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1983-03-05 第98回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月五日(土曜日)     午前九時三十分開議  出席分科員    主査代理 植竹 繁雄君       江藤 隆美君    小川 国彦君       野坂 浩賢君    兼務 玉置 一弥君  出席国務大臣         農林水産大臣  金子 岩三君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産大臣官         房予算課長   京谷 昭夫君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         食糧庁長官   渡邊 五郎君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      千野 忠男君         会計検査院事務         総局第五局上席         調査官     山口  豊君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   内村 良英君     ───────────── 分科員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   大出  俊君     田口 一男君 同日  辞任         補欠選任   田口 一男君     小川 国彦君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     大出  俊君 同日  第二分科員玉置一弥君が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  (農林水産省所管)      ────◇─────
  2. 植竹繁雄

    植竹主査代理 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  主査が所用のため、その指名により私が主査の職務を行います。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算農林水産省所管について昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    野坂分科員 連日御苦労さんでございます。若干の質問をして、農政展望方向を明らかにしていきたい、こう思っております。  紀元二〇〇〇年にもなりますと、世界食糧事情は非常に厳しい情勢であるというふうに伝えられております。特に、三億ないし四億人の餓死者が出るのではないかというふうな状況だと伝え聞いておりますが、現在の世界食糧需給情勢はどういう見通しか、官房長の方から一般的にお話をいただきたいと思います。
  4. 角道謙一

    角道政府委員 世界食糧需給の今後の見通しでございますが、一般的に申し上げまして、中長期的に見まして世界的には人口増加、これは特に第三国、発展途上国中心相当増加が認められるわけでございまして、七五年当時の約四十億の人間から、二〇〇〇年になりますとその五割増の約六十二億というようにふえる。一面、耕地面積はそれほどふえませんで、現在の十四億千九百万から十四億七千七百万、約四%程度人口の五割増しに対しまして、耕地面積はわずか四%程度しかふえないというように言われております。主としてこれも発展途上国中心としました人口増加が大きい原因でございますので、この発展途上国におきます消費生活の向上、特に畜産物消費増大というようなこともございますし、また、最近では特に異常気象も言われておるわけでございまして、こういう中長期の展望を見ました場合には、食糧需給につきましては逼迫基調を強めていくというように言われております。  このような傾向は、アメリカ政府農務省におきましても、あるいはFAOにおきましてもこういう見通しを持っております。また、私ども自身も、農林省のモデルをつくりまして長期の見通しをいたしました結果も、大体同じような方向を確認しておりまして、中長期的にはより逼迫をしていくというのが大方の見通しだろうと考えております。
  5. 野坂浩賢

    野坂分科員 いまお話しのように、非常に窮迫の度を強めておるというのが状況でございますが、政府は、総合安全保障条約、このことを盛んに言っておられまして、特に予算を見る場合に、防衛費だけ突出しておるという感はだれもが認めておるところでありますが、総合安全保障で最も大切なことは、食糧自給食糧の確保が最重要だと考えておるわけであります。その点、農林水産大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  6. 金子岩三

    金子国務大臣 ただいまの野坂先生の御意見、全く同感でございます。
  7. 野坂浩賢

    野坂分科員 食糧自給率というのは、一九八〇年値で日本は三三、西ドイツは九〇、イギリスは七七、フランスは一七〇、スイスは三九、アメリカは一六二、こういうふうなパーセントで示されておるわけでありますが、この自給率をどのように向上させていくか。イギリスは六四でございましたが、この二年間で七七%まで自給率が引き上がってきた。日本はこれからどのような方向でこの自給率を高める、こういうふうにお考えでしょうか。
  8. 角道謙一

    角道政府委員 ただいま先生指摘自給率は、穀物自給率かと思います。この穀物の中には、食用穀物えさ用穀物の二つに分かれておりまして、総体といたしましては、穀物自給率先生指摘のとおりでございますが、食用穀物だけをとってみました場合には、日本の場合には同じ年次におきまして六九、イギリスが七四、スイスが五三というように、西欧の主要国とほぼ似たような数値を示しておるかと思っております。  反面、飼料穀物につきましては、国内におきましてトウモロコシ、マイロあるいはえさ用の麦といったようなものは、気象条件土地条件もございまして、収量もそう大きく得られませんし、また価格も安いという点から、日本国内ではなかなかその生産がむずかしい。反面、今後の消費動向を見てまいりました場合には、畜産物消費はふえていくということから見ますと、特に中小家畜中心といたしましたえさ用需要増大ということから、今後とも飼料穀物の輸入の増大は避けられないというように見ているわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、この穀物につきましては、米につきましては完全自給、また麦、特に小麦につきましては、日本めん用に適した国内産の小麦というものをおおむね一〇〇%自給をしていくというような方向穀物の問題を考えております。  また、特に問題になります飼料穀物でございますが、これは先ほども申し上げましたような事情で、国内におきまして完全にこれを自給していく、また、自給量増加していくということは非常に困難かと考えておりますけれども日本水田を見ました場合、水田利用再編という過程におきまして転作を行っている、そこで、今後とも将来の需給を見ました場合には、さらに米の消費が減退していくという観点から見ますと、水田転作もさらに増加する必要が長期的にはあるというように考えておりますので、この水田利用の仕方の一つといたしまして、飼料穀物を含めた他用途米というようなものにつきまして、今後とも検討していく必要があると思っておりますし、私ども省内におきまして、あるいはまた農政審議会におきまして、この飼料穀物の問題をいろいろ検討をいたしておりますが、収益性の問題あるいは米の流通機構との関係、そういう問題がございまして、現在ではまだ回答は出ておりません、結論は出ておりませんけれども、第三期対策の発足までには何らかの方向を得たいということで、鋭意省内検討をしているところでございます。
  9. 野坂浩賢

    野坂分科員 いま官房長お話になりました他用途米は、第三期の水田利用再編対策の際に十分検討していきたいということでありますので、この問題は後にいたしまして、農政審議会昭和六十五年の需給見通しを発表しておりますね。これについてはどのようにお考えでございますか。このとおり進めるということですか。
  10. 角道謙一

    角道政府委員 ただいま申し上げました飼料用穀物、他用途米の問題を除きましては、私どもこの方向で進めたいと考えております。この段階におきましては、飼料穀物、他用途米をどうするかという議論があったわけでございますが、それは今後の検討課題ということで、それを一応横に置いた形でこの見通しを決めておりますし、また、この見通しにつきましては、五十五年の十一月に閣議で決定をいたしております。
  11. 野坂浩賢

    野坂分科員 そういたしますと、六十五年の需給見通しで、いま三三%の穀物自給率ですが、他用途米等入れますと、この発表では三〇%ということになっておりますね。これだといま農林水産大臣お話しになりましたように、食糧安全保障という立場から、国会も五十五年度に、自給率と言わないで自給力というふうな決議はいたしておりますけれども、内容的にはこの三〇%をもっと引き上げて、先進諸国に追いついていかなければならぬのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、他用途米あるいは飼料作物等を入れて、これは何%になるというふうにお考えですか。
  12. 角道謙一

    角道政府委員 先生指摘穀物自給率につきましては、六十五年度見通しにおきましても食用飼料用と合わせまして三〇%ということでございますが、この理由につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、飼料用穀物についての需要が非常に強い。今後とも増大していく反面、国内での飼料用穀物生産というものが非常にむずかしいという点からこういう結果になっているわけでございますが、主食用穀物、直接人間の口に入ります食糧だけに限ってみます場合には、日本の六八という自給度は、たとえばイギリスの七四、スイスの五三というものに比べましても大体同じ程度のレベルではないかというふうに考えております。  また、麦につきましては、先ほど申し上げましたように、今後とも現状の約六%、五十六年度約一〇%程度まで自給度が上がっておりますが、これを一九%程度まで上げたいというふうに考えております。
  13. 野坂浩賢

    野坂分科員 米はこの三年連続不作であったわけでありますが、現在の在庫実態について、食糧庁長官から、よくわかるようにお話をいただきたいと思うのです。
  14. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 米の在庫そのものの御質問でございます。  最近の動向を全体のまず総量で申し上げます。米穀年度末、それぞれ五十四米穀年度末六百五十万トン、五十五年には六百六十六万、さらに五十六年には四百三十九万、五十七年の十月末、昨年の十月末には二百七十万トンの在庫量になっております。この一月末で見ますと、これは一月末になりますと新米の出回りがございますので、一月末の在庫量は六百五十八万トン、そのうち新米と言われます五十七年産米が四百五十五万トン、このような在庫量になっております。
  15. 野坂浩賢

    野坂分科員 五十八年の十月には食糧としての米は十万トンになる、こういうふうに言われておりますね。また、それをお認めになりましたですね。そのとおりですね。
  16. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 五十八米穀年度状況についてもう一度申し上げますが、御承知のように、昨年の生産量が千二十七万トン、前年産持ち越しが四十万トンございまして、そのほか五十三年産業務用の供給を含めまして千七十五万トンございます。これに対しまして五十八米穀年度、昨年の十一月から本年の十月末までの需要量を千六十五万トンといたしますと、差し引き十万トン、これが五十七年産米として年度をわたる在庫量になるわけでございます。もちろん、これは先生御存じのように、その当時、五十八年産米新米等が出てまいりますから、それらの流動的な在庫は当然あるわけですけれども、五十七年産米持ち越しとしては十万トンでございます。
  17. 野坂浩賢

    野坂分科員 これはくどくど申し上げませんけれども予算委員会一般質問でも、五十三年産米食糧の方に回して、そして五十八年度の米穀の在庫量というのは十万トンになった、こういう経緯を持っておったわけです。非常に不安定だというふうに言えるだろうと思います。だから約六百三十七億ですか、今度の特別会計予算が減っておりますけれども、それは予約限度数量まで集荷ができないで、たしか千八百億円程度だったと思うのですけれども、それぐらい金が浮いておるということが状態として言い得るわけです。ここで聞きたいのは、従来は米の備蓄は二百万トンではないかというふうに承知しておりますが、どうですか。
  18. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 多少備蓄につきましての経緯もございますので、私の方から申し上げますと、昭和五十年に二百万トン備蓄につきまして方針を固めたことがございます。これは当時、需給が非常にタイトになりました状況から判断してそういう方針が出たわけでございますが、当時の在庫量は、直ちに二百万トンをオーバーするような状況になりまして、その後、先ほど申しましたような在庫量が続いておるわけでございます。この二百万トンの備蓄につきましては、先般農政審議会の中でも御議論がございまして、もう一度この二百万トンの回転備蓄ということを考えるならば、これは見直しをすべきではないかという問題が出ております。そうした意味合いにおきまして、二百万トン備蓄という問題については、ただいま内部検討をいたしておる段階でございます。
  19. 野坂浩賢

