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1983-03-25 第98回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十五日(金曜日)    午前九時五十一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐々木 満君     理 事                 稲嶺 一郎君                 高木 正明君                 丸谷 金保君                 宮崎 正義君     委 員                 伊江 朝雄君                 板垣  正君                 大城 眞順君                 北  修二君                 志村 愛子君                 青木 薪次君                 山崎  昇君                 立木  洋君                 三治 重信君                 田  英夫君    国務大臣        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖縄開発庁長        官)       丹羽 兵助君    政府委員        総理府総務副長        官        深谷 隆司君        北方対策本部審        議官       橋本  豊君        沖縄開発政務次        官        松尾 官平君        沖縄開発庁総務        局長       関  通彰君        沖縄開発庁総務        局会計課長    大岩  武君        沖縄開発庁振興        局長       藤仲 貞一君        外務省欧亜局長  加藤 吉弥君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        警察庁刑事局国        際刑事課長    金田 雅喬君        防衛庁経理局施        設課長      大原 重信君        防衛施設庁施設        部連絡調整官   田中  滋君        防衛施設庁施設        部連絡調整官   八木  秀君        防衛施設庁施設        部施設取得第一        課長       作原信一郎君        防衛施設庁労務        部労務企画課長  近松真次郎君        外務省北米局安        全保障課長    加藤 良三君        外務省情報文化        局外務参事官   苅田 吉夫君        大蔵省理財局国        有財産第二課長  太田 幸維君        厚生省援護局援        護課長      沢江 禎夫君        農林水産省構造        改善局農政部農        地業務課長    河合 正彭君        水産庁振興部開        発課長      三富  亘君        水産庁振興部振        興課長      守矢  哲君        通商産業省立地        公害局立地指導        課長       岩田 誠二君        運輸省大臣官房        観光部計画課観        光レクリエーシ        ョン地区計画室        長        吉田 征夫君        運輸省港湾局管        理課長      山田 幸作君        運輸省航空局管        制保安部長    川井  力君        労働省大臣官房        参事官      増田  実君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査  (昭和五十八年度沖縄及び北方問題に関しての施策に関する件) ○昭和五十八年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和五十八年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管北方対策本部沖縄開発庁)及び沖縄振興開発金融公庫)     ─────────────
  2. 佐々木満

    委員長佐々木満君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査議題とし、昭和五十八年度沖縄及び北方問題に関しての施策について、政府より説明を聴取いたします。  まず、安倍外務大臣から所信を聴取いたします。安倍外務大臣
  3. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 外務省所管事項につきまして、その概略を御説明申し上げます。  まず、北方領土問題について申し述べます。  ソ連は、わが国の重要な隣国であり、わが国ソ連との間で北方領土問題を解決して平和条約を締結し、真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することを対ソ外交基本的課題として対処してきております。  現在の日ソ関係は、北方領土における軍備強化、アフガニスタンへの軍事介入ポーランド情勢などソ連側の責任により遺憾ながら引き続き困難な局面にあります。わが国としては主張すべきことは主張するとの立場よりかかる事態の是正ソ連側に要請してきておりますが、他方、日ソ間の対話も必要との認識から、昨年六月の国連軍縮特別総会に際し、また、同じく十月には国連一般総会に際し、日ソ外相会談を行い、日ソ間の最大の懸案たる北方領土問題については、これを速やかに解決して日ソ平和条約を締結することが重要とのわが国基本的立場を改めてソ連側に伝えました。しかし遺憾ながらソ連側は、領土問題は存在しないとの従来の立場を繰り返すとともに、日ソ外相間協議のためにグロムイコ外相が訪日する件についても時期と雰囲気が問題として現時点における訪日に消極的姿勢を示しました。昨年十一月に成立したアンドロポフ新指導部の対日政策も現在までのところ従来に比し特に変化は見られませんが、わが国としては今春に予定されている第三回日ソ事務レベル協議、さらには日ソ外相間協議等を通じ北方領土問題の解決に向け粘り強くソ連側と話し合っていく所存であります。  先般、二月七日には第三回目の北方領土の日を迎えましたが、近年北方領土返還に関し全国的規模国民世論が盛り上がりを見せていることはソ連との外交に当たる者としてまことに心強い限りであります。このような国民世論を背景に北方領土返還要求は決してソ連側の言うような一部の層の非友好的キャンペーンではなく国民の総意であることを強くソ連側に申し入れてまいりたいと考えます。  また北方領土問題は基本的には日ソ間の交渉により解決すべき問題ではありますが、本問題について国際世論の正しい理解を求めることもきわめて重要であると考えており、従来から各種広報資料の作成、配布等海外広報活動を積極的に行っているところでありますが、今後ともかかる努力を継続していく所存であります。  次に沖縄に関連する事項について申し述べます。  日米安保条約に基づく米軍の存在は、わが国の平和と安全、ひいては極東の平和と安全に寄与しており、政府としては、沖縄県における米軍施設区域の円滑かつ安定的使用を確保することは、日米安保条約目的達成のために緊要であると考えるものであります。  同時に政府としては、沖縄県における米軍施設区域の密度が特に高く、その整理統合についてかねてより現地に強い要望があることを十分承知しており、従来より現地要望、民生の安定、開発計画等配慮するとともに、日米安保条約目的達成との調和を図りつつ米側との協議を通じその整理統合推進に努めてまいりました。政府としては、今後も、安保協議委員会で了承された整理統合計画のうち残余のプロジェクトの早期実現に一層努力していく所存であります。  以上、沖縄県民理解協力を引き続きお願い申し上げる次第であります。
  4. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 以上で安倍外務大臣所信表明は終わりました。  安倍外務大臣、御退席いただいて結構でございます。御苦労さまでした。  次に、丹羽国務大臣から所信を聴取いたしたいと存じます。丹羽国務大臣
  5. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 沖縄及び北方問題について所信一端を申し述べたいと存じます。  初めに、沖縄振興開発について申し上げます。  沖縄本土に復帰して十年経過しましたが、この間、政府は、第一次沖縄振興開発計画に基づき、各分野における本土との格差是正沖縄自立的発展に必要な基礎条件整備を鋭意進めてまいりました。  その結果、沖縄県民のたゆまぬ御努力もあり、沖縄経済社会は着実な発展を遂げてまいりました。とりわけ一兆円を超える公共投資を行ったこともあり、学校道路空港港湾上下水道住宅等整備水準は大幅に改善されました。  しかしながら、社会資本の面でもなお整備を要するものが残されておりますし、一方では、産業振興の問題を初めとして、雇用問題、水・エネルギー問題等まだ解決を要する多くの課題を抱えて、沖縄経済社会は依然として厳しい状況にあります。  このため、さきの常会において、諸先生方の御支援を得て、沖縄振興開発特別措置法有効期限を十年延長し、これに基づき、昨年八月、第二次沖縄振興開発計画策定いたしたところであります。  政府といたしましては、こうした状況にかんがみ、昭和五十八年度予算において、沖縄開発庁予算の大宗を占める公共事業関係費については、全国伸び率がゼロという厳しい環境の中で、前年度に比し、二・〇パーセント増の一千八百二十四億五千六百万円を計上し、第二次沖縄振興開発計画もとで初めて編成される予算にふさわしいものとするよう特段の配慮をしております。  私といたしましては、今後とも、沖縄県の実情沖縄県民意向を十分に踏まえながら、沖縄振興開発を積極的に推進してまいる所存であります。  次に、北方領土対策について申し上げます。  歴史的にも国際法上も明らかにわが国固有領土である歯舞、色丹、国後及び択捉の北方四島についてその返還を要求することは、わが国領土の主権にかかわる当然の主張であります。  この北方領土問題の根本的解決こそ、日ソ両国間に、安定的な真の友好関係を確立するための大前提であります。政府は、領土問題を解決し、その上で、日ソ平和条約を締結するとの従来から一貫した基本方針を今後とも堅持し、粘り強い対ソ交渉を続けてまいる決意であります。  私は、このような確固たる対ソ外交姿勢と、これを支える国民の一致結束した力強い領土返還要求運動の継続こそが、北方領土返還早期に実現するかぎであると確信するものであります。  北方領土返還を要求する国民運動が、近年ますます高まりを見せていることは、すでに二千七百万人を超えた返還要求署名運動参加者数や、去る二月七日に第三回目を迎えた北方領土の日に、東京を初め全国各地で昨年を上回る規模で多彩な行事が展開されたという事実が何よりもこれを雄弁に物語っております。  総理府としては、このような運動高まりをさらに大きく発展、定着させるため、引き続き啓発広報事業県民会議活動強化等を図るとともに、領土返還要求運動中核的担い手としての北方領土居住者に対する援護措置充実等配慮してまいる所存であります。  また本委員会委員の御尽力によって成立を見ました北方領土問題等解決促進のための特別措置に関する法律の施行に当たりましても、国民世論の動向を踏まえながら基本方針策定等を行うとともに、地元の意向を十分に聞きつつ法律の趣旨に沿った施策推進を図ってまいる考えであります。このために、同法に基づいて北海道に設置される北方領土隣接地域振興等基金造成に要する経費補助金として、昭和五十八年度において八億円を国から助成することとして、現在国会で御審議をお願いしている予算に計上したところであります。  ここに、沖縄及び北方問題に関する所信一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いする次第でございます。
  6. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 以上で丹羽国務大臣所信表明は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。  次に、松尾沖縄開発政務次官及び深谷総理府総務長官から発言を求められておりますので、順次これを許します。  まず、松尾沖縄開発政務次官
  7. 松尾官平

    政府委員松尾官平君) 一言ごあいさつを申し上げます。  昨年十一月三十日付で沖縄開発政務次官を拝命いたしました松尾官平であります。  先般沖縄を訪問する機会を得まして初めて離島まで足を延ばし、その実情を拝見してまいりました。現地は依然として厳しい状況に置かれていることを痛感してまいりました。  このような現状にかんがみ、私といたしましては、微力ではございますが、丹羽長官もと沖縄振興開発推進のため全力を尽くしてまいる所存でございます。委員長初め委員各位皆様方の御指導御鞭撻を心からお願い申し上げましてごあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  8. 佐々木満

  9. 深谷隆司

    政府委員深谷隆司君) 総理府総務副長官を拝命いたしております深谷隆司でございます。  丹羽総務長官もと北方領土問題解決のために、微力でありますが、全力を尽くして努力をさせていただく覚悟であります。委員長初め委員皆様の御指導を賜りますように心からお願い申し上げてごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  10. 佐々木満

    委員長佐々木満君) この際御報告を申し上げます。  去る十五日予算委員会から、本日一日間、昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、北方対策本部沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件議題といたします。  丹羽国務大臣から説明を求めます。丹羽国務大臣
  11. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 昭和五十八年度の沖縄開発庁関係及び総理府北方対策本部関係予算についてその概要を御説明申し上げます。  初めに、昭和五十八年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち沖縄開発庁予算要求額は二千百六十四億一千六百七十四万円であり、これを前年度の当初予算額二千百四十六億七千六百九十二万三千円に比較すると十七億三千九百八十一万七千円の増額となっております。  次に、予算要求額の主要な項目について御説明いたします。  第一に、沖縄開発庁に一括計上されております沖縄振興開発事業費の総額は一千九百八十九億七千百三万五千円で、前年度当初予算額に対し〇・二%の増となっております。  特に、公共事業関係費については、第二次振興開発計画もとで編成される初めての予算にふさわしい内容となるよう配慮し二・〇%の増となっております。  沖縄振興開発事業費の内訳は、治山・治水対策事業費道路整備事業費港湾・漁港・空港整備事業費農業基盤整備費等を主な内容とする公共事業関係費一千八百二十四億五千六百万円、公立学校施設整備費等内容とする沖縄教育振興事業費百十八億七千百万円、及び保健衛生施設等施設整備費等内容とする沖縄保健衛生等対策諸費十二億九千万円、並びにウリミバエ等の根絶を目的とする植物防疫対策費等内容とする沖縄農業振興費三十三億五千四百万円であります。  昭和五十八年度の沖縄振興開発事業費予算は以上のとおりでありますが、特に、水資源開発道路港湾空港等交通関係施設整備農林水産業基盤整備生活環境施設整備等につきまして配意をいたした次第であります。  第二に、これら当庁に一括計上される振興開発事業費以外の諸経費について申し上げます。  第一点は、沖縄における経済振興及び社会開発に必要な資金を融通するために設けられている沖縄振興開発金融公庫に対し、その業務の円滑な運営に資するための補給金として九十九億八千百万円を計上しております。  なお、同公庫昭和五十八年度における貸付計画は一千三百五十億円、また、地場産業への出資計画は四億円を予定しております。  第二点は、いわゆる沖縄の戦後処理問題の解決を図るために必要な経費として、まず、土地関係等事案にかかる特別支出金の三年次分として十五億円を計上するとともに、不発弾等の処理、対馬丸遭難学童遺族給付経費等合計十九億七千四百万円を計上しております。  このほか、沖縄開発庁所掌一般行政経費等として五十四億九千万円を計上しております。  引き続き、昭和五十八年度の総理府所管北方対策本部関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十八年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、北方関係予算要求額は十三億三千七百九十万円であり、これを前年度の予算額五億八千二十九万六千円に比較すると七億五千七百六十万四千円の増額となっております。  次に、予算要求額の主な内容について御説明いたします。  まず、北方対策本部に必要な経費は六千百三十七万六千円であります。  また、北方領土問題対策に必要な経費は十二億七千六百五十二万四千円でありますが、その主な内容は、北方領土問題対策協会補助金四億七千百四万九千円及び北方領土隣接地域振興等基金造成費補助金八億円であります。  北方領土問題対策協会補助金は、同協会北方領土問題その他北方地域に関する諸問題について啓発宣伝等を行わせるに必要なもので、昭和五十八年度においては、特に返還要求運動全国各地域に定着させる基盤である各都道府県県民会議活動を充実強化するための経費を計上しております。  また、北方領土隣接地域振興等基金造成費補助金でありますが、これは、第九十六回国会で成立し、昭和五十八年四月一日から施行される北方領土問題等解決促進のための特別措置に関する法律に基づき、北海道が設けることとなる基金について、その造成を行うための経費の一部を国が補助するものであります。  以上をもちまして、昭和五十八年度沖縄開発庁関係予算及び総理府北方対策本部関係予算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いをいたします。
  12. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 以上で説明は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 沖縄県が本土に復帰いたしましたのが昭和四十七年と記憶いたしておりますが、この間に沖縄県は第二次世界大戦を初めといたしまして大変な犠牲を受けたわけであります。ある意味では本土のいけにえにされたというような気持ちさえ持っておったことは大臣も御案内のとおりであります。  しかし、沖縄県の本土復帰に伴って第一次振興開発計画が持たれました。この間に一兆円というような投資を行ったことについては沖縄県の皆さんもそれ相応に評価をいたしている点でありまするけれども、その中で私は、かつて運輸委員会とかあるいはまた予算、あるいはまた沖縄北方というような各委員会の視察、あるいはまた個人的にもいろいろと沖縄県の問題等については関心を持っておりますので、基地の問題とかこれに伴うところのいろんなトラブル等についても調査をいたしてまいりました。そこで、いま学校とか道路とか港湾とか空港上下水道、住宅問題、教育問題等についても一定の前進を見たことは私も認めることができるのでありますが、まだまだ社会資本の形成といったような問題等についてはまだしの感があるのでございます。  したがって、いろいろと第二次振計の策定に当たりまして私どもも政府に対して要望いたしてまいりましたけれども、第一次振計の実績に基づいて第二次振計が樹立された、こういうように聞いておりますけれども、特に配慮した点についてはどういう点があるだろうかという点について御所見をお伺いいたしたいと思います。
  14. 関通彰

    政府委員関通彰君) 昨年の常会におきまして沖縄振興開発特別措置法が十年延長され、延長されました法律に基づきまして、先生御質問の第二次沖縄振興開発計画が昨年八月に最終的に決定をいたしております。第二次振興開発計画についてどういう配慮がされたかということを、第一次振興開発計画との差異を申し上げまして御説明さしていただきたいと存じます。  いずれの計画計画期間が十年間であるということ、また、いずれの計画沖縄振興開発特別措置法に基づきまして策定される総合的な振興開発計画であるという計画の基本的な性格、また盛り込まれております事項はほぼ同じでございます。したがいまして主に内容的な差異について申し上げたいと存じますが、まず第一次沖縄振興開発計画は、計画全般を通じまして基本的な考え方といたしまして各面にわたる本土との格差を早急に是正するということに主眼が置かれていたわけでございます。昭和四十七年復帰いたしました際、沖縄各般にわたりまして本土との著しい格差が見られ、この格差是正が第一次振興開発計画の中心的な課題だったわけでございます。これに対しまして昨年策定されました第二次振興開発計画では、これまで十年間の実績基礎にいたしまして沖縄経済社会自立的発展を図るということを計画骨子にいたしております。これまでの十年間、ただいま先生もお触れになりましたように、社会資本整備努力が続けられてまいりまして、それなりの成果を上げてきております。この成果もとに、沖縄経済社会自立的発展を図るということが第二次振興開発計画骨子になっております。  これをもう少し具体的に申し上げますと、第二次振興開発計画では五つの基本的な方向を示しておりますが、その基本方向の第一に、特色ある産業振興開発を挙げております。ちなみに、第一次の振興開発計画では基本方向の第一に社会資本整備を挙げておりまして、本土との格差是正基本方向の第一に挙げていたのでございますが、今回の第二次振興開発計画では特色ある産業振興開発というのを基本方向の第一に挙げているわけでございます。  それから第二次振興開発計画では、基本方向の二番目に人材育成を挙げております。人材育成は、第一次振興開発計画でも重視されていた事項ではございますが、第二次振興開発計画で、沖縄経済社会自立的発展を図りますためには人材育成が肝要であるということで、人材育成重点が置かれております。これは基本方向に示されているだけではございませんで、各部門の計画におきましても、たとえば農業振興につきましては総合農政推進、あるいは農業経営改善を重視する。また、産業振興につきましては地場産業技術力経営力開発などを重視する、いわゆるソフト面振興重点は置かれております。  また、第一次振興開発計画と第二次振興開発計画の全般的な差異一つといたしまして、第二次振興開発計画では、これまで十年間の各般にわたります実績現状を踏まえまして、より現実的な計画策定したということが申し上げられるかと存じます。一例を挙げますと、第二次振興開発計画でも今後十年間の社会経済フレームを示しております。十年後にどの程度の経済社会発展が見込めるかというフレームを示しておりますが、この中でいわゆる沖縄産業構造につきましては、第二次産業構成比が現在の二二%から目標年次の十年後に二四%になるということを見込んでおります。二二%から二四%になるということを見込んでおります。これを第一次振興開発計画と比較いたしますと、第一次振興開発計画では、第二次産業の割合が一八%から三〇%になるというかなり高い第二次産業伸びを見込んでいるわけでございますが、現在のわが国経済情勢、また沖縄現状等を踏まえまして、第二次振興開発計画ではより現実的と申し上げますか、現実的な見込みを立てているというのも一つ大きな特徴であろうかと存じます。  このほか第一次振興開発計画と第二次振興開発計画差異といたしましては、第二次振興開発計画では国際交流の場の形成と推進を重視いたしまして、特に国際交流のために一項を設けまして計画に盛り込んでおります。また、第二次振興開発計画策定に先立ちまして、三全総の策定がございまして、第二次振興開発計画では三全総の考え方も踏まえまして計画の立案をいたしたと、かような点が一次と二次との大きな相違点でございます。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 沖縄の復帰前からの産業構造でありますけれども、第三次産業が非常に発展をしているということでありまして、第一次振興開発計画のときには、昭和四十五年の基準年次は第三次産業が五七%で、目標年次の五十六年には五九%、それから第二次計画のいまフレームを発表されたわけでありますが、第三次産業六四%を六五%にするという構想が書かれております。しかし、昭和五十五年の実績を見てまいりますと、改善計画を達成できなかったということであります。二次振計の関係では、ほとんど現状の確認といわゆるあなたはいま現実的なということを言われたのでありますが、そういう現状の追認に終わったんじゃないかという危惧さえ持たれているわけでありますが、一次振計の目標とはしたがって大きく異なってきているといいますか、変わっていると思うのであります。沖縄における第二次産業育成をこれは断念したのじゃないかという心配さえ実はあるのでありますが、政策の変更であるのかどうなのか、その点もお聞きいたしたいし、沖縄産業の将来性、雇用効果等から考えてまいりますと大きな問題であると思うのであります。したがって、第二次振計における産業構造政策の方針について、私のいまの指摘した点を中心としてさらにひとつ御答弁をいただきたい、このように考えております。
  16. 関通彰

    政府委員関通彰君) ただいま先生から御指摘がございましたように、確かに第一次振興開発計画では二次産業のかなりの高い伸びを想定していたわけでございます。数字で申し上げますと、復帰時点の第二次産業の割合が一八%でございましたが、これを三〇%まで引き上げるという見込みを立てたわけでございます。ただ昭和四十七年と申しますと、御案内のように、わが国経済も高度成長期でございます。非常に急速に経済伸びていた時期でございますし、現に新しい工業立地が全国的に行われていた時期でございます。四十七年当時の第一次振興開発計画の議論の記録等を見ましても、沖縄にもいわゆるコンビナートの導入等が議論されているわけでございます。かような背景もございまして、二次産業の高い伸びを見込んでいたと思うのでございますが、しかし復帰直後ドルショック、石油ショック、さらに第二次石油ショックと経済が激変いたしまして、御案内のとおり、経済の成長率が急速に落ちてきたわけでございます。これに伴いまして工業立地も新しい工業立地が見込めなくなったということでございまして、復帰後の第一次振興開発計画期間中第二次産業の割合は一八%から現在二二%ぐらいまで伸びておりますが、当初のような大きな伸びはなかったということでございます。第二次振興開発計画策定に当たりましては、現在のわが国経済情勢あるいは今後の産業の動向等も考慮いたしまして、今後十年間の沖縄産業振興の基本的な考え方といたしましては、第一次、第二次、第三次産業それぞれの産業におきまして沖縄の特色を生かした発展を図り、かつ一次、二次、三次相互の相乗効果を期待いたしまして産業の全般的な振興を考えたい。いわゆるバランスのとれた産業振興を考えているわけでございます。このような産業振興をいたしまして、今後十年間にどの程度の構造の変化を見込むかということを第二次振興開発計画の中でうたっておりますが、それで申し上げますと、第一次産業は、現在の六%が十年後にやはり同じ六%。第一次産業は六%から六%。それから第二次産業は二二%から二四%に二%比率を高める。それから第三次産業は七五%から十年後に七三%に二%割合を低めるということを見込んでおります。したがいまして、全般的に申しますと、先生御指摘のように、産業構造の大きな変化は見込んでいないわけでございます。これをもう少し補足さしていただきますと、第一次産業は六%から六%ということを見込んでおるわけでございますが、第一次振興開発計画では復帰時の八%が五%に下がるという見込みを立てております。しかしながら、現在の沖縄の第一次産業現状は、先生も御案内だと存じますが、復帰後十年間に行われました基盤整備等が着実な成果を上げておりまして、キビの反収の増、あるいは花卉、野菜の本土出荷、さらには畜産の振興等第一次産業は着実な進展を遂げております。したがいまして、今後十年間私どもは第一次産業は今後とも堅実な発展を図るという想定をしておるわけでございます。  それから第二次産業につきましては、御指摘のように、第二次産業振興はやはり産業振興の中の中核でございまして、特に雇用の場の確保のためには第二次産業振興は重要な意味を持っていると、かように理解いたしておりますが、現在の安定成長期におきまして大幅な新規企業の誘致ということが現実的にむずかしいという状況等も考慮いたしまして、二次産業地場産業振興、また新たな新規企業の誘致ということをあわせまして二%割合を高めるという想定をしておるわけでございます。  それから三次産業は七五%から七三%に二%下がるという想定をいたしておりますが、三次産業は、御案内のように、内容は非常に種々でございまして、卸・小売、金融・保険、運輸、通産あるいは観光に直結いたしましたホテルのサービス業等があるわけでございますが、やや経済全体の中ではウエートは下がりますが、今後とも着実な発展を図っていくということを想定しているわけでございます。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 第二次振計によりますと、一人当たり県民所得は基準年次昭和五十五年で百十六万円から目標年次昭和六十六年には二百万円にするということになっているわけでありますが、第一次振計では、先ほども指摘いたしましたように、この全国水準の八割というものを目標にしたわけでありますが、七割にとどまったわけであります。この第二次振計では、いま局長もおっしゃったように、「全国水準との格差は縮小に向かう。」と、こういうように言われているわけでありますが、この時点では全国水準の何%になるのかという点についてひとつ答弁をしてください。
  18. 関通彰

