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1983-04-27 第98回国会 参議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十七日(水曜日)    午後一時九分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         竹田 四郎君     理 事                 井上  裕君                 杉山 令肇君                 内藤  健君                 和田 静夫君                 峯山 昭範君     委 員                大河原太一郎君                 岡部 三郎君                 河本嘉久蔵君                 高橋 圭三君                 塚田十一郎君                 仲川 幸男君                 福田 宏一君                茜ケ久保重光君                 鈴木 和美君                 本岡 昭次君                 安武 洋子君                 小西 博行君                 三治 重信君                 中山 千夏君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖縄開発庁長        官)       丹羽 兵助君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       齋藤 邦吉君    政府委員        内閣官房内閣調        査室長      鎌倉  節君        内閣法制局長官  角田禮次郎君        国防会議事務局        長        伊藤 圭一君        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        給与局長     斧 誠之助君        内閣総理大臣官        房会計課長兼内        閣参事官     渡辺  尚君        内閣総理大臣官        房広報室長兼内        閣官房内閣広報        室長       小野佐千夫君        内閣総理大臣官        房総務審議官   手塚 康夫君        総理府人事局長  藤井 良二君        青少年対策本部        次長       瀧澤 博三君        北方対策本部審        議官       橋本  豊君        日本学術会議事        務局長      藤江 弘一君        公正取引委員会        事務局長     妹尾  明君        警察庁長官官房        長        太田 壽郎君        警察庁刑事局保        安部長      大堀太千男君        公害等調整委員        会事務局長    桐澤 昭夫君        宮内庁次長    山本  悟君        皇室経済主管   勝山  亮君        行政管理庁長官        官房会計課長   前山  勇君        行政管理庁行政        管理局長     門田 英郎君        行政管理庁行政        監察局長     中  庄二君        沖縄開発庁総務        局長       関  通彰君        沖縄開発庁振興        局長       藤仲 貞一君        大蔵大臣官房審        議官       岡崎  洋君        大蔵省主計局次        長兼内閣審議官  宍倉 宗夫君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長兼        最高裁判所事務        総局行政局長   川嵜 義徳君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        内閣官房内閣参        事官       羽毛田信吾君        警察庁警備局外        事課長      吉野  準君        防衛施設庁施設        部施設対策第二        課長       杉本 康治君        防衛施設庁施設        部施設補償課長  甲斐 三郎君        外務省欧亜局ソ        ヴィエト連邦課        長        丹波  実君        会計検査院事務        総長       藤井健太郎君        会計検査院事務        総局第一局長   佐藤 雅信君        会計検査院事務        総局第三局長   坂上 剛之君        会計検査院事務        総局第五局審議        官        井上 隆夫君    参考人        沖縄振興開発金        融公庫理事長   田辺 博通君        日本銀行総裁  澄田  智君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○昭和五十四年度一般会計歳入歳出決算昭和五十四年度特別会計歳入歳出決算昭和五十四年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十四年度政府関係機関決算書(第九十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十四年度国有財産増減及び現在額総計算書(第九十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十四年度国有財産無償貸付状況計算書(第九十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十五年度政府関係機関決算書(第九十六回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書(第九十六回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書(第九十六回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件の審査のため、本日の委員会に、参考人として日本銀行総裁澄田智君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 次に、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を議題といたします。  本日は内閣総理府本府、行政管理庁沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  5. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  7. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) それではこれより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 和田静夫

    和田静夫君 まず宮内庁ですが、浩宮様の留学が、おたく言葉では修学が決まって渡英される、こういうことのようでありますが、まずこの留学目的というのを。
  9. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御案内のとおり、浩宮殿下は現在学習院大学の大学院に御在学中でございますが、皇族としてのさらに深い御教養を御修得され、かつ国際的視野を広げられる、こういう目的を持ちましてこのたび英国への御勉学ということが決定されたわけでございます。
  10. 和田静夫

    和田静夫君 留学予算というのは幾らぐらいになるわけですか。
  11. 山本悟

    政府委員山本悟君) 実際の金額と申しますのは、これからの向こうに行きましてのいろいろな態様といいますか、御生活というようなものも含めましてのことでございますので、的確に積算することは非常に困難なわけでございます。したがいまして、予算的な措置といたしましては、現在皇室費の中の宮廷費、さらにその中に国際親善等経費というのがございまして、皇族外国旅行あるいは外国国賓等の来日に伴います皇室関係の御経費、こういったようなものを一括して枠で計上いたしております。その金額が大体従来まで約一億四千万強でございましたが、それにこういった要素を加味いたしまして約二千万ばかり増額をいたして本年度の、五十八年度の予算御調決をいただいたと、かようなことになっておりまして、その中での運用によりまして一切必要なものは支弁してまいりたい、かように存じております。  なお、すべての御生活まで含めましてのすべてが、皇室費としての宮廷費の中で支弁されるというわけじゃございませんで、もちろん一部の私的な御部分につきましては内廷費によって支弁される、こういう両建てになろうかと存じております。
  12. 和田静夫

    和田静夫君 もう一つ気にかかることは、国内を御旅行になるときのような形でおつきの者がぞろぞろつく、あるいはSPがつくというようなことで、伝統あるオックスフォードのキャンパスの、いわゆる学園の自由とでもいいますか、そういうものがこの留学契機にして乱されていく。そういう意味で国際的な批判を受けるというようなことは起こらないと思いますけれども、当然御配慮になっていると思いますが、そうでしょうか。
  13. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御指摘の点、やはり一つ問題点であったわけでありますが、何と申しましても、行かれましたその国におきましての御警衛の問題というのは、やはりその国の政府権限責任においてお願いをするということでございまして、こちらの日本の方からぞろぞろついていくということはもちろんございません。同時に、どの程度のことを英国側がやってくれるか、この辺につきましてはいろいろと折衝もし、お願いもしているわけでございますが、具体の事項につきましては、いずれにいたしましても、英国政府の先ほど申し上げましたような権限責任とにおいてやっていただくということでございますので、つまびらかに申し上げることではないと存じますが、英国当局におきましても、当然のことながら大学当局とは十分の連絡をとって、大学学園の自由を侵さず、また効果のある警衛を行うように措置してくれるものと存じているところでございます。
  14. 和田静夫

    和田静夫君 昨晩のNHKの報道でしたか、何かの報道で、中川国連大使かどなたかが随行になるという報道があったように思うんですが、この辺の役割りは何ですか。
  15. 山本悟

    政府委員山本悟君) 中川国連大使宮内庁御用掛お願いをいたしまして、今度浩宮殿下が御渡英になります際に随行していただく予定にいたしております。このお役目といたしましては、やはり、最初殿下が行かれました際に、いろいろと英王室あるいはその他の関係におきましての御紹介といいますか、そういったようないろいろなことが当初あるわけでございまして、その辺をまず第一にこなしていただく、あるいは殿下のお供をして適当に御紹介をいただく、こういうような機能を考えているわけでございまして、その英国にいらっしゃる間というのも二年にわたるわけでありますから、その間にまた行っていただくことがあるかも存じませんけれども、当面考えておりますのは、最初について行っていただきまして、そういった意味での最初修業地といったようなものについての役目を果たしていただく、こういうことを想定をいたしておるわけであります。
  16. 和田静夫

    和田静夫君 浩宮様が留学中に、たとえば皇太子殿下が軽井沢でいまの妃殿下を見初められたように、女性を見初められるということは私はないわけではないだろうと、イギリスの皇室やヨーロッパではたくさんあることでありますから。その場合に、その相手の女性外国人であった場合の宮内庁のこれからの取り扱いというのはどういうふうになっていきましょうか。皇室典範との関係ではそこは阻却されるものはないと思うんですけれども、そういうのはどういうふうにお考えになっていますか。
  17. 山本悟

    政府委員山本悟君) いかなることが起こり得るかということについての想定は、仮定としてはなかなかお答えしにくいことでこざいますが、私どもといたしましては、浩宮殿下という方は何事につけても御自身のお立場をよくわきまえて御行動なさる方というように拝察をいたしておるわけでありまして、ただいま御質問のございましたような心配というのは、具体の問題といたしまして、何事が起こるかわからぬじゃないかとおっしゃられればまさにわかりませんが、私どもといたしましてはさようなことは十分殿下が御自覚になっていらっしゃるはずと、かように存じておりますし、また宮内庁の職員あるいは東宮職中心にいたしましても、その点につきましてはいささかの不安も抱いていないというのが私どもの気持ちでございます。  もちろん、制度論としてお答え申し上げますならば、皇室典範の第十条の規定によりまして、皇族男子婚姻というのは皇室会議の議を経て、ということでございますので、そこにかかってくるわけでございますが、ただいま先ほど申し上げましたように、殿下のお人柄というものを拝見いたしている限りにおいては、さような心配はないと私は信じております。
  18. 和田静夫

    和田静夫君 皇室典範との関係では問題ございませんよね。
  19. 山本悟

    政府委員山本悟君) 皇室典範は、すべての婚姻につきましては皇室会議の議を経て、ということになっているわけでございます。皇室会議がいかなる判断をするかということは、そのときのことでございまして、いま私どもが申し上げかねるところでございます。
  20. 和田静夫

    和田静夫君 次に、いま世間をにぎわしているサラ金の問題なんですが、非常な深刻な問題に実はなっていると思うんです。当然所管は大蔵省であろうと思いますから、なお大蔵省決算も残っていますからそこに継続はいたしていきますが、私は内閣を挙げて取り組むべき課題だと実は考えるほどであります。少し時間をかけて議論をしておきたいと思うんですが、まず最高裁事務総局。  ここ数年、サラ金あるいは信販会社に関する民事事件が急増しているように思われます。たとえば、金銭を目的とする訴えは、おたくからいただいた資料によりますと、五十三年を一〇〇とすると五十七年は二一五、二倍強の増加ぶりを示している。クレジット会社からの立てかえ金求償金事件がおおよそ三倍強、五十三年と五十七年で。このふえ方、これに対して、最高裁としてはこういう最近の状況というものをどういうふうに把握されていましょうか。
  21. 川嵜義徳

    最高裁判所長官代理者川嵜義徳君) サラ金関係事件とかクレジット関係事件がいずれも急激な増加を示しておるのは御指摘のとおりでございます。サラ金関係事件紛争裁判所へどういう形で持ち込まれるかと申しますと、これは簡易裁判所における民事調停事件、あるいは地方裁判所における破産申し立て事件というふうな形であらわれてまいります。さらにクレジット関係事件は、簡易裁判所民事訴訟事件あるいは支払い命令申し立て事件、こういう形であらわれてきておるわけであります。  これらの事件が最近どのような動きを示しているかということを概略を申し上げますが、まずサラ金調停事件でありますけれども、これは昭和五十五年当時におきまして、すでに二万件前後ありました。これが五十七年度には三万件を突破いたしまして、簡易裁判所における全民事調停事件の半数近くになってきております。次に破産事件でありますけれども、これも五十五年当時の新受事件は二千八百件余でありましたが、五十七年度には五千件を超えるということになりまして、二千件余りふえたわけであります。三年間に二千件余りふえました。これは主として、サラ金原因とする自己破産申し立て事件増加によるものであります。以上がサラ金関係であります。  次がクレジット関係でありますけれども、この簡易裁判所におけるクレジット関係訴訟事件は、ただいま御指摘のとおりでありまして、五十三年に二万一千件余でありましたものが、五十七年には七万件を超え、通常訴訟事件、簡裁における通常民事訴訟事件全体の五六%を占めるに至っておるわけであります。なお、支払い命令申し立て事件は、これも五十三年二十四万件余であったものが、五十七年には四十七万件余というふうに非常な増加を示しております。これも主として、クレジット代金請求事件がその中身をなしているというふうに言えるわけであります。  このように急激な事件増加というものは、恐らくはサラ金業界あるいはクレジット業界における取引件数が非常にふえてまいりまして、いろんな原因によるトラブルがふえてきたということを示すものだろうというふうに裁判所としては見ておるわけであります。
  22. 和田静夫

    和田静夫君 こういう御答弁ができるかどうか知りませんが、私は、恐らく民事訴訟に持ち込まれるものは氷山の一角ではなかろうかというふうに思うんですが、最高裁はどういうふうにごらんになっておりますか。
  23. 川嵜義徳

    最高裁判所長官代理者川嵜義徳君) サラ金とかクレジット関係紛争に限りませんで、裁判所事件として出てまいりますものは、恐らくは実社会に生起いたしますもろもろの紛争のごく一部であるというのが一般であります。たとえば交通事故は、昨年度における人身事故の総件数は六十三万件余であるということでありますが、交通関係事件裁判所に持ち込まれましたのは、訴訟という形では三千八百件余、調停という形では五千件余であります。いま申しました事故件数の一・四%にすぎないというような状況であります。ただ、交通事故の場合は、最近の保険制度の拡充によりまして、これによってカバーされているという面が非常に大きゅうございますから、これをもってすべてを推しはかるわけにはいきませんけれども、先ほども申し上げましたとおり、実社会に起きている紛争の一部が裁判所に出てくるだけであって、いわば裁判所に出てこない水面下紛争というものはかなりあるということは経験上言えるというふうに思います。
  24. 和田静夫

    和田静夫君 警察庁、このサラ金苦による自殺者あるいは心中家出、この最近の傾向を教えてください。
  25. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) サラ金からの借金原因といたします自殺者数についての統計はとっておりませんが、自殺に関します年間統計で、負債など経済生活問題を原因とする自殺者の数について申し上げますと、昭和五十六年自殺者総数二万四百三十四人のうち二千十九人、約九・九%と、これが負債など経済生活問題を原因とする自殺者数でございます。なお、自殺者総数のうち、い中をした者の総数は五十六年五百七十四人でございますが、これは原因動機別統計はとっておりませんので、サラ金に起因をした心中数ということはわかりかねます。また、家出につきましても、サラ金からの借金原因とする統計はとっておりませんが、サラ金など借金原因とする家出人につきまして、五十七年、特別に最近調査をしてみましたところ、五十七年中の家出総数十万五千六百五十三人のうち、サラ金などの借金原因とする家出数は七千三百十六人、六・九%と、こういう状況でございます。
  26. 和田静夫

    和田静夫君 同じような状態のいわゆるサラ金苦による自殺心中、ことしに入って大体どのぐらいですか。
  27. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) サラ金をあるいは借金等原因とすることしの統計はまだできておりません。  なお、先ほど申し上げました自殺心中につきましても、五十六年の統計が一番私ども把握しております全国統計では新しいものでございます。
  28. 和田静夫

    和田静夫君 認定は非常にむずかしいと思うんですけれどもサラ金苦による強盗あるいは殺人ですね、この最近の傾向
  29. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) これも当庁では特にサラ金動機原因となった犯罪強盗とか殺人といった実態を調査したものがないわけでございますが、ただ、本年一月一日からつい最近四月十五日までの間に当庁に報告のありました主要な凶悪事件などのうち、サラ金が何らかの形で犯罪動機原因となっておるものにつきまして特別に調査をいたしましたところ、四十五件が対象になりました。  これを原因別に御説明を申し上げますと、その返済資金欲しさに犯した強盗殺人が八件、強盗が二十一件、それからサラ金借金をめぐるトラブルによる殺人が二件、サラ金苦による前途を悲観しての放火が、放火殺人を含めて五件、サラ金苦による心中事案が九件となっておる状況でございます。
  30. 和田静夫

    和田静夫君 私は、恐らくサラ金での借金原因で命を落とす人というのはこれは急増しているのではないかと考えているんですが、警察庁この辺はどうお考えでしょうか。
  31. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 主要な事件、いろいろと社会的に問題になっておりますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、サラ金苦自体原因動機とする事件について従来全国的な統計をとっておりません状況でございますので、経年的に最近ふえておるかどうかということについては必ずしも的確なお答えができないわけでございますが、当初に御答弁申し上げましたたとえば自殺に関する年間統計で、負債等経済生活問題を原因とする自殺者の数について五十六年を申し上げましたが、全体で九・九%の構成比と申し上げましたが、昭和五十三年同様な数字では全年間自殺者数二万七百八十八人のうち千七百三人、八・二%と、こういう状況でございますので、構成比自体はふえておるということが言えようかと思います。
  32. 和田静夫

    和田静夫君 官房長官、この点どういうふうに認識をされているのか伺っておきたいのであります。一ころ交通事故中心として交通戦争という言葉がありました。これは私は交通事故死ベトナム戦争の死者に匹敵することからくるたとえであったわけでありましたが、このたとえを援用すれば、いま私はサラ金戦争が始まっているというふうに言ってもいいぐらいの状態ではないかと思うんです。事実把握をどういうふうにお考えになりましょうか。
  33. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御説のように最近、サラ金をめぐっていろんな悲惨な事件が発生をしておりますが、私どもとしても心を痛めておる次第でございます。いわば一種の社会問題になっております。その原因は、やはり消費者金融というものが必ずしも適切に対応することができていなかったというところにこの種の業者がはびこってくると。それに伴っていろんな問題が起きてきておると、こう思いますが、そういう前提に立った上で、この国会でも何とかサラ金業者を野放しといいますか、そういうことでなくて、法の規制の枠内に入れて、その規制のもとにこの業界健全化を図り、そして同時に今日社会問題化しておるこの貸し金をめぐってのいろんな問題点の解決をやっていこうと、こういうつもりで、政府としてもこの法の成立を契機として一層の徹底をやっていきたいと、かように考えております。
  34. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省、最近のサラ金による被害状況ですが、近年の以前とは異なる傾向、そういうふうな点について御報告をまず願いたいのと、サラ金適正金利ですね、適正金利というのは一体どの程度がいいというふうにお考えになっているんでしょうか。
  35. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 私ども被害状況につきまして具体的、統計的に把握しておるものは持っておりません。ただ、東京都の窓口にいろいろ相談が来ておりまして、それの相談状況につきまして御質問お答えにさしていただきたいと思いますが、その相談状況を見ますと、最近過剰借り入れに関するものの相談構成比が、若干高まってきているというのが一つの特徴のようにこの数字からは見受けられます。さらに、借入先につきましては、これは統計的な数字ではぴったり出ておらないんでございますけれどもサラ金だけではなくて信販とかクレジット、そういったところからも借りている。いわゆるいろいろな先からの借入者がふえてきているのではないかというようなことを耳にしております。  第二の御質問適正金利はいかがかということにつきましては、これは大変むずかしい御質問でございまして、一般的に金融の取引自体、確固不動たる適正金利はこれだという形のものはなかなか言い得ないことと、その上に大変サラ金業者というのは数も多くて規模等につきましてもまちまち、千差万別でございますので、いま私ども自信を持ってこのくらいの金利なら適当であるというふうに申し上げる自信がないので、大変恐縮でございますけれども、そのような気持ちでおります。
  36. 和田静夫

    和田静夫君 最高裁、利息制限法による救済措置がこれまでどのように機能しましたでしょうか。
  37. 川嵜義徳

    最高裁判所長官代理者川嵜義徳君) 先ほども申し上げましたとおり、サラ金紛争簡易裁判所における調停事件という形であらわれてまいります。このように、裁判所調停事件という形で紛争が出てまいりました場合には、裁判所具体的に言えば調停委員会でありますが、調停委員会は利息制限法及びこれに関する最高裁の判例、これは御承知だと思いますけれども、超過利息の支払いをしたその金額は元本へ充当できると、こういう判例でありますが、この判例に準拠いたしまして、当該事案における元本充当計算を厳格に行いまして、残りがあれば、その残りの金額をどのようにして返すかという調停案をつくるわけであります。このような形で調停が行われますために、調停という場において利息制限法を超える金銭の支払いが合意されるということはないわけでありまして、こういう意味からして、裁判所へ出てくる限りは利息制限法及びこれに関する判例が十分な機能をしているということが言えようかと思います。
  38. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省、いわゆるサラ金規制法、衆議院で今明日通るのでしょうが、この現在の悲惨な状況を救済することがあれでできるのだろうか。むしろ被害者救済の道を閉ざすのではないかという見解もあるわけですが、そういう点はどういうふうにお考えになっていますか。
  39. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) サラ金の被害の原因につきましては債権者、債務者両方にいろいろな問題があるというふうに考えておりますけれども、債権者について申し上げれば、現在サラ金業者に対しまして法規制が十分行われ得ないというような状況になっているのも、やはりサラ金の被害を大きくする原因一つになっているというふうに私は思っております。したがいまして、現在御審議いただいております法案が成立いたしますれば、あるいは登録制が導入される、あるいは所定の業務規制が行われる等々の措置によりまして、サラ金業者の業務の適正化が現在よりも図られるし、私ども行政といたしましては、図り得るように十分に努力をしていかなければならないというふうに思っておりまして、そういうことを通じましてサラ金被害の減少に十分役立つものであるというふうに考えておりますし、私どもそのように運営に努めていかなければならないというふうに考えております。
  40. 和田静夫

