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1983-05-11 第98回国会 参議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十一日(水曜日)    午前十時九分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         竹田 四郎君     理 事                 井上  裕君                 杉山 令肇君                 内藤  健君                 降矢 敬雄君                 和田 静夫君                 峯山 昭範君     委 員                 岡部 三郎君                 竹内  潔君                 塚田十一郎君                 仲川 幸男君                 福岡日出麿君                 福田 宏一君                 森山 眞弓君                茜ケ久保重光君                 本岡 昭次君                 鶴岡  洋君                 安武 洋子君                 小西 博行君                 三治 重信君                 中山 千夏君    国務大臣        法 務 大 臣  秦野  章君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        文 部 大 臣  瀬戸山三男君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       齋藤 邦吉君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  谷川 和穗君    政府委員        内閣法制局長官  角田禮次郎君        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        職員局長     叶野 七郎君        総理府人事局長  藤井 良二君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        行政管理庁行政        監察局長     中  庄二君        防衛庁参事官   新井 弘一君        防衛庁参事官   西廣 整輝君        防衛庁長官官房        長        佐々 淳行君        防衛庁防衛局長  夏目 晴雄君        防衛庁人事教育        局長       上野 隆史君        防衛庁経理局長  矢崎 新二君        防衛施設庁労務        部長       木梨 一雄君        法務省刑事局長  前田  宏君        法務省入国管理        局長       田中 常雄君        大蔵大臣官房長  吉野 良彦君        大蔵大臣官房審        議官       水野  勝君        大蔵大臣官房審        議官       岡崎  洋君        大蔵省主計局次        長兼内閣審議官  宍倉 宗夫君        大蔵省銀行局長  宮本 保孝君        大蔵省国際金融        局長       大場 智満君        文部省初等中等        教育局長     鈴木  勲君        文部省管理局長  阿部 充夫君        厚生省児童家庭        局長       正木  馨君        資源エネルギー        庁次長      川崎  弘君        資源エネルギー        庁石油部長    松尾 邦彦君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        内閣官房内閣参        事官       中村  徹君        外務省北米局安        全保障課長    加藤 良三君        外務省情報文化        局外務参事官   市岡 克博君        会計検査院事務        総局第一局長   佐藤 雅信君        会計検査院事務        総局第二局長   竹尾  勉君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和五十四年度一般会計歳入歳出決算昭和五十四年度特別会計歳入歳出決算昭和五十四年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十四年度政府関係機関決算書(第九十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十四年度国有財産増減及び現在額総計算書(第九十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十四年度国有財産無償貸付状況計算書(第九十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十五年度政府関係機関決算書(第九十六回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書(第九十六回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書(第九十六回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は締めくくり総括質疑第一回を行いますが、質疑に先立ち、まず昭和五十三年度決算における警告決議に対して、その後、内閣のとった措置につきまして大蔵大臣からの説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  3. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 昭和五十三年度決算に関する参議院審議議決について講じました措置概要を申し上げます。  政府は、従来から決算に関する国会審議議決会計検査院指摘等にかんがみ、国費の効率的使用事務事業運営適正化不当経理発生防止等に特に留意してまいったところでありますが、昭和五十三年度決算に関する参議院審議議決について、各省各庁において講じております措置を取りまとめ、その概要を御説明申し上げます。  (1) 会計検査院検査機能充実強化につきましては、会計検査院機能重要性を考慮し、昭和五十八年度予算においても引き続き検査業務に従事する職員の増員及び会計検査情報処理業務経費の増額を行っているところであります。  また、会計検査院の行う検査の実施に当たって、その目的を達成するための所要の措置については、当面の実行可能な措置に関する内閣官房長官からの要請に基づき、関係省庁は、所管する政府関係機能に対し、会計検査院検査等への一層の協力を指導しているところであります。  (2) 行刑施設等における刑務作業製品展示即売会経費経理につきましては、即売会経理における予算執行について法令に違背することのないよう昭和五十七年六月十五日付で法務事務次官通達を発出するとともに、刑務所長会同等において指示し、この種不正経理を根絶するよう措置を講じたところであります。  (3) 決算検査報告において不当と指摘された事項周知徹底及び再発防止につきましては、大蔵省及び各省庁等において、指摘事項内容及び業務執行上留意すべき事項を周知させ、類似事項が生ずることのないよう同種事例の存否を点検して再発防止に努めるよう通達するとともに、各種会議研修等においても議決趣旨徹底及び再発防止について十分指導し、予算適正執行及び会計事務適正処理に努力しているところであります。  (4) 予算編成に当たっては、従来から、予算執行結果を十分勘案し、実態に即応した適切な予算計上に努めてきているところであります。  不用額については、その発生原因調査し、会計検査院指摘事項も含め、これを毎年度の予算編成に反映させるように努めております。  今後とも、適正な予算計上に意を用いてまいる所存であります。  (5) 東京芸術大学における楽器選定にかかわる不祥事件につきましては、文部省としては、当該大学に対し、学内の綱紀粛正に努めるとともに、入試の公正な確保等について厳正な態度で対処するよう強く指導を行ったところであります。  東京芸術大学では、広く芸術教育全般の今後のあり方について慎重に検討を進めるとともに、弦楽器問題対策委員会を設けるなどして、個人レッスンあり方綱紀粛正方などについて音楽学部教授会において申し合わせを行い、また、楽器購入の手続の改善については、楽器選定及び評価等を行うための組織を設けることなどについて検討を進めているところであります。  今後とも、東京芸術大学における教育研究が適切に行われるよう指導してまいる所存であります。  (6) 日本国有鉄道経営改善等につきましては、日本国有鉄道経営危機的状況にかんがみ、当面緊急に講ずべき対策について、昭和五十七年九月二十四日の閣議決定に基づき、職場規律確立新規採用原則停止設備投資抑制等の推進に努めているところであります。  日本国有鉄道に対して、今後さらに強力に経営改善のための措置を講ずるとともに、正常な労使関係確立等に努めるよう指導監督してまいる所存であります。  (7) 公共工事入札につきましては、従来から適正な執行に努めてきたところでありますが、昭和五十六年秋以降種々の批判を受けた状況にかんがみ、政府といたしましては、各省各庁におきまして、工事請負契約関係業務適正化のための通達を発する等により、①競争参加者指名数増加措置の試行、②工事請負業者選定厳正化③予定価格等の厳正な管理等指導したところであります。  また、入札制度合理化対策等については、中央建設業審議会におきまして審議が行われた結果、まず昭和五十七年三月三十日付で指名業者名並び入札結果及び入札経緯公表についての建議が、さらに本年三月十六日付で各種入札制度運用改善を主な内容とする建議がありました。  これらの建議のうち、指名業者名並び入札結果及び入札経緯公表につきましては、昭和五十七年度から実施し、また、入札制度運用改善といたしまして、積算の基本的な考え方や標準歩掛かり等の積算基準をできる限り公表すること及び指名業者数の増大に伴い発生している諸問題を解消するための見直しを図るべきことにつきましては、昭和五十八年度から実施する所存であります。  なお、建議のありましたその他の項目につきましても、できるだけ早急に改善について検討を進め、公共工事入札適正化に努める所存であります。  (8) 特定の地方公共団体において不当に地方交付税を受けていたことにつきましては、各都道府県に対し、自治事務次官通達等を発するとともに、各種会議等を通じて指導検査を強化してきたところであります。  地方交付税が、地方公共団体の共有の財源であることにかんがみ、今後ともその配分の公正が確保されるよう努力してまいる所存であります。
  4. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) それでは、これより総括質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 本岡昭次

    本岡昭次君 まず、教育勅語取り扱いについて御質問いたします。  二月十一日の建国記念日学校行事を行って、そこで学校長教育勅語を読んでいる私立高校があることを前々回の四月二十五日の決算委員会で私は指摘をしておきました。文部省はそのとき、わからないということでした。しかし、その後の調査の結果どうでしたか、お伺いします。
  6. 鈴木勲

    政府委員鈴木勲君) その後御指摘がございまして調べたわけでございますが、島根県にございます私立松江日本大学附属高等学校におきまして、建国記念の日の学校行事といたしまして教育勅語を取り上げていたと、そういう事実はわかったわけでございます。
  7. 本岡昭次

    本岡昭次君 いつごろからそのように式を学校行事として行って、教育勅語を読んでいましたか。
  8. 鈴木勲

    政府委員鈴木勲君) これは島根県の私学所管課総務部等を通じまして調べたわけでございますが、昭和三十七年ごろからというふうに報告を受けております。
  9. 本岡昭次

    本岡昭次君 昭和三十年代の後半からずっと二十年間、教育勅語学校行事の中で読まれているということについて、島根県の知事部局あるいは教育委員会として何らそれに対する指導はなかったんですか、あったんですか。
  10. 鈴木勲

    政府委員鈴木勲君) 島根県の総務部総務課所管でございますけれども、従来から私学教育内容につきましては、私学自主性の尊重という観点から、教育内容については別段の指導は行ってきていないということでございまして、年一回私学を呼びまして当該学校のその年度におきます組織運営等につきましてヒアリングを行うことはやっているわけでございますけれども、その際基本的な教育方針等につきまして説明を受けてはいるということでございますけれども、具体的な教育内容について個々に指導をするということは行っていないというふうに聞いております。
  11. 本岡昭次

    本岡昭次君 教育勅語を読まれているということは知っていたのかいなかったのか。どうですか。
  12. 鈴木勲

    政府委員鈴木勲君) その辺のところは、私どもが今回島根県に聞きましたところ、島根県におきましても調べて、そのことが三十七年あたりから行っているということがわかったようでございまして、前から知っていたかどうかということは不明でございます。
  13. 本岡昭次

    本岡昭次君 昭和二十一年十月八日並びに昭和二十三年六月二十五日の教育勅語等取り扱いについての文部次官通達があることは御存じだと思います。その通達には「式日等に於て従来教育勅語を奉読することを慣例としたが、今後は之を読まないことにする」とあります。これは現在も変わっていないと思いますが、いかがですか。
  14. 鈴木勲

    政府委員鈴木勲君) そのとおりでございます。
  15. 本岡昭次

    本岡昭次君 そのことは私立学校にも及ぶのか及ばないのか。
  16. 鈴木勲

    政府委員鈴木勲君) これは二十一年のときの趣旨地方長官あてでございますから、当時の地方長官所管しております公立の高等学校以下の学校、当時といたしますと中等学校になるかと思いますけれども中等学校以下の学校にも及ぶものというふうに考えます。
  17. 本岡昭次

    本岡昭次君 文部大臣、現在お聞きのように、昭和二十一年及び二十三年の教育勅語に関する文部次官通達、さらには憲法教育基本法、または国会決議として失効決議がなされております。こうした措置をなされた教育勅語が、堂々と二十年間も私学とはいえ公教育の場で行われていたと。しかもそれは、校長が単に読むだけでなく、校長の朗読に合わせて生徒が立って「朕惟フニ我カ皇祖皇宗」とずっと一諸に読んでいる。私も教育勅語の時代に過ごしましたけれども、一諸に校長と朗読したというようなことはないわけで、そういうことが二十年間行われていたんですね。文部大臣、これをどのような措置を講じるおつもりですか。
  18. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 教育勅語扱いについては、本岡さん御存じのとおり、いまも初中局長からも御説明申し上げましたが、昭和二十一年及び二十三年、自後教育勅語を朗読しないこと、学校教育において使わないこと、また衆参両議院でもそういう趣旨のことを決議されております。でありますから、そういうことで今日まで指導してきておるわけでございますが、たまたまいま御説明申し上げましたように、松江市にある私立高等学校でそういう事実があったということを私も最近聞きまして、率直に言って遺憾なことであると思っております。教育勅語そのもの内容については今日でも人間の行いとして、道として通用する部分もありますけれども教育勅語の成り立ち及び性格、そういう観点からいって、現在の憲法教育基本法のもとでは不適切である、こういうことが方針が決まっておるわけでございますから、そこで文部省といたしましては、その事態を承知いたしまして、いま初中局長から申し上げましたように、これはいわゆる島根県の認可学校でございますから、島根県を通じてそういうことのないように指導をしてくれと、こういうことをいま勧告しておるわけでございまして、まだその結果については詳細は報告が来ておりません。
  19. 本岡昭次

    本岡昭次君 再度確認をいたしますが、いまの文部大臣の御答弁は、島根県知事に対して、松江日大高校が行っている建国記念日学校行事の中で、教育勅語を読むということについてはこれを改善せよ、是正せよという改善勧告というふうなものを行った、あるいは行う用意をしていると、こういう答弁と考えていいんですか。
  20. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 御存じのとおりに、私学については自主性をとうとんでやっておりますから、こちらがこうせい、ああせいというわけにはまいらないわけでございますが、島根県を通じて、島根県から、いま申し上げましたように改善勧告、そういうことのないように勧告をしてもらっておると、こういうことでございます。
  21. 本岡昭次

    本岡昭次君 いまの松江日大高校ということを、私はたまたまテレビで見て非常に驚いて、日本は狭いようでも広い、こういうことがいまだに行われておるところがあるんだということで驚いたんですね。しかし、その後いろいろ話を聞きますと、徳育訓育、そうしたものの柱になるべきことは、先ほど文部大臣も、内容については問題がないではないかという意味の御発言もありましたように、教育勅語を持ってきて、徳育訓育、道徳の柱にすることが大切ではないかというふうな問題があちこちで論議されて、特に私学を中心にして教育勅語学校教育内容として持ち込もうとする動きがあります。私はこれは絶対に認めてはならないことだと、こう考えます。  そこで、文部省にお願いしたいんですが、この問題を一つの契機として、全国私学式日教育勅語を読むというふうな事実があるのかないのか、あるいはまた教育勅語教育活動の一環として使っているという事実はあるかないかということを、都道府県知事あるいはまた私立大学等に対しても調査をお願いしたい、またこれは文部省の責任でもあろうと、こう思うんですが、いかがですか。
  22. 鈴木勲

    政府委員鈴木勲君) 松江市の例をお挙げになりましたわけでございますが、私どもとしてはそのような異例なことがほかの学校におきましてもあるというふうには考えておりませんので、これを契機調査をするというところまでは考えておらないわけでございますけれども、いろんな機会にそのような指導はしてまいりたいというふうに考えております。
  23. 本岡昭次

    本岡昭次君 昭和二十一年と二十三年に文部省次官通達が出た。それを知らない学校校長経営者がいることは事実ですね、それ以後設立された私学はたくさんあるんですから。だから、改めて教育勅語取り扱いはこのようになっているんだということを、はっきり文部省として指導しなければわからないんじゃないですか。この松江日大経営者なりあるいはまた校長が、知っていてやったのか知らなくてやったのかという問題についても、ある意味では三十年代の後半に設立された学校であれば、そういうことを知らなかったということも言えるわけで、改めてこの教育勅語取り扱いについて、昭和二十一年、二十三年当時のその文部省次官通達というものの意味を、それぞれの地方自治体を通して私学にいろんな形で連絡をすべきだ、通知すべきだと思うんですが、いかがですか。
  24. 鈴木勲

    政府委員鈴木勲君) あくまでもこれは、教育勅語扱いにつきましては、学校という公の教育を行う場におきまして教育活動の中で取り扱ってはならないということは、学校経営する者はわかっているはずのものでございますし、その点が確かに不徹底であるということは松江の例であろうと思いますけれども、必ずしもこのような例が多いというふうには思いませんので、私どもとしては、これを契機にいろんな形の会議等指導徹底いたしたいと思いますけれども、一律の調査なり通達によってこれを行うというところまでは、いまのところ考えておらないということを再び申し上げさせていただきます。
  25. 本岡昭次

    本岡昭次君 いまの答弁、私納得できませんが、これだけにかかっているわけにいきませんので、きょうの段階ではいまの答弁で一応私はこの質問を終わりますが、さらに検討をしていただきたいということを要望を申し上げておきたいと思いますし、文部省もいろんな広報活動をやっているんですから、それを通して間違いのないようにやっていただきたいということを最後に要望しておきます。  次に、私学助成の問題に入ります。  まず行政管理庁にお伺いしますが、最近行政管理庁私学補助金の問題と日本私学振興財団運営実態等について監察を行ったのかどうか、事実関係報告していただきたいと思います。
  26. 中庄二

    政府委員中庄二君) 私学振興財団業務運営に関する監督、行政監察というのを昨年の四月から実施しておるのは事実でございます。  お尋ねの監察目的等でございますが、学校教育の中で私学の健全な発展を図ることが非常に重要でございますので、国としても経常費補助なり施設等の整備に対する融資等を行っておりますが、これが私学振興財団を通じて行っております。私ども監察もそういう観点からこれらの国の施策が十分効果を上げておるかどうかという意味で、私学振興財団監察をいまやっているところでございます。
  27. 本岡昭次

    本岡昭次君 いま私学振興財団監察をやっているとおっしゃいましたが、監察という事柄の中身で、もう監察は終わって報告をまとめる段階に入っているということじゃないんですか。
  28. 中庄二

    政府委員中庄二君) 監察の手順でございますが、現地の方の調査段階と本省庁調査段階というのがございます。現在はその後の段階であるということでございます。
  29. 本岡昭次

    本岡昭次君 行政管理庁長官として今回監察の対象にした私学助成補助金、あるいはまた私学振興財団実態運営等について現在臨調等関係もいろいろあるわけですが、どういう認識を持っておられるか、一言ここでお伺いしておきたいと思います。
  30. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私学のための経常費補助金という問題でございますが、私立学校というのは学校教育の中で非常に大きな役割りを占めていると。これは私はそういうふうに強くその認識を十分持っておるつもりでございます。したがって、こういうふうに重要な役割りを持っておる私学に対する補助金でございますから、行財政という非常に厳しい折からでございますけれども、本来の目的と申しますか趣旨と申しますか、その本来の目的趣旨に沿うたように使用されるというふうに効率的に使用されるということが一番望ましいことであり、そうしなくちゃならぬと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  31. 本岡昭次

    本岡昭次君 毎日新聞が取り上げた行管庁監察結果の概要があります。これは行管庁のまとめたものであるのかどうか、その点いかがですか。
  32. 中庄二

    政府委員中庄二君) 行政監察のやり方でございますが、現地段階報告書というのがございまして、それが参りましたものを全国段階のまず粗いもので基礎ベース推移等をそろえました段階、それから勧告案文等をつくる段階、いろんな段階資料がございます。現在私どもの案はいま現在検討中でございますので、毎日新聞に出ておりましたというのはその過程のある部分の話ではないかというふうに私ども存じておるわけでございます。
  33. 本岡昭次

    本岡昭次君 ある部分過程の話であっても、ある段階ではこういうものがあったという事実は確認するんですね、行管庁として。
  34. 中庄二

    政府委員中庄二君) 私どもの方で内部のどういうところから取材されたものかということを調査してみましたが、はっきりいたしておりませんので、その部分部分では私ども調査結果と合致するものもございますが、意見等にわたる面につきましては私ども意見と合ってないような面もございますので、そういう状況資料とお受け取りいただきたいと思っております。
  35. 本岡昭次

    本岡昭次君 行管庁私学補助金実態調査をする前段の段階の話です。それは、毎日新聞の報道では、大学、短大、高校計七十四校を対象としています。この七十四校にそれぞれ行って調査をやったのかどうか、その点どうですか。
  36. 中庄二

    政府委員中庄二君) 御指摘のように調査対象の学校法人数は四十二でございました。その中の大学は三十五でございます。これは実際に各大学に参りまして御協力を得て調査をしたということでございます。
  37. 本岡昭次

    本岡昭次君 文部省それから日本私学振興財団にお尋ねしますが、この毎日新聞に出ている監察結果というものがすべて現在行管庁監察し、そしてそれを報告としてまとめているものそのままではない、しかしこうした実態そのものもあるといういま話でした。そこで、文部省あるいは日本私学振興財団行管庁がここまでのことを三カ月余りの調査でやられた。一方文部省なり私学振興財団は日常ふだんにこれは私学に対してその運営なり経営なりに対して指導監督する立場にあるわけで、問題があれば助言をするという関係にあります。にもかかわらず私は非常に不満なのは、行政管理庁にこうした事柄を指摘されない限り、文部省あるいは私学振興財団の立場から具体的な改善の行動、そういうものが起こらない。こういうことに非常に私は不満を覚えるんです。一体文部大臣、行政の怠慢というふうにこれは思われませんか。監察されなければこういうことがわからないということなんですね。この程度のことはやる気があればわかることだと私は思うんですが、いかがですか。
  38. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私学に対する助成は先ほど行管庁長官もお話しのようにきわめて重要なことでございますが、国民の貴重な税金を教育が大事だということで助成をしておるわけでございますから、教育目的に十分にかなうようにこれを適切に使用するといいますか、運営するのは当然であります。この作業は御承知のとおり私学振興財団でやってもらっておるわけでございますが、そういう観点から従来もやってもらっておるわけでございまして、私学においては御承知のとおりそういう意味で監査委員もあるし、また公認会計士の監査も得なければならないと、こういう厳重な仕組みになっておりますが、残念ながらたまには私学のそういう関係あるいは運営についてちょっと感心しない問題が起こること、非常に遺憾に思っております。私はそういう意味でもう少し厳重に審査をし、また厳重な運営をするようにということを、文部事務当局は当然でございますが、私学財団についても要請をいたしておる。現在はこういうことでございます。
  39. 本岡昭次

    本岡昭次君 この毎日新聞内容でもってここで論議するわけにはまいりませんので、きょうはこの程度にとどめておきますが、私はやはり文部省そして私学振興財団そのものが、私学に対する十分な指導助言の機能、あるいはまたいろいろな調査を行ったその調査に基づいて問題点のあるところを指摘をして、その改善措置を行っていくという事柄についての甘さ、言ってみれば国民に十分納得してもらえる私学経営あり方なり補助金行政そのものを文部省がやっていない。だから臨調があるいはまた大蔵省行管庁がさまざまな形でその私学補助金の問題に目をつける。これは行管庁長官もおっしゃったように、私学というのは公教育なんだ、だから教育の一環として大切に育成していかなければならぬというその本来の目的、国民の側からすれば国立と私学との差は大変な格差がある。授業料にしても、学校の施設、設備にしても、教官対学生の数にしても、そういうものを埋めていくという事柄が幾ら金をつぎ込んでも起こらぬ。こういうことであるから、いまこの私学に対する補助金に対していろんな私から言えば攻撃が起こっていると、こう考えるんですね。文部大臣、最後にいま一度この問題について、文部省として適確な私学経営あるいは補助金行政そのものについての決意を聞かしていただきたいと思います。
  40. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 現実の事態が二、三の問題、現在あらわれておりますところでもいま御指摘のとおりでありますから、これは弁解の余地はないと私は考えております。でありますから、私学の振興は非常に必要である。しかし、それだけに国民の負担をお願いしておるわけでございますから、特に厳重な運営をしてもらうと、こういう覚悟でおりますことを申し上げておきます。
  41. 本岡昭次

