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1983-03-07 第98回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月七日(月曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主 査 武藤 嘉文君       相沢 英之君    植竹 繁雄君       江藤 隆美君    佐藤  誼君       野坂 浩賢君    兼務 川本 敏美君 兼務 関  晴正君    兼務 村山 喜一君 兼務 寺前  巖君    兼務 蓑輪 幸代君 兼務 山原健二郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  金子 岩三君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 梶木 又三君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       加藤 陸美君         環境庁長官官房         会計課長    森   孝君         環境庁企画調整         局長      正田 泰央君         環境庁自然保護         局長      山崎  圭君         環境庁水質保全         局長      小野 重和君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産大臣官         房審議官    大坪 敏男君         農林水産大臣官         房予算課長   京谷 昭夫君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         食糧庁長官   渡邊 五郎君         林野庁長官   秋山 智英君         水産庁長官   松浦  昭君  分科員外出席者         防衛施設庁施設         部施設補償課長 甲斐 三郎君         大蔵省主計局主         計官      藤原 和人君         大蔵省主計局主         計官      千野 忠男君         資源エネルギー         庁石油部備蓄課         長       香田 忠維君         資源エネルギー         庁公益事業部計         画課長     西中真二郎君         運輸省港湾局計         画課長     御巫 清泰君         建設省都市局公         園緑地課長   勝浦 康之君         建設省河川局水         政課長     浪岡 洋一君         建設省河川局治         水課長     玉光 弘明君         建設省河川局開         発課長     広瀬 利雄君     ───────────── 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   大出  俊君     上原 康助君   野坂 浩賢君     佐藤  誼君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     大出  俊君   佐藤  誼君     湯山  勇君 同日  辞任         補欠選任   湯山  勇君     後藤  茂君 同日  辞任         補欠選任   後藤  茂君     野坂 浩賢君 同日  第二分科員川本敏美君、第三分科員関晴正君、  村山喜一君、寺前巖君、第四分科員山原健二郎  君及び第七分科員簔輪幸代君が本分科兼務とな  った。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  〔総理府(環境庁)及び農林水産省所管〕      ────◇─────
  2. 植竹繁雄

    植竹主査代理 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  主査がおくれますので、その指名により、私が主査の職務を行います。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算農林水産省所管について、一昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
  3. 関晴正

    関分科員 実は、昨年の六月十五日に青森県上北郡六ケ所泊漁業協同組合というのが臨時総会を開きました。泊に射撃場が設置され、その射撃場訓練に伴う補償金額を八千万円、そうして射撃訓練期間というものが七月から十一月まで、そういうことで総会にかけられて、総会は十五日に先立つこと三日前の六月十二日、けんけんがくがくで終わりました。  どうしてけんけんがくがくで終わったのかということになりますと、どうもこの金額というものは適切を欠いておる、また、われわれのせっかくの好時期と申しましょうか、漁業における最もよい時期に、こういう期間そのよい場所を射撃場にとられるということは許せない、そういうことで時期において不適当であるし、また、時間、内容等についてもこれでは困る。その上、金額においては、とてもとても八千万円などというような安いところでは困る。一人当たり十数万ということで、五カ月近くも営業部面といいましょうか、漁業活動部面が制限を受けるということは、これは許されない、こういうことで、当日選ばれた議長は、時刻改正をしようじゃないか、もう少し遅くしてもらおう、それからもう少し早く終わってもらおう、こういうような修正方を提案したわけであります。集まった多数の諸君たちは、それでよろしい、その方向でいくべきだ、こういうことであったのだけれども、事前に書面議決というもので原案が示され、その原案を討議の議題にしているものですから、そういうような修正案というものは受け入れられない、こうなったわけであります。  その結果、議長は、せっかく総会を開いても修正もできないような総会というのは、これは一体何の意味があるんだ、私が議長になってそうして皆さんの意を集めて修正をしようというときに、修正議決ができないような漁業協同組合総会というものであるとするならば、議長になっても意味がない、こういうことで議長の座を去ってしまった。その後だれを議長にするかということで、指名された者がまた辞退をする。また、せっかくこの者にしようとした者が否決される。そういうことで、最後時刻も迫ってきた関係もありまして、組合長が勝手に立って、そうして自分が議長になります、三日後にまた総会を開きます、本日はこれで終わります、こういうことで宣言をされた。この勝手に議長になりますと言い、勝手に三日後に総会を開きますと言い、そうして散会した行為ということについての問題が一つあるわけです。  あわせて、三日後にはどれだけの人数が集まったかというと、わずかに二十四名。組合員が六百四十四名もあるのに、集まった組合員わずか二十四名。これは、三日後に開くと宣言した組合長意思というものが明らかに否定されておると見ていいと私は思う。それでも、寄せ集めたところの議決書が三百二十三名、半分を超えてあるのだから、これを加えると過半数成立だ。こういうことで二十四名が採決をして十四対十。それで書面議決の三百二十三を加えて賛成なんだ、可決いたしますということで強引に決めたわけです。  そうして、決めたその日のうちに、県は、水産庁に、また農林水産大臣に差し支えないということをつけて答申をされておる。このくらい非民主的な、このくらい民主主義を踏みにじった、漁民意思がないがしろにされて出された書類はないのじゃないか。それをまた水産庁農林水産大臣総理大臣も受けて、よろしいとし、七月一日から射撃訓練に入った。入ってみたところで、うまくいくわけがありません。漁民諸君たちは船を連ねて、われわれの漁場でわれわれが漁をするのが何が悪いか、こう言って公然と阻止行動に出た。というよりも、出漁行動に出た。結果として阻止された、こういうことになっているわけであります。  この問題については、私はさきに委員会において取り上げまして、問題の速やかなる、そうして円満なる解決方法を見出すように努めていただきたい、また、長官も全力を挙げて取り組みますと答えた。だがしかし、そういうような問題について異議申し立てがなされて、県当局はこれに答えること、日を延ばすこと実に四カ月半であります。そのお答え棄却であります。その棄却に基づいて、今度は行政不服審査法に基づいて農林水産大臣異議申し立てをし、十二月二十三日に書類が出、今日に至っているわけであります。二カ月は優に過ぎました。  そこで、私の聞きたいのは、この問題はどうしてこういうような発生を見たと当局は見ておるか。また、こういうような不服審査法に基づく申請がなされた場合に、いつまでに返事をしなきゃならないと思っておるのか。これも青森県のようにゆっくりやろうと思っておるのか、それとも早くやらなきゃならない、こう考えてがんばっておられるのか。この問題について、これまで指導してきた方向、今日考えておるこの問題についての取り組み方、そういう点について先に伺っておきたいと思います。
  4. 松浦昭

    松浦政府委員 ただいま先生お尋ねの、昨年六月中旬に開催されました六ケ所村の泊漁協第四回の臨時総会におきまして、六ケ所対空射場水域泊地先水域に移転することに伴いますところの漁協損害補償額及び協定案承認に関する議案ということにつきまして、この議決に関し、いろいろと紛争がありまして、当該総会は流会であり、決議は無効であるということで、関係者から昭和五十七年七月十三日付で青森県知事に対しまして、水協法第百二十五条に基づく議決取り消し請求がなされたわけでございます。県は、当該取り消し請求は理由がないということで、同年十二月四日にこの請求棄却してきているわけでございます。  これに対しまして、関係者から、同年十二月二十三日に農林水産大臣に対しまして、行政不服審査法に基づきまして県の棄却処分を取り消すということにつきましての採決を求める審査請求がなされておりまして、私どもが現在この審理をしているという状況でございます。  私どもとしましては、この議決手続につきまして問題となっている点は、一つは、当該議決を行ったとされる点における総会議長選任適法になされたかどうかという問題、それから、当該議決そのもの適法になされているかどうかという問題、それから、書面議決有効性につきまして、書面議決書の大半はこの不服審査請求によりますと他人が勝手に署名捺印したということも言われておりますので、さような点について問題がなかったかどうかという点が恐らく大きな争点になっておると思っております。  さような点につきまして実は目下審理中でございまして、この手続につきましては、いわば私ども司法に準ずるような立場でこれに当たっているわけでございまして、現在の段階でいま申しましたような問題点につきましてのわれわれの見解を申し述べますことは、このような手続中でございますので必ずしも適当なときではないというふうに考えているわけでございますが、先生御指摘のように、これは県の、この泊漁協組合員方々の非常に大きな問題になった点でございますので、私どもとしてはできるだけ速やかに公正な判断を下したいというふうに思っている次第であります。
  5. 関晴正

    関分科員 具体的にお尋ねしたいと思うのですが、十二日に多数をもって決められた議長が、修正議決ができないということであるならば議長になっても意味がない。この点について、やはり時刻改正を求めるべきだ。朝は少し早過ぎるからもう一時間後にしてくれ、夕方の方はもう二時間くらい早目に切り上げてくれ、こういうような意思というものが総会の議として、そこにおける諸君意思としては成り立っておる。成り立っておるのだけれども書面識決の方にはそういう提案がないものですから、書面議決にないような修正議決というものはこの総会ではできないことになるのでございましょうか。それとも、提示されている以外のことであるのだからその総会において多数が決めればそれで成り立つというふうにすべきものではないかと私は思うのですが、この点はどういうことになるものですか。
  6. 松浦昭

    松浦政府委員 この点につきましては、一般論としてまず申し上げますが、現在の水協法書面議決手続につきまして申し上げますと、第二十一条に規定がございまして、「組合員は、定款の定めるところにより、第四十一条第三項(第四十四条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定によりあらかじめ通知のあった事項につき、書面又は代理人をもって議決権又は選挙権を行なうことができる。」こう書いてあるわけでございます。  さようなことから申しますと、もちろんこの組合にはこれと同じような定款が書いてございますので、そこで、あらかじめ通知のあった事項であれば法的には有効に書面議決ができるということになります。ただ、そのような事案について果たして理事者としてこういう書面議決をすることが適当であったかどうかという問題は残ろうと思いますけれども、この点につきましては私ども現在審理中でございますので、そのような適否を含めまして、目下慎重に判断をいたしているという段階でございます。
  7. 関晴正

    関分科員 私の言っているのは、書面議決以外のことで総会が開かれて、集まった諸君が、午前八時から午後七時までという演習の時間だが、この八時というのを九時にしよう、七時というのを四時にしよう、こういうふうに修正をしてお願いしたい、皆さんそれで賛成だと言う、こうなった場合にでもこういう議決ができないことになるものですか。そこなんです、聞いているのは。
  8. 松浦昭

    松浦政府委員 これは「あらかじめ通知のあった事項」ということで、その通知の中に書面議決でこの事項を決めましょうということで通知をいたしておるわけでございますから、その時点においてはすでにそういうことで処理をするということで、決まった形でもって理事者組合に諮っているという事態でございますので、他の方法によってこれを決めるということはできないのだろうというふうに思います。
  9. 関晴正

    関分科員 そこで、書面議決の趣旨というものはどういうところにあるものですか、お答えいただきます。
  10. 松浦昭

    松浦政府委員 書面議決は、本来組合方々全員お集まりをいただいて、あるいは大多数がお集まりいただいて、そこで議決をしていくというのが通常のやり方だろうと思います。ただ、このような総会がなかなか成立できない場合とか、あるいはあらかじめそういうことを申し上げておけば大体判断をしていただけるというような事態がありました場合に、理事者として書面議決でやりますよということをあらかじめ通知をいたしまして、それに基づいて議決をする、そういう行為であるというふうに思います。
  11. 関晴正

    関分科員 そういう書面議決方法、手段というものは、漁協理事会においてやはり議決の上で取り組むべきものだと思うのですが、そうですか。
  12. 松浦昭

    松浦政府委員 この場合は、定款でこのような書面議決方法が決まっておるわけでございますから、さような場合には、理事者権限として、当然、組合長が今回はこの書面議決によろうということを決めることができるだろうと思います。
  13. 関晴正

    関分科員 この書面議決というものが過半数を取り集めて会議を開くということは、あとの方が集まっても何の用もないということになりますね。どうですか、それは。
  14. 松浦昭

    松浦政府委員 それは、そういうケースになる場合があると思います。
  15. 関晴正

    関分科員 そうしますと、書面議決というもので、極端に言うならばもうだれも出てこなくてもいいから駆り集めて、判こさえいただいて、そうして多数さえ持っておれば何でもできるということになってしまって、これは大変な弊害を持ちませんか。まして、いま長官の答えたような組合長権限でできるというよりも、組合長単独でできますか。理事会の議を経てやるべきことじゃないですか。
  16. 松浦昭

    松浦政府委員 これは、そのケースケースによると思いますけれども、一応書面議決行為そのもの理事者がやれるわけでありますから、あらかじめ定款で決めてあれば、それはその定款を適正に執行するという意味組合長が決められるということだと思います。ただし、これを理事者全員で諮るか諮らないかということは、組合長判断であるというふうに思います。
  17. 関晴正

    関分科員 長官、そんなことありますか。大会に付議すべき案件、そうして総会にかける案件についての審議の仕方、これは全部理事会に諮って、そしてそれぞれの諸君委任状を出すとか、あるいは自主的にこの際やむを得ないから書面議決を出すとかいうならば、何も文句ありませんよ。書面議決というものをだれにも諮ることなくて、そうして事務当局が、理事諸君がだれも知らないうちに発送されておる、こういうやり方は適当ですか。
  18. 松浦昭

    松浦政府委員 これは定款上そうなっているわけでございますが、総会成立要件というのは、本人、二人以上の組合員が出まして、そのほかに議決に必要な書面の数が出ておればそれで総会成立するという形に、現行の水協法上の運用といたしましてはなっているわけです。さような意味で、私はいまの御質問にお答えいたしますると、これは、理事者としての組合長がこれは書面議決によるべきであるという判断をして、それに基づいてこの書面議決手続を適正にとれば、それをもって法的には有効であると言わざるを得ないと思うわけです。ただし、その内容について理事者全員に諮って、このような案件であるから書面議決をしようということでお話をなさるということは、そのケースケースにおいて組合長自身判断されることだろう。したがって、それを抜きにしてこのような手続をとったということにつきまして、それが適当であったかどうかということについてはまた別の判断だということを申し上げておるわけであります。
  19. 関晴正

    関分科員 こういうケース漁業協同組合のほかのところにもありますか。
  20. 松浦昭

    松浦政府委員 ほかにもあると思います。
  21. 関晴正

    関分科員 その例を示してください。
  22. 松浦昭

    松浦政府委員 ただいまちょっと手元にございませんが、私あるだろうと思っておりますので、調べましてまた御提出を申し上げます。
  23. 関晴正

    関分科員 今日のこの民主主義時代において、しかも、法の精神というものは何であるのか。書面議決だとか委任状をいただくというのは、その方々がどうしても出られない、そういう場合に行使できる組合一つ権限だと私は思う。何も組合長の利便のために使うべきものだとは思っておりません。また、組合長がそう言わなくても書面議決でそれぞれ出そうと思えば出せるわけです。いまのように六百四十四名の組合員の中から半分書面議決さえ取りつければ何でもできるからということで進めていって、そうして善良なる漁民意思が踏みにじられて、しかも、勝手に議長席組合長が着きますと言って、着いたことになっているけれども、着いてもおらず、着くことについて、議長になることについて承認も求めていない。だれもなる人がいないから私がなります、三日後の十五日に総会を開きます、こんなことでこれが効力のある総会だと見ることが妥当でしょうか。  しかも、私は当日そのことのために出かけていった県の出先の職員に聞きました。その場はそのとおり進められたとか県が言うものだから、県はだれから聞いてそう言うんだと言ったら、当日出た方が言うからと言う。当日出た方が何と言ったかというと、その課長の前で、私は余りこわくて机の下でかがまってその場面を見ませんでしたと言っているんですよ。これは、私が県議会の社会党議員控え室実態調査のために来ていただいて問うたときのお答えです。恐らくこの方は後からしかられたのじゃないだろうかと思うのですが、それほど場面が騒然とし、それほど場面が正常を失っているわけです。あと権力の勝手というものでしょう。  議事録にだってそんなことは記載されていない。議事録によれば、この議事は認められたことになっているとは書いているでしょう。書いているけれども、これは実態に合っているものではありません。何のためにこれらの諸君たち出漁に出かけたのですか。せっかく射撃が行われるという七月一日に、射撃はできなくなったでしょう。また、県当局は、そういう議決があったならば少なくとも一カ月間は異議申し立てがあるかどうかを徴した上で返事すべきでしょう。六ケ所において議決だ、東京事務所においてそら早く書類を出せ、はいオーケー。早過ぎるじゃありませんか。そうして、二週間後に異議申し立てが出ているでしょう。三十日以内に異議申し立てすることができるという権限を行使して組合異議申し立てをしている。異議申し立てが出るような状態であることが、何で何ら差し支えないの、支障がないのと言って県知事が言うことをそのまま真に受けなければならないのですか。  だから、この問題のどこに一番の欠陥があるかということを水産庁は把握しておかなければならない。その把握の姿勢が私から見るとなまぬるい。私は、本当は水産庁長官青森県のイカの流し網の問題で取り締まることについてある程度の成果を上げてくれているから、実績を買っている。この長官ならば権力にも抗して青森県のわがままな諸君を幾らかは指導していただけるんじゃないかと思っておるのです。だけれども、いまの答弁から見ると真剣に取り組んでいる姿勢だとは思われない。こういう例がほかにもありますかと言ったら、隣の人の話を聞いて、あると言っている。例を示せと言えば、いま出せない。これじゃ何にも本気じゃない。六月十五日のことならあともう少しで一年になりますよ。それで青森県の射撃の問題についてもめているのです。やはりこういう問題は心底から出かけていって——しかも、あなた方の方は、これから県の弁明書、これを相手の方に見せて相手からの弁明書、そうして四月十五日までに返事をしろ、こういう文書を出していますね。ゆっくりやるつもりでしょう。県からもそれに対する弁明書をまたやる。こうやって一年暮らすつもりでしょう。私は、こうしたやり方では話にならないと思う。もっと適切に指導するということがなければならないと思うのです。  幸いきょうは農林水産大臣も聞いておりました。この農林水産大臣には私はうそがないだろう、こう思いますので、水産大臣、この問題を聞いてひどいこともあるものだなと間違いなく思ったと思うのです。そうして、この書面議決というものはいかに悪用されるものであるかということも知ったと思うのです。こうなると、総会というものは何の意味もなくなってしまう。この法律改正が必要だと私は思うし、ある程度そういうことにおいて歯どめをかけておかなければ漁協ボスどもの思うままに運営されて、善良なる漁民意思が常に除外されてしまうという結果を招くだけです。こういう点で、水産大臣、考えることがないでしょうか。
  24. 松浦昭

