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1983-05-09 第98回国会 参議院 運輸委員会、社会労働委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月九日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。    運輸委員会     委員長         矢追 秀彦君     理 事                 伊江 朝雄君                 江島  淳君                 青木 薪次君                 黒柳  明君     委 員                 高平 公友君                 竹内  潔君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 瀬谷 英行君                 立木  洋君                 伊藤 郁男君                 田  英夫君    社会労働委員会     委員長        目黒朝次郎君     理 事                 田中 正巳君                 村上 正邦君                 対馬 孝且君     委 員                 石本  茂君                 梶原  清君                 佐々木 満君                 斎藤 十朗君                 関口 恵造君                 和田 静夫君                 中野 鉄造君                 沓脱タケ子君                 三治 重信君                 山田耕三郎君    国務大臣        厚 生 大 臣  林  義郎君        運 輸 大 臣  長谷川 峻君        労 働 大 臣  大野  明君    政府委員        内閣審議官    林  淳司君        行政管理庁長官        官房総務審議官  竹村  晟君        行政管理庁長官        官房審議官    古橋源六郎君        北海道開発庁計        画監理官     竹下  淳君        大蔵省主計局次        長        兼内閣審議官   宍倉 宗夫君        文部省大学局長  宮地 貫一君        厚生省社会局長  金田 一郎君        厚生省年金局長  山口新一郎君        運輸大臣官房総        務審議官     西村 康雄君        運輸省鉄道監督        局長       永光 洋一君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  棚橋  泰君        運輸省自動車局        長        角田 達郎君        労働省労政局長  関  英夫君        労働省労働基準        局長       松井 達郎君        労働省職業安定        局長       谷口 隆志君        自治大臣官房審        議官       田中  暁君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        行政管理庁長官        官房審議官    佐々木晴夫君        大蔵省主計局共        済課長      野尻 栄典君        大蔵省主計局主        計官       藤井  威君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      繩田 國武君        日本国有鉄道常        務理事      橋元 雅司君        日本国有鉄道常        務理事      三坂 健康君        日本国有鉄道常        務理事      竹内 哲夫君        日本国有鉄道常        務理事      岩瀬 虹兒君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案(第九十七回国会内閣提出、第九十八回国会衆議院送付)     ─────────────    〔運輸委員長矢追秀彦委員長席に着く〕
  2. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) ただいまから運輸委員会社会労働委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は、お手元に配付いたしましたとおりでございますので、御了承のほどをお願いいたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、連休の間、若干旅行をいたしましたが、どっさり議事録をもらいまして、衆議院議事録を全部、与党野党政府答弁を含めて読ませていただきました。全部議事録を読んでいますから、時間も限定されておりますので、要点質問いたしますので要点を御答弁願いたいし、特に高木総裁は非常に親切丁寧に答弁するのは結構なんですが、質問三分、答弁十分ではどうにもなりませんから、これだけはひとつ国鉄側にお願いしたいと思います。  それで、冒頭、私も昭和十二年に国鉄に入って、紆余曲折あったにしても、三十何年間国鉄で働きましたし、かまたきもしましたし、D五一も運転しましたし、戦争中も運転やりましたし、戦後もやりました。そういう意味では、戦前、戦中、戦後を含めて国鉄とともに生きてきた人間でありますし、それだけに愛着も感じます。また、問題点についても、与党野党組合を別にして、それなりに関心を持って今日まで来たと思います。しかし、どうしても議事録を読んで私は納得ができないものは、国鉄昭和三十九年以来赤字になりまして、いろいろ議論してまいりました。その議論過程で、国鉄運賃緩和法あるいは現在の経営改善に絡まるいわゆる三十五万人体制などを含めて議論をしてまいりましたが、どうしても私が冒頭大臣にお願いしたいのは、三十九年以来、衆参両院でいろんな議論をしてまいりました。その議論した中で、政府が本会議並びに運輸委員会あるいは予算委員会あるいは連合審査、こういうもので答弁してきたいわゆる国鉄問題に関する政府責任というのは、やっぱり今日でも一貫して自由民主党内閣でありますからその責任所在は現存をしておる、中曽根内閣においても。遠くは、私が初めて運輸大臣に会ったのは、いま議長をやっている徳永大先輩が運輸大臣で、当時国会に参りました。それから高木総裁大蔵省の事務次官をやっておった当時は、動労委員長として何回か大蔵省に出向いたしまして、あなたと議論した経過もあります。  そういう問題を含めて、やっぱり冒頭、この法案審議に当たって、そういう国鉄問題に関する昭和三十九年の赤字以来、衆参両院のすべての機関で言われた自由民主党答弁というのは今日も生きている、こういうふうに確認したいと思うのでありますが、大臣総理大臣が一番いいのですけれども、ここは連合審査ですから、総理大臣中曽根さんを代表して、ひとつ国務大臣としてあるいは運輸大臣として、運輸大臣に、まず冒頭、見解を聞きたい、こう思うのであります。
  4. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 国鉄赤字となって以来の、政府といいますか、自由民主党責任を問われたわけでありますが、その時代時代、皆、大臣があなたにお答えしておった状況があろうかと思います。いずれにいたしましても、政権を担当する者としますというと、当時皆さんに申し上げ、またそれを実行しようとしたそのことが、時折、経済的な変革、社会構造の変遷、そんなことによって実現しなかったことは残念でありますけれども、いずれにいたしましても、国政全体を預かる者といたしまして、責任は常に感じながら、その次何がいいか、こういうことで皆さんと御協議申し上げている今日であります。
  5. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 どうも、レクチュアでも言いましたが、私は昭和四十九年、国会の末席を汚しまして、一番最初国鉄問題を本格論争やったのは、昭和五十一年十月のいわゆる三木内閣当時の石田運輸大臣と一問一答をやりました。御存じのとおり、石田運輸大臣労働大臣経験者でありますし、自由民主党労働部会部会長、あるいは公務員制度審議会国鉄をめぐる労働基本権問題などなどについて相当経験のある方が運輸大臣になられましたので、いわゆる国鉄問題点は何なのか、どこに所在があるのか、そういうことで、私は四点を挙げて、本会議でもやりましたし、あるいは委員会で当時の石田運輸大臣と一問一答をやって、四つの点を私は確認をしております。この四つの点について大臣御存じでしょうか。
  6. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 一つ一つの項目は覚えていませんが、あなたがおっしゃると思い出すかと思います。
  7. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 おっしゃると思い出すと——私は、この問題が一番国鉄問題の原点ですから、この原点についてきちっと大臣レクチュアをしてほしいと言っておったんですが、じゃ私から言います、同県人のよしみで。同県人と、それから体が悪いらしいですから、私が言います。  五十一年の十月十九日、石田運輸大臣は、私の提起した、いわゆる三十九年赤字になった以降五十一年までほうっておいた問題点はどこにあるのかということについて、いわゆる総合交通体系を立ちおくれさした、いわゆる国鉄そのものをまる裸にして他の交通機関との競合を忘れておったという点が第一点。  それから、二回にわたる再建計画失敗した原因は何か。これは一つは、産業構造に対応できなかった。運賃水準が低かった。それから物価政策関係運賃改定の時期がおくれた。それから物件費人件費見込み違いをした。これが第二点。  第三点は、労働政策失敗。さすが労働大臣らしい、労働政策失敗。いわゆる意識的に労働者に挑発をかけた。そしてマル生なるものを、不幸な事態を起こした。これについてはやっぱり経営者は謙虚に反省すべきだ。それから合理化の問題については、当時の公労委が、無能じゃありませんが、力がなかった。したがって、生でぶつかる。助士廃止の問題、検修合理化の問題、営業近代化の問題、生にぶつかるものであるからどうしてもエキサイトする。その際には、やっぱり経営現状なりあるいは労働者の生活の条件なり、十分にやっぱり真心を持って対応すべきだった。そういう労働政策失敗がむしろ無用の混乱を職場へ落としたというのが第三点。  第四点は、いわゆるローカル線特定人件費、それから公共負担、こういうものについてはやっぱり手抜かりがあった。政府の対応が不十分であった。特に、独算制を要求する以上、運賃コストに合わないものについては国が見るのが原則である、こういうことを怠った。  こういう四点を石田運輸大臣は、労働大臣経験を踏まえて、私と約四時間ほどの議論の末、この四点を確認した。これが国鉄問題の原点であると、今日も私は信念は変わっておりません。これについていかがでしょうか。
  8. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) あなたからおっしゃられると石田君が答弁した模様がわかりますし、またその時代、私たち国鉄問題に対しては素人でありながら勉強しておった時代ですから、一々うなずかれるものがございます。公共負担問題等等はまさにそのとおり、約束はしましたものの各役所の関係等で実現できなかったこともありますし、労使の問題もあなたと同様にこれは私たちは嘆いたことでございます。  いずれにいたしましても、そういう沿革の中からどうにかして今日の国鉄再建したいということで、ありとあらゆるみんなで知恵を出し合っていく時代だ、こういうふうに感じております。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その次は、五十二年の十一月十五日。これは国鉄運賃緩和法。やはり五時間余りやったときの締めくくりとして、当時の田村運輸大臣は、いま言った私の四点について原則的に確認すると同時に、石田運輸大臣三木総理大臣がオーケー言ったと同じように、田村運輸大臣の言うことはいわゆる福田総理大臣の言うことだ、そのとおり確認してもらってもいいと、これは総理大臣の意思として再確認しました。  それからもう一つは、今日の国鉄に至った責任という問題について、経営面ではやはり国鉄総裁だ。それから法案を提案しいろんなことをやった、予算のことをやったのはこれは監督運輸大臣である。したがって、営業の実際は総裁、そういう予算提出法案提出を含めてこれは監督にある運輸大臣、そして一連の福田総理大臣確認していますから、総理大臣にもやはり十分の責任があるということをその際田村大臣は再確認をしておるのですが、この考え方について、中曽根内閣総理大臣なりあるいは中曽根内閣運輸大臣として、この田村発言福田総理大臣発言については御確認できますか。
  10. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 私は一般論として、国がこれだけ赤字をしょって何とかしなきゃならぬというときに、国鉄再建は乗るお客さん相手でございますからなかなか再建がむずかしい。それだけに総理大臣運輸大臣国鉄総裁、こういう人が本当に裸になって国民に訴えて、再建の方法とその実行に邁進しなきゃならぬということを前前から申し上げております。ですから、前におっしゃった田村君なり石田君の発言と同様だと思っております。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それから、現在の経営改善計画論議した五十五年の十一月二十五日、この委員会で私は朝十時から夜の五時まで約七時間ぶっ通し質問したのでありますが、今回は自民党の理事さんの抵抗で大分短うございますが、この経営改善計画議論した際の塩川運輸大臣も五十五年十一月二十五日の締めくくりのいろんな議論の中で、国鉄をこういう事態に追い込んでしまったいろんな問題については目黒議員の言うとおりである、これ確認しますと、そう言って、何とか最後だから頼むと言われて、まあまあまあまあ、私も当時運輸理事をやっておりまして、やったのですが、この塩川運輸大臣のやった現在の経営改善計画、この問題についてもやっぱり歴代大臣として御確認願っていいと思うのですが、もう議事録は言いません、ここにありますから。これは、大臣、いいですか。
  12. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) そのとおりです。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、私は、この大臣なり総理大臣への質問を通じて国鉄問題点というのは浮き彫りにされてきたと思うんですよ。一つは、よく言われる特定人件費の問題、あるいはローカル線の問題、貨物の問題、長期負債の処理の問題、公共負担の問題、こういうものについても浮き彫りにされて、四十四年から、私の計算によりますと、大臣も十何人かわっているんですよ。四十四年から十六人の運輸大臣。そして、中身は運輸大臣答弁したとおり。  これだけの議論をやってきたこの問題について、これは行管に聞きますが、この臨調昭和五十六年三月に誕生して昨年の七月三十日、わずか一年四カ月、この短期間でりっぱな回答をお出しになったんですが、国会で、国民の選良である与党野党を問わず、これだけお互いに議論した問題をたった一年四カ月で答申を出したということは、土光先生以下目刺しをしゃぶりながらやったそうでありますが、これらの問題についてどういう経過で、どういう国会からの事情聴取あるいは運輸省なり国鉄からの事情聴取がありまして、どういう作業をやってこの答申を出したのか。  私は、加藤さんという人ともずいぶん公務員制度審議会議論した経験のある方であります。だから、彼の着想といいますか、物の考え方、発想、さすが慶應大学的だなと思って感心した面もありましたし、ずいぶん労働者いじめだなという気もした経験がありますが、その第四部会を含めてこれだけの問題をどういう過程答申なさったのか。新聞は見ていますが、うちの動労委員長も何か物の三十分だか四十分だか聞かれたということを聞きました。それが労使事情聴取であったのか。その辺の経過について、臨調発足以来答申に至るまで国民の声を聞くためにどういう作業をやったのか、簡単に聞かしてもらいたい、こう思います。
  14. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) いま臨調作業様子につきましての御質問でございますので、当時、第四部会の次長をいたしておりました関係でもって、その作業状況について簡単に御報告を申し上げます。  臨調は、御承知のとおり、五十六年の三月十六日に発足をいたしております。最初に緊急答申を出しまして、七月十日でありますけれども、その後この具体的な作業に当たりまして、いま言われました国鉄問題につきましては、基本答申、つまり五十七年の七月三十日に報告を出しております。その間、第四部会というのがこれを担当いたしております。  国鉄問題については、総論的な話は別としまして、その間、延べ二十六回にわたる論議を重ねております。これはいわば表の会議様子でございます。その間、国鉄からも運輸省からも論議をいろいろと承っております。かつまた、小グループを作成いたしまして、そこでそうしたような御論議を一応承った。また、加藤部会長あるいは部会長代理が、いま言われました国労動労を含めまして労働側とか、それからその他各方面から御論議を一応承ったということでございます。その間、言われました国会論議あるいは従来の経営計画、こうしたもののいままでの経過についても十分論議をしたもの、このように一応考えております。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 二十六回審議したと。  具体的に聞きますが、その二十六回のうち、労働組合事情聴取一体国労動労の持ち時間は何分でしたか。
  16. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) 正式の会議では、ちょうど三時間でもって五つ組合からお話を承りたと承知をいたしております。これは国労動労、それから施設関係とか、五つ組合から承りました。  それから、その他、たとえば総評からいろいろとお話を承りました。これは朝食会形式でもっていろいろとお話を承ったことが、これが二回ばかりあったと記憶をいたしております。また、調査会そのものでも、いわば委員が、たとえば総評からいろいろとお話を承ったということがございました。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 三時間で五つ組合、大体一人三十分、その間、やみ給与だとか、何とかかんとかというものだけで、いわゆる国会論議国鉄のいま私が冒頭申し上げた国会論議で、今日の国鉄に追い込んだ経緯問題点、それを克服する過程は何かという本質論は、私も組合議事録国労動労、全部見せてもらいましたけれども、何ら本論に入らないまま枝葉末節議論に終わってしまったというのが土光会長加藤さんの経緯であります。したがって、本質議論は何もやっていないで、組合中傷誹謗だけは三十分なり四十分終わったと言っても私は過言ではない。これはあなたに言ったってしようがありませんが、そういうことであったというふうに私は受けとめております。  それで、衆議院における議事録をずっと読んでみますと、大臣国鉄の問題はなぜ長期債がこんなになったのか、なぜ一兆円程度あるいは二兆円程度赤字が出るのか、この問題についてはもう何回も口酸っぱくなるくらい、いわゆる国鉄の置かれておる現状、たとえば特定人件費の問題、ローカル線の問題、貨物駅の問題、それから東北新幹線の問題、在来線の問題、それをどうするかというのが一番問題であって、しかも特定交通線の第一次、第二次の問題、この問題をどうするかによって大体決断が出てくるというふうにわれわれは国会段階では、これは与党さんも含めて大体詰めているんですよ。それで、歴代運輸大臣はわかりました、それで善処しますと言って答弁をしておったのがいままでの経緯だと思うんです。  ですから、国鉄再建にかかわる問題は大方出尽くしておる。問題は、政府決断。それに対応して国鉄国鉄労使がどれだけ順応するか。そういういわゆる政府決断と、それを受けて国鉄国鉄労使、あるいは総合交通政策でどういうふうに交通政策を陸海空を調整するかという私は政府決断にかかっていると言っても過言ではないにもかかわらず、そこまでいくと全部監理委員会監理委員会と、こう答弁が返ってくるんですが、政府決断だということを国会立法府段階でも行政府に問題を提起しているにもかかわらず、決断しないで、監理委員会ですというふうに逃げるのは、どう考えても私は釈然としない。  こうなると、結局は別な意図を持って、分割民営という財界かどこかの別な意図を持って、その結論が先に出て、先ほど二十六回などと言っておったけれども、結局労働組合の意見も組合中傷誹謗に三十分終わっちゃったというところで、いかにして労働組合をつぶすかという特定意図と、これだけの膨大な財産、後から質問しますが、たとえば汐留のヤード跡、あれは財界が指をくわえてみんな欲しいのじゃありませんか。あそこに高層マンションを建てたらそれは財界笑いがとまらない。そういうところをいっぱい持っている、国鉄ヤードを。私の仙台の長町と同じです。あなたが知っているうちの長町ヤードだって、あそこに三万人の住宅すぐ建ちますよ。そういうものをねらっておる財界の黒い霧、その財界の黒い霧と労働組合をぶっつぶせ、そういう政治的意図分割民営を先に出して、そして何だかわけのからないやつを持ってきて、一年ちょっくらでつくってしまったというのが私はこの法案本質ではないか。この議事録を読めば読むほど、従来、運輸大臣とか労働大臣とかいうのが明確に答弁していたのが何でこの議事録で逃げているんですか。これは十年後退しています、議事録答弁は。ですから、そういうことでなくて、現在の問題点わかっているでしょう、大臣。ここから聞きましょう。  現在の国会立法府で、国鉄問題小委員会などを含めてずっと詰めてきた、与党野党、共産党を含めて。問題点がわかってきた。その問題に、なぜ政治決断を下さないで国鉄再建監理委員会などに権限を委譲してしまうのか。そこでなければできないのか。お歴々の大臣がいっぱいおって、運政審もあれば運輸審議会もある。それだけの議論があってなぜできないんですか。結論は、やろうとしない、別な意図があると、こう言われても、それに明確に答弁できますか。私のこの問題提起は邪念でしょうか、思い上がりでしょうか。思い上がりなら、しかじかの理由であるから政府決断できない、これこれの法制があるからできないということを、やっぱり私は内閣責任において明確に立法府に対して答えてもらいたい。いままで四十四年からわれわれやったのは何のためにやったのか、声をからしながら雨の日も風の日も北海道から沖縄まで歩いて。そういう問題点をわかっていながらなぜやらないのか。この点をぜひ、わかっておるならわかっておる、わかっておるけれども、しかじかの理由でできないというなら、それを教えてもらいたい、こう思うんです。
  18. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 病弊はみんなわかっているわけであります。そして、その処方せんもわかっているわけでありますが、なかなかそれが実現ができない。たとえば、従来ですと運賃問題、これは自主的に運賃値上げをやってもらうことにしましたが、それまでは運賃値上げのたびに国会でがたがたする。その金は有効に使えない。一方にはまた、これは何といたしましても労使の問題がございます。  私は、目黒さんがおっしゃるように、黒い霧でこれをやっていくというふうな感じは持ちません。とにかくこれだけの赤字を抱え、そして年々ふえる赤字ということで、国民はこれをしょっていくわけですから、そしてそこに働いている諸君がいるわけですから、その職場をりっぱなものにして、後々に希望を持たせ、そして日本交通体系の中心として信頼を得るようにするためには、どうしても犬ぜいの諸君の知恵をかりて、監理委員会法案というものが生まれてきたから、そこで一遍よく御審議願って、それを国会のお互いで審議して実行さして国鉄をぜひここで再建させたい、こういうことでございます。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 国民の負担、国鉄職員がある。それはわれわれの同僚も含めて、われわれみんなOBになりましたが、しかし現実に働いている。新幹線で、二十歳、三十歳で二百十キロ、今度上野開通で二百三十キロに挑戦しようか、あるいは東京開通で二百六十キロに挑戦しようかといって働いている二十代、三十代の若い職員が、あれだけの膨大な新幹線を運転しておって、私は、本当に同じかまの同僚としてかわいそうだ。本当にかわいそうですよ。  私が昭和十六年機関士になったとき五十五円。当時、帝国大学を出ていくと四十三円。東大出が四十三円で、私の月給五十五円ですよ、東大出よりは十円多かったんだから。当時、大宮に下宿すると下宿料十六円。東大卒業生よりも当時のSLの機関士は優遇されておった。それから見ると、現在の新幹線二百二十キロに挑戦する若いうちの仙台の運転士なんてかわいそうなものですよ。これは仙台だけじゃない。  そういうふうに働いておる皆さんが、それじゃ今日十六兆円とか二兆円とかという問題について、どれだけ政策と実行面で責任があるのか。現在の現場の運転士に政策と実行の面で責任問えますか。大体、再建計画を決定したのは政府でしょう。運営したのは国鉄でしょう。国鉄職員に何の責任があるんですか。  私は、いみじくもあなたが言った、たとえば国鉄をいまいろいろ縛っていると。後で臨調で言いますが、私鉄並みの自主権を与えなさい、あるいは労働権についても私鉄よりちょっと厳しくてもいい、昔の電産方式でもいい、もうちょっと組合に自主権を与えて、経営協議会に参加し、経営の内容を知り、本当に心が一体となってやれるような、そういうことをやるべきじゃないですか。そういうことによって労働組合責任も出てくる、あるいは現場の運転士の意見も反映される。そういう体制をつくりなさいと何回も言ったにもかかわらず、全部それを否決して、国労動労にも経営参加権を認めない、労使の団交においても経営の内容を話さない、単に事前協議という中で合理化にかかわる点だけは若干話す。社会党がこの国会でいろいろな提案した問題も全部少数否決。ずっとやってきて今日になって、どこに一体社会党なり労働組合なりあるいは現場の第一線の職員に、国鉄の今回の十六兆円とか二兆円の赤字に対する責任所在があるんですか。あったら聞かしてもらいたいと思うんです、しかじかの仕組みであったから、それをやらなかったからけしからぬと。  そういう点で、私はやっぱり何といっても問題点を明らかにした立法府に対する私は侮辱だ。われわれがサボっておったのならいいですよ。四十四年から十六人の大臣がかわって、私が国会に来てから、これだけの議事録で、そして問題点を明らかにして、政府決断を促すといって運賃改正法の際にちゃんとやっぱりやったじゃないですか。与党野党を含めたいわゆる運輸委員会の提起という問題、参議院委員会の附帯決議という問題、それが五十五年のもうこれ以上ありませんという三十五万人体制だったでしょう。そこまでわれわれが労働組合も説得し、何とかやろうやと言ってやったのに、いまになってこんな一片の紙切れで分割民営とは何事だ。国会議員なんか要らない、こんな紙切れ一枚では。そういうことについて、やっぱり私は政府責任をもう一回あなたに答弁してもらいたい。  それから、私は中曽根総理大臣に、いまごろマニラだかどこか知らないけれども、何をやっておるか知らぬけれども、きのうはマニラで大分男らしい点数上げたけれども、戦争の御迷惑かけましたと。そんなら国鉄問題ここまで追い込んできたのは歴代内閣でしょう。現在のやっぱり中曽根さんじゃないですか。この答弁を見ますと、国鉄を今日に追い込んだ責任は、モータリゼーションの進行であるとか貨物の需要の変化とか大きな時代の変化であるとか、やはり大事なことは国鉄が企業性を発揮して適切に対応し得なかったこと、まるで他人ごとのようだ。それから労使間の不正常な関係が続き過ぎた、この二つを挙げている。大分、三木総理大臣とか福田総理大臣とか、さっきの石田さんとか田村さんとか塩川さんのニュアンスと違うじゃないですか。  国鉄がこんなに十六兆円の赤字を出したのは、余の不徳のいたすところ、国鉄総裁に対する監督の不行き届き、ですから、しんから坊主になっておわびいたします、しかしこれ以外に方法がないから、この際問題点総理大臣決断をするから関係閣僚がうまくやってくれと言って、頭を坊主にして全国民と第一線に働いておる四十何万の国鉄職員に頭を下げるのが国鉄問題に対する総理大臣のあり方じゃないですか。あるいは労働組合の意見も聞こう、社会党の意見も聞こう、みんなが一丸となって国鉄をやっていこうやということが監理委員会をつくる前段でなければ何にもならない。  アメリカとか韓国とかマニラへ行くと日本におる中曽根と違って、日本に来ると肩を張っていばっている。こんな無責任総理大臣ありますか。この答弁と、先ほど言った三木、福田の答弁と完全に食い違っている。これはどっちが本当なんですか、この総理大臣の。あなたも健康が悪かったと見えて、この議事録を見ますと、私も東北弁だから余りよくないこともありますけれども、何か健康を害したと見えて大分遠慮して答弁されているから、ああ、これは健康のせいだなと、こう了解しますが、あちこち御休憩ください、御休憩くださいと議事録に出てまいりますがね。それにしても、やっぱり私は国鉄の問題に対する歴代の大臣とこの中曽根総理の答弁臨調と、この三点を結んでみると、どうしてもあなたが何ぼきれいごとを言ったって私は納得できない。この中曽根総理大臣と前段で申し上げた答弁と私は完全に食い違っている、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  20. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 最近、国鉄の働く諸君がありとあらゆる場面で本当に追及されているのは所管大臣としては気の毒にたえない。電電の人と比較してもそうなんです。給与の問題等々が起こった場合にもそんなことが言われます。これは総理大臣も私はやっぱり同じ考えだろうと思います。  そして、それをどうしてそれじゃ回復するかというところが、今度は現場であるところの国鉄の内部におけるところの組織の問題、さらにはまた交渉の問題、態度の問題、こんなところにあらわれてくる、こう思います。まさに、いまや一歩も引かれないほど危機的な財政状況ですから、その諸君が、やはりあなたのおっしゃるように、新幹線に二十代の諸君が勢い込んで乗っていく、そしてまた外国の国鉄総裁が見に来て、新幹線の運転台へ行って、二十二、三になるあの若い諸君が働く姿に感心しているわけです。そういう感心している諸君が大ぜいいる。ところが、一方においてはそうでないような諸君がおって、何かしら全体の雰囲気をつぶして、そして国鉄全体の信用も阻害される。いまや私は、そういう意味ではまるがかりでみんなが真剣になってがんばっていただき、それがまた国会の応援、政府の応援、みんなの応援を得て、国鉄再建監理委員会法案が通った後いい案が生まれて、それを推進していくという雰囲気をつくりたい、こう思っているところです。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そういう精神訓話はわかったんですよ。  具体的に聞きますが、たとえば十八兆円の長期債の問題、これは臨調答申はこう書いておるんですよ。長期債の処理方針、「分割会社にそのすべてを承継させては、健全経営を行う目途が立たない。このため、分割会社が承継する長期債務は、分割会社があらゆる合理化手段をとることを前提として、その元金及び利息を支払い得る範囲内のものとする。」、こう書いてあるんですね。私は頭が悪いものだから、これを読みかえて、国鉄は今日のような十八兆円という長期債務を継承さしては健全経営を行う目途は立たない、したがって国鉄が継承する長期債務は国鉄があらゆる合理化手段をやって元金及び利息を支払い得る範囲を、いま十八兆円ありますな、一体国鉄合理化をやって努力すればどの程度長期債が返済できるのか、それを政府決断して、十八兆円あると大体三兆円ぐらいは国鉄がやれ、あと十五兆円はお預けして、政府が分割して何とか処理しますと、こういう意味に読みかえれば、分割会社がやるか国鉄がやるか、それだけの違いであって、決断政府なんでしょう。政府決断ができないから、何とか監理委員会で案をつくってくれ、ただそれだけの問題じゃないですか。  後を読んでみますと、「国鉄に残置された長期債務に対する元金及び利息の支払いについては、国が国鉄に補てんする。」。だから、十五兆円払わなかったら、その十五兆円は国が何年か払いでこれを補てんする。この債務を償却した場合には国鉄は解散する、こうなっていますが、いわゆる国がその据え置きした、棚上げした長期債を全部国が分割をして支払った場合にはそれで終わり、あとは国鉄が身が軽くなったら、もうけたら少し返しなさいというふうに政府が政策を決定すれば、こんなことをわざわざ監理委員会に持っていかなくてもこれは十分できることじゃないですか。  これは、全部われわれの議事録にあるんですよ。何も真新しいことじゃないんですよ、二兆四千億棚上げした段階でも、その後の段階でも。われわれは運賃改定段階で若干棚上げしましたね。ただ、国の財政が厳しかったから、その棚上げしたやつを続けていくというやつが国家財政の関連で続かないだけであって、処方せんはできているんですよ、現実に国鉄のわれわれが国会議論して。国会議論して処方せんができているものを、わざわざ監理委員会に何も持っていく必要ないじゃないですか。問題は、政府が二兆四千億をやった、その棚上げした精神の初心に返って、あなたたちと大蔵当局と話しして、一体国鉄は幾ら合理化やれるか、新幹線は幾らもうかるか、幾ら支払い能力あるかといって当事者同士で御相談して、大蔵大臣の判こさえもらえばいいのじゃないですか。私から言わせると、こんな麗々しいものをもらって処方せんをやってもらわなくとも、立法府段階でもうルールはできている。それを、何でこんな監理委員会に持っていくんですか。立法府で問題を提起して行政府が受けた、そのルールに従って長期債については処理をしてもらえばいい、私はそう思うだけなんですよ。私から言わせると何のためにやるのかなと思う、これはあなたの答弁を幾ら聞いても。四十九年から国会に来て、ずっとこの問題を読めば読むほど、こんなのは運輸委員会で附帯決議で、政府答弁できっぱりできている、こう思うんですよ。  この点は事務的に聞きますが、鉄監局長も、議事録を私読ましてもらったら、五十八年の四月十二日の運輸委員会、福岡質問に対する鉄監局長答弁で、赤字の問題について大分詳しくやりとりしていますね。結局、五十六年度決算は一兆八百五十九億円の残高赤字であるけれども、これは国鉄のたとえば特定人件費長期債、公共割引とか、何とかかんとかを差っ引いて国鉄労使に返される金は三千百四十三億。一兆八百五十九億のうち、国鉄労使に戻ってくる問題は三千百四十三億。それから五十八年の予算を見ますと、赤字が一兆二千六百七億。しかし、国鉄労使問題に返ってくる金は二十三億。たった二十三億ですよ。この問題についてあなたは、大方、利子の問題について、国鉄経営努力がどの程度かということはまだ問題がありますが、大綱としては、一兆円を超える赤字といっても、中身を全部政策の関係で整理しますと、五十六年決算は一兆八百五十九億に対して三千百四十三億、五十八年予算は一兆二千六百七億の赤字に対して二十三億、これは大方認めますと、こういう答弁しているわけですな。  そうすると、大臣、十八兆円とか言っても、毎年毎年計算してみると労使の問題というのはわずかなんですよ。それは問題があるということは否定しません。問題があったと仮定しても、労使の問題というのは微々たるものですよ。あとは全部政策、政治の問題なんです。政策、政治の問題、あとの大部分は。これをお認めになりますか。あなたもおって、あのときは大分せきを出して体が弱かったけれども、きょうは健康そうだから。鉄監局長にわが党の福岡代議士が質問して、鉄監局長も若干利子の何とかでは問題あるにしても大綱としてはそのとおりでございますということは、裏を返せば、国民に向かって国鉄は大変な赤字であるというけれども労使関係の問題はこれだけだ、あとは政策、政治の問題だ、こう言っていて、やはりこの委員会で、事実関係ですから、認めるか認めないか、認めないならば反論してもらいたい、こう思うんです。
  22. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 永光政府委員に……
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いやいや、あなた聞いておったんだから。要らないですよ、政府委員など。私は、あなたが聞いてなかったら政府委員でいいですよ。あなたは、かぜは引いておっても聞いておったんだから、この議事録によりますと。聞いておったんでしょう、あなた。そんなこと言っちゃだめです。うそ言わないでくださいよ。私は連休を全部返上して議事録を読んでいるんですからね。ちょっと、連休分下さいよ。休まないでこれだけの膨大な議事録を全部読んだ、私は。だから、あなたがおったんだから、あなたがいなければいいけれども、あなたがおったんだから、政治家として、国務大臣としてどうですか。労使関係というのはこれだけですよということをわが党が提示して、それに、多少はあるけれども大筋としてはやむを得ませんと、そう言っていることを、大臣として、一兆円の赤字があるけれども労使問題はこれだけだということで、国民の前に向かって、ここは連合審査だから、やっぱり明らかにしてもらいたい、こう思うんですよ。
  24. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 一応お答えをいたしますが、衆議院で福岡先生からそういうような一つ考え方をお示しになりまして、五十八年度につきまして、私も、いま議事録手元にございませんですが、二十何億というお話でしたが、償却費等の問題がありますので、そういう計算方法そのものはいろいろ問題は若干ないわけでないと思いますけれども、そういう考え方一つの収支を考えるということはあると思いますと、こう申し上げました。したがって、三千億とかあるいはそういう額だけが労使の問題というふうには私はお答えしたというふうには考えておりませんで、要するにそういう考え方でいろいろな特定人件費等々を考え、あるいは利子等を考えて引いていくと、残りとして、いわゆるプロパーなものとしてそういう額は残ることは一つ考え方としてありますと、こういうふうに申し上げました。  それから、補足して申し上げますと、いわゆる利子を除かれておりますが、要するに累積債務の利子そのものには、いわゆる投資の問題もありましょうが、しかし、やはりそこで国鉄経営上の問題での赤字ファイナンスというような問題から生じる利子という問題もございましょう。したがいまして、そういう意味ではやはり国鉄経営上の問題というものを含んだ利子もあるということをひとつ念のために申し添えさせていただきます。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私はガマ油みたくしつこいものだから、あなたそういう答弁するなら、何で当事者の福岡委員質問したとき、大体私の言うことが了解されたと思いますといって本人が言ったとき、いや違う、それは先生の認識が違うということをなぜその場で言わないんですか。福岡委員が私の認識はそれでいいですなと言われておって、はいそうですと答えておって、それでいまになってそんな詭弁を弄するのは、そこが運輸省の悪いところ。運輸省は、国鉄をいじめるためにあるのじゃないでしょう。国鉄をよくするためにあるのでしょう。国鉄をいじめるためにあるなら解散してくださいよ、私は国鉄のOBとして。国鉄をよくするためにあるんですからね、運輸省というのは。  それなら、もう一回、逆に総裁に聞きますが、私は、総裁、大分あなたに失礼なことを言ったのだけれども、これは五十五年の十一月二十五日、いわゆる三十五万人体制の問題のとき、借入金の問題について。借入金はあちこちから借りてあるけれども、大体元金と利息に払っちゃって、あと残りを新幹線とか安全関係に使う、こういう自転車操業をやっておったんです。それで、この自転車操業をやっておったのではどうにもこうにもならなくなるのじゃないですかと、こう言って私が五十五年に質問したのは、「総裁があのとき、三年前、絶対目黒議員、今度こそはうまくやるから何とか賛成してくれと言って、一回廃案になったやつを一週間足らずで政府の要望に従って成立さしたと。」、一週間ですよ、一回否決して。そういう苦しみがあったんですよ。「以来三年間、この借入金を見ただけでも、どんどんどんどん借入金だけふえていくだけであって、ちっとも経常の基盤はならないじゃないですか。こんなことをまた五十六年、五十七年、六十年までやったって何になるんですか。全然国鉄再建、いみじくもあなたが言った経営の基盤がもっとも借入金の点から見ると改善されない。むしろ高木総裁の頭が白くなると同時に借金がふえて、だんだんだんだん首が締まっていくと、」、どうにもならなくなるじゃありませんか、いまこそ借金に根本的なメスを加えなさいと、それで、鉄監局長が何だかわけのわからないことを言っておって、善処しますと、こういうふうになっているんですよ。  この五十五年の私の指摘が、国鉄からもらった資料を見たら私が言ったとおりになっているじゃないか。これは国鉄からもらいました。五十一年から五十八年までの借入金、これを見ますと、五十一年は一兆五千三百二十九億円。五十二年は一兆七千六百二十八億円、そのうち元金が三千三百四十四億、利子支払いが四千六百一億、元金と利息で四五・一%使っているんです。ところが、ずっといま五十八年の見込みを見ますと、このいまの予算、借入総額が二兆五千六百九十八億円、そのうち元金償還が六千八百六十三億、それから利子支払いが一兆八百十七億、合計が一兆七千六百八十億、七〇%。これは完全に自転車操業、サラ金財政でしょう。  これは私が五十五年に指摘して、わかりました、善処いたしますと言っておったことが、いま鉄監局長が言った観念的な答弁だけであって、ちっとも実行性がない。むしろ五十二年が四五・一%で軽かった。この辺で抑えなさい、三〇%余にしなさいと。全然放任して今日七〇%ですよ。これはだれの責任ですか。これは国鉄職員の責任ですか、われわれ社会党の責任ですか。自転車操業、サラ金操業をやっておって国鉄再建できますか。これはだれがやるんですか。これをぜひ聞かしてもらいたい。  こんなことをやっておったら、借金イコール元利償還、こうなるのじゃありませんか。だから、政府が助成をしなくちゃどうにもなりませんぞ、イギリス方式、アメリカ方式、西ドイツ方式、いろいろあるでしょうと国鉄問題小委員会でずいぶんやって勉強したでしょう、お互いに。なぜ勉強したことを生かそうとしないんですか。われわれ国会議員が国民の税金を使って海外に出張に行く、見てくる、見てきたいいやつをなぜ日本国鉄が、国会が、政府がこれを吸い上げようとしないんですか、けちばかりつけて。この借入金などは歴然たるものでしょう。これは政府の怠慢、総裁の怠慢。総裁は能力がないから、全部大蔵大臣運輸大臣にがっと首絞められているんだから。それにしても頭の白くなるやつと首が絞まるやつの同時進行というのが高木総裁の現実の姿ですよ。問題を指摘したのになぜやらないか。  だから、監理委員会に持っていきますといっても、私はこの二の舞を踏むのじゃないか。問題点わかりましたと、監理委員会やりますと、監理委員会何もできませんでしたと、無になってしまうのじゃないか。その点はどうですか。長期債論争するならば、そっちの勉強等しないでも二兆四千億のルールはできている。借入金についてもこういう問題を提起して、善処しますと言っておるにかかわらず、だんだん悪化する。これはだれが怠慢なのか。政府の怠慢じゃないですか。違うんですか。どうですか大臣、この計数については。
  26. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 数字を挙げますというと、いまのように赤字がどんどんふえるわけであります。そこで、どこかでこれは完全に歯どめをかけて再建させなきゃならぬというふうなことから、このたび監理委員会法案というのを御提示申し上げて、ひとつ抜本的に、国鉄政府も、そしてまた国民も働く諸君も、ここでそれぞれがちゃんとひとつやって再建させるというところに方法があろうかと思います。そうじゃないと、やっておりますというと、いまに借金する、国鉄に貸すところもなくなってきます。そういうつらいところを私たちが見ておりますというと、ここで世論のこれだけ起こったとき、そして国会がこれだけ御議論いただくとき、国民の前に国鉄予算というものとあり方というものを全部こういうふうにして研究されているときこそいいチャンスじゃなかろうか、こう思っております。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いいチャンスとか研究とかといったって——じゃ、もう一回、臨調に聞きます。  私は、いま世論的に大騒ぎしたのは、入浴問題とか、ブルートレインとか、現場協議とか、何とかかんとかというと、マスコミと国鉄の裏切り者と運輸省に介在する何者かが仕組んだ大猿芝店だと思っていますが、大猿芝居は大猿芝居でそれはそれなりに意図を達したのだろうけれども、じゃ、あなた方がそんな組合つぶしじゃない、あるいは一部財界国鉄に含んでいる大変な不動産を民間分割というかっこうでこれを取得して固有の国民財産をぼろもうけに使うのじゃないと合うならば、ひとつ私は提案します、幾ら読んでもわからないから。国会議論する立場として、あるいは動労委員長なり書記長として、長い間動労の仕事をやってきた私として幾ら読んでもわからないから、この問題は。  この第四部会議事録、それから各組合の意見書、国鉄総裁の意見開陳、運輸大臣の意見書、それから国会が決議した附帯決議に対しては、運輸委員長臨調に呼ばれたのか知りませんが、国会の意見をどういう形で具現して臨調がそれを絡めてどういう議論をしたのか、こういう議論の全過程をわれわれは知る必要がある。したがって、この臨調議事録と各関係者の意見開陳と、どこがかみ合って、どこがかみ合わないということを、やっぱりわれわれは国民に向かって国会議員の責任として、八十何万もらった全国の支持者に対して私は解明をする必要がある。したがって、この国鉄部門の第四部会議事録臨調議事録関係者の意見開陳の要点、それを委員会議論を深める意味においてぜひ提出を願いたい。  そして、われわれがこれだけの議論をした中身と臨調議論をした中身を一回精査をする。精査をして、われわれが間違っておれば、間違っておるなりに改めるにやぶさかでない。しかし、臨調が認識を誤っておったら臨調の認識をやっぱり改めてもらう。立法府議論政府が忠実に履行しなかったら政府政府責任をとってもらう。集めてみたら皆よかったというならば、それはそれなりにお互いに理解しましょう。したがって、第四部会議事録結論に至った中身、それにかかわる関係者の意見開陳の要点国会に最も大事な資料として提出してもらいたいということを委員長に私から要請します。  幾らそんな抽象論の答弁を聞いたって何にもなりません。したがって、国鉄四十四万の労働者、家族を含めると大変なものです。この大変な関連ある問題について、こんな紙切れ一片でわれわれ国会議員が十何年も議論してきた問題を、あるいは三十年もやってきた労働運動をこんな一枚の紙っこでパアにされたらたまったものじゃない。したがって、それだけ重要であれば関係する議事録を全部関係者に出してもらいたい。それを国会議論する、それが私は一番賢明だ、こう思いますから、委員長、何とか考えてください。
  28. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) ただいまの目黒君提案の件につきましては、後日、理事会において検討さしていただきます。
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 委員長、要望します。  理事会を昼間でもやってもらって、早いところやってもらわないと、連合審査は、これを見ますと、これで終わりだとなっていますから、やっぱり大変な労働者の生存権にかかわる問題ですから、ひとつ早急に要望します。  では、次、お伺いします。  公共負担関係は、これはどうなんですか。これは五十一年、私と青木理事も含めて大分やったのを皮切りに毎年毎年やっているのですが、これはいまだに解決していないんです。総裁、あなたは十一項目についてはずいぶん熱烈な情熱を持っているけれども、公共負担の問題についてはどうしてやらないんですか。算術計算しますが、十一項目、パスの問題とか、兼職問題とか、何とかかんとかで大分自民党の三塚委員長に出しているようだけれども、これで一体金が何ぼもうかったの、財源的に、十一項目で。十一項目の労働者にかかわる問題について、どのくらい金が浮きましたか。
  30. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 十一項目問題というのは、各種各様のものがいろいろ盛り込まれておるわけでございますが、これによって幾ら経費が浮いたか、あるいは収入がふえたかということは、これはそれぞれ別個の性格を持っておりますので、いまお尋ねのように幾らというふうにはお答えできる性質のものではないというふうに考えております。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そんなこと、あなた、人をばかにして、労働組合と団体交渉をやらないで一方見切り発車して。  そのパスの問題にしろ、一体OBにパス何ぼ出されて、利用率は何ぼで、区間はどれだけ乗っていて、OBのパス取ればどのくらい営収が上がってくるとか、あるいは職員のパス取り上げたら幾らとか、あるいは兼職であなたたちはずいぶん金を使っている、国鉄職員として二重人格だと。われわれの調査では、明け番とか休暇の日に議会に行っておって、ほとんど国鉄の業務には影響を与えておりませんというのがわれわれの調査なんです。影響を与えているとがんばっているんだから、影響を与えているとすれば一体金銭的に人件費をどのくらい食っているんですかと。五百三十一名を百二十三名に今回したらしいけれども、約四百名減になって、議員兼職で人件費は一体どのくらい浮いたとか、あるいはパスの関係で雑収入が幾らふえたとか、別個の問題でなくて、やっぱり一貫性があるんですからね、財政再建の。財政的にどれだけプラスになったかということを計算するのがあたりまえじゃないですか。計算できませんなんというのは怠慢ですよ、そんなことは。言ってください。
  32. 高木文雄

