五、六カ所と、こういうことだったんですがね。岩手県の久慈市にも、これは相当林野庁なり農林省からも係官が行って一定の掌握をしていると。もう四月の二十七日、きょうは五月の十三日。これは崩壊といえば、ひょっとして今晩あたりまた大雨降ってガラガラと二次災害が出ることもあるんですよ、災害というのは。災害はこっちが待っていてやって来るのじゃない、向こうから来るんだから。だから山が焼けちゃって立木がなくなって、ちょっと土砂崩壊の危険あるなと、こうなったら、二次災害ということを頭に置いて早急に手を打って工事を起こすと。その辺はやっぱり行政のやることじゃないですか。私はそう思うんですよ。林野庁とか農林省とか、消防庁とか、国土庁とかという縦割りは私はこだわりません、政府一体の原則ですから。災害の後、二次災害を防ぐということについては、いままで手がなければしようがありませんが、早急に二次災害を防止するためにやってやるのが私は行政の責任だと、こう思いますから、崩壊の危険のあるところ緊急に土どめをしないと、今晩にも雨降って崩れちゃうというところがあるんですから、これは何をさておいてもやってもらいたい、やるべきだとこう思うので、これは何ぼ質問しても、まだ実態を把握していないと言われれば追及のしようがありませんが、早急に現地の実態をつかんで、くいを打つぐらいでもいいですから、土砂崩壊を防ぐ緊急の措置をすべきであると、私はこう思うんですが、これは大臣だな、災害担当大臣、早急にこれはやってもらいたいと思う。そうしないと、二次災害が起きてからまたしかじかだということでは、行政も国会も言いわけになりませんからね、これは。東北に集中豪雨が来たらパアですよ、これは。気象台も言っておりますが、きょうあたりの天気予報を見ると、大分、東京ぐらいはまだ、わが東北東北へと雨が行くんでしょう。東北へ雨が行っちゃって、二次災害とぶっかったらどうなりますか。ですから早急に、くいを一本打つことを含めて、土どめ、あるいは崩壊を防ぐというための緊急措置をしてもらって、そして先ほど農林省の皆さんが言った緊急治山ということも本格的に銭金にこだわらないでやってもらいたいと、こう思うんですが、いかがですか、大臣
  50. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 早急に緊急治山事業に着手してまいります。
  51. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 林野庁答弁したのを大臣が追認する必要がないからね。だから林野庁と農林省がやることを大臣責任を持ってバックアップしてくださいよ。それは要請をしておきます。  それから出たついでに、私ら子供のとき、子供のときと言っては変でありますが、山に行くと必ず山火事を予想して防火帯という、林と林の間を切って少々の風がある日でもこの防火帯で防ぐということが私ら子供の時分山へ行けばあったんですがね。最近はこの防火帯というのがなかなか、私は営林署の皆さんに案内されて山に行ってもこれが非常に影が薄れていると、こういう気がするんですが、山火事の防止ということで、先ほどの林道の問題もさることながら、広域の広い山ですから一定の区切りをつけた防火帯づくりということはやっぱり必要ではないかと、こう思うんですが、これらの関係は最近どうなっているのか、ひとつ現状についてお教え願って、今回の山火事教訓として防火帯づくりをやるべきじゃないかと、こう思うんですが、いかがでしょう、林野庁
  52. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 防火線あるいは防火林等の防火帯の設置につきましては、従来からの造林事業あるいは治山事業の中で実施するように配慮をいたしておりますが、特にこの山火事の頻発する地域におきましては保安林改良事業、治山事業の一環でございますが、この実施に当たりまして、主要な尾根等に防火樹の植栽と、こういうものをあわせまして防火線を設置すると、これを国庫補助の対象といたしまして措置をいたしています。今後とも山火事発生の危険性の高い地域、特にここに重点を置きまして防火帯の設置というものをやってまいりたいというぐあいに思っています。
  53. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そういう抽象的なことでは私は納得しない。防火帯、造林の五カ年計画でやっているんなら大体幅何ぼで、延べどのくらいの防火帯づくりを計画して、そのうちいま何%やっていますと、そういう具体的なことがないと防火帯づくりやっています、五カ年計画で造林なんて言われたって、北海道から沖縄まで山を歩いている私にしてみればこんなことは通用しない。だから、少なくとも防火帯づくりというのは、防火帯の基準はどのくらい、幅は幾らの防火帯、そういうものを頭に置いて何年計画でやっていますというなら、そういうふうに現在では延べ三割とか延べ四割とかとやっていますと、やってないならやってないで結構ですよ。そういうような防火帯づくりというのは――ただの帯じゃないからね、娘の帯じゃないからね、山の帯だから。だからそういう具体性がないと具体的な答弁にならない。したがって、防火帯づくりというのはどういう計画でするんですか、大体幅何ぼ、木の、山の状況によって、この程度の雑木林なら何ぼ、二十年もの、三十年ものなら何ぼ、こういう防火帯でこの程度と、あるいは五キロとか十キロ置きだとか、こう考えないと日本列島の防火帯の構想にはならない。したがって、そういうことがあるかどうか、なければそういう基本的な防火帯の構想を持って防火帯に取り組むべきだと、これが山火事を防ぐ大事なものと、こう思うんで、もう一回林野庁申しわけないけれども、私の質問の趣旨を生かしてどういう基準でやっているか、具体的に教えてもらいたい。
  54. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 現在、保安林改良事業におきまして防火帯、防火線の設置をやっておりますが、これは尾根筋に約六メーターから十メーター程度の防火線を開きまして、その両側に十二メーター程度の防火帯を設ける、サンゴジュとかヤマモモとかツバキ、サザンカとか、こういったような防火樹種を植えていく、こういうことによりまして防火帯の設置を図っておるところでございます。
  55. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その防火帯の設置が今回の山火事に遭った久慈市とか東北の山にどの程度それができておったのかという点はどうですか。どの程度今回の山火事に遭った東北の十三カ所、民有林も含めてどの程度になっているのか実態をつかんでいますか。国有林も結構やられているんでしょう。国有林も結構やられているね。西根町、岩泉町、住田町、石鳥谷町、合計四カ所国有林もやられています。国有林も含めて、じゃそういう防火帯が、今回災害に遭ったところに防火帯がどの程度あったかということを教えてください。
  56. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 今回の火災強風下でございましたので大分飛び火をいたしたような感じ火災が非常に多うございましたので、防火帯がどの程度効果を発揮したかということにつきましては現在調査中でございまして、はっきりはいたしておりませんが、なおよく調査を進めてまいりたいというぐあいに思います。
  57. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなた、今回災害に遭ったところに、いまあなたが言った六メーターから十メーター、両側に防火帯、そういう基準に合った防火帯が延べ何キロぐらいあったですかということは掌握、あなた調べなくてもわかるでしょう。ちゃんと第何林班何ぼ、第何林班何ぼという、おたくの専門の林班に防火帯何ぼあるというぐらいはあなた災害調査しなくてもわかるじゃないですか。しかし、そういう防火帯があったけれども、今回の災害にはうまく機動したか機動しなかったかというやつは調査してお答えしますと言うならわかりますよ。今回災害に遭った国有林には防火帯は延べ何ぼ、民有林には何ぼ、あるいは公有林には何ぼ、そういう現実に防火帯があるかどうかということは、こんなの調査しなくてもおたくの山の帳簿に載っておるでしょう。載ってなければ、名目はあっても防火帯はありませんでしたと、こうなるんですよ。おたくの帳簿に載っておる防火帯、延べ何ぼになっておりましたか、国有林なら国有林でも。
  58. 古宮英明

    説明員(古宮英明君) お答えをいたします。  大変申しわけございませんが、民有林につきましては防火帯の数量、全体的な掌握を率直に申しましてしておりません。今後十分調査をしてその合理的な配置につきましても検討をさしていただきたいと思います。  なお、国有林につきましては、これはただいま手持ちございますのは全国的な規模でございますが、五十六年度現在で二千百キロメーターの防火線を持っておりまして、それを毎年維持修繕をしていく、こういう形で運営をしております。  以上でございます。
  59. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 民有林指導監督する林野庁だからね。営林署統廃合のときはずいぶん元気になるんだけれども、こういう問題になるとしゅんと元気がなくなるんだね。だから営林署の統廃合で民有林指導が落ちますよと私が再三言っているにかかわらず、いやいやそんなことないと、あなた言っているけれども、こういう事態にぶつかるとしゅんとなるというのは余りよくないね。しかし、できれば民有林の現状においても、こういう山火事年間三十億前後の損害をこうむっているんですからね。森林組合などを通じて実態を把握するなり、あるいは森林組合に指導するなり、そういうことはぜひ林野庁の仕事として今回のを教訓として内容を強化してもらいたいということを、これは国民の貴重な財産ですからね。宮城県などはせっかく苦労した県民の森、四分の一焼けちゃった、四分の一。全く宮城県人に申しわけないと思っているんだ。こういうせっかく十年、二十年かかった山があっという間になくなっちゃうんですから、やはり民有林関係についても十分林野庁は防火帯づくりの問題について取り組んでもらいたい、こう私は要請しておきます。  それから今回の火事で、自衛隊があっちこっち延べ九千人ですか、さっきの……。いろいろ御苦労かけたことはわかりますが、一つ二つ聞いておかないと、ちょっとややこしい問題がありますな。  この久慈市の大火について、二十七日十六時、午後四時、県の地方課を通じて自衛隊の出動を要請した、余りいい返事がないので、今度は三十分たった四時半に久慈の市長さんが直接自衛隊に行って応援に来てくれということを言ったんだけれどもなかなか話がうまくいかない。現地に着いたのは夜の二十三時、二十三時に現地自衛隊が着いた、こういう記録になっているんですが、この事実関係には間違いございませんか、防衛庁。
  60. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) お答えいたします。  私どもの方に入っております連絡によりますと、久慈市の地上消火派遣、この要請は二十七日の十九時三十分、午後七時三十分に行われたということでございます。それで、八戸と岩手の部隊がそれぞれ出ておりまして、その日の夜二十一時二十五分に久慈市に到着をしております。  それから、空中消火の方でございますが、先生、最初におっしゃいましたのは空中消火の方だと思いますが、二十七日の午後四時、十六時に要請が行われております。ところが、この日、大変風が強くて、最大風速三十メートル、平均でも二十メートルを超えているということがございましたので、ヘリが飛べないという状態でございました。そこで、空中消火を実際に始めましたのは、風がやむのを待ちました翌日の早朝五時四十五分から空中消火を始めたということでございますので、そのおくれましたのは多分にその強風により飛行ができないということが原因であるというふうに聞いておりますので、よろしく御了解いただきたいというふうに思います。
  61. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 もう時間も刻々迫っておりますが、私はきょう、これ、でっかい速達でさっき質問に入る前に十二時十分ころ着いたわけですね、SOSで。これはやっぱり、私が問題にしていた、いま強風のためにおくれたというのは、ちょっとこれはためにする、それもあるだろうけれども、本命は滝沢村でむしろ火災が起きておって、自衛隊内部から火災が始まって、滝沢村の火災の方に追われちゃって、そっちの方にてんてこ舞いしておったのが実態じゃないですか。これはきのう、おととい、岩手県議会総務委員会でわが党の高橋節郎君が問題を提起をして、やはり今回の滝沢村の火災の問題については自衛隊が火元じゃないかという問題をひっ提げて質問をしておるわけでありますが、これは先ほど、消防庁が十二日現在新しい発展はないと、あなたの方では、出火原因について、そういうふうにないと言っておりますが、これは「県警捜査一課と盛岡署、盛岡消防署は、捜査員ら連日約四十五人を動員、火元と見られる滝沢滝沢二四の同駐屯地敷地内を中心に」徹底捜査をやっていると、こういうような記事であります。これについて「県はどう対応するか」と、こういうふうな県議会の総務委員会できのう、おととい質疑応答の、これは地元新聞ですから、私も質問する前に、どうも自衛隊が火種になったということは薄々聞いておりましたが、現地でよく調べてからと思って、きょう間に合うようにと言って、先ほど十二時ちょっと過ぎにきのう、おとといの県議会の模様の新聞をもらいました。で、電話でも確認しました。これによると、いわゆる県警、盛岡消防署、「その結果、同駐屯地の着弾地内で四月二十六日に行った東西一・五キロ、南北一キロ幅の」野火地――野火地というのはわからないかもしれませんが、東北では冬から春を迎えるために焼くわけですね、原っぱの木や草を。その「野焼き地内の東端中央付近が火元とほぼ断定。」と、こういう記事になっているんですよね。その理由として、自衛隊側は、そんなことはありません、こう言っておりますけれども、翌二十七日の午前十時十分ころ自衛隊は火を消したと言っているけれども、実際の調査によりますと、翌二十七日午後十時十分ころ自衛隊の隊員三名が車両で巡回した際に出火を見つけて、百七十人を出して消した。第一。第二の問題は、その後、西の方約一キロ付近でまた火が出て、それでまた自衛隊が消した。ところが、もう三回目、十一時半ころ東方約一キロ付近から出火したので、また消した。自衛隊で三回火が出た。一回、二回、三回。それで、どうにもこうにもならなくなって一一九番に通報してSOS、自衛隊ではどうにもなりませんから地元の消防お願いしますと。これがどうも真実のようだ。これがきのうの県議会のいろいろな議論の結果であります。  それで、防衛庁にお伺いしますが、現地の同駐屯地の加藤晴己司令業務室長の言によりますと、本件問題は自衛隊内部で調査になりまして、いま防衛庁陸上幕僚監部が担当してこれを調べていますということなんですが、この陸上幕僚監部というのは現時点、きょうの十二時でどの程度調査しておりますか、防衛庁。
  62. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答えいたします。  先生先ほど御指摘のとおり、三カ所から火が出たということは事実でございます。ただ、距離、たとえば弾着地から何キロといった距離につきましてはまだ特定いたしておりませんけれども、三カ所出ましたという点につきましては事実でございます。  で、ただいま原因等につきまして調査いたしておりますが、これは盛岡警察及び消防署調査を賜っているところでございます。私の方といたしましては、本件調査に呼ばれました者につきまして、直ちに調査に協力するように、陳述するように、こういった意味でいろいろ協力はいたしておりますが、私の方独自での捜査は行っておりません。したがいまして、警察、消防の御調査の結果を待たしていただいておる、こういう状況でございます。
  63. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ここに「原因調査は県警と消防署にゆだねている。自衛隊内部の調査は、現在、防衛庁陸上幕僚監部が担当しているので、現地のわれわれの手を離れている」ということは、じゃ間違いですな。新聞の誤報か、あるいは業務室長の認識違いか知りませんが、おたくの見解は、いま、自衛隊内部の火種問題についても県警と消防署に任せている、必要があればあなた方は現地に協力しなさいという指示をしていると。これはわが党に対する答弁とはちょっと違いますな。その点もう一回。
  64. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答えいたします。  大体、先生指摘のとおりでございます。原則といたしまして現地の警察、消防署の御捜査に私の方は応じておるというかっこうでございます。ただし、防衛庁本庁の方といたしましては、東京にございます警察の本庁あるいは消防庁、それぞれにいろいろ御相談すること、あるいは御指導を仰ぐこともあろうかと思いますが、ただいまのところはそういうことはございません。現地のサイドで行っております。
  65. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、現地のこの火の燃え上がりを見ますと、やっぱり発火点は自衛隊内ですよ。自衛隊内。そうして、自衛隊の飛び火がどんどんいっちゃって、あれよあれよと拡大していった。延焼の経路はそうなんですよ。そうしますと、わが党の高橋県会議員が糾明した、自衛隊が今回の発火の、滝沢村の火災の火元になっている。そういう点がやっぱり明確になれば、当然自衛隊にその責任をとってもらうと同時に、やはり県なり市なり村から言えば、この損害の補償という点は、われわれは地元の皆さんなり関係者から自衛隊に対して損害賠償ということは、賠償と責任追及というのは当然あってしかるべきだ、こう思うのでありますが、まず大臣の前に消防庁消防庁は同じ官庁であっても、そういう失火の原因がわかったという段階では、法に従って、自衛隊といえどもその責任の追及とそれから適当な損害賠償というのは、当然あなたの方で起こすのでしょうね。  そして自治省、またその点が明確になれば岩手県なりあるいは当該の市町村から申請があった場合には、大事な山を焼いたりあるいは大変な住民が苦しがったのですから、当然、自治省としても関係市町村にそういう指導はしかるべくするのでしょうなと、こう私は思うのでありますが、まず消防庁と自治省、自衛隊のそういう失火ということが断定された場合の取り扱いについていかがいたしますか。
  66. 大嶋孝