    松浦政府委員 大臣お答えになります前に、私から一言お答えいたしたいと思いますが、私さっきから申し上げておりますのは、法的な面からどう見るかということを申し上げておるわけでございまして、個々の事案につきましてこれが適否、あるいは先ほど申し上げましたいろいろな法律的問題点につきましては目下審理中であるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、いまある意味では司法的な立場に立って問題を判断しておりますから、ここで余り予断を持つようなことを申し上げたくないということで慎重に申し上げておるわけでございますので、その点はおわかりいただきたいというふうに思うわけでございます。  それからいま一つは、私ども手元に参りました青森県の意見を直ちに内閣総理大臣に回答したわけでございますが、その前に一カ月半私ども待っておったわけでございます。したがいまして、その間一カ月半の経過があったということで、私どもは十分に審議したものと思ってこれを内閣総理大臣に出したわけでございますから、その点についてはひとつ先生おわかりいただきたいと思うわけでございます。  それから最後に、先ほどもお答えいたしましたように、この問題につきましてはもちろん迅速な処理を図るつもりでございまして、必要に応じて場合によっては実態調査もやりまして、その上で公正な判断を下したいと考えておりますので、私どもの誠意につきましてはお疑いをお持ちになっていただきたくないというふうに思う次第でございます。
  25. 金子岩三

    ○金子国務大臣 お尋ねの青森泊漁協臨時総会議決の効力については、現在関係者から私あてに行政不服審査請求がなされているところであります。よく承知いたしております。この点については、目下行政不服審査法に基づいて所定の審査手続等鋭意進めている段階であります。可及的速やかに正当な結論を出したいと思います。
  26. 関晴正

    関分科員 とにかく、半年を過ぎて何らの解決策もないままに権力的に事が運ばれる一つのいい例であったと思う。こういう点については、こういうことをどうしたならば阻止できるのか、そうしたわがままについてどうしたならばもう少しうまく指導できるのか、ひとつよく吟味して当たっていただきたい、こう思います。  次に、防衛庁の方にお尋ねしたいと思うのですが、防衛庁はなぜこうした紛争のある中にこういう射撃訓練を強引にしなければならなかったのかということと、こういう問題についてことしはどう当たるつもりでいるのかということと、昨年の射撃訓練は一体どれだけの成果を上げられたのか、予定計画どおり事は進んだのか進まないのか、その点についての御報告と、あわせて、今後のこの地域における射撃演習についての考え方、これをひとつお示しいただきたいと思います。
  27. 甲斐三郎

    ○甲斐説明員 私、施設補償課長でございますので、防衛庁の運用の問題につきましては所掌外でございまして、したがいまして、一応防衛庁の方から聞いたことをこの席でお話し申し上げたい、こう思います。  陸上自衛隊六ケ所村対空射場につきましては、むつ小川原総合開発計画に基づきまして、六ケ所村泊地区に移転し、四十七年度から射撃訓練を実施しているところでございます。防衛庁といたしましては、青森県の本件開発事業に積極的に協力するという方針のもとで、地元要望を踏まえ、任務遂行上重要な射撃場の移転を行ったものでございまして、今後とも関係者の話し合いにより円満に訓練が実施できるよう望んでいるところでございます。  次に、実施の成果でございますが、一応通常年に比べましてほぼ九割の成果が上がったというふうに聞いております。
  28. 関晴正

    関分科員 私は、この八千万円という補償額が、いまどの辺まで請求があって、そして、それらの諸君たちの申し込みの件数といいましょうか、要求の件数がどの辺まであってということの報告と、八千万円という金額の根拠は何であったのかというこの根拠。それからもう一つは、防衛庁がいま九分どおり行ったと言われた。九分どおり行ったということは、大変よく行ったということなんです。しかし、ずいぶん休んだのですよ。どのくらい演習が中止されたか、この日数を示してください。それから、予定した弾薬のどのくらいの弾が発射されたのか。予定の弾が全部撃ち出されたのか。何か途中で弾がなくなったというじゃありませんか。休み休み撃ちながらしてもがなくなるような演習で、九分どおり行ったというのはどういうことですか。こんなでたらめな演習もあるものではない。  この際、この演習の期間というものを、盛漁期を避けて、十一月から十二、一、二、三、このあたりまでに変更したらどうですか。いまごろなら一番いい、だれも漁に出ないから。そうすると、税金も掛けなくても済む。補償も余り払わなくてもいい。漁民にも迷惑をかけなくてもいい。めでたしめでたしじゃないですか。そういうことについての御検討をしてほしいと私は思うのです、今度の経緯にかんがみて。撃とうったって、弾がないんじゃないですか。撃とうったって、撃てなくなっているじゃないですか。人的傷害においてもなくなっているでしょうし、また、実質余り弾も持たないでそんなに長い期間締め出しをかけようなんというのは、全く無計画じゃありませんか。計画があるようで、ない。こんなむだなやり方というものもないじゃないの。ひとつその点について意見があるならば聞かせてほしいと思うのです。防衛庁からまだ来ていませんか。どこへ行っているの。いざというときに役に立つのが防衛庁じゃないか。こういうときはどうするのですか、委員長。時間を定めてお答えできるようにしていただけますか。あわせてお答えいただきます。
  29. 植竹繁雄

    植竹主査代理 時間も来ているようで、簡単にお願いします。
  30. 甲斐三郎

    ○甲斐説明員 一応申請の状況につきましてお答えいたします。  五十八年二月十五日の申請書提出期限満了時におきまして、泊漁業協同組合の申請状況は次のとおりでございます。  同漁協組合員の総数でございますが、八百五十九名でございます。そのうち、損失補償申請のあった者が七百七十六名ございます。操業実績のなかった者が五十三名、損失補償申請のなかった者が三十名でございます。この三十名の方は大部分が採藻採貝の漁業でございまして、数名が刺し網とかあるいはイカ釣りといった漁業でございます。したがいまして、申請金額は一億八千三百七十万一千円でございます。
  31. 関晴正

    関分科員 時間がないようで、それから求めている方もお見えにならないものだから、こういうことはまた別の機会にやる以外にないと思います。でも、何かの方法があるならば、ひとつ委員長、分別して時間をとっていただけるならばお願いしたい。  そして、いまの答弁で、これはどうするのです。一億八千万、そういう請求があった。そのまま出せるのですか、出さないのですか。
  32. 甲斐三郎

    ○甲斐説明員 これは、仙台局の方で現実に水揚げ高等を調査いたしまして、そして、それぞれの算定基準に基づきまして補償額を算定し、本庁の方へ出しまして、それによって一応決定いたすことになろうかと思います。通常、申請書というのは各被害を受けた方がお出しになるものですから、どうしても多少多目に出されるということもございますものですから、そういう意味において、決定額と多少の相違はあろうかと思います。したがいまして、現在そういう実際の資料をもとにいたしまして、その基準に基づきまして補償金額の査定作業、これをいたしておる段階でございます。
  33. 関晴正

    関分科員 時間がないところ、大変済みません。  実は、額を八千万とお決めになった。今度出されているトータルが一億八千万と出て、これは半分に縮めることになるのですか、それともこれを受けることになるのですか。  もう一つ。出していない方々に、現地において出すように、出すようにと非常に催促しているわけですよ。何の必要もない人たちに無理に出せ出せと言う傾向がたくさんあるわけです。これなんかも、いかにでたらめであるかということを示していると思います。この問題はなお相当吟味しなければならないものがあると思いますが、そういうことで対処を誤らないように。  それから、先ほど九分どおりやったなんてでたらめな答弁が本当なのか本当でないのか、これも示してほしいと思うのです。  終わります。
  34. 植竹繁雄

    植竹主査代理 これにて関晴正君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤誼君。     〔植竹主査代理退席、野坂主査代理着席〕
  35. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 前に質問された関晴正委員、大変熱心な質問で、かなり予定時間をオーバーしているのですが、この辺の時間の調整はあらかじめしておいてください。質問の仕方がありますから。  それじゃ、最初に土地改良問題について質問しますが、時間が三十分という制約ですから、端的に質問いたしますから、答弁の方も焦点を合わせて端的にひとつ御回答いただきたい。  それで、第一は、第三次土地改良長期計画について質問いたします。  その第一点は、予定事業量総額三十二兆八千億、これは農業基盤整備事業の予算が毎年およそ一二%程度ずつ伸びていかないとこの総額予算が確保できないのではないかというふうに思うのですが、いまの厳しい財政の中でそれが果たして可能なのかどうか、これがまず第一点でございます。  それから第二点は、第二次計画は面積ベースで計画の四九・三%の進捗率であったと思うのですが、第三次では果たして計画どおり達成できると思うか。  三番は、第三次計画では汎用田化の推進を挙げておりますね。汎用田化されたものが畑作されていった場合に、従来の水田の貯水機能はどうなるか。それからまた、臨調では転作奨励金依存から早期脱却ということを言っております。そしてまた、それは第三期対策で具体化するようにということも付加されておりますね。そこで、せっかく金をかけて汎用田化しても、転作奨励金が出なければ、現状では畑作では採算はとれないと思うのです。つまり、事実上畑作への転作は無理になってくるのじゃないか。転作奨励金が出ないと、汎用田化しても。この辺の問題をどう考えるか。  以上三点です。
  36. 森実孝郎

    森実政府委員 第三次の土地改良長期計画は、金額ベースで三十二兆八千億という数字を出しております。これは投資の総額でございまして、国、県あるいは市町村、地元負担等のそれぞれの負担区分に応じた投資規模は決めておりません。しかし、従来の実績をベースにとって仮にその比率でやるとするならば、御指摘のように一割を超えます高い予算の伸び率がなければならないということは事実であろうと思います。結局、第二の御指摘にもありました事業量の確保とも関連する問題でございますので一緒にお答え申し上げますが、やはりこの種の公共投資の計画というものは、いわば経済の成長率とか、財政事情とか、各種の経済的状況によって流動的な側面が長期的にあることは事実でございます。しかし、私どもといたしましては、この数字が必要であるという認識の上に立って事業量の確保とか計画、投資規模の確保に努めたわけでございまして、できるだけこの目標を達成するように最大限の努力を払っていかなければならないものと思っております。  それから、汎用水田化に関連する幾つかの御質問でございます。  一つは、水田の地下水位を下げた場合に、水田の貯留機能がどうなるかという問題でございます。地下水位を下げることによって水路構造も変わってくるし、また、全体の、御指摘のように水の表層水、地下水を通ずる循環過程が変わってくることは事実でございます。その意味において、私ども、地下水位を下げるための努力というものは、基本的には汎用水田化という考え方で地下水位を七十センチメートルまで下げるという考え方でやっておりますけれども、やはり自然状況等に応じてかなり弾力的な運営も必要であり、また、これに関連して関連事業の投資も必要になってくることは事実だろうと思っております。表層水位、地下水位を通じます水の循環機能という問題は御指摘のように基本問題でございますので、十分地域の実情に応じた計量と予測を立てて事業を進めるように配慮してまいりたいと思っております。  それから三番目は、汎用水田化に伴う負担能力の問題でございます。  私が申すまでもなく、土地改良事業というものは、地域社会の共同事業としていわば地元の申請によって行われるものでございます。私どもは、やはりそれぞれ地域社会で地域の実情に応じた営農計画がおありになって、それに応じた圃場整備事業の申請が行われ、採択が行われるという問題でございまして、やはり長期的視点に立った地元の営農計画ということが基本になるだろうと思っております。また、それに対応いたしましたいわゆる収益と負担とのバランスということで問題を考えておられるものと思っております。汎用水田の問題というよりは、むしろ今後の稲作転換対策をどう考えるかという問題にも関連してくる問題だろうと思いますが、前々から御議論がございますように、現在、農林省としても次の段階における問題について検討中の状況でございます。
  37. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 私の質問に対して的確であるかどうかというと、はなはだ私は不満でありますが、先へ移ります。ただ、計画について最大限の努力をしていきたいと言う。これはそうだろうと思いますが、私は、第一次、第二次、加えて第三次のいま立てられている計画の見通しからいうと、いまの実情からいうとかなり困難な状況の中でこれから執行されていくのではないかということを想定せざるを得ません。これは、それだけにとどめておきます。  それから、先ほどの転作奨励金の関係については、地域の実情云々と言われましたけれども、私は、この点、きょうは時間がありませんからこれ以上深追いしませんけれども、十分あなたの方で検討しておいてください。これはいずれかの機会に譲ります。  その次に進みます。  次は土地改良事業の問題点ですが、県営圃場整備、灌排事業に例をとりますと、私の方の得た資料によりますと、反当たり平均事業費の推移を見てまいりますと、昭和四十七年二十九万円、昭和五十年五十二万四千円、昭和五十三年七十二万円、昭和五十七年百八万円、大変年ごとに高くなっておるのはデータが示しております。私の試算では、十年間で三・七倍、五年間では二倍であり、最近を見ても平均大体一五%ずつ上がっているのじゃないかというふうに推定されるわけです。  ところが、払う側の農家、つまり稲作農家の収入は、御承知のとおり生産者米価はほとんど変わらない。したがって、稲作農家の収入は横ばいか低下の方向にあることは統計が示すとおりであります。したがって、土地改良を進める農家にとっては年ごとに年々負担が増大していくし、また、これはますますそういうようになっていると思うのですね。これは、大変なことではないかと思うのです。あなたの方で計画を立てる方もそうでしょうが、実際にそういう負担の中でやっていく農家の方でも大変だと思うのですね。この辺のところを、見通しの線からどう考えているのか。  それから、特に私は具体的に次の四点を言いますから、端的に答えていただきたい。つまり、したがってもっと安い事業費でやれないのか。二番は、農家の実質負担額を軽減できる方法はないのか。いろいろ考えられると思うのです。三番は、少なくとも画一的な計画、施行ではなくて、地域に適合し創意を生かした方法はできないのか。その次、土地の流動化はこれから進めようとしている。それが進んでいった場合に、いまの土地改良費を地代及び地価に上積みしていくことが可能なのかどうか。私は山形県の海岸付近の庄内、つまり鶴岡、酒田付近の農村地帯を見ておりますけれども、かなり土地が安くなってきているのですね。私が見た限りでは、十アール当たり、山間部で百三十万が七十万ぐらいになっていると聞いている。それから、平地でも三百万が二百万くらいになっていると聞いているのですね。こういう仮に地価が下がっていったときに、高い金を土地改良にかけて、土地が流動していった場合どうなるのかということです。かなり私は不安に思っている。この辺のところはどう考えるか。  以上です。
  38. 森実孝郎

    森実政府委員 いま、五点御質問ございました。私は、安い事業費と画一的な計画、実施に対して地元で創意工夫を生かせないかという問題は同じ側面があると思いますので、あわせてお答えさせていただきます。  確かに土地改良事業の反当事業費、特に圃場整備が上がってきております。これは、一般的な賃金、物価の上昇以外に、実は中山間部等立地条件の悪い地域の土地改良がふえてきている問題と、それからもう一つは、地下水位を七十センチまで下げていくという汎用水田化の徹底という問題が単価を上げていることは否定できません。実はこの議論は前々からも行われておりまして、昨年、生産者米価決定の直後におきまして、私どももやはり自然的状況とか経済的状況に応じた施行基準の弾力的適用という問題を、局長通達を出しているわけでございます。私は、特に圃場区画の問題、それから地下水位の問題等については、やはり御指摘のように施行基準というものの弾力化、それによる経済的、効率的実施ということは重要な課題と思っておりますので、これからもさらにきめ細かく指導を図ってまいりたいと思っております。  二番目は、負担能力の問題でございます。一般的に農家の所得の低迷の中で、また、一方においては事業費の上昇というものもあって、負担能力が低下していることは否定できません。私ども、基本的には、まず一つは事業の計画的な実施の確保ということが重要な課題と思っておりまして、いろいろ御議論はございますが、乏しい予算の中での事業の実施でございますから新規の抑制ということを強く打ち出して、従来のベースの大体三分の二の程度に事業量を抑制を図って、継続地区の早期完了を図っているということも事実でございます。また、事業を実施する場合には十分関係農家の合意の上に立って事業の採択が行われなければならないと思っておりますので、高い同意率をとった地区に焦点をしぼって採択をしていくということで、一般的な三分の二の同意とは別に九割を超える同意ということを目安として採択しているのも、農家の方々に今日の状況のもとにおいて事業の負担と収益の問題を十分腹に置いてやっていただくという考え方の上に立ってでございます。  それから、流動化の問題でございます。流動化の問題を考える場合においては、私が申すまでもなく、所有権の移転による流動化と利用権の設定による流動化と農作業の受委託等による流動化と申しますか、規模拡大、こういういろいろの態様があるだろうと思います。現に北海道等ではそうでございますように、私どもは土地所有権の値段が安い地域におきます流動化という問題は、所有権移転による流動化がこれからもかなりあり得るという見方をしておりまして、長期見通しのもとでもかなりの数字を織り込んでいるのはそのような事情によるわけでございます。  それから、利用権と作業受委託の関係でございますが、私ども見ておりますと、たとえば畜産に代表されますような草地の利用権等はかなり進んでおりますし、また、飼料作物の導入等に伴う利用権の設定も進んでおりますが、東北、北陸、九州等の水稲作のようなものにつきましては必ずしも利用権の設定による流動化は進んでおりません。これは、貸し手と借り手のそれぞれの事情なり需給関係による地代の高さということがまさに御指摘のように問題であることは私どもも受けとめております。そういう意味においては、やはり作業の受委託による規模拡大というものも、地域農業集団の育成を通ずる規模拡大政策においては重視してまいりたいと思います。流動化という場合においても、一概に利用権の設定だけというふうな視点でとらえる必要はないというのが私ども今日の状況認識でございます。
  39. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 私は時間がなくて、質問の要点をきちっとして聞いているのです。局長の演説を聞いているのじゃないですから、その辺のところを的確に整理をして、核心のところを答えてください。いまの点は、ここのやりとりで終わるわけじゃありませんから、問題点を指摘したということで次に進みます。  その次は、農家にとって土地改良のメリットは何かという問題ですが、私は、端的に言って労働の生産性を高めること、つまり省力化にあると思うのです。そして、省力化された労働力を活用していかに収入を農家がふやしていくか、私は、端的に言えばここにあるような気がする。そのためには、一つは土地の集積をして規模拡大する、こういう方法、もう一つは、その余剰労働力を他産業に投入して収入を上げるという、端的に言えば二つの方法が考えられると思うのですが、いまのような想定でいったときに、この二つの方法というのが現状で果たしてどの程度可能なのかということですね。私は、現状で疑問を持たざるを得ないのです。当然私は私なりの前提を置いての質問ですから、そういう観点でひとつ考え方を聞かしていただきたいと思います。
  40. 森実孝郎

