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1983-04-20 第98回国会 参議院 エネルギー対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十日(水曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員異動  四月十九日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     下田 京子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山崎 竜男君     理 事                 川原新次郎君                 阿具根 登君                 中尾 辰義君                 下田 京子君     委 員                 岩動 道行君                 熊谷太三郎君                 高橋 圭三君                 降矢 敬義君                 降矢 敬雄君                 真鍋 賢二君                 大森  昭君                 対馬 孝且君                 高木健太郎君    国務大臣        通商産業大臣   山中 貞則君    政府委員        経済企画庁総合        計画局審議官   及川 昭伍君        外務省中近東ア        フリカ局長    波多野敬雄君        通商産業大臣官        房審議官     斎藤 成雄君        通商産業省通商        政策局長     中澤 忠義君        資源エネルギー        庁長官      豊島  格君        資源エネルギー        庁石炭部長    弓削田英一君        運輸大臣官房総        務審議官     西村 康雄君        運輸省海運局長  石月 昭二君        労働省職業安定        局高齢者対策部        長        増田 雅一君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        労働省労働基準        局監督課長    野崎 和昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○エネルギー対策樹立に関する調査  (エネルギー対策基本施策に関する件)     ─────────────
  2. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) ただいまからエネルギー対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十九日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として下田京子君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事下田京子君を指名いたします。     ─────────────
  5. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) エネルギー対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 対馬孝且

    対馬孝且君 きょうは時間がありませんので、本来ならば長期エネルギーの需給の見通しの問題、またOPECの価格変動に伴う石炭政策の第七次の位置づけをどうするかという問題等もございますけれども、とりあえず緊急の課題にしぼって、北炭新鉱の再建、幌内、また空知四山の問題を中心にしまして質問いたしたいと思います。  まず、これまで安倍通産大臣並びに山中通産大臣北炭新鉱の新会社再建という問題に鋭意努力をしてこられましたが、実は十六日に石炭協会炭労に対しまして発表した新聞報道が出まして、新聞報道にもありますけれども骨抜き回答 怒りの山」、こういう見出しで、これは大臣もごらんになったと思いますが、現地では相当な不安が怒張しておりますし、またそれなりの山の怒りというものが増大している。私これを心配いたしておりまして、この点にまず第一点をしぼりたいと思うのであります。  第一は、しばしば山中通産大臣も、炭労代表、山元の代表に、われわれもお会いしていますが、新会社設立のために誠意を持って努力したい、最善の努力をすると。この方針に変わりがないかどうかということについてまず大臣考え方を聞いておきたいと思います。
  7. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 率直に申し上げますと、当初は、安倍通産大臣、私の前任者のときに、最大限再建への努力をするといいますか、新会社設立に協力するという表現をしていることについて、変わりはないかという話でございまして、もちろん人はかわっても方針というものは継承されるべきであるという感じで答えておりました。安倍通産大臣時代と変わりませんという答えをしておりましたが、そのうちに現地組合責任者あるいは現地の市長さん、商工会議所の会頭さんとか、地域ぐるみの必死の願いというものをだんだん承るに従って、心情的にこれはほうってはおけない、地域にとって大変重大な問題なんだ、地域社会構造が崩壊してしまうんだなという気持ちになってまいりました。  そこらまでは心情的なものが優先したような気がします。そして現時点においては、じゃ経過はどうであったのかということをもう一遍洗い直してみて、これは通産大臣石炭協会管財人の推薦を依頼したものである、その管財人構想に対して石炭協会検討を重ねているものであるということを跡をたどってみて、遅かったかもしれませんが、これは一義的に通産省がまずはっきりした決意を持って当たらなければならない立場にあるのだということを現在は考えております。  そのような心境の変化を申しましたのは、何しろ交代時に唐突に、安倍通産大臣返事と変わりないかと言うてこられた、まあ私が素人であったということもあっていろんな現地に御心配をかけるような発言をしたことがあったわけでありますが、そういうことで現在検討しております内容は、これは石炭協会自体の自主的な検討でございますが、組合側に一応一部について、すなわち採炭量とかその他を含めた今後の、新会社をつくろうとすればさきにあらわされている大沢管財人構想よりもやや違ったものにならざるを得ないという程度説明だったと思うのですが、これからいよいよ国がいかなる手段をとるか、あるいはこれが会社というものを新しくつくった場合にどの ような採算見通しがあるのか、それに対して国がどこまでてこ入れができるのか、てこ入れしたならば最終的に新会社としてどこかの企業が、石炭産業北炭にかわってそれを引き受けて経営してくれるのかという、その重大な部分についてはまだ協会でそれこそ慎重に審議中でございます。  したがって、四月いっぱいにというような返事を申し上げておりましたが、衆参両院議員の御了解を得て、IEAとかあるいは国際貿易大臣会議とかがパリで引き続き行われますために私がしばらく連休中とはいえ不在になりますので、不在中もしくは出発直前結論らしきものを公にされますと、私の対応というものが伴わないでそのことだけで反響が広がりますので、協会の方へは、私が帰ってから相談をして、相談に乗って、最終発表をしてもらいたい、こういうことで、一応連休明けまで待ってもらいたい、したがって四月いっぱいはこれを延ばすということを了解願えないかということを、いま協会の方とも相談しているところでございます。
  8. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま冒頭山中通産大臣考え方を再確認しましたのは、大臣はしばしばお会いしておりまして、いまも答弁がございましたが、心情的に地域社会をどう守るか、また労働者の雇用安定をどうするかということを非常に強調されましたから、それなり大臣姿勢については評価をしているわけです。  そこで問題点は、いま言ったように四月をめどにということがあるものですから、五月連休明けを若干はずれてもやむを得ないんですが、だらだらしていくと問題が残るわけであります。後で申し上げますけれども、もうすでに雇用保険が切れる方々が出てきているんです。また切れておりますし、そういうふうにしまして、五月上旬をめどに、大臣が帰国して結論を出してもらいたいということを強く申し上げておきます。その点はよろしゅうございますか。
  9. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) なるべく五月上旬をめど努力いたしますが、十日以内というふうに区切られますと、果たしてそうなるかどうかはちょっとわかりにくい点がございます。
  10. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで、大臣というよりも、技術立場にある石炭部長にお伺いしなきゃならぬわけでありますが、中間報告を出すなら、これは協会にも私は物を申しているんですけれども、こういう出し方は現地の不安をあおりそそのかすだけであって、かえって混乱を招く原因になると私は思うんです。  なぜかというと、一つを挙げますと、これは大臣がいみじくもおっしゃったように、この新会社再建については三つの原則がある。これは私も、前からこの問題を取り上げて二年来当委員会で申し上げていますが、一つは何といっても生産炭量が一体どうなるのか、どれだけあるのか。炭量計算を誤ってはならないということ、つまり炭量計算。それから月産どのぐらいの出炭目標が見込めるのか、つまり生産計画。それからこれに必要とする資金手当てが一体どうなるのか。それと、生産と相まって、これだけの災害を起こしたんですから、保安上の点検というものにはっきり確信を持たなきゃならない。したがって、これからの雇用対策というこれらの問題を総合的に結論を出す、こういう立場に立つべきだということをしばしば申し上げてきましたが、遺憾ながら、出たのは炭量計算中心になっての考え方ということになっているわけです。  これとても、私は北大の磯部教授ともずいぶん前々からお話をしておりましたんですが、四十八年、北炭新鉱が開発着手する直前石炭鉱業審議会の中に北炭対策で新鉱対策の小委員会というのがございまして、その小委員長磯部さんです。このときは炭量計算は五千万トンです。五千万トンでこの山をスタートしよう。これは当委員会でしばしば、昨年も私申し上げています。ところが今回出た炭の量、炭の絶対量というのは千三百五十万トン、こう出たわけですね、端数を切り捨てますと。これもちょっとおかしな話でありまして、実際に石炭合理化事業団が出した案を私は持っているんです。これは昭和五十六年、そんな昔の話じゃない。五十六年三月末日現在、石炭合理化事業団現地審査課の一応出した炭量計算北部南部合層部分を入れますと三千百二十万トンという数字になるわけです。これは五千万トンでなくて三千百二十万トン、こういう数字になって、三千万トンという数字が出ているんです。それに対して、千三百五十万トンというこの間の協会数字を見ると、これは意外性を感ずるわけだ。意外性というよりも、むしろ何か、炭量を少なく見て、やっぱり採算に乗らないから絶望的ではないのかというふうな、一部の新聞では現に絶望感があるというようなことが出ていますけれども、これは大臣もお読みになったろうと思います。  これは問題ではないか。磯部教授ともお話しになってもらって結構だけれども磯部さんはいまなお、北部南部地域を入れて全体を総合すると、三千万トンは掘ろうと思ったら可能である。ただそこに、保安上の技術をどう加味するかという問題が残されますけれども、しかし炭量計算からいくなら、三千万トンは優にある。それでなかったらまた、新鉱を開発する意味がないんです。当時新鉱開発というのは五千万トンベースからスタートしたんです。これは私自身が手をかけていますからね。この点、どういう考え方通産省としても持つかということをお伺いしておきます。
  11. 弓削田英一

    政府委員弓削田英一君) ただいま炭量の点についてお話があったわけでございますが、先日十六日に石炭協会から発表いたしました数字は、いま先生がおっしゃいましたように千三百五十三万トン、こういうような数字になっているわけでございます。石炭協会におきます検討は、これは炭量計算をやる場合当然のことではございますが、自然条件、あるいはあの地域を掘る場合に一体どういう骨格構造で掘るのか、そういう骨格構造、あるいは現実には採炭方式ということも関連するわけでございまして、こういうような具体的な要素、特に実際操業する場合にどの区域が掘れるのか、こういうような観点から判断をいたしまして、しかも深度はシーレベル七百から千メーター炭量の厚さもいろいろ厚い、薄いということがございますが、一応一・五メーター以上を採掘対象にする。こういうことで、なお安全率とか採掘率実収率等につきましては、夕張炭鉱のかつての実績など、それから近傍の炭鉱実績等を考慮して算定をした、こういうふうに私ども承知をしているわけでございます。  いま、いろいろなところでやられた調査等かなり炭量の点で食い違いがあるのじゃないかというようなことでございますが、この原因といいますのは、先ほど申し上げましたように、一定の骨格構造あるいは採掘方式を前提とした、こういうことで、実際面での評価というところで食い違っているのじゃないか、こういうふうに実は思うわけでございます。検討委員会でも、炭量の問題につきましてはきわめて重要な問題として重要視しているところでございますけれども、そういう意味で非常に多角的にこれまでも検討をやってきたわけでございますが、今後ともさらに慎重になお吟味することを私どもも期待している、こういう実情でございます。
  12. 対馬孝且

