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1983-03-04 第98回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和五十八年三月三日(木曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月三日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       奥野 誠亮君    熊川 次男君       藤本 孝雄君    村田敬次郎君       川俣健二郎君    佐藤 観樹君 三月三日  藤本孝雄君が委員長指名で、主査選任され  た。 ────────────────────── 昭和五十八年三月四日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主 査 藤本 孝雄君       熊川 次男君    村田敬次郎君       佐藤 観樹君    竹内  猛君       広瀬 秀吉君    水田  稔君       渡部 行雄君    兼務 佐藤  誼君 兼務 新盛 辰雄君    兼務 鈴木  強君 兼務 山口 鶴男君    兼務 武田 一夫君 兼務 西中  清君   兼務 平石磨作太郎君 兼務 安藤  巖君    兼務 中路 雅弘君 兼務 三谷 秀治君  出席国務大臣         建 設 大 臣 内海 英男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 加藤 六月君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       宮繁  護君         国土庁長官官房         審議官     荒井 紀雄君         国土庁長官官房         会計課長    金湖 恒隆君         国土庁計画・調         整局長     白井 和徳君         国土庁水資源局         長       高秀 秀信君         国土庁大都市圏         整備局長    京須  実君         国土庁地方振興         局長      川俣 芳郎君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省計画局長 永田 良雄君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省河川局長 川本 正知君         建設省道路局長 沓掛 哲男君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君  分科員外出席者         国立国会図書館         総務部長    高橋徳太郎君         警察庁刑事局捜         査第二課長   森廣 英一君         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    大橋 哲郎君         大蔵省主計局主         計官      藤原 和人君         大蔵省主計局主         計官      斉藤 次郎君         林野庁指導部治         山課長     今村 清光君         中小企業庁計画         部下請企業課長 小澤 通成君         運輸省自動車局         整備部保安課長 清水 達夫君         気象庁観測部地         震課長     山川 宜男君         建設省都市局街         路課長     依田 和夫君         建設省河川局開         発課長     広瀬 利雄君         建設省河川局砂         防部砂防課長  矢野勝太郎君         自治省行政局選         挙部選挙課長  小笠原臣也君         消防庁危険物規         制課長     清野 圭造君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  山根  孟君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  武田 晋治君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  中川 友夫君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  久保田誠三君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  吉岡 昭雄君     ───────────── 分科員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     広瀬 秀吉君   佐藤 観樹君     渡部 行雄君 同日  辞任         補欠選任   広瀬 秀吉君     竹内  猛君   渡部 行雄君     山本 政弘君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     広瀬 秀吉君   山本 政弘君     清水  勇君 同日  辞任         補欠選任   清水  勇君     水田  稔君   広瀬 秀吉君     上田  哲君 同日  辞任         補欠選任   上田  哲君     川俣健二郎君   水田  稔君     佐藤 観樹君 同日  第一分科員鈴木強君、第二分科員山口鶴男君、  第三分科員盛辰雄君、武田一夫君、西中清君  、第四分科員佐藤誼君、安藤巖君、第六分科員  平石磨作太郎君、第七分科員中路雅弘君及び三  谷秀治君が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  〔総理府国土庁)及び建設省所管〕      ────◇─────
  2. 藤本孝雄

    藤本主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力をお願いいたします。  本分科会は、総理府所管国土庁並び建設省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省庁所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算総理府所管国土庁)について政府から説明を聴取いたします。加藤国土庁長官
  3. 加藤六月

    加藤国務大臣 総理府所管のうち国土庁昭和五十八年度一般会計歳出予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、二千四百十八億一千二百余万円を予定しておりまして、前年度予算に比べ八億四千三百余万円の増加となっております。  その主な内容は、第一に、第三次全国総合開発計画定住構想促進を図るための国土計画推進。第二に、地価の安定、適正な土地利用促進等総合的土地対策推進。第三に、水資源開発水源地域対策の充実、水資源有効利用促進等の総合的な水資源対策推進。第四に、良好、安全な都市環境整備を図るための大都市圏整備推進。第五に、人口の地方定住促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興推進。第六に、地方都市開発整備、工業の再配置及び産炭地域振興を図るための地域振興整備公団事業推進。第七に、国土を保全し、国民の生命、財産を災害から守るための総合的災害対策推進であります。  国土庁予算重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十八年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 藤本孝雄

    藤本主査 以上で総理府所管国土庁)についての説明は終わりました。     ─────────────
  5. 藤本孝雄

    藤本主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。
  6. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 私が質問するのは、東北開発株式会社会津工場の問題についてでありますが、これは一昨年、売却されるというような風評が立ちまして、大変地元では動揺したことがあるわけでございます。今度、東北開発株式会社民営移管という問題が出されておりますが、この民営に移行するために、どのような順序で、どういう手続のもとになされようとしておるのか、その一つの道筋を段階的にお示しをいただきたいと思います。
  7. 加藤六月

    加藤国務大臣 東北開発株式会社事業のうち、企業性の高い事業については民間会社事業とし、公共性の高い事業については他の公的機関等に移譲するということを基本原則といたしております。  先生御質問のハードボード事業企業性の高い事業でございますので、民間会社事業とすることとし、まず東北開発株式会社が全額出資する子会社を設立して分離、独立させ、経営状況等を見きわめながら株式の民間譲渡を図り、純民間企業に移行させる方向で検討いたしておるところでございます。
  8. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、東北株式会社が全株を持って別会社をつくって、それを今度第三者に売り渡すということになりますか。
  9. 加藤六月

    加藤国務大臣 いま申し上げましたように、そのようにしながら、経営状況等を見きわめながら民間にその株を譲渡していく、そして純民間企業に移行させる。経営状況等を見きわめながらという一つの前置きはあるわけでございます。
  10. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 その際、その売り渡す相手は公募するわけですか。それとも、そういう関係業者を何人か政府の方で選択して、そうしてその人たちに株を売り渡していくのか、その辺はどうなんでしょうか。
  11. 加藤六月

    加藤国務大臣 そういう問題につきましては局長答弁させたいと思います。
  12. 川俣芳郎

    川俣政府委員 ただいま大臣から御答弁があったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、この東北開発株式会社自体昭和六十一年の十月までに民営移行しなければならないということになっておるわけでございます。メインの事業でございますセメントハードボードにつきまして、ハードボードセメントはそれぞれ分けるという方針が決まっておりまして、そういうことになりますと、ハードボードについてはできるだけ早い機会に独立、分離させた方が、今後の経営上もよろしかろうというふうに考えておりまして、先ほど答弁がございましたように、できれば五十八年度中くらいに分離できないかなということで、いま検討しているわけでございます。  一応は全額東北開発株式会社出資をする会社になりますけれども、六十一年の十月までには、いずれにしろ純粋の民間企業、つまり民間でもって株を全部持っていただく会社にしなければならぬということになろうかと思いますが、その株をどこに譲渡するかという点につきましては、ただいまお示しのありましたような方面に株を持ってもらうことも考えられると思いますけれども、現段階では、その譲渡先まで決定しているということではございませんで、引き続きどうしたら一番いいのか検討していきたいと思っております。
  13. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 「東北地方経済発展に寄与するよう配慮しつつ」ということは、一体具体的にはどういうことを指しているんでしょうか。ある一定の事業成果というものがはっきり事実となって出た上で民間に移行させるという意味なのか、その辺についてはどうなんでしょうか。
  14. 川俣芳郎

    川俣政府委員 ハードボード関係につきましては、民間に移行いたします場合に、できるだけ身軽にして移行するようにしなければ、いまの当業界の非常に困難な情勢のもとにおいて、うまくいかないだろうというふうに考えております。それで東北地方開発に役立つような方向でというふうに考えておりますゆえんのものは、新しい会社に移行いたしました場合も、先ほど出資先についてはいろいろ今後検討すると申し上げましたけれども、やはり地元関係者意向等十分反映をした会社になるように持っていくべきだ、そういう趣旨で東北地方開発云々ということをうたっておるわけでございます。
  15. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 地元関係者意向十分反映させるというお話ですが、その地元関係者というのは具体的にどういう方たちを指しているのか。そしてその反映させるという一つ方法はどういう形で反映させていくのか、その辺についてお伺いいたします。
  16. 川俣芳郎

    川俣政府委員 地元の県、それから市町村といったようなものが地元関係者の中に含まれると思います。また、地元経済界といいますか、そういった方面意向というものも地元関係者意向になると思います。
  17. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、会津工場はいまどのくらいの赤字を持っておりますか。
  18. 川俣芳郎

    川俣政府委員 東北開発株式会社決算自体は、セメントもありハードボードもあり、それぞれの事業別決算が行われてないわけでございまして、確定的な額を申し上げることはできませんけれども、一応コストをそれぞれの部門に割り当てるといったような作業をしまして試算いたしてみますと、昭和三十五年にハードボード事業を開始して以来の累積赤字は、五十六年度末で約四十億円程度だというふうに見込んでおります。  なお、付言して申し上げますと、大変な企業合理化といいますか、企業努力をしていただいておりまして、昭和五十七年度中にも約二億五千万円の経費節減を目標に会社が一生懸命やっております。そんなことで、五十七年度は若干ハードボードについても黒字に転化するのじゃないか、私どもはこういう期待を持っております。
  19. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、この会津工場赤字というのは、結局東北開発株式会社全体でプールして政府がかぶって処理する、こういうふうに解釈していいでしょうか。
  20. 川俣芳郎

    川俣政府委員 その点につきましては、昨年関係省庁の間で東北開発株式会社民営移行につきましての方針を決めたわけでございますけれども、最終的な決定は、民営移行時までにまだ時間がございますものですから、セメント部門につきましてもハードボード部門につきましても、それぞれできるだけいまの赤字解消するように努めたいというふうに思っておりますが、これが完全に赤字解消に至らない場合においては、最終的に民間方々に株を持ってもらわなければいかぬわけでございますので、そういう観点から政府としても何らかの措置考えなければいかぬことになるのではなかろうか、現時点はさよう考えております。
  21. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、会津工場民間移行ということは、つまりその営業内容はそのまま継続させるということでしょうか。
  22. 川俣芳郎

    川俣政府委員 御案内のとおり、現在会律工場におきましてはハードボードそれからインシュレーションボード、建築材でございますが、この二つの商品を生産しております。民営移行後の新会社も、従来どおりこういった商品の生産、販売というものに従事することになると思います。したがって、それらが営業内容になろうかと思います。
  23. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 経営内容を聞きますと、ようやく黒字に転化しようとしておる。いままで政府が相当の資本をつぎ込んで今日まで育てたハードボード工場民営化すると、政府は投資のしっ放しで、その成果というものを得ないまま民間に移行させる、こういうことになると思うのですが、そういう点についてはどのようにお考えでしょうか。
  24. 川俣芳郎

    川俣政府委員 民営移行時、昭和六十一年の十月までにできる限りの企業努力をいたしまして、そして累積赤字解消に努めるようにしたいと思いますが、それがどうしてもうまくいかない場合においては、先ほど申し上げましたように政府としても何らかの措置を講ぜざるを得ない、こう思っておるわけです。その場合は先生のおっしゃったような見方もできるかと思います。しかし、なるほど赤字は生じてきましたけれども、その会社創設以来、セメント部門あるいはハードボード部門において東北地方開発に大変役に立ってきたという点は見逃せないわけでございまして、そういった点でやはり評価をすべきものじゃなかろうかと思っております。
  25. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 先ほど会津工場だけの赤字を聞いたのですが、東北株式会社全体では、いまどのくらいの赤字でしょうか。
  26. 川俣芳郎

    川俣政府委員 五十七年度の見込みでございますが、約五十九億円ほどになろうかと思っております。
  27. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 五十九億円というと、そのうちの四十億がハードボード赤字となると、ほとんどハードボード赤字の原因になっていた。これは今後、その切りかえ時までは一生懸命努力してだんだん少なくするように努められるでしょうけれども、最終的には、この赤字政府がかぶることになるんじゃないでしょうか。この処理政府責任でやることになるんじゃないでしょうか。
  28. 川俣芳郎

    川俣政府委員 そのやり方についてはいろいろ方法があるかと思いますけれども、たとえば減資というような方法考えられると思っております。
  29. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、仮に民間に移行して、その後にまた不況等に見舞われた際に、この国策会社と新たにできる民間会社との関連、関係というものはどういうふうになっていくでしょうか。ぷっつりと切れて、後はどうなろうとその経営いかんであるということになっていくのでしょうか。
  30. 川俣芳郎

    川俣政府委員 資金的に申し上げますと、まさに国の出資がなくなるわけですから、おっしゃいますようにぷっつりと糸が切れることになるのかもしれませんが、しかし私どもとしては、歴史のある会社でございますし、今後の会社ができるだけ順調な経営ができますように見守っていきたいと思っておりますし、そういうことになるように、先ほども申し上げましたが現時点、五十七年度で二億五千万の経費節減努力もいたしておりますし、また当会社が持っております赤字につきましても、最終的には繰越欠損処理の問題として六十一年度までに措置をするわけでございますけれどもハードボード事業経営する新会社には、これを負担をさせないという方向措置をするということでまいりたいと思っております。
  31. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、いま会津工場に勤めている労働者はどのくらいおりますか。
  32. 川俣芳郎

    川俣政府委員 五十七年一月一日現在で百十五名でございます。
  33. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 国策会社から民間に移行される場合に、いままでここに働いておった従業員についてはどのような措置をされるのか。たとえば、一たん会社が終結するわけですから、その際に退職金を全部支払って、そうして次の新しい段階に移行していくのか。あるいはまた次の段階にそのまま移行して、そうして新会社で継続した期間についてのいろいろな手当やその他を考えさせていくのか、その辺を少し詳しく教えてください。
  34. 川俣芳郎

    川俣政府委員 退職金支給を含めまして、従業員の処遇問題というものが新会社移行に際して非常に問題になろうというふうに私どもも認識いたしておりますが、この問題はすぐれて労使間の問題でございますので、私どもといたしましては、労使の間で十分協議が行われ、円満な解決がされるように希望をいたしておりますし、またそのような方向会社指導してまいりたいと思っております。
  35. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 労使間の問題であることには間違いないのですが、一応政府が、これはまるまる国策会社としてつくった責任があるわけですから、そういう意味では一つ指導方針と申しますか、そういうものがあってしかるべきだと思うのですけれども、一体どういう考え方のもとにその指導をされようとしておるのか。これは会社の方に対しても、結局会社が勝手に労働者と適当なことを契約できるわけではないわけですから、政府意向を確かめながらやっていくわけですから、そういう際に政府はどのような指導方針を持って、この問題に臨もうとしておられるのか。
  36. 川俣芳郎

    川俣政府委員 先ほど申し上げたようなことでございまして、労使間での円満な解決期待をしております。  それで、具体的に従業員の処遇問題をどのように扱ったらいいのかということにつきまして、まだ現時点では会社も最終的な案を固めておるわけではないというふうに承知しております。会社としての案がまとまりましたならば、会社の方から私どもも当然相談を受けますし、また指導すべきところは指導してまいるというようなことになろうかと思います。  退職金支給の問題につきましてもいろいろ考え方がありまして、たとえばやはり新会社移行のときに退職金を払ってもらいたいというような希望もあるやにも聞いておりますが、そういった点についてはやはり従業員の方の意向というものも十分しんしゃくするようなことで対処すべきであろうと思っております。
  37. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると組合から、退職金を支払って一たんけりをつけてくれと言われると、大体それに応ずる考えを持っておる、こういうふうに解釈していいでしょうか。
  38. 川俣芳郎

    川俣政府委員 現時点で、そのとおりでございますという段階ではないと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、従業者の側の意向もできるだけ酌み取るように会社としても努力はすべきものであろうと思っているわけでございます。
  39. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは退職金ばかりの問題でなく、給与体系とか、あるいは労使間に結ばれておると思いますが協約関係があると思うのですよ。そういう問題については新しい会社にそのまま継続するように指導されていくものか。それともここで一たん切りを切って、もう全く無関係に、あとは新しい段階で新しい交渉をせよ、こういうことでやっていこうとしておるのか、その辺を少し詳しくお願いします。
  40. 川俣芳郎

    川俣政府委員 これも今後の会社組合との間の話し合いのマターでございまして、いま現時点で私どもが、その労働条件なり給与体系の問題について確たることを申し上げる立場にないと思うのでございます。  ただ、申し上げられますことは、ハードボード業界は現在非常に厳しい状況に置かれている。しかも、私どもとしては民間会社移行時点までにできるだけの手助けはして、身軽な状態で新しい会社営業に専念してもらう状態をつくろうと思っておりますが、何しろ厳しい業界の現状でございますので、いままでと違った局面がある程度出てくるというようなことは否定できない面があろうかと思います。
  41. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 ひとつその辺は、働いてきたいままでの方々に対して十分温かい愛情を持って対処していただきたいと思います。  そこで、手続上の問題ですが、このハードボード株式会社を今度新しい民間の普通の商法による株式会社に直していくわけですが、それは何か商法法人残置方式というような形でこれをやろうとしておるのか、またその他の何か方法があるのか、その辺についてひとつお伺いします。
  42. 川俣芳郎

    川俣政府委員 商法法人残置方式と申しますものは、六十一年十月に民営移行をいたします根っこの東北開発株式会社民営移行方式一つとして考えられているものでございます。ハードボードにつきましては、その時期以前に、先ほどから申し上げておりますように、まず全額東北開発株式会社出資をいたす子会社にする、そして六十一年の十月までには純粋の民間企業として出発をさせる、こういうことでございます。
  43. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 時間も来たようでございます。  最後に、大臣にお伺いしますが、このハードボード工場は何といっても国策に沿ってつくられた会社でございまして、しかも、ここに集まった労働者方々は、まさか国がつくった株式会社が中途で解散されたり、こんな事態になろうとはゆめゆめ思わなかったと思います。そういう信頼をして、ここに働いてきた多くの労働者に対して、今度こういう事態になったことについて、やはり政府はそれなりの責任を感じていただきたいと思うのです。そして、この働いてこられた方々に対しても、できるだけ要望を受け入れて、政府の誠意ある一つの態度をこれから具体的に示していただきたい。これをまずお願いして、大臣の決意のほどをお伺いしたいと思います。
  44. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど局長が御答弁申し上げましたような線で新会社というものは持っていかなくてはならないと思っております。そして、会津工場で働いておる百十五名の皆さん方意向というものも十分加味しながら今後処置していきたい、このように思っておる次第でございます。
  45. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  46. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。  次に、広瀬秀吉君。
  47. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 きょうは、国鉄の経営改善のためにとられる第二次の地方赤字路線の廃止、第一次がやられ、第二次が発表されておるわけでありますが、その中の一つである足尾線廃止の問題に関連をしまして質問をいたしたいと思うのです。  申すまでもなく、これは国鉄経営再建促進特別措置法で交通量の少ない赤字線区を廃止するという趣旨なんですが、特に、きょう国土庁長官にもおいでいただいて質問をいたしたいということは、まず過疎地域振興特別措置法が五十五年につくられておるわけでありますが、これはそのとき修正されたので、その前からできておったはずだと思うのですが、これは日本全国のいわゆるバランスがとれて、過密と過疎が決定的に両極をなすというような事態を避けていこうということが趣旨であり、特に過疎地域には、その住民の生活、福祉、教育、その他各方面にわたって大変な不利不便を来すようなことを避けていこうというところに目的があるのだろうと思うのです。  そういう見地から見て、なるほど国鉄の財政状況がきわめて悪いということを承知しながらも、こういう法律を持っておりますからには、これは単に足尾線だけの問題ではない、北海道にも九州にも四国にも、あるいはその他の地域にも相当そういうところがあるのではないかと思うので、閣議で決定されるような場合に、恐らく国土庁長官もこの法律の主管大臣として重大な関心をお持ちであったろうと思いますが、国土庁として過疎地域振興特別措置法を主管する大臣として、どのような態度をおとりになったのか。まずその辺のところからお伺いしてみたいと思うのです。
  48. 加藤六月

    加藤国務大臣 第二次の問題については、まだ中曽根内閣で正式に議題になったことはございません。鈴木内閣の昨年の十一月二十一日に国鉄から申請が出たものを運輸大臣が受け付け、了承した。そしてそれに従って、再建特別措置法の制度としての第二次特定地方交通線の対策が進んでおるということでございます。  そこで、過疎地域における交通の確保というのは、先生もおっしゃいましたように、過疎地域振興特別措置法にも「交通を確保すること。」というのがのっておるわけでございまして、交通の確保をするということは「対策の目標」ともされておるわけでございます。また、先生自身もおっしゃいましたが、一方、国鉄の経営再建も重要な課題でございまして、特定地方交通線の第二次選定作業が先ほど申し上げましたように現在進められておるところであります。そこで国土庁としましては、今後ともその進め方を見て、代替輸送手段の確保等、過疎地域の実情に応じた交通体系を整備していくことにより、これらの地域の振興に支障を来すことのないように努力してまいりたいという方針で臨んでおる次第でございます。
  49. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 この過疎地域振興特別措置法の第一条に目的が書いてあるわけでありますが、前段は省略しまして、「もって住民福祉の向上、雇用の増大及び地域格差の是正に寄与することを目的とする。」こういうことなんですね。  それで足尾町は昭和四十八年に、いわゆる銅山、これは長い長い歴史を持つ余りにも有名な足尾銅山ですが、これは江戸時代末期からすでに始まっていて、日本の戦前、戦後の歴史を、閉山に至るまで支えてきたという言い方はやや過大かもしれないけれども、銅の生産、採鉱から製錬まで一貫して粗銅として出していく、こういう国家経済全体にとっても非常に重要な役割りを果たしてきたことは、もうどなたも御承知だと思うわけであります。特に足尾線の問題は、国土庁長官も運輸行政には最も通暁されている実力大臣でもあるわけで、その辺の足尾線の持つ意味というようなものもよく御承知だと思うのですけれども、銅山それ自体は四十八年に、鉱脈が非常に貧弱になって鉱脈の走りぐあいが本当に枯渇したというか、そういう状況で閉山のやむなさに至ったということで、それまで足尾には四十八年三月一日現在で九千五百八十八人の人口があったわけです。ところがその閉山によって、昨年、五十七年四月一日では五千八百七十七名に人口が減少いたしました。これはまさに四〇%になんなんとする三九%の減少であります。  したがいまして、過疎法によって過疎地域に該当することは当然であったわけですが、この特別措置法に基づいて、国土庁としてはいろいろな面で「振興方針」これは第五条でございますが、それから第十二条などについて、それぞれの項目についてかなりの予算もつぎ込まれて、いろいろ対策を講じられてきたと思うのですが、その概要とその成果がどの程度になっておるのか、この辺のところをちょっと伺いたいと思うのです。
  50. 川俣芳郎

    川俣政府委員 過疎地域の現況と、それからいろいろ講ぜられている施策について御質問があったと思うのでございますが、過疎法ができましてから、まあいわば過疎地域の人口減少に歯どめをかけるという意味での対症療法的なものが旧過疎法にはいろいろ盛り込まれておったと思うのでございます。その結果、道路の整備でございますとか危険校舎の解消とか、いろいろな意味で公共施設の整備水準というのは上がってまいりました。上がってまいりましたが、非過疎地域と比べますといまだに格差はございます。その格差を是正するためには、十年で切れた法律をさらに延長をしていくべきだ、しかも対症療法でなくて、人口がなぜ減少していくのか、そこの根っこのところにやはり焦点を当てて対策を考えなければいけないということになりまして、新過疎法が成立をしたと思うのでございます。  先生先ほど御指摘のございました「目的」のところに、実は「住民福祉の向上」の次に「雇用の増大」という項目が入りました。過疎地域に人口の定住を図りますためには、やはり雇用の場の提供というものが欠かせないことだと思うのでございます。そういった意味で、過疎地域の産業の振興ということに私どもも非常に意を用いておるわけでございます。  ほんの一例でございますけれども、市町村におきましては、それぞれの立場でいろいろなことをやっております。国といたしましても、何か支援ができないかというようなことも考えまして、実は五十八年度の予算編成に関連いたしまして、地域開発金融を担当しております開発銀行と、それから北東公庫がございますけれども、その地域開発融資の中に、いわゆる過疎地域における地場産業の振興という意味で特利制度を今回設けていただくことにいたしております。そのようなことで、今後の方向といたしましては、やはり雇用の場の確保によりまして過疎に根本的な歯どめをかけるという方向で、今後ともいろいろ施策を展開してまいる必要があると思っておる次第でございます。
  51. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 大体この足尾町に、いままでこの特別措置法に基づいて国の補助なり——なるほど足尾と日光の間に、あれは大体三キロ余に及ぶ日足トンネルという道路のトンネルの貫通によりまして、上がったりおりたり、百何十というような大変なカーブの道が著しく減ったというようなこともございます。それから、それに対する取りつけ道路の開通というような点なども、この法律に基づく国家の助成によって行われてきたのだろう、こういうように思うのですね。そのことは私どもも現地についてよく見ておるわけであります。そういうところにどのくらい国の予算がつぎ込まれておられるのか。あるいはまた、過疎債の発行というような点でも、これは貧弱な足尾町の財政でありますからそう膨大なものではないと思いますが、国として金融の問題、過疎債の問題なども含めて、そういう点でどのくらいのことをされてこられたか。わかっておったら、そのことをひとつ教えていただきたい。
  52. 川俣芳郎

    川俣政府委員 ただいまお話がございましたように、たとえば市町村道路の整備について都道府県が代行をいたしますとか、あるいは危険校舎の改築等について補助率のかさ上げがあるとか、いろいろ財政上の特例措置が過疎地域について設けられております。過疎債もまた、その一つの大きな財政援助の手段であろうかと思います。五十六年度で申し上げますと、トータルで過疎債が千五百二十億ほどに相なっておるのでございます。  ただいま足尾町につきましてどういうぐあいになっているかというお話がございましたが、ちょっと手元に資料を持っておりませんので、後刻御報告させていただきたいと思います。
  53. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 今日まで足尾町に対してどういう財政援助があり、あるいはまた過疎債等を認めてきたか、そういうようなことについては後で資料としてそれぞれ項目別にお出しをいただきたいと思います。質問通告の中にそれを入れておきませんでしたから準備がなかったと思いますので、それは結構でございますから、後でお届けいただきたいと思います。  そこで、いずれにしても、過疎地域を振興させよう、あるいはまた人口減少——人口が著しく減少すれば、その住民の生活の不便あるいは福祉の後退、教育などについても影響が出てくる。足尾町にも高等学校はちゃんとあるのであって、あそこも陸の孤島といわれるような非常に交通に恵まれないところでありましたから、そういうところで人口九千あるいは一万を超えているような当時に高等学校もできておるわけなんです。これはもちろん男女共学でありますが、そういうものも——恐らく今度は足尾線が廃止をされるということになりますと、百数十年の歴史を持つ足尾銅山が完全に足尾町から撤退せざるを得ないという状況になるだろう。現在その採掘部門は、先ほど申し上げたとおり十年前に廃止になりまして、これで三千以上の人口が減少した、そういう厳粛な事実があるわけですし、今度足尾線がなくなるということになりますと、これはどうしても銅山、古河鉱業でありますが、これが全面的に撤退をせざるを得ない。これは営利会社でございますから採算がどうにも合わぬということになれば撤退以外にないわけでございますが、足尾線がなくなればそうならざるを得ないということは、これは常識的にだれもが認めているところでございます。そうなりますと、いま足尾の銅山関係企業に働く労働者だけの数で約七百二十名、家族を含めますと二千は下らないということになります。五千八百のうち二千が恐らくもう足尾に住んでおれないという事態にほとんどなってくるだろう。こういうことになりますと、さらに今度は商店街が商売が成り立たなくなるということでどんどん出ていかざるを得ない。商売が成り立たないということになってくる、そういうことでそれが一層加速される。  さらにまた、先ほど申し上げた高等学校の存在も、これは余りにも小さい町に置くことはならぬ。しかも交通がなかなか不便なところでありますから、足尾線でもなくなったら、よその地域から県立高校に入るというようなこともない。そうすれば、もう人口三千程度のところで高等学校一つ独立で持っているなんということは県としてもやり切れなくなるだろう、こういうことになるわけです。そうしますとそういう面での人口流出がまた加速されてくる。そういうことになりますと、恐らく人口二千台の町ということにならざるを得ないんじゃないか。  その後の状況を見てみましても、人口がふえる、これは雇用の場が保障されなければならないわけでありますから、地場産業の振興なり産業の誘致なり、こういうようなことを盛んに町当局も努力をして、また古河鉱業も昔の社有地をどんどん放出、提供するというような努力をいたしても、やがて足尾線がなくなるのであろうというような予測のもとでは誘致企業なんか来るはずはないのです、あれだけ不便なところでは。そうなったら人口二千程度の町、こういうものは全国の町村の中でも非常に規模の小さい、言うならば、極言かもしれぬけれどもゴーストタウンの状況になってしまうのではないか。  過疎地域振興法でいままで大分めんどうも見てこられたことも認めますけれども、そういうものが進行している間に今度は足尾線を取り払うということによって決定的なダメージを受ける。町の存立それ自体そしてまた足尾の基幹産業であった銅山関係の仕事は全面的に撤退せざるを得ないということになったら、もはやこういう過疎地域振興の特別措置法をやった理由がどうなるのかということで、そういう点では国の政策自身も、一方において過疎地域をなくしよう、あるいは人口減少に歯どめをかけようということで国の助成をしたり過疎債を発行したりしてめんどうを見てきているにもかかわらず、なるほど国鉄の事業赤字経営で大変な財政危機に陥っているということはわかるにしても、国土庁としても、独立した、過疎地域における住民の福祉、雇用の増大、そして地域住民の安定した生活を保障していこう、こういうような目的を持った法律を所管する庁として、運輸当局に対しても国土全体のバランスのある発展、過疎と過密そういうものの矛盾を解消するという政策目的からいっても、これはかなり国土庁側からのそういう政策展開に対して、この種の特殊事情というようなものを考えて、しかるべき強硬な、強いという程度に言っておきましょうか、発言があってしかるべきだし、またそういうことをやられるのが国土庁の任務ではないのかな、こういうように感ずるわけでございます。これは大上段に振りかぶれば政策の整合性といいますか、政府自身が一方で前向きのことをやろうとしているにもかかわらず、それの足を引っ張るようなことを同時に行うというような政策展開の不整合性というか、そういうものに対して、これはやはり厳しい態度で意見も述べ、また発言もし、そして矛盾する対策についてはこれをチェックして引き直していく、是正させていくというな努力が当然であってしかるべきだろう、こういうように思うのですが、これは局長大臣と両方からお答えをいただきたい。
  54. 加藤六月

    加藤国務大臣 足尾町、足尾線という問題について非常に熱心なお話を承って、先ほど来聞いております。足尾町の場合、先ほど先生がおっしゃいました昭和四十八年九千五百八十八名が五十七年に五千八百七十七名、これが二千人台になるという、これは普通の過疎地における減少ではございません。ある面でいいますと企業城下町としての特性で、その企業城下町の企業がいろいろな理由で閉山あるいはそれに近いような立場になった場合に遭遇する一つの大きな例であろうと思います。そういうときに足尾線という鉄道をさらに引っぱがすのはひどいのじゃないか、何とか過疎振興法と国鉄再建との両立を願うようにがんばったらどうだというお話ではないか、このように拝聴いたしておったわけであります。同じような例が全国的に見ますと他にもあるのじゃないかと思いますので、そこら辺を踏まえまして、先生の御意見を承りながら今後運輸省、国鉄に国土庁として働きかけていく分は働きかけていきたい、このように考えております。
  55. 川俣芳郎

    川俣政府委員 ただいま大臣のお答えのとおりでございます。足尾町の人口の減少の状況は、三十五年から五十年までに全国の過疎地域の平均では三一・五%でございます。したがいまして足尾町の三九%というのは大変な減少の状況です。  それでまた今後の見通しについてもお話を承ったわけでございますが、まさに過疎そのものになるわけでございます。私どもは、過疎とはその地域社会における存立の基礎的な条件が失われる状態だと思っております。基礎的な条件と申しますものは、たとえば医療でございますとか防災でございますとか、あるいは先ほど高等学校のお話ございましたけれども、教育、そういう基礎的な地域社会としての存立条件が失われる状態、それが過疎だというふうに認識しておりまして、まさに足尾町の場合そういうことが、手をこまねきますと予想されるわけでございまして、私どもとしてもこれは重大な関心を持たざるを得ないと思っております。  今後の対策につきましては先ほど大臣が申されたとおりでございまして、私どももできるだけ努力をさせていただきたいと思います。
  56. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 時間もありませんから最後に一言だけ。  いま全国の過疎適用対象地域の中でもひどいと局長も数字的にもお認めになったわけでありますが、医療の面などでももうお医者さんは、普通の民業医といいますか開業医といいますか、そういうものはおりません。銅山の医療部門であった診療所の医者がいるだけというような状態になって、これ以上減ったら、銅山が撤退したら医者もいなくなってしまうということも、いま局長がたまたまおっしゃいましたけれども、そういう状態で、まさに生活環境基盤としての町村の体をなさなくなるということもありますし、それから企業が全面的に撤退するというようなことは、内陸工業ですから、しかも素材産業で企業城下町ということもおっしゃられました。まさにそういう面を含んでいる。しかも、銅は素材産業の中で特定不況産業にもなっているようなものですから、そういう面も含めて、今日まで足尾の製錬所が内陸地にありながら残ったのは、古河全体と言ってもいいかもしれぬけれども、足尾の銅山の製錬所が開発した自溶製錬技術という世界的にも一流の技術、この技術までが失われる。いま日本からの輸出を、自溶製錬技術を求めている国は世界に十カ国もあるというようなすぐれた技術を持ってようやく今日まで生き延びてきた。それが足尾線がなくなることによって決定的に撤退せざるを得ない状況に陥る。そうすれば、先ほどから私がいろいろ数字を挙げて、そしてまた局長も認められたように、そういう事態になりかねないわけですから、この点につきましては、最後にもう一言、これは運輸行政における一つの今日的な問題ではあるけれども、足尾の町の存立自体がかかっている状況であるという特殊性を踏まえて、大臣から運輸当局に対してもしかるべくチェック機能を果たしていただきたい、こう思うのですが、その決意のほどを伺って終わりたいと思います。
  57. 加藤六月

