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1983-03-25 第98回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十五日(金曜日)     午前九時三十五分開議  出席委員    委員長 葉梨 信行君    理事 石橋 一弥君 理事 狩野 明男君    理事 中村  靖君 理事 船田  元君    理事 佐藤  誼君 理事 馬場  昇君    理事 鍛冶  清君 理事 三浦  隆君       青木 正久君    臼井日出男君       浦野 烋興君    奥田 敬和君       久保田円次君    工藤  巖君       坂田 道太君    坂本三十次君       西岡 武夫君    野上  徹君       渡辺 栄一君    井上 一成君       伊賀 定盛君    長谷川正三君       湯山  勇君    有島 重武君       小沢 和秋君    栗田  翠君       山原健二郎君    河野 洋平君  出席国務大臣         文 部 大 臣 瀬戸山三男君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君  出席政府委員         文部大臣官房長 高石 邦男君         文部省初等中等         教育局長    鈴木  勲君         文部省管理局長 阿部 充夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      米澤 潤一君         国税庁直税部所         得税課長    日向  隆君         自治大臣官房地         域政策課長   鈴木 政徳君         自治省財政局交         付税課長    紀内 隆宏君         自治省財政局調         整室長     前川 尚美君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ───────────── 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     奥田 敬和君   臼井日出男君     江崎 真澄君   浦野 烋興君     塩谷 一夫君 同日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     臼井日出男君   塩谷 一夫君     浦野 烋興君 同月二十五日  辞任         補欠選任   高村 正彦君     工藤  巖君   中西 績介君     井上 一成君   山原健二郎君     小沢 和秋君 同日  辞任         補欠選任   工藤  巖君     高村 正彦君   井上 一成君     中西 績介君   小沢 和秋君     山原健二郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案内閣提出第九号)  文教行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 葉梨信行

    葉梨委員長 これより会議を開きます。  内閣提出義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長谷川正三君。
  3. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 今回議題になっております法律案関連いたしまして、私ども社会党の方からはすでに高等学校を含む同様児童生徒急増地域法案を提案しており、すでに本委員会でも慎重な御審議もいただき、かつ継続審議になっておるところでございます。このことに関しましては、理想を申しますと、私どもの提案したものでも非常に控え目なものでありまして、それと比較いたしまして今回出されておりますこの法案は、理想といいますか、完全を期するという点からいいますと不満がまだたくさん残っております。しかし一方、政府の非常に厳しい財政事情の中で、各省に対する強い御指示もある模様はよく承知しておりますが、そういう中で児童生徒急増地域に対して文部省として何としても配慮しなければいけないということで、従来の法の期限が切れるものをさらに五年延長するという御努力をなすって提出されたことについては、その御努力を認め、敬意を表したいと思います。しかしその中でも、指定市町村の中に若干その補助率を引き下げられているという面について、なお大きい不満もあるわけでありますが、この法案をめぐります重要な点を数点御指摘申し上げ、文部省の御方針等を、明確にこの際聞かせていただければと思いまして、以下質問したいと思います。  そこで第一番目に伺いますのは、この児童生徒急増市町村における今後五年間の小中学校施設整備事業について、その計画のあらましと、これに対する国の助成計画を伺いたいと思います。一応なお五年延長していただくわけでありますが、これについては当然その見通し計画等がおありと思いますので、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  4. 阿部充夫

    阿部政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、今回、従来からの期限が切れるのに伴いまして、なお五年間の延長をお願い申し上げておるわけでございます。これから五年間、つまり昭和五十八年度から六十二年度までの公立小中学校校舎、それから屋内運動場につきましての新増築の全体計画面積でございますけれども、各市町村等からの計画等をとりまして内容を固めたものでございますが、校舎につきまして八百五十四万五千平方メートル、それから屋内運動場が百七万三千平方メートルということで、合計いたしまして五年間で九百六十一万八千平方メートルというようなことになっております。全国で今後の五年間の計画等を見てまいりますと、ただいま申し上げました急増市町村における計画というのが校舎につきましては八〇%を急増市町村が占めている、それから屋内運動場につきましては四二%が急増市町村関係のものである、こういうような数字になっておるわけでございます。  これに対する対応でございますけれども、もちろん予算は単年度で毎年やってまいりますので、現在のところ全体としてこうだと申し上げかねるわけでございますけれども、毎年、たとえば五十八年度につきましては、ただいま申し上げた数字計画数値が、校舎で百六十七万七千平米、屋内体育館につきまして二十二万八千平米というようなことが計画されておりますので、来年度、五十八年度予算では、それに十分対応できるだけの経費の計上をいたしておるわけでございますし、また今後の五十九年度以降の四年間につきましても、これに十分対応できるように最大限努力をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  5. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 ぜひこの件については万全を期していただきたいと思います。  それでは次に、公立義務教育学校の四十人学級という大きい方針を決めてあるわけですが、しかし、その後の財政事情で、五十五年度から十二年間で発足しましたけれども行革関連特例法によって財政再建期間中の実施抑制されるということになりました。当初の計画によりますと、四十人学級実施により全国増設を必要とする教室数は、昭和五十八年度から六十六年度までの九年間に八千三百六十教室となっていましたけれども、このための校舎整備事業計画は現在どのようになっているのか、伺いたい。この抑制措置で、全体計画がどういうふうに手直しされているというのですか、それを明確にしていただきたいと思います。
  6. 阿部充夫

    阿部政府委員 御指摘がございましたように、四十人学級の問題につきましては、昭和五十六年末に成立をいたしました行革関連特例法によりまして、昭和五十七年度から五十九年度までの財政再建期間中につきましては、国の財政事情を考慮してその実施抑制するということになったわけでございます。しかしながら、この計画全体の改善規模あるいは昭和六十六年度までにこれを達成するということについては、現在のところ変更しておらないわけでございまして、そういうことになっておるわけでございます。  これに関連いたします学校建物整備の問題でございますが、先ほど御指摘がございましたように、八千三百六十教室というのが当初の計画数値でございました。その後、この抑制関係がございますので、仮に六十年度から発足ということで考え直しをしてみまして、各市町村等からの計画等を練っていただいたわけでございますけれども、その結果、最近の小学校生徒数が減少の傾向にあるというようなこともございまして、整備の必要な教室数は、当初見込んでおりましたのが八千三百六十教室でございますが、これより減少いたしまして、おおむね二五%ほど減ってまいっておりまして、六千三百教室程度というふうに考えておるところでございます。
  7. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 六十年度からそちらにとりかかる、それまで抑制されるということで、その細かい計画はまだできておりませんか。いま全体では八千三百六十が六千三百程度に下がる、こういう見通しだというようなお話ですが、もうちょっと精密な企画はできていませんか。
  8. 阿部充夫

    阿部政府委員 四十人学級の具体の実施の問題につきましては、文部省内では初中局の方で検討しておるわけでございますので、私どもの方で現在の段階でお答えできるほど固まっておらないと思いますが、私どもの方としては、一応先ほど申し上げましたように、六十年度から仮に実施するとした場合にどうなろうかということで調査をいたしたものでございまして、毎年整備を必要とする学級数、六千三百教室を七年間で整備をいたしますといたしますと、平均して九百教室くらい毎年整備をしていくということになるわけでございます。九百教室程度と申しますのは、昭和五十七年度予算との対比で見ますと、小中学校校舎の新増設事業量が、二百五十七万平米を昭和五十七年度でも実施をいたしておりますので、毎年九百教室、十六万平米程度というのは、毎年の事業規模の約六%程度ということでございますので、今後この数字が若干上下に動くようなことがございましても、対応は可能である、こういうふうに考えておるところでございます。
  9. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 いまの御計画がまたダウンするようなことの絶対ないように、充実すればといって、ダウンすることのないように、強くこの点御要望申し上げておきます。  それでは次に、今回出された本案によりますと、政令で定める市町村については、国の負担率が三分の二から七分の四に引き下げられることになっておりますね。このうち政令指定都市の場合、現行の行革関連特例法による減額措置というのがもう一つあるわけで、昭和五十九年度まで適用されるわけですから、したがって、実質的には国庫負担率というのは七分の四よりさらに下がって八十四分の四十七、ほぼ二分の一にちょっと毛の生えた程度にしかならない。これじゃ特例措置、形はそういうふうに言えても、実質が伴わないのじゃないか、こういうふうに思いますが、その点について文部省どうお考えですか。
  10. 阿部充夫

    阿部政府委員 今回の特例措置延長を図るに当たりまして、行政改革との関係あるいは現下の財政状況等をいろいろ勘案をいたしまして、御指摘がございましたように、政令指定都市とそれから財政力指数が一・〇以上のものにつきましては、七分の四という特別の数値を決めたわけでございます。     〔委員長退席船田委員長代理着席〕 こういった特例措置につきまして、特に御指摘政令指定都市につきましてこういう措置を講じましたのは、指定都市の場合には、急増地域指定に関しまして他の市町村の場合と違いまして、行政区域ごと指定をすることができるという意味では、いわば有利な扱いが従来からなされておったというようなこともございますし、また、最近の実態を見てみますと、児童生徒数増加傾向というのは、他の急増地域に比べますと、ずっと緩やかという傾向があるわけでございまして、非常に極端な動向にはなっておらないということもございます。また、現実財政規模が大きいというようなこともございますので、こういった学校建築関係経費が当該市の財政を圧迫する程度比率等を比較してみましても、どちらかといえばかなり余裕が、比較的でございますけれどもあるというふうに考えられるというようなことをいろいろ勘案をいたしまして、こういう調整の措置をとったわけでございます。     〔船田委員長代理退席中村(靖)委員長代理着席〕  そこで、御指摘は、行革関連特例法によりまして、五十七年度から五十九年度までの三年間につきまして、いわゆる財政再建期間中は、こういった地域特例につきまして、かさ上げ額の六分の一削減という措置がとられていることの関連でのお話であろうと理解をしておるわけでございますが、今回の場合は、この法律が通りますと、この七分の四という、かさ上げ措置もとにいたしましてその六分の一がカットされるということに御指摘のようになるわけでございます。しかしながら、この行革関連特例法による特別の措置は、これからで申しますと、五十八、五十九年度までで終わりになる性格のものでございますし、また、この削減されました六分の一の経費につきましては、地域財政特例対策債ということの地方債の発行が認められておりまして、しかもその後年度元利償還に関する経費は、一〇〇%地方交付税措置をするような方向考えられておるわけでございますので、そういう意味で、実質的には後年度以降に保障されておる性格のものでもございます。そういう意味指定都市に関する国庫負担率、先ほど御指摘のように、八十四分の幾つというような二分の一に近いような数字に形の上ではなるわけでございますが、実質的には交付税措置等によりまして、七分の四という補助率がほぼ後年度には確保されているというふうに御理解をいただければ幸いだと思うわけでございます。     〔中村(靖)委員長代理退席委員長着席
  11. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 そうしますとこの点は、私どもはこれはかっこうはいいけれども実質はずいぶんないなとちょっと思いましたが、その分は地方債で見たり、またその返還等について地方交付税で見る、こういうことでございますね。それはひとつ確実にやっていただくようにぜひ要望したいと思います。  次に、急増市町村関係者の間で、いま全国的にどこでも非常に強い要望になっている点がございます。それは、体育館建築費国庫負担率についても校舎と同様のかさ上げをしてほしい。ところが、体育館は依然として従来の二分の一ということにとどまっておる。私どもの提案したのでは、もちろん体育館も、あるいはプール給食の作業場といったものの建設も一括して、これは同じ義務教育施設ですから、不離一体考えるべきだというような提案を申し上げているわけなんです。特に体育館というのはもうほとんど普及しているわけですから当然対象に入れていいと思うのですが、一般市町村との均衡上の問題などを理由にしてこうしているというふうにいままで伺っているわけですけれども体育館保有率がもう九二%に及んでいるというふうに伺っておりますから、そうなりますと、そういう不均衡ということもほとんどないわけで、これは早急に検討して、こういう財政事情の中でもう一つ上げていくのはなかなか困難と思いますけれども、大事な義務教育の問題でありますし、地方財政状況等考えますと一刻も早く検討して同じようにすべきだし、私どもの希望から言えばプール給食施設というようなものまで含めてほしいけれども、とりあえず全国的にこれだけはと言っているのはこの体育館の問題、これについてぜひひとつ検討をしていただきたい。これはきょうすぐというわけにいかぬでしょうけれども、その点を強く要望したいのですが、これに対する文部省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  12. 阿部充夫

