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1983-05-11 第98回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十一日(水曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      伊藤 郁男君     小西 博行君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中野  明君     理 事                 後藤 正夫君                 林  寛子君                 藤田  進君                 太田 淳夫君     委 員                 江島  淳君                 片山 正英君                 源田  実君                 杉山 令肇君                 高平 公友君                 八百板 正君                 吉田 正雄君                 佐藤 昭夫君                 小西 博行君                 青島 幸男君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       安田 隆明君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      安田 佳三君        科学技術庁計画        局長       下邨 昭三君        科学技術庁研究        調整局長     加藤 泰丸君        科学技術庁振興        局長       原田  稔君        科学技術庁原子        力局長      高岡 敬展君        科学技術庁原子        力安全局長    赤羽 信久君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        国土庁大都市圏        整備局整備課長  立石  真君        文部省学術国際        局学術課長    川村 恒明君        建設省計画局地        域計画官     光岡  毅君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査     ─────────────
  2. 中野明

    委員長中野明君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月十五日、伊藤郁男君が委員を辞任され、その補欠として小西博行君が選任されました。     ─────────────
  3. 中野明

    委員長中野明君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 吉田正雄

    吉田正雄君 きょうの委員会で、この国会の会期内における質疑というのは終わるのではないかと思っております。しかもきょうは午後から本会議が設定されまして、大変時間が制約をされましたので、三点についてお伺いをいたします。  第一点は、科学技術政策あるいは行政という立場からの基本的なあり方というものについてお伺いいたします。  第二点は、ICRP新勧告の国内制度への取り入れに関する放射線審議会基本部会報告に対する政府としての対応。特に科学技術庁といいますか、原子力安全委員会といいますか、これがこの報告を受けて今後どのように対応していくのかという点についてお伺いをいたします。  第三点といたしましては、先般の委員会で例の遺伝子工学に関するP4施設の建設についていろいろお尋ねをして大分明らかになったわけですが、御答弁をいただいた中で若干まだ明確でない点がございますので、その点について若干お伺いをいたしたいと思います。  それからもう一つは、資料提出の問題についてお尋ねをいたします。  まず、順序は逆ですけれども、資料提出の問題について特に大臣から御答弁を願いたいと思います。これはあらかじめ質問要項とかなんとかということでなくて、大臣からここでも当然お答えをいただける基本的な問題だと思いますからお尋ねいたします。  御承知のように、参議院改革ということで実は一昨年以来改革についても論議が進められてまいりまして、現在、調査委員会の設置というふうなことも出されておるわけです。しかし考えてみますと、国会というのは御承知のように、憲法に規定する国権の最高議決機関であるわけです。これは三権分立の立場からいたしましても、単に政府決定事項やあるいは政策追認機関ではないわけですね。あくまでも立法機関であるわけです。そういうことで、国会がその調査権を発動したり、あるいは法案審議を行ったり、あるいは立法府みずからが法案提出するということになりますというと、必要な資料というものはこれは当然政府側から提出していただかなければならないものがたくさんあるわけです。  私はちょうどそろそろ六年になりますけれども、過去六年間、この委員会審議におきまして、科学技術庁に対して資料提出というものをずいぶんお願いしてまいりました。私が一番資料提出をお願いしたのじゃないかというふうに思っておりますけれども、歴代大臣にずいぶん苦情を申し上げてまいりました。  それは何かと申しますと、たとえば記者クラブ等で配付される、公に発刊されるそういう資料等についても、関係委員に配付をするということがほとんどない。催促してもなかなか配付しないということで、これは理事会でも取り上げまして、じゃ理事会決議でもってやるかというところまでいったんですが、歴代大臣答弁では、そういう公にされたものは配付するのがもう当然であるし、それから法案審議等に絡んでの必要な資料等はこれは本来だったら催促をされなくても出すのはもう当然であると。もちろん部内検討中であるとかあるいは、こういうことがあってはならないと思うんですが、どうしても秘密にしなければならぬというふうなそういう特殊なものは別としても、そうでないものについては積極的にやっぱり出すべきじゃないかということで、これは歴代大臣がお約束をされたんです。ところが、この前も大臣にちょっと申し上げましたように、提出をしても何ら差し支えない資料についてすらなかなか出さない。  きのうも政府委員室に、この前私がお願いをしておった資料はどういうことなのかと。これは、アメリカ原子力規制委員会原子炉安全審査に関する検討安全性に関する研究を、かつては ラスムッセン報告というのがございますけれども、それとは別に、別の研究機関に依頼してやってもらった資料があるんです。ところが、一部しかないということで——あのね、ちょっと。私はそんな細かいことを聞いているのじゃないんですよ。そんなわきから、官房長か、一々大臣に耳打ちをする細かい問題じゃないんですょ。いいですか。そういうことで、それを欲しい。一部しかないということですから、それでは貸してくださいということになったわけです。ところが、これは安全局が担当ですから、原子力安全委員皆さん方に必要な部分を読んでもらっておりますということでした。そんなに時間がかかるわけはないですね。三カ月も半年もかかるわけはないんです。したがって、それでは安全委員がお読みになったならば至急にひとつ貸していただきたい、時間はとりません、一日もあれば結構でしょうと言ったのですが、何だかんだと言っていまだに貸してくれることすらやらない、こういう状況なんです。  これはもういつも申し上げておるんですけれども、資料提出というのは科学技術庁が一番悪いんです。他の省庁ですと、いろいろなものが出ればもう黙っておっても持ってくる。関係委員会ではほとんどそうなんです。ところが科学技術庁というのは、幾ら催促をしても必要なものすらなかなか持ってこないという状況です。これは過去の議事録を調べてもらえばわかるんです。何ら出して差し支えのないものすら出してないということであります。法案審議のときだけは委員会の開催でもやんやん言ってくるけれども、法案のないときにはなかなか委員会も開かれないということで、たまに開かれる委員会ではもうずいぶん課題が山積しておってなかなか突っ込んだ質疑ができないというのがこの科学技術特別委員会のいままでの実態だというふうに、私は評価といいますか認識をいたしております。  今後のためもありますので、本当に立法機関としての任務というものをきちっと果たしていくためには、むしろ政府の側から積極的に資料提供をすべきではないかと私は思うのです。アメリカのように国会議員に二、三十名のスタッフを国費でつけてやっておるのならば、それはそれなりの独自調査資料収集というのが可能だと思いますけれども、国会議員に二人しか秘書がついていないいまの状況の中では、とても独自に資料収集をするということが困難であることは大臣もよく御存じのとおりです。  そういうことで、どの資料を一々どうこうということはいま列挙申し上げませんけれども、そういうことをもう何回も確認されてきておりますので、今後は大臣の方からしかるべき処置をひとつとっていただきたいと思うのです。この点最初お尋ねをいたします。
  5. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) 吉田先生からのいまほどわれわれいわゆる行政側に対する厳しい御指摘と、こういうふうに私は受けとめました。この前も一遍吉田先生から御忠告をいただいたわけであります。科技庁は特に悪いぞ、こういう御指摘でございました。  資料要求につきましては三様ございまして、まず第一には、われわれは大蔵委員会でずっとやっておりましたが、いわゆる委員会要求資料、こういう形で出てくるケースがございます。これはお互いの理事会でお諮りになって、しからばこれは出すべし、この資料はこれはさらに検討を要する、こういう形でわれわれは資料要求をしてまいりました。個人の委員先生資料要求の取り扱いにつきましては、これはおのおのその先生立場がありますからして、これにもわれわれはよく協力してまいりました。そしてさらにもう一つ資料要求方法は、委員先生から調査室にこれを指示いたしまして、調査室経由資料提出させる。こういう三つの方法があるわけであります。  しかし私はいまこれをとやかく言いませんけれども、吉田先生のおっしゃることは私はよくわかるわけであります。いわゆる立法府としていろいろな政策検討するについて必要な資料を求めるということはこれは当然でありますし、必要でありますし、これにこたえなければならないということもわれわれに課せられた義務であるわけであります。だからして、積極的に資料要求にこたえる、こういうことをまず申し上げたいと思います。  そして、この前吉田先生から御指摘をいただいたものでありますから、一体どういう資料要求されたんですか、こういうことで事務当局説明もお聞きしました。そうしたら、こういうものです、こういうものです。こういうことだったから、ああそうですかと。こういう膨大な、厚さが四センチ、五センチのものを全部コピーするということはやはり大変だ。それならばこれはその旨よく御説明申し上げなきゃならぬじゃないかとこう申しておったんですけれども、吉田先生から見せていただきましたところが、四ページのものであった。ああこういうことならばこれは私も少し考えなきゃなるまい、こういうことで職員の皆さんにはよくよく申しておきました。だから、もう本当におっしゃるとおりに、これからはそういう御指摘を再び受けないように私たち資料提出をいたします。  ただし、が一つあるわけですな。これは御理解いただけると思います。いろいろなやはり守秘義務の中で、あるいはこの資料提出することによっていろいろとあちこちに物議を醸す、こういう問題がそこに介在するというものにつきましては、これは個々にまた御了解を得て、そしてこの範囲の資料と、こういうことで御了解をいただける面がある。一部こういうものがあるであろう、こういうことも御了解願いたいと思います。  とにかく御趣旨はよくわかりましたから、再びこういう御注意を受けないように留意いたします。
  6. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまの大臣答弁、納得いたしました。ただ、それが庁内においてひとつ完全に実施されるようにということと、庁内でどういう説明が行われたかわかりませんけれども、先ほどの四、五センチとかという膨大なもの、これは外務省だとかその他の省庁でもあるんですよ。全議員に上げるというわけにはまいりません、委員会関係委員皆さんに上げます。あるいはそれにも配付できないという場合には、お貸ししますということがですね、当然秘密文書じゃありませんので。したがって、貸してくれというものですらなかなか貸してもらえないということですので、ここが問題なんです。場合によっては、国会図書館に出ておりますからそっちへ行って見てくださいとか、あるいは科学技術庁の中に資料室といいますか閲覧室というところがありますからそこで見てください。膨大なものを一々閲覧室へ行って写し取るなんということはこれは不可能なことですね、図面なんというのはなおさらそうなんです。だから、貸していただければ一日で結構だと言っても、その貸し出しすら渋っておるということなんでして、いま、庁内からいろいろ説明を聞きましたというお話がありましたけれども、これも私は、大臣にどういう説明をされたのか、いま当初申し上げましたように、非常にその点は疑問なんです。  しかし、大臣のお考えというのはよくわかりましたから、そういうことでぜひひとつ今後は実現していただきたいと思います。これは要望いたしておきます。  次に、わが国科学技術政策の基本的なあり方といいますか、方向といいますか、ということでございますが、その前に私は基本的な問題を申し上げたい。  わが国におきます重点的な課題というのは御承知のように、科学技術白書等にも書いてございますように、原子力であるとかあるいは宇宙開発であるとか幾つか挙げてございます。私はいままで、科学技術委員会の中では特に原子力に関しまして非常に重点を置いてきました。安全性の問題、あるいは最近に至りましては、原子力というものが、御承知のように一九五三年の十二月の国連総会におけるアイゼンハワー大統領のアトム ズ・フォア・ピース、平和のための原子力ということで、軍事利用から平和利用へという方向が大きく打ち出されたことは大臣も御承知のとおりです。さらにこれを受けまして、世界の原子力科学者が二年後の一九五五年にウィーンに集まって、同じく「原子力平和利用のために」という会議も開かれておるわけですね。しかしその後の状況を見ますと、この平和利用というものが推進される反面、軍事的な利用の面、俗に言う核拡散ですね、この状況というものが非常に強まってきておる。場合によっては人類の存亡をかけた大きな軍事的あるいは国際的な課題にいまなっておることも大臣承知のとおりです。  そこで私は、特に科学者あり方と、それから政治とのかかわりというものを考えたときに、非常に大きな危惧といいますか、心配を感じております。  それはどういうことかということを長々申し上げますと時間もありませんから、これは大臣、それからそこにおいでになる特に科学技術庁関係皆さん、さらには本当に科学者と呼ばれる皆さん方、あるいは学者研究者と言われる皆さん方にぜひ一読していただきたいと思うのです。私も最近これをつくづく繰り返して読んでみたんですが、ドイツの有名な科学者ロベルト・ユンクという人の書いた「千の太陽よりも明るく」、副題として「原子科学者の運命」という本です。御承知のようにこれには、アメリカ原爆開発のトップ的な学者であったオッペンハイマーの悲劇というものが、それだけじゃございません、ずっとそれに至るまでのいろんな研究科学者状況というものが詳細に書かれておるわけです。学者の良心というものが、国家権力によっていやおうなく軍事利用方向に持っていかれた。それに協力した科学者というものが最後はまた結局国家によって、全くこれは無実なんですけれども、スパイだったんじゃないかとか、ソ連の手先ではなかったかとか、そういう烙印を押されて追放されていくという悲劇がここに書かれておるわけなんです。  長いですから一々読み上げませんが、ただここでロベルト・ユンクが言いたかったことが最初の序文の中に書かれておるわけです。短いですからここだけちょっと読み上げますと、こういうことを言っているわけです。  「精神的にすぐれた若干の科学者がそれにもかかわらず地獄の惨禍を惹起する張本人になるとしても、それは何らの矛盾ではない。」なぜなら「彼らの眼には、原子兵器はあくまで非現実的なものにとどまるからである。彼らは血を見ず、焦熱地獄を見ず、苦悩に充ちた被災者の死を見ないで、ただ数学的公式と戦術的数式を見るだけなのである。」、「政治家であれ科学者であれ、指導の任にある人々は残念ながらじきにすべてを忘れてしまう。彼らはしばしば自分たちの狭い専門分野に関するすべてのことについてあまり実状を知らされておらず、原子爆弾の悲惨さを現実に思い描くにはあまりにも想像力が乏しい。」ということで、研究者といいますか、学者の持っている知識、専門的には非常に深いけれども、それがどのように利用されていったのか、またそれが利用された結果どうなるのかという社会的責任について、科学者というものがきわめて無関心であるといいますか、そういうことをこれはついておるわけです。  そういうことで、今後の俗に言う巨大科学といいますか、巨大技術開発、こういうことに当たっては、われわれは一番悲惨な現実というものを日本において見ておるわけですから、私は原子力開発の場合にも従来から、安全性の問題についてはいやというほど繰り返しここで質問もし、意見も述べてまいりました。しかし必ずしも私は政府側答弁が十分だとは思っておりません。それは例の原電敦賀の事故についても、安全局長もここにおいでになりますけれども、単に書類に目を通すだけだ、現地に行ってみたけれども独自の調査らしい調査というものは全くやってこなかったということが、この前の答弁でもはっきりいたしておるわけですね。そういう点で私は、今後の原子力行政推進に当たっては、安全性について、これでいいということはあり得ない。あくまでも徹底して常に追求がなければいけないというふうに思っております。  そこで、いま申し上げたような点に関しまして、当初に大臣はどういうふうにお考えになっておるのか。また、今後の研究開発、これは原子力だけではございません。宇宙科学に関しても同様です。米ソ宇宙開発競争というのはいまや、側面的にはいろんな平和利用の面もございますけれどもそれはもうむしろわきに押しやられておって、完全にまさに軍事中心開発競争になっておるということは、これは周知の事実でございます。一面で科学技術人類の福祉に貢献したと同時に、裏側から見た場合には、また人類を悲惨な方向に追いやっておるという現実もあるわけですね。これは公害と言われるものが端的な例ですけれども。そういうことで、最近再び巨大科学とか巨大技術というものに対してもう一回再検討すべきではないかという声が、学者のみならず、世界的にもそういう世論が非常に強まってきておるというふうに思っておるわけです。  今後の研究開発あるいは行政の基本的なあり方として、基本的にそういう点で大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  7. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) いま吉田先生お話を聞いておりまして、全く同感でございます。いわゆる科学者あるいは研究家考え方、持っている哲学、これを一歩誤りますれば、一には平和、一には殺戮、こういうことになることは必定であります。本当に科学者の良識というもの、いまほど問われることはないであろう。  例はこれは非常に的が外れておるかもわかりませんけれども、われわれの祖先はポテトというものを生み出しました。欧州ではこれを常食にいたしております。これはわれわれ人類の糧食の供給源においては貴重な発掘であったわけであります。このポテトというものに一たんちょっと日太陽を当てましてあれを青くいたします。これを妊娠した動物に与えまするというと、一切の動物は流産してしまうわけであります。ナス科植物というのはそういう恐ろしいものです。一方では薬でありますし一方ではこれは毒になってしまうわけであります。例は当たらないかもわかりませんけれども、われわれの科学先端技術開発というものは、一歩誤りますと剣になり刃になり、片一方はこれは文殊、仏になるわけであります。  そういう意味で私はいまほどのお話、よくよく拝聴、傾聴いたしておりました。そしてわが国はとこうなりますれば、これは吉田先生御存じのとおりであります。われわれは法律で明定された中で、国会決議というものもさらに受けてやる。われわれの手で軍事というものを幾らでも開発する知見をわれわれは持っておるわけであります。持ち得るわけであります。しかしわれわれには絶対にそれは許されないし、われわれはその知見には手を入れない、こういうことで、平和というものとそして安全というものの枠内で終始一切合財これをやっていく、やっている、こういう私たちの心情だけはよく御理解いただきたい、こう思っております。
  8. 吉田正雄

