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1983-03-05 第98回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月五日(土曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主査 今井  勇君       小渕 恵三君    倉成  正君       岡田 利春君    佐藤  誼君       鈴木  強君    大橋 敏雄君       草川 昭三君    岡田 正勝君       木下敬之助君    兼務 川俣健二郎君 兼務 沢田  広君    兼務 栗田  翠君 兼務 三浦  久君    兼務 楢崎弥之助君  出席国務大臣         通商産業大臣  山中 貞則君  出席政府委員         防衛庁装備局長 木下 博生君         経済企画庁調整         局審議官    横溝 雅夫君         経済企画庁物価         局審議官    矢橋 有彦君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         外務省北米局長 北村  汎君         外務省経済局長 村田 良平君         通商産業大臣官         房審議官    斎藤 成雄君         通商産業大臣官         房会計課長   鎌田 吉郎君         通商産業省通商         政策局長    中澤 忠義君         通商産業省貿易         局長      福川 伸次君         通商産業省立地         公害局長    福原 元一君         通商産業省基礎         産業局長    植田 守昭君         通商産業省機械         情報産業局長  志賀  学君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       松田  泰君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君         資源エネルギー         庁石炭部長   弓削田英一君         資源エネルギー         庁公益事業部長 小川 邦夫君         特許庁総務部長 鈴木玄八郎君         中小企業庁長官 神谷 和男君         中小企業庁計画         部長      本郷 英一君  分科員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部下         請課長     小倉 正夫君         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全課長    栗原 弘善君         環境庁長官官房         総務課長    杉本 康人君         環境庁自然保護         局保護管理課長 味蓼 導哉君         外務省北米局安         全保障課長   加藤 良三君         大蔵省主計局主         計官      中平 幸典君         厚生省保険局国         民健康保険課長 阿部 正俊君         運輸省港湾局建         設課長     森平 倫生君         労働省職業安定         局雇用政策課長 稲葉  哲君         参  考  人        (石油公団理事) 松村 克之君     ───────────── 分科員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     佐藤  誼君   草川 昭三君     大橋 敏雄君   木下敬之助君     塩田  晋君 同日  辞任         補欠選任   佐藤  誼君     井上 普方君   大橋 敏雄君     吉浦 忠治君   塩田  晋君     岡田 正勝君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     伊賀 定盛君   吉浦 忠治君     草川 昭三君   岡田 正勝君     木下敬之助君 同日  辞任         補欠選任   伊賀 定盛君     鈴木  強君 同日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     岡田 利春君 同日  第一分科員楢崎弥之助君、第七分科員沢田広君  、栗田翠君、三浦久君及び第八分科員川俣健二  郎君が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  (通商産業省所管)      ────◇─────
  2. 今井勇

    今井主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算通商産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤誼君。
  3. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 時間が三十分ですからずばり入っていきますから、ひとつよろしくお願いします。  現在、日本基礎素材産業は、御案内のとおり大変な構造的不況に陥っているわけでありまして、私の住んでいる山形県の海岸側酒田という地区も、素材産業集中地域で大変な不況になっているわけでありまして、これは地域まるごとそういう状況になっておるわけであります。その辺も頭の中に入れながら質問してまいりたいと思います。したがって、そういう状況の中で、基礎素材産業中心に、現状の打開、それからその活性化を図るということに中心のねらいを置きながら、関連地域とか雇用問題の対策等で、いま通産当局並びに労働省等から、例の新特安法であるとか新城下町法であるとか、あるいは離職者臨時措置法の改正とか、いろいろ出ているわけでありますけれども、これから本格的な論議がされると思うのですが、私が法案を見る限りは、新特安法の主たるねらいは、言うなれば過剰設備処理業界の再編、集約化によって当該業界収益性改善といいますか、そこにも主たるねらいがあると思うのです。したがって、そういう点からすれば、ナショナルセキュリティーの観点、それから構造不況の主要な原因である電力コストに対する対策が不十分ではないのかというふうに私は思うのです。そういう点からして、現在も続いている構造不況業種、いろいろな業種がございます。アルミもあれば合金鉄もある。いろいろあります。そういう素材産業が、いまの新特安法並びにそれに関連する諸法律国内生産落ち込みがどの辺で歯どめがかかるのか、またかけられるのか、この辺の考え方、これが第一点なんです。  それから第二点は、いま言った電力コスト、つまり電力料金にかかわってですが、それに関連して質問いたしますが、御承知のとおり原油値下げという状況にありますね。きのうの予算分科会経企庁物価局長が、わが党の野坂浩賢氏の質問に対して、一バレル当たり四ドル値下げになったとすれば、消費者物価は〇・六ないし〇・七、それから卸売物価は一・五%程度下落すると、こういう言い方をしているわけですね。電力コストといいますか、そういうものに全部影響するわけでありまして、いま仮に一バレル四ドル下がったとするならば、九電力の年間の節約はどのぐらいになるのか、このことをひとつお尋ねしながら、この際、一般家庭料金も含めて電力料金を下げるべきではないのか、これが一つ私の考え方です。  それからもう一つは、いま構造不況業種電力コストの問題を挙げましたけれども、それに関連して、工業用電力についても加えて政策的な料金をこの際導入すべきでないのかというふうに私は考えるわけであります。聞くところによりますと、特に電力需要低迷ということで特別料金制度等検討されているやに聞いておりますので、その辺の通産大臣考え方、それからエネ庁考え方、これをあわせて聞きたいと思うのです。  それから、時間も少ないのであわせて関連して質問をしておきますけれども酒田住アルミが製錬をやめて、といいますか、酒田住アルミ会社を解散し、撤退し、ただしアルミの製錬については二年後の再開を目指して現在油だきから石炭だきということで共同火力転換を行っているわけでありますが、いまのアルミの製錬の状況ですね、七十万トン体制とは言うけれども、実質上は三十五万トンぐらいじゃないでしょうか。そういう落ち込み状況がまだ歯どめがかかっていないと思うのですが、そういう状況を想定し、そしていまの電力コスト状況等をずっと推定いたしますと、果たして二年後に本当に再開されるだろうかという地元の不安があるわけです。したがって、これはなかなか的確に見通すことは困難だと思いますが、現時点でどのように見通しを立てているのか、わかっている範囲内で結構ですから、ひとつお答えいただきたいというように思うのです。  以上です。
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 冒頭、酒田というお話がありましたが、酒田は私の恩師のおわす場所でございまして、後でまたお話しをいたしますが、そういうこともありまして、率直な御意見を承りましたが、簡単に申し上げますと、今回の構造不況業種に対するやり方がまだ足りないのではないか、あるいはそれは本当に立ち直れるかという問題でありますが、ちょうどアルミを例にとられましたように、通産省自体が七十万トン体制、次に五十万トン体制で、実態は三十万トン体制になりつつある。最初承知のようにアメリカ、カナダの地金の方を、余りに安いのでダンピングではないかということで調べてみたのですが、水力料金で適正なコストで来ている以上、これはいかんともダンピング提訴できない。となると、ほっとくとアルミ産業日本から姿を消す。しかし、それは国民生活への安全保障という点からいくと絶対にあってはならない。アルミ産業日本にはないという状態にした場合には、一方的な売り手市場になってしまった場合の国民生活、そういうことを考えて、やはりアルミは一定のところで救済しなければならぬ。しかし、かといって、なくはならないが、これが非常に先端産業になっていくかというと、その地位は日本においては再び回復しようもないだろう、こういう気持ちでおるわけであります。  それから石油値下がり各種指標に及ぼす影響についてでありますが、経企庁の方はいろいろと計算の仕方で数字、パーセントがすぐ出せる立場にありますが、私どもは、それをも横でにらみながら、日本産業体制の中にどのように、現時点で最終的に値下げの幅がまだ決まっておりませんから、それを見定めながら、きょうの午後も第二回の全通産省、外局も内局も含めた首脳部会議をやりますが、これをどのように受けとめ、そして日本産業界に未来をどのように示す転機にするか、ある意味においては人様のお力による恩恵でありますけれども、われわれはそれを転機ととらえて、ここでもう一遍日本産業に明るさを取り戻す契機を見出したいということで、いま懸命の作業をしております。  それから第三点の、電気料金政策料金導入産業用にも導入したらどうかという一つの御提言でありますが、これは、むげにそうしないとかするとかという問題よりも、すぐに家庭用と同じ考え方をとれるものかどうか、企業の実際の電気料金に対する依存度の違いとか、そういうものもございましょうし、そのことが節約という面では確かに効果をもたらすとしても、産業活性をそぐということになってもいけない、いろいろなことを考えておりますので、ただいまの御意見を参考にして検討させていただきます。
  5. 小川邦夫

    小川政府委員 電力に絡んでの御質問原油値下がりの場合の電力収支への影響がどうなるかという点を踏まえた料金引き下げ可能性という点が、まず第一の御質問でございます。  実は、いま大臣から御説明申し上げたように、原油価格の程度がどれだけか、事態はまさにOPECの場での議論になっておりますし、また、何ドルか下がるということが決まった場合に、それが電力会社収支にどう響くかということは、原油GSP価格の何ドルということが決まっても、実際の電力会社輸入原油価格がどうなるのか、またその価格の持続がどのくらいであるかとか、あるいは為替がどういうレベルであるかとか、いろいろな要素がございまして、すぐに電力会社収支にダイレクトにどれだけ反映するかという点はよくわからないのが現状でございます。いろいろ情勢に応じまして、大臣の指揮のもとに、その辺の分析を進めてまいりたいというのが実情でございます。  それから第二の御質問でございますが、特別料金制度についてどう考えるかということでございます。  新聞にも報道されましたが、要するに、新規立地の場合には一種の料金逓増方式という考え方のもとに昭和四十九年から導入された制度でございまして、それが現時点でそろそろ見直すべきだという議論が一部に出ておるということは承知しておりますが、報道にありますように、いま通産省電力業界とが一緒になってその制度検討に入ったという状況にはなっておりません。しかし、一つの重要な問題提起ではあるということで、今後その勉強はしっかりしてまいりたいと思っております。
  6. 植田守昭

    植田政府委員 酒田アルミ等につきましてでございますが、アルミ現状につきましては、ただいま大臣からお答えしたとおりでございます。  一つ市況に関して補足申し上げますと、世界的な異常な市況低迷が続いておって、それが一層アルミ製錬所の苦境を深刻化させてきたわけでございますが、昨年の六、七月ごろは千ドルを下回るという、まことにこれは欧米のアルミメジャーでも赤字だというふうなことだったのですが、最近では急速に市況が回復しつつありまして、千三百ドルに迫ろうかということになってまいりました。そういったいろいろな諸情勢を踏まえながら今後のアルミ対策考えていきたいと思います。  それから、酒田の住軽アルミ再開の問題でございます。昨年五月に会社を解散しておりますが、その後も酒田共火の石炭転換工事は引き続き行っておりまして、会社といたしましては、その工事が完了後、経済的見通しをつけた上で再開考えるというふうなことでありまして、新会社におきまして維持保全等も行っているわけでございます。もちろん、事業再開につきましては基本的には企業が決断することでございますので、軽々に私どもがいまここではっきりしたことは申し上げられないわけでございますが、政府といたしましても、石炭転換助成等支援策を今後も続けていくというふうに考えております。
  7. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 私の質問に対する基本的な考え方通産大臣からお示しがありましたからわかりましたが、なおそれに敷衍して質問しながら要望しておきたいというふうに思います。  工業用というか業務用というか、その政策料金の点については検討したいということですから、それはそれにしても、ただ、全体的に原油がどれだけ値下がりするかというこの行方はもちろん見定めなければならぬけれども、しかし、いま大臣から言われたように、この際、日本産業に明るさを見出したいし取り戻したい、これはみんなの気持ちだと思うのですよ。したがって、そういう点から言えば、確かにこれからどれだけ値下げになるかということを見定めなければならぬけれども、しかし、九電力などいまから早々と、極端なことを言えばどんな事態になっても下げないなどという、こういうことはちょっと行き過ぎじゃないかと思うのです。したがって、指導立場にある通産省はこの辺、いまも検討しているようですけれども、いまも話があったような日本産業活性を取り戻し明るさを取り戻すということで、この料金については今後十分検討し、しかるべく情勢によっては電力会社指導したいというふうに私は理解したいのですが、大臣どうですか。
  8. 山中貞則

    山中国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、電力会社はそれぞれにどの社長も勝手ほうだいなことを言っているようでありますが、困ったときだけ泣きついてきて、そして自分たちの好ましくない方向に行こうとする場合はそれに対して意見を勝手に言うという社長連の態度に対して、私は監督官庁責任者として、いやしくも公共料金の中に入っているほどの公共性を持つ電力会社社長の発言としては、大変苦々しく聞いております。そのことを申し上げるだけで十分だろうと思います。
  9. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 では次に移ります。  いま酒田市は構造不況地域でありまして、通称城下町法適用を受けております。しかし、そのねらいとは逆に、現実は工場誘致はなかなか進まないし、それから素材産業のいま申し上げたような撤退なり業種転換なりは進んでおりますし、関係中小企業の経営不振、労働者の雇用不安は進んでいるわけです。  そこで、いま検討されている新城下町法、それから、長ったらしい名前ですから簡単に言いますが、労働省の新しい雇用安定法ですか、そういうものが制定された場合に、酒田地域振興のためにどのような対策がとれるのか、またやるつもりなのか。その辺を基本的に押さえながら、私は具体的に私の考えを申し上げます。  さらに、現行の工業配置促進法効果的運用などによって、酒田には五万トン岸壁の港がいまつくられておりますから、そういうものを利用して、新素材産業あるいは加工組み立て、加えてハイテクノロジーといいますか、そういう新しい産業分野開拓によって、国土の均衡ある発展にふさわしい地域振興策、つまり企業立地地域開発、こういうものを積極的に考えるべきではないか、また通産省指導すべきではないかというふうに考えるわけです。これは私は、国会議員という立場ももちろんそうですが、地域の一住民としてもそのことを切実に考えるわけです。  これは、内閣総理大臣の諮問に対して国土審議会が出した報告書、その中に、東北開発整備に関する意見が出ているのです。長くなりますからちょっとだけ読んでおきますけれども東北地方に対しまして、「技術先端産業等わが国工業発展中心となる産業積極的導入地場産業地元中小企業育成等を推進し、均衡のとれた産業構成を実現させる。」こういうふうにあるわけです。以下、「このため、工業配置法適用を一層強化する」というふうにありますし、さらにまた各論に行きますと、「先端的工業導入」というふうに、具体性を持って意見書が出ているわけです。したがって、その辺を総体的にどのように考えていらっしゃるか、ひとつお答えいただきたい。通産大臣にもぜひひとつまとめて後で御意見をいただきたいと思います。
  10. 本郷英一

    本郷政府委員 ただいま先生お尋ねの新城下町法につきましては、先日商工委員会にすでに付託されております。その中で政府が提案しておりますのは、いわゆる振興対策という考え方をこの特定不況地域中小企業対策臨時措置法に盛り込むということでございます。従来のこの法律のもとでの施策は二つに分かれておりまして、一つ緊急経営安定対策、もう一つ企業誘致対策という二本立てでございます。最初の方の緊急経営安定対策は、一時的に構造不況業種事業廃止等によって関連中小企業がこうむる事業活動への大きな影響というもの、一時的なそういう混乱を防止するために緊急融資その他の対策を講じて混乱を防止するということでございますし、もう一つ企業誘致は、かわりになる企業をその地域導入することで乗り切ろうということでございましたが、最近の安定経済といいますか経済成長率鈍化等によりまして、この中長期的な企業誘致対策のみでは必ずしも地域経済の安定ということが図れないという判断のもとに振興対策を講ずる、これは地元中小企業が自力で自助努力によって新たな活路を開拓するという考えでございます。具体的には新商品や新技術開発さらに需要開拓その他を行うということでございまして、これに対して予算、金融、税制の面から助成措置を講じようとしていることでございます。  ところで、先生お尋ね酒田でございますが、具体的な地点につきましては、この法律の制定後、政令指定段階でどの地点ということを見直すことにしておりますので、具体的にいま酒田についてどうこうということを私どもお話しできる段階ではございません。
  11. 福原元一

    福原政府委員 山形につきましては、工業配置法によりまして、特別誘導地域ということで進出企業並びに受け入れ市町村に対しまして、かさ上げをされました補助、助成手段を講ずるということになってございますが、さらに、昨年の六月でございますが、工業開発指導員制度を利用いたしまして、工業開発指導員チームを派遣いたしまして酒田地区につきまして診断をお願いしたところでございます。それを受けまして、現在、県と市で共同企業誘致促進協議会というものをつくって鋭意企業誘致対策を御検討中と聞いております。私どもこれを全面的にバックアップいたしまして企業誘致を応援いたしてまいりたい、このように考えております。
  12. 稲葉哲

    稲葉説明員 先生御指摘の長たらしい名前法律を提案さしていただいて御審議いただいておりますけれども、この法律に基づきまして指定されました特定不況地域につきましては、雇用保険法雇用安定事業雇用改善事業適用されることになっております。雇用安定事業では雇用調整助成金地域のすべての事業所適用されるということになります。また、その地域離職者のうち四十五歳以上の者につきましては特定求職者雇用開発助成金によりましてその再就職の促進を図るということになっております。また、雇用改善事業では、地域雇用促進給付金がその地域適用されまして、その地域工場等を新増設して当該地域失業者職業安定所経由で雇い入れた事業主に対しては賃金の一部助成が図られる、このような施策がとられることになっております。
  13. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 通産大臣恩師のいる酒田地域振興については、いまのことを受けながらまとめて最後に大臣から御答弁いただきたいと思いますが、時間もありませんので関連して私申し上げますので、まとめて大臣の方からひとつ御答弁いただきたいと思うのです。  それは、酒田には幾つかの素材産業が集中していることは先ほど申し上げたとおりですが、個別的に申し上げますと、日本重化学工業酒田工場があるのです。ここはフェロクロム、フェロマンガンという合金鉄をつくっているのですけれども、御承知のとおりの大変な不況落ち込みであるわけですね。したがって、いま会社ぐるみで知恵を出し合ってその地域に適した業種転換を図りたいということで懸命の努力をしているわけです。ところが、主に金の点から、その他技術の点から、非常に四苦八苦しているわけですね。ですから、そういうところに融資税制やあるいは技術指導を含めて何か適切なアドバイス指導の方法はないだろうかということが一つなんです。  それから、すぐ隣にソーダ工場東洋曹達酒田工場がありますが、これはこの四月一日から新会社をつくりましてソーダと肥料のしかも地域に根ざした工場をつくることになっているのです。ところが、これは五十九年度中ですか、例の苛性ソーダ製法転換がリミットとしてあるわけです。これはやらなければならぬのだけれども規模が小さい上にそういうことがいろいろ重なっているものですから、製法転換をしなければならないと思ってもなかなかできない。悩み多い状態にあるわけですね。それは特に金の問題だと思うのです。規模が小さいのに金がかかるものですから。したがって、その辺についての適切なるアドバイスといいますか援助の手はないかということで通産大臣のお考えをお聞きしておきたいというふうに思うのですけれども、ぜひひとつ対策指導を講じていただきたいと思うのです。  以上です。大臣ひとつよろしく。
  14. 山中貞則

    山中国務大臣 ちょっと私も、日本重化学工業とかあるいは東洋曹達ですか、そこらの細かなことはよくわかりませんが、いまおっしゃった趣旨は、そういうものに今回の法の背景にもあることだし重点的な救いの手を差し伸べるという御意向だと思いますから、可能な限りの努力検討さしてみます。
  15. 植田守昭

    植田政府委員 日本重化の件につきましては、フェロアロイでございますが、これは新法ができますと業界からの申請があればこれを業種指定していくということで諸般の対策を講じていきたいと思います。  それから東洋曹達の件でございますが、これにつきましては、イオン交換膜法への転換をおっしゃるとおり五十九年末をめどに進めております。このものにつきましても開銀の融資等につきまして今回新たに助成をつけ加えた面もございまして、そういったものをできるだけ活用いたしましてこの推進はやはり進めなければならないわけでございますが、同時に企業の合理化にも資するようにしていきたいというふうに考えております。
  16. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 以上で質問を終わります。
  17. 今井勇

    今井主査 これにて佐藤誼君の質疑は終了いたしました。  次に、栗田翠君。
  18. 栗田翠

    栗田分科員 きょう私は中小企業対策について伺いたいと思っております。  中小企業日本経済に占める大きな役割りというのはもう申し上げるまでもありません。家族を含めますと、日本の人口の約三分の二が中小零細企業人口だと言われているぐらいですから、いまの景気の浮沈の問題もここの対策に大きくかかわってきているというふうに思います。  この間、大臣予算委員会の総括質問の中での不破質問に対しまして、中小企業対策の行政上の中心は税と金融に尽きるというふうにおっしゃったと思います。ところが、実際には金融面でまだまだ十分ではない実態がございまして、いま強い要望が中小零細企業者から出ている問題を一つ取り上げてみたいと思います。  それは中小企業信用保険公庫の特別小口保険についてなんですけれども、この小口保険がなかなか利用できないという声がいま強く出ております。信用保証協会でかなり選別しているのではないかということで、実際私などもそういう相談を幾度か受けておりますけれども、その点はどうなのでしょうか。
  19. 神谷和男

    ○神谷政府委員 保証の選別の問題というのはしばしば御質問になる問題でございます。確かに、保証協会というものは保証の要請がございますと審査をいたすわけでございますから、審査というのは当然のことながらイエスもあればノーもある、こういうことになりますから、やはりノーという形になった場合には非常に選別を受けたという印象を受けられるのだろう、こういうふうに思いますけれども、しかし基本的には保証協会並びにこれと関連しておる御指摘の信用保険、これは本来、通常であれば融資ベースに乗りにくい中小企業者のための金融を円滑にするための措置であり、ある意味では中小企業者の最後のよりどころでございますから、そういう面では、計画の妥当性であるとかあるいは返還計画についての現実性といったようなものは、これは十分審査しなければならぬと思いますけれども、担保がないからとか保証がないからというような形で選別的に保証の諾否を決めていく、こういうことはあってはならないことでございます。現実にそのようなことはないというふうに信じておりますが、他方、保証は先ほど御指摘の保険と結びついておりますので、これが安易に十分な審査なしに保証していくということに堕すれば、保険公庫の赤字が累増して国民の貴重な税金を次々につぎ込んでも足りない、こういうことになりますので、この両方の兼ね合いをどうするかというのが保証協会の仕事の一番むずかしい問題でございます。私どもは中小企業立場に立って、しかし貴重な国民の税金を使っておる保険である、こういうことを十分認識した上で、黄金分割のような両者の調和を求めていくべきであると常に指導をいたしておるわけでございまして、そういう趣旨で今後とも指導してまいりたいと考えております。
  20. 栗田翠

    栗田分科員 不況が進行しておりますから経営が非常に苦しい状態になっているので、なかなかむずかしい面はあると思います。けれども、あくまでも救済という立場も加味をした配慮を十分にしていただきたいと思います。  もう一つ、保険限度額なのですが、現在最高三百万になっていると思いますが、これはたしか数年据え置かれたままになっていると思います。いま三百万ですと実際の必要に間に合わないという声が相当ございます。限度額を五百万ぐらいまでに引き上げることはできないのでしょうか。その点いかがでしょう。
  21. 神谷和男

    ○神谷政府委員 確かに御指摘のように、特別小口保険の限度額の推移を見てまいりますと、一定の期間ごとに引き上げが行われており、特に第一次オイルショック以降等は、ある年は連続して引き上げを行う、このような状況にございますが、これらは恐らく物価、インフレの急激な進行を反映しているものというふうに考えられるわけでございます。われわれも現在の状況、三百万というものにつきましては、これは五十五年に引き上げられたものでございますけれども状況を常時フォローをいたしておりますが、現在私どものつかんでおりますところでは、たとえば、一件当たりの特別小口保険の利用額、これが五十六年が百八十三万円、五十七年も百八十三万円という形で、実績で見まして、最近インフレが鎮静しているせいでございましょう、物価が安定しているせいもございまして、ほぼ横ばいでございますし、現在のところ、たとえば二百五十万以下の利用者、そういう形で特別保険を利用していただいている方が、残高ベースでございますけれども全体の九割を超えておる、こういう状況にございますので、従来の経緯から見まして全体の状況を勘案いたしますと、いましばらくこういう状況をよく注視してまいりたい、このように考えております。いま急激に引き上げるという状況にはさしあたっては来ていないのではないか。他に御承知のようにいろいろな制度的な融資もございまして、これらをかみ合わせますと、三百以上の資金というものは御指摘の小企業五人からあるいは二人以下といったところに流れ得るようになっておりますので、全体をよく見ながら、他の政策融資の利用状況あるいは限度額にどのぐらい引き当たっているかというのもあわせて見ながら、今後これらに関しては常時注視をしながら、細心の心遣いをもちましてこれらの利用者の方々の御不便がないように考えていきたいと思っております。
  22. 栗田翠