    和田静夫君 日銀ですかね、サラ金への銀行融資問題ですけれども、考査局の総務課長の林敏雄さんが、この「金融」の八二年の十月号ですが、こういうふうに指摘しているわけですね。「信販、貸金業者各社が金融機関からの借入れに当って差入れる担保は、ほとんどが顧客から受け入れた小口、多数の割賦債権、ローン債権である」と。この事実関係は、私は追って明らかにしていきますが、「こうした担保債権を実際に金融機関が取立てるのは容易ではなく、この点では、金融機関にとってみれば無担保の信用賃と殆んど変りはない。」こういうふうに指摘されています。私はまさにこの「無担保の信用貸」であると考えるわけですけれども、これは個人論文、署名の論文ではありますが、日銀としてはいかにとらえていらっしゃいますか。
  41. 澄田智

    参考人澄田智君) いま御指摘のように、この「金融」に掲載されました林課長の書きました論文自体は、これは個人としての筆者、個人の筆者での資格で書いておりまして、その判断等については林課長個人の判断であると、こういうふうにはっきり断ってあるものでございます。したがいまして、その論文自体を日本銀行でどうかと言われても、これはお答え申し上げるのは適当ではないと思いますが、いまお読みになりました点につきましてのお尋ねにつきましては、金融機関が貸し出しに当たりまして何を担保にとって、そうしてどういう貸し出しを行うかというのは、これは基本的には申すまでもないことではありますが、金融機関が自主的に判断をすべきものでございまして、それ以上のことはわれわれの立場で申すことではございませんが、ただ、いわゆるサラ金業者から物的担保をとるということは、これは非常に困難であろうかと思います。したがいまして、担保という場合にローン債権を担保にとると、こういうことになる場合が多いと思いますが、その小口、多数というようなローン債権について、これを金融機関が担保として実行するということは、これは容易ではない、そういうことではないかと思います。したがって、これを無担保のものと言い切ることがどうかという点は判断のむずかしいところでございますが、いずれにしてもこうした担保は、預金でありますとかあるいは有価証券でありますとかそういった担保よりは価値の低いものであると、かようには申し上げることができると思います。
  42. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省サラ金が暴力団や興信所を使ってもなかなか回収できない債権ですね、こういうものを銀行が取り立てられるかということを考えてみますと、私はやっぱり無担保の融資にほかならないというふうに、そこからも推理せざるを得ないわけですけれども、いかがでしょう。
  43. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) ローン債権すべてがそのように大変質の劣悪なものであるかどうかということにつきましては、私、全部がそういうものではないだろうというふうに思っております。いろいろな質の差がございまして、それの一部分につきましてはなかなか取り立てしにくいような信用度の低いものも確かにまじっておるということは御指摘のとおりだろうと思います。したがいまして、金融機関といたしましても貸金業者に貸し出しをするその当初に、それの担保としてとる債権全体が価値のないものというふうな仮に判断をいたしますれば、それは御指摘のとおりまさに裸の信用貸しでございますけれども、そういう判断に立って担保にはしていない。中にはあるかもしれないけれども、当初の貸し出しにつきましてはかなりの程度回収し得る信用度がついておるものということを頭におきまして融資をしておる。したがいまして、担保の度合いでございますとかそれの評価につきましては、いま副総裁おっしゃいましたように、預金、国債あるいは優良な手形等とは違ったグレードのつけ方はあるとは思いますけれども、初めから取り立てできないということで割り切っているというふうには思っておりません。
  44. 和田静夫

    和田静夫君 澄田総裁、この林論文の次のところに「最近の大手会社の借入れ急増をみると、金融機関には担保を差入れてもその他借入れ部分については無担保のものが多いのではないかと推察され、」こういうふうに指摘しているわけです。この点はいかがでしょう。私は金融機関についても無担保があると言えると思うんですが。
  45. 澄田智

    参考人澄田智君) その金融機関以外からの借り入れ部分について無担保のものが多いのではないかという点でございますが、それはあるいはそういうケースも多いのではないか、かように考えます。ただ、ローン債権の担保について、金融機関以外から借りているそういった貸出先が担保をさらに後から追徴するというようなことが起こると、それは担保が足りなくなるというような問題等になるわけでありますが、貸金業者に融資をしている企業、これがそういった担保を追徴する、追求すると、こういうようなことになるのは、これはやっぱり貸金業者の経営に何か問題が起こったというようなときであろうかと思います。そういうような常識から判断いたしまして、やはりその貸金業者の経営自体がどうか、そういう点に対する十分な貸し出しする側、これは金融機関の場合はもちろんでありますが、金融機関以外の貸し出しというような場合でありましても、そういった賃金業者の経営等についてこれはやはり十分審査をして貸し出しをする、こういうものであろうと思っております。
  46. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省、同じ質問いかがです。
  47. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 私ども実は具体的に金融機関以外のものが貸金業者にどういう形態でどういうふうに貸しておるかということは、実態的に自信を持ってつまびらかにしておりませんので、なかなか具体的な状態を頭に置いてお答えできないんでございますけれども一般的な考え方といたしますれば、ただいま副総裁がおっしゃったとおりだというふうに思っております。
  48. 和田静夫

    和田静夫君 さらにこの林さんの論文、「最近、貸金業者振出の約束手形を担保にとっている金融機関もあるが、これは裏付けのない借用証書にすぎない」とまで言い切っていらっしゃるわけですね。私もこれは同感なんですが、日銀、大蔵省はどうお考えになりますか。
  49. 澄田智

    参考人澄田智君) 手形貸し付けというものがどうかというようなことにもなるわけでございまして、手形貸し付けというものは金融の慣行としては非常に広く行われているわけでございます。物的担保でなくて借入人の振り出した手形を担保にとるというような場合でございますが、こういう場合においては、この手形を担保にとるということに加えて、やはり先ほどのお答えとダブってくるわけでありますが、借入側の信用状況、経営の内容等について十分に把握をし、その上で貸し付けが行われるというのが健全な金融慣行であろう、かように思います。
  50. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 約手を担保あるいは添え担保として資金を融通するというケースは、普通の金融取引にも間々あるのではないかと思っております。その場合に、担保あるいは担保見合いとしてとる約手の信用度というものは、いわゆる商手とは違いまして、商取引に裏づけされておりませんから、もっぱらその信用度は振り出した企業そのものの信用度に比例するわけでございますので、商業手形を担保にとる以上にそれの評価なり判断というのは、よく相手先企業の状態を見きわめて評価すべきものであるというふうに考えます。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 これは林論文が指摘しますように、金融機関のサラ金融資は、私はごく一部を除いて信用貸し、無担保貸しあるいは将来不良債権に転化する可能性が大いにある、そういうリスクがいっぱいの不良融資であるというふうに考えているんですけれども、この辺は日銀、大蔵省はどういうふうにコメントされますか。
  52. 澄田智

    参考人澄田智君) 先ほど来の御質問に対して申し上げたこととダブる部分が多いわけでございますが、融資に当たりまして金融機関といたしましては金融機関の使命、公共的な立場というようなものを十分に考え、健全な融資というそういうことに十分徹していかなければならない、それが金融機関の経営の第一歩で最も重要なことであるわけでございます。そういう意味から申しまして、いわゆるサラ金業者、貸金業者に対する融資というような点については十分にその融資の内容の審査をして、そしてそういうような点から健全な金融という点にいささかも問題がないというようなことで融資が行われるべき性格のものではないか、かように思うわけでございます。  現在までに融資自体についてそういった融資の健全性という点について問題があるかということになりますと、いままで問題になったケースというものはまだ幸いにしてございません。しかし、先ほど来御指摘のような点がございますので、今後そういう点については金融機関としては、十分に自主的判断ではございますが、自重をして行うべき融資であろうと、かように考えております。
  53. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) サラ金業者の実態を自信を持ってとらえてないまま申し上げるのもいささか恐縮でございますけれども、先生おっしゃいますように、サラ金業者の貸付債権が一般的、原則的にいずれ不良債権に転化するだろうというところまでは私思い詰めておりません。ただ、先ほど来からの御質問もありますように、そういった債権につきましては、ある程度信用貸しに近いような面、担保の評価につきましても、信用度について十分慎重でならなければならないという側面も持っておるわけでございますので、金融機関といたしましてそういう融資をするに際しては資産の健全性という観点から慎重が上にも慎重であるべきであるという点は、全く御指摘のとおりでございまして、私どもも、五十三年サラ金融資がかなり伸びて一時社会的に問題にかなりなった時期がございますが、その時期に金融機関に対して注意を喚起したことがございます。その時点におきましても金融機関に対しましては、そういった性格であるから、たとえばある業者について資金のかなりの部分を融資することは適当ではないんじゃないか。というのは一つの会社に偏ってたくさん貸すということは、資金の分散という意味から言っても十分考えなさいよとか、あるいは担保等につきましても融資の健全性に配意してほしいというような指導をやってまいっておりまして、この方向につきましてはまさに先生の御指摘のとおりの点であろうというふうに思っております。
  54. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと念押しになりますが、そういうことないと思うんですけれども、大手のサラ金の経営基盤が安定してきたから、怪しげな担保でも貸してよいと、そういう判断はこれは日銀、大蔵ともにございませんでしょうね。
  55. 澄田智

    参考人澄田智君) 従来もそういうふうなふうには考えておりませんし、そういうふうに今後とも判断をしていくというようなことはございません。ただまあ先ほどから繰り返しでございますが、日本銀行の立場といたしましては、個々の金融機関が自主的に判断をしていく。その自主性はあくまでこれは尊重すべきものでございまして、それが十分健全なものである、信用度においても大丈夫であるということを強く期待をしているものでございます。
  56. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 個別の会社を頭において申し上げるわけでは全くございませんけれども、会社の規模等によって信用度が高いとか低いとかいうふうに一概に評価する気持ちは私ども持っておりません。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省この武富士の第十五期、昭和五十六年十二月一日から五十七年十一月三十日の間の有価証券報告書三十五ページ、ここに商工ファクターという株式会社が期末残高で十億円貸し付けています。この商工ファクターなる会社は、これは商工中金の系列会社ですね。
  58. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 系列会社という言葉をどういうふうにとらえるかでございますけれども、非常に人的にも関係の深いそういう意味で、常識的に関係会社あるいは非常に関連の深い会社であるというふうに承知しております。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 この商工ファクター、さらにアコムにも見ますと十億円融資していることが確認されます。他の大手の二社ですね、プロミス、レイク、これには融資していますか。
  60. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 商工ファクターは商工中金に関係の深い会社でございますけれども、企業形態としては独立の法人でございますし、独立の私企業がさらに別の私企業に金を貸しておる、個別の取引をしておるというわけでございますので、私の立場から御指摘のような個別の金額幾らということは大変申し上げにくいわけでございますけれども、耳にいたしておりますところでは大体先生御指摘のような形になっているのではないかというふうに感じております。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 プロミスにも十億出ていますね。  武富士、アコムの有価証券報告書を全部目を通しましたが、担保欄がこれ空白になっていますよ。これは無担保の可能性を意味しましょうか。
  62. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 私、有価証券報告書を実はつまびらかに勉強しておりませんので、何とも判断がつきかぬます。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 これ、じゃ後で一緒に見て教えてください。  読売新聞の四月二十日付によりますと、商工中金の幹部が、「「サラ金会社からわざわざ念書をとった上での融資で、結果的には現在のサラ金の高金利を下げる手だてになるはず。大蔵省の了解もとった上でのこと」と話している。」という報道になっているわけですがね。この二つの事実確認ですが、念書の内容はどんなものでしょうか。さらに大蔵省は了解を与えたのでしょうか。
  64. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) ただいまお話しのことにつきましてまず事実関係につきまして申し上げます。  いま先生がおっしゃったのをそのままですと、商工中金が商工ファクターに貸したことについて念書をとったとか、そういうふうなふうに受け取られればそれは事実ではございませんで、商工ファクターがサラ金会社に金を貸すに際しまして高い融資をするようなことであっては困る。自分たちが貸す金はできるだけサラ金業者の貸し出しの金利を引き下げる、下げてもらいたいという気持ちを込めて貸すのであるから、そういった趣旨の念書をとったというふうに間接的に商工中金から事情を聞いております。  なお、商工中金が商工ファクターにお金を貸すにつきましては、これは特段問題はないわけでございますけれども、ただ商工中金が商工ファクターに金を貸して、そのお金をサラ金に貸すということはいかがかなという点につきましては、私どもは商工中金からの報告によりますれば、商工中金が貸したお金は商工ファクターを通じてサラ金業者に貸しているわけではない。商工ファクターは民間の金融機関からお金を借りてそれを貸し金業者に貸したのであるというふうな説明を受けております。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 そのときの貸出金利というのは幾らですか。
  66. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 商工ファクターが貸し金業者に貸した金利については報告を受けておりません。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 たとえ子会社であるとはいえ、政府が出資をして利子補給をしておる政府系の金融機関、その金融機関からサラ金への資金調達の言ってみればトンネルになっている。これは非常に私は大きな問題だと思うのです。金に色をつけておいてどこから来た金だというのは、なかなか商工ファクターで色分けできるわけじゃないでしょうからね。しかも担保がこれきわめてあいまいでしてね、どうも無担保融資と断じてよいのではないかと私は思うのですが、サラ金の高金利を下げるためなどということは私は理由にならぬと思う。むしろこの過剰融資を政府自体が結果的にはあおっている、こういう結果になりかねないというふうに思うのですが、その辺は大蔵どうお考えになりますか。
  68. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 商工中金がいろいろな貸し金をするに際しまして、私どもも、それが間接的にせよ、あるいは商工中金の直接ではないにしろ、関係が深い会社がサラ金に対する融資をするということにつきましては、非常に慎重であらねばならないというふうに思っております。そもそも商工中金に対しましても、私ども一般に民間金融機関に対しまして、サラ金融資についていやしくも社会的な批判を受けるような会社等について融資をするということについては、十分慎むようにというふうに申しておるわけでございまして、その考え方は商工中金も当然のこととして、より民間金融機関以上に厳しく受けとめてもらわなければならないわけでございます。したがいまして、何らかの関連でサラ金融資がありまして、それにつきまして社会的に、誤解に基づくとはいえ、批判を招くような状況になっているというのは私どもも大変遺憾に思っておりまして、商工中金からはそういうような気持ちを体しまして、できるだけ速やかにその貸し出しを回収いたし、商工ファクターが貸金業者に融資をするということは慎むという報告を受けております。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 行管庁長官、いまの論議をお聞きになってどうお考えになりますか。
  70. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 政府関係機関の金融機関でございますね、その金融機関からどういう形でサラ金業者の方にそれが流れていくのか、私も詳細はよくわかりませんが、そういう方面に流れていくとするならば、これは慎むべき問題だと私は思います。特にサラ金業の問題については、これはもう私が申し述べるまでもなく、社会的に非常な批判のある問題でございますから、そういう方面にどういう形でそれが流れていっているのか私はよく知りませんが、流れているとすれば私はこれは自粛すべきものだと、本当に残念なことだと思います。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 官房長官いかがでしょうか。
  72. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 全くの素人でございますからお許し願いたいと思うんですが、まあサラ金業者の資金調達がどういうところから得ているのか、私はいまの質疑応答を聞いておっても必ずしも明確ならずと言っては言い過ぎかもしれませんが、そういう面があると思います。したがって、それらについてはやはり大蔵省なりあるいは金融機関の中心である日本銀行御当局なりが、やはりこういう面にはいま少しく実態を調査をせられて、そしていわゆるサラ金業者をトンネルみたいにして、いま資金が一方では余っておる、他方では資金の欲しい消費者金融、これについて必ずしも適切な手が打てていない、こういった間隙に乗じてのいろんな社会問題が起きているわけですから、そういう点については適切なやはり指導をしていくべきものであろう、かように考えております。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 政府系金融機関では商工中金のほかに農林中金の関連会社、協同リースというのがあるんですがね。武富士やアコムのやつをずっと有価証券報告書を見ていましたときに、この協同リースは武富士に十億、それからアコムに三十億貸し付けているんです。そうこうしていたら、けさの読売新聞によりますとプロミスに四十一億、レイクにも五億融資しているという報道がありますね。内閣、こうなりますと、政府系金融機関が系列会社を使ってサラ金に融資しているというケース、これはほかにもあるのではないだろうか、全部洗い直す必要があるんじゃないかという感じがいたしますがね、いかがですか。
  74. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 農林中金の系列会社の協同リースがサラ金業者にお金を融資しておるというのは、ただいま先生御指摘のとおりでございまして、これも先ほどの商中と同工異曲でございまして、農林中金自身のお金がストレートにこの系列会社を通じてサラ金会社に回っていっているわけではございませんで、説明によりますれば、民間の金融機関から調達した金でサラ金業者に融資しておるという形でございます。  商中、農中以外にこういうような形があるかという御指摘でございます。私ども悉皆調査を改めてしたわけではございませんけれども政府機関の中では農中と商中はいわば公庫とは違いまして、かなり民間に近い組合金融、特に農林中金につきましては、これはもう出資は政府ゼロ、財投の資金も全然依存してないという、いわば純然たる民間の組合金融機関でございますので、そういった観点から業務についてやや裁量の余地あるいは弾力的な考え方で両農中、商中ともやっておるわけでございますが、ほかの公庫等は非常に政策に即した個別の融資をやっておりますので、先生御心配のようなことは万々が一にもないのではないかというふうに信じております。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 会計検査院はどういうふうに見られますか。
  76. 井上隆夫

    説明員井上隆夫君) お答え申し上げます。  先生御指摘の事態につきましては、私ども新聞報道で初めて知った次第でございますが、商工中金から商工ファクター株式会社が構成員となっております事業協同組合に対します貸し付けにつきましては、五十七年度に行われたものでございまして、五十七年度の貸付事業につきましては、本院といたしましてはまだ詳細な検査を行っておりませんので、具体的な事実関係については十分把握しておりませんが、一般論として申し上げますと、政府関係の金融機関の資金がもし仮にサラ金業者に流れるようなことがあったとしますれば、政府関係の金融機関の対応としては好ましくないのではないかと考えている次第でございます。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 まあ、いま答弁にありましたように、検査院はどうも把握をされていなくて報道でお知りになったという話になるんですがね。しかし、私はちょっと関心を持って有価証券報告書を見ただけでも、この系列会社の問題はすぐ目にとまったわけですよ。ただ、協同リースが農林中金であるかないかというのを調べ上げるには、われわれ素人、かなり時間を必要としましたけれどもね。協同リースとは何だろう、あるいはその他何だろうというのを調べるのは容易じゃなかったんですが、ここのところはなぜ検査院としてはわからなかったのだろうか。
  78. 井上隆夫

    説明員井上隆夫君) お答え申し上げます。  私どもにはそういった会社の有価証券報告書は来ておりませんので、そういった事態はわからないわけでございます。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 いや、私の言いたいのは、したがって商工中金の場合で考えてみれば、まあ商工中金は検査院に対しては非常に調査に協力的だと、こう言われているわけで、そのことをゆめゆめ疑っているわけじゃありませんけれども、やっぱりいまの検査院法ではあなた方には限界があって、院法の改正問題というのはずっと話題になってきているわけですがね、その辺のところがやっぱり壁になって、どうもそこまで調査が行き届かなかった、そういう感じをこれ持ちますよね。この辺は、院長海外旅行のようだから総長、どうですか。
  80. 藤井健太郎

    説明員藤井健太郎君) お答えいたします。  本件自体について考えてみますと、まあ商工中金が事業協同組合に対する貸付金を商工ファクターに転貸したというふうに聞いております。しかも、商工ファクターの運転資金として貸し付けられたものじゃないかというふうに理解しているわけでございますが、その資金の性質なりあるいは私たちが融資先に対する検査権限なりそういったもの、あるいはそういった種々の制約があろうかと思いますが、商工中金の検査に当たりまして、十分関係者の御理解を得まして検討してみたいというふうに考えているわけでございます。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 官房長官ね、やっぱり私、この院法の改正問題をずっと私も決算委員長やったことがありまして、何回か取り上げてきているんですがね。この辺のことにぶつかってくると、やっぱりいまの院法では会計検査院が持っておる一つの権能との壁というやつがどうも出てきているんじゃないかという感じもしますがね、長官はいかがお考えになりますか。
  82. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 先ほどお答えしましたように、サラ金の資金がどこから来ておるのかという点について、必ずしも徹底した調査が行き届いているわけでありませんから、そこらについてはやはり十分指導をしなきゃならぬ、こう考えているわけでございますが、私が聞いている範囲では、農中なりあるいは商中のそのものの金が行っているとは聞いておりません。これはやはり民間からの調達した金である、こういうふうに聞いているわけですが、そこらはこれからまたいろいろ社会的な、何といいますかね、一部マスコミ等で非難を受けているところですからきっちりさせなきゃならぬと、こう思います。  御質問の院法の改正問題に関連してですが、そこは一つのこれはむずかしいところですね。やはり公権力をどこまで一体及ぼすことが適切なのか、自由経済下における。ここらはよほど慎重でないといけないのではないかなあと、一つはそう思います。同時に、余り公権力が目の中に指突っ込むようなことになると、こういった本来政府系の金融機関はそれなりの使命を持っておりますから、それらについての政策金融それ自体にマイナス面が出るというおそれもありはしないのかといったような点も、私は考慮しなければなるまいと。院法の改正案が出て以来政府部内でいろいろと論議をしたようでございますが、そこらについての議論もまとまらずといったのが現在の段階でございます。したがって、御質問の点は大変私はむずかしい問題をはらんでおるなあと。現在の政府の態度としては、余り公権力は、民間にまで検査の手を差し伸べるということについては多少考えなければならぬ点があるのではないかと、かように考えているわけでございます。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 金融機関のサラ金融資で大手三社のこの有価証券報告書を見ますと、「賦払貸付金」というのが出てくるんですよ。これは日銀、大蔵省両方からちょっと具体的に説明していただけますか。
  84. 澄田智

