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1983-03-05 第98回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月五日(土曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主査代理 亀井 善之君       三原 朝雄君    新村 勝雄君      武田 一夫君    平石磨作太郎君    兼務 沢田  広君 兼務 野坂 浩賢君    兼務 榊  利夫君 兼務 中島 武敏君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     山本 幸雄君  出席政府委員         自治大臣官房長 矢野浩一郎君         自治大臣官房審         議官      田中  暁君         自治大臣官房審         議官      土田 栄作君         自治大臣官房審         議官      吉住 俊彦君         自治大臣官房会         計課長     大塚 金久君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    坂  弘二君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君         消防庁長官   砂子田 隆君  分科員外出席者         警察庁刑事局保         安部防犯課長  古山  剛君         警察庁交通局交         通企画課長   広谷 干城君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       加藤  茂君         大蔵省主計局主         計官      八木橋惇夫君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      蕨岡 達慈君         運輸省自動車局         整備部公害防止         課長      藤野 團治君         日本国有鉄道旅         客局総務課長  小澤 敬三君     ───────────── 分科員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   木島喜兵衞君     新村 勝雄君  武田 一夫君     平石麿作太郎君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     上田  哲君  平石麿作太郎君     武田 一夫君 同日  辞任         補欠選任   上田  哲君     木島喜兵衞君 同日  第四分科員榊利夫君、中島武敏君、第五分科員  野坂浩賢君及び第七分科員沢田広君が本分科兼  務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  (自治省所管)      ────◇─────
  2. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  主査所用のため、その指名により私が主査の職務を行います。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算自治省所管について政府から説明を聴取いたします。山本自治大臣
  3. 山本幸雄

    山本国務大臣 昭和五十八年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でありますが、歳入は三億一千六百万円、歳出は七兆七千九百三億五千百万円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度の予算額八兆一千二百三十六億三千八百万円と比較し、三千三百三十二億八千七百万円の減額となっております。  また、この歳出予算額組織別の額を申し上げますと、自治本省七兆七千七百六億五千万円、消防庁百九十七億百万円となっております。  以下、主要な事項につきましては、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。  よろしくお願いを申し上げます。
  4. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 この際、お諮りいたします。  ただいま自治大臣から申し出がありましたとおり、自治省所管関係予算概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────   〔山本国務大臣説明を省略した部分〕  以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源繰り入れに必要な経費でありますが、七兆三千百五十一億四千五百万円を計上いたしております。  これは、昭和五十八年度の所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額合算額八兆五百十八億四千万円から昭和五十六年度の地方交付税に相当する金額を超えて繰り入れられた額八千五百一億九千五百万円を控除した額に昭和五十七年度特例措置に係る額の繰り上げ加算額一千百三十五億円を加算した額を交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるためのものであります。  次に、臨時地方特例交付金繰り入れに必要な経費でありますが、二十億円を計上いたしております。  これは、地方財政状況等を考慮し、昭和五十八年度の特例措置として交付税及び譲与税配付金特別会計を通じ地方交付税交付金として交付する財源の同特別会計への繰り入れに必要な経費であります。  次に、借入金等利子財源繰り入れに必要な経費でありますが、三千五百五十七億七千七百万円を計上いたしております。  これは、地方交付税交付金に係る借入金及び一時借入金利子支払い財源交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるためのものであります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。  これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金交付するためのものであります。  次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、五十二億円を計上いたしております。  これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金交付するためのものであります。  次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として、十七億五百万円を計上いたしております。  これは、交通安全対策特別交付金等に必要な経費及びその財源である交通反則者納金等交付税及び譲与税配付金特別会計に組み入れ、一般会計と区分して経理することとしたことに伴い、同交付金昭和五十六年度精算不足額を同特別会計繰り入れるためのものであります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分利子補給に必要な経費として、百三十一億八千六百万円を計上いたしております。  これは、新産業都市工業整備特別地域等建設整備の促進を図るため、建設事業債特別調整分について利子補給金交付するためのものであります。  次に、地方公営交通事業再建債利子補給に必要な経費でありますが、十四億六百万円を計上いたしております。  これは、地方公営交通事業再建を促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こした再建債について利子補給金交付するためのものであります。  次に、再建地方都市バス事業車両更新費補助に必要な経費でありますが、六億九千万円を計上いたしております。  これは、財政再建を行う地方都市バス事業を経営する地方公共団体に対する当該事業車両更新費補助に必要な経費であります。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、百一億五百万円を計上いたしております。  これは、公営地下高速鉄道事業債に係る支払い利子に相当するものとして昭和五十七年度末までに発行を認めた特例債及び昭和五十八年度において発行を認める特例債利子について、地方公共団体助成金交付するためのものであります。  次に、公営企業金融公庫補給金に必要な経費でありますが、百三十六億六千四百万円を計上いたしております。  これは、公営企業金融公庫上水道事業下水道事業工業用水道事業交通事業市場事業電気事業及びガス事業に係る貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫交付するためのものであります。  なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費七億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、広域市町村圏等整備推進に必要な経費でありますが、十五億六千四百万円を計上いたしております。  これは、田園都市構想に即し、地域社会の総合的な振興を図るため、広域市町村圏等における田園都市中核施設整備計画の策定に対する補助及び当該施設整備に対する助成交付金交付に必要な経費であります。  次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、八億八千四百万円を計上いたしております。  これは、選挙人政治常識の向上を図り、選挙をきれいにする国民運動及び政治倫理化運動推進するために要する経費について、都道府県に対し補助する等のために必要な経費であります。  次に、参議院議員通常選挙に必要な経費でありますが、二百五十六億六千五百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和五十八年度における参議院議員通常選挙の執行に必要な経費参議院議員通常選挙開票速報に必要な経費選挙人に対する参議院議員通常選挙啓発推進をするために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁について御説明申し上げます。  まず、大震火災対策に必要な経費として、四十四億七百万円を計上いたしております。  これは、震災等規模災害に備えるため、新たな通信衛星利用施設を含む消防防災無線通信施設整備及び耐震性貯水槽コミュニティー防災センターなど震災対策のための諸施設充実を図るとともに、防災知識啓発及び消防防災対策調査推進するために必要な経費であります。  次に、消防施設等整備費補助に必要な経費として、百三十七億二千九百万円を計上いたしております。  これは、市町村消防力充実強化を図るため、消防車、防火水槽など消防に関する施設及び装備の充実高度化地域の実情に応じて重点的に推進するとともに、石油コンビナート等における防災対策推進を図るために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして御説明を申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計がありますが、昭和五十八年度からは、この特別会計に新たに交通安全対策特別交付金勘定を設けることとしております。  まず、従来の交付税及び譲与税配付金特別会計に該当する交付税及び譲与税配付金勘定歳入歳出予定額は、十九兆六千八百三十三億三千二百万円となっております。  歳入は、地方交付税交付金及び借入金等利子財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額地方道路税収入見込み額石油ガス税収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金地方譲与税譲与金及び借入金償還財源等国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定歳入予定額は五百八十三億一千二百万円、歳出予定額は五百三十五億九千五百万円となっております。  歳入は、交通反則者納金収入見込み額及び一般会計からの昭和五十六年度精算不足額受入額等を計上いたしております。  歳出は、交通安全対策特別交付金等に必要な経費であります。  以上、昭和五十八年度の自治省関係一般会計及び特別会計予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     ─────────────
  6. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 以上をもちまして自治省所管についての説明は終わりました。     ─────────────
  7. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。まず、新村勝雄君。
  8. 新村勝雄

    新村分科員 私は、最初に、パチンコについて幾つかの点をお伺いしたいと思うのです。パチンコがいま大変隆盛をきわめておりまして、健全娯楽ということであれば、これは何もとがめるべき点はないわけであります。その運営について若干の問題があるのではないかと思います。  そこで、まず、いま競輪、競馬、競艇と並んで大変国民の間にもてはやされているといいますか、人気のあるパチンコでありますけれども、これの規模業者あるいは台数、推計の売り上げ、そういったものの概要をまず伺いたいと思います。
  9. 古山剛

    古山説明員 業者数が約一万で、それから機械台数が二百十一万台でございます。売り上げ状況については、私どもよくつかんでおりません。
  10. 新村勝雄

    新村分科員 いまの業者一万、台数が二百万、そして巷間のうわさによりますと売り上げは二兆を超えるだろう。恐らくこれはその辺だと思います。こういう大変な規模になっておるわけでありますが、この実際の状況を見ますと、これは玉が出て、それに対する賞品をそこであげるということだと思うのですけれども、これが賞品ではなくて、お金で返しているというのがほとんどの例になっているようです。  現金でこれを返すということはいいのですか、そういうことは。
  11. 古山剛

    古山説明員 パチンコ屋は、御承知のことと存じますけれども風俗営業等取締法によりまして許可対象営業とされまして、いろいろな規制が加えられておるものでございます。具体的には、この風営法の規定に基づきまして都道府県条例でいろいろな規制を行っているわけでございます。  ただいまのお話換金行為につきましても、各府県の条例で、営業者あるいは従業員に対しまして、客に提供した賞品を買い取りまたは買い取らせてはならないという規定を置いているわけでございます。したがいまして、営業者等による換金行為景品を金にかえるということを営業者等が行いました場合には風俗法違反あるいは条例違反になるわけでございます。
  12. 新村勝雄

    新村分科員 景品を売るということも一つのやり方だと思いますけれども、直接金で払っているのですね。たとえば玉が千発出たという場合には、まず千発の金券を渡して、その金券を今度は金にかえるということで、直接金で支払っているという形なんですね。私は実際に参考のために現場を見たのですけれども、玉が出ますとその玉に相当する金券を店で渡す。その店では金券を黙って渡すわけです。この金券をどうするんだということを聞きますと、明確なことを言わないですよ。実はその金券をその店でなくほかへ持っていって金にかえる、こういうことが行われておるわけですね。これはほとんどどこでも行われておると思います。私は東京都内で実際見たわけですから。  そうしますと、こういう明らかに違法行為が公然と行われているということですね。これをどうお考えですか。
  13. 古山剛

    古山説明員 金券あるいは現金を、遊技の結果得た玉等に対しましてそれのかわりに与えるということは、これは禁止されておりまして、私どもの方ではそういったことが行われているということは耳にいたしておりません。
  14. 新村勝雄

    新村分科員 耳にいたしておりませんということですね。ところが、これは耳にいたしておりませんというのは大変理解に苦しむわけでありまして、こういうことがもうほとんど平然と行われておるわけですよ。風俗営業を取り締まる御当局がそれを御存じないというのはおかしいのですが、それはどうなんですか。
  15. 古山剛

    古山説明員 そういう実態がございましたら、厳しく取り締まりたいというふうに思います。
  16. 新村勝雄

    新村分科員 実態がありましたらではなくて、そういう実態が広範にというか、もうほとんどどこでも半ば白昼公然と行われておるわけですから、これをひとつよくお調べを願いたいと思います。その結果を後でまたお伺いしたいと思います。  それから、いまそれに関連して申し上げたように、パチンコ屋の店で金券をもらって、その金券をほかへ持っていくわけですよ。ほかへ持っていって、ほかにちゃんと窓口がありまして、窓口へ出すとお金が返ってくるということですから。聞くところによると、換金業者パチンコ営業者とは全く別な人がやっているということが言われておりますね。それで、換金業者は玉一個について、場所によって違うのでしょうけれども、七十銭程度の利益を得ているということが言われております。この益金が好ましからざる方面に流れている、暴力団の資金源に流れておるということが公然とささやかれておるわけですね。そういう実態御存じですか。
  17. 古山剛

    古山説明員 私どもといたしましては、パチンコ業者が客に金券を提供して、そして、その金券がほかでかえられるということについては聞いておりません。ただ、パチンコの客が得た玉を遊技場景品にかえてもらって、そして、その景品を第三者がやっているところへ持っていきまして金にかえているというようなことはあると聞いているわけでございます。したがって、別なところへ品物を持っていくという事実はあるというふうに聞いておりますけれども金券を持っていって別のところでかえるということは聞いておりません。
  18. 新村勝雄

    新村分科員 これはおかしいですよ。とにかく日本警察は世界一の情報網組織を誇っておるわけですよね。現に——決して私はパチンコ常習者ではなく、やっていないのですよ。ただ、そういうことがあると聞いたためにたまたま行ったところがやっているわけですよ。ですから、例外的にやっているのではなくて、ほとんどどこでも常習的に白昼公然と行われているわけです。それを世界一の警察御存じない、そんなことはおかしいですよ。これを警察御存じないというはずはないですよ。警察はそれを見逃していらっしゃるのじゃないですか。どうですか。
  19. 古山剛

    古山説明員 全く行われていないかどうかということについてまで自信はございませんけれども、私どもの耳にはそういうことは入っておりませんし、それから、そういう金券を渡すとかあるいは業者換金をするということについては厳しく取り締まっているわけでございます。しかしながら、そういうお話でございますので、そういった実態につきましては早急に調べたいと思います。
  20. 新村勝雄

    新村分科員 これはひとつ調べて厳しく取り締まっていただきたいと思います。これは明らかに違法なわけで、違法なことが白昼公然と横行しているというのは大変遺憾なことでありますし、同時にまた、パチンコが健全な大衆娯楽の域を脱していることになりますから、これはひとつ厳しく取り締まっていただきたいわけであります。  同時に、これは大臣にお伺いするのですが、これと関連をして、昨年来大阪におけるゲーム機汚職がマスコミをにぎわしたわけですね。私は、これはそういう問題とも同根ではないかと思うのです。というのは、このパチンコ、あるいはパチンコに限らず、風俗営業というのは、警察当局が取り締まるという関係にあるわけですね。ところが、ゲーム機汚職にしましてもあるいはまたパチンコの問題にいたしましても、警察さんがどうも本気で取り締まっていないのではないかという疑いが持たれるわけです。そこへたまたまゲーム機の問題が起こってきたということでありまして、賭博行為が白昼公然と行われているのに警察当局がこれを見逃しておる、また一方ではゲーム機汚職が起こるということ、これについて大臣はどういう感想をお持ちですか。
  21. 山本幸雄

    山本国務大臣 警察もいろいろな仕事があるわけですが、その中でいわゆる取り締まる対象になる業界との接触面警察では非常に問題点だと私は思うのです。そこで、いま仰せのように、取り締まりをする場合の警察あり方、態度というものはけじめをつけてきちっとやってもらわなければいけない。したがって、こういう風俗保安警察を担当する者は、十分にそういう点に心して取り締まりに当たるということでなければならず、警察部内でもそれについてはいろいろ対策を立てて今日まで来たことだと思います。今回はそういう面について大いに反省をさせられるような事件が起きまして、警察といたしましては、そういうことを繰り返さないような今後の対策というものを考えてやっていこうという体制にいまあるわけであります。
  22. 新村勝雄

    新村分科員 大臣警察の御出身だし、専門でいらっしゃるわけですけれども、このゲーム機汚職について新聞が論説でこういう主張をしていますね。「前本部長引責自殺にまで追い込んだ大阪府警とばくゲーム機汚職事件は、百二十人の大量処分警察サイド調べを終わった。処分を受けた警官の数もさることながら、処分内容から推して事件は単に資質の悪い警官個人的非行ではなく、風俗営業業者と、これを取り締まる警察構造的汚職だったことを示すもので、心からの怒りを感じる。」いわゆる構造的な汚職だったというふうに、これは新聞主張ですけれども、言っているわけですね。構造的というところに問題があるわけですよ。  もう一つ私が指摘したいのは、風俗営業というのは、パチンコを初めとして遊技場等警察が責任を持って取り締まるわけなんです。そして、パチンコ業者は取り締まられる側。ところが、ここにこういうことがあるのです。  前近畿管区警察局長をやった方が、今度参議院にお立ちになる。これは結構なんですが、その方が全国のパチンコ業者大会で、選挙の応援をしましょうと、推薦を受けているわけですよ。こういう事態をわれわれが見ますと、さっき申し上げたように、新聞に言っているように、警察風俗業者との間の関係、この関係について、私はどういう関係があるか、そこまで言いませんよ。言いませんけれども風俗営業業者とこれを取り締まる警察との関係の構造的な問題になる、新聞はこう指摘している。そうして、そういう事態があるわけですよ。前管区局長パチンコ業者から選挙について推薦を受けておる。取り締まられる側の者が取り締まる人に対して応援しますということを大会で決定をするということは、何かそこに構造的なものがあるのではないかという疑いを持たざるを得ないわけですが、大臣はこれについてどういう感想をお持ちですか。
  23. 山本幸雄