    本岡昭次君 それは私学に望むと同時に、文部省自身あるいは私学振興財団そのものの対応の問題として、これからも私は引き続いて追及してまいりたいと思います。  そこで、私は文教委員会あるいはこの決算委員会私学助成の一つの例として国士舘大学の問題を継続して取り上げてきたわけです。  そこで、前回の質問と関連して残されている問題を幾つかただしていきたいと思いますが、文部省、外務省、前回私の質問に対して、調査をしなけりゃわからぬという点が幾つかありましたが、その後ブラジル、エジプト、ニューヨーク、サイパン、こういうところにおける調査の結果、新しくわかった問題があればここで報告いただきたいと思います。
  42. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 前回御質問がございました件につきまして、二、三その後調査いたしました状況を御報告をさせていただきたいと存じますが、まずブラジルのべレンに対する送金の問題につきまして、先生から、昨年の十二月に三億円送金をし送り返されたような事実があるかというようなお話がございまして、関係者にこの事実関係を確認をしたわけでございますが、これら両施設のために現在まで送金した金額の総額は、先般お答えを申し上げましたとおり約十億円というのが全部でございまして、その後昨年の十二月に三億円を送ったというような事実は全くないということを国士舘大学の関係者から報告を受けておるわけでございます。  それから次に、カイロの武道館建設につきまして、全体計画はどうなのかという御指摘がございました。これにつきまして、カイロに国士舘として建築をいたしますのは武道館だけという計画でございまして、この建築費の総額は、さきにお答えをいたしましたこれまでエジプトに送金をいたしております三億四千万円余で完了ということでございまして、現在これ以上に送金をするという予定は全くないということを回答を得ております。  それから第三点といたしまして、ニューヨークへ送金いたしました一億一千万円余によって購入した建物の話でございますけれども、前回もお答えいたしましたように、国士舘大学のニューヨーク支部のいわば活動の基点というような意味で、そのための施設を用意するということで、昭和五十七年の七月に約一億一千万円余りを国士舘大学ニューヨーク支部に送金をいたしまして、必要な土地、建物の購入をしたということでございますが、この土地、建物は、前回お話がございました西本願寺系の僧侶の方が個人で所有しておられた建物であるということでございまして、その個人から国士舘大学がこれを購入をいたし、代金の支払いもすでに完了しているということでございます。  なお、登記についての件でございますけれども、この土地、建物の登記に関しましては、ニューヨーク州の法令に従いまして、わが国の登記に相当する手続といたしまして権利証書を登録をするという制度になっておるそうでございますけれども、それは昨年――五十七年の七月三十日にすでに登録も済んでいるので、あらゆる手続は完了しているということでございます。  それから最後に、サイパンの関係についての御指摘でございましたが、前回お答えをいたしましたように、サイパン島に武道館を建設するというような協定は、これまで行ったことは全くないということでございまして、昨年の十二月に柴田総長が団長として現地を訪れました際に、前回お答えいたしました内容の、学術的あるいは文化的交流を行うという友好的な、いわば抽象的な交流協定を締結をしたということでございまして、今後とも具体の進め方については合同委員会をつくってこれを推進していこうということを内容とするものでございまして、武道館を設置するというような計画を約束をしているものでは全くないということを大学側から回答を得たところでございます。
  43. 市岡克博

    説明員(市岡克博君) 本岡先生前回御指摘の次第もございまして、直ちに在外公館に対しまして電報をもちまして、ブラジル、エジプト、サイパン、ニューヨークでございますが、そこにおきます国士舘大学の活動状況について調査いたしまして、各地におきます関係者から非公式に事情を聴取したということでございます。その結果を聴取したところに沿いましてそのまま御紹介いたすわけでございますが、多少前回と重複する点もあるかと思いますが、あえて説明さしていただきますと、ブラジルにおきましては、国士舘大学はサンパウロとべレンの二カ所にすでに武道館を建設済みで、武道の普及活動を行っておる。  サンパウロの武道館は五十七年七月に完成いたしておりまして、ブラジル国士舘大学協会が所有、運営いたしておりまして、土地代約六億円、建設費約三億二千万円、すでに日本より送金されまして、関係者に決済済みでございます。このサンパウロの武道館におきましては、現在日本から派遣されました国士館大学職員三名が管理に当たっておりまして、一般に無料で公開されている由でございます。多少交通の便が悪いこともあり、この利用状況はきわめて活発というわけではないという印象である由でございます。  べレンの武道館でございますが、これは五十五年にブラジル国士舘大学協会の名義で土地、建物合わせて千三百万円で購入したものを、その後五、六千万円をかけて増築した由でございます。これをブラジル国士舘大学協会からパラ州の国士舘大学協会が無償で借り受けておりまして、武道館を運営しているものでございます。必要資金については、日本よりブラジル国士舘大学協会に送金されたものというように説明を受けております。  両武道館とも、すでに資金につきましては土地及び建築費について支払いが済んでおる。これまでのところこの武道館の運営について苦情を受けたということはない、在外公館においてもそのような事実はないということが報告されております。  エジプトについてでございますが、エジプトにおきましてはまだ関係者が現地においてつかまらないものでございますですから、当地において私どもが承知していることとして申し上げるほかないわけでございますが、国士舘武道センター建設計画につきましては、カイロに在住しております国士舘大学関係者とエジプト青年スポーツ最高評議会との間で話が進められてきたものでございまして、五十六年六月に柴田総長以下の国士舘大学関係者がエジプトに赴きました際に、武道センターの建設及び運営等に関する協定に署名が行われたものというように承知いたしております。これによりますと、エジプト側が約十五万平米の土地を五十年間無償で提供し、国士舘側が武道センターを建設するということになっていたということのよしでございます。この武道館建設計画は純粋な民間ベースの協力案件でございまして、国士館大学が独自に相手側と進めているものというように承知いたしております。現在まで聞き及ぶところによりますと、すでに工事は着工されている模様でございますですが、今後の工事完成の見通しについてはまだ明確でないという状態であるというように理解いたしております。  ニューヨークにつきましては、本年一月に国士舘教育協会の名前で、約二千三百平方メートルの土地建物を購入したということがあるようでございます。これは現在国士舘大学卒業生であって、ニューヨーク在住の柔道家が管理を兼ねて居住しているということでございますが、この人によりますれば、将来武道館をここに建設する、改築して建設するという話は聞いていないということでございます。  サイパンにつきましては、在外公館から来ました報告によりますれば、ある段階において青少年教育センターとして使用すために、サイパン島南部所在の建物を買収する方向で交渉が行われたということがあるようでございますが、価格その他の点もあったと見えまして、交渉は進捗せずそのままになっているということを報告を受けておる次第でございます。  以上でございます。
  44. 本岡昭次

    本岡昭次君 また具体的ないまの調査の結果に基づく質問は次の機会に譲ることにしまして、二、三の問題をただしておきます。  前回の質問のときに文部省は、ブラジル送金が貸付金であったにもかかわらず、それは手続上のミスで寄附金が七億円、貸付金が三億円となった。大蔵省文部省の受け取り方が違っていたのは、大学側の手続上のミスであったと、こういう答弁がありました。それでは、ミスであればこれは訂正をさせなければならないわけで、そうすると、大蔵省に届け出た寄附金、貸付金というものを全部貸付金に訂正し、現地ブラジルに対してもあれは全部貸付金であったんだという訂正もやっていかなければならぬのですが、このように訂正を国士館大学にさせるんですか、文部省
  45. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 国士舘大学の送金の問題でございますけれども、これは国士舘側から再三、再四責任者の来省を求めまして確認をしたわけでございますが、国士舘大学の側といたしましては、理事会の議事録によりまして、明確にこれは貸付金として処理をしたものであるということ。それから、現地の法人の方の理解の仕方も、現に現地法人の代表者から借用証書が十億円全額について入っておりますので、そういう意味で、現地もそれは貸付金として受け取っておるということで、その点については間違いがないということでございます。  ただ、前回も申し上げましたように、具体に送金をする段階におきまして、いわば送金手続上のミスと申しますか、いう関係からこれを寄附金として送ってしまったというようなことでございますので、国士舘大学の側におきましても、これを是正をしたいと言っておりますし、私どもの方もこれについては実態に合わせて更正等の手続が、これは制度上どうなるか、むずかしい問題があろうかと思いますけれども、可能な限りそういう更正の手続がとられるべきであろうと考えまして、現に国士舘大学にそういう努力をするように指導をし、また国士舘でも具体に検討をすでに開始をして、それに、実態に合わせるべく努力をするということを答えておるわけでございます。
  46. 本岡昭次

    本岡昭次君 大蔵大臣もおられるわけですが、渡辺大蔵大臣のときにこの問題も質問をして、渡辺大蔵大臣もそれは現地調査をして解決しようということでありました。  いま言っておりますように、ブラジルに送った金の性格が、手続上のミスで寄附金が七億円だけど、あれは実は貸付金であったんだというふうな事柄が、一私学の問題とはいえ、外務省を通したお金がそういうことで通用するんですか。どうですか、大蔵省
  47. 大場智満

    政府委員(大場智満君) ただいま御指摘の十億円でございますが、確かに七億円は寄附金として、それから三億円は貸付金として私どもは許可もしくは届け出の受理をしているわけでございます。  七億円につきましては、一部は旧法下、一部は新法、新しい外国為替管理法のもとで送金がなされているわけでございますが、新法、旧法、いずれの法律のもとでもこれは許可事項であったわけでございます。それから、貸付金につきましては、現在は事前届け出審査つきになっておりますが、旧法下ではこれは許可事項であったわけでございます。  私どもの処理はそのように処理しているわけでございますが、問題はブラジル側の処理だと思います。  御承知のように、昨年半ば以降、ブラジルは債務累積国としてかなり困難な状況にございます。したがいまして、わが国の銀行の貸し付けそのものもすでに元本の返済はなされていない。リスケジュールなりリファイナンスという形でこれを解決しようというのが現状でございます。したがって、ブラジル側で元本の返済なり金利の支払いの対象となる貸付金として登録されてないものが、今後そのようなものとして登録されるという可能性はきわめて少ない、きわめて困難であると思います。いまブラジルの状況は、できるだけ外に資本を出したいという、これは為替管理法上の問題として為替差益なりあるいは海外への返済を進めるということで、むしろ出したいという力が強いわけでございますが、そういう場合に登録されてないものについてこれを復活して返済を認めたり、あるいは利潤送金を行うというようなことは、ブラジル当局にとってはきわめて困難なことだと私は判断しております。
  48. 本岡昭次

    本岡昭次君 ありがとうございました。今後の成り行きを見守っていきたいと思います。  もう一つ、文部省、マリアナ問題なんですが、これについて前回の答弁で、北マリアナ共和国から姉妹校提携なり武道館建設なり、そういうことを国士舘大学がしていただけるようで、まことにありがとうございますという、そういう問い合わせがあったと、文部省は国士舘大学にそういうことがあるのかと聞けば、そういうものはありませんということなんで、北マリアナ共和国に対してお断りを申し上げた、こういう答弁がありましたね。現にいまの調査の結果もそうなんです。ところが、私の持っております日本北マリアナ協会が発行しておるマリアナ・コンフィデンスというこの冊子の中に、五十七年の十二月号と、五十八年の二月号に、それぞれ「北マリアナ政府要人 国士舘大学を視察」ということが、まず十二月号にあります。そこで、その北マリアナの上院の新聞発表によるとということで、議長が東京訪問をして、国士舘大学柴田梵天総長に会って、そして「同大学の姉妹校設立に関して、北マリアナ連邦へ来訪されたことへのお返しとして、国士舘大学を実地に視察」をしたと、こういうことなんですね。そして、柴田総長はサイパンに姉妹校を建設すると、そしてまたこの北マリアナの上院は、同大学の計画を全面的に支持して決議を満場一致で採択した、その採択した文書を総長のもとに持ってきた、こういうようなことなんです。二月号に今度はなると、「北マリアナ連邦政府首脳と日本の国士舘大学当局者たちは昨年十二月九日、同大学の分校をサイパンに設立する協定に、サイパンのマウントカーメル校講堂において調印した。」と、そして「国士館大学側は総長の柴田梵天博士および同行の大学理事者たちが署名を行った。この協定によって開設されるのは、北マリアナおよび日本の青年のための教育センターで、恒久施設が計画されている。」、ここにはその上院で国士館大学の姉妹校をサイパンにつくるということについて採択して決議を上げて、一方では国士舘大学と北マリアナ政府との間で署名をしている、調印をしている、こういう事実がここにあって、しかもそういう事実はありませんということを国士舘大学が言い、文部省が断ったということなんですが、そうすると、この事実が全然相反するんですね。ということは、この日本北マリアナ協会が発行しているこの書いた中身が事実に反するのか、文部省答弁されたことが事実でなかったのか、これはどういうことになりますか。
  49. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) この「マリアナ・コンフィデンス」という雑誌でございますけれども、これの発行者にこの記事の信憑性について私どもから問い合わせをいたしました。現地の新聞を参照してつくった記事なので事実関係は調べてないと、こういうことでもっぱら現地新聞を参考に書いた記事であるという回答でございます。この十二月の九日という日に協定が結ばれたというふうにこの記事に載っておるわけでございますが、先般来お答え申し上げておりますように、国士館大学とそれからマリアナとの間で、サイパンとの間で行われました協定の内容は合同委員会を設置するという内容の協定でございまして、この内容以外の協定を結んだことは全くないということでございました。そういう点から見れば、この協定が結ばれたことと、それから現地にはあるいはそういう誘致の希望のようなものがあろうかと思いますけれども、そういったことの希望的観測等がまじった記事ではなかろうかと、これはそういう推察をしておるわけでございます。いずれにいたしましても、先ほど来申し上げております現実に結ばれた協定は、十二月の二日付で柴田梵天総長が署名をした協定でございまして、それが現地で交換されたということのようでございますが、その協定文の内容にはもちろん分校をつくるというような具体計画は全く載ってないわけでございます。
  50. 本岡昭次

    本岡昭次君 私が申し上げたいのは、先ほどからも私学助成の問題を取り上げましたけれども、国士舘大学というのは五年間にわたって補助金が二五%ペナルティーとして削減をされて、文部省から再三再四にわたって改善命令が出されている、学校運営学校経営について。にもかかわらず、学校経営の問題をよそに、海外に投資活動を次から次へと行っていると。この間も文部大臣が、大学のやることはその大学本体の整備をすることであって、このような過度な海外投資は許されないということを瀬戸山文部大臣がおっしゃったわけですね。しかし、許されないといっても現にどんどんと国士舘大学は海外に投資を続けてやっている。そしてしかも、その実態がよくわからない、不明な部分が、不明朗なあるいは疑惑に満ちた部分がたくさんあります。しかし、いま文部省は何らそれについて具体的に毅然たる指導、助言というものができないという点に私は不満を持っているんです。ある意味で言えば、文部省は国士舘大学にいいようにあしらわれている、こう言わざるを得ないんですよ。私がそう言って腹を立てられるんなら、はっきりこういうことをやりましたという毅然たる一つの措置というものをとってみられたらどうですか。文部省は、文部省設置法第五条の十八項の指導、助言、あるいはまた私学振興助成法には第十二条というふうな、それぞれあって、やろうと思えばかなりのことができると私は思うんです。そういう意味で最後に国士舘大学についての文部省の今後の指導あり方について一言いただいて次の問題に入ります。
  51. 阿部充夫

    政府委員(阿部充夫君) 国士舘大学のいろいろな経緯につきましては前回大臣からもお答えいたしましたように、特にこの国際交流の問題につきましては、その内容自体あるいは意図しているところ自体は決して悪いことではないと思うわけでございますけれども、一私学ということで考えました場合に、過度にこれにコミットをすることは本来の大学の教育あるいは研究という本来遂行すべき業務の方に支障を来しはしないかというような面から、私どもは大変危惧をいたしておるわけでございまして、そういう観点から国士舘大学の当局に対しましてもこれまでも全体の見通し等をしっかりと立てて、その中で可能な範囲内でやっていくと、次々といろいろなものについて手を出していくということについてはかなり疑問がある、慎重に扱ってほしいという意味指導を続けてまいったわけでございまして、私学の自主的な行動でもございますので、もちろん文部省からの指導等にも限界がないわけではございませんけれども、国士舘大学当局としても最近ではこの問題について慎重に対応するようになってきているというように私は印象を持っておるわけでございまして、今後とも引き続き従来から行ってまいりましたような指導を深め大学の態度を見守ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  52. 本岡昭次

    本岡昭次君 次にシーレーン問題について若干御質問申し上げます。  四月十八日の私の質問で防衛庁は、日本の有事の際わが国を防衛するため、公海上で行動している米艦が攻撃された場合、自衛隊は共同行動の一環としてその米艦を護衛することはあり得る、その米艦が核装備をしていても同様であるという意味答弁がありました。自衛隊は核積載艦も護衛し、また共同行動をとり得るということが明らかになったわけです。私が持っていたシーレーン防衛、日米共同研究の持つ危険性がより明確になったと思っています。日本防衛のためのシーレーン防衛でなく、アメリカの西太平洋における対ソ核戦略の中で日本がこれからどのように有効な共同行動がとれるかという共同研究ではないかというふうに私は考えています。しかもその共同研究の内容が集団自衛権の行使、あるいはまた憲法や非核三原則の制約があるといいながら、それを逸脱をせざるを得ない状態になりつつあることについては私は無視できないと思っております。したがって、きょうはその四月十八日の論議を受けてさらに防衛庁の真意をただす意味から質問を継続していきたいと考えております。  まず最初に、わが国有事の際、公海上で米艦を自衛隊が護衛するか否かの判断は、これは谷川防衛庁長官も再三にわたっておっしゃっていますが、その米艦が日本防衛のために行動しているか否かということが重要な問題なんだというふうにおっしゃいましたが、日本の防衛のために行動しているか否かということの識別ですね、それはどういうふうにして具体的に行うんですか。
  53. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 日本に対する武力攻撃があった際の、わが国を防衛するために行動している米艦に対する相手国からの攻撃があった際に対して、わが国はその米艦を守ることがあり得るかどうかということの質問に関連して、いま先生御指摘のような答弁をいたしました。これはあくまでもわが国が、これは言うまでもございませんけれども、あくまでも個別的自衛権の範囲で行動していること、そうしてその米艦がわが国を防衛するために共同対処行動をとっているということが前提でございます。そういう中にあってその米艦が核を装備することがあっても、予想されることがあっても、そのことはわが国自衛隊の行動とは関係がないだろうということの御趣旨を申し上げたわけでございますが、いまそれについての識別はどうなっているかというふうな御質問がございました。  まず第一点は、この議論というのはあくまでも理論的な話として申し上げているわけでございまして、わが国の憲法上の制約あるいは基本的な防衛政策の範囲内でそういうことができ得るんだということを申し上げたわけでございまして、実際の場面でそういうことを必ずやるとかいうふうなことを申し上げたわけではないことを、十分御承知のことと思いますが、念のため申し上げさしていただきます。  それから第二点は、この日米共同対処をする場合の具体的なありようにつきましては、現在、日米防衛協力のためのガイドラインというものに基づくところの共同作戦計画の研究を実施しております。このガイドラインの中におきましても原則的なことがうたわれておりますが、わが国と米軍とは有事の際には緊密な調整のものに行動をするということになっておりまして、あらかじめ各般の調整を行うことが予定されております。したがいまして、実際にそういう事態になりますれば、アメリカとわが国とはいろいろ連絡、協議、調整を経まして、アメリカのどういう部隊がどういう行動をするかということについて、現在行っていますところの共同作戦計画の中において明らかになってくるというふうに思いますので、必ずしもいま先生のおっしゃったような識別はむずかしいんではないかということは当たらないんではないかというふうに考えております。
  54. 本岡昭次

    本岡昭次君 私も、あってはならないことを一般論として、抽象的な問題として議論をしているんです。共同研究は、いま私たちが議論しているようなことをやるんだというふうに考えて私やっています。  そこで、有事というのは、アメリカの戦略上、いろいろ私たちが聞き伝えるところによりましても、日本だけに有事が発生するというふうなことは余り考えていない。つまり、一番可能性の多いのは、中東に有事が発生をして、そしてそれに連動して日本周辺にも有事が起こり、日本の攻撃とか、あるいは日本がそれにかかわらなければならないという事態が起こるんではないかという想定がよくなされています。その場合には、この有事というのは、中東における一つの有事と日本周辺における、日本が直接攻撃を受けたという有事と二つが同時にある。また、別なところにも有事が発生するというふうなこともあるわけで、そのときのアメリカは絶えず有事の対象の国でありまして、アメリカから中東に向けてあるいは日本に向けてその有事に対応すべく米艦が出動します。そして、先ほど論議の対象になっている核も、当然第七艦隊には核を装備しているだろうということはあなた方もおっしゃっています。だから、その核積載艦に対してわが自衛隊が、相手国の攻撃を受けた際にその米艦を守るという際に、厳格にそれではその米艦が日本を防衛するという行動なのか、あるいはまた中東へ向けていく行動なのかという識別の問題なり、あるいはまた他のところに行動するという問題なりの識別は、私はほとんど不可能ではないかと思う。それでまた、自衛隊がその米艦を攻撃するある国の潜水艦なりあるいは航空機、いろんなものに対してそれに反撃を加えてそれを撃沈する、撃墜する、こうしたことが行われた場合に、その目的とするところは、日本防衛ということじゃなくって、他の有事についても日本がかかわっていったということが西太平洋上起こる可能性というのは、有事の想定という段階では私は相当大きな内容として考えていかなければならないというふうに思うんですね。そういう場合は、前も谷川防衛庁長官が私に、集団自衛権というのはこういうことですよといって御丁寧に御説明いただきました。私もよく読ましていただきました、あの会議録を。その場合に、明らかに日本は直接関係のない第三国の攻撃にかかわって集団行動をしたということになりかねぬという、一つの西太平洋上におけるシーレーン防衛ということが考えられるんですね。私の言っていることがおわかりであれば、御理解いただければ、その私の考えている危惧について、それは心配ありませんというここで御回答をいただきたいと思います。
  55. 谷川和穗

    国務大臣(谷川和穗君) 毎々申し上げさしていただいておりますように、わが国の自衛権の行使というものは、わが国に対する武力攻撃がなされたときにこれを行うわけでございます。それから米艦護衛というものは、米国が攻撃を受けておるという実態がそこへ存在をするわけでございますが、その場合に、わが国に対する攻撃が行われていないときに米艦護衛があり得ないということを実は先般来答弁さしていただいたわけでございます。  なお、米艦にはいろんな任務があっていろいろな有事の態様においていろいろ行動をいたしておろうと、それをどうして識別するのかという御指摘がございましたが、これにつきましては、先ほど政府委員から答弁をさしていただきましたように、共同対処につきましては日米ガイドラインに基づきまして常に密接な調整を図って行動をするわけでございまして、したがって、わが国防衛のためにどのような米軍部隊がどのような作戦行動を行っているかについては、常に緊密な調整を通じて当然のことながら明確になっておらなきゃならないはずだと、こう考えております。したがって、このような過程においてわが国防衛のために行動する米艦艇を特定し得るものであると、われわれはそういうふうに判断をいたしておるわけでございまして、ただいま委員の御懸念につきましては、少なくともわが国が攻撃を受けていないときに巻き込まれるというような御懸念は当たらないと、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
  56. 本岡昭次