    加藤国務大臣 足尾町自身が必死の努力をしていただきまして、あらゆる方法、英知を結集して、足尾町の維持繁栄にがんばっていただきたい。その熱意を反映して国土庁としてもあらゆる方面に一生懸命お願いをするといいますか調整機能を発揮していくといいますか、過疎振興法の精神にのっとって行動をするということを申させていただきまして、先生に対するお答えになったかならぬかわかりませんが、気持ちは十二分理解して今後行動いたしたい、このように思う次第でございます。
  58. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 終わります。
  59. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて広瀬秀吉君の質疑は終了いたしました。  次に、新盛辰雄君。
  60. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 国土庁、科学技術庁、気象庁、林野庁、農林水産省などなど多岐にわたっておりますので、これからの質問について十分にひとつお答えいただきたいと思います。  最近、鹿児島県の桜島の火山活動がきわめて活発になっております。この桜島の南岳の猛威がことのほか強く、住民を不安に陥れておりますが、二月二日未明突然雨で押し流されました土石流が同島南部の古里温泉街を襲い、十八日には直径一メートル余りの噴石が有村町の山林、農地に落下して、この直撃で農家の納屋が一棟全焼しました。幸い人畜には被害はなかったのですが、民家近くまで噴石が飛んできたのは五十二年の十一月三十日以来のことでありまして、土石流の護岸工事も行われておりますが、必ずしも万全とは言えない。また噴石対策は全く手つかずの状態ではないか。これから六月に向かって雨季が心配だ、落ちついて畑作業もできないというので、住民の恐怖が一層つのっているという現状であります。  そこで、気象庁にお尋ねをしますが、この桜島噴火の臨時情報などを出して、活発な活動をしている桜島は、これ以上大爆発を起こすおそれはないのだ。また上空の風等が強いときは噴石があちらこちらに飛び交って、落ちていくところはきわめて不明だ。それだけでは住民は非常に不安なんです。この観測状況はどうなっているのか、お聞かせをいただきたい。
  61. 山川宜男

    ○山川説明員 御説明申し上げます。  桜島の最近の活動でございますが、先生御指摘のように、昨年は一年間で二百三十三回程度だったわけでございますけれども、ことしになりましてからは、三月三日までにすでにもう百二十八回起こっておりまして、かなりアクチブな活動を続けているわけでございます。  しかし、気象庁は昭和五十二年に地磁気関係の観測点を新設いたしましたり、それから五十四年から五十五年にかけまして、それまでの三点の火山の震動観測点を五点にふやしましたり、それから傾斜観測点を新設いたしましたり、それから赤外熱映像計を導入いたしましたり、またデータ処理装置を導入いたしましたりして、桜島の火山活動の監視には非常に力を入れてきているところでございます。それからもちろん京都大学の桜島火山観測所とも十分連絡を取り合って対処しているわけでございます。  先生御指摘のように、最近かなりアクチブな活動を続けておりますが、桜島につきましては、各大学、火山の研究をしておりますほとんどすべての大学を網羅いたしまして、それに気象庁も協力いたしまして、昭和四十九年から桜島の火山の総合集中観測を大体二年に一回実施してきているわけでございます。つい最近のものは、昨年の十月から十二月にかけて集中観測がなされたわけでございますけれども、その結果、一応現在山頂付近の活動は確かにかなりアクチブではあるけれども、山体の深部等についてはそれほど重大な変化はない。そういう意味で、大正三年のような大規模な噴火につながる心配は現在のところないということが見出されまして、つい最近、二月八日でございますけれども、気象庁が事務局をしておりまして、全国の火山関係の学者、それから関係官庁が集まります火山噴火予知連絡会におきまして、いま申し上げたように、山頂の活動はある程度アクチブではあるけれども、大正三年のような大規模な大爆発を引き起こす心配は現在のところないということが確認されているわけでございます。  火山情報についてでございますけれども、確かにたとえば二月十八日につきましては、先生御指摘のようなかなりの規模の爆発があったわけでございますけれども、気象庁は、その前日の二月十七日に、ことしになりましてから二回目の臨時火山情報を発表いたしまして注意を呼びかけ、特に風下の皆様方には噴石等の事故に対して十分お気をつけてくださるように情報を出しているわけでございます。
  62. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 科学的な調査をされているはずのものなのですが、予測つかないわけですよ。もしいまやっている間にあったら、これは予知に誤りはありませんと言うばかりじゃ済まされないでしょう。もっと不安のないように、これは科学的、技術的な諸問題ありますが、ぜひ正確な情報をひとつ事前にお示しいただくようにお願いしておきます。  土石流の対策の問題ですが、現地ではいろいろ言われております。この第二古里川とかあるいは国道二百二十四号線沿いに、降灰で山に積もった、そういう灰じんといいますか、そういうものが雨で一挙に流れ出す。確かに砂防ダムはつくっておられるのです。その山の中腹につくられたダム、そこから押し流されてくる場合に、道路の下を通っている測溝がきわめて狭い、あふれ出るのはあたりまえじゃないか、何でこんな対策ができないのだ、こういう強い不満もまた出ています。約千五百立方から二千立方と言われている土石流です。これらのことについても対策が後手後手じゃないか。もうおのずから、これは雨季に入りますと、——いまも連日灰は積もっているのですよ。鹿児島市の方は夏に来ますけれども、冬場はほとんど大隅半島に行くのですね。またその周辺なんです。桜島周辺の降灰というのは、もう大臣もごらんになってよく御存じだと思いますが、これは何とかひとつ実のある対策をやっていただかなければ困る。この災害発生後、どういう処置をされ、またどういう計画であるかをお聞かせをいただきたい。
  63. 矢野勝太郎

    ○矢野説明員 お答えいたします。  第二古里川の問題につきましては、土石流の現在までの統計を調べてみますと、五十五年から五十七年までの間におきまして六回土石流が発生しておりますが、それらの土石流はほとんど現在の流路をまあ無害に流下しておるわけでございます。  それで、今回の土石流の災害を現地調査いたしますと、流路の法線が災害に大きく影響しておる。あの国道と流路とが接合するところの法線の形が余りよくないということがわかりましたので、これを今後の対策の中で修正するという方向で現在地元の土地所有者と折衝中でございます。  なお、全体の計画といたしましては、現在、準備工の道路を建設いたしております上流の第一号砂防ダム、これはかなり規模の大きなものをつくりたいと思っておりますが、上流第一号砂防ダムに合わせまして流路の幅等につきましても検討してまいりたいというように考えております。
  64. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 林野庁きていらっしゃいますか。——この森林の保全、そうしたことについても対策を立てなければなりませんが、一体どうしておられるのか。  それから農水省。農林水産の中での特に営農関係部分、これに対する対策等をお聞かせをいただきたいと思います。
  65. 今村清光

    ○今村説明員 桜島における治山対策につきましてですが、火山活動の活発化に伴いまして、林野庁といたしましては、桜島町において、昭和五十一年度から国の直轄治山事業といたしまして、治山施設の積極的な整備を図っておるところでございまして、崩壊地の復旧、荒廃渓流の整備あるいは緑化等を含めて進めているところでございます。今後におきましても、第六次の治山事業五カ年計画が五十七年度から始まったわけでございますが、この五カ年計画に基づきまして、当該地区における計画的な事業の実施に努めて山地災害の未然防止を図ってまいりたいと思っております。
  66. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 きわめて時間がないので、突っ込んで申し上げる時間もありませんが、この種問題については、また災害対策委員会等でも十分に明らかにしてまいりたいと思います。  次に、鹿児島県は御承知のように旧噴火口の跡でございますだけに、特有のカルデラ地帯であります。いずれの個所もシラス、ボラ、コラ層の集積地になっています。したがって、五十二年の六月二十四日に竜ケ水災害、山崩れ、いわゆる大変な土石流で九名のとうとい命を失ったのでありますが、この問題で実は九州大学の助教授でございます後藤氏が指摘をしておるのでありますが、電磁気波の探査、いわゆるセンサーで地表面の特性を調べている。リモートセンシングといって遠隔の探査であります。最近はやっております航空写真あるいは植物の起伏あるいは土地の状況、そうしたことで科学的な状況把握ができると言われておりますが、この鹿児島市の竜ケ水地区で災害が発生するあの五十二年の災害発生一カ月前に、実はそのデータがあったことがいま判明しまして、明らかに違いが出ている。ほかの周辺の山林状況、それからがけにおける状況、起伏の状況、それが一カ月後に、あれはわき水というふうになっていますが、山崩れを起こした。それで非常に興味を持って、それをリモートセンシングでやっていく場合、防災にどれだけ役立つかどうかという科学的な研究もされておられて、最近この竜ケ水地区災害現場から北側の方へ約三百メートル行ったところにそういう起伏が見られる。MSS、マルチスペクトル・スキャナーという特殊なセンサーだそうでありますが、こうしたリモートセンシングでやってみて、同地帯の電磁気の反応というのが特徴的に変わった形で出てきている。これは危険だ。もともとがけの多いところですから、崩壊個所より三百メートル付近は、いずれ豪雨があったら、湧水もありますから、当然災害が起こるであろうと学術的に発表されて、現地では大変な不安であります。そのがけ下地に住んでおられる方々も、もう祖先伝来の土地でございますから離れるわけにはいかない。しかし、それが科学的に証明されれば、一体どうするのか。県の方でも砂防ダムあるいは堰堤、そうしたものをおつくりになっておりますが、これは大変だというので、市長に対して何とかしなければいけないというんで、この研究結果の期待とある意味では不安がつきまとっている。一体こうしたことに対して科学技術庁あたりでは、こういうやり方、いわゆる日本も科学的な水準は高いのですから、こうしたことを活用するとか、あるいは関心を持ってどう対処されているのか。  さらに、この種問題で、これからの建設省あるいは林野庁、付近の森林ですから、この修復といいますか、あるいは対策、そうしたことについてどういう御見解を持っておられるかをお聞かせをいただきたい。
  67. 大橋哲郎

    ○大橋説明員 お答えいたします。  リモートセンシングは、わが国におきましても近年急速に技術開発が進められてきております。防災に関してのリモートセンシング技術の応用は、国立防災科学技術センターを中心といたしまして、火山噴火あるいは海岸災害の予測方法等に関する研究を実施いたしておりますが、今後ともリモートセンシングの技術がこのような自然災害防止のために広く活用されるための研究を進めてまいりたいと考えております。
  68. 今村清光

    ○今村説明員 先生御承知のように、山地崩壊につきまして大変関与する要因が多いわけでございまして、それらの相互の関連が大変複雑であることから、その予想は大変むずかしいわけでございます。林野庁におきましては、昭和五十三年と五十四年にわたりまして、全国的に山地災害危険地区の調査を実施して、効果的な予防治山等の積極的な実施等山地災害の未然防止に努めているわけでございますけれども、実はこのリモートセンシングによる各種の調査方法でございますが、大変各方面開発、応用されつつあるわけでございまして、森林関係につきましてもいろいろ研究活動が進んでいるわけでございますけれども、山地災害の予測に関しまして、これらの研究成果を今後踏まえながら、いろいろと治山事業にも活用してまいりたいということで考えておるわけでございます。
  69. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 そこで、大臣国土庁長官としてこれまでの災害対策、火山法ができましたし、あるいは緊急の災害発生の場合におけるいろいろな防止対策等出ているわけです。地震も含めてそうですね。大規模地震対策のための法律もつくりました。しかし、各関係省庁の横の連絡、必ずしも一致して統一的な行動といいますか指導といいますか、そういうものが果たしてあるのか。  実は私、五十二年六月二十四日の竜ケ水災害の際に肉親を失ったものですから、そこでこの問題提起をやったのです。国側の責任があるのじゃないか。あの場合は山の方に側溝がなかった。山の上に道路があって側溝がなかったもので、雨水が流れて崩れたのだという地元住民の主張。県側の方は、そうじゃない、これは山自体、がけ自体に湧水があったり、もろもろの条件が重なったのじゃないかという主張。結局住民の側は、いまこの問題で国家賠償の提訴をされて係争中ですよ。そういう状況ですが、できるだけ国が責任を持たないという、逃げ腰ですね。そういう部面もあるかと思えば、科学技術庁や林野庁や農林水産省、気象庁あるいはそれに関連をする——建設省は砂防ダムだ、森林の方は国有林と民有林とで、これは桜島自体も市に入っている側と桜島町に入っている側と林野庁の管轄が違うのですね、県との関係で。どうもその辺不思議でならないのでありますが、そういう総合的な対策、言うならば、各省庁がすべて筋道を立てて防災対策を立てるということでなければ、これから国土の保全という面では事欠くのではないか。これについてはこれまで何回かお取り組みになったらしいのだが、どうもうまくいかないらしい。まあ加藤六月大臣は非常に積極的に物事に当たられるそうですから、非常に期待をしているのですが、お答えいただきたいのです。
  70. 加藤六月

    加藤国務大臣 国民の生命、財産を守るということは国政の基本でございます。したがいまして、いま先生がお述べになりました各省庁との横の連絡その他につきましては、中央防災会議その他を通じてさらに今後強力に熱心に進めていかなくてはならないと考えておる次第でございます。
  71. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 熱心にやっていただくのはいいのですけれども、これはもう当面の問題ですね。東京だって東海だって最近非常に地震の発生が著しいと言われておるのですが、総合的にそういうような組織をつくっておやりになって、また各県でもそういう訓練もされたりしているのです。しかし、全国的にまたがるこの種の、地域、地域によって、きょうは気象庁に聞かなければいけない、きょうは科学技術庁で研究させなければいけない、いや、山の治山治水は林野庁でやらなければいかぬ、建設省は、いや、おれが砂防ダムだ。防災、砂防、これが一体どんなふうなぐあいになっているのだということも腑に落ちないことが多いのですよ。ばらばらなんですよ。これは中央防災会議もあるから、これから大いにそこで検討してということじゃなくて、差し迫った問題ですから、ぜひひとつ前向きに何かやる手はないのですか。
  72. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 ただいま先生御指摘の、各省庁にまたがりますいろいろな試験研究機関がそれぞれおやりになっておる、それがばらばらではないか、あるいは部分的に欠落するところもあるのではないかというふうな御指摘かと思いますけれども、私、ここであえて申し上げるまでもなく、そういった防災に関する科学技術といいますのは、基礎科学のいわば応用ではないかという部分がたくさんございまして、そういうこともございますので、各大学なり各省の試験研究機関でそれぞれの独自性を生かしておやりいただくというシステムになっているのではないかと思っております。  しかしながら、その結果が総合的な一つのものとして防災対策の方に反映されなければならないということでございますので、そのためには各種の、火山ですと火山の予知連でございますとか、あるいは地震ですと推進本部でございますとか、そういった組織もございます。それからまた国土庁といたしましても、そういった各種の試験研究機関の成果というものを絶えず把握して、実際の行政に役立つように心がけているという現状でございます。基本的にはやはり各省庁がそれぞれの試験分野の基礎を生かしておやりいただく、それをわれわれが防災に、行政に結びつけるための役目を果たす、こういうことではなかろうかというふうに考えております。
  73. 新盛辰雄

    ○新盛分科員 これから前向きにそういうお取り組みをいただきますが、先ほど指摘しましたように、このリモートセンシングの活用は、これから絶体的なものだと私は思うのですよ。私の鹿児島県は内之浦がある種子島がありまして、衛星をどんどん飛ばしているわけですが、それだけに関心がありますよ。こういう電磁波の探査が具体的になってきているのですから、ただ論文で終わらせないで、こういうものを具体的に把握をする、そして積極的に防災に役立てるという政策をこれからもとっていただきたいと思うのです。  それで、私どもの鹿児島地方というのはカルデラ地帯ですから、農業の部面でも、日切れ法案で最近また可決されようとしております通称マル南というのがあります。南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法というので対策が立てられておりますので、これからも積極的に、各地方にもあるかと思いますが、カルデラ地帯、そしてしかも霧島火山脈を持っておりますし、桜島火山、現に活発な活動をしておるのですから、人畜に被害のないように防災対策をお立ていただきますことを要望しまして、時間が来ましたので質問を終わります。どうもありがとうございました。
  74. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて新盛辰雄君の質疑は終了いたしました。  次に、西中清君。
  75. 西中清

    西中分科員 関西学術研究都市についてお尋ねしたいと思います。  この構想は、文化学術研究都市を京都の木津川左岸の京阪奈丘陵と言われておりますが、そこに建設する、こういう考え方でございますが、すでに五十六年八月、京都地区近郊整備区域建設計画、こういうことで内閣総理大臣が承認をいたしまして、十一月には京都府もこの構想を発表いたしておるところでございます。また五十七年六月には国土庁が調査結果として、関西学術研究都市基本構想を発表されました。またその後、六省庁によって京阪奈地域総合整備計画の調査が行われておるわけでございます。ここでいままでいろいろな調査が行われ、また委員会や懇談会や各種民間の学術研究等も行われておるようでございますが、どういう構想にふくれ上がっておるのか、概略のところをお聞きしたいと思います。
  76. 京須実

    京須政府委員 関西文化学術研究都市につきましては、国土庁では昭和五十四年度から調査を開始いたしまして、昭和五十六年度にはその基本構想を取りまとめております。  その基本構想におきましては、文化学術研究都市は環境保全に十分配慮いたしまして、小都市群から成る開発ということを基本といたしまして、開発面積は約二千五百ヘクタール、新規人口の規模は約十五万人と想定いたしまして、文化学術研究施設、産業施設の配置等を想定した都市でございますが、その中心の地区には、学術研究施設を有機的に結びつけまして、学際的かつ国際的な研究を推進するための中核の機構を設けるということを提案しております。これをもとにいたしまして、五十七年度におきましては、行政部費によりまして、学術研究都市における施設計画、事業規模等につきまして検討を行っております。関係六省庁共同で京阪奈地域の総合的な整備計画の策定のための調査を進めている次第でございます。
  77. 西中清

    西中分科員 六省庁によってこの調査が行われておるわけでございますけれども、これは五十七年に予算がついております。五十八年もやはり同じように調査をするというように聞いておるわけでございますけれども、これは二年間の調査というように受けとめてよろしゅうございますか。
  78. 京須実

    京須政府委員 お話しのとおり、本年度から国土庁を初めとしまして、農林水産省、林野庁、通商産業省、運輸省、建設省の関係六省庁におきまして、総額約八千万円の調査をやっております。これによりまして京阪奈地域の総合的な整備計画調査を進めておりますが、本調査は、五十六年度の国土庁の調査によります基本構想を受けまして、これをより具体的にするために土地利用計画とか都市施設計画とか産業配置計画等を作成するためのものでございまして、調査全体が終了しますのは五十八年度末と考えておりまして、お話しのように、五十八年度につきましても、まだ予算審議段階でございますが、お願いしようと思っておる次第でございます。
  79. 西中清

    西中分科員 先ほど簡単に御説明いただいたわけでございますけれども、この構想は、現時点においてはどういうものをつくるのか。いろいろなことが言われておるので、地元におきましては、やはりいろいろな過大な期待もあるでしょうし、一面ではまたそれを裏切るような結果になりかねない、こういう心配もあるのです。だから、どういう施設、それからそれを取り巻く背景はどういうものなのか、いま国土庁でお考えの構想をもう少し具体的にお話しいただけないでしょうか。
  80. 京須実

    京須政府委員 ただいま申しましたように、まだ国土庁でも最終的な計画を固めておりませんので、概論的なもので申し上げますと、立地が望ましい施設といたしましては、文化学術研究における国際的あるいは学際的な共同研究といったものを推進するための施設とか、そういった高度な文化学術研究活動を支援するための情報関係の施設、あるいはまた基礎的、先端的な新領域の技術とか、先端の産業技術といったような新しい創造的な研究開発を行う施設、それからまた京都、奈良の持つ文化的蓄積、あるいは大阪、神戸等の豊かな国際性を背景にいたしました文化芸術関係者の育成、教育の施設とか、つまりもう一度申し上げますと、共同研究交流の推進のための施設、情報の施設、新しい研究開発を行う施設、それから教育、育成の施設、こんなものを考えてはございますが、具体的にどういう施設ということは、まだ残念ながら決めておらない次第でございます。
  81. 西中清

    西中分科員 かねてから関西におきましては、経済を中心といたしまして地盤沈下ということが叫ばれておった。それだけに、この構想についてはかなり期待が大きいわけでございます。したがいまして、大いに国土庁としても真剣な取り組みを、今日までしていただいておりますけれども、なお一層お願いをいたしたい、こう思っておる次第でございます。  そこで、いま御説明いただきましたけれども、たとえば情報施設ということになりますと、かねて地元から要請が出ております国立第二国会図書館、さらにまた先端技術等の研究、これはまあ民間ないしは大学の研究所というようなイメージになるのではないかと思います。文化的な問題としては、これまた地元から国立総合芸術センターというようなものが要望として出ておるわけです。そういった考え方がある程度出てきておるわけです。これが全く絵にかいたもちだということになりますと、中核となるものがなくなって、この研究都市というものがもう一つ性格がはっきりしない、こういうふうになりかねないのですね。いま具体的にはまだ決まっておらないというのは私も理解をいたしますけれども、一応こういう施設というものは十分考えられる施設だとお考えかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
  82. 京須実

    京須政府委員 ただいま先生のお話にございました第二国立国会図書館でございますか、これにつきましては、この関西文化学術研究都市構想に関連いたしまして、京都府等から第二国立国会図書館の誘致要望が出ておることは承知いたしております。この問題につきましては、所管の国会図書館におきまして本年度から調査を実施されていると承っておるわけでございますが、その結果を待ちまして、私どもも前向きに対処したいと考えております。特に、この文化学術研究都市におきましては、国会図書館、こういったものにつきましては、その中核の施設として、この京阪奈地区への誘致が特に望まれると考えたわけでございます。  あと、次にお話がありました国立総合芸術センターでございますか、これについても京都府等から誘致要望があることは承知しておりますが、これにつきましては、所管の文部省と連絡をとりながら対処したいと考えておるわけでございます。
  83. 西中清

    西中分科員 国会図書館の方は後でちょっとお伺いいたします。  そこで、もうちょっと詰めておきたいのですけれども、五十八年度末まで六省庁による調査をなさいますね。これは最終的に何らかの計画としてまとめられるのかどうか。私が聞いておりますところでは、現在京都府もメンバーの中に入って一緒にやっているのだから、まとめる必要はないのだというようなことも聞いておるわけですが、その辺のところはどうお考えでございますか。
  84. 京須実

    京須政府委員 ただいま関係省庁、六省庁で調査しておりますが、これにつきましては五十八年度末に取りまとめたいと考えておるわけでございます。
  85. 西中清

    西中分科員 それは基本計画といったものと理解してよろしいのでございますか。
  86. 京須実

    京須政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  87. 西中清

    西中分科員 そうしますと、その基本計画ができた後の手順、工事を実施するまでの手順はどういう運びになるか、御説明をいただきたいと思います。
  88. 京須実

    京須政府委員 失礼いたしました。ただいま申しましたのは、五十八年度までに取りまとめますのは一つ整備計画でございまして、この五十八年度にまとめました整備計画に基づきまして、五十九年度中に一部の事業については着手したい、こう考えておるわけでございます。
  89. 西中清

    西中分科員 そうしますと、一昨昨年の分科会では基本計画の取りまとめと御答弁をいただいておるわけでございますけれども、それより前へ行っちゃうということでございますね。
  90. 京須実

    京須政府委員 はい、おっしゃるとおりでございます。
  91. 西中清

    西中分科員 そうしますと、先ほどの御答弁ですが、京都府としてもこの実施計画を受けて都市計画決定なりいろいろ作業をやる、こういう運びと理解してよろしゅうございますか。
  92. 京須実

    京須政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  93. 西中清

    西中分科員 その段階では、京都府が都市計画の決定をいたしますと、これは先ほど申しました国の施設以外の施設、民間の施設、こういったことも、仮に京都府で早くこれを決めれば、五十九年度から着工は可能だ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  94. 京須実

    京須政府委員 民間の施設につきましては、必ずしもすべてが五十九年度着工とは言いかねると思いますが、民間でも非常に熱意がございまして、やる可能性があるものにつきましてはできるかと思っております。
  95. 西中清

    西中分科員 そこで、国会図書館の方にお伺いをいたしますが、先ほど説明にございましたけれども、これはこの学術文化研究都市を受けていまいろいろと御調査をなさっておる、こういうことでございますけれども、五十七年度においてどういう検討をなさってこられたのか、御説明をいただきたいと思います。
  96. 高橋徳太郎

    ○高橋国立国会図書館参事 お答え申し上げます。  五十七年度におきましては、調査会を発足いたさせまして、この二月に入りまして第一回の会合を持った、そこまで来ておる、そういう段階でございます。その調査会は、主として館外の学識経験者の方を八名お願いをいたしまして、この二月十七日から御審議に入っていただいた、その段階でございまして、第一回はまだ一般的な自由な意見交換をお願いした程度でございまして、まだ固まった御意見というふうなところまではまいっておりません。
  97. 西中清

    西中分科員 その御研究は、この第二国立国会図書館というのじゃなくて、図書館全体、行政全体を御研究になるわけですか。一応その辺のところを御説明いただきたい。
  98. 高橋徳太郎

    ○高橋国立国会図書館参事 お話しのように、国立国会図書館、実は国会の附属機関でございまして、議員諸先生方の国政審議のために必要な資料を御提供申し上げる、これが第一の任務でございます。第二の任務といたしまして、日本国の唯一の大規模な、しかも公開で自由に利用できる図書館ということでございまして、これは日本国の国立中央図書館というかっこうの仕事をしておるわけでございます。  その仕事の内容といたしまして、たとえば地方の図書館にない本につきまして、こちらから間接でございますが、お貸し申し上げて利用していただく、あるいは地方の方に郵便で申し込んでいただいて、コピーをつくって差し上げるというふうな、日本全国に対する図書館サービスというものをわれわれはやっております。個人の方は、直接にサービスをいたします場合もございますが、また図書館等を経由していたす場合もございます。  これが、実は需要の多い部分に対しましては、東京が情報のニーズというものが日本で一番集中しておるところでございまして、国会図書館に直接おいでになる情報ニーズというのは非常に多うございます。したがいまして、幾らコンピューターでオンラインでやりましても、こういう資料があるということはわかるのでございますが、ではその資料をコピーしてくれとか、あるいはその本を借りたいというときには、やはり東京までおいでになりませんとできないわけです。こういうことが非常に不便であるから、関西のように東京に次いで社会的な文献に対する情報ニーズが集中しているところには出店を出して、そこで直接サービスができる、そういう施設が必要であろう。あるいはまた将来コンピューターを使って全国オンラインでやるということになりますと、コンピューターのスイッチングセンターのようなもの、ステーションを全国各地にやはりブロック単位ぐらいでは出さなければいかぬだろう、こういうふうな将来構想というものがございます。それの一環ないしはそれの中で、特に関西地区は情報ニーズが集中しております。そこへまた学術研究都市あるいは京都、奈良を中心とした学術情報、大阪、神戸というような産業情報、こういうふうなものが集中しておりますので、そこには資料の現物を即手に入れるような施設、こういう情報施設が必要であろうというところが基本でございまして、その辺から御検討をいただくわけでございます。
  99. 西中清

    西中分科員 これは情報が東京に集中しておるというところに問題が非常に多いと思うのですね。防災、特に地震対策上からも分散ということは非常に重要な仕事だと思います。その点では、この国立図書館というものは非常に意味の大きい事業ではないかというように私は考えておるわけです。大いに御検討いただきたいと思います。  ただ、こうして文化学術都市にという考え方があるわけでございますから、調査をされて、どういう内容のものにするかという結論は早くお出しいただかないと事業にも差し支えると思うのです。どういう図書館にするかというめどは大体いつごろをお考えでございますか。
  100. 高橋徳太郎

    ○高橋国立国会図書館参事 めどと申しますか、どういう図書館にするかと申します内容につきましては、調査会の先生方の御意見を承りまして、そのお指図によってわれわれの方でとりまとめなければならぬと考えております。  先ほど申し上げましたような、直接情報を提供するという機能、これが必要なことは明らかでございます。それから、おっしゃいましたような文化財の保存という重大な責務もございますので、そういう機能も含めたものになろうかと思いますが、その内容につきましては、調査会の御検討の結果ということになろうかと思います。  ただ、時期の問題でございますが、この時期につきましては、現在、国立国会図書館では、現在の庁舎が手狭でございまして、書庫等の関係で別館をいま建築中でございます。この建築が昭和六十年度末、昭和六十一年の二、三月のころには完成いたしますので、それに引き続いてだんだんに向こうの工事という形になろうかと思います。ですから、ここ一両年はまだまだ基礎調査の段階である。現在、昭和五十八年度につきしまても、昨年に大体準ずる金額の調査費をいま御審議を願っておるわけでございますが、あと一、二年は調査段階というふうに御了解願いたいと思います。
  101. 西中清

    西中分科員 十分な御検討をいただきたいと思います。  そこで大臣、これだけの事業でございますから、もちろん推進主体というのは京都府であろうかと思いますけれども、各省庁にまたがりまして、先ほど説明があったとおりにいろいろ調査をしていただいて、そしてこの建設にかかろうといたしておるわけでございますので、やはり調整役でございます国土庁がこれについては熱心な取り組みをしていただく、これが非常に大きな力になるわけでございます。大臣の御決意のほどを伺っておきたいと思います。
  102. 加藤六月

    加藤国務大臣 まず第一に、第二国立国会図書館の件につきましては、国立国会図書館総務部長からいろいろお話し申し上げましたが、この予算要求する立場は、国会における議運委員会図書館小委員会が審議、決定していただくことになっておりますから、その際には、各党の先生方も格別の応援をしていただきたい、これをお願いしておく次第でございます。  そして、先ほど来のなににもございましたが、関西の文化学術研究都市構想というものは、近畿圏に培われてきた文化、学術、産業の蓄積を生かして、新しい時代に対応していく高度な学術研究都市を建設しようとしておるものでありますから、この構想そのものは、近畿はもとより国土政策の見地からもきわめて重要なプロジェクトである、このように考えております。  したがいまして、国土庁としては、今後とも関係省庁とともに中核となるべき機能、都市基盤整備方向等について鋭意調査を進めるとともに、これらの結果を踏まえて、総合的な計画を策定し、そして地元公共団体等と協力しつつ、早期に事業に着手してまいりたいと考えておる次第でございます。先生にも格別の御支援のほどお願いいたします。
  103. 西中清

    西中分科員 力強い御答弁をいただきまして感謝しています。  そこで、最後でございますけれども、これも国土庁が軸となっていると思うのですが、四省庁によりまして京都府の丹後半島を近畿圏の観光レクリエーション基地にするための調査が現在行われているようでございます。観光資源に恵まれておりますけれども、交通事情その他幾多の悪条件、不満と相まって、この地域の開発は非常に問題が多いわけでございます。今日までどのような調査を行われ、この地域に対して調査を行われておりますそのねらい、構想、これは一体どういうようになっておるのか伺いたいと思います。
  104. 白井和徳

    ○白井政府委員 ただいま先生御指摘のように、京都府の中におきまして丹後地域はおくれた地域でございまして、したがいまして、北部モデル定住圏圏域としてもここを指定して、知事さんが一生懸命で特定事業等を推進しよう、こういう構想になっております。  国土庁といたしましては、定住構想関係の調査といたしまして、昭和五十四年度にモデル定住圏における観光レクリエーションのあり方に関する調査を対象京都府北部で運輸省にやらしております。また中小企業振興に関する調査といたしまして、京都府北部を対象といたしまして通産省にやらしております。  そのほか、今年度から国土総合開発事業調整費を使いまして、現在四省庁によりまして共同調査をやっております。建設省、運輸省、水産庁、林野庁という四省庁がそれぞれ調査を行っておりまして、調査の構想といたしましては、建設省におきましては、先ほど先生も御指摘のように、アクセスの問題が非常に重要であるということで、広域交通網整備の調査、それから公園等を含めます都市基盤整備並びに内陸レクリエーション開発整備計画等の構想を含めた調査をやっております。それから運輸省及び水産庁は、海洋レクリエーション施設整備計画ということで、マリーナ問題あるいは釣り場の問題等について調査をやっております。林野庁におきましては森林の開発、保全、整備ということでキャンプ場、スキー場を含めますレクリエーションを中心とした調査を行っておるところでございます。いずれも国土総合開発事業調整費の調査費をそれぞれの省庁に移しかえいたしましてやらせておるところでございます。
  105. 西中清

