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村山(喜)
分科員 そこで、次に進みますが、これは
大臣も御承知のように、第七十一国会、
昭和四十八年七月四日の参議院の特別
委員会で、自然公園法及び自然環境保全法の一部
改正案が提案をされました。その中で「国立公園または国定公園の普通地域における届け出を要する
行為に、新たに、一 土地の形状を変更すること。」第二に「海面以外の水面を埋め立て、または干拓すること。」第三に「陸域において、鉱物を堀採し、または土石を採取すること。」というのが追加されました。これは
行為の禁止、制限の可能性を強めていこうというねらいでいろいろ
改正がなされたものだという説明が行われているのでございます。そこで、そのときに附帯決議もつきまして、十項目でございましたが、今後この普通地域における開発は原則として行わないということが
議決をされているわけでございます。
そこで、その後の国定公園の区域を縮小した変更例等を調べてまいりました。そういう中から附帯決議の趣旨というのは、やはり開発を理由とする国定公園の指定の解除については行わないことを原則とするんだということが明確になされているものだと思うのでございます。ところが、この志布志の問題につきましては、十二年間の歴史がございまして、この中で、鯨岡
環境庁長官のころには、この
原案が県の方から持ってこられましたときには、とても認められる案ではない、と。その理由は、国定公園の景観を損なうものである、第二には、国定公園の解除につながるおそれがあるということで代案を示しなさい、こういうことでございました。ところが、
環境庁長官がかわりまして、原さんになりましたときには
修正案が出てまいったのでございます。その
修正案は現在の案でございますが、これは景観には影響が少ない。第二には解除にはつながらない、だから、検討に値する、こういう態度でございました。県の方は、これは自然公園法のあれからはもう自由になった、制約は解けたということで、いま港湾計画をつくりつつある状況でございます。その中身を見てみますと、これは普通地域が入っておりまして、当初の案では二百四十ヘクタールの中で百六十ヘクタール分が入っている。計算をしてみますと、三分の二前の
原案の中には入っているわけでございます。
修正案の方には二百十ヘクタールのうち七十ヘクタール入っているわけでございますから、ちょうど三分の一。そこで、前の鯨岡さんの場合には、解除ということになりますと
審議会に
法律の十一条によってかけなければならない、こういう
判断をされたに違いない。
〔
植竹主査代理退席、
主査着席〕
ところが、原
長官の場合には、それは
審議会にかける必要はない、こういう
判断をされた。だから、
審議会にかけるべきである、いや、かけなくてもいいという区分の基準というのは、前は三分の二だから、これはかけなければならないとお考えになったのか。そして、後の時代になりますと、三分の一だからこれはかける必要はないというふうにお考えになったのか。
そういうことから考えてまいりますると、これは
環境庁が発足をして、法の十一条によります事前適用の問題につきましての審査をやったことは実例がないわけでございまして、厚生省の時代には、計画
段階で区域変更をいたしたという状況もございますが、そういうようなことから、十一条の適用の問題については、開発が現実になされる、事後的ないわゆる解決のためにそれを通用する以外にないと、
環境庁の行政
姿勢が後退をしているのではないか、こういうようにも見られるのでございますが、その二人の先輩の
長官の認識の違いが、今日のこのような状態を生み出しているものだとも思われるのでございまして、現在の梶木
長官は、この問題についてはどういうような御認識であるのか、
お答えをいただきたいのでございます。
そこで、あえて私の方からもう一言申し上げるならば、自然公園選定要綱というのが
昭和二十七年の九月に設定をされておりまして、その中を見てみますると、「自然公園候補地の区域は、特別予定地のほかに自然公園の保護利用上必要最小限度の地域を加えたものとする」こうなっているのでございます。したがいまして、現在の石油備蓄基地かつくられようとしているところは普通地域が三分の一入っているわけでございますが、それは特定の特別地域のほかに必要最小限度の地域になるはずだということで、当時、日南公園が指定をされましたのはそういう
立場から指定をされたのではないか。それが七十ヘクタールも事実問題として削られようとしていることから考えてまいりますると、自然公園選定要綱というのは、これは
皆さん方の役所でお決めになったものだ。この考え方に立つとするならば、いま
環境庁が開発の主体にその席を譲ろうとしているのは環境行政の後退ではないだろうか、こういうふうに見られるのでございますが、そこら辺を含めて、
環境庁長官の
お答えをお願いしたいと考えるわけです。