    本岡昭次君 いや、有事が同時に発生したというときは、わが国も攻撃を受けているし、中東においても有事が発生しているというときの行動を指したんです。図式的にはいまおっしゃるようにそれは識別してはいいでしょうと、これは中東向けの米艦だからこれは防御できないと、これは日本向けだから防御できるというふうなことを、複数に有事が発生したときの西太平洋における日本とアメリカの共同行動というのは私は不可能だと思うんです。これは必然的に、これは日本の側が日本防衛のためということだけの任務という状態には限定し得ないという心配を私はしてやっているんです。またこの問題は、きょうはもう時間がありませんので、かみ砕いてやってみたいと思います。  核積載艦の護衛を自衛隊ができると、日本が攻撃されているときにということなんですね。日本防衛に向かっている場合にといういろんな制約つきですが。その核積載艦の中にSSBN、つまり弾道ミサイル原子力潜水艦ですね、トライデント型原潜というふうなものがいま西太平洋上にはもう配備されているわけなんですが、それもいわば核積載米艦艇のうちに入るんですか、入らぬですか。
  57. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) まず第一点は、SSBN、大陸間弾道弾、戦略ミサイルを積んだ潜水艦もいま申し上げたような対象の米艦艇に入るかどうかということですが、理論的にはこういったSSBNであろうとも同じことであろうというふうに思っております。ただし、SSBNというものはこの性格から申し上げて、非常に隠密度の高い、その存在の影すらわからせないところに意味があるわけでございます。そうしたものに対する攻撃があったからといって、それを守るというふうな行動というのは、実際問題として考えられるかどうかということは別にあろうかと思っております。
  58. 本岡昭次

    本岡昭次君 理論上にはそれも守る対象になるということだが、実際はあり得ぬだろうということです。しかし、実際上はあり得ぬということになれば、シーレーン防衛のために、P3Cを初めとして、さまざまなシーレーン防衛のための航空機あるいはまた艦艇を政府は五六中業の中で購入しようとしているわけで、アメリカのSSBNは隠密行動をとっているから事実上は発見不可能であろうというんであれば、ソ連の、あるいはまたそのほかのそれぞれ弾道ミサイル原子力潜水艦も、これも同じように発見ができないということであって、P3Cというふうなものを日本がたくさん購入して、シーレーン防衛のためだといって一千海里を哨戒するということ自身、その意味がなくなる、こう思いますが、その点はいかがですか。
  59. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) ちょっと私の御説明が舌足らずであったかと思いますが、SSBNというものが海中深くもぐったまま行動しておると。先生のは、いまの御議論の趣旨が米艦護衛ということに関連してでございますから、そういう意味で申し上げるわけですが、そういったもぐったまま隠密裏に行動しておる潜水艦に対して相手国が攻撃をしているということをもって、その潜水艦が攻撃を加えられているということの認定がなかなかできないんではないかということを申し上げたわけでございまして、潜水艦の探知捜索ということは、P3Cの整備によってその能力というのは非常に向上いたしますし、そういう意味合いからすれば、潜水艦の探知が不可能だというふうに申し上げているわけではございません。ただ、アメリカの潜水艦が攻撃をされているということが直ちにいま議論になっているようなことに該当するかどうかということを認定するような事態というのは、なかなかむずかしいんではなかろうかということを申し上げたわけでございます。
  60. 本岡昭次

    本岡昭次君 その議論は議論として、やはり問題は、戦略核、戦域核、戦術核、いろんな核があります。それをそれぞれの艦艇が、あるいは潜水艦がそういうものを装備して、そして西太平洋近海を防衛している、あるいはまた行動をしている、そういう状態の中に日本が攻撃をされた場合は、それを守り得るという限定つきにしろ、アメリカの核戦略の中に入って、いわば有事の際は共同行動をとるということと、私は全く同一のことにそのことはなる、このようにこれは考えるんですね。そして、その問題についての危惧は、伊藤防衛長官の時代にこのシーレーン防衛についての体系的な見解がまとめられて、そのときに米機動打撃力による相手基地の攻撃というふうなものもここにあるわけなんですね、シーレーン防衛の体系的なその見解の中に。だから、相手基地に対して攻撃をする場合に、戦術核、戦域核あるいは戦略核、さまざまな核攻撃がなされないという絶対の保証はないし、非核三原則を持つ日本として、あるいは現在の憲法を持つ日本として、やはり核搭載艦あるいはアメリカの核戦略そのものの中における共同行動をするということは、結局核戦争そのものに日本を巻き込んでいく結果になるんだということで、これは論議の外に置かなければならないものだというふうに私は思うんですが、その点はいかがですか。
  61. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) まず、わが国の自衛隊が核戦争というものは前提にしてない形で整備が進められていると、そして核の脅威に対してはアメリカの核抑止力に依存しているということも、またこれ従来から再三御答弁申し上げているとおりでございます。  また、第二点としまして、日米防衛協力のための指針、ガイドラインにおきましても、核というものを前提にしない研究を進めることに日米間に合意を見ているわけでございます。  御承知のように、核というものはあくまでも核戦争というものはあってはなりませんし、また予想されるところではございません。あくまでもアメリカがこういった核を持っていること、あるいは有事の際に、核搭載の船なり飛行機なりというものを保有しているということ自体が、アメリカの全般的な核抑止力の一部を構成しているものであって、それを使用することを前提としてのものではないということをまず言えるかと思います。  そういう意味合いにおいて、アメリカが有事の際に核を装備する部隊が行動することは、あくまでも抑止効果のために行っているわけであって、それを使用するためではない。したがって、そうした艦艇の護衛ということがもしあり得ても、それは核戦略あるいは核戦争を前提としての行動でもないし、アメリカの核戦略に巻き込まれるようなことにはならないんではないかというふうに認識しているわけでございます。
  62. 本岡昭次

    本岡昭次君 あなたはそう認識するし、私は巻き込まれると認識をするわけで、この論議を、あと五分しかありませんので、できません。また機会を見てさしていただきたいと思います。  次に、わが国の防空体制の問題を最後に二、三質問して終わりたいと思います。  五六中業完成時に、陸上自衛隊八個高射特科群のうち二群の更新方針について検討し、所要の措置を講ずるということになっていますが、具体的にどの高射特科群を更新する予定なんですか。
  63. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 御承知のとおり、現在陸上自衛隊には、ホークミサイルを装備した高射特科群が八個ございまして、このうちの五つにつきましては、すでに基本ホークから改良ホークに改装を完了しております。なお、五十八年度残りの一高射特科群についても、御予算を認めていただきまして、これを改良ホークの改善型に改装するように進めることにしております。したがいまして、自後二個高射特科群が基本ホークのまま残るわけでございまして、これを五六中業において後継ミサイルに改装することを考えておりますが、現在この後継ミサイルについては、その候補機種について鋭意検討を続けている段階でございまして、まだどういう機種にするかということも決まっておりません。  それから、その新しいミサイルをどういうふうに配備するのかということであれば、現在基本ホークのまま残っております部隊は、いわゆる第三高射特科群という九州の飯塚市にあるもの、それから第六高射特科群という沖縄にあるものの二群が基本ホークのまま残るわけでございますが、これを新しいミサイルに改装しておくということではなくて、数的には二つでございますが、実際には、いわば玉突きのようなことも検討して、どこに新しいミサイルを置き、どこに改良ホークを置くかということについては、今後の検討によって決まるということでございます。
  64. 本岡昭次

    本岡昭次君 わかりました。  陸上自衛隊の方は、現在改良ホークが六個高射特科群と、それから、新しくフェニックスになるのかパトリオットになるのか別にして、ポストナイキの新種のミサイルを二個高射特科群置くと。そしてその全部の八つをどこにどう配備するかというのは全体としてこれから考えると、こういうことでしたね。  航空自衛隊の六個高射群の問題は、これは全部更新するんですか、どうですか。
  65. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 御承知のように、航空自衛隊が現在ナイキハーキュリーズというミサイルを装備した部隊を六つ持っております。このナイキは、すでにわが国が装備してからでも二十年前後の日時を経過しておりまして、性能的にも、あるいはまた部品の維持補給という面からもそろそろ限界にきているということから、私どもといたしましては早急に後継ミサイルの整備ということをしなければならぬということで、五六中業においてこのナイキの後継ミサイルについての検討を行い、機種を選定をして所要の措置を講ずるということに決めておりますが、この五六中業の全体の計画、経費枠というふうな関連もありまして、これを一気に新しいミサイルに改装するということはなかなか困難であろうが、一部こういったものに着手してまいりたいというふうに考えている次第であります。
  66. 本岡昭次

    本岡昭次君 最後にお伺いしますが、従来の防空体制は、低空用のものとしてホーク、そして高空用のものとしてナイキということで対応してきたわけで、今度新しくパトリオットあるいはフェニックス、そうした新しいミサイルを導入をする。改良ホークもいままでのホークよりも能力はずんと向上されたものであろうと思うんですが、そういう状態になってもなお陸上が低空、そして航空自衛隊の方が高空ということで、それぞれ分かれて防空体制を違う仕組みの中で持つということになるのか、あるいはまた、それはもう一つのものとして考えられていくのか、その点はいかがですか。
  67. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) まず第一点は、現在の防衛計画の大綱におきましては、航空自衛隊が高空域対処、陸上自衛隊のミサイル部隊は低空域対処ということでナイキ、ホークをそれぞれ装備していることは御承知のとおりでございます。  現在、このナイキ、ホークの後継ミサイルを何にするかということについて検討をしております。そうして、その候補機種としましては、ホークの後継機種としては、いま御指摘があったパトリオットあるいは改良ホークの改善型、それからナイキにつきましてはナイキを改装しましたナイキフェニックスというものあるいはパトリオットというものを候補機種にしております。現在、それぞれについてどういうミサイルが適切であるかということを性能、経費、その他もろもろの将来の維持等も含めまして検討をしている段階でございまして、いまにわかにどの機種ということをまだ決めている段階ではございませんが、いま先生の御指摘のような問題は、機種が決まることによって、いま高空域、低空域との区分のあり方というものについての結論を出さなければならないというふうに考えております。  ただ、いまのところまだどの陸上自衛隊は何、航空自衛隊は何ということが決まったわけではございませんので、いまここでどういうことを考えているかということを申し上げる段階にないことをお断り申し上げます。
  68. 和田静夫

    ○和田静夫君 法務大臣、お急ぎのようですから先に法務大臣に一問お伺いいたしますが、ことしの三月三日に、在日朝鮮人の少女、横浜市在住の辛仁夏さんという方が、長洲神奈川県知事あてに次のような嘆願書を出されたわけであります。十五歳の少女ですが、   やさしい瞳の長洲知事さんの顔を思い浮かべながら書いています。   私は横浜市港北区に住んでいる十五歳の朝鮮人少女です。日本で生まれ、日本で育ちました。朝鮮の名前を持ち、楽しく明るく生きてきました。   去年の八月十一日に区役所に行き、登録書の切り替えをしました。その時、指もんを押さなければいけないことになっています。   私はいやだったので押しませんでした。   なぜ、指もんを押さなければいけないのか疑問に思いました。こんなことを子供がやらなければいけないのかわかりません。このような制度を、子供にまでさせる大人たちはどうかしています。   日本と朝鮮とは、古くからいろいろな関係にありました。それなのに、日本は朝鮮人に対して、こんないやな制度を作ったことが、理解できません。   人はだれでも、この世に生を受けてから、平等で差別されないものです。指もんとは、一般の人はだれも押しません。私の友達も押していません。それは、侮辱的な差別行為です。私は、指もんを押さなかったことで、今、告発されています。   ここで、一つお願いがあります。   こういう差別的制度をなくすようにして下さい。  非常に稚拙な字で書いた嘆願であり、訴えです。私はこの少女の願いを代弁をしてきょう大臣にお願いをしたいし、お尋ねをしたいのでありますが、この仁夏さんの訴えというのは、人権上あるいは在日朝鮮人の発生の経緯などを考えてみますと、もっともだと思います。特に少女であり、未成年者である。法務省としてはこの辺のところは善処方を検討されてしかるべきではなかろうか、こういうふうに考えるんですが、大臣いかがですか。
  69. 田中常雄

    政府委員(田中常雄君) 新聞等によってそのようなことは拝見しておりますが、いまだ長洲知事からは要望を受けておりませんし、したがいまして、長洲知事の真意並びに御要望の理由については、法務省としてはまだ把握しておりません。  しかし、指紋制度につきましては、法務省としては外国人登録法の秩序を維持するために必要なことと考えております。指紋制度は外国人登録法上、在留外国人の居住関係及び身分関係を明確にするという基本目的のために設けられた制度でございまして、犯罪捜査等その他の目的のために使用されるものではございません。  すなわち、指紋の万人不同、要するに同じ指紋を持っている人は二人といないということと、それから一生不変、一生絶対に変わらない、そういう特質を利用しまして、登録する外国人の同一性を確認するために科学的に担保するものでございます。  登録証明書の偽造、変造の防止のためには写真のみでは不十分でございまして、指紋をさせることにより偽造、変造を防止すること、これが必要でございまして、したがいまして、登録の一貫性を確保するためには指紋制度は不可欠のものと考えております。  また、この制度によりまして外国人自身も登録証明書の正当な所持人である、適法に在留しているものであるということを確実に、かつ積極的に証明することができると考えております。  したがいまして、われわれといたしましては、指紋押捺制度は必要不可欠のものであり、廃止するという考えは持っていない次第でございます。
  70. 秦野章

    国務大臣(秦野章君) いま事務当局がお答え申し上げましたが、和田委員の御趣旨というか、手紙の趣旨はわからぬでもないんですよね、常識論として。  ただ、その常識というものがやはり韓国と日本、韓国は特に日本とのかかわりが歴史的にもいろいろありますから、日本人と同じようだと言えば同じような部分もあるんですけれども、しかし、あくまでも韓国の国籍、日本人にはならない、こうおっしゃる方々はやはり国籍が違うという厳粛な事実がある。国籍が違うんだということになっちゃうと、つまり、外国人だということになっちゃうと、外国人ということを何で、権利関係その他違いますからね、公民権その他。何で証明するかというと、本当は簡単にできればいいんだけれども、列国の例を引くとたとえばサインでやっている国もある。日本はサインというのはどうも客観性がない。韓国はそれ自身がすでにもう指紋制度ですね。先進国でも指紋が多いんですよ、指紋制度が。だもんですから、やはり国境があって、そして外国人、本国人というそういう区別をどうしても必要とするということになったときに、そのあかしはどうもいまのところサインか指紋だ、日本はサインはなじまない、こういうことで、法律の上で指紋ということになっているわけです。  その点について、とにかく何か指紋をべたっとやると犯罪者みたいに受けとられるということはわかるんで、これはだんだん減らして、いま書類の上で左の人指し指一本と、こうなるような努力をしてきた。さらにその一本も取っちまう。それなら何でやろうかということになると、取りっ放しになっちまうとどこの、特にアジアの場合には顔もよく似ているし、犯罪という観点じゃなくて、別の権利義務関係があるものだから、そこまではやっぱり踏み込めないということで、法律改正には、指紋を撤廃するというようなことまではいまとても考えられないというのが現状なんです。ただ、取り扱い上いろいろいま申し上げたように、減らしてきたことであるし、また私は、これは私の個人的意見なんだけれども、何かたとえば指紋というのは油でもできるんです。これでいいんですよね。私が指で紙を押せばここに指紋がついているんですよ。科学的にこれを採集するというか、可能性もあるんじゃないか。これはまあ、まだここでは公式に言うところまでいきませんけれども、できるだけ嫌なイメージを持ってもらわぬような方向に研究はしていきたい。法律はいま申し上げたとおりでございまして、これを変えるというようなことはいまできませんけれども、そんなようなことでひとつ御了解をいただくほかはなかろう、こう思うんです。  長洲さんは私もたびたび会いますけれども、まあやっぱり政治家だから、中央にも言いますよというのはやっぱり言うでしょう。聞いてなくたって、聞いてても気持ちにそんな変化はありませんから、どうぞよろしく。
  71. 和田静夫

    ○和田静夫君 これはだんだん改善をされてきて不快感を与えないように努力をしてきたのも、たくさんの討論、われわれの討議の積み重ねがあったからであって、私はその前段の局長答弁なんていうのは全くいただけないんで、そんな官僚的な答弁をここでもらおうと、読めばわかるようなことを一々答弁してもらわなくたって、十分知っての話をしているんであります。したがって、私は大臣がいまもっとやっぱり簡略化をすべきである、何といっても不快感を与えない状態の処理の仕方というのはあるんだろう、そういうところの検討というのは、これ特に未成年者ですから、そういう意味においては今後とも進めていただきたい、強く要望をいたします。それに対する大臣の御見解を一言だけ承ります。
  72. 秦野章

    国務大臣(秦野章君) いま申し上げたとおり、個別性を確認する手段というものはほかに、指紋以外にあればいいけれども、何か具体的に提案が和田先生もしてくだされば検討するが、なかなかこれ、だから方法論はやっぱりさっき申し上げたようなことで検討、研究をするということぐらいしかいまのところ私も知恵がないわけですよ。趣旨のところはよくわかりますから親切丁寧に嫌なイメージを持たぬようにというラインで検討してまいりたい、こう思います。
  73. 和田静夫

    ○和田静夫君 主計局、この間からの続きでありますが、一つは昨日の読売の朝刊によりますと、五十九年度の歳出当然増を見積もると、一般歳出が今年度に比べて最低でも二兆円増になるんですね。国債費が二兆六千億円、地方交付税交付金が一兆三千億から四千億程度、全体で今年度より七兆円近い増加が見込まれるというんです。私もこの辺の線というのは大体妥当な線だろうと考えているんですが、何か御見解ありますか。
  74. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) いま委員から御指摘ございましたような新聞記事が出ておるわけでございますが、私どもは現在の時点で五十九年度の具体的な計算をいたしておらないわけでございますので、新聞の記事がそのままどういうことかということをいまここでコメントすることができないような状況でございます。ただ全体の感じはどうなんだと、こういうことがあろうかと思いますが、それは去る一月にお出ししました中期試算がございます。中期試算は、もとより機械的な計算をしておるものでございますからして、五十九年度の数字がぴたりと出てくるというものではございませんけれども、しかし、機械的な計算は計算なりに、大体の感じというのはそこでお示しをしておりますような数字になろうかと思っております。  中期試算の数字そのものはA、B、Cと三通りお出しをしておるわけでございますけれども、要調整額といたしましては四兆から五兆の間、これは予備枠を含まないところでそのくらいということになりますので、そのような感じになるのではなかろうかと思っております。これをどうするかというのは、大変に私どもとしてもこれから詰めてまいらなければならないと思っておりますが、各省と御相談しながら歳出のあるべき姿というものをもう一回基本的なところから見直しをいたしまして、歳出の守備範囲を確定していくというところから今後詰めてまいりたい、このように考えております。
  75. 和田静夫

    ○和田静夫君 もうお話がありましたように、いま言った歳出増を中期試算にも当てはめてみましたら、最良でも六十五年度の赤字国債ゼロのケースでも、やっぱりいま言われるように、要調整額大体五兆円、こういうことになるわけでありまして、単純計算で出てきますが、そこでやっぱり大臣、いまも次長からお話がありましたが、いずれにせよ、大幅な歳入不足が見込まれるわけでありますから、マイナスシーリングで歳出カットをしましても限界があるわけですね。これはもう限界がある。これもうはっきりしていると思うんです。そうすると、国債整理基金の定率繰り入れを来年度も凍結をするなどというやりくりをせざるを得ないというふうに感ぜられますが、ね、大臣、どういうふうにお考えになっておりますか。
  76. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは和田委員のいわば多年の体験に基づく議論からすれば、国際整理基金への繰り入れ停止が来年度も考えられるんじゃないか、あるいはとてもじゃないが、当然増経費等々を見た場合に、現行施策、制度をそのままに仮に置かないにしても、十分な歳入を確保することはできないじゃないか。経験に基づく御指摘だと思います。私も常識人としてこれを見るときに確かに同じような感じを持つわけでありますが、さはさりながら、五十九年度予算編成ということになると、やはりせっかく一般歳出で対前年度いささかでもマイナスという姿勢で編成し、第一歩を印したと仮に自己評価をしておる五十八年度予算というものを前提に考えますと、五十九年度はさらにやっぱり歳出カットということについては、それこそ、制度、施策の根源にさかのぼって対応していかなきゃならぬじゃないか。やっぱりいわばきわめて初歩的な議論でありますが、そうした初歩的な議論の土台の上に立って物事を進めないと、幾らか私どもの体験がある意味においてイージーに流れてその歳出カットに対する姿勢が鈍って、そしてたとえば、いまおっしゃいました定率繰り入れの停止とか、負担増とか、あるいは赤字公債を抑制していくという努力がそれによって減退していくというようなこともあってはなりませんので、やはり予算を本院におきまして四月四日に成立していただいた後、まず、私から各制度、施策の根源にさかのぼって御協力をお願いするよう閣議でお願いし、引き続き主計官会議を開いて、そして各省においてそれぞれの持ち場、持ち場において施策、制度の淵源にさかのぼっての御検討をいまいただいておるという段階でございますので、私も一つの常識人としての物の考え方のほかに、持つべき財政当局の責任者としての姿勢からするならば、やはりまずは歳出カットということに対して、さらに厳しい姿勢で臨まなきゃならぬというのが、自分に対しても言いきかしておる一つの政治姿勢であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  77. 和田静夫

    ○和田静夫君 予算委員会以来一貫してその大臣の答弁と姿勢、大臣が立っている立場による苦衷ですな。その辺のところは別にわきまえないわけじゃありませんがね。しかしもう常識的にどう考えてみて歳出カットをやってもなお五兆円を埋め切ることはできないというのは、これはもうだれが考えたって当然だろうと。そうすると赤字国債で埋めるか増税をやるか、いずれにせよそのどちらかを迫られること、そういう迫られることは、またこれは間違いありませんですね。
  78. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やはりこれもきわめて、これは原則的な御答弁をして非礼に当たるかとも思うんでありますが、いわば現行の施策、制度をやはりそのままに維持すべきであるというある種のコンセンサスがあった場合、これまたこの受益者も国民であれば、負担する方もまた国民でございますので、そのときはそれの財源をいかに求めるかということについては、最終的には国民の選択ということになるでございましょうが、その選択とは、いわばこういう国会の議論を通じながら、そこにその方向を模索して結論を出していくということではなかろうかというふうに考えております。
  79. 和田静夫

