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1983-03-22 第98回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十二日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 山崎平八郎君    理事 加藤 紘一君 理事 亀井 善之君    理事 北口  博君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 武田 一夫君       今枝 敬雄君    上草 義輝君       浦野 烋興君    小里 貞利君       川田 正則君    岸田 文武君       佐藤  隆君    志賀  節君       白川 勝彦君    田名部匡省君       高橋 辰夫君    羽田  孜君       保利 耕輔君    松野 幸泰君      三池  信君    三ツ林弥太郎君       田中 恒利君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    前川  旦君       渡部 行雄君    吉浦 忠治君       玉置 一弥君    寺前  巖君       藤田 スミ君    石原健太郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  金子 岩三君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         林野庁長官   秋山 智英君         水産庁長官   松浦  昭君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    小沼 勇君     ───────────── 委員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   串原 義直君     大出  俊君   神田  厚君     大内 啓伍君   藤田 スミ君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     串原 義直君   大内 啓伍君     神田  厚君   金子 満広君     藤田 スミ君 同月五日  辞任         補欠選任   串原 義直君     藤田 高敏君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     串原 義直君 同月七日  辞任         補欠選任   澁谷 直藏君     上草 義輝君   正示啓次郎君     小里 貞利君   田中 龍夫君     太田 誠一君   渡海元三郎君     川田 正則君   根本龍太郎君     岸田 文武君   藤尾 正行君     北村 義和君   藤田 義光君     近藤 元次君   村山 達雄君     田名部匡省君 同月二十二日  辞任         補欠選任   太田 誠一君     白川 勝彦君   北村 義和君     今枝 敬雄君   渡辺 省一君     浦野 烋興君   新盛 辰雄君     渡部 行雄君   松沢 俊昭君     野坂 浩賢君   神田  厚君     玉置 一弥君   阿部 昭吾君     石原健太郎君 同日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     北村 義和君   浦野 烋興君     渡辺 省一君   白川 勝彦君     太田 誠一君   野坂 浩賢君     松沢 俊昭君   渡部 行雄君     新盛 辰雄君   玉置 一弥君     神田  厚君   石原健太郎君     阿部 昭吾君     ───────────── 三月十二日  肥料取締法の一部を改正する法律案内閣提出第四二号)  酪農振興法の一部を改正する法律案内閣提出第四三号) 同月三日  農産物の輸入自由化及び枠拡大阻止に関する請願北口博紹介)(第一二四六号)  日本農業自主的発展等に関する請願田中恒利紹介)(第一二四七号) 同月十日  農業の拡充、発展等に関する請願安井吉典紹介)(第一三七一号)  日本農業自主的発展等に関する請願河上民雄紹介)(第一四四八号)  同(木間章紹介)(第一四四九号)  同(森井忠良紹介)(第一四七七号) 同月十六日  日本農業自主的発展等に関する請願山田耻目君紹介)第一五八〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二九号)  森林法及び分収造林特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第二七号)      ────◇─────
  2. 山崎平八郎

    山崎委員長 これより会議を開きます。  内閣提出原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川国彦君。
  3. 小川国彦

    小川(国)委員 水産加工業施設改良資金貸付法案について、改めて五年延長臨時措置法案が提案をされているわけでございますが、この法案内容を見ますと、また五カ年間の延長ということで、いわゆる時限立法という性格を持っているわけでございます。しかし、わが国のたん白資源の半分近くを提供している水産資源水産加工業の重要な位置づけ意味合いから考えてみますと、この法案制度は暫定的な措置ではなくて、対策としては恒久立法として考えるべきときが来ているのではないかと思うわけでございますが、まず、その点に関する農水省考え方を伺いたいと思います。
  4. 松浦昭

    松浦政府委員 水産加工業が非常に重要な役割りを担っていることにつきましては、小川委員おっしゃられるとおりであろうと思うわけでございますが、何分にも水産加工業はそのほとんどがいわゆる中小零細企業でございまして、中小企業基本法第一条にございますように、「中小企業経済的社会的制約による不利を是正する」という観点から、中小企業対象といたしました政策的な金融一般的に行われている状況でございます。  この臨時措置法は、でき上がりました際もそのとおりでございましたが、二百海里体制へ移行いたします際の加工原料魚供給事情の著しい変化対応いたしまして、国民に対するたん白食品である食用水産加工品安定供給を図るという、いわば非常に高度な食糧政策という観点から、企業態様を問わずに臨時特例的な措置として制定されたということでございます。このような本法性格にかんがみまして、これをただいま委員おっしゃられますような恒久的な制度ということで仕組むことにつきましては、農産加工業への影響あるいは一般中小企業政策との整合性といったような問題から、立法されましたときと同様になかなか困難でございますので、今回も一応五年間の限時法ということで法案を御提案申し上げ、御審議をお願いした次第でございます。  ただ、私どもとしましては、このような加工企業が非常に重要だということだけではなくて、二百海里体制そのもの自体を見ましても完全な安定化というところまでいっていないということがよくわかっておりますし、また、多獲性大衆魚利用ということも一朝一夕に完成するといったような事態ではございませんので、この間の事情は十分に頭に入れまして、今後の加工企業対策に取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
  5. 小川国彦

    小川(国)委員 御答弁の趣旨もよくわかるわけでございますが、ただ、法律を制定した時点と五年たった現在というものは時代の変化があるわけでございます。この法案を制定したときは、北洋漁業あるいはアメリカ、カナダ、ソ連、こうした国々の二百海里の規制あるいは漁業制限、そういった制約対応して、北洋漁業に依存していた加工業者をどうして救済するかというところが出発点であったということは、私ども十分理解をしているわけであります。  しかし、最近における遠洋漁業燃料費の高騰による行き詰まり、それから先ほど申し上げた国民たん白資源確保する上での水産加工品の果たす役割り、そういうような面から考えますと、こうした緊急避難的な措置からもっと根本的な水産加工業振興といった方向性格なり位置づけをそろそろ変えていく方向性というものも求めていくべきではないのか。もちろん、おっしゃるように各省所管の中で中小企業振興対策ということになりますと、これは通産省所管になってまいるということもわかるわけでございます。しかし、漁業水産加工業というのは不即不離、一体関係にあるわけでありまして、単なる中小企業振興対策でこの問題の対処がし切れるかというと、そうではないと思うわけです。いま漁業のいろいろな不振、この漁業振興策水産加工業振興策一体の立場で考えていかなければならない、そういう点に立つならば、これに対しては水産庁が独自の行政分野と考えて、そのための将来的な恒久立法のあるべき方向を求めていくという考え方はぜひ御検討願わなければならないのではないか、こういうふうに思う次第ですが……。
  6. 松浦昭

    松浦政府委員 確かに先生おっしゃいますように、二百海里の規制強化といった事態が急速に展開いたしました昭和五十年代の当初と現時点というものはややその趣を異にしているということも事実でございますし、また、これから私ども、この資金の活用に当たりましては多獲性の大衆魚高度利用ということを求めまして、いわばやや緊急的な話よりももうちょっと長い目で見た対応策というものにも重点を志向していかなければならぬという気持ちはいたすわけでございます。  ただ、基本的に申しまして、先ほどもお触れになりましたけれども中小企業一般金融との間にどういう線を画していくかということが立法技術上非常にむずかしい問題でございまして、さような観点から、今回も臨時措置ということで五年間の限時法という形で御提案申し上げた次第でございます。  将来の問題につきましては、今後の二百海里の動向、さらには多獲性大衆魚高度利用状況を十分に見きわめまして、それに対応いたしながら、この問題についてはよく研究してまいりたいと考えている次第でございます。
  7. 小川国彦