    政府委員関通彰君) 一人当たり県民所得は、第二次振興開発計画では基準年現在の一人当たり百十六万円から十年後に「約二百万円になるものと期待され、全国水準との格差は縮小に向かう。」というぐあいに述べているわけでございます。この百十六万円から二百万円に伸びるということでございますが、このような見込みを立てております基礎は、沖縄経済規模、県内純生産の総額が基準年の一兆二千八百億円から、十年後の昭和六十六年度におおむね二兆四千億円に伸びるということを想定いたしまして、それから一人当たりの県民所得を算出したものでございます。この県内純生産の総額の伸びは、これから逆算いたしますと、大体実質成長率で五・八%の成長率に当たるわけでございます。このような成長を見込みまして、一人当たりの県民所得が二百万円になるということでございます。  十年後にそれでは全国平均に対してどのぐらいになるかという御質問でございますが、現在は先生もいまおっしゃいましたように全国平均の約七〇%でございます。これが十年後にどのぐらいになるかということでございますが、実はこれは全国経済成長率を想定いたしませんと、十年後全国がどのぐらいになるかという算出はできないわけでございますが、御案内のように、わが国全体の経済の見込みにつきましては、現在経済審議会で長期計画を御審議の最中でございますので、なかなかこれと対比できる的確な数字が算出しにくいのでございますが、私どもといたしましては、今後十年間本土経済成長率よりも高い成長で沖縄経済振興を図りまして、一人当たり県民所得も本土水準との格差の縮小に向かうことを期待しているわけでございます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 その場合に、実質成長五・八%ということは、名目成長をどれぐらいに見ておりますか。
  20. 関通彰

    政府委員関通彰君) この経済フレームの算出は、すべて基準時五十五年度の価格で経済フレームの試算をいたしております。したがいまして、算出されております数字が全部いわゆる実質値でございます。  御質問は名目でということでございますが、これには物価の見込みを上乗せすることになるわけでございますが、この経済フレームは実質的な試算をいたしておりまして、物価の変動の見込みの算出をいたしておりませんので、的確な名目成長率の数字は算出いたしておりません。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 日本全体が実質成長三・一%ということが、今日の経済企画庁あたりの大体試算でこれは達成できるだろうと言われているわけであります。しかし、高度成長期に一〇%以上の成長を名目で達成したときでも、実質経済成長率というのは六、七%に終わっているわけであります。五・八%の実質成長率というものは、これはいわば高度成長ですよ。高度成長を達成できるという根拠というものは、これはたとえば社会資本の構成とか、あるいはまたそのほか先ほど局長の言われた企業の誘致、いわゆる活力ある産業振興等が、これらが両々相まって高度成長が見込まれるということになるわけでありますが、第一次振計と第二次振計を立案するに伴って、第一次振計の実績というものを見た場合に、これはなかなかやっぱり、いま局長の言われたような答弁というのは非常に不十分ではないかというように私は考えます。もしあれだったらまた再質問もいたしますが、その点からこの根拠について、やはりぬか喜びをさしてはいけないと思うので、端的にひとつ、どういう根拠でもって五・八%という成長を見込んだのか、その点をお答えいただきたいと思うのであります。
  22. 関通彰

    政府委員関通彰君) 経済フレーム策定に当たりましては、振興開発計画自体は今後の沖縄振興開発の基本的な方向を示すという性格のものでございまして、その基本的方向を示すに当たりまして、一応の見込みといたしまして十年後の沖縄経済の全体的な輪郭の試算を示しているという性格のものでございます。具体的な試算は、幾つかの経済モデル等をつくりまして、実は原案は沖縄県で策定いたしますので、県の担当部局におきまして各種のモデル等の試算に基づきましてフレーム策定をいたしたものでございますが、現在の五・八%が達成できるか、高過ぎないかという点に関しましては、第一次振興開発計画実績を見ますと、復帰後今日までの十年間に沖縄経済は実質で六・一%の成長をいたしてまいりました。この間わが国全国経済成長率が四・一%でございます。全国平均を二%上回る六・一%の成長をしてきたわけでございます。第二次振興開発計画の期間におきましては、復帰直後急激に沖縄経済も拡大したという時期とはやや違いまして、これまでの実績の六%台の成長は見込めないかなということで、これをやや下回る数字を想定いたしております。  また、片や沖縄はこれまでの十年間で社会資本整備が進んだとは申しましても、水資源開発あるいは港湾の建設あるいは土地基盤整備、灌漑施設の整備等、まだまだ大規模なプロジェクトの整備の真っ最中でございます。第二次振興開発計画期間中におきましても、これらの社会資本整備は引き続き努力していかなければならないと考えておりますし、また沖縄経済自立的発展を図りますためには、やはり想定をされます全国水準よりもやや高い数値を目標に置いて沖縄振興開発努力したいというような趣旨を背景に算出されたものでございます。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 私は議員としては、沖縄に対していままでいろいろと機会が復帰前、復帰後を問わず一番数が多いんじゃないかと思うのであります。たとえば港湾の建設、那覆港等の現状、石垣の港、あるいはまたここは道路交通でありますから道路のいわゆる整備状態、あるいはまたダムの建設、住宅の建設というようなことをいろいろ調べてまいりますると、相当隔世の感がすると言っちゃ語弊がありますけれども、相当投資をしたことは事実であります。社会資本が相当強力に形成をされていったのでありますが、今日の状態では第二次振計を策定する段階において臨調答申に基づく補助率の格下げとか、あるいはまた補助金の停止とか、あるいはまた修正とか、そういう問題については沖縄県の場合にはこれはやらないけれども、この第二次振計の過程において全国をならした状態に持っていくんだ、こういう前提になっているわけでありますから、そういう点から考えてまいりますと、いま局長の答弁された県内純生産の昭和五十五年度の価格一兆二千八百億円、これがいわゆる昭和六十六年に二兆四千億円になるという保証というものは今日なかなか大変な期待ではないだろうかということでありまして、あなたは沖縄県庁でつくったやつを追認したんだというような答弁をされたんですが、それでは余り自主性がないんじゃないかというように考えますんですが、この点がやはり私はこれからの沖縄振興開発計画に対する基本になるということでありますから、しつこいようでありますけれども再度答弁をしていただきたいと思います。
  24. 関通彰

    政府委員関通彰君) 振興開発計画で示しておりますフレームは、私ども今後沖縄振興開発推進を図ってまいります目標というような考え方をいたしております。私どもはさらに一層の努力をしてこのような数値を達成したいという努力目標というぐあいに考えているわけでございます。やや高いんじゃないかという御指摘もあろうかとは存じますが、やはり沖縄の今後の振興開発計画を図っていきますためには本土の水準を上回る成長を目標にして努力いたしたいというような考え方でございます。ただ、諸般の情勢からいってそれにしても高過ぎないかという御議論があろうかと存じます。ただ、この第二次振興開発計画は今後十年間の計画でございます。端的に申し上げますと、一昨年の末ごろ、ちょうどこの第二次振興開発計画策定をいたしておりましたころ、わが国経済成長率は、当時はたしか五・一%というような議論があったと存じます。それが急激な景気の後退によりまして現在では三%あるいは四%というような議論が出ておることは御指摘のとおりでございます。しかし、当面景気が停滞期にございますが、今後十年の間には経済もやはり波があろうかと存じます。私どもは、今後十年間の期間を通しましてこのような目標で一層の振興努力いたしたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 沖縄経済の特色を生かすということはこれは全くいいことだと思うんでありますが、やはり財政投資がなされなければ沖縄振興計画はこれは策定することは困難であるというくらいに言われると思うのでありますが、そういう点から、局長のいまおっしゃられたことを中心といたしましてひとつ大臣から答弁してもらいたいと思うんでありますが、基本的考え方として内地よりさらに大幅な成長を見込んだ根拠について政府としてどんな責任を持っているか、お答えいただきたいと思います。
  26. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま先生から、振興局長がいろいろと沖縄の今後の振興政策について御説明申し上げた、そのことについて、それではどうかと思う向きもあるけれども、しかし一刻も早く沖縄本土並みの生活ができるように、そうしてまた本土と同じような生産性の高い地域にするように沖縄の方々は返還されて以来血みどろになって努力をしておられる、国としてもまた政府国会の方も一体になって沖縄振興開発のために御努力をいただいている、特に第二次の振興開発計画が立てられたので、これを推進していくようにするには必要なことだから、それについて国ができるだけ沖縄に対して投資と申しまするか、力を入れていかなくちゃいけない、そういうことであるが、それについては一体大臣はどう考えるかということでございますけれども、私は先生のおっしゃった、それほどまでに沖縄を一日も早く——アメリカに占領されていて日本に帰ってきて十年苦労してきたんですから、それを早く本土のような生活もでき、またそこができるだけ地域産業振興ができるようにやってやるとおっしゃっていただくその温かい思いやり、それは私も大変いいお考えを聞かしていただいて、そのようにしなくちゃならないと。だから、大変財政厳しい中でございますけれども、そういうところに国が国民からいただくところの金を使っていくということ、そういうところに国としての投資を、沖縄とよく連絡し合って、県民が何を望んでおるか、何をやってあげたらいいかということでそういうところに金を入れていくことが私は必要だと、こう考えておりまするので、できるだけ先生の御意思のように、国としても国会先生方協力を得て沖縄振興のためにやらしていただきたい、こう考えております。くどくどしいことを申し上げましたけれども、先生からの御指摘の趣旨に沿って局長も答えておられまするので、その答えどおりにひとつ進んでいくように私も大いに検討し、努力してまいりたい、かように考えております。  それから冒頭お尋ねがございましたが、普通のような補助の仕方、助成の仕方ではだめだぞということでございましたけれども、いろいろと検討はされておるようでございます。臨調の方ではいろいろと検討をされておるようでございますが、沖縄の事情というものをよく私どもは考えまして、沖縄における市町村あるいは県の財政事情等も勘案いたしまして、補助率あるいは助成等については、いま開発振興の途上でございますから、途中で変えたりなんかしないように私は善処してまいりたいと、かように考えております。そのことが先生の御指摘の趣旨にまたそぐうのではないか、こう考えて答弁さしていただいた次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  27. 青木薪次

    青木薪次君 それでは、ちょっと具体的にお伺いいたしてまいりたいと思いますが、いま沖縄の基地は全体の何%になっておりますか。防衛施設庁。
  28. 八木秀

    説明員(八木秀君) ただいま青木先生御質問は、全国の土地に対する基地の比率でございましょうか。
  29. 青木薪次

    青木薪次君 沖縄全島に対して、基地の面積、パーセント。
  30. 八木秀

    説明員(八木秀君) 約一一%でございます。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 これは、第二次振計の終了時までには大体何%に縮減される予定ですか。
  32. 八木秀

    説明員(八木秀君) 約一一%でございます。
  33. 青木薪次

    青木薪次君 あなた何を聞いておるんだ。こんな基本的な問題を担当である室長が答えられないで何事であるか。もっと勉強しなさい。
  34. 八木秀

    説明員(八木秀君) 大変失礼しました。
  35. 青木薪次

    青木薪次君 本土全体の一一%が基地の面積と言ったでしょう。それが第二次振計が終わる十年後には何%に縮減されるかということを聞いているんです。
  36. 八木秀

    説明員(八木秀君) 沖縄県に対して占めます基地のパーセンテージが約一一%でございます。
  37. 青木薪次

    青木薪次君 それはわかっている。
  38. 八木秀

    説明員(八木秀君) ただいま青木先生御指摘の御質問は施設庁の所管の問題ではないんじゃなかろうかと思いますけれども……。
  39. 関通彰

    政府委員関通彰君) 第二次振興開発計画の中でどうかという点を申し上げたいと存じますが、第二次振興開発計画の中に「県土の利用と海洋の開発」という項がございまして、この中で土地利用について述べております。ここで述べておりますことは「土地利用上大きな制約となっている米軍施設区域をできるだけ早期に整理縮小し、産業振興、生活環境整備に資するよう跡地の有効利用を図るための施策推進する。」と、かようにうたっております。ただ、それが何%どうこうということは第二次振興開発計画の中では示しておりません。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 内容的には旧沖振法をほとんど踏襲しているために、第一次振計の策定当時から問題とされました基地の計画的な返還と跡地利用に関する財政措置が明らかでないという点が指摘できると思うんでありますが、したがって、私は、基地の整理縮小に関する具体的計画がちょっと欠けているんじゃないかというように考えますので、その点について聞いているわけでありますが、第二次振計に言うところの「跡地の有効利用を図るための施策推進する。」とは、財政措置を行うことを意味するんじゃないかと思うんですけれども、その点についていかがですか。
  41. 関通彰

    政府委員関通彰君) 返還されました基地の跡地利用についてごく簡単に全般的な状況を申し上げさしていただきたいと思いますが、沖縄県の調査によりますと、これまで返還されました土地約九千三百八十五ヘクタールのうち、どういうぐあいに利用されているかを調査した結果があるわけでございますが、それによりますと、現在返還されていろいろな形で利用されているものが約八〇%というぐあいに示されております。この八〇%の中には、森林地域返還されてそのまま森林として利用されているものというものも含めてでございますが、現に利用されているものが約八〇%、残り二〇%のうち現在何らかの計画があるというのが残りの二〇%のうちの約一〇%。したがいまして、最後の一〇%は計画がない、ないしは、いま打ち合わせ中というような形で返還跡地が利用されておるのが現状でございます。返還跡地の利用の促進のためにどんな施策をやっているかということになりますと、やはり返還跡地利用促進の中心、中核と申しますか、利用促進のための主要な事業が二つございます。一つは、土地区画整理事業でございまして、もう一つが土地改良事業でございます。農地として利用するという御意向のところは土地改良事業によりまして整備をする、あるいは市街地等で住宅地あるいは公共施設用地として利用されるところは土地区画整理事業で跡地の利用を図るということをいたしておるわけでございます。すでにこういう事業が終わったところもございますが、現在こういう事業を実施している最中のところも沖縄県各所にございまして、土地区画整理事業で申し上げますと、現在、事業実施中のところが十一カ所ございます。それから、土地改良事業で申しますと、実施中のものが十八カ所ございます。いずれもまあ数年かかる事業でございますが、かように返還跡地につきましては各地でこういう跡地利用の推進のための施策が進められているわけでございます。土地区画整理事業、土地改良事業、いずれも非常に高率の国庫補助が行われております。土地区画整理事業で申しますと、沖縄は十分の九でございます。本土は三分の二でございますが、これに対して沖縄は十分の九でございますし、それから土地改良事業は圃場整備の例で申しますと、沖縄は十分の七・五、本土は十分の四・五でございますので、非常に高い補助率で行われている。かような事業によりまして跡地利用の促進を図っておるわけでございます。政府は今後どういう施策をとるのかという御質問でございますが、これまでも返還跡地につきましてはこういう事業の採択はかなり優先的にいたしてきておりますし、今後とも返還跡地につきましては、こういう事業をできるだけ優先的に採択いたしまして、跡地の利用促進を図りたい、かように考えておるわけでございます。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 第一次振計によりますと、補助率の高い道路とか港湾とか空港、こういう整備は相当進んでいると思うんでありますが、補助率の低い屎尿とかごみ処理施設とか福祉施設とか、こういう住民生活に直接結びついている周辺の環境整備、保健衛生といったような対策が大変おくれていると思うんであります。本土との格差の速やかな解消ということを考えますと、補助率のかさ上げが必要になってくると思うんでありますが、特別補助率の将来の取り扱いについてはどんなふうに考えていらっしゃるのか、その点について、大蔵省いますかな、いませんか——どう考えているか、ちょっと答弁を大蔵省の立場で聞きたい。
  43. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) ただいま御指摘がありましたのは、生活環境、保健衛生等の施設についての補助率の引き上げと、こういうことでございますか。それとも一般的な……。
  44. 青木薪次

    青木薪次君 いや、補助率の低い……。
  45. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) そうですか。補助率問題、先ほど先生もお触れになりましたが、経緯を簡単に申し上げますと、五十七年度予算の編成の際に補助負担率の地域特例の見直しを求めました臨時行政調査会の答申を受けまして、五十六年度末で終期が到来いたします沖縄地域特例についても見直しの問題が起こりましたことは御承知のとおりでございます。この際に大蔵省が主張いたしましたのは、施設整備の進んでいるものについて補助負担率を引き下げる。これに対しまして沖縄開発庁といたしましては、沖縄は復帰以来まだ十年しか経過しておりませんし、経済社会が非常に厳しい状況にありまして、社会資本整備自体もまだおくれている部分がある、さらにはまた、県市町村の財政が脆弱である、こういう事情に基づきまして現時点において補助負担率の引き下げを図ることは無理である、こういうことで意見が対立したわけでございます。その結果を簡単に申し上げますと、沖縄開発庁長官と大蔵大臣との間の大臣折衝におきまして、沖縄の特例補助率を現時点で引き下げることには無理があるので、今後施設整備状況、県市町村の財政事情等を見きわめつつ、第二次振興開発計画の期間中のしかるべき時期にその見直しを行うこととし、当面は現行補助負担率を継続する、こういう取り扱いになったわけでございます。  それで、その場合の考えでございますが、実はこの問題で大蔵省といろいろやりました段階におきましても、一つの考え方は、現行補助率を継続すると、こういうことでございまして、もう一つの考えとしましては、従来補助率が比較的低かったものを引き上げる、そのかわり高いものを少し引き下げる、整備の進んだ、こういうようないわば補助率の調整というような方向もあったわけでございますが、沖縄県の希望は現行補助率の維持ということにございましたので、先ほど申し上げましたような結果になったわけでございます。  それで、今度は具体的に生活環境施設、それから保健衛生施設はどうなっておるのかと、こういう御指摘でございますので、この点についてお答え申し上げますと、沖縄生活環境施設や保健衛生施設の整備水準が復帰時点において本土に比べまして著しく立ちおくれておりましたことは御指摘のとおりでございます。現在においてもまだ格差があることも御指摘のとおりでございます。ただ、沖縄開発庁といたしましては、昭和四十七年度以降沖縄に対する特別措置としまして、ごみ処理施設等の廃棄物処理施設につきましては補助率をかさ上げいたしております。それから、保健衛生施設につきましても、公的病院につきましては病院の新築及び増改築全体につきまして国庫補助制度を創設しております。また、僻地診療所、保健所等につきましても補助率をかさ上げいたしまして、これらの整備を進めてきたわけでございますが、その結果、現在までの間に本土との格差は着実に縮小してきている状況でございます。ただ、これで十分という状況ではございませんので、五十八年度の予算におきましても、この両面にわたりましていろいろ予算の確保を図っておるところでございますが、今後ともこれらの施設整備につきましては、沖縄県とも十分協議をいたしまして、地域実情に即した整備促進を図ってまいりたい、かように考えております。
  46. 青木薪次

    青木薪次君 沖振法の改正によって、新しく辺地法が沖縄に適用されることになった。この辺地法の適用によって、辺地法の対象になるところの市町村の公共施設を整備するための総合計画を樹立することが必要となってくる。今後、沖縄のいわゆる環境整備のためにどのような市町村を対象にして運用していくようになるのか、その点について簡単に説明してください。
  47. 関通彰

    政府委員関通彰君) 昨年、沖振法が延長されました際、新たに辺地法を適用していただくようにしたわけでございます。  自治省の基準によりまして、辺地に該当する地域のある沖縄の市町村数は二十八市町村でございます。これらの市町村におきましては、辺地法に基づきまして、先生いまお触れになりました総合整備計画を定め、これに基づきまして公共施設の整備をする、そのために起債を認めていただくというような手続とるわけでございますが、昨年法律が延長されまして新たに辺地法が適用になりまして、二十八市町村ではそれぞれの市町村でこの総合整備計画策定を進めております。  私ども承知しておりますのでは、このうち十五市町村が、市町村議会の議決を経まして整備計画を定めて、すでに自治省に提出いたしております。しかも、昨年、年度途中ではございましたが、早速公共施設の整備計画も提出されておりまして、そのための起債総額で五億五千九百万円が沖縄県に配分されております。  整備計画は、まだ最終的に設定されておりません十三市町村も現在鋭意この計画策定を進めている、近々に計画策定されるもの、かように考えております。
  48. 青木薪次

    青木薪次君 財政再建との関連で、昭和五十七年度予算編成の際の大臣折衝によって、沖縄に対する高率補助については、二次振計期間中に、しかるべき時期に見直しを行う、こういうことが前提のようでありますが、これは、将来補助率を下げることを意図しておるのかどうなのか、その点と、二次振計期間中の国庫からの高率の補助及び復帰特別措置法による税制上の優遇措置の維持についてどのような見通しを立てているのか、その点について、もしこの補助率の削減が問題となった場合にどのように対処していくのかどうなのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  49. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) まず、補助率の点からお答え申し上げます。  先ほども申し上げたところでございますが、財政当局は、臨調答申を受けまして補助負担率の引き下げというのを意図しておることは明らかでございます。その考え方は、施設整備の進んだ事業から逐次引き下げる、こういうことにあると私は思います。  沖縄開発庁といたしましては、これはいつの時期になるかわかりません。私どもからこれは申し出る話ではございません。受け身に相なりますが、先ほども大臣から御答弁がございましたとおり、第二次振興開発計画の実施の上において支障がないように適切に対処していかなければならない、かように考えております。
  50. 青木薪次

    青木薪次君 じゃ、大臣にお伺いいたしたいと思いますが、臨調の最終答申によって、沖縄開発庁は「本庁機構について沖縄振興開発事業の進捗状況をみつつ簡素合理化を行う。」というように言われているわけでありますが、いまの振興局長の話によっても、この補助率を格下げするということが前提となっているように聞かれているわけでありますが、開発庁も簡素合理化を行うということと何かリンクされているような気持ちもいたしてならないわけでありますが、沖縄開発事業の進捗状況と二次振計期間との関係ですね、どんな関係を持っているのか。この辺は沖縄の皆さんが重大な関心を持っておりますので、大臣からひとつ答弁していただきたいと思います。
  51. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま先生からお尋ねのございました第二次振計と、補助率とか国庫負担の問題があるではないか、こういうことでございますけれども、私は、そうした関連性はない、こういうように見ておって、あくまで第二次振計が計画どおり進めていただけるように努力をしていただかなくちゃならぬことでございますから、それについてはいろいろと言われておりますけれども、いまのところ大いに検討しようとか、何か大蔵また臨調の方から言われておりますけれども、いまのところ現在の補助率等はこれは維持していかなくちゃならぬ。将来はまた考えなくちゃならぬですが、いまのところはこれはあくまで維持していくべきだ、こういうように私は考えて、その努力をさしていただきたい、こう思っております。  それから、多分先生の御質問の含みは、最後におっしゃいました沖縄のことについて沖縄の方々がそういう補助率等を初めとして大変心配しておる、今後の沖縄開発について心配しているじゃないか。ということは、臨調からの御指摘のありました役所の統合問題、これが大きく沖縄では関心を持っておられることでございますから、もちろん臨調等では、国土庁だとか、あるいはまた、北海道開発庁とか、この沖縄開発庁等も統合しろ、補助金だけじゃなくて、役所として統合したらどうだというような答申が出されておりますけれども、しかし第二次振計定められて、そして沖縄開発をと国民的な声が上がっておるときでございますから、沖縄のいわゆる振興推移と申しまするか、第二次計画がどのように推移していくかということを十分見きわめた上にまた今後検討しよう、こういうことになっておりまして、私どもは、いま先生からお尋ねの沖縄の役所云々をどうするということは、全然いまのところは考えておりません。  それよりも、早くすべての点において沖縄がよくなっていくように第二次振興開発計画推進されることを考えておるのでございまして、そういう点から、補助率等あるいは国庫負担率等もこれはいま直していただくわけにはいかぬ、現在どおり維持していこう、こういうような考えを持っております。  以上申し上げて、先ほど先生のお尋ねの答弁にさしていただきたいと思います。
  52. 青木薪次

    青木薪次君 大臣は、閣僚の一人として臨調答申については最大限尊重いたしますか。
  53. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先生お尋ねのように、率直に申しますると、最大限尊重はしてまいります。尊重はしてまいりますけれども、事沖縄に関しては、これまた臨調では最初そう言われましたけれども、今後検討するという項目になっておりますので、いま申し上げたような方向で進めていきたい、あくまで臨調の答申は尊重してまいりたい、こう思っております。
  54. 青木薪次

