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1983-03-07 第98回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月七日(月曜日)     午前九時三十一分開議  出席分科員    主 査 橋本龍太郎君       石橋 一弥君    久野 忠治君       岩垂寿喜男君    沖本 泰幸君       坂井 弘一君    竹本 孫一君       楢崎弥之助君    兼務 上原 康助君 兼務 川俣健二郎君    兼務 沢田  広君 兼務 湯山  勇君    兼務 岡田 正勝君 兼務 四ッ谷光子君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      丹羽 兵助君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   山本 幸雄君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      齋藤 邦吉君  出席政府委員         内閣官房長官 藤波 孝生君         内閣官房内閣審         議室長         兼内閣総理大臣         官房審議室長  禿河 徹映君         内閣法制局第一         部長      味村  治君         人事院事務総局         管理局長    加藤 圭朗君         内閣総理大臣官         房会計課長         兼内閣参事官  渡辺  尚君         内閣総理大臣官         房広報室長         兼内閣官房内閣         広報室長    小野佐千夫君         内閣総理大臣官         房地域改善対策         室長      水田  努君         内閣総理大臣官         房総務審議官  手塚 康夫君         総理府賞勲局長 柳川 成顕君         警察庁長官官房         長       太田 壽郎君         警察庁長官官房         会計課長    森田 雄二君         警察庁交通局長 久本 禮一君         警察庁警備局長 山田 英雄君         行政管理庁長官         官房総務審議官 門田 英郎君         行政管理庁長官         官房会計課長  前山  勇君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         防衛庁人事教育         局長      上野 隆史君         沖縄開発庁総務         局長      関  通彰君         沖縄開発庁総務         局会計課長   大岩  武君         沖縄開発庁振興         局長      藤仲 貞一君  分科員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    柴田 知子君         内閣総理大臣官         房参事官    川崎 幸雄君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  田中  滋君         法務省訟務局民         事訟務課長   篠原 一幸君         外務省欧亜局ソ         ヴィエト連邦課         長       丹波  実君         大蔵省主計局主         計官      藤原 和人君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 太田 幸維君         大蔵省銀行局大         臣官房企画官  永田 俊一君         厚生省援護局業         務第一課長   森山喜久雄君         郵政大臣官房参         事官      桑野扶美雄君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ───────────── 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     西中  清君   竹本 孫一君     中井  洽君   楢崎弥之助君     伊藤 公介君 同日  辞任         補欠選任   西中  清君     沖本 泰幸君   中井  洽君     塚本 三郎君   伊藤 公介君     小杉  隆君 同日  辞任         補欠選任   沖本 泰幸君     有島 重武君   塚本 三郎君     和田 一仁君   小杉  隆君     石原健太郎君 同日  辞任         補欠選任   有島 重武君     斎藤  実君   和田 一仁君     中井  洽君   石原健太郎君     菅  直人君 同日  辞任         補欠選任   斎藤  実君     坂井 弘一君   中井  洽君     竹本 孫一君   菅  直人君     楢崎弥之助君 同日  第二分科員岡田正勝君、第三分科員四ッ谷光子  君、第五分科員上原康助君、湯山勇君、第七分  科員沢田広君及び第八分科員川俣健二郎君が本  分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計予算  昭和五十八年度特別会計予算  昭和五十八年度政府関係機関予算  〔総理府所管総理本府、警察庁行政管理庁沖縄開発庁)〕      ────◇─────
  2. 橋本龍太郎

    橋本主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和五十八年度一般会計予算昭和五十八年度特別会計予算及び昭和五十八年度政府関係機関予算総理府所管について審査を進めます。  まず、総理府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川俣健二郎君。
  3. 川俣健二郎

    川俣分科員 いただいた三十分で戦後処理、この問題だけにしぼって伺います。  総理府厚生省おいでになっていただいておりますが、戦後処理、古くて新しいというか、なかなか年月のかかる諸問題があると思うのですが、いまだに未処理懸案事項になっている問題はざっとどのぐらいあるのか、一体どういうような問題、頭に浮かんでいるあれでもいいのですが、審議室長にまず伺って……。
  4. 禿河徹映

    禿河政府委員 いわゆる戦後処理問題、その範囲は一体どういう程度のものであるかというのも、いろいろの考え方によりまして差異があるところだと存じます。ただ、一応政府といたしましては、昭和四十二年に引き揚げ者に対します特別措置を講じました際に、戦後処理の問題はこれをもって全部終了したものと考えるということで来たわけでございますが、その後いろいろ各方面からの御要望等が出てまいりました。その主なものは、在外財産処理の問題、それからいわゆる恩給欠格者の問題、さらにシベリア強制抑留者に対します問題、この三つが特に最近数年間におきまして大きく取り上げられてきた事柄でございます。したがいまして、その範囲を非常に拡大いたしますれば各種の問題はあろうかと存じますけれども、最近におきます主要な問題はその三点、さらに、それに関連する事項があるというふうなことではないか、かように考えております。
  5. 川俣健二郎

    川俣分科員 在外財産恩給欠格者シベリア抑留者三つを挙げられたのですが、厚生省の方から見るとどうですか。
  6. 森山喜久雄

    森山説明員 ただいまの三つの問題が当面の問題であるというように了解しております。
  7. 川俣健二郎

    川俣分科員 その中でシベリア抑留者の問題ですが、大臣承知かと思うのでございますが、五十万人まだ、まだというか大分亡くなられた方々も多いのでございますが、現地で亡くなった方もおるわけですが、五十万人を超える該当者が結集した組織——大臣、この問題を、事務的には結構なんですが、何とかしてやらなければいかぬというように思っておられるのか、もう大概にしてというように思われるのか、その辺ちょっと伺いたいのですが……。
  8. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 ただいま審議室長の方からも先生のお尋ねにお答えいたしましたように、政府も考えなくてはならない問題もたくさんあるようでありますし、政府としては一応切りがついた、片づけたというような考えは抱いておりまするが、しかし、いま申し上げたように世間からいろいろの要望等出てまいりまするし、特にシベリア抑留者方々の御苦労を思いまするときに、これは特別私どもとしても考えねばならないことの一つかと思いまして、いまお話がありましたように戦後処理問題のあの場において、懇談会と申しますかあそこにおきまして、目下いろいろな問題等含めまして検討さしていただいておるわけでございます。決して、このシベリア問題を私どもは軽く見ていないということだけを申し上げておきたいと思います。
  9. 川俣健二郎

    川俣分科員 大臣も特別考えなければならないと思っておられるし、軽くは考えていないという表明がございましたので論議がかみ合うと思うのですが、それじゃ室長、いま調査費予算化しておりますね。どういうものをやろうとしておられるのですか。またやってきたのですか、五十七年度初めて予算化した。
  10. 禿河徹映

    禿河政府委員 戦後処理問題につきまして、ただいま総務長官からお答えしましたとおり懇談会総理府に設けまして、これは総務長官私的諮問機関でございますが、昨年の六月から先ほど申し上げましたシベリア抑留者の問題、恩給欠格者問題及び在外財産の問題、その三点を中心に御検討を願っておるわけでございます。  そのための所要の経費といたしまして、総理府の方で五十七年度五百万円の予算を計上させていただきました。さらに五十八年度におきましても、予算案におきまして同額の五百万円を計上いたしてございます。その経費をもちましてこ懇談会運営を行ってまいりたい、かように考えております。
  11. 川俣健二郎

    川俣分科員 それで、お茶菓子代だろうか、五百万というのは三つの項目の懇談会の総費用と思うが、これはメンバーも同じメンバー三つ論議する懇談会ですか。別々にあるわけですか。
  12. 禿河徹映

    禿河政府委員 懇談会メンバーといたしまして、七人の有識者の方をお願いいたしてございます。この七人の方に、そもそも戦後処理問題というものはどう考えるべきかという基本論から、さらに先ほど申しました三つの問題につきまして御検討を願っておるものでございまして、テーマ別に分かれておるというものではございません。
  13. 川俣健二郎

    川俣分科員 何回やりましたか。
  14. 禿河徹映

    禿河政府委員 昨年の六月三十日に第一回の会合を始めまして、その後おおむね月一回程度のペースで御審議を願っております。現在までに五回終了いたしましたが、あす第六回目を開催する予定でございます。
  15. 川俣健二郎

    川俣分科員 あした第六回目と伺っておりますが、これは単なるフリートーキングですか、それとも総理府の方からテーマを出してやっているわけですか。
  16. 禿河徹映

    禿河政府委員 昨年の六月三十日の第一回の会合におきまして、この懇談会運営をどういうふうにしようかということの御論議もちょうだいいたしました。それぞれ大変困難な問題でございますし、さらにその処理いかんによりましては相互に関係するところもあり得るというふうなことから、七名の方々にこういうテーマにつきまして御検討をいただくということになったわけでございますが、その際、むずかしい問題であるだけに、戦後、各省において一体いかなる行政面での施策が講じられてきたか、その辺の経緯、それから、行政のいままでとってきた措置経緯等々につきまして、まず関係各省から十分ヒヤリングを行おうということで、現在まで、各省のとってまいりましたこれまでの援護行政内容とか経緯、あるいは問題点の所在等々をこの懇談会ヒヤリングしておる、こういう状況でございます。
  17. 川俣健二郎

    川俣分科員 官庁からヒヤリングを続けてきただろうが、やるやらないは別として、もう大体あしたあたりは方向づけを持ってもいい段階と思うのだが、困難と室長はおっしゃるが、三つの中でどれが一番困難でございますか。
  18. 禿河徹映

    禿河政府委員 いずれのテーマをとってみましても、大変むずかしい問題をはらんでおる問題ばかりでございまして、その中でどれが特にむずかしいというふうな判断はなかなかつきかねて、いずれも大変むずかしい問題だ、かように考えております。
  19. 川俣健二郎

    川俣分科員 やる気があれば困難も困難でなくなるのだが、お金がないから困難なのか。  たとえば、抑留問題だけを取り上げてみますと、抑留者というのはどこの国にもあったわけだ。ところが、フランスイタリードイツはもうすでに法令化されて実施しておる。御承知ですか。御承知であれば、日本の国はなぜ困難だろうか。どうです。
  20. 禿河徹映

    禿河政府委員 戦時中の外地での抑留者に対しまして各国がどういう措置をとってきたか、ドイツにも法律がございますが、そういうドイツ法律内容だとかあるいは各国がとってまいりました措置内容、これにつきましても懇談会関係各省説明を求めてきたりしてまいりました。そういう意味におきまして、懇談会の各委員先生方もその内容はよく御存じだと存じております。  ただ、各国においてそういう措置がとられたから、直ちに同じような措置日本においてとるべきかどうかという問題になりますと、それぞれ国情の差もございますし、これまでとってまいりました措置内容の上におきましても差がございます。そういう点を踏まえまして、日本においてどういうことを考えていくべきか、どういう措置が適当かというふうな問題をこれから詰めて考えてまいらなくてはならないことであろう、かように考えております。
  21. 川俣健二郎

    川俣分科員 フランスの場合は一九七六年、イタリーの場合は一九五〇年。私は、こういった国と全く同じものをつくれと言っているのじゃないんだ。国情が違うのは知っているよ。知っているが、ジュネーブ条約にともに調印した国として、なぜ日本だけができないのだろうか。素朴な答弁でいいですから、答弁してください。
  22. 禿河徹映

    禿河政府委員 戦後処理一般の問題を考えてみます場合に、さきの大戦におきましては、すべての国民程度の差こそあれ、生命、身体あるいは財産上の犠牲を余儀なくされたところでございます。国民の一人一人の方々に、それぞれの立場で受けとめていただかなくてはならない。大変犠牲をお願いするようなことで恐縮でございますが、やはり一人一人の方にそれぞれの立場で受けとめていただかなくてはならない、こういうことがございます。  もちろん、その間におきまして、特に国の援護なり助成が必要だと思われる措置につきまして、戦後四十二年まで各般の据置が講じられてきたわけでございます。大変気の毒な方々がまだおられるかと思いますが、それをもちまして、戦後処理に関します一切の措置は終了したものと政府は考えてまいったわけでございます。  その後、先ほど申しました三つの点につきまして、各方面からの御要望がございます。もちろん、その声を無視するわけにはまいりませんので、私ども懇談会におきまして、そういう問題についてどう考えていくべきか、どのような措置が必要かということにつきまして、有識者方々の御意見をいま求めておる、こういう状況でございます。
  23. 川俣健二郎

    川俣分科員 もう少し具体的に処置する姿勢になってもいいと僕は思います。総理府というのは、その他属せざるものを全部やるというのが総理府だろうが、しかし、国としては戦後処理大概終わったと思っておったけれども、各方面から出てきたのでという経過経過として、とうとい三十分の間にせっかく大臣の方から在外財産恩給欠格者シベリア抑留者、この三つは大事だと思うと、特にシベリア抑留者、どうですかと私が聞いたら、特別に考えている問題であり、決して軽くは考えていないというところまで進んでいったから、論議が絡みました。  そこで、今度は室長が、なかなかむずかしい、こう言うが、むずかしいと言うなら、どこの国だってむずかしいじゃないか。一人一人によく受けとめてもらいたいというのは、どこの国だって該当者に受けとめてもらおうと思っておるのだろうが、しかし、ジュネーブ条約の問題もあり、各国が積極的に実施し出した、法律もつくった、予算化もした。余りはぐらかしてしゃべられると、どうせ三十分川俣質問は終わるのだからということであるのだろうが、それでは全然だめなんだ、そんな態度は。  そこで、御承知のように、これは未来永劫に続く予算でもなければ、法律でもないわけだ。大概腰が曲がったり、頭の上が白くなったり、何もなくなったり、そういう人方が待っているわけだから、そこでとても待てない、選挙のときはまあうまいことを言って、今度はやってあげると言うて、あの組織は革新の方ばかり見ているから、自民党独自の組織をつくろうかなんて言ってみたり、そんなことはよしなさいよ。  では、法務省に聞くけれども、いまの裁判経過はどうなっていますか。
  24. 篠原一幸

    篠原説明員 御質問訴訟事件は、現在までに一次から三次までの三件が提訴されまして、いずれも東京地方裁判所に係属して、三件が併合して審理されております。第一次の訴訟昭和五十六年四月に九名の方から、また第二次の訴訟は同年八月に四十八名の方から、また第三次訴訟は五十七年一月に一名の方から、それぞれ国を被告として提起されたものでございます。  訴えの内容は、訴状によりますと、原告の方々中国東北地区、当時の満州国日本軍の兵士として駐屯していたが、わが国が降伏いたし、武装解除を受けた後において、引き続いてソ連に捕虜としてシベリア等に移送され、長期間の抑留中、粗食等のもとに非人道的取り扱いを受け、またノルマ制等により過酷な肉体労働を強制され、損害をこうむったとされまして、国に対し、総額二億四千六百二十万円の補償または損害賠償を請求するものでございます。  裁判進行状況は、現在までに九回の口頭弁論期日が開かれまして、当事者双方法律上の主張が行われておるという段階でございます。
  25. 川俣健二郎

    川俣分科員 このように、待てない、だから裁判に訴えるしかないということが出てきたわけだが、諸外国がみんなやっておるのに、なぜ日本ができないのか。そんな、最初から金額を要求どおりに考えるなんというからむずかしくなるのであって——これから中曽根内閣の政治というのは北の方に向いていくようだから。バックファイアを相手じゃなくて、漁業問題とか、この間の大型経済使節団、北方領土の話し合い問題。この間、レニングラード、ここの領事も、ハルビン大学を出てあちらにずっと御勤務が続いておる方なんだが、そのハルビン大学の同級生に柳さんという人がいまして、この柳さんがやはりシベリア抑留になった。この方は南鮮の御出身の方で、韓国の方である。モスクワで通訳をやって、この間日本にも来ました柳さん。したがって、われわれと同じ年代だ。いろいろと調査研究は必要だろうが、さっきも申し上げましたように、もう何とか結論めいたものを出す時代ではないかと思うのですが、その見通しをどうしても聞かしてもらわなければいけない。  その前に、外務省来ておりますか。
  26. 橋本龍太郎

    橋本主査 いまだ到着つかまつりません。
  27. 川俣健二郎

    川俣分科員 さっき何かメモを持ってきたけれども、まだですか。
  28. 橋本龍太郎

    橋本主査 飯倉公館永野使節団帰国報告のところから抜けてくるというのが、まだ到着をしておりません。
  29. 川俣健二郎

    川俣分科員 わかりました。  それでは総理府、一体、室長が二年ぐらい腰かけている間に何とか検討していれば、次の室長に譲っていけばいいんだろうというぐらいで考えているのかな。どうですか。
  30. 禿河徹映

    禿河政府委員 懇談会結論がいつ出されるのか、ちょっと私どももはっきりいたしておりませんが、昨年の六月、第一回開催いたしましたときに、いろいろむずかしい問題なので、懇談会としてはやはり結論が出るまでに少なくとも二年ぐらいはかかるのではなかろうか、こういうのが懇談会委員の方の大方の御意見でございました。したがいまして、二年ということになりますと来年の夏ごろということに相なろうかと思っておりますが、今後の審議状況を踏まえまして、私どもも、できるだけ早く結論を出していただくよう鋭意努力してまいりたい、かように考えております。
  31. 川俣健二郎

    川俣分科員 全くあなた任せという感じだね。二年。  いま、年齢平均どのぐらいなんですか。
  32. 禿河徹映

    禿河政府委員 シベリア抑留されまして帰られた方々約五十万人でございまして、終戦前後に旧満州あるいはその後シベリアにおられた方々でございますので、私、その平均年齢をちょっと存じませんけれども、その辺からまいりますと、やはり五十代の後半から六十代にかけての方が大部分であろうかと、かように考えております。
  33. 川俣健二郎

    川俣分科員 厚生省、どうですか。六十ぐらいまででとまりますかね。
  34. 森山喜久雄

    森山説明員 戦後三十七年でございますから、一番若い方でも五十八歳ぐらい、まあ大体六十代の方がほとんどじゃないかというふうに考えております。
  35. 川俣健二郎

    川俣分科員 室長、計算してみてくれよ、戦後三十八年なんだから。五十五から六十の間じゃないんだ。むしろ、ほとんどが六十以上ですよ。  われわれの周りにだれかおりますか、代議士とか役人さんとか。まあ役人はいないだろうけれども、有名な人ではどういう人方ですか、抑留者で。あなた、頭にありますか。
  36. 禿河徹映

    禿河政府委員 その辺の年代方々であることは私ども十分頭に置いておりますし、また、そういうことを念頭に置いて今後も検討さしていただきたいと思います。
  37. 川俣健二郎