    西中分科員 今後の熱心な御調査をぜひお願いいたしまして終わりたいと思います。
  106. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて西中清君の質疑は終了いたしました。  次に、山口鶴男君。
  107. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 特別会計の予算書を拝見しました。治水特別会計特定多目的ダム建設工事勘定を拝見いたしますと、今年度は一千九百六十一億、昨年に比べまして九億六千万円減額となっております。この多目的ダム建設工事勘定に対する一般会計は一千十三億ほどでございます。結局治水特別会計における多目的ダムの関係予算が少なくなっておる。私は当然ではないかと思うのですが、昭和五十一年四月に閣議決定いたしました水資源開発基本計画、利根川水系及び荒川水系ですが、これを見ますと昭和四十五年度から昭和六十年度に至る間の水の用途別の新規需要の見通し及び供給の目標を定めているのですが、これだけの水需要がなければ、水道についても工業用水についても農業用水についてもうまくないのだ、これだけの水の開発が必要だということになっているのですが、この達成率はどのくらいなんですか。昭和六十年度までといえば、ことしは昭和五十八年度ですから、もうぼつぼつ終わりに近づいておる。結局その後経済が高度成長の時代から安定成長の時代になる。それからエネルギーにつきましても、いまOPECでも原油価格を一バレル当たり五ドル下げる、あるいは場合によっては七ドルも下げなければいかぬというようなことが真剣に議論されている。これはやはり油に対する節約といいますか省エネルギーというものが世界各国にわたって行われた。また日本はそれに先がけて省エネルギーについては技術的な面その他で非常な御苦労もあったと思いますが、その面では世界に冠たる成果を上げてこられたということだろうと思うのです。私は、水需要についても、やはり経済が高度成長時代から安定成長時代になる。それからまたこの計画でも、節水対策というものを徹底しなければいかぬ、漏水を防止するあるいは水の再利用を進める等々の対策を進めなければならぬ、こういうことを言っておるわけですが、こういったものも相当効果を上げつつあるのではないかと私は思うのですが、そうなってまいりますと、この利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画というものは、達成率が悪くても十分やっていけるんだという時代になったのではないだろうかな、こう思うのですが、大臣、どうです。
  108. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど冒頭に油の話がございましたが、また水も同じでございますが、ある面では治にいて乱を忘れずということでございまして、どういうことになろうとも水というのは国民の生命、生活、国民経済にとって欠くべからざるものでございますから、日常これ努力して水の不安をなからしむるように平素から十二分にやっていかなくてはならない、このように思っておる次第でございます。
  109. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 この基本計画の達成率は大体どのくらいです。
  110. 高秀秀信

    ○高秀政府委員 いま、利根川については手元で資料を探しておりますが、全国的には、先生お話しのように、大体五十年以降上水道が三ないし四%の伸びになっております。それから、工業用水につきましてはレベルよりやや下回っております。これは、先生いま御指摘のように、たとえば工業用水の回収率については非常に上がっている、あるいは上水道についても当初の見込みよりは下回っているということで、これは先生お話しのように、もちろん節水の努力といいますか、そういうものがあらわれてきているというふうに思っております。  先生お話しのように、利根川につきましても六十年という時限を限りますと需要はそこまでいきませんけれども、私どもは、先般十二月に二十一世紀の水需要というのを算定いたしましたけれども、年次が後方に延びるということで、いまそこに挙げているような数字については必要であろうというふうに考えております。  なお、時点のことにつきましては、御指摘のようなことがございますので、今後いろいろ検討してまいりたいというふうに考えております。
  111. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 全国的に話を広げても仕方がありませんから、利根川及び荒川水系だけに限ってお尋ねしますが、水道用水の四十五年から六十年の需要想定が毎秒九十四・七トン、工業用水が同じく毎秒四十九・九トン、農業用水が四十九・一トン、合計毎秒百九十三・七トンということになっております。  減反政策も進められているとき、農業用水の開発がこれほど必要なのかということについても疑問がございますし、工業用水は、先ほどお話がありましたように、全国的にも需要がむしろ落ちている。水道用水についても伸び率が低いということであれば、四十五年から六十年の需要想定というのは、想定はこうしたのでしょうけれども、現実にはこんなに要らないということじゃないのですか。現実はどうなのですか。
  112. 高秀秀信

    ○高秀政府委員 数字で御説明すればいいのですが、先生おっしゃるように、先ほど答弁になりますが、六十年という時点で言いますと、私どもの見込みでは数年、あるいはそれ以上かもしれませんけれども、需要が後方にずれ込むといいますか、そういうのが現実だというふうなことでございます。
  113. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 とにかく需要はそういうことで想定したよりも少なくてよろしい、これがはっきりしたわけですね。数字がわかったら、後で結構ですから、私の方に持ってきてください。  それで、加藤さん、治にいて乱を忘れずだとおっしゃった、そういうことも必要でしょう。ただ、私の県は群馬県なんですけれども、おたくは岡山県ですが、岡山県の水事情というのは岡山県の水源でもっておおむね確保できる、そういうことだろうと思うのですね。ところが、関東ということになりますと、東京都あるいは神奈川県、千葉県、いわゆる大工業地帯といいますか首都圏といいますか、そこの水需要というのはきわめて膨大なものがある。ところが、では東京都でそれだけの水が賄えるかといえば、これは絶対に不可能だ。したがって、主として首都圏の水需要を賄っているのは栃木県であり群馬県であるということになるわけですね。群馬県には今日まで、下久保ダムあるいは矢木沢ダム、薗原ダム等々たくさんの多目的ダムがつくられた。それでは、それらの地域の住民がどうだったかといいますと、結局、先祖伝来の住みなれた地域を捨てて他に移転をしなければならないということになるわけですね。ダムができました地域の町村を見れば、過疎化が前よりも急激に進むということにもなるわけです。ですから、そこに住んでおりました住民の皆さんも非常に犠牲を受けるし、それからまた、その地域の地方自治体も過疎化の進行で非常な苦労をしておられるということなんです。ですから、私は関東の治山同盟等の会合へ参りますと、水源県の苦労というものをもっともっと理解してもらわなければ困りますよということを、常に実は発言をいたしておるわけなんです。私はここ二年ほど、首都圏整備委員会の委員もいたしておりましたが、その際にも常にそのことを申し上げてきたわけです。  そこで、この地域の住民の人たちがどういうことを言っているかといいますと、水源地域対策特別措置法という法律がある、どうもこの法律が不備なのではないのかということを、この地域の人たちが言っているわけです。しかも、この法律ができる前にできたダムのごときは、率直に言ってもっと惨めな状態だったわけでありまして、水没をした地域の住民の方々がその後どういう生活をしておられるのか、その方々の追跡調査を政府はきちんとやるべきではないだろうかということを絶えず指摘をしてまいりました。  追跡調査もしておられると思うのですが、私は、補償をもらって祖先伝来の土地を捨てた住民の皆さん方が、みんなそれ以上の豊かな生活をしているなんという例はほとんど皆無ではないかと思うのです。追跡調査もしていると思うのですが、それはどういうような結果が出ておりますか、念のためにお伺いしておきましょう。
  114. 高秀秀信

    ○高秀政府委員 数字は別ですが、先生おっしゃったように、古い、たとえば佐久間ダムから始まって、これは社会科学者等がレポート等もまとめて出されておりますし、私どもの方も資料をいろいろ集めておりますが、先生御指摘のように、安定した生活を得ている方々と、そうでないいろいろな問題、社会的な問題が起きているというような事例が多々出ているということは現実でございます。
  115. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 やはり、そういう事情を私はよく踏まえていただきたいと思うのです。  建設省も来ておられるから重ねてお聞きしたいと思うのですけれども、ダムのアロケーションについてもそうなんですね。結局終戦直後の状況を基礎にして、そうして治水のための各都道府県の分担金というのがつくられておった。ですから、そのころは東京の人口は少ない、都会的な集積というものも少ない。したがって、群馬県も埼玉県も東京も、都市的施設の集積の度合いというのはそんなに違わなかった時代ですから、このアロケーションも、何といいますか、水源県に不当に重たいアロケーションというのが長い間続いておったと思うのですね。  私、いつもそのことを言いまして、最近は若干直したのだろうと思いますけれども、どう直したかを答えていただきたいと思うのです。ともあれ、どうも政府の施策というものは、結局、犠牲になる水源地域というものに対しても、生活再建という面でも不十分であったし、また、この多目的ダムをつくる場合の治水のアロケーションについても、何か水源地域の方が非常に不利だというようなことをやってきたことは非常に遺憾ではないか、私はこう思うのです。アロケーションについては一体どの程度是正しましたか。
  116. 広瀬利雄

    広瀬説明員 数値はちょっといま存じておりませんけれども、一昨年先生からの御指摘もありまして、当時の河川計画課長からこの分科会でお答えしておりますけれども、概念的に申し上げますと、ただいま先生の御指摘がありましたように、上流地区について二分の一程度の治水の効果があるということで算定いたしておりましたのは、下流の方に効果があるということで直しましたことと、それから工事実施基本計画が作成されていた当時の社会資本、これを新しいものに直したということで、ちょっと数字はあれでございますが、相当大幅に水源県の方が有利になるように直したというふうに承知をいたしております。
  117. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私の質問だから、どうせアバウトだから余り数字は要らぬだろうと思って用意してこなかったのだろうと思いますが、そういうふうにアバウトと思われているのだからやむを得ない点もあるかと思いますが、数字の方は後でよこしてくださいよ、その数字を出してこないから、けしからぬ、委員会をとめるというようなことは別に申しませんから。
  118. 広瀬利雄

    広瀬説明員 後ほどお届けさしていただきます。
  119. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それでは、この法律の問題について若干お尋ねをしたいと思うのですが、その前に、水特法の二条による指定ダム、この法律は八ツ場ダムのためにつくった法律だ、実はこう言われているわけですが、結局、八ツ場ダムの地域の皆さん方が八割近く絶対反対をいたしておるので、八ツ場ダムのためにつくった水特法でありながら、いまなお二条による指定ダム、政令で指定するということができていないと思うのです。この二条の指定については慎重に国土庁が対応をされたことは結構だと思うのですが、いまどういうおつもりですか。
  120. 高秀秀信

    ○高秀政府委員 先生お話しのように、二条は政令で定めるということになっておりますが、現在、地元では、群馬県がいろいろ地元とお話しになっているというような時点でございますので、私どもといたしましては、法令上は政令ということにはなっておりますが、地元の県知事さんの意見を十分聞いてやっていきたいというふうに思っておりますし、特に八ツ場ダムにつきましては、いま申し上げたようなことをやってまいりたい。これは大臣方針でもございます。
  121. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 結局、二条でもって政令で指定する。政令で指定するんですから、もちろん政府責任で指定ができる。  しかし、私は、二条だけ幾ら指定しても、結局意味はない。三条でこの水源地域の指定ということがありまして、この三条の指定をする場合は都道府県知事の申し出に基づくわけですから、問題は、都道府県知事がその気にならなければ、これは幾ら二条だけ指定してみたって、それ以降の条項が動かなければ何の意味もない。そうして、この場合、都道府県知事が申し出をいたします場合は関係市町村長の意見を聞くとなっている。ところが、この八ツ場ダムで一番中心の地域は群馬県吾妻郡長野原町、こういうのですが、この長野原町の町長は、ダム反対期成同盟の会長をやっておられた方が町長に当選をされて今日に至っているということですから、この市町村長の意見を聞きましても、現状でいい返事が出るはずはない。  それから、さらに四条の規定におきましても、地方公共団体の長の意見を聞くというのがありますから、当然市町村長の意見も聞かなければいけないということになるわけでございますから、結局二条の指定を急いでみたところで、三条の規定からいって余り意味がない。私はそういうことを常に言ってまいりました。  そういう立場で、ただいまお答えがありましたような慎重な態度をとっていただいていることは結構だと思います。どうか大臣、今後ともそういう意味では、この三条の規定、都道府県知事の申し出、関係市町村長の意見を聞くということを踏まえて慎重に対応してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  122. 加藤六月

    加藤国務大臣 八ツ場ダムにつきましては、これまでどおり地元知事の意向を十分尊重して対処してまいりたい、このように考えております。
  123. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 わかりました。結構だと思います。  そういう御態度のせいでしょうか、この予算書を拝見いたしましたら、八ツ場ダムの予算につきましては、昭和五十七年度は八億四千万円でございましたが、今年度は七億五千万円ということで九千万円減額になっておるわけでありまして、建設省さんもこれはなかなかむずかしいな、こう思っておられる証拠だと思うのですが、建設省さん、そういうことでしょうな。
  124. 広瀬利雄

    広瀬説明員 八ツ場ダムにつきましては、先生御指摘のように大変重大な、それで、なおかつむずかしいダム地点だということをわれわれ承知いたしておりまして、ダム建設につきましては地元方々の御理解を得ることが一番だということで、その線に沿って十分慎重にやりたいと思っておるわけでございます。
  125. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 実は、この問題を毎年お尋ねしてまいりまして、歴代の建設大臣国土庁長官、それぞれお尋ねをしてきました。振り返ってみますと、保利さん、西村さん、金丸さん、仮谷さん、田澤さん、中野さん、長谷川さん、櫻内さん等々、歴代の大臣にもお伺いをしてきました。  これらの大臣いずれも、このダム建設は地元住民の理解と協力がなければ建設をすることはできないということを、繰り返しお答えをいただいたわけであります。しかも、先ほど冒頭指摘いたしましたように、この基本計画自体が、とにかくその後の経済社会情勢の変化によりまして需給量自体が下がっているという状況でもあるわけですから、私は、そういうときだけに絶対無理はすべきでない、経済の高度成長時代とは違ってこういう時代になっただけにより無理はすべきでない、かように考えるのですが、加藤さん、いかがですか。
  126. 加藤六月

    加藤国務大臣 歴代大臣、長官がお答えされたことと私も同感でございます。  ただ、冒頭申し上げましたように、今後、長期水需要予測その他を踏まえました場合に、一つの水問題を解決するのに非常に長い懐妊期間といいますか、期間がかかります。そのことをもあわせて考慮しながら、地元皆さん方の理解と納得もいただきながら誠実に取り組んでいかなくてはならない、このように思っております。
  127. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 歴代の大臣のおっしゃった、理解と協力なしにダム建設はできないという趣旨はお認めになるということですから、結構でしょう。承っておきます。  そこで、さらにちょっと細かい点をお尋ねしたいと思うのですが、この法律を見ますと、水源地域の整備計画を決定する、そうしてその地域にかかわる土地改良、治山事業、治水事業、道路、簡易水道、下水道、義務教育施設、診療所、その他政令で定める事業、保育所だとか公民館とか消防施設とか公営住宅とかというものも含まれるのだろうと思いますが、そういう事業、これらについては補助金をかさ上げもする、そうしてまた利水地域の公共団体が負担をいたします基金、そういうものでさらに地元負担分については負担をいたしまして、現実には公共施設については地元負担なしに、補助金のかさ上げと借り受けの基金によってほぼ満額建設できるという形で、配慮ある法律の体系になっていることは私もよくわかります。  ただ、問題は第八条でございまして、第八条は直接ダム建設によって犠牲となる地域住民のための規定ですが、「生活再建のための措置」というのがありますが、「その者の申出に基づき、協力して、当該生活再建のための措置のあっせんに努めるものとする。」そうして「宅地、開発して農地とすることが適当な土地その他の土地の取得に関すること。住宅、店舗その他の建物の取得に関すること。職業の紹介、指導又は訓練に関すること。他に適当な土地がなかったため環境が著しく不良な土地に住居を移した場合における環境の整備に関すること。」これらについては、その者から申し出があったら措置のあっせんに努めるというような規定でありまして、この規定では、公共施設については手厚い施設があるが、肝心の水没者の生活再建についてどうも片手落ちではないのか、不備ではないのかという気持ちがするのは私は当然じゃないかと思うのです。ですから、この八条は、地域住民、直接犠牲を受ける方々に対する救済措置ですから、もっときちっとした生活再建対策をやるのだ、「努める」というのじゃなくて、必ずやるというくらいの規定をすることが必要ではないかということを常に主張してまいりました。地域住民の人たちも、そのことを強く熱望しているわけです。この法律改正をして、特に八条の生活再建にもっと一歩突っ込んだ温かい施策を講ずる、こういうお気持ちは、大臣、ございませんか。
  128. 高秀秀信

    ○高秀政府委員 私どもも、先生御指摘のように、各方面から、いまの八条の問題について不十分ではないかという御意見があることは承知をいたしております。  ただ、先生、いろいろ補助率のかさ上げ等のお話もございましたけれども、現今の事情からいうと、なかなか改正という問題は大変なことであろうというふうにも考えております。従来から、先生お話しのように、国、企業者、地方公共団体、それぞれが補償であるとか基金の運用とか水源地整備等々をやってまいっておりますが、いずれにいたしましても、先生御指摘のように、これから、いままでもそうですし、今後とも生活再建をどうするのかということが最大の問題であろうというふうに考えておりまして、遅まきでございますが、事例も各地で出てまいりましたので、いま御審議をいただいている予算案の中に、生活再建対策を総合的に検討する基礎調査費というのを組み込んで御審議を願っているわけでございますが、そういったところから取り組んでいきたいというふうに考えております。
  129. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 もう時間もないようですが、最後に一つだけお尋ねして終わりたいと思います。  同じような意味で、昭和三十七年に閣議決定いたしました補償要綱ですね。これもその後の推移によりまして、大変不備ではないか。  たとえば、大臣のところを走っております新幹線、騒音の被害があるじゃないかというようなことは、新幹線を東海道でつくったころはそんなには、幾らかは考えたかもしれませんが、これほど深刻な事態だというようなことはまだ余り考えずにやったということは、私は言えると思うのですね。やはり公害その他問題になりまして、精神補償というようなものもどうしても必要だということが強く叫ばれてきてもおるわけでありまして、そういう意味では、三十七年という大分古い時代、二十年も昔につくられました補償要綱というものがその後の状況に即して不備だということは、これはだれも異存はないところだろうと思うのです。ですから、私は、八条の生活再建に関する条項を改める。もちろん、この前の行革国会の際に、この水特法の補助金かさ上げも下げようかというようなことが論議されている状況であります。現実にはそのかさ上げをやめるということは政府も断念したようでありますが、しかし、ともかくそういうことが議論になるようないまの厳しい時代であるということは、もちろんわかります。わかりますが、このダムを本当に進めていこう、そうして犠牲者の犠牲を少しでもなくして住民の理解と協力を得てやろうとお考えになるならば、八条の改正、昭和三十七年の要綱を改めることが先である、これを改めることができない限り八ツ場ダムは永久にできませんよということを警告申し上げて、質問を終わっておきたいと思います。お答えがあれば伺います。
  130. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど先生がおっしゃいました補償基準要綱の問題と現実の第八条の問題、私たちも、ダム建設というものは他の公共事業と異なり、水没関係者の生活再建措置という点については十分な措置を講ずる必要があると強く認識しておることは申し上げるまでもないところでございまして、こういった問題につきまして万全の措置を講じてきたところでありますが、今後またさらに講じていこう、そして、先ほど局長が御答弁申し上げましたように、生活再建対策というものを強化充実するためさらにがんばっていきたい、このように思っておる次第でございます。
  131. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 終わります。
  132. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて山口鶴男君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  133. 藤本孝雄

    藤本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  総理府所管国土庁)について質疑を続行いたします。三谷秀治君。
  134. 三谷秀治

    ○三谷分科員 奄美群島振興開発特別措置法の有効期限は来年三月でありますが、これについては、その後国土庁としてはどういう御方針でしょうか。
  135. 加藤六月

    加藤国務大臣 御存じのように、鹿児島県が実施している総合調査の結果及び奄美群島振興開発審議会その他関係方面の御意見を伺いながら前向きに努力していきたい、このように考えております。御存じのように、奄美群島が持つ本土との諸格差は、いまだ解消されていないと考えておる次第でございます。
  136. 三谷秀治

    ○三谷分科員 そうしますと、なお失効後におきましては延長をするというお考えなんでしょうか。
  137. 加藤六月

    加藤国務大臣 ただいま申し上げましたように、鹿児島県が実施している総合調査というものの結果、そして奄美群島振興開発審議会その他関係方面の御意見を伺いながら前向きに努力いたしたい、先ほどお答えしたような線でいま考えておる次第でございます。
  138. 三谷秀治

    ○三谷分科員 そこがよくわかりませんが、後でまたお尋ねすることにしまして、この奄振法によりまして奄美群島地域に対する補助金はかさ上げされまして、一般の自治体と比べますとかなりな格差があります。五十八年度で二百七十一億円の補助金が出ておるようでありますが、補助率は七〇%という高率に達しております。  そこで、建設省お越しになっていると思いますが、この国庫補助金に基づく事業というものの運用をめぐりまして、はなはだ不公正な行政の運用がなされておるということは恐らく御承知だろうと思います。私がタッチしました例を申し上げますと、あそこに竜郷町という小さい町があります。この竜郷町におきましては、昨年の選挙で町長候補者が二人出まして、それぞれの候補者が町内あるいは周辺の土建業者に働きかけて、自分の当選のために働いてくれるならば当選後においては公共事業は全部君たちに発注する、そうでない者には一件も仕事は出さないというようなことを言って、いわゆる利益誘導をやりまして献金まで要請するという状態でありました。そして、五月二十九日から十月十五日までの百四十日間ほどの期間におきまして四億三千四百万の事業が執行されましたが、これは町長を支持しました十五人の業者に全部発注をされております。当選した町長の反対派の業者十三人は、一件の仕事ももらっていない。何といいましてもああいう離島でありまして、公共事業から締め出されますと、これという仕事は全くないというので、これが死活問題として大きな深刻な問題になったわけでございます。  私、ちょうど十月中旬に奄美に行きましたので、話を聞いて町長に会って、薩摩の殿さんや琉球王朝のようなかつての封建社会における行政というものとはわけが違うんだということを説得しまして、まあ基本的には解決したということを聞いておりますが、しかし、その種の事案というものが奄美におきましてはきわめて常識的なものとして通っているという話をいろいろ聞いてまいりました。  こういう実態について、建設省は御承知になっておりますでしょうか。御承知になっておれば、それに対してはどのような指導をなされたのか、お尋ねしたいと思います。
  139. 牧野徹

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  まず、いま先生が御指摘になりました竜郷町でございますか、当該町の事案につきましては、私は承知はしておりません。  承知しておりませんが、一般論としていまおっしゃったようなことについての建設省の所見を申し上げておきますと、先生もよく御承知のように、建設省が補助事業を決めていく際には、その対象事業が補助対象として適当であるかどうかという点がまず第一に大事でございます。そういうことで、一たんこれを対象事業として取り上げていきました後におきましては、御案内の補助金適正化法等に基づきまして交付した補助金が補助目的に従って適正に執行されておるかどうか、あるいは最終的には補助事業が適正に完成したかどうかということにつきまして、指導をしておるわけでございます。  ただ、いまお話のありました具体の発注ということでございますが、その点につきましては、私どもは、地方公共団体がその権限と責任におきまして、自治法等の関係法令のもとに執行しておるというふうに理解をしておるわけでございます。
  140. 三谷秀治

    ○三谷分科員 それは一般的なことをおっしゃっただけであって、竜郷町ではこういう事態があった、そしてこれに類する事案がこの奄美においては珍しくない。これは地方自治体の問題ですから、あるいは自治省の監督権限下にあるのかもわかりませんが、しかし、国の予算を補助金として支出されます建設省としても、その国の補助金に基づく事業の公正な執行ということについては無関心であってはいけないと私は思います。こういう事案をいま私は申し上げましたが、少し実態を調べてください。  それから、自治省は、こういう実態について御承知になっておりますでしょうか。
  141. 小笠原臣也

    ○小笠原説明員 私ども、選挙に関しましていろいろと問題が多いということは聞いておりますけれども、公共事業に関連して御指摘のような点については報告を受けておりません。
  142. 三谷秀治

    ○三谷分科員 建設省も、自治省も、いま時間がありませんので詳しいやりとりはできませんから、とにかくこういう問題があって、私自身が実際に解決してきたという具体的な実例の上に立って申し上げておりますから、少し奄美のこういう事業執行等について、その公正度などについて調べていただきたい。その点はどうですか。
  143. 牧野徹

    ○牧野政府委員 先生のお話は承知いたしましたが、ただ、先ほど申し上げましたように、私どもも数多くの補助事業者の方とおつき合いしておるわけでございます。個別の事業者の方は、それぞれの法規に従った発注をしておるものと私は考えております。そのような点で、今後とも適正に対処はしていきたいと思っております。
  144. 三谷秀治

    ○三谷分科員 意味不明の答えをしてもらっては困る。あなたはそういうように対処していると思っていると言うけれども、していないという事実を挙げて言っているわけだから、そのことについては調べてみなくてはわからぬ。それで調べてほしいと言っているわけなんです。それをなさるかどうか聞いているわけですよ。
  145. 牧野徹

    ○牧野政府委員 お話でございますから、私どもも調べることはやぶさかではございませんが、ただ、その観点が、私どもの基本的な立場は私が先ほど申し上げたようなことだということを御理解願いたいと思います。
  146. 三谷秀治

    ○三谷分科員 自治省はどうですか。——選挙課長しかお見えになっていないわけですから、答えられないということのようですから、それは機会を変えてお尋ねすることにします。  そこで、このようにしまして、選挙に公共事業までも利用されるというふうな状況というものが、この奄美におきまして一般的に存在している。  最近は、衆議院の選挙に有力な候補者が名のりを上げまして、現職との間に非常に激しい選挙運動の過熱状況が起きております。これは、きょうの読売新聞にも出ておりましたけれども、全く広い範囲で知られている実態でございますが、この選挙をめぐりまして、いま申しましたような事例を含めて、公選法違反の地位利用だとか、あるいは利益の誘導だとか、買収供応に類する行為が後を絶たない状態になっておる。  この実例を一つ一つ申し上げますと大変時間を食いまして、とてもこの時間内での質疑はできませんけれども、たとえばその一つが、昨年の八月四日付の地元の各紙に掲載されました、奄美群島市町村長会及び奄美群島市町村議会議長会の現職推薦の広告であります。これは、ここに現物を持ってきておりますけれども、「次期衆院選に 保岡興治氏を推せんするにあたって」という大きなスペースの広告であります。これはもちろん朝日や毎日というふうな新聞ではありませんが、しかし、奄美におきましては最も普及している新聞。これは二紙ありますが、南海日日新聞と大島新聞と言いますけれども、この南海日日新聞に、ほとんどこれは全戸に配付される状態にある新聞にこのような広告が出ております。これについては一体どのようにお考えなんでしょうか。選挙法上、問題はないわけでしょうか。
  147. 小笠原臣也

    ○小笠原説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘がございましたように、昨年の八月四日に奄美群島の市町村長会及び市町村議長会が連名で特定の候補者の推薦をする新聞広告を地元紙に出した事実については、県の選管から報告を受けております。そして、県の選管、それからまた取り締まり当局において、早速警告を発して、いろいろ適切な措置をとられたということについても報告を受けておるわけでございます。  私ども、こういう事態が起きることは大変遺憾なことだというふうに考えておりまして、特に県の選管に対しまして、今後注意するように指導しておるところでございます。
  148. 三谷秀治

    ○三谷分科員 これにつきましては、公費をそういう正しくない使途に支出してはいけないというような決議が、奄美の各町村において行われております。竜郷町はもとよりでありますが、名瀬におきましてもそうでありますし、笠利町にしてもそうであります。各議会におきましてそういう決議がなされておる。公金についての返還の決議などがなされたようであります。  そこで、これは選管が呼んで注意をしましたけれども、注意するということとこれの効果性というものはどういう関係を持つわけですか。本人たちに、よくないことだから注意しろと言うことと、しかし、すでにこれが与えつつあります住民に対する影響というものは、どのように判断されておりますか。これをどうして、その違法性に基づくある特定候補者に対する有利な条件というもの、この構成した条件をどのようにして復元させるわけですか、そこをお尋ねしたい。
  149. 森廣英一

    森廣説明員 いまお取り上げになりました事案につきましては、警察におきましても、厳重に警告をいたしますとともに、公職選挙法違反事件として捜査をいたしまして、五十七年の十一月に鹿児島地方検察庁の方に刑事事件として送致をいたしております。そのようなことで、刑事上の手続をとっております。
  150. 三谷秀治

    ○三谷分科員 刑事上の手続の問題と、こういう違反文書によって住民に与えた影響というものはどうなるかという問題、これは私は非常に疑問を持っております。これも余り突っ込んだお話ができませんけれども、そこのところ、広告で一定の影響を与えたわけだから広告でそれを是正する、訂正をして住民に与えた状態というものを原点に戻すということ、こういう指導でもしなければ、選挙に対する影響というものは免れがたいではないかというふうに思うわけであります。そういう指導などを自治省はなさるかどうかですね。  それから、もう一つお尋ねしておきますが、名瀬の市長が、これは十月二十三日でございます、この広告は八月四日でありますが、十月二十三日に部課長十五人をホテルに集めて、そして現職の衆議院議員の支持を要請して、そして供応をするという事件がありました。警察はこの事態を知っておるはずだ。私も奄美に行きまして署長に会ってきたのです。こういう事案についてはどのように処置されましたか、お尋ねしたい。さっきの質問とあわせてお答えいただきたい。
  151. 小笠原臣也

    ○小笠原説明員 まず、新聞広告の件についてでございますけれども先ほど警察当局の方から御説明がありましたように、刑事事件として処理されておる段階でございます。  選挙管理委員会としては、今後こういうことがないように厳重に関係者に注意をしておるわけでございますので、改めて新聞広告等によってそれを訂正するというようなところまでは考えておりません。また、そういう指導をするつもりもございません。  それから、市役所の部課長に対して特定の候補者の推薦の指示をしたというようなお話でございますけれども、これについては私ども、具体的に何ら聞いておりません。
  152. 森廣英一

    森廣説明員 お尋ねの名瀬市長選に関係があると言われている職員に対する接待の問題でございますが、昨年の一月の選挙でございまして、当時、さような情報について地元の警察においても関心を持って情報収集をしたというような報告は受けておりますけれども、今日までのところ、犯罪が成立するという、証拠に基づいて事件を立件するというような報告は受けておりません。
  153. 三谷秀治

    ○三谷分科員 その報告は来てないのがおかしいのであって、いまおっしゃいました市長選挙にかかわるものじゃありませんですよ、今度の衆議院の選挙にかかわる。事件が起きましたのは十月二十三日の夜のことでございます。ですから、一月段階の問題とは全然別個の問題。  この事例につきましては、私は名瀬の署長にも会って、なぜこれを放置するかということを申し入れしたわけでございますが、それについてはよく調査をして、それなりの対応をしたいということをおっしゃっておった。しかし、現地で話を聞いてみますと、それはそのまま今日まで至っておるというふうに私は聞いておるわけでありますが、それでいいだろうか。大体いまのあなた方の捜査が、何か選挙の取り締まりの特別体制をおとりになったという話も聞きましたけれども、ビラを二、三枚まいたとか、ポスターを二、三枚張ったとかいうふうなものは盛んにつかまえていってどうこうなさいますけれども、こういう公務員などのいわゆる権力的な要素を持つところの犯罪というものにつきましては、きわめて慎重をきわめておる。ですから、ますますこういうものがエスカレートするという状況に立ち至っておりますが、これは至急に実態を調べて、適切な処置をおとりになるかどうかをお聞きしておきたい。
  154. 森廣英一

    森廣説明員 お尋ねの件は、昨年十月ごろに起こりました別の事件でありまして、先ほどは取り違えて申し上げて恐縮でございますが、その件につきましては、鹿児島県警において現在関心を持って情報を集めておるところでございます。  いずれにいたしましても、警察当局といたしましては、従来からもそうでございますが、選挙に臨みましては、公正な立場から厳正な捜査を今後とも行う、取り締まりを実施していくという立場でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  155. 三谷秀治

    ○三谷分科員 政治資金規正法違反の問題にしてもそうでありますけれども、情報収集中であるとか慎重に調査中であるとか、しばしばおっしゃいます。この問題にしたって、すでに八月段階に起きてきた容疑事件であります。それが、いま年を越しました三月に至ってなお結論が出ていない、実態がわかっていない、そういうことでは決して国民は納得するものではありません。ですから、よく実態を調べて、私は警察関係委員会にもおりますから改めてまたお尋ねしますが、それまでによく調査しておいていただきたいと思うのです。  そこで、時間がないのでもう一つお尋ねしますけれども、これは国土庁長官にお尋ねしますが、あなたは本年の一月六日に奄美に行かれました。そして、これには地方振興局長も一緒に行かれたようでありますし、それから特別地域振興課長も行かれたようでありますが、視察されるのはともかくとしまして、その夜ホテルで、現職の議員についての選挙にかかわる運動をなさっている、発言をなさっているように聞いておりますが、その点はいかがでしょうか。
  156. 加藤六月

    加藤国務大臣 一月五日に奄美大島に行きまして、そして奄美大島に着きまして、ホテルで歓迎会を開いていただいたときにあいさつをいたしております。
  157. 三谷秀治

    ○三谷分科員 あいさつをなさったかどうかを聞いたわけじゃありません。選挙にかかわることについて、要請なり依頼なりをされたかどうかということをお尋ねしたわけであります。
  158. 加藤六月