    阿部政府委員 体育館についての御指摘でございます。  この点につきましては、私も各方面からいろいろ御要望等を伺っておりまして、問題意識としてはもちろん従来から持っておる問題であることは確かでございますが、御承知のように、児童生徒急増ということで相当多額経費を各市町村等も苦労してやり、それに対して国としてもできるだけの応援をするということでやってまいったわけでございまして、その間に、やはり何よりも増加していく児童生徒を収容する校舎をまず最初に何とかしなければならないというのが先決問題であろうかと思うわけでございまして、また財政負担の面から申しましても校舎整備にかかる負担が最も大きいというような事情もございますので、校舎を優先的にと申しますか、配慮していくというような意味校舎についてのかさ上げ措置を行ってきているわけでございます。  御指摘がございましたように、屋内運動場体育館の問題ももちろん必要な施設でございますし、できるだけこの整備を図っていきたいという気持ちを持っておるわけでございますが、先生もう十分御案内のことでお答えもしづらいわけでございますけれども一般地域急増地域とを比較してみますと、現実急増地域の方の整備が進んでまいりまして、現在のところでは急増市町村の方が数%以上一般地域よりも上回って整備が進んでいるという状況にもあるわけでございます。そういった面で、ここで補助率かさ上げをさらに急増地域についていたしますと、むしろ一般市町村との差がつき過ぎるというような問題も議論としてはあるわけでございますし、そのほかにも現在の財政事情等もあるわけでございますので、現在の段階で前向きにお答えすることができないのはまことに恐縮でございますが、今後の課題として念頭には置いてまいりたいと思っておるわけでございます。
  13. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 確かにいまおっしゃったこともわれわれよくわかるわけで、本来は急増地域だけでなく、全体にその補助率をもっと引き上げてほしいと言いたいくらいでありますが、この点は今後も十分留意して、もし少しでも突破口が開ければ、逆に今度はそうでない方へも、全体として補助を引き上げていく一つの導火線にもなるかと思います。とにかく現実屋内体操場をつくらざるを得ないというところが多いわけですから、その点はぜひひとつ前向きに今後とも努力をお願いしたいと思います。  それでは次へ進みまして、急増市町村指定基準ですね。これはもう十年になるわけですが、あのものすごい児童生徒急増地域対応するためにどこのどういうふえ方をしたらという基準はぎりぎりの線で決めたと思うのです。十年を経過した現在、欲を言えばもうちょっと緩和というか、そんなひどくないところだって実際は困っているわけですから、十年前に決めたあの基準はそういう厳しいときに決めたものなので、今日では確かに人口急増といっても全体としてはあのときのようなスピードではなくて鎮静しつつあると思うのですけれども、それでもやはり急増するところは急増しているわけですから、この基準をこの辺で再検討すべきだ。これも、政府全体が現在の財政対応しているさなかで逆に前向きの方向のものを打ち出していくということは、政治的には文部大臣あたりに特にがんばっていただかないとなかなかできないことだと思います。しかし、あのままでいいと思いませんので、この際ぜひもうちょっと対象が広がるようにあの基準緩和する、私はどれをどうしろとは申しませんけれども、これをひとつ文部省の精密な資料を基礎にしまして前向きの検討をすべき時期が来ている、こう思いますが、これに対してのお考えを伺いたいと思います。
  14. 阿部充夫

    阿部政府委員 お話にございました急増市町村指定基準でございますけれども、ちょっと経緯なども御報告させていただきたいと思います。  かつて、昭和四十六年に小中学校用地取得費補助を始めましたときに急増市町村基準というものを考えたわけでございますが、その後四十八年度から、この義務教育学校施設費国庫負担法ということで校舎等かさ上げ措置を法令上明確な制度といたしました際に、その四十六年のときの基準もとにして児童生徒増加実数に応じた基準をつくったわけでございます。その後、逐年若干なりとも緩和といいますか、改善をしたいということで努力をしてまいりまして、昭和五十二年度からは、児童生徒数実数としては増加は少ないけれども率として増加率が高いというようなケースについても配慮しようということで、現在定められておりますように、たとえば小学校につきましては、三百人以上ふえる、かつ一五%以上ふえるというような、パーセンテージと実数と両方をかみ合わせた基準に改めまして、指定の範囲が広がるように努力をしたわけでございます。  さらに、昭和五十五年度予算におきましては、昭和五十七年度までの時限措置ということでございますけれども急増指定有効年限が従来単年度限りということになっておりましたが、急増条件が失格した後も一年間は延長して急増市町村と同様に扱うことができるという緩和措置を講じまして、急増が切れたら途端にだめになるということでないような配慮をしたわけでございます。  今回、五十八年度以降の問題を取り上げるに際しましても、従来から五十七年度までの時限措置とされておりましたこの一年延長の問題につきましては、五十八年度以降も引き続き一年延長という措置は講じていくということをいたしましたことが一点でございますが、さらにこれに加えまして新たに学校用地補助、これは法律ではございませんけれども用地補助関係につきましては特に財政力の弱い市町村についてはできるだけの配慮をしたいというようなことから、財政力指数〇・七以下の市町村に限らせていただきましたけれども、これにつきましては指定有効年限をさらに一年延長する、つまり急増の資格が切れました後二年間用地補助については対象とすることができるというような改善措置も講じたわけでございます。  こういった状況におきまして昭和五十八年度について見ますと、従来の一年延長措置に該当する見込みの市町村の数でございますが、小学校関係で百三十七市町村、中学校で八十八市町村、合わせまして二百二十五市町村が一年延長のいわば恩典に浴するというようなことになるわけでございますし、さらに用地関係につきまして二年延長というお話を〇・七以下のところについて申し上げたわけでございますが、それに該当する市町村が百二十二市町村ということで、特にこういった地域用地取得あるいは校舎整備についてはある程度前向きに対処ができたというふうに考えておるわけでございます。これのほかにもいろいろこの指定条件につきましては御指摘があることもよく承知をしておりますし、またこの数の問題、比率の問題以外にもいろいろな区分けの問題その他についても御指摘があることもよく承知をしておるわけでございますが、現在の諸情勢の中で私どもとしては最大限努力をさせていただいたと考えておるわけでございまして、御指摘のような問題は、ひとつ今回はお許しをいただきまして、今後の研究課題としていただきたいと思うわけでございます。
  15. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 実情を把握されまして行政措置等でできる点、ずいぶん御努力はいろいろしているということは理解できますけれども、これも強い要望がありますので、いまの状況の中で軽率に発言したら大問題になってしまうだろうと思いますから、これ以上私どうこう申しませんけれども、しかしあの基準については、より広く教育整備されるという意味で、できれば再検討のチャンスをつかんでほしいということを要望を強くいたしておきたいと思います。  その次に、これはもういま非常に大きな問題になっておりますが、校内暴力、この間も町田の忠生中の問題等が大きく全国の注目を浴びるようなことになってまいっておりますが、文部省でも早速政務次官が行って調査なすったようであります。その後いろいろ話し合いも続けていると聞いておりますが、大きく言いましてこういう事件が大規模学校に多く発生している。小規模で校長さんも全校の生徒の名前も顔も全部覚えているというような学校は、やはり心が通じていてああいう校内暴力というものは起こらないのであって、工場のような大規模学校先生同士も一日に顔を合わせることもない、同じ学年がせいぜい職員室を一つにして交流している、それももう非常に不十分だ。こういうようなことで学校が本当に校長を中心に教育的な雰囲気で、単に教科のカリキュラムの問題だけでなく、学校全体の運営の中にもっと生き生きとした人間性、師弟関係、交友関係あるいは同僚の友情、そういうものが緻密に醸されるような規模が大変大事だということを痛感するわけであります。  恐らく文部省もそうお感じになっていると思いますが、ですからこの際、急増地域などの過大な学校については適正規模にするために分離新設をするということをぜひ焦眉の急として促進する必要があるのではないか。それに対する補助の制度というものをこの辺で、これはもう財政事情等はいろいろありましょうけれども政府全体の引き締めの方針もありましょうけれども、この校内暴力問題というのは大変な国民的な大きな関心事であって、これについての手だてを適切にとるということについては、これは予算を当然それに措置をする、あるいはそういう法の整備をするということは国民のすべてが待ち望んでいるところであろうと思うのです。そういう意味で、ひとつ分離新設校に対する整備費の補助というものを制度化すべきじゃないかと思いますが、これについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  16. 阿部充夫

    阿部政府委員 御指摘の過大規模校の問題でございますけれども、御承知のように学校教育法の施行規則におきまして小中学校につきましては十二学級から十八学級までというところを標準とするという規定があって、それが望ましい規模だというふうに考えられておると思うわけでございます。私どもといたしましては、そういった見地で大規模校等を分割いたしまして、適正な規模にだんだん持っていくということは大変望ましいことだと考えておるわけでございまして、予算と申しますか補助の際にもそういう申請につきましてはこれは優先的に採択をするということで、現在までも各市町村からの御希望には一〇〇%対応してきていると考えておるわけでございます。  しかしながら、御承知のように大規模校を実際に分離をいたします際には、これはやはり学区制の問題でございますとか、その新しい校地、場所をどこに求めるのかというあたり、地域住民の意向との関係等が非常にむずかしい問題がございまして、各市町村教育委員会は一番それが頭を悩ませているという点でなかなか前進を見ないというようなケースもあるものでありまして、最近の実態を見ておりますと、大体三十学級を超えるぐらいの段階で分離の問題の検討が始められるというのが実態であろうかと思っております。  私どもの具体の取り扱いといたしましては先ほども申し上げましたように、たとえば三十学級に満たない二十八学級のものであっても、これを標準規模に近づけるために分割したいというような申請につきましては、結構なことですので、取り上げて、むしろそういうことが促進されるようにしておるわけでございますが、さらに具体には、各市町村からの申請で三十学級以上の学校を新たにつくりたいとか、急増市町村の場合には三十六学級以上の学校を新たにつくりたいというような御申請が参りますと、いわば原審差し戻しといいますかもう一遍考え直してくれ、これは過大過ぎるということで御指導をむしろ積極的に申し上げるというようなこともいたしておるわけでございます。  そういうようなことでこれに対応してきているわけでございますが、特に最近のことといたしましては、従来大規模校を分離いたしまして新しい学校をつくります場合に、その補助の具体的なやり方といたしまして不足分の教室分だけを新しく資格面積として考えて、その分の補助をするというように非常に限定的に対処しておったわけでございますけれどももとの五十三年のときの国会でいろいろ御指摘をいただいたというようなこともございまして、昭和五十五年度からはそういうもと学校教室がどうであるかということを若干別にいたしまして、新しい学校についてその学級数等について必要な規模のものは補助対象としてこれを見るということに改めたわけでございまして、以後これによりまして大規模解消の促進というのは相当進みつつあるというふうに見ておるわけでございます。  なお、御指摘がございましたが、分離新設を行う学校につきましては全体の約九〇%は急増市町村でございますので、この市町村の場合には三分の二の補助が行われるとか、あるいは用地取得についての補助も行われるというようなことで、かなり手厚い措置を逐次講じてきたと考えておるわけでございます。今後とも御指摘のような問題との関連もございますので、こういう構えをとりつつ、各市町村等に対しては積極的に検討するようにより一層指導してまいりたいと思っております。
  17. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 いまの御答弁の中にもありましたけれども、八十四国会五十三年三月二十二日、ちょうどいまから五年前になりますか、本委員会でわが党の木島喜兵衞委員の質問に対して、砂田当時の文部大臣が非常に前向きに、ぜひ検討したいという御答弁があって、われわれも大いに期待したわけで、いま伺いますと、五十五年に、分離の場合のその補助について前の学校の余った分がどうだとか、それから出た分だけにするとか、そういうことはやめて新設校として純粋に考え補助するように措置した、これが前向きの努力の一つのあらわれというふうには受け取れますが、これについてもう少し抜本的な御努力をする考えはありませんか。
  18. 阿部充夫