    対馬孝且君 石炭部長、大事なことは、私が言ったのは民間サイドで出した数字じゃないんです。石炭合理化事業団というと政府機関ですね。しかもある程度知識者が全部入って出した数字です。私が申し上げたいのは、炭量計算で、いまマイナス七百から千と言ったけれども、実際に浅瀬の方は全部見てないんでしょう、マイナス七百の上のレベルは全然見てないね。ただ中心になるのは十尺層の南部北部対象にしたということですから、これも問題がある。それから、マイナス千以下だって掘れないかといえば掘れるわけであって、ただ総合的に坑内骨格構造保安上の問題としてどの点までこの歩どまりをとめるかということは私も石炭屋ですからわかります。それにしても炭量計算にはやっぱり問題があるということを私は言っているんです。  いま協会仕事をしているわけですし、いま石炭部長も鋭意努力するということですが、ここらあたりはかえって、協会にプラスして、協会結論を出してしまってから大臣が最後に、後から申し上げますけれども政治決断を願うわけですが、そこまで行く過程の間で、磯部教授とか日本の知識権威者がおるわけですから、こういう方々意見も入れ、また通産省助言をするというか、あるいはアドバイスをしていくという、そういうものが全部ミックスになって一つの案が練られていくという形が私は非常にいいと思うんですよ。  ただ協会だけから出ましたと。これでは、後から今度政府決断をする場合に、大臣政治決断をする場合に、むしろそれはやり直しをするとか、そういうことはなかなか困難な事態に立ち至ると私は思うんですね、私の経験から言うと。いままで山の再建を幾たびかやってきていますから。私なぜこれを申し上げたかというと、合理化事業団でいくと三千百二十万トンある。三千万トンある。この数字をもちろん洗い直してみていただいて、炭量計算にひとつチェックをしてもらいたい。この助言通産省がしていいんじゃないか。それから学識経験者も、それなり意見助言を求めていいんじゃないかということが一つです。  それから、二つ目は雇用問題です。正直申し上げて、これを私はこの間、参議院の社会労働委員会で三月二十四日に一時間やっているんですよ。きょうも労働省の増田高齢者対策部長来ていますな。この間、労働大臣初めやっておるんですが、現実若年労働者の場合、もう雇用期限が切れるわけでしょう。そうすると問題は、若年の、いわゆる個別給付延長にならない方々が、これは二百七十人ぐらいいるわけですよ。これは新会社ができた場合の基盤になる、基礎的労働力になるわけです。これが切り捨てられていってしまうと、新会社はできたけれども実際には労働者がいなくなるということになる。若年労働者がいなくなる、若手労働者がいないということはやっぱり基礎的な問題にかかってくるということが二つ目。  三つ目は、何といったって大臣資金計画の問題がやはり重大なかかわりを持つと思うんですよ。当初の大沢管財人提案でも三百億という、いきなり最初から要るわけではありませんけれども、三百億というものが想定されましたけれども、今度はさらにこれを上回るだろうというふうにいま言われているわけであります。私なりにいま知っていますけれどもね。  そうなりますと、いま言ったように、一つ炭量計算、それから技術上の問題、これを僕は炭鉱のいまの大手、通称五社と言われているわけですが、五社のエンジニアを全部動員して、最大限の知恵を出し合おうと。もちろんいまやっています、やっていただいていますけれどもね。それと、保安上の問題、雇用対策。それと、現行制度資金的手だて、つまり合理化臨時措置法二十五条の第十一号あるいは十三号という問題、さらには開発資金上の問題ということが出てくるわけでありますが、こういう問題にどれだけ政府として政治決断をされるか、アドバイスをしていただけるか、こういう総合的なもので私は新会社が実るか実らないか、これが決まると思うんですね。  いま時間もありませんが、そういう問題点をある程度政府側協会に対して助言をしていただく。そしてアドバイスもしてもらう。また学識経験者アドバイスもあっていいんじゃないかと私は思う。そういう中で、大臣がお帰りになってから総合的判断をして政治決断をして、何とか新会社を、規模は別にして発足するという考え方に立ってもらいたい。こういう考え方を持っているんですが、大臣、これについて、そういうことの体制をつくっていくというそのことがむしろ問題が実っていく、新会社設立が実る道なんだというふうにお考えになりませんか。この点ちょっと大臣考え方を承っておきたいと思います。
  13. 弓削田英一

    政府委員弓削田英一君) 二点だけお答えをいたします。  検討委員会の場で学者の先生方、あるいはもちろんわれわれもでございますが、そういうところで十分議論すべきじゃないか、こういうことでございますが、私ども検討委員会の場にこれまで何回か参加をして、いろいろな意見の開陳をやり、また指導もやってきたところでございまして、また先生方の御意見を聞くという点でございますが、これにつきましても一応技術問題については協会の方で先生方の御意見等も、非公式でございますがお聞きになった、こういうことを聞いておりまして、御心配の点は十分やっている、こういうことでございますので、そういうことで御理解をいただきたいと思います。  それから資金的な問題でございますが、私ども、もし検討委員会結論が出まして、この区域開発ができる、こういうふうになった場合におきましては、われわれ現在持っております助成対策最大限に活用してまいりたい、かように実は思っておるわけでございます。
  14. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、政治的な決断をする用意があるかということでございますが、問題は、決断の前に石炭協会でどのような結論を出されるか。それについてのただいまの御意見等もさらに取り入れながら検討してもらって、最終的な決断用意は私はあります。しかしそのときに、私が決断したにもかかわらず、じゃ私の会社で経営しましょうと手を挙げる会社がないという状態では困りますので、そこらのところを、決断用意はもうできておるがしかしそれのためには、その決断が、新炭鉱を経営する会社が手を挙げてくれて初めて試掘から仕事が始まっていくという状態決断しないといけないだろうと思っています。
  15. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこが大臣大事なところでありまして、政治決断をしていただけるといういまのお答えですから、まさに大臣の積極的な姿勢として私評価をしていいんですが、手を挙げる会社があるかないかということは先ほど言った問題がこれはやはりある。私は綱引きという言葉が妥当かどうか知りませんが、いずれにしましても、政府がどれだけ開発資金手だてをしてくれるか。あるいは仮に七十万トンベースで行った、それだけの人員が何ぼになるかは別にして能率をまあ八十トンなら八十トン、九十トンなら九十トン、そういうことを想定した場合に、コンスタントに行ったとして最小限度基礎資金というものがやっぱり必要ですね、設備資金も。そうすると、そこらあたりが私は、最終的な政治決断をしていただけるということを聞いたんですが、そういう意味でこれは相関関係だと思うんですね。協会も、会社も、そういうことで政府の協力が得られるならばそれじゃひとつ開発をやりましょうか、新鉱開発に着手しましょうかということで、これはお互いの相関関係が伴う、こう思うんです。  そういう意味でわれわれは石炭協会に対しても、国内資源を延命し、夕張地域社会を崩壊させない、この基本に立ってしばしばこれを申し上げているわけでございまして、そういう意味で、大臣の積極的な政治決断をしていただけるということをひとつ受けとめて私は対処したい、こういうふうに認識していいですか。
  16. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 要するに、私が政治的な決断をする場合は、それが一般から見て、それは通産省及び政府のやり過ぎだという問題点が存在することは御存じですね、資金の性格によっては。しかし、それをしも場合によっては決断をしようということを含めての決断でありますから、ただいまおっしゃいましたように、決断は、真に山に住む人が求めているものは、ただ山に住めばいいんじゃなくて、山で働きたいということですから、働ける前進になることの展望がはっきりしたときに、いままでやったことのない決断でもやる用意があるというところまで来ておるということであります。
  17. 対馬孝且

    対馬孝且君 わかりました。きわめて明確な大臣の、雇用安定、地域社会ということの基本に立ってのお答えだ、こう受けとめておきます。  そこで私いま一番心配していることは、労働省 来ておりますね、ちょっとお伺いしたいんだけれども若手労働者個別給付延長訓練延長広域延長、私も社労を長くやっていましていまも理事をやっておりますからわかりますけれども、これは実際上、給付をどんどん切ってしまっていった場合に労働者が確保できるかという問題があるわけだ。だからこの前申し上げたでしょう。個別延長ったってたった八名なんだよな、正直に言うと。それから訓練延長ったってそう大した、二十……僕が聞いたのは十二、三名程度、この間の話じゃ。これじゃ私はだめだと思うんですよ。  だから、個別給付延長訓練延長広域延長現行法では三つあるけれども、私は訓練延長以外にない、こう言うんですよ。どういうことかといいますと、現に岩見沢職業訓練所があります。確実な数字を申し上げますが、この間あなたは私に対して千三百一名現在山に残っております、こう言っているわけでしょう。現在就職した者は六百名足らず、まだ千三百一名残っておるとこの間の社労委員会で言った。そのうち、それじゃ全部岩見沢職業訓練学校にはいれるか、あるいは遠く小樽へ行くか。小樽の銭函の職業訓練学校へ行くか。それは私ちゃんと知っています、全部数を押さえていますが、不可能ですよ。そうするとこの道よりないんじゃないか。夕張なら夕張に仮設の職業訓練学校というものを開設して、そこへ全部職業訓練を委託する。いま現実にはこれは企業の訓練委託と広域訓練委託と二つありますね、性格的には。私はそれを、夕張に現在依存する方々を訓練委託する。この道で労働力を、若手労働力を確保しておかないと、新会社はできたけれどもしかし労働者はいなくなった、せっかくの技術屋もエンジニアもいなくなったというんではこれは困るんです。そこらあたりの見きわめ、どういう規模になるかは別にして、現実にいままだ千三百人いるわけですから、そういう問題にどのように労働省は対応するか。この前、促進をする、何らかの手を打つという大臣お答えもございましたけれども、その点どうなっておるかちょっとお伺いします。
  18. 増田雅一

    政府委員(増田雅一君) 先日の社会労働委員会における先生の御質問に対する大臣の答弁もございましたし、また六日には炭労及び北炭新鉱労組からの御要請もございまして、私どもとしては先日の先生の御発言の内容につきまして鋭意検討をしたわけでございますが、いま先生のおっしゃいますように、雇用保険の延長給付の支給につきましては、いろいろ要件がございますので、離職者のうちこの要件に該当する方々につきましては、延長給付の活用を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  いま先生発言の委託訓練の問題でございますが、確かにこの四月から九十二名の方が職業訓練校に入校されまして、現在訓練を受けておられるところでございます。また、岩見沢、札幌等の訓練校につきましても、おかげさまでほとんど定員に満つるくらいの訓練生が入っておりまして、現在の施設訓練をこういうところでやるということを追加して行うということにつきましては、いろいろむずかしい問題があるかと思いますが、夕張市で委託訓練を行うという問題につきましては、市町村がこういう委託訓練を行うということは可能でございますけれども、その場合、御承知のように、訓練基準に合致した訓練を行う必要があるということが第一点としてございます。また、訓練を受けようとする方々が、訓練を受けることによって他の職種へ再就職することが見込まれるというような条件もございます。そういう条件を加味いたしまして、夕張市で訓練基準に合致する委託訓練を実施でき、またそれに対応するような訓練を受ける方がおいでの場合は、私どもとしては北海道庁とも十分協議をいたしまして、この点につきまして検討してまいりたいというふうに思っております。
  19. 対馬孝且

