○松浦
政府委員 お答えを申し上げます。
ただいま先生、水産業につきましての大きな問題に次々とお触れになったわけでございますが、まことにおっしゃられるとおりの問題がございます。先ほど私申しましたように、大きく申しまして現在の水産を取り巻いております問題は三つあろうかと思います。その第一は、二百海里の規制の強化。その第二は、燃油コストが非常に上がっておりまして、このために
経営が非常に苦しくなっている。それから第三は、国民の魚に対する
需要が停滞ぎみである。この三点になるというふうに
考えております。私
どもとしましては、このような問題に一つ一つ対処していく、それを総合して水産の
政策を
考えていくということが最も重要な解決方策ではないかというふうに
考えておるわけでございます。
したがいまして、まず第一の問題に対応いたしますためには、何と申しましても漁業外交を強力に展開いたしまして、また、この外交に携わる組織というものもできるだけ強化いたしまして、粘り強く海外の漁場を確保していく。そしてまた、特に発展途上国等に対しましては、経済協力、技術協力といったような面も加味いたしまして漁場を確保していく。さらには、相当耕し尽くされましたけれ
ども、まだ公海等に残っている海外の漁場も確保していくといったようなことが必要であろうというふうに
考えるわけでございます。
また、第二の点でございますところの
経営の問題でございますが、この点につきましては、先ほど御
答弁申し上げましたように、何と申しましてもやはり適正な規模の漁業をつくり上げていく、資源に見合いあるいは
需要に見合った形での漁業の
生産基盤というものをつくっていくことが必要でございまして、かような面から
生産構造の再編
対策を、負債整理
資金あるいは共補償
資金等も活用いたしまして、業界の自主的な努力によってこれをつくっていく、これに対して政府は助成していくという
考え方を持っておるわけでございます。
また、個々の企業体の
経営を改善するのは、何と申しましても省エネ、省コストというふうに
考えております。ただいま先生も言及なさいましたが、ことしは口先だけではなくて、現実に省エネルギーを
中心といたしました技術の再開発ということを予算の裏づけをもってやってまいりまして、現在の
段階でも、業界によりましては新しい船で三〇%ぐらいのコストの低減ということができ上がっている分野もございますが、さらにこれを、たとえば五〇%を目標にして省エネを図っていく。現在の燃油価格がやや安定化した
状況とあわせまして、これが
経営の抜本的な改善を図っていく基礎であるというふうに
考えるわけでございます。これによりまして負債も返していくことができるのではないかというふうに
考えるわけでございます。
それから、第三点の
需要の増進でございますが、これにつきましては、何と申しましても
基本は、魚価を上げることによって
消費が減退するというようなことがないようにしたいという気持ちがいたします。さような点から、
経営のコストを下げていくということもこの大きな一環になっていくと思うわけでございますが、それに加えまして、加工、流通の
対策というものが非常に重要になってまいると思います。さような意味で、今回の加工
資金といったようなことも、多獲性大衆魚をより高度に利用するような形での予算の編成というものを
考えている次第であり、また、特にお魚のたん白というものは非常に良質なたん白でありまして、国民の皆さん方の健康のためにもいいということは私
ども確信いたしておりますので、さような分野におきましても、これから大いに
消費の宣伝に努めてまいりたいというふうに
考えておる次第でございます。
さらに、先生お触れになりましたように、二百海里がこのように非常に厳しい
状況になってまいりますと、何と申しましても
日本の二百海里を耕すということが必要でございます。このための栽培漁業につきましても、全国のネットワークも完成してまいりましたし、その技術も次第に整ってまいりました。これを契機にいたしまして、魚礁の設置、海洋牧場といったような構想もあわせまして、
日本の二百海里の中でつくり育てる漁業というものもつくってまいりたい、このための法案等も準備をいたしているという
段階でございます。