    小川(国)委員 その辺の方向でぜひ進めていただきたいと思います。  それから、私、附帯した問題点として御指摘申し上げておきたいのですが、この法案名称原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案といいまして、なんじゃもんじゃじゃございませんが、大変長い名前で、私どもこれを質問するのに、この法案について質問しますということを言っていると、それだけで大変な時間がかかる。字数を数えましたら六十七字あるわけですね。これはどういう事情か知りませんが、もっと短縮して、たとえば水産加工業施設改良資金貸付法案というふうな名称にすれば十五字で、四分の一以下で済むのです。これは立法技術の問題と思いますが、幾ら立法技術でも、国民にわかりやすい法案名前ということでは、農水省としてももう一工夫なり努力あって法案名前を詰めるということはできなかったのでしょうか。
  8. 松浦昭

    松浦政府委員 この法律名称が非常に長い名前になっておりますのは、やはり立法当時の事情を反映いたしまして、一般法に対する特別法という性格を明確にするために少し長い名前がついたということではないかと考えておるわけでございます。しかしながら、確かにこの名前を読んでおりますと本当に時間がかかってしまうということで、私どもも実は水産加工施設資金融通法ということで俗称いたしております。県なりあるいは団体に申しますときも、この一般的な名称で呼んでおります。水産加工施設資金融通法という俗称でございます。こういう名前で呼んでおりますので、これで一般的には流布と申しますか、御説明申し上げるということでやっておりますので、さよう御理解いただきたいと思う次第でございます。
  9. 小川国彦

    小川(国)委員 なかなかの御名案を持っていらっしゃって、十一字にして、私の十五字よりもっと詰めた案があったのですからごりっぱなものなんですが、ただ、この前私も駅前自転車置き場法案というのをつくりましたときも、駅前自転車置き場の設置に関する何とか臨時特別措置法という長ったらしい名前をもらいまして、内閣法制局と本当に何回も何回も強硬にかけ合ってようやっと法案名前を短縮したという実績があるのですが、農水省さんも、この法案名称はいま長官おっしゃられたような簡単明瞭な、わかりいい、国民にもすぐ説明できるような法案名にする努力というものはやはり今後やるべきではないかと思うのですが、いかがでございますか。これは、内閣法制局との交渉過程での努力が足りなかったのではないか。中身そのものではないのですが、名称の問題についてもう一努力すべきではなかったのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  10. 松浦昭

    松浦政府委員 確かに非常に長い名前でございまして、これを一般国民によくわかっていただくためには簡明な名前の方がいいということは事実だろうと思います。  ただ、法制局といろいろお話をいたします際に、法案名前を変えるというのはいわば名字を変えるようなものでございまして、これを変えると、なぜそれを変えなければいけないかということを全部きちんと説明しなければならぬという、非常にむずかしい立法技術的な問題があるわけでございます。単純延長ということで各省との折衝等も簡略に済ますためにこのような対応策をとったわけでございますが、今後の問題といたしまして私ども研究いたしてみたいと思います。
  11. 小川国彦

    小川(国)委員 今後の水産庁から出てくる法案名前改善努力が出てくるかどうか、十分これから注意してまいりたいと思いますので、当局もそういうふうな御検討を願いたいと思います。  それから、また法案中身に入りまして、この資金融通法ですか、この中身の問題としては、従来施設資金が主で運転資金がないということで、この面の要望が圧倒的に多い。いわゆる施設資金よりも、材料を仕込む、そしてそれを寝せておく、そしてまたそれを製品として出すまでの間の苦労というもので言うならば、運転資金確保ということが最重要であるということから、水産加工業界加工業者の方々からは運転資金確保についてもっと努力を願いたい、こういう要望が強いわけでございますが、この点についてはどういうような御努力をなすっていらっしゃるか。
  12. 松浦昭

    松浦政府委員 水産加工業者が必要とする運転資金につきましては、大部分が中小零細企業であるという業態に着目いたしまして、従来からやってまいりましたことは、中小企業金融公庫なりあるいは国民金融公庫等のいわゆる中小企業金融機関融通というものが主力でございます。しかし、国際規制強化による加工原料魚供給事情変化あるいは多獲性魚生産の増大という特殊な水産加工業をめぐる情勢が展開してまいりましたので、一般中小企業金融とは別に特別の金融措置を講じまして、本法による施設資金を貸し出すということをやりましたほか、国際規制強化の分につきましては加工業者経営維持に必要な運転資金融通というものを予算措置でやってきたわけでございます。  今回、五十八年度からは水産加工経営改善強化資金という新しい資金を創設いたしておりまして、現在、五十八年度予算で御審議をお願いしているところでございます。これができますと、国際規制強化だけではなくて、イワシ等の多獲性魚食用加工を一層推進するという観点から、水産加工業者からの要望の強い原魚の購入あるいは製品販路拡大といったような分野に必要な低利運転資金供給できるということで、いま予算措置をお願いしているところでございます。  これは、都道府県特別会計をつくっていただいて、そこに政府から、国からの補助を出す、それで、その原資をもとにして利子補給をやって運転資金に充てていくという制度でございます。資金枠はいまのところ百四十億ということでお願いをしているところでございます。
  13. 小川国彦

    小川(国)委員 この貸付資金制度は一号資金、二号資金となっているわけでございますが、一号資金対象が北海道ほか三県ですか、いわゆる一道三県に限定されているわけであります。この資金金利も安いということで、これを水産県全体に及ぼすべきではないかと考えるわけであります。もちろん、この一号資金の在来の性格というものもあろうかと思いますが、これを今後拡大していくという考え方はないかどうか。この一号資金適用府県をふやすという考え方はないかどうか。
  14. 松浦昭

    松浦政府委員 いわゆる一号資金は、米ソ等の二百海里体制への移行ということで、水産加工業者みずからの経営判断では予測し得ないような異常な事態原因スケソウダラ等加工原料魚の入手が困難になりまして、原料転換あるいは製品転換等を余儀なくされる、いわば緊急事態対応するということでの資金でございます。このために、このような異常事態対応するということで、金利水準は原則として五%という特別の措置をとったわけでございます。ところが、二号資金の方は六・五%ということで設定してございますけれども、これは、国民に対する食用水産加工品の安定的な供給を図るという国の特別な政策ということで六・五%ということで設定したわけでございますが、やはり一号資金との差はどうしてもつけざるを得ないということでございます。しかしながら、中小企業に対する設備資金一般と比べますと、これは大体八・二%でございます。したがいまして、六・五%というのは相当安い資金ということで金利水準を設定してあるということでございます。  そこで、このような両者の性格から申しまして、また、緊急避難という特殊な性格から一号と二号とを分けておりますのでこのような態様になっておるわけでございまして、今後この区別はやはりつけざるを得ないなという感じはいたしておるわけでございます。
  15. 小川国彦

    小川(国)委員 先ほどに戻りますが、運転資金の百四十億円の問題については都道府県特別会計をつくって同額枠を設定していくということですが、これは、都道府県の財政的な措置についての見通しはお立てになっていらっしゃいますか。
  16. 松浦昭

    松浦政府委員 この百四十億の水産加工経営改善強化資金について制度を仕組む際に都道府県とは十分に相談をいたしておりまして、主要な水産加工を持っている県についてはこの特別会計を設置したいということで内々話が進んでおりますので、見通しとしては大丈夫だろうと思っております。
  17. 小川国彦

    小川(国)委員 この制度根本は、いわゆる国がこの制度に基づいて施設資金運転資金、それを低利の貸し出しが行える、そのための利子補給をしていく、こういうことになっていて、制度的には非常にすぐれたものになっている。いまお話がありましたように、一号資金五%、二号資金六・五%ということで比較的低利資金を提供しているということでは喜ばれることであろうかと思います。  ただ、とかくこういう漁業関係制度資金というものは、予算はとりましても実質的に一つの枠でございますから、枠がないということになってしまうと需要があっても応じ切れなかったり、あるいはそれが他に転用されたために需要に対して十分応じ切れない、こういううらみが多々ございますが、この資金の場合にはそうした需要に対して一〇〇%対応していける、こういう見通しなり確信なりはお持ちになっているかどうか。
  18. 松浦昭