    阿部政府委員 現在のいろいろな諸条件の中でこれだけの措置を講じてまいったわけでございますので、私どもとしては、現状では大体これで対応はできたように思っておりますが、もちろんこの運営の状況等を見まして、いろいろ御議論等も聞き、必要に応じてまた検討はいたしたいと思っております。
  19. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 どうもそれでは無理で、なかなか促進しない。現に、私またこの後で質問申し上げるのですが、いろんな諸条件がありますね。だけれども理想的な方針をぴしっと打ち出して、打ち出すけれども実際にそれが実行できない。それはつまり、いまお話しのたとえば千二百以上の学校はもうつくらないことにしようということにして、それ以上のところは全部分離せよというような強い方針を決める。ところが、実際には用地はとうてい取得できないし、実際問題とすると、学区域の分離等について父母間に大きな紛争が起こってしまうとか、いろいろなこれに付随することが起こると思いますけれども、大きな立場で方針をきちっと決めることによって、それはなかなかその他の条件を整えないと実行できない場合に、その他の条件を整えることにまたその努力を重ねていって取り除いていく、たとえば児童生徒急増が予想されるようなところでは、もっともっと土地等の先行取得といいますか、こういうような抜本的な方針を打ち立てていくとかそういうことの工夫が、そういうことを本当にやる気にならないと起こらないと思うのですね。もうとにかく大規模学校では、本当に校内暴力なんかの問題を考えますと、どうしても小規模にして、もっとしっくりした地域に根差し、そして家庭とももっともっと密接な連携のとれる、その社会とも一体になれるようなそういうことが必要なので、いま校内暴力等が大変大きな国民的問題になっているだけに、この砂田文部大臣が御答弁なすったこと以上に、ひとつ実力ある瀬戸山文部大臣の勇断持つ御決意で政府全体の方針として、これは今後ぜひやろう、こういう方向に持っていってもらいたいと思いますが、大臣いかがでしょう。
  20. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 せっかくの長谷川さんのお言葉ですが、余り実力はないのでございますが、前に砂田文部大臣の時代に、木島さんとの応答の中でこの問題取り上げられておりますことは速記録に見ております。その際も、文部大臣は、いまお話しのように前向きでこの問題を検討していきましょう、こういうお話があったことは承知しております。長谷川さんおっしゃるように、やはり学校教育は、先生方と子供と何となく人間的な信頼感、親しみを感ずる、また教師の方で目が届くという範囲のものが私は一番理想的だと思います。七、八百ぐらいの学校が一番いいのじゃないか、学校教育は素人でございますが、そう感じております。忠生中学校は何か千二百ぐらいあるということでございます。大きいから全部悪いというわけじゃありませんけれども、そういう意味でどうしても目が届かない、何となくただ集団がおるというだけのような、学校教育上としては必ずしも適切でないという感じがしております。  実は先般、よけいなことでありますけれども、広島県に行きまして、たまたまこれはほかの用で行ったのですけれども、府中町、これは私は府中市かと思ったら、人口五万ぐらいの町だそうでございます。例の東洋工業のある町でございますから、大きいのだろうと思うのです。そこの中学校先生方が見えておりましたが、どのぐらい生徒がおるか、千四百人だというのです。それは大き過ぎますねという話をしたのですけれども、やはり土地の状況なんかから、いろいろそういうことがあると思うのです。  その過大な学校、私は都市化は教育上としては必ずしも適当でないと思います。おっしゃることはよくわかる。先ほど局長からもお話がありましたように、学校教育法施行規則にも、十七条ですか書いてありますけれども、あれが理想だというか、標準的な規模を書いてあります。それを標準的にやっておるわけでございますが、過大になると分離をしたいというときに、先ほど申し上げたように運用でやっておるわけでございますが、これをさればといって法定してうまくいくものかどうかという、いまもお話があるようにやや疑問があるわけです。特に急増地帯というのは用地の問題が非常にむずかしいということと、それから学校区というのはなかなか御父兄の間でいつの時代、私も主張したことがありますが、なかなかやかましい問題があります。そういうことで、やはりお話し合いの中で運用で、分離したときには新設校として見る、いまのことをしばらく続けて、どうしてもおかしいときには法律で何とかもう少し基準を明確にするか、そういう時期もあるかもしれませんが、恐縮ですけれども、もうちょっと様子を見た方がいいのじゃないか。きちっと理想的に決めても、かえって逆にトラブルが起こるおそれもあるというのが偽らざる——担当省としても気になるところでございますから、気持ちはよくわかるし、私どもそうしたいという希望はあるのですけれども、さてそういう実行が必ずしも伴うか、むしろ行政の運営、財政の運営上、市町村がそういう急増地帯あるいは過大学校を持っておるところが希望があればそれをかなえてやる、こういう運用をしばらくやってみたいというのが偽らざるところでございます。
  21. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 文部大臣が文教行政の方は確かにそう御専門でないという点もあって、私が申し上げた考えは原則的にはよくわかるし同感だが、さて実際になってそれができるかどうかということになると自信がないので、もうちょっと様子を見たい、一口に言うとこういう御答弁だったと思います。そこで、これはやはり事務当局が、文部大臣が自信を持って閣議等でも主張できるようにきちっと、もうちょっと精密な資料を整える、困難点は困難点として克服しなければならないことはこういう点ありますけれども、こういう方針を打ち出して、大規模学校というものを思い切ってこの際解消していくという国の方針を打ち出す、そういう積極性のある態度が欲しいのです。災いを転じて福となすという言葉は、全くいま私どもは肝に銘ずるときだと思う。教育の荒廃が非常に叫ばれているときこそ、日本教育再生の絶好の機会をつかむというふうに前向きに問題をとらえなければいかぬと思うのです。  そういう意味で、いまここですぐそれについてどうこう答弁しろと申し上げても無理と思いますが、ぜひそういう災いを転じて福とする、いままでの単なる条規や習慣で縛られていない思い切った教育、文化国家としての日本なんですから、平和憲法下の文化国家をつくるという意味で、教育にどんなに力を入れたってやり過ぎることはないわけですから、そういう方針方針をひとつ今後御検討いただくよう強く要望をしたいと思います。いかがですか。
  22. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 事務当局もここで聞いておりましたが、長谷川さんのいまのお話は非常にもっともだと思っておりますから、肝に銘じて検討することといたします。
  23. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 大いに期待をいたします。  それでは、次に、もう時間がなくなりましたが、いまもちょっとお話が出ましたけれども急増市町村小中学校用地補助、これがされるようになったことは当初から見ますと前進だったのですが、これに交付率が設けられておって、この制度が創設した当時はたしか四四%というふうになっていたと思います。その後順次改善されて現在八五%までに引き上げられてきたと思いますが、しかしこの交付率のほかに補助率三分の一が適用されるために、実質的には補助率が現在、三分の一なら三三%ということのはずですが、二八・三%程度であると思いますが、この際、これもいまの全体の財政事情の中で前向きのことをやるというのはむずかしいと言えばむずかしいのですけれども、いまの急増地域の問題、大規模校の解消の問題とも関連をいたしますが、校地補助に対する交付率というものを思い切って撤廃したらいかがか。そうすれば、三分の一が本当に三分の一に生きてくると思うので、まずせめてその程度のことを思い切ってこの際やったらどうか。この点いかがですか。
  24. 阿部充夫

    阿部政府委員 土地につきましては、校舎の場合と違いまして非償却資産だというようなことで従来地方債等で措置をするというのが原則になっているわけでございますが、先生お話にございましたように急増市町村の場合にその財政的な負担を軽減したいということで、特に急増市町村に限りまして義務教育小中学校用地補助という制度がとられておるわけでございます。  お話にもございましたように当初交付率四四%というのが定められまして、これは当時の考え方といたしましては、一般市町村のこういう用地取得校舎建設等に係る費用負担程度急増市町村補助を受けた場合の負担程度というものがやはりでき上がりとしてバランスがとれていることが必要だろうというようなことから検討した結果〇・四四という数字が出てきたというようなことで、それなりの理由がなかったわけではないと思うわけでございますけれども、その後実態等を見ながら逐次改善努力をしてまいったわけでございまして、当初の〇・四四から〇・五〇にし、〇・六〇にし、六五にし、七〇にし、七五にし、そして八五というところまで、十年ちょっとかかったたわけでございますけれども〇・八五というところまでまいったわけでございます。  もちろん私どもこれで満足というわけではございませんで、関係市町村からの要望も大変強いということも十分承知をしておりますので、他の市町村とのバランスということも一応の考慮はいたさなければならない課題だとは思いますが、この問題については文部省としては十分検討し、対応考えていきたい、今後の課題だというふうに考えておるところでございます。
  25. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 それじゃ鉄筋の老朽校舎の問題や木造の危険校舎の問題について触れたいのですが、これはまた別の機会にすることにいたしまして、一つだけ。  いまの校地取得に関して大変困難になっているのは私どもも地元でもずいぶん聞くのですが、それは一つは、校地を提供する際の税制上の何らかの優遇措置がとられれば校舎というものは用地取得が各自治体とももう少し容易になるのですけれども、これがいろんな他への波及ということもあって優遇措置がとられておらない。学校のために出せば税金はそんなに緩和されるのなら、じゃ提供しましょう、こういうことになるのをこれが大きく阻んでいる。これはひとつ、やはり文部省がこの際、教育の重要さでもって大蔵省を説得してあるいは政府全体を納得さして何らかの優遇措置というものをとるべきじゃないかと思いますが、これについてのお考えを伺います。
  26. 阿部充夫

    阿部政府委員 御指摘の校地等に提供される場合の税制の問題でございますけれども、ちょっとただいま手元に資料を持っておりませんのであるいは正確を欠くかもしれませんが、現在三千万円までについての配慮がなされておるわけでございますが、文部省といたしましては校地取得の重要性ということから、いろいろ御要望等を承りまして、五千万円まで上げてほしいということで財政当局にお願いを重ねているところでございます。  なお、つけ加えて申し上げますと、たとえば国有地の利用というようなことも場所によっては可能であるケースもあるのではないかということで、こういったことも含めまして財政当局とはいろいろ話し合いをしているところでございますが、今後とも実現に向けて努力をしたい、かように考えております。
  27. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 三千万円ということですけれども、その当時はある程度効果があったかもしれないが、いまは三千万では個人が小さな土地を買うのだって三千万円以上の場合が多いのであって、学校の敷地なんというものの免税のあるいは減免措置としてはまことに微々たるものなんで、いま五千万円に努力をしているということですけれども、本当は一けたぐらい違う考えを持っていただかないと本当の意味で校地取得に大きい道が開けたということにならないのじゃないかと思うので、この点もさっき申し上げたように災いを転じて福となすということで、一挙に進むように、これは文部大臣もぜひ実力発揮していただきたいと思いますから、このことを強く要望して、お答えを一言いただいて、私の質問を終わります。
  28. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 学校用地取得が非常に困難なことは御承知のとおりでございます。  公共用地については、もと二千万円を三千万円にようやく引き上げておる。財政当局はなかなかこいつは厳しい壁があるわけでございますが、学校用地はいわゆる限られておるものでございますから、しかも、何事でも大事でありますが、そのうちでも非常に大事だ、こういうことでございますから、今後も努力をしていきたいと思います。
  29. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 終わります。
  30. 葉梨信行

