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1983-07-13 第98回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年七月十三日(水曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 山崎平八郎君    理事 加藤 紘一君 理事 亀井 善之君    理事 北口  博君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君       上草 義輝君    小里 貞利君       太田 誠一君    川田 正則君       岸田 文武君    近藤 元次君       志賀  節君    田名部匡省君       高橋 辰夫君    羽田  孜君       保利 耕輔君    松野 幸泰君      三ツ林弥太郎君    串原 義直君       島田 琢郎君    田中 恒利君       前川  旦君    松沢 俊昭君       安井 吉典君    吉浦 忠治君       神田  厚君    寺前  巖君       藤田 スミ君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  金子 岩三君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      寺村 信行君         農林水産政務次         官       楢橋  進君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産大臣官         房審議官    大坪 敏男君         農林水産省経済         局国際部長   塚田  実君         農林水産省経済         局統計情報部長 関  英二君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         農林水産技術会         議事務局長   岸  國平君         食糧庁次長   山田 岸雄君         気象庁予報部長         期予報課長   渡辺 正雄君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ───────────── 委員の異動 七月十三日  辞任         補欠選任   新盛 辰雄君     島田 琢郎君 同日  辞任         補欠選任   島田 豚郎君     新盛 辰雄君     ───────────── 五月二十六日  一、農産物の自給の促進及び備蓄の確保のための農業生産振興に関する法律案安井吉典君外八名提出衆法第一二号)  二、総合食糧管理法案安井吉典君外八名提出衆法第一三号)  三、農民組合法案安井吉典君外八名提出衆法第一四号)  四、農林水産業振興に関する件  五、農林水産物に関する件  六、農林水産業団体に関する件  七、農林水産金融に関する件  八、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(昭和五十八年産米穀政府買価格等)      ────◇─────
  2. 山崎平八郎

    山崎委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、金子農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。金子農林水産大臣
  3. 金子岩三

    金子国務大臣 昨日は、米価審議会諮問案作成のために関係方面との折衝や調整に忙殺されましたので、心ならずもあらかじめ出席をお約束しておきながら委員会への出席をすることができませんでしたことを大変恐縮に存じております。おわびを申し上げます。
  4. 山崎平八郎

    山崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  5. 安井吉典

    安井委員 まず、昨日米価審議会を招集しておきながら、諮問米価ができないということで諮問をできなかったという異例な状況をつくり、さらにまた、いま大臣からおわび発言もありましたけれども農林水産委員会を招集しておきながら、大臣の都合を理由に一日とうとう空転をしてしまったわけであります。私は、朝から夜の七時まで待たされました。しかも、きょう時間が短くなって十八分の時間しか与えられない。この数々な不手際に対しては、将来このようなことがないように、遺憾の意を表し、指摘しておきたいと思います。  次に、諮問米価については昨日の政府自民党との話し合いで決まったという報道になっているわけでありますが、どうですか。そして、それらの中身はどういうことになっているか。
  6. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  諮問米価につきましては、一応金額といたしまして一万八千二百六十六円でございまして、上昇率にいたしまして一・七五%に相なっております。
  7. 安井吉典

    安井委員 後で諮問内容についてはここに報告があるのだろうと思いますから、いまは詳しい内容についてはお聞きはいたしませんけれども、これはいかなる算式をもってそういう数字が出たのですか。
  8. 山田岸雄

    山田説明員 私の方の算式といたしましては、昭和三十五年以来生産費所得補償方式、これを使っておりまして、これを今回も基礎にいたしまして算定したものでございます。
  9. 安井吉典

    安井委員 上げ幅は、政府は一・五%を主張し、自民党側が二・〇%を主張して、その中折れで一・七五%に決まったのだ、そういう算式で決まったというふうに新聞は伝えているわけです。いまあなたが言うように、生産費所得補償方式で決まったなんということになっていませんよ、これは。後で聞きますけれども、私はそのような政治的な算定で決まるというそのこと自体、非常におかしいと思うわけです。特に毎年毎年算式が変わる、生産費所得補償方式というのは後からつけるわけで、労賃の評価だとかその他気ままに操作をされて、一体どういうふうにして米価が決まるかということについて、農民政府に対してきわめて信頼を持っていないわけであります。  あらかじめ要求しておきましたけれども昭和五十六年の算式必要量生産費方式ですか、それから五十二年の平均方式、それから四十二年の標準偏差方式、これはちょっと特例だったと思いますけれども、この三つの方式についての試算をちょっと話してください。
  10. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  いま御質問の過去の算定方式によった場合、本年の米価はどの程度になるか、こういうことでございますが、四十二年の方式によって計算いたしました場合、基準価格は三万一千円程度になります。それから、五十二年方式算定いたしますと基準価格は二万二千円程度でございます。それから、五十六年方式算定いたしますと二万円程度になります。
  11. 安井吉典

    安井委員 ですから、これはもう算式を勝手に変えることによって政治的な試算算式を当てはめていく、こういうやり方自体に私どもはきわめて不信を持たざるを得ないわけで、これはもういまの数字農民の要求にはほど遠い数字である。そして同時に、やはりきちっとした算式によって計算する、それがたてまえだと私どもは思います。そういうやり方でないことをきわめて遺憾に思うわけであります。  時間がありませんので、後でまた皆さんの御質問があると思いますが、この計算の財源算出のために、いわゆる自主流通米流通促進補助金をカットするという方針も同時に決まっているようでありますけれども食管特別会計節減合理化ということも、他の財源生み出しということになっているのですが、これは簡単にそういうことができるのですか。その点どうですか。
  12. 山田岸雄

    山田説明員 自主流通米に関する助成につきましては、従来からそのときどきの自主流通米流通実態、それから財政負担、そういった各面にわたりまして検討をし、その適正な自主流通への助成、それから円滑な自主流通米流通が実現できるように、こういう観点から助成もしておったわけでございますが、今回流通促進奨励金につきましては二百円を削減する、こういうふうに決定を見ているわけでございますが、こうした奨励金の削減によりましても、最近におきます流通実態等を見ますと悪影響はない、こういうふうに考えまして、今回措置するよう決定したわけでございます。
  13. 安井吉典

    安井委員 もう一つ奨励金の問題になりますと、特別自主流通米奨励金の方は、これは性格が違うと思いますから存続するものだと思います。  それから、基本価格決定の際に類別格差の拡大というようなことはかつて行ったことがありますので、今度は行うべきではないと思いますが、どうですか。
  14. 山田岸雄

    山田説明員 いま御質問特別自主流通奨励金につきましては、現在検討している段階でございます。  それから類別格差、これについては変更しない、こういう考えで現在おります。
  15. 安井吉典

    安井委員 特別自主流通米の方は、これは金額もまるっきり違うのは、いわゆる良質米奨励金のBIでしたか、あのランクのものを含めたものとして考えられていると思いますので、一般流通促進補助金とは性格が全く違うものだと思いますから、その点を含んだ結論でなければいけないと思いますが、どうですか。
  16. 山田岸雄

    山田説明員 特別自主流通奨励金助成につきましては、現在、いま先生が御指摘いただきましたような性格もございます。したがいまして、その取り扱いをいかがするかにつきましては、なお結論を見てないような情勢でございまして、今後早急に検討して結論を出したい、このように考えております。
  17. 安井吉典

    安井委員 先ほど私がお尋ねをしたうち、食管合理化という中身が、私は消費者米価の安易な引き上げに通じはしないかということを心配します。米の逆ざやがいまのような、ゆうべの決定からいえば五・四%のものが七・二%に上がるので、年末ごろには消費者米価値上げが必至だというような財政当局発言もあるようであります。今度のこれが直ちにそういうようなかっこう消費者に転嫁される、さっきの自主流通米促進費にしても、その二百円がこれも消費者米価にかかっていくというようなことになるおそれもあるわけですからね。消費者にこれがすべてかかっていくというようなことのないような措置を十分やるべきだと思いますが、大臣、どうですか。
  18. 金子岩三

    金子国務大臣 お尋ねの件は、私は、消費者価格引き上げ消費者に迷惑、負担をかけるようなことはいたしたくない考えです。ことしの消費者価格を、昨年就任して間もなくでしたけれども財政当局から消費者米価引き上げの大変強い要請がありましたけれども据え置いて、大蔵の方には理解を求めたのでございます。ことしの生産者米価から連動させて消費者に迷惑をかけるということは、私は全く考えておりません。
  19. 安井吉典

    安井委員 大臣言明は、この間の選挙中の言明も、何かかっこうがついたようなつかないような、妙なかっこうで一応の決着になっているわけですね、一発回答というのが。ですから、いまの消費者米価についてのお答えもやはりきちっと守っていただきたいと思います。  そこで、生産費の切り下げの問題も、これはきわめて大事な問題だと思います。いろいろ各方面から指摘されるのも当然だと思います。そういう中で、私ども財界主導臨調、こう形容詞つきでいつも呼ぶわけでありますけれども、今度の新しい審議会の方から、大槻代理言明等で、生産者米価値上げはけしからぬ、もっとコスト引き下げに努力すべきだというような話も出ているのは御承知のとおりであります。しかし、調べてみますと、五十三年以来五年間、米価は四%上がっているだけです。据え置き同然だと言われているわけですけれども、この間に農業用資材は実に二六%上がっているわけですね。財界の方で、これはまさにみずからの問題だと思うのですけれども、農機具や農薬肥料、そういったようなものの方は二六%もどんどん上がっていて、そのような方向で米価を上げちゃいけない、上がったのは当然なんで、あとは農民が自分の生活を切り下げたり合理化でやれというような主張そのものが、どうも私はおかしいような気もするわけですね。  その事実を財界に示して、本当に生産費引き下げに努力するのなら、財界もいまのような資材引き下げに努力すべきだということを、農林大臣、はっきり臨調の方に言っていただきたいと思うのですが、どうですか。
  20. 山田岸雄

    山田説明員 生産コスト上昇を抑制し、コストの低減をできるだけ図っていく、こういった場合におきまして、生産性の向上を図ることはもちろんのこと、いま先生指摘のような生産資材価格上昇ということを抑制することも重要な課題だと私たち受けとめておるわけでございまして、こうした面につきましては、肥料なり農薬、こういったものについてできるだけ価格の抑制をするようにということで、農蚕園芸局の方と、また全農等一手にそうしたものの仕入れの契約をしておるところとの契約指導に当たっておるような次第でございます。
  21. 安井吉典

    安井委員 米価の方は政府が決めることができますけれども生産資材の方は政府が決める権限はないわけですよ。ですから、いま言ったような契約のときの指導だとか、そんなようななまぬるいことで終わっているわけです。ですから、私は、財界の方が米価が上がるのはけしからぬと言うような資格がないのだということをやはり明確にすべきだと思うのですね。これは食糧庁の問題じゃなしに、大臣のお考えでそれらの点を明確にすべきである、そういう御努力をひとつお願いしておきます。後でまとめてお答えください。  もう一つ同じような言い方をされているのは、構造政策をもっと進めるべきだということなんですけれども、これも当然なことですよ。しかし、米価を決めるときに限って構造政策の話が出てくる。これは、構造政策ということを打ち出すことによって米価を抑えようとする、そういう政策的な打ち出しだとしか私は思えないわけであります。何でもないふだんのときからきちんと構造政策を出して財政の裏づけをきちっとしておけば、それによって米価が下がってもいいような状況をつくれば、これはもう米価の問題について農民は何も言いませんよ。いまの米価算定の際においてそんなことを言うのは私はおかしいということを、これもひとつ指摘しておきたいと思います。  それからもう一つは、何しろ十八分ですから一つだけで終わりたいと思いますが、いままでの低米価一つの原因になり、そのほか減反や何かによって生産の縮小、そういうようなことで農家負債がどんどんふえてきています。これは北海道の例なんですけれども北海道は御承知のように専業農家が多いから、道の稲作農家負債額は、五十四年は一戸当たり七百五十三万円、五十五年度は八百四十八万円、五十六年度は九百七十六万円、五十七年千二十四万円、ぐんぐんふえているわけですよ。結局、価格政策のおくれがそういうような負債というかっこうであらわれてきているという実態もあるわけであります。  私のいままでの指摘に対して、農林大臣からのお答えをひとついただきたいと思います。
  22. 金子岩三

    金子国務大臣 ただいま御指摘になりましたことは、全く私は理解の上に立って取り組んでまいっておるのでございますけれども、なかなか御期待に沿うことができずに申しわけないと思います。十分御指摘の点は理解いたしまして今後の問題には取り組んでまいりたいと思います。
  23. 安井吉典

    安井委員 負債の問題について、具体的な対策はありますか。
  24. 角道謙一

    角道説明員 お答えを申し上げます。  確かに農家負債は相当多額に上ることも事実でございますが、反面、農家全体として見ました場合には、貯蓄相当額ございまして、勤労者世帯等と比べた場合、貯蓄対借り入れの比率ではむしろ貯蓄の方が相当多いのではないかというふうに私ども考えております。  ただ、農家自体経営主体といたしまして相当多額の投資を必要といたします関係で、私ども農林漁業金融公庫あるいは近代化資金等各種制度資金によりまして、できるだけ長期低利のものを今後とも供給してまいりたいというふうに考えております。
  25. 安井吉典

    安井委員 いまのお答えじゃ私も不十分なんですけれども、時間になりましたからこれで終わりますが、もう少し階層別実態を調べていただきたい。本来の中核農家負債その他で非常に困っている実態が出てくるわけです。そういう調査をまず進めていただくことをお願いして、終わります。
  26. 山崎平八郎

  27. 小川国彦

    小川(国)委員 最初に農林水産大臣にお伺いしますけれども、いま安井委員質問に対して、今度の一・七五%上げたツケ消費者に回さない、こういうふうにおっしゃいましたけれども、来年三月まで考えてみて、あるいは来年の四月初めも考えてみて、消費者米価値上げしないということをはっきり約束できますか。——委員長大臣質問しているのですよ。大臣質問しているのに、大臣答えるべきでしょう。
  28. 金子岩三

    金子国務大臣 先ほど安井先生お答えしたとおりでございます。
  29. 小川国彦

    小川(国)委員 さっきの安井委員に対する答弁、私の耳が悪いせいか、大臣答弁が低いせいか、よくわからないのですが、もう一度ひとつ、安井委員に対する答弁ということじゃなくて、消費者米価に転嫁しない、ツケは回さない、そこのところ、それで、時期はいつまで回さないか、この点もはっきり答えてください。
  30. 金子岩三

    金子国務大臣 私は、今年の消費者米価のときも、大蔵省から大変強い値上げ要請がありましたけれども、据え置きました。それはやはり物価政策もありますし、生産者米価を上げるとそれが消費者に転嫁するということは私は必ずしも賛成でありませんので、そういう考え方に立って、これを消費者米価に連動させるようなことは考えておりません、こう申し上げておるわけであります。
  31. 小川国彦

    小川(国)委員 一般には、本年末にはどうしても来年度予算編成の中でこれは上げざるを得ない、逆ざや解消の問題もあり、上げざるを得ないということを言っているのですが、大臣任期は大体一年が相場ですから、この暮れに大臣がかわってしまうと、二年やっていただけば大変結構なことなんですが、大臣責任も追及できるのですが、少なくも金子という農水大臣国会議員としてはまた残っていくわけだし、重要な人物ですから、値上げをさせないという時期はいつまでさせないか、この点もひとつはっきり。
  32. 金子岩三

    金子国務大臣 いつまでさせないとか、そういうお約束をできるはずもございませんけれども、私のこの米の扱い、米価決定についての考え方を申し上げておるわけでございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  33. 小川国彦

    小川(国)委員 時期の問題、これは非常に重要なんです。消費者米価に連動させるべきではない、これは大臣、いまそう思っていらっしゃるのですが、やはり君子豹変するということがありまして、あるいは大臣任期中はやらないけれども大臣が十一月にかわった、途端に十二月に値上げということもあり得るわけですね。大臣、やはり見通しを持って言ってもらわなければならないので、少なくも本年度いっぱいは、五十八年度いっぱいは値上げさせない、連動させない、こういうことをはっきりおっしゃられますか。
  34. 金子岩三

    金子国務大臣 その日にちを言うわけにはいきませんが、私が農林大臣を務めておる間は上げません。
  35. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣としては見通しが大変さびしい話でありまして、任期中の発言しかできないということじゃなくて、農林大臣というのは五年、十年先を見通しても物を言える、変動する世の中ではあっても少なくも一年先くらいまでは見通して物を言える、こういうことでなければならないと思うのです。  それでは、大蔵省おいでになると思いますので、大蔵省にお伺いしますけれども、来年度予算編成の時期までにおいて連動させないで済むかどうか、この点いかがですか。
  36. 寺村信行

    寺村説明員 お答え申し上げます。  現在、財政は、公債残高で百兆円を超えるような厳しい状況にございます。それから一方、臨調答申におきましても、売買逆ざや早期解消指摘されているところでございます。現在、こういった情勢考えまして来年度予算編成にこれから対処してまいらなければならないと考えておりますけれども消費者米価の具体的な取り扱いにつきましてはまだ決定をいたしてない段階でございます。
  37. 小川国彦

    小川(国)委員 大蔵省見通しというものを持たなければならないと思うのですね。それで、今度一・七五%の値上げをしまして二百四十五億円、このうち百一億円は流通促進奨励金を全廃するというのですね。  これも大臣に伺いたいのですが、これは五十七年度四百円やった。今度二百円削った。去年の場合は結局消費者ツケが回っているのですよ。流通業界責任を持ったのではなくて、結局消費者ツケを回しておる。今度この百一億円を切って、これはやはり消費者ツケが回るでしょう。流通業界が持ちますか、消費者が持ちますか、その辺。これは大臣が、一生懸命やってきたのだから答弁してくださいよ。きょうは大臣質問ということでやらしてもらっているんだから、十八分なんだから、大臣答弁してください。
  38. 金子岩三

    金子国務大臣 私は数字のことは余り記憶してないのですよ。その都度お聞きして判断しておるのであって、そこで、その数字のことですから、次長答えさせます。
  39. 山田岸雄

    山田説明員 いま御質問流通促進奨励金二百円を撤廃した場合、それを消費者に転嫁するかどうか、この点につきましては、自主流通米につきまして、その建て値といいますか、販売価格がどのように形成されるかということにつきましては、そのときどきの需給情勢によって決まるものだ、このように考えられますし、売り方の方の力が強い場合にありましては、全部二百円が消費者価格に転嫁されるといいますか、建て値の方にはっきり出てくるのではなかろうか、また逆に買い手の方が強い場合には、むしろその価格生産者サイドにしわ寄せがされる、理論的にはそうなるわけでございます。  昨年の場合でございますれば、実勢が自主流通の数量は非常に多く出る、またそれが良質米志向に伴いまして買い受けられる、こういうことでございましたので、そうした奨励金カット部分先生いま御指摘のような建て値になっておるわけでございます。
  40. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣、あなたは数字に弱いといっても、百一億円ぐらいの数字はどうなるかというのを、どこにそのツケが回るかぐらいは、農林水産大臣として知っておいてもらいたいのですよ。このツケはどこに行くのか。いまの次長答弁を聞くと、どこへ行くかわからないのですよ。生産者団体がしょうのか、あるいは消費者ツケが回るのか、そのときの時勢の次第だ、こういうわけですよ。去年みたいに消費者に最終的にはツケが回っているのですが、ことしも回るおそれを持っているのですよ。そうすると、百一億円といったら、まず消費者ツケが回るおそれがある、これははっきりしていると思うのですよ、ないとは言えないのですから。  それから二番目に、食管会計節減合理化で百四十億円も、食糧庁にこんな余った金があったというので私どももびっくりしているのですよ。どこからこの百四十億円を節減合理化で出せるのですか。時間がないからひとつ簡単に答弁してください。
  41. 山田岸雄

    山田説明員 いまの御質問の点につきましては、本年の米麦の買い入れ量とか外麦価格推移、こういった食管財政をめぐる諸般の事情を見きわめながらできるだけ食管の方で捻出したい、このように考えておる次第でございます。
  42. 小川国彦

    小川(国)委員 買い入れ量とか外麦推移とかおっしゃるけれども、そんな百四十億の金がそんなに手品のように出てくるとは私は思えないのですよ。結局これは何をやるかと言えば、消費者米価を一%上げると百三十億円出てくるのですよ。もう残りの百四十億円は節減合理化しなくても、消費者米価を一%上げれば百三十億円、それからいまの百一億円と両方そっくりツケ消費者に回す、こういう形の勘定になってくるんじゃないかというふうに私は思うのです。  大臣は連動させないと言うんだけれども、それは大臣任期中、大臣がやっている間、金子さんにもう一年もやってもらえば大変喜ばしいことなんですが、この見通しは非常に厳しいものがあると思いますので、やはり大蔵省、来年度予算を組むに当たって、価格差は増大しているわけですよ。この価格差はいままでより増大してしまっているのです。それをこのままほっておけるはずがないでしょう。  きょうの新聞だって一斉に消費者米価値上げ必要と大蔵省が言った、こう書いているんですよ。新聞がうそを書いているわけはないと思うのです。大蔵省としてもう一遍、きょうは優秀な主計の方にいらっしゃっていただいているので、この見通しをひとつはっきりおっしゃっていただきたい。
  43. 寺村信行

    寺村説明員 先ほどお答え申し上げましたとおり、財政事情が現在非常に厳しい状況になっております。それから一方、臨調答申におきまして売買逆ざや早期解消ということが指摘されているところでございまして、こういった事情を種々勘案いたしまして来年度予算の編成に当たってまいりたいと思いますが、現在、具体的に消費者米価取り扱いにつきまして大蔵省として方針を決めているということはございません。
  44. 小川国彦

    小川(国)委員 売買逆ざやを見ますと、いま五・四%の差があって九百十八円、今度のでいきますと七・二%で売買逆ざやは一千二百三十三円になるわけなんですよ。だから、私ども米価の財源を考えるならば、こういった形で消費者価格に連動するような形ではなくて、自民党さんもねじり鉢巻きでがんばってくれたんだけれども、そのツケ消費者に回すような財源の捻出方法とか値上げやり方はやはりまずいと思うのですよ。だから、そういう点で、流通促進奨励金、これは百一億円を、少なくともここへ来たら農水省の責任消費者に回さないような行政指導しかないと思うのですが、行政指導をとっていく、こういうお考えはとれますか。
  45. 山田岸雄

    山田説明員 従来から精米の価格につきましては原則的にはフリーになっておるわけでございますが、高騰その他異常な価格が形成されるということは消費者にとって御迷惑な話でございますので、そうしたものにつきましては価格についても指導していこう、こういうように考えております。
  46. 小川国彦

    小川(国)委員 それからもう一つ大蔵省は非常に巧妙な答弁見通しをはっきりさせないのですが、これは農水省として、やはり米価の問題は、二重価格差を持っていくというのは食管法のたてまえでは当然なんですよ。日本の食糧安保を守っていくという立場から言えば、二重米価というのは当然のことで、価格差が出てくるのはやむを得ないのだけれども、それは農水の予算できちっととっていく、国にそれを認めさせていく。もう現在、日本の国の食糧というものは、外国から小麦が五百万トン入っている。二千万トンのえさが入ってきて、これを肉に換算すれば三百万トンの肉が入っている。もう残っているのは米しかない。その米もいま牛肉、オレンジの自由化のあらしの中で最後に攻め込まれる。日本の食糧は三分の一しか日本自身がつくっていない。その米ですらこういう形でどんどん財界の圧力あるいは軍事費の圧力で追い込められてきて、そういう状況の中で米価のアップを消費者にしわ寄せしていくやり方は一番愚策ですよ。  そうじゃなくて、食管の中での赤字は当然なんで、多少のところはやむを得ないんだ。資材農民の賃金が上がってきているのも当然なんだし、三〇%上がっているのに五%でがまんした要求を農業団体が出してきている。それに一・七五%しかこたえられない状況の中で、そのツケをまた消費者に回すというのでは日本の農政は救いようがないのですよ。そこのところを考えたら、日本の農政を持っている農林大臣として、農水省として、連動させない見通しというものをきちっと貫く、そこのところをもう一つ大臣、明確にしていってくれませんか。
  47. 金子岩三

    金子国務大臣 先ほどからたびたび申し上げておりますとおり、私の考え方は連動はさせるべきではない、こういう考え方です。
  48. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣が現状しか出ないと言うので、これは何遍聞いても同じことなんですが、金子さんも農水大臣になりましてから任期はまだかなりあると思いますので、その間に十分詰めて、消費者価格に連動させないためには今後の農政のかじをどう取るか、ここのところをひとつ踏ん張ってやってもらいたいと思うのです。  それからもう一つ、今度はたとえば銘柄の奨励金は幸い削られないで済んだ。けれども流通の中で行革でねらわれている問題点があると私は思うのです。というのは、仮に一万八千円の米価が、コシ・ササにはそれに千八百五十円の銘柄奨励金がつく。それで二万円になる。手数料が農協で八百円かかる。結局、二万八百円くらいで出ている米が消費者の手に渡るときには、流通業界を経ると幾らになっているかというと十キロ五千円、一俵にすると三万円になってしまっているのですよ。およそ二万八百円くらいで政府の手から離れていくものが消費者のところに渡るときは三万円になっているという状況は、農水省が自主流通米指導の中で、そこの流通業界の卸、小売の段階をきちっとチェックしていくような力を持たなければだめだと思うのです。それはそれでほっておいて、こういったツケを全部消費者の方に上げていくということではいけないと思うのです。そこを正していくという考え方は、大臣いかがですか。
  49. 金子岩三

    金子国務大臣 御指摘流通関係もひとつこれからよく検討をいたしまして、合理化を図りたいと思います。
  50. 小川国彦

    小川(国)委員 事務当局からも、その点についての御見解をひとつ伺いたい。
  51. 山田岸雄

    山田説明員 従来から流通業界におきますところの適正な価格の形成ということにつきましては指導しておるわけでございまして、今後とも適正な価格が形成されるということにつきましては、重要な問題でございますので、私たちといたしましては卸売業者、小売業者の指導を徹底してまいりたい、このように考えております。
  52. 小川国彦

    小川(国)委員 最後に一点。  今度の米価の問題については、国会も置き去り、米審も置き去りですよ。自民党政府で決めたような問題で、国会を通じて国民の声を聞くということもなされないし、これから十時半に大臣が米審へ行って言ったにしても、過去十回の米審の記録をとっても、七回は米審に諮問したものと違う数字自民党が出してきている。今度は後で出さないで先に出しただけの話なんですね。これでは米審不要ですよ。米審の存在は必要だと思いますか。これから米審に諮問して何をおやりになろうというのですか。私は米審の存在は全く不要になってしまったと思いますが、最後にその点をひとつ。
  53. 金子岩三

    金子国務大臣 きょう諮問いたしますと、米審は諮問案に対していろいろの立場、生産者、中間消費者それぞれの立場で大いに議論をして、そして結論を出していただいて答申をいただくわけですから、私は非常に大事な使命を帯びておると思います。
  54. 小川国彦

    小川(国)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。
  55. 山崎平八郎

    山崎委員長 吉浦忠治君。
  56. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 持ち時間がほんの少しでございますから、大臣だけに限って答弁願いたいと思いますが、大臣が参議院選の最中からいろいろ米価の問題について発言をなさいました。そのことが、昨日米審を招集なさって開かれない、また、当委員会大臣出席ということで待っておりましたけれども開かれないということで、その政治折衝なり、党側と政府側との話し合いの中に大臣の果たされた役割りは大きいと思いますけれども、混乱した責任というものは、大臣、お感じになっていらっしゃると思うわけでございます。一・七五というその値上げ幅、こういう折衝の中において大変苦慮なさっただろうと思うのですけれども、米審の後に大体恒例的には政治折衝で決まるということになっていたわけです。大臣は参議院選最中に、一発回答でもってことしの米価は決まるというふうなことを公言をされていたわけでございます。こういう問題が、私は昨日の自民党内における政府との折衝であっただろうと思うわけでございます。  簡潔で結構でございますので、今日まで延びている原因はどこにあったか、大臣、明確にしていただきたい。
  57. 金子岩三

    金子国務大臣 御指摘のとおり、私は選挙中から米価についての考え方を率直に申し上げてまいりました。それは選挙のために申し上げたわけじゃないんですね。これは、選挙でお伺いしますと、農業団体が各県皆お集まりになって、米価についての陳情をいただくわけでございます。その折、私はことしの米の取り扱いについて、私の率直な考え方を申し上げておったわけでございます。別に演説会なんかで、私は米のことなんか触れてないんですよ。農業団体の代表の方々に各県でお話をしておる。したがって、そのお話し申し上げた私の考え方、これは終始一貫、昨日まで私は主張を続けてまいったわけでございます。  ただ、上げ幅について、いろいろ皆さんから御指摘、御批判、御不満がおありと、私も十分それは理解いたしております。ただ、私は農林大臣だからといって、私の一存で、私の計算だけで米価を決めるとももともと考えてないわけでございますから、いろいろな立場から集約されて米価が決まるということを考えておりましたので、私の立場ではどうあるべきかという考え方に立って米価について取り組んでまいったわけでございます。そういうわけで、昨日も委員会をお開きになるまで私が出席できなかったのはそのためでございますので、よく御理解いただきたい。それから、私が担当大臣として米価をどのようにして農家の期待に沿うように努力をしてまいるか、これからもいろいろ問題がございます。私は私の信念に基づいてそういうことに取り組んでまいりたい、このように考えております。
  58. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 一・七五アップという線は、先ほど生所方式でもって割り出したのだということでございますけれども、その生所方式で割り出せば、現時点では三〇%の値上げをしなければならぬということになるわけでございますが、最初から政府は一・四五ぐらいを押さえていたわけでございますけれども、これが一・七五になった、その付近の経過はどういうふうな経過でございますか、お答え願いたい。
  59. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  私たち、生産者米価算定する基礎といたしましては、生産費所得補償方式、これを採用することとしておりまして、その際、それぞれの諸要素をどういうふうに取り入れるか、織り込むか、こういうことにつきましては、そのときどきの需給事情なり流通事情なり、こういったものを勘案してやる、こういうふうに従来からやってきておりますので、今回も昨年の算定方式を前提としながら、それに要素の諸元につきまして多少とり方を変える、修正をする、こういうこともやってまいっておるわけでございまして、この件につきましては後ほどまた詳しく御説明をさせていただきたい、このように思います。
  60. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 なかなかわからないんですね。新聞等によると、二%と一・五%の真ん中をとったのじゃないかというようなことがちゃんと明確に書いてある。その算定基準はわかりませんので、私はそれは控えますが、大臣、この一発回答という点について、農民の方々は大変な不信を抱いておる。ということは、政治家はもう信用ならない。幾ら要求しても、政治家は農民の要求に応じてくれるものじゃないのだ。どなたかおっしゃっておられましたけれども、こよなく農民を愛すということを言われたようでございますが、選挙の年でございますから、どうやらそれには別な意味があったのじゃないかなというふうに感じざるを得ません。この農民団体が出しております五・六三%という点について、大臣はどのようにお考えでございますか、お答え願いたい。
  61. 金子岩三

    金子国務大臣 先ほどからいろいろ吉浦先生おっしゃっておりますが、政府は一・五で党が二ですか、足して二で割るようなことをよく新聞が書いておりますね。自民党方式とかなんとか書いておりますけれども、あれは新聞が書いておることであって、別に私どもは表に農林省の考え方として数字を出したものはないのですよ。私どもの手元でどういう試算をしておるかというと、試算はしておりますけれども、これは表には出てないわけです。巷間伝えられていることは、あれは全部マスコミの推測記事でございますので、あれをもとにしていろいろお話しになっても、まともな答えはちょっとしにくいのです。ひとつ御理解いただきたいと思います。
  62. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間がありませんので、二点だけ。  大臣、あなたの発言の中で、三期対策について、三年というのは短過ぎる、したがって中長期的な観点に立って三期対策は考えなければいけないというようなことを前広の米審で発言なさった。その真意はどこにあるのですか。
  63. 金子岩三

    金子国務大臣 私が申し上げておるのは、かねて通常国会でも申し上げておったと思うのですが、猫の目農政と言われて大変農家から心配されておりますので、猫の目でないような、いわゆる長期展望に立って三期水田対策は取り組んでいきたい、こういうことを申し上げております。したがって、それに基づいて目下鋭意いろいろな資料を、各区地方農政局長会をたびたびやりまして集めております。できることなら十年ぐらいは、減反面積をふやすとか減らすとかいうことを言わなくて、いわゆる転作作物も定着して農家が安心して取り組めるような体制をつくりたい、こういう考え方で目下作業を続けておる、こういうことをこの前の委員会でも申し上げておるわけです。それは前広のときも申し上げておるわけです。
  64. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 それはわかりましたが、千葉県等においては昨年作況指数が七八%。私が申し上げたいのはこの夏の冷夏でございます。この見通しを聞いている時間がございませんけれども、こういう農家の不安な状態、これは天候だからやむを得ないと言えばそれきりでございます。私、きょうは本当は気象庁にも出席してもらって、時間があればお尋ねしたかったわけでございますけれども、その農家の不安というものに対して、この一・七五という決め方が、今後東北、北海道、私の千葉県も含めまして、大変な状態になりはしないかというふうに考えておるわけでございます、冷夏について、異常気象について。  こういう対策について、これから諮問なさるのでございましょうけれども農家に不安を与えないような対策をお考えでございますか。一言で結構でございます、大臣
  65. 金子岩三

    金子国務大臣 いわゆる冷害で凶作が四年続くかもしれない。私も大変心配をいたしております。その農家に対する被害を米価によって見るというようなことは不可能なんですね。したがって、それにはそれなり救済事業もありますし、災害が起これば災害のいろんな制度がありますので、農家が困らないように、困っても最小限度にそれを食いとめるようにあらゆる法律制度の活用を図ってひとつ処置をいたしたい、このように考えております。
  66. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 終わります。
  67. 山崎平八郎

  68. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、与えられた時間がわずか九分でございますので、要点だけを申し上げまして大臣に御質問いたしたいと思います。  まず、本年度の米価決定に当たりまして、従来の生産者米価決定は、米審に諮問するときには据え置きとして諮問し、答申がやむを得ないという答申をして、そうしてその後において自民党政府との間に猿芝居で自民党のおかげでこれだけ上がったんだというような、こういうことが毎度繰り返されてきておりました。私たちは、かような米価決定ということが、かえって米価決定というものに対して一般が疑惑を持つんだということで、非常に不満でございました。しかるに、今回は諮問前に米価政府が決めて、そうして値上げをして諮問をされたということは、従来の猿芝居から逃れた一つやり方として、私はその大臣の努力に対しては努力を多としていいと思っております。ただ、上げ幅の問題、あるいは先刻からもお話がありましたような自主流通米奨励金を回す、これはいかにもタコ配当みたいなものでございまして、こういう内容に対しましては私たちは納得のいかない点があるのでありますけれども、今回そういうような処置をとられたということに対しては、私は大臣の苦労に対して非常に多といたします。  ただ、私がここで申し上げたいと思うことは、今回諮問をされました米価というものは十分なものではございません。しかし、これでさえも臨調その他からいかにも不当な要求をされたようなことが言われておるということは、いままで農林省が扱ってきました米価決定に対する態度、やり方に対して一般の誤解を招かないような対処の仕方をやらなかったことに大きな原因があるんじゃないか、かように私は考えております。  ここで私が特に申し上げたいと思うことは、われわれが米価決定するということは単に米価の問題じゃなくして、日本の農業をどうするか、つぶしていいのであるか、日本の農業をどうして位置づけるか、ここに重点があると思うのであります。日本の農業を滅ぼしていいという人がいるならば、これは何をか言わんやである。しかし、われわれは日本農業を守らなければいけない。日本農業を守るためには、農民が希望の持てるような農業を築かなくちゃいけない。こういう意味から農民の納得し得るような米価決定する、これが非常に必要である。日本の農業の位置づけをどうするかということが前提問題である、そういう点から米価の問題も決定しなくちゃいけないんだ、かように考えますが、それに対して大臣はどういう考えを持っていらっしゃるか、基本的な日本農業の問題点を承りたいと思います。
  69. 金子岩三

    金子国務大臣 稲富先生の御指摘の点、私どもの大先輩で、かねがね農政に非常に熱心に取り組んでいらっしゃる先生ですから、かねての御持論なり御主張を全く私どもは同じような考え方で承っております。  ただ、結論的にこのたびの米価について上げ幅が非常に小さい、あるいは日本の将来の農業を守るために果たしてこれでいいのかといういわゆる御指摘であると私は受けとめておるのでございます。その点も全く同感でございます。農村に活力を持たせる、意欲を持たせる、こういうことから考えれば、各方面からいろんな立場で御指摘があって批判があることは、これはまた当然のことと思いますけれども、私どもは日本農業を守るという考え方に立って終始一貫取り組んでまいることが私どもの使命である、このように考えて、今後とも努力を続けてまいりますので、ひとつ皆さん方の御声援をこの際お願いしておきます。
  70. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでありますならば、米価決定に対する政府としての態度というものももっと考えなくちゃいけない点があるのじゃないか。たとえば、生産者米価というものは食管法第三条の第二項によりまして「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」決めなくちゃいけないことになっている。しからば、本年度の米の生産費が幾らかかっているか。資材その他の高騰上、幾ら米価は上がっているのだ。生産費がかかっている。本来から言うならばこれほどにしなければできないけれども、「物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」ということに重点を置いて、その生産費を割るような価格決定する、こういうような表現の仕方をするから、一般には農民が非常に不当な要求をしておるような誤解を受ける。  今日、ことし農民団体が要求している価格というものは生産費を割った価格なんですよ。しかるにもかかわらず、これにさえも応じられないような米価諮問をされたということは、一般から言いますといかにも農民が不当な要求をしているように思われる。これを表現する場合には、本年度は資材その他の高騰によって生産費は本来これほどかかるのだ、しかし経済事情その他を参酌して農民にがまんをしてもらってこれだけで諮問するのだ、こういうことをはっきりしなければ、いま申しましたような非常な誤解を受けると私は思うのです。  こういう取り扱い方に対しても、従来のやり方をこの際大いに検討して、農民はこれほどの犠牲を払っているのだ、農民はこれほどの価格を要求しているのだ、これは非常な犠牲だということを一般に認識されるような、こういうような表現の仕方をしない限りにおいては、臨調あたりでこれでも高いじゃないかと言われるゆえんはそこにあると思う。これは今後の問題として非常に考えなくちゃいけない問題である、私はこう思いますが、これに対してどういう考え方を持っていらっしゃるか、大臣に承りたいと思います。
  71. 金子岩三

    金子国務大臣 御指摘の点は、私も全く同感でございます。今後は十分気をつけて取り組んでまいりたいと思います。
  72. 稲富稜人

    ○稲富委員 こういう問題に対しては、私は農林省の扱い方そのものが非常に下手であったと思うのですよ。従来のような、私が冒頭申し上げましたように、いかにも据え置いたという諮問をする。そうすると、それに対して妥当だという答申を米審がする。そして自民党と両方何か猿芝居をして、自民党のおかげでこんなになったんだという、いかにも米価決定することを政党の党勢拡張の具に供するような、こういうことが一般の非常に誤解を招いているゆえんだと私は思う。こういうことは大いに慎まなければならないと思う。  これは政府みずからが今後姿勢を正して、決してわれわれはそういうことで一党の党勢拡張の具になるような、利用されることはならないのだ、こういう立場から本当の立場をとって、農民がこれほどの米価を要求するのはあたりまえなんだ。生産費はこれほどかかっているのだ。たとえばことしの場合は生産費所得補償方式だとおっしゃる。それならば二九%上げなければいけないけれども、それほどに上げれば経済事情が許されないからこれだけでがまんしてもらうのだ、この点をはっきりして意思表示をすることが今後非常に必要だ、私はかように考えますので、もう時間がありませんからこれでひとつ締めくくりをしますが、これに対する政府の今後の対策としてどう考えられるか、十分ここで承りたいと思うわけでございます。
  73. 金子岩三

    金子国務大臣 大変貴重な御指摘をいただきまして、外から見ると立場によっていろいろ今度の米価決定にも批判がおありと思いますけれども、私はいままでよりもずいぶんよくなってきたのではないか、このように考えておりますので、これからひとつ徐々にすっきりした形の米価決定ができますように私どもは努力をいたしたい、このように考えております。
  74. 稲富稜人

    ○稲富委員 時間がありませんからやめますが、今後そういうことで、たとえ大臣がやめられましても次の大臣にそういうような意思で将来は米価決定をするのだということを十分引き継いでやめていただきたい、こういうことを希望として申し上げまして、私の質問を終わります。
  75. 山崎平八郎

    山崎委員長 藤田スミ君。
  76. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 与えられている時間が十一分ですので、できるだけ大臣お答えをいただきたいと思います。  選挙期間中に、大臣は、農民のいまの気持ちを考えるととても据え置きというわけにはいかないんだということを言っておられました。実際、私たちが米価の申し入れを大臣にいたしましたときにもそういうふうに答えられたわけなんです。私はきょうのこのニュースを見まして、ああ、これが大臣の言っておられる農民の気持ちを考えてという中身なのかというふうに思ったわけであります。  生産者米価の方は、五十三年以来わずか四%しか上がっておりません。ところが、米の生産費の方は三六%アップしている。消費者物価の方も二五%アップしているわけですから、米価は実質引き下げになってきたわけです。こういうことから見まして、今回農業団体が五・六三%という引き上げ要求を出してきたというのは、これはもう本当にごくごく控え目な要求であったというふうに考えるわけであります。ところが、今回の一・七五%というこの諮問数字を見ますと、これでいきますと、稲作農家生産意欲を配慮してということがどうも頭についておりますけれども、しかし、実際には一カ月の手取りがわずか千五百円程度、平均したらその程度しか上がらないということじゃないですか。私は、そういう点では大臣にお伺いをしたいわけです。一体こういうふうな一・七五%という数字で本当に農民生産意欲を配慮したものになっているのかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  77. 金子岩三

    金子国務大臣 いろいろ御指摘がありますが、ことしの一・七五%で農民の期待に沿うただろうかということをお尋ねになりますと、必ずしもそれは期待に沿うことができたとは私も申し上げにくいのでございますけれども、私どもとしては精いっぱい取り組んでまいった、こういう心境でございます。ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  78. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 十分期待にこたえた、また、いまの農民の生活実態からしてこの一・七五が十分なものとは言えないということをおっしゃったと思うのですね。しかし努力は酌んでほしいということなんですが、たまたまきのう来年度の予算要求枠についての閣議了解が行われましたね。この問題は、ことしの米価決定にも非常に大きなかかわりがあったというふうに私は思うわけです。  農林水産予算というのは一〇%マイナスシーリング、こういうことになりますけれども、一方、軍事費の方はどうなんでしょうか。特別扱いということで六・八八%ふやすという。その額は千八百九十五億です。きのうの夕方、外務大臣とマンスフィールド駐日大使が会われて、この六・八八%には給与のベア分は含まれていないんだということが確認された。その上でマンスフィールドは、これはなかなか評価するものだ、しかし今後を見守っていく、こういう話まで出ているわけです。今度の一・七五%というのは、軍事予算のふえた千八百九十五億のわずか九分の一にしか値しない額でしょう。農業団体が要求していた五・六三%を満額認めたとしても、これはまだ増額分の半分以下の金額で賄えるわけです。こういう状態があるのに、大臣はどうしてこの間何も言われなかったのか。私は、この閣議了解のときに、大臣は、いま一番胸を痛めておられるはずの米価決定の問題を前にして、こういうふうなマイナスシーリングが決められるのに対して一体どういうふうな態度をとられたのか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。  もう一つ大事な問題は財源の問題で、先ほども出ております。昨年から言われておりますように、昨年の措置のように、自主流通米助成金百八十八億を削って一・一%の引き上げ分百五十三億を生み出した。三十五億分財政支出を減らすというやり方が、農民にとっては引き上げどころか、これは結局手取りまで落ちていくというようなことになったわけです。こうしたやり方を繰り返すわけにはいかないし、こうしたやり方はまさに今回も米価引き上げ反対だと言い続けた臨調考え方を受け入れた結果になっているということを申し上げた上で、私は、こうしたこそくなやり方をやめるべきだと思うが、どうか。この点、二点目です。  三点目は消費者米価の問題で、連動させないと大臣はおっしゃいました。しかし、大蔵省の方針は、逆ざや解消に向けて今度の消費者米価引き上げは検討していくということ、年内にも農水省に申し入れていくというふうに言っております。この点についてどういう態度を示されるのかが三点目。  三つをお答えいただいて、終わりたいと思います。
  79. 金子岩三