    松浦政府委員 今回の水産加工経営改善強化資金でございますが、内容は、先生御案内のように、一つ国際規制強化に伴う原材料供給事情の悪化によりまして経営が困難になった水産加工業者経営の安定ということのための運転資金、いま一つは近年生産が拡大しております多獲性魚等の新製品開発あるいは食用向け有効利用を図るための運転資金ということでこの資金を仕組みまして、先ほど申し上げましたように、都道府県がこれらの資金融通をいたします際の、融通に対しまして利子補給を行うために特別会計を設けて、これに対して国が所要の助成を行うということでやっております。  この資金の枠の割り振りでございますが、百四十億ございますけれども、この割り振りは、ただいま申しました国際規制関連経営安定資金には九十億、多獲性魚の新製品開発資金で二十億、それから多獲性魚有効利用促進資金に三十億という予定をしておりまして、これらの資金につきましては、一応わが方としては資金需要等もある程度まで見込みを立てましてやったものでございます。これだけの資金枠がございますれば十分に需要対応できると考えている次第でございます。  なお、ちなみに国際関連経営安定資金貸し付け利率は、零細業者が年五%、中小業者が六・五%、償還期限三年以内、それから多獲性魚の新製品開発資金につきましては貸付利率が年六・五%、償還期間三年以内、有効利用促進のための資金貸付利率六・五%、償還期限一年ということで仕組んでおる次第であります。
  19. 小川国彦

    小川(国)委員 資料としてお出しいただいている「水産加工施設資金融資実績」というのを見ますと、資金種類別原材料転換の一号と有効利用の二号と見ますと、原材料転換というものが減ってきている、そして有効利用は大体横ばいでいっている、こういう形が見られるわけで、やはり原材料転換の一号資金というものをもう少し幅を持たせる、そして一道三県ではなくて、これを全国的な規模に拡大していく、そういう意味の一号資金位置づけ性格づけ、そういうことについては、魚種転換というものが、たとえば今後仮にほかの諸外国、現在規制をされている国ではない新たな国から規制が起こった場合には、こういう原材料転換対応というものが当然必要になってくると思うのです。したがって、それだけに限定せず、もう一つ全国的な規模で適用できるような、そういう項目の検討というものもなさってはいかがか、こういうふうに思うわけでございますが……。
  20. 松浦昭

    松浦政府委員 この問題につきましては、先生ただいま恐らくこの資料をごらんになっておられると思いますけれども、一号資金貸し付け状況は八十二件、四十七億、それから二号資金の方が四百六件で二百十一億ということで、約八割が二号資金に行っているということから、確かに二号資金資金需要というものにシフトしつつあることは事実であろうと思います。  この原因を考えてみますと、やはり北洋漁業の問題につきましては、当時のきわめて緊急した事態対応いたしましてこのような資金の枠を設けて融資をいたしたわけでございますが、その後におきましては、やはりある程度まで外交面での努力というものもございまして、北洋原料転換という面ではある程度の安定ができたと考えておるわけでございます。したがいまして、やはりこれからは特にこの多獲性の大衆魚高度利用ということから起こってまいるところの需要というものが全国的にかなり起こってくるのではないか。それに対応する資金としてこれが活用されるということがいま一つ方向として望ましいのではないかというふうに考えておるわけでございます。  そこで、一号資金の方でございますが、一号資金自体といたしましては、もちろん先ほど私申し上げましたように、ある程度までの北洋外交努力によりまして、アメリカとの間は百四十万トン、ソ連との間は七十五万トンの一応の漁獲枠というものを確保いたしておりますが、これとてもしかし将来どのような事態が起こるかわからないということは事実でございますし、ただいま先生御指摘になりました米ソ以外の国につきまして、このような急速に大きな変化が起こるという事態も決して想定されないわけではないわけでございます。  さような意味で、そのような事態に即応いたしましてこれを研究していく、あるいはその態様に応じた検討をしていくということは必要だろうというふうに私は思うわけでございますが、現段階におきましては、このような北洋につきましての緊急的な措置という形で五%の低利資金をつくって、二号資金とは区別しながらこれを処理していくということにつきましては、いまの状況でこの対応策をとっていく以外に方法はないんじゃないか。むしろ二号資金を活用していく、あるいは一号資金についてはその事態に応じてこれを対応していくというような考え方対応していきたいというふうに私は考えておる次第でございます。
  21. 小川国彦

    小川(国)委員 その点については、二号資金利用度の状況から見てむしろ二号資金金利を一号資金に近づける努力、そういう形の中で結局原材料転換をしていくというのは、全国的な状況として一つあるわけです。一道三県の場合にはそういう特殊事情が勘案されるので低利の金が借りられる、ほかの県では利用できない、こういううらみを持っておりますので、この点については、むしろ、では考え方としては、もう一歩進めるならば、二号資金金利を一号資金に近づける、こういう努力の中で、何といっても水産加工業というのは非常に不安定な経済基盤の中に経営を行っておりまして、そのための倒産件数なども非常に多いわけです。大変な苦しみの中でこの水産加工努力というものをなされていますので、そういう意味では、これを近づける努力をひとつお願いしたい、こういうふうに思います。  それから次に、五十八年度予算で水産物流通加工の拠点総合整備事業というものが予算化されているわけでございますが、これが従来四年で実施されておりました事業が、ことしの予算規模で見ますと五年ぐらいになる、こういうふうに言われているわけであります。これは、予算単価などから見ますと本来ならもう四年でも長いと思われるものがまた五年になるということは、当該事業を遂行する主体にとってみては大変に苦労が多いと思うのですが、やはりこれを詰めていく努力というものが必要なんではなかろうかというふうに考えるのですが、その点、いかがでございますか。
  22. 松浦昭

    松浦政府委員 先生御指摘のように、水産物流通加工拠点事業というのは非常に評判のいい事業でございまして、各県ともぜひこの事業をやってほしいということで私どももしょっちゅう陳情を受けている、そういう事業でございます。ところが、御案内のようにマイナスシーリングというような非常に財政事情の厳しい中で、この種の整備事業、しかも非常に需要の多い事業をできるだけ皆さん御満足のいくようにやっていかなければならぬということでございまして、私どももジレンマと申しますか、非常に苦労をいたしている次第でございます。  さようなことから、やはり予算の枠に限りがあり、その中でできるだけの需要を充足するということになりますと、実施期間は財政事情があって若干延びても仕方がないなということで、実は先ほど御指摘のような四年が五年になるといったような事態も起こっているわけでございます。  今後の問題でございますが、財政事情が非常に厳しい折でございますので、これをまた短縮いたしますということをここでお約束するということは非常にむずかしいことでございますが、私どもとしてはできるだけ限られた予算を有効に利用するということを考えてまいりたいと思いまして、特に各年度におきますところの地域の実情はよく見てみたいと思います。その地域、その地域におきましてやはり緊急度その他ございますし、また、地域間の進度率の調整といったようなことも考えられております。予算の運用面に当たりまして、本事業による施設の効果ができるだけ有効に発揮されるように、その地点地点、地域地域によりましてよく考えて実施をしてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  23. 小川国彦

    小川(国)委員 最後に、大臣、農林水産業の中で水産業については非常に見識の深い大臣でございますが、私ども農林水産省の予算の中で見ますと水産関係予算は一〇%程度。いま申し上げたように、従来四年でやっていた事業もまた五年になる。そうすると、一つの整備事業をとってみましても、当該の事業者にとっては、一つの港の市場の整備などをやりましても、四年が五年も六年もかかるということでは大変なわけですね。防衛予算とか公共事業を見ますと、前倒しなんというのがございまして一挙に事業をやる、そしてそれを後々補てんしていけばいい、こういうような形もとられているのですが、水産関係予算の少ないところを、そういう前倒し的なことも考えたりして水産関係の事業強化というものをしていきませんと、いまの漁業界のいろいろな不振の状況を見ますと、そういった思い切った措置が必要ではないか。  そういう意味で、水産業に関心の深い大臣でございますので、その辺の御見解をひとつ承りたいと思います。
  24. 金子岩三