    加藤国務大臣 選挙にかかわることは申しておりません。
  159. 三谷秀治

    ○三谷分科員 それは長官、少し思い違いがあるんじゃありませんか。私が直接聞いた話もありますが、しかし、さっき申しました地元の二紙が、いずれもそのホテルにおける歓迎会の状況につきまして報道しております。  その一つの方は、長官の発言としてここで記録しておりますのは、「場違いで失礼とは思うが」「奄振延長がうまくいくかいかないかは保岡代議士が今選挙でゆうゆう当選できるかにもかかっている。兄弟同様のつきあいだけに、支援をお願いしたい」こうおっしゃっている。これが大島新聞の方の把握であります。  それから南海日日新聞の方では、「特別措置法の延長がうまくいくかどうかは次の選挙で保岡先生が当選するかということと重要な関係がある」こうおっしゃっておる。  つまり、保岡氏が当選をすれば奄美振興特別措置法が延長される可能性があり、そうでない場合には延長の可能性がないというふうな、そういう語意の発言がなされておる。これは一種の利益誘導ではあるまいか、公務員にかたく禁じられております公務員の選挙運動であり、利益誘導行為だと私は思いますけれども、その点はどうでしょうか。
  160. 加藤六月

    加藤国務大臣 保岡議員から熱心に法延長の要望を受けておるということと、また島民の皆さん方が強く法延長を要望しておられるということを、私としても十分承知いたしておるという趣旨で発言をいたしたわけでございます。
  161. 三谷秀治

    ○三谷分科員 いまおっしゃいますところでは、大きなニュアンスの違いがあるのです。これは過ちがあれば過ちを認めるということこそがあるべき姿であって、そして過ちがあってもそれを強弁によってあいまいにするというような処置はとるべきではない。  これは一人、二人の証言じゃないのです。七百人の人が集まったというのです。そしてそこに行きました……(加藤国務大臣「それは違う」と呼ぶ)七百人は違いですか。これは人数は違います。別の分ですが、そのホテルの歓迎会でありますが、そこでおっしゃっていることであって、それについてそのような新聞の取材がなされておるわけであります。これは両方とも同じ取材になっておる。だから、あなたがおっしゃいますのと客観的な取材というもの、どちらに信憑性があるかと申しますと、これは残念ながら私たちは客観的な取材というものを認めないわけにはいかないわけである。また、これはあり得ることなんですよ。しばしばその種の違反というのはあるわけでありますが、ただ今度の場合は、国土庁の役人が、高級の役人の方々が一緒にそこに行って、そこには知事も参加しておれば県の局長も参加している。要するに、県の関係者やあるいは国土庁関係者が一堂に会して、しかもそこには保岡候補者も参加している。ちゃんと写真に写っているわけであります。そういう場所で、この保岡という方の推薦というふうなものを公然と行うということは、これは明らかに私は公務員の地位利用に当たると思いますが……。
  162. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど先生がおっしゃいました何百人ではなく、十数人であります。十数人が、予定よりおくれて着きまして、大急ぎで食事をしよう、その食事の会が歓迎の会ということになったわけであります。  そこで、先ほど私が申し上げましたように、保岡先生は非常に熱心に法延長を要望しておられる、そのために活躍しておられるということを申し上げ、そしてまた、島民の皆さん方も法延長に対しては強い要望を持っておることを私もよく承知しておりますという趣旨のことを申し上げたわけでございまして、さらにつけ加えますと、保岡先生国土庁政務次官、大蔵政務次官として奄美のために非常に活躍されておられるということもあわせて申し上げておることを、この席をかりて説明させていただきます。
  163. 三谷秀治

    ○三谷分科員 そこら辺のいまの御説明をつなぎ合わせると、結局はこの新聞報道に書かれておるような内容になってしまうということであって、いろいろ修飾されておりますけれども、お話を聞くたびにそういう言葉の脈絡というものがだんだんと明らかになってくるわけでありますが、このような地位利用に当たるようなことをなさっては困るのではないか。特に長官は、いまいろいろ関心を持たれておる方でありますから、特にこういう行為については慎重になさって、かりそめにも、そういう誤解を与えないようにしてもらいたい、そのことを私は希望するものでありますが、いまの状況につきまして、自治省や警察庁、まあこれは自治省は選挙関係ですか、その点から見て一体どのようにお考えになりますでしょうか。
  164. 森廣英一

    森廣説明員 ただいま初めてお伺いしまして、いままで承知をしておりませんでしたが、いまのお話を伺っておりますと、いろいろ取材の問題等もありまして、一体いろいろ趣旨でもないことが記事に出たのかどうかよくわかりませんけれども、私どもは参考にお伺いをしておきたい、かように思います。
  165. 三谷秀治

    ○三谷分科員 自治省、どうです。
  166. 小笠原臣也

    ○小笠原説明員 私の方も、ただいま具体的な事実をお聞きしたばかりでございます。公職選挙法では、公務員の地位利用あるいは地位利用類似の行為、あるいは地盤培養行為等いろいろな規制がございますけれども、この条項に当てはまるかどうかということは、もっと具体的な事実を個別に具体的に判断をしないと申し上げられないことでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  167. 三谷秀治

    ○三谷分科員 いまの警察庁のお答えも自治省のお答えも後が一つ足りないのだ。具体的に答えられないから調べてみるというのだったら話はわかるが、そこが抜けてしまっているわけです。これは自治省の地位利用についての解釈を見ましても、職務権限を有する公務員等が、地方公共団体、外郭団体、請負業者、関係団体、関係者等に対して、その権限に基づく影響力を利用してはいけないということになっているのであって、いま私がお話し申し上げました点から申しますと、まあ長官はいろいろと弁明されておりますけれども、その弁明というものも、語意というものをよく脈絡を持たせてみますと、この新聞報道と大差はないという状況があるわけでありますから、まず現地における実態を調べるとか、その上で法律上の違反か、あるいはそうでないかということについて結論を出すとか、そういうはっきりした態度をとってもらいたい。それをいまお聞きしているわけだ。
  168. 森廣英一

    森廣説明員 警察の選挙違反の取り締まり、犯罪の捜査というようなことは、やはり相当確たる資料に基づいて行うわけでございまして、いろいろな新聞報道等も参考にいたしておりますけれども、捜査権の発動というのは軽々に行うべきものではないというふうに原則では考えております。しかしながら、われわれの仕事の関係から、いろいろなあらゆる情報、選挙に関する情報というものは逐一関心を持って見聞きをし、参考にはいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  169. 三谷秀治

    ○三谷分科員 自治省は。
  170. 小笠原臣也

    ○小笠原説明員 自治省といたしましては、そういう具体的な事件、すでに起きた事件について内容を調査し、また取り調べるというような権限は持っておりませんけれども、今後とも、先ほど申し上げましたように奄美地域におきましては、いろいろ選挙に関する問題があるようでございますので、県の選管を通じまして、いろいろな事態に的確に対処できるように情報を収集し、調査をしてみたい、このように考えておる次第でございます。
  171. 三谷秀治

    ○三谷分科員 時間を超過いたしまして恐縮です。終わります。
  172. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて三谷秀治君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内猛君。
  173. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は主として茨城県の筑波学園都市の問題をめぐって質問をいたします。  筑波研究学園都市は五十四年に概成を見た。そして完成から熟成へ、こういう方向に進んでいくわけでありますけれども、遺憾ながら人口がなかなか定着をしない。当初予定したように十万の人口が移ってくるべきものが、まだその半分も移っておらないという状況の中から、たくさん問題が起こっております。けれども、その前にいろいろ進んでおるところもある。たとえば教育の問題については、これは竹園高校、それから私立の茗溪高校、さらに並木高校がいま着工中でありますから、これはある意味では前進をしておりますが、まだまだ転入される皆さんが期待するような教育内容というものが周辺の学校には整っていない。こういう点から教育問題もこれからの課題になると思います。  なお、医療の問題に関しては、何回も何回も医療問題を主張してきましたところ、国家公務員共済病院の建設については、これは大蔵省が非常にむずかしいと言っている段階の中で、ようやく筑波メディカルセンターが着工しようという状況になっております。しかし、まだこれもそういう状況であって、建設が進んでいるわけではない。筑波大学病院がありますけれども、筑波大学病院は文部省の所管でありまして、救急医療の取り扱いも十分でないし、また医療に関しても、特殊な病気については非常に興味を持つけれども、一般の病気については順番制という形で、これも安心しておれる医療機関とは言えない状況であります。  なお、交通問題がありますが、これも東京と取手の間に複々線ができて千代田線が来ておりますが、それから以降については、これは電流の関係から、地磁気観測所の関係からなかなかうまくいかない。そういう関係で依然として交通はまだ十分でない。まして学園の中の交通については、自家用車を持たなければやっていけない、こういうような状態があります。  その他なお挙げれば限りのない問題があります。多くの点で前進した面もあるが、かなりおくれておるところがある。そこで一体このおくれというものはどう取り返しをするのか。そしてなお今後どのような努力をされるのか。この点について国土庁長官から、これは総括して答えをしてもらいたい。
  174. 京須実

    京須政府委員 まず、かわりまして大都市圏整備局長からお答え申し上げます。  筑波研究学園都市につきましては、移転あるいは新設が計画されました国等の研究機関あるいは研究学園地区におきまする基幹的な都市施設等につきましてはおおむね完成いたしましたが、先生御指摘のように、都市としてはまだ未成熟な状態でございます。したがいまして都市機能の充実あるいは関連産業、民間研究所の導入等によりまして人口の定着を図ることが今後の課題と考えております。このために都心地区の整備あるいは交通機能の充実、さらに周辺開発地区におきまする工業団地の造成等を積極的に推進してまいりたい、このように考えております。
  175. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 しばしばそういう答えが出るんですが、なかなかこれが進まないのです。展望はよくわかる。ところが依然として進まないから、いろいろな問題が起こっておる。そこのところをひとつ明らかにしてもらいたい。たとえば大蔵省が建てているところの公務員の住宅にしても、これは八千六百建てるはずでしょう。この前のときには五千七百に、さらに新しく二千九百というものをつくるという形になっておる。ところが、これにはまだ空き家が一割ぐらいあるという状態なんです。どうしてそういうことになっておるのか。一方では住宅が足りなくて困っているというのに、学園のあのりっぱな建物があいているというのは、このくらい不経済な話は本当はない。こういう状態をどこで克服するかということについて、もう少ししっかりした答えをしてもらわないと、展望だけはあっても一歩一歩進まなければぐあいが悪い。
  176. 京須実

    京須政府委員 まず都心施設の充実でございますが、ただいま御質問がありましたように、メディカルセンターにつきましては松見公園の北側にすでに場所を決めたわけでございます。それからまた、都心のセンターでございますが、これも本年度の六月には開設いたしまして、宿泊施設とか商業機能とか、あるいはまた文化的な音楽機能とか、そういったものの充実が図られました。さらにまた、大規模小売店舗等につきましてもその立地を折衝中でございまして、逐次、私どもは都心施設の充実等努力しております。また、工業団地につきましても新しい造成の開始とか、そういったものを逐次準備しております。  何と申しましても、都市が熟成いたしまして人口が張りつくのには、ある程度時間がかかるものと考えます。その点ひとつ御理解を賜りたいと思っております。私どもも一段と今後努力いたしまして、人口の定着を図りたい、このように考えております。
  177. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 交通問題で、都心に交通のセンターをつくる考え方はあるのかどうか。
  178. 京須実

    京須政府委員 学園センターの中のターミナルでございますが、総合交通ターミナルにつきましては、ただいま調査を進めておりまして、たまたま科学博もございます、その際にも当然都心部の方にも科学博の施設ができますので、そういう点を生かしまして、ターミナル調査をなるべく早く結論を出しまして、バス交通等を充実したいと考えております。
  179. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 バスターミナルのセンターをぜひつくってもらわないと、人間がそこへ集まってこない。  そこで、いま一つ新しい問題が起こっているのは、水道料金の値上げの問題が起こっている。本来は十万人来べき設備がある。実際は三万五千しか来ていない。だから、その水道に赤字ができまして、いま大口四〇%一般家庭は六七%。これはほとんど公務員ですから、一方で人事院勧告が凍結をされたという、これは長官の責任だ。内閣は五十七年の人事院勧告を凍結した。五十八年もこれは径しい。そういう中で、今度は水道料金が大口は四〇%で一般家庭が六七%も値上げをする。これはとんでもない話なのだ。移ってこないのは移ってこないだけの理由があって移ってこないのだからね。それを家庭の犠牲によって切り抜けょうなんて、そんなばかな話はない。こういうことこそ国が責任を持ってしてやらなければどうにもならないじゃないですか。どうです。
  180. 京須実

    京須政府委員 水道につきましては、基幹施設等につきましては計画人口十万人並びに試験研究あるいは教育機関等の施設に対応した施設を整備するとなっておるわけでございますが、実際に上水の供給は人口定着に応じて行われております。でございますので、基幹施設はおっしゃるように人口十万人に対応するものをつくりましたが、実際の水の供給は定着人口に応じまして行っております。また、水道料金に関します筑南水道企業団の資料によりますと、総費用のうちの相当部分は水の費用、受水費でございまして、今回値上げというものを提案したようでございますが、その主な原因は原水の値上げといいますか、過去の原水の値上げ等もありまして、それに対する対応にいろいろ問題があったというところが大きいのではないかと考えておるわけでございます。  したがいまして、国土庁としましては、直接その水道料金等についての所管をいたしておりませんので、先生の御趣旨を直接の所管省庁に十分伝えたいと考えております。また、再三申しますように都市機能の充実等図りまして、できるだけ早く人口の定着化を図る、このように考えております。
  181. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この問題はやはり大臣答弁がなけれはぐあいが悪いのだ。というのは、これは国の方針として、国策としてやったことなんですね。だから、人口十万人の施設をつくるのはいいと思う、あるいは住宅を建設するのも結構だと思うのです。学校も施設も結構だと思いますが、それに充当できないような現状というものがここにある。だからそこに赤字ができた。赤字ができたら、そこに入ってきた者がそれを負担しろということになると、これは問題じゃないですか。一方において憲法違反だと言われるぐらい人事院勧告を抑え込んでしまって、出すものも出さないで、取る方だけはしっかり取る。これは国土庁長官、あなた実力者だからしっかりやってもらわなければ困るのだよ。どうですか、長官としてひとつ責任ある答弁を。
  182. 加藤六月

    加藤国務大臣 この都市は多くの国民が注目しておる新しい都市づくりでございます。考えてみますと、昭和五十五年に移転すべき主なものが大体移転したということでございますが、一つの都市が成熟していく過程というのはいろいろあると思います。先ほど局長答弁しましたような、さらに都市の成熟度を増すもろもろの施設、これはハードもソフトも含むわけでありますが、そういうものを充実しながら、今後この都市を快適なすばらしいものにしていかなくてはならない、こう考えておるわけであります。  ただ、最初計画した人口に比べて今日非常に少ないということ、これはまたある面ではいろいろな事情があるわけでございまして、私たちもそこら辺は一生懸命督励し、汗を出して、一日も早く予定どおりの人々が快適な生活ができるようなものにつくり上げていかなくてはならない、こう考えておるわけであります。ただ、先生がおっしゃいました人勧凍結とこの都市の水道料金とストレートに結びつけられますと大変困るわけでございまして、この問題については厚生省が一生懸命努力していただいておるわけでございますので、今後私たちはこの方面に対して、この新しい町を今後築き上げていく立場上からも、お願いすべきものはお願いしておきたい、このように考えておるわけでございます。
  183. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 理屈を言うわけじゃないけれども、公務員だから金が入るのは賃金しかないですよ。別に副業があるわけじゃないからね。それに対して人事院勧告は凍結されてしまった。五十七年は勘弁してくれ、こう言う。五十八年もどうも怪しい。そして一方料金の方は赤字が出たから、それじゃ家庭用だけを六七%、大口は四〇%でいくという話になると、こんなばかな矛盾した話はない。そうでしょう。あなたが筑波の公務員の立場に立ったって、黙っているわけがないでしょう。おかしいじゃないか、こうくるのはあたりまえなんだ。関係ないのだと言ったって、そういうふうに考えるほかはないのだ。どこかからお金を持ってくるわけじゃないのだ。だから、国策でやっているのだから、水ぐらいのことについては考えてやるということは考えなければいけないと思うのですね。  では、もう一つお伺いしますけれども、六十年まで出している五億円の特別交付金、これはこれからどうなさるつもりですか。これはこの前、五千万円削るという話をして、これは国土庁にがんばってもらって引き続いてきたけれども、六十年というと、あと少しでしょう。この後どうします。
  184. 京須実

    京須政府委員 特別交付金でございますが、六十年まで一応約束がございまして、六十一年度からは未定でございますが、その時点になりました暁に茨城県と十分相談いたしまして対処したいと考えております。
  185. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それならば、もう一つ今度は別なことをお伺いしますけれども都市整備公団が学園の中の土地を十二地区だと思いましたが、区画整理をされた。これはもうほとんど整理が終わっていると思いますが、これの扱いをどうされるかということが第一点です。  それからもう一つは、現在、関係市町村には、整備公団が土地を持っていますから固定資産税を払っているわけですね。ところが、これを国に売り渡した場合には税金が取れないという形になる。国に売り渡す三・三平米、一坪の土地の価格、それと一般に売る価格との間にかなりの差があると聞いているのですね。これはどういうことになりますか。この二点について御報告をしてもらいたい。
  186. 久保田誠三

    ○久保田参考人 住宅都市整備公団の理事の久保田でございます。日ごろ大変お世話になっておりまして感謝いたします。  先生のただいまのお尋ねの点でございますが、固定資産税の点は、私の方がお売りした後は、ちょっと公団の問題になりませんので、その点は差しおきまして、その余の点について御答弁いたします。  まず、区画整理は十地区やっております。そこの施行面積は約千百ヘクタールですが、公共減歩があったり、保留地の問題があったりして、結局公団の取得することになりますのは約三百十ヘクタールになります。その他、一団地の官公庁施設の事業とか、それから真ん中の花室等の新住宅市街地開発事業というような別の二つの手法もやっていまして、そういうものも合わせるわけですが、いま先生の直接のお尋ねは区画整理のことでございますので、それに限って申しますと、約千百ヘクタールの施行面積中三百十ヘクタールが、公共施設等を除きまして結局公団の可処分宅地に残ります。結局、使途は、土地利用計画によりますと、研究施設用地とか計画住宅用地、これは公務員宿舎とか公営住宅とか公団住宅等です。それから公益施設用地、学校等です。それからさらに商住混合の店舗等の用地、そういうものを合わせまして現在約三百十程度あるわけです。  そのうち研究施設用地が約二百ヘクタール程度ございまして、その問題に絡むのではないかと思いますが、こういうものにつきましては、結局いまのところのいろんな事業費は積算されているわけですが、さらに残事業が、現在のところ一団地のいろんな官公庁施設整備事業というのがありますが、一応それが六十年度までになっているわけです。そういうことで一応六十年度までの残事業費等を加え、さらに金利、事務費等もありますので、そういうものをみんな加えましていろいろ試算されるわけですが、その額につきましては、今後の不確定な点がありますので申し上げられませんが、いずれにしてもそういうような直接建設費並びに金利、事務費、諸経費等々を加えました総額につきまして、ある時点で可処分宅地で割って、それが結局平均原価みたいになるわけです。  そういうものを各地区ごとに、どのように土地の価格にしていくかということになるわけです。そういう点につきましては、これはだんだん事業の収束段階に来ていますので、いま、国土庁、建設省、公団等で寄り寄りお集まり願いまして、いろいろ検討している段階でございます。これから鋭意そういう方面を詰めていきたいと思っているわけでございます。  そういう状況でございまして、国等に、移転機関用地にお売りする値段もまだ決まっていませんし、六十年度までの諸経費等を全部換算して加えて、それをさっき先生の申された区画整理地区内の用地だけではなくて一団地の官公庁施設事業用の公団取得地等、さらに他の移転機関用地のところも含めて、全部ひっくるめまして総合的に公団取得地で割り算する、それをどう扱うかということになるわけです。そういうことを鋭意これから検討をしてまいりたいという段階でございます。
  187. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私はこれについて三つばかり要望しておきますが、第一の問題は、これから売り出される整地をされた部分の土地と、それから現に国が建物を建てている土地の価格についてアンバランスのないようにしてもらわないと非常に困る。いま聞くところによると、国が建物を建てた土地は非常に安く取り扱うというようなことが、すでにあの村の中では話になっているのでしょう。そういうことをされると非常に困りますから、いま言われたように総経費を面積で割っていくという形になれば平均が出てくるわけですけれども、そういう形で公平にやってもらわなくてはいけないと思います。  第二番目の問題は、これからの都市整備公団のあの地区における仕事の一つとして科学博覧会の跡地の問題、それから、あそこにあの町村が約五百町歩の工業団地を準備をするわけですね。これの関連の仕事について、やはり住宅等を、大蔵省が管理する住宅ではなくて公団が関係するような仕事をしてほしいというように思います。  それから、これは後の問題ですけれども、国に公団が土地を売り渡した後の財政的処置ということがありますけれども、これは非常にむずかしい問題になってきて、今日のあの町村の財政の基本を狂わせるような問題になりかねないから、この点についても、きょうここでいろいろ議論はしませんが、問題としては提起をしておきます。  そこで、きょうは建設省が見えていると思いますが、牛久学園線ができて、科学博覧会との間の交通の問題で、あそこに臨時駅をつくる。その臨時駅をつくる場合に、その接続のところに倉庫とショッピングがありますね。あれは今日どうなっていますか。
  188. 依田和夫

    ○依田説明員 物件補償につきましては、十一件中十件が済んでおりまして、ただいま御指摘のレストランが残っておるのですけれども、この方の補償についても期間内に当然補償を終わりまして、道路の開通に支障がないようにできる目標を立ててございます。
  189. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これは、一人は県会議員が管理している、もう一人は町会議員である。こういう公的な人間が、少なくとも国が進めている科学博覧会の道をつなげようとするど真ん中にああいうものを建てて補償のつり上げをするようなことは許しがたいことだと思うのです。だから僕はずいぶん注意をした。もういいかげんにあれを移しなさい。ところが、補償がないからなかなか移れないと言う。補償をちゃんと出して県と約束しているじゃないですか。にもかかわらず、あれがそのままあるということは、どう見てもおかしい。もう少し建設省も腰を入れてやらなくてはだめだ。どうですか。
  190. 依田和夫

    ○依田説明員 私どもは、通常の公共事業による補償物件と考えておりまして、予算上の制約がございますけれども、スケジュールに乗せまして事業の進捗を図っておるところでございます。
  191. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 その公的な立場にある者が大きな国の仕事の中で、科学博覧会というものをやることによって、あの地域におけるところの発展促進し、人口の定着も進めていきたい、われわれはこう考えてきたのです。その問題について妨害をするようなことは許しがたいと思うから、これはしっかりやってもらわなくてはいけないと思いますね。その点で、そのことについては強く要望をしなければならない課題だと思うのです。  最後の問題ですが、なぜ、あそこに公務員が喜んで移らないのか、あのいいところへ。それはやはり定年制の問題があるのですよ。まだ若い人は別ですけれども、もう四十歳ぐらいの人で定年の間際になった人が、東京なり自分のいまいるところから全部整理して移るということがなかなかできにくい条件にある、子供の教育もあるし。だから何としても、移りにくいという問題を克服するためには、科学者、技術者というものに対する定年制という問題を考えなければならないだろうというふうに一つ考えるし、それから、その方々が仮に定年でやめた場合にも、そこで仕事がされるような施設なり方針なりを出していく。そのために、いま茨城県知事ともいろいろ相談しておるのですけれども、職能的な学校、訓練所、そういうものをつくって技術を教えて、そこに労働者を入れて生産をする、それがそこへ定着をする。そういうような形にしないと、いまのままで固定してしまったら、ますます建物が古くなる、壊れる、傷む。木は大きくなりますね、その始末だって大変ですよ。  それで、五億円の金の問題については、そのときになってみなければわからないというようなあいまいな答弁ですけれども、確かにこれは現段階では、五億円のうちの一部でパートを入れて、余り見ばが悪くないようにしている、外国からもたくさん見学に来るのですからね。そういう場合に、本当ならば正規の特別会計のようなものをつくって処理をしていくというようなことが必要だと思うけれども、賢明な長官はひとつその処理について、加藤長官の時代にこれをつくったんだ、こういうようなことの考えはどうです、考えたことはないですか。
  192. 加藤六月

    加藤国務大臣 私も筑波研究学園都市に移っておる多くの方々の意見をいろいろ承りましたが、ある面では竹内先生と逆なことを言われた人がおって、私も概念としてはいろいろ移らない理由等を頭の中に入れておったところが、ある人に会うたら、急いで移った。そして、あそこは子供の教育をするのに本当にすばらしい環境であって、なぜもう少し早く移らなかったかと、御夫婦で来られて口をそろえて言われるのを承りまして、実はびっくりしたというようなケース等もあるわけでございますが、後段に先生がおっしゃいました、あそこに住みつく、そしてまた、定年後あの周辺において快適な余生を送りたいという方々のための何らかの問題は、今後考えていかなくてはならぬのではないだろうか、このようにも思う次第でございます。  具体的なことは政府委員の方から答弁させたいと思います。
  193. 久保田誠三

    ○久保田参考人 先ほどの御答弁、さらに先生の御要望のあったところの土地の売り値の問題について、補足させていただきたいと思います。  何か地元の方で、国家機関より全然安いとかいう話があるようでございますが、先ほど申しましたように、それは施行面積は二千七百ヘクタールですが、公団の取得するのは、いまのところは千七百ヘクタールになる予定であります。それは区画整理等もやりますし、あらかじめ公共用地をつくりますので、減りますのでそうなります。そういうことで母体が小さくなります。したがって、相対的に大きくなるという問題がありますし、さらにもう一つの点は、私さっきそういうことで関連して、経費を面積ですぐ割るというふうに言いましたが、これはたとえ的に言ったもので、単純に割るかどうか、その辺のところはいろいろ慎重に検討して、配分等をどういうふうにするかは今後、国等とも相談してやってまいりたいということで、ちょっと補足させていただきますので、よろしくお願いいたします。
  194. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 もう時間がないから、ここで要望して終わりますけれども、いま長官が言ったように、中にはこんないいところはないと言う、それは若い夫婦ならここでいいですよ、教育は。全部移ってきて、りっぱなところに入れて、三十年も四十年もそこで住むのだからね。ところが中年の人たちはみんな単身赴任である、大変ですよ。単身赴任で、東京にも生活があり、通ってきておる、通わなければしようがないような状態にあるのだから。それは調査してもらいたいと思うのだ、移転している人たちがどういうようなことになっておるのか。あそこのところに移ってくる人たちは、ほとんど学歴の高い人ばかりですから、相当な調査をみずからしていますからね。その調査の中からそういう声が出てくるわけで、決して中年以上の人は、これに対してそうもろ手を挙げて喜んでおる人ばかりじゃない。喜んでいない人の方が多い。これは、私はそこのところを年じゅう出入りしているからよくわかるわけです。そういう点で、何とか中年の人々も若い人々も手が結べるようにしてほしい。これはなかなかむずかしいです、むずかしいから、ここでとかく議論はしないけれども、要望としてその辺のことを調べておいてもらいたいということです。  以上をもって終わります。
  195. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、国土庁についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  196. 藤本孝雄

    藤本主査 昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算建設省所管について政府から説明を聴取いたします。内海建設大臣
  197. 内海英男

    ○内海国務大臣 建設省関係昭和五十八年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入百九十九億七千余万円、歳出四兆六百十五億五千百余万円、国庫債務負担行為五千三百四十九億五千三百余万円でありますが、建設省に移しがえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出四兆六千二百三十九億一千百余万円、国庫債務負担行為五千六百九十五億九千余万円を予定いたしております。  次に、建設省所管の特別会計について、まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも二兆一千九百五十七億九千八百余万円、国庫債務負担行為二千四百九十億四千百万円、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆一千百七十九億七千八百余万円、国庫債務負担行為二千六百六十九億五千百万円、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも四百八十億三千九百余万円を予定いたしております。  また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出五十六億三千百余万円、国庫債務負担行為四十五億六千百余万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅・宅地対策、都市対策、国土保全・水資源対策、道路整備等各般にわたる国土建設施策を推進してまいる所存であります。  なお、建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十八年度建設省関係予算概要説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  198. 藤本孝雄

    藤本主査 以上をもちまして建設省所管についての説明は終わりました。     ─────────────
  199. 藤本孝雄

    藤本主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤誼君。
  200. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 それでは私の方から、いまの長引く不況の中で特に地方の中小建設業が大変厳しい状況に置かれておりますが、それらの問題に焦点を当てながら以下質問をしていきたいと思います。  そこでまず第一に、時間も三十分という制約がありますから、最初に全体的な実態について私の方から質問申し上げますので、その点についてまとめてひとつ御答弁いただきたいと思うのです。  その第一は、建設業の資本金の規模別構成はどうなっているかということであります。その中でも資本金一億円未満は何%か、あるいは個人業者及び資本金五百万円未満は何%かというようなことも織りまぜながら御答弁いただきたいというふうに思います。  それから二番目は、建設業の最近の倒産の状況はどうなっているか。特に全産業の倒産件数に占める建設業の割合、それから他産業に比べて建設業は倒産確率がどうなっているのか。  第三番目は、建設業の資本金の規模別に見た場合に、その受注、それから倒産の状況、経常利益の状況、これらがどうなっているかということを、まとめてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  201. 永田良雄

    ○永田政府委員 お答えいたします。  まず第一点は、建設業の規模別構成はどうなっているかということでございますが、五十七年三月末現在、許可を受けた建設業者の数は約五十一万業者でございます。このうち、個人業者を含めまして資本金が一億円未満の業者の割合が九九・四%でございます。一億円以上の資本金の業者は〇・六%、こういう実態でございまして、ほとんどが中小業者というふうに御理解いただきたいと思います。  それから第二番目が、資本金階層別に見た建設業の倒産の現状はどうなっているかということでございますが、実は建設業全体について調査したものはございません。民間の信用調査機関の調査では、負債総額が一千万円を超える倒産についての資料がございます。それによりますと、昭和五十七年における建設業の倒産件数は全体で四千八百六件でございまして、前年に比べて約五%減少してございます。これは全産業の倒産件数の約二八%を占めておりますが、その比率は前年に比して約一%減少しております。ほぼ三割ぐらいかなというのが大体の常識でございます。  それから、五十七年における建設業の倒産件数を資本金階層別に見ますと、百万円以上一千万円未満の階層が全体の約五九%を占めております。一千万円以上五千万円未満の階層が約一一%となっておりまして、なお資本金階層に区分できない個人企業が約二六%となっております。前年に比べますと、資本金五千万円以上一億円未満の階層と個人企業でやや増加しておりますが、その他の階層では若干減少しておるという実態でございます。  それから、建設業の資本金階層別に見た受注割合と経常利益率はどうだという御質問でございますが、階層別の受注の統計は現在ございません。資本金階層別に見た経常利益の数字はございます。昭和五十五年度の建設業の経営分析によりますと、資本金階層別の平均完成工事高経常利益率は、二百万円未満の業者が一・三%でございます。それから二百万円以上五百万円未満の業者が一・一%、それから五百万円以上一千万円未満の業者が一・八%でございます。それから一千万円以上五千万円未満の業者が二・〇%、それから五千万円以上一億円未満の業者は二・三%でございます。一億円以上十億円未満の業者の経常利益率は二・六%でございまして、十億円以上の業者は三・四%となっております。  以上でございます。
  202. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 必ずしも全分野にわたってしさいなデータもないので、ところどころ抜けているので全体像が明らかでありませんけれども、私がいま聞いた限りでは、建設業の中で中小零細企業と言われる、言うなれば一億円未満ですか、これが圧倒的に多いというのが一つの特徴だろうと思いますし、それから最近の倒産状況を見ますと、これも定かでない部分はありますけれども、概して言えることは、全産業の倒産件数の中で建設業の占める割合が約三割ですから非常に高いということ。それから、これはお答えありませんでしたが、倒産確率の問題。つまり全企業数の中で当該企業の倒産件数と普通言われていると思うのですが、これは私が調べたところでは、大体建設業の場合は他産業の倍ぐらいではないかというふうに言われている向きもありますから、言うなれば、こういう不況の中での建設業の倒産が他の産業に比べて非常に高いということが特徴的に言えるのじゃないか。  それから資本金の規模別に見た受注、倒産、経常利益の問題、これも全部が全部明らかにはなりませんでしたけれども、概して言うならば、大づかみな言い方ですけれども、大企業の方が比較的受注も多く、倒産も少なく、経常利益も高い。中小零細の方が厳しい。先ほど言いました資本構成の別からいっても、これはおよそ常識的にも言えると思うのですが、ただその中で、これは特に後の質問に関係ありますので、大手五社と普通言っていますけれども、これなどの状況を、ぜひ、いまの受注、倒産、経常利益がわかれば知らせてもらいたいと私は思うのですが、この辺の関係を調べたデータはないのですか。
  203. 永田良雄

    ○永田政府委員 ただいま手元にございませんが、多分わかると思いますので、調べた上でお知らせいたします。
  204. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 私の方の手元にあるデータによりますと、普通、大手五社と言われるのが、受注の点で、五十五年で前年に比べて一〇・六、五十六年で一〇・七というふうに一割以上ふえているという状況なんですね。これはあなたの方が持っているデータと突き合わせてみなければなりませんけれども、こういう状況を私の方では把握をしているということが一つでございます。  それからもう一つは経常利益を、同じく大手五社について見ますと、ずっときましてオイルショックで一応落ちましたけれども、五十五年度は過去最高の利益を得ているというふうに見ているわけです。それから五十六年度以降のデータは私の方でははっきりしませんけれども、それは相当に利益を得ているというふうに見ています。このようなデータが大筋として間違いないとすると、言うなれば地方から見ると高ねの花である大手、大企業五社と言われるものが、受注の点においても、それから経常利益の点についても、やはりかなりの部分を占めているということが言えるのじゃないか。したがって、この辺のところのデータについては後ほど私の方に御提出いただきたいということで先に進めてまいります。  そこで次の質問は、中小企業に対する公共事業の発注割合、これは中小企業といっても法律に定める中小企業というふうに御理解いただいて結構だと思うのです。また公共事業といっても官公需からいろいろな区分けがあると思いますから、その辺は官公需の中小企業向けというふうに御理解いただいていいと思うのですが、中小企業庁おいでですか。——そこで、まずお尋ねしますけれども、官公需の中小企業向け契約目標はどのようにして決めるのか。そしてまた、その目標はどのような推移を経てきておるか。それから実績はそれに対応してどうなっておるか。これをひとつ。
  205. 小澤通成