    金子国務大臣 防衛費と米価と対照比較していろいろ御意見がありましたが、これはちょっと別に切り離してお考えいただくことがいいのじゃないかと思います。防衛費と米価は別物である、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。  それから、いろいろおっしゃっておりますけれども消費者米価をはね返しをやるのじゃないかということを先ほどからもいろいろ御意見がございましたけれども、これはやっぱり財政の都合で、財政当局逆ざやを何とかして解消しようというのが大眼目でございますから、やはり生産者が上がったらその分は消費者でカバーしなければ、ますます逆ざやが大きくなるということは財政計画、財政再建に逆行することになるのでございますから、大蔵当局がそれを消費者に転嫁するというのは当然に必要だと私は思います。ただ、私は大蔵省と対立した意見を持っておりますけれども、昨年の暮れに消費者米価を決めるときには、大蔵もよく理解いただいて消費者米価を据え置いていただいた。ことしも私はこの生産者米価消費者に連動するつもりは全然考えてない、こういうことを申し上げておるのでございます。  いろいろ御意見がありましょうけれども、それぞれの立場でそれぞれの意見がありまして、農林省一存で米価を決めることは不可能であるということはよく御理解いただけると思いますので、大体これが精いっぱいのぎりぎりだったというようにひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  80. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 事務当局が間違って、終了しましたと来ましたのであわてたのですが、もう一度はっきりしておいてもらいたいのですが、売買逆ざやが拡大することになるのだ、大蔵省米価引き上げ諮問が決まったことに対してそういうふうに言って、臨調の基本答申に沿って売買逆ざやの解消に向けて消費者米価引き上げを検討していくと、年内にもその引き上げの実施を農水省に求めていく考えを明らかにした。そうしたら、いまここではっきり、農水省としてはそういうふうに引き上げをしていく考えはありませんと明言をしておいてほしいわけです。
  81. 金子岩三

    金子国務大臣 先ほどからの御質問お答えしておるとおりでございます。私は、生産者米価が上がったからといってそれを消費者米価に連動する、そういう考え方は全くありません。
  82. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 終わります。
  83. 山崎平八郎

    山崎委員長 阿部昭吾君。
  84. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いまの自主流通米、この自主流通米は、私ども理解では、当時食管制度の根幹を骨抜きにする、こういう認識を持ちました。しかし、現状、自主流通米は大きなウエートを持つようになってきた。この自主流通米というものを、今後、まあこのあたりでいいというふうに考えておるのか、もっと自主流通米というものを広げようというふうに考えておるのか。政府の長期的な、特に金子大臣の今後の米をめぐる政策の基本的なあり方としてこの問題をどういうふうにやっていこうと考えておられるのか、お聞きしたいわけであります。
  85. 山田岸雄

    山田説明員 いま御質問の点でございますが、自主流通米の数量につきましてはそのときどきの需給事情によって変化するものでございまして、最近の三カ年のように不作が続く中で品質的に悪いものが相当流通量として多くなる、こういった場合におきましては、最近におきます良質米志向といった需要面の影響もございまして、自主流通米の数量は著しく伸びてまいっておるわけでございますが、今後につきましても、ときどきの需給事情によりまして自主流通米の数量は変わるのじゃないか、こういうふうに思っております。したがいまして、私たちといたしましては、食管法に定められておりますところの基本計画、供給計画、こういったものを今後適正に定めまして、自主流通米政府米ともども適正な数量になるように定めていきたい、こう考えておる次第でございます。  したがいまして、一概に自主流通米がどの程度であれば適当であるかということについてはなかなか申し上げかねるのでございますが、極端に自主流通米がふえますと政府の市場に対する規制力、こういうふうなものをなくすることも考えられますので、そういった面にも配慮しながら今後考えてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  86. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、いまの事務当局の説明、米というものを従来の食管制度に対して市場原理を入れていく、こういう観点は一つあったと思うのです。いまの次長の説明だと、成り行き任せでいいやみたいな答弁ですね。私は、国の財政コストという面から見ましても、自主流通米というのは国はうんと楽なんですよ。そうでしょう。いままで長い期間、食管制度がおかしくなる、米が一体どういうことになるのか大変な不安がありながら、とにかくいいものをつくって市場にたえ得る努力をしようじゃないかというので、良質米生産のために一生懸命やってきたんですよ。いまの次長みたいな答弁で今度の米価決定したというのは納得できませんね。大臣、どうですか。
  87. 金子岩三

    金子国務大臣 いま市場に流通しておる米が約七百万トン、そのうちの四〇%が自流米になっておるわけでございます。それが四〇%、二百六、七十万トンにふくれ上がったというのは、やはり奨励金、良質米の助成金、こういうものが誘い水になってこのような状態まで持ってきておるわけでございますから、私は考え方によって、いま四百万トンが政府の買い上げで、二百七、八十万トン、三百万トン近くは自主流通米になっておる、こういう現状でございますから、食管はやはり計画生産をして、そして流通まで一応食管制度で法律に基づいて取り扱っておるわけでございますから、場当たりでやるという考え方は全くないわけでございます。  したがって、第三期に対しても、先ほどから申し上げておりますとおり、生産から流通、末端の需要、消費まで計画を立ててひとつ十年、できたら長期の計画を立てたい、こういう考え方でおるのでございます。
  88. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 したがって、私は、まだまだ自主流通米というものに対して相当力を入れていくというのが今後の米に対する政府の非常に重要な柱にするべきものなんではないかと思うのですよ。いまの次長答弁だと、いろいろあるので成り行きの流れでみたいな非常に消極的な態度は、これはいけないと思うので、その意味で、今回、今度の米価諮問決定までにおける金子大臣の努力に対しては、従来の、さっきも稲富先生からお話ありましたように、ゼロ諮問をやっておって党利党略の具に供するような印象のみを強く持っておる、この壁を一歩破ったという意味では大臣の努力を私は評価をいたします。  しかしながら、まだまだ自主流通米というものはどういうような進路を持って進めていかなければならぬのか、こういうときに自主流通米の流促奨励金というものを切って安易に財源にしたというこの考え方は、一体政府自主流通米という、コストから言えば、財政コストからは非常に楽なんですよ、政府の方は。この流れを安易に変えるという態度は、私はどうも何を考えておるものやらわからぬ。これが現地生産農民の、いまのいい米をつくろうということで全力を挙げてきた皆さんが政府に対して大変な失望感を持っておる問題点なんです。したがって、これは事務当局の中にさっきのように自主流通米というのはこのあたりでいいんじゃないかという考え方があるとするなら、私はこれは根本的に間違いであると思います。  それから、時間がございませんので最後に一つだけ。  さっきもお話に出ましたけれども、二万円ちょぼちょぼなんですよ、自主流通米生産者の出荷しておる値段は。これが消費者が受け取るときは三万円になっておるのです。そのあたりの流通面の指導その他を徹底してきちっとチェックをやるならば、私はまだ流通促進奨励金などにこんなにみみっちい手を加えなくてもやりようはたくさんあったと思うのです。その意味で、今度の決定の仕方、中身に対して私大変疑問を持ちます。今後ともぜひひとつもうちょっと自主流通米というものに対する農林水産省の基本的な態度を明らかにしてもらいたいということを申し上げて、大臣からこの点にもう一遍御答弁いただいて、終わりたいと思います。
  89. 金子岩三

    金子国務大臣 御指摘の点、自主流通米をもっと大きく伸ばすという考え方、私も全く同感でございます。したがって、いろいろ御指摘の点は十分ひとつ事務当局とも相談して皆さんのお考え方を取り入れていきたい、このように考えております。
  90. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 終わります。
  91. 山崎平八郎

    山崎委員長 午前十時三十分から再開いたします。  この際、暫時休憩いたします。     午前十時十九分休憩      ────◇─────     午前十時三十二分開議
  92. 山崎平八郎

    山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、昭和五十八年産米穀政府買い入れ価格米価審議会への諮問及び昭和五十七年産米生産費統計調査結果について政府から説明を聴取いたします。山田食糧庁次長
  93. 山田岸雄

    山田説明員 それでは、昭和五十八年産米穀政府買い入れ価格につきまして、本日米価審議会諮問いたしましたので、その諮問内容につきまして御説明させていただきます。  まず、お手元に配らせていただいております「諮問」、それから「諮問についての説明」、これを朗読させていただきます。      諮問   昭和五十八年産米穀政府買価格について、米穀の需給の均衡を図るための対策が行われている需給事情に即応しつつ生産費及び所得を考慮して決定することにつき、米価審議会の  意見を求める。   昭和五十八年七月十三日          農林水産大臣 金子 岩三  次に、      諮問についての説明   米穀の政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式により行ってきたところであります。   米穀の政府買価格につきましては、昭和五十三年産以降その水準を据え置く等近年の米穀の需給事情を考慮した決定を行ってきたところであります。また、一方で水田利用再編対策及び米消費拡大対策を中心とする各種施策を通じて米需給の均衡を回復するための努力が続けられております。   しかしながら、最近の米需給の実情は、三年連続の冷害等の影響による米の減産にもかかわらず、基調としては、米の生産力が高い水準にある一方で米消費の減退がなお引き続いており、依然として過剰傾向を脱するに至っておりません。また、米の管理に係わる財政運営も、国家財政が深刻な状況にある中で、困難な局面に直面しております。   今後の米の管理におきましては、以上のような事情に対処しつつ、米需給の均衡の回復に一層努めるとともに、各般の面にわたり合理化努力を行っていく必要があるものと考えられます。   また、最近の稲作経営の実情については、稲作の生産性及び収益性並びに稲作所得への依存度において作付規模により大きな差がみられるようになってきております。   他方、農家経済を取り巻く最近の諸事情の下で、稲作の生産性の向上に努めるとともに農業生産の再編或に取り組む農家の意欲に及ぼす影響にも何らかの配慮を払う必要があると思われます。   本年産米穀政府買価格につきましては、以上の事情を総合勘案の上、現下の米穀の需給事情に即応しつつ、生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかということであります。  それから、お手元にお配りしておりますところの「昭和五十八年産米穀政府買価格試算」という資料がございますが、この資料に基づきまして、今年の米審への諮問内容を説明させていただきます。  まず、算定の基本的な考え方でございますが、この算定に当たりましては、従来どおり生産費所得補償方式によることとしておりますし、対象農家の平均生産費につきまして、物財、雇用労働費など実際に支払う費用につきましては生産費調査結果を物価修正するとともに、自家労働部分につきましては都市均衡労賃で評価がえし、この評価がえ生産費を平均単収で除して、求める価格、これは米全体のいわゆる農家庭先価格でございますが、それを算出します。  なお、この場合におきまして、対象農家のとり方につきましては、前年産米の政府試算考え方と同様に二つの考えをとっております。また、算定要素のとり方につきましても、基本的には前年と同様にしております。  ただ、都市均衡労賃につきまして、今年の場合におきましては、昨年と同様に都道府県別の米販売量をウエートとする平均賃金をとりますと、最近の景気停滞のもとで、特に北海道なり東北、北陸、九州などの米生産地帯の賃金の伸びが著しく低下しているという事情を反映いたしまして、きわめて低い伸び率になります。そこで、このような急激な変化をそのまま米価に反映させますと農家の所得等に与える影響が大きいものがあると考えられますので、これを緩和するための特別措置といたしまして、都道府県の米販売量をウエートとする平均賃金について、労働者数をウエートとする平均賃金の上昇率を用いて調整をするという考え方、いわゆる賃率調整というのを今回はとっております。詳しくは、いまの「政府買価格試算」の資料の中の「算定要領」というところに、五ページ及び六ページに家族労働費の評価がえについて説明しておりまして、その中でいまの賃率調整を説明しております。  以上が大体基本的な考えでございますが、資料に即して申し上げますと、ページ一の「基準価格」でございます。  基準価格につきましては、一万七千九百九十六円と記載されておりますが、これは前年の価格一万七千六百八十一円と対比いたしますと、三百十五円のアップになっております。  この基準価格は、米販売農家のうちの農林水産大臣の定めるもの、いわゆる対象農家の平均生産費を基礎といたしまして、四ページの「別記」に算式がうたってありますが、ここで「求める価格」というのを計算いたします。その求める価格に運搬費を加算した額でございまして、これについて、いまごらんいただいております一ページの(1)に算定1を掲上しておりますし、また一ページの後段の部分に算定2というのを掲上しておりますが、その両者を勘案いたしまして最終的な基準価格一万七千九百九十六円としたわけでございます。  具体的な算定について御説明いたしますと、まず最初の一ページの(1)に書いております算定1でございますが、これは、対象農家生産費の低いものからその累積生産数量比率が、価格決定年、すなわち五十八年でございますが、決定年の米穀の需給事情を基礎として定める比率になるまでのものとした値であります。  最近の米需給につきましては、生産力が高い水準にある一方で、消費は引き続き減退傾向にありますし、依然として過剰基調を脱するに至っておりません。そこで、潜在的な需給ギャップは大きなものがあります。このため、水田利用再編対策の推進によりまして、生産調整に多大の努力を順注しているところでございます。従来から米価算定に当たりましては、生産費の全平均ではございませんで、需給事情を反映して、コストの低いものから順に並べまして、その累積数量が一定の比率になるところまでのものをとってきておりますが、このように大きな潜在需給ギャップが存在するという状況のもとにおきましては、適切な米価算定を行うため、この比率といたしまして、潜在需給ギャップをそのまま反映させる必要がありますので、それを端的に示す資料といたしまして潜在生産量に対する総需要量の比率をとることとしたわけでございます。  この点は昨年から導入しておるわけでございまして、今年の具体的比率につきましては、五十八年産について潜在生産量といたしましては千三百七十五万トン、総需要量といたしましては在庫積み増し分を含めました千九十五万トン、この比率でございます。この比率は、計算いたしますと八〇%ちょうどとなるわけでございます。前年産の場合におきましては、この比率は七九%でございました。  こうした考え方による算定値は、求める価格にあと運搬費を加えまして、ここに書いてある式でございますが、分子が十四万九千九百八十五円でございます。この評価がえ生産費を三年平均の単収五百五キロ、これは分母でございますが、これで除しまして、六十キロをぶっかければ六十キロ当たりの価格が出るわけでございまして、それに運搬賃として百七十六円を加え、一万七千九百九十六円と算定したわけでございます。  次に、資料の一ページでございますけれども、(2)というところの算定2について説明させていただきます。算定2は、対象農家を水稲作付面積一ヘクタール以上のものとした値でございます。  最近の稲作経営の実情を見ますと、稲作の生産性及び収益性におきまして作付規模により大きな差が見られるようになっております一方、兼業化の進展に伴いまして稲作所得に収入の多くを依存しないような農家がふえてきております。  たとえば、水稲の作付規模が一へクタール未満の層におきましては、稲作の単一経営で見ましても農家総所得に占める稲作所得の割合は一割にも達しておりませんし、農外所得だけで家計費を賄っている実態にあります。また生産面におきましても、一ヘクタール未満層は、第一次生産費に経営の外部へ支払う、すなわち支払い地代と支払い利子でございますが、この経営外部支払いを加えましたものが米価水準を上回っているにもかかわらず生産が継続されておるような次第でございます。  さらに、農地の権利移動の状況から見ますと、おおむね一ヘクタール以上の層が農地の受け手側になっておりますし、一へクタール未満層が農地の出し手となっており、一ヘクタール未満層は一般に経営規模拡大の意欲に乏しい、このように考えられるわけでございます。こうしたことから、作付規模が一へクタール未満の農家米価に対する関係の度合いがそれ以上の規模の農家に比べまして薄いのではなかろうか、このように考えられます。  このような稲作農家実態からいたしますと、現下の過剰基調のもとで補償すべき合理的な価格の水準を求めるに当たりましては、これらの農家算定の対象から除外して得られる水準を考慮することが合理的であろうと考えたものでございます。  こうした考え方によりまして、水稲作付規模一ヘクタール以上の農家を対象農家といたしまして算定いたしますと、ここの最後の行に書いてあります、基準価格で六十キロ当たり一万七千四百十円になります。  この二つの算定値を勘案するわけでございますが、その場合、農家経済を取り巻きます最近の諸事情のもとで稲作の生産性の向上に努めるとともに、農業生産の再編成に取り組む農家の意欲に及ぼす影響にも配慮を払う必要があると考え算定値の高い方でございますけれども算定1によるものといたしまして、基準価格は一万七千九百九十六円ということにしたわけでございます。  続きまして、ページ二の方に移らしていただきます。  ページ二の2のところでございますが、ウルチ軟質三類一等裸価格、これはいわゆる等級間格差、この価格に等級格差というものを加除いたしまして、類別・等級別政府買い入れ価格算定する際の基礎になる価格でございます。いわゆるへそ価格、このように申しておる価格でございます。  これは、先ほど説明さしていただきました基準価格に等級間の格差、それから類の格差、歩どまり加算、こういうふうなものを加除して計算いたしました結果一万八千百十二円に相なるわけでございます。これは前年一万七千七百九十七円でございまして、ここも三百十五円のアップになるわけでございます。  次に3でございますが、ウルチ一—五類、等級は一、二等平均、包装込みのもので、これがいわゆる生産者の手取り予定価格になるわけでございまして、一般には基本米価と言われているものでございます。  この基本米価につきましては、2で算出いたしました一万八千百十二円に類間の格差、それから等級間の格差、歩どまり加算、包装代を加除いたしまして一万八千二百六十六円に相なるわけでございます。これが基本価格でございまして、この価格は前年の一万七千九百五十一円に比べますと三百十五円のアップでございますし、比率にしてみますと一・七五%のアップということになるわけでこざいます。  次に三ページは、参考といたしまして類別・等級別政府買い入れ価格を掲げてあります。先ほども若干触れましたが、等級間格差、一等、二等、三等の格差なり、また類間格差、一類、二類、三類、四類、五類の格差でございますが、こうしたものにつきましては前年どおりの格差でもって算定されております。  次に四ページでございますが、四ページ以降ずっと細かい算式なり算定要領、こういうふうなものを記述しておりますが、これにつきましては省略させていただきたいと思います。  それから、最後から二ベージ目でございますが、「過去の米価と諸要素との関係からする試算」というのをやっております。これは昨年も一応掲示をさせていただいたわけでございますが、ここに提示いたしましたのはあくまで参考でございまして、米価算定の要素として過去の物財価格、賃金、生産性なり需給事情の変化と決定米価との関係を計数的に求めまして、この真ん中辺にございます対数式でございますが、こうした関係式から本年の米価水準を試算してみたわけでございます。  その最終結果につきましては、2のところに書いておりますように、この関係式に本年の諸元を入れて計算いたしますと、対前年価格は九八・九%ということになりまして、本年の米価の理論値は前年の決定米価より一・一%程度低くなる、こういう数字でございます。これはあくまで参考ということで一応提示しておるわけでございます。  以上、多少はしょりましたが、今年の諮問米価算定につきまして御説明させていただきました。
  94. 山崎平八郎

    山崎委員長 次に、関統計情報部長。
  95. 関英二

    ○関説明員 昭和五十七年産水稲生産費について御説明いたします。  資料は、お手元の「昭和五十七年産米生産費」となっておる資料でございます。  まず結論から申し上げますと、十アール当たり平均生産費は十六万九千八百二十九円でございまして、対前年度二・三%のアップでございます。六十キログラム当たり生産費は二万五百八十四円でございまして、一%の上昇ということになっております。十アール当たり所得は七万一千五百九円でございまして、一・八%のダウンということでございます。  なお、ここには数字は載っておりません。後の統計数字の方に載っておりますが、十アール当たり所得に対しまして一日当たり所得を見ますと九千六百八十円でございまして、対前年三・七%の上昇ということになっております。  次に、二ページをお開き願いたいと思います。いま申し上げました数字の細かい点について若干解説がございます。  まず費目の構成でございますが、水稲生産費の費目の構成比を見てまいりますと、労働費それから農機具費、肥料費、賃借料及び料金、この四費目で八一・七%、大体八割以上を占めておるわけでございます。  このうち三九・四%を占めます労働費につきましては、十アール当たり五万三千九百三十六円でございまして、前年を二・一%下回っております。これは、労賃単価は上昇したのでございますが、十アール当たり投下労働時間が労賃単価の上昇よりも多かったということで、対前年二・一%労働費が下回ったわけでございます。  次、農機具費につきましては、費目構成は二八・四%、三割弱を占めるわけでございますが、この農機具費は十アール当たり三万八千九百円でございまして、前年を二・二%、金額にいたしまして八百二十円上回っております。これは、主としまして自脱型コンバインなり乗用型トラクターなり循環式乾燥機などの高性能機械の更新等に伴う償却費の増ということでございますが、最近は所有台数が高い水準に達しておりまして、新規導入の伸びも次第に鈍化しておりまして、かつては一割以上を占めておりました対前年増加が最近はダウンをいたしまして、前年は五・一%、今年は二・二%ということになっております。  それから肥料費、費目構成で八・三%を占めるわけでございますが、一万一千三百十六円で、前年を四・六%、五百円上回りました。これは、主といたしまして施用量の増加、五十六年産、前年産が天候の関係で施肥量を抑制しておった、特に追肥を抑制しておったという関係で、五十七年産施用量が若干増加をしたということの結果でございます。  それから賃借料及び料金、これは五・六%の費目構成を占めるわけでございますが、賃借料及び料金は七千六百五十三円であります。前年を三・三%、二百四十六円上回りました。これは、主といたしましてもみすり賃なりライスセンターの費用ということの料金単価の上昇によるものでございます。  それから、費目構成四・九%、約五%を占める農業薬剤費につきましては六千七百五円で、前年を一・五%上回りました。  それから光熱動力費、これは構成比三・二%を占めるのでございますが、四千四百五十円で、前年を五・一%、二百十五円上回りました。これは、主としまして燃料価格上昇に起因するものでございます。  それから地代につきましては三万六百九十円で、前年を、六・四%上回りました。  水稲作の収益性につきましては、昭和五十七年産水稲の十アール当たり粗収益は十五万五千六百九十円で、前年を〇・六%上回っております。  また、冒頭申し上げましたが、十アール当たり所得につきましては七万一千五百九円で、前年を一・八%下回りましたが、一日当たり所得は九千六百八十円で、三・七%上回っております。この一日当たり所得につきましては、六ページに「経営概況及び収益性」が載っておりまして、その下の表の真ん中あたりに所得十アール当たり、一日当たりというものがそれぞれ載っておりますが、ここの数字を申し上げたわけでございます。  なお、費目構成を説明の都度申し上げましたが、これは四ページから五ページにかけましての統計表の中のそれぞれの真ん中ごろの十アール当たりというところに「五十七年産費目別構成比(%)」となっております。この数字を申し上げたわけでございます。  以上、米の生産費について御説明をいたしました。
  96. 山崎平八郎

    山崎委員長 以上で説明は終わりました。     ─────────────
  97. 山崎平八郎

    山崎委員長 質疑を続行いたします。近藤元次君。
  98. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 米及び農政を取り巻く環境きわめて厳しい折に米価の問題で大変御苦労いたしておることをまずねぎらいを申し上げ、しかも、そういう環境の中で、上げ幅は別としても、上げ諮問をしたということに一定の評価をいたすものであります。  ただ、いま米価算定に当たって次長から説明を聞いている総体的の感じでは、もう少し本当は低目の計算が出るのだけれども、一番高い数値をとったような印象で説明だけはお聞きをいたしたわけでありますが、私ども、五年実質的な据え置きがあり、十年間の生産調整の中で連続三年冷害の実績と、加えて本年度また冷害、減収になりそうな環境の中では、そう高い米価諮問ではなかったというふうに理解をいたすわけでございます。  そこで、農協の要求米価について、食糧庁として、政府として、受けとめ方の基本的な考え方について御答弁を願いたいと思います。
  99. 山田岸雄

    山田説明員 農協の要求米価につきましてどのように評価しているか、こういう御質問だと思うのでございますが、お答えといたしましては、米価生産資材や賃金の動向だけで決定されるということではなくて、生産性の動向なり、さらには需給事情等をも総合的に勘案して決定されるべきものではなかろうか、このように考えられるわけでございまして、いま申し上げましたような需給事情なり生産性の動向なり、こういった点が考慮されていないという点につきましては、全中の、農協の要求米価算定方式につきましては昨年と同じような問題が依然として残っておるのではなかろうか、こう私たちは考えるわけでございます。  また、今年の方式は、過去二カ年の資材価格及び賃金の上昇分から昨年の米価引き上げ率の一・一%を控除されましてその残った部分、こういうふうなことになっているわけでございますが、この昨年の米価引き上げ率一・一%につきましては、五十七年産米が米をめぐる厳しい事情の中で決定されたわけでございますし、諸事情を勘案いたしまして決定されておりますので、この積み残しがあるということで本年産米に上積みすることには問題があるのではなかろうか。また、このような方法がとられますと、基準年次のとり方次第で引き上げの要求率が変わってくるというふうな問題もあろうかと私たちは考えているわけでございます。
  100. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 いま御説明をいただいたわけでありますけれども、今度の米価をめぐるいろいろなやりとりの中で、農業団体、全国の農家の皆さん方——日本の農政なりあるいは国民の食糧なりというようなものは、わが国においては行政のよりどころとして農林水産省があるわけであります。これが全国の農家と信頼関係を失ったときにどうなるか。いま農業を取り巻く諸情勢というのは、農産物の価格の問題から、長年にわたって、価格政策から構造政策に転換をしなければならぬ、このことは皆理解しつつも、急激な変化は求めようとしても求められないのが農業という一つの産業の宿命であります。  そこで、このような環境の中で、米価問題を農林水産省がもう少し積極的に上げてやろうではないか、上げなければ生産意欲を失ってしまうんだ、農家の活力を見出すためにも今度の米価は上げるべきだという姿勢の面では、私は、農業団体や農家から必ずしも信頼をされた状態でなかったというふうに実は受けとめておるわけであります。何となしに、選挙中に農林大臣が、このまま置くわけにはいかない、上げなければならぬという状況から、何か大臣一人が米価を上げるような姿勢だけが新聞報道で浮き彫りになってしまったような関係が出てきたことは、今後の農政についていろいろな意味で、いまは少なくとも一枚岩で当たらなければならぬ時期でありますから、ひとつ今後ともそのようなことに注意をしていただいて、農政は農林水産省で、農民の心をつないで正しい農業を進めるんだ、困難な時期だけに、そのことにひとつ御留意をしていただきたいと私は思うわけであります。  加えて、いま一・七五%値上げ諮問が出てまいりました。そしてまた、流促を昨年に引き続いて本年度も、二百円残っておったのがもう全廃になるというようなことが新聞報道されておるわけであります。  そういう状況の中で、一・七五%を諮問した基本的な考え方と、諮問するのは大臣ですから、大臣がいれば諮問した後の心境をお聞きしたいのですが、心境は結構でございます。基本的な考え方についてひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  101. 楢橋進

    ○楢橋説明員 お答えします。本年の諮問米価についての基本的な考え方についてという御質問でございます。  本年産米の政府買い入れ価格につきましては、三年連続の冷害等の影響によりまして米の減産にもかかわらず、依然として基本的に過剰傾向を脱するには至っていないわけでありますけれども、そういった米の需給状況、厳しい財政事情等を考慮するとともに、他方におきまして、農家経済を取り巻く最近の諸事情のもとで、稲作の生産性の向上と農業生産の再編成に取り組む農家の意欲に及ぼす影響にも配慮して、米価引き上げを図ることとし、米価審議会諮問することとしたところでありまして、次長からもお答え申し上げましたように、諮問は一・七五%のアップということでございます。
  102. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 諮問された後ですから重ねてのお尋ねはいたしませんけれども中身の問題で先ほどもいろいろなお話が野党の各党から出てまいりましたが、自主流通米というのは、少なくともこれを始めるときには農家の皆さん方も大変ちゅうちょし、反対をした。にもかかわらず、これが本当の米農政の正しい方向であるということで、わが党、われわれの先輩の皆さん方が積み上げてきた自主流通米制度でございます。定着をされた、ひとり歩きができるという判断をされておるから、この流促の金を削減をして基本米価に、財源を移しかえたとは言わないけれども、結果的には実はそういうものになっておるように見受けられるわけであります。それが連動する、しないにかかわらず、良質米について、 流促以外に、新聞報道では、本当は農林水産省か大臣かはわからないけれども奨励金にも手をつけたいんだ、また手直しをするべきだという報道がたび重なって出てきておるわけであります。  新聞報道で議論するわけじゃございませんけれども、気にはならないというのはうそでありまして、大変気になるところでございますので、農林水産省としてはどういう意味で自主流通米制度に、しかも良質米の奨励金に手をつけようかどうかということを考えているとしたらどういうことなのか。そして、自流制度というのはもう定着をしているんだ、しかも、政府買い入れ米よりはかなり高い水準で農家所得が得られておるんだ、こういう理解に立っておるのか、その辺のことについて、取り巻く情勢や物の考え方お尋ねをしておきたいと思います。
  103. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  自主流通米につきましては、政府助成措置や、近年自主流通米の取引価格、いわゆる建て値でございますが、好調に推移いたしまして、農家の手取り価格がかなり上昇している、こういう事情にございますし、その流通量は最近大幅に拡大されてきておる状態でございます。このような中におきまして、自主流通米助成は相当の大きさになっておりますし、政府米と自主流通米助成負担は現在では接近したものになっております。  こういう事情がございましたので、今回自主流通米流通実態を踏まえまして、流通促進奨励金につきまして、現在六十キロ当たり二百円という単価のものが残っておったわけでございますが、これを廃止さしていただいたような次第でございます。もちろんこのことは、自主流通制度を今後抑制する、こういった意味でやったわけではございませんし、私たちといたしましては、自主流通制度の健全な運営を図るために必要な助成は今後とも続けていかなければならないだろう、こう考えております。  また、良質米の奨励措置につきましては、現在自主流通制度におきまして良質米奨励金を出しておるような次第でございますが、この生産振興、供給の増大、こういう面につきましては、現在良質米への志向が非常に強い消費者の需要動向もございますので、こうした面を踏まえまして、私たち奨励金部分は前年産と同額にしておる、こういうことでございまして、良質米の生産振興等をなおざりにしよう、こういうふうな考え自主流通制度を検討しておるようなことは決してございません。
  104. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 大体、名前が悪いのです。良質米奨励金などと言うから何か誤解を招くので、減収補てん金だと書いておくと大変わかりやすくて、減収分を補てんしておけば変動ができるから農林省も本当はいいのだけれどもね。まあ、これは良質米奨励金でも中身はわかっているわけでありますが、いずれにいたしましても、六十キロ当たり自主流通米がAIにすれば三・三%昨年も上がった、政府米は一・一%、建て値がうまくいった、こういうことになるわけでありますけれども、では単収で政府米との比較はどういう手持ちの数字を持っているか。そういう形になると、六十キロ当たりについては自主流通米、良質米、AIの方がなるほど収入が多くなるけれども、単収がかなり落ち込んでしまうと反当たりのお金の収益については政府米にはまだ届かないのだ。  農家にすれば、一俵が高いよりは、反当たりも計算をしておかなければ農家収入の中に全体が入らないわけですから、その辺の計算ができていれば教えていただきたいと思うのです。
  105. 山田岸雄

    山田説明員 良質米と一般米の比較でございますが、単収面におきましては、私たち全部を網羅して計算しているということではございませんが、一つ試算といたしましては、良質米にございましては四百六十五キロぐらいに対しまして、一般米でございますと五百四十キロぐらいとれるのではなかろうか。したがいまして、この間には相当のギャップのあることもわかりますし、また、いま先生指摘のように、良質米については単収のみならず、かかり増し経費といいますか、肥培管理等の面で手間を要する、そうした人件費等もかかる、こういうふうには私たちも把握しておりまして、そもそも良質米の奨励金が設定されましたのも、この単収の減なり肥培管理の面のかかり増し経費、こうしたものをある程度補てんすることによって良質米の流通を拡大していこう、こういう趣旨で設けられたように私たちも理解しております。
  106. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 私の手元にある資料からいっても、自主流通米はいわば良質米奨励金がなければ政府米にはまだ単収からいって追いつかない計算になっておるわけでありますから、自主流通米がいまもうひとり歩きができるようになってきた、だからこれを促進をし、あるいは奨励する金はもう要らないのではないか、減らしてもいいのではないかという考え方は、自主流通米を政策転換をするのであれば別としても、これを推進していく立場の基本的な物の考え方に立っていれば、私は、この制度を変更すること、充実することはあっても削減をしていくことは米農政としては間違いではないかということだけ指摘を申し上げて、さらに検討していただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。  なお、引き続いて、日本の歴史以来三年連続冷害というのは、過去何回か長い歴史の中にはあったようでありますけれども、連続四年というのは日本の歴史の中にないように聞いておるわけでありますが、その歴史にない冷害が実は本年度また心配をされるような状況でございます。いま現在の状況で、端境期の米の需給について心配がないのか。天候は当たらなくても責任を持たなくて結構なんですけれども、その辺、受けとめ方としてどんな感じでおられるのか、教えていただきたいと思います。
  107. 山田岸雄

    山田説明員 端境期におけるお米の需給に不安はないだろうか、こういう御質問であろうかと思うのでございますが、御案内のように、三年連続の不作となりましたことによりまして、本年十月末の政府の五十七年産米の持ち越しは十万トン程度になろうかと私たち推定しておるわけでございます。しかしながら、この五十七年産米だけでなくて、例年でございますれば十月末におきましては大量の新米が供給されるわけでございまして、五十八年産の新米が集荷される、こういうことで十月末を想定いたしますと、一般的には政府米で二百万トン程度自主流通米で百五十万トン程度の集荷が行われております関係から見まして、この端境期に特に需給に問題があるというふうには考えられませんし、政府といたしましても集荷なり売却等、米の管理に万全を期しまして、国民に不安を与えることのないように措置する所存でございます。  それから、五十八年産米につきましては転作等の目標面積を緩和いたしまして、四十五万トンの在庫積み増しをする、こういうことで現在進んでおりますし、五十八年産米が平年作でございますれば、五十九年十月末におきましては五、六十万トンの持ち越し量が蓄えられるのではなかろうか、このように私たち推定しておるわけでございます。  また、最近相当冷え込んでおるとか、いろいろ冷害が予想されるわけでございますが、何分天候というものにつきまして長期的に云々することは非常にむずかしい点もあるわけでございますが、気象の推移に即応した栽培管理なりその他基本技術の励行というふうなことにつきましては、都道府県等にも農林水産省の方から強力に指導するように現在通達を出しておるような次第でございます。  現在のところ、北海道、東北地方の北部で生育がおくれておる、その他の地域では平年並みとかやや良、こういった情報を私たちは得ておるわけでございますが、いずれにいたしましても、生育途中でございますし、今後の天候にもよるわけでございますけれども、私たち、当面の需給には全然問題もございませんし、天候いかんにもよるわけですが、五十九米穀年度と申しますと今年の十一月から来年の十月でございますけれども、その間におきまして五、六十万トンの余裕を持つ、こういうような計画で現在取り進めておる次第でございます。
  108. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 いま次長の話を聞けば心配ないということでありますが、心配があるようなら——北口さんのところはこれから田植えでも間に合うそうですから……。  私どもが国会へ出てきたころは米の過剰の時代で、備蓄は二百万トンくらいが適当でないかというようなことを聞いたことがあるのを記憶をしておるのですが、それ以後、備蓄米はどうなったのか。数量的にまた変更があったりいろいろなことがあったのか。二百万トンという数字が間違いであったのか。私もちょっと定かでないのですけれども、国民の主食の安全を確保するために大体どの程度の備蓄があれば安全であるというふうに判断をされておるのか、改めてお尋ねをいたしたいと思います。
  109. 山田岸雄

    山田説明員 お答え申し上げます。  お米は国民の主食でございますし、また、国民生活の安定を図るためにもその安定供給に努めなければならない、こういう点は申すまでもないことでございます。その安定供給を図るに当たりまして、お米の備蓄を行う、長期的な安全保障の見地から適正な備蓄を保有すべきである、こういう考え方もございますし、さはさりながら、備蓄につきましては、財政上の問題、また、米が過剰基調になりますと三たび過剰米を発生する、こういう避けなければならないような事態もあるわけでございますし、最近におきましては、消費者の新米志向が非常に強うございまして、古米といったようなものを非常に欲しがらないという点の問題もあるわけでございます。したがいまして、今後におきますところの備蓄のあり方をどうすればいいか、何万トンにするというその規模の問題なり、どういう仕組みにするか、在庫増勢の方途、こういった点につきましてはいろいろ問題がございまして、現に備蓄水準が低下しているという実情もありますし、長期的な見地から適正な備蓄水準をどうするか、これらの問題につきまして、現在、転作対策のあり方とも関連させながら検討をしておるような次第でございます。  なお、最初に先生から御指摘の、二百万トン備蓄というふうなことがあったのではないか、これは五十年の「総合食糧政策の展開」というところで、私たち、二百万トン備蓄を目標にするということを掲げたことはございます。その後、五十二、五十三年、大豊作でございまして、五十四米穀年度におきましては在庫量が六百五十万トンぐらいにもなっておりまして、そこから過剰米の発生という点もあったわけでございますが、ごく最近におきましては、三年続きの不作ということもございまして、先ほど御質問お答えさせていただきましたように、手持ちは相当大幅に減っておる、こういう実態に相なっておる次第でございます。
  110. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 これは大変重要な問題で、主食の備蓄、しかも近ごろでは食糧防衛、国家安全などということをスローガンに言われておる状態の中で、それを管理する食糧庁が、備蓄というのがどの程度あれば国民の食糧に不安を与えないのだという数字がまだ明らかでないなんということは、私はよくないことだと思うのです。  そういう意味で、三期対策にももちろん関連があるけれども、新米志向だからということになれば備蓄はゼロの方が一番いいのです。あたりまえのことです、そんなことは。しかし、回転備蓄とかが国民のコンセンサスを得られて、常識であるという上に立って備蓄をすればいいので、回転出蓄をやらない限り、古々米になろうと古々々々米になろうと、いざというときに出すのだということで何年も放置をして新米だけを食べさせておると、それはまた今日のように過剰米の処理に金をかけたりいろいろなことをしなければだめなんで、財政的な立場からいっても回転備蓄ということを早急に、三期対策を出すときにはやはり当然数量も明らかにしてもらいたい、私はこのことをひとつ要望しておきたいと思います。  それで、もう時間がないので最後にさせていただきますけれども、三期対策について、大変重要な三期目を迎えるわけであります。皆さん方が十年間目標を立てて苦労をする水田再編対策が、いわば転作がここで定着をするか、その十年目にまた米農政に返って過剰生産になっていくかという、これが一つの分かれ目になるときだろうと思うのです。それだけに、私は、今度の三期対策については、最終の仕上げとして大事な三脚対策だ、こういうふうに思っておるわけでありますけれども、時間がないので一点だけお尋ねをし、加えて、三期対策に取り組む姿勢をひとつお聞かせをいただきたいと思うわけであります。  私が一点お尋ねをしておきたいのは、適地適産が十年間の水田再編によって最終的に答えが出てくるのではないかということを期待しておるわけですが、適地適産ということになると、第一期目の転作配分面積というのが一番適地適産に適しておる配分だ、私はこう理解をしておるわけで、それを一点お尋ねをして、あとは取り組み方について基本的な考え方お答え願って、私の質問を終わりたいと思います。
  111. 楢橋進

    ○楢橋説明員 私からは、第三期対策につきましての基本的な考え方答弁させていただきたいと思います。  五十九年度から発足予定の第三期対策については、現在鋭意検討を重ねておるところであります。  第三期対策の策定に当たっては、現地の実態を十分に把握する必要があると考えており、七月六日に地方農政局長から各地の状況につきまして報告を本省としては受けたわけであります。また、具体的な目標面積、奨励補助金等の枠組みについては、本年度産米の作柄、転作の実施状況や、五十九年度予算のシーリングを見きわめた上で定めることが必要であるというふうに考えております。  いずれにせよ、農家の方々が安んじて転作に取り組めるような内容のものにしたいと考えており、なるべく早い時期に、遅くとも秋の終わりごろまでにはその枠組みを定めるように努力をしていきたいと思います。  あと、細かい点につきましては事務局から答弁いたします。
  112. 小島和義

    ○小島説明員 転作目標の配分につきましては、従来も米をめぐりますいろいろな要素、圃場の条件でございますとか、米のよしあしの問題でございますとか、いろいろな地域農業の特性を考慮いたしまして配分をいたしておるわけでございます。基本的には、いわゆる米どころというところについて目標の配分が軽くはなっておりますが、しかしながら、とにかく三百万トンを超える生産調整をいたしておるわけでございますから、各都道府県間の公平ということも旨としなければならない一つの要素でございます。そういう要素を十分勘案いたしまして、今後とも目標配分に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  113. 近藤元次

    ○近藤(元)委員 ありがとうございました。
  114. 山崎平八郎

    山崎委員長 串原義直君。
  115. 串原義直

    ○串原委員 米価審議会が開かれていて大臣がおりませんから、かわりに次官にまず伺いたいわけでありますけれども、参議院の選挙中、あちらこちらで、ことしの米価は諸情勢を見て据え置くことは困難ですよ、こういうことを大臣は言ったわけですね。ことに私の地元の飯田市農協会館におきましてはこう言っていらっしゃる。長年据え置いていて農家に迷惑をかけているので何とかしなければならぬと思っている、私を信頼してくれ、こういうふうに農業団体代表に答えている。なお、選挙後、私ども社会党が米価引き上げについて大臣に申し入れをいたしました際にも、選挙中に言ったことは少しも変わっていない、こういうふうに言明をされた。  ところが、一時、関係筋の強い意向だと言いますけれども、据え置き諮問決定か、こういう報道がなされたのであります。公約とも言える農林大臣発言が選挙が済んだらほごになるのかというので、農民農民団体はずいぶんと激怒をいたしました。しかるところ、その声にこたえてか、米審への諮問が一日延期という異例の事態ではありましたけれども、先ほど説明のように一・七五%引き上げ諮問となった。  伺いたいことは、関係者の皆さんの努力を多とするにやぶさかではありませんけれども、それにしても、一・七五%程度引き上げをするのにどうしてこんなに難航をされたのか。どこか大変な圧力がかかったのですか。次官、正直に答えてください。
  116. 楢橋進