    青木薪次君 非常に言葉が相反することを同次元で答弁をいたしておりますので、私ちょっと頭がおかしくなったんですけれども、臨調は最大限尊重する、大臣の所管であるところの沖縄北方問題に関する関係については、これは尊重しないというようにも受け取れるわけでありますが、この二律相反するようなことについて、臨調では沖縄開発庁の簡素合理化、それから国土庁とか北海道開発庁とか、各省庁の統合について国土庁を中心にしていくんだということがあなたの所管する、臨調に対する一つの基本的態度でなければならないというように、いまの中曽根内閣の現状からいってみて考えられるわけでありますが、それでは臨調第三次答申反対と、こういうように大臣の決意として受け取っていいのかどうなのか。その点をお伺いしたいと思います。
  55. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先生が私のお答えすることがよく御理解いただけなくてそのようにとっていただいたら、これは私の説明と申しますか、申し方が不適切であって、さようにとらないようにしていただきたいと思います。私はやはりいまの内閣の閣僚の一人でございますから、内閣としてはあくまで臨調の答申を尊重していきたいと、こういう最大限尊重していくという方針をとっておるのでございますから、当然私もそういう考えでございます。しかし、沖縄のことにつきましては、私が前々から聞いておりますけれども、国土庁だとか北海道開発庁及び沖縄開発庁の統合を打ち出してまいりましたが、沖縄開発庁については、いわゆる先生から先ほども御指摘もございましたように、その特殊事情を考慮して統合は当面見送ることとし、統合の時期等については別途検討すると、こういうことになっておりますので、私としてはせっかく決めました十年、第二次振計も進めなければならない。その推移と申しますか、それを見た上にまた検討すればいいと、こういう考えでございまして、基本的には臨調の答申を大いに尊重してまいりたい。特に沖縄についてはさような御決定をいただいておりますので、第二次振計等推移を眺めつつ進めていきたい、かように申し上げたのでございますから、私は先生に申し上げたことが、申し上げ方が悪くて、さように先生がおとりくださったら御訂正をお願いしておきたいと思っております。
  56. 青木薪次

    青木薪次君 これは沖縄行政に対する基本的な立場でありますし、私が冒頭申し上げましたように、昭和四十七年に沖縄本土に復帰をした。行財政の立場からは、早く本土並みの生活ができるように産業経済、福祉、教育、医療、すべての問題にわたって沖縄開発庁というものをつくり、しかも専任の大臣も置いている。こういう中で、沖縄問題に対して非常に関心の深さとぬくもりのある対策をとってきたと思うんです。ここへきまして臨調が第三次答申で、この際ひとつ第二次振計中に補助率を下げるとさっき言いましたね。それから、当面は補助率は下げない、それはそのとおりでしょう。しかしこの間に、いま出されておりますように、行政組織法の改正等についても省庁以外は自由にできるようにするということの提案がなさぜているわけですよ。この点は非常に今日、今度の国会の一番大きな私は課題だろうと思うんです。それを大臣は、閣僚の一人として臨調答申は最大限尊重すると。最大限というものは限りなく最も大きく尊重するということでありますから、沖縄問題だけはいまのところ考えていなけれども、そのうちに考えるという意味なのか、それとも将来とも——沖縄は日本の本土の犠牲になってきたという立場沖縄問題に対する私どもの考え方の基本にならなきゃいけない、また行財政というものは弱い立場、あるいはその最も必要とする立場にこそぬくもりのある対策を講ずべきである、これが政治であるというように考えておりますので、その点から、大臣が私の説明不足で青木議員は曲解しているんじゃないかというように思われておりますが、その説明の不足とかなんとかいう問題じゃないんです。その点について、大臣は決意を持って沖縄問題についてはもう将来とも方針は変えないということについて言えるかどうか、あなたの決意を私は伺っているわけでございます。
  57. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 決して先生からお尋ねしていただいたことが云々じゃなくして、私が先生に申し上げたことが十分御理解願えなかったと、その言い方が悪かったんで、私の方が悪いと、こういうことで言っておるので、決して先生のお尋ねが云々じゃないんですから。  そこで、私が先ほど言いましたように、いまの内閣は臨調の答申を最大限尊重してそのすべての点において実行していきたい、そういう姿勢であり考えでございまするので、あくまでそれを尊重していくようにいま考えております。  しかし、事沖縄に関しましては、せっかくこうやって臨調の方でも将来に残された問題でございまするので、いついつ、孫子の末まで云々ということを言い切るわけにいきませんけれども、今後十年の間にわたる第二次振計の達成状況等を見きわめて、十年間の第二次振計の結果がどういくかということを、どのように進むかということを十分見きわめた上で検討すればいいと、こういうふうに考えて、先生と同じように私は沖縄を大事にしていきたいと思うんです。一日も早くと申しますか、すべての点において本土並みにいけるようにしてあげたい、そうすることが政府としても国民としても当然な義務だと、こう考えておりまするので、とにかく、この十年間の定められた期間の推移を見て、その上でひとつ、臨調もそう言っていることですから、その後は検討することである、いいとか悪いとか、やめるとか置くとかいうんじゃなくて、そこで大いに検討すべきことだと、こういうふうに私は考えて、きょうのところはこれで勘弁していただきたいと思いますが。どうぞよろしくお願いします。
  58. 青木薪次

    青木薪次君 これから大臣にずっと質問していきますと、あなたはやっぱり私の質問に対して、第二次振計期間中の十年間については沖縄の補助率の格下げについてもしない、それから、沖縄開発庁の整理合理化はしない、それから、国土庁を中心にして沖縄開発庁あるいはまた北海道開発庁というようなものについてもこれを統合しないというように答弁をせざるを得ないようになっていくんです。きょうは時間がないからその程度にしておきますが、しかし私は、やはりこれからもこの問題については、沖縄問題について尊重する、尊重すると言うけれども、補助金は格下げしますよ、打ち切りもしますよ、主管庁についてもこれを合理化しますよということが前提に立っての当面の措置を言っているにすぎないから、そこに私は、弓削道鏡じゃないけれども、法衣の下によろいが見えているというように言わざるを得ない。大臣その点については私の発言よくわかりますか。
  59. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先生がおっしゃっていたことはわからぬわけじゃない、わかるんです、私も。十分わかりますが、しかし私は衣の下に何といいますかいまおっしゃった、そういう嫌な含みを持ってそういう感覚で先生に決してお答えしておるのではないんです。忠実にお答えしておるつもりでございますから、いまのところこうやっていろんな努力をしておるときに補助金を下げるだとか補助率を下げるだとかなんか言ったら事は進まないではないか。それはどこまでも財政当局にお願いしなくちゃならぬ、そしてこれは維持していくことが必要だと、こういう考え方と、そして十年間やった上においてどの程度まで沖縄先生方の御努力によって復興していくか、開発されていくか、それを見た上に臨調からあのような答申が出ておりますからよく検討することだと、こういうように考えておりまして、そのとき云々するぞというそういう衣の下のような考え方で申し上げていないということだけは御理解を願っておきたいと、これだけは先生どうぞよろしくお願いいたします。
  60. 青木薪次

    青木薪次君 大臣は、私弓削道鏡の例を出したんだけれども、法衣の下によろいをちらつかしているというのは何かというと、沖縄関係については本土並みにするにはさっき言ったように社会資本を投下する、このことを基本として行財政の措置でなきゃできないんですよ。その点でいうと補助率は下げちゃうと言っているんでしょう。それから担当の官庁は整理統合、合理化するというんでしょう。これじゃできないんじゃないですか。ですから、あなたはわかってくれ、わかってくれと言うけれども、わかっている内容がそういうことだから私は言っているんで。だから、これから大臣質問をやっていくと、あなたの言うとおりだということになると、あなたは閣僚の中で一人第三次答申反対ということに通ずるような答弁になっていかざるを得ないけれども、きょうは時間がないので武士の情け、この辺でやめておきますと、こういうことを言っているんですが、あなた答弁したけりゃいましてください、これからもずっとやっていきますから、大臣いかがですか。
  61. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先生が私のお答えしたことについていろいろ御検討いただいて、結局だんだん追い込んでいくとおまえの答弁は臨調反対のようなことになっていくぞと、こういう答弁にならざるを得ないというお考えでおっしゃっていただきましたが、私はいま先生に申し上げておることによって内閣の方針である臨調をいまから破るとか——いまからということではありませんが、それに反対だというようなそういう考えでいまお答えしておるのではない。それはもちろん臨調のおっしゃることは尊重していかなくちゃならぬ。しかし沖縄は大事である。沖縄先生方と一緒になって早く社会的な資本の投資もしたり補助率もなぶらないようにして早くひとつ本土並みの生活ができるように振興させたいという沖縄に対する情熱は先生と同じ気持ちを持っておる。だからここの点がちょっと食い違うかもしれませんけれども、決して私は臨調反対のような答えに、追い込められてもそういうことになるとはいまのところ考えておりませんので御了承いただきたいと思っております。
  62. 青木薪次

    青木薪次君 まあほかの省庁は整理統合されて補助金が減らされても官庁が縮小されてもそれはいいんだと、しかし沖縄だけは守っていくよと、したがって最大限尊重だと、こういうふうにもとれるし、大臣お年だからおれは尊重だ尊重だと言っているけれども、これはやはり私は沖縄問題というのは非常に重要であるし、いまの主管庁の廃止統合という問題、補助率の格下げと、補助金を打ち切るといったような問題では沖縄は復興しませんよ、本土並みになりませんよということを強く申し上げまして、この辺で、あなたと禅問答みたいなことをやっておってもしようがないからそういうふうにしたいと思いますが、今後においては、この問題については私の質問の基本というものはここにあるということをあなた認識していただきませんと、今度は現地へ行って調べてきて、そして丹羽総務長官にこれはどうだこれはどうだと聞かざるを得ない。そうすると、あなたはそのことについて答弁をなされなきゃならぬので、当面第二次振計期間中においてはとにかく主管庁の廃止統合は考えません、補助率の格下げもいたしませんというような立場でひとつ閣内でがんばっていただきたい。こういうように思いまして、私は次の質問に、大分時間を取りましたので移りたいと思っております。  企業誘致の関係で第二次振興開発計画策定されたのでありますけれども、やはり新規の企業の立地条件がなかなかまだ熟知されていないという点について企業誘致の関係で簡単に答弁してください。
  63. 岩田誠二

    説明員(岩田誠二君) 御説明いたします。  先生お尋ねの企業誘致の件でございますが、地方への企業立地は基本的には各企業の経営判断にゆだねられるものでございます。が、地域実情に即しまして企業が立地しやすい環境整備し、地域にふさわしい産業の誘導を図っていくことが肝要であると思われるわけでございます。  通産省といたしましては、工業の地方分散を通じまして地域に安定した雇用機会の創出を図るべく、従来から工業再配置促進補助金の交付あるいは糸満工業団地などへの工業団地造成利子補給金の交付等、工業再配置施策を積極的にいま推進しておるところでございます。
  64. 青木薪次

    青木薪次君 簡単にやってください、時間がないから。
  65. 岩田誠二

    説明員(岩田誠二君) はい。  沖縄県につきましては工業の導入の必要性が特に高い地域、特別誘導地域に指定されておりまして、工業再配置促進補助金のかさ上げ等も特段の措置が講じられているわけでございます。また、五十八年度には塩害防止設備をこの補助金の交付対象に加えることとしておりましてこれらの活用が望まれるわけでございます。通産省といたしましては、今後ともこれらの施策を活用することによりまして沖縄県への企業誘致に協力してまいりたいと思っておるわけでございます。
  66. 青木薪次

    青木薪次君 雇用問題について、五・八%ですか、失業率が。非常に高率なんですけれども、この点については労働省どう考えていますか。これも簡単にやってください。
  67. 増田実

    説明員(増田実君) 沖縄県の失業状況ですが、徐々には好転の兆しが見られるわけですが、御承知のように五十八年の一月の失業率が五・五%ということでございます。これは全国平均に比べまして約二倍の水準にあると、こういうことで、なお厳しい状況でございますので、私ども基本的には沖縄産業振興による雇用の場の確保というのが必要でございますけれども、そういう点について雇用対策の面からいろいろ施策の連携を図りながらやっておりまして、一つは、やはり失業者自身には特に特別措置として就職促進手当、こういうものの支給とか、あるいはこういう失業者の方を雇い入れられる事業主に特定求職者雇用開発助成金というようなこういう援護措置を活用して再就職の促進を図るということをやっておるわけでございますが、中長期的には産業構造を通じまして県内の雇用吸収を図るということが必要でありますけれども、当面この県内の雇用機会が非常に少ないと、一方では沖縄現地におきまして島外に対する求人説明会と、こういうことで県外就職を図っておると。また、若干訓練の問題がございますが、那覇あたりでは地域職業訓練センター、こういうようなものを設立しまして離職者の能力開発、向上のため、あるいはまた再就職促進のための措置を講じておるわけでございます。  特に、昨今失業者の中で若年者の割合が非常に多い、あるいはまた学卒無業者という方が多いものですから、特に県内の経営基盤の脆弱な地元企業、こういうところに未充足の求人があれば早速結びつける、そういうことで何とか若い人に対する雇用需要を喚起しようということで、私どもの立場で今年度から職場適用訓練というような形で何がしかの県内充足の促進を図っておると、こういうところでございます。
  68. 青木薪次

    青木薪次君 それから、第二次産業も非常に重要なんでありますが、沖縄現地の立地条件を尊重し、これを重視しながらこの沖縄産業開発推進するということになれば、当然第一次産業の問題について沖縄の持っている土地の低廉さあるいはまた温度、気候、その点を考えまして水産業振興について考えるべき時期だと思うんです。このことがまた雇用問題を解決する手っ取り早い方針にもなると思うんでありますが、内水面の漁業の振興ということがいま盛んに叫ばれるようになりました。  私の近所には、全国のウナギの関係のメッカである浜名湖やあるいはまた榛原の吉田漁業というようなものがあるわけでありますが、沖縄県はシラス魚の関係もあると思うんでありますが、ウナギが比較的ふるわないわけです。そこで、このごろジャンボタニシというようなものがいま言われて、新日鉄等あたりでも温水を利用してやっているけれども、なかなかこれは水質的に鉄分を含んだり何かするとこれはやっぱり身体的な健康の問題によくない。この間新聞にも出ましたけれども、そういうことも学者からも聞いているわけでありますが、沖縄の土地はそれに非常に適しているというようなことが一例として言われているわけでありますが、こういった面についてひとつ何としても第一次振興開発計画が大体計画どおりにはいかなかったということなどを考えてみまして、いいと思うことは全部やるということで考えたときに、これらの面について水産庁のひとつ御所見をお伺いいたしたいと思います。
  69. 守矢哲

    説明員(守矢哲君) お答え申し上げます。  現在沖縄県における内水面養殖業につきましてはウナギが中心になっておりまして、このほかにコイ、テラピア、最近ではいま御指摘がありました外国産の大型のタニシの養殖も試みられるようになっております。水産庁といたしましては、五十二年度に沖縄県については内水面総合振興対策事業の一環としまして地域指定を行い、ウナギ養殖用に必要な流通施設、それから加工施設等の整備に対して補助をしてきております。  今後の沖縄県の内水面漁業の対策につきましては、沖縄県は気温も高く、それから養殖生物の成長が早いというような、一般的には自然条件に恵まれております。しかしながら、河川が少ないということで、養殖に適した水面が乏しいとか、またタニシのような新たな養殖業を興す場合には沖縄地域に通した技術の開発、また生産物の市場の確保、このような問題がありまして、慎重に対処する必要があると思います。したがいまして、今後の沖縄県の内水面養殖業の振興に当たりましては、以上のような沖縄県の立地条件の特性を十分考慮しまして県等とも連絡をしながら実施してまいりたいと思っております。
  70. 青木薪次

    青木薪次君 私は、沖縄振興開発計画を中心といたしまして半ば具体的に質問をいたしてきたわけでありますが、冒頭申し上げましたように、沖縄県の県民はやはり本土の犠牲になった。このことを基本として行財政の対策を立てませんと根本を誤るというように考えているわけであります。したがって、私はこの沖縄問題について熱心にやることは個人的に自分の地域に、私は地方区ですから、関係はないわけでありますけれども、やはり国会議員として、沖縄問題というのはいまの基地の現状から来るところのいろんな権利の侵害、財産などに対する侵害、人権無視といったような問題や、あるいはまた平和や民主主義といったような問題等についても非常に問題が投げかけられているわけであります。そういうことから政府としても第一次振興開発計画、沖振法の制定に伴ってあらゆる社会資本投資を行ってきたけれども、これは直接的には県民生活に直接及ぶ、たとえば屎尿とか、あるいはまたごみの処理とか教育・文化とかという面についてはおくれてきているという現状を考えてみて、私はやはりこれらの点については十分に待遇を、ひとつぬくもりのある待遇をしませんと、沖縄県民はさらに不満を持って本土頼るに足らずという気持ちを持つようになるんじゃないかというように考えますので、そういう点を私は大臣並びに関係当局に十分要望いたしまして質問を終わります。
  71. 板垣正

    ○板垣正君 私は、沖縄並びに北方問題について若干お伺いいたしたいと思います。  沖縄の問題につきましては、十年前に復帰をいたしまして、第一次振興で、私も何回も参っておりますが、確かに沖縄は非常に明るくなりました。そうして第二次振興に入ると。財政は非常に厳しい中でありますけれども、予算の面でも相当な努力がなされたと思うのであります。しかも、昨年、引き続き西銘県政のもと沖縄振興開発を図っていくという沖縄県民の皆さん方の選択の中には、やっぱり沖縄県民の手で沖縄の県づくりを進めていこうという意欲が示されているということを非常に心強く思うものでございます。  いろいろな問題がございますが、これは与党同僚議員が午後この問題について触れられると思いますので、私は一点だけ要望としては、いわゆる沖縄の場合非常に失業率が高い。本年、本土に比べると倍ぐらい、五・五%というようなことを伝えられておりますから、今後の沖縄振興開発の中でいかにして働く場所をつくっていくか、こうしたことはやはりもう十分計画に、方針にも入れていただいているわけでありますが、進めて、御配慮を願いたいということだけ申し上げておきます。  そこで、二、三、小さいけれども非常に大事な問題でございますが、戦没者の処遇の問題が一つでございます。  懸案になっておりましたが、沖縄戦に巻き込まれていたいけな子供たちまで戦闘に参加という形で亡くなっていった、こういう人たちに対して五十八年にようやく国の面でも処遇をすると、こういう道が開かれたわけでございまして、これはまさに本土の盾となって戦禍に巻き込まれた、そういう方々に対する配慮として私どもも適切な対策であったし、また現地の人も非常に喜んでいるわけであります。しかし、どうもその後の進達状況、あるいはこれに対して裁定を見ますと、必ずしも順調に行ってないんじゃないか。昨年も同じくここで取り上げた問題でありますが、これは厚生省だと思いますが、その後、厚生省にどのくらい進達されて、どのくらい裁定になっているか、その辺の事情をお伺いいたしたいと思います。
  72. 沢江禎夫

    説明員(沢江禎夫君) お答え申し上げます。  当時六歳未満の方々の援護法の適用状況でございますけれども、五十八年二月末現在の数字でございます。障害年金につきましては、私どもで受け付けている件数は六件でございます。そのうち可決いたしたものが三件。残り三件につきましては目下審査中でございます。  遺族給与金につきましては、受け付け件数が二百三十二件、うち可決が百四件でございます。残りの百二十八件が審査中ということでございます。  それから弔慰金につきましては、受け付け件数が二百六十六件、うち可決が百十六件。残りの百五十件が同じく審査中ということでございます。  関係資料の整備等一部おくれているものもございますけれども、全般的には私どもほぼ順調に推移しているんじゃないかというふうに実は考えているわけでございます。
  73. 板垣正

    ○板垣正君 御努力いただいていることはわかりますが、現地に参りますと、やっぱり三十何年たっておりますから、資料を整えて出すだけでも、もう何回も資料が行き来をして大変な苦労をしている、そういう状況でありますから、これの手続の促進、またできるだけ簡素な手続で、一日千秋の思いでそれを待っている遺族のお立場をこの上ともひとつ御理解いただき促進をしていただきたい、御要望申し上げます。  それからもう一つ、この処遇の関連でございますが、例の沖縄の対馬丸の遺族の処遇であります。これは沖縄開発庁の方で数年前から実現をしていただいた、これも現地では非常に喜ばれております。ただ、これも二つほど問題がございます。一つは、処遇が六割、普通の遺族さんよりは六割程度の処遇しか受けられないという。いわゆる国家補償、現在の国家補償が相当行き届いた十分なものであれば場合によっちゃ若干その額を差をつけざるを得ないという事情はわかりますけれども、しかし、現在の国家補償、御承知のとおりまだ月額十一万円であります。もとより生活保護費にもまだ及ばない、あるいは厚生年金その他の一般年金にもまだ及ばない。こういう点で問題もあるわけでありますが、それのさらに六割という状況ではやはり実際生活の面においてもいろいろ御苦労があるわけでございますので、いろいろ問題はあろうと思いますけれども、引き続いてこれを少しでも上げていく、こういうことについて今後どういうふうな御配慮を願えるかを伺いたいことが一つであります。  それからもう一点は、これもまあずいぶん長年かかってようやく処遇が受けられるようになったというわけでありますが、そのときすでに父母がこの世におらない、亡くなった子供たちの両親がおらないと。これは一般の遺族でございますと、両親がいない場合にはそのきょうだいと三親等ぐらいの範囲で弔慰金を出して、ささやかでありますが弔慰金を贈ってやはり亡くなった方に対する国の弔意をあらわしていると。ところが、この対馬丸の関係については、両親がいない、もうすでにいない、それでつまり亡くなった人たちのきょうだいというようなものがその慰霊を行っておる。それらに対してはいわゆる弔慰金に該当するものはまだ何にもないわけですね。その辺これはまあお金の問題というよりは、やはり国がそうやって特別に考えていただいた対馬丸の問題であるならば、やはり弔慰の面についてもひとつぜひ配慮してもらいたいと、こういう声も非常に切実なものがあるわけでございます。この点についてお考えを伺いたいと思います。
  74. 関通彰

    政府委員関通彰君) 対馬丸で遭難されました疎開学童の遺族には五十二年の十月から特別支出金を差し上げているわけでございます。従来この特別支出金の金額は援護法の遺族給与金の五割だったわけでございますが、昨年の十月からこれを六割に上げております。したがいまして、五十八年度は四月から六割の平年度化が行われますので、年度で申し上げますと、五十七年度の場合特別支出金の額は年額六十八万円でございましたが、五十八年度はこれが七十八万円に改善されることになっております。  なお、改善の考えがあるかというお話でございますが、当面かような改善措置も講じさしていただいたところでございますので、当面は具体的な改善の措置は考えていないところでございます。  それから、特別支出金の支給の簡囲でございますが、対馬丸の場合亡くなった方の父母、祖父母に限定いたしております。さらにきょうだい等まで広げられないかという御指摘でございますが、この対馬丸の特別支出金を差し上げられるようになりました経緯につきましては、御案内のようにいろいろな問題がございました。基本的には援護法の対象にならない、いろいろ御検討いただいたのでございますが、どうしても援護法の対象にはならない。しかし当時の軍の計画で、しかも疎開の経費まで全部国が負担した疎開学童の遭難児童でございますので、何とか国として弔慰の意をあらわすということで五十二年からこのような特別支出金の支出をしているわけでございます。  ただ、給付額は先ほど申しましたように援護法の遺族給与金の六割でございます。それから給付対象も援護法がやはり遺族給与金は父母、祖父母それから孫でございますか、直系だけに限定されているような事情もございまして、現在支出金の支給対象は父母、祖父母に限定さしていただいておるわけでございます。
  75. 板垣正

