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1983-03-24 第98回国会 参議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十四日(木曜日)    午後一時四十四分開会     ─────────────    委員異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      円山 雅也君     伊江 朝雄君      栗林 卓司君     伊藤 郁男君      江田 五月君     田  英夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片岡 勝治君     理 事                 井上 吉夫君                 井上  孝君                 谷川 寛三君                茜ケ久保重光君     委 員                 伊江 朝雄君                 遠藤  要君                 斎藤栄三郎君                 大木 正吾君                 松本 英一君                 原田  立君                 三木 忠雄君                 上田耕一郎君                 伊藤 郁男君                 田  英夫君    国務大臣        建 設 大 臣  内海 英男君    政府委員        建設大臣官房長  豊蔵  一君        建設省計画局長  永田 良雄君        建設省都市局長  加瀬 正蔵君        建設省道路局長  沓掛 哲男君    事務局側        常任委員会専門        員        田熊初太郎君    参考人        日本道路公団理        事        森田 松仁君        日本道路公団理        事        戸谷 是公君        本州四国連絡橋        公団理事     山根  孟君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、円山雅也君が委員を辞任され、その補欠として伊江朝雄君が選任されました。     ─────────────
  3. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、日本道路公団及び本州四国連絡橋公団役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。内海建設大臣
  6. 内海英男

