○小林(進)
委員 よし、検討していただく、その
言葉はいただきましょう。どうか
内閣の中に、それは研究機関ですか、どうかひとつ特別の研究機関を設けて、どこまで現実にいけるか、私は持っていきたいと、これはお願いします。外務大臣、よろしゅうございますか。
防衛庁長官、よろしゅうございますか。ひとつ
内閣につくってもらいましょう。私どもは民間としてずっとやってきたのですから、これはまた民間の部隊としてひとつ精力的にやりますから、どうぞ了承していただきたい。
三江平原の問題が出てきましたけれども、三江平原は、率直に言えば、ここにも書いてありますけれども、歴代
総理大臣、外務大臣が全部やってくれた。中川君の写真も入っております。これは
総理大臣の大平さんがいかに
努力してくれたか、全部入っております。私は、決して小ちゃな政党問題にこだわってこれを論じているわけじゃない。
いまアジアは食糧が不足している。世界も食糧が不足しているのです。同じ食糧が不足しているその中でも、中国もまた食糧が不足です。大体去年あたりは豊作で三億三千万トンくらいもつくっているけれども、まだしかし人口が伸びていくのです。十億の人口だ。中国はいま人口の伸びに悲鳴を上げて、二十一世紀まで十二億の人口にとどめたいと思った。そのためには、去年の七月やったセンサスで十億にとどまってくれればいいと思ったけれども、十億を出ちゃったものですから、これじゃ二十一世紀までに十二億でとどめられない。そこで中国は、それに該当した食糧問題その他をひとつ計画を練り直さなければならないという困難に遭遇している。
それに対して
日本はどうかと言えば、御承知のとおり七割は外国の食糧に依存している。非常
事態が起きた、異常の
事態が起きたときに、
日本人を一体どうしてこれは生かしていくのですか。あなたは口を開けば、国防というのは
戦争だと思って人殺しばっかり
考えていられるけれども、本当の国防は
人間に食わせることじゃないの。一体、この非常時の場合に
人間の命をどう保つのか。七割の食糧を外国に依存している
日本はどうするのか。
さすがに、同じ
総理大臣でも大平さんはりっぱでしたよ。大平さんはちゃんと食糧に関する自分の、私設の食糧問題研究機関を持っていられた。大平さんは持っていて、そして、そういう異常な
事態における
日本の食糧をどうするかということを真剣に研究された。短期の場合、長期の場合、あるいはイモをつくるの、ゴルフ場をつぶすのと言っているけれども、そんなことで長期の
日本の食糧が満足するわけじゃないのです。
そこで、
日本のためには、この
日本の後方基地ですよ。
日本海を越えた一番近い中国にひとつ大きな食糧基地をつくっていただいて、どうせ
戦争でお世話になった中国だから
日本も力をおかしして、まず中国の食糧の自給体制をつくり上げる。土地は広い、土地はあるのですから、拾い上げて、そこで食糧が余ったら、東南アジアは皆飢えている、東南アジアに対して食糧基地的役割りを中国と
日本の共同合作でやったらいいじゃないか。だから、三江平原というのは、大きく言えばアジアの食糧問題を解決する基地をつくる、中国のいわゆる自給体制をお手伝いをしてこれをつくり上げる。
そして、長期の段階では、これは三年や五年の話じゃありませんから、十年、二十年――まだ三年や五年は、いま中国から食糧を買うなんと言ったら、アメリカは飛び上がって驚いてしまう。だから、アメリカからいま買わなくちゃならぬから、三年、五年は中国から何
一つ買う必要はありません。大豆も要らぬ、何も要らない。要らないが、十年、十五年の長期の展望に立ったときには、
日本は
日本の後方にちゃんと安心した食糧基地を設けておかなければならぬ。そのためにお手伝いを、たまたま中国の方から、この三江平原は中国におけるいわゆる食糧増産の最大の最優先基地だから、
日本も若干技術の手伝いをしてくれないかという申し入れがあったのであります。
これは、私がそれを受けた。で、私が政府に持ち込んだ。大平
内閣、大平さんです。あの人は真剣にこれを受けてくれた。りっぱな人でしたな。何回繰り返しても同じだ。いまの政府は、通産大臣というのは佐々木君のことを言ってましたけれども、どうもハイカラなことをやりたがっている、土木プロジェクトだとか、港湾だとか、鉄道だとか、石炭だとか、エネルギーをやりたがっているけれども、小林さん、それよりいま日中永久の親善と、
日本が生きるためには泥臭いことが必要なんだ。この泥臭いことをひとつ真剣にやろう、あなた方根回ししてくれれば