    ○和田静夫君 やっぱりその選択というのはきわめて国民的な関心があることですから、そこに向かって、これは選挙のオーソリティーとしての大蔵大臣、総選挙ということにやっぱりなるんでしょうね、課題でしょうね、大きな。
  80. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それはいろいろな考え方あるでございましょうが、一つは参議院の通常選挙というものがございます。これは私はある意味においては過去の実績評価ということが大きな判断の土台に置かれるべき課題ではなかろうか。総選挙ということになりますと、これまた、これは私に解散権があるわけでもございませんし、また一体選挙というものはそこに一つの争点を、そういう国民の選択肢を提示して争点を求むべきものであるのか、あるいはお互いが選挙という厳しい環境の中で体験して出てきたものが肌で感じたものを議論し合うことによって、真の選択肢というものがそこに浮かび上がって、判断の中で選択がなされるものかということになりますと、一概にどちらがと言うべきものでもないではなかろうかというような感じもしておりまして、まあいずれ来年は任期が参りますが、もちろん自己評価とともに将来の選択肢というものについては、お互いが平素の日常活動によって体得しておるもの以上に、また選挙という厳しい大衆との接触の中に、体につけたものが土台となっていろいろな議論が展開されて、その中にこの選択の合意というものが得られていくべきものではなかろうかというのも一つの考え方かなと思っておるところであります。選挙のオーソリティーというのは、ただ私は衆議院で言えば百三十選挙区、参議院で言えば四十七選挙区の地盤、かばん、看板等について詳しいというだけでありまして、いささかここの場で議論するには非論理的詳しさということでございますので、この程度で御勘弁をいただきたいと思います。
  81. 和田静夫

    ○和田静夫君 一昨日の論議で残した部分を先にやりますが、天下り問題――官庁用語で言えば民間企業への再就職ということでしょうが、最近の大蔵省の再就職、天下りを見ていますと、どうも首をかしげざるを得ないものが多いのでありまして、まず金融機関への天下りでありますが、都銀、地銀、相銀、信金、各金融機関のうち、大蔵省出身者がいる銀行は何行ありますか。
  82. 吉野良彦

    政府委員(吉野良彦君) ただいまのお尋ねにあるいは的外れのお答えになるかもしれませんが、私どもが現在手元に持っておりますデータでございますが、人事院の国家公務員法上の承認をいただきまして金融機関の役員に就職をして、現在もなおその地位にある者ということで拾い上げてみますと、たとえば昭和五十七年中にただいまのような金融機関への就職をした者が普通銀行が一名、相互銀行が一名、それから信用金庫が二十一名、合わせて二十三名という数字になっております。
  83. 和田静夫

    ○和田静夫君 その辺は答弁の技術でありまして、私の質問の趣旨とはそぐわない答弁でありますが、私の調査では、八二年四月現在で信用金庫で言えば連合会、県協を含めまして、役員になっておられる大蔵省の出身者は何と二百九十二名いらっしゃるわけであります。この約三百名の方々がすべて無能であるとか、あるいは出勤しても新聞を読んでいるだけだというようなことを私は言うつもりはありません。特に中小金融問題に深く関心を持って論議を何遍もやってきた私としては、特にそんなことを言うつもりは一つもありませんが、どうもこの状態は否定できないんですね。そしてここからいろいろなことを後ほど若干触れますが、起こっている。この辺について大臣まず一般的には何かコメントございませんか。
  84. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まあ一般論として私もちょっと真意をはかりかねますが、やっぱり役所におって専門的な知識を受けて、そしてその人たちが退職後新しい職場を得るということは、その再就職の企業にとっても、また本人にとっても好ましい状態であるような形で社会全体が受けとめてくれるような考え方を持っていなきゃならぬなという素朴な感じを持っております。
  85. 和田静夫

    ○和田静夫君 たまたま月刊現代六月号に、「銀行を悩ませる大蔵省天下り人脈のゴリ押し」という大変興味深いレポートが掲載されたんですが、これはお読みになりましたか。
  86. 吉野良彦

    政府委員(吉野良彦君) 読ましていただいております。
  87. 和田静夫

    ○和田静夫君 このレポートによりますと、大蔵官僚は育ちが悪いということになっているわけですね、育ちが悪いと。それはともかくとして、市中銀行にもめごとがあると、監督官庁である大蔵省はにらみをきかせるために天下りの官僚を送り込もうとする、そういうことなんですが、これは事実ですか。
  88. 吉野良彦

    政府委員(吉野良彦君) あるいは銀行行政に絡む問題でございますから、銀行局の方から御答弁申し上げた方が適切かとも存じますが、とりあえず私から御答弁させていただきますと、ただいまお話しのような金融機関のいわばトラブルと申しますか、内紛等がありまして、いわばその後始末を兼ね、金融機関として再建を図っていくといいます場合に、その問題の原因が内紛というようなことにあります場合には、むしろどちらかと申しますと、いわば中立的な立場に立ち、しかも金融機関あるいは金融行政につきましてのそれなりの知識あるいは経験を持った人材を金融機関サイドから、何か大蔵省サイドからお世話をいただけないかというような御要請がありますことは少なからずございます。そういう御要請がございました場合に、私どもといたしましては、その金融機関側の御要請の内容等にできるだけお沿いができますようにいろいろ検討いたしまして、金融機関側とお話し合いをいたしまして、私どものいわば関係者と申しますか、かつて大蔵省に在職をしていた者をお世話をして差し上げるということがあることは事実でございます。
  89. 和田静夫

    ○和田静夫君 官房長も銀行行政についてはこれはオーソリティーですからあれですがね、この中にある地銀の例が紹介されていまして、ある地銀が天下りを拒否したらその地銀が支店を開設しようとすると次々に妨害された。結局その地銀は天下りをのまざるを得なかった。こういう事例というのはあるんですか。
  90. 吉野良彦

    政府委員(吉野良彦君) 私もこの記事を読ましていただいておりますが、ここに書かれておりますような事実がそのまま具体的に存在をするというふうには考えておりません。
  91. 和田静夫

    ○和田静夫君 大臣、天下りの効用というのはどういうふうに考えているんですかね。
  92. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 公務員が退職後新たな職場においてその知識、経験を生かすと、それは行政の公正をゆがめない限り、本人にとってもまた受け入れ側にとっても好ましいことではなかろうかと、こういうふうに考えております。  そこで、やっぱり大蔵省ということになりますと業務の性格上金融とか予算とか経理とか、そういうことに対する専門的知識と経験を有する者がたくさんおりますので、そのような方が各方面から要請されて行くと、こういうことになっておるんじゃなかろうか。  もう一つは、やっぱりたとえばまあ古くは役所で大体四十二、三ぐらいでおおむね最高位になる。いま定年制ができましたけれども、私もいままでは大臣になりますたびに、その役所で最高年齢者でないことに対してある種の精神的ハンディを感じておりましたが、今度行ってみましたら私が一番年寄りでございます。ああ、それにしてもまだ公務員というのはまあわりに早く限界に達するなあと、こういうようなことを考えました。そういうことと、ちょうど二十五年前にいわゆる老齢人口とでも申しますか、まあそういうものが五百万人がいま千万人になって平均寿命が大体二十五年でちょうど十歳延びておりますので、そういうことを考えるとそういう年齢構成もまた、いわゆるいまの言葉をおかりすれば天下り、再就職、そういうもののある種の必要性というものもできておるんだなあと、こういう感じを持っております。いささか老境に達しましたので、そういう心境になりました。
  93. 和田静夫

    ○和田静夫君 いやいや、これから天下取りをやろうとしていらっしゃる方が、まだ老境なんていうのは当てにならぬですが、実はこのレポートで私が長らく本委員会なり大蔵委員会を通じて手がけてきました東京信金のケースが紹介されているわけです。東京信金はこれはワンマン理事長のもとで経営不振に陥って、そこに北海道財務局長を退官された齋藤精之助さんが理事長として送り込まれた。しかし、齋藤さんは積極的に経営改善策を結果的には打ち出すことができなかったのであります。  まあいろいろ事情があったであろうと思います。私はそのことを理解していないわけじゃありません。しかし、齋藤さん御自身も「浅野さんが会長を辞めた五十六年六月までの三年間はなんにもできませんでした。」こういうふうに御自分で認めていらっしゃいます。いわば軟禁状態にされていたから何もできなかった、これはまあ理解できないことはないのであります。それは外から理事長にあの当時真正面から接触をして私たちが調査をしようと思ったってできない状態でありましたから。それは非常に気の毒な状態であったということは私は実情的には知っているのです。しかし、問題はその後にあるわけであります。五十七年六月、私はクーデターと呼んでもよいと思っておったのですが、人事の紛争が起きた。あれはなぜ起きたんだろうか、その責任はだれにあるんだろうか。これは私は大蔵省の責任というのは免れないと今日思っているんです。処理の過程において大蔵側から事務的に私は説明を受けなかったとは言いません、経過はずっと報告を受けていました。しかしながら、その経過の報告にあらわれざるところの指導がやっぱりずっと進んでおって、これから指摘をする今日的な東京信金のもう末期的と言っていい――一部ではもう城南信金が吸収するのか巣鴨信金が吸収するのか、もうそうでなければ立っていかぬだろうと最近言われておりますほどにひどい状態をその後も――大蔵から敏腕な経験者を送り込んでいるけれども、やっぱり立ち行きいかぬという状態になっているというふうに思われますので、この記事が出たこの機会にもう一遍整理をしておきたい。もう五、六年以上連続的に取り上げてきた問題ですから整理をしておきたい。  齋藤さんはある雑誌のインタビューに答えて、「大蔵省が私以外の理事の退任や降格を打ち出したからです。大蔵省としては大蔵、日銀、全信連から理事を一人ずつ迎え、新しいメンバーで再建に取り組もうとしたわけです。」、これは明確に大蔵省の人事介入を認める発言であります。まあみずからが大蔵出身でありますから気軽にそういうふうに、またやめられたから述べられたのかもしれません。大蔵OBだけ残して他の役員をやめさせるという人事、こういうことが現実にあったわけでありますが、この結果どうも私は人事紛争が始まった。というのは、一面では大蔵省が天下りとの関係におけるイニシアチブで人事紛争が始まってやはり立ち直らない、立ち直らないと言ってしまうと信用不安の問題が起きますからそこまで言いませんけれども、現状としては率直に言って大変危惧される状態にある、こういうふうに見るのですが、この辺どうですか、人事との関係において。官房長の答弁がございましたが、答弁どおりにはなかなか動いていない。
  94. 岡崎洋

    政府委員(岡崎洋君) 齋藤さんが記事でいろいろ言っておられるということにつきましては、実は私も齋藤さんから笑い話でお話を聞きましたけれども、実は記者にお話ししたのとどうもニュアンスが違った形で載ってしまって大変、やや自分としても迷惑しておる、こういうようなお話がございました。  それはそれといたしまして、東京信金の一昨年、昨年の経営陣をめぐる、どういう形で新しい経営陣をこしらえれば東京信金の将来の経営が安定していくであろうかということにつきましても、行政側といたしまして、会長、理事長等、金庫側の主要な方といろいろ御相談を受けております。その御相談の過程でいろいろな案、アドバイスは私どももいたしましたし、それを否定するわけではございません。ただ、私どもが機械的に机上で自分の意思だけでこういうものがよいだろうということで押しつけるというような行政は決していたしておりませんで、そこは首脳陣の方々といろいろお話し合いをしながら最終的な形がにじみ出してくるというものでありますので、その点は御理解いただきたいと思います。
  95. 和田静夫

    ○和田静夫君 私はやっぱり、なぜ齋藤さんだけ残そうとしたのかというのは相変わらず疑問なんです。あのときも意見を述べたんですけれども、結果的にはそうならなかったんですが、彼は浅野体制の中でナンバーツーだったわけです。その経営の責任というのは他の理事よりも数段重いんです。まあどういう状態に置かれて一室に閉じ込められておって支店をめぐることもできなかったというような不満を齋藤前理事長がお持ちであろうがなかろうが、理事長で厳然としてあった。しかも大蔵省とは深い関係にあった方であったことは間違いないわけです。よって、私は他の理事よりもその経営の責任というのは非常に重かったと思う。再建のため役員の入れかえをやるのならば、私はその何もできなかった彼が一番目にやめるべきだというふうに思うのであります。  齋藤さんはこの辺のところを「敗軍の将、兵を語る」のインタビューの中でいみじくもこういうふうに言われているんです。   東京信用金庫をはじめ、信用金庫の中には経営体質が非常に古いところが多いんです。田舎の信用金庫なら、それでもまだやっていけるかもしれませんが、地方銀行や相互銀行と激しい競争を展開している都市型の信用金庫は経営を近代化しなければやっていけません。そのためには、金融の専門家の手で再建しなければダメだというのが関係機関や私の考え方なんです。いつまでも協同組合的な考え方にとらわれていたのでは再建はできません。 こう言い切っているんです。  さて、信金の運営その他を考えてみて、協同組合的考え方では経営はやっていけないという認識でよいのですかね、これ。この辺はどなたですか。
  96. 岡崎洋

    政府委員(岡崎洋君) 信用金庫はあくまでも信用金庫法に基づきまして、その法の趣旨にのっとって経営をしていただくと、これは当然でございます。ただ、信用金庫のよって立っております営業地域が経済社会構造の変化によりまして地域、地方でかなり異なってまいります。それに対して信用金庫がどうやって法律の範囲内で適応していくかということにつきましては、法の範囲内でいろいろ工夫はこらしてもらわなければならない。ただ、その組合的あるいは金庫としての基本は忘れてはならないところであるというふうに思っております。
  97. 和田静夫

    ○和田静夫君 経過を振り返りますと、五十七年三月に東京信金の齋藤理事長を除く全理事が辞表を提出した。この辞表の提出というのは、当事者の弁によれば、また報告を大蔵から聞いておった私も感覚的には、再建に首をかけてやるという意味の辞表提出、言ってみればそういう形で辞表を預けると、ここまでは私は問題はなかったんだと思うんです。ところが五月になって経営危機がマスコミにリークされた。そこですったもんだが始まるわけですね、経過をたどってみますと。五月三十一日付で、齋藤さんが理事会の議を経ずに小林、坪田、林の代表理事のいわゆる登記を抹消した。この時点で理事は二名になってしまった。以後六月十九日の総代会まで東京信金はきわめて異常な事態に置かれるわけですよ、理事が二名になったということもこれは法律違反でありますから。そうすると理事は信用金庫法を無視して二名だということが一つ。それから二つ目には、金庫の印鑑が改印をされて、その印を加藤正見なる人物が使用する。齋藤理事長代理人ということを言いながら、加藤正見さんという人物がいろいろこれを使用する。そして三番目には、正規の理事会以外で金庫の重要案件が決定されていく等々であります。銀行局はこの過程を逐一お知りになっていた。私も長年これを知ってまいりましたが、その過程で知ったことについてはまさに銀行局にいろいろと私なりの意見を申し述べてきた、こういうことであります。  ここで一般論で一つ承っておきたいのは、金庫の印を第三者に使わせるということは法的に見てどういう解釈だったんだろう。私はあの当時は、いまでも克明に覚えていますが、代理人としての弁護士というふうにあのとき理解したものですから、弁護士ならばと思ったんでありますが、今日になってくるともう人物が明らかになってきました。こういうことは一体どういうことを意味しましょう。
  98. 岡崎洋

    政府委員(岡崎洋君) 先生御指摘のとおり、当時かなり異常な事態でございまして、私ども基本的には一刻も早くそういった異常事態を乗り切って正常な形の岸に一日も早くたどりつきたいという気持ちでいろいろ事に当たっていたわけでございます。その間、異常事態の間でいま先生がお話しになられたような事柄等もあったやに報告を受けておりまして、そのこと自体決して正常であるとも思っておりませんし、そのことが現実の具体的な状態としてどうであったかというところまでは克明にはフォローしておりませんけれども、きわめて正常な形ではなかったというふうには認識しております。
  99. 和田静夫

    ○和田静夫君 昨年五月、六月の東京信金の内紛は金融機関としては著しく信用を失墜させるものであったわけであります。もともと発端はワンマン理事長の放漫経営にあった。しかし問題は、ここまでこじらせたのは一体だれだったんだろうかということをいま振り返りますと、私は昭和五十二年五月以来幾度も東京信金の経営体質を本委員会、大蔵委員会を通じて問題にしてきたわけでありますが、その都度大蔵当局に注意も喚起をしてきました。銀行局はその都度、心配ありません、きちんと指導をしていきますと、いま速記録を読んでみましても一貫してそう答弁されているんです。しかし私はそうはいきませんよと、そんな無責任なことを私は取り上げてやっているんじゃありませんよということを何遍も申し上げてきたのであります。  実際には天下りを送り込んだだけで、この人事も当人が認められているように何の役にも立たなかった結果になりました、私はそういうふうに総括をしますが、この総括、銀行局、誤ってましょうか。
  100. 岡崎洋

    政府委員(岡崎洋君) かねてより先生からそういう御指摘もございまして、私ども行政といたしましても、できるだけスムーズな形で東京信金が立ち直っていくということで力を尽くしてまいったわけでございますけれども、結果といたしましてはマスコミをにぎわすような形で首脳陣の内紛、それの処置ということは行わざるを得なかったということにつきましては、私どもの運びといたしまして、結果として万全であったかどうかという点につきましては率直に反省をいたしております。
  101. 和田静夫

    ○和田静夫君 もう一つは、この齋藤前理事長が退職金を二重にお受け取りになるという結果になっていますね。五十八年の三月で退職をされているんですが、その前に、一年前に退職金が払われている。そしてことしの六月までの給料が払われて、指摘をされると、退職金見合いのものであるということになる。どうもわからないのは、たとえば齋藤さん、月額百万円をずっと顧問になって残られてからも給料としておもらいになっているわけですが、それがどこで一体機関として決められているのかということも定かではない。経営不振の金庫から、金融の専門家と言われる方がわざわざ行きながらも、こういうような処理の仕方がされるということについても疑問です。  齋藤氏の後に理事長につかれた吉橋さんは七十八歳の高齢の方であります。大変すぐれた方でありましょう、わざわざ名古屋から大蔵省が持ってこられた方でありますから。しかし、どのように優秀な方であろうが、七十八歳の高齢、先ほど大蔵大臣、老齢の話がございましたけれども、七十八歳の高齢の方が来て一体うまくいくのだろうか、あの状態の金庫にと、素朴な疑問を抱いているんです。これはまたうまくいくといまお思いになっているでしょう、指導されておやりになったことでしょうが、そこのところは一遍答弁を承りたいのと、昨年度の東京信金の決算状況ですがね、これはどんな状態にありますか。
  102. 岡崎洋

    政府委員(岡崎洋君) 新理事長の吉橋さんにつきましては、私ども御健康の状態その他を見ましても大変かくしゃくとしておられまして、その知識、経験等も十分備えておられまして、満幅の信頼を置いてお願いをしたところでございまして、その点は先生も御理解いただけるかと思います。  なお、東京信金の決算状況につきましては、実は突然のことでございまして、手元に資料持ってまいりませんでしたので、改めて説明をさしていただきたいと思います。
  103. 和田静夫

    ○和田静夫君 何か復配の動きがあると聞いているんですがね、決算書類を見る限りとうてい復配できる状態には私はないと思います。まあ私は素人ですが。有価証券売却益によって幸うじて黒字にしているというふうに思われます。実態自体は赤字です。この辺は後から説明のときにお互い意見交換すればいいと思うんですが、不良債権の償却、これも十五億円ぐらい。非常に多額ですね。この償却の中には取り立て可能なものがあるように見られますね。私がいろいろ調べているのではそういうふうに思う。なぜ巨額な償却を急ぐのかということ、これはどうですか。
  104. 岡崎洋

    政府委員(岡崎洋君) 今期不良債権をいかほど償却するかということも、実は具体的な数字を私いま頭に持っておりませんのでお答えできませんが、少なくとも償却する以上は取り立てが不能、きわめて困難なものしか償却できないわけでございます。それは一件一件私どもが目を通して償却してよろしいという判断をしてするわけでございますので、先生御指摘のような内容の債権が含まれるということはあり得ないことだと思っております。
  105. 和田静夫

    ○和田静夫君 これは恐らく突き合わしてみれば私の言っていることがあり得るということはおわかりになると思いますが、一方で回収可能なものを償却して、他方では幹部の責任問題に発展するものは抱え込む。まあ具体例はきょうは出しませんがね。そういう処理で帳簿上は黒字にしている。不動産も次々に売却している。これはとうてい再建策とは私は言えないのではないだろうか。金庫の経営基盤を掘り崩しているにすぎない、そういうふうに思います。東京信金の再建というのは業界に私はゆだねるべきではないか。業界の責任、つまり全信連の責任において再建策を立て直すべきだということを最近つくづく考え出しているので、残念ながら大蔵省から行かれた方々による指導というのは実を結ばなかったことはもう明確であります。まだ今日も実を結びそうもない。したがって、銀行局、少なくとも再建プランを立て直して業界主導で立て直すという必要、そういうものは今日お考えになりませんか。
  106. 岡崎洋

    政府委員(岡崎洋君) 東京信金の先行き、再建につきましては、予断を持って申し上げてはいけないと思いますが、少なくとも現在の吉橋理事長がとっておられる堅実な経営方針について、私ども信頼を置いております。  なお、業界との間でございますが、信用金庫協会連合会も東京信金の再建につきましては大変協力をしておられまして、大蔵省主導型といま先生おっしゃられましたけれども、私ども綿密に業界等とも話をし、意見を聞きながら吉橋理事長にゆだねておるわけでございまして、いまの方針のもとで東京信金の再建を図っていきたいというふうに考えております。
  107. 和田静夫