    栗田分科員 限度額が三百万であるためにそのような実績の結果が出ているということもあると思います。かなりほかの制度融資を兼ね合わせて、苦労して資金調達をしているという実態がありますので、その点は引き続き御検討いただきたいと思います。  次に下請の問題に移ります。特に下請は、中小企業の中の六〇・七%を占めております。いま静岡県の中小企業振興公社などが毎年下請の取引支払い条件などの調査をしておりまして、十一月に五十七年度版が出ました。これを見ますと、最近の下請取引をめぐる環境が非常に悪化しているということがわかります。  その中で問題と思われる幾つかの点について伺いたいと思いますが、まず最初に単価の決定の方法でございます。これについて、この調査を見ますと、指し値方式が非常にふえております。五十六年一〇・八%あったものが五十七年に一一・四%にふえておりまして、親会社が一方的に指し値で単価を決めているというのが増加しているわけです。たとえば具体的に申しますと、本田技研などはこのやり方をかなりとっておりますけれども、この十年間コストアップが一度しかされていないという実態で、そのためにコストが前年に比べて一三%もダウンさせられているという、こういう訴えもあるわけです。  そこで公正取引委員会に伺いますけれども、これは下請代金支払遅延等防止法の適用基準に違反しているのではないでしょうか。いかがですか。
  23. 小倉正夫

    ○小倉説明員 公正取引委員会の下請課長でございます。  先生の御指摘の、まず下請単価の件でございますけれども、これにつきましては、先生おっしゃることは法律の第四条一項五号の買いたたきの問題に該当するかもしれませんが、要するに下請単価の設定に当たりまして、下請事業者の合意を得ないで一方的に協力依頼等の名目で定めることでございますとか、親事業者の予算単価で一方的に押しつけることというのは下請法違反のおそれがあるということでございますので、今後下請法運用に当たりまして、そういう事業者に対しましては厳正な態度で適切に指導をいたしたいというふうに考えております。
  24. 栗田翠

    栗田分科員 時間がございませんので、お答えは簡潔に結論だけで結構でございます。  次に、実績原価方式がふえております。これは年々コスト変動の条件というのはあるわけなのですが、前年の実績をもとにして原価を計算して押しつけてくるという、こういうやり方です。これはやはり六・三%から一一・二%にふえておりますが、この実態はやはり不当ではないでしょうか。いかがですか。
  25. 小倉正夫

    ○小倉説明員 次には単価の決定でございますが、単価を据え置くといいますか、これもやっぱり先ほど申しました規定に触れるおそれがございますので、厳正な態度で同じように措置したいというふうに考えております。
  26. 栗田翠

    栗田分科員 それから次に、取引に関する書面交付というのは、支払い遅延防止法の三条でも原則として契約は書面であるべきだというふうに述べられております。ところが、口約束がやはりふえております。これが同じく同年のと比べますと、三・三%であったのが六・三%、ほぼ倍増しておりますが、この点はいかがでございますか。やはり問題だと思いますが。
  27. 小倉正夫

    ○小倉説明員 先生おっしゃるように、それは下請法第三条違反でございますので、厳正に措置してまいりたいというふうに考えております。
  28. 栗田翠

    栗田分科員 次に、見積もり合わせ方式というのがいまとられておりますけれども、一見合理的に見えますこの方式が非常に過酷な実態になっているということを調査の結果から申し上げたいというふうに思います。これはある親会社の場合なんですけれども、単価を決めていくのに部品を製造していく過程を細かく分解して、驚きましたが、百分の一秒ごとに分解して、そしてそこにかかる経費などをずっと積算していって単価を決めるという、一見まことに合理的、科学的のように見えるやり方なんですね。ところが、その中身を見てまいりますと、たとえばある製品に穴をあける。これは熟練度は必要でない、パートタイマーでできるのだから、これにかかる経費は幾ら幾らである、こういうふうに分解していくわけです。それから、たとえばプレス機を使う場合にも、百トンのものでなくて五十トンのものでこれはできるはずである、だからこの部分は五十トンの機械で十分にできるから、必要なものはこれだけに計算できる、こういうふうに全部分解していきまして、それを合計して単価はこのくらいになる、こういう出し方をしているそうです。ところが、だれが考えてもわかりますけれども、下請、特に小さくなればなるほど、そのプレス機械一つをとってもいろいろな種類のものをそろえているわけではありませんから、五十トンのものでできるものであったって百トンのものでやる以外にはないとか、それからパートタイマーをそう大ぜい雇い入れたり解雇したり、しょっちゅうやっているわけにはいかない。簡単なものでも結局ある程度熟練度のある工員がやらざるを得ないとか、こういう実態がずっと出てきているわけですね。中には、この見積もり合わせ方式で積み上げられた単価は、実際の単価、実績単価の半分に抑えられているというまことに過酷な状態になっておりまして、こういう中でますます下請が苦しめられているという実態が報告されております。この状態をどうお考えになりますか。またぜひとも調査をして是正をしていただきたいと思うのですが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  29. 小倉正夫

    ○小倉説明員 先生おっしゃる件につきましては、個別に調べてみなければ何とも言えないかと思いますけれども、個別具体的に御教示いただければ、うちの方で調べて検討して、必要があれば措置したいというふうに考えております。
  30. 栗田翠

    栗田分科員 また問題のところを具体的に申し上げますので、ぜひ調査をしていただきたいと思います。  次に、代金支払い状況について伺います。同じく先ほどの調査の結果を見ますと、代金の支払いの方法が現金比率が非常に減ってきております。四六%であったものが四〇%になっているわけでございますが、中小企業庁はその支払いの内容として現金比率を高めよという行政指導をしていらっしゃると思います。この実態をどうお考えになりますか。
  31. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように、現金比率は代金法の規定はないわけでございますけれども、下請企業振興法に基づく振興基準で私どもは下請代金はできるだけ現金で支払うように、少なくとも労賃分は現金で支払うように、こういう指導をしてまいってきておるわけでございまして、これは公取と共同いたしまして私どもも代金法の実施上立入検査等を行いますので、その際現金比率等もあわせてよくヒヤリングをいたしまして、振興基準にそぐわないものがあれば個別に違反を指導していく。さらに、昨年も何度かにわたりまして親企業並びに親企業団体等に振興指針を遵守するようにということで通達を出し、指導してきたところでございます。今後とも機会あるごとにこのような指導を行ってまいりたいと考えております。
  32. 栗田翠

    栗田分科員 次に手形サイトでございます。  公取委は手形のサイトは百二十日以内というふうに大体指導していらっしゃると伺っておりますけれども、この調査を見ますとこの期間が大分延びております。もっとも平均は百二十日以内に入っておりますけれども、百十二日でありましたものが五十七年になって百十三・六日に延びています。平均が延びているということは、やはり中で百二十日を超えているものも出てきているということだと思います。特にこの調査を見ますと、業種によりましては平均も百二十日を超えている業種が出てきているのです。製品業種別で、たとえば一般機械及び同部品製造業、これは百二十一日になっております。これは問題ですね。いかがでしょうか。
  33. 小倉正夫

    ○小倉説明員 先生おっしゃいますように、手形のサイトにつきましては公正取引委員会と中小企業庁で通達を出しまして、普通の産業にあっては百二十日、それから繊維にあっては九十日ということで強力に指導をやっておりますが、この百二十日あるいは九十日を上回るような長期手形、あるいは期間以内でありましても直ちに割り引けないような手形の交付につきましては、こういうことのないよう今後とも強力に改善指導を進めていきたいと思います。
  34. 栗田翠

    栗田分科員 同様に、あと業種では工作機械が百二十・一日、わずかですが、これも超えております。それから舶用機品など、これが百二十七・三日で相当超えております。平均でこのありさまですから、実態はひどいものではないかと思います。同様に御指導いただきたいと思います。よろしいですね。  それでは引き続きまして下請代金の支払いの状況なのですけれども、これはやはり三十日以内ということになっていると思います。この調査を見ますと三十一日以上になっている率が七・一%から一二%にふえました。この点はいかがでしょうか。
  35. 小倉正夫

    ○小倉説明員 下請代金の給付につきましては、先生いま三十日とおっしゃいましたけれども、下請事業者の給付を受領してから六十日以内に支払いなさいということに法律ではなっているわけでございます。先生の持っておるあれにどう書いてあるかちょっと存じませんけれども、六十日を超えることのないよう今後とも公正取引委員会、中小企業庁では強力に指導してまいりたいというふうに考えております。
  36. 栗田翠

    栗田分科員 ちょっと私がその資料を読み違えたのかもしれませんが、いま代金支払いの日数が延びてきているということは、やはり不況の中でただでさえ苦しい下請がだんだんに困難になってきているという実態だと思いますので、これをなるべく縮める方向での御指導をお願いしたいと思います。  いま大企業が激烈なシェア争いをやっております。特に自動車産業などは、輸出の問題をめぐってもアメリカあたりが脅威に感じるほどの実態になっているわけなんですけれども、私が今度の問題でいろいろ調査をしていく中でも、この大企業のシェア争いの裏で中小零細企業、下請が血のにじむような犠牲を受けているという実態を見ました。大変なものだということをつくづく感じたわけでございます。  たとえば、静岡県下にはオートバイ業がかなり盛んでございましてありますけれども、このオートバイ業界の例を挙げてみますと、鈴木、ヤマハ、本田など大変な激烈なシェア争いを展開しております。シェア争奪戦というのは、いま実際にはモデルチェンジ戦だというふうに言われております。ですからどんどんモデルチェンジをしていきます。いままで開発期間が二年半ぐらいあったものが、最近は一年半から一年に縮められているということなのですが、このために試作期間もぐっと縮みまして、一年から一年半あったものが七カ月から九カ月くらいに押し縮められております。こうなりますと、当然性能の確認だとか欠陥の洗い出しをする期間がぐっと短くなります。そして不十分なままに生産に入ってしまうという状態が相当あるということを聞いているのです。耐久力テスト、それから金属の疲労度テスト、こんなものも、生産をしながら並行してテストをしていくという大変な実態になっております。このためにどういう犠牲が下請にかかってくるかといいますと、途中でこれはまずいということになりますと設計変更だとかいろいろなことが起きてまいりまして、生産変更がいろいろと指示をされるのだそうですね。変更したからそれでは納期を延ばしましょうというのが常識だと思いますけれども、そうはなっていない。納期は最初に決められたとおりに納めさせられて、変更だけはして対応しなければならないという実態があるそうでございます。さらに、計画の内示の期間が四カ月あったのが三カ月に縮むとか、発注の期間が一カ月であったのが半月ずつに細分されるとか、そういう状態が出てきております。以前かんばん方式というのが問題になりましたが、最近はこのかんばん方式がさらに高度化しているのだ、高密度化しているのだということが言われておりまして、ボルトの所要量までコンピューターではじき出されている。こういう実態で毎日の納品、不良品が出ますと、午前中に発注されて午後に納品するというようなまことに過酷な状態だということが訴えられました。それで、これにこたえられる態勢というのは、一つはよほど高性能の機械を備えておくこと。しかし、小さいところではなかなかそんなことはできません。もう一つは在庫を十分に置くことだそうです。いま大企業は在庫を置かない状態になっております。いわゆるかんばん方式です。それが全部下請に押しつけられてきている。こういう中でいま下請はあえぎにあえいでいるという実態が訴えられております。  大臣、これをお聞きになりましてどんなふうにお考えになりますでしょうか。いま不況を克服していくためにも、このような下請へのしわ寄せ、犠牲というものをなくしていかなければならないと思うのですが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  37. 山中貞則

    山中国務大臣 具体的なことは事務当局から申し上げさせますが、いまのようなお話を聞いていて感ずることは、世界でトップに立ちそうな日本の自動車、オートバイ、そういうものの産業の華々しい裏面に、それに至る過程の下請の問題、それから完成した車、オートバイ等の今度は販売店への白地手形等を含む問題、これは独禁法の問題なんですが、ついそっちの方に僕は足が入ってしまいますが、そういう問題等、どうも内と外と両方ある。さらに国際経済摩擦という問題もある。したがって、企業側の言い分もあるでしょうが、やはり守るべき点は守りながらそれをやっていかないと、外国から思わざる点で内政干渉に近い指摘を受けるおそれ等もありますので、お行儀よくやってもらいたいという表現が答えになるかどうかわかりませんが、そういう気持ちでおります。あと事務当局に説明させます。
  38. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように大企業そのものも最近のメカトロ化によりまして生産工程そのものがまさに秒刻み、分刻み、あるいは非常に細かいスペックを要するようになっておりますので、下請企業に関しても安定的受注を得るためにはこれに耐え得るような設備の改善等を行っていかなければなりませんし、技術進歩が急速に進んでおりますので、それへの対応は必要だろうと思いますけれども、やはり小規模企業でございますとなかなかそのようにまいりません。全体的に苦しいわけでございますので、かなりの苦しみに耐えながらそういう改善を行っている状況だと思います。それに加えていろいろな条件面でさらに厳しいものを力関係で甘受せざるを得なくなるような状況が続きますと、これは日本経済の健全な発展のためにも好ましくございませんので、私どもは公取と一緒になりまして、できるだけ立入検査の件数、回数もふやし厳格な指導を行っていくことにいたしたいと思います。
  39. 栗田翠

    栗田分科員 最後に、こういう厳しい中小企業の実態の中でいろいろな調査もされております。昨年の十月に全国商工団体連合会の婦人部協議会が大がかりな業者婦人の実態調査をいたしました。この中で非常に苦しいという声がたくさん出て、同様の調査を七三年、七七年にもしておりますが、これと八二年を比べてみますと、仕事が減り生活が苦しいと答えた人が一・一%から三・三%になり、それが八二年には二九・九%に急増しております。この苦しさを救うために何をしてほしいかといういろいろな要望が出ている中で高い率を占めましたのが国保料の減額の問題でございました。国民健康保険料であります。これは厚生省の管轄ではあるのですけれども、国民健康保険は事業所負担がありませんから全部自己負担になるわけですね。それでどんどんいま上がっていって、払えない人がどんどんふえているという実態なんです。いま業者、特に商店などで生保基準すれすれの所得しかないというところがぐっとふえてきているわけですね。  これでちょっとまとめて伺いたいと思いますが、国民健康保険料の減額措置の所得基準は年々改定されておりましたけれども、五十八年度は五十七年二十四万そのまま据え置きの予定だと聞いております。これを大幅に引き上げる必要があるのではないだろうか。それから、減額率を上げる問題。特に低所得者層向けの保険料軽減措置をもっと強める必要があると思います。そのことで伺いたいのですが、この問題とあわせて、具体的に地方の自治体によっては災害などで所得が急に減った場合に減額をするという措置がやられているのにあわせまして、いまの不況状態にかんがみて、失業をしたとか倒産しかかっているとか、がたっと所得が減ったとかいう世帯に対して減額をしているという自治体があります。しかし実際には、国の制度でいいますと自治体の減収が三%以上になりませんと国が補助しておりませんので、不況に対応した減額に対してはいままで補助をした例がないのではないかと思います。そういう措置をとっている自治体がどのくらいあるかをぜひとも御調査いただきたい。そして、いまの不況状況を見まして、それに対しても補助をしていくような国の制度もつくっていっていただきたいと思います。  まとめて幾つか伺いましたけれども、恐れ入りますが、まとめてお答えいただきたいと思います。
  40. 阿部正俊

    ○阿部説明員 簡単にお答え申し上げます。  国民健康保険料の軽減措置の減額引き上げでございますけれども、御存じのとおり国民健康保険料というものは一般的な税金と違いましてお互いの連帯ということで、お互いの出捐で成り立っている一つの資金のプールでございますので、個別の必要に応じまして減額ということになりますと全体の財政が破綻することにもなりかねないというふうな性格がございますから、全体の所得のバランス、保険財政というものを頭に置いて考えていかなければいかぬというふうに思うわけでございます。  それで、五十八年度におきましては、先生御指摘のように二十四万円というふうな減額は据え置いておりますけれども、本来この基準額といいますのは住民税の基礎控除額に合わせてきたわけでございまして、こちらの方が数年据え置かれておりますので、その辺も考慮して毎年度の個別的な特例として五十八年度も二十四万円と、二万円基礎控除より高いわけでございますが、そういったような措置を講じておるところでございます。全体の軽減措置を受けられる世帯の割合等を考えますと、私らとしては妥当な線ではないかというふうに考えるわけでございます。  それから災害等の場合に減免が行われているわけでございます。それに対する国の財政助成の拡大ということでございますけれども、これはいま申し上げました軽減措置と違いまして、減免といいますのは、きわめて個別的あるいは特例的に行われている形でございますので、それに対する財政措置というものを余りにも拡大していくのはどうだろうかというふうに思っております。  財政調整交付金の中で一定程度カバーしているわけでございますけれども、これはあくまでも個別事情に対応した、いわば町で減免した分を国の補助で補うということではございませんで、国民健康保険、その市町村の国保全体の財政に対する全体としての影響というものを考慮して行っているということでございますので、つまり冷害だとか集中豪雨だとか、そういったふうなかなり広域的な影響があった場合に、国の財政措置を講ずるということでございますので、個別的な対応まで拡大していくということはなかなかむずかしいのではないかというふうに思っております。  それから、調査の点でございますけれども、先ほど申し上げましたように、減免措置についての調査といいますのは、減免措置そのものがかなり特例的に個別的な事情で行われておりますので、これを統計的な意味で調査をするというのはなかなかなじみにくいではないかなと思っておりますけれども、ただ、保険料全体の今後のあり方を検討する場合には、減免等の状況についても実情をよく把握した上で行わなければならないというふうに考えておりますので、全体の検討の中で考えていきたい、こういうふうに思います。
  41. 栗田翠

    栗田分科員 時間がなくなりました。もう最後ですが、軽減措置も含めて、私ちょっと言い落としたかもしれませんが、調査をしていただきたい。自治体で制度としてやっているところがあるわけなんです。だから、そこを調査していただきたいということを補足いたします。  大臣、これは所管が違う問題ですけれども、こういう点でも、国保などで非常に中小業者の家庭が苦しんでいるということもお考えいただきまして、一緒に協力して改善に御配慮をいただきたいというふうに思います。  以上で終わります。
  42. 今井勇

    今井主査 これにて栗田翠君の質疑は終了いたしました。  次に、大橋敏雄君。
  43. 大橋敏雄

    大橋分科員 私は、スーパーあるいは百貨店等の大型店の出店に関する問題と、もう一つは産炭地域の鉱害復旧に関する問題を若干質問してみたいと思っております。  大型店出店の問題は、これはもう全国的な問題であろうかと思いますけれども、こういう大型店舗の出店に際しましては、必ず通らなければならないのが商業活動調整協議会、略して商調協と言われておりますが、この段階で非常に調整が難航しているのが多い、こういうふうに聞くわけでございます。さらにその商調協の審議に入る前、すなわち事前調整で立ち往生している問題もかなりある。これらを含めて、これは問題だなと思われるような件数が全国で三百件を超えるであろう、こういうふうに報道している記事がございました。  また、このトラブルの原因は一体何だろうかなと私なりに考えてみたわけでございますが、現在の景気が低迷し、不況の中で各商店街等の売り上げがぐんと落ち込んできておりますね。とにかく消費不振です。そういう状況の中で大型店がどんと入ってくる。こうなれば、言わずもがな、地元の商業者の死活問題になっていくわけでありまして、必死の抵抗といいますか反対が起こるのは道理だと思うわけでございます。  一面、大型店、スーパー等は、日本経済は自由経済ですから、そういう中にあって、そういう経営戦略の中でとにかく出店を最優先にしているわけですね。ですから、手回しよく用地買収などを先にやってしまいます。そういうことになれば、許可が早くおりなければ開業ができない。開業がおくれればおくれるほど金利などの負担がかさむ。そういうことで、何としても開業を急ぐ、こういうことになろうかと思うわけでございます。さらに、通産省のいわゆる出店規制がもっともっと強くなっていくのではないだろうか、こういう不安から、出店できるうちに大いに出店をしておこうじゃないか、こういう焦りとも見えるような事態、いろいろいま申し上げたような事柄あるいは事情等が重なって、お互いに無理を生じまして、トラブルが発生しているのではないかな、私はこう思うわけでございますが、大臣はこの点どのようにお思いですか。
  44. 山中貞則

    山中国務大臣 先般、大型店舗の出店をめぐってついに贈賄事件にまで発展いたしました。通産省としては、直ちに所管局がその当該贈賄側に回った方を呼びまして、厳しい注意をいたしたところでありますが、そこまで事態が行っているということは、やはりこのままの状態でほうっておくとますます商調協なりあるいは既存の商店街なり、都市と田舎によってトラブルの形態がやや違いますけれども、それらの問題がいよいよ解決をむずかしくしていく方向に行ってしまうのではないか。  私どもの方では、党の要請等もありまして、いろいろ議論しまして、一月から一応の通達を出しまして、自粛するものは自粛する、尊重するものは尊重するというような基準的なものをやりました結果、トラブルの問題は別として、件数では相当の効き目があったように思います。効き目というのは、トラブルのもとになる出店の競争ですね。  ただ、スーパーというのは最初関西から始まったものですよね。大阪財界の知恵といいましょうか、要するに薄利多売、庶民のためにということで出発したために非常に爆発的な消費者の支持を受けた。それがだんだん大きくなってきて、どこかとどこかが合併すれば二位になるとか、そういうようなことなども、かつ結びかつ消えしてやっているようでありますが、当初のスーパーというものを編み出したときの庶民の立場、消費者の原点に立った立場をちょっと失いかけて、いわゆる企業の論理、スケールメリット、大きければ大きいほどいいというところにのめり込んでいきつつあるのではないかという感じをいささか持っております。  といって、地方のトラブルは、これは都市と農村でちょっと違うと申しましたが、農村の市町村役場があり、あるいは農協のビルか建物があって、そこに一筋商店街があるようなところは、ある意味で田舎の顔なのですね。村の顔、町の顔。そこが全部ぶっつぶれてしまうようなことになると、その町民の連帯感と申しますかそういうようなものが、商店街のない町というのは考えられないわけですから、そういうようなところまで壊滅的状態に追い込むことがわかっていて、なおかつのしかかっていくということは問題がある。したがって、逆に言うと、そのような過疎に近い農山村まで——全部一応町民と販売という立場の小売店とが共存している姿、これは私は悪い姿じゃなくて、いい姿だと思うのです。しかし、そこら辺のところはまたほどほどの問題で、消費者の求めるニーズに対して逆らっていくという問題も限度がなければならない。  そういうことでいま一応の通達の線を守ってもらっていますが、法改正までしなければお行儀はよくならないのか、あるいはスーパーが原点に戻ってもらって、そしてまた地方の市町村も、地方なりあるいはその地域の商店街も住民との連帯感というものを失わないで、そしてまた住民のニーズにこたえる道があるかどうか。これはケース・バイ・ケースで違う点もありますが、共通の点も相当あると思うのです。そこら辺について、まあ時間も短いようですからこれだけにいたしますが、私としては非常な興味と申しますか関心を持っていま研究をしておるところでございます。
  45. 大橋敏雄

    大橋分科員 いま大臣がおっしゃったようにいろいろと不正事件も起こっているわけですが、大型店出店の規制が強化されるたびに、関係地域でいわゆる裏金といいますか、根回し的なあるいは地元対策費というような名目のもとで、かなり問題のお金などが膨張していっている、こういう事実がありますね。ことしの一月に神奈川県の小田原、藤沢市でニチイの贈賄事件が発覚しておりますが、このような処分を招いた不正事件というのは氷山の一角ではないかと私は本当に心配をしているものでございます。  また一方、いまも大臣がおっしゃるとおり、消費者の立場からはむしろ出店歓迎という面もありまして、利害が非常に微妙に絡み合うだけに、問題が複雑だと思うわけです。いまも大臣は興味を持ってこの問題と取り組んでいきたいという御答弁がありましたけれども、そういう複雑な問題であるだけに、通産省の公平かつ適正な指導監督と申しますか、これが大きく期待されるものだと私は思いますので、この点については、もう一度大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  46. 山中貞則