    ○楢橋説明員 本年の諮問米価については、基本的に、稲作の生産性の向上、また農業生産の再編成に取り組む農家の意欲に及ぼす影響を配慮いたしまして一・七五%の引き上げ諮問を行ったわけでありますけれども臨調あるいは大蔵当局、財政当局との折衝が種々ありまして諮問がおくれたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、農業生産の再編を取り巻く農家の意欲に及ぼす影響を配慮いたしまして米価引き上げ諮問を行ったわけでございます。
  117. 串原義直

    ○串原委員 ちょっといま次官が触れたけれども、結局、臨調筋と大蔵省財政当局、その辺に圧力があったんだ、壁が厚かったんだ、したがって一・七五%引き上げ諮問案をつくるのにも難航したんだ、こういうことですな。確認しておきましょう。
  118. 楢橋進

    ○楢橋説明員 行政管理庁や大蔵省内部との取りまとめで時間がかかったわけでございます。
  119. 串原義直

    ○串原委員 私は実はわからないわけではないが、農林大臣は米の担当大臣ですよ。その担当大臣考え方というものが、あるいは一つの信念というものが、ことしはほかの省庁の意向によって曲げられる。あるいは、ある意味では押し切られる。これはうまくないと私は思う。次官もそう思いませんか。
  120. 楢橋進

    ○楢橋説明員 現在の財政の窮迫した事情の中ではやむを得ないというふうに考えております。
  121. 串原義直

    ○串原委員 だから問題なんですよ、次官。あなたも政治家としてぴしっとしなければいかぬ。そういう意味で、私は激励を含めて質問しておるのだ。財政問題、ないわけじゃないでしょう。財政財政と言っていたら、いつになっても自分たちの考えることは前進しないじゃありませんか。もうちょっとぴしっとした信念を持ちなさい。米はこうなければならないのです、米価はこうすることが将来の日本の食糧確保のために重要なんです、これは信念に基づいて、農林省、大臣、次官等々、皆さんがぴしっと方針を出して一歩も引きませんよ、こういうことでなければ、財政の都合があるからやめる、それは大蔵大臣の言うことだ。いかがです。もう一度聞いてみましょう。
  122. 楢橋進

    ○楢橋説明員 財政だけで考えておるわけではございませんけれども先生のおっしゃるように、役所といたしましても最大限の努力をいたしたわけでございます。
  123. 串原義直

    ○串原委員 これからも出てくる問題だから、よりきちっとほぞを据えて、やるときにはやってください。  そこで、農林大臣だけでなくて、総理大臣も鳥取市内でことしは引き上げざるを得ないだろうという意味の示唆をされたというのでございますが、しかし結果は、一・七五%値上げ諮問ということですね。値上げをいたしました、農家の期待にこたえました、こういうことで、農家の皆さんに報告したり了承を得られるというふうにお思いですか。
  124. 山田岸雄

    山田説明員 いま次官の方からお答えしていただきましたように、厳しい財政事情または需給事情、こうしたもろもろの事情の中で、私たちといたしましては最大限の努力をして今日の諮問をさせていただいたような次第でございまして、このことにつきましては、生産者の皆様方にもできるだけの御理解をいただくよう努めてまいりたい、このように考えております。
  125. 串原義直

    ○串原委員 過去五年間、米価は、実際は言うならば実質的に据え置きということで経過したのですよ。昨年の一・一%などは、上げましたという部類にはとてもとてもほど遠いものだというふうに私は考えているのです。この五年間に、ぴしっとした正確な数字はありませんけれども、平均賃金はおよそ三〇%上昇したと言われる。物価も、ある資料によりますと、およそ二七、八%上昇したと言われるわけです。したがいまして、経営面積別に詳しく指摘をする時間はありませんけれども、米作農家というのは実質的に赤字なんですよ。ことしの一・七五%値上げというのも、実質的にはその意味で据え置きではないかというふうに農家の皆さんから指摘されても仕方ありますまい。  若い諸君に、土を大事にしろ、たんぼを大切にしてくれやというふうに呼びかけたといたしましても、現場で汗を流している若い諸君から、この米価ではとてもどうにもなりません、そう言うあなた、自分でたんぼをつくったらどうですかなんというふうに言われたら、まさに白けものであります。  一・七五%の値上げが金にいたしまして二百四十五億円。戦闘機と比較することはどうかと思うけれども、F15戦闘機二機分、たったそれだけです。そのお金が全国の米作農家に、たったF15戦闘機二機分が配分されるということだけで決着しようとしているのです。加えまして、農協要求米価、これもずいぶん低いものだった、五・六%は低いものだったと私は思うけれども、一・七五%はその三分の一。  いろいろ例を挙げると幾つもありますけれども、どう考えても他の物価と比較して米は安い、こう私は言わざるを得ないのであります。本当に暑いときに厳しい農作業をされている農家の皆さんに対して、一・七五%上げることになりましたなんということは、とても誇らしげには言えない、ある意味で申しわけないというふうに私は思っているのです。万一ですよ、今度の米価値上げの問題で、農家の皆さんが、これでは水田転作に協力できませんよというような事態が生じたとしたら、農林省、どういたしますか。
  126. 山田岸雄

    山田説明員 本年の諮問米価につきまして、一・七五%、それが非常に低い、こういう評価なり御意見をいまいただいたわけでございますが、本年のお米の政府買い入れ価格算定するに当たりましては、先ほど申し上げましたような、最近の米の需給事情が依然として過剰基調にある、大幅な転作をやっていかなければならないような事情にあるということ、それからまた、米の管理にかかわりますところの財政運営も非常に困難な局面に直面しておるということ、最近の稲作経営の実情につきましては、作付規模によりまして稲作所得への依存度が非常に異なってきておる、こういう実態なり、農家経済を取り巻きます最近の諸事情のもとで、稲作の生産性を向上しよう、こういった農民層もあるわけでございますし、稲作の生産性の向上に努めるとともに、農業生産の再編成に取り組もうという農家の意欲に及ぼす影響にも何らかの配慮をしなければならぬということも考えまして、現下のお米の需給事情に即応しながら引き上げ諮問を行おうということでまいったわけでございます。  需給の均衡というふうな面につきましては、潜在生産力がいまなお千三百万トン以上ある中におきましては、適正な規模の転作目標につきまして、やはり生産者の皆さん方に御協力をいただかなければ、また過剰生産なり過剰米、こういうふうな出現に至りまして、その処理のために大幅な国家財政を必要とする、こういうふうなことに相なろうかと思っておりまして、こうした面ではぜひとも生産者の御協力をいただきたい、こういうふうに私たち思っております。
  127. 串原義直

    ○串原委員 それは、今後の推移を見守っていきたいと思います。  そこで、一・七五%引き上げというのは最終決定で、あとは考えておりません、つまり政治加算はもうさらさら考えません、こういうことですね。
  128. 山田岸雄

    山田説明員 これは現在のところ、私たちは一・七五%のアップ率を試算いたしまして、米価審議会にいま諮問しているような次第でございまして、その答申を得ました上で、最終的には閣議において決定する、こういう段取りになろうかと思います。
  129. 串原義直

    ○串原委員 次官 に伺いましょう。  けさ、新聞社の報道を各紙がいたしました。その報道によりますと、この一・七五%引き上げが最終決定で、政治加算はしない、こういうことで政府・与党は確認をした、こう報じられているのですけれども、それはそのとおりですか。
  130. 楢橋進

    ○楢橋説明員 お答え申し上げます。  一・七五%で米審に諮問をしておるわけでございまして、自民党内におきましてはそのような声があるわけでありますが、あくまでも米審の答申を待っておるところでございます。
  131. 串原義直

    ○串原委員 もう一度聞きましょう、次官。  そうすると、けさの新聞でいささか大きく報道された、これでもう政治加算はしないということで政府・与党は決定をした、確認をしたという報道は早まった報道である、こういうことですか。
  132. 楢橋進

    ○楢橋説明員 党におきましては、政治加算は行わないという声が圧倒的でございます。したがいまして、そういった大勢であるわけでありますが、あくまでも米審の答申を待ちまして、その上で決定をいたすわけでございます。
  133. 串原義直

    ○串原委員 そういたしますと、次官、きょうから米価審議会が始まっていますね。そこで、米価審議会で審議の結果、もう少し上げたらどうかという意見が出てきたら上げる、しかるべき答申があったらそれに対処する、こういうことでいいわけですね。
  134. 山田岸雄

    山田説明員 米価審議会の答申につきまして、現在、想定して、上げるべし、こういうふうな意見が出るかどうかという点は、いまここで云々することは、私、控えさせていただきたいと思います。まず答申を見させていただきまして、それについてどういうふうに決定するか、こういうことは一応内閣の方で最終的には決定ということに相なりますので、まずもって米価審議会の答申を待ちたい、こういうふうに思います。
  135. 串原義直

    ○串原委員 時間が参りますから、次に、その算定方式について伺いたいと思います。  この算定方式につきまして説明を受けたわけでありますが、それぞれお話がありました。ありましたけれども、すぱっと一口に言って、ことしの米価算定方式は何方式というのですか。教えてください。
  136. 山田岸雄

    山田説明員 最初、私申し上げたのでございますが、生産費所得補償方式算定さしていただいております。
  137. 串原義直

    ○串原委員 それは言葉だけでしょう。実際は、私は五十八年方式と言いたいのですよ。なぜかといいますと、先ほど食糧庁が説明したところによりますと、四十二年方式だと一俵当たり、六十キロ当たり三万一千円になります、五十二年方式だと二万二千円になります、五十六年方式だと二万円になります、こういうのですね。  基本的には、方式は昨年度、五十七年度とレールは変わっておりませんと言いながら、結局は出た金額に差がある。あなたがお答えのように、生所方式で出しましたなんというかっこうのいいものではない、そのときどきの都合によって算出をされ、計算をされて出てくる方式であると私は断ぜざるを得ないのですよ。だから、すぱっと言いますならば五十八年度方式です。これがやはり一番正しい答えじゃないのですか。どうです。
  138. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  基本は、あくまで方式といたしましては生所方式によって算定さしていただいておるわけでございまして、算定するに当たりまして、家族労働費をどういうふうな評価がえをするか、都市均衡労賃に評価がえをしておるわけでございますが、その方式にそのときどきの需給事情なり他の経済事情等を考慮いたしまして算定しておるということでございます。したがいまして、あくまで方式自体は生所方式、こういうことで御理解いただければ、こう思うわけでございます。  なお、算定のもろもろにつきましては、先ほど御説明させていただきましたように、対象農家の選定ということで、潜在需給ギャップを反映させた選定の仕方、それから対象農家を稲作の作付規模によりまして一ヘクタール以上のものを対象として計算させていただく、この点は昨年と同様でございますし、先ほどちょっとお断りし、御説明をさせていただきました点、家族労働費の都市均衡労賃への評価がえの際に賃率を調整する、こういうことをやらせていただきまして、昨年の製造業の賃金が地方によって相当低目に出ておる、こういう実態も踏まえまして、たとえば稲作の主要な地帯でございますところの東北地方等が非常に低くなっておる、これを修正するために賃率修正というのを今年はやらせていただいております。したがいまして、五十七年の算定方式とおおむね同様の方式をとっておりますけれども、一部、賃率修正というふうなことも行わしていただいているという実態になっております。
  139. 串原義直

    ○串原委員 したがいまして、私は昨年度の当委員会におきまして、結局この方式は先に答えを出しておいて算定方式を当てはめたものではないか、好ましくないではないかという意味で論議をさせていただきました。ことしもそんなふうに思う。先ほど申し上げたから繰り返しませんけれども、過去の例をずっと振り返ってみましても、ここにあなた方がつくってくれた米価算定における主な要素のとり方という一覧表がある。あなた方におつくりいただいてありますが、たった五年間を振り返ってみても、その年々によって算定方式が違うわけですね。生所方式とは言うけれども、具体的なそろばん勘定になると違ってくる。そろばんの玉の入れ方が違ってくるわけですね。これでは好ましくないではないか。  後で触れまするけれども、水田転作三期計画が出発するという時期に当たって、そろそろこの辺で算定方式はこういうことである、その年、そのときどきで算定方式が変わるというようなことであってはならない、きちっとしたレールを確立しておくべき時期に来ているのではないか、どうしても私はそう思うのですよ。いかがです。
  140. 山田岸雄

    山田説明員 算定方式につきまして確立し、かつ、要素のとり方等も変えないようにというふうな御意見であろうかと思うのでございますが、先ほども御説明しましたように、都市均衡労賃というふうなものを家族労働費に評価がえするに当たりまして、都市労賃の方も製造工業の就業者の労賃も相当変動しているような事態でございまして、北海道なり東北なり北陸、九州、こういったところの米どころの労賃アップ率が非常に低い。これを昨年と同じような米の出回り数量比率でもって平均を出しまして今回の評価がえをしますと、米価が非常に低くまた算定される。このような状態でございますと、やはり急激な変化を米価に反映させることによりまして、農家の所得等に与える影響が非常に大きくなるのではないか、こういうこともございまして、私たち、要素のとり方に若干の修正を加えてやらせていただいたような次第でございます。  需給事情とか他の経済事情等もどんどん変わってきますので、その変化する中で最も適正な要素をどういうふうに反映さしていくかということにつきましては、やはり基本といたしましては生所方式でございますが、その要素のとり方に当たりましては、ときどきの経済事情を勘案してやる必要があるのではなかろうか、こう考えておる次第でございます。
  141. 串原義直

    ○串原委員 これは議論をしておりますと時間がかかりますから、きょうは余り深めてまいりませんけれども、いいですか、算定方式、要素のとり方、これはその年々でぐらぐらするというかっこうはどうしてもよろしくない。きちっと確立していた場合に、ときによると下がることだってあり得る。そうでしょう。物価がだんだん全部上がっていく中で、米だけが下がるということはあり得ないはずなんですから。けれども、きちっとレールをつくっておいた場合に、ときによりますと下がるということもあり得るかもしれません。  そういうことを私は言っているのじゃない。ときによって米価を先に決めておいて、いいですか、政治米価と言っては申しわけないが、そういうかっこうで決めておいて、ことしは据え置き、ことしは一・一、ことしは一・七五、こう決めておいて、逆算方式で方程式を当てはめるようなやり方はやめなさい、それは正しいルールではありません、こういうことを私は言っているのですよ。このことに賛成いたしますか。どうです。
  142. 山田岸雄

    山田説明員 米価算定に当たりまして、逆算方式ということで算定しているのじゃないかという御指摘のようでございますが、あくまで私たちといたしましては、当面与えられました経済事情をいかに反映させるかということで適正な算定を行っていこうというふうに考えておりますし、なお、基本的な算定の方法につきまして改善すべき点があるかどうか、昨年来、算定方式の懇談会を開催しておりまして、米審の先生方なり他の生産者の専門家なりに集まっていただきまして、いろいろと検討は繰り返しておるわけでございますが、なおその場におきましては結論を見ていないような状態でございまして、こういった研究もさらに進めまして、より適正な米価算定ということについて進めてまいりたい、こう考えております。
  143. 串原義直

    ○串原委員 その算定方式についての懇談会で御検討いただいているというわけでありますが、私は、先ほど申し上げましたように、三期対策がまた改めて始まろうとしている、したがって、三期対策の始まるころにはその方式をきちっとしておくべきである、一カ月や二カ月、若干無理であるならば、少なくとも三期に入った来年度、米価算定の時期までには間に合うように答えを出すべきである、こう考えますが、いかがですか。
  144. 山田岸雄

    山田説明員 検討会につきましては、極力早急にそうした結論を出していただくべく私たちも期待はするわけでございますが、何分にも非常に長い期間かかりましていろいろの方式がとられ、いろいろの問題もございまして、いままでのいろいろ議論された成果が現在の生所方式、こういうふうなことでございまして、なかなか早急な結論が得られないような状態でございますが、なお一層、より的確な算定方式があるかどうか、こういう点につきましては積極的に検討を進めてもらうように努力したい、このように考えております。
  145. 串原義直

    ○串原委員 では次に、各種奨励金の問題に触れさせてもらいますが、先ほど、自主流通米奨励金はことしは廃止する、こういうふうに言われましたけれども、私はいささか賛成しかねますが、このことは、つまり自主流通米奨励の政策転換というものが考えられての手段ですか。
  146. 山田岸雄

    山田説明員 自主流通米制度に対するといいますか、助成考え方について政策転換をしたということではございませんで、現在の自主流通実態、取引価格等が好調に推移しているとか農家の手取り価格がかなり上昇している、また流通量も大幅に拡大されてきておる、こうしたもろもろの事情を考慮いたしまして、今回流通促進奨励金につきましては廃止することといたしたい、こう考えている次第でございます。
  147. 串原義直

    ○串原委員 自流米奨励金廃止ということが、結論としてその部分消費者に転嫁されるということになるんじゃありませんか。
  148. 山田岸雄

    山田説明員 この奨励金の廃止部分がいかように働くかにつきましては、自主流通米の取引価格といいますのは取引市場におきますところの需給事情によって決まるのではなかろうか、こういうふうに考えられるわけでございまして、売り手の強い場合にありましては買い手の負担になるでしょうし、買い手が強いポジションに立たされますれば、それは売り手の負担になるだろう、こういうふうに考えられるわけでして、一概に常にどちらにかかる、こういうふうに規定することは困難ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。  しかしながら、最近におきます事情を考慮いたしますと、昨年四百円の自主流通におきますところの流通促進奨励金を削減させていただきましたが、その分につきましてはおおむねそれ見合いの額が建て値、取引価格の方に反映されておる、こういう実態に相なっております。
  149. 串原義直

    ○串原委員 他の奨励金助成金には手をつけない、この理解でいいですね。
  150. 山田岸雄

    山田説明員 今年は基本的にはそういう方向で考えておりますが、なお特別自主流通米助成に当たってはどのように取り扱うかを検討しているような次第でございます。ほかの良質米奨励金等につきまして手をつけるという考えはございません。
  151. 串原義直

    ○串原委員 特別自流米奨励金に対して検討しているということですが、それはいつまでに答えを出しますか。
  152. 山田岸雄

    山田説明員 この問題につきましては、米価決定後なるべく早い時期に決定しなければならない、このように考えております。
  153. 串原義直

    ○串原委員 といいますことは、廃止したいということですな。そう考えているのですね。どうですか。
  154. 山田岸雄

    山田説明員 この特別自主流通米につきましては、流通促進奨励金部分も含まれている、こういうふうな考え方でございますので、それを全部廃止するとかどうこうという問題ではございません。
  155. 串原義直

    ○串原委員 では、つまり手直しをするということですね。
  156. 山田岸雄

    山田説明員 手直しする必要があるかどうかにつきまして、現在検討しているわけでございます。
  157. 串原義直

    ○串原委員 これは次官に答えてもらいましょう、次の問題。  近ごろアメリカの米が注目されてきて、関係業界、商社が相次いで米国に視察に出かけていると聞いているのです。改めて政府は、米はどのようなことがあろうとも食管制度に基づいて国内産で自給をする、輸入はしないことをきちっと国策として位置づけておくべきだと考えますが、いかがですか。
  158. 楢橋進

    ○楢橋説明員 お答え申し上げます。  米について、将来とも輸入に頼るようなことがあってはならない、また、どうだろうかというようなお尋ねだろうと思いますけれども、米はわが国の農業にとりまして基幹となる作物であるとともに国民にとっても最も重要な食糧でありますので、国内で自給することを基本としておりまして、今後ともこの方針には変わりございません。自給いたします。
  159. 串原義直

    ○串原委員 なお重ねて伺いますけれども、次官、お菓子、みそ、しょうゆ等の加工原料用米につきましても輸入はしないことを法に基づきまして明確にしておくべきだと思う。いかがでしょう。
  160. 山田岸雄

    山田説明員 現在、御指摘の原料につきましては過剰米を充当しておりまして、年間二十数万トン程度を工業用原料とかということで私たち売却させていただいておりますが、これにつきましては、五十九会計年度分まではその過剰米でもって措置しているわけでございます。その後どのような供給体制をとるかについては、他用途利用米の一環といたしまして第三期対策に向けて検討をさせていただいているような次第でございます。
  161. 串原義直

    ○串原委員 したがいまして、それも輸入はいたしません、してはならない、これをきちっと方針として確認しておくべきだと思う。いかがでしょう。
  162. 山田岸雄

    山田説明員 現在はそういう過剰米処理で対応しておるわけでございますが、このような用途につきましても国内産米で充当するような仕組みをつくるべきじゃなかろうか、こう考えまして現在検討しておるわけでございます。
  163. 串原義直

    ○串原委員 時間が参りますので、水田利用再編三期対策について伺いますが、大臣は、二、三年ではなくて、そういう短い期間でなくて、少なくとも十年くらいの長期計画を確立したいということをある機会に私ども社会党の要請団に語ったことがあります。先ほども若干、大臣答弁で触れられておりましたが、この方針を踏まえて三期計画というのは進めてまいりますか。
  164. 小島和義

    ○小島説明員 私どもにも大臣から、三年という刻みではなくてもっと長い期間の対策を考えられないか、こういうお話があるわけでございます。  いろいろ検討いたしておるわけでございますが、長期的な米の需給のギャップを計測いたしますと、年を追うて拡大をするという傾向がどうしても否めないわけでございます。ただいま現在で申しますと、不作が続いたというふうなことで非常に毎年の生産数量は減ってきておりますが、平年作ベースで想定をいたし、また一人当たりの消費量と人口増というものをにらみ合わせて考えますと、どうも需給ギャップは拡大する。その意味におきまして、目標自体を長期にわたって固定できるかどうかということについては、なお相当検討の余地があるのではないかと考えております。  ただ、大臣のおっしゃっておられます、毎年毎年目標が変わるというふうなことではなくて、農家が安心して取り組めるような仕組みを考えろ、こういう御趣旨は十分理解できるところでございますので、そういう点を念頭に置きまして今後の扱いを検討いたしておるところでございます。
  165. 串原義直

    ○串原委員 それでは、大臣考えているように、あるいは私どもにある機会に答えられたように、年々あるいは三年程度の短いものではなくて、少なくとも十年くらい、それが八年になることもあるでしょうけれども、十年くらいの長期にわたって三期対策というものは潜在的に考えたいと思う、こういう理解でいいですね。
  166. 小島和義

    ○小島説明員 年数及びその期間中の目標を固定してかかるということばかりでは決してございませんで、大臣が言っておられますように、農家が長期に安心して取り組めるような仕組み、こういう御趣旨を体して検討しておるわけでございまして、十年なら十年というふうに固定的に考えておるわけでは決してございません。
  167. 串原義直

    ○串原委員 少なくとも一期、二期でやってきた、年によりますと減反面積、転作面積も変更した、あるいは一期三年、二期三年、こういうかっこうで、言うならば短期でやってまいりましたが、こういうかっこうはとらないようにしたい、こういうことでいいですね。
  168. 小島和義

    ○小島説明員 実はただいまやっております水田利用再編対策もおおむね十年ということで出発をいたしておるわけでございまして、決して三年ぶっちぎりの対策ということでやっておるわけではございませんが、三年ごとの節目にいまの目標なり奨励金の仕組みなりを見直しをする、こういう仕組みでやってきておるわけでございます。したがいまして、長期的にこの対策を考えるという思想は私どももよく理解できておるつもりでございますが、先ほど申し上げました需給ギャップの拡大傾向を踏まえまして、どれくらいの期間を目標を固定して考えるのが適切であるかというふうな問題、さらには奨励金の水準につきましても長期的に縮減をしていくという方向がすでに打ち出されておりますこととの関係もございますので、内容を全く固定してかかる期間をどのような期間の長さで考えたらいいかということ、それから長期的に安心して取り組める対策、この二つを行政実務的にどう調整するか、こういう意味でただいま苦心をいたしておるという状況でございます。
  169. 串原義直

    ○串原委員 最後になりますが、三期対策の中に検討されていらっしゃるえさ米対策、アルコール用など他用途利用米の拡大を積極的に位置づけていくべきだと考えています。その基本的な考え方についてお答えください。
  170. 小島和義

    ○小島説明員 米の他用途利用については大変幅広い用途があるわけでございますが、現在使われております原材料との価格対比で申しますと、米をえさに使うということになりますとせいぜいトン四万前後というふうな価格水準になりますし、アルコール原料といたしましてもそれに次ぐくらいの価格水準にしかならないわけでございます。したがって、長期的にはいざ知らず、短期的に射程距離に入ってくるというのは、先ほど食糧庁からお答え申し上げましたように、いまトン大体十二万円くらいで売っております加工用の原料米、それくらいのものを国内の米の生産で賄うことができないであろうか。そのことはとりもなおさず転作にかかります面積的な負担と申しますか、これを軽減するという効果があります反面、いまの政府米の価格水準とユーザーの期待的な価格のギャップを一体だれが負担するかというふうな問題を招来するわけでございます。  したがって、物量的には約三十万トン弱の需要があるわけでございますけれども、これとても価格水準いかんの問題でございます。価格水準の問題とそのギャップをどのようにして負担をするのか、そういう問題をあわせまして現在検討いたしておりまして、できますならば五十九年度から始まります対策の中で何とか位置づけをしたいというのがただいまの状況でございます。
  171. 串原義直

    ○串原委員 終わります。
  172. 山崎平八郎

    山崎委員長 日野市朗君。
  173. 日野市朗

    ○日野委員 まず私は、野党側の理事といたしまして、農水省が米審を招集しておきながら諮問案を招集日までつくることができなかった事態はまことに手落ちであると思います。その間にどのような事情があったにもせよ、これは申し開きのできない失態であると私は思います。  そのこともさることながら、昨日、当農水委員会大臣が出てきて質疑に答えるという約束をしておきながら、これをとうとう実現することができなかった。国会というのは申すまでもなく国権の最高機関であって、ここに大臣が出頭するよりも大事な用件というのはほかにないはずである。にもかかわらず出頭しなかった。そして、農水委員会の予定は大幅に狂わざるを得なかった。私はこれを非常に遺憾に思います。これについて、けさ大臣は陳謝をされたようであるけれども、一片の陳謝によって相済む問題ではない。きょう陳謝されたからといって、これで問題が解決したと思ったら大間違いであるということを一言冒頭に念を押しておきたいというふうに思います。これからの国会、特に当委員会と農水省の関係についてはいろいろ問題点がありましょうが、非常に大きな禍根を残したことになるということを一言申し上げておきたいというふうに思います。  質疑に入らせていただくわけでありますが、どうやら諮問案をつくったようであります。私、この諮問案の一・七五%という基本米価引き上げについては非常に不満があることは言うまでもないことでありますが、この諮問案ができる過程におきまして、その財源に充てると称して自主流通米流通促進奨励金として二百円残っていたものをぶった切ってしまったわけですね。この点について確かめておきたいのですが、現在流通促進奨励金、これから流促と言わせていただきますが、この流促二百円を切ってしまった。額はゼロになってしまったわけですね。これは一体どういうことを意味するのか。流促というものはこれで全部消えてしまいましたよということなのか。また、額面はゼロではありますけれども、流促という一つのシステムは生きているのでありますよということなのか。まず、その点いかがでしょうか。
  174. 山田岸雄

    山田説明員 御質問流通促進奨励金につきましては、過去におきまして売買逆ざやが非常に大幅でございました当時、自主流通を遂行するためにはやはり助成が必要ではなかろうか、こういうことで当初出発したわけでございます。その後、生産者の御協力また良質米志向の拡大、こういうようなこともございまして非常に順調に成長してまいりまして、現在大量の自主流通米流通を見るに至っているような事情でございます。その間におきまして、政府の方でも売買逆ざやは解消していかなければならない、こういう基本的な態度で臨んでおりまして、現在のところ五%台の売買逆ざやの比率にしてきたわけでございまして、こうした段階におきましては自主流通も相当の実力を持ってまいりましたし、このあとの二百円を廃止したといたしましても悪影響はないであろう、こういうふうな見地から今回その廃止に踏み切ったような次第でございます。  なお、今後の問題といたしましては、私たちとして売買逆ざやは今後も極力圧縮していこう、こういう基本的立場でございますし、いまの流促につきましては廃止ということで今後も大丈夫じゃなかろうか、こう考えている次第でございます。
  175. 日野市朗

    ○日野委員 そうすると、これから需給問題等から逆ざやがまた生ずることは考えられるわけでありますけれども、そのような場合でもこの流促は再び息を吹き返すことはない、息の根は完全にとめられたのだ、こういうふうに伺ってよろしゅうございますか。
  176. 山田岸雄

    山田説明員 御指摘のような事態になった際に、流通促進奨励金といったような名目の助成が必要かどうか、そのときどきの実態に合わせまして健全な自主流通制度が維持できるような方向で考えてまいりたい、こう思います。
  177. 日野市朗

    ○日野委員 制度ができたそもそもの理由として、逆ざやの二分の一は政府で見ましょう、あとの二分の一は販売努力によってこれを何とかしてくださいな、こういうお願いからこれは始まっているわけですね、自主流通米制度ができたときに。政府がそうお願いをして、そして自主流通制度という危険な海に冒険精神を持って乗り出したわけです。生産者とか農協関係とかいろいろな……。そういうことを考えれば、いまたまたま売買逆ざやが少なくなってきたからといってこれを情け容赦もなしにぶった切るというのは、私は非常に冷たい感じがするのです。いかがです、御感想は。
  178. 山田岸雄

    山田説明員 自主流通制度を当初発足させました段階におきましては、確かに先生指摘のような冒険であって、それがその後成長するかどうか疑問なしとしなかったわけでございますが、生産者の御協力なり、また販売業者の努力、こういうようなこともございまして順調に成長してきたようなことでございます。ぶった切りといいますか、容赦なく切る、こういう御指摘もあったかと思うのでございますが、私たちとしましては、財政事情が非常に厳しい折から、臨調等でも、そうした流促の廃止、こういうようなことも言われておりまして、それにすぐこたえて云々というつもりではございませんが、他の助成との関連をも考えながら今回二百円を切らしていただく、こういうことを決定したわけでございます。
  179. 日野市朗

    ○日野委員 良質米奨励金に関しても、このたびは何とか首がつながった。しかし、これは危なかったなという感じが私いましてならないわけです。われわれ下手にまごついたら良質米奨励金にまで魔の手は及ぶなという感じを実は持って、私はじっと見てきているわけなんですが、良質米奨励金にも将来手をつけようなどという考え方は、これは大きな間違いであると思います。  良質米奨励金なんというのは、そもそも生まれてきた基盤は何かといえば、一つ生産対策でございましよう。良質米を伸ばしていこうという生産対策もあった。しかし、それと同時に、余りにも価格が上がり過ぎたら困るということで、価格をそんなに上げないためにという価格対策もあるわけでございます。消費対策もある。これを切っていったら、まさに消費段階までいったらどのくらい米が値上がりしていくか、その歯どめを農水省みずからが取っ払うというような危険性を含んでいるわけですね。いかがでございますか。
  180. 山田岸雄

    山田説明員 流通米の建て値といいますか、取引価格につきましては、先ほど来私が御説明しておりますように、そのときどきの自主流通米の市場の実勢によりまして異なってくるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございますが、最近におきます良質米への志向は非常に強いものがございますので、現在、良質米を中心といたしまして自主流通米の数量は大幅に拡大しているような実態でございます。したがいまして、そうした段階におきまして供給量が少なければ価格は高騰するというのが一般的な傾向であろうか、こういうふうに思うわけでございますけれども、おおむね、需要も強い反面、供給サイドにおきましても生産者の御協力をいただきまして相当量の供給がなされておる、いまはこういうふうな健全な発展の方向にあるのではなかろうかと考えております。
  181. 日野市朗

    ○日野委員 私が心配する点は、良質米奨励金にまで手をつけるということになると、本当に消費対策まで歯どめがきかなくなってしまうのではないかという点を非常に心配するわけなんです。そういう点から考えますと、良質米奨励金にまで手をつけるということは非常に暴挙のような感じがしてならない。そうすれば、後はまさに米の価格というものは、食管制度の存在にもかかわらず全く市場原理に任されてしまうというような点が出てくるわけでございますね。現にマスコミの一部なんかでは、去年流促を切られたために建て値引き上げてそれをカバーしたなどという批判がましいことを言っている人もいるわけでございまして、そういう点、私、非常に心配するのです。いかがなものでしょう。
  182. 山田岸雄

    山田説明員 自主流通米助成の体系を今後どのように考え、運用するかということにつきましては、今後の自主流通米の供給事情なりまた需要サイドの事情なり、それから生産者のメリット、こういったものを総合的に考えていかなければならないのではなかろうかというふうに思うわけでございます。
  183. 日野市朗

    ○日野委員 どうもわかったようなわからないようなことなんですが、きょうは余り時間がありませんので別の質問に移らせていただきますが、私、いままでの次長さんのお答えになった答えをじっくり受けとめて伺ってみまして、どうもこれは臭いなという感じがしてならないわけです。私、この米価なんかをめぐってこんなことになるんじゃないかという感じは前々から予感として持っておりました。  それで、私、ことしの五月十八日に当委員会におきまして質問をしております。この点につきまして、私こんなふうに伺った。「優良銘柄米を推進をしていくという方向は従来と毫も変わらぬ。よろしゅうございますね。」こう聞いたら渡邉食糧庁長官はこうお答えになっているわけですね。「私ども、優良銘柄米を生産し、これを供給していくようなこれまでの基本的な態度におきましては、何ら変更を持つものではございません。」私は、こういう質問は、今日あることを予測しながら、いわばボクシングのジャブのような形で出しているわけです。そして、食糧庁長官はこういうふうにお答えになっている。しかし、現実を見れば流促は息の根をとめられる。そして良質米奨励金についても、突きつけられたやいばを辛くもかわしたというようなところでは今回はなかったのかと私は思っているのです。どうですか、私のこの感想、違いますか。
  184. 山田岸雄

    山田説明員 いま先生指摘良質米奨励金取り扱いにつきましては、一部削減してはどうか、こういう御意見のあったことは事実でございます。たとえば臨調等におきましては、これを縮減合理化しろ、こういうようなことも言っておりますし、また、生産者のメリット等から見ましても相当大幅なメリットが出ておる、こういう実態から多少は削減しても大丈夫じゃないか、こういう意見もあったわけでございますが、私たちといたしましては、良質米の生産振興を今後とも持続していこう、現在の流通事情のもとにおきましては良質米奨励金を切るべきではない、こういう判断で今日良質米は据え置くというふうに決定した次第でございます。
  185. 日野市朗

    ○日野委員 どうも質問答えがかみ合いませんね。良質米、これをどんどん生産させようという腹が変わらないとすれば、やはりこれに対する助成関係、これは手厚くしていくのが当然のことではないかというふうに私は思うのです。いろいろな理屈をいまあなたは述べ立てられましたけれども、現実に流通促進奨励金を切ったじゃないですか。息の根をとめたじゃないですか。そして良質米奨励金についても、今度は辛くも逃れたものの、いずれは同じような手を使われて切られるという不安、これは生産者の間にも非常に強い疑念としてずっとわだかまる。  良質米を生産させようという方針に変わりがないのなら、やはりこういうものは残すべきなんですね。もしこれがなくなってくるということになれば、だれも、うちの方で言えばササニシキ、これは多収穫品種でもありません、丈夫な米でもありません、それよりは多収穫品種をとって量で勝負をつけた方がいい、そういうことになりますね。これは現実に、そんな複雑な方程式を解かなくたって目の前に見えることじゃないですか。いかがでしょうか。     〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕
  186. 山田岸雄

    山田説明員 良質米の生産振興していく、こういうことにつきましては現在も私たちの考えが変わっているわけでは一切ございません。したがいまして、その良質米が自主流通として流通するに当たりましての助成のあり方、こういうことにつきまして、全面的な廃止とかそういうことではないにいたしましても、その助成幅をどの程度にするか、こういうことではなかろうかと思うのでございますが、その点は今後の自主流通流通実態、それから生産者なり消費者の動向、こういうようなものを見ながら考えていかなければならないだろう、こう私は申し上げておるわけでございまして、良質米の生産に悪影響を与え、それを根っこから揺るがすようなことは決してやるべきではないし、そういうことの助成体系の変更ということは考えておりません。
  187. 日野市朗

    ○日野委員 この問題だけでやっているわけにもいきませんので、話題を変えますが、諮問をしかと読ませていただきました。根本的な認識の違いがやはりございますね。「諮問についての説明」のずっと下の方ですが、「基調としては、米の生産力が高い水準にある」、その後に消費の減退なんかが書いてありますけれども、あなたは本当に日本の米の生産力は高い水準を維持しているとお考えになりますか。
  188. 山田岸雄

    山田説明員 日本の米の生産力といいますのは、現在私どもの推定では千三百万トン以上の、潜在生産力というふうに言っておりますが、生産力はあるわけでございまして、その間におきまして消費の方は漸次減少する、こういう傾向をたどっております関係から、現在生産調整を実施しておる、こういう実態になっておることを私たちは認識しております。
  189. 日野市朗

    ○日野委員 潜在性というのはかなりの仮定性を含みますから、そういう議論はいまやめておきましょう。もし本当に日本の米の生産力が高い水準を維持しているのであるならば、現在のような、米の不足などということが世上非常に話題になっておりますけれども、そういう事態は起こらないはずだ。  じゃ、各集荷機関に対して緊急に米の集荷をやるということでずいぶんあなた方は圧力をかけたようだけれども、何でそんなことをなすった。
  190. 山田岸雄

    山田説明員 米の需給の中長期的な見通しといたしましてはやはり過剰基調にある、こういうふうに申し上げてよかろうかと思うのでございますが、先生いま御指摘の点につきましては、この三年間は確かに不作が連続したこともございまして過去におけるような需給の緩和というのはなくなりまして、年度末の持ち越し量につきましては、五十七年産米で年度末十万トン、こういうようなことには相なっておるような次第でございます。しかしながら、今年におきましても五十八年産米の新米が多量に集荷され流通することに相なりますので、需給操作上問題があるとは思っておりませんし、この端境期も大丈夫だ、こういうふうに理解しておるわけです。  いまお尋ねの集荷の問題でございますが、私たち集荷なり販売というふうなものを秩序正しくやっていこう、こういった面につきましては、食管法を改正していただきまして、流通ルートを特定化して不正規流通を防止しよう、こういう観点から、集荷におきましてもできるだけ不正現のものをやめるように、ほうっておきますと不正親の方に流れるわけでございますから、それをできるだけ正規のルートに確保しようということで、適正集荷対策、こういうことでやらしていただいておるような次第でございます。したがいまして、この対策は、需給が逼迫するといいますか、手持ち数量が非常に少なくなるというふうなことが明らかになった段階で開始したわけではございませんで、私たちのそうした対策は、稲がたんぼに植えられるころといいますか、五月、六月ごろからそういう対策を講じておりまして、できるだけ不正親をなくするという観点からやっておりますし、そのことは結果的には正規のものをふやすし、また、政府の手持ちもふえるということには相なるわけでございますが、決して需給が逼迫するからということで開始しているものではございませんので、その辺ひとつ御理解いただきたいと思います。
  191. 日野市朗

    ○日野委員 ほうっておいてやみに流れると困るから一生懸命集めた、こういう話ですね。米を出した方々がここの傍聴席にもおいでになるだろうけれども、だれも余りそれは信用しないようですよ。  その点はいいとして、米の生産力という言葉をお使いになったわけですね。この米の生産力が高い水準にあるかどうかということは、これは一年、二年の不作、そういった天候というような偶然に左右されるいろいろな問題なんかを乗り越えた、十分に供給能力を内部に秘めたものがあって初めて生産力は強い、高い水準にあるということが言えるのじゃないですか。現在どうです。どんどん水田はつぶれちゃった。水田をつぶしていますね。転作をやっています。それから農家の方も、いつまでも米ばかりつくっていたらおれたちの将来は真っ暗やみよということで、いま別の方向に転進を図っているというのが現状ではないですか。こういう事態を直さなければならない、そうお考えになりませんか。
  192. 山田岸雄

    山田説明員 いま先生の御指摘の点は確かにそのとおりではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。と申しますのは、潜在生産力が非常に高くて、一方で米の需要がだんだん減退している。需給を均衡させるということも必要なことでございますし、それを均衡させるために転作目標を設定し、転作に御協力をいただいておるような次第でございまして、お米よりはむしろ需要のある農産物の方に生産をシフトしていこうということもございますので、そうした転作の推進という絡みから見ますと先生指摘のとおりではなかろうか、こういうふうに思うわけです。
  193. 日野市朗

    ○日野委員 私が言っているのは、米を国民の主食としてきちんと確保していくにふさわしいだけの農民生産意欲がいまありやということが一つの問題です。三年や四年の不作が続いてもそれを生産していくだけの生産基盤がありやという問題なんですね。現実、私はネガティブだと答えざるを得ないですな。  ことしの米は十万トンぐらい余ります、こうおっしゃる。じゃ、来年どうなるのですか、これは。平年作とれれば大丈夫ですよとあなたはおっしゃりましょう。これはいままでもそうおっしゃってきた。しかし、私との間も選挙区に帰って、そして選挙区のたんぼに立ってみれば、冷え冷えとした東風が吹き渡っておりますよ。たんぼの稲は丈も短い、そして分けつも少ないようだ。私は、ことしこれが平年作よりも上回るなんという確信は持てない。少なくとも豊作ということはないですね。これからの温度がどう持ち直すか、天候の持ち直しぐあいにもよりましょう。しかし、もうここ十日もすれば幼穂形成期であります。この気候がずっとそのまま続いていったら、ことしもやはり不稔障害なんか起こって、これはかなりの冷害になるのではないかという心配をするのです。ことしかなり収量が落ち込むということになったら、これは現実に足りなくなりましょう。五十三年古米六十万トンがありますといったところで、六十万トンで何日食えますか。その先はどうなんです。まことに不幸な予測を立てざるを得ないような気がしてしようがない。いかがですか。
  194. 山田岸雄

    山田説明員 今後の需給の見通しでございますが、先ほど説明させていただきましたように、当面、平年作を想定いたしますれば、来年の十月末には五、六十万トンの持ち越し量が確保できるであろう、こういうふうに私たち想定しておりますが、天候異変、冷害等によりましてもしそういう事態がございますれば、確かにその持ち越し量が減る、こういうことに相なるわけでございますが、需要の動向がどうなるか、またその生産がどうなるか、特に生産面におきましては見通すことが非常に困難な面が多いわけでございまして、そうした段階におきましても、私たちはぜひとも国民の食糧は安定的に確保していかなければならぬ、こう考えておる次第でございます。  いま先生指摘のような想定の場におきましても、来年の端境期等におきましては、また早場米といいますか、十月末までに大量のものが集荷され、そういうものを充当していくことになろうかと思うのでございますが、その前に第三期の対策をいかがするか、こういうふうな問題もございますので、来年以降の問題につきましては、第三期対策の中身の一環といたしまして検討してやってまいりたい、こう考えております。
  195. 日野市朗

    ○日野委員 時間がありませんから締めに入らせていただきますが、危険な綱渡りをしているという印象は私の頭から去りません。そんな印象をわれわれこの委員会で持たなければならないような状況にしておいてはいけないのですよね。やるべきことは一つであります。これは外国から輸入するのをやめる、したくないのであれば、まさに生産力を安心できるまでに回復しなければならない。そのために、私は、これから三期にかけての減反目標面積、これはふやすべきでないと思う。  もう一つは、いささか大胆な提言であることはよく知っておりますけれども、ことしは青刈りを収穫に結びつけさせるべきだ、こう思う。これなんかについてはいかがですか。これは非常に政治的な問題でもありますが。
  196. 小島和義