    山本国務大臣 少なくも警察官は、現職中にそういう業者との関係においてはもちろん厳正でなければならぬと思うのです。そこで、退職した後の警察官あり方というのが問題になるわけでございますが、もちろん風俗営業取り締まり対象には原則として再就職はしない、こういう方針を立てて今日まで来ておると思います。  いまお尋ねのは、それとは少し趣を異にする問題であるように思うのでございますが、退職した警察官の政治的な活動という分野に入るわけでございまして、私どももそういう面について何がしかの感想を持つわけでございますけれども、それはそれとして、退職した警察官がそういう政治的活動をされることについては、私どもも、警察という立場はよく考えておやりをいただいているものであろう、そのけじめはつけながらやっておっていただけるものであろうと考えておるわけでございます。
  24. 新村勝雄

    新村分科員 いや、警察にいらっしゃった方が政治活動をおやりになる、これはもう御自由だし、何ら責めるべき問題ではないのです。ただ、いろいろこういう事態が一方ではある、そういう中で警察の高官、最高のポストを占めておった方が、パチンコ業者から政治活動について支援を受けることが果たして適当であるのかどうか。適当である、ない、違法であるか合法であるかということの前に、取り締まられる側、それから取り締まる警察当局、これとの間の構造的な問題をこの一つの例は象徴的に示していると私は思うのです。  もちろん、在職中にそういうことは表向きはなさらないでしょう。しかし、退職後といえども警察の高い地位におられた方が、取り締まられる側から政治活動について支援を受けるということは、これは在職中の延長ですからね、人間関係というのはそのときに突然できるものではないのですから、その前からずっと人間関係があって、それがこういう形であらわれてくるわけですから、こういう事態は大変残念だと思いますし、同時にまた、業者警察との間の関係が構造的な問題として指摘をされ、あるいはまた、そういうゲーム機汚職であるとか、パチンコ業者が公然と不正をやっている、それを取り締まらない、こういうことがそこから起こってくるのじゃないかという疑いをわれわれは持たざるを得ないわけです。  ですから、名前を言わなくてもわかると思いますけれども、こういう前管区局長パチンコ業者から推薦を受けるなんということについて、大臣は好ましいとお考えですか。
  25. 山本幸雄

    山本国務大臣 繰り返し同じことを申し上げることになるわけでございますけれども警察の幹部であった者が、新しい次の第二の人生として政治の社会で活動しよう、こういうお心組みでやっておられるものだと思うのです。いまお尋ねがありましたように、パチンコ業界も確かに取り締まり対象業者であるということは間違いない。また、中には先ほど御指摘のような警察が取り締まらなければならないような事態も一部にはあるかもしれませんが、一応パチンコ業というのは日本大衆娯楽として非常にもてはやされているような業種でもあるわけなんで、そう警察対象でいま厳しく取り締まらなければならないというほどでもないと思っております。一部には確かに御指摘のような点もありますからこれは取り締まらなければならない、そういう業種でもあろうと思うのです。私どもは、できるだけそういう取り締まり対象業者との接触面においてはひとつ慎重にしてもらいたい、先輩のそういう方々に私どももそういう希望を持っておる、そういう心組みでおるということは今後ともお伝えをしながらひとつやっていただきたいな、こう思っております。
  26. 新村勝雄

    新村分科員 大臣の御答弁、ちょっと歯切れが悪いですけれども、こういうことが現実にあるわけですから、ひとつ警察の綱紀を一層粛正されまして、こういう疑いあるいは国民から疑惑を持って見られることのないように、国家公安委員長たる大臣から厳しく御指導をいただきたいわけでございます。  なお、この問題についてはよく調査を願いたい。それから、その後の経過等については、また別の機会に詳しくお伺いしたいと思います。  次に、選挙の問題ですね。これについてはしばしば繰り返されていることでありますけれども、各級選挙における定数の不均衡、この問題はもう論じ尽くされている感があります。議論は尽くされていても一向に是正がなされないという事態があるわけです。参議院、衆議院、そして、もう一つ特に私は指摘をしたいのは地方議員の定数の不均衡、これが極端な形であらわれているわけです。衆議院については、千葉四区の最高、そして兵庫の最低の間では一対四・三くらいの開きがある。それから、参議院においては一対五・五くらいの開きがあるということで、これについてはもう議論が尽くされておるわけです。ただ一向にこの是正がなされないということはきわめて残念でありますが。  もう一つ、地方議員、特に県会議員、部会議員、これの定数不均衡が目立つわけです。私は千葉県でありますけれども、千葉県におきましては人口に対して一票の比重が最も軽い我孫子・沼南選挙区というのがあるのですけれども、これは人口十三万四千七百六十七人に対して県会議員が一人、ところが一方海上郡という郡がありまして、これが人口二万七百六十四名について一人ということですから、有権者にしますと一万五千四百三十九対九万一千百五十七ですから、一対六・四九ということで国会議員以上に格差が開いております。そして、ことし県会でいろいろ論議があったのですけれども、これはいろいろな問題がありまして、ついにこの是正が全くされなかった。そして、四月十日の選挙に臨むわけです。  自治法にも公選法にも、定数については基本的に人口に比例させるべきだという原則が明らかに示されておるわけですけれども、それに対して国においても地方においても一向にこの是正が実現しない。こういうことについて自治省はどうお考えですか。
  27. 岩田脩

    ○岩田(脩)政府委員 地方議員、ことに選挙区制のある地方議員でございますから、都道府県会議員の定数と人口の関係についてお答えを申し上げるわけでございます。  ただいまお話がございましたように、千葉県の場合、最大のものと最小との間に約一対六・四九の開きがあるということでございますけれども、これも御承知のとおりでございますが、都道府県選挙区というものが郡市の区域を単位としておる、そして、その郡市の人口が小さい場合にはそれを合併することができるわけでございますけれども、ある範囲においてそれを独立させるかどうかということはその都道府県の議会の御判断にゆだねられているという点が一つございます。それから、もう一つは、定数の配分が人口を基準としながら、特別の事情がある場合にはそれによらないことができるという、これも議会の判断であるわけでございますが、そういう当該議会の判断にゆだねられている部分があるということによるものでございます。  ただいま御指摘がございましたように、そうは申しますものの基本的にはまず人口によってやるのだというのが一つの基本原則でございますので、私どもはその原則を踏まえながら、しかしながら、なおかつそういうように具体の団体の議会の議決、議会の意思にゆだねられている部分がありますから、それも尊重しなければならぬとは思いますが、基本的には人口比例であるという姿勢は保っていきたいと思います。
  28. 新村勝雄

    新村分科員 議会の意思、これは地域の最高の意思決定でありますからもちろん尊重しなければなりませんけれども、その前にやはり民主主義の原則というものがあるわけですから、それをはなはだしく逸脱するような事態は好ましくないし、細かい点は条例ですけれども、やはり基本的には法律で決まっておるわけですから、法律の精神が生かされていないような事態になった場合には、やはり適当に守られるように法律を改正するなり、あるいは強力に一つの原則を守ってもらうように要請するなりしなければいけないと思うのです。特殊な事情と言ったって、一対六・四九というような形になったら、これは明らかに逸脱ですからね。一対二を超えるとか、その程度だったらいいですが。地方議会と国会とは違うとは言っても、基本的には同じなはずですよ。  それで、これは最終の最高裁の判決ではありませんけれども、東京高裁においては、これは国政の場合ですけれども、一対二を超えたら違憲だと言っていますね。憲法違反だと言っていますよ。地方議会においてもやはりそれに準じて考えなければならないし、一対六・四九なんというのは人口原則を全く無視したものですね。  ですから、こういう形があらわれることを、議会の意向を尊重するということよりも、もっと原則があるわけですから、その原則に立って、やはりこういう不均衡をなくするような何らかの配慮が必要だと思いますが、大臣いかがでしょう。
  29. 山本幸雄

    山本国務大臣 議員定数、いまのは都道府県会議員のお話だと承ったのですが、これは地方自治法の方で全体の定数をお決めになる基準は示されておる。その基準に基づいて府県の定数をお決めになり、さらに今度は、その定数の範囲内で選挙区別の定数配分をおやりになるわけですが、その場合は、ただいま選挙部長がお答えをいたしましたように、都道府県議会のそれぞれの実情に即した御判断でおやりになる、こういうことでございますから、私どもの方でこれについて何らかの方法を考えるかどうかということについては、むしろ私は、地方議会の御判断を尊重して、そういう不均衡をぜひ直していただくように要請もしていきたいとは思いますものの、どこまでもこれは地方の実情に応じて、地方議会の御判断でやっていただきたい、こう思っております。
  30. 新村勝雄

    新村分科員 時間ですから、以上で終わりますが、この問題についてはなお別の機会に十分御意見を伺いたいと思います。終わります。
  31. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。  次に、榊利夫君。
  32. 榊利夫

    ○榊分科員 早速ですが、東京都の品川区内を走る国鉄新横須賀線、この新横須賀線に西大井駅を建設する事業が五十八年度から始まろうとしております。ところが、ここにやっかいな問題が起こっております。  それは、品川区長が社長に座っておられる株式会社の品川区都市整備公社というのがございます。これが三階建てと十八階建ての中高層ビルをつくって、住宅、店舗、事務所向けに売却をして、その益金二十億円で国鉄の駅舎の建設費を賄おう、こういうことにしているわけであります。しかも、この株式会社品川区都市整備公社は事務所を区役所の中に置いておりまして、区の職員三人が出向しておる。三名があちこちに座っている机のところが会社だ。特定の部屋を持っているわけでもない。そういうことをされて、机も文房具も電話も電気代も区の物を無料で使用しておる。住民から追及や監査請求を受けて初めて電話代や電気代は払うと約束をしたんだけれども、机、いす、文房具などはいまなお無料で使用しておる、こういう一種の乱脈状態があるわけであります。  一般論としてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、こういうふうな地方公共団体と株式会社が庁舎の中でごちゃごちゃになっている事例というのは全国によくあることなんでしょうか。
  33. 大林勝臣

    ○大林政府委員 いま御質問のような庁舎の使用につきまして、市町村以外の団体、これがどの程度庁舎を利用しておるかについては従来調査したことはございませんか、ただ、市町村以外の団体の中でもかなり公的色彩の強い団体、こういったものが庁舎に事務所を借りているというケースはあるのではないかと想像いたします。
  34. 榊利夫

    ○榊分科員 つまり、きちっとした契約を結んで区役所の一角をちゃんと手続を経て借りている、そういう例はあるかと思いますけれども、いま私が紹介しましたような、そういう一角を特別借りているわけでもない。出向の職員がばらばらに座っていて、それで施設は全部区の物をそこで使っておる。しかも、これは株式会社だ。公的な色彩を持っておることは後でもちょっと触れます。そこにも一つ問題があるわけでございますけれども、こういう全然性質の違ったものがごちゃごちゃに渾然として一体化しておる、そういう例はいろいろ調べてみましてもまず見当たりません。あるとすれば、たとえばどういうところにございますかね。
  35. 大林勝臣

    ○大林政府委員 調査したわけではありませんが、私どもの経験から申しましていわゆる公社と申しますか、いろいろな種類の公社があるわけでありますが、こういった公社ができた場合に、その公社ときわめて密接な関係にある部局、そういうものの部屋の片隅をそのまま机も含めて借りている例というのは見受けたことはございます。
  36. 榊利夫

    ○榊分科員 どこにございましたか。
  37. 大林勝臣

    ○大林政府委員 どこでというか、たとえば県などでもございます。
  38. 榊利夫

    ○榊分科員 そういうふうに答弁にお困りになるくらい、思い出せないくらい、どこどこと特定できないくらい珍しい現象であることは間違いなかろうと思うのであります。  それで、自治省の場合、土地開発公社等の運営については毎年通達を出していらして、いやしくも住民の信頼を損なうことのないよう厳正を期すること、こういうことを次官通達等でも地方公共団体に出されておるし、また指導されておると承っております。  この品川区の都市整備公社の例で申しますと、これは商法に基づく株式会社です。ところが、区長さんが後で社長に座っておられる。その営業活動に対しては区から公金が二億円出資されておる。そして、都市公園を含めまして区有地八千二百三十平方メートルが二十数億円で公社に売却をされる、こういうふうに区と公社が密接な利害関係にございます。こういう場合、地方公共団体の副知事とかあるいは助役が公社の役員になる、そういうことはあっても、首長がじかに社長に座ることは遠慮しておるというのが普通じゃないかと思います。  私は、ここで一般論としてお尋ねしますが、地方公共団体の首長は少なくとも住民から疑惑を招くようなことのないよう慎重に身を処すべきだ、こう考えるのですけれども、自治省としてはどういうお考えでございましょうか。
  39. 大林勝臣

    ○大林政府委員 地方団体の長が、いかなる面におきましても住民から疑惑を受けるような行いは慎むべきことであることは仰せのとおりであります。
  40. 榊利夫

    ○榊分科員 こういうふうな状態が、常識的に見て非常に異例だということはだれでも気がつくことであります。言うなれば地方自治体の全住民から選ばれる首長が、後で特定の株式会社の社長を同時に兼職していく、そういう場合にきちっとした、疑惑が起こらないような身の処し方としてどちらかを選択するとか、首長が直接なることは遠慮して助役さんになってもらったり副知事にやってもらったり、これだけの良識というのも発揮するわけでございますが、そういう点で自治省としても、少なくとも住民から疑惑を招くことのないような地方自治体の長としての身の処し方については改めて研究をして、必要があれば通達等々で指導を行うというようなことはお考えできませんか。
  41. 大林勝臣

    ○大林政府委員 仰せの内容は、住民から直接選挙を受けて住民の信託を受けて就任をいたします最高幹部としての市町村長のいわゆる政治倫理的な態度の問題ということになるわけでありまして、そういった政治倫理的な態度の問題については、仰せのような疑惑を招くことあるべからず、これはもちろん当然のことでございますけれども、私どもといたしまして市町村長さん自身に対し、そういった一般的な御指導を申し上げるというようなことまではいままで余りやっておりませんし、現在のところは余りそういったことを申すつもりもございません。あくまで住民から直接選挙された、住民の信託を受けた、自主的、自律的な疑惑のない行動をとっていただきたいと願っておるところであります。
  42. 榊利夫

    ○榊分科員 もちろん住民の信託によって最終的に決着されるわけで、いろいろ疑惑を受ければ最終的には選挙によって有権者が主権者として審判を下す、これは当然のことでございますが、そこにゆだねることは最終的に当然のこととしましても、自治省としてはそういう不幸な事態が起こらないように、疑惑を招かないようにそれぞれの首長さんが身を処してもらうように、一般的な指導、研究、これはぜひやってもらいたい、要望しておきます。  ところで、次に移りますが、国鉄に関係してまいりますが、自治省は国鉄が駅舎建設費などの負担を地方自治団体に求めること、これについてはまことに遺憾な事例だ、こういうふうにかなり厳しく述べた次官通達を毎年地方公共団体に出しておられます。これは地方財政の健全化という点で、私は当然のことだし、常識的な通達だと思うのでありますが、実際品川区内の場合で見まして、当初国鉄に建設資金を全額寄附するという計画がございました。これはすでに一九八〇年六月に東京地裁で判決が出ておりまして、駅建設費への公金支出は地方財政再建促進法違反という判決であります。これは全国的に大きな警鐘になりました。法律雑誌等々でもずいぶん取り上げられました。にもかかわらず、国鉄さんは新駅設置の際、請願駅ということで地方公共団体建設費を負担させている例が多いわけであります。  自治省としまして、こうした国鉄のやり方は一般的に好ましいと考えて積極肯定しておられるのかどうなのか、この一点お伺いいたします。
  43. 石原信雄

    ○石原政府委員 一般論といたしまして、御案内のように、地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項の規定がございまして、一般的に日本国有鉄道に対して地方公共団体が寄附金等を支出することは禁止されているわけであります。これは地方財政の健全性を守るために、ほかの国の機関等についても同様でありますが、地方公共団体が寄附金等を支出することを禁止したわけであります。  ただ、この規定につきましては例外があります。すなわち、地元の必要性に基づき地元の都合で国鉄の一般的な設置基準を超えて施設建設してもらうということを要請するような場合におきましては、自治大臣においてその団体の財政状況あるいは具体的な設置基準を超えているかどうか、こういった点などを十分審査して、あらかじめ自治大臣が承認を与えた場合には寄附金が許される、こういう扱いになっております。
  44. 榊利夫

    ○榊分科員 ちょっと念を押しますけれども、要するに、地方公共団体交付金を国鉄の駅舎等々の建設に用いることは一般的には好ましくない、こういう御理解だと解してよろしゅうございますね。
  45. 石原信雄

    ○石原政府委員 国鉄の経営管理というのは当然国鉄の責任において行われるわけであります。地方公共団体に財政責任はないわけでありますから、一般的にはやはり支出すべきものでない、認められるべきでないという考え方に立っております。
  46. 榊利夫