    吉田正雄君 それでは、もう少し具体的な内容に入ってお尋ねをいたします。  従来の政府科学技術開発方向というふうなことで、今後の開発に当たっては二つ方向に留意する必要があるということで、第一点としては、人々の高度化し多様化するニーズに適応させる、あるいはこれまでの技術総合化して高次の技術を生み出すという方向を発展させていくということが一つあるということが言われておりますし、特に総合化分野において、大規模な技術も多く、国の果たすべき役割りもますます大きくなっておるということが言われておるわけです。これはたとえば、新幹線だとかSTOL等研究開発ではそういうことが言われておるわけですね。  二つ目方向として、原子力宇宙などの先導的分野技術開発を進める、あるいは材料技術極限技術ライフサイエンスなどの基盤的技術開発を進める。いわゆる先端技術開発あるいは未 踏技術領域への挑戦といったものを二つ目として挙げておるわけですね。  これを進める具体的な課題としてまた四つ挙げてあります。一つは、研究開発の投資ということで、研究費が少ない、これをどう広げていくかという内容なんです。それから、第二点として自主技術開発、第三点として官民の連携の強化、第四点として国際協力推進というふうなことが掲げてございます。  そこで局長、きょうお聞きするということからは若干外れておると思うんですけれども、細かいことはきょう聞いている時間もありませんし、そういうことで私は大きなところだけ聞きたいと思っておりますから、きのう言ったものからあるいは外れておるかもわかりませんが、これは大臣お答えになれるということで私はお尋ねをいたしておりますから。  研究開発に当たっての研究費の問題ですけれども、いままで科技庁がまとめた各国の研究開発費は、国防予算ではどれくらいであるとか民間がどれくらい、あるいは政府関係予算がどれくらいということをずっと統計的に調べられまして、国家予算から出している研究費というのは先進国の中では日本が一番少ないんじゃないか。さればと言って日本の場合には、軍事予算はGNPの一%という大枠があるというふうなことで、そちらに期待することもできない。しかしいわゆる国家政策という観点から、国の研究開発費をふやしていく必要があるだろうということが言われているわけなんですね。そのことは私も否定はしないんです。本当に必要な研究予算というものは、これは民間でやるべき分野もあるでしょうし、それから直接企業にはなじまなくてやっぱり国家立場研究開発を進めなきゃならぬ分野もあるということは承知いたしておりますから、したがって研究開発に当たっていくのに、積極的にそれに取り組んでいくということについては全く私は否定もしないし、それは当然あるべきだというふうに考えております。  問題は、先進諸国と日本を比較した場合、とりわけ先進国といった場合、日本の場合にはアメリカというものが一つの目標になると思います。そこでアメリカの現状を見た場合にどういうことが言えるのかということだと思いますけれども、御承知のようにアメリカの景気が昨年の暮れあたりから順次回復基調に向かってきたんではないかということで、この春あたりのいろんなアメリカの、政府の発表によりましても、若干景気回復になってきた、軌道に乗りつつあるんじゃないかということが言われておるんですけれども、連邦政府の財政赤字の幅というのはしかしますます拡大していくということもはっきりしてきておるわけです。その最大の原因は何なのかというと、やはり軍事予算が非常に国家財政、連邦予算を圧迫しているということはこれはもう客観的な事実であるわけですし、政府もそれを認めているわけですね。したがって、じゃ軍事予算からの研究費、それによる研究というものが一体民需に移転できるのかどうなのかということだろうと思うんです。何か、軍事面における研究が進めばそれが一般的な民需の研究にも非常に役立つんじゃないかということが一時期確かに日本でも言われました。しかし、その後の実情というものを見ますと、軍事部分における研究というものが民需部分の研究にどれだけ移転をされたのかあるいは役立っておるのかということになると、具体的にはほとんどその例を挙げることが困難である。今日の軍事状況の中でも、とりわけエレクトロニクス分野というものが非常に重要な役割りを担っております。しかし、このエレクトロニクス分野研究状況とか開発状況も、実はアメリカにおいても軍需産業分野よりもその他の分野開発された部分が非常に大きい。その一番いい例が日本だと思うんですね。日本におけるエレクトロニクス関係の技術開発というのは何も軍事研究開発によったものでないということはこれは一番御存じですし、それから、今日の日本の高度経済成長というものも軍事費による圧迫がなかったからだということはこれは厳然たる事実であるわけです。  そういう点で私は、今後の研究開発というものを考えるに当たって、アメリカの、戦闘機であるとかあるいは原子力潜水艦であるとかあるいはNASAあたりが特別にやっているそういう分野だけを取り上げて、だから軍事研究分野がないと進まないんだという考え方は誤りだろうというふうに思っているわけです。それは日本の実情というものが一番よく示していると思います。特に民需の部分で最も貿易摩擦を起こしております自動車にしろ電気製品にしろ、あらゆる民需部分において軍需には関係なくこれだけの研究開発が進んできた。いまや世界でも最先端を行っているということは御存じのとおりだと思うんです。  今後の研究開発に当たって、そのことをしっかり念頭に置く必要があるんじゃないか。これは予算面で言えることです。  もう一つは、人材の養成、研究者の確保という面です。これも御承知のようにいろんな資料も出ておりますが一々取り上げませんけれども、アメリカではいま軍事部門に非常に多くの研究者がとられて、民間一般産業における研究者技術者が非常に不足をして困っておる。そのことがまた、アメリカの産業の発展にとって大きな障害になっておる。硬直化の大きな原因になっておる。さらには新しい技術日本で最近盛んに言われております先端的とか先導技術あるいは未踏破領域というそういうものの研究は、実は民間においてこそ最も自由に研究できる。軍事ということになりますと一定の規制が加わってまいりますのでね。今後の技術革新をめぐっては、創造性をはぐくむために、日本における科学技術教育のあり方、それから研究開発あり方ですね。科学技術教育のあり方は、これは大学などにおける公的研究機関というものと、それから民間企業における研究開発、そういうものとどう連携をとっていくのか。いい意味での産学協同といいますか、そういうことも当然あると思うんです。それと、研究投資のあり方は先ほど申し上げたとおりなんです。  そういう点でこれから日本科学技術研究開発というものを考えていかないと、私は、アメリカの二の舞でああいう不況になったり、それから軍事以外の分野において本当の意味での先進的なものを切り開いていくことができるのかどうかということになると、非常に疑問に思うんです。私は、研究費あり方研究費というのは金だけのことでなくて、いま申し上げたような点について大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  9. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) いまお話をお聞きいたしておりまして、つくづく次のことが頭に浮かんだわけであります。  今日わが国があの廃墟の中から、世界の先進国に伍して、その最も先端の地位を位置づけ得たものは一体何であろうか、こう考えてみると、われわれの先輩が選択した政策目標に誤りがなかったことです。具体的に何か。エレクトロニクスが今日このようなすばらしい領域を世界の中で確保し得たのは何だろうか。それは何といっても、日本へ全額外資でもってIBMが上陸してまいりました。これはもう産業戦略としてアメリカがやっておることは承知のとおりでありますから、絶対これにわれわれは伍していくべきであるし、われわれはこれを凌駕する地位を確保しよう、こういうことで吉田先生御存じのとおり、メーカーの再編成ということで三グループにわれわれはこれを編成しまして、そしてあの助成制度を見出しまして誘導政策を強力にやってまいりました。だからして私、コンピューター、エレクトロニクスが今日このようにすばらしい地位を確保し得たものは何かと、こうなれば、われわれはIBMに追いつくんだ、こういう政策目標で濃密な助成誘導政策をやった、ここにやはり一つの大きな事績というものを見出さなければならない、私はこう思っておるわけであります。  だからしてわれわれは、不断に世界を眺めて、ここ一番、こういうときにはやはり思い切った濃密な誘導助成政策というものをやらなければ世界の先端を歩むことはできないよ、こういうことを 当庁としては考えておかなきゃならない、政府としても。これが一つ。  それからもう一つ。どうしてこういうすばらしい科学技術立国、ここまで来たか。世界から尊敬される顔、即それは科学技術である。こうなりますると幸いなことが一つある。それは産業構造が二重構造になっていること。こういう低成長下に入ってまいりますればまいりますほど、熾烈な市場競争の中でお互いがしのぎを削って、研究開発分野に頭を突っ込んでまいりました。それが今日このようにさせたんじゃないですか。この二重構造ということから、中小企業分野において、すばらしい科学技術という先端的なものをみずから手の中に入れなければ生きていけない。そういう経済環境がこういう結果にならしめたのだ、こういうふうにも私は理解しておるわけであります。  そして、アメリカ研究開発費は十五兆円でしょうか、それから次にソ連はこれが七兆円ですか。そしてわれわれ日本は五兆三千六百億円。科学技術会議が目標を設定いたしましたその路線より以上の速度でもって、科学技術研究開発費いわゆる投資というものが行われているのも、そういうところから来ているのだろう。そして、ここまではこうでしょう、今後どうするか、こうなりますと、産学官一体の中でやはり政策目標を決めてやらなければならぬでしょう。ライフサイエンス、この目標、これを私たち政策的に今後考える。それからいまちょうど先生がおっしゃいましたが極限材料の問題、これは何といったって私たちは世界の最高のものでいかなければなるまい。そういう幾つかの目標をとらえておりますが、そういう部面につきましては、私はやはり誘導助成政策を濃密にやっていく。そして二重構造の中で、大企業もやるでしょう、しかし中小企業も生きていかれないわけでありますから、熾烈な競争の中で今後とも研究開発に一切を込めてやるような、そういう政策展開というものをやっていかなければならぬものだ、私はそのように思っております。  そして、着任いたしまして科学技術振興に関する当庁の全体像をとらえてみたときに、先輩はやはりよくやっているな、こういうことを私は痛感しました。今後いろいろ情勢は変わってくるでしょうけれども、それに即刻対応できるような弾力的な財政の運営をする。人材養成につきましては、これも三十二年あの科学技術会議が提唱いたしまして大学に理工系二万人、この戦力も相当なこれは効き目があった、実効があった、こういうことでございますから、こういうことをよく考えれば考えるほど、私たちは油断することなく時代に対応する財源、人材養成その他に力をいたすべきである、油断はもうならぬ、こういうことを痛切に感じております。
  10. 吉田正雄

