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有島委員 ぜひひとつ工夫をしていただきたいし、いま給食の話が出ましたが、たとえば三年生、四年生、非常に数学といいますか、算数が質的にむずかしくなる、分数なんか入ってくる、こういうことがある。それを通り過ぎると、そのときは
試験はできたけれども、六年生になったらすっかり忘れてしまった、中学のときはまた忘れてしまったというようなことがあります。現在の
学校の行き方というのは、ある一定のカリキュラムをとにかく履修させるのだ、勉強させるのだ、させた結果を測定する、どのくらいまで到達したか、こういうことです。それがどのくらい修得され、体の中に体得され、あるいはそれが応用されてきたかというようなことについてはそれほど配慮されない。もう
一つは、やる気満々であるかということですね、そういったことも測定されにくいというような機構になっております。
それで、いま申し上げているのは、年上の
子供たちの持つ
教育力、
教育を及ぼす力、これをもっと活用すべきではないか。それからもう一面言いますと、習ったことを、さらにできない人
たちに教えていく。これはクラスの中でやるということをもっと範囲を乗り越えて、上級生が下級生をというようなことが一般化される必要がある。これは給食のときだ、クラブ活動のときだというようなことから、もう
一つはみ出して大きく
教育そのものの中に導入していくべきじゃないだろうか、こういうことを申し上げているわけでございますので、それはひとつ重ねて言っておきます。
それで、大変恐ろしいことでございますけれども、小
学校入学したてのときにはほとんど九五%、一〇〇%近い
子供が
先生を信頼し、そして親を信頼しておる。それが十五歳のところあたりになりますと、もう四〇%の人
たちしか
先生を信頼しない。あるいは
先生ばかりじゃなくて、
大人そのものに不信感を抱くというような
状況があるということは、NHKの調べでもって明らかになっております。これをどうやって回復するかということの解答にもつながっていくと思うわけです。時間がございませんので先に進みます。
教員養成の問題でございます。
教員養成と同時にもう
一つ採用の問題もあるわけです。
教員養成の中で、せんだってもある教頭さんと
お話をしておりました。そうしたら、
人材確保法という大変結構な
法律であるけれども、あれ以来
一つ困った現象も起こっております。それは、大変できのいい、
学校の成績優秀な方々が入ってこられるという傾向はあるのです。ただ、
学校の成績が優秀であったからといって、それが
教育者として向いておるか不向きであるか、そのことが必ずしも一致しない。現在その教頭さんはいろいろな
学校をたくさん
経験していらっしゃるし、ほかの
学校を現在もあちこち
指導をするような
立場なんです。そういった方の言葉ですけれども、大体一〇%程度は、ああこの人は
先生におなりになるよりほかの商売を選ばれた方がよかったのじゃないかというような人々もまじっておる、そういうことです。これは非常に重大な問題であろうと思います。これは
一つには養成の問題と、
一つには
採用のときの適、不適の判定の問題であろうと思います。
そこで
教員養成
審議会の答申、これは大分古く出たものでございますけれども、
教員にとって
教育に対する使命感あるいは
教員にとって
教育に対する愛情、
子供に対しての愛情、これが大切であるということを言われています。それで、
教員養成課程の中でいろいろ学問は教わるわけであります。けれども、こうした大切な
教員の資質にかかわることは、それはいろいろ配慮されているのでしょうけれども、どう評価されていくのか、どう
訓練されていくのか。
教員養成を行って、
大学の
教授の方々の大部分は、御
承知のとおり
教育現場を
経験しておられない方が大部分であります。ですから、学問的な
教育に関する知識、原則的なこと、これは口で教えることはできる、体得させるということは非常にむずかしい、そういった
状況がございます。
それでこの実習について、これは長年言われていることでございますけれども、実習の期間を長くしなさいというようなことを各
方面から提言されている。しかしこれができない。できないのは、受け入れの
学校が、余りたくさん来られても迷惑である、また、現在の開放性のシステムの中では、必ずしも
教員になるという人でない方々で、まあ資格だけは取っておきましょうということでもって
教員養成課程をとっておられる方が大ぜいいるから、そういう方々に来られても
学校としては困るのだ、そういうことが報告されておるわけであります。
そこで、二つございまして、
教員実習の内実ですね。これは、一人前の
教師になったらこういうことをしなければならないのですよということを、派遣した
学校、そこでもって実習させるということになっておるようでございますけれども、もっと早く各
学校に行って、そして
教員の助手を務めてくるというような
内容に変えることはできないか、これを
一つ伺いたい。
もう
一つは、この
文教委員会でかつて私が問題にいたしたことでございますけれども、特殊学級といいますか、あるいは心身障害者の
教育に携わってくる、これはボランティア活動に非常に近いようなことになるわけでございますけれども、使命感とか愛情とか、そういった観点から見た場合に、
教育というものが、たとえわずかな痕跡であろうとも、
子供の持っている可能性を信じて、そしてそれを、もうたとえわずかでも引っ張り出していく、将来の
子供のことを
考えながら、忍耐強く同じことを繰り返しながらやっていく、そこにいわば
教育の規範があるのではないか、これを
教育実習の中に入れるべきではないか、これは砂田
文部大臣のときに申し上げまして、それ以後、
文部省の方から通達が出て、それで
教育実習にこの特殊学級、心身障害者の世話をさせること、あるいはその学級に参加することをもってこれにかえることができるというふうになりました。なりましたけれども、これが十分進んでおらぬようであります。
この進捗
状況だけれども、聞いておきたい。これは差し支えないというような通達なんですけれども、もっと積極的にこれを進めるべきじゃないのだろうか。そういった提案を申し上げたい。いかがでしょうか。