    政府委員大嶋孝君) 消防庁といたしましては、出火原因が那辺にあったのかということの徹底的な究明ということが先であります。それにつきましては地元の方で十分究明をしていただきたいと思っております。その結果につきましては、いま私がここでとやかく申し上げるということは必ずしも適当ではないかと思います。
  67. 松本和雄

    説明員(松本和雄君) お答え申し上げます。  ただいま消防庁の次長からお答え申し上げましたように、まず何よりも原因を究明することが先決であろうかと思います。その原因の究明の結果によりまして対応が変わってくると思います。まずもって関係する地方団体等で適切に判断をさるべき事柄ではないかというふうに考えております。
  68. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、消防庁ね、いま先ほど言ったとおり県警と盛岡署と盛岡消防署、三者が毎日四十五名を動員してやっている。ずっとしぼっていったところがそこしかなくなった。自衛隊側も三カ所、三回自分の仕事をやったところで火が出て、本当は前段の出たやつを一回消した。消したと思っておったところが、どんどん風が吹いてきて、先ほどのとおり一カ所出た。また消した。また二カ所出た。また消した。三回目もまた出た。また消した。三回目消したけれども、もうどうにもこうにも手がつけられなくて一一九番電話した。これをあなた自衛隊が認めているのだから、ちゃんと答弁しなさい。三回火が起きたことを認めています。認めた以上は私はそこが――ただ、いま問題になるのは、県警の方でもうちょっと時間かしてくれというのは、その自衛隊の野焼きをしたところに一般の方々がその時間帯にワラビとりとかキノコとりとか何とかということで山に入ったかどうか、それを最終的に詰めをやっている。そして、一般の方がほとんどあの風の中で山に入ってないとなればもう問題はそこしかない。まさか風の吹くときにワラビとったり林野にシャクナゲとりに行くばかもいないからね、山の中に。だから、いまのところはだれも入ってないです。  だから、県の佐々木総務部長の答弁も、原因はいま警察で調査中です。もうちょっと待ってください。補償問題については、原因と因果関係が判明した後、必要に応じて適切な対応をいたします。だから原因が判明すれば県としては損害賠償の適切な対応をとると、こう言っている。  これは、あんた消防庁、一般国民が失火事件起こしたら、以下同文でしょう。自衛隊だからって、あんた以下同文しないなんて、そんな理不尽ありませんからね。やっぱり住民にしてみれば、きちっと過ちは過ちとしてしかるべき措置をとってもらいたいと、こう思うんですが、これはこれ以上あんたに言っても――災害をあずかる大臣、私がいま言ったことはね。防衛庁の課長も、三回火が起きたということは本人も認めた、これは認めざるを得ないわな。そうすると、やっぱり今回の火災、いわゆる滝沢村の火災久慈市の火災で火がどんどん大きくなった、久慈市の方に応援に来てくれと言ったら、自分の足元が火事だから、これは自衛隊応援どころじゃないわな、これは。それはわかるわ、物理的に。そういうことからいくと、総体的に、私は今回の大変な火災の一端の責任がやっぱり自衛隊の実弾射撃、それから野焼き、こういうのにあったということが私は明らかになってくれば、災害担当大臣としては、しかるべき法に照らして厳正、公正な措置をすべきだと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  69. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 滝沢村の火災出火原因については、先生御存じのようなところで、いま県警、消防両方で出火の事情、原因を究明していただいておるところでございます。その結果に待ちたいと思います。  久慈市に対して自衛隊のヘリコプターの出動がおくれたのは、滝沢村の山火事で右往左往しておったからおくれたんではないかとおっしゃる点につきましては、私は現地でも詳しく聞きましたが、ヘリコプターは二十メートル以上の風が吹いておる場合には不可能のようでございます。そこら辺、冒頭、先生からも御意見がございましたようなフェーン現象、そして三十メートルを超す強風現地で吹いておったという事実等から考えまして、久慈自衛隊のヘリコプターが出動するのがおくれたのは、滝沢村の火事との因果関係は私はないと、このように考えております。  滝沢村の問題につきましてはっきりした原因の究明が行われましたときには、それ相当のことをしなくてはならない、こう考えております。
  70. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は時間が来ましたから、その点は一般国民に山のモラルを守ってきちっとせいと、あるいは国有林とか民有林の皆さんも含めてしっかりしなさいということをそれなりに言う以上は、自衛隊の諸君の野焼きということについて、あるいはこの火災が起きやすい四月、五月、この時期における実弾射撃、こういうものについては、山火事の今回の経験を生かして、見直しなりあるいは慎重にするなりということは全体の点から必要だというような気がしてますから、これは私の別な下の交通安全委員会に来いという、二時半から。こういう連鎖反応の委員会でありますから、私は要望しておきます。  時間がなくなりましたが、最後に、私はレクチャーでお願いしておりましたが、今後の対策について五十八年の四月二十九日朝日新聞の社説、私はこれは一、二、三非常にポイントを突いた朝日新聞の問題提起と要望も含めて、いろんな社説を読ましてもらいましたが、やっぱり朝日新聞の四月二十九日の社説が最も的確に問題点をとらえ、今後の体制を提起すると、いまのヘリコプターの問題も含めてありますんで、時間がありませんから言いません。  この三つの問題について、目黒が今後の対策として重点的に考えてほしいということを大臣要請したいと、こう思うんですが、ちょうど所定の時間がまいりましたんで、大臣答弁を聞いて私の質問を終わります。
  71. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今回の一連の山火事に対しましては、朝日新聞の先生がおっしゃいました第一、第二、第三の問題、ここはもちろん私たちも十二分に研究し、山火事といえども大切に、都市災害と同じような気持ちで万全の処置を講じなくてはならないということで、今後取り組んでいきたいと考えております。よろしく御指導のほどお願い申し上げます。
  72. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 終わります。
  73. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 大変大きな災害で地元の皆さんにお見舞いを申し上げたいと思いますが、災害現地の当面の問題につきましては、地元の岩動先輩がおりますので、そこからお尋ねをすることになろうと思いますが、私はまず、この大火を契機とした森林事業というものと国土保全ということについてお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  私は、このたびのこの山林火災を受けられた森林所有者が、果たして復旧植林の意欲を持つであろうかという、このことをちょっとお尋ねを先にいたしたい。そして、その森林の火災のところに保険がどの程度かかっておったんだろうかと思います。  これは、非常に時間が短こうございますから、一緒にお尋ねをいたしておきますので、後で御一緒にお答えください。  被害などを受けないでも、いまの林業界は惨たんたる状態でございまして、大臣も、岡山二区でございますから、十分御承知であろうと思うのですが、低利資金を貸してやろうといっても、なかなか借りるめどがつかない。保険も後ほどお答えをいただこうと思うんですけれども、なかなか保険をかけるところまで意欲が燃えてないということ、いろいろあると思うんですけれども、住宅産業の落ち込みもございましたり、外材の攻撃に遭ったりしまして、御承知のように、非常に材価が落ち込んでおりますので、どうにもならないというのがいまの林業の状態でございます。そこへこの大火災でありますので、私が一番心配しますのは、災害を受けた山を持っておる皆様がこれから植林をして、何十年かたたなければ価額ができないものを植えていくであろうか、これが一番この火災で私が心配をするものの一つでございます。  せめても林業に再生産ができる程度の手厚い政策を施さなければならないのであろう。他の産業について私が申し上げるまでもないと思うんですが、農林の農の方は、御承知のように、食管法で逆ざやで、国民全部が負担をします。そういうものでなくても、最近の工業のアルミという一産業が、不況だということで手厚い政策の保護を受けるという、こういうことの政策の中で、そこで、特に加藤長官にお尋ねをし、長官、政策通で自民党の中でも有数な人として知られておるわけでございますので、国土保全のための森林というものの維持というものを、ひとつこのあたりで見直していただくようなものを醸し出していただかなければならないのではなかろうかと思うんです。  中曽根総理も、御承知のように、緑の問題については大変な力の入れようでございます。けさの新聞にも出ておるようなことでございます。大臣ね、国民全体の意識をどう林業に持っていくかということを、これがちょうどいい、――ちょうどいいと言うと大変失礼なので、取り消さなければならないと思うんですが、この機会をとらえて、昔、一時目的税という問題がちょっと出たことがございましたが、私は、飛躍的な物の言い方をさしてもらいますと、防衛という意識と同じような意識を働かしてもいいのでないだろうか。外向いて防衛というものがあるなれば、内へ向かっては、やはり国土保全という問題が国土の防衛でないかと、こういうことをひとつ意識としてこの際醸し出さなければならないのではなかろうかと思うのです。  時間の都合もありますので、いろいろのことを申し上げたいと思うのですが、そうしないと、もう私は、余り長い期間を待たないで、森林経営者、造林をやろうという意欲は日本の土地からうせてしまうと思います。恐らく、いろいろ御報告がございませんが、今度の火災をよく分析をして、どうしてこの人たちに今後植林をさして管理をしていくかということは、私は一番大きな問題だと思います。  そういうことでございますので、一連のもののお尋ねとして、長官が、まずこの林野火災を契機として、森林所有者がこれからやっていけるようなもの、それは国民全体の意識でなければならないと思うわけなのですが、これはちょっときょうここでお答えをいただくだけの問題でないと思いますので、篤と、でき得れば大臣御就任の間に、ひとつせめてものムードを醸し出す準備をしていただきたい、このようにお願いするわけであります。お尋ねも、お願いもございますが、お答えをいただけたらと思います。
  74. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) ただいまの仲川先生の御質問、御意見、当面の問題と長期的な問題が両方あると、こう思う次第でございます。  先般の山火事等を視察しましたときにも、一生懸命緑化運動に取り組み、緑化推進というものに積極的に取り組んで、これからさあやろうと、土地と水と緑というものの調和した日本をこれからつくり上げていこうと、こういう意欲に燃えておったときにあの山火事を視察しまして、新緑でふさふさしたところを見ながら、黒焦げになり、あるいは半焦げになり、いろいろな災害を見て、私自身まず一番に考えましたのは、森林経営者の生産意欲、造林意欲というものが減退しては大変だなということと、それと私は、主な地方へ行きますときには、その町村における人工林の比率というもの、そして当面の植林事業はどのように行われておるかということ等をよく質問しまして、そこら辺の問題についてのそれぞれの地方の特徴、あるいは何を植えていただいておること等も勉強するようにいたしておるわけでございます。  先生がおっしゃいました当面の木材需要、あるいは住宅建設の問題等、こういう問題ももちろんあるわけでございますが、森林事業というのは、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全、形成という意味におきまして非常に重要な公益的な機能を持っておると、こう考えておるわけでございます。そして、森林というものの有する国土保全等の、いま申し上げました多面的な機能というものは、森林の適正な管理と健全な林業経営というものを通じて行われるのではないかと考えておりますが、最近、仲川先生自身がおっしゃいましたようないろいろな問題で、適正な管理が行われていない森林が増加する傾向にあるんではないだろうかと、ここら辺を大変心配いたしておるわけでございます。これは農林水産大臣あるいは林野庁長官が申されるべきことではないかと思いますが、国土庁としましても、従来から、国土の均衡ある発展という観点から、国土基盤、国土資源の充実ということには一生懸命がんばっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように森林資源というものは、国土保全あるいは緑の持つ多大な効用の活用という観点から、非常に公益的機能に関するものが多いわけでございますので、これに対する国民皆さん方の認識を深めなくてはいけない。そしてまた、そういう認識を深めた上で林業活動を活発にする、あるいは林業活動を確保するための基礎条件というものをもう少し整備していかなくてはならない。そして国民参加の森林づくりの推進あるいは林業の振興ということを図り、森林の適正な管理が行われるように指導し、がんばらなくてはならない、このように考えておるわけでございまして、資源の少ないわが日本が、森林資源というものをより大切にし、そして国民がこれに対する一連の認識を深めてもらうために、私たちはいま花と緑の推進運動というのを一生懸命やり、私自身も各地の植樹あるいはそういう記念行事に参加しながら、緑というもの、森林というものの必要性を強調して歩いておる次第でございまして、今回の一連の山火事に対し、森林経営者が経営意欲を減退するようなことがあっては大変だということで、先般久慈へ行きましたときにも、どういう木々が何本燃えたか――われわれは国民運動で一年に二億本以上の木を植えたいと、これから植えて植えて植えまくるぞというぐらいの決意を持っておるときにというので調べさせましたら、杉が二十五万、松が八十一万本、久慈だけで百六万本の杉や松が燃えたという数字を聞きまして、よし、その二倍、三倍の木を植えるように指導し、方法を考えなくてはならない、こうも思った次第でございます。  どうも、ストレートなお答えにならないと思いますが、以上、森林の持つ重要性というもの、そしてそれがわれわれに、今後それを国民の認識、そしてまた森林経営者の意欲減退に通じないように、さらに燃え上がらす方法を各省庁と相談しながら知恵を出して推進していきたい、このように考えております。
  75. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 大臣から丁寧なる答弁をいただきまして、私は林野庁や農林水産省の問題でないと思いますので、いまの大臣の御答弁のような形で意識づくりをしていただきたいと思うんです。  いま私がお尋ねした中の保険の問題は、恐らく後にもお尋ねあろうと思いますししますから後で結構でございますし、直接地元の岩動委員がおられますからそこへ時間を譲りたいと思うのですが、どうしても、こういうことを一つ私が申し上げたら、建設省の河川課と林野庁と一緒に国土庁へ持ってきましたら、その日から物事の考え方の違いが起こってくるほどもう大変なことが起こっておりますのは、特に関西にひどいマツクイムシの、あれあのままにしておきましたら全部災害につながる。これは一〇〇%災害につながっていくので、そういうものが、林野災害というものが密接な関係がございますので、特にお願いをいたしておきたいと思います。  それから一、二点だけ。いよいよ目の前に今度は水害の災害がまず間違いなくやってくることに対する準備、あらゆるものの対応ができるようにしておいてもらわなければならないと思います。その点の一つ一つの問題については建設省絡みの問題もございますので、きょう質問を一応外しますが、大臣もう恐らく七月からが危ないと思いますが、一応全国的な問題として、それぞれのところにそれぞれ現地を承知をいたしておる人たちもおりましょうけれども、なお一層督励をして、予防に、災害が起こったときにいち早く二次災害が起こらないようにやっていただきたい。査定の問題、そのほかの問題につきましても簡素化を図られたい。これもひとつ国土を守る大臣としてのお考えをいただいておけばありがたいと思うわけであります。それで私の質問は終わりますが、お答えをいただきまして……。
  76. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 災害日本と言われるほどわが国は台風あるいは集中豪雨、あるいは火山その他今回の山火事のように非常に災害が多い国でございます。この災害から国民の生命、財産を守って、災害に強い国土づくりをしなくてはならないということで私たち一生懸命にがんばっておる次第でございます。今後さらに気を引き締めて各省庁を叱咜激励して災害関係に取り組んでいきたい、こう思っております。  なお、いままでは一日だけを防災の日にしておりましたが、今度は各省庁とも相談して一週間ぐらい防災週間というものも設けまして、もろもろの国民運動を展開するようにこれから相談してやっていきたい、目下各省庁と話をいたしておる次第でございますので、先生の御趣旨を体し、さらに災害に強い日本の国土づくり、それを通じて国民の生命と財産を守るんだというのを国の政治の中心に持っていくようにがんばりたい、こう思う次第でございます。
  77. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 終わります。
  78. 岩動道行