    吉田正雄君 今日の日本の経済的な発展あるいは科学技術の発展というものは、軍事に制約をされない、まさに平和利用という立場であったればこそここまで発展してきたと私は思います。原子力開発、これは宇宙開発もそうですけれども、法律そのものにおきましても、あくまで「平和の目的に限り」ということが明示をされております。  そこで私いま危惧いたしておりますのは、国内においてはもう法律的に基本法でそうなっておりますからこれは心配しないでいい。若干心配しなきゃならぬ部分がある感じもいたしますけれども。それでアメリカとの関係で率直にお尋ねいたします。アメリカの場合には、核物質が足りないということでイギリスに対して、原発から出てくるプルトニウムを譲ってくれというふうなことで、私が聞いているところではアメリカに、これは公然とではないんでしょうけれども、譲渡されているのじゃないかというふうなこともちらっと聞いておるんです。そこで日本の場合、これだけ原発がどんどんふえてまいりまして、再処理によってプルトニウムもすでに東海だけでも一トン以上出てきておるわけですから、そういうことで将来ともどんどんふえていった場合に、アメリカ側からプルトニウムの譲渡といいますか、そういう点での要請があった場合、日本としては一体これにどう対応するのか、これをちょっと聞かせてください。
  11. 高岡敬展

    政府委員(高岡敬展君) お答え申し上げます。  いま御指摘がありましたような、軍事目的のためのプルトニウムをアメリカがイギリスに供給を要請したというようなうわさは私どもも耳にいたしておりますが、的確にいつどういうものが行われたということは確認できる性格のものではございません。ただ、アメリカ、イギリスともに御存じのように核保有国でございますから、友好国としてそういうことはあり得ることではなかろうかというふうに思います。  いまお尋ねのございましたように、わが国の問題として考えてみますと、これも先生十分御承知のことかと思いますが、日米の間の原子力協定がございます。それの条文といたしまして、日本から仮に研究開発の目的のために日本のたとえばプルトニウムならプルトニウムというものがアメリカに移転されるということはあり得るわけでございますが、それについては平和利用以外に使わないということが明記されておるわけでございます。こういう日本立場というもの、つまり日本自身が原子力利用として平和目的に限って非常に厳密にやっておるということ、それからアメリカその他友好国といえども海外における原子力軍事利用というものに寄与しないといいますか、手をかさないということで非常に真剣といいますか、厳密に規制を行っておるという立場アメリカも十分関係者が理解をしておりますので、先ほど申し上げました協定に明文があるというようなこともありまして、イギリスにそういう申し出をしたんではないかというような、たとえば軍事目的のためのプルトニウムの供給を日本に申し出てくるというような事態はまずもって絶対あり得ないことであるというふうに考えております。
  12. 吉田正雄