    対馬孝且君 実際問題として、個別延長というのは無理でしょう、基準上からいって。一定の数は出るけれども、私が言うこの相当数というもの、大量の数は出てこないでしょう。それから広域延長は、実際はこれは地域ぐるみですから、都道府県が対象になるわけですから、法的には無理だ、こうなるわけですね。だから、やっぱりいま求めるとすれば、私が言った、夕張市に仮設の職業訓練学校というものをして、そこに委託をするという形でやる方が好ましいんじゃないか、その道が一番近いんじゃないか、こういうのが私のかねがねの持論でもありますし、いま増田部長は鋭意そういう方面でできるだけの吸収を図っていきたいということですから、それなりに了としますけれども、その点はそういうことでよろしゅうございますか。
  20. 増田雅一

    政府委員(増田雅一君) 現地で職業相談等を繰り返しておりますが、そういう手段を講じまして、離職者の方々の御意向を確かめながら、また夕張市とも御相談し、道庁とも御相談しながら考えてまいりたいと思います。
  21. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこまで増田高齢者対策部長の方からお答えがございましたから、ぜひそれをひとつ早めてもらいたいということを申し上げます。  それから、これは通産省の関係になりますけれども、不況離職者臨時措置法、いま私どもの手元にかかっているわけですが、近く二十八日審議に入るんですけれども、これは大臣でもエネルギー庁長官でもどちらでも結構ですけれども地域指定を暫定的に弾力的運用でできないか。素材不況産業ですから、私は確かにこれはなかなかむずかしいと思う。それはもうよくわかります。  ただ、夕張地域ということで一定期間地域指定を受けられれば、どういう条件が変わるかといいますと、黒い手帳でいくと、大臣、四千四百円なんですよ。いまのあれでいきますと六千六百円ぐらいになるんです。四千四百円に、今度この四月一日から福祉施設が全部自己負担になったわけですよ。そうすると、大体二万五千円ぐらいになりますね。私の調べでは二万五千円から三万円になるんです。黒い手帳でいった場合、四千四百円ですから大体十二万円でしょう、この間の社労でも申し上げたんですが。そうするとこれから二万円、三万円出していったら、九万円そこそこですね。八万から九万で四人世帯が生活せいったって、東京都一級地の生活保護世帯四人基準が今度は百八十六万三千円になりました、私調べましたけれども。これは実際問題として生活保護法以下になるわけですよ。これで生活せいというのはこれは人権上の問題にかかわることになるわけでありまして、そういう点からいきますと私は、いま言った労働省職業訓練委託、検討して対処していただけるということでありますが、通産省の段階で、これがいま改正されるわけであります、一元化するわけでありますが、そこらあたりを何とかひとつ、夕張地域地域指定ということを御検討願えないか、こう思っているんですがな。
  22. 弓削田英一

    政府委員弓削田英一君) 担当は中小企業庁でございまして、私正確に答えられるかどうか疑問でございますが、私が知った範囲でお答え申し上げますと、特定の不況地域につきまして、そういう地域について雇用保険の延長というのが認められる制度があるわけでございます。それじゃ石炭についてこういう制度が適用できるかどうか、こういう問題でございますが、石炭につきましては先生御案内のとおり、雇用保険が切れますと、炭鉱離職者臨時措置法によります黒手帳による、これは給付水準は若干下がるわけでございますが、そういう手当が一応制度的にある、こういうことで一応適用にならない、こういう実態になっているわけでございます。
  23. 対馬孝且

    対馬孝且君 それは百も承知です、僕はこの法案は手をかけていますからね。当初でき上がったときから手をかけている。ただ私は、そこらあたりを弾力的運用だということをさっき言っているわけですよ。弾力的運用として一定期間この夕張地域を指定できないか、そのことを言っているんであって、これは現にあなた、地方自治法の財政再建対象夕張市はなっているわけですからね、そういう点からいけばこれは必ずしも理屈のないことじゃないんですよ、はっきり申し上げて。たとえば筑豊炭田の田川市の場合がそれじゃどうい う状態になるか、こういう問題だってこれはあり得るわけでありましてね。これは、かねて附帯決議にも残っているんですよ。著しくその地方団体が財政再建団体の地方自治体になった場合、その場合は別途検討すべきものである、こういうことがこの前の法案の附帯決議になっていますよ。これは私自身がつくったんです、私が理事をやっておりましたから。この点を、いますぐ答えを求めようと思いませんが、大臣ひとつ前向きに何とか検討していただけないか。これ、大臣の方からお願いしたいと思うんですがね。
  24. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 事務当局は決められた手続を説明するだけになると思いますから、労働省の方の関係もありますので、私の方で、何らかの手段があるかどうかについて検討いたします。
  25. 対馬孝且

    対馬孝且君 ひとつ検討していただきたい、こう思います。  そこで、時間もありませんので申し上げなきゃならぬのですが、一応大臣、新債、旧債の関係、支払い状況ですね、これは通産省努力してやっていただきました。特に旧労務債、これは一応決着はつきましたが、新債についていまなお解決を見ておりません。しかし、通産省としては最大の努力をしていただいたということはこれは私も理解します。  そこで、労働省なんだけど、これはもちろん新債は大沢管財人の手にゆだねられているんですけれども、ここらあたりをいま一度総点検を願って、できるだけやっぱり新債の解消を図る。不安のないように解消してもらう。その点はどうですかね、労働省
  26. 増田雅一

    政府委員(増田雅一君) 労務債の問題につきましては、賃金不払いとの関連がございまして労働基準局の方が所管でございますので、私どもつまびらかに承知をしておりませんけれども、退職手当の未払い額等につきまして管財人組合との間につきましていろいろの合意がなされておるようでございまして、私どもといたしましても、労使間の話し合いで円満にこの問題が解決されるということを信じておりますし、またそのようになることを期待しておるところでございます。
  27. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこでいま一つこの問題に関連しまして、さきの幌内炭鉱が、通産当局の強力なアドバイスもいただき、大臣の配慮もありまして、資金肩がわり等の問題に配慮していただき、それなりに長期とはいかないまでも中期の安定的な、おかげさまでいま出炭が四千トン台大体出ておりますし、長期的な一応安定につながっていくだろう、こう私は見ているわけです。  ただ問題は、空知四山が、しばしばこれは当委員会で申し上げたし石炭部長にもしばしば申し上げておるんですが、急激に経営が悪化してきている。急傾斜採炭という自然条件も伴っていますし、これはいい山と悪い山とあるわけで個別対策との関係がありますけれども、砂川、芦別、赤平、空知、この四山、ここらあたりがこれから第二第三の幌内あるいは新鉱にならないという絶対の保証はないわけでありまして、そういう意味での対策をひとつそれなりに、近代化資金あるいは坑内骨格補助金、保安補助金あるいは安定補給金等もございますけれども、時間がありませんから、一回石炭特別会計全体を見渡してみて、これらの可能な限りの空知四山の諸対策というものに万全を期してもらいたい。  この点、幌内炭鉱とあわせまして、時間が参りましたので一問だけお伺いをして終わりたいと思います。
  28. 弓削田英一

    政府委員弓削田英一君) ただいま御指摘のございました石狩地域におきます急傾斜炭鉱の問題でございますが、いまお話がございましたように、急傾斜で機械化もなかなかむずかしいというようなこと、あるいは立地条件等もございますが、こういうことを反映いたしましてほかの山に比べて非常に損益が悪い、こういう状況を私どもも実は承知をしているところでございまして、そのために実は第七次答申におきましても格差是正、こういうことで五十七年度から安定補給金の傾斜配分をやる、こういうことで措置をやってまいったわけでございます。  この結果五十七年度の損益がどうなるか、こういう点も見守る必要がありますが、なお私どもとしましては五十八年度につきましても、たとえば鉱山保安確保事業費補助金の中の急傾斜流し込み充てん工事の限度額を引き上げるとか、あるいは生産技術開発のための、急傾斜炭鉱の機械化のための技術開発の促進、こういうことのための補助金等を増額をいたしたりということで、予算的にも配慮をしているわけでございますが、今後とも格差の推移を見きわめながら格差是正のために必要な検討を引き続きやってまいりたい、こういうふうに思っております。
  29. 対馬孝且