    ○和田静夫君 私は、金融機関への天下りは、一般論ですが、審査部門への天下りはよいとしましても、信用金庫のような地域の中小企業と密着している金融機関の経営、これはそれ相応の専門家が必要なわけですから、大蔵省、日銀もそうでありますが、OBがその第一線に立って指揮をとるということは、一般論としては適当ではないのではないだろうかという意見を持ってはいます。  官房長お急ぎのようですから話を進めますが、東京信金についてはそういう意見を述べておいて、後ほど銀行局と少し詰めますが、信用金庫の各県協会、地区協会への天下りもこれは問題がありますね。トラブルが絶えません。  具体例を挙げておきますが、まず第一に、この文書は東京都信用金庫協会職員会が東信協会長に対して発したもので、日付は五十五年十一月です。表題は「新常務の就任にともなう協会事務局人事に関するお願いについて」ということで、このたび常務理事がやめた、その後任に部内からなった、ところがなったその部内の人事のところへ大蔵からという話になったということで、職員会全体の声が無視をされるようになった、しかし拒否した。そういうような結局、ここのところはトラブルが若干はありましたが、結果的に内部登用になったのであります。ところが、私のところに関東地区信用金庫協会職員から投書が来ていまして、もう時間がありませんから全文を読むわけにはいきませんが、  本会の常勤役職員は九名ですが、そのうち常務理事一名と筆頭職員であります事務局次長一名が大蔵省出身者であります。前回天下りのときに、財務局との話合いに押し切られた際、今回限りという約束で二名とし、一名欠員後は一名のままとすることになっていたものであります。近く事務局次長は高齢のために退職し、そのかわりに押し込むということでは、財務局が人事面での理由にならない既得権を主張する云々 こういうことになっているのでありまして、この関信協の人件費四千三百三十五万円ですが、これ役職員は九名。現在常務と事務局次長が大蔵OB。この二人の人件費が一千八百四十万円。常務が千九十四万円、事務局次長が七百四十六万。この二人だけで実は総人件費の四二・四%なんですね。そうすると、大蔵OBが関信協で生活の糧を得るために約五〇%近いものをとってしまう。こういうような状態というのはやっぱり大臣、少しは考えなければならぬことじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  108. 岡崎洋

    政府委員(岡崎洋君) いま先生御指摘のお話、具体的には私報告を受けておりませんが、どういう話を財務局サイドでしておるかを含めまして、事情はフォローしてみたいと思いますが、いずれにいたしましてもお話をする相手との間で円満な、あるいは円滑な、しかもこのお話が協会にとってもプラスになるようなお話として進めていかなければいけないということは当然でございまして、そういう点は十分心得てしていくということはお約束したいと思います。
  109. 和田静夫

    ○和田静夫君 大臣、やっぱり職員の意思が尊重されるということが、もう内部に非常に育ってきていますからね、こういうことは、いま御答弁がありましたが必要だと思いますので、御認識を願っておきたいと思うんです。まあ私の地元の北陸地区信用金庫協会からも文書が来ていまして、同様の問題が起こっているようでありまして、常務理事が退任されるわけですが、その後任に内部登用を図ろうとしたら、どうも財務局からこれ持っていけと、こういう話でまだこうやっているようです。この辺の調査、善処方も私はこの機会に求めておきたいと思うのであります。  文部大臣が何かあれのようですから、ちょっと一言先にやりますが、戸塚ヨットスクールがいろいろと問題を起こしているようです。すでに死者三名、行方不明、またどこかで死亡しているんじゃないかと危惧される者二名、そういうようなもの。まず警察と検察に伺いますが、昨年十二月十二日に死亡した小川真人君の捜査の経過と現状。
  110. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) お答えをいたします。  ただいまお尋ねの小川真人君の件でございますが、昨年の十二月十二日、愛知県の常滑市民病院から、愛知県の美浜町というところにあります戸塚ヨットスクールに入校しております神奈川県の藤沢市にお住まいの小川昌幸氏の長男で真人君十三歳ですが、この真人君が死亡したと、こういうことの連絡が愛知県の半田警察署の方にありまして、半田警察署の方ではこの病院からの届け出によりまして死体の検視を行いました。その結果、顔面、肩、腰、足等多数の外傷がありまして、これは何らかの犯罪に起因するものではないかという疑いがありました関係で、次の十三日に名古屋大学の法医学数室で司法解剖にしております。その結果、死因が外傷性のショック死ということの判断が出たものですから、当日半田警察署に捜査本部を置きまして現在捜査を行っておるというところでございます。  なお、この件に関しまして、ことしの四月になりまして両親それから関係者から告訴がなされております。  以上が状況でございます。
  111. 前田宏

    政府委員(前田宏君) ただいま警察庁の方から御答弁ございましたように、御指摘の事件につきましては現在警察当局の方で捜査が行われているところでございます。現地の検察庁といたしましても、警察と連絡をとっているというふうに聞いているわけでございますが、現に捜査中の段階でございますので、事件が送致になりますれば検察当局といたしましても適切に対処するものと、かように考えております。
  112. 和田静夫

    ○和田静夫君 今度出たこのサンデー毎日のグラビアですがね、これはもう大変ひどいものですよね、これ。文部大臣、もうごらんになったと思うんですがね。教育とか治療とかの域をもうこれは超えていますよ。私も海軍でずいぶんひどい目に遭いましたけれども、こんな状態のことはとても考えられませんね。まさにサディスティックな集団の常軌を逸した行為というふうに思いますね。急所急所ですからね、これ人間の。これは文部大臣教育観点からどうなのか、あるいは厚生省はどういうふうに治療という観点からどうなのか、簡単にちょっと見解を承りたいと思います。
  113. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いま問題の戸塚ヨットスクールというのは、これは株式会社でやっておる――いわゆる学校教育法上の学校教育機関ではないわけでございまして、同じ子供を指導するについてもそういうやり方というのはこれはもう不適切であることは私は常識じゃないかと考えております。ただ、株式会社でありますから、教育機関としてこちらが助言をするとか何とかいう立場にないものでありますから、文部省としてあるいは地方の教育委員会等でこれをどうするというわけにはなかなかまいらない、後はもうまさに刑事問題である、かように考えております。
  114. 正木馨

    政府委員(正木馨君) 私ども児童福祉法を所管しておるわけでございますが、ただいま先生からお話のありました戸塚ヨットスクールの記事等を見まして、やはり児童福祉の観点からもこれはなかなかなおざりにできない問題であるというふうに思います。やはり児童につきましては虐待とか不当な取り扱いから守り、それから心身ともに健やかに育てるというのが児童福祉法、児童憲章等をまつまでもなく当然のことだと思います。  それで、情緒障害を持った子供を治療するに当たって、やはり児童の発達段階に応じて医学的、心理学的あるいは社会学的なアプローチをして適切な育成を図っていくということが当然だろうと思います。そういう観点に立ってこの戸塚ヨットスクールの問題は、現在警察当局においていろいろ取り調べ中でございますが、児童福祉の機関としては児童相談所等があるわけでございます。親御さんとの話し合いという問題もいろいろあるかと思いますけれども、私どもとしては、児童福祉の向上という面から十分注目をしていかなければならないというふうに思っております。
  115. 和田静夫

    ○和田静夫君 僕は、もちろん大臣言われますように、管轄あれでないことはよく知っていながら、やっぱり情緒障害児がふえていることから戸塚ヨットスクールのような問題が起きてくるわけで、情緒障害児の増加というのは、私はやっぱり社会に原因を求めなければならない。その対策というのはやっぱり行政として、そういう意味対策は大変立ちおくれているんだ、そういうふうに考えざるを得ませんので、文部大臣にもお出ましを願ったというわけですがね。私はやはり行政としてもっと何か、もちろんいま警察、検察がずっと進められますから、それによって株式会社戸塚ヨットスクール問題というのは現象的には解決するかもしれませんけれども、社会教育的な側面やあるいは情緒障害児に対するところの治療の側面などというのは、行政の対応としてはもっとあってしかるべきではないだろうか、そう考えるのですが、御所見があればこの機会に承ります。
  116. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) そういう情緒的に障害のある、欠陥と申しましょうか、子供の教育問題については、御承知のように、特殊学級あるいはその状態に応じて特殊学級なりあるいは養護学校等で教育をするように努力しておるわけでございますが、まだまだこの治療法というのが、私素人でありますけれども確立されておらないのだそうでございます。いろんな研究機関でこういうものを研究してもらっておりますが、そういうものとあわせて、いまヨットスクールとかいうようなそういう極端な方法でなくて、やっぱり子供を改善しながら教育をしていく、こういうことに努力しなければならない、かように考えております。
  117. 和田静夫

    ○和田静夫君 結構です。  次に移りますが、三月の予算委員会で私は、金属事業団、住友金属鉱山菱刈金鉱にまつわる問題を指摘をしてまいりました。通産省、これから二、三回続けてこの問題の論議をやっていきたいのでありますが、昭和四十八年六月に住友の子会社である鯛生鉱業が採掘権を取得したわけです。その際に鉱床説明書、鉱害説明書、これは提出されていませんでしたね。
  118. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) そのとおりでございます。
  119. 和田静夫

    ○和田静夫君 採掘権を取得しようとする者は、「鉱床説明書を提出しなければならない。」、これは鉱業法二十二条の義務規定でありますが、そのほか関連規定があることは知っていますよ。時間がありませんから簡単でいいんですが、この二十二条というのは死文化したとお考えでしょうか。
  120. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) ただいまの御指摘でございますが、この二十二条と申します規定は、新たに採掘権を設定する場合の規定でございます。  実は、先ほど御指摘の住友金属鉱山の子会社の鯛生鉱業が取得いたしましたこの六百三十八号鉱区と申しますのは、昭和三十年五月二十四日に、実は三つの鉱業権が合併して六百三十八号というものができておると、そういうことになっておりますので、いま御指摘のようなところは必要じゃないということでございます。
  121. 和田静夫

    ○和田静夫君 法制局長官、鉱業法第六十二条、「事業着手の義務」の立法の趣旨はどういうものだろう。事業の着手というのはどういうことだろう、これが二問目。三問目は、六十二条二項の「やむを得ない事由」とは何でありましょうか。また、この「やむを得ない事由」の事実認定は、立法の趣旨からして私は行政サイドでは厳密に運用することが必要だと考えるのですが、その点はどうお考えでしょうか。
  122. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 第一の六十二条の趣旨でございますが、これはそもそも鉱業権が鉱物資源の合理的な開発という目的のために国の特許行為によって創設されたものでありますから、そういう趣旨にかんがみましてやむを得ない事由がある場合を除いては鉱業権者をして速やかに事業に着手させる、あるいは事業を継続させようとする、権利に対応して義務を課するというのが六十二条の趣旨であろうと思います。  次に、着手ということでございますが、これは個々の具体的な事実認定の場合、事実認定によることでございますから、個々の場合の具体的な事情によることであります。ただし、いま申し上げたような六十二条の趣旨に照らして合理的に判断されるべきものだと思います。  それから最後に、「やむを得ない事由」ということでございますが、これはやはり先ほど申し上げたような趣旨に従って、鉱業権者が事業に着手しないことが具体的な状況に応じて、社会通念に照らして相当と認められる場合に限られると、こういうふうに解釈すべきものだと思います。
  123. 和田静夫

    ○和田静夫君 もう一問、六十二条三項「引き続き一年以上その事業を休止しようとするときは、」「通商産業局長の認可を受けなければならない」、この休止というのは、以前に事業活動を当該鉱区において行っていたものが事業を休むととらえるべきではないかと解釈しますが、よろしいでしょうか。
  124. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 休止という言葉の当然の意味として、一たん鉱業権者が鉱物の試掘なり採掘なりその他鉱業にかかる事業活動を始めた後に一時やめて、その後一時やめてある期間休むと、そういうのを休止と言うんだと思います。
  125. 和田静夫

    ○和田静夫君 長官ありがとうございました。  そこで、この鯛生鉱業は四十八年に採掘権を取得して以来、五十五年まで四回事業着手の延期を申請して福岡通産局はこれを認可してきました。私はこの四回の事業着手の延期は、鉱業法の第六十二条の「事業着手の義務」、「鉱業権者は、鉱業権の設定又は移転の登録があった日から六箇月以内に、事業に着手しなければならない。」という義務に違反するものであると考え、予算委員会で通産省の見解をただした。その際資源エネルギー長官答弁は、鯛生鉱業は近隣に大口鉱業所を持っており、大口との一体的開発が合理的であるがゆえに菱刈鉱区の事業着手延期を認めたと主張した。質問の後で私どもに提出された資料でも第一回目、第二回目は関係書類の保存期間が過ぎて廃棄した、不明である。が、昭和五十三年七月十八日の第三回目の認可、五十五年七月三十日の第四回目の認可については、他の鉱区との一体として開発することが鉱物資源の合理的開発上適当という事由によって認めたと、こういうふうにされています。ところが、通産省、大口鉱業所は昭和五十二年九月閉山していますね。そこで、その見解を求めると同時に、私はこの閉山の事実というものがいま明らかでありますから、あなた方が虚偽の答弁をしたのか、それとも知らなかったのかどちらか。予算委員会を切り抜けるために虚偽の答弁をしたのではないだろうかという疑問をいま持っています。きょうはもう時間がなくなってきましたから引き続いてやっておきますが、一昨日あなたの方からいただきました資料は、事由として、いまだ開発に着手する段階に至らずととなっているわけです。これは一体どういうことなんですか。さきの委員会答弁、私への説明と違う。こんな写しだけではもう論議ができません。しかもあなたの方から出てきている前二回のこの資料を照合しますと、それだけでもどうも改ざんがあるような、委員会の討論との発展においてどうもつくられていくそういう資料のような感じがいたします。したがって、福岡通産局に提出されていた全書類を提出をしてください。
  126. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) まず第一点の大口鉱山の活動状況でございますけれども、先ほど先生のおっしゃいました五十二年の九月、これは閉山ではございませんで、採掘の中止でございます。私どもは鉱業に伴います事業活動、これは採掘だけではなくてその前段階の探鉱でございますとかあるいは採掘それから選鉱、製錬と、こういうふうな事業を含めまして、つまり鉱物の採掘に密接不可分の一体となって行われる事業を含めまして事業と呼んでおります。したがいまして、御指摘のように確かに九月に採掘は中止しておりますけれども、その後探鉱及び製錬活動は継続して行われた経緯がございます。
  127. 和田静夫

    ○和田静夫君 資料の点は。
  128. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) それから資料の点でございますけれども、私どもといたしましてはこれは企業秘密に関する情報が含まれております。そういうこともございますので、これをそのまま提出いたすということは問題があろうかと考えております。
  129. 和田静夫

    ○和田静夫君 もう時間がないので非常に残念ですが、全書類の提出そのままということになると秘密の問題があると言われるのならば、私どもがこうずっと設問するものについては資料として対応する、それはよろしいですか。
  130. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 御質問に従いましてお答えしてまいりたいと思います。
  131. 和田静夫

    ○和田静夫君 私の調査では、福岡通産局では五十三年の三回目では事業着手の延期を認めるのはむずかしいという通産局内の論議になったんです。おたくの中から証人を出せというんなら出したっていいんですがね、現職の方ですから余り手荒いことをするつもりはありませんがね、あなたの方がこれから対応してくれれば。  五十二年に大口鉱業所はいま言ったように休鉱――自治体の感覚で言えば税は鉱区として存在をしているから鉱区税はいただいていますが、実際問題としては閉山、これは自治体の感覚ですよ、そういうふうになっています。そこで、五十五年の四回目はいよいよこれは認可できないとなった。ところが、私は予算委員会でも指摘もしましたが、政治的な動きがあったりあるいはあなた方の本省から指導によってやむを得なく延期を認めた、これが福岡通産局の中における実情です。認めざるを得なかったということでしょう、そういう事実があった。ここのところは、私はきょうもう本当は答弁もらってあれしようと思ったんですが、調査を要求します。そして五十三年と五十五年の当時の事務次官はどなただったですか、それはいまわかりますか。
  132. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) ちょっと不正確であるといけませんので調べておきます。
  133. 和田静夫

    ○和田静夫君 以上、二つを調査をしてもらって後で答えをいただきます。  そこで、五十三年の時点で鯛生鉱業の鉱業権は私はこういう一連のずっと見るとどうも取り消されなければならなかった。鉱業法をいかに解釈しようがこれは厳然たることだろうと、そのために私は法制局長官のさっきの答弁ももらったんですがね。ここのところがどうも食い違うんです。きょう決着がつかなければ何回も論議をやりますが、そこのところをまず通産省の答弁を求めます。
  134. 川崎弘

    政府委員(川崎弘君) 私どもがこの六百三十八号の鉱区につきまして事業着手の延期の認可を与えたわけでございます。したがって、鉱業法上の手続は経ておりますので鉱業権そのものは消滅しておりません。もともと一般論といたしまして鉱業権、これは一たん設定されますと私権でございます。したがいまして、これを消滅させるあるいは取り消すということは権利を剥奪するということでございますので、運用としては慎重を期する必要がある。そういう意味で、鉱業法上でもたとえば聴聞の規定を置いておりますし、またわれわれも要するに着手義務に違反したような場合には警告を発して所定の手続をとるようにということも要求するわけでございます。そういうこともございまして、この鉱区に関して言いますと、私どもに対して事業着手あるいは事業着手の延期についての認可を要請してまいりまして、その中身に従って合理的に判断して認可を認めたということでございます。
  135. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこのところは、いわゆる鉱業法そのものについてはもう予算委員会でも我妻先生のいわゆる解説その他でかなり突っ込んだ私の見解を述べていますからいまは述べません、もう時間がなくなってきましたから。  そこで行管庁、これは私の意見ですが、四国管区でもかつて監察報告等をなされたんですが、私はどうも鉱業法の運用というものが非常にでたらめになってきているという感じがしていきます。これから幾つかの事実を挙げていきますが、後の委員会で。そこで、やっぱり菱刈金鉱の疑惑については、もちろん日を改めて全面的な展開をいたしますけれども、行管としても監察の対象として監察を強めておいてもらいたい。対応できるようにしておいてもらいたい。
  136. 中庄二

    政府委員中庄二君) ただいま問題になっております案件につきましては、すでに福岡の通産局なり通産省が調査しておりますので、それそのものずばりの話は、私どもはその対応を見ておればよろしいことかと思いますが、鉱山行政全般の特に運営問題――鉱業法の運営問題ということにつきましては、先生の後指摘もございますし、ほかに鉱山行政全般で臨調の答申等もございますので、十分御意見を参考にして監察テーマの一つの候補としての研究体制は整えておいてもよろしいかと思います。
  137. 和田静夫