    川俣分科員 今後も検討さしてもらいたいけれどもあなた任せ懇談会結論が来年の夏ごろでしょう。それからですか。
  38. 禿河徹映

    禿河政府委員 その年代等々を考えますと、できるだけ早く結論を出していただきたい、かように私どもももちろん考えておりますが、何分にも大変むずかしい問題を中にはらんでおりますだけに、慎重な御審議もまたお願いをしなければならない、こういうつらい面もございます。懇談会メンバー方々も、その点、年齢等々の問題につきましても十分頭に置いておられまして検討をしていただけるものと考えておりますし、私どもも、できるだけ早く結論が出ますように鋭意進めさせていただきたい、かように考えます。
  39. 川俣健二郎

    川俣分科員 もう少しその辺の理解を深めると、そうすると、来年の夏ごろで二年になるわけだが、その結論を機械的に待つことなく、総理府も積極的にかんでいきながら、その前に方向づけをするなり、この五十万人の要望にこたえてやるという気持ちもある、こういうことですか。
  40. 禿河徹映

    禿河政府委員 繰り返しのようで大変恐縮でございますけれども、これまで政府といたしましては、戦後処理問題は全部解決した、こういう姿勢で国会でも御答弁申し上げてきた事柄でございます。しかし、それだけではいわばおさまらないと申しますか、問題の完全な解決ではない、こういう方々の御意見もございまして、この戦後処理問題懇談会というものを設けて、中立的な有識者の方の御意見を承ろう、こういうことで発足いたしたわけでございますので、私どもといたしましては、やはりこの懇談会の御意見が出るのをお待ちして政府としての対応策を考えてまいる以外にない、かように考えております。
  41. 川俣健二郎

    川俣分科員 あなた、大変な、大臣答弁以上の答弁の仕方をする方ですね。政府としては戦後処理は終わったというように一たん考えたが、こういうような問題があるということで三つの問題が新たに出てきたので、これを重要と受けとめ、この処理に取り組もうとしておる姿勢大臣答弁をしておるのでしょう。そうすると、このシベリア抑留の問題だけは、来年の夏ごろまでに懇談会結論が出ない限りはてこでも動かぬ、こういう意味ですか。
  42. 橋本龍太郎

    橋本主査 いま外務省が到着しました。あなたの時間は切れていますから、簡単に頼みます。
  43. 禿河徹映

    禿河政府委員 決して私どもてこでも動かないとかいうかたくなな姿勢でおるわけではございません。シベリア抑留者の問題は、大変重要な問題と受けとめております。ただ、ほかの問題とあわせまして、現在懇談会で御論議をちょうだいいたしておる状況でございますので、その結論が出るまで待たせていただきたい。それが出ました段階で、政府としてその懇談会の御意見十分尊重しながら考えてまいりたい、かように考えております。
  44. 橋本龍太郎

    橋本主査 川俣君、時間が来ておりますので、あと一問、外務省についての質疑で終了してください。
  45. 川俣健二郎

    川俣分科員 外務省質問しても、いままでの経過がわからないと思うのでやめますが、最後に大臣、どうですか。結局、これは政治決断というか意思決定だと思います。減税と同じで、人勧と同じで、武器と同じで、審議はみんな終わった問題と同じです。問題は意思決定なので、大臣の決意のほどを伺って終わります。
  46. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 先ほど来述べておりますように、政府としては、ソ連の強制抑留者に特別の措置を講ずるということは、いままでの戦後処理は済んできたという考えに立って、特別な措置を講ずることは考えない、こういう立場をとっておりますが、先生からの御指摘のように各種の要望がありますので、ソ連強制抑留者問題に関しても、戦後処理問題懇談会においてこれは何とか検討しなければならぬということで現在検討が進められておるところでございます。いま私の立場ではっきり申せ、こうおっしゃっていた先生のお気持ちもよくわかります、また、私も理解できぬわけではございませんが、いま政府としての立場は、その結論を待ちたい、懇談会で出していただく結論を見て処理をしていきたい。いま先生と私の間で政治的に言えとおっしゃっても、それより一歩を踏み出すわけにいかぬということで御了承賜りたいと思います。
  47. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて川俣健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  48. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 賞勲関係にお伺いいたします。  汚職関係で有罪の判決を受けた政治家は、叙勲の対象になりますか。
  49. 柳川成顕

    ○柳川(成)政府委員 栄典の受章者は、受章にかかわる十分な功績が認められることはもとよりでございますが、同時に、人格等においても社会的に非難されるものがあってはならないことは当然のことでございますので、犯罪歴のある者については、刑の軽重に従いまして一定期間内は一切栄典授与の対象としておりませんが、当該期間を経過した場合には、一応栄典授与の対象として取り上げる道を開いているところでございます。
  50. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 一定の期間とは、どういう期間ですか。
  51. 柳川成顕

    ○柳川(成)政府委員 内規の概要はいろいろございますが、たとえば懲役または禁錮刑、これは執行が終わってから二十年、ただし執行猶予期間の満了、または恩赦の場合は、刑の確定から十五年。たとえば罰金刑のような場合は罰金完納から十年、ただし執行猶予期間の満了または恩赦、刑の確定から五年、こういうことになっております。
  52. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、執行猶予がついておる際には、その執行猶予期間が終わってから十五年、こういうことですね。
  53. 柳川成顕

    ○柳川(成)政府委員 そのとおりでございます。
  54. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いまの条件に該当して叙勲を受けた政治家、国会議員、地方議員、何名おられるかわかりますか。
  55. 柳川成顕

    ○柳川(成)政府委員 ちょっと前の答弁が違っておりましたので、訂正させていただきます。執行猶予期間の満了をした者は、刑の確定から十五年ということでございます。  それから、ただいまのお尋ねの点でございますが、そういう統計をとっておりませんので、何人おるかというのは直ちにはお答えいたしかねます。
  56. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 以下お伺いすることは警察関係にも一部関連をいたしますから、そういう意味で前段の質問をまずやりたいと思うのであります。  実は、本年度のこの予算委員会で私が取り上げましたクーデターの未遂の問題であります。これは実はもう一つ主要な問題がありまして、付随的にそれが明らかになったのであります。で、その主要な問題とは、いわゆる超音速高等練習機T2に関係する問題であります。以下、どのようなつながりがあるかは私の三十分質問の一番最後で明らかにいたしたいと思います。  まず、五十七年十一月十四日に起こりました浜松基地内におけるブルーインパルス、この演技において六機編隊のうちの四番機、高嶋潔、当時の一尉が殉職をいたしました。この墜落原因について調査委員会を設けて調査が行われておると思いますが、まず調査委員会のメンバーを明らかにしていただきたい。
  57. 上野隆史

    ○上野政府委員 メンバーの具体的な名前につきましては、ちょっといま手元に資料がございませんけれども、事故を起こしました現地の第四航空団、その上を統括する飛行教育集団、それから航空幕僚監部、それぞれ順を追って上がってまいるわけでございますが、一応制服のメンバーがその主要なものでございます。
  58. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それは後ほど私のところにそのメンバーをきちっと資料として御提出をいただきたい。  次に、結論がおくれておると思いますが、そのおくれておる主たる原因は何でありましょうか。
  59. 上野隆史

    ○上野政府委員 航空事故の処理に関します防衛庁内部の訓令におきましては、先生承知かと思いますが、事故が起こってから四カ月以内に結論を出すということになっております。  ただ、この事故調査委員会の職務といいますのは、刑事、民事の責任を問うものではない、その基礎資料にしてはならない、あくまでも飛行安全という見地から、その事故原因の真相を究明するのだ、こういうたてまえになっております。  いずれにいたしましても四カ月ということで、今回の事故につきましては、大変特異な大事故でございます。従来も例がございますが、こういう大事故につきましては、この四カ月という期限は必ずしも守られません。大体従来の経験でありますと、これは民間機の事故も同じでございますが、おおむね一年近くかかるという例はございます。  その主たる原因でございますが、いま申し上げましたような特殊な大事故であったということと、それからこれにつきましては民間の方に被害を及ぼしておりますので、警察の方も当然その御職権として、証拠物件と申しますか、散乱した航空機の破片等、あるいはパイロット等につきましての事故調査、刑事責任追及のお立場での調査がございます。それが先行いたしております。
  60. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いろいろ調査遅延の原因はあると思いますけれども、そのうちの主たる原因は、あの昨年十一月十四日のブルーインパルスの六機編隊の指揮官でありました塚原公悦一等空佐が、あの事故が起こってから調査にたえ得るような状態ではなかったということではありませんか。
  61. 上野隆史

    ○上野政府委員 編隊長は、一等空佐ではございませんで三等空佐でございまして、塚原公悦でございます。  ただ、当人が先生の御指摘のような調査にたえ得ない状態であったということは聞いておりません。事故当時、当日とか翌日とか、それは大変本人も責任を痛感しておる、編隊長という職責からいってそれは当然のことと思いますけれども、その後は平静に落ちついておるという報告を受けております。
  62. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その報告は間違いであります。つい最近正常に戻ったのではありませんか。後ほど正確な御報告を願いたい。  藤波官房副長官は、きょうは後藤田長官が来ておられませんから、後藤田長官にもいまの点を確かめてください。
  63. 上野隆史

    ○上野政府委員 事故当日あるいは翌日あるいはその近辺、その当時は、責任を痛感するということでございまして、周りも心配いたしておったという状況はないわけではございませんでした。ただ、現在は、教官として飛行も実施をいたしております。通常の職務に復しております。
  64. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いつからそういう状態になりましたか。
  65. 上野隆史

    ○上野政府委員 恐縮でございますが、いつからということの資料を持っておりません。
  66. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 調査委員メンバーの報告と同時に、後ほどそれを明確にしてください。ごまかしてもだめです。私はちゃんとわかっているのです。正確に御報告をいただきたい。  T2の購入機数を、年度ごとに明らかにしてください。
  67. 上野隆史

    ○上野政府委員 これは調達ベースでございますが、四十四年度が二機、四十五年度が二機、四十七年度が二十機、四十九年度が二十二機、五十一年度が十七機、五十三年度が三機、五十四年度が十一機、五十五年度が四機、五十六年度が六機、五十七年度が五機、合計いたしますと九十二機に相なります。
  68. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 四十八年度が抜けている。
  69. 上野隆史

    ○上野政府委員 四十八年度は、調達をたまたまいたしておりません。抜けておりますのは、五十年度も抜けております。
  70. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 通常T2B1と言われておる機種は、当初のT2とどういう関係になっておるのですか。T2B1というのは、三型という意味ですか。——時間がもったいないから、後ほどわかったときに知らせてください。  それで、われわれもある程度勉強いたしておりますが、事故原因で想定されるのは、機体そのものの構造上の欠陥があるのではないか。二番目に、パイロット本人のミスがあったのではないか。三番目に、指揮官の最初の下向空中開花、ブレーク・ナウの時期がおくれたのではないか。原因はそのうちのどれかであろう、あるいはそのうちのどれかが複合しておるかもしれない、おおよそそういうことであろうと私は推測をするわけです。  そこで私は、いろいろいままで調べたところでは、どうもT2の設計上に無理があったのではないかという疑問を強くいたしておるのであります。それで、T2の最初の設計をつくる際に、防衛庁は三菱に対して、将来FST2改になることを前提にしてT2の設計を依頼されたかどうか。
  71. 橋本龍太郎

    橋本主査 楢崎委員に申し上げますが、防衛庁からあなたが指名してお呼びになったのは人事教育局だけですが、大丈夫ですか、人事教育局長でおできになるかどうか。
  72. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 わからぬのは後で一括して御報告いただいていいですから。
  73. 上野隆史

    ○上野政府委員 いま委員長から御指摘がございましたように、私、人事教育局長でございますが、担当者が来ておりますので、その意見を聞きながら御答弁申し上げております。  先ほどの先生の御質問でございますが、F1、これはT2の高等練習機の航空機そのものに支援戦闘機としての能力を付加したものでございまして、T2の航空機として、性能及び特性をそのまま使用いたしておりますし、T2及びF1に共用できるようにT2を設計変更したということはございません。
  74. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 委員長、このブルーインパルスのことを聞くならば人事教育局長だと聞いたものですから、私はそれで足りると思ってあれしたのです。重ねて言いますが、ここでいろいろ追及する気はありませんから、いまお答えになれぬ分は後ほど一括して御報告をいただきたい。  そこで、いまあなたは、どうも私が聞いていないことを先に何か気を配って答弁をしておるようですね。私はその意味はわかるのですよ。私が聞いておるのは、T2の最初の設計を頼むときに、これは高等練習機ですから、そのときに、これは将来FST2改にするのだ、対地支援戦闘機にするのだということも含めて、それも考えてT2の設計をしてくれと三菱にお頼みになったかということを聞いておるのだ。
  75. 上野隆史

    ○上野政府委員 当初の設計段階、つまりT2を頼むときの設計段階からそういうものを設計に入れておったということはないということでございまして、なお、詳細につきましては、後ほど担当者から先生の方に御説明、御報告に参上したいと存じます。
  76. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 つまり、いま明らかになったことは、T2を最初頼むときに、これは将来FST2改に兼用するつもりで設計を頼んだということではないというのがいまの答弁であったと思うのですね。そうすると、途中からT2をFST2改に変えたわけですね。変えたというか、T2はそのままで、そのT2の設計を変えずにFST2改に変えたということになるわけですね。そうすると、途中から変えたのですから、当然爆装にふさわしい若干の設計上の手直しがあったと想定されますが、その点はどうですか。
  77. 上野隆史

    ○上野政府委員 T2は御承知のように練習機でございまして、複座でございます。これをF1に改装するに際しましては、複座の後席の教官パイロットの乗るスペースを利用いたしまして、そこに所要の電子機器あるいは武装のコントロールシステム等々を組み込んだわけでございます。なお、尾翼等も多少通信用の設備といたしまして形も変わっております。  ただ、そういうことで改装はいたしましたが、基本的なT2の性能、そういうようなものにつきましては、端的に変化はございません。
  78. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 その四番機の記号番号は一九—五一七四、これはどういう意味ですか。
  79. 上野隆史

    ○上野政府委員 いま先生のおっしゃった全部の記号につきましては、ちょっと資料がいま手元にございません。
  80. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これも後ほどお願いします。記号番号の読み方ですね。  次に、T2にどうも、欠陥とまで言えるかどうかわからないが、設計上ミスがある。これに乗っておる第一線のパイロットから苦情が出されたことがありますか。
  81. 上野隆史

    ○上野政府委員 T2あるいはF1を採用いたしまして以来、そういうことは私ども余り聞いたことがございません。それで、今回の楢崎先生の御提案になりました問題に関連いたしましても、特に私ども入念にその点は関係者に聞いたわけでございますが、特段の不平というようなものは上がってきておりません。
  82. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これもあなたが聞いていないだけであって、上層部に第一線のパイロット、実際にT2に乗っておる人たちから意見具申があったはずである。これを正確に調べて、これも後ほど御報告をいただきたい。もし意見具申があった際に上層部はどういう取り扱いをしたか、これも一緒に御報告をいただきたい。  私は、以上のことが明らかになった後に、別の機会にこれはさらに解明を続けたいと思いますが、ここでごまかしの御報告をなさらないように、あらかじめ警告をいたしておきます。非常に重大な問題です。事と次第によっては最高のポストまで責任を負うことになる。慎重に御報告をいただきたい。  次に、東京新聞の三月五日の朝刊の記事、私が指摘したクーデターというのが、名前がどう変わるかは別として、内部改易というようなことを言っていますけれども、その記事を読まれて政府はどのように受けとめておられますか、藤波官房副長官の御意見を聞きたい。
  83. 藤波孝生

    ○藤波政府委員 先般楢崎議員から御質問のありました自衛隊のクーデター計画について、その後、防衛庁の方で調査をいたしまして、その結果を受け取っております。  その報告によりますれば、そのようなクーデターの計画はなかったという明らかな報告になっておりまして、記者団に尋ねられて官房長官もそのように答えておるということで、計画はなかったという政府の見解を示しておるところでございます。  東京新聞を見まして、そのような話が内部にあるのかなということについていろいろと検討をいたしまして、重ねて防衛庁にいろいろ調査を命じておりますが、そのような内部の動きはないという報告を受けておりまして、新たな調査を命ずるということにはならないか、こんなふうに考えておるところでございます。
  84. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、三月二日の一般質問で、この事実について、その時点から十日前後の間にさまざまなことが明らかになるであろうということを予告をしておきました。東京新聞の記事はその一つであります。なお引き続いていろいろなほかの事実が明らかになるものと私は確信をいたしております。いまのままで進めば、政府は責任を逃れることのできないところにいまのような態度であれば追い込まれるであろうと予測をいたします。  そこで、法制局と警察関係の方にお伺いをいたしますが、東京新聞の内容を読まれたと思いますけれども、もしああいうことが、事実計画があって実際は着手には至らなかったことも明らかであります。それが後刻明らかになった際に、証拠をもって明らかになった際にはどういう自衛隊法上あるいは刑法上の責任を問われることになるでありましょうか。どちらでも結構です、法制局でも警察関係でも。
  85. 味村治

    ○味村政府委員 実は、申しわけございませんが、東京新聞をまだ詳細に読んでおりませんので、事案の内容を存じておりませんし、また報道された事実が真実であるとは現段階で断定できないわけでございます。そういうわけで、全くの法律論の一般論を申し上げるわけでございますが、刑法第七十八条に「内乱ノ予備又ハ陰謀ヲ為シタル者ハ一年以上十年以下ノ禁錮ニ処ス」という条文がございます。そういう規定があるということを申し上げておきたいと存じます。
  86. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 おっしゃるとおり、もしあの内容が事実であれば、事実と仮定した場合にはどういうことが予想されるかということをお伺いしておるわけです。自衛隊法上との関係はどういうことになるでしょうか。
  87. 上野隆史

    ○上野政府委員 自衛隊法上は、仮に、ただいま法制局の方から御答弁のありましたような犯罪がもしあったといたしますれば、これは自衛隊員として当然ふさわしくない行為ということになります。いわゆる行政庁としての行政処分の対象に十分なり得るものでございます。
  88. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 第何条ですか。
  89. 上野隆史

    ○上野政府委員 自衛隊法の四十六条に該当すると存じますのですが、懲戒処分ですね。そのほかに、上官の命令違反等いろいろそういうようなことがありますれば、自衛隊法の他の条項にも触れるおそれはございます。  それから、一言つけ加えさしていただきますが、先ほどT2あるいはF1の機体あるいは機種の技術上の問題につきまして先生からいろいろ御質問がございまして、私も御答弁申し上げましたが、これは主管は私ではございませんので、その点ひとつ、間違いがございましたならば後ほど訂正して、先生のところへは正確なものを御報告に参上するということで御了承いただきたいと存じます。
  90. 橋本龍太郎