    ○板垣正君 それはわかりますが、一般の本土の場合は、本土というか、戦没者の遺族の場合は年金は年金として、いわゆる特別弔慰金という形でこれは年二万円ですよ、年二万円の弔慰金が出ている、きょうだい、年金のない人には。これに見合うものがこの対馬丸の場合にはないということですね。だから私は別にきょうだいの人たちにも年金を出せと言っているのじゃない、支出金を出してもらいたいと言っているのじゃなくて、ちょうど一般の戦没者遺族には年二万円の特別弔慰金が現在出ているわけですね、それに見合うようなやはり弔意をあらわす道は考えられないだろうかということでございます。時間もございませんから、それは今後検討していただきたいと思います。  それから、六割まで上げていただいたわけでありますが、これもひとつ現地の声もまだございますので、今後の課題として考えていただきたいと思います。  次に、沖縄の基地の問題でございますが、これは沖縄沖縄の一一%を基地が占めるという大変な犠牲を強いられている点については私どももある面お気の毒だと思います。しかし沖縄基地の果たしている役割り、これはやはり日本の平和と安全、ひいては極東の平和、そういうことで大きな役割りを果たしているし、またその基地の安定的な利用ができるように、これも大事な問題でございます。  私が申し上げたいのは米軍基地じゃなくて自衛隊の基地ですね。那覇の自衛隊が使っている飛行場でございますが、これはもう私ども参りますと非常に目につくのですが、飛行場のまさに真ん中に、滑走路のすぐ近く、格納庫のすぐそば、これにいわゆるどうしても自衛隊に使ってもらっては困ると、こういう方々の御主張によってその土地が、いわゆる虫食いと言っていますけれども、ごく狭い土地が飛行場の真ん中に各地に残っておる、しかもそこには自由に出入りさせるということなのですから、そこに金網をずっと張って、飛行場の入り口からそこまで延々と通路がつくられて、そういうきわめて異様な状態がいまなお続けられておるわけでありまして、これは基地の機能の上からいっても私は大きな問題があると思うし、やはり沖縄も復帰して十年たって、本土沖縄も一体になって本当に住みよい沖縄にしていこうと、お互いまたぎりぎりのところでひとつがまんするところはがまんしていこうと、こういう状況の中で、いつまでも沖縄の玄関口の、しかも日本の、沖縄防衛の自衛隊が使う飛行場の真ん中に虫食いのようなものがいろいろ残されているという姿は、いかにもこれからの建設に力を入れていこうという沖縄の姿にそぐわない。関係者の方々のいろいろな御事情もあるでしょうけれども、これは防衛庁ですか、どういうような、いままで努力されてきたと思うし、その辺のお考えをひとつ伺っておきたいと思いますけれども。
  76. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げます。  基地内の未契約民有地が介在いたしておりますことにつきましては先生御指摘のとおりでございます。私の方、防衛庁といたしましては、決してこの状態が望ましいというふうに考えているわけではございませんで、何とかして契約に応じていただきたいという気持ちはいまも変わらないわけでございます。  今後とも所有者の方々の御理解、御努力を得ましてお話し合いを続けさしていただくと、こういう気持ちでおります。
  77. 板垣正

    ○板垣正君 ぜひ十分より熱心に話し合っていただいて、ひとつ早く解決をしていただきたい、こう思います。  沖縄問題については以上にしまして、次は北方対策についてお伺いいたします。  昨年の八月に成立をいたしました、先ほど大臣所信表明にもございましたが、北方領土問題等解決促進のための特別措置に関する法律、これに伴う北方領土隣接地域振興等基金これがスタートいたしましたことは、これまた根室を中心とする現地の人たちが非常に長年待望してきた問題であります。十億の基金政府が八億と北海道二億で十億。ちょっと一けた少なかったんじゃないかと思いますけれども、現下の財政を考えれば、とにかくこれがスタートした、そしてこのもと北方領土返還を中心として現地立場に立った施策を進めていこうということはきわめて意義あることだと思います。そこで、これはいま現在検討されていると思いますが、どういう基本方針もとで、またどういう具体的な施策を進めていかれようとしているか、この点について、できれば大臣の御所見を承りたいと思っております。
  78. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) この法の基本方針内容については、ただいま先生からも御指摘のございましたように、北方領土問題等についての国民世論の啓発とか、北方地域居住者に対するところの援護措置並びに北方領土隣接地域振興及び住民の生活の安定というこの重要な三つの事項について定められております。こうした基本方針は、本年四月の法施行後できるだけ早い時期に決定できるよう、現在、何と申しますかその具体的な内容について私ども各省とも連絡をとって検討を急いでおります。四月、法の施行でございますから、それまでに基本的な方針を定めていこうと、こういうことで本当にこれは意欲的にいま努力をしておるということを申し上げておきたいと思います。
  79. 板垣正

    ○板垣正君 次に、安全操業のことについて承りたいと思いますが、端的に、ソ連の艦船による日本漁船の拿捕あるいは日本漁民の長期抑留あるいは非常に高価な罰金を科する。こういうようなことで私どもも心を痛めているわけでありますが、この辺の最近の実態について報告を願いたいと思います。
  80. 加藤吉弥

    政府委員加藤吉弥君) 北方水域、すなわち、わが国固有領土でございます北方四島の沖合いにおいて、いわゆる領海侵犯あるいは領海内不法漁獲というふうな名前で拿捕された実例は今年に入ってから一件もございません。従来このようか事件が発生するたびに、政府といたしましてはその都度ソ連側にこの拿捕の不当なるゆえんを抗議いたしまして、かつ、抑留された漁民の早期釈放を求めてきております。  北方水域以外の水域、いわゆるソ連漁業水域における最近の実例では、昨年の一月一日から十二月三十一日までにおいて三百四件、罰金総額は十億二千万円と、こういうふうになっております。こういうソ連漁業水域における拿捕の場合におきましても、その都度外交ルートを通じてしかるべき措置をとる一方、日ソ漁業暫定協定実施の諸問題という観点から、ソ連側にあらゆる機会をとらえて不当な罰金徴収あるいは拿捕等が行われないように申し入れを重ねている次第でございます。抑留漁民の釈放につきましては先生御案内のとおり、昨年秋以来わが方が非常に強くソ連側に申し入れた結果、昨年の十二月にソ連邦結成六十周年の恩赦という形で、当時抑留されておりました二十九名の漁民が全員釈放されたという経緯もございます。
  81. 板垣正

    ○板垣正君 そうすると、現在抑留されている漁民は一人もおらないということですか。
  82. 加藤吉弥

    政府委員加藤吉弥君) ソ連漁業水域においては本年に入ってからは数件拿捕の実例はございますが、関係者はすべて釈放されておりまして、現在一名も漁民で抑留されている者はいないと承知しております。
  83. 板垣正

    ○板垣正君 次に、北方領土返還運動でございますが、非常な政府挙げて、国を挙げての領土返還に対する要望にもかかわらず、ソ連側はかたくなにこの問題に対して話し合いもしようとしないのみならず、北方領土に一個師団と見られる兵力を進駐させ、あるいはミグ21があそこに常駐配備されている。わが自衛隊の飛行機にスクランブルをかける。こういう非常に遺憾な状態が続いておるわけでありまして、北方領土返還運動は相当腰を据えて、そして日本国家挙げて取り組んでいかなければならないと思うのであります。  そうした面で、先ほどの所信にもございましたが、これはもとより日本国家とソ連との間で話し合いによって決着をつけなければなりませんが、同時に、国際社会に対してこの問題の本質をもっと理解を広める必要があるのではないか。聞くところによると、世界では領土問題というのは現在百ぐらいある。しかし、その中で事わが北方領土の問題についてはきわめて異なった特質があるわけでございまして、申し上げるまでもなく、あの北方四島はいまだかつて外国の支配に置かれたことはない、歴史上常に日本国家の領土であり、日本国民が暮らしておった、そういう点においてはまさにソ連の武力による不法な、まさにこれは侵略と名づけていいもとに占領されて、今日に至っているという点においては、この領土問題の本質的な問題、この辺をもう少しはっきり国際世論に訴え、国連にも訴え、そしてそういう中でやはり、わが国としてのソ連に対する折衝を強力に行っていけるような世界的な環境づくりが必要ではないか、そういう点でいろいろ対策は講じておられると思いますけれども、その辺を具体的に教えていただきたい。
  84. 苅田吉夫

    説明員(苅田吉夫君) ただいま御指摘ありましたように、北方四島はまさにわが国固有領土でありまして、その返還国民の総意であるということから、諸外国、官民の間でこの問題に対して正しい理解をしていただくということのための広報活動がきわめて重要であるというふうに私どもも考えております。外務省といたしましても、これまで北方領土問題に関しましていろいろな海外広報資料を作成して、これを配布しております。それから現在、広報映画を作成中でありまして、これは今年度中に完成して、これまた広報映画を各地に送付できるようになります。それから、諸外国の地図とか雑誌、そういったもので、時折誤って北方領土が記述されている場合がありますので、そういった場合にはこれの訂正方を申し入れて、正しく直していただくと、それから在外公館の館長あるいは館員がいろんなところで講演を行います場合に、極力この問題に言及していただく、こういったいろんな側面で広報活動を行っております。これらの活動のための経費ですけれども、これは外務省の海外広報予算の一環として支出されております。それからそのほかに直接関連はありませんが、外務省予算としましては、北方領土復帰期成同盟補助金という形で、これは五十八年度予算ですが、約三千三百万円が計上されております。  大体そういう状況でございます。
  85. 板垣正

    ○板垣正君 最後に北方返還に対する総務長官、担当大臣としての御決意を承りまして、今後さらに国民の先頭に立って返還運動推進をお願いいたしたい。その御決意を承り、質問を終わらしていただきたいと思います。
  86. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 私の決意もそうでございますが、総理大臣もやはり先生が先ほど御指摘がありましたように、この土地は国際的にどこに訴えても、どこに話をしても少しも日本として遠慮しなくちゃならない土地ではない、領土ではない。日本の古来からの領土でございますから、堂々と広く世界に呼びかけて、そして早くソ連からお返しいただくようにしたい、そういうことでこれを返していただかないと、大事なお隣の国ソ連との友好的な平和条約は結ばれませんので、早く両国の友好条約が結ばれるように、それはもう恐らく両国民と全世界の人が願っておることでございましょうから、特に日本にしてもソ連国民にしても、平和的な友好条約の結ばれることを望んでおられますから、それを結ぶためには領土問題を解決してもらわなくちゃならぬ。私どもは事を荒立てて言うことは差し控えますけれども、しかし、占領されておる、侵略されておって、それも戦後侵略された土地でございますから、早く引き揚げていただいて、そして日ソ両国のためにまた国民のために平和条約が締結されるように、そのために何度も申し上げたように、早く領土をお返しいただきたいということを国民運動として強めていきたいと、かように考えておる次第であります。
  87. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  88. 佐々木満

    委員長佐々木満君) ただいまから、沖縄及び北方問題に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、北方対策本部沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 大城眞順

    ○大城眞順君 まず、大臣に御質問申し上げたいと思います。  大臣は先般御就任早々沖縄を訪問していただきまして県民一同大変感謝しておるところでございます。特に、沖縄に参りまして大臣のもろもろの決意の表明、そしてまた沖縄振興にかけるその熱烈なる御決意に対しましては大変県民一同感動を覚えておるものでございます。私も大臣の過密なスケジュールの中で、部分的ではありますけれどもお供をさしていただきまして、大臣が地下たびを履いてでもと各層の方々にお会いをいたしまして、これからの沖縄振興について御所見をあちこちで御披瀝いただきまして、大変私も感激いたしたところでございます。  さて、その後大臣が特に農業の視察の中におきましてたくさんの農民の方々にお声をかけていただきまして御意見を交換していただきましたけれども、大臣に対する印象というものも私なりに聞いてまいりました。大臣に対しては、表現はまずいかもしれませんけれども、丹羽大臣という方は大変やさしくて本当にしんから沖縄を愛しているりっぱなおじいさんだなあというようなことで大変親しみを県民の中に植えつけられたわけでございます。それで、大臣が今回訪問していただきましたその中でいろいろ御見聞なさったと思いますけれども、ひとつ率直なる御感想をまずいただきたいと思います。
  90. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 十分な日時と申しまするか時間があれば幸せなことでございましたが、ちょうど国会開会中のことでございましたので、そうした考えどおりにいかなくて国会先生方の御審議の合間を縫って出かけたことでございますからきわめて短時間ぐらいのことでございまして、日時とも言えぬぐらいの短い期間でございましたが、しかしいま申し上げましたようにそういう時間をちょうだいすることができましたものですから、復帰後十一年の私の大変関心を持っておりまする沖縄の、しかもいまは沖縄開発庁長官として責務を負わされておる私がそちらの方へお邪魔さしていただきました。そのときには私どもいろいろのことを考えるについて視察のために先生も御同行いただきまして、いろいろとお教えをいただきまして御協力をいただきましてまことにありがとうございました。特に沖縄の方々は、こういうまことに至らぬ大臣でございますけれども、所管大臣として出向いて、そのときに先生以下御同行いただいて今後沖縄県のことを一緒になって考えてくれるかという大きな希望をお持ちになったことであり喜ばれたことと思います。御協力に対してお礼を申し上げておきたいと思います。  いまどういうふうに感じたかとおっしゃいますけれども、率直な私の言い方をいたしますると、あの沖縄の方々と、いろんな方々とお会いいたしまして、特に農村の方々ともこれは大変時間をとってお目にかからせていただいて交歓をいたしてまいりましたが、今後の沖縄施策を進める上で非常に有意義だった、行ってよかったと、行ってお目にかかってよかった、わずかな時間であったけれどもああやって回らせていただいて非常に今後の沖縄施策推進していくためにはその時間が役立った、私が行ったことよりも時間が役立ったというように私は考えております。特にそれ以後も考えたことでございますが、本土との格差は着実に縮小はされておりまするが、しかし先ほど青木先生の御答弁のときにも申し上げましたように、まだまだ長いこと占領されておって、返されて十年でございますから本土との格差が依然として各分野にあるのでございますから、私としても先般策定された第二次沖縄振興開発計画に基づき、引き続いて各般施策を積極的に推進する必要を今回こうやって御協力いただいて視察させていただいて感じたということを率直に申し上げて、まずは努力させていただくことを約束しておきたいと思います。
  91. 大城眞順

    ○大城眞順君 ただいま大臣から沖縄振興につきましての並み並みならない御決意を承りまして力強く感じておるところでございます。私は、いま沖縄が最も必要なことは何であるかということを考えてみた場合に、基本的な問題として担当大臣の姿勢というものが大変沖縄のこれからの振興につきましても左右していくんじゃないか、このように考えておるところでございます。本当にまじめに、しんから沖縄を愛するようなことがなければこの第二次振計の成功もおぼつかないわけでございまして、そういった関連であえて私見を申し上げましたけれども、そういった中で、最近は特に予算時におきまして沖縄を甘やかすなとか、沖縄はこれでいいんだとかいうような話も聞こえるやにわれわれの耳にまで伝わっているわけでございますけれども、私はそういった方々の態度というものは当を得てないと思います。日本人はせっかちだと言われておりますけれども、前ばかり見て、後ろを見ないでは私はやはり政治にはならないと思います。沖縄が二十七カ年間アメリカの施政権下にあっていかに苦しんできたか、その償いというものは未来永劫に私は日本政府としては償えない、このように感じておるところでございます。そういった中で一生懸命開発庁が沖縄のためにやっていらしたし、その成果といたしまして、先ほど来お話がありますように、五%台の成長率もキープしているわけでございますけれども、どうしてもなかなか全国並みにはまだ到達しないところでございまして、一人当たり県民所得も百十六万二千円、そして全国平均が百六十八万四千円、これはまさに県民所得はまだ七〇%足らずの六九%でございまして、そして財政力から申しましても、財政依存度が御案内のとおり三九%、全国平均は一九・九%、まだまだの感がいたすわけでございますが、この第二次振興開発における経済フレームを見た場合におきましても、やはり現在の百十六万から二百万までに県民所得を持っていくのに並み並みならない努力が必要だと、このように考えておりまして、せっかく政府の御好意によりましてでき上がりました沖縄振興開発特別措置法の十年延長によります第二次振興開発計画、これは国としても第一次に引き続きまして一生懸命にがんばっていただくことになるわけでございますけれども、担当大臣といたしまして、責任者といたしましてもう一度この振興開発にかけるところの御決意を御披露していただければ幸いだと思います。
  92. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) いま大城先生が私に対して御注意いただき求めていただいたそういう姿勢で、そういう考えで沖縄の問題には取っ組んでいきたい。これは午前中の青木先生のときもお答え申し上げましたが、そういう気持ちでやってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  93. 大城眞順

    ○大城眞順君 この第二次振興開発計画推進していくためには、私は条件というものはすべて整っておるとは思っておりません。と申し上げますのは、やはり基地問題でございますけれども、基地の整理縮小というものはこれは復帰時点から今日、そしてこれから先もいわゆる政府そして自民党の基本施策でありまして、先ほど外務大臣沖縄における米軍施設区域の密度が非常に高い、その整理統合について現地の強い要望もあるということでそれに対しては善処していきたいという所信の表明があったぐらいでございます。県土面積の一一・三%、全国米軍施設の四四・三%を沖縄は抱えているわけでございまして、県政の中に占める基地問題というものは非常に重たいものがあるわけであります。沖縄において年がら年じゅう基地問題がない時節はございません。ほとんど毎日というほど基地問題があるわけでございまして、西銘知事もそれだけに振り回されて本来の行政に取っ組むというところのエネルギーと暇がなかなか基地問題にとられまして大変苦労しているところでございます。そういった中でやはり第二次振興開発計画の中にも基地の整理縮小というものはうたわれているわけでございますから、うたわれている以上は何としてでも外務省あたりと政府としてのやはり計画があるべきではないか、基地の整理縮小計画というものをわが国なりに持ってしかるべきじゃないか。われわれが沖縄におりましても、ああこの基地は要らないがなあ、向こうを開放できるんだがなあという感がするのが多々あるわけであります。やはりフレームを持っておかないと、ケース・バイ・ケースの基地縮小ではどうにもならないわけでございまして、それが私は大きな振興開発計画を前に進める一つのまたブレーキにもなっておるのではないか、このように考えておるわけでございまして、沖縄の基地を語ることなくして安保も語れないし日本の国防も語れないというほどに沖縄に基地が密集しているということを私は前提にして沖縄振興開発計画というものを考えていかないとどうにもならぬのじゃないかと、このように考えております。  それで、今後やはり一一・三%の県土を奪っておるわけでございますから、これが少なくなっていくように、目標年次においてはこれが少しでも少なくなっていくように一応のフレームは持ってしかるべきじゃないか、このように考えておりますし、これに対する開発庁のお考え方、そしてまた日米協議会でいろいろ処理されてまいっております基地の整理縮小いろいろ未処理のものがあると思いますけれども、その未処理のものが何であるのか、いつまでに解決するのか、その辺の事情についてひとつ教えていただきたいと思います。
  94. 関通彰

    政府委員関通彰君) 第二次振興開発計画におきましては、基地の問題につきましても県の総合的な開発の見地からその整理縮小をうたっているところでございます。具体的に申し上げますと、第二次振興開発計画の中の「県土の利用と海洋の開発」の項目の中で、「土地利用上大きな制約となっている米軍施設区域をできるだけ早期に整理縮小し、産業振興、生活環境整備に資するよう跡地の有効利用を図るための施策推進する。」と述べているところでございます。先生の御質問は具体的にどういう計画があるのかという御質問でございますが、第二次振興開発計画の中には具体的にそういう数字で表示したものがございません。私から御答弁申し上げるのが適当かどうか疑問に思いますが、基地の問題につきましては御案内のように日米合同委員会で討議される事項でございまして、すでに第十四回、第十五回、第十六回の日米合同委員会先生御案内のとおり返還予定地等の合意を見ているところでございます。しかし、返還予定地の中には代替施設の提供が条件となっているもの等もございまして、返還の進んでいるものあるいは現在代替施設の整備が進められているもの等があるというぐあいに私どもは理解いたしておりますが、今後第二次振興開発計画の趣旨に沿いまして政府としても対応していくよう関係省庁とも十分御相談してまいりたいと、かように考えております。
  95. 大城眞順

    ○大城眞順君 この件につきましてせっかく第二次振計の中に基地の整理縮小というのをうたってある。これはもう自民党の政府基本方針なんです。そうであるならばやはり、基地提供の、供与の義務はあるといたしましても、第二次振計の目標年次までにはどのぐらいの基地になるのだという一つフレームは持ってやらないと、日米協議会もあるし日米協議会は単にケース・バイ・ケース、行き当たりばったりでやっては私は困ると思うのです。そういったものをいまお答えのとおりぜひ何らかの組織をつくりましてそういった勉強も必要ではなかろうかと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。  先ほどの質問の中で申し上げたんですけれども、外務大臣安保協議委員会で了承された整理統合計画のうち、残余のプロジェクトの早期実現に一層努力してまいるということをおっしゃっておりますけれども、外務省いらしていませんか。——じゃ結構であります。そういったこともありますので、一体どこの基地がどうなっていくかということはこういった日米協議会でもやっておるわけでございますので、全体的なフレームがつくれないというわけは私はないと思うのです。これが第一次でも同じでした、第二次でも同じくなるでしょう、振興開発の遂行に相当大きな私はブレーキになっておるのじゃないか、このように考えておりますので、よろしくひとつ御配慮を願いたいと思います。  次に、去る三月の十四日に沖縄の中南部におきまして物すごい豪雨がございまして大変な被害をこうむりました。数億円にわたる被害をわずか数時間にしてこうむったわけでございますが、その中で河川のいわゆる改修がしてないための原因で相当被害をこうむった場所も多々ございます。沖縄は御案内のとおり米軍統治時代は河川については何一つやってなかったわけでございまして、河川改修の事業というものは復帰してから政府のおかげをもちまして着々進んでいるところでございますけれども、その執行状況、これからの計画等についてお聞きいたしたいと思います。
  96. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) お答え申し上げます。  沖縄の河川改修事業が本格的に実施されるようになりましたのは御指摘のように復帰後のことでございます。そういうことから、沖縄におきまする河川の整備状況というものはいまだに全国平均に比べておくれているということは否めない事実でございます。ただ、沖縄開発庁といたしましては復帰以来河川改修の予算の確保に鋭意努力をしてまいってきたところでございまして、その結果、河川改修事業費の対全国シェアというものを見ますると、昭和五十七年度は四十八年度に比べまして事業費で一・七倍、国費で一・五倍というように上昇を来しておるところでございます。  昭和五十八年度の予算におきましては、全国がゼロシーリングという状況下で、前年度比四%増の事業費三十一億一千九百万円を計上いたしまして、中小河川では名蔵川、準用河川では伊野波川及び宮平川上流に新規に着手いたしますとともに、昨年六月、ただいまお話がございましたように洪水で被害を受けました国場川水系と報得川水系に昭和五十八年度から初めて用地の先行取得制度を活用することといたしまして、両水系に約十四億円の用地費を計上いたしまして改修を促進することにいたしております。  現状はただいま申し上げましたように整備がややおくれておりますが、現行の第六次治水五カ年計画が終了いたします昭和六十一年度末におきましては、私どもとしましてはほぼ全国平均に近い整備状況になるというように見込んでおることを御報告申し上げておきます。
  97. 大城眞順

    ○大城眞順君 この河川の改修につきましてはよく建設省とも御連絡をいただいた上に今後の予算にぜひ盛り込んでいただきまして、早い機会に、長い間おくれておった沖縄の河川の整備にひとつ御努力を願いたいと思っております。  次に、いま沖縄で大変政治的にも社会的にも問題になっておりますACMIの問題について二三お伺いいたしたいと思います。  まず、五十七年七月十七日に沖縄県議会からこういったACMIの空域が設定されないようにという要請決議が政府にも出されておりますし、また去る一月十三日には知事の方からも、既存の米軍訓練空域等の削減をいたしまして、沖縄周辺のいわゆる空域の全体的な見直しを行いつつ、どんなことがあっても民間航空空域に支障のないようにしていただきたいという要請があったはずでございます。私はそういった県、県議会の意思を踏まえまして御質問いたしたいと思いますけれども、一体騒がれているACMI、最初は硫黄鳥島ということで米軍から提案があったようでございますけれども、運輸省のありがたい反対という米側に対しての強い意思をもちましてこれが撤回されました。それで、いま言われているところはホテル・ホテル空域にダブらしてACMIの空域をつくろうじゃないかという話になっておりますけれども、こういった話を含めまして、どういった状態になっているのか、まずそれからお聞きいたしたいと思います。
  98. 田中滋

    説明員(田中滋君) ACMIにつきましては、一昨年、五十六年八月に在日米軍の方から、主としまして嘉手納飛行場に配備されておりますF15戦闘機搭乗員の戦技の向上を図りたい、そのためにぜひACMIを設置したいんだとしまして、施設特別委員会あてに米側計画案を提示してきたところでございます。  その後、このACMIそのものの主要な構成部分が空域であるということでございますから、他の所要の措置に先行しまして、在日米軍と所管官庁の間で航空の安全の見地から鋭意検討が続けられてまいりまして現在に至っているというように承知しております。
  99. 大城眞順