    参考人澄田智君) 私ども日本銀行は、いまお話しの点は、これは大手の貸金業、大手のサラ金業の方の報告書ではないかと、こう思うんでございますが、日本銀行といたしましては、金融機関の経営内容につきましては、これは金融機関との間の契約に基づきまして考査をいたしておりますが、貸金業者とかその他金融機関でないところの資産、負債、債権、債務というような点については直接何もタッチをする立場ではございません。したがいまして、どうもいまの賦払い債権というのが何でありますか、それは私どもは把握しかねる次第でございます。
  85. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 私どももその内容につきまして承知しておりません。
  86. 和田静夫

    和田静夫君 この大手三社の有価証券報告書によりますと、武富士には三十七の相互銀行、それから十の地銀が融資をしてます。ほとんどこの賦払い貸付金を担保としているわけですね。ここのところを社長に聞きたかったものだからきょう参考人で要請をしたんですけれども、どうも話が煮詰まらず、きょうは間に合わなかったんですが、いま言われる日銀も大蔵省もわからぬということになると、責任者に来てもらって聞く以外にわからないんですが、これはほとんど賦払い貸付金を担保としているんですね。どうも理解できない。中には担保不明もかなりあるわけですよ。こうなってきますと、やっぱり私がいままで議論してきた事実上の無担保貸し付けなんじゃないんだろうか。大蔵どうですか。
  87. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 全く推定で物を申し上げることは恐縮でございますし、後刻事実関係は照会してみようと思いますけれども、その賦払い債権というのがいわゆるローン債権、これじゃないかなという気がいたしますが、この点は後刻御報告いたします。
  88. 和田静夫

    和田静夫君 大手三社のこの有価証券報告書で、都市銀行のダミーがぞろぞろ登場するんですよ。これはもう読み上げるときりがないぐらいですが、第一勧銀、太陽神戸、富士、大和、それから大光相互、福徳相互、阪神相互、足利銀行、大阪銀行、三井信託などなどたくさん出てきますがね。これですが、なぜ銀行がダイレクトに融資しないんでしょうね。
  89. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 銀行が直接融資をするか、あるいは関連会社を通じて融資をするかは、個々の銀行の関連会社をどういうふうな目的で使っていくかという、いろいろ営業の方針にもあると思います。関連会社は主として金融関連業務をやっておるところが多いのではないかと思います、ファクタリングでございますとか。したがいまして、いわゆるそういった与信類似行為の一つとして、そこでやらせるのが適当であろうというふうに判断したというふうにも考えられますけれども一般的にどうこうと申し上げられるよりも、むしろ個別個別のいろいろな銀行の営業の方針によるのではないかなというふうに思いますが、これまたやや自信がございません。
  90. 和田静夫

    和田静夫君 私、銀行がサラ金に融資しているのと結果的には同じじゃないかというふうに思うんですよ、これ。やっぱり大蔵省、これらの銀行融資の評価ですがね、評価はどういうふうにされていますか、それじゃ。
  91. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 関連会社を通じて融資をいたしましょうと銀行が直接いたしましょうと、その融資につきましては明らかに銀行の主として判断に基づきまして行われるわけでございますので、その融資に当たりましては、私どもは銀行に申し上げていますように、公共性にかんがみまして社会的な批判を受けることのないような慎重な態度が望ましいし、そういうしぶりで業務をしてもらうべきことであるというふうに思っております。
  92. 和田静夫

    和田静夫君 銀行ばかり挙げましたが、銀行も問題ですけれども、もっと問題なのは私は生保、損保だと思うのですよ。生損保では千代田生命、第一火災海上、日産火災、東洋火災などが堂々と名前を連ねていますよ。また、武富士の子会社の東輝リースの関連で、これは報道によりますと千代田、住友、第一、明治、三井、安田、大同、日本、朝日、東京、平和、これはもうほとんどの生保が貸し付けをしていますね。保険会社が社会的に問題を起こしているサラ金に金を貸すというのは、これはどういうことなんだろうか、保険会社がなぜ相互会社となっているのだろうかという点を考えてみると、大変疑問なんですが、大蔵省はどういう御見解をお持ちですか。
  93. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 生保会社につきましても、その融資の運用に当たりましては金融機関と同様、それは会社の形態が株式であろうと相互会社であろうと、私はいずれも同じだろうと思います。公共性の重い機関でございますから、それにふさわしい融資をしていただくのが当然でございまして、金融機関に私どもが申し上げていると同様の方針を受けとめて、資金の運用に当たってもらうべきものであるというふうに思っております。
  94. 和田静夫

    和田静夫君 この保険会社は、保険業法、省令によりまして資金運用の対象担保設定がこれはもう厳密に規定されていますね。規制されていますよ。各社の財産利用方法書、これにはサラ金融資ができるというふうに書いてあるんですか。
  95. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 生保会社の財産利用方法書には生保会社が貸し付けし得る対象をいろいろ書いてございますけれども、明示的にサラ金会社というふうな形で列記して書いてあるわけではございません。一定の要件、たとえば取引所にいろいろ審査基準がございますけれども、そういう審査基準に合致するようなしっかりしたところに貸すべきであるとか、そういった一般的な形での基準を示しておるわけでございます。
  96. 和田静夫

    和田静夫君 そうですよね。それで、ましてや無担保融資なんていうのは認めますとは書いてないわけでしょう。無担保融資でやりますなんていうことは書いてないわけでしょう。これ認めているわけですかね。
  97. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) その中には、生保会社は法律的に無担保融資を行ってはならないわけではございませんで、大蔵大臣が認可をすればよろしいわけでございます。その認可の態様が財産利用方法書でございまして、その中には担保を必ず取らなければいけない貸し付けばかりではございません。
  98. 和田静夫

    和田静夫君 そうです。そこで、この貸し付けの場合、いわゆるサラ金の場合ですね、これは事実上無担保の融資ですよ。どうもこれは保険業法の違反になりませんか。このたとえば十四条。十八条、十九条、第四章の部分ですね。
  99. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 御指摘のような法律違反になるような形での融資ではございません。
  100. 和田静夫

    和田静夫君 純粋な法律論で考えてみまして法制局長官いかがですか、ことのところ。
  101. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) いま御指摘の保険業法の施行規則の第十八条に「保険会社ハ左ノ方法ニ依ルノ外其ノ財産ヲ利用スルコトヲ得ズ」という規定がありまして、一号から十一号まで書いてあるわけですが、サラ金会社に対する無担保貸し付けは一号から十号までには該当しないように思いますが、十一号に「其ノ他大蔵大臣ノ認可ヲ受ケタル方法」というのがございますから、これによって大蔵大臣が認可をする限りは、そういうことも法律的には可能である、こういうことになると思います。    〔委員長退席、理事井上裕君着席〕
  102. 和田静夫

    和田静夫君 これ財産利用方法書というのは資料で要求したら出してくれますか。
  103. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 財産利用方法書は定型的な例ではございませんで、個別の会社ごとにやや少しずつ会社の性格等に応じて違った形のものでございますので、個別の会社のものをそのものというわけにはまいりませんけれども、おおよそ一般的にこういう項目のこういう形のものであるということは、一般的な形としてお示しすることは可能ではないかというふうに思います。
  104. 和田静夫

    和田静夫君 実は、資料ちょっと要求したら、施行規則印刷してお持ち願いまして、これじゃとても要求した資料にはならぬわけでありまして、こんなものは法律の条文読めばわかることでありまして、これよりももうちょっと突っ込んだものでないと、われわれ判断のしようがないわけですがね、いかがです。
  105. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 時間をちょうだいいたしまして御説明に上がらしていただきたいと思います。
  106. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと話飛ばしますけれども警察庁サラ金への強盗の検挙率が悪いわけですね。これはサラ金の店舗拡張に防犯が追いつかないという証左じゃないかというふうに素人判断ですが、いかがです。
  107. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 昭和五十七年中の、いわゆるサラ金対象強盗事件は、発生六十九件、検挙三十三件でございますので四七・八%、前年が四二・九%でございましたので、若干伸びてはおります。なお、本年は四月十五日現在で発生二十五件、検挙十四件でございますので、検挙率五六%ということでございます。確かに金融機関の対象強盗事件の検挙率は昨年が六一・七%でございましたので、それに比較をいたしますと、サラ金対象の強盗事件の検挙率が低いということは事実であります。これは、いま委員指摘の店舗の拡張に防犯対策が追いつかないからではないかという御指摘でございますが、そうであるかどうか私どもはつまびらかにいたしませんが、    〔理事井上裕君退席、委員長着席〕 いま申し上げました五十七年中に被害に遭ったサラ金六十九店舗、これの防犯体制等について調べてみましたところが、一つの特徴は従業員の数が平素三人以下というのが四十三店舗でございます。事件発生時の在店員が三人以下が五十七店舗というわけで、きわめて少人数であるというのが特徴でございますし、また平素事件発生時に備えての防犯指導であるとか訓練などは、五十八店舗で全く行われておらなかったということもございます。また、防犯ベルのような簡単なものを含めて四十店舗において全く防犯設備が設置されていない、こういった意味では、防犯対策がおくれておることは事実でございます。
  108. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省ね、激烈なサラ金業者の競争あるいは店舗の拡張競争、それから過剰融資、こういう形が数々の悲劇を生み出している、そういうふうにどうも考える方がまともだと思うんですね、否定できない状態だと思うんです。金融機関のサラ金融資がそれを助長しているんですよ、そういうことになりましょう、これ。
  109. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 金融機関のサラ金融資につきましては、健全な消費者金融の分野が確立されるような形で利用されるというのが望ましいわけでございまして、それに伴う、逆と申しますか、別の面として弊害が出てくるような形でそれが使われるというのは、大変残念なことでございますので、そういう点につきましては、できるだけ弊害の出ないような形で今後やっていかなければならないものというふうに思っております。
  110. 和田静夫

    和田静夫君 信用組合も融資しているわけですね。武富士で見てみますと、大阪商業、振興、東京厚生、墨田、大栄、都民、福寿、日和、協栄、アコムは大阪商業、それからレイクは大阪商業、興和、大同、こういうふうに出てきます。この信用組合による融資も、担保は先ほどの賦払い貸付金なんですね、担保不明、こういうのもあります。これは中小企業等協同組合法の精神、いわゆる信用組合の本来あるべき姿からして私は著しく逸脱していると言わざるを得ないのでありますが、この辺は大蔵省御見解お持ちですか。
  111. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 信用組合につきましては、貸し付けは原則として組合員でございますので、いま御指摘のような貸金業者が組合員であるかどうかということと同時に、それの貸し出しの金額自体につきましても、そのように非常に大きな数字になることが適当かどうかという二面問題があると思います。
  112. 和田静夫

    和田静夫君 農協による貸し付けもあるんですね、信組にしろ、農協にしろこのサラ金融資というのは、法律上どうも合法すれすれの行為のように判断されますね。非合法と合法の接点だというような感じがしますが、こういうような資金運用が適正であるかどうかというのは、これはどうですか。
  113. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 農協につきましても全く同様でございまして、組合員でないといけないわけでございますが、事実として農協がサラ金に貸しているかどうかというととは、私ども承知しておりません。  ただ全体的に組合金融のあり方として、サラ金融資についてどういうふうな形で対応すべきかということについては、その性格から非常に慎重にお考えいただくのが適当であろうと思います。
  114. 和田静夫

    和田静夫君 信用組合の中には、サラ金へ融資するよりも自分でサラ金を始めた方が手っ取り早いとお考えになったのかどうかしりませんが、信組役員の身内がサラ金役員についているケースも見られるわけです。たとえば東都信用組合理事長の泰道三八さんの父親はローンズ・テルミーの取締役というような形になっているんですがね、それは親子であったって別々だと言えばそれまでなんですが、こういうようなやり方というのはほかにはございますか。
  115. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 特に具体的なケースを耳にしておりません。
  116. 和田静夫

    和田静夫君 私は、肉親だからといって一概に関係づけることはできませんということはよくわかっていますが、こういうようなやり方の場合、たとえば東都信用が系列会社としてサラ金を経営する、そういう疑いが出てくると思うんですよ。金融機関がサラ金を経営するというのは、一般論としてはこれはどういうことになりましょうか。
  117. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 大変むずかしい御質問だと思います。金融機関が関連会社としてサラ金会社をつくり、それがいままでの消費者金融サラ金の形よりもより健全な形の経営が可能であればそれもまた一つの形かもしれませんけれども、これはやや現時点では頭の体操でございまして、金融機関がいかなる目的を持ってそういうような形をするかということは、個々具体的なケースで判断すべき話ではないかというふうに思います。
  118. 和田静夫

    和田静夫君 法制局長官、一般論ですが、信用組合の役員がサラ金の役員を兼務するというようなことは、これは違法の疑いが非常に強いと思うんですが、どうでしょう、乙の辺は。
  119. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 中小企業等協同組合法では、組合の理事だとか監事については若干の兼職禁止規定がございますけれども、それ以外の場合については特に禁止規定もございませんから、具体状況に応じて当否の問題はあると思いますが、違法というような問題は起こらないと思います。
  120. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省、いままで私が挙げた一連の金融機関のサラ金への金融というのは、これはいわば氷山の一角だろうと思うんです。  まず第一に、実態を最も知り得る立場にある大蔵省が、やっぱりきちんと調査をしていただく必要があろう。それから第二に、担保なしの信用貸しあるいは賦払い貸付金などこういう信用貸し、これはどんな金融機関であろうがやっぱりやってはならないんじゃないだろうかという感じがいたしますが、この点は厳正に指導をすべきだろう。さしあたりこの二点を要望したいと思うんですが、いかがでしょう。
  121. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) サラ金業者の活動の実態につきましては、私どもも今後より的確に把握するよう努めてまいるつもりでございます。  二番目の金融機関の融資につきましては、かねてから申しましておるとおりでございまして、金融機関の資産の健全性という観点からは十分な配慮が必要であると同時に、融資するに際しましては健全な消費者金融の分野が育成されるような形で資金が使われるということを望んでおる次第でございます。
  122. 和田静夫

    和田静夫君 官房長官、金融機関の不明朗な貸し付けはサラ金に限らないわけでありまして、リース会社であるとかあるいは信販などでもあるわけで、これはぜひ内閣としてももっとやっぱりきちんとした対処をされることをこの機会に要望したいと思いますが、いかがでしょう。
  123. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この問題はすでに社会問題になっている面もあるし、他方消費者金融のあり方そのものへの反省を求めておる部面もあるわけでございます。したがって、いわば新しく対応しなきゃならぬ重要な私は課題であろう。  これは実は三年ぐらい前からいろいろ党内でもやりまして、私も委員になっておりましたが、なかなか役所はみんな逃げ腰なんです。役所というのは大体権限争いをするんだけれども、この問題に限っては消極権限争いでございました。それではいけません、これは。これはやはり事柄の性質上、いま大蔵当局から御答弁がありましたけれども、私は真剣にこの問題に対応する必要がある、かように考えております。
  124. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省、社団法人しんきん保証基金という組織があります。これは当初株式会社であったんですが、どういういきさつで社団法人になったんでしょう。
  125. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 御指摘のとおり、これは五十年に株式会社として設立されまして、その後五十三年に、保証料率の引き下げ等消費者により有利な条件で保証を行うという観点からいたしますと、株式会社であるよりも公益法人として設立されている方がよろしいという判断で、社団法人に改組されたというふうに承知しております。
  126. 和田静夫

    和田静夫君 この消費者金融に対する訴えといいますか、いろいろの訴えが舞い込んでくるものだから十分に精査できないんですが、このしんきん保証基金の五十六年度の収支決算をちょっと見てみますと、約十億円、九億八千六百二十七万円の求償権償却、そういうふうに出しているわけですね。これは計算してみると同年度の収入の三分の二に達しています。こういう事実は確認されていますか。
  127. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 計数で申し上げますと、御指摘のとおり、求償権償却が九億八千六百二十七万三千円、当期の収入計が三億九千七百二十万五千円ということでございます。
  128. 和田静夫

    和田静夫君 この求償権償却とは焦げつきですか、これは。
  129. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 焦げついて回収ができないであろうというふうに認めたものでございます。
  130. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、この傾向というのは五十七年度も同様になっていこうというふうに推察されますが、五十七年度の見通しというのはこれはどういうふうになりましょう。
  131. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 五十七年度の数字はまだ手元にございませんので申し上げられませんけれども、そう急激に好転するというような形ではないと思います。
  132. 和田静夫

    和田静夫君 こういう基金に対しては、大蔵省は何か検査をされるとか何かやっていらっしゃるわけなんですか。
  133. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 権限といたしましてはございますけれども、まだ設立後日も浅いものでございますから、今日まで検査をいたしました実績はございません。
  134. 和田静夫

    和田静夫君 この非常に浅いところでもうすでに約十億のいわゆる焦げつきが出てきているということで、私ひょっと思ったのは、いまやっていらっしゃらないんだからあれでしょうが、どうも審査がルーズなんじゃないだろうかということを感じたものだから質問に取り入れてみたんですが、保証対象を満たせば容易に限度額まで貸せるシステムということになっているわけですね、これは。たとえば、これを読んでいってあれしたんですが、独身、アパート暮らし、居住年数が一年、勤続年数が二年の人は五十万円貸してくれるんですね。証明書類は住民票と所得証明書だけですね。  サラ金融資が焦げつくように、審査をされる姿勢がなけりゃこういうような形がずっと累積をしていくというのはどうもあたりまえだというような感じになってきますが、いかがでしょう。
  135. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) これの保証対象となる貸し付けにつきましてはいろいろ種類がございまして、教育ローンでありますとか住宅ローンでございますとか一般個人ローンと、それによりまして保証料率等も若干差をつけてやっておるわけでございます。それの融資の焦げつきがどういうふうになっているか、審査が甘いのではないかということにつきましては、もう少し時日をかけて全体の状況を見ないと判断がつきかねるのではないかと思いますけれども、これが発足のときから、公益法人に直しまして収益は上げないで必要最小限度の形でやっていこうということでございますので、保証料率等につきましてもきわめて低廉でやっております。全体の組織として今後どのようにうまく運営されていくことができるかということは、私どもも十分注目してまいりたいと思います。
  136. 和田静夫

    和田静夫君 さらに読んでいきましたら、支店長の心証によって、さっき述べたケースで百五十万円まで貸し出すことができることになっていますね。こういう点は非常にルーズだという感じがするんですが、これはどうですか。
  137. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 個人的な感じを交えて申し上げれば、その辺が金融機関が直接個人金融をやるに際しての一番の悩みどころだろうと思います。伝統的な考え方でいきますとかなりきつい審査ということになるわけでございますけれども、それでは個人金融の迅速かつ容易にというニーズになかなか合いにくい。さりとてそこを緩め過ぎますればかなりの貸し倒れになってしまう。その辺のさじかげんでございまして、これから金融機関にも大いに実態に即して、さらに工夫をこらしてもらわなければいけないようなゾーンのお話ではないかと思います。
  138. 和田静夫

    和田静夫君 私のところに来ているこの訴えというのは、かなりこれは心配をされた向きの訴えのようでありまして、私はこのしんきん保証基金についてきょうは問題提起にとどめておきますけれども一般論として、保証会社があることによって個別の金融機関が消費者金融にルーズになる。そういうことではないかという前文の手紙がついて、以下関係書類が入っているわけですが、この辺のところはやっぱり十分調査されるなり、慎重に構えられるなりということが至当だと思うんですが、御見解を承っておきます。
  139. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 消費者金融を健全な形で伸ばしていくのに、金融機関がどういう対応をしていくべきか、直接貸すかあるいはサラ金の専業者に金を貸してそれができるだけ健全な形になっていってもらうようにするか、いろいろな方途があると思います。今日はそれの模索の段階だと思いますので、実態を踏まえまして、先生の御指摘も頭に入れまして今後勉強をしてまいりたいと思います。
  140. 和田静夫