    ○小澤説明員 ただいま御質問のございました官公需の目標の設定の仕方ということでございますが、官公需法によりまして「国は、毎年度、中小企業者の受注機会の増大を図るための方針を作成する」ということにされております。この規定に従いまして、毎年度方針の策定を行っておるわけでございますが、その具体的なやり方といたしましては、官公需施策の取りまとめ官庁である通産省中小企業庁が、あらかじめ各省庁に対し、それぞれの省庁の当該年度の契約の見込みはどうなるかというものを、そういう策定を依頼をいたしまして、それが中小企業庁に対して出てまいりますと、それをも踏まえまして各省庁とも所要の協議、調整を行った上で、国等全体としての目標の策定をいたします。それについて閣議決定を求めるということになっております。  それで、その中小企業向け目標の数字でございますが、官公需法の制定は昭和四十一年でございまして、昭和四十一年の中小企業向け目標比率は二六・八%ということでございました。それが昭和五十七年度には三七・二%ということになっておりまして、この間、目標と実績との間にはいろいろずれがあることもございますけれども、いずれにいたしましても目標、実績とも、年々徐々ではございますが順調に増大をしてきておるという実情にございます。
  206. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 そこで、いまのことにも関連がありますが、私の方の得たデータでも、いまの契約目標が漸次高まってきている。そして実績を見ると大体目標に近い形になっている。そして五十六年の場合には目標を若干上回っておる、こういう状況ですね。  ただ問題は、大体五十二年以降を見ると三五%から三七%ということで目標が二%程度上がっているけれども、しかし、いま各界から要望されている、官公需あるいは公共事業を中小企業向けにもっと発注をふやしてほしい、この要望から言うと非常に遅々たるものがあると思うのですよ。恐らく、いままでも議論されているように五〇%を超える形でという要望が強いと思うのですが、ぜひ、その辺に近い形で目標設定をしてもらいたいと思うんだけれども、なぜ、その辺を五〇%近い形に持っていけないのか、その辺どうなんですか。
  207. 小澤通成

    ○小澤説明員 いま先生のお話にもございましたように、国といたしましては最大限の努力をするということで、毎年度徐々にではあるが、その目標値を引き上げてきておるというところでございますけれども、やはり官公需と一口に言いましても、その中身にはいろいろございまして、なかなか中小企業向けには発注がむずかしいような、そういう大規模プロジェクト等いろいろございます。また一方で財政事情が非常に厳しいということで、わりあい中小企業向け発注の多い事務費等の削減というようなこともございますし、そういう中身を見てみますと、なかなか大幅に毎年引き上げていくということは非常にむずかしい事情にあるわけでございますけれども、この官公需施策の取りまとめ官庁である中小企業庁といたしましては、幾らかでも中小企業者の受注機会の増大ができるように最大限の努力を払っていきたいというふうに思っております。
  208. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 そこで、中小企業庁は所管の省庁ですから、五十二、五十三、五十四、五十五、五十六、五十七、六年間ですか、六年間で二%程度目標が上がったということでは、いまの業界期待なり、国民の、経済不況を克服する、そういう希望にこたえることにならぬと思うので、これは私の方から契約目標の引き上げについて強く要望して、中小企業庁関係については終わります。  引き続きまして、建設省所管を見ますと、いまの中小企業庁で設定している契約目標からいってむしろ低いのですね。昭和五十五年で三〇・五ですか、それから五十六年で二九・六、五十七年で二九・四ですから、三五%前後している中小企業全体の契約目標からいうとかなり下がっているのですが、この辺はどうなのですか。
  209. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま御指摘がありました建設省関係の工事につきましての中小企業向けの目標でございますが、たとえば昭和五十六年度をとってみますと全体では二九・六%でございます。その内訳といたしましては、直轄工事で四五・二%、公団等で二一・五%となっているわけでございます。この公団等といいますのは、特に道路公団とか本州四国連絡橋公団であるとか、あるいは首都、阪神の道路公団といったような、仕事の内容そのものが大規模な特殊な橋梁工事等を含むようなものがございますために、どうしても目標で発注率が落ちておるというようなことから、全体で二九・六%というふうになっておるわけでございます。しかしながら、いま申し上げましたように、直轄事業で中小企業にできるだけ発注できるようなプロジェクトにつきましては四五・二%というふうに、五〇%近い目標を立て、また実績もその目標を上回るというようなことで推移してきているところでございます。
  210. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 これ以上その問題については触れませんけれども、ただ建設省は官公需あるいは公共工事の発注の中心になる省庁ですし、いま言われた公団、公社の関係は、私が得たデータの限りでは、他の省庁だって大体その部分が落ち込んでいるのは共通して出ておりますから、いま申し上げたような意味で中小企業向けの発注をふやすように、ひとつ建設省の一層の努力を私の方で要望して、次に進みたいと思います。  次は、建設省は、たとえば「昭和五十七年度建設省所管事務の執行について」というような次官通達を出しながら、中小企業建設業者の受注機会の増大であるとか、あるいは下請契約の適正化及び代金支払いの適正化であるとか、中小建設業対策向けのいろいろな指導を行っているように思いますけれども、果たしてそれが言われるような効果を上げているのかどうか、この辺の地域の実情をどう押さえているのか、その辺についてひとつお尋ねします。
  211. 永田良雄

    ○永田政府委員 御指摘のとおり、元請、下請関係の合理化につきましては、昭和五十三年度に元請・下請関係合理化指導要綱をつくっておりまして、主要発注機関に対して通知すると同時に、建設業者に対する指導を要請いたしてきております。その後も、資金需要が逼迫する年末期等に、下請代金の支払いの適正化等について通達を発して指導を行ってきております。そういうことはやっているが実際効果はあるのか、こういうお尋ねでございます。  私どもは、特定建設業者についてだけでございますが、下請代金支払い状況等実態調査を行っております。その結果によりますと、元請・下請関係合理化指導要綱の遵守のための具体的な措置をとっている建設業者は、現在、全調査数の大体七六%となっておりまして、徐々にではありますが、その効果が上がってきているというふうに理解しております。ただ、やはり工事が非常に少ないような時期というのは、いろいろな面で多少問題が起きがちでございます。これは元請、下請の関係だけではなくて、元請同士の受注競争でもかなり激烈なものがございますので、多少の変動はございますが、大筋で見ますと漸次改善されてきているのではないかというふうに考えております。
  212. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 そこで、地方の中小建設業向けのいろいろな対策のために、対策はいろいろな幅がありますが、それなりの努力をされていることはわかるのです、いままでの資料等を見ますと。ただ、それが意図した方向に具体的に成果を上げているかどうかとなりますと、徐々にではあるがということを言われましたけれども、それは表現の仕方だろうが、地方の実態から見ると、努力の割りには必ずしもぴたっと成果を上げているようには見られない向きが多いわけです。  というのは、私は自分の地元のことを頭の中に描きながら言っているのですが、山形県の海岸の方の鶴岡、酒田、そこが私の住居地でありますけれども、そこの関係から見るといろいろな声があるわけです。指導もしていることは皆さん知っているわけですけれども、端的に言いますとこういう声なんですよ。不況で大変物件が少なくなった、これは直轄だって地方自治体だって事実そのとおりだと思う。ところが、中央も大変厳しいのだろうけれども、中央の大手企業がどんどん地方に進出してくる。そして不況で発注物件が少なくなってきているのに、大手も入って指名業者になり、指名入札の競争をやるわけですね。したがって、物件が少ないのに大手が入って、大手の営業活動あるいは総合力の優位性によって、結果的にはほとんどそういう少ない物件を元請として取る。そうすると地方の中小建設業は仕事が取れない。無理して取っても、結局かなりダンピングされますから赤字になってしまう。そういう中央の大手が元請になったものを下請すれば、簡単に言えば過当競争でたたかれるということで、大変厳しいという状況にあるわけですよ。  先ほども言ったように、これはデータが明らかでないのですけれども、中央の大手と言われるのは受注も多く経常利益も多いというのが私のデータです。ところが、いまのような中で地方の中小建設業は大変厳しい状況に置かれているわけであります。そこで地方の声としては、いまの指導はあるのだろうけれども、実感として、中小建設業でもできる仕事については、もう少し何とか地元の企業にやらしてほしい。それから二番目は、技術的にも地元で対応できる仕事は地元の企業でやらしてほしい。その次は、むずかしいかと思うのだけれども、大企業等による事実上のダンピング入札のようなものが見られる、こういうものを規制する方法はないのか。その次に、元請の下請に対する買いたたき、実際問題あるのですよ。私もそういう体験を聞いておりますけれども、それを何とか規制したりコントロールする方法はないか。たとえば、そのような買いたたきをする悪質な、しかも何遍でもやるというような元請に対しては発注を規制するとか、何かそういうことはできないかということですね。なかなかむずかしいとは思いますが、そういう地元の声がかなりあるので、どうなのか。  時間もありませんから、もう一つ続けて言いますけれども、制度改善等で地元建設業にもっと仕事を、そしてまた技術を磨く機会を与えてほしいという要望もあるのです。具体的に言いますとこういうことなんです。たとえば、鉄鋼を使う一級河川の橋であるとかいう大型のものがありますと、これは結局中央大手大企業がほとんど事実上とってしまうということですね。そうすると、これが下請に出されるわけなんだけれども、その場合に、現在の制度では、橋の組み立ての検査といいますか、そういうものは、受けた元請の工場で検査するというのですね。そうすると、結局重量が重いものですし、運ばなければならないものですから、したがって、地元の業者には下請がなかなか出ない。元請の大手の東京とか中央のところの下請にどうもいってしまう。そうすると、地方ではなかなかとれない。したがって、仕事もないと同時に、そういう大きな、しかも技術を磨き合うような仕事がやれないというわけですよ。したがって、その辺は制度上、たとえば検査を必ずしも元請のところでなくて、その仕事をやる現場で何とかやれないか、こういう問題もあるわけなんです。その辺のところをどう考えているか、地元の切実な声でありますので、ひとつ見解を聞かしていただきたいというふうに思うのです。  なお、いまの私の質問に対して、建設大臣の所感もひとつ最後に聞きたいと思います。
  213. 内海英男

    ○内海国務大臣 御指摘の点は私もよく承知をいたしております。したがいまして、できるだけ地元業者の受注の機会が多いように分割発注をするとか、あるいは技術の向上といった意味も含めまして、ジョイントベンチャーを組ませて、大手と組ませるというようなやり方も随所で行っておるところでございまして、今後ともそういった指導をしながら、地元中小業者に受注の機会が多いように図っていきたい、こう考えておるわけでございます。
  214. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 基本的な考え方は、いま建設大臣が言われたことでわかるのですが、私の質問したことについては、やや技術的、専門的なことも入っておりますので、担当の方からもひとつ答えていただきたいと思います。
  215. 永田良雄

    ○永田政府委員 いずれも私ども聞いております。いま先生からお話しになりました問題は、大変むずかしい問題でございます。要は工事が非常に少なくなってきております。それで、業者数は減らないどころかふえるような状況でございますので、激烈な競争がございます。御指摘のように、ダンピングといったような問題もいろいろ起きております。そこからいろいろ問題が起きてくるわけでございます。したがって、工事量を全体としてふやすか、あるいは適正な工事業者数というものを想定して、それに持っていくというようなかっこうをしないことには、根本的にはなかなかむずかしい問題だろうと思います。  具体的な例として、ダンピングで下請を買いたたくというようなものには罰則ができないか、こういう話でございますが、現実にはそれに応ずる材料業者とかそういうものがあるわけでございます。それをやってはいけないというかっこうは一般論としては言えますが、具体的の場合にはなかなか、やはり一方では私どもも適正な競争で工事をやらなければいかぬという面もございますので、そこら辺は大変むずかしい問題があるわけでございます。  おっしゃる趣旨はよくわかりますので、できるだけ中小の地元の業者を優遇していくという方策を私ども考えておりますし、発注される知事さんとか公共団体の長の方も、恐らく自分の地元の業者がかわいいことには間違いないと思うわけでございます。地元の業者が入らないというのは、恐らくはそういう工事をやり切れる業者が地元にいないからという例が多いのではなかろうかと思いますが、御趣旨はよくわかります。できるだけ指導してまいりたいと思います。
  216. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 そこで、具体的な点で、さっきの元請のダンピングの問題やら下請買いたたきの問題は、こういう市場原理の働く経済状況ですから、これはなかなか限度がありますが、しかし、極端なことをやれば、何らかの締めつけがあるよ、規制が加えられるよ、こういうものはやはり今後考えておかないと、やりたいほうだいみたいなことをやられたら、地方の中小企業は仕事をしないでバンザイしているわけにいかぬから、激烈な競争の中で、うまみがなくたって食いつくということになってしまうわけです。これはぜひ皆さんに御理解いただいて、ひとつ十分に考えてもらいたい。  もう一つは、いま構造物、橋のことを言いましたね。それをひとつあなたの方からお答えいただきたい。  最後に、時間がありませんから、これは要望です。建設省が先ほどのようにいろいろ指導通達を出したり知恵を働かしていることは私もわかるのです。しかし、地方の実態は、先ほど言ったように、生き物で動いていますから、この辺の地方の実態を肌で感じていただく。数で結果は出てこなくとも、面接とかいろいろ方法がありますから、その地方の実情をぜひ皆さんがとらえてもらうというような施策を講ずることはできないか。たとえば調査団を派遣するとか、こんなような形で地方の実情を中央の行政に反映させる、こういう試みがあっていいのではないかと思いますので、あわせてひとつ御答弁いただきたい。
  217. 永田良雄

    ○永田政府委員 激烈な競争をやってダンピングをやるのは共倒れになるから、何かそれにうまい方法はないか、こういうお話でございます。私どもも、建設業はかなり特殊な性格の業種だと思っております。したがいまして、ただ価格だけによる競争みたいなものを追求し過ぎますと、いま御指摘のような話が出てくるわけでございますので、建設業には一体どういう競争のあり方が正しいのであろうか、産業を保護していくという面もございますので、そういう面は研究会をつくりまして、私ども鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、私は技術者ではございませんから、適切なお答えになっているかどうかわかりませんが、橋梁等の工事はきわめて特殊な技術的な要素を持っておる工事でございますので、特殊な業者でないとなかなかできかねるという面がございます。もちろん、完全にほかの業者はできないかと言われれば、できないわけではありませんが、橋梁それ自身が一たん事故でもあると大変なことになりかねない問題でございますから、万々間違いがないように業者を選定して行わなければいかぬという面があろうかと思います。  それから、地方の実情をよくくみ上げる方法考えてはどうかということでございますが、その点につきましては、私ども地方建設局長会議というのをやっておりまして、地方の実情についての情報は常時入れることにしておりますし、またもうちょっと小さくは、土木部長会議というものの中で、先年来、建設業の実態がどうなっておるか、こういうことはよく調べておりますので、今後ともそういう点に努めてまいりたい、かように考えております。
  218. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 それなりの理解ある回答をいただいたのですが、私がいろいろ地方の実情を述べたのは、皆さんもおわかりだと思うのです。したがって、そういう地方の実情の肌に触れる建設行政をぜひやってほしい、このことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
  219. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて佐藤誼君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木強君。
  220. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 私は、住宅建設についてお尋ねをいたします。  まず建設省から、五十八年度はちょうど第四次五カ年計画の三年目に当たると思いますが、五十八年度に建設をするその建設計画の内容を最初に説明していただきたい。
  221. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 五十八年度の住宅建設計画でございますが、五十八年度におきましては、国民の良好な住宅及び住環境に対するニーズにこたえるとともに、低水準で推移しております住宅建設の促進を図ることにより、国民の居住水準の向上と経済の安定的な発展を確保することを基本として、厳しい財政事情のもとでございますが、公営住宅を五万四千戸、住宅金融公庫融資住宅を五十一万戸、公団住宅を三万戸等、建設省所管住宅につきまして、その他分を含めまして合計いたしまして六十三万一千六百七十戸を計画しております。
  222. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 六十三万戸、これは住宅金融公庫の資金を使わないで、自前で建設する一般住宅が入っておるわけですね。
  223. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 これは建設省の所管の住宅でございますので、一般住宅は入っておりません。
  224. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 そうすると、大体推定で、建設省に関係なしに建てる一般住宅というのはどのくらいあると思っていますか。
  225. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 一般民間住宅につきましては、大体推計でございますが、今年度と同じ程度になるのではないかというように考えております。
  226. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 今年度と言ったって私にはわからない。
  227. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 全体の住宅戸数が百十四万戸程度というように考えておりますが、そのうち約半教程度が民間住宅であろうと推計をしております。
  228. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それで、こういう計画を立てる場合、世の中がだんだんと進歩してまいりますから、生活のレベルアップは当然でございます。昔、三LDKでよかったものが四LDKを希望するでしょうし、なお五LDKと、十年先、二十年先、耐用年数と分譲なんかも入れまして、そういう基本的な建設計画といいますか、様式ですね、そういったものについてはどういうものをお持ちか。  それからもう一つは、特に住宅整備公団あるいは市町村が建てる公営住宅といったもので、現在建物の高さは最高どのくらいのものがあるか。それに対して、災害の場合とか火災の場合とか、その他の安全対策、災害対策というものはどういうふうに整備されているのか。要するに、建物を建てるときの基本計画構想というものを建設省がちゃんとお持ちになっておつくりになったもので、公団の方がそれに基づいて設計をし、実施していく、こういう仕組みだと思いますが、その基本的な計画はどういうものを持っているのですか。
  229. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 第四期の住宅建設五カ年計画では、五十三年の住宅統計調査の結果をもとにして、七百七十万戸の住宅昭和五十六年度から五年間で建設をするという計画としておりまして、そのうち公的住宅が三百五十万戸を予定をしております。  公的住宅につきましては、お話しのように、公団住宅あるいは公営住宅、公社住宅等がございますが、各年度の、たとえば昭和五十八年度の計画戸数につきましては、冒頭お話し申し上げましたとおりの計画の戸数になっております。その計画の中で各事業主体が建設計画を立てるわけでございますが、住宅都市整備公団の場合には、全体の計画構想につきまして事業実施の場合に建設省に相談がございます。また地方公共団体が建設をしております公営住宅につきましては、個々の具体的公営住宅の地方公共団体における建設計画につきまして建設省に相談がありまして、これらについて建設省として承認をするという形式をとっております。  ただ、高層住宅あるいはその構造形式によります住宅等につきましては、公営住宅等についてはその都度計画を承認しておりますが、住宅都市整備公団につきましては、その事業の実施の過程で相談にあずかるという形をとっております。  高層住宅の階数等でございますが、従来はかなり高い住宅がございました。たとえば芦屋浜におきまして住宅都市整備公団等につきまして二十三階建ての高層の住宅というようなものも建設されたことがございますが、自来、周辺住民との調和等の問題もございまして、比較的階数が低く抑えられておる状況にあります。公営住宅につきましては、そういった二十階を超える超高層の住宅はございません。主としては中層の住宅、すなわち四階程度の住宅が主でございます。  それから、建築の防災上の問題でございますが、これにつきましては、当然入居者の安全を考えるために、公団につきましても、あるいは公営住宅を実施する地方公共団体につきましても、おのおの詳細な事業実施基準、計画標準がございまして、それに従いまして安全な住宅を建設するということで実施いたしております。
  230. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 だから、あなたのお答えを聞いておると、いまちょっと最後のところでそうだろうと思ったのですが、問題は、日本住宅都市整備公団に対して三万戸ですね。それから市町村等の公営住宅が五万戸ですか、総体として約六十三万戸の建設をするわけですが、特に公団あるいは公営の場合、防災を含めた基本的な建物の設計構造、こういうものは建設省が、ちゃんと標準があって、その標準を示して、あとは公団なり市町村に任していく、こういうものなのか。あるいは大づかみで幾らかの金をやって、それで基本設計から何から全部公団に任せる、市町村に任してやらすのか。そこのところなんですよ。
  231. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 住宅都市整備公団につきましては、御承知のように、企業体でございまして、住宅都市整備公団がみずからの標準設計等をもちまして事業を実施しております。もちろん、これにつきましての報告は建設省としては受けております。国が二分の一ないし三分の二の建設費補助を地方公共団体にいたしまして、地方公共団体が公営住宅を建設する場合につきましては、計画の標準を建設省の省令等で定めておりまして、それに従って実施をする。また個々の事業につきましても、十分審査をいたしまして実施承認を行うという方式をとっております。
  232. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それからその中に、たとえばこれから十五年先あるいは十年先、日本の国民の生活レベルというのはこのくらいまで行くだろう、家族構成は何人ぐらいになるだろう、そういうことを判断しまして、標準世帯の場合には、従来三LDKで済んだものがあるいは四LDKを望むような、環境がそうなってくるだろう。そういうふうな予測も加えて、それと同時に安全対策については、安全であるということをはっきりと確認できるような形でやっておるのですか。そこはどうなのですか。
  233. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 第四期の住宅建設五カ年計画を策定する時点におきまして、将来の住宅の姿を先生の御指摘のように想定をいたしまして、平均居住水準と最低居住水準を定め、昭和六十年までに最低居住水準、四人世帯、標準世帯で専用面積が最低の場合五十平米でございますが、こういった五十平米以下の住宅をなくすというような計画をし、また平均居住水準につきましては、全世帯の半分以上がこういった平均居住水準を確保するよう計画を定めております。  それから、お示しの各事業主体におきましての住宅の長期の姿というものにつきましては、各事業主体において想定をしているとは思いますが、ただ、財政事情が厳しい折から、年々の標準建設費の単価等の制約もありまして、まだ十分にはいかない面はありますが、それでもたとえば、公営住宅の場合、ここ数年来年間約二平米から三平米程度の規模を増大してきております。
  234. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 防災関係の問題で一つの基準を、モデルシステムというプランをつくって、それをそれぞれの主体にやらせますね。そしてでき上がった場合には、建設省なりあるいは公団でやる場合は、公団がやるのかどうかわかりませんが、そういう防災に対する設備があなた方が計画したとおりにちゃんとやっておるかどうかという厳重な検査はやっているのですか。
  235. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 一般的に申し上げますと、防災関係につきましては、建築基準法ですべての建築物につきまして最低の防災的な基準を定め、これを遵守しなければならないということになっておるわけでございます。さらに公的住宅につきましては、その上に、たとえば住宅金融公庫の融資住宅につきましては、融資の条件といたしまして種種の防災上の付加的な基準を定めております。また中間検査あるいは竣工検査等を実施することにいたしております。また公営住宅につきましても、通常の、ただいま申し上げました建築基準法の防災規定のほかに、付加的に種々の防災的な規定を強化いたしておりまして、これに従って建設をするということにいたしております。
  236. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 五十八年度の建設計画は先ほど承りましたが、それに対する建設予算総額はどのぐらいになるものか。それからことしは六十三万戸ですか、さっき局長おっしゃった。全体の住宅の需要はどうなのか。それとの見合いでできるだけ早く住宅をつくってもらいたいし、つくりたいという希望がありましても、地価の問題その他の事情もありましてなかなか意に任しておれないわけです。住宅というのは、景気浮揚にもかなり関連がございまして、波及効果も大きいわけですから、できるならば住宅金融公庫の資金の問題についてもできるだけ多くして、建てたい人たちには御要望に沿えるような形に御配慮いただきたいと思います。先般も段階的な金利の問題もお決めになったようでございますが、五十八年度のこの計画によって、日本の住宅事情というのは大体どの程度まで満たされていくのか。それからいま言った五十八年度の建設費の総額というのはどのくらいになるか。その点をひとつ答えてください。
  237. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 先生のただいま御指摘になりました五十八年度の住宅建設計画戸数は、先ほど申し上げましたように六十三万一千六百七十戸でございますが、これらの建設省所管住宅対策費は、事業費について申し上げますと五兆五百七十三億二千二百万円でございます。国費は七千六百九十六億四千九百万円となっております。
  238. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それから、全体の需要と供給の関係で、これだけ建てたらどれだけ満たされるのか。
  239. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 先ほど申し上げましたように、建設省所管の公的住宅は、全体の住宅の割合といたしましてはほぼ半分近いものがあろうかと思います。需要につきましては、今後の建設の推移を見ていく必要があろうかと思いますが、私どもの推計では、五十八年度大体百十四万戸程度ではなかろうかというように考えております。したがいまして、こういった事業費で住宅を建設推進していきますと、大体今年度と同様な形で、公的住宅が半分近く、民間住宅が半分前後というところで建設が行われるのじゃなかろうかというように考えております。
  240. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 建設省関係は半分くらいのものですね。ですから、まだ半分の人がどうにか工面して建てなきゃならぬ。そういう人たちが、金のある人ばかりじゃないでしょうから大変まだ困難をきわめておるし、国の援助を得て建てたいという人がたくさんあると思うのです。そういう人たちの半分の皆さんにはこたえられないというのが実情なんですね。ですから、できるだけピッチを上げてやっていただくようなことを、ことしはこういうことですから、五十九年度については積み残しのないような形にまでいける配慮をやりながら、どこまでいけるかわかりませんけれども、最高の努力をしていただきたい、こう思います。  それから次に、これは住宅都市整備公団関係になると思いますが、現在までに住宅都市整備公団が建てた賃貸住宅と分譲住宅の数は何百万戸になっておるのですか。
  241. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 私どもが直接建設いたしました賃貸住宅が六十二万六千戸ございます。現在そのうち管理しております戸数が六十二万五千戸でございます。それから分譲住宅につきましては、十六万一千戸ぐらいでございますが、そのうち償還の終わったものもございますので、現在私どもが管理といいますか、しております住宅が十二万一千戸ということになっております。そのほかいわゆる民間の地主さんの土地の上に私どもが賃貸住宅を建てて、そして地主さんに賃貸住宅経営していただくという戸数がこのほかにございます。
  242. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それで、賃貸住宅と分譲住宅に分けて、総建設費、それはどのくらいかかっているのですか。
  243. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 過去の累積からの資料はちょっと手元に持っておりませんが、概算として大体五、六兆のものじゃないかと思います。必要ならばすぐ調べます。
  244. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それは必要なんですよ。要するに、たとえば賃貸の場合、六十二万六千戸建てた。それに対して事業費その他を入れまして建設費というのは幾らかかった。そして家賃はそれぞれその部屋の広さによって決まると思いますけれども、そういう家賃を含めてみて一体収支はどういうふうになっているのか。こういうことは、やはり今後の住宅建設を論ずるに当たっては大事なことなんですよ。ですから、そういう点はひとつ速やかに資料を後から出していただきたい、こういうふうに思います。  それから、分譲については十二万一千戸がまだ公団の方の管理になっているということは、すなわち十六万戸つくって十二万戸はまだ分譲されておらないというふうに解釈していいのですか。
  245. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 そうではございませんで、十六万つくりまして、三十年代のものにつきましては分譲で償還が終わった分がございまして、これは私どもといわゆる契約関係が切れておりますので、そういうものを除きまして十二万戸ということでございます。
  246. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 建設資金というものが約七兆と言われておりますね。これは財源は大体財投からの借り入れというふうに考えていいのですか。その返済残高というものはいまどのくらいありますか。
  247. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 ただいまの先生の御質問でございますが、資金は賃貸住宅につきましてはほとんど大部分が財投資金でございます。それから分譲住宅につきましては、財投資金と民間資金がいろいろ入りまじっております。現在の住宅のわが公団の負債の総額が八兆八千六百億ということになっております。ただし、これにつきましては、いわゆる仕掛かり中と申しますか、工事中の分も入っております。したがって、完成した資産ということになりますと、恐らくこれよりもう少し下になるのじゃないかというように考えております。必要なら、資料が出ましたらすぐ調べます。
  248. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 土地を購入した、ところがそこに建物が建たないというようなことはないですか。
  249. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 私ども住宅あるいは宅地を造成するというために土地を買っております。しかし、昨今来会計検査院等からも指摘されましたように、非常に時間がかかっておくれているものがございます。たとえば会計検査院から御指摘を受けました二十一地区につきましては、五年以上たってまだ着工していないという御指摘を受けております。私どもこういったものにつきましては、できるだけ早く地方公共団体等と調整を行った上で、住宅建設あるいは宅地造成を行って供給してまいりたいというように考えております。
  250. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 私も会計検査院の報告書を見まして、それは財投から借りたのもあるでしょう。しかし、貴重な財源を投じて土地は買ったが、五年以上もその上に建物が建たないなどということは納得できない。国民も何のためにそうなっているかという理由が知りたいと思うのです。無計画な造成をしたのじゃないかというふうに言われても、これは抗弁の余地がないでしょう。  私はもっと突っ込んだ質疑をしたかったのですけれども、時間がありませんので、それができませんが、いずれにしても、賃貸住宅を六十二万戸建てまして、現在空き家になっているような戸数がどの程度あるのかあるいは分譲できない戸数がどのくらい残っているのか、こういう点も資料としてぜひ出していただきたいと思います。  それから次に、家賃あるいは共益費等の値上げというのは、それぞれの歴史的な建設の経緯等もありますから一律には論じられないでしょうが、大体何年ぐらいたったら家賃というのは値上げしていくのか、あるいは共益費というものは何年ぐらいで値上げしていくのか、こういうことがもしおわかりでしたら教えてもらいたい。
  251. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  まず、家賃の方でございますが、家賃につきましては、三十一年からずっと建設をいたしておりまして、公団の供給対象階層に対しまして、中堅勤労者の所得に対しましておおむね一五%から一六%になるような形で実は決めてまいっております。それで、従来家賃の一斉改定というようなことで、三十一年に供用開始いたしましたものを五十三年、二十数年たったところで実は改定をいたしておりました。その後住宅宅地審議会とか臨調等におきまして、いわゆる家賃の見直し等についての考え方が示されておりまして、その示されております年数につきましては、大体三年ないし五年でひとつ見直しをしたらどうかということでございます。そこで、公団といたしましては、五十三年度に一度改正をいたしました家賃につきまして、ちょうど五十八年度が五年になってまいります関係から、現在その改定につきましての検討をいたしている最中でございます。  それから、共益費の問題でございますが、共益費につきましてはおおむね三年をめどに改定をするというような形で考えております。
  252. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 できるだけ家賃は値上げをしない方がいい。しかし、いろいろな情勢からやむを得ない場合もあるでしょう。いま考えておるのは、大体五十八年度改定ですが、何%ぐらいになるか、それはまだわからぬかな。
  253. 武田晋治

    武田参考人 ただいま検討いたしておりまして、成案ができ次第建設大臣に承認申請をしたいと考えておるわけでございますが、しばらくお待ちいただきたいと思います。
  254. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 最後に、時間がありませんから、大臣に御所見を承っておきたいのでありますが、短い時間でございますが、わが国の衣食住の非常に大事な住の問題について質疑をさせていただきました。本来建設省が全体の問題について、民間は別でございますが、やるべきものだと私は思いますが、たまたま三十年の歴史を持つ日本住宅都市整備公団に建設省にかわって仕事をやっていただいているわけでございます。したがって、きょうまでの長い年月御苦労いただいたことについて私は心から感謝を申し上げますが、何といっても国民の生活がどんどん上がってまいりますと、やはり住宅もかなりこういうものを好んでくると思いますから、そういう時代の移り変わりに応じまして、国民が望んでおるニーズにこたえるような設計計画、基本計画というものをつくっていただいて、そしてせっかくつくる住宅がみんなに喜んでいただけるというような形に持っていっていただきたいことが一つ。  それからもう一つは、百十数万戸に対して六十何万戸ですから、まだまだ需要に応じ切れないという事情にございますが、これは一方におきましては、景気浮揚にも大いに役立つものでありますから、できるだけひとつ創意工夫をしていただいて、一戸でも多く、建設省がいろいろ指導をして、また資金的な面もめんどうを見てやって、住宅建設を積極的に推進していただくようにお願いしたいのでございます。  それから、公団も大変御苦労いただいておりますが、残念ながら会計検査院の指摘されたようなこともございます。これはだれが見ましても納得できないことでございますので、ぜひ有効的にこれが利用されて、賃貸であればできるだけ安い家賃で住むことができ、分譲でありましても、できるだけ安く分譲ができますような国の施策としての基本について、さらに一層推進をしていただくように大臣に心からお願いをする次第でございます。御所見をちょっとお伺いして、これで終わります。
  255. 内海英男