    山中国務大臣 私の考えがまだどっちの方向に固まりつつあるというところまでいっていないのです。そういうケースがあって、これは自民党内のことでありますが、この問題に対する対策委員会までできまして、大変厳しい結論が出たようです。しかし、通産省としては、いわゆる消費者のニーズ、そういうもの等も考えなければなりませんから、まあまああの通達の線で納得してもらったという裏話がありまして、私はその論争には参加しておりませんが、それぞれの場所場所によって論争も一様ではない、違ったニュアンスを持っているのですね。  これは、それぞれのローカルのそれぞれの特色というものと、一様な姿で押し出していこうとする大型店舗の出店なり何なりというものが、そこでぶつかり合うという実態をある程度あちこちで見たり聞いたりしておりますし、そういうことから、これは何らか、法改正とまで言うと大げさになりますから、できなかったときにどうするという話になりますから、現在の通達の効果と、あるいはまた両者の意見を聞いてみなければならない問題ですから、場合によっては、いま私が少し疑問を持っている、スーパーが原点を見失ったような姿勢がないのかあるのか、そういう問題等も、どういう形で聞くか問題ですが、もう少し踏み込んでから結論を出したいと思っております。
  47. 大橋敏雄

    大橋分科員 さて、いま出店規制の問題を取り上げたわけでございますが、この規制が厳しくなれば厳し過ぎるほど、むしろ厳し過ぎるために裏金が動くのだという反論の陰の声が実は聞こえるわけでございます。しかし、この規制強化というものは、大型店の出店ラッシュ現象によって取り上げられてきた当然の措置だ、こう私は考えておりますし、ある意味ではやむを得ないものであろう。  問題は、通産省にある出店審査指標、これが積極的に生かされていないのじゃないか。たとえば地域の人口あるいは購買力、大型店の面積などから調整の参考になる指標が提示されて指導されていくならば、少なくとも事前調整での立ち往生というような問題はなくなるのではないかな、こう私は思うわけでございますが、いかがですか。
  48. 斎藤成雄

    ○斎藤(成)政府委員 御指摘の審査指標の件でございますが、通産省としては、それぞれの地域についてどういう商業の状況にあるかということを個別にお示しをするということはいたしておりませんけれども、審査要領という形で、審査をする際に参考になる数字の出し方というのは通達でもって知らせてございまして、それに幾つか算式が入っておりますので、その算式に、おっしゃるようなたとえば人口であれば、その地域で自分のところの人口を入れて、それに商業の売り上げ高等を入れるとそれぞれ数字が出るといったようなかっこうで、幾つかその出し方は指標でお示ししているわけでございます。  たただ問題は、そういった指標から直ちに結論が出るかといいますと、これはあくまでも参考資料としてしか使えないという悩みがございます。それは、各地の状況をその式の中に入れて計算をいたしましても、各地によって状況が違いますし、それからまた、その場合参考になる指標も一つではなくて相当数がたくさんございますから、やはり各地の特色、状況に応じていろいろな数字が出てくる。そうすると、それを参考にして商調協で議論していただく場合にも、公式に入れて答えがすぐ出るというものではなくて、やはり人によってウエートの置き方が違う、そうすると議論が分かれるわけでございます。ですから、参考になる判断材料というものは私どもとしてはできるだけお示しをする、それから先その都市をどういうふうに持っていくかということについては、第一義的には先ほどおっしゃった商調協で十分議論してもらいたいというふうに考えているわけでございます。  ただ、商調協だけの議論でいいかどうかという問題もございますので、昨年一月の通達の際には四者協議体制ということを示しておりまして、県なり市なりあるいは所管の通産局、これが会議所と連絡をとりながら、商調協の運用に誤りのないように、あわせて側面からの指導もいたしているわけでございます。ただ、商調協の中でやはり利害関係が相当対立する場合があるものですから、商調協の運営が場分によっては必ずしも円滑にいっていないという状況はございます。
  49. 大橋敏雄

    大橋分科員 いまおっしゃったようにいろいろ複雑な問題が絡むと思いますけれども、要するに参考になる判断材料を提供する。この提供がもっと積極的になされれば、いま言うような問題ももっともっと事前に解消するのではないかと思うのです。  もう時間がないので次に移りますけれども、実は私の地元でも二つの地域でいま問題化しているわけです。その一つは、飯塚市議会に嘉穂高校跡地利用計画特別委員会というのが昭和五十五年七月七日に設置されまして、それ以来、その地域の四分の一の地域が商業施設地域となったわけですけれども、どんなものをそこに誘致しようかということで賛否両論の中で真剣に協議されまして、結果的にはオ・プランタン出店案が当委員会では採択されたわけですね。しかしながら、その後においても地元の商店連盟等の反対請願、陳情活動も真剣に行われまして、一昨々日の三月二日ですが、市議会の本会議の議題に上りましたけれども、採決の結果は逆転否決です。長い間の関係者の御苦労を考えると心が重くなるわけでございます。  もう一件は、中間市というところがございますが、かつては炭鉱の華やかなりしころは黒ダイヤで輝いた町でございますけれども、閉山後は大変苦労した市でございます。二月二十八日の地元の有力な新聞でございますが、それに報道されておりました。大見出しで「オ・プランタン出店で揺れる中間市」「存亡かける「ヤマの商店」」「”根絶やし”の危機感 カギを握る五万の市民」この中間市は、昨年の六月に市議会が誘致を決議いたしておりまして、飯塚市の問題とは事情が異なるわけでありまして、オ・プランタン出店までには、まだまだ大店法に基づく建築申請など多くの申請手続が残されているわけでございますが、新聞の最後にこう書いてあります。  「オ・プランタンの出店予定地から二キロ足らずの北九州市八幡西区三ケ森、鉄冷えと不況にあえぐ黒崎などの商店街も「”対岸の火事”と見過ごせぬ」と、出店阻止の動きがある。ただ一方で、消費者は出店を歓迎する。消費者抜きで論じられない問題だけに、商店街は今後の対応に苦慮している。”ヤマの商店街”の存亡は、五万市民がカギを握っている。」こうあるわけでございまして、ここにも大きな混乱が予想されております。どうか、通産省の適切公平な指導監督ですべてが円満解決できるように御努力をお願いしたい。一言でいいですから、お願いします。
  50. 山中貞則

    山中国務大臣 オ・プランタンという名前が出ますと、具体的な会社名前が背後にあるわけでございまして、そのことでは個々の問題として大変言いにくいのでありますが、町議会とか市議会とか、市長とか町長とか、そういう地域責任者は選挙によって選ばれているわけでありますから、そのような問題に対するニーズというものには敏感なはずですね。それが一方は逆転否決ですか、一方は最初から誘致。  しかし商店街は、かつて栄えた産炭地帯として、いまは、産炭地域振興法等があったとしても、第一人口が流出していったでしょうし、消費購買力というものは限られた範囲、そういう人たちには死活の問題であって、石炭の次に今度は自分たちの商売そのものを持ってこられたら、もう自分たちは、今度はかっての炭鉱離職者みたいに、ただ住んでいるだけの人間になるか、あるいは外へ出るかという羽目に追い詰められるであろうということは、私はよく想像できます。  ですから、私の感想としては、出る方の側が、何と申しましょうか、個別会社名前が出ちゃったので言いにくいのですが、いずれにしても、出させていただきたいのでございますがという姿勢をもう少し持たれた方がいいのじゃないかな、手続は法どおり踏んだから文句ないだろうという姿勢があるとすれば、そこは余りよくないのじゃないかなという気がします。  これ以上立ち入るわけにはちょっと……。個別案件でございますから。
  51. 大橋敏雄

    大橋分科員 それでは、もう時間も大分迫ってきましたので、あとの分、産炭地域の鉱害復旧問題に触れてみたいと思います。  国の重要施策の柱の一つになっているわけでございますけれども、その振興実績は芳しくございません。特に、農地あるいは家屋の鉱害量は膨大で深刻でございますが、私は昨年も取り上げたのですけれども、激甚鉱害地、聞きなれない言葉だと思いますけれども、福岡県の宮田町は、いまや町の行財政のこれまた死活問題、本当に深刻でございます。本日も再度その実態の一端を訴えて、大臣の救済への英断を期待したいところでございます。  その第一は、貝島炭鉱の更生会社による清算業務は、主として土地資産の処分でありますけれども、更生計画の現状有姿のままでの売却という土地処分の方式で進んでいくならば、恐らく昭和六十一年度まで百万坪の土地資産を処理して計画を結了させることは、まず不可能であろうと考えます。このほかにも早期に処理しなければならない問題は山積みされているわけでございますが、計画というものは絵にかいたもちに等しいと言えるわけでございます。したがいまして、現更生計画、会社更生法の制約から離れ、自由な発想のもとに炭鉱跡地の再開発ができ、体制整備が図られるように通産大臣の特段の御助言をお願いしたいことが一つ。  それから第二は、基盤整備の中心となっております福岡県産炭地域発展計画、すなわち広域産業循環道路、これは宮田工業団地から貝島炭鉱跡地、さらに小竹工業団地、そして二百号線バイパスを直結する基幹産業道路の早期建設という問題が非常に重要な問題になっておるわけでございますが、これがまだまだ思うように進んでおりません。  この二点について特段の山中通産大臣の力添えをお願いしたいというところでございますが、いかがでございましょうか。
  52. 豊島格

    ○豊島政府委員 いま先生、第一に御指摘になりました貝島炭鉱の土地処分の問題でございますが、これは五十二年一月に清算ということで会社更生法が裁判所によって認可されて、現在その更生手続中である、こういうことでございますが、いずれにしましても、その跡地が地域開発のために利用されるということは非常に大事なことで、非常に望ましいということでございますが、やはり会社更生法の中でやっていくということを全く無視するわけにはいかないということだと思います。したがって、やはり更生会社地元の公共団体とが意見を早く調整していただくということかと思います。そのためには、地元で計画といいますか、再開発のための計画を早くつくっていただく、それから更生会社とも意見を調整していただくということで、そうすればわれわれとしても、いろいろな制度がございますから、大いに活用してこれを援助していきたいということでございます。  ただ、先生御指摘になりましたように、通産省でも何か考えられないかということでございますが、そういう計画の作成についていろいろ知恵を出す、あるいは更生会社等といいますか、それの債権整理というものは、政府機関もいろいろありますから、その辺はいろいろ理解といいますか、そういうことを重視するようなことは考えていきたいと思います。
  53. 大橋敏雄

    大橋分科員 あなたのおっしゃることはもっともなんですよ。わかるのですよ。しかし、それでは解決しないから力のある山中通産大臣、ひとつ助言してくれ、その事情を知って進めてください、こう言っているわけです。もう少し後で事情を聞いた上で結構ですから、ひとつ一肌脱ぐぞと言ってください。
  54. 山中貞則

    山中国務大臣 法的にいろいろ問題があるようですが、しかし要は、このままでは解決の見通しはないという、先生地元だから知っておられるわけですから、それを法律をしゃくし定規に守っていて、私から、じゃ、いつできるんだということを言ったら、恐らく事務当局も、ちょっと見通しはありませんと言うのじゃないでしょうか。だから、そこらのところを聞きまして、何らかの解決の方法がありましたならば、法のしゃくしの方は少しぐらいねじ曲げても、産炭地であった跡、しかも貝島炭鉱という、一時高名だった炭鉱の跡地がそれだけ活用されないということであれば、これは私もお話のごとく、先生の言葉をかりれば、一肌脱いでみやしょう。
  55. 大橋敏雄

    大橋分科員 やはり山中通産大臣は九州御出身で、気持ちがよくわかっていただきました。昨年も私は質問したけれども、その通産大臣の御答弁よりはやはりさすがだと、私はきょうはうれしく思います。  それでは、時間があともう五分しかございませんので、次に行きます。  宮田町の激甚鉱害地という特殊事情を十分考慮していただきまして、宮田町はいま必死で次のことを要請しておりますので、これもよろしくお願いします。  五十ハ年度の鉱害復旧予算は、何としても五十二億円お願いしたい。それから家屋復旧予算も三十五億円を要求しております。理由は次のとおりでございます。  宮田町の残存鉱害は、家屋が一千八百二十九戸、農地が百四十四ヘクタール、公共が百十五件、以上の予算額は五百億円を予想されておりますが、年間三十億円の予算がついたとしても十七年間もかかるということでございます。それから、五十三年度末残存鉱害家屋が二千二百三十戸、うち認定戸数は九百九十三戸です。したがいまして、あと残りの千二百三十戸は石炭鉱害事業団による認定作業中、申請作業中のもので、五百戸、七百三十戸、こうなるわけですね。五五%も未認定でございます。  それから、五十三年度までの復旧済み家屋は四百一戸、わずか一八%。未復旧家屋が千八百二十九戸、八二%もございます。現在のペースで、年間百程度の復旧では、これから十八年間もかかり、せっかく延長していただいた臨鉱法の十年の期間内には間に合わない、こういうことでの要請でございます。  あわせて、最後にもう一つ聞いておきたいことがございます。広域鉱害調査についてどのような調査をなさっているのか。完了の時期はいつか。調査完了後の復旧計画はどうなるのか。当然石炭鉱害事業団による施行を期待するものでございますけれども、いかがなものでございましょうか。  以上です。
  56. 弓削田英一

    ○弓削田政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、貝島炭鉱地域におきましては、広域にわたりまして農地、家屋等につきます鉱害があるわけでございます。私ども、先ほどお話しございました跡地の利用と同時に、当地域にとってこの鉱害問題の解決は非常に重要な課題と実は考えているわけでございます。これまでも鉱害の認定、復旧作業の促進に努めてきたところでございますが、いま御指摘もございましたように、実際問題として復旧作業がおくれているのは事実でございまして、私どもといたしましては、このような事態に対処するために、昨年度と今年度二年間にわたりまして、あの地域を一体として整合性のある形で復旧をしたい、そのための復旧計画をつくりたい、こういうことで、あの地域の地質でございますとか地形でございますとか、あるいは河川の水位でございますとか降雨量とか、こういった水理調査を実施いたしました。  その調査結果に基づきまして、ただいま具体的にどういうふうなかさ上げをやったらいいのか、あるいは排水方法はどういうふうにやるのが一番適切か、こういったような復旧の総合計画の策定を急いでいるところでございますが、今後、われわれはこの計画を踏まえまして、鉱害の復旧の重点的、計画的な実施を図ってまいりまして、昨年鉱害二法につきましては十年間の御延長をお認めいただいたわけでございますので、この十年間に極力最終的に鉱害を解消するように努力してまいりたい、かように思っているわけでございます。  それから、予算の点についてのお尋ねがあったわけでございますが、復旧予算地域的な配分につきましては、地域ごとの鉱害量あるいは工事の緊急性、さらには他の公共事業等との整合性、こういうようなことを考えながら予算を決定しているわけでございます。この貝島地区につきましては、先ほど御指摘がございましたように、重鉱害地の一つでございます。予算配分に当たりましては、この点十分配慮をいたしまして、今後鉱害の計画的、効率的な復旧に努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  57. 大橋敏雄

    大橋分科員 時間が参りましたのでこれでやめますが、山中通産大臣の本当に温かい御答弁に感謝して、終わります。
  58. 今井勇

    今井主査 これにて大橋敏雄君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田正勝君。
  59. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 最初に、突拍子もないことをお尋ねいたしますが、よく密貿易ということを言いますね。密貿易というのは一体何でしょうか。
  60. 山中貞則

    山中国務大臣 密貿易というのは徳川時代からいろいろとあるわけでしょうが、要するにオーソリティー、その国土、民族を実際的に支配している権威が認めていない形において実際上行われている貿易、たとえば、典型的なのは私の出身県の薩摩藩みたいなものだろうと思います。
  61. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 まことに明快な御答弁でありまして、いや、さすがは山中さんらしいなと思いました。非常によくわかりました。  そこで、何でそんなことを私が聞くかといいますと、ちょっと余談に走りますけれども、朝鮮民主主義人民共和国、略称いたしまして北朝鮮と言わしていただきますが、そこの国のことで、いま日本の国の中におきまして約二千世帯ほどの人たちが大変心配をし、苦しんでおる問題があるのです。  これは大臣には直接関係のないことで恐れ入るのでありますけれども、事情として御説明申し上げますと、終戦になりました。そこで、日本に来ておられました朝鮮民族の方々、不幸にしていま南北に分かれておりますけれども、その人たちが国へ帰りたいという人がおれば、たとえ国交がなくたってそれはいいじゃないですか、それは便宜を計らいましょうやということになったのが昭和三十四年の八月ごろ、藤山さんがたしか外務大臣をやっていらっしゃるときだったと思います。そのときに、略称カルカッタ協定と呼んでおりますが、人道的な立場から、国交がなくても帰りたい人は帰してあげましょう、こういうことになったのです。  それで、三十四年の十二月十四日ぐらいから第一船が北鮮から参りまして、それで舞鶴でお乗せしては向こうへ連れて帰るということを繰り返して、昨年の十月七日までに百八十七回送り返しております。それで九万三千三百人ほど送り返しておるわけですが、実はその中に、日本国籍を持ったままの男女が約六千六百七十名ほどいらっしゃるわけです。それでその男女の中に、向こうの方と結婚をなさった、いわゆる日本人妻となっている人がやはり千八百七十三名いらっしゃるのです。それで、その人たちが不思議なことに、もうそれから数えて二十四年になりますが、だれ一人として日本に里帰りをしないのです。実に不思議な現象なんです。実際まあ国交がないから行き来がない、仕方がないな、こういうことになるのですけれども、そうではない別の事情があるんですね。  これはどういうことかといいますと、国交のないはずの北朝鮮というお国から日本へ毎年やってくる人が二百名を超えるのです。それで、二百名超える人がやってきては、また向こうへお帰りになるのです。この中には、文化使節団とかあるいは学術研究員とか、いろんな名称でお越しになります。それで今度、そうは言うけれども、おれは北朝鮮にはもう帰らないよ、生活の基盤は日本にできたから日本へ永住するんだというので、日本へ住んでいらっしゃる北鮮系の方、これは帰化はしておりませんが、その人たちが北朝鮮へ祖国訪問と称して行かれる数が毎年四千人超えているのです。向こうへ行かれてはまた日本へ帰ってくるのです。その四千人を超える中で三千名を超える人が、実はお墓参りに行くとかあるいは親戚に会いに行くとか親に会いに行くとかいう名目なんです。だから、純粋の人道的ケースというのは、毎年三千人も、日本に住んでいらっしゃる北鮮の方が向こうへ行ってはまたこっちへ帰ってくるのです。国交がなくたってそれほど自由に往来しているのです。  ところが、向こうへ一緒についていった日本人妻、六千六百七十名の全日本人は別といたしまして、奥さんで行かれた千八百七十三名の方はただの一人も里帰りをしない。もちろん、その六千六百七十名の日本人も一人も里帰りをしてこない。お父さんが死のうとお母さんが死のうと、盆が来ようと墓参りにも来ない、親戚にも訪問に来ない。一切来ないのです。一人も例外がないのです。しかも、法務大臣にお尋ねいたしましたら、日本国籍を離脱した人は一人もいないと言います。であるのにお帰りにならないのです。  それで、まさに現代のこの世の中でこれほど不思議な物語はないのじゃないだろうかと言って、私たちはいままで七カ年ほど一生懸命運動をしておるのでありますけれども、つい昨年の十月、日本赤十字社から北鮮の赤十字社にお願いをいたしまして、ようやく九名だけ安否がわかりました。その六千六百七十名を超える日本人の中で九名だけわかったのです。その安否調査の結果というのも実に簡単でして、一名は死亡していました、これだけです。それから今度は残りの八名の人は、本人無事、それでどこへ住んでいます、息子さん元気です、こういう調査です。だから、まさに電報のような調査ですね。その答えを日本の赤十字社で、各県に支部がございますからそこの支部から、何々さんのお宅ですかという電話が留守宅にかかりまして、問い合わせのありましたあなたのところの娘さんは何県のどこどこへ住んでおります、元気です、それで子供さんがおりますが元気です、心配要りません、それしか電話で言わないのです。これが安否調査です。まことに不思議なことでして、一体どうなっておるのだろうかと、家族の者は本当に気も狂わんばかりに心配をしているのです。  それで、たまさか向こうからやってきました手紙、それも本当にごく少数でありますが、来た手紙を見ると、中をかみそりでみんな切ってありまして、中身は何が書いてあったのかわかりません。ですから、つないで読もうと思っても読めない。そういう手紙が来ます。それから、向こうから二百名毎年来ては向こうへお帰りになる人、あるいはこっちから四千名向こうへ行ってはこっちへお帰りになる人、そういう北鮮の人たちにたまたま託して、うまく見つからずに日本へ持ってきたものはまともな手紙なんです。  その手紙を読んでみますと、実に聞くにたえない、涙そのもののような手紙ですね。二十四年前に着て出た服をそのまま使っているというのです。継ぎはぎだらけです。それはこうり一杯ぐらい持っていったと思いますよ、一着じゃないと思います。だけれども、それが継ぎはぎだらけでどうしようもない、だからお父さん、使い古しのシーツでもあれば一枚でもいいから送ってくださいと書いてあるのですね。その使い古しのシーツというのは、あちらの服は大体白系統でありますから、子供さんか何かに服をつくって着せてやろうという気持ちじゃないかと思います。察する以外に手がない。ハンカチを十六枚送ってくれ、これはどういう意味かわからない。  それから、向こうは働かなければ食うべからず、ノーワーク・ノーペイということが徹底しておりますから、体のぐあいが悪くなって働きに行けない、となるとお米がもらえませんから、近所の方の情けにすがってお米を借りる。そうすると、この借りた米がたまりたまって六十キロを超えちゃった、もう貸してくれるのもいい顔しません。何とかして返さなければいかぬが、体が弱いから働いて返すことができない。それでお願いがあるのですが、サッカリンを八キログラム送ってもらいたいというのです。それで、そのサッカリンを八キログラム送ってもらうと、六十キログラムのお米とペイできるというのです。サッカリンという言葉は、私どもずいぶん前に聞きましたね。いまごろもう売ってないのじゃないかと思うのですが……(山中国務大臣「いやありますよ。私持ってますよ」と呼ぶ)ありますか。それほど、どっちかといったら大分古くなった商品名です。そういうことを切々と書いてきておるのです。  それで、何と不自由なことだなという感じがいたしまして、百八十七回にわたって九万三千三百人がお帰りになった中に、日本人が六千六百七十名おって、その中に千八百七十三名の日本人妻がおって、六千人はおろか、その千八百人の日本人妻も一人も帰ってこないという状態が正常だろうかと言えるのであります。  そこで、漏れ承るところによりますと、北鮮との間には実は民間貿易はもうやっているんだよというお話を聞きます。それで私は、ははあ、人間よりはやはり貿易の方が先に行くのかなという感じもいたしまして、これは皮肉でも何でもありません。その実態を参考のために教えていただければと思いまして質問をする次第です。北鮮との貿易の実況を教えてください。
  62. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 御質問の日朝貿易関係の状況でございますが、わが国と北朝鮮の貿易を金額面で見ますと、五年前には、昭和五十三年でございますけれども日本からの輸出が一億八千三百万ドル、北朝鮮からの輸入が一億七百万ドル、合計二億九千万ドルでございました。それと比較いたしまして、昨年でございますけれども日本からの輸出が三億一千三百万ドル、北朝鮮からの輸入が一億五千二百万ドルで、合計四億六千五百万ドルでございます。  若干商品別に内訳を見てまいりますと、日本からの輸出につきましては、機械、器具、鉄鋼等の金属製品、あるいは繊維品が中心になっておりまして、北朝鮮からの輸入は、魚介類、亜鉛、鉛などの非鉄金属などが中心でございます。  なお、貿易の形態でございますけれども、北朝鮮側では国の直轄の貿易商社が約五十社ございまして、わが国の関係業者と商社との間での取引が行われております。また、わが国では約四十社の商社が北朝鮮との取引を行っておるというふうに承知しております。
  63. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 私は、余りこういうことに詳しくないのでありますが、北鮮といいますとあれは共産主義国家ですよね。それで、ああいう国に民間会社というのがあるんですか、五十社というふうにおっしゃいましたが。
  64. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 北朝鮮側の取引の主体になっておりますのは、国営と申しますか、国が直轄しておる貿易商社、公司というようなものに近いと思いますけれども、純粋の民間の企業ではないというふうに承知しております。
  65. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 そうすると、向こうの方はいまの国営の貿易会社といいますか、そういうものが五十社ありまして、それは日本の四十社と個々ばらばらに取引をしておるのでしょうか。あるいは、北朝鮮は北朝鮮で、どこか何とか貿易協会とかいうようなものにまとまって窓口が一つになっておって、日本も四十社あるけれども窓口は一つ、こういう関係でしょうか。
  66. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 秋ども、民間と申しますか、国が直接管理監督しておりませんので詳細は承知しておりませんけれども、私どもが聞いておるところでは、先方の貿易商社は物資別に分かれておりまして、必ずしも一括の窓口ではなくて、商品ごとにそれぞれ、約五十社の先方の国直轄の商社と日本側の民間会社が取引を行っておるというふうに承知しております。
  67. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 日本の方は、やはり四十社それぞれ別個に向こうの五十の会社と取引でございますね。
  68. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 日本側も日朝貿易会というような団体がございますけれども、商売と申しますか、取引それ自体は個別にばらばらにやっておるというのが実態でございます。
  69. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 そこで、この貿易というのは、日本で言えば関税の関係とかそういうものもあり、それから通産省なんかもやはり承知しておらなければ商取引はできないのじゃないですか。
  70. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 たしか、貿易自体は昭和三十一年から再開されておりますけれども通産省といたしましては、直接取引を認めましたのは、輸出貿易管理令をその後改正いたしまして、一九六一年、昭和三十六年から直接取引を認めております。ただ、国がそれを公認するとか国の承認のもとに行うということではなくて、輸出貿易管理令の改正を行って、それまでは第三国経由で取引を行っておったわけでございますけれども、直接取引を認めたということでございます。
  71. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 三十一年から貿易は再開されておって、三十六年までの間は第三国を経由しての、たとえば大連とかああいうふうなところを経由して貿易をしておったんだと思いますが、それが三十六年からは輸出貿易管理令に基づいて直接向こうとこちらが取引できるようになったということの経過はわかりましたが、これはたとえば、いま自由貿易でありまして、日本は自由の国ですからそんな厳しいことはないのでしょうが、通産省の方としては、日鮮貿易といいますか、鮮日貿易といいますか、このことで民間に対して何にも指導や監督というのはないのですか。
  72. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 日本と北朝鮮との間、国交関係がございませんから、民間の取引はあくまでも民間が主体ということでございまして、日本と北朝鮮との間での貿易面につきまして、通産省が直接先方政府と折衝を持つとかあるいは業界指導するとか、そのような立場にはなく、あくまでも民間ベースの取引ということで、輸出入の管理面という形で貿易管理を行っておるというのが実態でございます。
  73. 山中貞則

