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1983-04-27 第98回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十七日(水曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 左藤  恵君    理事 加藤常太郎君 理事 畑 英次郎君    理事 吹田  愰君 理事 阿部喜男君    理事 鈴木  強君 理事 竹内 勝彦君    理事 西村 章三君       亀岡 高夫君    鴨田利太郎君       北口  博君    近藤 鉄雄君       佐藤 守良君    谷  洋一君       友納 武人君    福永 健司君       水野  清君    山下 徳夫君       渡辺 紘三君    武部  文君       楯 兼次郎君    森中 守義君       米田 東吾君    大橋 敏雄君       中井  洽君    藤原ひろ子君       村上  弘君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 桧垣徳太郎君  出席政府委員         郵政省貯金局長 鴨 光一朗君         郵政省簡易保険         局長      魚津 茂晴君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         郵政省人事局長 奥田 量三君  委員外出席者         科学技術庁長官         官房審議官   辻  栄一君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   西井  昭君         日本電信電話公         社営業局長   信澤 健夫君         日本電信電話公         社計画局長   池沢 英夫君         日本電信電話公         社経理局長   岩下  健君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ───────────── 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   秋田 大助君     友納 武人君   丹羽 雄哉君     北口  博君   原 健三郎君     谷  洋一君 同日  辞任         補欠選任   北口  博君     丹羽 雄哉君   谷  洋一君     原 健三郎君   友納 武人君     秋田 大助君     ───────────── 三月二十九日  簡易生命保険保険金限度額引き上げ等反対に関する請願金子みつ紹介)(第一九七七号) 四月六日  重度障害者に対する郵政行政改善に関する請願部谷孝之紹介)(第二一六八号)  同(野坂浩賢紹介)(第二一六九号) 同月十五日  電電公社分割民営化反対に関する請願串原義直紹介)(第二四六七号)  同(清水勇紹介)(第二四六八号)  重度障害者に対する郵政行政改善に関する請願新村勝雄紹介)(第二四六九号)  同(山下徳夫紹介)(第二四七〇号)  同(渡辺紘三君紹介)(第二四七一号) 同月二十二日  簡易生命保険保険金限度額引き上げ等反対に関する請願池端清一紹介)(第二五一〇号)  同(田中恒利紹介)(第二六二〇号)  同(栂野泰二紹介)(第二六五六号) 同月二十五日  重度障害者に対する郵政行政改善に関する請願池端清一紹介)(第二七六二号)  同(石田博英紹介)(第二七六三号)  同(熊川次男紹介)(第二七六四号)  電電公社分割民営化反対に関する請願小沢貞孝紹介)(第二七六五号)  同(中村茂紹介)(第二七六六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 三月三十日  電電公社改革に当たっての公共性効率性の維持に関する陳情書(第一四九号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第七号)  公衆電気通信法の一部を改正する法律案内閣提出第一五号)      ────◇─────
  2. 左藤恵

    左藤委員長 これより会議を開きます。  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を聴取いたします。桧垣郵政大臣。     ─────────────  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 ただいま議題となりました簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  この法律案は、簡易生命保険及郵便年金特別会計保険勘定積立金運用範囲を拡大することを内容とするものであります。  現在、外国政府等の発行する債券、信託業務を営む銀行または信託会社への金銭信託元本補てん契約があるもの及び金融機関への預金に運用する積立金は、簡易生命保険及郵便年金特別会計年金勘定積立金に限るものとされておりますが、簡易生命保険加入者利益増進を図るため、保険勘定積立金についてもこれらに運用することができるよう、その運用範囲を拡大しようとするものであります。  なお、この法律施行期日は、公布の日からといたしております。  以上、この法律案提案理由につきまして御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 左藤恵

    左藤委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     ─────────────
  5. 左藤恵

    左藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  6. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私ども、この法律案の一部改正については賛成の立場でございますので、あらかじめそのことを申し上げて、若干の質問をさせていただきたいと思います。  いま簡易保険郵便年金特別会計経理内容というのですか、運営の状況はどういうふうでございますか。大まかに……。
  7. 魚津茂晴

    魚津政府委員 一言で申しますと、順調に推移しておりますということでございまして、そのあかしとして申し上げますと、昭和四十三年から剰余金の配当をいたしているわけでございますが、ことしも、先日郵政審議会の議を経まして、約六千百億程度配当するということで見られますように、歳入歳出差し引き剰余金というものが順調に伸びている、こういう実態でございます。
  8. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、大臣にお伺いしますが、事業内容も非常に順調なようでございますので、これは挙げて努力をしたたまものであると思いますが、時あたかも春闘で、民間準拠公共企業体職員の賃金も引き上げるべきであると先日何か回答なさったようですが、月に千円しか上げぬといったらあめ玉一つあげるようなもので、あれでは話にならぬのですが、それだけ内容が順調ならば、思い切って給与も引き上げたらいかがでしょうか。どうでしょうか。
  9. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 簡易保険郵便年金特別会計の財務の状況は、いま簡保局長から御答弁申し上げたとおり順調に推移しておるわけでございます。これは一時的ではございますが、郵便貯金特別会計の方はいまのところかなりまだ苦しい情勢でございまして、全体を通じまして郵政特別会計はそう困難な事情にあるとは私は思ってないわけではございますが、それぞれ多少ずつ事情が違うという情勢にあるわけでございます。  そのことはそれといたしまして、先般組合とのベースアップ交渉につきまして、私も私なりに政府の内部で、また責任者として、有額回答をできるだけ早くやるということには努力をいたしたつもりでございますが、これも御案内のように、郵政職員に対します給与につきましては、一般公務員または民間給与その他の事情を考慮した上で決定をするということに相なっておりまして、確かに組合としてはきわめて強い不満の意を表しておるところでございますが、私どもとしては、回答申し上げた点については、諸般事情から見まして、理解を得るように努力をすべきものであるというふうに心得ておるわけであります。
  10. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 きょうは簡易保険の方ですから……。  ただ、郵貯特会見通しとしてはそう苦しくはないと聞いておりますし、また、五十八年度の郵政事業特別会計もそんなに心配される状況ではない。したがって、いま諸般状況というお話でしたけれども郵政事業特別会計から見れば、必ずしもどうにもならない、ないそでは振れない、そういう状況ではないように推察をされますので、たとえば第三者機関等で、公労委等仲裁なりを出したときには、これはひとつ尊重する、これだけ約束しておいてください。
  11. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 五十八年度の郵政職員給与ベース改定の問題につきましては、まだ団体交渉を続行中でございまして、公労委の問題にまだなっていないわけでございますので、昨年度の公労委仲裁裁定につきましてもこれを尊重すべきであるという立場で私としては努力をいたしたつもりでございますので、その考え方には変わりはないというふうにお答えを申し上げたいと思います。
  12. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。大臣一人ではなかなか大変でしょうけれども責任者として十分閣議等でその主張を貫いてもらうように希望しておきます。  次に、具体的な内容に少し入りますが、この法律の一部改正で、保険勘定積立金運用範囲を拡大することによって加入者利益増進を図る、こう説明をされておりますけれども現行運用に比べてどのくらい増収といいますか経営内容がよくなると見込まれておるのか、これをひとつお伺いします。
  13. 魚津茂晴

    魚津政府委員 いろいろ不確定条件はございます、金利情勢、経済的な変動の要因もございます。ただ、私どもは、ただいま提案をいたしております法案を可決、成立させていただきますと、五十八年度、今年度でございますけれども、大体四十億ないし五十億程度運用収入増加、そして数年後になりますと五百億ないし六百億円程度運用収入増加運用利率で見てみますと〇・二%程度のアップに寄与する、こういうふうに期待をしておるところでございます。
  14. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは大変結構なことでございます。この法案によりますと、外債にあっては積立金総額の百分の十、金銭信託にあっては積立金総額の百分の二十に相当する額と、こうなっておるのですが、この法案が成立すればずばり百分の十、百分の二十が運用できるのか、これは一応の枠だけであって運用はそれとは違うのか、その辺はどうなりますか。
  15. 魚津茂晴

    魚津政府委員 法案の枠組みというのは先生ただいま仰せのとおりでございますが、私ども運用に際しましては、やはり段階的にいろいろな条件をにらみ合わせながら考えてみたい。たとえば、先生お話にございましたように、外債への運用というのは一〇%まで法律では可能でございますけれども、私どもとしては、内外の経済情勢でございますとか金融の動向を考慮しながら、段階的に投資をふやしていく。そこで、私ども本年度いろいろ情勢をもうすでに検討させていただいているわけでございますが、そういった中から、金利その他の条件に恵まれた場合は、外国債を例にとりますと大体二千億程度投資いたしたい、こういうふうに考えているところでございます。
  16. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 信託の方は、やはり二〇%の場合はどのくらいまで考えておられますか。
  17. 魚津茂晴

    魚津政府委員 元本補てん契約のある金銭信託ということでございますが、今日法律上は元本補てん契約があるというのは指定金銭信託ということでございますが、その指定金銭信託の中で、大蔵省行政指導でかなり金銭信託運用というものが制約を受けている現状がございます。そういったことの中で、すでに年金勘定については金銭信託への運用というものはできるわけでございますが、ほとんどやられてないという現状でございまして、今後そのような法律行政指導の差を埋めながらこの辺への運用を増大してまいりたいということで、具体的な金額は、先ほど申し上げた外国債への運用という二千億程度というような金額は、いま具体的には持ち合わせていないところでございます。
  18. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。  そこで、外国債対象運用した場合に、いわゆる外貨建て、円建てがあると思うのですけれども、それぞれの利回りは大体どのくらい、これは変動がありますけれども現行どのくらいになっていますか。
  19. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在の外債への運用状況実態を若干申し上げてみたいと思いますが、御案内のところでございますが、積立金のうち年金勘定について外債への運用が可能になっているわけでございまして、四十八億円外国債を買っているというのが現状でございます。  内訳といたしまして、外貨建て債として、カナダドル建てカナダ国債、これが十四億円でございます。それから円貨建て債、これがフランス産業開発金融公庫債というものでございますが、二十五億円でございます。さらに、第四回欧州鉄道金融公社債というもの七億円でございます。そして、第五回デンマーク王国債が二億円ということで、合計して四十八億円ということでございます。  お尋ね利回り状況でございますが、カナダ国債は一八・一〇四%、それからフランス産業開発金融公庫債が八・六%、それから第四回欧州鉄道金融公社債が八・一三六%、それから第五回デンマーク王国債、これが八・七一八%、こういう運用利回りになっているわけでございます。
  20. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、この外貨建ての方が非常に利回りがいい。利回りが倍もいいというのですか、になっておるようですが、これは外貨建ての場合は相場の変動等によってかなりリスクがあるのではないかと思われますが、いままでの経験で、非常に大きい変動があって危険負担をしたことがありますか。
  21. 魚津茂晴

    魚津政府委員 いままでは運用額そのものが非常に少ないわけでございますので、非常に慎重に、また、初めてということもございまして、慎重かつ堅実にやっておりまして、そういうリスクを現実に受けたことはございません。しかしながら、観念的には、為替リスクだとかカントリーリスクがあるということは重々承知いたしているところでございます。
  22. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。なるべく高い利回りでなるべく安全な運用を、郵政省のためじゃないのです、加入者のためにぜひ図ってもらいたいと思います  それから、次に、積立金運用範囲についてですけれども国家公務員共済組合というのがございます。国家公務員共済組合運用もやはりこの簡易保険に非常に似た形で運用されるわけです。簡易保険積立金運用国家公務員共済組合積立金運用対象を比較してみたことがございますか。
  23. 魚津茂晴

    魚津政府委員 仰せのとおり、私ども保険あるいは年金積立金運用する際に、一方で非常に身近な法律でございます国家公務員共済組合運用というのは絶えずモデルになっているわけでございます。そのモデルである国家公務員共済組合というものと比較してみますと、かなり保険年金運用範囲が狭いという現状でございます。具体的に申しますと、国家公務員共済組合資金運用範囲は、現在御提案しております範囲のほかに株式不動産証券投資信託、こういったものが国家公務員共済組合運用範囲になっているという実態でございます。
  24. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 僕は素人でよくわからないのですけれども、いまおっしゃった共済組合の方では運用対象になっておる、簡易保険ではなっていない株式不動産、こういうものの利回りはかなり高くなるのですか、余り変わらないのですか。
  25. 魚津茂晴

    魚津政府委員 具体的な事情というのはそのケースごとに違うかと思いますが、この株式への投資、それから不動産への投資投資信託への投資というものは、現在の私ども運用範囲のそれに比べますと、有利な運用であるということは間違いのないところであると思います。
  26. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 われわれ素人考えてみると、株式にせよ不動産にせよあるいは投資信託にせよ、ちょっと危険な感じもするのですが、もし認められるならばこういうものをやった方がいいとお考えですか、これはリスクが大きいからやらぬ方がいいとお考えですか。
  27. 魚津茂晴

    魚津政府委員 まず、歴史的な事実をちょっと申しますが、戦前は私ども保険年金運用範囲として株式というのは公共銘柄については認められていたわけでございます。そういういきさつからしますと、もちろんいろいろ運用の点において留意すべき点はあろうかと思いますが、公共銘柄株式というようなものは当然運用範囲として認めていただきたいな。ただ、不動産への投資というようなことになりますと、この辺は功罪がいろいろあろうかと思いますので、私どもは、将来の研究課題ということで、その辺の問題を詰めながら態度を明らかにしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  28. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実は、われわれは運用対象運用範囲をもっと拡大すべきだという意見を持っておりますので、さて拡大した場合に、いまの不動産などが対象になっていいものか悪いものか、そういう心配があったので、ちょっとお伺いしたわけですが、大体わかりました。  その次に、簡易生命保険民間生命保険運用利回り、これはよく問題になるのですが、これを比較したものが何かあればお示しをいただきたい。
  29. 魚津茂晴

    魚津政府委員 簡保民保運用利回りの比較でございますが、結論を申しますと、一時的な現象として民保運用利回り簡保のそれに比べて低いときがございました。具体的に申しますと昭和五十三年度がそうでございましたが、それ以外の年で比較してみますと、たとえば昭和五十年度くらいまでは少なくとも大体一%程度の私どもに不利な格差がございました。五十年度以降は次第に差が縮まってはおりまして、最も新しい五十六年度を例にとりますと、簡保年金運用利回りが七・四四%でございました。それに対して民保が七・七八%で運用されておりますので、〇・三四%の格差、こういうのが実態でございます。
  30. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 昭和五十六年度の例で〇・三四%簡易生命保険運用利回りが低いということになるわけでございますが、〇・三四%簡易生命保険利回りがよくなった、民保と同じになったとしたときに金額にしてどのくらいになるのでございますか。
  31. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在資金総額が二十兆円でございますので、それに〇・三四%を掛けるということになりますと約六百億程度になろうかと存じます。
  32. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ということは、外債運用の幅を広げた場合、数年後には五百億ないし六百億くらい利益はふえるだろう。そうなると、民間の方も移動はありましょうけれども、大体数年後には全体の利回りがほぼ均衡がとれてくるという見通しになりますか。
  33. 魚津茂晴

    魚津政府委員 数年後は、先ほど御説明いたしました金額で五百億ないし六百億程度。それで、運用利回りの向上というのは〇・二%程度というふうに申し上げたところでございますが、現在の〇・三四%という点からするとなおやはり格差がある。やはり基本的には運用利回りの問題は運用範囲の問題に尽きるところでございまして、運用範囲というのは、先ほど共済組合の点について御説明いたしましたが、民保あたりですと、さらに企業貸し付けそれから住宅ローンというような高い利回りのもので運用されておりますので、私ども考え方とすれば、積立金運用というのは、確実、有利であるということのほかに、公共福祉に役立てるということ、さらに公共福祉から地方の還元にも意を用いるというようなことからいたしますと、運用利回りという点についての民間生命保険との差は縮まっていくという傾向はあると思いますし、また、当然そういったものを求めていかなくちゃならぬと思いますが、差は若干残るというふうに考えておりますし、それがやはり国営事業としての簡保の本質からくる問題じゃないだろうか。したがって、その差を、別の経営効率性というようなことでカバーをしていく必要があろうかと思う次第でございます。
  34. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 おっしゃったように、経営が効率的、だから利回りが低くてもやっていけるということに当然なるわけです。しかし、私が考えてみまして、やはり加入者立場というもの、加入者利益というものも十分考えなければならない。したがって、簡保資金積立金運用に当たって、単に公共公共と言っておったのでは加入者利益が守れなくなってくる。このバランスが非常に大事だろうという気がするのです。  そこで、この五十八年度の運用計画を見ますと、財投協力額というのが大幅に増額をされているように見受けられます。片方で運用範囲を拡大して加入者利益を守らなければならないのに、財投協力額がふえていく。財投協力額の中でも幾らか利回りは違うわけですけれども、概して財投協力額というのは利回りの悪い方になっておるように見受けられるのですが、これはどうしてこんなにふやさなければならなかったのですか。
  35. 魚津茂晴

    魚津政府委員 まず、五十八年度の運用計画実態を多少説明させていただきたいと思いますが、財投協力額が全体として二兆三千五百四十四億でございます。対前年度増加額が三千七百三十四億円でございます。別の数字で申しますと、簡易保険郵便年金資金財投協力額の対前年増加率が一八・八%、こういう数字でございます。それから、運用計画の中に占める財投協力額の割合が七二%でございます。五十七年度は六五・四%であったのですが、七二%、こういう数字でございます。  それで、先生お尋ねのなぜこういうふうになったんだということでございますが、やはり現下の厳しいわが国の財政事情を考慮するとともに、景気振興にも役立つよう財投協力額を増額するということは、もちろん全体の原資総量もございますけれども、その総量を眺めて、いま申し上げたような観点で協力をしていく、一方で社債等有利運用法案改正によって一層期待し得るということを総合的に勘案しまして、ただいま御説明をいたしました数字財投協力額決定したところでございます。
  36. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは、ざっくばらんに言って、大蔵省政府の方からふやしてくれという要請があったのか、郵政省資金運用上ふやした方がいいとお考えになったのか、どっちですか。
  37. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 財投協力額決定につきましては、ざっくばらんに申し上げまして、五十八年度予算の編成の際、大臣交渉の席で財政当局から大変強い要請がございました。御案内のような財投というものも一種の第二の予算と言われる性格を持っておるわけでございまして、いまの厳しい財政事情とにらみ合わせまして、郵政大臣としても、財投原資の確保ということに協力せざるを得ないという考え方がありまして、この金額をのんだということでございます。
  38. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、ざっくばらんに言って、向こうから押しつけられたということになるわけですね。  そこで、ちょっと大臣に伺いたいのですけれども、例の郵便貯金との関連で、私は大蔵省に何度も聞いたのだが、おまえさんのところは財投資金の大部分を郵便貯金運用でやっておって、郵便貯金を抑えつけるような話ばかりしたら財投はなくなるぞと僕は話したのです。何か大蔵省の方では、財投資金が少々減っても構わぬような感じを受ける答弁をしておって、貯金の場合には財投が減っても構わないという言い方をしながら、保険の方からは財投にうんと持ってきてくれというのは、これは大体政府全体としての筋が通らぬような気がします。財投資金が、確かに第二の国の予算と言われるほど大事なものだということを承知しております。だから、郵便貯金財投に回っていって、それはもちろん金利が安い、そういう貴重な金が政府に入っていくのじゃないか。だから、郵便貯金政府財投にとっても大事だぞと言っても、大蔵省の方ではそれほど大して必要がないような顔をしておるのです。それで片方ではこういうことを言う。  そうすると、両方一緒に所管されておる最高責任者大臣として、郵便貯金財投は要らぬが保険財投は持ってこいというのはおかしくないですか。
  39. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 私は財政当局から、財投原資が減ってもいいということは一言も聞いたことがないわけでございます。やはり、財投は財政運営上重要な意味を持っておりますので、簡保年金特別会計からは協力を拡大してほしいと言いながら、郵便貯金は減ってもいいというのは、仰せのとおり大変矛盾をした財政当局の言い方になりますので、恐らくそんなことは本気ではなかろうというふうに私は思います。
  40. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 きょうは郵便貯金の議論をするつもりはないのですが、いわゆる郵貯の定額貯金というような商品を、これはけしからぬとか、あるいは金利決定を一元化しろとか、そうなると郵便貯金は減りますよ、こう言っても、全体的な日本の金融政策の中ではそれはやむを得ないんだ、じゃ財投が減ってもいいのですかと。  確かにおっしゃるように、財投が減っていいとは言いませんよ。しかし、減ることが目の前に見えていながら、郵便貯金についてはかなり強い抑制をしていることは、大蔵省の姿勢で明らかなんですよ。一方で簡保の方は七二%。これは新聞によりますと、向こう五年間確保しろということになっているというのですが、そうなっているのですか。
  41. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先ほど大臣の御答弁でお話しいたしましたように、そのようないきさつで七二%と——ざっくばらんにお話を申しますが、七二%という数字は、過去五年間の財投協力額運用額の何%を占めていたかという、その数値の平均額が七二%でございます。その七二%を当分の間、五年間はこれでひとつ協力をしてもらいたい、協力をします、こういう話が付随してあったわけでございまして、結論を申しますと、そのとおりでございます。
  42. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 せっかく運用範囲を拡大して加入者利益を守ろうという発想でこの運用範囲の拡大を提起している。ところが、大蔵省から条件をつけられて、向こう五年間は財投協力額を七二%は必ず確保せよと。そうすると、せっかく運用対象を広げながら、実質的には金がないという結果になってくるおそれがある。  確かにおっしゃるように、これは過去五年間の平均が七二%であったという経過はありましょう。しかし、運用範囲を拡大した以上はどこかが減ってこなければ意味がないのです。逆に、余り利回りのよくないところにたくさん持っていかれて、利回りのいいところは、広げたけれども金はなかったという結果になったのでは全く意味がないのです。これでも結構やれるのですか。
  43. 魚津茂晴