    野坂分科員 いま食糧庁長官お話しになったわけですが、たしか五十年の十一月十三日には、安倍農林大臣のころであろうと思いますが、この方はこう言っております。「まず、その国内における自主的な努力によって備蓄をするという中にあって、われわれがまず考えておるのは、やはり米の備蓄一つの大きなポイントをなしておるわけであります。将来計画として少なくとも二百万トンぐらいは端境期において備蓄を持つ。これは国民食糧主食の四カ月分に当たるわけでございますが、少なくとも四カ月分ぐらいの主食を持つということが、国民主食に対するところの安心感を与えることにもなってくるわけでございます。今後の食糧情勢というものを考えるときにもこれは必要であるということで、将来まあ二百万トンは備蓄をしたい、これを計画的に今後行っていくことを打ち出しておるわけでございます。」こういう御答弁がありまして、いま食糧庁長官お話しになりましたように、農林省は五十二年度以降、古米持ち越しの量はある程度の余裕を見て二百万トンとすることが必要と考えられる、こういうふうに発表しておられます。その後変更はされたわけでございますか。
  20. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 五十年当時におきまして、二百万トン備蓄構想があったことは事実でございますが、先ほど申しましたように、五十五年の農政審の御議論なりから、これを全量更新していくという、いわゆる回転備蓄という方式をとる場合におきましては当然のことでございますが、金利、保管料等が多額なものになるということもございますが、もう一つ大きな問題といたしまして、この二百万トンの前年産古米回転いたしますと、おおよそ梅雨どきぐらいまで七割程度古米を供給していかなければならない。最近の消費実態からいたしますと、これが非常に受け入れにくい。一方には米の消費拡大というような問題もございます。こうした問題をどう処理していくか、二百万トンの備蓄自体一つ水準考え方としては妥当といたしましても、実行面におきまして相当詰めなければいけない問題であるという農政審からの御指摘もございます。したがいまして、そうした御指摘を踏まえて、これからの在庫水準あり方について現在検討をいたしておる段階でございます。
  21. 野坂浩賢

    野坂分科員 いまは変わっていないわけですね。検討しておる段階でありまして、変わっていないということですか。
  22. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 少なくとも、私ども検討段階として御報告申しますならば、二百万トンを全量回転備蓄していくという方式は非常にむずかしい方式である、このように考えております。
  23. 野坂浩賢

    野坂分科員 棚上げ備蓄回転備蓄と併用するというふうな考え方で従来進めておるのじゃないですか。
  24. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 そこで話が進むわけでございますが、もう一つ棚上げ備蓄という問題が出てまいっておるわけでございます。通常の消費実態に合わせた回転考えてまいりますならば、端境期に七十万ないし百万トンの在庫水準というのが最も適正に回転できる数量でございますが、それを超します部分につきまして、これを他用途米との組み合わせ、この場合、他用途米として棚上げ備蓄という方式では、一応加工原料用米等も想定しておるわけでございますが、そうした場合のやり方という問題も、現在、検討課題になっております。具体的な方式のとり方といたしましては、負担の問題あるいはこれを実施する場合の流通上の問題、その他各種の問題がございます。そうした問題を現在内部検討いたしておるということでございます。
  25. 野坂浩賢

    野坂分科員 よくわかりませんが、二百万トンについては、五十五年農政審議会から、再検討の必要ありと指摘をされた、それを受けて検討に入ろうとしておる、しかし現在の、五十年に発表した二百万トンの備蓄については、従来どおりその方針に従ってやるというのが農林省方針ではありませんか。どうですか。
  26. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 二百万トンの備蓄構想は私ども否定いたしませんが、事実、過去におきましてそういうことがございました。ただ、二百万トン備蓄ということを全量回転方式として食管の需給の中に繰り込むには相当な問題がある、この点につきましては、農政審からも御指摘もいただいておるわけでございまして、今後の適正な備蓄あり方につきましては、いま私ども内部検討をいたしておるという段階でございます。
  27. 野坂浩賢

    野坂分科員 現実には十万トンしかないわけですね。いままでの方針は二百万トンだということなんですね。こういう財政事情逼迫、しかし安倍さんが言っておるように、やはり安心感国民に与える、ということは四カ月分は確保しますということをいままで明言しておるわけですよ。その方針で来ておるわけです。それを食糧庁長官検討すると言いながら、検討するというのは、二百万トンがあって、さてこれからどうしようというのが検討段階だと思うんですよ。検討する段階でもう十万トンにしてしまうというようなことは大変問題があるところだろうと思うのです。農水大臣としては、いままでの方針を御変更になった事実がありますか。検討中であるということですけれども農水省としてはどうお考えでしょうか。
  28. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 経過のある問題でございますので、私から申し上げます。  先ほど申しましたように、二百万トンという構想が出ましたことは、安倍農林大臣のときに事実でございますが、その二百万トンの備蓄実施につきましては、農政審からもそうした指摘を受けておるわけでございます。私ども、具体的には第三期対策なりがこれから進展するわけでございます。今後どのような備蓄なり水準考えていくか、現実に十万トンになったことは、この三年の不作経過から、在庫水準が低下したことは事実でございます。こうした状況を踏まえながら、今後どのような適正な備蓄なり、ただいま御指摘のありましたような回転備蓄、あるいは棚上げ備蓄というのをどういう方式で組めるのか、実施の細部にわたってまで私ども詰めて、第三期対策方向におきましては、こうした考え方も固めていかなければならない、こういうふうに考えております。
  29. 野坂浩賢

    野坂分科員 そうすると長官、いま米の消費というのが漸次減少してきた、その上に立ってこれから検討する。検討はするが、四カ月分というものは現時点で確保するのか、あるいは三カ月というのが適当なのか、その辺はどうお考えなのですか。
  30. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 どの程度水準が適当かということがまさにいま検討課題になるわけでございます。これからの問題でございますので、いまこの場でどういう水準が適当というふうに申し上げるわけにまいりません。全体に備蓄なりを回転して需給の操作に食い込ませてまいるには、一つには、やはり消費者なり需要者の方との相当合意形成といいますか、納得性を持たないと、事実上また過剰な古米の累積というような事態も招来しかねない問題でございます。こうした点についての消費者実需者納得のいくような考え方を持って、これからの備蓄なりを考えていかなければならないと考えております。
  31. 野坂浩賢

    野坂分科員 もっと先へ行こうとしますけれどもなかなか行きにくいのですが、私が何遍も言いますように、消費拡大をやるといってもなかなか思うように伸びてこない。きのう小沢貞孝君から純米酒をつくれ、給食を拡大せよという米の消費拡大について一つの提言がありました。一案だと思いますね。食糧庁は米の消費拡大にあんまり努力してないから、だんだん減ってくる。長官もときどきはそばをお食べになっておるようですから、米を食わぬで。そういうこともないではないと思いますけれども、現状下がってくるわけですね。下がってきた。一人当たり百三十キロも食べておったものが七十八とか七十九になってきた、こういう状況にある。だから、これを基礎にして考えるけれども、四カ月分の備蓄というものは正しい判断ではないかというふうに考えるわけですが、それは正しいか正しくないか、それを聞いておるわけです。そのときは百三十キロで、安倍さんのときはそれに合わせて二百万トンと言ったけれども、いまは減っている。しかし、四カ月というものは基準として正しいか正しくないか。そうすれば、安倍さんや当時の食糧庁長官見通しを誤ったということになるのかどうかですね。
  32. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 この問題につきまして、正しいか正しくないかというお考えもあろうかと思いますが、そもそも備蓄自体は多い方がいいという御議論は従来からあるわけで、それは多いのにこしたことはないわけでございますが、実態消費との突合をしてまいらなければならないわけでございます。  現実に、御存じのように最近におきますような上質米なり新米への志向が非常に大きい実需実態がございます際に、やはりこうした消費動向に合わせて、いま御指摘のような消費維持拡大に対応しなければならないということになりますと、残りました古米が過剰化するような事態も避けていかなければならない。この点はむしろ四カ月とかいうことが正しいということよりも、その需給実態に合わせて、適正な水準を維持していかなければならないというふうに私ども考えております。具体的に現時点におきましては在庫が非常に低くなっていることは事実でございます。来年度は五、六十万の在庫の復元をいたし、さらに第三期、五十九年度以降どの程度在庫水準に取り戻すかを現在検討している。また、その検討というのは、当然仕組みにかかわって、どのような負担関係でどのような流通仕組みなりを考えながら在庫水準を適正に維持するか、いまこのように検討を進めている段階でございます。
  33. 野坂浩賢

    野坂分科員 私は大蔵省役人に聞いておるわけではなくて、農水省役人に聞いておるのですがね。いまあなたは、適正な水準備蓄をしたい、こうおっしゃった。適正な水準というのは一体どうなのか。付随的にお話しになりましたのは、財政負担もこれありという言葉を使われたわけですね。それはやはり金だということだと思うのですよ。流通の問題。しかし、適正な水準とは、わが党は六カ月ということを言うし、政府は四カ月ということで、四カ月を打ち出したという経緯はあっておるわけです。だから、そういう状況を含めて、いまの消費状況基準にして、物価が変動すれば物価にスライドするのと同じように、これから下降すれば、消費拡大できない場合はそれなりに米の数量というものは減ってくるかもしらない。しかし、何カ月分を用意するか。  だから、私は、食糧安全保障とはどういう関係を持つかということを農林水産大臣に初めからお聞きしているわけです。農林水産大臣、この辺の議論、もう渡邊さんと私とでやりとりしてもぐるぐる回っておってちっとも前進しませんので、あなたから見て、現状の米の消費量、それに合わせての備蓄、これは従来とってきた四カ月分が適正な水準考えるか考えないか、どうでしょう。
  34. 金子岩三