    国務大臣内海英男君) ただいま議題となりました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案について、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  現行の第八次道路整備五カ年計画昭和五十七年度をもって終了することとなりますが、わが国道路整備水準は、なお著しく立ちおくれた状況にあり、また、交通安全対策防災震災対策強化道路環境保全日常生活基盤となる道路整備等道路整備に対する社会的要請は、ますます増大し、多様化しているところであります。  このような状況にかんがみ、政府といたしましては、昭和五十八年度を初年度とする道路整備五カ年計画を策定して、道路を緊急かつ計画的に整備することとし、このため、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、昭和五十八年度を初年度とする新たな道路整備五カ年計画を策定することといたしました。  第二に、道路整備五カ年計画にあわせて、昭和五十八年度を初年度とする奥地等産業開発道路整備計画を策定するため、奥地等産業開発道路整備臨時措置法有効期限昭和六十三年三月三十一日まで延長することといたしました。  その他これらに関連いたしまして関係規定整備を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  7. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 ただいま説明されました点について若干の質問をいたします。大臣に対してなら大臣と指名しますから、あとの点はひとつ政府当局の方で説明してください。きのうも言ったんですが、簡潔な答弁をひとつ、余り多くならぬように、私の方も最少の言葉質問します。  五十八年度からいよいよ第九次道路整備五カ年計画がスタートするわけですが、公共事業費抑制特定財源制度見直し要求など、道路整備事業を取り巻く情勢は従前に比べてきわめて厳しいのが現状であります。こうした情勢を踏まえて第九次五カ年計画においては何を重点に据え、またいかなる目標を掲げて道路整備事業に取り組んでいく方針か、これはなかなか私は容易ならぬ問題と思います。この点について、ひとつ大臣から御決意のほどをお伺いしたい。
  9. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 道路は、日常生活及び経済活動に欠かすことのできない最も普遍的かつ基礎的な交通施設であり、土地の有効利用に寄与するとともに防災供給処理施設、良好な居住環境等のための公共空間としても重要な役割りを果たしておると思うわけでございます。  わが国の近代的な道路整備は、昭和二十九年度の第一次道路整備五カ年計画の発足以来四半世紀を経たにすぎません。道路整備水準はいまだに低く、交通安全対策防災対策震災対策沿道環境保全対策等当面推進を迫られておる課題がいまだたくさんあるわけでございます。  また、今後予想されます産業構造高度化地方定住都市化進展等、経済的、社会的諸条件の変化に伴いまして新たな要請として的確にそれにこたえる道路を先行的、計画的に整備する必要があると考えられるわけでございます。  このため、道路網整備長期計画に基づきまして、昭和五十八年度を初年度といたします第九次道路整備五カ年計画を策定いたしまして、国土構造の骨格となります高速自動車道から、地域社会日常生活基盤としての市町村道に至るまでの道路網を体系的に整備することとしておるわけでございます。  その際、道路交通安全確保生活基盤整備生活環境の改善、国土発展基盤整備維持管理の充実、こういった五つの目標に沿って道路整備を強力に推進してまいる所存でございます。
  10. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 まず、容易ではないと思うんでありますが、ひとつ下腹に力を込めていまの大臣の御発言を進めていただきたいと思います。  次に、九次五カ年計画の総投資規模は、最終的には三十八兆二千億で決着を見たわけでありますが、建設省概算要求では四十三兆円を要求したようであります。ところが、その概算要求大蔵省では四兆八千億を削ってしまった。特に、一般道路事業費は十九兆六千億が予定されておりましたのに、決定額は十六兆であります。一般道路事業費で三兆六千億のカットということになっております。  いかに国家財政が厳しいとはいえども、大蔵省に一方的に抑え込まれた形になっているようにわれわれは伺います。三十八兆二千億円の投資規模について建設省はどう考えているか。いま言ったように、われわれから見ると、一方的に大蔵省から抑え込まれて、建設省予定したものがかなり減退したような感じがするんだが、ひとつその点についてはどういうふうな対処をする気か、これに対する御意見を承りたい。
  11. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 第九次道路整備五カ年計画投資規模は、最近のわが国の厳しい経済財政事情等を踏まえ、三十八兆二千億円となったものであります。これは道路整備長期計画達成するのに必要な最小限の規模と考えております。道路事業別規模及び内容につきましては、現在積み上げ作業中でありますが、この投資規模により第八次五カ年計画実績事業量確保がほぼ図られる見込みであります。  なお、本計画達成するための平均伸び率は、調整費を除き、昭和五十八年度当初を初項とした場合九%となる見込みでありますので、今後この五カ年計画完全達成が図られるよう全力を挙げていきたいと考えております。
  12. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私、おおむねそれはわかるんだよ。だけれども、四十三兆が三十八兆だって、これは大きいやな。それは言葉ではそう言えるよ。しかし、実際は言えないわな。だから、それは決して意地悪で質問しようとするのじゃないけれども、よっぽど君、真剣というか、何というか、概算予定したものができぬ結果が考えられるかな。  したがって、局長、いまの説明を僕もまともに聞けぬけれども、さっき大臣も言ったように、建設省はもっと腹に力を入れてこのことをしっかりとやってもらいたい。これは答弁いいから、これは要望しておきます。  次に、総投資規模については前期実績事業量確保できたんだが、その内容を見ると一般道路事業ウエートが減少し、その分有料道路事業地方単独事業伸びているという状況であります。多分それは前期実績に基づいた資金配分の結果であろうが、八次五カ年計画の後半は国の公共事業費抑制策による道路予算の頭打ちを、有料道路事業地方単独事業伸びでカバーしてきたいきさつがあったように思うんですね。  したがって、その実績に基づく資金配分をすればさらに三事業間のバランスを欠くことになり、体系的で調和のとれた道路整備ができなくなるということが起こる可能性があるが、これについても問題がないのか、言葉少なに具体的な説明をしていただきたい。
  13. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 第九次道路整備五カ年計画事業規模及びその配分は厳しい国、地方財政事情及び財投資金民間資金の活用という観点を踏まえ、第八次五カ年計画実績を勘案しながら策定されたものであり、今後の経済財政事情等を勘案すればおおむね妥当なものと考えております。  なお、一般道路事業有料道路事業地方単独事業の五十八年度を初項とする平均伸び率は、一般道路事業は一〇%、有料道路事業は六%、地方単独事業は一〇%となっておりまして、第八次五カ年計画実績平均伸び率が、一般道路事業が八%、有料道路事業が一〇%、地方単独事業が一三%であるのに比べまして、第九次の一般道路事業伸び高目となっております。八次の実績一般道路事業が八%でございますし、今回の九次の場合が、これが一〇%となっておりますので、八次よりは少し高目伸び率で、対前年比伸び率で進めないと一般道路事業の満額を達成することができない状況にございます。  今後、道路事業実施当たりましては、これら事業間のバランスをとりつつ、高速自動車国道から市町村道に至るまでの道路網体系的整備に努めてまいりたいと考えております。
  14. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 とにかく一言言いたくなるんだけれども、一応お聞きしておきましょう。最後にまた時間があったら申します。  じゃ、なぜ投資規模にこだわるかと言いますと、公共事業費が抑えられると事業執行上でいろいろな問題が生ずると考えるからであります。たとえば、事業費が抑えられると当然事業完成までに時間がかかるようになります。これは当然です。地域住民の立場からすれば、いつまでもだらだらと工事をやっていられるといろいろな迷惑がかかってまいりますし、さらにそれに不満が出ます。こうなると、そのことによってさらに工事が渋滞するようなことが起こるわけであります。したがって、緊急あるいは重要な新規事業の着手がむずかしくなるでありましょう。そのことがまた事業執行をきわめて硬直化させていることがたびたびあります。  そういった、いま申しましたようなことが起こらないような手当てが、これは当然必要でありますが、そういう場合における建設省のそれらに対する対策というか、心構えというか、いわゆる事業の促進をするための手配というか、そういうところの決意を承っておきたい。
  15. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 公共事業抑制が今後とも連続して続くといたしますと、第九次道路整備五カ年計画達成は困難となりまして、先生いまおっしゃられたとおり、継続事業完成工期の延伸や新規採択個所の減少などが予想されることになります。したがいまして、第九次道路整備五カ年計画達成に必要な道路事業費確保に努めるとともに、効率的、重点的な事業執行を図ってまいりたいと考えております。
  16. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 どうも局長答弁がすらすらなので熱くなっちゃったよ。  必要な新規事業の着工が先送りになるということはきわめてゆゆしいことであります。特に、安全対策上緊急に整備を要する事業であれば、事は重大でありましょう。  そこで、たとえば建設省が五十五年に調査した防災点検による落石等危険個所七万七千カ所、これらは第九次五カ年計画期間中におおむね解消するとされていたのだが、これが果たして計画どおり達成できるかどうか、この点いかがですか。
  17. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 第九次道路整備五カ年計画におきましては、交通安全対策防災対策環境保全など、緊急課題に特に重点を置くことといたしております。防災対策につきましては、昭和五十五年、防災点検による落石のり面崩壊等危険個所七万七千カ所のうち、昭和五十五年度から昭和五十七年度の三年間で約二万一千カ所の整備を行ったところであります。第九次道路整備五カ年計画におきましては、残りの五万六千カ所をおおむね解消したいと考えております。
  18. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 局長、算術でいけば七万七千から二万一千引けばそれは残る。だけれども、その間にそういった個所が追いついていくことがあるんだな。新たにそういう危険個所が生まれてく る可能性がないかどうか。
  19. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 道路は自然の中でつくられていくものでございますので、のり面等における風化その他が進んでまいりますと、また危険個所というものもふえてくる傾向にございますので、五十五年で点検した七万七千カ所を解消したからといって、そういう個所がもう道路に関してはなくなるというものではございません。したがって、しかるべき時期にまた総点検を行いまして、それに対応した必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
  20. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いろんな思わぬ災害が起こったり、また、これでよろしいと思ったところが案外盲点がありますから、これは十分常日ごろひとつ要望を聞いて対処してもらいたいと思う。  次に、高速道路建設について若干お伺いします。  今後の道路整備の方向を展望しますと、高速自動車道を中心とした道路ネットワーク整備重要課題一つとしてあります。わが国高速自動車国道等整備は、今日すでに三千キロを超えるまでに至っております。きょうも実は中央高速道路が全通したというので大変にぎわっていますが、しかし、それであってもまだ予定路線の七千六百キロには半分に至っておりません。五十八年度からスタートする第九次五カ年計画では、高速自動車国道はどの程度整備されるのか。八次五カ年計画よりスピードダウンするのではないかと思うのだが、この点はひとつ大臣から御説明願いたいと思います。
  21. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 高速自動車国道につきましては、国土の均衡ある発展を図り、わが国産業経済及び国民生活を向上させるために不可欠な社会資本でありまして、昭和五十七年度末の供用延長は三千二百三十二キロメートルに達し、いわゆる縦貫五道が概成することになります。  第九次道路整備五カ年計画におきましては、二一世紀初頭までに法定予定路線七千六百キロメートルを完成させるという長期的な目標に沿いまして、国土背骨となる縦貫道の未供用区間関越、常磐、近畿、山陽など、縦貫道に準ずる各道、国土の肋骨となり、地方生活産業を支えるための基盤となる横断道等整備計画的、効率的に推進していくことといたしております。  また、第九次五カ年計画期間内の供用延長につきましては、現在検討中でありますが、第八次道路整備五カ年計画実績約一千四十キロメートルを幾分上回る予定であります。  なお、横断道等につきましては、昭和五十七年度末の供用延長は四十一キロメートルでありますが、日本道路公団事業に着手している区間六百七十四キロメートルのうち、三割程度区間を供用できる見込みでございます。
  22. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 横断道路が今後の問題でありますが、高速道路建設も夢のある話ばかりではないのであります。わが国高速道路建設もすでに四分の一世紀の歴史を持つが、東名名神時代の第一期、縦貫道時代の第二期から、いよいよ横断道路時代の第三期を迎えるといわれております。  横断道路時代に入れば、トンネル、架橋が多くなるのは、これはもう当然です。したがって建設費はますます高くなる一方、利用交通量縦断道路に比較すれば、かなり低下すると予想されます。そうなりますと、採算性が大きな問題となるでありましょうし、そこで臨調は、「利用交通量採算性等観点から厳しく見直しを行う。」こういう答申をしております。建設省はこうしたことを踏まえて、いままでの道路行政方針見直していくのかどうか、この点もひとつお伺いしたい。
  23. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 高速自動車国道整備に当たっては、従来からその採算性確保に十分配慮してきたところでありますが、臨時行政調査会の第一次答申に述べております見直しにつきましては、その後の道路審議会中間答申高速自動車国道整備採算性確保についての中間答申」でありますが、ここに提言されました採算性確保のための諸方策、たとえば経済的な路線の選定、暫定車線施工採用、簡易なインターチェンジの採用などによる建設費節減維持管理費節減一般道路との調整による効率的な事業実施などを着実に実施していくことにより、なお一層採算性確保を図ることといたしております。  今後とも、これら答申趣旨に沿い、採算性確保しつつ、計画的、効率的に高速自動車国道整備を推進してまいりたいと考えております。     ─────────────
  24. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 委員異動について御報告いたします。  ただいま栗林卓司君が委員を辞任され、その補欠として伊藤郁男君が選任されました。     ─────────────
  25. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 横断道ね。いま関越自動車道、あれも横断道一つだな。関越高速自動車道、あれも横断道路だろう。
  26. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 高速道路は大きく三つに分けて考えておりまして、一つ縦貫道、それからこの縦貫道に準ずる路線、それから横断道というように考えておりますが、関趣自動車道につきましては縦貫道に準ずる高速道路というふうに考えております。
  27. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 あれは実態は横断道だね、あの太平洋から日本海へ抜けるのは。それがいわゆる高速道路縦貫に準ずるというのは、どういうことからそういうふうに分けているの。教えてください。
  28. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 縦貫道わが国日本列島背骨となるような路線という意味でございますし、それから横断道地域開発がかなり大きなウエートを占めていく路線であり、それから縦貫道に準ずるというのはこの中間的な路線という意味でございます。
  29. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そう言ってしまえばそうだけれども、それなら縦貫横断道と、いま言ったたとえば関越みたいな準ずるとは、そうすると仕事の上や何か、ウエートや何か違うの。あるいは建設費とか、どこかどういうふうに分けているの。いまちょっとわからないんだけれども。どうもいまの説明では何だかぴんとこないんだが、もうちょっとぴんとくるように話してくれ。
  30. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) いま申し上げました三つについて特に別段区別をしておるわけではございませんで、計画交通量等に適した構造、規格を選定してそれぞれの道路整備を推進しておるわけでございますので、ただ便宜上縦貫道という名前が非常によく使われておりますので、そういうものに対応した形で横断道、さらにこれに準ずる道路というふうに仕分けしておるので、特段の意味はございませんです。
  31. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 関越は僕の足元を通る道だからなるべくよくしてもらいたいんだが、その辺はやはり何かけじめがないと困るので……。まあわかりました。  一方、本年一月に発表された臨調第四部会報告では、「当面、採算性の低い路線における暫定施工等建設費節減及び採算性の高い路線交通需要への対応が十分でない区間における拡幅等を行う。」とある。わかったようなわからないようなことだな。  ここで指摘されている採算性の低いあるいは高いという基準はどこにあるのか。これはいまと違うところだな。またその場合、横断道は、言われているように採算性が低い路線に属するのであるが、横断道採算性については建設省、どのように見通しているか。これは冒頭聞いたように、横断道は距離も短いだろうし、さらに採算というか、建築費が非常にたくさんかかる、トンネルやその他で。それで言っていると思うが、その点はどうなのか。
  32. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 臨時行政調査会第四部会報告で言っております採算性の低い路線とは、地形的条件等が厳しく建設費割り高であり、当面余り大きな利用交通量が期待できない路線を言っているのではないかと思いますし、採算性の高 い路線とは、東名名神など早い時期に比較的安く建設され、しかも利用交通量が多い路線を指しているのではないかというふうに考えております。  また、横断道等につきましては、その整備当たり暫定車線施工採用などによる建設費節減維持管理費節減一般道路との調整による効率的な事業実施などをより一層推し進めるほか、特に地域開発的な性格の強い横断道等の一部路線につきましては、昭和五十八年度から資金コストを三%に引き下げることなどの諸施策を講じつつ、プール制により高速道路全体の採算性確保を図ってまいりたいと考えております。
  33. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 ちょっとこれはいきなりの質問だが、建設費ね、きょう開通した中国道の新しい場所のキロ当たり建設費と、東名名神の、あれはもうずいぶんたつな。あの東名をつくった時代の一キロ当たり建設費はわかるか。
  34. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 本日、中国縦貫道の千代田―鹿野線百五キロが供用されるわけでございますが、いま手元にありませんので、すぐ計算させて御報告さしていただきます。
  35. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 この採算性の高い道路ですね、路線交通需要への対応が十分でない区間、そういったものがあるとすれば、現在それがどの程度にあるのか。それらの区間について拡幅等対策を今後どう進めていくのか。建設省はどういうふうにこれは考えているか。
  36. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 当初の予想を上回る交通量の増加により交通需要への対応が十分でない区間は、東名高速道路名神高速道路合わせて五百三十六キロメートルのうち、その約三分の一に当たるものがこういう状態であるというふうに考えております。したがって、こういう区間は時間帯によっては相当の混雑状態が発生し、高速道路機能である高速性定時性確保することが困難となってきております。  このような区間につきましては、交通機能強化のための改築等を行い、サービス水準維持向上を図る必要があります。このため、昭和五十七年一月には、特に緊急に改築を行う必要がある二つの区間東名高速道路につきましては大井松田から御殿場間の二十五キロメートル、名神高速道路につきましては京都南インターから吹田インター間の二十七キロメートルにつきまして、六車線化の改築整備計画を策定したところであり、今後はその整備を鋭意推進していくこととしております。  また、その他の区間についても、引き続き調査検討を進め、緊急性の高い区間から順次整備計画を策定し、改築を進めていきたいと考えております。
  37. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 臨調答申の指摘をまつまでもなく、採算が悪く投資効果の余りよくない路線が安易に策定されたのは、プール料金制度の本旨にもとると思うんです。しかし、かといって、余りに投資効率を追求すると横断道建設は不可能となりましょうね。まことにその兼ね合いがむずかしいのでありますが、建設省としては、予定路線七千六百キロについては採算性問題を抜きにした建設省方針でいるのかどうか。さらにこれは、今後横断道が多くなりますと、いま言った採算性が非常に悪くなる可能性があるわけですね。こういう点で、この予定路線の残っている部分について、採算性問題をどう対処するのか、明らかにしてほしい。
  38. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 高速自動車国道は、国土の均衡ある発展を図り、わが国産業経済国民生活を向上させるために不可欠な社会資本であり、二十一世紀初頭までに法定予定路線七千六百キロメートルを完成させるという長期的目標に沿って計画的に整備を推進しているところであります。その整備当たりましては、多額の費用を要すること及び緊急に整備を図る必要があることから、有料道路制度を採用しており、当然採算性確保しつつ整備を進めていくべきものと考えております。  このため、建設省におきましては、道路審議会の「高速自動車国道整備採算性確保についての中間答申」に沿いまして、一般道路との調整による効率的な事業実施暫定施工の採用などによる建設費節減維持管理費節減などをより一層推し進めるとともに、横断道等の一部路線につきまして国の助成の強化を図るなどの措置を講じております。  今後とも採算性確保につきましては十分留意しつつ、計画的、効率的な整備を進めてまいりたいと考えております。
  39. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 縦断道路は、いまきょう青森から八代までつながったわけだが、現在、当面計画している縦断道路と、それからいままでにできた横断道路がいま幾つか、そのできた道路名と、それから早急に当面着手しようとする横断道があったらちょっとそれを説明してください。わかるかな、概略でいい。
  40. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 横断道で供用しておりますのは、北海道の小樽―札幌間、それと九州横断道で大村の飛行場から長崎のところ、合わせて四十一キロメートルですか、を現在供用しております。その他の整備区間につきましては、最初に大臣から御答弁いただきましたとおり、道路公団に施行命令の出ております横断道の延長は……
  41. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いいそれは、後でいい。
  42. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 六百七十四キロメートルについて現在出ておるところであります。六百七十四キロメートルについて現在事業化を図っております。
  43. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 まあ建設省が、いままでもいろいろとお話があったわけですが、横断道路建設にはやっぱり採算上の不安がどうしてもあると思うんです。そのまま延長線上で道路公団が第二の国鉄化をすることが一部にもはや心配されている。道はつくったがどうも一向金が上がらないと。それでやはり、いま国鉄も悪いとか言って、国鉄は非常に苦しい状態である、こういった状態になるんじゃないかという心配を持っているわけですね。つまり、その不採算路線建設、そして料金値上げ、利用量の減少、借入金増大といった悪循環みたいな形で道路公団の第二国鉄化という意見が出てくるわけであります。これは、私は、決して杞憂ではないと思うんです。  そこで、こういう状態に対して建設省はどういうふうな見解を持っておられるのか。そしてまた、そういった状態を未然に防ぐために何か検討し、対策はあるのかどうか、この辺のところをひとつお伺いします。
  44. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 日本道路公団高速自動車国道建設し、これを利用する自動車から料金を徴収して建設費維持管理費等の費用を償還しておるわけでございますが、その費用の大部分は建設費であり、供用後の運営費にわたる維持管理費ウエートは非常に低うございます。一方国鉄は、鉄道建設費、みずから列車を運行して旅客を運ぶことを業としておりますので、営業費用が大きなウエートを占めており、日本道路公団とはそういう点で大きな相違点があると考えております。  高速自動車国道は、その要する費用の大部分が建設費でありますので、建設の過程で十分な見通しを立て整備を行えば、採算性確保を図ることができると考えております。実際、高速自動車国道利用交通量は順調に推移しており、利用者の適正な料金負担を求めつつ着実に償還を進めているところであります。今後とも建設費維持管理費節減などの措置を一層推し進めて、採算性確保しつつ計画的、効率的にその整備を図ってまいりたいと考えております。  なお、先ほど先生から御質問のありました、東名名神ができたときのキロ当たり建設費と、本日から供用を開始いたします中国自動車縦貫道の千代田―鹿野線百五キロメートルのキロ当たり建設費を比較するようにとのことでございましたが、東名高速道路キロ当たり九・九億円でできておりますし、名神高速道路はキロメートル六・一億円でできております。それに比べまして、本日供用します中国縦貫道の千代田―鹿野線 は、キロメートル当たり二十八・二億円となっておりまして、東名に比べて三倍、名神に比べて四倍強になっております。
  45. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これもいきなり聞いたんではわからぬかもしれぬが、供用している高速道路の一番採算のとれる道路はどこで、どのぐらいの率か。一番悪いのはどこで幾らか。それわかる……、それはいますぐわかるなら言ってもらってもいいし、わからなければ後でもいいんだよ。一番効率のいい道路の名前と、東名なら東名、収入のね、採算性。それと一番悪いところ、その比較をしてほしい。わからなければ、いますぐ答えられないと思うから……わかる……わかればいま。
  46. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) これは必ずしもある区間を限りましてその区間採算がいいかどうかということは、道路公団の高速道路は全国プール制をとっておりますので、直ちに申し上げがたいのでございますが、もし仮に区間を限ってその間だけで検討してみるとすれば、採算のいいのは恐らく東名名神高速道路であり、悪いのは、まあ余り悪いところまで申し上げると恐縮なんですが、恐らく鹿児島とか青森とか、そういう一番国土の端の方の道路が一般に交通量が悪いのではなかろうかというふうに思っております。
  47. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 それでね、プールでもわかるわけだな、ふだんのあれはね。やっぱり数字、あれはどれくらい。わかるだろう。プールだって数字はちゃんとわかっているんだから。そうだろう。計算できないか。いや、だからいまでなくても後でもいいからね。その東名名神の何というか、ちょっと言葉があれだけれども、それと鹿児島とか青森の悪いところなんかを比べて……いやいや、いまでなくていい。後で……いいよ、時間がもったいないから。
  48. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) はい、後ほど。
  49. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 あと二、三点。  道路公団が赤字路線にならないということに努力をしているわけですが、しかし、なかなか私は、いま局長がそう答えたけれども、簡単ではないと思うんです。そこで、結局採算がとれんければ値上げになるのかな。それでイタチごっこになるのかな。道路公団もそれこそ足らなければまた値上げ、そういうことじゃ困るので、最近また使用料を値上げするようなことを考えているの。あるいは、しばらくは値上げせんでもやっていけるということなのかな。値上げのこと、どうです。
  50. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 高速自動車国道の料金につきましては、昭和五十年四月、昭和五十四年八月及び昭和五十七年六月に、建設費維持管理費の上昇などから、消費者物価上昇の範囲内で料金改定をさせていただいております。現行の料金水準によりますと、日本道路公団への施行命令済み区間であります五千四百十五キロメートルについては十分償還が可能であると考えております。今後の諸物価の上昇、新規整備計画区間の取り込みなどによりまして料金改定が必要となった場合には、従来の料金改定に準じた方針で行ってまいりたいというふうに考えております。
  51. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 前につくった有料道路ね、二十年か二十五年で減価償却終えて一般道路にしたところあるな。高速道路ではそういうことは考えてないんかな。高速道路ももうちゃんと減価償却してしまったら一般道路としてやるというのは、これは僕もちょっと不勉強でいまお尋ねしてるんだが、たとえば群馬県の伊香保の有料道路、あれは約束とは大分時期が延びたが、そういうことを高速自動車道路には考えてなかったんかどうか、そこのところひとつ。
  52. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 道路公団の行っております有料道路には高速自動車国道と一般有料道路がございます。道路の無料公開の原則から、いずれについても償還すればこれは無料にするというたてまえになっております。一般有料道路につきましては個別採算制でございますから、いま先生のおっしゃったような道路につきましては、それ自身が建設費を償還してしまうか、あるいは有料道路期間を決めておりますので、それを経過いたしますと無料開放の措置をとります。高速自動車国道は全国プール制でございますので、これらのものが建設され、そしてその建設費維持管理費等が全部償還された時点では無料開放されていくのがたてまえとなっております。
  53. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いまも出たんですが、使用料もなるべく上げないような工夫をしてもらって、なるべく安い料金で利用できるような状態でやってもらいたいと思う。これはまあひとつ努力を期待する。  次、大臣にお伺いしたいんですが、特定財源の問題について、特定財源制度のあり方については今日さまざまな意見があります。たとえば道路審議会の建議では、特定財源制度の堅持はもとより、さらにその充実を図るべきだと主張しているのに対して、臨調第一次答申では、自動車重量税を含めて検討しなさいと言っておる。当然建設省においてはこの特定財源制度のあり方について十分な検討をしておられると思うんでありますが、そのひとつ見解を大臣からお示しいただきたい。
  54. 内海英男