    岩動道行君 先般の四月二十七日の山林火災強風災害も含めて、去る二十八日に私は大蔵委員会で大蔵大臣初め関係省庁においでをいただいて大筋についての要望をお願いしておきました。その結果、早速、地方交付税の繰り上げ支給等がすでに実現をされておりますことは、政府の努力に対して敬意を払いたいと思います。  また、加藤長官は先般久慈までわざわざ現地の視察においでになりました。ちょうど花と緑の運動の植樹のお祭りにも参加をしたわけでございますが、その機会に久慈ごらんいただきました。まず最初に、長官が現地ごらんになって、これに対してどのような大臣としての感想と申しますか、この問題に対してどうお考えになったのか、それをまず最初に伺っておきたいと思います。
  79. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほどもちょっと触れましたが、緑化推進に積極的に取り組んでいる折、そして新緑で覆われているはずの山野が広範囲にわたり、無残にも焼け焦げておる光景に胸が痛みました。そして、岩手県を中心とする今回の被害状況は先ほど来いろいろ議論されておるとおりでございますが、不幸中の幸いは人命の被害がなかったことだと、こう思っております。  そして、久慈中心とする今回の災害発生に当たりましては、地元住民方々が協力し合い、特別養護老人ホームを延焼から守るというために決死的な努力をしていただいたということ、そしてその消防に努力しておる消防団員方々が、逆に自分の家を焼失さしながら特別養護老人ホームを守ったというのを現地で聞きまして、深く感銘するとともに敬意を私は表したいと、こう思いました。そして現地では被災者の救援、復興に全力で取り組んでおられた姿を見まして、政府としても引き続き関係省庁と緊密な連絡をとって対策に万全を期してまいらなくてはならないという決意を強く持った次第でございます。
  80. 岩動道行

    岩動道行君 冒頭に私、山林火災とあわせて強風災害ということを申し上げたんです。  そこで、先ほど来のお話によりますと、人命の損傷がなかった。まことにそれは幸せだったと、こういうお話でございますが、まさに火災についてはそのような状況でございますが、強風によって死者が一名、これは岩手県におきましては負傷者が二十五名と、こういう数字が岩手県から正式に私どもは聞いておるわけでございます。したがいまして、今回の山林火災だけが取り上げられておりますが、強風によるそういう人命の損害あるいはまた農業施設の損害、こういうことも念頭に置いて、今回の異常乾燥下火災とそして強風下における災害、あわせて念頭に置いて、これは対処をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  また和光苑という特別養護老人ホーム、これが助かったのはまことに私ども感銘の深いことであったと思います。私は二十九日に現地に参りました。そして、そこの老人ホームを訪ねました。そして所長からつぶさに当時の状況を伺いました。所長の自宅はそこから十メートルか二十メートルくらいしか離れていないところにありました。そしてそれは焼けました。しかし、自分の家が焼けるのを目の前にしながら、所長は老人の方のために防火のため大変な努力をされました。このようなことはまことに私は感銘深いことであり、国においても何らかの形においてこのような方に対しては感謝といいますか、何らかのことをお考えをいただくことをこの機会に大臣にお願いをいたしておきたいと思います。  そこで、先ほど自衛隊の出動についての問題等もございましたが、私も当時の状況から見ますと、一本木の自衛隊から出動するということは、当時の状況から見ると、なかなか容易ではなかったかと思います。しかしその後、風もおさまったので自衛隊のヘリコプターが飛んでいって空中から消火作業をやり、ようやくそれがおさまったわけでありまして、この点に関しては私は自衛隊は最大限のやはり努力、協力をしたというふうに考えて評価をさしていただきたいと思っております。  そこで、原因について、いろいろな原因があったわけでありますが、消防庁の次長からもいろいろお話がありました。また、これについては調査中の点もございますが、特に春先になりますと、東北の方の山では野焼きというのをよくやるわけであります。  そこで消防庁の方に伺っておきたいんですが、こういったような火をつけて草を焼いてしまうということについては、これは全然野放しになっているのか。あるいは、これは届け出制だという話も聞いておりますが、どういう程度でこれが規制の対象になっているのか。この点を伺っておきたいと思います。
  81. 志村哲也

    説明員(志村哲也君) お答えを申し上げます。  野焼きといいますか、山合いに火を入れる規制につきましては、実は消防法の立場からの規制と、それから森林法の立場からの規制と両方ございまして、森林法の立場からの問題につきましては、森林法による火入れの規制ということで林野庁の方で所掌をしてございます。  消防法の立場から言いますと、一般的には地方公共団体、市町村の設置をいたします火災予防条例というものがございまして、涌煙行為といいますか、野焼きに限らず煙を出すというか、そういうような行為につきましては消防機関に届け出をするということになっております。それと同時に、気象状況火災を非常に発生しやすいといいますか、火災警報、通報が出されるというような場合におきましては、一定の行為については禁止というか、してはならないと、こういうような義務規定がなされているところでございます。これも火災予防条例でございます。
  82. 岩動道行

    岩動道行君 やはり、この辺の規制を、そういう時期には特に留意をして、小さなたき火であっても何らかの方法で規制をしていく、監視の目をきつくしていくということはぜひお考えをいただきたいと思います。要望しておきます。  それから、消防能力の一つの点について申し上げたいんですが、久慈の場合にはリアス式の、山が海岸まで迫っており、そして人家は、あるいは漁業の道具等はもうほんの数十メートルといったような幅のところに集中しています。したがって、陸地からの消防能力というのは、いまのように道路が倒木で入れないとかということになりますと、陸上からの消防自動車では機能が十分に発揮できない。そういうことで水上から消防作業ができるということ。今回も漁民なんかは船に逃げ込んで助けてもらっているわけです。  そういうようなことからも、何か水上消防艇といいますか、そういったようなものを、こういったようなリアス式の地帯においては特に検討する必要があるのではないか。現在、全国には四十七隻、重要港湾を中心として配置をされているということでございますが、残念ながら岩手県にはございません。しかし、これはまたその能力からいいますと、湾内ならば動けるけれども、外に出るという能力がない。これも実は自分のところだけは守れるけれども隣には助けに行けない。広域消防という考え方がいま非常に効力を発揮しているわけですが、海の方からはそういったような、広域消防というような性能のものが準備されていない。これも私は今後十分に検討されてしかるべき問題ではないかと思いますが、この点については長官の方から、ひとつ基本的に国務大臣の立場から。
  83. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) コンビナート火災その他重要港湾の火災ということで、そういう消火艇、消防艇等を配置するようになりまして、もうたしか十年ぐらいになるんじゃないかと思いますが、今回、リアス式海岸、久慈のあたりを拝見しまして、まず第一は道路問題である、それからいま先生がおっしゃいましたように、海から消火できたらなということを私も考えたわけでございますが、今後、消防庁、海上保安庁とも、そこら辺の問題に対しましては相談してみたいと考えております。
  84. 岩動道行

    岩動道行君 十分に御検討願いたいと思います。  そこで、若干具体的なことを申し上げたいと思いますが、山林については、岩手県のみならず、その他のいろいろな県に起こっておりますので、共通したことではございますが、特に岩手県の場合は三年続きの冷災害、そういう中において起こった火災、したがって強風下の、農業施設の問題もございます。したがって、私は自作農の維持資金とか主務大臣の指定の施設の資金等の融資枠、この確保を大蔵委員会においてもお願いをいたしておりましたが、これに対しての現在どのような対応がなされているのか。  もう少し続けて申し上げておきます。  それから、農協等の共同育苗施設あるいは農業倉庫などの復旧、これについての暫定措置に関する法律がありますが、これの適用、これはぜひやっていただきたいわけでございますが、どうお考えになっていますか。
  85. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) まず第一点の被害を受けました農業者に対します自作農維持資金あるいは主務大臣指定施設資金等の融資の枠の問題でございますが、この点につきましては、すでに農林公庫には指示をいたしておりまして、少なくとも被害を受けました農業者の必要とする資金につきましては、不足することなく十分に対応してまいりたいというふうな考え方でいるわけでございます。  また、第二点の農協が有します共同利用施設の復旧につきましてのいわゆる暫定措置法適用についてでございますが、先生御案内のように、事業費額等におきまして一定の基準はございますが、この基準に該当する限り、法律の適用によりまして補助事業として実施をしていきたい、かように考えております。
  86. 岩動道行

    岩動道行君 森林の火災災害につきましては、非常に広範にわたって、また、各地域にわたっておりますので、県としてもこれは空中から調査をするということがきわめて効果的である、こういう考え方で地元の県は、岩手県のみならずその他の県でもそうかと思いますが、そういうことについては費用がかなりかかるわけであります。これについては政府の方でも応分の対応をしてあげていただきたい。直接補助金を出すという制度はないかもしれませんし、予算にも計上してないかもしれない。とするならば特交で考える、何か政府においてもこれに対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  87. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 空中写真につきましては、森林資源の把握のために、森林計画を作成するに当たりましては補助金を出しまして対処しておりますが、今回のような被害状況調査のための空中調査につきましては、写真撮影等が非常に有効でございますので、この実態を十分調査しまして、県と十分連絡をとって対処してまいりたいと思います。
  88. 岩動道行

    岩動道行君 そうすると、これはむしろ農林省あるいは林野庁でおやりになる、あるいは県に委託をしておやりになる、そういったようなことも考えられるわけですか。
  89. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 直接林野庁で撮影するということにはいたしておりませんが、航空会社等が撮影いたしましたものを利用してまいりたい、このように思います。
  90. 岩動道行