    和田静夫君 武富士が北海道、釧路市内で重複の口座融資を行っていたという報道があるわけですね、これ。また、私が得た情報によりますと、利用者を紹介する、リベートを出すという大手サラ金があるんですよ。そうすると、まさに過剰競争のわけですね。この過剰競争が次々に悲劇を生み出してきていることはもう最近の一連の報道でも明らかですが、大蔵省としてはこの過剰競争をどのように、先ほど来論議してきましたが、規制をされようとしていますか。
  141. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 御指摘のような事実がいろいろマスコミ等を通じまして報道されておりまして、私どももそのような行為は不必要な借り入れを促すということにもなりかねません、大変不適当なことではないかなというふうにも思いますけれども、今日のサラ金業者との間の私ども規制のあり方につきましては、現在法律で審議していただいておりますので、その法律が成立した場合にはより密接にそういう実態もとらえ得ると思いますので、私どもの指導あるいは協会等を通じましてそういうような形にならぬよう、しかるべき措置を考えることが適当であろうと思います。
  142. 和田静夫

    和田静夫君 これは私あてに郵送されてきたレイクのリーフレットなんですが、ちょっと中を眺めてみましたら、五十万円までは電話一本で融資すると書いてあるんです。ノン・ショップ・システムというのだそうですがね、これ。このシステムはまずお近くのお電話か同封の指定はがきで御連絡ください、二番目にあなたの御指定の銀行口座に個人名にてお払い込みさせていただきます。いわゆる株式会社レイクという名前じゃなくて個人名で払い込みをさせていただきます。そういうふうになっている。電話一本でヒサナガヤスオ——これはレイクの専務さんの名前のようですが、名義で口座に五十万円振り込まれるという仕組みなんですよ。大蔵省、これじゃ審査も何もあったものじゃないということになりますね。こういうのは何かコメントありますか、これ。
  143. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) ただいま初めてそういう形の融資を聞いたわけでございますけれども、いろいろな形の実態があろうかと思います。よく勉強をしてみたいと思います。
  144. 和田静夫

    和田静夫君 これはレイクの三鷹支店ですから、三鷹市内、武蔵野市内に居住しているすべての人たちに恐らく、これは郵送で来たものですから、分け隔てなく行っているんだろうと思うんですが。  私は、金融機関の消費者金融をもっと積極的に推進すべきだということを考えて、常々たくさんの論議を大蔵委員会等でしてきたわけですね。そこのところがやっぱりどうも省略をされるものだから、こういう状態になってきて、世上騒然たる状態が起きるというふうになってきていると思うのでありまして、もっと具体的にどういうような方策を持つかということをしっかり全体像を把握をしながらお立てになる、そういうことが必要だと思うんですけれども、いかがでしょう。
  145. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) 今後の消費者金融のあり方につきましては、私どもも大いに勉強をしなければならないというふうに考えております。金融制度調査会でも、消費者金融につきましては現在大いに論議をいただいておるところでございまして、金融機関がそれぞれの業態に応じまして消費者金融に積極的に取り組むと、その取り組み方につきましては業態に応じてあるいはその地域に応じていろいろあると思いますけれども、実情に即した形で上滑りにならないような形で取り組んでいくべく私どもも指導をしてまいりたいと思います。
  146. 和田静夫

    和田静夫君 金制調の中に、消費者金融専門委員会を設置して、中長期的な観点から健全な消費者金融市場の発展について検討するとされていますね。これからでは私はすでに手おくれなんだとは思いますが、いま何を行政の責任においておやりになるのか、具体的な対策をまず承っておきたいのです。  私は、ちょっと考えてみれば、一つは個人融資審査を強める、あるいは二つ目には店舗を規制をする、三つ目には金融機関からの融資を制限をする、それから四つ目には広告を規制をする、それからいままで言った一から四を絡めて金利低下を誘導をする、それから金融機関の消費者金融を育成する、こういうことがちょっと頭に浮かぶところなんですがね、いかがですか。
  147. 岡崎洋

    政府委員岡崎洋君) まさに先生の御指摘のような点が、今後の私どもの取り組むべき課題だと思っております。貸金業者自体につきましての業務のあり方等につきましては、いま御審議いただいている法律でもかなり現在よりも筋の通った形の指導ができるような手がかりはおつくりいただいているのではないかと思っております。  なお、金融機関の融資のあり方、金融機関そのものの対応につきましては、先生の御指摘のような方向で私どもも鋭意努力を重ねていくし、金融機関にもその努力を一層いままで以上の努力をしてもらわなければならないというふうに思います。
  148. 和田静夫

    和田静夫君 総理府総務長官、政府の広報としてもやっぱりこれだけ問題になっているものですからね、もっとサラ金被害の実態を国民に訴えていくべきだと考えるのですが、いかがでしょう。
  149. 丹羽兵助

    国務大臣(丹羽兵助君) これ、私からお答えさせていただく前に、現実的にどのようなことをやっておるかということを、広報室長からまずお答えさせていただきます。
  150. 小野佐千夫

    政府委員小野佐千夫君) お答えいたします。  総理府で行っております政府広報は、関係各省庁との緊密な連携のもとに広報のテーマ、広報媒体、広報内容等を定めて実施しているところでございます。サラ金に関しましては、昨年の暮れに悪質サラ金に御用心、御注意されるようにとの広報を新聞の突き出し広告、それから週刊誌の三分の一ページ広告で実施いたしております。サラ金の被害防止に関する広報につきましては、いろいろと研究をいたしまして今後とも関係各省庁と連絡を密にし、適切な広報を展開してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  151. 和田静夫

    和田静夫君 会計検査院にお尋ねしますが、いわゆる簡易証明という計算証明の取り扱いがありますが、これは実際の検査においてどういうふうになされるのでしょうか。検査院、この費用がどのように使われたか、それからどの程度一般に知り得るものなのか。たとえば領収書などのチェックはできるのか、いかがでしょう。
  152. 藤井健太郎

    説明員藤井健太郎君) まず、簡易証明しているものの検査の実態について申し上げたいと思います。  簡易証明の取り扱いを承認いたしました報償費等の経費につきましても、他の費目と同様に在庁して実施する書面検査、それから相手方受検庁に赴きまして実地検査を行っておるわけでございます。  そして、まず書面検査でございますが、簡易証明の取り扱いを承認した経費につきましては、個々の情報提供者等に対する支払いに係るその領収書、それは会計検査院への提出を省略いたしまして、相手方が手元に保管するということを承認しておりまして、取扱責任者に対する支出決議書であるとかあるいは領収書を提出させておりまして、計数的にはこれらによって書面検査を実施しているわけでございます。そして実地検査に当たりましては、相手方受検庁が手元に保管しておりますいわゆる情報提供者等から徴しました支払い証拠書類等に基づいて取扱責任者の説明を受けるなどして、予算目的どおり使われているかどうかといった点検討をするわけでございます。したがいまして、いわゆる情報提供者等から徴しました領収証書等につきましては、現実に実地検査において見ているわけでございます。
  153. 和田静夫

    和田静夫君 この各省庁から特別の取り扱いをしてくれという申請があった場合に、どういうような判断基準でこれを認められるわけですか。
  154. 藤井健太郎

    説明員藤井健太郎君) 報償費とか捜査費、そういったものにつきましては、その費目の性質上、情報提供をした協力者等の名前が外部に漏れるという場合には、協力者に対しまして不信の念を抱かせる、あるいは相手方の任意による何といいますか、情報収集活動が将来にわたって阻害されるおそれがあるというような場合に、いわゆる簡易証明の申請を認めてきているわけでございます。これらの経費につきましては、協力者等の名前は厳重に管理しなきゃならぬ、されるべきものと判断しておるわけでございます。これを知り得る立場にある者はできるだけ限定しなきゃならない。したがいまして、これらの経費につきましては、一般に多数の手を煩わしてつくられる一般の計算証明、一般の方法にかえまして、情報提供者等の領収書等につきましては、取扱責任者において保管しておくこととする証明方法をとっているわけでございます。
  155. 和田静夫

    和田静夫君 検査院がお出しになった資料によりますと、簡易証明を承認しているものは、内閣、総理府——これはまあ具体金額がありませんが、公取、防衛、警察、法務、外務、大蔵、厚生、運輸——まあ海上保安庁、そして労働と、十一の省庁の分が挙げられているわけですが、このトータルを決算ベースで見ると幾らになりますかね、五十四、五十五、五十六年度。
  156. 藤井健太郎

    説明員藤井健太郎君) 簡易証明を承認しておりますのは、内閣総理府本府、公正取引委員会、防衛庁、警察庁、法務省、外務省、大蔵省、厚生省、運輸省、労働省の十一省庁でございます。ただ、このうち総理府本府の分につきましては、五十四年度以降取り扱いがございません。したがいまして、この十省庁の簡易証明に係る決算額は合計で、五十四年度分百二十九億五千四百二十七万余円、五十五年度百三十二億六千四百七十五万余円、五十六年度百三十六億七千九百五十三万余円となっております。
  157. 和田静夫

    和田静夫君 まあ大体百三十億程度ですね。これ毎年計上されているわけですが、五十八年度予算は幾らでしたっけ、これは。
  158. 藤井健太郎

    説明員藤井健太郎君) ちょっと私の方でいま手元に持っておりませんので。
  159. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 五十八年度の予算で簡易証明対象のものを合計いたしますと、百五十五億九千二百万円余です。
  160. 和田静夫

    和田静夫君 宍倉さん、ちょっともう一つ聞きますが、この予算の査定ですが、これはどういうふうに行われるのでしょう。検査院も特別の取り扱いをできないもの、大蔵省の主計局としてはどういうふうに査定されるのですか、これ。
  161. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 簡易証明の方法を承認しているものとしての査定という特別の方法があるわけではございません。  実は簡易証明の方法を承認しているものの費目といたしましては、たとえば報償費でございますとか、あるいは調査活動費でございますとか、いろいろその中の何と申しますか、費目の性格が若干違うわけでございます。  たとえば報償費について申し上げますと、報償費でございますれば原則といたしまして、五十八年度の予算を作成いたしますときには五十七年度の補正後の予算、これは当初の予算より節約をいたしておりますから数億減ってございますけれども、その金額に固定をしてふやさないと、こういうことを原則として考えて査定をいたしております。  ただ例外といたしまして、たとえば外務省の報償費でございますが、ここ数年固定しております、金額を固定しておりますせいで円レートが若干円安になってございます。三年間でおよそ一割程度円安になっておりますので、在外公館の報償費につきましては実質的に一割ほど減っておりまして、在外公館における活動に支障を生じるということでこれは一割戻してございます。  そういった例外がございますが、いま申し上げましたように原則として前年度よりふやさない、同額。当初予算に比べましては若干減と、こういう形で査定をいたしております。
  162. 和田静夫

    和田静夫君 もともとの積算の根拠というのはどういうふうなんですか。前年度対比はわかりましたけれども
  163. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) これはもともとといいますと、かなりその歴史がそれぞれございまして、そしてこの種の経費でございますと、ただいま申し上げましたように特別のものにつきましては修正をし増額することもございますが、おおむね毎年毎年引き続きまして節約をしてございますものですから、もともとのものが、たとえば五%をある年節約し、翌年また五%節約し、そのまた翌年五%節約しというようなことになってまいりますと、積算の基礎がかなり崩れてきておる事実がございます。でございますが、それぞれの経費の性格からしまして積算の基礎が崩れた形になってはおりますけれども、こうした性格のものについては特別の事由がございませんと増額をしておりませんものですから、そこでそのもとのところがいまここできちんと御説明できるという姿になってございません。
  164. 和田静夫

    和田静夫君 それで官房長官官房長官のところでたとえば科目として報償質というのがあって、五十四年度の決算で十五億円ですね。以下おおむね十五億円支出されているわけですけれども。おおむねこの十五億円でいくと、この使途というのは情報収集のための経費とだけ明らかにされているわけです。どういう情報の収集なのだろうかということなんですが、これは海外の情報収集あるいは国内の情報収集、それからどういう関係の情報収集というようなことは少しは明らかにできるわけでしょうか、これ。
  165. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは私いま初めて聞いたんですが、それは内調の経費じゃないですか。内調でしょう。内調の室長から答えさせます。
  166. 鎌倉節

    政府委員(鎌倉節君) お答えいたします。  ただいま御質問のありました報償費のうち、内閣調査室に関します分につきましては二億三千万余りでございまして、この分につきましては私どもの情報収集の対象が内閣の重要施策に関する情報ということになっておりますので、海外の分あるいは国内の分両方を含むわけでございます。
  167. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっといまのところ少し明らかじゃないんですけれども、きょうはこの委員会の時間を全体としてかなり協力するということになっていますので。  警察庁ね、警察には機密費があるというのは私はある意味で非常に理解できるんですが、その使途別の内訳の中で協力者報償費というのがありますね。この協力者というのは大体発表できるところまででいいんですが、大体何人ぐらいいて、そして一人当たりどの程度の謝礼というのか報酬を支払うのか、そのくらいのところはこれ明らかにできるのですかね、捜査活動の差しさわりになるならないの判断があるんでしょうけれども
  168. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) ただいまお話ございました警察関係の問題でございますが、警察庁で管理いたしておりますいわゆる報償費の中で、協力者報償費という分がございます。これがいわゆる簡易証明に当たる部分でございます。これにつきましては、一人当たり幾らとか何人ぐらいとかいう具体的な計算はいたしておりませんので、直ちにお答えはできませんけれども、警察教養とか交通問題とか、警察行政の方般にわたるいろいろな問題につきまして、各界の有識者の方からいろいろ助言をいただくとかあるいは資料の提供を受けるとか、そういうことに対する謝礼といたしまして活用をいたしていると。それで、捜査の方の問題になりますと、これにつきましては捜査費ということで、報償費とは別の科目で処理をしておるところでございます。
  169. 和田静夫

    和田静夫君 会計検査院、法務省関係の簡易証明の承認ですが、これは五十四年の五月十四日付になっているんでしょう。それ以前はどういう取り扱いですか、これ。
  170. 藤井健太郎

    説明員藤井健太郎君) 法務省の報償費等につきましては、実は現在の方式になりましたのは二十三年から承認いたしております。ところが、その取り扱いに当たりまして、承認申請が取り扱い部局等を明示した申請になっていたわけでございます。ところが、たまたま五十四年度に矯正官署におきましも溝調査活動費が予算上認められましたので、あわせて五十四年度に全体を承認し直したという経緯がございまして、以前から取り扱いとしては変わっておらないわけでございます。
  171. 和田静夫

    和田静夫君 防衛だとか警察とか公安、外務、こういう機密費を持つということ、それは当否は別としてわからないわけじゃないんですけれども、理解に苦しむのは、たとえば労働省ですよ。検査院、この労働省の報償費使途が労働行政の協力者に対する謝金となっていますね。これを簡易証明にしているわけでしょう。これは何ですか、これは表向き労働行政の協力者に対する謝金ですから、ずばり言って労働組合にスパイを送り込んでいるというようなことでしょうかね、これ。
  172. 藤井健太郎

    説明員藤井健太郎君) 御指摘の謝金でございますが、恐らくこれは予算上労働本省目の報償費から労働行政を推進するため貢献のあった者あるいは労働問題の精通者等の部外者の関係者に対する謝金であろうというふうに思われます。
  173. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省ね、この現下の労働情勢というのは、戦後かつてないほど安定していると政府も言っているんですがね、労働省はそういう認識だろうと思うんですけれども、約七千万円ほどの情報収集費がそういう情勢のもとでなぜ必要なのだろうか、さっぱりわからぬ。しかも労働組合というのは合法的な存在でしてね、情報が必要なら表から聞けばいいことなんですがね、なぜこの機密費扱いにこういう労働関係費がなるんでしょうかね。
  174. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) いま御指摘の七千万円余という経費でございますが、四つの項目があるわけでございまして、そのうち労働本省の報償費、中央労働委員会の報償費、これらは各種審議会の委員などいわゆる労働貢献者に対する報償物品の購入が主たるものというふうに説明を聞いております。  いま和田先生おっしゃっておられる金額の大きなものは、労働本省の中の労働関係調査委託費、それから日雇い労働者実態調査委託費、この二つで約七千万円ちょっと超えたところになっておるわけでございます。これらのものにつきましても、私どもが聞いておりますのは一般的な労働情報、それから労働関係市場の体系的な分析調査の結果を得るための経費という説明を受けております。でございますので、いま先生おっしゃるような意味合いでの経費の性質ではないのではなかろうかというふうに考えております。
  175. 和田静夫

    和田静夫君 行管庁長官は労働省が古巣でありますからあれでしょうが、労働省に拘泥しませんがね、行政が公正で効率よく行われることをチェックするのが一つ役目だと思うんです。私がいま問題にしてきた各省庁にわたる機密費、つまり簡易証明扱いについて、これはどういうふうなチェックをされていくということになるんでしょう。
  176. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) これは私よりも各省庁がそれぞれ答えるべき性質のものだと思いますが、そういう簡易証明の報償費とか、そういう調査費とか、それぞれの使途の目的というものが決められておりまして、それぞれの趣旨に従って予算が経理されていると、私はそう信じております。したがって、これに対して私からとやかくのことを申し上げる筋のものではないと、かように考えております。
  177. 和田静夫

    和田静夫君 検査院、この簡易証明扱いについて質問書などというようなものをお出しになったことはありますか。
  178. 藤井健太郎

    説明員藤井健太郎君) いままで私の記憶している限りではございません。
  179. 和田静夫

    和田静夫君 私はたとえばガセネタなどというようなものがあったりして、そして使われるというようなことも、これは起こり得るんだろうと思うし、行政のやっぱりある意味ではブラックボックスにそこのところはなっているのじゃないだろうかという感じも実はするわけですがね。効率よく使われているかどうかというのを検査院の側としてはチェックのしようもどうもないんじゃないだろうかというような感じもいたしますしね。行管庁長官の御答弁は先ほどあったような考え方であります。私は最終的な使途まで明らかにせよなどという、そんな不見識なことを言うつもりは一つもないので、存在しているそれについての意味合いなどというものを十分に考えわきまえながらでありますが、問題はその情報公開というものとこれらのものというものをどういうふうに考えたらいいんだろうということを、実はちょっと思いついたものですから、きょうの質問にしてみたわけですがね。この情報公開は時代の趨勢のわけですね。そうすると、もう少しちょっと一般にはわかるような形にするべきじゃないだろうか。私は労働省を一例に挙げましたけれども、労働省のあの部分というのはどうもわからない。いや、それはすっかり労働組合にスパイを送り込んで、そのためにあれしているんですというんなら、これはむしろはっきりしておってわかるんですが、そんな必要なんて全然ない世の中ですからというようなことをちょっと私思ったものですから。その辺は検査院としては何か御見解お持ちになりますか。
  180. 藤井健太郎

    説明員藤井健太郎君) 情報公開という点につきましては、御案内のとおり私たちの検査院の職務といたしましては、いわゆる国の収入、支出を検査いたしまして、その検査の結果不当事項なりあるいは改善事項なりあるいは処置を要する事項、そういったものがありました場合に、検査官会の議を得まして検査報告に掲記することによってこれを公表し、その内容について御説明申し上げているわけでございます。しかしながら、検査の過程で、検査の進行中の事態、あるいは検査の結果どういう結論になるかわからないような事態、あるいは指摘すべきでないと思われるような事態につきましては、対外的にことさら公表するようなことはしておらないわけでございます。
  181. 和田静夫

    和田静夫君 言ってみれば、各省庁で機密になっているものは、会計検査上知り得ても、情報公開の流れにさお差しても公表しないと、公開はしないと、こういうことになるのかと思うんですがね、公表する義務はないと、いまの答弁をあれしてみますとね。言いかえれば、検査院としては簡易証明扱いの対象となるものについては、領収書の吟味を含めて検査したところで各省の機密に差しさわりが出てくることにはならない。各省の守秘義務が検査院に準用されるということである。そういうことになれば何ら問題はない。そういうふうなことになりますか。
  182. 藤井健太郎

    説明員藤井健太郎君) ちょっと質問の趣旨があれなんですけれども、私たちはやはり国家公務員として守秘的な義務というものは課せられているんじゃないかと思うわけでございます。職務上知り得た秘密を漏らしてはならないということは当然のことだろうと思います。したがいまして、検査の過程におきまして各種の書類の提示あるいは資料等の提供を受けますけれども、これらがいわゆる相手方官庁の適正かつ円滑な行政運営に支障を来すという、そういうもの、あるいは個人のプライバシーに関するもの、そういったものにつきましてはやはりきちんと、外部に漏らしてはならないというふうに考えているわけでございます。
  183. 和田静夫