    橋本主査 楢崎君、質疑時間が来ましたので、締めくくってください。
  91. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これでやめます。  私は、ブルーインパルスのことだったら人事教育局長十分だと言われたからあなたをお呼びしたので、おたくの方からそう言われたからなんですよ。私は意地悪してほかの問題を聞いているんじゃない。それだけは明らかにしておきます。  以上で終わります。
  92. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。  次に、四ッ谷光子君。
  93. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 初めに、国際婦人年の問題について長官にお聞きをしたいと思います。  国際婦人年の行動計画十年も、昭和六十年まで残すところあと三年になってまいりました。婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約も、すでに発効をいたしておりますけれども、わが国では、早期批准に対する要望が強いにもかかわらずいまだに批准をされようとしていない状況でございます。同条約批准のための国内法制等諸条件の整備が後期重点目標になっているというのは、婦人問題企画推進本部が五十六年の五月に出されました「婦人に関する施策の推進のための「国内行動計画」後期重点目標」の中にも「後半期における重点課題として、同条約批准のため国内法制等諸条件の整備に努める。」こういうふうに明記をされているわけですけれども、問題になっています国籍法、これは改正につきましてある程度の目鼻がついているような状況ですが、雇用における男女平等法についてはまだはっきりとした方向も出されていない。こういうふうな状況ですけれども、これらの諸目標を六十年までに達成し、条約批准にこぎつけることができるような方策が立っているのかどうか、その辺をまず長官にお聞きをしたい、このように思います。
  94. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 ただいまの先生のお尋ね、これに基本的な考えを述べて、お答えをさせていただきたいと存じます。  御指摘のように、婦人差別撤廃条約については、婦人問題企画推進本部が、お話がありましたように五十六年の五月に策定した「「国内行動計画」後期重点目標」において、その「批准のため国内法制等諸条件の整備に努める。」ことを重点課題としておりまして、各省庁において同条約と国内法制等との整合性を確保するため検討しておるのでありますが、目下、いまお尋ねの国籍法の改正、雇用における男女平等等を確保するための諸施策について検討しておるところであります。今後とも、これは各省に関係することでございますから、関係省庁間の連絡調整を密にいたしまして、批准のための諸条件整備を促進してまいりたい、これが基本的な考えでございます。
  95. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 ただいま、批准のために諸条件を整備していきたいという長官のお答えでございましたが、もう一言、六十年までに間に合うようにちゃんとできるかどうかということをお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
  96. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 多分先回も先生から会議のときに承ったと思います。先生だったと思いますが、御指摘をいただきました。  そこで、これは六十年までにできるように誠心誠意と申しまするか努力をいたしておる、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  97. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 婦人に対する差別の中でも、特に性を商品化している売買春の問題というのは婦人の人間としての尊厳を著しく冒涜する最大のものだ、このように私は思っております。  昨年の六月四日、売春対策審議会から総理大臣に対して答申が出されております。これに対しまして、具体的に一体どういうふうに進めていこうとしておられるのか、いまだにトルコぶろの問題、それから婦人保護施設の問題等々きわめて憂慮すべき状況でございます。婦人に対するこのような問題は、先進国と言われている国の中でも日本は外国に対してきわめて恥ずかしい状況ではないかというふうに私は心から心配をしているのですけれども、その問題に対しての総理府としての御見解、また方策について簡潔にお願いいたします。
  98. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 せっかくのお尋ねでございまするので、私からお答えさしていただかなければならぬところでございますが、こういう重要な問題でありまして、具体的にどうなっているかという先生からのお尋ねでございますから、事務当局の方から、具体的にどのようにいま進めておるかということを申し上げさしていただきたいと思います。
  99. 禿河徹映

    禿河政府委員 いま先生から御指摘がございました、昨年の六月に売春対策審議会から出されました、これは要望という形で出ておりますが、それの主要点は三つございます。一つは、トルコぶろにおける売春の防止という問題、それから性病予防、三番目が覚せい剤乱用防止ということでございます。  この三点は、いずれも大事な問題でございまして、私ども真剣にその対策に取り組んでおるところでございますが、特に婦人との関係で売春の問題という点について申しますと、御指摘のとおり、最近確かに一部に性の商品化傾向というものが見られております。かなり顕著と言っても差し支えないような状況だということでございまして、いろいろ各種の規制とか取り締まり等に重点的に取り組んでまいっておるわけでこざいます。  具体的な例で申しますと、たとえば東京都の新宿区におきまして、昨年の十二月、これは東京都の条例の改正によるものでございますが、トルコぶろの新規開業とか名義譲渡等の禁止ということに相なりました。また、新宿地区における売春事犯の取り締まりを中心とする警察によるクリーン作戦というものが展開されたところでございます。こういう動きが各地において今後出てまいるように私どもも努力してまいりたい、かように考えております。
  100. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 ただいまの御答弁の中のトルコぶろの問題は、暴力団の資金源になっているというふうなことも言われておりますし、管理売春の対象にもなるということできわめて重大な問題です。これを、婦人の尊厳を守るという立場からぜひとも積極的に御検討し、対策を講じていただくようにお願いをしたい、このように思います。  時間がありませんので、この問題をもっと詳しくお聞きしたいのですけれども、次の問題に移りたいと思います。  先ほど、六十年に向けて間に合うように真剣に取り組みたい、そういうふうに長官から御答弁がございましたけれども、この十年の行動計画が終わった後、一体どのように国としては考えておられるのか。そして、来年ESCAPが開催をされますけれども、それに対してわが国としてはどういう態度でこの会議に臨まれるのか。その二点についてお伺いをしたいと思います。
  101. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お尋ねにお答えさしていただきます。  いま申し上げましたように鋭意努力しておりますけれども、六十年までの残された期間に国内行動計画の目標の実現に向けて一層の努力はしておりますが、十年たった後どういうように政府は取り組んでいくのだというお尋ねでございます。十年終了後の取り組みについては、国連において一九八五年世界会議で十年の業績の見直しと評価を行うとともに、その後の婦人問題への取り組みの方向づけ検討されることになっておりまするので、わが国においても、国連の動きを初め、わが国の婦人の状況を踏まえ検討してまいりたいと思います。  特に、もしお時間をいただけますならば、先生にいろいろ御指導いただいておりまするこの問題について担当いたしております柴田女史が、ウィーンでの国連婦人会議に昨夜までおって、いま帰ってきたところでございますので、柴田女史から御報告させていただきたいと思います。
  102. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 それでは、済みません、あとのこともありますので、簡単にお願いいたします。
  103. 柴田知子

    ○柴田説明員 それではお答えいたします。  先ほど長官から御説明申し上げましたように、ただいま国連の方で一九八五年の世界会議の準備のための第一回の婦人の地位の委員会というのが開かれまして、帰ってきたところでございます。そこで世界会議につきまして、どのように進めていくかということについて話し合いが行われました。  先生先ほど御質問の、ESCAPの地域の会議につきましては、日本といたしましては、この地域会議をぜひ日本で開催いたしたい、そういう意向があるのだということをその準備会議で表明をいたしまして、アジアの諸国の方々から大変結構なことであるというお言葉をいただいたところでございます。
  104. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 来年のESCAPを日本で開催する意向を発表されて、アジアの皆さん方から大変歓迎されたということは、大きな意義があると思います。もしそのとおりいきますならば、成功されますように、私たちも応援をしたい、このように思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、次の問題に移らしていただきます。  次は、障害者の問題でございますけれども、国連の方で、このたび、一九八三年から九二年までの十年間をいわゆる障害者の十年、こういうふうに宣言をいたしまして十年間の行動計画の目標を明らかにいたしております。この行動計画の目標の特徴は、障害者のいわゆる完全参加と平等、これを実現するためには何よりも平和が大事だというふうなことが強調されているところであります。確かにわが国も、障害者対策に関する長期計画というのが出されてはおりますけれども、現実に日本の国の姿を見てみますと、五十八年度予算では、老人医療費の有料化に続きまして、障害福祉年金や特別児童扶養手当の据え置きなどで社会福祉関係の予算が非常に圧迫をされておりますし、軍事費の突出ということで、平和の問題からははるかに遠のいているような感じがしております。しかも、国連では十年というふうな目標も定め、各国の具体的な目標としては、財政的、法的にその辺を具体化するように提案がされております。  ところが、わが国の長期計画は、国連に先立ってつくられたようではありますけれども、長期計画という漠然とした期間しかありませんし、非常に具体性を欠いているので、多くの障害者の方もその点には大きな不満をお持ちのようでございます。その点について、政府は一体どのようにお考えなのか、よろしくお願いいたします。
  105. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お答えさせていただきます。  障害者対策に大変御熱心に取り組んでいただいております四ッ谷先生のお尋ねでございますが、先生からもお話がありましたように、その長期計画は内容がきわめて漠然としている、具体性に欠いているじゃないか、こういうことでございます。私も、全部そうとは思いませんけれども、その点もある、こう考えます。  そこで、いまもお話がありましたように、政府の長期計画というものは基本方針を定めたものでありまして、現在、各省庁において、さらに必要に応じ関係審議会での検討を行うなど、その具体的な実現に向かって鋭意努力はしております。しかし、どういう努力をしておるかということ、これは申し上げねばならないことでございますから、時間もございませんが、事務当局から御理解いただきやすいように要点だけきわめて簡単に説明させていただきたいと思いますので、お許しをいただきたいと思います。
  106. 川崎幸雄

    ○川崎説明員 ただいまお話のございました障害者対策の長期計画でございますけれども、これは御承知のように、ほぼ一年半にわたりまして中央心身障害者対策協議会で御検討をいただきまして、それに基づきまして今後の十年間の政府の基本方針を策定いたしたものでございまして、ただいま長官からお答えいたしましたように、現在関係省庁におきましてその具体化の検討も含めまして専門審議会などで御検討いただくなど、その実施につきまして鋭意努力を続けておるところでございます。御承知のように、障害者対策は広範多岐にわたりますので、各般にわたりまして御指摘のようなより具体的な目標といいますか内容を定めるということは大変困難なことでございますけれども、この長期計画の目的をぜひ達成するために関係省庁が十分連携をとりながら推進を図ってまいりたいというふうに考えております。    〔主査退席、石橋(一)主査代理着席〕
  107. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 それではちょっと具体的な問題についてお伺いいたします。これは、障害者の方から直接私の方にぜひこういうことをお願いしたいというふうな御要望がございましたので、それに基づいて御質問をさせていただきます。時間がありませんので、郵政省と大蔵省、両方まとめて質問させていただきますから、御答弁の方はよろしくお願いしたいと思います。  いま総理府の方からは、それぞれの関係省庁で具体的に障害者対策を進めていくように努力していきたい、こういうふうな御答弁がございましたけれども、郵政省関係あるいは大蔵省関係で障害者対策に関する長期計画の具体化について検討しておられるのか、あるいはその方法としてはどんなことを考えておられるのか、その点をお聞きしたいのです。  まず郵政省では、障害者の方がお使いになるためには郵便局の建物、施設、そういう問題で具体性があるのかないのか、それから大蔵省関係では、銀行のような金融機関におけるそのような建物、施設の具体化が行われているのかどうか、こういう問題です。もっと具体的に申し上げますと、たとえば障害者のためのスロープ、点字ブロックあるいは誘導ブロック、こういうふうなものがそれぞれのところに設置されるような努力がされているのか。たとえば銀行で申し上げますと、車いすにお乗りの方は金銭自動支払い機の現在の高さでは使いにくい、これを何とか改善してほしいというきわめて具体的な御要望も出ております。それから、これは郵便局、銀行両方ともに通ずることですけれども、聴力障害者の方が仮に名前を呼ばれても、番号——銀行ではこのごろ番号札が出ていますね。番号を呼ばれても自分の耳に聞こえないのでわからないということがあります。番号表示をぜひ何とか考えてほしい、こういう御要求もございます。それから、通帳をもらったときに文字ではわからないという視力障害者の方から、通帳に点字表示をしてほしい、こういうふうなきわめて具体的な御要望が出ているのです。  時間がありませんので、申しわけありませんけれども、郵政省、大蔵省両方から、その辺の方策につきまして御検討をお願いできるかどうか、それから具体化の問題についてお答えを願いたい、このように思うのです。
  108. 桑野扶美雄

    ○桑野説明員 お答えいたします。  まず最初に郵便局の利用関係施設面のことでございますけれども、いま先生のおっしゃいました出入り口の段差解消それから自動扉の設置といったような点について御説明させていただきたいと思います。これにつきましては、新しく郵便局をつくる場合あるいは増築するような場合には、必ずそこにそのような施設の配慮をしていくということにしております。問題は既設の郵便局でございますけれども、何せ数が多うございますので、それなりの困難がございます。しかしながら、これらの点につきましては年度をかけましてそれぞれ完成するように、たとえて申しますと普通郵便局、比較的大きな郵便局につきましては、段差解消につきましては来年くらいまでにやってしまおう、自動扉の設置につきましては五カ年間くらいでやってしまおう、そういうことでやっております。  それから、番号札を渡されても呼び出しのときに聴力障害の方は聞こえないのじゃないかというお話でございます。そういうお話も考えられるのでございますけれども先生承知のとおり、郵便局というのはとにかく仕事の手順が単純でございまして、順番どおりにやっておりますものですから、いまのところは現実的に郵便局の取り扱いについてのそのような御要望を私ども伺っておりません。したがいまして、まだそこまで私ども検討したこともございません。  それから、貯金通帳に点字表示をしたらどうかというお話でございますけれども、これも問題が二つございます。郵便貯金につきましては、日々出したり入れたりする通常の郵便貯金とある程度長期的な預け入れを行う定額貯金とございまして、通常貯金につきましては日々の処理が非常に頻繁であるという点で、現時点におきましては技術面あるいは制度面におきまして点字表示をすることは非常に困難だというふうに私ども考えております。ただ、定額貯金につきましては長期性の貯金でもございますので、技術面、運用面でも点字表示をすることが可能ではないか、これはひとつ考えさせていただきたいということで現在取り組んでおります。  以上でございます。
  109. 永田俊一

    ○永田説明員 お答えさせていただきます。  いま郵政省、郵便局の方の対応ぶりを御説明申し上げましたけれども先生が先ほどおっしゃいました長期計画では、民間の金融機関も含めた公共的な建築物についても障害者の利用を配慮して設備を整えるように、こうなっておりますので、その精神を体しまして民間の各金融機関におきましてもいままで努力をしてきておるところでございます。先生がおっしゃいました例のスロープの話とか車いすのトイレあるいは点字ブロック等につきましても、増改築、新築等に際しましてはそれを導入するように努めているところでございます。それから、自動支払い機の高さの問題、これも一部その設置を図ったということを聞いております。ただ、御存じのとおり民間の金融機関の建物も場所とかスペースとかいろいろな問題がございまして、すぐにということはむずかしいかと思いますけれども、今後そのような方向で十分努めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  110. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 いま郵政省と大蔵省の方から、具体的な問題についてお伺いいたしましたところ、検討していきたいという前向きのお答えがございましたので、それはそれとして前向きにぜひとも検討していただきたい。完全参加と平等ということは、やはりそういうふうなところから実現ができるのではないかと思います。  私、最後にちょっと申し上げたいのですけれども、関係省庁がいろいろお努めになるということなんですが、たとえば公立養護学校は一九七九年から義務制に変わりました。それでプールでの指導というのは、肢体不自由児なんかには非常に効果があるのですけれども、まだ二〇%しか普及されていない。これを早く一〇〇%にするにはどうするかというふうなことを具体的にやっていただくとか、あるいは身体障害者の雇用促進法がいつも問題になりますけれども、大企業の未達成企業は八割もある。これをもっと引き上げていくとか、あるいは障害者の雇用率は一・五%と、国際的にもきわめて低いのですね。フランスなんか一〇%にもなっています。そういうようないまある制度を見直すというだけでも、完全参加と平等ということには非常に役に立つし、先ほど長官がおっしゃいました、各省庁が具体化を見直していくについてもいいのではないかというふうに思いますので、そういう点で長官にもう一度、関係十四省庁に、具体的目標を決めて、障害者の方々が要求されるような施策がとれるように御検討願いたいということをお願いすると同時に、総理府の仕事として広報の仕事があると思うのです。障害者問題の広報について、これは関係十四省庁の意見を取りまとめてということじゃなくて、総理府として障害者問題の広報が具体的にできるのではないか、このように思いますけれども、その広報の問題についてどのようにお取り組みになるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  111. 川崎幸雄

    ○川崎説明員 広報の問題につきましては、先生の御指摘のとおりでございまして、総理府といたしましては、障害者対策の総理府としての一つの役目といたしまして、障害者問題の国民の理解と認識を深める、そのための啓発・広報活動をやっておるところでございまして、毎年十二月九日の障害者の日に記念集会を行う、あるいはポスター、新聞、テレビ、ラジオ、こういったものを活用いたしまして啓発・広報活動に努めておるところでございます。さらにまた、関係者の参加を得ました地域での集会、こういったものも開催をいたす、こういうようなことで障害者に関する啓発活動を実施しているところでございまして、今後ともこの点については十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  112. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷分科員 非常に時間が少のうございますので、もっと突っ込んでいろいろとお尋ねをしたいところですけれども、障害者問題は、私たちいま健常者だと思っていますが、いまの社会の状況では一人一人がいつ障害者になるかもわからないという状況ではないかと思いますので、障害者が出ないように、そしてまた、障害者の対策については十二分に政府として積極的な対策をおとりいただきますように、最後に要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  113. 石橋一弥

    ○石橋(一)主査代理 これにて四ッ谷光子君の質疑は終了いたしました。  次に、沖本泰幸君。
  114. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は、同和対策について若干の御質問をしたいと思います。  昨年同和対策の新法ができまして、一年になろうとしているわけでございます。そこで、前の田邉総務長官は、旧法の施行期間内に解決できなかった諸問題に対処するために新法を制定する、新法制定のときにこういう御発言をしているわけですけれども丹羽長官は同じようなお考えを継承してこれから事に当たっていかれるのかどうか、まずその辺からお伺いしたいと思います。
  115. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 沖本先生のお尋ねにお答えさせていただきますが、ただいま、新法が制定されたときに田邉長官はこう言っておるが、後任者としてのおまえはどうだということでございますので、そのことについてお答えさせていただきたいと思います。  政府が新法を提案した際答弁したその趣旨に即しまして新法の施行に当たっていくべきものと考えておりまして、いま先生のおっしゃられましたように、田邉前長官の申しましたとおり、同じ考えでやらせていただきたい、こう思っております。
  116. 沖本泰幸

    沖本分科員 そこで、この新法の第一条に「生活環境の改善、産業の振興、職業の安定、教育の充実、人権擁護活動の強化、社会福祉の増進等」を図るという趣旨のことが定められておるわけですが、一年たっておりますから、時限立法のあと四年の中で、これらの対策についてどのようにお進めになっていくのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  117. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お答えさせていただきます。  新法の有効期間内に新法第一条に規定された目的が達成されるようにということを言っておるが、そのように努力するかということでございますけれども、私どもとしては、関係各省とも十分に協力しながら、御説明申し上げておりますようなこれらの施策の推進に力を入れて努力してまいりたいと考えております。
  118. 沖本泰幸