    森実政府委員 まず、余剰労働力の問題でございます。他産業雇用機会の問題でございます。率直に申し上げまして、私どもも農村工業の導入あるいは農業の複合化による雇用吸収等各面にわたる政策努力をいろいろの面でやっておりますが、この一、二年、率直に言いますとなかなか思わしくないということは事実でございます。たとえば農村工業の導入等でも、導入事業を計画しても実際は全国平均で言うなら二割ぐらい、東北等では三割ぐらいがなかなか工業導入が行われないという実態がございます。これは、やはり何といっても景気の動向等に大きく左右されるというふうに見ざるを得ませんけれども、私どもは、農村工業の導入という問題を軸として、それ以外にやはり農業生産の複合化等による全体の生産の増大という二点から問題を考えていくことが必要ではないかと思っております。  いずれにいたしましても、この話はそれぞれ地域の実情でかなり差が出ておりまして、たとえば九州と東北等の差というのは最近かなり出ております。しかし、そういった実態もございますけれども、考え方の筋としてお答え申し上げるなら、やはりその二つの点で取り組んでいく必要があると思っております。
  41. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 そこで、私は農林大臣に質問し、まとめて答えていただきたいのですが、私がいままでずっと述べたところは、どちらかというと私なりの問題の指摘、そして御答弁をいただいたわけですが、短時間でありますのでそんなに内容を詰めるわけにいきません。  そこで、私はいまの質問を集約して農林大臣にお尋ねしたいのは、これから第三次土地改良長期計画が執行されるわけですね。私は、これを進めるに当たって、一つは農家、つまり地元負担をできるだけ軽減するという方向、もう一つは、土地改良のメリットが具体的に農家に還元されるという方向、そして、それらを具体化していくために地域の実情に即し創意を生かした計画、施行ということを考えるべきではないかということを考えますので、その点どう考えるか。  それから、土地改良問題について、私が昭和五十六年二月二十七日、予算分科会、亀岡農林大臣のときに、土地基盤整備の計画は農村の地域社会における雇用問題を度外視してはできないのではないかということを言いましたところ、全くそのとおりです、第三次計画では十分そのことを考えなければなりませんということを言っているわけです。私は、同じような意味でいまの土地改良を地域に即して見ますと、地域の産業の総合的な振興と、そしていま述べた農村からの雇用問題、余剰労働力、このことを考えますと、雇用の拡大、安定ということとを結合しながら計画し、執行していかなくてはならぬのではないか。そういう点から言いますと、農水、通産、建設、国土、自治といったような各省が横の連絡をとりながら、たとえば地域総合開発プロジェクトというような、そういう中で全体計画を立て、その一環として農水省は土地改良事業、つまり農業基盤整備事業ですね、そういう分野を受け持つという考え方でいかないと、地域の実情に合わなくなっていくのじゃないかというように考えますので、その点について農水大臣の御答弁をまとめていただきたいというふうに思います。
  42. 金子岩三

    ○金子国務大臣 私も農協の世話をずっとして、連合会の共済事業などもいろいろやっておりまして、いま佐藤委員の御指摘の点はよく理解ができます。実態を本当に把握して、農水省の政策がそれに近づいていくことが何より大事であろうかと思います。実効を上げるような政策をやらなければならない、そういう方向でひとつ今後一層真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  43. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 大臣から、具体的な中身については一々はありませんでしたけれども、考え方と取り組みの姿勢が明らかになっておりますので、そういう観点で具体的に詰めながら、ぜひ成果を上げていただきたいというふうに思います。  そこで、最後の質問になりますが、米の需給と水田利用再編対策の関連について質問いたします。  そこで、五十八米穀年度、五十九米穀年度、この需給関係のデータが私の方にあるのですが、これを見ながら質問いたしたいと思うのです。  五十八、五十九米穀年度の需給計画というのがありますね。これを見ると、衆議院の予算委員会などでも明らかになっているように、五十八年度から次年度への繰り越し、これですと十万トンですか、もしこれがゼロになる、私はそういう可能性はあると思うのですけれども、それに五十八年産の生産量が作況として九六%で約千五十万トン、昨年、ことしの作況指数が九六%ですから、あり得ると思うのです。そうなりますと、結局需給均衡ということで、五十九年度から次年度への繰り越しはゼロになると思うのです。こういう事態になったとすれば、これは主食の需給確保から見てきわめて重要なことだと私は思うのです。  そこで、先ほど言いましたように、昭和五十九年度から第三期水田利用再編対策が始まるわけです。したがって、以上述べたようなことを考え合わせてみると、第三期に当たりまして考えるべき第一の点は、米の需給安定の確保、二番は、備蓄米の保有、三番は、転作に対する米作農民の努力の限界などを配慮して、この際発想の転換をし、水田利用再編対策のあり方について根本的に考えてみる必要があるのではないかというふうに私は思うのです。そこで、担当の局長と農林大臣のまとめた答弁をいただきたいと思います。
  44. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  五十八米穀年度、御指摘のように年度末十万トンの持ち越しという計画になっております。さらに、平年作をベースにいたしまして五十九年度末、具体的には五十九年十月末の前年産の持ち越しは五、六十万トンというふうにいたしておりますので、仮に作況が九六といたしますと四ポイントで、大体四十万トン前後じゃないかと存じます。そうしますと、この持ち越し量がかなり薄くなることは事実でございまして、おおよそとんとんくらいということは御指摘のとおりだと思います。  なお、この五十八年産につきましては、別途生産対策その他に懸命に努力することにはいたしております。そういうような作況を来さないように、生産面での努力は別途いたしておりますが、そうした事情にございます。  しかしながら、全体の備蓄水準が、御指摘のように過去の水準に比べたらかなり低い水準になってきておることも事実でございます。御指摘の点の第三期対策、五十九年産米以降の問題になるわけでございますが、第三期の生産調整の対策に当たりまして、備蓄の積み増しをいかに考えていくか、転作の方向についての見直し、あるいは他用途米への取り組み方をどうするか、これらの問題について目下農林水産省としては検討をいたしております。できるだけ本年秋までにはこうした方向を明らかにしなければならないということで、現在作業をしておるところでございます。
  45. 金子岩三

    ○金子国務大臣 備蓄も含めて第三期の水田再編の問題、これを突き詰めていろいろ数字を検討していきますと、やはり天候に左右されて作況が年年変化しますので、いかにして食糧を完全に準備しておくか、いわゆる備蓄ですね、それが二百万トンを目標にして今後続けるのか、あるいはそれ以下を目標にしていくのか、いろいろ数字的に計算をしてみると、非常にむずかしい問題がたくさんあるようでございます。しかし、やはり発想は絶えず動かしていかなければなりませんので、発想を変えていって、一つの見通しの問題なんですから、その見通しを誤る場合もあるかもしれませんけれども、やはり見通しに誤りのないような、従来の実績から物理的に一応全部計算してみると、私は大体の目安は立つと思うわけでございます。したがって、五十九年度の水田再編については、ひとつ慎重に、いままでの考え方に余りこだわらなくて、新しく考えてみる必要がある、このように考えております。
  46. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 先ほど食糧庁長官は、五十八年産の生産量については支障を来さない、努力云云ということを言われましたけれども、これはやはり天候に左右される向きがあるわけですから、ある程度幅を持ってやらないと、つまり具体的に言えば減反を少なくするということに関係あると思いますが、余裕を持ったやり方をしなければならぬのではないか。これを見ると、五十八米穀年度でも、古米を八万トン使って大体十万トン残る、こういう計算になっているようですから。幸い第三期対策がつくられる時期ですから、その点十分配意する必要があるというふうに私は思うのです。  それから、水田再編対策については従来の考え方、経験を生かすけれども、発想の転換を図りながら以下云々ということを大臣言われました。私もそうだと思うのです。ただ、いますぐ答えることは困難にしても、農家の皆さんは、はて第三期ではどのくらいの減反、転作の面積になるだろうかということをずいぶん心配しているわけです。したがって、これは大臣の大枠の考え方でいいんだけれども、いま大体六十万ヘクタールの減反ですね。これを一時、答弁によっては四十万ヘクタールくらいかなどということをちょっと言ったこともありますが、その辺のところ、少なくとも六十万ヘクタールを超えることはないと思うのですけれども、どの辺をめどにいま想定して考えられるか、ひとつ大臣から。
  47. 金子岩三

    ○金子国務大臣 私、耳打ちをいろいろしているのです。失言しないように言っておくわけですが、私は失言はいたしません。  それはやはり実態をよく把握して、六十方へクタールにするのか、それから減らすのかふやすのか、ひとつ検討して、最も適正な減反をやりたいと思います。
  48. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 時間になりました。  農林大臣の大筋の考え方と姿勢はわかりました。大臣は十分経験を持たれる方ですから、土地改良問題についても、米の問題についても、これから第三期対策についても非常に重要な一つの節目に入っていると思うので、したがって、農家の心を心とした農政ですね、そして、いまは苦労するが、これから先は光が当たるぞ、光が出てくるぞという、こういう農民に自信と誇りと希望を持たせるような、そういう農政であってほしいと思いますので、その点を農林大臣に強く御要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  49. 野坂浩賢

    野坂主査代理 これにて佐藤誼君の質疑は終了いたしました。  次に、川本敏美君。     〔野坂主査代理退席、植竹主査代理着席〕
  50. 川本敏美

    川本分科員 私は、まず農林大臣にお聞きしたいのですが、きょうは林業の問題でお聞きしたいと思います。  農林大臣の認識として、現在、林業あるいは木材産業、林産物全般にわたってですけれども、これは好況だと思っておられるか、不況だと思っておられるか、まず大臣の認識をお聞きしたい。
  51. 金子岩三

    ○金子国務大臣 私も少しばかり山を持っておりますが、いまほど林業が不振な時代はない、このように考えております。
  52. 川本敏美

    川本分科員 大臣のおっしゃったとおりだと私は思うわけです。戦前、戦後を通じて、今日ほど林業の危機に直面をしておる時期はないと私は思う。しかし、林業というのは産業としての面からとらえるだけじゃなしに、国土の保全とかあるいは災害対策とかいう意味においても、やはり林業の荒廃は国の危機を招来する原因になるおそれがある。だから、行革だとか何だとか、目先の財政赤字の問題で林業というものの将来を危うくするような政策をとるとすれば、日本の国は滅んでしまうことになると思う。不沈空母じゃなくても、林業が荒廃すれば日本の国土は荒廃をしてしまう。だから、その辺のところをひとつ踏まえていかなければいけないと思うのですが、不況の原因は何だとお考えですか。いま、不況の原因は何だと大臣はお考えになっておるか。
  53. 秋山智英

    ○秋山政府委員 最近の木材不況を分析してまいりますと、かつて百五、六十万戸の住宅の着工がございましたが、現在それが百十五万戸前後に落ちております。それに関連いたしまして、木材需要量も一億立米を切りまして、五十七年には九千六十万立方メートルというようなことになっておりまして、私どもとしましては、何といたしましてもこれの需要拡大をしていかなければならぬ。それに関連しまして、木材価格も現在低落いたしまして、五十三年価格ベースで推移しているというような実情にございます。したがいまして、林業生産におきましても、一方におきまして、今度は生産費の高騰等もございます関係もございまして、非常に生産が停滞し、特に人工林の間伐時期に到達しているのが多うございますが、これがなかなか適正に行われないというような実態もございますので、私どもは、やはり生産基盤を整備し、内容を充実すると同時に、需要に合った形で外材を入れていくというふうなことを、さらにきめ細かくこれから対応をしていかなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  54. 川本敏美

    川本分科員 ただいまもお答えになりましたけれども、私は全く同感ですが、不況の原因は住宅産業の落ち込みだと思うわけです。特に、政府がいま行っておる施策は、木造住宅に対して余り注意を払っていない。住宅が百十五万戸建ったから、それで木材の需要がふえるかとか、これが百五十万戸になっても、いわゆる木造住宅がどれだけの比率を占めておるのかということが大きく問題だと私は思う。  最近の統計によりますと、大体木造住宅の比率は二四%ぐらいらしいですね。百万戸建っても、木造住宅は二十四万戸しか建っていないわけです。駅前マンションみたいな高層住宅はほとんど木材を使っていないのですから。そしてさらに、同和対策の住宅なんかでも、建設省は、全部コンクリートブロックの建築でなければいけない、二階建ての建物を公営住宅全部がコンクリートブロックの建物でなければいけない、建設省はこういうような指導をし、コンクリートブロックづくりしか認めていない。日本人の大部分は、やはり気候、風土に適した木造の住宅に住みたい、さらには庭つき住宅に住みたい、こういうのが家を欲しいという人の七〇%以上を占めておるのですから、事情さえ許せば、すべての国民は庭つき木造住宅に住みたいと思っておる。ところが、政府自身が、この不況産業である林業あるいは木材関連産業をさらに痛めつけるような施策しかやっていない。このことについてまず政策の転換をしてもらわなければいけないのじゃないかと私は思うわけです。  次には、やはり外材輸入によるところの材価の低迷だと思うわけです。外材が七〇%、国産材が三〇%、こういう形の中で材価が低迷をしていて、国内の生産費とその市場価格との間に利益が出てこない。やればやるほど赤字が出てくる。こういうような材価の低迷が、一つは林業の荒廃につながっていく原因だと思うわけです。そういうことになりますと、もう間伐しなければならぬ山でも、立木価格が上がる見通しがなければ間伐もしない、放置するということになるのは当然ですから、その点について、まず林野庁が積極的な施策を講ずる、あるいは農林水産大臣が建設大臣と話し合いをして、そういう政府の、公営住宅や同和対策住宅等コンクリートブロック製を木造住宅に変えていく、こういうようなことについても積極的な御努力をいただかなければ、いまの林業不況から脱出することはできないのじゃないか、このように思うわけなんですが、大臣、どうですか。
  55. 秋山智英

    ○秋山政府委員 先生の御指摘でございましたが、確かに、住宅着工の中におきましての木造率は現在六割弱でございまして、私ども、これからは住宅の新規着工ももちろんでありますが、これの改造、増設等の分野あるいは公営の住宅におきましての木造住宅の促進の問題等につきましては、建設省と連絡をとりながら、できるだけこれを使っていただくような方途を講ずると同時に、間伐材等につきましてはその利用合理化をいたしまして、集成材その他の方法でこれを体系化して利用するというような方法、さらには、全般にわたりましてはプレカット工法で、前もって幾つかのタイプをつくりまして、早急に需要に見合うような、そういう形で流通確保のできるような方法、さらには、木材技術センター等におきましての木材の利用合理化というふうなことも進めながら、需要拡大にさらに努力していかなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  56. 川本敏美

    川本分科員 私、ちょっと細かい問題について二、三林野庁の考え方を聞きたいのですが、そういう不況になっておる時期ですから、林業家というものは現在もう大変困窮しておるわけです。そういうところで、現在林道の受益者負担と言われるものがあります。これは森林法百九十三条に基づいて、県営林道あるいは市町村営の林道、公団林道、いろいろあるわけですけれども、それに対する国の補助率が決められておる。そういうことで国の補助率を見てみますと、広域基幹林道で百分の六十五とか、あるいは普通林道で百分の四十五、二分の一以下です。あるいは過疎地域とか山村振興地域とかで百分の五十五、間伐林道は百分の五十、過疎山振林道が百分の五十というようなことで、二分の一ぐらいの補助率が大部分を占めておるのですが、林業家というものは現在林道の受益者負担にたえられない状態になってきておる。  林道の受益者負担を全国的に見てみますと、大体平均二〇%ぐらいです。ところが、私どもの奈良県のようなところになりますと、やはり従来吉野材ということで、材価も高いということで、少し負担が重くてもいけるのではないかということで、私どもの奈良県でも、広域林道とか基幹林道というものは除いて、普通林道の場合などは、受益者負担の率は平均よりは高いと私は思うのです。ところが、その受益者負担を支払うために、山の木を切って負担金を払わねばいかぬ。材価が低迷しておるから、切る量をたくさん切らなければ林道の受益者負担を払えない、こういうような形で、林道はできたけれども山はまる裸になってしまったというような例がたくさん出てきておる。私は、現在の林業の状況の中で、林道の受益者負担というものを出せる限界を超えておるのではないかと思うわけなんですが、その点について、これは何とかしてやはり受益者負担というものをなくしていくか軽減をしていく、そういう方途を講じてやらなければ、中小の林業家は全部つぶれてしまうのではないか、私はこう思うのですが、その点についてどうですか。
  57. 秋山智英