    魚津政府委員 その辺の計算というものをした上でイエスかノーかをしたわけでございまして、七二%協力をして、残りはより有利な運用ができるということで、総体として運用収入が増大するという見通しをわれわれはした上でそのような話をつけたわけでございますので、私どものその計算が間違っていないこと、そして、その運用は計算どおりに進むことを私どもはぜひとも果たしたいというふうに考えておるところでございます。
  44. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その七二%というのは過去五年間の平均であるというところから割り出してくるように、五年たった先、いままで五年間は七二%であったのだから、これからも七二%を確保せよと。大体実績ができてくるわけですから、これは僕は非常に心配になるのですよ。向こう五年間という約束だが、これは五年でとまらないだろう、五年間の実績からいくだけですから、これで還付はやれるんだから七二%を持ってこい、財投協力額にしろ、またこう言ってくるだろうと思うのですけれども、まあ大臣折衝をやられたわけですから、それはこっちが言うまま全部通るわけにはいかぬでしょう。ある程度譲らなければならぬところもあったろうと思いますけれども、なるべく有利な運用をしたいということで運用の幅を拡大していくわけですから、そこにもってきて逆に金利の低い財投協力額をうんと取られたのでは意味がないと私は思うのです。いま保険局長の計算によればそれでももうかると言うから、幅を拡大せぬよりもよかったと思うのですけれども、しかし、将来にわたってやはり十分気をつけてもらわなければならないような気がします。大蔵省というところは何といっても金を集めなければならぬ、使わなければならぬところですから、目くじら立てていいところから取りますよ、電電公社からでも持っていくぐらいでございますから。大切な加入者の金をなるべく有利に運用するようにこれからもひとつ配意をしておいてもらいたいと思います。  次に、運用範囲の拡大に伴って外債等を扱うことになれば、かなり専門的な知識が必要になってくると思うのですけれども、その意味で専門的な職員を養成し、体制を整備しておかなければならないと思うのですが、この点はどうお考えになっていますか。
  45. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そのとおりでございまして、やはり外国債運用という際には、各国の政治、経済の動向、金融制度等を十分に把握するとともに、一方、債券相場あるいは為替相場をよく見きわめた上で運用するということが必要になるわけでございます。このため内外の金融機関等を通じましてこれらの情報を収集するほか、専門機関に研究を委託するなど、外国債運用に必要な知識、ノーハウの蓄積に努めなくてはならぬ、こういうふうに思います。いままででも年金勘定運用ということでこういうふうに努めてきたわけでございますが、今度法案改正をお認めいただいたとすれば、言ってみればメダカが鯨になるというようなスケールの違いがございますので、この点が相当われわれとしては対応を慎重に綿密にやっていかなくてはならぬというふうに考えます。したがいまして、情報の収集、それから外国債運用のスペシャリストの育成、それからまた運用関係の要員組織というような点についての整備充実ということをわれわれとしては十分考えていかなくてはならぬ、こういうふうに考えているところでございます。
  46. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 五、六年たてば大体年間五、六百億ぐらいはもうかるというわけですから、その要員の配置を十分考えて、専門的な人たちを入れることによってまたかえって人間を入れた以上に大きい利益を生むことがあり得ると思いますので、十分検討して、要員の配置、専門的な知識の涵養、そういうことをひとつお願いしておきたいと思います。  続いて、われわれ、従来この委員会で、余裕金の自主運用を図るように附帯決議もつけてきましたし主張してきたのですが、これもやはり余裕金が依然として自主運用ができる形になっていない。これはどういう折衝をやってこられたのですか。これは大臣大臣折衝のときに出なかったですか、どうですか。
  47. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 五十八年度予算の際にも、かねて当委員会での御決議もございまして、余裕金の運用についても自主運用をさしてもらいたいということを事務的に折衝したのでございますが、御案内のように、政府及び政府機関の当年度歳入はすべて資金運用部に属するという、法律の規定が一本で書いてあるものですから、簡易保険の余裕金だけを取り出して立法化する、法律改正するということに財政当局は非常に難点を示しまして、実は大臣折衝のときもその問題は取り上げてやったのでございますが、なかなかむずかしいということで五十八年度はあきらめたという経緯でございます。
  48. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 簡易保険の場合は全体の運用から考えても普通の場合とはちょっと違うという気がする。同じ余裕金でも違うという気がするのですが、いま余裕金の場合と、それから、もしこれが正式に財投に回るとか政府のあれに回った場合、どのくらい利回りが違うのですか。
  49. 魚津茂晴

    魚津政府委員 利回りはいろいろのケースがございますので、こういうかっこうでその違いを申し上げたいと思いますが、もし余裕金を積立金と同様なかっこうで運用したとすれば、年間百五十億から六十億の違いが出るというふうにわれわれ計算をしているところでございます。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 非常に大きい額になると私も聞いておるのですけれども、これは何とかならぬものですかね。法律がそうなっておるからやりにくい。それは普通の積立金と同じにしてもいいのだが、法律が一本だからできないというのなら、何か法改正考えるとか、あるいは法律の中で運用ができるのだというのか、大蔵省としては放したくないからいろいろ理屈をつけて持っておくのか、その辺はどういう感じですか。
  51. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 政府としてはこれは政府一体の原則があるわけでございますが、郵政省所管の法律であればやはり郵政省がリーダーシップをとって検討を進めるということは可能なわけですが、大蔵省所管の法律政府及び政府機関一本の余裕金の扱いの規定になっておるものですから、ざっくばらんに言いまして、郵政省としてはこの問題の処理に大変当たりにくいという点があるのが実情でございます。ただ、私は、仰せのとおり、筋からいって余裕金もやはり積立金同様の運用を認めるということが筋であると思いますので、引き続いて財政当局との折衝は重ねていきたいというふうに思っております。
  52. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体この法律を見ると、基本的に「積立金は、郵政大臣が管理し、及び運用する。」となっているから、大精神はこの簡易保険で集まったお金は大臣が管理をして運用をするのが原則だ。たまたまほかの法律で余裕金が政府に入るという法律があるのでそっちの方に行っておるけれども、この法の精神からすれば、たとえ余裕金であろうとも積立金と同じ性格のものだ。いわゆる簡易保険で集まった金だから大臣が管理し運用するのが原則だ。その理論からすれば、何も法律を変えなくてもいけそうな気もするのですが、これはひとつ鋭意努力してもらいたいと思いますが、何かいい工夫があるならちょっと話しておいてもらえたら、附帯決議にでもつけて政府全体の考え方を変えてもらいたいと思うのですが……。
  53. 魚津茂晴

    魚津政府委員 阿部先生お話にもございますように、私ども郵政省だから郵政省の都合のいいような解釈ということでなくて、やはり積立金と余裕金というのは本質的には変わらない、会計技術的な概念でございますので、余裕金も積立金と差をつけないで運用するというその理屈は私は正しいのじゃないかというふうに思っているわけでございます。ただ、戦前から、もちろん戦前の場合年金の余裕金というのは若干違ったかっこうになっておりましたが、保険勘定の余裕金というのは一貫して現在のような仕組みになっている歴史的な経過、それから、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、政府一体の原則という本質的に金の性格とその周囲のいろいろな条件というものからなかなかむずかしい点があるわけでございますが、ただ、私ども理屈といたしますと、差をつけたかっこうで運用するのはどうも納得がいかないということで、仮ににわかに実現ができないにしても、主張は正当なものである、当然のものであるということで、今後とも大蔵に対する制度要求として続けてまいりたいと思います。そういう点で先生方の御支援、御理解を賜って力になっていただきたい、こういうふうなことでお願いもするところでございます。
  54. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これも相手があることですから、ここで何ぼわんわん言ってみても仕方がないのですが、ひとつ大臣を中心に、性格からすれば大臣もおっしゃるとおりの性格の金だと私は思いますので、努力を続けていただきたいと思います。  次に、臨調の答申が出されておりますけれども、特に簡易保険事業に関連をする部分の臨調答申について、郵政省簡易保険事業のあり方という点から眺めてみてどういうふうなお考えを持っておるか。二つ三つの項目があるようですから、ひとつ……。
  55. 魚津茂晴

    魚津政府委員 臨調の答申の内容簡保事業に絡む問題は、大きく項目をまとめてみますと三項目ぐらいあろうかと思います。一つは、最高制限額の問題でございます。民業補完論という哲学に立ちまして、上げることは問題だという趣旨の内容。それから二点目が、事業の効率化、合理化というものの要請。それから三点目は、これは簡保事業の本体の問題ではございませんが、御案内のように、簡保年金福祉事業団について、簡易宿泊施設、一般的には簡保センターが代表的な施設かと存じますが、この施設の原則的な設置の中止ということ、それから交付金の縮減、こういう問題がございます。  そこで、基本として流れているものは、まず、国営事業簡保事業は民業の補完に徹する、この哲学がこのような具体的な提言につながっていることだと思います。  ところで、簡保事業というのは非常に公共性の強い事業でございまして、その公共性の強いということは、理念として国民の利益加入者利益というものを原点に据えて見なくちゃならぬ、こういうことになろうかと思いますが、その点民業の補完論というのはその視点というものを余り見てない考え方であろうかと思います。したがいまして、私どもは、民業補完論というものについての簡保事業への一つの提言といいますか、そういったものは、率直に言わしてもらいますと、われわれの考え方とかなり隔たりのある考え方じゃないだろうか。  私どもは民業補完論に対してどういう考え方で臨むのかということになりますと、これは臨調の論議の場でも私どもが主張したところでございますが、相互補完論、お互いに競い合い補い合っていく、そういう中から加入者利益を生むことができる。相互補完論というような立場で見るべきだというふうに主張もしたわけでございますが、答申としては先ほど申し上げたようにそれを入れたかっこうになってないという問題がございます。  それから、合理化の問題は、これは一つの当然のこととして受けとめまして進めていく。  簡保事業団の関係は直接本件とは関係がないわけでございますが、やはり簡保事業団の施設というのは税金から設置される施設だという見方に立っているのじゃないかな、そんな事実誤認はないわけでございますけれども考え方としてはそういう考え方に立っているのじゃないかとしか考えられない提言じゃないだろうか。簡保事業団の施設というのは加入者の選択と負担によってやっている施設でございまして、他の特殊法人とは具体的には相当違った性格のものであるということで、この点についてもわれわれの考えとかなり隔たりのあるところである、こういうふうに私ども考えているところでございます。
  56. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは答申を出した臨調が来ておらぬから、どうも議論の仕方がないのですけれども、競合するからいけないとかいけるとか、そういう発想が大体哲学としておかしいと私は思うのです。いずれを選択するか、より多くの商品から国民に選択をさせるということが一番大事なことで、それによってお互いが補い合ってよりいいものを提供していく。そういう利用者の立場から物を見るべきであって、民間保険会社から見れば、それは郵政省の国営の簡易保険が大きくなると、おれのところが少なくなるというので、文句が出るでしょうけれども、あくまでも視点はいずれを選択するかという国民の立場から眺めるべきで、それにはなるべく多くの商品を提供して選択をする機会を与えていく。局長おっしゃるように、相互補完し合い、さらには切磋琢磨し合いながらいいものにしていくということが保険というものの性格でなければならないと思うのです。したがって、哲学的に言うなら臨調の答申は視点が間違っておった。民間生命保険会社の立場に立って考えたから、こっちが大きくなってはいかぬ、競合する、大きくなるなと、こう言うわけですけれども、私は、そんなものじゃない、あくまでも利用者、国民の選択ということを基点に置いて考えるべぎだと思うのです。これは私の意見にすぎませんけれども。  冒頭おっしゃって内容に触れられなかったのだけれども、一点目の最高制限額の問題について、これもやらぬ方がいいだろうと書いてあるわけですが、これはどういう趣旨でやらぬ方がいいと言い、郵政省としてはどういうお考えだったのでしょうか。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  57. 魚津茂晴

    魚津政府委員 最高制限額の引き上げというのは、従来からも予算の編成時に私どもは大蔵に要求してきたところでございます。といいますのは、五十二年の九月に現行の一千万円に改正されて以来七年ぐらいたっているわけでございます。臨調の考え方というのは、従来から折衝したときの大蔵が言っていたことと大体よく似た考え方なんですね。要するに、民業補完論との関連で申しますと、仮に一千八百万なら一千八百万、二千万なら二千万の保険金を必要とするとしても、その分野は民間生命保険に任せればいいじゃないか、簡易で小口の伝統的な簡保の性格からして一千万にとどめておいて、それ以上は民間生命にゆだねればいいじゃないか、この辺に民業補完論の考え方があると思うわけでございます。  それから、貯蓄性が非常に強いというような文言も臨調の答申の中にあるわけでございます。つまり、同じ一千万円でございましても、貯蓄性の強い保険と保障性の強い保険というのは保険料額が違う。そうしますと、たとえば一千万円で保障性の強いものであれば大体八千円程度だ。ところが、貯蓄性が強ければその十倍の八万円、これは一つの例示でございますが、そういったようなことが現在の国民大衆の負担能力からして一体どうなんだろうか。臨調の答申の中に保険料の負担能力という概念も視点として提起しているのはそういう考え方から出たものだと私は理解をしているわけでございますが、そういう点。それからさらに、モラルリスクが非常に多くなる。無審査の簡保が高い保険金に直していくとモラルリスクが増大する、こういう指摘もございます。しかしながら、それはそれとして、そういう点を踏まえてその問題にわれわれ解決策を見出しながら、一方で、やはりその一千万というのは七年前にできたあれで、保険金というのは何も見舞い金ではないのでございまして、やはり遺族の生活の保障というものを基本に据えるとすれば、経済的な変動、生活様式の変化というものからしますと、従来の計算をしたそのやり方でこの今日の数字に直しますと一千八百万という数字になることもございますので、臨調の答申の中に指摘される点は点として踏まえながら、私ども保険金の最高制限額の改正について今後とも一層努力をしてまいりたい。幸い、昨年の予算折衝の際に大臣が、今後引き続いて折衝を続けるということを大蔵大臣との間で話をしていただいておりますので、その意を受けて強力に進めてまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  58. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 全く同意見です。私は、やはり本当は保険ですから青天井でいいんじゃないかと思っているのですよ。  そこで、貯蓄性の高いものを選ぶか、保険の高い方を選ぶか、それは選択の問題でどっちでもいいんじゃないか。  もう一つは、仮にこれを引き上げて三千万にしてみても、掛金が要るわけですから負担能力のない者は大きい保険に入らぬですよ、初めからそれは。三千万になったから皆三千万に入るんだというような認識が間違いで、選択の幅が広がっただけであって、何も最高制限額を引き上げたからといってみんなそれに入るわけではない。ただ、加入者、利用者から見れば選択の幅が広がっただけのことなんですから、したがって、これを大幅に引き上げても少しも加入者にとって迷惑をすることはない。強引に暴力団でも連れていって勧誘するというのなら別ですが、そうでない限りは、本人の意思で加入するのですから、幾ら上がっても、私は青天井でいいと思うが、いままでの経過から最高制限額というものがあるわけですから、一挙にこれを取り除くのは困難かもわかりませんけれども、この委員会でもいままで数次にわたって附帯決議を付してきたところでございますから、引き続いてこの点は——私は納得ができないのです。引き上げるのが不当、不都合だというその理屈がどう考えてもわからないのです。掛金を掛けるのですから、掛けられぬ者は入らぬですよ、初めから。だから、何ぼ引き上げたって構わぬと思うのですが、いずれにしても、いま千八百万という意見も出ておるようですから、鋭意努力を続けてもらいたいと思います。  最後に、加入者福祉施設の問題なんですが、これなども臨調が口を出すということがそもそも間違っておるような気がするのですよ。加入者のための還元をしたわけですからね。それを事業団がいろいろ配慮してつくっていくのに、それに臨調がもうつくるなとかつくれとか言うことがそもそも間違っているように思われてならないのですけれども、ここでは、一つは、会館、宿泊施設は原則として新設をするな、こうなっている。二点目は、交付金を縮減しなさい、こうなっておるのですが、だんだん簡保はもうかって、そのうちまだ五、六百億もうかるというわけですから、何もこんなことまで臨調が言う必要はないと思うのです。また、御丁寧に郵政省の方も、答申の趣旨を踏まえてとかなんとかおっしゃっているようですが、大体さっきのお話では、どうも臨調の答申の基本的な哲学からして余り納得ができないというお話だったのですけれども、仄聞するところでは、どうも保険局長は臨調の答申を見て大変喜んで、ほいほいということでこれはいいものが出たぞと言われたとかなんとかで、余り反対でなかった。貯金の方はかなり厳しく反対したが、保険局長は余り反対でないようであった。郵務局長に至ってはまだそのほかいろいろあるようでございますけれども、私はどうもこの臨調答申全体を踏まえてみて、いままで説明したように、本来加入者の選択にゆだねられるべきものを臨調の答申などというもので縛り上げていくというその哲学そのものが間違っておるし、また、官業、民業の問題にしても、いままで申し上げたとおり相互に補完し合えばいいんで、それは民間の方がいいと思う人は民間に入るのですから、簡易保険がいいと思う人はこっちに入るのですから。そこで悪い方といい方が常にあるから競合し合ってよくなっていくので、それを、民間生命保険会社を圧迫するからこれをやめるなどというその哲学がそもそも間違っておると思うのですが、もう時間がなくなる。  最後の、いまの加入者福祉施設の問題について原則としてつくるなとか言っていますが、原則ですから大したことないのですが、特に宿泊施設と会館はいかぬと書いてあるが、しかし、加入者のために非常に有益な、たとえばその施設をつくることによって健康の増進が図られて長生きができるというふうな施設ならばどんどんつくっていいのではないかという気もするのですが、そういう点。それと、圧縮をするのかどうか。余り圧縮するとやりにくくなると思うのですが、その点どうですか。この二点。
  59. 魚津茂晴

