○三治重信君 おっしゃるとおり、公務員の給与の水準や、それから職種別にいろいろ分配を
具体的に決められる非常な専門的な作業という問題からいくというと、まず、いま現在人事院でやっておられる給与の決定の作業というのがほとんどまあ最善だろうと思うんです。私が提起したのは、問題は、
調査をした時点に給与を完全にさかのぼらさなければ人事院の勧告が完全実施されないと、こういうふうに認識するかしないかによって
予算の操作が非常にむずかしい問題になってくると、だから実施の時期が非常に——なるんじゃないかというのが
一つ。いまおっしゃったように、確かに
予算の余裕のあったときには五%、最高たしか五%ですか、
予算に計上を
政府がしたと。まあこういうふうになってくると、また、それだけの余裕があるときには高度成長のときだから、
予算にいつも、補正
予算の財源も自然増収ということでたっぷりあるから、それで完全実施ができてきたと。今度は
予算が逆転して、
予算に見積もったやつですら歳入が不足してきて、それが何千億どころの騒ぎじゃない、何兆円というのが出てくると。まあこれも一、二年でしょうけれ
どもね、こんな大きな、いかに
大蔵省の方も財政見積もりのベテランがやってるわけなんだから、こういうような財政の、経済成長の非常な激変、経済構造の激変、不況の激変のときで、歳入見積もりの筆が鈍ったわけなんだよ。まあえらい歳入欠陥になってきた。赤字財政出してるところにさらに歳入欠陥ということになってくると、一番しわ寄せ食うのが弱いところといいますか、赤字になってくるとこれは人件費の方の圧縮へしわ寄せされると。まあこれは一時的な現象かもわかりませんですけれ
どもね。こういうときに、また財源のないときにでも給与や資金を確保するという第二次的な
考え方というものも必要ではないかと思ってお尋ねしたわけなんですが。
大体、民間の給与水準に右へならえをするというのは、戦後、司令部がこの給与法やいろいろの何というんですか、原則として決めた場合の、
予算ばかりじゃなくて法律上にもきちんと書いてあるわけなんですが、そういうものの均衡を保つということにおいて非常に重要で、それが人事院の任務であるということなんだが、問題はこの実施の時期と財源の問題だと思っておるわけです。
一般のそういう民間賃金、それからいろいろのコストとして計算する場合に、米価の問題で労務費の計算というのも、大体において前年度の毎月勤労
統計のある規模のところなり、そういうものの
統計を利用して、当該年度の米価の算定をどれだけ上げたらいいかという基礎算定をする。そのときの賃金というのは、前年の賃金の
統計の結果を食糧庁の方で利用して、そうして当該年度の労務費の計算をやっていく。それから、公共事業の
予算、公共事業の労務単価というような問題も、これは労働省の職種別賃金の
調査を参考にして建設省が
予算単価をはじいてやる。これも結果とすると前年度の賃金ベースということが
予算単価に入ってきておる。私が知っている限りにおいては、
政府がプリベーリングウェージ、いわゆる他の同種の賃金と似通った賃金水準にしていくことで使っているのが、米価の労務費の算定のときの労賃というものと公共事業の労務単価の賃金の水準。これはプリベーリングをやっていくというと、どうしても
調査の結果をそのまま利用して
予算に入れていこう。また、あるいは米価の決定にこれだけの生産コストという場合に、その基礎となる賃金の水準というのは
調査されて結果が出たやつを利用している。そうすると、対前年の
調査の結果であるわけなんです。
人事院勧告だけは人事院が
調査したやつを
調査した時点にさかのぼって上げる。こういうことは、これは人事院が望むばかりでなくて官公労組が全部が望んでいることなんで、理想は理想なんであって、プリベーリングというのは
調査した瞬時にそこで顔を上げていくという、並行して上げるというのは非常に理想なんだけれ
ども、実施上の問題で、余裕があるときにはいいけれ
ども、余裕がないときにはこういうふうな非常に大きな問題が出てくるということで、ひとつ実施しやすい方法を、一番正確性というものとこの
予算との実施のやり方について私は今後、非常な百兆円からの赤字をつくって国債を出している現在から言って、公務員の給与が確保される、こういうような場合に
政府が恣意的にやらぬようなためには、やはりこの実施の時期の問題について、あくまでさかのぼってやるということについてのやつをもう少し再考できぬか、もう少し何かどこかの妥協点が出ないかなと、こういうふうなことを
考えておるわけなんですが。人事院の
総裁の方からすれば、そんな金の、財源までおれは何もやれるように
心配することはないんだ、こういうことに
責任上はなっていますわね。法制上はなっているけれ
ども、しかし世界に冠たる人事院勧告制度が権威をもって実施される、没にされないで実施される、こういう権威を保てるためには、やはりある
程度現実に妥協するという方法もひとつ
考えてもらう、その方策についていい
考えがないかと、こういうことなんですが。
それでわれわれの方は、こういうような
政府がせめて没にした場合にでも、五十七年度勧告完全凍結、こうした場合に人事院としては、五十七年度は資金上どうしても無理ならば五十八年度の
予算を組むときには、われわれが五十七年度にもうこれだけ四月にさかのぼって実施してほしいと、こういうように勧告したんだから、五十八年度の
予算には少なくとも四・五八は組むべきだと、とういうような勧告をきちんと出すべきではなかったかと。そうすると、一%しか組まんでやっていくというと、これはことしのやつをまた勧告されても一%しか財源なくて、五十八年度のまた歳入欠陥が何兆円か出る、こういうことになってくると、これは
政府が金がないから振れないと言う。ことしも五十八年度も特殊事情の部類に入るかもわかりませんが、そうすると
政府の言い分がやはり世間に通ってしまう。こういうことになって、五十八年度の今度は二年分の賃金格差の人事院勧告になるというふうに公務員の方は期待をしているわけですね。それがこの財源となるとまたさらに没になる、まあ不平不満を起こす大きなもとになる。ということから
考えてみても、五十八年度の
予算を組むときに、五十七年度の人事院の勧告は
予算に組んでほしい。何か
予算を組むときにきちんとした勧告というものが行われてしかるべきじゃないかと、こういうふうに。そうすると
政府の方もそれに対してイエスかノーかとか、それは当初からできぬから途中からもう一遍
考えるとかという問題ができるんで、
予算編成時に対する、ことにこれは没にしたから——非常にいい勧告だったんですが、五十八年度
予算ももう通っちゃったからことしはしようかないけれ
ども、ことしの五十八年度の人事院の勧告の実施の
状況、
政府は実施する、完全実施とは言わぬで、与野党の
関係から
国会では実施するとこう言っている。実施の
状況を見て五十九年度の
予算を組むときに、それが不満足の場合にはこういうふうに
予算上措置をとってほしいという勧告はやるべきじゃないかと思うのですが、それはどうなんですか。