    岩動道行君 焼けた山林の所有者というのは、岩手の場合には大変零細な所有者ですね。したがって、三十六年のフェーン災害による大火災で大打撃を受けました。私はその当時の現地も見てまいりました。それに比べると今度は規模はそれほどではないにしても、非常に各地に頻発をした火災であり、かつまた零細な山林所有者が被害を受けております。  そこで、まず先ほど仲川委員からもお話ありましたように、とにかく造林意欲を持たしてやらなければいけない。零細な人たちはとてももう立ち直る気がない。三十六年にもやられちゃっている。今度もまたやられた。そういうことでございますので、そのためには、まず、森林災害についての局地激甚災害として指定をしてほしいという要望が非常に地元では強いわけでございますが、この基準が大変厳しいと申しますか、一定の基準がございます。そうしますと、今度の災害は必ずしも基準に合わないというようなことが予想されております。しかしながら、実態は大変厳しいものがございます。そこで何とか局地激甚災害というものをぜひ活用ができるように政府で十分に政治的にも検討していただきたいものですが、これについての事務当局のお考えと、あわせて大臣現地ごらんになっての立場から、大局的にこれにどうお考えになっておるか、伺っておきたい。
  91. 荒井紀雄

    政府委員荒井紀雄君) 先生御承知のとおり、現在の局地激甚の指定基準につきましては、一つが林業生産所得の一・五倍、こういうことでございます。それから二つ目に、要復旧見込み面積が当該市町村民有林面積の二五%を超えるという二つの要件がございまして、現在この指定基準に該当するかどうかを認定いたしますために被害状況調査中でございまして、ただいまの段階におきましては大変残念でございますけれども、まだ何とも申し上げる段階に至っておりません。私どもとしましては、被災者の方々のお気持ちも踏まえまして、早急にその調査を進めまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  92. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) ただいま審議官が申し上げましたとおりでございまして、現地実情を見さしていただきました私たちとしては何とか考えなくてはならないという気持ちが強いわけでございますが、被害状況調査中でございますので、その結果を踏まえまして十分検討いたしたいと考えておる次第でございます。
  93. 岩動道行

    岩動道行君 いまの現行制度ではなかなか該当しないという予想を実は私もしているわけなんです。そこで町村合併をやって、大変広いわけです。たとえば、岩泉というところでもかなり焼けたわけですが、これが普通の町や村の面積だったら当然該当するかもしれません。ところが、岩泉というところは香川県に近い面積を持っておるのですね、合併して。そういうところで基準に合わないと言われると、どうも何か矛盾を感じ制度にもっと弾力的な運用ができないのか、こういうような感じもいたしますので、そこら辺はひとつ大局的に、そして山林の造林意欲が生まれてくるような、そういう対応をぜひ御検討をいただきたい、これは要望をいたしておきます。  保険金早期支払いについては、十分に政府でも業界を指導したり関係機関指導をやっていただいておりますので、これは了承いたしております。  それから被害木の搬出、そしてそれをできるだけ財産価値として売り払っていく、これがまず最初の仕事なわけですが、搬出の道路について、林道と言わなくても、搬出路をどういうふうにして皆さんの方で考えていただけるのか。それから焼けた木の販売について、買いたたきなんかにならぬように、適切な価格で引き取ってもらえると、これが山林の植林への意欲の第一歩ではないかと思いますが、これらについての政府対応をひとつ伺っておきたいと思います。
  94. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 現在被害木の状況の把握に努めておりますが、いずれにいたしましても、できるだけ被害木の有効利用を図っていくということが必要ではなかろうかというぐあいに考えております。軽微な被害木につきましては、製材用あるいはチップ利用が可能かと思いますが、被害の程度によりましては、この利用、街路樹の支え木とか、こういったものに利用するとか、またあるいは薪炭用と、こういった利用もございますが、実情に即しまして利用の促進を図り、また価格も安定して取引できますよう関係機関指導してまいりたいと、このように思っております。また、この搬出のための林道の作設につきましては、係官を現地に派遣いたしまして、対応を県とよく相談をいたしてまいりましたが、本年度中に極力この林道の作設も行いまして、被害木の搬出あるいは跡地の復旧造林、こういうものに努めてまいりたいと、かように思っております。
  95. 岩動道行

    岩動道行君 それから、先ほど目黒委員からも御指摘があって、政府も適切な対応をするという答弁をされているのが第二次災害の防止、これは大変またいつ起こるかわからないということで、私ども心配をいたしております。したがって、これに対しては早急に治山事業をおやりになるということでございますが、その準備はどの程度に進んでいるのか、それから、まあ、目の子で大体どれくらいの雇用が期待できるのか、そこら辺をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  96. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 現在、県の方で現地調査をいたしておりまして、近く林野庁に持ってまいりまして、設計その他につきまして十分打ち合わせをいたしました上、緊急治山事業に着手するということで、早急に着手できるようなぐあいに取り運んでおります。また、実施につきましては、全体的に三億程度のものになろうかと思いますが、雇用の量等につきましては、なおよくまた調査をいたしてみたいと思います。
  97. 岩動道行

    岩動道行君 早急という言葉をよく政府は使うんですが、大体どれくらいになるか、もう少し具体的に聞かしていただかないと現地は大変まだ不安を持っておりますから、そこら辺改めて答弁をいただきたいんですが、もう一つ、被災された地域の人というのは漁業をやっている。そしてちょうどコウナゴという魚の漁期に当たっていた。そのときに船が全部焼けてしまったということで、目の前に金があるにもかかわらずその金がとれないと、こういう非常に悲惨な事態が起こったわけです。  それで、後ほど伺いたいとは思っていますが、船の手当てがなかなか簡単にいってない、いかない状況。船が入ってきて漁具がそろうということになったころには、もうコウナゴの漁獲の時期が過ぎちゃっているということになるわけです。大体このコウナゴの収獲はどれくらいあるのか、これはどうも統計が、まだ、県の方でも聞いたけれども、よくわからない。現地の漁協でもよくわかっていません。しかし、全体の水揚げと、それから船の隻数などから一応大ざっぱな計算をしてみますと、平年で四十万から五十万くらいの水揚げをやっていたはずです。これは漁家にとっては大変重要な現金収入源なわけです。それが全くだめになってしまったということになりますので、これらはどうしてもいまの災害復旧とかいろいろな場面で補充ができるような所得の場をつくっていただかなければならない。そういう意味で第二次災害に対する復旧作業等、あるいはその他の失対事業もあるかもしれませんが、何らかのことはぜひ補ってあげるように政府で配慮していただきたいわけですが、この点もあわせて御答弁いただきたいと思います。
  98. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 緊急治山事業につきましては、今月中に県と十分打ち合わせまして、設計等取りまとめまして、来月なるべく早く着工に持ってまいりたいということで準備をいたしております。
  99. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) 申しわけございませんが、私専門でございませんので、コウナゴ漁期等がどうなっているかというのは詳細承知してないわけでございますが、先ほども御質問いただきましたように、やはり何と申しましても生活の糧でございます漁業の操業に基本的な重要な漁船を喪失した、あるいは漁具を喪失した漁家の生活については、私どもとしても重大な関心は持っておるわけでございますが、何せ農林水産省としては講ずべき手段、手法には限定もございます。そこで一つは、ただいま林野庁指導部長が御答弁申し上げましたように、極力緊急治山事業早期実施を図るということは一つでございますが、また融資の面におきましては、実は農林漁業金融公庫資金の中に自作農資金の漁業版と言うべき漁業経営安定資金という資金もあるわけでございまして、これらの資金につきましても希望がある漁家につきましては融通をしていきたいというふうなことで、もう一つの面ではそういった資金面での対応は極力考えてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  100. 岩動道行

    岩動道行君 まあできれば公共事業で町村道とか何かたちまち雇用の場がとりあえずできると、そういうところをひとつぜひ考えていただきたいわけです。これはひとつ加藤長官、国務大臣として関係大臣にもよくお話をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。  次に漁業関係でございますが、これも共同利用施設が焼けたりしておりますので、それの高率な助成をひとつぜひやっていただきたい、あるいは農林公庫の融資についても、水産加工施設とかいろいろございますから、これらについてもぜひ適切な早急な対応をやっていただきたい。それから漁船が焼けたわけですが、これの共同発注やっていると、購入をするということになっておって、大体船体とモーターぐらいは希望には沿えるような状況になっていると聞いておりますが、それだけでは魚とりはできないわけです。これからはワカメとかいろいろな別のものに向かっていくわけなんです、六月に入りますと。したがって、これに対する対応が今後どういうふうになるのか伺っておきます。
  101. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) まず第一点の久慈漁港におきます漁業用の共同利用施設の復旧の問題につきまして高率助成をしてほしいという趣旨のものでございますが、この件につきましてはすでに岩手県当局から同趣旨の要望を承っております。この漁港地区は、すでに五十六年度に新沿岸漁業構造改善事業の対象地区に指定されているわけでございまして、現在、その各種事業を実施しておるところでございます。そこで、この地区で焼けました冷蔵庫、加工場等々の共同利用施設につきまして新沿構事業の中で実施をすれば補助事業として行い得るということがあるわけでございまして、県当局におきましては漁協等とも相談しながら、極力新沿構の事業としてこれらの事業を復興していきたいという構想はあるやに聞いているわけでございまして、現在のところ、県当局においてはその具体的計画変更につきまして検討中であると承知しております。  私どもといたしましては、県の具体的構想がまとまり、計画変更が出てまいった段階で適切な対応をいたしてまいりたい、かように考えております。  第二点の公庫資金の円滑な融通でございますが、今般の災害によります被害の復旧につきましては、やはり何と申しましても農林漁業金融公庫資金が重要な役割りを果たすものと私ども認識している次第でございまして、すでに農林漁業金融公庫に対しましては――やはり農林漁業金融公庫はかなり豊富な資金の種類もございます。かつまた、資金ごとに貸付条件等もいろいろ差もございます。    〔委員長退席、理事田代由紀男君着席〕 そういった資金の内容を極力被害を受けました漁業者等に周知していくということがまず肝要かと存じまして、農林漁業金融公庫指示いたしまして、出先の支店におきまして支店長以下支店の職員が一斉に手分けいたしまして、役場、農協、漁協、森林組合等を訪問いたしまして、その内容の徹底を図るようにしている次第でございます。その上で被災を受けました漁家等から資金の融通の申し出があった際には極力対応するようにということで、現在、指導の徹底を図っているところでございます。  次の第三点の被災を受けました漁船の代船の共同発注の問題でございますが、    〔理事田代由紀男君退席、委員長着席〕 私ども県から報告を受けたところによりますと、船体並びにエンジンにつきましては、現在不足はないということでございますが、沿岸の漁民の方々はきわめて船なりエンジンにつきましては、何と申しましょうか、いろんな注文なり御趣向があるわけでございまして、したがって別途発注のものにつきましてはやや不足するかという点も聞いているわけでございますが、極力漁期の中で船体あるいは漁具等が調達できますよう、さらにきめの細かい指導をしてまいりたい、かように存じております。
  102. 岩動道行

    岩動道行君 私は、四月二十九日の夜、現地の大尻というところの漁協の被災者の皆さんと一緒に話をする機会があったんです。全く落胆の極にあり、かつまた、あしたからどうやって食っていこうかという、非常に悲惨な心境にあったわけです。私は激励をし、政府としても十分にこれに対応するような指導要請していく、すでに二十八日には、大蔵大臣中心として、そのようなことを基本的にお願いをしたんだと言ってまいったんですが、その程度のことではもうなかなか私を帰してくれない。どうするんだ、責任を持て、こういうふうに国会議員に対する強い要望が出ておったわけでございます。  したがいまして、政府においても、あるいは県も、あるいは市も、それぞれ最大の努力をしておるとは思いますが、どうかこの窮地に立たされた漁民に対して早急に対応ができるように関係業界にも十分な指導、協力を要請していただきたいと思いますが、この点について政府の方からさらにお願いしたいと思います。
  103. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) 私どもといたしましても、今般の久慈漁港におきます火事による被害の問題は、単に一地域の問題ということでなく、やはり漁業全体、漁村全体の問題としてとらえまして、政府だけではなく、政府関係金融機関、さらには漁協等関係の団体、それぞれ連携を保ちながら、一日も早く復興いたしまして、被災を受けた漁民の方々が再び漁船を連ねて操業できるように極力さらに努力を続けてまいりたいと存じておる次第でございます。
  104. 岩動道行

    岩動道行君 厚生関係についてちょっと伺いますが、仮設住宅については原則が共同住宅であり、公共用地ということになっておりますが、久慈の場合にはそれではなかなかうまくいかないということで、私は二十九日に現地に行った際に、市長の相談もありまして、とにかく現地に即して、そして直ちにあしたから活動ができるような、そういう仮設住宅にしなさいと、むしろ私の方からこれを勧めるくらいにして、後のことは心配するなということでやってきたわけであります。加藤長官も恐らくそのようなことで、引き受けたということで帰ってきておられると思うので、後始末のことはぜひひとつ十分にやっていただきたい。  大体、ふろがついていないというのもこれもおかしいので、ふろはぜひつけてもらうということになったわけです。  今後このような災害がないとは言えないわけでございますから、ぜひひとつ、今回限りということでなしに、やはり恒久的にそういったような対応ができるように政府でも考えていただきたい。  それから、先ほど申したように、金になるコウナゴ漁ができない、したがって生業資金がないということになりますと、救援物資等で何とかしのいでいるということでは、やはり本来の人間生活ではございませんから、そういう意味で、世帯更生資金ですか、ああいったようなものは、もう希望があればどんどん出しているということであるのかどうか、この辺についてちょっと伺っておきたいと思います。
  105. 近藤純五郎