    ○秋山政府委員 先生御指摘のとおり、林業経営をしていく場合におきましての林道の機能と申しますのは、単に木材搬出だけではなくて、森林施業をきめ細かくやりまして、木の持っておりますいろいろの効用を高めるためにきわめて重要でございます。そこで、いままでも林野庁といたしましては、これを重点といたしましてやってまいったわけでございます。  先生いま御指摘ございましたが、国の補助率につきましては、ただいまお話がありましたとおり、特に過疎地域、振興山村等につきましては、補助率のかさ上げをしながら、さらには後進地域の例の開発に関する特例に基づきまして、補助率のアップ等をしておるわけでございます。全国平均を見てまいりますと、受益者負担は一・六%でございます。ただ、奈良県の場合には五・六でございまして、全国に比較しますと高いわけでございます。これは都道府県並びに市町村のそれぞれの地域の実情に応じまして、条例で定められておるわけでございます。  私ども、今後林道の開設に当たりましては、いろいろの種類の林道がございますから、それを有効にうまく生かしながら、組み合わせながら進めていくことが非常に大事であろうと思いますので、そういうことにつきましては、さらに一層各県を指導してまいりたいと思っております。
  58. 川本敏美

    川本分科員 北海道と地勢は大分違いますけれども、私ども奈良県などは、林道の延長キロ数というものは物すごく長いわけです。奈良県の大体六〇%、吉野の山間地帯は急峻な山岳地帯ですから、林道の設計自体に対しても大変なお金がかかる。そこへもってきて延長キロ数が長いから、勢い県や市町村は受益者の負担を重くしておるというのが現状だと思う。私は、そういういわゆる林野面積にして延長キロ数の長いところについては、国の特別の配慮がなされなければいけないのではないかと思うわけです。北海道などは、たとえて言いますと過疎振興山村などでも百分の五十、間伐林道などでも百分の五十五ですね。ところが、内地の一般のところは百分の五十ということでやはり五%違うわけです。私は、奈良の吉野のようなこういうところについては、少なくとも百分の五十五というぐらいの措置は講じなければ、受益者負担にたえられないことになるのではなかろうかと思うわけですが、その点について、ひとつ都道府県を指導しますということだけではなしに、国の行政改革でいろいろ補助金締めつけと言われていますが、こんなものはほかの補助金と違う。先ほど申し上げたように、治山治水、そして国土保全、こういう面からも重大な役割りを持っておる、これをおろそかにしては大変なんです。  その辺のところを認識を改めていただいて、そういう延長キロ数の長い、そして設計上大変高額になる、こういうところについては、いわゆる国の補助率をアップすべきじゃないか、こう思うのです。受益者の負担を減らさなければ林業はつぶれてしまう、このように思うわけなんですが、大臣、どうでしょう。
  59. 秋山智英

    ○秋山政府委員 私ども、現在の林道事業を進めるに当たりまして、例の林業振興地域等につきましての林道開設につきましては、奈良県も現状を踏まえた形で受益者負担をゼロにするような努力をされておるわけでございます。私ども、これから進めるに当たりまして、財政のきわめて厳しい中ではございますが、やはり知恵をしぼりまして、各種の林道を組み合わせることによりまして、まずは最大限の努力をすることが大事だと思いますので、そういう点についてのきめ細かい指導を私どもこれからさらに進めてまいりたい、かように考えております。
  60. 川本敏美

    川本分科員 最近、ヘリコプターを木材の出材に利用するような時代がやってきていまして、現在、私ども奈良県でも、急峻な山の頂上付近で伐採した木材は林道に出して、そして木材市場に出してくるよりも、ヘリコプターで直接木材市場まで運んだ方が出材費が安くつく。  たとえて言いますと、林道経由で、普通の方法で集材機や河川で道路端まで出してトラックで運んでくる場合、石当たり大体五千円から七千円ぐらいの出材費がかかっておる。ところが、ヘリコプターで山の頂上からつってすぐに木材市場に持ってくると、大体五千円ぐらいで出てくるというような地域もありまして、ヘリコプターで運んだ方が安くつく。私はヘリコプターを使うことについて余り賛成じゃないのです。といいますのは、幼齢林が付近にあった場合、あの風で幼齢林の木の一番穂先のやわらかいところを飛ばしてしまうおそれがある。なぎ倒してしまうおそれがある。だから、決していい影響を与えないんじゃないかということが一つあるわけです。しかし、時代の要請でそうなった。ところが、ヘリコプター基地というものが全然ないわけなんです。私は、これからの林野庁の行政の中では、そういうヘリ基地をつくるのに国が補助をしていく、林業の近代化のためにはこういうことも必要じゃないか、こう思うのですが、その点どうでしょうか。
  61. 秋山智英

    ○秋山政府委員 従来、林業関係におきましてヘリコプターの利用と申しますと、苗木の運搬あるいは治山工事の機材運搬等が中心でございました。しかしながら、一方におきまして、ヘリによるところの木材搬出の問題もこれからの課題だと思いまして、現在、実は国有林におきましても実験をしておるわけでございます。これはいままで二局ほどやっておりますが、立米当たりやはり五万から七、八万かかっております。したがいまして、高品質材、しかも、それが単木的に切る場合には、そういう形でほとんど林道をつけなくても、それによって出し得るわけでございますので、私ども、そういうような高品質材の運搬等に現在実験的に行っている段階でございます。  民有林関係も、奈良県の一部でやっておりますが、まだほとんどわずかでございまして、これからある程度そういうふうな実験をしながら、今後こういうことを決めていく段階でございますので、まだまだ補助事業として考えるところには至ってないと思います。  それからヘリポートでございますが、御承知のとおり、現地において材木を運搬する場合には、高さ三、四十メートル、高いところで綱をおろしまして、それで材木をくくって持ち上げて運搬するという形をとっております。ヘリポートにつきましては、下流の方の、ちょっとした整地をすれば、自然的地形で利用できるというようないま段階でございますので、私どもこの建設の問題については、さらに検討していかなければいけない問題だと思っております。  いずれにしましても、そういうような高品質材を点状に択伐する問題については、林地の破壊その他の関係から見ますと、ヘリでやるのもきわめて有効でございますので、これはさらに研究してまいりたいと現在考えておるところでございます。
  62. 川本敏美

    川本分科員 もう一つ細かいことですが、農林漁業金融公庫で貸し付けている造林資金の問題です。これは大体償還年限が全国的に、あれは五十四年から特認で四十五年ということに定められました。しかし、私どもの奈良県の実情を見てみますと、杉で六十年、ヒノキであれば七十年、大体それが適齢伐期と言われているわけです。大体一番下に杉を植えるのです、谷底に。そして中腹から上にヒノキを植える。だからヒノキはちょっとやせ地のところに植えるから成育が大変遅くなる。その上に大体松とかマキとかそういうものを植えるわけです。だから、四十五年償還ということは、全国的にはそうであっても、少なくとも私どもの奈良県あたりの状況から見ると、所によっては六十年あるいは七十年という償還年限にしなければ、本当の造林意欲はわいてこないのじゃないかと私は思うわけです。こういう不況のときですから、ぜひそういう措置を講じてほしいと思うのですが、どうでしょう。
  63. 秋山智英

    ○秋山政府委員 農林漁業金融公庫の造林資金につきましては、いま先生もお話ございましたが、林業の特殊事情、造林事業の長期性という面から、年々私ども改善をしてきておるところでございます。五十四年から、いまお話がございましたとおり、林振法に基づく場合におきまして償還期限最高四十五年、それから据え置き期間二十五年という特例の措置を講じておるわけでございまして、これは農林漁業金融公庫の資金の中で最も低利の長期のものでございます。さらにこれを改善するということになりますと、現在の公庫資金をめぐる状況とか、あるいは他の制度融資とのバランスもございまして、非常に困難な面があると思います。今後林業を取り巻く情勢もきわめて厳しいわけでございますが、さらに慎重に検討してまいりたいと思います。  なお、奈良県の場合には、現在地域森林計画の標準伐期齢というのがヒノキ四十五年、杉が四十年になっております。確かに先生御指摘の六十年、七十年という伐期のものもございますが、一応私どもは標準伐期齢を基本にして検討している経緯もあることを御理解いただきたいと存じます。
  64. 川本敏美

    川本分科員 大体その適正伐期齢というのが間違っておる。だから、必要とあれば適正伐期齢を実情に合わせて改正しなければならぬ。奈良の林業というのは先進的ですから、密植をして枝打ちをして、そして銘木に育てるというやり方ですから、とてもそんな、一番材価の収益が多い時期が六十年ないし七十年ということですから、林業家はその時期が来るまでなかなか伐採しない。その辺のところはひとつ現実の状況を踏まえて考えていただきたいと思うのです。  それからもう一つ、現在民間における山林労働者の数がだんだん減ってきて、高齢化して、そして後継者がいなくて大変な事態になっておる。その一番の原因は、急峻な山林において非常に過酷な重労働をするというところに一つの原因があって、若い人たちがなかなか来てくれないということにあるのですが、もう一つは振動病、チェーンソーを使うために振動病の患者が物すごくふえてきた。チェーンソーを長時間持って使うということになると、全部振動病になるわけです。一〇〇%振動病になる。振動病になった患者で治癒したという人はいまだに一人もない。死亡した人はいるけれども治癒した人はいない。だから、林業振興と振動病の撲滅とは切っても切り離せない対策だと私は思うわけであります。  ところが、最近国会でも議論されているのを聞きますと、チェーンソーは労働省、あるいは林野庁もそうだと思いますけれども、チェーンソーの使用についていろいろな規制を加えて、白ろう病、振動病にかからないように指導をしておる。二時間以上連続してチェーンソーを使ったらいけない、あるいはチェーンソーを十五分使ったら十分間休みなさいというような、いろいろ指導をしておると思うのですが、どのような対策をいま講じておられますか。
  65. 秋山智英

    ○秋山政府委員 振動障害対策は林業上きわめて重要な対策の一つということで、私ども積極的に取り組んできておるところでございますが、予防、治療、補償と非常に各分野にわたっておりますので、特に五十一年からは厚生省、労働省、林野庁の三省庁で、振動障害対策推進関係省庁連絡協議会というのを設けまして、連携をとりながら各種の政策をとってきているわけでございます。特に林野庁におきましては、予防対策を中心といたしまして、いま先生お話のございました、振動機械の使用時間の規制等の指導を徹底すると同時に、二つ目は、最近低振動あるいは無振動の機械の開発ということに取り組んでおりまして、特に低振動の機械ですと、かつては三・五Gというふうな振動の高いのがございましたが、現在は〇・五G程度の非常に振動の低いものも開発されておりますし、またリモートコントロールによる機械も開発し、これらによりまして、とにかくより振動の少ない機械を開発するということに鋭意努力して、そういう成果を上げつつございます。  また、特殊健康診断の問題あるいは治療の実施体制につきまして、この体制を整備するという問題、それから振動機械を使用される方に対するところの振動障害予防健診等の巡回指導の拡充というふうなことをいままでやっておりますが、特に五十八年からはこの振動障害の軽快者、非常に軽くなりました方々が実質的に就業し得る基盤をつくるための開発の助長の予算だとか、あるいは事業主に対しまして、振動障害を中心といたしました安全管理診断の対策、さらには事業主、医者あるいは行政部局という関係者が集まりまして、この振動障害の予防対策を初めといたしまして、どうしたらこれが防げるかというふうなシンポジウムの開催というふうなことも考えまして、これらを新たに実施することによりまして、今後の振動障害の対策を一層深めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  66. 川本敏美

    川本分科員 振動病というのは大変な病気でありまして、これが放置されることになると、もう山はあっても、木があっても、これを造林したり伐採したりする人がいなくなったのじゃ大変なんです。そのために、振動病の撲滅ということに重点を置いた林野庁の行政がまず行われなければいけない。ところが、第二臨調あたりの答申を見ますと、国有林の仕事でも全部民間業者に下請させい、こういうような第二臨調の方針も出されているわけですが、現在の民有林で働く山林労働者は、一立米の木材を切って何ぼという出来高払い制が多いわけです。ところが、出来高払い制だから、賃金をたくさんもらおうとすれば、法律で規制をしておっても、幾ら言っておっても二時間以上連続して、五時間も六時間もチェーンソーを使う、あるいは十五分やったら十分休めとか、いろいろな指導をしておってもそれを全然守らずにどんどん切っていく。そういうようなことが現在行われておるわけですけれども、このことが振動病を多発さした原因であることを考えるときに、山へ行ったら、労働者の人は二時間仕事をしたら休憩しておるとか、あるいは余り仕事をしていないとか言う方々は、山の現実を知らない人の言うことだと私は思うのです。だから、第二臨調は、民間に下請さしたら林野庁もよくなるのではないか。そうなると、今度は民有林の労働者の現在の労働条件を、そのまま出来高払い制で、そして法律や規則を無視したチェーンソーの使い方を固定をさしてしまうということにつながるようなことになれば、これは林野行政として間違っておると私は思うのです。だから、その辺について、林業振興のためには振動病を撲滅する、そして後継者を育てていく、このような労働環境を生み出さなければいけない。そのためにはもっともっと厳しい白ろう病に対する労働の規制、安全衛生を守るための規制がなされてもいいのじゃないか、私はこのように考えておるのですが、その辺についてひとつ大臣の決意のほどをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  67. 金子岩三

    ○金子国務大臣 ただいまの振動障害認定者数、ここに資料がありますが、五十二年千三百四十八人が五十六年には七百三十六人、半分近くに減っておりますから、こういう厳しい行政を一層強く続けていくならば、振動病は撲滅することができるのではないか、このように考えております。  その他のことについても、先生の御意見を踏まえてひとつこれから積極的に取り組んでまいりたい。
  68. 川本敏美

    川本分科員 終わります。
  69. 植竹繁雄

    植竹主査代理 これにて川本敏美君の質疑は終了いたしました。  次に、蓑輪幸代君。
  70. 簑輪幸代

    ○蓑輪分科員 私は、米の予約限度数量割れの問題を初め、農村婦人の問題などについて何点かお伺いしたいと思います。  御存じのとおり、減反政策の上に三年続きの不作が重なって、米が足りないんじゃないかと大変に心配されているのが昨今の状況でございます。予約限度数量七百六十万トンどころか、七百十万トンを集荷達成できるかどうかもわからない状況だというふうに聞いています。食糧庁では、昨年来食糧事務所に対して繰り返し集荷督促を行っているようですけれども、一体供給不足が生じるような状態があるのかどうか、そのことを最初にお伺いしたいと思います。
  71. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 食糧の需給状況を五十八米穀年度について申しますと、これは昨年の十一月から本年の十月末までの一年間でございますが、五十七年産米の生産量が千二十七万トン、さらに前年産の持ち越し四十万トン、それから五十三年産米の業務用への振り向け等を合わせまして約千七十五万トン程度ございます。したがいまして、需要量を千六十五万トンとしましても十分足りるわけでございまして、持ち越し数量は十万トンになりますが、本年の需給については心配はございません。  さらに、御存じのように、この米穀年度内におきましては、五十八年産米の新米の出回りが、八月以降十月までに約三百五十万トン以上が予定されます。現在の手持ち数量等を、私どもから見ましても、五十八米穀年度において需給上何ら心配をかけることはございません。
  72. 簑輪幸代

    ○蓑輪分科員 というようなお答えですけれども、心配する状況がなければ、なぜこのような集荷督促が激しくやられているのかということについて非常に疑問を持つわけです。一般的には、戦後の混乱期を思わせるような強引なやり方ではないかというような言われ方もされておりますし、たとえば食糧庁の指示を受けた食糧事務所や全農が、農協を通じて各戸に出荷督促をしているわけですけれども、全国的に一農家一俵運動というようなものを展開したり、やり方は非常に強引で、大変不安を与えているわけですね。岐阜県でいろいろ聞いてみましても、たとえば一軒ずつ農協の職員が回る、それも何度も執拗に回る。そして、出荷ができないと答えているにもかかわらず、どこかに流しているんじゃないか、そして、出さないと法律で罰せられるぞというようなおどしまで受けているというふうなことも聞いているわけです。これはまさに脅迫的で、絶対にこういうやり方は許されないんじゃないかと私は思うわけです。  ほかにも山形県の場合ですと、保有米のない農家に対しても、出さないと五十八年産米の限度数を抑えるとか、不正流通米の発生を防止するためだという名目で大変執拗に迫られている。出せないという人たちが非常につらい思いをするという状況まで追い込まれている。  青森でも、食べる米しかないのにさらに督促される。農民からは、もうこれ以上出せと言うなら強権発動しかないのじゃないかというような声も出ていますし、白米でもいいから出せとか、チラシやはがき、電話で要請されるとか、こういうふうなやり方が続いている状況。そして、これが八月まで続くということになりますと、農家からは、一体どうなっているんだと不信とか不安とか怒りとかが出てくるのは当然だと思うのですね。いかに心配はないと言われましても、こういう状況が続く限り不安はますます広がるばかりです。逆に言うなら、こういうやり方というのはいかにもひどいじゃないか、だから、こんなやり方はぜひやめさせてもらわなければいけないと私は思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  73. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  昨年来、改正食管法が施行されたことは先生御存じのとおりでございます。昨年の一月十五日から施行されまして、特に食管の新しい制度が国民の支持と信頼を得て定着するようにという趣旨から、米穀の集荷、販売、両面におきまして不正規流通米の発生防止に努めろ、特に食管法改正の際には、附帯決議をもちまして、流通秩序の正常化の確立ということの御要望も強くございました。私ども、食管の運営の基本は不正規流通の取り締まりということで、昨年も適正集荷ということで集荷につきましては指導したところでございます。本年もそうした趣旨で指導はしておるところでございます。  いろいろ集荷について現地のそういうお話はございますが、私どもそのような行き過ぎたことはないと確信いたしております。現に、限度数量に達してないと、作況の様子にもよりますけれども、作況一〇〇%を超しまして、限度数量になお達していないということもあるわけでございます。こうした点は、食管法におきます食糧の安定的供給を果たすという、生産農家の方で御協力いただかなければならない基本でございますが、こうした点はきちんと守っていただくようにしなければ、食管運営の基本が崩れるわけでございます。  そうした意味合いにおきましても、私ども集荷の要請をしておることは事実でございますが、集荷、買い入れの終わりは五月になりますので、八月までとかそういうこともございませんし、また地域の実情に応じて指導しておるつもりでございます。
  74. 簑輪幸代