    山中国務大臣 これは冒頭の質問に関係があると私は思うのですが、日本政府は、残念ながら外交関係は持っていないが、しかし通常の物資あるいはいろいろな人士の交流ですね、文化人とかその他、それは認めるという政府方針が決まっていますから、その枠内でやっておるわけですから、ときには北鮮の方が日本に入ってくるときに条件をつけたり、条件を破った人の再人国を、これは法務省でしょうが、阻止したりしてトラブルを起こしたりしております。しかし、政府の方針はそれは認めるということでありますから、あくまでもそれは密貿易ではない。したがって、外国為替管理令あるいは輸出貿易管理令の適用のもとに、したがって、税関もその下で連動いたしておりますから、きちんとした正常の手続というもののもとに貿易が行われているものである、私は、そのようにとった方がいいんじゃないかと思います。
  74. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 よくわかりました。大分のみ込んだのでありますが、そこで、近ごろはやりの武器輸出三原則、禁輸三原則なんというのがありますね。いま、北鮮の方との取引で、日本の方から輸出をしておるものの中に、たとえばジープあるいはその他の自動車、トラック、そういうようなものは全然ないのでございますか。
  75. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 詳細な数字はちょっと手元に持ち合わせておりませんけれども、通常の汎用のトラック類は、昨年も日本から輸出は行われておるというふうに承知しております。
  76. 山中貞則

    山中国務大臣 これは実は裏に微妙な問題がございまして、日本では汎用品ということで、たとえばアクアラング一式、潜水具ですね、そういうようなものは、海水浴場あたりの近くの小売店でも売っているようなものですが、それを今度は、大変不幸なことですが、韓国の方から見ますと、何しろ地続きで海続きでございますから、それは潜水部隊というような形で韓国の海岸に、日本製の通常の売っているそういうものを着用してもぐっていって——そして日本製の交信器ですか、そういうもの等も、韓国の方から言わせると、韓国にとって脅威になるものを日本は輸出しているじゃないかという抗議が一方においてあります。  しかし、汎用品ですから、どこでも売っているものであるし、日本の人たちは、ただダイバーが潜水用具を使っているだけの話で、それは禁止できないだろうというようなことで、若干のトラブルはございますが、原則としては、武器その他は、もちろんどこについても、今回のアメリカに対する議論は別の問題として、それを禁止しておりますし、技術についてもこれを禁止と同じように慎むということは、北鮮のみならず全部にかぶっておるわけでございますから、そのことを韓国の方もわかってもらわなければしょうがないし、北鮮も、できれば韓国が脅威と思うような使い方に使わないようにしてほしいものだということを考えていることがございますので、これは私のただ体験と申しますか、そういうことを踏まえて申し上げている次第でございます。
  77. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 大臣、ありがとうございました。  そこで、私はああいう防衛のことについて専門ではございませんから、ばかげた質問になるかと思いますけれども、あの北鮮という国は共産主義の国家でありますから、個人でたとえば自家用車を持つとか、そういうようなことは恐らくないと思うのですね。そうすると、向こうへ出されていくジープだ何だというものは、ほとんどが軍用車に使われると見ていいんではないか。ということになりますと、それはいわゆる武器禁輸三原則の中にはまるおそれはないのだろうかなというふうに思うのですが、自動車は全然別でございますか。
  78. 山中貞則

    山中国務大臣 この問題については、最近「フォーカス」という、テレビっ子が大人になったとき見るような、珍しい、写真を主にした本がありますね、あれに、輸出用に八輪の車輪をつけた巨大なトラックというものが写されておりまして、それは色といい、形といい、通常の使用するトラックではない。私はそのことをちょっと調べてみた。しかし、それはあくまでも材木搬出等の重量物運搬というものの場合に使うものであって、兵隊が乗ればそれは兵員輸送車にもなるのでしょうが、そのためのものとしては余りにも特殊的なもので、これは向こうの言っておられるとおり、やはり木材等重量運搬のための、山岳地帯の使用にたえる様式のものであるということを一応通産省としては確認いたしまして、したがって、どこまでが線が引けるのかというのは、先ほど潜水道具一式とかトランシーバーとか申しましたが、大変そこにむずかしい問題があるし、私は政治家として民族と国土を両断されておる国、しかもその原因は遠くたどれば日本の植民地政策の結果、敗戦と同時にそうなったんだという同情の念を禁じ得ません。しかし、思想的に相入れない対決というものが軍の対決という姿になっておることを見ると、この不幸を日本が増幅するようなことは慎まなければならない、そのように考えておる次第でございます。
  79. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 時間がなくなってきましたので、最後に大臣にお尋ねしたいのでありますが、あるいはそんなことは経済企画庁に聞けよとおっしゃるかもわかりませんが、何といいましても経験豊富な大物大臣でありますから、時の話題でもございますし、いま石油がまさに下がろうとしつつある非常に微妙な時期でございます。それだけに、各界各層からいろいろな意見がわあわあ出まして、国民もどれが本当かわからぬというような状態です。経験の非常に豊富な大臣といたしまして、石油の値下げということが、たとえば四ドルか五ドル下がるだろうという予想のもとで、わが国にどういうような影響を及ぼすかなということを、お差し支えがなかったらひとつぜひ私は聞かしていただきたいと思うのです。
  80. 山中貞則

    山中国務大臣 いま前提にもおっしゃいましたように、一体果たして——確かにOPECのカルテルは崩壊の気配がある、あるいは事実上崩壊した。したがって、OPECが仮に相談し合えたとしても値下げは結果としてなされるであろうというふうに見ますが、いまロンドンで開催されていると伝えられる会議には、非OPEC産油国であるメキシコとかインドネシアが呼ばれているところを見ますと、別な国際戦略上の再構築というものがなされるのかどうか、そこらもわかりません。ですが、一応何ドルかは下がるであろうということについての見解は私もそういう見通しを持って同感いたしますので、通産省としてはこれに対処するために慎重にやろうということで、要するに二ドル五十セントだったものが三十四ドル五十セントになった、なった経済の仕組みの中から五ドルか六ドルかわかりませんが下がるということを踏まえて、ただ三十四・五ドルから下がるというそれだけで全部うれしいことだというふうにとらないで——経企庁の方に聞けとは言いません、経企庁の方はこれは計算をすれば数字が出せる役所です。私の方は生きた経済を相手にしているわけですから、きょう午後第二回の会合を開きますが、まだ見通しがはっきりしていませんで、今週は見通しがはっきりするであろうと思って予定していたのですが、二回目になりますが通産省の、私を中心に関係のない局長も全部含めまして、全知全能を結集して、日本はこの状態にこの時点でどのように受けとめ——そして日本産業は少なくとも長期的展望においてはいいことであることには間違いがないのですが、産油国の苦しい立場は想像してやっておかないといけないのです。全体的に見て、中長期的に見ていいことであるというならば、それは日本経済のどこを見ても真っ暗だという感じのところから脱出するのに一条の光明としてこれをわれわれがとらえて、そして未来への展望を示す役所でなければならぬということでやっております。  細かく言いますといろいろありますけれども、GNPへの影響もこれはプラスに働くでしょうし、産業界にもプラスに働くでしょう。あるいは卸、小売、消費者物価等も好影響を受けるであろう。あるいは貿易も、他の困った国々もありますけれども、全体としてやはり拡大の方向に向かうであろう。あるいは経常収支もプラスに響くであろう。あるいは円相場はちょっとはかりかねます。いままでのレートの変動にはそれぞれ理由がありました。しかし、ここ数カ月理由なき変動というものがありまして、われわれ通産省は、一日も早く公定歩合を下げてくれと、ここまで要請が出かかっておるのでありますが、しかし、日銀のあの慎重な対応を見るにつけ、その理由は何であるかを見るにつけ、やはりレートの方と公定歩合の方とはどうもよくわからないという感じでございますが、当省としては、石油税の収入が減ります。国としては関税収入が量の減少によって減るわけですが、その目的税になっておる形の石油税の減収に対してどう対応するかというような種々の問題点がございますが、いずれにしても、私どもの英知を結集して、どこまで日本経済の未来にこれを契機に一条の明かりを点ずることができるか、点じなければならないという決意でいま努力している最中でございます。
  81. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 どうもありがとうございました。時間が来てしまいましたので、私としては本当に心残りがするのでありますが、大臣のいま、石油の値下がりというのはまさに日本にとっては一条の光が差し込んだようなものであって、これはもう慎重に対処しなければならぬ、まさにそのとおりでありまして、それぞれみんな意見がありまして、国の方から言えば、四ドルも下がれば税収が五百億もダウンするかもしらぬというようなことの心配もありましょう。業界から言えば、この際赤字を取り消したいというのもありましょう。また大蔵の方から言えば、これはないかもしれませんけれども、想像で言うならば、この際だから三・五%を一〇%くらいに上げるかなんというようなこともあるいは陰で言っているのではないかなという疑いもありますし、いずれにしても素材産業その他電気あるいはガソリン、及ぼす影響は甚大でありますので、通産大臣の過ちのなき対処を心から要望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  82. 今井勇

    今井主査 これにて岡田正勝君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  83. 沢田広

    沢田分科員 社会党の沢田です。御苦労さまです。  最初、いま石油の問題も出ておりましたが、視点を変えて若干聞いていきたいと思うのですが、これで日本だけでなく、このことは先進国すべてがある意味においては天佑であるというような気持ちでスポット買いもふえるのではないか、あるいはそれぞれに、アメリカでも自国生産も持ちながらもあえてまた購入をするということにもなりかねない。そういう点に対する見通し日本がこれだけ喜んで欣喜雀躍じゃないでしょうけれども、やや欣喜雀躍の傾向にあるわけでありますが、果たして諸外国はじゃどうなのであろうか、その点はどういうふうに御認識になっておられるでしょうか。
  84. 山中貞則

    山中国務大臣 私は、いまお使いになった言葉そのもの、いわゆる欣喜雀躍というふうに受け取ってはならぬ。私たちが第一次石油ショックを受けた真の理由は、産油国が戦略物資に石油を使うであろうかもしれないということに私も含めて思い至らなかった。そのことの反省がなければならぬ。  向こう側の立場に立って言えば、当然、石油を買いに来て利権料を払ってくれる。王様一族あたりはキャデラックを何台も持つというようなことで、一応何でもないこととして見過ごしていたことにある日気がつく。いつまで一体それがあるのだろう。調査を始める。そのときに、いまのスピードで掘ればあと三十年の国もある。あと六十年でなくなっちゃう有限の物資であることを知った。ならば、われわれはこれをなるべく長く持たそうじゃないか。そしてその分輸出量を減らさなければならぬ。採掘量、輸出量ですね。それは値を上げないと自分の経済が成り立たないという当然の理屈でOPECの戦略というものが出てきたのだろう。だから相手の立場考えていなければいけない。  したがって、今回は、私たちはそれをショックの裏返しの天恵とは言えますが、よかったよかったという気持ちじゃなくて、それは三十四・五ドルから幾ら下がるかという問題であって、再びいかなる形でか輸出カルテルが再構築される日が必ず来るわけですね。そのときにまた対処のしようなく動転してあわてふためくような国政の運用をやってはならぬ。  したがって、さっきちょうど聞いておられましたけれども、ロンドンの会議等の行方もわかりません。あるいは四日とも五日とも伝えられている、ジュネーブと言われている会議も、イランは参加しないとまだ言っているようでありますからわかりませんが、いずれにしても、いま安い油が来ているわけじゃないわけであって、いま入っているものも、輸送中のものも、もとの価格で買っているわけです。そうすると、私はまず基本的には、これからみんなで勉強して、あわてないでじっくり見定めよう、そして揺るぎない政策を立てようと、こう言っております。  その前に、さあ好機来たれりとばかりに、輸出国の足並みの乱れに乗じてスポット物を買いあさるようなことは慎むように指導しておきなさい、ということは、再構築をされたカルテルの場合にどういうことになるかというと、あのとき自分たちは非常に困ったよな、そのときに弱ったわれわれの足元を見透かして、スポット買いで買いまくったのはどこだ、日本だよというときに、決していい感情を持たれないであろう、そのことも考えながら、私たちは冷静に、かつ着実に対処しなければならぬ。実際上国内の原料としての価格が、高いものから逐次ならされながら低いものの価格に統一されるのは何カ月後になるか、それが経済に及ぼす効果は、短くても一年半ぐらいでなければ効果は末端には出てこないじゃないか。しかし、われわれにとっては、自分たちの力ではどうにもならない、対抗手段を持たない国々が決めることに従ってまいりました石油の値段が、予想しなかった値下がり、これは長期的に見て、日本依存度から考えてもプラスでないはずがないので、これをプラスに生かすための、ここで日本産業に活力、さあ行こうという気持ちを持たせるための慎重な政策をわれわれは決めていきたい、そのように総論としてお答えをいたしておきます。
  85. 沢田広

    沢田分科員 それで、御調査なさっているかどうかわかりませんが、主な国の備蓄状況はいま現在どういうふうになっているか。たとえばアメリカ、フランス、イタリア、イギリス、主要国だけの備蓄状況、おわかりになれば、後でも結構です。
  86. 豊島格

    ○豊島政府委員 わが国の場合は民間備蓄九十日ということでございまして、その後消費が減りましたので大体百日近い民間備蓄、それから大体二十日ぐらいの国家備蓄ということでございます。  それから外国の備蓄状況につきましての統計は、一応輸入ということを前提としておりまして、日本はほとんど輸入でございますからあれでございますが、輸入を前提としますと、日本が民間備蓄大体百日弱というところですが、百二十五日から、もっと多い、極端に言うと二百日を超えているようなところもあるので、ちょっと一概に日本の場合と比較できないわけでございます。ちょっと細かい資料は私どもの手元にいまございませんが、数字としまして、主要国はかなり高いということは言えると思います。ただし、それは輸入を前提としておりますので、日本の場合とは若干違うということでございます。
  87. 沢田広

    沢田分科員 私も先般大臣に、もし下がればそれは消費者に還元をということでお願いをしました。しかし、その反面、いま言った面を考慮しなかったものではないのであります。要すれば、アメ横へ行くようなかっこうになって、みんなどこの商社でもこのときとばかりに押しかけていってやった結果、来るべきものが、またかえってはね返りの方が大きくなるということは、いま大臣が言われたようにわれわれも危惧しているところなんです。だから、どうやって安定的なものの条件を確保するかという基盤を持たないで買いあさるというのは、若干危険性を伴う場合があり得るというふうに私自身も感じている一人であります。  結果的には、いまの中近東の情勢というものが今後どういうふうに変わるかわからないにいたしましても、このままで続くことはないのだろうと思うのですね。どっちかにまた変わってくるだろうと思うのであります。そういうような方向から見ると、中近東に対する外交方針というものがより大切だ。  そこで、石油の問題は、いま言われたように若干の明るい、一条の光明みたいなものを見出しながら、しかし絶対値はあくまでも足らないという前提であるので、幾らか金利が下がったという程度の利益ぐらいにしかならないわけであります。絶対値が足らないのでありますから、それぞれの方から質問があったのかもわかりませんが、私は、その中の一番末端の消費者の立場から物を言っていくわけでありますが、日本全国の中での、七カ年計画もあったりなかったりしますが、都市ガスの普及度を今後どの程度に確保することが日本経済のいわゆるナショナルミニマムとしての水準になるのであろうか。あるいは建設省が市街化区域として設定されたところは少なくとも一応都市ガスが完備する、下水道が完備する、公園が一定の面積を持つ、こういう一つの都市の形態というものが最小限度必要なのではないか。  都市計画法にも都市施設の整備が十年以内ということでうたわれているわけでありますから、少なくとも都市ガス、確かにこれは液化ガスとの紛争といいますか、それぞれの領域争いというようなものが現実にはあるようであります。みんなおっかなびっくりになっちゃいまして、やはり選挙やる身のこわさなのかもわかりませんけれども、どちらにも、われわれが都市ガスへ電話をかけても、引っ張れとこう言いますと、どうも一方から反対があってと言って二の足を踏む。まさに燃料面に対しては消極的である、私はあえてそういうふうに思うのであります。  何かそれを調整し、いま言ったように市街化区域は少なくとも都市ガスで割り切る、調整区域等において乱開発の後始末となっているところについては、これはその領域でやっていくというぐらいに、これはアバウトな線引きなのでありますが、その程度のものはナショナルミニマムの水準として必要な条件なのではないかというふうに判断をするわけです。  これはこの前一回聞いたのです。どっちがプラスなのか、どっちがマイナスで、プラスとマイナスをそれぞれ長短を出してください。適当なお答えがありました。もし何なら、確認の意味でもう一回都市ガスのプラスは何なのか、それからLPガスのプラスは何で、マイナスは何なのか、そこを相互に正しく、日本経済全体の立場から、マクロとミクロの立場から、両方で判断する必要があると、こういうふうに思うのですが、もしあったらばそれをお答えをいただいて、日本の燃料政策としてどうあるべきか、それをやはり問われているときだと思うのですが、いかがでしょう。
  88. 山中貞則

    山中国務大臣 都市ガス、線引き問題等も出ましたが、これに対して及び腰であるかといいますと実はそうではございませんで、東京などではことにドーナツ現象と言われて、だんだん居住区が離れていきましたね。そうすると当然ながらそこに都市ガスの要求がある。そういう場合に導管をつくらなければならない。そこで税法では、そのドーナツ化現象が始まりまして三年後ぐらいに、それぞれの地区の団地に都市ガスを提供する場合の導管について特別償却を認めるとか、むしろ積極的にそれを進めていく政策をとっておるわけであります。  ただ、現在は、石油の問題は確かに値下がりでありましょうが、同時に、輸出の国の随伴ガスが減るわけですから逆に値上げの通告をしてくるとか、いろいろと複雑な要素等はございますが、おっしゃるように単にエネルギー問題だけでなくて、エネルギー問題から発して、日本のいろいろな、いままでちょっとできかねておったような、当然あるべき——ブレジンスキー・コロンビア大学教授であった時代の「ひよわな花・日本」というのも返上するような形は、一つにはやはり未来像としては持っていかなければならないという、先生のお話はそういうことだと思いますので、それを念頭に置かせていただくことにいたします。
  89. 沢田広

    沢田分科員 もしお答えいただけるなら……。
  90. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生も十分御承知のことと思いますが、都市ガスとLPということになりますと、当然都市の市街地といいますか人口が密集したところには都市ガスを引くということが非常に自然でございますし、当然そうなっておるわけでございますが、人口密度が非常に薄いところといいますか離れたところにつきましては、これは都市ガスでやるよりもLPガスでやるという方が当然のことながら経済コストが安い。一軒か二軒のところへ長い導管を持っていくということになりますと、当然それはコストがかかる。いまの供給規程では当然のことながら工事負担金というのがあるわけでございます。これは消費者にとっても有利じゃない。そういう工事負担金をなくしたらいいじゃないかとなると、これは結局一般のガスの消費者に影響するというか、それに転嫁されるということでございますが、いわゆる燃料経済といいますか経済コストからいいましても、その需要の密度等を考えてやっていく。ただしそれは短期的じゃなくて、いま大臣が若干触れられましたけれども、長期を見込んでそういう将来のためにやっていくなど、いろいろな助成策もやっておるわけですが、そういう考え方になるわけであります。  消費者の立場から見れば、一々入れかえなくてもいいわけでありますから、当然のことながら都市ガスが便利ということは言えると思います。ただ、それだけに逆に密集していないところへ引くとなるとコストがかかる、これは工事負担金を払えば不利、こういうことになるのじゃないかと思いますが、これは総合的に考えて消費者、あるいは消費者も単にそれを利用する人だけではなしに、全体の消費者を考えて合理的にやっていくということが一番正しいのじゃないか、このように考えております。
  91. 沢田広

    沢田分科員 あなたは自然に線引きをしちゃってコストを計算されているわけなんですが、それは、人家が密集しているところは結局都市ガスがコストが安くなる、結果的に人家が散在しているところはLPガスで当然だろう。ところがいまはそうじゃないのですね。密集しているところでもおれの商売の領域を侵すなということが当時問題になってきた経緯があるわけです。いまはそういう状況なのです。だから、人家密集の地区でもガスを引けないでいるというのがいまの現状なのです。  その意味において、ある一定の、いまあなたがいみじくも言った市街化区域に該当する区域は都市ガスが持ちますよ、それ以外の調整区域の中に散在している農家であるとかあるいは団地などができているところはLPが持ちますよ、その程度の線引きぐらいをして、果たして業者が成り立っていくかいかないかという問題が必ず起きてくるわけですね。いろいろな問題が起きてくる。起きてくるけれども、将来の日本のいわゆる燃料政策としては、密集していれば被害も大きいわけですから、安全の立場からも便利の立場からも市民の立場からも、こういうことでいきますよという方針はやはり出してもらうことが必要なのじゃないか。これはお互いに政治的な、医師会じゃありませんけれども、相当な圧力が加わって、お互いがおびえているというかっこうになっていると思うのです。片っ方は侵されまいか、片っ方は出れば必ず政治家が出てきてがちゃんと食う、だから出るのもちょっと恐ろしい、こういうのが率直ないまの状況ですね、私がいろいろ当たってみた感じでは。やはりここを何とか調整して吹っ切らなければしようがないと思うのです。でなければ市民生活は前進しませんから。  それからもう一つは、どうしても一定の規模が必要なのですね。これは国鉄もそうなんでありますが、一定の経営規模というのが必要なのです。だから、LPガスにしても一定の、何軒かを持たなければ採算が成り立たぬという条件があるわけなのですね。それから同じく、ここら辺で言えば東京瓦斯にしてみても、半端ではコストがよけいかかってしまう、こういうことがありますから、この前も貸借対照表その他を持ってきてやったことがありますけれども、やはりいまのところは市街化区域に属する部分は都市ガスで割り切ろう、そしてその他はLPガスに任せよう、大まかに言ってその辺ぐらいに進めていく指導方針をひとつ大臣も当局も持って、お互いを説得しながら協力し合っていくという形をとる必要があるのじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  92. 豊島格