    金子国務大臣 農水省の中において同じ食糧生産をやっておる水産の予算が非常に低いということは、御意見のとおりでございます。私どもはこれは長年努力をしてまいっておりますけれども、なかなか一朝一夕にバランスのとれた予算にならないことは非常に遺憾に存じております。  漁業生産性を高めるということは、水産加工から流通まで一貫して合理化されて初めて生産性が高まるわけです。いまいろいろ御指摘になられましたことはよく理解をいたしまして、今後大いに、次の改正のときにはひとつ御意見も十分取り入れて検討していきたい、このように考えております。
  25. 小川国彦

    小川(国)委員 終わります。
  26. 山崎平八郎

    山崎委員長 武田一夫君。
  27. 武田一夫

    ○武田委員 私からは、三点ほどお尋ねをいたします。せんだって一応要点の部分は質問いたしましたが、その後、多少いろいろと考えた中でもう一つ聞いておきたいという問題点でございます。  一つは、日本の水産漁業にとりまして非常に大きな問題となっている水産物の輸入の問題、これをまず最初にお尋ねしたいのです。  わが宮城県もそうですが、日本全体を見ておりますと、世界でも有数の水産物の輸入国である。こういうことを考えますと、水産外交というものは非常に重要であります。特に年々漁業割り当ての確保が非常に厳しい。一つは、入漁料が高くなってきているということがあります。それからまた、国によって割り当て数量の削減なども言ってきている。さらに、特にアメリカなどからの水産物の市場開放の要求が一段と強い。関税の引き下げ等もこれあり、輸入枠の拡大とか自由化を迫ってきている。こういう環境は、農業と同様に、一面からいったらもっと厳しい情勢であろうと思うわけでありますが、こうした水産物の輸入という問題についての取り組みを今後どのようにしていくのかという問題を、まず一つお尋ねしたいと思います。
  28. 松浦昭

    松浦政府委員 水産物の輸入につきましてのお尋ねでございますが、現在、五十七年の水産物の輸入が百二十万トンに上っておることは事実でございまして、これにつきましては、私どもも国内の生産者、つまり漁民の生産する漁業との兼ね合いというものを十分に考えてまいらなければならぬと思っておるわけでございます。特に現在自由化をいたしておりません品目につきましては、これはほとんど全部が沿岸漁業者の生産と非常に競合する分野でございますので、この自由化の問題につきましては慎重な上にも慎重に対応しなければいかぬというふうに考えておりますし、また、輸入の枠等につきましても、国内の需要それから国内の生産というものを十分に見まして、バランスのとれた形で輸入をしていくということを考えていかなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。  ただ、ただいま先生も御指摘ございましたように、たとえばアメリカの水域等を考えてみますと、いわゆるフィッシュ・アンド・チップス・ポリシーというようなことで、日本の協力の度合いによりまして漁獲割り当てを行っていくといったようなこともございます。さような観点から、ある程度まで輸入の面での協力というものをいたしませんと漁獲そのものができないという問題もございますので、さような点も十分に配慮いたしながら、適切な輸入をしていくということで対処いたしてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  29. 武田一夫

    ○武田委員 大臣、この問題は毎年のように非常に問題として取り上げられるわけですから、これはやはり日本の今後の大きな課題として、私はますます重要な問題を提起してくると思うわけです。ですから、こうした市場開放の要求あるいはまた入漁料の問題あるいはまた漁獲数量の削減あるいは割り当ての問題について、しっかとした水産外交の推進というのが特に大事であろう。そのための農林水産省としての人的な配置とか情報の素早いキャッチとか、総合的な立場からの対応が私は今後非常に重要だと思うのですが、この点について今後どのように取り組んでいくか、何かお考えをお持ちかどうか、大臣としての御見解をまずお聞かせをいただければ、こう思います。
  30. 金子岩三

    金子国務大臣 大変適切な御指摘であります。年々いま申されておることは厳しくなるわけですから、ひとつ水産庁が海外に向かってもっと積極的に、直に漁業の実態を踏まえて取り組んでもらうためにはいわゆる外務省任せのいままでの姿では困るという考え方で、寄り寄り長官にお話をして、いまその方のいわゆる人材も考えまして、強化しつつあるところでございます。
  31. 武田一夫

    ○武田委員 いずれにしましても、日本の漁業、水産業界を取り巻く環境は非常に厳しい。しかも、国民のたん白源としての重要な魚というものを確保しなければならないという責任もございます。そのように見ますと、食糧自給の向上を図るという観点から、国民の嗜好に合った商品の開発、そしてその定着化、さらにまた周辺資源の有効利用というような問題に対する努力というものが一層重要な問題となってくるわけであります。  そういう意味で、次に多獲性魚有効利用の問題についてお尋ねをしたい、こういうふうに思うわけでございます。  具体的に南極海のオキアミの研究開発の成果がどうなっているのか、この消費あるいは食用としての利用状況はどうなのか、これがまず一つであります。  二番目に、マリンビーフの開発状況、これに対する対応をどういうふうになさっているか、この点についてひとつ御答弁をいただきたい、こう思います。
  32. 松浦昭