    ○蓑輪分科員 私は、現実に聞いてこういうことを申し上げておるわけですから、ないと言われましても納得できません。そこで、それはそれなりにちゃんと調べていただいて、そういう状況があるなら是正する、そういう御答弁をいただかないと私は承知できないわけです。
  75. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 極端な例でもありますればお聞きいたしますけれども、私どもといたしまして、地域の実態からして、限度数量に未達のところにおきまして、そうした余裕があると見られるところにおきましては、やはり集荷をすべきことでございますし、また、御協力をいただかなければならないのが現在の食管の運営の基本になっておるわけでございます。こうした要請はいたしたいと思いますが、非常に極端な例があれば、具体的にお聞かせいただければ私ども現地をよく調査いたしてみますけれども、集荷自体は現在の食管運営上の最も基本の問題でございますので、適正な集荷に御協力をいただかなければ安定的な供給は果たし得ないわけでございます。この点は十分御理解賜りたいと考えております。
  76. 簑輪幸代

    ○蓑輪分科員 作況数と実際に集荷される量とが違うということの中で、これはひょっとしたら保有米が余分にあるのではないかとか、もっともっと協力してもらわなければならないんじゃないかとか、そんなような趣旨に承ったのですけれども、そうではなしに、作況指数そのものの方にも問題があるのではなかろうかという指摘もされているわけですし、現実に農家の方としては、従来からの不作が続く中で、今度は保有米がある程度どうしても欲しいというようなことがある場合があるかもしれません。しかし、従来不作のときにうんとよそからも協力してもらったという例もあって、今度は精いっぱい出しているのだ、もうこれ以上本当に出せないのだ、飯米まで出しているのだというような状況がある中で、さらにそういう脅迫的なやり方というのはやはり不当じゃないかと私は思うんですね。ですから、やはりそういう例についてはぜひ是正をしていただく。基本的な考え方は理解して、私どももその点については了解いたしますけれども、不当なやり方については直していただく、そういうふうにお願いしたいと思うのです。
  77. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 私ども、脅迫的なやり方などはした覚えはございません。現実にいろいろそうしたうわさをされる方はございますが、現にある県におきましては、道路検問でそうした不正規の流通等が発生した事例があるわけでございます。かつ、私どもの倉庫の調査によりましても、不正規で流通いたしておる米が現にあるわけでございます。こうした点は正規のルートへ流すべきでありますし、院の御決議の趣旨にも沿わないことになるわけでございますから、こうした点は私どもとして厳正に正さなければならないと思います。もし万一、行き過ぎるような事例がありましたならば、お聞かせいただくなりして私どももよく調査いたしたいと存じます。
  78. 簑輪幸代

    ○蓑輪分科員 具体的な例についてはまたお話し申し上げて、是正をお願いしたいというふうに思います。  ところで、農家の方で大変不安を覚えておりますのは、次に、第三次水田利用再編対策ということで進められていこうとしているわけですけれども、この三年間を見ても、転作目標に対して過剰な実績になっているという状況ですし、米価が連続据え置きになっておりますし、米作意欲の減退も激しいという状況があります。農業再編の将来の方向というのは一体どういうふうになるのかという、展望が見出せないという基本的な問題がかねてから指摘されております。そういう問題について、それをほったらかしにしたままで、転作を来年は緩和して、昨年の転作実績六十七万五千ヘクタールから、今度は七万五千ヘクタール復元せよというようなことになるやに伺っておりますけれども、それはそう簡単なことじゃないというふうに思うんですね。そしてことしは削れ、来年はまたつくれ、それからまた、その次は削れとか、その都度その都度、いわゆる場当たりの猫の目行政というふうに言われておるような状況では、本当に国のおっしゃるとおりに進めていっていいのだろうかというのが、農民の大変不安な気持ちだと思うのです。減反政策にも疑問が提起されておりますし、集団化とか団地化政策の問題についても同様です。  それから、冷害に弱い銘柄米の作付指導などというようなことについて、作付前の農民にとっては大きな不安材料です。本当に農民が農業に自信を持って、将来に向かって安心して取り組める、そういう農政にしていただかないことには、国民全体が安心できないというふうに私どもは思っております。その点でどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  79. 角道謙一

    角道政府委員 いま御指摘の転作の問題でございますが、これは私ども、第二期につきましては六十七万七千ヘクタールということで計画を定めたわけでございますが、実際には天候等がございまして、不作が三年続きましたために、来年度五十八年度につきましては、当初計画より七万七千ヘクタールの転作を減じまして六十万ヘクタールということにしたわけでございます。  ただ、これを定めるに当たりましては、いま御指摘のように、農家の方が毎年毎年転作面積を変更するというのは非常に困難な問題だと思いますので、私ども、第三期を五十九年度から始めます関係もございまして、それへの移行をどうするかということも頭に置きながら、本年度、五十八年度は六十万ヘクタールということに定めたわけでございます。  それから、将来の農業の展望でございますけれども、私どもも、農家の方々に将来どうなるかということをちゃんと展望を持っておれという意味で、農政審議会におきましてもいろいろ御議論をいただきまして、昨年の八月に「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」というものを報告をいただいたわけでございますが、その中におきまして、昭和六十五年における農業の姿といいますか、これは全国的なものでございますが、一応そういう展望をいただいております。これに基づきまして、農業はもともと非常に地方性があるものでございますから、各地方ごとにどういうような展望になっていくか、経営としてはどういうものが望ましいのかという点につきまして、現在農政局で各県と御相談しながら検討しているという状況でございます。
  80. 簑輪幸代

    ○蓑輪分科員 米が不作によって足りなくなってきて、またつくれと言われてみても、なかなかそうもいかない。それから、ことしもまた米作の実績がどうなるのかということについては確たる自信もないという状況のもとで、ことしもまた、もし不作だったら一体どうなっていくだろうという大きな不安があると思うのです。そういう中で、足りないからということで、ひょっとしたら米までもついに自給ができなくて輸入されるというような事態が起こったら大変だ、そういう不安が広がっているというようなことも十分に踏まえていただきまして、米が、万一のことにしても、絶対に輸入されるというようなことのないような農政、それを進めていただくように、私は農水大臣に強く要望しておきたいというふうに思います。  そして、続いて大臣に伺うわけですけれども、農村婦人の地位向上、健康、生活改良というような問題ですけれども、減反の緩和策によって実際に心配されてくるのは、負担が婦人のところに全部しわ寄せされるのではないか。兼業の支配的なところでは、緩和に伴う労働負担というのは、結局は何だかんだ言っても婦人のところに全部集中してくる。現在でも大変な農村婦人ですけれども、一層過労による健康破壊とか、さらに農機具等の労働災害や家事、育児の負担など、さらにまた、都会と農村との違いがないいろいろな子供たちの心配なども加えてみますと、農村婦人というのは、よくこれでがんばって農業を続けてやっていると、私は本当に敬意を表するような状態だと思うのです。  現実にそういう農家の実態の中で、農家には嫁が来ないとか、あるいは農業に未来が持てないために後継者が育たない、若い人たちがいないために労働力がないというような問題で、一層高齢の婦人にもしわ寄せが来ているわけですね。そういうようなことが一層促進されたのでは大変なことになると私は思います。  そこで、ずっと見てみますと、農業従事者に占める婦人の割合というのは、五十五年度で六一・七%と過半数を占めていますし、農業の中核として婦人の占める比重は大変高いわけですが、農業技術者としての指導や援助も必要になってくると思います。そして健康問題に対する特別の施策、あるいはまた農村や農業における婦人の地位向上、こういうものを男女差別撤廃条約の観点から見て進めていかなければならないというふうに思うのです。そこで、農村の婦人に対する施策ということで、大臣はどのように農村婦人に対する施策をお考えか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  81. 金子岩三

    ○金子国務大臣 御指摘のとおり、農業就労人口六百九十七万三千人のうちに、御婦人が四百三十万人占めていますので、六一・七%という大きな婦人労働が日本の農村を支えておる、こういうことが実情でございまして、それぞれいま婦人が農村において生産面と家庭を守り、大変な重労働を続けておるということは、私もよく承知いたしております。したがって、それなりに生活改善普及事業を初め、いろんな面で予算を組んで指導をしておるようでございます。これをひとつ今後も一層強化していきたい、そして農村の御婦人のあらゆる面、いわゆる生活環境、健康状態あるいは先ほど農業技術の問題も出ておりましたが、当然御婦人といえども技術面にもある程度強い施政をしなければならぬだろう、このように考えております。積極的にそういう政策をとってまいります。
  82. 簑輪幸代

    ○蓑輪分科員 御存じのとおり、差別撤廃条約批准のために、政府においていろいろと施策を進めていただいておりますけれども、特に国際婦人年の後半年の問題で「婦人に関する施策の推進のための「国内行動計画」後期重点目標」というのが婦人問題企画推進本部で定められておりまして、その重点目標の中に「農山漁村婦人の福祉と地位の向上」というのが掲げられております。「婦人が近年の農業技術の高度化、装置化、経営の多角化等に対処した知識、技術を十分発揮することができるよう、婦人に対する農業経営・技術等に関する普及・指導の充実を図る。」というのが第一に掲げられておりまして、第二に「農業生産・農家生活の担い手である婦人が、住みよい生活環境の中で適正な労働に従事し、健全な生活を営むことができるよう、作業条件の改善等農村生活全般にかかわる総合的な指導を行う。」というのが掲げられているわけです。  それで、岐阜県の場合で見てみましても、県の農政部が発表いたしました昭和五十五年三月の「農業者健康モデル地区育成事業報告書」というのによれば、羽島市、関市等二市三町一村の調査の結果を見てみますと、特徴的なことは、第一に、十時間以上労働している人が八六%、十二時間以上の人は六三・三%。第二に、栄養状態が悪く貧血が多い。婦人にはリューマチもよく見られる。それから第三に、ほとんどの人が農夫症候群というのを訴えているということです。第四に、生活環境が悪くて、余暇がなかなかとれない。第五に、農薬に対して無防備、といった事態がいろいろ指摘されております。こうした生活実態は全国にほぼ共通しておりまして、岐阜県だけ特殊ということはないと思います。生産と生活の両面から緊急な対応が必要になっているわけです。  農村婦人の生活改善、地位向上の面で、生活改良普及職員の果たしている役割りは大きくて、余暇をとることさえできない農村婦人にとっては、その集まりが唯一社会交流の場になっているという事態もありますので、一層制度の充実が望まれているわけです。しかし、臨調の答申もありまして、削減されていくのじゃないか、そういう不安があります。農村婦人や改良普及員の方々や婦人団体の中で、一体どうなるのだろうか、今後この生活改善普及事業というのが充実されるのだろうか、どんなふうに推進していくのだろうかというふうな心配があるわけですので、その点での実情、将来の計画、お聞かせいただきたいと思います。
  83. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 農村婦人が一般的に健康面において都市等に比べまして大変劣った状況にあるのではないかというふうな御指摘につきましては、私どもの方のいろいろな調査を通じましても、そういう傾向が出てきておるわけでございます。健康問題一般は、これは所管からいいますと厚生省の問題になるわけでございますが、お話しございましたように、農家の生活の問題というのは、農作業の問題に大変密着をしておるわけでございますので、作業面から生活面から、両面から日常の活動を通じまして自主的に健康管理を進めていただく、そのための手助けといたしまして、生活改善普及事業も大きな役割りを果たしておるわけでございます。今回、五十八年度から普及事業につきましての予算を、従来の個別経費の積み上げ方式による負担金というものから、総合標準化いたしました交付金方式に切りかえをいたしたわけでございまして、御案内のとおり臨調の御指摘などが一つのきっかけとなっておりまして、これはこれなりに制度の安定的な運営を図るために必要な措置であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。  御懸念の普及職員の頭数という問題でございますが、実は昭和四十年代以降、これは国家公務員、地方公務員通じてでございますが、定員の計画的な削減をやっておりまして、普及関係職員ももちろん例外ではなかったわけでございますから、そういう意味での人員の縮減というものについては、ある程度は覚悟いたさなければならぬわけでございますが、今回の切りかえ措置によりまして、そういった人員の減少が加速されるというふうな事態は避けなければならない。そういう意味におきまして、今回この通常国会にお願いいたしております改良助長法の改正におきましても、予算措置の改善とあわせまして、国と県が協議を通じて具体的な内容について一定のレベルを確保する、そのための必要な法律事項も定めておるわけでございまして、それら制度の運営を通じまして、御心配の向きがないように努力してまいるつもりでございます。
  84. 簑輪幸代

    ○蓑輪分科員 従来進めていただいておりました生活改善普及事業というものが少々形が変わるけれども、今後一層充実されるというふうに期待してよろしいわけですね。
  85. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 人員の問題については、先ほど申し上げましたように、いわば中立的なものでございまして、この措置によって特に人員がふえるというものではございませんけれども、これまで以上に人の縮減が加速をされる、こういうふうな事態がないという意味においては、制度自体の安定性及び関係職員の精神的な安定という意味におきましても、仕事の面にいい影響を与えるものというふうに私どもは考えております。
  86. 簑輪幸代

    ○蓑輪分科員 婦人は、農作業それから家事、また、その農作業自体も多角経営という中で本当に体を削るような思いをして働いているわけです。そういう婦人が、農業の現場では、日本の農業を支えるというような重大な役割りを果たしていながら、実際には村づくりの面やあるいは農業関連の公的機関での発言、参加の場というのがきわめて少ないというのが実情であります。四十七都道府県の農協組合員数を見ても、婦人組合員一〇%未満のところが三十三都府県もありますし、役員に至っては全国平均〇・〇三六というのですか、ほとんどなきに等しいという状態です。多くの農村婦人の声が公的機関に反映されるようにしなければなりません。先ほど申し上げました「「国内行動計画」後期重点目標」の三番目のところでは、「婦人の実質的な社会参加を進めるため、固定的な性による役割分担意識に基づく慣行等を見直すとともに、農業委員会、農業協同組合等の委員、役員等に婦人が積極的に参加できるような環境づくりのための啓発・指導を行う。」ということがうたわれております。その点でも、農水省が行政面での積極的な指導が行われるよう期待されるわけですけれども、この点での取り組みはいかがでしょうか。
  87. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 お話しございましたように、農協などの組合員数といたしましても、役員数としても大変少ないわけでございますが、これは御承知のように、農協加入がいわば家族単位と申しますか、こういう形で行われておりますので、組合員数としても少のうございますし、また、その中から役員になる方が男性に比べて少ないという現実があるわけでございます。これは農協自体の問題と申しますよりも、農村社会全体の中で婦人の方の社会的発言権が低いと申しますか、そういうことにも由来いたしますし、婦人自体の行動態様といいますか、そういうことにも無関係ではないと思っておるわけでございます。そういうことによりまして、先ほど来お答えいたしておりますように、農村の中における農家の婦人層の自主的な活動をさまざまな形で助長いたしまして、それによって婦人が自覚し、社会的な意識を高めまして、最終的にはそれがいろいろな形での公的な職場と申しますか、そういうことに対する進出を促していく、そういう筋道であろうかと思っております。
  88. 簑輪幸代

    ○蓑輪分科員 いままではこういう婦人がどのようなかかわり方をしているかということの調査すらなかったという実態のように伺っておりまして、やっとその調査が始まった段階ですから、これからとてもその行政指導が期待されるわけです。  農家の実情から見まして、急速に婦人の役割り、責任が大きくなっているときでもございますので、意識的な指導、重点的な指導を要望しておきたいというふうに思います。臨調ということで福祉や文教やそういうものが削られたり、あるいは農村の問題についても批判が寄せられる中で、しかし、婦人がすべてそのしわ寄せを受けていくというようなことはたまらないわけです。特に、農村の高齢化という問題も急速に進行しておりますので、農村老婦人というのはすべてのしわ寄せを受けて、たまらない状況にあるというふうに私は思います。  そこで、そういうしわ寄せが婦人に及ばないように、格別の配慮を行政面で強くお願いし、大臣のその点の御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  89. 金子岩三

    ○金子国務大臣 臨調を大変気にしているようでございますけれども、むだなものはやめなさいというようなことを言っておるのが臨調でありまして、私どもは、むだなものでも残すようなつもりはない。これはやはりやめるべきだと、臨調の意見に賛成でございます。  しかし、新しく経済、社会の大きな変化が続いておるのでございますから、新しい時代の要請が起こってくる、これは当然政策として積極的に取り組んでまいりたいと思います。ただいま蓑輪委員から、婦人の農村における立場なり生活実態等、大変適切な御指摘をいただきました。私どもも、先生の御意見を参考にして、政策として積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  90. 簑輪幸代

    ○蓑輪分科員 終わります。
  91. 植竹繁雄

    植竹主査代理 これにて蓑輪幸代君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十三分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  92. 植竹繁雄

    植竹主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  総理府所管中環境庁について、去る四日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺前巖君。
  93. 寺前巖