    金子国務大臣 どこが適正かということは私もなかなかわかりにくいのですね。二百万トンの問題でこの前農林委員会でもいろいろ意見がありましたが、年々米の需要が落ち込んでいっておるさなかで、いろいろ試算をして、生産量、そして凶作があった場合、こういうこともすべて織り込んで計算をして、絶えず幾らを備蓄しておけば食糧安全保障が確立するかということなんです。この点は非常に重要な問題で、計算の仕方も事務的にいろいろ説明をお聞きしておりましても、この米の問題は非常にむずかしいなというような感じがするわけですよ。したがって、これは大蔵省じゃないのでございますから、やはり食糧をいかにして確保して、いかような事態が発生しても不安がないようにということをまず私どものねらいとしてこの試算をして、今度の第三期水田再編対策の時期に、できましたならば、長期ということはむずかしいでしょうけれども、ひとつ中期的な計画を立てていきたいな、このように考えております。
  35. 野坂浩賢

    野坂分科員 第三期の水田利用再編対策とあわせてそのときに発表したい、こういうことでございますか。
  36. 金子岩三

    金子国務大臣 そのとおりであります。
  37. 野坂浩賢

    野坂分科員 それでは、先ほどお話しになりました第三期の再編対策なんですけれども、これにつきましては、まずお聞きしておきたいのは、転作奨励金というのがありますね。これはいまは二期対策でありますが、三期対策も引き続いて実施をしていく、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  38. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 ただいまの米の需給並びに転作の定着化の状況などにかんがみますれば、水田利用第三期対策は必要である、かように考えております。
  39. 野坂浩賢

    野坂分科員 この二期対策で六十七万七千ヘクタールでございましたか、不作と災害等がありまして、結局六十七万七千ヘクタールを六十三万へクタール、こういうことにして今日に至っておる。五十八年は六十万ヘクタールの減反にして、三万ヘクタールは緩和をするという方針が打ち出されておりますね。これについて考えてみますと、大体一町村十ヘクタールぐらいが平均になりますね。一農家当たり一アール程度になるのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけです。町村は非常にやりにくいのじゃないかと思います。  その前にお尋ねをしておきますが、いまの米の転作というものは定着をしておるというふうな御認識ですか、定着をしていないという御認識ですか。
  40. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 これは大変むずかしい御質問でございまして、御承知のように大変長い歴史のある稲作でございますので、そこに畑作物を植えつけまして、それが奨励金というげたを履かないでやっていけるという状態になりますこと自体は、かなり年月を要する問題であると思っておるわけでございます。  ただ、これまでやってまいりまして、転作状況を眺めてまいりますと、当初想定いたしましたように、自給力向上の必要のあります麦、大豆、飼料作物といった作目が転作の全体面積の中の七割近い段階に達しておりますし、また、二期対策において採用いたしました団地化を促進する、こういう面から眺めてみましても、大体三割強のものが団地化加算の対象になっておるという意味で、転作の対応としてはだんだんいい方向に向かってきておるという気がいたしておるわけでございます。今後ともできるだけ定着化を促進する方向で努力をしてまいりたい、かように考えております。
  41. 野坂浩賢

    野坂分科員 皆さんは行政官といえ政治家ですから、定着をしておるかと言うと、定着化を促進をしておる、こういう御答弁で、すかっとせぬわけです。すとんと胸に落ちぬですね、ショートで見ると。  定着をしておるというふうに御認識をいただきますと、三万ヘクタールを一農家一アール程度、いままではあなた方は七つの種類によって分けましたね。傾斜配分をしたり、水田面積に並行したりして分けましたが、やると、町村ではなかなかできにくいから、全部一律一体にやるわけですね。今度三万ヘクタールを緩和するときは、一アールと言えば、あなた方若いからわからぬでしょうけれども金子さん、一畝ですね。非常にやりにくい。しかも、一つ水田面積で三反、三十アールを一区画にして、また一畝ずつ緩和をしてやれということになると、団地化はしておるし、本当にやりにくいのです。こういう点については、そういうことを十分御配慮でやられたわけでしょうね。
  42. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 確かに目標面積対比で申しますと、五十七年度に対し三万一千ヘクタールの軽減ということでございますが、二期の目標の六十七万七千、それから昨年の実施面積という点で見ましても、約六十七万ヘクタール、実際に農家は実施をいたしておるわけでございます。その水準から比較をいたしてみますと、約七万ヘクタールばかりの減少ということが期待をされておるわけでございまして、五十八年度の場合には在庫積み増しの必要を認めて目標を下げたわけでございますから、そういう目標軽減が現地において効果を発揮できるように、そういう指導も別途いたしております。したがいまして、面積だけで申し上げますと、ただいまおっしゃいました面積の倍ぐらいのものになるわけでございますが、それにいたしましても、一戸当たりに分けて見れば小さいものであるという点は、まさに御指摘のとおりでございます。  先ほど申し上げましたように、団地化を進めたり、あるいはブロックローテーションというような形で一種のつくり交換というふうなことをやっておる事例もございますので、そういうところにおきます目標の縮小に伴う措置というのは、それぞれまた地方でいろいろ御工夫が必要なところであろうと思います。具体的に言えば、市町村間調整あるいは集落間調整というふうな道もございますので、その辺もあわせて実行いただきまして、今回の目標の引き下げが現地において効果を上げますように指導をいたしたいと思います。
  43. 野坂浩賢

    野坂分科員 三万一千ヘクタールを実質的に一〇〇%というのが一〇九%も一一〇%もできておるわけですから、あるいは七万ヘクタールかもしれない。区画の関係から十万ヘクタールになっても、これはやむを得ませんね。それはあなた方が机の上で線を引くようなわけに現地の農家の皆さんはならぬわけですわ。そして右向け、ことしは今度は左向けというふうに適当にやられたらたまったものじゃないですから、しりをたたいてどんどん一〇〇%にならぬ者はペナルティー、よけいやる者はよろしい、こういうことをやって、今度はまたこういうふうに後退せよということでは非常にやりにくいわけですから、六十万ヘクタールが五十八万ヘクタールになったとしてもこれはやむを得ない、めんどう見る、こういうふうに御理解いただいてよろしいか。
  44. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 従来から目標はぜひ一〇〇%達成をしていただきたいということでお願いをいたしておるわけでございますから、六十万以下になってもよいというつもりは毛頭ないわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、実行ペースに比較いたしますればかなりな軽減でございますから、そういう軽減措置が十分効果があるようにということはぜひお願いをいたしておるわけでございます。
  45. 野坂浩賢

    野坂分科員 減反をやるときには一〇〇%以上ということで奨励をする、そうですね。今度も一〇〇%以上に緩和を努力したらいいじゃないですか。いかぬですか。
  46. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 申し上げましたように、これまで第一期対策、第二期対策を通じまして、毎年全国で三百万戸に上る農家の方の御協力を得て、これまでの目標達成をしてきたわけでございます。これまでの期間を通じまして、目標を引き上げたことはございますが、実質的に引き下げたのは今回が初めてでございますから、そういう意味においては、この措置の消化のために現地のこれまでと違った御工夫、御苦心が要るということは、私どももよく理解をいたしておるわけでございます。  農林省といたしまして軽減措置の用意ありということを発表いたしました段階で、各都道府県からは、五十八年度の目標を引き下げました場合に五十九年度にいきなりまた目標を大幅にふやすというふうなことでは現地の対応が不可能である、こういう御注意もございまして、今回の決定に当たりましては、第三期対策への移行に当たりましては円滑な移行が可能となるように配慮する、こういうこともあわせて決定をいたしておりますので、そういうこともあわせお考えいただいて現地の対応をお願いいたしたい、かように考えております。
  47. 野坂浩賢

    野坂分科員 円滑に移行するということは、五十八年度は三万ヘクタール緩和をした、五十九年度から始まる第三期対策は、当初農政審は、渡邊さんは農政審病にかかっておるようだけれども、七十六万というわけにはならぬという状況ですね。スムーズに移行するというのは、下げたり上げたり、これは困るわけですから、立ち往生するわけですから、やはり明確な方向というものはもうすでに出してやらぬといかぬじゃなかろうか、こういうふうに思うわけですよ。だから、それらの点について、円滑な移行というものの中身はどういうことなんですか。
  48. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 最初に申し上げておきたいことは、農政審のいわゆる長期見通しは、これは六十五年を終期として見ておるわけでございますから、その段階におきます米の需給という点からいたしますと、水田のうち過剰となります分が七十六万ヘクタールぐらい、この見通し自体を変えるような状況にはないと思っておるわけでございます。第三期の場合は、五十九年以降の三年になりますか四年になりますか、まだ決めておりませんが、やや六十五年に至ります手前の段階での措置でございますから、農政審の七十六万とぴったりということでなければならないというものではもちろんないわけでございます。  先ほどお尋ねがございました円滑な移行と申しますのは、先ほど申し上げましたように、現地におきましては目標の増加の場合もそうでございますが、目標の減少の場合にもそれなりの苦労があるということをよく理解いたしました上で、なだらかな移行になるように考える、こういうふうな意味でございまして、具体的には来期の目標を幾らという定量的なことまで申し上げているわけではございません。
  49. 野坂浩賢

    野坂分科員 あなたが「水田利用再編対策について」というのを文章にして出しておりますね。これは「農業と経済」ですかね、演説をしておられますが、今度の三万一千ヘクタールの緩和対策はなかなか大変だった、努力と工夫を要する、円滑に第三期対策考えていかなければならぬ。その意味は、五十八年度とった措置と大きく変わることはないであろうというふうな判断をしておるわけです。そういうふうに円滑でなだらかな移行という意味は、五十八年とってきた六十万ヘクタールと大差ないというふうに判断をしておる、こういうふうに考えていいわけですか。
  50. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 平たく申し上げるとそのようなことになるわけでございますが、定量的なことまで申し上げたわけではないのでございます。
  51. 野坂浩賢

    野坂分科員 大体方針はわかりました。  農林水産大臣に最後にお尋ねをしますが、いまお話がありましたように、五十八年度三万一千ヘクタール緩和をして転作面積は六十万ヘクタール、こういうことになりました。円滑にしてなだらかに五十九年度については移行したい、その中身としては余り差はない、農民に混乱を与えない、また、市町村にも余り迷惑をかけないという御答弁があったわけでありますが、第三期対策はなだらかな移行という表現ではありますが、五十八年度実績というものが大体動かない、こういうふうに認識しておるわけでありますが、農林水産大臣の御見解を承りたい。
  52. 金子岩三