    葉梨委員長 速記をちょっととめてください。     〔速記中止〕
  31. 葉梨信行

    葉梨委員長 速記を起こしてください。      ────◇─────
  32. 葉梨信行

    葉梨委員長 この際、文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑を留保いたしております佐藤誼君及び湯山勇君の質疑を順次許します。佐藤誼君。
  33. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 後藤田官房長官に質問いたしますが、質問に先立ちまして資料を二部ほど準備しておりますから、事務局の方から官房長官に渡してください。  官房長官、このペラ紙の方の資料を見てもらいたいのですが、その中に「「歴史教科書」についての官房長官談話」というのがあります。これをひとつごらんになっていただきたいと思いますが、これは、教科書問題が外交問題に発展したときに、昨年の八月二十六日、当時の宮澤官房長官が発表した歴史教科書についての談話の全文であります。その中の第二項、つまりこの資料によりますと上段の末尾、その第二項の末尾に、ずっと文章がありまして、「政府の責任において是正する。」という項があります。そのことに関連して、去る二月十八日衆議院予算委員会でわが党の木島委員が後藤田官房長官に質問しております。お手元に議事録がありますからごらんになってください。そのときの議事録によりますと、木島委員が、「是正するというのは、間違っておったから、適切でなかったから、だから直す。誤っておるから直すということですね。」、こういう質問に対しまして、後藤田官房長官、議事録では国務大臣、こういう答弁をしております。「その点も、誤っていなければ直す必要がないわけですからね。」、ずっとありまして、「やはりその点は日本側に誤っておった点があった、したがって、そこらは直しましょう、こう言ったものと私は理解をいたしております。」、こういうふうに議事録にはあります。この議事録のとおり確認してよろしいですね。
  34. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 議事録をお読みになったわけでございますから、そのとおりでございます。
  35. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 ところで、この歴史教科書の談話の「是正」という事項について、当時、宮澤官房長官は、その是正ということについて文教常任委員会の答弁で、よりよいものに改めるのだという趣旨の答弁をしております。後藤田官房長官は、先ほどの議事録で確認したように、端的に言えば誤っておった点を直すという旨の答弁をしております。私はこの点、鈴木内閣を継承している政府の答弁としては、後藤田官房長官の答弁をもって政府の統一見解として見ていいと思いますが、どうですか。
  36. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 宮澤さんは宮澤さんなりにこの問題、大変御苦労をなさって、そしてより高い見地から政府の責任において是正をする、こういうことで外交的決着を図られたと私は思います。その鈴木内閣時代の官房長官の談話というものの趣旨は、私どもとしても踏襲をしておるつもりでございます。  ただ、私が申し上げておるのは、この際はっきりしておきたいのは、私はあのときの答弁で、理にかなってなければ直すことはないでしょう、こうも申し上げておりますね。それから、やはりどこか間違ったところがあったから是正する、こう言ったものと私は私なりに理解をしております、こう申し上げておるのです。私が言っておる趣旨は、それはいろいろのお立場でいろいろなお考えあるかもしらぬが、とにもかくにも三十数年間における植民地統治、それからまた数年にわたる日中戦争、こういったようなことを通じて、韓国の国民の皆さん方あるいは中国の国民の皆さん方に甚大な精神的な苦痛あるいは物質的な被害、これを与えておったことだけは間違いがない事実でございますから、それらの事実についての日本側の認識が間違っておった、もう少し厳しい反省をすべきではなかったのか、こういう点について私はそういう発言をしておるつもりでございます。  同時にまたあの審議の際にも、記述そのものが間違っておったとあなたは確認するのですね、こうおっしゃるから、その点については私はわかりません、しかし、いずれにせよ、中国なり韓国の皆さん方に与えた被害、そして同時に韓国の皆さん方あるいは中国の皆さん方から厳しい日本に対する批判があるという事実、これは認識をしなければならぬでしょう、それは事実でしょう、こう申し上げておるわけでございますので、そこの区別はひとつはっきりとお答えをいたしておきたい、かように思います。
  37. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 そうしますと、木島さんも、引き継いでいる私も、宮澤官房長官の一連の談話のうちの、「政府の責任において是正する。」という、ここに集約されている点で私たちは質問しているわけです。そこで、「政府の責任において是正する。」というこの「是正」ですね、ここが問題になっているわけですが、いま後藤田官房長官も言われるように、韓国あるいは中国等から、日中戦争に対する認識、それを具体的に事実を指導する教科書の記述、こういうものについて多くの批判がなされている。したがって、その批判にこたえ、誤っている部分については是正をしていくのだ、直していくのだ、こういうふうに私たちは理解をしておるのですが、そういう一つの線の中で理解しておっていいですね。
  38. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 私ども鈴木内閣のあれを踏襲しているというのは、あの官房長官談話全体を私どもとしては踏襲をし、そして同時に私の答えというものは、官房長官談話全体の中から私自身の気持ちとして、先ほど言ったように、とにもかくにも韓国の人たちなり中国の人たちに対する配慮といいますか、あるいは日本人の反省といいますか、それが不足をしておったのではないのか、そこが私はやはり間違いと言われてもいたし方がないし、また相手方から言われればそれは相手方の御主張に理あり、こういうことで教科書の是正ということを官房長官は談話の中で言われたのであろう。その是正の仕方としては、あの声明文の中にある、後ろの方にございますね、検定の基準も改めましょう、それから同時に検定済みのものについても適切な処置をしましょう、同時にまた、それまでの間の処置については文部大臣談話を出して、そして教育の現場でそういう気持ちを実現をしてもらいましょう、こう言っておる、それが是正であろう。私はさように考えております。
  39. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 時間が限られていますからこれ一つで終わりますが、鈴木内閣を引き継いでいまの中曽根内閣が行政を執行しているというふうに言われますね。そういう一つの枠の中で、官房長官の業務、とりわけ宮澤官房長官の歴史教科書についての談話はその全体を引き継いでいる、こういうふうに言われましたね。それは私はそのとおりだと思うのです。ただ問題は、その宮澤官房長官の談話の中心的に集約されているのは、先ほど言った「政府の責任において是正する。」、このことに凝固、集約されているわけだと思うのです。したがって、この点がかなり議論を呼んできているわけですね。そこで「政府の責任において是正する。」というこのことについては、いま後藤田官房長官も言われたように、近隣諸国の批判に十分こたえ、誤りのあった部分については直していくのだという趣旨をここに表現したものであって、その趣旨に基づいて前後の関係、事務的な処理をしていく、こういうふうに理解するのが私は常識的に至当な考え方ではないかと思うのですが、簡単に言うと、そうだと理解していいですね。
  40. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 その点は、先ほど申しましたように、要するに、韓国三十六年の統治、それからまた数年間にわたる日中戦争、この間に日本が韓国民の皆さんに与えた、あるいは中国の皆さんに与えた、精神的な苦痛、物質的な甚大な被害を与えておる、これについての日本としての物の考え方、そういう点に間違いがあったのではないのか、反省すべき点は大いにあるよ、そこらを十分に考えた上でこういう問題は処理をすべきであろう、そういうことで誤りがあったのではないか、あるいは相手方の言われることに理があったということを私はお答えしておるわけでございますね。それに従って是正ということを鈴木内閣はお決めになったのだろう、だからやはりそういう点の上に立っての是正ですから、直さなければならぬでしょう、こう申し上げておる。その直すというのはどこかと言うなれば、あの声明の中にあるように、検定基準の問題であるだろうし、あるいはまた検定済みのものはこういうようにするとか、文部大臣談話で教育現場でどうするとか、これがあの宮澤さんの言われる是正の措置であろう、それはまた、まだやり残している点があるならば、わが中曽根内閣としてもこれはやはり引き続いて誠意をもってあのとおりやらなければならぬ、これは私は、内閣の責任だろう、こういうふうに考えております。
  41. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 後に湯山委員が控えておりますから、時間が迫っておりますから、以上で終わります。
  42. 葉梨信行

    葉梨委員長 湯山勇君。
  43. 湯山勇

    ○湯山委員 官房長官、大変御苦労でございました。わざわざお運び願ったのは、何も是正という言葉の字句の解釈の問題じゃないのです。宮澤談話のとらえ方が正しくなければ今後中国なり韓国なり東南アジア諸国の批判に、談話には批判とあります、こたえられない、そういう心配が出てきたのでおいでをいただいたというのが実情でございます。  いまも官房長官おっしゃったように、批判が寄せられたことも事実、それから言っておることが理にかなっておることも事実、そして確かに総理大臣も思慮の足らざる点があったというのをお認めになったとおりです。したがって、あの官房長官談話を出した以上は、やはりその点は日本側に誤りがあった、これを正すのだということですから、是正というのがよりよくするというように飛ぶのはおかしいので、それはよりよくすることには間違いないのです。食い違いがあるわけじゃなくて、よりよくするためにはもっと詳しく書く、やさしく書く、あるいはもっと簡単に書く、いろいろ方法はあります。その中で誤っている点は是正する、これは官房長官が御答弁になったとおりで、そうなければ私たちもならないと思っています。ところが文部省は、おっしゃったように、文部大臣談話、広報を出して、これでやるという中では、批判があったということは言っていないのです。意見があったと直しています。批判と受け取っていない。それから、宮澤談話をごらんいただきますと、現場の教育に反映せしめる、こうなっております。ところが文部省は反映せしめよとは書いてないのです。そうじゃなくて、「配意されるよう期待します。」、こうなっているわけです。まだひどいのは、文部広報で、検定規則を変えたのは誤りや学習指導上支障があるから改めたものではない、こうなっておるので、教科書の中のどこをどう改めるかというのは、作業はこれからなんです。
  44. 葉梨信行

    葉梨委員長 湯山委員に申し上げます。  官房長官の出席時間が過ぎましたので、御協力をお願いいたします。
  45. 湯山勇

    ○湯山委員 そこで、これは、鈴木内閣であろうが中曽根内閣であろうが、日本の政府がある限りは責任を持たぬといかぬ。後藤田内閣ができてもやはり責任を持たぬといかぬわけです。そこで、この点については、いま官房長官がおっしゃったように、政府としてやはり誤りは正すのだ、そうすることによってよりよい教科書をつくるのだ、それによって批判にこたえるのだ、この線をはっきりここで御確認願えればそれでいいわけです。
  46. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 やはり厳しい過去への反省の上に立って是正をしていくということが正しいあり方であろう。そして、こういう問題は、とにもかくにもいま外交的には決着がついている問題でございますね、それだけにやはり誠実に、素直な気持ちであの声明を受け取ってやっていくべきが国としての正しい方針であろう、私はこう思います。
  47. 葉梨信行

    葉梨委員長 湯山君、御協力をお願いいたします。
  48. 湯山勇

    ○湯山委員 はい。もう一回だけ。  では多くを申しませんが、官房長官が予算委員会でお答えになったことは今日も変わってないという確認でよろしゅうございますか。
  49. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 それはもちろん変わっておりません。ただ、変わってないけれども、あの中よく読んでいただきたいと思いますよ、私のを。あなたとは一緒かどうか、そこはよくわからないところがあるのだから、そこだけはよくひとつ読んでおいてくださいよ。      ────◇─────
  50. 葉梨信行

    葉梨委員長 先ほどに引き続き、内閣提出義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。有島重武君。
  51. 有島重武

    ○有島委員 時間が余りございませんから、すぐに個別問題でございますけれども、大分報道をにぎわしました東京都町田市の忠生中学のことでございますけれども、あそこは千人を超えているわけでございますね。それで、文部大臣に、これは事務的な話じゃないから、伺うけれども政府としては、この校内暴力の問題について大変いろいろとこの解決に苦慮をしていらっしゃるし、できることなら何でもしたい、そういうお気持ちであろうと思うのです。それで、忠生中学においては教員の方々も一つの教員室におさまらないで、二ヵ所でやって、連絡がつかぬ、そういうような状況である、そういうような報告も受けていらっしゃると思うのです。こういうような事態に対して何らか特例の措置を講ずるということはできぬものでしょうか、大臣。
  52. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 それはどうでしょうか。町田市の教育委員会とか東京都の教育委員会で、こういう状況だからこういうふうにやりたいという御相談があれば、それは大いに相談をしていくべきものだと思います。  いずれにいたしましても、学校教育、これはこうすれば子供たちが素直な、朗らかな、明朗な子供になる、勉強もするという状況ができる方法があれば何でもやりたいという気持ちがあるのですが、非常に大事な問題ですから、いろいろ意見があるのですが、それはいつも申し上げますように一刀両断の、快刀乱麻を断つような策がなかなかないので、非常に心配しながら苦慮しておる。ですから、それは東京都の教育委員会あるいは町田市の教育委員会でこうしてこうしたいという御相談があれば、こちらとしても善意を持ってやりたいと思います。
  53. 阿部充夫

    阿部政府委員 大臣のお答えにちょっと追加をさせていただきたいと思います。  具体に忠生中学についてのお話でございますが、忠生中学校の場合は現在、全体で三十六学級で三十四学級の普通学級にプラス二学級の特殊学級という構成になっております。これはこのまま推移いたしますと、五十八年に三十五学級、五十九年三十七学級、六十年に三十八学級となってしまうわけでございますが、これにつきましては五十八年度に木曽中学校というのを分離をすることになっておりまして、若干学級数が減ずる、そしてまた五十九年度には、仮称でございますけれども小山田中学校というのもまた分離をするということで、これが完成いたしますと二十八学級程度のものにまでおさまっていくということが計画をされ、進行中でございます。ちょっとつけ加えさせていただきました。
  54. 有島重武

    ○有島委員 いまの大臣のお答えで、都道府県の方から折り入って話があればそれに応じていきたい、そういうお話でございましたから、それはそれで受けとめます。  それから、今後五年間国庫負担を七分の四にして延長するという内容らしいけれども、これからの十年、十五年の間に小中学校生徒数というのは激減いたしますね。御承知のとおり、大体十五年間で三分の二になってしまうということですね。これから考えていくこと、いままで考えてきたこと、本当は整理しなければいけない時期ではないかと思うのです。それで、従来の行き方でまいりますと、木造校舎を鉄筋に直していく、それで壊れにくい不燃化のものにしていきましょうということでずっと二十年来たと思うのです。それも結構かもしれない。ただ、二十年前のことを考えてみますと、大体子供たちの住まい、生活環境というものは、わりあいと鉄とガラスとコンクリートに閉じ込められてしまって緑もないというような、そういうものが一般的ではなかった。いまは大体子供たちの生活環境がまさにその鉄とガラスとコンクリートなんですね。玄関を出て歩いて学校に行くまでそうなんです。学校に行ってまたそうなんです。今後の行き方として、学校が画一的にそういったハードな感じのものないしは管理がしやすいものという視点から、子供をもっと豊かなあるいは潤いのあるそういう環境づくりをしていくという方向に切りかえていくべきなんじゃないだろうか、そう思いますけれども、大臣どうでしょうか。
  55. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 有島さんの意見に同意見でございますが、人間というものは妙なもので、いい知恵を持っているようでございますけれどもそのいい知恵がある年月をたたないとまたさらにいい知恵が出ない。何事でもそうでございます。  よけいなことでございますけれども、日本の住宅不足のとき、住宅住宅と言って一生懸命建てましたけれども、大分建ちまして、いま余るくらい建ちました。ところが、その当時は、ありがたい、いい住宅だと言っていたのですが、いまは、ありがたくない、使い道がないというようなかっこうです。  学校でもやはりそういう、何しろ中学校整備小学校整備ということで一瀉千里でまいりました。管理上の問題もあると思います。同じ形のものを、砂漠の中に箱が立っておるような学校、こう言っては極端でございますけれども、やってきた。しかしもうその時代は過ぎた。それで、人口もいま減る傾向に、昭和六十二年にはだんだん減るという統計でやっておりますけれども、しかしこれもまたどう変化するかわかりません。変化に対応してまた子供が案外ふえる時期が来る場合もある。これは否定するわけにいかないのですから。ですから、ゆとりが出ればゆとりが出たような学校にまた改造もしなければいかぬし、これから建てる学校は、専門家が後で細かく説明すると思いますが、ゆとりのあるといいましょうか環境の——人間の気持ちは環境に支配されますから、特に青少年といいますか子供のときは環境に支配される、それがまた生きる道に非常にいい影響、悪い影響を及ぼすわけでございますから、従来と違った学校あるいは施設のやり方を考えておるわけでございますが、その点は管理局長から御説明させたいと思います。
  56. 有島重武

