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松浦政府委員 未
利用資源と申しますか、あるいはまだ十分に
開発されていない資源というものを高度に
利用していくということは、今後の日本の水産業を守っていく上において非常に重要な課題であるというふうに考えておるわけでございまして、ただいま
先生御指摘になりましたオキアミの研究
開発あるいは多獲
性大衆魚につきましての高度の
利用、その中でのマリンビーフの
利用というものは非常に重要な課題であるというふうに考えておるわけでございます。
そこで、オキアミの研究
開発利用状況でございますが、オキアミは御案内のように数億トンの資源があると言われておりまして、これを年々人類が数百万トンベースで
利用いたしましてもなお資源は十分に再
生産ができるという、きわめて人類にとって有望な、また貴重な資源でございます。これを現在日本ではまだ三万トン程度しか
利用しておらないわけでございますが、この
利用というものが非常に重要でございます。
そこで、二つの面があるわけでございますが、
一つは、このオキアミを研究
開発いたしましてどのような
利用ができるかという面での行政、これが
一つでございます。いま
一つは、これを実際に
利用し、消費者に食べていただくということのためにどういう行政を展開すべきか、この二つになろうかと思います。
まず前者の方でございますが、
昭和五十二年から大学、
都道府県及び民間団体に委託をいたしまして、国の研究所の指導のもとに技術
開発の研究を進めております。
幾つかの課題がございますが、若干申し上げてみますと、
一つは、オキアミを冷凍すり身化する技術でございます。この技術は、まず、何と申しましてもオキアミは非常にかたい殻に入っておりますので、この殻を取って、それで
中身を抽出するという技術が必要でございますし、それからまた、すり身化するためには歩どまり率を上げ、また、そのままの状態で放置いたしておきますと黒っぽく変色いたします。これをどうやって防止するかといった、いろいろな技術の総合によりましてこれを
開発するということが必要でございます。
現在の段階で申し上げますと、頭を遠心分離機で分離いたしまして、ローラーにかけて
中身を抽出する。これをすり身化して
安定化するという技術が
開発されておりまして、ほぼこれは完成の域に達しておるわけでございます。
それからまた第二の技術といたしましては、冷凍フィッシュブロックをつくっていくという技術でございまして、これにつきましても、普通の脱水方法でやりますとどうしてもスポンジ状になってしまって使い物にならないということでございまして、この点につきましてもいろいろと研究をいたしまして、この脱水技術あるいはこれを固定化していくという技術の
開発をいたしまして、これも五十七年度に完成をいたしております。
それから、今後の課題といたしましてやっております技術といたしましては、
一つは、このオキアミを
利用いたしますとカニの肉に非常に似た
製品ができるということでございまして、この食味がカニに非常に近いものができるということから、カニ肉用乾燥素材製造技術というものをいま
開発しております。
それからまた、食塩水でゼリー状にしていくという技術もこれからの
開発で、目下一生懸命やっておるところでございます。
いま
一つは、このオキアミにございますところの赤い色素がございますが、この色素を抽出いたしまして、これを回収し、たとえばマス類でございますとかあるいはタイ等に、ニジマスあるいはマダイといったものにこれをえさにまぜて食べさせますと、その色が非常によくなるということがございます。もちろんこれは商品価値を高めるということで非常に興味のある技術でございまして、これを目下
開発をしているところでございます。
それから第二点の普及をしていくということでございますが、この点につきましては、実はまだオキアミの約八〇%が養殖
需要あるいは釣りのえさといったようなことで、まだ十分に使われておりません。これを食用化するためには、どうしても
一般の方々の
需要という形でこれを食用に
利用していただくということが非常に重要でございます。これも目下補助金を出しまして新規食品の
開発あるいは試食展示会といったようなことを開催いたしておりまして、現在は春巻き、シュウマイそれからかき揚げてんぷら、こういったものの
原材料としてかなり
利用されております。食品の展示会も、実は去年、五十七年度の一月までで二十回ほど全国で開催しておりまして、特に主婦の方々あるいはお料理の研究家あるいは魚の市場の
関係者、栄養士といった方々を
対象として、たとえば春巻きとかシュウマイ、私も食べてみたわけでありますが、非常においしいものでありまして、かなり普及が図られているところでございます。今後一層これには
努力してまいりたいと思います。
次に、マリンビーフの研究でございますが、これは
昭和四十八年以降
水産庁の東海区の水産研究所において基礎試験が行われまして、五十一年からは新技術
開発事業団の
開発課題に取り上げられまして、五十五年に一応製造プラントは完成しております。
ただ、問題がございますのは、実はこのマリンビーフをつくります場合にはアルコールでたん白を抽出していくという過程が必要なんでありますが、このアルコールに非常に金がかかるわけでございます。そこで、アルコールを何遍も使えるように、いわば循環的な装置でもってアルコールを取り出してはまた使うということをやっておりますが、この設備にまだ金がかかりましてコストが高い状態でございます。ちなみにコストを申し上げますと、水に戻した状態でのマリンビーフのコストが二百四十円いたします。これとの競合商品は、廃鶏の肉を同じように使いますとハンバーグ等に使えるような肉が出てきまして、これが百円でございます。それから大豆たん白からとったものが百二十円ということで、かなりまだマリンビーフの方が高いということでございまして、さような抽出過程における工夫
改善というものがコスト的に見てまだ必要な段階でございます。
なお、最近このマリンビーフはペルーにプラント輸出をいたしまして、これはほぼ話し合いがつきかけているわけでございますけれ
ども、この場合には何分にもペルーはアンチョビーがございますので非常にコストが安くできまして、二百七円でできる。廃鶏の方も二百九十六円、それから牛のひき肉が五百九十一円でございますから、この方は非常に引き合うということで、これはプラント輸出に成功した例でございます。
したがいまして、今後マリンビーフを活用いたしますためにはどうしてももう少し技術的に工夫をこらしましてコストを安くしていくということが重要であろうと思っておりまして、この面でも今後
努力をいたしてまいりたいというふうに考えている次第であります。