    金子国務大臣 毎年この減反面積を減らしたりふやしたりして、猫の目の変わるように変わることは農民にとっては大変苦痛でございますので、できることならば第三期水田再編に入るときにもこの五十八年度の減反実績を基準にして農村に大きな御迷惑をかけないような考え方でひとつ取り組みたい、このように考えております。
  53. 野坂浩賢

    野坂分科員 減反の奨励金は引き続き存続をする。あなたの御答弁を聞く前にあなたの演説を読みますと、「第三期対策については、転作営農の生産性の向上とその定着化とを可能な限り促進し、奨励金依存から脱却し得る土台を築きあげることが最大の課題になると考えている」こういうふうに述べられておりますが、奨励金はやるけれども、将来を展望して脱却できるようにするけれども、この奨励金というものはなくしない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  54. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 第三期におきましては、これまで以上に転作の定着化を促進する努力をしなければならないというつもりでおりますが、転作奨励金そのものをなくするというつもりは毛頭ございません。
  55. 野坂浩賢

    野坂分科員 そのとおりだと思いますが、ただ、金額も同じことだというふうに考えてよろしゅうございますか。
  56. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 これは、奨励金の水準につきましては、第一期から第二期に移行いたします際にも、それまでの実態を踏まえまして見直しをいたしておるわけでございます。また、農政審議会や臨時行政調査会からも同じような趣旨の御指摘をいただいておるような状況でございますので、奨励金の水準なり仕組みなりというものは三期移行に当たりまして見直しをする必要があると考えております。
  57. 野坂浩賢

    野坂分科員 これは日本農業新聞なんですが、「転作農家の農業所得減る」こういうふうに出ております。大臣、見えますね。転作をして農家は一%減になっています、五十六年度は。こういう状況なんです。しかも、小麦と大豆は、何といいますか、戦略対象作物ですが、これをいまの奨励金を出して、米の対比として府県は一〇七と一〇四というのが実相ですから、おおよそ米よりも少しはよくなければ転作はなかなかできませんし、奨励金を取れば府県等では麦は三六%なんですね。大豆は三一・八%という対比状況になるわけです。だから、転作奨励金を出してやらなければまた一斉に返ってくる。しかも、日本の場合は川や水で水田中心なんですから。そこに畑作をやれというのは、本当はどだい無理なんです。だから、奨励金でもやっていかなければとても、農家所得というものはこのように減ってきます。だから、ことしも専業農家というものが減ってきたし、第一種兼業農家に至っては一〇%減ったが、第二種兼業農家は五・六%ふえておる。これがいまの日本農家の実態でございますから、それらの点について十分御配意をいただきまして、その転作作物の奨励金については十分御配意をいただきたい、こういうふうに思いますが、農林大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  58. 金子岩三

    金子国務大臣 大変貴重な御意見を拝聴いたしました。十分御意見を尊重して取り組みたいと思います。
  59. 野坂浩賢

    野坂分科員 あと七分しかありませんので、時間どおりやらなければまためんどうになりますから、最後にお尋ねをいたしますが、農業改良普及員なり生活改良普及員というのがございますね。これにつきまして、いままで身分を安定させるために補助金を負担金に変えたことがありますね、法律を出して、助長法を。今度また交付金ということになりまして、鳥取県なら鳥取県という自治体が、いままでは人件費と事業費は別々だったのですけれども、今度は人件費も事業費もごっちゃにしまして、あとは自治体の裁量でやるということになりますと、人間の確保、普及員の確保、たしか去年はこの負担金は三百六十億円だったと思いますが、五十八年度はたしか三百四十億円だと思います。減っておりますから、やはり減少になっておる。それを、人件費も事業費もそのままで交付金になるということになるとその職員はどういうことになるだろうと言って、非常に不安定だと思いますし、また、人材を確保することがなかなかできにくいということがあろうかと思いますが、一定の農政を進め、一定の農業発展をするためには農業改良普及員が必要なわけでありますから、これについて農林省はどうチェックをするのか、どういうふうにして府県を指導するのか。それは自主性に任せるというようなことになれば農林水産省の意味もないわけですから、それらの点についてはどういうふうな配慮をされようとしておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  60. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 従来の協同農業普及事業の負担金は、御指摘ございましたように、人件費、普及所の運営費、それから活動費、研修費、施設整備費等、それぞれの経費を積み上げましてそれぞれに負担率を乗ずるという形で計上をいたしておったわけでございます。しかしながら、臨時行政調査会からは地方公務員に対する人件費補助は二年以内に原則として一般財源措置に移行するように、こういう答申をいただいておりますとともに、事業の一層の効率化を図るべきであるということもまた指摘を受けておるわけでございます。こういうふうな事態現実的に受けとめまして、この事業の安定的な運営を図るためにはこの際思い切って助成方式を切りかえた方がいいのではないか、こういう結論に至ったわけでございます。ただ、お話ございましたように、交付金という名称になりましても、政府が義務的に支出をする経費であるという性格は変わらないわけでございまして、全く任意の奨励的な補助金ということではございません。  それから、職員の頭数の問題、あるいは普及事業の中身の問題についてこのような措置をとったことによって何か後退するのではないか、こういう印象を持っておられる向きもあるようでありますけれども、今回別途提出いたしております農業改良助長法の一部改正法におきましては、助成措置の切りかえに合わせまして、農林水産大臣がこの事業の運営指針を定めまして、それを基本として各都道府県にもこの事業の運営方針農林水産大臣と協議した上で決めていただくという措置を講ずることにいたしております。つまり、国と県が事業運営についてはよく協議して行うということによりまして、協同事業の本質を確保しよう、こういうねらいを込めておるわけでございます。したがいまして、たとえば普及職員の頭数というふうな問題になりますと、これまでも、御承知のように公務員全体が計画的削減をやってまいっておるわけでございますから、人数が絶対減らないということを申し上げるつもりはないのでございますが、今回の措置によって何かそれが加速されるというふうなことはないように措置をいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、制度の運用問題に絡んでまいりますので、御指摘の点は十分念頭に置きまして対処いたしたいと存じております。
  61. 野坂浩賢

    野坂分科員 この農業改良普及員あるいは生活改良普及員その他水産の指導員もそういうことになっておりますが、言うなれば、いままでは身分安定のために負担金だった。今度は定額交付金というかっこうになりますね、大臣。いまお話のあったように、改良普及員はその都度適当に地方自治体にはさせやせぬ、農林大臣の指針を示してちゃんと身分安定はしたい、こういうふうな御答弁ですが、そこで、この定額の交付金というものはずうっとこのまま出てくるような、来年も同じような定額交付金になるような感じがするわけです。したがって、物価上昇とか人件費とか、ベースアップがあるわけですからそれらに合わせて交付金というものは算定していかなければ、他の地方公務員と非常に差のあるような人員配置をされるということになると、これは農業の発展にも重大影響があるわけですから、それらの点も十分お考えをいただいて、地方自治体に指針を示す場合は、他の地方公務員と格差のないようにしてもらう、これが一つ。そして、人員の確保をやってもらう。今後内閣での予算折衝等は、定額交付金というのは人件費、物価、そういうものの上昇については当然交付金も増額をする、こういうふうに考えていかなければならぬと思うわけでありますが、最後に農林水産大臣の私の要望に対して御見解を承って、終わりたいと思います。
  62. 金子岩三

    金子国務大臣 農業の振興を図る上で技術の普及はきわめて重要なものであると考えています。また、生産性の高い健全な農業経営の育成を図るためには、生活面からの指導も進めていく必要があります。今回、別途農業改良助長法の一部改正法案を提出して、助成方式変更を含む制度改正をお願いしているのであります。これは普及事業の重要な役割りにかんがみ、農業をめぐる情勢の変化に即応し、これを発展させる趣旨に基づくものであります。その適切な運用により事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
  63. 野坂浩賢

    野坂分科員 これで終わりますが、私が申し上げました三つの案件についてはそのとおり実施していただくようにお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。ちょっと言ってください。
  64. 金子岩三

    金子国務大臣 よく検討いたしまして、御期待に沿うように努力いたします。
  65. 野坂浩賢

    野坂分科員 はい、わかりました。終わります。
  66. 植竹繁雄

    植竹主査代理 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。  次に、玉置一弥君。
  67. 玉置一弥

    玉置分科員 農業にとって大変厳しい年が続きますけれども、そうした中でもやはり日本として総合的な食糧対策ということは長期的に打ち立てていかなければいけないと思います。しかし、何といっても日本国内主食となっている米についてのいろいろな対策、特に最近輸入米との価格差ということが言われておりますけれども、できるだけ政府なり地方自治体が援助をして、それに対抗できる土壌をつくっていかなければいけない、そういう意味から、いま行われております土地改良の全般について、今後の見通しといいますか、そういうものを含めてお伺いをしていきたいと思います。  今年度予算を調べてみますと、土地改良全体としては大体横ばいということでございまして、これはいまの財政上ある程度はやむを得ないものであるというふうに考えておりますけれども、聞くところによりますと、数年前に大蔵省の方から農林省に対しまして構造改善事業の方向をむしろ抑えるべきではないかというような話があったという話を聞いております。これからの農林省方向としては、土地改良あるいは圃場整備、具体的に細かいのはいっぱいありますけれども、大まかに言いますと、いわゆる農業土木というふうにとらえてみてもいいかと思いますけれども、まず、その辺の方向についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  68. 森実孝郎

    森実政府委員 公共事業全体の抑制の中で、農業基盤整備事業につきましても、ここ数年来大体横ばいに近い姿で推移してきていることは事実でございます。ことしは全体の抑制の中では若干ながら増額を図ることができましたが、大勢的には横ばいという姿だろうと思います。やはり農業の構造改善を進める意味におきましても、あるいは生産対策の再編成を推進する意味におきましても、土地改良事業の推進はその物的な前提をなすものでございます。  そこで、政府といたしましては、本年度の予算編成に当たって第三次土地改良長期計画の方針を決めまして、近く閣議決定をすることになっております。その中では、今後十カ年間に三十二兆八千億の投資を、事業の実施を予定しているわけでございます。不満な点も一部にはあるかもしれませんが、従来の事業計画を物価修正したよりも高い数字のものであり、全体の中ではかなりの伸び率を確保できたものと思っております。われわれといたしましては、この長期計画に沿って事業の計画的推進を図るための毎年の予算の確保等に努力をしていかなければならないものと思っております。特に中心になります圃場整備事業につきましては、全国平均で整備率を七割の水準にまで持っていこうということを目標にいたしまして事業の中心に据える方向で物を考えているわけでございます。
  69. 玉置一弥