    説明員高木文雄君) たとえば兼職議員の問題について申し上げますと、兼職議員というのは、いわば勤務時間外に議員活動をやっておられるというのが原則であります。もし勤務時間内ということになれば、それは給与はその期間中支払わないということになっておるわけでございますから、兼職議員があるなしによって幾ら国鉄が金額的に損失があるという性質のものではもともとないわけでございますから、したがって兼職議員が減ったということによって、それから直ちに幾らの経費節減になるかという計算になる性格のものではないわけでございます。  パスの問題につきましても同様でございまして、パスをOBならOBの方々が一年間に何回どういうところで使われたかということは、これは把握できない問題でございますので、これも金額的には関係ないわけでございまして、問題はそうしたことによる姿勢の問題が世論の批判の対象になったわけでございまして、決してこれらの問題一つ一つがそれぞれ金額につながってどうこうという関係には初めからない問題だと私どもは考えております。
  33. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 団体交渉で言うことと大分違いますな。ここであなたに、団体交渉やらないんだ、やらないで強行突破したんだから深く言ってもしようがない。権限もない総裁にどうこう言ったってしようがありませんから、権限のない総裁であるならば、せめてあなたが総裁名をもって公共負担の軽減について文部大臣なり厚生大臣に要請した、その要請したことぐらいは職員に対する問題と同じように根性と姿勢を持ってやってくださいよ。五十一年に始まって五十二年の一月に閣議了解して、五十三年の八月、五十四年の八月、二回もやっておるんでしょう。国鉄職員にこのやろうと何も問わず文句言って、びりびりやっていながら、何で、あなた、これこそ、文部省六千五百十八億、厚生省三百五十六億、現在の累計だと何ぼ、これも足したら大変な金ですよ。  大変な金で、国鉄がびりびりパスの問題やら兼職の問題やら元気よくやるのなら、なぜ、あなた、五十二年に閣議にまで出して、いま何年ですか。臨調答申はいつ出てきたんですか。つい去年あたり出てきたのをびりびりやって、五十二年からやっている累計で六千八百七十四億、今度の期末手当で職員をいじめて浮いた金が百六十億、この公共負担六千八百七十四億さえあれば国鉄職員の期末手当の百六十億なんておつりきますよ、公共負担をちゃんともらっていれば。公共負担をあなたの合うとおり五十二年度からもらっていれば六千八百七十四億、期末手当の差別扱い百六十億、おつりきますよ。労働大臣とか、ほかの大臣に迷惑かけなくていい。取るところから取らないで、いびるところだけいびっているというのがあなたの姿勢じゃないですか。  何だか議事録を見ると、沢田質問を見ると、労務対策は役員会に一切諮らないで、あなた一人の決断でやっているらしいね、労働問題は。そういう議事録になっていますよ。全く何を答弁しているのか。自分の答弁したことに責任を持ちなさいよ。沢田質問にそう答えているでしょう。労働問題は、総裁が一切の責任を持ってやっているというでしょう。これも労働問題でしょう、百六十億。裁定の期末手当、これは社労委員長とし期末手当まで含めて甲乙のないようにと、ちゃんとここに労働大臣いますけれども、あなた、差つけたでしょう、百六十億。そういうのに差をつけていながら公化共負担の六千八百七十四億という、当然閣議了解しているものをなぜサボって取らないんですか。
  34. 高木文雄

    説明員高木文雄君) その問題については、いまお尋ねがありましたように、何回かにわたって関係大臣にお願いをいたしました。残念ながら今日に至るまでなかなか実現しないわけでございますが、しかし、いま御指摘の臨時行政調査会の答申の中におきましても、「文教政策、社会福祉政策等の観点からの通学定期割引等の運賃上の公共負担については、国として所要の措置を講ずる。」ということを臨調の御意見として決めておられます。また、政府においては、昨年の九月二十四日の閣議決定において「運賃上の公共負担については、所要の措置を講ずる。」と決めておられるわけでございまして、現実に実現しませんが、方針は臨調でも政府でもそうおっしゃっておるわけでございますので、私としましてはひたすらその実現を待っておるというのが現実の姿でございます。
  35. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは五十一年だからもう七年、閣議了解してから六年ですか。  まず、厚生大臣と文部大臣、これはどうして——厚生関係は身体障害者割引、それから文部省は通学割引、これは検討します、検討しますとなっているんですが、なぜこれはうまくいかないのか。国鉄問題関係閣僚会議でも何とかならないんですか。おのおのの大臣の見解を聞きます。
  36. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 日黒議員の御質問にお答え申し上げますが、厚生省関係は身体障害者の国鉄運賃の割引の問題とそれから戦傷病者の割引の問題がございます。  御指摘のとおり、閣議了解が五十二年の十二月二十九日に日本国有鉄道再建についてという閣議了解ございまして、それに基づきまして関係省に設けられました検討会議を中心に検討をしているところでございまして、厚生省といたしましても早く結論を得るように協力をしてまいりたいこういうふうに考えているところであります。  先生御指摘のとおり、なかなか非常にむずかしい問題だというふうに私も承知をしておりますが、先生、特に社会労働委員会委員長もやっておられるわけでございますから申し上げておきますが、心身障害者対策基本法というのが昭和四十五年に法律としてございます。その中に、やはり心身障害者につきましては日本国有鉄道等につきましては特別の負担をするということが基本法の中に明示をされておるということもございまして、どういうふうな取り扱いをするかというのはやはり関係省庁でいろいろと議論をしていかなければならない、こういうことで、いませっかく議論を詰めてもらっているところというふうに私は了解をしているところでございます。
  37. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) お答え申し上げます。  いわゆる国鉄公共負担の問題に関係いたしまして、文部省関係では通学定期の割引の問題があるわけでございます。  この問題については、かねて国会等でも御議論をいただいておるところでございまして、ただいま厚生大臣からもお答えがございましたが、文部省といたしましても、この問題について従来の経緯も踏まえまして、具体的に負担主体をどうするかという問題、さらに通学定期の適切な割引率というものについてどのように考えるかというようなことなどについて関係省庁で議論を詰めるべく真摯に対応いたしておるところでございます。学生負担については、父兄負担の増というようなことに絡む問題がございますので、私どもも急激に学生負担がふえないように具体的にどう対応するかということについていろいろ腐心をいたしておるところでございます。  目下の国鉄再建問題も大変重要なことは私どもも十分認識をいたしておるわけでございますが、国家財政全体の今日の状況からいたしますと、たとえば文教予算の中におきましても、いわゆる受益者負担ということで対応するということがいろいろと求められる点もあるわけでございます。それらの全体の中でどのように取り組んでいくべきかということについて関係省庁とも鋭意協議を続けているところでございまして、私どももこの問題の解決に今後とも一層の努力をいたしたい、かように考えております。
  38. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 どんな釈明をしたって、六年も七年も投げっ放し、それで国鉄職員にかかわりのあるやつは世論、マスコミさんにも御活躍願って悪者にしてばばばっとやっちまうと、こういうことですからね。大臣には、これはむしろ大蔵大臣の私は出席を求めたんですが、決算委員会をやっているので来れなかった。だから、あなたも国鉄関係の閣僚の重要メンバーですから、この問題だけはひとつ責任を持って解決してもらいたい。  国鉄職員の、われわれOBを含めて、八十何歳になるOBまでがパスを取り上げられて、戦前、戦中、戦後これだけ働いてきて、八十になってパス取り上げられるとは夢にも思わなかったというこの叫び。それから、かま掃除で国鉄に入って、いま定年になってまたかま掃除をするというわれわれ運転屋のOBの現状。無情にも総裁は、情けないところでパスを取り上げて、それまで国鉄職員とOBに厳しくやっておって、いま厚生省もわかる、文部省もわかる、それを七千億近くも放任しているというのは、これは国鉄職員から見れば何を言っているかということになるんですよ。大臣のばかやろう、総裁のばかやろうと言いたくなる。それをがまんして、全国で二万キロ、国鉄職員は列車を運転しているでしょう、歯を食いしばって。ばかにするのもほどほどにしてくださいよ。それから、国鉄けしからぬと中曽根さん強調されているけれども、私は、総裁、これだけははっきりあなたも見解の中で言うべきですよ。  私は、昭和四十五年から五十七年まで、いかに国鉄職員が、労働組合合理化に協力しているかという一覧表をもらいました。十二年間の総計だけ言います。もう総裁、聞きませんから。国鉄退職者が十九万三千三百人、十二年間で。四十五年から五十六年まで十九万三千三百人。新規採用が十二万千五百人。差し引き七万一千八百人。これだけここ十二年で国鉄労働組合動労も含めて、これだけ合理化に協力しているんですよ。七万人といえば——いま専売何万ですか。全専売二つですよ、七万といえば。これだけ合理化に、いろんな議論はあったにしてもいわゆる当局の提案をのみ、あるいは近代化に協力してきているんです。これに五十七年の数字がありませんが、現在集計中。この五十七年の実績を五十六年度から推計しますと、五十七年は二万二千六百上げたんですから、二万二千六百を入れますと約十万です。十万人の人減らしに労働組合は協力しているんですよ。  検修合理化、EL、DL一人乗務、工場合理化、だあっと私はこれにかかわりを持ってきた。ずいぶんけんかもした。けんかもしたが、その方はきちっとしているんですよ。それは現在新幹線だって無事故で走っているでしょう。あれは検修も乗務員もあるいは保守関係の電気、信号、全部一丸となっているから電車が無事故で走っているんでしょう。それを全然評価しないでやるというのはこれは私は言語道断だ。だから、総裁もやったはやったと、運輸大臣組合にも礼を言ってちゃんと協力してもらっていると言った方がいい。やったと言わないと、一生懸命苦労している職員なり組合関係担当者は、どこか穴があったら入りたい。だから、この数字は数字として、全専売が二つあるくらい国鉄労働者はいわゆる近代化に理解を示して協力してきたのだということを、やっぱりあなたはきちっと世間に向かって言うべきだ、こう思うんですが、いかがですか。これをごまかしておいて私はできないと思うんですが。
  39. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 私は、国会答弁の中においても、そのことを申し上げているのです。ほかの組合が非常にゆっくりしておるときに、なぜ国鉄労働組合の諸君だけたたかれなければいかぬのか。これじゃ、とてもじゃない、さびしい思いもする。そして、一方においてはそのとおり協力している諸君がいる。その協力の姿というものが、財政再建のときに政府なりそういうところからのいろんな援助をもらう材料である。だから、そこまで一生懸命やっている姿に対して、もし仮に協力しないような諸君があるならば、一緒に協力していく。われわれも、国鉄労働組合がこんなによくやっているのだから、この破局的なものをお互いの手で片づけようじゃないかというところに私は今度の監理委員会法案の意義を見つけておるのであります。  新幹線に乗り、あるいは夜でも電車に乗ると、夜走っておるでしょう、本当に。ほかの私鉄は夜走りません。それを、改めて私も国鉄の諸君の努力というものを知るわけであります。
  40. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それからもう一つは、特定人件費の問題についてもずいぶん私らも動労の役員当時から国会も含めて大蔵省も含めて議論したんですかね。国鉄からもらった資料によりますと、特定人件費、もう中身は言いません、わかっていることだから。ただ金額だけ、累計二兆二千二百八十二億、政府助成が今日まで千九百二十八億、八%。私も復員者ですから、もともと国鉄職員ですが、終戦当時あれだけどんと復員してきて、われわれも非常に苦労しました、復員者待遇改善問題から年金問題から。あれだけやってきたというのは、これは国の政策ですよ。  それを、特定人件費という認識、立法府と行政府が理解しておって、これを政府で見ましょうと。ならば、やっぱり二兆二千二百八十二億円というのは原則として、帳じりは別にして、政府が見るのがあたりまえじゃないですか。これは大蔵省——大蔵省いないか。それを八%の千九百二十八億、こんなのなら要らないと言っちゃ語弊がありますが、こんなごまかしはやめなさい。だから、政府責任でやった金額、二兆二千二百八十二億、こんなことは監理委員会にお世話になる必要はない、こんなの。そうでしょう。何で監理委員会にこんなもの持ってくるんですか。これは特定人件費政府で見なさいよ。そうすると、十八兆円が二兆円減っちゃうから十六兆円になっちゃう。これはぜひ全額政治の責任で見てもらいたい。終戦のどさくさの責任をこの赤字国鉄にいまだに押しつけるというのは不法だ。どうですか、パスをやった勢いでやってくださいよ、大臣
  41. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) パスを取り上げたのは私たちじゃありません。しかし、いまのようなお話がありますが、これは監理委員会等々ができたら、主張すべき場所があったならばそこでしっかりと主張してやりたい、こう思っております。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いままでの国会議論して、お互いに認識して、お互いにやりましょうということを与党野党含めて一致した問題に政府は善処いたしますと。政府の善処いたしますというような委員会答弁はあれは飾り物ですか、それじゃ。私も、あした、やりませんよ、社労委員会。社労委員会委員長をやっておって、はい、努力します、そしてふたをあけてみるとこういう飾り物、こんな飾り物はやめてもらいたいね。  時間が来ましたが、最後に、国鉄側。余り総裁にあれだけど、総裁、私はこの三十五万人体制のときにずいぶん議論しました。当時の吉井常務理事は大分この委員会でも苦しい答弁をしましたが、この現在の経営改善計画というのはもう根底から崩れている、こう思うんですが、あなたはどういう認識ですか。それが一つ。  それからもう一つ。この関連会社の一覧表をもらいました。関連会社一覧表をもらいましたが、これは関連会社は私は悪いと言いません、いわゆる国鉄職員の第二の人生として高齢化社会に対する対応ということで。三十五万人のときに当時の吉井常務は努力しますと、その精神は私はいいと思う。ところが、これを見るとさっぱり生かされていない、この関連会社の状況を見ると。ですから、関連会社で経営のいいところにはいいなりに国鉄職員のOBさんを十分に採ってもらう、そういう努力をぜひしてほしい。それから赤字の出資会社、この赤字の出資会社はどうするんですか。私はどうもわからぬ。  ですから、この出資会社、たとえば乗車券の代売なんというのを見ると、出資がA会社は三八%、B会社は五十何%出資しておって、総員数一万六千五百十八人のうち国鉄のOBが五百三十四人、たった三%、この会社はもうかってもうかって笑いがとまらない。名前言いません、怒られるから。名前言いませんが、三〇も五〇も出資しておって笑いがとまらない会社が、国鉄のOBが三%。窓口とか、私は全国歩きますから見ますと、きれいな服を着てやっている奥さんがいっぱいいるんだけれども、第一線では歯を食いしばってがんばっている。代理会社の人というのは、もう平平とりっぱな服を着てやっている。これでは本体が苦労しているのに傍系の方が笑いがとまらないなんて、こんな逆立ちした関連会社の構成があるものですか。ちょっとこの辺は、国鉄職員の身にもなって、OBの身になって、やっぱり総裁であるあなたが考えてやらないと国鉄職員どこへ行くということになっちゃう、新撰組じゃないけれども。新撰組はどこへ行く、国鉄職員どこへ行く。これは総裁、あなたの責任ですよ、こっちも責任があるけれども。もう少し汗と血を流しておる自分の部下をやっぱりかわいがって、大事にして、パスとか年金で苦労しているんだから。  年金問題、貨物問題もやりたかったけれども、時間が来たからもうやりません。質問主意書で出します。  そういう問題について、あなたは職員に対してどういう愛情を持っているか、答えてもらいたい。
  43. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まず、経営改善計画でございますけれども、これは残念ながら現在立てております経常改善計画のとおりには執行がなかなかできないという状態になっております。  その原因は、しばしば申し上げておりますように、輸送需要がどうも思うように伸びないというか、むしろ停滞をしておることによるものでございまして、これの立て直しについてはいま鋭意作業中でございまして、いずれ提出をいたしますので、御批判をいただきたいと存じます。  二番目に、関連事業会社とOBの皆さんの処遇の問題でございますが、私どももぜひひとつ一人でも多く関連事業会社がうちの職員の第二の人生の職場になるように協力を求めてまいりたいと思っております。ただ、現実の問題として非常に最近問題になっておりますのは、国鉄の仕事が縮小いたしますといいますか、お客さんが少ないということは直ちに関連事業会社の仕事も減っていくということであるわけでございますので、気持ちの上ではいま御指摘のようなことで最大限の協力を求めてまいりたいと思いますが、関連会社には関連会社のやはり事情があるわけでございまして、思うようにいかないという現状でございます。しかし、いまのお話でうちの職員も大いに元気づけられると思いますし、私もそれを受けて取り組んでまいりたいというふうに考えます。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 関連会社、出資会社の関係については、やっぱり現場の労働者現状を起点に、経営契約内容、出資内容、雇用条件など含めて、やっぱり全般的な見直しをして、しかるべき時期に御提示願いたいということを要望しておきます。  以上です。
  45. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 きょうは運輸社会労働委員会連合審査ですから、限られた時間でありますので、いま同僚目黒議員のやりとりを聞いておりましても明確さを欠いている答弁が多いわけでありまして、ずばり明確な答えを求めたい、このことを冒頭申し上げておきます。  私は、今回の国鉄監理再建措置法の問題はこれは再建ではない、まさに解体である、解体をするための立法の措置である、こういうふうに判断をせざるを得ません。いま聞いておりましても、答弁の内容が全部、監理委員会監理委員会監理委員会ということに逃げ込んでしまっている。これでは本当の意味の国鉄再建をしようという、この政府側の姿勢、国鉄側の姿勢は全く見られないということを冒頭申し上げなければなりません。  それで私は、今回の問題の中で、五十五年に私もここの連合審査質問しておりますが、五十五年の再建計画というのがいま進められているのではないか、この中にあっていわゆる長期債務の処理方針、五十七年度十八兆円、五十八年度二十兆円、こういうことが出されてくるわけでありますけれども、一体具体的に、本当に国鉄再建しようという熱意が政府におありなのか、国鉄総裁にあるのか、こういうことを疑わざるを得ない。先ほど来の答弁を聞きましてその感を深くするのであります。  したがって、私がまず基本的な態度をお伺いしたいのは、この五十五年のいわゆる経営再建計画というものが達成をされれば当時の答弁では百億程度黒字になると、いまだに私は記憶がございますし、会議録がございます。したがって、そのことがなぜ達成されないのか、なぜそれが今日に至ってこの問題の解決に当たることができないのか、この基本的な姿勢を、まず大臣総裁にお伺いします。
  46. 高木文雄