    和田静夫君 その辺は私よくわかります。もうこれでやめますが、やっぱり情報公開と、検査院がいろいろの検査を通じてお知りになったことで、公開ができる範囲の問題というやつを、もう少し整理をする必要があるのではないかということでもって、機密費といいますか、ここの部分をきょうは一例として挙げてみたんですが、その辺は何か基準を設けていらっしゃいますか。
  184. 藤井健太郎

    説明員藤井健太郎君) 御案内のとおり、先ほど申しましたように、検査院の職務柄、検査報告として出すものは公開するわけでございます。ところが、この捜査費あるいは報償費といったものにつきましては、やはり受検官庁の方で公開すべきかどうかというふうに検討すべき問題であろうと思います。検査院としてそれほど綿密にいわゆるメモしてくるわけでございませんので、うちとしてはむしろ受検官庁の方が公開していただくのが筋かというふうに考えております。
  185. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、官房長官時間の都合もあるらしいので、初めに済ましたいと思います。院法改正の問題について官房長官にお伺いをしたいと思います。  この問題は相当、昭和五十二年からもう当決算委員会におきましても何回も議論をされたところでありますので、余り細かいことは申し上げませんが、いずれにしてもこれ非常に大事な問題であると思いますし、先般参議院の内閣委員会における官房長官の発言をちょっと見ておりますと、大分姿勢が後退しているようでもありますので、そこら辺をとらえてこれからの対応についてお伺いをしておきたいと思います。  官房長官のこの間の御発言を見てみますと、非常に大事な問題でありますので幾つかただしておきたいと思いますが、まず第一点は、官房長官も御存じのように、国会の決議としてこの院法改正につきましては両院の決議もありますし、両院のそれぞれの委員会における審議の経過もあるわけでありますが、そういう中でこれはやっぱり最終的には法改正をするのかしないのかということにしぼられてくると思います。そこで、政府としてはいわゆる検査院の検査機能の強化あるいは権限の拡大という問題について、法改正をする必要はないと御認識になっていらっしゃるのか、あるいは何らかの法改正をしなければならないと思っていらっしゃるのか、この点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  186. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 会計検査院の検査を充実をしていく、つまり検査体制を増強するということについては、当然私は最近の実態から見て必要なことである、かように考えております。そのやり方の問題ですが、政府としては国会等でいろいろ議論もあり、したがってここ数年肩越し検査の問題であるとか、あるいは人員の問題、いま一般の官庁は人を減らしておりますが、会計検査院はさようなことはしてない、わずかではあるが若干増強しておるといったようなことも政府のこの姿勢のあらわれであると、かように御理解をいただきたいと思います。  問題は院法改正するのかしないのか、これはまさに重大な問題で、そこをいま議論をして各省庁の意見等聴取いたしましたけれども、先ほどお答えをいたしましたように、自由経済体制下において一般の民間の会社まで公権力が関与していくということは、一体どういうことであろうかといったような疑問点もあるし、同時にまたそれぞれの政策金融等については、政策金融それなりの役割りを持っておりますから、それらについてマイナス面が出てくるのではないかとか、いろんな意見があって政府としては意見がまとまらなかったというのが実情でございます。  そこで、これをどうするかというので、いま一度検査院としてもひとつ各省庁と御検討を願えぬであろうかといったようなことで今日に至っておるというのが実情でございます。私のお答えは別段後退しているわけでもございません。私は前の内閣の鈴木総理の御答弁を踏まえてこの席でお答えをいたしたと、かような次第でございます。
  187. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは幾つかの問題点があるんですね。官房長官のいまの御発言の中にもありましたけれども、ポイントは二つにもう焦点はしぼられてきているわけです。それは官房長官おっしゃっているとおりでございますので、その二つの問題点について明らかにしていきたいと思いますが、一つはいま官房長官がおっしゃいましたように、「やはり現在のような経済体制のもとでそれを認めるということになると、私の企業活動、それに対する公権力の過剰介入ということになるのではないかという点」、これは内閣委員会会議録の御発言でございます。いまも同じようなことをおっしゃいました。これは、結局官房長官がおっしゃっているように、この御発言の中にあるように、「現在のような経済体制」とおっしゃっていますね。これはどういう経済体制を指しておっしゃっているのか。これは少なくとも、いわゆる自由主義経済体制あるいは資本主義経済体制ということであろうと私は推察をするわけですけれども、そういうような体制が急遽に変わるわけはないのですね、これ。そうしますと、まさに革命でも起きてこの体制が変わらない限り、この事態の進展はないということを、官房長官はこの中でおっしゃっているやに受けとれるわけです。  そうしますと、もう一つの問題は、公権力の過剰介入という問題であります。公権力の過剰介入というこの問題と、自由主義経済のそれが命脈であると、そういうような考え方に立っているように私は思うわけです。これは非常に大事な問題でありますし、この公権力の介入という問題につきまして官房長官は、「過剰介入」とおっしゃっておりますが、これは、過剰介入はいかぬのであって、公権力の単なる介入はいいのかと、そういう議論もあるわけです。そこら辺のところを、自由主義経済体制と公権力の介入という問題について、官房長官、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。これは、公権力の介入という問題は何もこれだけじゃなくてそのほかにもあるわけです。ですから、僕は、官房長官は「過剰」というところに力を入れておっしゃっているんだろうと思いますが、そこら辺のところも含めまして、こういう問題についてのお考えをこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  188. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は、やはり税金を使っているわけですから、これは適切に使われなきゃならない。それを会計検査院がトレースして、そして国費の、何と言いますか乱費とでも言いますか、不当な経理と言いますか、そういうことの絶無を期するということはこれは当然のことでございまして、そういう意味合いにおいて検査院の検査機能が強化せられるということは私は当然であろうと、こう考えておりますが、問題は、私が言っておるこの自由経済体制のもとにおける云々と、こう言っているのは、同じ自由経済体制のもとであっても今日私どもが目指しておるのは、やはり国家権力が民間活動に過剰介入し過ぎておるんじゃないのかと。やはり民間の活力というものを、自由な創意と活力、これを引き出していくことがやはり日本の発展につながるのではないかというようなことで、今日いろいろな行財政の改革等に手をつけておるわけでございます。それで、自由主義経済の国においても、たとえばイギリスもそうですが、フランス、イタリー、ことにイタリーなんか一番ひどいと思いますけれども、世間の学者が言う言葉に従えば、いわばこれは一種の混合経済ではないかといったようなことにまで至って、その結果は大変な非能率な世の中になっておるのではないかと、こういうこともあるわけでございますが、日本としてはやはりこの自由経済のいい面をできるだけ伸ばしていくのがいいのではないのかと、こういう観点で私は申し上げておるわけでございます。したがって、ややともすれば役所は日本特有のやり方として責任体制きわめて明確ならずといったような仕事のやり方、いわゆる行政指導という言葉にあらわれておりますが、これらも私はほどほどにしないと、自由な民間の活力というものは生まれてこないのではないか、こういうようなことを頭の中に描きながら、別段会計検査院が民間に過剰介入するという前提で言っているわけじゃありませんけれども、やはり役人というのはどうしても職務に忠実でございますから、権限が生まれればこれはもう一〇〇%、一二〇%にまでやるというのもこれまた役人の、今日の日本のお役人かたぎであろうと私はこう思います。  こういったようなことを考えた場合に、やはり鈴木総理がおっしゃったように、自由経済の体制の中で余り公権力が民間に手を突っ込んでいくということはよほど慎重でなければならぬのではないのか、こういうような意味合いでおっしゃっていると思いますが、私も同じ意見でお答えをしているようなわけでございます。検査院の検査体制がしっかりやってもらわなければならないということだけは、これはもう私自身も十分わかっておりますから、さような意味合いであるということで御理解をいただきたいと思います。
  189. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どうもよく説明していただいている割りにわかりが悪いわけですけれども、これは官房長官、私たちこれ当決算委員会におきましても、やはり院法は改正した方がいいといういろいろな、たとえば両院の決議が、官房長官御存じのとおり、いわゆる院法を改正せいというふうなストレートな表現はしていませんけれども、御存じのとおりあのロッキード事件以来の国会のいろいろな論議の中で、やはりここら辺はちょっとやった方がいいんじゃないかということで議論の経過を見れば、やはり院法を改正した方がいいというふうな意味で、われわれ立法府として決議をするときに院法を改正せいなんということはちょっとこれはおかしいわけですね。そういうような意味でストレートな表現はしていませんが、やはり改正した方がいいという議論の中であの決議ができているわけですね。そういうような意味では官房長官に詰めてこれはお伺いするわけですが、実際問題としてこれはどういうふうにしようとお考えなんですかね。もう早く決着をつけていただかないと余り長過ぎるし、ここら辺で決着をつけた方がいいんじゃないかと私たちは思っているわけです。そういう意味も含めましてどういうふうにお考えか、もう一回お伺いしておきたい。
  190. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 引き続いて検討はしなければならぬと思いますが、いまこの席で立法するというお答えはいたしかねると、これが今日の私の考えでございます。
  191. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま立法するとかいうその結論はすぐ出ないでしょう。官房長官は立法した方がいいと思っていらっしゃるのか、それはやめた方がいいと思っていらっしゃるのか、どっちなんですか。
  192. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は別段それについて積極、消極の意見を決めておるわけではございませんので、検討をいたしたいと思います。
  193. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先ほど官房長官ですね、要するに、この問題については検査院と各省庁の間で引き続き検討するようにお願いをしておると、こういうふうにこれは官房長官の御発言がございましたが、これは検査院に対してはどういうふうにおっしゃっているわけですか。
  194. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) そういった事務的な手続につきましては、事務当局が来ておりますのでお答えをさしたいと思います。
  195. 羽毛田信吾

    説明員羽毛田信吾君) お答えさせていただきます。  一昨年のことになりますが、五十六年でございます。五十六年に内閣官房副長官名をもちまして検査院並びに政府関係金融機関を所掌いたします各省庁に対しまして、いま官房長官の方からお答えのございましたような趣旨の御通知を申し上げておるという事実関係にございます。
  196. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 官房長官ですね、七月の二十三日にこのいまのようなお話があったわけですね。これに対してこれはもうその通達というのは会議録に出ておりますから明確にするために申し上げてまいりますと、検査院に対しては「内閣から各省にこういう申し合わせをさせられました。従来肩越し検査に協力していない機関につきましても、会計検査院が肩越し検査が必要と認めているような場合においては、なるべくそれに協力するように慫慂するようにという申し合わせをさせましたと、そのことによってひとつ会計検査の機能を発揮してもらいたいというような通知を御連絡いただきました。」と、こういうわけですね、検査院は。いまの連絡です。  それに対しまして、これは要するに検査院の院長の答弁であります。「肩越し検査の形において必要のある場合には、貸し付け先に会計検査の調査が及ぼし得るということを正式に認めたということでございます。」と。要するに、政府はそれまで肩越し検査を正式に認めたことは一回もなかったわけです。ところが、いまの参事官の方からお話しございましたように、一昨年の五十六年七月二十三日の通達で正式に肩越し検査にも協力せいと、こういうことになったわけですね。それに対して会計検査院は、「私どもも、院法改正が実現いたしましても、何も必要ない場合にもやる意思は毛頭ございません。」、要するに、院法改正がされたからといって、むちゃくちゃに肩越し検査をするという意思は毛頭ございませんと、こういうことですね。それで、「まず肩越し検査をお願いいたしまして、それを拒否された場合に初めて調査権に基づいて、しかも、それを検査官会議までかけて、果たして調査権を発動するほどの事態かどうかということまで慎重に検討した上で、貸付先調査に臨むという慎重な構えでございます。」と、それが検査院の考え方ですね。「そのやり方も肩越し検査と実態的には同じやり方をとるということを法律に書いておるわけでございます。」、すなわち、法律に決められても、いま事務官がおっしゃった方法と同じ方法をやるつもりでございますと、こう言っておるわけです。それで、「したがって、肩越し検査の形であれば公権力の過剰介入ではない、政策融資に支障を及ぼさないということをみずからお認めになったということでございます。」と。会計検査院としてはこの通達によって、いわゆる「肩越し検査の形であれば公権力の過剰介入ではない、政策融資に支障を及ぼさない」、そういうふうに検査院としてはとったということであると。  なんでこれを私読んでいるかといいますと、検査院に対して、この通達に対する検査院のいわゆる評価はどういうことなんだと言ったら、この会計検査院の院長の答弁が検査院としてのいわゆる正式のあれですと言うから、私これをいま取り上げているわけです。ということは、会計検査院としてはそういうようなことだというわけです。  そこで、最終的な問題として、「そういうことは、もうそういう法律を必要とするかという立法判断の問題であります。もう各省と相談する必要のない問題ではないかと私は考えます。」と。だから、官房長官は各省庁と相談せいと、こう言うてはるわけです。ところが会計検査院長は、「各省と相談する必要のない問題ではないかと私は考えます。したがって、内閣及び国会において速やかに御結論をお出しいただきたい、」かように私たちは考えておりますというのが会計検査院の正式のいまの考え方ですというわけです。これは去年の四月の会議録であります。  したがって、官房長官、これは押し問答したってしようがないわけですわ、実際問題として。検査院がもうここまでおっしゃっているわけですし、院法改正のいわゆる要綱につきましても、これはすでに政府の方に、五十四年の四月九日に検査官会議を開きまして、検査官会議で決定したものを内閣官房長官に正式にお渡しをしているわけです。正式にはそれ以来官房長官の方からは何ら返事はありませんと。それが正式の検査院の報告ですわ、それまでいろいろいきさつはありますけれども。ですから、検査院としては正式にこういうふうに改正をしたいと、その中身はいま院長の答弁のとおりでございますと、こういうふうに言っておるわけですね。そうしますと、これは官房長官のお話ですと、ボールを何となくこっちの方へ投げ返したような先ほど御答弁ございましたが、実際は検査院はそういうふうにお考えになっていないようでございまして、それでしかも問題点は、政策融資の問題につきましても、いわゆる官房長官も先ほどおっしゃいましたように、輸銀、開銀の融資先の検査、それだけにしぼられてきていまして、一般の私企業に対するどうのこうのという、その一般の私企業も、しかも開銀、輸銀の融資を受けて仕事をしておられる。そこをきちっとしないと、いわゆる検査院の報告があるわけでありますが、決算委員会でもそれをもとにいろいろ調査をするわけですが、そういうようなものにもやっぱり空白ができる可能性もあるわけでして、これは早急に結論を出す必要がある。  私たちは何もこの問題についてそう押し問答をしたいとは思っていないわけでございまして、少なくともこの問題についての決着をやっぱりつけるべきだと、そういうふうに考えておりまして、これは最後にこの問題についての官房長官のお考えをもう一遍お伺いしておきたいと思います。
  197. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御意見はわかりました。そういう御意見を踏まえながら引き続いて検討をしていきたいと、かように考えます。
  198. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、この問題につきましてはぜひ早急に御結論を出していただくことを要望しておきたいと思います。  次に、官房長官に多少関係のあるところをはしょって、もう一つだけお伺いしたいことがございますのでお伺いしておきたいと思います。  これは沖縄の問題でありまして、総理府総務長官に関係がございます。これは例の沖縄に駐在する米軍の兵士と日本人婦人との間の子供の問題であります。これは非常に大きな問題でありまして、前々から何回か取り上げている問題でありますが、現在どのくらいの方がいらっしゃるのか、開発庁としてはこの問題についてどういうふうに掌握していらっしゃるのか、ちょっと一遍初めにお伺いしたいと思います。
  199. 関通彰

    政府委員(関通彰君) 先生御質問の問題は、沖縄で米兵と結婚した女性が離婚した後、相手が本国に帰って、当該女性の補償が履行されないといった、かような問題の御質問かと存じます。  私どももこのような問題があることは耳にいたしておりますが、このようなケース、実は沖縄開発庁に直接持ち込まれることはございませんで、沖縄開発庁現地の出先等もございますが、現地の出先も含めまして開発庁に直接申し出ているケースはございません。あるいは地方公共団体等に問題が持ち込まれているかと存じますが、具体的にどのような数があるかというようなことは、開発庁としては実は承知していないのが実情でございます。
  200. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どのくらいということの掌握はしてないようでありますが、いずれにしてもこの問題は非常に大事な問題でありまして、この問題の根本的な解決ということは、まだまだいろいろなところに残されているわけですね。  それで、特にこれはアメリカとの問題でありますので、政府としていわゆる政府間協定をこの問題について一遍協議する必要があるんじゃないか。特に、何といいますか、裁判が起きても、裁判で命じられたいわゆる慰謝料とか扶養料も払わないで本国に逃げてしまう、そういうふうな例がやっぱり沖縄本島においては相当あると私の手元にも資料が来ているわけですね。そういうような意味では、これはもうちょっと明確にすべきじゃないか。ここら辺のところの調査が行き届いていないのであれば、これはそれなりの調査をする必要があると思いますし、また、これは実は私、きょうここで質問をするまでに資料の確認ができなかったわけでありますが、私の手元にある資料によりますと、こういうふうな問題については、アメリカとカナダの間にはこの種の協定があるんじゃないかという話も聞いているわけでございまして、具体的にどういう協定があるのかということを私も調べようと思いまして、ずっと調べていたわけですが、それが完璧な日本文にまだなっておりませんで、まだ届いてないわけでありますが、いずれにしましてもこれは日本としては非常に大事な問題でありますし、こういうふうな細かい問題と言えば細かい問題でございますが、こういうところもやっぱりある面ではきちっとすべきではないかと、そういうふうに考えているわけでありまして、この問題についてのこれは官房長官と開発庁長官の御意見を一遍お伺いしておきたいと思います。
  201. 丹羽兵助

    国務大臣(丹羽兵助君) ただいま先生からお尋ねのことでございますが、先ほど事務当局から申し上げましたように、現在のところこの数においてどれだけ問題になっておるかということはつかんでおりませんことははなはだ申しわけございませんが、しかしながらそのような事件が発生しておることは承知しておりまして、まことに遺憾なことであります。  国内であれば、先生お話しのありましたように、判決があれば財産の差し押さえなどにより強制的な履行が可能でありますが、相手が判決後外国に行ってしまいましては、そういう場合には何ともいまのところ方法はなく、履行のための具体的な手段がないのが現状でございます。こういう方に対して行政上何らかの救済措置をとることは、非常に困難な問題であるということでございますけれども、しかしこれは人道上、両国の友好関係においても考えなくちゃならぬことであり、大変お気の毒なことでありまするので、関係方面とよく連絡をとり合って善処するようにさしていただきたいと、かように考えております。
  202. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 官房長官も一言。
  203. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 所管大臣がいらっしゃるから、ちょっと勘弁してください。
  204. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしてもこういうふうな問題は、大事な問題でありますし、人道上の問題でもありますので、きちっと取り組んでいただきたい、これだけ要望しておきたいと思います。  そこでまず、沖縄振興開発の問題について、これは開発庁長官にお伺いをしておきたいと思います。昨年、沖縄振興開発特別措置法の十年の延長が決まったわけでございますが、本土の各県と比較をいたしまして、特別に補助率のかさ上げや優遇措置がそれぞれ存続することになったわけでありますけれども、そこでこの沖縄の振興開発というものについて大臣の基本的なお考えを初めにお伺いしておきたいと思います。  振興開発というのはいろいろとあるわけでありますが、太平洋戦争で戦場となったこと、戦後二十七年間もわが国の施政権外に置かれた沖縄の苦難に対する補いですね、また本土との格差を是正すること、そういうふうなことに基づいてこの措置法が設けられていると私は考えているんですけれども、そういうふうなこと以外に最近は、最近ではありませんが、こういうことも言われているわけですね。米軍の基地があるだけにそれに対する別途の配慮が必要であると、それでいわば基地問題のしわ寄せを受ける沖縄への代償措置によるものだと、こういう意見もあるわけです。  そこで、これは非常に大事な問題でありますし、本土並みということがさんざん言われたわけでありますけれども、実際問題としては、沖縄が本土より上回るというのは何か、私の調査によりますと、道の整備だけでございまして、それ以外の問題はもう非常に大変な状況でございまして、完全失業率は復帰時が三%、最近は五・四%、全国平均の二・何%ですね、から比べてみましても二倍以上でありますし、また産業構造そのものも第三次産業に偏っているようでございますし、十年たってもなかなか変わらないというのが実情ではないかと思います。またそれ以外にも、県民所得も全国平均の百六十八万円のところが百十五万円と、そういうふうになかなかその成果も上がってないようでありますけれども、本土との格差というのは非常に、格差解消大変むずかしいようでありますけれども、そういうふうな基本的な問題も含めまして、これはこの問題に対する初めに長官の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  205. 丹羽兵助