    ○大城眞順君 時間が追っておりますので、この問題については一問一答でいきたいんでございますけれども、時間ございません。一度に四つ、五つの質問を投げますので、ひとつぜひお聞き漏らしのないようにしていただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように沖縄の基地問題、全国的にも四四・三%という大変密度が高い、それでこの訓練空域につきましても十二カ所もあるわけでございまして、沖縄の空は全部そういった訓練空域に占領されておると言っても決して過言ではないわけであります。このACMIの目的というものが今日までの訓練が余り効果がない、そして予算もかかる、もっと効率的にそして金もかからないようにシミュレーションをもって実弾を打たないで的確にはかれるような訓練、これがACMIだと私は聞いておりますけれども、そうであるならば、いまの既存のたくさんある訓練空域はみんな消滅していいんじゃないかと考えますが、いかがなものでございますか。  次に、なぜ申し上げましたわれわれ聞いております空域でなくちゃならないのか。このACMIというのは、アメリカが世界にまたがって七カ所もつくられております。そこへ行って訓練できないのかどうか、なぜ何でもかんでも事あるたびに沖縄に持ってくるか、こう私は言いたいわけであります。あるいはまた、これはホテル・ホテルエリアにダブらせたような格好で設置されると聞いておりますけれども、先ほどの質問とも関連してすでにあるところでできないのか、新たに設定する必要はないのじゃないか、こういうこと。  そしてもう一つは、これは運輸省になろうと思うんですけれども、沖縄の、日本共産党沖縄委員会調査した結果によりますと、いわゆる民間航空路の航空路からわずかに距離が九・二キロしか離れていない、新しく考えられている設定場所は。そうしますと航空法か何か知りませんけれども、航空路から両側に九キロの保護空域があるはずであります。そこを突き抜けて航空路保護空域に入るということは、マッハ二を持つところのF15では大変な過ちを起こす可能性が出てくるのじゃないか。こういったことで運輸省としてはこういったことを許すのか許さぬのか、これは大変なことだと思います。新聞報道が本当だとするならば、これはもう沖縄の私は滅亡だと思いますけれども、そういったことがあり得るのか、そんなことまで考えておるのか、その辺をお聞きしたいと思います。  それから、このACMIというものは、何としても先端技術でありますエレクトロニクスの技術を駆使した一つの訓練方法であると聞いております。いままでの訓練が効率がない、金がかかるとするならば、先ほど申し上げましたように、いままでの空域は消滅させていくか、あるいはこういった技術が陸の上でも生かされないのかどうか。科学技術は徹底的に進歩しているわけですから、大砲を撃ち機関銃を撃つぐらいのことはこのシミュレーションで簡単にできるのじゃないかと、素人の考え方ですけれども。そうすれば、沖縄の基地公害、基地災害もなくなっていくのではないかと、こう考えまして御質問申し上げますけれども、単にいわゆるエアコンバットじゃなくして、陸のコンバットまでそれが適用できないのかどうか、これはあくまでも技術的な立場からその可能性があるや否や、こういうことでございます。  それから、これは自衛隊も共用するのかどうか。五十七年五月十三日の衆議院の決算委員会で質問が出ております。自衛隊に共同使用をさせるのじゃないかというようなことを言っておりますけれども、政府委員のお答えは、具体的な計画があるわけではないと、こうお答えになっております。共同使用するのかしないのか、具体的な計画があるわけではないという意味は、いまはないけれども抽象的にはあるのかどうか、将来そういったことも考えるのかどうか、以上の点についてお答えをいただきまして私の質問を終わりたいと思います。
  100. 田中滋

    説明員(田中滋君) まず、既存の訓練空域内でこのACMI空域を設定できないかというお尋ねの点につきましては、このACMIそのものの構成部分の一つであります追跡ステーション、これを数カ所配置する必要があるわけでありますが、その位置、まあ配置の仕方といいますか配置場所、それに加えましてこのACMIで使います電波の性質などの面からしまして技術上の大きな制約があろうかというように考えております。したがいまして、既存の訓練空域内にACMIを設定するということは技術的に非常な困難な問題を含んでいるというように考えております。  それから、次のお尋ねの点としまして、沖縄周辺の空域になぜ設置しなければならないかという点でございますが、在日米軍としましては、今回のACMIの設定要請としまして、その目的としましては、日米の安保条約の目的達成のために、在日米軍の航空機搭乗員の戦技向上を目的としてACMIを設置したいというようにしております。それに加えまして、具体的には在日米軍の嘉手納飛行場に配備されておりますF15の航空機搭乗員の戦技訓練を主として実施するということでありまして、この訓練を効率的に実施するためには嘉手納飛行場からできるだけ近い空域であることが望ましいというのは訓練の効率、技術面から出てくるものでありまして、どうしても沖縄周辺もしくはその近辺という空域になろうかというように考えます。  それからもう一つ次の点としまして、このACMI空域が設定されるならば、他の既存の訓練空域との関連でどうなるのかというお尋ねの点につきましては、今回在日米軍意向として、私どもが承知している限りにおきましては、ACMI空域設定に伴いまして在日米軍としては既存の訓練空域の一部を削減する用意があると、そのことによりまして九州南部地域あるいは沖縄周辺地域におきます航空路の整備協力してまいりたい。ひいてはそのことによりまして民間航空機のより安全で円滑な運航に寄与したいという意向が非常に強いというように私どもは承知しております。  それからACMIのようなシミュレーション装置を使った訓練装置は陸上でも使用できないかというお尋ねの点につきましては、私どもとしましてはこのような空対空で使いますシミュレーション装置が陸上におきます訓練にも使用できるかどうかにつきましては、詳細な知識を持ち合わせておりません。  それから最後にお尋ねの点でございますが、この在日米軍のACMIが仮に設定されるあるいは設置されるとするならば、これを自衛隊が使用するという考えはあるかというお尋ねの点につきましては、現在のところ自衛隊としましてはこの米軍のACMIを使用する具体的な計画は持ち合わせておりません。しかしながら、このACMIのごとく最新の通信技術あるいは電子技術を駆使しましてつくられておりますきわめて効率のよい、かつ安全な航空機の訓練を実施できますこの訓練装置そのものは、自衛隊のパイロットの練度向上にもきわめて有効であるということは承知しておりますので、今後諸般の面から検討の対象にはしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  101. 川井力

    説明員(川井力君) 航空路と訓練空域との間隔についてお答えいたします。  現在米軍から新しい地域についての提案がございませんので、実際に現存する航空路とACMI空域との間隔がどのぐらいであるかというのは現在のところ不明でございますが、一般論といたしまして、航空路の幅といいますのは中心線から片側に九キロメートル、両側幅十八キロメートルになっております。これは安全上の余裕を考慮してつくられております。さらに訓練空域の場合には航空路の端から九キロメーターの緩衝地域——われわれバッファーと呼んでおりますが、緩衝地域を設けることにしております。したがいまして、もし九キロメーターという提案が米側からございましても、安全上特に支障はないものと私たちは判断しております。
  102. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大臣は担当の大臣として御就任早々一月十一日から十二日ですかにかけられまして北方視察に行かれましたこと、本当に道民の者たちも非常に喜んでおりますと同時に、非常に期待を今後も大臣に寄せているわけであります。北海道の一月といえば、本当に厳しい厳寒の中でありますが、よくぞ行かれたというふうに私ども思っておりますが、幸いにして非常に天気がよかったと、それから二月には「雪まつり」というのが北海道にはございますが、その「雪まつり」まで雪が余りなくて、「雪まつり」が終わってからがっさり雪が降って、三月には大雪が続いたというぐらいで、非常に大臣の威徳といいますか、非常にいい時期に——本当は一番悪い時期だったんですが、よく行かれて、十二分の視察をなさってくださったということで大変喜んでおるわけですが、その視察をなさいました御感想といいますか、お聞かせ願いたいと思うのでございます。
  103. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま宮崎先生から、私が所管いたしておりまする北方領土のことについて、国会中であったけれども視察に行って、よく行ってくれたというお言葉をいただきまして、職務でございますから当然行ったことでございますけれども、そのようにおっしゃっていただきますると大変感謝でございます。ありがとうございます。  私は、沖縄と同じように非常に短い期間でございましたし、国会中のことでございましたから、もっともっと時間をとって視察をさしていただき、そしてまた関係者の皆様方から、どのようなお考えを持っていらっしゃるか、当然わかってはおることでございますけれども、直接聞かしていただけたらと、こう思って参りましたけれども、わずかの時間で、十分な視察も、声も聞かしていただくことができなくて申しわけなく思っております。  しかし、率直に申しまして、北方関係の担当大臣としてその命を受けました以上は、ちょっと陽気がよくなってから、北海道は特に北端ですから、寒いんだから、もう少し陽気がよくなってから出かけたらどうだという、そういうことをおっしゃっていただいた方もございます。しかし私は、寒いからとか、四月、五月の陽気のいいときからという、そういう気持ちではだめだと、寒かろうがそんなことは構っておれないと、一日も早く、先ほど申し上げたように、出向いて皆様方からお話を聞かしていただこうと思って参りましたが、先生がおっしゃっていただきましたように、天の恵みか非常に天気がよくて、雪はなかったけれども、冷たいのに閉口しちゃったです。名古屋弁で申しますと、閉口という、まいっちゃったですね。かじかんでまいりましてね、手なんか。もう寒かったです。冷たかったです。しかし天気はよかったものですから、われわれが一日も早く、一日も早く返してほしいと、引き渡していただきたいというわが国古来のこの四つの島が、珍しいことだそうでございますけれども、手にとるように見えまして、なるほどあれがわが国土と申しますか、われわれの領土かな、早くひとつわれわれの手に返してほしいなという感じを一層と深めたのでございます。  くどくどしいことを申し上げましたけれども、行きまして、皆さんからあちらにいらした人、あるいは毎日漁に行くにも行きにくくて思うように漁に出かけていかれないという漁民の方々の訴えなんかも聞かしていただきまして、これは率直に申しまして早く来てよかったなあと、一日も早くこうした施策を遂行するためには早く来てよかったなと、こういうように感じて、ただし、何度も申し上げましたように、もう少し時間があったらいろいろな方々のお話も聞かしてもらえたと思って、それだけ残念でございますけれども、またいずれ時を見て、行くことがあれば参りたいと、こう思っております。ありがとうございました。
  104. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 幸いにして、昨年の十一月にソ連ではアンドロポフ新体制ができまして、ちょうど十二月いっぱいに抑留者が全部釈放されました。その後お行きになりましたので、その辺の重荷もなかったわけでありますが、ともあれ、お天気がよくてわが領土が目前にあって、そうした中で私はいつも心配していることがあるわけですが、それの一つは何かといいますと、米ソの軍拡競争のような状態でございますね。しかも、レーガン大統領が二十三日の午前八時、全米向けのテレビを通じて国防問題に関しての演説を行いまして、ソ連の戦略核ミサイル攻撃の脅威を除去するため——大体お話の内容を私はかいつまんで見ているわけです。ですから間違っているかどうかわかりませんけれども、長期的、総合的な戦略防衛システムの開発を行うことを明らかにしたようであります。そして、主なる観点というのは、対ソの核要撃能力の強化をしなきゃいけないということ、それから抑止戦力を修正をして予算をふやさなきゃならないんだというような全米国民に向けての支持をねらうものとして放送をされたんじゃないかと思うわけですが、こういうきのうのレーガン大統領の放送についても、まだ返されてない四島を目の前にして思いますことは、どんなように大臣は受けとめられたか。  またソ連は、こういうレーガン大統領の演説に反発をする軍備の強化を打ち出してくるのではないか。いままでの経緯から見ますと、必ず一つがやれば一つがやるみたいな形から見ると、この軍拡競争というものが大きく発展し続けてくることじゃないかということを考えてみますと、一番戦争の悲惨な状態を深刻に受けとめたのは沖縄県であり沖縄県民だと思います。と同時に、北方領土返還されてない先ほど申し上げました北海道民の受けとめ方というものは、ソ連を目の前にしてのソ連脅威論というものに対する一つの問題もございますと同時に、目の当たりに見ますと、国後には長い滑走路ができまして、戦闘機はいまミグが練習しているか何か知りませんが飛んでおるような状況の中で様子を見ますと、これらをあわせて考えまして、きょうは外務省も私は呼んでおりませんし、防衛庁も呼んでおりませんので、ただその北方領土をごらんになりました大臣のお考えですね。こういう軍拡競争のあり方だとか、その住民の感情のあり方、どんなふうにお心にとめられておられますか、そのお考えをお伺いをいたしたいと思います。
  105. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま宮崎先生からもおっしゃっていただきましたように、沖縄にしても戦争で大きな犠牲を払い、しかも長い間アメリカに占領され、アメリカの施政権下にあって苦しんできたので、やはりいまになってみれば、だれよりも沖縄の人は平和というものを願い、世界が平和でなくちゃならぬ、戦争なんというものはもう二度と再びわれわれはやっちゃならぬという気持ちだと私は考えておりまするし、またそう信じていいと思っております。それから、この沖縄の方々が占領されて苦しんできたように、以上に北方の四島の方々も平和に対する期待、希望といいますか、願いというものを強く持ってみえることは、私も先回参りまして、戦争であったがためにこうやってわれわれの領土も国土もそれがしの国に占領されて残念なことだと、早く返してほしいと、こういう非常な期待をして、返還に対する期待を持ってみえまするし、それ以上に平和というものに対して非常な、何と申しまするか、私どもが思う以上に、考える以上にそちらの方々は平和というものを願っておられるし、平和で、戦争さえなければあの島はソ連の方々に侵略されずに済んでおるものが、戦争なるがゆえに侵略されて、先祖の地にお参りに行くこともできないし訪ねることもできないと、こういう一つのことから考えましても、大きな平和に対する期待、望みを持っておみえになります。  私は、そのときに先生もおっしゃっていただきましたように、決して私は反ソ的な思想で言うものではない、しんから日本とソ連とは手をとり合い、一日も早く平和、何と申しますか、つき合いのできるような、日本とソ連はしんから、何というんですかね、平和なつき合いがしていけるように、心の通う友好関係が保たれるようにしなくちゃならない、それを私は望むものであると。決してこれについては反ソ的な思想は、少しも考えは持っていない。一日も早くいま申し上げましたようにソ連と日本がいつまでもいつまでも友好的につき合っていけると。そのためには早く日ソ平和条約は結びたい。結んでもらわなくちゃいかぬ。これは私だけじゃなくて全国民が望んでおることだからそうしてほしいんだが、それについてはわが北方四島を返してもらわなくちゃ話は進められないということになっておるんだから、将来のために、将来日ソ間の関係のために、友好親善を図っていくために、その土地を返してほしいと、こういう大きな人類的な悲願から申し上げることだということを私はここで何度も何度も繰り返して言ってまいりましたが、そういう気持ちを持っておりまする私にとっては、いま先生の御指摘のような、そういう気持ちが損なわれるような、私どもは平和的に話し合っておって、気持ちよく返してもらい、気持ちよく帰っていただきたいという、そうして将来早く日ソ間の平和友好が結ばれるようにしていきたいという気持ちの上からいって、そういうことが少しでも損なわれるような、お互いの気持ちが出てくるようなことがあっては私は残念だと、こう思っておるんです。だから、外交的なことは所管ではございませんからこれ以上のことは差し挟むことは遠慮さしていただきたいと思いますけれども、先生、私のいまこうやって四島の返還と申しまするか、返していただきたいなあというこの願いの気持ち、これは日ソ間が少なくとも友好条約の一日も早く結ばれるようなことを念願してのそういう気持ちで今後とも対処してまいりたいと、こう思っておりますので、御了承の上御協力をいただきたいと思います。
  106. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 外務省の問題がずいぶん入ってくるわけですから、どうしても外務省の方々がいらっしゃらないとなかなかこの問題については話が進められないので、きょうは予算の委嘱を受けている立場でございますからこれ以上を私は申し上げたくないんですけれども、来月になりますとソ連との事務レベル協議も行うというふうにもなっておりますし、幸いなことにはソ連との補完関係の貿易というものは非常に日本は進んでいるわけです。貿易関係は非常に円満に円滑にいっているように私は思っているわけですが、ともあれそういうふうな意味合いから、いま大臣のおっしゃいました平和というものを頭のてっぺんに置いてのあり方とすれば、そういう面も進めていきながら、それを一つの足がかりにしてでも少しでも早く返還を求めたいというのが私なんかのいままでの持論できているわけですが、ともあれ大臣の御所見を伺いまして、今度は本題の方に入っていきたいと思います。  恐らく北海道にお行きになりますと、関係者の方々からいろいろな陳情をお聞きになっていらっしゃると思います。この陳情の中の一つ、北対協の融資事業の拡大ということについて私はお伺いをしたいわけなんですが、北方地域の元の居住者に、これは漁業権を持っている方も含めて約二万人——二万人欠けますけれども、援助事業として昭和三十六年度から実施されておる北方問題対策協議会の融資事業のことなんでありますが、融資対象者の制限をもう少し緩和しなければいけないんじゃないか、またこの枠を拡大していかなければならないんじゃないのか、そういう要望北方領土の視察に行けば必ずこの問題は提起されてくるわけであります。現在十億円の年間融資の枠で行われているわけでありますが、御案内のようにその貨幣価値といいますか、物価高といいますか、それらの影響で資金需要が年々増加してくる傾向があるわけであります。この事業及び生活に必要な各資金の種別ごとの貸付額を引き上げると同時に、資金枠を最低限、これはもうずうっと言い続けてきていることですが、十二億円以上としてやる考えはないのだろうかと、この点についてひとつお伺いをしていきたいと思うのですが。
  107. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 先生の仰せになりました地元の要望につきましては私どもよく承知しております。総理府としましては、この地元の要望について他の制度資金との均衡などを考慮しつつ検討を進めてきておりますけれども、何しろ御承知のような厳しい財政事情のもとではその早急な実現に種々困難な問題があることも御理解いただきたいと思います。  なお、この融資事業とは直接関係ございませんけれども、来る四月より施行されます北方領土問題等解決促進のための特別措置に関する法律において、北方地域居住者の子及び孫までを含めまして援護の対象とされておりますことは先生も御承知のことと思います。この法が施行されましたらその人たちの意見も十分踏まえまして具体的な措置が講ぜられることになろうと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  108. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 財政豊かな時代からでもこれは上げられなかったんですよね。ですからいま厳しいからといって、いま厳しいのはわかっているんですから、よかった時代にちゃんと少しでもやってあげるような考え方というものをわれわれ訴えておったわけですけれども、それもいまの御答弁ではまだまだ財政厳しいからがまんしてもらいたいと、そのかわり北方隣接地域振興対策なんかもひとつひっくるめて考えていただきたいような御意向だと思うんですけれども、これは借り入れる場合にも、借入金額が非常に少なくとも抵当物件、保証人を要求されるわけでありますね。融資条件が厳しいのでこういったような条件緩和ということも、じゃ金が従前どおりであるならば、この点も少し考えを寄せてみたらどうかと、こういうふうに思うわけですが、この点どうですか。
  109. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 先生がいまおっしゃいました保証等の厳しい条件ということでございますが、この特別措置法の施行に関連して、地元の方々のいろんな声が聞こえてまいるのでございますけれども、これも御承知の元居住者を会員としてできております千島連盟あたりでこの保証を、何とか個々の保証人等がとりにくい場合に何とか考えるようなことを事業としてやるような検討をしておるということが出ております。具体的なこと、細かいことはわかりませんけれども、これが現在の制度との関係から見て実施可能なものであれば十分検討していきたいと思っております。具体的な内容が明らかになりましたら、また御報告さしていただきたいと思っております。
  110. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 何かお手元に配られていますが……。
  111. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) これは、いま手元に参りましたのは、融資枠の拡大の資料でございまして、十億というのが一向に広がらないじゃないかというようなお話ございましたけれども、過去の融資枠の拡大は、四十五年まで一億三千万できたものがその後一億七千万、四億、六億と、六億にしたのが五十一年で、それでそれを五十五年に八億にし、さらに追い打ちをかけるように五十六年には十億にしたということで、五十五年、五十六年で八億、十億と拡大をしてきた、その過去の努力もひとつ評価いただきたいと思います。
  112. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それは私存じておりました。存じた上で申し上げているわけでありますので……。そうですか、失礼しました。  まだそのほかに、行けば、必ず陳情といって出てくる問題は北方墓参の再開実現の件なんですね。これなんかもめどがどうなるのだろうかということなんですね。この点についても、きょう参考に聞かしていただければありがたいと思いますし、もう一つは、北方地区の、私は先ほど言いましたもと居住者に対する援護の拡充といいますか、先ほどちょっと御答弁が、引っかかったような、御答弁がございましたけれども、ともあれ墓参問題というのはやはり大きな一つの願いでございますね。この点を大臣、どんなふうに心にとめていられますか、その辺のことを伺っておきたいと思います。
  113. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) お話しの北方墓参につきましては、私ちょうど前に北方対策本部参事官をやっていたころ、昭和五十一年にストップになりましたので非常に鮮明に残念な気持ちを持ったのを覚えておりますし、それがいまだに中断されたままでいるということは、人道的見地から言いましてもきわめて遺憾なことでございます。総理府といたしましても、毎年外務省を通じましてソ連に対しその再開を強く要請しているところでございますが、まだ実現を見るに至っておりません。今後とも純粋に人道的見地から、中断前に行っていたと同じような方法で北方墓参の実現ができるよう、外務省を通じてソ連に強く要請してまいる考えでございます。
  114. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほどの、来月事務レベル協議が行われるわけでありますから、いま審議官の御答弁がありましたけれども、大臣、この件につきましては外務大臣を揺すぶって、ひとつ強力に話を、中に入れてもらいたいと、こう思うわけです。その点いかがでしょう。
  115. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先ほど先生から御指摘のございました、また御発言のありましたように、私はさきに視察いたしましたとき、お邪魔さしていただいたときもたくさんの地元の要望がございましたが、そこの中でさきにあった問題、日ソの問題、あるいはまた特に墓参の問題を強く要請がございました。聞いておりまして陳情をちょうだいいたしました私も涙の出るぐらい、何とかしなくちゃならぬと感じたのでございます。それは、かつておれたちが住んでおったところでおれたちの先祖があそこにお祭り申し上げてあると、先祖の地だと、墓があると、そこへいままでは墓参で行けたのに、どうしたことか墓参りをさしてくれない、生きておるうちに一度先祖の墓をお参りがしたい、おまえにはその気持ちがわからないか、こういうような強い御要請があったわけです。私は言葉が下手でございますから、そのとき受けました私の気持ちを先生にお伝えすることはできませんが、本当に涙の出るぐらい切実に訴えられたのでございますから、いま御指摘のありましたように、私どもは、決して私自身は反ソ的な考えを持っていないのですから、どうぞひとつこうした方々もかつての自分の住んでおった、しかも先祖がお祭りしてあるところの墓参りは一日も早くやらしていただけるように、それも従来の手続のようなふうにして行けるように、そういう機会に外務大臣からひとつがんばって向こうに訴えてくれませんかと。いまのところ占領されておるんですから、侵略されておるんですから、もう頼むより仕方がありませんので、しっかりひとつ訴えるように私からも外務大臣に要請する、その方々の気持ちになって外務大臣にお願いするということを先生とお約束しておきたいと思います。
  116. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ぜひお願いをいたしたいと思います。ソ連も新指導部指導体制ができているわけですから話はわかるだろうと思うんです。抑留者全部帰してくれたりなんかしましたんですから。私は昨年の外務委員会でやりまして、年末に、どうせ帰していただけるんなら日本国土でお正月を迎えるようにひとつ頼みますというふうに要請をしたものが実現したぐらいですから、この問題については、同僚議員も話をしておりましたけれども、ともあれそういうふうな、甘く見ちゃならないかもわかりません、もっと厳しく見なきゃなりませんけれども、これは甘く見るようにして、ぜひ実現をすることをお骨折りをひとつ願いたいと思います。  それから、その次は北方領土隣接地域振興対策、この問題について午前中も同僚議員からちょっとこの点に触れられたようなことなんでございますが、もう少し私ちょっと入ってみたいと思うのですが、お互い時間の関係がありますから意をなかなか尽くせないわけでございますけれども、この件につきましては諸問題の解決処置として来年度予算案には確かに八億円が計上されている。これらの解決促進のための特別措置に関する法律というものが四月一日から施行されるようになるわけでありますが、この基本的な作業といいますか、基本方針といいますか、それにつきます振興計画策定というものがどうなっているのか、この辺について御答弁を願いたいと思います。
  117. 橋本豊