    ○榊分科員 国鉄さんが駅舎の建設で地元負担を主張するときに、実は負担の中に駅舎の減価償却費まで含める、そういうことが実際に行われているわけですね。自治省はこれは妥当な負担だと見ておられるのでしょうか。つまり、減価償却費まで負担の中に含めるということについて。
  47. 石原信雄

    ○石原政府委員 国鉄当局におかれましては、国鉄の厳しい経営環境などからいたしまして、新駅を設置する場合に一つの基準をつくっておられるわけです。その基本的な考え方は、新たに駅をつくることに伴って増加する経費と、それから、その駅をつくることによって得られる増加収入、これを比較して、それが相償う場合でなければつくらない、こういう基準を設けておられるようであります。そして、その基準を超えて地元で駅をつくってほしいという場合には、その超える部分について地元が負担するということを条件にしておられる、いわゆる請願駅の基準でありますが、そこで、その基準となります増加経費の積算の中に減価償却費も含めておられるようであります。この点については、議論としては確かにその施設建設について地元が寄附をする、その寄附によってつくられた施設の償却費まで基準計算に入ってくるということは若干議論があるのだと思います。  そこで、具体的にそれを——地元と言いましても地方公共団体とそれ以外の民間団体が負担する場合と両方考えられるわけでございますが、私ども地方公共団体の支出について承認を与える場合に、いろいろ内容を検討するに際しましては、この減価償却費まで含めるということは妥当でないという考え方で、具体的な承認を与える場合の審査を行っているところでございます。
  48. 榊利夫

    ○榊分科員 わかりました。  ところで、国鉄にお尋ねいたします。西大井駅の建設について、初めに地元負担というふうに言い出したのは国鉄側ですか、それとも品川区側でしょうか。
  49. 小澤敬三

    ○小澤説明員 お答えします。  国鉄の方から言いました。
  50. 榊利夫

    ○榊分科員 国鉄の方から地元負担でということを要望されて、それに品川区側がこたえた、こういうことですね。
  51. 小澤敬三

    ○小澤説明員 そのとおりでございます。
  52. 榊利夫

    ○榊分科員 それでは、お尋ねいたしますが、国鉄の駅の設置基準、いまも自治省の方からお話がございました。この駅の設置基準によりますと、三つの条件がある。一つは、新規増加収入が増加費用を上回ること。要するに、赤字にならぬということ。二つが、既設駅との距離が、東京、大阪付近の国電区間の場合、二キロメートル以上あるということ、お互いの駅の間が。それから三つ目が、地形だとか線形、輸送上、障害が生じないこと。この三点が満たされれば国鉄がみずから駅を設置する、こういうふうに明記されておるわけでございます。  ところが、西大井駅の場合ですが、既設駅との距離なども両隣との間は、一方が三・六キロございますし、もう一つは九・二キロ、この間は大変距離がある、珍しいぐらい距離がある。それぞれいま申し上げました二の条件を十分に満たしておる。三の地形、線形、輸送上の問題でも大きな障害がないことは明白であります。  ところで、その一の方の収入の条件ですけれども、国鉄の方から地元負担でというふうに持ち出したという説明ですが、国鉄は最近収入面での検討、計算を行われたんでしょうか。
  53. 小澤敬三

    ○小澤説明員 この問題が起きました五十二年当時には一応の試算をしております。それで、ふえるお客さんによる収入が約一億五千万円ぐらいあるだろうという試算をしまして、これに対しまして、自分の費用で駅を設置した場合には年間の経費が約三億円ぐらいかかるであろうということで、とうてい採算はとれないという試算になっておりました。工事費につきまして地元で負担していただければ経常的な経費は何とかとんとんでいけるだろうということで、そういうことを申し入れたわけです。
  54. 榊利夫

    ○榊分科員 五十二年当時は試算をした。最近はどうでございますか。
  55. 小澤敬三

    ○小澤説明員 最近は、まだ余り具体的に話がその後進んでおりませんので、特にいたしておりませんけれども、五十二年の試算において採算はとれないという判断で、地元負担で設置をしたいということで、お互いにそういう条件のもとに設置を決めておりますから、特に最近の時点において具体的な試算はしておりません。
  56. 榊利夫

    ○榊分科員 最近は具体的にはおやりになってない。実は品川区の試算があるのですが、これでも、一日の乗降客は二万七千人、年間収入十億円以上が見込まれる、もうかる駅という結論がここから出てくるわけであります。ところが、国鉄の方は収入計算を最近おやりになっていない。これだと、基礎となるべき計算がやられてないから、西大井駅は国鉄設置かあるいは地元負担か、どちらとも言えないんじゃないでしょうか。その点では、具体的な収入計算を抜きにして、少なくとも、西大井駅は地元負担などということを言い切る根拠、これは大変薄いというように考えるのですが、その点いかがでございましょう。
  57. 小澤敬三

    ○小澤説明員 当時の計算におきましても輸送量的なものは計算があるわけですけれども、あの周辺の市街地の開発状況といいますか、そういうものから見まして、駅ができて新たにお客さんがふえるという部分は非常に少ないわけです。従来大井町等から国鉄を利用していた方がこちらを利用するであろうという数が相当見込まれますものですから、あの駅からはそれなりの乗降客はあると思いますけれども、純増で見ますとそんなにたくさんはないというふうに考えております。
  58. 榊利夫

    ○榊分科員 いずれにしましても、いまの国鉄側の答弁によりましても大変根拠薄弱だ、こう言わざるを得ないです。なるほど、五十二年と言えば六年前ですね、その当時試算をおやりになったかもしれない。しかし、状況はどんどん発展しております。しかも、その後いろんな条件を勘案した区の試算でも、これは十二分にもうかる。大体国鉄のそれを見ましても、大阪とか東京とか、こういう人口の多いところは赤字じゃないですよ、特別の駅は除いて。大体黒字でいっている。むしろ首都圏はドル箱でしょう。だから、そういう点では、西大井駅の場合も、つくられるならば、もうかる都内の駅として国鉄再建の一助にもなるだろうと私は思うのです。しかも、本来ならばもうとっくに建てられて営業もしているはずだと思うのです。それがおくれておるのは、品川区の出過ぎた安受け合いとでも申しましょうか、それとともに、やはり国鉄の責任回避が大きいのじゃないか。国鉄として自力建設を早急に進めるべきじゃないかというふうに私は思うのです。  北区などの例を見ましても、あそこでは駅の設置基準に合わなくても国鉄がつくることになっているのでしょう、いわゆる通勤別線などでは。ところが、同じ都内でありながら、どうしてこの西大井駅だけ差別されるのですか。高木さんも、かつては、在来線でも国鉄が自力で建設することはあり得るということを明言されておりますし、いまのままいきましたら結局この駅の建設はおくれることになるのではないか。裁判になりましたら、また、地方公共団体の公金支出、あるいは区財政の不当利用という点では、やはり裁判は負けると私は思うのですよ。訴えたら勝つと思うのですよ。そうしますと、実際には駅ができないという事態だって考えられる。やはり一番原点に立ち戻って、とにかくもうかる駅として国鉄が自力で建設をする、それくらいの前向きの姿勢を示さないとこの問題は解決しないのじゃないかと思うのですが、私はここで、そうしますという答弁を期待するわけじゃございません。恐らく国鉄総裁あたりでも、検討させてもらいますということだろうと思うのですが、その点で私は、ひとつ抜本的に研究してもらいたい。だから、あなたはお帰りになって、きちっと国鉄の上司、機関にその旨を明確に伝えてもらいたい、このことだけちょっと求めておきたいと思います。
  59. 小澤敬三

    ○小澤説明員 よくわかりましたので、上司にしっかりと伝えたいと思います。
  60. 榊利夫

    ○榊分科員 私は、地方自治体の財政は軒並み苦しい、それに国鉄の財政も苦しい、一般論としてはわかります。わかりますけれども、少なくとも国鉄というものは国民の足、これを保障する、国鉄はそういう使命を担って生まれ、また、これまで発展してきたものだと思うのです。ですから、そのたてまえで知恵をしぼりながら本当に国鉄の責任が発揮されていくならば、いろいろな施策にしても恐らく地方住民から祝福されて事が進むだろうと私は思うのです。ところが、いま取り上げております品川区の再開発事業方式、これは区民二億円の血税のほか八千二百三十平方メートルの区有地が国鉄に実際に召し上げられる。それから、スポーツ広場もつぶされる。こういうふうに多大の住民犠牲を強いるものになろうとしているわけであります。  私は、最後に、山本自治大臣にお尋ねいたしたいのですが、自治省としても地方公共団体の健全なあり方、これをしっかりと踏まえて、そういう健全なあり方を害したり、あるいは住民を泣かせるような結果になるこうした駅建設のやり方、つまり地方財政を結局は食い物にしていく、その負担が結局は区民にいく、地方住民にいく、これは原理原則としては、先ほど来の答弁でも、自治省としては好ましくないという態度をとっておられることはわかります。そうした場合に、ある場合には自治省としても国鉄に対しても物を言うという見識ないし勇気を持ってしかるべきじゃないかと思うのですけれども、その点いかがでございましょう。
  61. 山本幸雄

    山本国務大臣 先ほど来のお話を伺っておりまして、確かに国鉄が赤字で大変いま困っているという状況の中で、一方においては地域住民は足の確保ということでやはり国鉄に便宜供与を求める、そこの接点で一体どうしたらいいか。本来ならば、一般論で言えば、先ほど来おっしゃるとおり、また法律が決めておりまするように、この問題は地方財政が介入する余地はない、これが原則でございますが、しかし「地方公共団体を利する場合」、こう書いてあるようでございますが、そういう地域住民の便宜というものを非常に重視すれば、国鉄の現状を考えて、やむを得ないという判断で地方公共団体がおやりになることだろうと思うのです。この傾向はやはり全国的にも今後とも起こるだろう、こう私どもも心配をしておるわけであります。したがいまして、いま仰せのように、地方自治体、地方財政の現状は非常に厳しい状況になってきておりますし、これがそう簡単に打開できるとも思われない情勢にありますだけに、今後私どもは、地方財政を守っていくという立場をしっかりひとつやっていきたいと思っております。
  62. 榊利夫

    ○榊分科員 最後に、その心配が大きくならないように、自治省としてもきっちりとした対処をしてもらいたいと思います。そういう要望を述べて、質問を終わります。
  63. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて榊利夫君の質疑は終了いたしました。  次に、武田一夫君。
  64. 武田一夫

    武田分科員 私は、いま新しい公害として全国的に注目をされております、いわゆる雪の多い地方、北海道や東北あるいは北陸を中心としてスパイクタイヤによるアスファルトの粉じん公害、この件につきましていろいろと質問してみたいと思うのです。  最初に、環境庁がおいでになると思いますので、環境庁にお尋ねしますが、これは全国的な実態をどのようにとらえておりますか、そしてまたこの対応というのをどういうふうになさっているのか、まずこの点をひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  65. 加藤茂

    ○加藤説明員 お答えを申し上げます。  近年、積雪寒冷地域で使用されておりますスパイクタイヤは、凍結路面におきまして自動車の安全走行に寄与が大きいと言われております。一方、路面を著しく摩耗し、沿道における粉じんの増加の主要な原因となっているとも言われております。  このスパイクタイヤによります粉じんの発生を降下ばいじん量で見ますと、積雪状況等自然的条件による差が大きく影響するものと思われますが、北海道及び東北地方の一部地域におきましては、スパイクを使用しております冬季にかなり高くなる傾向にございます。特に仙台市等におきましては、スパイクによります粉じんがひどく、市民生活にいろいろと影響を与えております。また、街路樹等の美観も損なっている状況にあると聞いております。  また、スパイクタイヤによります粉じんの人体への影響に関します知見につきましては、現時点ではまだないようでございますが、引き続き知見の収集に努めますとともに、現在、大気中の粉じんにつきまして粉じんの濃度、成分分析等を含む実態調査を行っているところでありますので、関係省庁及び関係自治体とも十分連絡をとりつつ、粉じんの低減対策の検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  66. 武田一夫

    武田分科員 昨年、仙台弁護士会から、規制法令を定めて使用を制限せよというような意見書が出ていると思うのですが、御存じでしょうか。また、これに対してどういう対応をしているか、その状況をちょっと聞かしてもらえれば……。
  67. 加藤茂

    ○加藤説明員 スパイクタイヤの粉じん公害を防ぐために、いわゆる使用規制ということについて地方公共団体等でいろいろお考えになられておることは聞いておりますが、スパイクタイヤは自動車の走行に伴います安全性との観点もございますので、その安全面とどう調和をさせて粉じんの低減を進めるかというふうなことにつきましては、ただいま私どもでもいろいろと検討しておるところでございます。
  68. 武田一夫

    武田分科員 環境庁は、スパイクタイヤによる粉じん等調査検討委員会というものを設けているわけですか。
  69. 加藤茂

    ○加藤説明員 いまお話しいただきました検討会を昨年の七月に開催をいたしまして、ただいま検討を進めておる状況でございます。
  70. 武田一夫

    武田分科員 この公害、これは予想以上に大変なのです。私はその典型的な仙台市に住んでおりまして、町を歩くときに一番ひどいのは大体二月、三月ですね。そのころは風の多いときなのです。そのときは、昨年の二月も一カ月間の粉じんの且壁というのは一平方キロ五十四トンなんですよ。これはもう大変なものなんですよ。それですから、これが体じゅうにかかる。日中でも夕暮れのようにぼやっとしたかすんでいるような状況が続いている。ですから、そういう中を人が歩きながら体じゅう粉じんを浴びて、そして呼吸をするというわけですから、これは先ほど話があったように、体に対する、健康に対する影響というのは今後心配だ。いろいろと市でも苦労しながら対応しているわけでありますが、ますます問題が深刻になっていくのじゃないかと思うだけに、相当力を入れてその対応に当たってほしい、こういうふうに思うわけです。特に道路の表面が削られるわけですから、削られるために道路が傷む、その補修費も莫大なものでありまして、仙台市では年間の道路維持補修費というのが約二十億円取っているけれども、その半分の十億をこれに使わなくてはいかぬ。それから、北海道なんか年間七十億ぐらいこれに充てているということでございます。  そういうことで、非常に危機感を持った十五道県、五十三市の自治体の代表が仙台に集まりまして、それで道路粉じん問題行政連絡会議というのを開かれたのは御存じだと思うのです。そこでは、スパイクタイヤの使用の法的規制措置ができないものかという問題とか、あるいは道路粉じん対策についてどう取り組むかと、いろいろと論じられたようでありますが、もう一市が取り組むにしては非常に大きな問題になってしまった、こういうふうに思うわけであります。  そこで、自治大臣にお尋ねしたいのですが、こういう新しい公害、いまのところ各市が独自にいろいろ御苦労なさっているようなんですが、特に財源的な問題としてそういう粉じん公害に対する道路補修、清掃、これはたまりますと五、六センチからどっとたまって、雨が降りますとべとっと固まりまして、これは想像以上に大変でして、われわれの仙台というのは森の都です、その森の緑がどす黒くなっちゃう。最初は白っぽい。雨が降ると今度はどす黒くなっちゃうということで、まことに景観が無残になっておりまして、そういう手当て等も大変苦労しているようでありますが、いま具体的に年間の道路補修費の半分もそういう方にとられてしまうというようなことを考えますと、いまのところ五十三市が非常に苦労しているという状況でございますので、特別の対応というものができないものかなということをひとつ御相談したいのですが、これはどういうことになりましょうか。
  71. 山本幸雄

    山本国務大臣 後ほど政府委員からもお答えいたしますが、私も実は仙台へ旅行者として行って驚いたのです。これは一つは大変な公害、それから道路の維持管理上も、特に市内の道路でしたらこれは大変な問題点がある。かたがたいろいろ考えて、これはよほど総合的な対策を立てないと解決しないのじゃないだろうか。また同時にスパイクタイヤというものが出てきたのですけれども、もっと技術的にほかの方法を何か考えられないのか、そういう研究検討も私はなされてしかるべきじゃないかと思うのです。自治省の担当する面については財政的な問題がございますが、これは担当の方からお答えをさせていただきます。
  72. 石原信雄

    ○石原政府委員 お話しのように、東北、北海道あるいは北陸地方の地方自治体におきまして、最近スパイクタイヤによる道路の損傷に伴っていろいろな財政支出が出てきている、こういう状況を聞いております。これは年々ふえる傾向にあります。  そこで、これについてどうするか、財政的にどう対応するかという問題を私どももいろいろの角度から検討しているわけでございますが、従来からこういったいわゆる積雪寒冷地域の道路につきましては、積雪量とかあるいは寒冷度などを基準にいわゆる寒冷補正という補正を通じて基準財政需要額の割り増し計算を行ってきているわけでありますが、その寒冷補正による増加財政需要の割り増し計算、スパイクタイヤなどによる増高経費関係がどうなっているのか、これらについてはまだ全体的な分析は進んでおりません。これに伴って財政支出の増加が非常に大きくなってきているということは事実でございますが、これをしからばどういう形で財源措置をしていったらいいのか、たとえば今日の厳しい財政環境のもとでありますから、そういったものは一つの原因者負担としての税制上、財政上の何か措置を考えられないのかどうか、あるいはまた現在の非常に厳しい、乏しい交付税財源等の中でどの程度対応できるのか、こういった点について、私ども今後真剣にこの問題を検討していかなければならない、このように考えております。
  73. 武田一夫