    国務大臣内海英男君) いわゆる揮発油税等の道路特定財源につきましては、受益者負担あるいは損傷者負担といったような考えのもとに、道路利用者に特別の御負担を求めているものでありまして、有料道路制度とともに、わが国の立ちおくれた道路整備水準に大きく寄与してきたものと考えております。  したがいまして、今後の道路特定財源のあり方につきましては、このような税創設の経緯、受益と負担との関係のほか、道路整備の必要性、税収入の動向、財政事情等を総合的に勘案しつつ検討することが必要であると考えております。現在策定中の第九次道路整備五カ年計画におきましては、同計画実施に必要な財源の相当部分を道路特定財源によって確保していきたいと、こう考えておるわけでございます。
  55. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 最後に、特定財源制度を堅持するということなんですが、たとえば準特定財源とされている自動車重量税は、五十七年、五十八年度引き続いてその多くを一般会計に繰り入れられているわけです。いずれそれは道路財源として返却するとの条件がついているようでありますけれども、正直どうなるかわかりません、いまの状態では。そうなりますと、なかなか容易じゃなくなるんですが、その将来の返還について建設省はどういう見通しを持っておるのか。本当に返却されると思っているか、あるいはどうも危ないと思っているか。これはやっぱりさっき申しましたように腰を据えてやってもらわないと、せっかくあなた、いい財源を持っていかれて、そのままでは困ると思うんです。それについてひとつ、これは局長から。
  56. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 道路整備計画的に推進するため、現在揮発油税及び石油ガス税が法定特定財源とされ、また自動車重量税につきましては、同税の創設等の経緯から、税収の国分の八割に見合う額が道路整備費に充てられるよう配慮されております。これらの道路特定財源の取り扱いにつきましては、五十八年度予算編成に当たっても従来同様の方針によることとしたところでありますが、財政再建のためすべての予算が抑制された中で、道路整備予算も抑制されたことから、自動車重量税の一部に相当する額しか充てられないこととなりました。この残額につきましては、自動車重量税の創設の趣旨、経緯等を尊重し、五十七年度予算における同趣旨のものも含め、第九次道路整備五カ年計画期間内に道路整備費に充てられるものと考えております。
  57. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これで質問を終わりますが、大臣、まあいろいろお伺いしましたが、やっぱり道路は私は国鉄などよりよっぽど国民生活には重要な、そして密接だと思う。これはもう私の地方でもいろいろ土地の問題について、道路に対してはわりあい所有者が素直に聞いてくれる。これはやはり自分の生活と密接な関係があるということなんですね。したがいまして、まあその点も含められまして、ひとつできるだけスムーズな発展が期待されますよう、なお一層の御精進を期待して質問を終わります。
  58. 井上吉夫

    井上吉夫君 先ほど茜ケ久保委員質問の中で、高速道路の一番採算の悪いところは、どうやら余り明確にはおっしゃいませんけれども、鹿児島のお話も出ました。で、昨日、先般の視察報告をもう読み上げるのはやめて、末尾に記載するという扱いになりましたので、まだその部分皆さんお読みいただいておりませんので、過般の視察の際にも、とりわけ鹿児島、宮崎両方から非常に強い要望の出た第一点は、残念ながら、南の方からも着工しているけれども、途中で切れている。熊本県の八代とえびのの間が六十一キロ、まだ全く手がついてない状況にあるわけでありまして、したがって、もう道が途中で切れている袋小路みたいなことでありますから、その意味で自然交通量がどうしてもふえない、当然のことながらまだまだ未完了でありますから採算に乗りにくいという側面もあろうと思います。  したがって、できるだけ早くこれを仕上げてほしいということが非常に強い要望でありましたので、どうも後進地域のゆえにひがんで言うわけじゃありませんが、確かに数字上は採算に乗らないかもしれませんが、こういう背骨道路意味合いと同時に、未完了のゆえにまだ本来の効率が出ていないということを十分お考えいただいて、できるだけ早くこの道路が完了するようにお願いを申し上げたいと思います。  そこで、私の質問の第一点は、大臣のこの法律案提案説明の中にもありましたように、まだ第八次でもなおかつ大変わが国道路整備水準というのは立ちおくれが大きいという、そのことを理由の冒頭に掲げておられる。いささかこれを、たとえば高速道路なりあるいは国道なりあるいは県道なりというような形で、少し具体的にわが国道路整備の現状の評価をどういうぐあいにしておられるのかをまずお伺いをしたいと思います。
  59. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) わが国道路整備昭和二十九年度に発足した第一次道路整備五カ年計画により本格化したものであり、以来四半世紀にわたり積極的な整備実施してまいりましたが、その整備水準はまだきわめて不十分な状況にあります。  たとえば、高速自動車国道について申し上げますと、法定予定路線七千六百キロメートルのうち、昭和五十七年度未完成延長は三千二百三十二キロメートルであり、その進捗率は四三%であります。また、一般国道と都道府県道について、改良済みでかつ混雑のない区間の割合をあらわした整備率という指標で見てみますと、一般国道は六二%、都道府県道は四六%でございます。  地域住民の足として重要なバス路線について見ますと、その延長が約十四万キロメートルございますが、そのうち、すれ違えない区間が約五万キロメートルと、四割にも及んでおります。また、歩道の整備が必要な延長約二十三万キロメートルのうち、設置済みの区間が約七万キロメートルでございまして、その進捗率は三割程度でございます。  以上のように、わが国道路整備水準目標のおおむね二分の一程度であり、今後ともその整備を一層推進していく必要があるというふうに考えております。
  60. 井上吉夫

    井上吉夫君 いま、全体的に見てまずまず現状では半分ぐらいかなと、整備率は、というぐあいに総括的に説明がありました。  そこで、よく人間生活の、私どもの生活の豊かさというのは個人の所得だけではかられるものではなくて、公共財としての共通の財産であります社会資本の充実が大変大事であると。そういう側面から見ると、経済大国と評価されるまでになった日本だけれども、どうもアメリカやヨーロッパに比べて公共資本、社会資本というのが立ちおくれているという、そういうことをよく聞かされるわけであります。  本日は、道路関係の法律にかかわってまいりますので、特に道路を中心として、いま申し上げましたようなアメリカなりヨーロッパの諸国と対比してみた場合、その道路整備状況というのがどのくらいになっているか、わかっている限りひとつ数字で御説明をいただければありがたいと思います。
  61. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) わが国における近代的な道路整備の歴史はようやく四半世紀を数えるにすぎず、馬車交通の時代から道路整備に取り組んできた欧米諸国がその長い歴史を経て今日の整備水準達成しているのと比較すると、わが国道路整備水準は、これら欧米諸国の水準よりまだかなり低い状態にあると考えられます。  まず、高速道路整備延長としてそれぞれの国の経済社会活動の規模と対比してみますと、絶対値だけで申し上げますと、アメリカが、高速道路供用延長が八万八千六百四十一キロメートル、西ドイツが七千四百二十八キロメートル、イタリアが五千九百とか、こういう数値になっております。しかし、延長だけでは比較できませんので、たとえば自動車保有台数一万台当たり高速道路延長を比較してみますと、わが国昭和五十七年度末で〇・八キロメートルであるのに対し、欧米諸国の現状は、アメリカが五・六キロメートル、西ドイツが三・一キロメートル、イギリスが一・五キロメートル、フランスが二・六キロメートル、イタリアが三・一キロメートルとなっております。
  62. 井上吉夫

    井上吉夫君 日本が〇・八……。
  63. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) はい。日本は〇・八キロメートルでございます。アメリカは日本の七倍、西ドイツが四倍、イギリスが二倍、フランスが三・三倍強となっております。イタリアも日本の四倍ほどになっております。  また、国民総生産十億ドル当たり高速道路延長は、わが国が三・一キロメートルであるのに対し、アメリカが三十三・八キロメートル、西ドイツが九・三キロメートル、イギリスが五・一キロメートル、フランスが八・七キロメートル、イタリアが十四・九キロメートルなどとなっており、いずれもわが国を大きく上回っております。  次に、国道の車道幅員を見てみますと、バスなどの大型車が円滑にすれ違いできる車道幅員七メートル以上の区間の割合は――諸外国ではこの車道幅員七メートル以上を統計上使っておりますが、この車道幅員七メートル以上の区間の割合は、わが国昭和五十五年度現在で二四・二%であるのに対し、アメリカが五六%、西ドイツが六六%、フランスが七九・二%などとなっており、高速道路とあわせて全国的な幹線道路網を構成する国道につきましても、その質的な整備水準には大きな差があると考えております。  このように、わが国道路整備水準は、欧米諸国の現状に比べてかなり低い水準にあり、今後わが国の経済社会の活力を維持し、国民生活の向上を図るためには、その基盤となる道路整備を着実に推進していく必要があると考えております。
  64. 井上吉夫

    井上吉夫君 非常に幅員の広い高速道路なり、いろんな比較のやり方でまた別の評価もあるのかもしれません。いわゆる骨格の道路と同時に、俗に言う生活道路、そういうものがどういうぐあいになっているかという細かい比較もこれまた必要でありましょうし、逆にあの臨調答申の中で、こんな財政事情の厳しいときだから、たとえば本四架橋の問題でも、一遍に三カ所なんというのは思い直せとか、もっともっと生活に密着した道路整備に力点を置けとか、あるいは新しい道路に手をつけるよりもとりあえず現在着工中の道路を早く仕上げてしまえとか、いろんなかかわり方があるんですが、これらに共通するのは、非常に財政事情が厳しいからあっちもこっちもと一遍にはできないと思う、したがって道路整備の効率というのを特に重点的に考えてやれということだと思います。  しかしながら、いま説明を受けた限りで概括的に考えましても、少なくとも日本の道路整備水準という、言い回しをかえれば社会資本整備状況というのは、まだまだかなりおくれているということだけはまず間違いがなさそうな気がいたします。  そこで、今回の第九次の五カ年間の総投資、調 整費を加えて三十八兆二千億、要求よりも四兆円余り削られたじゃないかという質問も先ほどありましたが、この三十八兆何がしという金を賄うにしても、問題は、第八次のやつは全体でいいますとどうやら計画ぐらいになった。道路種別で多少の違いはありますけれども、総計ではどうやらほぼ計画達成したようですが、その前、第一次、第二次、第三次あたり、ずっと過去を振り返ってみますというと、達成率というのは計画にずいぶん開きがあった時代もありました。しかし、第八次ではようやく計画数字を達成して、整備計画というのが単なる計画ではなしに、十分に実現可能であり、絶対実現させるんだという姿勢を示したのが第八次だというぐあいに評価できると思います。  問題は、第九次が、数字的に見た場合に、第八次に比べまして、大ざっぱに言いまして約十兆ぐらい多かったんじゃないか、そういう数字におおよそなっていると思います。二十八兆何がしかですね。したがって、このような財政事情が厳しくて、そして第九次の五十八年分はすでに予算に見ているわけですね。そして、前の年とほとんど同じという、伸びなしということですから、残り四年で言うならば、第八次よりもほぼ十兆前後の道路整備費の伸びを実現しなければならぬということになる。  さて、それほど日本の経済財政事情というのが、それを容易にオーケーするほど財政的な余力があるのかなということが懸念されるわけであります。こういう状態の中で、しばしば臨調の議論の中にも出たし、私どもが党内でいろいろ議論をいたします場合にも、財政部会サイドの議論と建設部会サイドの議論というのが非常に真っ向から場合によっては対立する。その中身は何かと言えば、特定財源を一般財源にどんどん振り向けろと、もうこれは固有の特定財源という枠組みから外して財政の一般的運用の全体の中に溶け込ましてもらわなきゃ困るという、そういう発想が特に大蔵サイドからある。  しかし、この道路整備計画というものが始まったときの時点から、この財源的裏づけをなすものは揮発油税やガソリン税とともに自動車重量税の実績、たしか第六次から課徴されたと思いますが、国分の八割が道路の特定財源という形でずっと今日に至っている、そんなぐあいに見ることができると思うんです。  そこで、前置きが若干長くなりましたが、さて、第九次の道路整備五カ年計画三十八兆二千億、調整費込みですが、道路の特定財源をこれは五十八年度そっくりそのまま五倍というわけにはいかぬと思いますが、若干の伸びは出てくるでしょう。若干の変化はあるでしょうが、おおよその数値は見込まれると思いますので、概数として、そんな細かい数字は要りませんが、三十八兆に比べて特定財源の五カ年分の金額はおよそどのくらいになると推測しておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  65. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 特定財源につきましては、たとえば、国の揮発油税等は、揮発油税法で基本税率が決まっておりまして、租税特別措置法で暫定税率ということで倍近くの額をお願いしておるわけでございまして、今回もこの第九次道路整備五カ年計画の財源とするために二年間の延伸を今国会にお願いしている状態でございまして、三、四、五がどうなるのか、またその時点でいろいろ検討さしていただけることになるのではないかと思います。  ただ、仮に五年間暫定税率が延伸すると申しますか、いまのままの状態でいけるといたしますと、国費について申し上げますと、必要な国費の約七五%近くが特定財源でカバーできるというふうに考えております。地方費の方については、これは自治省さんとのいろいろな関係もございまして、ちょっといまここで算定しておりません。  ただ、国費の場合、いま申しましたのは特定財源が七五%でございまして、自動車重量税の先生おっしゃいました国分の八割を純特定財源といたしますと、その分が一七・五%ございます。したがって、合わせて九二%、国費の九二%がいわゆる特定財源でカバーできるということになっております。
  66. 井上吉夫

    井上吉夫君 先ほど茜ケ久保委員との応答の中にも、細かい議論は別といたしまして、建設省自体としては、できれば私が質問の中で申し上げたと同じような立場に立って、第九次の道路整備計画が四十三兆ぐらいは欲しいなということで原案は策定された。財政の事情かれこれあって最後に決着を見たのは三十八兆。何とかこれで目標のごろ合わせをやって、少なくともこれだけは何が何でも達成したいという心組みでおられると思う。  そういう中で、財源論というのがしばしば議論をされる。いま説明をいただいた数字で見る限り、この特定財源というものは自動車重量税を国分は全部現在の暫定税率、通常の二倍を適用して全部合計した場合が九二%カバーするということですね。間違いありませんね、ほぼ。
  67. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) はい。
  68. 井上吉夫

    井上吉夫君 となれば、この特定財源の一部を一般財源化するという余力は少なくとも数字的には全くない。それどころか、このほかに八%からあるいは一〇%ぐらいの一般財源をつぎ込まなければ、この第九次の整備計画というものは達成できないと、そういうぐあいに数字の理屈はなると思います。となりますと、当然のことながら所管大臣としては、計画計画倒れに終わらないためには、何が何でもこの財源のめどをはっきり立てるということが、私はこの計画遂行上まず第一に踏んばっていかなければいけないことではなかろうかと思います。  そこで、財源確保について、とりわけ具体的に言うならば、道路特定財源についてはどんなことがあってももう譲らぬ、道路の特定財源として確保するということに対する大臣の御決意をお伺いしたい。
  69. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 大変力強い御鞭撻をいただきまして、私どもも大変意を強うしておるわけでございます。  道路特定財源につきましては、先生の御主張のとおり、わが建設省といたしましても、全力を挙げて道路特定財源といたしまして今後とも強力に主張して、その実現を図っていく考えでございます。  なお、自動車重量税等につきまして、昨年と本年度の予算編成に当たりまして、財源が苦しいということで一応、一部一般の方に流用されておるような経緯もございますけれども、予算編成の段階におきまして、これは第九次道路整備計画の中で必ず返してもらう、こういう申し入れもいたしまして、それを了承しておるというもとでそういうことにしたような経緯もございまして、できることならば一般財源も多少加えていただきまして、第九次道路整備計画が目的どおり達成できるように、今後全力を挙げて努力をいたしたい、こう考えておるわけでございます。
  70. 井上吉夫