    玉置分科員 圃場整備も含めてこれから三十二兆ぐらいやられるということでございますけれども、これは財源としては一応一般財源ということでやられるわけですけれども、いまこの一般財源の状況が、これから先行き、特に十年間くらいの見通しが非常に厳しいというように感じておりますし、財政再建が非常に長引くであろう、これからもいまの行革の状況を見ていても、とても三十二兆円はむずかしいと思うのです。たとえば今度道路の第九次五カ年計画というのが出てきまして、これが三十八兆二千億円、あれは道路財源としてある程度規定があるわけですけれども、これはちょっと余談ですけれども、余談というと変ですけれども、道路財源のようないわゆる特定財源、こういうものを米の場合というか農業として求めることができないか、そういうことはこれからちょっと考えられないですか。
  70. 森実孝郎

    森実政府委員 道路につきましては、御案内のように揮発油税と重量税が特定財源として制度化されているわけでございます。法律上制度化されているものと政策的にその方向を決められているものと、両方がございます。  農業に関する投資を特定財源にリンクするという試みは、たとえば外国の例で申しますと、若干不正確で恐縮でございますが、フランス等はそういう仕組みをとっていることは事実でございます。これは何と申しましても取引高税に準拠した特定財源という形になっているわけでございまして、現在のようなわが国の租税体系のもとでは、やはり特定財源ということになりますと、事業の整備と財源確保との間に明確な社会経済的因果関係を持った場合に限定されてくるだろうと思います。その意味においては、私、いまの租税体系のもとで、農業全体に、さらにその投資的部門について特定財源の確保ということはなかなかむずかしい問題だろうと思っております。  しかし、先ほどの数字でございますが、その計画的達成はなかなか困難な事情があることも私どもも熟知しておりますし、また、これからの経済成長とかあるいは財政事情によって大きく影響を受けることは事実で、それに応じた弾力的運用は必要でございますが、農林省だけではなくて政府全体として決心をして閣議決定をする問題でございますので、状況の許す限り財源の確保ということに努めていくことがまず基本にあるだろうと思っているわけでございます。
  71. 玉置一弥

    玉置分科員 それでは、ちょっと大臣にお伺いしますけれども、たとえば土地改良も、いまから十年前に地域をそれぞれ見て、この地域はこういうふうにしていかなければいけないというふうな話があったかと思います。そして、それぞれその計画に沿って進めてまいりました。ところが、十年たっていま振り返ってみますと、それぞれの地域の事情が大変大きく変わってきている。特に大都市近郊になってまいりますと、住宅が大変ふえまして、そのための汚水が流れ込むというようなこともありますし、それによって水の流量も変わってきている。そういうことがあるわけです。  これは、要因を考えてみますと、いわゆる農林省だけの責任ではなくて、逆に建設省なり国土庁のそれぞれのいろいろな分野の横の関連でふえてきたというようなことにもなるわけでございまして、そういう意味から、当初やらなければいけないことがさらに拡大をされてまた違う地域にも広がってきたということもあるかと思います。これで今回三十二兆八千億円という金額を一応算定をされておりますけれども、そういう場合に三十二兆八千億円ではなくて、あるいは五十兆円ぐらいになるかもわからないということもあるわけでございまして、そういう意味で、農林省だけではなくてほかの省庁の予算というか予算の分野、その辺にまで及ぶこともあるかと思いますけれども、こういったときに、他省庁、特に建設省が一番多いかと思いますけれども、その辺との連携を事業計画の中でどういうふうにやられているのか、これからまたやっていくのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  72. 金子岩三

    金子国務大臣 全国ではたくさんそういう事例があろうことだと思います。これだけ社会情勢、経済情勢が大変大きく変動しておるのでございます。それに対応した取り組み方は当然のことでございます。担当局長がこれまでやってきたこともよく承知いたしておるはずで、これからどう取り組もうとしておるのか、局長からお答えさせます。
  73. 森実孝郎

    森実政府委員 他事業関連、特に道路、河川等が一番大きな問題になりますが、これらにつきましては、私どもも土地改良事業の採択に当たって優先的な配慮を従来からも払っております。また同時に、事業進度の調整ということが絶えず大きな問題になるわけでございまして、国土庁の調整費の活用という点も、この点から従来から重視してきているわけでございます。  全体の投資規模というものは、そういう社会経済状況の変化も大数的には把握いたしまして織り込んでいるものでございますから、通常の場合、そういった全体の投資計画の枠内で処理されることになると思いますけれども、採択とか年々の事業量の確保についてはただいま申し上げたような特段の配慮ということを続けておりますし、今後ともそういう点は特に都市近郊等におきましては、あるいは新しく開発が大規模に進む地域におきましてはあるわけでございますので、十分配慮してまいりたいと思っております。
  74. 玉置一弥

    玉置分科員 具体的に申し上げますと、私の選挙区の話で非常に恐縮ですけれども、巨椋池土地改良区というのがございます。もう一つは八幡、これは府営の圃場整備ですけれども、この両方がいま道路計画にまさにぶつかりまして、巨椋池の場合には、五十年着工で五十八年完成という予定でやってまいりましたけれども、この事業が非常に長くかかりまして、いま五十八年現在で大体六〇%ぐらいしかまだ進んでいない。八幡の圃場整備の方になりますと、五十五年着工でいま大体二〇%ぐらいの進捗率である。当初は大体八年ぐらいでそれぞれやってしまうのだということでございましたけれども、片方は八年たって六〇%、片方はまる四年たって二〇%である。これが当初計画によりますと、五十八年から——あそこは第二枚方バイパスですか、というのが今度着工されれ。片方は二十四号線バイパスと京滋バイパス、三つの道路が同時に着工されるということになりまして、いままではいわゆる土地改良だけを見ていればよかったわけでございますけれども、先ほど申しましたように、建設省関連の事業が出てきたということでございまして、早く水を通す、あるいは圃場整備をやってしまうということでなければまたよけいな費用がかさむということになるわけでございまして、できるだけその時期に合わせた事業の促進ということをお願いを申し上げたいと思います。  具体的に申しましたけれども、この件、もしわかれば見通し等をお伺いしたいと思います。
  75. 森実孝郎

    森実政府委員 巨椋池の水質障害対策事業につきましては、実は全体の厳しい予算制約のもとでございますが、この二、三年格段の配慮は払ってきたつもりでございます。しかし、何と申しましても予算全体が抑制され、また、膨大な需要を持っておりますので、当初の計画どおりなかなか進まないという事情もあることは事実でございます。私どもといたしましては、この事業につきましては当初の予定よりは二、三年おくれるけれども、他の継続地区に比べてはできるだけ早い完了をという配慮を払っていきたいと思います。  御指摘がありました八幡地区の圃場整備事業についても、五十七年には一億八千万の予算をつけておりますが、何といっても県圃場整備としては非常に大きい地区なものでございますから、かなりなお期間を要することは否定できません。地元の事情等も十分伺いまして、一般的な予算の配分以外に、先ほど申し上げました調整費の活用等も事情が許す限り努めてみたいと思っております。
  76. 玉置一弥

    玉置分科員 財政の制約というのも大変大きいものがあると思いますけれども、できるだけ緊急の事態、こういうものを配慮されて予算の配分をお願い申し上げたいと思います。  それと、このようにおくれてくるというのは当然資金が不足をしているということで、国営の場合は問題ないわけでございますけれども、府営なりあるいは団体営ということになってまいりますと、地元の地方自治体にいわゆる資金がなければできないということになるわけでございまして、考えてみますと、いま農協にもかなりの資金がございますし、また、地元には必ず地元銀行なりあるいは信用金庫、信用組合というものがあるわけでございまして、逆にいまの金融状況から見ますと、そういう財源が非常にだぶついてきている、いわゆる資金がだぶついてきているということが大分出てきているようでございまして、こういう資金の活用ができないかということでちょっとお伺いしたいと思います。  これをもし逆に活用するということができるとなれば、地元にとって非常にプラスになる要素になるわけでございまして、地元の活性化なりあるいは信用金庫等あるいは農協ですね、それぞれがいま非常に利率低下で苦しんでおるところを逆に補えるということにもなるわけでございまして、その辺の活用について考えられるかということでお伺いしたいと思います。
  77. 森実孝郎

    森実政府委員 実はこのお話は前々から一部にはございます。しかし、基盤整備事業につきましてはかなり高い国の補助率のもとで補助事業が実施されております。また、補助残につきましても、県、市町村の負担については、年度によって若干の変動はありますが、たとえば五十八年で申しますと九割程度の起債の充当ということが予定されておりますし、また、その一部については元利償還金も基準財政需要額に算入されるという仕組みができ上がって定着しております。それからさらに、基本となります農家負担につきましては、公庫融資による長期低利の補助残融資が制度化されております。そういう意味においては、いわば資金手当ての話ではなくて、まさに土地改良事業については負担の問題自体が問題なわけでございまして、目下のところ、全体を見ますと、資金手当て自体について民間金融機関に依存しなければならないような事情は一般的にはないのではないかと私は思います。  なお、具体的な起債の確保の問題とかあるいは公庫融資等の問題については、従来からも個別に私ども御相談に乗っておりますので、必要量の確保という問題については十分調整、配慮してまいりたいと思っております。
  78. 玉置一弥