    説明員高木文雄君) この前に法案の御審議を願いまして、そしてまたそれに基づきまして経営改善計画を立てましたが、その中で非常に重要な要素は、幹線の部分におきまして六十年時点で百億円の黒字に持っていくということを経営改善計画の目標の中で、いろいろありましたうちの一つとしてそのことを申し上げましたし、その後もそれで取り組んでまいったわけでございますが、今日、御指摘のようにそれが非常に困難だという状態になりつつございます。  なぜかといいますと、そのとき見込みました国鉄のもろもろの経営計画というのは、要は輸送量がどのぐらいあるかということで全体の姿が大体決まってくるわけでございますが、輸送量が見込みに比べまして、旅客につきましても貨物につきましても大分いわば見込み違いを起こしておるわけでございまして、お客さんが少ない、運ぶ貨物が少ないという状態になっておるわけでございます。したがって、これにつきましては、しかし百億円に黒字を持っていきたいという大きな目標は何とか達成をいたしたいという気持ちのもとに、いまそのためには具体的にどうしたらいいかという具体案を詰めておるところでございまして、先ほど目黒委員にもお答え申し上げましたように、なるべく早い時期にそういうものを作成いたしまして御批判を賜りたいというふうに考えております。
  47. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 国鉄総裁答弁しましたように、経営計画を立てたときとその後の経済の模様の違いからすると収入等が違ってきた、ここにおいてか、今度改めて私たちが出す法案、ここで御審議願ってやっていきたい、こういうことでございます。
  48. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いまお答えを聞くと、総裁は批判を仰ぎたいと言うし、大臣はこれからひとつこの再建法の中で十分検討してまいりたい、こういう答弁ですから、これはまさに私は根本的な原因に対する失敗をしたという責任を何ら痛感をしていないのじゃないかと思う。御批判を仰ぎたいということはどういうことですか。  私は、率直に申し上げますけれども、これは当時、五十五年十一月二十一日、参議院運輸委員会、地方行政委員会、商工委員会連合審査会で私、一時間やっております。ここでも私は指摘しています。当時、六十年度幹線における収支均衡、あるいは三十五万人体制、減量政策、経営体質の抜本的改善をしていけば何とかなるという政府国鉄当局の答弁があったはずです。そうだとするならば、御批判を仰ぎたいということは、まさしく今日に至った原因は失敗だったということを認めるんですか。認めなければおかしいじゃないですか。
  49. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いまも申しておりますとおり、その当時見込みましたお客さん、また貨物量がそれだけ御利用いただけない実態でございます。その見込み違いは私どもの責任でございます。
  50. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 総裁答弁のとおりでございます。
  51. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま率直に認めますという総裁のお答えであり、大臣もそういうふうに言っているわけですが、そこで私は、時間もありませんから、特に今回の法案の基本であります民営分割、このことの実態論についてぜひ国民の前に明らかにしてもらいたい、こう思うんです。  それはなぜかといいますと、どうも先ほど来聞いておりますと、やりとりの中で一向にはっきりしないのは、しばしばここでも基本問題としては長期負債の問題、構造欠損、あるいは年金問題、あるいは先ほども出ました特定人件費の問題、ローカル線問題とかあるわけですが、そこへいくと、確認をいたしますということを言いながら、さっぱりはっきりしない。そこで、この法案の中の臨調答申考え方というのは一貫して民営分割が流れている。そうだとするならば、北海道、四国、九州、この三圏がどのぐらいの赤字になるんですか。ちょっと、これを聞かしてください。
  52. 竹内哲夫

    説明員竹内哲夫君) 五十六年度の決算によりますと、北海道では約二千五百億、それから四国が四百六十億、九州が約二千百億の赤字になっております。
  53. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで、私は五十五年にも若干この問題に、民営分割の基本的な考え方は別にしましても、国鉄再建に対する国有鉄道法第一条の公共福祉の増進ということについて質問をいたしております。これはやっぱり何といってもこの法の最大の基本というのは、公共的使命を放棄してはならない、それから過疎地域の切り捨ての政策であってはならない、このことを私はずいぶん強調いたしました。  後でもまた特定地方交通線対策の問題で具体的に触れますけれども、そういう問題を指摘をいたしておりましたが、結果的には、いま聞きますと、この赤字額というのは、いま申し上げましたように、私も調べましたが、北海道はいま申されたとおり二千五百七十九億だ。こういうことになりますと、どうもわからないのは、経営改善計画の完全実施をすればそれではどの程度赤字が解消されるのか。この点を、もう一回聞かしてください。
  54. 竹内哲夫

    説明員竹内哲夫君) 経営改善計画では、目標といたしております六十年の段階国鉄赤字額が大幅に減少するということには予定しておらないわけでございます。むしろ東北・上越新幹線の資本費を見込みますと、五十五年度から見まして約四千億円程度全体としての赤字額はなおふえるという予定で計算をいたしたわけでございます。
  55. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そうすると、先ほど来数字が発表されましたけれども、それじゃ具体的にお伺いしますけれども、北海道の例をとって質問しますが、二千五百七十九億、こういうことになってまいりますと、これを具体的に、二千五百七十九億というのは仮に民営分割をした場合に一体どこがこの赤字の負担の責任を持つのか。あるいは、それを当然常識的に考えて、これは利用者がこの分だけは犠牲、負担になる。  私の試算でいきますと、この二千五百七十九億という問題を検討してみますと、仮に百円稼ぐのに三百五、六十円の稼ぎをしなきゃならぬ。そうすると、運賃は三倍以上にしなければこれはとうてい賄えるものじゃない、こういう答えが素直に出てきますわね、これは単純計算で。これで一体民営分割、北海道で引き受ける会社があるんですか。また、これをやっていけるんですか、実際問題として。  これは端的な質問ですけれども、いま国民はそれを聞きたいと思うんですよ。どうもそこらあたりに来ると、この監理委員会がこれから検討していくんですと。これでは全く植木等の無責任野郎よりもまだひどいということになるのであって、根本的な問題をいま国民が明らかにしてもらいたいというのは、抜本的な国鉄赤字再建をするというのであれば——北海道、九州、四国、本州を七ブロックに分割すべきである、これは臨調答申でありますが、そのことに対して現実に北海道の道民は三十六線区のうち二十二線区も仮に切り捨てられて、そのあげくの果てに三倍以上の運賃が値上げをされる、これが何で国鉄再建だ、国民へのサービスだ、国民の足を守るなんということは筋が通りますか。これをまずはっきりしてくれということが国民の声ですよ。明確に、納得いく解明をしてください。
  56. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいまの点は、臨調で御議論がありました過程におきまして、ちょうど対馬委員発言のことと全く同様のことを私どもも臨調部会には御説明をし、大変分割が困難だということを申し上げたのでございます。  その結果の一つ結論として確かにそういう問題があるということで、つまり分割なり民営化ということについてはいろいろなデメリットもあるでしょう、デメリットについてこの臨調部会議論するだけの時間が非常にないということもあって、そこから先は私の推測でございますが、そういう議論の結果としてそうした点をもっと詰めなければいけないというところから、国鉄問題に関しては臨調でこうするのだという決定的な意見をおまとめにならないで、再建監理委員会議論しようという形の御答申になったのではないかというふうに思っておるわけでございます。  いま御指摘のような分割なり民営化なりということに伴うデメリットをどう考えるかということも、再建監理委員会が御議論になる非常に大きなテーマであろうかと思っておるわけでございまして、さればこそ、私どもといたしましても再建委員会が早くできまして作業をしていただきたいと考えているわけでございます。
  57. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま答弁を聞いておりますと、無責任だと私は思うんだね。少なくとも民営分割という基本的な方針が含まれて答申されている、基本的な柱になって提案されているわけですから、その前に少なくとも試算したわけでしょう。されてないんですか。これは行政管理庁にも聞きますけれども、当然試算をされて、政府も試算をされて、あるいは国鉄も試算をした上でいま私と同じ意見を臨調の方に総裁は反映した、物を申したと、こう言うんだけれども、それは物を申しただけじゃなくて、実態論としてそれは五百六十万道民は納得できないと。  この間、後で御報告あろうかと思いますけれども、四月二十八日、当委員会で北海道、九州に調査団が行っています。四人の公述人が陳述していますよ、賛成、反対各二名ずつ。いずれも、これは賛成者であっても北海道の民営分割についてはできない、まさにこれは納得できない、北海道はできるものではない、このように陳述しているんですよ。いま聞きたいことは私はそこなんです。責任を持ってやっぱり民営分割を出すからには、はっきりした確信を持った試算がなくて民営分割ができるなんという答えが出るはずがない、その点はっきり内容を明らかにしてください。そんなあいまいなことでは納得できない。
  58. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 北海道を例にとっての御質問でございますけれども、分割民営というものを臨調は出しておりますが、その基本にあるのは、いわゆる経営の自主性というものを付与して、そしてさらに地域に密着した経営をやっていく、それが今後の国鉄再建のいわば非常に大きなメリットといいますか、そういう問題ではなかろうか、答申の趣旨というのはそういうところにあろうかと思います。  そこで、具体的にそれじゃ民営分割という問題について北海道はどうか。先ほどの御質問でございましたように、約二千五百億円程度の現在赤字が出ておるわけでございますけれども、これは現在の制度あるいは仕組みという中での数字でございまして、これからさらに経営改善計画というものを改定し、深度化していくという問題もございます。それから今後さらに十分検討をして、いわゆる経営の自主性あるいは営業の自由度というふうなものについてもできるだけこれを付与していくというふうなことも考えていかなきゃならぬ。さらには、現在の長期債務あるいは特定人件費等の構造的な諸問題、こういうものも抜本的に解決をしていく。これも今後監理委員会で十分詰めて結論を出していく問題でございますが、そういう問題についても今後さらに手が加えられていく。さらに必要がある場合には、本当に国民に必要なものについてはそれなりの助成の仕組みというものも考えていかなきゃならぬだろう、こう思います。  そういうふうな問題を総合的に検討いたしまして、果たして採算が成り立つかどうか、それによって民営あるいは民営化というふうなことが可能かどうかというふうなことも含めて今後監理委員会でその辺をまさに具体的に、詳細に検討していく、こういうことになるわけでございます。
  59. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それでは納得できないね。総合的とかいろいろなことを言っているが、具体的に数字を出してください。この二千五百七十九億という数字だって、私はずいぶんこれは——先ほどもありましたけれども、衆議院のやりとりから全部。私も五年前にやりましたけれども、何もないじゃないですか。たとえば特定交通線を、三十六線のうち二十二線切り捨てるのに成功した、われわれ反対ですけれども。それと割り増し運賃をやる、三十五万人体制のスピードを速める、こういう三点の原則をやってさえ、これをかなり無理して強行したとしても、先ほど言った二千五百七十九億出るんだよ。それじゃ、これはどうやって採算になるんだ。あなた、いま長期負債を総合的に検討するとかあるいは助成をしなければならぬとかいう抽象論を言っているけれども、私は、ここに出すからには、それだけのやっぱり試算なり十分多角的な検討を加えられて結論をお出しになったのでしょうと言っているんだ。それがなぜできないんだ。そんなことで納得できるわけないじゃないか。
  60. 林淳司

    政府委員(林淳司君) いま御提案申し上げている法律は、分割民営化をするという実体法ではございません。それは臨調の方でそういう御提言がございまして、それを受けて、今後監理委員会でそういう方向に沿いながら具体的、詳細にその問題点を詰めていく、その結果で結論を出していく、こういう仕組みの法律を御提案申し上げておるわけでございまして、現段階で具体的に、じゃ、その二千五百億は幾らになるかということは、これから監理委員会で十分詰めてみなければ現段階ではまだその数字は出せない、こういうことでございます。
  61. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこが問題だと私は言うんです。だから、臨調がやるべきものではなくて、これは国鉄自体が試算をして、分割民営ができないという立場で総裁は一応私の意見と同じ立場で臨調に態度を表明した、こう言ったわけでしょう。  私は、政府にここで聞きたいんだ。政府として、それじゃ実際に北海道で民営分割はできるんですか。大臣、どうなんですか、この点。いま言っているとおり、臨調の中で、臨調の中でといったって、いま国民はここを聞きたいんだから、はっきり言って。政府は何のためにあるんですか。全部、屋上屋で臨調にどうぞおやりになってくださいというのは、それこそ超憲法的なことになってしまうんじゃないですか。そうでなくて、いま聞きたいことは、民営分割は北海道はできないという、賛成者でも。先ほど言ったように、あの過酷な条件は私はできないと思うけれども、仮にやったとしても、いまなおかつ二千五百億の赤字が出る。常識で言って、百円稼ぐのに三百五十円から三百六十円の試算になるんですよ、私がやったって。そうすると、結果的に、大臣、これはどうなりますか。三倍以上の運賃を上げても果たしてペイなるかならぬか。仮に民営分割したって、こんなもの引き受け手がないでしょう、はっきり申し上げて。  一番いい例が、北炭夕張炭鉱が、いま相当な援助をしたって石炭協会がやれないと言うんだ。その金は大した金額じゃない、おれに言わせれば。七億、八億の問題でさえこれは大変だ、こう言っているんだ。イコール、同じことなんだ、これだって。そういう問題についてやっぱり国民の前にぼやかさないで、ごまかさないで、はっきりした、そういう問題についてなかなか現実的にむずかしいならむずかしいという認識に立って、必ず民営分割をするものでない、考えてはいないというなら別だけれども、そうじゃないんだから方針が。その点、大臣、ひとつ確信ある答弁をしてください。
  62. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 臨調は民営分割を言い出しました。私たちはそれを尊重しながら、いまから先の問題に当てはめてまいりたい。そうすると、そのことからしますと、いままでの経営が一体どんなふうであるか、どういうところにロスがあったのか、先ほど林審議官が答えたように、いろいろな問題が出てまいります。そうした中において民営分割の問題を詰めていって、最後の結論というものを出さなきゃならぬ。いずれにいたしましても、従来のような物の考え方と行動だけではなかなか国鉄の運営というものは赤字になってだめである。ここで、どこかで節約のできるもの、もう少し努力をするもの、そういうところをやる一つのチャンスでございまして、そういうチャンスがあれば、またこれに協力する、応援するという気持ちも出てくる、こう思っております。
  63. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 大臣、チャンスであるとかないとかといったって、それは民営分割はできないというその実態を数字的に私はいま言っているわけですよ。どうですか、これを聞いて無理なことを言っていますか。三倍以上もの運賃値上げをしたり、それを必ずそれじゃ政府が肩がわりするというのなら何も民営分割する必要はないでしょう。長期負債を肩がわりする、あるいは国が長期負債をやりますというのだったら何もこれは民営分割する必要ないんだよ。先ほども話が出たように、三十五万人体制は現実に三十二万人割ってしまっている。こういう中で従来型でできるということは、現に元閣僚の田村運輸大臣も言っているし、一橋大学の都留重人教授だって言っているじゃないですか。  そういうことを私は聞きたいのであって、やりとりすると時間があれですけれども、大臣、そういう問題の認識どうですか。私が言うことはむちゃくちゃなことを言っているんじゃないでしょう。客観的に見て、なるほどこれは非常に大変なことだ、民営分割というのは非常にむずかしいことだということの認識をお持ちになりませんか。
  64. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 新しい問題ですから皆むずかしいです。しかしながら、そういう研究をすることによってまた新しい発展方法が生まれてくる、こういうことを私は感じておりまして、いずれにいたしましても、いまの時代経営合理化と企業の効率化ということが考えられます。こうしたときに改めてそういうチャンスを与えることによって、年間二千数百億のもし仮に赤字であるならば、これがもう少し減るとか、ある場合にはもう少し増収できるとか、そういう一つの工夫が生まれてくる。  日本で黒字、赤字言ったら、一体黒字という線が、専門家の皆さんおわかりでしょうけれども、何線あるでしょうか。七線以外にない。あとは赤字です。それでもなおかつこのとおり走らせなければならぬ。こういうふうに考えますというと、やっぱり経営合理化なりを推進することによって改めてお互いが国鉄再建を図っていく。また、特に、地方によっても若干のいままでよりは協力といいますか、そういうことも必要なときがあるのじゃないか、こう思っております。
  65. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 大臣答弁は的を射てないね。二言目には、とにかく監理委員会で検討しますとか、また総合的にそこらをやっていかなきゃならぬ、赤字であっても動かさなければならぬとか、そんな答弁を聞いているのじゃないんだよ、大臣。だから、民営分割ということは現実の問題としてはこれはむずかしいと。現実のいま端的な一つの現象、北海道の事実を取り上げただけでも非常にこれはむずかしい認識であるということをお認めになりませんか、私はこう言っているんだ。そこだけ聞けばいいんだよ。そんな弁解がましいことは要らない。どうですか。
  66. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 一つ一つの線路が民営分割がむずかしいかむずかしくないか、これはやっぱり研究するところで研究してもらった結論をお互いが見ていく、これ以外ないと思います。
  67. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いや、研究しろとかしないとかいっても、国鉄総裁自身が全く同じ認識であります、対馬さんと同じ認識を臨調の方に私どもの態度を表明いたしましたと、こう言っているわけでしょう。片っ方ではそれがむずかしい、できないと言っているのに、政府側はこれから何とかやってみましょうということじゃどうにもならないでしょう、これははっきり申し上げて。こういうことだから、船和四十四年以来、国鉄の第一次、第二次、第三次と、こうやって何ぼ計画を立てたって全部失敗しちゃうんだよ、こんなもの。私の言いたいのは、そういうことをはっきり大臣自身が踏まえて、民営分割というのはそう簡単にできるものではない、この認識の上に立って、むしろ現行の昭和五十五年に提起した再建計画を柱にどうしたらこれが再建の道につながっていくか、この基本姿勢に立つべきではないかと私は言っているんだよ。それはどうですか、その点は。
  68. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 一つ一つの地方が成り立つ成り立たぬというふうな個別的な問題じゃなくして、私は民営分割という新しい方針がある、それに向かって国鉄全体が計画を進めることによっていまの赤字を減らし、そして将来に見込みをつくるというところに問題がございまして、全部が全部、何もかにもが民営分割がオーケーという形じゃなかろうと私は思います、そこは。しかし、それを口実にして、何もかにも従来の方式どおりで革新も何にもやらないという形じゃこれはおかしい。現に、あなたの方だって、一日に千人しか乗らない、二千人しか乗らないところにたくさんの国費をかけて電車を走らせる。私の方の地方にもありますが、それに対しては自然にやっぱり経営合理化なり何なりというものはこれは必要なものではないかという雰囲気が生まれて、そこにお互いの経営の革新というものが生まれてきている、こう思っております。
  69. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いずれにしましても、このことで時間を費やすわけにいかぬけれども、ただ認識としては、北海道に僕はいましぼって物を言っているんだから、全体で言っているのじゃなくて。北海道では民営分割はできない、この間、参考人の賛成者でさえそれは不可能である、こう言っているんだから、その受けとめを私は認識としてなかなか分割は厳しい、北海道の現状認識はそうでないなという認識をお持ちでないですかということだから、端的にそこを言えばいいでしょう。それを何か言質をとってどうだと言っているのじゃないんだ。客観的に公聴会ですよ、国が定めた地方公聴会で参考人が四人とも異口同音にそれを言っている。考え方の違いはあっても民営分割は非常に困難である、この認識をお持ちなんだから、大臣としてその認識はお持ちにならないですかと、こう素朴に聞いているのだから、それはそのとおりでございますと言えばそれでいいじゃないですか。
  70. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) それは私がその公聴会にいなかったせいもありますけれども、そういう話のあることだけは私はあなたの話から認めます。
  71. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いや、認めるなら——公聴会ですよ、何も仲よしクラブで、喫茶店へ行って話したというのとわけが違うんだから。しかも運営委員会議決による公聴会をやったわけでしょう。公ですよ、これは。公の場でそういう意見が出たとするならば、それをしかと受けとめるべきじゃないか、認識は一致するべきものではないかと、これを言っているわけですから、いまあなたがそういう意見があったということは認めますということなんですけれども、しかとひとつ受けとめて対応してもらいたい。どうですか、その点。
  72. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) そういう態度で物を見てまいりましょう。
  73. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そういう態度で物を見ましょうということですから、いずれにしてもこれは基本的に一致する問題ではありませんけれども、だけど運輸大臣、そういう甘い判断ではまた失敗しますよ、これははっきり言って。必ずまた失敗するということを私予言しておきますよ。私は五十五年にもこれを言ったんだ。時間ないから会議録読まないけれども、五十五年にも私しゃべっていますよ。そういうことにならないように、私はひとつ明確に申し上げておきます。しかと受けとめて対応したいという認識の上でひとつ受けとめておきます。  そこで、具体的にそれじゃ私はお伺いするんですが、現実にいま議論しただけでもこれだけの認識の課題が、やっぱり政府は何ら具体的にこのことについては民営分割の態度が明らかでない、確信を持っていない、こういう現状を私は受けとめました。そうだとするならば、いま第一次、第二次の特定地方交通線の問題、この現状はどうなっておりますか。端的でいいよ、時間がないから。端的でいい、長々と答弁要らぬ。
  74. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) 御案内のように、第一次特定地方交通線につきましては四十線ございまして、三十八線につきまして協議会でバス転換等の問題につきまして地元といろいろ御議論をさしていただいています。残る二線につきましても、ことしの四月一日が一応協議開始日という予定でございますので、精力的に地元に働きかけまして協議会を開催しようではないかということでお話を進めております。  それから第二次につきましては、国鉄から承認申請がございまして、法の手続に従いまして都道府県知事に意見を照会中でございまして、なかなか地方の実情もございまして御返事をもらうのが手間取っておりますけれども、岩手県知事からは三月に御返事をいただいております。御返事をいただきたいということで、なお現在意見待ちということになっております。
  75. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま聞いたって何も進んでいないでしょう。これは五十五年のときもずいぶん厳しく言いましたけれども、何も全然進んでいないということでしょう。進んでいないのに第二次特定交通線の廃止計画を発表したということはどういうことですか。やっぱり意図的なものがあるんじゃないですか。どうなんですか。
  76. 永光洋一

    政府委員(永光洋一君) まず、進んでいないではないかというお話でありますが、われわれとしても鋭意進めておりまして、現時点におきましてすでにバス転換に、ほぼその方向でいこうという線も何線かございますし、さらに第三セクターで協力的にやっていこうという線も四、五線ございますので、そういう意味では三十八線の中で逐次法の趣旨に従った形での転換方策は進んでおるとわれわれは考えております、若干それは確かに計画どおりにはまいっておりませんけれども。  それから、第二次の問題を一次が片づかない前にというお話でございますが、これはわれわれ政府としまして、五十四年の閣議了解あるいは再建法等で二千人未満につきましては六十年までにバス転換等を図ろう、こういうことでございますので、第一次に引き続き、一応協議会が成立した点はおきまして第二次についても手続を進めさせていただきたい、かように考えておりまして、特に他意があるわけではございません。
  77. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いや、進んでいますといっても、それは一県や二県の話をしているのであって、当時の第一次の提案から見たら、岩手県の一部相当あったにしたって、全体は会議を持っていますよ。北海道でも、私も知っていますけれども、地方交通線対策協議会という会議が二回か三回持たれたけれども、それは具体的に白糠線だけでしょう、実際問題として北海道の例を言うならば。そうでしょう。あとありますか。ないでしょう。会議をそれは三回か四回重ねたって、まだ会議に参加しない市町村だってあるんだから。そういう問題からいくと、当初の五十五年、塩川運輸大臣のあの意気込んだ姿勢からいくならば、何も進んでいないじゃないですか。そういう認識で受けとめざるを得ないでしょう、この問題は。進んでいないのに再び第二次が出される。この点あたりが全く私は官僚的な発想以外の何物でもないのじゃないか。全くこれはわからぬ、現地の判断からいきまして。  私は、そこで北海道の問題にしぼってちょっと交通線の問題をお伺いしたいのだけれども、開発庁来ていますか。——私は、五十五年、委員会で長官にも申し上げ、当時、連合審査では大西開発事務次官から答弁がございまして、新北海道開発計画というのは、言うまでもなく、地域計画、産業経済、生活、これを基本として、もはや全体の北海道の位置づけというものは、日本の将来の開発の母体というのは北海道である、そのためにはやっぱり交通あるいは地域経済、文化、産業にわたるまでこの新経済計画に従ってこれはやっぱり路線をしっかり守らなければならない、こういう立場でこれから対応いたしてまいりたい、こういう当時の事務次官の答弁がございますし、長官の答弁もありますが、この点は、今日、どういう認識を持っていますか、第一次、第二次を含めて。
  78. 竹下淳