    ○豊島政府委員 消費者の利益の問題あるいは国民経済的といいますか、燃料というかエネルギーの効率配分の問題からいって先生御指摘のとおりだと私は思いますが、現実の問題としては、いろいろあることもわれわれは十分承知しておりますが、要するに消費者あるいは経済の合理性ということを念頭に置きつつ、やはり現実の問題をなるべくそちらの方へ持っていくようにわれわれの理念として持ち、かつ、そういう方向で進めるよう努力していくことは非常に必要であるとわれわれも考えております。
  93. 沢田広

    沢田分科員 じゃ、大体私の考え方に沿っている。私もそうむちゃなことを言っているつもりはないですけれども、大体常識的ないまの国民の心理を言っているわけなんですから、その線に向けて余りおっかなびっくりにならないで、ここで一応お互いに確認すれば、いい悪いは別として国会仲間の意思としてそれが決まったものとしてお互いが割り切っていくということが必要なんじゃないのかというふうに思って、やはりむずかしい問題でありますけれども、あえて提起をしてそしてそこからスタートしていこう、こういうことで申し上げたわけですから、ぜひひとつその線に沿ってやっていただきたい。  それからもう一つは、大臣は大物大臣ですから、これも若干大き過ぎる問題なのかもわかりませんが、やはり電力の問題なんですが、要すれば全体的な都市構造の中でケーブル化をもっと促進をする必要があるのじゃないのかというのが基本的な位置づけなんであります。いわゆる電柱は表へ出さぬ、一切電柱はつくらぬという原則に基づいて共同溝ができれば全部共同溝にしてそして植樹をするという、一方では緑を確保しながら一方では台風にも心配のない、やや地震には心配はなくはないでしょうけれども、そういう条件を担って、全土に電柱で坪当たり七百幾らというふうに払いながら道路を占用しているという形態から脱する必要性がある。それから電話にしても同じですね。利益が上がっているのですから、こういうときに社会資本の充実をしておく必要がやはりあるのじゃないか。そのためには共同溝というようなものを、これは特別立法をつくっても、ガスも水道も電話線も電力線もその他もすべてそこの中へ入れて、土の中に暗渠にしてやっていく。そういう方向がこれから特に景気対策の面においてもこういう時期であればあるほど必要になっているのじゃないかということで、これは私は年来の主張なんでありますが、時間がありませんから細かい点は述べませんけれども、ぜひひとつこの辺は何とかケーブル化を図るということを今後の指標として進めてもらいたい、こういうふうに思いますが、とりあえずはお考えのほどをお聞かせいただきたい。
  94. 山中貞則

    山中国務大臣 道路をつくっては堀っくり返しつくっては掘っくり返しという苦情もなきにしもあらずですが、共同溝構想というのは近代都市の外形を整えるのにはどうしても必要である。私のゆかりで申し上げるわけではありませんが、この長い論議に少なくとも決着をつけたのは、たしか河野建設大臣のときに共同溝が始まったと思うのです。ただその予算が一体どの程度で進捗度というものがふさわしいのか。私のなまはんかな知識で言えば、その構想はあるが単価の問題もあってその進展は遅々として進んでいないというようなことを、間違っていたら訂正しますがそういうふうに感じています。しかし、それでも毎年ある路線に次々と十時過ぎあたりから夜明けまで工事をやっているのを見れば、その構想は着実に進んではいる、しかし理想にはまだほど遠いのではないかという気がしております。  それから、先ほどの話に戻るつもりはありませんが、既成市街地の中でいま起こっているトラブルがもう一つあるのですね。セントラルヒーティング化しようとする人たちがおる場合に、電気でいくか都市ガスでいくかで両方とも協会が上品なけんかをしているというのです。ここらのところもやはり住む町の中の人のニーズというものを優先しなければならないのに、供給者側の方が先に議論しているというのはおかしな話だなということをちょっと気がついていますので、そういうことがないように指導した方がいいなと思っています。
  95. 沢田広

    沢田分科員 時間の関係がありますから後は締めくくったような形になりますが、先ほど述べたいわゆる市街化区域と調整区域の関係の都市ガスの問題、これはそれで進めていただきたい。それから、ケーブル化の問題は通産省だけの問題ではないので、建設省もあり、電電があり、水問題もありますから、どこかを窓口にしながらこれを進めていく役割りを持たなくてはならぬだろうと思います。ですから、これは後、大臣の方の政治力にお願いするのですが、何かの閣議の際に、どこかそういう分野を持ってケーブル化の一つ事業を進める、そのことがいろいろな意味においての効果をもたらす、ここでは挙げておりませんけれども、私は提起をしておきたいと思うのです。  それから、都市ガスとセントラルヒーティングの問題のお話がありましたが、両方を使ってみれば、音の問題とか換気の問題とか調節、コントロールの問題であるとか、私は偶然両方を使っているからかもわかりませんが、ガスの方に移行する率が——料金の問題でも現在ではガスの方が安いことは事実です。これは私の家だけの問題で言っているわけですから、それが全部とは言いかねると思います。今後電気の機械でいいものがどんどんできますとまた違った条件が生まれるだろうと思います。  いずれにしても今後のわれわれの国民生活の一番下の生活水準としてみれば、これからどうなってもらえるのかということへの期待があるわけですから、大きな問題もさることながら、そういう国民生活一つ一つに目を配って政策を進めていただきたいと要望をいたしまして、五分前でありますけれどもお昼になりましたので、お疲れだろうと思いますからこれで終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  96. 今井勇

    今井主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  97. 今井勇

    今井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管について質疑を続行いたします。鈴木強君。
  98. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 私は原子力発電所の安全性の問題と、それから、原油が値下がりをしておりますが、これがわが国経済にどういう影響を与えるか、この二つについてお伺いをいたします。  まず第一の原子力発電所の安全性の問題でございますが、二月二十八日に米原子力規制委員会が明らかにしたところによりますと、ニュージャージー州の南の方にありますセイラム原子力発電所一号炉の緊急自動停止装置というのが作動しなくなってしまったということを発表しております。NRCによりますと、セイラムの一号原発の事故は蒸気の発生器の水位が低過ぎた場合、自動的にオートアラームが鳴って作動する、こういうものでございますが、その運転停止のためのブレーカー、これは電気の遮断機でございますが、これがバックアップを含めまして二つとも動かなかったというのだそうです。NRCは全米にある同型の加圧水型炉四十八基に対しまして欠陥がないかどうか点検を命じた、こういうふうに報道されております。幸い今度の場合は、炉の運転に当たっていた係員が表示盤の異常に気づいて数秒内に手動でもって炉を閉めたということで運転をとめたために放射能の露出はなかったということでございます。  ところで、わが国におきましても、同型の原子力発電所は関西電力に七基、四国電力に二基、九州電力に二基と合計十一基ございます。したがって、政府はこの際、アメリカに起きましたこのような事故をわが国において起こすことは絶対に許せないと思いますので、アメリカのNRCの調査報告が五日以内、それから十日くらいの間に一応その原因が究明できると聞いておりますので、わが国におきましても、その十一の原子炉についてはこの種の機械を使っておるわけでありますから、アメリカから輸入した加圧水型炉というのがその中に二基はございまして、そういう点で十分に総点検をしていただいて、再び事故のないようにしていただきたい、こう思いますが、その点いかがにお考えでございますか。
  99. 山中貞則

    山中国務大臣 おっしゃるとおり二基同型のものがございましたので、直ちにその実情を報告するように命じましたところ、一基はたまたま定期点検中でございまして炉そのものは動いておりませんで、停止中でございました。いま一基は月一回の点検をやったばかりで、しかし、再度そういう心配はないかという意味の点検も行うということで、とりあえずその同じ型のもの二基を対象にやっております。
  100. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 大臣からじきじきお答えいただいたのですが、二基以外のものは国内産でございますけれども、恐らくウエスチングハウスという会社がつくったDB五〇型というのだと思いますが、これのパテントを借用して三菱がつくっておるものでございますか、その点どうなんですか。
  101. 松田泰

    ○松田政府委員 三菱がつくっておりますものは原理的にウエスチングハウスと非常によく似たものをつくっておることを承知しておりますが、パテントの関係は、申しわけありません、ちょっと後で調べたいと思います。
  102. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 これは大事なことですから、もう少し勉強をしておいていただきたいなと率直に思いますね。  それで、ある部品だけを三菱がつくってやっておるのか、あるいは全体のパテントを借りてそれに基づいて部分品だけやっているのか、その点がはっきりしませんとちょっと論議もできないのですけれども、恐らく私は部品を三菱が特別につくっている部分があると思いますけれども、全体から見るとウエスチングハウス社のパテントによってやられているのじゃないか、こう思います。  そこで、十一基のうち二基が直接アメリカから輸入されたものであるということですが、あと残された九基、これについては、大臣、やはり二基と同じように念には念を入れて点検をしていただきたいと思うのです。大臣おっしゃるように電力会社が自主的に検査をやるようになっておりますし、また、国の方では年一回義務として国が直接検査をするということになっておりまして、恐らく一基の方がいま検査中であった、もう一基はやったばかりだということでございますから、日本におきましては幸い今日までこの種の事故は起きておりませんのでわれわれも安心はしておるわけですけれども、何せ外国でああいうことが起きますと日本のはどうなるのだという心配をするわけでございますから、その点はぜひ全体について一度点検をしていただいて、事故が起きてからではどうにもならないわけでございますから、何ぼやったって事故が起きなければいいわけでありますので、そういう意味で、残された分についてもひとつぜひ再点検をしていただきたい、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  103. 山中貞則

    山中国務大臣 私も最初はそのように考えまして、まず原子力発電、そして原子炉というものは最も何が基本的に必要かといえば安全ということですね、物が物だけに。全部をやろうかということを指示しようとしたのですが、しかし逆に、付近の住民の方々はいろいろ安全説明なども受けたにしても、私を含めてなかなかそうよく専門的に理解して絶対大丈夫だという確信を持っている人ばかりでもないでしょうから、通産省が全国一斉に原子力発電機の点検を始めたということは、ある意味で国民に、少なくとも関係者、付近の人たちに心理的な無用の不安を与えやしないだろうかということを考えましたので、さしあたり同じ型のものは何基あるのだ、二基だ、それはどうなっているのかということで、さっき申し上げましたような答弁でやっておりますが、アメリカで事故があって、しかも自動制御のところの、最後は手動でいけるらしいのですが、一番大事なところの故障ですから、そうすると、また型も違いますし、全国一斉というのをやろうと思ってやめたのは、実はそういう私の判断でございます。しかし、先生のおっしゃる念には念を入れということは、原子力の場合に念の入れ過ぎというのはありませんですから、全国の原子力発電所関係の近くの人たちだけでも、通産省が一斉に点検を始めた、そういう意味の不安を生まないような手段を考えながら、結果的にはやはり安全面の一番大切な個所のことでございますから、全基を対象に検査はした方がいいし、しなければならない、そう思っております。
  104. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 ちょっと大臣、官僚から聞いたのだと思いますが、それは官僚的な発想じゃないですかね。やはりみんな新聞を読んでますよ。アメリカでああいう事故が起きた、日本の原子力発電所はどうなんだという心配をやはりみんなしていると思うのですよ。ですから、むしろ積極的にああいうことがないように日本政府としては念には念を入れてやっているのだということを理解してもらえば、ああこれはりっぱだということになる。石炭なんかの場合もそうでしょう。事故が起きて、われわれが絶対再び起こしてはいかぬ、そうしますと言っておきながら、日にちがたつと忘れられてしまって、また事故が起きたらあわてる、こういうことを繰り返しているわけであります。  しかも、私はいまさっきこのパテントはアメリカのものなのか、部品がどうなのかということに対しても、説明ができないじゃないですか。恐らく同種のものだと思いますから、これは大臣、勇断をもって全部に対して検査をするのが親切なやり方ですよ。大臣は経験も豊かですし、政治力も持っておるのですから、官僚さんの言うこともある程度は聞かなければならぬかもしれぬけれども、こういう点はもう大臣の決断でやった方が国民は喜ぶと思いますよ。
  105. 山中貞則

    山中国務大臣 長いつき合いをしている鈴木先生から、山中、おまえ役人の言うことを聞いてそういうことを言うのだろうとおっしゃるのですが、実は、はなはだ残念ながら私の決断なのでございます。しかし、点検を命じたことは、同型炉については申し上げたとおりでございますが、ほかのものもやはり安全部門については点検をしなければならないということは変わりません。  ただ、あのアメリカの事件があって一斉にそれとは違った型の炉まで全部、通産本省も含めて検査に出てきたということが、その姿によって心配されるのではなかろうか。だから、とりあえずはいまのアメリカの事故を起こした型だけで、その後、おっしゃるとおり全部の安全部門の点検、これはやらなければならぬ。私自身の判断でございます。ですから、どうも私も官僚的になったのかなと思って、実はちょっと反省をしたところなんですが、別な意味で政治的な配慮を加えたということでございます。
  106. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 私は、大臣は大先輩ですし、経験も豊かでございますから、大臣が政治的な御判断をなさったというのであれば、一応そういうことでやむを得ないと思いますが、ただ、むしろ国民の素朴な意見というのが案外当たるのですね。余り専門家が考えますと、かえって逆に出る場合もございますので、新聞を見て皆さんが言っておるのは、日本の原子力発電所は大丈夫なんだろうか、アメリカのはうまいぐあいに手動でできたからよかったけれども、そうでなかったら、これは原子炉でも出たということになると大変なことでございますから、スリーマイルアイランドの問題なんかもございますから、素朴な国民の不安にこたえてやるということ。  大臣おっしゃるように、原子力を平和的に利用することは私たちも賛成です。ただ、安全性だけが何としてもまだはっきりしておらない。そのために無用のトラブルが起き、また住民も不安を抱いて、原子力発電所をつくることになると反対運動が起きてくるというのが残念ですけれども、その点だけをもう少し、科学技術の研究開発をやっている科学技術庁もあるわけですから、わが国におきましても、世界の諸君と相提携しまして原子力の安全性について積極果敢に研究を加えて、そして国民の不安をなくし、これからなかなか、石油、石炭、その他太陽、いろんな新しいエネルギー資源の開発努力はいたしておりましても、原子力発電にまさるものは余りないと思います。  ですから、そういう意味において、私たちは安全性こそ一番心配なことでありますから、その辺に対しての配慮と、今後における研究開発というものを一刻も早くやっていただいて、そして、国民に安心していただく中で原子力発電というものが平和的に動いていく、そういうようにしたい、していただきたいと思っておるものですから、私も強くこの問題を取り上げてお願いしているわけです。  そういう私の意見もありますから、もう一遍考えていただいて、いまのところは大臣の御判断でそのようですから。そうかと言って、もしこの判断の中で、残されたところに万々一起きたということもこれはなきにしもあらずでございますから、そういう意味において、老婆心でありますが私は申し上げたわけですから、参考にしておいていただきたい、こう思います。  これは時間がありませんから、これでおきます。  次に、最近石油の原油が値上がり傾向を示しておるのでございますが、通産省として、先行きどの程度のところまで値下がりをして安定的な価格になっていくのか、そういう見通しはなかなか立てにくいと思うのですね、OPEC十三カ国の会議も七日ですか、開かれるということですから、むずかしいと思いますが、いま現在政府考えている見通しをもし発表できたら示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  107. 山中貞則

    山中国務大臣 これはもう、いまの時点ではきわめてむずかしいと申し上げるしかないのです。通産省として、これは私たちの力ではどうにもならないことがOPEC側のカルテルのほころびと申しますか、そういうもので結果的にもたらされた典型みたいなものである。したがって、欣喜雀躍などという受け取り方をするのも尚早に過ぎるし、冷静に、自分たちがそれに対する何の対抗措置も、あるいは促進とか何とか措置もできない、ただ決まったものを買わなければならぬ国なんだということを、それを土台にして先週一回、それで、きょうまたいまからやりますが、通産省の関係のない局長も全員、事務次官も官房長も集めまして、私を中心に全知能を結集して、この前途の暗い日本経済に一点の光明を点じるものを何かここで分析して国民に開示し、それを実行できないだろうかということでいまやっております。何しろまだ今週、もう終わるところですけれども、これは見通しが立たないし、いままでなかった現象としては、ロンドンのヤマニ石油相の何か自宅とかなんとか言われておりますが、そこに集まっておる人々の顔ぶれがいままでと違うのですね。OPECに入っていなかったメキシコ、インドネシアあたりも入っております。そうすると、そこらのところで入っていた国と入っていない国との立場コストの上で非常に違うわけでありますから、そこらが相互に助け合って、新しいOPECの戦略に石油カルテルにかわるようなものが何か生み出されるのか、あるいは八日に行われるやに伝えられております次のOPECの会合、ただしイランはまだ参加せぬということを言っておるやにこれも聞いておりますが、ここで果たして決められるものかどうか。しかしながら、いずれにしても三十ドルの下げどまりに成功するのかどうかというのがまた一つの見方だろうと思います。それから、それを仮に六ドルということに前提を置いて実現の可能性ということを考えると、それぐらいのものを一つのまた目安かな、さらに代替エネ、ことに石炭の代替のコストというものをデッドクロスするおそれのある価格は二十五ドルではあるまいか、そのようなところを念頭に置きながら、私の省の縦割りの行政を全部横に束ねまして、きょう午後結論を出したいと思いますが、これも実はまだ、いま言いましたように、来週ジュネーブですか、(鈴木(強)分科員「ロンドン」と呼ぶ)開こうとしている会議すらわからない。しかし作業は、決まったときにはこの計数に決まった、そうした場合には、GNPから始まってずっと為替レートその他全部、債務の問題とかいろいろなものを考えなければなりませんが、さしあたり日本産業はどのような新しい活力を生み出せるかという問題を、これまた週を私どもも越さなければならない、いかんともしがたい環境下にあると申し上げるしかございません。
  108. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 確かにいまの段階での質問とすれば、大臣のおっしゃるとおりだと私も思います。しかし、値下がり傾向にあることは事実でございますし、おっしゃるように三十ドル程度にいくのか、もっと二十五ドルくらいまでいくのか、需要供給等の問題もあるでしょうし、世界的な産油国が集まってぽつぽつ相談をし始めているということも大臣のおっしゃるとおりだと私は思うのでございます。それで、日本経済に与える影響というのは、少なくとも円高になり、あるいはその石油の原油が下がってまいりますれば石油製品も当然値下がりをしていく。したがって、プラスに動くということは私は間違いないと思うのでございます。  値下がりの原因というのが需要供給のバランスがある程度合ってきたということだと思うのですけれども日本の場合はいま備蓄として用意してありますのは国と民間と合わせて何日分ぐらいで、どのぐらいの量か。と同時に、ここ二、三年来一年間に消費する石油の量というものはどういうふうになっているのか。横ばいなのか、あるいは若干伸びているのか。使用量、そういうものがわかっておりましたらちょっと示していただけますか。
  109. 豊島格

    ○豊島政府委員 五十八年の一月現在、民間備蓄は原油が三千三百十四万キロリットル、それから製品、半製品が二千五百八万キロリットルで、大体五千六百五十六キロリットルでございました。これは使用量に対しまして九十六・七日分ということです。それから、国家備蓄は、これは全部原油でいたしておりまして、千二百五十万キロリットルでございますが、製品に換算いたしますと、千百八十八万キロリットル、これは大体二十・三日分、合計百十七日分でございます。  それから、石油の消費はどうなっているかということでございますが、五十五年以来非常に減っておりまして、五十五年は大体一〇%ぐらい、五十六年は大体七%、昨年は大体当初四%ぐらいという予想をしたのですが、実際は七%を超えるというような減少を示しております。大体それが石油の需要の動向でございます。
  110. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 この減少している理由というのは、石油を使わなくなったことは事実ですが、しかし、それに代替すべき石炭とかソーラーとかいろいろな新しい資源開発がなされておりますから、そういう方向に移行したのであって、総体的に日本が使っているエネルギーというものはどうなんですか。やはりかなり伸びているのじゃないですか。そういう統計ありますか。
  111. 豊島格

    ○豊島政府委員 一応資料を見ればございますが、エネルギーの消費は減っておるということは事実でございます。その中で、半分いわゆる省エネである。それから半分がいわゆる代エネということで、代エネの一番大きなのは石炭でございまして、これは電力以外に鉄鋼、セメントがそうであります。それからその次が原子力、LNG、これがほとんどの代エネの主流でございます。省エネと代エネは大体半々でございます。  五十五年の対前年比のエネルギー量は三・四%減っています。それから対五十六年度は二・八%減っている。これが総エネルギー量の減少でございます。パーセンテージで申しました。
  112. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 石油の原油価格がどこまでいくのか、ちょっとまだわからない段階でございますから非常に質問がしにくいのでございますけれども、きのう私はNHKのニュースを見ておりましたら、たとえば三十ドルになった場合、消費者物価に与える寄与率というのは〇・六%、要するに消費者物価は〇・六下がる、こういう統計が出ているわけですね。それから、国際収支の貿易収支の場合で、経常収支で見ると約六十億ぐらいふえる。  それから、もし二十五ドルになった場合には、消費者物価は一・五%下がるだろう。それから経常収支については百二十六億というような数字をちょっと拝見しまして、ここに記録をしてきたのでございます。  また、一バレル当たり一ドル下がると大体一千億ぐらいの利ざやが出る、一バレル四ドル下がれば四千億の利益が出るというような数字もちょっと拝見しまして、下がることは日本経済に非常によいことだというようなことを率直に感じたのです。  そこで、きょうは経済企画庁長官にはおいでいただかなかったのですが、実はけさの新聞を見ますと、皆さん御承知のように日銀が二月の企業短期経済観測調査というものをしまして、例年のことでありますが、その結果を発表しております。それを見ると、輸出、内需の停滞を背景に企業の業況判断の方は非常に悪い水準を横ばいしている。一口に言えば景気は低迷ということになるが、企業マインドはまだそう大きく崩れていないし、景気底割れはないと見ていますね。そしてこの調査後に、これは調査中にも若干あったと思いますが、景気回復にプラスとなる石油の値下げの動きが出ていることから、金融政策を含む景気対策をやらなければならない状況ではないとして、公定歩合の引き下げの必要を否定しているわけですね。  ところが、きのう塩崎経済企画庁長官が本院の物特委で、金利を下げなければいまの景気の回復の決め手にならない、したがって、金利の引き下げが景気浮揚を図ることになるのでこれがいま一番大切だ、こう述べて、公定歩合の引き下げをすべきだ、こう言っているわけです。これは日銀の見解とは全く違うわけであります。経済企画庁の方からもちょっとその点——どういうのか、行き違いがあるでしょう。経済に対する見方が日銀と政府の方で違っているわけです。それは違うこともあるでしょう。けれども、どうもちょっとそぐわないような気がするものですから、特にこの際伺っておきたいと思います。
  113. 山中貞則