    武田分科員 この問題はやはり地域対策ではとても対応し切れないという認識はしていただいていると思うのです。日本列島は御承知のように細長いわけでありまして、やはりこういう起伏に富んで、気温とか積雪量などの気象条件も違ってくる。仙台は雪は余り降らぬのですが、仙北あるいは仙南の一部となるとかなり降る。その辺でスパイクタイヤをつけてきたものがそのまま町へ入ってくる。仙台へ来ればとればいいのだけれども、とらぬでそのまま走ってしまう。これはとってちゃんと切りかえながらやってもらえば一番いいのでしょうけれども、そうもしないということで、あるいはまた、それじゃ除雪対策、雪を取り払ってちゃんとやれ。これもちゃんとやればいいのですが、なかなかそうもいかない。こういうような地域ごとの除雪に対応することもいろいろとでこぼこがあるとか、またある県がもし全面的に禁止したとしても、ほかの県がそれに対応しなかったとか、そういうようないろいろなことがありますと……。  もう一つは、これは後で質問するのですが、それじゃスパイクタイヤのピンを何とかできないものか、摩耗の少ないような研究開発をどうするのだ、業界だけに任すということも過酷じゃないかなというようなことを思いますと、やはりそういう総合的な問題をひとつ各省庁が連携をとり合って、これは環境庁になるのか自治省になるのか、それは御相談いただきたいのですが、やはりばらばらな対応でなくて、統一した一つ窓口を通して連携を持つ。たとえば東北開発であれば国土庁というものがありまして、その中に建設省や通産省等々いろいろな省庁が入って一つの対応をしていくというような形のものを新公害対策一つの万全の対応のためになすべきじゃないかな、こういうふうに私は思うのですが、自治大臣の立場で、こういう一つの統一ある対応を国としてすべきだという私の考えに、御賛成やら御所見ございましょうか。どうでしょうか。
  74. 山本幸雄

    山本国務大臣 いまの仰せのように、関係省庁はたくさんあると思うのです。将来への研究開発もあるし、それから現状で道路の維持管理をどうするかということ、あるいはその財源問題をどうするかということ、教えていきますといろいろ問題点があるだけに、関係省庁は大変たくさんだと思うのです。新しい公害としてこれを取り上げて、一体どこが中心になってやったらいいのか、私もちょっとここでいま申し上げる自信がありません。ありませんが、しかし、これは東北としては非常に重要な問題だと思うので、せっかくいま御提案がありましたような点で、まあ自治省という立場でやったらいいかどうかわかりませんから、ここで私がお引き受けしてどうこうではありませんが、私としてはどこか政府の中で中心になるところをつくっていただいて、何とか仰せのような方策の推進に当たらなければならないかな、こう思っております。
  75. 武田一夫

    武田分科員 ひとつぜひよろしくお願いしたい。というのは、私はきょうは厚生省を呼んでおりませんが、人体に与える影響というものは相当心配なんですよ。  いま東北大学の医学部の先生方が中心になりましていろいろと追跡調査をやっているのですが、舗装にはタール分が含まれていますね。あれがどうも発がん性の物質を含んでいる。これが胃に与える影響はなしと言えないというような話を聞いているわけであります。これが一つの新しい公害病などというようなものになりまして、また大きな社会問題になってくるということを考えると、早急に対応をしっかりしてほしい、そういうように思うわけでありまして、よろしくお取り計らいをお願いしたい、こう思います。  次に、警察庁おいでになっていると思うのですが、事故防止の上からやはりどうしてもいまチェーンかタイヤを履かせるしかないのだろうと思うのですが、札幌なんかではある期間規制とかいうようなことを打ち出しているようです。仙台は、市長は規制するしかないということで、ほかの市なんかでもそういう方向が強いのではないかということであります。これは、事故が特に雪道あるいはまたアイスバーンの多いようなところでは多いわけでいろいろ御苦労なさっておると思うのですが、その対応をどのようになさろうとしているのか、またいろいろとお考えをお持ちなのか聞かせていただきたい、こういうふうに思うのです。
  76. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えいたします。  スパイクタイヤの問題につきましては、いまお話がございましたように、粉じん等の原因になっておるという御指摘があるわけでございますけれども、その反面、大変すぐれた制動能力とか操作性とか、あるいは着脱が不要という利便もあることは否定できないわけでございます。特に積雪、凍結をいたします地域におきまして交通事故を見てまいりますと、やはりスリップに絡む事故が多いという実態もございまして、これらの地域における交通安全を確保する上からはスパイクタイヤを含めまして状況に応じた滑りどめの装置は必要であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、御指摘のようなスパイクタイヤをめぐります大変大きな問題が出ておるわけでございますけれども、いろいろとお話がございましたように、この問題につきましては、除雪の問題だとかあるいはタイヤの技術上の問題であるとか、いろいろな問題がございますので、警察といたしましても、これらの地域におきます交通の実態であるとか、事故の実態とかいうものを十分把握をしながら関係の省庁と十分御協議をいたしまして対策を立てるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  77. 武田一夫

    武田分科員 外国でもこういう問題があるのですね。聞くところによりますと、ドイツ、オランダはスパイクタイヤを禁止している。それからアメリカのミネソタ州では五年前から全面禁止だということなんで、日本もこの問題が出てきて余り時間がたっていないわけですから、こういう先進国の状況などよく研究して対応することが必要ではないか。向こうは禁止しているが果たしてそれで事故がどうなのか、効果はどうなのか。ミネソタ州は全面禁止だということを聞いておりますので、その実態等調査しながら、もし日本として対応できるものがあればそういうものを参考にするということはすぐできると思うのですが、どうですか、こういうものは。
  78. 広谷干城

    ○広谷説明員 ただいまお話ございましたように、世界の各国におきましては、全面使用禁止をしたところもございますし、また期間を限りまして使用を禁止しておるというふうな国もあるように承知をいたしております。  これらの国のやっております対策等につきましても十分研究をいたしまして、日本の国において対応できる方策があれば十分に勉強していくということで努力をいたしたいと考えております。
  79. 武田一夫

    武田分科員 通産と運輸の方はおいでになっていますか。——低公害のスパイクタイヤの開発あるいはピンを使用せずにできないものかとか、いろいろと研究はしているのだと思うのです。この間、ある大きなゴム会社に行ってタイヤをつくっている技術関係者に聞いたら、やっているんだけれどもむずかしいということなんですが、聞くところによると、工業技術院というところで何かその対応策の研究をしているとか、いろいろ聞くんです。この実態はどんなものですか。
  80. 蕨岡達慈

    ○蕨岡説明員 ただいま先生御指摘のように、スパイクのないタイヤ、これはスパイクレスタイヤと称しておりますが、こういったものの研究開発が業界内においてかなり進められております。しかし、これはなかなかむずかしい問題がございまして、現在まで得られているデータでも大体スパイクのあるタイヤの七五%程度の性能しかないというふうなことが言われているような状況でございまして、現在の開発状況はそういうふうなところにございます。
  81. 藤野團治

    ○藤野説明員 お答えいたします。  スパイクタイヤは凍結路面等における走行安全の確保に効果を発揮するものでありますが、その反面、融雪時等には走行に伴う粉じんの発生等の公害を生じ大きな社会問題となっておりますため、運輸省といたしましても関係省庁と密接な連絡をとりつつ、その対策を講ずる必要があると考えております。  スパイクタイヤによります粉じん問題に対処しますためには、先生御指摘のように、スパイクを用いないいわゆるスパイクレスタイャの使用などが考えられますため、メーカーにおいてその技術開発を進めているところでございますけれども、まだ十分な性能のものが得られていないのが実情でございます。  一方、スパイクタイヤによる粉じんを低減させるためピンの本数あるいは突出量の削減、材質の改良等、スパイクタイヤの改善につきましても技術開発を促進させておるところでございますけれども、今後ともスパイクレスタイヤの技術開発及びスパイクタイヤの改善につきましてメーカーを指導し、あるいは協議してまいりたいというように考えております。  また自動車使用者に対しましても、不必要な道路での使用の自粛あるいは不要の時期における普通タイヤへの履きかえ等につきまして今後とも指導啓蒙を行い、タイヤの技術開発等総合的な効果によりスパイクタイヤによる粉じん等の低減に努めてまいりたいと考えております。
  82. 武田一夫

    武田分科員 これはかなりむずかしいようですね。ただ、日本の技術力というか英知を集めてやれば、私は可能な問題でもないかとも思うのです。  スパイクタイヤとは別なんですが、何か自動的にチェーンを取りつけたり外せるというようなものもあるやにも聞いているし、あるいは取り扱いがめんどうなのでチェーンをつけないということもあるわけですし、何もスパイクタイヤ云々だけでなくて、そういうチェーン等々の対応で公害が減っていくような対応なども考えなければならない等、いろいろ多角的な研究開発といいますか、これもしなくてはならない、私はそう思うわけです。ですから、そういうことに一生懸命取り組むように業界への指導とアドバイス、できれば、研究ですから金もかかるのですから、技術開発のためにはある程度の国家的な助成というものも必要でしょう。そういうことで真剣にこの問題の解決に取り組んでほしい、こういうふうにお願いを申し上げます。  質問時間もなくなりましたので、大臣、いずれにしましても、先ほど総合的な対応をしなくてはいけないということをお話しいただきましたが、その総合的な対策のためにひとつ大臣から各省庁に働きかけをしていただきまして、いま申し上げました特に技術開発の面、これは特に努力が必要でないかということもございますし、それから医学的な問題として健康に対する対応はどうなっていくのかとかいう問題がこれからまた議論の中に大きく取り上げられてくることは必至だと思うわけでございまして、公害が大きくならぬうちに——いままで公害がなぜ大きくなって社会問題になったかというと、どちらかというとその対応がおくれた、そしていつの間にか大きな事件となってきたのだということでございますから、これはいまようやく騒ぎ始めた、言うなれば初期の段階でございますので、初期のうちに早期対応、治療法というものをひとつ国を挙げてやっていただきたいということを最後にお願いを申し上げる次第でございます。  答弁はいただきませんが、私はどうかそのことをひとつ国の大きな仕事として今後取り組んでほしいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  83. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて武田一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、平石磨作太郎君。
  84. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 私は、消防団員が災害に遭ってその遺族に対する補償といいますか、この件でお伺いをしたいわけです。  すでに御案内だとは思うのですが、昭和四十七年の七月五日午前六時四十五分ごろ、高知県香美郡土佐山田町繁藤、通称追廻山の南斜面において土砂崩れが発生をした。当日は非常な集中豪雨でまれに見る——大体高知県は災害県でありまして非常に雨の多いところでありますけれども、当日はまた物すごい雨が降ったわけですが、そこで土砂崩れが発生をした。その集中豪雨の折に出動警戒中でありました消防団員が一名土砂崩れのために生き埋めになるという事故が発生したわけです。  そこで、土佐山田町の消防署員、それから消防団員、それから繁藤地区の私設消防団員等百五十名を超える人々がその救助作業に当たっておったわけです。ところが、午前十時五十五分ごろ迫廻山の南斜面がさらに高さ九十メートル、幅百七十メートルにわたって大崩壊をし、これによって救助に当たっておりました消防団員ら一般地元住民等合わせて六十名が生き埋め、そして死亡という大災害を発生したわけです。それで、この救助に行っておりました若い消防団員、これはちょうど二十一歳の尾崎久臣君という若い青年であったわけです。この久臣君も消防団員として出勤命令をもらってこれに参加をしておったわけです。  ところが、いま申し上げたような災害に遭いましたそこの御家庭はまことにこれは気の毒な家庭でありまして、この御家庭にはもともとお子さんがなかった。そのためにこの久臣君を小さいころから養子にして育てた。そしてお父さんになる人は四十六年、災害の前年に亡くなっておるわけです。そしてお母さんの尾崎速子さんという人が現在生きておるわけですが、お父さんが亡くなり、その明くる年にこの災害に遭った。一人の子供が亡くなった。それから、その惨事でいわゆるおばあさんになるツルキさんという方も四十七年の十月に亡くなった。そしてあとへおじいさんとそのお母さんになる者とが残ったわけですが、ここで遺族補償年金をいただいておったわけです。そしてこのおじいさんが五十三年の九月に亡くなった。当時この母になる人は四十四歳でありました関係上、五十五歳以上でなければ年金がありませんよということで、おじいさんがもらっておったわけですが、おじいさんが五十三年の九月に亡くなったということで、年金が廃止。いまこの速子さんという方はもう五十五歳に達しておるわけです。それでこの人はもうひとりぽっちになったわけです。したがって、いろいろ法のたてまえからは困難性はあるのかもわかりませんけれども、私はこの御家庭を見たときに、五十五歳にいま達した場合はやはり何とかならぬものだろうかな、こういう気がしてならぬわけですが、ひとつその点についてお答えをいただきたいと思うわけです。
  85. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまのお話でございますが、先生御案内のとおり、消防団員はいざという災害のときに、みずからの危険をも顧みないで生命をなげうって実は消防のために奉仕をいたしているわけであります。そういう中で、ただいまお挙げいただきました事例のようなものが出てまいっておるわけでございますが、私たちもその点は大変お気の毒だという感じは持っております。  ただ、消防団員のこういう問題に関します現在の補償と申しますか、災害に係ります補償制度というのは、他の公務員なりあるいは労務災害なりそういうものと均衡を保ちながら実はやってまいったというのが実情であろうと思います。このことは、もう先生御案内のとおりでございます。この問題につきましても、消防団員につきましては、そういう意味で来年度からですが、ことし特別賞じゅつ金の制度をつくりましたり、いろいろなことで何とかそういう労に報いるということを国といたしましてもいたしたいと思っておりますが、現行の中ではこれを他の年金との均衡を被ってつくっていくというのは大変むずかしいこともありますので、今後とも一つは検討課題ではあろうとは思いますが、現在の段階では大変むずかしいのではないかと思っております。
  86. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 この消防活動ということは、私はいまの時代にどうしても必要なことではあるが、これは緊急時、しかも危険なときに出動をするというきわめて——いま長官からお話がありましたが、労災その他といったような横並びの点もあろうかと思いますが、緊急事態にしかも危険な地域へわざわざ飛び込んでいくわけですね。そういうことをひとつお考えをいただきたい。この世の中で一番大切なものは何なのか、これをひとつお答えをいただきたい。
  87. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 やはりいまこの世の中で一番大事なものは、自分の生命あるいは財産、身体というものを確保していくということが一番大事なことでございますし、消防団というのはまさにそういうものを確保するために自分の全身全霊をなげうって奉仕をしておるということであろうと思っております。
  88. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 よくおわかりいただいておるわけです。したがって一番大切なものはやはり人の命。その人の命、財産を守るためにみずからの命、これをささげると言うたら語弊がありますけれども、時によったら自分の命を失うかもわからぬというような危険なときに危険なところへ入るのが消防の仕事ですよ。これは法律から見ても当然のことですし、また実質上もそういったところへ入っていく、ここに私は、いわゆるほかの職種と横並びということはちょっとおかしいのではないかというような気がします。しかもここで私が取り上げておるものは、いわゆる公務員ではありません。常備消防ではないのです。日本消防行政というのは昔で言えば義勇消防と言っておるいわゆる非常勤の消防団員によって支えられておると思うのですが、大体どの程度支えられておるのか、一言。
  89. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 すでに御案内のことだと思いますが、日本消防、古くは江戸時代から町火消しのようなものもございましたし、大名火消しのようなものもございました。その後、明治政府になりましてからはやはり常備消防といまの消防団と申しますか、そういうものとの間でやってまいりまして、常に常備のものと非常備のものとが車の両輪のごとく相助け合いながら消防に従事をしてきたというふうに理解しております。
  90. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 パーセントはわかりますか。
  91. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 これは人数で申し上げますと、常備消防は十二万人、非常備の消防は約百七万人と称されております。
  92. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 いま非常勤が百七万、常備が十二万、これはもう圧倒的に人の善意に頼っているわけです。  ここに私はお母さんになる速子さんとお会いをしたわけです。どうしてうちの息子が、消防団員になってまことに残念です、こう言っておるわけです。これは消防団員になるという義務はありません。これはいまの憲法からいったときに、これは苦役に服させるということはできないわけです。本人の承諾によっていわばそういった死地に赴いて人の生命、財産を保護しようというまことに崇高な精神、私たちはこういったいわゆる奉仕の精神というのがいまだんだんと失われていく一方で、百何万という若い人たちに、自分が守ってあげねばと、こういうことで御協力をいただいておるわけです。だから、普通常備消防で公務員としてそういう職種についておる者とは性格が違う、ここをひとつ御認識をいただきたい。  そしてこの方々は日ごろはみずからの生業にいそしんでおるわけです。そして、いそしんでおっていざ緊急事態というときに出動がかかってくるわけです。何もかもほっておいて出動に協力をしておるわけです。そういうことを考えたときに、単なる労災だとかなんとかいった、もちろん労災の方も大切でありますが、一線横並びというのには多少の不合理があるような気が私はいたします。これは不合理があると思いますか、大臣のお答えをひとつお聞きしたい。
  93. 山本幸雄