    井上吉夫君 大変特定の地域的なことでございますが、先般、参議院の予算委員会の視察という形で鹿児島県、宮崎県を視察をいたしました。その際、現地をずっと回りながら一番強く要望された路線というのが、鹿児島の方では国道三百二十八号だったというぐあいに、私は鹿児島の出身ですから感じてきておるわけですが、他の委員諸賢もそういう認識を持たれたと思います。そこで、この国道三百二十八号の整備状況というのがどういうぐあいになっているか、お知らせをいただきたい。
  71. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 一般国道三百二十八号は鹿児島市を起点とし、郡山町境付近で一般国道三号と分岐し、宮之城町等を経て出水市に至る実延長七十五キロメートルの幹線道路で、鹿児島市と北薩地域を直結する路線であります。  本路線整備状況は、五十六年四月一日現在でございますが、全延長七十五キロメートルに対し、改良済み延長は四十七キロメートルで、改良率六三%、舗装済み延長は六十キロメートルで、舗装率八〇%となっております。本路線整備につきましては、宮之城町内の登尾工区を昭和五十 七年度に完了させるなど、順次その進捗に努めてきたところであります。また、残る未改良区間につきましても、現在郡山町厚地工区、延長二・八キロメートル、入来町浦之名工区、延長七・二キロメートル、宮之城町山崎工区、延長一・一キロメートル、出水市定之段工区、延長十二・一キロメートルと、ほぼ全区間にわたって事業を展開しており、幅員狭隘区間等の緊急に整備を要する区間重点を置いてその促進を図っているところであります。  本路線には、まだ相当の残事業が見込まれておりますが、本路線の重要性にかんがみ、今後ともなお一層事業の促進を図るよう、最大の努力をしてまいりたいと考えております。
  72. 井上吉夫

    井上吉夫君 これが国道に昇格したのは何年度だったでしょうかね。
  73. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 正確にはデータ持っておりませんが、恐らく前々回でありましたので、昭和五十一年でなかったかというふうに考えております。
  74. 井上吉夫

    井上吉夫君 その以前から主要地方道として、言うなれば海岸沿いの三号線でもって、熊本県との県境、出水から三号線がずっと鹿児島まで通じております。ところがこの三二八というのも、同じ出水、これは県境からではありません、三号線を途中まで来てから、路線が分かれて、内陸部に入っていくわけでありますけれども、主要地方道としての歴史はずいぶん長い道路であります。  特に、この道路のことについて、地域住民も含めて力説している点は何かと言えば、三号線の道路容量がいまやまさにいっぱいだという、そういう感じであります。県境から鹿児島までに、追い越し可能な区間というのは全くない。四車線の区間がないわけでありますから、ずっと黄色の線が引かれた追い越し禁止であります。出水から鹿児島まで百キロ、未改良の時代に二時間半もあれば鹿児島まで行けたところが、いまは間違いなく三時間かかります。交通の大変ふくそうした東京とは違うわけであります。県の一番端っこから県の中心都市まで行くのに、百キロの区間を三時間かかるという。それが、この三二八の改良が全部でき上がりますというと、二時間で同じ出水から鹿児島までに通ずるという、三号線の非常に大きなバイパス的機能を持つという意味合いを持っている道路でありますので、それだけに、特に視察をされた一行に対しても、鹿児島県なり関係地域の要望が非常に強かった、そういうことだと私は見ております。  いま道路局長から詳細の説明があり、改良に着手しながら、着々と早い時期への整備を目指しているということでございましたので、さらに一層の促進を図っていただきたいと思います。  そちらの方からいただきました法律関係の参考資料の六十九ページに、臨調第三部会報告が載っております。その中に、公共事業全般、後段の方は、日本の財政がどうも厄介なんで、現在の六兆六千億ぐらいというのを当面はしょうがないから増額をこれ以上なかなかふやせないなという感じには書いてありますけれども、しかし前段の方には、「我が国の社会資本ストックは、欧米先進国と比較すればいまだ水準は低く、」というぐあいに書いてあります。続いて、「地域間に格差が認められるが、」云々というぐあいに書いてあります。  私は、きょうは時間もありませんから、細かい議論はいたしませんけれども、とりわけこの不況ムードがずっと続いている時期に、しかもその不況のありようというのが、地域間に相当なばらつきがある。もちろん業種間にもあるということは、この数年の間しばしば言われてきたことであります。そして、大体東京から離れた地域ほど、まあまあどちらかと言えば後進地域と言っていいのか、どういう言葉で言うのがいいかわかりませんけれども、そういうところほど、実は改良するのに土地代がかかるわけでもない。組まれた予算の大部分というのは工事費という形になって、その地域の経済の刺激に非常に大きく役立つ。そのことが恐らく、大臣以下、道路局だけでなくて建設省の各局とも、厳しい時期であるだけに、手前勝手という評価で片づけることができない、いわば傾斜配分というのを求めるそういう声が、私は、公共事業にその地域の経済浮揚をかけているような、そういうところほど強く要請が出てきているはずだと思います。  もちろん、全国的にそれぞれやっぱり公平に物事は実施をしていかなきゃならない。しかし、その公平の議論というのは、対前年ということだけで片づけるわけにいかない、もう一遍やっぱり全体を見直す必要がある。わりあい早く進んだところはしばしストップしても、おくれているところを進めた方が日本じゅうが平均的に伸びるのに役立つという、そういう着想、そういうものがやっぱり公共事業にも一遍は見直しの材料として基本に据えられなきゃならぬという、そういう感じがいたします。  このお答えをきょうは求めて、それに議論をするには時間がありませんので、意見として申し上げ、どうかひとつ、せっかくの第九次のこの計画が満額に達成できるような、財源の措置を含め、事業執行に万遺憾なきを期していただきたいということを御希望申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わります。
  75. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まず最初に、社会資本の問題で一、二伺っておきたいと思うのです。  先ほど来からいろいろ議論されておりますけれども、大臣の所信表明の中にも、「建設行政の基本的課題は、社会資本整備を通じて活力ある経済社会と充実した国民生活を実現することにあります。」と、私はこの問題に対しては賛成であります。しかしながら、この社会資本整備、先ほどからもいろいろ道路の問題で議論されておりますけれども、計画の問題、あるいは財源の問題、またいろいろ投資効果の問題等考えますと、いろいろな問題点があるのではないかと思うわけでございます。  そういう意味で、この低成長下において、社会資本整備のあり方というか、建設省は、具体的に経済成長の問題等も考えながら、やはり長期構想をいろいろ持っていらっしゃると思うのです。その問題について、まず大臣になられた内海大臣から、大臣としての構想をまず伺っておきたいと思います。
  76. 内海英男

    国務大臣内海英男君) わが国社会資本整備水準は、欧米先進諸国に比べまして立ちおくれておるわけでございます。その向上に対する国民のニーズにはきわめて強いものがありますことは、先生御指摘のとおりでございます。特に今後は、二十一世紀に向けて、都市化、高齢化が急速に進行することが予想されますところから、さらにそれに備えまして社会資本の先行的、計画的な整備を図っていくことが必要であると考えております。  建設省といたしましては、このような観点から所管社会資本の充実といった観点から見まして、二十一世紀初頭までに骨格的なものの整備を行い、欧米先進諸国並みの水準確保することを一応の目標といたしまして、長期的整備目標水準を設定いたしておるところでありまして、これを目指して着実な整備を推進していきたいと、こう考えておるわけでございます。
  77. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、日本は二十年後に大体欧米並みになる、二十年間おくれているという、そういう考え方でいいわけですね、端的に言って。
  78. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 具体的にそうおっしゃられるとちょっと困りますけれども、あと十数年でと、こういうつもりでがんばるつもりでございます。
  79. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ちょっと一、二聞いておきたいと思っておりますけれども、長期ビジョンの問題としまして、建設省社会資本整備のあり方についていろいろ提言を行っているのを新聞紙上で拝見をいたしました。この提言の内容、あるいはまた今後の日本経済をどのように建設省建設省なりに分析をしておるのか。あるいは三全総、あるいは新経済社会七カ年計画等の関連等の問題につい て、この提言等の問題を織りまぜての意見を聞かしていただきたいと思います。
  80. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) 建設省といたしましては、ただいま大臣からお答え申し上げましたような、二十一世紀を展望いたしましての長期的な社会資本整備目標を立てまして、これを前提としながら具体的な各事業の中期的な計画というものを政府部内におきまして調整の上定めて実施しているというのが実情でございます。  昨年来、経済企画庁を中心といたしまして現在の経済社会発展七カ年計画見直しまして、新しい経済計画をつくろうということで経済審議会でいろいろと御検討になっておられましたが、その際、私どもといたしましては、五十八年度から六十二年度までに至ります今後の五カ年間におきまして安定的な経済成長というのを維持しながら、また社会資本計画的に着実に整備していくというような前提で公共投資額を一定の仮定のもとに計算をいたしましたところ、総投資額約百八十兆円というような試算ができましたので、昨年の十一月、経済審議会の公共投資小委員会に対しまして私どもの考え方を御説明をいたしたところでございます。  しかしながら、御案内のように、経済審議会におきましては、中曽根総理の、計画期間というものをもう少し長期にしたらどうか、あるいはまた、経済計画というよりは経済の展望あるいは経済運営の指針といったような方向でいろいろ検討したらどうだろうかというようなお話もありましたので、現在、経済審議会ではさらにそういった観点も踏まえまして各般の検討をされておられます。  私ども、今後またいろいろと御相談がありますならば、こういったような考え方等も御説明しながら、政府部内におきましての公共投資のあり方というものを詰めてまいりたいというふうに考えております。
  81. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 建設省、百八十兆の計算の根拠ですね、これはやっぱり実質経済成長率を五%ぐらい維持できると、今後ですね。そういう算出のもとにこの考え方を算定したわけですか。
  82. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) 私どもといたしましては、わが国の経済成長につきましては潜在的に十分五%程度の年率の伸びができるであろうといったようなことをある程度想定いたしまして、また、そういった五%成長を達成いたしますために必要な公共投資というものはどのくらいの年平均の伸び率であるかというふうなことから、おおむね公共投資につきましては年率六・五%程度であろうかというふうに考え、また一面、公共投資が先ほど申しましたように、全体としておくれております社会資本を今後の五カ年間にこの程度整備しておきたいといったような整備目標にも照らし合わせまして、そういった両面からいろいろ検討いたしました結果の一応の試算としてこのような数字を考えたものでございます。
  83. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、上限がまあ二十一世紀まで百八十兆ですな。いや五カ年ですか、五カ年。それにプラス。こう計算していきますと、二十一世紀までいろいろ計算が出ると思いますけれども、この提言の中で五%経済成長、それから公共投資が毎年六・五%ずつの増加と、こういう感覚でこの提言を行っているわけですね。
  84. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) 社会資本整備計画的な整備のテンポと、いまの経済成長と両方見まして、一応このような試算をいたしたものでございます。
  85. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この財源確保の問題ですね、これはやっぱり一番大きな、先ほどからもいろいろ議論されているわけでありますけれども、この財源確保の問題については、経企庁なんかも公共投資についてのいろいろな考え方を、民間資金の導入等をいろいろ考えながら、模索をしているそうであります。あるいは懇談会等をつくっていろいろ研究をしているという話も伺っておりますけれども、これは建設省として六・五%、この公共投資増という問題についての財源的な問題の裏づけは大丈夫ですか。
  86. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) 御案内のように、私どもの所管しております公共施設の整備につきましては、国の一般財源、それからまた受益者負担を前提といたしますところの特定財源、それから建設国債等をもって充て、それからさらに収益的な事業につきましては財政投融資を活用するといったような財源構成であろうかと思うわけでございますが、私ども今後の五カ年間を考えました場合に、国と地方との適切な分担ということを前提にしながら国の立場で考えますと、いま申しましたような特定財源制度につきましては積極的にこれを維持し活用を図る。  それからまた、建設国債につきましては、いわゆる赤字国債とはその性格をおのずから異にしておりますので、もちろんある程度の限度はありますが、これも十分活用し得るんじゃなかろうか。それからまた、将来に残ります資産でもありますし、また建設投資の波及効果もきわめて大きいものがありますので、一般財源もある程度これに充てていく。  そういったような総合的な組み合わせ、さらに貯蓄率等のなお高い現状を考えますと、財政投融資というものも十分活用し得る、等々考えまして、この私どもの施設の整備につきましては、十分財源調達はでき得るものというふうに考えております。
  87. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 きょうは財源問題で深く議論するつもりはないんですけれども、この安定成長下といいますか低成長下といいますか、公共投資の配分のあり方ですね、これをどう考えているのか。  たとえば、農林水産省あるいは運輸省、建設省等も含めた公共事業のいろいろな投資のやり方があるわけですね。そこらの問題については、やはり各省間の連携というか、総合的な立場に立っての公共投資全体をどこが調整しながらやっていくかという問題が私はこれから非常に重要な問題になってくるんじゃないかと、こう思っているわけです。他省とのいろいろな関係。  それともう一つは、建設省内における公共投資の投資効果、あるいは必要度の問題といいますか緊要度の問題といいますか、そこらの問題についてはどうお考えになっているか。
  88. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) 私どもの立場で公共投資全般についての各省との調整といったようなことは、まあ直接的にはいかがかと思いますが、やはり財政投資の配分、あるいはまた経済計画の策定等を通じまして関係省庁の間で適切な調整がなされるものと思いますが、私どもの建設省が所管しております施設の整備につきましては、やはりその施設の整備水準、このおくれているものをやはり何とか早く引き上げるといったような整備水準、それからまた地域社会におきますニーズ、それからまたいろいろな国家的なプロジェクト等との関連等々から見まして、結果的にはいろんな角度から緊急性の高いもの、そういったようなものから選んで実施していくといったようなことで各施設の整備を進めておるところでございます。  特に、私どもが今後このような観点から進めたいと思っておりますねらい目といたしましては、まず一つ国民生活の安全の確保、それから第二番目には快適な居住空間の形成、すなわち生活環境といったようなもの、それから三番目には経済社会の発展基盤となるいろいろな諸施設の整備、こういったような観点重点を置きまして整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
  89. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは閣議でいろいろ議論をされ、予算になっているんだと思いますけれども、やっぱり立ちおくれた社会資本、公共投資による景気の刺激という問題等含めて、これはもっと効率的な、臨調でもいろいろ指摘をされていると思いますけれども、重点化あるいは効率化という問題をどう考えていくか、あるいは他省庁とのいろんな絡みの問題、これらをやはり長期的に、計画的に、また財源等も含めた問題をやはり考え直すべきではないか、あるいは考えていくべきではないかと、私はこういうふうに思うんです。これは官房長でもいい、大臣でもお考えがあればひとつ 聞かしていただきたい。
  90. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御指摘のように、限られた厳しい財政事情のもとでございますから、その執行当たりましては、おっしゃるとおり効率的、重点的にやっていかなきゃならぬと、こうは考えております。  先般も、今後の経済運営についていろいろと話し合いもいたしたわけでございますが、予算の成立を待って具体的な経済運営については相談しようというような形にはなっております。まだ具体的には決まった方針が立っておるわけじゃございませんけれども、できるだけ効率的、重点的に予算の執行を図っていきたいと、こういう話にはなっております。
  91. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはちょっと一つ予算の問題ですけれども、大臣、景気刺激の問題、前倒しの問題をよく新聞紙上に載っていますね。これは建設省の当局自身としてこの問題は考えているんですか、言いづらい問題だと思うけれどもね。
  92. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 景気刺激という面からいきまして、前倒しという問題につきましてはよく議論が出るところでございます。また経済閣僚の間でもそういう意見も出ております。  ただ、現在参議院で予算を御審議をいただいているさなかに前倒し論議をやりまして、それが秋になれば霜枯れてしまって、また補正をしなきゃならぬじゃないかというような、だんだんだんだん議論が進んでまいりますと、予算の審議をお願いしておる立場からいきますと、なかなかそういう議論を表に出してするのもいかがかというようなことで、予算の成立を待ちまして、経済運営については改めて具体的な相談をしようと、こういうことになっておるわけでございます。
  93. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それじゃ、道路の問題で一、二お伺いしたいと思いますけれども、この第九次五カ年計画投資規模の概要ですね。それと財源の内訳について御説明願いたいと思います。特に、この中で大きなプロジェクトですね。どういう新しいプロジェクトがこの五カ年計画の中に含まれているのか、この点についても御説明願いたいと思います。
  94. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) まず第九次五カ年計画投資規模の概要を御説明さしていただきます。  道路は、国民生活の向上と経済発展を支える最も基本的な社会資本であり、その先行的整備が必要であります。しかしながら、わが国の近代的な道路整備の歴史はようやく四半世紀を経たに過ぎず、その水準目標のおおむね二分の一程度に達した段階にあります。このため、二十一世紀初頭を目途とした道路整備長期計画に基づき道路整備計画的、効率的に進めてきているところであります。  第九次道路整備五カ年計画投資規模は、最近のわが国の厳しい経済、財政事情等踏まえ三十八兆二千億円となったものであり、一般道路事業十六兆円、有料道路事業九兆二千億円、地方単独事業十一兆七千億円、調整賢一兆三千億円から成っておりますが、この調整費を除きました三十六兆九千億円につきまして財源区分を申し上げますと、国費が十一兆八千億、地方費が十七兆円、財投等が八兆円という内訳になっております。
  95. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この五カ年計画の中で特に大きなプロジェクトあるいはこれで完成するようなプロジェクト、何かありますか。
  96. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 大きなプロジェクトといたしましては、東京湾岸道路に着手したいし、また首都圏中央連絡道路、こういうものにも着手したいし、現在進めております東京湾岸道路、こういうもの、さらには大阪湾岸道路、あるいは名古屋環状二号線といったようなプロジェクト、さらに全国的なネットワークを構成しております高速道路整備の促進、それから本州四国連絡橋につきましても、現在一ルート四橋、すでに大三島橋は供用しておるわけでございまして、工事中のものは一ルート三橋でございますが、これも計画のとおり供用を図るよう事業を進めてまいりたい。  ビッグプロジェクトとして申し上げたわけでございますが、そのほか、生活関連道路としての市町村道等についても十分配意しながら事業の促進を図ってまいりたいと考えております。
  97. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この三十八兆二千億円の計画ですね、第九次計画計画どおり進めていくと毎年一〇%ずつぐらいの伸びになるわけですね、予算の。これは非常に大蔵省との間の問題も絡んでくると思いますけれども、非常に厳しい財源になるんじゃないかと、こう思うんですけれども、道路局長、どういう見解を持っていますか。
  98. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 三十八兆二千億を実は五十七年度事業費を初項といたしますと七%強の伸びでございますが、五十八年度予算は五十七年度予算との横ばいでございますので、五十八年度を初項としますと調整費込みで一〇%強の対前年比が、伸び率が必要でございます。調整費を外しますと対前年比九%の伸びで満額達成できることになります。
  99. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、これは官房長の方にも影響あるんでしょうけれども、社会資本整備全体の問題で、道路は対前年比一〇%、どこか削らなきゃなりませんな。こういう点を考えたときに、この五カ年計画の間にどういう調整を官房長としては、予算要求も含めてやるような考え方ですか。
  100. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) なかなかその年その年の財政事情、また経済情勢等も変化いたしますので、現段階では直ちにどこをどうというふうに申し上げるわけにはまいりませんが、私ども御案内のように、道路だけでなく、各施設につきまして重要なものは五カ年計画を策定いたしておりますので、それぞれの五カ年計画を見ながら、またそのときにおける財政状況に応じまして、適切に配分をして要求するということでまいりたいと思っております。
  101. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあ余り詰めても無意味な問題になってくるから、その年その年に慎重にやりますと言わざるを得ないと思いますけれども、まあ非常にむずかしい財源配分の問題になっていくと思いますけれども、しっかりと努力をされて社会資本の立ちおくれを何とかカバーし、整備をしていくという立場で、われわれも協力できる問題は協力していきたいと、こう思っているわけです。  そこで、具体的な問題で一、二伺っておきたいと思います。特に、本四架橋の問題で伺っておきたいと思いますけれども、本四架橋のいろいろな問題が山積をいたしております。ところが、最近いろいろ現地の情報等によりますと、本四架橋ができた後の四国側の連絡道路等の問題がどういうぐあいになっていくかということが非常に立ちおくれというか、あるいは不安の問題があるわけでございます。そこで、本四架橋に伴う四国側の、なかんずく徳島、香川両県の道路整備の問題について何点か伺っておきたいと思うんです。  まず、公団に伺っておきたいと思うんですけれども、神戸―鳴門ルートの大鳴門橋及び関連道路、特にそのほかに児島―坂出ルートの問題等も含めた進捗状況ですね、これはどういうぐあいになっているのか、現時点で結構ですからちょっと教えていただきたいと思います。
  102. 山根孟