    説明員近藤純五郎君) お答えいたします。  まず、応急仮設住宅でございますけれども、現在、十九戸できておりまして、これは先ほど先生からお話がございましたように、漁業等による方々に便宜なように、焼失した跡につくったものが十一カ所ございまして、あと共同的なといいますか、連棟でつくったものが八戸ということでございます。合計十九戸できておりまして、現在、全部入居しております。  それから、そのほかに、建設業者からの久慈市への寄附という形が十八戸ございまして、このうち十六世帯が現在入っております。現在、合計で三十七戸できておりまして、三十五世帯が入居しているという状況でございます。  それから、これらの家に入られた方々が共同で利用できる浴室を各集落ごとにつくってございまして、現在六カ所の建設を進めているところでございます。  それから、世帯更生資金の貸し付けの関係でございますが、これは低所得者向けの資金でございますけれども、これの国庫補助の貸し付けにつきましては、岩手県からの――いま協議中でございまして、県の要望に従いまして、今月中には国庫補助の内示をいたしたいというふうな考えでおります。
  106. 岩動道行

    岩動道行君 住宅についてちょっと――建設省来ておりますか。  恒久住宅をやがて建てなければならない。その場合に一つの貸し付けの金利と限度額があると思うんですが、やはり普通の貸し付けの枠では漁業をやったり農業をやっていくという場合にはその面積がなかなか合わないだろう。したがってその限度額については、もっと実情に沿ったものをぜひひとつ考えていただきたい。  災害復旧だって改良復旧という時代になってきているんですから、住宅だって、せめて、もとに戻すんです。それよりもはるかに小さいものしか貸し付けの限度額がないということでは、私は大変無情な制度である。もう少し情けのある運用をしていただきたいということをこの機会に要望しておきます。  時間も参りましたので、最後に財政関係について、冒頭に申しましたように、久慈市に対する、非常に貧乏な市に対しては、早速、普通交付税の繰り上げ一億六千万を出していただきました。これは大変恩情のある、また適切な政府対応であったと思います。  しかし、これからもいろいろな事業が行われるわけでございますので、特別交付税あるいは地方債の起債、これについては十分に対応できるように特段の御配慮をいただきたいわけでございます。この点について最後に国土庁長官から締めくくりの御答弁をいただいて私の質問を終わります。
  107. 松本和雄

    説明員(松本和雄君) お答え申し上げます。  被害を受けられました地方団体の行います災害復旧等に要します経費につきましては、実情十分調査をいたしまして、被害状況ですとか財政の状況を考慮いたしまして、御指摘地方債の配分あるいは特別交付税措置を通じまして適切に対応してまいる所存であります。
  108. 岩動道行

    岩動道行君 じゃ大臣、締めくくりひとつ。
  109. 福間知之

    委員長福間知之君) では大臣、締めくくり答弁を願います。
  110. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 災害に遭われた方々並びに当該地方公共団体の皆さん、一致結束して立ち上がろうとけなげな努力をされておられます。政府としましても、それぞれの被災者の方々並びに地方公共団体に対し一生懸命できることはして、復興の意欲を持ってもらいたいと考えておる次第でございます。
  111. 藤原房雄

    藤原房雄君 このたびの火災につきまして先ほど報告があったわけでございますが、私も四十四年に、あの岩手県の山形村を中心としまして大変な被害を受けました当時、現地にも参りました。このたびも、これは大変なことだということで、二十八日地元へ参りましたが、やはり先ほど大臣からもお話ございましたような、想像を絶するような状況でございました。ただ、被害面積とか、また非常に強風にあおられたということで、限られた地域が集中的にやられたということで、それは久慈市の漁村は集中的にやられましたけれども、何村かが広範囲にわたってやられたという、被害を受けたという、このたびはそういう状況ではなかったということでありまして、被害総額につきましては、先ほどお話ございましたような六十億ですか、そういう被害総額がきょう発表になっているようでございます。六十四億ということのようでありますが、これはこれからまた調査もなさるだろうと思います。  先ほど来の議論の中で、やっぱり激甚災または局地激甚という指定をぜひひとつしてもらいたいという、これはその指定にするには基準があるわけでありますけれども、それを地元の方々が強く熱望するのは那辺にあるかということはよく御存じのことだと思うんでありますが、それはいろんな融資制度に対しましての利率の、低利で貸し付けられることができるということや諸条件が普通の災害と違うというところにあるわけであります。このたびは、先ほど冒頭に申し上げましたように広範囲にわたって一面の大きな災害を受けたということとは違うわけでございまして、集中的に漁村の三村、四村が被害を受けたという、そしてそこは本当に全滅するような被害を受けたということでございまして、いままでの山林火災、または火災ということと非常に様相が異なるということも一つあると思います。  それからもう一つは、風水害とか、それから土石流とか、こういうときですと、公共施設、こういうものが壊滅的な状態被害を受ける。このたびのこの山林火災、瞬間風速三十七メートル、八メートルという大変な強風のもとでありましたものですから、弱いところといいますか、火を浴びたところに被害が広がっていったということでして、そういう点では公共施設が軒並みに壊れるとか、橋、道路、公共施設が被害を受けるということとは違うわけでございまして、そういう点では被害を受ける実態というのはいままでの風水害によるものとは異なるのだという、こういう観点の上から、基準は基準として、今日までの災害の積み重ねといいますか、いろいろな状況の中で、また経済諸情勢の中で、一件百万を超すとか、百何十万とか、いろいろな百何十億という一応の目安というものがあるかもしれませんが、このたびの被害状況に勘案しまして、しかも三年間大変な冷害の中で苦闘しております現地状況等もひとつ勘案しながら、局地激甚の適用、さらにまたこれがどうしてもできないという状況の中にあるならば、これは局地激甚の適用を受けたと同じような長期低利な資金でぜひ復興のできる、再建のできるような手だてをひとつお取り組みをいただきたい。何せ世界に冠たるお役人さんがお集まりいただいているんですから、このぐらいの知恵はもう十分に出るだろうと思いますし、また国土庁長官、大変に政策に明るい、こういうことで、私どももぜひひとつ知恵をしぼってこれは対処をいただきたい。冒頭にこのことをひとつ申し上げておきたいと思いますが、これは決意とかなんとか言ってもしょうがないんですけれども、最大の御努力をいただきたい、こういうことで大臣の御心境といいますか、伺っておきたいと思うんです。現場へ参りましたときには、あの焼け野原の中で、これは大変だぞということでごらんになったと思うのでありますが、先ほど大臣も、涙なくしてはということでございましたが、東京のこのぬくぬくとした国会の中での議論になりますと、あの肌寒いような思いをした当時とはちょっとまた気持ちが変わるようなこともあっちゃならぬだろう、こう思うのでありまして、ぜひ大臣のあの現場に立ったときと同じ心境でこの問題には取り組むのだという強いお気持ちのほどをひとつお伺いしたいものだと思うんです。
  112. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 藤原先生、先般公明党の諸先生とともに私の国土庁の方にも、いまの御趣旨に沿った要望書、申し入れも承り、それに関連しまして国土庁とし、また各省庁とも一生懸命御要望の趣旨に、どのように申し入れの趣旨におこたえできるかということで勉強いたしているところでございます。現地を見ましたあの気持ちというものは、東京へ帰り、この国会の場におりましても決して変わっておるものではございません。ただ、先ほど来申し上げておりますように、現在被害状況調査中でございます。その調査の結果を踏まえた上で十分検討してまいりたいと、そして皆さん方が復興に対する意欲を持ち続けていただけるような方法を何とかして講じなくてはならない、この気持ちでいっぱいでございます。
  113. 藤原房雄

    藤原房雄君 災害のときに対処するいろんな手だてにつきましては、それぞれ法文化されておるわけでありますが、森林火災というのが主になっておりますけれども、農業、漁業また中小企業それぞれに大変な被害を及ぼした、それは先ほど来同僚委員からもいろいろお話ございましたが、是が非でも、経済力のないといいますか、三年連続冷害の中での、あの久慈中心とします、岩手県を中心といたします状況、その地域によっては多分に差異があろうかと思いますが、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、これの三条の二なんかを見ましても、結局「当該三年間災害により被害を受けたこれらの施設の災害復旧事業の事業費の総額につき、当該三年間災害がその年の一月一日から十二月三十一日までの間に発生したものとみなし、」という、三年間災害のあったものについては、それはまた特別なことをしてみようじゃないかという、こういう法律もあるようですね。こういうこと等も考え合わせて、去年も久慈では風水害の被害もございましたし、これは山林ということだけではございませんで、農業施設も各地被害が相当あったわけでございますから、そういう点も十分に法の運用を弾力的に、そしてまたぜひ力強く復興のできるようなことでひとつ御努力もいただきたいと思うんであります。  あと、自作農維持資金をどうするとか、また住宅資金についてはどうするかということについては、先ほど来同僚委員からいろいろお話がございました。いずれにしましても、住宅を建てるにいたしましても、仮設住宅についてもお話ございましたが、現地に行ってみますと、私も宮城沖地震のとき渦中にあった一人だったものですからよく存じておるんですが、これ六坪程度の建物で、しかし、宮城県のときは家族構成がそんな大きくなかったものですからそれでもよかったのかもしれませんが、七坪程度ですね。しかし久慈へ参りますと、家族構成が多いものですから、規格どおりの七坪、八坪の建物を建てても実際大変だという。規則は規則なんですけれども、こういう現状を見た上で、またこれは今後の検討課題としていただく、また現実にお住まいになった方々についてはそれなりにひとつ御考慮いただくようにしていただきたいと思います。また、建てた建物がいくらもしないうちに、またこのたび、しかも部落のだれかが失火したというんじゃなくて、もう何キロもかなたから火の粉が飛んできたということでございまして、一年も二年もたちもしないうちにという。そこへまた今度住宅金融公庫でもいろいろ御配慮いただいて、五・〇五で融資しようということであります。三年据え置きということですから、それはそれなりの御努力いただいたわけでありますけれども、いままで建てたやつの支払いもしなきゃならないところへまたということですから、三年の据え置きの間にどれだけの生活の基盤が確立できるかというこんな問題等も出てまいります。これは個人差もありますし、おしなべての話というわけにいかないかもしれませんが、地域としましては非常に出稼ぎが多い。三年も冷害で、半農半漁。農業、漁業、またそれぞれの立場、中小企業方々地域の問題等としましては、こういう現況にあるんだということの上に立って、先ほどは大臣がおっしゃったように、焼け野原に立ったときのあの気持ちを忘れず、ひとつまた温かい気持ちで御配慮いただきたい、こう思います。  私は、これ先ほどいろいろお話ございましたが、山火事というのは年間平均しますと、さっきもちょっとお話あったようですが、ずいぶんあるんですね、この白書なんかを見ますと。今回も二十二カ所一遍に火を吹いたということですが、四千件から八千件ぐらい。平均しますと年に二十億ぐらいの被害総額という、こういうことが白書にも出ておるようですね。これだけの被害を受けて、これだけの危険な状態にありながら、今日まで何もしないとは言いませんけれども、それなりの対策をしながらもこれは去年と同じこと、一つも前向きといいますか、こういう事実に対して真剣な取り組みというのはなかったように思うんであります。実際今回は、空中消火ということに対しましても、岩手県、宮城県もそうでしたが、消火剤が不足しておった。非常に強風の中ですから、なかなか散布するにも困難な面があったんだろうと思いますけれども山火事に対する取り組みというのは、四十四年に岩手県でやはり大きな山形村を中心といたしましての大変な災害があって、私も現地へ行って、あのとき当委員会におきまして、いわゆる空中からの消火体制というものに、アメリカみたいなわけにはいかないかもしれませんが、ぜひこれは取り組まなきゃいかぬ、こういうことを声を大にして叫んだ記憶があるんですが、あれからもう十三年も四年もたっておる。逐次それに対応する形は整えられておるのかもしれませんが、もう三月、四月というと、必ずこういう季節を迎えるわけでありますので、やはりこういう同じ轍をいつも繰り返しているようなことではならぬ。これはぜひ加藤大臣の時代に何とかひとつこれに歯どめをかけるような体制をお考えいただきたい。  これは恐らく見識ある方々が新聞とか雑誌、いろんなものにも発表なさっていらっしゃるようでありますが、広域的な山火事防止のための体制、これは部内でもいろいろ御検討になっていらっしゃるんじゃないかと思うんですけど、どうでしょう大臣、まだそこまでの御検討の余地じゃなくて、罹災者に対する救済ということなのか。年間五千件も六千件もこういう山火事があって、二十億もの被害を続けておるということに対して何かしなきゃならないぞ、こういうことでのお取り組みはどうなんでしょう。
  114. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 林野庁消防庁中心としまして、林野火災対策研究会のようなものを開いていままで勉強をしてきていただき、また答申もいただいておるようでございます。このいただいておる答申その他を克明に勉強しまして、いま先生が御提起されましたような問題を含みまして、打つべき手は打たなくてはならない、このように考えておる次第でございます。そうは言いましても、わが国の国土の大部分を占める山林ということでございますので、やはり重点的に山火事の多発地点を中心に、さらに消防庁あるいは林野庁その他の関係の役所を動員して今回の教訓を生かすようにやらなくてはならないと強く思っておる次第でございます。
  115. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは勉強でなくて、そろそろもう何か実施しなきゃならないときに来ているんじゃないでしょうか。やっぱり高度成長の時代から、とにかく都市化といいますか、都市に眼が向けられて、だんだん山村の過疎化、こういうものに対する対策というのは置き去りになっている。そういうものの一つがこういうところにまたあらわれているとも言えるんじゃないかと思うんですね。ぜひ大臣の時代にここらにひとつ歯どめをかけるための何かの施策、広域的な消防体制――これは人海戦術とそれから空中からのやつと二つがあるんだろうと思います。風の強いときに飛行機が飛ぶわけにいかないかもしれませんが、風がおさまったときにはいち早く飛んでいくような広域消防体制というものについても、ぜひひとつ体制を整えていただきたい、こう思うんですね。  五十五年の統計、ちょっと古いやつですけれども、相当なお金を使って、市町村消防費の決算で、総額七千八百億ですか、相当なことはやっているんでしょうが、山林とかこういう山村の問題になりますと、どうも手薄な面があるんじゃないかと思うんですね。これは、今日までも、消火剤等については補助金を出すとか、いろんなことやっているようですが、こういう大きなことがありますと、われに返って一生懸命取り組む、ちょっとしばらくないとうっかりしておるという、こんなことあっちゃなりませんので、ぜひこれは地方自治体、また国が総体的な対策を講ずるということが必要なんだろうと思います。それに、それもそうですが、何といっても一人一人の意識の革命という、意識がしっかりしていなくちゃならぬなと思います。先ほど、どなたか、消防庁ですか、気象庁の方のお話がありましたけれども自然発火というのは考えられないということのようで、たばこの火、また焼き畑、こういうものの火、または、こういうやはり人為的なことが大きな原因のようですね。三月、四月なんという、こういう季節はまだ若芽が出ない。東北におきましては毎年のように、こういう大なり小なり山火事があるわけですから、異常乾燥注意報とか強風警報とか、こういうものが出たときには、もう少し、ただ発令するというだけじゃなくて、もっと山に入る者に喚起をする。常日ごろの月間で意識を高めるということももちろんのことです。また、子供の教育の中で、森林学校ですか、そういうことで山の木というものに対する意識を持たせるということも大事なことだと思いますが、異常乾燥注意報とか強風警報とか、こういうものが出たときには火を使ってはならぬのだという、作業をする人はもちろん、山菜取りやいろんな方々に対しても、もっと徹底したものがないと、ただテレビに異常乾繰注意報と字幕が出るというだけで、それで済んでしまうんじゃならないんじゃないかなあというような、何かそこにもっと、二十億、三十億、大変な毎年被害を繰り返しておる。これに歯どめをかける手だてはあるのじゃないかという気がするんですが、どうでしょうか。
  116. 志村哲也