    ○内海国務大臣 大変貴重な御提言、まことにごもっともでございます。御趣旨を踏まえまして、今後とも健全な明るいりっぱな住宅の建設に全力を挙げて努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  256. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 ありがとうございました。
  257. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、平石磨作太郎君。
  258. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 私は、建設大臣に対して、高知県で建設省直轄工事として工事が進められております大渡ダムのことについてお伺いをしたいわけでございます。  このダムにつきましては、かねて大変建設省の御努力をいただいて、昭和三十六年から大渡ダムの調査が始まりまして、以後ずっと努力をいただいて、昭和四十三年からダムの調査事務所を開設をし、計画をなされ、そして工事に着手をしたということで、ずっと今日までやっていただいて、今年の、五十八年の三月に竣工を見る、完工を見る、こういう予定で工事が進んでおりました。そして昨年、試験湛水のために水をため始めた。これは当然のこととして試験湛水がなされたわけですが、その途中において、護岸が崩れた、数カ所にわたって崩壊をした、あるいは亀裂が入ったというようなことで、このダムが、また再びさらに補強をしながら、完成が先に延びた、こういうような事態が起きておるわけです。このことについてはすでにもう建設省の方も、あるいは現地の工事事務所も大変な努力をいただいて、今日これに対する防災工事等すでに一部着手がなされておるわけでして、これについてどうのこうのは申し上げるつもりはございません。ただ、これだけの長年月にわたって基礎調査が行われ、そしていわば日本の最高の技術陣をもってあのダムが仕上がりつつあったわけですが、それが試験湛水中に、われわれ素人ですからわかりませんけれども、お話をあちこちでお聞きをしてみますと、試験湛水で水を張っていけば圧力がかかるので、そういった崩壊するといったようなことは、これは珍しいことだ。むしろ湛水して、それを今度下げて、水をまたもとの自然流下の方へずっと下げたときにそういったことがあれば起こることであって、湛水中にそういうことになるということは珍らしいようなこともお伺いをしておるわけですが、結果はそういう形になったわけです。そうしてみますと、地質が悪いのかあるいは建設省がそういった地質についての十分な調査、把握がなかったのか。何が原因でこういう形になったのか、一言お伺いをしたいと思うわけです。
  259. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  大渡ダムの地点、特にこの仁淀川という地域におきましては、地質的に非常に破砕地帯といいますか、不良な地帯であったことは事実でございまして、そういったところに大きなダムをつくっていかなければいかぬということは、私ども、当然のことながら技術的にそのダムの安全性あるいはその貯水池周辺の安定といったことについて、まあ昔からといいますか、気を配ってきたつもりでございます。  いま先生おっしゃいましたように、昨年の四月に試験湛水をいたしましたときに数カ所で地すべり等が起こった。地元方々に大変御迷惑をかけたことは申しわけないと思いますけれども、こういったサイトにダムをつくるということにつきましては、私どもも貯水池の検討委員会、学識経験者、学校の先生方を委員といたしますそういった委員会をあらかじめつくっておりまして、昭和五十三年からそういった委員会において検討してきておったところでございます。その委員会の成果を踏まえまして、確かに湛水をしたときにいろいろと崩壊も起こりそうな地質、地形のところでございますので、あらかじめ最低限の手当てはしなければいかぬだろうということでいろいろと調査し、また先生方に研究していただいた結果、必要な個所については、大体六十五億円ぐらいの事業費をもちまして、あらかじめそういった防止工事をやっておりました。もちろん試験湛水といいますのは、最初からこういったダムにいきなり水をためまして稼働を開始するということは非常に——果たして安定かどうか、そういったことをまずチェックする必要がある。そういったことからやるのが試験湛水でございまして、水をためてみて初めていろいろと出てくる現象、それに対応してまた補足するなりそういったことをするなりということをやっていかなければならないという考えでおったわけでございます。いま申し上げましたように、あらかじめの検討は相当やっておったつもりでございますけれども、それ以上に考えられなかったといいますか、そういったようなところでの崩壊が起きたということでございまして、今回の試験湛水によります崩壊その他を調べてみましても、いま申し上げたように、あらかじめ防止工事をやっておったところにおいては、崩壊がもちろん起こっていないというところでございまして、試験湛水の結果、そういうことが発見できたということでございまして、今後これの対応につきましては、迅速にしかも確実にやっていきたい、そう思っておるところでございます。
  260. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 いま御答弁の中にありましたが、あらかじめ調査の結果、ここは危険な個所だと思われるところは一応予防の対策をとっておった。そしてその予防の個所については、今回そういった崩壊現象というのは起きていない、これはおっしゃるとおりです。  そこで、今回そういう結果が出てきたというところは、まさに何の手当てもしていなかったというところがそういう崩壊現象を起こしたということですが、ここのところについては、やはり地元方々が、古い故老の方々が、ここは危ないですよ、だからここのところはひとつ予防工事をしておかないとといったような意見が相当出たようにも伺っておるわけです。そういうことを申し出をし、話し合いを持ちましたけれども、建設省の方では、一応土木研究所の専門官等全く危険のおそれはない、こういったような調査結果等に基づいて、そこは心配はございませんというようなことで、まあそれだったら一応いいんだろう、また村長さんも建設省がこのような試験結果の経過もあるので、まあまあそこはお任せをしておいた方がいいんじゃないかというような説得をしたといったようなこともあったようですが、そこが、科学的な技術をもって調査はなさったと思うのですが、やはり古くからいらっしゃる故老の方々が、昔からここは危ないところだと言ったような特殊なことについては、やはり耳を傾けてやってやるべきではなかったかというような気がしてなりません。結局大きなお金をまた再び投入しなければならないというような事態に立ち至ったわけですから、そういうようなことはこれは全国各地でもあるんじゃなかろうかというような気がするわけですが、私がそういったことを地元で聞いたときに、もっと地元の意見をしんしゃくすべきではなかったかというように、これはもう死んだ子の年を教えるようなものですから、どうのこうのは申しませんが、今後のために指摘をしておきたいと思うわけです。  そこで、危険個所としての指定地域も、沢渡といったような地域では一部あったわけです。そういうところも、危険地域でありながら、今回また崩壊したわけですが、そのままになっておるといったようなこと等も考えて、いま崩壊後に皆さんが調査をなさって、そして防災工事を行わなければならないというように調査の結果出た個所はどのくらいありますか、お伺いをしたい。
  261. 川本正知

    ○川本政府委員 先ほどお話がございましたように、ことしの試験湛水によりまして、地すべりあるいは崩壊といったことで地形の変状が発生しました後に、その規模あるいは状況の把握のために高知県あるいは直接の地元でございます仁淀村、吾川村といった地元関係者も含めまして、土木研究所あるいは地建の工事事務所といったものとの合同の現地調査を実施いたしました。これらの調査の結果を踏まえまして、学識経験者の意見も徴しまして、対策地区及びその候補を決定しておるわけでございまして、その個所数は全体で十四カ所に上っております。
  262. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 この十四カ所についてはどのように着手をしておるか、現在の工事状況、お知らせをいただきたいと思います。
  263. 川本正知

    ○川本政府委員 十四カ所につきましては、護岸あるいはのりどめの工事あるいは大規模なものにつきましてはロックアンカーと称しまして、基礎岩盤まで鋼棒を入れまして締めつけるというふうな大規模な工事もございますけれども先ほど申し上げたように、そういったいろいろな工法を決定いたしまして、現在までに大部分の地区について工事に着手しておりますが、今年度末までには十四地区、全地区について対策工事を着手するという予定でおります。
  264. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 まだ未済のところが相当個所残っておるわけですから、そういった未済個所についても今年度いっぱいには発注ができる、こういうことですね。予算はどういうことになっておるのでしょうか。
  265. 川本正知

    ○川本政府委員 今回の地すべりが起こりましたことに対する対策の事業費というものが、全体で約九十七億円でございます。五十七年度中に、そのうち約七七%はもう工事契約をしたいと思っております。そのためには、五十七年度の予算は二十四億六千万円ということでございますが、昨年末の補正予算によりまして、補正の国債で五十三億円いただいておりますので、そういったものを利用して、先ほど申し上げたような全体事業費に対して工事契約ベースで七七%の進捗率を図りたい、そう思っておるところでございます。
  266. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 完成時期はいつになりますか。
  267. 川本正知

    ○川本政府委員 全体が完成いたしますのは、昭和五十九年度になろうかと思っております。
  268. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 三年おくれるわけですが、これは大変なお金をいま非常に財政事情厳しい折から努力をいただいたわけでして、この点について建設省が力を入れていただいたということについては私も感謝をしておるわけです。こういうことをして、果たしてまた先で試験湛水をしておるうちに再びといったようなことが起きるということになりますと、これは大変なことになるわけです。地元住民にとりましては、せっかくこのようなことをしていただいて、果たしてどうかなという不安の解消、建設省の技術に対する信頼が失われておるわけですが、ここは心配ないと十分言えるのでやっておるのだと思いますが、ひとつどういうことなのか。まさかここでまだ心配でございますとは言えぬでしょうが、そこに非常に不安を持っておるというようなことも住民は申しておりますので、その点ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  269. 川本正知

    ○川本政府委員 先ほども申し上げたわけでございますが、地質の問題、土の問題、岩の問題、そういった問題の未解明なことがまだまだ多うございまして、そのために試験湛水という行為を行いまして、そして実際に水をためてみてチェックをするということをやらざるを得ないということでございます。  先般の試験湛水によるそういう地すべりそのものにつきましては、先ほど申し上げたように、いろいろな面から検討を加えまして、この十四カ所の対策で十分であろうということでやっております。五十九年度にその工事が完了いたしましても、もう一度試験湛水をやってみるわけでございます。あくまでも試験湛水をやってみて、完全に安全だということを見届けてからダムの運用を図るということでやりますので、そういった地元の御心配が確かに過去に事実あったことは残念でございますけれども、今後そういう御不安が起こらないように万全の対処をしてまいりたいと思っております。
  270. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 大変御苦労をかける地質のところですので、建設省も大変だとは思いますけれども、私も現地へ入り、いろいろお聞きもし、それから現地を調査もし、話し合いも持ったことですが、地元の皆さん、それに町長さん、村長さん、こういった関係者方々も住民に対して非常な責任と心配を持っておるわけですから、いまお話がありましたように、どうかさらに決意をしてやっていただきたいと強くお願いをしておくわけでございます。  それからもう一つ、これは非常に言いにくいのですけれども、実は高知で土佐バイパスとして国道が建設をされておるわけです。この建設途中におきまして、工事現場で通行人の事故があった。私もこういうことについてこの場で申し上げることはどうかという気で、この前建設省の方へ御連絡を申し上げた。これが起きたのが昨年の六月十一日なんですね。それから今日まで話がつかない、片がつかない。これはちょっと度が過ぎるんじゃないかというような気がいたします。  そこで、私名前は申し上げませんが、Yさんと申し上げておきます。このYさんが、供用開始で車では走っていいようになっておったのですが、夜間、暗い中をバイクで帰っておった。雨が降り出した。雨が降ったために、これは雨宿りをしようということで車道から歩道の方へ寄って、向こうに家がありますから、軒下で雨宿りをするべくバイクで行ったわけです。そういたしますと、真っ暗な中ですから、ちょうどそこが工事中、道路のサイドがぱっちりと二メートルにわたって切られていた。それで下へ落ちたわけです。私も現地へ行ってみたのですが、そのときもやはり道路が切られておりました。これに何の標示もなかった。まあ電灯でもつけてくれておれば、あるいはガードレールでも設置しておればこれはいいのですけれども、雨宿りに入るべく軒下へ歩道を越えて入ると、すとんと落ちたのです。そういうことで、昨年の六月十一日に起きたことが今日まで、どうだこうだで話がつかない。これはどういうことだろう、ぜひひとつ何とかしてほしいという要請があったわけです。現地の方でも努力はいただいておるとは思うけれども、これはちょっと度が過ぎるような気がします。委細は上がってきておると思いますが、どういうようになっておるのか、ちょっとお知らせをいただきたい。
  271. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 事故が発生いたしましたのは、先生御指摘のとおり、昭和五十七年六月十一日二十時ごろというふうに聞いております。  その内容は、事故者が原動機つき自転車を運転して帰宅途中、雷を伴う雨が降り始め、事故地点手前で雨足が激しくなったため、雨がっぱを着るべく歩道際の家屋の軒下へ入ろうとしたところ、歩道と家屋の間が一・二メートル程度あいており、高さ二・三メートルの段差となっていたため転落し、そのバイクに乗っておられた運転者が腰部骨折をされたというものでございます。  この方は、すぐ道路管理者の方にこのことを伝えられずに、昭和五十七年八月十六日、ちょうど二カ月と五日たってから、事故者の属する町内の町内会長から、この道路を管理しております高知工事事務所に通報があったわけでございます。すぐ十八日に、その町内会長さんからいろいろな事情を聞いて、初めて事故の内容を知ったわけでございます。  その後、事故の態様を確認するため、事故処理センター等関係各所から事情をいろいろ聞いたわけでございまして、ことしの二月一日、第一回目の示談交渉を行い、現在まで三回の話し合いを持っておりまして、今後とも誠意を持って話し合いを行ってまいりたいと考えております。
  272. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 経過においては間違いがございません。  そこで、そういう工事現場にいわゆる標示をするということ、これはどうなんですか。
  273. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 この場合は、ここについては工事現場というよりも、すでに道路としての物ができ、いわゆる供用開始の告示をして通常の道路ということになっていたというふうに考えております。  この内容については、昨日先生から御指摘があって急いで調べたわけでございますが、この道路に接していた家屋が、いわゆる建蔽率の問題で床版をある程度取り除いて、そしてここにすき間ができたというふうに聞いております。したがって、道路をつくっている段階でその家屋がこの道路に接しておるわけでございますから、この道路の利用という面もいろいろあったのではなかろうか。その辺のいろいろなことについて、いま現地で事故に遭われた方たちといろいろ話し合っておるわけでございまして、その辺もう少し詳細に調査してみたいと思っております。
  274. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 これは私も現地を見たのですが、この事故があってすぐ警察へも連絡をとった。警察の方もそこは検証をやっておるわけです。そして私が行ったときはもうすでに、すぐそこへガードレールができておりました。だから、いまはいいのです。ところが、まだあけてあるのです。あけたところへガードレールを設置してありましたから、現在は心配がないということになっておるわけですが、ガードレールがなかったとき、雨宿りに入ろうと思って本人は全く予期せず下へ転落した。これは現場としてはまだ完成をしていなかった。だから、ガードレールがいま設置されておるわけですが、そういう中で早くけりをつけていただかないと、本人は入院をして、これは洋服屋さんですが、仕事ができないので、みずから借金をして治療をしている。まあ現在は退院できておるのですが、そういうようなことが昨年の六月から今日まで話がつかないというのですから、これはやはりその工事現場における標示の問題、あるいはガードレールがしてなかった危険個所、これはすぐ後からやるということであれば当時危険であったということですが、その点は考えていただいて、ひとつ早く処理をしていただくように強く要請をしたいと思うのです。このことについては、いつでしたか建設省の方へ私は連絡を申し上げて、早く処理をしてくださいと言ってお願いはしてありましたが、その後やはりそのままになっておるので、きょうここで取り上げさしてもらったわけです。ひとつそういうことを考えていただいて、よろしくお願いをしたいと思うわけです。  それから、最後になりましたので建設大臣に一言。先ほどの大渡ダムの問題、さらにはいまの事故処理等について、これは個別の問題で申し上げましたけれども、建設省は全国各地で工事を行っておるわけですから、そういう現場における標示等が手抜かりがあったというようなこと等を含めて十分な管理監督をしていただかねばなりませんが、ひとつ大臣のそういう意味でのお話を伺って、終わらせていただきます。
  275. 内海英男

    ○内海国務大臣 工事の執行に当たりましては、安全を第一に考えて万全を期していかなければならぬということは当然でございます。万一、御指摘のような事故等が発生をいたした場合には、それによってけがをされた方々に対しては、できるだけ速やかに対応するような姿勢が望ましい、こう考えております。したがって、そういうような考え方で今後とも末端を指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
  276. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 大渡ダムについては、建設省の方で四十三年から工事が行われておったが、完成間際に試験湛水中に崩壊が起きたわけです。そういうことで、現在これについて防災工事等を行っておるわけですが、もちろん地質の問題もありましょうし、技術の問題もありましょうし、それから地域の意見、そういったものを建設省が聞くという面において欠ける点もあったと思う。そういったことが総合されてこういう結果が出ておりますが、これも大変なことを起こしておるわけですから、そして全国的にもダムが建設されていく一方ですから、ひとつ大臣の管理監督責任といった意味での所見を伺っておきたいと思うわけです。
  277. 内海英男

    ○内海国務大臣 御指摘のように、地元の故老の方の古くからの歴史的経過あるいは地質等につきましても、今後十分検討した上で、りっぱな工事を推進していかなければならぬ。御指摘のような点はごもっともでございますので、今後とも監督をして施工の万全を期してまいりたいと考えるわけでございます。
  278. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 不安解消のために、ひとつ厳重にお願いをいたします。  以上で終わります。
  279. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて平石磨作太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、安藤巖君。
  280. 安藤巖

    安藤分科員 私は、川の改修の問題についてお尋ねをしたいと思います。  御承知のように、河川法の第十六条によりまして、河川の管理者は河川工事について工事実施基本計画を定めておかなければならないということになっております。そして、この基本計画を定めるに当たっては、これは当然のことだろうと思うのですが、堤防の状況、これは高さとか強度とかが含まれると思うのですが、それから漏水のあるなし、工作物の状況などを調査して、そして河川ごとに「重要水防箇所調書」をつくって、水防の重要度に応じてABCのランクに分けるというふうに聞いておりますが、そのとおり間違いありませんか。
  281. 川本正知

    ○川本政府委員 重要水防箇所と申しますのは、河川管理者が洪水などに際しまして水防上特に注意を要する個所を水防管理団体に周知徹底させることにしておりまして、そういった個所を重要水防箇所としておるわけでございます。  この評定に当たりましては、たとえば堤防の高さであるとか、あるいは堤防の断面が十分あるかないかとか、いろいろな要素はほかにもございますが、そういったものを総合的に勘案して決めておりまして、水防上最も重要な区間をAランク、それからだんだんとランクが下がって、BCとCランクまであるわけでございます。
  282. 安藤巖

    安藤分科員 堤防の高さの問題とかあるいは強度の問題とか、それから工作物、漏水の問題とかいろいろな問題があろうと思うのですが、時間の関係もありますので、その重要度のAランクの関係について、堤防にもいろいろなのがあるのですが、その堤防の高さの問題について、Aランクというのはどういうような危険な状態になっているのをAランクというふうに言うのか、お尋ねしたいと思います。
  283. 川本正知

    ○川本政府委員 このAランクといいますのは、先ほど申し上げたいろいろな要素がございまして、それを総合的に勘案してランクをつけておるわけでございますが、いま一例で挙げられました堤防の高さということになりますと、計画高水流量に対しまして計画堤防の余裕高というのを考えておりますが、それが十分ないといった場合、そういったところをAランクということで、その余裕高の部分が五分の一以下といったような場合をAランクというふうに基準にしております。
  284. 安藤巖

    安藤分科員 私がいろいろ勉強しました範囲で言いますと、いまおっしゃったことで、計画高水流量を流すのには最も危険な個所というのがAランクじゃないのでしょうか。
  285. 川本正知

    ○川本政府委員 いま申し上げたように、堤防の高さからいきますと、確かにCよりはAの方が堤防の高さが計画に対して足らないという度合いが強いわけでございますが、そういったものだけではなくて、たとえば高さはあっても堤防の断面が薄いといいますか、やせておるといいますか、かみそり堤防と私どもはよく言いますけれども、そういったように堤防の断面が足らないとか、あるいは過去に漏水の実績があったとかないとか、あるいは洗掘を受けやすい個所にあるとかないとか、そういったもろもろのことを勘案してAとつけておりますので、堤防の高さだけで必ずしもAというわけにはならないと思っております。
  286. 安藤巖

    安藤分科員 ですから、断面とか堤防の厚さとか、それから洗掘があったかどうかとか、漏水があったかどうかということで、計画高水流量を流すについて余裕といいますか、そういうものを全部勘案して、それを流して耐え得るかどうか。高さですから、余裕があるかどうか、余裕高の問題が出てきますね。  それから、「重要水防箇所評定基準」というのがありますね。これによって余裕高というのを、先ほどおっしゃったように五分の一以下。余裕高の問題は、河川管理施設等構造令というのに基づいて決まってくるわけですね、最低基準が決められてそれ以上ということになっておるわけですが。この「重要水防箇所評定基準」というのを見ますと、堤防高、ですからそれは高さの問題だろうと思うのですが、これで、先ほど私が言いましたように、「計画高水流量を疎通せしめる」、というのは流すですね、流すためには「最も危険な箇所。」もちろんBランクにいきますと、ただ「危険な箇所。」Cランクにいきますと「余裕高より低い箇所。」こうなってくるわけで、Aランクということになりますと「最も危険な箇所。」こういうことになるんじゃないですか。     〔主査退席、熊川主査代理着席〕
  287. 川本正知

    ○川本政府委員 これは重要水防箇所、いわゆる水防でございます。先ほど申し上げたとおり、水防活動をするときの重要度の指針といいますか、そういったものでございまして、必ずしも改修上の危険度とは一致してないわけであります。  といいますのは、たとえば堤防が全くないようなところは、いま先生がおっしゃいましたような堤防高による基準なんかはもちろんあり得ないわけでございます。かといってそこが安全かというと、もちろん堤防がないわけでございますから、危険度はむしろ逆に一番高いということにならざるを得ないわけでございますので、堤防のあるところについては、いまおっしゃったような水防上注意をしなければいかぬランクが一番高いというのを、先ほど申し上げたような基準で判断の一つの要素にしておるということであります。
  288. 安藤巖

    安藤分科員 ですから、後で無堤の問題も申し上げますが、無堤というのはもちろんAランクに入っておるところが圧倒的なんです、堤防がないのですから。Aランクに入ってないところもありますよ、もちろん、重要水防箇所ですね。だから、先ほどから私が申し上げておる「重要水防箇所調書」、その中に書いてあるわけですから。私がお尋ねしておるこのAランクというのは、ABCのランクのうちのAということで、「計画高水流量を疎通せしめるには最も危険な箇所。」そういうふうに基準が定められているのではないかということを聞いておるのです。
  289. 川本正知

    ○川本政府委員 その評定基準は、いまおっしゃった堤防高に関しては先生おっしゃるとおりでございます。
  290. 安藤巖

    安藤分科員 それで今度は漏水について、この重要度Aの評定基準についてお尋ねをしたいのですが、これはこういうことになっておるのじゃないですか。私の方から現物がありますからお尋ねをするのですが、「堤体あるいは基礎地盤より漏水の実績があるもの又はその恐れが十分ある箇所。」こういうふうになっておることは間違いありませんか。
  291. 川本正知

    ○川本政府委員 間違いございません。
  292. 安藤巖

    安藤分科員 この重要水防箇所は、もちろんAからCまであることは先ほどからお話し申し上げておるのですが、これは建設省ですべての河川について全部把握をしておられるわけですか。
  293. 川本正知

    ○川本政府委員 建設省で把握しておるかと言われますと、ちょっと解釈が違うかもわかりませんが、私どもの方といたしましては、各県ごとに水防計画書というのをつくっております。その中に、各県におきます直轄あるいは県管理の河川を含めてこういった判断基準によってそのランクをつけておるということでございます。
  294. 安藤巖

    安藤分科員 そこで、日本にはたくさんの河川があって、たくさんのそういうようなABCのランクに分けられた重要水防箇所というものがありますから、際限がありませんので、庄内川、これは一級河川、直轄河川ですが、庄内川の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  これは御承知だと思うのですが、ほんの一言ですが、庄内川の概略を申し上げます。  岐阜県恵那郡山岡町の夕立山に源を発して、四つの川と合流して瑞浪、土岐、多治見市を貫流して愛知県境付近まで来て急流となって、愛知県春日井市付近から濃尾平野に出て、三つの支流を合わせて名古屋市北部に至って新川、堀川を分派し、その下流で矢田川と合流して、名古屋市の北部から西部を迂回しながら伊勢湾に注ぐ流域面積千十平方キロ、幹線流路延長九十六キロの都市河川ですね。これは御承知のように、昭和四十四年三月、一級水系に指定されておる、こういう川なんです。  この庄内川について、これは建設省の中部地方建設局がつくっておられる、先ほどから問題になっております「重要水防箇所調書」、これによりますと、注意度Aクラスというのが庄内川で百九十一カ所、それから先ほど言いました支流の矢田川が二十三カ所、合わせて二百十四カ所。これは両方合わせて六十五・七五キロメートル、庄内川だけで五十七・六三キロメートルの長さに及ぶということが指摘されておるのですが、そういうことは間違いないですか。
  295. 川本正知

    ○川本政府委員 間違いございません。
  296. 安藤巖

    安藤分科員 そこで、一応工作物を除いて堤防の関係だけでもいろいろ調べてみたのですが、愛知県内だけで庄内川が左右両岸で二十八カ所、岐阜県の中だけで八カ所ある。構造物なんかは愛知県内だけで五十八カ所、岐阜県内で九十七カ所。構造物のある場所の数と同じになるのだろうと思うのですが、こういうような個所を具体的にどことどこだというようなことは建設省の方で把握しておられるのですか。
  297. 川本正知

    ○川本政府委員 いま先生の御質問が、先ほどおっしゃった重要水防箇所のAランクというような個所でございますれば建設省の庄内川工事事務所はもちろん把握しておりますし、それをもとに先ほど申し上げた愛知県の水防協議会においてつくられます水防計画書に記載されておるわけでございます。
  298. 安藤巖

    安藤分科員 先ほどのお話で、この重要水防箇所というのは水防団関係ですか、その人たちには知らせてあるというお話でしたね。  そのAランクだけでも私は全部一遍指摘したいなと思うのですが、幾つかの同じAランクで、堤防の余裕高不足、それから漏水、それから工作物の瑕疵というのですか、ちょっとぐあいが悪いというので、ダブルあるいはトリプルというように幾つか重なった個所が相当あるのですね。だから私はびっくりしまして、表につくってみるとこんなことになるのですよ。大臣、一遍これを見てください。  ですから、重複するところだけを庄内川で申し上げると、えらいことだなと実は思ったのですが、たとえば名古屋市港区西川町、これが漏水でAランクです。それから同じく港区多加良浦町、中川区本前田町が余裕高不足。それから港区当知町、これも漏水。そして中川区松陰町、中川区法華西町、中川区下之一色町、西区中小田井、それから愛知県海部郡大治町八ツ屋、甚目寺町福島、西春日井郡西批杷島町、こういうところが、先ほど言いましたように漏水と余裕高不足とが重なっておるのです。それからさらに、これは重なっておるところじゃないですが、先ほどの無堤が名古屋市守山区吉根、それから守山区下志段味、上下段味。余裕高不足、堤防なしというのがAランクに上がっておるわけなんです。  そして、そのほかに工作物の方で重要度Aというのが、橋梁で、庄内川関係で名古屋市港区当知町明徳橋、港区東起町正徳橋、それから中川区法華町一色大橋、中川区法華町大蟷螂橋、これが工作物の関係です。これがまた重複しているのです。先ほど言いましたように、これはダブルじゃなくてトリプルの重要度Aクラスのところなんですね。  だから、私は、これはどえらいことになっているなというふうに思っておるのですが、これは間違いないですね。
  299. 川本正知

    ○川本政府委員 詳細については私、手元にございませんが、先生おっしゃるとおりだろうと思っております。
  300. 安藤巖

    安藤分科員 それで、この個所は緊急治山治水、治山の方は抜いてもいい、抜いてもいいというのはこの場合ですよ。治水五カ年計画の対象になっているものがあるかどうかということをお尋ねしたいのです。
  301. 川本正知

    ○川本政府委員 第六次の治水事業の五カ年計画は、昭和五十七年度から十一兆二千億円でスタートさせていただいたわけでございますが、これは河川全体のマクロ的な五カ年計画ということでやっておりまして、先生おっしゃいます個々の河川の個々の重要水防箇所は、重ねてで恐縮でございますが、私、最初から申し上げておりますように、たとえば堤防ができておっても、おっしゃるとおり過去に漏水の実績があったところとか、そういう場合には、水が出ましたときに、洪水が起こりましたときに水防団はやはり一番注意をして、点検も怠らずやり、また、いざとなれば出動できるように考えておくべきところだということでございまして、そこが必ずしも河川改修がおくれておるから重要水防箇所になっておるというわけではございません。  河川改修に当たりましては、いまおっしゃったようなことということではなくて、最近起こりました災害の発生状況であるとか、背後地が重要性があるかどうかとか、上下流の改修の整合性が保たれるかどうか、応急的に対処すべきところかどうかというような、総合的な判断によって河川改修の優先順位をつけてやっていくべきでございますし、重要水防箇所と河川改修の緊要度の一番高い個所とは必ずしも一致しないということを御理解いただきたいと思います。
  302. 安藤巖

    安藤分科員 それは伺っておきますけれども先ほどから私が念を押しましたように、「重要水防箇所評定基準」というものによりますと、Aというところは、「堤防高」の問題では「計画高水流量を疎通せしめるには最も危険な箇所。」というふうに基準を置いておられるわけでしょう。そして、一応水防団の方にも、そういうところはこういうところだというふうにちゃんと周知しているということになりますと、たとえば川の水が警戒水位を突破したとか、しそうだとかというようなときにはそこを注意しろ、こういうことになるわけでしょう。だからそういう個所だということでしょうね。(川本政府委員「はい」と呼ぶ)  それで、そういうところを注意しろということで周知されておるところが、先ほど言いましたようにトリプルであるわけなんです。これは本当にほかっておくわけにはいかぬと思うのです。  私も念のためにいろいろ調べてみたのですが、これは「名古屋市水防計画付図」です。薄いピンクと濃いピンクがあるのですが、いまの危険個所というのは、これが庄内川です。この辺に集中しているのですよ。差し上げた図面はこの辺のところなんです。この辺の一番ピンクのところは、「A地域は河川または海岸堤防の破堤または越水により浸水し、おおむね六十センチメートル以上で流速毎分五十メートル以上となることが予想される地域」、こういうふうになっておるものですから、先ほども申し上げましたようなトリプルのAクラスの重要水防箇所がこれだけあって、ということになるとこれはどえらいことになるのじゃないかという心配をせざるを得ぬわけなんですね。  だから、私がお尋ねしたいのは、いつまでこういう状態が続くのだろうか。改修重要個所ではないとおっしゃるのですが、水防上重要な個所だ。だから、水防上重要な個所でないということにするためには改修しなければならぬのじゃないかと思うのですね。いつまでこういう状態が続くのだろうか、これが一番気になるところなんですが、お答えいただけますかね。
  303. 川本正知

    ○川本政府委員 庄内川の河川改修につきましては、先生十分御存じだろうと思いますけれども、重要水防箇所そのものと一致するところもありますし、また一致しないところもあるわけでございます。  たとえば下流の方へいきますと明徳橋、大蟷螂地区の狭窄部がございます。あるいは一色大橋というのですか、あの地区も狭窄部がございます。そういったようなところが一番改修の重点に置くべき個所だろうとわれわれは思っておりまして、たとえば高潮対策、先ほどお話がございましたように、中川区あるいは港区の町名もおっしゃいましたけれども、そういったところの改修といいますか、その辺は堤防が一応はできておるわけでございますので、そういったところよりはいま申し上げたような一番狭い場所が最初にといいますか、一番重点を置いて改修していくべきだろうと思って現在もやっておるところでございます。
  304. 安藤巖

    安藤分科員 そこで、私は一つの例として庄内川を取り上げたのですが、これは建設省からいただいたのですから間違いないと思います。  時間の関係がありますから私の方から申し上げますが、「治水関係予算の推移」ということで昭和五十四年から五十八年度までのものをいただいておるのです。そのうち河川改修関係、五十四年度七千二百八十九億三千七百万円、五十五、五十六は大体横並びで、五十七年度が七千三百三十九億七千七百万円、五十八年度七千三百七十八億二千万円、ずっと大体横並びなんですよね、ふえてないのですよ。  そして、さらに今度は庄内川関係を見ましても、これは「昭和五十七年度 事業概要」なんです。庄内川工事事務所でつくっておられるものによったわけですが、五十五年度十三億二千万円、それからずっと五十七年度まで十三億二千万円、全然ふえていないのですよ。こういうことになったら、先ほどおっしゃったように、それは重点のところをやるというふうにおっしゃるのですが、これでいいのかなと思うのです。大臣、どうですかね、こういう調子なんですよ。国民の生命、財産にかかわる問題ですからね。庄内川の問題一つとってもこうです。全国的にもこれは大変だと思うのですよ。  先ほども計画高水流量の話を申し上げておるのですが、長良川が決壊しましたね。私は判決の要旨を読みましたけれども、これは計画水位以下で決壊しているのです。私が申し上げているのは、計画高水流量を流すについて余裕が必要だ。その余裕が足らぬというのでAランクなんです。この水位以下でも決壊したということになると、これは大変なことになるのじゃないかと思います。ですから、この辺のところを、これは災害が発生したら補修すればいいじゃないか、臨時災害特別措置法でやりますから、そういうことでは間に合わぬと思うのですね。やはりこれは予防というのをしっかりやる必要があると思います。  いまの総理の中曽根さんが行管庁長官のときに、これは名言なんですが、参議院の行政改革に関する特別委員会でわが党の下田京子議員の質問に対して、「河川の問題のみならず、その他諸般の災害等の問題につきましては、」「まず予防に全力を尽くすということが大事だと思います。」これはあたりまえの話ですが、こう言っておるのですよ。やはりこれは実行してもらわなくちゃいかぬですね。だから大臣に、そういうような危険個所は一日も早く全国からなくす、そのためには予算措置も含めてしっかりやっていただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  305. 内海英男