    政府委員(橋本豊君) 法律では基本方針を内閣総理大臣が決めるということになっておりまして、午前中の御質問の中にも大臣からお答えがございましたけれども、四月の法施行後できるだけ早い時期に基本方針を決定できるように検討を急いでいるというのが現状でございます。  基本方針内容法律に定められております啓発、援護それから隣接地域振興というこの三本の柱について書かれることになります。それから、振興計画基本方針に基づいて北海道がつくるようにとなっておりますので、これも連絡をとりながら、いま主として北海道開発庁と北海道の方が連絡をとりながら検討を進めていると思います。そういうわけで、法の施行後できるだけ早い時期に一連の作業を済ませるように努力しておりますので、御了解いただきたいと思います。
  118. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 道の方がこれ示さない限り、提示してこない限り進んでいかないのですね。ですから、これがおくれればおくれるほど運用面において非常に挫折を生ずるわけですね。こういったことはおわかりの上で、いまお話があったと思うんですけれども、これは、特に大臣の方から強力なリーダーシップをとっていただいて督促をしませんと、八月ごろになったってまだ決まらないみたいな感じがしてならないんです。何といいますか、促進のための特別措置に関する法律の体系、北方領土問題等の表を見ていきますと、基本的には、北方領土隣接地域基金等の設置、地方自治法の基金として北海道に設置、基金の運用益は国の補助対象、これはこれからもありますけれども、ともあれここが決まっていきませんと進んでいかないわけであります。いま、幸か不幸かわかりませんけれども、知事選挙ももう始まっておりますので、なかなか道としても思うような審議もできないのじゃないかと思いますが、それだけにリーダーシップを強く持っていただかなければ、おくれに任せるような形になって、沖縄北海道というのは地域的な差はもう大臣十分御存じだと思いますが、沖縄は二次計画で十カ年の計画をやりましたけれども、北海道は十五年やっていました。ところが、半年寝て暮らさなきゃならぬです、雪で。そうしますと、十五年の半分が七年になるんですね、実働は。その点、沖縄は十年まるまるやれるわけです。ですから、大きなハンディキャップというものは当然できていいと思うんですね。ですから、沖縄の十年の今度の計画というものは相当な利益が上げられなければ、沖縄住民の人たちがよかったなあと言われるような結果にならなきゃならないと思うんですよね。  そういうことから考え合わしてみましても、いま申し上げました強いリーダーシップというものは、いわばそういったようなことを勘案されて、ぜひ督促をしていただいて、いっときも早く軌道に乗るように特に私は要請したいんですが、大臣いかがでございましょうか。
  119. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) まことに、法の精神に基づいた結構な御要請でございまするし、そのように運んでいかなくちゃ法の精神を生かすこともできませんし、宝の持ちぐされのような、いわゆる眺めておるだけでは道民の皆様方も喜ばれないことでございまするし、法の精神を生かすというわけにもいきませんから、道庁の方へも政府としてできるだけ早く進めてくれるように、また、こちらとしてもやれるだけの協力をして推進を図っていくことをお誓い申し上げておきたいと思います。
  120. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それでは、沖縄予算の方の問題に移りますが、午前中同僚議員から適切な質問もございましたし、その御答弁も聞いておりました。ですから、なるたけダブらないようにいたしたいと思いますけれども、やはり皆さんがお考えになるところは一つに大体集中されてくると思うんですね。したがいまして、多少は重複をしていくことを御了承願いたいと思いますが、昭和五十五年度に県民選好度調査を行っております。第二次沖縄振興開発計画策定に当たって、このような県民の意思というものがいろいろ出されておりますが、どうこれを反映されて今回の計画の中に組み入れられてきているか、この辺の御所見を伺いたいのですが。
  121. 関通彰

    政府委員関通彰君) 沖縄振興開発計画策定の手続につきましては、沖縄振興開発特別措置法の第四条に定められております。同条の規定によりまして、内閣総理大臣沖縄振興開発計画を決定するに当たっては、沖縄県知事の作成した案に基づき、沖縄振興開発審議会の議を経ることとされております。  具体的に、第二次振興開発計画の知事案が国に提出されましたのが昨年の七月一日でございまして、その後、沖縄振興開発審議会の議を経まして、八月五日に最終的に決定されているわけでございます。この知事案の策定に当たりましては、県当局が一昨年からいろいろな角度からの検討をされて案をつくられたわけでございますが、先生のいまの県民の意向が反映されているかという観点から申し上げますと、知事の原案作成に当たりましては、知事の諮問機関で沖縄県の地元に沖縄振興開発審議会というのがございまして、それに県内各層の代表、学識経験者の方々がメンバーになっておられる審議会がございます。この審議会で主として原案の検討が行われております。審議会の中に数部の部会を設けられまして、詳細な検討をされたと伺っております。さらに、その後、県内市町村長の意見等も聞かれまして、最終的に知事原案をまとめられたというぐあいに聞いております。  それからさらに、国に提出されました知事原案につきまして、国の審議会の御審議を得たわけでございますが、国の審議会にも県知事、県議会議長、市町村の代表、市町村議会の代表者、また県の各界の代表者、学識経験者等が参加しておられまして、これらの審議会で地元の各界の御意見が十分反映されたというぐあいに考えております。
  122. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほども午前中に同僚議員から話がありましたけれど、沖縄県で抱える問題というのは非常に多いわけですね。二次振計の内容の多様性ということから考えてみましても、わかるような気がするわけであります。低成長下における、先ほどの大臣所信の中にもありましたけれども、削られても、ここは削られてないで、財政事情も十分とはいかなくても計画を立てていくことができたということでありますが、果たしてこの二次振計に盛られた内容を十年間で実現しようとする、早く言えばプログラム、またはスケジュールを開発庁としては大体大まかにわかるわけですから、それらの点と、もう一つは、沖縄経済自立的発展と活力ある地域社会の実現を目指すことが、第二次振計の目玉だと私は思っているわけですから、その点もあわせお伺いしながら、沖縄における各種産業基盤というものは十分でないということも先ほど来から論じられておりますが、これらの各種産業振興発展についても当然考えなきゃならない。  それから、この計画書によりますと、産業の構成は、昭和五十五年度で第一次産業が六%、第二次産業が二二%、第三次産業が七五%から、昭和六十六年度には第一次産業が六%、第二次産業が二四%、第三次産業が七三%になっておりますが、この第二次産業のウエートの高い経済体質は変わらないんじゃないかと述べられているようですが、自力的発展のためには産業構造の転換ということを当然考えていかなきゃならないのじゃないかと思うんです。これは私が考えていることは第二次産業に対する対策というものですかね、この辺のことが大事になってくるんじゃないか。先ほどは時間がないから一次産業だけのことを言われておったようでありますが、二次産業が非常に大きなウエートを占めた問題になってくるんじゃないか、こう思うわけですが、この点については。
  123. 関通彰

    政府委員関通彰君) 先生御質問の前段の、達成の見通しというお話でございますが、沖縄振興関発計画は第一次の計画、第二次の計画、いずれも同様でございますが、計画の中でも、その基本的な性格をうたっている個所がございます。そこにも述べられておりますように、振興開発計画振興開発特別措置法に基いて策定いたしました総合的な振興開発計画で、今後の沖縄振興の向かうべき方向と基本施策を明らかにしたものであるという性格を持つものでございます。したがいましてこの計画は、これから十年間に国あるいは地方あるいは沖縄の民間経済界、県民の方々が振興開発を図っていきます基本的な方向を打ち出しているものと、この方向に沿って振興開発が進められるものと、こういうものと受け取っております。したがいましてこの計画は、そういう意味で今後十年間重要な役割りを果たしていくというぐあいに考えているわけでございます。中には、先生もお触れになりました、いわゆる見通しと称しまして、経済フレーム、十年後このような見込みという数字も示しておりますが、これはあくまでも十年後の見込みを参考までに表示したものという性格のものでございます。  それにいたしましても、産業構造を変えていくことが必要ではないかという御質問でございますが、今後、沖縄産業をどうやって基盤整備を図っていくんだということでございますが、総論といたしましては、第二次振興計画では、今後の沖縄産業振興は一次産業、二次産業、三次産業それぞれに沖縄の持つ特色を十分生かしながらそれぞれの部門の発展を図って、そしてその相乗的な効果で、具体的に申し上げますと、二次産業でも、沖縄の農産物あるいは沖縄の畜産物と結びついたような食品加工等も着実に広がっております。そういう産業間の相乗効果を図りながら産業全体の振興を図っていくという、いわゆるバランスのとれた産業振興を基本的な考え方にしているわけでございます。もちろん、個々の産業基盤整備は重要でございます。沖縄が復帰しましてからこれまでの十年間、各種の基盤整備は進めてはまいりましたが、現実に見ますとまだまだやるべきことがたくさん残されております。  たとえて具体的に申し上げますと、農業につきましては、農業基盤整備はやっと軌道に乗ったというところでございまして、今後ともさらに土地改良等の事業を促進する必要があろうというぐあいに考えております。また、製造業につきましても、道路港湾等の整備は、これは産業発展の最も基盤になるものでございます。これまでも整備を進めてまいりましたが、今後もさらにその開発を進めまして、また、産業開発の重要な課題でございます水質源の開発、さらにはエネルギー源の確保という点にも十分配慮いたしていくつもりでございます。さらに工場適地の確保につきましては、現在開発をされております糸満工業団地、あるいは先年から着手いたしております中城湾港の新しい振興地区の開発等を促進いたしまして工場適地の確保に努め、沖縄産業基盤全般の整備を一層進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  124. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 二次産業に対する僕の意見はどうですか。
  125. 関通彰

    政府委員関通彰君) 二次産業振興につきましては、これはあるいは最初に一次振興開発計画のときのことも申し上げた方がよろしいかと存じますが、復帰いたしましたとき、沖縄産業構造は二次産業が一八%でございました。これを第一次振興開発計画では三〇%に引き上げるという非常に二次産業の高度の成長を見込んでいたわけでございます。一次計画策定しました四十七年当時はまだ高度成長期でございました。当時の議論では、沖縄にコンビナートを誘致するというような議論もしながら二次産業の非常な高度の成長を想定したわけでございます。しかし沖縄が復帰後、ドルショック、さらには石油ショックと経済環境の非常な激変がございまして、現在二次産業の割合は二二%でございます。  今後十年間でどうするかということでございますが、いまのわが国経済状況、安定成長に入り、しかも素材産業がこれまでのような急速な成長は望めないという環境の中で大規模な工場誘致等は必ずしも現実的ではないというぐあいの考え方をいたしております。むしろ堅実に、沖縄にあります地場産業、地元企業の経営力技術力をさらに開発いたしまして新しい分野への進出、さらには新規企業の地元あるいは本土からの誘致をいたしまして着実な二次産業の伸展を図って、現在二二%の二次産業の割合を二四%に高めるという計画をいたしておる次第でございます。
  126. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 おっしゃられることはわかるわけですが、ともあれ、産業育成するためには条件整備ということが必要になってきますね。いまおっしゃられているように、いろんなテクノポリスの構想やあるいは先端技術産業育成による地域開発というものがお考えの中にあって進められていると思うんですが、いま言いましたように、条件整備というものがいろいろな面で必要になってくると思うんですね。また、一つの技術開発といいますと、試験工場なんといういろいろな試験工場があると思うんですが、この構想の中には若干触れておられるようですけれども、こういう試験研究設備というか、施設というか、各種にわたっての点については、いま現在の整備状況あるいはこれから考えておられるようなことについてはどういうような御構想を持っておりますか。
  127. 関通彰

    政府委員関通彰君) 第二次振興開発計画におきましては、全般を通じまして沖縄の特色を生かした振興を図るということを基本的な考え方にいたしております。そのような意味で、先生御指摘のような試験研究機関あるいはテスト工場というようなものの誘致ということでございますが、沖縄には本土ではない自然的な環境もございます。すでに国の各省の御配慮によりまして沖縄には各種の試験研究施設が設置されております。たとえて申し上げますと、熱帯農業の石垣の研究所あるいはサトウキビの原々種の圃場あるいはすでに沖縄に設置されることをお決めいただいておりますが、栽培漁業の試験場を石垣につくるという、これらはすべて沖縄の自然的な条件を生かした施設でございますし、また現在これも関係省庁で検討していただいておりますのは、沖縄の北部に揚水の発電のテストプラントをつくると、沖縄は電力をすべて石油に依存いたしておりまして、エネルギー源の確保という意味で、これも海水を使いました揚水発電と非常に特殊なものでございますが、沖縄でテストするということを御検討いただいておるわけでございます。私どもとしましては、かような沖縄の特色を生かした先生御指摘の試験場あるいはテストプラント等できる限り誘致いたしたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  128. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 どうしても時間がないと頭だけしか言えないものですから、細かく触れていくことがなかなかできないので、いろいろ問題点いっぱいあるんですが、もう時間が大分迫ってまいりましたので、まだほかにお伺いしたいことがあるんですが、国際交流の場にするとかあるいは地域開発におけるその土地の乱獲だとかそういったようないろんな問題があるわけですが、それらは次の機会にまた折がありましたら申し上げることにします。  沖縄振興開発の金融公庫における貸付業務についてお伺いをしたいんですけれども、沖縄振興開発金融公庫沖縄経済社会における金融面での役割りというものは、これはもう言わなくてもわかっていますように大きなものでありますが、私の知る限り数年の間貸し業務が年々減少傾向にある、このように思えてならないんです。貸し付け及び出資実績の現況がどんなになっているのか、実績伸び悩んでいる原因をどのようにとらえているのか、時間がありませんからこちらの申し上げたいことをみんな申し上げておきますが、金融条件の緩和あるいはその潜在需要に対する今後の施策をどのように考えているか、特に出資についての地場産業振興や中小企業育成のための出資範囲や条件等の緩和策をこれは改めて検討し直す必要があるんじゃないか。振興法による当委員会の附帯決議の中にも第七項にございますね、とりわけ私が申し上げることもないと思うんですが、おわかりでございますね、七項目、そのことから考えあわせながらでも借りるだけの企業で、活力が企業にないんじゃないか。活性化といいますか、活性化がないんじゃないか、このように思えてならない。この辺からも御意見を伺いたいと思います。  先ほど申し上げましたように中小企業育成に対する施策というもの、業種別にずっと挙げてみていろいろの問題点を洗いざらしながら考えていく必要があるんじゃないか。それから最後には返済の状況がどんなふうになっているか、この辺のことを伺っておきたいと思います。
  129. 関通彰

    政府委員関通彰君) まず貸し付けの状況でございますが、貸し付けの実績で申し上げますと、昭和四十七年公庫が発足いたしまして以来、全体としては着実に拡大を続けてまいりました。具体的に申しますと、四十七年は一番最初の年でございますから別としまして、四十八年が貸付実績総額六百三十億が五十三年に約千二百億ぐらいに倍増いたしております。この間、貸付実績は着実に伸びてきたわけでございます。これによりまして沖縄公庫の果たします役割りは沖縄経済全体の中でわりと大きなウエートを占めております。貸付残高も急速に伸びてまいりまして、非常にウエートも高くなってくるに従いまして伸び率も落ちてまいります。また、経済状況全体が五十三年ごろから成長率も低くなるというようなこともございまして、五十三年ごろからはいま先生御指摘のようにやや横ばい傾向に入っております。ただ、沖縄公庫はいろんな業務を果たしております。いわゆる本土開発銀行と六公庫全部の役割りを果たしております。住宅公庫の役割りも果たしておりますし、農林漁業金融公庫の役割りも果たしているということでございまして、具体的に横ばいになりました数字を見ますと、公庫の貸し付けの中で一番大きなウエートを占めております住宅資金が最初急速に伸びておったのでございますが、五十三年、五十四年ごろから一応一巡いたしまして伸びが鈍化してきたというようなことも全体の鈍化傾向の中には影響を与えていると思っておりますが、全体といたしましては着実に業績が拡大してきたというぐあいに理解いたしております。  それで、先生御指摘の昨年の委員会での附帯決議の中で融資の緩和でございますか、さらに有効な出資、融資ができるように配慮しろという御指摘がございました。具体的には来年、五十八年度の予算の編成に当たりまして沖縄の地場産業振興のために幾つかの措置をとっております。細かくは触れませんが、具体的に申し上げますと、たとえば沖縄の地元でいま開発を進めております天然ガス事業につきましては、特に低利の融資制度を新しく設ける、それから伝統工芸、主に中小企業でございますが、これの振興のためには特別な特利の融資制度があるのでございますが、この対象を拡大するというような、この二つは沖縄だけの特別な措置でございます。そのほか、本土の中小企業あるいは住宅金融公庫等で五十八年度から新たに貸付限度額を引き上げるというようなことを本土公庫がお決めになっておりますが、これはそのまま沖縄公庫にも適用するようにいたしております。私どもとしましては、地元の経済状況を見ながら、できるだけ地元の産業開発に役立つような、そういう制度上の配慮もしてまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。  それから、それにしても出資等は実績がないではないかという御指摘もございました。確かに出資につきましては五十六年度実績がないわけでございます。これは、出資制度は実は公庫最初からあったわけではございませんで、昭和五十三年に公庫法の改正をいたしまして、それまでは融資だけだったのでございますけれども、地場産業振興のためには出資の機能も公庫に与えたいということで法律の改正をしていただきまして、五十三年度に新たに出資機能を付加したわけでございます。その後、五十五年までの間に四つの事業に計四億の出資をいたしております。天然ガス、共同サイロそれから離島航路あるいは宮古のターミナルでございますが、こういう事業に出資をいたしております。五十五年までそういう四つの実績があるのでございますし、それから五十六年も制度上そういうものをつくりましたので予算措置もしていたんでございますが、いろいろ地元からの議論はあったんでございますが、結果的には適当な新しく出資する事業がございませんで、実績がないわけでございますが、今後ともせっかくの機能でございますので、私どもは十分この機能が果たせるようにしてまいりたいというぐあいに考えております。  それから返済の状況ということでございますが、四十七年に公庫ができまして、その後実は経済状況もかなりの激変がございました。特に海洋博後におきまして沖縄経済は、ホテルを中心といたしましてかなり倒産等が出て、観光産業の不振に陥った時期がございます。その時期はホテルだけではございませんで、県内の中小企業等にかなり行き詰まったものがあったわけでございますが、その時期は公庫の延滞もかなり増加いたした時期がございます。ただ、ピークが昭和五十一年でございまして、その後返済の状況は着実に改善いたしております。ピークの時期に比べますと、いろんな指数で申しまして、要するに半分以下にまで改善されてきたと……
  130. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 どれぐらいの指数ですか。    〔委員長退席、理事稲嶺一郎君着席〕
  131. 関通彰

    政府委員関通彰君) これはいろんなとり方がございまして、ちょっと的確な数字がございませんが、五十一年以降着実に改善されてきております。  これは公庫の財政を健全化させて公庫の機能をより一層効果的に運用するために重要な事項と考えておりますので、今後とも改善努力をいたしたいというぐあいに考えております。
  132. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間が参りましたのでやめますが、大臣、私がいろいろ伺ってまだ中途半端で終わるわけですが、やりとりをしておりましたことにつきましてお考えがありましたら御所見を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  133. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 御質問、お尋ねと申しまするよりもきわめて政府を鞭撻していただき、適切な措置をとるようにという激励のように私は受け取っておりまして、大いに鞭撻をしてまいりたいと、かように考えております。
  134. 立木洋

    ○立木洋君 大臣にお尋ねいたしますが、午前中来沖縄問題に関して大臣から繰り返し決意のほどをお聞きしたんですが、大臣も御承知のように、沖縄には米軍の基地、施設が非常に密集しておりますし、今日に至るも米兵による犯罪事故が絶えないということはきわめて遺憾とするところです。  御承知のように、先月の二十三日の夜にも金武町において目取真さんと言われる日本人の運転手の方が米兵によって基地内で刺し殺されるという事件が起こりました。また、去年も城間さんという方が殺害されておりますし、近辺においては米兵による婦女暴行等々不安な状態があるというふうなことも言われているわけです。こうした問題については、やはり厳正に対処していかなければならないというふうに考えているわけですが、こうした日本人運転手の方が米軍の基地内で、何も反抗したわけでももちろんありませんし、平和に働いておる日本人が無惨にも殺されるというふうな事態ということは許しておくことができないと思うんですが、このことに関する大臣のお考えと、それから国務大臣とされて今後こういう問題にどういうふうに対処されていくおつもりなのか、そのことを最初にお伺いしておきたいと思います。
  135. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま先生の御指摘の、最近、米兵による犯罪が起きておるんですが、この事態についておまえらはどう考え、またどういうようなアメリカに対して措置、対策を考えておるか、こういうことのようにお聞かせいただきましたけれども、先生の御指摘のように、米兵による犯罪のあのような発生は、これはもう申し上げるまでもないことでございますが、住民生活の安全上ゆゆしき問題でありまして、まことにまことに私は遺憾なことだと率直に申し上げたいと思います。今後このような事態が二度と起きちゃならないことでございまするし、二度と起こることのないよう、米軍の粛正等、米軍においても適切な措置がとられるものと考えておりまするが、政府としてもそのように強く米当局に措置をとられるように要請をしていきたいと、これが私どもの態度でございます。
  136. 立木洋

    ○立木洋君 当然沖縄開発問題にも熱心に取り組んでいただきたいと思いますし、同時にこうした問題も日本人の生命にかかわる重大な問題ですから、しっかりと努力をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  それから、今度の予算の中でいわゆる沖縄の戦後処理問題の解決に関する予算が計上されておりますが、この問題に関連して石垣市の平得という旧日本軍の飛行場の払い下げ問題に関してお尋ねしたいのですが、これはもう御承知のようにあの戦時中、事実上この取得が、いま国有財産になっておりますけれども、戦時中の状態でほぼ強制的な形で収用されたというふうな経緯もありますし、この問題に関しては現地の旧土地所有者の方々を初め関係者の方々がこの払い下げの問題について強い要望を持っているんですが、現状がどういうふうになっているのか、大蔵省の方ですか、お答えいただきたいのですが。
  137. 太田幸維

    説明員(太田幸維君) お答え申し上げます。  石垣島の旧日本軍平得飛行場跡地の件でございますけれども、大蔵省が引き継ぎを受けました旧海軍の旧平得飛行場跡地約七十五万平米ほどございます。このうち約三十九万平米を現在九十一名の方々に農地として賃貸借契約を締結して、現在この方々が耕作中である、そういう状態でございます。  これらの財産は、終戦直後の食糧生産が急務であった時期に旧地主等によって使用されまして、その後、米国民政府琉球財産管理官から許可を得て使用されてきたものを、四十七年の五月十五日の沖縄本土復帰以後においてもこれを引き続き貸し付けをして現在に至っているということでございます。  現在、これらの農地につきまして、耕作者が払い下げを受けるべく地元調整が鋭意行われているというふうに聞き及んでおります。大蔵省といたしましてはこのような地元調整、つまり旧地主の方々、それから現耕作者の方々、こういった間の地元調整が行われまして、農林水産省から耕作者に払い下げることを前提とした所管がえの協議がございますれば、その方向で今後前向きに対処してまいりたいというふうに考えております。
  138. 立木洋

    ○立木洋君 農水省の方おいでになっていると思いますけれども、この跡地をいわゆる耕作地として原状に復元するためには大変な労力あるいは費用を費やしてこられているし、できるだけ速やかな返還ということを耕作者の方々が望んでいるというふうに聞いているんですが、こうした耕作者の要望に対して農水省としてはどういうふうにお考えになっているのか、あるいはそれを促進するための何らかの手だてについて農水省としては考えておられるのかどうか、その点お尋ねします。
  139. 河合正彭

    説明員(河合正彭君) お答えいたします。  沖縄県におきます旧日本軍の飛行場用地内の農地の払い下げ問題につきましては、地元の農家の方々の要望に沿いまして、先生御案内のように、これまで宮古島の旧野原、洲鎌の両飛行場の農地約百六十ヘクタールにつきまして、自作農の経営の安定を図る立場から大蔵省から所管がえを受けまして、農地法による売り渡しを行ってきているところでございます。  さらに、本年三月一日付をもちまして南大東島の旧飛行場の農地約十四ヘクタールでございますが、これにつきましても大蔵省から所管がえを受けまして、現在沖縄県におきまして農地法による売り渡しの手続を鋭意進めている段階にございます。  御質問の平得の飛行場につきましても、先ほど大蔵省当局の方から御答弁ございましたように、現在地元におきまして鋭意積極的な調整が取り進められております。私どもといたしましても沖縄県と関係機関と連携を密にしまして、これまでの宮古島の場合と同様に、地元調整の結果を待ちまして大蔵省から所管がえを受けまして、農地法による売り渡しが円滑に促進できるように配慮してまいるつもりでございます。  また、先生おただしがございますこの所管がえを受ける場合の対価の関係でございます。御案内のように農地法によって売り渡します対価は所管がえを受けます対価と同価格になっております。そしてこの所管がえの対価は、農地法の施行令第二条で定めるところによって算出いたしております。一般的に申しまして、この算定に当たりまして、耕作者の方がたとえば山林とか原野等を開墾されていわゆる有益費を御支出なさっている場合でございますが、その場合はその実情を十分しんしゃくいたしまして対価を算定いたすことにしております。したがいまして、いまおただしの平得の飛行場の場合につきましても、従来私どもがやってまいりました宮古島あるいは南大東島の場合と同様、耕作者の方々が農地の復元のために投下されました有益費の実態に即しまして適正な価格を算定するということでございます。その点よろしく御了承賜りたいと思います。  なお、所管がえをなす場合は一番大切なことは、地元で所要の調整がなされまして、農業委員会を通じまして沖縄県におきまして所管がえを受けるという事務手続がまずやられることが一番大切なことだと思っております。したがいまして、私ども現在沖縄総合事務局を通じまして、沖縄県及び地元の石垣市の農業委員会に円滑に所要の調整をした上で、速やかに所管がえの手続に入るように指導をいたしている段階でございますので、御了承賜りたいと思います。
  140. 立木洋