    国務大臣(丹羽兵助君) お答えさせていただきますが、沖縄はさきの大戦においてわが国で唯一の戦場となって甚大な被害をこうむり、かつ戦後は、お話がありましたように、長い期間にわたりわが国の施政権の外に置かれたことなどにより、各分野において本土との間に著しい格差を生じました。このため、沖縄の復帰に伴い沖縄振興開発特別措置法が制定され、総合的な沖縄振興開発計画を策定して、これに基づく事業を推進する特別の措置が講ぜられてまいりまして、着実にその成果を上げてまいりました。  しかし、いま先生からいろいろとお話しくださいましたように、まだまだおくれておりまするので、エネルギーの事情等内外の経済事情の変化及び本土から非常に遠く離れておりますその上に、広大な海域に散在する多くの離島から構成される等の地理的条件に加えて、長年にわたる本土との離絶と申しますか隔絶と申しまするか、等により生じた各方面にわたる特殊な事情などから、沖縄の経済社会は依然として厳しい状況にあります。  このような状況でありますから、第九十六回の国会において沖縄振興開発特別措置法の有効期限を昭和六十七年三月三十一日まで十年間延長され、また同法に基づいて昨年の八月五日、第二次沖縄振興開発計画を策定いたしたのでございますが、その上、いま御指摘のように、あそこには米軍の基地のみならず、防衛上の基地等がたくさんございまするので、大きな精神的な重荷にもなっておることは考えていかなくちゃなりません。  そこで、いま先生から御指摘のように、計画を立てたって進めなくちゃならぬということでございますから、第二次計画はどのように、第一次産業、第二次産業、第三次産業をどのように調和をとって進めていって、早く本土並みになるようにするかということを、来年度の予算の要求等の前に私自身が感じてまいりたい、こう思いまして、この連休中に沖縄の方に参りまして、先生からいま御指摘のあったような点を十分胸に秘めてまいりたい、こう考えております。
  206. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 連休中に沖縄へ行かれるそうですが、特に大事な問題でございますし、これは大臣沖縄に行かれる機会に私はちょっと申し上げておきたいんですが、もう何回も行って御存じのことばっかりだろうと思いますが、沖縄の一番の問題はやっぱり基地ですよ、基地。これは基地を何とかせにゃあきませんわ。本土並みとか言いましても、沖縄のど真ん中にあれだけの基地があって、それであれだけのことをやっていると、この問題なかなか解決しないと思います。それでそういうふうな意味では、基地という問題をできるだけ整理統合していくというふうな考えでないといけないと思いますし、私自身もこれは、私離島の出身ですから、離島というのは非常に悩みというのは多いわけです。その離島の悩みの上にさらにいわゆる米軍の基地があれだけがんばっておるというんでは、なかなか沖縄の発展というのは考えられないと思うんですね。そういうふうな意味ではやっぱりぜひ地元へ行っていただいて、基地という問題で本土並みということをよくお考えになっていただいて、地元の御意見もよく聞いていただきたい、このことを申し添えておきたいと思います。  それから次に、これは警察庁と総理府の青少年対策本部の方にお伺いをしたいと思います。  沖縄では最近、最近じゃありませんが、自分の子供が夜間間違いなく家にいるかどうかチェックしてください、要するに自分の子供さんが家にいるかどうかチェックしてくださいという運動を、在宅確認運動というのがあったそうですね。それで、それも春の青少年育成運動の一環として、そういうふうな運動をやったというのです。しかもそれが昨年二カ月間、沖縄全県で実施されたというのですね。大臣お聞き及びだと思いますが、これは全く本土では考えられないような私はことだと思うんですよ。そういうふうな意味で、私の手元でいろいろ調べてみましたら、五十六年度中に補導された不良行為少年の数は二万三千人、同規模の他の県と比べると非常に多い数字だと聞いているわけですが、ここら辺の原因とそれから対策、これはどういうふうに考えていらっしゃるのか、また対策を立てていらっしゃるのか、これはそれぞれ専門の省庁からお答えをいただきたいと思います。
  207. 瀧澤博三

    政府委員(瀧澤博三君) 最近の非行の増加原因ということにつきましては、これはたとえば家庭における育成の問題であるとか、学校の教育の問題であるとか、あるいは青少年を取り巻きます社会全般の環境の問題であるとか、いろいろな問題が絡んでいるかと思うわけでありまして、沖縄県につきましても同様な状況が複合的にいろいろ絡んでいるのではないかと思います。いま先生のお話のように、沖縄の場合特に不良行為で補導された者のうち、特に深夜徘回の例が非常に多いという特徴があると伺っております。これは一般に県民の方々が夜遅くまで起きている習慣があるということが影響しているのではないかという見方もあるようでございます。そういうことで、沖縄県におきましては、昨年の六月以降夜遊び非行防止宣言決議というのを県議会あるいは五十二の市町村議会において決議をして、県民の意識の高揚を図っているというように聞いているわけでございまして、いまお話しのようないろいろな御努力がされているわけでございます。また、学校と警察との連携を強化するいわゆる学警連の活性化あるいは少年を守る日の街頭補導の強化、それから祭り等の早期終了と、こういったことにつきましてもいろいろな御努力をされていると聞いているわけでございます。総理府といたしましても従来からいろいろ県とは、各県と連絡をとっているわけでございますが、沖縄県のこういう御努力を今後とも支援をすることに一層努めてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  208. 大堀太千男

    政府委員大堀太千男君) 全国的にも現在少年非行が戦後第三のピークということで、大きな社会問題になっておりますが、沖縄県におきましても、こと数年少年非行は増加傾向にございます。ほかの県に比較をいたしますと、沖縄県において補導された少年はやや多い状況でございますが、全国的な共通の問題は別として、いまも総理府の方から御答弁ありましたように、夜間、少年が出歩くというような傾向が強いというようなことも一因ではないかということの報告があります。ちなみに不良行為少年として補導をされた少年が、五十七年沖縄で約二万三千人でございますが、うち深夜徘回という項に分類されます者が約一万二千人、五三%でございます。これは全国でみますと二三・六%でございますので、その割合は非常に高いということで裏づけられるかと思います。こういうようなことで、いまも御答弁ございましたように、夜遊びの防止宣言決議などが市町村議会等で行われ、あるいは県民が一体となって少年の夜遊び非行防止というようなことで取り組んでおるわけでありまして、沖縄県警察におきましても、夜間の街頭補導活動などを強力に推進をしておるところでございます。
  209. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に基地の騒音公害の対策についてお伺いをしたいと思います。特に騒音のひどい民家につきましては、防音工事を相当やってきていらっしゃるわけでございますが、それも防衛施設庁がこれは全額補助で行っているわけでありますが、特に最近暑くなってまいりまして、地理的な状況から言いましても三月の後半、四月になりますと相当暑くなるわけであります。そこでクーラーが要るわけでありますが、沖縄県の最近の状況をお伺いしますと、電気代が非常に高いんだそうですね。そういうような意味で、クーラーの使用時間も本土と違って相当長時間にわたるわけであります。そういうふうな意味で、クーラーを取りつけても、防音工事の対策としてクーラーを取りつけたからそれで終わりというんではやっぱりまずいんじゃないか、そういうような意味で、もうすでに御存じのとおり、一昨年からは一部の町では生活保護世帯への電気代の助成を始めたところもあるそうであります。そういうふうに聞いておりますんですが、沖縄のような昼間の非常に長い、夏の長い地域では、電気代の助成という問題もこれからやっぱり検討する必要があるんではないか、そういうようなことが私の手元にも資料としてもあるわけですが、こういう問題についてどういうふうにお考えか、一遍聞いておきたいと思います。
  210. 杉本康治

    説明員(杉本康治君) 沖縄の飛行場周辺で住宅防音を実施しなければならない対象世帯数は非常に膨大でございまして、ただいま私どもの方といたしましては、工事そのものの促進を最重点施策として実施しておるわけでございまして、すでに住宅防音工事を実施いたしました世帯のクーラーの電気料金の負担ということにつきましては、なかなかこれまで行き届かないと申しますか、まだ余裕がないと申しましょうか、非常に現状はそういうことであるわけでございます。しかしながら、沖縄の立地条件等、先ほど先生御指摘のとおりでございまして、今後とも住民の方々のお気持ちを体しまして勉強、努力をさせていただきたいと存じております。
  211. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 騒音の問題についてもう一点お伺いをします。  それは移転補償の問題であります。この問題も非常に大事な問題ですけれども、いわゆる航空機の騒音が高いんで移転をする、そういうふうな場合に、移転補償のやり方あるいは住宅の移転の場合の、現在住んでいる土地の評価というのがありますね。そこはやっぱり航空機の騒音も非常に高いし、移転しなくちゃならないところですから、土地の価格も安くなっているわけですね。ところが移転する先というのは沖縄みたいなところは非常に狭い土地ですし、住む土地というのは非常に少ないわけですね。移る先は高い、そういうような問題が非常にありまして、せっかく騒音の少ないところに移転しようにも移転しにくいという問題があるわけですがね。こういう問題については、現在住んでいる土地をどういうふうに評価するかというところに問題もあるわけでありまして、しかも移転する先の取得先ですね、そういうところのあっせんという問題もいろいろあると私は思いますけれども、そういうふうな問題について、特に騒音のひどいところからもう少し騒音のないところへ移転したいという希望者の皆さんが日夜悩んでいる問題でありまして、こういうふうな問題については施設庁としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、この際聞いておきたいと思います。
  212. 杉本康治

    説明員(杉本康治君) 私どもといたしましては、騒音地帯から騒音の比較的少ない地帯、またない地帯にお移りになる方々が、なるべく足が出ないようにするのがこの制度の趣旨であろうかと考えております。したがいまして、私ども現地の職員に対しましても親身になって御相談にあずかるようにと日夜指導をしておるわけでございます。移転対象区域の土地の評価につきましては、公共用地の損失補償基準要綱等に準じまして適切に評価しておるわけでございます。また、騒音地域といたしましては、騒音対象地域以外の土地につきましても参酌さしていただいて、適正な価格をはじき出しておるわけでございます。また、鑑定評価の依頼条件といたしまして、飛行場があることによる影響のマイナス面をなるべく少なくするように評価しなさいという条件を出しておるわけでございます。
  213. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、確かに防衛施設庁は非常に少ないお金で、いわゆる法律に基づいてすべて対応していらっしゃると私は思うんですよ。そのことがいかぬというわけじゃないんですが、ぜひ血の通った行政というか処置をやってもらいたい。それをお願いしておきたいわけです。といいますのは、これから申し上げますが、たとえば米軍が駐留していた土地の返還についてですけれども、これはたとえば那覇市南部の小禄地区というところがありまして、もう御存じですね、ここは沖縄地上戦の激戦地で、旧海軍司令部壕に近いところだそうです。ここの土地約九十ヘクタールが三年前に米軍から五百六十人の地主に返還をされた、これは御存じですか。そういう事実があるわけですね。本来ならこれはいわゆる九十ヘクタール返していただくわけですから非常に喜んでいいわけですが、いわゆる返していただくまでに少なくとももう戦後三十年数たっておるわけですね。そのために、それまでは米軍の住宅地になっていたところで、その住宅地はもちろん電気、水道、下水道、そういう施設がきちっとできたわけですね、実際は。できておったわけでしょう。道路の舗装まできちっとできておったわけですな。ところが、防衛施設庁ではそれを民間の借りた地主にお返しをするということで、皆さんの土地はもとは農地だったと、だから道路の舗装してあるやつも全部はがして、電気も全部取り払って、結局原状に回復してお返ししますと、それで返したというわけですな。それではやっぱりこれは三十五年間も実際問題として一方的に接収して、そういうふうにしていて、実際返される場合は地主の希望なんというのは少しも聞かないで、法律に基づいて原状回復して返すと。そんなんじゃ、これはいわゆる法律を法律どおりしゃくし定規にきちっとしているからそれはいいと言えばいいかもわかりませんよ。しかしながらそうはいかぬでしょう。やっぱりもう少し血の通った返し方をしてもらいたい。下水道にしたって電気にしたって上水道にしたってそれなりのことが必要じゃないかと、私たちはそういうふうに思うわけです。実態はそれと違ったのかもしれませんが、一遍そこら辺のところはいずれにしても一つ一つ重大な問題でありますし、地元の皆さんにとってみれば大事な問題であろうと思います。したがって、そういうような問題もきちっと地元の皆さんの意向をよく尊重して、それなりの返還の仕方をやっていただきたいと私は思うんですが、この問題についてのお答えをいただいておきたいと思います。
  214. 甲斐三郎

    説明員(甲斐三郎君) その前に原状回復補償の基準につきまして、内容といいますか、そういう方法につきまして一応御説明したいと思います。  原状回復補償は、施設区域の返還に際しまして土地、建物と賃貸借契約書に基づき使用期間中におきますところの民公有財産、これは土地とか建物、工作物等の形質変更によりまして生じた損失について、所有者の請求に基づき返還時の価格により適正に補償するものでございます。一般的には当該民公有財産を原状に回復するに要する費用、損壊部分の補修だとか、あるいは除去財産の復旧、あるいは付加財産の撤去等並びに当該工事の通常必要とする期間の管理費、これは借料相当額でございますけれども、これを補償することとしてございます。先ほど先生のお話にございました小禄につきましても、一応賃貸借契約に基づきましてそういう原状に回復するという補償を実施したわけでございます。ただ、先ほどおっしゃられましたような、たとえば電気だとか水道とか、こういうようなお話がございましたけれども、これはまた別の何といいますか所掌といいますか、つかさ、つかさでもってそれぞれおやりになるというようなのが現在の私どもの立場でございまして、たとえばこれが何といいますか土地の区画整理部とかいろいろございますが、そういう面でおやりになっていくと。もちろん先生のおっしゃった趣旨はよくわかりますので、そういう面も含めまして私どもとしてもできるだけのことは考えておるわけでございます。
  215. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしても、こういうふうな問題は血の通った行政なり措置をしてもらいたいということです。ただしゃくし定規で法律的に何でもやればいいという問題ではないということですね。それだけお願いしておきたいと思います。  齋藤長官にお伺いをします。特にこの臨時行政調査会が先月十四日に最終答申を提出をいたしまして、二年間の任務を終えたわけでありますが、臨調の果たした役割りというのは、これはもうわれわれとしても高く評価をしているわけであります。  そこで、特に中曽根長官の後を引き継いだ齋藤長官、この臨調の果たした意義につきまして初めに御認識、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、その評価等含めまして初めにお伺いしておきたいと思います。
  216. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 行政改革は、内政の最も重要な政治課題であると私は理解をいたしておるわけでございます。最近における著しい経済社会の変化に対応して簡素、効率的な政府をつくり、民間の活力を導入していくということが最も必要なことであるわけでございまして、臨調が二年の間に非常に広範囲にわたりまして行政改革の理念、方向、それから諸般の行政制度、行政運営等について非常にりっぱな答申をお出しいただいたと。したがって今日最も重要な行政改革を強力に推進する役割りを果たされましたことについては、私は高く評価をしておるものでございまして、政府としては、やはりあれだけのりっぱな答申をいただいた以上は、この答申を最大限に尊重して実行していくと、こういう責任があることを私は痛感をいたしておるわけでございます。
  217. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 確かに私たちも土光さんの姿勢を高く評価しているわけでありますが、特に土光さんは、臨調の答申は必要最小限度のものであると、こういうふうにおっしゃっておりますね。ぜひ政府もこの土光さんの答申を必要最小限度のものとして、まあこれを一つの大きな突破口にして行政改革に本格的に取り組んでいただきたいと思いますし、また臨調の答申だけではなくて、これ以外の問題もたくさんあると思うんですね。そういうふうな問題にもぜひ積極的にお取り組みいただきたいことを、これは要望しておきたいと思います。  それで、きょうはもうあと時間が余りありませんので、あと一点か二点お伺いして終わりたいと思います。  一点どうしても確認をしておきたいことは、大臣も何回かおっしゃっておりますように、増税なき財政再建ということであります。これは、前の鈴木総理も増税なき財政再建に政治生命をかける、こういうふうにおっしゃっておられたわけでございますし、土光さんもやっぱり増税なしで財政再建を達成すべきである、こういう主張を絶えずおっしゃっておりましたですね。  それから、大臣の、実は先日の私、新聞でしか読んでないんですが、四月十八日ですか、都内のホテルで開かれましたJCの会合で齋藤長官がおっしゃっておりますね、「行革を成功させるかどうかは、」「増税なき財政再建を貫き得るかどうかにかかっている。したがって、行革をやらなければならないこの一、二年は、絶対増税しないとハッキリ言っておく」と、これは新聞の記事でありますから、このとおりであるかどうかはわかりませんが、大臣の決意のほどを、私はこの新聞からは読み取れるわけでございますが、この増税なき財政再建という問題について大臣の御真意をこの際お伺いしておきたいと思います。
  218. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 最初のお尋ねの土光臨調の答申を突破口にせよという御意見でございますが、私どもはそのように考えておるわけでございます。臨調の答申は広範囲にわたっておりますから、行政各方面相当広範囲にわたっております。しかしながら、これだけでいいかということになりますと、やはりこれとの関連において、今後具体化していかなけりゃならぬ問題も私はたくさんあるのではないかと考えておりますので、土光臨調の答申を突破口として行政全般にわたる行政改革を進めていくようにいたしたいと考えておるわけでございます。  そこで、第二の御質問でございますが、土光臨調の行政改革の基本は、私はやはり何といってもこの増税なき財政再建をてことして行政改革をやらなければならない、これはもう土光さん個人ばかりじゃなくて、臨調の委員全員一致の強力な意見であったと私は理解をいたしております。増税を考えたのでは、とても行政改革などはこれはもうできるものではありません。気が緩んでしまいまして、補助金の整理にしても機構の再編成の問題にしても、増税を念頭に置いたのでは、私はもう絶対に行政改革はできないと、こういうのが私の本当に信念でございまして、その点は本当に土光さんがりっぱに増税なき財政再建をてことしてやらにゃならぬ、こういうことを言われたわけでございます。  そこで、御承知のように、最終答申が三月に出たわけでございまして、この答申に基づいて新しい行政改革大綱をつくろうと思っておりますが、第三次答申のまだ積み残しも相当あるわけです。それから、第五次答申をいよいよこれから実行していく、これも何年もかけてというわけにはまいりませんので、やっぱりここ一、二年の間にめどをつけなけりゃならぬと私は考えております。少なくとも、三年くらいの間には全部めどをつけるということが大事だと思うんです。そのめどをつけるこの二、三年といいますか、一、二年といいますか、これが行政改革の一番大事な年だと思うんですね。でございますから、この一、二年というものは行政改革の非常に大事なときですから、特に増税なき財政再建ということを頭に入れてやらなければならぬ、こういう私の信念でございましたので、先般JCの会議においてもその旨を発言いたしたわけでございます。あくまでも土光臨調の基本の理念を貫いて行政改革に進んでまいりたい、こういう決意でございます。
  219. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひ大臣のそれを貫いてもらいたいと思います。  実は非常に心配な発言もいっぱいあるわけですよ。たとえば竹下大蔵大臣は、新たな増税を一切否定していると思わない、増税による安易な財政再建はするなという応援と受けとめている、こういうふうな発言の仕方をしているわけです。これが非常に心配な発言でありまして、実際問題として、いまの大臣の御発言のとおりでございまして、昨年七月の第三次答申の中にこの問題がありまして、もう大臣御存じでしょうけれども、「「増税なき財政再建」とは、当面の財政再建に当たっては、何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであり、全体としての租税負担率」「の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、ということを意味している。」、要するに、税制上の新たな措置を基本的にはとらない、全体としての租税負担率の上昇をもたらすようないわゆる税制上の新たな措置をとらないというふうな解釈上のあれもきちっと出ておりますし、いま大臣のおっしゃるとおりだとは思いますので、ぜひそういう姿勢で取り組んでいただきたいと思います。  それからあともう一点、これは電電公社と専売公社の問題ですが、経営形態の変更のための法案ですね、これはいろいろと今国会に出るというような話もずいぶんあったわけでありますが、これはどういうふうになっているのかというのが一つ。  それからもう一つは、いわゆる行革大綱ですね、これが大体いつごろ、総理大臣からは大分ハッパがかかっているようでありますが、行革大綱の作成を指示したとか、いろいろお話が出ているようでありますが、これは大体いつごろお出しになる予定なのか。  それから、その行革大綱の中に、たとえば開発庁と国土庁は盛り込まないという話なんかもあるわけですが、そういう点含めまして御答弁をいただきたいと思います。
  220. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) 昨年出ました第三次答申に基づく行政改革大綱の中で、電電公社の問題、専売公社の改組の問題をうたっておるわけでございまして、できるだけ速やかに案をつくって次の通常国会に提案をするということを決めておったわけでございますが、この二つの公社の改革問題は関係するところきわめて深いわけでございまして、関係方面の意見の調整がまだ今日まで十分にできていない状況でございますので、昨年の大綱の中にありましたように、次の通常国会に提案するということはいまのところ非常に困難である、かように考えております。しかし、この問題は必ず解決しなければならぬ問題でございますので、今回新たに行革大綱をつくるに当たりましてもこれは忘れてはいませんよ、必ずやりますよという決意を表明する意味においてでもこれは取り上げていきたい、こんなふうに考えております。  それから、大綱はどういうふうになっておるかということでございますが、あの最終答申が出ました後に、内閣としても最大限にこれを尊重し、逐次実行に移す、こういう閣議決定をいたしておりまして、その閣議決定に基づきましていま関係各省と、臨調の最終答申を具体化するためにどうすればいいかということで調整をいたしておるわけでございます。  そこで、大体のめどを申しますと、五月の中旬には新しい行政改革大綱を閣議決定をいたしまして、それに基づいて必要な法律その他の準備をしていかなけりゃならぬだろう、こういうふうに考えておるわけでございまして、来月の中旬までに新しい行政改革大綱を決定したい、かように考えておる次第でございます。  それから、国土庁と沖縄庁との問題がございまして、なかなかこれまたむずかしい問題でございますが、特に沖縄の置かれておる地位というものを考えれば、相当やはり慎重に配慮していかなければならぬ問題であると考えておりますので、こうした問題については慎重な配慮を加えながら、どういうふうなやり方で処理していくか検討を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  221. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それからもう一点、臨時行政改革推進審議会の問題であります。  この役割りですけれども、初め臨調の答申の実施をもっぱら監視する、そういうふうな機関にするようでありましたが、最近では施策決定機関というふうな意味も新聞報道で出ておるわけでありますが、そこら辺のところはどういうふうになっているのかというのが第一点。  それからもう一点は、いわゆる審議会の構成メンバー、大臣は早く決める、法律が通ったらすぐ決めるというふうなこともおっしゃっているようでありますが、いわゆる決める手順等含めまして、どういうふうになっているのかお伺いしておきたいと思います。
  222. 齋藤邦吉