    ○内海国務大臣 御案内のとおり、国の財政事情等もあり、予算の伸び率というものがここ四年間ゼロというような状態でございまして、その点、私どもも大変遺憾に思っておるわけでございます。  しかしながら、限られた予算の中で重点的に効率的に運営をしてできるだけのことをしなければならぬ、こういう決意で指導いたしておるわけでございますが、予算の余裕が出るような時期になりましたら大いにやらなければならぬと思いますけれども、そういうことを言っておっても始まりませんので、与えられた範囲内の予算で最大限の効率的な重点的な施行をしていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  306. 安藤巖

    安藤分科員 余裕ができましたらということをそのまま、ではお願いしますよというわけにはまいらぬですね。大臣も笑っておられるから、そんなことではだめだということは十分おわかりだと思うのですね。  そこで、最後にさらにもう一つお願いしておきたいのは、「臨時行政調査会第二部会・第三部会合同報告」というのがありまして、ここで建設省関係で、支所、出張所等の整理統合で、「建設省地方建設局については、約九十五箇所整理する。」これは整理するということになったら、先ほどの重要水防箇所を具体的に調査して、どうなっているのかということを調査するについても手抜きが出てくる心配も出てくるのですね。だから、こういうようなことに対しても、大臣先ほどおっしゃったように、予算の余裕が出てまいりましたらではなくて、ちゃんと予算を獲得して国民の生命、財産をしっかり守るようにやっていく、こういうふうに言っていただきたいのですが、いかがですか。
  307. 内海英男

    ○内海国務大臣 御指摘のような趣旨に沿いまして、全力を注いでまいりたいと考えておるわけでございます。
  308. 安藤巖

    安藤分科員 時間が来ましたので、終わります。
  309. 熊川次男

    熊川主査代理 これにて安藤巖君の質疑は終了いたしました。  次に、中路雅弘君。
  310. 中路雅弘

    中路分科員 きょうは、主として官公需の中小建設業者への発注の問題に限って御質問したいと思います。  公団の方、お見えですね。最初に、五十六年度の中小業者への建設省所管事業でいいですが、契約実績、それから五十七年度の目標ですね、物品、役務、工事がありますが、合計でいいわけですが、官公需総実績との比率を含めて簡単に御説明いただきたいと思います。
  311. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまお話がございました官公需につきましての中小企業への発注の目標につきまして、まず建設省の方から建設省所管事業全体につきまして御報告申し上げたいと思います。(中路分科員「国と公団と分けて」と呼ぶ)  まず、建設省の関係では、いわば国の直轄の事業とそれから公団等と大きく二つに分けて目標なり実績をとらえておりますが、五十六年度につきましては、建設省の直轄につきましての目標は四六・二%でございます。また、公団につきましては同じく目標が二六・四%となっております。またこれにつきましての実績は、建設省の直轄につきましては四六・三%、それから公団等につきましては実績二六・三%となっております。また、五十七年度の目標につきましては、建設省の直轄は四六・四%でありまして、公団等につきましては目標二五・七%、このように相なっております。
  312. 中路雅弘

    中路分科員 金額等の問題はありますが、これは後でまた資料でもお願いしたいと思います。  住宅都市整備公団の神奈川県内の主な事業計画ですね、住宅建設、市街地再開発、都市開発事業がありますが、ここでは全部お話ししていただくと時間もとりますから、都市開発事業概要について御説明いただきたいと思います。
  313. 吉岡昭雄

    ○吉岡参考人 お答え申し上げます。  神奈川県下で私どもがやっております都市開発事業でございますが、いろいろな整備段階、いろいろな状況がございますが、まず港北地区、横浜市の港北区、緑区でやっております港北ニュータウン、これは千三百ヘクタールほどでございます。それから川崎の西菅で八十四ヘクタールの都市開発事業をやっております。これはほぼ終息に近づいております。  それから、そのほか工事中の地区として厚木市の森の里、これが百八十ヘクタールほどございます。そのほかさらに横浜市で奈良地区八十八ヘクタールというふうな仕事をやっております。  なお、今後工事を起こすべく準備中の地区といたしまして、川崎市の黒川地区あるいは伊勢原、長津田等に候補地区がございます。
  314. 中路雅弘

    中路分科員 いまお話の中の川崎市の多摩区で行われている西菅地区の都市開発事業ですね、これはもう少し詳しく、どこまで進んでいるのか、今後の計画を含めた事業概要をお話しいただきたいと思います。
  315. 吉岡昭雄

    ○吉岡参考人 お尋ねの西菅地区の土地区画整理事業の進捗状況でございますが、四十七年の八月に建設大臣の認可を受けまして、五十八年度末、来年には完了させたいということで、現在鋭意仕事をやっているところでございます。造成工事はことしの三月末で約九〇%進捗する見込みでございまして、五十八年の三月、本年の三月には一部、五十画地ほどでございますが、宅地分譲をいたす予定にしております。  また、この西菅地区の公団住宅の建設でございますが、五十八年度の仕事として五百七十戸ほど発注の予定をいたしております。その後、五十九年度以降どういうふうに公団住宅を建設していくかにつきましては、需要の動向を勘案しながら逐次整備を図ってまいりたいということでございます。  公団住宅の入居は、六十年の三月以降ということになるかと思います。
  316. 中路雅弘

    中路分科員 公団の事業が各地で進められている中で、こうした仕事が地域経済に与える影響も非常に大きいわけです。公団として、地元の中小企業への仕事の発注あるいはその拡大についてどういう対策を進められてこられたのか、また今後この拡大についてどのように進めていくおつもりなのか、公団としてのお考え、全体の問題ですね、最初にお話し願いたいと思います。
  317. 中川友夫

    ○中川参考人 ただいまの御質問でございますが、公団は国の御方針に基づきまして、従来から中小建設業者の受注の確保に努めてきたところでございます。  五十六年度におきましては、中小企業著に対する公団の官公需契約の実績率は三四・三%でございまして、目標の三四・二を若干でございますが上回って達成しております。五十七年度におきましても、目標三四・三%ということで達成に向かって努力しているところでございます。  この官公需契約のうち約九割が工事請負契約でございまして、これにつきましては従来から中小建設業者の受注の機会を確保するために、以下四つございますが、対策を立てて配慮しているわけでございます。  一番は、工事の施工業者を指名する場合には、工事種別、工事規模の等級区分に従いまして、対応する格付の建設業者を指名するということでございます。二番目は、中小建設業者を構成員とする共同請負方式を活用することによりまして、当該構成員の格付等級よりも上位等級の工事の受注機会が得られるように努めております。三番目は、これは住宅建設の方でございますが、店舗、集会所、管理事務所等の小規模建設工事をできるだけ独立工区として設定し、極力中小建設業者を指名するように努めております。  地元の中小業者につきましては、ただいま申し上げたようないわゆる中小建設業者の対策の中で、できるだけ地元業者を指名するように努めておるところでございます。
  318. 中路雅弘

    中路分科員 実態は、決して中小企業に仕事が十分に発注されているという状況ではないわけですね。  これは、私が最近調査をした神奈川県内での公団の工事発注の実情ですけれども住宅都市整備公団として発足した昭和五十六年十月一日から五十七年三月三十一日、八一年度の下半期の半年間の調査ですが、まとめてお話ししますと、神奈川県内で公団から九十七件の建設工事を発注し、総額で約二百十一億円余りになっています。これは神奈川県当局としての発注公共工事の三百四十八億円の六〇%に相当するわけですし、また各種の公団の県内発注工事が二百二十二億ですから、その九五%を住宅都市整備公団が占めているということで、大変大きな経済的な影響を持っていることがこの調査でもわかるわけです。  工事の請負の状況を調べましたら、ジョイントベンチャーのために件数が百十六件となっていますけれども、県内の企業に工事発注されたのはわずか十六件、一三%になっています。これを請負金額の方で見ますと二百十一億円の一一・四%、金額にしてわずか二十四億円にしかならないわけです。また、資本金別にこれを見ますと、資本金一億円未満の地元中小業者へは八件、七%です。請負額ではわずか三・四%、七億千五百三十万円となっています。最近、私が調査をして整理した概要です。  これでおわかりのように、一億円以上の企業は県内で八%、県外で六八・九%で、要するに約七七%、四分の三を超えているわけですし、中小企業はほとんど仕事が回っていないという実態が示されています。  神奈川県当局の一億円以上の規模の企業への県発注工事は、八〇年度でとりますと四三・三%ですから、さきの七七%に比べると非常に対照的だと思います。国、公団の地元中小業者への工事発注の拡大が一層求められているということをこの数字は示しているのではないか。  政府方針は、このように実際の現場の状況から見ると実質的には形骸化され、またそういう方針のような実態にはなっていないという、大手がやはり中心、地元中小業者への発注、請負が事実上切り捨てられるような構造になっているのじゃないか。こういう実態を調査して、私は、見直しを行い、地元中小業者へ優先発注の実効を上げる具体的な対策を検討すべきではないかと考えるわけですが、最初に公団のお考えをお聞きしたいと思います。
  319. 中川友夫

    ○中川参考人 実績につきましては私の方も若干資料を持っておりますが、私の所管しております住宅建設につきましては、中層住宅一棟三十戸を建てますとそれだけで二億を超えるような金額になるという一面がございまして、大型工事をやりますと施工能力格づけの面でなかなか対応のしにくい面もございまして、若干御指摘のような状況があるかと思いますが、先ほども申し上げましたように四つの対策、共同請負とか小規模建築物等の独立工区の設定ということをさらに強化して進めてまいりたいと思います。
  320. 中路雅弘

    中路分科員 いまも少し言われましたけれども、たとえば建築、宅造とともに、造園だとか土木、塗装、電気、機械、畳、ふすま、それからたとえば汚水処理施設などたくさんの仕事があるわけです。当然経済性ということも考慮した発注となるわけですけれども、大手への性能発注、一括発注中心ではなくて、地元零細業者や事業協同組合などへの分離、分割発注をもっと行って受注の機会の拡大を真剣に検討すべきだと私は思いますが、こうした点についてはもう少し具体的に、いかがお考えですか。
  321. 中川友夫

    ○中川参考人 ただいま先生から大変具体的な御質問がございまして、建築本体は先ほど申し上げたような特殊性がございますが、住宅建設で申しますと、外回りの工区土木工事あるいは造園工事、こういったものもできるだけ中小業者に受注の機会が与えられますように努めておるところでございまして、今後も強化していきたい。私どもは、建築の方では共同請負という方法をやって中小業者の受注機会の確保に努めてまいりますが、外回りについては、いま御質問がございましたように、工区の設定において中小の造園あるいは電気、そういった業者の受注機会がふえるように今後努力してまいりたいと思います。     〔熊川主査代理退席、主査着席〕
  322. 中路雅弘

    中路分科員 私、いまちょっと調べてみましたら、たとえば東京の品川や練馬、板橋などの各区につくるマンモス団地に、地元中小企業者に優先発注する工区を設定してやられている実例が幾つも出ているわけですけれども、さっきの公団の事業の中で、神奈川県内の事業の中でもこうした地元中小業者に優先発注する工区を設定させるなど、より具体的な中小企業対策を一層検討していただきたい。各地のマンモス団地の場合にそういう例を私、幾つか報告もいただいているのですが、今後この点を一層研究もしていただきたいし、神奈川県内の先ほど御報告になった事業の中でも、この点をぜひ具体化してほしいと考えますが、もう一度、いかがですか。
  323. 中川友夫

    ○中川参考人 ただいま御指摘のありましたグラント・ハイツあるいは品川八潮のマンモス団地につきましては、事業そのものも大変地元の御協力を得て進めてまいっておるわけでございまして、そういった中で地元の受け入れ態勢も相当進んでおりまして、私ども御相談しながら、地元の中小業者の受注機会が得られるように努力してまいったわけでございます。  神奈川県下におきましても、同様な場が与えられれば大いに検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  324. 中路雅弘

    中路分科員 最近も私のところに相談に来られた川崎市のある建設業者は、公団の入札資格を持っていますけれども、六年間に一つの仕事も来ないということで嘆いている方もあります。こうした中小業者へも光が当たるように対策を一段と強化していただきたいと思いますが、たとえば国の方で「昭和五十七年度中小企業者に関する国等の契約の方針」五十七年六月二十九日の閣議決定がありますが、この中では中小建設業者に対する配慮としてどういうことが具体的に述べられているのか、御説明いただきたいと思います。
  325. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 昭和五十七年六月二十九日に閣議決定されました「中小企業者に関する国等の契約の方針」におきましては、先ほど申し上げました五十七年度におきますところの中小企業向けの契約目標の設定がまず第一でございます。その次には、これらの中小企業者の受注機会の増大のための措置といたしまして、情報の提供、発注の増大、あるいはまた事業協同組合等の活用、指名競争契約等における受注機会の増大、それからまた中小企業者への説明の徹底、銘柄指定の廃止、分割発注の推進、適正価格による発注、地方支分部局等における中小企業者の受注機会の増大、また中小建設業者に対する特別の配慮、それから中小企業者の自主的努力の助長、そういったようなことが示されているわけでございます。
  326. 中路雅弘

    中路分科員 いまのは閣議決定された「中小企業者に関する国等の契約の方針」ですね。しかし、先ほどの私が神奈川県の調査をしました実態を見ても、きょうは公団の例ですが、大変不十分な状況になっていますけれども、この閣議決定の方針からいっても、地元中小企業者に一層仕事が回っていくというふうに改善をする必要があると考えますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  327. 内海英男

    ○内海国務大臣 建設業の大半を占める地元中小建設業者の仕事の獲得につきましては、十分配慮をいたしまして今後とも指導してまいるつもりでございます。地元に公共事業が起こることが、地元の景気刺激のためにも役立つところでもありますし、雇用の安定にもつながる、こういった大きな観点からも、地元中小建設業者に仕事が行き渡るように指導をしておるところでございます。  したがいまして、先ほど公団の方からもお話がございましたように、発注標準の遵守、あるいは分割発注の推進、あるいはジョイントベンチャー方式を採用して、できるだけ大型の仕事にも入れるような環境をつくってあげる、こういった面で積極的に各地方公共団体あるいは公団等に対しましても指導をいたしてきておるわけでございます。今後とも、その方針で中小業者の育成強化に力を注いでまいりたいと考えておるわけでございます。
  328. 中路雅弘

    中路分科員 いま大臣が景気の問題とも関連しておっしゃいましたけれども、八二年度の官公需の予算が十兆五千三百七十億円で、うち中小企業向けのは三八%ですが、これを五〇%にすれば新たに一兆三千五百億の仕事の拡大になるわけです。おっしゃったように景気の問題あるいは地元のいま困難な中小企業の対策としても非常に重要な施策になります。いま中小企業の倒産件数も、一九七五年九月以来、月一千件以上というのが八十四カ月も連続して記録されているわけですし、八二年度上期の四月から九月までの総倒産件数は八千四百四十四件ということになっています。中小企業が民間企業の中で圧倒的な比重を占めている。おっしゃったように、ここで働く人たちが約三千七百万いますから、雇用の問題としても大変重要な問題だと思うのです。家族を含めると国民の過半数が中小企業とかかわり合いを持っている。こういう点では日本経済の活力ある再生という点からいっても重要な問題ですので、いま大臣が御答弁された点は、ひとつぜひ具体化して、一層指導を強化をしていただきたいと要望します。  きょうは、公団の問題で関連してお聞きしましたので、最後に住宅都市整備公団の方からも、いまの大臣の発言もありますが、ひとつもう一度決意なり今後の対応なりについてお答え願いたいと思います。
  329. 中川友夫

    ○中川参考人 住宅都市整備公団といたしましても、建設省の御指導を得て、先ほど申し上げた方針を柱にいたしまして、地元の中小建設業者の方々にさらに受注の機会が増大いたしますように努力してまいりたいと考えます。
  330. 中路雅弘

    中路分科員 これで終わります。
  331. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて中路雅弘君の質疑は終了いたしました。  次に、広瀬秀吉君。
  332. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 建設省あるいは厚生省などをお呼びしておりますが、国鉄経営再建促進特別措置法に基づきまして、第二次分として足尾線がその中に入った問題に関連して、建設省の見解をまず伺いたいのであります。  足尾町は、概略申し上げますと、銅山の町ということで江戸時代末期から今日まで続いてきた、まあ企業城下町などという言葉が最近使われますが、それに類したようなものでもあるわけでありまして、銅の採掘、製錬と一貫した事業をやってきて、その中で町がつくられ、発展してきた。そして四十八年には銅鉱石が枯渇したということで、銅鉱の採掘事業は廃止されました。その当時、昭和四十八年に町の人口が約九千五百名を超えておったわけでありますが、その銅鉱採掘事業をやめたということで、去年、五十七年四月一日現在では五千八百七十七名に町の人口が減少をいたしました。それだけ町から人口が流出したわけでありまして、これは大変な過疎現象であります。これは恐らく全国一に近いのではないかと思います。午前中に国土庁にも伺ったのでありますが、過疎地域振興法の適用対象市町村の平均が大体三一%ということでありますから、四〇%に近い数字というのは非常に異常ともいうべき状況である、こういうことも確認されたわけであります。  そういう中で、いま足尾町では古河鉱業の足尾製錬所があるわけであります。この足尾製錬所は、浜川崎駅から、あそこは船着き場でありますから、そこに外国から輸入された銅鉱石を足尾まで国鉄で輸送をする。そして、それが製錬所にかかって製錬が行われて粗銅が産出される。それと同時に、濃硫酸が大量に生産されるわけでありまして、それらをいままでは足尾線が、そのままずっと健在ならば、これはレールの上を最も安全な形で、しかも、それぞれの肥料産業であるとか紙パルプ産業であるとか、そういうようなところに送られて、引き込み線を通じて、それを必要とする工場の濃硫酸の貯蔵庫にそのまま貨車から移されるという非常に安全な輸送体系がとられておった。ところが、足尾線が廃止になったということになりますと、そういう重量、大量貨物というものも全部トラックに転換せざるを得ないじゃないか。それから濃硫酸も、レールの上ではなくて、今度は建設省の所管である道路を走らなければならぬ、こういうことになるわけであります。  そういうようなところから、特にこの際、濃硫酸の輸送問題について、道路輸送関係、特に道路行政について担当しておられる建設省に伺いたいのは、大体その濃硫酸の発生の量でありますが、年間十三万七千八百トンに達するわけでございまして、これが大体関東地方に六二%、東海一〇%、東北一一%、上信越一七%というように、仕向け地と申しますか、大よそそういう方面に運ばれることになるわけですね。そして、濃硫酸を積んだタンクローリー車が一日約五十台程度、四十八台あるいは五十台というものが走らざるを得なくなる。  こういうような点について、いままで余り道路で濃硫酸を積んだタンクローリー車がひっくり返って濃硫酸が流出するというような事故はなかったようでありますけれども、これはやはりバイパスばかり通っているわけにもいかぬでしょうから、市街地を通すことが非常に多いであろう。行き先別に見ましても、東北に行くのならば、両毛の桐生市に出て、伊勢崎とか足利とか佐野、栃木、小山、それから宇都宮、こういうようなところに行って郡山とか福島方面に運ばれるということだし、そのほかのところも、いま申し上げたような行き先別に考えると、相当大都市の道路を、市街地の中の道路を走ることになるのではないか。  そういうような面で、一日五十台、そういう危険な物を積んだものがそういう都市を走り抜けていく、帰りはまた空車で帰ってくるということになるわけですけれども、そういうことで足尾線にかわって道路が代行するということになれば、大体二百四十両ぐらいのトラック、タンクローリー車というものが増加をする、こういうようなことにもなるわけでありますが、そういう都市の中で危険な濃硫酸を積んだ車両がもしひっくり返るというようなことでもあった場合には、建設省として道路輸送における安全対策というものを万全の形でお持ちなのかどうか。その辺のところについて、まずお伺いしたいと思います。
  333. 内海英男

    ○内海国務大臣 私どもの方といたしましては、正式に足尾線が廃止されるというふうには、まだ承っておりませんけれども先生御指摘のように、もし廃止されたという話を前提にいたしまして建設省の方で検討いたしてみますと、以下のようなことになるかと思います。  まず、足尾線に並行する道路は、一般国道百二十二号の栃木県足尾町から群馬県桐生市に至る約四十キロの区間でございます。この区間の道路の現況について申し上げますと、改良率は約九四%、残りの未改良区間である栃木県足尾町切幹地区において現在道路改良工事が実施中でございます。交通量を申し上げますと、昼間では現在千五百台から一万台程度でございますが、夜間になりますと五百台から三千台程度が通行いたしておるようでございます。  仮に、濃硫酸のタンクローリー車が通ることになった場合を考えてみますと、道路の損傷につきましては、総重量二十トン以下の車両であれば特に問題はございませんが、それを超える場合につきましては、道路構造の保全または交通の危険を防止する観点から、道路管理者の許可が必要となってまいります。また、危険物の輸送に係る事故防止につきましては、地元の警察、消防等の関係機関にも御協力をいただかなければならぬことになるかと思うわけでございます。  以上、足尾線が廃止になって、そういう危険物がタンクローリーで輸送されるという事態考えての現況を御説明申し上げたわけでございます。
  334. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 いろいろ調べてみましても、道路上を濃硫酸を積載したタンクローリー車が走っておるということはかなりあるようですが、濃硫酸という劇毒物であるだけに、いまのところ事故が発生した経験はそれほどないと言われておるのですけれども、これが市街地等の道路上において衝突でもして、ひっくり返って濃硫酸が流出するというような場合も想定されないわけではないわけであります。万が一ということがあるわけですから、濃硫酸が流出したというような場合にはどういう被害が起きるかということについて、建設省としては検討したことがありますか。まず、そのことを伺っておきたいと思います。
  335. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 建設省におきまして危険物を輸送した車両を規制する、制限するということは、道路法で水底トンネルを通る場合にのみ、そういうことが許されるのでございまして、それ以外につきましては、大臣からいまお話しのありました、一般車両として車両制限令に抵触するものについて特認の許可がなければ通行できないということでございますが、この区間につきましては水底トンネルがございませんので、危険物を輸送している車であるからといって、特別それに対する措置を講ずることは道路管理者として権限が付与されておりません。そういうものに対しての規制、制限あるいは安全の確保等につきましては、先生御存じだと思いますが、消防法上に規定がございまして、消防法十六条の二で「移動タンク貯蔵所」まさにこれが「車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所をいう。」のでございますが、「移動タンク貯蔵所による危険物の移送は、当該危険物を取り扱うことができる危険物取扱者を乗車させてこれをしなければならない。」ことになっておりますし、さらに同じく消防法の十六条の五の第二項では「消防吏員又は警察官は、危険物の移送に伴う火災の防止のため特に必要があると認める場合には、走行中の移動タンク貯蔵所を停止させ、当該移動タンク貯蔵所に乗車している危険物取扱者に対し、危険物取扱者免状の提示を求めることができる。この場合において、消防吏員及び警察官がその職務を行なうに際しては、互いに密接な連絡をとるものとする。」というような規定がございますし、また、毒物及び劇物取締法におきましては濃硫酸は劇物扱いになっておりまして、この法律の十六条で「保健衛生上の危害を防止するため必要があるときは、政令で、毒物又は劇物の運搬、貯蔵その他の取扱について、技術上の基準を定めることができる。」となりまして、その政令ができておりまして、その政令の第九章の二で「毒物及び劇物の運搬」ということでいろいろ規定が設けられております。  したがって、こういう方面からの、いまのような危険物の道路上の輸送に対して安全を確保していくための対策がいろいろとられることになろうかと思います。そういう際において道路管理者としてできるだけ協力してまいりたいというふうに考えております。
  336. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 消防庁来ておりますから、市街地でひっくり返って濃硫酸が流出をしたというような場合には、消防庁としては、どういう状況になるかという想定をしておるか。そして、それに対する対策は一体どういうような準備をされておるのか。その辺のところをちょっと聞いておきたいと思います。
  337. 清野圭造

    ○清野説明員 消防庁でございますが、消防危険物という形で濃硫酸が規定されておりますけれども、いわゆるタンクローリーにつきましては消防法上は移動タンク貯蔵所という形で規制をされておりまして、その安全性につきましては構造上一定の基準に適合しない限り許可はされないということになっております。この基準の中では、タンク自体の強度に関することはもとよりでございますけれども、転倒に対する防護装置の設置義務でありますとか、あるいは弁の緊急閉鎖装置の設置義務といったことまでも規定をされておりますほか、万一転倒等が生じた場合でも被害を最小限にとどめるために、タンクを一定容量ごとに完全に内部で間仕切りをするというような形で規制がされておるわけでございます。またタンクローリーには濃硫酸等の危険物の性状などを熟知しました危険物取扱者というものを必ず乗車させなければならないということになっておりまして、その輸送に万全を期するように規制といいますか義務づけがなされておるわけでございます。  それで、これらのことから濃硫酸に関しますタンクローリーの事故というのは、過去におきまして余りないわけでございますけれども、万一事故が生じました場合におきましては、濃硫酸それ自体は発火といいますか火災の発生する危険性はないわけでありますけれども、周囲に対する危険性という点から、必要に応じまして漏れの生じました区域あるいはその付近に立ち入らないように警戒区域を設定するとか、あるいは危険物の回収あるいは希釈といったような拡散防止措置を講ずるということが当然必要になってくるかと思います。
  338. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 余り事故が起きた例がない。事故が起きないことが一番いいことでございますけれども、濃密な人口構成を持っている市街地の道路で歩道が一段高くなって区切られているような場合とそうでない場合とありますね。そういうようなときに、濃硫酸は液体でありますから流出をしたというような場合には商店街や何かにも流れ込むというようなことだってあるわけだし、濃硫酸が地上に流出をするというようなことになった場合に、そこから有害ガスの発生というようなことなんかもあるだろうし、しかも、これは劇物であるだけに非常に腐食性が高い。そういうようなものに対して後から来た車がその上に乗ったりなんかすることもあるだろうし、そういう点で、もし万が一という事態に備えて、いまのお答えだけでは、道路輸送にばかりこれが依存していくということでは何か心もとない気がするのですけれども、いかがですか。
  339. 清野圭造

    ○清野説明員 具体的に万一事故が発生した場合どういう措置をとるのかという話になりますと、現に発生いたしました事故、その態様でありますとか日時でありますとか場所でありますとか、いろいろ具体的な状況によってその対応も違ってくるかと思います。ただいま申し上げましたのは、硫酸という危険物の性状から申しまして一般的に考えられます、たとえば砂でもって回収をするとか希釈剤、中和剤を投入しまして中和をし希釈をするというような方法考えられるということを申し上げたわけでございますけれども、具体的にそれが起こる場所なり何なりによって、その地元の消防がどういった方法が最も適しているかということを判段した上、対応することになろうかと思います。  私どもとしましては、先ほど申しましたとおりこれらの危険物を運送するについて事故が起きないように、それぞれ技術上の基準が定められておりまして、それが確実に遵守されておれば事故は起きないのではないかということで、その基準の遵守ということを徹底をし、なおかつ先ほど申しましたとおり危険物取扱者というのを必ず乗せなければいかぬということになっておりますけれども、本当に乗っているのかどうかというようなことを警察庁の方とも御協力しながら、毎年指導の徹底を図っているというところでございます。
  340. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 運輸省の保安課長が来ておりますが、タンクローリー車が衝突をしてひっくり返るというようなことになっても、いろいろあるでしょうけれども、相手の車がどういうものであるか、あるいはどういうところに、どのくらいのスピードで衝突をするかとか、そういうような場合の、たとえば転倒しても流出なんというのは一切ないというような、車の構造は一応そういう基準をきちんと設けて考えておられるのでしょうけれども、その辺のところはもう絶対大丈夫、そういう自信がありますか。
  341. 清水達夫

    清水説明員 私どもといたしましては危険物輸送につきまして構造面について担当しておるわけでございますが、先生御指摘のように危険物については特にその危険性にかんがみまして保安基準というもので規定をいたしております。一般のトラックの基準よりも一段と厳しい規定を設けまして、具体的には不燃性の隔壁を設けるとか電気配線というものの火花によって発火しないようにするとか、そういう特別の基準を設け、さらに消火器についても大型のものを設けさせるといったようなことで、厳しく規制をして万全を期しておるところでございます。
  342. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 いろいろお伺いしているのは、いま足尾線が営業係数六七七だというようなことで、いわゆる廃止基準として運輸省、国鉄が設定したものに満たない、こういうことで第二次廃止路線に指定をされたわけだけれども、危険な濃硫酸を最も安価に、最も安全に輸送するために、これは道路輸送でもそう事故は起きたことはないと言うけれども、もし市街地なんかでひっくり返って、それはまあ安全基準は相当シビアにやっているのだろうとは思うけれども、濃硫酸が市街地のど真ん中で流出をする、子供たちが遊んでいるかもしれない、その連中なんかが大やけどを負う、わからぬから子供たちが、流れてきたものを手でさわってみたり足で踏んだりというようなことにもなりかねない。まさに人命損傷も含めて物的な損害等も相当なものに上るのではないか。そういうようなことも考えられるわけだし、レールの上を走らせておけば、こういうものの運送についても非常に効率的であって、しかも生産をして販売をする、またそれを買う、両者にとって非常に低廉な価格で国鉄の場合に輸送できる。大体トン当たり四千円ぐらいということになっているようですが、これは通産省にもちょっと試算してもらったのですけれども、それがタンクローリー車で輸送するということになると大体トン当たり一万四千円を超えるではないかという試算もあるわけであります。そうしますと、足尾線から搬出されるものだけでも輸送コストが現在の大体三倍ないし四倍以上になるということにもなりかねない。これは通産省の試算もそういうことを認めておるわけであります。これは企業にも確かめてみたのですが、大体そういうことになるでありましょう、こういうことです。そうしますと、これはもう足尾線から搬出される濃硫酸の輸送だけでも年間約二十二億コストアップになる、こういうことなんかもあるわけですね。単に足尾線を廃止してしまえばいいというようなことで、安易に道路運送にすべてをやるということによって、そういうコスト面での国民経済への影響というような面だってあるのですよということを知っていただきたい。それは経済的な面。  それからもう一つは、危険物輸送というものをどんどんふやしていくというような道路行政でいいのかどうか。そういう点では建設省も、道路運送がスムーズに事故もなしに行われる、そういうようなものを確保するのが道路行政であろうと思いますが、そういう点で危険物がそういうように一層道路の混雑を増すばかりではなくて、何でも道路道路ということで、しかもそういう危険性を持ったものを輸送するというのを安易に建設省で、道路でみんなそういう輸送は引き受けますというようなことに対して、私は政治家として大臣も一言あってしかるべきだ、こういうように考えるわけでありまして、特に国土庁長官に、実は過疎法との関係で、一方において過疎を防止し、過疎地における住民の生活、福祉あるいは雇用の拡大、産業の振興というようなことを進めながら、一方においてはそういう決定的な過疎化を進めるような、一つのもう百数十年も続いた企業を完全につぶす、企業城下町的な足尾の町までも人口が恐らくいまの五千八百から二千台に落ちるであろうというような影響が出てくる。その段階になったら、これは国土庁地方振興局長の見解によりましても、二千名台の人口なんというのでは、もはや市町村としての機能はなくなりましょう、そして住民の幸せを守ることも全くできない、こういうこともお認めになったわけです。  そういうような点を考えますと、これはやはり道路運送の中に非常に危険な要素を持ち込むという面と、道路によって運搬をするということになりますと大変な輸送コストがかかる、いわゆる不経済性というものになるわけですね。しかも危険というものがつきまとう、こういうようなことでありますから、この辺のところは国務大臣として政策の整合性というようなものを踏まえて十分ひとつ、ただ廃止基準に達するだけの輸送量がないからといって、そういう特殊事情にある地域について安易に考えず、足尾線をいま例にしながら質問しているわけでありますが、そういうものについてはやはり特殊性というものを認めていただきたい。しかも、この足尾線は廃止基準に近い数字を輸送量において近々に上げられるという見込みも、住宅団地の造成とか県立高校の増設とか、そういうようなこともその沿線市町村の中で計画されているのですね。そういうこともありますので、そういう点でひとつ建設省も何でもかんでも道路がみんな輸送を引き受けるというようなことじゃなしに、その全体的な輸送体系の問題もありまするけれども、総合輸送体系の見地から、特に道路の安全な輸送、それから不経済な輸送方式を選ぶべきではない、安全な道を選ぶべきである、そういうような角度で、ひとつ足尾線廃止というような問題に対しては、足尾の特殊性、しかもそういう企業がなくなる、企業城下町がもうまさに壊滅するというような状況などを踏まえて、大所高所の見地に立って、国政全般にわたって責任を持つ国務大臣としまして、建設行政だけではなしに、そういうもろもろの観点も踏まえて、ひとつ運輸省のいま進めようとしているそういうものに対して物を申していただきたい、またそうすべきである、こういうように思うのですが、いかがでございますか。
  343. 内海英男

    ○内海国務大臣 広瀬先生地元問題をとらえてのうんちくのある御提言はまことにごもっともだと拝聴いたした次第でございます。  建設省といたしましても、何でも道路だというわけで、危険物までちょうだいしようという気持ちは最初から毛頭ないわけでございます。国鉄が廃止をされるという前提で先ほどは物を申したわけでございまして、廃止にならないで、そういう危険物が安全度の高い国鉄によって輸送されることであれば、われわれ道路管理をする者といたしましては最もありがたいことだと思います。したがいまして、地元広瀬先生も国鉄関係に非常に発言力の強い先生でございますから大いにがんばっていただきまして、ぜひ足尾線が廃止にならないように、危険物が道路に持ち込まれて建設省が困らないようにひとつ御指導賜りたいとお願いをする次第でございます。
  344. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 そういう方向で御努力されんことを強く要請いたしまして、終わります。
  345. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて広瀬秀吉君の質疑は終了いたしました。  次に、水田稔君。
  346. 水田稔