    山本国務大臣 いま先生のおっしゃった、消防、特に団員のお心持ちというのは、本当に私は傾聴したい。全くわが身を顧みず、いざというときには自分のうちを捨てて皆さん方のために生命を顧みずやっていただくという崇高な消防精神によって、この百七万の方々は今日社会のために奉仕をしていただいておるものと、国民とともに私は本当に深く感謝の念をもって考えなければならないことだと思っております。先生のお考えを本当に私はただいま傾聴したわけでございます。  それに対して、そういう方々はあえて報賞を求められるお気持ちはお持ちにならずに、そういうまことに薄い報賞を全く顧みずにおやりいただいているものでありまして、そういう精神こそ私は本当にとうといものだと思っております。それだけに、私どもとしてはできるだけのことをしなければならぬ立場にあるわけでございまして、いま申し上げたような今日の状況でございますことは、先生の御不満はよくわかるわけでございます。私ども微力ながら今後ともこの消防、特に団員の処遇の問題についてはできるだけの努力はしていきたい、こう思っております。
  94. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 私は前も予算委員会で、これと事柄は違いますけれども、やはり消防団員の傷害、災害について質問をしたことがあるわけです。そのときからいつもいま申し上げたようなことを感じておったわけなんですが、確かにいま大臣がおっしゃったように、こういったまさにそういう方方の善意に頼った行政、しかもいまみずからの身をなげうってまでやろうということについて、ただそれをいただきますということだけではいけない。そこに災害が起きたときに当然のこととして、いま補償制度が組まれておる、これは私も当然のことだと思うわけです。  そこで、このことについて五十五歳以上の方、十八歳未満の方、これはそれぞれ政令において基準を定めて措置がなされておるわけですが、このことについても、私は、これはどうだといったようなことは申し上げません。だが、ここで私は考えていただかねばならぬことは、お子さんが大きくなって働き出したということになれば、これはそれなりのことが一応考えられますが、これから年が寄っていくという方、そして全く相手にも別れ、それから子供も失った、もうひとり身だというような方が五十五歳の満齢に達したときに、軍人関係のいわゆる障害者、戦傷病者等のあの法律からいいましても、私は同じ精神でいまやっておる方々の御父兄ですから、私は同じようにそこの並びをもって考慮してはどうかというような気がするわけです。  これは私、昔大変有名な法律の先生のお話を聞いたことがあります。そのお話はどういう話であったかと言いますと、理屈と人情というお話です。これは本にもなっております。理屈というのは法律です。だから、法律とか規則とか、こういったもの、これはもともと冷たいものです。この冷たいものを冷たく行っていくというのが行政なんです。だが、この先生のお話は、やはりそこには温かい気持ちを持って、理屈と人情というタイトルでお話がありましたが、法律、命令のような冷たい斜線と、そして法を運用する人の温かい心の交差の点で法は運用すべきであるということを私はその先生に聞かされた。まさに私はこの件についてはそういったことをひとつお考えいただきたいと思うわけです。そして、その先生がおっしゃっておりました。法の運用は一般的確実性、一般に確実に公平にいかなければならぬが具体的妥当性を失ってはいけない、こういう話もありました。したがってこういった、ほかに生活資料がないというような、息子をそういった形において災害にやられたといったような生活資料のないような方は政令の基準の中で特例を設けるべきである。これは法に反しません。この法律では、政令の定むるところはより、こうなっておる。だから、そこは政令にゆだねてあるわけですから、攻令を施行するのは大臣ですから、大臣がそこでそういったような状況にあるものについては特別の配慮をするようなことをすれば、私はこういった具体的妥当性を持った、いわゆる人情を持った運用ができるのではないかというような気がするわけです。法の変更もありません。そういう意味で、私は声を大にしてこのことは申し上げておきたいと思うのですが、大臣のお考えをいただきたい。
  95. 山本幸雄

    山本国務大臣 法治国家でございますから、法に基づいて事に当たらなければならないというのが行政庁の立場でございます。そこで、その法の運用の上で可能な限り温かい態度でひとつ措置をしていくということでございます。  しかし、どうしてもそれが法の一つののりを越えられないというときには、また新しい立法を考えていかなければならぬことになるのであろうと思います。私も詳しいことをまだ承知いたしておりません。詳しいことは長官の方からお答えをさせていただきます。
  96. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいま大臣からお答えを申し上げましたとおりでありまして、義勇消防と申しますか消防団の方々が、先生おっしゃられておりますように、生業をなげうってそういう災害に立ち向かっているということについては、やはり国民の一人一人か感謝すべきだと私も思っております。ただ、お話がございましたようなそういう被扶養の利益の喪失というものをどういうふうに取り扱うかということになりますと、やはりいろいろな年金の制度、そういうものも考案しなければいけないところがあろうと思います。おっしゃっていることがわからないわけではなくて、私どもは十分承知をしておるつもりでおりますが、年金の支給年齢というのをどの時点で押さえるかというのがやはり一つ問題点でして、それを無限に延ばしていきますと、かえっていろいろなことに困難が起きるのではないかということも想像されます。  確かに、先生はそういうことを昔やられておられましたからよく御存じだと思いますが、こういう一つの体系の中で取り扱う、あるいは全体的に見て消防のように本当に国民にとってありがたいシステムであっても、なおかつなかなか乗り切れないという部分もございまして、先ほど当初に申し上げましたように、いろいろな検討の中の一つの問題であろうとは思っておりますが、いますぐこれをどうしろと言われましても、なかなかむずかしい問題を抱えておりますので、少しの間検討させていただきたいと思っております。
  97. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 この災害については、昨年の十月二十八日に高知地裁において第一審の裁判の判決があったわけです。この判決を見てみましても、国、県、町、いわゆる被告人は負けたわけです。そして、原告が勝訴になっておるわけです。これは、どっちに非があったかということについては国の方も考えておられて処置をしておることだから、国は責任をいまのところとっておるわけですから、その勝ち負け、それは申し上げませんけれども、私が申し上げたいことは、一般協力者、これはここの法の中にもございますけれども、一般協力者ももちろんそれなりの補償をしてもらっておる。常備消防の方々、そしていまの義勇消防の方々、それから一般の、そこに通りかかって協力をしたという方々があるわけです。その一般協力の方々に対してもやはりやるべきだという判決だ。そしてお考えをいただきたいことは、この義勇消防の方々は、いま大臣のお言葉にありましたように、この人たちは給料がないのです。給与はもらっていない。全く奉仕なんだ。奉仕であって義務が課せられておるということ。その義務は何だといったら、命をなげうってでもやってくださいよ。承知しました。ここに、法のもとでは平等ではありますけれども、自分はそういった義務を帯びておるわけです。義務を課してあるわけです。そういう義務を課してある人、そして仕事がそういったことであるのなら、先ほどから申し上げておるように、戦傷病者と本当に命をなげうってやった方々の遺族はある程度横並びができぬかということです。私は、考えてあげていいことじゃないかと思う。そこは決して不平等にはならないのじゃないか。  この速子さん、これは高知放送の「お昼のワイドショー」でも放映がなされておるわけです。それからここに、新聞に手記が出ておりますので、ちょっと読ませてもらいます。   当時息子は犠牲者の中で最も若い二十一歳で、消防団員として出動中、なすすべもなく土砂にのまれました。今にしては心ばかりの償恤(じゅつ)金は頂きましたものの、年金の受給は災害当日満五十五歳に達してない親はもらえず、このようなことで亡き息子も安らかにねむられるかと思います。   戦没者の親には年齢の制限はないようですし、人間いつしか年もとります。老後に不安を抱きながらの毎日です。   当時いろいろお世話下さった町当局へも「もしや法の読み違いでは」と相談もしたり、消防署の方も県へ出向いても下さいましたが、今後会合があるたびにこのことを訴え法の改正をと言うだけで進展の気配もつかめず、今はただあきらめる努力をしております。 こういう手記です。そういうように一生懸命に自分の命をなげうってやった息子のお母さんを泣かせたらいかぬ。  このことは、いま申し上げたように、戦傷病者等のこととも横並びに考えていただいてひとつ御検討いただきたい、こう思うわけです。大臣の御検討をいただけるかどうか。
  98. 山本幸雄

    山本国務大臣 長官からお答えしたようでございますが、実は私も詳しいことを承知いたしておりませんが、ただいま非常にいい提言をいただいたと思いますので、今後検討させていただこうと思っております。
  99. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 終わります。ありがとうございました。
  100. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて平石磨作太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、野坂浩賢君。
  101. 野坂浩賢

    野坂分科員 同和問題について若干尋ねをしたいと思います。  五十七年三月三十一日までは同和対策事業特別措置法というかっこうで、その法律に基づきまして同和対策事業が進められてまいりました。今度は五十七年四月一日から六十二年三月三十一日に限定されまして地域改善対策特別措置法という法律にかわったわけであります。そのことは大臣初め皆さんよく御承知のとおりであります。時限立法でありますから、五年間で差別が解消されるように、環境が整備できるように進めていかなければならない。国の責任、地方自治体の責任、国民全体の責任として進める、こういうことになっておることは御承知かと思います。  まず、大臣の御見解を承ってから、逐次、具体的な質問に入りたい、こう思います。
  102. 山本幸雄

    山本国務大臣 新たに地域改善対策事業として五年間の時限立法ができまして、いま仰せのようにこの対策事業の推進をやろうということになり、この事業の重要性にかんがみて政府としても努力をしなければならぬ、こういうことに思っております。
  103. 野坂浩賢

    野坂分科員 地方自治体の財政問題は、この間、大臣とやりとりを予算委員会でやりましたけれども、御案内のように、四十七兆円の予算で、借入金というのは現状五十八兆円に上っておる。地方財政はまさに窮迫の度を高めておると言っても言い過ぎではないと思うわけであります。そういう情勢の中にあって、この五年間で部落の差別を解消していかなければならぬ。五年間でやらなければならぬわけでありますから、急ぐわけであります。したがって、自治省の財政局長通達で五十七年七月二十七日に「地方公共団体が行う地域改善対策事業に対する財政措置について」、こういうことで通達が出されております。その中身は、「地域改善対策関係予算の充実に特段の配慮をされるよう強く要請します。」まことに時宜を得た通達であろうと思うわけであります。それに基づいて地方自治体は懸命に努力をいたしております。  私は、この間、福岡で行われました第十六回の全国集会に出席をいたしまして、地方自治体の皆さんからいろいろお話があったことを聞いてまいったのであります。たとえばこういうことを述べております。  「住宅新築資金等の貸付でありますが、現在の制度は四分の一補助四分の三起債であり、起債の年利率は七・三%個人への貸付けは二%、」いわゆる起債で借りる金は七・三%の利子がつきます、しかし住宅新築資金貸付制度要綱によりますと二%で個人に貸し付けなきゃいけない、こういうことになっているわけであります。二十五年償還でございますから、十億円貸し付けをいたしますと四億円、この七・三%と二%の差額を地方自治体は持たなきゃならぬということで、地方債の制限比率が三〇%以上になりますと一般事業の事業債は許可されなくなってくる、こういう現象が起きてくるわけですね。したがって同和対策事業も思うように進んでこない、したがって公共用地の先行取得事業の町債発行等ができなくなってくる、非常に困っておる、こういうことを述べておるわけであります。  したがって、私が聞きたいのは、こういう状況について特別交付税で——今度の法律の四条、五条、基準財政需要額の中に入れて交付税対象になりますが、特別交付税等で考えていかなければならぬのじゃなかろうか、こういうふうに考えますが、この点いかがかということが一点と、それから人口比率です。  たとえば例を挙げますと、滋賀県の甲良町という町がございますが、ここは、人口が九千人といたしますと、その四〇%以上が同和地区の皆さんである。したがって、どうしてもそこに財源を向けていかなければならない。正確に言いますと、甲良町の場合、町の人口は九千二百十六人に対して対象地区は三千七百四十九人と、その混在率は四〇・七%、こういう状況であります。したがって、いま申し上げましたように一般財源、起債、そういうもので進めておるけれども、具体的にもう事業ができなくなってくる。時限立法五年というものがあって非常にやりにくい、こういうことを述べておられるわけでありますが、これに対応する措置としてはどのようにお考えでございましょう。
  104. 石原信雄

    ○石原政府委員 先生御指摘のように、同和対策事業の重要性ということから、関係団体としては事業の推進に非常な努力を注がれておられるわけでございます。その結果といたしまして、地域改善対策事業債、従前であれば同和対策事業債の残高もかなり大きくなり、その償還費が財政負担の圧迫要因としてかなりのものになっているという事実を私どもは十分認識しております。  そこで、まず地方債の元利償還につきましては、国庫補助対象となっております一般会計系統の地域改善対策事業債につきましてはその元利償還金を普通交付税において算入しておりますが、それだけでは十分でありませんので、従来から、特別交付税の配分に当たりまして、地区数、人口数などを基準に可能な限り特別交付税の増額配分に努めてまいっております。中でも、その市町村の総人口に占める地区人口の割合の高い団体におきましては財政的な影響が一層大きくなっているという事実を私ども十分考慮いたしまして、先ほど申しました特別交付税の算定におきましても、その比率の高い団体に傾斜的に財源措置ができるように従来から配慮してきたわけでありますが、今後ともさらにこの面の努力を強めてまいりたい、このように考えております。
  105. 野坂浩賢

    野坂分科員 こういうふうに述べておりますね。「私達は昭和五十五年度に同和地区人口比率約二〇%以上の市町村に呼び掛け、同和対策事業財政対策全国協議会を組織いたしました。全国で三十三市町村であります。目的は破綻しかけた財政を共通のなやみを持つ市町村が一体となり、その改善策を国に要望することにありますが、重点項目は、」いまお話しいただきました「超過負担の解消、高率市町村への補助金の傾斜措置、住宅新築資金等質付制度の改善、特別交付税の増額等でありますが、強く要望し続けて参りました。しかしその成果は上がっておりません。誠に残念に思うわけであります。しかし引き続いて要望を行って参る考えであります。」こういうお話をなさいました。  いま財政局長のお話は、そういう人口比率の高いところについては特別交付税あるいは傾斜配分、こういうことで財政を健全化の方向に向けていくように最大進めていくというお考えだということでありますが、そのとおりですね。
  106. 石原信雄

    ○石原政府委員 そのとおりでございます。
  107. 野坂浩賢

    野坂分科員 ありがとうございました。  それから、ちょっとめんどうなんですけれども、役場に参りますと住民基本台帳というのがありますね。そこで住民票をいただくときに、その住民の基本台帳はみんなが見れる。本籍地が書いてありますね。現住所だけならいいのですけれども、本籍地も書いてある。この本籍地がありますと、運動としては差別解消のために就職の機会均等や教育の機会均等ということを盛り上げてまいりますけれども、現実の問題としていま問題になっておりますのは、差別を商売にするというふうなかっこうがある。これは法務省の関係ですけれども、ああいう興信所その他から見て、これらの地域差別による書面等がつくられて就職等に大きな影響が出てくるということがあるわけでありますから、これらについてオープンにしないで、プライバシーといいますか、人権侵害、就職差別につながらないような方向というものが考えられないか、こういう相談があるわけですけれども、これらの問題に対処する方法を、どのようにしたらいいか、ひとつ知恵をかしていただきたいと思うのです。
  108. 大林勝臣

    ○大林政府委員 御指摘のように、現行の住民基本台帳は従来から公開の原則をとっておりますために、おっしゃるようなプライバシー保護との関連でこれまでいろいろな問題が再三にわたって起こってまいったわけでありまして、まことに残念なことだというわけで、従来から適正な事務処理の指導は行ってまいったわけでありますが、まず具体的に市町村窓口において閲覧あるいは交付の請求に対します事務処理規定というものがしっかりしておらなければだめだろうということで、五十六年の十一月と五十七年の一月の二回にわたりまして改めて通達を出しまして、各市町村の閲覧事務につきましてプライバシーの侵害につながらないような事務処理を具体的にお願いをしてまいったところであります。  今後ともそういった指導を、市町村における運用の実態を見ながらさらに強めてまいりたいと考えております。
  109. 野坂浩賢