    吉田正雄君 あり得ないし、あったら困るわけでしてね、そういうことが、少なくともそのおそれがあるという場合には、やはり日本側としてはきちっと断るべきだと思うんですが、それはどうですか。
  13. 高岡敬展

    政府委員(高岡敬展君) 先ほど申し上げましたように、日本政府立場というのは、これは国会の御承認を得ました法律の形あるいは条約の関係で、国内におきましても海外との関係におきましても、厳密に平和利用だけに限ってやるということが明示されておるわけでございますし、もし万一そういう申し出があった場合には、現在のわれわれの立場として考えますれば、それは明らかにお断りをするということであろうかと思います。
  14. 吉田正雄

    吉田正雄君 もう一つ。舶用炉でさらに新しいものの研究をやろうということが言われておるわけですけれども、たとえば潜水艦に利用するということになりますと、これは明らかに軍事転用ということになるわけでして、こういうものについてもこれは当然転用ができないわけなんですが、だんだん国際情勢とか安全保障という観点からそういう世論といいますか、世論というよりもそういう動き、事態というものが非常に強まってきたという場合には、これはどういうふうにされますか。
  15. 高岡敬展

    政府委員(高岡敬展君) 原子力軍事転用ということで、爆弾といいますか核爆発装置への利用ということは論外でございますが、いまお尋ねの潜水艦といいますか、自衛艦の推進力としての利用ということにつきましても、どういうふうに対応するかということがかねがね問題になっておったわけでございます。昭和四十年に政府の統一見解が出ております。これによりますと、いろいろありますけれども、自衛艦の推進力といえどもこれを使う場合については原子力利用は、つまり船舶、かみ砕いて申し上げますと、商船の原子力推進ということが一般化してない状況においては自衛艦の推進力として原子力を使うということも認めるべきでないというのが政府の方針として統一見解のかっこうでまとめられておるわけでございます。この考え方は現在においても変わってないというふうに了解しております。
  16. 吉田正雄

    吉田正雄君 いま商業船というようなことがあ りましたので、その辺ちょっともやっとしますが、時間がありませんからいいですわ。それでやめます。  それから、宇宙開発についても、当初法案が出された際には「平和の目的に限り」ということがなかったのですけれども、これは全会派一致で修正案として、宇宙開発研究等についても平和目的に限るのだという修正案が通ったわけですね。それから附帯決議においても「平和の目的に限り」ということが決議されております。これは衆参両院において決議をされております。そこで、つい先日の衆議院における国会論議におきましても、加藤政府委員の方から、「宇宙開発事業団法第一条の規定によりまして、平和目的に限りこれを推進しているわけでございます。したがいまして、自衛隊がこれを利用するということは、これは私どもの平和の目的というのに合致しないということで、いまのところ、いままでの非軍事というところで、私どもは自衛隊がこれを使うということをいまの段階では予定していないわけでございます。」、これはことしの二月五日の予算委員会における政府側答弁なんです。  ところで、先般打ち上げられました通信衛星等、これは離島であるとか非常災害時等、こういうものについて利用するということになっておるわけですけれども、心配いたしますのは、たとえば硫黄島、これは自衛隊しかないということで、自衛隊が利用しているのかどうなのか。ということと、将来、ユーザーの要望というふうなことで自衛隊の方から、併用ではとても足りないということで、軍事用衛星というものを打ち上げてくれという要求が出た場合には、どのように対応されますか。
  17. 加藤泰丸

    政府委員(加藤泰丸君) お答え申し上げます。  前段の二月の五日の予算委員会におきますところの私の答弁についてでございますが、二月の五日の予算委員会での答弁につきましては、その際はまだCSの2、いわばこの前打ち上げました「さくら二号」aでございますけれども、「さくら二号」aに対する要望につきまして防衛庁から何も伺っていないという段階でございました。事業団が打ち上げます人工衛星について防衛庁から御要望があった場合には、そのことが先ほど先生がおっしゃいましたような両院の御決議あるいは宇宙開発事業団法の趣旨に照らしましてどのような問題があるかというような点につきまして慎重に検討する必要があることは、これはもとよりでございます。二月の五日の答弁は、いま先生がお読みくださいましたけれども、若干舌足らずの面がありましたけれども、その真意は、自衛隊が事業団が打ち上げる衛星を利用することにつきましては、そういったような問題もありまして、かつまた、わが国宇宙開発というものは平和の目的に沿って行っているというところでございます。そして先ほども申しましたように、その時点におきましては、防衛庁からもCSの2aについての要望を聞いておらなかったというふうなことがありましたので、予定はしていないと、あのような答弁を申し上げた。それがあの答弁の趣旨でございまして、若干舌足らずの面がありましたけれども、真意としましてはそのようなことを答弁したつもりでございます。  ところで、それ以降防衛庁の方からまだ正式に御計画の持ち込みはございませんけれども、何か硫黄島との間で「さくら二号」aによって通信をしたいんだがというようなお申し出が事務的にはございます。ただ、それにつきましては、先ほどから御説明していますようないろんなことがございますので、現在関係省庁の間で、どういうぐあいにこれを扱ったらいいであろうかというようなことにつきまして鋭意検討を進めているというような段階でございます。
  18. 吉田正雄

    吉田正雄君 いいです。現状まではわかりましたけれども、省庁間で話し合いを詰めていって、やっぱりこれは必要やむを得ざるものだというふうに判断して利用を認めたということになりますと、だんだんそれがエスカレートしていって結局、これでは足りないというふうなことで将来は、ひとつ軍事用の自衛隊専用の衛星を打ち上げたいというふうな要求というものが、仮に宇宙開発事業団に出てきたという場合には、法律の趣旨と附帯決議の趣旨からしてこれはあり得ないと思うんですけれども、どういうふうに判断をされますか。
  19. 加藤泰丸

    政府委員(加藤泰丸君) ただいまの先生お話の中で、自衛隊の方から何か自衛隊の人工衛星を宇宙開発事業団の方に打ち上げてといったようなことでございますが、私どもいままで、自衛隊の方にそのような計画があることは一切承知しておりませんし、現にそのような計画についてわれわれは持ち込まれた経過もございません。したがいまして、その点につきまして何らいままでわれわれとしましては検討したこともないわけでございます。いずれにしましても、私どもの宇宙開発というのは、先ほどからもございましたような、国会の御決議あるいは事業団法というものの趣旨に沿って今後とも開発を進めていくという点については変わりがないと思います。
  20. 吉田正雄

    吉田正雄君 国会の論議の中で、これは衆議院段階ですけれども、平和目的に限りという内容については非侵略という意味と非軍事という二つの面があるじゃないかということで、これは両方ともそうではないかということについて、政府側としては、当然、非侵略はもちろんですけれども非軍事という点はそれはそのとおりでございます、こういうことを答弁しているんです。したがって私は、この法律の趣旨それから附帯決議の趣旨からしても自衛隊の方からそういう要望が出てくるとは思いません、専用のそれを上げてくれなんということは考えられないんですけれども、しかし世の中、情勢というものはいろいろ変わってまいりますから、その段階で法律をどうするかという話になればまた別ですけれども、現にその法律がある限りにおいてはこれは方針とか態度というのは当然きちっとしていると思うんです。大臣、そうじゃございませんか。
  21. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) いま加藤局長答弁しましたとおり、いわゆる団法並びに国会の附帯決議というものは、厳然とわれわれは守らなければならない。だからして、星を上げる技術、これを開発する場合には、軍事的なそういうものは毛頭頭の中にないし、それはなすべきではない。これは、開発をする、打ち上げるわれわれ科学技術庁。打ち上げた星をどう利用するかということになりますると、これはいわゆる通信・放送衛星機構あるいは電電公社の分野に移るわけでありますわね。そこにも利用というものはひっかかってまいります。しかし、衆議院の段階で御質問のありましたこの二号は、これは警察がお使いになるんでしょう。建設省も災害その他でお使いになるんでしょう。であるならば、自衛隊の硫黄島におる人たち、隊員に不幸な事態が起こってそうして家庭へ御連絡するとき、一体どうするんだ。災害救助でもって急遽船舶救助に飛び出さなければならない、その場合でもこの星の通信というものを使えないんだろうか、こういう御質問が出てまいりました。だからして、国会の中にはそういういろいろな御意見、そういうものがいま出てまいっておりますから、われわれはあくまでも平和利用という延線上でこれは当然考えなければなりませんけれども、自衛隊は一体どういうことを考えているんですか、それをわれわれはまだしかと聞いていません、だから具体的に言ってください、それによってわれわれは検討しましょうと。総理はそれを受けまして、じゃ検討してみますわ、こういう答弁で終わっておるわけでありますから、いま加藤局長お話しのとおり、あくまでも平和に限る、この線上の中において、自衛隊がどう考えているのかということを受けた上で検討させてください、これがいまの段階でございます。
  22. 吉田正雄

    吉田正雄君 その点は、いま大臣がおっしゃったように、たとえば硫黄島における自衛隊員が急病になったとか、家族がどうだとかということで緊急にこれを利用しなかったら困るというふうなことは、これは私は軍事目的だとは思わないんですよ。そういうことでなくて、軍事目的といった らはっきりしているわけです。いま運用は通信・放送衛星機構によって行うということになっていますが、どこが運用を行おうと、この法律の趣旨というのは明らかに、宇宙に打ち上げられた物体、要するに衛星、及びロケット、こういうものについて、宇宙開発、そういうものが軍事利用になってはいけないんだ、要するにあくまでも非軍事だということを言っているわけなんでして、それは明確だと思うんです。だから私が聞いているのは、前のようなことを聞いているのじゃなくて、あくまでも軍事目的ということでいまお尋ねしているわけですから、その点ははっきりしてください。
  23. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) 軍事、非軍事、これにつきましてはいま吉田先生のおっしゃるとおりでございます。軍事軍事、これはわれわれはこの線上の中では入れられない、これは禁止されております。こういう理解の上に立っております。
  24. 吉田正雄