    対馬孝且君 終わります。
  30. 岩動道行

    岩動道行君 私は与党の委員でございますが、最初に委員長に要望をまず申し上げたいと思います。  日本の安全保障の立場からエネルギー問題はきわめて重要な柱でございます。にもかかわらず、この委員会は先般の大臣の所信表明に対してわずか二時間程度しか審議をしないということはまことに残念でございます。今後、できるだけ本会期中にさらに深く審議を広げ、十分な日本のエネルギー対策を確立するために、本委員会の権威もかけて、そのような機会をさらにおつくりいただくように強く要望を申し上げたいと思います。  さて、時間もございませんので、いろいろな問題がございますが、まず長期のエネルギー需給見通しの総点検ということがいま考えられておりますのでこれについて、またそれに関連して電力施設の設備計画、施設計画、また景気対策としての電力設備の投資の問題あるいは石油の備蓄の問題、そしてまた当面国際的にも関心の深い、また日本の石油の輸入にも関連するペルシャ湾岸の原油の流出の問題、こういったようなことについて質問をし政府の対応を伺いたいと思いますが、時間がございませんので、大臣初め政府の方にもお願いいたしますが、できるだけ簡潔に要領よくお答えいただいて、質問の全部が終わりますようにお願いを申し上げたいと思います。  そこで、長期のエネルギー需給見通しの総点検の問題でございますが、石油の原油価格が一バレル当たり五ドル下げられた。つまり、第一次オイルショック以来過去十年間にわたって石油価格は上がりに上がってまいりました。それがようやく今回大幅に引き下げを見るというように、石油の需給状況というものが全く一変いたしました。これについては、大臣は、天からの恵みであるというようなことをおっしゃっておりますが、私はそれだけではなくて、やはり消費国家がそれぞれお互いに省エネルギーを試み、いろいろな対応をしたことによって石油が経済商品としての位置に戻されてきた、こういうこともあろうかと思います。したがって、そのような今日までの努力というものはさらに続けていかなければならない、かように考えております。  したがって、大臣が先般所信で申し述べられたように、依然として石油に対する依存度はさらに低くしてまいり、そして代替エネルギーというものの政策を強力に推進してまいる、また省エネルギー政策も推進する、ここで緩んではならない、こういうことをさらに強く推進していかなければならないという基本的な考え方を私も持っており、大臣にもさらにお進めをいただきたい、かように考えておるわけであります。  そこで、実は総合エネルギー調査会の場などを通しまして、今後長期のエネルギー需給見通しとエネルギー政策の総点検を政府はお考えになっておられるわけでございますが、かつて私は、五十四年の八月に策定した長期エネルギー需給暫定見通しにつきましては五十五年の二月に、あるいは五十七年の四月に策定されました長期エネルギー需給見通しにつきましては五十七年の五月に、本委員会におきましていろいろ問題点を指摘申し上げて、どうも甘過ぎる、もっと現実に即してやっていくべきではないか、こういうことも申し上げたわけでございますが、今度の総点検におきましては、そのようにいたずらに目標を高く掲げて、 できもしないことを国民に示して、その結果おかしなことになるということでは政府の権威、計画の権威、また経済の運営等いろいろな点において支障を来すわけでございまするから、どうかその点は現実をよく見詰めて、その上で総点検の結論をお出しいただくようにお願いをしたいと思っているわけでございます。  そこで、今回の総点検につきましては、その一は今後のエネルギー需給をどう見るのか、その二はエネルギーコストについていかに低減を図るか、その三はどのようなテンポで石油依存度の低減を図るか、その四は情勢の変化にたえる強靱なエネルギー産業をいかに確立するか、この四点が柱となっていると伺っておりますが、これらについて、特にエネルギーコストの低減という問題あるいは強靭なエネルギー産業の基盤の確立、これは石油業界の再編成の問題であるとかあるいは為替の変動に対応するためにはどうやったらいいのか、こういったような問題を含んでいると思います。大変むずかしい問題でございます。一時は石油業界の再編ということでいろいろと政府も行政指導をされておりますが、業界は困ったときには大いにやるようなことを言いながら少しでも楽になると実際にはもうその努力を怠ってしまう。こういったようなことで、政府が予定しているような再編の実態が起こってきていない。こういったようなこともございまするし、いろいろ問題がございますので、この点は厳正にひとつ日本の構造改革という観点からも十分な対応をしていただかなければならぬ。しかし大変むずかしい。そういう意味において、この点についてはどうお考えになって結論をお出しになるのか、まずこの点を伺っておきたいと思います。
  31. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いま長期エネルギー供給計画の見直しについては着手いたしておりますが、その間にも短期的な見通し等も入れながら長期展望をしたい。これまで余りにも頻度高く改定をしてきたこと、これは私は、日本のような場合はエネルギーについてはやむを得ないので、むしろいつまでも既存計画に固執をして、達成できないものを振りかざして現実は乖離していくようなことよりも、恥ではないので、その都度洗いかえながら弾力的に対応していくシステムであっても、あながち批判されるべきではないんじゃないか、むしろ柔軟な対応が必要じゃないかと考えております。ことに、いま言われたことの中で私たちが長期的に絶対に目を背けてはならないのは、代替、省エネ、新エネ等のわれわれが石油依存度を低くするための努力、このことは、いつかは第三次エネルギー危機というものが来ないとは限らない。日本一国では食いとめられない要因等がありますから、そういうときに備えて、七転八倒しないようにその努力は続けていかなければならないし、ただ民間が大変長期的な展望のもとに採算からいえばリスクに富んだものに取り組もうとしているようなもの等が、腰を引くおそれがあります。これはもう、企業は当然ながら間尺に合わぬことはしないという原理でしょうから、そこらのところを政府はしっかり激励といいますか、政府の不動の姿勢を示しながら、民間もぜひ長い目で見て国家民族の未来のために協力の姿勢を後退させないようにという関係で、そういう立場で激励して後退することのないようにしたいという、これはもう不動の姿勢をとっていかなければならぬと思います。  それからいま最終的に言われました石油の体制でありますが、これは基本的にいま私たちは、戦後とってまいりましたわが国の石油に対する政策をそろそろ見直さなければならない時期に来ているんじゃないかと思うんです。  ということは、消費地精製主義のたてまえを貫いて、まず原油を日本がいただいて持ってきて日本の国内で製品化するというのが大原則でありましたし、したがって九九・八%を外国に輸入で依存するという国に対して、精製会社が二十九社、元売が十三社というような体制が、そういうほとんど無資源国である物資の石油について、そのまま安易に許される状態が今後も続くのかどうか。あるいは法律上も、輸入のときの法律、設備を許可するときの法律、あるいは元卸売人の登記、登録、あるいは小売店の登録制度の問題、そういういろんな問題が整然とされないままに今日まで来ております。したがって、いろんなところで、そのときどきによって困難が起こり、ひずみが生ずる。そういうことを考えますと、この際わが国は、シンガポールも石油を精製して製品を日本に売ろう、日本も含めて売ろうという政策をとり、あるいは産油国もみずからの国の中で付加価値をつけて製品化されたものを売ることに注目する、これも当然の成り行きでしょうが、その中でひとり日本のみが消費地精製主義だけで切り抜けていけるものかどうか。  この点は短期的にすぐ間に合わないかもしれませんが、そろそろ作業に取りかかって、日本の石油業法の輸入から最終消費に至るまでの法律の、いわば大きな河川改修の時期に来ているのではないかと考えております。これらについては、今後法律をどうするか等も含めて内部で十分に検討して、将来相当長きにわたってたえ得る新しい石油関係業法の一本化というものを図ってみたいと思っております。
  32. 岩動道行

    岩動道行君 エネルギーコストの検討の中で、石油価格が下がってきている、したがって石炭の液化であるとか、太陽熱の問題であるとか、いろいろな新エネルギー、これは財政的にも大変苦しい日本になってきております。  アメリカではもう石炭液化は撤退をした。日本も参加をしておったけれども、これもやめちゃった。そういう中で先般の新聞報道では、やはり石炭液化は一つの大きな柱として重点項目だったということなんですが、これは私はもうかねてから、石炭液化の問題は日本では一体どうなんだろうか、どういう位置づけになるんだろうかと。相手国で石炭の多くできるところじゃ大いに役に立つかもしらぬ、その結果日本が油をよけい輸入できるとか、いろいろの間接的な利益はあるかもしらぬけれども、どうも余りいま大きな金をかける必要があるのかどうか、こういうような疑問を絶えず投げかけてきたんですが、今後もこの点については政府はどのようにやっていかれるのか、この点簡潔にひとつお答えいただきたい。
  33. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 石炭液化の技術につきましてはいろいろ議論があるわけでございますが、代替エネルギーということで、安定した、しかも量をある程度確保するということからいうと、非常にやっぱり大事であると私ども思っております。  それで、いまの時点で経済性があるかどうかということになりますと、まだ開発途上でございますから何とも言えないという非常にむずかしい、断定的なことは言えない状況かもわかりませんが、これまでの技術開発の成果とか、諸外国の研究成果、あるいは今後いつまでも石油がこういう安くてだぶついているという状況はございませんでいずれ上がっていく、そういうことを考えますと、十分可能性があるんじゃないかと考えておるわけです。  先生御指摘の、アメリカでも一とんざしているんじゃないか、あるいはSRCⅡのように日本が参加しているのも挫折したじゃないか、こういう御議論があるわけでございますが、現在日本がやっておりますのは、いまやっているのでことし終わるんですが、これは二、三トンの実験プラントということでございまして、来年からしばらくかけてやろうというのは二百トンから二百五十トンといいますか、いわゆるパイロットプラントということでございまして、これはもう外国では大体確立しておるわけでございまして、日本はそういう初期的な研究で諸外国のレベルまで達するということでございまして、いま諸外国で石炭液化がとまっておるということは、むしろデモンストレーションプラントといいますか、実用大の開発ということになりますと、これはそのときのエネルギー情勢あるいは経済性ということを考えると、この石油がだぶついて価格が低迷している、こういう段階ではなかなか導入できないというよ うな状況で、これはいずれまた環境が変われば変わる、こういうふうに考えておるわけで、われわれとしてはそういう初期的なもので技術開発のレベルを上げて達成する、こういうことでやっておるわけでございます。  したがって、そういうことではあるのですが、ただ、いままでやっておりますもの、たとえば石炭液化についてはソルボリシスとか直接水添とかあるいは溶剤添加、三つのプロジェクトをやっておるんですが、これをさらにパイロットプラントにいわゆる格上げしていく段階におきましては、やっぱりその経済性とか効率性ということは当然考える。これを一本にしぼってやっていく。こういうことで、当然のことながら石炭液化といえどもそういう効率性を考えて今後進めていくという点においては、先生の御指摘のようなことは十分踏まえてやっていきたい、こう考えております。
  34. 岩動道行