    ○立木洋君 要望している払い下げについてはできるだけ速やかに促進していただきたいと思いますし、この対価計算の問題については、大変な労力、費用を費やしてきているわけですし、また同時に、いろいろとこうむった損害についても十分に配慮してやっていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。  それじゃ次に、施設庁の方見えておられると思いますが、自衛隊の沖縄地方連絡所ですね、それが現在那覇港の臨港地区内の那覇港運ビルに入居しているというふうに承知しているわけですが、この入居に至った経過、それからそのいま入居している根拠というか、その点についてちょっとお尋ねしたいんですが、いかがでしょう。
  141. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) お答えいたします。  沖縄地方連絡部庁舎につきましては、本件建物が那覇港の臨港地区にあるため建築物の建設用途変更について法令上の規制があることは承知していたので、当庁といたしましては、本件建物を賃借するに当たりまして、所有者であります沖縄総合リース株式会社に確かめましたところ、同社及び同社の本件建築物の売り主でありますところの那覇港運株式会社が、港湾管理者である那覇市長から公共または公共的団体の事務所にのみ賃貸提供するということで、本件建物を売買することについて昭和五十五年八月八日付の文書をもって許可を受けていたのでございますので、それらを確認の上、所有者から自衛隊沖縄地方連絡部の庁舎として本件建物を昭和五十六年二月に賃借したものでございます。その後沖縄地方連絡部の入居以来昭和五十六年三月国の機関は公共または公共的団体に含まれない、承認した用途に違反しているとして、それからさらに昭和五十七年一月に地方連絡部の事務所として使用することは市の条例三条に違反するということで二回にわたって那覇市長から移転勧告を受けました。その後昭和五十七年七月港湾法第四十条の二第二項の規定に基づく聴聞会の開催がありまして、昭和五十七年十二月に至りまして、地方連絡部の事務所に使用することは市の条例第三条に違反するとして、那覇市長より建物所有者に対しまして港湾法第四十条の二第一項の規定に基づき用途変更を命令するとともに、那覇防衛施設局長にその旨を通知してまいったのでございます。  なお、建物所有者といたしましては、この命令に対しまして法の手続に従って命令の取り消しを求める審査請求を運輸大臣に行っているところでございます。  以上が経過でございます。
  142. 立木洋

    ○立木洋君 ちょっといまよく聞こえなかったのですけれども、沖縄総合リースが売り主である那覇港運ですか、これが借用の許可を受けたというのは、何年の何月何日と言いましたかね。    〔理事稲嶺一郎君退席、委員長着席〕
  143. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) 売り主の那覇港運株式会社と買い主の沖縄総合リース株式会社連名で那覇市に陳情いたしまして、昭和五十五年八月八日付の文書でもって承認をいただいております。
  144. 立木洋

    ○立木洋君 五十五年の八月八日付に那覇市からこの那覇港運と沖縄総合リースが許可を受けていたというわけですが、これはその後状況の変化があって同年の十月十七日、那覇港運は売買契約が不成立であるということでこの申請を取り消されているわけですね。取り下げ書が出されておりますし、これ取り下げ書が出されたのが同年の十月の十七日ですよね。十一月の一日に那覇港運から、取り下げ後の一切の責任は弊方にあり、当局には迷惑をかけないので、よろしく取り計らってくださいという念書までが沖縄市に届けられていますが、この事実は御承知ですか。
  145. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) お答えいたします。  ただいまの件につきまして、売り主の那覇港運株式会社と買い主である沖縄総合リース株式会社が連名で陳情書を提出してあったわけでございまして、連名で取り下げたという事実はないというふうに承知しております。
  146. 立木洋

    ○立木洋君 売り主が那覇港運名をもって、つまり沖縄総合リースと連名で提出した陳情書は、売買契約不成立に伴い取り下げるという陳情書が届けられているんですよ。ですから、売買が成立してそれで初めて買い主であるリースとの連名で陳情書が出されているわけですから、それが不成立になったわけですからその取り下げが出される、那覇港運からは、今後迷惑をかけないからよろしくということになっているわけですね。そして、その後再び那覇港運と沖縄総合リースとの間で売買契約が締結されたのが同年の十二月の十日なんですよ。そして、それに基づいて、今度沖縄総合リースから売買が成立したから使用許可願いが再び出されているわけですね。それについての港湾管理者からの回答はどうなっていますか。
  147. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) その問題に入ります前に、いま陳情書が取り下げられたという件につきましては、連名で陳情書が提出されまして、連名で取り下げられた事実はないというふうに私どもは聞いておるわけでございます。それから、十二月になりまして、いま先生御指摘の使用許可願いが出たのではないかということにつきましては、申請に対しまして那覇市の担当より、昭和五十五年七月二十二日に提出した陳情書と同旨であるので同年八月八日付回答で十分であるということで受け付けられなかったというふうに、私どもは沖縄総合リース株式会社から説明を受けております。
  148. 立木洋

    ○立木洋君 施設庁の方は結局両方で契約を出していると。片一方が取り下げをした、しかし、その売買契約は不成立なんだからそれで事実上その使用許可願いが、許可されたものが有効であるというふうにあなた方は判断されるというのは私は適切ではない。  それから同時に、いま十二月十日に本契約が成立して後再び締結されて使用許可願いを提出したと、それに対しては、前回の許可を受けているというから再びそれについて改めて回答をする必要がないということをあなた総合リースからの話を聞いていると。その港湾管理者というのは那覇市なんですから、どうして那覇市に直接確かめられて、この使用が有効であるかどうかということをその時点で確認されなかったのですか。
  149. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) いま申請書の取り下げの問題その他につきまして、そういった事実があったということは私どもは後ほど承知した事実でございまして、その前に、先ほど五十六年の三月に那覇市の方から出されました勧告文書の中に八月八日付の使用許可が出されている旨述べておりますので、市自身も八月八日付の回答が有効なものであると当然理解していたものであると私どもは考えておったわけでございます。
  150. 立木洋

    ○立木洋君 だが、その当時はそう考えていたけれども後で確認してみるとそうではなかった。自衛隊の沖地連が入ったのが五十六年の二月二十日ですか、そして、市の方から実際に入居をされているのがどこであるかということを確認に来られたのが二月の二十四日ですね。そして三月の二十五日に市の方から事務所の移転についての勧告文書が施設部長に交付されているわけです。そして沖縄総合リースに対しても用途変更の勧告文書が翌日二十六日に交付されている。こういう経過になっているわけですね。  そこで、運輸省の方おいでになっていると思いますが、こういう経過の問題は抜きにして、そういう許可があったのかなかったのかという問題に関しては、これは経緯については運輸省の方はあれでしょうからその問題は抜きにして、つまり、自衛隊の沖地連がこの那覇港の港湾地区に居住するという問題については、港湾機能と一体どういうかかわりがあるのか。港湾法から見て、適当な問題のない居住だというふうに判断されるのかどうなのか、運輸省いかがですか。
  151. 山田幸作

    説明員(山田幸作君) お答えを申し上げます。  ただいま御質問の件に関しましては、沖縄総合リース株式会社及び共光建設株式会社から那覇市長が行いました用途変更命令の取り消しを求める審査請求がことしの二月十六日に提出をされておりました。私どもの方で十八日に受理をいたしております。行政不服審査法の定めております手続にのっとりまして、その後三月十二日審査請求書の副本を那覇市長あてに送付いたしまして弁明書の提出を要求しているというのが現状でございます。  このように現在この審査請求につきまして運輸省におきまして審査中でございますので、現時点で所見を申し述べることは差し控えさしていただきたいと存じます。
  152. 立木洋

    ○立木洋君 私が聞いているのは二月の十六日、あなたは先回りしてすでに審査請求が出されているからそれについてどうお考えになっているかということはまだ聞いていないのです。私が聞いたのは、いわゆる自衛隊の沖地連が港湾機能と全く関係ないのに、そこに港湾内に居住しているということは港湾法から見て妥当だと考えられるのかどうなのかということを聞いているんです。だからその経過が、許可しているか、それは許可しておれば住んでもいいということにはなるわけです。許可しているかどうかということは別にしておいて、適切だというふうに考えるかどうかということだけ答えてもらえばいい。
  153. 山田幸作

    説明員(山田幸作君) その問題につきましては、ただいま申し上げましたように審査請求が出ておりますので、この中で明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
  154. 立木洋

    ○立木洋君 では経過も含めてよく検討していただきたいと思いますが、施設庁の方ですね、つまり、経過をずっと調べてみると、若干行き違いがあったということも感ずる点があるわけですね。あなたの方では総合リースからすでに許可を受けているものだと当時は判断している。後から考えてみると、やはり許可を受けていない。当事者がそう言っているのですからこれは間違いない事実なわけですよ。ところがあなたの方では、つまり、港湾区内に居住するということが全く適していて問題がないということであるならばこれは別ですけれども、しかし、少なくとも許可権者である市が入居は有効であるということを明確に確認していないわけですし、当然国としてそういう自衛隊の施設庁の方としては、地方の公共団体の考え方ということをやはり十分に尊重してやるべきだ。当初はこういう問題に関してはどういうふうないきさつがあったかよく考えてみたいということがあったようですが、後で施設庁の方では大分態度を硬化されたというふうな話も聞いているわけですが、この点では裁判までやって徹底して争うというふうなお考えなのか、それともよく事情を確かめて、そういう経緯であるならば、そういう審査請求がリースの方から出されておりますけれども、それを取り下げて円満に解決するというお考えが全くないのか。きょうは本来ならば塩田さんに出てきていただいて、そのあたりの判断をぜひ聞きたいと思ったんですけれども、所用があるというのであなたは代理で来られておるので、十分にお答えできる回答を持ってきてほしいと言ってあるのですが、いかがですか。
  155. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) 現在建物の所有者から那覇市長の命令を違法として運輸大臣に審査請求が行われておりますので、当庁としてはその推移を見守っているところでございます。
  156. 立木洋

    ○立木洋君 長官、いまお聞きのように、つまりこれは直接運輸省にいま申請されているからということに結局はなるでしょうけれども、いわゆる国の方としては、当然地方公共団体のそういう意思を十分に尊重し、そして許可をしておる当事者が実は許可をしていないんだということを明確に指摘しているわけですから、ここらあたりの問題についてはよくお考えになって、そういう不当な裁判争いにならないで沖地連がきちっと住所を変更され、そしてビルの所有者がいわゆる用途変更ということが明確にされるようにするのが私は適切ではないかと思いますが、長官、何か御所見があればお伺いしたいのですが。
  157. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 長官は経緯を御存じございませんので、私からお答え申し上げます。おしかりを受けるかもしれませんが……
  158. 立木洋

    ○立木洋君 いま聞いていた範囲内だって答えられるんだがな……。
  159. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) この件は運輸大臣に審査請求が出されておることでございますので、沖縄開発庁として所見を申し述べる立場にございませんことを、ひとつ御了承いただきたいと存じます。
  160. 立木洋

    ○立木洋君 まあお尋ねするのは無理かと思いましたけれども、施設庁の方もそういう、余り何というのですか、かたくなな態度をとらないで、どうしてこんなかたくなな態度をとっているかというのが不思議でならないぐらいですよ。問題はきちっと当初そういうふうな態度をとっていなかったんですから、よく塩田さん、横田基地からお帰りになったら話しといていただきたい、こういうふうに意見が述べられたということを。よろしいですか。  それでは次に、沖縄米軍基地で日本人従業員が拳銃を所持しているという問題に関連してお尋ねしたいんですが、これは沖縄だけではなくして、日本全国米軍基地で日本人の従業員、つまり警備員が拳銃を所持しているというふうなことが、日本全国米軍基地の中でほかにどこどこあるのか、どういう状態になっているのか、この実態についてまず御報告していただきたいと思います。
  161. 近松真次郎

    説明員近松真次郎君) お答え申し上げます。  短銃等の所持の実態等につきましては、現在米側にも確認中でございますけれども、現在当庁が把握をしておりますところでは、かなり以前から各基地において所持させておるわけでございます。基地名を申し上げれば、北から三沢飛行場、横須賀海軍施設、厚木海軍飛行場、富士営舎地区、岩国飛行場、嘉手納飛行場、キャンプ瑞慶覧で所持させていると承知しております。
  162. 立木洋

    ○立木洋君 人数はどのくらいかわかりますか。
  163. 近松真次郎

    説明員近松真次郎君) はい。それはいま問い合わせ中でございます。警備員は全体として九百五十ばかり、九百四十九名おるわけでございますが、そのうちどれぐらいに持たしておるかというのは、いま照会中でございます。
  164. 立木洋

    ○立木洋君 拳銃を所持している米軍基地にいる日本人従業員が、事実上発砲するというふうな事態があったのかどうなのか、また拳銃を所持しているために何か事故が起こったというふうなことがあったのか、あったら何件ぐらい、どういうふうなケースがあったのか、ちょっと詳細に報告していただきたい。
  165. 近松真次郎

    説明員近松真次郎君) この短銃等の所持に関連しまして、事故があったかという御質問でございますけれども、その事故というもののとらえ方がいろいろあるわけでございます。私どもの業務関係で把握しておりますのは、いわゆる従業員が短銃を持つというような、業務をやっておって、そして業務上の事故でいわゆる従業員自身が受傷——傷を受けまして、そして労働の災害事故となったようなもの等につきまして、定例的に報告をとっておりまして、その実態を従前より把握しているわけでございますけれども、その限りにおきましては、銃等の所持に関連いたしまして、事故は現在までに発生したことがないというふうに承知しております。
  166. 立木洋

    ○立木洋君 もちろんそんな殺人事態が起こるというようなことになったら大変ですから、しかし事故というのは広く考える必要があると思うのですね。つまり自分が預かっている拳銃がどこかに置き忘れてわからなくなった、そのために従業員が解雇されるとかいうふうなこともこれは拳銃所持から起こってくる一つの事故なんですよね。あるいはその他いろいろな形で拳銃所持ということから起こってくる従業員が恐怖を受けるような状態が全くなかったのかどうなのか。だから、発砲して死傷だとかいうふうな事態になったことだけは、これはまさに事故ではないわけですから、そこらあたりの実態はどういうふうに把握されておりますか。
  167. 近松真次郎

    説明員近松真次郎君) 先ほど申し上げましたように、私どもの業務も実は限られた範囲の業務をやっているわけでございますので、その範囲において報告を受けるという形でやっておるわけでございます。その範囲におきましては、いまのように銃を置き忘れて処分を受けたとか、そういうようなことは承知していないというような立場にあるということでございます。
  168. 立木洋

    ○立木洋君 それで沖縄の場合の経過をちょっとお尋ねしたいんですが、以前所持していたと、それがまた一時期そういう所持をしないという状態がしばらくの間続いたけれども、また再び最近拳銃を所持するというふうなことで、拳銃の発砲訓練を全警備員にやらして、そして拳銃が当たれば合格すると、合格するというのは変な言い方ですが、そして当たらなかったら解雇されるかもしれないというふうな、いろいろな問題も起こってきて、大分いろいろ新聞でも書かれているわけですが、沖縄でこういうふうな再び所持されるようになったというふうな経緯はどういう経緯から起こったんでしょうか。
  169. 近松真次郎

    説明員近松真次郎君) 問題の御指摘の嘉手納飛行場についてでございますが、この飛行場におきましてはかなり以前から、復帰以後と申しますか、昭和五十四年までずっと短銃等を所持させておったわけでございます。それが五十四年に至りまして中断いたしまして、本年の二月十四日から復活したということになったわけでございます。この間の事情につきましては、米側の本来決定する政策の問題でございますけれども、その間の事情につきましては現在米軍に照会中でございます。まだ米軍から回答をいただいていないというのが現状でございます。
  170. 立木洋

    ○立木洋君 回答をいただいてないと言うけれども、いろいろ聞いてみると、いろんな事情は説明されてはいるんですね。そうじゃないですか。
  171. 近松真次郎

    説明員近松真次郎君) この業務は機関委任事務という形で県知事に委任いたしまして、具体的には県に置かれましたところの労務管理事務所が現実の米軍との交渉等を行っているわけでございます。その過程におきましていろいろな説明を受けておると聞いておるんでございますが、私どもの立場といたしましては、やはり在日米軍の司令部に確かめて、確たる返事をいただきませんと、ちょっとこういう場では御説明申し上げかねるという事情でございます。
  172. 立木洋

    ○立木洋君 米軍基地で仕事をしておる日本人従業員が拳銃を所持するということが、米側から所持が求められる、これは所持している、つまり日本人が所持しているわけですから、日本人が所持している法的な根拠というのは、これは条約上どういうふうになっているんですか。
  173. 加藤良三

    説明員加藤良三君) お答え申し上げます。  在日米軍の施設区域内においても先生御案内のとおり銃刀法なんかを含めまして国内法の適用が属地的に排除されているということはないわけでございますが、しかし合衆国は地位協定の第三条に基づきまして、施設区域内で警護のために必要なすべての措置をとることができるということになっております。米軍が警護のため必要な措置の一環として、日本人の警備員を銃砲等を携行の上、施設区域内において警護に当たらしめているということなんでございますが、これは地位協定上認められるところでございまして、私どもはそのような日本人の警備員による銃等の所持は国内法との関係でも問題はないというふうに承知いたしております。
  174. 立木洋

    ○立木洋君 第三条の解釈ですが、合衆国は「必要なすべての措置を執ることができる。」だけれども、これは日本人に警備をかわらせるという措置をとることができると、日本人にとは書いてないんですよね。問題は、だから本来ならば米軍が警備をする、必要な警備をするということなんですけれども、米軍のそういう機能というか役割りを日本人従業員にかわらせる、代行させるということはこれはやはり大変なことになるんではないだろうか。たとえば基地の警護に日本人従業員を代行させる、そうしたら基地に対するいろいろな問題が起こった場合に、日本人の自衛隊に代行させるだとか、だんだんだんだん幅を広く解釈していくと、これは問題が起こってくると思うんですよ、第三条の解釈は。米軍ができるんです。雇っておる日本人の従業員にそれを代行させてもいいというふうなことにはこれは解釈できない。これは拡大解釈していくと大変なことになるだろうと私は思います、第三条の解釈。  それから同時に第三条の解釈をめぐって、たとえば日本人従業員に警護のために拳銃を所持させるという問題についての何らかの別途の合意があったのかどうなのか。それがあればそれをお示しいただきたいし、それがなくしてここの解釈だけでそれをやられているというのは、これはちょっといただけないのではないかと思うんですが、いかがですか。
  175. 加藤良三

    説明員加藤良三君) お答え申し上げます。  若干繰り返しになって恐縮でございますが、地位協定の第三条に基づきまして、施設区域内において警護のために必要なすべての措置をとることが米軍はできるわけでございます。米軍がそのような米軍としての警護のため必要な措置の一環として、日本人警備員に銃砲等を携行せしめまして、施設区域内において警護に当たらしめるということ自体は、地位協定上認められるところでございます。すなわち、そのような日本人警備員によりまする銃砲の所持というものは、銃刀法上鉄砲の所持が認められている、銃刀法第三条第一項第一号、ここに言いますところの「法令に基き職務のため所持する場合」というものに該当するものであるというふうに私どもは考えているわけでございまして、銃刀法上、すなわち国内法上特に問題はないというふうに考えております。  それから第二の点でございますけれども、本件につきましては米軍の日本人警備員が銃砲等を携行することについて、合同委員会における合意というものがあることは事実でございます。
  176. 立木洋

    ○立木洋君 それならばちょっと角度を変えてお尋ねしますけれども、先ほど言われた、つまり従業員の場合でも国内法から適用を除外されているわけではないということで、基地内における日本人の従業員が公務中に米軍の規則、命令によって、つまり日本人に対する武器が使用される事故、事件というのが発生されることが想定されるわけですね。日本人従業員についても、自分が拳銃を所持しているためにあるいは襲われるという常にやっぱり危険を持っているだろうと思うんですね。こういう気持ちというのは、理解できるだろうと思うんですよ。これは、ですからそういう米軍の命令、規則に基づいて日本人の従業員が行うこうした一切の行動というのが、日本人の法律によってすべて適用されるのかどうなのか、あるいはそれ以外のことがあり得るのかどうなのか、その点の判断はどなたにお聞きしたらいいのですか。
  177. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 先ほどちょっと申し上げました合同委合意でございますけれども、昭和二十七年の十二月三十日に開催されました第三十四回の日米合同委員会におきまして日本人警備員に関する取り決めが行われておりますが、その内容は、米軍による武装警備員の雇用というものは、米軍が使用中の施設区域内——施設区域の中でございます、施設区域内で必要最小限度にとどめ、武器の使用ということにつきましては、日本国の刑法の第三十六条第一項の正当防衛及び同刑法第三十七条第一項の緊急避難、これに該当する事態が発生した場合に限られると、そして武器の取り扱いそのものに関しましては、米軍当局が責任を持って取り締まるということになっているわけでございます。そういうわけで、非常に制限されているということでございます。
  178. 立木洋

    ○立木洋君 基地に入っている従業員というのは、これは日本でたとえば銃を所持しているというのはいろいろありますよね、警官なら警官が所持している。この場合には非常にきちっとした訓練がやられているわけですね。そして法律についてのきちっとした自覚を持ってもらって。勝手に使ってもらったらこれは困るわけですから。ところが日本人従業員として入っている場合、何回かパンパーンとピストルを肇たして、よく当たったと、それなら結構だといって拳銃持たしているんでしょう。どういう場合にのみ拳銃を所持していいかなんというふうなことを本当に日本の当局として責任持てる状態にあるのかどうなのかというふうなことになってくると、やっぱり問題があるだろうと思うんですよ。これはいま言ったような場合にのみしか使用が適用されない云々というような内容から見ても、それはやっぱり問題が残るだろう。  それで、もう一遍、先ほど来ちょっと言ったことを正確に聞かなかったんですが、日本人の武器の携帯そのものが銃刀法に違反しているのではないかということと関連して、この銃刀法には、法令に基づく職務に関する所持は認められるというふうにしているわけですね、「法令」と書いてあるわけですね。これは条約ではないんですね、地位協定というのは一種の外国との取り決めですから。ですから法令として、いわゆる特別な法令に基づく職務に関する所持は認められるとしておる銃刀法の解釈からして、地位協定の三条でそれが所持が認められているということがいわゆる合法的なのかどうなのか、全く違反性がないのかどうなのか。ここで言う「法令」とは、つまり法律以下のものを指すというふうに銃刀法の「法令」は解釈できるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  179. 加藤良三

    説明員加藤良三君) 後半の質問にお答えいたします前に前段の点について一言だけ御説明させていただきたいと思いますが、先ほど私申し上げましたとおり、武器の取り扱いというものに関しましては、米軍当局が責任を持って取り締まるということになっておるわけでございます。日本人の警備員が銃砲等を使用することが認められますのは、これまた先ほど申し上げましたとおり、正当防衛または緊急避難に該当する場合に限られているということでございまして、このことにつきましては、米軍当局から日本人の警備員に対して当然しかるべく周知徹底されているというのが私どもの理解でございます。  それから後段の御質問でございますけれども、銃刀法の第三条第一項第一号と先ほど申し上げました。「法令に基き職務のため所持する場合」というものは、地位協定第三条に基づく施設区域内における警護のため必要な措置として日本人警備員が警護のため銃砲を携行するということも含むものであるというふうに私どもは解しております。
  180. 立木洋

    ○立木洋君 その後段の説明というのは、十分にこれは理解できないですね。  それから、それじゃちょっと警察の方おいでになっているかと思うんですが、具体的に一つの想定をしてみますと、日本人の従業員が基地内で——仮に公務中としますか、そこで銃を発砲して相手を殺してしまったというふうな場合のこの日本人従業員の刑事責任という問題は一体どういうふうになるんですか。
  181. 金田雅喬

    説明員(金田雅喬君) 仮にいま御質問にありましたように、日本人の従業員が拳銃を使用して犯罪を犯したという事態が発生いたしました場合には、警察当局といたしましては捜査をいたします。基地の内外を問わず捜査をいたします。
  182. 立木洋