    参考人(山根孟君) まず神戸―鳴門ルートの大嶋門橋を含む区間について申し上げます。  大嶋門橋はおかげさまでケーブルの架設を終了いたしまして、補剛げたを架設すべく現在準備中でございます。この大鳴門橋に接続をいたします四国側大毛島の孫崎の高架橋、淡路島側の門崎の高架橋につきましてはすでに下部工事を終えまして、けたの架設も終了した段階でございます。また、関連をいたします陸上部につきましては、五十八年度じゅうに用地取得をおおむね完了いたしますように全区間にわたりまして用地買収を進めております。  また、工事につきましては、大鳴門橋を含みます西淡インターチェンジから大毛島インターチェンジ間の道路工事を全面的に進めておりますほか、三原インターチェンジ等の道路工事及び四国側に参ります撫養橋の下部工事を進めているところでございます。完成年度といたしましては、大 鳴門橋を含みます西淡インターチェンジから大毛島インターチェンジ間を五十九年度、津名インターチェンジ区間及び大毛島インターチェンジから鳴門インターチェンジ間につきましては昭和六十一年度を目標として現在工事の進捗中でございます。  次に、児島―坂出ルートでございますが、海峡部にございます大きな橋梁六橋、すなわち南北備讃瀬戸大橋、与島橋、櫃石島橋、岩黒島橋、下津井瀬戸大橋、こういった海狭部の橋梁のすべての下部工事を現在進めておりまして、一部の橋梁につきましては上部工の工場製作を進めるなどの工事をやっておりまして、最盛期を迎えているところでございます。  陸上部の道路、鉄道は全線にわたりまして現在地元協議、用地買収を進めておりますとともに、工程のかなめとなりますトンネル、超大高架橋等の重要な工事を進めておるところでございまして、完成年度を昭和六十二年度といたしまして現在鋭意進捗中でございます。
  103. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは財源の問題もまた絡んできますけれども、六十二年までにはいろいろ財源の問題、これから五年間どうなるかわかりませんけれども、これはもう完成すると見てよろしいわけですか、財源的には。
  104. 豊蔵一

    政府委員(豊蔵一君) いま私ども本四架橋関係は主として財政投融資と国と公共団体の出資等々を中心としてやっておりますが、いまの進捗状況では何とか十分財源的にもやれると思います。
  105. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、大鳴門橋を含む西淡インターチェンジそれから大毛島インターチェンジまでが五十九年度に完成をいまの報告によりますとするということですね。そうしますと車の流れが高松も含めた東讃ですね、あるいは徳島、これはやはり大毛島を通って大鳴門橋を通って近畿以東の方には来るんじゃないか。そうしますと車が相当、当初予想しておったよりもむしろふえるんじゃないかと、あるいは観光等の問題も考えましたら。その点については交通量の分析あるいは状況等はどういうふうに把握していらっしゃいますか。
  106. 山根孟

    参考人(山根孟君) お答え申し上げます。  大鳴門橋を含みます西淡インターチェンジ、大毛島インターチェンジが完成した場合に、一体この橋を利用する交通量はどうかということでございますが、年平均一日当たり約七千七百台というぐあいに私ども予測をいたしております。ごく大まかに申し上げまして、このうちの九百台が四国と淡路島間の交通でありまして、残りの六千八百台が先生おっしゃいました近畿以東と四国間を行き来する交通量になろうというぐあいに考えております。これは年平均の日交通量でありますので、もちろん土曜、日曜、あるいは祭日といったような場合には、季節変動その他の、平均よりも上回る交通量があろうかというぐあいに考えております。  また、四国の鳴門インターチェンジから津名インターチェンジまで四十五キロ区間が全通をいたすことになりますと、この年平均の一日当たり交通量は一万一千台程度というぐあいに予測をいたしております。
  107. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 車の流れは料金の問題にも絡んでくると思うんです。料金決定を大体いつごろやる御計画ですか。
  108. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 本州四国連絡道路の料金につきましては、前回大三島橋のときで申し上げますと、供用の三、四カ月前に道路公団から申請が上がってまいりまして、建設省、運輸省にも協議の上それを認可して、大三島橋の料金を決定し、供用を開始したものでございます。
  109. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、三、四カ月ぐらい前に料金は決定すると、こういう大三島のときの考え方ですか。
  110. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 許可申請が上がってくるというふうに考えております。
  111. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはどうなんですか、やっぱりそういう基準か何かあるんですか。輸送の関係の人たちは、高松なんかの境にある人たちはどちらの料金で通った方が安いかという運送経路の問題とか、生活道路としてのいろんな運行の問題があると思うんです、運送車両の問題から含めて。こういう点はもう少し早く決定してやるという方法はないですか。
  112. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 本州四国連絡道路の料金は償還主義、すなわち料金収入によって一定の期間内に建設費維持管理費、利息等の費用を償うこと及び便益主義、すなわち料金の額が本州四国連絡道路の通行により通常受ける便益を超えないものであることの二つの原則に基づき決定されることとなっております。  このうち償還につきましては、本州四国連絡道路役割り計画の一体性、利用者負担の公平及び公団経営の健全化等の観点を総合的に勘案して料金プール制採用することといたしております。大鳴門橋等の料金につきましてはこれらの原則を踏まえ、それぞれの供用開始時までにフェリー運賃等の諸条件を考慮して、便益の範囲内で決定することといたしております。  本四道路の料金体系につきましては、全路線画一対距離料金制が原則として適用されることになっておりますが、これにつきましては児島―坂出ルート供用時から適用され、それまでの間の部分供用区間の料金につきましては対距離制への移行、代替フェリーの運賃、当該部分供用区間に係る固有費用、事業採算性、地域の交通事情等を十分考慮して定めることといたしております。
  113. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 なかなか聞いたってむずかしくてわからぬけれども、端的に大体どのぐらいになるのか。これはまあ日ごろ業者でもいろいろ計画を立てると思うんですよね。一年後にはどうだ、二年後にはどうだと。輸送計画を立てた場合に、フェリーよりも有料道路通った方が安いとか、いろんな計画は私は立てるんじゃないかと思うんですね。そういう算定の基礎になるものは端的にないんですか。
  114. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 結局、料金を決める場合には、いまの一ルート四橋について建設費、これからの維持管理費等が償還できるものでなければなりません。それぞれについての収支をプール制することを基本といたしております。  したがって、プール制にはするが、それぞれの路線の料金は幾らにするかということでございますが、まあBルート、児島―坂出ルートは、これはまさにメーンでございますので、いま申しました償還主義はきっちりやるわけでございますが、残りの地域開発橋につきましては、地域開発橋であるという特殊性から、全体としての償還主義の中での寄与というようなことも考えながら、Bルートが完成するまでは地域開発橋としての料金を策定していくということで実は前回の大三島橋は決めたわけでございますので、大鳴門橋につきましてもBルートに先立って供用いたしますので、それと同じような措置が講じられるのではなかろうかというふうに考えております。  まあ、大三島橋がすでに料金を決めて運行いたしておりますので、そういうものと全体の償還主義ということを勘案すれば、ある程度の料金は大鳴門橋についても算定できるのではないか。ただ、これを正式に公表するかどうかということは大変大きな問題でもございますので、いますぐ算定するというわけにはいきませんが、まあ一つの目安としては、あの区間におけるフェリーがございますので、フェリーに比べて、フェリーの料金をある程度参考にしていただければ、そういうものの便益の範囲内で決めるという基準がございますので、当然対象フェリーがあれば、そのフェリーの料金が目安ともなります。  そういう中で、従来のフェリーよりも便益は大きくなる、すなわち料金は便益の範囲内にしておりますから、大きくなるということから目安が決められるのではなかろうかというふうに思います。
  115. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 わかりました。  そうしますと、大毛島は五十九年にインターチェンジが開通しますね。この接続道路は、四国側の、特に徳島側の道路はどういうぐあいになって ますか。
  116. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 徳島側の受け入れる道路は十一号の吉野川バイパスでございまして、鳴門インターチェンジで十一号の吉野川バイパスが接続することになり、これを昭和五十九年度中に完成させる見込みで、大毛島インターチェンジからの接続道路は主要地方道鳴門公園線及び鳴門有料道路がございますので、こういうものを経て、さらに鳴門インターチェンジからはいま申し上げましたような十一号のバイパスで徳島の方へ行けるようになるというふうに考えております。
  117. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この鳴門公園線と有料道路ですね、これは二車線だと現地の方でもいろいろ混雑するのではないか、五十九年供用開始のときにはこの接続道路としての機能が十分果たし切れないのではないかと、そういう心配をいたしているわけですけれども、この問題についてはどう思いますか。
  118. 山根孟