    政府委員(竹下淳君) 御指摘のとおり、北海道開発は日本の将来をしょって立つ地域開発というような観点で進めておるわけでございまして、北海道開発に占める交通の役割りというものは非常に重要なものであるというふうに考えております。  そこで、今回のローカル線の問題でございますが、二次線は現在国鉄から申請が出たという段階でございますので、まだこれからの問題とは考えておりますけれども、仮にそういったものが廃止された場合にどうなるかというようなことでございますが、その場合に地域における交通体系がどのような姿になってしまうか、適切な交通輸送機能というものが確保できるのかどうかということが一番重要な問題じゃないかというふうに考える次第でございます。したがいまして、当庁といたしましては、このローカル線問題につきましては、やはり地元の御意見というものを十分に伺いながら、地域の経済活動あるいはこれからの発展といったものは支障を生じることのないような慎重な対応が必要ではないか、こう考えておりまして、またそのような考え方でこの問題に臨んでいるところでございます。
  79. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで、当時の堂垣内知事から大臣にこれは意見書が出ているんですよ、ちゃんと明快に。これは第三次全国総合開発計画、新北海道総合開発計画など国の計画について明らかなように、地方線廃止の問題については、いま私が一口に申しましたけれども、つまり何といっても生活直結の路線である、産業経済、これに全く直結する路線である、これは北海道の開拓の歴史でもある、したがってこの問題はどんなことがあってもこれをひとつ維持してもらいたい。これは当時の堂垣内知事の意見書が相当ページにわたって詳細に出ている。そうでしょう。私がこれをつくったわけでも何でもない。これはここにちゃんとありますよ。それに対して、いまもお聞きのとおり、開発庁としても、新北海道開発計画からまいりまして、とても今日の地方線を廃止するという現状は北海道の開発計画にそぐわないと、これまた国会の場で明らかになっております。いまお聞きのとおりです。慎重にやっぱりやらざるを得ないという。  それが、どうもわからないことは、第一次線がまだそういう状態なのに第二次がいま言ったように出てきた。現実の問題としては、絶対、北海道のローカル線廃止というのは、これは生活路線ですから、大臣。時間がありませんから端的な話を私申し上げますけれども、たとえば幌内線、いま出ている歌志内路線、これは私も五十五年に質問していますけれども、それどころでないですよ。当時、もし貨物線を廃止してトラックに切りかえたという場合どうなるかということを私申し上げている。  そうすると、大体十トントラックで一分三十三秒に一台ずつ走らさなきゃいかぬ、これは幌内炭鉱から苫小牧まででも。苫小牧の北海道電力の二号機がもう開発されます。二線内がもう限界だと言うんだ、交通体系からいくならば。当時は一分三十三秒だった。一分三十三秒でトラック一台ずつ走らさなきゃならない。これは貨車からトラックに切りかえた場合。今度は四十八秒に一台走らなきゃならない。幌内、歌志内同じなんですよ。こんなこと交通政策上できないと言うんだ、はっきり言って。  もう一つはコストの面ですよ。いま、それでなくても幌内炭鉱は大変だ、歌志内は大変だと言っている、再建問題で。大臣御存じのとおり、しばしば閣議でお話が出ると思うんだけれども。これを見たってそうですよ。コスト面から見るとどうなるかというと、これもはっきり出ているんですよ。トラックと貨車の輸送費がどうかというと、貨物の場合、平均して千五百八十円。ところが、トラックになった場合に二千九百十三円で一・八倍になる。これは設備投資は別ですよ。もし切りかえるとしたら、トラックは買わなきゃならぬ、今度は配車のトラックの置き場をつくらなきゃならぬ、受け入れ側は引き込み線をつくらなければいかぬと言うんだ。歌志内だけでもって三十四億ですよ。私の調べで現は来ているんだ。そういう状況で一体これはできるのか。どんなことがあってもこれは廃止してもらっちゃ困る。  それから北見ですよ。これはジャガイモ、タマネギの産地です。これがもし、どんどんジャガイモ、タマネギが今度輸送をトラック輸送にするとなったら、これはどうなるんですか。これは全部大変なコストになっちゃうんだ。これは消費者にも大変な高いジャガイモ、高いタマネギで物価も上げざるを得なくなってしまう。つまり私の言う生活路線というのはそこを言っている、産業路線というのはそこを言っているんですよ。  そういう問題をしかと受けとめていただくとするならば、この問題は、当然やっぱり知事の意見というものは最大限尊重する。これは当時、目黒さん、青木さんなんか——当時の附帯決議の中に、知事の意見は最大限尊重しますと。私も連合審査で申し上げましたけれども、この考え方の基本的な態度は変わっていないかどうかということを、きらっと大任からひとつ発言してもらいたい。
  80. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 選定する場合にはいろんな標準で選定したかと思いますが、いまあなたが申されたように、一日に何千トンも貨車を使う、これは大変なお得意様でございます。また、常業成績も上がることですから、そういうことも考えながら将来対処してまいりたい、こう思っております。
  81. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 五十五年のときに、通産大臣田中通産大臣運輸大臣塩川運輸大臣でありましたが、まさしく国鉄としても責任がございますので、責任ある立場でこれをぜひ善処いたしてまいりたい、こういう私の質問に対する答弁になっておる。だから、恐らく二次に出てこないと思ったのだが、また二次にこれが出てきた。全くそこらあたりが私はやっぱり問題点だと、こう言うんですよ。北見の問題と同じですよ、率直に申し上げますが。  ジャガイモの輸送状況はどういうふうに対応されていますか。
  82. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 御答弁申し上げます。  北海道は、申し上げるまでもなく、ジャガイモ、タマネギの主要な産地でございまして、ジャガイモはただいま年間九十万トン、加工用は別にいたしまして食用で九十万トンだと承知いたしております。そのうち本州方面に移出されますのは四十方トンでございまして、そのうち十七万トンばかりが鉄道輸送にかかっております。コンテナで七万トン、車扱いで十万トンでございます。これはもちろん大体九月から十一月の終わりごろまでに非常に集中して出荷されるものでございますので、私どもの今度の計画におきましても季節の貨物列車を臨時に増発をいたしまして対応いたしたい、こう思っております。もちろん、その前にできるだけコンテナの御利用を慫慂いたしたい、こう思っております。  そこで、ジャガイモ全般についてはそういうことでいろいろお話を進めておるわけでございますが、特に先生御指摘のございました種バレイショでございますが、これがなかなか非常にむずかしい問題がございます。九月の中旬から十一月の中旬ごろ、五十日間に非常に一斉に出荷されるものでございますので、これはなかなかコンテナ化にはなじまないというお話でございます。発駅が四十駅ばかりございますが、着駅が三日五十駅に分散到着するということでございまして、今度のこの拠点間直行システムにはなかなか乗りにくい、こういうことでございます。  そこで、私どもとしましては、出荷団体の方々と、できるだけ東京までまず大量定型輸送で持ってきていただいて、そこから分散輸送できないものであろうかとか、あるいは通気性の高いコンテナがございますので、そういった技術開発を含めて今期、実は夏に試験輸送したいというお話がいま進んでおりますが、そういったいろいろな知恵、工夫をこらしまして、よく荷主の方々とお話をして慎重に対応したい、こう思っておるところでございます。
  83. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 これは、いま答弁を聞いていますと、問題はこういうことなんですよ。大臣にも聞いてもらいたいけれども、石炭もタマネギもジャガイモも同じだけれども、重要なときに、つまり石炭を例にとれば、何千トン三日以内に苫小牧の北電の第二号機に入れなさいと、こうなるわけだ。そうでしょう。それは何も利用率がないのではないんですよ。ぜひ貨車に頼みたいのだけれども、そのときに貨車が入ってこないわけだ。入ってこないからやむを得ずトラックでもって北電に納炭しなけりゃ、はい、お断りしますでは、これは大変なことになるわけですよ。たとえばそういう問題。貨車が、いわゆる貨物合理化による犠牲なんですよ、これは。貨物合理化によって、そういうものが実際に利用度が高まっていない。  タマネギだって同じですよ。いまの話を聞くと、ジャガイモだって同じですよ。いま私のところに、手元に現に北海道農協連からも来ていますよ。北見の商工会議所からも農業組合からも来ていますよ、現実に。私持っていますよ、これ。これだって同じことなんですよ。輸送すべき時期に貨物合理化によって貨車が配置されない、これじゃどうにもならないじゃないか、このことにやっぱり現実に目を配っていただいて、大臣、そのことをしっかりやってもらいたいと、こう言っているわけだ。その意味でも、第一次、第二次ローカル線廃止なんて、特定地方交通線廃止なんて、これはできるものじゃないです、これははっきり申し上げて。私は断言しておきますよ。  特に、はっきり申し上げて、今度は北海道知事は、これはいずれかは別にして、横路知事もこれは選挙前に公約したわけですから、新北海道開発計画をしっかり守ると。これは何も個人の意思ではないんだよ。私も北海道開発審議委員を二年やった。開発審議会の決定ですからね、これは。開発審議委員というのは国会の任命ですから、こういうことからいけば当然これは個人の意思じゃないんだよ。北海道五百六十万道民の意思であり、また福岡県の知事も勝利をした。これだってやっぱりローカル線廃止というものをきっちり守っていきたい、守る、その立場で国に反映をいたしてまいりたいということを申し上げているわけですから。  なぜ私が先ほど聞いたかというと、いわゆる附帯決議についている知事の意見を最大限に尊重する、この考え方に変わりはないかと私が冒頭質問したのは、そこを聞きたいわけです。いま言った私のやりとりを聞いてわかるでしょう。何もむちゃなことを言っているのじゃないんだ。客観的に私のこのやりとりを聞いてみて大臣おわかりのとおり、北海道の産業は、もう炭鉱はつぶれる。もし貨車がトラックになったら幌内炭鉱は終わりですよ。歌志内炭鉱は閉山ですよ、また。それから、先ほど言った北見農協だって重大な農民の被害ですよ、これははっきり。それから消費者に対する被害。こういう総合的判断に立つとするならば、やっぱり知事の意見というものは最大限にこれは尊重するという、単に附帯決議という問題でなくて、そのことを大臣としてしっかり、知事がもし提案をした場合については、これを尊重をし、決定をしてまいりたい、この大臣のひとつ考え方に立ってもらいたいと思う。これは附帯決議でありますから、その点、もう一度ひとつ確認したいと思います。
  84. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 地方の自治体がそれぞれ意思決定することは尊重いたします。しかし、最後に話のあったように、北海道は挙げて反対、福岡県は挙げて反対というふうな形では、これは日本全体の行政は成り立たない、私はそう思います。その辺は、よくよくひとりお考えを願いたいと思います。
  85. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 最大限尊重するけれども、日本は成り立たないと言ったって現実に北海道がそういうことで現地の市町村自治体がもう絶対にだめですと。ことしの二月二十四日、私どもの瀬谷議員会長も同行しておりますけれども、これは何も北海道の横路知事だけを言っているのじゃないんだ。堂垣内知事の永澤という副知事も出てきて、瀬谷先輩の質問に答えているんですよ。はっきりローカル線問題、それから今度の民営分割の問題についてちゃんと答えている。北海道としては、堂垣内道政としては第一次、第二次のローカル線廃止問題についてはあくまでも生活路線であり、地域住民の生活破壊につながる、この立場でやっぱり堅持をいたしてまいりたいと、明確に堂垣内道政も言っているんです。それを横路知事はただ引き継いだだけの話なんだ。それを、あなた、日本的立場ではどうにもなりませんと言ったって、私はその後の方は必要ないんだよ、知事の意見を最大限に尊重しますということに変わりはないんですかと聞いているんですから。その後の方のことをつけられると、こっちも黙っているわけにはいかないんだよ。どうなんですか、そこの点は。附帯決議まで無視されることになっちゃう。
  86. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) そういう意見のあることは承知いたします。しかし、絶対そのために何もかも政府のやることは反対だというふうなことではちょっとやっぱりこれはお互い議会政治としてもおかしいのじゃないか、こう思うわけです。
  87. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いや、それは大臣、そういう答弁は、これは立法府、われわれ国会を無視することになりますよ、そういうことを言うなら。当時、この附帯決議は四項目あるんですよ。いまここに持っていますけれども、昭和五十五年十一月二十七日、参議院運輸委員会。七項目ありますけれども、重点項目四項目になっていますね。この中に、「地方交通線対策を進めるに当たっては、地域住民の意向及び知事の意見を尊重すること。」。これに対して塩川運輸大臣はどういうふうに答えていますか。ただいまの本委員会における附帯決議につきましては最大限に尊重いたしてまいりたい、こういう答弁でしょう。塩川運輸大臣と、今度長谷川運輸大臣と変わるんですか。そんなことは私はないと思うんだけれども、どうですか、この点は。その点、もう一回ひとつはっきりしてください。
  88. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) そういう意見を、その当時出たことだけは承知しております。ローカル線の問題でも、これはあしたからばっと廃止するのじゃなくして、かわるものをどうにかしてつくってもらいたい、そのための御協議を願いたい、こういうことでございますから、その間の事情だけはひとつよくおわかりいただきたいと思います。
  89. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 事情わかる、わからぬじゃなくて、第一次線が二年たった今日でも北海道ではたった白糠線一カ所だと言うんだ。そうでしょう。この経緯を見たってわかるじゃないですか、客観的に。何も私責めているのじゃないんですよ。こういう客観的な事実を見逃すことはできないんじゃないか。だから、この附帯決議にある「地域住民の意向及び知事の意見を尊重すること。」ということに対して、当時の塩川運輸大臣は、私も同席しておりますけれども、そのことについては確認をしている、最大限尊重いたします、これでいいじゃないですか。それを、日本はどうにもならぬとか、日本は大変なことになるとかいう言い方をされると、この附帯決議というのはそれじゃ一体何なんだと、一体、当時答えた大臣はその場しのぎの、ただ法律を通すための手段だったのかということを疑いたくなるんですよ。そういう意味で聞いているわけですから、やっぱり素直に、それは当時の昭和五十五年十一月二十七日の附帯決議というものは尊重さるべきものである、こういう答弁だと私理解しますよ。どうですか、大臣、ひとつ。
  90. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 五十五年時代、塩川君がそういうことをお答えしたことはよく記憶いたします。
  91. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 記憶しているということは、当然、自民党政府が社会党にかわったわけでもないんだから、大臣、言うまでもなく、自民党政府であることは変わりないんだから、大臣がかわっても政府の方針はそのとおりなんだから、だから私はいま言ったようにこれは当時の決議がそうあると、いまなお今日になっても、まる三年になってもこういう状態は続いているではないか、このことをやっぱりしかと受けとめる立場に立つべきだ、それは知事の意見というもの、市町村住氏の意見というものをやっぱり尊重していく、この姿勢に立ってもらいたいと、このことを申し上げているわけですから、いま塩川運輸大臣考え方を受けとめますということですから、そのようにひとつ確認をしておきたい、こう思います。  そこで、私はやっぱり大事なことは、時間もなくなったのであれですが、青函トンネルの問題の労働問題をちょっと大臣にひとつ明らかにしてもらいたい。  一つは、青函トンネルのもちろん主権の問題、公海権の問題あります。これは利用計画の問題ございますけれども、利用計画を一体どういうお考えを持っているかということが一つと、それから御案内のとおり、あそこは労働大臣もおわかりだと思うんだけれども、福島町吉岡にまつわる、単にあそこに青函トンネル完成した労働者だけでなくて、地域全体の雇用計画にも重大な影響がくるわけであります。これを一体、計画完成後の雇用対策というものをどういうふうにお考えになっているか。  それから運輸大臣はこの利用計画をどういうふうに、三月に一回懇談会をおやりになったそうでありますが、今後鋭意検討してまいりたいというふうなやりとりになっていますけれども、いまの段階で、もし考えていることがあれば、お聞かせを願いたいと思います。
  92. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 青函トンネルお荷物論などとかいう議論などもありますが、あれだけすばらしいものができましたからナショナルプロジェクトとして私はこれを最大限に活用したい。ただ、その場合に、よく言われるように国鉄に借料をたくさん払わさなきゃならぬ、こういうことがいまネックになっておりますから、在来線をまず通すことが第一番でございましょうが、さて、そういうふうな借金なり赤字なりがどうしたら出ないのか、これをひとつ日本人というのは知恵がありますから、財界人、民間人、学者、こういう方方にせんだってお集まりいただいて懇談会を開き、そしてさらにその中から小委員会なども開いて、あしたというわけじゃありません、二年後でございますが、それに間に合わしてみたい。最大限どんな知恵が出るか、それによって財政的な、あるいはまたいろんな法律的なことを皆さんに御相談しなきゃならぬ、こう思っております。
  93. 大野明

    国務大臣(大野明君) ただいまの御質問でございますが、いずれにしても北海道は全国的に比べて雇用失業情勢が低い、それで御心配なさっておるのだろうと思いますが、いまも運輸大臣から答弁ございましたように、現在どういうふうにこのトンネルを完成時に考えていくかということも固まっておらぬという現況でございますから、即この失業雇用情勢について答弁をと求められても明確なことは言えませんが、いずれにしてもトンネルの工事の進捗状態、あるいはまた完成時、あるいはまた供用開始時というような段階もございますので、そのときどきに考えていこうということだけはいまはっきりしておきますけれども、いずれにしても、それによってあるいは青函連絡船をやめてしまう、旅客もやる、貨物もやるようになるのか、あるいは全然使わないのか、この状態の中ではっきりしたことは言いかねますが、いずれにしても考えていくということでございます。
  94. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 特に、労働大臣にしばしば社会労働委員会で申し上げておりますように、北海道の雇用状況というのは沖縄県に次ぐ失業多発地帯である。昨年十月の調べによる求人倍率は沖縄県は〇・二〇、北海道は〇・二六です。まさに沖縄県に次ぐ失業多発地帯。その中でも三十二万人という季節労働者が存在をしておる。こういう雇用状況の中で、これは青函トンネルの完成後の雇用がもしなくなるということになれば、大変なこれまた北海道は失業増大の傾向になるどころか、まさに雇用危機突発をすることになるわけであります。  それは、単にそこに働く労働者だけではなくて、道南地帯の福島町吉岡というあの地域にまつわる中小企業に与える影響も非常に大きい。こういう住民に与える影響、地域社会に与える影響が大きい。このことを私は心配しておるわけでございまして、そういう観点から運輸大臣も大型プロジェクトとしてこれから鋭意検討してまいりたいということでございますけれども、いずれにしましても税金のむだ遣いのないように、ともあれ、やっぱりこれからの長期的、二十一世紀に向けてどういう発想をお持ちになるかということは、当然この北海道住民の各層、もちろん大方各階層入っておりますけれども、特に北海道住民の意思というものをやっぱりそんたくしていただいて、これからのひとつ方向を決めてもらいたい。このことを特に申し上げておきます。  最後に、それぞれの答弁を聞いておきます。
  95. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 三全総では東北と北海道が目玉商品と言われました。そういうことからしましても、やはり本州とつながることの人間の交流、物質的な交流、こういうことからしまして、いまから先北海道というものはわが国土で大いに開発、伸長していかなきゃならぬ、これは私だけじゃなくてほかの方々も全部そうだろうと思いますが、そんな姿勢で青函トンネルの問題その他見てまいりたい、こう思っております。
  96. 大野明

    国務大臣(大野明君) 福島町の問題に限らず、やはり雇用問題、失業問題というのは社会的に大きな問題でございますから、いろいろ知恵をしぼってやっておりますが、特にそういう青函トンネルに伴っての地域の問題でございますので、その点はまだ数年ございますから、いまのうちから勉強しておこう、こう思っております。
  97. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 終わります。
  98. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ─────・─────    午後一時三十四分開会    〔運輸委員長矢追秀彦委員長席に着く〕
  99. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) ただいまから連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  100. 梶原清

    ○梶原清君 現在国鉄は、午前中の運輸大臣のお言葉にもございましたが、残念ながら危機的とも破局的とも申すべき非常に大変な事態を迎えておるわけでございますが、この国鉄を再生し、国鉄の財政を再建をするということは、全国民的な課題であり、また当面の行財政改革の最も中心的な課題ともなっておるわけでございます。  いままで指摘されておりますように、国鉄問題につきましては、年金問題、長期債務の問題等々たくさんの困難な問題があるわけでございますが、これを解決していくには、何といっても、労使の血のにじむような努力がなければならないと思います。まず第一番に、労使の涙ぐましい血のにじむような努力が必要だと思います。全国民から、国鉄は何といっても親方日の丸だ、こういうことではなくて、あれだけ涙ぐましい努力をしておるのだ、あれだけやっておるのだということにならなければならないと私は思うわけでございます。そのために国鉄労使が、この際、血のにじむような努力をぜひともしていただきたい、このことを強くお願いを申し上げるわけでございます。  昔からよく言います言葉に、天はみずから助くる者を助くという言葉がございます。これこそいま国鉄労使皆さんに思い出していただいて、一生懸命にがんばっていただきたいことをまず冒頭にお願いをいたしまして、個々の問題につきましては国鉄の事務当局にお尋ねをしてまいりたいと思います。御答弁は、時間の関係がありますので、簡潔にお願いをいたします。  まず第一番でございますが、いままで決定されております再建計画では三十五万人体制ということが言われておりました。ごく最近の新聞によりますと、三十二万人体制とかいろいろ御検討いただいておるようでございますが、その御検討の状況、もし許せるならばその状況につきましてお話しをいただくとともに、それを達成するためにどこをどのように改善していくのか、合理化努力をしていくのかということにつきましての御説明を、まず承りたいと存じます。
  101. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 三十五万人体制というのは、六十年時点で三十五万人でやっていきたいという考え方をお示しいたしたわけでございます。ところが、その後、その計画の前提としては、一定の輸送量を前提といたしまして、それに対応する輸送力を持つという前提のもとに三十五万人ということでいきたいと申し上げておったわけでございますが、残念ながら予測よりも旅客、貨物とも輸送量が落ちてまいりましたので、輸送力も落とさないといわばむだになるといいますか、効率が下がるということで、いま考え直しておるところでございます。その結果、輸送力を落とすとなれば必要な職員数ももっと減ってこなければならぬということで、三十五万人体制よりもさらに少ない数でやらざるを得ないと考えておるわけでございます。  現在のところ、六十年時点で三十五万人と言っておりましたが、その後、要員合理化内容をやや強化してまいりましたので、多分五十九年度の初めぐらいにほぼ三十五万人ぐらいになし得るのではないかと考えておるわけでございまして、先般五十九年四月一日の新規採用抑制をもう一遍やるということでこれからまたいろいろと詰めてまいることを明らかにしたのもその趣旨でございまして、六十年時点で三十五万と言っておりましたのが一年程度まず繰り上がってできる、またしなければならないのではないかというふうに考えています。その先どういうふうにいたしますかは、なお今後の勉強次第ということではないかと思っております。  なぜそのように三十五万体制を早くつくることができるのかといいますと、それは主として貨物の輸送方を変更することでございまして、それは三十五万人体制の中に織り込んでいなかった仕事のやり方、簡素化といいますか、合理化を持ち込むという計画にいたしましたのと、そのほかになお荷物の輸送方についても当初の計画よりはもっと厳しいものにいたすつもりでございます。
  102. 梶原清

    ○梶原清君 現在、五十八年度の予算定員が三十七万三千九百、これをいまおっしゃるような体制に持っていくためには職員にやめていっていただかなければいけない。その手段といたしまして退職勧奨制度をとっておられるようでございますが、その概要をごくかいつまんで御説明いただきますとともに、その退職勧奨に何%の人が応じておられるのか、そういう実績がわかりましたら教えていただきたいと存じます。
  103. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 現在、退職勧奨制度を実施しております者は、年齢五十歳以上あるいは勤続三十年以上の者でございます。  それで、その実績でございますが、主として五十五歳に達した者が非常に有利な取り扱いをいたすようにいたしておりまして、五十五歳の者がほぼ八〇%から八二%の割合で退職をいたしております。それで、五十五歳を過ぎた者、五十七、五十八のいわゆる労使の協約の年齢に達しますとほとんど一〇〇%やめておりまして、それ以上の者はほとんどいないと申し上げてよいかと思います。
  104. 梶原清

    ○梶原清君 そこで、問題になりますのは、現在の国鉄職員の年齢構成でございます。特に問題になりますのは、いまの退職勧奨の対象になりますような年齢層、たとえば五十歳以上、五十歳の人は何万何千で何%ぐらい、それから五十一歳はどう、こういう年齢構成につきまして、その概要を教えていただきたいと存じます。
  105. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 昨年四月のデータしかございませんが、現在五十歳から五十四歳の者が九万六千六百、五十五歳以上の者が九千七百で、合わせて十万六千三百、約二七%の者が五十歳以上でございます。  細部につきましては、五十一歳が二万、五・二%、五十二歳が二万二千五百、五・八%、五十三歳が二万四千三百というふうな数字になってございます。
  106. 梶原清

    ○梶原清君 この退職勧奨制度を推進しながら、一方において新規採用の原則的停止と申しましょうか、十項目の閣議決定にもございましたように、新規採用の停止を一方においてやりながら退職勧奨を進めていかなければいまの目標に達しないわけでございますが、この新規採用の停止というものがいつまで続けられるものか、何年も何年も続けられるものではないと思いますが、そうしたものとの絡みを国鉄当局でどのようにお考えになっておるのか、御答弁をいただきたいと存じます。
  107. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいまお聞き取りいただきましたように、五十歳以上の職員が一歳刻みで大体二万人ぐらいおるわけでございます。そこで、それの後補充をしないという状態で仕事ができるかどうかということが新規採用の抑制ということにつながるわけでございますが、つまり現実に人が定年になってやめていく、勧奨退職も含めて早目にやめていくということで、一方で現在何人の人がある年に働いていくかということと、それからそれとは全く別に現在の労使の話し合いでこの仕事は何人でやりますよといういわゆる要員計画がございますが、それとがすり合えばもうしばらくの間新規採用を抑制していっても何とかやっていけるのではないかというふうに考えておるわけでございますけれども、つい最近、二年目と申しますか、五十九年の四月の新規採用も抑制いたしますという方針を決定したばかりでございます。それをさらに三年続け得るかどうかということは、まだちょっと私ども自身も明確に詰めるところまでいっておりません。  先生は、いま毎年退職の年回りになる人が何人いるかというお尋ねでございましたが、その数だけでいきますとまだもうしばらく続けられそうでもあるのですけれども、しかし職種別にでこぼこありますし、地域別にいろいろな問題もありますので、新規採用を原則としてしないということをそういつまでも続けるわけにもまいらぬわけでございまして、その辺の見当をつけますのは今年度の終わりかあるいはもう少し後になりませんと、さらに三年、四年という期間無理にそういうことをしていいかどうかということの見当はまだちょっとつきかねる現状でございます。
  108. 梶原清

    ○梶原清君 国鉄退職者がふえてまいりますと当然に年金受給者がふえてくる、現職の者が減って年金受給者がふえますので当然年金の成熟度が高まっていく、したがって年金収支が非常に深刻な影響を受けてくる、こういうことになるわけでございますが、そうした点につきましての国鉄御当局の見通しというものを教えていただきたいと存じます。
  109. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 先生のおっしゃるとおり急速に成熟度が悪化してまいりまして、五十六年度八一 %、五十七年度は九〇%に達すると思われますし、六十年度には一二〇%程度に立ち至るのではないかというふうに心配いたしております。
  110. 梶原清

    ○梶原清君 この件につきましては、党の大変な御尽力等がございまして共済組合を統合する法律案が予定されておるわけでございます。その一日も早い成立を期待するわけでございますが、それにいたしましても、国鉄労使の自助努力といいましょうか、あれだけがんばっておるのだ、あれだけ努力しておるのだということで、ほかの方々の理解と協力が得られるということが私はこの問題の一番ポイントではないかと思うわけでございますので、この点につきましての一層の御尽力をお願い申し上げたいと存ずるわけでございます。  それで、国鉄退職者がやめていかれまして、そして再就職をどこかにされるようになると思います。問題になりますのは関連事業でございまして、国鉄が出資をされておる関連事業がいまどのような状況になっておるのか、どのようなところへどのような出資をして、またそれがどのような成績を上げておるのか、こういうことにつきまして概要をお教えいただきたいと存じます。
  111. 岩瀬虹兒

    説明員(岩瀬虹兒君) 五十八年四月末現在で申しますと、出資会社は百十一社でございます。  その内訳は、乗車券の代売等の業務委託を行っておりますのが三社、たとえば日本交通公社等であります。それから臨海鉄道、バスターミナル、旅客ターミナル施設等の運輸関連の会社が九十四社、それから施設及び土地の高度利用の会社、たとえば東京メディア等の広告媒体会社等でありますが、これが十三社、それから営業線の利用促進が一社でございます。  これは、すでに決算が出ておりますのは五十六年度まででございますので、それについて申しますと、出資会社数は百社でございまして、このうち営業中の会社は八十一社でございます。そのうち五十四社が当期未処分利益を計上し、配当しているのはそのうちの二十七社であります。当期未処分損失を計上している会社につきましても経営成績はおおむね順調に推移しておりますので、一、二の例を除きまして、ほぼ設立時の計画どおりに利益を出し、配当をしていく見込みになっております。  なお、投資と申しますと一般には配当が一つのめどになるわけでございますけれども、国鉄の出資会社の場合には、国鉄法第六条の制定の経緯から見ましてもそれぞれ出資の目的があるわけでございまして、一つには国鉄本来の輸送業務のため必要な業務を行う。これは補完的な業務でありますが、行うものといたしましては、たとえば臨海鉄道、物資別貨物ターミナル等がございますが、これらにつきましては必ずしも配当ということではなく、たとえば臨海鉄道の場合には全貨物輸送量の一四%を、また物資別ターミナルの場合には九%をこの会社が取り扱っておるわけであります。  また、乗車券代売業につきましても三千七百四十二億、これは国鉄の旅客収入の約一六%でありますけれども、これらが市中販売網として活躍をしておるわけでございます。  また、事業収入を図ることを目的とする会社につきましては、たとえて申しますと、旅客ターミナル施設の場合には構内常業料金を国鉄に納めております。この場合、すでに開業をしております四十社について申しますと、出資額は五十九億でありますけれども、料金収入が六十億、出資は一度だけでありますが、料金収入は毎年毎年ふえていくわけでありますが、収入を上げており、配当以外にもこれだけの収入を上げているという実情でございます。
  112. 梶原清

    ○梶原清君 関連事業への投資ということが非常に大切なウエートを占めるのじゃないかと思います。いままでも大変御尽力をいただいておるようでございますが、なお一層投資の効率化ということにつきまして御尽力を賜りますようにお願いをするわけでございます。  それと、問題になりますのは部外への業務委託の問題でございます。と申しますのは、人を減らす、人件費を減らす、そして一方において業務の部外委託といいましょうか、こういうことになりますと人件費物件費に肩がわりをしていくわけでございますが、その際の業務委託が果たして効率的であるかどうか、こういうことが問題になるわけでございます。  そこで、問題になりますのは、業務委託をいたしますときの積算単価が果たして公正妥当であるかという問題と、もう一つは、一つの業務につきまして委託をいたしますと、ほかとの関連で能率が悪くなる。たとえば掃除だけを委託しましたら、国鉄職員がやっておりますほかのものと総合的に見てみます場合に能率が下がってくる。ですから、縦割りで業務委託をするのでなしに、その職場全体の管理といいましょうか、そういうものを委託する方がかえって能率的ではないかというふうに感ぜられるわけでございます。  先ほど来お話しのように、職員を減らしていく、そしてその過程で業務委託がふえていく、それが指弾を受けるような効率の悪いものであってはなりませんので、この点非常に関心を持っておる一人でございます。国鉄の御当局から、その辺の御答弁をお願いいたしたいと存じます。
  113. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) お答えいたします。  いま先生御指摘のとおり、かつて業務委託、先ほどお話の出ました乗車券の代売とかあるいは車両の清掃、これらは各管理局長に私どもの方から管理局長施策費ということで局長基準費の中で一律に渡しておりまして、おっしゃるとおり、ある駅ではある業務を委託し、あるところではその業務が直営であったというような例がかつてございまして、私どもの方も会計検査院等からもかなり指摘ございますし、いま先生おっしゃるような御指摘もございました。最近は、これらのものにつきましては、私どもの方で全部積算の単価を全国一律、たとえば賃金は三省間協定で全部地域別に一律に決めるとか予備率も一律に決める、そういうようなことでただいま統制をとっております。  それから縦割りの件につきましては、管理局長で一時期非常にばらつきがございました。これにつきましては、いま経理局が中心になりまして各主管局でばらばらにならないようにかなり外注につきましては腐心しておるわけでございますが、従前に比べましてかなり統制をとってきつつございます。いましばらく御猶予をいただきたいと思います。
  114. 梶原清

    ○梶原清君 最近の数字で国鉄長期債務が大体どのくらいになっておるのかお教えをいただきたいのですが、その際の平均金利、国鉄が利子を負但しなけりゃいけないものと政府が肩がわりをして負担しなけりゃいけないものがありますが、全体を通して平均金利がどのようになっておるのか、数字を教えていただきたいと存じます。
  115. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) お答えいたします。  まだ正確な数字は出ておりませんが、五十七年度末で十八兆四千億円の長期債務残になる見込みでございます。この内訳は、棚上げしていただいておりますものが五兆三千億ございます。そのほかが十三兆八百億ございます。  それから二番目の御質問でございますが、平均の利子率は七・三四%でございます。いま申しました、棚上げしていただいております分の五兆三千億の利子は六・五〇%でございます。そのほかが、一般が七・六八%でございます。
  116. 梶原清