    沖本分科員 これからは細かい問題についてお伺いしたいと思います。  そこで、新法をつくる前にも問題があったわけですけれども、いわゆる残事業の問題になるわけですが、十三年間やって残事業がずいぶん残った。部落解放同盟の調査によれば、あるいは地方自治体の調査によっても相当な量が残っておるし、政府の調査とは大きな食い違いがある。この辺は大きなギャップがあるわけですけれども、とりあえず政府の事業として見込んでおる点についてもまだ残事業は相当あるわけです。これが四年間に果たせるか果たせないかということになるわけですけれども、その政府が見ておる残事業量というのはどの程度を見込んでいらっしゃるのでしょうか。
  119. 水田努

    ○水田政府委員 お答え申し上げます。  新法の制定に先立ちまして物的事業を所管しております関係各省が関係の府県を呼びましてヒヤリング調査をした結果、当時の国庫補助金ベースで約七千億程度であったと記憶をいたしております。
  120. 沖本泰幸

    沖本分科員 五十八年度の予算案では、物的事業関係の予算では前年に比べて一五%減になっておるわけですけれども、これで残事業の消化というものはできるわけでしょうか。その辺はどうでしょうか。
  121. 水田努

    ○水田政府委員 お答え申し上げます。  五十八年度予算を編成するに当たりましては、物的事業を所管しております関係各省におきましては、五十八年度に関係府県が予定しております事業量を十分調査した上で予算の計上を行っているものであり、十分対応できると考えております。  なお、先ほど申し上げましたように国庫補助ベースで約七千億でございますので、これを新法の有効期間の五年で割りますと、一年度当たり平均千五百億という勘定になるわけでございますが、五十八年度に計上いたしておりますところの物的予算の総額は千九百四十八億でございまして、五十八年度以降の物価の上昇なり内容改善なり、あるいは関係の地方自治体が同和地区における道路の整備、いわゆる点対策から小集落改良事業という面対策等へ変更した、事業内容の変更等を含めても十分対応できるものと考えております。
  122. 沖本泰幸

    沖本分科員 五十八年度予算案では、同和関係の予算全体で約一三%減、こういうふうになっておるわけですけれども、新法の第一条の目的の達成がこれでできるのかどうか。いわゆる同和対策事業と銘打ったものが、地域対策というふうに名称も落ち込んできている、そういうふうな形でかえって小さいものにされてしまうのではないか。ですから、同和対策が後退していくのじゃないかという印象を与える結果を生んでこないかということになるわけですが、その辺はいかがですか。
  123. 水田努

    ○水田政府委員 お答え申し上げます。  新法の第一条の目的を達成いたしますために、政令で地域改善対策事業として四十四項目にも及びます事業の指定を行いまして、これに即しました予算措置等を政府としては積極的に講じているわけでございます。  五十八年度の予算編成に当たりまして、私どもは、与党であります自由民主党の地域改善対策特別委員会とも十分に御相談をいたしまして、幾つかの基本的なスタンスを決めたわけでございます。  その第一は、先ほど先生からも御指摘のように、残事業をできるだけこの新法の有効期間内に完成させるという努力をしなければならぬということで、まず、五十八年度に予定しております関係府県の物的事業につきまして支障を来さないような予算を確保するということでございます。  第二は、新法のもとにおいては啓蒙、啓発を重視していくということは政府が再三再四表明をいたしているわけでございますので、啓発関係の予算の増額を図るということでございます。  三番目は、御案内のとおりに、物的事業の中心をなしているのは住宅改良事業の促進ということでございますので、この促進を図るために新たな工夫を加えてみようではないかということでございます。  四番目は、同和地区におきましては、御案内のとおりに、隣保館が各種の福祉活動の中心となっているわけでございますので、隣保館の事業につきましてもうちょっときめ細かく、地域のニーズに合った新たな工夫を加えてみようということでございます。  五番目は、地方の財政も逼迫しておりますので、できるだけ建築単価等について実勢に合ったものに是正を図っていこう、こういうスタンスを決めまして現実の予算編成に入りました。  その結果を申し上げますと、まず物的事業につきましては、先ほど申し上げましたように千九百四十八億円の予算の計上を図った。  二番目の啓発関係の予算につきましては、丹羽長官就任早々のことでございましたが、大臣の大変な御理解と強い後押しをいただきまして、対前年比二〇%という大変大幅な予算の引き上げを図ることができたと考えております。  それから、三番目の住宅改良事業を促進しますために、新たに住宅敷地整備事業に対する補助制度を創設したということでございます。  四番目には、隣保館の機能を強化しますために、地区を中心とした老人や身障者の方のデーケアができるようにするために、その運営費の補助を新規に創設した。  最後の点につきましては、建築単価その他実勢に合ったものに改善するというふうにきめ細かい努力をいたしたところでございまして、私ども、同和対策事業につきましては、前進こそすれ後退することは五十八年度予算については全くなかった、このように考えておる次第でございます。     〔石橋(一)主査代理退席、主査着席〕
  124. 沖本泰幸

    沖本分科員 細かいことを掘り下げて伺うともう時間がありませんので、すらすらなでるように御質問しているわけですが、いまおっしゃったとおりに、啓発関係を非常に重視していらっしゃるというところもよくわかりますし、前年比で二〇%と伸ばした点もわかるわけですけれども、総額にして四億六千万円程度、ですから、関係予算全体から割合を見ると〇・二%にしかすぎない、こういうふうに見られるわけです。  やがてまた五十九年度の概算要求の時期が来るわけですが、この啓発関係の予算は大幅に引き上げるべく努力していくと先ほどおっしゃっておられます。そこで、来年度予算についての総務長官の御決意なり何なりをお伺いしたいと思います。
  125. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 先ほど来この内容についてずっと御説明をさせていただきましたが、また来年度の概算要求のときには、先生の、お教えいただきました気持ちを酌んで、できるだけ努力をさせていただくことを申し上げておきたいと思います。
  126. 沖本泰幸

    沖本分科員 そこで、以前からずっと問題になっているわけですけれども、地方自治体の超過負担の問題ということになるわけです。結局、仕事をする現場というのはほとんど全国の市町村になるわけで、そこが全部要求に応じて仕事をしていかなければならないということになりますが、どうしてもその要求どおりのものを政府に見てもらっていないというのが現実です。そういう事柄から、地方自治体が調査した内容でも、政府の見ている内容と相当の開きが起こってきているということになるわけですから、そこにまだ議論の食い違いもいろいろあるわけです。  そこで、一番問題になりますいわゆる超過負担に対しては、どういうふうなお考えを持っていらっしゃるのでしょうか。
  127. 水田努

    ○水田政府委員 お答え申し上げます。  臨調の答申で、補助金はできるだけ整理をするという方向の中で、私ども一昨年、新法をつくることに取り組んだわけでございますが、同和問題を一日も早く解決したい、そのためには地方自治体の負担をできるだけ軽減するということから、当時としてはきわめて異例な形であったと思いますが、旧法が行っております三つの財政上の優遇措置を新法においてもそのまま踏襲いたしたわけでございます。  その第一点は、原則として同和関係の事業に対する国の補助は三分の二にかさ上げをする。第二点は、これに関連しまして、地方自治体が発行しますところの地方債については、原則として政府が一〇〇%の起債の引き受けをする。三番目は、自治大臣の指定します事業につきましては、地方債の元利償還の八割に相当するものを交付税で裏打ちしてめんどうを見てやる。これを踏襲し、事業の促進を図ったところでございますし、新法下におきましても、毎年できるだけ実情に合った補助単価あるいは補助基準の見直しを図る等、私ども努力いたしているところでございます。
  128. 沖本泰幸

    沖本分科員 いつの場合でも、いわゆる超過負担の問題についてはほとんど毎年のように各自治体から陳情に来ておられるし、それから、先ほどからしばしば触れておりますが、実態調査そのものの食い違いが大きくあるわけですから、超過負担につきましても、地方自治体の調査の中から起こってくる問題と政府が立てられる対策との開きが大きい、そういうところから超過負担がまた自然に大きくなってきているということもあるわけです。ただ、政府が持っていらっしゃる調査で予算の概算なり何なりを組むときにはそういうことになるのでしょうけれども、そのためには、やはり補助率を三分の二にした、こうおっしゃるわけですが、大きな根本的な違いがあるわけですね。その辺もよく配慮して今後取り組んでいただきたいわけです。  それで、事業対策ですからほとんど事業面だけということになるので、一番後に取り残されてくるのは心の問題ということになり、先ほどから、啓発に力を入れているということなんですけれども、この問題は、新法はあと四年ということですが、五年や十年では片づきそうにもないことはすべての人が承知をしているところだと思うのです。そういうことになりますけれども、その辺から啓発の関係を考えてみますと、マスコミが人権キャンペーンをすると大きな効果が上がってくる、こういうふうに思うわけです。しばしばNHKが調査発表なさったり、あるいは朝日がおやりになることもよくあるわけですし、その他のところもいろいろやっていらっしゃいますけれども、現実は、まだわれわれはほんの少し問題をえぐっている程度にしか考えていないわけですが、これの一番大きな原因はどこにあるとお考えなんでしょうか。どの辺をやっていればこういう関係がうまく進んでいくのか、その辺をお願いしたいのです。
  129. 水田努

    ○水田政府委員 マスコミ関係で同和の人権キャンペーンについて必ずしも全面的に御協力をいただけていない状況で、その原因はどこにあるか、こういう御質問であろうかと思いますが、大変むずかしい問題で、向こうの記者席に座っておられる記者の方にお答えいただいた方が的確なお答えが出るのだろうと思います。これは私の全くの独断による推測でございますが、およそ三点ぐらいあるのではなかろうかという気がいたしております。  その第一点は、第一線で御活躍になっておられる記者の方のお気持ちとして、同和の問題は非常にむずかしいので相当勉強してかからないと記事が書けないなというお気持ちが強いのではないかという気がいたしているわけでございます。五十六年新聞協会賞で受賞されました西日本新聞の「人権キャンペーンシリーズ一、これがまとめられた本の後記を読ましていただきますと、「その気持ちにチャレンジし、新聞記者の常識、社会常識の物差しで記事が書けないはずはないということで取り組んだ。」ということが書かれているわけでございますが、やはりもうちょっと気軽にこの問題に取り組んでいただけないかという感じがするのが第一点でございます。  第二点は、社の中にどうも同和問題を記事にすると後で問題になるのではないかという御心配が一つあるような気がするわけでございます。一月にも私、総理府で民間運動団体の行政交渉を受けたわけですが、あるテレビで不適当な表現があったので政府としても断固抗議しろということを言われたわけでございます。そのときに私が申し上げたのは、もうそういう時代じゃないのじゃないでしょうか、国民生活の中にマスコミというのは最も密着し、大きな影響力を持っておるマスコミに積極的に協力してもらうということはあっても、その一つ一つを取り上げるということはますますマスコミの方が書きにくくなるという逆の効果しか生まない、むしろ、そういう時代は過ぎたので、積極的にどう取り組んでいただけるかという環境づくりの方が大事ではないか、そういうお答えをしたことを記憶しております。  それから三点目は、社内の体制の問題があるのではなかろうかという気がするわけです。第一線の記者の方は非常に正義感の強い方で、同和問題に十分関心も持ち、記事を書こうと思っておられる方もたくさんおられると思うのですが、どうもこの問題に首を突っ込みますと、社内で専門家扱いをされちゃってほかのセクションにかわりにくくなるという嫌いがあるような気がいたすわけでございます。私、西日本新聞の稲積という社会部長さんにお会いして、どうして成功したのですかということをお聞きいたしましたら、人権取材班チームということでもう二年に限定してだれにでもやらせる、専門家をつくらせないという方針でやったことが成功したゆえんではないか、こういうことを言っておられるわけで、同和問題については特別の専門知識も要らない、むしろ素人がフレッシュに取り上げるということの方が読者層にもあるいは聴衆にもアピールするし、またそういうお気持ちで私は今後取り組んでいただけると大変ありがたいなと思っている次第でございます。
  130. 沖本泰幸

    沖本分科員 いまのお話は、いろいろな角度から検討されることでもありますし、またマスコミ各社においてもいろいろ真剣に御検討いただいて呼応してお願いしたいわけですが、総理府におかれましては、さらにこういう問題をいろいろの会合なり懇談なりいろいろな面を通じて——あるとき特殊な時期にぱっと大きなものが出る、それも大きな効果はあると思うのですけれども、心にかかる問題でございますし、啓発問題でもあるわけですから、息の長いことが一番大事じゃないかと思いますので、その辺は総理府の方でいろいろとPRしていただくなり、いろいろとその問題を進めていただくような方向で今後努力していただきたい、こう考えるわけでございます。  あと、時間がなくなりましたが、地域改善対策協議会でいろいろと審議をしておられるわけでありますけれども、啓発に関する総合的な提言が出ましたときには総務長官は誠意をもって対処していきたいとお約束していただきたいわけでもあります。  また、事務局の方にお伺いしますけれども、そういう御提言なり何なりはいつごろ出てくるようにお考えになっていらっしゃるのか、その辺の予定なり何なりをお教えいただきたいと思います。
  131. 水田努

    ○水田政府委員 お答え申し上げます。  昨年の七月からこの提言についてお取り組みを願っているわけでございますが、関係の先生方は、昭和四十年の同和対策審議会の答申、これは今日の同和対策の原点であり、バイブルになっているわけですが、これは約四年の日数を要しているわけでございまして、先生方は、これに匹敵するような、後世に残る息の長い提言というものに持っていきたいということで、いま大変精力的に御勉強をしていただいておりますが、私、事務局としましては、やはり二年程度の日時を要するのではないか、提言が出るのは来年の夏から秋ぐらいまでかかるのではないか、このように考えておる次第でございます。
  132. 沖本泰幸

    沖本分科員 もう時間がわずかなんですけれども、ともかく同和対策という概念なりあるいは同和に関係する諸団体の問題で、特殊なものであるという物の見方から、いわゆるその他の差別とこの差別問題とは別なんだ、こういうふうな形で特別枠をはめて考えていくからいつまでたっても特別なことで見てしまう、こういうことになる。差別とはすべてに通じる差別であり、あらゆることに通じる差別になるわけですから、その辺もよくお考えになって、われわれがいろいろな問題をとらえていく間にはいろいろなことがあるわけですから、すべての差別にわれわれはいかに考えていくべきか、いかに対応していくべきかということも大事な問題なんです。この同和対策の事業が、あるときにさらに力を入れてこの問題に取り組んでいって、将来にわたって差別がなくなることの対応をしていかなければならないわけでございますから、その辺も今後力を入れていただきたい、こう考えるわけです。その辺はいかがなんですか。
  133. 水田努

    ○水田政府委員 いまの先生の御意見十分踏まえながら努力をしてまいりたい、このように考えております。
  134. 沖本泰幸

    沖本分科員 終わります。
  135. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて沖本泰幸君の質疑は終了いたしました。  次に、湯山勇君。
  136. 湯山勇

    湯山分科員 ただいまの沖本委員の御質問に続きまして、同和対策について丹羽長官にお尋ねいたしたいと思います。  いま質問されました沖本議員、それから民社党では稲富議員、それから私ども社会党では大原亨議員、私と、ずっと前回の改正以前から、自民党で小宮山重四郎議員に加わっていただきまして、四党で同和対策を進める、いろいろ四党の連絡協調を図って、総務長官にもしばしばお目にかかって今日に至っております。いずれまた丹羽長官にも各党そろってお願いいたしたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  いま沖本委員から、同和対策というこの差別は、結局、物ではなくて意識、差別意識をなくするということが最大の課題であるということで、新しい法律ができるときにもそのことに重点を置くという趣旨でいろいろやってまいりましたが、必ずしもそのことがわれわれが希望していたように強調されておりませんでした。  そこで、新法がいよいよ最終段階になりましたときに、当時、内閣委員会の小委員長をしておられた佐藤信二議員が各党の意見を集約して、当時の田邉総務長官に代表しての取りまとめの質問をいたしましたが、そのときに、最大の問題点は、新法のもとにおいても、ただいまお話に出ておりました同和啓発、これを最も重視しなければならないということをお尋ねいたしまして、総務長官からは、同和啓発というのを重視して最大限の努力をするというお答えをいただいております。なおその努力をいま続けていただいておると思うのですが、丹羽長官も同様にお考えになっていただいておると思いますけれども、重要な問題でございますので、最初にお尋ねいたしたいと思います。
  137. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お答えさせていただきます。  新法成立後においても、いまお話のありましたように、田邉前長官と同様にその啓発、啓蒙に力を注いでまいりたい、息長く息長く力を注いでまいりたい。御注意のありましたように、また御指摘のありましたように努力させていただきます。
  138. 湯山勇

    湯山分科員 御存じのように、ちょうどことしは国際人権宣言の三十五周年に当たります。そこで、国連も加盟各国に対して多彩な行事を行って人権の高揚に努めるように勧告をいたしておることは御存じのとおりでございます。わが国の人権問題と言えば部落差別問題、これが一番大きい。ほかにもいろいろありますけれども、これが一番大きいというように私は理解をしておりますが、この三十五周年の、いま国連から勧告のありました多彩な行事、その行事の一環としてひとつ積極的に取り組んでいただくお考えをお持ちでしょうか、いかがでしょうか。
  139. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 ただいま場山先生から御指摘のありましたように、またお話のありましたように、本年は世界人権宣言三十五周年に当たっており、国民の人権意識の高揚を図っていくいい機会であるので、その一環として同和問題の啓発に積極的に取り組んでまいることを申し上げておきます。
  140. 湯山勇

    湯山分科員 大変力強い御答弁をいただいて安心いたしました。  そこで、意識の変革といいますか、啓蒙ということになれば、何といってもこれは広報活動が重要である、これは申し上げるまでもないし、ただいま沖本委員からも同様の御指摘がございました。広報活動と言えば、総務長官のもとには広報室がございまして、政府全体の広報の元締めというような役割りをしておりますが、ここの活動は一体どうなっておるか。たとえば一番目につくのは、百万部も出ておるのでしょうか、「今週の日本」、これなどには同和問題をお取り上げになった例があるのでしょうか。この五年間ぐらいの実績はどうなっておりますか。
  141. 小野佐千夫