    ○和田静夫君 もう二回にわたって延ばすわけにいきませんので石油公団問題、待たせましたが、LNGの開発について北極石油株式会社という会社が資本金四百四十億円で発足をした。これに石油公団が幾ら出資をされていますか。この会社の目的は何ですか。この会社はドーム・カナダ社からのLNGの供給の窓口になる会社と理解をいたしてよいですか。  それから、ドーム社との間では石油公団はすでにボーフォート海開発の名目で四億ドルを払い込んでしまっていますが、その金はドーム社の負債返済に充てられたという報道あるいはレポートなどがたくさん出ています。実際の探鉱には充てられなかったと指摘されている部分があるのですが、ここのところはいかがですか。さらに、石油公団はドーム社のボーフォート海開発プロジェクトに合計四十億ドル――一兆円の投資を予定しているといわれますが、こういう事実関係はございますか。このドーム社のボーフォート海鉱区はどの程度LNG、石油が埋蔵されているのか疑問視する声がありますし、指摘をするレポートもあります。特に文藝春秋四月号の藤原肇という署名入りのドーム社鉱区についての問題点、大変私たちにこれからいろいろと考えさせられるものを与えていますが、たとえばアルバータ州の石油関係のプロフェッショナル協会ブラウン会長は、このドーム社の「ボウフォート海の石油埋蔵量に関する数字は、プロフェショナルな職業倫理に反する」と述べているわけであります。おまけにドームは膨大な負債を抱え込んでいる。このプロジェクトが破綻をしたときに、すでに支払った四億ドルは回収できるのかどうか。ドーム社にかわって別のLNG会社が計画を肩がわりする可能性も指摘をされていますが、通産当局としてはどういう見通しをお持ちでございますか。ボーフォート海のLNG供給量についてはカナダ政府が保証をしているようでありますが、仮にドーム社鉱区から出なかった場合、それはほごになるということにはならないだろうかという疑問がありますが、いかがですか。  大蔵省、石油公団には民間金融機関からの融資がなされているようでありますが、その実態報告をしてください。
  138. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) ただいまの御指摘の順にお答えさしていただきますと、まず北極石油株式会社でございますけれども目的はただいま先生も御指摘ございましたように、カナダの北極海におきますドーム社との石油の共同開発を目的に五十六年二月に設立された会社でございまして、現在の資本金四百八十七億円のうち、石油公団から二百九十二億円、六〇%相当額を出資いたしております。  なお、いま先生の御指摘の中にLNGという御指摘ございましたけれども、具体的にはこの会社の目的は、先ほど申し上げましたカナダ北極海におきます石油の共同開発、探鉱開発の目的を持った会社でございまして、特にLNGを直接の目的といたしたものではございません。  それから、四億ドルについての点でございますけれども、御指摘のようにカナダドルで四億ドルの金額を北極石油からドーム社の方に供与いたしてございます。しかし、この四億ドルにつきましては、どのようにそのお金を使うかにつきましては、北極石油がドーム社との間で定期的に委員会を開催いたしまして探鉱計画、資金計画あるいはその事業の実績を綿密に確認をいたしまして、その上で資金使途のチェックを行って供与いたしたことにしているわけでございまして、石油公団におきましてもこの委員会にはオブザーバーとして参加をいたしまして、関係書類のチェック等によりまして探鉱費以外に充当されることのないよういたしておるところでございます。したがいまして、探鉱費以外の目的に使われたということはないというふうに存じております。  それから、開発段階につきましては、四十億ドルの支出を、供与をコミットしているのではないかということでございますけれども、先ほどのように、探鉱資金につきましては四億ドルの資金供与をすでに行っておりますけれども、開発段階の資金供与につきましては何ら北極石油――日本側は全部コミットいたしておりませんで、日本側はドーム社が開発する油田のうち三つの油田の開発に対して資金供与をすることができる選択権を有しているだけでございます。したがいまして、この探鉱の進捗に応じまして開発段階に移行する際、その段階日本側が自主的に判断をすることができるようなことに相なっているわけでございます。  それから、埋蔵量の関係でございますけれども、この北極石油が対象にいたしておりますボーフォート海というところは、カナダ連邦政府の評価によりますと、一応可採埋蔵量が三百ないし四百億バレルあるとされておりまして、これは中東の国の中でも、たとえばイラクと同じような埋蔵量に相当いたしますが、世界でも残されました数少ない有望海域でございますけれども、この中でドーム社が保有している鉱区は、このボーフォート海全体の面積で三分の一ぐらいに相当するかと存じますけれども、まあこれまでの地震探鉱の結果等によりますと、石油とかガスの賦存が有望視されております地下の構造が四十以上あるということが知られているわけでございます。そして、これまでの試掘結果によりますと、掘削を完了したところが七構造十二鉱あったわけでございますけれども、十一鉱で油とガスの産出を見ておりまして、構造的には六つの構造で存在が確認をされておるわけでございます。  ただいまこの点に関連いたしまして、カナダの専門的な協会でございますところから、ブラウニング副会長が何か非常に信用できないようなことを言ったということになっておりますけれども、御本人に確かめましたところ、そのような発言はしておらないということを書面により私どもとしては確認をいたしているわけでございますし――ブラウンという名前ではなくてブラウニングというのが正確な名前のようでございますが、その御本人から書面の回答をいただいておるわけでございます。あと、この後……
  139. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  140. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 速記を起こして。  和田君の質疑に対する答弁の途中ですが、本会議開会のため、午前の審査はこの程度とし、午後三時まで休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ─────・─────    午後三時十二分開会
  141. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を一括して議題とし、総括質疑を行います。  午前の和田君の質疑に対する答弁を求めます。松尾石油部長
  142. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 残りました点につきましては、先生の方から、探鉱の結果期待される石油資源の賦存が見られなかった場合にはどうなるかという趣旨と存じまして、その点についてお答えさしていただきます。  午前中にも申し上げましたとおり、ボーフォート海における石油埋蔵量につきましては、カナダ連邦政府の国家エネルギー委員会の評価でも三ないし四百億バレルの可採埋蔵量があるとされておりましたが、その後、現実にドーム社保有の鉱区でも、これまでの試堀の結果につきましては、午前中申し上げましたようにかなりの成果が出ているわけでございますけれども、このドーム社保有鉱区におきます石油埋蔵量の評価につきましては、このように現在すでに試掘に成功いたしました構造ごとに埋蔵量を具体的に評価するための探掘井の掘削作業を現在実施中でございます。したがいまして、今後の作業結果を待ちまして埋蔵量の評価が固まってくるわけでございますが、お尋ねにございましたように、もし所期の成果が得られなかった場合には、北極石油とドーム社との間の契約によりますと、北極石油が供与いたしました四億カナダドルにつきましては返済が行われることが契約上明確に規定されているわけでございます。
  143. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 宍倉主計局次長。
  144. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 私の方へのお尋ねは、石油公団への民間金融機関の融資の実態ということでございますが、金融機関が融資している個別の融資内容につきましては、融資先との取引の問題でございますからお答えすることはどうかというのが金融機関の方をやっております銀行局の立場でございますので、私の方から石油公団が民間金融機関から借りるという方の借り入れサイドからひとつ調べてみましたので、それでお答えさせていただきたいと存じます。  石油公団は、国家備蓄の石油の購入資金、それから民間備蓄の石油の購入融資資金等の石油備蓄関係の資金につきまして、政府保証によりまして民間金融機関から借り入れを行っておりますので、いまお話にございましたような石油探鉱投融資関係では、現在民間からの借り入れというのは行っていないわけでございます。  この民間借入金の残高は五十七年度末で約一兆五百二十億円でございます。  その金融機関別の残高は、長期信用銀行三行で二千六百八十四億円、都市銀行十三行で三千八百三十三億円、それから信託銀行七行で九百七十一億円、地方銀行が七行で十一億円、その他、農林中金でございますとか全信連等でございますが、その他で三千二十一億円というのが内訳でございます。
  145. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 きょうは天下り問題とそれからサラ金問題、時間があったら防衛庁の先日の事故の問題についてお伺いいたします。  初めに天下り問題についてでございますが、この問題はたびたび国会で問題になってまいりました。しかし、現状を見ると一向に改善しておりませんし、かえって天下りのケースが多くなっているようにも思われます。きょうは官房長官にこの天下りの実態をよく知っていただいて、その基本姿勢をお聞かせいただきたいと、こういうふうに思います。  国家公務員は、退職後二年間は、退職前五年間に在職中に職務上関係のあった民間企業に就職できない。こういう天下り規制の規定が国家公務員法百三条の二項、人事院の承認を受ければ就職できるといういわゆる例外規定、その三項にありますけれども、五十七年中に人事院が承認した件数は二百六十八件と、こういうことになっております。  最初に総裁にお聞きいたしますけれども、この天下りの数は、最近の五カ年を見ると、五十三年が百九十七件、五十四年が二百三十三件、それから五十五年が二百二十八件、五十六年が二百四十九件、五十七年がさらにふえて二百六十八件、五十三年から五十七年まで合計で千百七十五件と、こういうふうになっております。  また五十七年については、省庁別に見ると、大蔵省の五十二人、国税庁が十七人、通産省五十二人、建設省三十人、農水省二十八人の順であります。大体こういったところが省庁としては多いところになっております。  さて、この就職先はどうかというと、大蔵省は金融関係、通産省は各種製造業、郵政省はテレビ、郵便関係、どう見ても在職中の職種と密接なつながりがあると思われるところが多いわけでございますが、人事院総裁からこの公務員の天下りについて政府の基本的な考え方、どういう方針でやっているのか、この点をまずお伺いいたします。
  146. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) いわゆる天下り禁止、営利企業への就職に関する国公法の第百三条の規定の運用の問題について、特に昨年の実績等について統計的に御言及がございました。  お尋ねでございますのでお答えを申し上げますが、この百三条の規定と申しますのは、申すまでもなく職員がその職権というものを乱用あるいは悪用して関係の企業との癒着というものが生じて、それをコネにして当該企業に就職をするというような、いわば職務遂行の公正が阻害をされる、ひいては綱紀粛正ということについて大変な問題を生ずるということを防止するというたてまえを持って制定をせられた規定でございます。この点は先生も御承知のように、公務員が公務員たる地位を失ってからなおこの規制が続いていくという制度は、いわゆる秘密厳守の規定を除いてはこの規定が唯一のものでございまして、非常にそういう意味では厳しい内容のものに相なっております。憲法上の問題から言いましても、職業選択の自由とか、あるいは労働権とか、あるいは平等の権利とかいうような面との照らし合わせをやってまいりまする際には、大変厳しい規定の内容ということは間違いのないところでございます。  しかし、それにもかかわらず、やはり公共の福祉との兼ね合いから見てどうしても野方図な就職を認めるというわけにはまいらない、弊害が生じたらこれは大変なことだというような趣旨から、この規制措置が設けられたというふうに理解をいたしておるのであります。  ところで、この規定の趣旨と実際の効果、すなわち憲法上の職業選択の自由等との兼ね合いの問題で、大変いろいろ世の中からも批判を受けておりますが、われわれといたしましては、その兼ね合いのところをどういうふうに見定めて適正に運用するかということは大変大事な点でございまして、これは国会でもいろいろいままで御論議をいただき、また、世間の御批判も受けておるわけでございまして、そういう点を十分に参酌をいたしながら、法の厳正な運用ということについて配慮をいたしておるつもりでございます。今後ともこの態度はさらに強化してまいる所存には変わりはございません。  ただ、去年の場合に数が多かったのはこれは事実でございます。この点は言いわけというわけではございませんが、実はわれわれが大体想像いたしておりまするところによれば、このような現象が起きてまいりますのは、実は六十年に定年制が施行されることに相なります。そういうことで目前にそのことが時期的に明確になっておりまするたてまえから、やっぱり新陳代謝、その他人事上の配慮というものを特別にやらなければならぬという各省庁の実情というものがございます。そういう点から、多少やはり淘汰という言葉は悪いですが、新陳代謝の促進を図っておかないと、大変職場に停滞が起きるというような配慮から、そういう点の措置を早めると申しますか、それを急ぐというような配慮もございまして、こういう結果が出てきたのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  147. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いまの総裁のおっしゃった新陳代謝の配慮であるとか、それから世間の御批判を受けないように配慮をしているとか、またそのほかに憲法に保障する職業選択の自由、それから勤労の権利、また、個人にとっては生活権もかかっているわけですから、そういうことは私は重々承知でいるつもりでおります。しかし、現実に見るとこの天下り問題が、後で話しますけれども、非常に意に沿わない、だれが見ても批判を受けても差し支えないような中身になっているわけです。したがって、きょうお伺いするわけですけれども。  続いて大蔵省の方ですけれども大蔵省の五十二件の就職先を見ますと、銀行が五件、それから相互銀行が一件、信用金庫が二十四件、証券会社が六件、その他十六、こういうふうになっております。このその他の会社は倉庫業であるとか、それから商社など貿易関係が多く、主に税関関係の人が行っているようでございます。一番多いのはやはり金融関係で、民間金融機関への天下りは五十二件中三十件、こういうふうになっているわけです。  そこで、人事院の承認の理由を見ると、たとえば信用金庫の場合ですが、離職前五年間に在職した官職は「同金庫に関する事項所管しなかったこと。」と、こういうのがあるわけです。同金庫に関する事項所管しなかったということになると、極端に言えば、そのものずばりでなければ何でもいい、こういうことになるわけです。人事院は、在職中に本人が当該企業に関する事項や契約関係事項所管していなかったことを承認の理由にこういうふうに挙げているわけです。私は、この点ちょっと理解できないんですけれども。これでは逆に、いま言いましたように、当面直接的な関係のあるところへ就職するのでなければ、極端ですけれども、すべてフリーパス、こういうふうになってしまうわけです。  人事院の報告書を見ると、財務局から信用金庫へというのが天下りの一つのコースになっているように見受けられます。さらに郵政省の場合はどうなっているかというと、二十人のうち電波関係は、大体テレビかFM放送関係に就職している。テレビ三人、FM放送が三人。そのFM放送の常務取締というのもあります。郵便関係は郵便逓送会社とか郵便物輸送会社、こういうふうになっているわけです。  銀行業務に監査権を持つ大蔵省から信用金庫にとか、それから国税庁から酒造会社、それから郵政省からテレビ放送関係に天下るというのは、どう見ても、だれが見ても、在職中の職権といわゆる密接なつながりがある。この密接という、まあ国語の時間じゃありませんけれども、解釈の仕方ですけれども、明らかであるということは、私は国民の立場から本当に納得いかないわけなんです。  出身官庁が許認可権を持つ、いわゆる民間企業への再就職について、人事院としてこの二点をどう認識しておられるのか。これは見解の相違かもしれませんけれども、私から言わせれば、こんなことなら、極端かもしれませんけれども、人事院のチェック機能がなくてもいいんじゃないか、極端に言えばですよ。こういう言葉を使っていいかどうかわかりませんけれども、こういうことになると理屈をつける機関になってしまっているんじゃないか、こういうふうにも思わざるを得ないわけです。  この点について、もう少し国民が納得のできるような、先ほど総裁のおっしゃった批判を受けないような、理屈が通る、いわゆる道理にかなう、こういう制度に変えていくような何か方法はないのかどうなのか、また、そういう方法は全然検討しておられないのかどうなのか。  先ほど言いましたように、たとえば名前挙げませんけれども、「営利企業への就職の承認に関する年次報告書」、これはたくさんあります。この中で一、二、先ほど申しましたように、たとえば承認の理由の中で、関東農政局、まあ関東農政局ならば関東一円ということですけれども、その中で幾つか理由がありますけれども、「当該契約額の同社の売上高に占める比率が極めて低かったこと。」と、こういう理由が理由になっていわゆる就職をしている。しかも、ゾーンは大体同じゾーンである。  それと、大蔵省の方ですけれども、東北財務局の例ですけれども、東北財務局からある信用金庫のいわゆる常務理事になっている。それで東北財務局ですから東北六県と、それで就職先のその信用金庫というのは秋田であると。これは秋田県というのは東北ですよね。しかも、その理由に、「同金庫に関する事項所管しなかったこと。」、こういう理由になっておるわけです。だから、ちょっと申しましたけれども、同金庫そのものでなければいいと、こういうふうに解釈せざるを得ないわけです。そういったことで世間の批判は非常に厳しいわけです。一番最初に申しましたように、何回もこの問題出ているわけですから、この点について人事院総裁として何かこの制度をいい方向に、批判を浴びない、また納得のいく、道理のかなった制度に変えていくつもりはないのかどうなのか、いかがですか。
  148. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 御意見のほどは十分承って参考にさしていただきたいと思っておりますが、先刻来申し上げておりますように、この百三条の規定というのはいわゆる公共の福祉と、それから憲法上保障されている各種の権利との兼ね合いをどこに求めていくかということが最大のむずかしい問題であるわけであります。その基準をどうすべきかということで、人事院に任されておるものですから、大変いろいろ苦心をいたしまして過去の積み重ねの上にだんだん改善すべきことは改善して今日まできておるわけでございますが、その骨子だけをちょっと申し上げますと、第一には「密接な関係にある」という関係でございますが、これは主として私たちは監督権限、許認可等の強い監督権限を持っておるということ。それから、補助金の交付をやっておる等のこと。さらには契約関係、企業と官庁との契約関係、こういうことが一番重要な事柄ではないかというふうに思っております。これはその人の、職員のついておった職務との関係でございますが、もう一つは、今度は企業の場面から見まして、その企業につくポストというものが、さらに今度は関係省庁に強い影響力を及ぼす可能性があると、たとえばそこの会社でもって契約の担当官になるとか、あるいは許認可を通すというために折衝の窓口になるとか、そういうようなことは適当でございませんからして、これはやはりどういうことであってもこれはいけないという基準を立てておるわけでございます。  ただ、兼ね合いの問題でございますので、「密接な関係にある」ということで、たとえば大蔵省で言えば金融機関なり酒造の会社なり、そういうものは一切合財全部大蔵省の人はだめだというわけにも、これはまいりません。  そういうことで、おのずから事柄の軽重、重要性に応じてそれぞれの個々具体的な問題に当たってこれの取り扱いを決めておるというのが現状でございます。  ただ、その後もやはり国会でもいろいろ御指示がございます。検討についての求めもずっと出ておるところでございますし、国民の批判もあるということは重々私としても承知をいたしておるつもりでございます。したがいましてそういうことを腹に入れた上で、この基準というものは漸次事情に合うように厳正にやってきております。たとえば、具体的に申せばその会社自体では何らの関係がないということでも、親会社との関係で非常に密接な事態があるというような場合には、これについても当然規制の対象にしていくとか、あるいは去年あたりから大変問題になっておりました請負その他の関係がございますので、それらの点についても過去の実績等にらみ合わせて配慮するとか、そういうような点については考慮をして改善すべきことは改善するという態度できておるわけでございます。  ただ、根本的にこの制度自体をもっと批判のないものにしていく方途はあるかないかということにつきましては、これは大変正直なところむずかしい問題でございまして、いわば兼ね合いの問題であることと、それから世界に類例のない大変厳しい措置であるということなどを考えまして、これについて批判のない、一切起こらないようなそういう制度にすることについては大変むずかしい局面があることも事実でございます。ただ、御指摘等の点もございますので、われわれとしてはそれらの意のあるところを謙虚に受けとめまして、今度とも前向きの姿勢で検討は続けてまいる所存でございます。
  149. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 批判を受けるのは重々承知しているけれども、いろいろそれに対してこういうふうにやっているんだ、そういうふうにやっているんだということはわかりました。それはわかりました。ということで、もうこれ以上検討する余地はないのか。それともまだ余地はあると、こういうふうに考えているのか。ちょっと確認ですけれども、まだまだ検討する余地はあると、こういうふうに思っておるのかどうか。
  150. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) そういう点はいろいろなことを勘案をいたしまして検討を加えております。まだ検討の余地のないほどいまの制度の運用でよろしいんだというような思い上がったことは考えておりません。今後とも謙虚に世論その他について耳を傾けながらこの制度のあり方について検討いたします。
  151. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に官房長官にお伺いしますけれども、特殊法人への天下りについてですが、政府はこれまで特殊法人への天下りについて何回か閣議決定をして規制策を決めております。現在の規制は五十二年十二月二十三日の閣議決定、さらに五十四年十二月十八日の閣議了解、次に五十六年の十二月の閣議了解に至るまで特殊法人の天下り規制については何回かの閣議決定、了解によって行われておりますけれども、また五十四年五月にはこの当決算委員会で特殊法人等への天下りについて警告がなされております。その後五十五年四月に警告に対して内閣がとった措置として、閣議決定により適正化を図るということが報告されていることは官房長官もよく御承知だと思います。  そこで、こうした閣議決定趣旨は十分徹底し、生かされているのかどうか、官房長官としていかがでございますか。
  152. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 特殊法人の役員の人事等については、ただいま御指摘がございましたように、いろいろ批判もあり、政府としても何回かの閣議の決定あるいは閣議の了解等によって自粛といいますか、是正措置を講じてきておる次第でございます。  まあ、特殊法人というのは本来国の仕事を特殊な法人をつくってかわってやると。その趣旨は国のいいところと民間のいいところ、双方をとってそうして業務の遂行に当たろうと、こういうことでございますが、それだけにやはり国家公務員といったような長い経歴を経た人がそれぞれの役職についていくということは、これは私は一概に排除すべき筋合いのものでもないと思いますけれども、しかし十分指導監督をしませんと、とかく役人だけが第二の人生としてそれを占めてしまう。そうすると民間の特殊法人設立のいいところをとるという面がまるっきりなくなってしまうということでございますので、とかく公務員出身者がほとんどになって民間の出身者がだんだん減ってくると、これではいかぬではないかということで、やはり民間の適任者を採用していくというような方針を立てて、政府としても何回かの閣議の決定、了解等に従って、たとえば年齢は制限をする、あるいはいわゆる何と言うんですか、渡り鳥と言うんですか、こういうものも規制をすると。それから長期の在職は認めないとか、いろいろな厳しい規制をし、そして同時に役職員の民間出身者と公務員出身者との割合は大体フィフティー・フィフティーを目安にすると。同時にまた特殊法人では少し役職員の数が多過ぎるではないかといったようなことでございまするので、行政改革といったような趣旨にもかんがみまして、だんだんこの数を減らしていくと。最近五年間でたしか二割の縮減を目指して実施をしていくと。数が大体百六十人ぐらい減らすことになっていると思いますが、今日までに大体百二十名弱を整理をいたしておりますが、あと二年間期間が残っておりますから、これはもう完全に二割を縮減をしていくと。こういったことでいろいろ手は打って今日に至っていることは事実で、私はこの面については成果がだんだん上がってきておるのではないかなと、具体的な数字は、きょう事務当局が来ておりますから、お答えさして差し支えありませんけれども、成果がだんだん上がっておりはせぬかなと。ただ、民間人をできるだけ実は簡抜したいんですよ。ところが、給与の問題とかいろいろ厄介な問題がございまして、なかなか適任者を得がたいということもこれまた事実でございます。ここらもやはり政府としてはどう考えたらいいのかなという点が私は実際問題としては残っているなと。  それからもう一つは、いままでの特殊法人の役員というものは、いま申しましたように公務員の出身者であるとか民間の出身者が占めておる場合が多いんですけれども、特殊法人ももうすでに二十年、三十年という年月を経た特殊法人がございますね。これはやっぱり私は中からの役職への採用ということにもう少し力を入れなければいかぬのではないかと、かように考えておりますが、いずれにいたしましても従来からいろいろ批判のあるところでございますから、閣議の決定の線に沿って私は漸次改革をしていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  153. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 質問を繰り返すようでございますけれども、五十二年十二月の閣議決定から五十六年の十二月の閣議了解に至る一連の規制策、いまいろいろおっしゃいました。これをまあまとめてみると、民間の人材をできるだけ登用する、こういう観点から「公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめる」とか、それから特殊法人相互間のたらい回し的異動は、やむを得ないものについても一回限りにするとか、それから在職期間制限については、原則として六年、総裁等は八年。それから年齢制限については、原則は六十五歳、総裁等は七十歳と厳しく運用をする。また常勤役員の定数は、五十八年三月までに省庁ごとに役員総数の少なくとも一割縮減、そして各特殊法人の実態に応じて五十九年までの間に常勤役員総数のおおむね二割と、いまおっしゃったとおりです。しかし、天下りについてこうした規制は実際には進んでいるというふうにいまのお話でございますけれども、果たしてどうなのかということですけれども、そこでこの全特殊法人の常勤役員は、「国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめる」ことが五十四年十二月の閣議了解にうたってあるけれども、役員の中で公務員の天下りはどのくらいになっているのか。それから五十七年一月には五五・七%ということであるけれども、最近はどうなっているのか、これが一つ。  それからまた、直接の就任者に準ずる者というのは、特殊法人に行ってから何年くらいをいわゆる準ずる者としているのか、これが二点目。この二点をお伺いしたいと思います。
  154. 中村徹

    説明員(中村徹君) ただいま御質問がございましたまず準ずる者でございますけれども、先ほどお話にございましたように「国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者」ということで、国家公務員からの直接の就任者に準ずる者ということでございまして、国家公務員をやめてからどの程度たったら、たとえば国家公務員をやめてから民間企業に行ってどのくらいたったら国家公務員からの直接の就任者と言えないかという点が問題になるかと思います。そこで五十四年の閣議了解の後で、五十五年になりましてその取り扱いを定めたわけでございますが、それは十年ということにいたしております。国家公務員をやめてから十年たった者をこれに準ずる者とは言えないと、こういうふうにしたわけでございます。ただし、先生御指摘のように当該特殊法人に入りまして職員として五年働いた結果、役員に昇進したというような者については五年で準ずる者とは言えないであろうと、こういう考え方をとっているわけでございます。そういう準ずる者を含めまして五十八年の四月一日で全体の割合は五五・三%になっております。五十七年の一月一日では五五・七%であったわけでございますけれども、実質的にはこの間に国家公務員出身者の数は非常に減っております。二十八名減っております。ただ、この減っているものが実は先ほど来お話がございました削減に当たっているために、割合としては五五・七%から五五・三%というふうに割合としては余り下がっていないということでございます。
  155. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、在職期間でございますけれども、役員の長期留任を避けるため、先ほど言ったように原則として六年、これを限度とする、総裁や副総裁などは特別の事情がある場合は八年を限度とすると、こういうふうに閣議決定ではなっておりますけれども、この在職期限の制限に違反している者は現在いないかどうか。
  156. 中村徹

    説明員(中村徹君) これは二十八名。全部で約七百名おるわけでございますけれど、そのうち二十八名ということで、四%ございます。
  157. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 四%違反しているの。
  158. 中村徹

    説明員(中村徹君) 四%の人が長期留任をしておるということでございます。
  159. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私の聞いているのは、要するに制限をオーバーして現在まだその職にある人は数字から言えば違反しているわけです。その人がいるのかどうなのかと聞いているんです。
  160. 中村徹

    説明員(中村徹君) 二十八名おるわけでございます。
  161. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 たとえば、二十八名とおっしゃいましたけれども、そういうふうにいわゆる八年の限度を超して九年であるとか九年二カ月だとか、こういう人が何名かいるわけです。その閣議決定である特別の事情がある場合の八年の限度をさらに超えているというのは、何か事情があって超えているんじゃないかと思うんですけれども、その事情はそちらで全部おわかりになりますか。
  162. 中村徹

    説明員(中村徹君) ただいまこの場でもってと言われますと、わからない人ももちろんいるわけでございますけれども、私どもといたしましては一人一人についてきっちり把握しているつもりでございます。
  163. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 その二十数名ですから、こういう事情だということを後で資料として出していただけますか。
  164. 中村徹

    説明員(中村徹君) 資料としてというのは個人個人の問題でございますのでいかがかと思いますけれども、個別に御説明をさせていただきたいと思います。
  165. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 この政労協の出している天下り白書ですけれども、これで見ると、年限はもちろん超していると、だけれども、理由が全然わからないと、こういうのがあるわけです、何件か。恐らくそれぞれの理由はあると思いますけれども、それが納得できない限り、この規定は何で六年と決めたのか、何で八年と決めたのか、われわれにはわからないわけです。だからそれを出してもらえないかと。もし二十八名全部だめならば、重立った人のこういう理由でいま現在延びているんだと、もちろん行革の問題もあったでしょうし、それなりに経験者であり、知識を持っている人ですから、事情によっては私はそうであってしかるべきだというところもあると思いますので、その点について御報告いただけますか。
  166. 中村徹