    寺前分科員 環境委員会会議録を読んでいましたら、環境庁長官は自然環境の保全の問題についてこう述べられました。「美しく豊かなわが国の自然の中で生活し、固有の文化を築いてきました。自環境は、経済活動のための資源となるだけでなく、物心両面において私たちに限りない恵みを与えてくれます。しかし、自然は一たび失われると、回復は著しく困難であり、自然を守り、子孫に伝えていくことは、私たちに課せられた重大な責務であります。」と指摘になっています。私は、自然が人間をつくってくれるし、人間がまたその自然を守っていくということは非常に大事な責務だ、同感の至りです。  そこで、この間、私の出身地の京都で、野鳥の会の皆さんとか自然保護団体の皆さんと一緒に淀川の三川合流地点付近を散策いたしました。ちょうどそのときに学のある方から、昔はツバメが農村だけではなく都市の中にずっと入り込んでいたものだ、このごろ鉄とコンクリートの町となってからツバメの行くところがなくなってきている、ここには非常に大きなねぐらがあるのです、近畿一円を見ておってもねぐらはアシの生えている水辺のところで、このアシがなくなっていくことが同時にまた破壊されていくもとになっているのだ、この三川合流点より琵琶湖の方に向かって少し上がったところにいま調べているだけでも二万二千羽のねぐらがあります、これは近畿で一番大きいでしょうというお話でした。  私は、建設省の方で五十七年の三月に淀川上流河川公園の基本構想が発表されましたので、ちょうどこの河川公園のど真ん中にこれが関係してくるから、どういうふうに保護をやられるつもりだろうかなということで関心を持ちました。調べてみますと、淀川河川公園というのは全国の国営としてやっておられる中では日本で第一号として出発された。第二号は岐阜県の方です。それで、今度は上流部分に河川公園を発展させていく。それじゃ、一番最初に出発されたところの国が管理をして始めたこの河川公園なるものが一体どういうことになっているのだということに興味を感じました。それで、下流部分をずっと歩きました。管理事務所もございまして、りっぱな公園の案内のパンフレットもございました。  パンフレットを見せていただくと、一番最初にこう書いてある。「淀川河川公園基本計画においては、河川改修計画にてらし合わせ、豊かな自然環境をベースに三つの地区設定をしている。最初の地区は、すでにある良好な自然を維持し得る地域および良好な自然環境を育成することが可能と思われる地域で、これを自然地区として設定する。」見ると、自然地区と野草広場地区と施設広場地区というふうにきちんと分類をして河川公園というのを育てていくのだ、私はなかなかいい構想だなと思ってこのパンフレットを読ませていただき、そしてそこには美しい自然を残す写真もありました。  それではその自然地区が一体どのように現実的に保護されているのだろうかということで、私は見て歩いたわけです。ところが、現実にそこを見て歩きますと、これは書かれている事実と少々違うわけなんです。私が行きましたところは枚方市の天野川の左右の地域です。自然地区。何だったら、参考に私写真をここに持ってきておりますけれども。そこの地域へ行きますと、見える看板は何かというと、まず「ダンプの皆さん この橋は危険 十キロを守ってください」という掲示なんですね。ほかに掲示らしきものはありません。それで、その地域はどういうことになっていますかというと、ダンプ道が走り回っている。ちょっと川っぺりへ行きますと、砂利採取がなされています。そこに砂利採取の機械が置いてあるというような状況であって、ここのパンフレットで見る自然環境について「自然生態調査、ならびに植生調査などの結果、現在なお良好な自然環境を維持しており、また将来もある程度の人為的努力によって、その保全または助長が可能であると思われる」そういうところを自然地区だと言うのだけれども、これでは自然が荒れるに任されているだけでなくして、手を加えて荒らして歩いているじゃないか。せっかくこういう高邁な方針をお出しになって建設省の方が直接手を下されたものがこのようなことでは、言うことととやることが違うではないだろうか。私は、そういうことで非常に残念に思ったわけなんです。こんな調子でまた上流部分にやられたらかなわぬな。  もちろん、河川の問題について京都の市民にも非常に大きな期待があるのです。どういう期待があるかといいますと、京都の町では人口一人当たり都市公園面積が二・三三平米なんです。全国平均四・三四平米から見ても非常に少ない。もちろんお寺がありますから条件は若干違うといっても、運動公園の希望というのが河川にあるのです。これはこれで非常に大事なことだ。しかし同時に、自然を保護する、ここでも言われている自然地区の問題というのは、別な意味でまた非常に重要な要素を占めている。ですから、お手本になるべき日本で最初の淀川河川公園がぜひ当初の計画どおりりっぱなものに発展をしていただきたいということでちょっと質問をさせていただきたい、私はこういうふうに思うわけです。  そこで、まず第一番目ですが、こういうような事態になっているということをお認めになるのかどうか、これが一つです。  そして第二番目に、自然地区と言うのだったら、ダンプの方、十キロを守ってくださいというような看板ではなくして、自然地区としての看板を立ててもらえぬだろうか。そして、せっかくの河川公園のこの管理のあり方、三分類しているのだから、こういうことがわかる案内板を出していただく。そこにはこんな鳥がおりますよ、こんな魚がおりますよ、保護してくださいね、天然記念物もこんなのがありますということを示してあげて、そして自然の中で人間がつくられ、人間が自然を守るという高尚な、環境庁長官がおっしゃったそういう話が生きてくるようにならぬものだろうか。案内板だけじゃなくして、パンフレットの方もそういうものに少し発展をさせていただけないものだろうか。管理事務所の方のあり方も少しそういう角度から見ていただいて、全体を見られるような水族館的なものを考えるとか、発展をさせたものにしてもらえぬだろうか、こういうことをまずは私は率直に感じましたので、この点についてお答えをいただきたいと思うのです。
  94. 勝浦康之

    ○勝浦説明員 お答えいたします。  淀川河川公園につきましては、先ほど先生から御指摘がございましたように自然地区、施設広場地区、野草広場地区というふうに三つに分類しまして整備を進めているところでございますが、自然地区につきましては、その自然を保全していくということで進めておるところでございます。しかしながら、河川改修工事等に伴います水位の状況の変化等によります植生の変化等がございます。これらに対しましていかに対応すべきかというようなことを、現在継続しまして実験区を設けまして調査試験中でございます。このような自然環境につきましてこういう調査試験を引き続き行いまして、保全を図っていきたいというふうに考えているところでございます。  また、淀川の自然につきましては非常に貴重な自然が残っております。これらにつきましての説明板あるいはパンフレットの作成等につきまして今後も引き続き実施いたしますが、現在、自然教室等の開催について年数回実施いたしておるところでございますが、これらを踏まえまして、今後の淀川の自然のよさを皆様に御理解いただくよう、さらに努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  95. 寺前巖

    寺前分科員 書かれたものをいまお読みになったからそういうことになるのか知りませんけれども、一回見てみてくださいよ。あれが自然地区というレッテルを張られているというようなことはおよそだれも感じないですよ。ダンプカーの道路がだあっとなっているだけなんです、極端に言うと。看板を立てられているのはそれだけのことなんですよ。もう一つ看板をあえて探したら、天野川のところにこういう看板が出ていました。「河川管理境界 天野川」左の方に「建設省」右の方に「大阪府」左の方に「淀川工事事務所」右の方に「枚方土木事務所」、こんなところを見ると、これはちょっと手を加えたらというようなことと全然違うやないか、私は率直に言っておきますよ。ですから、ごらんをいただいて、目下さらにいろいろというお話もございましたけれども、そんな状況じゃない。本当に荒れるままに、あるいは荒らす方向にむしろ動いているという認識の上に立って、ぜひいま言われた点、案内板その他の整備を私はもう一度あえてお願いをしておきたいということが一つ。  それからもう一つは、その自然地域と野草地域、ずっと隣同士になっています。そこに防火帯がつくられているんですよ。それは百メートル単位に二十メートルの幅でアシが刈られているんです。実はこのアシが意味を持っているのですね。ここが烏の巣になるのです。防火帯は、防火の角度から切りたいなという気持ちになられるのはわかるのです。それをしなければならぬところがあるか知らない。だけれども、私は、京都のいま残っているアシ原を今度手を加えるとするならば、あれをやられた日にはたまったものじゃないのですよ。消防署の人に聞いてみても、必ずしもここはしてもらわなくてもよろしいという意見を持っております。ここはやってもらった方がいいという意見も持っておられます。ですから、関係の保護団体の方々とか、野鳥の会の方々とか、それから消防の方とか、総合的に相談をいただいて、気楽に刈ってもらわないようにしてもらうことが非常に大事だ。現に関係するところを歩いて、私、消防署の方にも会いましたが、必ずしもそうやってくれとは、言われるところと言われないところがあります。ですから、私は、自然環境の保護のためにその点は非常に重要な意味を持っていますので、建設省の方だけで、善意でおやりになったか知れないけれども、保護のあり方というのは慎重にやっていただきたい、これをもう一つつけ加えたいと思うのです。  その次にもう一つお願いをしたいのは、野草地区の問題です。自然を守るためにお隣に野草地区をつくるんだということをおっしゃっている。そして、そこについて「水と緑とひろびろとした空間に代表される淀川河川敷の特徴を、充分に生かした準自然的な空間として野草広場を設定する。」「都市住民に失われつつある季節感を呼び戻し、」ということが書いてある。  ところが、現実に行ってみると、全体の野草地区の半分はゴルフ場になっている。お金を払わなければ入れない。ゴルフをやるためのものが設けられてしまっている。これではちょっと目的が違ってきているんではないだろうか。これについても再検討していただかなければならぬのじゃないだろうか。せっかくのねらいがそこでもまたつぶされていくんじゃないかということで、これをどういうふうにお考えになっているのだろうか、お伺いしたいと思います。
  96. 浪岡洋一

    ○浪岡説明員 お答え申し上げます。  野草広場地区は自然地区と施設広場地区との中間に存在いたしまして、両者の影響を緩衝する機能を持っております。その内容は、自然地区に近いものから施設広場地区に近いものまで、幅の広いものでございます。ゴルフ場は、張り芝を主体として低木などの植生が存在いたしまして、自然と緑がある程度保全されております。また、修景として周辺の自然環境を損うものではございません。このゴルフ場は淀川の河川敷に六カ所ございまして、いずれも戦後、新河川法の施行以前に許可されたものでございます。  私どもといたしましては、ゴルフ場が一般大衆の利用に供されておるようにパブリック化をしたいということでございますし、それから河川改修等のために縮小した分の代替地は認めないということでございますし、今後、新設、増設を認めずに逐次縮小するという方向で、現に五年間に十八ホールほど縮小した例もございます。以上、できるだけ両立するという方向で、逐次縮小に向かいつつ、今後新増設を許可しないということで進んでまいりたいと思っております。
  97. 玉光弘明

    玉光説明員 防火帯のためにアシをなるべく切らないようにということでございます。この問題、全国のいろいろな河川で起こっております。地元と十分打ち合わせながら、消防対策というものを考えながら、また、できるだけ自然環境を残すというふうに進めてまいりたいと思います。
  98. 寺前巖

    寺前分科員 同時に、私はこの淀川の下流へ行ってつくづく感じたのですが、昭和十二年のマスの漁獲高を見ると、淀川というのは全国の六一%をとっていたのですね。これはなかなかのものだったのですね。そのつくり方は、明治時代にオランダの技師のケレップというお方が来られて、そして低水敷工法というのをとられて、これは上手に水がたまるようになっていて、そしてお魚もそこへまたずっと入るようになっているみごとな一つの工法で、これからああいう工法を使わぬようになってきたら、これ自身が文化遺産としての値打ちを持ってきていると思うのです。聞いてみたらそれをワンドと言うそうですが、これはぜひ残してほしいというのがいま自然保護団体の方々の要望でもあるわけです。当局にも何回かお願いをしたということを関係者が言っておりましたけれども、このワンドの保存を現在どのぐらいやって、どう残そうとしておられるのか、聞かしていただきたいと思います。
  99. 玉光弘明

    玉光説明員 淀川のワンドは、いまおっしゃいましたように明治八年から淀川の改修を始めておりますが、そのときに低水路を維持するための水制工としてつくったものの名残でございまして、そこに堆積した流砂によりまして形成された湾部のことでございます。静水域でございまして、本流と比べまして水質が良好であるということで、特異なそういう生物的な生態があるわけでございます。  現在、淀川改修におきまして、流域の重要度に見合った治水上の安全度を確保するために低水路の拡幅工事を実施しております。その改修に当たりまして、治水上支障のない範囲でワンドの保全を図るという方針でやっておりまして、大阪市の城北地先で現在改修をやっておりますが、そこにおきましてすでにワンドの保全を実験的に行っております。その結果を参考にしながらほかの地区のワンドの保全につきましてもその具体化を検討していきたいと考えているところでございます。
  100. 寺前巖

    寺前分科員 私はどのぐらい残すのかと聞いておるのですよ。昭和四十三年ごろには五百カ所ぐらいあったというのです。それがいまではもう百数カ所に減ってしまっているというのです。ですから、意識的にやってもらわなければいかぬと思うのです。あなたのところでは、団体などの申し入れの過程の中ですでに何カ所か残すということで、わざわざ地図にまで記されているのですよ。ここを残しますというのが書いてある。ところが、最近行くと、所長さんがしょっちゅうかわってしまうものだからこれがまたなくなっていっておるわけですよ。だから、果たして残す気なのか、あるときの地図には書いてあるけれどもあるときになったらなくなっているじゃないか、一体どっちなんだという意見が出ているのです。だから、どのぐらい残すのですか、簡単に答えてください。
  101. 玉光弘明

    玉光説明員 現在、ワンドが百五カ所ございます。面積的には二十三万平米でございます。それを現在五地区残す計画にしておりまして、その合計を申しますと約十五万平米を残そうという計画を立てております。
  102. 寺前巖

    寺前分科員 そこで、私は大阪自身のそういう状況の改善をきちんとやっていただくということを重ねて申し上げて、同時に、これを踏んまえて上流部分の計画を進めていただきたい。特に、三川合流点から琵琶湖に向かっていった京都市内の部分のところに先ほど申し上げましたヨシの大群落があります。そこに第二京阪という道路が入ってくるという計画もあるわけです。そうすると、それによってその地域のヨシの大群落がつぶされてしまうという心配があるのです。そこがまたツバメの巣であり、ツバメの巣ということはそこにまたいろいろなものが集中している典型的な自然があるのだ。だから、この計画を立てられるに当たってはぜひとも自然環境関係の専門家の意見を聞いてもらって、保存をするという立場を守っていただきたい。現在、模型飛行機の飛行場があるわけですね。そういう意味で、こういうものも総合的にいろいろ検討していただきたいと思うのですが、お考えを聞かしてもらいたいと思うのです。
  103. 勝浦康之

    ○勝浦説明員 お答え申し上げます。  淀川上流地域の公園化につきましては、すでに御案内のように現在調査中で、継続して実施しておるところでございます。先生御指摘のヨシ原につきましては、治水計画との調整を図りながら今後慎重にその保全等について検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  104. 寺前巖

    寺前分科員 一度つぶしてしまったらもとへ戻らないのだという立場でぜひ考えていただきたい。  もう時間がありませんので、環境庁長官にお願いをしたいのですが、私たちは小さいときから、渡り鳥と言えば南からツバメが来る、北の方はガンがある、これが代表的な渡り鳥の話だと思うのです。そのツバメが全体として見えなくなってきている。それは、そのねぐらのヨシのあるところがつぶされていっているということが非常に大きな位置を占めているのじゃないだろうか。そういう意味で、私は、ツバメが渡り鳥としていまどういうふうにやってきておるのだろうか、そのねぐらが現状どういうふうになっているのだろうか、そういう調査をして自然保護に取り組んでいただきたい。私は、代表的なツバメぐらいはぜひやってもらいたいなあというふうに感ずるのですが、環境庁としてどういうふうなお考えを持っておられるのか、これが一つです。  それからもう一つは、同志社大学の三輪茂雄という先生が「鳴き砂幻想」という本をお書きになっています。これはNHKのテレビなりあるいは新聞などでもかなり書かれています。私、去年の暮れにお会いして聞かされた話なんですけれども、昔は日本の国では、砂が音を鳴らして琴を弾くような音だ、だから琴弾き浜と言うとか、あるいはクグなり浜とか琴が浜とか恋ノ浦とか角海浜とか、ともかくいろいろな音色がそこからすると言われた。ところが、自然が汚れてきたものですから、音が鳴らぬようになっていくだけではなくして、その浜がなくなっていくという事態になっていることは嘆かわしい、もうここまで来たのだから何とか保護を考えてくれないかということで環境庁長官に前も出したし、また最近も出させていただいているのですといって、その出した手紙のもとを見せていただきました。本当に切々たる訴えでした。特に最近新潟では原子力発電所になってつぶされてしまうということなんですが、そんなところを選ばなくたっていいのじゃないか、環境庁として何かお考えがあっていいのじゃないだろうかといって、もう切々たるものでした。私も心を打たれました。  この二点について、まず局長さんからお考えを聞かしていただいて、大臣で締めくくっていただきたいと思います。
  105. 山崎圭