    ○小野(佐)政府委員 お答えいたします。  同和問題の啓発につきましては、その重要性にかんがみまして、関係行政を担当いたしております総理府の地域改善対策室を初め、法務省、労働省でそれぞれ積極的に推進されているところでございます。  総理府広報室におきましては、人権に関する啓発広報を行っておりまして、昭和五十三年以降について見ますと、マスコミ媒体関係では、新聞の記事下二回、新聞突き出し三回、週刊誌三回、テレビの「話題のひととき」六回、ラジオ「暮しのマイク」六回。それから政府刊行物関係では「時の動き」五回、「フォト」三回、「官報資料版」六回等でございます。なお、このほか人権問題一般についての啓発広報や、人権擁護のための制度の周知広報につきましては、「今週の日本」その他の媒体においても適宜実施しておるところでございます。
  142. 湯山勇

    湯山分科員 いろいろ人権という一般的なものでなくて、同和問題に限って言えばどうなりますか。  たとえば、いま総理府で持っているメディアの「今週の日本」、これで同和問題を何回。それから「あまから問答」とか「お茶の間セミナー」とか全国ネットやっておりますね。そこで同和問題が何回。広く人確じゃなくて、同和問題にしぼって何回あるか。それから、政府広報で全国紙に出しております。これが何回。それから、ついでですから、映画もつくっておりますね、広報室で。それで同和問題何回。ひとつ同和問題にしぼってお答えいただきたいと思います。
  143. 小野佐千夫

    ○小野(佐)政府委員 先ほど申し上げました各媒体ごとの回数でございますが、これは同和問題に直接触れた広報でございますけれども、「今週の日本」等では、広く人権問題を取り上げました中に一部触れさしていただいているという形でございます。なお、昨年新聞の記事下に出しました政府広報の「人権は認め合いから。」こういうものを出しておりますが、この中では、「部落差別をなくそう 婦人の地位を高めよう 障害者の完全参加と平等を実現しよう」、こういう形で、人権の問題として同和の問題も取り上げさしていただいているというのが実情でございます。
  144. 湯山勇

    湯山分科員 いまお聞きしますと、いまのは人権の中で、たとえば婦人の問題とか身障者の問題とか、そういう中でということであって、これだけ重大な問題だし、あれだけ努力して新しい法律もつくったといったようなものを受けて、端的にこれを取り上げたというのはないようにいまの御報告からは受け取れますが、なぜそれじゃ同和問題だけを取り上げないのか。何か人権という大きい枠へ入れないとぐあいが悪いのか。先ほど地域改善対策室長が、マスコミにどうして乗りにくいかというので御説明がありましたけれども、何か原因があるのか、あるいはそういうことについて企画を持ってくるということがないのか、どちらでしょうね。    〔主査退席、岩垂主査代理着席〕
  145. 小野佐千夫

    ○小野(佐)政府委員 冒頭にもお答えいたしましたが、同和問題の啓発広報費というのは、総理府の地域改善対策室、それから法務省、労働省、それぞれに相当多額の予算が計上されておりますので、私の方では、人権問題という広い視野の中に含めて広報させていただく、ややその役削りを分担させていただいておる、このように理解しておるわけでございます。
  146. 湯山勇

    湯山分科員 それは非常におかしいので、総務長官お聞き願いたいんですが、総務長官の持っている広報室で、同じ総務長官のところの同和対策、それのキャンペーンがいまのように独自にできないで、そいつをほかの方へ回して、うちは広く人権だけでいくんだということで果たしていいのでしょうか。私は、同じ総理府の中にあるわけですから、水田地域改善対策室長の方から、こういうのを出してほしいということをもっと積極的に申し出る必要があるのじゃないか。そうでないと、政府全体の広報は広報室が持っている、そこはそれを避けて他の省へ回して、予算がそっちにあるからというのでそっちへ回してということでは済まないと思うのですが、どうお考えでしょうか。
  147. 水田努

    ○水田政府委員 確かに私どもが持っております委託費は、事実上都道府県、地方自治体が行います啓発活動の補助的性格を持っているわけで、政府みずから広報媒体を持っているにもかかわらず努力をしていないという批判が、運動団体なりあるいは地方自治体の方からも最近耳にするようになってまいりましたので、私どもよく広報室と御相談さしていただきまして、先生の御要望に極力沿うように努力をしてまいりたい、このように考える次第でございます。
  148. 湯山勇

    湯山分科員 総務長官室長はああいうことでございますが、幸い広報室長、地域改善対策室長、二人ここにおります。  そこで、この人権宣言の三十五周年でもございますから、ひとつ両室長が緊密な連携をとって、この政府の広報活動を通じてさらに同和関係の啓発に当たるということについて御指示を与えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  149. 小野佐千夫

    ○小野(佐)政府委員 広報室におきましては、従来から一般国民に対する人権問題についての広報を実施してきておるわけでございますが、今後とも関係省庁と緊密な連絡をとり、適切なわかりやすい広報を展開していきたい、このように考えているところでございます。
  150. 湯山勇

    湯山分科員 私が申し上げておるのは、総理府の広報室としては、一般人権ということで、端的に同和対策というものを取り上げたものが少ない。そこで、やはり政府全体の広報活動の元締めの役目をしておるわけですから、そこでは、この重要な問題、人権宣言の三十五周年ということもあるわけですから、ひとつ直接広報室がそれについての広報活動をやってほしいということなんですが、どうでしょう。
  151. 小野佐千夫

    ○小野(佐)政府委員 人権問題の広報の中に同和問題も含めて取り上げてきておりますが、先生の御指摘もございますので、関係省庁とさらに緊密な連絡をとって十分取り上げてまいりたい、このように考えております。
  152. 湯山勇

    湯山分科員 では、ひとつ長官からもそのように御指導をお願いいたします。
  153. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お答えします。  いま二人の関係者からいろいろと御説明申し上げたが、先生からも、ただいま御指摘のような御指示と申しますか、せよというお話でございますので、私ども、このように熱心に取り組んでいただく先生のお気持ちによくこたえられるように、まず善処をするように努力させていただくことを申し上げておきたいと思います。
  154. 湯山勇

    湯山分科員 どうもありがとうございました。  そこで、広報室もいまのように政府の広報活動に全力を挙げて取り組んでいただく。人権宣言の三十五周年でございますけれども、まだ部落差別というのは減っていかない。減らないというのは二つ、悪い意味もありますけれども法律ができて差別解消に取り組んでおると、それぞれ自覚ができてきて、取り上げていくためにふえていくという面もあって、この点は評価できるかと思います。しかし、とにかくふえていっておるのですから、これは下げなければなりません。そのために三十五周年というのは非常に大事な年だと考えます。  そこで、こういうことは考えられないだろうか。総理がこの際アピールを出しまして国民に呼びかけていく、それからいまの政府の広報活動、自治体もマスコミもそれぞれ一体になって国民運動を展開していくといったようなことがぜひ必要ではないか。現に以前の障害者年には、記念事業を推進するための推進本部というのを設けてやった例もございます。いずれにしても、そういった総合的な長期の企画を立てて、それによって進めていくということがこの際必要ではないかというように考えますが、長官、いかがでしょうか。
  155. 水田努

    ○水田政府委員 まず私からお答え申し上げることをお許しいただきたいと思いますが、三十五周年の事業は政府全体で取り組まなければなりませんので、私ども法務省の人権擁護局を中心にいろいろと対応を考えてまいりたいと思っておりますし、その一翼として同和問題につきまして、先ほど総務長官から御答弁がありましたように、同和啓発にいい機会でございますので、全力を尽くしてまいりたいと考えております。  それから、内閣総理大臣の呼びかけというのも一つの方法ではあろうかと思いますが、この問題につきましては政府部内でよく調整を図らせていただきたい、このように思います。
  156. 湯山勇

    湯山分科員 いまここでそのための推進本部を設けるというようなことについての即答は困難かと思いますが、長期の、しかも有効な計画をつくって進めるということについては、ぜひひとつお願いいたしたいと思います。  いま沖本委員質問を聞いておりまして、マスコミ関係は、もちろん西日本新聞のように熱心に取り上げたところもあるし、各社対応がかなり違っている。それについて非常に明快なといいますか、よくわかる室長の御答弁がありました。ごもっともだと思います。あれを聞いておりまして、人権宣言の三十五周年を機会に、主なマスコミのトップクラスの人と、個々にお会いになってもいいし集まってもらってもいいのですが、長官と懇談をしてその協力をお願いするというようなことは、いま室長が答えたことを解消していくのには有効な方法ではないかというように考えますが、長官、いかがでしょうか。
  157. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 ただいま湯川先生の、啓発のためにマスコミの大きな力をかりなくちゃならない、それで私自身がそうしたマスコミ関係の人たちに会っていろいろ話し合ってみたらどうかというような御指摘、その意思はないかというお尋ねのようでございますが、私も考えますのに、マスコミのこれに対する協力体制のあり方には、率直に申しまして検討の一つの課題だ、こう考えてもおりまするし、そのようにも聞いておりますので、私としては、この問題に非常に熱心に取り組んでいただく先生方はもちろんですけれども、協議会の会長、湯川先生大変心安い会長の磯村先生にもよく相談いたしまして、こういうような気持ちでおることを申し上げておきます。
  158. 湯山勇

    湯山分科員 ぜひ磯村先生とも御相談なさって、ひとつこの機会に実現できますように、そしてまた、いま室長が言われたように、マスコミの皆さんが気楽に取り上げてもらえるように御配慮をお願いいたしたいと思います。  それから次は研修関係、これが非常に大事だ。特に地方自治体はかなり熱心に事業を進めております。事業自身は相当進捗もしておって、残事業の見通し等もついているといま室長の御答弁がございました。しかし、一番むずかしい啓発活動については、努力はしておるけれども、苦労しておりますけれども、やはりかなり行き詰まっておる。どうしたらいいかという迷いもないではございません。そこで、これらの人を対象として総理府において研修会を開いて、この人たちに研修してもらう機会を総理府みずからつくる必要がこの段階ではあるのではないかということを痛感しております。これには若干の費用もかかると思いますけれども、何とか捻出してそういう研修をしていただけないか、いかがでしょうか。
  159. 水田努

    ○水田政府委員 大変適切な御質問であろうかと思います。私どもも同和啓発は、事実上地方自治体の方に御負担願っているような現状でございますので、担当者の資質の向上を図ることは何をおいても大事だということで、昨年は、総理府予算を持ちませんので、都道府県でつくっております御承知の全同対の御協力をいただきまして三日間専門研修をやりました。大変好評でございまして、ひとつ国で予算化して今後は継続してやってほしいという強い要望が知事会その他からも出ておりまして、大変厳しい予算下でございましたが、大蔵省の大変深い御理解をいただきまして、幸い新規予算として専門研修費の予算計上ができましたので、内容の充実等をさらに図りながら今後継続して行ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  160. 湯山勇

    湯山分科員 ひとつぜひ一層御尽力を願いたいと思います。  研修のことでもう一つ、これは公務員関係ですね。人事院の局長とか、かつては法務省局長とか検事とか、当然人権を守らなければならない人に差別発言があったり、あるいはそのほか、非常に残念ですけれども、相当公務員の差別問題がございます。  そこで、人事院がそれぞれ人事院規則に基づいて研修をやっておって、その後研修では、各省——法務省あたりは差別事件があった後、稲葉法務大臣でございましたけれども、検察庁から最高裁に至るまで全部研修をやってくれました。しかし、そんなのじゃなくて、人事院の、法律に基づく、規制に基づく職員の研修、ここで同和問題についての研修を行う、あるいは各省が行うものについても、人事院規則一〇—三にありますように、指導、助言、調査、報告、こういうことをちゃんとやっていくということを私はこの機会に要望いたしたいのですが、人事院は、お見えいただいておるのは管理局長ですか、この点いかがでしょう。
  161. 加藤圭朗

    ○加藤(圭)政府委員 お答えいたします。  人事院といたしましては、従来から同和問題の重要性を認識いたしまして、人事院の行います公務員の採用試験の実施を中心として真剣に取り組んできたところでございます。  今回、先ほど御指摘のような差別発言の問題がございましたので、この問題に対します職員の理解と認識が必ずしも十分ではなかったというふうに反省をしているわけでございます。  今後は、同和問題に関します院内での研修等を通じまして、この問題に対する職員の認識を一層深めていくとともに、他方、各省庁を対象に人事院が現に実施しておりますいろいろな研修がございます、それから各種の会議等がございます、そういう機会を利用いたしまして、さらに積極的に同和問題を取り上げるように一層努力してまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  162. 湯山勇

    湯山分科員 この問題は、一つずつ申し上げていけばそれぞれに違った背景を持っておりまして、重要な問題ですけれども、きょうは時間の関係もありますから、ただそれだけにとどめておきますが、事件があったから人事院が熱心になるというのではなくて、当然やるべきことをやっていなかったから人事院でこういう事件も起こったというところに問題があるわけですから、今後人事院がおやりになる、各省がやるのも指導、助言、そういうことをひとつ活用して、いまおっしゃったように積極的に取り組んでいただきたいと思います。  時間が参りましたので、大変恐縮ですが、まとめてあと二つ。  一つは、室長にお尋ねしたいのですが、「同和対策の現況」というのが過去二回出ました。昭和四十八年と五十二年。これは、大げさに言えば、同和対策についての唯一の文献と言ってもいいものです。非常に役立っております。ところが、五十二年以後六年たって、今日出てこないので、非常にさびしく思っています。新法にもなったことだし、新たにスタートしたというところから、ぜひ早く出してもらいたいのですが、そのことについて、計画があるのか、いつごろ出るか、後で室長から御答弁願いたい。  最後に長官ですが、就任されて早速に神戸市内の同和地区を視察していただいて、大変ありがとうございました。地元の者、その他関係者、大臣のお人柄とその御熱意に非常に感謝をいたしております。これはかつて稲村長官のときも取り組んでいただいておって、現地視察をされてから特に積極的に進めていただいた例もございまして、私どもから申し上げたのではなくて、積極的にやっていただいたことに敬意を表しておりますが、ここで皆さんに御感想を御披露していただき、会議録にも残していただくということをいたしたいと思いますので、そのときの御感想と、ごらんになってこういうことをやろうとお考えになったというような点について、ひとつ御発表いただければ大変ありがたいと思います。  以上でございます。
  163. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 長いこと農政で一緒に話し合ってまいりました湯山先生から、私がこちらの担当の大臣になって、先日その地域を視察してきた、これについてどう感じたか、どういうように思っているのか、これを述べろというせっかくのお尋ねでございまするので、いま申し上げたように、昔から農政問題で話し合ってきた先生にお答えをする、こういう気持ちいっぱいの答弁をさしていただきたい、こう思っております。  いまお話がありましたように、私も大臣就任以来、一日も早く同和地区の視察を行いたいものだと考えておりまして、本年の一月二十一日でございましたか、国会の合間を縫って、神戸市で最も大きな同和地区である番町地区を視察させていただきました。それで、そこに行って私が感じましたことを率直に申し上げさせていただきます。  同地区においては、これから改良が進められる老朽住宅地域をつぶさに見させていただいたほか、そこにあります隣保館や、特に私みずからお願いをして共同浴場、あそこへ行けばみんなの気持ちが通う、わかると思って私からお願いをして、予定にはなかったのですけれども、共同浴場等も見せていただいた。私が特に感じたことは、地元住民を代表して、番町地区住宅推進協議会ですか、そこの中山という会長さんがおいでになるのですが、会長さんから、改良の対象となる地区にはいろいろな民間運動団体があるが、目標は何といっても一つということで、気持ちを合わせて取り組んでおるのだというお話を聞かしていただきましたが、神戸においてあれだけの大規模な改良事業が成功しつつありますかぎはここにあるのではないかというように感じたのであります。隣保館の中で碁を楽しんで打っておられるのを見たのですが、老人たちに一日も早く新しい改良住宅の中で快適な余生を送っていただきたい、そういうことを早くなし遂げてあげたいなという感じを、率直に申しまして私は受けたのであります。  そういうことを感じましたので、これから残っておりまする事業についても、新法の有効期間内に残事業の解決が図られるよう、いまも先生から御指摘のありましたように、先ほど沖本先生からも御指摘のありましたように、関係各省を督励してまいりたい、かように思っております。どうか、この問題に熱心に取り組んでいただきました、先ほどは沖本先生から、また私の心を許して話せる湯山先生からいろいろ教えていただきまして、今後とも御指導と申しますか、お話を教えていただきますようにお願いして、視察いたしました気持ちを披瀝させていただきました。
  164. 水田努

    ○水田政府委員 私どもの作成しております「現況」を高く評価していただいておりますことは、大変感謝にたえません。五十六年、五十七年は御案内のとおり、法案関係に忙殺されてつくれなかったという状況でございますが、現在、資料を取りそろえておりますので、大変厳しい庁費でございますが、新年度早々、最優先の事業としてやりくりをして何とか対処をしてまいりたい、このように考えております。
  165. 湯山勇

    湯山分科員 どうもありがとうございました。
  166. 岩垂寿喜男

    ○岩垂主査代理 これにて湯山勇君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、総理本府についての質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際休憩をいたします。     午後零時十分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  167. 橋本龍太郎

    橋本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  沖縄開発庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。上原康助君。
  168. 上原康助

    上原分科員 私は、ごく短い時間ですので、かねがね問題になってまいりました沖縄で旧日本軍が取り上げた土地の件について、改めてお尋ねをしてみたいと思うのです。  これは丹羽長官もすでに御承知おきだと思うのですが、現段階では、戦後処理の残された最大の課題の一つだと言っても言い過ぎではないと思うのです。いわゆる読谷飛行場用地の問題ですが、経過を申し上げますと長くなりますので省きますが、要するにこの読谷飛行場用地というのは、沖縄において戦時中、旧軍がどうしても飛行場を造成しなければいけないということで、ある意味では国家総動員法的立場で強権収用した土地なんですね。当時の事情に詳しい人々のお話を聞いてみますと、反対する者は国賊とみなすとか、反対したら国賊として厳重に処置をする、こういう官権の半強制的な立場で強制収用された。そして戦争に勝つための飛行場設置であるから、戦争が終われば土地は地主に返す、こういう口頭の約束というか経緯もあったということが言われております。しかし、戦後も米軍の飛行場として使用された経緯もあって、旧地主の皆さんが所有権回復要求についていろいろ政府やこれまで大蔵省に要望してまいりますと、五十三年四月に大蔵省は、すべて私法上の売買契約によって買収されたものと認められる、こういうことで、十分な証拠とかそういうものを政府立場で実証できないにもかかわらず、いわゆる国有地として現在も米軍の使用になっているわけです。  しかし、所有権回復の問題その他いろいろございますけれども、この読谷飛行場跡地というものを解決せずして、私は沖縄の戦後処理の問題、あるいは第二次振計ということも十分な成果をおさめることができないのじゃないかという感じがしてなりません。そういう意味でこれまでもしばしば取り上げられてまいりましたが、最近の政府の見解としては、三原元沖縄開発庁長官が五十四年六月の参議院の沖特で、旧読谷飛行場の所有権が回復されず、今日まで長い間大事な土地が使用されていない状態は、開発庁長官としても何とかしなければならないと思う、国有地ということが一つの条件ではあるが、現行法規の沖振法でそこを利用できないものか、県なり市町村から具体的な事業計画を出してもらえば、そのための政令改正をしたい、大蔵とも責任を持って折衝をする、これがいま解決に向かう一つの土台になろうとしているわけですね。  ちょっと長くなりましたが、簡単に申し上げるとそういう経過をたどっているわけですが、改めて、開発庁長官としてこの問題を解決するためにどうするかを、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  169. 関通彰