    野坂分科員 今度の法改正に伴いまして、同和の字句というのは取られて地域改善ということになってきている。もう一つは、法律事項が政令事項に変わってきたということがございますね。  この政令事項四十四項の中でほとんど網羅されておると理解はしておりますけれども、経緯としては、いままでは地域の問題等で大きく盛り上がった点については町村、府県を通じて各省庁でそれぞれお世話になっておったということがございます。しかし、今度は四十四の項目にわたる政令の中で進められる。いまも平石君が話しておりましたけれども、政令は大臣がやっていくんだ。これらの関連をする事業があれば、政令の運用として進めていただきたいということが一点。  もう一点は、できるだけ地域の要望を、五年の時限立法という意味も含めて、起債を承認をしてもらいながら進めていきたいというふうに思うわけでありますが、これらについての御見解を承りたい。
  110. 石原信雄

    ○石原政府委員 御指摘のように法律が改まりまして地域改善対策事業というものは政令で列挙したものに限るということになっております。そこで列挙されておりますその事業の名称の解釈等については、私どももそれぞれの事業の所管省庁とも相談いたしまして、できるだけ各地方の実情に沿うように運用してまいりたい、政令の解釈上可能な限り取り上げていきたい、このように考えております。  今回の政令も、それまで各地方団体において実施されておりました主要な事業はほとんど網羅しているものと理解しておりますが、この政令列挙事業以外については、いわゆる従来の同和債と申しますか地域改善対策事業債としては許可できません。しかしながら、各地方自治体におきまして関係する事業を幅広く取り上げていこうという場合において、その事業が地方財政法第五条の適債事業に該当するものであれば、それは通常の地方債の運用の中でできるだけ御要望に沿うようにこれを取り上げてまいりたいと考えております。
  111. 野坂浩賢

    野坂分科員 政令の運用を弾力的に行使をしながら地域の皆さんの要望を吸い上げ、そのほかの地方財政法第五条に基づく運用についても十分吸い上げる方向で処理をし、地域の皆さんの期待にこたえる、こういうふうに考えてよろしいわけですね。
  112. 石原信雄

    ○石原政府委員 そのように考えております。
  113. 野坂浩賢

    野坂分科員 御答弁をいただきましたので……。  若干時間がありますから私はぎりぎりで終わりたいと思いますが、農林省の関係になると思いますけれども、農業改良普及員とか生活改良普及員とか、あるいは中小企業の関係とか水産関係がありますが、いままではそれらの身分保障のために国が半分と府県が半分、二分の一ずつ負担して身分保障をしておったわけです。その後、補助金ではだめだから負担金にしてもらいたいということで、農業改良普及員、生活改良普及員等は負担金ということに変わりました。そうすれば身分が安定する。今度は、五十八年度からはそういう定率のものではなしに定額なもので交付金というかっこうに変わりました。補助金、負担金から交付金ということに変わりまして、事業費も人件費も県に任せる、自治体に任せる、こういうかっこうになりまして、五十七年度は三百五十億円、五十八年度は三百四十億円ということで減少してまいりました。  そして、農業改良普及員の場合、この人たちはどういう心境にあるかといいますと、非常に身分が不安定だ、事業の方に力を入れられると人件費を削られる、こういうことになってくるのではないだろうか。また、これから農業を進めるに当たって、府県に大きな格差ができないように進めていかなければならぬ、しかしこっちの方が重要だということになればだんだん身分は不安定になってくる、これは困ったものだという不安感を持っておるということが一つ。  農業行政が思うように進むかどうかということが一つということになり、今度は定額ということになりますと、五十八年度と同じように三百四十億ずつずっと交付金が出るのではなかろうかという心配がありますね。その場合、人件費は、一方においては上昇しますね、ベースアップがありますし、また物価の上昇があります。それらの場合については、人件費の上昇なり物価上昇というものに伴って、この定額でそれだけはめんどう見てもらえる、こういうことになるのが当然だろうというふうに思いますが、いま申し上げました諸点について御見解を承れればありがたいと思います。
  114. 石原信雄

    ○石原政府委員 昭和五十八年度予算から農業改良普及員と一部のいわゆる補助職員に対する国庫補助負担金が交付金に改められることとなっております。そのねらいは、先生御承知のとおり各地方公共団体の自主的な運用の幅を広げる、各地域の実情に合った姿で同じ国費を有効に使っていただく、こういう趣旨の改正と理解しております。  したがいまして、その内容的な面で、その大部分といいましょうか一番大きな部分は農業改良普及員などの人件費であります。それからあとは事業活動費でありますが、これらにつきましては今後その交付金のトータルの中で、想定されております人件費相当額については、給与改定その他があれば当然それに応じて総額算定上の積算の内容は改められるべきものであろうと思います。それから事業費につきましても、物価その他の状況によってこれは適正に積算さるべきものであろう、また私どももそのような運用にするように関係省庁からは承っております。  もちろん、こういう厳しい財政状況でありますから、国、地方を通じまして職員の全体の設置について一定の節減といいましょうか、圧縮がこれまでもずっと行われてきたわけですが、そういったものが国の方針として全体として取り上げられる場合、これは例外たり得ないわけでありますけれども、しかし少なくとも給与改定その他によって積算の前提となった条件が変われば、それは変わったところに応じて適正な積算がなされるべきものである、このように理解いたしております。
  115. 野坂浩賢

    野坂分科員 御答弁をいただきました。  最後に大臣にお尋ねをいたしますが、御見解を承って終わりたいと思います。  先ほど申し上げましたように、地域改善特別措置法、五年間の時限立法であるという御認識はちょうだいいたしましたが、この間に差別が解消し、そして生々たる民主的な日本をつくるためには、この部落問題を解決することが何よりも必要でありますから、それについていまそれぞれ御答弁がありましたが、積極的に進めていただくことについての御見解、そしてもう一つは、農業改良普及員初め二、三の交付金制度の問題については、その職員の身分が安定をし、そして自治体に対するチェック機能を強化をしていただきまして、他の職員と格差ができるようなことのないようにしていただきたい、こういうふうなことを申し上げまして、御答弁といいますか御見解を承って終わりたい、こういうふうに思います。
  116. 山本幸雄

    山本国務大臣 地域改善対策事業につきましては、政府としても努力をもちろんするという方向でありますので、私どももそういう考え方で今後とも事に当たっていきたい。  それから、いまの人件費のことでございますが、これは従来からの考え方を改めて、私はやはり地方公共団体の行政というものに幅を持たしていくという方向で、歓迎すべき方向であろう。ただ、その場合に、いま仰せのようないろいろな従来と著しく違った形になるということについては、私は、いま局長から答弁いたしましたように、十分の注意を払っていきたいと思っております。
  117. 野坂浩賢

    野坂分科員 終わります。ありがとうございました。
  118. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。  次に、中島武敏君。
  119. 中島武敏

    中島(武)分科員 私は、きょうは自動車税に関して一つ、固定資産税に関して三つ、質問をいたしたいと思います。  最初に、水害などにおける自動車税の減免問題についてお尋ねしたいと思うのです。  最近、都市水害が非常に多発をしている。そして自動車の被害も非常に多いわけであります。昨年台風十八号による水害の調査を私、行いましたが、そのときに罹災者の人たちから自動車税の減免問題について訴えられました。私が見たところによりますと、乗用車、それからトラック、大変たくさんのものが水浸しになっておりました。ところで、地方税法百六十二条には減免の規定がありますけれども、たとえば東京都の場合、この条例をつくっていない。このために減免されないというふうになっています。  そこでお尋ねしたいのですが、各都道府県の自動車税減免の条例制定の実態はどうなっているかという点についてお尋ねします。
  120. 関根則之

    ○関根政府委員 自動車税の減免につきましては、お話がございましたように地方税法の百六十二条に根拠規定がございまして、現実に減免を行います場合には条例規定の制定が必要でございますが、現在のところ都道府県におきまして自動車税に関する減免の条例をつくっているところは四十県でございます。道も入っておりますし、府も入っております。したがって残りの七団体が恒常的な条例規定は制定していないという状況でございます。
  121. 中島武敏

    中島(武)分科員 いま伺いましたら四十道府県、残りは七つ。東京都もその中の一つでありますが、私も水害のときの実態調査をやってみて、これは何とかしなければいかぬという気持ちな非常に強く持ったわけであります。そういう点からいって、自治省の方では残っている七つに対して指導を強めるべきではないかというように思うのですけれども、どうでございますか。
  122. 関根則之

    ○関根政府委員 災害を受けましたとき等におきまして納税者の税負担能力が著しく減殺されるということが予想されますので、私どもといたしましては、そういう場合に減税を行うような制度的な措置を構ずるように指導をいたしているところでございます。一般的にも、昭和三十九年の通達に基づきまして一応の基準等も示しながらそういう指導をしているところでございます。したがって、都は除きますが、大部分の道府県におきましてはわが方の指導に従ってそういう条例をつくっているものというふうに理解をいたしております。  残っている七つにつきましては、それぞれその地方団体の事情なり考え方というものがありましていまだ制定を見るに至っていないということになるかと思います。それに対してさらに指導を強めるということでございますが、税の減免を具体的にどういう形で実施するかということにつきましては、一般的な指導としてはいま申しましたようにいたしますけれども、その具体の適応についての最終的な判断は各地方団体が自主的に決めていくべき性格のものでございますので、私どもとしては引き続き従来の一般的な指導をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  123. 中島武敏

    中島(武)分科員 私、この問題について東京都に対しても実施するようにいろいろと努力してもらいたいということを、直接この問題のときに言ったのです。そうしましたら検討するという答えがあったのです。けれども、今日まだこれが、検討はしているのかもしれませんけれども、実施されないのですね。  こういう問題というのは住民にとっては非常に切実な問題なのです。そういうことから言うと、一般的指導だけでなくて、自主性に任せるというだけではなくて、東京都もいやだと言っているわけではないのですから、自治省の方から指導強化するというふうにやってもらいたいと思うのですね。大臣どうですか。こういう場合は干渉とかなんとかということにならないのですよ。ちょっと見解を聞きたいと思うのですが。
  124. 関根則之

    ○関根政府委員 私どもがやらぬでもいいということを言っているわけではございません。まさに各地方団体を相手にした一般的な指導としてこういう制度に乗ってやるべきであるという指導をしているわけでございます。しかし、個別に指導をやっていくかどうかということになりますと、そのときそのときの状況にもよるとは思いますけれども、税の具体的な減免問題についてわが方が個別に指導をするということについては、やはり地方団体の自主性というものを尊重しながら、それと、税の全国民的なある程度の整合性といいますかそういうものとの調和、兼ね合いの問題で判断をしなければいけないというふうに考えております。  先生もおっしゃいましたように、まさに東京都民の税負担の問題でございますので、都民の利益を最優先して考えるべき東京都の中で、当然われわれからの指導も承知の上で、しかし実態においていまどうするかということを考えているところと考えますので、その時点で直接わが方が飛び出していって何が何でもつくれという話をするのはちょっと問題があるかなというふうに考えているところでございます。
  125. 中島武敏

    中島(武)分科員 ちょっと残念ですね。こういうのは自治省がどんどんイニシアチブをとられるというのが私は適切だと思うのです。一般的な指導ということにとどまらないで、今後も強力に指導してもらいたいということを要請して、次の問題に移ります。  国民の最大の不満は、何といっても税金、増税問題だと思うのです。固定資産税についても同様だと思っております。  固定資産税の増税は、土地、家屋を持っている勤労者など国民の生活を圧迫するだけではなくて、地代、家賃の値上がりを誘発して住居費の高騰を招くという事態になっています。固定資産税制の基本的な問題点は、固定資産の所有の実態、つまり固定資産の所有主体、所有目的、所有面積等を問わないで画一的な課税をするという仕組みになっている点にあると私は思っております。このため、周辺の地価高騰によって庶民の生存権的な財産に対する税額までが異常に上昇する仕組みになっていること、ここが問題だと思うのです。庶民の生存権的財産に対しては、非課税にするか低率の税率を適用すべきであると考えております。こういう観点から、現行制度のもとでの問題点、これを三つ質問をしたいと思います。  まず最初は、固定資産税の免税点の引き上げの問題であります。  四十八年以来十年間免税点が引き上げられておりません。御存じのとおりです。一方、評価額の方はこの十年間で大幅に上昇しております。その結果どういうことが起きているか。私、東京板橋区の実態について聞きました。そうしますと、納税者のうち免税点以下の者は、土地に関しては一・四八%、それから家屋につきましては一・八〇%、それから償却資産については九〇・九三%、こうなっているのです。土地、家屋については免税点が有名無実になっていると言っても言い過ぎではないと思います。  なぜなら、板橋区内の土地の評価額は最低でも平米当たり四、五万円でありますから、免税の対象となっているのは私道かあるいは残地で、人間が実際に住んでいるところは一つ対象になっていないと言ってもいいわけであります。また、償却資産とのバランスも崩れているという実態です。そこで、十年間も放置されている、実態にそぐわなくなっている免税点を適正に引き上げるべきだと思いますけれども、自治省はどう考えておられますか。
  126. 関根則之

    ○関根政府委員 固定資産税は、先生御指摘のとおり、財産を所有している人に対しまして、その財産の価額に応じまして一律的な税率をもって課税する物税であるわけでございます。その財産がどの程度の収益を得るのかとか、それを所有している人の生活状態がどうであるかとか、年間所得がどうであるかとか、そういうことを一切捨象いたしまして、純粋に財産の所有そのものに対して課税をしていく。そのこと自身がおかしいではないかという議論もあるわけですが、税体系というのはいろいろな税目を合わせましてバランスをとって、いわゆるタックスミックスとして全体として調和がとれているかどうかということで判断をいただきたいとわれわれは考えているわけです。  そういう意味で、固定資産税というのはそういう物税だということをまず御理解いただきたいわけでございまして、免税点の問題につきましてはいろいろな考え方があろうかと思いますけれども、固定資産税が物税であるという意味におきまして、固定資産税の免税点というのはこれは主として零細な税を排除する、たとえば百円とか二百円とかいうような税額の税を取りに行きますと徴税経費が一件当たり何百円かかるということになる、全く徴税の意味がないではないかというような問題もございまして、一定の零細負担というものを排除していく、そういう趣旨で設けられているものというふうに私どもは考えているわけでございます。十五万円の土地につきましての免税点が現在あるわけでございますけれども、十五万円の課税標準額でまいりますと二千円ちょっとの税になると思いますけれども、その程度のものについては納めていただいていいのではなかろうかということで、免税点が設定されているわけでございます。  御指摘のとおり、確かに四十八年に免税点を引き上げまして以来そのまま据え置かれてはおりますけれども、われわれの基本的な物の考え方といたしましては、課税標準額なり評価額がどんどん上がってくればそれに並行して免税点も上げなければならないものというふうには実は理解をしていないわけでございます。そういう意味におきまして、一応現在、確かに板橋等におきましては免税点以下の土地の割合が非常に低くなってはおりますけれども、まだ昭和五十七年度におきまして全国では、土地について二四・七%のものが免税点以下でございますし、家屋については七・一%が免税点以下であるという状況になっておりますので、本来の免税点が設けられました制度の趣旨というのはやはり機能しているのではないかというふうに考えているわけでございます。したがって、現時点においてすぐに免税点の引き上げをやらなければならないという御要望の趣旨はよくわかりますけれども地方財政もなかなか厳しくて、税収確保が必要な事態でございますので、現時点においてすぐに対応することがちょっとむずかしい状況になってきているわけでございます。
  127. 中島武敏

    中島(武)分科員 実はこの問題については五十七年三月二十三日の地方行政委員会でも議論になりまして、岩佐恵美議員がこの問題について考えをただしたのです。そのときに、関根税務局長の答弁があります。この答弁は「私ども引き続き検討をしていくべき課題であるというふうに考えております。」と述べているのです。この考え方は、私は違いないだろうと思うのです。いまの局長の答弁もこれを否定したわけではないと思うのです。ちょっと否定をするようなふうに聞こえないわけでもないけれども、そんなことはないだろうと思うのです。少なくとも次の基準年度、つまり昭和六十年、このときまでには検討してちゃんと実施するという方向で努力しなければいかぬじゃないかと私は思うのですけれども、どうですか。
  128. 関根則之