    ○梶原清君 これだけの長期債務があって、そして平均で七・三四%の利子がかかる。寝ても覚めても金利がかさんでいくわけでございます。国ないし国鉄が支払わなけりゃいけない金利が膨大な額に上がっておるわけでございます。いかに国鉄問題が大変かといっても、かつての徳政令のようなものを出すわけにはならないと思います。払うべきものは払わなければいけない。この繰越欠損金といい、長期債務といい、結局考えてみますと一円、十円、百円の積み重ねがこのようになってきておるわけでございます。今日の姿になってきておる。それをなしていくのは、これはやはり一円、十円、百円の積み重ねをしていかなければならない。だれも助けてくれない。  そこで、これからは私見になるわけでございますが、御答弁はちょうだいできれば結構でございます。ちょうだいできなかったら、感想だけでもおっしゃっていただきたいと存ずるわけでございます。  まず第一番に、新幹線の環境対策でございます。  現在、新幹線の建設主体は鉄建公団の場合もあり国鉄の場合もありますが、そうした建設主体がその環境対策も同時にやっておるというのが今日の姿でございます。例を挙げて申し上げますのはどうかと思いますが、たとえば大宮以南の新幹線を建設するときに、その周辺住民の要請に応じまして仮にグリーンベルトをつくれということになると思います。この厳しい国鉄財政の中でグリーンベルトをつくるということはなかなか大変でございます。そこで、せいぜい防音壁をつくることがやまやまでございましょう。防音壁をつくるということになると、万里の長城のようなものがこの都内にずっと連なってしまう。それでは、とうてい住民が納得しない。そこで、どうしてもグリーンベルトをつくれ。百歩譲ってグリーンベルトを国鉄の手でつくるとなりますと、国鉄の用地になりますから、くいを打ってここから中へ入ってもらっては困るということになります。木を植えますけれども、同時に雑草が生えてまいります。害虫が発生する、犬猫がたむろするようになる。そこで、付近の住民の方は第二次公害ということで国鉄に対してまた苦情を言われることになろうと思うわけでございます。  そこで、それをどのようにして解決したらいいか。私は、私の考え方によりますと、そこに都市公園をつくっていただく。緑地公園事業として建設省なり東京都の手で緑地帯をつくっていただければ、そのところへ付近の住民の方々が中へ入って憩いの場所にもなる。同時に、国鉄の環境対策にもなるわけでございます。一つの土地を、土一升金一升の土地を二重に使うことになるわけでございます。私は、ぜひともそういうことでやっていくべきではないだろうか。  いまでは縦割り組織になっておりますから、新幹線といえば、その新幹線を建設することと同時に環境対策も全部国鉄だということになっておるのが現状でございますけれども、こうした新幹線のように重要な基幹交通施設につきましては、その環境対策は政府政府関係機関がみんな寄ってスムーズに円滑に安くつく方法というものを編み出していく知恵がなければいけない、私はそう思っておるわけでございます。私は、七年間、大阪飛行場問題と取り組みました非常に苦しい経験からそのことを申し上げておるわけでございます。ぜひともこれをうまくいくように政府並びに政府関係機関がお打ち合わせをされて、円滑にしていくようになれば、現在のその環境対策に投ずる国鉄の資金が少なくて済む、そしてかえって円滑にいくようになるのではないかということを私は考えておるわけでございます。  もし私の記憶に間違いがなければでございますけれども、新幹線の沿線で地方公共団体とお打ち合わせの上で国鉄当局が道路敷地として用地買収をした、買収してみて地方公共団体と打ち合わせしますと引き取ってくれないというのでその土地が宙ぶらりんになっておるという記事を読んだような気がするわけでございます。新幹線の沿線に道路をずっと並行して走らかせるということは非常に私はよい知恵だと思うわけでございますが、せっかくそうやって国鉄が資金を投入して肩がわりして用地買収をいたしましたにもかかわらず、地方公共団体が引き受けてくれない。引き受けてくれるまでは金利がだんだんとかさんでいくことになるわけでございます。問題はそういうところから一つずつ解決をしていく、うまく仕組んでいくということでなければ私はいけない、このように考えておる次第でございます。これが一つ問題点です。  同様のことは、ローカル線の廃止の場合でも同じことが言えると思います。現在、四十線でございましたか、第一次のローカル線の廃止計画につきまして、各陸運局長が座長になって協議会を開いて一生懸命に取り組んでいただいております。私の立場からしますと、一線でもよろしいから実力でもちまして解決をしていただきたい。二年後を待たないでも実力でもちましてこの解決ができる、廃止ができるという方向に進んでいただきたいと思うわけでございますが、その際に幾らお金を出してもいいというのではない、やはり廃止をする場合には廃止する経済原則というものが私はなければいけない。  私が飛行場問題と取り組みました際によく問題に出てまいりますのは、環境対策と同時にいろいろの施設をつくってくれという地元の要望が出てまいります。たとえば今度の国鉄の廃止の場合でも、道路を拡幅してもらいたい、整備してもらいたいという要望も出てまいりましょう。公民館をつくれという要望も必ずや出てくるに違いないと思います。そういうものは、そういう筋で、都道府県知事に努力をしていただくという方向に持っていかなければいけない。そして、それを都道府県知事が努力をされた穴埋めを政府運輸大臣が中心になられて、そしてそれをうまく持っていくということになれば、国鉄から出ていくお金が少なくて済むわけでございます。  従来、私の感じておりますのは、たとえば新幹線にしましても、私どもがいままで取り組んできました空港問題にしてみましても、飛行場をつくれあるいは新幹線をつくれということは一生懸命地元が要望されますが、一たん取り組んでしまいますと、環境問題とかいろいろ出てくる。全部、その企業主体といいましょうか、それがまるかぶりになるわけでございます。そこで、地方公共団体も一緒になってこの問題を解決していくという仕組み、そういう姿勢というものがなければ、国鉄は何ぼお金があっても足りません。また、それを援助するところの政府は現在百兆円を超える国債を抱えてぴいぴい言うておるのが今日の姿でございますから、国鉄ローカル線を廃止する場合でも一つの経済原則に立ってやっていただかなければいけない。その仕組みは必ずある、窮すれば通ずるで、誠意を尽くしていけば必ずその道が出てくる、私はそう思っております。せっかくの御尽力を賜りたい、このように思うわけでございます。  最後に、設備投資の関係でございますが、午前中、私の大先輩の目黒先生が月給五十五円というお話をなさいました。私は日給七十一銭の駅員が振り出しでございます。十三年間、国鉄の現場で働かせていただいてまいりました。今日の国鉄の姿を見るのは残念で仕方がないというのが私の偽らざる感想でございます。なぜこのような国鉄になってしまったのかということでございますが、それはいろいろ言い分はありましょう。ありますけれども、自動車が発達し飛行機が発達しましたのは、三十年代、四十年代に設備投資をどんどんやってきたからでございます。  その資金は、たとえば自動車で言いますれば、自動車関係諸税をどんどん上げまして現在では恐らく一〇〇%利用者負担の形になっております。御案内のとおり、自動車が発展をしてきた。飛行場の方も、着陸料を何倍も上げ、特別着陸料も上げ、通行税も五%を一〇%にして資金をどんどん稼いで、そして飛行場の整備をし、環境対策もやってきて今日の航空機の発展というものを裏づけてまいった。  それに対しまして国鉄はどうか。三十年代、四十年代の運賃改定、収入になるべき国鉄運賃の改定というのが、午前中の運輸大臣お話にもございましたように、非常にむずかしかったわけでございます。運賃改定をしようとすれば物すごい反対運動が起きて、国鉄運賃法案を通すにも大変難渋したことは皆さんの記憶に新しいところであると思います。私も、三十五年の運賃改定の際に木暮武太夫さんの運輸大臣秘書官をやっておりまして、そのことを身をもって経験をいたしております。収入がありましても、その九五%は給与改定に回った、設備投資にはなかなか回らなかった。そのために、私の郷里の方のことを申し上げて恐縮でございますが、京都から下関へ参っております山陰本線、本線とは言い条現在も単線でございます。ディーゼルカーが走っております。線路といいましたら、もうがたがたでございます。その山陰本線に並行しまして非常にりっぱな道路が走っております。それでもって、国鉄にもっと乗ってくれ、利用してくれと言っても無理な相談でございます。  私の本当の郷里でございます福知山線にしましても、私が若いころ本を読みながら通勤をいたしました福知山線の篠山口から大阪まで六十キロ、このわずか六十キロが四十年前も今日もちょうど二時間余りかかります。それでもって国鉄を利用してくれ、こう言っても無理な話でございます。やはり時代に応じて体質改善をしていく、それに必要な設備投資をしていくということが私は大切ではないか、このように確信をするわけでございます。  旧態依然たる体質でもちまして、旧態依然たる設備でもちまして国鉄再建してくれ、再生してくれと言っても、これはしょせん無理な話だ、いかに臨時行政調査会の答申であろうとも私はそれに対しては不服でございます。そこで、設備投資をぜひともやっていただきたい。しかし、設備投資にも合理性なり経済性がなけりゃいけませんから、よく検討していただいて、設備投資をして国鉄の特性が発揮できるような体質にしていくことが国家百年のために絶対に必要である、私はそのように考えておるわけでございます。  そこで、この前も、ちょっと運輸委員会で恐る恐る私見として申し上げたわけでございますけれども、いまの国鉄に自分のお金で設備投資をせよと言ってもなかなか無理であります。鉄道特性を発揮するためには、やはり必要な原資を与えてもらって、そして設備投資をしていく、体質改善をしていく。そこで私は、政府出資でもちまして設備投資をしていく、新幹線にしろ複線電化にしろ、そうしたものを進めていく必要があるのではないか。その設備投資を全部国が負担するというのではこれまたしんどうございますので、促進してくれというところの地方公共団体にその一部を負担をしてもらう。  第二種空港と申しまして、国内主要航空路線に必要な飛行場、大体が国の経営でございますが、その第二種空港を建設するのに国が一〇〇%出してやる、そのかわり二五%は国に納めていただくという地方公共団体の負担の制度がございます。二五%ということにこだわりません。一部を地方公共団体に負担をしていただくということが私はその設備投資を効率的に行うことにもなりますし、また問題でございますところの開発利益の吸収ということにもなるものですから、ぜひひとつ地方公共団体にも出資をしていただく、こういうようなことを私は個人的に考えておるわけでございます。  国鉄の鉄道特性を発揮する意味におきましても、わずか三十七万平方キロメートルの狭い国土でいまのように過密なり過疎があってはいけません。均衡のとれた国土経営というものがなければいけませんので、ぜひともひとつ、そうした政府出資の制度によって複線電化なりあるいは新幹線なりの設備をしていただくという方向で御検討をいただけないものだろうか、このようにささやかに考えておる次第でございます。  もっとほかに申し上げたいことがございますが、以上、新幹線の環境対策、それからローカル線を廃止します場合の地元対策費、それから設備投資のあり方、この三点につきまして私見を申し上げたわけでございますが、もし国鉄総裁大蔵省で非常にらつ腕をふるわれました国鉄総裁の御感想でもお伺いできましたら幸せでございます。時間が参りましたので、簡単にお願いを申し上げます。
  117. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 長い行政の御経験に基づかれました御意見でございまして、私どもとしまして大変ありがたく思う次第でございます。  まず、新幹線沿いの緑地の問題でございますが、ぜひそういう方向に進めるべきだという考え方を私どもも持っておるわけでございます。大変おくればせでございますけれども、現在大宮で線路がとまっておりますが、大宮のちょっと北の方、それからさらに大宮—東京間等につきましては、埼玉県及び関係市町村の御要請がありまして、そういう方向で進んでおります。そして、相当部分を私どもの負担でなくて都市側の負担でそういうことをやろうという計画が現実に進んでおるわけでございまして、昔から今日までの経過をたどりますと、私もそこへたどり着くまでいかにも時間がかかったなという感が深いわけでございます。  先ほどちょっとお述べになりました上越新幹線沿いの道路の問題で、これは主として鉄建公団でございますけれども、鉄道側と都市側でごたごたしているというようなことがあるのでございますが、つい五、六年前まではそういう状態であったわけでございますが、ごく最近はかなりそういう縦割りの行政の弊というものが少しずつとれるような形になりつつあるわけでございまして、私どもはぜひそういう方向で進めてまいりたいと考えております。  次に、地方交通線の撤去に関連します補償金の問題でございますが、これはちょっと新幹線の場合と大分事情が違いまして、私どもも現在キロ当たり平均三千万円という補償金はかなりの額であると考えるわけでございますけれども、それでもなお現在各線区ごとに開かれております協議会では、地元側では大変不満を表明しておられるわけであります。おっしゃるように、かなりの額ではないかという見方を私どももしておるのですけれども、所在市町村のお考え方は、いやそんな程度ではというような考え方が非常に強いわけでございまして、これはやはりまだこうした問題についての統合的な立場からの御理解というものが進んでいないからではないかというふうに思うわけでございます。  もちろん、この補償金だけでなくて、関係の道路予算その他についての御配慮も関係の向き向きにはお願いをし、御相談をしながら進めておるわけでございます。この辺は、今後この問題の理解をまず深めていくということが重要なことではないかと思うわけでございまして、新幹線沿いの緑地設置といった問題、御指摘になりました問題に比べますと、まだこの地方交通線に関連する補償問題というのは、まだいま国民皆さんの御理解を得るのには若干時間がかかることでございまして、しかし方向は梶原委員おっしゃるような方向で進めさしていただきたいと思っております。  それから、設備投資の問題にお触れになりましたが、大変恐縮しておるのでございますけれども、福知山線の問題というのは全国の中でも最も条件が悪いといいますか、いままでそういう御要請が非常に強かった、また輸送量もどんどんふえてきた地域であるにかかわらず、今日までもろもろの事情がありましておくれてしまったわけでございまして、福知山線を例にお引きになりましたけれども、福知山線の状態というのが今日の全国の状態の平均的な姿とは言い切れないわけで、その意味で私どもは福知山線の問題については何とか少ないお金をいろいろ捻出するといいますか、やりくりをしながら、御要望のようなスピードではありませんけれども、整備を進めてまいりたい。  おっしゃるように、いつまでも昔からと到達時分が変わらないという状態から何とか早く抜け出すように骨を折ってまいりたいというふうに考えておりますが、御存じのように五十八年度予算におきましてきわめて大幅に設備投資予算額を削減されました。また私どもも、金利負担との関係もありまして、むしろ進んで削減いたしました関連がありまして、ここ一、二年と申しますか、二、三年なかなか福知山線に手が回りかねる状態であります。しかし、気持ちとしては全国の中でも最も何とかしなけりゃならぬ線だと思っていることを御承知おき賜りたいと存じます。  なお、設備投資全体について、飛行場の例あるいは道路の例をいろいろお引きいただいたわけでございますが、私ごとになりまして恐縮でございますが、私も長年予算を担当してまいりましたのですけれども、この予算制度というものはどうしても過去の歴史に引っ張られがちでございまして、鉄道が道路の投資あるいは飛行場の投資に比べてどうも少し恵まれない状態にありますことの最大の理由は、鉄道が早くから、百年前から建設が行われていたという歴史によるわけでございます。  公共投資についての補助制度がだんだん加わってまいりましたのはむしろ戦後のことでございますが、そのときに相互にバランスをとりながら補助制度が厚くなっていったかというと、そうではなくてもろもろの制度が始まるスタートのときにそういう制度が仕組まれる、昔からのものは昔のままという形がいろいろあるのでございまして、これは私自身が関係しました財政の物の考え方に大いに問題があると考えております。  私も、決して在来線をこのままほうっておいていいというふうには考えておりませんのですけれども、しかし何分にも、先ほどお触れになりましたように、一日三十億を超えるような金利負担でございますので、まずその体質を直すことがいま当面迫られた問題と考えておりまして、その見当をつけまして、一段落いたしました上でなおもう一遍鉄道の設備投資のあり方というものを根本から考えなければならないのではないかというのが私のいまの考え方でございます。  いろいろの御経験に基づきます御教示でございました。一々私どもの胸にこたえるわけでございますが、今後ともそういうお示しの方向は、それぞれの問題いずれもその方向で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  118. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 梶原さんのお話を伺いまして、やっぱり国鉄関係した人、さらにまたほかの党でも国鉄に自分で働いた人、全部、国鉄のよかれかしと願っているその姿だろうと思います。望みのない国鉄ではございません。私は、いまお話しされたようないろいろな知恵、たとえば秋田空港がなぜあんなに安くできたか。ごね得は一人もいなかった。そして、一点集中主義であれだけの飛行場ができたわけでしょう。ということを見ますというと、みんながこの国鉄をここでしっかりやってやろうという気持ちで激励し、また内部の諸君がその気持ちになりますと私は栄光が必ず来る、こういう感じ方を持ちますので、どうぞひとつ、今後ともよく現場並びに経営者に対しあるいは政府に対して激励のほどをお願いします。
  119. 梶原清

    ○梶原清君 どうもありがとうございました。  総裁以下三十七万人の役職員の方々の奮起と血のにじむような御努力をお願い申し上げまして、ちょっと時間が超過いたしましたことをおわびをして、これで終わらせていただぎます。
  120. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 きょうは、朝から目黒先生あるいは対馬先生、そしてただいまの梶原先生と、その道のベテランの大先生方からいろいろと格調高い質問が相次いでおりますが、私は今日国民の目から見た場合の国鉄、あるいは政府に対する素朴な疑問と申しましょうか、そういったような面から質問をしてみたいと思います。  国鉄再建問題をめぐる議論はほぼ出尽くしていると言っても過言でないようにいろいろなことが論議されてまいりました。しかし、どれだけ論議を重ねてみても、国民の目から見た場合、どうしてもいま一つ納得というか、本当はそうだったのか、そういうことであるならばこれだけの赤字が累積してもこれはいたし方ないなといったような、いわば同情的な理解ということには至っていないのじゃないか、こう思います。率直に申しまして、国鉄の場合、労使どちらが悪いというようなことではなくて、今日のこの事態にはなるべくしてなった、どっちもどっちだというようなのが大方の国民の見方ではないか、こういうように思うわけですが、結論的に申しますと、国鉄には官僚的責任感ということはあったとしても企業者的責任感というものが著しく欠如しておった、その結果ではないか、このように私は思うんですが、いかがですか。
  121. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) それぞれが、見方が皆あろうかと思いますが、たしか先生のおっしゃるような見方も成り立つし、また一部私もそう感じております。
  122. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 それで、国鉄が今日の赤字経営に転落したのが昭和三十九年だったと思いますが、そして再建計画が今日まで何回となく出されました。第一回目が、四十四年が最初だったと思いますが、過去五回ことごとく挫折、失敗をしてきた。今回がいわば六回目でございます。しかも、この六回目の経営改善計画もまたもや見直さざるを得ないというような事態に至っておりますけれども、その大きな原因の一つ貨物輸送量の大幅な落ち込みである、また旅客輸送もいま微減の状態であるというようなことが大きな原因であると総裁もこの間の衆議院運輸委員会答弁されているようですけれども、いま申しますように、今回の計画が策定されたのが昭和五十六年、そうすると、先ほどから申しておりますように、何回も失敗を繰り返してきた。しかも、その道の専門家の方々によるりっぱな計画であったはずなんですけれども、このようにことごとくそごを来してきたということは、結果的に国民の目から見た場合に、どうもはなからいいかげんな計画ではなかったのかとか、あるいは臨調を初め国民の世論が国鉄に対してこのように非常に風当たりが厳しくなってきたので、その非難を少しでもやわらげるためのその場しのぎの計画ではなかったのかというような、そういう素朴な疑問もわいてくるわけですけれども、しかもこの一、二年、こういう計画を出された後にも居眠りだとか飲酒による列車事故が相次いでおります。また、ことしになってからも入浴問題などマスコミ紙上をにぎわしていることも御承知だと思いますけれども、こうした一連の状況を踏まえた上で、なおかつ国鉄は過去を反省し、このように着々と改善、再建も進みつつありますという、そういう実績なり国民が納得に値するような説明、資料はございますか、総裁
  123. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 確かに再建計画でお示しいたしました見通しには大きな狂いができておりまして、午前中他の委員の御質問にお答えいたしましたように、それをいま練り直しておるところでございます。  それはだれが悪いのだと言えば、まず原案作成に当たっております私どもの見通しの誤りと申し上げざるを得ないわけでございます。ただ、その誤りの内容というのは、経費を切り詰めることについての努力をお示ししたのにそれができなかったというのであれば、これはきわめて重大な失敗と言わざるを得ないわけでございますが、せめてもの慰めといいますか、計画の中で、経費を切り詰める計画の方は人件費のみならず他の面につきましても計画どおり進んでおるわけでございまして、計画が狂いました大きな理由というのは収入の面でございます。収入の面ということは、別言すれば、輸送量の見込みが見込みどおり進んでいないということでございます。  ただ、私どもとして、私鉄さんのような場合と違いまして非常につらい立場にありますのは、いろいろな計画を立てるときには政府のもろもろの計画との整合性ということがやはり問題になるわけでございまして、国の立てられました経済計画であるとかあるいは運輸政策審議会でお見通しを立てられました将来の輸送状況というものと食い違ったものをつくるわけにはなかなかいかない立場にあります。ところが、経済の大きな変化、二回にわたるオイルショックがいろいろな形であらわれてまいりまして、政府もいろいろな御計画をいま変更なさろうとしているところでございまして、私どもといたしましても、他に責めを転嫁するわけではございませんけれども、やはり総体としての日本の経済の進みぐあいが大変大きく折れ曲がっておることに引っ張られたわけでございまして、政府の方もいまいろいろの見通しを見直しておられますので、それとも合わせながら、われわれはわれわれとして見直しを行ってまいりたいと思います。  そして今回、大変各方面に御迷惑はかけますが、いままでの思想での貨物輸送をほとんど全廃に持っていくということ、またその他地方交通線につきましても、いろいろ御批判はありますけれども、なおやはりどうしても鉄道でお客さん、貨物を運ぶよりはトラックあるいはバスで運んだ方が経済的であるというものについては、やはりいろいろ反対はございますけれども、経済合理性を前提に置いた考え方で取り組んでまいりたい。その意味では、従来以上に増して、御迷惑がありましても、なお経済合理性の面にもう少しウエートを置いた計画にし、実行に移してまいりたいと考えているわけでございまして、誤った点は私どもの失敗ということではっきり申しますと同時に、今後、情勢を酌み取った上で計画を変更して、少しでも計画と実行とのギャップというものが生まれないような計画に練り直してみたいというふうに考えておる次第でございます。
  124. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 先ほどの御答弁の中にも、貨物輸送の削減、こういったようなものを踏まえて将来は三十五万人体制に持っていくというようなお話があっておりましたけれども、率直に言って、三十五万人体制という、この三十五万という数字が出たその根拠というのは何でしょうか。
  125. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 輸送量が、旅客については大体五十五年から年率せいぜい一%ぐらいの増加、それから貨物につきましては五十五年時点ベースと同じぐらいの輸送量という前提でございます。  それで、効率といたしましては、労働効率といいますか、生産性といいますか、全体運営の効率といたしましては、私鉄等の例を参考にしながら、とうてい私鉄並みというわけにはいきませんけれども、五十五年時点に比べて約二割程度全体としての効率アップを図るという思想が、いわば三十五万人という人数で何とかやっていこうという計算の基礎となった思想でございます。
  126. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 労働大臣にお尋ねいたしますが、三十五万人体制に持っていくというこの目的に対して、労働省としてはこの問題に介入、指導をされるおつもりなのか。いかがですか。
  127. 大野明

    国務大臣(大野明君) いまや国鉄再建国民的課題であると言っても過言じゃないと考えております。いずれにしても、このような状況の中でございますので、国鉄の全職員一丸となって事に処してもらわなきゃなりませんが、しかし労使間においてこの再建問題を話し合う間にはいろいろと問題も山積しておると思います。しかし、現況をよく勘案されて、そしていずれにしても適切な解決を図っていただきたいというのが私の立場でありますし、また同時に、このような問題はやはり労使間における十二分な話し合いこそ一番大切でございますので、私がとやかく言う立場にはございませんけれども、後々、政府が介入したじゃないかと、仲裁裁定その他でもよく御質問もございましたけれども、そういうことがおっしゃられないならば、自分としてもできる限りのお手伝いは、できる範囲内でさしていただこう、こんな気持ちで今日おるところでございます。
  128. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 もう一度、また総裁にお尋ねいたしますが、三十五万人に持っていく人員の削減計画ということについては年次計画はあるようですけれども、それに伴う各年度ごとの損益勘定というものはいかがなっていますか。
  129. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 前回、法案の御審議段階でもこの点非常に問題になったわけでございますけれども、何分、運賃収入、年率平均で五%ぐらい上げていくという前提で収入を見込んでおるわけでございますが、いつの年度にどの程度改定さしていただくかということは、五年間の先を見通して、五十七年はこう、五十八年はこう、五十九年はこうというふうに立てるわけにはまいりませんで、法律のたてまえからいたしましても、物価の状況あるいは賃金の状況を見ながら、そのアップ率を超えないようにしながら運賃を改定していくことが法律で決められていることでございますので、収入の方の見通しを年次別に立てることができないということがございまして、したがって目標年度である六十年度の姿はお示しをいたしましたが、その中間段階での収支見込みというものはお示しをしてないわけでございます。  そのことについては、当時から非常に問題だという御指摘を受けたわけでございますが、これはまた技術的にも非常に困難であるということから、必ずしも十分の御了承は得ておりませんが、私どもとしては、中間年次における年度別経営収支をお示しいたすことは、ある意味で不可能に近いということで御勘弁を願って今日まで至っております。
  130. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 運輸大臣、いかがですか。私も、いまお聞きしまして、いま御答弁の中にもありましたように、全くそんな年度ごとの損益勘定が立たない、そういう長期計画あるだろうかと、どうしても納得ができないわけなんですけれども、大臣、いかがお考えですか。
  131. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 私は経営者をやったことがありませんからわかりませんけれども、こういう数字の見通し、ここから三十五万も出てくる、こう思うんですが、その場合は最大なるミスは、伸び率が少ないということですね。こういうのがすぐにも経営そのものに響いてまいりますから、よっぽどその辺の見通しの整合性というもの、これが大事なことじゃなかろうか、ずっと昔、高度経済成長のときとわけが違って。それから貨物の場合には、何も貨物使わぬでも、ああいうふうに千円か二千円の、小荷物を一まとめにして運んで、それでお客さんをとっているところもあるわけです。こういう自由競争の中に商売をするということは、本当に私は知恵というものと努力というものが要るという感じを持つので、そういう中に計画を立てておる国鉄の三十五万人体制というものもこれもなかなか大変だろう、油断もすきもならぬことだ、こういうふうに考えております。
  132. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 このことばかりいつまで言っても尽きませんので、次に参りますが、昨年九月二十四日閣議決定されました国鉄再建を図るための緊急対策十項目、これについてでありますが、本当は、こんなもの自体、民間の企業に言わしめれば、きわめてこれは常識的な事柄ばかりでありまして、これが閣議で決定されたわけです。すなわち、職場におけるやみ協定及び悪慣行——やみ休暇、やみ休憩、やみ超勤、やみ給与、ポカ休、それからぶら日勤だとか、こういったようないろんなこと言われたようですが、こういうようなことが、いま完全確実になくなって、是正されましたか。
  133. 高木文雄

    説明員高木文雄君) その当時と比べますと、目標に向かって着実に進んでいると言うことができると思います。ただ、そうは申しましても、現に新聞をにぎわしておりますように、たとえば入浴の問題といった問題は一〇〇%片づいておるというわけではございませんので、大体一番初め問題になりました当時と比べまして、この二月、三月時点では一割ぐらいの職場でまだ問題が残っておったわけでございます。しかし、この問題も、いろんな紛争がありましたり世間をお騒がせいたしましたが、現在、今日の段階では一応全部解消いたしました。入浴問題については団体交渉で今後取り組んでいこうというふうになってまいったわけでございます。  また、残っております問題としましては、労働運動の主張を表示する形としてのワッペンをつけて仕事をするとか、リボンをつけて仕事をするとかいう問題がありまして、これは少なくともお客さんにいろんな意味での不快感を与えることにもなるわけでございまして、ほかの現場であればともかく、サービス業であるわれわれの仕事の現場におきましては、いかにお客さんに気持ちよく御利用いただくかということが最大の問題の一つであるところでありますから、そういう意味からいいましても、この習慣というのは絶滅をしなきゃならぬわけでございますが、こういうものは残っておると言わざるを得ないわけでございます。  総体といたしましてはかなり改善のあとを見ておるということを申し上げて間違いないと思いますが、まだ胸を張ってこのようになりました、一〇〇%完遂しましたというところまでは申し上げられる段階になっておらぬわけでございます。
  134. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そこで、重点職場ということがありますが、重点職場とはどういう職場であって、どのくらいございますか。
  135. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 重点職場というのは、どうも職場にいろんな意味の規律の乱れがあるということで、私どもいわば経営側が特に目をつけて注意をしていなきゃならぬというところとして百七、八十カ所を、要注意現場とでも申しますか、そういう意味で指定をしたといいますか、取り上げておるところでございまして、これは必ずしも何かある点数をつけて、それで非常によくないというところを重点職場にしたということではなくて、いわば私どもの方から見て目につく職場、そしてそこをまず直しましょうというところで取り組んでおりましたわけでございますけれども、そういう目で物を見出しましたのは三、四年前でございます。  昨年、全般的に問題が起こってまいりまして、現在ではそういうところのみならず全部の職場、約三千数百の職場について一律によく目を届かせるようにしておるわけでございまして、重点職場というのはそういう私どもの中の指導の入り方のための一つのテクニックとして考えておるものでございまして、そういう意味で御理解を賜りたいと思います。
  136. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 いまいろいろ申されましたように、その職場ごとにはいろいろな問題がある、そういうところがやはり数多いようですけれども、一方、新聞だとか週刊誌あたりによく目につくことなんですが、国鉄ではいわゆる管理職になる人が非常に少ない、管理職になりたがらない、こういったような傾向もあるようでして、現在、駅長、区長、助役、そういったような志願者というか、そういう人は非常に少なくて、今日四千人もの空席があるということを聞いておりますが、それは事実なんですか。
  137. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) お答えいたします。  過去におきまして、現場協議制度がございました際に、職場でトラブルが頻発いたしまして、そのために現場管理職が非常な過重労働でもって、組合等からつるし上げられるために管理職希望者が減るというふうな事態がございまして、事実、系統によりますが、北海道の運転系統でありますとか九州では若干管理者の希望者が少ないという事態があったのでございますが、しかしここのところ、先ほど総裁も申しましたように、全国的に職場秩序も立ち直ってまいりまして、組合の理解も得て、お互いにこういう国鉄危急存亡の際には労使一体となってやっていかなきゃならぬという機運のもとで、次第に管理者も希望を取り戻してきておりまして、具体的に管理者不足で困るという事態はほとんど生じておらぬのが現状でございます。
  138. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 いま御答弁の中にもありましたいわゆる現場協議制度、これについての抜本的改正への取り組みと現況、こういったようなものについてはいかがですか。
  139. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 現場協議制度は昭和四十三年に公労委のごあっせんに基づいてできた制度であったわけでありますが、その後十年以上経過しまして非常に現場では問題を生じるということでございまして、私どもはこれの新しい制度への提案を昨年七月にいたしました。その後、鋭意労働組合と交渉してまいりまして、十二月一日が前協約の期限の切れる時期でありますが、十二月一日に至りまして国労、全動労とはついに残念ながら新しい協約締結に至らないで今日に至っております。したがいまして、国労、全動労との間には現場協議制度はございません。  また、新しい制度につきましては、動労、それから鉄労、それから施設労働組合との間には新しい制度によって運用されておるというのが実態でございます。
  140. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 ですから、そういう国労だとか全動労ですか、これについては十二月以降は無協約状態である、これはやっぱり変則だと思うのですけれども、このままいくんですか。
  141. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 新しい制度は、職場における集団的苦情の事後処理という位置づけを私どもいたしておるわけでございます。したがいまして、現場協議制度は、先ほど申し上げましたように、昭和四十三年まではなかった問題でありまして、やはり国鉄の現場における仕事の仕組みは、管理局以上で団体交渉で基本的なことを決める、現場はそれを適用する具体的な労働の場だというふうに私ども位置づけておりますので、必ずしもそれがなければスムーズに仕事がいかないということではないと考えております。  したがいまして、昨年十二月以降失効いたしましたが、その失効した当初、若干われわれもふなれな点がありまして、現場にトラブルが生じたりあるいは緊急事態に対応できないという事象が生じたわけでありますが、その後スムーズな業務運営が図られまして、現在では現場協議制度が現場にないから必ずしも業務の遂行に支障を来すというふうなことはございません。もちろん、集団的苦情処理的な新しい制度に国労、全動労が御同意願えればそれにこしたことはないわけでございますが、それがないからといって業務の遂行には支障がないわけでございます。
  142. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そうすると、現協制度というのは、極端に言えばあってもなくてもいいと、そういうことにもなるんですか。
  143. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 先ほど申し上げましたように、新しい現場協議の制度は、現場における集団的苦情の事後処理というふうに考えておりますので、そのような集団的苦情が現場に発生しないということであれば支障かないわけでありまして、私どもは、管理局以上で団体交渉で基本的なことを決めまして、現場長はその基本的事項に従って職員を適時適切に労務指揮をしていくという関係で業務が維持されるというふうに考えております。
  144. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 次に、国鉄の打ち出されております十項目の中の合理化という問題についてお尋ねいたしますが、合理化ということは、民間の常識で言えば、仮に三人でやっていた仕事を二人でこなし、余った一人を他の職場で効率的に働いていただく、こういったようなことではないかと思いますが、国鉄では合理化という名の業務委託が非常に盛んなように見えますけれども、この点いかがですか。
  145. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 現行経営改善計画の中で計画いたしております合理化の要素の中には、確かに先生おっしゃいますように、業務を外部に委託して要員合理化を図っていくという事項も非常に大きい部分を占めておりますが、しかしそれ以外に設備投資を行いまして合理化するもの、あるいはダイヤ改正等いろんな施策をもって合理化を進めていくもの、あるいは職員の生産性を上げて実乗務時間を上げるとか、勤務の中身の充実を図るというふうな方法でもって合理化を図るとか、あらゆる知恵を駆使しまして総体的に三十五万人体制になるように全力を挙げているところでございます。
  146. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そこで、この十項目の中の設備投資、これもその中の一つですが、ひとつ具体的にお尋ねしたいと思いますが、たとえば例を挙げますと、五十六年十一月だったですかにオープンしました国鉄横浜駅というのは、これは全国でも最も合理化された駅である、こういうように私聞いておりますが、旧駅が二百八人だった定員を三十人減の百七十八人にする、あるいは職員は何と今度は六人逆にふえて、定員が二百十四人の新体制である、こういうように聞いております。百四十五億も投じてこの駅の一つの大きな目玉といいましょうか、出札の自動化というのが図られたわけですけれども、この自動化というものが本当に機能しているかどうか。この点、いかがですか。
  147. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 横浜駅の合理化につきましては、先生の数字と私どもがいま聞いております数字と若干食い違うかと思いますが、大宗においては同じでございますが、当初二百十四名の定員でございまして、これが新駅開業に伴います防災設備としてテレビの監視要員その他新しい要員が要るということで二百十九名に一たんふやしてございます。しかし、その新駅開業と同時に多くの自動券売機等の機器を設置いたしまして、それで約三十名合理化をしたいということを提案いたしました。  これは開業のときそのものには間に合わなかったもので、新聞で一時的に合理化提案をしておきながら二百十四が二百十九にふえたではないかというふうにおしかりを受けたわけでありますが、その後鋭意三月まで団体交渉を継続いたしまして、三十名の提案がついに二十六名要員合理化できることに相なりましたので、結果としては現在百九十三人の定員でもってやっておるわけでございまして、一応私どもはその成果を発揮することができたというふうに考えております。
  148. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 次に、これも一つの事例でございますが、東京の八重洲南口にSPという指定席券の自動販売機が三台あると私は聞きました。これが一台二億円の機械と聞いておりますが、実は私どういうものだろうと思って数日前に八重洲南口に見に行きました。ところが、どこにもこの機械は見当たらない。それで、南口の鉄道案内所にこの機械はどこにあるのですかと聞きましたところが、改札口を入ったところの左方にありますと、こういうことであったのでまたそこに入っていったのですけれどもやっぱり見当たらない。どうしても見当たらないものですから、今度は改札口の職員の人に聞きましたらば、この間まであったけれども、ほとんど利用者かないのでこれは最近撤去したと、こういうようなお話でした。聞くところによると、この販売機による販売枚数は一日わずか一台で三枚だったそうです。この販売機が現在どうなっているのか、お尋ねいたします。
  149. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 先生御指摘のようなことでございまして、一昨年でございましたか、そのSPと称する機械を投入いたしたわけでございます。  実は、この機械につきましてはいろいろ試行的な面が多々ございまして、先生いまおっしゃいました一台二億円というのはけたが一つ違っておりまして二千万円でございます。三台確かに投入いたしたわけでございますが、どうもいろいろ機器のふぐあいが多うございまして、御指摘のようなことで、これは新幹線の指定席券の販売をいたしたわけでございますが、これにつきましては、どうももう一度発想を変えて、あるいは機械的にももっと改良を加えてやらなければ実用に供しがたいということでございましたので、半年ばかり使用いたしました後、これを撤去いたしました。  現在、これは私どもの鉄道技術研究所に回しまして、ここでいろいろ機械の改良に取り組んでおります。大変短い期間で余り成績がよくなかったわけでございますが、この試行のデータをもとによりよい機械をつくるべくいま努力をいたしているところでございます。
  150. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 試行的にしてはかなり高い買い物じゃないかと思うんですが、いずれにしても結果的にはこういう無用の長物を購入されたのか、試行的だと言われてみればそれまでのことなんですけれども。巷間耳にするところでは、国鉄OBが天下った先の会社でこの機械を買ってくれ、こういう話があって買ったんだなんというようなことも聞くわけですが、その点いかがですか。
  151. 高木文雄