    ○有島委員 いま一つの転換期に来ている、これから考え方を徐々に変えていくべきであろう、そういったお考えと受け取ってよろしゅうございますか。
  57. 阿部充夫

    阿部政府委員 大臣からお答えをしたとおりでございますが、先生御案内のように、戦後の学校建築は、六・三制の実施に始まりまして以来ベビーブームを二度迎えるとかいろいろなことで、いわば箱をつくることに全力を挙げてきた傾向があるわけでございますが、急増期もまだ残っておりますので現在法案をお願いしているわけでございます。量的にはある段階では減少に向かってくるということで、量の整備の時代から質の整備の時代の方へ変わってきつつあるというふうに私ども理解をしておるわけでございます。  そういったような見地から、一挙にとはなかなかまいりませんけれども学校建築についても、学校建築の教育上の意味というようなこともございますし、あるいは生活環境としての意味というようなことも含めて、教育効果も上がり、かつまた潤いのあるような施設を逐次考えていかなければならない、そんなことを考えておりまして、いろいろな基準の改定とか、さらに新しいものとしては、五十七年度からは屋外環境整備費というような補助金も計上いたしまして、木登りの森を学校の校庭につくらせるとかせせらぎの小川を流させるとかいろいろなこともやってまいりました。また、クラブハウスをつくって、子供たちが体育をする場合の着がえその他が十分できるようなハウスをつくるとか、五十八年度予算におきましてはセミナーハウスの設置というようなことで、子供と教師が一緒になって合宿、勉強ができるような施設考えていこう、いろいろな方向考えておるわけでございますし、校舎自体の施設についても、そういう方向で逐次改革を図っていきたいということで努力を始めたところでございます。今後もまたいろいろ御指導をいただきながらその方向で努めてまいりたいと思っております。
  58. 有島重武

    ○有島委員 私は数年前から学園緑化ということを提唱いたしまして、それから市内にある校庭がコンクリートでもって固められているのを土に戻さなければならないのじゃないだろうか、しかも、ほこりが舞い上がらないような工夫ができないものか、そういうようなことをずっとやってきた。いま局長の方から、木登りができる、あるいは相撲ができる、あるいはセミナーハウス、そういうようなお話がございましたけれども、学園緑化の中でも、学校のコンクリートの塀を低い金網にいたしまして、そこをずっと生け垣にしていくということが非常に環境を変えていく、町の環境も変えていく、子供たちの環境も変えていく。それから騒音の点ですね。コンクリートの塀ですと、子供たちの声は甲高いものですからきゃんきゃん響くのですね。そういったようなことでも非常に効果があるということがわかりましたものですから、そういうようなのを推進していきたいと思っているわけです。ところが、この生け垣についてはまだ補助対象になっておらぬのですよ。これはぜひ補助対象にしてもらいたいと思うのですけれども、どうでしょうか。
  59. 阿部充夫

    阿部政府委員 学校の周りの塀、さく等のことについてのお話でございますが、さく、塀あるいはフェンスと言われるようなたぐいのもの、これはやはり学校の敷地を確保し、外部からの侵入を防ぐような意味もございますので、何らかのかっこうでこのようなものは必要であろうということで考えているわけでございまして、こういったさくなり塀あるいはフェンスというようなものについての補助の制度はあるわけでございます。  ところで、生け垣の場合には、この生け垣だけではそういった防護、外からのいろいろな人が入ってくるのを防ぐというような機能という面では不十分な面もございますので、いまの先生お話ではフェンスと一緒につくるというような御意向のようにも伺ったわけでございますが、そんなようなこともございまして、生け垣だけというのは従来は対象にしておらなかったわけでございます。  ただ、別途先ほど申し上げましたように、屋外環境整備というようなことで木登りの森をつくるというような方向補助制度も五十七年度から新たに始めたわけでございますし、またそれと別に、これは体育局所管の方でございますけれども、環境緑化ということで毎年五億円前後の予算を計上いたしまして、植木を植えさせるということをやっておるわけでございまして、これは一校当たり大体七十万程度予算で一メーター程度の高さの苗木を三百五十本ぐらい植えられるというようなこともやっておるわけでございまして、毎年七百校前後ぐらいについてそういうことを進めてきているというような状況にあるわけでございます。  御指摘の、こういった体育局関係の緑化の問題とは別に、公立文教施設関係の方で対処できないかというお気持ちであろうかと思うわけでございますが、この緑化の問題につきましては、新聞記事等にも出ておりましたように、政府全体としてもこれから少し本気で取り組んでいかなければならない課題だということでもございますので、ただいまの先生の御指摘の点などを踏まえながら、私どもの方でどう対応するか、検討課題として勉強させていただきたいと思います。
  60. 有島重武

    ○有島委員 では、検討課題にしてくださるということでございますから、これはぜひともやっていってもらいたい。  それから、昭和五十七年七月に「学校施設の文化的環境づくりについて」、学校施設の文化的環境づくりに関する調査研究会議、これは座長磯村英一さん、副座長安達健二さん、そういうことでもってそうそうたる方がやっていらっしゃるわけです。そうして、これからの新しい学校のつくり方についていろいろな提言も出ておるようでございますし、それからこれに対して助成措置がつくようになったわけでございますね。それで、こういう助成措置についてはもっと十分にやってもらいたいけれども全国におけるいろいろな試み、いまの授業形態をいろいろ多様化していく、そのために対応できるような施設をつくる、これが一つ。もう一つは、いまのような学園全体の緑化であるとか、あるいはフェンスを伴った緑の塀だとかこういうものも、ひとつパイロット的な事業といいますか、こういうようなところでこういうようなことをやっておるというような報告をとって、ひとつそこに奨励金とまではいかないかもしれぬけれども、紙ぺら一枚でもいいから、貴校はこういったところに努力しておられる、そういった激励の意味の奨励賞といいますか、何かそういうような措置でも、これは余り金が要らぬのですよ。せめてそういうようなこともやっていく、それでもってだんだんこれからの児童が少なくなって学校がすいてきた、それに伴ってやはりお金の方もやっていく、そういうようなことをスタートなすったらどうかと提案したいのだけれども、大臣、どうですか。
  61. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 有島さんからすばらしいアイデアをいただきました。そういう学校の環境整備といいますか、緑化といいますか、何かコンクールみたいなものを考えてみたいと思います。それで優秀なところはたまには表彰状でもやると、お互いに励みが出るのじゃないか。これは、私一存ではいけないから、省内で研究してみます。
  62. 有島重武

    ○有島委員 終わります。
  63. 葉梨信行

    葉梨委員長 三浦隆君。
  64. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 それでは、義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案について、一、二御質問をさせていただきます。  初めに、政令で定める市町村関連してなんですが、校舎の新築あるいは増築というのが、政令で定める市町村とそうでない市町村とでは、これからの見通し、あるいはその比率というのはどうなっておりますか。
  65. 阿部充夫

    阿部政府委員 恐縮でございますが、ただいま資料を調べまして御報告させていただきます。——大変失礼しました。急増関係の中で約一〇%が指定都市の部分でございます。
  66. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 新増築は、占める比率は、政令で定める市町村というのは全体で一〇%ですか。
  67. 阿部充夫

    阿部政府委員 全体の急増関係の中で一〇%が政令で定める市町村ということに該当すると思います。
  68. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 その政令で定める市町村の方に人口がどんどん流入していて、そうでないところというのは比較的、むしろ過疎的になっているので、十分の一というのは正しいですか。
  69. 阿部充夫

    阿部政府委員 政令指定都市と、それから財政力指数一・〇以上の市町村でございますので、数としてはそれほどはないわけでございます。
  70. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 私の手元のとは大分違いがあるようですが、先に進むことにいたしましょう。  一応法案の中で政令で定める市町村負担というのが三分の二から七分の四へと引き下げられているわけですね。その一つの理由として、政令市町村は比較的富裕なんだから、あるいはまた臨調の意向があるからというふうに伺っていますが、そうなんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  71. 阿部充夫

    阿部政府委員 政令で定める市町村といたしまして、財政力指数が一・〇以上のところと、それから政令指定都市と、この二種類を掲げておるわけでございます。  財政力指数が一を超える市町村の場合には、申し上げるまでもなく、他の市町村と比べまして財政的に余裕があるということも一つございますし、さらに加えまして、臨調の第三次答申の中で、普通地方交付税不交付団体等に対する補助金については配分額を調整しろというような指摘もいただいておるわけでございます。  また、指定都市に関しましては、実態といたしまして児童生徒増加傾向が、他の一般急増市町村に比べますとずっと緩やかであるというようなこともございますし、全体の規模が大きいというようなことから、学校施設整備に係る経費市町村財政を圧迫していると申しますか、その程度が比較的余裕があると申しますか、そういうようなことなどを考慮いたしまして、今回こういう措置をとったものでございます。
  72. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 自治省にお尋ねしたいのですが、いわゆる政令で定める市町村の現在の市債の発行その他どうなっておりますでしょうか。
  73. 紀内隆宏

    ○紀内説明員 大変恐縮でございますけれども、ただいまその質問に対する担当の者がおくれておりますので、ちょっとお待ちをいただきたいと思います。大変恐縮でございます。
  74. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 それでは次の質問に移ります。  政令で定める市町村が仮に比較的富裕であるとすれば、それは偶然そうなっているのではないのでありまして、そこに住んでいる人たちがいわゆる県民税なり市民税なり払って、一方ではちゃんと固定資産、払っているわけですね。逆に言えば、それを引き下げればお金はなくなるわけですね。言うならば税金が高いからそれだけ収入もあるし、逆に言えば、今度は支出の方もしかるべきいろいろな項目に分かれて全部どんどんやっていれば、やはりお金は足りないわけですね。ですから、富裕であるというのは、一方では、一つにはたくさん税金を取って、取りながら納税者に対して還元するものが少ないからたまたま富裕であるというだけであって、別に、富裕であると言われている政令で定める市町村が、仮に少々お金があったとして、それはその責任ではないのですね。むしろ取り過ぎているなら下げるのが正当だろうと思います。  逆に言えば、私の方にはそうした政令で定める市町村の方から数々の陳情が実は来ております。それによると、むしろ地方財政は大変に困っている、むしろ何とか助けてほしいというふうな要望のが圧倒的に多いのでありまして、全部やっているわけにいきませんが、たまたまそうした一つの考えとして、「地方交付税制度における基準税率の引上げ(いわゆる「留保財源」の引下げ)は、それぞれ態容を異にする各地方公共団体の円滑な行財政運営を阻害することとなり、また、その自主性・自律性を弱めることとなるので、このような方策は講じない」でほしい、たとえば、むしろそういうような要望がありますが、自治省、どうお考えですか。
  75. 紀内隆宏

    ○紀内説明員 若干御説明を交えながらお答えをしたいと思います。  現在、普通交付税の算定に当たりましては、その基礎となる基準財政収入額につきまして、取れるであろう地方税とかあるいは交納付金とか、これは一〇〇%は見込まないことにしております。具体的に申しますと、道府県につきましては取れるであろう額の八〇%相当、それから市町村につきましては七五%相当、この八〇%、七五%のことを基準税率と申しております。これ以外の部分、つまり道府県につきましては二〇%、市町村につきましては二五%、これを俗に留保財源と称しておるわけでございます。こういう留保財源を残しておく理由というものは、一つには各地方団体それぞれに地域特性に応じまして独自の施策を展開する余地を残しておく必要があるということ、それからまた、普通交付税のもう一つの要素でございます基準財政需要額につきましても、これは技術的な点から、客観的な手法を貫く限りはどうしてもあらゆる財政需要というものを完全に捕捉することは困難であるということ、さらには、取れるであろう税金の一〇〇%を見込んでしまうということになりますと、結局は普通交付税の算定上これを帳消しにしてしまうことになりますから、各団体が税源を涵養しようというインセンティブを全く失ってしまうということでございまして、この辺から二〇%なり二五%というものを普通交付税の算定上外に置いておるわけでございます。  そこで、臨調の基本答申でおっしゃったような事柄、つまり留保財源の引き下げというようなことを示唆されておりますけれども、私どもは、現在のやり方のもとでも十分地方財源の調整というものはできていると思っておりますし、いまの情勢のもとで留保財源率を引き下げるということにつきましては、その自主性の幅を狭めるという点から問題があろうかというふうに考えております。
  76. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いま自治省の方も入ったようですが、時間がありませんので、端的にお答えをいただきたいと思います。  いわゆる政令で定める市町村の現在の市債等の発行額の状況ですね、どうなっていますか。——お調べいただいて時間がかかるようなら次の質問に入ります。とにかく時間に迫られているので。
  77. 葉梨信行