    岩動道行君 まあ、悪いことをやっているとは申しませんけれども、余り力を入れてそっちの方に金を使わないで、もっといい方に使うというように、ひとつよく考えてください。  ところで、電力施設計画で先般四月の十五日に、中央電力協議会が六十七年度までの長期計画を発表されました。これは経済の実態に即応して当然やらなければいけないものであったと思いますが、かなり下方修正を行われているわけですね。昨年の四月のあれから見ますと、今度の計画では六千二百十三億キロワットアワーと、約一五%も減少するような計画になっておるわけです。これは経済の状況、需給状況から見てやむを得ないかもしれません。その中で、原子力については四千六百万キロワットから三千五百三十一万キロワット、石炭火力が二千三百万キロワットから千六百六十七万キロワット、水力が四千四百万キロワットから三千八百二十一万キロワット、大幅に下方修正をしているわけです。また、地熱についても、二百七十万キロワットからこれは六十二万キロワットと大変大幅に後退をしている。逆に、石油火力の方は、四千七百万キロワットから五千三十万キロワットというふうにふえているわけですね。  これなんかは、素人から考えると、石油依存度を減らしていく、そして代替エネルギーの方でどんどん電力は充実していくと言っておきながら、いまのように代替エネルギーの割合というか、割合はまた別でありますが、数量が減る。数量が減って、そして石油の方は数量がふえる。こういったようなことは、何かどうもよくわからない。矛盾しているんじゃないかという印象も出てくるわけであります。その点についてどう考えたらいいのかということ。  それから、五十八年度の電力施設計画の中で、原子力については電調審に五十九年度かけるのが九基あるわけですね。そのうちの、東電の関係の二基とそれから中部電力の関係の一基、これはまだ立地が決まっていない。その他の七基については、それぞれ立地は決まって電調審にかけられることになっておるわけですね。したがって、この立地も決まっていないやつが入っているということで、数量は減らしたけれどもさらにその中で三基もまだ場所が決まってないというふうに理解せざるを得ないんですが、これは一体どういうことなんだろうか。  この辺について簡潔にひとつお答えいただきたい。
  35. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 先生御指摘のように、原子力それから石炭、地熱等々落ちているわけでございますが、これは何と申しましてもエネルギー需要そのものが落ちておりまして、電力もそれを反映して、まあ一般のエネルギーよりは電力化率は高くなっていまして若干伸びを示しておるわけでございますが、そういう意味で実態的な修正が必要であったということでございまして、そういう観点からいたして見ますと、大体需要は四年おくれになっておる、四年以上後ろへずれておる。こういう中で、原子力につきましては、六十五年度ベースで見れば確かに去年の四月の需給見通しについては落ちておるわけですが、六十七年で見ますと大体原子力の比率というのは維持しておる。いわばそういう減少する需要の中において原子力は、四年おくれの中で二年おくれでは、非常なそれだけのウエートを占めるだけの開発を進めておるということで、言ってみれば精いっぱいその中で原子力は最優先をしてやっておる、こういうことが言えると思います。  石炭につきましては、もう少し落ちが大きいわけでございますが、需要が減りました段階でどこで調整するのかということになりますと、原子力というのはそもそも相当リードタイムといいますか、着手してから完成するまで、あるいはその前の準備期間が非常に長いわけでございまして、これはもうすでに走り出しているものが六十七年に完成といいますか、そういうことで目標にしていく、こういうあれでございますが、そういう中で、石炭につきましては、その差額ということに若干なるんじゃないかと思います。  地熱は、先生御承知だと思いますが、環境問題その他がございまして、いろいろ調査していくわけでございますがなかなか思うとおりに運ばないということで、これはいわば余り現実離れのしたことをやるわけにもいかないということでございまして、そういうことで、可能な範囲で精いっぱい打ち込んだ、こういうことでございまして、代替エネルギーの開発につきましては、その需要が四年半おくれている中で、原子力を初めとして実際的に脱石油ということでやっておるわけでございます。  それから石油につきましては、若干何といいますか、従来の設備をつぶしていくといいますか、そういうスピードが需要のおくれから少し落ちておる、こういうことで御説明できるかと思います。  それから、第二の御質問でございますが、原子力については相当地点が多く挙がっていて、その中で名前がないのがあるんじゃないか、こういうことでございますが、実はこれにつきましては、東京の二地点につきましては、ここで特に申し上げるのがよろしいかどうかわかりませんが、すでに地点名は入っております。入っておりますというか、確定といいますか、予定はいたしております。それから、中部につきましても予定はしておるわけですが、地元との折衝その他の関係からいいまして一応記号で示してあるということで、全く架空の当てのないものをやっておるということではございません。しかし、そういうことでございますからなかなかむずかしい問題もあろうかと思いますが、この点につきましては電力会社はもとより通産省も、いわば官民一体となって進めてこの計画が達成できるようにしていく、こういうつもりでおるわけでございます。
  36. 岩動道行

    岩動道行君 いろいろな計画の下方修正をやるにしても、石油が少し安くなったからそっちの方で、その他の方はいろいろな条件がなかなかむずかしいからそっちの方は大幅にと、こういうような考え方があったとすれば、これは戒めなければいけないんで、この点は十分留意をして、やはり石油依存度の問題には最大限力を入れていく、こういうことでやっていただきたいわけです。  それから、これは大臣に確認の意味になりますが、やはり代替エネルギー政策は強力に推進していただくということで、また省エネもさらに進めていただくということについての御決意を改めてここでまず伺っておきたいと思います。  あわせて、国家備蓄も計画は推進するということも伺います。
  37. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私たちはこの平和で豊かな、そしてそれぞれが個人、家庭ごとに不足なものはあっても一応先進国民の生活をいま打ち立てることができておりますが、これを国策の誤りによって、無資源国と言っていい日本、それが活性を失う方向に、他からの圧力あるいは対応のまずさによって、私たちの次の世代がより繁栄した平和な生活ではなくて、貧乏な後戻りをするような経済運営を絶対にやってはならない、私どもはそれは最低の義務だと思っております。その場合 に、ただいま言われましたように、日本は、代替エネルギーという言葉を使います、新エネ、省エネという言葉も続いて来ますが、本来外国がカルテルをつくって物資を戦略物資に位置づければ石油で七転八倒するというようなことがあったんですから、それを何回も繰り返してはならないということの戒めを受けているのでありますので、これは国の方針としても、あるいは民族の方針としても、いずれは有限の物質であるということを考えるならば、代替エネルギーによる、それを中心とする石油依存度からの脱却ということは、不滅の旗印として掲げていかなければならない大原則だと思うわけであります。  一方、いずれはなくなるものであっても、現在日本にほとんど出ない石油を国家が備蓄することの可否についての議論はあります。立場の違う政党もございますから、現在の三千万キロリットル国家備蓄についても、そこまでやる必要がないという御意見すらあります。一方、自民党の党内においては、いやそうではない、三千万キロリットルよりも国家が五千万キロリットルぐらいは準備して、私たちの国に対する相当な打撃を産油国ないしその他の理由によって与えられても、国民の日常生活を中心に、大丈夫だ、安心していなさいという姿勢を示すべきであるという積極的な意見等がございます。しかし、目下のところ私どもは、財源その他のこともございますが、三千万キロリットルの国家備蓄ということで目標を立てておりますので、このことについてはやはり決められた年度、予定された年度にきちっと国家が三千万キロリットルを国家の力において国民のために持っておりますという姿勢は途中でくじけてはならない、そう思っております。したがって、その計画を縮小する気もありませんし、五千万キロリットルの問題はこれはもう少し検討させてもらいませんと、これこそ新たなる財源の用意なくして簡単に口にすべき結論ではないと思いますから、検討中ということにしてもらいたいと思います。
  38. 岩動道行

    岩動道行君 御決意はよくわかりましたので、のど元過ぎれば熱さ忘れる省エネということにならぬように、PR関係も十分にひとつきっぱりやっていただくことが大事だと思います。  総点検についてのごく大ざっぱなお話をしてまいったわけですが、これらの総点検をするに当たって、やはり経済の長期的な見通し等がきわめて重要な基礎になるわけです。経済成長率を何%に見ていくのかということもあるわけですが。  そこで、経済企画庁おいでになっていますね。一月に経済審議会が開かれて今度新しく見通しをつくるということになっているんですが、その経過について、また今後どういうふうにおやりになるのか、簡単にひとつ、時間がありませんから一、二分で答弁してください。
  39. 及川昭伍

    政府委員(及川昭伍君) 一月の経済審議会総会で、御存じのように、従来検討しておった五年の期間を超えてより柔軟で弾力的な長期の経済展望、経済運営の指針をつくるということになったわけですが、その後、各方面の御意見を伺いながら内部で検討を進めておりましたけれども、先週経済審議会で企画委員会を開き、明後日、四月二十二日総合部会を開いて、計画期間、計画のあり方、経済成長率等々を含めて本格的な検討を再開することになりました。いずれにしても、五十八年度を初年度とする長期経済計画ないし展望でございますので、分科会、小委員会審議も急ぎまして、できるだけ早期に結論を得たいというふうに思っております。  御存じのとおり、エネルギー価格もその後下がっておりますし、世界の景気の状況等も若干明るさを増してきておりますので、それらの点も踏まえながら、五十八年度を初年度とするということでございますのでできるだけ早期にやりたいと思いますが、審議会で現在審議中ということでもございますので確たる時期を申し上げられませんが、そのような日程で準備を進めているところでございます。
  40. 岩動道行

    岩動道行君 先ほど冒頭に申し上げましたが、石油価格が下がった、そして直ちにそれは電力料金の引き下げをやったらどうかという声もあって、これに対して大臣はいろいろな感触のある、ニュアンスのある御発言をしておったようでございますが、五十三年度、円高差益の問題があって、そのときに二千六百六十億円を電力料金引き下げに充てて、これはわずか半年で終わっちゃって、その後大幅な電力料金の引き上げというような事態になったわけです。そのときの電力料金の引き下げは、一世帯一月わずか二百七十円とわずかではあるけれども、下げたということは一つの還元差益としては意義があったと言いますけれども、実際には実質的な意義はどれだけあったのか大変疑問に言われているわけです。  今度の五ドル引き下げで大ざっぱに言うと五千億円電力会社は差益が出るだろう、それが一つの料金引き下げの引き金になっているということでございますが、これをこのままやってみたところで月に五百円ぐらい、コーヒー一杯分か二杯分にしかならない。そういうことがいいのか。私は余り感心したことではないと思う。それよりは、いま電力会社は需要の変化等によって設備投資をかなり控えてきております。しかも円安のために、電力料金の算定基礎となったものよりもかなり高い油を買わざるを得なくなってきておったわけです。そういうことから、設備投資をできるだけ控えるように最小限度に食いとめてきた。むしろこの際原油価格が下がった分をできるだけ設備投資に回して、そして日本経済の活力の一つのもとにしたらどうか、この方が日本経済全体として、あるいは国民生活にとってもむしろプラスになっていくのではないか、こういう考え方もあるわけでございますが、この点について大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  41. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 僕は、通産省内で五ドル値下げが大体一応定着をし切ったと。見通しがわからなかったものですから、そのときに、物の考え方を、二ドルないし二ドル五十セントであった石油の価格が、一次、二次の、私どもから言うとショックとか危機とか言ったんですが、そういう急激な値上がりを産油国の戦略として受けた結果、三十四ドルにアラビアンライトでなった。その三十四ドルから五ドル下がったのであるということを、繰り返し繰り返し原点に戻って物事を考えなさいと。すなわち、三十四ドルであるべかりしものであったものが五ドル下がったのとは意味が違うんですね。しかも、日本側のなした努力によってその値下げがもたらされた要因はゼロであります。すべて、産油国が世界の原油供給量の四割ぐらいに力としてもカルテルを結ぶ力が弱ってきたこと、あるいはその他の需給の緩み、いろいろありましょうが、問題は、三十四ドルから五ドル下がったことがこれがどこまで続くのか、さらに値下げを呼ぶのかという問題は、一応ここらぐらいでとまるという見通しの中におさまりつつありますが、それならば何年ぐらいこれが続くのか。私どもからすれば、第三次エネルギー危機に逢着する日はないのか。それは日本を含む世界各国の石油の使用の仕方、あるいはそれに対する態度の異なり方によっても違いましょうが、全世界的に産油国のカルテルの能力が復活をしてまた戦略として使われることがあり得るかもしれないし、あるいは別途北海原油やその他のバランスの問題、あるいは非OPEC加入産油国の累積債務の問題、こういうような問題等が絡まって原油価格がまた変わったという場合がある場合に、それに対応できる体制も持っていなければなりません。  したがって私たちが望ましいことは、五ドルなら五ドルでもいいから、これが相当期間安定していてほしいということであります。そうすると産業政策にも、その安定した期間を見越した対策が立てられる。したがってそこで電力料金も一つの問題になるであろう。電力料金ばかり抜き出して議論しますと、その前に石油会社というもののことも考えなければなりません。石油会社の方は、ようやく一応安い支払いで済むであろうと思われる原油がそろそろ到着しかかつておりますから、 卸売物価等にもその影響らしいものが少し萌芽が見られるというような、ようやく日本着が始まったということでありますから、先般中間留分についての値下げ等は、石油会社は現状追認という、需給のだぶつきによる建て値が守れなかったということを追認した形で値下げをしたようでありますが、電力用の重油とか漁業用のA重油とかそういうものについては値下げをしていない。  ですから、これから先五ドル下がった原油が着いて、それが高値原油との間に調整されながら価格が市場に六カ月ぐらいで浸透していくでありましょうが、その際に各種の恩恵を各企業がそれぞれ受ける形で、最終的には国民の一人一人の世帯のふところぐあいが温かい感じがしてくるような産業政策をとらなければならぬと私は思います。  したがって、電力料金だけについて現時点で問われることは大変むずかしいんですが、過去の、円高の利益を吐き出せと言ってすぐ後に五〇%値上げをするというような醜態は繰り返さない。むしろ、去年ほっておくと値上げの申請が出かかっていたものが、今回の石油の値下げによって少なくとも値上げ申請は出ない。そういう状態の背景は何であったのかをよく分析しまして、そしてやはり需要家にとっても望ましいことであるのは、電力料金はなるべく長期に安定した料金であることが望ましい。そういうことに原点を置きながらも、しかしやはり電力料金の恩典も当然ながら受けるべきものは受けなければならぬ、そういうふうに検討をしておるところであります。
  42. 岩動道行