    ○関(通)政府委員 最近の経緯もございますので、私から先に御答弁させていただきます。  先生質問の読谷村の国有地の問題につきましては、これまでも国会で御審議があったわけでございます。その際、沖縄開発庁といたしましては、先生お触れになりましたように、地元の土地利用計画がまとまって提出されますれば、沖縄振興開発特別措置法の規定等の運用も考えまして取り組んでまいりたい、かように御答弁申し上げてきたところでございます。  具体的な地元の土地利用計画でございますが、昨年の秋、私ども読谷村当局から利用計画の策定状況等を聴取いたしております。地元のお話でございますと、読谷村は、今年度計画推進のための予算を計上しておられまして、いま鋭意その計画を進めておられる、かように私ども承知いたしております。したがいまして、私ども地元の土地利用計画がまとまりますれば、その問題に取り組んでまいりたいというぐあいに考えておる次第でございます。
  170. 上原康助

    上原分科員 ちょっと抽象的ですが、土地利用計画については、いまおっしゃるように読谷村当局あるいは沖縄県の協議といいますか、合い議の上でいろいろ検討していると私も聞いております。  そこで、その具体的な問題に入る前に、これは全部じゃございませんが、現在も軍用地として使用されているわけですね。国有財産として登記、登載されているのが二百四十九・一ヘクタール、そのうち百八十六ヘクタールが軍用地面積になっている。一応十分な土地利用計画を進めていくには、まず当面の問題としては、読谷補助飛行場はパラシュート訓練地域、訓練場になっておりますので、このパラドラの機能移転というものはいつごろできるのか。  同時にもう一つは、軍用地として全面返還をしてもらわなければいけないものがまたその後に残ると思うのですが、そういうことについてはどういう見通しを持っておるのか、防衛施設庁来ておりますから、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  171. 田中滋

    ○田中説明員 読谷補助飛行場は、現在、在日米軍が落下傘降下訓練場として使用しておりますが、そのほかに、この読谷補助飛行場に隣接しております楚辺通信所の電波障害緩衝地帯及び在日米軍の一般訓練場としての機能も果たしております。米軍にとりましては必要不可欠な施設、区域というように考えております。  なお、お尋ねの落下傘降下訓練機能の移設が仮にできたといたしましても、読谷補助飛行場自体の返還ができるという見通しは現在のところないというように考えております。  なお、読谷補助飛行場の果たしております幾つかの機能のうちの落下傘降下訓練場としての機能の移転という点につきましては、現在施設特別委員会のもとに設置されました特別作業班で、鋭意技術的面、総合的な面、あわせまして検討されているところでございますが、いずれにしましても、降下訓練機能としましての条件を満たすその移転先地と申しますか、代替地の選定には、飛行場からの距離とかあるいは適当な地勢、地形あるいは気象条件等、また移転先地におきます地方公共団体並びに地元民の意向等、いろいろな面からの検討が必要とされますので、これから相当程度検討期間を要するのではないかというように考えております。
  172. 上原康助

    上原分科員 皆さん、相当程度の期間を要する、それはあたりまえのことじゃないですか。施設庁は、調査はいつまでに終えていつごろ結論を出すのですか。
  173. 田中滋

    ○田中説明員 この読谷補助飛行場におきます落下傘降下訓練機能の移設につきましては、昭和五十五年の秋にこのための、特に技術的な検討を行うための特別作業班が日米間で認められまして、その後鋭意検討並びに基礎的な調査を実施しております。  今年度におきましては、この落下傘降下訓練機能を移設する適地を選定するために、読谷村内二カ所を含みます計五カ所の候補地を対象に、現在のところその基礎調査を実施中でございます。現在行っております基礎調査の結果も踏まえまして、来年度以降、先ほど御答弁申し上げましたような観点からの検討もさらに加えてまいりたいというように考えております。
  174. 上原康助

    上原分科員 私も、出先の施設局からある程度中身も聞いています。あなたの答弁よりももっと出先の方の言っていることがむしろ進んでいる面もある。しかし、細かいというより具体的なところまで触れませんが、今年度といっても、あなた、きょうは三月七日ですよ。五十七年度はもう幾らもないのじゃないですか。いずれにしましても、最低限度機能移設はやるわけですね。
  175. 田中滋

    ○田中説明員 移設先地の見通しそのものが、先ほど御答弁申し上げましたようにいろいろな面からの検討を必要としますので、現在のところ鋭意検討はしておりますが、移設先地及びその時期につきましては、まだ見通しを得る段階には至っておりません。
  176. 上原康助

    上原分科員 あなたに一々こんなことを聞いても……。それはもちろんそうでしょう。あなた、そんなおっかないものを自分のところに、私のところでいいと言う自治体は少ないでしょう。しかし、これは解決しなければいけない問題ですよ。私らの立場は、どこかへ持っていけばいいということじゃないです。持っていくなら海のど真ん中ぐらいへ持っていけよ。パラシュートだから、沈まないような工夫をすればそれはできないことはない。そういう論議は別の機会にするといたします。  もう一点は、これはぜひ長官と大蔵省あたりに十分お聞きおきをいただきたいのですが、この問題は、要するに旧地主の立場というものを抜きにしては解決はむずかしいということですね。確かに先ほど引用しましたように、五十三年の四月十七日に大蔵の調査報告書が出ております。しかし、大蔵省にぜひ聞いていただきたいことは、その議論はもう繰り返しませんが、たとえばその代金の支払いを示す直接的な資料は、沖縄本島については、読谷や伊江島については発見されなかった、しかし、宮古及び石垣において領収書等が相当数発見されたので類推できるというようなことを言っているわけですね。あるいは所有権認定作業、昭和二十一年から二十六年の間に作業がなされた。当時その所轄の町村長が国有地と認定した土地所有権証明書を米国民政府の琉球財産管理官に出したからここは国有地であり、正規の手続で国が接収したものだと認める、こういうことなのですね。  これに対して読谷村は十分な反証をしているわけでしょう。本当に正規の売買契約、私法上の売買契約に基づいてなされたということであるならば、その証拠が国になければいけないはずなんですね。しかしそれは立証できない。だからある面では、この議論をしますと、地主の言い方と国の言い分は五分五分なのです。どっちの方も言いようがあるわけです。したがって、国が一遍召し上げたものは絶対離さぬということに立てば別問題かもしれませんが、そういう経緯があるということはぜひ踏まえていただいて、旧地主の立場というものを無視してはこの問題の解決はあり得ない。しかも、冒頭に引用しましたように、反対する者は国賊とみなすとか、ああいう戦時体制時ですから、強制的に接収しようとした場合は反対のしようがないわけです。  そこで問題は、ではどう解決するかということなんですが、先ほどお答えがありましたけれども、今後読谷村なり、公共用として土地利用計画書が出た段階においては、それは十分尊重して解決するというお立場なのですか。どういう方向で解決しようとするのですか。  さっき言いましたように、まず一つは、いずれにしても軍用地として米軍がまだ支配しているということ。あるいは機能移転の問題が一つ残されている。返ってきた段階においては、旧地主の立場をどうするかという問題がある。また、沖振法の九条といっても、それには一定の枠がはめられている。こういう面からすると、これはなかなか容易でないわけですね。したがって、読谷村なりあるいは沖縄県も協議の上で策定をされてくるこの土地利用計画というものは、マクロに見て、広義に解釈をして、あくまでも公共の用に供する一つの計画だ。そういう中で、地域振興開発という立場で土地利用というもの、それはやはり旧地主の意向というものを加味された利用計画だと私は思うのですが、そういう案が提示をされた場合に、政府としてもそれを尊重してこの問題の解決を図っていかれるのかどうか、この点について御見解を、これはできれば大臣の方からお答えいただきたいと思います。
  177. 関通彰

    ○関(通)政府委員 お答えを申し上げます。  沖縄開発庁立場でお答え申し上げますが、沖縄振興開発特別措置法第九条に、国有財産の譲渡等に関します措置の規定がございます。先生も御案内と存じますが、この九条は、地方公共団体等が公共の用に供する施設等をつくります場合、国有財産の譲渡または貸与等ができるという規定でございまして、どういう施設の場合に譲渡、貸与ができるかということは政令で決めることになっております。現在政令では、小学校、中学校、養護学校等の教育施設しか規定しておりません。したがいまして、現行の規定でございますと、教育施設を建てる場合にしかこの九条が適用できないわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、沖縄開発庁といたしましては、具体的な土地利用開発計画が提出されますれば、教育施設以外の施設を追加することについて関係省庁とも協議いたしたい、かように考えている次第であります。  ただ、九条は、公共の用に供する施設という大きな枠がございますので、農地等の利用につきましては、この沖縄振興開発特別措置法の規定は適用できないというぐあいに申し上げられるかと存じます。
  178. 上原康助

    上原分科員 ですから、そこが問題になる可能性があるわけです。長官は農業問題にようけお詳しい方だから、土地というものの大事さといいますか、特に狭隘な地域になると、ますます農地にしましても不動産の利用というものは大変に重要視されてくる。ですから、いまの総務局長の御答弁からしますと、現在の沖振法の九条の枠内になると、学校とかあるいは公園程度は入るかもしれませんね、その程度のものにならざるを得ない。だから、三原長官は、あのときに政令を改正するということもおっしゃっているわけですね。県なり市町村から具体的な事業計画を出してもらえば、そのための政令改正も考えてみたい、大蔵とも責任をもって折衝する。五十四年十一月に、竹下蔵相も三原長官答弁どおり、地元公共団体が公共的に使用する計画を出せばしかるべき措置をしたいというのが政府の統一見解である、この点は大蔵省も確認できますね。
  179. 太田幸維

    太田説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  180. 上原康助

    上原分科員 そういたしますと、三原長官は、政令の改正も場合によっては含めて——政令というのはいろいろ皆さんの酌量でできるわけなんです。いま大蔵省も五十四年十一月に竹下大蔵大臣がお答えになったとおりだ、だからそこから一歩進んで、読谷村がお出しになる利用計画について、十分地域の振興開発なりあるいは沖振法に沿うような方向での計画であるとするならば、これまでの三原長官なり竹下大蔵大臣の御答弁というものを一つの基礎にして、これを開発庁と大蔵省、そして返還問題については外務省、施設庁が十分協議していただいて、その跡地利用計画については、十分旧地主の方々の意向というものも参酌をした形での土地利用計画として推進をしていく、こういう立場で、これは私は最初に言いましたように、最大の戦後処理の課題の一つなんですよ、長官。そういう面で、ぜひひとつ問題解決の促進を図っていただきたい、このように考えるわけですが、ここらでひとつ長官の御見解をちょうだいしておきたいと思います。
  181. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 先生からのお尋ね、また御指摘のございましたように、この読谷の飛行場と申しますか、この地域、これはまず一部は返還されておりますけれども、返還されなくては根本的には解決されない問題でございますから、この返還が前提になるということは御理解を願いたいのでございますが、これは私ももちろんそう考えております。  そこで、そのことでございますけれども、そのとき大蔵大臣あるいは元の三原長官のおっしゃいましたことを私はこう解釈しているのですね。地元地方公共団体から沖縄振興開発特別措置法の第九条の要件に沿ったものを出されたときには、それはもう当然考えていきたい、こういうようなことだと考えております。また私も大臣就任早々でございますから、政令の改正だとかなんとか、ここで先生にお約束したり考えますということは言い切れませんけれども、いまおっしゃったように、二人の大臣先生にお約束しておりますることは、ただいま申しましたように、沖縄振興開発特別措置法の第九条の要件と申しますか、それにかなうことで計画が出されたときは当然それを認めていかなくてはならぬ、こういうような趣旨の御答弁でなかったか、かように考えております。  しかし、私も長く先生方と一緒に農政をやってきた男でございますから、土地を提供と申しますかとられた——とられたと言っては言い過ぎかもしれませんけれども、出した……(「接収だ」と呼ぶ者あり)接収された農民の土地に対する気持ちというものはわからぬわけではございませんので、その点は今後もいろいろのことで意見が出ましたときには、その気持ちだけは十分伝えるようにいたしたい、こう考えております。
  182. 上原康助

    上原分科員 これは接収の上に強制がつくのですよ、大臣。強制接収というのです。強制も強々々制だよ。基本はいま御答弁なされた線しかお答えいただけないかと思うのですが、わからぬわけでもありません。  ですから、村の総合計画の位置づけの問題もあると思うのですが、その内容が公共、公益施設の配置ということでいろいろなことが想定できますね。その中に旧地主の意向というものも反映されておったとしても、沖縄振興開発特別措置法の線に沿ったものである場合は十分政府としてもそれをしんしゃくをしていくお立場である、このように理解してよろしいですね。
  183. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お答えさしていただきますが、私は先ほども申し上げましたように、大臣にしていただいてまだ日もたっておりませんので、第九条なるものの内容まで詳しくは存じませんが、二人の大臣先生にお約束を申しお答えしたということは、そしてこれを処分するときに、処分者であるところの大蔵大臣からそのように言っておりますれば、これらの方々の気持ちというものは第九条の要件と申しますか、いわゆる沖縄を私がいま担当しておりますけれども、一日も早く沖縄を開発していきたいという大きな大きな——長いことアメリカの施政権下にあって、十年前に返還されて、努力はしておられますけれども、本土とはまだ大変生活その他すべての面でおくれておるので、早く本土と同じようなところにまで持っていきたいと努力しておるし、それにこたえるような施策を先生方によって法律をつくってやっていただくわけですから、そうした法の精神にこたえて、法の精神を生かすように沖縄を早く開発させていこう、そういうためにある法律でございますから、第九条だって悪いようなものではないと思うのですね。その第九条の要件に沿うということは、そうした大きな沖縄の開発振興ということから考えたら、私は当然だと思いますので、十分これから私も勉強させていただくことだけはお約束を申し上げておきたいと思います。
  184. 上原康助

    上原分科員 ぜひひとつ要件に沿う形で、あとは運用の問題になると思いますので、特段の御配慮をいただきたいと思います。  時間がありませんので、簡潔にあと一点、せんだっても大蔵の方に御要望いたしましたが、石垣の旧平得飛行場跡地払い下げの問題。これは石垣市議会の決議、要請なり関係者の要望に沿って手続面が完了すれば処分いたしますね、お答えいただきたいと思います。
  185. 橋本龍太郎

    橋本主査 上原君の質問時間は切れましたから、簡潔な答弁を願います。
  186. 太田幸維

    太田説明員 お答えさせていただきます。  あくまでも地元の調整が済めばという前提がございますけれども、その上で所定の手続をいただければ大蔵としても前向きにやらせていただきます。
  187. 上原康助

    上原分科員 ありがとうございました。
  188. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして沖縄開発庁についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  189. 橋本龍太郎

    橋本主査 次に、警察庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。沢田広君。
  190. 沢田広

    沢田分科員 総括的にちょっとお伺いいたします。  いまの凶悪犯罪だけに限定をいたしますが、凶悪犯罪の逮捕率といいますか、ここ数年の傾向としてどういうふうに御判断なさっておられるか、これは後でもいいですが、いわゆる国民の生命、財産を守るという立場から大臣がどういうふうに受けとめているのか、その意識についてひとつわかりましたら御答弁をいただきたいと思います。
  191. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 凶悪犯で世の耳目を驚かすような事犯がときどき起きてまいりますが、最近の犯罪は犯罪の性質も非常に悪質になっており、それからもう一つは、やはり広域的な犯罪の発生が見られるところでありまして、そういう犯罪に対応する体制というものはやはり警察として考えていかなければならない。犯罪と検挙というのは、犯罪を犯す者と警察の知恵比べみたいなものでございますから、警察はそれに十分に対応をしていかなければならない、こういうふうに思っておりますが、御指摘の特に凶悪な犯罪というものは何としても検挙をするように警察としても、たとえば重要犯人の指定みたいなことをやって公開捜査もやったりしまして、列国の中ではそういう凶悪犯罪に対する検挙率はわが国の警察は高いと言われておりますけれども、今後ともより以上の実績の上がるように努力を重ねていかなければなるまい、こう思っております。
  192. 沢田広

    沢田分科員 大体凶悪犯罪の逮捕率五割、それから窃盗その他いわゆる軽度な犯罪の逮捕率は二五%程度、われわれはこれを称して、一名泥棒天国、こう言っているのであります。これはわが県も同じなのでありまして、首都圏圏内はややそういう数値になっておりますが、埼玉なり千葉で盗みをして朝の一番で東京へ行ってさばく、こういう傾向がありますために窃盗その他の逮捕率というものがきわめて低下をしているのであります。凶悪犯罪は全国統一でやりますからその程度なんですが、それでもなおかつそのような状態になっているわけでありますが、これは大臣御存じかどうか。また、泥棒天国なんていうふうに言われる県の立場になってみると、これはきわめていやらしい名前になるのでありますが、その点はどういうふうにお考えになっておられるのでしょうか。
  193. 太田壽郎

    太田政府委員 凶悪犯の検挙率は約九〇%近くでございまして、これはほとんど横ばいの状態で、最近は若干上昇傾向を見せている。泥棒の件につきましては、県によりましていま御指摘のような必ずしも検挙率が十分でないというところもございますけれども、警察といたしましては国民のあるいは県民の身近な犯罪であります窃盗の検挙ということに最大の努力を傾けてそれぞれ取り組んでいるところでございます。
  194. 沢田広