    説明員(中村徹君) 個別に先生に御報告をさせていただきたいと思いますが、概して申しますと、たとえば日本航空の社長のように、ある会社にいらっしゃいまして、その会社の取締役になり、常務取締役になり、専務取締役になり、副社長になり、社長になるというような、ずっと上がってこられるというような方が相当数ございます。そういう方が非常に長くおられるというケースが多いと申し上げられます。
  167. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 じゃ、後で報告いただけますね。
  168. 中村徹

    説明員(中村徹君) はい。
  169. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 次に、役員定数の縮減計画でありますけれども、これも先ほど官房長官からお話があったようなことで進んでいるわけですが、常勤役員をことし、五十八年三月までに各省庁ごとに少なくとも一割減とし、これは五十五年四月以降、任期満了の際に後任の補充をしない方法で三年間を目途に実施し、さらに五十九年度中におおむね二割を削減する、こういうことでありますけれども、これは五十法人について見たものであるけれども、五十六年十月には削減率二%であったのが同じ法人で五十七年十月には七・三%までなっており、大分進んでいるようでありますけれども、五十八年、ことしの三月までに一割削減は達成できるのかどうなのか、さらに五十九年度中に、これも先ほどお話があったように二割の削減、この達成見込みはあるのかどうなのか、この点いかがですか。
  170. 中村徹

    説明員(中村徹君) ただいまお話しのございました縮減につきましては、昭和五十六年八月二十五日、臨調の基本答申を受けました閣議決定によりまして、昭和五十九年度までの間に常勤役員総数の二割を縮減するということでございますが、その二割を縮減するというのは、その前に書いてございまして、現行の縮減計画をさらに強めて、こういうことでございまして、したがって先生のおっしゃいました一割の縮減計画というのを強めて二割にする、こういうことでございます。  そこで、私どもとしては、五十九年度末を目途に五十五年度からの五カ年で二割を縮減するという計画をただいま計画して進めておるわけでございますが、そういたしますと、トータルは、総縮減の予定数は約百六十でございます。その約百六十に対しまして、五十七年度末までで百十六の縮減を行っておりますので、約七割の縮減がすでに達成いたしております。  したがいまして、残りの二年間におきまして目標を達成すべく、達成できると思いますし、達成すべく努力をしておるところでございます。
  171. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 この縮減計画で私どうしてもわからないのが一つあるんですけれども各省ごとに縮減することになっているわけです。それで、複数の主管省庁を持つ法人で役員を一名減らす、それぞれの省庁で一名減と数えている。たとえば地域振興整備公団で三名減らしたときに、主管官庁である建設省で三名減、これはわかります。通産省でも三名減、それから総理府でも三名減、三名しか減らしていないのに九名減っているということになっているわけです。実際には、いま言ったように、三人の減が各省庁ごとになると九名の減、これはどういうことなのか、私さっぱりわからないです。  もう一つ、それからいわゆる特殊法人を多く持つ省庁ではいま言ったように実態と離れた、見せかけの縮減、言うならばそういうふうに私はなるんじゃないか、先ほど平均年齢が七十何歳にもなったとか後輩に道を譲るとか、こういうお話もちょっとございましたけれども、それではなくて、逆にこういうことをやるということは、裏を返せば天下りを助長している、ポストを確保している、こういうふうにも私思えるんですけれども、これはどうなんですか。
  172. 中村徹

    説明員(中村徹君) ただいまの先生の御指摘、実は私どももちょっとわからないわけでございますが、私どもが削減についてやっております場合、主管省庁が複数になるということはございません。一つの法人につきまして主管省庁は一つである、こういうふうに取り扱っておりますので、複数の省庁が共管するということは私どもとしては全く考えられないというふうに考えられます。したがって、ダブルカウントというようなことは決して起こらないというふうに考えております。
  173. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私、先ほどこれをお見せした、ここで言っているわけなんで、そうすると、これが間違いだ、こういうことになりますか。
  174. 中村徹

    説明員(中村徹君) ただいま先生のお話ございました共管する法人というのは決してありません。
  175. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それじゃ、また後でよく調べてみます。  もう一つ、縮減の関連の問題ですけれども、縮減された二十六ポストのうち、会長が一、それから理事が十三、監事が十二と、普通、監事の数は理事の数より少ないから、役員の縮減はまず監事を中心に行った、こういうことになると思うんですけれども、この考え方ですけれども、いままでもいろいろ決算委員会で問題になりましたけれども、特殊法人のずさんな経理、たとえば最近のKDDの問題、これは乱脈経理、こういうことで問題になったわけですけれども、監事というのは経理関係を主に担当というんですか、見る、いわゆる監理、経理、こういう方面のいわゆる監事であるわけです。  理事というのも、それぞれ営業担当であるとか、理事はありますけれども、常識から考えて、理事は多いんだし監事は少ないんだし、そうすると、縮減の場合に理事を多く監事を少なく、と同時に、いま申しましたように、経理の問題は特に大切な問題であるからそちらの方は残すべきではないか、比例配分からしたら理事の方をすべきである、こういうふうに思うんですけれども、この点の考え方はどうなんですか。
  176. 中村徹

    説明員(中村徹君) 監事の縮減をしている例は確かにございまして、私ども、百二十のうち約三分の一程度が監事を縮減したという報告を受けているわけでございますけれども、常勤役員の縮減に当たりまして、具体的にどの役員を縮減するかということは、それぞれ縮減をする法人の業務の実態がございますので、その各法人において縮減の結果、業務の適正な運営に支障のないような形で縮減をするということでございますので、これはやはり各法人において決定すべきものと考えておりまして、具体的な縮減の方法まで私どもがこうせい、ああせいというようなことはできないであろうというふうに考えております。  ただ、先生御指摘のように、監事を縮減することによって経理の適正の確保ができないというようなことはこれは困るわけでございますので、縮減計画が提出された場合に、その辺のところは十分適正に行われるように、行われるかどうかは確認をいたしておりますので、心配はないものと考えております。
  177. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 官房長官、お忙しいところ済みません。じゃ最後に、官房長官にもう一点お伺いします。  以上、いままで何点か見てくると、これまで政府が数回にわたって行った閣議決定によるいわゆる天下りの規制は、私から見れば守られていない、例外のまた例外もある、こういうふうに思わざるを得ないわけです。  閣議決定といえば、その重みは大きいはずです。こういうことになってくると、何のための閣議決定か、こういうふうに思うんですけれども、この閣議決定という、この点について、先ほどもお聞きしましたけれども、もう一度この閣議決定の重さというものを考えあわして、官房長官から、実効は上がっていると確信するのか、またこれから閣議決定されたものについてはシビアに検討していく、こういうふうにお考えなのか、その点をお伺いいたします。
  178. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) きょうの御質疑は、役人の第二の人生、これをどう考えるか、こういう問題だと私は理解をしております。  役人の第二の人生については、これは政府としてはやはり重大な関心を持たざるを得ない。  そこで、一般の民間企業に行く場合には、先ほど来藤井総裁からお答えになりましたように、なかなかこれは非常にデリケートな問題がございます。憲法上の問題との絡み合いで本当にむずかしい問題だと思いますが、これは政府としてはやはり在職中のこの職権というものと民間企業との癒着、これがあっては相ならぬわけでございまするので、人事院が適切に今日まで私は処理をしていただいておると思いますけれども、さればといって人事院任せで政府はそれでいいんだという筋合いのものでもございません。やはり厳しい批判があることを踏まえて、政府としても十分人事管理の上で将来とも注意をしていかなければなるまいと、こう思います。  それから特殊法人についてはいまいろいろ御質疑がございましたが、これは私は先生方の御想像以上に政府は厳しい指導と監督をいたしておるつもりでございます。  先ほど来、長期在職者がどうかとか、あるいは年齢制限を超しておる者はどうだとかといったような御質疑がございましたが、実は私自身つい一、二カ月前でございましたが、詳しく説明を聴取いたしましたが、まず私はこの程度の理由であるならばこれはやむを得ないなあというようなものばかりであったように思いますが、後日参事官の方から先生のところへ説明に上がると思いますから、よくお聞き取りをいただきたいと思います。しかし、私はこれもまた政府としては目を離すわけにはいかない問題だと思います。それだけにこの閣議決定とかあるいは閣議了解というものは、これは閣議は行政権の主体でございまして、やはりまあ必要的付議事項は当然のこととして、任意的な付議事項といえどもこれは国の施策の重要なことを閣議で決定をしておるわけでございますから、それだけに政府としては責任を持って決めたことは実行をするように最大限の努力をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  179. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 官房長官結構です。  それで関連しますけれども、もう一点だけお伺いします。  一部の高級官僚、高級公務員ですか、五十歳ぐらいになるといわゆる肩たたきというんですか、将来の道――官房長官に言わせれば再就職の道と、こういうことでございますけれども、午前中に大蔵省から民間金融機関への天下りについて和田委員からお話があって、ここにおられる大蔵大臣から天下りの効用についてはいわゆる知識を持っている人、経験を十分に積んだ人、したがって本人としても受け入れ側としてもこれはプラスになると、また平均年齢が高くなったので再就職は必要であると、これもその理由は一つ成り立つわけですけれども、いまのこの天下りの現在の状況から私見ますと、これが逆になっているんじゃないかなと、高級官僚に関しては、高級公務員についてはそういうふうに私思うわけです。六十まで定年があるんですから、私は六十まで働けばいいと、こういうふうに思うんですけれども、五十になるともうそろそろおやめになりませんかと、こちらどうですか、そちらどうですかと、こういうことになると、その人がやめればもう当然その下の人が昇格するわけですから、それはいわゆる仕事の活性化、若い者の登用と、こういうことになると思いますけれども、それが原因で結局先ほど和田委員の話にあったトラブルが起きたり、またいろいろな問題が起きている。  ということになると、結論としては天下りを助長しているんじゃないかと、五十歳ぐらいでやめるということは、こういうふうにも思うんです。したがって、これはもう抜本的に考えていただいて、ただこれだけの問題ではなくて、政府としてどういうふうにしたら国民から批判も受けないしまた再就職のために適宜にそれができるかということを私は検討をすべきじゃないかと、こういうふうに思うんですけれども、こういう考え方はいかがでございますか。
  180. 藤井良二

    政府委員藤井良二君) 先生御指摘のように昭和六十年三月三十一日から、原則六十歳の定年制が施行されることになっております。しかしながら、組織の態率的運営のためには管理職の新陳代謝が不可欠でございますので、その一つの方法といたしまして、各省庁組織や年齢構成の実態に応じてしかるべき時期にその職を退くという慣行が残ることもやむを得ないと考えております。しかしながら、実際問題としてはかなりこういうような方々の在職期間というのは延びております。  たとえば例をとってみますと、いまから十年ぐらい前ですね、このころは大体次官になるのが五十二、三歳だったわけでございますけれども、現在ではこれが大体五十五、六歳ぐらいになっているんじゃないかと思います。したがって、その辺三、四年ぐらいは延びてきているわけでございます。今後この傾向がどうなっていくかというのはよくわかりませんけれども、いま先生の言われたような、次第に退職年齢が上がってくるということは考えられるんじゃないかと思います。私どもといたしましても長期人事計画の一環として、いま先生が御指摘になったような点については検討してまいりたいと思っております。
  181. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは次に移ります。  サラ金問題ですけれども、サラ金の悲劇のすさまじさというのは、これは新聞等で報道されているように大変な社会問題になっているわけです。きのうの夕刊ですけれども、香典まで取り立てるなんていう、こういうところまで出てきているわけです。  そこで、初めに警察庁が五月二日に発表したサラ金に絡む事件ですね、この分析調査について御報告をいただきたいと思います。
  182. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) お答えをいたします。  この表でございますが、これはことしの一月一日から四月十五日までに都道府県警察から警察庁に報告のありました凶悪事件などでございますが、その中からサラ金からの借金、これが犯罪の原因、動機となったものをとりあえず拾い出してみた、こういうものでございまます。合計四十五件でございますが、なおこれ以外にも私どもの方に報告のない事件の中にもサラ金からの借金、これが原因、動機になっておるというものも相当数あろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。  この四十五件を原因別に見てまいりますと、まず返済資金欲しさに犯したという強盗殺人、これが八件、それから強盗が二十一件、次にサラ金の借金をめぐるトラブルによりまして起きました殺人が二件、次にサラ金苦によりましてやけになって放火をしたと、こういうのが放火殺人を含めて五件、それから心中事件、これが九件でございます。
  183. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 金澤局長は数はまだほかにもたくさんあると、こういうふうに言われましたけれども、私もそういうふうに思うんですが、たとえばこれだけの数字から見て、この分析結果、この点についてどういうふうに警察庁としては認識されているのか、どういうふうに思われていますか。
  184. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) ただいま申しました四十五件について申しますと、この借金をするに至りました動機でございますが、これを調べてみますと、大部分がギャンブルでございますが、この遊興費のために借金をしたというのが二十二件、それから生活苦のために借金したというのが十二件、それから借金返済のための借金が三件、事業資金のため一件、その他七件ということでございまして、いま申しましたように、遊興費に充てるといったものが大体大半を占めておるわけです。その辺のところに一つこれは問題があろうかと思いますけれども、警察庁といたしましては、こういった状況でございますので、関係機関との連携といいますか、特に私どもの方としましては高金利事犯、それから借金の取り立てに絡む不法事案、こういったものを中心として今後法律の適正な執行ということに努めてまいりたいということでございます。
  185. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ちょっとつけ加えますけれども、これは氷山の一角にすぎないと私は思うんですけれども、これから警察庁としてこの点について、いまサラ金の問題がそれこそ大社会問題になっているわけですから、実態を掌握すべきだと私は考えますけれども、この点はいかがですか。
  186. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) ただいまもお答えしましたように、四十五件というのは警察庁に報告があった事件から拾ったものでございますし、これ以外にも相当数あるのではないかということを申し上げました。したがいまして、これからある一定の時期を限りまして、果たしてサラ金が原因となったいろいろな事案がどの程度あるか、これについて実態把握を現在やるべく検討中でございます。
  187. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 結構です。  次は大蔵省にお聞きします。  このサラ金の過剰貸し付けの規制についてですけれども、今回成立した貸金業の規制等に関する法律には、過剰貸し付けの禁止及び過剰貸し付けの防止が定められておりますが、これに反した場合、業務の停止や登録の取り消し、罰則の対象もないわけです。大蔵省はこの過剰貸し付けについて今後どういうふうに指導していかれる方針なのか、この点をまずお伺いいたします。
  188. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 御指摘のとおり今度の法律の中では、十三条に「貸金業者は、資金需要者である顧客又は保証人となろうとする者の資力又は信用、借入れの状況、返済計画等について調査し、その者の返済能力を超えると認められる貸付けの契約を締結してはならない。」という一般原則がうたわれておるわけでございますが、まだ私どもといたしましては、この一般原則に基づきましてこれから政省令、通達をお出しするわけでございますけれども、その中で何かもう少し具体的なことを書き込むというふうなことで、まず工夫をこらしてみたいと思っております。  それから法律第三十条には過剰貸し付けの防止の具体策といたしまして、いわゆる協会でございますが、協会の方で信用情報に関する機関、こういうものを設けまして、あるいは他の信用情報機関を指定しまして「会員にこれらの機関を利用させること等の方法により、資金需要者等の返済能力を超えると認められる貸付けの契約を締結しないよう指導しなければならない。」と、こう書いてあるわけでございまして、私どもといたしましてはこの規定はまさに有効な規定だと思うわけでございまして、協会に対する指導を通じまして過剰貸し付けのできるだけないように努力してまいりたいと、こう思っております。
  189. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 サラ金の悲劇ですけれども、心中があったり殺人があったり強盗があったり、こういうことですけれども、このサラ金で個人がこういう悲劇、問題が起きている原因というのは、その一つに私は、いわゆる相互銀行、保険会社等がサラ金業者に過剰融資をしているのもこれは一つの原因じゃないかなと、こういうふうに思うわけでございます。サラ金業者というのは、サラ金業者ですから貸すのが商売だからそこに無理も出てくる。無理するということは過剰貸し付けにつながると新聞なんかにも出ているけれども、一方で借りられないから他方へ行ったらば、それじゃそちらを清算してうちでお貸ししますよと、こういうふうなところもありますし、サラ金の広告にも、件数、借り過ぎでお困りの方、低利でまとめますと、こういうのもありますし、他店で借りたのを清算してうちでまとめて借りなさいと、こういうのもあるわけです。そうなると私は借りる側にも一端の責任はないでもないと、こういうふうにも思いますけれども、私としてはこういうふうに考えるんですけれども、この過剰貸し付けの原因というのは大蔵省の方としてはどういうふうに分析また認識されておりますか。
  190. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 御指摘のように、原資があるから過剰貸し付けが行われるのではないかという御意見があることは、私よく承知いたしておりますが、基本的に過剰貸し付けが起こる理由といたしまして、私どもといたしましては、まずやはり罰則金利の水準が非常に高うございます。現在まだ一〇九でございますが、そういうふうに高うございますので、高い金利で貸せばもうけが出るということで、安易な貸し付けに走りがちになるのではないか。それから同時にまた、その高い金利で貸し付けているものでございますから、多少の貸し倒れが生じても採算がとれるのではないかというふうな問題。それから強硬な取り立てでございますが、これによりまして回収が図れれば、貸し付け額をふやしておけばまた収益が上がるというふうな、そういうふうなもろもろの原因によって起きているのではないかと、こう思っております。
  191. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 これは新聞にも出ておりますけれども、サラ金に対する銀行、保険会社等からのいわゆる過剰融資、これでございますけれども、金融機関からサラ金への融資額が五十七年九月現在で二千四十二億円、これを大蔵省は上回ることを明らかにしております。これは五十五年三月末には四百六億円だったのが、二年半で約五倍になっている、急増しているわけです。その内訳というのは、銀行が貸しているのが一千八百四十二億円、信用金庫が百十八億円ですか、保険会社が八十二億円と、こういうふうになっているわけです。  この件で五十三年大蔵省銀行局長通達が出されておるにもかかわらず、依然としていま言ったように、倍々増ですかがなされているということは、いわゆる監督官庁の責任問題じゃないかなと、こういうふうに私は思うんですけれども、それが通達が守られていないというならば、何かそれに対して次の手を打つべきではないか、何かやったのかどうなのか。  また、このいま言いましたように、そういう過剰融資の推移がいま言ったような数字に出ているわけですけれども、この融資額の推移はどうなっているのか、五十三年度以降ですね、その点をまずお伺いいたします。
  192. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 二千四十二億円が去年の九月は事実でございまして、五十五年三月からの数字がございますが、五十五年三月は四百六億円、五十六年三月が四百九十五億円、五十七年三月が千二百三十九億円で、五十七年九月が二千四十二億円でございます。したがいまして御指摘のとおりこの一年間ぐらいで非常に急膨張しているということかと思います。  このサラ金業者への金融機関の融資につきましては、五年ほど前にも大変大きな社会問題になりまして、私どもといたしましては社会的な批判を受けるような賃金業者への融資につきましては、慎重に対処すべきだということを通達いたしまして、この三、四年まあまあその自粛が守られてきたというふうに自負しておったわけでございますが、このところ急にふえておるということでございます。その背景といたしましては、最近特に資金需要が非常に緩和しておりまして、金融機関の資金の運用難といいますか、それに困るような一部の金融機関が出ているようでございまして、それらの金融機関が安易に需要があるからというだけで貸し込んだというふうな情勢が見られるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、しかしこのところ大変な問題を起こしておるわけでございまして、私どもといたしましても貸金業法が成立いたしましたので、早速に特に金融機関に対します実態調査に取りかかるべくいま準備いたしておりまして、その実態調査の結果が出ますれば、それを踏まえましてサラ金業者への融資につきまして、口頭ではなくて文書による通達を出したらどうかということで、いま検討中でございます。
  193. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 まだたくさんあるんですけれども、このサラ金に関して最後に、二千四十二億円という内訳ですけれども、先ほど言ったように、銀行が一千八百四十二億円、信用金庫が百十八億円と、こういうふうに数字が出ていますけれども、どこの銀行が幾らで、それが合計して一千八百四十二億円となったのか、この辺はおわかりになりますか、細かい数字は。
  194. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 個別の問題でございますので、本席でお答え申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、業態別の数字は若干お答えできるんではないかと思います。  いまの銀行の千八百四十二億円の内訳でございますが、都市銀行が六十九億円でございます。それから、信託銀行が百四十七億円、長期信用銀行が二億円、地方銀行が百七十億円、相互銀行が千四百五十三億円でございまして、銀行の内訳といたしましては、相互銀行のウエートが大変高いという特色がございます。
  195. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 業態別はわかっているんですけれども、そうではなくて、個々の銀行別にわからないかと、こういうことですけれども、一つ一つお聞きするわけにはいかないんで、これは資料として出していただけますでしょうか。
  196. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) この点につきましては、個別の機関のことでございますので、資料としてお出しすることは差し控えさしていただきたいと思います。個別の御説明ならば、また実態調査の上で参上できるかと思います。
  197. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 なぜできないんですか。
  198. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 私企業に関する数字のことでございまして、一般的に公表された数字以外、私どもとしては公の場で御説明することはできないのでございます。
  199. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは説明に来ていただけますか。
  200. 宮本保孝