    ○関根政府委員 御指摘をいただきましたように、昨年の地行におきまして私が岩佐議員に対して答弁をしております。その考え方は別に変わっておるわけではございません。これは常に税制の基本にある問題でございますので、免税点がそれでいいのかどうかということにつきましては、われわれとしては検討をしていかなきゃならない問題であるというふうに考えております。したがって、引き続きこれからも検討をしてまいりますが、いまの時点におきまして、昭和六十年度の評価の時点でこれを引き上げることが約束できるような性格のものではないと思います。というのは、最近土地の値上がりがわりかし安定的に推移をしてきているという問題もございまして、果たして六十年度の評価がえにおきましてどの程度の評価率の上昇になっていくのか、その辺のところがまだ即断をすることができないわけでございます。  そういったいろいろな状況を踏まえながら、また、そのときにおける物価水準あるいは納税者の所得なり貨幣価値といいますか、そういったものとの兼ね合いも考えながら免税点の制度というのは結論を出していかなければならぬものというふうに考えておりますので、そういったいろいろな状況を踏まえながら検討をしていきたいと考えております。
  129. 中島武敏

    中島(武)分科員 局長答弁、考えはわかりました。  大臣にちょっと考えを聞きたいのですが、十年間実際に放置されている。ですから、これから後の二年間といいますか、この変化はありますけれども、この十年間にはずいぶん地価の高騰等があったわけですね。そういう実態というものを十分考えに入れるということをやりませんと、引き続き検討するといっても、一体いつまで引き続きやっているのだということになってくると思うのですね。  この十年間、どの程度評価額の方が大幅に上昇しているかといいますと、六大都市では大体二倍程度、商業地は一・九五倍、住宅地は二・八倍という数字が出ています。だからそういう実態をも十分考慮して、これはみんなが期待しているところですから、今度六十年ぐらいにはちゃんとやる、これぐらい大臣どうですか、お考えをちょっと聞きたいのです。
  130. 山本幸雄

    山本国務大臣 税の問題は、実はいま地方財政は非常に厳しい状態にあるわけでして、率直に言いまして減税というのはなかなかむずかしい状況にある。それで固定資産税といいますのは、納めていただく方から見た場合と今度は地方公共団体の方から見た場合では、府県と市町村の税を見てみますと、府県の税というのは非常に税収の増減がございます。それは一つは、所得というものを税をいただく場合の基礎にしている。しかし、固定資産税の場合は比較的、特に住民と密接する市町村税としては非常に安定をしておる。そういう意味で府県と市町村の税収を見てみますと、市町村の税収は固定資産税のおかげで比較的安定をし、そういう家とか土地を持っておられる方によって固定資産税を納めていただくことによって市町村の福祉のためにも非常に役に立っている、こう私は思っておるのです。一つ一つの税にライトを当てますと、問題点はみんなそれぞれに何がしかずつ持っていると思うのです。それらについては、いま局長が言いますように、全般的な検討の中でこの問題もひとつ引き続き検討をさせていただくということで御理解を賜りたい、こう思います。
  131. 中島武敏

    中島(武)分科員 地方財政のことも考えなければならない、それは私も当然だと思います。同時にしかし、いま国民は大変な重税感に悩まされている、いろいろ不満が出ている。今国会を見てもよくおわかりのことだと思うのです。私はそういうことの中の一つに固定資産税も入っていると考えます。そして地方自治が本当にしっかりやられるためには、何よりも住民を第一に考えなければいけないのじゃないかと私は思います。同時に、その上に立って地方財政の問題を考えるというのでなければ、本当に健全な財政はつくられていかないというように思うのです。これはいま大臣の見解が述べられましたから、私もちょっと基本的な考え方を述べさせてもらって、この問題はぜひひとつ御検討いただきたいと思うのです。  その次に、もう一つの問題は、日照阻害を受ける住宅地の宅地の評価の問題なんです。これは太陽を奪われている住民の非常に切実な要求であります。  御存じのとおり、五十年十月十五日付で自治省税務局固定資産税課長通達が出されております。それで、この通達では「日影時間等を考慮して定めた二割を限度とする補正率を適用」ということが明確に示されておりまして、また、内簡では評価要領が示されております。  大都市、たとえば東京、大阪、名古屋では、この通達がどのように実施されているかという点について最初に局長に伺います。
  132. 関根則之

    ○関根政府委員 東京につきましては、この補正の適用をいたしました土地の筆数が千四百十八筆ございます。それから名古屋が五百二十二筆、大阪市が八百九十二筆ということになっております。ただ東京都の場合には、いわゆる東京都が直接やっております二十三区内には適用されておりませんで、周辺の都市、武蔵野市でありますとか立川市でありますとか、そういうところでやっているようでございます。
  133. 中島武敏

    中島(武)分科員 大都市中の大都市である東京、しかも、その中でも二十三区はこの通達を実施していない。私、ここは非常に問題な点だというふうに思うのです。実は、日照被害、日照阻害は二十三区に多いんですよ。三多摩の方はないとは言えませんけれども、何といったって集中的に多いのは二十三区であります。  それで、東京都が二十三区について実施しない理由、これについてどう言っているか。東京の資産税部の「縦覧事務の手引」というのがありますが、これを読んでみると、自治省通達では三階以上の建築物に限定しているとして、「建築物以外の高速道路による日照阻害は除外されてしまう」、それから「二階建建物による日照阻害は減価されない」、それから「マンション等の紛争を行政が肩代りすることによって大手業者を保護するという批判をうける恐れがある」、まことに珍妙な理由を述べているのですね。非常に珍妙な理由を述べているのです。これは言って見れば、自治省がせっかく出された通達、私は率直に言うとばかにされているのじゃないかという気さえしないわけじゃないのです。  その中にはまた、こういうことも書いてあるのです。「特別区において日照阻害を受けている土地は他都市に比べ非常に多いため、その対応がむずかしい」、これは本音ですね。こういうことも書いておるのですね。これは私は大変どうかと思うのです。  どうですか、こんなことを公然と言って、それでこの問題に対応しないという態度についてどう思われますか。
  134. 関根則之

    ○関根政府委員 地方団体というのは、自主的な独立の団体でございますし、わが方の下部組織でも何でもないわけでございます。それぞれりっぱな知事さんのもとにスタッフをそろえて、しかも住民の批判を浴びながら行政をやっているわけでございますから、それがいろいろ考えて、わが方の通達といいますか考え方、指導方針とはちょっと違ったやり方をしているという実態にあるわけですけれども、それをただ一概に、わが方がばかにされておるとかいうような感覚で受けとめるというのもちょっと問題があるのではなかろうかと考えております。  ただ、あくまでもわれわれとしては、土地の固定資産の評価額というのは実態に即してバランスのとれたもの、それを所有している人たちがやむを得ないなと思う、この辺のバランス感覚でちょうどいいなと思うような評価がなされることが望ましいわけでございますから、そういう考え方に立って、御指摘をいただきました通達で一般的な指導をしているわけでございます。  なお、いまお示しをいただきました東京都が具体的は言っている問題等につきましては、私も、帰りましてまたよく検討をしてみたいというふうに考えております。
  135. 中島武敏

    中島(武)分科員 バランスを問題にされましたね。バランスを問題にされるなら、この人たちはバランスが失われてしまっていると言って怒っているのですよ。何とかしてもらいたいと私どものところにずいぶん頻々と言われるんだ。言われるんだけれども、東京都はこういう姿勢でしょう。これは大臣、どう考えられますか。東京都がそういうふうにやっているのはあながち否定すべきではないみたいなお話なんだけれども、せっかくこういう通達を出してそういうところはちゃんとやりなさいというふうにやっておるのに対して、理屈をつけている。それでも自主的な団体だからいいんだ、こう言ってほっぽっておく。これは自治省の指導としてはどうかなというふうに私は率直に言って思いますね。やはりこういう点は東京都からもよく事情を聞き、同時に、住民の要求を入れるべきじゃないかというようなことあたりを指導しなければ自治省としてはどうにもならぬのと違いますか。どうですか。
  136. 関根則之

    ○関根政府委員 住民の要望を直接一次的に受け入れるのは東京都であるわけでございますので、東京都としても住民からのそういった要望はよく聞くように私どもとしては指導していきたいと思います。  また、この通達が出しっ放しになっておってそのまま放置されておるということではありませんで、私どもとしては、いろいろな会合の席等におきましてこの趣旨の徹底は図っていきたいというふうに考えております。  なお、先ほども申し上げましたが、具体のこの問題での東京都の考え方につきましては、御指摘をいただきましたので、私どもとしても東京都の考え方を聞きたいというふうに考えます。
  137. 中島武敏

    中島(武)分科員 ぜひ東京都の考えも聞いた上で、実施できるようにしてください。  最後になりましたけれども、もう一つお尋ねしたいのは、騒音、振動等公害の影響を受ける宅地の評価に関する問題であります。  これも先ほど言いました固定資産税課長通達で、非常にはっきり「新幹線・高速道路等による騒音・振動等に起因してその価格が低下している宅地については、」「当該一定の地域を他の地域と区分して路線価を付設し」「価格事情に応じた当該宅地の評価を行うことができる」という見解を述べているわけであります。  ところが、これも東京でありますけれども、高速道路沿線なんかの被害が非常に大きいのですね。時間が来たようですのではしょってお尋ねしますけれども、自治省が明確に示しているような、こういう他のところと区分して路線価を決めるというやり方、これを具体的にやるべきじゃないかというように私は考えるのです。売買実例価額によってはなかなか反映されにくいというふうに私は思うのです。ですから、そういう点について、自治省が通達で述べているようにやるとするならば、公害の客観的なデータを評価員に示すようにするとか、あるいは地域を指定するというような方法ですね。これはたとえばの話ですけれども、環七沿線十メートルなら十メートルを指定してやるというやり方とか、いろいろあると思うのです。時間が来ましたからちょっとはしょってお尋ねしますが、どうですか。
  138. 関根則之

    ○関根政府委員 高速道路でありますとかあるいは新幹線といった鉄道が通っているというようなことになりますと、単に一地点一地点じゃなくて、ある程度面的な騒音被害というものが出てくるわけでございますので、人口密集地等につきましては路線価方式をとっておるわけですけれども、その路線価の評定そのものにそういう要因を加えて、そういう条件のないところに比べれば比較的低い評価になる、そういうやり方を私どもは指導しておりますし、また農村地区等につきましては、そういう条件のあるものを一つ状況類似地区として取り上げてそれ相応の評価をする、そういう指導をしているわけでございます。  東京都は、先ほどからたびたび御指摘をいただきますように、どうも必ずしもわが方の指導どおりにいっていない、一見そういう感じのする事例が多いわけでございますけれども、東京都は全国でも群を抜いて大きな地方団体でございますし、それぞれいろいろな条件の中でいろいろな議論の末そういうことになっているのではないかと思いますが、こういった問題につきましても、わが方の自治省の指導方針に基づいて適正な運営がなされますよう、今後とも私どもも努力をしていきたいと考えます。
  139. 中島武敏

    中島(武)分科員 では、終わります。
  140. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて中島武敏君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  141. 沢田広

    沢田分科員 大臣、どうも御苦労さまです。あとこれが最後だそうですから、ごしんぼうください。  最初に、地方交付税の算定基礎の中で、下水道、公園というものがいままでの分には含まれていない、これはやはり従前の算定基準では望ましくないのではないか、だから含めるべきではないかということを前回申し上げて、一部報道では、今後下水道、それから公園というようなものも算定基準の中に含めるというふうに聞いておりますが、その事実の有無だけひとつお答えいただきたいと思います。
  142. 石原信雄

    ○石原政府委員 下水道に要する経費につきましては、先生御案内のように、下水道は公営企業として位置づけられております。しかしながら、これはいわゆる独立採算はできない事業でありますから、一般会計がかなりの分を負担しなければいけない。その一般会計が負担すべき部分につきましては、繰り出し金という形で、現在の地方交付税の算定上、基準財政需要額に算入いたしております。  それから、都市公園に要する経費については、それぞれ都市計画事業関係経費の中で算定を行っております。
  143. 沢田広

    沢田分科員 そこで、今度は河川の問題なんですが、河川も一律基準で入れてあるわけでありますが、いままでの台風の状況あるいは歴史的な背景等を考えて、年金じゃありませんが、財政再計算と同じように五年ぐらいの条件を勘案しつつ、被害の起きやすいところをAランク、常時監視なり維持管理しなければならぬところはBランク、ほぼこの程度でそのまま推移しておいても心配ないと思われるところはCランク、そのぐらいな類別をしながら配分をしていかなければ、寝屋川の判決あるいはその他の判決にあらわれるような状況がより一層進んでしまうのではないか。ですから、河川もただ一律の条件というわけにはいかないのじゃないかというふうに思います。全体の枠がどうなるかは別問題といたしまして、配分基準についてはそういう要素を含めていくことが必要になってきているのじゃないか。そこだけ聞いておきましょう。あとは入れるものはまた別に申し上げます。
  144. 石原信雄

    ○石原政府委員 現在、河川に要する経費はつきましては、河川法の規定によりまして都道府県あるいは市町村に管理責任あるいは経費負担責任のある部分については、都道府県の場合ですと、河川の延長を基準に必要な経費を計算しております。それから、市町村の場合には、市町村長は準用河川の管理責任があるわけでございますが、こちらの方は市町村の面積を基準にして計算を行っております。
  145. 沢田広

    沢田分科員 ですから、それだけではいまの危険度というようなものに対応した配分になっていない。いわゆる危険度、たとえば小学校の老朽校舎の基準もありますように、やはり河川の危険度、はんらん度、しかも判例も出ていて、床下浸水までは受忍限度であろう、しかし床上になれば人災である、こういう判決も出ているわけですから、危険度の多い部分についてはAランクならAランク、そういう危険のないところについてはBなりCランクという程度の措置を構ずることがより実態的な公平になっていくのではないのか。ただ長さだけだとか面積だけだとかという単純要素で果たして今日いいのかどうか。どこの判決でも皆、国、地方団体がいま負けているという現状にあるわけですから、そういう状況を判断したときには、いまの点を配慮すべき時期に来ているのではないか。あるいは特別に財源があって別に出せればいいですよ。出せればいいけれども、現実にないとすれば、やはりその中で若干の序列をつくっていくということは必要な要件になっているのではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  146. 石原信雄

    ○石原政府委員 先ほど私が御答弁申し上げましたのは、河川法上はっきり管理責任が都道府県知事あるいは市町村長にあるものについての算定方法を申し上げたところでございます。これらについては、確かに単純に延長なり面積だけでは適正な計算ができません。そこで、都道府県の場合には、いわゆる事業費補正という補正を適用いたしまして、具体に、財政負担の多い、河川改修費等が多くかかる経費については、それが反映するような補正を適用しております。  ただ、私どもが非常に頭を痛めておりますのは、いわゆる普通河川、先生、中小河川とおっしゃった普通河川でございますが、この普通河川については現行法では河川法の体系に入っていないのでございます。したがって、都道府県知事にも市町村長にもその管理責任がない。強いて性格を言えば、これは国有財産普通財産という位置づけになっております。事実上、市町村長はほっておけないものですからこれを管理しておる。そして、管理しておるところに災害が起こりますと、国家賠償法の規定による賠償責任がこれまでの判決でも出ている。こういうことで、私どもも非常に頭を痛めている問題でございます。  この点について現在どういうことをやっているかといいますと、一般的に市町村が、その地域の中小河川といいましょうか、普通河川の管理などで実際にはかなり金を使っております。そういうことを踏まえて、市町村の面積を基準にして一定の金額を単位費用の中に算入する。さらに、それは単純に面積比例ではありませんので、人口集中地区人口などを反映させる。人口密集地域においてはやはり一たん事があった場合には災害が大きくなりますから、そういった点が反映するような補正を適用いたしております。  しかし、これでは十分だとは決して思っておりません。確かに先生御指摘のように、具体的に河川の性格によって危険度と申しましょうか、財政需要の多寡が反映できるような体制、法律的な整備がまずなされることが前提ではないか。何よりも、いわゆる普通河川の管理責任というものが、河川法上どういう形でどこにあるのか、どこに帰属するのかということを明確にしていただく。そうして、その管理責任に対応して国がどういうふうに経費を負担するのか、都道府県がどう負担するのか、市町村がどう負担するのかというその負担区分なども明確にしていただく。こういうことになれば、私ども地方交付税の算定その他でより的確な計算ができるようになると思うのであります。  そこで、私どももかねてからこういう法律関係を明らかにしていただきたいということを関係方面にもお願いしております。つい最近も、国有財産の管理の問題とも関連いたしまして、関係省庁にこの検討を急ぐようにお願いしているところでございます。
  147. 沢田広