    ○小島説明員 青刈り稲につきましては、青刈り稲として転作物として認めておるわけではございませんで、飼料作物の一種、それからしめ縄、敷きわら等につきましては一般作物として転作扱いをいたしておるわけでございます。実際にどういう場所で青刈りが行われているかと申しますと、湿田巻でなかなか転作がむずかしい、しかし転作には協力するという意味で、目標達成の手段としまして行われているわけで、全国で申しますと、昨年約三万ヘクタールばかりございますが、地域的にはかなり偏って存在をしている実情にございます。  したがいまして、これをことしに限って米として収穫をしてもよろしいという扱いをいたしますれば、すでに転作計画が策定されまして、市町村に届けが出ているわけでございますから、場所によりまして大変な不公平が生じてくる。つまり、青刈り稲を選択したところにつきましてはことしは目標未達成でもお構いなし、こういう扱いになるわけでありますから、そのこと自体には大変重大な決断を要する問題でございます。つまり、行政に対する信頼感の問題にかかわってくるわけでございます。そういう意味におきまして、お話の御趣旨とするところは理解できないわけではございませんが、そういう扱いをするということについては大変消極的な気持ちが率直なところでございます。
  197. 楢橋進

    ○楢橋説明員 第三期対策においてこれ以上転作目標面積をふやすべきではないという御質問でございますけれども、次期対策におきます転作目標面積については現行規模程度とされたいという声が非常に強い、各地からも聞いております。ただ、米需給の問題はきわめて重要な課題でありまして、慎重の上にも慎重に取り計らっていくことが必要であろう、かように考えております。したがいまして、次期対策の目標面積につきましては、米の生産力、本年度産米の作柄、米需要の動向等を十分に見きわめ、また、先ほどお話ございました在庫の問題、また、他用途利用米のあり方等も関連づけまして総合的に勘案をいたしまして決めてまいりたい、かように存じます。
  198. 日野市朗

    ○日野委員 答えは納得できるものじゃありませんが、時間が参りましたので、終わります。
  199. 亀井善之

    ○亀井(善)委員長代理 次に、神田厚君。
  200. 神田厚

    ○神田委員 諮問案が一・七五%のアップということで出されたわけでありますが、食糧庁にちょっとお聞きをしたいのであります。  ただいま資料をいただきましたが、昨年度の試算とどういう点がこれは違っておりますか。
  201. 山田岸雄

    山田説明員 今回米価審議会諮問いたしました試算米価につきましては、昨年度と変更しましたところを申し上げますと、家族労働費の評価がえといいますか、家族労働費を都市均衡労賃に評価がえするその方法におきまして、賃率の修正をやったというところが違うわけでございまして、その説明は、本日お配りしましたところの「昭和五十八年産米穀政府買価格試算」の中の五ページの「都市均衡労賃は、都道府県別の米販売数量により加重平均して算出する製造業従事者の全国平均賃金に調整係数を乗じて得た額」、この「調整係数を乗じて」というところが違うところでございます。  その調整係数はどうやって求めておるかということにつきましては、六ページをお開きいただきますと、六ページの真ん中辺に、イというのがございます。そこで調整係数の考え方を示しているわけでございます。「米販売数量加重全国平均賃金の前年同期の賃金に対する上昇率と、これと同様にして求めた全国平均賃金の上昇率との格差に基づき定める。」こういうことでございまして、その「これと同様にして求めた全国平均賃金(労働者数による加重平均)の上昇率」、これが約三%でございまして、前段の「米販売数量加重全国平均賃金の前年同期の賃金に対する上昇率」、これが一・七%くらいで、その比率の上昇分を今回調整係数として掛けまして、都市均衡労賃による評価がえで、効果としましてはこの分高めたというところが違ってきているわけでございまして、あとの部門につきましては一年間の統計数字の物価上昇その他の計数の違いと申し上げてよかろうかと思うわけでございます。
  202. 神田厚

    ○神田委員 いつも米価の生所方式をもとにしてやっているんだということでございますけれども、どうも政府試算してくる米価は、あらかじめ一・七五なら一・七五あるいは二%なら二%、こういうふうな一つ上昇率を先に決めておいて、そしてそれに計数を合わせていくという恣意的な米価試算がやられてきているわけであります。今回の特に調整係数のとり方等の問題も、どうしてここでこの調整係数を変えていかなければならないかということについては説得力のある説明にはならないと思うわけでありまして、私どもといたしましては、こういう恣意的な米価算定は非常に問題があると考えておるところでありますが、いかがですか。
  203. 山田岸雄

    山田説明員 いまの都市均衡労賃につきまして調整係数を使用したということでございますが、この点について申し上げますと、昨年と同様の都道府県の米販売数量ウエートの平均賃金をそのままとりますと、最近の景気の停滞、こういうこともございまして、北海道なり東北、北陸等の米地帯の賃金の伸び率が非常に小さいわけでございますので、結果的にはその家族労働費の部分が非常に小さくなる、こういう結果に相なるわけでございます。こういうことになりますと、農家の所得に与える影響等が大きい、こういう判断に立ちまして、これを緩和するための特別措置といたしまして、都道府県別の米販売量をウエートとする平均賃金について労働者数をウエートとする平均賃金の上昇率を用いて調整する、こう考えてやったわけでございます。
  204. 神田厚

    ○神田委員 五十三年度以降五年間米価が実質据え置き、そして今回も一・七五%ときわめて低い引き上げ諮問になっているわけでありますが、その間賃金は三〇%、そして物財費等におきましても二十数%値上がりしている。こういうことから考えますと、食管法で規定されております生産者米価は「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、この食管法の規定からいいましても、こういうふうな賃金が三〇%上がっている、物財費が二十数%上がっている中で、ことしはまだ決まっておりませんけれども米価は四%しか上がっていない、こういう実情は食管法の精神をも侵すことになると考えておるのです。  その辺のところは、この生産費や物価の上昇に見合った米価引き上げという精神といいますか、考え方といいますか、こういうものをなぜ貫いていこうとなさらないのか、その点をお聞かせ願います。
  205. 山田岸雄

    山田説明員 政府買い入れ価格算定におきましては、基本といたしまして生産費所得補償方式を採用して、それに基づいて算定しているわけでございまして、資材等の購入に伴います経費の部門といいますか、それは物価修正をする、こういうことでやらせていただいておりますし、家族労働費につきましては、先ほど来申し上げております都市均衡労賃、こういうもので置きかえさせていただいておるような次第でございます。  そこで、食管法の規定にもございますように、生産費とかその他いろいろの生産事情、経済事情を参酌して決定しろ、こういうふうにも規定されておるわけでございます。こうした考慮すべき事項といたしまして、私どもといたしましては、現在過剰基調にあるということをどうしても考えなければならないのではなかろうか、こういうふうにも考えます。また、算定2におきましては、生産規模の大小によりまして生産者の対応が非常に異なっておる、こういう実態にも配慮いたしまして、計算をいたします際の対象農家のとり方におきまして二つの考え方を出してやっているような次第でございます。  このことは、五十七年産米の算定及び今年の試算米価等の算定におきましては同様な方法をとってやらしていただいておる次第でございます。
  206. 神田厚

    ○神田委員 たとえば生産費の問題一つとりましても、稲作の収益性が非常に低下をし続けておるわけであります。五十二年には生産者米価生産費を六十キログラム当たり二千円程度上回っていた。ところが、五十四年以降はほぼ生産費を下回るようになりまして、五十六年には実に三千円も下回っている、こういう実情であるわけであります。  これは、結局米価が据え置かれておりますところに、要するに、物財費が三千円以上上昇したのを初め労働費や地代等が大変大幅に上昇したためでありますけれども、こういうふうに生産費米価を上回っている状況が一 つあるわけであります。  このことが稲作の収益性の低下をもたらしているわけでありますが、これが最終的には農家経済に非常に大きな打撃になっておる。そういう稲作中心の農家経済が打撃を受けることによりまして、日本の農業の一番基本であります稲作経営の後継者難が問題になってきているわけであります。日本の農業をどういうふうにして守っていくかという問題は、こういう形で稲作農家に打撃を与え続けているという状況を何とか変えていかなければならない、こういうふうに考えているのでありますが、この米価生産費関係について食糧庁はどういうふうに考えていますか。
  207. 山田岸雄

    山田説明員 確かに最近の生産費というのは、五十五年産、五十六年産、五十七年産、ともども収量面におきまして不作ということもございますので、値上がり率が大分高くなる、相対的にはそういうふうに考えられるわけでございます。幸いにして資材価格等が過去における上昇よりは低位に推移してきたということが生産費の高騰を防止してくれた、こういうふうにも評価されるのではなかろうかと思っているわけでございます。  生産費米価を上回る農家があるということは確かにございますけれども先生いま御指摘の中で、日本の農家のうちの主として米をつくっておる農家、米作主業農家といいましょうか、それとも米作単一農家といいましょうか、こうした農家におきましても、平均で見ますとその所得は一割に満たない、こういうところでございまして、農家の所得対策、こういう面ではやはり米価によってそれを行うことにはある程度限界といいますか、制約があるのではなかろうか、こうも考えられますし、一方、米価につきましては勘案事項といたしまして過剰基調にある、こういうことはぜひともわれわれは忘れて算定その他をするわけにはまいらないだろう、こういう事情もございまして、今回のような諮問米価算定しているような次第でございます。
  208. 神田厚

    ○神田委員 過剰基調にあるというところについての認識が私どもとどうも一致しないのでありますが、先ほども委員の方から質問が出ておりますが、三年連続の不作によりまして今年度の需給は大変逼迫している、こういうことであります。ことしも現在までのところでは作況指数からいいますれば一〇〇になるというのはかなりむずかしいのではないか、こういうふうなことが言われているわけであります。もしも四年連続の不作ということになりますれば、食糧庁の現在つくっております五十九年度の米穀年度の需給見通しが非常に狂ってくるわけでありますが、現在、五十九年十月末のいわゆる五十九年度の米穀年度の需給見通し等についてはどういうふうに考えているのか、この不作等についての対策についてはどういうふうなことをこれから加えていくのか、その辺はどうでありますか。
  209. 山田岸雄

    山田説明員 今年の十一月から来年十月までの五十九米穀年度につきましては、三年連続の不作というふうなこともございまして、生産調整を行う面積を若干緩和さしていただきまして積み増しを行う、こういう考え方で現在進めております。したがいまして、これで平年作でございますれば来年度末には四、五十万トンの持ち越しが可能であろうかと考えているわけでございます。  しかしながら、いま先生のおっしゃるようなこれからの不作といいますか、冷害等で相当の不作というふうなことになりますれば、いま申し上げました数字の変更ということになることもあるわけでございますけれども、現在のところでは、できるだけ生産者の皆さん方におかれましても的確な生産対応といいますか、技術的ないろいろな対応をとっていただきまして、できるだけ安定的な収穫ができるよう私たちは期待しておる次第でございます。
  210. 神田厚

    ○神田委員 食糧庁の計画ですと、五十九年度の米穀年度におきましては、五十八年産米の生産量は千九十五万トンに見込んでおりますね。それで、これは順調に生産ができたことの計算の上でありますから、この五十八米穀年度におきまして五十七年産米の生産量は千二十七万トンであったわけでありますが、もしも今年度並みの生産しかできないということになりますれば、これは需給の逼迫が避けられないということにもなるわけでありまして、その辺のところの見込みといいますか、その点についてはどういうふうにお考えでありますか。
  211. 山田岸雄

    山田説明員 お答え申し上げます。  ちょっとお断りしたいのですが、五十九年の十月末の前年産米の持ち越しを私は四、五十万トンと申し上げたようでございまして、訂正させていただきます。五、六十万トンの誤りでございます。申しわけございません。  それで、いま先生も御指摘いただきましたように、五十九米穀年度の五十八年産米の生産量は千九十五万トンに考えておりますし、供給量は十月末持ち越し十万トンと合わせまして千百五万トンでございます。需要量を千五十万トンと見ておりますところから、先ほど来の持ち越し量は五十ないし六十万トンのキャリーオーバー、こう考えられるわけでございます。  それで、今後の天候いかんによりまして不作にでもなれば大変ではないかという御指摘の点は確かにございます。したがいまして、私たちといたしましては、こうした作柄のいかんというふうなことは、現在検討しております第三期対策において、転作目標等をどういうふうに設定するかといった面におきましても当然織り込みまして検討してまいろうと考えている次第でございます。  なお、来年の端境期等につきましては、先ほど来申し上げておりますように、八月から十月までの間におきまして、政府米、自主流通米合わせますと三百万トン以上の供給があるわけでございますので、そういったものを回せば国民に御迷惑をかけるようなことはない、こう考えている次第でございます。
  212. 神田厚

    ○神田委員 来年の端境期に十万トン程度の余裕しかない、備蓄しかないということでありますが、国民全部で消費すればこれは三日分だということでありまして、十万トンしか備蓄がないというようなことを一般の多くの国民の皆さんが知りましたら、その間際になりまして買いだめをしたり、そういうふうな動きもなきにしもあらずだ。そういうことになりますれば十万トンぐらいのものはあっという間になくなってしまうわけでありまして、どんなにいろいろな条件が重なっても、備蓄が国全体で十万トンしかないというような需給の逼迫を許しておくということは非常に問題になることだと私は思うのであります。したがって、この備蓄問題については、食糧庁、農林省において根本的に考え直していかなければならないのではないか。  これは農林省自身が予測をしております問題ですが、いわゆる世界的な食糧不足の問題というのは、西暦二〇〇〇年の段階におきましては大変な状況になるということも、すでに農林省自身が試算をして、そしてそれに備えようということを言っているわけでありますから、そういう意味におきまして、この備蓄の問題をもう少し前向きに、国民の皆さんが心配をしないような、あるいは備蓄した米の使い方についても、いままでのようなやり方ではなくて、新しい米がどんどんと供給できるような方式にすべきだという意見もありますが、この点についてはどういうふうにお考えでありますか。
  213. 山田岸雄

    山田説明員 備蓄の問題につきましての御質問でございますが、その前に、今年の十月末におきます在庫が十万トンということでございます。確かに五十七年産米の持ち越し量は十万トンでございますが、そのほかに流通いたしますものとしましては、五十八年産米が政府米、自主流通米合わせますと三百万トン以上ございますし、合計すれば三百十万トンとか三百五、六十万トンといった数字にもなるわけでございまして、端境期の需給というものは大丈夫だ、こう考えておる次第でございます。  さらに備蓄の問題でございますが、備蓄の問題につきましては、経費の問題、それから貯蔵中の米の劣化に伴う古米になることを消費者が嫌うわけでございまして、当面の新米に対する志向といいますか、そうした点、それからまた、いま不作が続いておるわけでございますが、これが逆に豊作とでもなりますとまたたく間に過剰問題、こういうふうなことを起こす可能性もなきにしもあらずでございまして、私たちは、財政問題なりその負担の問題なり、それから備蓄の方法の問題なり仕組み、現在そうした点を多面的に検討しておる最中でございまして、第三期対策に向けましてこの備蓄制度も今後どのように運用していったらいいか、現在検討をしておるところでございます。  この点につきましては、農政審議会等におきましても、備蓄制度を早急に詰めて的確な備蓄を行うようにという答申もいただいておる点でございまして、精力的に検討をし、結論を得たい、こう考えております。
  214. 神田厚

    ○神田委員 ここでちょっと視点を変えまして、自由化問題、ガットの問題について農林省の方の考え方をお聞かせをいただきたいと思うのであります。  十一日から、アメリカによりまして提訴されましたガットの問題が、ジュネーブでアメリカとの二国間協議に入ったというふうに聞いておりますが、その辺の経緯について御説明をいただきたいと思います。
  215. 塚田実

    ○塚田説明員 御説明いたします。  米国側と私どもとの間では昨年来何回となく農産物協議を行っておるわけですが、アメリカ側は、昨年のわりあい早い段階から、日米間で妥結がつかないのならばガットの紛争処理手続に訴えていきたいというような動きを見せておったわけでございます。それが御案内のようになかなか日米協議が円滑に進まない状況にございまして、米国側としては不満の度を高めていたわけですが、当委員会でも御説明申し上げたと思いますけれども、四月二十六、二十七日両日にワシントンで行われました牛肉、柑橘その他の品目についての非公式の協議の場におきまして、米国通商代表部のスミス首席大使は、私ども農林水産省の佐野経済局長に対しまして、米側としては牛肉、柑橘以外の輸入制限品目の幾つかについて、ガットの規定に基づく協議を近い将来提起することを検討していると述べたところでございます。  その後、いろいろいきさつはございますけれども、米国が、七月一日にジュネーブにおきまして、在ジュネーブ米国通商代表部より、同地にあります日本代表部に対しまして、牛肉、柑橘以外の農産物十三品目に関するガット二十三条一項に基づく協議の申し入れを行ってきたわけでございます。米側の協議の目的は、日本側に十三品目についての自由化を求めるということでございます。  そこで、ガットの二十三条一項の規定に基づきますと、そういう訴えを受けた国は、この場合は日本でございますけれども、そういう申し立てに対しましては好意的な考慮を払うということでございます。そこで米側としては、七月六日、七日あるいは八日にも協議を行いたいと言ってきておりましたけれども、何はともあれ、余りにも早急な日取りでございますので、ガットの規約にもかんがみまして、七月十一日にジュネーブにおきまして日米農産物ガット協議が行われた、こういう状況になっております。
  216. 神田厚

    ○神田委員 そのジュネーブの日米農産物の第一回の話し合いは、主にアメリカの方の主張といいますか、それを聞くという立場だというふうに聞いておりましたが、どういうふうな経過で進んでまいりましたか。
  217. 塚田実

    ○塚田説明員 お答えいたします。  七月十一日にジュネーブにおきまして行われた協議でございますが、米側は通商代表部の代表補代理のほか現地の代表部の関係者が出席し、私どもの方は農林水産省の上野国際経済課長ほかが出席しております。  そこで、その際米国側が主張した点の要点をことで申し上げますと、第一点は、米国側は過去二十年間日本側に対して自由化問題についていろいろ問題を提起してきたけれども、なかなかうまく進展しない。しかし、ガット提訴というようなことはいままで求めてこなかった。しかしながら、ここでこのようなガット上の協議を申し出るに至ったという背景については、日本側として深刻に受けとめてもらいたいという前置きがありまして、そこでまず、十三品目についての日本側の輸入制限はガット上正当化されないものと基本的に考えている。ガット上と申しますのはガット十一条一項のことを指していると考えておりますが、そのように言っております。それから、本協議では相互の立場を明確化するとともに、満足のいく調整を求めたいというふうに述べております。  これに対しまして、わが方からは、本件協議に対する日本国内の受けとめ方には、特に両国間の話し合いにおいてこれまで合意に達した品目、私ども過去一年半米国とやりまして合意に達した品目もあるわけですけれども、そういう品目まで含めて協議の対象としていること、また、御案内のようにアメリカ自体も十三品目にわたるウェーバーの取得による輸入制限を行っているというようなこと、このようなことから米国に対する不信感がわが方にはある。それから、過去二十年間余り進展がなかったと言うけれども、日米農産物貿易は順調に伸びてきたと私ども思っておりますし、その際のそうしたものに関する日本側の種々の努力、こうしたことを十分認識してもらわなければ困る。それから、現在残っている輸入制限は日本の農業にとって最もむずかしく、自由化することはなかなかできないものであるということで反論したわけでございます。  こういうような議論の応酬がありまして、しかし米国側としてはもちろん納得しないわけでございます。それでまだ協議は続ける必要があるということで、次回は米国側は九月上旬に第二回目をやろう、ここでは本格的な議論をしようということになっております。具体的な日取りは今後外交ルートを通じて調整することになっております。  また、アメリカは、二十三条一項協議をやっているわけでございますけれども、十月の三日に実はガットの理事会があるわけでございますが、そこで本件を二十三条二項協議へ移行させたい、これは御承知のように第三国が介入してくる規定、それで一種の裁判みたいな感じになるわけですけれども、そういう移行する可能性を明確に示唆している状況にございます。私どもは、協議が始まったばかりで二十三条二項の議論をするのは適当でないということで反発しておりますけれども、実際の協議の米側の意向は、この辺に多少あらわれているのではないかというふうに私どもは受けとめておるわけでございます。
  218. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、最後にもう一問お聞きしますが、見通しといたしましては、これはやっぱり二項協議の方に移行するということで日本としては対応していかなければならない、こういうことになりそうでありますか。
  219. 塚田実

    ○塚田説明員 この今後の見通しは、実際問題として私どもとしても非常にむずかしいわけでございますが、まず当面の問題として、東京時間で今晩から、日米の貿易小委員会がワシントン郊外で開かれることになっております。それから、あすには日米の高級事務レベル会議が同じワシントン郊外で開かれますが、これは局長レベルの会議でございます。私どもの佐野経済局長が現在出席しておりますが、そこでこの問題が米国側からも提起されることがあろうかと思います。それで、米側が御指摘の二十三条二項についてどの程度の感じを持っているのか、その辺で多少の情報もつかめますし、ジュネーブ協議に出席した上野課長も明日帰ってまいりますけれども、そういう状況を総合的に判断することがまず必要でございます。  それから、それと同時に私どもがやらなければならない大事なことは、米国側が二十三条一項でいま申し立てているわけですが、その申し立ては、条約の二十三条一項によりますと、日本が輸入制限しているために米国側の利益が侵害されている、そういうことで行っているわけでございます。ですから、私ども、九月の段階になろうと思いますけれども、十三品目のそれぞれについて米国側の利益が侵害されているということを米国側が実証できるのかどうか、詳しく議論していきたいと思っております。  交渉上の駆け引きもありますからなんでございますけれども、たとえば、今度の十三品目の中に入っておりますけれども、落花生についてアメリカ側は、これはウェーバーをとっておりますけれども、現に輸入制限をやっているわけですね。米国側が輸入制限をやっている品目について、日本に対する輸出について利益が侵害されているという議論は、ガットの条約に照らして果たして主張できるものかどうか、そういうような問題もございます。ですから、米国側の二十三条一項申し立てが、一つ一つ品目別にガットの条文に照らして正しいものかどうか、そういう議論を尽くしていくことがまず大事であろうと考えております。  それ以後、二項の問題が当然議論になるわけでございますけれども、私どもは、当面はそうした二国間協議を尽くすというような態度でこの問題に対処していきたいと思っております。
  220. 神田厚

    ○神田委員 大変大事な時期でありますので、しっかりとやっていただきたいと思っております。  それでは、ほとんど残り時間がなくなりましたので、最後に政務次官に御質問申し上げます。  実質六年間の米価の据え置きということは、日本の農業にとりまして大変な問題であります。政府が内需の拡大という形で経済政策を変更したわけでありますが、これも、このガットの問題ではありませんけれども、外国貿易との関係で貿易摩擦を避けるというような意味で、いわゆる外需主導の政策を内需主導に転換した。けれども、その転換した中身には政策的な裏づけが全然なくて、数字だけを変更したというような感じであったわけでありますが、この内需を支える大変重要な問題といたしまして、私は、農家経済が及ぼす影響というのは非常にたくさんあると思うのです。  特に東北の中小都市や農村地帯を抱えた地方都市におきましては、農家の経済によりまして地域経済が非常に影響を受けるというような状況考えますれば、米価を六年間も据え置いておいてどうして景気の回復ができるか、こういうふうな議論もございますし、一方におきましては、全中を初め農業諸団体が要求しております五・六三%を最低のものとして米価引き上げ政府が決断し、同時に勤労所得及び住宅、住民税等の減税を断行する。米価引き上げと減税という二つの柱によりまして内需の拡大、いわゆる景気回復をいたしていくべきだというような議論もございまして、私どももそれに賛成をしているわけでありますが、政務次官として六年間にわたる米価抑制のこういう状態をどういうふうにお感じになっておられるのか、お気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  221. 楢橋進

    ○楢橋説明員 先生指摘のように、内需の拡大を図りまして景気の上昇を図っていかなければならない、それには農家の経済の上昇を図っていかなければならないと思う次第であります。  今回の米審に一・七五%を諮問したわけでありますけれども財政厳しい折でありますが、できるだけ農家の経済が発展していきますように政府としても努力していく決意でございます。  以上でございます。
  222. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  223. 亀井善之

    ○亀井(善)委員長代理 次に、藤田スミ君。
  224. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 けさの大臣の御答弁で、今回の諮問については農民にとって十分ではないかもしれないけれども大臣としては精いっぱい取り組んできたのだとおっしゃいました。私は、およそ再生産を確保するというような米価とは言えないということを指摘したわけです。大臣は軍事費は別だということもおっしゃいましたけれども、大体アメリカでも食糧戦略という言葉が繰り返し使われているほど、食糧というものを非常に重視しているわけですね。いまのように米価を抑制していくやり方の中では、稲作で生活をしている農家を兼業に追いやる、かつ、稲作の担い手もなくし、さらには、圃場の整備の十分でない多くの水田をつくり手のないまま荒廃させて、結局わが国の農業を大幅に縮小させていくてこにならざるを得ないと考えるわけであります。その点では、今回の諮問で示されております一・七五という数字は本当に大変な、現状を無視した数字だと言わざるを得ないと思います。  ところで、最大の問題点は、この算定1も算定2も、生所方式のベースとなる対象農家を、あれこれ理屈をつけておりますけれども、大幅に切り捨てていっているということだと言えると思うわけです。算定1の場合、必要量などと称して生産調整なかりせばという架空の供給量を前提にしているわけなのですが、現実の米不足と言われる今日の米需給を反映しているものではありませんね。  そこで、まず最初にお尋ねをいたしますが、架空の供給量千三百七十五万トンというのは転作の定着分は除いてあるものなのかどうか、そこからお伺いしたい。
  225. 山田岸雄

    山田説明員 御質問の潜在生産力の算定において転作の定着分は除いてあるかということでございますが、その転作の定着分は除いて計算してあります。
  226. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 定着分は除いてあるのですか、除いてないのですか。除いたのですか。
  227. 山田岸雄

    山田説明員 除いてあります。
  228. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 しかし、それは現実にはどこまで除いているのでしょうね。私は、果樹などへ転作したもの、こういうものをどこまで数値として除いているのかという点では、非常に大きな疑問を感ずるわけです。違いますか。除いていないのでしょう。どこまで除いたんですか。
  229. 小島和義

    ○小島説明員 水田利用再編対策の上で潜在的生産量、こう申しておりますのは、これまでに転作をいたしまして、永年性作物の場合には五年または三年たちますと奨励金が打ち切りになります。その時点でそれは定着したものということで、米に戻る可能性はないということから、潜在生産力の計算の基礎となります潜在作付面積、これから除外をして考えるというのがこれまでのルールでございます。  もちろんこの対策の実施中におきましても、たとえば二期の途中におきましても、五十六年あるいは五十七年と各年にいわば卒業生が出てくるわけでございます。しかし、その卒業生は、同じ期の扱いといたしましては、これは途中で転作面積を定着分だけふやすということは扱い上の不公平になりますので、その期中におきましては一応それも計算上はカウントをして扱っていく、かような扱いにいたしておるのが現状でございます。
  230. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 だから、結局数字には一定のごまかしがあるわけですよ。私はそのことを言いたかったわけです。結局、こういうことで農家の方は大幅な減反に対して非常に苦しみながらも、単年度需給均衡を図るという国の方針に従って、一〇〇%以上の協力をしてきたわけです。  現実にもう米がつくれないというところで、先ほどの御説明のように、その数字の中に入れられている対象の地域で、もう山土を入れて果樹にかえたり何かしているようなところで、もう掘り返してできないようなところも、そういうところも入れられている数字なんですよ。だから二重、三重のごまかしだというふうに思うわけです。こうした農家の協力に水を差していくことになるんじゃないのですか。しかも、転作定着分をそういうふうなからくりでやはり含んでいるということになりましたら、そうではなくても、転作農家の労力というのは全く無視されたものになるんではないでしょうか。この点いかがですか。
  231. 山田岸雄

    山田説明員 私たちが米審に諮問いたしますところの米価算定するに当たりまして、現在の過剰基調というようなことをいかように反映させるか、その一つの方法といたしまして、けさほど来御説明させていただきました潜在生産量と総需要量との関係の比率を求めまして、それを導入しているわけでございます。これは昨年も行わしていただいたわけでございますが、昨年の比率は七九%、今年は総需要量の方に在庫積み増し分がふえましたのでその関係から八〇%になっておる、こういう数字でございまして、中長期的に見た米の過剰基調といいますか、三千億以上の予算を使いまして転作を推進しておる中にございましては、やはりこうした実態価格政策の中でも反映させるべきではないか、こういうことでやらしていただいている次第でございます。
  232. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 その理屈でいきましたら、政府の長期見通しの中でも、需要量は減る、そして反当収益は上がるというふうなことになっているわけですね。そうしたら結局潜在需給のギャップはだんだん拡大をしていって、生産調整にどんなに協力をしていっても、米価の方は抑制します、そういう宣言を昨年からことしにかけて念を押してなさった、こういうことになるんじゃないですか。
  233. 山田岸雄

    山田説明員 米価算定するに当たりましては、一つの要素といたしまして、いま御説明いたしましたような潜在需給率といいますか、潜在生産力を反映させる、こういう方法論をとっておるわけでございますが、そのほかにも勘案すべき事項はあるわけでございます。たとえば賃金の上昇率だとか物価の上昇率とか、そういったもろもろの要素をかみ合わせまして米価を最終的には算定するわけでございますので、これだけをもって未来永劫ずっと減退していくではないか、こういうことには相ならないのじゃなかろうか、こう考えます。
  234. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 しかし、物価の上昇率あるいは生産費上昇率に見合った米価の改革がやられていないわけですから、そういうのは理屈の上のことであって、現実にはおよそそういうことになっていないわけです。だから、結局稲作農家はこれでは救われませんよ。  しかも、もう一つの大きな問題は、昨年も大臣がネクタイ農業は切り捨てるということで大変大きな問題になりましたが、一ヘクタール以下の農家算定の対象から外す、こういうことですね。今回もそれは諮問の中で、算定2の中で入っております。一ヘクタール以下の農家、これは八割ですね。京都なんというのは、私は京都に行ったらずいぶん農家が多いな、稲作農家も多いなというふうに感ずるのですが、九五・五%までが一ヘクタール以下の農家です。結局販売量の四割というものをこれらの農家は現実に担っているわけですね。そういう状態の中で、政府はこうした農家の米生産はもう当てにしないということなんですか、そういうことなんですか。
  235. 山田岸雄

    山田説明員 一ヘクタール未満の階層の米生産につきましては、コスト米価を上回っているにもかかわらず稲作を継続しておられる、こういう実態がございますし、米価に対する関係の度合いというものは薄い層でございますので、私たちといたしましてはこの層を算定の基礎に使わない、こういうことでございまして、決して生産を当てにしない、こういうふうに考えておるわけではございません。
  236. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それはおかしいですよ。現実にこの一ヘクタール未満の農家が販売している数量というのは四割を占めているのです。そこが全く無視されるというような状態になれば、そういう農家がどんどんふえていったらどんどん切り捨てられるということになるわけです。これは国民の主食の確保にとってはもう無視できないものだ。したがって、米の全量政府管理という大原則から見まして、これは除外した米価算定というのは食管法にも反するものじゃないですか、私はそういうふうに考えるわけです。政務次官、いかがですか。
  237. 山田岸雄

    山田説明員 いま御指摘の一ヘクタール未満の層にありましては、農外所得でもって自己の家計費を全部賄える、こういった農家経済状態になっておりまして、この層におきましては、先ほど来申し上げておりますように米価に対する関係の度合いが薄い層、こういうふうに私たち評価しておりまして、価格算定上は、先ほどの過剰基調というふうなこととともに勘案事項にして算定方式の中に取り入れているわけでございます。  食管法のたてまえから見まして違反するのではなかろうか、こういう御指摘でございますが、食管法に再生産の確保を旨として定める、こういうふうに書かれておるわけでございますが、再生産の確保上は特に問題なく、十分国民の必要とする供給は果たし得る、こういうふうに考えております。
  238. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 再生産の確保には達しない計算方式をやっておられる、しかも大半を占める農家、かつ、その販売量の四割を占めている貴重な農家が対象から除外されているというところに、今度のこの諮問の大きな問題がある。しかも、一ヘクタール未満といえども、今日の長引く不況の中で、しかも福祉の切り捨てが進められている中で、米価というのは農家にとっては大切な収入源であるわけです。それがどうなってもいいというような姿勢は断じて許すわけにはいかないし、改めて生産費を償う農民の要求にきちっと耳を傾けて、大幅な米価引き上げを私は要求をしておきたいというふうに考えます。  そこで、次の問題に移りますが、気象庁の予報では、七月の下旬に若干回復するとはいえ、北日本では八月もまた低温が予想されているというふうに言われております。特に東北の太平洋側や北海道では稲の分けつが平年の三割から五割という状態が出ておりまして、すでに今後増けつの望みもないということで、被害が確実ということになってきているわけです。また、政府が需給の心配がないというよりどころにしている早場米についても、千葉県ではハヤヒカリやホウネンワセのわせ品種に影響が出ているということも伝えられております。  政府も農政局を通じて情報を出したり、近々調査に入るということも聞いておりますが、こういう状況のもとで、被害を早期に食いとめるために、気象情報や病害虫の情報を的確に先手先手で打つとともに、農家に対しても技術指導を十分力を尽くしてもらいたいというふうに考えるわけですが、この点ではどういうふうに対策をとっておられますか。
  239. 小島和義

    ○小島説明員 御指摘ございましたように、稲作もまた天候との勝負という要素があるわけでございます。過去三年、気象条件は非常に変動が多うございまして、いずれも稲作につきましては平年作を上げ得なかったという実情にございます。本年の場合にも、早くからそういうさまざまな気象的な変動の起こり得ることを予想いたしまして、すでに昨年の秋以来、ことしの稲作につきましては、転作目標面積の軽減と相まちまして特別な指導を実施いたしておるわけでございます。  例年、春には気象庁から暖候期の長期予報というのが出てまいりますが、それを踏まえまして春夏作の生産指導について通達を発しますとともに、過去三年の実績の評価の上に立ちまして今後の稲作を進めるという意味で、各ブロック別にも、また中央におきましても、今後の稲作についての指導指針を固めるための検討会を催しておるわけでございます。  また、気象の予測につきましては、なかなか気象庁も長期的に的確な予想を出すということができかねる状況でございますが、それぞれ三カ月または一カ月の予報というのが出ておりますので、その都度、その情報を各地方に提供いたしますとともに、それに応じた稲作指導が的確に行われるように努めておるところでございます。  また病害虫につきましても、病害虫の発生予察事業というのを私どもの局で実施いたしておりまして、各地にあらわれておりますさまざまな徴候から見ましてことしはどういう病害虫が出そうである、また多そうであるというふうな予報を各県に発しまして、それによりまして病害虫防除の万全を期する、こういうことに努めておるところでございます。
  240. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 政府は、大体一昨年も昨年もそうでした、二年連続の冷害はあり得ない、三年連続の冷害もあり得ない、こういうふうに説明をしておられたのですが、これは気象のことですから、それで責任をとれということにはならないですが、しかし現実には、もう四年連続という冷害は十分予想されるわけですね。昨日からも農家の人にいろいろな要請でお会いしますが、三年前の冷害がいよいよいま響いてきたという、非常に切実な声を聞いております。それが三年前から、二年前も、ことしもといって四年連続になっていきますと、これは本当に深刻な問題だと思うのです。したがって、十分対策を強化してもらいたいと思います。  そういう中で、一方、ことしの秋の米の在庫は十万トンになるということで、国民の不安はこれまた非常に深刻な問題になってきております。心配はないと言われておりますけれども、しかし現実には大きな不安が広がっているわけです。  そこで、私は政務次官にお伺いしたいわけです。しかも、海を越えて向こうから、あるいは財界の方は、二言目には国際米価の問題を持ち出して、そして米を輸入せよというようなことも言われている中で、こういう不作が続いてくる、米がいよいよ足らぬようになるということになりますと、輸入ということもこれは非常にせっぱ詰まったような話になっていくわけですが、ゆめゆめそういうことにならないようにやってもらいたいという立場でお尋ねをしているわけです。米の輸入というようなことは考えていらっしゃらないでしょう。そういう立場でお伺いします。
  241. 楢橋進

    ○楢橋説明員 お答え申し上げます。  米は、わが国農業にとりまして基幹となる作物であるとともに、国民にとっても最も重要な食糧であります。国内で自給することを基本としており、今後ともこの方針には変わりございません。
  242. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、終わります。
  243. 亀井善之

    ○亀井(善)委員長代理 次に、松沢俊昭君。
  244. 松沢俊昭

    ○松沢委員 三点ほど御質問申し上げたいと思います。  その第一点は、今回の米価審議会に対しまして諮問の案ができるのが大変おくれまして、そしてきのうはとうとう、招集はしたけれども全然会議ができなかったという経過をたどって、そしてきょう諮問されるということになっておるわけであります。  それで、さっきも農林省の三番町分室で農民八団体と農林大臣の青空団交という恒例の問答がございましたが、金子農林大臣のお話によりますと、いままでのルールというものを変えたというところに一つの意味があるのじゃないか、こういうことを言っておられるわけなんであります。その場合、いままでは、米価審議会諮問案を出しまして、いろいろな意見を米価審議会の方でやってもらって答申を受けて、その答申に従って政府米価を決めていく、実はこういうことになっておったわけですね。今度の場合においては、一発回答という言葉もございますが、一・七五%をちゃんと諮問案の中で引き上げをやって、そして米価審議会諮問された。それから、十四日まで審議会が行われるわけなんでありますが、その米価審議会が終わって答申ということになるわけでありますが、この場合、また一・七五を修正する、引き上げるとか引き下げるというようなことは今度はないように伺っておるのですが、政務次官、これはどうなるのですか。
  245. 楢橋進

    ○楢橋説明員 本年の米価につきましては、政党政治に基づきましてあらかじめ政府と与党の間でいろいろな意見の調整が行われたわけでありますが、政府の買い入れ価格決定をまだ行ったわけではございません。政府の買い人れ価格決定につきましては、あくまでも米価審議会の意見をお伺いした上でこれを尊重し適切に行いたい、かように思っております。
  246. 松沢俊昭

    ○松沢委員 そうすると、まだ一・七五%というのは変わる可能性はあるのですか。要するに米価審議会で審議をやって、こんなもの安いじゃないか、もっと引き上げるべきであるというような意見が出たり、あるいはまた、これは引き上げるというのは妥当でない、据え置くべきではないか、こういう意見が出たりした場合においては、その意見を尊重して上げたり下げたりするところのゆとりというのはあるのですか。どうですか、政務次官。
  247. 楢橋進

    ○楢橋説明員 米審の答申を尊重いたしまして政府が検討してまいります。
  248. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私も米価決定前に大臣といろいろと個人的にもお会いしたりしてお話を聞いてまいりましたが、大臣はこう言っておられるわけなんです。いままでは、ゼロ諮問をやってその後三日も四日も徹夜でごたごた騒ぐ、こういうことが続いたのだが、これは非常にむだだ、だからもう事前にちゃんと意見を聞いて、そして米審のところに値上げ諮問というものを出して、つまり一発回答で終わらせる、やはりこれがルールにならなければならぬのではないか、こう言っておられたのですが、そうすると政務次官の答弁大臣考え方というのは違っているのですか。どうですか。
  249. 楢橋進

    ○楢橋説明員 前広に意見を聞いて決めるということでございまして、先ほど申し上げましたように、現在米価審議会諮問をしておるところでございますので、あくまでその答申を踏まえまして決定をいたす所存でございます。
  250. 松沢俊昭

    ○松沢委員 それはたてまえでありますわな。そう言わないと米価審議会は存在意義がなくなるのですよ。存在意義がなくなるからあなたは形式的な答弁をおやりになっていると思うのです。実際は米価審議会というのはもう無用の長物になってしまっているのじゃないですか。どうですか。いままでもそういうことでしょう。
  251. 楢橋進

    ○楢橋説明員 先ほどから繰り返し申し上げておりますけれども米価審議会につきましては、権威ある審議会でございますので、審議会の答申を尊重いたしまして政府で検討いたします。
  252. 松沢俊昭

    ○松沢委員 こういう問答をやっているといつまでも切りがございませんのでやめますけれども、もうこの辺で米価の決め方というのを変える必要があるのじゃないかと私は提言したいのですよ。物を売ったり買ったりする場合におきましては話し合いで決めていくわけですね。だから、米の値段なんかも、政府農民団体が団体交渉をやって、そしてそこで折り合いがつかないという場合においては、第三者機関というのがあって仲裁に入って決めていく、こういう方法をとることが望ましいのではないかと私は思っておりますが、政務次官、どうお考えになりますか。
  253. 楢橋進

    ○楢橋説明員 食管法の規定に基づいて米価を決めていくということでございまして、現在のところなかなかむずかしいのではないかという感じがしております。
  254. 松沢俊昭

    ○松沢委員 今回の米価、一・七%上げて諮問しておられるわけなんでありますが、これを値上げするには財源というのが必要だ。新聞によりますと、その財源は、流促奨励金を二百円切り捨てる、それから、まだ必要であるわけだから食管合理化を図っていく、こういうようなことで穴埋めをしていこうというような新聞記事が載っているのですが、そのとおりなんですか。
  255. 山田岸雄