    ○立木洋君 もちろん、捜査をするということはそれはそうでしょうけれども、これは基地内だからって日本の捜査権が及ぶんですか。事実上問題が、いまでも米兵の場合にはああいうトラブルが起こってますけれども、日本人従業員の場合には、一切問題なくこれが米軍の命令で行われた等の関係米軍が問題を考えて、その起こした犯罪人が引き渡されないというふうな事態はないんでしょうね。どうですか。
  183. 金田雅喬

    説明員(金田雅喬君) 日本人がやりました場合に日本の警察当局が捜査をいたしますのは当然でございます。  ただ、御承知のとおり、地位協定等によりまして、米軍が使用し、その権限に基づいて警護している施設区域内につきましては捜査が若干制限を受けます。これは被疑者の逮捕それから捜索、差し押さえ、検証を行う場合には米軍の権限ある者の同意を得るかあるいは嘱託を得てやるということになっておりますので、その点での制限はございますが、わが国の警察当局が捜査を行うのは当然でございます。
  184. 立木洋

    ○立木洋君 基地内で起こったそういう日本人従業員が拳銃を所持している事態については米軍として完全に取り締まるというふうに、先ほど、米軍当局が取り締まるということを述べられましたけれども、それが起こった事故、つまり犯罪ですね、これは警察の方で捜査をして、取り締まって日本の法律が適用されるということになるんですか。どうです。
  185. 金田雅喬

    説明員(金田雅喬君) そのとおりでございます。
  186. 立木洋

    ○立木洋君 そうしたら、いま日本人従業員が仮に発砲して相手を傷害さした場合ですね今度は、自分は撃ったけれども相手に撃たれて殺されたと、自分が、従業員が。この場合の、たとえば捜査だとか補償だとかいうふうな事態というのはどういうふうになるんですか、その法的な適用は。
  187. 金田雅喬

    説明員(金田雅喬君) 補償の問題は、私どもの方では所管外でございますのでお答えをいたしかねますけれども、犯罪が行われました場合には、被害者あるいは被疑者にどちらになりました場合も警察当局として捜査を行うのは当然でございます。
  188. 近松真次郎

    説明員近松真次郎君) 補償の問題でございますが、当然業務上ということであれば業務災害補償の対象になるというふうに考えております。
  189. 立木洋

    ○立木洋君 いまこれは基地内の問題ですね。  今度は、そういう日本人従業員が一つの基地から一つの基地に米軍の車両に乗って移動しておると。今度は基地外に出るわけですよね。拳銃を持っているわけです。そういう事態が想定されて、そこで事故が発生し、相手に傷つけるだとか、相手から傷つけられるとかというふうな場合の法的な適用だとか、捜査だとか、その問題は、基地内では今度はなくなるわけですが、その点は基地内との若干の違いが出てくるのかどうなのか。どういうふうにそれをお考えになるのか。
  190. 近松真次郎

    説明員近松真次郎君) 法的な問題の前に、事実問題といたしまして、日本人警備員が軍用車等で基地間を移動するというような場合がありましても、そのときには拳銃等を帯同するということはしておりません。その場合は、あくまで管理者としての米軍人が格納箱に入れまして、そして責任者がそれを保管して現地に行くと、こういう形になっておりますので、そういう事態が起こることはあり得ないというふうに考えております。
  191. 立木洋

    ○立木洋君 もう時間がないので、本当にいろいろな場合を想定してもっと詰めてお聞きしたいのですけれども。一つは、いままでそういう事故が起こっていなかったということは、これは不幸中の幸いだろうと思うのです。しかし、実際の状態というのは、先ほど言われた人数、九百五十名近くですね、九百四十九名の日本人従業員が拳銃を所持している。それはもちろんいろいろなことは聞かされているでしょうけれども、とっさの場合に日本の警察官ほど訓練された事態にはやっぱりなっていないだろうと思うのですよね。いろいろな不慮の事態が起こるということは、これは想定をされる、やっぱり拳銃を所持しているから。そしてその場合に相手に危害を与えるだとか、あるいはみずからがそういう傷を受けるだとかというふうな事態になった場合に、補償の問題だとか、あるいは法律の適用の問題だとか、これに米軍が介入してくるからいろいろ複雑な問題が起こって、日本人の従業員、つまり警備のために従事している人々にいろんな意味でこの問題がかかってきて、従業員にとってマイナスの事態が起こる。また、ある場合によっては命を落とした場合、家族の方にも大変な事態がやっぱりかかるということが考えられるのが私は当然だろうと思うのですよ。そうだとすると、日本の政府当局がそういうまさに危険な事態、犯罪が起こされた、そしてそれを取り調べを受けるという事態になるような状況に日本人従業員をつまりそういうところに雇わして追い込んでいっているわけですね。だから、本来ならばそういうふうな日本人の生命だとか財産、いろいろな権利等々を保護し保障しなければならない日本の政府が、いわゆる危険な状態に日本人を米軍の従業員として働かせるということは、これはいかにも私は問題だと思うのですよ。ですから、そういう基地内における警護、つまり拳銃を所持して警護に当たるというのは、これは米軍がやるべきであって、日本人従業員にはさせるべきではない。実際にそういう事態が起こって、死傷事態が起こって問題になってからでは遅いわけですから、そういうふうなことについては、拳銃所持についてはきちっと米側に断るというぐらいな見識のある態度は私はとっていただきたい。これはいろいろと地位協定を盾にして答弁されるかもしれませんけれども、この点について、外務省と、それから施設庁ですか、それからこういう問題について事故が起こる前にやっぱり問題を解決すべきだ、沖縄にはこういう基地が密集していますから、そういう点で何か長官の御所見があれば、最後に長官の御所見も伺っておきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。まず、外務省と施設庁と。
  192. 加藤良三

    説明員加藤良三君) もとより、事故というもの、いま御指摘のようなケースも含めて、事故というものが生ずることがあってはならない。そのために基地施設区域の管理権というものを持っております米軍がその管理に遺憾なきを期することは当然でございまして、私どももこれは一般的な意味で常々米側に申し伝えていることでございます。ただ、現実に日本人の警備員というものに銃砲を全く持たせないで済むというような事情に米軍があるのかどうか、そこはやはり米軍の政策の問題ということがあろうかと存じます。その際、私どもといたしましては、地位協定の先ほど来申し上げました観点に立ちまして対処していくということになるわけでございます。
  193. 近松真次郎

    説明員近松真次郎君) 従業員の雇用、管理を行っておるという立場におきまして、米軍に対しましては機会あるごとに慎重に配慮されるように要請していきたいというふうに考えております。
  194. 立木洋

    ○立木洋君 長官、何か御所見は。
  195. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先生のお話を聞いておりましても、いろいろの場合が想定されまするので、どういうときでも対処できるようにこれは考えておかなくちゃならないことだと思います。  そこで、ただいま役所の方からもお答えさしていただきましたので、私どもも、沖縄にはたくさんの基地があって、問題が起きてからああこう言っておってもいけませんから、できるだけ起きない前にいろいろの場面を想定いたしまして大いに各省庁との連携を保って検討していくようにしたい、こう思っております。
  196. 立木洋

    ○立木洋君 時間が来ましたから終わります。
  197. 三治重信

    ○三治重信君 予算の委嘱審査に当たりまして、私、本当に幸か不幸か沖縄というのはまだ一度も行っていないんで、第二次計画の初年度に当たる予算書を拝見して、その予算の配分等から一応説明を聞きたいという項目をつまみ出しまして御質問するわけでございます。あらかじめそれをひとつちょっと念頭の上御答弁いただければ大変ありがたいと思います。  それでまず最初に、環境衛生施設の関係ですが、上水道、簡易水道の開発予算が非常に多い。下水道の方が割合は少ない。本土から見ると非常に下水道の方へ事業費が強くいっていて上水道関係予算というのはだんだん少なくなっていくのが普通じゃないかと思うんですが、これはどういう理由で上水道、簡易水道事業を非常にこれだけ重要視されなくちゃならぬのか、いままでの水不足の関係かとも思いますが、その点を御説明願いたいと思うんです。
  198. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 最初に沖縄県における水道、下水道の普及率について申し上げておきますが、昭和五十六年度末現在の上水道普及率は九八・一%でございまして、全国平均の九一・九%を上回っておる状況でございます。また下水道普及率につきましては三四%でございまして、全国平均の三一%を上回っておる状況でございます。ただ、ただいま御指摘がございました沖縄の場合は上水道の予算額が下水道の予算額を大きく上回っておるではないかと、これは本土などと比べると逆ではないかと、こういう御指摘であろうかと思いますが、実情は御指摘のとおりになっております。その原因でございますが、三治先生ちょっとおっしゃいましたように、沖縄の場合は近年しばしば干ばつに見舞われております上に、復帰後人口の増加が著しい上に観光客が大変増加いたしまして、そういうことで、ここのところはおかげさまで小康を得ているわけでございますが、しばしば水不足に悩まされておりましたので、沖縄の水不足問題を早急に解消するために上水道事業におきましては、現在水源開発のためのダムの建設の負担金を出し、あるいは本島北部の西海岸の河川表流水を取水いたします西系列水道水源開発施設整備事業という大きな事業を推進いたしております。こういうことで上水道施設整備予算額が増大しておるわけでございます。  なお、沖縄の下水道の方も、普及率がいいからといって手を抜いているわけではございませんで、これは復帰以前からずっと下水道の整備は行われているわけでございますが、先ほど申し上げましたような普及率ではありますけれども、今後、上水道といいますか、生活用水、都市用水の需要も増大するわけでございますから、あわせて下水道事業の整備も進めてまいりたい、かように考えております。ちなみに五十八年度におきましては、中城湾流域下水道事業という新規の事業に着手するなど所要の予算額を計上いたしておるところでございます。
  199. 三治重信

    ○三治重信君 わかりました。水源開発、水源涵養のためにやって、普及率は必ずしも悪くはないんだ。非常に結構なことですが、やはり水というのが生活安定、安心上非常に重要なことだと思うんで、そういうことなので結構かと思います。  次に、農業関係それから漁業関係開発予算なんですが、やはり主力は土地改良に置かれておる、いままでの農業本土においてもちっぽけな田の面積を大きな一枚にして、これは田畑ともども機械が利用できるようにする、また灌漑の施設をつくってやって土地の生産性を上げる、こういうことがやはり農業生産性を高める一番大きな効果があることだと思うんですが、ただ、ここの中でひとつ私は奇異に感ずるのは、初め予想したより金額は大したことはないんですが、戦後本土で非常に重要視した荒蕪地を農地に切りかえようという開墾、開拓、これは開発と書いてあるんですが、こういうのをいままで本当に相当重要な開田というんですか開畑をやはり計画で相当盛り込んでいたのか、また第二次計画では相当まだ盛り込んでいるのか、私は、畜産との関係でこういう島の地域は、やはり畑、たんぼをつくってもなかなか生産性のある農業というものは非常にむずかしい。むしろ島の草地、草の実態を改良する方に力を入れて、放牧関係や畜産関係の方をやるのが島嶼の農業関係では非常に必要なことじゃないかと思っている、重点をそちらへ置いて行われているようでございますけれども、そういう点の比較考量について、どういうふうに農林省は考えられておるのか。  それから、これは事前に通告はしてなかったんですが、この中に、下の方にちょっと、何というのですかね、農用地開発公団に、非常に畜産基地建設事業というのはえらいたくさんな金額が入っているわけなんですがね、農用地開発公団事業費補助というのが。これは初めはちょっと見落としておったんですが、それも含めて一、二の例を挙げて、そういう農地の開発という開拓よりか畜産関係の草地の開発という方に力を入れていく方針なのであるかどうか、また、私は、そういうことを本土の戦後の土地改良、それから農地利用の進展状況から見て沖縄開発にも、もっと本土より開発条件の悪いところなんだから、そういう方向がとられるべきじゃないかと、こういうふうに、観念的かもしれませんが、思うわけであります。それと、島嶼の開発ということは、将来日本の、わが国の生活程度が上がっていくとともに肉の問題が非常に出ておるわけなんですが、海外との対抗上も生産性の高い畜産ということになるとやはり島嶼の牧草地の造成、それから草地の改良ということによって肉の供給を図っていく対策が一番これはいいんじゃないかというふうなことを思っているわけなんですが、それについてのひとつ、予算から見てそう感ずるわけなんですが、いかがですか。
  200. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) いま先生仰せになられましたように、農用地開発事業が三十九億ばかりあるわけでございますが、これは畜産関係が圧倒的に多うございます。畜産関係を除きますと十四億ばかりでございまして、ただいま御指摘がございました十八億の農用地開発公団事業費補助は、これは畜産基地の建設でございまして、現在石垣島、それから本島北部等におきまして畜産基地の建設を行っておりますので、いま御指摘のような草地の造成というようなことを鋭意進めておるところでございます。  それで、それでは残りの十四億の方はかつての開拓的なそういう農用地の開発をやっておるんではないかと、こういう御指摘かと存じますが、私ども沖縄農業のビジョンといたしましては、生産性の高い亜熱帯農業を確立するということに目標を置いておりますので、沖縄農業基盤整備につきましても当然基幹作物でございますサトウキビ等を中心に生産性の向上を図るということを目途として事業を実施しているわけでございまして、事業の実施に当たりましては、まあ先生恐らくこういうお考えではないかと思うんでございますが、既耕地の整備というものに重点を置いております。ただ、既耕地が少ない離島であるとか沖縄本島中北部の山岳地帯と申しますか、そういうところにおきましては、中核農家の経営規模の拡大と、こういう観点からも農用地の開発が不可欠であるという面がございますので、これらの地域におきましては、既耕地の整備とあわせまして一体的に農用地の開発推進しておるというのが実情でございます。
  201. 三治重信

    ○三治重信君 次に、畜産と並んでやはり沖縄産業としては島の間の海の利用ということが、それによって魚類の栽培、魚田といいますか、魚礁ばかりでなくて、新しくやはり海を、魚の畑と申しますか、栽培漁業、こういうもののアンビシャスな開発計画を持ったらどうかと思うわけなんです。日本は漁業では世界一というけれども、これは、どんどんどんどんとることに技術が発達して、どこへ行ってもうまいところをとるから、それはとった限りにおいては非常に生産性も上がり漁獲高も上がったけれども、これは、まあ、ことに二百海里の経済水域の世界各国の宣言とともに非常に国際的にもやっかいな問題にもなるし、それはひいてはそういうふうな漁業の保全ということに世界各国が重視をするもとだと思うんです。そうすると、日本の漁民はとることはうまいけれども、とってしまった後仕事がなくなると、こういうことになろうかと、理屈上。そうすると、沖縄で、海はきれいだし、亜熱帯だし、それから島がたくさんあって漁業基地もできるし、そこに沖縄の沿岸漁業を漁田開発のモデル地域としてやると。国内で非常にたくさん最近栽培漁田的なことでやっているんだが、どうも水も清浄化がうまくいかぬものだから流排水や海の水の汚染による公害によって栽培した魚が被害をたくさん受ける。貝類もたくさん受ける。こういうようなことが頻繁に起きておるわけなんで、きれいな沖縄の方で、もっとそういう亜熱帯地域で大量に栽培できる条件というようなものについてやはり意欲的な試験開発計画が行われるべきだと思うんですが、そういうものについては、どうも見ていると、いままで予算で打ち切られたものもあるし、それから規模農業関係から見ると、海面の方がうんと広いにもかかわらず規模が非常に小さい構想になっているんじゃないかと、こういうふうに思うわけなんですが、いかがでございますか。
  202. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 確かに、沖縄は広大な海、しかもわが国唯一の熱帯性海域を周辺に持っておるわけでございます。島の周辺はサンゴ礁の浅海域が形成されておりまして、冬季でも水温が高く、魚の成長が早いという、水産業にとりまして有利な条件もございます。しかしながら、反面におきまして黒潮の影響によりましてプランクトンが少ないため多獲性の魚などの資源量が乏しく、また本土市場から遠く離れており、かつまた各島嶼が広大な海域に散在しておりますために流通コストが割り高になるというような不利な条件もあるわけでございます。そこで、私どもこのような条件のもとにある沖縄の水産業振興を図る上において何が有効かということを考えておるわけでございますが、まさに先生から御指摘がございました沖縄の温暖な自然条件の特性を活用した増養殖業あるいは栽培漁業の振興を図ることがきわめて重要であるというぐあいに考えております。そういうことから、従来から沖縄開発庁といたしましては沿岸漁場の整備開発推進しているところでございます。数字と申しますか、開発庁が力を入れておるということを御理解いただくために申し上げますが、沖縄におきます沿岸漁場整備開発事業の全国に対するウエートは三・四一%でございます。これは沖縄の漁業生産額のウエートが〇・八%、それからまた沿岸漁業及び海面養殖業の生産額のウエートが一%ということからお考えいただいても、私どもかなり力を入れておるということを御理解いただけるかと存じます。  なおまた、これは農林水産省の予算でございますが、現在沖縄におきまして国営及び県営の栽培漁業センターの施設整備が進められております。こういう方面につきましても関係省庁と連絡をとりまして、今後推進を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  203. 三治重信

    ○三治重信君 魚の種類を具体的に聞いてもわからぬかもしれないけれども、特別有望な魚の種類というのは、栽培の魚の種類は計画しておられるんですか。
  204. 三富亘

    説明員(三富亘君) いま沖縄開発庁の方から御答弁ございましたけれども、沖縄の沿岸漁業の振興を図るために沿岸漁業の生産の基盤でございます沿岸漁場の整備開発というものを計画的に進めるということでございまして、第二次沿岸漁場整備開発計画に基づきまして魚礁の設置だとかあるいは増養殖場の造成推進しておるわけでございます。五十七年度におきましては、総事業費十一億九千四百万円、これはそのうちの国費が七億九百万円ということでございまして、全国におけるシェアが三・三六%であったわけでございますけれども、五十八年度におきましてもこれはさらに充実するということで、総事業費十二億六百万円、うち国費が七億二千四百万円でございまして、先ほどの御答弁にございましたように、全国におきまするところのシェアが三・四一%の事業を実施する予定でございます。  また、沖縄の温暖な海域の特性を生かしました栽培漁業の振興を図るために五十五年度に沖縄県栽培漁業センター、これは対象魚種はミナミクロダイ、ハマフエフキ、それからクルマエビ等でございます、の建設に着手をいたしまして、これは五十八年度に完成の予定でございます。それから、五十七年度からは国営栽培漁業センター八重山事業場、これは石垣島でございます。八重山事業場でもって対象魚種はカンパチ、それからクロマグロ等を予定しておりますし、なお沖縄の特産でございますマチ類だとかハタ類、それからノコギリガザミの種苗生産をする予定でございます。なおまた、五十八年からは八重山の平良市におきまして地域への栽培漁業の定着を目指す地域栽培漁業推進パイロット事業、これは対象魚種はミナミクロダイでございます。そういうものに着手してまいる予定でございます。
  205. 三治重信

    ○三治重信君 意欲的な部面といいますか計画は着手されているようなんですが、私はやはり国内では漁業権とか非常に込み入っているし、一番いけないのはもっと環境庁がしっかりして、水をきれいにして海へ流さないと漁業としてはどうしようもならぬのじゃないかと思うんです。そういうものから離れてやはり日本の漁業の将来を期待するということになると、やはり北海道沖縄だと思うんですが、北海道関係は昔から相当サケを中心にして栽培関係が進んでいるわけなんです。南方の方の生育の早いところで、こういうようなたん白資源が畜産とともに日本のいままで農水省が味わったことのない新しい部面を、この開発にまあ便乗するというわけじゃないんだけれども、やはり沖縄の特色を開発事業の中へ取り入れるということは非常に私はいいことじゃないかと、まあこう思って御質問をしてその点について御努力されておるようでございますので、敬意を表する次第であります。  それからもう一つ沖縄の問題は、やはり観光事業だと思うんです。日本の最近の観光事業、これは観光会社によって世界をまたにかけて日本人を連れ出す宣伝をやっているし、また、東南アジアを初め隣国の中国でも日本人観光客を誘致すべく相当積極的な観光開発事業をやっているわけなんです。私も沖縄開発というものを考えた場合に、この観光事業というものも非常なキーポイントの一つじゃないかとかねがね思っているわけなんです。この予算を見ると空港整備事業が一つぽつんと入っているだけだ。そうして聞いてみると、国内と同じようにホテルだとかというものは、それは民間人が勝手にやれ、それから、道路や公園とか、それはそれぞれの事業でやっているんだから、観光事業として特別大きな項目として出してないけれども、全体としては相当沖縄道路整備や公園の整備によって観光の環境改善されているんだ。まあこういう説明なんですが、確かにそうでしょう。しかし、きょうは議論をするために用意はしていないんですが、感触として日本の観光会社が観光客をどこへ主力をもって導いており、そしてこれはやはりどういうふうなところへ持っていけば観光会社としても事業が成り立つのかということを採算ベースにして日本の観光客を世界へばらまく事業に熱中するわけなんです。まあ沖縄は、これにちょっとむしろ最近は押されぎみになりやせぬかと思っているわけなんです。その具体的な例は、戦後失ったグアム、サイパン、その他南太平洋の諸島、まあいままで名もないような諸島にまで航空会社なり観光会社が非常な宣伝にかかっておる。香港、マカオというようなのは、ちょっと何といいますか食傷ぎみになってきた。こういうふうになってくると、沖縄なんかも南消の諸島がそういう開発拠点としてどんどん総合的に観光施設が整備されてくる。これにおくれるということになると、私は沖縄がいかにやっても観光開発というものがこれはなかなか取り戻せなくなると思っているんです。やはり急がないといかぬと思っておるわけなんですが、そういうことについて今度の第二次計画で、沖縄県で日本人の客ばかりでなくて東南アジアの客でもどんどん飛行機で乗ってきて、ひとつ遊んでもらいたい、沖縄状況を見てもらいたいというような意欲的な観光開発というものを開発事業としてやって、それによって観光会社がほかから、世界に観光案内を出して観光客を誘致する、こういう計画がこの十年の間にも意欲的に行われるかどうか、それが心配で、ちょっと御説明を得たいと思っております。
  206. 吉田征夫

    説明員(吉田征夫君) 沖縄の観光の状況でございますが、いま海外との比較でお話があったわけでございますが、国内観光全体を見てまいりますと、大変現在冷え込んでおるといいますか、需要そのものが横ばいないし漸増というような状況でございます。ところが、沖縄に関しましては海洋博以降若干落ちたんですが、その後直ちに盛り返しまして、毎年きわめて順調な伸びを示しておりまして、必ずしも先生の御危惧のような形にはなっておらないわけでございます。  まあ、この要因といたしましては、やはり一つは、亜熱帯性の自然風土、海に代表されます亜熱帯性の自然風土と、それから沖縄独特の人文資源という、こういうものが本土にない非常に大きな観光魅力ということでございますので、この資源を今後保護育成していくのであるならば、十分今後とも大きな見通しが得られるんではないかというふうに考えております。
  207. 三治重信

    ○三治重信君 では最後でございますが、ひとつ長官、私お願いしておくんですが、開発事業というのはやはりその土地のムードによって非常に観光客は動いていくと。いま話がありましたように順調にふえているということなんだけれども、やはりこれは沖縄開発事業として、また将来においても日本の本当に観光基地としてこの十年にやっておくべきだと思うんです。強く大きくやっておくべきだと思うんです。そういうことについて所信をちょっと伺って質問を終わりたいと思います。
  208. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) ただいま三治先生の御質問やら御意見の中に、沖縄開発がいかに今後重要なことであるかということでございますが、私も三治先生と全く同じ意見を持っております。日本としては今後のすばらしい観光地域であり、またそれを生かさなくちゃならぬと、こう考えておりますので、いろいろと当局から御答弁いたしましたようなすべての点をできるだけ国も力を入れて整備いたしまして、沖縄地域を生かして発展をするように観光事業に力を入れていくようにいたしたいと思います。  そこで、私も先生にお願いしておきたいのですが、沖縄開発北方問題の委員会に席を置いていただいて、熱心にこうして取り組んでおっていただく先生が、それは長いことお役所に見えた当時は占領下であって行けなかったかもしれませんが、もう日本に戻って十年になりますから、どうぞこれだけ力を入れていただいている先生に、ぜひとも沖縄へも足を運んでいただいたらどれだけ喜ぶか、非常に沖縄の人が喜びますから、また力にいたしますから、ぜひともひとつ時を見てお出かけくださるようにお願いをしておきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  209. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 他に御発言もなければ、これをもって、昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、北方対策本部沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 佐々木満

    委員長佐々木満君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会