    魚津政府委員 せっかくの機会でございますので、一つだけPRをさしていただきたいのでございますが、福祉施設のために、先生方御案内のとおりでございますが、出資金と交付金というものを簡保特会から出しているわけでございます。年間、その年によってその総額は違っておりますが、大体二百数十億程度というふうに見ますと、現在保有契約件数が約五千三百万程度ございます。そうすると、一月の保険料に、二百数十億のそのお金を使わないで保険料を安くするということに直しますと、大体五十円程度になる。したがいまして、われわれの事業団の施設というのは全国で百二十三カ所いろいろな種類のものがございますが、その百二十三カ所の施設というのは、それぞれ地域社会なり加入者の非常な支持を受け、愛され親しまれているものでございますが、五十円を安くするか、そういったものを引き続いてつくるかということ、まさに選択というのはそういうことでございまして、私どもは、臨調の答申にございますように会議、宿泊施設は原則として新設は認めないということは、簡保センターというものがここ当分——簡保センターというのは現在七十三カ所あるわけでございます。この七十三カ所は当分、私どもはまだ最終的に固めたわけではございませんけれども、そういう精神を踏まえて、今後は高齢化社会で、健康産業といいますか健康管理という辺に視点を向けまして、そういう観点からの施設というものをつくっていくべきじゃないか。そういう施設であれば、臨調の宿泊、会議施設とはまた違うんじゃないだろうかというような考え方を基本に持っているところでございまして、今後その辺の詰めを急いで、引き続いてこの事業団の福祉施設がニーズにこたえたかっこうで発展するように私ども努力をいたしたい、こういうふうに考えているところでございます。
  60. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 圧縮の方はどうですか。
  61. 魚津茂晴

    魚津政府委員 そういう考え方でございますので、五十九年度の予算というのは一つのテストケースになるわけでございまして、私どもは、この中身を変えるとしても額としては圧縮はしたくないなというふうに思っているのは事実でございます。これは個人的ないまの段階の意見でございますけれども
  62. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  63. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 中井洽君。
  64. 中井洽

    ○中井委員 簡単に幾つかの点でお尋ねをいたしますが、もう大半阿部先生お話に尽きるような点もございまして、重なり合う点もあろうかと思います。御容赦をお願いします。  最初に、大臣に、念願の運用範囲の拡大達成がされるわけでありますが、率直な御感想と、この運用範囲拡大ができたことによって、どういう心づもりでさらに生命保険あるいは年金の向上発展に尽くされるか、そんなところの御決意を承りたいと思います。
  65. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 久々に簡易保険積立金運用範囲を広げることができることになりまして、御審議をお願いいたしておるわけでございますが、いままでの質疑の中でもお聞き取りをいただきましたように、簡易保険というものは国民の身近な利用しやすい生命保険として発展をしてきたわけでございます。この資金運用の問題は、これはもう最終的には加入者利益を確保し増進をしていくという道でございますので、今度の運用範囲の拡大を機会に、できるだけ確実でしかも有利な運用に努め、加入者の期待にこたえていきたいというふうに思っておるわけでございます。また、そういうことを通じまして、国民の簡易保険あるいは年金に対する御理解を進めて、着実な簡保年金の発展拡大に努力をしてまいりたいというふうに私は思っておるわけでございます。
  66. 中井洽

    ○中井委員 着実な御発展と、こういうお言葉であったわけであります。  簡保あるいは郵便年金運用利回りを見さしていただきますと、五十四年度を除きまして、大体毎年着実に利回りを上げていただいておる。かつて昭和三十年には民間生命保険との差が五・六九%もあったのが、現在〇・三四%、こういう差にまでなり、あるいはまた、民間生命保険は年によって運用利回りが大変高かったり低かったりという中で、郵政の場合には着実にやっておられる、そういったことは非常に大事なことだと思うのでありますが、今回のこの運用拡大によりまして、大体何年ぐらいに何%ぐらいの運用利回りで安定をさしていくのだ、そう毎年上がっていくとは私は思わないのですが、毎年毎年ずっと上り詰めていくのは大変だ。大体何%ぐらいの運用利回りを確保し続ければいい、そんな標準があるとは思いませんが、お考えであるか、その点お聞かせいただきたいと思います。
  67. 魚津茂晴

    魚津政府委員 今度の提案をさせていただいておりますこの内容が成立して施行になれば即刻枠いっぱいやるというわけにはいかない点は、先生御承知のとおりでございまして、段階的により有利な運用をしていくという心構えを基本としてやっていくわけでございまして、そういう点で私ども考えておりますのは、五十八年で申しますと四十億ないし五十億程度運用収入は大体二兆円オーダーでございますが、その中で大体四十億ないし五十億、そして数年後には五百億ないし六百億で、そのことによって大体〇・二%程度の引き上げを可能にすることができるのじゃないか、こういうのをわれわれ基本としているわけでございます。
  68. 中井洽

    ○中井委員 大体数年後に〇・二%ぐらいのアップを目標にと、こういうことであります。〇・二%ぐらい上がった、あるいは初年度四十億円ぐらいの利益を生み出していく、それをどういう形で利用者に還元をなさろうとするのか、計画をお聞かせいただきます。
  69. 魚津茂晴

    魚津政府委員 簡保の会計に利益が発生するということ、現在、簡保現状からいたしまして、利益が発生するという場合に、先生案内のように、運用利回り事業コストと死亡率の低下という三つの要素が関連しているわけでございますが、最近の状態からいたしますと、運用利回りの貢献度は大体六割程度である、それで事業費が二で、死亡率の低下の貢献が二であるという現状がまずございます。したがいまして、今後、事業費というのは効率化、それから死亡率の低下というのは、広い意味での加入者福祉施設という面から、私たちの可能な限り施策をするという面、そうは言っても限界があるということになりますと、運用利回りの問題としては、保険経営としては最大のメリットが期待できる要素だ、こういうことをまず前提として申し上げるわけでございます。  そういった中から利潤が出ますと、一つは剰余金の配当ということで、これは四十三年度以降毎年剰余金の増配というものをやってきたところでございます。ここ三年の数字をちょっと申しますと、五十五年度は二千九百四十六億円、それから五十六年度は四千九百七十九億円、五十七年度は六千百億円ということで、剰余金というかっこうで還元をやっております。  それからいま一つは、これは毎年ではないわけでございまして、ある程度過去の例からいたしますと、数年間情勢を見きわめながら、そのメリットを蓄積した上でやっているわけでございますが、保険料の引き下げというかっこうで利益を還元するということで、最近の保険料の引き下げというのは五十四年の九月に実施をしたところでございます。その前が、四十九年の十一月というのが先例でございまして、要するに、利益があれば加入者に還元する、還元の仕方は剰余金の増配と保険料の引き下げが原則的な対応ということでございます。
  70. 中井洽

    ○中井委員 利益を生み出すのに、利回り向上というのが六貢献する、それから合理化というのが二だ、死亡率というのが二だ、こういうお話でございます。なかなかおもしろいお話だなと思っておるのですが、たとえば解約等ですね、これが少なくなるということ自体も大変利益というものを向上していくのじゃないか、このように思うのです。この資料で見させていただきますと、失効、解約等が少しずつふえておる。これはどういうことなのかなということをお聞かせをいただきたいと同時に、民間保険に比べて、解約失効というものが郵政の場合にどのぐらい低いのか、そんなこともお聞かせをいただきます。
  71. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お尋ねの失効解約の状態でございますが、この状態を示すものとして、私たちは失効解約率という観念を持っております。失効解約率というのは、生命保険百件当たり一年間にどれだけの契約が解約されるかというパーセンテージでございます。その失効解約率でお尋ね現状というものを申し上げますと、三年間を例にとりますと、私ども簡易生命保険の失効解約率というのは、五十四年度は二・五〇%、それから五十五年度は二・八六%、五十六年度は二・九%ということで、時系列で私ども簡保の率を見ますと、残念ながら若干悪化の傾向ということが言えるわけでございます。ところで、民間生命保険はこの辺どうなんだということでございますが、五十四年度は七・五八%、それから五十五年度は七・九八%、五十六年度は七・九六%、簡保と比べて相当高率になっております。ですから、私ども簡保は若干ここしばらくは悪化した、しかしながら、民間と比較するとなお相当の差、いい意味で差があるということが言えようかと思います。  そこで、失効解約率というものをよくするというのは、やはり保険経営のために——保険経営というのは、新しい募集をすると同時に成立した契約を維持するということが大切なことでございまして、この辺の失効解約率の改善というものは、いろいろ施策がございましょうけれども、さらに工夫、努力を続けてまいりたい、こういうふうに思っております。
  72. 中井洽

    ○中井委員 事業合理化、こういったことについてどういう形でこれから推し進めて、より利益というものを確保していくお考えか、その基本的なところをお聞かせをいただぎたいと思います。
  73. 魚津茂晴

    魚津政府委員 この合理化という点について、抽象論でなくて、私、具体的に申したいと思いますが、簡易保険事業は、三十年代の後半からパンチカードシステムというものを、それから四十年代の半ばにEDPSという制度、そして五十年代になりまして総合機械化ということでオンラインシステムということを骨子にして、それに応じた要員の削減、経費の節減というものが、今日の簡保事業の合理化、日常各職場での個々の施策もいろいろあろうかと思いますが、簡易保険事業のいわば目玉の合理化施策というのが、いま申し上げたように五十年代は総合機械化の推進ということで、今日、普通局はすべて総合機械化が終わったわけでございますが、本年度から六十年度にかけまして、集配特定局についてもオンラインシステムを実施するということで進めてまいりたいというふうに考えております。
  74. 中井洽

    ○中井委員 それでは、ほかの形で質問をいたします。  資金運用の中で、先ほど阿部先生から財投協力の話がございました。私どもは、阿部先生のお考え、全く賛成なわけであります。もう時間があれですから、大蔵省と話し合いの中で、政府の機関として枠等については協力をしていく、こういうことでありますが、具体的にどこへ幾ら、どこへ幾らという形で運用なさるのか、これについては郵政省はかなり自由裁量をもって決めていくことができるわけですか。
  75. 魚津茂晴

    魚津政府委員 財投協力というのは、総枠としては今日七二%。では、その七二%を具体的にどう運用するかということは、もちろん大蔵省とか、関連して自治省との話し合いということがあることは事実でございますが、しかしながら、この点については郵政省は主体的にこういう方針でやりたいという考えは持っているわけでございます。  その考え方を若干申しますと、一つは、財投協力といいましても、有利部分と標準部分、要するに運用利回りというのは一律でないということがございます。したがって、できるだけ有利な運用を図る、財投の中でもですね。そういう点が一つ。それから、地方公共団体に対しても、資金の地方還元の趣旨から相応の配分をしていただきたいということですね。具体的に言いますと、財投協力額の地方還元というのは大体三分の一程度になっているわけでございますが、そういう地方還元というような趣旨による配分という原則。それから三番目といたしまして、道路、住宅、教育、中小企業と、国民生活に密着した分野に重点を層いて融資をするということ、そして財投機関に対する個々の運用額は、それぞれの事業内容、プロジェクトの性格、経営内容等を考慮して決定する、こういう原則なり運用上の一つの基本というものを持ちながら具体的な融資をしているところでございます。
  76. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、これはちょっと参考までに聞かしていただければいいわけですが、五十七年度と五十八年度の比較額があるわけですが、五十七年度国鉄八百億、その前年度はもっと多い形で出されておったわけですが、五十八年度は百億と、極端に減っている。あるいはまた、道路公団に対しては、五十七年度三千六百三十九億ですか、五十八年度六千二百億円、こういう形でふえておる。こういった極端な増減、これは郵政省自体のお考えでこういう御選択をなすったのか、あるいは大蔵省予算編成等いろいろな中で、郵政省はこれだけ出すという形でこういう増減になっておるのか、そういったところを含めてお聞かせをいただきます。
  77. 魚津茂晴

    魚津政府委員 国鉄の融資額というのは、先生おっしゃるとおり五十七年度八百億であったわけでございますが、五十八年度では一挙に百億になっているわけでございます。これはなぜそういうふうにしたかということでございますが、結局、これは大蔵との話ということは事実でございますが、私ども、先ほど述べた原則、基本というものから見て、どうしてもやはり国鉄への融資というものを落とさざるを得ない、落とすべきだという考え方なんです。というのは、国鉄の再建計画というのは、いろいろ過去にもございましたが、再建計画が思ったように実現されていないというような事実、それから今後の経営形態というものはどうなるかという、もちろん臨調の答申では一つの方向を明らかにしているところでございますが、それに伴って、現在の国鉄の債務というものは一体どうなるのか、その辺定かでない点があるわけでございます。申すまでもなく、私ども資金というのはお客様からお預かりした将来の保険金なり年金のお支払いの共同準備財産でございまして、そういうような点からしますと、実績と将来というものについて非常に不安な国鉄には、従来のような八百億とか、その前、九百億ということもあったのですが、融資するわけにいきませんということを強く言いまして百億になったというのが事実のところでございます。  それから、一方、道路公団への融資というものが三千億もふえたということでございますが、この点については、道路公団の場合は道路建設が景気対策としても有効である、それから道路公団というものが大きな資金需要が事実あったということで、有利で確実という面と、それだけの資金需要があってぜひというような御意向もあったので応じましたというのが事実でございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  78. 中井洽

    ○中井委員 大変枠の規制のある財投協力額という中で、お預かりしたお金を守るという発想に立って柔軟に投資をされておるということを聞かしていただきまして、安心をいたしたわけでございます。こういう運用をされます財投あるいはまた財投以外の今回運用枠を広げられた形で運用いたします担当の課というのは二つあるのですか、職員さんはどのくらいいらっしゃるわけなんですか。
  79. 魚津茂晴

    魚津政府委員 二つの課で三十三名でございます。
  80. 中井洽

    ○中井委員 三十三名でこれだけの莫大な金額を間違いなく運用していらっしゃるというのは大変なことだと私は思うのですね。先ほどこれまた阿部先生お話にありましたが、今回運用枠拡大がなされて、特に外国債為替リスクあるいはカントリーリスク、いろいろな問題が出てこようかという中で、しかも、民間産業の場合には失敗の責任のとり方ということもありますが、官公庁の中ではこれはなかなか大変だと思うのであります。役所は役所のよさというものは十分生かしていかなければならないと思いますが、どういう形でこれからの新しい投資運用といったものに対して柔軟に対応できる体制、職員さんの機構あるいは訓練、そういったものをしていこうとなさっておるのか、そういう計画があればお聞かせいただきたい。いまのままでいくというならばいまのままでいくという御返事をいただぎたい。
  81. 魚津茂晴

    魚津政府委員 さしむき私ども考えておりますのは、まずスタッフの数をふやすということがぜひとも必要である。ところが、御案内のような定員の事情でございますので、保険局の内部で差し繰りをぜひやりまして、法案を通していただきましたら、その差し繰ったスタッフを運用関係課に回しましてさしむき量的な対応をする。ただ、今後は課の職員数をふやすだけでいいんだろうかというような点は依然として残っております。しかしながら、これは具体的にまだ成案を持っておりませんので、今後の方向として実績なり運用の問題点を体現しながら考えていきたい。それから、職員数とか組織のほかに質的な、スペシャリストの養成も必要だと思います。そうなりますと、任用とかその他の人事の関連も当然考えていかなければならない。それから委託訓練というようなことも考えなければならない。いずれにしましても、法律を通していただきました暁には、その辺の問題を十分整理いたしまして対応を誤らないようにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  82. 中井洽

    ○中井委員 大臣、一つお聞かせをいただきたいのですが、いま局長からお話がありましたように、一遍に運用範囲が広がったからといって金額がふえるわけじゃありません。何年か先には大変な資金需要が出、運用なさるわけであります。いま局長お話がありましたように、官庁の中でスペシャリストをつくり上げていくのではなかなかこれは大変なことであります。官庁の従来の人員採用あるいは枠、こういったものにとらわれず柔軟に質、量の確保に努めていただく、このお約束をいただきたいと同時に、そのことが、これまた局長お話にもありましたように、人員全体を勝手にふやしていくということではなしに、郵政省の中で柔軟にいまの合理化の時代にふさわしい形で行う、そういったことも含めてお約束いただぎたい、このように思います。
  83. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 お話にございますように、簡保運用範囲が広がりますということは、新しい行政能力、新しい知識を必要とするわけでございますので、それにふさわしいような人事の運営をやりたい。スペシャリストを養成するといいましても時間のかかることでもございますから、すべて役所がやるということではなしに、民間の調査専門機関による委託調査というような問題もあわせて考えていきたい。人事につきましては、郵政省三十万を超す職員を抱えておるわけでございますから、行政需要に対応した内部配置という問題を考えまして、御指摘のように簡保のより確実、有利な運営に支障のないようなことを大臣としては当然考えていくつもりでございます。
  84. 中井洽

    ○中井委員 以上いろいろとお尋ねをしてきましたけれども、私どもは大体見さしていただき、あるいは聞かしていただき、大変なハンディキャップと制約のある中で、莫大な資金を集め、そしてそれを本当に御努力いただいてうまく運用していただいておる、このことを実感するわけであります。これからもひとつ御努力をいただきたい、このように思います。  そういった意味で、この間出ました臨調の最終答申の中で二点、郵政事業保険事業について民間の補完的な役割りに徹しろという形での答申が出されておることを私は少し残念に思うわけでございます。私どもの党は、臨調の基本方針に対して全面的に賛同して、行政改革をやらなければならない、こんなふうに考えておりますが、この二つの臨調の答申については臨調の行政改革という意味から少し外れてもいるのじゃないか、あるいはまた、郵政事業民間以上に努力をなさっておるといったことを逆に忘れているのじゃないか、こんなことを実は強く感じるわけでございます。先ほどお話がありましたように、お互いが切磋琢磨をするということでなければ大変なことになる。特に先ほどお話がありました国鉄なんかは、何かといいますと民営を圧迫してはいけないんだ、こういう形の発想が出てまいります。実は私も何度か運輸の委員会で質問したことがありますが、私どもの郷里で国鉄バスと民鉄のバスが走っておって、国鉄の駅へ入るのですね。急行が入ってくる前に国鉄バスは発車してしまう。民営のバスが急行からおりてくる客を引き受けて走る。ダイヤがおかしい、変えると言ったって、民営事業を圧迫したらいかぬのだ、こういうことを理屈にダイヤを変えないのであります。民営事業を圧迫しないということを言い過ぎると、必らず十年、二十年の間にこういう後退した発想が出てくる。したがって、民間事業が少々悲鳴を上げようと、本当に国民にサービスをするという形の中で御努力をいただきたい、私はこのことを強く思うわけでございますが、大臣、この二つの点における臨調の考えについてどのようにお考えであるか、率直にお聞かせをいただきたいと思います。
  85. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 臨調には、民間の活力を増大することによってまた国家経済社会の安定と発展を求めるという哲学があるように私は受け取るわけでございます。でございますから、私もそれはそれなりに理解できないことはないのでありますが、およそ官業というものが民業の補完機能にとどまるべきであるということは、事業内容というものをよくよく分析をし検討した上で結論を出していただくべきものではないだろうかというふうに思うわけでございまして、事簡易保険つまり生命保険事業というものは、国民に不慮の災厄があった場合に、その遺族に対する生活の保障の機能ということをやる大変公共性の高い事業でございますから、何が国民のために利益になるのであるかという原点から議論をしていただくべきでありまして、官業には官業なりの節度が必要であると私は思いますけれども、官業の適切な運営を規制することによって民業の力を発揮させるという考え方は、私はとらないところでございます。でございますから、事生命保険事業につきましては、小口かつ簡易な簡保事業として国民に親しまれてきたものでございますから、これに制約を加えていくという方向は私は納得することができない。官業も民業も、それぞれ利用者のためにより有利な事業というものを展開していくという意味での切磋琢磨と、相互の補完機能というものを私は評価すべきであるというふうに思っておるわけでございます。
  86. 中井洽