    沢田分科員 これからではなくて、現在あるものの中で、とりあえず当面する危険率に応じて、校舎と同じような若干の配分比率の傾斜といいますか、傾斜をつけることは必要なのではないか。  それから、第二番目の問題は、実はこれから提起をしようと思っていたことなんでありますが、これは大臣に聞くのですが、まず、それは何とかそのまま、現状維持でいこうというのではなくて、そういう現実に合わせて対応していかなければならないのじゃないかということをひとつ考えてほしい。また、実際にそういうふうな方向をとってほしい。序列は今年度の予算からつくるというわけにはいかぬでしょうから、やはり一年間に調査をしていくということが必要になるでしょう。これは自治体の調査もあるし、河川課の調査もあるし、建設の調査もあるし、農林の調査も起きてくるだろうと思っておりますが、一応そういう意味においての傾斜を考えなければならぬと思うのでありますが、いかがですか。イエスかノーかでいいです。
  148. 石原信雄

    ○石原政府委員 よく勉強してみたいと思います。
  149. 沢田広

    沢田分科員 二番目の問題は、雨水の問題なんですね。これは所管がないのです。地方団体はきわめてまいっている、土地改良区も弱っているし、中小河川も弱っている。下水道が進むと皆分流方式だ。しかも、雨は大体五十ミリぐらいを見当につくられている下水道。一般の雨水は土地改良区の水路に依存したり、あるいは中小河川に依存をしているということがいま現実の問題なんですね。  だから、いまの下水道計画をやっている建設省も分流方式をわりあい取り入れていますから、ほとんど雨水は一般にはんらんするという形態が出てきている。これもいまあなたのおっしゃったような、普通河川と言われますか、中小河川、土地改良法の五十六条だと思いますが、土地改良法にも一般の雨水を協議して拒否することができるという法律はあるわけですよ。だから、いかに都市開発をしても、土地改良の水路を使わせないなら使わせないこともできる、お断りもできるわけです。しかし、現実の問題としては、法律はそうなっているけれどもなかなか断るというわけにはいかない。そして、はんらんすれば責任は問われる。大阪の寝屋川のはんらんの判決もその一つですね。あるいはその他の児童の転落事故死の問題もそのとおりであります。  そういうふうに、地方交付税なり国の方ではいま全然めんどうを見ていない分野等について、これはやはり配慮していくべき要素に入ってくるのじゃないかというふうに考えますが、いわゆる考慮の余地はあるのかないのか、その点ひとつお答えいただきたいと思います。
  150. 石原信雄

    ○石原政府委員 ただいま先生御指摘の後段の問題でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、いわゆる普通河川につきましては管理責任をどうするのか、管理体系をどうするのかという点が現在全く決まっていないわけであります。農業用水路あるいは自然の……(沢田分科員「もうわかった」と呼ぶ)だから、この点については少し勉強いたします。
  151. 沢田広

    沢田分科員 けれども市町村長が管理しなければならぬという現実もわかっておるでしょう。雨が降りて床上になれば、立ち退き先も見つけなければならないし、毛布も出さなければならぬ、そういう現実に対応している市町村実態というものはわかっておるでしょう。  そうすると、それは市町村の責任なんだ、地方自治法第二条にある生命と財産を守ることが地方自治の使命ですから、それは国から金が来ようが来まいが、地方自治体としてはやらなければならぬ仕事であることは現実問題。ただ、それを地方自治体だけに任せておくことが国として妥当かどうか。それは全然災害の起きないところもあるし、年じゅう起きているところもある。台風銀座などと言われているところもあるわけですから、そういうようなところについては災害対策だけで、後始末だけすればいいのだという論理じゃなくて、平素の行政としての見方としてそういう配慮をしていくということが必要じゃないか。だから、建設省などがやっているいまの開発行為がいいと言うのじゃないですよ。むちゃくちゃな乱開発を私は承認している意味で言っておるのじゃないのだけれども、悪法も法なりで、そこに取り残しがつくられるわけですから、そういう立場に立った地方自治体には、それなりの配慮をしていくことが必要じゃないか、こういう意味で言っているのですから、これからどこが管理者になるかわからぬから、その間は地方自治体負担でいいやという発想では済まされないのじゃないかという気がしますので、ぜひひとつこれは、次にまた追い打ちをかけて、次回何かのときには質問いたしますが、御検討をいただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  152. 石原信雄

    ○石原政府委員 確かにこの問題、大変長い議論がありまして、私どもも頭を痛めている問題であります。直ちにこうだという結論があるわけじゃありませんが、市町村が困っているという事実は私どももよく承知しております。そういう事実を踏まえて研究してまいりたいと思います。
  153. 沢田広

    沢田分科員 なお、念のためですが、各都道府県市町村では浸水地域という図面がこのごろはできてきております。特に関東地方なんというのはそういう条件にありますから、それをぜひ参考にしながら、地盤沈下対策とあわせて常に浸水する場所、一分ぐらいで物を申せば、この間の台風十八号は、荒川の水位が八・六三メートル、これはAPで言っておりますが、APで八・六三、そうすると海抜に直しますと、東京湾と荒川の水位の差が約二メートルありますから、海抜でいきますと大体十メートル。そうすると、十メートル以下の五万分の一の地図のところは全部水につかるということなんですよ。つかるという条件、そういう条件があの台風十八号の教訓として出てきている現象なんです。ですから、そういう地区の河川がどうやったらばその住民に被害を与えないで済むかということは埼玉、千葉、神奈川いずれも同じように悩んでいる問題なんですから、その点ぜひ御考慮をいただきたい。  次に、奇抜な提案なんでありますが、地方自治体に、内部だけで結構なんですが、これを公表しろとまでは言ってないのですが、貸借対照表、損益計算書を地方自治体会計に一部取り入れていく時期に来ているのではないかということなんであります。いわゆるどんぶり勘定から一歩出して、確かに無形サービスが入っているから測定しがたいという意見があることは十分承知をしております。しかし、民間のサービス産業であっても、これはやはり貸借対照表、損益計算書はつくるわけであります。ですから、これからの地方財政なりに、住民が判断をする場合においても、あるいは中央が判断をする場合においても、やはり貸借対照表、損益計算書、複式簿記の会計に一応直して、これは強制でなくて結構ですが、一応そういう形をとっていくことが必要になっているのじゃないか、その認識のほどをひとつお伺いをいたしたいと思うのです。
  154. 大林勝臣

    ○大林政府委員 貴重な御提案でございますが、現在はどんぶり勘定と申しますか、公会計では現金主義をとっております。地方公営企業では独立採算のたてまえから複式経理をとっておりますが、これは従前からいろいろ研究をしたこともございまして、一般会計におきまして複式経理を採用すべきではないかといろいろ議論がございました。  複式経理の利点は十分にわかっておるわけでありますが、ただ、これを一般会計に採用する場合に事務処理が非常に複雑になる、これに果たして職員が対応し切れるであろうかという問題、それからもう一つは、地方の一般会計が国の一般会計と非常に密接に関連をしておりますために、国が現金主義をとっておる現在、地方の一般会計についてこの複式を考えることは時期的にどうであろうかという議論が従来からございまして、そういった環境は残念ながら今日もまだ続いておるところでございます。
  155. 沢田広

    沢田分科員 簡単に言えば、そのときの首長が内部財産をどんどん切り売りをして仕事をした首長もいますね。あるいは財産を蓄積した首長もいる。それは貸借対照表と損益計算書を見なければその評価はできない。あそこへ図書館をつくったからいい首長だという人もいるでしょうし、土地をあちこちに求めながら次の時代に備えていった首長もいるでしょうし、議員もいるでしょう。その政策の選択を見るのにはやはり貸借対照表と損益計算書が必要である。これが私の提案するまず第一の意味なんです。  それからもう一つは、三月三十一日の決算と五月三十一日の会計閉鎖期との間の現金の取り扱い規定がどうやったって会計検査院にひっかかる。とにかく、できてない品物を三十一日で決済してしまうのですから、その金が金庫に入っているなり預金になんかなっている場合もあり得る。そして、五月三十一日までに支払いをするわけですから、その間についた金利を取れば横領になる、一般会計に雑収入として入れるかと言えば、これも入れるわけにはいかない、三月三十一日以後に支払ったということは表に出ない話ですから。そういう会計上の無理が現実に伴う。三月三十一日に工事が皆終わっているなんというものはありはしないのですから。結果的には皆、四月にかかり、五月にかかって払っているわけですからね。終わらないうちに払うわけにいかないですから。そうすると、その間の金利、金の行方はどこにあるのかということになるわけです。しかし、決算では三十一日に落としちゃうのですね。そういうことになるわけです。そういうことで、常に会計検査院や監査のときにも、どうしても内部留保金の取り扱いというものが問題になりがちなんです。ですから、複式簿記をやれば仮払いなら仮払い、仮受けなら仮受けに上がりますし、あるいはそういうふうなことで処理の仕方ができるわけですね。道は明らかにされる。そういう面の効果もなくはない。  これは、今日の財政再建の時期に来まして、特に必要性が、単にラスパイレス方式を比較してみたり、あるいは単にその他の指標だけで比較をするという時期ではない、いわゆる全体的な立体像で比較をしていくという条件がないと、国民も困るし、市民も困る。一般職員のと言ったって、一般の中小企業だってこれはやっているのですよ。これは中学校の卒業生の人がやっているのですよ、計理士に頼むかどうかは別問題として。それで、これだけの高等教育を受けた公務員ができないなんて、そんなばかな話もないですね。  ですから、これは言うならば、複式簿記を副次的に一応試算として取り入れるようにしたらどうか、正式の書類とはしないという提案なんですから、それはどうですか。
  156. 大林勝臣

    ○大林政府委員 確かに全会計を総合的に正確に把握するというメリットは仰せのとおりと思います。貴重な御意見として勉強させていただぎます。
  157. 沢田広

    沢田分科員 勉強させて、また一年置かれても困るんだけれども、とりあえず参考につくらせてみたらどうか、こういうことです。後、実際にやるかどうかは別問題として、五十六年度の決算はもう出ているのでしょうから、五十六年度でも五十七年度でもしようがないですが、そのときには、それを一緒にあわせてつくって試験的に見てみる必要性があるんじゃないか。これから研究して、それから一年度だけ試験するんじゃ意味ないですから、いまから出して試験をさしてみて、それを全国に合わせてみて、そのことによってどういうことになるのかということを観察してみる必要性はあるだろう。一年間だけでもいいから試しにそれを——本当は二年間つくらないと繰り越しがわかりませんから意味がないのですけれども、そうすれば内部留保金もはっきりするし、それから短期借り入れも長期借り入れもはっきりするわけですから。そういう意味において一応そういう形をとってみたらどうか。だから、試しにでもいいですから試験的に一応とることが、くどいようですが、一回やってみていただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  158. 大林勝臣

    ○大林政府委員 一つの考え方であると思いますし、今後の会計のあり方を勉強いたしますための手段でもあろうと思います。ただ、試験的にやってみるといたしまして、先ほど若干申し上げましたように、私ども、現在の地方団体の職員で直ちにこれに対応できる技術的な能力があるかどうかについて疑義を持っておりますので、いま直ちに仰せについてやってみようという自信がないわけでございます。
  159. 沢田広

    沢田分科員 私も市会三期やってきました。監査もやったし、県会も四期もやってきたからわかるけれども、できますよ。だって、企業局はみんなやっているのですもの。だから、それができないはずはないのですよ。それを引っ込み思案にしないでやっていくことが、地方自治体がこれから再建していく場合の一つの大きな指標になる。これは両方で物を見ていくという一つの目ができますから、これからの地方財政の厳しい情勢の中で、どう財政再建をしたり住民の福祉を考えたりサービスを考えたりしたらいいかの指標には少なくともプラスになるという判断で、こういう時期だからなおさら必要だと言っているのですから、一応ぜひ——対応できるかできないかは、若干講習すれば、これは発生主義なんですから、すべて伝票を切ったときに、発生をしたときに記帳すればおのずからできるのですから。そんな自信のないことをこういう高級幹部が言っているようじゃしょうがないという気がするのです。そんなに地方公務員が信用できないですか。
  160. 大林勝臣

    ○大林政府委員 企業会計では確かにやっておりますが、一般会計ということになりますと、企業会計の何層倍も複雑膨大な会計事務量ということになろうかと存じます。仰せのように、訓練をすればもちろんできないことはないわけでありますけれども、なかなか複式簿記経理というものも習得はそうたやすいものでもないという認識をまた私ども持っておりますので、このようなお答えになって恐縮でございます。
  161. 沢田広

    沢田分科員 とにかくそう引っ込み思案じゃしようがないと思うのだが、大臣の経験からいっても、その程度のことは多分心配ない、対応できる、そういう能力は持っているというふうに私は信頼するのですが、それほど信頼ができないというお答えは、どうも自治省としては、はなはだ情けないと思うのですがね。そんな教育や指導しなくたって、中には結構いますよ、商業学校を出ている人もいるのですし、高等の教育を受けている人もいるのですから。それはちょっと本を見ればすぐわかるわけですから、何も税理士並みにやれと言っているのじゃないのですから、大臣も思い切って——いまの地方財政計画で借金がだんだんふえていく地方財政を見たときには特に必要なんですよね。そういう意味で私は言っているわけです。いまがその時期なんです。じゃないと、もう地方財政は立ち直れなくなっちゃいますよ。もう時間がないから、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思うのです。  じゃ、もう一つだけ言って終わりにします。もう一時になっちゃった。粘り勝ちになっちゃったようだ。粘り負けたようで、はなはだ残念なんだが、いまの財政再建のように税収がうんと減っていった場合に、十年後の地方団体が受け持つ借金、それはいまの地方財政規模に直して何%ぐらいになるか、これの見通しをひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  162. 石原信雄

    ○石原政府委員 十年後に地方の負債残高が財政規模としてどうなるかという点は、計算したことがありませんし、これから地方税収がどういう動向をたどるか、これに対して地方債の発行がどういう状況なのかによって大きく変わってまいりますから、いまにわかのお尋ねでございますので、どの程度というのを申し上げる自信はございません。
  163. 沢田広

    沢田分科員 終わりますが、日本の経済も、経済企画庁がどういうふうに考えているか、そんなことはわからないにしても、いまの財政が赤字を百兆も持って、税収はどんどん減る、不景気な状態が続くのですから、ふえっこないでしょう。石油が四ドル下がったからといって、そうはね上がらないのですから。そうなると、毎年毎年二兆円以上の金がだんだん減っていくということはほぼ明らかですね。それが全部起債に切りかわっていくと仮定するならば、大体国の予算と同じ比率ですから、五十兆に五十兆ぐらいの比率でいっているのですから、その中で地方財政がどの程度の負担を持って、その後年度負担がどの程度になるか、そのくらいの試算は——何か自治省だけが特別の聖域にいるのか温室にいるのかわからぬけれども、ちょっと時代の認識について少し甘過ぎるんじゃないですか。  時間がないからやめますけれども、自治体がこれから厳しい道に差しかかっていくわけなんですから、おまえたちの状態はこうなる、十年後は借金が二〇%を超えるんだぞ、僕の試算でいっても二〇%を越えてくるのですよね。そういう状況になったときには税金がすべて借金の返済になってしまうような時代も迎えかねない。大臣、こういう危機が迫っているんだということを予測していく計算をして、地方財政の指針にしながら、それをどう立て直すかをいまから考えるのが自治省が存在している理由だと思うのです。そういうことを全然考慮しないなどということでは、きょうの質問は情けない。涙が出るような状態です。ひとつ大臣に再教育を要請しながらお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  164. 山本幸雄

    山本国務大臣 地方財政の将来というのは、日本の経済が横ばいにしか動かないだろう、そういうことを考えていきますと、明るい見通しはなかなか立たない。そこで、国の方も中期的な見通しといいますか、試算なんかをこの間出しました。地方財政も将来どういう形になっていくのであろうか。いま十年先に借金はどのくらいかというお尋ねがありましたが、いま簡単に出ない、こういうことであります。やはり不確定な要素がたくさんあります。日本経済が一体どれくらいの伸び率で伸びていくのだ、あるいは国民の租税負担率はどうするんだとか、いろいろな基礎的なデータが一つも固まっていない。新経済社会七カ年計画の見直しというのもいま見送られておる。これがどうにもなかなかはっきりしないということでございますから、その中で地方財政の見通しを立てるというのは大変むずかしいことなんです。しかし私は、やはり中長期的な見通しというものは、いろいろな不確定要素があるけれども、不確定要素をいろいろなケースにはめて、そして、とにかくこういうことになるかもしれない、こういうことになるぞ、そうしたら、その場合には一体どういうふうな考え方をしたらいいのか、こういうことで事務当局にも勉強をしてもらいたい、こういうことを申しておるところでございます。
  165. 沢田広

    沢田分科員 遅くなったのですから、これ以上は……。  どうも御苦労さまです。また追って……。
  166. 亀井善之

    亀井(善)主査代理 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、自治省所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、来る七日午前九時三十分から開会し、文部省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四分散会