    政府委員(宮本保孝君) 差し支えのない範囲で御説明に上がります。
  201. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは、時間がもうなくなってしまって、防衛庁長官、大変申しわけございません。  先日起きました防衛庁のいわゆる事故でございますけれども、四月十九日の鳥羽沖におけるC1二機の墜落事故、それから岩国基地の四月二十六日のPS1の墜落事故の原因でございますけれども、この原因について防衛庁から御報告いただきたいんです。
  202. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先般のC1の事故及びPS1の事故につきましては、現在、鋭意調査中でございまして、現在のところ、まだこういう原因であるということを申し上げる段階にございません。
  203. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、現時点では結論は出てないと、こういうことになるわけですね。
  204. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) おっしゃるとおりでございます。
  205. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 そうすると、事故調査委員会で恐らく原因を調査しているんじゃないかと思うんですけれども、私、疑問に思うのは、低空飛行訓練が結論が出る前にもうすでに始まっている。新聞等で見るとC1が五月四日から始まっている、それからPS1がきょうからという新聞を私見ましたけれども、原因究明の結果を十分検討しない前から再開されるということは、私非常に疑問に思うわけですけれども、ある程度検討して、これは操縦ミスであったのか、どうだったのかということをわきまえて、それから低空飛行訓練の再開というならばまだこれ話わかりますけれども、それも十分検討して結論が出る前に再開されていると、そんなにいわゆる低空飛行訓練が必要なのか、必要性がそんなに高いのか、やらなきゃならないのか、その辺、私よくわからないんですけれども、その点はいかがなんですか。
  206. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほど御説明申し上げましたように、まだ事故原因は完全に究明されておらないわけでございまずが、事故発生後直ちに同一機種につきまして機体、エンジン等につきましては総点検を終わりました。そういった結果、事故機以外のものについては機材についてはいまのところ何らふぐあいの点はなかったということであります。  なお、訓練の再開の件でございますが、余り長時間にわたりまして訓練をいたしておりませんと、パイロット等の技量が急激に落ちてしまうということもございまして、逐次機体の点検を終わったものから改めて基礎訓練から再開を始めてきたということであります。
  207. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 人命尊重の点からも、国有財産確保という点からも考えますと、訓練には万全を期すべきことは当然ではないかと、こういうふうに思いますし、また訓練飛行が常に危険を伴うことは承知をしております。その低空飛行にも限度があるということも私は承知しております。低空飛行におけるいわゆる訓練計画、飛行計画、この概要はどういうふうになっておりますか。
  208. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 低高度の航法訓練について訓練計画がどうなっているかということでございますが、低高度訓練にもいろんな種類がございまして、まず先般の事故と関連した訓練について申し上げますと、C1につきましては、御案内のようにC1輸送機というのは有事におきまして作戦輸送の任務につくということでございますから、当然のことながら戦闘が行われている地域に対する空中輸送をするということでありますので、通常の民間輸送機のように高高度を飛ぶということでは敵に発見をされる機会が非常に多うございますので、できればできるだけ低い高度を飛んでレーダーなり目視を避けて発見されないような行動をとるということでありまして、通常そういった低高度の移動訓練というものはかなり基本的な訓練として行われておるわけでございます。  なお、もう一方の対潜哨戒機、対潜飛行艇PS1につきましては、御案内のようにPS1というのはソーナーで敵の潜水艦を探知するために水上に着水をしなくちゃいけない。そういうために洋上の荒れた海の中で安全に着水するために非常に正確な飛行を要求される。低空におりてかつ着水をするということで非常に厳密な着水のための低高度飛行を要求される、あるいはまた潜水艦を発見した後の魚雷攻撃その他のためにも低高度の、しかもピンポイントに対する飛行を要求されるということで、かなりの頻度で低高度における各種の訓練が必要になっておるということでございます。
  209. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 このたびの事故で死亡した隊員や負傷した隊員の補償はどうなっているのか、これが一つと、それから家族から損害賠償について訴訟が起きる場合は遺族や家族が納得できる補償額を提示すべきだと、こういうふうに思いますけれども、この二点についてお伺いいたします。
  210. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 御質問の前段をまずお答え申し上げます。  防衛庁職員の公務上の災害に対する補償などにつきましては、防衛庁職員給与法第二十七条第一項の規定に基づく国家公務員災害補償法、これを準用しております。そして、一般職の国家公務員と同様の補償等を行うわけでございます。今回の事故に関します御遺族に支給されるこれらの補償などのうちから年金にかかりますものにつきましては、ことしの六月以降に支給されることになっております。また、一時金にかかるものにつきましては、請求手続が完了した者から逐次支給されるという現状にございます。
  211. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 御質問の第二点の損害賠償の問題でございますが、これはいわゆる国の不法行為責任の分野の問題でございまして、この災害補償とまた別の問題であることは御承知のとおりだと思います。それで、その点は国家賠償法という仕組みがあるわけでございまして、その国家賠償法上の判断をするということになるわけでございます。したがいまして、殉職隊員の家族の方から損害賠償の請求があった場合、これは本件事故調査の結果を踏まえまして、国の責任の有無を十分検討いたしまして、責任が明らかに国にありますときは国家賠償法により損害賠償を実施するということになるわけでございます。
  212. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それでは最後に長官にお聞きしますけれども、四月二十七日に長官は記者会見で、強い自衛隊、精鋭な自衛隊をつくるために、訓練として低高度飛行訓練は必要だと、こういうことで長官通達を出されたわけです。通達内容というのは、航空機の安全点検とかそれから隊員の安全意識の高揚とか教育訓練の実施要綱の総点検、こういうふうになっているわけですけれども、低高度飛行中での事故を考えると訓練計画に問題があったんではないかと、こういう点はどういうふうに考えておられるのか、これが一つ。それから、今回の事故について、これを教訓に何を反省し、またどうされるのか、防衛庁長官の意のあるところを教えていただきたい。
  213. 谷川和穗

    国務大臣(谷川和穗君) 訓練のあり方につきましては、それぞれの実施部隊の長に分掌しておるわけでございますが、私はそういう訓練の内容とは別個に、今回航空事故が連続をして発生したことにかんがみまして、四月二十七日に航空事故防止に関する長官指示を発出をいたしたわけでございます。そして、ただいま先生の御指摘もございましたが、特に三点について言及をいたしました。そして私の気持ちといたしましては、教育訓練の実施要領の総点検を含めまして、あるいは機材、器具の点検、それからさらに安全教育の実施と、こういうことを中心に指示をいたしたところでございます。  なお、訓練そのものにつきましては、先ほど政府委員からも答弁をさせていただきましたように、われわれといたしましては常に精到なる自衛隊訓練を行わなきゃならないと、そして精強な自衛隊づくりをしなければならないという一面があると同時に、絶対に事故を起こさない訓練、これも訓練のうちであると私はそういうことを感じておりまして強く指示をいたしたところでございます。
  214. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 終わります。
  215. 安武洋子

    ○安武洋子君 B52G型のグアム配備についてお伺いをいたします。B52のグアム配備のスケジュール、これはどうなっておりましょうか。
  216. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) 先生御承知のとおり、これまでグアムに配備されていたB52はモデルDということになっておりまして、機数は全部で十四機、それがことしG型という別のモデルに取ってかわられるというふうにわれわれ承知しております。
  217. 安武洋子

    ○安武洋子君 B52G型、これはどのような武装ができるのでしょうか。SRAMとそれからALCMの専用機なのでしょうか、お答えいただきます。
  218. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) B52GにつきましてはSRAMの装備が可能であり、他方ALCMの装備も可能であるというふうに理解しております。
  219. 安武洋子

    ○安武洋子君 も可能であるということは、この専用機ということですか。
  220. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) 私が申しましたのは、B52Gの中にはSRAMを装備するものもあればALCMを装備するものもあるということでございます。
  221. 安武洋子

    ○安武洋子君 では確認しますが、B52G型の中にはSRAMを積むものもあれば、ALCMを積むものもある、その二つのうちどちらかを積むんだと、こういうことでございますね。
  222. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) 私は一般論として申し上げました。ただALCMを搭載する場合には、B52Gの配備は米本土に限るというふうにわれわれはアメリカ側が発表しているということを承知しております。
  223. 安武洋子

    ○安武洋子君 配備の問題は別としまして、そういうことで確認させていただいて次に進みます。  SRAMにつきましては、米下院の歳出委員会、これは一九六九年六月二十四日でございますが、ホーン開発部長、この方が核専用ミサイルであると述べております。またジェーン年鑑でも、SRAMは米空軍のB52G型とH型、それからFB111Aで運搬される超音速の空対地核兵器である、こう述べております。明らかに核兵器であると思いますが、いかがでございましょうか。
  224. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) おっしゃるとおり、ALCMそれからSRAMそれぞれ核弾頭を持っているというふうに理解しております。  ただ、一言。先ほど私の答弁の中で、一般論としてB52GはALCMとSRAMと言いましたけれども、当然のことながら、通常爆弾を搭載することは可能でございます。
  225. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ、SRAMを積載しましたB52Gというのは、これは核兵器ということになりますから、日本領域への飛来ということになれば、これは拒否をなさいますね。
  226. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) そのとおりでございます。
  227. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃALCMは、これは衆議院でもお認めになっておられますからお聞きするまでもないわけですが、確認いたしたいんですが、これも核兵器でございますね。
  228. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) 核弾頭を積んでおります。
  229. 安武洋子

    ○安武洋子君 ではB52G、こう申しますのは核専用爆撃機、こういうことになりますね。
  230. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) この点は、先ほど私申し上げましたようにSRAMを積む場合もあるし、ALCMを積む場合もあるし、また通常爆弾も積み得るということで、断定的にこれが核そのものであるということは言えないのではなかろうかというふうに考えております。
  231. 安武洋子

    ○安武洋子君 でもね、通常爆弾も積むということであればいままでのB52D、これでいいわけなんです。しかし、先ほどスケジュールをお伺いいたしましたように、すべてこの後継機としてB52Gにかえていくということでございましょう。通常爆弾を積むということであれば何もこういうことをしなくてもよいわけでございますから、このB52Gというのは明らかに核専用爆撃機ではございませんか。
  232. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) B52DをなぜGにかえるかといいますと、B52Dは先生御承知のとおりもう五〇年代の終わりから飛んでいる爆撃機でございまして非常に老朽化したと、そういうことでございます。したがって新しいモデルにかえるということが彼らの政策であるというふうに理解しております。
  233. 安武洋子

    ○安武洋子君 SRAMもALCMも核兵器だということは、これはアメリカの下院で言っているわけですよね。通常爆弾、これを積むのかということに対して、そうではないと、核専用だということをこれはエバンズ議員の質問に対してホーンという方がちゃんと答えてなさる、先ほど申し上げましたホーン開発部長、大佐ですね、この方が言っておられる。だから私はこれは明らかに核専用爆撃機であるというふうに断定して間違いなかろうと、こう思いますが、いかがなんですか。アメリカの下院で言っていることが違うんですか。
  234. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) 私は先ほど通常爆弾も搭載可能であるというふうに返事をいたしました。同時に、B52Gがすべて核搭載用であるということについては断定は困難であるというふうに申し上げましたけれども、この考え方は変わっておりません。
  235. 安武洋子

    ○安武洋子君 勝手に変わっていないとおっしゃっても、私はアメリカのこの下院の歳出委員会の審議の中から申し上げているわけです。  向こうの方で、核弾頭と同様、通常弾頭もつけるのかというエバンズ議員の質問に対して、ホーン開発部長大佐は、いや、核専用だということをはっきりおっしゃっている。だから、通常弾頭をつけるということであれば私は先ほどのB52Dでいいんだと。であるから、わざわざこれにかえたということは、アメリカの下院の歳出委員会の審議の中からも、明らかにこれは核専用爆撃機であろうというふうに思います。いかがですか。
  236. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) B52Gにつきましては、一面、核搭載の戦略爆撃機として使う場合もあるし、通常任務のためにB52を充てる場合もあるということで、したがいまして、B52Gがすなわち核専用であるということは必ずしも私は正しくないんではないかというふうに思います。  他方、いま先生が指摘されました、米議会の答弁がどのようになっているか、それ自体は私チェックしてみます。
  237. 安武洋子

    ○安武洋子君 B52の通常任務というのは何ですか。
  238. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) 通常任務というのは、当然のことながら、通常爆弾を搭載し、通常爆弾を投下する、そういう任務でございます。
  239. 安武洋子

    ○安武洋子君 お伺いいたしますけれども、B52Gというのは核爆弾投下装置を持っているわけでしょう。それは、B52そのものと分かちがたく、そういう核をつり下げるという懸架装置を持っているはずです。それから核を発射する装置を持っているわけです。それだけを外してしまうとB52Gというのは成り立たないわけでしょう。だからこそ私は、このB52Gというのはこれは核専用の運搬手段そのものであると、核兵器であると、こういうふうに申し上げておりますが、どこが違うんでしょうか。
  240. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) B52自体は言うまでもなく核でも何でもないわけですね。問題は、それに何を積むかによってこれが核目的に使用されるかどうかという、そういう違いが出てくる。  そこで、私が先ほどから申し上げているのは、先生の御発言で、これが核専用機かという御質問でございますので、必ずしもそうは考えられないというふうに答えているわけでございます。
  241. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、私はそれに対してアメリカの下院のこの歳出委員会の審議の中からも申し上げましたし、それから、いまも申し上げているように、B52そのものが核爆弾投下装置、それを持っているわけでしょう。そして、この懸架装置と発射装置が分かれがたくB52にあるわけでしょう。だから、これは核専用の運搬手段でしょう。
  242. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) Gがそういう装置を持っているということは確かにそのとおりでございますが、他方、これから現在退役しつつあるDについても全く同じことが言えるわけでございます。
  243. 安武洋子

    ○安武洋子君 私はGの話を一貫してやっているわけで、Gはこういうふうな分かちがたく懸架装置も持っていると、発射装置も持っていると、核そのものを。核そのものを運搬する、こういうものであろうと。運搬手段であろうと。  そこで申し上げますが、政府はいままでの解釈で、核専用の運搬手段というのは事前協議の対象である、そしてこういうものは拒否をすると、こういう態度をとってこられたわけです。ですから、B52Gについてもこれは当然事前協議を受けたら拒否をなさいますね。
  244. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) この点につきましては、B52Gが核を搭載しているということであれば、これが当然事前協議の対象になり、また事前協議があった場合にはノーと言うというのは従来から一貫した政府の立場でございます。
  245. 安武洋子

    ○安武洋子君 そんなこと言ってない。私は、B52そのものが核の専用の運搬手段ではないか、そのことを言っているわけです。B52をばらばらに離せますか。核を運搬する装置というものが離せないわけでしょう。核運搬の装置を持っているB52、これは明らかに事前協議の対象になるじゃありませんか。
  246. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、B52の本体自体は何ら核とは関係ない。問題は、それに核を積んだ場合には核搭載になるということでございます。
  247. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、あなたたちのそういういいかげんな論理、それでいきますと、じゃ核を積んでいなければB52Gは核運搬手段でないから、だから日本に飛来すること、これは認める、こういうことになるんですか。確認しておきます。
  248. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) もしB52Gが核を搭載して日本に飛来するということであれば、これは当然のことながら事前協議の対象になるということでございます。
  249. 安武洋子

    ○安武洋子君 ちゃんと聞いてください。核を積んでいなければと私は申し上げましたのよ。
  250. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) 核を積んでいない場合には、これもまたたびたび、当然のことながら――大変失礼でございますけれども、事前協議の対象にはなりません。
  251. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから私は、このB52Gが核運搬装置、これを持っている、だからこのものはいままでの政府の見解によれば事前協議の対象だと。それなのにこういういま、核さえ積んでいなければ運搬装置なのに政府はこれを認める、事前協議の対象にならない、こうおっしゃる。その見解を進めていくとどういうことになると思われますか。日本が有事でない、で、極東有事の際、これを想定しますと、グアムを発進した、SRAMとかALCMを積んで出撃をした、そしてこういうB52Gが相手国に核を投下してきた、そして核を持たないでそのまま日本に寄る。こういうことになりますと、日本の基地に飛来して、そして給油、修理、こんなことを行う。またグアムに飛んで帰る。そしてそこでまた今度はALCMとかSRAMとかを積んでまた出撃して、相手国に核を投下する。そしてまた日本に、核がないからということであなたたちが認めるから飛来して、そこで給油したり補修したり、そういうことでまたグアムに飛んで帰る。こういうことになるじゃありませんか。文字どおり、あななたちのそういう態度を貫くということであれば、日本が核戦争に本当に巻き込まれてしまう、核戦場の基地になる、こういうことを容認する、こういうことですか。
  252. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) 遺憾ながら、いまのただいまの先生の御説には賛成しかねるわけでございます。もうすでに何遍もお答え申し上げましたけれども、核を搭載してないという場合においてはこれは事前協議の対象にはならない。われわれは、アメリカは同盟国でございますので、当然のことながらその同盟国と信頼関係に成り立っております。私どもはこれを信じております。もし核を搭載ということであれば、アメリカ側は日本政府に対し事前協議を申し出てくる、その場合にははっきりとノーと返事をするということでございます。
  253. 安武洋子

    ○安武洋子君 よく聞いてくださいよね。核を積んでグアムを出発した、そして相手国に核を投下してきたと。じゃ、核さえなければ、私は運搬装置だと申し上げているのだけれども、あなたたちは、核さえ積んでなければ事前協議の対象でないから日本に飛来してもいいと、こうおっしゃる。だったら、核を投下して帰りに日本の基地に寄る、そしてまたグアムに飛んでいってそこで核を抱いてまた相手国に投下して、そして日本にまた、核がないから寄ると、こういうことになるじゃありませんか。あなたたちはこういうことを容認するということに、あなたたちの答弁を持っていけばそうならざるを得ないじゃありませんか。そんなことを容認されるのですか。
  254. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) ただいま一つのシナリオを先生御説明ございましたけれども、これが具体的にどういう状況でそういうシナリオが設定するのか、この点いささか私、理解できないので、大変残念に思います。
  255. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ、いま私が申し上げたような事態になったときにあなたはどうされるのですか。核がないからあなたは事前協議の対象にならないからいいんだとおっしゃる。だったら、グアムから発進して核を落として、何にもないですよと。B52Gが飛来して、日本を中継し、そしてまたグアムに飛んでいって核を抱いて相手国に投下する、また同じことを繰り返す、そういうことで、日本に明らかに相手国からそういうものが飛来するということになれば、第一に相手から核攻撃を受ける、こういうことになりますよ、日本そのものが。いかにあなたたちの言う核弾頭がないにしても、それを落としてきた後で、あなたたちはそれは事前協議の対象にもならないし、認める、こう言うんじゃないですか。おかしいじゃありませんか。
  256. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) グアムから核を積んでB52が飛んで、いずれかの地域に投下して日本に帰りに寄るというような状況が、具体的にどういう場合に起こり得るのか、その点について、大変この御質問それ自体が非常に私はいささか想像できない仮定に立脚しているというような感じを受けますので、私これに対して明確にお答えできない、そういうことでございます。
  257. 安武洋子

    ○安武洋子君 頭のいいあなただから理論的にお答えなさいよ。どこが私の言っているところで矛盾があるんですか。おかしいじゃないですか。核さえ積んでなければ事前協議の対象にならないからあなたたちは容認するんだとおっしゃる。だから、核を積んでいって相手国に投下したのが帰りに立ち寄れば、これはあなたたち認めるのか、こういうことですから理論的にお答えください。
  258. 新井弘一

    政府委員(新井弘一君) 本件はすぐれて事前協議の問題とかかわりを持ちますので、むしろ外務省サイドから御答弁いただくのがより適当ではないかというふうに考えます。
  259. 加藤良三

    説明員(加藤良三君) 先ほど来御提示になっておられます点で、まずB52にたとえば核専用のランチャーがついているというようなことがございましても、B52が核専用であるということは必ずしも言えない。それは、現在通常爆弾による爆撃をB52が実際に行っていることからも明らかだというような趣旨答弁が、すでに四十年以来ずっと国会で行われていることは御承知のとおりでございます。  なお、B52のG型であれD型であれ、核兵器を搭載してそれが日本の領域内に入ってまいります場合には、これはアメリカから日本に対して核持ち込みに関する事前協議を行うということが条約上の義務でございますから、当然アメリカは事前協議を行わなければならない。それに対して、日本は核の持ち込みに関する事前協議については常にノーと言う、そういう対応をするということを申し上げてきているわけでございます。  したがって、いま核の持ち込みについての事前協議という観点から申し上げれば、核を搭載していないB52が日本にやってくること、これは事前協議の対象にはそういうものとしてはならない、このことを申し上げているわけでございます。
  260. 安武洋子

    ○安武洋子君 だから、先ほどから私が何度も申し上げているように、まさにアメリカの核戦争に日本は巻き込まれ、そして日本の基地はアメリカのために核攻撃を相手国から受けるということになるわけです。  それで、B52Dですけど、自衛隊はこれと訓練をいままで行ってきているわけです。ことしの初めからこの訓練の日時を発表しなくなった、これはなぜかということが第一点。それから、いままで何回やったかということ、これが第二点です。それから、今度はB52Gに切りかえられたわけです。核搭載のB52G、こういうものとの共同訓練を行う予定なのかどうか、この三点をお答えください。
  261. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) まずお断り申し上げておきますが、航空自衛隊がいわゆる共同訓練というものをB52とやっておることはございません。現在航空自衛隊がやっておりますのは、B52が非常にすぐれたECM能力を持っているということで米側のターゲットサービスをお願いをしている、要するに、B52を対象とした訓練の目標機として使わしてもらっているということであります。したがいまして、わが方がB52をターゲットとしてやる訓練は、たまたま日本近傍を米側のB52が通るときに行うということでありますので、そのB52の飛行そのものの目的が自衛隊と訓練をするために来ておるのではありませんので、米側の行動に非常に関連が深いということで、事前に一々やるということははっきり申し上げておらないということでまずあります。  それから、B52をターゲットにした訓練、いわゆる電子戦訓練はいままで十一回行っております。  なお、最後の御質問でございますが、今後G型とどうかということでございますが、先ほど来答弁がありますように、私どもとしては、在日米空軍なり、あるいは日本領域内に入ってくる航空機というものは、当然のことながら、もし核を積んでおれば非核三原則に触れますから入ってこれないわけで、当然積んでおらない非核のものであろうというふうに考えておりますし、なお、仮にこれが公海上空で行う訓練でありますれば、核を積んでおる、積んでおらないということは、非核三原則とは余り関係のない問題であるというように考えております。
  262. 安武洋子

    ○安武洋子君 では聞きますが、日本有事の際、核を搭載した公空上のB52G、これを日本の航空自衛隊は護衛をするんですか。
  263. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) お答えする前に一つ訂正させていただきますが、訓練回数十一回と申したと思いますが、十四回の誤りでありますので、訂正をさせていただきます。  私ども、先ほどから申しておりますように、現在B52とで共同訓練をしているわけじゃないと申しましたが、それは自衛隊の電子戦能力を向上させるために、B52というものをターゲット、目標機として利用をしているということでありまして、B52を護衛をするような訓練をやってもおりませんし、やることも現在全く考えておりません。
  264. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃあ、なぜしないのか、そのしない根拠、これをひとつはっきりさせてください。
  265. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 特にやっていけない――B52が仮にわが国に上陸した敵を爆撃をするときに、それを護衛するということはあろうかと思いますけれども、そういった想定は私ども余りいたしておりませんし、B52は通常考えますには戦略的な攻撃兵器である。それが核であれ、通常爆弾を使う場合であれ、戦略的な使い方を多くなされるものでありますので、それに対して、自衛隊が護衛をしてそういう戦略攻撃に参加をするということはまず考えられないから、する必要もないし、しておらないということであります。
  266. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、これは絶対にしない、それから将来もしない、こういうことが確約できますね。  この確約をいただいて、残念ながら時間が参りましたので私の質問を終わりますが、それをおっしゃってください。
  267. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) B52が外国の基地を攻撃するというような戦略を行う、それに対する護衛訓練をするというようなことは今後ともございません。
  268. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は五月十六日に開会し、締めくくり総括質疑第二回を行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会