    山田説明員 財源の問題でございますが、財源につきましては、いま先生指摘流通促進奨励金、これをカットすることによりまして百億円程度の財源になるわけでございますが、そのほかにつきましては、現在のところ、今後の食管物資の管理面におきます買い入れ数量なり価格なり、これは外麦価格でございますが、そうしたものの変動等を見定めながら、できるだけ節減に努めまして捻出していこう、こういうふうに考えております。
  256. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私、御承知のように新潟県の出身でございますので、それじゃ新潟県の農家の手取りというのはもしこれが決定した場合どうなるかということで、昨年の実績に基づいてそろばんを入れてみたのですよ。そうしたら、政府米が一俵三百十五円上がって、そして自主流通米流通促進奨励金を一俵二百円切られるということになりますと、切られるところの額というのが十四億円です。そして値上げをしてもらうというところの額が七億円なんであります。差し引き七億円の損害を受ける、こういうことになります。  昨年は昨年で、百九十五円の値上げがありました。そうして、流通促進奨励金六百円を二百円にしたわけですから、四百円抜き取ったわけですね。そのことで受けるところの被害というのは、政府米が減って自主流通米のシェアがうんとふえてきましたから、そこで計算してみますと八十億の差し引き損害が出ているわけなんであります。  だから、結局この一・七%、自民党の皆さんと政府が徹夜でいろいろ話し合いをやって苦労してつくられたというけれども、しかし、新潟県といえば米どころでありますし、銘柄米の産地でもあるわけなんでありますが、その銘柄米の米どころの新潟県を例にとってみますと、値上げでなしに大変大きな損害を受ける、こういうことになるわけなんであります。  そこで、損害を受けるところの県と損害を受けない県というのはどういう分布状況になるのか、説明をしてもらいたい。  それからもう一つ、今回の諮問を見ますと、これは生産費及び所得補償方式決定することについて諮問するということになっておるのですが、その諮問についての説明の中にこういうことが書かれています。「生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、」こうなっておりますね。さっき藤田さんの質問で、十分再生産のできるところの価格だと思っております、こういう話なんでありますが、そういうことにはなっていないのじゃないですか。昭和五十五年、平年作を割っているでしょう。昭和五十六年、平年作を割っているでしょう。昭和五十七年、平年作を割っているのじゃないですか。再生産の確保はなっていないのじゃないですか。これはおてんとうさまのぐあいで計画どおり生産ができなかったのだというだけではないはずなんですからね。  農業技術会議の方からも来てもらっているわけなんでありまするが、やはり私の考え方といたしましては、昨年あたりの冷害は、本当に農家生産意欲を持って対処するということであるとするならば、これはやはりある一定のところに歯どめをかけることができたのではないかと思うのですよ。もうすでに有機農業から離れて十五年も二十年もたっているわけなんです。ちょっとした冷害でも大きな被害が出るという状態、言ってみまするならば、低米価であるがゆえに手抜きの稲作をやらなければならない、つまり平年作を割る、再生産の確保ができない、こういう状態になっているんじゃないかと思うのですよ。ところが、さっきあなたは、再生産の確保は十分できますと言っているのだが、再生産は確保されていないじゃないか。  ことしも、米価の時期になりますと、もう本当に三番町あたりにいると汗びっしょりなんでありますけれども、ことしはかぜを引いてしまったなんというところの人も来ているわけなんですよ。冷害なんですよ。だから、こういう米価でやる限りにおいては再生産の確保ができなくなっているのじゃないですか。それを白々しく、諮問をするに当たって食管法の第三条にはこう書かれていますなんて、書かれているなら書かれているなりにちゃんと有機農業のできるような若干の、要するに天気のぐあいが悪くとも平年作は生産できるような、そういう米価にしていかなければならぬじゃないですか。その点はどうお考えになっていますか。
  257. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  御質問内容は二つあったかと思うのでございますが、最初の御質問でございますが、自主流通米助成に関連いたしまして、今回流促助成を二百円カットする、そのことによってたとえば新潟県のような良質米生産地帯では損をする、こういう評価なり御意見であったろうかと思うのでございますが、私たち、昨年の例で見させていただきましても、こうした助成の縮減部分は自主流通米の取引価格建て値といいましょうか、それに反映されておりまして、農家手取りではむしろ一昨年よりは上がっておる、こういう実態にも相なっております。  しかしながら、これが常にそうであろうかということにつきましては若干問題があるわけでございます。といいますと、この自主流通米の取引価格はそのときどきの需給実勢によって形成されるものであろう、こういう前提に立ちますと、常にこうした助成が取引価格に反映できるということは保証はされていないような実態でございますが、最近におきますところの自主流通米流通事情、特に良質米志向の高まる中で自主流通米が大量に円滑に流通されておる、こういった面から見ますと、先生が最初御指摘いただきましたような流促助成の節減が直ちに生産者の手取り価格のマイナスとして反映する、こういうようなことには相ならないのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。     〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕  なお、こうした問題につきましては、自主流通米のウエートの高い県においていまのような問題があろうかと思うのでございますが、特に良質米生産県等におきましては非常に実力もあり、建て値も強い、こういう実態でもございますので、自主流通助成の削減部分が直ちに生産者のマイナスということにはつながらない。また私たちも、そうした自主流通助成のあり方におきましては生産者に悪影響を及ぼさないような方向で対応しておると申し上げてもよかろうかと思うわけでございます。  次に、「諮問についての説明」の中に「再生産の確保を図ることを旨として定める」、こういうふうに言って、白々しいという御指摘もあったかと思うのでございますが、この点につきましては、価格政策における支持価格といいますものはやはり連続性を持って、激変するようなことがあってはならないでしょうし、そうした段階で私たちが採用する要素といいますのは、平年作を前提として一応対応しているわけでございます。不幸にしてこの三年連続の不作、こういった点もございまして、供給量は多少少な目というふうなことに相なったわけでございますけれども、そのことは、その不足したという事態は、生産費所得補償方式の中で単収の減というふうなことから反映されておる、こういうふうにも思うわけでございますし、今後とも再生産の確保ということは十分重視して価格政策を運営していかなければならない、こう考えております。
  258. 松沢俊昭

    ○松沢委員 米だけでございませんで、物の値段というのは、やはりたくさんあるときは値段が安くなりますし、不足になると値段が高くなるわけです。ですから、いま米不足がずっと続いておりますので、それで自主流通米の値段が高くなるということなんでありまして、奨励金を切っても大丈夫だというふうに断定するわけにはいかない状態なんじゃないか、私はそう思うのです。  特に良質米というのは、山田次長おわかりだと思いますけれども、私の県なんかはアキヒカリをつくったらコシヒカリよりも反当三俵ぐらいよけいなんですよ。それを、県やあるいはまた農協の御指導等もありまして、それで量より質にしてもらいたいということで、つくりにくいところのコシヒカリをつくっているわけなんです。だから、生産政策としては当然奨励金をつけて奨励すべきだと私は考えているわけなんです。そして、皆さんが自主流通米を定着させるためにも、そういう奨励金というものを切るのは誤りなんじゃないか。  それで十二分に農家の手取りは補償されていますよ、こうなりますとうんと高くなる、こうなりますから、そうすれば逆に消費者の立場に立って物を考えた場合、切られた二百円分というのはおれらの米の値段が高くなるのじゃないか、こうなる。昨年四百円削った、削った分は高くなったから、だから建て値はよかったんだ、こういうことになるのじゃないか、こうなるでしょう。  そういう消費者生産者を対立させるような価格政策は間違っていると私は思うのです。しかも、食糧管理法第三条の生産者米価、第四条の消費者米価、これがみんな別々な立場によって価格が決まることになっていることは、これは釈迦に説法、言うまでもございません。ですから、二重価格になっているということが現行食管制度の根幹であろうと私は思うわけなんでありまして、要するに、その根幹をいま崩しておられるという現実の政策を食糧庁は一体どうお考えになっているのだろうか、お聞きしたいところであります。  それからもう一つの問題でありますが、再生産の確保は、さっきの説明ではできていないのじゃないですか。再生産を確保されていないでしょう。これは天気が悪かったからでは済まされないのです。天気が悪くとも農民生産意欲を持つような、そういう農政があったとするならば去年あたりの冷害は克服することができたのじゃないか。一〇〇%以上の作柄にするということはむずかしかったかもしれませんけれども、しかし一〇〇%程度の作柄の確保はできたのじゃないか。それは、いま米価に依存するところの率というのが、この農林省の「米をめぐる事情」という資料を見ましても非常に依存度が減っているわけなんです。  だから、農家というのは、はっきり申し上げますと、それじゃ何で米をつくっているんだといいますと、米生産のために米をつくっているということよりも、もうこういう価格政策になりますと、先祖代々受け継いで持ってきたところの田地田畑を資産として守っていかなければならない、こういう考え方で耕していると言っても過言ではないのじゃないですか。この米価が満足でございますから米をつくりますという状態ではないんじゃないですか。ここらのところをはっきりさせないと、なかなか日本の農業、農業の大宗であるところの稲作を守っていくわけにはいかないと思うわけなんであります。  それが、再生産の確保ができないところの三年連続の不作が続いてまいりまして、今度四年目と、こうなるでしょう。あなた、四年間も連続の不作の続いたところの年は歴史上ありますか。あったら、何十年前のいつごろそういう状態があったのか、それを山田次長は説明してもらいたいのです。
  259. 山田岸雄

    山田説明員 お答え申し上げます。  最初御指摘のございました生産者米価それから消費者米価それぞれにつきましては、片や生産者米価にありましては再生産の確保を旨として定める、片や消費者米価にありましては家計の安定を旨として定める、こういうふうに規定されておりますので、私たちといたしましては、この規定に基づきまして適切に米価を定め、運営していかなければならない、こう考えておる次第でございます。  なお、いまの再生産の確保に関連いたしまして、三年続きの不作、これは気象条件によるものだけではないぞよという御指摘でございますが、私たちも単に気象条件のみによってこのような供給量になったというふうには考えておりません。主因といたしましては、やはり天候等の条件が最も大きな原因であろう、こう考えるわけでございますが、最近におきますところの生産性の向上に関連したもの、また手抜きと言われてもいいようなもの、いろいろな状態もございまして、供給量、単収の伸び等も多少少なくなっておる、こういった面もあろうかと思うわけでございます。やはり農家生産意欲を今後とも拡大し、保持していかなければならない、こういう観点から、特に私たちといたしましては、算定2にありますような一ヘクタール以上の層の経営の実態を重視いたしまして算定をしてまいっているような次第でございます。  そういうことでございますので、今後とも再生産の確保、たまたま三年間といいますものは気象条件の大きな変動によりまして実現といいますか、発生したものだ、こう考えるわけでございますが、今後におきましては、価格政策はもちろん、生産対策等にも十分留意いたしまして安定的な供給体制が整備されるようにやっていかなければならない、こう考えております。
  260. 松沢俊昭

    ○松沢委員 とにかく再生産が確保されていないという、その事実は認めておられるわけですね。この三年間は、米価が原因であるかどうかは別といたしましても、それは認められるわけですね。——私は、それを認められたことは結構なことでありますが、やはり米価もその一部をなしている、再生産確保ができないところの一要素にはなっているのじゃないか、こういうぐあいに実は考えているわけなんでありまして、そういう点、やはり食糧庁の方でも十分理解をしながら対処してもらわなければならぬじゃないか、こう思うわけなんであります。  それから、この試算米価で三百十五円、いまもお話がございましたが、一町歩以下の農家、これが四〇%余りもあるわけでありまして、そういうのは見捨てても差し支えないというところの考え方、私は、それは一体どういうことなんだという一つの疑問を持つわけなんであります。  それからもう一つは、百俵以下の販売農家を見ますと、これが八九・九%ですな。それから、要するにその農家が販売するところの数量というのは六一・一%、こういうことになるわけでありますから、したがって、これからの日本の稲作というものは、農林省のいままでの考え方からいたしますと、やはり中核農家だとかあるいは農地の流動化によって一定の農家に農地の集積をやって規模の拡大をやって、そして経営の安定を図っていく、コストの低減を図っていく、こういうお話でございますけれども、農林省はもうずっと前から、昭和三十六年ですね、農業基本法ができて以来そういうことが言われてまいりましたが、やはり依然として日本の農家の規模というのはそう拡大はされていないわけなんであります。  そういうような点を考えてみますと、日本の稲作農業というものは、いま私が指摘したような農家というものがやはり相当の責任を負ってやっているのだ、こういう考え方に頭の切りかえをやらなければならない時期に来ているのじゃないか。それをどうして一町歩以下を切り捨てろとか、小さいものは相手にしないような考え方算定をしていかれるのか、私は納得がいかないわけなんであります。だから、今回そういうふうに調査されたとしましても、やはり考え方を改めて、そういうのが日本の農家の実情なんだ、そういうのが米販売農家の実情なんだ、そうしてそういう農家が過半数以上を占めているのであるという考え方の上に立って米価なんかの算定をおやりにならなければ、これはだれのために米価を決めているのかわからぬということになるのじゃないですか。どうですか。
  261. 山田岸雄

    山田説明員 いま米価算定方式につきまして、対象農家をとる際に、一ヘクタール未満の層を対象農家から除外したことにつきましてるる御指摘がございました。  この点につきましては、私、けさほど御説明させていただきましたように、一ヘクタール未満の農家層におきましては、価格への反応が相対的に低いということのほか、規模拡大につきましても、一ヘクタール以上の層に比べまして意欲が非常に劣る、こういう実態もございますし、また家計費と農業所得、農外所得といったものとの関連を見ましても、農外所得でもって家計費が十分充足できる、こういった農家経済の内容等にもなっております。片や米の需給というものにつきましては、中長期的には過剰基調にありまして、いまなお三千億以上のお金を使いまして転作を行っておる、こういう実態もございますので、私たちといたしましては、このような米価をめぐる厳しい環境下におきましては、先ほど来御説明させていただきましたような試算1とか試算2、こういうふうなものが適切であろうという考え方のもとに算定させていただいているような次第でございます。  なお、安定的供給の確保といった面につきましては、国民の最も重要な食糧でありますお米でございますので、今後ともその供給は十分安定的に対応していかなければならない、こういう観点から私たちもるる分析等も行っておりますし、規模別の販売数量なり、また先生指摘のような農家戸数の分布なり、こういったものも十分見きわめながら今後とも価格政策は運用していかなければならない、こう思っておる次第でございます。
  262. 松沢俊昭

    ○松沢委員 算定方式の問題でありますけれども生産費及び所得補償方式だ、こういう説明であるわけでありますが、安井さんの方で資料要求をやられた、それがこの委員会で発表になりましたが、それによりますと、昭和四十二年の算定方式でいくと三万一千円ぐらいになるのじゃないか、それから五十二年でやっても二万二千円、五十六年の算定方式でやっても二万円以上ということになるわけなんであります。  ことしの六月二十八日、麦価の諮問がございましたね。私はあの諮問を見まして、麦価ほど簡単な、要するにちゃんと方式は決まっているわけですが、ああいう簡単なものですらああいうむずかしい方法でやっている。あれは七十四円ですか、パリティでいくと値段が上がるんだ。そこから要するに昨年の分三十四円引いた。それで今度は生産性向上部分というやつをあれしていくとこうなる。三分の一どうする。そうすると結局足りなくなるからまた足して、そして去年と同じ値段にするとか、ああいうような、法律というものがあるにもかかわらず、法律なんというのはまるっきり無視しても差し支えないというような、そういうやり方算定方式にしても生産費及び所得補償方式だ、こういうことを言っておられるわけなんでありまするが、それは毎年毎年同じことを言っていますけれども、毎年毎年違うのじゃないですか。  これでは全く農民も信頼をしないし、消費者の皆さんがいろいろと米価につきまして意見を出しておられるでしょう。何か自民党の政治家の皆さんが農民の票をつるためにいろいろな工作をやっているのじゃないかという悪評が出ているわけであります。出るわけなんでありまして、もっとやはり算定方式でもきちっと変えないでやっていけばそういう不信感というものは出てこないのじゃないかと私は思うのです。  そういう点で、問題は算定方式ではありませんで、私はこの前、食糧庁長官へこの場で資料要求をやりました。その資料要求はどういうことであったかというと、昭和四十二年産の米価算定方式というのは、われわれにとりましては不満ではありましたけれどもややまともな算定方式であったわけなんです。そうして、要するに昭和四十二年の算定方式で出たところの値段というのが一俵七千七百九十七円、それが昭和五十七年では何倍になっているかというと二・三倍になっている。これは食糧庁の方から出してもらったのですから。ところが、それでは三十人以上の規模の製造工場労働者の賃金は、昭和四十二年を基点にして五十七年は一体何倍になったかということを出してもらいましたら、五・九二倍になっているのだ。それから、農村物価指数、生産資材、これが二・四五三倍になった。消費者物価指数が三・〇四二倍になった。こういうぐあいに出ているわけなんです。さっき安井さんが要求されたところの資料にしましても、二万円以下にはならぬわけです。  いま私が食糧庁の方から出してもらいましたところの倍数を昭和四十二年の米価に掛けていきますと、労働者の賃金並みに米価が引き上がったとすると、昨年は一俵四万六千百五十八円にならなければ四十二年の農家の生活を維持していくわけにはいかぬ、こういうことになるわけでしょう。それから、消費者物価でいっても、昨年で二万三千七百十八円でなければならない。農村物価でいっても一万九千百二十六円でなければならない。実はこういうことになっているわけなんです。そういうような大所高所から判断した場合、いまのこの三百十五円の値上げというように仮に本年度の米価が決まるとするならば、これは不当に安いところの米価なんじゃないか、こう私は思うのであります。  ところが、土光行革推進審議会の会長あるいは会長代行の大槻文平さんなどは、米価諮問につきまして、きょうの新聞なんかを見ますとこういうことを言っておられるわけですね、値上げ幅が大きいと。これは、いま私が説明しましたように、過去のいきさつからいたしましても不当に安いのです。  きょう金子農林大臣は三番町の分室で農民団体といろいろお話し合いされましたけれども、そのときにおきましても、あなた、この米価農民が納得のできるところの米価だと思っていますか、こういう質問に対しまして、私はそう思っていない、私にとりましても不満な米価でございますと、農民団体の方へこういう答弁をしておられるのですよ。次長、これはあなた方が計算を入れて、そうしてこの米価決定するまでの間におきまして、大臣引き上げるべき状況である、こう言っているのに、食糧庁長官は引き上げるべき状況ではないんだ、まるっきり百八十度違った見解を公に発表しておられるわけなんです。だから、これは食糧庁の官僚が勝手にいじって安く決めた、そういう諮問米価ということになるのじゃないか、私はそう思うし、そんなようなことをやっているから土光さんのような素人が、大槻文平さんのような素人が上げ幅が大きいなんというクレームをつけるということになるのじゃないですか。  要するに、この土光会長の発言に対しまして食糧庁の方ではどういうふうにお考えになっているか。あるいはまた政務次官、たびごとに行政改革推進審議会の土光さんや大槻さんが米価につきましていろいろ文句をつけておりますが、農林省としてはどうお考えになっているのか。とんでもない話だという一言があってしかるべきじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
  263. 楢橋進

    ○楢橋説明員 臨調に対しましては、農林省としては従来から稲作をめぐる諸情勢につきまして御説明をするとともに、食管制度の運用、米価をめぐる事情についても農林省の考え方を説明し、理解を得るように努力をしてまいったところであります。臨調委員の方々のいろいろな御発言、お話につきましては新聞その他で報道されておりますけれども、個人的な立場の報道というふうに考えておりまして、こうした報道があるごとに当省としては逐一反論するといった性格のものではないというふうに理解しております。  なお、今後行革推進審議会に対しまして当省の考え方を説明する機会があれば十分対応してまいりたいと存じます。  以上でございます。
  264. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  米価算定におきますところの算定方式につきましていろいろ御指摘いただいたのでございますが、私どもといたしましては生産費所得補償方式という式に基づきましてできるだけ適切に算定する、その場合にありまして生産コストなりまたいろいろの経済事情、こういったものを的確に反映させて算定する、こういうような考え方でやってまいっております。  先生先ほど御指摘ございました、四十二年におきましてはまあまあの算定方式であったというふうに御評価していただきましたけれども、このときには相当生産刺激的な算定をしてまいっている、こういうふうに私見ているわけでございます。その後におきまして、特に過剰基調に入りました以降におきましては、生産刺激的な算定を行うということは過剰米の発生要因ともつながりますので、抑制していかなければならないということで対応しておりますので、いま先生がいろいろと指数を挙げられましたような結果になっておるのではなかろうか、こう考える次第でございます。  より信頼性といいますか、適当な算定方式があるかどうかにつきましていろいろ議論はなされるわけでございますが、いままでのところ生所方式以上の算定方式というのが見つからないような情勢でございまして、今後ともそうした方式については適切なものがあるかどうか検討はしていかなければならない、こう考えておる次第でございます。
  265. 松沢俊昭

    ○松沢委員 最後に、気象庁の方からおいでになっておられると思いますが、本当にもういまごろ東京は真夏で汗びっしょりという気候でなければならぬわけでありますけれども、ことしは若干寒いような気象状況が続いております。当初こういう気象は持ち直るのではないかというような見解も出されたのでありますが、最近、状況の変化というやつがまた出て来ているのではないか、こんなぐあいに実は考えております。  これは一体どうなるのか。私は作柄に非常に大きな影響が出てくると思いますので、予測ですか、要するにいままでの経過と気象の予測をひとつ教えていただきたい。  それからもう一つは、このよって来るところの原因は一体何なのだろうかということもそれなりに考え方を持っておられると思いますが、お聞かせを願いたい、こう思うわけなんです。
  266. 渡辺正雄

    ○渡辺説明員 それでは、先生の御質問に対してお答えいたします。  まず最初の第一点につきましてお答えいたします。  ことしの三月十日発表の暖候期天候予想のときから、ことしの暖候期の天候に対しては、春は順調な天候に推移する、しかし盛夏期は北冷西暑型の傾向であるというふうに見込んでおりました。しかし実況を見ますと、北日本を中心に六月からかなりの低温となりまして、予想以上に強くなったというふうに思っております。  問題は、今後どういうふうになるかという先生の御指摘でありまして、今後の見通しにつきまして次のように考えております。  梅雨は西日本では七月中旬後半に明け、また北日本では下旬に明ける。その後は西日本を中心に暑くなる見込みであると考えております。北日本方面の天候も現在回復に向かっており、ほぼ平年並みの天候に戻ると考えております。しかし、いままでの傾向を見ますと、この方面では今後も変動の大きい天候で、ときどき前線が南下して局地的な大雨が降ったり、また気温の低くなる時期があるのではないかと予想しております。そういうわけで、盛夏期全体としての北日本の気温を見ますと、平年並みないしやや低いのではないかと見込んでおります。  それからもう一点、二番目の御質問に対してお答えいたします。  六月から現在までの北日本から関東地方にかけての低温は、オホーツク海高気圧の勢力が例年に比べて異常に強く、それが南西に張り出して冷たい北東の風を吹き続けたためと考えております。この原因は、前例にないほど長続きしている太平洋東部の赤道海域の海面水温の異常上昇です。それはよく新聞などで報道されているエルニーニョ現象などが主因と考えております。それからそのほかにエルチチョン火山の噴火等もありますけれども、それも気象に影響を及ぼす要因の一つではないかと思われますが、現在のところはっきりと日本の天候に対する効果を特定できる状況にはございません。  大体以上でございます。
  267. 松沢俊昭

    ○松沢委員 これで終わりますけれども、こういう状況でありますが、技術会議の方では、ことしもまた平年作を割るのじゃないかと私は心配しておりますが、その点はどうですか。それだけお伺いして、終わります。
  268. 岸國平

    ○岸説明員 お答えいたします。  私どもも、いま本年の気象が大変厳しい状況であるということで、いろいろことしの状況についての調査もいたしておりますし、それからまたそれに基づきまして、ことしはもちろんでございますが、将来に向けて、こういう状況になりましても問題になりませんように耐冷性の品種を育成するというようなところに十分力を注いでまいりたい。これはいま現在もその方向でいろいろな研究を進めておりますけれども、そういったことで十分に対応してまいりたいというふうに考えております。(松沢委員「ことしはどうですか」と呼ぶ)ことしの状況でございますか。ことしの状況は、すでにいままでの御議論にもありましたと思いますが、東北のやませを受ける地域あるいは北海道などにおきましてはかなり生育がおくれているということで心配をいたしております。
  269. 山崎平八郎

    山崎委員長 前川旦君。
  270. 前川旦

    ○前川委員 ことしの生産者米価は実質決まりましたが、しかし農家の方はこれから一体どうなるのだろうか、選挙があればちょっと上げてくれる、選挙がなければ上げてもらえない、非常に不安な感じを持っております。そこで、これから一体政府生産者米価をどういう方向へ持っていこうとしているのか、この長期的な展望について若干お伺いをしたいと思います。  つきましては、臨調の基本答申の中に農業に関する考え方がいろいろ述べられております。これを素直に読むと、私は大変なことになる、つまり日本農業の崩壊につながるというふうに判断をするわけです。そして農家の方々も非常に心配しておりますので、臨調の答申に沿ってこれからどう考えておられるか、お尋ねしたいと思います。  まず最初に、この第三次答申、基本答申の中の「行政施策に関する改革方策」の「1農業」その「基本的考え方」、この中に「今後は、米の需給均衡を図る等、国際化の進展の下で需要に即した」云々とありますが、この「国際化の進展の下で」ということはどういうふうに解釈しておられるのか。これから国際化というのは、一つは国際分業論をここからふっと思いますし、あるいは素直に読めば自由化の進展のもとで、つまり自由化を前提としてこれからの米の問題を考えるというふうにしか読めませんが、どういうふうにお考えですか。
  271. 角道謙一

    角道説明員 お答え申し上げます。  臨時行政調査会の基本答申の内容につきまして、私どもこの意味につきましては正確に臨時行政調査会から伺っておるわけではございませんけれども、ここにあります「国際化の進展」といいますのは、一般に経済が各国の社会経済事情等の進展に伴いまして相互依存関係が非常に強くなっている。そういう意味で、国際化の進展といいますのは、各国の経済がそれぞれ国際的に依存関係が非常に強まっている、貿易関係も非常に多角化しているというようなことが一つ前提にあろうかと思いますし、またその背景といたしましては、何も農業に限りませれけれども一般的に特に農業につきましては、外国から市場開放の要請があるということも一つの意識にあったのではないかというように私ども推測しております。
  272. 前川旦

    ○前川委員 こんな大事なことを、なぜあなたは十分臨調の意見を聞いてないなどと言うのか、非常に私は憤慨をいたします。この臨調の基本答申では「国際化の進展の下で」、これが前提になって日本の農業をずっとこれから述べられているんですよ。そうすると、これは一体どういう意味なんだとなぜ聞かないのですか。もう一遍言いますよ。この「国際化の進展の下で」ということは、国際分業論を認めるのか。ノーならノーと言ってください。私はこれは反対なんですから。  それから、これは米についても自由化が前提なんだということをこの文章から察しられますが、その点についてはどうお考えですか。はっきりおっしゃってください。
  273. 角道謙一

    角道説明員 私ども、この臨調の答申が出る過程におきまして、私どもの立場というものは十分に御説明申し上げております。この「国際化の進展の下」といいます意味は、大体そういう方向で考えられたものというふうに推測はいたしておりますが、私ども、何も米につきましては、国民の基本的な食糧でございますし、他の部分でございましたが、食糧の確保、国民生活の安定ということは基本答申の前の方にも書かれておりますので、米について将来自由化である、そういうことはおよそ臨調自体においても考えていないというふうに考えております。
  274. 前川旦

    ○前川委員 あなたは考えてないとおっしゃるけれども、それじゃその次の文章、これはどういう意味ですか。  「内外価格差を縮小し」、この内外価格差というのは、国際価格と日本の米の生産価格との価格差を縮小するということが書いてあるでしょう。縮小するということは、相手の価格を上げると言ったって上げることはできないわけでしょう、米の国際価格は。ということは、こっちを上げる以外に縮小するということにならないじゃありませんか。この点についてどう考えていらっしゃるか。これは政務次官どうですか。大変大きな問題なんですが、いかがですか。
  275. 角道謙一

    角道説明員 お答え申し上げます。  内外価格差の縮小といいますのは、現在日本の農産物価格を見ましても、国内でのたとえば米その他の政府買い入れ価格あるいは酪農乳製品等につきまして、主要価格につきまして私ども価格政策で支持をいたしております。こういうものと、世界市場で流通しております穀物あるいは乳製品その他につきましては、相当の価格差があることは事実でございます。私どもといたしましては、国内にはやはり消費者が外国から安いものを買いたいというような志向もございますし、今後とも生産性を高めていくという方向によりまして今後の内外価格差をできるだけやはり縮小していくということは、一つの方向としては必要だと考えております。  ただ、何も私ども価格だけを下げるということではございませんで、現にEC等におきましては、最近EC農産物の市場価格は相当高くもなってきておりますし、一般的な価格比といたしましては、現在、内外価格差は若干縮小の方向にあることも事実でございます。  私ども、農政審議会におきましても、今後の農産物価格政策のあり方につきまして長い討論がございましたが、アメリカあるいはオーストラリアのように土地条件におきまして非常に優位にある国は別といたしまして、相当程度規模あるいは土地条件等の類似している欧州諸国等につきましては、将来わが国の農産物の価格が近づく一つの目標として考えてはどうかという提言もございまして、私どもといたしましては、こういう内外価格差の縮小というのは長期的な問題でございますが、やはり欧州、EC水準並みを一つの目標として今後努力したいというように考えているわけでございます。臨調の基本答申も、恐らくそのようなことを頭に置いた答申であろうというように私ども考えております。
  276. 前川旦

    ○前川委員 私は農家の素朴な気持ちを聞いているのですから、どうか素朴な答弁をしてもらいたい。  いま内外の価格差が大変あるのは、これは事実ですね。日本の米とアメリカの米、それからタイの価格支持の価格に比べたら六倍、その内外の価格差を縮小するという方向にこれから米に対する方針を持っていくのであれば、向こうを上げろと言うわけにいかぬのですから、こちらを下げるということしか答えが出てこないでしょう。素朴にみんな疑問に思っている。そういう方向に行くのですか。  なるほど、いま生産者米価一・七五。だけれども、これから先、前提としてはこの臨調の答申を尊重していくのでしょう。尊重するのであれば、生産者米価を下げていかなければ尊重できないでしょう。それなら、できないならすぱっと否定してほしいのです、こういうことでできませんと。はっきり言ってくれたら農家は安心するのですよ。いかがですか。
  277. 角道謙一

    角道説明員 お答え申し上げますが、特に米をいま前提にしてのお話かと思いますが、私ども、あるいは臨調の答申におきまして取り上げている問題は農産物価格水準一般の話でございまして、それも一朝一夕にそういう方向を私どもとしても志向しているわけではございませんで、将来の長期的な方向としてそういう方向はやはり頭にあります。  ただし、これは、別に米あるいは輸入乳製品とか特定のものを意識したものではございません。毎年の米価につきましては、その年その年の作柄あるいは需給事情、経済事情、財政事情その他を勘案しながら決めていく、そういうたてまえのもとに考えております。
  278. 前川旦

    ○前川委員 この基本答申の文章の前段には「土地利用型農業」というのがかぶさっているのですよ。「特に土地利用型農業の生産性は国際水準より相当低く」と、これが文章の前にかかっているのですよ。私はいま乳製品のことなんか聞いていないのです。土地利用型農業のことを聞いているのであって、いま米の話を聞いている。その前には「米の需給均衡を図る」と、米を対象にして「内外価格差を縮小し」、それからその次には「産業として自立し得る農業を確立することが重要である。」とあります。「産業として自立し得る農業」というのはどういうことが考えられるのですか。一切補助とか助成とかをやめて裸で国際化のあらしの中にほうり出して、その中で自分で立ち上がってこい、こういう意味ですか。どうなんですか、これは。
  279. 角道謙一

    角道説明員 臨調の答申の考え方としては、農業も国民経済の一つの分野としてやはりそれなりに自立していく産業、そういうものとして農業が成り立っていくのが望ましいであろうということが恐らく答申の背景にあったかと思います。  無論、農業そのものが将来自立していくものであればそれは非常に望ましいことでございますけれども、日本の置かれております土地条件あるいは気象条件、こういう面から見まして、日本の農業が独立採算といいますか、自立できるような状態にはないと私ども考えております。  ただ、将来の方向といたしまして、産業として自立し得るようなものになるということは望ましい方向でございますし、これが五年、十年かかりますか、二十年かかりますか、あるいは非常に長期の目標としては私どもとしては理解はできますけれども、現段階で農業がたとえば補助金であるとかいろいろな行政の援助等がなくして直ちに自立し得る、そういうものとして私ども考えておりません。
  280. 前川旦

    ○前川委員 それなら、これは将来の、何というのかな、理想というか、一種のお題目であって、とてもじゃないが、こんなことはできない、いまの段階ではとても考えられない、そういうことで言ってくれればそれはいいんですよ。とてもじゃない、日本の農業はこんなことを言ったってできるものか、これはなるほど一つのお題目としてならわからぬことはないけれども、日本の農政としてはこんなことはできるはずはないときっぱりおっしゃっていただくなら、それはそれでいいですよ。これはいかがですか。言いにくいかもしらぬけれども農家は安心しますよ。
  281. 角道謙一

    角道説明員 先ほどお答えいたしましたように、私ども、日本農業は直ちに産業として自立し得るようなものではあり得ないというふうに考えております。将来の長い農業の展望といたしまして、そういう方向は私どもは必ずしも否定はしないということでございます。
  282. 前川旦

    ○前川委員 将来の展望として必ずしも否定はしない、だけれども現実にはできないというふうに聞きましたが、それならそれで、それがはっきりするのなら私はいいです。これは立場が反対なんですから。  それではまた農林水産省の考えを引き続いて伺いますが、「水田利用再編対策」、引き続いてその後の文章で「転作の定着化、需給を反映した米価の設定、転作作物の生産性の向上等により、転作奨励金依存からの早期脱却を図る。」これは一体どういう意味で理解しておいでになるのか。これはこのとおりおやりになるのか。「早期」と書いてありますが、早期というのはどの程度のことと解釈していらっしゃるのか。「転作奨励金依存からの早期脱却」、これはどういうふうにお考えですか。
  283. 小島和義

    ○小島説明員 転作奨励金に依存しない農業をつくり上げるということが、水田利用再編対策を始めましたとき以来の農林水産省としても一つの願望でございますし、また、農政審議会の答申などにおきましても同様の趣旨が述べられておるわけでございます。したがいまして、いま官房長からお答え申し上げましたように、私どもも長期のビジョンといたしましては、そういうものを目指して努力をする、こういうつもりでございますが、たびたび申し上げておりますように、長年灌漑農業を特質としてやってまいりましたわが国の農業におきまして、水田に畑作物を定着さしていくということは、これは並み並みならぬことでございます。したがいまして、「早期」という表現をとっておりますが、具体的にいつまでというふうな表現になっていないのは、そういう大変意味深長な表現であろうというふうに受けとめております。
  284. 前川旦

    ○前川委員 これは素直に読むとこういうことなんでしょう。要するに、米に引き合うものであればこれは自然に転作できますわね。米に引き合う収益性、これは農林水産省から今度の米審に出された資料ですが、米を一〇〇%とすると、十アール当たりの所得で相対収益性が小麦が四七・三、大豆が二七・一。米と同じ所得が確保できるのであれば自然に転作ができますね。ですけれども、米ほど収益が上がらないから補助しなければやっていけないわけでしょう。  ですけれども、これを素直に読むなら、要するに米の生産価格を低くして、低くすれば転作作物との収益性が改善されるから、それによって「転作奨励金依存からの早期脱却を図る。」こういうふうに読めるのですが、それは違うのですか。否定されるのだったら否定していただくとありがたいのです。
  285. 小島和義

    ○小島説明員 私どもは、米価引き下げというふうなことまで臨調答申が言っているとは実は思わないのでございますけれども、さればといいまして、ただいまのように三千四百億も金を使いまして転作を進めておりますさなかにどんどん米価水準を高くしていく、相対収益性を逆に転作作物に不利に働かしていくというのも、転作の定着化という観点から見ればいかがなものであろうか、かように考えております。  答申そのものは、お読みになりましたとおり「需給を反映した米価の設定」ということだけしか言っておらぬわけでございますから、このことが直ちに水準自体について云々しているというふうには受けとめておらぬわけでございます。
  286. 前川旦

    ○前川委員 私は、どうもなかなか理解できないのですよ。  たとえば、その次に「食糧管理の今後の在り方」という中で「生産者米価については、米需給の構造的不均衡にかんがみ生産抑制的に定める。」と書いてありますね。「生産抑制的」、これはどういう意味でしょうか。  これは三つあると思います。たとえば生産刺激的という言葉がありますね。それから刺激も抑制もしないというのがありますね。もう一つ生産を抑制する。これは素直に読んだら、要するに米をつくる意欲をなくするという意味でしょう。つまり、素直に読むと、コスト割れになるような低いところで抑えていく、意欲を失って米をつくるのをやめさすというのが臨調の方針なのでしょう。これを心配しているのです。これはどうお考えですか。
  287. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  「生産抑制的」という言葉につきましては、先ほど先生指摘生産刺激的という言葉の逆ではなかろうかとも考えられるわけでございますが、これは程度の問題でございまして、生産コスト等についてみますと、それぞれ規模その他によりまして個々の農家は相当違うわけでございまして、全農家生産コストが全部カバーされるような、引き合うようなことでございますれば、それは生産刺激的な方向に行くのではなかろうか、こう思うわけでございますが、価格政策によって生産をどんどん推し進める、こういうふうなことでないようにしなさいというふうに私は理解しているわけでございます。  といいますのは、ここにも書いてありますように、過剰基調というふうに私たち申しておるのでございますが、転作等を実施しておる段階でございますので、先ほど農蚕園芸局長の方からも御説明のございましたように、少なくとも生産を刺激しないような方向でやれというふうに理解しております。
  288. 前川旦

    ○前川委員 私がさっき言いましたのは、生産を刺激する、抑制する、その真ん中に刺激も抑制もしないとありますね。いまあなたが答弁されたのは刺激も抑制もしないというところに言われたのであって、文字どおり素直に読んだら生産抑制的に定めるということだ。  今度新聞で読むと、財政当局生産者米価を下げると主張したということが出ていますね。実際私は直接聞いたのじゃない、新聞での記事ですよ。これを根拠にして生産者米価を下げなさいという財政当局の圧力があったのじゃないですか。これが基本になっているのじゃないのですか。どうお考えですか。
  289. 山田岸雄

    山田説明員 財政当局の方といたしましては、いま先生指摘のような臨調の答申ということもございますし、また、現在の財政事情が非常に窮迫しておる、こういう実態もございまして、御意見としてはそういう御意見の出ているところでございますが、私たちといたしましては、やはり米価につきましては食管法の規定に基づきまして適正に決めていかなければならない、こういう配慮のもとに算定等をやっておるわけでございます。
  290. 前川旦

    ○前川委員 お答えがよくわからないのです。私の質問はごく素朴な質問をしているのですから、素朴に答えていただきたいのです。  この答申の基本方針の文章は、米をつくっている農家にとっては非常に頭に来る文章なんですね。要するにもう米をつくっても魅力がないんだ、つまりコストが割れて、つくればつくるほど損をするんだ、こういうふうにこれから決められるのじゃないだろうか。そういう方向に日本の農政を持っていこうとしておるのが土光臨調ではないか。それに日本の農水省は一体追随するのか、抵抗するのか、どちらの側に立つのだということを素朴に聞きたいのですよ。そこのところなんですから、もうちょっと突っ込んだ答えがいただきたいのです。
  291. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  私たちの米価算定におきましては、できるだけ今後とも米の生産ということを担っていこうという意欲のある農家につきましては、採算がとれて今後とも経営が拡大できるような方向を重視して価格算定しているわけでございます。したがいまして、全農家、お米をつくっていればだれでも引き合うというふうなところまでは価格水準を設定できないのではなかろうか、こう考えられます。
  292. 前川旦

    ○前川委員 それは午前中から説明の中にありましたが、去年もことしも一ヘクタールの米作農家、これは一ヘクタールから多い少ないで非常に分かれますね。非常にこれは違いがありますね。その一ヘクタール以上つくる農家を対象にしてこれからも決めていくというふうに考えていらっしゃるのか。それとも、その次に出てきます「今後稲作中核農家を基準とする方向で」、この「稲作中核農家」というのは一体どういう意味なのか。  たとえば「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」という農政審議会の資料を見てみると、中核農家として二・五ヘクタールとか、あるいは参考資料を見てみますと、北海道を除いて平均して稲作は二・〇ヘクタールとか、こういう数字が出てきますが、ここで言う、あなたの言われる一定の水準を引いての稲作中核農家、これは一ヘクタールで今後もずっといくのか、それとも二ヘクタールあるいは二・五ヘクタールというこの農政審議会の文章の中に出てくる数字でいくのか。これはうんと変わりますが、どうお考えですか。
  293. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  今回私たちが米価審議会諮問いたしました算定米価の中で、一ヘクタールの経営規模を境といたしまして、それ以上の階層の生産費を対象として算定を行っておるわけでございますが、現下の需給事情なり、また財政事情なりから見ますと、一ヘクタール以上の農家生産費を対象として算定することが最も適正である、こう考えておるわけでございまして、この点につきましては、臨調指摘しております稲作中核農家、これとは直接関連はございません。  といいますのは、この稲作中核農家という概念も、規模が幾らというふうなこともはっきり決まってはおりませんし、相手方のおっしゃっていることは、今後稲作を積極的に進める担い手になるような農家、こういうふうなより抽象的な概念でございましょうし、それが規模がどの程度か、また、その農業者の中にどういう年齢層のどの程度の働き手がおられるのを中核農家と言うか、この辺はまだ定かでないものだ、こういうふうに理解しております。
  294. 前川旦

    ○前川委員 なるほど。そうすると、これは余り詰めると向こうから二ヘクタールだとか二・五ヘクタールだとかというふうに返事が返ってきては困るから、詰めずにぼやかしておく、それも一つの手だと思いますよ。ですから、ここで言っている稲作中核農家というものは、そんなに詰めて考えないで漠然と受けとめておる、こういうことでいいですか。
  295. 山田岸雄

    山田説明員 規模等については規定はない、こういうふうに私たち受けとめております。
  296. 前川旦

    ○前川委員 ここを二ヘクタールとか二・五ヘクタールとかいうようなことで言われると、これまた非常に生産者米価を押し下げる方向になってしまいますので、これはいまのままでいっていただきたいと思います。  それから、けさも問題になっておりました「売買逆ざやは早期に解消する。」という文章がありますが、これは一体どういうふうに考えていらっしゃるのか。早期というのはいつごろのことを言っているのか。これはこのとおりいくのかどうか。本当にこのとおりやるのかどうか。  それと、けさずっと問題になっておりました、ことしも消費者米価を上げざるを得ない。大臣は自分の任期中は上げたくないとおっしゃったけれども、これからの方向としてどういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  297. 楢橋進

    ○楢橋説明員 政府米の売買逆ざやについて早期に解消する、これについてどう考えるかということでございますけれども売買逆ざやに関しましては、昭和五十年度二七・六%から五十七年度には五・四%まで縮小してきておるわけでありますけれども財政負担の要因となるばかりでなくて、物の価格のあり方としても不自然な姿ではあると言えると思います。食管制度の健全な運営の見地から、その解消に努める必要があるとは考えております。  この場合に、逆ざやの解消の進め方によっては食管運営のあり方に相当影響を及ぼすと考えられますので、今後の具体的な取り扱いにつきましては、臨調答申の趣旨を踏まえつつ、生産流通、消費等の各般の面に及ぼす影響、また財政事情等を十分に配慮してから判断していく必要があるだろう、かように考えております。
  298. 前川旦

    ○前川委員 次官、私はこれはとても大変なことだと思いますよ。いまさら言う必要もありませんが、食管法で消費者米価生産者米価を決めるのは別の判断で決めるわけでしょう。ですから、逆ざやはあろうがなかろうが、それは正しい判断で決めれば幾ら逆ざやが起こったって構わぬのであって、逆ざやがあるのは好ましくないというのは食管法の精神を逸脱をしていると言わざるを得ませんね。  それと、逆ざやを解消するためには、生産者米価を上げたらスライドして消費者米価を上げなければ逆ざや解消にならないでしょう。ですから、かつて大騒ぎしたことがありましたね。スライド制がどうのこうのと何年か前にありましたね。結局、生産者米価を上げれば連動して消費者米価をすぐスライドして上げる。それ以外には逆ざや解消の方法はないわけですよ。従来どおりの食管法でいくならば、逆ざやがあって当然なんです。逆ざやがおもしろくない、正しくないという発想法、これはいままでとがらっと違う、百八十度違う、食管法と違う発想法じゃありませんか。いかがです。
  299. 山田岸雄