    説明員(志村哲也君) お答えを申し上げます。  まず、広域的な消防体制についてのお尋ねについてでございますけれども、御指摘にもございましたように、林野火災は一たび発生をいたしますと、どうしても隣接市町村に及びまして、被害が非常に大きくなるというようなこと。加えまして、林野の分布状況でございますとか、その林野の地形でありますとか、そのときの気象条件等も加わりまして、数市町村に及ぶ。また、大きい場合には数都道府県にも及ぶというような実態になるわけでございます。  こういうような林野火災の実態にかんがみまして、消防庁におきましては、かねてから、林野火災につきましては一つの市町村の消防だけで対応するにはなかなか困難であるということから、消防の一部事務組合等によります広域的な消防体制整備でございますとか、数市町村あるいは数団体によります消防の相互応援協定を締結するなどの協力関係を結ぶほか、また過去の林野火災経験にかんがみまして、林野対策地域特別事業というようなものにつきましても、昭和四十五年度から、林野庁と協力をしながら実施を進めているというようなこともやっているわけでございますけれども、これ以外にも、やはり何といいましても林野火災につきましては、大量の人員を導入するという人海戦術に加えまして、近代的な装備を持った防御戦術が必要であるということから、お話にもございましたように、昭和四十四年から消防研究所並びに防衛庁あるいは林野庁の協力を得まして、ヘリコプターによります空中消火の方法を研究開発をしてきたところでございます。これにつきましては、昭和五十年度から実施の運びになったわけでございまして、今回の火災につきましても、自衛隊の協力によりまして効果を見たところでございます。今後とも、消防庁におきましては、ヘリコプターによります空中消火体制につきまして、現在すでに多くの県におきまして体制整備をされているわけでございますけれども、引き続きこの空中消火体制というものを重点的に整備をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。  それから次に、林野火災原因が、お話にございましたように、人為的な要因が非常に多いわけでございまして、この人為的な要因ということになりますと、どうしても山林に入り込む方々が火気に注意するということで、その啓蒙が非常に大切になってくるわけでございます。こういう点から消防庁におきましても、かねてから林野火災の啓蒙指導につきましては、地元地方自治体、それぞれの関係諸団体と努力をしてきているところでございますし、また一方におきましては、消防法におきましても、火災予防条例に基づきまして、一定の行為につきましては、届け出とかあるいはその禁止というような体制も整っておりますので、これらの制度につきましても、より一層推進をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。  以上でございます。
  117. 藤原房雄

    藤原房雄君 先ほど同僚委員からもちょっとお話あったんですけれども、山で火を使うときには、森林法とそれから消防法と消防条例ですか、あるんだということなんですけれども、森林法で、火を使うときには、造林のために地ごしらえするとか、開墾準備とか、害虫駆除、焼き畑、こういう火入れをするときには市町村長に届け出るわけですけど、宮城県の場合はこれは宅地造成ということだったんですね。これは、こういうことから、この条文から言うと、宅地造成の場合には森林法の網をかぶらぬということで、地元の消防条例によって、火を使いますよということで済む。これは届け出ということですね。こういうことで、最近、いままでの法体系というものは、こういうどんどん都市化していく、そしてまた、このたびのように山林の火が市街にまで及ぶような、こういう状況の中で、ちょっと、これは現実にそぐわないような一面も出ている。  これは消防庁の方でお考えになるのか、または森林法でするのかわかりませんが、ぜひこれは国務大臣として国土庁長官にもお考えいただいて、一番大事なことは、森林と宅地との間に防火的な間隔があればよろしいんでしょうけれども、そういう構造上のことと、それからどんどん宅地造成していって隣接するようなところでの仕事のときに、火を使うときには、これは森林法の網もかぶらぬし、また市の条例で届け出で済んでしまうというような、こういうちょっとあいまいなことについて、今度の仙台を中心といたします宮城県の災害については、ここらあたり、もう少しきちっといたしませんと、また同じようなことが引き起こされるような感じがしてならない。しかも、三月、四月、消えたと思いましても、先ほどのお話ありましたフェーン現象、一時間足らずの間に十度も気温が上がり、また強風がということになりますと、これは大きな惨事を引き起こす。こういうことが今後もあり得ないことでは決してないということで、都市化の波の中で、山林と隣接した地域についての問題についてはお取り組みをいただきたい、こう思うんですが、どうでしょうか。
  118. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今回、森林法に基づくところの許可という問題と、市町村の条例に基づく届け出という問題等につきましては、私も何がしかの調整をしていかなくてはならない、こういうように考えておるわけでございます。また、その反面に、緑に囲まれた中に住みたいという人々の意欲がございますが、ここら辺の住居というものと林野というものとの線引きというのを今後どういうようにしたらいいか、そこら辺の問題につきましても関係省庁と十分な打ち合わせ、相談をしまして適切な措置を講じていかないと、このまま野放しにしておくわけにはいかないと考えております。
  119. 藤原房雄

    藤原房雄君 ですから、森の中に家があるのも結構なんですけれども、そのときに森林法の網をかぶせて、森林法の法体系の中で、きちっとそれを火を使うときには見るというふうに、土地造成またはそのほかの作業を、こういう都市化の波の中での最近の様相等十分に勘案して、そういう条文の中にそういうものもきちっと定めるというふうにいたしませんと、また同じ轍を踏むということで申し上げているわけです。何といいましても山でお仕事をなさる方は、水それからまた火を使うときには必ず穴を掘って、そしてそこできちっと火の始末をするという基本的なことがどうも欠けておったようで、これは私ども実態を見たわけじゃない、報道されている範囲内での判断ではありますけれども、やはりこういうことについて基本に忠実でなきゃならぬなと思います。それと、先ほど申し上げました異常乾燥注意報とか強風警報が出たときには、何らかの山に対する規制というものをいたしませんと、現在も、それは届け出をしたときには注意をするんだろうと思いますが、とにかく三月、四月、急激に急変いたしますから、十分にこの季節については注意をする。それから多発地帯といいますか、山火事東北の県では岩手県、青森県、宮城県、三月、四月、大体大なり小なりございますね。こういうことに対しまして、こういう危険性のあるところについては、特にひとつこの問題については注意を喚起する政策をお考えをいただきたい、こう思うんです。  それから、先ほど来お話しになっておりますように、造林という、緑をふやそうということで、大臣も一生懸命お取り組みのようでありますが、これは後片づけをしてからでないと木は植えられませんので、後片づけをするというのは大変なお金がかかるわけで、森林の場合には森林国営保険が人工林についてはあるわけですけれども、加入している方がどのぐらいいらっしゃるか、そして最近は山持ちというのはだんだん変わってまいりまして、不在村、その村に住んでいる方が必ずしも山持ちではない様相の変化、四十年代の後半からそういうことがございまして、地元でどんなに啓蒙したり何かしましても、実際はなされない。今回は国有林というよりも、四十四年のときには国有林が多かったようですが、今回は国有林は少ない。国有林から火が出たのかな、四十四年は。今回はそうじゃない。そして雑木林が多いみたいですね。地元に山を持っていらっしゃらない方々はどうしても山の手入れが行き届かない。こういうことで、これが被害を大きくするもとになることも、また地元でも大変危惧されております。これは大臣国務大臣だから国政全般について御存じいただかなきゃならない、これは林野のことなのかもしれませんけれども、こういう不在村の方々に対して、今後こういう山の手入れ等について、今度、森林法の一部改正ございまして、これどうするかというようなことも一部考えはあるようですけれども、これはぜひ今後の行政のあり方としまして、十数年来から今日大きく変わった一つの大きな問題ですから、緑をふやしましょう。木を植えましょう。何ぼラッパを吹いたって、その村にいる人が地主じゃないんですから、山持ちじゃないんですから、こういうことで、ぜひ今日のこういう現状の中で、これはお考えいただきませんと、同じことを繰り返すことになる。  それから、去年ですか福島で雪害による折損木がございましたけれども、県でこれはチップしようということで、県で何かチップの機械をお買いになってやったようでありますが、これは今回はもう焦げたやつですから、どれだけの利用ができるのかというようなことも非常に危惧されるのですが、これは岩手県、まあ、財政力がないなんというと、こんなことを言っていいかどうかわかりませんけれども、国のこれはいろんな施策に対して財政的なバックアップをぜひひとつしていただきたいと思います。いろんな試算もございまして、これは後片づけをして植林をするということには相当なお金がかかるようであります。それで国の補助もいろいろあるんですけれども、持ち主がそれぞれに異なっておりまして、また造林意欲があるかないか、先ほど申し上げたような、その村に住んでいらっしゃらない、企業の方がお持ちになるというところについては、これはどんなに木を植えようと言いましても、企業として取り組む姿勢がなければそれは進まない、こういうことで非常に山に、先ほど来、大臣一生懸命植林をして、燃えた倍も三倍も木を植えるぞ、意気込みはいいんですが、実態は非常にむずかしい要素が山積いたしておるということで、それらのものをぜひひとつ整理していただき、そういう中で、当初お話にもございました大臣の所期の目的が達成できるような、ひとつ造林意欲のわくような施策、これぜひひとつお取り組みいただきたいと思います。  これは林野庁としましても、いろいろ御検討なさっていらっしゃると思うんですけれども林野庁と、また大臣先ほど緑をというお話だったものですから、お二人から御答弁いただきたいと思いますが、どうでしょう。
  120. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 今後の造林につきましては、造林補助制度その他万般の対策を講じまして、造林意欲を向上いたしまして、造林が進みますよう、また、この保育につきましては、戦後に植えました造林地が大量に保育、間伐を必要とする時期に来ておりますので、先般の森林法の改正等を通じまして、市町村長の森林整備計画の作成等を通じまして、今後間伐あるいは保育、この促進を図りまして、森林の機能の向上という点に努めてまいりたい、かように思っています。
  121. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) いわゆる不在山林主といいますか、企業的に、あるいは多くの皆さん方がその当該町に住まずに山を持っておるという傾向は、ここ十数年相当進んでおるんではないかと思います。こういう方々に木を植えてもらい、植林してもらう方法は、さらに具体的に今後考えていかなくてはならないと思います。  それから、先ほど林野庁からお答えいたしたと思いますが、植林に対する制度、金融、保険、こういうものに対しまして、さらに幅広い検討を行いまして、森林経営意欲、造林意欲、植樹意欲を持ってもらうための方法を政府全体としても考えていきたい、このように思っておる次第でございます。
  122. 藤原房雄

    藤原房雄君 きょう、いろいろ同僚委員から論じられました、論じるというか提起されました問題、また地元から参りました陳情、そういうことも踏まえまして、私ども過日大臣にもいろいろお話し申し上げました。大臣現地に行かれたという立場から、非常に真剣にお取り組みの御決意であったようでございます。これは個々の問題になりますと、いろいろ法的な壁があろうかと思いますけれども、ぜひそれは、こういう現状の中では、非常に厳しい財政状況の中でありますから、この一つ一つについては大変に困難な面もあろうかと思いますけれども、農業、漁業、林業という日本の産業を支える、私どもの食生活、また私どもの生活に、基本的な立場でお働きになっている方々でございます。また、東北については、三年連続冷害ということで、大変にここのところ疲弊をいたしておりまして、中小企業方々についても大変な被害を受けた現状も報告ございましたが、これらのことを勘案いたしまして最善の御努力をいただくことをひとつ強く強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  123. 下田京子

    ○下田京子君 今回の大規模林野火災につきまして、私も二十八、二十九と現地に飛びました。いろいろあるんですけれども、第一番目に岩手県の西根町と、それから滝沢村で起きました出火問題についてお尋ねしたいと思うんです。時間がございませんから端的にお答えいただきたいと思うんですが、防衛庁お見えですね。  第一番目に確認したいことは、四月二十六日行った野焼きというのは、これは演習場整備計画に基づいて行われたものかどうか、これが一点。それから二点目が、その際に、これは昭和四十四年六月二日に「林野火災対策について」ということで消防審議会が答申されておりますが、森林法第二十一条に基づいて火入れ等の際には許可をとるようにと、こういうお話でしたが、そういう手続をとっていたかどうか。時間がございませんから端的に。
  124. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答えいたします。  先生指摘の演習場整備計画に基づきまして行っておったかどうかということでございますが、それはそのとおりでございます。  それから、私どもの方の承知しておりますのは、国の場合は森林法の適用はない、このように承知しております。
  125. 下田京子