    岩動道行君 日本経済の活力回復のために、十分に原油価格の値下げを活用していただきたいと思います。  そこで、最後の質問を行いたいと思いますが、これは外務省にしろ、そしてまた通産にも関係するかもしれませんが、ペルシャ湾のノールーズ油田からの原油の流出、きょうの新聞なんかを見ましても、こういうふうに燃えちゃった物すごい写真も日本に入ってくるようになりましたね。そこで、これは放置しておくと大変なことになるというので、日本はもちろんのことでございますが、関係産油国はもちろんのこと、アメリカあるいはヨーロッパ、どう対応するかということで皆関心を持っている。これはまたイ・イ戦争という大変むずかしい背景のもとに起こったことでございますから、国際的にもむずかしい問題があろうかと思いますが、これに対して、まず日本とアメリカあるいは西欧はどのように対応してきているのか。  日本は調査団を派遣しました。その調査団の調査の結果はどうなっているのかということ。  それから、油、重質油が流れているということから、タンカーあるいはその他の貨物船等の運航上どのような支障があるのかないのか。これは、特に運輸省の方からも伺いたい。  また、海水を淡水化している国があるわけです。サウジアラビアもそうでしょう。そういう国は、この油の問題で淡水化が阻害されるということで、住民の飲料水あるいは日本から行っている在外法人、商社の関係の人たちも影響を受けるわけなんですが、そこで飲料水の供給の問題についてどのように政府は考えて対応しようとしているのか。この点についてお答えをいただきたい。
  43. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まず概括的に私から申しますが、総理大臣の突然の指令がございまして、私ども資源エネルギー庁からも一名参加させまして、民間からは、水島石油流出事故における余り輝かしいとは言えない学識経験会社の三菱からも、その経験が役に立つだろうというので参加を願いまして、五人のチームで派遣しておりまして、きのう帰ってまいりました。  まだ私、最終報告を受けておりませんが、いままで得ました感触では、何としてもイランとイラクの油田地帯を含む戦争を少なくとも流出油田については停止してほしいということのその前提が、なかなか湾岸国の会合で意見が一致しない。もう詳しい解説はいたしませんが、イランは、イラクのためにこういうことになったんだから、湾岸諸国はイラクに対していままでのような親イラクの態度を改めよという戦略でありましょうし、イラクの方は、自分たちがやったことではない。しかしイランの宗教的なあれもありまして、攻撃に対してわれわれはやむを得ざる手段をとったのであるというようなことで、なかなか、油田修復の期間だけでも、その地域だけでも休戦という、私たちから見ればあたりまえのことと思うことが入り口で両国が、出席はしていても合意しないということが大きな障害になっておるようであります。  日本の方ではその爆破された、あるいは破壊された油田の流出をとめる技術は残念ながらございませんで、アメリカのカリフォルニア州にそれを専門にしている会社があって、話には乗っているようでありますが、しかしやはり戦争を一応やめてもらわぬと作業にかかれないという問題と、会社の話ですから金額について折り合いがつかないで、ただ待機しておるような状態であって、まことに残念である。しかし、汚染された海の問題、あるいはまたそれらの汚染された油塊なりあるいは流出の油が漂着するおるれのある国々は、いまおっしゃいました淡水化の問題に一つの例をとっても、あるいは生物の関係からいっても、あのようなとっくりの中に入ったような形の入り海でございますから、ホルムズ以内の生態系が完全に破壊されるというようなことになったら漁業等も壊滅するでありましょうし、私たちから見てさえ重大な問題であると思っております。  したがって、行きました班には、ただ事情を見るだけでなくて、日本側にはこういう提供できる技術がございますという幾つもの、ちょっとした町の発明家のアイデアというものまで送りまして、たとえばもみ殻を燃やしてそのもみ殻を流出油の中にまきますと、もみ殻はそれを吸着しながら浮くそうです。浮いて、それをバキューム船といいましょうか、そういうもので吸い上げれば大丈夫だというようなアイデア等も、一体そのもみ殻のそんな膨大な量がどこにあるんだという私質問をしたり、あるいは、じゃ吸い上げるバキューム船はどこにあるんだねというようなことを言いながらも、一つのアイデアですからすぐ現地に送って、現地の皆さんはそれぞれ国によって研究はしているようでありますから、それぞれに資料を提供しながら帰ってまいりますが、私自身は総理のある特命を受けて、総理書簡、親書を持ってアラブ首長国連邦及び現在汚染に対する会議が行われておるクウェートに、連休中に飛ぶ予定を持っております。したがってその機会には、私たち日本国民にとっても、あるいは地球汚染の問題にとってもみんなが、各国が力を合わせたいので、私たちもかねていただいておる国でありますから、そのようなことで御恩返しができる範囲があれば全面的な協力の話も、総理親書にはそのことは入っておりませんが、別なことですが、私が行って石油相と会ってよく話し合いをしてきたい、そういうふうに考えております。
  44. 波多野敬雄

    政府委員波多野敬雄君) 飲料水につきましては、調査団一行が関係諸国に現状をいろいろ問いただしまして、日本としてもしかるべき協力をする用意があるということを申し出ておりますけれども、湾岸諸国の方は、備えは十分できているということで、逆に国内で買いだめパニックが起こるようなことを心配しておりまして、水についての御好意はありがたく受け取るけれどもいまのところは全く必要がないから心配しないでいただきたいというふうに回答しております。  なお、外交チャンネルの努力といたしましては、イラン、イラクに対しまして休戦または停戦方申し入れておりまして、他方、国連事務局とも、国連の場を通ずる動きについて話し合い中でございます。
  45. 岩動道行

    岩動道行君 調査団報告。
  46. 波多野敬雄

    政府委員波多野敬雄君) 調査団報告、いま山中大臣お話で相当部分尽きていると思いますけれども、物につきましては、一応オイルフェンス、水を含めまして現地の対応は十分できているようである、現地が必要としているのは日本の知識、経験、資料であるということで、特に水島事故の 詳細な資料、それから今回の事故が及ぼします海洋環境への影響に関する詳細な資料等について提出を求められております。それから長期的な問題といたしましては、専門家の派遣、さらには日本における研修員の受け入れ等についても考える必要があるであろうという報告がとりあえずの報告として出ております。
  47. 石月昭二

    政府委員石月昭二君) タンカーの航行につきましては、現在のところ原油の海を航行するというような事態に遭遇しておりませんので何ら支障はございません。しかしながら今後、先ほどの先生がお示しの新聞にございますように、油の流出量が増大いたしまして厚い油層の海を通るというような場合がございますと、その場合には、油分が十分に揮発していないというような場合には火災のおそれがございますので、航行は非常にむずかしくなります。  それからいま一つは、そのような厚い油層のところを通る場合には、エンジンの冷却水を下の方から取っておりますので、その冷却水の中に油分がまじってきますと航行に支障が生ずるおそれがございます。  いずれにいたしましても、現在は大丈夫でございますが、私どもは万一の場合に備えまして日本船主協会を通じまして、安全航行に十分注意するように関係の船会社に警告しております。なお、日本の船がどの程度通っているかというようなことにつきましての情勢把握、それから日本船が行きました場合の水の補給問題、その他もろもろの情報の把握に十分努めているところでございます。
  48. 波多野敬雄

    政府委員波多野敬雄君) 欧米諸国の協力ぶりについても御質問がございましたので、われわれが入手している情報に基づきましてお答えいたします。  フランスが日本に続きまして調査団を派遣いたしまして、現在日本が派遣したと同様の諸国を巡回中でございます。米国は衛星写真を関係国に提供しております。その他の国は現在までのところ政府ベースにおける協力はいたしていないようでございますけれども、ドイツが何らかの措置を検討中と聞いております。
  49. 岩動道行