    玉置分科員 以上、大体土地改良についてお伺いしましたけれども、できるだけいまの基盤整備の中で特に地域に合った形でお願いをしたいと思います。特に最近、山側での土地開発というのが非常に進んでおりまして、特に下流地域につきましては防災上の問題も出てきているというような状況でございますので、それぞれの地域、特に京都だけを申し上げるわけではなくて、日本全体の中で十分に配慮していただいて、事業の進捗がおくれましても優先度をつけてやっていただければ十分な理解が得られるかと思いますので、その辺の配慮をお願い申し上げたいと思います。  続きまして、水田再編の問題についてお伺いしたいと思います。  特に転作の問題が従来から取り上げられておりまして、米の需給動向が当初の見込みよりかなり変わってきているということで、この見直しをやっていかなければいけない。第二期の目標が六十七万七千ヘクタールから六十万に修正されるということになりまして、われわれとしてはかなり前向きの評価をしているわけでございますけれども、しかし、減反の割りつけを各府県別に見てみますと、生産量との大変なアンバランスが出てきているように聞いております。それぞれ事情が違うし、技術力も違うというのもあるかと思いますけれども、全般に余るところはもう徹底的に余る、足りないところは足りないというような方向、傾向がだんだんと明確に出てきたような感じがするわけでございますが、総括的に見て日本全国の中で減反政策の割りつけがまさに公平に行われているかどうか。これは農林省にお伺いすると多分公平に行われていますという答えしか返ってこないと思いますけれども、実際、米の不足あるいは過多というような実態が出ておりますので、その原因分析も含めてお伺いしたいと思います。
  79. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 転作目標の配分に当たりましては、もちろん公平を旨といたしておるわけでありますが、何が公平かということになりますと、これは大変むずかしい問題がございまして、この対策が始まりました当初におきましては、いろいろな要素を考慮いたしましてそれぞれの地域にマッチした割り当てをいたしているわけでございます。  大変大づかみに申し上げますと、農業生産の地域別の特性、それから産米の品質、さらには特定作物への転作可能性、こういったことを考慮をいたしまして県別の目標を決めておるわけでございます。その後、目標面積の増加する過程におきまして多少均等割り的な思想も取り込んできておりますので、今日では、都道府県別の転作率という観点からしますと、格差はかなり縮小ぎみになってきておりますが、それでも五十八年度における目標率を計算いたしますと、最高が四六・七%、一番少ないところで一〇%そこそこというふうな開きがございまして、都道府県別の農業のいろいろな事情を取り込んだ形にいたしておるわけでございます。  お話のございました米の足りる、足りないという問題は、あるいはそういう目標の配分とその裏側をなしますところの限度数量との食い違いというふうなことかと存じますが、限度数量の配分につきましては、これは食管法上の一つのルールもございますものですから、少しずつ修正をいたしまして現実にマッチするようになっているはずでございますけれども、都道府県別に詳細眺めてみますと、必ずしも単純な足し算でぴったり数字が合うということにはなっていないようなところもあろうかと思います。
  80. 玉置一弥

    玉置分科員 ちょっと時間がありませんので、減反についてはこの程度にしたいと思いますけれども、済みません。  米の検査基準についてお伺いしたいと思います。  米の検査基準の中で、いわゆる水分率というものがあるかと思いますけれども、この水分率が決められてから、従来のそのままを踏襲するということでいままでやってきておるわけでございまして、当時決められたときに、いまの農業技術から考えられない、要するに昔はいわゆる露天干しということでむしろの上に米を乗っけて、それを庭先に並べて乾燥させてきた、これは太陽の強弱とかいろいろな地域環境というものがありまして、地域的にいろいろな割り振りがありまして、逆にその地域の米の特質というものが出てきたかと思います。そういう意味で、いま時点から考えて米の水分率はいつから決められてどのように改定をされてきたか、その辺をまずお伺いをしたいと思うのです。
  81. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 米の検査基準に関する問題でございます。現在の基準は、検査基準の水分につきましては二十六年から決めておりますけれども、水分の限界は一般的に一四、五%の間にあると見られまして、貯蔵中の品質保持とか流通事情等を考慮しまして、検査規格上の水分は最高限度は一五%、このようにいたしておるわけでございます。
  82. 玉置一弥

    玉置分科員 貯蔵のときは一五%ということですか、市場に回るときが一律一五%ということですか。
  83. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 これは一五%が限度で、一五%以下ということで、私ども理想的には一四ないし一五%というふうに指導いたしております。
  84. 玉置一弥

    玉置分科員 お米の場合、余り乾燥し過ぎると胴割れとかいろいろな障害がでてくるというお話もございますし、水分が若干多い目の方がお米がおいしいということがあるそうですね。それはいいですけれども、お百姓さんに聞いたらそういうお話がございました。  これは地域的にばらつきがあると思うのです。設定された当初ならこのばらつきがわかるのですけれども、いまの技術から考えますと、同じような乾燥法をとって何でいまこのように一五%前後、一六%から一四・五%ですか、その辺にまでばらついているのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  85. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 これは、現在、先ほど申しましたように一五%を限度といたしておりますが、収穫期におきます気象条件等から水分を一五%以下にすることが困難な地域、主に軟質米の地域でございますが、北海道、東北、さらに北陸、山陰の地域、こうした高温期が短くて貯蔵しやすい地域では、〇・五%ないし一・〇%の加算を認めておるわけでございます。
  86. 玉置一弥

    玉置分科員 では、お伺いしますけれども、たとえば一五%と一六%、一%の差がございまして、これは原価的に大変違うわけですね。一%ぐらい水分を乾燥させるということになりますと、十キロ当たり三百円ぐらいの費用がかかるということでございまして、こうなってまいりますと、検査基準が違うためにむしろ地域的に米の値段が違うではないか。自然乾燥の場合は置いておけばなるものですから、そうお金もかからなかった。ところが、いまは機械乾燥ということになっておりまして、地域的に格差をつけるならば値段もつけていかなければならないかと思いますけれども、それについてはいかがでございますか。
  87. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 もう一つ、地域の格差の問題は、先ほど申しましたようなそれぞれの地域の条件によりまして今日設定されておるわけでございますけれども、仮に一%上がれば、経費的な面はそうしたおっしゃるような点はあろうかと思いますが、貯蔵期間中等におきましてカビの発生とか肌ずれ等、そうした事故が発生しやすくなるわけでございます。そうした面が最近特に品質面におきます流通上の関心の高まっておるときでございますので、こうした点もやはり留意していかなければ、経費の点はそういう問題がございましょうけれども流通上の留意はしてまいらなければならないのじゃないか、このように考えております。むしろ私どもといたしましては、最近間々、御指摘の点で言われます機械乾燥によります胴割れ等の発生の過乾燥的なものが多いかと思われます。特に西日本の場合にはこれが多く目立っております。こうした点は十分注意して指導いたしたい、このように考えております。
  88. 玉置一弥

    玉置分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、いまの一%の歩どまり加算、これがいま六十キロで四十円というふうに実質的に大変安いというか、極端に安いわけです。その辺についても十分な見直しをお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  89. 植竹繁雄

    植竹主査代理 これにて玉置一弥君の質疑は終了いたしました。  次に、小川国彦君。
  90. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、昭和五十八年度予算に関連いたしまして、農水省の所管の中に入っております中央競馬会からの歳入、そうした問題と関連いたしまして、中央競馬会のあり方について所見をお伺いしたいと存じます。  最初に、農林水産大臣に就任されました金子大臣といたしましては、農林水産省の所管大臣としてその運営に今後当たられていくわけでありますが、その中の特殊法人として大きな存在でございますこの中央競馬会の存在、それから今後の運営のあり方、そういうことにつきましてどういう御所見をお持ちになっていらっしゃるか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
  91. 金子岩三

    金子国務大臣 この中央競馬会にはいろいろ問題がありまして、農林省では監督の立場にありますので、大変責任を感じておる次第でございます。今後はひとつこのようなことが繰り返して起こらないように十分指導監督を続けたいと思います。
  92. 小川国彦

    小川(国)分科員 大臣から、真っ正面から中央競馬会に取り組む監督指導の責任を果たしていきたい、こういう御答弁を伺いまして大変心強く感ずるわけでございます。  そこで、これは大臣就任以前の懸案の問題がたくさんございまして、その中で特に早期に農水省としても中央競馬会としても決着を図らなければならない問題の一つとして、昨年の七月に国会で取り上げられた競走馬不正輸入に関しまして、農林水産省と中央競馬会が昭和五十年以降ハンザダンサー以下十頭の競走馬について輸入実態の調査を行う、こういう旨を答弁されてきているのでありますが、すでに十カ月を経過しているわけでありますが、この調査の結論はいつお出しになられるのか、まずその点を伺いたいと私は思います。
  93. 内村良英

    ○内村参考人 現在調査中でございまして、極力早く結論を得たいと思っております。
  94. 小川国彦

    小川(国)分科員 極力早くという表現でございますが、日数的には大体どのぐらいをめどにしてお考えになっていらっしゃいますか。
  95. 内村良英

    ○内村参考人 ただいま先生から十カ月というお話がございましたけれども、外国の調査機関に調査を依頼いたしましたのが八月でございまして、約半年たっておるわけでございます。その間、鋭意調査を進めているわけでございますけれども、なお究明すべき点が残っておりますので、それを詰めまして調査を決着したいと思っております。
  96. 小川国彦

    小川(国)分科員 調査終了の時点のめどはいつごろにお考えになっていらっしゃいますか。
  97. 内村良英

    ○内村参考人 極力早く決着をつけたいと思っておりまして、現在、たとえば四月の十日だとか五月の何日というようなことを申し上げるところまでは固まっておりませんけれども、今後の種馬問題の関係もございますので、そうしたことに支障のないようになるべく早く結論を得たいと思っている次第でございます。
  98. 小川国彦

    小川(国)分科員 調査はどういうような形で進められておりますか。
  99. 内村良英

    ○内村参考人 イギリスとフランスとアメリカの調査機関に調査を依頼いたしまして、それらの調査機関が調査を進めているわけでございます。なお、そうした調査を進めるにつきましては、事前に競馬会の職員を現地に派遣いたしまして十分事情を説明し、問題点を言った上で調査をしているわけでございます。
  100. 小川国彦

    小川(国)分科員 これはどのような機関、何カ所ぐらいにそれぞれ調査依頼をされておりますか。
  101. 内村良英

    ○内村参考人 三カ所でございまして、アメリカはいわゆるそういう調査をする機関でございます。それからヨーロッパはちょっと事情が違いまして、そういうような調査機関、必ずしもはっきりしておりませんので、弁護士事務所に頼んでおります。
  102. 小川国彦