    ○下田京子君 森林法の適用がないということで、火入れについては、そのことにつきまして周辺市町村等に周知をしていなかったということですね。
  126. 大原重信

    説明員(大原重信君) 私どもといたしましては、火入れをいたします前に関係の方面に連絡さしていただいております。具体的には二十四カ所の通報をさしていただいております。関係官署、それから学校、そういったところでございます。
  127. 下田京子

    ○下田京子君 四月の二十七日には、二十六日に行った野焼き地域を含めまして三カ所から火災発生しているということは、他の委員に先ほども答弁になりましたが、事実を確認したいんですが、いただいている資料によりますと、第一回目の出火は野焼き地区から数百メートル離れた地点で十時十分、十時十五分鎮火、第二の出火は十一時五分、これは野焼き内で出火、十一時三十分鎮火、それから第三の出火が十一時三十分、これは野焼き地区から離れたところの、地区外ですが、近くであるということですが、事実ですね。
  128. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答えいいたします。  先生指摘のとおりでございます。
  129. 下田京子

    ○下田京子君 ところで、第三の出火の時点で、これが三回目の出火を発見して、自力でもって消火活動を進めていったけれども、どうにもならないというふうなことで連隊長が判断されたのかどうか、十一時五十五分に滝沢分署等に出動を要請されたと、こう聞いているんですが、この連隊長の判断であったのかどうか。同時に、この時点での出動要請というのが適切であるというふうに判断しているかどうか。初期消火に不手際があったんではなかろうか、こういうふうに思うわけなんです。出火原因が何であるかということはいろいろいま調査中、捜査中であるということでございますけれども、この自衛隊駐屯地内から火が飛び火していったと、これは事実でございましただけに、この初期消火がどうだったのかという点でどのように感じておられますか。
  130. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答えいたします。  先ほど先生指摘ございましたように、第一、第二、第三と順次出火したわけでございますけれども、第一、第二につきましては、私どもある程度の消防力も持っておりますし、一生懸命消火いたしたわけでございます。それで先生指摘のとおり、第三の点について連隊長の判断で消防署の方へ連絡させていただいたかどうかという点でございますが、まさにそのとおりでございます。ただ、これについて初期消火に問題がなかったかどうかという御指摘でございますが、これは現実に、外といいますか、演習場を焼いていっておりますので、初期消火の判断に誤りがなかったかと言われますと、これは警察のあるいは消防の調査によりまして、いずれ結論を出させていただくということになろうかと思います。
  131. 下田京子

    ○下田京子君 初期消火に問題があったということは事実だと思うのは事実が物語っているんですね。というのは、八百人からで消火活動に当たったということですけれども、どんどん延焼していっているわけですから。消防あるいは警察にその捜査をゆだねていると言いつつも、この点は大きな問題だというのは事実として指摘をしておきたいと思う。  それから、次にまたお尋ねしたいのは、この山火事での被害状況をどのようにつかんでいるのか。私が消防庁からいただいておりますのは六億三千六百八十九万三千円と聞いておりますが、そう承知しているかどうか。それからまた皆さんの方の、いただいた資料によりますと、そのことによって復旧対策救護活動、いままでおやりになったのは、被災者に対して四月二十八日から五月十一日にかけて隊員延べ二百四十三人及び機材、ブルドーザー等を出しまして焼け跡の後片づけ及び整地等を、一部プレハブの設置なんかも含めておやりになっているということですが、事実でございますか。
  132. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、四月二十八日から五月九日の間、人員二百四十三名、車両三十六両をもちまして整備に当たらせていただいたということは事実でございます。
  133. 下田京子

    ○下田京子君 私が岩手の駐屯地に参りましたときには、責任者はおらないということで、対応された方がこのように言っていたんですが、四月二十六日になぜあの野焼きやったんだと、こう申しましたところが、四月二十六日は最も気象状況が安定しておって野焼きに適していると、こうおっしゃっていました。皆さんの方はそのように把握されているのかどうか、二十六日の気象状況、把握状況を御説明ください。
  134. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答えいたします。  四月二十六日の気象状況は、午前七時五十分現在、当演習場の気象状況といたしまして、南東の風二・二メートル、気温は十四度、湿度は四七%、晴れということで野焼きには適した気候であったと、気象であったというふうに考えております。
  135. 下田京子

    ○下田京子君 それじゃ気象庁にお尋ねいたします。  この野焼きに適する状況であったということなんですけれども、私が聞いておりますのは、岩手県では四月二十三日から異常乾燥注意報を出していたと聞いております。それからまた、気象庁岩手県に対して、この二十六日も含めまして二十三日から火災気象通報を出していたというふうに聞いております。それが事実かどうか。それから火災気象通報を出していたとすればどのような基準で出していたのか、気象庁
  136. 黒澤真喜人

    説明員黒澤真喜人君) お答え申し上げます。  先生いまお話しのとおり、四月二十三日二十一時五十分に異常乾燥注意報を発表いたしまして、同じ内容の火災気象通報をいたしまして、当日、四月二十六日にも引き続き継続中ということでございました。  それで、この火災気象通報につきましての基準でございますけれども、最少湿度湿度の日の中で一番少ない値、これが四〇%以下、それから実効湿度、これは木材の乾燥状態等をあらわす目安として計算しておるものでございますけれども、六五%以下で、かつ風速七メートル以上という状態が二時間以上継続するということが現実に起こり、あるいは予想される場合に発表するということになっておりまして、当日につきましても、このような状態が続くという見通しのもとに継続しておりました。  以上でございます。
  137. 下田京子

    ○下田京子君 盛岡の気象台によれば、この最少湿度が二二%で、実効湿度が四九%と伺っておりますが、すると、いまの火災気象通報を出す基準よりもはるかに危険な状態であったというふうに判断しますが、そのように理解してよろしいですね。
  138. 黒澤真喜人

    説明員黒澤真喜人君) 先ほど申しました基準はその上限でございまして、先生指摘のとおり、当日はさらにより乾燥をした状態にあったということでございます。
  139. 下田京子

    ○下田京子君 そこで消防庁にお尋ねしたいんですけれども、地元住民によりますと、駐屯地のある滝沢村では火災気象通報を出しまして、村民に火の取り扱いについて注意するよう呼びかけておったというふうに聞いておりますけれども、これは事実かどうか。また、こういうことは何を根拠にしておやりになるか。
  140. 志村哲也

    説明員(志村哲也君) お答えいたします。  まず火災注意報でございますけれども火災注意報というのと、消防法に基づきます火災警報とは全く別のものでございまして、御指摘にございましたように、盛岡気象台から異常乾燥注意報の発令された後におきまして、滝沢村におきましては、有線放送を通じまして毎日二回住民に対しまして、一般的な火の取り扱いに対する注意ということでの火災予防の呼びかけを行ったというふうに聞いております。この一般的な火災予防の取り扱いと、消防法に基づきます火災警報とは、私どもといたしましては別のものだというふうに理解をしておりますし、また、滝沢村におきましても、火災警報は発令をしていないというふうに聞いております。
  141. 下田京子

    ○下田京子君 火災注意報がどういうもので出されるかというのは気象庁が言ったことでこれはもう承知しているんです。ただ、消防法に基づくものでないということだけはわかりました。ただし消防法二十二条は火災警報を、それからまた消防法の二十三条においては、積極的な点で具体的にいろいろ言われておりますね。四十四年の林野火災教訓とその答申の中にあっては「林野火災の多発するおそれのある期間に限り一定」、そういうことで消防法の特に二十二条よりも二十三条についても、もっと積極的にやれと、こういうふうに言っているわけなんですが、私、こういう点でも、もう一度消防庁自体も考え直すことが今回の火災の一つの教訓になるんではないかということを一つ指摘しておきたいと思います。  ところで、明らかになったと思うんですけれども、防衛庁よろしいですか、さっき大変野焼きに適している状況であると、私は、いまの状況をずっとお聞きになればおわかりのように、適している状況だというふうに判断すること自体に問題がある、こう思うわけです。そういう点から見まして、先ほどから、一つは何によって出火したのかということもあるでしょう。しかし、野焼きをやったその地内あるいはその周辺から出ている、それがひとつ第三出火のときにずっと延焼していったというふうなことございますだけに、何が原因なのかというのは、野焼きかどうか、あるいは野焼きであってもネズミの穴や何やらいろいろ問題があるらしいですけれども原因をはっきりさせて対応をするというのも当然でございますけれども、その初期活動の問題も含め、それから野焼きというような状況、その実施がどうだったかということも含めまして、当然私は行政的な責任として、こういう罹災者に対する対応というのをすべきじゃないかと思うんですが、その点どうですか。
  142. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  被災者の方々は八人でございます。原因は警察、消防でお調べいただいておりますのでそれはともかくといたしまして、いずれにしましても八人の被災者の方々は大変お気の毒なことでございまして、特に先生もうすでに御承知と存じますけれども、沢口様、渡辺様、このお二人の方は住家を焼失しております。あるいは牛をなくした方もございます。そういった方々に対しまして、私どもといたしましては、滝沢村及び西根町の方へすぐに隊員を派遣いたしまして、私どもとして何かできることがございましたら、ひとつ何なりと申しつけいただきたいということで、誠意を持って対応いたしております。それで先ほど先生指摘のございました人員及び車両等を出しましてやっております。それで昨日現地から報告をもらったところでは、沢口様、これはお嬢様の嫁ぎ先のところへ一応身を寄せておられるそうでございますけれども、仮設の住宅をお建てになりまして、十二日、昨晩お入りになったということで、私どもといたしましてはほっと安堵したところでございます。
  143. 下田京子

    ○下田京子君 原因調査してみたけれども不明ということも過去の林野災害であるわけなんです。そうしますと、この人たちは泣き寝入りということになりますよ。そういうことにならないように、今度はそういう場合どうするかということも、これはまた早計かと思いますけれでも、具体的にやっぱり泣き寝入りがないように対応しておきたい。これは後で大臣にまとめてお答えいただきたいと思いますが、大臣、よろしいですね、後でお答えいただきますが。  その前に自治省、町有林なんかも非常に焼けているんですね。これは、自治省よろしいですか、当然出火原因が野焼きにあるということがわかれば、国賠法に基づいて要求するということになると思うんですが、そのときはそういうことになりますね。
  144. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 仮定の話でなんでございますけれども出火原因がはっきりし、そして今回自衛隊のなさった野焼きというものの法的な性格がはっきりいたしますと、どの法律を適用するかということが明らかになってくると思いますが、通常国家賠償法だというふうに思いますが、その他、民法とか失火責任法とかいうものがございますが、それらの所管は法務省でございますので、法務省の方から責任のある答弁がなされるのが望ましいというふうに思います。
  145. 下田京子

    ○下田京子君 法務省呼んでいませんから、そういうことはよく法務省と相談の上、皆さんが所管している自治体等からの要請にこたえていくように便宜を計らってほしいと思います。  それから、林野庁も当然これは損害が最も多い一つの分野だと思うんです。これは国家賠償法を適用させるということにはならないと思うので政治的なことになると思うんですが、それらも含めまして、大臣、いまお聞きのような状況でございますだけに原因の究明、これは当然早くやっていただきたい。同時に、それは不明だというふうなことに追い込まないように、仮に、そのようなことに事態がなったのは問題なんですけれども、それを待たずしても対応できるものは政治的にやっぱり十分対応していただきたいということで御答弁をいただきたいと思います。
  146. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 先ほど政府委員からお答えいたしたとおりでございますが、私たちとしましては被災者の皆さん方に対しては誠意を持って当たりたいと考えております。
  147. 下田京子

    ○下田京子君 そこでちょっと委員長にお願いして資料要求をしたいんですけれども、さっき一番先に聞きましたように、今回の野焼きというのは演習場整理計画に基づいて行われたものなんです。ですから、理事会等で諮ってその資料をお出しいただけるようにお願いしておきたいと思います。よろしいですね。
  148. 福間知之