    松浦政府委員 未利用資源と申しますか、あるいはまだ十分に開発されていない資源というものを高度に利用していくということは、今後の日本の水産業を守っていく上において非常に重要な課題であるというふうに考えておるわけでございまして、ただいま先生御指摘になりましたオキアミの研究開発あるいは多獲性大衆魚につきましての高度の利用、その中でのマリンビーフの利用というものは非常に重要な課題であるというふうに考えておるわけでございます。  そこで、オキアミの研究開発利用状況でございますが、オキアミは御案内のように数億トンの資源があると言われておりまして、これを年々人類が数百万トンベースで利用いたしましてもなお資源は十分に再生産ができるという、きわめて人類にとって有望な、また貴重な資源でございます。これを現在日本ではまだ三万トン程度しか利用しておらないわけでございますが、この利用というものが非常に重要でございます。  そこで、二つの面があるわけでございますが、一つは、このオキアミを研究開発いたしましてどのような利用ができるかという面での行政、これが一つでございます。いま一つは、これを実際に利用し、消費者に食べていただくということのためにどういう行政を展開すべきか、この二つになろうかと思います。  まず前者の方でございますが、昭和五十二年から大学、都道府県及び民間団体に委託をいたしまして、国の研究所の指導のもとに技術開発の研究を進めております。  幾つかの課題がございますが、若干申し上げてみますと、一つは、オキアミを冷凍すり身化する技術でございます。この技術は、まず、何と申しましてもオキアミは非常にかたい殻に入っておりますので、この殻を取って、それで中身を抽出するという技術が必要でございますし、それからまた、すり身化するためには歩どまり率を上げ、また、そのままの状態で放置いたしておきますと黒っぽく変色いたします。これをどうやって防止するかといった、いろいろな技術の総合によりましてこれを開発するということが必要でございます。  現在の段階で申し上げますと、頭を遠心分離機で分離いたしまして、ローラーにかけて中身を抽出する。これをすり身化して安定化するという技術が開発されておりまして、ほぼこれは完成の域に達しておるわけでございます。  それからまた第二の技術といたしましては、冷凍フィッシュブロックをつくっていくという技術でございまして、これにつきましても、普通の脱水方法でやりますとどうしてもスポンジ状になってしまって使い物にならないということでございまして、この点につきましてもいろいろと研究をいたしまして、この脱水技術あるいはこれを固定化していくという技術の開発をいたしまして、これも五十七年度に完成をいたしております。  それから、今後の課題といたしましてやっております技術といたしましては、一つは、このオキアミを利用いたしますとカニの肉に非常に似た製品ができるということでございまして、この食味がカニに非常に近いものができるということから、カニ肉用乾燥素材製造技術というものをいま開発しております。  それからまた、食塩水でゼリー状にしていくという技術もこれからの開発で、目下一生懸命やっておるところでございます。  いま一つは、このオキアミにございますところの赤い色素がございますが、この色素を抽出いたしまして、これを回収し、たとえばマス類でございますとかあるいはタイ等に、ニジマスあるいはマダイといったものにこれをえさにまぜて食べさせますと、その色が非常によくなるということがございます。もちろんこれは商品価値を高めるということで非常に興味のある技術でございまして、これを目下開発をしているところでございます。  それから第二点の普及をしていくということでございますが、この点につきましては、実はまだオキアミの約八〇%が養殖需要あるいは釣りのえさといったようなことで、まだ十分に使われておりません。これを食用化するためには、どうしても一般の方々の需要という形でこれを食用に利用していただくということが非常に重要でございます。これも目下補助金を出しまして新規食品の開発あるいは試食展示会といったようなことを開催いたしておりまして、現在は春巻き、シュウマイそれからかき揚げてんぷら、こういったものの原材料としてかなり利用されております。食品の展示会も、実は去年、五十七年度の一月までで二十回ほど全国で開催しておりまして、特に主婦の方々あるいはお料理の研究家あるいは魚の市場の関係者、栄養士といった方々を対象として、たとえば春巻きとかシュウマイ、私も食べてみたわけでありますが、非常においしいものでありまして、かなり普及が図られているところでございます。今後一層これには努力してまいりたいと思います。  次に、マリンビーフの研究でございますが、これは昭和四十八年以降水産庁の東海区の水産研究所において基礎試験が行われまして、五十一年からは新技術開発事業団の開発課題に取り上げられまして、五十五年に一応製造プラントは完成しております。  ただ、問題がございますのは、実はこのマリンビーフをつくります場合にはアルコールでたん白を抽出していくという過程が必要なんでありますが、このアルコールに非常に金がかかるわけでございます。そこで、アルコールを何遍も使えるように、いわば循環的な装置でもってアルコールを取り出してはまた使うということをやっておりますが、この設備にまだ金がかかりましてコストが高い状態でございます。ちなみにコストを申し上げますと、水に戻した状態でのマリンビーフのコストが二百四十円いたします。これとの競合商品は、廃鶏の肉を同じように使いますとハンバーグ等に使えるような肉が出てきまして、これが百円でございます。それから大豆たん白からとったものが百二十円ということで、かなりまだマリンビーフの方が高いということでございまして、さような抽出過程における工夫改善というものがコスト的に見てまだ必要な段階でございます。  なお、最近このマリンビーフはペルーにプラント輸出をいたしまして、これはほぼ話し合いがつきかけているわけでございますけれども、この場合には何分にもペルーはアンチョビーがございますので非常にコストが安くできまして、二百七円でできる。廃鶏の方も二百九十六円、それから牛のひき肉が五百九十一円でございますから、この方は非常に引き合うということで、これはプラント輸出に成功した例でございます。  したがいまして、今後マリンビーフを活用いたしますためにはどうしてももう少し技術的に工夫をこらしましてコストを安くしていくということが重要であろうと思っておりまして、この面でも今後努力をいたしてまいりたいというふうに考えている次第であります。
  33. 武田一夫

    ○武田委員 これからの新しい世代の嗜好に合った魚の一つの食べ方として、重要な製品ではあろうと思うわけです。ですから、いま言ったコストダウンの問題、それから魚の欠点、いろいろな欠点がありますね、臭いとかそういうような欠点の除去のための加工技術の一層の向上という問題については、国もやはりそれなりのお金をつぎ込まなければならぬじゃないか、こういうふうに思うわけであります。ですから、そういうことを考えますと、いま事業団やあるいは民間企業にお願いしているわけですから、そういうところの企業開発への取り組み、大量消費という問題を抱えた、その問題にやはり相当力を入れなければいけないと思うのです。  ただ、いま言ったようにオキアミなんかは八〇%まだえさである。せっかく金をかけてとってきましても、そういうえさだけで八〇%ということは、これはもう始まってから七、八年になるでしょう、非常にその点は残念だと思うのです。せめて五〇%ぐらいは食用の中に提供されまして、われわれも平常これがオキアミなんだ、ここにおいでの皆さん方も食べているかわからぬけれども、私もこの間食べているのかと聞いたら、駅の立ち食いそばのてんぷらの中のあのエビがそうだと言われるけれども、どうもそうでもなさそうな感じがするのですがね。まだまだ全然一般的に知られていないわけです。ですから、せっかくのそういう投資を効果をあらしめるように、もう一度中身検討しての国のてこ入れを私はひとつ行ってほしい、こう要望しながら、今後できればそういうものはだれの目にもこういうふうに一つ製品として食用に提供されているんだということをやはりPRしていかなければいかぬ。日本は、米なんかの場合もそうですが、PRが非常に下手ですよ、消費拡大が前提だけれども。そういうことで、やはり多くこの製品利用できるように努力をしてほしい、こういうふうに思うわけであります。  時間がないので、最後に一つ問題をお尋ねしますが、いわゆる水産加工業者経営コストに占める原材料購入というのも、割合からいうと五割を超えている企業が七二%ある。かなり原料の購入に金がかかる。経営者にとっては重大な問題でありますが、その加工業経営の安定のための最大の課題は魚価の安定、こういうふうに私は思うわけであります。  そこで、水産物価格安定制度として水産物調整保管事業があってこれまで機能してきたわけですが、聞いてみますと、これも、すり身が高くなるというようなにおいがしますと、あっても出さぬで高くしてしまうという者もいるということなのですね。それでもお金は借りられるのです。そういうようなことで、運用というか、機能を十分にチェックしないと高値安定になっていくという心配もあるのだということを業者の方々が指摘しているわけでございますが、こういう問題の対応。  それから、これは予算的に制約がありますね。ですから、そのために限られた数量の調整保管しかできないという問題がある。また、業者の方でも、損害があった場合の対応が十分にできるほどの余裕がない。そうなりますと、事業主も一定の損失予想限度までしか調整保管事業を行えないというようなこともございます。そういうことを考えると、今後これが十分に機能するための中身検討して、もっと機能的に、しかもそうした不手際のないような対応が必要だと私は感じているわけでありますが、この点についての改善検討という問題にどのように取り組んでいくかということをお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。
  34. 松浦昭

    松浦政府委員 加工業者経営の安定を図りますためには、原材料、原魚のウエートが非常に大きいことから考えまして、その価格安定が必要であることは当然のことでございます。また、漁業者の面から見ましても、安定的な価格で推移するということが非常に重要であることは論をまたないところでございます。しかし、何分にも海況、漁況が非常に変動いたしますところの水産業にとりましては、生産の調整あるいは価格の安定ということが非常にむずかしい事業であることは事実であるわけでございます。  そこで、御指摘の調整保管事業でございますが、この点につきましては、高値で安定しても困るし、また、安値で調整保管が余り効果がないといっても困るわけでありまして、非常にバランスのとれた形でうまく運用するということはなかなか工夫を要する点でございます。従来までも、この運用につきましては大臣も非常に御関心がございまして、いつも御指示をいただいているわけでございますけれども、組織が非常に強いところ、そしてまた調整保管がうまくできるところはわりあいこの事業を活用して非常に安定的な価格の形成ができているということでございますが、さようでないところにつきましてはなかなかこれを使い切れないという面があろうと思っているわけでございます。さような意味で、運用面あるいはこれの活用面について、今後とも十分に検討し、研究してまいりたいと考えるわけでございますが、同時に、価格安定のためには、調整保管ということだけでは十分でないわけでございまして、これは流通加工施設の整備といったような問題、需給情報を的確に流すといったような問題、需要そのものの促進に当たるといったような総合的な対策を講じまして、その中におきまして価格安定を図っていくということが重要ではないかと考えておりまして、今後ともさらに努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  35. 山崎平八郎