    山田説明員 お答え申し上げます。  食管法の規定によりますれば、生産者米価消費者米価は別々の規定になっておりまして、一方は米穀の再生産の確保を旨とする、また一方は消費者の家計を安定せしめることを旨とする、こういう規定にも相なっておりますので、買い入れ価格引き上げれば直ちに連動いたしまして売り渡し価格もスライドして、こういうことには相なっていないのは先生の御指摘のとおりでございます。  ただ、この逆ざやにつきましては、食管制度を健全に運営していく、こういった立場からも、やはり物の値段でございますので、売りと買いが逆転しておるというふうなことは不自然でもございますし、現在の財政事情等から見ましても、できるだけ解消していきたい、いかなければならない、こういうふうには考えておるわけでございます。  ただ、それを自動的に、一方が上がれば一方も上げてというふうにはできないといいますのは、それぞれの事情がございますから、事情といいますのは経済事情なりでございますが、そうした事情等も踏まえまして、それぞれの価格関係方面に悪影響のないようにやっていかなければならない、こう考えております。
  300. 前川旦

    ○前川委員 いろいろおっしゃいますけれども、よく胸にすとんと落ちるようなふうには感じませんね。これは、このとおり皆さん責められているのでしょう。今度の生産者米価を上げる原資だって、結局消費者米価を上げなきゃやれないのですから、「売買逆ざやは早期に解消する。」という、これをてこにして、消費者米価を上げなさいと言ってあなた方迫られるはずですよ。ですから、これは明らかに食管法に対する反逆ですよ。やはりこんな答申は農林省としてはのめないというふうにはっきりしてもらった方が、臨調の答申は何もかもへいへい言ってのまなければいかぬ理由はないのですから、総論賛成各論反対でもいいのですから、ここは、これはだめですよと言っていいところじゃないのでしょうか。いかがですか。いまのお答えではどうも胸に落ちませんよ。
  301. 山田岸雄

    山田説明員 臨調のいろいろの答申につきまして、私たちも最大限に尊重するというふうに意思表示もしておりますし、個々の問題につきましても、できるだけ実行可能なところからやっていこうというふうに申し上げているわけでございまして、いまの売買逆ざやの解消につきましても、極力解消するということは否定できないのではなかろうかと思うわけでございます。しかしながら、それをやっていく場合に、何が何でも無理やりにというわけにはいきませんというのが私たちの考えでございます。
  302. 前川旦

    ○前川委員 うまく議論がかみ合わなくて残念ですが、時間がもうほとんどありませんので……。  それじゃ、自主流通米の「量的拡大を図る。」とありますが、これは無制限に、無限に拡大していくというお考えなんですか。それとも五割なら五割、四割なら四割程度にとどめるというふうな一つの目標があるのか。あるいは県によれば九割までが自主流通米、九割以上というような県がありますが、全体としてどういうふうに考えていらっしゃいますか。五〇%なら五〇%くらいのところにとどめておくという、何かそういうラインを考えていらっしゃるのですか、どうですか。
  303. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  臨調の答申におきましては、できるだけ拡大するようにというようなことがここでは言われておりますが、逆に助成の方は削減しろということで、削減と拡大と相矛盾するようなことになっておるわけでございます。  いまのお尋ねの、無制限に無秩序に拡大するのか、また一定の数字があるのか、比率があるのかという点でございますが、この点につきましては、私たちは、その自主流通米流通というふうなものはときどきの需給事情によって相当変化するというふうに見ておりますし、何%まではいいが何%以上は絶対だめだ、こういうふうに一義的には規定し得ないものだろう、こう思うわけでございます。  しかしながら、いま先生のおっしゃるように無秩序に拡大されますと、政府の市場の操作力といいますか、規制力というようなものを欠くことになっても困りますので、今後、自主流通米流通実態なり良質米その他の供給状況なり需要の動向なり、こういうようなものを見きわめながら政府米と一体的に管理していこう、こういう考え方のもとに、改正食管法におきましては、基本計画なり供給計画をがっちりつくって管理に遺憾なきを期せ、こういうことになっております。
  304. 前川旦

    ○前川委員 何%ぐらいまでは認めて、それ以上は認めないというふうな一つのラインは引かないのですか、どうなんですか。
  305. 山田岸雄

    山田説明員 いまのラインを引くかどうかということでございますが、何%ならいいよというラインはちょっと引きかねると思うのでございます。九十幾らとおっしゃいましたのは、供給サイドの、生産地におきますところの自主流通米の比率が九十何%というふうなことはございますが、全平均としましては、現在は主食用にありまして四〇%程度の比率になっております。
  306. 前川旦

    ○前川委員 時間がなくなりました。  「現行の全量管理方式の見直しを行う。」というのがありますね。これはもう食管法をやめるという意味に受け取れますね、単純に考えたら。これはいかがですか。これについてどうお考えですか。
  307. 山田岸雄

    山田説明員 全量管理制度を見直せという点については、全量管理制度でなくて部分管理等になりますと、市場における物の流通の規制ができるかどうか、食管法の趣旨が十分生かされないのじゃなかろうか、こうも私たち考えますし、現在は、食管法を改正していただきまして、新たなる流通秩序を維持確保するために運用もしておりますし、この改正食管法で十分対応し得る、こう考えておるわけでございまして、現在は見直しをしてどうこうする考えはございません。
  308. 前川旦

    ○前川委員 それじゃ、この答申では「現行の全量管理方式の見直しを行う。」と言い切っておりますが、そんなことはしない、考えもしないし、そういうことはやりません、こういうことですね。
  309. 山田岸雄

    山田説明員 この問題につきましては、前段に、いろいろと生産事情なり消費の事情等が変化する、そういうふうなことを前提にして、中長期的には見直せ、こういうふうな提言になっておるわけでございますが、現在は、先ほど申し上げましたように、改正食管法で十分対応し得る、こういう考えのもとに私たちはやっております。
  310. 前川旦

    ○前川委員 次長、微妙な物の言い回しですが、要するに、こんなことはやらないというふうに理解してよろしゅうございますね。  それじゃ、最後にもう一つ、今度は最終答申、第五次答申の中に「学校給食米穀売却値引及び学校給食用牛乳供給事業費交付金」ですか、要するに「米穀、牛乳及び果汁に係る助成については、食料政策上の配慮をしつつ縮減する。」というのがありますね。これは米穀についてはかなり予算を組んで、二百億ぐらい組んでいるのじゃなかったでしょうか。それから牛乳や果汁についてもかなり予算を組んでおると思いますが、これを縮減せよ、こうなっておるのですが、これはどう考えられますか。こういうことをしてもらいたくない。いかがでしょうか。
  311. 山田岸雄

    山田説明員 私たちの方で所管しておりますお米につきましても、学校給食の方で米飯導入ということで文部省の方の御協力もいただきまして、漸次普及しておるような次第でございます。現在はなお普及の過程にございまして、一週間に一・八回程度全国平均になっておろうかと思うのでございますが、六十年には週二・五回ぐらいの給食回数にしたい。なおその後におきましても、六十年代のできるだけ早い時期におきまして週三回まで米飯給食を普及させたい、こういう目標を持って実施しておりますし、やはり必要な助成というふうなものにつきましては今後とも行っていかなければならないだろう、こう考えております。  いま御照会の値引き率等につきましては、全体としましては六〇%の値引き率でございまして、特定の学校で初年度だけ、米飯給食をする初年度は七〇%値引き、こういう高額な値引きで現在対応しておりまして、財政負担は約二百十億円でございます。  週当たりの平均実施回数は、一・八回じゃなくて一・七回でございます。
  312. 前川旦

    ○前川委員 いま実情の説明はいただきましたけれども、縮減する、こう臨調で言われていますが、これはやらない、縮減するなんということはやめて、臨調はこんなことを言っているけれどもそれは知らぬ人が言っているのであって、これは従来どおりやる、こういうことでどうですか。
  313. 山田岸雄

    山田説明員 私たちの立場としては、必要な助成は今後も続けます。  なお、全然改善その他をやりませんとは申せませんので、改善すべき点がございますれば改善することにはやぶさかではございませんけれども、必要な助成は今後とも続けていくという立場で臨みたいと思います。
  314. 前川旦

    ○前川委員 時間が来ましたから終わりますが、臨調の基本答申のとおりにやったらもう日本の農業は大変なことになると思います。非常な危機感を持ちます。しかも、臨調の方針どおりどんどん進められているということに非常に危機感を持ちます。たてまえはいろいろあるでしょうけれども、各論のところでは骨抜きにしたり抵抗したり、当面はできないと言って突っぱねたり、いろいろやり方があると思いますから、このとおりやられないようにがんばってもらいたいということを最後に申し上げて、おしまいにします。
  315. 山崎平八郎

    山崎委員長 田中恒利君。
  316. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 米価の問題を中心にいろいろたくさんな意見が出てまいっておりますので、重複を避けて二、三御質問をしてみたいと思いますが、一番気にかかりましたことは、米価を通して農業政策というものをどういうふうに位置づけていくかということにつけてであります。  先ほど稲富委員の方から、米価問題は日本の食糧、農業問題という視点で取り扱うべきである、こういう御意見があって、大臣もそのとおりだ、こういうふうに非常にはっきり明言をされたわけでありますが、今日のわが国の農家の経済の実態というものがどういうふうになっておるのか。  先ほど来統計情報部の農家経済調査の速報をいただいたわけでありますが、これを見ますと、農家所得は四百八十七万円、これはプラス四・八%。この内訳は、農業所得が九十四万三千円、これはマイナス一・一%である。この内訳は、粗収益は二・一%上がっておりますが、経営費、つまり投入資材の費用が四・一%も上がっておるということからマイナス一・一%になっております。農外所得が三百九十二万六千円。恐らく農業所得と農外所得の割合は一五、六%になるんじゃないかと思うのですが、家計費が四百二十一万四千円、四・一%上がっておる。この一年間に農外収入、農家所得、家計費いずれも上がっておりますが、農業所得だけはマイナス一・一%になっておる。この現実、この事実がことしの米価決定をめぐる基礎的な最大の前提だと私は思うのです。この現状を米価政策の中でどういうふうに直していくか、どういうふうに持っていくかということだと思うのです。  ところが、先ほど来いろいろ御意見を聞いておりますと、一ヘクタール未満の層は相手にしないとか、そういう層は家計費を農業所得なり米作収入に依存をしてないとか、こういうような非常なあっさりした意見が出ておるのでありますが、これは、特に私どもの県は平均が一ヘクタール未満であります。そして県内で米の需給をやっております。ほとんどの農家は農林省のことしの米価の対象から外されていく、こういうことになるのでありまして、非常にかちんとくるわけであります。かちんともきますが、そういうつもりで米価を中心いとしたわが国の価格政策というものを考えていくということが前提になっておるのかどうか。  この点をまず第一に、これは大臣がおりませんから政務次官の方からお答えをしていただきたいと思う。つまり、価格政策を今日の農業事情の中でどういう位置づけでお考えになろうとしておるのか。米価というのは価格政策の中心であります。そういう意味で、私は、まず価格政策の位置づけ、この点について農林省の責任者はどういうふうにお考えになっておるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  317. 楢橋進

    ○楢橋説明員 おっしゃるとおりでございまして、生産性政策と所得政策というものをミックスしまして向上させていかなきゃならない、かように考えております。
  318. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 それで、ことしの米価の際にも自民党の幹事長さんなんかしばしば言われておるのだが、農林水産省も前々から言っておるが、わが国の農業政策をいわゆる構造政策——去年たしか自民党政府との六項目協定というのがあって、いわゆる価格政策よりも構造政策を中心にやっていくのだ、こういう方向が話し合われたということも聞いておるわけであります。その以前から基本法農政自体がそうでありますが、構造政策でもって処理をしていくということで、ある意味では農業基本法制定以来相当長い間それなりに種をまこうとしたと私は思うのです。しかし、現実になかなかまだ実り切っていないというのが現状であります。  ところが、価格政策というのは、やはり一つ一つ米価の、後で若干議論をしてみたいと思いますが、内容を詰めていくともうぐっと後退をしてきたわけですね。特に四、五年というのはほとんど実質据え置き、こういう状態で来たわけです。これがじりじり農家経済を押し下げてきておるわけですよ。こういう状態になっておるだけに、ことしの米価に対する関係者の危機感というものも高まってきたのだと思うのです。そういう意味では、構造政策価格政策をミックスしていくということなんだが、私は構造政策というのは相当な期間が必要だと思うのです。十年とか五年とか七年とか、それがないとなかなか実らぬ。始めてからいままでやってきたけれども、まだ試行錯誤で抜け切れない、こういう状況にあるのです。  価格政策は、これは御承知のように単発ですぐ効果があらわれます。だから価格政策をあえて中心的にやれなんて私は言いませんけれども、やはりこういう農家経済の実態からすれば価格政策を相当重視して、そして農家の経済に潤いを持たせて経済余剰というものを生み出して、それをばねにしていわゆる構造政策へ転換させる地力を農業経営の中につくらないと日本農業の新しい展開はできないのですよ。いまヨーロッパの農政というのは、そういう意味で価格政策というのを重視しておるわけでしょう。日本の農政というのはそこのところを、価格政策はもうだめなんだ、これでやったってそのときだけなんだ、財政負担が多くなるだけだ、これでぐっと後退してきたのだと思うのです。  そこをやはり根本的にいま一度——この状態、このままいきましたら農業はつぶれてしまいますよ。米だけではありませんよ、何もかにもだめになってしまうのですよ。だから、価格政策というものを一定のばねにしていく政策を基本に置いてもらわないと毎年毎年同じようなことになっていく、私はそういうふうに考えておるわけでありますが、この点についても次官の方から御意見をお聞きしておきたいと思うのです。
  319. 角道謙一

    角道説明員 お答え申し上げます。  ただいまの田中先生の御意見、非常に私ども傾聴するところがあるわけでございます。  確かに私ども基本法以来構造改善政策というものを基盤にいたしまして、日本農業がより生産性の高いものになるように努力をしてきたわけでございますが、私ども、当時から考えまして一番想定と違いましたのは、土地価格上昇でございます。これによりまして、当時想定しておりました農地の利用権の移動というのがほとんど行われないというところで規模拡大が進まなかった、構造改善の一番の基本がそうなったところに非常に大きな問題があるわけでございまして、これは確かに日本経済そのものの問題だとも考えております。  将来の方向といたしまして、この構造改善政策を伸ばしていく、基本にしていくということにつきましては、田中先生も御指摘のとおりでございますし、またこれが長期間かかる、一朝一夕にして効果を上げるものでもないということも事実でございます。  私どもといたしまして、この間価格政策というものも併用する必要があるということも十分認識をいたしておりますが、ただ、価格政策をとります場合、今後の問題として考えていかなければならぬのは、日本の経済が低成長、安定成長の時代に入ってきている。特に食生活を見ました場合、食料消費につきましても、大体いま一人一日二千五百カロリーというようにほぼ横ばいになっていく、今後の食料消費が余り大きく伸びないというように私ども想定をしておるわけでございます。そういう中におきまして、農産物から得られる所得がどのようになっていくかということも非常に大きなものでございますから、これにつきましては、高級品あるいは加工程度の高いもの、畜産物というふうに高価格のものにいかない限り、農家の方々の所得はふえない。また、逆に生産費を下げない限りはなかなか所得増大という方向にはつながらないという大きな問題があろうかと考えております。  しかしながら、先ほども申し上げましたように、また先生も御指摘のように、構造改善政策を進めていく、その効果を上げるということにつきましては、長期間かかることも事実でございます。その間価格政策を使っていくということは非常に必要でございますけれども、この価格政策の対象農産物の中には、米もそうでございますが、あるいは牛乳、乳製品、柑橘もそうでございますが、一般的に、現在の生産構造等から見まして需要よりも供給力の方が若干オーバーをしている。こういう状態のままで放置しておきます場合、あるいは所得政策、価格政策を使ってまいります場合には、先ほど来いろいろ御議論もございましたが、生産を刺激的にする。かえって過剰生産を招く素因になってくる。そういうことではますます農業そのものを崩壊に導く結果になりますので、価格政策につきましては、短期的に見ました場合、農家所得の確保という意味で非常に有用なものでございますが、いまのような需給構造等を考えてみました場合、その使い方につきましては非常に慎重を要する。また、農作物ごとにそれの需給事情、経済事情あるいは食生活における地位等が異なりますので、そういうものを見ながら毎年毎年私ども慎重に構造政策と併用しながらこれを持っていく必要があると考えておるわけでございます。
  320. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 非常に大きな問題でありますので、いろいろな問題があるということもよくわかっておりますが、ただ、私などは、自分の小さな県の経験からいたしまして、たとえば愛媛県は御承知のように果樹というものが非常に大きく伸びた県でございます。この愛媛の果樹の成長は一体どこにあったかということを見ますと、昭和二十年代の末から三十年代の当初にかけての米価の一定の収益というものが基盤になりまして、それが何年かあるわけですけれども、それがバネになっておるので、決して歴史的に国の補助金やら借入金で大きくなったというものでもないように私は思う。それは学者なんかもそういう指摘をしておりますが、私はやはり価格政策というものを受けて、農業経営者は、自分で自分の経営をどうしたらいいのか、多少でも収入のある経営形態をどうするかということは、大学の学者よりもお役人よりも、いま一番真剣に考えておるし、彼らの選択に任せた方がいいと思うのですよ。  そういう意味では、私は、日本農業全体をマクロ的に見た場合には、この米価政策というものの後退が日本農業全体の後退につながってきておる、それはやはり米価というものを余りにも後退をさせていったのではないか、こういう気がしてなりません。  そんな大ざっぱな考えが私の頭の中にあるのでありまして、そういう意味では、価格政策を先行させて構造政策へ転換させていく、行政の誘導や政策の誘導もありませんが、主体的に農民がそれを選択していく、こういうように私などは思っております。  そういう議論をいつまでしたっていけませんので、きょうは米価問題の一番大きな政策上の選択の問題について、問題点を提起をしておきたいと思います。  あと二つ三つ細かいことで御質問をいたしますが、一つは、ことしの米価算定をめぐる問題でありまして、きょういただきました政府の米審に諮問をいたします価格試算を見ますと、基準価格決定に当たって対象農家というものを、生産費の低いものからずっと八割ぐらいのところまで持ってきて、その平均生産費にするというわけですね。この手法でありますが、必要量算定方式というのですか、こういうものの中で、いわゆる分母に潜在生産力というものを置いているわけですね。そして分子にことしの需要量、つまり必要量を置いているわけですね。この潜在生産量というものは一体幾らか。それから需要量、必要量というのは幾らか。これが恐らく五十八年産米の需給計画の基本になっているのだと思いますが、その数字をあわせてお聞きしておきたいと思うのです。
  321. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  潜在生産量といたしましては千三百七十五万トンを一応見ておりますし、総需要量としましては、在庫積み増し分をも含めました千九十五万トンを計上しております。
  322. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 これを割ると八〇%になるわけですね。そこで低いところから八〇%までの農家をとるということですが、この潜在生産量というものは一体どういうものですか。
  323. 山田岸雄

    山田説明員 現在、稲作生産が行われておりますところの水田面積と転作等が実施されております水田の面積があるわけでございまして、そのそれぞれの面積にそれぞれの見込み単収を乗じまして得た数量を潜在生産量と私たちは考えておる、簡単に申しますとそういうことでございます。
  324. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 これはしかし、なぜそういうややこしい潜在生産量といったものをとらなければいけないのですか。たとえば、転作実施面積というものを、ことしは六十万ヘクタールですね。当初六十七万七千ヘクタール。これはともかく米が過剰であるから転作をさせなければいけないのだ、とういう政策目標を掲げて、相当金をぶち込んでやってきたわけでしょう。そういうものを、またもとへ戻れば水田になるし、稲作ができるというような形で想定をして潜在生産量といったようなものをつくって、そして必要量との間で八〇%見ていく、出していく、こういうやり方ですよ。こういう考え方ですよ。こういう考え方が私はどうも理解できないのですよ。  こんなことをしなくたっていいのではないですか。現在水田の面積というのはこれだけあるのですから、その面積でやっていったらいいのじゃないですか。仮に平均生産費でいくなら——われわれはバルクラインで前々から言ってきておった。政府もバルクラインをやっておった。これが平均生産費になった。今度はまた潜在生産量といったものをつくって、全体の稲作農家の平均生産費からまたこれを縮めていく、こういうやり方をしてきているわけでしょう。こんなやり方が、米価水準をぐんぐん落としていくという手法として取り上げられている。  一体この潜在生産量などというものは、農林省が、お役所が責任を持って言えることですか。わが国の統計調査事務所の機能というのは世界一だと誇っているけれども、統計調査事務所で日本の稲作の面積を、この潜在生産量を含めたものでやるなどということが言えるのですか。これは架空のものでしょう。こういう架空のものを設定して公の米価決定に使うというような考え方が私は理解できない。もしそれに対して、こういう理由でそうするのですということがあったら、ひとつお示しいただきたい。
  325. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  私たちのお米の需給見通し考えます際の基礎になっておりますのがこの数字でございまして、潜在生産量、こういったものにつきましては、過般発表しております需給見通し等におきましても、潜在生産量がどの程度あるかというのは六十五年見通し等でも算定をしているものでございまして、確かに転作をしたところにおきまして米の生産量があるのか、こういう点は架空と言われれば架空かと思うのでございますが、いまの需給の見通しというのは、全部現行の水田面積を、稲作が行われているものとそうでないものとそれぞれの見込み単収を乗じまして計算しておりますし、これを基礎といたしまして当面の転作目標を幾らにすればいいかという数字算定されておるわけでございますから、私たちがこの算定1を試算するに当たりまして架空にでっち上げてつくった、こういうものじゃございませんので、御理解いただきたいと思います。
  326. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 どうもわからないですね。そういうものは架空にでっち上げたものじゃなかろうけれども、いまの実際の稲作の面積ではないのですよね。転作をしておるわけで、そして行政なり農業政策はそれを定着化をさせるという手法と目標を持って進めておるのですよ。それをまた稲作に返ってくるんだという想定で米価算定をしていくというその矛盾、そういうところがわれわれもわからないし、これは農家の皆さんにしたら、一体政府は何を言っておるんだ、米をやめろと言うから、それぞれ割り当てをもらつて無理をしながら米をやめたら、今度米価を決めるときには、それがまた米になるかもしれないというような形で計算されていくんじゃ、これは両びんたのようなものでしょう。  そういうことは理屈として通らない。そういう算定方式をしなければいけないという今日の米価算定方法の矛盾、まさにもうばらばらになってきておる。これを一遍どうしても先ほど来皆さんが指摘しておるように洗ってみて、今日の需給事情や米の将来の消費の見通し、いろいろなものを要請して、もし農林省が自信のある算定方式が出るのならやはり出すべきですよ。これは去年の米審のときもそういう意見が出たと思う。おととしだって同じような趣旨の意見は出ていると思うけれども、なかなかそれを出し切りませんね。そしてその都度その都度こういう妙なものをもって数字をひねっていく。  昔は、米価を決めるときに相当細かい、生産費一つ一つの項目の議論をこの委員会で、私どもは当時農水担当でよう聞いたものですけれども、聞いておもしろかった。いまはもう米価については一々そういう理屈を言うのがあほらしゅうなってきたのだ。もう何のことはないようになってきて、そういうことをしておったら、これは農民の、米価はもとよりですけれども、農政に対する不信を高まらす。農民だけではなくて、国民全体が、マスコミを含めていま指摘しておるのはその点だと思うのです。そこのところは、行政庁としてやはりきちんとしてもらわなければ私はどうも納得することができません。問題の一つとして指摘をしておきます。  それから二番目には労賃でありますが、この労賃の評価の問題で、ことし一万八千二百六十六円という諮問米価がいま出されておるわけでありますが、この一万八千二百六十六円の賃金の上昇率は一体幾らと見ておるわけですか。
  327. 山田岸雄

    山田説明員 三・四%と見ております。
  328. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 この三・四%の出し方は、先ほどもちょっとおっしゃられましたね。もう一度復習のためにお願いします。余り細かいのはいいですよ、高等数字ではじくやつは。
  329. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  昨年どおりの方式で都市均衡労賃で評価がえしますと一・八%程度になるところでございますが、その原因をよくよく調べてみますと、東北、北陸、九州等の米生産地帯等におきます製造業の賃金の上昇率が低いことが影響されておる。私たちが労賃の平均を出す際におきましては、米の販売量で全国の加重平均を出しております。したがいまして、そうした米生産地の製造業賃金のアップ率が低い際におきましては、昨年どおりの出回り量で加重平均しますと低い比率になる。そこで考えましたのが、製造業の各府県の賃金を、労働者数といいますか、製造業の就業者数、それでもって加重平均したその上昇率も加味いたしまして、今回は一・八になるところを三・四程度にやや上げております。  かいつまんで申しますと、多少数字のぶれはございますが、以上でございます。
  330. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 物財費の上昇率は幾らになっておりますか。
  331. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  物財費の上昇率につきましては、昭和五十七年の物財の上昇を幾らに見ておるかといいますと、〇・五%でございます。これは算定1の場合と算定2の場合と異なっておりまして、算定2におきましては〇・四%程度であります。  ちなみに、七ページの表をごらんいただきますれば、その変化率は表示されておるわけでございます。七ページの下から六行目ぐらいにずっと、五十五年産米の生産費基準で変化率を出しますと、これは九・八%ぐらい、非常に高いわけですね。ここをごらんいただければ御理解いただけるかと思います。
  332. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 物財費の方は、多分、正確に〇・五一%ぐらいになると思うのですね。これは農業団体などが出しておるものと余りそう変わりませんね。農業団体の場合は物財費の上昇率〇・五四%。それから、ウエートのかけ方も余り農林水産省の分と変わりませんね。つまり、物財というのは、農民のふところへ入ったってこれはすぐ農協を通してそれぞれの生産の企業の方へ入るものですから、これはトンネルであります。  結局、農民のふところへ入る米価というのは賃金部分になるわけなんですね。その賃金部分が団体の場合と政府試算とで違う。昨年の場合は相当違っておったが、ことしは先ほどおっしゃったように、去年と同じ方式でやっていけば大分農村の地域労賃が違うということですね。これは大分前からやってきておるんだからことし初めてというわけじゃないが、ともかく府県別に賃金をとる。しかも、たしかあれは統計の数字が三十人以上しか労働省のあれにないはずだから、それを五人に修正をしておる。恐らく非常に高くなるから下げなければいけぬということでしょう。そして今度また調整係数のようなものを使って、そのようにすると余りに低くなるから今度は逆にもう少し高くするといまの三・何%というものが出てきておる。  われわれが常識的に考えておる昨年の賃金の上昇率というものは、農林水産省の作報の資料を見ても、あるいは労働省の資料を見ても経済企画庁の資料を見ても、やはり四%から五%ぐらいの賃金上昇というのが常識的な線なんですよ。それを大体半分程度の三%ぐらいに、しかもそれはあなたがしばしば言われるように、余りにも低いので、ざっと言えば少し上げてやらなければいけないので、さらに言えば一・七五%に接近させるためにこういう手法がとられたんだと思いますが、ここのところもやはりはっきりと、もう製造工業の賃金でありますし、生産費所得補償方式ですから、生産費所得補償方式というのは、たしか農業と他産業の格差を是正するということで、賃金評価を製造工業労働者にしていくというところが根本だと思うのですね。それが農村の地域の労働者の、というような形でこれもじりじり後退をさせてきたという経過がこの数年来あるのですね。この辺もやはりこの米価をつくり出してきておる根本だと思うのですね。やはりこういう点も再考してはどうですか。
  333. 山田岸雄

    山田説明員 労賃の評価がえにつきまして御指摘がございましたが、私たちは、できるだけ適正に労賃も評価がえした方がいいのではないか、こういうことでいろいろと方式を検討し、今日に至っておるわけでございます。  今回、調整係数を乗じまして多少の修正をやっておるということはございますが、こうした事例は過去にもございまして、過去には、製造業の賃金が非常に伸び悩んでおる、こういう実態を見まして、臨時過渡的な措置ではございましたけれども、ほかの修正係数、調整係数というものを乗じたといった事例もございます。  私たちとしましては、その決定年におきますところのいろいろな経済要素をできるだけ適正に反映させて価格算定すべきではないか、こういうふうにも考えておりますが、なお先生指摘のようなより適正な算定方式なり算定方法、こういったものにつきましては今後とも研究してまいりたい、こう考えております。
  334. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 米の需給状況について、質問をちょっと変えてみたいと思いますが、五十九年度の需給計画というものはどういうふうに立てられておられますか。
  335. 山田岸雄

    山田説明員 お答え申し上げます。  五十九米穀年度の需給といたしましては、前年からの持ち越しでございますが、これは五十八年の十月末でございますが、それを十万トン程度と見ておりまして、供給量といたしましては、五十八年産米の生産予定量千九十五万トンでございますが、この両者、十万トンと千九十五万トンとを合計したものを供給量と見ております。  一方、需要量につきましては千五十万トン程度と見込んでおりまして、最終的な五十九年十月末の持ち越しといたしましては五、六十万トン程度の持ち越しが可能になるのではなかろうか、こういうふうに私たちは見込んでおります。
  336. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 そこで、五十八年産米の生産量千九十五万トンというものが可能かどうかという議論が先ほど来なされているわけですが、この前提には、転作面積六十万ヘクタール、つまり七万七千ヘクタールの緩和措置ですね、これが一〇〇%完全に実施をされるということが一つの前提ですね。このことについてはどういう取り組みをしていかれるつもりか、それは実際に可能なのかどうか、これまでの減反、転作の実績はどうなっておるのか、こういう点をちょっとお答えいただきたい。
  337. 小島和義

    ○小島説明員 先ほど食糧庁の方からも申し上げましたように、ただいま実施中の水田利用再編対策におきましては米の潜在的な生産量を千三百七十五万トンというふうに見込んでおりまして、これは生産調整が行われなかった場合の平均的な単収、それから想定されます作付可能な田の面積というものを乗じまして出しておるわけでございます。それから米の消費量を差し引きまして、ことしの場合で申しますと、そのほかに在庫積み増し分も消費の部分に織り込みまして、それで過剰の分、それを面積に換算いたしたものを転作目標面積として配分をいたしておるわけでございます。これはあくまで平年的な収量として潜在的な生産量を見ておるわけでございますが、現実の収量は大変動くわけでございます。  御記憶ございますと思いますが、たとえば昭和五十三年のような年には、平年収量四百六十キロと見ておりましたら四百九十九キロもとれた、その翌年は四百六十六キロと見ておりましたら四百八十二キロとれたというふうに、上の方に振れる場合もございますれば、ここ二、三年のように下の方にかなり振れるという場合もございますので、そういう推定の収量と実際の収量との差というものにつきましては、これは在庫の増減というもので当然調整してしかるべきものでございまして、転作の世界でそこまで完全に読み切るということは不可能に近いわけでございます。  それからもう一点、目標面積に対しまして実際の転作面積がどうかということで申しますと、一昨年の場合ですと、目標に対しまして一〇六%ぐらいの実施率でございます。それから昨年が一〇七%ぐらいだったと記憶いたしております。したがいまして、両年とも配分目標は六十三万一千ヘクタールで配分をいたしたわけでございますが、実績値は六十七万ヘクタールぐらいということになっておりまして、その目標より増加いたしました分、これが結果的にはその年の米の生産量を押し下げている一つの要素にはなっておるわけでございます。  どうしてそのような超過達成が出てくるのかということでございますけれども、これはいろいろな事情がございます。六十三万一千ヘクタールでスタートいたしましたときには二期の目標として六十七万七千ヘクタールというのが先にぶら下がっておったわけでございますから、一刻も早くその水準に到達したいという県、市町村の努力もございますし、また、農家段階でも水田の区画の大きさなどから言いまして、割り当てられた面積に見合うだけの水田というのを保有しておらない、したがって二反五畝の割り当てであるけれども三反歩の圃場を全部転作するというふうなアローアンスを見ました転作が行われる。そういった事情がございまして、一〇〇よりも小さい数字という年は、過去において全くないではございませんけれども、この対策が始まりましてからどうも上の方に振れるという傾向がございます。  本年の場合にも、まだ正確な数字はつかんでおりませんけれども、昨年に比べまして、目標で三万一千ヘクタールまたさらに縮減をいたしたわけでございますけれども、目標面積よりはどうも多少上に行きそうな気配が目下のところうかがわれる、こういう状況でございます。
  338. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 小島さん、あなたはいろいろ転作で骨折っておるから、細かいことを大分知っておられるから言う必要もないが、確かに下へおりてくると、地域、部落のような形で幾ら、こうやっていくけれども、一戸一戸の農家に言っていけば、二ヘクタールぴしゃっとあるのがあればいいけれども、二ヘクタール以上あるようなのがたくさんあるわけですからね。一ヘクタールの割り当てをもらったって一・二ヘクタールあったり一・三ヘクタールあったり、そういうものが合計せられると、私は昨年の一〇七%とかあるいは一〇六%とかといったような数字は、これは一〇〇%を割らすということなる別だけれども、一〇〇%を限度にしていけば、当然誤差としては出てくる数字だと思いますね。そういう意味では、一〇〇%どんぴしゃりなんということは現実に転作の実態を見てみた場合には考えられませんね。  だから、ちょっと心配なのは、たとえば転作奨励金をどうするだ、こうするだというような問題が起きておるわけだけれども、じゃ、そういうものについて一〇〇%見ないとかなんとか、こういうことはないですね。いまどうも行政指導が、一〇〇%にぴしゃっとそろえよということを非常に強く言っているわけだ、町村ではね。そうすると、そういう心配があるのかといってみんな心配しておるわけですけれども、そんなことはないですね。いままでどおりですね。
  339. 小島和義

    ○小島説明員 ただいま実施中の水田利用再編対策第二期の対策におきましては、一年目も二年目もそうでございました。三年目でございますことしの場合にも、超過達成がございました場合には何らかの財源措置を講じまして、その分についての転作奨励金の支払いは当然行われるものと私ども理解をいたしております。  ただ、問題といたしましては、超過達成分というのはいわばなけなしの追加財源で、予備費の場合も補正の場合もございますが、近年はどうも余裕財源があって補正を組むというわけではございませんで、大変苦しい中から追加の財政措置をしているという現実がございますので、この財政上の不確定な要素をできるだけなくしたい、こういう気持ちを財政当局が持ったとしてもいささかの不思議もないわけでございます。たまたま来年度予算の要求ないしは説明の時期にことしの追加財源問題が浮かび上がってまいりますので、その点に問題が集中するのではないかという心配を目下いたしておる、こういう状況でございまして、都道府県の方にそういう私どもの心配が伝わりまして、なるべくそういうことがないようにというふうな御指導になっているというふうに理解をいたしております。  また、米の需給事情から申しましても、せっかく目標軽減をいたしたわけでございますから、その軽減効果が十分発揮するように、こういう意味でも都道府県の御指導が行われているというふうに承知をいたしております。
  340. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 わからないこともないいまの状況の中でありますけれども、常識的に考えてみて一〇〇%いけばいいわけですが、実際に転作を進める場合には不可能なんですね。ですから、そういうものの累計が一〇六になり一〇七になるという可能性は非常に強いわけですから、それは当然あなたの方から指示せられたものの処理の中で入ってきたのだということで、きちんと従来どおりのやり方で処理をしていただかなければいけない。われわれは減反の問題については別個の考えを持っておりますけれども、現実的にはそういう不安を皆さん持っていらっしゃるようでありますから、ここのところは特に強く御指摘をしておきたいと思っております。  あと、いろいろお話がありましたが、いま一つの前提は、つまり単収五十八年四百七十八キロというものが確保されるかどうか、これが当面の冷害などと絡んで非常に心配である、こういうことでありますが、これができないと米の需給状況というのは狂うので、中長期的には過剰だと言っておるが、短期的には確実に米が足らない、こういう状態になる可能性が非常に強まってきておると思うのです。  特に私は政策論、米づくりの問題について生産構造なり経営の問題で少し指摘をしておきたいと思っておりましたが、十分な時間がありません。農蚕園芸局ではいろいろ指標をとっていらっしゃると思うが、確かに米は冷害で作況が三年ほど悪かった。しかし、技術陣営が恐らくこれは全国的にやったのだと思うが、いろいろ調査をしてみると、冷害の中でも平均単収をはるかに上回っている農家は相当ある。これはいずれも熱心な農家であるということであるし、その基本はやはり土である。ともかく有機質というものが決定的に不足し始めてきておる。たしかこの十年ほどに反当たりの有機質の投入量は三分の一ぐらいに減っていると思うのです。土が固まってきて土の弾力性が少なくなってきておる。これは冷害に決定的に弱い。こういう技術陣の一致した見解が一般的になっているわけです。  そんな問題なども含めて、あるいは機械化がこれだけ浸透してきて、特に弱い稲を機械植えにしていくわけでありますから、従来のようにある程度育った苗じゃなくてまだ不十分な苗を機械でたんぼに植えて、冷害、温度が冷たくてやられる。これが出ておるので、最近の稲作の合理化というか近代化というか、そういうものから出てくる作況なり稲作経営の今後のあり方というのは大きな問題だと思う。  さらに、いわゆる一ヘクタール未満層と言われるところの生産費が二ないし三ヘクタール以上の農家層に比べると倍近くかかっているといったような問題の原因は、機械の問題と労働時間の問題ですね。あとはほとんど変わっていない。  そんな分析からしていくと、この際、稲作というものをどういうふうに持っていったらいいのか、この問題についての方針も出していただかなければいけない。農業協同組合はたしか集団化という形で、ことしちょっぴり予算を組んで、これはお茶菓子を出す予算のようですが、あんなもので集団化できるなんと思ったらとんでもない。やるんなら本格的に、機械の協同組合、これは小島さんのところの予算の中にはそういうものもあって、やっているところは結構りっぱな成績を上げているけれども、そんなものを本格的に稲作の生産構造の中に植えつけていくような、それは構造政策なんだろうが、それを大胆にやらなかったら、米価だけじりじり抑えていけば、みんな米よりも少しでも野菜で換金作物になるものにということで、そちらへ関心が向いていくのですよ。これは米の崩壊につながる。  そこへ持ってきて、自由化でアメリカは種を入れるなんていって最近ねらっているらしい。おたくの方は絶対やりますなんて言っているけれども、そんなに簡単なものじゃないとわれわれは見ております。そういう意味で、早く稲作の生産構造の問題について思い切った政策を打ち出していただきたい。このことを特に主張しておきたいと思います。どうですか。
  341. 小島和義

    ○小島説明員 一々どもっともな御意見だと伺っております。  基本技術の励行という問題は、この三年の不作をきっかけとしましてかなり見直し機運がございまして、昨年度の米の先般発表になりました生産費調査を見ましても、ごくわずかではございますが、自給肥料の投下量が上昇しておるという数値が出ております。これは、やはり基本的な土づくりからやらなければいかぬということが調査結果にも少しあらわれておるのではないかというふうに喜んでおるわけでございます。  また、そのほかの肥培管理問題、健苗育成問題についても一々御指摘のとおりでございまして、そういうことについては各都道府県ともこれまでの実績を踏まえてよく承知をしておるところでございます。  問題は、農家の現在の生産の形態と申しますのが、必ずしも労働力がないということではございませんで、極端に言えば土曜、日曜日しか使える労働力がない、こういう方も相当いらっしゃるわけであります。したがって、適期に適作業をやるということになりますと個々ではなかなか対応できないという問題がございますし、また、生産コストという点から見ましても、米の生産費用の費用合計の中で労働費と機械償却費が大体七割ぐらいの水準を占めておるわけでございますから、そこの節減ということがコストに及ぼす影響が非常に大きいわけでございます。その意味でも、もちろん農地の流動化による規模拡大というのも本筋でございますけれども、作業面における各種共同を通じまして共同でコストを下げていく、また技術の高位平準化をねらう、こういう効果も大変大きいわけでございますので、御指摘ございましたような線で生産組織を育成していくことを主眼にいたしまして今後とも努力をいたしたいと思っております。
  342. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 時間が来ましたので、終わります。
  343. 山崎平八郎

    山崎委員長 武田一夫君。
  344. 武田一夫

    ○武田委員 朝からいろいろと米価に関する問題が質疑されております。私も、ダブるところも相当あると思いますが、御勘弁をいただき、確認をしながら質問をさせていただきます。  まず最初に、私は次官に率直にお尋ねをしたいのですが、稲作農家を中心とした農家を取り巻くいまの諸情勢は非常に厳しいわけです。このような状態で果たして日本の今後の農業は大丈夫なのか、私は非常に心配なんですが、政務次官はその点どういうふうにお考えか、聞かしていただきたい。  今回の米価決定、いま、何か一・七五%を諮問しているわけですが、これがこのままいったとしたら、今後の影響というのは相当深刻なものが出てくると私は思うのです。その点も踏まえた率直な御感想、御見解を聞かしてもらえれば、こう思うのですが、いかがですか。
  345. 楢橋進

    ○楢橋説明員 私も農家の発展には非常に心配をしておるわけでありますけれども、農水省といたしましても、価格政策あるいは構造政策、いろいろな政策を組み合わせをしながら、農家の発展を図っていくように努力をする決意でございます。
  346. 武田一夫

    ○武田委員 ずいぶんあっさりしているわけですね。  いろいろと農業全体を取り巻く環境の厳しさは指摘されていますね。十年間も一生懸命減反に協力をしてきた。農家の苦労は大変なものですが、毎年目標以上にやっておりますね、苦しい中を。特に、水田の中心となる東北の湿田地帯であっても大変な努力をしていますね。これは、農家の方々は一生懸命農林水産省、政府の指針に忠実にやってきた。その間、毎年米価は余り芳しくない。ここ五年間、合わせても四%ぐらいまでしかいかない。それに加えて、不幸にして冷害が続いてきた。ことしなんかも、これはいまのところの状況でいけば、東北、北海道は特に大変ではないか。東北の太平洋側は非常に深刻でありまして、北海道は、先日伺いますと、これは非常に危機的な状況にある。四年連続ということになったらどうするんだ。  それからもう一つは、そういう中で、考えてみるに、食管赤字が大変臨調さんの攻撃の的になっている。赤字、むだが多いのではないか、そこで、米価を抑制すべきである、あるいはまた奨励金等は縮減あるいは削減せよという声がやんやと集中攻撃。外からは今度は、農産物の自由化の圧力というのはこれは大変なものであって、ガットへ提訴するなどという問題まで含めまして、これはどれをとっても、農家の方々には心温まる話は一つもないわけです。  これは、本当なら、普通、ノイローゼになって、大変な発狂的な状況ですよ。しかしながら、農家の人たちのガマン強さというのは、そういう中でも今日まで必死になってこらえてがまんしてきた。こうなりますと、天災あり、人災あり、われわれ農家、特に若い方々にとっては、どこに希望の一点の灯、明かりを見出すんだ、こういうことになってくるわけです。  これは後でも私は質問の中で取り上げますが、農家の皆さん方、特に後継者が、毎年毎年いわゆる中核的な農家の心棒である若い方々が農業離れをしていくというような傾向、ことに、去年あたりなんかまたこれが顕著になってきました。専業農家がどんどん少なくなって二兼農家が非常にふえているというようなことを考えるときに、本当に農業というものを支えていく、そういう方々が、こういう状況でもう救う道がない、努力をしても救われないとなったらこれはどうなんだということを考えたとき、そういう方々は、どこに希望があってどの点で救われるんだ、だからもう少しがんばってほしい、そういうものをここで教えてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  347. 楢橋進