    岩動道行君 山中通産大臣の中東訪問での御活躍を心から願って、質問を終わります。
  50. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは最初にお伺いしますが、今度の原油価格の値下げは一般的にはわが国経済に好影響をもたらす、こういうふうに考えられておりますが、通産省は三月の十五日に、原油価格値下げに伴う国内外経済への影響、こういう見解を発表されております。この中で、基本的には原油価格の引き下げは輸入物価の低下を通じて国内物価の安定による実質所得の増加が期待される、これによって個人消費、設備投資等にも好影響を与える、それから、一九八三年で実質経済成長率を〇・二から〇・三程度押し上げる、卸売物価を一・四から一・六低下をさせ、貿易収支を四十四億ドル程度改善させる、こういうふうに言っておるわけです。しかしながら、国内エネルギーの需給への影響については直接的影響は少ないと見ているわけですけれども通産大臣は今回のこの原油価格の値下げがわが国経済に及ぼす影響をどうお考えになっているか、それをまずお伺いします。
  51. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 久しぶりに中尾さん、御答弁させていただきます。  ただいまお話になりましたOPECの石油価格に対する合意に対して通産省がこのように判断するという内容は、いま要点を読まれたとおりでございますが、もう一遍申し上げますと、長期的に見て日本の産業、国民生活を含めて浮揚力を何に求めるかで苦吟しておりましたこの環境の中へ、長期的に非常にいい影響を与える。たとえば、日本が外貨で支払うべきはずであった石油代金が一兆四千億それで浮く計算にも単純計算ではなるわけでございますから、それだけの石油国への日本の円の移転というものがないということだけでも、それを私たちは長期的に見てわが国の経済、産業、民生、そういうものに役に立たせるために今回を絶好のチャンスとしてとらえて、世界で一番この五ドル値下げの恩恵を受けた国として、そしてそれが一番うまく利用された国というふうに通産政策を展開したい、そして最終的には国民生活全般にその恩典が均てんされるように努力をしていきたい。そのように考えて、産業政策の一つの刺激としてのきっかけになるように、いろんな問題をいま具体的に詰めておるところでございます。
  52. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは新聞等にもよく出ておりますけれども、値下げがどの程度まであるのか。先ほどのあなたの答弁を聞いておりましたけれども、これはなかなかむずかしい見通しですね。本当は価格がどのくらいまで下がるのか、この辺を聞きたいんです。国民もまたそういうことを聞きたいわけです。  しかし聞いてみても、これは私四十九年石油ショクのときもどのくらいまで値上げがあるのかその見通しを聞いたことがありますけれども、あのときの見通しはまたべらぼうなことを言うて、百ドル突破するようなことを言っていましたけれども、全くあれはでたらめだと言うわけにはいきません。それはあなた、通産省の役人から学者先生の偉い人まで皆そう言うんですから皆目の色が変わりますよね。そういうことが全然当てにならなかった。今度もこれがどのくらいまで下がるだろうか、これは商売人、産業人は聞きたいところです。非常にこれはむずかしいのはむずかしいんですが、むずかしい中を通産省は責任省ですから、それはわかりまへんで、むずかしいですよという一辺倒ではいかないと思うんですがな。通産省の分析しているところは、当たらぬでもいいですよ。当たらぬでもいいが、どういうふうにお考えになっているのか。  通産大臣がここで発言をしたらそれが世界のOPECやいろんなところに非常にまずい影響を与えるとか、そういうことがあればまた別ですけれども、あなたの判断をひとつ公開される範囲で一遍私としてはお伺いしたいんですがね。
  53. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 残念ながら、日本の通産大臣が石油の価格について見解を述べても、全然それは世界に反響は及ばないだろうと思います。  ということは、逆にアメリカが、今回の石油値下げによって最も恩典を受ける国は日本であると言っておりますように、私たちはただ産油国の決定された石油を、そうでございますかと言って買わせていただくだけのほかに手段は何もないわけでありますから、せめて今度の油濁汚染等について何らかの御恩返しができればという気持ちで、産油国の立場の人たちの困っていらっしゃる、カルテルが壊れてどうしていいかわからない、あるいはイランの方は戦争保険の負担というものを石油の価格で割り引かなければ買いにきてくれないとか、いろんな要因がありますけれども、私たちはただ、下げてもらった、それが五ドルで大体済んだようであるということで、いまそれをどう生かすかを計算しております。  しかしこれから、もし何らかの原因によって二十五ドルという線が出てきた場合においては、これは代替エネルギーとしての石炭の価格とそこらでそろそろデッドクロスを始める価格として、一応の検討も命じてあります。さらにもっと下がった場合には、先ほど岩動議員から言われましたような、代替エネルギーに対して、その意欲を喪失させるような問題がいろいろと起こってくる。  そういうケースは想像としては持っておりますが、われわれが受けとめるのは、決めてもらったものをいかにうまく活用するかという国内の産業政策にかかっているだろうと思います。その意味で、見通しを述べてみても何ら国際情勢に影響もございませんからはっきり申し上げておきますが、わかっているかといえば、わからないということです。どれぐらい続くだろうかというのもせめて何とか見通しをつけたいし、そのために、幸い私が今回偶然にも中東に参りますので、その見通しを産油国自体の側から聞かせていただくことによって何らかの手がかりを確かなものにする努 力をしてみたいと考えておりますが、なるべく安定して長く続くことを願っている。そしてそれを前提に、先ほど申しましたとおり産業政策展開に遺憾なきを期す、こういうことに尽きるだろうと思うのです。
  54. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大体わかりました。  そこで、この問題を追及してみてもこれはしようがないんで、ただ産業界には、今度の値下げによってよくなる企業もあれば非常に心配企業もあるわけですが、その辺はあなたは通産大臣としてどのように把握されていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしておきたい。
  55. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもう図式は簡単でございまして、輸入するものについては国内の実勢を反映して値下げ交渉をする。原材料、鉄鉱石あるいは石油ガスですね。その中でもLPGは、これは随伴ガスでございますから、量も減り価格も値上げをされるという特殊な現象がございますが、これもそのままほうっておきますと国民に、プロパンガスによる家庭の炊飯から始まって一般庶民の乗り物であるLPガスタクシーの料金まで問題を波及させていくわけでありますから、このようなことで国民生活の底辺の混乱が起こらぬように配慮していかなければなりませんが、輸入に頼る分については、円高になったときほどの、あるいは円安のときの影響のようにダイレクトには出てまいりませんが、少なくとも私たちがいままで値決めをしておったものよりか安く売っていただかなければならない環境に需給の問題で置かれておるわけでありますから、一応アメリカなどとは石炭の値下げ交渉も成功いたしましたし、現在は豪州との間で長期契約分について値下げの交渉をいたしておりますが、いろいろ政権交代等で問題がありますが、値下げには、これは自然に形成されたものであるからやむを得ないという空気があるように見ております。  一方、輸出の問題については、ここで、コストを石油に求めておる各種の産品についてどっと輸出に出るというようなことは、やはり、日本がいま置かれている厳しい貿易アンバランスに対する個別の経済摩擦の問題等にさらに拍車をかけかねないという半面も持っておりますから、したがって、はしゃぐというような感じでやらないで、自然の経済の原則には従いますが、それは国家の方でよほど目配りを確かにして、国民生活を向上させながら、国際摩擦をなるべく起こさないように、過大な輸出ドライブをかけないというようなこと等に配慮しつつ、そして、もし余力が日本に出るとすれば、これは発展途上国の方にその余力を向けていくべきであろう、そのような基本的な概念を持っております。
  56. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、いまも少し話がありましたけれども、今度の原油の値下がりによりまして中東諸国はある程度国の財政に影響があるわけですけれども、これでわが国と中東産油国の貿易上の影響、これは、どういう業界、どういう産業、どういう業種に影響が出てくるのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
  57. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まず、金融、証券の分野で私どもが呼んでいるいわゆるオイルダラーというものが、国によっては、日本も含めて引き揚げられるという影響が若干、もうすでに出ておると思いますが、目下のところは、これが日本の市場を混乱させるようなほどのものにはならないだろうという見通しであります。  一方、輸出については、中東向けのプラント、あるいは、ことに現地生産しておりません繊維雑貨、そういうもの等の輸出については日本側の方が相当大きな落ち込みを覚悟しなければなるまい。まあしかし、いまのところは商談にはなっておりませんが、日本側からもプラントとして出しております海水淡水化の施設について被害が起こった場合に、日本のプラントについて日本がどのような形で協力するか、いろんな問題がこれから起こってくると思いますが、概略を申し上げればそういう関係にあるかと思います。
  58. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いまも、繊維雑貨等もかなり影響を受けるとおっしゃったんですが、実は非常に繊維業界もこの点を心配しておるわけですね。だから値下がりがどの程度まであるのか私はお伺いしたいんですけれども、それもあれですから、まあこれはいいでしょう。  次に、時間がありませんから、いまも電力料金の値下げのことで質問がありましたが、これは衆議院の物価特別委員会でも参考人を呼んで聞いておるわけです。それで、石連の永山会長及び笹野全国石油販売業連合会会長、こういう方は値下げに難色を示しておるわけですけれども、消費者を代表して工藤全国消費者団体連絡会代表幹事、この人の御意見は、値下げの差益の小売段階への適正な反映を十分指導すべきだ、こういうように言っている。これは消費者団体代表と石連の会長ですから意見は違うでしょうけれども、あなたのさっきの御答弁は、これは値下がりの差益は電力の設備投資に回すべきじゃなかろうか、こういうような御意見、話があったようですな。どうでしたかな。そうじゃなかったですか。――ではその辺をもう一回ひとつ答弁してください。
  59. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いまお話、ちょっと聞き取れない点があったんですが、最後の方の問題の、電力は、石油値下がりがあってもそれは電力料金の値下げには使わないで、電力会社の設備投資その他に回すということを私は言った覚えはありません。  それは、過去に私たちが、岩動さんが挙げたように、円高を国民に還元せよということでやりましたが幾ばくもなくして五〇%値上げをしなければならなかったような醜態は避けたい、そして願わくば安定した長期的な料金でありたいということであります。しかし、昨年電力業界が値上げを申請しかかっていたときにこの石油値下がりがあったのでそのことはいま消えたけれども、その理由等をつまびらかにしながら、もちろん値上げはしないでしょうが、値下げの余地があるならば、ただし電力会社もいま石油に頼る分は四〇%を割るような状態になっておりますからこれが全部の電力料金であるというふうに即断はできませんが、それぞれの分に応じた電力料金への還元ということも、当然ながら国民生活というものを考えたらその検討対象一つには入るということを、繰り返して申し上げておるわけでございます。
  60. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃまだはっきりしないというところですね。ここの新聞には、これは四月一日の読売新聞ですが、「電気料金下げ決着 今秋まで留保」と出ています。大臣の答弁を聞いていると、消費者のためにも値下げをしたいような意味にとれるような発言もありましたけれども、結局電力会社の収益とか、あるいは今度の値下がりがどの程度電力会社に寄与するか、その辺をもう少し間を置いて秋ごろ判断する、こういうことですか。
  61. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 無方針で秋ごろと言っているわけじゃありませんで、値下がりをした石油が日本に完全に到着をして、高い価格の油はその間は逐次調整価格で流していくでありましょうが、完全に安い油が供給できるようになったときには、電力料金を含むすべての施策を決定したいということでございます。  したがって、中尾さんは聞いておられなかったかもしれませんが、一時、電力料金を下げるべきであるというような議論が値下げの報道とともにすぐに起こったときに、九電力会社の各社長が一斉に、値下げはできないということを言いました。そのときに私は、大変不愉快であるということを申しまして、静かになったのであります。ということは、公共料金であって、値上げをするときにはやいのやいの頼み込んできて、値下げをしなければならない環境が出そうになると値下げをしないことは一斉に発表するというような、そういう態度は気に食わぬ、通産大臣には値下げ権限もあるということを申したわけであります。したがって、電事連の会長を呼びまして、自今ばらばら勝手な発言は困る、これからは通産政策に一任するということを申しなさいと。一任をとって、何もがたつかない、じっと通産政策の決定を待つとい う姿勢で電力業界がいること、このことを再度明らかにいたしておきます。
  62. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 終わります。
  63. 下田京子