    吉田正雄君 それでは、次に核融合の問題も若干お聞きしようと思ったのですけれども、時間がありませんから頭にとめてだけおいていただきたいと思うんです。  それは、原発開発のときにも当初は、ウランは石油の二百万倍のエネルギーを持っているとか、盛んに宣伝をされたわけです。しかし、現実にエネルギー収支というものを考えますと、そんなことにならない。これは委員会論議の中でも、五、六倍になりますか、六、七倍になりますかとかという話になってきて、さらに最近は、経済性の問題を論議すれば、果たして他の電源よりも一体安いのか高いのか不明な部分というものが非常に多く残されている。とりわけ廃炉とか廃棄物処理処分の観点については、これははっきりいたしておりませんと答えているわけですよ。だから、そういう空白の部分があるのに断定的に安いだとか、それからウラン資源だって限りがあるという中で、余りにも宣伝が、誇大宣伝ではありませんけれども、そういうことであっては困るわけです。  核融合についても、どういうふうな宣伝になっているかというと、核融合反応では燃料一グラム当たりで石油約九リットルのエネルギーが出ますとか、それから重水素は海水中に無尽蔵にありますと。どうやってとるのかということには何にも触れていない。それから三重水素の原料であるリチウムも、ウランと比較して埋蔵量が大きいというふうに予想されるというのですけれども、リチウムの埋蔵されている地域というのは非常に限定されておりますし、ほぼ米ソというものがこれまた押さえておるという中で、リチウムなんというのはそんなに簡単に無尽蔵に手に入ってくるわけはない。これについても、岩石のほかに海水中に一立方メートル中〇・一七グラム含まれておりますと。つまり、リチウムというのが幾らでも無尽蔵にとれる、安価で幾らでもというふうな、こういう宣伝をやっておりますけれども、私は核融合のいまの研究開発状況というのは、果たしてそれが実現可能なのかどうかを探る研究段階だと思う。ロケットが月へ行くんだということがはっきりしておってあとは技術的に解決すればいいというそういう問題とは違って、核融合というものが本当に実現できるのかどうなのかを確かめる段階の研究なんですね。そして、それが可能だという見きわめがつくのも今後二、三十年後だろうというふうなことが盛んに言われているわけです。したがってそれが実用化される段階というのは、二十一世紀も半ばごろにならなければということで、そんなに簡単にいますぐ核融合、そしてそこからすぐに電力が得られるなんという、そんな簡単なものではない。これはいままでの原子力、原発の研究開発の実情からしてもはっきりいたしております。それから、廃炉とか廃棄物処理処分についても、まだ原子炉の耐用年数がありますからこれから十年から十五年かけてゆっくり、それまでに間に合えばいいんだというふうな答弁がこの前も行われているわけでして、そういう状況の中で、核融合がいかにももう実現可能で、すぐ目の前に迫っているような、そういう考え方でいくとこれはまた、スケジュールからしても何からしても、大きな狂いが出てくるんじゃないかと私は思う。また、過大な期待というものを国民に与えるんではないかという感じがいたします。特に経済性を考えた場合には、これはもう原発以上に大変なしろものになるんじゃないか。二百万キロワットの核融合発電所をつくった場合、建設費なんというのはいまの原発のまた何倍もかかるという中で、コスト面から言ったって、果たしてそれが経済的に成り立つのかどうなのか。そういうことも現実の問題としては本当は検討していかなければならない問題なんでして、単に学問上の研究というものと実用化に向けての研究というものの場合には、その辺もきちっと踏まえていかないと大きな誤りを犯すんじゃないかと思います。  答弁は要りません。そのことだけを指摘しておきたいと思います。  第二の質問に移りますが、この前も途中で終わったんですけれども、例のICRPの新勧告の国内制度への取り入れについて。これも時間がありませんから、簡単にお答えを願いたいと思います。  これは、私がこの委員会でもあるいは商工委員会等でも繰り返し申し上げてまいりましたように、いままでの被曝線量についての考え方、たとえば三カ月三レムまで、年間五レムまでというあの考え方は、そこまで浴びていいんだという考え方ではございませんよということを申し上げてきておったわけなんです。そしてこれは通産当局から、今後被曝線量については極力下げるように強力な指導というものを電力会社に対して行いますという答弁もなされておるわけです。今度の新しい勧告、といっても七七年の勧告でして、七七年当時というのは原発の建設、開発というものがまだ今日ほど行き詰まっていないという中でこのICRPで論議をされたということで、その裏話も私若干聞いておるんですけれども、そういうことで私としては、障害が出てからでは非常に取り返しのつかない事態になっていくだろう。特に有意的遺伝という面から考えまして、その事態に立ち至ってから大変だということでは困るので、極力そういうことにならないように被曝線量については引き下げていく必要があるんではないかということを申し上げたんですけれども、この部会報告を受けて政府は今後どういう考え方で対応されていこうとしているのか、その点お聞かせ願います。
  25. 赤羽信久

    政府委員(赤羽信久君) 御指摘のとおり現在、政府の放射線に対する規制の基本を審議いたします放射線審議会におきまして、七七年の勧告をどう受け入れるかという検討をしている段階でございます。  それで、その中にあります基本部会が先般、本会議に対しまして報告提出したという段階にございます。そして、その基本部会の報告を今後実施に移すについてどうするかということが放射線審議会そのものでの今後の検討課題ということになっているわけでございまして、関係省庁と協議しながら、できるだけ早く結論を出すべく現在進めている段階でございます。  その際の基本的な考え方でございますが、特に基本部会からリポートの報告書に加えて御注文といいますか、御指摘があったわけでございますけれども、ICRPといいますのは、個別の、たとえば年間五レムとかいう数字だけ独立して歩くべきものではなくて、ICRP全体を通しての一つの体系があり、考え方、哲学があるわけでございますから、それを総合的に取り入れてくれないと困る、つまみ食いをするようなことがあってはならないということが御指摘されております。そして現実に移す場合に、現実に扱いやすいような適用の仕方を工夫するということはあってもよろしいけれども、その場合でも全体の哲学にもとるような、あるいは説明がつかないようなことがあってはならないということも御指摘いただいているわけでございます。  その件につきまして科学技術庁が、調整の立場からしまして各省庁を調整しながら、そういう基本的理念に背くことのないよう現在作業を進めて いるところでございます。特に、御指摘の、放射線に当たる量というのはできるだけ少ない方がいいという思想、合理的に達成される限りできるだけ少ない方がいいというICRPの精神を随所に生かすような法令的な取り組み方、それから運用上のあり方というのを従来にも増して進めていくという方針で当たっているところでございます。
  26. 吉田正雄

    吉田正雄君 私最初にロベルト・ユンクが言ったということを申し上げましたように、学者というのはどうしても机上の計算なんですよ。公的な数字、そういうものに頼って、これなら大丈夫だろうということなんです。そうではなくて、現実に原発施設で働く人たちの被曝というものを考えたときには、そんな数式であらわされるほど単純なものではないということですので、そのことだけ繰り返して申し上げておきますので、そういう心配のないような内容で十分ひとつ今後とも御指導していただきたいということを、これは御要望申し上げておきます。  それから、時間もありませんから最後ですが、この前大分お聞きをしてP4に関してはそれなりにわかりました。しかしまだどうもこの前の答弁では不十分な点というのが幾つかございます。そこでお尋ねをいたします。  この前は答弁を聞いているだけでして、文字の面でははっきりとあれでしたが、きのう私この前の議事録をもう一回読み返してみたんです。そこで何点か、ちょっとわからなかったり、疑問の点というのが出てまいりましたのでお尋ねいたします。時間もありませんから端的に答えてください。いま一々、取り扱う菌の名前を挙げたりなんということはやりませんから、できたらイエスかノーぐらいの簡単な答弁で願いたいと思います。議事録はお持ちになっておりますでしょうか。なければ結構ですが。  この前、どういうものを取り扱うのかというふうな質問をいたしました際に、こういうことをおっしゃっているわけですね。「2bクラスと申しますから非常に弱い細菌、ごく一般的なこういった微生物関係の研究所で取り扱われているような、そういうクラスの微生物からDNAを取り出す、そういうものはDNA供与体として直接に扱いましょう。それから3aクラスのもの、これはたとえば私は結核菌などが3aクラスではないかと思いますが、結核菌からのDNAを出すというわけじゃないわけでございますけれども、このクラスのものはDNAとして取り扱いましょうと。」、こういうふうにおっしゃっているんですね。  そこで、DNA供与体ということをおっしゃっているわけなんですけれども、この病原DNA3aクラスというのは一体どこでおつくりになるのかということなんです。それが問題なんですね。どこでおつくりになるのですか。
  27. 原田稔

    政府委員(原田稔君) それでは簡単にお答え申し上げます。  3aクラスのDNAを扱う実験施設はP2ないしP3施設程度の施設を持っているところで十分なわけでございまして、したがいまして現在わが国にも、大学などが中心でございますけれども、そういう施設を持っているところが非常にたくさんございます。そういう大学等で3aクラスの微生物からDNAを取り出す、こういうことになるわけでございます。
  28. 吉田正雄