    山崎委員長 寺前巖君。
  36. 寺前巖

    ○寺前委員 三、四点聞いてみたいと思います。  この間、千葉県の銚子へ行ってきました。ここは、私の京都の舞鶴とか宮津とかいうところとは大分違いまして、漁港としてもきわめて大きなものだし、加工業者もまた非常に広範にありました。しかし、全体として見るときに、零細な加工業者というのはずいぶんあるものだということを、私、実感を持って感じたわけです。  私の京都の舞鶴へ行ってみると、組合長さんがこう言っていました。昔は七十数軒あった加工業者が、いろいろな事情もあってのことだけれども、いま八軒になってしまった。それから、宮津というところに行きましたら、ここではもう業界にそんなに大きな話のできるような加工の業者ではございませんとみずから言っているわけです。それだけに、漁業と加工とは不可分の関係にあるこの加工業界を零細な業界として積極的に保護し、経営の発展を考えていくということは、水産分野における一つの大事な仕事ではないだろうかということを率直に感じました。  そこで、今回、原材料供給事情変化に即応した云々という長ったらしい名前法案でございますが、これを引き続き延長したい。私は、そのことについては賛成です。同時に、その零細な水産業関係を全体として考えるときに、さらに積極的に手を打つことは考えられないものなのだろうか。たとえば、舞鶴というところで冷蔵庫を修理したい。そこで、修理すると何ぼかかるのだと聞いたら、四千万円だと言うのです。だから、できるだけ安く借りたいというのがみんなの共通の願いです。ここで、いま出されている法案からいうと金利五%ないしは六・五%、償還期限は二年据え置きの十年、限度額は事業費の七〇%だ。これは業界にとってはかなり魅力のある問題提起であるわけですが、たとえば私の方の舞鶴というところでは、これは京都というものが対象地域に入らないわけですね。あるいは和歌山でもそうであるわけです。結局、対象地域に入らないところが圧倒的にまた零細になっているだろうと見ることができると思う。せっかくのこういう制度ですから、他の公的資金と比べても確かに積極的な保護政策に打って出ているのだから、保護政策をもう少し全面的に展開してもらえぬだろうか。北洋漁種からの転換の一号資金一道三県だし、多獲性魚有効利用のための二号資金は二十三道府県ということになっていますから、その対象地域としてぜひ全面化してもらうように改善をやってもらえないだろうかという業界の人の願いを意見として申し上げ、どういうふうに見ておられるのかをお聞かせいただきたい。
  37. 松浦昭

    松浦政府委員 この資金一般中小企業資金に比べまして非常に低利融資をいたしているわけでございまして、さような意味でこの資金に対する需要が多く、また、多くの零細な加工業者の方々がこれをお借りになりたいというお気持ちがあることは私どもよく存じておりまして、さような意味でまた今回もこのように延長をお願いする法律案を出しているわけでございます。対象地域の問題につきましては、確かに現在一号資金の方が一道三県、それから二号資金が二十三県に限られているということでございまして、これにつきましては、二十三県にいたします際に実はかなりいろいろな要素を勘案いたしまして地域指定をし、かなりいろいろな折衝も重ねながらここまで来たわけでございます。さような意味で私ども努力はしてまいったわけでございますが、御指摘のようにまだ融資対象地区になっていない地区がございます。  そこで、私ども今後の課題といたしましては、やはり五年間たっているわけでございますから、水産加工原料の供給事情なり、特に諸外国の漁業規制の動向あるいは多獲性魚を初めとするわが国近海で漁獲される魚介類の生産あるいは利用の動向、さらには食用水産加工品需要動向といったようなものを十分に勘案いたしまして、これらを見きわめた上で必要があれば地域の指定につきましても見直しをするという方針で考えておる次第でございます。
  38. 寺前巖

    ○寺前委員 零細な業界だけに、冷蔵庫の中に入れても寝かしておくことができないという姿になっているわけです。そういう点では、運転資金というのが非常に大きな意味を持ってきます。五年前ごろから北洋漁業規制対策の一環として水産加工経営安定資金制度というのが行われるようになりましたけれども、それもごく一部の一道三県ということで限られておって、大多数の地域がこの制度の恩典が受けられない。ことしから多獲性魚等利用促進のための運転資金制度が加えられて水産加工経営改善強化資金として発足をされました。これを見ると、金利が五%ないし六・五%ということで、償還が一年または三年ということで、そこにはやはり一定の魅力があると思う。結局、原材料供給事情変化によるという長ったらしい法案対象地域とこれとがまた似通った運営をされていくのではないだろうか。いま長官から今後もさらに検討したいというお話があったわけですけれども運転資金に対するところの願いというのは、それこそ本当に施設以上に大きな願いを零細な業界の人たちは持っていると思うわけですね。そういう点では、この法律で運営されるわけではないわけですけれども、行政措置としておやりになるやり方として、もしも地域指定をやるというならばもっと広げてもらいたいということをお願いしたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  39. 松浦昭

    松浦政府委員 従来までの制度的な運転資金の運用につきましては、御案内のように国際規制関連資金分野についての運転資金をめんどう見るということでございましたので、一道三県というきわめて限られた府県になってしまっておったわけでございますが、今回からは御案内のように多獲性大衆魚高度利用ということも含めまして、その資金の範囲が広がってきたという状況でございます。したがいまして、今後は当然その資金対象がふえるわけでございますから、運用の面でもかなり弾力的な運用ができるのではないかというように考えておるわけでございますが、何分にも目下予算を御承認願うべく国会に御提出申し上げておるところでございまして、この御承認を得ました上で実行上の検討といたしましてこの問題を考えてまいりたいということでございます。したがって、いま確定的に申し上げることはできないわけでございますが、資金性格から申しまして、当然施設資金とパラレルに動いているわけでございますから、おおむね一致する、あるいは若干拡大されるといったようなことでこの検討をしていくということになろうかと思っておるわけでございます。
  40. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、法案施設との関係運転資金が個々に検討されたのだろうと想像しますけれども、多獲性魚の加工というのは零細な地域でもかなり転換もしなければならぬということで全面的に取り組んでいるのです。ですから、私どもの方のような小さなところであってもぜひ積極的にこういうものが使えるように検討していただきたいということを重ねて提起をするとともに、従来やってきた地域でも、零細業者の担保能力の問題がありまして、金融機関からは結局お金を貸してもらえないという事態が生まれるわけですね。ですから、信用保証の枠を拡大するなりして、積極的にこういう運転資金のいま設けた性格金融機関によく話をしてもらって——せっかくの制度が担保能力がないからだめなんだということでは生きてこないことになる。やはり政治というのは、能力がないところに手を加えてやることによって発展をする性格を持っているところに政治の値打ちがあるのだから、制度というものはそういう性格を持っているんだということで、積極的に借りやすいように条件づくりをやってもらう。私はさっきから言っておりますように、私どもの方のような小さいところでもそうだし、それから借りる個々の能力の面からもそうだし、制度というものがそういうものに生きるようにぜひやっていただきたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  41. 松浦昭