    小川(国)分科員 先ほどのお話によりますと、イギリスも弁護士、フランスも弁護士、アメリカが調査機関、こういうことでございますか。
  103. 内村良英

    ○内村参考人 そのとおりでございます。
  104. 小川国彦

    小川(国)分科員 ちょっとその法律事務所名なり調査機関名を申していただけますか。
  105. 内村良英

    ○内村参考人 その点はいろいろ社会的な影響もございますので、ちょっとこの席では控えさせていただきたいと思います。
  106. 小川国彦

    小川(国)分科員 これはいつ依頼をしていつまでに回答をお願いしたいということでやっておりますか。
  107. 内村良英

    ○内村参考人 八月に依頼いたしまして、いつということは示してございません。なるべく早くとにかく調査を終わってくれということで、調査機関としてはなるべく早くということで始めたようでございますけれども、非常に調査が難航しておりまして、まだいつ終わるということまでははっきりした期日を申し上げることはできないわけでございます。
  108. 小川国彦

    小川(国)分科員 昨年の八月に依頼いたしまして、調査依頼書には普通はこれはいつまでに結論を出してほしいというのが常識でございますね。なるべく早くというのはきわめてあいまいな表現であって、役所がする調査依頼ではないと思うのですが、その調査期限というものは依頼のときに文書に明示されなかったのですか。
  109. 内村良英

    ○内村参考人 調査の内容が、たとえば表に出ている事実を調べるような調査じゃなくて、いわば金の流れを調べる調査なわけでございます。したがいまして、外国の調査機関も金融機関を直接調べる権限等は持っておりませんし、そういう点で非常に難航しているわけでございます。  それから、私の方といたしましてはいつまでということは明示はいたしませんでした。
  110. 小川国彦

    小川(国)分科員 調査機関への依頼は、きわめて不十分でありますけれども、やっている。そうすると、農水省なり競馬会自体としての独自な調査はどういうふうにお進めになっていらっしゃいますか。
  111. 内村良英

    ○内村参考人 御案内のように、このハンザダンサー号事件が起こりまして、昨年の事件が起こった直後、六月にアメリカに競馬会の職員を派遣いたしまして、いろいろ調査をしたわけでございます。それから六月の末から七月にかけましてヨーロッパに調査員を派遣いたしまして、いろいろ調査をしたわけでございますが、はっきり申し上げますと、事柄が事柄だけに必ずしも事態が明確にならなかったというところから、競馬会としても、これだけの事件でございますので、外国の調査機関に調査を依頼したわけでございます。
  112. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 農林省といたしましては、競馬会を通じて調査をするということにいたしておりまして、競馬会の調査の進展の状況を見守っておる状況でございます。
  113. 小川国彦

    小川(国)分科員 この三つの調査機関名を、これは私、こうした機関に依頼をしているというのは当然公表すべきことではないかというふうに思うのです。国費を払って調査を依頼している機関名でございますから、その内容についてはまだ報告がないということでございますから提出を求めるのは無理でありましても、この機関名は私は当然公表されるべきものだと思います。
  114. 内村良英

    ○内村参考人 その点は私どももいろいろ考えたわけでございますけれども、過去の経験によりますと、これによってまたいろいろな社会的な問題が起こることもございますので、結論が出るまでは名前を控えさせていただきたいと思っているわけでございます。
  115. 小川国彦

    小川(国)分科員 その権威のある機関に頼んだというのは、どういう機関に頼んだかというのはやはりきちっと社会的に評価されなければならないわけですよ。皆さんだけがいいと思ってやっているから、それだけで判断をしておりますといろいろ過ちが起こるので、こういう機関では不十分ではないか、こういうところへ頼んだらいいじゃないか、こういう積極的な検討をするにしましても、これは当然公表されるべきものだと思いますが、大臣いかがですか。
  116. 金子岩三

    金子国務大臣 ただいま内村会長がいろいろと経過を申し上げておりますので、私どもとしてはやはり競馬会にすべてお任せして、この機関で十分調査をする以外に、農林省が直接手を下すことは非常に困難ではなかろうかと思います。
  117. 小川国彦

    小川(国)分科員 その困難さの問題は別にしまして、少なくも中央競馬会の予算は税金を使うのと同じだと思うのですよ。調査の経費はお支払いしているわけでございましょう。
  118. 内村良英

    ○内村参考人 もちろん調査の経費は払うわけでございまして、手付みたいなものは払ってございます。ただ、過去の経験によりまして、こういうことでいろいろな調査自体に影響のあるような、攪乱的な要素が起こっては困ると思っているわけでございます。
  119. 小川国彦

    小川(国)分科員 もう少し自信を持って、こういうところへ調査を依頼しておりますと答えられるような機関に依頼しておるんじゃないと困ると思うのですね。  この問題は国政調査権の問題との関連がありますので、これは主査において、また予算委員会の中でこの公表方の取り扱いについては御検討いただきたいと思います。
  120. 植竹繁雄

    植竹主査代理 はい。
  121. 内村良英

    ○内村参考人 私どもといたしましては権威のある機関に頼んだつもりでございます。いろいろ調べまして、日本の調査機関にも……(小川(国)分科員「そういうことは聞いてないです」と呼ぶ)いや、権威のないということではございません。
  122. 小川国彦

    小川(国)分科員 大変ごりっぱな答弁をいただいたのですが、それじゃ、あなた方自体では内部的にどういう御調査をなすっておりますか。
  123. 内村良英

    ○内村参考人 先ほど申し上げましたように、調査員を現地に派遣いたしましていろいろ調査いたしましたし、この事件が起こった直後におきましては、関係者を競馬会に呼びましていろいろ事情を聴取しております。
  124. 小川国彦

    小川(国)分科員 たしか問題の発生の直前と直後か、その前後に調査員を派遣されたというふうに伺っておりますが、調査員の派遣の時期と人数は。
  125. 内村良英

    ○内村参考人 調査員の派遣は、アメリカは六月十一日から六月二十六日まで二名でございます。それからヨーロッパの方は六月二十九日から七月十一日まで一名派遣しております。
  126. 小川国彦

    小川(国)分科員 その後の派遣はなすってませんね。
  127. 内村良英

    ○内村参考人 そこでどうも必ずしもはっきりしなかったものでございますから、八月になりまして、外国の調査機関に調査を依頼したわけでございます。
  128. 小川国彦

    小川(国)分科員 内部的に当事者を呼んで事情聴取する、こういうことは何回くらい行われておりますか。
  129. 内村良英

    ○内村参考人 私の記憶では、競馬会に三回ないし四回呼んでおります。それから競馬会の内部におきましても、当時立会人として現地に行った者につきましてはいろいろ細かく本人たちから事情も聴取いたしました。
  130. 小川国彦

    小川(国)分科員 国内の調査の方が徹底して行われるべき問題なんで、三回ないし四回なんてあいまいなことじゃなくて、何回、いつ行ったか。
  131. 内村良英

    ○内村参考人 正確な資料は後刻提出いたします。
  132. 小川国彦

    小川(国)分科員 そういうところがきわめてあいまいで皆さんの検討が不十分なんですが、その三回ないし四回というのは、どういう方をお呼びして事情を聞かれましたか。
  133. 内村良英

    ○内村参考人 藤井商事の社長を呼びました。
  134. 小川国彦

    小川(国)分科員 社長は何回ですか。
  135. 内村良英

    ○内村参考人 社長が三回ないし四回でございまして、それ以外に会社の者その他は数回呼んでおりますので、正確な数字は後刻提出したいと思います。
  136. 小川国彦

    小川(国)分科員 記録の調書などはおとりになっていらっしゃいますか。それから、その三回ないし四回お呼びしたというのは、時期的にはいつで、そして時間はどのくらい事情をお聞きになったのですか。
  137. 内村良英

    ○内村参考人 記録はとってございます。それから、時期もいつであるかということははっきりわかります。時間はどれくらいかということは、大体一時間半ないし二時間聴取したわけでございます。
  138. 小川国彦

    小川(国)分科員 その時期的な記録、いまそこに関係者の方もいらっしゃるのですが、出せませんか。
  139. 内村良英

    ○内村参考人 ちょっと正確な日付はわかりませんので、特に藤井商事の社長以外を呼んだときなどについては資料がございませんから、調べて提出いたします。
  140. 小川国彦

    小川(国)分科員 藤井商事社長はいつごろお呼びになったのですか。
  141. 内村良英

    ○内村参考人 第一回が六月十六日でございます。
  142. 小川国彦

    小川(国)分科員 第二回は。
  143. 内村良英

    ○内村参考人 正確な日付は後刻提出させていただきます。
  144. 小川国彦

    小川(国)分科員 それはどなたが事情聴取をなさったのですか。
  145. 内村良英

    ○内村参考人 六月十六日のときには私がいたしました。その前に近藤常務が事情聴取をいたしまして、私自身が事情聴取をいたしました。
  146. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうすると、理事長が一回、近藤常務が一回。それからもう一回はどなたですか。
  147. 内村良英

    ○内村参考人 あとは、私と池田副理事長が聴取をしております。
  148. 小川国彦

    小川(国)分科員 最初から言うと、理事長が一回、近藤常務が一回、それから理事長と池田副理事長が一回、こういう形でございますか。
  149. 内村良英

    ○内村参考人 その十六日の事情聴取でございますけれども、午前中に近藤常務が事情聴取をいたしまして、午後、私が事情聴取をいたしました。それからあと、日付は私はちょっと記憶がございませんけれども、藤井社長自身が競馬会に来まして、ときには弁護士が立ち会ったことがございます。藤井側の弁護士が立ち会って、私と副理事長で事情聴取をしたことがございます。
  150. 小川国彦

    小川(国)分科員 そこで、理事長は、常務が携わったり理事長が携わって説明を聞いて、納得をされたわけですか。
  151. 内村良英

    ○内村参考人 ハンザダンサー号に関する限り、金の流れにつきましては事実は解明できたと思ったわけでございます。
  152. 小川国彦

    小川(国)分科員 どのように解明できたわけですか。
  153. 内村良英

    ○内村参考人 ハンザダンサー号につきましては、藤井商事とファッシングティプトンとの間にワールド・ホース・エージェンシーという会社が介在していたことがいろいろ聞くことによって判明したわけでございます。それで、本会から藤井商事に支払われましたハンザダンサー号の代金百二十五万ドルは同商事から同額がワールド・ホース・エージェンシーに振り込まれ、ワールド・ホース・エージェンシーはこの中から三十二万五千ドルを取りまして、残り九十二万五千ドルをファッシングティプトン社に支払い、これを受けたファッシングティプトン社は九十万ドルを馬主のティコーという人に支払ったという金の流れが判明したわけでございます。
  154. 小川国彦