    説明員高木文雄君) よくそういうことを言われるわけでございますけれども、券売機というのはもうすでにかなり一般化をいたしております。私鉄でもずいぶんお使いになっておるわけでございますが、いまとなってはかなり一般的なものでございますけれども、しかしそもそもは国鉄自身が開発したものでございまして、大変技術的にもいろんな問題がございます。したがって、いろんなことでいまおっしゃったような非難を受けるようなことがないとは言えないわけでございますが、まずまず券売機に関する限りは、民間に失礼ですけれども、それほど能力がありませんので、そういうことはほとんどないということが言えるかと思います。  ただ、ほかの分野についてそういうことがあっては非常に困るわけでございまして、よく注意はいたしておりますが、同時に、大変そういうことが起こらないかという心配をしながら厳重に監督をしておるという現状でございます。
  152. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 私が申し上げたいことは、事ほどさように経営者としての意識が非常に希薄ではないかということなんです。これが仮に民間の会社であるならば、いかに試行的だとはいっても、まず講入する前に徹底的にその費用対効果というものを試算するはずなんですけれども、そういったようなものはほとんどなかったのではないか。しかも、こういう思惑違いをやったならば、民間であるならば当然大きな責任問題ということになるわけですけれども、国鉄の場合だれがどういう形でその責任をとるかというと、それもないようなわけですけれども、こういうところにも言うなれば親方日の丸と言われるようなゆえんがあるのではないかと思うんですが、いかがですか。
  153. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いずれにしましても、俗に言うお役所仕事といった傾向がなかなか払拭されていないわけでございまして、いま言ったような、御指摘を受けましたようなことの何とか体質を直す努力を続けてまいらなきゃならぬ。しかし、そのことは決して民営であれば解決するということではなくて、いまのような公社経常でありましても何とかしなけりゃならぬ問題であるというふうに考えております。
  154. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 いまの御答弁については、過日の臨調答申の日にも総裁談話という形で高木総裁は、経営形態の変更が再建の必須の条件とは考えていないので、これについては今後実績をもってこたえていきたい、こういう談話を発表されたように記憶しておりますけれども、しかし確かに経営形態の変更が再建の必須の条件ではないかもしれませんけれども、しかし別の面から考えた場合に、現在の国鉄のこういう体質をそのままにしておいて、ただ枝葉の糊塗的な改善のみでは断じてこの再建がおぼつかないのではないかと思うわけですが、いかがですか。
  155. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まさにその点が、今度この法律を成立さしていただきました上で再建委員会等で御審議いただきたいところであろうかと存じます。確かに、いま御指摘になりましたような点では現在の公社形態よりは民営の方がいろんな面で行き届くであろうということは一般的に言えるだろうとは思うのでございますけれども、それに伴います今度はデメリットといいますか、弊害といいますか、それはまたはかり知らざる大きなものがあると想像されるわけでございまして、残念ながら臨調は時間の制約もありましたのでやむを得なかったことだろうと思いますけれども、臨調の御議論の中ではそういったデメリットについての検討というのは、失礼でございますけれども、ほとんどなされていないという現状でございました。  いま御指摘の点は、もしか民営にできれば解決し得る可能性が非常に大きいいい面でございますが、また挙げれば幾らでもございますけれども、デメリットもまたたくさんあるわけでございまして、そういう点からいって私どもはにわかに分割民営化ということについては賛成できるとは申し上げられないというふうに考えております。
  156. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 現在の体質というものと並行いたしまして、国鉄における労使関係ということにはいろいろなこれまた見方がございますけれども、やはり最も問題といいますか、円滑な労使の障害となっているというのは、先ほどもちょっとこの問題に触れましたように、複数の組合があって、それぞれの主義、主張があり、その理念、運動方針がこれまた一様でない、そういうところが一番の難点ではないかと思いますが、このむずかしさについては総裁御自身が最もよく御存じのはずですけれども、現況におけるこうした労使関係をこのままの状態で改善していく御自信があるのかどうか。過去すでに七、八年にわたり鋭意これは努力を重ねてこられたあげくの今日の実態なわけですが、いかがですか。
  157. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 御指摘のとおりでございまして、複数組合がありますということはいろいろなトラブルのもとになるわけでございます。したがって、そうでない単一組合であることが私どもの立場、経営者の方の立場からいえば非常に問題が簡単になるということであろうかと思います。  しかし、そうは申しましても、労働問題におきます団結の自由というものは非常に尊重しなければならないといいますか、侵しがたい長い労使間の歴史において世界のいずれの国におきましても苦労に苦労を重ねてでき上がりました基本的労働権の問題でございますので、それにわれわれがわれわれにとって単数組合の方が都合がいいからといってそれを求めることはできないわけでございまして、あくまで労働の基本権ということからいいまして、それを前提に置いて、その前提のもとにできるだけの努力を積み重ねていく以外にないのではないか、私はいまの段階ではそう考えております。
  158. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 その努力、決意というものはよく理解できますけれども、現実に、私は非常にこれはくどいようですけれども、七、八年一生懸命努力をされてきたにもかかわらず、今日のこういう状態が続いている、果たして今後できるのか。いかがですか。そこを聞きたいんです。
  159. 高木文雄

    説明員高木文雄君) やはり人間が百人おれば百人皆違う思想を持っておるわけでございますから、三十万、四十万という数になれば、どうしても似た者同士と言ったら言葉は悪いですけれども、同じような思想を持った人たちが集まって一つ組合を形成するということを避けることはできないのではないか。これは他の非常に大きな職員集団でありますところの郵便関係の職員についてもそういうことが現にあるわけでございますし、また日本航空その他の場合にもあるわけでございますし、日本の労働界においてきわめて話題になる点では国鉄の場合が多いわけでございますけれども、労働の世界の他のフィールドでもあるわけでございまして、そうである以上はその困難性を乗り切っていくということをしていかなければならないという前提で考えております。  もちろん、私どもも折に触れて、たとえばみんなで一緒にテーブルに着いて、別々にでなしに、いわゆる団交といったようなことでない事項については一緒にいろいろ話し合ったり意見交換をしたりする場所をつくりたい、またそういう雰囲気をつくりたいというようなことは申しておりますが、基本となる団結権に触れるということは適当でないというふうに考えておるわけでございます。
  160. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 もう時間もございませんので、次の問題に入りますが、まず年金の統合法案についてでございますが、今回大蔵省案として出されております年金統合法案はいわば将来の年金一元化への第一段階でありまして、たまたま国鉄再建問題と絡んできているわけですが、過渡期とも言べきこの五カ年間が過ぎてからの七十年一元化実施予定への青写真というものが政府としてはできておりますか。
  161. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) お答えいたします。  いまお話のございました統合法案大蔵省からお願いをしている法案でございますが、年金問題を担当しておりますから私から便宜お答え申し上げますが、いまの国鉄、専売、電電、国家公務員の統合をやっていこうというのが一つでございます。また、地方公務員の共済組合の統合をやっていこうということで、これも別途この国会にお願いをしているところでございます。引き続きまして、来年の国会で厚生年金と国民年金の統合の問題をお願いをしようということでございますし、それらを済ました上で、これからさらに将来へ向かっての一元化を図っていく方向へ持っていかなければならない、こういうふうにいま考えているところでございます。
  162. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そこで、大蔵省にお尋ねいたしますが、この共済年金統合法案については、いま一つの懸案になっておりますいわゆる国鉄の民営分割のこの実現いかんでは大きくこの法案自体の意味も違ってくると思うんですけれども、大蔵省はこの臨調の提示した民営分割案というものをどういうようにお考えになっておりますか。
  163. 藤井威

    説明員(藤井威君) 臨調の御提示されました民営分割案そのものについてだけ御答弁申し上げますが、政府といたしましては臨調答申全体が大体妥当な方向を示しておるという基本的な考え方に立ってそういう決定もいたしております。われわれといたしましても、民営分割に関する意見としてはそのように考えておる次第でございます。
  164. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 ですから、私が聞いておるのは、仮に民営分割になった場合にこの大蔵省案というものは非常に意味が違ってくるということになるのじゃないですかと、そこのところを聞いているんです。
  165. 野尻栄典

    説明員(野尻栄典君) ただいまの、仮に国鉄が民営に移行した場合、適用される年金制度についてどう考えているか、こういう御質問の御趣旨と承りましてお答え申し上げますと、私どもの方の今回の統合法案では、この基礎になりましたのが共済年金の基本問題研究会の意見ということでございました。この御意見の中では、経営形態の問題と適用されるべき年金制度の問題との整理につきまして一応こういうことが言われているわけでございます。  つまり民営部門につきましては厚生年金が適用され、公共部門についてはいわば共済年金が適用されるという一般的な区分けはございますけれども、必ずしもそうでない適用が現実に行われている。たとえば公庫、公団といった公共部門について現実に厚生年金が適用されており、また民営部門と考えられる私学共済あるいは農林漁業団体の職員には共済年金が適用されているという現実もあるわけでございまして、経営形態と適用年金制度は必ずしもぴちっと区分されているわけではないので、国鉄あるいはその他の公社が今後経営形態を変えていく場合でございましても、年金制度の沿革を重視した共済年金を引き続き適用しながら将来の一元化に向かっていくことが現実的な処理である、こういう御意見をいただいているわけでございます。  したがいまして、私ども現在御提案申し上げております統合法案は、もちろん公社という経営形態を前提とした法案ということになっておりますが、今後民営化されていくということになった場合におきましても、経過的には共済年金を適用しながら、さらにその先の厚生年金等との一元化の方向に進んでいくということが現実的ではないかというふうに考えているわけでございます。
  166. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 年金が現在のように分立しておりますと、国鉄と同じようにほかの共済年金の方もやがてその危機が到来するということはこれは明らかでありますけれども、そういう意味から見た場合に、今回のこの法案は公企体と国家公務員の官官格差をなくすという点では一元化への第一歩であるということは言えるかもしれませんけれども、一方、給付面での官民格差ということにはほとんど手がつけられていないのじゃないか、こういう気がするわけですが、しかもこの五十八年度に予定されております厚生、国民、船員の三年金の大幅見直しかなされるということになればその差はますます開くことになりますし、これでは一元化への道がさらにこれは厳しくなってくるのじゃないか、こういう気がするわけですが、いかがですか。
  167. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 先ほどお答え申し上げましたように、次々とひとつやっていこう、こういうことでございまして、いまのようなお話につきましては、共済年金をどうするかということでございますが、国民年金、厚生年金保険及び船員保険の関係整理を図るということが一つでございまして、その趣旨に沿いまして、それとの関係整理をその次にやっていこう、こういうふうに考えておるわけでございまして、段階を追ってやっていこう、こういうのがいまのわれわれの考え方でございます。
  168. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 給付の面。
  169. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 給付の面につきましても私は調整をしていかなければならない点があると思いますが、それもそれぞれの年金につきましてそれぞれの段階に応じてやはりやっていかなければならない問題ではないか。一気にやるということがなかなかむずかしい話、現実問題としてなかなかむずかしい問題だろうと思いますから、順を追ってこれをやっていくということが現実的なやり方ではないかというふうに考えているところでございます。
  170. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 そうしますと、今回のこの大蔵省案が実現すると、給付の面での官民格差はかなりこれは開いてくるということはお認めになるわけですね。
  171. 野尻栄典

    説明員(野尻栄典君) 現在の共済年金のグループの中には、国家公務員、地方公務員、三公社の公企体職員と、三つの制度がございます。この公企体職員の共済年金制度の給付の水準とか支給の要件と国家公務員や地方公務員のそれとは違っておりまして、端的に申し上げますと、国家公務員の方が低い水準にあります。今回の法案では、この給付水準や支給要件を国家公務員並みにとりあえずそろえるというところまでさせていただくというのが一つの柱になっております。もちろん、国鉄共済組合の年金が昭和六十年度以降相当支払いが困難な状況が来るのに対応して財政調整もしていきたいということも考えておりますけれども、とりあえず給付水準の面では国家公務員並みに合わせるということをねらっているわけでございます。  いま厚生大臣が御答弁申し上げましたように、その次の段階昭和五十九年から六十一年にかけまして厚生年金、国民年金等の整理が行われた後、それを追っかけて各共済年金もそれらの諸制度との整合性を図る改革を第二段階目の改革として行っていきたい、こういうことを考えているところでございます。
  172. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 共済年金の統合法案を策定された大蔵省として、この法律の実施が来年四月一日ということに予定されておりますが、他の関係省庁や組合との兼ね合いもあるわけですが、この実施時期に間に合う見通しがありますか。いかがですか。
  173. 野尻栄典

    説明員(野尻栄典君) 先ほど御説明いたしましたように、三公社の共済組合の年金水準を国家公務員並みに合わせるという作業がございますので、その準備期間が相当数見込まれていなければならないという意味で施行は五十九年四月一日ということにしておりますが、御提案は今国会にさせていただいているわけでございます。したがいまして、今国会で成立させていただきました後、すぐ実施のための準備に入らなければならないというふうに考えているわけでございます。
  174. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 この法案についての運輸大臣総裁のお考え方をお聞きしたいんですが、いかがですか。
  175. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 国鉄関係しております運輸省としますと、国鉄の共済がパンク寸前、これを救済してもらうために、そしてまた連帯意識でともどもに改正に応じてやろうとするお姿、そしてそれをまた組合の方も私たちの方もその関係者の諸君に善処方を御推進申し上げているわけでして、大変結構なことだ、こう思っております。
  176. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在、共済年金の支給を受けております皆さんは、戦前、戦後を通じて非常に日本の交通制度の維持、展開にがんばってくださった諸君でございまして、その数もまた三十万を超えるという状態になっておるわけでございますが、これらの人々は大変将来の生活について不安に思っております。何分六十年度には支払い不能に陥るというほどの困難な状態でございますので、そういう不安もまたやむを得ないわけでございますけれども、そのことは非常にわれわれとしては心が痛むわけでございます。  また現在、うちの職員でございますけれども、すでに年齢が五十歳とか五十一歳とかという人たちは間もなく国鉄をやめて、むしろいわゆるOBグループに入るということになりますので、これまた先々やめた後どういうことになるかという不安を非常に強く持っておるわけでございまして、先ほど来御指摘のように、国鉄にはいろんな問題ございますけれども、しかしとにかく今日まで営営として尽くしてきた諸君に対して、権利という言葉をもって表現するのはいかがかと思いますが、期待を大きく裏切るということは避けなければならぬというふうに考えているわけでございます。その意味において、ぜひとも年金支給の安定性が得られますように新しい制度へ早く入っていくことをお願いいたしたいと思っております。  またもう一つ、今回の年金統合法案が成立いたしますと、年金会計はそれで大分安定をいたしますが、国鉄会計としてはかえって巨額の赤字がまた新しく発生するわけでございますが、これを含めて国鉄本体の方の再建をどうするかということに取り組んでいただかなければならない、政府全体あるいは国民の皆様に御理解を得なきゃならぬということでございますので、この年金の制度の改正に伴います国鉄への影響、つまりそれだけのまた経費の増加というものに対して他の負担とあわせてどう解決していただくかというのは当然に再建委員会で御議論いただく問題にもなるわけでございまして、そのためには年金法案が早く成立をして将来の見通しが一日も早くはっきりするということが、ぜひとも国鉄再建の方にとりましてもまた重要なことだというふうに考えておるわけでございまして、切に早い成立を期待いたしております。
  177. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 いま総裁の御答弁にもありますように、この法案が通りますと、国鉄は現在よりも約二千億程度の上積みを余儀なくされる、こういうようなことになるわけでして、だからこそ監理委員会でもこの問題については鋭意論議が交わされて検討されると思いますが、しかし監理委員会における検討は検討として、運輸省なりあるいは総裁なり、こういう二千億も上積みされるというような事態を踏まえて御意見なり御要望をお持ちですか。
  178. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 実は、よく御存じのとおり、国鉄の年金制度というのはわが国で一番古い年金制度でございます。すでに明治の時代発足をいたしておるわけでございまして、厚生年金等と比べて非常に古い歴史を持っておるわけでございますが、その古い歴史を持っておる年金が単独で国鉄だけに依存をしておるということでこういう危機的状態になったわけでございまして、本来、私ども申すべきではございませんが、年金というものは大きな集団のもとにおいて運営されなければならない性格のものであろうかと思います。  そこで、私どもとしましては、その辺のいままでのいわば変則的な姿というものを是正していただくことに最大の当面の期待を持っておるわけでございまして、それに伴いまして起こりますやむを得ざる負担の増については、また別途国鉄経営の問題としていかなければならぬと思っております。国鉄経営の問題としては、御存じのように、経営改善計画でお示ししておりますように、年金のうちの特定部分、言ってみれば異常負担部分と申しますか、よその日本のいかなる企業でも負担していない巽常負担部分については、私どもが勝手に名前をつけているような感じでございますが、特定人件費と呼んでおりますが、特定人件費の処理問題として累積債務の処理問題と同様にお考え願ってはいかがか。それ以外に、私どもとしてはその分を自前でやるだけの運賃値上げ余力はございませんので、やはりその分は財政にお願いせざるを得ないというふうに考えている次第でございます。
  179. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 再度、大蔵省にお尋ねいたしますが、この法案が成立して統合化ができた場合に、他の共済組合からどのくらいの資金の拠出を見込んでおられますか。
  180. 野尻栄典

    説明員(野尻栄典君) この法律案では、国鉄共済組合に対する交付金の交付、この金額をどういうふうに決めるかにつきまして、別途、財政調整運営委員会というものを発足させまして、その運営委員会で具体的な金額を決めるということになっているわけでございます。したがいまして、先ほど先生がおっしゃいました二千億というような数字とか、あるいはこれから申し上げます数字というのは、単に参考のために私どもが試算しただけでございまして、それで決まるというものではないということを最初にお断りしながら数字を申し上げますと、約二千六百億程度国鉄共済単独で出る赤字のうち、六百億円程度のものを電電公社、専売公社及び国家公務員で分担し、拠出してはどうか、こういう案が一つ考えられるので、その案を審議会等の御議論の際には御提出しております。この六百億円はもちろん労使で負担いたしますから、組合員の掛金にそれがはね返ってまいりますのは三百億円、仮にその三百億円を拠出するといたしまして、率に直しますと千分の六程度になるのではないかと推定されております。
  181. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 もう時間がございませんので、これが最後になりますが、先ほどからのこの年金問題への将来展望というものをお聞きしてみた上で感じますことは、年金改革の将来への具体的な構想と申しましょうか、それがいまひとつ不十分であるような気がしてなりません。やはりこの年金統合について最大の問題は、今回の大蔵省案で申しますならば、共済年金組合の横の連帯感がきわめて希薄であるということだと思います。それと、共済年金にはいよいよとなれば国庫負担という、そういう依願心が根強く定着しているのではないか、こういう気もするわけですけれども、いわゆる横の連帯感と申しましょうか、こういうものについての調整、そういうものについてのお考えを最後にお尋ねいたします。
  182. 林義郎

    国務大臣(林義郎君) 御指摘のように、各企業体それぞれ年金なり共済年金を持ちましていままでやってきたわけでございます。しかし御指摘のように、国鉄の共済年金がいまやどうにもならないというような状況になってきたことも事実でありますし、先ほど御指摘のありましたように、ほかの年金もまたいずれはそういった目に遭わなければならないということもだんだんわかってきたわけでございますから、やはりそこを統合いたしまして将来の方向としては全国一元的にやろう、こういうふうな話になるだろうと思います。それをやはりいまからやっていくときに、どことどこを結びつけていくか、こういうふうな話でございましょうから、そこの連帯感というものをやっぱりどうしても考えていかなければならない。おれのところの方はどうだこうだと言っておったのでは、なかなか私は統合問題というのは進まないだろうと思います。  そうした意味で、先ほど申しましたようなスケジュールに従いまして、それぞれの統合を図り、現実的に御納得をいただきながら、これを御納得いただくのは経営者の方だけではなくて、やっぱり払っておられる方、またもらう方の方々の立場も十分考えていかなければならない問題だろうと思いますので、先ほど申しましたようなスケジュールに従いまして現実的にやっていく。その間におきましては、先生御指摘のような連帯感というものも当然私は必要になってくるものだろうと思いますし、それを育てながら私たちはやっていくことが現実的なやり方だろうというふうに考えているところでございます。
  183. 中野鉄造

    ○中野鉄造君 終わります。
  184. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 短時間ですので、簡潔にお伺いをしたいと思います。  国鉄日本経済の復興、発展、そして国民生活の向上に果たしてきた役割りの大きさ、これはまさにだれでも一致する見解だと思うわけでございます。ところが、国鉄経営成績というのは、ずっと言われておりますように、昭和三十九年度に三百億の赤字を計上して以来悪化の度を加えて、五十六年度に一兆八百五十九億円の赤字を出すに至りました。繰越欠損金が七兆五千八百六十八億円、長期負債は十六兆円、このように国鉄経営の危機が進行し、赤字が累積をした原因というのはこれは大変なことだ、この赤字の原因というのは厳しく、しかも厳正に分析をされなければならないと考えているわけでございます。  私は、国鉄赤字の根本原因というのはやはりわが国の高度成長政策、そして日本列島改造計画に沿った異常、過大な設備投資、ここに大きな原因があると指摘をしたいところでございます。それはいろんな統計がありますけれども、簡単に言いましても、この二十年間、収入が十倍で投資額が約三十倍というふうなバランスを考えましても、これが非常に大きな原因になっているであろうということは、これはだれでもが認めるところではないかと思う。しかし、時間がありませんから、赤字の原因論についてはきょうは論及をいたしませんが、私はこういった国鉄事態になっているという中で非常に不思議でならないと思うことがあります。と言いますのは、このように国鉄経営を危機的状態に追い込んだ政府責任のとり方というのが非常に不思議なんです。  運輸大臣にお聞きをしたいんですけれども、国鉄の財政再建に関する要綱とかあるいは対策とか、これまで何回、閣議決定または閣議了解されておりますか。さっきから何遍も言われていますが、ずいぶん何回もやられていますね。何回やられていますか。
  185. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 国鉄再建にかかわる閣議決定、了解はこれまで六回行われております。
  186. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 一番初めが昭和四十四年九月十二日の閣議決定で「日本国有鉄道の財政の再建に関する基本方針」、それ以来、十年間に六回、国鉄の財政再建に関する閣議決定、閣議了解というのがやられている。これがそういうようにたびたびやられているというのは、やっぱり閣議決定、閣議了解ですから方針の変更になるんですね。国民から見ますと、十年間に六回も政府責任を負う閣議決定や閣議了解というのがやられていくと、次々政策変更がやられるということになりますと、全く積み木崩しみたいな姿に見えるわけですね。しかも、この主な中身というのは、国鉄再建計画、対策の主な内容というのは、運賃値上げ労働者の数の縮減、それからローカル線の切り捨てなんです、ずっと拝見したら。一言で言いますと、国民労働者の犠牲で国鉄財政の再建を図ろうとしてきたものにすぎないわけですね。そうじゃないですか、大臣
  187. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 運賃値上げの場合はそういうことが言えるかと思います。ということは、やろうと思って法案をかけますというと、さてなかなかこれが通過しない、その間にその金は工事費に使えなかったということがあります。  もう一つは、労働者自身の犠牲といいましても、合理化しているわけでもありません。それから事業縮小をしているわけでもありません。その間のやっぱりインフレ、これが私は非常に大きかったと思います。新線の場合、非常に費用がかかった、こういうことだろうと思います。
  188. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 政府の方はそうおっしゃいますけれども、実際に閣議了解してきた再建計画の中身を見ますと、やっぱり全部運賃値上げ労働者の縮減、ローカル線の切り捨てになっていますよ、実績を見ましても。一番顕著にその部分が実績を上げてきている。  見てみますと、昭和四十四年度から五十七年度までに労働者の縮減数というのは合計十万千三百人になっていますね。料金値上げというのは、この十年間にやったのは、昭和四十四年度に一三%、それから昭和四十九年十月一日に一五・四%、昭和五十年十一月二十日に八・六%、それから昭和五十一年度に実収三七%、名目五〇%、それから昭和五十三年の七月には一二・二%、五十三年十月には四・一%、五十四年の一月には〇・一%、五十四年五月には八%、五十五年四月には三・六%、それから五十六年四月に七・七%、五十七年四月に五・三%、十年間に十一回値上げしているんです。  私、この十年間の計画を見ていってなぜそう言うかというと、実際に実績を上げているのは十万人余りの労働者の縮減、それから運賃値上げの十一回に及ぶ料金値上げ。それで、しかもその六回の閣議決定、閣議了解で全部外れたものが何やというたら、いわゆるこの閣議決定、閣議了解の目標なるもの、つまり収支均衡、これが全部外れている、物のみごとに。これは事実ですね。そういうふうに理解して間違いないですね。  それで、運輸大臣にお聞きしたいんですけど、こういう国鉄財政の再建計画、これはやっぱり閣議決定、閣議了解というのは、内閣政府責任を持って決定した方針でしょう。この中心目標である収支均衡というのが全部崩れた、こういうことになると、大体政府責任を持って決めたことが全部崩れているわけでしょう。こういう責任をとって辞任した運輸大臣おられますか。私、十年ほどおるんですが、ちょっと記憶がないんだけれども、どうですか。
  189. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 先生のおっしゃるような項目で責任をとったという大臣はないと私も思います。
  190. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 だから、不思議だと思っているんです。  それじゃ、国民にまことに申しわけないと言って遺憾の意を表したり、謝罪の意を表した運輸大臣はおられますか、あるいは総理大臣おられますか。私、それも十年間見ているけれども知らないんですが、いかがですか。
  191. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 寡聞にして存じ上げません。
  192. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ないんですよね。  それで、最高責任者が方針を決定して、執行上あるいは監督上の最高責任者がだれも責任をとらない。こんな状態で国鉄再建について国民に協力してくれ言うたって、ちょっと不思議な気がしますよ。なかなか協力は得られないと思う。だって、一般の社会ではこんなこと通りませんものね。最高責任者のところで決めて、そしてとにかくさっぱりうまくいかない。十年間に六回も変更して、それであげくの果てには、しようがないので、政府責任を負うのではなくて、臨調に頼んで国鉄解体をやるというようなことに結果としてはなっているわけですよね。こういうことでは、私は国民は了解をして協力するというようなことはできないと思う。まさに無責任体制だと思うんです。この点は、私の方の意見だけ申し上げておきますが、こんな事態というのは、やっぱり国民からは一体政府は何やっているのだということになると思うんですよ。この点ははっきり申し上げておきたいと思うんです。  次に、国鉄総裁にお聞きをしたいんですが、総裁はまさか国鉄労働者国鉄赤字の原因があると思っていらっしゃらないでしょうね。閣議決定の方針に基づいて国鉄再建のために精いっぱい働いてきた十万人からの人たち国鉄を去らざるを得なかった、この人たち赤字責任はないと思うんですけど、総裁、いかがですか。
  193. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 赤字責任という意味をどういう意味で理解したらいいかというのは、言葉の理解はいろいろあると思いますけれども、私どもの現場の職員は、あるいは車両を運転し、あるいは線路を直し、あるいはまた駅で切符を売ったりという仕事をやっておるわけでございまして、それらの人たちが全体としての経営赤字ということについては、その人たち責任といった問題は本来あり得べからざることだというふうに考えております。  しかし、残念ながら、その十年間にもろもろの違法の行為があったということも事実でございまして、これは事のよしあしは別として、法律で定められている事項が守られないという事態が起こったことも事実でございました。そうしたものがいろいろの国民皆さんから指弾を受けたことも否定できないということは申し添えなければならぬと思います。
  194. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはちょっと赤字の原因とは、後段は話が違いますね。  それで、総裁にお聞きをしますが、日本国鉄というのは世界一正確、安全、迅速だと言われておりますが、そうですか。
  195. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まず、そう言って間違いないという誇りを持って仕事をしている次第でございます。
  196. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 戦前から日本国鉄の運行の正確さというのは定評がありました。その伝統というのはいまも生き続けていると聞いておりますが、世界一安全、正確、迅速な運行、これは国鉄労働者の誇りだということも聞いております。総裁、世界一正確、安全、迅速な運行、これを現場で支えているというのは国鉄労働者でしょう。そうじゃないですか。いかがですか。
  197. 高木文雄