    委員長福間知之君) 理事会で諮ります。
  149. 下田京子

    ○下田京子君 次に移りたいと思うんですけれども、具体的に久慈市からの要望等他の委員からもお話ございましたが、実は先ほど大臣がこの場をおかりしてということで和光苑のお話言われましたが、実は本当に現地に行きまして私も涙なくして話を伺うことができませんでしたが、院長自身自宅を焼いているんですね。それで職員の皆さんも大分罹災に遭っているんですね。そういう中にあって、御自分がこれから住んでいくおうちもないという中にあっていろいろ困っておりました。仮設住宅の問題なんですけれども、いろいろ対応はされたということですが、浴場の問題なんです。いまつくっているということなんですが、これは帰ってきてすぐ伺ったときに、つくります。それからその後、いやつくっています。何か聞いてみたら、きのうようやく着工したと。ちょっとおくれていると思うんです。そういうことで、こういう浴場の設置も含めまして、そのほかいろんな融資の問題等あります。一定の路線は敷かれていても、いろんな条件や何か厳しくて対応できない、実態に合わないというのが多いわけです。それだけに今回の林野火災教訓を踏まえて導くものは導いていただきたい、これが一点です。  それから最後に、まとめてお答えいただきたいんですが、先ほど他の委員災害に対しては大変理解があるというお話がありましたが、私は理解があるという気持ちがないとは申しませんけれども、現実に予算を見たら決してそうじゃないという点で御指摘しておきたいんです。  その第一番目、これは防災白書にも見られますように、林野火災予防の事業というのは三つあるわけなんです。予防が大事なんですよね。その第一の消防庁の予算を見ますと、林野火災用の電話設置だとか防火槽だとか、そういう関係の消防施設整備費補助金、一体これはどうなっているとお思いですか。五十六年に百五十九億七千九百万円だったのが、五十七年になりますと百四十五億六千万円、そして五十八年には何と百三十七億二千九百万とどんどん落ち込んでいます。それから二番目、林野庁の予算でございますけれども緊急治山事業を早急にこれからやるというお話なんですけれども林野火災予防対策事業費、これは何と五十六年度で約八千八百万円、それから五十七年度七千九百万円、五十八年度になると六千六百万円とどんどん落ち込んでいますよ。そして、消防庁の予算です。これは、空中散布が今回大きな役割りを果たしたと言われておりますけれども、空中消火用の資材、機材、この整備状況に対しての予算なんですが、驚きました。五十五年度三千三百万円、五十六年度一千百万円、五十七年度が五百五十万円になって、五十八年度、ないんです。今回岩手県では、この空中散布のために消火剤使ったお金が約百三十万円、七千九百五十キロになっております。もうないわけです。これどうするんだということになると、今度県単費になっていくんですね。ぜひ見直していただきたいということを、いま全体的なことを踏まえて決意をお聞かせいただきたい。
  150. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 林野火災対策につきましては、先生もいまおっしゃいましたように消防庁及び林野庁中心になってその防災対策を推進してきたところでございます。広域にわたり同時多発した今回の林野火災は、今後の林野火災対策に多くの教訓を与えてくれた、このように判断しております。今後、関係省庁とも十分連携をとりまして、今回の火災を貴重な教訓として林野火災対策に万全を期したい。  なお、具体的に先生昭和五十五年から五十八年に至ります空中消火資機材の整備林野火災用消防施設整備林野火災予防施設の少なくなっておるいろいろな理由につきましては林野庁並びに消防庁からお答えがあると思いますが、私は先ほど申し上げましたような決意で今後やっていきたい、こう思っております。
  151. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 今度の大火、まあ、十一時から十二時というわずかな時間で六県二十市町村に火がばあっと広がる、あるいは同時多発的に火が出るということで、大変な大火であったと思います。しかし、現地の消防の活動状況をお聞きしますと、これだけの火だと、もうとても山の火を消すよりも、まず家を守る、そういうことに力点を置いて、したがって人的被害というものが比較的少なかった。大変現地消防体制につきましては敬意を表しているところでございます。  今度大火に発展した原因としては、いままでもさまざま指摘されておりますように、フェーン現象あるいは三十メートルを超す強風、あるいは山焼きの時期、山菜とりの時期だと、こういうことで、さまざまな原因があるわけですが、しかし同時に、これも先ほども指摘をされている問題ですが、やはり民有林の荒廃というものがこの火事を大きくしていった原因ではないか。これはもう当時の新聞などを拝見しておりますと、いわゆる落ち葉がたまり、あるいは雑木はそのままになっている。日ごろの森林の伐採管理ですね、こういうものが十分に行われていない。したがって、今度の火事の場合、私も現地へ行ってまいりましたが、やはり火が落ち葉と下草をなめるようにして広がっていって、そしてしたがって、高い木の上は青々としていますけれども、下の方が焦げているということで、まさにそういう状況ではなかったか、こう思うわけですが、したがって、日ごろの森林管理ですね、なかなか大変むずかしい問題だと思うんですが、これについて十分なる配慮を今後していかなゃやならぬのではないかと思います。森林法の改正とか分収育林制度ができましたけれども、しかし、これは将来の長い時間かけてやる問題ですからね。だから、したがって、当面何としてもそういう森林管理、こういうものを徹底さしていく道、なかなかむずかしいと思うんですが、やらなきゃならぬ、そういう状況ではないかと思うんですが、その点について林野庁の御見解と、そして長官の御見解をお伺いをしておきたい。
  152. 鈴木郁雄

    説明員鈴木郁雄君) 森林の保育、特に先生いま御指摘の下草の下刈り、これにつきましては健全な森林を造成するという上から大変大事な事業でございまして、このため従来から森林総合整備事業等の創設等によりまして、あるいは農林漁業金融公庫公庫資金の貸し付けその他の施策によりまして、下刈り等の保育あるいは管理、これの拡充に努めてまいったわけでございます。  五十八年度におきましても、森林適正管理推進対策事業という事業を新たに創設いたしまして、森林管理の適正化のための対策を推進いたしておりますが、さらに過日、森林法並びに分収造林特別措置法、この改正を行いまして、市町村によります森林整備計画制度、これを導入いたしまして、間伐、保育の促進を図る、あるいは分収育林制度、これを創設いたしまして、森林の整備を図っていく、このようなことをやっているわけでございますが、今後ともこのような諸制度を十分強化拡充いたしまして、森林の管理の適正というものを期してまいりたいと思っております。
  153. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 近年、適正な管理が行われてない森林が増加する傾向にあるということは先生指摘のとおりだと思います。国土庁といたしましては、従来から国土の均衡ある発展の観点から、国土基盤、国土資源の充実に努力してきておるところでございますが、御指摘のように森林資源に関しては国土の保全、緑の持つ多大な効用の活用という観点から、森林の持つ公益的機能に対し国民の認識を深めるとともに、林業活動確保のための基礎条件を整備して国民参加の森林づくり推進、そして林業の振興を図る森林の適正な管理が行われるような方法を努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  154. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 山林火災というものを、その被害を最小限に食いとめるには、正確な初期情報というんですか、これが一番大切だ、こういうようにいま言われているわけでございますが、今度の火事の場合、特に強風にあおられて火の玉になって相当遠くの方まで飛んで行く、そしてしかも風があっちから来る、こっちから来るということで、それはなかなかつかみようがなかったかと思うんですが、しかし、そういう状況の中でこの久慈市のような場合には、当初被災状況――どこへ火が飛んで行ってどこが燃えているかということがなかなかつかみにくかった、こういうことが言われまして、そのために消火体制にも立ちおくれが若干あったのではないか、こういうように思っているわけですが、しかし、幸いなことにハムの仲間が情報を、自分の住んでいるところの村落の場合は、ここに火がついたということをハムの仲間にまた伝える、あるいはまた一人のハムは高いところに、山の上に登って、それで、いまここに火がまた飛び火したという情報を逐次正確に、防災本部というんですか、これに伝えていたようですね。それでよくわかったようでありますが。  そこで、それとそういう初期の情報を確実につかむ。山林ですからね、なかなかつかみにくいんですが、つかむということが一番大切だと、こう言われているわけです。それと同時に、先ほどもお話しがありましたけれども、ヘリコプターの消火というものが非常に効果が上がった。久慈市の場合は強風下ですから二十メートル以上は飛べない。夜間も、電線などありますと危険だから、ヘリコプターを夜間飛ばすことはなかなか困難だ、こういうことではございますが、しかし二日間にわたりました消火活動の中でヘリコプターの果たした役割りというものは非常に大きなものがあると、私はそういうように現地に行って痛感をしているわけですが、そこで山火事のみならず、東海地震も予測をされている。地震ですね。そういう地震だとか、あるいは山火事以外の大火だとか、そういうものにヘリコプターを有効に使うということが、被害を最小限に食いとめていく道ではないかと、こう思っているわけです。ただ、いまヘリコプターは自衛隊にほとんど依頼してお願いをしておる。消防庁も恐らくヘリコプターそんなにたくさん持っているわけじゃない。警察は別の目的を持って持っているのでしょうから、そういう意味において、自衛隊にすべて依頼をするのじゃなくて、今後の地震に対する対策ども含めまして、ヘリコプター部隊というのですか、ヘリコプターを各県一機ずつとはなかなか財政上の問題があってできませんが、たとえば東北地域に、何というのですか、基地を置くとか、そういう広域的な範囲をカバーするようなヘリコプター部隊というのですかね、そういうものを全国に何カ所かに置く。いま、ヘリコプターもかなりスピードが出るようになったし、機能も非常に高まっておりますから、そういう体制を今後の問題として考えておく必要があるのではないか。そういうことを痛切に感じておりますし、私どももそういう提案をしたいわけですが、これについて、きのうも実は官房長官に会いまして、その点についての申し入れというのですか、要望をしておきましたけれども、官房長官も、それはやはり考えておかなければならぬ問題ではないかなと、消火体制地域消防にすべてをお任せしても、なかなか大きな火になった場合はむずかしいから、そういう点も十分に配慮をして考えておく問題かもしれないと、こう言われましたけれども国土庁長官として、この点についてのお考え、ぜひとも私どもの要望を聞き入れていただきまして、そういうような体制づくりに一歩踏み出していただきたいと思うのですが、その点についてのお考えをお聞きをしておきたいと思います。
  155. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 伊藤先生の御趣旨、私も大変賛成でございます。災害発生時におきまして人命の救助あるいは被害の防止、拡大の防止活動のために、ヘリコプターがその効力を非常に発揮しておるということは、もう万人認めるところでございます。今回の場合にも、そういう効能はあったと思っておるわけでございますが、今後とも大規模災害発生したときには、効果的なヘリコプターの活用が図られなくてはならないものと考えておるわけでございますので、関係機関と協議してまいりたいと考えております。ただ、その場合に、今回の問題も一つの教訓になるのですが、特定の場所に、いざという場合のヘリポートというものを逆にはっきり決めておいてもらった方が、そこで消火剤あるいはいろいろな物資を積むのに、そこへ行けばいいんだという、ヘリコプターそのものの効能も非常にあるんですが、緊急、非常の場合にヘリポートをそれぞれの市町村で決めておいてもらう、あるいは若干整備をしておいていただくということも必要ではないかとも考えておる次第でございます。
  156. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 ぜひその点、真剣にお取り組みをいただきたいと思います。  それからもう一点ですね。私も宮城県で聞いた話でございますけれども、広域防火体制について、これは消防庁にお伺いをし、そして長官に後で御見解を承りたいと思うんですが、たとえば今回のような火の場合は、県境を越して向こうに火が移っていく。たとえば岩手の方で消火活動を一生懸命火に沿ってやっている。しかしそれが県を越えちゃったと。宮城にいっちゃったと。そういう場合に、宮城に移ったからといって、そこで岩手の消防隊がこれをとめるわけにいかぬわね。そのまま消火体制に移っていく。ところが、指揮命令系統が県を境にしてがらっと変わっちゃう。したがって、岩手の県内で岩手県の指揮によって動いているうちは、本当に整然と消火体制はとれるわけですが、一たん移って指揮命令系統が変わりますと、だれの命令を聞いてこれをやったらいいかということで、そこで多少の混乱が起こってくる。こういうことをお聞きをしたわけでございますが、そこでやっぱり今回のような広域的な火災とか、そういうものに対する指揮系統のあり方とかを含めまして、広域防火体制というものについて、もっと幅広い検討が必要ではないかと、こういうふうに思ったわけでありますが、この点について消防庁の御見解と、そして長官の御見解をお伺いをしておきたいと思います。
  157. 清水良次

    説明員(清水良次君) 御指摘のような、行政区域を越えるような大きな災害に対しましては、消防機関は相互に応援協定を結ぶといったような形で、相互に協力をするという対応をしているわけでございます。そしてそうした場合には、御承知のように、その場合の指揮命令の系統というのは、消防というのは市町村消防という原則がございます。その原則の上に立ちまして、消防組織法の二十四条の四というところでございますが、応援を受けたところの市町村の長が指揮をとると、こういうことにきちっと決めてあるところでございます。これは市町村間の問題でございますけれども、また都道府県知事、知事といたしましては、災害防除の措置につきまして、市町村長とか消防長に対し必要な指示をすることが、これも消防組織法の中に規定を設けまして、できることになっているわけでございます。  このような広域的な災害発生をいたしました場合には、関係都道府県関係市町村、それぞれ密接な連携のもとに情報をとり、それぞれの災害への対策を決定をして、実施に当たるべきものでございますけれども、そのために、たとえば御指摘林野火災ども含め、広域的な災害を想定をいたしまして、それぞれの都道府県あるいは市町村での地域防災計画でございますとか、あるいは市町村の消防計画といったようなものの中に、先ほど申し上げましたような相互応援といったようなこととか、そうした広域的な防災体制というものを明記、確立をしておくということが大事なことではないだろうかと思います。私たちといたしましても、そうしたことの推進について、なお一層の指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  158. 加藤六月

    国務大臣加藤六月君) 今回の災害のように広域にわたり、同時多発する。そして異常乾燥強風のもとだということで、想像を超える勢力で延焼をしていきますと、この消火活動に当たっていただいた皆さん方には心から敬意を表しておる次第でございますが、このような災害に対処するためには、都道府県及び市町村地域防災計画をお立ていただく過程において、今後は広域災害を想定した防災体制の確立を図ってもらわなくてはならない。また、日ごろの訓練の実施も、そういう広域防災体制に対する訓練というのもある程度やっていただかなくてはならない、このように考えておるわけでございます。今回の災害を貴重な教訓としまして、関係省庁と緊密な連絡をとって、その対策に万全を期してまいりたいと、このように考えております。
  159. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 あと最後に要望だけ申し上げたいと思うんですが、今後の現地災害後の対応というのは、私はかなり順調にいったと思います。仮設住宅の建設もずっといきましたし、私どもが行ったときはもう住宅ができておりまして、あるいは救援物資の搬入も何か一軒当たりトラック一台ぐらいずつ搬入をされたということで、非常に体制はよかったと思うんですが、ただ漁船の百十六隻ですね。あれ非常に零細の漁船でございまして、ああいうものの救済とかさまざま要望がある点を十分に踏まえまして、この被災に遭った方々の生活が今後成り立っていくように十分に御配慮をいただきまして、この点についての特段の御努力をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  160. 福間知之

    委員長福間知之君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十二分散会