    山中国務大臣 おしゃべり大臣の私より塩崎長官はこのごろおしゃべりが過ぎるようでございまして、私たちも願望としては景気刺激の条件が幾つかあります。当然公定歩合を引き下げるべきだというのはずっと念頭には持っていますが、言葉に出して言えないのは、物価は落ちついていますけれども、どうもレートがこの四、五カ月何とも理解がつかない動きをしているわけです。ですから、日銀総裁ともお会いしておりますが、しばらく日銀の御判断、相談するところを挙げれば大蔵ということになりましょうが、それを尊重して、私どもはとやかく言わない。不可思議な動きをしているレートが理論的に考えてどのあたりで落ちつきを見せるのか。しかし、これがいつまでもほっておかれていいという環境ではない。アメリカの金利あたりも物価とともに鎮静化しつつありますし、そこらのところで大変判断に苦しんでおります。この点は、経済企画庁長官は数字の上の計算をいたしますからそうでありましょうが、血の出る経済というものを預かっている私にとって、願望はありますが、そのことをいまのところ口にし得ない状態であるということでございます。
  114. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それで、いま大臣がおっしゃった為替レートのことですけれども、確かに一時から見ますと、かなり円高になってきていることは事実です。これがどこまで行くかはわかりませんが、一方では、石油の問題も当然連鎖反応として考えているでしょうけれども、消費者の側から見ると、たとえば電力料金を下げてほしいという意見ももう出ておりますね。それからガス料金も下げてほしいということも出ております。  私、実はこの前の円高差益のときにたまたま衆議院の物特の委員長をしておりまして、電気関係の連合会の平岩会長、東電の社長ですね、それからガスの方の安西会長においでいただいていろいろ話した結果、六カ月にわたって、わずかでしたけれども、還元してもらいました。これは企業努力でなしに為替レートの関係からもうけたものでありますから、この際はひとつお返しいただいたらどうですか。そのかわり、電力需要というのはこれからふえていくわけですから、それを供給するためにはさらにさらにその設備投資をしなきゃならなくなるでしょう、ですからそういうときにはやはり消費者も協力していくという姿勢がなければいけないので、私はそういうことも大胆に申しました。そして、この際はとにかくお返しください、そしてまたそういうときには国民全体、消費者全体が協力していくというような心構えでいくことについて、私はやはりそういう考え方を持ってやりますというようなことも申し上げました。  その結果ああいうことができたのですけれども、さまざまな原油が下がるとかレートが上がっていくということになりますと、国民の側から見るとそうなるわけでしょうし、またこのことが日本経済に占められた三・四%の経済実質成長見通しを変えるとかなんとかという論議はとてもできない段階でございますけれども、そういう国民が日本経済にいい影響を与えるだろうということは考えておりますし、また事実でありますから、そういう上に立ってこれから適切な政策を出していただいて、国民の期待にも沿うような考え方を根本的に持っていただいて、通産行政をひとつ大臣やっていただきたいと思います。  きょうは経企庁長官おりませんので、若干いまおっしゃったような考え方があるでしょう、あなたの心の中にあっても言えないというその心境もよくわかります。しかし、言葉に出てしまいますと、やはりああいうような問題が、食い違いが出てくるわけですから、日銀は日銀として専門的に少なくとも研究をしておられるわけですから、そういう意見を尊重していくということは、大臣おっしゃるとおりに私は当然だと思います。ですから、そういう食い違いみたいなものが出ないように、今後ひとつ閣内においてもきちっとしておいていただきたい、こういうことをお願いし、もし意見があったら発言してもらって終わります。
  115. 山中貞則

    山中国務大臣 私どもは個人的には潤ちゃんなどと言っておりますが、少し口を慎んだらどうだなんて二人では言っているのですが、経済企画庁長官は長官として純理論的にこういうことがあればこうなる、こういうことが望ましいということは言っていいと思うのです。しかし、私の場合は実務をそれによって動かしていくわけですから、望ましい方向というものは願望的に持っておりますけれども、口に出して言うと、それが正常な判断を狂わせることにもなりかねないと思って、むしろ慎重に構えておりますが、経企庁長官と私との立場の違いでもありましょうが、余り食い違いの大きな発言にならぬようには調整をしていきたいと思います。
  116. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 時間がありませんから終わります。どうもありがとうございました。
  117. 今井勇

    今井主査 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、川俣健二郎君。
  118. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 私は四つばかり質問したいのですが、一つは例のテクノポリス、いわば国内企業の分散といいますか、それ以外の意味もあるのだろうが。二つ目は、国内企業の分散にかわって国際的な企業分散というか、世界最大自動車メーカーのゼネラルモーターがトヨタに企業誘致を呼びかけてきたという問題。三つ目は、ローカルエネルギーと言われる地熱エネルギーにどう通産省は対処しているだろうか、するつもりだろうか。四つ目は、環境問題で、この委員会にはなじまないかもしれませんが、締めくくり総括の予備知識を得るために、けさほど退役になったアメリカの原子力潜水艦、どこかに捨てねばならぬのだが、どこに捨てるかという問題になると、これは一アメリカだけではなくて、海洋環境、海洋汚染、大気汚染等いろいろあると思うので、この四番目の問題は、科学技術庁、環境庁、みんな呼んでおったと思うのだが、陣容を整えておいてください。三十分で終わりますから。  それでは、テクノポリス担当局長の立地公害局長がおられますから、いまの段階でどの程度にまで進んでおるかということと、かなり詰まったと思います、近く法案提出になる準備だと思いますから、その辺をまず担当局長にちょっと聞かしてもらいたいと思います。
  119. 福原元一

    福原政府委員 テクノポリス法案につきましては、今度の国会で提出いたすべく、現在、関係省庁数多くございますので、協議中という段階でございます。なるべく早い機会に提出をして御審議をいただきたい、かように考えております。
  120. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 差し支えなければ少し内容を聞かしてくれませんか。
  121. 福原元一

    福原政府委員 テクノポリス構想と申しますのは、産業構造の高度化に対応いたしまして、地域産業技術先端化、それから技術先端産業の立地を促進するということによりまして、地域経済の健全な発展を図るということを目的といたすものでございまして、現在十九の地域開発構想を策定しておる段階でございます。  通産省といたしましては、各地域のテクノポリスの建設構想の取り組みに対しまして積極的に支援をしてまいりたい、このように考えておるわけでございますが、五十八年度以降、産学官の連携による中堅中小企業技術開発促進、あるいは債務保証、低利融資等によりますベンチャービジネスの育成、あるいは立地条件の整備、技術先端産業を担う人材の養成、このようなものをてこといたしまして、技術先端産業のテクノポリス地域への促進を図ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  122. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 関係官庁はどういうところが入っていますか。
  123. 福原元一

    福原政府委員 関係官庁は、建設省、国土庁、もちろん自治省、大蔵省当然でございますが、そのほか農水省、運輸省、文部省等々がございます。
  124. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 いまの関係官庁と一緒に検討しておるわけですか。
  125. 福原元一

    福原政府委員 現在折衝中でございます。
  126. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 折衝中というのは、やろうじゃないかというのじゃなくて、内容を詰めているわけですか、各官庁と。
  127. 福原元一

    福原政府委員 そのとおりでございます。
  128. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 私の後段の質問はどうですか。というのは、こういうのをやろうではないかという段階ではなくて、内容をほとんど詰め終わったわけですか。
  129. 福原元一

    福原政府委員 一部の省庁につきましては、やろうという方向で詰めておりますし、一部の省庁につきましては、われわれの構想を説明し、その意見を求めているという段階でございます。
  130. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 まあ具体的に法案を出す段階となれば、差し支えもあるもないもないのだろうから、どういうところが難色を示している官庁なのですか。
  131. 福原元一

    福原政府委員 この構想は、従来の地域開発構想と若干趣を異にいたしますので、その辺の従来の地域開発構想との考え方のすり合わせというところが中心になろうかと思います。
  132. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 法案を出すに当たって、反対というのじゃなくて、特に難色というか、もう少し詰め終わらないところの官庁はどこなのです。
  133. 山中貞則

    山中国務大臣 まああんまりそこらほじくり返さぬで、法律が間もなくでき上がってまいりますから。途中経過をいろいろ言うと、かえってできるものもこじれたりしますので、矛をおさめていただけませんか。
  134. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 大臣が出てこられたので……。  大臣、これは非常に大事な法案、大事なことだと思うのですが、かつて列島改造論、一億人が全部不動産屋になろうという機運だったし、定住構想、これは選挙用だなと思って大平さんのあれを見ておったのだが、余り実らなかった。今度のテクノポリス、この構想は非常に大事というか、地方自治体は非常にこれに期待をかけておりますから、大臣の方はどうか知らぬが、私の方と同じだと思うが、やはり首都と離れておる過疎地域というか地方は、非常にテクノポリス振興法、特に指定という問題で自治体挙げて期待をしておるわけですから、ある県では大きな飛行場までつくってお待ちしているというような感じでございまして、これならいいな、特に実行力のある通産大臣が座った、この大臣以外にはできないよ、この問題は。こういうことで非常に期待されておるわけですが、ただ期待、期待で十九地域全部指定するわけじゃないだろう、予算絡みなどもあっていろいろとあるんだろうが、それから、指定するとすればいつごろなのか。来年は幾つぐらい十九地域のうちで、あるものなのか、その辺。  これは私はどっちへ質問したらいいかな。局長質問すると大臣がとめたりする。どっちでもいいです。
  135. 福原元一

    福原政府委員 本構想は地方の、地域の自主的な努力というものを一番重視しております。その地方の自主的努力の進みぐあいといいますか、現在申し上げました開発構想、これが具体的に示されるものだと思いますが、これの進み方、そのフィージビリティーというようなものを、開発構想ができ上がった段階で拝見させていただきまして考えてまいりたい、このように思っております。
  136. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 そうすると、簡単に言うと受け入れ体制をまじめにやっている順番から指定する。土地もあげておるし、ぼつぼつ先行的に誘致工場も近くあるし、かっこうの場所もあるし飛行場もあるし、こういったところから順次に指定していこうと思っている、こういうことでいいですか。
  137. 福原元一

    福原政府委員 おっしゃるように、ハードウエアと申しますか、いわゆる従来のそういう工業用地であるとか港湾であるとか道路であるとかというようなものは、地域の自主努力にできるだけおまちをする。そこへ人材養成、いわゆる先端技術中心といたします地域への技術の向上に関するソフト面と申しますか、人材の育成であるとかあるいは研究機関の設置であるとかというような面において国としては支援を与えてまいりたいという、そういう考えでございます。
  138. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 いつごろ指定になるのですか。
  139. 福原元一

    福原政府委員 これは法案の御審議の経過を踏まえまして、法案を成立させていただきましたならばその手続を踏みましてやりますが、各地域は五十七年度中に一応めどといたしまして開発構想を策定中でございますので、五十八年度に入りましてその開発構想ができ上がりまして、それを拝見してその後ということになろうかと思います。
  140. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 そうすると大体いつごろですか、その後というのは。
  141. 福原元一

    福原政府委員 五十八年度半ば過ぎから年度末にかけてではなかろうかと思っております。
  142. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 これはいろいろな面から検討しなければならぬだろうが、そうなると、研究開発機能の充足ということをいま局長がおっしゃった中で、三地域を挙げておりますが、宮崎地域共同研究開発センター、国分・隼人地域——鹿児島県ですね、秋田地域工業技術センター等が三つ、固有名詞的に挙がっておるが、この辺が順番というか順位というか、そういったところと思っていいんですか。
  143. 福原元一

    福原政府委員 そういう研究開発機能の整備におきまして比較的進んでおるというところは、先生おっしゃいましたようなところが例示されるわけでございまして、秋田の場合には秋田大学の鉱山学部であるとか県立脳血管研究センターであるとか、さらに民間といたしましては同和鉱業の半導体材料研究所というようなものは、テクノポリスを進めていく上に非常に有力な材料になるのではないかと考えております。
  144. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 大臣、それじゃ最後ですが、これに対して大臣は非常に期待されているという話をしましたが、その辺の抱負というか決意のほどというか、これは非常に企業分散、それから地方の過疎化対策、それから土地の国内の有効利用、人口問題、それからさらに、一方で行われておる農業の減反政策による中規模農家の育成強化、十軒のうち七軒ぐらいの農家は要らなくなるわけですから、そうなるとどうすればいいかという雇用対策、労働力問題等がありまして、この辺で大臣のさらなる構想、決意のほどをお示し願えればありがたいのですが……。
  145. 山中貞則

    山中国務大臣 正直申しまして、私はこのテクノポリス構想というのを法案にできるだろうかという疑問を最初持ちました。しかし、年末の予算税制、金融、財政上の一応の必要なものは約束できましたので、そこで法案にしてきちんとした形でやった方がいいという御意見が強いこと、それから知事さん方は法案よりも実をかもしれませんけれども、やっぱり法で格づけされたものによって指定してほしいというお感じのようであります。  そこで私は、通産省というものの姿をいままで外から見ておって、通産省というのは、いわゆる中小企業も含めた業界というものとの当然のことですが関係する役所であり、このごろは国際経済摩擦の真っ先に受け身の立場の、あるいは打開する立場の役所である。しかし個々の地域、国内の地方自治体の区域とか地域について通産の行政というような形がいままで手を伸ばしたと地方から受け取られた例があっただろうか。新産都市、ないでもないですね。工業再配置とか、ないでもないですが、やはり通産省というのは、この際一つ一つ企業に対する税とか金融等も、中小企業対策とかなんとかいろいろあってもいいが、日本列島全体をながめながら通産行政が地方に手を差し伸べていって、ともに通産省と汗を流す、そしてそこに新しい先端産業の普及効果が出て、地域全体がかつて想像もしなかったような姿の成長期に、成長期といいますか脱皮をする、そういうことに役に立つならば、では、いろいろ関係省庁もあろうが、法律としてたえ得るものということで立法に際してゴーサインを出したという経過がございまして、消極的じゃなかったのです。これを法律にするのにはやはり意義がきちっとしていなければいかぬ。そしていまおっしゃるように、地方のそれぞれの地域によって願望がございますが、その地方の願望に現実に沿ったもので、しかも、それから未来への道を歩いていくものがそこに展開されていかなければいかぬということを条件として考えた結果、よし、これならたえられるということで、したわけです。  これからの指定の問題等は、関係のないところでたとえば四国四県を例に挙げますと、各県が全部手を挙げておるとかいろいろございますので、客観的に物差しをきちっと当てて、そしてその物差しで指定していくしかなかろう。しかしこれは、後になった先になったということで文句をつけるのではなくて、なるべく早い順番になるように整備を努力してもらう、条件を整えてもらう、そういうことを考えてもらって、最終的にできれば私どもも、財政上の都合もあったとしても、手を挙げておられるところについては全部指定してあげられたらなという願望を持っておるということであります。
  146. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 決意のほどを伺ったのでこの辺で終わるのですが、さて法案を出すということになり通産省が窓口になってやるということになると、かなりの官庁に行き渡る問題があるわけです、いま局長がおっしゃったように。大臣は余りほじくり出すなよと言うが、ほじくり出すつもりで言ったのではなくて、やはり調整に大変に汗を流さなければならぬと思いますから、立法機関としてはいまのところは静かに見守っておりますから、どうか勇断を持って、決断するときには決断する。閣僚会議の決意が待たれると思うのですが、ぜひいまの決意のほどで指定していただきたいと思います。この問題はこれで終わります。  それから、同じ企業分散というか誘致というか、そうなると、このように一つ取り上げましても、もう農業問題、土地問題、人口問題、過疎過密、その他いろいろとありますが、これがもしも国内で労働力確保という意味で立っておる企業が世界に進出していったらどうだろうかということを考えますときに、ミシガン州のフリント市に、ゼネラル・モーターが、トヨタさんいらしてください、こういうところから始まったことなんだろうと思うのですが、その件は現段階ではどうなっておるのだろうか、事務当局からちょっと……。
  147. 山中貞則

    山中国務大臣 実はこの問題は、東京新聞の上下連載だったと思います、それから毎日でしたか、いずれにしても新聞報道によって、そのフリント市の市長さん以下労働組合の方も含めて、市民からどのようなことで送られてきたかという、パーティーのありさま、あるいはそれを市民ぐるみ、日本の失業輸出なんという短絡的な考えはやめよう、むしろ日本企業でわれわれのところに来てもらうものを探しに行こうじゃないかという、まことにその市にとってみると、私どもから見ても失業率がそんなにひどいのかなという、それに対する市民の祈りに似た、しかも身銭をみんなが出し合って旅費にしてくれと集めた使節団一行、調査団一行であると知りましたので、私の方ではふだん、そういう州知事段階とか市の段階とかの方々とお会いすることは、暇もありませんし前例もないのですが、特別にフリント市の皆さんだけは通産大臣室に来ていただきまして、その背景等をいろいろと伺い、私どもの関係の局長も列席いたしまして、最大限の御加勢を申し上げなければならぬということで、向こうも思いがけないことであったということです。  ただ内容について、私もいまおっしゃったような自動車関連産業を、GMゆかりの地だからということで、こっちが短絡しちゃっていたのです。ところが、向こうの方々の市長さん以下の御意見を聞くと、いや自動車関連産業ではだめなんで、ほかの日本のどんな小さなものでもいいから雇用に貢献してもらいたいという、そういう願望であることをその場所で知りまして、そのつもりで、じゃいろいろな機械メーカーとかそういうところをあっせんしてあげなさいということで、まだ日本にいらっしゃるのではないかと思いますが、通産省の方もこれは本当の特例として、フリント市だけはこのまま手ぶらでお帰ししてはいかぬなという気持ちで加勢しておるわけでございます。
  148. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 これは東京新聞だけでない。私いま毎日をお借りしているのだが、かんばん方式というのはその辺なのかなと思うのだが、ゼネラル・モーター社のビュイック工場がアメリカ自動車メーカーとして初めて導入することを明らかにした、こういう報道ですから。その件ですが、これは閣僚レベル、たとえばこの間ブロック通商代表などが来たり、きわめてなごやかにユニフォームを着られた場面もありましたが、何らかの話がありましたか。これはミシガン州フリント市です。その件もう少し聞かしてください。
  149. 山中貞則

    山中国務大臣 これはアメリカの国内問題としては、閣僚レベルなどに持ち出す問題には全くなっておりません。ただ、トヨタとGMの合併について、私は別の立場からの勉強もしておりますので、アメリカ独禁法の対象になるような可能性もなしとしないので、何しろ世界のトップと第二位の日本のトップとが合併というような形で合弁工場をやるわけでありますから、そこら辺のところはブロック代表に私から、しかるべき政府の配慮を頼むよということは言ってありますが、このフリント市の問題は全く、州知事も関係ないと言っていいくらい中央政府と関係なく、フリント市自体の市民ぐるみの対話、市民ぐるみの、そうしようじゃないか、日本を憎むなんということよりか、日本自分たちが行って、日本に来てもらおうじゃないか。極端に言うとこういうことを言われました。企業が出て行ったら、そのかわり皆さん、市民でかわいがってくださいねとお願いしたら、かわいがってくださいという通訳はどうだったのかちょっとわかりませんでしたが、いや日本から五十名の人が来られる、そうすると地元でも少なくとも五十名以上の雇用がまたあるだろう、それだけで自分たちは——日本の人たちが来て企業を管理運営する、そんなことはもう全然問題にしておりません。私たちの五十名の市民がそこに就職できる機会ができたのだということで大歓迎ですという、まことにいじらしいような悲痛な叫びと私は受け取ったわけです。
  150. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 私もそう思うのです。労働省も来ておりますが、これは、いま独禁法等の話も出たが、ただ法律に抵触しなければ企業間同士だからいいんじゃないかという考え方もあろうが、やはり外交上の問題にもなるし、国内政治の大きな問題に発展していくのではないだろうか。たとえば、例ではないが、終戦後、農村地帯に非常に工場が誘致された。工場が誘致されたと言ったって、縫製工場や弱電機工場等が非常に多いわけですが、これらを見ると、安手間を求めて農村の母さん方を使おう、こういうねらいの工場が非常に多いのでございますが、それから推していきまして、もしも日本の国の企業でじゃんじゃんこれが流行してしまった場合に、大量化した場合に、これは当然雇用喪失の問題になるなというように私は感じました。確かにいま大臣がおっしゃるように、日本の失業率には比べものにならない大変深刻なアメリカの失業率であるということはわかるにしても、日本の場合も、さっき一例を申し上げました、十軒のうち五、六軒は田畑を離さなければならないということになれば、当然そこに雇用問題が来る。これから行革をやっていくと、何だかんだ言うても、いまの働いている生首は切らないにしても、やはり公務員の定員はどんどん減っていく、新採用は国鉄ばかりではなくて、しない。そうなっていきますと、片や当然働けるはずのトヨタの工場が、簡単に言えばアメリカに引っ越してしまったという場面も出てくると思うのでございますが、その原因は、やはり関係はあると思うのだが、きょうは労働省の管轄の委員会ではないが、担当官、その程度はどうですか。聞かしてもらえますか。
  151. 稲葉哲

    稲葉説明員 海外投資と雇用との関係につきましては、その投資の動機とか規模あるいは投資対象の産業等によりまして大変異なるというふうに考えておりますが、一般的に申し上げますと、まず貿易摩擦の解消とか世界経済活性化等によりまして国際経済関係には寄与すると一つ考えられます。また、生産設備や部品あるいは原材料等の輸出が拡大するということも考えられます。またさらには、海外市場の新規開拓やその拡大に資するというようなことが考えられますが、そういうことによりまして、わが国の雇用の維持拡大に貢献する面が考えられるかと思います。  ただ他方、このような問題が従来、輸出されておりました製品の国内での生産の減少に結びつくということになりますと、関連の下請企業等も含めまして雇用面に影響が生ずるということも考えられるわけでございます。私どもがこれまで日本労働協会に委託して行った調査研究によりますと、対外投資が国内雇用に問題をもたらしているという指摘はございませんが、労働省といたしましては、今後ともこのような問題が国内雇用に及ぼす影響につきまして、さらに研究を進めるとともに、関係者間の意思の疎通を図ってまいりたいと考えております。
  152. 川俣健二郎

    ○川俣分科員 時間になりましたので、あとの問題はできないのですが、労働省の事務当局のそういうお話ですけれども、これは余り貿易摩擦等に発展させぬでもいいから、それは通産大臣考えるだろうが、労働大臣としてこういう問題に対して心配していく必要もあるだろうと思うので、私から別の場で質問したいと思うのです。これはよほど慎重に構えていかないと、企業同士だから、自由経済だから、法律に触れないからしようがないじゃないか、これでは済まされない問題に発展していくというふうに思うので、そこだけを申し上げて終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  153. 今井勇

    今井主査 これにて川俣健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  154. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 時間が三十分しかありませんから、問題をしぼって、対米武器供与とココムの関係についてお伺いをいたします。  新聞の報道するところによると、昨年十一月二十七日、山中通産相は読売新聞社との会見の中で、日米軍事技術交流問題に関連して、以下のようなことが言われたと掲載をされております。  その内容は、「石川島播磨重工が、ソ連向けに空母改修用の浮きドックを輸出したことがあるが、それをとめなかった当時の担当閣僚たちは問題だ。アメリカからみたら、クレージーだ。プラント輸出と称していたが、動く飛行機のようなもので、それを(共産圏に)輸出したものは国賊である」と、記事では激しく非難をされておるようである。それから、日米軍事技術協力の具体的あり方では、「日本技術を要求しているのが、アメリカの軍なのか、民間会社なのか、日本の何が欲しいのか、それをアメリカが使ったらどうなるのか、などの点の詰めが甘い」したがって、まだその段階では結論を出すのは検討が不十分であるということになっております。それは間違いありませんか。
  155. 山中貞則

    山中国務大臣 一つだけ表現の点で、「動く飛行機」と言われたのですが、動く飛行場というつもりで言いました。
  156. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、私は二日の予算委員会で、例の武器技術供与を決定をいたしました一月十四日の閣議で、通産大臣日本企業を守るという一つの大きな任務があるので、意見具申が、何か一言あったのではないか、そう聞きましたら、賛成だから一言も言わなかったというお答えでしたけれども、先ほど申し上げた、昨年の十一月二十七日に述べられたような考えが背景にあって、自分は賛成だからということなんでしょうかね。
  157. 山中貞則

    山中国務大臣 それはちょっと違います。  対米武器技術輸出を例外的な、安保を前提としての話でありますが、取り扱いとしようといった協議の中で、非常に細かく、向こうは何を要求しているかわかりませんし、またそれも答えてくれませんし、防衛庁に聞いても、いまだかつて個別品目とか、示唆とか受けたことがないという漠然とした話で、それに対する姿勢を、互換性を求めているだけであるということでありましたが、それにしても、わが国はそれに対して限度がある。  たとえば、私は答弁もいたしておりますが、武器技術の終結点が、ある形においては武器という形になるかもしれない。しかし、それは武器製造への入り口であるが、そこのところでとまって、アメリカの方へ渡してしまうのだというところを終点だと申しました。ところが、きのう外務省の北米局長ですか、その答弁で、将来、理論的には武器そのものの輸出もあり得るという答弁を聞きまして、私はこれは詰めに詰めた問題の逸脱である。理論的であっても、そのような武器そのものの輸出は、これは通産大臣としてでもそうでありますが、私は一政治家として、私自身の信念がございます、自分たちの子や孫のためにいまどのようなことをしておかなければならないか、してはならないか。その意味で幾ら条約上の解釈の論理的な問題であるといっても、武器そのものを輸出する可能性を否定しないということは、申し合わせに反するものでありますので、直ちに本朝、外務省と取りまとめをいたしました官房の方に連絡をして、いかなることがあっても承知できない、そのことは論理的な仮説であっても、私は承知しない。したがって、武器の輸出は、いかなる形であっても、将来とも絶対にしないということをやらない限り承知しないと、激しいけんまくで申し入れております。このことは私は貫徹するつもりですし、自分の政治家としての所信を貫くためにすべての力を振りしぼってでも、私たちの子や孫に思いがけぬ、渡してはならないものを残してしまうことは絶対にしない。日本は武器は輸出しないのだ、人を殺傷するようなものは輸出しない国家として今後とも生き抜いていくのだという決意をぐらつかせるような、論理であっても将来の推測であっても、そのことは許されてはならない。厳しい信念を持ってここで公式にそのようなことはさせないということをはっきり申し上げておきます。
  158. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 さすが次に私が触れたいところを先取りしてやられましたが、非常に明確なお考えで、私も心から支持します。  外務省の方に言われたと申されますが、外務省は通産大臣のその見解に対してどういう対応を示されましたか。
  159. 加藤良三