総理としての私もお手伝いするにやぶさかではない。ちゃんとその言がみんなここに書いてありますから。写真も入れて大平さんの言が書いてありますから、後で帰って読んでください。そこでこの問題が軌道に乗りました。
若干言いますけれども、三江平原というのは大体十万平方キロ、一千万ヘクタール。
日本は三十七万平方キロですから、その大体三分の一弱です。その中で、いまあそこには三百万ヘクタールの既墾地がある。それで、いま
日本に技術協力を求めてきたのは百三十万。開墾可能にしてなお未墾地である百三十万ヘクタール。どうですか、三百万既墾地に百三十万の可能地を含めると、四百三十万ヘクタールでございましょう。
日本の田畑を合わせた全部の耕地は幾らですか。これは
総理、御存じでしょう。五百五十万ヘクタールですよ。
日本の全部の田畑、その五百五十万ヘクタールにちょっと劣る四百三十万ヘクタールが三江平原の広さなんです。それが既耕地化されたときには広大なものだ。それは全部平原です。
そこをひとつ
日本の技術で協力しないかというので、技術協力を申し入れて、よかろうというのでずっと歴代の農林大臣、鈴木さんから始まって、それから中川君、それから前の大蔵大臣の渡辺君、それから
武藤君、そこまでずっと交渉を進めてまいりまして、例の亀岡君のときに、八一年の十二月に中国へ行って調印をして、両国が協力してやりましょう、やるためにはあそこに四万ヘクタールのモデル地区をつくって、そこでひとつ調査、いわゆる建設の図上計画をつくりましょうと、これは一九八一年ですね。二年、三年と、三年計画でその四万ヘクタールのプロジェクトをつくると約束した。これはモデル地区ですけれども、モデル地区といっても、群馬県の農地幾らありますか、十万ヘクタールなんかないでしょう、あの大きな群馬県だって。その半分の地区を単なるモデル地区として、
日本の技術屋が二十五名も入っていまやっているのです。これをあなたに
理解をしていただいて、大きくは世界の食糧問題をひとつここで解決するぞと……。
一つは、中国に対して、あれほどの無謀な
戦争をしながら、無賠償、無分割の原則だ、賠償金は一円も取らない、領地は一寸も分割しない、昔のことは忘れましょうという、その恩義に報いる気になったら、何でもできるじゃないですか。そこへ力を入れて、堂々とこの食糧問題をひとつ解決するという構えを見せてもらいたいというのがお願いです。いいですか、先生。
いまのところは三年の技術協力ですから、モデル地区だけですから、出している金は一年間に三億円でたった十億円ばかりしか出しておりません。今度これがいよいよ実施期間に入るわけです。二年くらいの実施計画期間を置いて、実施期間に入る。その実施期間に入れば、今度は
日本に対して一年間百億ぐらいの協力援助を得たいというのだけれども、百億といったって三年間で三百億だ。大した金じゃありませんよ。あなたは韓国へちょっと飛んでいって四十億ドル置いてきた。四十億ドルといったら一兆円ですよ。韓国へ一兆円も援助するなら、中国へ一年間に百億を十年やったって千億だ。韓国に対する援助金の十分の一にもならない。スズメの涙だ。だから、そういう金は、いま中国へやっているプロジェクト、いま五百億ばかりでやっていますけれども、五百億円なんかのああいう金とは別個にこれを切り離して、農業の援助資金なんというものは利息をつけた金じゃ長期の農業開発はできませんから、別個の枠にしてこれをひとつやっていただきたい。
ところが外務大臣、さしあたり三江平原では約十億円ぐらいで農業機械センターをつくりたいという希望がある。わずかに十億ぐらいだ。去年の六月から約束がある。前の農林大臣の田澤君というのは偉い人だった。りっぱな人だった。去年の九月のあの忙しいさなかに三江平原まで飛んでいったんですから。三江平原というのは、ハルビンからジャムスまで汽車に乗って十時間かかる。そのジャムスから今度はジープに乗って六時間もかかるのです。頑健な体でなければ行けないところへ彼はジープで六時間も乗っていって、この三江平原の中心地をながめて、これは有望な地域だ、私の命にかけても協力しますと約束したのです。ところが、聞いたらまだできていないそうだ、機械センター。それは国際事業団のあれだと思いますけれども、あなた、すぐ命令して、そんな金はすぐ出してやるようにお示しいただきたいと思います。
どうもさっぱり話が進みませんが、
総理大臣、この問題に対して
答弁してください、三江平原の農業協力の問題は、世界的な問題です。