    下田京子君 北炭夕張の新会社再建問題でお尋ねしたいのです。  昨年十月閉山されて、北炭夕張現地で、働きたくても働く場所を失った労働者がいまも千五百人。その御家族の皆さんも、春になれば何とか新会社をということで希望をつないで、全国の皆さん方から物心両面の激励をいただいてがんばってきたことは御承知だと思うんです。そうしてまた、地域住民の皆さん方からも強い御要望をいただいて、だからこそ大臣も先ほど、地域社会構造の崩壊につながらないようにしたい、そうして労働者が山で働けるようにしていかなければならないと。それだけに、いままでの経過から見て、通産省が相当の決意をもって臨みたいということで、積極的な決意が述べられたんだと思うんです。  さらに今回の石炭協会中間報告なんでございますが、大臣は、連休明け結論を見てからと前置きしつつも、再建のための政治決断用意はある、こうお述べになられたわけなんです。私がお聞きしたいのは、この中間報告なるものについて、大臣自身がいまの時点でどのように評価されているのか。
  64. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 中間報告というものは聞いておりません。ただ、石炭協会炭労の方にいままでの作業の、採炭量その他について御説明を申し上げたという、そのことだけは聞いておりますが、あと、しからば今後の、企業として新しく山を興すための採算見通し、あるいは政府の援助等の見通し等について具体的な検討に入っておるわけでありまして、そのことはセットで考えなければなりませんし、したがって、この問題の中間報告はあり得ない、そういうふうに思っております。
  65. 下田京子

    下田京子君 中間報告を聞いてはいないと。ただ、炭労に十六日に石炭協会がいわゆる中間報告と称して出されたもののその中身については、大臣はやっぱり相当関心を持って内容等を見られておると思うんですよね。そのことを前提として私お伺いしたつもりであったわけなんです。  この報告を私も政府の方から、行って御説明もいただいて内容等を見せていただいたんですが、大沢案に比べましても、たとえば炭量、これはまだまだ検討の余地がございますが、それにしても、千二百万トンから残炭を含めて千三百五十三万トンとふえております。それから、開発期間が一年二カ月ほど短くなってきているというふうな点から見ましても、かなり再開発が可能になってきているのではないか、こう私は評価したいわけです。さらに、保安上も問題がない。  とすれば問題は何か。この報告の中に出ていない資金の問題、それから人員的な問題ですね。そういう点で、大臣は政治的決断用意がある、こうおっしゃられたわけでございますから、正式な結論というのは連休明けを見てからということですけれども、とすれば、その中身ですね、政治的決断というものが一体どういうものなのか。はっきり申し上げまして、何といっても、資金の対応だと思うんですよ。いろいろ見ますと、無利子の開発資金というのもございまして、かつて南大夕張だとか有明だとかあるいは夕張新鉱なんか、三社に総額で二百八十四億円融資していた経緯もあります。しかしこれはいろいろ条件もむずかしいということは聞いておりますけれども、また同時に、略称、骨格坑道補助金というのがあって、特別に今度八割まで見ようやというふうなことにも改善されてきております。こういうことも含めまして、別途ほかにいろいろ資金面でも対応していきたいというふうな点であるというふうに受け取ってよろしいでしょうか。
  66. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私の決断は、そういう開発資金というものを一遍投入した場所ですから、それを全く新しいものとみなして決断をすることも含めて私の決断というものはありますが、その中間報告とおっしゃるなら、それで炭労側に説明したものの後に何があるかというのは、確かにおっしゃったような人員の問題、あるいはそれも出稼率というものが実際と計画とで違わない限り、労働者、労務者の人たちもそれだけの出稼率を上げない限りはだめだという問題等もありましょうし、あるいは投資の開発のあり方、こういうもの等についても、開発費だけでもどれくらいかかるというようなもの等があとあるわけです。それら全体を見まして、それで採算がとれるのかとれないのか。とれなくても政府のいま言ったような決断をすればとれるようになるのか、それをやってもとれるようにならないのか。そこら検討がセットでされないと、途中でぽろぽろ少しずつ出ますと、やはり山の人、現地の人、関係者には大変なショックを与えるおそれがあるということで、慎重に扱いたいという気持ちでございます。
  67. 下田京子

    下田京子君 そうしますと、今回の日本石炭協会検討委員会なるものが炭労に示したいわゆるその中間報告なるもの、それにかかわらず、いま大臣がお述べになったような諸案件等を、具体的に今後話し合い等も含めて、結論を見て再建の方向でやりたいということに受け取ってよろしいですね。  といいますのは、さっきも他の委員からちょっとございましたが、新聞では微妙なんですね。ある紙は「再開発ほぼ絶望的」、それからある紙は「再開発検討中」、またある新聞は「開発見送り警戒」、大変微妙に報道されているわけです。しかし、こういう報道等にかかわりなく、諸案件を検討した上で、最初に大臣が述べられたような方向で今後も再建のために努力したいという決意には変わりない、そこには資金も含めてだというふうに理解してよろしいですね、それでは。
  68. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そこまで問い詰められることが、現時点では非常に微妙なんです。政府があらゆる援助をやってなおかつだめだという場合に、どこかの会社企業が、いや、だめでも私が赤字は引き受けてやりますといって手を挙げればいいですよ。だからそういうものをひっくるめて、最終的にまとめた、セットされた形で、私の決断もまた二段階あるわけですね。政府の対応措置の決断と、さらに最終的な新炭鉱開発に対するゴーサインの決断というものが二重にあるわけですから、それをむしろ具体的に答弁することがより微妙な問題であって、受け取られる方も現段階は微妙な受け取り方をされるのはやむを得ないのではないか。これ以上混乱をさせてはいけない、そう思っております。
  69. 下田京子

    下田京子君 混乱をさせないということは、最初に大臣が述べられた精神で臨むということで受け取りまして、必ず抽象的なことに終わらぬように期待を申し上げて、これ以上は時間もございませんから詰めないことにいたします。  そこで、離職者に対する対策の問題なんですけれども雇用保険ももうすでに切れている人もございます、御存じだと思うんですが。労働省おいでになっていると思いますので、二点まとめてお尋ねしますので簡潔に御答弁いただきたいと思います。  一点は、旧労務債のうちまだ六十三億円ほど残っているはずだと思うんです。労使間の話し合いでこの四月から九月の間に支払うようにというふうに一応はなっておるわけですけれども、債務保証を受けている三井観光が山を売ってからだ、こういうことにもなっておりますだけに、また延ばされるんではないかと大変不安に思っています。ですから、強力な指導をすべきではないか。これが一点。  それから二点目は、昨年の閉山に基づいて新しく退職金が約十二億円ほど残っていると思うんですね。支払い計画がどうなっているのか、あるいは具体的に今後どういうふうに政府としては指導をされていくのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。  私、限られちゃっていて大臣申しわけないんですが、いまの労働省の雇用問題も含めまして、最後に大臣からぜひ、この雇用問題についても積極的な対応での御決意を後で聞かせていただきたい と思います。
  70. 野崎和昭

    説明員(野崎和昭君) ただいま先生の御指摘のまず新労務債の方でございますけれども、御承知のとおり五十一億三千万円ございまして、そのうち三十九億五千万円は石炭鉱山整理促進交付金の交付、それから賃金の支払の確保等に関する法律の適用によりましてすでに支払いを終わっております。その残余の額につきましては、昨年十月の労使協定によりまして、その支払い額及び支払い時期について改めて協議するという合意がなされているところでございます。  それから旧労務債でございますけれども、これにつきましても昨年十月の労使協定で、ただいま先生御指摘のとおり、三井観光開発の支払い保証のもとに北海道炭礦汽船が支払うということで、現在までのところ支払い計画に沿いまして順調に支払われてまいっております。残余の退職金が旧労務債につきましてはまだ六十三億円ございますけれども、これにつきましても労使協定で、五十八年九月末には完済するという合意がなされているところでございます。  労働省といたしましては、労務債につきましてはできるだけ速やかに完済していただきたいという考え方でございますけれども、御承知のとおり非常に困難な事情の中での処理でございまして、ただいまこのように労使協定で労使で話し合って解決をするということになっておりますので、その推移を見守っているところでございます。
  71. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 山中通産大臣北炭夕張新鉱について政治決断をもって確約した、わが党の下田京子議員に答えてというような、そういう新聞をつくられては困りますのでね。そうじゃなくて、政治的な決断をする用意はありますと。しかしそれは、先ほど申しました諸要因、今後経営をだれが引き受け、そして問題は炭鉱労働者の残っている人たちをどうするかという問題ですから、地域の山の存在の問題、そして残っている人たちの問題、それに対して政治判断を総合的に行ってまいりますということで、私の決断は、もうこれで北炭夕張の新鉱の開発は決定をしたという決断と受け取らないようにお願いをいたします。
  72. 下田京子

    下田京子君 最後に一言だけ、もう時間ですので。  新聞報道の見出しまで考えて御答弁いただいたわけでございますが、政治決断用意はあるということは明確になりました。  ただ大臣から私が心配した最後の雇用問題、労働者の問題での御答弁がなかったのであえて立ったので、さっきの労働省の話では、労使間の話し合いはあると。しかし、現実にそれでおくらせるようなことになるのではないかと心配して私質問をしているんで、決意をもう一度聞かしてほしいんです。雇用問題。
  73. 豊島格

    政府委員(豊島格君) 先ほど労働省の方からお答えがございましたけれども、いわゆる旧労務債につきましては三井観光開発が保証しておるわけでございまして、これがどのように実行されるかということにつきましては、当時の会社側の約束というのもございまして、これが達成されるようにわれわれとしては業界を指導していきたい、会社を指導していきたい、こう考えております。
  74. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時八分散会