    小川(国)分科員 その流れが判明したということですが、その裏づけとなる送金の記録、そういうものは全部確認されておりますか。
  155. 内村良英

    ○内村参考人 ハンザダンサー号につきましては、ワールド・ホース・エージェンシーからの受け取りはございます。
  156. 小川国彦

    小川(国)分科員 ワールド・ホース・エージェンシーに百二十五万ドル払って、それからティプトン社に九十二万五千ドル行ったわけですが、その残りの三十二万五千ドルがどういう流れをたどったかということも確認されておりますか。
  157. 内村良英

    ○内村参考人 それも確認されております。
  158. 小川国彦

    小川(国)分科員 それはどういう流れになっておりますか。ワールド・ホース・エージェンシーの口座にいつお金が払い込まれたか、それからワールド・ホース・エージェンシーからティプトン社に払い込まれたのはいつか。そして三十二万五千ドルの流れは、ワールド・ホース・エージェンシーからどういうふうにしてダーレイ氏の手に渡ったのか、それからダーレイ氏はその金をどこで受け取ったのか、アメリカで受け取ったのかヨーロッパで受け取ったのか、その点も明確になっておりますか。
  159. 内村良英

    ○内村参考人 藤井治商事からワールド・ホース・エージェンシーには五十二年の十一月七日、東京銀行本店から電信送金でカリフォルニア・ファーストバンクに百二十五万ドルが送られております。それから五十二年の十一月三日にワールド・ホース・エージェンシーから馬代金の一割の九万ドルが送られ、五十二年の十一月二十三日に八十三万五千ドルが手数料込みでユーロピアン・アメリカン・バンクのファッシングティプトン社の口座に送られております。
  160. 小川国彦

    小川(国)分科員 残りの三十二万五千ドルはどういう流れをたどっておりますか。
  161. 内村良英

    ○内村参考人 その点につきまして中央競馬会の調査員が銀行に行って調べたわけでございますけれども、明確なことはわからなかったわけでございます。
  162. 小川国彦

    小川(国)分科員 一番重要な点が確認されていないじゃないですか。三十二万五千ドルというものが一番疑惑を持たれている八千七百万円という金で、その流れが確認されてなかったら解明できたとは言えないじゃないですか。
  163. 内村良英

    ○内村参考人 ワールド・ホース・エージェンシーが百二十五万ドルを受け取ったという受け取りは私どもははっきり持っているわけでございます。それからその内部のことでございますけれども、そうした点がわからないものでございますから外国の調査機関に頼んでいるわけでございます。
  164. 小川国彦

    小川(国)分科員 一番肝心な点をあなた方自身で究明を怠っているわけですよ。そうでしょう。去年の七月七日の決算委員会で、百二十五万ドルを払ったワールド・ホース・エージェンシーの介在をあなた方は認めてなかった。あなたはだからこそ藤井治商事に不信を持ったのだ、それで返してもらったのだ、こう言っているわけでしょう。だから、そのことを藤井治商事にきちっと解明させる必要があるわけでしょう。そうでないからこの三十二万五千ドルという金の性格というものはいまだに解明されないわけですよ。あなた方が何年間にもわたって金を払ってきた藤井治商事に対して、あなた方がみずから彼の言うとおりに立証させる必要があるのです。  それで、私が藤井治商事の社長に会ったら彼は何と言っているか。農水省や中央競馬会が困るというのでしようがないから取り返してやったのだ、国際慣習上トラブルの起こるような金の取り返し方だけれども、競馬会の理事長が助かると言うから返してやったのだ、こう言っているのですよ。国民の税金を払っておいて、八千七百万という詐欺に等しいような手数料を取られていて、おれは当然な商行為で取ったのだ、しかし農水省や競馬会が困ると言うから、理事長が助かると言うのでその金を返してやったのだ、こう言っているのですよ。  この三十二万五千ドルの金がどういう流れをたどったのかというのは、皆さんがその藤井治本人にきちっとただしていけば究明できる問題じゃないですか。何も外国の興信所を頼んだり権威のある弁護士事務所を頼まなくても、あなた方自身が国内においてこの問題を究明できるはずじゃないですか。そういうことを行っているところにあなた方の一番大きな怠慢の責任があると思うのですよ。そうでしょう、一番疑惑の金の流れが何ら解明されてないのですから。  会計検査院来ておりますか。
  165. 内村良英

    ○内村参考人 ちょっと待ってください。私が藤井商事に返してくれたら助かるということを言った覚えは全然ございません。最初に受け取ってくれと言ったときに、私は断ったわけであります。そういうわけのわからぬ金は取れぬといって断ったわけでございまして、そんなことを言った覚えは全然ございません。
  166. 小川国彦

    小川(国)分科員 それでは、私はこの委員会に藤井治さんに来てもらいますよ、私が会った席でそういうことをはっきり述べているという事実を私も立証できるわけですから。そうすれば、これは藤井治商事の言っていることが正しいのか、あなたが言っていることが正しいのか立証できますから。  委員長、これは重大な食い違いがあるのですから、しかるべき機会にぜひ本人を呼んでもらってこれはひとつ究明させていただきたい、こういうふうに思います。
  167. 内村良英

    ○内村参考人 それから三十二万五千ドルにつきましては、私どもは藤井商事に対して追及したわけでございます。それに対して藤井商事は、ダーレイが手数料として取ったのだ、どうなっているかは自分らにはわからぬということで、そこでわざわざ現地に人を出しまして、ワールド・ホース・エージェンシーの事務所にも行きましたし、関係の銀行にも行ったわけでございます。それでもわからなかったというところから、外国の調査機関に調査を依頼しているわけでございまして、いま申し上げましたように、私どもとしては一生懸命追及したわけでございます。
  168. 小川国彦

    小川(国)分科員 私、藤井さんの言ったことは全部記録を持っているのですが、あなたの言っていることと全く食い違っているのですよ。これはいずれ国会の機関を通じまして、あなたとどう食い違っているかということの内容を究明させてもらいたいと思います。  時間がありませんので、会計検査院。五十二年にこの事件は起こって、そしてこの金が支出されて、昨年中央競馬会はこれを雑収入ということで歳入に入れている。当然国の財政支出であり収入でありますし、しかもその金の性格がきわめてあいまいで、いま申し上げたように三十二万五千ドルの金を何のために国が受け取るのか解明されてないのですが、会計検査院としてはこの収支についての確認はどういうふうになすっておりますか。
  169. 山口豊

    ○山口会計検査院説明員 お答えいたします。  実は今週月曜日から昨日まで、競馬会の本部に対する定例の検査を終えたばかりでございまして、いまだ十分な検討ということには至ってないわけでございますが、藤井商事からの仮受金を雑収入として整理したということに関しましては、昨年来の私どもの調査によりましても、この仮受金の受け入れを否定する、あるいは今後これを藤井商事等に返還することになるというような新しい事実は出ていないということ、あるいは今回の競馬会の処理でございますが、五十七年度決算の処理に伴う手続的なものであるという説明を受けているわけでございます。こういったことをいろいろ総合的に勘案してみますと、現在本件の処理については、特にこれを否定するというふうなことはできないのではないかと考えている次第でございます。
  170. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうすると受け取って当然、こういう考え方になりますね。
  171. 山口豊

    ○山口会計検査院説明員 昨年の夏の国会の審議等から見て受領されたということでございまして、その点については特にどうこうという意見は私ども持ってないわけでございます。
  172. 小川国彦

    小川(国)分科員 会計検査院は、泥棒の金でも返ってきたら受け取るということになりますね。
  173. 山口豊

    ○山口会計検査院説明員 いや、私は決してそういうふうに申し上げているわけでございません。一つの団体の経理処理としてそういうことはあり得るということで申し上げたわけでございます。
  174. 小川国彦

    小川(国)分科員 会計検査院はそういう内容を全然検討されないのですか。詐欺の金でも泥棒の金でも、入ってきて当事者がいいと言えばそれはそれでいいんだ、そうすると会計検査院は要らなくなってしまうじゃないですか。
  175. 山口豊

    ○山口会計検査院説明員 私が申し上げましたのは、この仮受金を雑収入として処理するということについての、現時点での考えということで申し上げたわけでございます。
  176. 小川国彦

    小川(国)分科員 会計検査院もこの金の性格というものの内容を吟味しないで、項目が雑収入であればいいだろう、泥棒の金でも詐欺の金でも雑収入ならいいだろう、これを肯定したということになると、あなた、大変なことになりますよ。会計検査院は、そういうことを検査する義務とか責任を感じないのですか。
  177. 山口豊

    ○山口会計検査院説明員 お答えします。  私ども昨年八月、先生の農水委員会でのいろいろな御論議、そういった趣旨等を踏まえまして、全力を挙げて調査してまいっているわけでございます。ただ、先ほど来の御審議でもございましたように、現在競馬会では昨年の国会の御趣旨を踏まえて鋭意調査を行っているわけでございまして、本件につきましては、私どもその結果を待って検討して結論を出したいと考えているわけでございます。
  178. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、この答弁納得できませんので、改めて違う委員会で会計検査院の責任をきちっとただしたいと思います。  最後に農水大臣、こういうようなことで、最初に大臣が申されたように、競馬会に対する疑惑の解明というのはまだされていないのですよ。この八千七百万円の金の解明ができないために新しいことしの予算の執行もできない。毎年十五億支出していた競走馬の輸入の予算が執行できない、こういうことになっているわけです。また、全国の七割を占める地元の日高の生産者からは、ことしは何とか十五億種馬を購入して、安い種つけ代金でその馬を使用させてくれという要望が来ているわけです。しかし、ロッキードじゃないですけれども、こういう不正事件の結末がつかないで次の予算を執行しませんと、これは理事長が国会で答えてきているのです。この問題の八千七百万円の解明がつかなければ新しい予算の執行ができないのですよ。早期にひとつ大臣としてこの内容の真相の究明をして、そしてその結末をきちっとつける、新年度の十五億程度予算の執行ができるように、これはひとつ大臣の先ほど申された指導監督の責任の中でこの解明をしていただきたいと思います。
  179. 金子岩三

    金子国務大臣 事実関係を十分調査させることにいたします。
  180. 小川国彦

    小川(国)分科員 終わります。
  181. 植竹繁雄

    植竹主査代理 これにて小川国彦君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る七日午前九時三十分より開会し、農林水産省所管及び総理府所管中環境庁について審査することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十三分散会