    国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま国会に臨時行政改革推進審議会法案を提案をいたしておるわけでございますので、一日も早く成立をさしていただきたい、こう念願をいたしておるわけでございますが、この法案は、何と申しますか、行政改革の実施状況をまあ通俗な言葉で申しますと見守っていくというのがこの審議会の性格でございまして——見守るといいますか、実施状況についてこれを推進するというのが審議会のねらいでございまして、政策決定機関ではございません。新聞に何かそんなふうなことが出ておったようでございますが、政策決定機関ではない、かように御理解をいただきたいと思って、考えております。  それから、この審議会の委員は国会承認人事として非常に重く位置づけておるわけでございまして、七人、委員を予定いたしておりますが、人選などには一切まだ手をつけてございません。すべきものでもありません。法案が成立いたしました暁に、できるだけ早く国民各層から広くりっぱな方に委員になっていただくように、成立した後に人選に入りたい、かように考えておる次第でございます。
  223. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どうもありがとうございました。
  224. 三治重信

    ○三治重信君 きょうは人事院勧告制度と実際の運用上の問題について、もう大体いままで大分やられたんですけれども、どうも若干、人事院勧告、五十七年度凍結だけが通って、そのあと二、三といいますか、これの取り扱いの問題でまだ非常にあいまいなところがあるんじゃないか、こう考えられますので、その点についてひとつ少しただしてみたいと思います。  まず最初に、人事院総裁にお尋ねしますが、人事院ができて国家公務員の給与の勧告をすることによって国家公務員の給与水準並びに給与の各個別の給与まで、職階制にちなんで具体的に決められておるわけなんですが、その給与改定について、いままで戦後いろいろの経過をたどってきておりますが、その中で一番争われてきたのが、やはり実施の時期の問題だと思うんです。  この経過を見ても、二十九年以前は何円ベースということになっておって、この辺は非常に本当の人事院の勧告という問題が軌道に乗らなかったときじゃないかと思うんですが、三十一年から三十四年までが非常にこれは給与水準が落ちついておったときで、手直し程度の勧告になっておるわけなんですが、このときには時期を、ほとんどそう大きな改正でないから時期をなるべく速やかにと、こういうふうな遠慮をした勧告になっている。三十五年から、はっきり勧告をした時期から、大体八月の中旬に勧告をして、その年のさかのぼって五月から実施しなさいと、こういう勧告が国会政府にやられるんですが、こういう勧告制度は、ことに非常に金、予算組むやつに対して、勧告は八月にして、それを五月にさかのぼってやれと、こういうふうに結論を出されたのはどういう考え方か。調査が四月にやったから、そこの調査までさかのぼってということが今日までの結論になったんだろうと思うんだけれども、これがさかのぼってやるということが、完全実施の上において予算制度上の問題と非常な矛盾が出てきているんじゃないか。予算に余裕があるときには完全実施がいくけれども、だんだん予算が窮屈になってくると、今度の政府のみたいにやみくもにもうやめた、こういうようなことになるわけなんで、もう少し人事院の方も勧告制度が完全実施されるためには、予算上の措置があらかじめできるような勧告制度に何とかならぬかと、こういう問題が一つあるんじゃないかと思うんです。  仲裁裁定は、予算を出すときに仲裁裁定があった場合には予算上資金上やりくりしてもよろしい。それから、しかもやりくりができないと政府が認めた場合には国会にその審議を求めなさいと、予算を四月に出す場合にでも、もう仲裁裁定についての予算上の受け皿ができているわけなんですね。それでも政府はなかなか実施しなかったと。それで石田労働大臣のときに、予算上もう完全実施できる体制の予算的な措置がとられているのに、いるようにできてやれるのに、政府はやらぬというのはいかぬから、まず三公五現の仲裁裁定は完全実施しますと、人事院は予算上問題があるから尊重しますというのが非常に大きな戦後の問題を混乱していた官公労組に対する、また国家公務員や官公労に対する政府のいわゆる労働政策というものが非常に強く打ち出されたときだと思うんですが、そういうことについて人事院総裁は、初めから全部おられたわけじゃないんですけれども、いきさつよく御存じだと思うんですが、実施を勧告をしたよりかさかのぼってやるという問題についての決断ですね、このいきさつ、それから、そういう勧告をするにしても、政府予算上資金上やれるやつについて、いまの人事院の勧告のやり方と予算とはもう全然法律が別になっちゃっているものだから、それぞれ勝手にやっている。だから、うまく、余裕があるときには何とかつじつまを合わせるけれども、これ窮屈になってきたときにはそれが今回のような凍結とか、また、完全実施の前までは実施の時期の繰り下げとかというようなことだと思うんですが、これについて人事院総裁として、せっかく勧告するのに権威を持って、尊重され、完全実施されるような勧告制度に制度的に再検討する考えがあるかどうか、いままでのいきさつやなんかから見て。
  225. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 三治先生は労働問題大変お詳しいわけでして、その見地からいろいろいま過去の経緯等にさかのぼって人事院勧告制度自体についていろいろお話がございました。ごもっともな点もなきにしもあらずというふうに思います。ただ、人事院の給与勧告制度というのは民間準拠ということを一番の大前提として、由来ずっと積み重ねで長い間やってきており、これはまあ慣行としても確立をしておる制度に相なっておるというふうに思います。その場合に、いずれの時点でもって調査をし、また実施時期をどうするかというようなことにつきましては、過去の経緯でもいろいろ問題がありまして、種々論議も闘わされてきたところでございますが、事実上民間における春闘というものが長い間実績となって、これが民間の場合は定着をしてきたといういきさつがございます。  そこで、公務員の場合にもどういうふうに給与を決めたらいいかということになりますと、これはいろいろ試行錯誤もございましたが、やはりみんなの大方の納得を得るやり方というのが、やはり民間を調べて、それとの対応で格差があればこれを埋めていくという方針が一番納得が得られる制度ではないかということで、これは長い間踏襲をされてきたわけでございます。といたしますると、民間では春闘というものが現実の姿としてありまして、この事実を無視することができないということになりますと、どうしてもやはり四月時点において調査をして、いろいろ分析、検討を加えました結果、計算をはじいた結果出てくる格差というものを埋めていただくという方式をとらざるを得なかったということでございます。そういうことで四月時点で調べまするために、どうしても民間と対比して民間並みにやるということになりますれば、これはやはり四月にさかのぼってやっていただくというのが筋であると。これすらもやはり公務員の諸君の立場から見れば、大体さかのぼると言ったって、これが実施に移されるのがかなり後になってからであって、その分は非常に支払い自体がおくれるんだと、それがひどいときには十二月にもなってようやく支給がなされるというようなこともあって、それでもやはり大変な不満があるということも事実でございます。そういう見地もございますので、やはり一つの労働慣行として定立をしてまいりました制度といたしまして、四月調査で、したがって四月にさかのぼって実施をしていただくというのが現時点ではやはり一番いい制度で、これしか考えられないんじゃないかというふうに私自身も思っております。  それともう一点御指摘のございました、国の財政というものが大変厳しくなってきておるというようなことから、それの見合いでもってやっていく場合には、どうしても勧告自体の取り扱いが大変微妙な政治的判断の対象となってきて、そのことで大変内閣においてもまた国会においても御論議をいただくということにならざるを得ないということでございます。したがいまして、この勧告を出す限りは、これを完全に実施をしていただく方途としてどういうものがあるかということで、これも先生御承知のように、過去いろんな場合に早期実施あるいは完全実施をするためにどういう制度的な改革をすればいいかということが論議をされました。数年にわたっていろいろ論議があったというふうに私も記憶いたしております。ただ、その後幸いにして一時的でございましたが、財政が相当まあ好転をしてまいりましたために、それでやはり公務員の給与の取り扱いについてもやはり民間並みということはそれは通していかなければいかぬのじゃないかというようなことから、財政的にもその後の取り扱いが決まれば、その裏づけとしての財政措置は予算の追加等のことでこれを補正でもって賄っていくという線が出てきたわけであります。この点は実は、給与改善費等として全然計上されておらなかった時代におきましても完全実施ということが行われたことは無論ございます。それはやはり財政的な見通しとの問題と勧告の完全実施ということの絡み合わせから、やはりよりやりやすくすることが適当であろうということから、大分前に五%の原資を組むということがかなり続いたわけであります。その後だんだん財政が悪くなってまいりましたために、それがだんだん減ってまいりまして、二・五%、二%、一%というようなことに相なりまして、それがさらに悪化が進んで、五十七年度の勧告については、一%の改善原資があったにもかかわらず、これを改善費に充てられないというような事態が起きたということで、要するに凍結あるいは見送りというような措置が講ぜられたわけでございます。そういうようないきさつがございます。したがって、私といたしましても、これにかわる制度としては、これ以上のものはないんだと、これが一番最高で最善だというような思い上がった考え方は持っておりません。したがいまして、御指摘のような点は、これからの情勢判断等も加えて、検討は続けてまいりたいと思っておりますけれども、何しろ、この問題は一番重要な労働問題として把握すべきものでございまして、長い間の慣行として定立されたこともあり、制度のたてまえとして官民格差を調べ、この格差を埋めるということから申しますと、いまの制度が現在のところは最善のものではなかろうかというふうに考えておるのが、私のいまの立場でございます。
  226. 三治重信

    ○三治重信君 おっしゃるとおり、公務員の給与の水準や、それから職種別にいろいろ分配を具体的に決められる非常な専門的な作業という問題からいくというと、まず、いま現在人事院でやっておられる給与の決定の作業というのがほとんどまあ最善だろうと思うんです。私が提起したのは、問題は、調査をした時点に給与を完全にさかのぼらさなければ人事院の勧告が完全実施されないと、こういうふうに認識するかしないかによって予算の操作が非常にむずかしい問題になってくると、だから実施の時期が非常に——なるんじゃないかというのが一つ。いまおっしゃったように、確かに予算の余裕のあったときには五%、最高たしか五%ですか、予算に計上を政府がしたと。まあこういうふうになってくると、また、それだけの余裕があるときには高度成長のときだから、予算にいつも、補正予算の財源も自然増収ということでたっぷりあるから、それで完全実施ができてきたと。今度は予算が逆転して、予算に見積もったやつですら歳入が不足してきて、それが何千億どころの騒ぎじゃない、何兆円というのが出てくると。まあこれも一、二年でしょうけれどもね、こんな大きな、いかに大蔵省の方も財政見積もりのベテランがやってるわけなんだから、こういうような財政の、経済成長の非常な激変、経済構造の激変、不況の激変のときで、歳入見積もりの筆が鈍ったわけなんだよ。まあえらい歳入欠陥になってきた。赤字財政出してるところにさらに歳入欠陥ということになってくると、一番しわ寄せ食うのが弱いところといいますか、赤字になってくるとこれは人件費の方の圧縮へしわ寄せされると。まあこれは一時的な現象かもわかりませんですけれどもね。こういうときに、また財源のないときにでも給与や資金を確保するという第二次的な考え方というものも必要ではないかと思ってお尋ねしたわけなんですが。  大体、民間の給与水準に右へならえをするというのは、戦後、司令部がこの給与法やいろいろの何というんですか、原則として決めた場合の、予算ばかりじゃなくて法律上にもきちんと書いてあるわけなんですが、そういうものの均衡を保つということにおいて非常に重要で、それが人事院の任務であるということなんだが、問題はこの実施の時期と財源の問題だと思っておるわけです。  一般のそういう民間賃金、それからいろいろのコストとして計算する場合に、米価の問題で労務費の計算というのも、大体において前年度の毎月勤労統計のある規模のところなり、そういうものの統計を利用して、当該年度の米価の算定をどれだけ上げたらいいかという基礎算定をする。そのときの賃金というのは、前年の賃金の統計の結果を食糧庁の方で利用して、そうして当該年度の労務費の計算をやっていく。それから、公共事業の予算、公共事業の労務単価というような問題も、これは労働省の職種別賃金の調査を参考にして建設省が予算単価をはじいてやる。これも結果とすると前年度の賃金ベースということが予算単価に入ってきておる。私が知っている限りにおいては、政府がプリベーリングウェージ、いわゆる他の同種の賃金と似通った賃金水準にしていくことで使っているのが、米価の労務費の算定のときの労賃というものと公共事業の労務単価の賃金の水準。これはプリベーリングをやっていくというと、どうしても調査の結果をそのまま利用して予算に入れていこう。また、あるいは米価の決定にこれだけの生産コストという場合に、その基礎となる賃金の水準というのは調査されて結果が出たやつを利用している。そうすると、対前年の調査の結果であるわけなんです。  人事院勧告だけは人事院が調査したやつを調査した時点にさかのぼって上げる。こういうことは、これは人事院が望むばかりでなくて官公労組が全部が望んでいることなんで、理想は理想なんであって、プリベーリングというのは調査した瞬時にそこで顔を上げていくという、並行して上げるというのは非常に理想なんだけれども、実施上の問題で、余裕があるときにはいいけれども、余裕がないときにはこういうふうな非常に大きな問題が出てくるということで、ひとつ実施しやすい方法を、一番正確性というものとこの予算との実施のやり方について私は今後、非常な百兆円からの赤字をつくって国債を出している現在から言って、公務員の給与が確保される、こういうような場合に政府が恣意的にやらぬようなためには、やはりこの実施の時期の問題について、あくまでさかのぼってやるということについてのやつをもう少し再考できぬか、もう少し何かどこかの妥協点が出ないかなと、こういうふうなことを考えておるわけなんですが。人事院の総裁の方からすれば、そんな金の、財源までおれは何もやれるように心配することはないんだ、こういうことに責任上はなっていますわね。法制上はなっているけれども、しかし世界に冠たる人事院勧告制度が権威をもって実施される、没にされないで実施される、こういう権威を保てるためには、やはりある程度現実に妥協するという方法もひとつ考えてもらう、その方策についていい考えがないかと、こういうことなんですが。  それでわれわれの方は、こういうような政府がせめて没にした場合にでも、五十七年度勧告完全凍結、こうした場合に人事院としては、五十七年度は資金上どうしても無理ならば五十八年度の予算を組むときには、われわれが五十七年度にもうこれだけ四月にさかのぼって実施してほしいと、こういうように勧告したんだから、五十八年度の予算には少なくとも四・五八は組むべきだと、とういうような勧告をきちんと出すべきではなかったかと。そうすると、一%しか組まんでやっていくというと、これはことしのやつをまた勧告されても一%しか財源なくて、五十八年度のまた歳入欠陥が何兆円か出る、こういうことになってくると、これは政府が金がないから振れないと言う。ことしも五十八年度も特殊事情の部類に入るかもわかりませんが、そうすると政府の言い分がやはり世間に通ってしまう。こういうことになって、五十八年度の今度は二年分の賃金格差の人事院勧告になるというふうに公務員の方は期待をしているわけですね。それがこの財源となるとまたさらに没になる、まあ不平不満を起こす大きなもとになる。ということから考えてみても、五十八年度の予算を組むときに、五十七年度の人事院の勧告は予算に組んでほしい。何か予算を組むときにきちんとした勧告というものが行われてしかるべきじゃないかと、こういうふうに。そうすると政府の方もそれに対してイエスかノーかとか、それは当初からできぬから途中からもう一遍考えるとかという問題ができるんで、予算編成時に対する、ことにこれは没にしたから——非常にいい勧告だったんですが、五十八年度予算ももう通っちゃったからことしはしようかないけれども、ことしの五十八年度の人事院の勧告の実施の状況政府は実施する、完全実施とは言わぬで、与野党の関係から国会では実施するとこう言っている。実施の状況を見て五十九年度の予算を組むときに、それが不満足の場合にはこういうふうに予算上措置をとってほしいという勧告はやるべきじゃないかと思うのですが、それはどうなんですか。
  227. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) いろいろな御提言をありがとうございます。感謝いたしますが、実はいま御指摘になりました予算上の措置についての事前勧告と申しますか、予備勧告というようなものも完全実施をスムーズにやるためにはいいのではないかということで、先刻私がちょっと触れましたいろいろな完全実施を可能ならしめる方策の一つとして、そういうことも論議をされたことはございます。それは私も承知をいたしておるのであります。  ただ、これについてもいろいろ考え方、見万、批判も出てくるわけでありまして、人事院がそのような勧告を、たとえば五十九年度分について大体こうなるだろうからその点の財政措置を講じてくれというようなことを仮に言いました場合に、そもそもどういう基準でどういう基礎からそういうことを人事院が言うんだと、科学的な資料に基づいてしか物を言わないというたてまえになっているそういう人事院が、何のことを根拠にして、それでなくても経済の見通しとか何とかいうこと、大変これはむずかしい問題であります。それを人事院が何かの根拠でそれを言うということになればどういう根拠なのか、そもそもおかしいじゃないかということにもなりましょうし、また来年度の民間の春闘について何かそれを先導するような、そういうようなことになってしまいはしないかと、かえってそういうことは論議を起こすだけではないのかというような実は議論も、過去の時代においていろいろ模索をしておったときにあったのでございます。  そういうことで、やはりそういうものは適当ではないんであって、やはり財政当局が予算を編成する場合には、それなりの全体的な考慮からフリーハンドでもってやらないと、整合性のある予算編成ができないというようなこともあるので、まあ現行の制度というものを踏襲していくよりいたし方がないなと、こういうことになって今日まで実は来ておるわけでございます。いまさら釈迦に説法でございますし、臨調の答申を持ち出すまでのこともございませんですが、臨調の答申についてはやはり人勧制度なり仲裁裁定というものは維持し尊重するんだと。その場合に基準になるのは、やっぱり官民の給与を比較して、その較差を是正するのがいいんだというようなことを基本として示しておりまして、私はそれはそれで非常に正しい方向ではないかというふうに考えておるわけでありまして、終局的に言いまして、公務員の給与の性格あるいはあり方等から見まして、いまのところこの制度を改変するということは非常に困難であり、むずかしい。私は、いまの制度はやはり現行の場合においては最善ではないだろうかというふうに考えておりますことをつけ加えて申し述べさせていただきます。
  228. 三治重信