    説明員高木文雄君) もちろん鉄道のようにそれぞれのセクションに分かれて仕事をしております場合には、それぞれの人がそれぞれ持ち分に応じてフルに力を発揮しないとうまく運行できないわけでございまして、一般論としては沓脱委員のおっしゃるとおりと言って間違いないと思っております。
  198. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 正確、安全な輸送を支えて、それを誇りにしてきた国鉄労働者、いま国鉄労働者が諸悪の根源のようないろんな宣伝がなされております。私は思いますのに、    〔委員長退席、運輸委員会理事伊江朝雄君着席〕 果たして国鉄労働者諸悪の根源論というのは正しいのだろうか、あるいは事はそれだけで済むのだろうかということを正確に分析する必要があろうと思うわけでございます。  もう一つ総裁にお聞きをしておきたいと思いますが、世界一の誇りを持って正確、安全な運行を担当してきた国鉄労働者にふさわしい処遇を果たして受けているのだろうかというところが問題だと思いますが、総裁、十分に処遇をしてきたというふうにお考えになりますか。
  199. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、処遇というのは主として恐らく給与をお考えだろうと思いますが、その職務の内容との関連においていまの給与がふさわしいかふさわしくないかという議論というのは大変むずかしい問題で、ここで即答することは御勘弁いただきたいと思います。  ただ、諸外国と比べましても、諸外国でも相当いろいろな施策がとられておりまして、たとえば二十年、三十年にわたる能率向上指標というようなものを比べてみますと、決して日本がナンバーワンだと言うことはできない状態にあるわけでございまして、なおわれわれとしてはより効率のいい状態、しかしてよりペイのいい状態というのを実現していかなきゃならぬというふうに考えております。
  200. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 十分な処遇をしてきたとお考えになるかということを聞いたんですが、賃金について見ましても、これは大体民間の企業の働き盛りの三十五歳から五十歳ぐらいまでの方々を比べてみますと、千人以上の大企業、サービス業を除きまして、国鉄を一〇〇としまして一二七前後ですね、民間の方が。だから、ざっと言いましても二割は給料安い。これは労働組合やあるいは政府統計から見ても大分安いんですね。政府統計でも二割ほど安いですね。時間が余りありませんので、異論があったら後で言うてください。  それで、もう一つはストライキ権です。労働省にお聞きをしますが、イギリスやフランス、イタリー、西ドイツの国鉄労働者にはスト権はありますか、ないんですか。
  201. 関英夫

    政府委員(関英夫君) イギリス、フランス及びイタリアの国有または国営の鉄道事業の職員については、民間労働者と同様にストライキを行うことができるというふうに聞いております。  西ドイツの連邦鉄道の職員につきましては、その身分により取り扱いが異なることとなっておりまして、訳語が適当かどうかございますが、いわゆる官吏はストライキを行うことができませんが、雇員及び労働者はストライキを行うこがとできる、こういう制度になっておると聞いております。
  202. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ヨーロッパの国鉄労働者はスト権を持っているわけですね。  憲法二十八条には、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」と定めて、労働三権の保障を明記しておりますね。  労働省にお聞きをしたいんですけれども、近代社会においてなぜ労働者に労働三権が必要不可欠な社会的権利として定着をしてきているか、それをちょっと聞いておきたい。
  203. 関英夫

    政府委員(関英夫君) 憲法二十八条は、確かに団結権、団体交渉権その他の団体行動権を保障しておりますが、その趣旨は、憲法二十五条のいわゆる生存権の保障を基本的理念とし、憲法二十七条の勤労の権利及び勤労条件に関する基準の法定の保障と相まって勤労者の経済的地位の向上を目的としてこれを保障しているものというふうに思っております。  近代社会においてこういった労働基本権が認められてきた経緯といいますと、非常にこれはむずかしい問題で十分なお答えがいたしかねますが、それぞれの国の経済的、社会的あるいはいろいろな政治的事情によってこの基本権が保障されるに至った経緯はそれぞれ異なるものがあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、わが国の憲法の考え方と同じように、労働者の経済的地位の向上を図るための手段として認められてきたものと理解しております。
  204. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 おっしゃられたように、労働者が人間らしく処遇をされる、そのための権利、そして労使対等に物を言い合いあるいは要求を実現をしていくための労使対等の有力な武器として労働三権というのは確立されてきた。この近代労使間の常識になっている労働三権のうち、労働者の最も有効な手段であるスト権を政府は剥奪したままになっております。  私は、先ほど国鉄総裁にお聞きをして、世界に冠たる日本国鉄としてこれを支えている労働者に十分な処遇をしてきておりますかと言うたのは、こういう大事な権利まで剥奪したままだという点がきわめて重大だと思っているわけです。だから、こういう不当なままで国鉄労働者がいろいろなことをやられているという点はきわめて問題であるという点を指摘しておきます、この問題は論議をすると私の持ち時間がなくなりますので。だから、十分な処遇をしてきたというふうには言えないであろうということを申し上げておきたい。  引き続いてお聞きをしたいのは仲裁裁定。労働大臣は昨年度の仲裁裁定でも裁定どおり完全即時実施というお立場をおとりになっておられたわけですが、五十八年度もやがて近く裁定が出ると思うんですが、このお立場は変わらないでしょうね。
  205. 大野明

    国務大臣(大野明君) 仲裁裁定は、やはり出た時点でございませんと何とも申し上げられませんが、いずれにしても、公労法第三十五条の精神、これを十二分に踏まえておりますので、五十八年度につきましてもその気持ちでやっていくということでございます。
  206. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、五十七年度ですが、なるほどベースアップはやられました、裁定どおり。しかし、御承知のようにボーナスが夏と年末は旧ベースで支払われて、しかもその上に国鉄と林野が格差がつけられたというのは事実でございますが、労働大臣、ボーナスが旧ベースで支払われること、とりわけ国鉄と林野について経営状態を理由として大きな格差をつけられたという点についてはどう思われますか。
  207. 大野明

    国務大臣(大野明君) 仲裁裁定は基準内賃金でございますから、そしていまのお尋ねはいわゆる期末手当、ボーナスの問題ということでございます。  五十七年度については旧ベースでもって支払われた、しかもその中において国鉄、林野には他の公企体との格差がついたというお尋ねでございますけれども、これはやはり五十七年度、御承知のようにいろいろ予算委員会等でも御発言もあり、また答弁もいたしましたとおり、人勧の見送りがあったとか、あるいは経営状態であるとか、あるいはまた国民世論もあったと思いますが、そういうようなものを総合判断して労使で円満に、自主的に解決なさったものと理解いたしております。
  208. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 労働組合は完全に合意をしたわけではないんですね。御承知のように、不満だということでILOに提訴しているという事実は御承知のとおりでございます。  ILOへの提訴の資料でもこういうふうに言っています。これは長いから全部読むわけにいきませんけれども、たとえば旧ベースで支払われたということで賃金がどのようになったかというのは御承知でしょう。仲裁裁定による年間のベア額というのが、国鉄では十五万五千三百二十八円です。ところが、ボーナスが減額をされたということで、実際には八二年度の実質賃上げ額が五万三百七円です、実質的には。そういうことになっているということを前提にいたしましてILOに提訴をしておりますけれども、これは全部読んでいると時間がないと思いますから少し申し上げておきますと、  政府および使用者は、仲裁裁定が月額賃金にのみ適用されうるものであり、ボーナスは仲裁裁定による賃上げの対象ではないとのべております。しかしながら、この諭旨は確立された慣行および民間部門の賃金実勢を基礎にするという仲裁裁定の精神にも反するものであります。それに加えて、ボーナスに関する労使間の合意にも明確に矛盾しております。たとえばこの協約には、「六月一日現在の基準内賃金の一・九ケ月分を支払う」ことが明記されております。ボーナスの支給は現行基準内賃金を基礎とすべきであり、これは確立された慣行であります。そして仲裁裁定による基準内賃金の引上げは常にボーナスに反映されており、必要な場合には遡及して調整額が支払われてきました。というふうに提訴文書にも述べておられるように、そのことが協約でもやられてきたし、慣行としてやられてきたというのが現実であるわけですね。先ほど申し上げたように、金額は年間ベースアップ総額の三分の一になるというふうなことですから、これは不満だということで提訴をされるのは当然だと思うんです。  労働大臣にお聞きをしておきたいんですけれども、先ほども私指摘をして、国鉄総裁国鉄経営赤字というのは直接労働者責任ではないという点は明らかになっておりますが、そういう中で、こうして格差をつけて結果として労働者の生活を圧迫するということはやっぱり好ましいことではないと思うんですね。だから、いろんな事情があるにしても、ベースアップがボーナスに含まれる措置をとって格差はつけるべきではない、あるいはつけるのは望ましくないというぐらいのことは、これは労働大臣として御主張なさるべきではないのでしょうか。そう思いますが、いかがでしょう。
  209. 大野明

    国務大臣(大野明君) いずれにいたしましても、ボーナスの問題というのは労使間において話し合いによって円満に今日までも解決してまいりましたし、また今後もそういうような形で進んでいくものと思います。私どもが介入すべき問題でないというふうに考えております。
  210. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大臣、そない紋切り型におっしゃったらあかんのですよ。労使間で確かに判を押して、だからもう済んでいるんだというふうにおっしゃるけれども、不満だということでILOに提訴をしている。あのときに判を押さなかったら年末なのにボーナスももらえないというふうな状況で、労働者の生活条件を確保するためにやむなくあれは判を押して、とにかく姿の上では協定ができたという形にはなっていますけれども、私はそうだからといって、現実には八十二年度の仲裁の裁定金額のベースアップ分の三分の一にしかならないというふうな状態に格差がつけられるというのは、やっぱり労働者の生活を守る上で望ましくないのではないかと思いますよ。労働大臣労働者の労働条件、福祉を守るということが本旨のお役所の大臣ですから、やっぱりそういう差別は余りつけない方が望ましいよというぐらいのことは言えないですか。
  211. 大野明

    国務大臣(大野明君) 国鉄職員に限らず、全勤労者がそういう所得が増すということについては大変に結構なことだと思っております。しかしながら、現実の世の中では、できる場合とできない場合、できること、できないこともございますので、気持ちではそうですけれども、むずかしい問題をこの場合は含んでおるような気がいたします。いずれにしても、ILOに提訴なさっておるということでもって先ほどからお話ございましたが、来月ILOの総会もあるようで、私も行ってまいりますから、よく聞いて帰ってこようと思っています。
  212. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは私、冒頭に不思議だと言うたのは、たとえば国鉄再建計画について十年間に六回、閣議決定、閣議了解をやっているんですよ。大臣にもお聞きしたように、うまいこといかぬけど大臣も一遍もだれも辞職した人もないんですわ。国民に対してまことに申しわけなかったと言うて謝った人もないんですよ。総裁に聞いたら、国鉄経営赤字責任は個々の労働者にはありませんと言うておる。だけど、経営赤字だからというて仲裁裁定で決められた金額までまともに支払わぬというふうなことというのはやっぱり筋が通らぬと思うんですよ。  私が運輸大臣に筋が通らぬでしょうというて言ったって、いろいろ事情がありますからということでお話があろうと思うから、少なくとも労働者、勤労者の生活と福祉に責任を持たなければならない労働大臣としては、そういうボーナスで差別をつけて全体として三分の一にしかならぬようなやり方というのは望ましくないよというぐらいのことは言うてもらいたいと思うんですね。そうでなかったら、何のために労働大臣おるんやわからへんのですよ。それはそうしなさいと労働大臣が言うたって、ならぬかもわからぬ。しかし、労働大臣の立場としてはやっぱり望ましくないなというぐらいのことは言ってほしいと思ったんですよね。それも言えませんか。
  213. 大野明

    国務大臣(大野明君) 先ほどの答弁でも、私は勤労者の味方であるというニュアンスのことは申し上げたつもりでございます。  本年度の予算委員会衆参両院におきましていろいろ御質問ございましたが、今回は仲裁にしてもあるいは人勧にしても、未曾有の財政危機であったという点を十二分にお話も申し上げ、また御理解いただいた、その上でこういうような形で決着がついたものと思っております。いずれにいたしましても、私は、先生御指摘のように、勤労者諸君の向上ということについては立場上責任もあると同時に、私はそういう情味のあるつもりで今日この大臣の席を汚しておるつもりであります。
  214. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がありませんので、最後に聞いておきたいのは、これは入浴問題に代表される問題なんですが、国鉄総裁にお聞きをしておきたいんですが、汚染業務に従事した労働者が終業前後に入浴をして体を洗う、こういうことは事実として国鉄創設以来の慣行であったというふうに伺っておりますけれども、事実関係はどうなんですか。
  215. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 創設以来の慣行であったかどうかは、国鉄が百十年以上経過いたしておりますので、どのような慣行であったか、ちょっと事実は明らかでございません。  先般来、新聞等で指摘されましたときには、OBの方の中には、昔はそんなふうにルーズな勤務をしてなかったと抗議を言う者もおりますし、あるいは昔はそれほど勤務時間が明確でなくて相当長時間働かされて、逆にまた非常に暑い日は現場長の裁量でもってふろに入っていいというふうなことがあったり、必ずしも過去がどうであったかという実態はなかなか私どもつかみ得てないわけでありますが、それほど勤務がルーズであったことではないというOBの声も多くございます。
  216. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 労働基準法の第一条では、「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」というふうに規定をされて、後段で、労働基準法で決められている基準は最低のものであるから「その向上を図るように努めなければならない。」というふうな取り決めがあるわけです。  私が非常に入浴問題をめぐって心配をしておりますのは、規定ということで、たとえば体の汚れる業務、たとえば修理だとか列車の下へもぐって修理をするというような場合に体が汚れる、汗はかく、そういう場合に時間まで汚れたままでがまんしておれという、そんな非人間的なことが強行されるような、しかもそういう中で混乱が起こるような労使関係というふうなものはきわめて心配をしている。  そこで、総裁、こういう問題は団体交渉事項なんでしょう。だから、団体交渉で誠実に話し合って、条件が変われば条件の変わったようにこれは労働組合にも労働者にも御納得を得て協力していただくというふうにいたしませんと、新聞種になるようなやり方というのでは、私は労働者が持っておられる力というのが自発性を引き出して積極的な協力を得られるというふうにならないのじゃないかという点を一番心配しておりますが、この点は十分に話し合われて、本当に本来働く人たちが持っている意欲と自発性というものを引き出して協力を求められるようなやり方をしてもらいたいと思いますが、その点はいかがですか。
  217. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 先生御承知かと思いますが、入浴問題につきまして労使間でいろいろ紛争がございましたのは、現在勤務時間内に入浴しておるのをわれわれが是正をいたそうとしましたときに、これが団体交渉事項であるとかないとか、あるいは確立された現場における慣行であるとか、あるいは入浴に際して賃金カットをしたことが不当であるとか、そういう問題が直接団体交渉事項とはわれわれ考えておらない、民間にも非常に汚染する職種はございますが、それらはやはりたてまえ上は職務が済んでから入っていただくというのが大方の実態でございまして、国鉄のように国民の税金を多額にいただきながら今日のような厳しい状況に置かれておるところで権利として入浴を勤務時間にするということはわれわれは是正したいということで、一方的に是正してトラブルを生じたものでございます。  しかしながら、労働組合との間でこのような問題、一応悪慣行を是正するということでほぼ合意が成り立ちまして、また国鉄労働組合からも新たな将来に向けての制度創設として団体交渉をしたい、またそのためには紛争中の地方調停委員会の案件も下げるということでございましたので、四日二十日から団体交渉を開始したわけでございます。しかし、この問題は、先ほど申し上げましたように、勤務の根幹にかかわる問題でございますので、私ども誠意を持ちまして労働組合と団交を続けてまいりたいというふうに考えております。
  218. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 答弁が長くて時間がなくなってしまいましたから、この辺でやめますけれども、私はああいうことが新聞記事になって、入浴で賃金カットをするとかいうようなことでいきなり一方的にやるというやり方というのは、三十万、四十万の労働者を抱えている大企業の中で、本当に団結をさして、一致して国鉄再建のために意欲を持ってがんばってもらおうということになるならば、それは最も下手なやり方だと思うわけです。  現に職場では、これは私、国鉄職場だけではなくて一般の職場だって、たとえばごみを集める労働者の方が、ごみを集めてきて、車が早く着いて帰ったから、時間が来るまで汚れたままでふろへ入るのを待たせるというふうなことが果たして本当にいいのかどうか。あるいは私ども医療の分野では、人体解剖しますよね、人体解剖が済んでそれで勤務時間済むまでふろへ入るのを待て、そんなことが可能なのかどうなのか。人間的な扱いなのかどうなのかというのは、いろんなケースでやっぱりいっぱいあると思うんです。だから、そういう点で規律を正すということと同時に、労働者を人間としての扱いをしていくという立場で、特に労働者が積極的に国鉄再建のためにがんばってもらえるという条件を確保していくという立場での誠実な交渉、誠実な話し合いあるいは団体交渉というような形で再建に向かっていただくことを心から要望するわけです。  最後に、総裁の決意だけ伺っておきたい。
  219. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いま御指摘の考え方と私の考え方は全く同じでございます。当然、汚染職場においてきれいな体で家へ帰ってもらいたいということは全くそのとおりでございます。しかし、それを、おふろがあるところならすべての職場であたかも時間内におふろに入ることが権利であるといいますか、おふろへ入るのは勤務であるという概念を確立しようというところから紛争が起こったわけでございます。  昨年のいまごろの状態では、約千に近いと申しますか、あるいはちょっと超えておったかもしれませんが、ぐらいの多数の職場でそういう現象が起こっておったわけでございますが、いろいろ話し合いをいたしまして、それはどうもおかしいということで大体九割の職場は数カ月のうちにそういうことはやめましょうということになったわけでございますが、ごくわずかの職場についてこれは最後まで闘いとして進めていくということになってああいう紛争になったわけでございました。幸い、残りました幾つかの職場につきましても、先ほど担当常務が申しましたように、話し合いが成立をいたしまして、今日ただいまでは一カ所もそういう現象というのはなくなっておるはずでございます。  そして同時に、新しい問題としてこれを何かルール化しようではないかということで団体交渉が始まっておる次第でございまして、大変御心配をかけましたが、まずまず労使とも、途中で紛争はありましたけれども、話し合いの末、先生おっしゃるようなきわめて常識的な方向を探し求むべくいま取り組んでおるところでございます。御心配をかけましたことをおわび申しますとともに、いまお示しのように、人間的な生活ということを基準に置いて双方とも話し合ってまいりたいと思っておる次第でございます。
  220. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 終わります。
  221. 三治重信

    ○三治重信君 国鉄再建法がかかるに当たりまして、きょうは連合審査で労務の関係を主として御質問したいと思うのです。  まず最初に、国鉄再建というのは三つの努力目標がある。一つ国鉄自身の経営努力をする、    〔委員長代理伊江朝雄君退席、運輸委員会理事青木薪次君着席〕 それから財政面から国のてこ入れを図る、それから運賃の値上げ、この三つだ、こう言われているわけなんですが、現在のところいずれも、財政面からの国のてこ入れといってみても、国自身が今年度十兆円からの赤字国債を発行するというようなところで、国鉄赤字だからといってそうなかなか補助金をもらえるということにもいかぬだろうし、運賃を上げてみても、ずっとやってみたけれどもやはり国鉄の収入増にはならぬ。  こういうふうになると、国鉄自身の経営努力、こういうことも言われているんですが、総裁、ひとつ国鉄自身の経営努力で——この再建監理委員会再建監理委員会としてやはりまだ結論が出るまでには五年かかる。その結論が出るまででも、国鉄総裁としては、財政面からの国のてこ入れもなかなか思うようにはいかぬし、運賃の値上げといっても、そう特別に経常状態、財政状態がよくなる運賃の改定もできぬということになってくると、この監理委員会結論が出るまで赤字をどうして少なくしていくかというのは、やはり国鉄自身の経営努力いかんにかかると思うのですが、それに対して主な重点的な経営努力というものはどういうふうにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  222. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 三治委員よく御存じのとおり、先般成立さしていただきました国鉄再建法に基づきまして、経営改善計画というものを立ててそれと取り組んでおるわけでございます。この経営再建計画では、全体を簡単に申しまして三つの種類に分類をいたしました。  一つの種類は、人件費の退職金の問題と年金の問題のうちで、平均的なといいますか、常識的なといいますか、企業における年金負担と退職金負担までは当然われわれが経営の中で処理していかなければなりませんけれども、きわめて異常な状態の退職金と年金負担についてはこれは何ともわれわれの手では処理しようがないということで、この部分はやはり財政負担をお願いせざるを得ない、経営改善計画ではそう考えております。このことは今日の段階でも変わってないわけでございますし、臨時行政調査会の御答申の中でも、それは政府で何か考えざるを得ないなということで基本的には了解をしていただけております。ただ、その金額が余りに大きいので、いまお触れになりましたように、今日の国家の財政状態のもとにおいていかに処理すべきかということの困難性は私どもも十分承知をいたしております。  それを除きました部分を二つに分けました。一つは、毎日のお客さんがキロ当たり八千人以上乗っていただける線路でございまして、この線路を幹線と呼んでおりますが、この幹線については六十年時点で収支を一〇〇%均衡するように持っていきたいというふうに考えております。しかし、一日お客さんが八千人乗っていただけない地域につきましては、これは他の私鉄の例等と比政いたしましてもなかなか経営バランスをとることが困難でございますので、この部分についてはやはりある程度、現在でも千億を超える補助金をいただいておりますけれども、やはり今後とも補助金をいただきながらでなければ経営できない、あるいは線路を外して他の方法、特にバス等による輸送に切りかえることについて住民の皆様の御理解を得なければならぬというふうに考えておるわけでございます。  この経営改善計画の幹線においては収支均衡をとります、それは何によってやるかといえば、まさに自助努力によってやりますという考え方は今日も変わってないわけでございます。ただ、今朝来の当委員会の御議論でしばしば御指摘を受けましたように、その後立案当時よりは輸送量が減っておりまして、したがって収入が減ってまいっておりまして、見込み収入よりも減ってきておるものですから、その幹線部分について自分たちの力だけで収支均衡いたしますということをお約束している部分の具体的内容を変更しなければならない。よってもって、当時よりもより一層少ない職員をもって同じだけの仕事をすることにしなければならないということで、経営改善計画のいわば練り直しをいまいたしているというところでございます。  御指摘のように、何と申しましても、基本的部分について自分たちの力で収支均衡をするように持っていく、ただし日本じゅうどこを探してもないような年金負担、退職金負担については、異常部分についてだけでございますけれども御援助賜りたいという考えは、甘いようでございますが、いまも変えておりません。
  223. 三治重信

    ○三治重信君 八千人の基準というのは、いまのお話だと、少し営業成績が下がると赤字が出るというのだけれども、八千人の基準というのはそう上下ができる基準か、独立採算する線路を決めて八千人という結果が出たのか、八千人というのが収支を合わせるやつなんで、もしもキロ当たり八千人が七千人とか六千五百人に下がったら幹線といえどもそれは三番目に下がるんだと、こういうことなんですか。
  224. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現実の問題といたしましては、お客様が少なくても線路を保守したり架線を保守したりする経費はやっぱりどうしてもかかりますし、車両の修繕費もかかりますので、お客様が少なくてもコストが固定的にかかってまいります。可変部分といいますか、コストがお客さんの量によってふえたり減ったりする部分もありますけれども、その部分は、いまのを見ますと、一日一キロ当たり八千人以上お客がありません場合にはどうもやはり採算がとりにくいというところでそういう線を引いたわけでございますが、さてそれをどういう線区は第二のグループに入れるか、どういう線区は第一のグループに入れるかということは、これはある時期で特定して考えませんと計画になりませんものですから、したがって五十五年時点で計画を立てますときに、たしかその前後二、三年の間のお客様の乗りぐあいを統計的に把握できておりますので、それによってこの線区はいわゆる幹線である、この線区は地方線区であるというような区分を便宜いたしまして、そしてそういう計画にしておるわけでございまして、それは現時点では多少毎年変動がありましても、変えてこの線区が幹線区に入ってみたりまた抜けてみたりということにはならないということで、計画上便宜そういう仕分けをいたしております。
  225. 三治重信

    ○三治重信君 そういう努力、一つの具体的な目標を立ててやられるというのは大変結構なことだと思います。  それで、いまお話しの人件費の国の方で特別の経費として退職金と年金という問題を言われました。これはやはり国鉄の職員構成の逆ピラミッド体制から急激に定年退職者がふえてきておる。だから、平常な状態から見ると、いわゆるリタイア率が異常な場合にはこれはとても平常では組めない。そういうことについては確かに言えると思うし、国鉄が、いろいろな歴史を見ても、やはり戦時中に海外まで膨張した職員を完全に引き受けたかっこうになって、一時ドッジ・ラインで物すごい首切りをやったのだけれども、あれでもまだとてもじゃないが大変な人を抱えた。それが三十九年から赤字になって急激にまた合理化というようなことで非常に、まあ合理化というと日本は人員整理、こういうふうになって大変な苦労がかかってきたわけなんですけれども、退職金でもそういう平常のリタイア率についてのやつは国鉄でも負担率はあるわけでしょう。そうすると、大体国に負担をしてほしいという退職金、いわゆる平常なリタイア率以上のというのは、大体予定されているいまの計画の中で、リタイアの中で何%になるか、何人ぐらいになるか。
  226. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在、私どもの職員は大体三十八万ぐらいでございます。それから、うちの職員が平均どのぐらい勤めるかというと三十年ぐらいでございます。したがって、三十八万の人間が同じぐらいの人数各年度におるとしますと、一万二千人ぐらいが新陳代謝をしていけば平均的な退職の状態になるわけでございます。しかるに、実際やめます人間はその約倍になっておるわけでございます。非常に粗っぽい物の考え方でちょっと恐縮でございますけれども、一万二千人ぐらいの人の払うべき退職金の分はこれは常識的な人件費ということで普通の国鉄の要するに経営の中の問題としてやっていけるけれども、それを超えて二万人だ、二万三千人だ、二万五千人だと大ぜいやめる場合にはとてもその年度ではかぶり切れないということで異常な部分と考えているわけでございます。  ただし、将来、逆に人員構成が変わってきますと、その平均的なところまでやめない時期が来るわけでございますので、そうすればその時期にはむしろ棚上げしたといいますか、別勘定してある分を戻してきて、この分を今度は国鉄責任の範囲内でやっていけるというふうに考えるべきものでございまして、むしろその分は本来なら時期的調整ということで調整がついていくべき性格のものなんですけれども、二つの要因で非常に困っておりますのは、私どもは民間の場合と違いまして退職給与引当金を積んでおりません。積むことが許されておりませんということによる金利の問題というのがございまして、そうした問題でやはり相当部分は経営の中ではやり切れぬということでございまして、いまのお尋ねに対して直截にお答えすれば、いまやめている人の数の約半分が異常部分と申し上げてよろしいかと思います。
  227. 三治重信

    ○三治重信君 こういう問題をお聞きするのは、前に、石炭合理化で石炭の山をつぶしてスクラップ・アンド・ビルドとはいったものの、ビルドはしなくてスクラップばっかりどんどんやっていって、そのときにも一番大きな問題が退職金だったんです。これについてもたしか政府は大変な努力をしてめんどうを見たと思っております。  そういうことからいって、そうすると退職金の方は、これは事務当局でいいんですけれども、こういう問題と年金の特別の負担、平常の以外のこれから負担のやつについては大蔵当局と別勘定、退職金だけいまは別勘定ということ、年金は将来ずっとひっかかっていくんだけれども、この法案の中身の問題についてはまた後日質問いたしますけれども、そういう新しく改正法案をやっても、なおやることによってむしろえらい国鉄の従来負担してない割合の年金でも負担が出てくる。こういうような問題は、大蔵当局、財政当局といわゆる別勘定、設備投資とかそういうものとは、また営業の一般的な赤字とは別勘定で、いま総裁が言われるように、いずれ正常な人員構成になったときには黒字が出ることもあるでしょうし、そういうときには補充できるというような別勘定でやる体系で話がついているんですか。また、そういうふうに国鉄当局と大蔵省とは話を継続中ですか。そういうふうな結論が大体出ている、こういうふうに了解していいわけですか。
  228. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 二つに分けていま考えておりまして、退職金の方は、ある年には非常に大ぜいの人がやめる、しかしある年は平均的なよりも少なくなるはずだということからいいますと、問題となるのはその時期のずれによって起こってくるところの経過的の負担、つまり利子の問題だということになると考えまして、利子についてはちょっといま正確に覚えておりませんが、数年前から大蔵省と交渉して利子補給をしてもらっております。したがって、この利子補給をそういう異常状態期間ずっと続けてもらえますれば一応解決可能なことということで、ある程度財政側と話がついております。ただ、毎年、ここ数年、予算要求のゼロシーリングというような問題がありまして、だんだんふえるべき部分を十分見てもらえないというような半端なことになっていますけれども、とにかく思想的にはある程度了解ができております。  それに比べて、困りますのは年金の方でございまして、年金は臨時的にふえて後はまた減るというような退職金みたいな関係にありませんで、ただふえる一方でございますので、年金の方はこれは困っておりますし、財政側も問題が問題だけに、年金の問題は十分了解は気持ちの上では持っていただきながら何らの処置をしないで今日まで至っておるわけでございまして、そして臨時行政調査会の御答申でもこれは何とかしなきゃならぬなという御指摘になっておりますし、今度のいま御審議のこの再建法の中でもこの問題は再建監理委員会で十分詰めなきゃいけないなということになっているのにとどまっておりまして、現時点では運輸省大蔵省の間でその処理については何らの解決策が見出されていないということで、私どもとしては非常に困っておるわけでございます。
  229. 三治重信

    ○三治重信君 退職金の方は、正常なリタイア率を超える部分についてのやつは一時借入金でやって別勘定にして、そしてそれの利子補給は国の補助でやる、大体これは財政当局とも話がついているということで退職金の方はめどがついたということ。まさか退職金やるのに大蔵省は金は貸さぬとは言わぬでしょうから。  そうすると、年金の問題なんですが、年金は今度は、私どもの方はまだ賛成とは言いかねるところなんですけれども、政府の案では公共企業体の共済組合を国家公務員の共済組合に合併して、そして給付を国家公務員並みにしたい。こういうようなことで、そのときには、公共企業体の方が給付がよくて公務員の方がいまの水準からいくと若干低いんだ、だからせめて国鉄だけでなくて、ほかの専売と電電も同じように道連れにしちゃうわけでしょう。道連れにして、そして国家公務員の年金給付にする。こういうことなんですが、国鉄で国家公務員並みの給付にされるとどこが下がるんですか。給付の水準。
  230. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 現在、公務員と一番違います点は、算定基礎が国鉄の場合は最終俸給でもって決めておりますのですが、公務員の場合は一年間の平均給で決めております。その点が違いまして、実額にいたしまして約四、五%ぐらい公企体の方が高くなっておるかと存じます。またその分、退職手当法が公務員と同じでございますので、三公社従業員は退職手当の方で三%減額するという仕組みになってございますが、今後統合することによりまして年金が大きく変わってまいりますのはその最終俸給の点でございます。
  231. 三治重信