    ○中井委員 ひとつそういう発想で、私どもも御声援申し上げますので、がんばっていただきますよう重ねてお願いをいたします。  時間がまだ少しありますので、いまの点に関して少し質問をしてみたいと思うのですが、郵政省が去年九月にやられました「簡易保険に関する市場調査」というのがある。郵政省でやられたものですから郵政省がいいというばかり出ているのですけれども、最後の方に「簡易保険のイメージ」という中で、民間生命保険簡易保険とどうだというようなイメージ調査があるのですね。郵政簡保の場合には「信頼できる」というのが非常に高い水準で出ておる。民間の場合は「しつこい」というのが非常に嫌われる要因として出ておるとか、郵政省にとってもいいような、また、そうかもしれないなというようなアンケート結果が出ております。その中で「加入目的」というのがございまして、民間生命保険というのは、目的の一番多く、七三%以上が「万一のときの家族の生活保障」、こういう形で加入をしておると出ておるわけであります。ところが、簡保の場合には、「万一のときの家族の生活保障」というのが三五・三%で、「老後の生活資金」だとか「子供の教育資金」だとか、何か積立貯金みたいな感じのイメージが半分あるわけでございます。これをこういう形のままでこれからもがんばっていこうとするのか、あるいはまた、逆に、先ほどのお話にもございましたけれども、限度額というものを引き上げて、本当に生命保険らしさというものを出して奉仕をしていこうとお考えになっておるのか、郵政省のお考えをお聞きします。
  87. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在の保有契約というものを大きく分けて、貯蓄型の保険と保障性を重要とする保険と分けますと、最近は七五%程度が貯蓄型の保険契約なんです。そのことが、保険経営という点からするといろいろ問題があると思うのです。端的に言いまして、簡易保険というものの独自の存在理由として、私は普遍性ということがあると思うのですが、普遍性という点からいたしますと、都会のサラリーマンで二十五歳から四十五歳程度の青壮年層と申しましょうか、そういった層が加入者としては非常に層が薄いわけでございます。そのことがこの保険契約の貯蓄性と保障性ということと無関係ではないと思います。また、そのことが同時に最高制限額というような問題にも関連してくる面がございますので、この辺、現状の四分の三が貯蓄性ということを、何%あるいは何分の一がいいかという確定した数字を私たち持ってはおりませんが、もう少し保障性というものの契約を高くする必要があるということを痛切に感じておりますので、その辺のいろいろの、誘導をするための施策を現在検討しておるところでございます。いずれまたそういった検討の結果を先生方に御報告することがあろうかと存じます。
  88. 中井洽

    ○中井委員 また、その他の統計を見ますと、たとえば郵便年金なんかは、加入されている圧倒的多数は、圧倒的多数でもないですが、六六%ぐらい女性。あるいは生命保険も、大体、世帯主が入るよりも御家族の方が入る方が多い。こういう統計やらを見ますと、大臣、そんなに民営を圧迫してない。民営の生命保険にはやはり世帯主が入り、あるいは年金制度には働いておる柱が入っておる、御家族の方がもう一つ郵便年金あるいは保険に入るのだ、こういう形でバランスよくやられておる、私はこんなふうに判断をいたしているわけであります。どうぞ、こういうバランスのよさ、あるいは切磋琢磨、こういったものを残して努力をいただきますように繰り返し要請をいたしまして、時間でございますので終わらしていただきます。
  89. 左藤恵

    左藤委員長 次に、藤原ひろ子君。
  90. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、簡保にいたしましても貯金にいたしましても、特定局の果たしている役割りというのは大変大きいと思います。そこで特定局の問題についてお聞きをしていきたいと思います。  まず最初に、特定局における保険の募集ですけれども、これはどのような目標が決められ、どのような方法でこの目標を達成しているのでしょうか。無集配の特定局という場合は外務員は配置されていないのですけれども、どのようにやっているのでしょうか。各局ごとの目標額、これを決めさせているのでしょうか。こういうことについてお尋ねをしたいと思います。
  91. 魚津茂晴

    魚津政府委員 保険の募集という役割りの中で特定局がどのような役割り、ウエートを持っているかという点をまず申し上げたいと思います。  最近の一年間を例にとりますと、特定局の保険募集実績は、全体に対する占率は、件数で三一%、それから保険金額で三三%、なお、無集配特定局の占率は、件数で七%、保険金額で八%、こういう実態になっているわけでございます。  そこで、募集目標というものを特定局でどのような考え方で策定をしているかということでございますが、集配特定局という点になりますと、これは普通局と基本的には変わりはないわけでございます。募集能力とか、市場における需要の問題でございますとか、それから過去の実績というような共通した考え方で、募集目標をそれぞれの局に割り振って推進をしておるところでございます。  そこで、無集配局でございますが、先生お話にもございましたように、とにかく外務員がいないわけでございますので、集配特定局あるいは普通局といった意味での目標という観念はございません。あるのは期待目標といいますかガイドライン、それは決まった言葉がないわけでございまして、それぞれの郵政局でいろいろの呼び方をしておるわけでございますが、とにかく窓口にお客様がおいでになって保険に入るという方もおいでの方は事実でございます。それからまた、特定局長さんなんか地域社会にいろいろ郵政事業のために働きかけをする、そういうようなことから保険の販売ということもおやりになっている事実はございます。こういった点を考えまして、期待目標あるいはガイドラインということで、大体その郵政局とか地域によって違いますが、三万円から八万円程度の期待目標ということでお願いしているのが実情でございます。
  92. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、貯金の場合はどのようにやっているのでしょうか。聞くところによりますと、郵政省は定額貯金以外は目標を決めていないというふうにおっしゃっているようですけれども、このとおりなのかどうかという点と、それから目標額はどのように決めておられるのかという点でお願いします。
  93. 鴨光一朗

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、郵便貯金の場合の目標額は、現在定額貯金の新規預入額ということにいたしております。この郵便局におきます郵便貯金の目標額の設定でございますけれども、無集配特定局を含みます各郵便局が、おのおのの地域環境あるいは過去の実績といったことを考慮し、かつ地方郵政局と意思疎通を図りながら自主的に策定するいわゆる自主目標方式という形をとっておるわけでございます。無集配特定局におきましては、地域の住民の自発的な利用がかなりな部分を占めているわけでございますが、奨励の仕方としましては、ダイレクトメールとかチラシ、ポスター、これらによって周知する。そしてお客様に来局をされるような形をつくるとともに、来局されました方に対して利用の勧奨を行う、こういう形でございます。
  94. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 特定局は各郵政局の下に業務推進連絡会をつくっているそうですが、この業務推進連絡会は郵政局の下に幾つかに分かれてつくられておりますね。保険貯金の募集で成績のよいというような連絡会はどんなところでしょうか。
  95. 魚津茂晴

    魚津政府委員 各郵政局で特推連というものが先生仰せのとおりあるわけでございますが、その郵政局によって数がまちまちでございます。私思いつくままに言いますと、北陸あたりですと八連絡会ということでございますし、また大阪、近畿とか関東ですと恐らく三十から四十あろうかと思いますが、その中で成績がいいというのを、郵政局によって特推連という連絡会単位で表彰すると申しますか、その功績を賞するというようなこと、あるいはその特推連の中で部会というのがまたございます、その部会というのは特推連の中で大体八局から十局程度で一つの部会を構成しておるわけでございますが、その部会もまとまったかっこうで成績のいいところを表彰するということはやっておりますが、どういうところをやっておるということは、具体的にはいま申し上げたように千差万別でございますので、ここで申し上げるわけにはいきません。実態としてはいま申し上げたようなかっこうでやっておるということを申し上げた次第でございます。
  96. 鴨光一朗

    ○鴨政府委員 貯金の場合につきましては、やはり個々の郵便局の実績というものを見ているわけでございますけれども、本省といたしまして各地方ごとのどの連絡会がどうこうという具体的な数字はちょっといま持ち合わせておりませんが、先ほど申し上げましたような形でそれぞれが自主目標を立ててそれをこなしているというのが実態でございます。
  97. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私どもの調査によりますと、名古屋市内のある連絡会ですが、保険の募集では全国でも有数の成績のよい連絡会だということです。ここではどのようにして成績を上げているのだろうか、成績のよいところでは。まさか一般に言われるしりたたきというふうなやり方で成績を上げるというようなことはないのでしょうね。
  98. 魚津茂晴

    魚津政府委員 保険の募集というのはやはりあくまでニーズのあるところということでございますが、そのニーズを引き出すという意味で、外務員なりあるいはまた特定局の場合に窓口の関係者とか特定局長も含めてでございますが、そういった方がそのニーズを引き出すという積極的な働きかけというものがどうしても必要だということは言えると思います。ただ、その場合の努力というのは、先生おっしゃるように、しりたたきというものは、しりたたきという中身も問題でございますけれども、しりたたきという言葉をそのまま受けとめて言うならば、いまの職場では許されるわけではないし、そういうような職場では成績が持続できるはずもないというふうに考えているところでございます。
  99. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先ほど貯金局長さんが定額貯金以外の目標は決めていない、つまり自主方式だというふうに言っておられるわけですが、下部へいきますとそうはなっていないわけですね、実態を調べてみますと。私はここにある連絡会の「郵便貯金奨励成績表」というのを持っているのですが、これは各局ごとに種類別に成績が書かれているわけです。定額貯金以外も財形貯蓄とか住宅積み立て、こういうものの目標と実績が書いてあるわけですね。だから、目標もちゃんと持つように指導されているわけなんですが、問題は、それが本当に自主的に自覚的に募集業務というものが行われているのであれば問題はないわけです。しかし事実はそうなってないわけですね。だから、名古屋市内のある特定局長は架空の財形貯蓄を十五件もつくっている。こういう例が特定局の場合はどこにでもあるというふうに言われているわけなんですね。  また、私どもが調査をいたしましたところ、ある特定局では朝バス停でバス待ちの人たちに順番に保険の勧誘をさせるというふうなことまでやらせているのが事実なんですね。結局下へいきますといわゆるしりたたきが起こっている。局長さんはニーズを引き出す働きかけが必要だと言うているけれども実態はこうなっていて、しりたたきは許されないしそういうことでは成績が持続できないとおっしゃいましたが、こういうしりたたきが行われているわけなんですね。それが持続できるのかどうか。しかし、架空のこういうものをつくったりしながら非常に苦労してやっている。だから、局長さんもみずからも大変だし、下へもバスを待っている人に言うてこいというふうなことになっているわけですが、こういう点、どういうふうに御指導しておられるでしょうか。
  100. 鴨光一朗

    ○鴨政府委員 郵便局の目標設定でございますけれども、先ほどお答えいたしましたように、目標といたしましては、自主目標として定額郵便貯金の新規の増加額というものを目標にいたしております。  なお、いま先生が御指摘になりました積立貯金あるいは財形といったものにつきましては、本省といたしまして一定の指標というものを頭に描いております。ただ、これを個々の現業にどういうふうに示すかにつきましては、各地方の郵政局に任せておりまして、これはあくまでも目標という形ではなくて指標という形で、それぞれの郵政局の実情に応じて、郵便局との間で意思疎通を図りながらその指標を決めているというふうに承知をいたしております。
  101. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 特定局長といいますのは、普通局の局長さんと違って、やり過ぎがありましても身分は保障されているわけですね。ですから、そういう気持ちがあるとしたら大変なことだというふうに思うのですね。重々そんなことがないように指導すべきだと思うのですが、いまの御答弁ですと地方郵政局に任せていると。いまわからないでも、ぜひとも地方郵政局の方に、こういうことが起こっているけれどもどうだということで、いまそういうしりたたきがあれば問題だという御発言もあったわけですから、実態を調べていただいて、指導をきちっとやっていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  102. 鴨光一朗

    ○鴨政府委員 私ども、先ほど申しました目標につきましては、自主的な目標ということで、現業の郵便局で定額貯金というものの数値について立ててもらっておりますけれども、これ自体につきましてはあくまでも自主目標ということで、しかも、具体的な数値そのものにつきましても、決して無理のない形で、郵政局と意思疎通を図りながら決めているというのが実態でございます。したがいまして、御指摘のようなしりたたきというふうなことはないというふうに私ども考えておりますけれども、ただ、先生御指摘のようなことがあるかどうかという点につきましては、なお調べてみたいと思っております。
  103. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 もちろん自主的、自覚的にということが大切ですし、その方針でおろされるというのは当然だと思うのですね。しかしそれが、実態は一番下で聞いてみるとそうでない、バス停待ちの人にまでやらされているという事実があるわけですから、ぜひとも聞いていただいて、そこら辺をきちんとやっていただかないと、筋といたしましては自主的、自覚的でございますと言っていただいていても、改善はされないというので、その点きちっとお願いをしたいと思うのです。  ところで、この特定局長さんというのは、郵政省の職員であることには間違いないと思うのですけれども、特定局長というのは、ほかの国家公務員であります普通局の局長さんとまた違う公務員なのか、それとも同じなのか、いかがでしょうか。
  104. 奥田量三

    ○奥田政府委員 特定郵便局長は、普通局の職員あるいは郵政局その他の管理部門の職員と等し並みに一般職の国家公務員でございます。
  105. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 この特定局長さんの団体には二つありますね。一つは先ほどの特推連と言われるもので、これは特定局の業務推進連絡会、それからもう一つは特定郵便局長会、これがあるわけなんです。  この特定郵便局長会が各地区ごとに最近総会を開いておられます。この地区の総会に各郵政局の幹部が来賓として出席をしておられますが、これは何のために出席をしておられるのでしょうか。
  106. 奥田量三

    ○奥田政府委員 特定郵便局長会の総会その他の会合に郵政局の幹部等が出席しているかどうか、そういう実情について、私つまびらかにいたしておりません。  それで、仮にということで申し上げますならば、そういった会合に郵政局の職員等が来賓として出席するということは、これは特定郵便局長会も郵政事業に関係のある一つの任意団体でございますが、特定郵便局長会にとどまらず、そのような事業に関係のある任意団体の会合等に来賓としての出席を求められました場合、必要と考えれば出席することもあるいはあり得ようかと考える次第でございます。
  107. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、この特定局長会に出席する場合は公務扱いとして出ているわけですね。
  108. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいまその点についてつまびらかにお答えをする用意がございません。
  109. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それは官房長として不勉強じゃないでしょうか。私どももいろいろ調べれば、そういうものは報道もされているわけです。それは御存じの上で、知りません、つまびらかでありませんということだというふうに思っているのですけれども、それでは、事実出ておられるということですから、その立場で私は質問しますと、平日の昼間からやっている場合、これは全員が年休をとって行くわけですね。それはいかがでしょうか。
  110. 奥田量三

    ○奥田政府委員 私は人事局長でございまして、そういう意味から申しますと、職員の服務等の担当ではございますが、任意団体としての特定郵便局長会の省としての対処ということについての直接の担当ではございません。お断りを申し上げておきます。そして、ただいま御指摘の出張あるいは休暇ということにつきましては、これは不勉強という御指摘でございましたが、まさしく私はちょっといまお答えする自信がないわけでございます。  なお、お尋ねの意味が、会合に出席する特定郵便局長の服務という御趣旨でございますならば、これは先ほど来申し上げておりますように、任意団体である局長会の会合に出席する場合は、年休その他の手続をとって参加しているものと考えております。
  111. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ちょっと私が誤解をしておりました。きょうは官房長さんを出席要求をしておいたので、奥田さんが出てこられて、官房長かなと思ったのですが、官房長は澤田さんでしたね、どこへいらっしゃいましたか。
  112. 左藤恵

    左藤委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  113. 左藤恵

    左藤委員長 では、速記を始めてください。
  114. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは続きをいたしますが、平日の昼間からやる場合は当然年休をとって行くということなんですね。局長さんは年休の場合、自分で自分の年休を許可するわけですね。ですから、自分の好きなように休みがとれるわけです。  ところで、この郵政局の幹部が参加するという特定局長会、たとえば、ことしの三月二十三日の金曜日、中野区の日本閣で開かれました関東地方総会には、加藤祐策さんという関東郵政局長や安田次長が出席をしておられるわけですね。この総会では、岡野顧問支援決議を採択しております。岡野さんと言えば、元の郵政省の人事局長さんですね。  このような内容のことが郵政省幹部の出席のもとで行われているというわけですが、こんなことを、郵政省、本省でありますね、そういうところが御承知なのかどうか、いかがでしょうか。
  115. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいま御指摘の三月の二十何日かでございますか、そのような会合がありましたかどうか、また、その席に郵政局の幹部が出席をいたしましたかどうか、そのことについては承知いたしておりません。ただ、一般的に申し上げますならば、先ほどお答えしましたように、省に関係のある外郭団体その他任意団体等の会合に必要があれば来賓として出席するということはあり得ようかと思いますし、また、もう一つ御指摘のありましたほかの部外の方が来賓として出席されたこととのかかわりということにつきましては、私ども、そのこと自体特段問題ではないのではないかと考える次第でございます。
  116. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ことしも行っておられるし、昨年も行っておられるというようなものはきちっとあるわけですね。だから、お調べをいただきたい。後、調べてどうだったかという点は御報告いただきたいというふうに思うのですね。  要請あればそういうことは行くのが当然だというふうな御答弁がありました。特段取り上げるような問題ではないというのが人事局長の答弁でしたが、私はそうは思わないですね。岡野裕さんと言えば、郵政省もよく御存じのように、ことしの参議院の選挙に自民党の全国区の拘束名簿式比例代表制の名簿に載る政治家なんですね。この政治家を支援しようというわけですから、これははっきりと政治活動であるわけですね。しかも、特定の人に対するものであるわけですね。こういうものを内容とする会議に、現職の郵政省の高級官僚が励ましのあいさつをしに行く、あいさつをしなくても、行くというふうなのは全くけしからぬというふうに思うのですね。しかも、それを人事局長は、特段問題ではないんだというふうにおっしゃっているのはますますけしからぬというふうに私は思うのですが、郵政省は、一体どんなつもりでこんなことをやっているのでしょうか。私は、これは公職選挙法上も問題だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  117. 奥田量三

    ○奥田政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、もしその種の会合に郵政局の幹部等が出席したといたしましても、それは特定郵便局長たちの任意的な集まりに郵政局としての業務上の必要があって出席したことであろうと思うわけでございまして、御指摘のような政治的な問題その他とは関係なく行動したものと私は考えるわけでございます。
  118. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 勤務時間に行って、そしてそれを人事局長はかばって、これは強弁だというふうに思うのですけれども、それでは、私はここに名古屋市の南部地区の特定局長会の総会の議案書を持っているわけですが、この議案書の「五十八年度事業計画」、これを見ますと、最初の方にはこのように書いてあるわけです。「昨年八月、公選法が改正され、参院全国区は「拘束名簿式比例代表制」に改められ、支援活動の内容が一変したために、まさに「走りながら考える」の繰り返えしで、戸惑いと焦燥の感をまぬがれなかったが、約束された事柄を、全員がキチッと果し得たことに対して敬意と謝意を表するものであります。 われわれが推戴した岡野顧問は一年有余の間、全国を股にして極めて精力的な活動を進められており、評価はかなり高いものがあると聞き及んでいる。 今後要請される事柄については、予測できないが、精一杯の活動を展開してゆくこととする。」というふうにあるわけですね。ここで言われております「約束された事柄」というのは一体どういう内容か、郵政省おわかりでしょうか。
  119. 奥田量三

    ○奥田政府委員 どういう内容であるかわかりません。
  120. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ、これに出られた方に一度聞いていただけますか。いかがでしょう。聞くほどのこともないのか。
  121. 奥田量三

    ○奥田政府委員 調べてみたいと存じます。
  122. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 じゃ、ぜひお調べをいただぎたいと思います。  なぜならば、事は非常に重要なことだ。たとえば、自民党の場合は名簿の順位を決めますのに、党員をふやした数によってその順位が上下するというやり方がとられているようにお聞きするわけなんです。岡野さんは昨年の段階では、特定局長一人で三人の党員獲得をお願いするということを言っておられました。それが十一月ごろにふたをあけてみたらほかの予定候補の陣営が上にランクされている、それで自分は二十位か二十一位なんだ、これは大変だということで、新たに局長一人にもう三人、自民党員になってくれる人をもう三人ふやそうということが上から出された、そういうふうに言われているわけですね。そういう結果、特定局長局長の地位を利用して職員にまで入党勧告をしているというふうなことも私は聞いているわけです。特定局長がこんなことをしてもいいのでしょうかね。そういうことが起こっているのに強弁されるというのはいかがなものかと思うのですが、いかがでしょう。
  123. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいま御指摘のような何人云々というようなことについては私承知をいたしておりませんし、また、特定郵便局長に限らず郵政省の職員全般につきまして、これは言うまでもなく一般職の国家公務員でございまして、公務員法に定める政治的行為の制限等の規定はきちっと守っていかなければならないものであることをかねてから指導もいたしておるところでございまして、そのような法令違反等の行為はないものと考えております。
  124. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、特定局長が自発的にこんなことをやっているのではないというふうに見ているわけです。郵政省が省ぐるみでやっているのだという感触を深めているわけです。だから、そういうことはきちんと指導しております、そんな違反者はないのだと言っておられるが、私どもの調査では、岡野選対の責任者は櫻井審議官のようですけれども、このことを御存じでしょうか。
  125. 奥田量三