    参考人(山根孟君) ただいまこの大毛島のインターチェンジから流出入する交通といたしましては、鳴門公園線と鳴門有料道路、この二本のそれぞれ二車線の道路がまず第一の接続道路としてなるわけでございますが、私ども当面、その供用時点におきます実質付加されます交通量としては十二時間でざっと四千台程度でございますというぐあいに見込んでおりますので、この接続いたします二本の道路の容量としては、通常の場合は十分余裕があるのではないかと、こう考えておりますが、問題はやはりピーク時間でございまして、この場合には若干の混雑が予想されるのではないか、こういうことが顧慮されるわけでございます。  しかしながら、道路の一番混雑するところはやはり交差点ということに相なりますので、信号現示、信号のサイクル等々の調整をいたしますとか、あるいは大毛島インターチェンジの取りつけ部におきます交差点の処理、こういった点が一番重要であり、またポイントになろうかと思いますので、現在、徳島県及び公安委員会、県警の方といろいろと協議をいたしまして、部分的な県道部分の改良でございますとか、交差点の右左折車線の設置など、そういったきめ細かい対策を講ずることによりまして何とか支障を極力最小限にとどめるようにいたしたい、かように考えております。  その二年後には、鳴門インターチェンジまで開通をいたすことを予定しておりますので、その時点には国道十一号のバイパスで相当量が処理できるというぐあいに考えておりまして、この間、きめ細かい対策でもって対処してまいりたい、かように考えております。
  119. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 口頭ではそういうことが言えるんですけれども、相当混雑が予想されるのではないかということを現地側は心配をしているわけですね。国道十一号線の吉野川バイパス、あるいは主要道路の鳴門池田線ですか、あるいは鳴門市内の吉永西小沖線、こういう問題の早期完成が現地ではもう不可欠だと、こういう強い要請があるわけでありますけれども、ここらの進捗状況あるいは完成の見通しはどのようになっておりますか。
  120. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 本州四国連絡橋大毛島インターチェンジ―鳴門インターチェンジ間につきましては、いま公団の方からいろいろ説明させていただいたところでございますが、国道十一号の吉野川バイパスについて御説明させていただきますと、一般国道十一号吉野川バイパスは徳島市かちどき橋から鳴門市北灘町に至る延長十六・九キロメートルのバイパスであり、現在までに徳島市かちどき橋から徳島県松茂町広島までの延長八・一キロメートルについて一部暫定断面で供用を図っております。  五十七年度には、徳島県松茂町広島から市道西部幹線までの延長二・九キロメートルについて暫定二車線で供用することとしております。引き続き、残りの鳴門市撫養地区及び明神地区の用地買収を進めているとともに、市道西部幹線から鳴門インターチェンジまでの延長二・一キロメートルについては、本四道路大鳴門橋の供用に合わせ暫定二車線で供用することを目途に整備を進めております。  主要地方道の鳴門池田線についてでございますが、本路線は鳴門市と池田町を結ぶ総延長七十五・一キロメートルの主要幹線道路であり、昭和五十七年度末現在、鳴門工区三・一キロメートルを除き、整備済みとなっております。未整備区間三・一キロメートルにつきましては、現在鋭意事業を進めているところであり、本州四国連絡橋の供用に合わせて完成させるよう引き続き事業を推進してまいりたいと考えております。
  121. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはもう少し早目に完成するということはできないんですか。
  122. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) いま申し上げました区間につきましても、本四関連道路ということで最優先に事業実施しておりまして、四年間のゼロシーリングの中でこれをやるのがもう精いっぱいというふうに考えております。
  123. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 精いっぱいでできればいいんですけれどもね、本四架橋ができたわ、片側の道路がうまくいかなかったというんでは建設省何をやっているんだと言われないように、ひとつその点だけは重々にお願いしておきたいと思います。  もう一つ、徳島側から行くだけではなしに高松、東讃方面ですね、特に大川郡とかあっちの方面からやはり大鳴門橋を通って関東方面に出てくるコースが考えられるのではないかと、これは児島ルートの方が遅いですからね、この輸送経路を通るような形になってくるんじゃないかと思います。そうしますと、国道十一号線の鳴門市北灘町九・四キロは交通規制区間等あるわけですね。そのために、またここで数珠つなぎになってしまうんじゃないかという心配があるわけなんでありますけれども、この改良等については建設省は考えているのかどうか。
  124. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 一般国道十一号の鳴門市北灘町地先は地形が急峻で、豪雨時の異常気象時に落石、崩壊等の危険が予想されるため現在、連続雨量が百五十ミリメートルに達したとき、またはパトロール等により危険が予想されたときには通行規制を行っております。このため昭和五十五年度に実施した危険個所点検結果に基づき、当面必要なのり面処理等の対策を逐次実施しているところであります。今後はこれらの対策をさらに促進し、早期に通行規制区間の解除が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
  125. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 早期とおっしゃられるんだけれども、この開通までには、大体これを早期と解釈していいんですか。
  126. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) いまここで五十九年度までにそういう状態になるかどうかの資料を手持ちしていないわけでございますが、ともかく危険個所については最重点的に実施することにしておりまして、少なくとも九次五計期間中には必要な対策を行うと。しかし、その対策を行った上でありましても、豪雨等の場合にどういう状態になるのかを監視しながら、特に問題がなければ通行規制区間を解除していくし、何らかの集中豪雨等によって影響を受けるようであれば、またさらに新しい対策を考えつつ通行規制区間をそのままにして対策をしていくというようなこともあろうかと思います。  しかし、そういうことのないように最大の努力をしてまいりたいと思っております。
  127. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは都市局長の方にも関係あるんでしょう、街路事業等を含めて、その点について。
  128. 加瀬正蔵

    政府委員(加瀬正蔵君) 先ほどの御質問で関連がございますのは、国道十一号バイパスから鳴門市中心部に連絡する鳴門市内の吉永西小沖線というのが先ほどの御質問の御答弁、私どもの方のが漏れておりますのでちょっと補足させていただきます。  この路線は十一号バイパスから鳴門市中心部に連絡する重要路線でございまして、五十年度から都市計画街路事業として千百六十メートルの区間整備を進めているわけでございます。全体事業費十九億五千万円で五十七年度末四五%の進捗状 況でございます。現在は用地買収を鋭意進めておる段階でございまして、今後とも一層の促進を図っていくとともに、用地買収を完了した個所から逐次工事に着手しているというところでございます。また、路線の中間部に新池大橋という橋がございます。この橋につきましては五十七年度から事業化しておりまして、引き続き事業の推進を図っていくということで鋭意進めております。
  129. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 鋭意ばかりですけれども、こういう危険区域の改良等も含めて、どの地域も、徳島だけの問題ではないということはよくわかりますけれども、やっぱりりっぱな橋ができたけれども地元の方はどうもおかしいぞというような感じになってしまっては、建設行政何だという感じになってくるんじゃないかと思いますので、老婆心ながらこの点は強くお願いをしておきたいと思うんです。  それから、坂出ルートができたときの道路の問題については、もう余り時間がないものですから端的にまとめて御質問しておきたいと思うんですけれども、坂出ルートが供用開始になる時点における香川県側の道路の問題については大丈夫でございますか。
  130. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 児島―坂出ルートの香川県側のインターチェンジとしては、坂出南インターチェンジと坂出北インターチェンジができるわけでございます。  坂出南インターチェンジは十一号のバイパスである坂出丸亀バイパスに接続いたしますし、それから坂出北インターチェンジは臨海産業道路に接続することになります。西側の方への対応はこの南側の坂出南インターチェンジから善通寺の方へ向けての坂出丸亀バイパスの四車線化を供用時までに図ることによって対処していきたいというふうに考えておりますし、さらに東側の高松市の方に対しては坂出南インターチェンジから現在二車線で十一号バイパスがありますので、その二重線の道路とさらに坂出北インターチェンジで接続しております臨海産業道路の二車線が高松市の方へ供用されることになっておりますので、当面はこの二本の路線対応していく。  将来はさらにこの坂出南インターチェンジのもう少し南の方に高速道路ができてまいりますので、そういう高速道路との接続によって四国内の交通ネットワークの中に入れ込んでいきたいというふうに考えております。
  131. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 四国全体の道路として私は二、三年前でしたか、谷川先生と予算委員会でいろいろ話聞いたときに、強い要請がある、やっぱり道路が、本四架橋ができたときの接続道路が一番心配だということがいろんな各界の人たちからも要望を伺ったことがございます。そういう点で、本四架橋はできたけれども高松側あるいは徳島側、この道路の完成という問題についてはひとつ重点的な施策を講じていただきたいと、こう思うんです。  特に、四国の循環道路等の問題ですね、東四国横断自動車あるいは西四国縦貫自動車道等の早期法制化を図って、四国横断道あるいは四国縦貫道をつなぎ合わせて四国循環としたらどうかという声もいろいろあるそうでございますけれども、この四国循環の効用価値について建設省としてはどういうふうな考え方を持っているのか聞かしておいていただきたいと思います。
  132. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 四国循環自動車道の効用価値ということでございますが、四国は経済指標で言えば面積は五%、それから人口が四%、工業出荷額あるいは生産額的なものが三%と、私も四国に三年ほどおりまして五、四、三というふうに記憶していたところでございまして、全国的に見ても一人当たりの所得水準はいつも最下位の方にいる徳島県あるいは高知県などがあるところでございます。愛媛県の南部の方も、またそういうふうに非常に所得水準の低い地域でございますが、そういうところにこういう高速ネットワークができるとすれば、物資や人の移動が非常に活発になり、地域の発展のためには非常に大きな役割りを果たすんではなかろうかというふうに考えております。
  133. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この本四架橋の問題で、最後に大臣に伺っておきたいんですけれども、本四架橋の効果を最大限に生かすためにやはり、先ほどからいろいろ申し上げましたように完成時に備えた道路網の早期整備ということに対して私は全力を挙げていただきたいと思うのです。いろいろ財政事情が国にもあるいは各都道府県、地方にもあると思いますけれども、一層の努力を大臣に要望しておきたいと思うのですけれども、大臣決意のほどを伺っておきたい。
  134. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 御指摘のように、四国に対します本四架橋、児島―坂出ルートが六十二年を目指して供用開始というような目標が立っておるわけでございまして、それを受け入れる四国側の道路がどうであるかということにつきましては、私も非常に関心を深めておるわけでございます。  したがいまして、四国御出身の国会議員の先生や四国地建の担当者の方にも折があるたびに受け入れ道路はどうなっているのですかということを聞いておるわけでございます。なかなか整備がおくれておるということも承知いたしておりますし、せっかく本四架橋という一ルートであっても完成したときに四国側に受け入れ体制がないということになりますと、せっかくかかった橋が渋滞の見本みたいになって、かえって笑い物になるのではないかというようなことも考えてみますと、何といいましても四国の受け入れる方の側の道路整備というものは何にも増して緊急を要する問題だと、こう考えております。  六十二年供用という一つの時限がございますので、それにあわせてやはり相当がんばって四国の道路を有効に本四架橋とつながれるような整備をする必要があると、こう考えておるわけでございます。そういった意味で、今後とも全力を挙げて関係方面とも、ない予算の中で重点的に配慮していかなければならぬかなと、こう考えておるわけでございます。
  135. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあ大臣在籍中はいいのですけれども、だから官房長持に要望しておきますけれども、やっぱり重点化、効率化という問題を含めて、本四架橋はできたが、いま大臣の御答弁のように、橋はできたけれども現地は混雑の見本であったと、こういうことのないようにどうか重点配分等を行って完成をしていただきたいことを強く要望して私の質問を終わりたいと思うのです。
  136. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 大変申しわけないのですが、先ほど児島―坂出ルートの関連道路についてちょっと説明の間違いがございましたので訂正させていただきます。  坂出南インターチェンジから西の方については二車線の道路ができまして、その道路とさらに高速道路が今度善通寺から川之江間が六十二年度までに供用する目途に事業を進めておりますが、そこへの接続の道路を完成さしていただくということでございますので、訂正させていただきたいと思います。
  137. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部改正案について、私ども共産党は従来から大企業のための産業優先を目指した道路網づくりであること、そのための道路特定財源を盛り込んだ法律だということで反対の態度を表明してきました。  先ほども、特定財源問題の議論がございましたけれども、産業道路中心の道路であって優先的に財源がつぎ込まれておりまして、これは下水道などと比べてみても、また同じ交通の非常に重要な基幹になっておる国鉄などの投資と比べてみましても非常に際立っているわけです。モータリゼーションと特定財源を使った幹線道路の拡張ということが悪循環をつくり出して、公害だとか交通事故など次々に極端なところまで行き着いていることについては、私も以前この建設委員会でも議論したことがございます。  さて、きょうはこういう観点に立って、東京周辺の例の外環道路の問題、また東京湾横断道路という二つの二大プロジェクトの問題について質問 したいと思います。  まず第一に、外環道路問題ですが、これは私、二年前五十六年の五月二十八日に当委員会で、当時の斉藤建設相に質問をいたしました。周知のことなんですが、外環道路については、すでに十七年来大きな反対運動が行われておりまして、四十五年十月九日には、当時根本龍太郎建設大臣が凍結するという答弁をされております。四十八年三月七日には、金丸建設大臣が衆議院の建設委員会でやはり同じ答弁をされております。また、幾つかの国会請願も参議院で通過していることも御存じのとおりです。    〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕  私が二年前斉藤建設大臣質問した際、行政の継続性ということからあの凍結発言というのを解除されていない以上、いまでも生きているという答弁がありましたが、昨年の七月二十八日には衆議院の建設委員会で、山花議員が始関建設相に同じ問題を質問されて、始関建設相もこの凍結ということについては事実上肯定する態度をとられております。  内海さんにはこの問題初めてなんですけれども、この外環道路の住民の反対運動がある現状で、凍結という歴代建設大臣の態度をここで引き継がれることと思いますけれども、まず、その基本姿勢についてお伺いいたします。
  138. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 東京のいまお話のございました外郭環状道路につきましては、首都圏、特に東京を中心といたしました地域における交通の混雑の緩和と都市機能確保を図る上で必要不可欠な道路であると考えております。  本道路整備当たりましては、地域が受け入れられる計画を提示することが前提であると考えております。過去における、先生御指摘のような経緯を踏まえまして、道路構造整備の手法等について十分検討を行い、各地方公共団体を初め関係機関と密接な連絡、調整を図りながら、地域の意向を十分反映した計画を推進してまいりたいと思っております。
  139. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 凍結発言ですね、歴代の建設大臣の。それを解除されない限りその態度は変わらないと、そう受けとめてよろしゅうございますね。
  140. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 従来の経緯を踏まえてということをいま答弁の中でも申し上げましたから、それで御理解をいただけないでしょうか。
  141. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それじゃ、経緯を踏まえると、行政の継続性をきちんと踏まえるというように理解しておきます。    〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕  さて、建設省はそういう基本態度で、必要は認めるけれども、住民との関係で過去の凍結発言についても踏まえるという態度と理解しますが、情勢は非常に動いているんですね。これは八一年五月に首都圏サミットで鈴木都知事が座長としてコメントをされて、湾岸道路建設促進をゴーというサインを出された。それから、昨年、都の長期計画懇談会、これは座長は稲葉秀三氏ですけれども、十月に正式答申を出して、懇談会としては必要性についてほぼ認識の一致を見たという答申を出されました。それから、東京都の長期計画もその線に沿って昨年の十二月出るということで、都側は動き始めているという状況がある。  そのために、住民の反対運動も非常に活発になっておりまして、都議会には四万名以上の凍結請願署名が昨年の九月都議会に出た。九月都議会、十二月都議会では継続審議ということになるとか、武蔵野市議会、それから三鷹、調布などの市長、市議会が白紙撤回を求める決議、要請をするということがありますし、住民の反対連盟も五千名の会員を擁する反対連盟が非常に活発な運動を進めているという状況がございます。  私、きょう幾つか大事な問題についてただしたいんですが、一つはこの裏に、私が先ほど大企業のための産業優先の道路だと指摘しましたが、大企業、財界の非常に活発な組織的な動きがあるということ。略称JAPIC――日本プロジェクト産業協議会というものが組織されておりまして、これには鉄鋼資本、セメント資本、それから日本土工協、建設業、それから大商社その他が一斉に結集しておりまして、会長は斎藤英四郎新日銭会長がこのJAPICの会長をおやりになっている。このJAPICが最近任意法人から社団法人として設立総会開いたという記事がございますが、建設省は社団法人として認可をもうされたわけですか。
  142. 永田良雄