    松浦政府委員 どの制度資金につきましてもさような問題が起こるわけでございますが、やはり原資が系統の資金であるというような資金につきましては、その機関が、預金者の保護といったような観点も含めまして、その貸し出しに当たって慎重な審査をするということは、制度資金の貸し出しの場合にも、ある一面としてどうしても金融機関がとらなければならない一つ方向であるというふうに考えるわけでありますが、一方におきまして、制度資金というのは、なかなか金が貸せないところに貸していくということもまた一面でございまして、そこの兼ね合いというものはこの制度の運用に当たりまして十分に考えていかなければならぬところであろうと思います。両者の要請というものを十分に勘案いたしました上で、この資金が円滑に、また効果的に利用されるように、今後行政上も配慮してもらいたいというふうに考えている次第でございます。
  42. 寺前巖

    ○寺前委員 同時に、経営改善強化資金の具体化に当たって、協同組合が原料魚を共同購入する際にも対象として入れてもらいたいという要求が強うございますが、いかがでしょう。
  43. 松浦昭

    松浦政府委員 水産加工協同組合等が多獲性魚の共同購入を行いますことは、中小零細な水産加工業者経営基盤の強化になるということもございますし、さらにまた、このような共同購入によりまして多獲性魚有効利用を図るという観点からも、私どもは望ましい方向であるというふうに考えておる次第であります。したがいまして、来年度から新たに融通されることになりますところの水産加工経営改善強化資金につきましては、今後その効果的な運用のあり方というものを、予算が通りましたならば研究してまいるわけでございますけれども、この原魚共同購入資金につきましても、これを入れるかどうかということが具体的な検討事項の一つとして挙がっているわけでございます。この面につきましては、十分に検討いたしまして、新製品生産を促進するものであるということであれば前向きに検討したいと考えているわけであります。
  44. 寺前巖

    ○寺前委員 なお、加工業界の方とお話をしていると、先ほどの運転資金融資制度の問題ですが、単なる一般金融機関だけではなくして、農林漁業金融公庫も積極的にこの資金を使わせいという声があるのです。これはやはり農林漁業の関連の事業として存在しているのだから、当然運転資金の問題についても考えてもらっていいじゃないかというのが非常に声としてあるのですが、どういう見解をお持ちでしょうか。
  45. 松浦昭

    松浦政府委員 御案内のように、農林漁業金融公庫の資金は、その設立の目的から申しまして調達原資を財政資金に求めているという特色がございます。そのようなことから、融資対象はどうしても設備資金に限定される、これは原則として申し上げざるを得ないという点でございます。そこで、運転資金の方はやはり一般的な系統資金、プロパー資金によって運用される、あるいは中小企業関係金融機関から融資されるというようなことにならざるを得ないというように考えておるわけでございますが、私ども今回このような運転資金供給するという点で、低利かつ通常の運転資金から見ましたら長期の期限をもちまして貸出資金制度をつくったわけでございまして、系統資金の上にかような利子補給予算措置というようなものを含めまして、都道府県特別会計というようなものも活用しながら、この運転資金をうまく組み合わせ運用していくということでやってまいるわけでございます。なかなか公庫資金に乗りがたい資金性格でありますればこそ、このような新しい制度を考え、これによって運転資金供給しようということを考えておる次第であります。
  46. 寺前巖

    ○寺前委員 ちょっと次元が違うのですが、加工業者のところへ行きますと必ず最後に雑談で出てくるのは、焼き魚というのはがんのもとになるということがテレビや新聞で出よるんで、そのたびに売れ行きに関係するんだ、指導機関である農林水産省はこういう問題についてどういうふうに研究をし、どういうふうな見解を持っておられるのかをぜひ聞いてくれというのが、雑談をやると必ず出てくるんですね。きょうはあえて、私、所管の厚生省を呼んでいるわけじゃございませんけれども、ここにいろいろあるんですね。国立がんセンターの長尾美奈子という先生、この先生ががんになりやすい食べ合わせという問題としていろいろ新聞に出しておるのを私ここに持っておるのです。それから、私はこれは見てないのですが、兵庫県の衛生部の方から「がん予防の十二カ条」というのが出ておりますね。そこにも何かそういうのが出てくるというのです。これは意見ですから、いろいろ出てくるのは当然だと思う。それに対して、ここに同志社大学の西岡一という先生がお書きになった講談社の「疑惑の食品添加物」というのがあるのですが、これを見ると、「おこげは危険か」ということの中で、そんなことを言うとったら、長年の食生活の中でいろんな食い合わせがちゃんと指摘してあるのであって、焼き魚が悪いというのは、そんなことは長年の歴史の中にないじゃないか、そう言う方がむしろおかしいのと違うかということをこの先生は言わんとしておられる。いろいろ話題があります。  そこで、加工技術上の研究が何か必要なのかどうか、あるいはまたこういう問題についてどういうふうに社会的に取り扱うべきであるのかというような問題について、御感懐があるならば聞かしていただきたい。
  47. 松浦昭

    松浦政府委員 実は先生おっしゃいますように、五十年代の前半でございますか、国立がんセンターから学界にいわゆる焦げ目というものと人の発がんにつきましての報告が出されて、それが世上にいろいろと議論をされたということは聞いておるわけでございます。私どもも厚生省に対しまして、本当にそうなのかどうかということを問い合わせをいたしておるわけでございますが、厚生省の態度は、焦げ目と人の発がんについての疫学的な事実関係が明確に結論づけられていないということを申しておるわけでありまして、このような理由から、行政的にもいまのところ取り上げる考えはないということを申しておるわけでございます。  水産庁といたしましては、私どもはお魚というものが非常に体にもいいんだということで、特にお魚の中の脂肪酸というものは長寿のためにも非常にいいのです、あるいはお魚自身のカルシウム分というものを考えたらこれは非常に重要だ、心臓にも脳溢血にもいいんだ、こういうことを言っておる次第でございまして、発がんという点からこういうような報告がありまして、それが消費の減退につながるということであれば、これは非常に困ったものだという感じがいたしておるわけでございます。したがいまして、私どもは厚生省と十分連絡をとりまして、問題がないということであれば、積極的に関係者の意見も聞いた上でこの対策ということを考えまして、お魚のPRと申しますか、お魚はいいんだということと同時に、焦げ目も有害じゃないのだということを言って、十分に普及したいというように考えておる次第であります。
  48. 寺前巖

    ○寺前委員 終わります。
  49. 山崎平八郎

    山崎委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  50. 山崎平八郎

    山崎委員長 討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  51. 山崎平八郎

    山崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  52. 山崎平八郎

    山崎委員長 この際、本案に対し、小川国彦君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。小川国彦君。
  53. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表して、原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   我が国水産加工業は、各国漁業水域における漁業規制強化、多獲性大衆魚の漁獲の増大、燃油価格の高騰等経営環境の変動の中にあって、漁業経営の安定、国民食生活の向上に大きな役割を果たしており、その振興は、重要なこととなつている。   よつて政府は、漁業水産加工業との密接な関連を十分配慮し、本法の施行に当たっては左記事項の実現に努めるべきである。      記  一 漁業水産加工業経営の安定、国民食料の安定的確保を図る見地から、漁獲物の付加価値を高め、特に、多獲性大衆魚については、その食用利用を促進すること。  二 水産加工業経営の体質強化のため、共同化、協業化の推進、協同組合の経営基盤及び組織力の強化を図るとともに、積極的に水産加工業経営の実態把握に努めること。    また、漁業との関連性を配慮した水産加工金融制度の確立につき検討すること。  三 水産加工施設資金融通に当たっては、多獲性大衆魚食用加工の実態等に即し、貸付対象地域の見直し等その適切な運用を図るとともに、水産加工経営改善強化資金との関連性をも十分配慮すること。さらに、両資金融通に必要な万全の措置を講ずること。  四 原材料を含む水産物の輸入については、経営基盤の脆弱な沿岸、中小漁業者が犠牲となることのないよう対処すること。  右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通してすでに各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
  54. 山崎平八郎

    山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  小川国彦君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  55. 山崎平八郎

    山崎委員長 起立総員。よって、本案に対して附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、金子農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。金子農林水産大臣
  56. 金子岩三