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  昨日の北米局長の答弁というものは、結局今回の政府の決定、これは武器技術の供与に道を開いたものであるということでございまして、武器の方は全く検討の対象になっていない、武器については引き続き武器輸出三原則の対象である、こういう趣旨のことを実は述べたのでございます。
  160. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ちょっとあなた……(山中国務大臣「ちょっとおかしいじゃないか、その答弁は」と呼ぶ)おかしいじゃないの、私もそう思うのですよ。いまのあれは通産大臣に対して外務省としてそう申されたのですか。きのうのことの説明をやっているのですか。どっちです。
  161. 加藤良三

    ○加藤説明員 ただいま私、昨日の北米局長の答弁というもの、これがなされた趣旨というものを一言説明させていただいたつもりでございます。
  162. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私はそういう説明は求めておらぬのだよ、三十分しかないのだから。通産大臣のいまの見解を外務省に示されたわけでしょう。外務省はどう答えられたかと。きのうのことを聞いているのじゃないのですよ、あなた。
  163. 加藤良三

    ○加藤説明員 外務省の方からも説明させていただきましたのは、今回の政府の決定、これは武器技術の供与を実効あらしめるための必要な物品の輸出について、それが武器に該当するものであっても技術の供与と同様の扱いとする。しかし、右以外の武器の輸出につきましては、これ以外の武器の輸出につきましては、従来どおり武器輸出三原則及び昭和五十一年の政府方針に基づいて対処する、こういう外務省の考えである、この外務省の考えというのは変わっていないということをお伝えしたわけでございます。
  164. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それは通産大臣にお伝えされたわけですか。通産大臣、しかと間違いございませんでしたかね、大事なところですから。
  165. 山中貞則

    山中国務大臣 楢崎委員の質問は、私が本朝に申し入れたことについて、外務省は私にどういう返事をしたかということを聞いておられるので、私にもその答弁は、私も聞かせてもらっておるつもりで、きのうのことを聞いているのじゃない。でなければ、けさ、あんな報道がなされるわけがない。そこに微妙な含みを残したり、純論理的に言えば、その延長線上には武器そのものの技術もあり得るというようなことを含みを持たせたような答弁をしたのであるとすれば、それは絶対に許さないし、取り消せ、公開の場において取り消せとまで言ってある。それでなければ承知しないということは言ってあるけれども、そのことに対する私への回答は、それならばその回答は回答として受け取らない。
  166. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 非常に問題が明白になりましたね。昨日の私に対する外務省の答弁は、確かに通産大臣も疑問を抱くように、私も全くそのとおり受け取ったのですよ。だから、あなたは何ですか、課長さんですか。外務大臣にかわって、しかと山中通産大臣のおっしゃるとおりですと責任を持って答弁できますか。
  167. 加藤良三

    ○加藤説明員 私どもの方から説明をさせていただきましたことは、要するに、将来仮に何か要請というものがありましたときに、一般論といたしまして、全くの一般論といたしましてそれは検討の余地があるということを北米局長が申し上げましたけれども、しかしながら、それはその検討の結果が前向きであるということを意味したものでは全くございませんで、その点につきましては武器につき引き続き武器輸出三原則等の対象になるということを申したものであるということは説明をさせていただきました。
  168. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 委員長、ぜひ速記録を取り寄せてください。あんなことを言ってないんだ、きのう。一般論として私は聞いているのじゃないですよ。あのときは、MDAの中に装備というものが入っている、武器は装備に当たる、それでMDAでこれはやれると答弁した。しかし、いまのところアメリカからは武器技術の供与しか申し入れを受けていないから対応した。武器の輸出の要請が新しくあれば、その段階で政策問題として考える、こう答弁したのですよ。どこから言ってもそうなんだ。武器の場合は三原則でだめですなんて絶対言ってないんだ。だめですよ、そういうことを言ったら。
  169. 今井勇

    今井主査 速記をとめて。     〔速記中止〕
  170. 今井勇

    今井主査 速記を起こして。  山中通産大臣
  171. 山中貞則

    山中国務大臣 楢崎さん、私これは政治生命をかけて貫きますから、したがって、あなたも持ち時間を食うだけですから……。  外務省の方は、いずれ調整を私がいたします。聞かなかった場合は、自分の職を賭してやります。総理に対しては、ちゃんと武器はやらないということを前提に、共同生産もしないという言明もしてもらっているわけでありますから、そこを理論的にとか、将来要請された場合はとか、どんな前置きがあっても、日本は人を殺傷するための武器を輸出する国には絶対にしてはいけないし、ならない、それには絶対に例外はない、これは私の政治信念でございます。  どうぞ質問を続けてください。
  172. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、いまの空白の時間は後でプラスしてもらうとして、来られるまで質問を続けたいと思います。いまのはちょっと一応別にいたしまして、ただいまの通産大臣考えは全く私どもと共通の認識でありまして、これを支持し、ぜひその点で通産大臣にはがんばっていただきたいと思います。では、保留をいたしまして先に進みます。  対共産圏への汎用技術輸出についてでありますけれども、二月十九日の予算委員会で、坂井委員の質問に対してこう大臣は答えられております。「ココムに関与するものであると明確であれば、それは拒否せざるを得ない」、こう言われた。間違いありませんか。
  173. 山中貞則

    山中国務大臣 そのとおり答弁しております。
  174. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そこで、ココムの再検討の問題であります。現在のところ、ココムの参加国はNATOの加盟国を除きますと日本だけであります。御案内のとおり、ココムは集団自衛的性格の強い軍事機構である、これはもう明らかであります。ココムの再検討につきましては、過去鳩山外務大臣それから園田外務大臣、それぞれが再検討を進めると約束をされております。この点は、たとえば五十三年六月十四日、外務委員会において渡辺委員の質問はこうなっております。「ココムができたのは一九四九年、そしてそのときは冷戦のときでございました。日本が入ったのは一九五二年。二十五年たっております。それを二十五年前の情勢と同じように今日まで持続すること自体、これはずいぶん時代錯誤的な要素もありはしないだろうか。」「いまのようにまだまだココムがあり、一々そこに許可を求めるというような形で進めなければならぬということは一体どういうことだろうか。」「昨年の十一月でございましたが、当時の外務大臣鳩山さんは、場合によってはココムを再検討する、いま曲がり角だということを言われました。」園田外務大臣はどうですか、こういう質問を渡辺議員がしております。これに対して園田外務大臣は、「御趣旨の点も十分考慮をして、これに対する検討は進めたいと考えます。」こういう答弁が五十三年、いまから五年前。  そこで外務省にお伺いしますが、再検討は行われましたか。
  175. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 ココムにおきましては、通常定期的にいわゆるココムリストのレビューというものをやっております。したがいまして、その節目節目におきまして国際情勢それから技術の進歩というものを勘案いたしまして、規制の必要でなくなるもの、それから情勢によって新たに規制の必要となるものということをお互いに話し合って、そういう作業を進めておるということでございます。
  176. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、具体的な内容について再検討はしておる、こういうことですね。
  177. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 そうでございます。
  178. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 次に、ココムの軍事専門小委員会の新設についてお伺いをいたします。  アメリカのペンタゴンの当局者は、昨年の七月七日の共同通信との会見で、こう言っております。ココム加盟国に対し、軍事技術専門小委員会を新設するなど、機構強化を図るよう提案しておる、このようにペンタゴンは発言をいたしておる。その提案の事実はあったのかどうか。あったとすれば、日本としてはどのような対応をするのか。たとえば昨年の九月の日米防衛装備技術定期協議の場で、アメリカの方から日本側の協力を求められた事実があるかどうか、一緒に御答弁をいただきます。
  179. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 米国から正式に軍事小委員会というようなものをつくろうという提案はございません。ただし、そのような考えを米国の一部が持っていたということはわれわれも承知をいたしております。しかしながら現実にはつくられませんで、実際に行われておることは、その都度必要に応じて一部の国からは軍事の専門家が話し合いに参加することがあるというだけでございます。
  180. 木下敬之助

    木下政府委員 日米装備技術協議は、第三回のものが五十六年十二月の十四日、十五日に開かれておりますが、その際はFMSの問題、ライセンス生産の問題等、あるいは技術協力の問題等が話し合われておりまして、私が聞いております限りは、いま先生がおっしゃったようなことは話題になったとは聞いておりません。
  181. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 わかりました。  そこで、次は高度技術の対ソ流出規制関係法、これはアメリカのです。アメリカの上院軍事委員会のサム・ナン議員、これが先月二日の日に高度技術対ソ流出規制関係の三法案を出しております。この法案によりますと、一定の高度技術は輸出の意図を持って保有するだけで処罰される、こうなっております。これは明白であります。もしこの法案がアメリカで成立した場合は、運用次第では日本企業の情報収集活動などにも影響が出てくるおそれがあると私は思うのであります。政府としてはこの三法案に対してどのような認識を持っておられるのか。というのは、ここにも資料がたくさんございますけれども、たとえアメリカの国内法であっても、それが外国企業適用された例がたくさんあるのです。私、資料を持っております。だから日本企業にも適用される可能性がある。どういう受け取り方をされておるか、どの省でも結構ですが……。
  182. 木下敬之助

    木下政府委員 防衛庁のマターではございませんが、そういう法案がアメリカの国防省の方から、国防省というか、アメリカの議会で議論されるという情報は聞いております。ただ、いま手元に具体的な内容は聞いておりませんけれども、一般論といたしまして、アメリカが軍事関連技術のソ連への流出問題について神経をとがらしておるという話は聞いております。ただ、具体的に日本企業がそれによってどういう影響を受けるかという点は、私ども法案の中身等聞いておりませんので、私としては、ここでちょっとお答えできかねます。
  183. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 お答えのとおり、防衛庁ですから、この点も外務省は法案等の問題ですから、どういう内容になっておるか、改めて検討されて御答弁をいただきたい。  これは委員長に、いまでなくてよろしゅうございますから、善処をお願いいたします。
  184. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 私ども承知しております限りでは、現在、先ほど楢崎委員がおっしゃられましたような内容の法案が三本ほど出ており、またそれと若干関連のあるような法案が数本出ておるということは知っておりますが、その内容等についてまだ詳細に分析をいたしておりません。また、議会の中でもいろいろ反対の声もあるようでございますが、いずれにいたしましても一層情報を収集いたしまして、改めて御報告いたしたいと思います。
  185. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 次に、一九八二年、昨年ですが、一九八二年のリストレビュー会議、リストレビューというのは禁輸出品目検討ですね。このリストレビュー会議についてお伺いをいたします。  ココムの一九八二年リストレビュー会議は、昨年の十月四日からパリで行われておりますけれども、ことしの二月下旬までとなっておったのでありますが、現時点ではどうなっておりましょうか。
  186. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 おっしゃいましたように、十月からその第一次の検討が開始されまして、一応二月の終わりにその第一次検討は終わったということでございますが、これはさらに継続審議の問題でございます。
  187. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その中で、というのはこの八二年リストレビュー会議でアメリカが新しく提出した、つまり新リスト案には、ロボット、セラミック、宇宙船、浮きドック、産業用ガスタービンエンジンなど、十八品目が新規に追加されたという報道がありますが、それはどうですか。
  188. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 このココムのリストレビューの内容等に関しましては、関係筋の申し合わせによりまして外に出さないということになっておりますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  189. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 たとえば日経などでは、その中身をちゃんともう出されておりますよね。あの日経に出されておるのを私はいま言っているのですが、それは間違いないですか。出されておるのです。これは間違いですか、間違いでないですか。
  190. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 間違いであるとも正しいとも申し上げる立場ではございません。
  191. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どういうことなんですか。みんな知りたがっていますよ、新聞に載っているんだから。では、間違った報道ではないとだけは言えますか。
  192. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 いずれにいたしましても、具体的な品目の内容については、申し合わせによって外に出さないということでございますので、私がいかなる表現を使いましても適当ではないと思いますので、その点についての答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  193. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 つまり、ココムリストの内容は極秘事項になっている、したがって、内容については触れられない、そういうことですね。いいです。時間がないから、うなずかれたからわかりました。  さらにつけ加えておきますが、すでにアメリカが配備を決定しております、見えない、ステレス爆撃機、そんなのがあるかどうか知らないが、見えない爆撃機だそうです。それから空中発射巡航ミサイル、ALCMの電波吸収塗料フェライト、これはTDKがやっておりますね。これは含まれておるかと聞いても、答弁は同じことだと思うのです。しかし、これもすでに表に出ておる。ここにも報道がありますけれども、日経産業新聞は、昨年九月一日にアメリカのこの種の提案内容を政府筋から入手したと書いてある。では私も入手させてくれませんか。新聞が入手するくらいですが、国会議員としての私には入手させるわけにいきませんか。
  194. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 新聞がいかなる方法で入手したのかは存じませんが、政府としては、このような資料を外部に出すということは、ココムの申し合わせによって行ってはならないことでございます。
  195. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 全部明らかになっているのです、いま言ったようなことは。  次に、ココムの政策決定に関するアメリカ議会の公聴会の議事録がここにあるのです。私が短い時間で調査しただけでも、一九七六年から八一年にかけて、アメリカ議会の報告書、公聴会議事録が九回出されておる。  そのうちの一つの一九七六年四月十二日のアメリカ下院国際関係委員会国際貿易及び国際通商小委員会の前に開かれました先端技術の輸出認可、これに関する公聴会で、ペンタゴンの防衛情報局科学技術情報担当局長補のエドウィン・スピーカー氏がこの公聴会でいろいろ言っていることがあります。  まず、この中に出てくるのですけれども、センタリンBというのは何ですか。何か品目の名前ですか。
  196. 志賀学

    ○志賀政府委員 ちょっと専門家にも聞いてきたのですけれども、わからないようでございます。
  197. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これもちょっと調べておいてください。それは日本に関係する点で公聴会に出ているのです。  それで、いまのエドウィン・スピーカー氏がこういうことを言っています、この公聴会の議事録によりますと。「米国のプライアント社がICBMの命中精度を飛躍的に向上させるMIRV」つまり弾頭がたくさんある「MIRV用の精密研磨機をソ連に輸出し、ソ連は超精密小型ベアリングを製造した。」このことに関してスピーカー氏は  「センタリンB内部研磨機は、過去十五年間に旦って生産されてきた。この間、(米国企業と)競合する機械がイタリーとスイス、ごく最近では日本に登場してきた。現時点では、日本のセイコー社の」と書いてある。「日本のセイコー社の機械はブライアント社のものより数段精密だと報告されている。精密ベアリングの分野では、超精密性と高い生産性のため、ブライアント社はセイコー社にその地位を譲ってしまった。そこで、ブライアント社の研磨機が売られていた当時、ソ連は同社のものとおそらく同程度の研磨機を他の自由主義諸国から購入していたと推定できる。」こういう公聴会の証言がある。  そこで、私は二点だけ聞いておきます。  いまのセンタリンBというのは一体何なのかということと、それからセイコー社、原文ではセイコーマシンズになっています。これはいわゆる時計などの精工舎なのかどうか。この二点だけひとつお調べをいただきまして、先ほどの宿題と一緒に御報告をいただきたい。  なお、一番最後ですけれども、先ほど留保しておった件でございますが、見えましたでしょうか。
  198. 志賀学

    ○志賀政府委員 セイコー社の件とセンタリンBの件、調べまして後刻御報告申し上げます。
  199. 今井勇

    今井主査 速記をとめて。     〔速記中止〕
  200. 今井勇

    今井主査 速記を起こして。
  201. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 留保分を残して、一応これで終わります。留保分は、機会が来まして後ほどさせていただきたいと思います。
  202. 今井勇

    今井主査 次に、三浦久君。
  203. 三浦久

    三浦(久)分科員 通産省にお尋ねいたしますが、白島や上五島の石油洋上備蓄基地の建設をめぐる問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  この問題は、昨年十二月十六日の予算委員会でも、私取り上げて質問をさせていただきまして、そのときに、これはどうも国家的な大談合の疑いがあるぞ、特に上五島は三菱重工、それから鹿島建設、さらに白島は日立造船や間組、こういうものにもう工事を発注するということが前提になって、その後の作業がずっと進められているじゃないかというような疑惑を私は指摘いたしました。それにもかかわらず、公団の方の準備も着々と進んでいるようであります。公団というか会社というか、一体のものとして私言いますけれども、進んでいるようですが、大体いつごろ工事の発注の契約また着工、そういうものを予定されているのか、まず最初にお尋ねいたしたいと思います。
  204. 豊島格

    ○豊島政府委員 白島につきましては、一応ことしの春以降ということを目標としておりました。これは、従来いろいろの段階で準備不足とか検討することがございまして、前にはもう少し早く、たとえば昨年の七月ごろまでに着工ということでございましたが、その後のいろいろな状況がございまして、準備整わずということで、大体ことしの春以降ということを一応のめどにして進められております。
  205. 三浦久

    三浦(久)分科員 いつですか。
  206. 豊島格

    ○豊島政府委員 今年の春以降ということで一応進められております。
  207. 三浦久

    三浦(久)分科員 春というのは季節の問題でありまして、いつまで春か余りはっきりしないのですが、今年度にどうしても着工するということで準備を進められているのですか。
  208. 豊島格

    ○豊島政府委員 この問題につきましては、いろいろと問題がございまして、事態の推移を見守るということでございますが、その辺を見きわめてできるだけ早くと思っておりますが、その辺の時期につきましては、できるだけ早いことが望ましいわけですが、本年度中ということが必ずしも絶対的な要件と考えておるわけではございません。
  209. 三浦久

    三浦(久)分科員 そうすると、工事の発注に当たって、備蓄会社の規則によりますと指名競争入札が原則だ、随契もできるようになっていますね。どういう契約の方法をなさるつもりなんですか。
  210. 松村克之

    ○松村参考人 お答えいたします。  いま先生からお話がございましたように、公団がプロジェクトを進める場合、石油備蓄会社にこれを行わせているわけでございますけれども、その場合の発注の方式としては、指名競争入札ということが一般でございますが、非常に特殊な場合にこれを随意契約で行うという道も開けておるわけでございます。それで、本件につきましては、これが世界で最初の洋上備蓄であるといったようなことも一方にはあるわけでございます。また一方では、非常に巨額の予算を使用する大型のプロジェクトであるという面もあります。その辺を踏まえまして、会社並びに公団において検討を続けているという段階でございます。
  211. 三浦久

    三浦(久)分科員 そうすると、まだ決まっていないということでございますか。
  212. 松村克之

    ○松村参考人 さようでございます。
  213. 三浦久

    三浦(久)分科員 これは大変膨大な計画なんですよ。陸上の施設設備から、貯蔵船をつくるとか堤防をつくるとか、大変膨大な設備です。ですから、どの部分については指名競争入札、どの部分については随契でやるとか、そういうことがわかっていなければならない。春といえば三月、四月の話でしょう。それを全然決めてもいないというのはどういうことなんでしょうか。  それからもう一つ、指名競争入札をやるとすれば、指名の指定をして、それから基本設計とか詳細設計を提示して、そして入札させて決めていくわけでしょう。かなりの時間がかかると思うのですね。そうすると、三月いっぱい、いわゆる今年度じゅうにそういう手続を経て契約し、着工するということは可能なのかどうか。その点私は大分疑いを持っておるのですが、どういう状況なんでしよう。
  214. 松村克之

    ○松村参考人 ただいま資源エネルギー庁長官から、今春中に工事再開するという点について御答弁があったわけでありますが、私どもも一日も早く工事をやりたいと思っております。ただ、いま先生からお話がございましたように、この工事そのものをたとえば指名競争入札にするか、あるいはこれを随意契約でするか、また、それが決まりました後、いまお話がございましたように、指名業者の選定でございますとか現地説明とか、そういったことがあるわけでございます。したがいまして、現実の問題といたしまして、指名を終えて発注するというところまで本年度中に行けるかどうかということになりますと、これは率直に申しまして、なかなかむずかしいのではないかというふうに私は考えております。
  215. 三浦久

    三浦(久)分科員 しかし、一応まだ契約の姿勢を崩しておられないのです。私、この前は間組がもうすでに施工設計をやっている疑いが濃いのだということを指摘したわけですが、その後いろいろ調べてみますと、日立造船なんというのは、自分が受注するということに確信を持って、もう機構や組織をつくっていますよね。  お手元に資料が渡っているでしょうか。これはちょっとごらんいただくとわかるのですが、ダイヤモンド社が発行している会社職員録で調べてみました。そうしますと、一ページ目にございますけれども、これは機構図ですが、副社長、それから担当常務、その直轄のもとに洋上石油備蓄基地建設計画本部というものがございます。そしてその下に現地工事総括部、調達部、これは資材の調達でしょう。もちろん営業部、技術部、業務部がありますね。それから、これだけじゃなくて、既存の陸機営業本部、ここにも洋上石油備蓄基地建設計画室というのがあって、現地工事部、設計部、そういうものがある。それから海洋営業本部、ここにも同じく洋上石油備蓄基地建設計画室というのがあって、現地工事部、設計部、業務部、こういうものがある。  それで二枚目、ごらんになっていただくとわかりますが、その洋上石油備蓄基地建設計画本部の本部長は取締役、重役がなっておる。鎌田さんという方ですね。そのほかずらっと、もう時間がありませんから読み上げませんけれども、こういう構成になっている。これは全部部長クラスの氏名である。実はこの下にもっと課があって、課の下には係があってということになると、かなりの体制であるということが推測できるわけですね。こういうことは通産省や公団は御承知なんですか。
  216. 松村克之

    ○松村参考人 ただいま御配付いただきました資料、こういった詳しいものについては私は存じておりません。ただ、日立造船がこのプロジェクトについて非常に熱心に検討しているということは存じております。
  217. 三浦久

    三浦(久)分科員 非常に熱心にやっているということはわかるとおっしゃるのですが、自分が受注できるかどうかわからないのに、こんなに大がかりな組織をつくってやるでしょうか。彼らは、おれはもう絶対に受注できるんだという確信を持っている。そういう確信はどこから生まれてきたのかということが私は大きな問題だと思うのですよ。公団や通産省や備蓄会社との間に、明白なかまたは暗黙なか、了解があるのじゃないか。それでなければ、企業のリスクの問題だというにしては余りにも大がかりな組織がつくられているというふうに言わざるを得ないのですが、その点いかがですか。
  218. 松村克之

    ○松村参考人 私は、いま、日立造船がこのプロジェクトの受注について非常に熱心に検討をし、技術的な勉強もしているということは存じているということを申し上げたわけでございますが、私どもがこういう公団というような組織を通じまして石油の国家備蓄という公の仕事をやらしていただいております場合に、正式の契約、そういったものでなくて、私にこれをある会社にやらせるとかそういう約束をするといったようなことは、全くないわけであります。
  219. 三浦久

    三浦(久)分科員 これは会社の宣伝物ですけれども、これは「会社のあらまし」これは「会社概要」これは日立造船のものです。これを見ますと、絵入りでいろいろな宣伝がされていますけれども、この中にもあるのですよ。この中にも「開発目標」とかそういうものがありまして、「海上石油備蓄」「国家プロジェクトとして海上石油備蓄用港湾施設・陸上施設・貯蔵船」こういうものを一生懸命研究していると国民に宣伝して歩いている。そうすると、自分が研究したり調査したりするのはいいでしょう。しかし、企業がそういう調査研究をやるという場合には、それは自分が仕事を受注するためにやっているわけなのであって、私は、これはもう本当に企業リスクでただやっているのだというような問題ではないのではないかという疑いを非常に強めているのです。  その点、幾ら私が言ってもあなたはうんと言わないから先にお尋ねいたしますけれども、この基本設計ですね、白島の場合は三井共同コンサルタントに委託していますでしょう。この基本設計とか詳細設計というのは、全部できているかどうか知りませんけれども、部分的にはできておる、かなりできておると私は思うのですが、どういう状況になっておりますか。
  220. 松村克之

    ○松村参考人 詳細設計につきましては、現在検討中でございまして、これを行いますには、やはりそれぞれの安全問題でございますとか、所管の官庁もあるわけでございますし、そういった関係のデータも集めながら、現在検討を続けているという段階でございます。  基本設計については、一応作業を完了いたしております。
  221. 三浦久