    ○山崎政府委員 先生前段にお尋ねのツバメの調査につきましては、私ども、ツバメのねぐらを含めまして国土全体についての自然環境保全基礎調査というものを行っておりまして、その中では、たとえば特定植物群落調査というものを行っておるわけであります。これは、たとえば湿地帯の上に生える植物群といった調査でございます。それから湖沼というような形での調査もございますし、あるいはまた干潟、藻場、サンゴ礁の分布調査、こういうようなものも内容として実施しております。そういうことで、ツバメ類につきましては、その繁殖分布の調査をこの基礎調査の中に組み入れて行っているところでございます。そういう意味で、今後ともそういう調査は継続して各種の施策の基礎資料にいたしたい、こう考えております。  また、鳴き砂については三輪先生の御研究がございまして、御指摘のとおりでございます。今日では全国的にも非常に限られた場所にしかない、こういうふうに承知しておるわけであります。しかし、この中でもたとえば宮城県の気仙沼にございますクグなり浜というようなものは市の天然記念物に指定されて、立ち入り制限等の保存策が講じられていると承知しておりますし、また、福島県いわき市の照島海岸につきましてもそういう動きがあるということを聞いております。また、京都の琴弾き浜でございますか、これにつきましても町の文化財としての指定が行われておるようであります。こういうような実態も踏まえまして、私ども関係機関とも連絡をとり合いながら、保全策を検討してまいりたいと考えております。
  106. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 冒頭、寺前委員、私が環境委員会で述べました所信表明をお読みになったわけでありますが、この所信表明で述べておりますごとく、自然というものは、一遍破壊されますと回復も困難でございますし、また大変な金もかかる、こういうことでございますから、できるだけそういうことのないようにやりまして、われわれの子孫に美しい自然、また、いまお話がございました鳥なんかも、これは大変われわれの生活になごやかな気分を与えてくれるものでございますから、こういうようなものの保護について、所信表明に述べましたとおりの意気込みで環境行政に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  107. 寺前巖

    寺前分科員 終わります。
  108. 植竹繁雄

    植竹主査代理 これにて寺前巖君の質疑は終了いたしました。  次に、村山喜一君。
  109. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私は、きょう志布志湾の開発に伴います自然保護の問題について、長官並びに関係者にお尋ねをしてまいりたいと思います。  そこで、まず山崎自然保護局長、ここに私の地元の新聞がございますが、これによりますと、志布志湾の石油備蓄問題について県議会で質問が行われまして、これに対して環境庁との調整の大詰めを迎えている、近いうちにゴーサインが出るはずである、こういうふうに答弁をいたしているのでございます。これは一社だけじゃございませんで、ほかの新聞社も、環境庁、近くゴーサイン、という報道をいたしておりますから、ごらんをいただいたかと思いますが、これはちょうど志布志の石油備蓄基地建設反対の陳情団の皆さんと一緒に、二月二十四日に私も山崎局長とはお会いをいたしました。そのときに局長が言われたのは、県が行っているアセスについては技術面でアドバイスはしているが、県に対してゴーサインを出す立場にはない。浸食については、最新最良のアセスをやれと指示をしている。結局、港湾計画の段階は県がアセスをやるのである。公水法による埋め立てが行われる場合に、運輸大臣の認可の際に環境庁としては意見を申し上げ、そうして協議を行い、これでよかろうという場合にはサインを出す、こういうようなお話を承ったと記憶をしているのでございますが、私はそれが正しいと思っておるのでございますけれども、県は何を勘違いしたのか、環境庁からゴーサインが出るんだ、こういうような答弁を議会でしておりますが、これについては正確な答えをお聞きしておきたいと思うのでございます。
  110. 山崎圭

    ○山崎政府委員 先般の御陳情を受けました際にも申し述べましたとおり、県が現在行っておりますアセスメントにつきましては、県自身が実施をしておるわけでございまして、私ども立場といたしましては、公有水面埋立法による免許、こういうことで、その際に私どもの意見を述べる、これが形式的な意味での問題であろう、かように理解をしておる点は間違いございません。
  111. 村山喜一

    村山(喜)分科員 したがいまして、この知事の発言というのは正確を欠いているというふうにこの記事では読み取れるわけですが、そのとおりですね。
  112. 山崎圭

    ○山崎政府委員 知事さんが何を内容としてゴーサインと言ったのか、よくわかりません。そういう意味で、先ほど行いました私の答弁のとおり、アセスメントというものは県が実施している段階にあるわけでございまして、私どもは公有水面埋立法の意見を求められた際に意見を申し上げる、こういう関係に相なります。
  113. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこでお尋ねいたしますが、公園計画が定められておりまして、権現山については、これは環境庁の方からもそういうような指示があったので、本来の展望点として現在景観調査をやっておりますということを言っておるようでございますが、権現山については、本来の展望点として最重要なものとして県に指示をなさったのか、なさらないのか、この点について承りたい。
  114. 山崎圭

    ○山崎政府委員 私どもは、県が行っておりますアセスメントが適切になるように、そういう意味でアセスメントの進め方なり調査、予測のやり方なりについて指導しているところであります。お尋ねのように、権現山という問題につきましては、一つの、しかも主要な展望地点として私どもは認識をしておりますので、予測、調査の、景観調査のやり方といたしましてこれが含まれることが適当である、こういう考えを述べたことはあります。
  115. 村山喜一

    村山(喜)分科員 はい、わかりました。そこで、この景観の調査というのは、港湾計画の策定までに事実上は詰めていくものだ、こういうように考えてよろしゅうございますか。
  116. 山崎圭

    ○山崎政府委員 アセスメントの内容といたしまして、景観に及ぼす影響ということが一つの事柄でございますので、当然そういうことに相なると思います。
  117. 村山喜一

    村山(喜)分科員 とするならば、現在の港湾計画の段階では県がアセスメントをやる。その場合には、われわれの常識的な判断としては、環境庁からいろいろ参考のアドバイスも受けながら一つの大まかなアセスをやる。公水法による埋め立ての場合には緻密なアセスをやる。そして運輸大臣が認可をする場合に環境庁の意見を求められるわけでございますので、その際に、それに基づいた形で協議を行う、こういうふうに判断をしてよろしゅうございますか。
  118. 山崎圭

    ○山崎政府委員 お尋ねの趣旨をあるいは取り違えているかもしれませんが、景観のアセスメントということを現在やっているわけでございまして、(村山(喜)分科員「いや、それは違う」と呼ぶ)それは同時に埋め立て免許の手続というものにつながっていく、こういうふうに考えております。
  119. 村山喜一

    村山(喜)分科員 ちょっとそこの点が食い違っているのですが、それはまあいいでしょう。  そこで、ちょっと運輸省にお尋ねしますが、地元の新聞の記事にも取り上げられておりますが、海岸砂丘が壊滅状態になっている。これは安楽川の南でございますが、有明町の通山、押切海岸が、これがもう台風十三号でほとんど砂丘が、砂浜がなくなって、ひどいところでは砂防堤まで波にえぐられてしまった。これは二つの見方がございまして、志布志湾の改修工事、九十八ヘクタールの埋め立て工事が行われている。そして埠頭をつくっておる。もう一方は、防波堤を出しまして、その作業も半ば埠頭のところまで大体終わろうとしている。そういうような状況の中で、これは海流の流れや潮流の変化によって、従来はなだらかに志布志湾の特定地域のなぎさに沿うて海流が流れていたために、それが鋭角に潮流が来てここがなくなったんだ、こういう説と、それから、いやそうじゃなくて、いま港の埠頭をつくっている、それにサンドポンプで海底の砂を吸い上げて、そして、それによって埋め立ててしまったために、海底の砂がなくなったために、安楽川の上流から運んでくる土砂がそのサンドポンプで吸い上げたところに入っていく、したがって、安楽川の南の方が、そういうふうにして変化が生まれたんだ、こういう説とございますが、これは志布志港の開発に関連をしている問題であることだけはみんな住民は疑っていないわけでございますが、その点については何が原因でこういう現象が生まれたのか。海岸砂丘が壊滅状態に相なりますと、国定公園のなぎさが失われていく。ましてや、今度新たに人工島をつくりまして、二百十ヘクタールの広大な石油基地をつくりますと、また現在の特定地域が同じような被害を受けるのではなかろうかと見られているわけでございますが、この原因はどのように探究をされて、どういう判断をされたものでありましょうか。県の出先の課長の意見を聞くと、われわれとしては、そういう被害はないものとしてアセスメントを行っていたけれども、現実は潮流の変化とか海底の変化とかというのは予測はなかなかむずかしくて、こういう結果になったんだという答えをいたしているようでございますが、そこら辺をどういうふうに御判断になっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  120. 御巫清泰

    ○御巫説明員 ただいま御質問のございました志布志湾の奥の砂浜の安定性でございますけれども、一般的には、あの砂浜の志布志寄りの北側でございますけれども、この辺は浸食、堆積を繰り返しておりまして、さらに南の方の波見寄りの方、これは浸食、堆積の程度が低い状態になっている、こういうことでございます。  それで、先ほどお話のございました通山、押切海岸、ここにつきましては、昨年八月の十三号台風、これが志布志湾の真上を通りました非常に大きい台風でございまして、そのために浸食が通山、押切海岸に起こりまして、汀線が十メートルから二十メートル後退している、こういう話は聞いております。これにつきましては、県の方で応急的に若干の埠頭の手当てをいたしておると聞いておりますけれども、県はその前から汀線の観測を何回か繰り返しておりまして、今後もその調査を繰り返し、その状況によって必要な対策を、海岸の管理者等と調整しがら行っていく、こういうふうにいたしております。
  121. 村山喜一

    村山(喜)分科員 これは志布志港の開発との連迎性はない、単なる台風十三号の災害である、こういうような見方でございますか。潮流の変化等は、あるいは海底の状況の変化に伴ってそういう現象が生まれたものじゃないという判断ですか。
  122. 御巫清泰

    ○御巫説明員 志布志港の防波堤の配置、その形、あるいは埋め立てに伴います護岸岸壁の構造物、これは反射の少ない構造になっている等のことから考えまして、志布志港の建設そのものがその浸食に大きい影響を与えるというようなことはまずないのではないかと思っておりますが、県においては、その点、なお様子を見るために、従前から汀線の変化の様子の観測を繰り返しているというところでございます。
  123. 村山喜一

    村山(喜)分科員 それじゃいままだ調査継続中、こういうように正確には承ってよろしゅうございますね。
  124. 御巫清泰

    ○御巫説明員 志布志港の開発に対する影響というのはまずないのではないか、こういうふうに考えてはおりますけれども、これは念のためちゃんとその動向を見きわめて、必要ならば対策をとるのがよいのではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  125. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで、次に進みますが、これは大臣も御承知のように、第七十一国会、昭和四十八年七月四日の参議院の特別委員会で、自然公園法及び自然環境保全法の一部改正案が提案をされました。その中で「国立公園または国定公園の普通地域における届け出を要する行為に、新たに、一 土地の形状を変更すること。」第二に「海面以外の水面を埋め立て、または干拓すること。」第三に「陸域において、鉱物を堀採し、または土石を採取すること。」というのが追加されました。これは行為の禁止、制限の可能性を強めていこうというねらいでいろいろ改正がなされたものだという説明が行われているのでございます。そこで、そのときに附帯決議もつきまして、十項目でございましたが、今後この普通地域における開発は原則として行わないということが議決をされているわけでございます。  そこで、その後の国定公園の区域を縮小した変更例等を調べてまいりました。そういう中から附帯決議の趣旨というのは、やはり開発を理由とする国定公園の指定の解除については行わないことを原則とするんだということが明確になされているものだと思うのでございます。ところが、この志布志の問題につきましては、十二年間の歴史がございまして、この中で、鯨岡環境庁長官のころには、この原案が県の方から持ってこられましたときには、とても認められる案ではない、と。その理由は、国定公園の景観を損なうものである、第二には、国定公園の解除につながるおそれがあるということで代案を示しなさい、こういうことでございました。ところが、環境庁長官がかわりまして、原さんになりましたときには修正案が出てまいったのでございます。その修正案は現在の案でございますが、これは景観には影響が少ない。第二には解除にはつながらない、だから、検討に値する、こういう態度でございました。県の方は、これは自然公園法のあれからはもう自由になった、制約は解けたということで、いま港湾計画をつくりつつある状況でございます。その中身を見てみますと、これは普通地域が入っておりまして、当初の案では二百四十ヘクタールの中で百六十ヘクタール分が入っている。計算をしてみますと、三分の二前の原案の中には入っているわけでございます。修正案の方には二百十ヘクタールのうち七十ヘクタール入っているわけでございますから、ちょうど三分の一。そこで、前の鯨岡さんの場合には、解除ということになりますと審議会に法律の十一条によってかけなければならない、こういう判断をされたに違いない。     〔植竹主査代理退席、主査着席〕 ところが、原長官の場合には、それは審議会にかける必要はない、こういう判断をされた。だから、審議会にかけるべきである、いや、かけなくてもいいという区分の基準というのは、前は三分の二だから、これはかけなければならないとお考えになったのか。そして、後の時代になりますと、三分の一だからこれはかける必要はないというふうにお考えになったのか。  そういうことから考えてまいりますると、これは環境庁が発足をして、法の十一条によります事前適用の問題につきましての審査をやったことは実例がないわけでございまして、厚生省の時代には、計画段階で区域変更をいたしたという状況もございますが、そういうようなことから、十一条の適用の問題については、開発が現実になされる、事後的ないわゆる解決のためにそれを通用する以外にないと、環境庁の行政姿勢が後退をしているのではないか、こういうようにも見られるのでございますが、その二人の先輩の長官の認識の違いが、今日のこのような状態を生み出しているものだとも思われるのでございまして、現在の梶木長官は、この問題についてはどういうような御認識であるのか、お答えをいただきたいのでございます。  そこで、あえて私の方からもう一言申し上げるならば、自然公園選定要綱というのが昭和二十七年の九月に設定をされておりまして、その中を見てみますると、「自然公園候補地の区域は、特別予定地のほかに自然公園の保護利用上必要最小限度の地域を加えたものとする」こうなっているのでございます。したがいまして、現在の石油備蓄基地かつくられようとしているところは普通地域が三分の一入っているわけでございますが、それは特定の特別地域のほかに必要最小限度の地域になるはずだということで、当時、日南公園が指定をされましたのはそういう立場から指定をされたのではないか。それが七十ヘクタールも事実問題として削られようとしていることから考えてまいりますると、自然公園選定要綱というのは、これは皆さん方の役所でお決めになったものだ。この考え方に立つとするならば、いま環境庁が開発の主体にその席を譲ろうとしているのは環境行政の後退ではないだろうか、こういうふうに見られるのでございますが、そこら辺を含めて、環境庁長官お答えをお願いしたいと考えるわけです。
  126. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 結論から申し上げますと、私は、鯨岡長官も原長官も、基本的な考え方につきましては変わっていないと思うわけでございます。鯨岡長官のときに県の方から出てまいりましたFS案でございますか、これは志布志湾の景観に影響を与えるところが大変大きい。それからまた、あの計画のままでございますと、いま委員のお述べになりました国定公園の指定解除にもつながっていくような懸念も強く残されておる、こういう考えで、県の方に代案の検討を要請されたのが鯨岡長官のときの段階でございます。そこで、原長官になりまして、知事の方から提出されてまいりました、いま村山委員の仰せの代案でございますが、これはFS案に比べましては大分埋め立ての位置も変わっておりますし、それから国定公園外を主たる立地にしておるというような案でございます。これであれば、技術的な問題はまた後ほど局長の方から答弁させてよろしゅうございますが、いまの代案であれば国定公園の解除にはつなかってはいかない。それからまた、国定公園の景観に影響を与えることは大変少ないのじゃないか、こういう考えでございまして、先ほどお述べの、参議院での附帯決議にも別段抵触するとは考えられない、こういう考えに立ちまして、われわれの方の意見に沿ったものだという考えに立ちまして、環境アセスの対象として検討に値する、こういうことを原長官が述べたわけでございます。  ですから、両長官とも、これは自然の景観を残していくというのは、もともと私ども環境庁の基本的な姿勢でございますから、そういう考えに立ちまして、具体的な段階で変わってきたということでございまして、基本的な姿勢は両長官とも変わっていない、こういうふうに私は考えるわけでございます。  私も就任いたしまして、前長官から申し送りを受けまして、先ほど局長が述べましたように、アセスを待っておる、こういうことでございまして、基本的には何ら、私ども皆変わっておりません。  以上でございます。
  127. 村山喜一

    村山(喜)分科員 時間がございませんので、これは今後論争を残しておきたいと思います。  そこで、エネルギー庁からもおいでをいただいているのですが、どうも時間が足りませんので、お答えをいただく時間がございませんが、民間の九十日分、それから国家備蓄の三百万キロリットル、これが国の方針でございますが、最近の状況を見てまいりますると、石油の需要の減少が生まれてきた。これを義務的に民間が備蓄をしなければならない数量を計算してまいりますると、容量として持っているものからその分を差し引いた余裕が、二千万キロリットル以上の余裕枠がある。いま建設中のむつとか、あるいは苫小牧東とか、あるいは北海道の共同備蓄の二期、三期分、これに公団の石油を入れるという仮定に立つならば、それだけで三千四百万キロリットルぐらいの枠がある。したがって、白島とかあるいは福井とか上五島、秋田という立地決定済みのところは着工する必要ないじゃないか、ましてや計画中の志布志は論外である、こういう数字的な積算もできるわけでございますが、この点についてはお答えをちょっとだけいただいて、指摘だけをいたしておきたいと思います。
  128. 香田忠維

    ○香田説明員 国家備蓄につきましては、大宗を日本は輸入に頼っているわけでございまして、確かに現在短期的な需給の緩みも見られますが、このような短期的な需給の変動に惑わされることなく、中長期な観点から実施すべきものと考えております。民間のタンクに余剰が生じておりますけれども、このゆとりは短期的な石油需給の変化によって変動するものでございまして、今後の景気回復とか、あるいは石油需要の増加あるいは価格の先高感等によりまして在庫の積み増しが行われる場合には、このゆとりというものは急速に縮小するものでございます。したがいまして、国家備蓄のための恒久基地の新規立地につきましては、志布志も含めまして、従来からの方針に沿いまして、地元の調整とか、あるいは全国的な適正配置等の総合的な観点から検討してまいるつもりでございます。
  129. 村山喜一

    村山(喜)分科員 長官、一遍志布志の白砂青松のあの地域を見てくださいよ。そうすると、なるほどこれは十二年間もこの志布志の海を守るために住民の人たちが真剣になってがんばっているなということがよくわかりますから。お忙しいでしょうが、ぜひごらんをいただくように要請をいたしまして、私の質問を終わります。
  130. 武藤嘉文