    吉田正雄君 時間がありませんからやりとりはやりませんが、いまおっしゃったようなP3等の施設でDNAにするということが本当にできるのかどうか、これは非常に問題だと思います。そういう答弁ですからそれはいいですわ。  それからその次、こういうことをおっしゃっておりますね。  どういうものをやっぱり取り扱っていくのかということで、「新しい組み合わせにつきましてはその基準外であるわけでございます。新しい組み合わせにつきましては、あるいはこれは個別にどういうクラスで扱うかというのをこれは科学技術庁の方で審査するわけでございますが、新しい組み合わせということになりますと、恐らく多くの場合にP4クラスで扱わなければならないようなことになるのではないかと思います。」と。  これをずっと読んでいかないとちょっとあれですが、答弁者ですからおわかりだろうと思いますが、そこで「多くの場合」ということなんですけれども、たとえばどのような系がP4相当と考えられるのか、これを具体的に、わかっていたらおっしゃっていただきたいと思うんです。新しい宿主—ベクターというものをいままで一体P4でつくったのかどうかという問題もあるわけですから、そういう点で、「多くの場合」とおっしゃっているわけなんですが、どのような系というものをそれじゃ考えおいでになるのか、具体的に何か一例でもいいですからおっしゃっていただきたい。
  29. 原田稔

    政府委員(原田稔君) たとえば日本の発酵工業などで使われている何と申しますか、菌がございますけれども、そういう菌などが最初に候補に挙がってくると思います。そういうような場合に、最初の実験というのはやはり、そういう動物の体内に入って、まず安全だとは思いますけれども、最初の実験でございますから、あるいは悪い作用、悪さをするかもしれない。そういうような新しい組み合わせの場合には恐らくこのP4レベルでやれと、こういうことになるのではないかと思います。
  30. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまのを聞いてもさっぱりはっきりしないんですよ、多くの発酵工業でなんて言われたって。これは全然いまの質問には答えておいでにならないんですけれども、それはそういう答弁だということで、よくわかってないということだけはわかりました。  その次に、それから引き続いてその後ずっとありまして、「微生物というものがたとえば動物の体内に入った場合にどういうような作用を営むのであろうか。大体のところは提供されるDNAの性格というのはわかっております。それから受け入れる宿主—ベクター系の性格もわかっておりますから、大体の見当はつくわけでございますけれども、」、その後ですね、「しかし、動物の体内に入った場合にどういうような影響を与えるか。場合によると発がん性があるかもしれない、あるいは動物の体内にすみついてしまうかもしれない。それがあるのかないのか。」、こういうふうにおっしゃっているんですよね。  そこでお尋ねいたしたいと思いますのは、すみつくかどうかというのはこれは宿主の性質なんでして、したがって開発以前の問題、つまりすみつくかどうかわからないから調べるというのではないと思うんです。すみつく性質のある宿主を使うという意味なのかどうなのか。すみつくかすみつかないかわからぬからそれを研究するというのではおかしいと思う。これはもともともう、すみつくかすみつかないかというのは大体その宿主—ベクターの性質によってある程度わかっているわけなんです。だからどういう意味でおっしゃっているのか。要するにすみつく性質のある宿主を使うという意味でおっしゃっているのかどうかということと、それから発がんがどうかとおっしゃっているわけですね。これはベクターまたは供与DNAの性質というものにかかわってくるわけでして、発がん性があるか、これも同じです。発がん性があるかどうかわからないから調べるというのではないと思うんです。発がん性のあるべクター、DNAを使うという意味でおっしゃっているのかどうなのか、こういうことをお聞きしたいんです。
  31. 原田稔

    政府委員(原田稔君) すみつくかどうかというのは、あるいは先生のおっしゃるようにある程度事前にはわかるかもしれません。問題は、非常にこれは弱いものでございますからすみつかない場合もあるかもしれないんですけれども、すみついた場合にそこでいろんな病原性あるいは発がん性あるいは毒素生産性といったようなそういう悪い作用を万々が一にも営むかもしれない。それをそうではないと。やはりそこのところは最終的に安全性を確かめないとまずいわけでございますから、その安全性を確かめるためにここでP4を使 う、こういう意味でございます。
  32. 吉田正雄

    吉田正雄君 もちろん安全性研究というその基本的な点はわかるんですが、いま私の言っている質問の趣旨が十分どうも御理解いただけていないんじゃないかというふうに思います。これも時間がありませんから、ここでまたやりとりをやっていますとね。いまの答弁を聞いて、これはまた後ほど文書なりであるいはお尋ねするかもわかりません。  それからその次、すぐその後で、いま言ったように、「動物の体内にすみついてしまうかもしれない。それがあるのかないのか。なければもちろんいいし、あるとすれば一体どの程度のものなのかということを試験して確かめないといけないわけでございます。試験して確かめる場合にはやはりP4でないといけない。なぜいけないか。それは、そういうテストをするためにはたとえばマウスなどを用いますが、無菌動物を使わないとわからないわけでございます。」、こうおっしゃっているんですね。  ところが、この無菌マウスの実験については井川洋二さんがすでにおやりになっているんですよね。したがってこれはP4でやらなきゃならぬという理由はないんですよ。どうですか。これは現にやられていますよ。
  33. 原田稔

    政府委員(原田稔君) これは厳重な上にも厳重にやろうということでございまして、無菌動物を使う趣旨、目的は恐らく先生十分に御理解いただいていると思いますけれども、非常にこれは弱いものでございますから、普通の動物にそのまま入れますと、動物の体内にいろんな細菌がいますから、その細菌との間で生存競争で負けてしまうわけです。したがいまして、無菌動物を使って、そういう作用のない状態でどういう作用があるのか、それを研究するためにやるわけでございます。それから、完全に物理的に外部とシャットアウトすることがどうしても必要でございますから、そういう意味でP4でやる、こういう趣旨でございます。
  34. 吉田正雄

    吉田正雄君 それはちょっと答弁になっていませんよ。そうすると、いままでのP3までやってきた実験というのは、無菌マウスの実験はできなかったということですか。現にやっているわけでしょう。だから、その辺はP4でやらなければならぬ理由にはならないということを私は申し上げているんですよ。いままではどこのところでもP3までのあらゆる施設で無菌マウスというものの実験がなかなかできないとおっしゃるんなら、新しくP4というものでやらなきゃならぬということになってくるんですけれども、そうじゃないわけなんですからね。  まあいいです。これはもうちょっと皆さんの方でまた調べてみてください。  それから、安全性とおっしゃっていますから、もう一つ。  去年の三月、谷田部町の農業委員会主催の第二回P4施設に関する勉強会というところで、そこの農業委員会の会長の渡辺さんという方が井川洋二さんに尋ねているんですよ。いろいろごちゃごちゃ言っておりますけれども、要するに一言で言うと、「許可されないような伝染病を持ち込んできて研究することは、やろうと思えばできるのですか。」とこう尋ねたのに対して井川さんは、「それは可能ですね。たとえば、こういうことが起こります。国じゅうにある伝染病が広がったとする。そのとき、国家的な見地からそれに対してワクチンをつくれという強制命令が出たとします。その場合には使える可能性は残っています。」とこういうふうに答えているのですね。  そうしますと、そんな危険なものは取り扱いません、許可されていないもの、そんなものはやりませんと言っているのに、また一方で、許可されていないものであっても強制命令が出たらやるんです、こういうことを答弁しているわけですから、したがって地元の住民としては、そんなものを持ち込まれてやられたんじゃ大変だということで、将来どうなるかわからぬという不安がいまでも消えないということなんです。これはどうなんでしょうか。
  35. 原田稔

    政府委員(原田稔君) 私は、井川先生がどういう連関でそういう御答弁をされたのかちょっとつまびらかではありませんが、恐らく理論的観念的におっしゃったんだろうと思います。当該P4施設というものの持っている能力から言って理論的観念的にはそういうことができるということをおっしゃったわけでございまして、理研の研究施設としてはそういうものに使わないということはもう明確でございますから、何遍も申し上げているとおり、2a、2bとそれぞれ違った扱い方でございますけれどもそういうことはしないわけでございますから、その点はひとつよく御理解いただきたいと思います。
  36. 吉田正雄

    吉田正雄君 そういうことで、これは国会における答弁ですので、将来それがいつの間にかおかしくなったなんということにならないように、これはきちっと対処をしていただきたいということを申し上げておきます。  もう一つ。私この前新聞の問題でずいぶん申し上げたんです。例の常陽新聞を使っている問題、この前申し上げましたね。大臣は、それは報告だけ受けたということをおっしゃってあとは詳しいことはおっしゃらなかったんですが、私はやっぱりああいうやり方というのは問題があるんじゃないかということを申し上げまして、そこで局長の方からはどういう答弁があったかと言いますと、いろいろ誤解を招くようなそういう行為をいま御指摘いただく、こういうことになりますれば、今後、こういうことをも含めまして、私たちはやはり反省を込めてさらに別の手法を使う、こういうこともあり得るだろう、こうおっしゃっているんですが、その後新聞に何かやられましたか。
  37. 原田稔

    政府委員(原田稔君) 私どもはその後、理研が新聞を使ってPRと申しますか、そういうようなことを、まあ従来どおりの方法でございますが、というような話は聞いておりません。
  38. 吉田正雄