    ○楢橋説明員 今後の農政を進めるに当たってどういうふうに進めていくかということですけれども、今日、農業をめぐる内外の情勢というのは非常に厳しいわけでして、経済成長の鈍化あるいは食糧需要の停滞等によって、農産物の価格上昇が期待できないような状況になっております。また、諸外国から市場の開放とか、あるいは行財政改革の観点からも農政の効率的な推進の要請がきわめて強い状況であります。  こうした情勢にかんがみまして、今後の農政の推進に当たっては、農政の長期ビジョンを明らかにした昨年八月の農政審議会の報告に即しまして、総合的な食糧自給率の維持強化を基本といたしまして、健康で豊かな食生活の保障と生産性の高い農業を目指して今後の農政を進めてまいる方針でございます。
  348. 武田一夫

    ○武田委員 それは理想としてそう言っているのだけれども、現実はそうじゃないですね。  それでは、質問の通告の順序に関係なく、いまの話の中から……。  生産性向上ということが出てきましたね。これはいまどの程度進んでいますか。(「事務的なことじゃないよ、次官答えろ」と呼ぶ者あり)
  349. 楢橋進

    ○楢橋説明員 土地利用型の農業を中心とした農業生産の重点的な発展を行う、そして優良農用地の確保、整備というものを行っていかなければならない。また、経営規模の拡大、高能率な生産組織をつくっていく。また、農業生産基盤の整備あるいは技術の開発、そういったことで生産性の向上を図ってまいりたい、かように思っております。
  350. 武田一夫

    ○武田委員 それは言っているわけですよ。ずっと言い続けてきたわけだ。だから、それがいま現実にどの程度そのとおりに動いているかということです。  優良農地の確保と言ったって、現実に毎年三万ヘクタールくらいは農地がつぶされているのでしょう、一つの例を挙げたとしても。どうですか。  それから、農地三法が発足しましてからもう四年くらいになるわけでしょう。その間に、では、土地の集約化、効率的な利用というものがどの程度進んでいるのか、それが生産性の向上とかあるいは農産物の価格コストダウンというものにつながるような情勢ができているのか、こういうことをひとつ具体的に、こうなっているんだということを説明してくれと私は言っているのです。
  351. 角道謙一

    角道説明員 お答え申し上げます。  農地三法ができましてから、利用権設定面積は現在大体十万ヘクタール程度になってきております。また、その賃借権、利用権の設定の期間につきましても漸次長期化する傾向が見られますので、私どもといたしましては、経営規模拡大の方向に今後とも進めていきたいと考えているわけであります。  将来の方向につきまして先ほどいろいろ御議論あるいは御指摘があったわけでございますが、私ども、今後昭和六十五年というものにつきまして一応農産物需給の長期見通しを持っておりますし、また、それに向けまして今後の水田利用再編成あるいは地域農政を進めるということを考えておりますが、これにつきましても、各経営別に一定の地域に応じた目標というものを立てて、これに向かいまして今後の生産性を高める、あるいは経営内容を改善していくという方向に努力をしたいと考えているわけでございます。  この具体的な内容につきましては、昨年の八月に公表いたしました農政審議会の「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」というところにおきまして、稲作、酪農あるいは肉用牛等土地利用型農業につきましての将来の目標像を掲げているわけでありますし、また、これを各地域別にどのようにブレークダウンしていくかということにつきましても、現在農政局におきましていろいろな作業を行っているところでございます。
  352. 武田一夫

    ○武田委員 それはわかるのですよ。現実論というのが大事なんですね。そうでしょう。これからまたやるのだと言っても、いつまでたっても現実的な効果の話が出ないでこれからまた一生懸命やりますと言ったって、農家の人はそんなについていけないのです。  ですから、私が言いたいのは、そういう一つ一つの現実の実態というのをよくとらえた一つの農業というものをしっかりと考えてもらいたい。米価の抑制ということをよく財界臨調等が言う。皆さん方もそれに相乗りしましてこういうような低い諮問に応じてこれでがんばったつもりでいるけれども農家の皆さん方は、そんなものはとにかくかえって困るのだ、五・六三%という最低ぎりぎりの要求の中で、これが通らなければわれわれ農家としてはもはや農業というものに対する本当の支えがなくなってしまう、農家の生活の実態というのはわかっているのかということで大変なわけです。どうですか。農家の経営の実態というのをどういうふうに見ているのですか。  東北、北海道だけでもいいです。東北、北海道は特に日本の食糧供給基地であるということを国はきちっと三全総の中でも明確に意義づけてその重要性を説いているわけですから、全体的なことも必要ですが、特に東北、北海道という具体的な地域についてひとつ聞かしてもらいましょうか。どうですか。
  353. 角道謙一

    角道説明員 いまのお答えに入ります前に、先ほどお尋ねのございました生産性がどの程度上がってきておるかということでございますが、具体的な例をもっていたしますと、たとえば水稲につきましては、十アール当たりの収量が四十年当時大体三百九十キロでございます。これが最近では、五十六年は不作の年でございますが、四百五十三キロというように上がってきております。また、大豆等をとりましても、四十年百二十五キロの収量が五十六年では大体百五十四キロ。乳用牛につきましては、四千六百キログラム、これは年間の収量でございますが、これが五千八百キログラムというように、相当程度生産性が上がってきている。  また、労働時間につきましても、水稲につきまして見ますと、十アール当たりの労働時間が四十年におきましては百四十一時間、これは機械化あるいは技術の改善等によりまして五十六年におきましては大体六十四時間程度。大豆につきましては四十・五時間が二十・七。また、乳用牛につきましても四百六十七時間が百六十七時間というように、それぞれ収量あるいは労働時間というものは相当程度改善されているということは事実でございます。  また、将来の展望といたしましては、稲作につきまして、私ども、現状たとえば耕作規模が〇・八ヘクタール程度のものを大規模農家につきましては大体十ヘクタール程度に持っていきたいと思いますし、また、その場合の生産性につきましても、十アール当たりの労働時間七十時間がこの十ヘクタール程度のものになれば三十時間程度、また、第一次生産費で見ました場合には、トン当たり大体二十二万円のものが十一万円程度というような農家を優良農家として育てていきたいというように考えているわけでございます。  第二の、先ほど御指摘のございました東北あるいは北海道農家経営につきましては、現在数字は持っておりませんけれども、特に東北地方は三年続きの不作ということにおきまして農業収入は非常に減少している、また、これが農外収入によりまして辛うじて維持されているというような状況かと思います。また、北海道につきましても、御指摘のように転作、あるいは牛乳生産につきましても予想以上に生産が消費を上回っている現状から、現在生産調整を行っているという状況にございますし、また、特に畜産農家につきましては、投資が相当累積をしておりまして、そのための返済等に非常に窮迫をしているような状況にあるということも承知をいたしております。  これらにつきましては、私ども、やはり東北、北海道は特に農業の適地であるという観点から、今後とも東北、北海道の農業振興につきましては総合的な対策を考えていく必要があるというように考えているわけでございます。
  354. 武田一夫

    ○武田委員 それはわかります。確かに収量は上がった。労働時間も機械化の導入で短縮された。これは結構です。それじゃそれが農家経済に農家の手取りとして、収入として潤っているかどうかというのが問題です。  一例を申し上げますと、東北農政局の五十八年農業調査、これは一月現在です。  大体、東北の農家数というのは五十八年もずっと減少しておりまして、前年から比べますとずいぶん減っているのですね。これは、農家戸数が六千二百戸減って、専業農家がまた二・二%減っている、こういう一つの大きな数字があるのです。第二兼農家が千戸ふえている。それでもうすでに七〇%を超しました。これは全国的な傾向だと思いますが。それで、農林水産省東北農政局としては、農家の農業離れはこれからますます進行していくであろう、それは農作物の価格低迷による農業収入の頭打ち傾向など、それが主なる原因である、こういうことをはっきり言っている。  そして、五十七年度の農家経済収支を見てみますと、これは全国平均で農業依存度がこの間発表になったようにもうすでに一九・四%まで落ち込んでいる。二〇%を切ってしまった。東北はそれよりは高いです。確かに二五・九%ということでありますが、五十四年度から比べますと、その依存度というのは三四・一%ですから、一〇%近くも農業依存度というのは低下しているわけですね。どんどん農家収入の中における農業所得というのは少なくなってきている。そして、それじゃ農外所得はいいかというと、三年続きのこうした不景気の中ではそれも思うようにならず、こういうような状況です。  そこで、具体的な例を申し上げますと、五十七年産米の生産費調査結果の発表があるわけでありますが、六十キロ当たりの生産費が一万九千三百九十六円かかった。これは前年よりも九・四%低い、こういうふうなこと、これはそのとおりいいと思うのですが、問題は、農家の平均手取り額というのが一万七千九百五十余円ということでありまして、これは赤字稲作ということがもうはっきりしている。ですから、先ほど来から話がありましたように、二ヘクタール以上の農家でなければ採算がとれない、こういうふうな状況。そして、農家の平均手取りが一万七千九百五十一円でありますから、大体一千四百四十五円の赤字ですね。これが東北全体の一つの傾向です。  北海道の例を一つ取り上げてみますと、これは北信連の調査で、一戸当たりです。  空知、上川という水田地帯の例でありますが、農業収入が五十四年四百五十五万円、このときは三十一万円の黒字であったわけであります。ところが、五十五年は四百二十六万の収入、十万の赤字が出て、五十六年に四百十三万の農業収入、三十九万の赤字が出て、五十七年は四百八十八万の農業収入があっても十六万円の赤字である。  それで、稲作農家負債額と返済額の一戸当たりの推移というのを九千戸の例を取り上げて調べたのでありますが、五十四年には負債額が七百五十三万、返済額が百四十万である。五十五年が負債額が八百四十八万円、返済額が百四十三万。五十六年が九百七十六万円の負債額、返済額が百六十二万。五十七年は何と負債額が一千二十四万、返済額が百九十五万円というふうな一つ実態がある。  そこで、今度は東北であれば、青森県、岩手県、宮城県といろいろありますが、その地域を一つ一つ見てみましても、こうした例はもうきちっと実態として浮かび上がってくるわけですね。ですから、確かに収量は上がる、あるいは労働時間は短縮されてきたからといって、生産性向上があったからといっても、肝心のそうした努力をした農家にきちっとそのメリットが出てこないというところに問題があるのじゃないかと思う。ですから、機械を幾ら入れたとしても機械に金が取られる。あるいは北海道の場合なんかは、もう減反のために畑作に切りかえる。そのための機械の購入あるいは基盤整備のための借金、それから水利権の確保というのですか、そういうもろもろがあってこれは特に大変だ。わが宮城県などでも、湿田地帯が多いところなどでは普通の地域と大変な違いがありまして、その経費負担も並み大抵のものではない。  こうなりますと、向のためにわれわれはそういう生産性向上のために努力をしなくてはならないんだ、かえって労働時間が短縮したために、米価決定のときにはその分がカットされて、入るべき労賃分の評価がされないじゃないか、こういうふうになってしまう。この間も生産者の皆さん方と話していたら、それならたんぼ、畑はもう国に買ってもらいたい、そして、われわれに、公務員でもいい、あるいはいい会社の仕事を探してそこに就職さしてもらうならば食糧をつくることは国に任せる、こういうことを言っている方々がおりましたよ。  ですから、そういうことが農家の皆さん方に深刻な問題としてたくさんあるわけでありますから、それを救う道は何かといったら、やはり自分たちがそういう努力をした、そしたらその努力の結果が生活の面にはね返ってよくなった、米の問題でもほかの作物の問題でもそういう努力をしてやれば間違いなく農業経営は、農家の生活というのは安心していけるのだ、そういうものがないから私は問題だと思うのです。この点、どう考えているのですか。
  355. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  いま先生から広範な農家の経営事情なりまた農家経済の実情、こういったものをるる御説明があり、拝聴いたしまして、現実の農業を取り巻く事情が厳しいことは私たちもよく理解しておるところでございますが、さらにその理解を深めるような立場に立たされるような実態でございます。  なお、米価の問題といたしましては、先生も御指摘ございましたけれども農家所得に占める割合が、小規模なものにございましては一割以下、三、四%とか非常に小さい場合が多うございまして、稲作単一経営におきましてすら一割を超えるような情勢でございます。こうした所得のウエートのものをいかにして農家全体として発展させるか、こういった問題につきましては、やはり稲作のみならずほかの経営部門につきましても、価格政策はもちろんでございますが、生産政策なり構造政策、あらゆる面におきまして農家に活力を与えるよう今後やっていかなければならないのではなかろうか、こう考える次第でございます。  価格政策で、米価についてでございますが、不幸にして現在過剰基調にある、こういった中におきまして、価格政策のみでいろいろと浮揚力をつけることにつきましてはなかなか制約が多いわけでございまして、私たちも可能な限りの価格算定すべくいろいろと検討いたしまして今日諮問米価算定したような事情でございますので、事情をひとつ十分御理解いただければと、このように思う次第でございます。
  356. 武田一夫

    ○武田委員 いま米が余っていると言いましたね。米は過剰基調だ、こう言いました。では、どこにどのくらいあるのか、ちょっと具体的に説明してもらいましょうか。どの地域にどういう米がどのくらいあるのか。
  357. 山田岸雄

    山田説明員 お答え申し上げます。  私、いま説明さしていただきましたのは、当面のいますぐの問題ということよりも、基調としまして過剰でございます、こういうふうに申し上げているわけでございます。と申しますのは、潜在生産量にいたしましても千三百万トン以上でございますし、需要量といたしましては一千五十万トン前後のものでございますし、ここに転作等余儀なくされておる実態でもございます。このような実態につきまして過剰基調ということで申し上げたわけでございまして、現実のいまの時点でどこにどういうふうにお米があるか、こういうことにつきましては、御案内のとおり三カ年の連続不作でございまして、政府の手持ち等は相当小さくなっておる、こういう実態にあることは、私、否定しておるものではございません。
  358. 武田一夫

    ○武田委員 ことしの十月末の端境期には十万トンくらいしか残らぬであろうということは、もう皆さん方に指摘されている。農林水産省もそれは認めている。それでさえも、その需給計画の中には、もう五十八米穀年度では古米が五万ないし十万トン入っての計画でしょう。これが間違いなくまたふえていくのだという保証はさっぱりないでしょう。まして、いまのような状況でしたら、これはもしこのままいったらどうするんですか。五十九米穀年度は前年産繰り越し五十ないし六十万トンというふうな見通しを立てている。私は、昨年冷害というのは三年続きはないのかと言ったら、ないと言われた。そうしたら途端になっちゃった。私は、ないのかとかなんとか言うとまたなるとおっかないから、そういうことを言わないで、よくなることを期待はしているけれども、こういうように需給だって綱渡りでしょう。そうでしょう。まして、いま良質米志向ということで、良質米のウエートが非常に高くなっておる。そういう地域が、いま東北の方ではわれわれの宮城県を中心として非常に厳しい状況にある。  そういうことを考えますと、過剰基調云々とかなんとかという以前の問題に、国民の前にしっかりとして安心して米をあるいは食べ物を提供してあげる、そのために確保する、そしてそれを提供する農家の皆さん方に活力を与える、がんばってもらう、こういう関係がなければならぬわけでしょう。だけれども、そういう努力を一生懸命しているとは私は思えないですね。  たとえば、防衛庁がマイナス一〇%のシーリングで、来年度予算を獲得しなければならぬといって必死でしょう、長官を初めそれをバックアップする多くの防衛力増強のお考えを持っている皆さん方が。連日新聞にそのことが書かれているでしょう。農林省がどうしたなんて、さっぱり出てこないよ。どういうこと、これは。ミサイルよりやはり食糧が大事なんだ。現実には腹くちくなければだめなんです。わかりますか、腹くちくなるというの。そういう努力。  ところが、臨調食管赤字だと言う。それに対したって何のあれもやっていないでしょう。反応も示していないということは、消極的であるけれども認めているということになる。農家はどこで救えますか。農業を守る立場の農林水産省がそんなような状況であっては、米価がこのような低い算定しか出てこないというのもそこから始まっているんだ。財源が果たしてないのかどうか調べましたか。決まった財源の中でやろうといったって、どこか減らすか何かしようと言うんでしょう。どこを減らしてその財源を、今度一・七五%、どこから持ってくるんですか。ちょっと教えてください。
  359. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  今回の諮問米価引き上げというふうなことでございますが、まだ決定しておるわけではございません。決定米価ということにはなってないわけでございますが、このような一・七五%の値上げによりまして必要な財源といたしましては、約二百四十五億程度の財源が必要になろうか、このように見通されるわけでございます。この際、私たちいま決定しておりますのは、自主流通米のうちの流促部分、六十キロ当たり二百円でございますけれども、これを廃止することによりまして約百億円程度の財源になろうかと思うのでございますが、そのほかにつきましては、今後の食管運営におきましていろいろと節減合理化を図りつつ捻出に努めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  360. 武田一夫

    ○武田委員 促進費の問題、これは後でまたやりますけれども節減合理化はどこを、どの点がやれると見ているんですか。人件費がやれますか。あるいは保管料等がやれますか。どこをやれるのか、ちょっと予想されるところを挙げてみてください。
  361. 山田岸雄

    山田説明員 これは、いま御指摘の管理経費部門につきましてももちろん節減合理化を図っていかなければならない、こう考えております。そのほかの問題といたしましては、まだ流動的な部分といたしまして、外麦あたりの買い入れ価格等の変動要因、こうしたものがどのように推移するかははっきりいたしておりませんので、そうした食管物資の管理におきますところの変動等についても十分考えながら、もちろん管理経費の節減も図っていこう、こういうふうに考えている次第でございます。
  362. 武田一夫

    ○武田委員 何か外の要因を、何かこう他人任せですな。これはことしの暮れに消費者米価の中にはね返らないでしょうね。そうなったら、来年農家は袋だたきに遭いますからね。そのときは皆さん方は覚悟しなければならないと思いますよ。農家の人たちは静かなること林のごとしですが、これは動いたら火のごとくなるのですからね。私はその危惧を抱いているのですが、そんなことはないですな。どうです、これは。
  363. 山田岸雄

    山田説明員 消費者米価の問題につきましては、私たちいまのところ何ら結論を持っていないような状態でございまして、消費者米価は家計の安定を旨として決定しろ、こういうことにも相なっておりますし、今後の実態を十分見きわめながら適正な価格運営をしていかなければならない、こう考えております。
  364. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、もう少し努力をして今年度の農林予算あるいは食糧関係の予算が取れるところはないか。大蔵省との攻防もあるわけでしょう。農業の大事なことと、食糧の安定的な確保と供給という大事な国家の一大事に金を必死になって探そうとする気魄を持って、その努力をしてもらうということになれば見つけられると思う一つの例を私は申し上げます。これは私がこう思うのであって、それがもし不可能であれば不可能であるということで……。  歳出の不用額と予備費の使い残しで大体三千ないし四千億の確保、これはこれまでの経験則から保証できるのではないかと思うのです。調べてみましたら、歳出の不用額というのは、五十一年から五十六年、ずっと平均しまして三千二百五十三億円あるわけです。五十六年は二千六百四十一億円、さかのぼって五十五年が三千七百十四億円。五十四年など四千九百二十七億円。それから、予備費の使い残しは五十一年から五十六年の平均で一千四百六十五億。五十六年が二千八十一億、五十五年が九百八十億、五十四年が一千百七十六億、その前は省略します。それから、五十七年度は日銀納付金など税外収入が千八百億円はふえる、こう言われている。  こういうようなものを取り崩してでもこの厳しい中で農家の皆さん方の米価を、五・六三%というと大体八百億でしょう、獲得しようとする努力を大臣を先頭にしてもっと皆さん方の力でできなかったものか。これからでも遅くないと私は思うのですが、どうですか、その努力をする気はないですか。
  365. 角道謙一

    角道説明員 お答えを申し上げます。  ただいまのお話は一般会計歳出あるいは歳入の全般にわたる話でございまして、この予算額についてどうこうするということは私どもではなかなかやりにくいわけでございますし、私ども承知している限りにおきましては、こういう歳入の超過額あるいは歳出の不用額等につきましては後年度に繰り入れる。現在の財政状況自体、これは大蔵省からまたお聞きいただきたいと思いますけれども、非常に厳しい財政事情でございまして、赤字国債等によりまして歳入の相当額を依存している状況におきましては、現在の不用額につきましてもこれを流用するということについては大蔵省当局は非常に大きな抵抗を示すかと思っております。  私ども、予算につきましてはいろいろ努力をいたしておりますし、昨日閣議で決められましたシーリングの問題につきましても、私ども、この話を聞きまして以来、財政当局とは具体的な適用の方法ということにつきまして鋭意折衝を重ねてまいりました。この途中経過につきましては、私ども非常に宣伝も下手なものでございまして、外になかなか申し上げることはいたしておりませんけれども、昨日決まりましたシーリングにおきましても、一般歳出についでは一〇%、公共事業費につきましては五%削減、ただし若干の激変緩和措置というようなものがとられておりますので、農林水産省関係予算三兆三千億の来年度のシーリング枠として削減が予測されるのが大体八百億弱の程度まで大蔵省当局との折衝によりまして縮減できたかと思っております。  そういうことで、現在の窮迫した財政事情におきまして、私ども大蔵当局ともいろいろ財源獲得の努力はいたしますけれども、いま御指摘のような財政の処理につきましては、財政当局としては非常に強い反対があろうと考えております。
  366. 武田一夫

    ○武田委員 それはわかっての話でありまして、だからそこにそれを説得し、納得させるだけの懸命の努力と運動というのか、行動というのが私は欲しいと思うのです。それがせめて万が一かなわないとしても、農家の皆さん方にとっては大変な心の支えになるのじゃないかと私は言うのです。それをこの期間中ずっとやってきたかというと、そういう感じはしないわけです。遅きに失してもまだ時間がある。総力を挙げてやってどこか一角崩したということによって、いろんな厳しい状況があるけれども、農林水産省はわれわれのためにがんばってくれたということがあれば、最終的に多くの生産農家一つの希望の光をそこに見出すと私は思うのです。  もう一つ、昨年政府米価決定に当たりまして、公務員の労賃抑制を理由に米価のいわゆる労賃部分に見合う上昇分をがまんしてほしい。生産者側もがまんした。そして、米価の労賃部分の増加額はのんだわけです。しかし、その後政府は、人事院勧告は凍結をさせましたが、二%弱に当たる公務員の定期昇給は認めているわけですね。農家の皆さん方は、最近、そういう公務員の定期昇給分はわれわれの生産者米価の要求の中の労賃部分の正当な評価によって補償してほしいという、これは当然のことだと主張する声が強くなってきました。  ことしは、人事院勧告の完全実施というのはこれからあるのだろうと思います。そうすると、昨年お約束した上積みというのも、この米価の中にちゃんと、お約束ですからね。まして、今回参議院でずいぶん応援してもらったでしょう。ずいぶん本当に懸命に応援しましたよ、もうわれわれの米作地帯でも。助かったでしょう、それで。恩返しもしなくちゃならないのですよ。二重、三重の借りがあるじゃないですか。それでこういうことにすると、これは裏切り者は消せというふうになるのじゃないですか。その点やはり踏まえたこの一・七五だったのか、その点もひとつ聞かしてもらおうじゃありませんか。どうですか。
  367. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  米価審議会への諮問米価といたしまして一・七五%アップの算定を行ったのでございますが、その基礎につきましては、午前中御説明いたしましたように、最近におきますところの過剰基調の中で、できるだけ今後の稲作を担って立とうとする農家に対しまして意欲を与えるためにどのような価格算定すればいいか、こういうことで検討いたしました結果をけさほど御説明させていただいたような事情でございます。  もちろん、その中におきましては、財政事情の苦しいこと、また売買逆ざやのあること、こういった事情等にも配慮いたしておりますし、農家における稲作のウエート等につきましても、また稲作規模別の農家の対応、規模拡大の方向、こうしたものも配慮いたしまして一・七五%を算定させていただいたような次第でございます。
  368. 武田一夫

    ○武田委員 農家の生活というのはやっぱり考えてやらないといけませんよ。現実というものをもう少しよく見きわめた上で物事というのは考えなくてはいけないですよ。机の上では何ぼでも計算できるのだ。その点が非常に欠けていると私は思うのです。  時間がないから次の問題に入りますが、先ほど、今後やっぱり農政の一つの基本としては構造政策が表になって進めていくのだということでありましたが、これは基本的な方向として進めていくわけですか。どうですか。
  369. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  今日の農産物の市場の状況、特に需給関係、そういったものを頭に置きました場合、従来のように所得補償に重点を置いた、所得均衡に重点を置いた価格政策から、高い生産性を実現するための条件づくりである構造政策にやはり農政の力点は移行していかなければならないということだろうと思います。  昨年の生産者米価決定の際におきましても、政府・与党間におきまして六項目の方針決定が行われまして、これについては必要な対応措置を今年度予算等においても講じましたのも、そういう趣旨に出るものと御理解賜りたいと思います。
  370. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、先ほどちょっと触れましたが、その生産性向上ということ、このために余剰労働力が出てくる、それが農業の規模拡大という、そしてその結果農業における経営も安定していくという方向への動きというのは、どの程度、どういう状況になっているか。今後、見通しとして、それは間違いなく明るく希望のあふれるものとして受けとめられるかどうか、ひとつ状況を聞かしてもらいたいと思います。
  371. 森実孝郎

    森実説明員 構造政策として生産性の向上に焦点を定めて推進をする場合、やはり土地利用型農業についてどう考えるかが基本だろうと思います。  その場合、一つは経営規模の拡大というものをどう進めるかが第一でございます。  二番目は、土地の利用のいわゆる作業単位、経営単位ごとに土地の集団化をどう進めていくか、利用の集団化をどう進めるかということが重要だろうと思います。  三番目は、連作障害とか地力の問題等も頭に置きながら、さらに稲作転換等も現実に頭に置きながら、ブロックローテーション等の実現をどう進めるかという課題もあると思います。  またさらに、利用度の低い土地における裏作の導入の問題とか未利用地の開発利用という問題を考えていかなければならないと思います。  私どもといたしましては、この四つのことを頭に置きまして、当面いわゆる地域農業集団の育成ということを軸として施策の展開を図っていきたいと思っているわけでございます。農用地利用増進法が制定されまして約三年近い歳月がたちまして、先ほど官房長からも申し上げましたように、十万ヘクタールを超える利用権の設定も進み、また作業の重要部分についての受委託、全面受委託に近い形も六万ヘクタールを超えるという実態も生まれてきております。こういったものを今日の状況をとらえながらどう拡幅していくかということが重要だろうと思いますが、特に跡取りのない農家がかなりふえてきている、老齢化も進んでいるという点に着目いたしまして、やはり地権者の話し合いをベースにいたしまして段階的に進めてまいりたいと思っているわけでございます。
  372. 武田一夫

    ○武田委員 そこで、いつも問題にするのですが、それではこれから土地改良の問題、これは本当に農家の皆さん方が要するに生産性向上のための基盤整備としてしっかと受けとめてそれに乗ってくれるような、そういう予算的な措置を含めた対応ができるのかどうか。いままではずっとおくれているわけです。もう私の県などは二三、四%ぐらいですか、平均でも恐らく三〇%か四〇%ぐらいでしょう。  それから今度は、農地利用増進事業による土地の集約化の問題で、農林水産省としては、一つの目標としては稲作であれば五ヘクタールというのを掲げておるわけですね。ところが、実態を見てみますと、大体一・五ヘクタール以上の方々が農地を借りたりあるいは買ったりしたという全体のパーセントはまだ四三%ですよ。下の方でたとえば〇・三ヘクタールとかあるいは〇・五ヘクタールのところにも土地が行っているわけですね。かなりの土地が行っているわけですよ。  こういうようなことをきちっと、いわゆる土地の効率的な利用と同時に集約化による規模拡大が生産性の向上に結びついて、それが農業の所得の面にはね返ってくるというような、安心したそういう今後の見通しが保証できるかとなると、その点どうですか。
  373. 森実孝郎

    森実説明員 御指摘の二点のうち、まず土地改良、特に圃場整備の問題について申し上げたいと思います。  昨年のそういった生産者米価決定の際に、第三次土地改良長期計画の確立ということがわれわれに課せられた宿題であったわけでございます。今年度の予算編成の際に、三十二兆八千億という十カ年の事業量を決めましたのもこういう考え方であり、圃場整備につきましては、現在の三二%程度の圃場整備の水準を大体七割前後の整備水準まで十カ年に高めていきたいという問題でございます。これを考える場合、いろいろな問題があると思います。ただいまの武田委員の御指摘にも幾つかの点の御指摘があったわけでございます。私どもとしては、なかなか財政の厳しい状況でございますが、やはり予算の確保にどう努めるか、これは最大限の努力をしなければならないと思っております。  第二は、やはり効率的な実施という視点であろうと思います。この点につきましても、私どもは事業単価を抑制する、自然、社会条件に応じた現実的な地下水位の問題とか圃場区画の問題ということを取り上げていく必要があると思います。  三番目は、たまたま宮城の御指摘がございましたが、実は圃場整備水準は県によってかなりまちまちでございます。また、低い県におきましても、その理由が非常に違っているという事情がございます。たとえば西の方で、傾斜地が多いとか樹園地と水田が交錯しているような地域でなかなか進まないというようなこと、それから宮城の場合は、実は一反歩区画のほどほどの地下水位の高さを持った圃場整備が、昭和三十年代の前半までかなり進んで、逆に大型区画や徹底した排水改良という圃場整備までなかなか踏ん切りがつかないというふうな事情があることは事実でございます。そういう地域差はございますが、要因の差はございますが、私はやはり今後十年間はいままでの整備水準が県によって事実としてかなり差がある以上、おくれた県にウエートを持った配分なり事業の推進はどうしても必要だろう。いままでのように比較的平たん部でまとまりのある地域ばかりに重点的に考えるわけにはいかないだろうと思っております。  次に、規模拡大を志向するための努力でございますが、いろいろな数字の見方がございますし、特にはっきり申し上げますと、いや地現象の多い作物や特殊な工芸作物や蔬菜等をつくるところでは、経営規模の小さい農家でもかなり所得を上げておるし、また、そのための利用権の設定等の動きがあることは事実でございますが、全体としては、武田委員も御存じのように、もうすでに一・五町階層、特に二町以上の階層に利用権の集積も作業の全面受委託も進んでいる、重点がかかってきていることは事実だし、またその階層が単収も、たとえば米で申し上げますと、一俵程度に近い差を低い階層に比べると上げているし、反当投下労働時間は、低い階層に比べれば大体四割前後の投下労働時間までになってきている、あるいは三割五分ぐらいの投下労働時間になってきているという事実があるわけでございます。  そこで、私どもとしましては、先ほども申し上げましたように、特に稲作につきましては、規模拡大の問題は地権者の話し合いを通じながら、やはり通勤兼業農家の方に段階的に逐次土地を出していただく。ただ、その受けとめ方については、一挙に利用権の集積ということは、私は率直に申し上げると、東北や九州の平場ではなかなかむずかしい点がまだあると思います。そういう意味においては、当面作業受委託等も並行して重視しながら、面積も広め、さらに作業受委託を利用権につなげていくし、また、利用権の問題も短期のものから長期のものに延ばしていくという段階的な努力が必要だろうと思います。  しかし、先ほど申し上げましたような今日の跡取りのない農家実態、通勤兼業農家の農外所得の安定度と高さ、さらに老齢化等を頭に置きます場合、現にあります機運も国が農業団体あるいは自治体等と協力しながら、全面的にその運動を推進することによって十分加速できるし、段階的にその効果は上がってくるものだろうというふうに期待しておるわけでございます。そういう意味で、長期見通しの目標に近づけるための努力を広角的にいたしたいと思っております。
  374. 武田一夫

    ○武田委員 そういう諸般の条件整備はしてもらいたいし、努力してほしいのですが、肝心なのは、たとえば中核農家の育成と言っていますけれども、これは見てみましても、稲作を中心とした農家などでは専業と同じくらい、第二兼農家なんかに比べたらずっと収入が悪いのです。ことに私は一つの問題があると思うのです。ボーナスがあるわけではない、退職金があるわけでもない。だからといって、土地を資産にして売ろうなどと考えている農家などいませんよ。  こう考えると、そういう中核農家がこれから育っていく。何かこれから九十万ヘクタールですかの土地の集積をやる。それによって中核農家もかなりの人間を育てよう、こういう計画がありますがね。そのためには、やはりどう考えてもそういう条件整備のほかに、そういうものがきちっといくまでの過程の中に、時間がかかるわけですから、米価を中心としてひとつ上げますね。価格保証というものをきちっと踏まえて、つくったものが安心してわれわれの生活のためにプラスになるのだというような答えが返ってこないとうまくないと私は思うのです、豆をつくるにしたって麦をつくるにしたって。  その根本的なものがしっかと根を張っていないから、そういうことにいこうとしていても、まじめな農家ほど苦労して、それで収入は思うように入ってこない。嫁も来ない。大体そういう傾向ですよ。専業農家の長男は嫁が来ない、中核農家であっても嫁が来ないというのだったら、これはどこにうまみがありますか。その点は十分に考えて、やはり米価決定等を含めた、価格保証の問題等を含めた農業政策は、これから一つの底流の中でしっかと進めていかなければならぬ、私は、こういうことを私の意見として申し上げて、だからどうこうという返事は要りません。お聞き願いたいと思う、時間がありませんから。  最後に、良質米の問題です。販売促進費をまた削るんですね。何で削るのですか。臨調さんの顔立てですか。
  375. 山田岸雄

    山田説明員 流通米の助成におきまして、それをどういうふうに今後措置していくかという問題につきましては、従来から検討しておったわけでございますが、今回、その助成の一部でございます流通促進奨励金、この一俵当たり二百円を廃止しよう、こういうふうに考えておるわけでございます。  これは、御案内のように、この助成のもともと設定されましたゆえんは、売買逆ざやが大幅でございまして、自主流通米政府米との間のハンディキャップが非常に大きかった段階におきまして、自主流通をできるだけ今後育てていこう、このためにはこのギャップ部分を埋めていく必要もあるだろうという考え方から一応設定されてきたものでございますが、最近におきましては、この売買逆ざやも非常に小幅になっておりますし、また一方、自主流通米流通も非常に順調に伸びてまいりまして、実力もつけてまいった、こういった双方の実態を踏まえまして、私たち今回二百円の助成は廃止する、こういうふうに踏み切ったわけでございます。
  376. 武田一夫

    ○武田委員 制度的に定着したとか、ひとり歩きができるようになったとか、こう言われておりますね。良質米というものの今日までの成長してきた過程というものを考えますと、大変な苦労と努力と手間暇もあるわけです。大体、いま一生懸命に天候にも強いものにということで努力しています。しかしながら、そういう天候の関係に非常に弱いということ。また、手もかかる。管理にも手間がかかる。病気にもかなり弱い。そういう危険率というのが非常に大きいわけですね。だから、国の一つの方針として、消費拡大等を含めまして、良質米志向消費者にこたえるということのために努力した農家の皆さん方、二十一県あるいは三十一県と言われる地域の皆さん方にとっては、これは米価の中の一部なんですよ。二万円ちょっとくらいです。宮城県の場合は二万一千何ぼくらいでしょう。  ところが、それを皆さん方が、良質米奨励金千八百五十円あるいは促進費二百円という、二千何がしがあってそういうものがカバーできる。これはそういう苦労のあるものですよ。もしこういうものがこれをはずみにして、今回は良質米奨励金には手をかけないというけれども、今度は切り込みをかけられるという心配でどうしようもない。それなら、五百キロそこそことるのに精いっぱい苦労しているならば六百キロくらいとれるようなほかの米にかえようとして、もし万が一皆が切りかえたらどうしますか。その分の負担だけでも、これは大変な負担ですぞ。私は、ここのところは慎重に考えていかなければならぬ、そういうふうに思うのですよ。  しかも、いま東京や大阪などの大都会を見てごらんなさい。そういうおいしい米を食べる方々があって、消費が非常に低迷している中でふえているんじゃないですか。この間も、精米研の話じゃないけれども、そこにまたブレンド米の話なんか出してきたり、何か臨調さんの思惑にこたえようという一生懸命な姿が、水面下で動いている農林水産省の姿が想像できてしようがない。これじゃいかぬと思うのです。良質米というのは今後さらに推進して、しっかりと守っていくという基本的な考えをお持ちなんですね。その点どうですか。
  377. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  良質米につきましては、先生も御指摘のように、消費者良質米志向が高まっておる中にありまして、需要も非常に強いわけでございますし、私たち、その生産振興を図っていこうという従来の考え方には何ら変更はございません。
  378. 武田一夫

    ○武田委員 時間も少なくなりましたが、本当にこれは約束してもらいたいと思うのですよ。いいですね。  米がこの程度で、一・七五%程度でもし万が一いった場合、それじゃ農家の方々は、今度は自分たちの経営や生活というものを考えた場合、出るものを少なくするということに一生懸命にならなくてはいけないですわね。農家の経済が落ち込むと地域経済は物すごく冷え込んできますよ。じわりじわりと、一年、二年、三年と、その影響というのはどんどん来ているわけです。商店街はまことに冷え冷えしている。大工さんは金づちをシャベルやスコップに切りかえてどうしようもない。それとても仕事があればいいが、なければどうしようもなく、首を切られる。もう生きる道はないわけです。臨調がそういう状況をしっかりと踏まえて行革の中で言っているのかどうかわからぬけれども、せめて農林水産省の、大臣を含めまして、皆さん方はそういう深刻な状況理解するという点に思いをいたしてほしい。  そうすると、いままでずっと見てみますと、たとえば機械、農機具等とかあるいは肥料とか、そういうような生産費材の高騰というのはあるわけです。こういうものを指導しながら、企業努力によって価格を少し下げるということにもう少し思いをいたして、通産省や何かと連携をとりながらやっていくという努力も非常に必要ではないですか。農家の皆さん方もいままでのようにはいかぬから、中古品を買って大事に使う、そういう努力はしておりますよ。ただ、新しいものが出てくると、そのたびごとに、性能は余り変わらぬけれども附属品等々で高くなって、それの販売に走ってしまう。こういう点の指導というものに対して、農林水産省もきちっとした御意見を進言申し上げまして、農家の皆さん方の負担というのを軽減するような努力というのを、私は一生懸命取り組んでほしいと思う。その点についてどうお考えでございますか。
  379. 小島和義

    ○小島説明員 農用生産資材価格の動きでございますが、昭和五十六年度までは第二次石油ショックの影響などもございまして上昇をしてまいりましたが、五十七年度におきまして初めて反落を見まして、前年度に比較いたしまして〇・三%と、大変ささやかでございますが、下降をいたしております。本年の一番新しい数字で申しますと、五月現在でございますが、前年同月対比〇・七%低下している、こういう状況でございます。  具体的な物別に申し上げますと、肥料の小売価格が五十七年度には〇・八%下がっておりますし、また今年五月では一・三%ほど下がっております。  それから農薬でございますけれども、同じく五十七年度〇・一%下がり、今年五月には一・一%ほど低下をいたしておるわけでございます。  こういうことで小売価格が下がってまいりましたのは、いずれも全農がメーカーと取り決めております価格が、肥料につきましては五十六年度以降、それから農薬につきましては五十七年の十二月の取り決め以降、それぞれ値下げをしてきているということの反映でございます。  農業機械につきましては、五十七年の一月に三・八五%、これは一年半ぶりぐらいで上げたわけでございますが、それ以降ずっと据え置いておりまして、いわゆるメーカー出し値としては上がっておらないのでございますが、小売価格は若干の上昇を見ております。本年五月で前年同月対比〇・二%ほどの上昇となっております。  そのほか農業用ビニールが五月で一・九%、ポリエチレンが四・七%、光熱動力四・六%、それぞれ主要原料につきましては値下がりの傾向を示しておりまして、農家の購入資材の支出面では貢献をしてきているというふうに見ておるわけでございます。  一般の物価も鎮静ぎみでございますし、今後とも農業団体ともよく相談をしながら、各メーカーにつきましてその体質の強化とコストダウンを図るように指導を強化してまいりたい、かように考えております。
  380. 武田一夫

    ○武田委員 結局、あるときにちょっと高く上げまして、そこでまたしばらくたって少し抑えているという傾向があるわけです、見てみますと。あるときはかなり高く、もうけている、グラフを、動きを見ていますとそういう傾向が私は感じられます。やはりそういうところはよく監視しまして、適正な価格というもの、その努力をさせるということ、これは今後の一つの課題として私はお願いしたいのですよ。  農家の皆さん方も、こういう不景気だから余り買わぬですけれども、しかし、だからといって、景気がよくなったときにこれからまた買って、また機械貧乏だとかというようなことになれば、これは農家の皆さん方自身の責任だと言えばそれまでですけれども、そういう雰囲気、空気というものをすべての農村地域に流すものですから、どうしてもそういうふうなものに動かされやすい。しかも、二兼農家がかなり多くなってきている。そういうときに、それがもろに専業の皆さん方や中核農家の皆さん方に反映してくるというのは、これは人情としてわかるでしょう。そういうところも踏まえた実態をしかと踏まえての対応をしてほしいと思うのです。  最後に、時間がなくなりましたが、私は、これまで日本の経済の発展というものには農業の力というのがあずかって大きな力が、貢献度があったと思うのです。御承知のとおり、農業を軽視して国の発展はない。現実に、農業軽視の姿が国を衰えさせているというケースがあるわけでありますが、私は、いままで日本の農家の皆さん方が非常な貢献をして今日の日本のこの高度経済成長の発展の一つの大きな原動力になってきたということ、たとえば農地を工場用地に提供したり、あるいはまた住宅用地に提供する、あるいはまた優秀な労働力を安い賃金で提供した。あまつさえ、本当に働き者のいい娘を嫁にやっちゃう。その飛ばっちりで、肝心の農家で嫁不足に嘆いているなどというような、それまでして今日の経済を支えてきたということは評価してあげたい。  それに、先ほど申し上げました減反に対する協力、いろいろと考えれば、並み並みならぬ努力をして今日があるわけですから、いま、わずかに残った農業者の皆さん方は、今後の日本にはかけがえのない宝です。しかも、毎年新規農業就労者というのが七千そこそこ。こういう方々が、本当におれたちの双肩に日本の農業がかかっているのだという自覚を持って農業に取り組めるような、そういう条件をつくるための、そう受けとめられるような生産者米価を私は期待しておりますから、その点の努力を瞬時も忘れずに努力をしてほしいという要望をしまして、時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  381. 山崎平八郎

    山崎委員長 寺前巖君。
  382. 寺前巖

    ○寺前委員 皆さんこってりおやりになっていますから、私は、ちょっと違う角度から四、五点に限って質問したいと思います。  質問に入る前に、ちょっと気になりますので……。  朝から小川先生なり藤田先生なりが盛んに消費者米価の問題について、連動させないんだな、大臣、どうなんじゃと。これは新聞にも今度の財源をどこに求めるのか、恐らくそこにいくんじゃないだろうかと広く書かれているだけに、農水省の姿勢をただしたいというのはみんなの気持ちだと思うのです。  そこで、私は、どうも次長発言には気にかかる表現があったようなのでちょっと確かめたいのですが、大臣は朝から、私は連動する気はない、大臣になったときに消費者米価決定についても大蔵省とちゃんと話し合いをやって上げなかった、盛んにそういう態度を表明しておられました。その大臣の意思を体して農林省の事務当局方はおやりになるのかならないのか、その点、私はすかっと答えてほしいと思うのです。
  383. 山田岸雄