    ○武藤主査 これにて村山喜一君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  131. 山原健二郎

    ○山原分科員 きょう私は河川の汚濁の問題について環境庁、建設省、それから資源エネルギー庁にお尋ねをいたしたいと思います。  私の郷里は四国の真ん中を流れております大河吉野川のほとりでございます。非常に鮮度の高い美しい川であったわけですが、ここに早明浦ダムという日本で第三番目の巨大なダムが建設をされまして、その後、川が濁り、これは高知県から徳島県に流れておりますが、昔の面影がなくなってしまいました。大変有名なアユの産地でありましたけれども、このアユもほとんど食べることもできない、河原には子供たちの姿を見ることもできない、そういう経験をいたしております。  次に、仁淀川という川がございますが、現在大渡ダムという巨大なダムが建設をされまして、すでに湛水が始まり、またいま地すべりのために工事が中止をしておるという状態であります。  さらに、これは朝日新聞の正月号ですが、この朝日新聞には「日本の自然百選」というのが出ておりまして、「二十一世紀に残したい日本の自然百選」というのがあります。これは朝日新聞社と財団法人森林文化協会が読者から候補地を募り、これをもとに専門家を交えた選定委員会が選んだもの、こう書いております。だから、公的機関ではありませんが、かなり権威を持った朝日新聞のこういう大きな記事で、その中に高知県の四万十川という川と魚梁瀬千本杉というのが出ております。この四万十川というのは、これも大河でございましてどうして選ばれたのかよくわかりませんが、淡水漁業、特にアユ漁、さらにはアオサ漁など、住民の生活にとりましても非常に重要な淡水生産物を生み出しておるわけですが、ここにもダム建設の話がないわけではありません。しかし、いままでダムが建設されましたところでは、高知県における奈半利川、ほとんどの河川が濁水のためにいろいろな物議を醸しております。  自然破壊はもとよりですけれども、そういった物議を醸しておる中で、どうしても川を守る、生きた川を生きたままの姿で守っていきたいということを考えますと、一体これはどこがこの衝に当たるのかということで調べてみたわけでありますが、確かに水質汚濁防止法がございますけれども、これは工業排水の規制に限られている、こういうふうに聞きます。そうすると、行政としてこの河川の汚濁を守る、特に発電ダムが構築されましたときの河川の汚濁について、一体どこがどういうふうに所掌しておるのか、この点について実は教えていただきたいと思うのですが、最初にそのことについてどういうお考えであるのか、どういうふうに対処されておるのか、環境庁の方へ伺っておきたいのですが、いかがでしょうか。
  132. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 私ども環境庁では、河川につきましては、ほかの水域もそうでございますが、御指摘になりましたような水の汚れにつきまして環境基準を決めております。浮遊物質量という名前でございますけれども、いまおっしゃったような汚れも入るわけでございます。したがいまして、いろいろな川につきまして具体的な環境基準が決まっておるわけでございます。それはいろいろな施策でそれを達成するように努力すべき衣目標でございます。  ただ、御指摘のように水質汚濁防止法では具体的に工場、事業場等についての排水基準を決めておるわけでございまして、それに基づいて排水規制をするということになっておりますが、いまおっしゃったような問題につきましては、工場、事業場に該当しません。しませんが、それぞれの利用者あるいは管理者がそのような目標に向かって努力すべきものであるというふうに私どもは考えております。
  133. 山原健二郎

    ○山原分科員 普通の工業排水その他、その場合はよくわかるんですが、実際ダムができますと河川は一変しまして、水温の関係も出てくるでしょうが、濁り水という、本当に清流がなくなりまして、いわゆる死んだ、白く濁った水が常時流れている。いわば自然はここで消滅するわけでございまして、そういった点で非常に大事な問題だと私は思っているんです。それについて通産省の方、水力発電を伴うダムの場合については環境影響調査書をつくり、それを電調審にかける。電調審にかける際に環境庁がそれに参加をしておりますから、環境庁としてはそこで意見を述べることができる、こういう仕組みだろうと思うのです。そこで環境庁が規制強化等について発言をするのかどうか、その辺の仕組みはまずその程度のことなのかなという気がするのですが、そんなことですかね。
  134. 正田泰央

    ○正田政府委員 基本的な仕組みにつきましてはただいま先生おっしゃいましたとおりでございますが、私ども電調審の場におきまして、そのような案件に対しましてはアセスメントを、現在の制度でございますが、チェックいたしまして、つまり審査いたしまして、環境保全上問題があればその問題について具体的に意見を言うことになりますが、当然役所のことでございますから、意見を言う前は事実上いろいろな見解を表明しましていろいろな調整をいたす、そういうことになろうかと思っております。
  135. 山原健二郎

    ○山原分科員 この環境影響調査要綱によりますと、幾つかの項目がありますが、たとえば地質については「一、地質構成、二、層群及び岩石構成、三、その他の特徴(崩壊地及び裸地、風化度、断層等)」となっておるわけでございます。それから、資源エネルギー庁で昭和五十四年六月に何か事前調査をやるという方針を出されておるようでありますが、それは間違いありませんか。
  136. 西中真二郎

    ○西中説明員 水力発電所の設置に係る環境影響につきましては、昭和五十二年の七月四日付で省議決定をいたしておりまして、原則といたしまして出力三万キロワット以上というものにつきまして、環境保全上特に必要と認められるケース等を対象といたしまして環境審査をいたしております。
  137. 山原健二郎

    ○山原分科員 建設省も昭和五十三年七月一日付次官通達で湛水面積二百ヘクタール以上のダムをつくる場合は環境影響を評価するという規定をつくっておるというふうに聞きますが、これはそういうことでしょうか。
  138. 広瀬利雄

    ○広瀬説明員 そのとおりでございます。
  139. 山原健二郎

    ○山原分科員 大体この程度のことだろうと思うのですね。そこで、仁淀川に現在つくられ、トラブルを起こしております大渡ダムの問題について、これは主として建設省になると思います。建設省の方もずいぶん苦労されておることは私もよく知っておりますので、貴め立てるという意味ではありませんが、この大渡ダムの教訓というのは非常に大事だと私は思っておりまして、ダムをつくり、湛水が始まった、そして地すべりが起こったということで、現在その湛水の水を減しまして調査を行っておる段階でございます。この点で、どういう教訓をここから引き出すかという問題でございますけれども、いま減水をして再度厳密な調査をしておると思いますが、この状況を簡単に説明していただきたいのです。
  140. 広瀬利雄

    ○広瀬説明員 大渡ダムの地すべりが発生しまして、私どもとしましてはいろいろ調査をしているわけでございますが、五十七年五月、貯水池をだんだん下げまして六月二十九日には予備放流水位まで達したわけでございます。この間、沿岸地の調査をやるとかボーリングをやるとか、各種の地すべり調査を本格的に開始いたしまして、地すべりの現状、それから原因等につきまして学識経験者の意見を聞いたり、地元関係者との合同調査をやるということで、その調査検討に努力をしていたところでございます。  それで、先ほど徐々に水位を低下させたと申し上げましたけれども、台風等で一時水位が上がったことがございますが、標高百五十五・一メートルまで貯水池を低下させました。これは現在の放流設備では低下可能な水位でございますが、現在はその水位を維持しております。  また地すべり工事についてでございますけれども、先ほど申し上げました地質調査並びに地元関係者等の調査結果も踏まえまして、大渡ダム貯水池検討委員会で検討を実施して、それで地すべり工事をいかなる方法でやるか、どこをやるかということを検討いたしました結果、十四地区につきまして対策工事をする必要がある、こういう結果になりました。それで私どもとしましても、可能な限り本年度の予算措置をするとともに、工事の発注を行っているわけでございまして、本年度中に十四地区についての工事を発注しまして、できるだけ早い期間に工事を完了させたいということで、現在工事が進捗中というのが現状でございます。
  141. 山原健二郎

    ○山原分科員 それで建設省も確かに努力されておりますし、また、地元の人々とのトラブルがないように現地の職員の皆さんも努力をしておることもよくわかります。私も二、三回現地へ参ったわけでございます。ところがどうしても地元の人たちとの信頼関係といいますか、たとえば現在ボーリング調査をやっておりますが、二、三メートル掘ればかたい岩盤が出てきた、それでもう四十メートルの深さまでやったのだというお話もされておるようです。そして地すべり計も置いて調査して、狂いはない、こういうふうにおっしゃっているのですが、地元で聞きますと、人夫の人たちの話を聞いた村の人は、たとえば一つも岩が出てこないというような声も実際にボーリングをやっている人から聞いておりますし、また地すべり計を見ている職員が動いていると話しておるのを聞いたというような話も出てきまして、やはり地すべり地帯だなと思っている村の人たちもおいでになるわけです。そして同時に建設省の説明が、村の人に納得のいく状態になっていないということ。これはぜひ調査の結果というか調査の内容等については十分に地元の人に知らせてあげて、工事を早くやられることは結構ですけれども、その納得の上に工事が進むようにしてもらいたい、ぜひそのことをお願いしたいと思います。  たとえば、ブロックを積んで山どめをするのですけれども、上からどれだけの重荷がかかってくるかというような点についても不安を持っておるわけでございます。これはこの前のトラブルが起こりましたときに、私は全部地図を持ってきているわけですけれども、たとえばあそこの仁淀村沢渡地区の場合、ここは二億円かけてブロックを積んで山どめをしたわけですが、現在ブロックはもう全くありません。跡形もなく崩れ去っているという状態でございます。そのときも、これをやる際には建設省としては、このブロックが流れるようなことはありません、こういうふうに言われてきたわけです。ところがやってみると、実際に湛水をしてみると、崩れてしまって跡形もなくなっている、こういうことが起こったわけですから、これを放置するわけにもまいりません。だから住民に立ち会わせる、場合によっては学者の方たちにも立ち会ってもらって、そこの点が納得のいくような方策をぜひ講じていただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  142. 広瀬利雄

    ○広瀬説明員 地すべり対策というと、いろいろ原因がございます。私ども自然工事を対象にいたしておりますので、自然科学の中でも非常にむずかしい分野に属しているのではないかと思っております。私も建設省に入りましてから三十年近くダムだけの工事を担当いたしておりますが、それでもやはり地すべりということになりますと、大変むずかしい分野でございまして、何か問題がありますと、学識経験者に聞くのが第一番のことだといまでも私は思っております。  大波渡ダムにつきましても、ダムをつくる前にその地すべりの可能性というものが予見されましたので、学識経験者にお集まりをいただきまして、いろいろ調査、検討、測定等やりまして、対策をすべきであるというところをピックアップいたしまして、工事を実施いたしまして、それでなおかつその安全性を高めるために、水位を上げて安全性を確かめてみたさなかに今回の地すべりが起こったわけでございます。現に事前に手当てをしたところは動いていないということから私は判断いたしまして、やはり学識経験者の考え方を参酌するのが妥当であったと思っております。  それで、今回発生いたしました地すべりにつきましても、学識経験者の意見を聞きましていろいろ調査、測定、検討、解析等をやったわけでございますが、地元の方々にも私どもの現地の者と一緒に現地を回ってもらいまして、こういう状態になっておる、こういう対策工事をやりたい等々の説明会をいたしまして、現在の工事を実施しているわけでございます。  先ほど申し上げましたように非常にむずかしい分野でございますので、その説明がどの程度当を得るかということは私ここで申し上げるわけにはいきませんけれども、可能な限り、わかるように御説明をしながら、今後も工事を進めていきたい、このように思っておるわけでございます。
  143. 山原健二郎

    ○山原分科員 もともとここは地すべり地帯なんですね。この前もこれは一度指摘をしてありまして、地すべり地帯の指定です。地すべり等防止法によりますと、地すべり防止区域の地すべりを誘発する行為は制限されていて、工作物をつくる場合、知事と協議をしなければならぬというのが二十条の二項によって決められているのですが、この協議がなかった。これは県議会でも問題になりまして、実際に湛水をする場合の協議が建設省の側からなかったわけですね。ところが、地すべり地帯として指定されておりますのは明確なところでありまして、ちょうどここへ持ってきておりますけれども、たとえばこれなどは今度崩壊をしたところですが、沢渡地区と別枝地区です。ここなどはもうすでに早くから地質形式による分類では破砕帯地すべり——地すべりの深度も書かれておりますし、運動形式による分類では、継続的であって、河川流入による土砂の推定などもずっと出ておりまして、地すべり地帯として指定をされている。したがって、そこに工作物をつくる場合には、当然知事に対して協議をしなければならなかったわけでありますけれども、残念ながら協議がなされていないのです。もし協議があった場合には、知事は認可しないこともできますし、認可してもいろいろ条件をつけることができる。ところが、ダム本体建設の際にも、また湛水の際にもその協議がなかったと思われる節がございます。  そういう手抜きによって今回のようなトラブルが起こったわけでございますから、これから先のダムの補修あるいは防災工事を今後行うに当たりましては、相当慎重にやることが必要でありまして、もし今度また湛水を始めて、また崩れが出てくるということになりますと、これはもう有数の破砕地帯ですから、本当に慎重の上にも慎重を期さないと、あのイタリアのバイオント・ダムのような大災害、そこまではいかぬだろうと思いますけれども、しかしあれだってダムが壊れたのではなくして、ダムサイトの地すべりによってあの大災害が発生をして、内閣が倒れるという事態まで起こったわけでございますから、そういう意味では、慎重の上にも慎重を期し、法に決められたことはきちんとやっていくということをぜひやっていただきたいと思いますが、その点は建設省はいかがですか。
  144. 広瀬利雄

    ○広瀬説明員 地すべり工事につきましては慎重の上に慎重にということは、先生がおっしゃるとおり、私ども常々心に銘記して実施しておるところでございますけれども、今後より一層、先生の御指摘のことを胸にしまして一生懸命やっていきたいと思います。  ただ、この大渡ダムの地すべり防止区域の指定がなされております地域からちょっと下流の地点でダム工事が行われておりますので、私どもは地すべり法の第十八条の「行為の制限」には該当しないというふうに理解をしております。しかしながら、湛水をいたしますと地すべり防止区域に影響を与えますので、湛水に伴う山肌防止のための貯水池護岸工事等を実施する必要が生じまして、これと一緒に県知事の方に協議を行っておるということでございまして、先生御指摘がありました全然協議はしてないということではございませんで、実際に協議はいたしておるという事実がございますので、申し述べさしていただきたいと思います。
  145. 山原健二郎

    ○山原分科員 いまの説明ですが、そこのところでやはり私はひっかかるわけです。確かにいまの説明は一定の当を得た御答弁だと思います。ただ、ダムというのは、ダムの本体があります。そして水をためますから、何キロも上流にわたってずっと水が貯水されていくわけですね、これはどこのダムでも。私はダムの問題についてはずいぶん長い間、見に行ったりしておりますが、ダムの水というのが水位が上がったり下がったりするたびに、ダムの横にあります山は、地質が時には水圧によって抑えられ、時には水圧が引いていくという、こういう関係に絶えず揺さぶられておるわけです。どこのダムでも、相当りっぱにやったダムでも崩壊が起こるのはそういうことからなんです。大小の崩壊というのが出てくるわけです。  したがって、ダム本体は下流にあるから、上流のことについては知事には合い議をしなくてもよろしいんだという解釈でございますと、水がたまったときに今度崩壊しましたと——この前、私は建設省に、仁淀村、大見槍地区、ここの問題を取り上げて、ことは農林省はもう前から地すべり地帯として指定しておりますが、こんな地すべり地帯のところに工作する場合にどうしてそれなりの検討をしなかったのか、こう言ったのですが、よく調べてみると、私の認識不足でありまして、そこは川のそばまで地すべり地帯というのが指定されてなかったのです。ところが、今度よく調べてみますと、今度も三カ所崩壊しております別枝地区の場合の農林省の地すべり地帯の指定は、仁淀川の川の真ん中まで行っている。ここのところは法律的に地すべり地帯として指定をしているわけでありますから、いまのお話で逃れることはできないのではないかというふうに考えます。  これ以上時間がございませんから申し上げませんけれども、指定地域になっておる場合に、これに対する工作というのはよほど慎重な、あるいは堅固なものをつくる必要があったのではないかというふうに思いますと、建設省が幾ら御説明されましても、ちょっと慎重性を欠いたのではないかということを私は痛切に感じております。これは句こうの所長さんにもあるいは地建の方にも申し上げたことがございますので、そういう意味でこれ以上申し上げませんが、あの大渡ダムは、あそこまで本体工事ができておるわけですから、これでまた湛水が始まって事故が起こるということになりますと、建設省の権威の問題にもかかってまいりますね。それみたことかと村の故老たちが言っておったことが正しかったのじゃないか。学者の方の名前を挙げられますけれども、この学者の方たちの会議も、私は一定の不安を持っています。実際余り実体のある会議ではないと言いましたらちょっと失礼になりますけれども会議録もないし、それをのぞくこともできないわけでありますから、それだけ学者を信頼されていることはわかりますが、それならそれで学者の方たちの行われた会議内容というものが村民の方にもわかる、そういう信頼関係の上に進めば、多少のトラブルが起こりましても本当にそれが紛糾にまではならなくて済むだろうと思いますので、その点はぜひ建設省としてもかなりきちんとした姿勢で臨んでいただきたいと思いますが、その点、最後にお伺いして私の質問を終わりたいと思いますが、いかがでしょう。
  146. 広瀬利雄

    ○広瀬説明員 先生の御意思と御趣旨を体しまして一生懸命やっていきたい、かように思います。
  147. 山原健二郎

    ○山原分科員 終わります。
  148. 武藤嘉文

    ○武藤主査 これにて山原健二郎君の質疑は終丁いたしました。  以上をもちまして総理府所管(環境庁)についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力により本分料会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後二時三十一分散会