    葉梨委員長 政府委員は直ちに答弁してください。
  78. 前川尚美

    ○前川説明員 いまの政令指定都市の市債の発行状況でございますが、ちょっと所管が違っておりまして申しわけございませんが、指定市から入手いたしております情報によりまして調査をいたした結果でございますが、地方債の現在高は、昭和五十六年度ベースでございまして、平均いたしますと三千四百三十億ということになっております。
  79. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いま政令で定める市町村とそうでないところでは、俸給生活者といわゆる農業を営む生活者との比率というのはどうなっておりますか。自治省の方……。
  80. 前川尚美

    ○前川説明員 いま手元に資料がございませんので、また改めて御説明をさせていただきたいと思います。
  81. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 それでは先に進みます。  一体に、政令で定める市町村の方が俸給生活者というのは多いだろうというふうに思います。そこで、その俸給生活者といわゆる農業で生活を営まれる人の税負担状況について、今度は大蔵省にお尋ねいたします。
  82. 日向隆

    ○日向説明員 私ども課税当局がいろいろな形で把握しております、直近の五十六年分にかかります給与所得者と農業所得者の納税人員及び納税額を申し上げますと、給与所得者につきましては民間給与実態調査という調査がございまして、これで統計をとっておりますが、民間で給与の支払いを受け納税している人は、一年未満の給与の支払いを受けている人を含めまして三千七百八十二万六千人でございます。官公庁で同様のことをしている人が六百七十七万一千人で、合計四千四百五十九万七千人でございます。そして、その納税額はそれぞれ五兆七千八百四億円、一兆二千四百六億円でございまして、合計七兆二百十億円でございます。  他方、農業所得者につきましては、農業からの所得を主たる所得として申告している人は十七万四千人でございまして、その納税額は百三十四億円でございます。
  83. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 それでは今度は、補助金というものの俸給生活者なり農業を営む人たちに対する割合はどうなっておりますか。
  84. 米澤潤一

    ○米澤説明員 私、文教の担当でございまして、補助金全体についての計数を承知しておりませんけれども補助金についてその受益する個人の業態別の分析というのはいたしておらないかと存じます。
  85. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 一応ちゃんと「補助金等予算額所管別内訳表」というのが五十六年、五十七年など毎年度出ているのでして、私の手元では農林水産省関係二兆何がしというふうな金額も出ております。だから出ていないのでなくて、出ているのだと思いますね。  私が言いたいのは、俸給生活者は、いま言ったように大変多くの人が源泉徴収という形で待ったなしで税金を取られているわけですね。これに対して農業関係者というのは申告納税です。ですから、仮にそれがどちらも正確であるとしても、圧倒的に支払っている人数が多い少ないという違いがあり、それから徴収した税額総体としても、俸給生活者は圧倒的にたくさん払っているわけですね。しかも直接還元される補助金というのはないわけですね、農業生活者より多くても。ということは、同じ税金を払う国民の一人として考えた場合にきわめて不公平なのだろうと私は思うのです。しかも、こういう不公平な割合を受けている人はいわゆる政令で定める市町村に住んでいる人が多いわけです。しかも、現実にいまそうした不公平を受けているにもかかわらずまた今度の法律によってさらにそのしわ寄せが深まろうとするのですね。政治というものはあくまでも公平であるという観点からすると、これはきわめておかしいことなのだろうと思います。  時間ですのでそれだけでとめまして、次の質問に移ります。  先ほど臨調云々というせりふがございました。とすると、ここにも若干の論点があります。たとえば行政改革に関する臨時行政調査会の第三次答申が昨年の七月に出ているわけですが、たとえば、これは前回の質疑でも言いましたが、「国立大学の新設、学部・学科の新増設、定員増は、全体として抑制し、学部・学科の転換、再編成を進める。」、これが臨調の方針ですね。だけれども国立学校法を改正してむしろふやそうとしたわけです。一方で臨調が抑制を言っているときにふやしているのです。ところが今度の法改正というのは、逆に言えば臨調の名前を使って抑制しようという形ですね。臨調答申というのは都合のいいときだけがとられて都合の悪いときは捨てられているような感じを私は受けるのですが、どうお考えでしょうか。
  86. 阿部充夫

    阿部政府委員 臨調の答申につきまして国立大学の例を引いてのお話があったわけでございますけれども、国立学校関係の拡充は抑制するということで、国立学校関係につきまして先般御審議をいただきました国立学校設置法の改正等におきましても、従来ベースに比べますと定員数の増加その他もずっと抑制をした内容のものになっていると理解をしておるわけでございます。  なお、本件に関しましては、臨調の第一次答申で「補助負担率地域特例については、終期到来時には廃止を含め抜本的な見直しを行う」という指摘をいただいておりますので、その指摘の趣旨等も体しながら、しかもなおかつ小中学校教育整備に支障がないようにということで配慮をした内容でございます。
  87. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 質問の趣旨とちょっと合わなかったと思います。いま私が質問したのは、臨調答申を都合のいいときはとって都合の悪いときはとらないのじゃないかということを尋ねたわけです。細かい数値を言ったのじゃない、基本的な考え方を実はお尋ねしたわけです。  時間ですので先に進みます。  自治省にお尋ねしたいのですが、いわゆる行政投資というのはどういうことを言っているのでしょう。
  88. 鈴木政徳

    鈴木説明員 行政投資という言葉自体はいろいろ意味があろうかと存じますが、私ども自治省では、昭和三十七年度以降行政投資実績というものを毎年度報告しております。それは国、それから関係の公団等、さらに地方公共団体が行いました投資的経費の総額というふうにつかまえまして、毎年度調査結果を出しております。
  89. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 政令で定める市町村であれ、そうでない市町村であれ、政治というものはすべからく公平が原則だろうと私は思います。そこでちょっとお尋ねしたいのですが、自治省の行政投資実績といった統計によりますと、たまたま新潟県におきますところの一人当たりの行政投資額だけが、昭和五十一年度全国で七位、五十二年六位、五十三年一位、五十四年二位、五十五年度一位というふうにずば抜けて高くなっているのはどういう意図なのでしょうか。どういうふうにしてそうなっているのでしょうか。
  90. 鈴木政徳

    鈴木説明員 行政投資は、地理的な条件、あるいは人口の多少、さらには面積、そういうものに加えまして大規模プロジェクト等によりまして相当上下するものであるというふうに理解しております。  ただいま御指摘の新潟でございますけれども、先般発表いたしました五十五年度の結果では、御指摘のように一人当たり投資額で全国一位となっております。これは私ども推測いたしますのに、道路と鉄道の投資額が全国水準に比べまして非常に多かった。具体的に申しますと上越新幹線であるとか関越自動車道、それが最盛期にかかっていたことで新潟県が特に多くなったのではないかと推測しております。  なお、ただいま御指摘がございましたが、五十五年度の実績は新潟県が一位でございますけれども、五十四年度三位、先ほど先生の御指摘のありました以前、たとえば昭和五十年ですと全国で十四位、四十九年度十七位というふうになっておりまして、これはやはりプロジェクトの有無その他災害等によりまして相当上下するものだと考えております。
  91. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 道路建設、上越新幹線その他の費用がかかったと言いますが、いま言ったように五十五年が一位、五十六年、五十七年の最新のは私、自治省を見ておりませんからありませんが、しかし五十四年は自治省ので二位です。五十三年も一位です。言うならば道路、鉄道を必要とするのは新潟だけではないし、新潟だけにかける必要はないわけですね。そうすると、当然新潟から選出されているいま話題の議員がおって、そのために特にそこに資金が多く投入されているのじゃないか、少なくともそういうふうに感じられますね。いわゆる全国的な規模で日の当たらないのは新潟が一番というわけではないのですね。にもかかわらず新潟だけが全国で一番にそういう行政投資が行われるということは何となくおかしな印象を与えると思います。  ということは、この問題に限らないのですが、いま言った政令指定都市ということだけで負担を厳しくしようとする発想と若干似ているから実は質問したわけです。言うならば国民、あるいは県民、市民といってもいいですが、税金は同じように払うものならば還付されるものも同じようでありたい。特にある部分だけにしわ寄せが来るという発想はおかしいのじゃないかという気がいたしますという意見を申し添えまして、時間ですので質問を終わらせていただきます。
  92. 葉梨信行

    葉梨委員長 栗田翠君。
  93. 栗田翠

    ○栗田委員 このたびの法案の中で、急増地の補助金が継続してかさ上げを続けられたことはいまの事情から考えて当然だと思いますが、問題になるのは、政令指定都市など一部が七分の四にされたことです。この理由についてはもうたびたび質問の中でお答えになっていらっしゃいますので、私は伺うのを省きます。  そこで、まず伺いたいと思いますけれども児童生徒急増地区の全事業量に対して政令指定都市が抱えている事業量はどのくらいの割合になるでしょうか。
  94. 阿部充夫

    阿部政府委員 五十八年度計画で申し上げますと、全体事業量が二百万平米程度でございますが、その中で急増関係が百四十万平米、この急増関係の内訳といたしまして、政令指定都市財政力指数が一・〇を超える市町村、こういうケースのものが約三十万平米ということでございます。
  95. 栗田翠

    ○栗田委員 かなり多い量だというふうに思います。  政令指定都市それから不交付団体が抱えている事業量が全体としてまだ非常に多いということ、それから、いままで長いこと学校をつくるのに苦労してきておりますから児童生徒急増地が以前から超過負担を抱えてきた歴史があるということ、もう一つは、先ほども出されておりましたが、行政改革の一括処理法で政令指定都市かさ上げ分の六分の一がカットされているという点です。これは、さっきやはりお答えになっておりましたが、あくまでも、地方債に対して交付税で一〇〇%補てんしているということですけれども、目的財源としてつけられているわけでありませんから、学校建設ということになってきますとほかに流用される可能性もあるということですし、特に交付税の場合には不足分について、へこみ分について補てんしているわけですから、そういう意味ではこのカットというのは大きな痛手だと私は思います。同時に、不交付団体は別としても、これらの政令指定都市などは集中してマンモス校を抱えている、このことも考える必要があると思います。  そういう意味から考えてみますと、いま補助が三分の二あったものを七分の四にしていくということは臨調に沿った補助金削減政策そのものであると考えます。特にマンモス校を分離していくということに対して、それを促進していくという立場での財政的考慮がこういう地域についてほとんどされていないということです。そういうことから,まず七分の四に削ることについては反対でございます。  次に、マンモス校の問題について伺います。  私、前回の文教委員会でも、大規模校が子供たちの教育に及ぼす影響が非常に悪いということで、子供たちの非行などでもマンモス校問題があれこれと皆さんから問題にされているということを取り上げました。事実、私も調査の中でそのことを非常に感じております。けれども、いま自治体は財政難のために、この大規模校を解消していくという点ではまだまだ不十分でおくれております。  伺いますけれども、いま全国で三十学級以上の小中学校はどのくらいありますか。
  96. 阿部充夫

    阿部政府委員 お答えいたします。  昭和五十七年の五月一日現在の調査でございますけれども、三十学級を超える小中学校の数は二千三百二十八校、全体の学校数の約六・六%ということでございます。なお、三十六学級を超えるというランクもひとつ申し上げておきたいと思いますが、これは小中学校の数にいたしまして六百六十九校、全体の一・九%ということでございます。
  97. 栗田翠