    政府委員(永田良雄君) JAPIC、日本名で言いますと日本プロジェクト産業協議会は、ことしの三月二十二日付で社団法人として設立の許可申請を建設大臣、通商産業大臣、運輸大臣、内閣総理大臣、まあこれは国土庁長官でございますが、に行っておりまして、現在審査中でございます。私どもといたしましてはこれを許可する方針で対処をいたしております。
  143. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 このJAPICが行っているプロジェクト、当面の大きな目的としてこの外環道路が入っているし、それから東京湾の横断道路も含めた8の字型の湾岸道路計画が入っているわけですが、このJAPICが建設省大蔵省にたびたびいろんな要請書なども出しているわけですね。建設省としてはこのJAPICの動き、要望についてはどういう態度で臨んでいますか。
  144. 永田良雄

    政府委員(永田良雄君) このJAPICは、社団法人として設立される前に任意法人として昭和五十四年の十一月二十一日設立されて活動を開始いたしております。その目的は、申請書に書いてあるのと同じ活動目的でございますが、「国土有効利用とより豊かな社会づくりを促進する各種大型プロジェクトを、計画立案、素材の利用開発と安定供給、事業化、工事施工の各段階にかかわる民間諸産業の技術・経験及び活力を糾合した業際的な協力により推進すること」しを目的といたしております。  この目的を達成するため、いろんな大型プロジェクトの調査、研究、それから各関係官公庁へ提言を行うということを目的として活動しておるわけでございまして、いまのところ提言までにはまだ至りませんで、調査をやっているんだろうと思います。私どもの方へいろいろそういう調査結果についての提言がありますれば、これは一つの参考意見として謙虚に受けとめて対応していくべきものだと、かように考えております。
  145. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 歴代の建設大臣が住民の反対の声を受けて凍結という態度をとっているこの外環道路について、JAPICはやれやれという提言をしているわけですね。それに対して建設省はどういう態度ですか。
  146. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 日本プロジェクト産業協議会では東京環状道路でございますか、あるいはまた先生おっしゃったような東京湾岸横断道路というようなプロジェクトの推進を提案しているというのは、私も新聞紙上で見ている範囲でございますが、さらに具体的な提言があれば、私たちとしてもこういう提言を参考にしながら公共事業の推進に努めていきたいというふうに考えております。  しかし、これらのプロジェクトを民間主体で実施することにつきましては、いずれも根幹的な公共施設でありますし、また関係機関や関係者との調整、あるいは公共施設としての管理採算性確保など多くの問題がありますので、慎重に検討するべき問題だと考えております。
  147. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 このJAPICの動きというのはきわめて私は問題だと思うんです。先ほど東京都の長期計画懇談会が外環道路についてほぼ認識の一致を見たということを述べましたが、これの座長の稲葉秀三氏はJAPICの顧問をやっていますね。長期計画懇談会の座長を引き受けていて、JAPICの顧問に就任する。JAPICが外環道路を猛烈にやれと言うと、長期計画懇談会の座長としてそういう取りまとめをするということを見ても、財界がいろんな人脈を通じ、人脈の配置を通じて、どういう動きをしているかは明らかだと思うんです。  いまの道路局長答弁では、かなり慎重な検討をするというふうにおっしゃっているんですが、 奇妙なことがあります。ここに「開発」という雑誌がありまして、JAPIC特集になっているんですね。「総特集 日本プロジェクト産業協議会」、一冊ごとJAPICのことが書いてある。それにいまの建設次官、当時官房長の丸山さんがトップにインタビューに答えて書いている。大賛成なんですな。  「実施官庁の立場からこうした民間の活動をどうご覧になりますか。」「たいへん結構なことだと思いますよ。」「このような活動はまことに結構ですし、今後も積極的にやっていただくとありがたい。」「”プロジェクト産業”」「この新しい産業分野をどのようにお考えになりますか。」「大変進歩的な考え方だと思います。このような発想は、役人からはなかなか出て来ないものです。今後、民間のお力を借りていかに公共事業社会資本整備を進めていくかということが重要なとき、財界や業界を中心にこのようなことを実行されることは、まことに結構なことだと思います。」  官房長ですよ、官房長がもうJAPICのこういうものに、インタビューに応ずること自体が私は問題だと思うんだけれども、雑誌のトップに平然として載っておる。褒めている。その後には国土庁の大都市圏整備局長宮繁さんも「二十一世紀への”架け橋”を期待」というふうになっていますね。建設大臣、こういうことについてどうお思いですか。いま次官ですな、丸山さんは。
  148. 内海英男

    国務大臣内海英男君) これはJAPICというのは私きょう初めて承ったわけでございまして、不明にして知らないわけでございますけれども、将来の構想、役人としてもいろいろな構想を個人的に持つことは私は決して悪いことではないと思うんです。  ただ、それをやるかやらないかということは、具体的な問題はこれは別といたしまして、そういう現在の東京を取り巻く道路状況、こういうことから考えて、実行可能であるか不可能であるかということは別といたしまして、そういう構想についてはなかなか見識がある構想だと言って評価をされることは個人的な自由ではないかと私は考えておるわけでございます。
  149. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大臣は次官を弁護されました。私は余り論争するつもりはありませんが、こういう事実があるということはよく御認識いただきたい。  この長期懇の答申が昨年の十月出たんですが、この答申と並行してゼネコンのトップの会合が開かれた。そこに建設省のお役人も出席したという話があります。この外環道路は都内には十八・二キロあるんですが、工区割りまでどうやら談合で決めたらしいとも言われている。建設省のお役人はそのゼネコン各社に激励をしたとも言われる。これは私も事実は確認していないけれども、そういう話がもうすでに流れているんですよ。  これは、官房長がこうやって財界がこういうことをやるのは非常によろしいと言って、これは個人の自由かもしれぬけれども、こういうことを言うと、JAPICは持ち回るわけですな、官房長こう言っておるぞと。だからお役人もああそうかと思って、会合に出席して、ゼネコンの工区割りまで――談合を激励をしたかどうかは私もそれはわかりませんが、そういう話がもう流れているんですね。こういう状況がやっぱり生まれる。  どうですか、こういう会合に出席した事実があるかないか、あるかどうかも調べるという意思があるかどうか、お答え願いたい。
  150. 内海英男

    国務大臣内海英男君) すべて初めて承ることばかりでございまして、そういう会合があったか、だれが出たかということもきょう初めて先生から承ったような次第でございます。ましてそういうところで世に言われる談合といいますか、地区割りまで行われたかどうかということも話が初めて聞くことばかりでございますから、よく事実を調べてみたい、こう思っております。
  151. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 よく調べていただきたいと思います。  さて、先ほどの答弁道路局長が今度の第九次道路五カ年計画について触れられた際、プロジェクトはどういうものが含まれているかということの中には、湾岸道路は触れられましたね。しかし外環道路については触れておられませんでしたが、この第九次の五カ年のときに着工という問題についてどう考えられているのか、お答え願います。
  152. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 東京外郭環状道路の埼玉県和光市から千葉県市川市に至る延長約四十八キロメートルの一般部につきましては、現在一般国道二百九十八号として事業化をしており、主として埼玉県内を中心に事業を推進しております。  また、関越自動車道から常磐自動車道に至る区間の自動車専用部につきましては、昭和五十七年一月、高速自動車国道として建設すべく基本計画が決定されたところでありまして、今後整備計画を策定し、その事業化を図っていきたいと考えております。  東京都内の区間につきましては、地域が受け入れられる計画を策定することが前提であると考えており、今後、地域の現況、環境保全等に十分配慮しつつ、道路構造整備の手法等についてさらに調査検討を進めていきたいというふうに考えております。
  153. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 東京湾横断道路については、この第九次はどういう関係になっていますか。
  154. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 東京湾横断道路に関する調査は、昭和四十一年から建設省において東京湾環状道路の一環として行ってきましたが、昭和五十一年度からは日本道路公団において調査を実施してきております。  これまでの、調査をいろいろ実施したわけでございますが、大別いたしまして経済調査、環境調査、地質調査、設計調査、船舶航行調査等を実施してまいりました。これらの調査が相当進んでまいりましたこともございまして、第九次道路整備五カ年計画内に東京湾横断道路については着手したいというふうに考えております。
  155. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 重大答弁ですね。第九次内に横断道路に着手したいということなんですね。この問題は私二年前の建設委員会でアセスメントの問題、東京湾の潮流の変化の問題、特に東京湾の水が数カ月に一度入れかわる状況が、ここに二つの島をつくって四・八キロのトンネルを埋めるというような状況になるとどう変わるかわからぬということなども指摘して、大臣はこのとき環境アセスメント問題、環境問題について非常に慎重にやるという答弁がありましたが、ほぼ見通しがついたんですか。
  156. 沓掛哲男

    政府委員沓掛哲男君) 調査の概要でございますが、いま先生環境調査とおっしゃいましたので、環境調査で申し上げますと、環境調査では東京湾の水質や海洋生態に及ぼす影響などを行ってきておりまして、これにつきましても、この東京湾横断道路実施することによってそう大きな変革は生じないというような結論を得られておりますので、今後なお環境に関する調査は並行して進めてまいりますが、東京湾横断道路建設することができないというようなことではないというふうに考えております。
  157. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 非常に重大問題なんですが、きょうは時間がありませんから、また機会を改めてただしたいと思います。  外環道路については、さらにもう一つ非常に重大な問題があるんです。この外環道路の都市計画決定は、昭和四十一年の七月の三十日建設省から告示されたものですけれども、あの告示の際の法的根拠は何だったんでしょうか。
  158. 加瀬正蔵

    政府委員(加瀬正蔵君) これは都市計画法の旧法でございますが、旧都市計画法の第三条でございます。
  159. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それは全く違うんですね。都市局長、不勉強ですな。  当時はこういう経過だった。四十一年に大規模な反対運動が起きまして、六月の六日東京都の都計審――当時は東京都市計画地方審議会が九段会館で開かれて、陳情デモの嵐の中で五十四対五十をもって外環道路計画を強行可決した。このときの座長が当時の副知事、いまの知事の鈴木俊一氏 だった。それからさらに反対運動が高まってきまして、いろいろな人が出てきます。六月には十万六千余名の反対署名簿に田中角榮自民党幹事長の添書を添えて瀬戸山建設大臣に手交というようなこともあった。七月二十九日衆議院建設委員会で、神近市子議員の質問に対し瀬戸山建設大臣計画決定の認可を言明した。  このとき、当時の竹内藤男都市局長――いまの茨城県知事、竹内藤男都市局長は神近議員の質問に対して、こういう答弁をしている。「許可認可等臨時措置法というのがございまして、それに基づきまして都市計画の内閣の認可ははずれておるわけでございます。」、つまり、当時は一つの県以上、二つの県以上にまたがるものについては建設大臣の認可だけでなく、閣議決定が必要だというのが旧都市計画法であったのです。いまでもそうです。ところが、これは外環道路、千葉、埼玉、東京、神奈川も入るかな、数県にまたがっているわけです。当然閣議決定が要ったのです。  ところがこういう騒然たる状況なので、許可認可等臨時措置法、それに基づいてやったと、閣議決定を省きましたと、「都市計画の内閣の認可ははずれておるわけでございます。したがいまして、最終的には建設大臣が決定するということできまるという形になっておるわけでございます。」という答弁を当時の竹内藤男都市局長がしているんです。議事録がきちんとありますよ。調べていただきたい。この許可認可等臨時措置法というのはどういうものか、御存じですか。
  160. 加瀬正蔵