    金子国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。     ─────────────
  57. 山崎平八郎

    山崎委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 山崎平八郎

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  59. 山崎平八郎

    山崎委員長 次に、内閣提出森林法及び分収造林特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。金子農林水産大臣。     ─────────────  森林法及び分収造林特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  60. 金子岩三

    金子国務大臣 森林法及び分収造林特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  戦後営々として行われてきた造林の結果、人工林面積はほぼ一千万ヘクタールに達し、わが国の森林造成の基礎はおおむね確立されたところでありますが、その人工林の大部分はいまだ生育途上にあり、これを貴重な森林資源として守り育てていくことが重要な国民的課題となっております。  しかしながら、近年、木材需要の低迷、林業経営費の増高等に起因して林業生産活動が停滞し、間伐、保育等が適正に行われていない森林が増加しております。このまま推移するならば、国土の保全、木材の供給等森林の有する諸機能の発揮に重大な支障を来すことが懸念されております。  政府におきましては、このような森林及び林業をめぐる諸情勢にかんがみ、間伐、保育等の森林の整備を推進し、林業生産活動の活性化に資するため、市町村による森林整備計画の制度の導入、分収育林制度の創設等を図るほか、林業普及指導事業の運営の効率化を図るための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  まず、森林法の改正について御説明申し上げます。  第一に、森林整備市町村の指定と森林整備計画の樹立であります。  都道府県知事は、一体的かつ計画的に間伐または保育を推進する必要のある一定の市町村を、森林整備市町村として指定することができることとしております。  森林整備市町村は、一体的かつ計画的に間伐または保育を推進する必要のある一定の森林の区域について、森林整備計画を樹立しなければならないこととしております。その計画においては、間伐及び保育の基準、間伐または保育を早急に実施する必要のある特定の森林についての施業、作業路網等の整備等について定めることとしております。  第二に、森林整備市町村の長は、森林整備計画に定める特定の森林について、同計画に従った間伐または保育が実施されるよう、その森林の所有者等に対する間伐または保育について、勧告を行うことができることとしております。また、この勧告に従わない者に対しては、その森林または立木に関する権利の設定または移転等について協議すべき旨の勧告を行うことができることとしております。さらに、協議が調わない場合においては、都道府県知事が調停することとしております。  第三に、林業普及指導事業の運営の効率化を図るため、同事業に係る助成方式を定率補助金方式から交付金方式に変更することとしております。  次に、分収造林特別措置法の改正について御説明申し上げます。  第一に、従前の分収造林契約に関する制度を拡充して、広く分収方式による造林または育林を促進するという法改正の趣旨にかんがみ、法律の題名を分収林特別措置法に改めるとともに、その旨の目的規定を新設することとしております。  第二に、分収造林契約に加えて、生育途上の人工林に関し、その育林費用の負担、樹木の共有、伐採時における収益の分収等を約定する分収育林契約に関する規定の整備を図ることとしております。  第三に、国民の参加のもとに森林の整備の推進を図っていくため、分収方式による造林または育林の契約について、不特定かつ多数の者から費用負担者を募集する者は都道府県知事への届け出を要するものとする等、行政上の指導監督を行い得る制度を設けることとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  61. 山崎平八郎

    山崎委員長 補足説明を聴取いたします。秋山林野庁長官
  62. 秋山智英

    ○秋山政府委員 森林法及び分収造林特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下、その内容につき若干補足させていただきます。  まず、森林法の改正について御説明申し上げます。  第一に、全国森林計画及び地域森林計画の計画事項の整備であります。  わが国の人工林の大部分が生育途上にあり、その間伐または保育が重要となっていることにかんがみ、全国森林計画及び地域森林計画の計画事項につき、間伐及び保育に関する事項を独立の計画事項とすることとしております。  第二に、市町村による森林整備計画の制度の創設であります。  都道府県知事は、地域森林計画の対象となっている民有林の面積またはその民有林における人工林率が一定の要件に該当し、一体的かつ計画的に間伐または保育を推進する必要のある市町村を、当該市町村と協議の上、森林整備市町村として指定することができることとしております。  森林整備市町村は、一体的かつ計画的に間伐または保育を推進する必要のある一定の森林の区域について、間伐、保育その他森林の整備に関し、五年ごとに、十年を一期とする森林整備計画を立てなければならないこととしております。  森林整備計画においては、間伐、保育その他森林の整備に関する基本的事項、間伐及び保育の基準、間伐または保育を早急に実施する必要のある特定の森林についての施業、作業路網その他施設の整備に関する事項等について定めることとしております。  第三に、森林整備市町村の長による勧告等の制度の導入であります。  森林整備市町村の長は、森林整備計画に定める特定の森林について、その所有者等に対し、森林整備計画に従った間伐または保育を実施すべき旨の勧告をすることができることとしております。また、この勧告に従わない者に対しては、当該市町村長の指定する者とその森林または立木についての権利の移転または設定につき協議すべき旨の勧告をすることができることとしております。  さらに、この協議が調わないときは、都道府県知事は、当該指定を受けた者の申請に基づき、調停を行うこととしております。  第四に、林業普及指導事業に係る助成方式の変更であります。  林業普及指導事業に係る助成方式につきましては、従来の定率補助金方式を交付金方式に変更するとともに、当該交付金の都道府県への交付については、農林水産大臣は、各都道府県の林業人口、民有林面積及び市町村数を基礎とし、各都道府県において同事業を緊急に行うことの必要性等を考慮して決定しなければならないこととしております。  以上のほか、森林整備計画に定める特定の森林の所有者等からの報告徴収、森林所有者の作成する森林施業計画と森林整備計画との調整等について所要の規定を設けることとしております。  次に、分収造林特別措置法の改正について御説明申し上げます。  第一に、法律の題名の変更と目的規定の新設であります。  すなわち、法律の題名を分収林特別措置法に改めるとともに、目的規定として、この法律は分収方式による造林及び育林を促進し、もって林業の発展と森林の有する諸機能の維持増進とに資することを目的とする旨の規定を設けることとしております。  第二に、分収育林契約に関する規定の整備であります。  従前から規定されていた分収造林契約に加え、分収育林契約として、一定の土地に植栽された樹木についての保育及び管理に関し、その土地の所有者、育林を行う者及び費用を負担する者の三者またはいずれか二者が当事者となり、樹木の共有、持ち分の対価の支払い、伐採時の収益の分収等を約定する契約を規定するとともに、その契約の安定性を確保するため、共有物の分割請求に関する民法の規定の適用を除外することとしております。  第三に、分収林契約の募集についての届け出制の導入であります。  分収造林契約、分収育林契約その他の分収林契約について、不特定かつ多数の者から費用負担者を募集する者は、その契約の対象とする土地または樹木の態様、契約の存続期間、造林または育林の内容等一定の事項を、その契約に係る土地を管轄する都道府県知事に届け出なければならないこととしております。  都道府県知事は、届け出事項から見て適正な造林もしくは育林が行われないおそれもしくは費用負担者の正当な利益を害するおそれがあると認めるとき、または届け出事項に従った造林もしくは育林が行われていないと認めるときは、届け出事項の変更または届け出事項の遵守を勧告することができ、勧告を受けた者がこれに従わないときは、その旨を公表することができることとしております。  なお、募集の届け出等の規定は、地方公共団体、分収方式による造林または育林の促進等を目的とする一定の公益法人である森林整備法人及びこれらの媒介により一定の要件を備えた分収林契約の募集を行う者については、その適用を除外することとしております。  以上のほか、分収林契約の締結についての都道府県知事のあっせん、届け出をした者等からの報告徴収、届け出に関する罰則等について所要の規定を設けることとしております。  以上をもちまして森林法及び分収造林特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
  63. 山崎平八郎

    山崎委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、明二十三日水曜日午後二時五十分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十三分散会