    水田分科員 本四公団おいでいただいていますね。毎回のように分科会でこの問題に触れているわけですが、本四連絡橋の児島—坂出ルートのうち稗田地区のルートというのは、当初の計画から変更ということで、私はまだ変更されたと断定的に言いたくないのですが、住民から環境問題で大変強い要望が出まして、ルート変更あるいはトンネルという意見が出ました。それから柳田地区の新児島団地の西側についても、そういう強い要望が出ている。これは最初立ち入りでくい打ちさえなかなかさせなかった、そういういきさつがあった地域なんです。その地域のルートの点について、現在どういう状況になっておるのか、まず伺いたいと思います。
  347. 山根孟

    ○山根参考人 本州四国連絡橋公団といたしましては、先生ただいまお話のございました昭和五十二年十一月に環境影響評価案を縦覧をいたしまして、その段階関係地域の方々から路線変更あるいはトンネル化等のいろいろな御要望がございました。そういった点を考慮、配慮いたしまして、自然条件あるいは技術的な問題、環境への影響等を十分調査検討いたしまして、関係行政機関とも意見の調整を図りまして、一昨年、昭和五十六年五月三十日に地元の方に、変更いたしました結果のルートについて御説明を申し上げたというわけであります。引き続きまして六月から八月にかけまして、この調査の基礎データ等につきまして公団側から地元自治体に詳細な説明を行いまして、これに基づきまして県、市御当局の方から、それぞれ県議会及び市議会に対しまして公団の調査内容が報告をされまして、大筋の了解が得られております。  それ以降、現在地元に立ち入りますための地元説明会を実施をいたしまして、大きく三つに分かれようかと思うのですが、すなわち福江地区、稗田地区、先生先ほどおっしゃいました柳田地区、この三つの地区があるわけでございますが、そのうち福江地区、柳田地区の一部につきましては現在立ち入りの了解が得られておるという状況でございます。残された稗田地区につきましては、引き続き各地区ごとに説明会を実施しておるという状況でございます。  今後とも環境対策、地元要望等につきまして十分配慮しながら、十分協議を行って御理解が得られるように努力してまいりたいというぐあいに考えております。
  348. 水田稔

    水田分科員 この児島—坂出ルートの起工式の前日、当時の副総裁、これは公団の代表権を持つ方ですが、地元との間に覚書を交わしておりますね。御存じですね、それは。
  349. 山根孟

    ○山根参考人 お答えいたします。存じております。
  350. 水田稔

    水田分科員 それは当初の計画案、環境アセスメントをやった上でのルート、それでは十分環境が保全できないということで、トンネルを含むルート変更の要求があって、そこで起工式の前日に、私が立ち会ったわけですが、新しいルート発表の前に必ず地方の代表に了解を得るということではないのですが、事前に十分に話をするという約束だったわけですね。ところが実際にはマスコミに事前に漏れたということで、そういう手続がないままに発表になった。県の委員会あるいは市の委員会に発表になったということが、いま山根理事からお話がありましたように、稗田地区というのが、一つは地域的には、もとのところは、自分のところからおらぬようになったわけですから万歳でしょうが、今度来られたところは、そんなことは何の話もなしに迷惑な話だという、地域的に、大変一つの集落が分かれていくというような混乱も起こしているし、そのもとになったのは、その約束が十分守られておれば、不満であっても、じゃ条件でいろいろ話を聞こうかということになるわけですが、まさにそういう点で、約束がありながら手続がやられていなかったということが、いま一番稗田地区の困難な原因をつくっておるのではないか、私はそう思うのですが、公団の方ではどういうような考えですか。
  351. 山根孟

    ○山根参考人 私どもといたしましては、環境上の諸問題、つまり環境保全に関します目標値に対して構造的に十分な対処ができるかどうか、こういった点はもちろん十分考えて計画を設定をいたしておりますが、また同時に、トンネル内におきます交通事故の問題、これはやはり明かりの部分に比べまして大変高いわけでありますし、また事故処理にも困難を伴う。火災事故におきましても大惨禍に発展をする可能性もある等々、総合的な問題等も配慮いたしまして、環境上の配慮から十分生活環境の保全を図ることができるという観点から、私どもの最善と考えますルートを御提示を申し上げたというわけであります。  そのプロセスで、そういった先生御指摘のような点があったということにつきましては、地元地区の方々にもお話はいたしておったわけでありますが、しかし全体として、そういうところまでにいかなかったという点は確かにございます。したがいまして現段階におきましてルート問題初め、構造上の問題等々につきまして御理解を得べく御説明を申し上げ、最善の努力を払っている、こういう状況であるわけでございます。
  352. 水田稔

    水田分科員 この稗田には駅がつくわけでもないし、インターチェンジがつくわけでもないわけですね。まさに通過公害ということで住民は受けとめておる。いま理事の言われたように、事業をやる側としては当然そういう配慮をしてやるべきなんですね。その中で住民の不安にこたえるということで、ああいう約束もされた。実際は守られなかった、そのことが公団に対する不信という形になっているわけですね。私は、冒頭に申し上げたように新しいルートを決定したと思っていないというのは、そういう点では手続に瑕疵があるからです。だから、十分な説明というのは、そういう中でルートをこれで認めてもらいたいという意向と同時に、環境問題ではこういうぐあいにいたしますという二つが、稗田地区について言えば、この中になくてはいけない、そういうぐあいに理解しているわけですね。時間がありませんから、この問題ばかり長く言ってもどうかと思いますので、そういう点では公団として事前の話というのが欠けておったということも踏まえて、いま話をされておるのか。私は、ぜひそうしてほしいと思うのですが、その点はいかがですか。
  353. 山根孟

    ○山根参考人 お答えします。  私どもとしては、御理解を得られるように最善を尽くして現在御説明を申し上げ、また一部の関係方々からは御理解を得られているわけでございます。今後における対策面におきます個々の問題が、実はこれから残されておる段階であるというぐあいに考えておりまして、最善を尽くして現在地元との折衝と申しますか、御理解を得べくやっておるというわけでございまして、今後とも努力を続けてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  354. 水田稔

    水田分科員 私が言っておるのは、新しく来るところも、事前の話があれば、環境問題をきちっとやりますからということであれば受けたかもわからぬ。受けなかったかもわからぬ。しかし、それがないままに、ぽっとある日突然、マスコミに漏れたということで発表されてしまった。前の約束は、事前に話をしますというお約束だったですね。だから、公団側としても一番問題になるのは、ルートの問題というのは環境問題ですから、そういう点では理解を求めるという中で、単なる普通の意味での環境問題、こうですからこういうぐあいになりますという説明ではなくて、本来ならば、みんなの気持ちはルートをいま発表になった分も変更してもらいたい。だけれども、私も道路を急に曲げられるものでないということはよく知っているわけですから、そういう点では公団として事前の手だてが十分でなかったということを含めて、住民が納得できるよう環境問題については最大の努力をしてもらいたい、そういうぐあいに申し上げたいと思うのですが、その点はいかがですか。
  355. 山根孟

    ○山根参考人 私ども、最善を尽くしたいという考え方に変わりございません。そのために稗田地区、各地区の方々にもいろいろ御説明を申し上げているわけであります。その過程で種々の御要望なり問題が提起されたことにつきましては誠意を持って、具体的な措置をどのようにするかについて検討してまいりたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。
  356. 水田稔

    水田分科員 大体いまの御答弁で最大の誠意を持ってということですが、一般的な論議での説明というのじゃなくて、いきさつがあるものですから、地元の人は相当無理も言うだろうと思うのですね。それは本当を言えば基本にはルートの変更ということがある中での要望ですから、大変厳しい、あるいは強い要求があるだろうと思うのですが、十分それを受けとめてやっていただきたいということを要望しておきたいと思うのです。  二つ目は、工事も、鉄道の橋脚もどんどんできてくる。新しい駅の前の区画整理も進んでおる。あるいは福江のインターチェンジは工事がどんどん進んでおるということで、大分目に見えてくるわけです。もともと、これをやるときに地元にも相当分担しろという話もあって、地方財政としては大変ではないかという論議もある中で、しかし、そうはいっても地元にも相当な仕事が流れてくるというようなことで期待も持っておったわけです。ですから、県内業者というのは技術的に大きな仕事というのは無理としても、付帯工事なり下請等で技術のあるところはたくさんあるわけです。よそから連れてくれば経費が高くつくのはあたりまえなわけですから、そういう点ではどういう基本的な考え方で、具体的にはどういうぐあいにやられておるのか。あの工事の中に県内あるいは地元の業者を使うというような方針と具体的な数字でもあれば御説明いただきたいと思います。
  357. 山根孟

    ○山根参考人 お答え申し上げます。  本州四国連絡橋公団といたしましては、かねてから地元業者への発注に意を用いてきたところでございますが、私どもの実施をしております工事のうち、先生も触れられましたが海峡部の工事は、実は長期にわたりまして大変大規模なものが多く、高度な施工技術や特殊機械によります施工等が大宗を占めるといったことでございますので、どうしても施工業者ということになりますと経験豊かで施工能力の大きいものが要求される場合が多いわけであります。しかしながら、陸上部の工事となりますと、これからいよいよ本格化してまいるわけでございますが、この中にも特殊な技術を要するもの等、特別なものがございます。これら以外のものにつきましては今後とも一層地元の業者の活用を、実はこれまでも図ってきておりますし、これからも工事の難易度あるいは規模、施工能力、こういった点を勘案しながら極力地元業者の受注機会が増大するよう努めてまいりたい、かように考えております。  ちなみに、昭和五十六年度から五十七年度までの発注件数の中で地元業者の方が受注をなすっておられる件数の比率を見てまいりますと、おおむね六割ないし七割という数字に相なっております。
  358. 水田稔

    水田分科員 それだけの事業が県内業者に出ておるのだったら、岡山県は不況知らずですね。倒産は起きぬはずなんです。額で言いますと、予算が五十七年度までで大体二千九百億、五十八年度はまだ決まっておらぬわけですが、千八百二億でしょう。計四千七百二億なんですね。これを具体的な発注で見ますと、五十三年十月から五十七年十月までの発注が二千三百九十一億八千五百万円、このうち県内業者の発注は百五十一億四千四百万円です。六・三%なんです。ですから件数ではなくて額で言えば、もちろん海峡部というのは大きいですから六・三%。これはちょっと件数だけで見るというのは間違いじゃないか。  時間の関係がありますからさらに申し上げますと、たとえば一つ地元出資ということで、これまでに岡山、香川で百億の出資金をしておりますね。これは恐らく当初の予定が県で百五十億です。縁故債が要求されておるのが累計で四百四億ですね。これだけの大きな工事ですから、全体の国の金も入って幾らか流れてくるのではなくて、地元から縁故債で持っていったもの、あるいは出資で持っていったものがむしろほかに流れていっておる。数字だけ見ればそういうことになるわけですね。ですから、そういう点では地場を使うというたてりか何かがあるのですか。それがないと、これは力関係です。もとは皆大きいのですから、そうでないとやれぬわけですから。それが下請に出せば孫請に出すというような形では、実際に仕事が流れてきたとしても、利潤というのはほとんどない。自転車操業のような形になるわけです。そういう点は公団として県なんかとも何回も話をしておると思うのです。そういう点では、一つのたてりといいますかルール、地場へどういう形で流すというのをつくったらどうだろう。あるのだろうと思うのですよ。そちらから答えがないものですから、具体的にいま数字を私申し上げたのですが、その点はどうですか。
  359. 山根孟

    ○山根参考人 お答えします。  現段階では、先生がいま御指摘のような意味での特段のルールというものはございませんが、実際上の指導の仕方といたしまして、大規模な工事におきまして下請を使うという場合には、地元業者の力をかりてやるという指導をいたしております。
  360. 水田稔

    水田分科員 私が数字を申し上げたのは、これだけの額の中で、実際には、地元の銀行なり県が出した金というのは、県内にそれさえも全部は落ちてないわけですよ。というほど少ないわけですね。どこかよそへ行っているわけです。だから、数字から見て十分だとお考えなのか。私は不十分だと思うのですね。これだけの大工事をやるわけですから、もう少しそういう点は配慮してしかるべきじゃないか。  具体的に申し上げますと、たとえばいろいろな工事がありますからクレーンをたくさん使いますね。それで、岡山でクレーン協会をつくって、公団へそういう仕事があるときにはこっちへ出してもらいたいとお願いに行ったのです。これはシャットアウトですからね。おまえら来たって——それはわかるのです。なぜなら、公団が使う場合官庁と一緒ですから、当然経営審査を受けて業者登録をしない者には出さぬわけですからね。だから、そういう中で、一つの県内でやれるものについては、一つの協同組合かあるいは協会をつくって、県が窓口になり、こういう場合にはこういうところへ流してくださいというようなものがあればもっとスムーズにいくのではないか、具体的な例を申し上げるとですよ。そういうことをやらないで、単にお題目のように、地元業者を県なり商工会議所へ言ってくれば使いますよ、十分配慮します、こう言っている。実際には使っていない。そういう団体が行っても相手にしないというような例があるわけです。これは初耳かもしれませんけれども、実態はそうなんです。それは当然なんです。公団がやるときに、どこの業者でも勝手におい出てこいというわけにはいかぬ。年に一回ちゃんと業者登録しないとそこへ直接発注できない。そういうことであるならば、そういう団体に、こういう仕事については大手の二次の下請で使うとか、そういうことができる体制をつくってやらぬと仕事は流れてこない。流れてこないのは数字の上で明らかなわけですからね。そういう点はどうなんですか。ぜひやってほしいと思うから言うのです。
  361. 山根孟

    ○山根参考人 私どもの基本的な考え方は、陸上部の仕事については、特殊なものを除いては、できるだけ地元の業者の方々の受注機会を多くすることがまず先決であるというぐあいに考えております。  では、その地元の中で、次にどういうぐあいに考えていくかということがあろうかと思いますが、その点につきましては、なお今後検討をいたしてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、陸上部の仕事につきましては、特別な工事を除いては、原則的には地元業界に、地元方々も、実は岡山には先生御案内のように、それぞれのランクごとにそれぞれのりっぱな方々がいらっしゃいますので、先ほど申し上げましたように、工事の難易度なり規模、能力といったものを勘案して、受注機会が増大するように今後ともやってまいりたい、こういう考え方でございます。
  362. 水田稔

    水田分科員 実際には、地場にできるだけということを言っておるだけですが、それができる状態、それから特に、言うなれば足元の、工事を目の前でやっておるところの中小零細もおるのです。そこらを生かして使うというようなことも、本社の方から現地へ厳重に指導していただきたいことをぜひお願いしておきたいと思います。  それから、同じように、いわゆる資材の購入についてはどういうぐあいにされておるのか。遠いところから同じものを持ってくるのではなくて、あそこは鉄もできるし、まあ自動車は要らぬわけですけれども、作業に使う用具等相当な産業のある地域ですから、それがよそを回り回って来るということでなくて、少しでも地場から購入するということについても、どういうぐあいになっておるのか。ぜひそういうことでやってもらいたいということを両方含めて申し上げます。
  363. 山根孟

    ○山根参考人 お答えします。  私どもがやっております工事その他の業務に必要な物資は、特別のものを除きましては、極力地元から調達するように努めておるわけでありますが、現実には施工業者が発注をいたします骨材、型枠といったようないわば工事材料は、ほとんど地元からの納入になろうかと思います。また公団が直接発注をいたします船舶用の燃料とか庁用備品といったようなやや細かいものがございますが、こういったものはおおむね地元業者からの調達によっているというのが実情でございまして、こういった考え方は今後とも維持をしていきたいと考えております。
  364. 水田稔

    水田分科員 私、これは数字を持っていないものですから、改めて一遍調べてみますけれども、ぜひいま答弁をいただいたようなことでやっていただきたいということを申し上げておきます。  建設省の方は、あえて質問ということはないのですが、お聞きのようなことで、監督官庁として、これは大変な事業の中で金も地元から出していく、それは呼び水で、よそから出した金も少しは流れてくるだろうと期待をかけておるけれども、数字からいうとそうなってないので、公団に対してそういう点の配慮をするように、ぜひ建設省からも要請をしていただきたいということをお願いいたしまして、終わりたいと思います。
  365. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて水田稔君の質疑は終了いたしました。  次に、武田一夫君。
  366. 武田一夫

    武田分科員 まず最初に、建設大臣にお尋ねをいたします。  私は、東北開発の問題でお尋ねをしたいのでありますが、三全総、四全総、こういくわけでありますが、見ておりますと、どうも余りさえないのですね。なぜかといろいろ考えてみますと、どうも予算的な措置がばらまき的なものが多いものですから、あちこちに金がとられるので、そういうことになっていくのじゃないかと思うのですが、東北の開発の重要性というものはいろいろな分野で主張されている。たとえば農林水産省に言わせれば、食糧供給基地である。これはもうそのとおりです。東京、関東を中心とした地域には大変おいしい米を中心として提供をしている。また電力とか水などは、東京中心に七割くらい東北があずかって力があるわけです。そしてお盆や暮れやあるいは観光シーズンになりますと、よき景観を求め、温泉を求め、たくさんの方々がおいでになる。新幹線ができまして一層それもにぎやかになる。高速道路ができまして、一層これまた便利になったということで、憩いとくつろぎを与えるというような、あらゆる面で非常に恩恵を与えていながら国の恩恵が弱いというのは、私にとっては非常に残念なんです。  そこで、経済指標というか、要するに暮らしの面で見ましても、東北というのは沖縄や南九州に次いで下の方ですね。経済指標は、東京を一〇〇にしますとせいぜい八八か九〇ぐらいでしょう。非常に下です。それから民間の活力が非常にない。ですから、民間で何か仕事をやるといったってとてもできないから、東京、関西から来てやっちゃう。地元が締め出しを食う。私はこれではいかぬと思うのですよ。  そこで、やはり東北が期待しているのは、公共事業の問題が特に大事だと思うわけでありまして、中小需細企業が九九%いる地域でもありますので、一つ予算措置で、今後は重点的な傾斜配分といいますか、そういうようなことを一つの課題として真剣に取り組むことが必要ではないか。そうでないと、いつまでたっても、東北の重要性を言いながら、東北の機能が十分に活用できて、日本の背骨となって発展をしなければならないそういう宿命にある東北がなかなか思うように発展しない。これは日本全体にとってもマイナスというふうに思うのでありまして、この点についての建設大臣のお考えをひとつ聞かしていただき、今後の対応を聞かしていただければ、こういうふうに思います。
  367. 内海英男

    ○内海国務大臣 建設省といたしましては、従来から国土の均衡ある発展を図るという意味からいきまして、魅力ある地域整備を目指して国土の建設を推進してまいったわけでございます。  東北地方は、ただいま先生からもお話しのございましたように、食糧、原料、エネルギー等の主要な供給基地として、わが国の経済発展のための基盤を支える役割りを果たしてきたということは、先生御指摘のとおりでございます。しかしながら、一面、厳しい気象条件、交通体系が不十分であること等により、率直に言って、長い間後進地域としての地位に甘んじてきたわけでございます。  このため、東北地方は御指摘のように、公共事業に依存する依存度が非常に高いわけでございまして、社会資本の充実が叫ばれておるゆえんでもございます。したがいまして、国土総合開発法また東北開発三法に基づく各種施策が講じられてきたことも御承知のとおりでございます。今後とも道路網の整備、都市基盤の充実、国土の保全及び水資源開発に努め、東北地方の有する豊かな開発可能性を促進する努力をいたしてまいりまして、地域住民の生活の向上、充実のために、全力を挙げてこれらの事業推進を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  368. 武田一夫

    武田分科員 これは国土庁なんかにも、私は東北開発審議会のメンバーの一人でありますので、毎回のように主張してきたわけでございますが、非常にたるいですよね。東北もテンポがおそいからそれに合わせているのだと言われるくらいおそいのです。それじゃいかぬと思うのですよ。ですから、大臣の期間をなるべく長くやってほしいと願いつつ、その間に東北開発審議会ももう一度開いていただいて、これはちょっとめりはりのきく対応をしていただかぬといかぬ。何のために大臣に出てきたのだとよく言われたのでは申しわけないし、運輸大臣もいることですから、道路の話をこれからやるわけですが、これは本当に深刻な悩みです。  われわれ地元に帰っていくと、東北の代議士が何人いても、そんなものは関西や九州なんかにみんな負けちゃうのじゃないか、団結がないのだからといって気合いを入れられても、われわれ一生懸命やろうにも、その上に立つ人が、深刻に考えているようでも、実際一つ一つを見てみますとそうでないという繰り返しですから、これはもう正直言いまして、だまされ続けて生きてきたという感じです。ですから、定住圏構想なんていっても、どこでどうなっておるのかさっぱりわからぬですわ。地元の人がどだいわからぬような仕事に多額の金を使いつつやるなんということも、またこれは心外でございまして、そういう点でのしっかりと実るような対応をしてほしい、これは切実にお願いしたいのでございます。  そこで、具体的な問題、地元の問題、特に道路の問題で、これは一つの地域でございますが、こういうケースはほかにもたくさんあると思うわけで、一例を申しながらお願いしたいケースを質問いたします。  それは宮城県の柴田郡大河原町、これは仙南の中心です。県庁の出張所があそこにありまして、行政の中心です。それから川崎町、ここは今度大規模国営公園もできる等々、観光等を含めて柴田郡という一つの中でお互いに発展する地域でありますが、不幸にしてここは道路事情が二つとも非常に悪い。もとは悪くなかった。なぜ悪くなったか。便利のためにそこを通る車の量が多いのに、道路が狭過ぎる。ですから、これをどうにかしてくれというので、いろいろと陳情しながら、一部はそれに取りかかっておる。片方はこれからやろうとしておるというケースです。  まず、大河原町の問題。これは国道四号線の柴田バイパスですね。この工事は一体どうなっておるのか。いつごろ苦労がなくなるような対応がちゃんとできるのかという点、まず簡単に説明してください。
  369. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 御説明いたします。  柴田バイパスは、宮城県大河原町及び柴田町の現国道四号の交通渋滞の解消及び交通安全の向上を図るための大河原町金ケ瀬から柴田町槻木に至る延長九・一キロメートルの四車線バイパスでございます。  このバイパスは、昭和四十六年度から直轄事業として事業に着手いたしました。このうち柴田町地内で約三キロメートルを暫定二車線で供用させていただいております。  当バイパスのうち、大河原町内については、大河原町金ケ瀬の現四号と接続する個所から主要地方道亘理・大河原・川崎線までの間約二・五キロメートルを当面の重点区間として事業を進めてきております。この区間につきましては、五十七年度末で改良が完成する予定でございますし、五十八年度にはできるだけ供用できるように鋭意事業促進を図ってまいりたいというふうに考えております。  さて、そのほかのところでございますが、いま申し上げました亘理・大河原・川崎線から供用を開始しておる区間につきましては、すでに用地買収が終わっておりますので、これについても早期に工事に入りたいと考えております。  それから、いま供用している一番仙台側の区間から仙台側の起点までの区間につきましても、現在用地買収が終わりまして、工事に着手いたしておりますので、この全線供用開始については、できるだけ早期にするよう積極的に推進してまいりたいと考えております。
  370. 武田一夫

    武田分科員 ここの状況はどうなっておるかというのをよく聞いてほしいのですが、一つは、国道四号線の町内車両交通量が物すごくふえておるということは非常な問題なんです。なぜふえてきたか。東北高速道路のいわゆる村田インターチェンジからの交通量が著しく増加したわけですね。それから笹谷トンネルが五十六年四月にできましたね。ああいうのをつくるときには、中身をちゃんとしながらつくらぬと困るのだね。つくって出たと思ったら、今度笹谷の影響がこちらに来るのですから、そのために一段と交通量がふえた。だから、特に込むのは商店街なんです。商店街が交通地獄ですよ。だから商売にはならぬ。こういう生活権まですら脅かすような状況。ですから、歩行者や通学、通勤者の生命の安全にもいろいろと支障を来すようなことがあるのです。大体そういうところは学校があってバスの乗り場があったり、とにかく人の出入りが多いところです。  それからもう一つは、大河原町には仙南地域広域行政事務組合二市七町の消防本部が設置されている。消防活動の対応に非常に苦慮しているわけです。緊急出動あるいは消防車の出動に当たって、その機能が十分発揮できないという新たな悩みが出てきまして、一たん火事があった場合はどうするのだという深刻な——特に、御承知のとおり宮城県は地震のあったところでしょう。あの地震の後遺症はいまだにありますね。しかも、最近地震は多いわけです。しかも、ことしのいのしし年というのは、あの関東大震災があったときと同じ条件の年だというものだから、正直言いますと、そういうときに対応する体制などを考えますと、すぐにでも道路をばっと大きくしたいような心境です。ですから、こういう特殊事情といいますか、それを考えて早目に早目にやってほしいのです。ほかの少しがまんしてもらえばいいというものをやっちゃう。要望が来るといい顔しなくちゃいけないなんてことはいかぬと私は思うのです。要するに、その機能とか重要度を考えて、金がないときは少し思い切ってそういうのは目をつぶってやるということも必要ではないか、こう思うのです。  それから川崎町、この川崎町というのはもっとひどいのです。これは国道二百八十六号、前川工区の改良整備の件なんです。これは仙台圏と山形都市圏を結ぶ笹谷トンネル開通で大変です。観光地でございますし、山形競馬へ行く人もこの中にまざってきまして、特に土、日になりましたら、道路が狭い上に曲がりくねっているものですから、ここに入ったら地獄の八丁目です。ですから、ここも大河原以上に商店街の売り上げの減少、影響は物すごく大きい。しかも、今度「国営釜房湖畔公園(仮称)」をつくっていただくことになったのですが、これがその中心のところにどかんと出てくるのです。これは東北に一つだけですから非常にありがたいわけですが、ここにおいでなさるのは、東北、関東一円から二百万近く来るのじゃないかといま予想されていますね。これは長くなってほしいとだれも思わないのです。どのぐらいでやってもらえるのかわからぬけれども、恐らく五年ぐらいでやってくれるでしょう。十年も二十年も先だったら、こんなものかえって邪魔なんですから。そうなりますと、一層道路事情は深刻でございますので、この川崎町はどうなって、どのようなめどでこれをしかと完成させる方途を考えているのか、聞かしてもらいたいのです。
  371. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 一般国道二百八十六号は川崎町の中心部を通過しておりまして、ちょうど中心部でクランク状になっており、その幅員が全幅で六から七メートルで一次改良は一応完了いたしております。先生いま御指摘のとおり、山形県境の笹谷トンネルの開通後、交通量の伸びが著しく、川崎町前川地先にあります交通量観測装置のデータによりますと、日交通量が五十六年で六千三百台、大型車混入率が約一一%となっております。この川崎町の中心部の交通隘路区間打開のため、延長三・六キロメートル、幅員十一メートルのバイパスを計画いたしまして、昭和五十五年度から事業に着手しているところでございます。昭和五十七年度は、用地買収、それと改良工事の一部並びに前川一号橋に着手いたしております。これからも事業促進を図り、部分供用を予定している区間、これは仙台側の起点からちょうど農道に接続するまでの二・三キロメートルの区間でございますが、この区間の部分供用を一日も早く行うように現在重点的に整備を進めておるところでございます。
  372. 武田一夫

    武田分科員 これは地図を持っているでしょう。(地図を示す)こういう状況ですから、ここにいただくわけですから、それでずっとこういって、ここまでいくわけでしょう。それからこちらの方に。これは高速ですから。これができる前にちゃんと、しかも早目にやっておかぬと、これから工事が始まると、この辺の人はどこかへ引っ越さなければいけない。しかも丸のついたのが一番中心でしょう。これはおわかりですね。だから、ここのところがやってほしい、こういうわけですから。これは本当に普通の道路の進捗のようなやり方でやっていくと、この町はこれだけで経済的にもいろいろな状況の中でどん詰まりになっちゃって、町民というのは非常に苦労するのじゃないかと思うのです。ありがたいものをちょうだいしたのですが、これがかえって裏目に出てこないかという心配をいたします。この点よく御配慮をいただきたい。計画は早い方がいいのです。大体計画というのは、何をやっても、漁港整備をやろうと沿岸漁業をやろうと、みんな計画というのは七年、五年とおくれまして、おくれるたびごとに金高が高くなるでしょう。そうすると、予算がそれに合わせてやらないものだからまた長引く。これは大臣は農林水産委員会のときにもずいぶん苦労したので知っていらっしゃいますが、陸も海も同じ。ただ海の場合は、それでもわりと少ないからいいんだけれども、ここは住んでいる人が中心にいっぱいいる。ほとんどここにいる。こういうことでございます。ひとつよく御理解いただいて、早期にりっぱなものをつくって——ほかの人間がみんな来るんだから、地元の人以上にほかの人たちの方が利益を受けるという地域でございますから、その点ひとつ御理解いただきたい。  最後にこの問題です。(資料を示す)これはみごとなものができようと思って、これは地元だけでなく東北の人も非常に喜んでいます。これは東北で一つしかできないのだそうですね。皆さん方の御配慮を大変ありがたいと思うのですが、ここはこれから用地買収等始まるわけですね。早く用地買収もできると思うのです。環境は整ってます。  そこで、釜房ダムがあるわけですね。一つは、これは仙台市のわれわれの水でございまして、この水資源を大事にしなくてはいけないというので、いろいろと今後の工事等の中において自然環境の保全とあわせて御苦労あると思いますが、上水道源でございますので、この工事等に当たりまして、これをしっかと保存がきくような対応でやってほしいということ。  それからもう一つは、これができ上がったときのことももう心配しているのです。地元の特に商工会の皆さんですが、これを利用してわれわれの生活がもっとよくなるような方向にいくのでしょうね。雇用の問題とかあるいは商売の問題とか、これができたらほかから業者が入ってきて、たとえば園内で何かできるでしょう。食堂からいろいろできる。そこにほかのものがぽんと入っちゃって地元はのけもの、そんなことにならぬでしょうなということを、この間集まりのときに深刻に聞かれたので、私は、そういうことをする大臣でもないし、まさかそういうことをする建設省でもありませんよと言ったものの確信がないわけですが、私ももう一回確信を持って地元の人に説明できるようにしてほしいと思います。  この二つ、特に期待をしている反面そういう心配もしている。ですから、雇用の問題とかそういう商工会の商工業の皆さん方の御心配が杞憂のものであるというような点についての御説明をひとつ聞かせてもらいたい、こう思うのです。
  373. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 お尋ねの点二つございます。まず第一点の水質保全の関係の問題でございます。国営釜房湖湖畔公園、これは東北地方におきます広域的なレクリエーション需要に対処するために五十六年度から整備に着手し、現在調査設計を行っている段階でございます。この建設工事に当たりましては、釜房ダムの水質保全に万全を期するよう現在施工方法等について必要な検討を加えているところでございまして、御懸念のようなことがないように十分配慮していきたいと思っております。また、公園の利用にかかります汚水につきましては、その全量が川崎町の公共下水道によりまして処理される、こういう予定でおります。  それから第二点の、公園はできたけれども地元に余りメリットがないようなことでは困るというお話でございます。開園後におきましては、当然公園においでになる方々がふえますことによって地元にも何がしかのメリットはあるに違いないわけでございますが、そのほか公園自体の清掃、草刈りあるいは御指摘の売店運営等公園の維持管理業務等が当然行われるわけでございます。こういった業務を行う場合に、公共的な施設でございますので、当該業務の適切な執行ということを当然考えなければいけないわけでございますが、この場合、地元振興に資するように、関係の地方公共団体あるいは住民の御意向を踏まえまして対処していきたいと考えております。
  374. 武田一夫

    武田分科員 これは基本計画図が出ていますが、大体このとおりいく方向なんですか。
  375. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 現在その図面はちょっと私の手元にないのですが、その一期分につきまして鋭意仕事を進めている段階でございます。私どもの予定では、現在まだ調査中なものでございますので、なるべく早い時期に着手をいたしまして、できる限り早い時期に開園したいというふうに考えております。
  376. 武田一夫

    武田分科員 大臣、基本計画図を見ると、これは理想的というか非常にすばらしいものなんです。そこに地元方々がメリットを受けるようなものがずいぶん見受けられますよね。ですから、いま答弁あったような方向でやってもらえれば地元の人も心配ないと思いますが、なお今後これは相当活用の度合いも広く、しかも高度な利用ができるところであって、東北の一つ発展というか開発の中のよき刺激になるのではないかと私は期待しているわけで、この件についても何年後にできるのかわからないなんというようなことでなくて、大変な中でもがんばるということを地元へのサービスのために一言聞かせてもらえれば、時間は早いけれども、これで質問を終わりたいと思います。
  377. 内海英男

    ○内海国務大臣 武田先生地元でございますし、大変御熱心な御提案でございます。私どもも東北にただ一カ所という点から見ましても、重点的にその計画を推進して、ただいま局長から聞きますと、五年ぐらいをめどに何とか開園にこぎつけたい、こういった努力をするつもりでございます。
  378. 武田一夫

    武田分科員 それではまだ時間が残っておりますが、大変いい答えがいただけましたので、早目に終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  379. 藤本孝雄

    藤本主査 これにて武田一夫君の質疑は終了いたしました。  次回は、明五日午前九時三十分より開会することとし、建設省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十五分散会