    吉田正雄君 この前質疑をやったのは四月十三日なんですけれども、聞いておいでにならないとすればこれは大臣、今後の指導として、あれだけ記事が出て以降ずっと現地でも問題になって、それから買収じゃないかというふうなことで中央紙にも取り上げられたわけですからね。この前ずいぶん言いましたが。  ところが、四月二十二日付の理研の総務部長名で、主任研究員殿、それから部・室・課長殿ということで、「ライフサイエンス筑波研究施設関係資料の配布について」という題で、「筑波P4の安全性についての特集号を地元の方々に配布しましたので一覧ください。」ということで配布した。これも現地の人から私のところへ実は送ってもらったんです。これを見ましてびっくりしたんです。今度は「常陽リビング」というこの、前にも八十万円ということで「常陽リビング」というのを申し上げましたけれども、この「常陽リビング」の五ページ目から十二ページまでの間びっしりとP4の、ああお持ちですね、記事が書かれているんですよ。しかもこれについては、理研の方から、「地元の方々に配布しました」、こうなっているんです。これは取り扱いはまた一般記事なんです。理研が、御理解を得るためにとかなんとかということでもない。科学技術庁のあれでもない。一般記事なんです。  そこでお尋ねをしたいのは、そろそろ時間が参りますので端的に申し上げまして、これだけ批判が出た、地元でも批判が出た。新聞綱領から見てもおかしいんじゃないかとこの前の記事では言われた。ところがまた「常陽リビング」にいま言ったようなことが行われたということです。地元の人々に配布したら、これは大変な量ですよ。しかも公然とこうやって理研の総務部長名で今度は、こういうものを地元に配布しましたから一読くださいということで、所内にもまただっと配布しているわけでしょう。  したがって、私がお尋ねをしたいのは、いま知らぬと言ってもこれはそこにお持ちなんですが、新聞社とまたこの前のように契約をしたのかどうなのか。契約をしたとしたら、契約金は幾らなの か。それから買い取って全部地元に配布したわけですから、買い取り部数が幾らで、買い取り金額が幾らであったのかということと、どういうルートを通じて配布をしたのか。こういう点で私はまたこれは大きな問題があると思うんです。それでその金は一体どこから出されたのか。こういう点なんです。  私ああいうやり方は非常に問題があるということをこの前あれだけ申し上げておったにもかかわらず、もうその後、審議が終わった後すぐまたこういうことが行われているということなんで、反省なんというのはどこにもないということなんです。いま初めて見たとおっしゃるから、何がどうなっているかさっぱりおわかりにならぬということになれば、これはやっぱり厳重に調べて対処すべきだと思うんですが、わかっておるんですか、どうなんですか。
  39. 原田稔

    政府委員(原田稔君) 私はいまこれを初めて拝見しましたが、いまちょっと聞きますと、この新聞自身は広告紙だそうでございます。一般紙ではございません。  何部配布したのか、どういう経費で賄ったのか等については、いま明確でございませんので、至急調べまして後ほどお答えいたしたいと思います。
  40. 吉田正雄

    吉田正雄君 広告紙だといっても、広告主はみんな書いてあるんですよ。ほかの広告もこれは全部載っかっているんです。広告が主体の新聞であっても、これは一般記事なんです。じゃこれは広告主不在の広告ですか。あとは全部書いてあるんです。  時間が参りましたからやめますけれども、大臣、このことが逆にますます住民の反感を買っているんです。だから私は、理解と協力を得るということであるならば、逆に堂々と、理研なら理研名、あるいは国策としてやっているんだったら科学技術庁と理研の連名でもいいでしょう。こういうふうになっておりますということがなぜ堂々と言えないのか。それをこの前のように常陽新聞でも、この「常陽リビング」でも、一般記事の形で裏で契約をして、ばれたら、いや実は金は払いましたとかいろんな言い逃れをしているわけですけれども、それは通用しないということはこの前申し上げました。もうくどく申しません。  ということで、再びこういうことがこの前の国会審議の後また行われておるということでありますから、一体金がどこから出たのか、いろんな意味、いま言ったことを含めて御検討していただきたい。こんなことではますます科学技術行政の不信を住民に与えるものだということだけ私は申し上げて、大臣の見解をお聞きして質問を終わります。
  41. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) この前の経緯がございますからして、われわれはよく注意しておったわけであります。いま初めてこれを聞きまして、この実態はやっぱりもう一遍調べさせていただきます。そして私の方からまた御報告をさせていただきます。
  42. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 本日は、関西とりわけ京阪奈丘陵地を中心舞台とした学術研究都市構想、この問題について幾つか質問をいたしたいと思います。  以前にも私は本委員会でこの問題を取り上げてまいりましたが、関係自治体住民並びに研究者の間で、引き続いて幾つかの重要な疑問や要望が出ています。関係者の中での最大の心配は、この構想の中で軍事研究の危険性があるのじゃないかという問題でありまして、昭和五十五年十月の二十四日、本委員会での私の質問に答えて当時の科学技術庁長官故中川一郎さんは、軍事研究の可能性を明確に否定されたわけでありますが、この考え方は安田長官、いまも変わりありませんか。
  43. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) 前長官と同じ考え方の上に立っております。
  44. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 同じく、昭和五十四年三月の二十九日、予算委員会の第三分科会で同様に私は質問をして、当時の国土庁長官中野四郎氏も、軍事研究の心配はない、そういう心配は一切ないと表明をされていますが、その考え方はいまでも変わりはないか、念のため国土庁の方にもお尋ねをします。
  45. 立石真

    説明員(立石真君) 国土庁におきましては、昭和五十四年度からこの構想につきまして引き続き調査を行っておるところでございます。昭和五十五年度の調査では、関西文化学術研究都市において扱うべき学術研究テーマを選定いたしまして、これらのテーマにつきましていろいろな評価をしておるところでございます。これらの調査結果を踏まえまして、今後の学術研究都市の構想の推進に努めてまいりたいと考えております。  なお、この昭和五十五年度の調査におきまして選定されました学術研究テーマの中には、軍事研究は含まれておりません。
  46. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ただいま安田長官並びに国土庁の説明員の方からも明確な答弁がなされておるわけでありますが、ところが昭和五十四年の一月二十六日、東京都内の霞ケ関ビル三十三階、ここにあります東海大学校友会会議室、そこで第一回の学術研究都市基本構想計画調査委員会なるものが開催されておりまして、この会議に、当時近畿地建の企画部長をしていた金屋敷忠儀という方が出席をしております。金屋敷氏はこの会議の中で、米国のバッテル研究所をコアとしてやっていくんだというアドバイスを行った。その会議録要約を私入手しているわけでありますけれども、バッテル研究所というのは、御承知と思いますけれども、昭和五十三年近畿通産局が発表しましたあのかなり分厚い「近畿地域産業構造長期ビジョン」、その百五十九ページにも紹介されておるもので、かつて私もこの委員会で引用しているものでありますが、この中で、バッテル研究所、職員五千九百人、国家的プロジェクトの寄与としてマンハッタン計画、すなわち原爆製造のあの計画ですが、二つ目原子力潜水艦の開発など、これをやっている研究所だというふうな説明が記載されております。また国防省への依存度が非常に高い軍需研究所である。こういった軍需研究所を、いまの金屋敷氏発言によりますと学術研究都市のコアとして考えるというそういう発言、発想。これは今日まで、きょうも確認をしておりますように軍事研究ということはあり得ない、毛頭考えていないと。にもかかわらずこういう発言をされておるとすれば事は重大でありますので、建設省の出先の幹部がこの時期にこういった考えでこういった発言を行っているということについては、果たして建設省として確認をされておることですか。
  47. 光岡毅

    説明員(光岡毅君) 答弁申し上げます。  まず五十四年の一月二十六日の会議に近畿地方建設局金屋敷元企画部長はたしか出席しておったというふうに調べておりますが、この会議は京都府主催の会議でございまして、京都府の方に議事録の確認をさせましたけれども、その議事録が私ども入手できておりません。しかしながら建設省としましては、バッテル研究所等に関しまして、軍事研究というようなものということではなくてこの組織体というようなことで、もし発言があったとすれば金屋敷元企画部長は発言したんじゃなかろうか。したがって、研究の中身じゃないというふうに考えておるわけでございます。  その後建設省では、五十七年度より、国土庁を初めとする関係省庁と調整を図りながら、関西学術研究都市建設にかかわる基礎整備について調査を実施しておりますが、その際御心配向きの軍需関係の研究機関の誘致は全く想定されていないというわけでございます。
  48. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私が挙げました昭和五十四年の一月二十六日の会議に金屋敷氏が出席をしているということは御確認になるところでありますし、まあこれが正式の会議録と言えるかどうかということは、それは逐一すべての文言が克明に全部記録されておるということでも必ずしもない。しかし日時、場所、それから発言者の名前、肩書きも付して、そしてずっと発言の概要が記録をされておることはもうまごうべくもない。その中で金屋敷氏が、さっきも言いました、イメージとして米国のバッテル研究所をコアとして集積を図っていく云々と、こういうふうに記載されておる。これを 私は入手しておるわけです。  それで、いまの御説明ではまだ釈然とできませんし、この点についてはとにかく大臣、長官に何回か確認をされてきておる、そんなことはあり得ない、軍需研究はあり得ない、そういうことは毛頭考えていないと。にもかかわらずこういう発言をなされておるということでありますと、これは聞き流すわけにはいかぬ重大問題でありますので、ぜひ建設省としてこの問題について引き続き調査を行っていただきたいというふうに思いますが、どうでしょうか。
  49. 光岡毅

    説明員(光岡毅君) 先ほど御説明申し上げましたように、調査を進めておるわけでございます。  この中にも軍需関係の研究機関あるいは研究テーマというものについての議論というのは全くないというふうなことでございますので、そういうふうに御理解いただきたいというふうにお願い申し上げます。
  50. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 あなたは会議録はないとおっしゃる。しかし私は、これで何枚でしょう、こういうとじた会議録を入手しているということでありますので、こういうものがあるのかないのかということも含めて、それから発言の内容がどういう内容なのかということはぜひ引き続き調査をやっていただきたい。そんなことはあり得ませんということで、調査をするということ自身も否定するという態度は私はとってもらいたくないと思います。
  51. 光岡毅