    ○奥田政府委員 御指摘のような事実については承知をいたしておりません。  また、冒頭おっしゃいましたような省ぐるみで云々ということにつきましても、私は全然心当たりがございません。
  126. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ、これもお調べをいただいてお返事をいただきたい。こういうものを知らないから、省ぐるみでないと強弁もできましょうが、一度きちんと調べていただいたら、そんな答弁を大きな顔してしていられないということじゃないかと思うのですね。私どもの調査ではそういうふうになっているわけです。岡野選挙対策の責任者が櫻井國臣氏と、そのもとに各地方郵政局の文書課長が各地方郵政局のブロックの責任者になっているわけですね。  それから、自民党の選挙本部の比例代表公認候補者岡野裕氏の行動予定表によりますと、三月二十五日桧垣郵政大臣も松山市の南海放送本町会館における全国特定郵便局長会四国地方会の総会に出席というふうになっているわけですね。  このように郵政省が組織的に動いているから、特定局長会もこれだけ公然とやれるわけですね。特定郵便局長という地位を利用して行う選挙活動というのは、明らかに公職選挙法の第百三十六条の二で言います公務員の地位利用による選挙運動の禁止の条項に抵触するわけですね。公務員というのは、国民から課せられた業務の遂行のために職務にのみ従事しなければならない、こういうふうに国家公務員法に規定をされていますわ。それはよく御存じのことだと思うのですが、特定郵便局長がその地位を利用して特定の政党の候補者の選挙運動を行っているということは全く言語道断だ。ここではつまびらかでないとかいろいろおっしゃりながら、調査をするということですから、きちんと私どもが調査している点についてよく調査をしていただいて、このようなことがない——地位利用してこういうことが起こると、しかも地位利用してやっている者が悪いのじゃなくて、まあやっている者は悪いですけれども、そういう省ぐるみの様相がありますよ、これは大変ですよ、言語道断ですよということを強く申しておきたいと思うわけです。いかがでしょうか。
  127. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 いまの、三月何日でございましたか、三月の半ばごろであったと思いますが、私も出席したということをお話しになりまして、それに続いて不届きなことであるというお話がございましたので、私は事実を明確にしておきたいと思うのですが、松山で私が出席をしました席は、特定郵便局の諸君が、同郷の政治家が郵政責任者であります郵政大臣に就任したのを大変うれしいことであるから祝賀会を催したい、「郵政大臣祝賀会」と、当時の写真もございますが、ちゃんと正面に飾ってありまして、ちょうど松山に帰っておりましたから、祝賀会に出るのは当然のことであると思いまして私は出ただけでございまして、それ以上の何物でもございませんから、誤解のないようにお願いをいたします。
  128. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、出たか出ないかという問題でなくて、予定表にはそういうことが書いてあるのは事実ですよ。それから、いま本省の櫻井國臣さんであるとか、文書課長が各ブロックの責任者になっているとか、そういう実態、それが、大臣も含めてですが、そういう体質になってきていますよ、これは大変ですよ、そういう中で特定郵便局長さんが一人で三人とか、まだ足らない、もう三人ふやせと言われて、それこそ先ほどのしりたたきのようなことまで起こっている、これに対して言語道断だということを申しているわけで、ここはきちっと調査をして御返事をいただきたいと思います。  あと時間がわずか残っておりますので、これだけお尋ねしたいと思いますが、少人数の特定局におきます年休とか生理休暇などの問題ですが、三人とか四人、五人という小さな局の場合、一人が急に休まなければならないというようなときに、非常に補充の点で現場では休みがとりにくいというふうなことになっているわけです。これがどうなっているのかという点が一つと、それから、あとは大臣お尋ねしたいのですが、時間がないのでまとめさせていただぎます。  私は、休みがとりにくいと言っております都市部の特定局の実情を聞いてみたわけです。これは局長さんを含めまして六人の局なんですが、ことしの二月の出欠状況を一覧表にしていただいたのです。これを大臣にもお見せしたいと思うのですが、その一覧表を見ていただぎますと、六人局ですから、現在は四、一時短で、日曜・祭日以外にみんな四週間に一日は非番日があるわけですね。それに計画年休といいまして、前年度分の年休については計画的に休みをとるということになっているわけです。そういたしますと、毎日だれかが休んでいるというふうな状態で、なかなか年休とか生理休暇というふうなものがとれないという状況なんですね。郵政省はこの四、一時短をもっと小規模な局まで広げていかれるでしょうし、そうなれば、このような三人局というような場合などはもっと休みをとりにくくなるのではないかと心配をしているのです。  そこで、私は前にも、小規模局の職員が研修などで出張する場合の後補充の問題、これを郵政局単位かもしくは普通局単位にアルバイトで補充できる人を確保しておくというふうなことを考えるべきではないかというふうなことを申し上げたことがあるのですが、私はそのことは以前にも増していま必要になってきているのではないかと思うのです。こういう体制をつくっておけば、研修のときの心配とか、あるいは休みがとりにくいというふうなことはなくなると思うのです。そこで大臣に、一度こういった点も検討していただくことはできないものかという点をお答えいただきたいと思うのです。
  129. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいま御指摘のとおり、確かに特定郵便局は小人数の局でございまして、そういう意味で局限りで休暇その他の差し繰りをするということについては、大きな局よりもいろいろ問題があるということは事実でございます。  そこで、これらの特定局につきましては、グループ化が可能な場合には、数局を単位といたしましてこれらの局相互間を巡回して勤務する職員を配置するというような工夫によりまして、極力諸休暇の後補充が円滑にいくようにということで考えてやっているところでございます。また、地域の散らばりが非常に広い等でこういうグループ化がむずかしい局でありますとか、あるいはそういうグループによる措置をしましてもなお業務に支障があるというような場合につきましては、非常勤職員を雇用して対処をしているということでございます。なお、この非常勤職員の確保等については、ただいま御指摘のように極力努力もしなければならないと思っておりますし、また、地域地域によりまして、非常勤職員でありましても、たとえば結婚して退職された元の職員の方にある程度継続的と申しますか、その地域の局で欠務が生じた場合の補充として、なるべく機動的に出てきていただけるようにとか、そういう工夫等もこらしているところでございまして、このような非常勤職員の確保についてはこれからも配意をしてまいりたいと考えている次第でございます。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  130. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 小人数の特定局における職員の非番制あるいは年休、生理休暇というようなものが業務の遂行上とりにくい、あるいはとれば業務に問題が起こるというような事態が想像されますし、いまの資料を拝見しましてもうかがえるところでございます。  いま局長からお答え申し上げましたように、巡回勤務者の工夫をする、グループ別のそういう工夫をする、あるいはアルバイトによる後補充といいますか、そういうことを考えるというようなことを含めまして、適正な休暇がとれるようなことについて検討させ、また実施するという方向で参りたいと思います。
  131. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 終わります。
  132. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 次に、大橋敏雄君。
  133. 大橋敏雄

    ○大橋委員 初めに、簡保年金資金のいわゆる運用資産額は現在幾らあるのか、お尋ねします。
  134. 魚津茂晴

    魚津政府委員 昭和五十八年度末の簡易保険郵便年金資金資金量、二十兆三千九百七十八億円でございます。
  135. 大橋敏雄

    ○大橋委員 郵政大臣、いまお聞きのとおりに、資金が二十兆円を超えたという莫大な資金量になっているわけでございますが、こうした簡保年金資金というものはいわば加入者の共同準備財産というものだと私は思うわけです。したがいまして、郵政大臣法律に基づいてこれを管理、運用なさり、そしてまたその事業経営の健全化を図られていると思うわけですね。私は、きわめて基本的な立場から、若干改善、改革する必要があるのではないかという問題を取り上げてみたいと思うわけです。  運用に当たりましては、まず確実で有利でそして公共利益を旨とする、これは言うまでもないわけでございますが、要するに資金運用によって利益を生ずる、それは加入者に還元されていくべきものである、そういう立場から、できるだけ有利な利回り運用していかねばならぬのだということになろうかと思うのです。  いま私の手元に簡保年金民間のいわゆる生保の運用利回りの比較の資料があるわけですけれども昭和二十五年から昭和五十六年度にわたってずっと各年ごとに示されております。それを見てまいりますと、昭和二十五年ころは簡保年金は三・八〇%、それに比べて民間生保は八・七九%、つまり四・九九%の開きがあった。それがだんだんと縮小されまして、五十六年度には七・四四に対して七・七八、それでも〇・三四%の開きがあるわけですね。いまほどの莫大な資金量でございますので、仮に〇・一%の違いといっても大変なことだと思うのですね。  そういうことで、運用利回りの向上の立場から、大臣はどのようなお考えでいらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  136. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 お話しのように、簡保積立金というのは後年加入者へ支払うべき共同準備財産である。したがって、これも確実かつ有利な運用をするということは加入者利益につながることでございますから、ぜひそういう方向でやっていきたいというふうに思っておりまして、今回御審議をお願いいたしております運用範囲の拡大も、そのような考え方に出るものでございます。  従来から民間生保と簡保の間の運用利回りの差が大きかったのがだんだん縮まってきたわけでございますが、この運用範囲の拡大によりましてまた何がしかの格差の解消に役立つだろうというふうに思っておるわけであります。  ただ、民間生保は大変広い範囲運用が認められておるわけでございますから、法律によって運用範囲を限定されております簡保として、全く同じような運用利回りを得られるかどうかは、私はちょっと無理があるのではないかと思いますが、今後も確実かつ有利な運用、また一面においては、お話しのように公共性に奉仕をするということも考えていかなければいけないわけでありますが、これらの点のバランスを考えながら、加入者利益につながるように最大の努力をいたしたいと思っておるわけでございます。
  137. 大橋敏雄

    ○大橋委員 確かに、民間の生保に比べると、簡保年金資金運用についてはかなりの規制がかけられていることは事実であります。だから、同等にというわけにはまいらぬと思いますけれども、いわゆる運用資金について、その運用の仕方は郵政大臣に、自主運用といいますか、その責任がゆだねられているわけでございますが、従来の運用の中身を見てまいりますと、その大部分、六五%程度財投計画の資金として、あとの部分が社債等の有利な利回りの方へというような形になっているのではないかと思うわけです。  御承知のとおりに、財投利回りは標準利回りとして七・三%、それからその他になると七・三から七・九%と非常に有利な状況にあるわけでございますが、ここで私が言いたいことは、今回の法改正財投とそうでない部分との割合が、いままでは六五対三五だったのが七二対二八に変わる、つまりもっともっと有利な運用ができる部分が狭められてきていると思うのですけれども、これは本来の有利な運用という立場からは逆行しているのではないかな、こう思うのですけれども、いかがですか。
  138. 魚津茂晴

    魚津政府委員 このたびの運用法の改正法案政府内でまとめる際に、先ほどの先生からの御質問でざっくばらんにということで大臣なり私からも申し上げたところでございますが、有利な部分を広げるという立場と、それから財政的に非常に厳しい情勢、そして景気の振興もぜひ図りたいというような立場で事務的に積み重ねた上で、最終的に大臣折衝ということで決断をされたわけでございますが、その際に私どもが事務的な立場大臣にも申し上げたことは、確かに六五%余りから七二%になるということは、残りの有利部分が少なくなることは事実でございます。したがいまして、運用範囲の中身を具体的に計算をしまして、その減り方と、それから減ったけれどもより有利な運用ができるということのいわば損益計算をした上で、大臣の最終的な決断ということで、このような仕組みになったわけでございます。仰せのように、観念的に申しますと、六五が七二になって、社債等運用利回りからしますと低いわけでございますので、その点は有利、確実という点から見て問題がございますが、段階的に運用範囲の拡大を図っていくためには、そのような若干の問題を抱えながらも、大筋としてより有利な運用をして運用収入を上げるということが確保できれば、お客様の信頼にこたえられるのじゃないかと考えた次第でございます。
  139. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いまの説明で、説明はよくわかるわけですが、たとえば財投関係に六五%程度が今度七二%になる、有利部分が減る。その分は、いわゆる運用範囲を拡大した、そのことによって埋め合わせができますよ、そういう計算が成り立ったんだ、こういうふうにおっしゃったわけでございますが、要するに、今度の法改正内容を見ますと外国債にまで手が届くようになるわけですね。つまり郵便年金並みの対象として拡大をされていきます、そういうことから外国債にも手が届くわけでございますが、確かにいま局長さんがおっしゃったように、郵政省で試算表ができているものを私も拝見をさせていただきました。それを見ますと、簡保積立金外債運用により利回り向上効果を示した資料でございますけれども、五十八年度から六十二年度までの五カ年について運用利回りは、現行どおり財投に六五%運用した場合は、五十八年度から六十二年度まで五カ年オール七・五%である。財投七二%として外債に一〇%運用した場合は、五十八、五十九年度は七・五%、六十、六十一年度は七・六%、六十二年度は七・七%である。それから財投七二%で外債五%として運用した場合は五十八年、五十九、六十年度は七・五%、六十一、六十二年度は七・六%、またその増収額もちゃんと示されている資料を私はいま手元に持っているわけでございますけれども、この内容を見てまいりまして私感ずることは、確かに外債の高金利利回りも向上して穴埋め的なそれなりの効果が認められるとしましても、私は問題点があると思うのですね。つまり、外債買いというものは円安の要因をもたらすのじゃないか。あるいは外債のうち外貨建て、つまりドル建て、これは非常にリスクが伴うのじゃないか。また、最近カントリーリスクといって、非常に危険なそういう意味での国々が話題になっているわけでございますが、こういう関係もこれあり、非常に心配をするわけでございますが、こういう点についてはどういうお考えでいらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
  140. 魚津茂晴

    魚津政府委員 外国債運用の問題の所在というのは、先生いま御指摘のとおりでございまして、有利である反面いろんなリスクがある。ですから、そのリスクに対応する措置をきちっとしておかなければ、有利な面だけをわれわれ喜ぶわけにいかないという基本的な立場で私ども臨んでいくつもりでございます。  若干いまの点について具体的に申し上げさせていただきますと、まず、外国債運用というのは、より有利な運用を図るということと、それからメリットとしまして国際的に危険を分散するということによりまして加入者利益増進をすることができる、これはメリットとしてのものだと思います。  一方、あり得る危険性ということで考えますのは、第一に円安の問題でございますが、外国債運用は為替相場が円高の場合に購入して円安の場合にこれを売却することが運用効率を高めることになりますので、可能な限りそのような選択を行うことにいたしたいと思います。したがって、むしろ結果的にもわが国の外国為替市場の混乱を緩和し、経済や金融の安定に寄与するというような気持ちで私どもやってまいりたいということが一つであります。  二つ目といたしまして、外国債でも外貨建てのものでございますが、この点については、先生いみじくも御指摘されておりますような為替リスクの問題が起きてまいります。これを回避したり軽減する方法はいろいろのものがございますが、私ども考えておりますのは、一つとして、円高のときを見きわめて投資を行って円安のときに売却する方法、これは先ほども触れたとおりでございますが、二つ目としまして、継続して外国債投資を行って時間的に為替差損益をならす方法という点、それから三番目といたしまして、多くの国に分散して投資を行って、国別に異なる通貨の為替変動をならしていく方法、四つ目といたしまして、比較的長期に保有することによって短期的な為替差損を避ける方法というようなことが考えられると思うわけでございます。今後とも、これらの方法を組み合わせまして適切に運用することによって、できる限り為替リスクを回避していきたい、また回避しなければならないというふうに考えております。  最後に、カントリーリスクの問題でございますが、この問題は、その国の政治的安定度や経済の強弱等を十分検討の上運用対象を選定すべきものと考えております。具体的には、政治的、経済的に安定した国々の債券とか世界銀行等の国際機関債を中心に購入していくほか、カントリーリスクについての内外の金融機関等の情報等を参考にして、そしてできるだけスペシャリスト的なものあるいは外部の能力をおかりしたかっこうで慎重に運用していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  141. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いろいろ御説明なさいましたけれども、要するに、外債リスクは確かにある、あるけれども慎重に対応していけばそれなりのメリットは出てくるのだ、このようなお答えであったと理解したわけでございますが、私は、むしろ、その運用範囲、今度拡大されたわけでございますが、その運用範囲を公務員の共済並みに広げていった方が安全ではないか、確実ではないか、このような思いがするのです。  外債は確かに高金利ですから、有利な立場からはいいわけですけれども、安全確実ということからはいま言ったようなリスクがございまして、不安も伴うわけですから、むしろいま言ったように公務員の共済並みに広げていくお考えはないのかどうか、その点をお尋ねしたい。
  142. 魚津茂晴

    魚津政府委員 このたびは外国債とか元本保証のある金銭信託でございますとか銀行預金というようなことでいま御審議を願っているわけでございますが、一方、公務員等の共済組合、この運用範囲というのは、たとえば株式あるいは不動産というようなこともあるわけでございますので、今後のわわれの課題として、その辺への運用のメリット、デメリットというものも考えながら、一歩一歩前進をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  143. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いま局長は、今回の法案ではそこまでは考えてないけれども、将来はその方向に進みたいというような意味の御答弁があったわけですが、当然大臣もそれは同じようなお考えであろうかと思います。  そこで、いま答弁にありましたように、一般社債あるいは株式投資信託不動産等々にも将来はいろいろと検討して広げていってみたいという話がありましたので、仮の話になりますけれども、電電公社の改革の論議をめぐりまして、資本金一兆円の特殊会社方式問題が具体的な報道としてなされているわけですけれども、これがいいとか悪いとかという是非は別といたしまして、仮にこのような特殊会社ができ、株式を持ったとすれば、これに対してどう対応なさるのですか。つまり、電気通信産業は今後の基幹産業中の基幹産業でございまして、すでに十兆円に上る資産もございまして、きわめてこれは有望、有利、安全株だ、こう思うわけでございますが、こういうものに対して手が届くようにすべきだと思うわけですけれども、いかがなものでしょうか。
  144. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在の公社としての電電を株式会社云々ということは別といたしまして、一般論として、たとえばKDDでございますとかあるいはJALというようなものの公共銘柄株式というものは、契約期間が長期にわたる保険年金資金の性格にかんがみまして、運用対象としては好適なものだ、かっこうのものだというふうに考えますので、先ほど国家公務員共済組合、この運用範囲の中に公共銘柄株式というものをわれわれ将来の問題としてぜひ実現をしたいと言ったのも、そのようなことが念頭にあるからであるというふうに御理解賜りたいと存じます。
  145. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いまの件について大臣のお気持ちをちょっと伺っておきたいと思うのですが。
  146. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 今回の簡保運用範囲の拡大、これは久々の拡大であるわけでございまして、しかし、まだ国家公務員共済等に比べますと運用範囲が狭いわけでございますので、先ほど申し上げましたように、加入者利益増進をしていくという立場から言いますと、より有利な運用ができるような範囲の拡大ということを私も努力をいたしてまいりたいと思っております。公共銘柄の株などは、私は、いま局長お話にもありましたように、運用範囲に入れて適格なものであろうというふうに同感でございます。
  147. 大橋敏雄