    政府委員(加瀬正蔵君) 許可認可等臨時措置法は昭和十八年の法律第七六号でございまして、当時戦争中でございましたが、行政の簡素化の観点から「勅令ノ定ムル所ニ依り法律ニ依り」許可認可等につきまして「左ニ掲クル措置ヲ為スコトヲ得」というのがございまして、その中でたとえば、許可、認可等を「要セサルコトトスルコト」というような特例を定めている法律でございます。     ─────────────
  161. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 委員異動について御報告いたします。  ただいま、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として田英夫君が選任されました。     ─────────────
  162. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私ここに「多摩新報」という新聞を持ってきておる。これは多摩の住民のこういうさまざまな権限を守り、環境を守るために出されておる新聞ですが、この「多摩新報」に許可認可等臨時措置法の全文が載っている。読みますと本当に驚くべきものです。  「朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル」と出ていて、勅令なんですが、「①大東亜戦争ニ際シ行政簡素化ノ為必要アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依り法律ニ依り許可、認可、免許、特許、承認、」云々の要する事項について次に掲げる措置ができるといって、戦争中だからいろいろ法律で決まった許可とか認可とかいろいろなことについて、何にもしないでぱっと決められるようになっている。これはすごいものですよ。許可、認可は要らないという、「要セサルコトトスルコト」というんだから、何も要らぬということに勝手に決められるというのが第一項目にあります。  それで、この都市計画決定外環道路について利用されたのは第五項目、「許可、認可、免許、特許、承認、検査等ヲ為シ又ハ届出、報告等ヲ受クル甲ノ行政庁又ハ官吏ノ職権ヲ乙ノ行政庁又ハ官吏ヲシテ行ハシムルコト」。だから、つまり内閣がやらなきゃならぬことを、これを用いて建設大臣がやれるということにしたんですね。これを使えば建設大臣でなくても、都市局長でもできるんですよ。道路局長でも恐らくできる、何でもできるという驚くべき法律なんです。  それで、この問題は御存じの方もいらっしゃると思いますけれども、外環道路の三鷹の反対同盟の会長をおやりになっている方は相原桂次さんと言われまして、いま七十三歳。元参議院の内閣調査室長――参議院の専門委員だったんですけれどもね。この方が運動を十七年おやりになった。この相原さんは「多摩新報」にずうっと書いておられますけれども、この許可認可等臨時措置法による都市計画決定――当時の瀬戸山建設大臣が行われたものは、これは違法だと、こういうとんでもない戦争中の勅令を使って閣議が必要なものを、旧都市計画法の法律の定めを無視して建設大臣が勝手にこの勅令を使って決めてしまったのは無効だということをずうっと主張されてこられました。  相原さんの主張が正しいことが、去年の二月十九日の大阪地裁の判決ではっきりしました。このことを御存じですか。
  163. 加瀬正蔵

    政府委員(加瀬正蔵君) 去年の大阪地裁の判決の内容を私知りません。知りませんが、いま先生御引用になった部分は私どもの考え方と若干違っておりますので、ちょっと御説明させていただきたいと思います。  旧都市計画法では、その三条一項で、「都市計画、都市計画事業及毎年度執行スヘキ都市計画事業ハ都市計画審議会ノ議ヲ経テ主務大臣之ヲ決定シ」と、主務大臣が決定権を持っております。「内閣ノ認可ヲ受クヘシ」と、こういうことをうたっております。この内閣の認可を、いま御引用の許可認可等臨時措置法の第一項の第一号に「許可、認可、」を「要セサルコトトスルコト」というのがございますが、その三項でさらにこれを勅令委任にしておりますが、勅令の二条の一項の一号で「都市計画法第三条ノ規定ニ依ル内閣ノ認可」というのが、これはこの法律によりまして省略できるようになっておりまして、この法律が生きているか生きていないか、あるいは憲法に違反するかしないかということについては、私ども論評する立場にはございませんけれども、行政上の運用といたしましては、これが有効であるという前提で私ども事務を処理しているわけでございます。
  164. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 都市計画法の戦時臨時特例というような勅令がこれに基づいて出てるんですけれどもね、戦争中の「大東亜戦争ニ際シ」という、こういう臨時措置法や勅令がいまだに生きていると、それに基づいて仕事をしているというのは、これは驚くべきことなんですよ。こういう化け物がいまだに生きている。あなた方は、都合の悪いときあるいは都合のいいときには、こういう大東亜戦争に際してのものを持ち出してくるというのはとんでもないことだ。  あなたは大阪地裁のことを御存じないと言われたが、大阪地裁で何が判決されたかといいますと、これは近鉄の特急料金なんです。近鉄の特急料金値上げが五十五年二月に申請された。大阪陸運局長が三月に認可した。これは、本来地方鉄道法によって大臣認可が必要で公聴会を開くよう定められているのに、臨時措置法を使うと大阪の陸運局長レベルで認可ができるというので、認可しちゃったんですな。  これが裁判になって、大阪地裁は、同措置法は大東亜戦争遂行のため極端に行政事務を簡素化したもので、現在も有効とすると戦後さまざまな行政手続を定めた他の法律に影響を与え、憲法四十一条で保障された国会の立法権を犯すことになり、憲法に違反すると、こういう判決を下して、同措置法に効力がないということにしたんですね。効力ないと大阪地裁は判決下した。  その効力がないと大阪地裁が判決を下したこの大東亜戦争中の臨時措置法、それに基づく勅令、これによって外環道路は都市計画認可を大臣がやったと、当時の竹内藤男都市局長が答えてるんですね。  こういうことになりますと、こういう何か外環道路を先ほど初めに建設大臣は必要なんだと、しかしまあこれまでの大臣のを踏まえると言われましたけれども、また道路局長も外環道路の必要性について言及されたけれども、都市計画決定が昭和四十一年に行われたということの法的根拠そのものがもう崩れていると思うんですね。非常な大問題になっている。  私は、こういう法治国として大阪地裁の判決の問題、それから勅令がいまだに生きていると考え てあなた方が仕事をしている現状について、大阪地裁の判決や当時の議事録、竹内さんの答弁その他を調べられて、この四十一年の都市計画についての建設大臣認可が法的にどうだったのか。私は、きょうにわかにこの問題出したので、局長も大阪地裁の判決を御存じないと言われましたが、検討していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  165. 加瀬正蔵

    政府委員(加瀬正蔵君) 当然のことでございますが検討はさせていただきますが、何分この処分はただいま御指摘の地裁の判決より大分前に行われた処分でございます。したがいまして、私どもとしてはその後都市計画法の改正も行われていることでございますので、今後の都市計画のもろもろの処分に当たりましては、十分新法によります手続で行いますので、御懸念のような問題は今後は生じないわけでございますから、まあ検討はさせていただきますが、今後そういう御懸念の向きはなく行政事務が執行できるというふうに考えております。
  166. 内海英男

    国務大臣内海英男君) いずれにいたしましてもきょう初めて承ったお話でございますし、当時瀬戸山先生が建設大臣ということで、私はあの方は法律学者だと思っておりますから、廃止されない間はその勅令が生きておるといった判断でおやりになったんじゃないかなと、これはきょうお聞きしたことですから想像で申し上げるんですけれども。その後、いまも局長が話しましたように、新しい法律ができまして、それに合わせてこれから行われるということであれば、そう違法な問題でもないというふうに解釈いたしております。  いずれにいたしましても、事実関係を調べてみたいと思っております。
  167. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まあ当時は生きているというたてまえだったんでしょうが、地裁の判決が無効だとしたその法律を使って行われたものなので、違法ではないとそう単純に判断されないで、慎重に調べていただきたいと思います。  もう時間もありませんので、次に一つの問題をやって終わりにしたいと思うんですが、新潟の田中金脈問題を一言お聞きします。  新潟の田中金脈問題を、私ども予算委員会や建設委員会で取り上げてまいりましたが、たとえば道路関係では、関越自動車道に関連して越後道路サービスのにせ証明書だとか、除雪工事をひとり占めした問題だとか、それからいろんな違法な一括下請の問題だとか、あるいは北陸自動車道で大積パーキングエリアの休憩施設の一括下請問題などなども取り上げてきたんですが、地元でいま大きな問題になっておりますものに、関越自動車道の塩沢サービスエリアの売店、食堂などの業者選定の問題があるんです。陳情書が――塩沢サービスエリア出店期成同盟というのができていましてね、関越道塩沢サービスへ地元民の共同出店実現のために町民の皆様にお願いするというので、湯沢錦鯉ランドとかいろんなロッジだとかドライブインだとか、いろんな地元の商店の方々がビラまでつくって運動している。なぜこういう運動が起きているかというと、業者選定でまたもや田中ファミリーの方がいろんな圧力を使って決まるのじゃないかということが生まれているんですね。ですから、地元では大きな問題になっているんですが、道路公団はこの業者選定、どういう方針でやっているんですか。
  168. 森田松仁

    参考人(森田松仁君) お話は塩沢サービスエリアの話でございますけれども、高速道路のサービスエリアは、御案内のように大体五十キロごとに置かれております。その施設については、原則的には食堂、ガソリンスタンド、それから自動車の修理所といったものを設けることになっております。  サービスエリアにおきますこういった諸施設、サービス施設の建設、管理につきましては財団法人の道路施設協会、この財団法人に道路法第三十二条に基づきます道路占用物件として許可を与え、一元的に行わせておりますが、こういったサービス施設は高速道路と一体となってその機能を果たすきわめて公共性の高い、不可欠な施設でございます。道路利用者に適切なサービスを提供できるように資力、信用、経験豊かな民間の専門業者の中から営業者を決定させておりまして、なお公正を期するために競争入札の方法によりまして選んでおります。
  169. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう塩沢サービスエリアの場合、上り線は越後交通、下り線は上越後楽園、全部田中ファミリーにつながっている。つながっているどころか、本物の、中心の会社が入っているんですが、これがもうすでに決まっているという話さえあるんですね。公団はよくそういう事情を頭に入れて、出店期成同盟は各町長も支援しておりますし、国道十七号線にある店の営業にこの自動車道サービスエリアができれば影響が出ることも必至なので、地元業者に出店の道を開くのは当然だと思いますので、そのことで努力いただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  170. 森田松仁

    参考人(森田松仁君) 関越自動車道の供用につきましては、小出―六日町間が昭和五十八年度中に供用される予定でございます。ただ、残ります六日町―前橋間につきましては、関越トンネルを含んで鋭意工事中でございますが、その供用期日はいまのところ未定でございます。したがいまして、お話の塩沢サービスエリアにどのようなサービス施設を付設するか全く未定の段階でございます。  なお、先ほど申し上げました道路施設協会からもそういった施設の占用申請は公団に参っておりません。そういう段階でございます。
  171. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  172. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  174. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。  反対理由の第一は、高速国道など幹線道を根幹とした大資本本位、産業基盤優先の道路づくりを目指そうというものだからであります。  本法案によって策定される第九次道路整備五カ年計画の総事業費三十八兆二千億円の事業別内訳を見ると、一般道路は第八次五カ年計画に比較すると一・一九倍でしかないのに、高速道路建設を中心とした有料道路事業は一・三五倍にもなっているのであります。しかも、この第九次五カ年計画の中心課題となっているのが東京外郭環状道路、東京湾岸道路、東京湾横断道路、大阪湾岸道路などの巨大プロジェクトの道路計画なのです。  こうした計画は、交通混雑、交通事故をますます激化させ、騒音、排気ガス等の道路公害を増加させ、さらには自然を破壊するものであることは明らかであります。  その典型例とも言えるものが、私がさきに取り上げた東京外郭環状道路なのであります。都内の人口密集地域を中心に、延長八十五キロメートル、幅員四十メートル以上の道路をぶち抜こうというものですが、完成時には東名道路の一日九万数千台をはるかに超える十六万から十八万台の交通量予定しているのであります。この道路建設が多くの住宅、商店街、公共施設、その他貴重な自然環境の立ち退きと大規模な破壊によって進められるものであることは明白であります。  また、東京湾横断道路についても、東京湾の潮流を変え、自然を破壊し、公害を招くだけでなく、石油タンカーの接触事故によって一大災害が予想されるなど、関係各方面からその危険性が強く指摘されているものであります。いまこそこのような大企業優先の道路計画見直し国民生活に密着した道路計画に転換すべきであります。  反対理由の第二は、市町村道、都道府県道や生活道路の性格を持っている国道が軽視されていることであります。  たとえば、五十七年度末の道路整備率は、一般国道が六二%、主要地方道は五五%、一般都道府県道は四〇%、市町村道に至ってはわずか二九%にしかすぎません。交通安全、災害、緑化など生活環境改善の対策や大都市地域で切実になっている駅前の自転車置き場対策などへの予算配分の面で見ても、その要求の切実さから見て、余りにも少ないと言わざるを得ません。  第三の反対理由は、本法によって揮発油税が全額、また自動車重量税もその国分の八〇%が特別会計に繰り入れられている道路特定財源制度が温存されていることであります。  この制度によって、モータリゼーションが推進されているのであります。自動車の増加と、それに合わせた高速道路などの産業道路を中心とした道路整備が進められ、そしてまた車がふえるという悪循環、これが大量の交通事故をも生み出しているのであります。国の財政再建という観点からも、この特定財源制度を見直すべきであると考えるものであります。  第四に、道路計画づくりが真に民主的に策定されていないことです。  国が一方的に決めた計画が、下へ下へと天下り的に強行される方式が依然として残っており、地域住民の本当の意見を反映させ得ない大きな欠陥を持っております。  第五の反対理由は、特定財源制度と関連するものでありますが、自動車産業中心のモータリゼーションの政策、これが最優先されており、道路整備はこれを補完するような立場に置かれていることであります。  建設省は、自動車保有台数を一九九〇年には八〇年と比べ、貨物車を二八%、乗用車を四三%も増加させる見通しを持っております。自動車産業大手企業の生産、販売への民主的規制を強め、鉄道を含めた国民本位の総合的交通政策を確立することが、今日急務の課題であることを強く主張するものであります。  以上で私の反対討論を終わります。
  175. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  177. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  井上吉夫君から発言を求められておりますので、これを許します。井上君。
  178. 井上吉夫

    井上吉夫君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、第九次道路整備五箇年計画の策定に当たっては、地方公共団体の長の意見を十分に参酌すること。  二、長期的展望のもとに、総合的な交通体系の確立を図り、地域経済の発展と住民生活の向上に資する交通網の整備を促進すること。  三、地方道、特に市町村道整備を促進するため、国庫補助対象の範囲を拡大して、地方公共団体の財政負担の軽減に努めるとともに、手続きの簡素化を図ること。  四、大規模な地震等に備え、都市の街路をはじめ避難に要する道路、広場の確保整備拡充に努めるとともに、老朽化した橋梁等については、緊急に補修、改良工事を行い、道路交通の安全の確保防災対策に万全を期すること。  五、第九次道路整備五箇年計画においては、豪雪地帯の除排雪対策、がけ崩れ対策など防災対策を重視するとともに、交通事故防止のための安全対策、老人・障害者の通行を容易にするための道路改良、歩道・自転車道及び自転車駐車場の整備、沿道における良好な生活環境確保するための植樹帯、緩衝緑地、遮音壁等の整備促進に努めること。    また、土地区画整理事業、市街地再開発事業等における街路及びその附帯施設に対する助成の強化措置を講ずること。  六、道路整備計画の策定と事業実施に当たっては、後進地域の道路整備の促進、自然環境保全に特段の配慮を払うとともに、関係住民の意見を十分に尊重し、事業の円滑な実施に努めること。   右決議する。  以上でございます。
  179. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) ただいま井上君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  180. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 全会一致と認めます。よって、井上君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、内海建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。内海建設大臣
  181. 内海英男

    国務大臣内海英男君) 道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力してまいる所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。
  182. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 片岡勝治

    委員長片岡勝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会