    沢田分科員 それで、この前大臣新しくかわられたのですけれども、警察官の定員配置の基準というものは何かないかと言っているのですが、政令で決めるだけであって、その根拠というものはなかなかないようなのであります。たとえば成田空港であるとかあるいは東京であるとか、そういう特殊事情は一応別にしますよ。特殊事情は特殊事情として別にして、それはプラスアルファをすればいいのですからそのことは別といたしますが、一般的な配置の基準というものがないということはどうも明朗性を欠くのではないかということを私は前から言ってきたわけであります。  たとえば比較してもらえば結構ですが、いまやわが埼玉県は五百五十万になりますね。そのうちちょっと超えて北海道を超えるのじゃないかと思うのであります。北海道と比べてもらって結構なのでありますが、人口一人当たりという立場から見ると、単純にそれだけ見ると、あるいは犯罪件数から見ても——何も北海道をおろそう、足を引っぱろうという気はありませんよ。ありませんが、一例を挙げればそういうもののどことどこに、何に要素を置くのだろう、治安維持ですから犯罪の件数にも要素を置かなければならぬ、それからもちろん交通事故の多発の件数も置かなければならぬだろう、あるいは凶悪犯の起こり得る率ももちろん対象にしなくてはならぬだろう、それらの総合的なものがやはり定員の査定の根拠にならなくてはならぬ。ところが従前の状態は何とはなしに、山にも警察官を配置する、川にも落っこちる人があり得るかもしれませんけれども、川にも警察官を配置する、ややそういう傾向がなきにしもあらずという経過をたどってきました。いまの議員の定数と同じようなものがあったわけでありますが、その辺はやはり改めるべきものは改めていくという立場が必要なのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  195. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 定数の問題は、最近は地方財政の現状から見て増員の幅がだんだん小さくなってきたわけですよ。ことしなんかも地方財政が厳しい情勢でございますから、そういう地方財政もにらんで定員の増は抑えられたということでございます。  一方、仰せのように合理的な配置基準というものは必要なわけでございますが、いま新たに増員になりまするものの配置の場合は、一つはやはり団地とかそういう急激に人口のふえたところに配置をするという考え方が大きな要素になっております。埼玉なんかは確かに人口が非常にふえております。またそういう団地なんかに、窃盗は起きるかもしれないが、そんなにひどい犯罪は起きないところであっても、やはり駐在所、交番をつくって安心をしていただくということも必要なのでございます。その辺も考えていかなければならぬ。しかし、いまおっしゃるように全体の定員というものをいろいろな要素、いろいろなファクターで検討をするということは確かに必要なので、これは常時そういう観点で検討を加えながら合理的な配置基準をつくって見直しをしていかなければなるまい、こうは思っておりますが、何せ全体の定員の中でどこかを減らすということになりますと、これは現実の要員がおるわけでございますから、なかなか減らす方はむずかしいという事情もございまして、今後の検討課題であろう、こう思っておるところであります。
  196. 沢田広

    沢田分科員 検討課題じゃなくて、これは、臨調じゃないですけれども、ある程度国民の生命、財産を守るという大前提に立ってみれば、その大義に殉ずるというのが基本方針でなければならぬ。それで、その地域のマイナスになる面、プラスになる面、それぞれあるでしょう、それは価値判断の問題ですから、お互いにその価値判断を評価して、ある程度マイナスの分はがまんするところはがまんをするという、大所高所に立った判断が国政の分野で行われなければ、惰性を承認していくということになったら、これは全然今後の財政再建なんかできっこないのでありますから、そういう意味においてはきちんとした、大義親を滅する、そういう立場が堅持されることが、大臣答弁とすればそういうところに立つべきではないでしょうか。現状に堕するならだれでもができるのであって、その中にお互いが納得をし、説得をし、こういう実情をお互いが理解をする、そういうことをするのが定員配置の役割りをされる大臣以下職員の任務なんじゃないかと思いますが、大臣答弁では若干それは前よりももっと後退してしまっていますから、あえてその点はそのぐらいの気概をもって臨まれることが——それでもなかなかむずかしいと言われるのならまだ話はわかりますよ。しかし、依然としてその前提条件にそういうことの惰性を置いているということは容認できないところなんですが、あえてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  197. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 いや、私も、合理的な基準でやるということを全く否定しているわけでも何でもありません。そういう観点で配置は考えなければならぬのだと思うのです。ただ、いますぐそういうものをやるということになると、現実の問題としてはすぐにはやはりできないものであろう。当面は、わずかながら増員をしていく中で当面の要請にこたえていくというやり方で配置をしている、こういう実情なものですから、そういう現状をちょっと申し上げたということでございます。仰せのように、全国各都道府県にわたる合理的な配置基準を検討して、そして一度よく見直しもするということも確かに必要であろう、こう私は思っておりますが、ただ、現実に人がいるものですから、よほど長期的な観点に立たなければ、すぐにたちまちどうこうするというわけにもまいらない、こう私は思っておるのであります。
  198. 沢田広

    沢田分科員 私も、そういうことをあしたから直せなんということを言っているわけじゃないのです。現在の犯罪やその他の状況を見て、あるべきものはこうであるという目標を設定しておいてほしい、そして直ちに人員が増員できないのですから、それは欠員状況を見ながら——たとえば聞きますけれども、この間大阪で起きた汚職で免職された職員がたくさんいますね、それの補充はどうするのかという問題がありますね。その補充のときに、じゃ、いままでの基準にも達しないところへそれは補充させよう、これだって一つの段階的な解消の仕方でしょう、何も一挙にそこへ近づけなくても。何もその悪いことをしたことを喜んで言っている意味じゃありませんよ。しかし、全国的な配置を徐々に変えていくというためには、そういう欠員状況、依願免もあるでしょう、あるいは免職もあるでしょう、そういう総合的な立場の中で正規のバランスをとっていくように努力していく、そういう姿勢が必要なんじゃないのかという意味なんですね。だから、あしたからしろと言わないですよ。しかし、あるべきものへ近づけるという努力は肯定されるのじゃないのですか、いかがですか。
  199. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 いや、いまおっしゃられていることを私は否定しているわけじゃないので、先ほどから繰り返し申し上げておるように、そういう合理的基準をわれわれは追求していかなければならぬということには何ら異議はないわけでございます。ただ、いまおっしゃるように、すぐにそういう合理的基準でただ是正をせいとおっしゃられても、現実の人がいるからすぐにはそう簡単にはまいらないと思いますということを私はお答えしているわけなんです。決して先生のおっしゃる合理的基準を否定しているわけではないということでございます。
  200. 沢田広

    沢田分科員 これは禅問答みたいになってしまって少しも前進しないので、事務的な方でひとつ答えてください。
  201. 太田壽郎

    太田政府委員 警察官の定員の配置の問題、これは先生からも前から何度も御指摘いただいて、私どもの方もいろいろ検討しているところでございますが、御案内のように、人口とか刑法犯の認知件数とか、交通事故とか面積とか、いろいろな要素があるわけでございます。  先ほど北海道の例と埼玉県の例をお出しになりましたのでちょっと申し上げますと、たとえば警察官一人当たりの負担人口でございますが、埼玉県は、全部並べてみますと上から二番目に重い。ところが北海道は二十九番目だ。ところが、面積をとってみますと埼玉県は四十三番目、北海道は当然のことながら一人当たりの面積が一番広い。それから刑法犯の認知件数で言うと埼玉県が十四番目で、北海道が三番目。交通事故は埼玉県が十番目で、北海道は四十番目と、非常に区々になっておるわけでございます。それをどういう形でそれぞれ評価をして総合的な治安指数といいますか、そういうものにまとめ上げて、それに応じた定数を配置するか、これは実はなかなかむずかしいところでございまして、いま大臣から申し上げましたように、増員という形でそういう際にいまのような問題点について十分配慮しながらやっていく。御参考に申し上げますと、昭和四十八年を一〇〇にいたしますと、埼玉県の場合、五十七年は一六五の警察官の定員になっております。具体的には約二千六百名の増。この場合、全国的には四十八年を一〇〇にいたしますと一一五の増ということになっております。御案内のとおり、埼玉県のような非常な人口急増地帯、これに対しましては増員の分を最大限に回すということでこれまでも努力してきておるわけでございますが、基本的にそういう考え方で大数的に把握をしてやっていく、大体そういう考え方を持っておるところでございます。
  202. 沢田広

    沢田分科員 時間の関係で次に参ります。  交通違反の問題で、交通違反の点数制度を見直す時期に来たのではないのかというのが視点なんです。この点数制度ができまして、反則金その他もありますが、いわゆる交通の違反の中に占める社会的な位置づけ、犯罪の位置づけといいますか違反の位置づけ、いわゆる人命を傷つけ、あるいは他人に多くの迷惑を及ぼす、そのことによって重大な損害を相手に与えるような違反の要素を含んだものの違反と、それから、あるいは個人的なもの、自分で自分の問題になり、それほど大きな社会的な犯罪にはならないし、社会的な被害を与えるものにはならない、たとえばスピードみたいなもののように、うんと走れるところはこれはしようがないのじゃないかという見方が一つあります。狭いところを大きなスピードで走ればこれは危ないのですからやってもいい。そういうふうにもう少しいまの時代的な背景に合った取り締まり方法と点数方法というものを考える必要があるのではないか。  あるいは時間的に見てもそのとおりだと思うのですね。一台も通っていないところを、四十キロだからといって四十で走っている人はほとんどないと思うのです。恐らく最低で七十くらいで走っているだろうと思うのですね。そういうところをつかまえれば、これも三十キロオーバーだからけしからぬ、こういうことになって、形式主義的になっている嫌いがあるのじゃなかろうか、過積みもそうなんですけれども。酔っぱらいとかそういうものについては、これは大きな事故を起こす可能性があるから、これはこれで大きな罰則を与えることはやむを得ぬ。  そのかわり、一方通行に間違って入りかけたものに二点なり何かを加える、あるいは一時停止違反で、ちょっととまったかなとまらなかったかなというものについて目くじらを逆立てるというのもこれは少しどうかなというふうに、いままでの系統をずっと見てまいりますと若干点数の移動を考えるべき時期に来ているんじゃないか。このままの点数でいいのかというと若干疑問が、十五点という一応の枠を基準にいたしますと、その枠内においては再考すべき点なしとしないというふうに思うのですが、いかがでしょう。
  203. 久本禮一

    ○久本政府委員 先生の御指摘になりました問題は、交通の多量化、これだけ国民に普及をしたといった状態を背景にいたしまして、交通のあらゆる問題に影響が起こってきているというふうに考えますが、御指摘の点数の関係にしぼって申し上げますと、御指摘のとおり、そもそも違反行為に対して科せられる点数は、その行為が道路交通に及ぼすいろいろな問題性、危険、障害といったものを及ぼすということの大小によって決められておるわけでございますので、妥当性については道路交通の変化に対応して常に検討するということは、まさに御指摘のとおりであろうというふうに思います。  点数制は四十四年でございますかに発足いたしましてから確かに十五年近くの年月がたっております。これはその間に情勢の変化もございますので、もちろん見ていっているわけでございますが、具体的に細かなことはお尋ねがあればまた申し上げますが、その後何遍か点数の改正というものはいたしておる事実はございます。  そのことの中で、御指摘のとおり、いろいろ個別的な状況で問題があるということが現実の交通の場においても多々あるわけでございますが、十五点という枠の中で、しかも反則に対して与えられるのは一点、二点であるというようなことの枠の中でどう運用するかという点につきましては、なかなか技術的にむずかしい問題がございます。  したがいまして、おっしゃるとおり、取り締まりのあり方等を含めまして、実勢に合うような形の処理にいたしたいということは絶えず努力はしているつもりでございますが、そういう状況であることをとりあえずお答え申し上げます。
  204. 沢田広

    沢田分科員 次の問題にいきます。これはそういう時代的な背景を受けながら検討していく努力をひとつ続けていただきたい。  次に、過積みの取り締まりはいろいろな方法でやってきているがなかなかできない。ところが、料理飲食店その他のところで何かが起きれば営業差しとめですよ。これは同じ警察でやっているのですから。営業停止になるわけです。ところが、過積みだけは営業停止がない、これは不公正だと思う。だからこれは商取引の整合性からいっても不公正だ。一方は正確に守っている業者と、三倍も積んでいく業者が、正当な競争ができるはずがない。それはおれは下請だし厳しいから三倍積むんだということが許されていいものではないと思う。  だから、それにはそれなりの罰則が、今度は逆に重くしていく必要性があると思う。ですから、ほかの料理飲食店等は営業停止一カ月なり三十日なりあるいは二十日なりというのを食うわけですから、だから過積みの問題もやはりそのくらいに、正常な営業をやっているものとの正当な競争をさせるためには、そんなものは罰金を取ろうが何しようが翌日からやれるのであればちっともこれは意味ないのですから、それはやはり営業停止を運転手及びその業者というものにはきちんと与えるぐらいの気構えが必要なんじゃないのか。それをひとつ制度化、制度というか、それをそういうことで行政処分をするように考えていただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  205. 久本禮一

    ○久本政府委員 私も一線の交通実務を長くやっておりますので、心情的には先生の御指摘に大変同感でございます。ただ、これを制度に乗せるということになりますと、その枠が非常に狭いということで、必ずしも思うように進めなかった点はございますが、これはひとつ私ども先生のそういう御指摘も踏まえて十分今後勉強してまいりたいというふうに考えております。
  206. 沢田広

    沢田分科員 これは、確かに、食えなくなるから、おれのことをどうしてくれるんだといって、どなり込むだろうと思うのですよ。私もそういう経験ありますよ。そんなことされて、冗談じゃない、そうしなきゃおれは食えないのだ、おれを殺す気か、こういうことで言ってくるだろうと思うのです。  しかし、本来は、泥棒がいなければ警察官も要らないのですからね。ですから、そういう者がいるから、正当な競争をするためにペナルティーを与えるのですから、その点はやはりPRをして、ある一定の期間を置いて、そしてそういう処分をするということによって正当な競争をさせる、こういうことが商取引としても必要な条件である、こういうふうに私は思いますので、いまのお答えに心から敬意を表しながら、それが実行に移されるよう切望して、次の問題に入ります。  続いて、次は、騒音の暴走族の取り締まりでありますが、とにかく、お巡りさんも、見ておっても、音をたててばたばた、ばたばたいっているけれども、なかなかつかまえようと思わない。警察官の職務というのは、もう時間がないですから簡単に言いますが、交通の方は交通だけ、それから片方は片方、もちろん職務上そうなっているのかもわからないのですけれども、たとえば駐在所にいる人はその駐在所にいる人で、ぐるっと回ってくるのですが、物すごい音をたてて目の前を通られても、番号を調べようという態度も示さなければ、見て見ないふりをしているという現状ですね。  この点はきわめて嘆かわしいと思うので、いわゆる騒音防止条例にもあるいは法律にも触れるわけでありますから、そういう点はきちんと職務内容の中に含まれるものとして、この暴走族の取り締まりが——まあ本人がおっかなくなっちゃうのじゃないかという気がするのですがね。いまの中学校の先生みたいなものかもしれませんが、とにかく、そういうことできちんと取り締まりができるように教育をしてほしい、こういうふうに思います。  その伝達方について、確認できるかどうか、お答えをしていただきたいと思います。
  207. 久本禮一

    ○久本政府委員 暴走族の取り締まりというのは、なかなか一人一人の警察官では困難な点もございまして、大体集団を組んで対応するというのが実情でございます。また、音の取り締まりというのはまた交通の取り締まりの面ではなかなかむずかしい、技術的にむずかしいという点がございますので、少しでもそれに近づけるために、先生も御承知のような、いわゆる整備不良車両の取り締まりというものは、音に一番取り締まりが密着いたしますので、これにつきましては精力的にいたしているつもりでございます。  そういう点を踏まえまして、個々の警察官が十分にそういう取り締まりに目を向けるという点については、伝達方、交通局長としてお約束を申し上げたいと思います。
  208. 沢田広

    沢田分科員 あと残された時間は短いのですが、この間ゲーム汚職でおやめになられた警察官の方々、これは年金の取り扱いはどういうふうになったのか、わかったらひとつお答えをいただきます。
  209. 太田壽郎

    太田政府委員 諭旨免になりましたものにつきましては、年金は、大阪府の場合は、内規によりまして、いわゆる割り増し的なものはもらえない。大体円満に定年を迎えて退職した場合の約四〇%減の退職金になる……(沢田分科員「退職金じゃないです。年金」と呼ぶ)年金については、刑が確定しない限り大きな差はないと思いますが、ただ、やめるときに特昇等が普通はございます、それの適用を受けませんので、本来円満にやめた場合に比べますと、年金の基礎になる金額が低いわけでございまして、その分では非常に不利益を受けるという状況でございますが、詳細につきましては、さらにまた別途御説明に上がりたいと思います。
  210. 沢田広

    沢田分科員 ちょっと間違っている点があるんじゃないかと思いますが、ここで追い詰めようとは思いません。急な質問だったものですから、後で調べて、この前の懲戒免職に当たっての取り扱いについてどういう処置をしたかというのは、後刻ひとつ御返答をいただくということで、時間ですから質問を終わりたいと思います。
  211. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして警察庁についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  212. 橋本龍太郎