    ○大橋委員 電電公社の改革問題はいずれ大きな議題として上がってくると思います。その場合にいま言ったような、すでに報道されているような資本金一兆円の特殊会社云々というふうになった場合に、決しておくれをとらないようにひとつ対処していかねばならぬな、これはしかと要望しておきます。  それから、第二臨調の答申の中に、官業が民業を圧迫しているという指摘があるわけでございますが、私は、簡保についてはむしろもっともっとしっかりせぬですか、こう激励したい思いですね。と申しますのは、簡保がとにかく充実強化されていく、成長していくということは、とりもなおさず民間の生保にも刺激を与えていくわけで、お互いに切磋琢磨しながら結果的には国民の利益に還元されていくのだ、こういう意味から申し上げるわけでございますが、簡保というものはまずとにかく国営である、非常に安心感があるわけですね。あるいは毎月集金に来てくれる、あるいは無審査であるというようないい条件がたくさんありまして、大変評判がいいわけです。ところが、生保と比べるとあらゆる面で押されぎみといいますか、保有契約高を資料をもって見ましても、昭和四十七年度の簡保の四千七百万九千件に対して、保険金額は十六兆三千百八十六億円です。これに対して生保の方は一億二千四百八十一万九千件、これの保険金額は百二十二兆二千百四億円ですね。七・五倍です。それを昭和五十六年度に置きかえてみますと、簡保の五千三百八十一万件に対する保険金額が五十八兆六千四百六十億円。これに対する生保の二億二千五百五十六万八千件、保険金額が六百三十八兆九千九十八億円。何と十一倍。むしろどんどん開いてきているわけですね。そういう意味で、私は、簡保よもっとしっかりしなさいよ、こういうふうに指摘をしたいわけでございます。  この評判がいいわりに成績が悪いのは一体何が原因なんだろうかと、私は私なりにいろいろと勉強してみたわけでございますが、端的に申し上げまして、簡保の最高限度額が一千万円に据え置かれてきているわけですね。もう七年間も据え置き、こういうことだからじゃないだろうか。つまり魅力をなくしている、このように私は考えるわけですけれども、この最高限度額を見直すべきだ、こう私は思うのですが、これは局長さんの御意見と大臣の御意見を聞いてみたいと思います。
  148. 魚津茂晴

    魚津政府委員 ただいま大橋先生の、簡保よしっかりしろという激励の内容も含んだお話を謹んで傾聴したところでございます。  ところで、そのおっしゃる簡保の伸びと民間生命保険の伸びというものを、いわゆる保有契約の占有率という形で若干この点申し上げてみますと、確かに五十年度末と五十六年度末で比較をいたしますと、簡保は二二・一%の占有率から一八・二%に落ち込んでいることは事実でございます。それから保険金額というような観点で見てみましても、八・四%から七・四%に落ちているわけでございます。  ところで、この原因は、なぜこういうことになったのかということでございますが、私どもは毎年毎年新しい契約を、目標を定めて獲得をしているわけでございますが、その点からいたしますと、件数、保険金額とも前年度に比べましてかなり順調に伸びているということが言えるわけです。そうしますと、簡保自身は順調に伸びている。しかしながら、シェアというような観点で数字を見てみますと落ち込んでいるということは、民保の伸びが簡保の伸びを上回ったという結論しか出ないわけでございます。  では、なぜ民保の伸びが簡保の伸びに比べて上回っているのかというような点につきまして、私ども端的にその原因というものを申しますと、簡易保険で発売をしていない団体保険というものが会社等でいま非常に伸びているわけでございます。その団体保険というものが、一つの会社で千人なら千人の従業員を持っているところが生命保険会社と契約をいたしますと、一挙に千件というようなかっこうで伸びるというような仕組みのものでございますので、この辺の伸び、そういったもの、それから、おっしゃる最高制限等の引き上げで本当に必要に応じた金額が保障されていないということからの伸び悩みという点もあろうかと思います。ともあれこれからは、民保簡保の競争というものにおのずから国としての節度がございますけれども、そういうような原因を念頭に置きながら簡保の発展をわれわれ努めていかなければならない、こういうふうに考えている次第でございます。
  149. 大橋敏雄

    ○大橋委員 時間も迫ってまいりましたので、大臣、最後の質問ということでよく聞いておっていただきたいのですが、いま局長さんの答弁でそれなりの理由は述べられましたけれども、やはり大きな原因は、簡保の最高限度額が一千万円に抑えられている、ここに魅力をなくしているのではないか。これは私の思いなんです。これはもっともっと引き上げて魅力的なものにしなければならぬという考えです。  それで、実はつい先月、五十八年の三月二十五日に総理府の統計局が出しました速報があるのです。これは五十七年の貯蓄動向調査報告というものなんです。これを見てまいりますと、非常に考えさせられるものがあるわけでございます。というのは、民間生保に比べて簡保は比較的若い層に敬遠されておるということです。それからお金持ちの階層にも敬遠されている、こういうことが出ているわけです。簡保の貯蓄額が生保に比べて極端に低い。二十五歳末満の平均の簡保は一万四千円ですが、それに比べて生保は三十四万一千円。格差が余りにも大ぎ過ぎる。しかし、だんだん高齢になってまいりますとその差がだんだん接近して、ついには逆転し、そして同時に貯蓄額も多くなっていっている。六十五歳以上の平均を見ますと、簡保は七十五万五千円になるわけです。生保は七十二万。まさに逆転ですね。簡保が無診査ということと、老人の貯蓄手段に用いられているのかな、こういうふうに判断をするわけでございますけれども、いずれにいたしましても、いま言ったような状態の中で若い層、お金持ち層に敬遠されている。  また、生保の貯蓄額の一世帯平均を見ますと八十四万二千円、それに対して簡保は三十七万円。半分以下でございます。特に高所得者層になりますと、だんだん民間生保に負けております。また、契約保有率でも大きく下回っておりまして、生保の一世帯当たりの平均は八三・七%に対して、簡保の一世帯当たりの平均は五〇・五%、こういうことになっております。  このデータから判断されますように、保有率では民間生保の半分以上を占めている簡保でありながら、保有額では生保の半分以下。ということは、一件当たりの契約金額が少ない、そういうことを意味しているのではないか、こういうふうに思うわけです。そういういろんな内容がデータとしてでき上がってきているわけでございまして、こういう総理府のデータ等を貴重な参考として、いま言う魅力ある簡保にする必要がある、私はこう思うのでございますが、最後に大臣の御見解を承りまして終わりたいと思います。
  150. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 私も総理府の貯蓄動向調査は承知をいたしておりまして、御指摘のとおりであることを知っております。  局長からの話にもありましたように、簡保自身も伸び率が悪いわけではないわけでございますが、それ以上に民間の生保の伸びが大きいということは、これは私の解釈なんですが、簡保保険思想の普及の先導的役割りをやった、その中で民間生保が伸びてきたということが一つあると思うわけであります。ただ、今後青壮年層の開拓の問題に力を入れなければいけないと思うのでございますが、それを考えますと、長期の生命保険に一千万円という限界があっては、お話しのように魅力を失うのではないか。すでに一千万円の限界額を設けましてから七年という期日がたっているわけでございますから、ざっくばらんに申し上げまして、物価の上昇なりあるいは生活水準の向上なりがあるわけでございますから、その限りにおいて魅力を失いつつあると言ってよろしいと私も思うわけでございます。  五十八年度予算のときに、私も限度の引き上げについて大蔵大臣とずいぶん長い時間かけてやり合ったのでございますが、大蔵省としては、小口無診査保険であるということ、それからちょうど臨調の検討作業の途中であるので、五十八年度はどうしても引き上げに応じられない、しかし、これも切り捨て御免ではなくて、どのようなことをすることが妥当であるかということについて郵政、大蔵両省の間で引き続いて検討するという約束になっておるわけでございますので、私どももなるべく早い機会に限度の引き上げが実現するように全力を挙げて努力をいたしたいというふうに思っております。
  151. 大橋敏雄

    ○大橋委員 終わります。
  152. 左藤恵

    左藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  153. 左藤恵

    左藤委員長 これより本案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  154. 左藤恵

    左藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  155. 左藤恵

    左藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、畑英次郎君外四名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。畑英次郎君。
  156. 畑英次郎

    ○畑委員 提案者を代表して、ただいま議題となりました附帯決議案について趣旨を説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。     簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項につき適切な措置を講ずべきである。  一、加入者利益増進を図るため、簡易生命保険及び郵便年金積立金について、さらに運用範囲の拡大に努めるとともに、余裕金についても直接運用できるよう制度の改善を図ること。  一、積立金運用対象の多様化等に対処するため、運用体制の整備、充実を図ること。  一、簡易生命保険保険金最高制限額については、国民の生活水準の向上等に伴いその改善を図ること。 以上のとおりであります。  この決議案は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合の各派共同提案に係るものでありまして、案文も当委員会における質疑等を十分勘案して作成したものでございますから、その趣旨につきましては改めて説明を要しないと存じますので、省略させていただぎます。  何とぞ委員会各位の御賛成をお願いする次第であります。(拍手)
  157. 左藤恵

    左藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  158. 左藤恵

    左藤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、桧垣郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。桧垣郵政大臣
  159. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 慎重な御審議をいただきまして、ただいま簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。この委員会の御審議を通じて承りました御意見につきましては、今後簡易保険郵便年金事業を運営していく上で十分生かしてまいりたいと存じます。  また、附帯決議につきましては、今後その御趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。まことにありがとうございました。(拍手)
  160. 左藤恵

    左藤委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  162. 左藤恵

    左藤委員長 次に、公衆電気通信法の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を聴取いたします。桧垣郵政大臣。     ─────────────  公衆電気通信法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  163. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  この法律案は、電話の近距離の通話料と遠距離の通話料との格差の是正を図るため、遠距離の通話料を引き下げようとするものであります。  わが国の電話の通話料は、諸外国の料金に比較して、近距離の通話料は安く、遠距離の通話料は高いことからいわゆる遠近格差が大きくなっております。この格差を是正するため、区域外通話地域間距離が三百二十キロメートルを超える遠距離の通話料を引き下げることとするものであります。  その内容は、現在三百二十キロメートルを超え五百キロメートルまでは四秒ごとに十円、五百キロメートルを超え七百五十キロメートルまでは三・五秒ごとに十円、七百五十キロメートルを超えるものは三秒ごとに十円となっている料金について、これを三百三十キロメートルを超えるものは一律四・五秒ごとに十円に改めることとするものであります。  なお、この法律施行期日は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日といたしております。  以上がこの法律案を提出いたしました提案理由及びその内容でございます。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  164. 左藤恵

    左藤委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     ─────────────
  165. 左藤恵

    左藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  166. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 今回提案されております法律案は、遠距離の電話料金を値下げしようというのでございまして、今日諸物価が鎮静の方向には行っておるといえども値上がりを続けている時期に公共料金を下げるということですから、これはもう私たちは双手を挙げて賛成するわけでございます。ただ、先々のことを考えますと、どうなるかという心配を持つのは当然でございますから、それらの問題を中心にして若干の質疑をしたいと思います。  きょうは、科学技術庁から辻官房審議官においでいただいておりますので、ちょっと具体的な料金の問題にも関連はしますけれども、その前にお尋ねをしておきたいことがございます。  それは、CS2aが二月に打ち上げられました。いま順調に運航を続けておると思いますが、この通信衛星を使っての実際の通信開始ということはいつごろを想定しておるのか。電監局長お答えください。
  167. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  御高承のとおり、CS2は二月四日にうまく上がりまして静止位置百三十二度に静止いたしたわけでございますけれども、テストを終えまして、今月末ごろには通信衛星機構の方に移るわけでございまして、五月末、六月初めにかけまして、それぞれのユーザーが使用を開始する、そのようなスケジュールでございます。
  168. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それで、通信衛星を利用する方法についてはどういうふうなものを考えておられますか。
  169. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 このCS2を打ち上げます際に、まず、衛星として考えまして、衛星を使うのに最も有効な方法というようなことで、離島通信もございますし、災害がございますわけでして、一応そうしたものにまず使う。そのほか臨時回線の設定というようなことでございますが、いまのところいわゆる八本のトランスポンダーが載っておるわけでございますけれども、六本はまず電電公社、残りの二本、電話回線に直しますと千本の電話回線に相当するわけでございますが、これにつきましては、警察庁とかあるいは消防庁ですか、あるいは電力会社また郵政省もそのうちの百回線につきましては新しい使い方のパイロット計画というようなものを言っておりますけれども、そうした道を開くために、郵政省ですけれども実際には電波研究所でそうした利用もさせる、こういうふうに考えております。
  170. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 八トラポン、約四千回線が使えることになると思うのですが、そこで、いま局長おっしゃったように離島あるいは災害対策等にまず使う。そのほか臨時回線というのをちょっとおっしゃいましたけれども、いまお述べになったようなことだと思います。  そこで、最初に聞いておきたいのは、四月二十四日の新聞をちょっと私拝見したのですが、通信衛星を利用したいということで自衛隊が名のりを上げてきたという記事がございます。この自衛隊が硫黄島にいま基地を持っておりますが、それぞれ具体的な兵備がどうなっておるか、私はここで改めて申し上げるつもりはありませんが、いずれにいたしましても、硫黄島の連絡強化のために自衛隊がこの通信衛星を利用したい、こういう申し出があるそうですね。郵政省の方に接触がございましたでしょうか。  それから、科学技術庁としてはそういう話を防衛庁から聞いておりますか。それぞれお答えください。
  171. 小山森也

    ○小山政府委員 防衛庁の方からは正式の話はまだ来ておりません。ただしかしながら、私どもといたしましてこの問題につきましては、日にちは忘れましたけれども、衆議院の予算委員会で民社党の方から、これをどうするかという御意見がありまして、総理も、勉強してみるというお答えをしておりますので、私どもそういった正式な申し出はございませんけれども、勉強すべきではないかということで考えております。ただいまそういう段階でございます。
  172. 辻栄一

    ○辻説明員 ただいま郵政省側から御説明のあったとおりでございまして、この問題については目下関係省庁と検討中でございます。
  173. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 現時点での科学技術庁の考え方をはっきりさせておいていただきたいと思いますが、ことしの二月五日の予算委員会で、安田国務大臣それから加藤政府委員、それぞれ科学技術庁の皆さんでございますが、質問に答えて、「釈迦に説法のようなことになりますけれども、宇宙開発事業団法、これを御審議願ったときに、この法案の趣旨は、日本の宇宙技術開発はあくまでも平和でいきなさいよ、平和に徹しなさいよ、こういうことと、同時に、各両院の委員会審議、附帯決議でもって、全会一致でこれが利用についても平和に徹すべし、こういうことでございますから、当庁といたしましてはこの法並びに附帯決議、この線上においてこれを使う、開発する、こういうふうに御理解いただきたいと思います。」これは安田国務大臣の答弁です。加藤政府委員の答弁は、「先ほど科学技術庁長官から答弁申し上げましたように、わが国の宇宙開発は平和目的に限りということで、国会の御決議並びに宇宙開発事業団法第一条の規定によりまして、平和目的に限りこれを推進しているわけでございます。 したがいまして、自衛隊がこれを利用するということは、これは私どもの平和の目的というのに合致しないということで、いまのところ、いままでの非軍事というところで、私どもは自衛隊がこれを使うということをいまの段階では予定していないわけでございます。」こういうふうに答弁をされております。この見解は現段階において変わっていないでしょう。
  174. 辻栄一

    ○辻説明員 科学技術庁の考え方は、先ほどの安田大臣並びに加藤研究調整局長の答弁どおりで、いささかも変更はございません。ただし、通信衛星を利用して行う電電公社の公衆電気通信サービスを防衛庁が受けるということについては、目下関係省庁と検討中のところでございます。
  175. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そのところを明確にしておかないといけないと思うのですね。硫黄島で現在一般公衆電話の状態がどういうふうになっておりますか、後ほど電電公社からも聞きたいのですけれども、もちろんそこには自衛隊があり、自衛隊の御家族もおるかもしれません。それから、自衛隊員が自分の宿舎に公衆電気通信、要するに電話を引くということについてはこれは何の異議ないことですから、それを私は言っているのではないのです。自衛隊そのものが自衛隊として専用的にこの衛星通信の回線を使いたいというそのことに対する問題だというふうに理解してください。要するに専用回線的なものですね、これを自衛隊が使う場合にはやはり疑義がある。この二月五日の御答弁です。  それからさらに、昭和四十四年五月九日にも宇宙の開発及び利用の基本に関する決議というものが衆議院で行われておるわけですが、そのときにも、小宮山重四郎先生が立ちまして、国会の決議としてございます。その中にも同じように、「わが国における地球上の大気圏の主要部分を超える宇宙に打ち上げられる物体及びその打上げ用ロケットの開発及び利用は、平和の目的に限り、学術の進歩、国民生活の向上及び人類社会の福祉をはかり、あわせて産業技術の発展に寄与するとともに、進んで国際協力に資するためこれを行なうものとする。」こういう決議が院の決議として行われているわけですから、そこのところを私は言っているわけです。  ですから、自衛隊の皆さんが電電公社の回線を使えば十分に事足るわけでありますし、その辺をはっきりしておいてもらいたいということです。ちょっと調べてみますと、自衛隊がいまたしか千百回線くらいを、陸上における電電公社の回線を専用回線として使っていると思います。ですから、そのことは何も問題ないのです。ただ、宇宙における人工衛星との関連で、核三原則の国是たるものがございますから、それとの関連で平和利用にしか使えないということははっきりしておるわけでございますから、その点を踏まえて、これからの衛星通信の利用ということを考えておかないと大変問題になる。委員会委員の質疑がありまして、それに対して総理が検討してみますということを言っていることも事実でございます。考えてみますということは言っていらっしゃいますけれども。ですから、その辺をちょっとはっきりしておいてもらって、もう一度答えてください。
  176. 辻栄一

    ○辻説明員 科学技術庁といたしましては、わが国の宇宙開発が平和利用に徹して進んでいくという決意については変わりないところでございます。ただ、防衛庁の利用の問題につきましては、現在のところ防衛庁からは、通信衛星を利用して行う電電公社の公衆電気通信サービスを防衛庁が利用するということにつきまして問題提起がありまして、先ほど御答弁申し上げましたように、目下その問題について関係省庁と鋭意検討中であるという状況でございまして、防衛庁は、現在のところ、日付は私は忘れましたけれども、具体的に専用の衛星を持つ計画を有していないということを国会でも答弁されておるようでございますし、そういう具体的な事例が出てきておりませんので、目下のところは私ども検討をしておらないという状況でございます。
  177. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 電電公社の公衆通信としてのサービスを享受したい、こういうことですか。というと、自衛隊として、たとえばその隊の中に電電公社の公衆電話を引きたい、それは自衛隊という名前で申し込むということになると思うのですが、そういう場合については検討中ということですか。だから、防衛庁から専用回線として使わしてもらいたいと言ってきているのか、電電公社の公衆電気通信役務としての物を使わしてくれと言っているのか、そこのところがはっきりしないのです。
  178. 辻栄一

    ○辻説明員 お答えします。  私どもがいま事務的に防衛庁から伺っているところは、電電公社の公衆通信サービスを利用したい、こういうことで検討を行っておるという状況でございまして、専用のトランスポンダーを持ちたいという計画は、防衛庁からは聞いておりません。
  179. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 電電公社の方からこのことについてちょっと答えていただきたいのですが、どういう申し入れがありましたか。
  180. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  防衛庁からただいま電電公社に対しましては正式に硫黄島に関する具体的なお申し込みはまだ受けておりませんが、先ほどから御答弁がございましたように、この利用について政府部内の検討結果を防衛庁でお待ちになっているというようにわれわれは聞いておりますので、政府部内の検討結果が終わりましたら私どもの方にも申し込みがあるんではないか、このように思っておるところでございます。
  181. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 電電公社として、申し込んできたらこれはどうするのですか。どう扱いますか。
  182. 西井昭