    ○栗田委員 そのうちで五十八年度に分離予定のものは何校ありますか。
  98. 阿部充夫

    阿部政府委員 約三百校でございます。最近、毎年大体三百校程度のようでございます。
  99. 栗田翠

    ○栗田委員 つまり、現在三十学級以上という非常に大きな学校がまだ二千三百二十八校ありますけれども、一年間に三百校程度しか分離が予定されていないということですから、これは遅々として進んでいないと言うよりほかないと思います。そういう中で実際にどんな状態になっているかということ、それから、分離促進のためにも財政措置を十分に考えていかなければならないという点について質問させていただきたいと思います。  堺市の例を一つ挙げてみます。堺市はマンモス校が非常に集中しているというので有名なところでございますけれども、私の調査では、小学校八十四校、中学校三十四校、合計百十八校のうちで千人以上の学校が七十一校もございます。しかも、その中で千五百人以上という非常に大きな規模のところでも二十七校あるという状態です。この二十七校の中でも特別に大きいところを挙げますと、上野芝中学校二千四百二十六人、何と五十五クラス、それから登美丘中学校二千二百六十一人、それから東百舌鳥小学校が二千二百十四人という数になっております。そのうち上野芝中と登美丘中でさえも分離計画は五十九年になって、五十八年度には分離はされないという実態であるわけです。かつては三千人以上の学校もあった、こういう状態で、いま小中学校の一校平均で千二百六人、大阪府三十市の平均が九百二十五人ですから、堺市は特に大変な状態でございますし、またこの九百二十五人にしても決して少ない数ではないと思います。中学校の運動場面積は類似都市で最低の状態となっております。この中で昭和五十八年度予算教育費に占める小中校舎建設費の割合が三四%といいますから、これは堺市にとって大変な負担だということは言うまでもありません。  ところで伺いますけれども、堺は政令指定都市ではありませんから、中学校の建設については児童生徒急増ということで三分の二補助がされるわけですけれども小学校は児童急増指定は受けていませんね。
  100. 阿部充夫

    阿部政府委員 堺市の場合に、小学校急増指定でございますが、急増の要件が五十六年度で終わりになりました。したがいまして五十七年度まで一年間、翌年まで適用されるわけでございますが、五十七年で終わりということになるわけでございます。
  101. 栗田翠

    ○栗田委員 ですから、こういうことになりますと、小学校を分離した場合二分の一しかつかないということになるわけです。けれども、いまお話ししたように小中学校ともに大変なマンモス校を抱えている実態ですから、そう考えていきますと、指定を受けていないから二分の一、しかし分離は必要であるということになるわけです、いままでに急増していて大規模になっているわけですから。そのことを考えますと、いま文部省が大規模校分離に対して特別な配慮をしてない一つの例になると思いますが、そうじゃありませんか。
  102. 阿部充夫

    阿部政府委員 堺市につきまして先ほど来お話がございますように、先生の方は人数でおっしゃいましたが、私どもの方は学級数で申しますと、たとえば小学校で全校八十五校のうち二十校が三十七学級以上だという状況にあるわけでございまして、こういう意味では大規模校の解消という点では非常におくれているケースであろうと思います。もちろん私ども文部省といたしましては、急増指定のある間にできるだけこの解消を図っていただきたい、そういう方向考えてまいったわけでございますが、制度的には五十七年度で切れるという制度でございますので、この点はやむを得ないことだと思っております。  なお、急増指定が外れましても学校の建設については二分の一の補助は行われるわけでございますし、残りの地方負担分につきましては九〇%が地方債というようなことでの、あるいはそれの裏づけとしての交付税措置というようなことも行われるわけでございますので、今後とも市当局に御努力を願ってこの大規模解消には努めてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  103. 栗田翠

    ○栗田委員 大臣いまのお答えお聞きくださったと思いますけれども、私が申し上げているのは、急増指定が終わってしまったようなところは補助率が下がるわけですね、しかし、いままで非常に児童生徒の数がふえていたためにたくさんのマンモス校を抱えていて、指定は終わったけれども分離は促進していかなければならない現状である。いま小学校は三十七学級以上が二十校もあるというお話でしたから、そういうところが二分の一しかつけられないということになるわけなんですから、先ほど以来大規模校解消という問題は強く言われておりますので、今後そういう場合について補助率などを配慮していく必要があるのではないかというふうに思います。子供たちの教育を保障していくために何とかそういう方向での御努力をお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
  104. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 堺市の場合は、先ほど局長からも御答弁申し上げましたように、大規模校が比較的多い。過去においてその分離をされればよかった、努力されればよかったという答弁がありましたが、そうなりましても、これは法律でございますから期限が切れたらやむを得ないわけでございますけれども、二分の一の補助は、ほかはいまも申し上げましたように大部分は地方債で賄う、それも地方交付税で償還していく、こういう仕組みになっておるわけでございまして、私が聞くところによると、堺市は全国でも有数といいますか、一番高いくらいの給料をやっておるそうでございますから、もう少しそういう点もお考えくださればいいのじゃないかという気もいたしておるわけでございます。直ちにこれを補助率を上げるということは、いまは非常にむずかしいときでありますから、将来はまた別でございます。
  105. 栗田翠

    ○栗田委員 将来に向けてぜひ努力をお願いしたいと思いますし、また地方自治体の努力が足りないとおっしゃいますけれども、一遍にたくさんのものをしなければならない場合、どうしても財政負担のためにやり切れないということがありますから、そういうことも十分お考えいただきたいと思います。  次に、私は横浜を調査してやはりマンモス校をつぶさに見てまいりました。横浜市の中で最も大きいのが戸塚中学でございます、これは五十七年五月一日現在二千三十二人、四十八学級ですが、今度の四月からは五十学級になるというふうに聞いております。いまでも職員室が二つ、四月からは三つに分かれるそうです。職員室がばらばらであるということが、全校を通しての先生方の認識を薄めるという点でもさっきからお話がずいぶん出ておりますとおりです。大変な状態です。職員が七十七名、一学年二十四人から二十五人の先生がおいでになりますから、学年の会議だけでも大変なことになって丁寧な話ができない状態です。  運動場なんですけれども、私驚きました。横浜市一のマンモス校だというから学校はさぞ大きいだろうと思ったら、外側を見ますとさほどでないのですね。運動場へ入ってみましたら、運動場の敷地を使ってプレハブ校舎を次々に建てておりますので、運動場の面積がどんどん小さくなってきております。私の調べたところでは、現在五千四百三十八平米しか使えるところがない状態です。急増地などの補助基準の面積を見ますと、たしか二十四学級でも一万二千五十八ですから、この戸塚中くらいの人数ですと実際にはどのくらいの面積がなければいけないのでしょうか。
  106. 阿部充夫

    阿部政府委員 運動場部分で二万平米くらいになるだろうということでございます。
  107. 栗田翠

    ○栗田委員 ですから基準の四分の一ぐらいしか運動場がありません。運動会をどうなさるのですかと伺いましたら、子供たちが運動場へ出ますとほとんど運動するところがなくなって親が応援する席がないのだそうです。父母の方たちは一並びに校舎の周りに立って運動会を見るそうですけれども、それでは余りくたびれるからというので、だんだん父兄の出席が減ってきてしまったというようなお話もありました。校長先生が朝礼で、これは一ヵ月に二回しか全校生徒の朝礼ができないのですが、お立ちになりますと、一遍に視野の中に全校生徒が入らないそうです、運動場の隅まで子供が並んでしまいまして。普通の体育の時間も、一時間に四学級ぐらいがやっておりまして、ちょうどやっていたのを見ましたけれども、ごちゃごちゃしていて、あれではろくなことができないだろうなという状態なんです。これは子供の学習という点に大変なマイナスです。  トイレが各階に一つずつ棟ごとにあって、十カ所しかないのです。プレハブ校舎にはありません。それから木造の校舎にはありません。職員用のトイレがありません。そのために休み時間になりますと子供はトイレで終わりだ。そこをいかに獲得するか、確保するかで終わりだという状態になっているのです。  それから、体育館が千人から千二百人ぐらいしか入らない状態ですし、子供は実際にはその倍いるわけですから、卒業式の練習をしていましたけれども卒業生とあと在学生はほんの代表がお別れの辞などを述べるという、これもまた非常に変則的な状態になっています。  町内が四十ぐらい学区にあるのです。それで遠いところで四、五十分通わなければならない。そのために、もし災害などの場合地区別に帰すのが非常に大変だろうと校長さんは言っていらっしゃいまして、安全の面でも大変問題があります。  この中で、今度五十学級になるのですが、普通このぐらいの学級ですと特別教室は何クラス、何教室なければいけないのでしょうか。
  108. 阿部充夫

    阿部政府委員 十七教室ぐらい必要だということのようでございます。
  109. 栗田翠

    ○栗田委員 ところが戸塚中学校は現在七つしかありません。それは全部を普通教室に転用してしまってどんどん減っているわけですから、十七なければいけないのに七つしかないというのは、これはまた大変なことで、しかも中に入ってみましたらばもう取り壊すばかりになって、何年も前から取り壊し予定の木造の校舎を結局取り壊さずに残して、それを特別教室用に当てているのです。それが六教室ありました。けれどもぼろぼろでして、私危険校舎じゃないかなと思いますが、床に穴があいたりしていまして、中に行ってみますとほこりで真っ白なんです。あれはどうも使えないから使っていないと思いますね。使っていたら、あんなどの教室も一ミリもほこりが机の上にたまっている状態ではない、とてもひどい状態ですから。結局数が幾つあるぞということのために残してあって、実際には使っていないのではないかと思われます。こうなってまいりますとますます大変で、音楽の授業などは普通の教室でやることになって隣にがんがん聞こえるとか、理科は実験などが非常に制限されてくるとか、その他すべてそうですけれども、これが実態でございます。ですから、こうなってきますともう本当に子供の学習権を侵すというよりほかはないのです。  それで文部省に伺いますけれども、特別教室もこれは当然学習指導要領に沿って教育を進めていく上で非常に不可欠なものだと思いますが、いかがですか。
  110. 阿部充夫

    阿部政府委員 もちろん特別教室も必要だろうと思っております。
  111. 栗田翠

    ○栗田委員 ところが、横浜で独得の何か特別教室の配備基準というのをつくっているのですね。国の国庫負担法の施行令でいいますとさっきの十七になるのですけれども、横浜の場合にはこういうのができているのです。一学級から三十五学級まで八教室、三十六から四十まで九教室、四十一から四十五まで十教室、以後五学級ふえるごとに特別教室を一ふやすというわけですから、横浜の基準で言いますと、五十学級だと十一ということになります。国の基準よりも下回るようなこういう基準を横浜市がつくっているということは問題じゃありませんか。
  112. 阿部充夫

    阿部政府委員 横浜のその基準というのは私初めて伺いましたので承知をしておらないわけでございますが、横浜市の場合には現在相当数の大規模校を抱え急増地域でもございますので、いろいろ将来のこと等を考えての配慮もあるのではないかと思うわけでございまして、これは想像でございますが、急増地域の場合には往々にして数年後にはさらに減ってくるというようなケースも考えられるわけでございますし、いろいろなことで若干の期間がまんをせざるを得ないというようなことはあり得ないことではないと思います。横浜のケース、具体にその基準のことを承知しておりませんので、それ以上はちょっと申し上げかねるわけでございますが、原則として国の基準に近いことが望ましいわけでございますけれども、時期的に暫定的にやむを得ざるケースもあるのではないか、こんな気持ちがしたわけでございます。
  113. 栗田翠

    ○栗田委員 そこで大臣に伺いますけれども、いま私がるる申し上げたような実態に子供はもう何年も置かれているわけです。いまのお答えですと、横浜は人口急増都市で非常に苦労しているからある程度いたし方ないみたいなお話ですけれども、横浜は政令指定都市なんです。それで、さっきのお答えですと、政令指定都市財政が豊かだろうとか特別な区は人口急増児童生徒急増でもほかはそうでないからならしたらいいのだろうとか、七分の四になさった理由をいろいろおっしゃっていたのですけれども、いまのお答えになりますと、非常に大規模校を抱え急増地で苦労しているから仕方がないのだろう、矛盾がありますね。もしそうなら七分の四にしないでせめてもとどおり三分の二補助すべきじゃありませんか。子供がこの実態に置かれながら、そしていろいろ苦労なんだろうなどとおっしゃりながら、実際に補助率を削るというのはおかしいと思いますが、子供の学習を保障するという立場に立ったら、こういうものは一刻も早く解消しなければならないし、いずれ人数が減るだろうなどと言ってその間待たせておくというのは問題だと思いますね。  大臣、どうですか。この大規模校の中で苦労している子供たち、その中でいろいろな非行の問題が出ている実態もあわせながら大臣からお答えをいただきたいと思います。
  114. 阿部充夫

    阿部政府委員 横浜の戸塚中学校についての個別のお話でございますので、ちょっと実態をお話し申し上げておいた方がいいかと思います。  戸塚中学校の場合には分離新設を予定をして進めてきたわけでございますけれども、民間デベロッパーが行っております宅地造成の関係で、その造成に伴う土砂の搬出あるいは下水道問題等で造成工事がおくれたというためにこの新しい学校の開設がおくれているわけでございまして、昭和六十年度には校舎建築が行われ、六十一年度には分離校が、新設校が開校する、こういう予定になっているものでございますので、それだけ申し上げさせていただきます。
  115. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 いま横浜の事情をいろいろお話しいただきましたが、この特定の問題につきましては、いま局長から御答弁申し上げましたような事情でややおくれておる、こういうことだそうでございます。ただ、今度の改正案は、率直に申し上げて喜んでやっておるわけじゃないのでございまして、こういう財政事情でみんなが困難しておりますから、その中でもやや比較的財政力のある方には多少ごしんぼういただきたい、こういうことでございますから、御苦労がないとは思いませんけれども、そういうわけでひとつ御理解をいただきたいと思います。
  116. 栗田翠