    説明員(光岡毅君) 承知いたしました。
  52. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 次に、国土庁の委託調査報告、昭和五十七年三月、ここでいまの発言にも出てきますコアという考え方、概念、これにかかわっての問題も出てくるわけでありますが、聞いてみますと、国土庁も建設省もコア機構というものについての明確なイメージというのはなかなかない模様でありますけれども、昭和五十三年三月に日本科学者会議京都支部、ここが関西学術研究都市構想問題についてのシンポジウムを開いた際、あの元京大総長奥田東氏が出席をして、この方はいろいろな提言をやってきているということはもう御承知のとおりですけれども、この方がコア機構について、一つ研究テーマの設定、二つ人事権、三つ財政権を持つ指導力を持たなければならないということで説明をされているわけであります。  さらに、関西学術研究都市構想調査懇談会が発表いたしました第三次提言、その一、その中で、コア機構の設置形態については国、地方公共団体、民間——産業界、それから労働団体、学界いろいろと含むすべての民間、この国、地方公共団体、民間の三者出資による公益特殊法人、これとして設置されるのが望ましいんだということを言っています。  また、昭和五十四年九月三日付の日刊工業新聞、ここでは、学術研究都市の運営管理はどこがするかということは将来の問題であるが、奥田懇では、国連とか海外の財団も含めた第三セクターとしてのコア機構を研究している。国連の科学技術研究機構あるいは国連の技術移転のための研究機構、UNIDOですか、こういったところが米国のフォード、ロックフェラー財団や西独のフンボルト財団にも参加してもらってコア機構をつくろうというわけである、こういうふうにも書いておりますから、私は金屋敷発言というのを、事実とすれば非常に重視しておるゆえんがそこにあるということであるわけです。  そこで、そういう不安を払拭していくという点でもお尋ねをいたしたいわけでありますけれども、やっぱり研究者や大学の自治が一体どうなっていくのか。ここが揺るぎますと、知らざるところで事がずっと進行して、軍事研究なんかが導入されてくるというおそれなしとしない。こういう点で、すでにこの学術研究都市構想の推進役をしております関西財界、ここがアメリカを中心とした海外視察調査団を出しているわけですけれども、その際に、アメリカ軍の軍事研究、戦略研究所、こういったところを現に視察してきているということは歴然たる事実としてあるわけです。だから、そういう意味で、私はきょうこの問題をあえて重ねて質問しているというわけであります。  前置きが長くなりましたけれども、そこで国土庁にお尋ねをしますけれども、すべての研究研究者の自治が保障されて、いわゆる自主、民主、公開の原則、こういうものがきちっと守られるということが必要だと思うわけですけれども、この点についての基本的な考え方、国土庁とそれから科技庁と両方にお尋ねします。
  53. 立石真

    説明員(立石真君) 国土庁におきまして昭和五十六年度に調査しておりますが、その中で、関西文化学術研究都市の中核となる新しい研究機構として、中核機構の設置の必要性について提案されております。  この組織の考え方といたしましては、関西地区における大学あるいは研究者等の自主性を重んじつつ、各研究主体間の交流の場を設けるとか、そういうこと等によりまして、既存及び新規の学術研究機能を有機的に結びつけるのだ、そしてまたこの地区におけるこれらの機能の集積の利益を最大限に発揮して、学際的かつ国際的な研究推進を図ろうとしているというような性格を与えているものでございまして、研究者や大学の自治を侵すようなことはないと考えているところでございます。
  54. 下邨昭三

    政府委員(下邨昭三君) 関西の学術研究都市構想につきましては、国土庁を中心にして検討が進められており、各方面からの意見が集まっているというふうに聞いております。  今後、内容の肉づけが行われていくことになるであろうと承知しておりますが、一般的に言いまして、科学技術の振興に当たりましては、産業界、学界、国、それぞれその役割りに応じまして研究活動を強化していくという必要があるわけでございますが、一方ではその相互の連携を強化するということが必要でございますし、また創造性豊かな研究開発に努力していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。自由な発想に基づきます研究活動というものを促進していくということが重要でございますし、また一方では企画調整機能を強化し、総合的、計画的に研究開発推進していくということも必要でございまして、このコア機構がどういうものになるかということがまだ明らかでないという段階でございますので、私どもとしてはそういうふうに考えているわけでございます。  それから、国立試験研究機関におきましては、いわゆる行政ニーズに基づいた研究開発を分担するという一定の枠組みの中で研究活動を行っておるわけでございます。しかし、国立研究機関の中においても、そのような枠組みの中で各研究者の創造性が最大限に発揮できるように研究環境を整備するということが科学技術振興上重要なことと考えております。
  55. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それで、今日までの経過についてもそうでありますが、なおさら今後、いよいよ具体的にこの構想をどういうふうに推進していくかというその推進に当たって、関西の地域の大学や研究機関研究者のいろんな希望や意見、こういうものがどのように有効に取り上げられていくかということが肝心で、そこを抜きに、どこか特定のグループの考え方だけで事がどんどんと進行するということになった場合には、非常にゆがんだ姿になっていくおそれがあるわけです。そうした点で、そもそもこの構想——この構想といいますのはこの学術研究都市構想ですね、それはいまのところ国土庁が委託調査という形で調査をやられているわけですけれども、将来に向けてはどこがこの構想推進の、それの具体化を図っていく責任官庁というか、中心役になるんですか。
  56. 立石真

    説明員(立石真君) 現在、この構想につきましては国土庁が中心になって調査を進めているところでございます。ただ、関西文化学術研究都市の建設は国、地方公共団体、民間が一体となって推し進める都市開発の新しい試みであるというものでございますので、またこの成果が近畿圏はもとよりわが国の発展に大きく寄与するものと考えられますので、国土庁としても関係各省庁、地方公共団体等と協力しつつ、その推進を図っていきた いと考えているところでございます。
  57. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それで、その将来方向についてはどこが中心になるんですか。国土庁ですか、引き続き。
  58. 立石真

    説明員(立石真君) この構想について推進していくに当たりましては、国土庁が中心になって進めていきたいと考えておるところでございます。
  59. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 文部省に来ていただいておるかと思うんですけれども、いまも触れたわけですけれども、もちろん研究機関は文部省傘下ばかりではありませんけれども、やはり大学研究機関という場合に文部省傘下のそういうところが多いわけですね。ですから、そういう可能な限り広範な研究者の意見、これを効果的にくみ上げてこの計画、構想をどう進めていくかということを考える場合に、文部省の役目というのはこれは無視できない位置にあるんじゃないかというふうに私は思うわけです。  ところがいまもお聞きしますと、いままでの調査活動の段階にとどまらずこれからも国土庁が中心だというふうに言われますと、果たしてこれは本当にそういう広範な研究者の意見を正しくくみ上げて事が進められていく保証があるだろうかという不安を私としては持たざるを得ないということになるわけです。こうしたこともありまして、京都の学者の有志、研究者の有志で学術研究都市構想を考える会というのがつくられていまして、そこが昭和五十五年の九月、昭和五十六年の二月、京都府の副知事、荒巻副知事でありますが、そこと話をして、副知事の方として、この研究都市構想計画策定に文部省としても一枚かんで、学者のそういう意見が十分くみ上げられていくようひとつ京都府としても国に意見を述べておこうというふうに表明されておるわけですけれども、こういう話は京都府の方から文部省にありましたか。
  60. 川村恒明

    説明員(川村恒明君) 関西学術研究都市構想につきましては、私どももかねてから、国土庁で開催されます懇談会等を通じて御協力をさせていただいているわけでございます。  ただいま御指摘の点でございますけれども、京都府の方からは、これは毎年予算陳情、予算要望というようなことを通じていろいろ御要望を承っているわけでございますけれども、本件につきましても、その一環として、こういう都市をつくりたい、さらにこの中には国立総合技術センターというものをつくりたいというようなことで御要望を承っておるということでございます。
  61. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 現状の説明はそういうことであった。それで今後、片や国土庁は、国土庁が中心になってこの計画策定をずっと今後ともやっていく、こう言われておる。別に私はここで、各省庁の縄張り対立をどうだこうだと、そんな角度で言っているわけじゃ毛頭ない。本当に二十一世紀を目指しての新しい視野に立った学術研究の発展を目指すそういう一つ研究都市構想、これを進めていこうということであれば、繰り返し言っているようですけれども、研究者のそういう考え方、希望、これが極力くみ上げられ、それが正しく取り上げられていくように、計画推進推進体に当たってもそういうことがよく配慮されていかなくちゃいかぬという意味で、私の言っているこの問題、今後文部省としてはどういうふうにこれに参画していくおつもりがあるかどうかということと、それから安田長官、ずっとお聞きになっていて、きょうここは大臣としては安田さんが代表しておいでになっていますけれども、新しい視野に立ったそういう構想を進めていくに当たって、どういう体制でこの計画の検討推進、これを図っていったらいいかということについて、大臣の所見を最後に、双方伺いまして終わります。
  62. 川村恒明

    説明員(川村恒明君) 大学を中心といたします学術研究ということにつきまして私ども文部省は施策を推進しているわけでございますけれども、新しい研究所をつくるという場合にはやはり基本的にその研究所の要請ということが中心になるわけでございます。あるいは国内外の研究動向というものをうかがいますし、さらには学術研究に対する社会的要請というものも無視できないわけでございますから、そういういろいろな要素を考えながら具体的な研究所の設置ということを進めてまいるわけでございます。  現在、この学園都市構想につきましては、都市づくりという観点で国土庁でお進めをいただいているわけでございまして、そういう構想の中で具体的にどのような研究機関をつくるかということにつきましては、ただいま申し上げましたような観点から、具体的に私どもの手順といたしましては、そういう新しい研究所をつくる場合には学術審議会というところでの御議論もいただきますし、さらに内外の研究要請を受けとめながらこれを進めていくということになるのではなかろうかと思っておるわけでございます。でございまして、先ほどからお話がございますように、その構想自体がいま必ずしもそのコアになる研究機構というものがまだ明確になっておりませんから、今後とも国土庁と御協力させていただきまして、その具体化の段階でそういうものを煮詰めていければというふうに思っているわけでございます。
  63. 安田隆明

    国務大臣安田隆明君) 私の方の立場は、いま申し上げられますことは、国土庁が中心になってやっておられますから、ひとつ今後の進展状況にわれわれは積極的に対応し協力していく、こういうことでございますし、佐藤先生のおっしゃる御意見は私は理解いたします。これはやはり筑波の先例もあるでしょう。いろいろありますけれども、各般の意見を集約してそしてそこに全体の姿というものを定着させる、こういう必要がある、こういうふうに私は理解しております。
  64. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 終わります。
  65. 中野明

    委員長中野明君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時九分散会