    ○西井説明員 これは先ほどからお話が出ておりますように、防衛庁がお使いになるのがこの衛星の平和利用目的に合致するかどうかということにつきまして、これは公社がみずから判断する立場にないと思っておりますので、その辺のところにつきましては政府と御相談をさせていただぎまして、そういう点で問題がないということになれば、当然のことながら公社はそれに応ずる義務がある、こういうように理解しているところでございます。
  183. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 公社の態度はそういうことでしょうね。  そこで、大臣、これは大変問題になるところでございまして、専用回線として使うということになったら、これは全然問題がないですね。ただ、一般公衆役務としての電話を防衛庁の名前で引きたいというようなときにどうするかということに絡んでくると思うのですよ。ですから、厳密な意味において防衛庁が使うということは平和利用の大原則からすればやはりおかしいということになる。そういう立論が一つ出てきます。そうでなくて、その程度ならいいじゃないかということもあると思うのですね。その辺の使い分けが非常にむずかしいと思うのですけれども、少なくとも自衛隊そのものが平和目的でないというふうに断定をしているわけですからね。それは一面では、災害が来たり地震が来たりしたときに救援してもらうわけですから、そういう意味から言えば平和的にやっているじゃないか、これは私たちもよくわかります。わかりますけれども、日本の国是とも言われる核三原則との上に立っての絡みがありますから、その基本線だけはちゃんとしておかないとやはり後世に悔いを残すように思うのですよ。これから慎重に検討をするそうでありますが、少なくとも国会決議なりあるいは科学技術庁がいままで国会において答弁してきたその趣旨というものを十分基本に置いて、その上で御検討いただくように、特にお願いしておきたいと思います。大臣の所見をちょっと聞いておきたい。
  184. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 この問題につきましては、いままで政府委員の方からもお答えを申し上げましたように、宇宙開発事業団法第一条に平和目的に限るということが明記されておりますし、また、再三にわたりまして衆参両院の御決議をいただいておるわけでございますから、これを政府としては正しく守らなければいかぬという立場でおるわけでございます。  ただ、いまお答えがありましたように、電電公社の公衆電気通信施設というものを自衛隊が利用者の一人として利用したいということをどのように考えるべきかという点、実は私も判断がつきかねることでございますので、その点、政府内部の意見を統一する必要があるということで、目下検討させておるわけでございます。基本的には、法律及び御決議の趣旨を最大限といいますか、真っ向からその御趣旨に沿うようにわれわれとしては努めなければならないのではないかと思っておるわけでございます。
  185. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 一面、私たちも質問をしておりましても、平和利用の問題、それから一たん緩急の場合との使い分け、道路が戦争になれば軍用道路になっていくという、事実問題としてはこういうこともありますね。だから道路をつくっちゃいかぬというわけにはいかぬわけですから、その辺はよくわかっておるのですけれども、やはり平和利用ということが核三原則との上に立っているということですね。そのために、平和目的だけしか利用しないということになると、自衛隊というのは平和目的かというとそうでないという解釈でございますから、そこのところに非常にジレンマもあるわけですけれども、やはり原則論としてはなかなかむずかしいことでしょうが、国民の誤解や世論の批判や世界の批判を受けないような形でやっておかないと悔いを残すと思いますから、むずかしい問題ですけれども、いまの大臣の御所見でわかりましたが、ひとつ慎重にやっていただきたいとお願いしておきます。  それから、ついでというとあれですが、八回線のうち六回線を電電公社がお使いになるようですけれども、この六回線の利用方法は公社としてはどういうものを考えていらっしゃいますか。  それから、たとえば離島、災害等、一般陸上のマイクロあるいは同軸等を使ってやっております公衆電気通信役務としての料金というものは、通信衛星を使っても同じだと思うのですけれども、そのほかに、INS時代に入っていって特別な施設として使う場合、こういう場合には特別な料金を取るというようなことを考えているのかどうなのか、そこらまで煮詰まっておるかどうかわかりませんけれども、概略でもいいですから、もしそういう利用方法と料金問題が頭の中にあるようでしたら、ひとつ教えておいてもらいたい。
  186. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  CS2の利用につきましては、先ほど郵政省の方から御答弁がございましたとおりでございまして、原則的には災害用、離島通信、それから臨時通信に優先的にお使いいただくように考えておりますが、その中でも災害とか臨時通信というのはそうしょっちゅうあるわけではございませんので、せっかく国費で打ち上げたものでございますので、その有効利用につきまして、公社としても、郵政省からのお話もございまして、ただいまユーザーのニーズにこたえるということで、ユーザー側の御希望を、またどういうものに利用したいかということを現在調査中でございます。  そのときに、公社としての考え方としましては、通信衛星としての特徴を生かしました新しい通信サービスに御利用いただくのが一番よろしいということで、一案といたしまして、高速度の通信回線を利用いたしまして、テレビ会議を行いますとか、あるいは高速のファクシミリ伝送でございますとか、高速データ伝送等の企業内のさまざまな通信が行えるようないわゆる統合ディジタル網、ただいま先生がおっしゃいましたINSのミニチュア版のようなものでございますが、そういうものとか、あるいは新聞紙面とか書類とか映像等を一個所から多数の場所へ同時に伝送できます同報通信、こういったものに衛星を御利用いただくのが衛星の特徴を生かした通信サービスではないかということで、そういうことも含めまして、ただいま利用者の方にどのくらい御利用になる予定であるとかいつごろから御利用になる予定でありますかということを調査中でございます。  それに対します料金でございますが、これは御存じのとおり実用衛星でございますので、基本的にはそれに伴います経費といいますのは回収をするようなそういう料金にせざるを得ないし、するべきである、このように考えております。これはCS2a、それからそのうちにbが上がりますので、そういうものとも総合いたしまして、また、料金といいますのは、ほかの料金もそうでございますが、ある程度数年先を見越したことで料金を設定をしておるというのが通例でございますので、そういうものもあわせまして、これは御要望の数によっても多少変わってまいりますので、御要望がまとまりましたら、それにあわせまして必要な料金を設定していきたい、こういうように考えているところでございます。
  187. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 西井総務理事のお書きになりました「制度・料金の問題の課題と取り組み」というのを私も拝見させていただきました。いまの通信衛星を使っての同報通信とか、それからいろいろ多様なサービスが提供されていくと思うのですけれども、それらに対して現在の料金制度、こういったものとの関連でどういうふうな料金制度にしていくかというようなこともちょっとこの中には書いてございます。基本料金あるいは通信料金とかそれから通信処理料とか三つに分けて書いてありますが、まだ具体的なはっきりした結論はございません。ですから、いま一生懸命勉強されているのだと思いますけれども、これから先INSというものがどういうふうなテンポでどのような需要があって進んでいくかということについても実はまだ明らかになっておらないわけでございます。電電公社が、電気通信事業というものが一体全体としてはどんな像になっていくのか、もう少しこういうものを描いて、そしてそれに向かっての建設投資というのはどのくらいあるのか、今度は拡充法がなくなってきたというようなこともありますし、資金調達についてはいろいろな問題が出てきます。それから、もっと言うならば、われわれが長年主張し、附帯決議までつけましたグループ料金制、こういった問題について一体どういうふうにしていくのか。それらの総合的な中で、資金調達というのは、これからのINSを構想して、それを達成するためには建設財源は盤石である、いささかも問題はないというような保証がわれわれにはっきり理解できるものがないのですね。そういう中での遠距離を中心にした値下げということでございますから、財政の許す限りは私たちは結構ですから、別にそれに対して反対しようとかということではなくて、さっき申し上げたようにもろ手を上げて賛成はしておるわけですけれども、行く先々までの公社の財政基盤というものを考えるといささか心配になる点もありますから、私はそんなことを申し上げているのです。いかんせんその全体像がはっきりしない。この秋ごろですか、総裁はこの前の私の質問でおっしゃっておるから、できるだけ早くわれわれに見せてもらいたいと思うのです。  そういうような点を考えて、今回の料金の引き下げということがいささかも公社財政に対して悪い影響は与えておらないし、これからやろうとする計画等についても万遺憾なくやれる、こういうことだけははっきりここで言っておいてもらいたい。できないか、できるか。
  188. 西井昭

    ○西井説明員 わが国の電話を中心といたします料金体系は、先ほどからお話が出ておりますように、近距離が諸外国に比べて安くて遠距離が高いということでございまして、これはいずれにいたしましても逐次是正をしていきたいということで、その一環として今回の法案をお願いいたしておるところでございます。御存じのとおり、公社はいろいろな月次決算その他によりまして増収それから節約を図っておりまして、今回お願いしております長距離料金の値下げを行いましても、ここ数年間は公社の経営基盤を損なうことなく実施可能であるという判断がつきましたので、この法案をお願いいたしておるところでございます。  さらに、その先のINS時代になったときにどうかということでございますが、INSと申しますのは、できるだけ安い料金で豊富な多彩な通信サービスを提供するのを目的といたしておるところでございまして、そういう時代になりますと、原価的にはますます遠近格差というのは縮まってまいるだろう、私どもは、きわめて大ざっぱでございますが、こういうふうに予測をいたしておるところでございます。  そういう意味におきましても、今回お願いしております料金改定といいますのは、将来方向と決して矛盾したものではないというふうに考えております。  それからまた、ただいま先生がおっしゃいましたいわゆる近近格差という問題につきましても、これは今後の問題として、当然のことながら十分考えてまいりたいと思っておりますが、そういうことにつきましては、この法案が通りまして実施状況を見まして、いかなる方策をとれば最も国民の期待あるいは利用者の期待にこたえることができるかということも踏まえまして、なお十分に検討してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  189. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 現行の料金体系の中でやらなければならない点は、これは遠近格差の是正もそうでしょう、それから近近格差の問題もあるでしょう。そして、われわれが公衆電気通信法審議する際にも、現在の距離別時間差法料金制度というものを国会で通すとき、できるだけ早くグループ料金制度を導入するようにしてほしいということで公社の方も了解をし、たしかこれは附帯決議もついておったと思うのですね。ですから、まずこういう問題についてどうするかということを並行的にやってもらわないと片手落ちがあるような気が私はするのです。  同時に、INS料金体系というのは一体どうなるのか。これはいまにわかに結論を出せとは言いませんけれども、公社の方で検討された結果、第一番目にこれとこれとこれ、第二段階としてはこれとこれとこれというような新しいサービスというものがいつごろやられていくのか、それに対する建設財源はどうなっていくのか、それとの見合いで料金というものをどうしていくか、こういった点も十分に考えながらやっていただぎたい、こう思うのです。  ですから、現在、当面公社経営は順調でございますし、数年間は大丈夫だ、こうおっしゃいますから、そのところは私たちもわかりますが、行く先々までの展望というものに対する配慮がどうも欠けているような気がするし、われわれの側から見て、もう少し、一歩進んで先々まで考えた上でやってもらいたいな、こういう気持ちが強くあるわけですね。その辺に対して、もう少し公社が積極的な対応をつくってもらえないものでしょうか。
  190. 西井昭

    ○西井説明員 ただいまの先生お話は、いわゆる近近格差と申しますか、単位料金区域のちょうど境目のところで、道を一つ隔てると通話料金が二倍以上に飛ぶ、こういう点の問題であろうかと思っておりますが、この矛盾点は、ただいま先生がおっしゃいましたとおり、私どももその点は十分理解しておるところでございます。それを解決する一策としまして、ただいま先生のおっしゃいましたイギリスにおきますグループ料金制を参考といたしまして、わが国にふさわしい何らかの料金体系というのを検討しているところでございますが、その際に、これはどういうふうに料金を設定するかということにもよりますが、ただいまの法体系と申しますか、そういう形で隣接あるいは場合によってはもう少し広いところまで単位料金区域に広げていくということになりますと、結局、その次のところで非常に大きな通話の殿差が出る、そういう問題もございますし、それから、そういうふうに広げますと、現在の法制でまいりますと、その中にいらっしゃいます加入者の数によりまして基本料を定めておりますので、基本料の値上がりの問題とかそういういろいろな問題もございますし、基本的には、わが国の通話料は近距離が諸外国に比べてきわめて安うございますので、そういうものも含めまして、単位料金区域を広げるときに、ただいまお話のありましたようなグループ料金制をとりますときに、その基本料の問題あるいはいかなる単位料金にするのが適当か、この辺のところについていろいろ検討いたしておるところでございます。  端的に申しますと、将来、先ほど申しましたようにINS時代になってまいりますと、総体的に遠近格差というのは縮まっていく方に料金体系として向かうべきものでございますが、そのときに公社といたしましては、区域内通話料を値上げをして長距離を大幅に下げるというのが本来的にはあるべき姿ではあろうかと思っておりますが、現実の問題として、ではどういう形でそういうふうに持っていくのが最も利用者の納得なり御理解を得られていくかということにつきましては、これは先ほど申しましたようなもう少しいろいろ検討すべき問題がございますので、ただいまそういう意味で検討しておるというのが実態でございます。
  191. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 いま大臣提案理由説明の中にもありますように、諸外国と比べてということになると近距離の通話料は安い、遠距離が高いのだ、したがって遠距離をもっと安くしていくのだ、そういう説明になっているわけですね。  それはごもっともなことなんですが、問題は、昭和五十五年の十一月十九日ですか、やめられた秋草前総裁が定例記者会見で言っておりますように、遠距離格差是正を中心に市内通話を上げていくというような料金改定の抜本改正というものを五十七年度から実施したい、こういうようなことを明らかにしていることは事実なんですよ。ですから、その後総裁がかわられておるのですが、当時の秋草総裁が表明しておりましたような、近近格差の問題を含めまして検討するということについてはまだ否定していないということでいいのですか。  総裁がおっしゃるように、将来は、INS時代になったら、鹿児島であろうと札幌であろうと、どこにいても国民は同じ料金で必要なデータをとることができるようにしなければならぬし、それが理想だ、私たちもそれは賛成だ。そういうときに、それじゃ、諸外国に比べて大変安くなっているところはそのままにしておいていいのかどうなのかということもある。ただし、私も値上げは反対ですから、グループ料金制というものを導入することによってエリアがいまの三倍なり四倍なり広がっていけば、そこで加入者にも理解してもらえるのじゃないかと私は思うのですよ。ですから、そういうことを考えながら財政基盤の確立ということを考えておかないと、いまのままでもってゼロにするんだということになると、将来は問題が起きてくるのではないかという気がするのですよ。ですから、当時の総裁がおっしゃったようなことを、どうやるかということはむずかしいとしても、思想的にはそういう考え方でやっていると理解しておっていいですか。
  192. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  ただいま先生おっしゃいましたとおりでございまして、遠い将来の究極の理想といたしましては、私どもは、技術の進歩によりまして、遠近格差のない、端的に申しますと全国均一料金に向かうのが遠い将来の理想であろうかと思っておりますが、それに至るステップといたしまして、先ほど申しましたようなことを検討しておると御理解いただきまして、基本的に先生のおっしゃいますとおりでございます。
  193. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 私は、非常に執拗にグループ料金制ということをいつもいつも主張しているのですよ。ばかの一つ覚えみたいなことで恐縮ですけれども、これは現実にイギリスへ行って見てごらんなさいよ。料金の適正化ということはそこから始まっているのですね。ですから、みんなが公平に負担をし、何もこれは政府がもうける仕事じゃありません、黒字が出るなんということがあったら、それなら料金をもっと早く下げてやればいいでしょう。そのくらいに私は思っていますけれども、ただし、もっと国民の二ーズにこたえた新しいサービスや、現状のサービスをさらによくしていくためには金がかかります。そういうために必要な建設財源というものは当然適正料金の中から生まなければならぬのでしょう。借金も必要でしょうが、それは返さなければならぬわけですから、結局収入の中から賄わなければならぬことになるわけだから、そういう意味から言いますと、経営の基盤の確立ということからいっても、イギリスのとっておるようなああいう方法がいいじゃないかと私は思っておりましたから、かなり執拗に申し上げた。距離別時間差制のときも、将来そういう方向に行きます、いまやりたいのだけれども、なかなか資料もないし、準備もありません、だからとりあえずこの距離別時間差制でやらせてくださいというのが当時の公社の答弁であり、郵政省の答弁であったわけですよ。それから何十年たったですか。さっぱりそのままになってしまって、たなざらしになっているから私は言うのですよ。だから、基本的にはグループ料金制というものを志向していけば、いま申し上げたようないろんな問題が合理化していくのですよ、適正化していくのですよ。だから、それを早くやるような方向で努力をしてほしいというのを私は強く主張しているわけですよ。もう一遍答えてください。
  194. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃるようなイギリスのグループ料金制をベースに置きまして、わが国に適当なグループ料金制を設定いたしまして、道一つ隔てたところで非常な料金格差が出るということは直していくべきである、このように私ども考えておるところでございます。
  195. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 考えていたってだめなんですね、そんなことは何十年か同じことを聞いているのだから。要するにいつやるかということを私は聞いているわけだから。どうもなまぬるい。ですから、そう思うならば、もっと早くやってもらいたいね。もうこの次はこういうことを言わせないように、このころはやりますと、これは総裁、よく聞いておっていただいてわかったと思いますから、その点を含めて検討しておいてください。  それから、総裁は、総裁に就任されて二度目かな、今度長距離電話料金を下げるので、利用者に還元するということは大賛成で、黒字になったらどんどん黒字にならないように——赤字になったら困るけれども、この仕事は収支ペイすればいいのです。黒字なんか必要ないです。だから、黒字があったらどんどんと加入者に還元するとか、従業員に還元するとか、設備投資に使うとか、そういうふうにしてもらえばいいのだけれども、何か黒字だ黒字だと言われて、それが貯金されているような錯覚を起こされて、今度は一般会計へ金を取り上げられるようなばかなことをしておったのだから、これはもう少し考えて、国民の世論の上に立って物を考えないとこういうことになると思うのですね。  そこで、今後ともどんどん値下げをするという公社総裁の記者会見の記事を見ましたが、総裁、またいつ長距離は下げるのですか。
  196. 真藤恒

    ○真藤説明員 いまの納付金のことでございますが、あれはああいう特別な法律で総額を決められて、時間も決められておりましたのが、今度繰り上げ納付ということになりましたけれども、これでもう終わりだというふうに私どもは了解いたしております。それから先のことは私どもがとやかく申し上げる問題ではございませんので、よろしくお願いいたします。
  197. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 総裁、それでなくて、それはまた後で聞きますけれども、今後とも長距離電話料金をお下げになるということを記者会見で言っておりますから、この法案がまだ通らぬうちにまた下げるということで、結構なことだけれども、いつまた下げるのですか、それを聞いたのです。
  198. 真藤恒

    ○真藤説明員 誤解いたしまして失礼いたしました。  あれは、ああいうことを申し上げましたときに、早速郵政大臣から厳重な御注意を受けております。以後慎んでおる次第でございます。
  199. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大臣が怒ったのはいつですか。これは四月二十一日の読売新聞に、総裁が二十日に会見したのが載っておるのですけれども、今後とも長距離電話料金については値下げをする、こういうように書いてあるのです。これは結構なことなんですよ。だけれども、いま一一%から三三%の法律が国会に提案されて審議されている中ですから、それだったらもっと、四〇%なり五〇%なり下げればよかったですね。国会から見ると、何だ、もう少しちゃんとしてくれなければ困るじゃないか、この法案を通したら、また来るのか、われわれ議員から見るとこういう心理が働くわけですね。ですから、後はどういうふうにしてやるのか、やるのは結構、また出せばわれわれは賛成しますからいいのですけれども、いつごろ出すのですか。
  200. 真藤恒