    山田説明員 お答え申し上げます。  今回の生産者米価がもし値上げというふうな決定になりましたために、財源確保のために連動して消費者価格を上げるということは考えてない、こういうふうに大臣は申されたものと私は理解しております。
  384. 寺前巖

    ○寺前委員 もちろん尊重するのでしょうな。あれは大臣じゃ、わしは別じゃと言うのか。
  385. 山田岸雄

    山田説明員 私たちは農林水産大臣の御趣旨を体しまして仕事をやっておるわけでございますから、もちろん大臣の御発言、御趣旨のほどは尊重して今後も仕事に反映していきたい、このように考えております。
  386. 寺前巖

    ○寺前委員 次に諮問の事項について、これも先ほどからいろいろございました。そこで、今度の諮問されたところの、基準価格が一万七千九百九十六円で一・七五%アップの内容になるのだということが言われておりました。農業団体のささいな要求でもこんな数字とははるかに遠い。大臣、あなたの気持ちはどうだと、藤田先生、朝おやりになっていましたけれども大臣でもそれは期待にこたえるような額であるというふうにはおっしゃれなかった。いろいろ事情があって、精いっぱい努力したのを理解してくれという態度でした。そうだろうと思うのです。まことしやかにこんな算定方式をりっぱなものでございますと厚かましくよう準備したなと私は思うのです。だから、そんな算定方式についてとやかく言っている方がおかしいのかしらないけれども、しかし、天下御免で算定方式を出してきた以上はこれを無視するわけにはいかぬ。  新聞ではもうはっきり、一・七五%アップについて、自民党の方が二%、そして政府当局の方が一・五%で、足して二で割って一・七五。ひやかしか真実か。まことしやかにみんな読むのはあたりまえですよ。大臣だってこんなものが期待にこたえる額だというふうには言えないんだから、それはそうだと思います。それを事務当局の方はまことしやかにこれが一番合っているあれでございますでは、これが事務と言えるものだろうか、私はそういうふうに感ずるのです。  少し角度を変えますけれども、今度の諮問にも「需給事情に即応しつつ生産費及び所得を考慮して決定する」と、「需給事情に即応しつつ」ということを大臣が文書の中に書いておられる。そしてその説明を読むと「依然として過剰傾向を脱するに至っておりません。」。「依然として」という表現ではありますけれども、脱していないんだ、これがポイントになって算定方式を、いろいろ苦労して数字をつくられたというふうに思うのですが、本当にどうなんだろうか。過剰ぎみだからひとつ減反に御協力を願いたい、こういうことで第二期の水田再編対策が五十六年度から始まっていると思うのです。当初の計画は六十七万七千ヘクタールじゃないか。過剰傾向が依然としてあるんだということを堂々と言うんだったら、その数字をとことん追求せんならぬことになるだろうと思うのです。  しかし、客観的な事実はどうだったのです。米が余ってしゃあないで、しゃあないで、しゃあないでとさんざん宣伝したのです。だけれども、冷害が起こってきたらそうはいかぬじゃないかということになってきたのが客観的事実でしょうが。第三期対策については、計画そのものについても見直しをやらなければいかぬなときょうはみんなが言っていました。他用途の米については絶対外国から入れぬようにするのやな、ちゃんと計画の中にのせなんだらあかぬで、冷害というのは特殊な、ことしだけの話と違うじゃないか、続いてきているじゃないか、みんなそう言ってますがな。そうすると、いままでのように米が余ってしゃあない、しゃあない、しゃあないだけではちょっと違うでという事情が需給事情の姿の中にあらわれているというのが客観的事実だろうと私は思うのです。  それが数字にあらわれてきたのが、五十六年度は六十七万七千ヘクタールとは違って六十三万一千ヘクタールになった。五十七年度も六十三万一千ヘクタールになった。五十八年度は六十万ヘクタールになった。こういうふうに逼迫をしているから数字も変わっている。だから、起こっている事態というのは、少なくとも二期対策のときの五十六年と比べてみても、需給事情を反映するということになったら、逼迫をしつつあるんだかち生産者米価についての値段はふえていくという方向になって出てこなかったらうそじゃ、こう思うのですよ。  ところが、事実はどういうことになっていますのや。生産者米価はここ数年の間に全体として伸びたのが、五十五年度産米ですか二・三%、〇・五%、一・一%というふうに毎年ほとんど上がっていない実態になっている。物価や労賃その他と比較しては、もう比較にならない上がり方だ。だから実質所得は下がっていく。需給事情の逼迫から言うならば、「需給事情に即応しつつ」ということをあえて諮問の中心に据えるというんだったら、逼迫しつつあるのが客観的な数字の事実だったら、何ぼ何でも五十六年度に決めたところのあの生産者米価よりも、あの算定方式よりも下がるような算定方式をしておいて、需給事情に即応しつつある計算方式をやりました、こんなのは理屈の通らぬ話だと私は思う。専門家面していろいろな算式を何ぼつくったって、逼迫しているのやったら米の値段を上げてやれ。あの計算方式よりももっと上がる算定方式じゃなかったらおかしいじゃないか。何ぼ何でも五十六年度の計算方法で出したところの金額ぐらいにはなってあたりまえじゃないか。あれよりも下がるなんというのはおかしいじゃないか。  私、計算してみた。五十八年度の基準米価は、五十六年度と同じ計算方法で一俵当たり二万九円だ、基本米価はそれにつけ加えるから二万二百七十九円だ、五十八年度米価というのはこういう算式になってきますよ。そうすると、五十七年度産の基本米価に対して一三%アップというようなものが諮問に出てこなかったら、諮問の一番基本である需給事情に即応しつつあるという話との関係で言うたら、筋が通らぬことになるんじゃないだろうか。  政務次官、私は細かい数字を聞くわけじゃない。考え方、流れとして、需給事情に即応するという諮問をされたんだったら、何ぼ何でもその五十六年度の二期対策を出したときの米価よりも下がる算式がつくられていくということは、その諮問自身が矛盾に満ちた諮問のかけ方になるのじゃないか、そう思うのですよ。矛盾をお感じになりませんか。政務次官のお答えを求めます。
  387. 楢橋進

    ○楢橋説明員 現在、米の需給状態は、基調といたしましては過剰基調にありまして、現在転作をしておる状況でございまして、ただいま申し上げました状況下に米作というものはあるわけでございます。
  388. 寺前巖

    ○寺前委員 五十六年度転作をやるときの目標を一定の見通しでもってずっと立てたわけでしょう、第二期の。その目標どおりにするわけにはいかないと、減っていったんだよ。これは御存じでしょう。冷害が生まれた。単年度冷害じゃないんだ。ずっと続きよるんだ。これは地球上ちょっと考え方を変えなければいかぬなという話まで出てきている。それじゃ需給はどんどん逼迫していく、古米はなくなってくる、五十九年度それでもう終わりだというところまで来るわけだから、さっきから言うように他の用途に使うお米も需給計画の中にちゃんとのせなければあきませんでという話まで出てきたわけや。もう古米の段階は終わってきたんだよ。現実にやっているもの自身も計画変更せんならぬところまで来たんだ。だから、逼迫しているというのが、二期対策を出したときの事態と現実との客観的な違いじゃないか。  そうしたら、少なくとも五十六年度からそれに関連してどういう対応をしてきたかというと、生産者米価の方は逼迫の態度じゃなくして、いっぱい余っていますという算定方式でもって米の値上げをちょっともせぬ。いまでも需給事情に即応してと言って、米が余ってますさかいというやり方になるけれども、客観的には減反政策の方ではあの数字ではあかなんだんやということに事実としてあらわれておるのだから、そうしたら当然のことながら何ぼ何でも二期対策に入ったときの値段よりは算定方式として下がってくるというようなことでは、需給事情に対応するところの計算方式になっていないじゃないか。これがおわかりにならぬようでは、私は一体何と解釈したらいいんだろう。諮問案の書けるお方が、需給事情に即応して書けていますと言ったって、即応してへんじゃないかと言っておるんだから。そうでしょう。  あなたはいたたまれぬで立ち上がるのか。私はそんな細かい数字を聞いているのと違うのだから、流れを聞いているのだから。基本的に言うたら、二期対策をやり始めたときの姿勢で考えるならば、あれ以上に需給は逼迫しているのだから、あれ以下の算定方式の計算の結果の生産者米価にするのはおかしいじゃないか、それだけの話です。そうだなとわかったらそれで、そうだと思いますけれども大臣のおっしゃるようにいろいろまだ関係がありましてそれだけではいけまへんのや、金の都合、いろいろありましてと言うんだったら、なるほどそうかと、こうなるのだけれども、そうは言わぬでわかったような顔しているからあえて言わざるを得ない。いかがなものでしょう。
  389. 楢橋進

    ○楢橋説明員 今度の諮問につきましては、需給ギャップを考えまして諮問案を出したわけでございます。
  390. 寺前巖

    ○寺前委員 いや、もう要するに何ぼ聞いてもおわかりにならぬようですよ。これで農政に責任を持っておられるということになると、日本農政が現実で不安であるだけじゃなくして、これでわからぬようだったらこれからの方向において私は不安この上なしと言わざるを得ない。何だったら、いつでも大臣をかわりますよ。  次に行きますよ。  いま農水省では中核農家を育成するんだという方針がとられている。こんな算定方式なんてインチキなもんやと言うてしもうたらしようないからそうは言わぬで、算定方式を尊重しておいてあえてお聞きするわけなんです。中核農家を尊重すると言うんだったら、果たしてこれは中核農家を尊重する算定方式になっているだろうか。  どういうことかといいますと、五十七年度生産費調査を見ると、第二次生産費米価よりも高い。つまり、生産費をカバーしていない農家の規模は、一ヘクタールを対象にしないと言われるけれども、二ヘクタールの規模でもカバーしていないというのがあなたたちの数字の中にあるんです。先ほどもらった「米価に関する資料」の六ページから七ページのところの表を見ますとそうなるのですよ。一・五ヘクタールからニヘクタールのところの第二次生産費を見ると一万八千四百九十六円になっている。ところが、去年の生産者米価で言うと一万七千九百五十一円ですから、ここでは生産費の方が高い。一・五ヘクタールから二ヘクタール未満の農家でも生産費を償うことはできない。二ヘクタール以上になって初めてめんどう見るということになってくるのですから、これは日本の農家の本当に限られた一部分の生産費補償になるというだけの数字になっている。  中核農家と言ったって、こんな二ヘクタールからの水稲をやっているのはそんなにたくさんある話じゃないと思うのです。これなら何も育成の部類に入らない。これでもって日本の農業を考えているなんというのはおかしな話だと私は思うのです。五十三年産から連続据え置かれている結果、第二次生産費をカバーできる農家は、これもおたくの資料ですが、五十二年度で五七・五五%あった。五十七年度の資料を見ると一六・四八%に落ち込んでいる。ですから、生産費を補償するところの農家は実に一六・四八%になっている。急速に落ちているのだ。こういうことで中核農家を育成しているなんということは私は言えぬと思うのですよ。中核農家を尊重すると言うのだったら、生産費が高くついている一ヘクタール未満を切り捨てるような算定方式をやったら結局全体として生産者米価が下がるのだから、中核農家を育てるどころか、打撃を与えるところの計算方式になっている。  もともとインチキ計算方式だからと言うてしまったらみそもくそも同じことになってしまうので、その話は別においても、考え方として、あなたたちが本当に中核農家を尊重すると言うのだったら、算定方式に一ヘクタール以下を切り捨てたり、生産費が二ヘクタール以下では賄えないというおたくが出しておられる数字から考えても、計算方式は抜本的に見直す段階に来ているのじゃないかと思うのです。  そして、現にこれもおたくの資料です。農家世帯員一人当たりの家計費を賄うのにはどれだけの水田面積が要るか。五十二年では七十八アール必要だ。それが五十六年になると百二十七アールになっている。家計費を償う面積が多くなかったらあかぬのだ。だから兼業に目を向けざるを得ない結果なんだ。次長の説明によると、兼業をやっているからその人たちはめんどう見ぬかていいんだ、こう言った。そうじゃない。兼業をやらなかったらやっていけないという計算方式に落とし込んできている。その兼業は農家では大変なことになっているのですよ。  私の京都の方で言うたら、丹後に行ってごらんなさい。兼業はちりめん。ちりめんは消費能力がなくなってきているから売れなくなってくる。外国から織物が入ってくる。だからつぶさなければならぬのだ。兼業自身が大変なことになっている。もとはといえば、農業でやれたものが兼業に手を出して、その兼業がやれなくなっていままた逆戻りせざるを得ない。その逆戻りする方向は、おまえさんの方は知りませんで、兼業に頼っている人は兼業でがんばりなさい、こんな無責任な話はないと思う。  そこで、政務次官に聞くのです。私の話はおわかりになっただろうと思う。兼業に頼りなさいという方向でなくして、本当に小さい農家であってもその農家が成り立つような方向を、基本に戻るようにもっと現実的に、小さい面積でも成り立つようなそういう農業の発展方向を考えようと思ったならば、その面からも、今度の生産費ではいままでの継続になるから見直しをやっていただく必要があると私は思うのですが、いかがなものでしょうか。
  391. 楢橋進

    ○楢橋説明員 先生指摘のように、農家が兼業をしないで農業だけで生活が成り立っていくような方向で日本の農業を進めていかなければならない、私も同感でございます。  御指摘米価につきましてはただいま米審で審議中でありまして、その答申を待ちまして政府としては米価決定してまいりたい、かように考えております。
  392. 寺前巖

    ○寺前委員 私が言うのは、いままでにやってきたのでも経営規模が五十六年度で百二十七アールを持たないと世帯がやっていけないという数字になっているのですよ。一ヘクタール未満の人を切り捨ててしまうような計算方式を持ち出してみたり、あるいは需要に見合うんだと言いながら、実際には逼迫しているのにもかかわらずそれを考えないような計算方式の一・七五%ということでは、これではこの道を変えることにはならないよ。それを考えたら、いまお出しになっているものについては見直しをされるようにと私は問題を提起しているのですよ。真剣に考えてほしいと思うのです。もう出したからいい、あれは変えられへんのや、一発回答じゃないけれどももう変えられないということでは、出したもの自身が兼業せざるを得ない事態をつくっておいて、そして相手にしないというこの考え方を一層促進させることになる。  現にこういうことがどういう結果を生んでいるかというと、新規学卒者で自家農業に就業をするという人たちがいま一%なんですね。これもおたくの資料です。七千人前後なんです。ところが、一年後に定着する人は七〇%になり、三年後になるともう五割ほどになってしまう。これは稲作の場合です。稲作にもう魅力がなくなってきている。こんなことでいいのだろうか。これが後継者をしてこういう姿に陥れているのです。この角度から考えても、本当に抜本的に、もっと思い切った生産者米価アップをしなかったならばこの問題を解決することはできないと思う。どうですか、一・七五%でこの問題を解決できると言い切れますか。——数字の話じゃないのだから、政務次官。
  393. 楢橋進

    ○楢橋説明員 それだけではできないと思います。したがいまして、ほかの価格政策構造政策とも組み合わせまして農業の発展のために施策を進めていきたい、かように考えております。
  394. 寺前巖

    ○寺前委員 結局また兼業に逃げ切っていくということじゃないですか。そして、兼業をやっているやつはおまえらこちらの意欲がないから相手にせぬのや。何をやっているのかわけがわからへん。私は政権担当能力を問題にしなければならない性格の話だと思う。  これに時間をかけておってももうあれですから、これで終わります。本当に基本的にまじめに再検討をしていただきたいと思う。  あと、私は、きょうはせっかく北海道から非常に期待を持って米審にお見えになっておられる方もおられますので、この際にお聞きしておきたいことがあるのです。  それは、非常に気象条件が悪うございます。冷たい夏だと言われているわけですけれども、政治まで冷たくならないようにぜひ考えてほしい。  そこで、デントコーンの生育不良という状況北海道で非常に発生しておって、畜産の関係者にとっては憂慮すべき事態が生まれている、こういうようにおっしゃっているのですね。そこで、状況と、事態に対する対応をどういうふうにやろうとしておられるのか、これが一つです。  もう一つは、そういう状況の中で麦の生育もいろいろ問題になってきている。ですから、問題になる地域の麦について青刈りをしてえさに使う、共済でそれを全損でめんどうを見ていくというようなことに打って出るということを考えなければいけないのじゃないのだろうか、こういう問題提起をしておられるわけです。ですから、おられましたら関係者から御答弁をいただきたいと思います。
  395. 石川弘

    ○石川説明員 御指摘の飼料作物でございますが、御承知のように気象条件は五月の中旬ごろまではむしろ高温で推移したわけでございますけれども、それ以降大変温度も下がってまいっておりますし、それから日照時間も少ない。特にそれが道東で著しいわけでございます。  そういう状況のもとで、牧草、これが北海道の飼料作物の、栄養素で言いますと大体八五%ぐらいになるわけでございますが、牧草の方は、七月一日現在では低温寡照によりまして生育はやや不良という状況でございます。その時点では草の生育も五日から十五日程度おくれていたわけでございますが、幸いその後少し回復をしてまいっておりまして、最近の十日ということで道庁その他から聞いております状況によりますと、一番草の刈り取りなんかもかなり進んでまいっているわけでございます。  いま先生指摘のデントコーンでございます。これは発芽いたしますときは順調でございましたが、先ほど申し上げましたような低温寡照ということで生育は四日から十七日程度おくれておりまして、これは七月一日の状況では不良と言われております。ただ、その後若干回復しておりまして、十勝等では若干持ち直したというようなことも最近言われております。  これからの気象条件でございますが、七月の十一日に気象庁が発表しました情報によりますと、七月十一日からの向こう一カ月間の予報では、次第に天気は回復し気温が上がるが引き続き変動が大きいということでございます。したがいまして、簡単に楽観はできないと考えております。  飼料作物の今後でございますが、先ほど申しました牧草は、若干天気が回復しておりますので、あと数日で一番草の収穫は終わり、その後の肥培管理が今後のえさの収量に大変響くと考えております。  デントコーンにつきましては、いままで大変悪いわけでございますが、今後平年並みの積算温度が確保できますれば、道央とかあるいは道南の地域では黄熟期前の収穫は十分可能だろうと言っておりますが、道東ないし道北ではそこまで達しないのではないかと若干心配をいたしております。  そういう状況にかんがみまして、私ども、実は六月に入りまして以来、まず担当者を十勝、釧路、網走の管内に二回ほど派遣をいたしておりまして、北海道庁なりあるいは地域の農協等とも打ち合わせをいたしております。そういう情報に基づきまして六月の末に技術指導に関する通達を流しまして、今後の飼料作物の生産につきましていろいろな気をつけるべきことを関係者と打ち合わせているわけでございますが、御承知のように牧草を干草にするには大変天気が悪うございましたのでサイレージ調製に切りかえるとか、あるいはトウモロコシにつきましては、先ほどのような大変気温が低うございまして成長がとまっておりますので、軟弱成長の防止だとか病虫害防除だといったようなこと、また、そのために必要な肥培管理の徹底というようなことも内容的に指導をいたしております。  要は、ここ数日の状況を見て、さらに事柄が若干でも好転すれば幸いでございますが、さらに状況が悪いというようなことになりますと、飼料作物自身の収量が相当落ちる。したがいまして、いわば飼料全体の需給という問題、これはどうしても草に頼れません場合に若干購入飼料の比率が上がるというようなこともございますが、そういうことも含めまして、過去こういう事態のときに対応しておりますありとあらゆる手法を使いまして事態に対応するつもりでございます。道庁その他も真剣に対応してくれておりますので、私どももそれに全面的に協力するつもりでございます。
  396. 大坪敏男

    ○大坪説明員 第二点の農業共済についてでございますが、先生御案内のように、農作物共済におきましては収穫期を待ちまして損害評価を行いまして共済金を支払うというのが原則でございます。ただ、若干の例外があるわけでございまして、ただいま御指摘のように長雨低温等によりまして被害を受ける、そこで農家としては収穫期まで待たずに以後の栽培を断念いたしまして青刈りしたいという農家も出てまいる場合があるわけでございます。こういった場合につきましては、あらかじめ青刈りをする前に共済組合に損害評価の申し出をしていただく、そうしますと、共済組合で損害評価をいたしまして所定の共済金を支払う、そういう道が開かれたわけでございます。  最近、北海道の一部の地域につきまして御指摘のような例が出ているようでございますので、改めて北海道庁並びに北海道の農業共済組合連合会に対しましてこの点の趣旨の徹底を図ったところでございます。
  397. 寺前巖

    ○寺前委員 事態の即応に抜かりのないようにひとつ注意を払っていただいて、そして共済の方でもしかるべき段階になったら指導を強めていただくように要望しておきます。  それから、時間がもうなくなりましたので、私はもう一つ気になることについて質問をします。  七月十一日にNHKの「謎のコメが日本を狙う」という番組がありました。巨大石油資本が種子産業に乗り出して、系列会社で開発した超多収稲、ハイブリッド種の種子を日本に輸出しようとねらっているという内容のものであります。  ところが、そのハイブリッド稲の開発には、もとをただしていくと日本の沖縄の技術者の研究成果が受け継がれているということなのです。日本ではその技術が減反政策のさなかにあって見向きもされなかったという。アメリカなどと比べて稲作の歴史が格段に長く、品種改良の技術も世界のトップクラスにある日本において、この十年間余りに及ぶ減反政策の中でそうした多収穫技術の研究が放棄されて、いまやアメリカにも追い越されかねない事態が生み出されている。私はこのことがやはり気になるし、もしハイブリッド稲を許すと、鶏の二の舞になるようなことにはならないだろうか、心配です。  植物防疫法上の障害などさまざまな困難があって、いまは日本に種子を持ち込むことができない。ところが、戦略を立てて日本を追い込んでいこうということを考えている。それは何かというと、植物防疫法施行規則別表第一で朝鮮半島、台湾を諸外国から切り離して、諸外国からの輸入はできないけれどもここからは入れられるのだ。そこで、これらの地域に準備に入っている。こういうことが言われ始めているわけです。  この問題についてどういうふうに対応をしようとしておられるのか、事態は一体どういうことになっているというふうに認識しておられるのか、私はこれを一点聞きたいと思うのです。  もう一点は、従来からいわゆるえさ米と言われて、超多収稲の開発技術の問題が論議されてきました。それからもう何年かたってきているわけですが、どういう段階に今日考えるように至っておられるのか、来年度に新たな政策としてどういうことをやろうとしておられるのか、御説明をいただきたいと思うのです。
  398. 小島和義

    ○小島説明員 まず事実関係からちょっと申し上げますが、昨年の春以来、アメリカのある石油会社の子会社でございますが、ベンチャービジネスという分類に入るのだと思いますが、ゾエコンという会社でございますが、そこから私どもの方に数次にわたりまして接触がございまして、向こうでつくりましたハイブリッドライスの種子の技術的な説明、それから日本における輸入上の制度の取り扱いがどうなっているかというふうな照会がございました。その上で若干のサンプルを私どもの方に送付をしてまいりまして、これは試験研究目的ということで植物防疫法上の特例的な許可をして輸入いたしたものでございますが、農業技術研究所において隔離栽培による試験を行ったわけでございます。  試験の成績は、何分にも大変小規模の温室内のものでございますから、その品種の持っております特性、たとえば稔性でありますとかあるいは脱粒性でありますとか、あるいはその穂が長いとか短いとか、分けつ性がどうとか、そういったことについてはある程度わかるわけでございますが、向こう側の宣伝文句でありますところの大変多収でありますとか、あるいはわが国の気候風土に対する適応性といったことについては、この程度の試験においては判断するに足りないというふうな状態で今日に至っております。その後、特段の連絡は受けておりません。  それから、外国から稲の種子を輸入するということについての政策上の判断はということで申し上げたいわけでありますが、種用のもみを外国からの輸入に依存するということになりました場合には、国内のこれまで築き上げてまいりました種子の生産体制を衰退させることになりまして、わが国の農業の基本的な生産力を損なう結果になる。加えて、輸入先のその国の社会情勢でありますとか、あるいは種子そのものの豊凶変動ということがわが国の需給に影響してまいるわけでございますし、また、わが国でつくっております稲作の種類というのは立地条件に応じまして大変多種多様なものをつくっておるわけでございますから、そういう意味で輸入量の変動が稲作に与える影響はきわめて大きい。その意味において、種子用の稲を輸入するということについてはきわめて消極的な考え方を持っておるわけでございます。  もちろん、日本で品種改良をいたします場合のいわば遺伝資源の収集という意味での種もみの輸入は現にいたしておりまして、昨年度の場合でも七件ほど、これは日本の品種改良の素材としての輸入はいたしておるわけでございます。  それから、ハイブリッドライスそのものについての技術的な評価というのが、これは後ほど技術会議の方からも補足していただくことにいたしますが、御承知のように稲は自家受粉の作物でございますので、他家受粉ということをやりますためには大変むずかしい栽培が必要なわけでございます。まず、通常のいわば交配を行います場合のように雄しべを切り取るというふうなことはとうていできませんので、雄しべがいわばインポテである、雄性不稔の系統というものを発見する必要があるわけでございます。ところが、雄性不稔の系統というのはそれ自体生産が不可能でございますから、その雄性不稔の系統を維持するための同じような品種の系統がもう一つ要る。それがいわば雌の方、母親の方の系統になるわけでございます。いま一つは、それにかけ合わせるところの雄性回復系統、これが父親になるわけでございますけれども、その三種類の系統を見つけ出して、かつ、その母親と父親との間の親和性というものもなければならないということから、現存いたします品種系統の中でそのような特性を待ったものというのはきわめて限られておる。加えて、その稲の自家受粉が、これは他家受粉の場合もそうでございますが、稲の開花期間というのは大変短うございまして、加えてその中で雄しべが授粉能力を持っている時間というのはわずか数分でございますから、その母親と父親とかけ合わせますためには両方の開花期がぴたり一致しなければならないという、栽培上の大変むずかしい制約がございます。  中国ではF1の品種を実用に供しておるわけでございますけれども、その事例を見ましても稔実率がわずか二〇%から三〇%、それを中国では人海戦術をもってやっておるわけでございますから、品種改良としても非常にむずかしい制約がございますし、また、それを実際のコマーシャルといいますか、栽培用の種子としてつくりますための費用というものを考えてみますと、必ずしも品種改良ないしは採種の問題として容易な技術ではないというふうに考えておるわけでございます。  ただ、稲作につきましても、そういうF1ができるということは学問的にはわかっておるわけでございますし、そういうことについても日本としても大いに注目をいたしまして研究はしなければならないと思っておりますが、今日多収品種として直ちにそういうものに飛びつくということではなくて、後ほど技術会議からお答え申し上げますが、わが国のいま持っておりますいろいろな遺伝資源というものを活用いたしまして一つの固定品種をつくるという方向がオーソドックスな行き方ではないか、目下さように考えております。
  399. 岸國平

    ○岸説明員 関連してお答え申し上げます。  いま農蚕園芸局長の方からお答え申し上げたことで大体尽きているわけでございますが、私ども、先ほど先生の御指摘にございました超多収稲の育種ということをかなりの規模で研究を始めております。それについていまどんな状態かということも御質問にあったかと思いますので、それに関連をいたしまして申し上げますが、すでにそれに向けましてある程度実用性のある系統を得つつあるというのが一つの到達点でございます。今後そういったものを材料にいたしまして、さらに超多収の実現できるような品種をつくってまいりたい、そういうことで努力を続けております。  それから、ただいまのハイブリッドライスは関連いたしますと、これは先ほどのお答え申し上げておる中にもございますように、わが国の品種、一般にわが国に通用しております日本稲の中には、これは非常に長期間、千年あるいは千五百年という間にわが国に適応してまいりまして、その間にかなり近緑性を深く持っている品種が分布しているというようなことがございまして、そういう緑の近いもの同士の間ではF1の効果がなかなか出にくいというようなことがございます。そういう一つの大きな理由もございまして、私どものいままでの食用の品種ということだけから申しますと、このF1の利用ということは学問的にはすでに早くからわかっていたことでございますし、また、それに関連をいたします研究もわが国でもかなり多くのものが行われておりまして、先ほど先生の御指摘にもありましたように、そのものがむしろ外国で活用されたというようなこともあるわけでございますが、いま申し上げましたように、わが国の品種の中でそれを活用するという点についてはいままで特に重点を置いてまいりませんでした。それによって特に支障はございませんで、現在通用するような優秀な品種がつくられてまいりましたので、それについては特に支障はなかったというふうに考えております。  現在考えております超多収の品種をつくるということになりますと、これはいままでわが国に通用してまいりました品種だけではなくて、外国稲、特にインディカの系統の血を入れていくということを考えておりますし、現にそのことを実施しておりますので、そうなりますと、このF1の利用ということも今後は十分考える価値のあるものであるというふうに考えておりまして、これについてはことしからかなり超多収稲の育種の中にこのことを取り入れてまいりたいということで研究を始めております。いずれそういうものも品種の中に取り入れられていくというふうに考えております。  いずれにいたしましても、先ほど御指摘のありましたアメリカからの売り込みというようなことがございますが、私ども日本の稲の品種をりっぱなものをつくっていくということに責任を持っておる立場といたしまして、そういったものに決して負けないようにやっていかなければいかぬということを基本的にしっかりと考えておるわけでございます。
  400. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたので、終わります。
  401. 山崎平八郎

    山崎委員長 阿部昭吾君。
  402. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 米穀政策というものの基本、これを一体政務次官はどういうふうに考えておられるのか。これを一言でいいですから、米穀政策の基本はこれとこれとこれだと、何点か挙げてみていただきたい。
  403. 楢橋進

    ○楢橋説明員 米穀政策でございますけれども、わが国の水田というのは非常に生産力が高くて、国土保全の上からも非常に重要でございますし、また、稲作はわが国農業の基本であるわけでございまして、こういった基本的な認識に立ちまして米政策というものを図ってまいる必要があるというふうに考えております。  そこで、現在米につきましては構造的には高い生産力がある中で消費減退が続いておるわけでございますけれども、やや過剰基調にあるわけであります。その需給均衡を図ることが緊急の課題となっておるわけであります。また、経営の実態を見ますと、経営規模や生産性等の面においてまだ立ちおくれの状況があると思います。  政府といたしましては、このような米と稲作をめぐる実情を十分踏んまえまして、長期展望に立って米の消費拡大、需要に見合った農業生産の再編成等の、米の需給均衡対策の円滑かつ着実な実施を図りまして、今後生産性の高い稲作農家の実現を目指して、農地の流動化等による規模の拡大や基盤整備の推進等、また技術の開発等を図っていく所存でございます。  以上でございます。
  404. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いま次官のおっしゃったことは余りすっきりはいたしません。  そこで、事務当局で結構ですが、一つは需給を均衡させるということですね。そうすると、資料の中を見ますと、今度の米穀年度末の段階で十万トンと言っておるのですが、本当に十万トンあるのですか。私が言いたいのは、この間、米価の問題で生産者の皆さんといろいろやっておる際に、与党の国会議員の皆さんが、十万トンなんてないんだとしきりに演説をぶっておりました。一体どこを調べると米穀年度末の段階でどれだけ残るという数字がぴしっと出てくるのか、資料を僕らにちゃんとしたものを出せますか。これは出してもらいたい。
  405. 山田岸雄

    山田説明員 食糧庁の持っております在庫でございますが、そのうちの五十七年産米、それがこの十月末におきまして十万トン持ち越し得る、こういうふうに私たち現在見通しておるわけでございます。このほかになお五十三年産米だとか五十二年産米、いわゆる過剰米と私たち称しておりますが、そうしたものの在庫もあるにはあるわけでございますが、これは私たちの一般的な主食用途には向けてないわけでこざいます。  十万トンのほかに五十八年産米が十月末におきましては三百五十万トンぐらい一応出回るのではないか、こう思っておるわけでございます。この数字自主流通米政府米とを一応合計した数字でございますので、その約三分の二といいますか、二百万トン程度政府米として買い受けるであろう、こういうふうに予定しておるわけでございます。
  406. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 確かに方々で、十万トンはないかもしらぬ、どうも食糧庁は信用できない、これは与党の皆さんが方々で話しているのですよ、米価大会や何かの際に。ないんだ、あんなものはインチキだと。しかし、まあまあ早場が相当出てくる。したがって、端境期にパニックが起こるなどという状況にはならない、こういう演説を与党の皆さん盛んにしておるのですよ。私も余り違わぬ認識を持っているのです。したがって、食糧庁が把握をしておるという仕方、いまどこの倉庫、どの県のどこにはどの程度ずつあって、これからの動かす計画はこのように動いていって、そして年度末にはこのようになるのだ、こういう資料を国会へ出せますか。
  407. 山田岸雄

    山田説明員 私たちの把握しております在庫高、こういったものにつきましては、年度末に幾らあった、こういうふうな棚卸しの検査もしておりますし、三月末現在で何万トンぐらい年産別にある、あとは、これからの問題につきましては、今後の需要量の見通しを入れまして十万トン程度の持ち越しをするであろう、私たちはこう見ているわけでございます。
  408. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 僕はそんなことを聞いておるのじゃなくて、その資料をちゃんと出せますか、どこにどれだけ残っておってどういう流れになってこうなるという、その資料を国会にお出しいただけますか。
  409. 山田岸雄

    山田説明員 倉庫別にどの程度あるかということでございますが、政府の指定倉庫といいますと、何千というところに散在しておるわけでございまして、そうしたトータルがいま申し上げますような推移をたどるであろう、こう見ているわけでございます。  なお、在庫それぞれは幾らあるとある時点では押さえられるわけでございますが、その見通しを事細かに、何千という倉庫のうちのものをどの程度どこへ輸送してどれぐらいになるであろう、これはなかなか見通しがたいわけでございまして、したがいまして、そこはトータルでもって十万トン、こういうふうに見越しているわけでございます。
  410. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 僕が聞いておるのは、与党の皆さんでさえも、食糧年度の末期の段階で端境期に十万トンあるというのは、あれはインチキだという演説を皆ぶっておるのですよ。与党の皆さんがそうおっしゃるんじゃ、野党の私どもは大変——僕らは責任政党ですなどと言っておりながら、政府食糧庁の十万トンなんというのはインチキですよと言って演説しておるわけです。  だから、いま食糧庁でちゃんと押さえておる実態というものを数字的にぴしっとした資料を出して、その上で食糧年度の一番終わりの段階ではこういうぐあいにして十万トン残る計画です、これは出せるわけでしょう。そんな倉庫が何億もあるわけじゃなくて、僕らの地域をぐるっと回ってみると、いま倉庫にほとんど米は残っていないですよ。もっとも、僕らは銘柄米地帯ですからね。ですから、心配で心配でしようがないのです。それを出せるか出せないかだけを一言。その資料を、きょうあすと言いませんよ。若干時間はあってもいい。
  411. 山田岸雄

    山田説明員 倉庫別というふうなことで出すことは非常に困難だと思うのでございますが、それをトータルしたものとして提出しろ、こういうことでございますれば、資料はできます。
  412. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 トータルじゃ信用できないのですよ。与党の皆さんでさえも食糧庁の言っておることはインチキだ、こう言っていますから。トータルの根拠になるものを出してもらわなければいけない。いつごろ出せるか。
  413. 山田岸雄

    山田説明員 トータルの根拠になるものといたしましては、一定の期日におきますところの在庫高になろうかと思うのでございますが、こうしたものは提出できます。
  414. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 これはトータルの根拠ですから、市町村別くらいにいろいろな倉庫がありますね。これは出せますか。
  415. 山田岸雄

    山田説明員 都道府県別程度で私たちは把握して、市町村別という数字は——倉庫別ということになりますれば、保管料の支払いその他ということもございますからあるわけでございますけれども、市町村という単位では持っておりませんので、大体府県別程度でございます。そういう段階で把握して、提出することはできます。
  416. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私はきょうあすと言いませんよ。県段階になりますと、こっちの方は県段階で出すとおっしゃるのなら、県段階でその傘下にある指定倉庫をどのように把握しておるか、これは出なければ、倉敷料も払うのだろうし、いろいろなものをみんな払っておるのだろうが、これは計算根拠がないわけでしょう。そんなものはコピーを出したら、ぱっぱっと出るはずだと思うのですよ。出ませんか。
  417. 山田岸雄

    山田説明員 これは四十七食糧事務所あるわけでございますが、そこに出納簿がございまして把握はしておりますので、それを収集すればできるわけでございます。  それで、私がいま申し上げておりますのは、その府県別の食糧事務所ごとに現在高を把握しておるものをまとめて提出するということが一応経過を全部説明し得るものではなかろうか。どうしても府県別ではなくて倉庫別に出せというふうなことになりますれば、膨大な資料にもなりますが、これを電算機等で打ち出すなりそれをまとめて出す、こういうことには日時は要しますが、可能なことではございます。
  418. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 どの程度の日時が要りますか。大体十日間ぐらいで出ますか。
  419. 山田岸雄

    山田説明員 いま直ちにその日数がどの程度かというふうなことをはっきり申し上げかねるのでございますが、これは私の一応の見込みといいますか、個人的な見通しでございますが、二カ月程度あれば全部収集ができるのではないか、こういうふうに思います。
  420. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 食糧庁が二カ月もしなければその程度のものを出せないというのは、食糧庁、それは仕事ができませんよ。
  421. 山田岸雄

    山田説明員 その数字につきまして、全部電算機で打ち出しましてそれを集計する、まあ集計されておるわけでございますが、都道府県別に全部集めてそちらに出す、こういうことになろうかと思いますので、ある程度の日数をいただきますれば出せない数字ではない。それを、いまちょっと検討させていただきたいのでございますが、何日程度ということをはっきり明示しかねるような段階でございます。  といいますのは、倉庫別に在庫をすべて収集して本庁に上げているということではございませんで、私たちの方では都道府県別の数字を東京の方に全部収集しているような次第でございますので、少し検討の日時を与えていただきたい、このように思います。
  422. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 その程度のことは、都道府県段階の食糧事務所で十日もあれば、どの指定倉庫にどの段階でどれだけ入っておってということは全部出ますよ。十日もあって食糧庁でそのくらいの、都道府県別の段階で末端を押さえているのですから、東京の中央で把握できない食糧庁というのは仕事なんか何にもできないと思いますね。十日間、どうですか。
  423. 山田岸雄

    山田説明員 いま申し上げておりますのは、全体の数量を私たちは把握はしておりますし、また、各都道府県別の需給操作等は都道府県の食糧事務所が担当しておりますので、全体の数量等はすぐにでも出せるわけでございますが、個別具体的な倉庫ごと、こういうふうなことになりますと多少の時間をいただかなければ出ないのじゃないか、こういうことでございます。
  424. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私がなぜこういうことを申し上げておるかというと、決して意地悪しようなどと思っておりませんよ。というのは、こういうことなんです。  減反政策を一方でやりながら、つい最近まで生産農家の保有米を売り出してくれというのが食糧事務所から末端までどんどんおりていっているのですよ。これを知っておりますか。減反政策をぎりぎりやりながら、一方では食糧事務所は、農家の保有米をぜひもっと出してくれというのがつい最近までぎりぎり末端までおりていっているのですよ。自民党、与党の代議士でなくても、私も、十万トンはインチキだとあの自民党代議士が言っておったのはどうも本当らしいぞと思いますよ。
  425. 山田岸雄

    山田説明員 いま、十万トンの在庫が議論の中心になっておるわけでございますが、私たち、適正集荷対策といいますのは一昨年の六月ごろから始めておりまして、流通ルートを特定化し、すべての米の流通を正規のルートに乗せよう、こういう観点に立って適正流通対策というものをやっているわけでございまして、農家の保有米をも全部出せ、こういう指導はしていないような状態でございます。
  426. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 全部出せなどと言っておりません、もっとよけい出せ。本当なんですよ。特に自主流通米をやっておるような地域には、もっと出してくれというのがいまでもぎりぎりおりていっておるのです。ですから、きょうあすとは言いませんから、今月いっぱいぐらいで出せますね。それだけ聞けば、私はきょう、持ち時間はまだありますけれども質問をやめますよ。
  427. 山田岸雄

    山田説明員 御要請の線になるべく沿うよう努力させていただきます。
  428. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 まだありますけれども、きょうは私はそれだけで結構です。
  429. 山崎平八郎

    山崎委員長 日野市朗君。
  430. 日野市朗

    ○日野委員 昨日から米価審議会が開催をされているわけであります。そして全国各地の米作農家から、また農協中央会を初めとする農業団体から要請、要望、陳情が、農水省、食糧庁を初め、われわれの手元にも膨大な数のものが集まってきております。その趣旨は、要するに食える米価にしてくれということ、それから良質米奨励金流通促進奨励金、そういったものをきちんと維持してくれというようなこと、膨大な要請、要求がありますけれども、帰するところは大体そういうところに収斂をしてまいります。  本日、われわれも、野党各党それぞれ多くの問題点をこの委員会の中で指摘をいたしました。そして、その中の論点はおおむね三点ほどに集約をされてまいります。そこで、われわれは、各野党が共同いたしまして「昭和五十八年産生産者米価決定に関する件」という決議案を用意したところでございます。しかし、残念なことに自民党の頑強な反対に遭いまして、とうとうこれを決議をすることはできませんでした。そこで、私、その案文をここで朗読いたし、そして政務次官から、われわれのこの決議案に盛り込まれた考え方についてどのように考えておられるのかを伺うことにいたしたいと思います。  そこで、その案文を朗読させていただきます。     昭和五十八年産生産者米価決定に関する件(案)   わが国農業の大宗をなす稲作農業は、三年連続の冷災害による不作、長年にわたる生産調整の実施、五年間にわたる実質据え置きの生産者米価等により、その経営は苦境に追い込まれ、生産農民の営農意欲は大きな後退をみせている。このような事情から、国民の主食である米の需給は極めてひっ迫した事態が予測されるばかりか、本年もまた天候異変によりその作柄が憂慮されるに至っている。   然るに不況の中で独り増収増益をむさぼっている財界は、マスコミを利用し農業過保護論を展開し、低米価を画策している。甚だ遺憾とするところである。   政府は、壊滅の危機に直面しているわが国農業の将来展望を拓き、稲作農家生産意欲の維持増進と経営の安定を図るとともに将来にわたる米の完全自給体制を確立するため、左記事項に十分留意し、再生産が可能な適正米価の実現を図るとともに、米穀対策を確立し、国民食糧の安定供給に万全を期すべきである。       記  一 本年産生産者米価決定に当たっては、一・七五%引上げの諮問米価算定に再検討を加え、食糧管理法の厳正な運用により、生産費及び所得補償方式による米価の引上げを図り、生産農民の切実な要望に応えること。  二 国民の消費選好に応じた良質米の生産振興対策を強化推進するため、良質米奨励金及び流通促進奨励金は、現行水準を維持し、制度の安定を図ること。  三 米の消費拡大、エサ米をはじめとする米の多用途開発及び計画的な備蓄を行い、無理な水田利用再編第三期対策を農民に強要しないこと。    右決議する。  これは野党の共通認識に立つ決議案であります。これに対しまして、農水省のきちんとした考え方を伺いたい、次官の考え方を伺いたいと思います。
  431. 楢橋進

    ○楢橋説明員 ただいまの御意見につきましては、本日の委員会におきましても種々御議論があったところでございますが、現在米価審議会で審議中であり、その答申を待って適正に決定してまいりたい、かように考えております。
  432. 山崎平八郎

    山崎委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十一分散会