    ○三治重信君 もちろん、いまの御答弁のときには予想の上積みということを要求しているわけではないんです。ことしみたいに全然政府が人事院勧告を没にした場合に、ことしはしないと言うんなら、ことし勧告した分ぐらいは来年度の予算で最低限組んでおくべきじゃないか。その上積みはいいけれども、五十七年度の勧告した分ぐらいは五十八年度で組むべきだ。これは、今度は五十八年度の勧告について人事院が勧告されれば、われわれは完全実施を政府に迫り、また公務員もやるでしょう、いろいろないきさつがあるでしょう。しかし、もしも、仮定の問題ですが、そういうときに、不首尾なり何なりのときには、予算政府の編成のときにこれだけは、不完全実施の部分については予算を組むべきじゃないかと、こういうようなことをやってほしいと、こういうことで要望しておきます。  それで、官房長官、何というんですか、今度の政府国会の中においての議論で、自民党さんからの回答は、五十八年度人事院勧告は尊重し、実施する、五十七年度人事院勧告実施については野党の意見を踏まえ、誠意を持って検討すると。いろいろ検討した結果、最後は退職金と共済年金の退職者に対するはね返りをしてほしいというのも、退職金については政府はだめだと、こう言っている。共済年金については人事院勧告のベースアップの分は配慮するというふうな線を聞いているんですが、その点は確かなんですか。
  229. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) そのとおりでございます。
  230. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、五十七年度に退職や、あるいは死亡した人の共済年金の年金額は、人事院の勧告した各級別の金額のベースで計算をすると。自治省は……まあ大蔵省がやるんでしょうが、基本的にはそういうこと。退職金の方ははね返りはだめだと、こういうことですか。
  231. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 退職金の方は、これは政府としては遺憾ながら御要望に沿うわけにはいかないと。ただ、年金の計算の方は、他の年度の退職者と比較して不均衡とならないよう措置することはもう当然のことではないかなと、かように考えております。
  232. 三治重信

    ○三治重信君 それから、いま人事院総裁とお話ししたんですが、この五十七年度の人勧を五十七年度では凍結をしたと。五十八年度のやつは尊重し実施すると、こういうことになっているわけなんですが、それにしても一%しか予算を五十八年度で組まぬ。もう五十七年度の人勧で四・五八%のベースアップが勧告されている。それを下回ることはないだろう。そうすると、あと財源をどうされるつもりで一%しか組まなかったか。大蔵大臣かもしれぬけれども、そのときには官房長官も五十八年度の予算のときの一%というのは——五十七年度一%やっていて、先ほど人事院総裁言われて、五%がだんだん細って一%になり、それまでみんな取り上げちゃった。今度また最低限の一%だけは復活しても、しかしこれは五十七年度の凍結したやつが上積みになってくるわけなんで、その財源措置は少なくとも四・五八は五十八年度はしておらぬというと、こういうふうな五十八年度の人事院勧告は実施すると、こういうようなことに誠意を持って答えたことにならぬじゃないかと思うんですが、それに対してこの五十八年度の実施上の問題についてどういうふうに考えているか。
  233. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 五十七年度の凍結は、かねて予算委員会等でお答えをしているように、まさに異例の措置としてごしんぼう願ったわけでございます。したがって、二年続いて凍結をするということは政府としては考えてないと、こう申し上げております。五十七年度については、これは政府としてはこの凍結の決定を変更する考え方は持っておりません。ただしかしながら、人事院の勧告は内閣のみならず議会に対しても勧告を出しているわけでございますから、国会で今後も論議がされる、こう思います。政府としてはその推移を見守っておるということでございます。  なお、さらにつけ加えて申し上げまするならば、五十七年度の予算ですでに一%は削除をして議決はちょうだいをいたしておるということは申し上げることができるかなと、こう思いますが、いずれにせよ、五十七年度の問題についてはまだ国会で御検討しておりますから、それについては私どもは推移を見守っておる。五十八年度については、これは一%の予算は組んでございます。しかしながら、五十八年度どうなるかということは、これは八月ですか、人事院の方から勧告があろうかと思いますので、この勧告を見た上で政府としてどう対処するかということを決める、こういうことになりますが、いずれにせよ二年続けて凍結をするということはこれはありませんと、これはもうお約束をいたしておりますから、そのように扱っていくことになるであろう。その前提に立って、五十八年度どう対処するかは勧告の時点において、できるだけこの勧告を尊重をして実施をしていくようにいたしたい、こう考えているわけでございます。
  234. 三治重信

    ○三治重信君 それから、ことしの実施上の問題で閣議決定なり大蔵省の給与課のやったことで、いままでの慣例によってやったんだろうけれども、非常に行き過ぎじゃないかと思うのが、いわゆる税金が足らない、予算がないということでこの凍結をやったわけなんで、自分で稼ぐ、ましていわんや外郭団体の関係で、労使関係は自由になって、いわゆる三権を保障されている、しかし給与の関係については大蔵省の給与課が握っていて、人事院勧告しか——外郭団体、公団、公社、それからいろいろの特殊法人についても全部それで規制してしまっている。しかしこの中には、いろいろ財源を自分の中で稼げる、いわゆる税金——全部が補助金なり政府のお手当でない団体があるわけなんだが、そういう分まで全部いままでの給与の水準を決めてしまうために一律に抑え込んじゃうというのは、今度の凍結なりというのも最小限の範囲にとどむべきだと、こういうふうなことを言っているわけなんで、来年はぜひそういうふうな大蔵省の方が予算上、資金上全部めんどう見ないでもいい、独自に稼ぐ団体については、三公社五現業は仲裁裁定を完全実施しているわけなんだから、人事院勧告の線ぐらいまでは自分で稼ぐところのやつは少し手綱を緩めて実施してやるべきだと、財源があるわけなんですから。財源のないところはしようがないですがね。これは自分で稼ぐようになってるやつは。大蔵省がめんどう見なくちゃできぬところは別だけれども。そういうふうにもう少し外郭団体も全部国家公務員ばっかりじゃなくて、いまの大蔵省の立場から見ると、外郭団体にも全部一律に人勧を強制適用して抑え込んでやっているわけなんだが、その点をひとつ自分の財源でやる分は、これはもう人事院勧告は税金がないからできないということを言ってるんだが、自分で稼ぐやつは放免をするというふうの修正ぐらいはやるべきだと思うんですが、いかがですか。
  235. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 役人の、公務員の場合と、それ以外の公社、公団、それぞれ給与決定の方式が違いますし、あるいは給与財源、いまあなたもうけているじゃないかと、こういうようなお話があるとおり税金とそうでないと、いろいろ違いがあります。公共企業体その他は申し上げるまでもなく、これはもう労使間の交渉でお決めを願うと、こういうことになっておりますから、その間に決定の仕方いかんによって公務員と若干違ってくる、ことしも違ってますね。そういうようなことになるのは、これは私はやむを得ないと、こう思いますが、しかし根っこの法律に、やはり国の役人の場合は民間準拠だと、こう書いてある。公共企業体等は民間の給与であるとか、あるいは国家公務員とのバランスとか、いろいろ条件をつけてやっておりますから、やはり国家公務員の給与というものがこれはやはり一つの大きな基準になるということは、これはまあ当然、法のたてまえからもそうなるのではないかなと私はそう思っております。しかし、基本はあくまでも、労使間の交渉によって決まるべきものと、政府が一々くちばしを入れる筋合いのものではないと、かように考えておるわけでございます。
  236. 三治重信

    ○三治重信君 それじゃ、もう一遍だけ。  くちばしを入れるべき問題じゃないというけれども、いま言ったみたいに、給与課長がみんな外郭団体の担当者を呼んで、みんなで今度はゼロだと、こう言ってるわけなんだから、くちばしを入れているんですよ。そこのところちょっともう少し実情に応じて労使交渉に任せられていいものは、またそういうことによって生産性も上げるし、それから別にそう労使関係が逸脱するわけでもない。三公五現でも、今度はあれでしょう、政府でえらい赤字のところは完全実施といっても給与ベースだけは完全実施でもボーナスではえらい差別をつけているわけでしょう。そこまでやるぐらいだったら外郭団体でも、しっかりやっているところは少し緩めてやると。全部無罪放免というわけにもいかんでしょうが、それは根拠は、いわゆる人事院、国家公務員の給与水準を見てということだと、こういうことなんだけれども、そういうふうにひとつ区別していったら、外郭団体も少し選別をしてやるように、ひとつ配慮してもらいたいということを要望しまして質問を終わります。
  237. 安武洋子

    ○安武洋子君 私、レフチェンコ証言問題についてお伺いをいたします。  レフチェンコのいわゆる対日工作証言、これが事実を伝えているというふうなことであれば、ソ連の諜報機関が買収資金でエージェントをつくって、わが国の内政や政党、大衆団体、マスコミなどへの組織的、系統的な干渉、介入が行われていた、こういうことで重大問題でございます。  わが党は、相手がいかなる国であれ、私どもの国の政治とか、政党、国民運動、マスコミ、こういうものを謀略的に操ろうとする外国たくらみというのは絶対に許してはならない、こう考えております。  政府もレフチェンコ証言をこのような立場からとらえるべきだというふうに思いますが、官房長官の御所見をお伺いいたします。
  238. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) このレフチェンコの事件というのは、この人が四年半、東京に勤務をしておったKGBの人間であるということは、これはもう間違いありませんね。そして同時に、これがアメリカの下院における秘密の聴聞会でのこれは証言でございますから、それなりのやはり受けとめ方はしなければならぬ。まさに荒唐無稽の物語というわけにはいきません。それなりにこういう者が活動しておると、これはまあ国際的な常識でございますから、東京中心にいろんな、そういった活動が行われていることは、これはもう過去の事件で見ても明らかなことですし、同時にまた日本だけでありません、各国それぞれもこういう活動が行われておるわけですから、やはりそれなりの受けとめ方をして、国益上、そのまま放置するというわけにはいけないということで、今日警察を中心にして事件の解明に当たっておると、こういうことでございます。
  239. 安武洋子

    ○安武洋子君 レフチェンコ証言が事実であるとしますと、外国政府機関による国内問題への干渉、それから介入という重大性を持つ問題でございます。レフチェンコ証言とか、この発言が事実でないというふうなことになりますと、名前を挙げられた政治家とか、マスコミ関係者、この名誉が著しく傷つけられたということになります。いずれにしても、真相解明が何よりも前提になるというふうに思います。  私どもの党は、すでにこの問題に関連をいたしまして、外国政府機関による国内への干渉、介入に関する調査特別委員会、この設置を航特委復活とともに並行して提唱いたしております。政府といたしましても、このレフチェンコ証言の事実を徹底して解明する御意思があるのかどうか。  それでまた、国会に先ほど申しましたような委員会が設置されれば、政府委員会に対して全面的に協力するおつもりがございましょうか、お伺いをいたします。
  240. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 政府としては、事柄が事柄でございますから、現在も慎重に事態の解明、調査ということに力を入れておるわけでございます。  国会委員会ができればどうかということでございますが、委員会の件は、これは国会でお決めになることでございますが、国会がお決めになった場合に、政府としては可能な限りの御協力はしなければならぬと、かように考えております。
  241. 安武洋子

    ○安武洋子君 外務省おられますか——外務省、この件に関しまして、米国に照会中ということでございます。いつ、だれに、どのような照会を行っていらっしゃるのでしょうか。そして、その回答は参りましたのでしょうか、お伺いいたします。
  242. 丹波実

    説明員(丹波実君) お答え申し上げます。  昨年の七月、レフチェンコが下院の特別委員会において証言いたしまして、それが昨年の十二月公開されたわけで、大変わが国内において関心を呼んだわけですけれども、そういうことを踏まえまして、私たちといたしましてもソ連の対日工作の実態を知る上で有益な情報であるという考え方から、本年一月の二十五日に在米大使館からアメリカ国務省に対しまして、関連の情報を入手したいという申し入れを行ったわけでございます。  これに対しまして、アメリカ国務省から三月の十五日に在米大使館に対しまして、アメリカ政府としては本件情報を外交チャンネルを通じて伝達することは適当ではないと考えるという回答が参っております。
  243. 安武洋子

    ○安武洋子君 外交チャンネルを通じることが適当でないと考えるということは、どういう方法でじゃわが国にそういう情報をもたらそうということになるんですか。
  244. 丹波実

    説明員(丹波実君) 国務省側は外交チャンネルを通じて伝達することは適当でないということだけを述べておりまして、それ以上の説明はしておりません。
  245. 安武洋子

    ○安武洋子君 引き続き外務省にお伺いをいたしますけれども、レフチェンコは亡命後四年間どこで、どういう状態に置かれていたのでしょうか、また、何をやっていたのでしょうか。その二点と、なぜいまの時期にこの問題が出されてきたのか、その背景を外務省としてはどのようにお考えでございましょうか。三点お伺いいたします。
  246. 丹波実

    説明員(丹波実君) まず前二点につきましては外務省承知しておりません  第三点目の、いまなぜこの問題かという点につきましては、私の全く推測でございますが、レーガン政権が成立いたしましてから、レーガン政権は近年ソ連が特に力を入れているディスインフォメーション——積極政治工作というものに大変関心を持って、行政府としていろいろ対応を考えておったと。それが、そういう雰囲気がアメリカの議会に伝わりまして、アメリカの議会でも公聴会を開こうじゃないかというそういう動きになって、そのときに、なるほどレフチェンコという男がそう言えばアメリカにいるはずだと、それじゃレフチェンコの話を聞こうじゃないかということでレフチェンコ証言が行われたと私は推測しております。
  247. 安武洋子

    ○安武洋子君 報道によりますと、警察庁は先月の下旬にレフチェンコ本人から直接事情聴取を行ったというふうになっております。いつ、だれが会ったのでしょうか、そして、その内容はどういうことであったのでしょうか、お答えいただきます。
  248. 吉野準

    説明員(吉野準君) 警察としましては、昨年の十二月のいわゆるレフチェンコ証言公表以来、その政治工作活動について違法行為があれば看過しないという方針のもとに、より詳細な情報の入手を希望してきたわけでございますが、とりあえず、外交ルートによる情報の入手を期待しておったわけでございますが、ただいま外務省からもお答えがありましたように、外交ルートでは入手できないという回答がありましたので、三月の下旬に警察庁の係官を米国に派遣いたしましてレフチェンコ元少佐と接触させて、アメリカの議会におけるレフチェンコ証言の具体的内容について聴取してまいりました。聴取の内容はそういうことでございます。
  249. 安武洋子

    ○安武洋子君 中身をおっしゃっていただきたいんです、聴取をされてこられました。
  250. 吉野準

    説明員(吉野準君) ただいま申し上げましたように、アメリカの議会でレフチェンコがいろいろと証言をしているわけでございます。そのさらに突っ込んだ内容について聞いてきたということでございます。
  251. 安武洋子

    ○安武洋子君 では官房長官にお伺いをいたしますが、いまの御報告をお受けになっていらっしゃるというふうに思うわけですが、官房長官は四月の十八日の当委員会で、レフチェンコ証言というのは全体として相当信憑性があると思うと御答弁をなされております。いまでもそうお考えでございましょうか。
  252. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) その答弁は、ちょうど和田さんがそこにいらっしゃいますが、和田さんから、何といいますか、一つの謀略である、あるいはこれは荒唐無稽な話ではないのかという前提に立ってお伺いをしたいと、こういうことでございましたから、それはちょっといまの段階でそう断定せられるのは早過ぎるんではありませんかと、やはりいままでの調査の、中身私は全部は承知しておりませんけれども、断片的に報告聞いておりますが、それを見ると、これはやはり受け取り方ですね。レフチェンこの受け取り方、それとこちら側の認識に両者の間の開きがあるような事態もあるようですけれども、しかし接触の事実、その他についてまるきりこれが間違いである、夢物語であるというわけにはまいらないと、そういう点については信憑性を認めざるを得ない面があるんですよと、こういうお答えをしたわけでございます。今日もその考え方に間違いはございません。
  253. 安武洋子

    ○安武洋子君 さらに、官房長官に突っ込んでお伺いいたしますけれども、断片的にしろ事実を御存じだと。では、その信憑性がやはりあると思うというふうなことでございますが、どういう点にこの信憑性があるというふうに、その根拠をどこにお持ちでございましょうかお伺いいたします。
  254. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) いま吉野君がお答えをしたように、警察当局は違法性があるならばそれは看過するわけにはいかぬと、事柄が重要であるということで調査をなさっていらっしゃるわけでございます。それらの一々の報告じゃありませんけれども、それらを受けて警察としては調査を進めているわけでございますから、それらのアウトラインの報告から見て私は夢物語にあらずと、こういうように申し上げているわけでございます。ある程度の信憑性ありますよと。しかしながら当事者間では認識の開きがある。しかもこれはお互いに見逃すわけにいかぬものもありますけれども、しかしながら認識のいかんによってはこれは文字どおり人権の問題も絡みます。そういうようなことでございますから、こういう席でその内容を申し上げるわけにはまいらないと、こういうことでございます。
  255. 安武洋子

    ○安武洋子君 ある程度のアウトラインの中からこれは信憑性があるというふうなことで、ただ漠然として信憑性があると言われたのではないというふうに承ってよろしゅうございますですね。もう一度ちょっと確認しておきます。
  256. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私もこういう席での答弁でございますから、いいかげんなことで申し上げておるわけじゃございません。警察庁の調べについて一々細かな報告は聞きませんからね。アウトラインの報告を聞きながら、事実関係等についてやはりこれは信憑性のあるものがあると、しかしながらお互いの間の認識の開きのあるものもありますよと、したがって人権上の問題もあるし、同時にまた、これはけしからぬなと思うものもあると、こういうことでございます。
  257. 安武洋子

    ○安武洋子君 けしからぬのもあるということでございますけれども、私はソ連のKGBだけではなくて、いかなる国であっても、外国政府機関によりまして内政干渉が、政党とか大衆団体、あるいは世論への介入とかというふうなことで主権が侵されていると、こういう事実があれば大変重大だというふうに思うわけです。その点では、たとえば金大中事件に示されました韓国のKCIA、これによる主権侵害、あるいは日韓両政府間の政治決着によりまして未解決のままにこの問題は放置されておりますけれども、わが党がそれとは別に追及をいたしました、中曽根総理御自身がお認めになりましたように、アメリカのCIAの幹部と一国の総理が大変御親密な関係であるというふうな、こういう異常な事態も私は放置されたままになっているというふうに思うんです。私は、政府はこれらの問題も合わせましてやっぱり積極的に解明に取り組むべきではなかろうかと、いかなる国であろうと外国政府機関による内政干渉、主権侵害というのはこれは許せないのではなかろうかと、こういうふうに思います。御見解を伺います。
  258. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) もちろん内政干渉の事実があればそれは認めるわけにいかぬのは当然のことだと思いますね。ただ、いまお話しのように、中曽根さんが何かCIAの何とかで、私、全然そんなこと知っておりません。そのことが何も内政干渉になるなんて私ちっとも考えておりませんからね。事実関係は承知しておりません、それは。  それからもう一つの金大中さんの事件ですか、これはやはり政治決着はしております。しかしながらその政治決着の中にも何か新しい事実が出れば云々と、こういうことになっております。したがってそれによっていま外交ルートを通じてアメリカ側に、金大中さんが政治的な立場でなくて、純粋な被害者としての事実関係についての事情聴取に応ずるならば、こちら側も、日本側も調べに係員を派遣してよろしいと、いかがでございますかということを金大中さんにお伺いをしておる。あなたのお話聞くと、これはもう内政干渉の事実ありと、こう断定しておりますけれども、その断定ができないから困っておるんですよ。それはなぜかというならば、要するに、あれは日本国内におった人が向こうに拉致せられた事実はありますけれども、それは果たして韓国の公権力の関与であったのかないのかということについての、確たる証拠をつかむことができないということによって、今日こういう事案になってるのだと、そこは御理解をしていただきたいなあと、こう思います。  一般論としての内政干渉についてはけしからぬとあなたおっしゃる。あたりまえのことでございます。私どももそういう観点で対処していきたいと、こう思っております。
  259. 安武洋子

    ○安武洋子君 金大中事件につきましてはね、これは韓国の公権力の介入であるというふうに、私はやはり犯人もわかっているというふうにこう断定する問題だろうと思うんです。そして、やはり原状回復がなされていないと、政治決着ということでうやむやに済まされてしまっているというところに、わが国のやはり国家主権が侵されているというふうに思いますし、それから中曽根総理の問題につきましては、御自分が国会の中でCIAのセイヤーさんと親しい間柄であるというふうにおっしゃっていらっしゃるわけなんです。私はやはりどんな国の政府機関であれ、ここは官房長官もおっしゃっておりますけれども、わが国への内政干渉とか、それからやはり政党、大衆団体、世論、こういうふうに介入をしてくるということはね、KGBであれ、CIAであれ、KCIAであれ、これは許されてはならないことであると。長官はいろいろおっしゃいましたけれども、KCIAとそれからCIA、この暗躍は許しておいてよいのだということにはこれはならないと思うんです。ですから、私はレフチェンコ証言が事実であるとするならば、これはわが国への大変な主権侵害でございますから、どのいかなる国の主権侵害も許さないという、やっぱり毅然とした態度ね、KCIAだからいいとか、CIAだからいいとかいうことにはならないと思うんです。わが国への主権侵害に対しては毅然たる態度をやっぱりとっていただきたいと。そして、こういう立場で今度の問題が提起されているのも、やはり私はわが国の主権侵害に対しては毅然たる立場で対処するんだということがこの問題の根本であろうと、こういうふうに思いますので、このことを御要求いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  260. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 他に御発言もないようですから、内閣総理府本府、行政管理庁沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十三分散会