    ○栗田委員 結局財政事情があったり困難を抱えているだろうから、十七なければならない特別教室が七つしかなくて、しかも四つはろくに使っていなくても仕方がないとか、そうはおっしゃらないけれども、横浜はそういうことでいろいろ特別な基準をつくっているのだろうとか、運動会のときに運動場に子供が出たら運動する場所がないというような実態をそのままにしていて、多少のがまんなどと言ってはいられないわけです。子供の学習権を考えたならば、これこそ大変な事態なんですから。いま大臣も喜んでやっていらっしゃるわけではないとおっしゃいますけれども、ぜひとも促進をしていただきたい。そして同時に七分の四などという大変けちな削り方はすべきではないということを私改めて申し上げます。  時間がなくなりましたけれども、いまの学校の分離問題、戸塚だけではなくて横浜市、非常にたくさん大規模校があります。そして父母は、戸塚などは分離要求をしてずいぶん運動しているのですね。造成がどうこうとおっしゃいましたけれども、前からその場所も大体決まっているわけで、日本土地株式会社が土地を提供することになっていますね。造成がおくれているというのは、さっさとやらないからおくれているのでして、早くやればいいのです。いま土をあそこに土盛りをすると二、三年は沈むのを待たなければならない実態だそうですけれども、それもまだ手がついていないということなんですから、これはもう本当に大変なことだというふうに思います。  ところで伺いますけれども、いま三十学級以上を分離するように指導していらっしゃるし、急増地の場合三十六学級というふうに実態として大体なっているようですけれども、本来適正規模は十二から十八学級というふうに決まっているわけです。三十学級では適正規模の約倍に当たりますね。片方でいろいろな施行令その他などを見ますと、たとえば学校統合の場合も二十四学級以上にはしないようにということが決まっております。こう考えてまいりますと、やはり二十四学級以下ぐらい、たとえ大きくても大体千人ぐらいになると思いますが、その規模がもう上限ではないかというふうに思います。文部省もそういうふうにお考えになっていらっしゃるのではないだろうかというふうに思うのですけれども、やはり分離の指導をしていく大きさは二十四学級以下ぐらいに考えるべきではないでしょうか。特に上限の限度というのはやはり千人ぐらいと考えるべきではないでしょうか、その辺について伺いたいと思います。
  117. 阿部充夫

    阿部政府委員 ただいまの点につきましては、若干誤解があるように思うわけでございますが、私どもといたしましては、十二学級から十八学級までといういわば標準的な規模に近づけるということは望ましいことでございます。全体として奨励をしておるわけでございまして、したがいまして、市町村からたとえば二十八学級のものを分離したいというような申請が出てまいりました場合にも優先的にこれは取り上げるということでやっておるわけでございます。ただ、地方のいろいろな事情等もございましょうということで、三十学級を超えるようなケースが来た場合にはもう一遍考え直してみてくれという指導を特に重ねてやっているということでございまして、三十学級以上のものを解消しろ、こう言っているわけでは決してないわけでございますので、標準規模に近づけていくようなケースについてはこれは優先的に対応するということで促進を図っているわけでございます。
  118. 栗田翠

    ○栗田委員 ですから、私が申し上げているのも、いま二十四学級を超えるようなものについてはもう一度考えるようにと指導なさるべきではないかと申し上げているわけです。いかがですか。
  119. 阿部充夫

    阿部政府委員 実態といたしまして学校を二つに分けるということを考えました場合には、十二学級から十八学級というところを標準的に考えておりますと、常識的にいきまして三〇学級程度を二つに分けると十五学級のものが二つできるということになってくるのだろうと思いますので、二十四学級というところでぴしっと考えていくということが適切かどうかはもう少し実態を見ながら考えなければいけないことだと思います。
  120. 栗田翠

    ○栗田委員 結局適正規模というものについてのお考えが、文部省は非常に甘い考え方をしていらっしゃるのじゃありませんか。二十四学級を二つに分ければ十二学級で、これが国が決める適正規模の下限なんですから。三十学級にいくまで子供達どうなるのですか。毎年毎年だんだんにふえていくとしてもそこに至るまで適正規模をはるかに超える状態の中で何年も置かれるということになるわけです。半分に分けて二十四学級が十二になって、またふえていくという、急増地なんかの場合そういう事態になるわけですから、その辺に線を引くのがやはり妥当だし、あくまで子供の学習権ということを中心に考えるべきだと思います。財政事情、国や地方自治体の財政だけにしぼって文部省がおやりになっていらっしゃいますと、いまのようにマンモス校が日本じゅうにいっぱいできてしまうということになるのだと私は思います。やはり二十四学級ぐらいとお考えになるべきだと主張しておきます。  次に、時間がございませんので次の問題に移りますけれども、いまの体育館の問題で伺います。  小中学校の屋内体育場で、昭和三十年代に建設されたものでその当時講堂形式をとっているものがかなりあると思いますが、実際の体育教育に支障が出ているという理由によって改築要望がかなり出されていると思います。五十六年度では全国からどのくらい要望が出ておりますか。
  121. 阿部充夫

    阿部政府委員 百二十校出ておるそうでございます。
  122. 栗田翠

    ○栗田委員 五十七年度ではいかがですか。
  123. 阿部充夫

    阿部政府委員 四十六校でございます。
  124. 栗田翠

    ○栗田委員 非常に少ないですね。それで、四十六校には補助金はつきましたか。
  125. 阿部充夫

    阿部政府委員 四十六校全部に補助金を措置いたしております。
  126. 栗田翠

    ○栗田委員 五十七年度に減ったのはどういうわけですか。
  127. 阿部充夫

    阿部政府委員 五十七年度予算につきましては、執行上若干不足をする見込みが出てまいりましたので、各県に急を要せざる部分について若干がまんをしていただいたケースがございます。
  128. 栗田翠

    ○栗田委員 行政改革の中で抑制なさったということですね。  私は鹿児島の例を調べてみました。決して抑制できるような実態ではない、実際には必要なものがまだ多数あるということが全国的にあるということがわかっておりますが、鹿児島の例で申しますと、実態はひどいものです。時間がありませんから余り申し上げられませんが、たとえば荒田小学校昭和三十二年に建てた体育館ですが四百九十八平米、基準では九百四十五なければいけませんから半分の大きさしかありません。その他、大竜小、八幡小、中洲小、清水小、松原小、黒神小などあります。それから、谷山小学校昭和八年に建てたもので千三百十四平米ありますが、木造でいま文化財の価値があるということで保存要望が出ているというもの、これは建て直さなければいけませんが、こういうものをずっと見ていきますと、結局小学校で八校、中学校で一校あります。  なぜこれが問題になるかといいますと、最大の支障は天井が低いことでバレーボールができないということなんですね。大竜、八幡などの天井の高さは四・六メートルしかありません。ちょっと体育局に伺いますけども、バレーボールの国際競技ルールに沿った高さはどのくらいでしょうか。
  129. 阿部充夫

    阿部政府委員 体育局が来ておりませんが、七メーターだそうでございます。
  130. 栗田翠

    ○栗田委員 七メートル必要なのに四・幾つしかない、こういう状態ですから、バレーボールをやりますと天井につかえてしまいます。どういう事態が起きているかというと、結局ちゃんとした体育としてのバレーができないで、中にはバレーボールを使わないでビーチボールを使っているような状態が出ていますし、バドミントンでもひっかってしまってできない、こういうことです。中学校は、五十二年に学習指導要領を改定してバレーボールを保健体育の実技の一つとして位置づけておりますね。そうじゃありませんか。
  131. 阿部充夫

    阿部政府委員 そのとおりでございます。
  132. 栗田翠

    ○栗田委員 学習指導要領に沿った教育というのが非常に大切な、これはどうしてもきちっとやっていかなければいけないのにこの実態ということですから、位置づけながら天井の高さが足りないためにちゃんとできない、こういう状態になっておりますし、最近ママさんバレーなども盛んですから、社会体育を進めていく上でも支障があるということになります。この解消をぜひとも早急にやっていただきたい。そして、五十七年度非常に抑制をなさいましたけれども、五十八年度はそういうことのないように進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  133. 阿部充夫

    阿部政府委員 御指摘がございましたように、構造上危険建物というわけではございませんけれども、体育実技等の面で支障があるというような屋内体育館につきましては、従来から不適格建物ということでその改築についての国庫補助を行ってきたわけでございます。五十七年度は、たまたまいろいろ予算執行上の関係から若干がまんをしていただくケースが出てまいったわけでございますが、五十八年度につきましては、危険改築事業との調整等も十分考えながら、できるだけ御要望に沿えるように努力をいたしたい、かように考えております。
  134. 栗田翠

    ○栗田委員 時間が来ましたから、最後に一問だけ伺います。  危険校舎の点数は四千五百点になっておりますけれども、いま毎年千点上乗せをして継続しております。これは必要だからそうなってきている状態だと思いますし、全体のコンセンサスからいいましても、恒常的に五千五百点にしていくべきではないだろうかというふうに思います。そのことについてのお考えを伺いたいと思います。ぜひそうしていただきたい。
  135. 阿部充夫

    阿部政府委員 千点引き上げ措置の問題につきましては、文部省としても十分問題意識を持っておりますので、今後その対応に努めてまいりたいと存じます。
  136. 栗田翠

    ○栗田委員 それでは、時間が来ましたので終わります。
  137. 葉梨信行

    葉梨委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  138. 葉梨信行

    葉梨委員長 この際、本案に対し栗田翠君外一名より、日本共産党提案に係る修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。栗田翠君。     ─────────────  義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  139. 栗田翠

    ○栗田委員 私は、日本共産党を代表して、義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案に対する修正案につき、その内容と提案理由を御説明いたします。  修正案の内容は、児童生徒急増指定市区町村に対する小中学校校舎建設費国庫負担率三分の二という特例措置を、政令指定都市及び不交付団体についても例外扱いとせず適用できるように改めるというものです。  その理由は、児童生徒急増地域の大半は政令指定都市とその周辺部に集中し、マンモス校分離も含めて校舎建設費負担は大きくなっていること、とりわけ政令指定都市の場合は、昭和五十六年のいわゆる行政改革一括処理法によって特例措置によるかさ上げ補助額の六分の一が削減されていることなどを考えるならば、財政力があるということで一般の自治体と区別する根拠は成り立たないと言わなければならないからです。  むしろ、これまでの長年にわたる小中学校建設費の超過負担の累積や用地難、加えて自治体財政の逼迫情況を勘案するならば、現行の延長でさえ最低限のものと言わざるを得ません。いま求められているのは、特例措置の本旨、すなわち、義務教育を保障するために児童生徒急増自治体の財政負担の軽減を図って学校施設整備を円滑に進めるという立場に立ち返ることであり、また、このことこそが関係自治体や国民の期待にこたえる道であると確信し、本修正案を提案するものであります。  何とぞ委員各位の御賛同を賜り、速やかに可決されますようお願いいたします。(拍手)
  140. 葉梨信行

    葉梨委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。瀬戸山文部大臣。
  141. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 ただいまの御提案になりました修正案につきましては、せっかくの御提案でございますが、政府としては賛成しかねることでございます。     ─────────────
  142. 葉梨信行

    葉梨委員長 これより義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  まず、栗田翠君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  143. 葉梨信行

    葉梨委員長 起立少数。よって、栗田翠君外一名提出の修正案は否決いたしました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  144. 葉梨信行

    葉梨委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     ─────────────
  145. 葉梨信行

    葉梨委員長 この際、船田元君外から五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  本動議を議題といたします。  提出者より趣旨の説明を求めます。佐藤誼君。
  146. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   義務教育学校施設の重要性とその整備の現状にかんがみ、政府は次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 指定都市等の小・中学校校舎新・増築事業の設置者負担分に対する財源措置について、配慮すること。  二 児童生徒急増市町村の小・中学校施設整備事業に対する助成措置について、校地取得費補助に係る交付率の撤廃等その改善に努めること。  三 危険建物改築事業に係る補助基準緩和措置の恒久化等に努めること。  四 学校規模の適正化を図るため、過大規模校の分離の促進に努めること。   右決議する。 以上でございます。  その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。  何とぞご賛同くださいますようお願い申し上げます。  以上です。
  147. 葉梨信行

    葉梨委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  148. 葉梨信行

    葉梨委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議に対し、政府の所見を求めます。瀬戸山文部大臣。
  149. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 ただいまの御決議につきましては、御趣旨に留意し、今後十分検討してまいりたいと考えます。     ─────────────
  150. 葉梨信行

    葉梨委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 葉梨信行

    葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  152. 葉梨信行

    葉梨委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会