    三浦(久)分科員 しかし、それは公になっていないでしょう。
  222. 松村克之

    ○松村参考人 公にはいたしておりません。
  223. 三浦久

    三浦(久)分科員 そうすると、私は間組が施工設計をやっていることを言いましたけれども、日立造船も施工設計をしておると思うのですよ、これだけの体制をとってやっているわけですから。ところが、基本設計というものがわからなければ、施工設計なんていったって、やみくもにやらなければいかぬわけであって、全くナンセンスですね。ところが、これだけの体制をとってずっと施工設計もやっているということになりますと、私は、やはりこの三井共同コンサルタントが基本設計や詳細設計をつくるに当たって、いろいろ日立造船や三菱重工、こういうところからデータや資料をもらって、またお互いに交換し合いながらこういう設計をしているのではないかというふうに思っておるのですね。そのために日立造船自身も基本計画、詳細設計の部分も承知している、したがって施工設計にも入れる、そういう状況になっているのではないかと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。そういう事実はありませんか。
  224. 松村克之

    ○松村参考人 コンサルタント会社がいろいろな設計を行う場合に、その技術あるいはノーハウあるいはデータ等を外部から集めるということは、あるいはあるケースであろうと思いますけれども、これらの会社が、いまお話がございましたように、基本設計といったようなものを外部に漏らすということはないというふうに思っております。
  225. 三浦久

    三浦(久)分科員 そうすると、三菱重工にしても日立造船にしても、国家備蓄に移行した後もいろいろ調査研究していますね、非常に熱心に。ここに資料を持ってきていますけれども、時間がありませんから一々挙げません。そうすると、そういう実験をしたり調査研究した結果というものは、三井共同コンサルタントが三菱とか日立からどんどん提供を受けているという事実はあるんですか。
  226. 松村克之

    ○松村参考人 組織的にそういったものを提供を受ける、あるいは対価を払ってそういうものを購入するということは、私はないと思います。
  227. 三浦久

    三浦(久)分科員 そうすると、たとえば学会なんかで三菱とか日立がいろいろ発表しています。そういうものは見るけれども、それ以外に日立や三菱が秘密とするようなデータ、そういうものの提供を受けていない、こうおっしゃるのですか。
  228. 松村克之

    ○松村参考人 おおよそそういうことであろうと思います。
  229. 三浦久

    三浦(久)分科員 運輸技術審議会から、五十三年四月七日に「石油洋上備蓄問題についての安全指針に関する答申」というのが出されていますね。運輸省、きょうお見えになっておられますが、出されておりますね。その答申の中に「貯蔵船及び港湾の施設の設計」という項があります。その項の中の「係留施設の設計」というところにこういう文章があります。「貯蔵船の挙動の解析に当たっては、係留系の特性をできるだけ忠実に表現し得るモデルを使用しなければならない。」ということが書いてありますね。設計に当たつては、貯蔵船の挙動の解析が必要なんでしょう。それをするに当たってはこうこうせい、こういうわけなんですが、これは世界で初めての洋上備蓄。  どこが一番問題かというと、自分に推進力がある船であれば、台風が来れば逃げていって避難できますね。ところが、これは自分に推進力がないわけですから、台風が来ても逃げていくわけにいかないわけですね。北九州は台風がどんどん来ますよ、私も何回も遭っていますから。そうすると、一番重要なのはやはり係留施設だと思うのです。ドルフィンだとかフェンダーだとか、そういうものは大変重要な問題です。ですから、特別こういう「貯蔵船の挙動の解析に当たつては」云々というようなことを設計上留意しろというふうに言われたのじゃないかと思う。ですから、基本設計とか詳細設計というようなものをする場合に、貯蔵船の挙動の解析というのは不可欠なものなんですよ。どれだけのドルフィンを使うのかとか、どういうフェンダーを使うのかとか、そういうことを決める基礎になるわけです。ですから、これは絶対にやらなければならぬ問題だというふうに私は思うのです。  公団の方にお尋ねします。そうすると、三井共同コンサルタントは基本設計とか詳細設計しているわけでしょう。そのための資料をどこから集めたのでしょう。どうですか。
  230. 松村克之

    ○松村参考人 それは技術のコンサルタント会社でございますから、いままでもお話し申し上げましたように、いろいろな研究所あるいは国の機関あるいは民間のそういったデータ、ノーハウ等を集めたというふうに考えております。
  231. 三浦久

    三浦(久)分科員 そうすると、三菱や日立からも資料の提供を受けているというふうにおっしゃるわけですか。
  232. 松村克之

    ○松村参考人 技術のコンサルタントは、技術を最高レベルに置くことが一番重要でございますが、こういったエンジニアリング関係の技術につきましては、データでございますとかノーハウというものを収集するということは、それぞれのコンサルタントの一つの力ということでございますので、いろいろなところから情報を集めるというふうなことであろうかと思います。
  233. 三浦久

    三浦(久)分科員 そうすると、三菱や日立から資料を提供されているということはお認めになるわけですか。
  234. 今井勇

    今井主査 松村さん、もうちょっと声を大きくしておっしゃってください。
  235. 松村克之

    ○松村参考人 そういうこともあり得ることであろうと思います。
  236. 三浦久

    三浦(久)分科員 かなり長い間金をかけて集めた資料だと思うのですよ、三菱とか日立造船は。これをただで提供しているのですか。無料で提供しているのですか。それはどういうふうに御承知になっていらっしゃいますか。
  237. 松村克之

    ○松村参考人 無料で提供を受けているかどうかということでございますが、私は、そういう提供を受けたかどうかについて、そういうこともあり得るのじゃないかということを申し上げたわけでございますが、少なくともそれを組織的に、あるいは有価で提供を受けるということは聞いておりません。
  238. 三浦久

    三浦(久)分科員 組織的に受けたことがないとか、有料で受けたことがないというようなことをおっしゃるのですけれども、そうじゃないですよ。  運輸省が来られていますが、運輸省の港湾技術研究所が五十五年九月に港湾技術研究所報告というものを出しています。その十九巻三号で発表した研究論文があるのです。これは「大型矩形浮体の浮浪中の動揺と係留力に関する研究」というものであります。大変むずかしい、専門的で、私読んでも全然わからないのですが、ここで数値シミュレーション手法は妥当な方法であるということを言っているわけですね。何年もかかってこれは研究しているのです。その中にこう言っています。最後に謝辞というのを述べていらっしゃる。  ここでは何と謝辞を述べていらっしゃるかというと、「洋上備蓄基地としては、長崎県上五島地区および福岡県白島地区にプロジェクトが計画されているが、これらのプロジェクトを推進している三菱重工(株)および日立造船(株)を始めとする関係企業の担当者の方々からは、貯蔵船およびその係留方式に関する種々の資料を提供いただいた。また、これらの方々との意見交換、および討論は本報告をまとめるに当って極めて有益であった。ここに記して謝意を表したい。」と、こうなっているのです。これはどういう係留のものを使ったらいいのかということを、数値シミュレーション手法でもってきちっと方程式を出したわけでしょう。方程式は出てませんけれども、出したわけです。それをやるのにかなり時間かかってやっているわけです。そのデータは、いろいろな資料を三菱とか日立からもらった、こう言っているのですよ。運輸省は、これを提供してもらったというのはどうしてですか。三菱や日立からもらったというのはどういう意味なんですか。
  239. 森平倫生

    ○森平説明員 運輸省といたしましては、港湾法の五十六条の二で、港湾の施設の技術上の基準というものを定めているわけでございますけれども、これで港湾にかかわり合いのございます種々の施設の安全性につきまして、格段の努力を払っているところでございます。  いま先生御指摘の、運輸技術審議会の「浮遊式海洋構造物による石油備蓄システムの安全指針に関する答申」これを受けまして、海上貯油基地施設に関する技術上の基準というものを策定する過程で行われました研究の一つ報告書の中に、いま御指摘のようなことが述べられているわけでございます。  提供を受けました資料といたしましては、貯蔵船の寸法でございますとか、あるいは係留の方法に関する資料といったものでございまして、これらは、港湾技術研究所が独自で高い精度のいわゆる大型矩形浮体の動揺シミュレーションモデルというものを開発する際に参考にしたということでございます。
  240. 三浦久

    三浦(久)分科員 運輸省がそういう技術の基準、たとえばあなたたちが、申請してきた場合にそれが本当に安全かどうかというものをチェックするための、そういう基準をつくるためにも、ちゃんと三菱とか日立造船から既存の資料を提供してもらってやっているわけでしょう。それはあたりまえのことだと思うのです。それであれば、三井共同コンサルタントだって、やはり提供してもらってなければできないのじゃないかというふうに私は思うのですよ。  もう余り時間がありませんから、まあいいでしょう、三十分というのは本当に短い時間で、ちょっとお話しできないのですけれども、たとえばフィージビリティースタディー、これをつくったときも、あなたたちは、日立、三菱は全然関係ないんだと、こう言っておるわけでしょう。ただちょっと参考にさせてもらった程度だ、こう言っていますね。しかし、それは私はうそだと思うのですよ。  それはなぜかといいますと、月刊「石油」という本が出ているでしょう。たとえばこれは五十四年の八月号、ここで公団はこう言っているのです。石油公団がちゃんと論文を出しています。その中の「結び」のところで「一方、上五島および白島地区については、全く新しい洋上石油備蓄方式であるが、利用可能な既存のデータ、資料をもとに所要の調査・検討を行なった結果」云々、「利用可能な既存のデータ、資料をもとに所要の調査・検討」とこう言っている。同じくやはり月刊「石油」これは昭和五十四年の七月号ですけれども、ここで資源エネルギー庁は「フィージビリティ・スタディの報告概要」というものをまとめて出しているのです。これを見るとやはり全く同じだ。「上五島地区および白島地区については全く新しい洋上石油備蓄方式であるが、利用可能な既存のデータ、資料をもとに調査検討を行ない、システム全体に係る基本的事項については一応の成果を得ることが出来たものと考えられる。」こう言っているのですよ。  そうすると、フィージビリティースタディーをつくるときに、既存のデータというものはだれが持っているのですか。これは三菱とか日立しか持っていないのですよ。そうじゃありませんか。
  241. 松村克之

    ○松村参考人 フィージビリティースタディーを石油公団がいたしましたときには、貯蔵船関係については日本造船技術センター、また、港湾施設関係については日本港湾協会、陸上安全施設関係については安全工学協会、こういったところに委託いたしたわけでありますが、これらの学会あるいは技術団体におきましては、それぞれ優秀なメンバーがおられまして、あちこちのできる限りの既存のデータを集めるということがあったわけでございます。そのデータの中には、海洋気象の関係でございますとかあるいは潮流の関係でございますとかあるいは水深その他、多種多様のデータがあるわけでございますが、その一部といたしまして、あるいは既存データとして民備時代のそれらの会社の研究結果の一部を活用したということはあり得ることかと思います。
  242. 三浦久

    三浦(久)分科員 私たちがいままで公団からいろいろ説明を受けてきましたけれども、フィージビリティースタディーをつくったときには、全然民間とは関係がない、大体この程度の規模のものをつくりたいという、それだけしか私どもの方としては諮問をしておりませんと、そういうふうにいままでずっと答えられてきたのですよ、あなたたちは。何でそんなことをいままでうそをつかなければならなかったのですか。  フィージビリティースタディーというのは五十三年の十月ですね。そして五十四年の三月にできているのですよ。わずか半年ですよ。ところが、「海洋産業研究資料」というのがありますが、この中で三菱重工株式会社技術本部開発主査豊田昭三という人が言っていますけれども、二年数カ月にわたり社内で検討したと。五十二年の三月に三菱が計画を発表しましたね、上五島の、それまでに二年数カ月にわたって社内で検討したと、こう言っているのですよ。フィージビリティース夕ディーの場合は、白紙から出発して、わずか半年ででき上がった。こんなことは、三菱とか日立の資料を提供してもらってやらなければ絶対できないことですよ。資源エネルギー庁だって石油公団だって、そういうことをこの雑誌の中の論文の中で認められているわけですから、何でこんなうそまでわれわれについて、こういう大きな国家プロジェクトを推進しなければならないのですか。  もう時間がありませんからやめますけれども、もともと民間のプロジェクトで民間が金を出してやるというものを、途中から、国家備蓄制度ができたからといってそれに切りかえていくという必要はなかったじゃありませんか。それはさっきの運輸省の謝辞の中にもあるけれども、こういう上五島とか白島のプロジェクトを推進している三菱、日立というふうに、ちゃんと書いてある。ですから、あなたたちが幾ら否定しても、それはもう日立と三菱にあなたたちが上五島と白島をお互いに分けてやる、そういう大談合ができているということは動かせない事実だと思うのです。そういう意味で、私はもう一回この計画を再検討していただくことをお願いして、質問を終わりたいというふうに思います。
  243. 今井勇

    今井主査 これにて三浦久君の質疑は終了いたしました。  この際、楢崎君の保留分の質疑を許可いたします。楢崎弥之助君。
  244. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 委員長の特別の取り計らいに感謝を申し上げたいと存じます。できるだけ短時間で保留分の解明をいたしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  どうして外務省の幹部を呼ぶに至ったか、その経過については、本来委員長から説明していただくのが適当かもしれませんが、私が直接関係いたしておりますから、まずその点、後から来られたからなぜあなたを呼んだか、それを明確にします。  実は昨日の外務省関係の分科会で、私は対米武器技術供与に関して質問をいたしました。その中で、一月十四日の閣議決定を経て日米首脳会談でそれが確認された。その閣議決定の内容の中心点は、日米安保体制効果的な運用という面から、特別に例外措置としてこの三原則の政策の一部修正を行った。取り扱いはMDAの枠内で行う、こういう閣議決定の内容であったと思うのであります。  そこで、私は、MDA第一条の装備、資材、役務、これが相互援助できるようになっているから、武器技術供与はこの三つのうちのどれに当たるかということをお伺いしたら、役務に当たるという答弁がありました。そうすると、三つのうちの一つである装備には武器そのものが含まれておるし、資材の面では共同生産も含まれておる、では、MDAの協定上からいうと、武器技術供与ができるんだから、じゃ装備の方の武器もできるではないか、あるいは共同生産もできるではないかという質問をしましたところ、協定上はできるのだ、しかし、今回はアメリカの方から武器技術供与だけの申し込みがあったからそれについて政策変更をした、武器あるいは共同生産については申し出がないというお答えでしたから、じゃもし武器あるいは共同生産について申し出があった場合はどうするのだと私がお伺いしましたら、申し出があった段階検討をさしてもらいます、おおむねこういうような答弁であったと思います。つまり、申し出があった場合には、そのときの情勢なり何かで検討して、イエスもありノーもあるということであろうと思うのであります。  それで、私はきょう通産大臣のお考えをお伺いしたのであります。通産大臣は、けさの新聞を見られたと思うのですけれども、激怒をされて、通産大臣としては、こういう武器とか共同生産は、われわれの子供や孫の日本の将来のことを考え、戦争の用に供せられる武器、そういうものは絶対だめだ、これは非核三原則で絶対自分は承服できない、そういうことを、けさ閣議の後かどうか知りませんけれども、外務省を強くたしなめられた……(山中国務大臣「非核とは言っておりませんよ。武器輸出三原則」と呼ぶ)間違いました。武器禁輸三原則上武器の輸出は絶対ならぬ、検討もヘチマもないんだ、このように外務省に抗議の意味も含めてたしなめられたという話が当分科会であったのであります。  そこで、私は、じゃその通産大臣のけさの注意に対してどう答えられましたかと聞いたら、安保課長でございますか、どうもきのうの質問の趣旨ばかりを説明して、どう答えたかということがさっぱりわからない。通産大臣の御答弁の中では、きのうああいうことを言った以上、公式の場で取り消せと言ったということも言われたのであります。したがって、これは公式の場でありますから、局長、あなたもきのうそうおっしゃいました、改めて明確にしていただきたい。これは一つは、通産大臣のその注意に対してと、私の質問に対して、双方に対して納得のいく御答弁をいただきたい。これが趣旨であります。
  245. 山中貞則

    山中国務大臣 ちょっとその前に。  私はまだ回答をもらっていないから、私の方からも改めて申し伝えます。  私のけさからの二度にわたる警告は、私自身の政治信念、通産大臣としての各関係省庁集まっての詳細なる事前の討議、その中に武器というものは入っていなかった。ただ技術の終結点としての試作品としてそれを提供しなければ、受け取る方が技術が完結しないということがあった場合に、それは技術の終結点として試作品を認める。しかし、それは形が、形状が武器そのものに近いかもしくは武器の形をしておる、武器のような場合は、そこから先にいくと武器生産になるあるいは武器の提供になるということだから、そこのところは、きちっと技術の完結点としての試作品で終わりであることを国会の予算委員会においても、あなたも聞いていたと思うが、四省庁の打ち合わせの結果で、きちっと総理は共同生産はいたしませんということを本会議、委員会で明言しておられる。  私のやってきたことについては、私自身の政治家としての信念もあります。第二次大戦の生き残りとして、そしていま自分がこの時代に何をしておかなければならないか、何をしてはならないか、自分たちの次の世代に何をどのように渡すべきか、そのことを絶えず考えている政治家として、職を賭して、政治生命を賭して、私は直接抗議する時間がけさなかったので代理でやらせましたけれども、改めて私から要求します。  申し合わせ検討の対象外であった武器については、理論的にであっても、あるいはもし言ってきたらという仮定の前提であっても、武器の輸出について日本がイエスを言うことは絶対にないということを言明してもらうことと、きのうの答弁を私は聞いていないからわからないけれども、楢崎さんの聞いておられるところをいま伝え聞くと、そのようなことを言われたとすれば、その武器の点についてはここで明確に取り消しなさい、これが私の要求です。
  246. 今井勇

    今井主査 第六分科会主査として申し上げます。  いま楢崎委員並びに山中通産大臣から御質疑がありました。それに対して、先ほどは外務省の加藤安全保障課長が出席をいたしておりましたが、その答弁が不十分でありましたので、私が、責任ある答弁を求めるために外務省から北村北米局長を呼びました。したがいまして、北米局長は、いまの御両人の質疑の趣旨をしかと踏まえて御答弁をいただきたいと思います。
  247. 北村汎

    ○北村(汎)政府委員 まず、昨日の私の楢崎議員に対する答弁の趣旨につきまして、私が論理的あるいは観念的なことを申し上げましたために、無用の誤解を招いたことをおわび申し上げます。  今般の対米武器技術につきましての政府の決定と申しますものは、武器技術の対米供与というものについてのみ決定が行われたわけでございまして、武器の対米供与、対米輸出、そういうものにつきましては、従来からの政策を変更するものでは決してございません。このことは、私どもも従来から申し上げてきたところでございまして、私も、きのうの楢崎委員への御答弁において、武器と武器技術とは違った状況にあるということを御説明したわけでございます。  そこで、今後とも武器の供与につきましては武器輸出三原則に基づいて対処されること、これは私として何らそれに対して含みを持たしたつもりはございません。この点、ただいま通産大臣からおっしゃいましたとおり、武器についての政府の決定というものははっきりしておりまして、武器技術供与に伴う、そしてそれを実効あらしめるような武器のみに限られるわけでございまして、その他の武器につきましては、従来どおり武器輸出三原則に基づいて対処されるものでございます。  それから、御指摘のアメリカから要請があったという非常に仮定の、いわば論理的なあるいは一般的なそういう問題に対しまして私が申し上げましたことは、先ほど、冒頭申し上げましたように、観念的なことでございまして、それが、いかにも政府の最高レベルが決定されるべき政策の方向を示唆するような、そういうふうにとられましたことは、まことに私の舌足らずのことでございまして、この席ではっきりとこの点はおわび申し上げます。そしてそれは取り消させていただきます。誤解を生じましたことを改めておわび申し上げます。
  248. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 舌足らずじゃないんですよ。過ぎるんだ、長過ぎるんです。いまのも、あなたは適当にきのうのやつをちょっと変更したような感じがするけれども、もう一遍明確に言っておきますよ。  それでは、安倍外務大臣も同じことをおっしゃったのです。申し込みがあったときにはその時点で考えるとおっしゃったのです、あなただけでなしに、外務大臣も。  そこで、もう一遍ここで明確にしていただきますが、私は、架空の問題ではない、いまここへ持ってきておりませんけれども、きのう言ったでしょう。アメリカの担当の高官が、今後日米の間で武器、それから共同生産、それの相互援助もやりたいという表明があったから、これは架空じゃないのですよ。それも私はちゃんと言ったでしょう。だから、こういう考えがアメリカにあるから、もしアメリカから武器あるいは共同生産の申し出があった場合にはどうするか。いまの答弁でも、もう一遍念を押しますが、武器あるいは共同生産等について今後アメリカから申し出があっても、武器禁輸三原則によってこれを断ります、こう言えますか。
  249. 北村汎

    ○北村(汎)政府委員 先ほど楢崎委員がおっしゃいましたように、アメリカの方でそういう考えがあるかもしれませんけれども、現在までのところ、アメリカからそういう武器に対する要請は一切ございませんし、また、武器技術についての実態といったようなものも、武器についてはないわけでございます。  それで、将来もしそういうような要請があった場合にはどうするかということにつきまして、私が先ほどおわびいたしましたように、観念的にお答えいたしまして、それがいかにも政府の決定の方向を示唆するように受け取られましたことはまことに遺憾でございまして、それはおわび申し上げます。  それで、そういう場合は、先ほど通産大臣がおっしゃいましたように、これはまさに政府の最高レベルが決定いたすべき政策の決定でございますので、私どものごとき政府委員からそういう政策決定について申し上げるのは適当でないということでございまして、そういう点で、私の昨日の答弁は、私は慎重に検討するということを申し上げ、これもいかにも観念的なことでございまして、それが何らかの方向を示唆するようなことになりましたことをまことに遺憾に思っております。
  250. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 もうこれで締めくくりますが、いまの答弁もまだおかしいのです。安倍外務大臣検討するということをおっしゃったのです、その段階で。答弁なさらぬでしょう。もし申し出があった場合には武器、共同生産は断りますと言ってないでしょう、いまでも。それは最高政策だから局長としては答えられないという答弁ですね。そうすると、依然として山中通産大臣のお考えとの間に開きがある。しかも、これは重要な開きがある。どうしてか。  私がこういうことを質問するゆえんのものは、一遍武器技術供与に風穴をあげたら、それがだんだん武器なり共同生産に移行していく。まさにわれわれが心配しておる武器禁輸三原則がだんだんと形骸化していく。それを心配しての私の質問でありますから。いまでもそこに答えてない。  私は委員長にお取り計らいを願いたいが、いまの御答弁でも、局長だから最高政策決定は答弁できないと言っておりますから、これは外務省と通産省の間できちっと統一見解を出してもらいたい。もし武器あるいは共同生産で今後アメリカからその要請があった場合には、武器禁輸三原則に照らしこれを断る、こういう見解を欲しいと私は思います。  以上です。
  251. 山中貞則

    山中国務大臣 局長局長段階で精いっぱいの取り消しもし、陳謝もいたしましたから、局長に対しての私の見解はもうないことにいたします。  あと残された問題は、すでに統一された見解はあるのでありますから、それに疑問を感じさせるようなことであるならば、改めて総理を含めて私の見解が正しいということを証明する機会、たとえば締めくくり総括ですか、そのときか何かに明確にいたしますが、もう一遍言っておきますけれども、私は、わが国、民族というものを将来どういうふうに置くのか、そのためにいま何をしていいのか、どこまでやっていいのか、何をしていけないのか、この問題は政治家に課せられた、与野党おのおの違いはありますが、共通の使命である。しかも私たちは、第二次大戦から何を学んだかということを考えなければならない。だから、日本は未来永劫外国に殺人手段たるべき武器そのものを輸出しない国にする、輸出することのない国であるということを明確にさせておきたいと思います。  以上は私の見解にすぎませんが、総理もすでに言っておられますので異存はないと思いますから、統一見解を、私が言うかどうかは別にして、きちんと報告します。
  252. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 委員長、お願いがあります。これでやめますが、いまのような見解でございますから、委員長から理事会にぜひお伝えをしていただきたい。そして、八日の総括の新自連の番の冒頭にその統一見解をお示しをいただきたい。よろしくお願いします。  以上で終わります。
  253. 今井勇

    今井主査 主査におきまして、楢崎君の意を両省に明確にいたしますように要請をいたします。  これにて楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る七日午前九時三十分から開会し、引き続き通商産業省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十九分散会