    橋本主査 次に、行政管理庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。岡田正勝君。
  213. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 大臣、まず冒頭に、前任者であられました中曽根総理大臣の御意思を当然引き継いでいらっしゃるものというたてまえにおきまして質問をしてみたいと思うのです。  いろいろ調べてみますと、中曽根さんは行管長官のときに、行政改革について非常に勇ましいといいますか、堂々としているというか、実にりっぱな発言をもう何回も繰り返していらっしゃるのです。そこで、毛語録ではございませんが、中曽根語録とでも言うべき行革の語録ですね、これを拾い上げてみますと、こういうものがあるのですね。  たとえば、「自民党は滅びても行革は断行する」これはりっぱですね。それから、「行革は天の声、国民の声」「行革に反対する悪質な役人は、配転か左遷する」実に厳しい態度です。まだあるのです。「政治家は常に死に場所を考えておかねばならぬ。私は行革を死に場所と考えている」そしてまたつけ加えて、「土光さんと心中するつもりでいる」とまで断言をしていらっしゃるのですよ。なかなか国民の共感を呼んだ発言なんですが、後任として出られました大臣は、やはり同じようなお気持ちでしょうか。答申を前にしての大臣の決意を聞いておきたいと思います。
  214. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 私の前の行政管理庁長官はいま総理大臣でございますが、行管長官時代にいろいろ言われたこと、私もそれなりに承り、高く評価をいたしておるわけでございまして、私も中曽根長官と同じような決意で臨んでいくつもりでございます。  そして、特に行政改革はいまのときにやらなければ、これはもうやれないと私は思うのです。特に増税なき財政再建、これをてこにしてやるには絶好のチャンスだと私は思うのですよ。ですから、その意味において、行政改革は政府だけの問題ではなくて、国民的課題だと私は思うのです。いまにしてやらなければ、二十一世紀においてわれわれの子孫に申しわけない、こういう考えを持っておりまして、総理が、勇ましいといいますか、いろいろ言われたこと、私もそのとおりに理解し、全力を尽くして実行に移したい、かように考えております。
  215. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 いや、さすが大臣ですね。すばらしい答弁です。中曽根語録に劣らない、りっぱなものだと思います。私はこれを非常に高く評価します。そして額面どおり受け取るのであります。  さて、そこで、行政改革を行うに当たりまして一番大事なことは何かといったら、やはり政治倫理の確立ではないのでしょうか。
  216. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 行政改革を実行するためには、何といっても国会を含めて国民世論の支持なくしてできないと私は思うのです。行政に対する信頼、これがやはり一番大事じゃないのでしょうか。行政に不信を持つようなことがあってはどうにもなりません。その意味において、政治倫理と、どういう意味か私よくわかりませんが、行政に対する信頼が一番基礎にあると私は考えております。
  217. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 打てば響く答弁とは大臣の言われるものですね。それはすばらしいものです。本当に私は感心しました。これでまたわが意を得たりという気がするのであります。  さて、そこで、先ほども文部省の分科会の方に出てまいりましたが、大臣も御承知のように、毎日の新聞やテレビで校内暴力、校内暴行あるいは少年の非行ということが出ない日がないぐらい、大ぜいの国民がやはり心配していると思います。  そこで、こういうことがあるのですよ、大臣。中学生あるいは高校生ぐらいの子供でありますが、学校の先生がある悪いことをした子供をつかまえまして、だめじゃないか、そんなことをしたら、何ということをするのかと言って手厳しく怒りますと、百人が百人ではございませんが、ほとんどの子供がこのごろは先生に口ごたえをするようになったそうです。その口ごたえをする中で最も気になりますことは、何を言うのだ、五億円も金をもらって知らぬ顔しておるのがおるじゃないか、あんなのをほうっておいて、僕らだけ怒るのか、こう言うそうです。先生がたじろぐそうですよ。  そこで、委員長、ちょっと失礼いたしますが、大臣をのけまして、委員長ものけまして、この中で毎月十万円を確実に貯金していらっしゃる——高級官僚ばかりだから恐らくしておると思いますが、十万円ぐらいなら毎月やっているよとおっしゃる方がありましたら、ちょっと手だけ挙げてくれませんか、答弁してくれとは言いませんから。——挙がりそうですか。(「この連中にあるわけないよ」と呼ぶ者あり)ないですか。主査があるわけないとおっしゃっています。これはもう間違いないでしょう。そうすると、世界に冠たる日本の高級官僚が、現在の紙幣価値で毎月十万円貯金をするお力を持っていらっしゃらない。そのお力を持っていらっしゃらない方を前に置いて、大変恐縮でありますが、利子なしで五億円ためようといたしますと——子供でも計算する計算で、単純に十万円ずつ毎月積んでいったとしますと、およそ何年ぐらいかかると思いますか。これは質問外ですから、答弁を要しませんが、国会図書館で私、調べてきたのですよ。そうしたら、何と四百十七年かかる。  それで四百十七年といいますと、私も生まれておらぬ、大臣も御存じない。それで図書館でどういう時代かなということを調べてみたのですが、本能寺の変で織田信長が明智光秀に殺された、その日が天正十年六月二日なんです。それで西歴でいいますと一五八二年といいますから、ちょうどいまから四百一年前なんですね。そうすると、五億円ためるためにはそれよりさらに十六年昔から、いまの日本の紙幣で十万円ためてこなければいかぬのです。十六年昔というといつの時代かといったら、足利幕府が倒壊した日です。京都で焼き討ちに遭ってきれいにひっくり返った日。でありますから、そのころから四百十七年かかってためないと、毎年十万円ためても五億円にならないのです。  ですから、庶民の皆さんから言うと、五億円、わあ、太いなあ、そんな大きな金をもらった覚えがあるとかないとかいうぐらい、そんなに小さいものだろうかということを、国民は不思議がっているのですね。五億円といいますと、重さにしたって二十一・五キロあるのですよ。だから、もらったらずしっとこたえるはずなんですね。そういうことがいま取りざたされまして、いや、どうだこうだということを、いま辞職勧告決議案の問題で言われておるのでありますが、その個人名を出しますと、大臣としてもなかなか発言のしにくいところでございます。だが、国民の大方の人は、七五%程度は直ちにおやめになるべきである、こういうことを言っております。  なぜかというと、公務員の皆さんというのは、刑事事件で起訴されたというだけで——起訴されたというのは疑いを持たれたわけですね、その起訴されたという段階で出勤するに及ばず、一審判決が出れば、最高裁まで訴えられる法治国家でありながら、一審判決で懲戒免職です。これほど公務員は厳しいモラルを要求されておる。その公務員よりももっと高い高いモラルを要求されておるのが、大臣、私ども国会議員じゃないでしょうか。  その国会議員の中でも最高の地位にいらっしゃる総理大臣ともなれば、これは国家、国民の規範とならなければならぬお立場の方でございます。昔から李下に冠ということわざがございますが、いやしくもそういう立場に立っていらっしゃる人が疑いを受けたということに相なれば、鮮やかな出処進退ということが必要であろうと思うのであります。こういうことが国の、国民の全体のいわゆる倫理を確立するために最も大事なことではないかと思うのでありますが、大臣はどのようにお考えですか。
  218. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 私も、毎日のように新聞を見ますというと、非行少年あるいは学生の暴力、新聞に相当出ておるわけでございまして、私も本当にあの記事を見るたびに心を痛めておるわけでございます。  なお、五億云々というお話がございましたが、名前はおっしゃいませんけれども想像つくような問題でございますので、これは政治的な問題でもありますので、それについて、辞職勧告とかなんとかという話につきましては、私は答弁を差し控えさせていただきたいと思います。しかし、やはり政治家は一般的に言って身辺を正すということは大事なことだと私は思いますが、名前をおっしゃらぬと申しましても想像つくことが明らかであるような事犯については、私は答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  219. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 そこで、今回の五十八年度予算を見てみますと、五十七年度の人勧の凍結も含めての話でございますが、財政が非常に苦しい、こういうときであるから、先憂後楽、公務員の皆さんはひとつここでがまんをしていただいて、五十七年度の四・五八%ですかのベアはひとつ遠慮してもらいたい、こういう大変な決断が下ったわけでございます。そのことについて、これを全面的に復活をしてもらいたいという要求がしきりに出ておることも御存じのとおりであります。このことにつきまして、人勧の凍結というのは、もうこれは公務員の皆さんだけではございません。この五十八年度の民間労働者の方々のいわゆるベースアップにまでもろにこたえておる問題でございまして、どうしてもその足を引っ張るようになります。  そういうこと以外に、この予算の関係に戻らせていただきますと、予算の関係では、年金受給者、国民年金、厚生年金、福祉年金、こういう人たちだけで約千六百万人です。その千六百万人の人たちのいわゆる物価スライドというものも抑えてしまいました。そのために浮かした金は幾らかと言ってみますと、大体二百八十億円程度であります。  このことにつきまして、私は厚生大臣に別の質問でお伺いしようと思っておりますから、そのことについては特別に申し上げませんけれども大臣、考えてみてくださいよ。今度の五十八年度の予算の中に行財政改革らしきものはほとんどあらわれておりませんが、目に立つものは何かと言ったら人勧凍結、今度は予算では一%上げることにしていますけれども人勧凍結と、それから年金受給者の支給を昨年並みに抑える、これがもろに表へ出ているわけです。行政改革をやらなければならぬこの大事な年に、どうしてそんなに弱い人にばかりしわ寄せをするのだろうか。  特に厚生年金なんかをもらっていらっしゃる人なんかは、三十年かかって積立金をしているのですね。この厚生年金の趣旨そのものは、三十年かかって年金を積み立てなさい、積み立てたら、六十歳になったら生活できるだけのものは差し上げますよ、こういう制度なんです。ところがそれを抑えられる。抑えられるということは、大臣、考えてみてくださいよ、民間のサラリーマンで六十歳から年金をばたっともらっている人というのは余りいらっしゃらぬ。なぜかといいますと、まだ子供が嫁入り前だ、まだ大学院に行っておるというようなことから、金が要るものですから、どうしても働かなければいかぬ。  そうして働きますと、働いただけの金額を——三十年のモデル年金で大体十五万ちょっと切れるのですかね、その十五万円の中から働いただけを取ってしまうのです。結局、働いたお金と年金の残金とで合わせて月十五万円程度になるようになっておるのです。そして、いつになったら一〇〇%、年金を三十年掛けてきたらもらえるのかと言えば、七十にならぬともらえません。それで、やれやれ七十歳で一〇〇%もちえたと思ったら、あと四年しか平均生きません。それで人生おしまいです。実に無残なものですね。  これは官民格差の問題もありますけれども。そういういわゆるお年を召されて会社をやめられた方が再就職できるかと言うたら、労働省の調べでも、年率六%の就職率を目標といたしておりますが、その目標にははるかに届きません。こんな状態では、働こうにも働く場所がない。そして、いただく年金は昨年並みに抑えられる。物価は、政府でさえ三・四%上がると見ている。ということは結局、六十歳を過ぎた人がこれから家を建てますか、これから自動車を買いますか、これからピアノを買うでしょうか。そんなことは恐らくありません。ただ食べるだけに使っていると思うのですね。ということは、その生活費をダウンさせるということにほかなりません。行政改革を進めていく上におきましても、こういう弱いところへしわ寄せをしていくということは私は憤慨にたえないのです。  それでしかも、もらえるお金がないなら仕方がありません。国にも金がないからがまんせいということになりますけれども、実際は金がある。幾らある。四十兆円積んであるのです。これを大蔵省の資金運用部で運用されているから、年率七・三%しか利子がつかない。これを十年国債を買えば七・五%の利子が入る。〇・二%の利子が違っただけで、年間、四十兆ですから、八百億違うじゃありませんか。それを大蔵省に勝手に握られて運用されておって、有効な運用をさしてもらうことができないままで、しかも自分たちの積んでおる金は四十兆あって、そして物価スライドしないというのですから、これはむごいじゃありませんか。私は理屈の通らぬ話だと思うのであります。  しかし、大臣にいまこれを責めましても、それは厚生大臣の分野ということになりますから、そのことについては余り申し上げませんが、何といっても大臣、何をやるのにも、隗より始めよという言葉がありますね、それで私は、大臣の顔を見るのが忍びぬのですけれども中曽根内閣の中で一番右腕になっていらっしゃる、実力も貫禄もナンバーツーの大臣に要求したいことがあるのです。まず行管庁長官として、隗より始めよ。だから、総理大臣がいまいただいております月額百五十万、この中には国会議員としての八十八万円が含まれていると思いますが、その国会議員の給与だけでいいではないか。それから国務大臣がいただいておりますところの百三十万、この中に八十八万の国会議員の歳費が入っておると思いますが、その国会議員の歳費だけでよろしいじゃないですか。まず隗より始めよで、一般の公務員の諸君のベースアップもとめて、年金受給者の生活も三・四%ダウンさせるというなら、大臣みずから、国会議員の歳費以外の給与についてはこれを返上しようではないかという声が大臣の口から閣議で出てもおかしくないのじゃないかと私は思うのですが、大臣の決意はいかがですか。
  220. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 人事院勧告の問題は、もうすでに御承知のように、労働基本権が制約された代償として人事院制度ができて勧告が行われるというわけですから、できるなら、本当にこれは完全実施するのがたてまえだと思います。しかしながら、五十七年度の予算においては、本当に危機的な状況にあった。やむを得ずごしんぼういただきたい。実は私も役人上がりですから、役人の生活はそんなに楽だとは思っていません。それは本当の話、思っていません。しかしながら、この国の財政がいまどうにもならぬようなときでありますから、ことしだけはひとつごしんぼういただきたいというわけで人勧の凍結、見送りということをいたしたわけでございますから、どうかこの点は役人方々にも御理解いただき、岡田委員もどうかぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。  財政が非常に危機的なことにありますために、国会議員の方々ももう数年凍結ですね、見送りですね。それから国務大臣につきましては、中曽根内閣ができましてから、たしか大臣の俸給の一割ですか、十万円寄附しております。私などもその差額をいただくわけですが、十万円はちゃんと差し上げております。しかも、国債を買ってくれ、こういうことまでついておりますので、実情を申しますと、大臣になりましても、手取りにしますとほとんど収入はないのです。そういう状況でございます。ですから、国務大臣も努力をし、それから国会議員の方々もごしんぼういただいている、こういう状況でございますので、公務に従事される方々、私も本当にお気の毒だと思いますけれども、ひとつこの際は先憂後楽ということでごしんぼういただきたい、こんなふうに私は考えております。役人上がりだから、私は役人の気持ちはわかります。しかし、こういう際こそ役人はごしんばういただくということはぜひお願いしたいものだと私は思っております。
  221. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 よくわかります。よくわかりますが、大臣、ここで一つ例を申し上げておきます。  これは滋賀県の例ですが、昭和二十二年から四十九年まで、二十七年間の長きにわたりまして保守系の知事の方が在職しておりました。いよいよ最後の年に、千二十四億円の年間予算の中で四十九億円の赤字が出るということが判明しました。そのときにたまたま知事の選挙がありまして、革新派の人が四十九年十一月に出られたわけです。出られまして、四十九億円の赤字が出るということを目前にして知事がどういう決断をしたかといいますと、時間がありませんから簡単に申しますと、知事さんみずからの給料を二分の一にカットしました。実に大胆なものです。そして、みずから自分の給料を半分に落として職員の皆さんに対してお願いをしました。私自身も半分の給料でがまんするから、県民全体のことを考えて皆さん一号俸ダウンしてもらいたい、ぜひ協力をしてくれということをお願いしました。これは私は、本当に隗より始めよという、辞書に書いてあるとおりだと思うのですね。職員の皆さんも大変協力をしてくれまして、それに応じました。その結果どうなったかといったら、驚くべきものであります。四十九年の十一月に当選したのですよ。四十九年十二月から明くる年の五十年三月まで、たった四カ月の間で三十三億円浮かしました。ですから、収支じりで残りましたのは十六億円の赤字でありました。  いかがでございますか、同じやるのならこのくらいの決意をもってやらないと。いま大臣は確かに毎月十万円、五十七年、五十八年二カ年間にわたりまして俸給の中から十万円ずつ国庫に寄附していらっしゃいます。そして、ちょっといやな言い方ですが勘弁してください。寄附した分というのは、ちゃんとこの三月十五日の確定申告のときには控除分で入れています。そんなめんどうなことをせぬでいいじゃないですか。もらうものはもらって、寄附して税金の控除をお願いする、大臣たるものがそんなみみっちいことをせぬでいいと私は思うのですよ。私は、滋賀県の知事みたいにいきなり半額にしなさいとは言いません。大ぜいの国会議員の仲間の皆さんもおることですから、そういうことは言いません。だが大臣クラスの人、たとえば総理大臣は、百五十万を国会議員の歳費の八十八万で引きますと残りが六十二万円ですね。総理大臣の手当としては少ないと思いますよ。少ないと思うが、時代が時代ですから、これで十二カ月掛ければ七百四十四万円あります。そうして二十人の大臣は、差額が四十二万円あります。それは大臣の激職から考えたら私は少ないと思う。だがこういう時代ですから、二十人が十二カ月それをキャンセルすれば一億八十万あるのですよ。合わせて一年間に一億八百二十四万円も経費が節約できるのです。私は自分が大臣になれないからやっかみで言っているのじゃないのです。政治の場でも学校でも家庭でも何か一つ事を起こそうというときには、そこの先頭に立つ人、家で言えば主人、学校で言えば校長、県で言えば知事、国で言えば総理大臣です。そして大臣です。そういう人がわれみずからこうするからあなたたちもついてきてくれ、頼むと言うのが本当じゃないでしょうか。それを、一番上に立つ人がもらうべきものはみなもらっておいて、寄附しようがすまいが、それは本人の勝手じゃないですか、それは本人の勝手でしょう。国民が望んでおるのは、実際に隗より始めよということを身をもって実践をしていただきたいこと。私は、大臣なら、わかった、気がつかなんだ、よし、あしたの閣議でおれは発言しようと言われるとばかりに信じてきたのですよ。いかがでございますか。
  222. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 非常に重要な問題をなすときは、その長にある者が範を示す、これは私は非常に大事なことだと思いますね。そういう意味において、いままででも国会議員の方々が歳費の引き上げを見送るとか、国務大臣はさらにある程度の金は寄附するとかいうふうなことをやっているわけでございます。しかし、それだけで十分かどうか、いろいろ問題はあるかと思いますが、そういう点は十分承って、今後慎重に考えたいと思います。  いずれにせよ、大きなことをやるときは上に立つ者が範を示す、これは非常に大事なことだと私は考えております。そういう意味において岡田委員のお話は十分傾聴に値する御意見として承っておきます。
  223. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 お話はよくわかりましたが、ちょっとばかり私失望しました。なぜなら、総理大臣を含めて二十一名の大臣、その大臣が集まって閣議を開いた席上で、おい、隗より始めよだ、おれたちは国会議員の歳費並みでいいじゃないか、それ以上のものはもらうことはやめよう、法律を改正しようじゃないかということを発言でき得る人は、これは中曽根総理かあなたしかおらぬですよ。ほかの大臣がそんなことを言ったら、いいかっこうするなよと中でいびられちゃっていじめられますよ。あなたは絶対いじめられぬから。あなたをいじめようなんというほかの大臣は、そんな大それた者は一人もおらぬ、あなたと総理だけは。あなたが言わぬでだれが言うのですか。  きょうはテレビも何にも映っていません。だから、大臣も漫才でもやる気で気楽に答えてくださいと私申し上げておりますが、しかし答える内容は真剣なものであってもらいたい。大臣の口からそうだ、そのことについては私も閣議で諮ってみよう、発言してみようというぐらいの意気込みがあってこそ行財政改革を推進する旗頭になるんじゃないですか。あなたがそんな決意を持たなくして、わしらのことは別ですわい、しかし一般の公務員よがまんせい、おい年金生活者よがまんせい、これで話が通ると思いますか。私は今度の分科会の中できょうの大臣のその発言が一番価値のあるものになるんじゃないかと思って期待しておったのですよ。失望しかかっておるのでありますが、もう一遍答えていただけませんか。
  224. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 お答えをいたしますが、やはり長に立つ者はそういうふうなことをやることは私は非常に正しい、いいことだと考えております。しかし、国会議員の方々も国務大臣方々もそれなりの努力をいましておるわけでございますから、それ以上のことを強いた方がいいのかどうか、十分意見として私は承らさせていただきたいということで御勘弁をいただきたいと思います。
  225. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 私は失望したくないので善意に解釈しまして、大臣はいまこの予算委員会分科会で野党の一議員である岡田君の質問に対して、ははあそのとおりだ、わしはひとつ閣議で発言しようなんて言ったら軽く見られちゃうから、きょうのところはこの程度で、やがて一番間近に来るところの閣議で、よし発言をしてやろうというお気持ちになっておるのじゃないかなというふうに好意的に理解をいたしまして、いまもう時間が来たから話はやめいという御命令でありますから、これでやめさしていただきます。  どうもありがとうございました。
  226. 橋本龍太郎

    橋本主査 行管長官、何か発言がありますか。
  227. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 いや、もうありません。
  228. 橋本龍太郎

    橋本主査 これにて岡田正勝君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして行政管理庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日ここに本分料会の議事がすべて終了することになりましたことを深く感謝申し上げます。  これにて散会いたします。     牛後二時三十二分散会