    ○三治重信君 退職金の方は三%減額されておったというのだと、そうすると今度は、退職金は三%従来のやつをそのままにしておくのか、また公務員並みに直すということなのか。
  232. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 上がるのでございます。
  233. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、実際は何も給付が大蔵省の言うみたいに公企体はよくて下げるということ、これは毎年ずっと死ぬまでいくからそういうことかな。退職金は一時だけだけれども共済年金の方は亡くなるまでの給付だから、四、五%というとこれは相当大きいですわね。一年分の勤務期間のベースアップなり定期昇給による分、一年得するかな、一年というよりプラスアルファ。  それでは、そういうふうなことでいきますというと、まだ非常に国鉄自身の財政赤字を、特別給付を下げ、給付の方もがまんしてもらうというような意向は全然なくて、ただ国鉄赤字を他の公企体の共済組合と国公の共済組合におんぶをする、全部じゃないけれども。こういう形になるわけですか。
  234. 三坂健康

    説明員(三坂健康君) 先ほど申し上げましたように、最終俸給の算定が公務員に同じになるということでございますが、今度の統合法案によりまして私どもも公務員や他の公企体に大変な御迷惑をかけるわけでありますから、できるだけの私どもの自助努力もしなければならぬということでございまして、現在公務員五・一五の掛金は対しまして国鉄は七・四%と四割高い掛金でございますが、これをぎりぎりまで上げたいというふうに考えております。なおかつ、今後年金改定を、毎年インフレスライドをしておりますのを、現在の受給者の年金につきましては三年間これをストップいたしたいというふうに考えております。そういう自助努力によりまして国鉄本体が約千四百億、それからOBの年金ストップ並びに掛金を上げることによりまして六百億、約二千億を国鉄が負担いたしまして、残り六百億を公務員並びに他の公企体の皆さんのお世話になりたいということでございます。
  235. 三治重信

    ○三治重信君 それは毎年ではなくて、今度正常化する四年の間だけで、トータルでそういうことなんですね。そういう四年間、短期間の負担が保険料等で、また給付が三年間水準をストップ、ほかのところは若干ずつ上がるということで折り合いがついた、こういうことなんですが、これはあくまで暫定的なことだろうと思うんですが、そうしてもなお国鉄本体自身の負担がこれよりかもっとたくさんあるわけでしょう。    〔委員長代理青木薪次君退席、運輸委員会理事伊江朝雄君着席〕  ここで問題が、結局私は、国鉄経営の全般的な赤字という問題はあるにしても、やはり年金の処理の問題はこれは全部政府に任せきりということではうまくいかない問題が出てくるのじゃないかと思うんです。その点、まだ状況は定かでないかもわかりませんけれども、結局いま五十五歳でやめてもらって、その後の生活をどうしていくかという問題、退職後の職員を国鉄再建に私は利用できぬかと、こういうふうな考え方を持っているんですが、その点について若干お聞きしたいと思うんです。  一つ考え方は、五十五歳で国鉄はリタイアさせている。しかし民間は、普通の中堅以上の企業は六十歳定年に持っていっているわけですよね。    〔委員長代理伊江朝雄君退席、委員長着席〕 ここでリタイアが五歳違うわけです。国鉄の資料をもらっても、公務員が五十九歳のリタイアで、電電が五十八歳というようなことになっている。これだけでもずいぶんリタイアの平均年齢が違ってきているわけですよね。年金でも、五十五歳から六十歳に入るようになれば五年一人当たり違ってくるわけです。しかしこれは、国鉄だけ五十五歳を六十歳からしか支給しないというわけにもいかぬだろうし、それから公務員自身も民間の年金に合わせて年齢を将来合わすと、こういうことなんだから、それにしても相当な年限がかかるわけなんですが、ここで問題は、そういうふうな非常に若くしてやめているわけなんだから、退職金を支給した人に国鉄赤字線なり何なりのために安い給料で働いてもらえる考え方ができぬかどうかという問題だと思うんです。  一時、民間では退職年齢を上げろ、そういった場合に、五十五歳の定年をすぐには上げられない、しかし再雇用しますと、こういうことだったんです、一番初めは。いまでこそ、だんだんリタイアの年齢を上げて六十歳まで持ってきたわけです。しかし一番初めの十年、十五年前のときには、五十五歳の定年は変えないけれども、一年ないし二年は再雇用します、しかし労働条件は下げますよと、こういうようなことが行われたわけなんです。そしていま、ときどき出ているのは、業務委託でトラブルなんかが出ている。しかし業務委託をして、五十五歳で定年退職した人は出ていきなさいと、退職金も上げます、それから年金も払います、はいさよならと。新しくそこに、今度は新しく採用しないから、減った仕事については民間委託で全然新しいところへ仕事をやって、そこに雇用の場を設ける。これの連結を何とか考えられないかということなんですが、そういう努力はしておられるんですか。
  236. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 一つ、先生の御認識でちょっと私どものやっておりますことと違っている点がありますので、そこを申し上げますが、現在——現在というのは本日ただいまの状況で、定年は幾つかと言われますと六十歳でございます。ただ、そういうふうにだんだん延ばして実は六十歳にしたわけでございますが、しかし一方、仕事をどんどん減らしてむしろ人減らしをしなきゃならぬという都合がありますので、五十五歳からいわば退職勧奨的なことをいまやっているわけでございまして、現実には、五十五歳に到達した人で、なお五年おろうと思えばおれる人のうち約八割の人が実は五十五でやめてしまっておるわけでございます。一方で定年を延ばしながら相当強い退職勧奨をいたしまして、そして実際に五十五、五十六、五十七、五十八と残っておる人は二割ぐらいにしかなってないという現状でございます。そういう意味では、人件費支払いの方からいいますと、そうやって早くやめていってもらっていますので、その分は国鉄会計の赤字を少しでも減らすことには役立っておるわけでございますけれども、年金会計の負担という点では圧迫材料になっているということになっております。  それから一部部外委託を進めておりますが、この一部部外委託を進めておりますのは、波動性の強い仕事について委託をいたしておるわけでございます。定員でありますと、要するに事業量の一番張ったところを基準にして人を置かなきゃならぬわけになりますが、季節によってあるいはまたその他の事情によって仕事に波がございますので、波動性のある部分について一年分フルに給与を払うよりは、外部に委託をして一種の請負の形をとることによって経費を減らしたいということで外部への委託というのを進めておるわけでございます。その場合に、なるべく外部に委託いたします場合に、やはり鉄道は非常に特殊なものでございますので、きわめて簡単な清掃とかなんとかいう業務であればそれはどなたでもできるわけでありますけれども、保線とか電気関係の仕事とかなんとかいうことになってまいりますと、外部に頼むと申しましてもやはり相当経験がなければいけません関係がありまして、外部に委託いたします場合にも、相当数は私どもの職場をやめた人が何年かそこで、一年分の仕事ではありませんけれども、波動性はありますけれども、そこで働くようなことで、相当数の人をそういう外部会社に採ってもらっております。  そういう方法で、あれも考え、これも考え、いまいろいろやっておるところでございます。なお、知恵が及ばざる点があろうかと思いますので、また御教導を賜りたいと思いますが、大体、先生のお考えのような考え方で、徐々にではありますけれども、そういう方向で実施に移しつつあると申し上げてよろしいかと存じます。
  237. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、制度上の定年は六十歳なんだけれども、合理化のために、人減らしのために五十五歳に下げてやめなさい、こう言っておる。そうすると、下げたために特別退職金を出す、こういうことなんですね。  その八割が五十五歳でやめるということになると、その後そういう人たちは、肩たたきをしてやめる人はどういうところに再就職していますか。それはみんな再就職をしているんですか。そうすると、五十五歳で年金はみんなもらって、そして国鉄以外の仕事でまたもらうと退職時よりかよけいの所得になる、こういうことですか。
  238. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 一般の日本の労働事情とやや違っておることがございますのは、国鉄は昔の言葉で半農半鉄というような言葉がございまして、非常に多くの人が地場の地づきの人が、いわば農家の次三男の人が国鉄に勤めてきたというような歴史がございます。したがいまして、その人たち国鉄に勤めると同時に、多少とも、わずかなものでありましても、たとえば兄貴から田畑を少し分けてもらうというようなことで、そしてそれは奥さん、おかみさんが今日まで耕してきたというようなことがございまして、あしたから仕事がなくなってしまうという関係の人は、むしろどちらかというと、東京や大阪や名古屋というような都市に出てきて、そしてむしろ国鉄のみをほとんど収入源としてやってきたという人が非常に都会には多いわけでございます。  そういう意味で、国鉄を五十五なり五十八なり六十なりでやめた場合の後の収入の道として問題がありますのは、その都会でやめた人、しかもどっちかというと助役をやったとかなんとかいう人に、そういう何か職を探してあげなければならないというような問題があるわけでございまして、したがって毎年二万人も二万五千人もやめるということになりますと、その対策がきわめて大変だというふうに印象をお持ちかもしれませんけれども、決して楽ではございませんけれども、いま言ったような事情がございますので、第二の人生のための就職ができないといわば生活ができないというような人は、やめていく二万人なり二万五千人なりの半分かというような感じのことでございまして、それらの人につきましては、国鉄の周辺の場所でそれを引き受けられますときにはそういうところで、給料は安いですけれども働いてもらっております。意外に、やはり鉄道とは別にいろいろ親戚、縁者等の力によって就職ができる人もあるわけでございまして、これからこういう景気情勢になりますと非常に深刻になってこようかと思いますが、国鉄をやめて翌日から生活に困るという人はごく限られた人ではないかと思います。  したがいまして、先ほど制度上は六十であるのに五十五でやめる人が多いという理由は、逆に言えば、将来の年金その他の不安があるという問題が一つと、それからあしたから食べられなくなるというほどの深刻な状態でない人がありますので、そういう人たちはむしろいまのうちに先にやめていくということでございまして、決して強烈に勧奨を進めて、結果八〇%がやめるということではないのでございまして、これが続きますとだんだん問題になりますが、今日時点までのところはどうにかすり抜けていっているということでございます。
  239. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 大変長時間の御審議でお疾れと思います。できるだけ審議に協力をする意味におきまして簡潔にお話ししていきたいと思いますが、的確な御答弁をお願いいたします。  お尋ねをいたしますのは、確認の意味も含めて数点についてお尋ねをいたします。  まず、今回御提案の日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案を中心とする国鉄再建の手法についてです。  第一、この法律は臨時行政調査会の答申に基づき整備をする法律であって、その中心は日本国有鉄道再建監理委員会の設置にあります。しかし、再建監理委員会の単純な設置法ではなく、国鉄再建の方向づけ、枠組みというふうなものを中心に踏まえた総合的な法律である。  第二、再建の方策については、臨調答申分割民営化となっておりますので、これを尊重し、その方向で検討することは疑いのないところでありますが、それがどうにも非常にむずかしいという特段の合理的理由があれば別の選択をすることもあり得る。  第三、新しい経営形態に移行するまで当局は手をこまねいているのではなく、現行改善計画以上の大幅な経費節減措置を緊急措置として講ずる。  第四は、分割の場合は、その前提として長期債務、国鉄共済年金制度の諸問題を新形態移行に際して解決をしておく。  第五は、目的とする、すなわち国鉄経営する事業の健全な運営を実行する体制の整備を図るための諸施策は昭和六十二年七月三十一日まで、すなわち約五カ年間に講ずる。  この法律のねらいとされますところは、大筋において以上のように理解をしてよろしいですか。運輸大臣並びに国鉄総裁のお考え方を承りたいと存じます。
  240. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) ただいま山田委員のずっと系統的に挙げられたこと、私たちが今度法案を出してこれが通過した暁の再建の大体スケジュール、そのとおりでございます。ぜひひとつ御審議のほどをお願いします。
  241. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私どももお示しのとおりの内容のものだというふうに考えております。
  242. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 次に、国鉄赤字経営に転落をされましたのは、国鉄の長い歴史から考えてみましてそんなに古いことではありません。それ以来、政府国鉄みずからの手によって数次にわたって再建計画が立案をされ、それらの一部が実行にも移されておるのでありますけれども、これらは常に手おくれの状態であります。さらには、現に日本国有鉄道経営再建促進特別措置法も生きておりますのにかかわりませず、国鉄経営は加速度的に悪化をして再建への諸施策は全く機能をしておりませんと言っても過言ではないと私は思いますが、これは大体だれの責任なのですか。さらに、先ほど運輸大臣は、運輸大臣として責任をとられた方はありませんとお答えになられましたけれども、だとすれば、ほかにだれか責任をとられたためしがありますのか。この点について運輸大臣並びに国鉄総裁の所見を承ります。
  243. 高木文雄

    説明員高木文雄君) しばしば計画が挫折をしたといいますか、予定どおりいかなかった、また現にいわゆる再建法によりましてつくりました、それに基づいて実施しております経営改善計画につきましてもすでに若干の誤差が出てきておる、破綻がのぞかれつつあるということは御指摘のとおりでございますが、その要素を分析してみますと、思ったよりも経費がかかりたという部分は過去のすべての経験の場合に余りございませんで、思ったより収入が伸びなかったということがほとんどすべてのギャップが出てきた原因でございます。  収入が伸びなかったということにつきましては、日本の輸送需要の平均伸び率ぐらいは私どもの仕事も伸びていくだろうという想定でしばしば計画が立てられたわけでございますが、結果といたしましては総輸送量中の国鉄の担当いたしました部分がだんだん落ちてきておる、絶対量としては落ちてはこないとしましてもいわゆるシェアが落ちてきておるということでございました。まだ、ほかにも原因はありますが、何としてもそのシェアが落ちてきたことによって、日本の国全体の輸送量の増加見込み率が少し高目にでき過ぎておったということが一つと、その中で鉄道のシェアがじわじわと落ちてきておるということが一つ、その二つによって収入の方が予定どおりいってないというのが主な原因でございます。  それらにつきましては、最終的には政府でお決めいただいておりますけれども、私どもも非常にその見込み違いを起こしていることについては責任があるわけでございまして、政府あるいは運輸大臣責任ということに言及されておりますけれども、われわれ自身としても大いに反省をいたさなきゃならぬ部分が多いかというふうに考えております。
  244. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 人間の予察をする能力を超えたものであったかもしれませんけれども、見込み違いということは明らかでありますし、結果的にはこの膨大な赤字国民に対して負担をかけていくということになるのも事実でございます。私は、やっぱりこの肝心な責任問題をそのままにしておいてはいけない、こういう考え方に立つものですけれども、それは後ほどにするといたしまして、今日まで何の効果も上げてこなかった実績を持たれます国鉄が、今回提案されましたこの法律が世間では内容的に若干強力なものを持っておると言われておるとはいたしましても、この法律ができただけで、さらにはまた監理委員会が設置をされたということだけで直ちに国鉄再建できる、このようには私は思いませんのですけれども、しかし国鉄再建しようとしてこれを出しておられますのですから、運輸大臣の方でお考えになっております国鉄再建のプロセスだけでも、国民皆さんにああそうかといってわかるようにお答えをいただくものがあったら、ぜひお願いします。
  245. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 臨調が生まれてから国鉄問題というのが国民の中に大分浸透したと思うのです。従来ですと、国鉄に働く諸君あるいは関係する役員、地方地方で国鉄と一緒に仕事をしている人々が国鉄の模様がわかったわけですが、こんなふうに危機的様相であるということは、やはり土光さん初め玄人と申しますか、権威のある方々が縦横無尽に分析した結果だと思うのです。これは国鉄にとっても、痛いことであったかもしらぬが、すばらしい私は応援団を得たものだ、こう思う次第です。  そこで、この勢いをかりてみんなでひとつ国鉄の能率をどうして上げるか。それは、閣議で決定された職員の規律という問題もあるでしょう。三十数万が一分間サボる、二時間サボることと、一生懸命自分の仕事としてこれをやっていこうというその意欲というものが仮に出た場合にはどれだけの効果があるかわからぬ。これが直ちにまたもって見ている皆さん方を国鉄応援団にするかもしれません。そうした問題を新たにここに出して、日本はとにかく明治四年に国鉄を築いたんですから——一週間ほど前に私のところにイギリスの国鉄総裁が参りました。この総裁は、私の国はようやく黒字になりました、こう言っていろんな話をしておりましたから、いずれその書類をもらうことにいたしましたが、その国鉄総裁に対して新幹線をつくっている私が恥ずかしいような感じを持ったので、どんなことをしてでもこの再建委員会という権威のある方々に論じていただく、この方々は国鉄再建するためにやるのですから。それにわれわれは材料も提供しますし、またお互いが政界を動いて応援するようなこともやらなければなりません。  そういう意味で、私は国鉄に働いている数十万の方々が、自分たち時代にいままでのもやもやしたものを一掃してやるのだというファイトを燃やしていただきたい。それの及ばずながら先頭なり応援団はしっかりやるつもりだ、こう思っております。
  246. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 ただいまの大臣の御答弁、ちょっと共感はいたしかねますけれども、それほどこの問題はむずかしい問題だろうと思いますが、こいねがわくは、このようにしていただきましたらわれわれはこういうプロセスでこのように再建ができるのですという説得材料はぜひ整えていただきたいと思います。  その次には、今日の国鉄経営は私が言わなくても破局的現状を迎えておる、こう言っても過言ではございません。ただ、ここまで参りますのには、その原因は非常にたくさんありましたことと思います。しかし、国鉄問題が国民の中でこんなに論議をされるようになりましてから、確かにたくさんの出版物も出ております。そういう中から総体的にまとめてみますと、まず第一には、国鉄経営に対する過大なまでの政治や行政による支配介入、これがいけないと言うております。第二には、国鉄経営における上級管理職のみならず中間管理職や末端管理職に至るまでが、責任感も経営感覚も持たずに独立採算制と企業会計原則に立ちます公社制度の本来の趣旨を生かそうとして行動をしてこなかった無責任な体制にある、こういうような指摘がまず一般的かと私は思っております。  さらにまた、ある雑誌の最新号においては、ただいま運輸大臣は土光臨調を高く評価されましたけれども、どういう観点かこの雑誌は、「土光臨調は何故世論の支持を失ったか」というテーマの座談会の中で、「本来、政策の大々的な転換というようなことは、政権政党なり政府なりがリーダシップをとり、その負担と犠牲により敢行すべきものです。特にきびしい選択をせまられる低成長下では特にそうなのです。それをあえて臨調がカバーをする。またはカバーをさせるという構造になっている。サッチャーにしてもレーガンでさえが自分で政策転換をやっているではありませんか」、このように指摘しておる文言が目に入りました。  しかるに、政府の姿勢にはその気概が見られない。たとえば議員の質問に対して政府関係者は、監理委員会において十分な御審議の上で適切な結論が得られるものと思いますので、その結論を待って対処したいと考えておりますというように答弁をしておいでになります。これではまさに臨終に瀕しております国鉄問題を論議する切実さは感じられません。国家や国民に対して背負っております自己の責任の重大さなど全然にじみ出てきておりません。今日の国鉄の問題は、やっぱり経営スタッフが本当に責任観念を持って対応をしていただかなければならないのではないか。それがないとすれば、これは無責任体制だと私は思いますのですけれども、そういう意味からいたしまして、運輸大臣さらには国鉄総裁はそういう体制になっておると胸を張ってお答えしていただくことができるかどうか、お尋ねいたします。
  247. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 臨調が指摘をされましたのは、私は三つあると思っております。一つ経営形態の問題、それから二つ目は、過去債務その他、もう少し財政で処理しなければならない問題があるということ、そしてその処理方の問題、いまの二つの問題は再建監理委員会においてもっと詰めるということになっておりまして、三番目に国鉄自身が政府の御指導のもとに責任を持って現状をいい方向に持っていくという、この三つが臨調答申でありました。臨調答申のうちの前の二つを処理するための再建監理委員会だと考えております。  したがって、その二つについては再建監理委員会での御討議を待つと言わざるを得ないわけでありますが、三番目の私ども自身がいたすべき処置については、これは再建監理委員会とは関係なくどんどん進めていくべきものであると考えておるわけでございまして、そこで昨年の九月二十四日の閣議決定でそれらの事項が明らかにされましたので自来それに取り組んでいるわけでございますが、五十八年の四月一日に採用すべき新規職員の採用を原則ゼロにするとか、あるいは設備投資額を三割これまでよりも減らすとか、その他かなり細々した問題はございますけれども、職場規律の確立を中心にいたしましたもろもろの問題とかいうのが指摘されているわけでございまして、それらはこの法律ができるできないとは関係なく、また再建監理委員会がお仕事をなさることと関係なく、われわれ自身が運輸省の御指導のもとに現に進めておるわけでございまして、その意味では私は決して何もかもすべてを再建委員会の方にお願いをするというか、責任転嫁をしてわれわれは黙ってそれを待っておるということではないわけでございますので、その点だけは申し上げておきたいと存じます。  私どもといたしましては、同時に、再建委員会ができましたならば民営分割といったことが問題になりますので、民営分割に伴いますメリットがどういうことであるかということは臨調からかなりいろいろな面を指摘されておりますが、デメリットはどうかということが必ずしも時間の関係で詰めておられませんので、その辺のことを、われわれは現に輸送を担当しておるいわば専門家でございますから、その意味でいろいろ意見を申し上げて御判断を待ちたいというふうに考えております。
  248. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 臨調が生まれまして、これだけ大きなムードを国鉄再建につくっていただきました。そして国鉄自身がやることは、いま国鉄総裁のおっしゃったとおりでございます。  そのほかに、改めて私は共済の問題などは、この問題が生まれて初めて全部の国会議員なりお互いの問題になって一歩、二歩前進するという姿も生まれてきた、こう思います。同時に、二十兆円に及ぶところの長期債務、こういうものは一役所が言うたからぐらいではとてもいまの日本の財政ではどこも受け付けません。しかし、勤労者の働いた当然の権利、これを何とかして守ってやろうということから、よその労働組合もあるいはよその官庁も幾らかでも負担しようじゃないかという雰囲気が生まれたことは、これも私は臨調一つの大きな影響だ、こう思っております。  そういうふうにお互いが、国鉄を愛する者がそうしたことを一つ一つ把握することによって真剣に積み上げていくことが必要じゃないか。私は国鉄労働組合の諸君が、ほかの組合はみんな喜び勇んでいるときに、いじめられるような雰囲気というものは事故でも起こしやせぬか、こういう感じにさえ実はなっているものでありまして、一生懸命働いている労働組合の諸君、またその場合に余り品がよくなくてたたかれているような諸君、こういう方々が一緒になってぜひこの際に私はやっていただきたい。一つ一つは具体的なセオリーではございませんが、そういう姿勢において国鉄の問題を見、財政の問題を見てやっていこう、こう思っております。
  249. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 その次には、今日幾つかの再建策が試みられております。そういう中でやっぱり突出しておりますのは、一つは、職場規律の確保と職場規律確保の名によりますところの現場責任者の処罰権が乱用されているのではないかとさえ考えられる点が感じられること、二つ目には、全体的な経営体としてのあり方を考えることを急がれる余りか、善意に解釈しまして、私たちにすれば無定見とさえ思われます人員削減計画がどうも先行しておりますように思います。  先ほど総裁は率直にお認めになることに若干抵抗を感じられたのではないかと聞いておりましたのですが、全国のこの鉄道網の複雑なダイヤを正確に運行し、事故発生率もきわめて低い現状は、やっぱり国鉄職員の強い責任感と士気の高さに負うところが大きいと私は考えております。また、その資質においても決して民間企業に劣るものではございません。職場規律の問題などは、総裁以下現場責任者の全人格的な指導があれば私は直ちに確立するものとさえ思っております。処罰では信頼関係は絶対に確立はいたしません。国鉄再建について労働者の支持、協力が不可欠と私は思いますけれども、直接の衝に当たられます国鉄総裁としての労働者への協力を求める、その必要性と手法についてお答えをいただきたいと思います。
  250. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 一例を挙げますと、先ほど他の委員から御質問ございましたように、たとえば入浴の問題といったようなことが大変マスコミで取り上げられました。それに対して私どもが処分をもって臨んだということで御批判があろうかと存じます。  しかし、なぜこの入浴の問題についてこのような姿勢をとりましたかということにつきましては、実は昨年の三月ごろの時点ではそういった現象のある職場が全国で約五千の職場の中で千前後にも及んでおったわけでございまして、ノーワーク・ノーペイというような原則からいいますと、やはり給料をもらっておふろに入っているというのは、それがしかもそんなにたくさんの職場であるというのはおかしいということで是正に努めました。  その結果、昨年の十二月ごろまでにほとんどの職場ではなるほどそうだなということでそのような現象は労使が話し合いで直したわけでございますが、ごく限られた一部におきまして、これをいわば権利であると申しましょうか、昔からの慣行であると申しましょうか、そういうことで今後とも永続的に有給でおふろに入れるようにしたいという運動になってしまったわけでございます。  これはやはり一方において、きちっと話し合いの上でこれはいかぬなということでそういう秩序を直してきた職場労使のことを考えますと、一部においてなお従来の概念に固執しているものに対してはやっぱり反省を求める必要があるということで処分も行ったわけでございまして、それは常識的ではないとの御指摘であればわれわれも考えなきゃいけませんけれども、しかし同時に、一方においてそういう是正がおのずから行われたということの職場が九割を超えておるという現状との関係において、そして職場環境も非常に違いますし、余りにも多くの思想集団のかたまりでございますので、やはりそのことはやらざるを得ないということにいたしたわけでございます。  この処分につきましては、挙げて私自身の責任問題といいますか、判断、決断の問題で、それが間違っておればおわびいたさなきゃならぬ問題だと思いますが、私は現時点では、紛争はありましたけれども、先ほど他の委員の御質問にお答えいたしましたように、約半月ぐらい前からきわめて正常な状態になりまして、その問題を団体交渉で解決しようというところまで来たわけでございますので、まず、これはお許しいただける処理であったのではないかなというふうに考えているわけでございます。  そこで、労使問題についての基本的考え方でございますが、申すまでもなく、話し合い、交渉といったことを通じて結論を得て積み上げていかなきゃならぬことは当然でございます。特に、私どもの職場はブルーカラーと申しますか、労働を提供する人の圧倒的に多い職場でございますし、まして非常に複雑なのは職種がいろいろあるわけでございまして、そしてまた同じ線路保守といったような化虫にしましても、雪の降ります北海道での線路保守、また灼熱の南九州の線路保守、いろいろ事情が迷うわけでありますので、それらを十分気持ちよく働いてもらうためには、あくまでも労使の話し合いということが必要であるということはそう考えております。  ただ、はなはだ残念なことに、これまた他の委員から御指摘がありましたように、労働組合が多数ありますし、またその労働組合の中でもいろいろな思想の人がたくさんおりますので、いろいろな現象が現場現場ごとにいろいろ出てまいりますものですから、外からごらんになりましていろいろ御批判のある部分もあろうかと思います。しかし、あくまでも基本は労使が話し合いをして労働者が十分納得の上で物事を進めてもらうことでなければ正確にして的確な車両運用はとてもできないということでございまして、そういう仕事の性質から申しましても、他の産業の場合以上に本来労使の話し合いがなければならぬわけでございますが、それはしかし残念ながら必ずしも十分うまくいってない。  それはなぜかということについては、恐らく私どもの教育がまだ十分届いていないといいますか、そういうことによることが多いかと思いまして、やはり長い目で見まして、もっともっといろんな意味での教育なり意見交換の場というものを広げていかなきゃならぬというふうに考えておりますが、これにはいささか時間がかかる。かかりましても、それはやらなきゃいかぬというのがいまの私の考え方でございます。
  251. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 ただいま労使関係総裁から入浴の問題が出ましたので、参考までに若干申し述べさしていただきたいと思います。  そのときには紙面をにぎわすだけの原因があったからそのようになったかと思いますけれども、ただいまと先ほどの沓脱議員にお答えをいただきました答弁のように、もうこれからは入浴問題が紙面をにぎわすことのないようにぜひ措置をしていただきたいと思います。それと同時に、時間中の入浴罪悪論はやっぱり私は考え直してもらわなければならないと思っております。  公務員が諸悪の根源のように言われております今日ですけれども、公務員の仕事に対しての理解の度合いが非常に少ないと思います。特に、現業公務員は何をしておるかということについての国民皆さんの理解はもっと進めていただきたいと私は常に思っております一員なのです。わけても、地方公務員は終末処理の仕事を全部やっております。はなはだしいところでは葬儀まで公営でやっております。そして、嘆き悲しんでおられるところへ参りまして、遺体の納棺は私の方でさしていただきましょうか、おたくさんの方でしていただけますかということを申し上げた場合に、涙の中から返ってきます言葉は、大部分はどうぞお願いをしますということであります。そして、職員は丁寧に納棺をいたします。お医者様を往診に迎えましたら、どこの家庭でもお手洗いのお湯と石けんとタオルはお出しになりますと思いますが、納棺をした職員にその手だてを講じてくださいます御家庭はきわめて少ないというのが現状であります。  御承知くださいますように、人間の生命が消えたら肉体の中にありますところの細菌は全部外へ出ていくのだそうです。そして、納棺の時期がその時期だとさえ言われておりますのですけれども、だとしたらわれわれは、その衝に当たります者は一軒一軒入浴をして体を清潔にしていかなかったら、そのままで社会へ出していったらいろいろな社会的な害毒を流すことになります。さらには、終末処理の問題であります屎尿の処理にいたしましても、ごみの収集にいたしましても、それに携わります職員一人一人は、屎尿の処理場であったらお便所のにおいがしていないだろうかと、常にそのことを気にしながら通勤の電車に乗っております現状でございますので、こんなことは仕事のうちの一つとしてしていかなければならないのが今日の社会実態ではないかと思いますが、御参考までに申し述べさしていただきます。  そして最後に、私はやっぱり今日までの再建計画は確かに経費の節減を願われるということはよくわかります。けれども、余りにも近視眼的ではなかったのだろうか。やっぱり経済の流れをよく洞察をして先取りした政策で、後追いであっては私はならないと思います。だから今日、いかなる企業においても時代に対応した経常方針の展開がこれからの課題だと言われております。ましてや、われわれのように公共の仕事に従事する者は、公共部門の果たすべき役割りについても単なる減量だとか民間依存といった見地だけでなく、公共部門の新たなる役割りも含めて再検討した上での経営でなければならない、このように思いますけれども、もっと積極的な、いまは経費節減で逼塞する方へ逼塞する方へと考えておいでになるように思いますのですけれども、やっぱり公共部門が新たに果たしていきます分野はないのか、そういう点から積極的な再検討をぜひ総裁にお願いをしておきたいと思いますけれども、総裁のお答えをお願いいたします。
  252. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私どもの置かれました最大の悩みというべきものは、国鉄の役削りがいずこにありやということでございまして、片っ方においては企業的であるべしということでありましょうし、片っ方におきましては公共性を十分認識すべきであるということであろうかと存じます。  現在、臨調答申を初めとして、やや企業性ということに重点が置かれて御批判を受けておる感じを持っておりますが、これはしかし何分にも多額な赤字を出しておって、現在も七千億の補助金を毎年いただいておりますし、さらに将来国民の負担となるべき金額が余りにも大きいということでそういう御批判の方がより強くなっておるという現状かと思います。そのことは片っ方において考えながら、やはり本来公共性というものを忘れてはならぬということはいまお示しのとおりでございますので、そのお言葉に元気を得まして、またがんばってまいりたいと思うわけでございます。
  253. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 終わります。
  254. 矢追秀彦

    委員長矢追秀彦君) 以上をもちまして、本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時三十分散会