    ○真藤説明員 希望を申したのでございますが、私が決めてしまっているようなふうに書かれて、あれば私、迷惑いたしている記事でございます。
  201. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 だから、総裁、ちょっと言ったことがいろいろあなたの真意でないように書かれることもあると思うのですよ。ですから、言うときにはもう少し慎重に、紙にでも書いておいて言われたらいいんじゃないかと思いますよ。何かまた下げるという、これはありがたいことだけれども、さっき申し上げたような点がありますから、今後ひとつあなたの本意でないような形に記事が出ぬように十分努力をしてください。  それから、いまの納付金の問題ですけれども、これは大臣にもはっきりしておいていただきたいのですが、電電公社に対して臨時納付金ということで五十六年度から五十九年度までの四年間に毎年千二百億、合計四千八百億円を一般会計に繰り入れるという法律ができました。これは現下の国家財政の危機を救うということでありますから、われわれも全然わからないわけではないのですけれども、しかし、公社法というものは独立採算制を原則にできているものなんですね。ですから、こういう納付金があるならば、これは遠距離電話料金を下げるとか、もっとほかにサービスをよくするとか、例の料金の内訳書なんかも早くやってくれという希望があるのですから、金があったらそっちに使えばいいじゃないですか。四千八百億使って、その後でどのくらい足りなくなるか知りませんけれども、そういうふうに本来的に利用者に還元をし、そしてサービスをよくするために努力をする、労働者に還元をする、それでなおサービスをよくするための設備投資にその黒字を使っていく、この三つが合理化する場合の大原則なんですよ。もうけたものを資本家だけが取り上げたのではだめなんです。会社を大きくするためにも使ってもらう、それから一生懸命働いた労働者にも還元してやる、この三つの原則の上に立って合理化というものは進んでいくのです。  そう考えると、私はむだとは言いませんけれども、一般会計に、しかも五十八年度は五十九年度分まで前倒しをされて取られるというのです。あなたがいまちょっと言われたように、これで一切合財おしまい、決着済み——大体公社法に反してあの納付金の法案をつくったのですよ。われわれは反対しました。だが、数が少ないから、民主主義の時代だから負けちゃったんだけれども、本来的に言ったらこれは公社法の精神をじゅうりんするものだ。だから、そんなことなら独立採算制度自体が破壊されてしまうのです。そんなことやられちゃかなわぬですよ。だから、これから真っ平御免だ。逓信委員会の人たちはみんな理解しているからね、与野党。ところが、違った次元でいろいろやられてしまうものですからこれは困るわけでして、だから、総裁は真っ平御免、これでおしまい、こうはっきりおっしゃったのだが、大臣どうですか、これ。
  202. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 電電公社の利益金を特別納付金として義務づけましたのは、五十六年の財政運営の確保に要する財源についての特別措置法というものの中で決められたのでございますが、この法律の性質は、当時当面いたします財政の困窮状態の中で、俗な言葉で言えば、背に腹はかえられないということで臨時特例的な措置として行われたものだと理解をいたしておるわけでございます。本来、電電公社は、お話のように、独立採算制をとっておるわけでございまして、長期的な電電公社の財政の健全性を確保していく、また将来に向かっての投資につきましても、できるだけ金利等の負担の少ない金を使うということは大事なことでございますし、また職員に対する相応の処遇という問題もございましょう。ともかく、剰余金が出ればそれを一般会計に取るということは好ましいことではない。私は、そういう好ましくないことを行わないで済むような財政の再建が進むことを祈っておるわけでございまして、重ねてこのような納付金を取るというようなことは考えておりません。
  203. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 所管をする大臣として非常に真っ当な御意見でございまして、深く敬意を表します。ぜひ今後再びこういうことのないように、大臣としても電電公社ともどもひとつがんばっていただきたい、こういうふうに思います。特に、四千八百億円借りまして、逆に財政投融資から借金させられたんですね、ほとんど同額を。返すときには九千億になってしまうのですよ。四千億というのは全く利息で損をしちゃうのですよ。そんなばかなことをやられちゃたまりません。そういう点も含めての大臣の御答弁だと思いますから、御所信よく承りましたので、今後ぜひ再びこういうことのないように重ねてお願いをしておきます。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕  それから、五十七年度の電電公社の決算は大体判明いたしましたでしょうか。幾らの黒字になるようになりますでしょうか。
  204. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘のように、まだ決算が出ておりませんので、確定的なことは申し上げる段階ではございません。しかしながら、現在わかっている範囲で申し上げますと、まず収入面につきましては、二月末の段階で一千億余り予算に対する増収になっております。片や、支出といいますか経費の方につきましては、逆に予算に対しまして一千億を恐らく下らない節約が達成できておるのではないかと思いますが、これは二月、三月の支出が非常に流動性が多いものですからまだ確定的なものではございません。したがいまして、予算におきます収支差額、いわゆる黒字が一千八十億余り、約一千百億円でございますので、これに収支両面のプラスを加えますと、少なくとも三千二百億程度の収支差額の達成ということになるのではないかと思っておりますが、これは収入面につきましては、申すまでもないことながら利用者の方々の御利用に支えられてのことでございますし、また経費につきましては、現場の末端の職員に至るまでのかなり細々したいろいろな、いわゆる効率化施策、合理化施策の結果だというふうに考えておるわけでございます。
  205. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 正式な決算は五、六月ごろになりますか、概略がわかりました。概略でありましても、予算上の収支差額、五十七年度は千七十六億でしたね。決算の収支差額が三千百七十億。そうしますと大体二千百億ぐらい上回っておるというように考えられるのですけれども、その事業収入の増収によるものが千百億くらい、そのあと経費節約によるものというのが一千億くらいある。これは総裁の月次決算というものが威力をここへ示してきたのかもしれませんし、そうでなくても、職員全体が今日の財政危機の中でできるだけ経費の節約をしようということで大いに努力されたものだと私は思いまして、心から敬意を表するのです。  したがって、こういうふうにして黒字になってきたものを、ことし五十八年度は二千四百億取られるのですけれども、五十七年度の場合は千二百億取られておるわけでございますね。したがって、千億の経費節約によるものというのはこれは大変な成果だと私は思うのですね。このためにはかなりの努力をされてきたと思う。その割りには職員に対する待遇というものはよくないですね。さっき私が申し上げた三つのうちの一番大事な点でございますが、黒字を職員に還元すること、利用者に還元すること、そしてまた経営をしておる公社が設備投資をして、それによってさらによりよいサービスを提供していくというこの三つに分けていかなければならないと思うのですが、そのうちの一番大切な職員に対する報酬といいますか、そういうものは、どうも私たちが見まして前年よりか減っていっている。仲裁裁定は、政府並びにみんなの努力で一応基本給は上がりました。しかし、基本給とそれから旧ベースとの差額の、手当についてはこれは旧ベースでやっているでしょう。  それで、今度、午前中阿部委員からも御質問がありましたが、三公四現に対する賃金回答が〇・五%、わずか千円の回答だね。これだけの実績をつくっている職員に対して、これで総裁どうですか、申しわけないなという気がしないですか。これはできない理由はいろいろ私はよく知っておりますからね。何とかこれはもう少し考えてやらなければ、これだけ苦労した人たちが働きがいがないんじゃないですかね。一生懸命やったら、ああよかった、働けばやっぱりよくなるんだという、これがやっぱり人間の本能ですからね。労働者は単純ですよ。やっぱりちゃんと働いたときに認めてくれれば働くものなんですよ。一生懸命働いたってちっともめんどう見てくれないで、ほかの方へ金を持っていかれたんじゃ、ばからしくて仕事ができないということになるですよね。もうちょっとこれはできないものですか。  これは大臣、千円というのは一体だれか決めたのですかね、有額回答。公社の方は当事者能力がないからね。あなた、関係大臣ですからね。三公四現のうち二つ持っているのですから、その主管大臣である桧垣大臣は相当な発言力を持っておられたと思うのですけれども、千円というのは何の根拠で出したのでしょうかね。二・八一でしょう、定昇を含めて。
  206. 小山森也

    ○小山政府委員 職員に報いるべきであるというお考え、まことに傾聴に値するお考えでございますが、やはり公社は公共部門の一つでございますし、まあ法的なことをここでお答え申すのも必ずしも先生の御趣旨に沿った答えと思いませんけれども、やはり公社法の第三十条には、国家公務員とか民間事業の従業員の給与、そういったものを十分参考にして考慮されなければならないというような点、それから、現在の民間事業の従業員に対する春闘の相場というようなところと国家公務員現状というところから出たものと思っております。
  207. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 民賃準拠ということは、これは国家公務員なり公労協の賃金を決める場合の大原別の一つですね。したがって、ことしは民間賃金、大体四・四から五上がっているわけですね。平均賃金二十万円として、九千円くらいになるわけですよ。ところが国家公務員は、これから人事院勧告が出るのですが、国家公務員でも三公四現ですね、この場合については千円。民間賃金に全然準拠してないですね。そこになぜ〇・五%、千円出したかということがわからないのですね。何となくできちゃったのですか。あれはどこで決めたのですか。
  208. 小山森也

    ○小山政府委員 こういうわけでございますというふうに明確な答えができる立場にないのでございますけれども民間の賃金、たとえば鉄鋼などは定期昇給分も含めまして三・一四というようなことになっております。片方、国家公務員現状は、いろいろな事情からでございましょうけれども、先年度のいわゆる人事院勧告というのが実施されてないという、片方にはそういう事情がございます。そういたしまして、片方の鉄鋼の状態が定期昇給を含めまして三・一四というようなところから、定期昇給分プラス〇・五というようなものが引き出されてきたものと理解しているわけでございます。
  209. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それは資料のとり方が違うから、ここでやってもだめなんですが、大臣、これは当事者能力が公社にないわけですね。昔、百円だか二百円出したこともありますけれども、そんなばかなことでおさまらない。まあ、電電公社なんかの場合には、比較的交渉を重ねましてできるだけ自主交渉によって賃金を決めていくという、そういう方針に沿ってやってきておりますが、なかなかそういかないところもあるわけですね。したがって、二百円くらい出してそれでおしまい、調停送り、こういうようなことが通例だったですね。ですから、当事者能力がもしあるとするならば、当事者間で何とか交渉をさせて、経営実態から見てわが社はこれだけは出せる、それを横並びにするかどうかはこれまた政治的なことですから別としましても、各企業ごとに団交を重ねて——金のないところから取るというのは無理ですからね。そうでしょう。ですから、やはりその中で幾ら出せるかということは、当事者能力がどうあろうとも、労使間で話し合いをして、一定のところまでやらせればいいのです。それができないのです。公社に対して、出してはいかぬと言う。政府が圧力を加えてくる。したがって、公社の方では団体交渉ができない。そうして、どこかからぱっと幾らというようなことが出てきて、それで決まっていくわけですよ。ですから、それを決めるのが大体政府ですな。そういうときに、郵政大臣は関係閣僚会議というのでメンバーになっていないのですか。今度決めるような場合、どうだったのですか。
  210. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 私も公共企業体等給与関係閣僚会議の一員でございました。閣僚会議に出席をいたしました。発言もいたしたわけでございます。
  211. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大臣、どういう発言をされたのですか。
  212. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 閣僚会議の発言は、各閣僚がおればこう言ったということは慎むことになっておるようでございます。ただ、私は、その席で何を言ったかということはお許しをいただくことにいたしまして、多少御意向に逆らうようなことになるかと思いますが、公共企業体の職員の基本給は、公共企業体という独自の形態である限り、これは格差を設けるべきではないのではないかという考え方を持っておるわけでございます。企業の業績の問題については、基本給以外の手当のところで配慮が加えられるということが適切ではないかという、実は私の考えを持っておるのでございます。
  213. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは非常に重大なことであるし、大事なことでございますからね。大臣は、そうですか、そういうお考えをやはりお持ちですか。そうすると、基本給については同列、手当について見ろ、こういうことですな、あなたの考え方は。そうであれば、手当についてどれだけのものを見てやったらいいかということになるわけでしょう。そういう結論は出ておらないのじゃないでしょうか。私も、格差をつけるとかなんとかということをここではっきり言うわけではないのですけれどもね。やはり企業は企業としての実態があるわけですから、その中におって団交というものが行われて結論を出していくというのが筋ですから。もちろん、国鉄なんかの場合は、国鉄の職員が怠けておって出した赤字なら、これは問われても仕方ないですけれども、そうでなくて、やはり国会議員があっちへ線路を引け、こっちへ線路を引けと、赤字覚悟で引かしているわけですよ。一人乗っておったって動かさなければならぬでしょう。電信電話だってそういうことなんですよ。ですから、そこのところで、赤字だから賃金を上げてやらない、これはひどいことですから、それはもう最低限度引き上げるということなら私はわかりますけれども、しかし、その上に、企業努力にふさわしいような賃金体系というものを努力して、それで労使もがんばり、また企業も発展をして、そういう中でそれぞれの企業にふさわしい賃金をつくっていくということ、この基本的な考え方は普遍の考え方だと思いますよ。そう思いますがね。見解が違うならそれでもいいですけれども、私はそう思いますよ。だったら、思い切って手当を出してくださいよ。
  214. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 公共企業体の職員給与につきましては、ただいま申し上げましたように、公共企業体という性格の組織の構成員につきましては基本給は格差をつけるべきではない、業績はその他の手当のところで反映をさせていくということが一番適当なのではないか、これは私の一つの考え方でございます。ただ、給与閣僚会議におきましても、そういうことで手当についてどのような格差をつけるかというようなことは決まったわけではございませんで、これはまた、手当の支給の段階で検討が加えられる問題であるというふうに思っておるわけであります。
  215. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 質問からちょっと外れてしまったのですね。千円というのは何を基準にしたかということを私は聞いた。そうしたら、それは答えないで基本的なことをおっしゃった。それで、あなたの考え方はわかりました。しかし、その点は私は違いますからね。労使間におけるあり方というのは違いますから、これは平行線ですから、また場所をどこかかえて、逓信委員会ではふさわしくないかもしらぬので、またいずれやることにいたしますがね。  要するに、公共企業体等関係閣僚会議、閣僚の一人として、千円、〇・五%をお決めになられたわけです。それを決めるときには、民間賃金準拠、物価の動向、そういったものを考えてお決めになったと思うのだが、そこのところが一体何を基準にして千円という数字を出したのですかということを私は聞いたのです。それがここで言えないというなら仕方ないですけれどもぬ。職員が一生懸命努力しているのだから、基本給を——それは横並びでも結構ですよ。結構ですけれども、せめてもうちょっと、一コンマくらいのところまでやったらどうか。財政が許さなければ別ですけれどもね。そういうような意味で、横並び論から言えば、大臣のおっしゃることも私は理解できますよ。できますけれども、その千円という額がどこを根拠として出てきたのかということを私は聞きたかったわけですけれども、それはここで答えられないのですね。
  216. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 閣僚会議では、決まりましたのは有額回答を約束する、なるべく早く行う。国鉄、林野については、合理化計画を明示をした上で考えるということが決まっただけでございまして、千円というのは閣僚会議の席上で決まったのではございません。それぞれ所管の省におきまして、あるいはまた団体におきまして、先ほど局長が言いました公企体の給与法の規定、また現在の民間賃金の動向と、それに一般職公務員の給与の扱い等総合勘案いたしまして、定昇の上に〇・五%上乗せするということが出たわけでございまして、数字的にこういう計算の上で〇・五%上乗せしたというようなものではないわけでございまして、その説明は以上申し上げた以上にはできないわけでございます。
  217. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ちょっとつじつまが合わないのですよ。額は決めないと言っているのですが、それぞれの当事者で決めたとおっしゃるのですけれども、みんなはからずも千円という額になったわけです、〇・五%という額に。ですから、その一つの目安というものはあるいは内閣官房あたりでやったのかどうか、私はわかりませんけれども、少なくとも政府の指導によって有額回答がなされたことは事実なんです。もしそれぞれの企業であるならば、ここは五百円、ここは七百円、ここは千円。格差をつけてはいけませんよということでぴしっと閣僚会議が決めてやったとすれば、それはしょうがない、千円ということになれば千円にずっと右へならえするでしょうけれども、そういうふうにぴしっと額か何かを示さない限り、あるいは同額でなければならぬということを決めない限りは、ああいう結論が出るはずはないわけです。そこのところはどうなんですか。
  218. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 御理解をいただくだけの説明をするのはなかなかむずかしいわけでございますが、私の方は郵政職員に対する有額回答をしたわけでございますけれども、やはり担当局長のところでは、三公社四現業の左右をにらみながら私に助言をしておったようでございまして、そんなことから結果としてああいうことになったのではないかというふうに思います。
  219. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 公社には当事者能力がないということになっているのですけれども、先般の郵政省の、公企体はこうあるべきだというのを拝見したときには、当事者能力はあり、こういうふうに書いてあった。だからこうだこうだという文章を見たことがあるのです。全然ないわけでもないと思うのです。したがって、政府の方で有額回答をしなさい、額はこのくらいだよということが示されて、各企業の当局もそれぞれ労働組合側に対して一斉に出したわけです。  そこで、ちょっと総裁に伺いたいのですけれども現行公社制度の中でいろいろな隘路があります。これは私たちが長い間指摘してきたことでございまして、三十年たっても電電公社にふさわしいような体制になっていないことは事実なんです。そういう中で、質疑を申し上げているように非常な努力をされ、しかも黒字を出す、国家財政にも寄与する、加入者にも還元している。にもかかわらず、その職員というものは依然として救われていない。こういうところに、全職員の事業に対する勤労意欲といいますか、そういうものが欠けてくることは当然です。そのことのないようにわれわれはみんなで努力をしておるわけですけれども、人間である以上はばかばかしいという気だって当然にあるでしょう。ですから、電電公社としては、千円回答しなさいと政府から来たでしょう、それでもっておしまいでなくて、さらに少し、従来のような団交を重ねて、そしてできるだけ労使間で積み上げられるところは積み上げていくというようなこともなさるのですか。千円に対してどう思うのですか、総裁、今度の改定は。
  220. 真藤恒

    ○真藤説明員 現在の段階でなかなかはっきりお答えしかねる御質問でございますが、いまの具体的な環境の中ででき得る範囲のことをいま私どもやっておるわけでございますが、幸いにして職員全員の共感が得られておりますので、先ほど御説明しましたように数字がかなり変わりつつありますけれども、さて、これを現状のままでどこまで押していけるのかなという心配は深刻に私自身持っております。いま先生がおっしゃいますように、ある限度までは良心的な動きあるいは社会的な使命の動きということで続けていけると思いますけれども、もっと合理化できる可能性は明らかに目に見えておりながら、そこへ手をつけるということは現行の制度の中ではなかなか危険じゃなかろうかいなというふうな心配は多分に持っております。
  221. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 恐らく労働組合側はあの回答は非常に不満でございますから、公労委に対して調停申請をなさるでしょう。そうなりますと舞台が公労委に移るわけですね。そこで事情聴取等も行われ、最終的には委員長見解が出ますか、さらに仲裁裁定という形になっていくと思うのです。いずれにしても、これは現状にかんがみまして、公労委公労委として今後できるだけの努力を続けていくでありましょう。公労委は第三者機関の方々も入っているわけですから、労使、公益の方が入って、厳正な立場に立っていろいろな意見も出てくるでございましょう。したがって、そういう際に、たとえば電電公社とか郵政の場合についてはりっぱな成績を上げておるわけですから、そういう場所におきましてもできるだけ賃金を積み上げていくような方向に鋭意努力をしていただきたい、こういうふうに私は強く願うわけでございます。大臣、これは回答ができますか、私の趣旨に沿って。
  222. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 先ほど阿部委員にもお答えを申し上げたのでございますが、現段階ではまだ調停申請も出てない段階でございますので、それ以後のことについて言及しますのは、責任者としては行き過ぎになろうかと思うのでありますが、昨年も御案内のような経過で仲裁裁定が出されまして、郵政大臣としては仲裁裁定を尊重してもらいたいということで、微力ではございますが主張をいたしてまいったわけでございまして、その考え方には変わりはないというふうに申し上げてよろしいと思います。
  223. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それは午前中も聞きまして私も感謝しておりますが、その行きたどる道程において、仲裁という前に調停段階があるわけです。ですから、調停段階では労使が出ていろいろ主張するでしょう。それに対して第三者の公益委員がいらっしゃるわけですから、最終的な判断はそこでなさるでしょうが、やはり政府側、当局側においても、もっと低くていいということじゃないでしょう、できるだけ少しでも上げてやろうという気持ちはあると私は思うのです。ですから、そういう趣旨を十分に酌んで今後の動きをしてもらいたいということをお願いしているわけです。それがここで言いづらければいいですよ。私の方からそういう意見を強く大臣に期待しておきます。人事局長とか次官とか、そこらの辺でおやりになると思いますけれども大臣も決してこの千円で満足だと思ってないと私は思うのです。ですから、そういう意味においてできるだけの努力をしてほしい、こういうことを申し上げておるのです。  電電公社の総裁も、同じようなことですけれども、総裁、これからひとつそういう意味でできるだけ努力をして、まだ残された、これはもう調停に申請することは間違いない、きょうからあしたにかけて各組合それぞれ調停を申請します。そして、調停段階でやることになりますから、特にことしはストライキは回避して、過去のいろいろな経験を踏まえて、そして定められた道によってやろうということでおるわけですから、そういう点も十分配慮してできるだけの協力をして、努力をして、できるだけいいものをつくるようにがんばっていただきたいということを私はお願いをしておきます。  ちょっと次の問題に深く入ってしまったのですけれども、余りにも電電公社の黒字というものが働く職員の方に還元が少ないわけですから、大変時間をとって恐縮でしたが申し上げたわけでございます。  それから、この際ちょっと関連したことで伺っておきたいのですけれども、専用回線の料金の引き下げということについては、この法案が通ると当然右へならえで値下がりになりますか、どうなりますか。
  224. 信澤健夫

    信澤説明員 お答え申し上げます。  専用料金につきましては、現在提供しております専用サービスの大体六割が電話専用という事実もございます。今回の改定によって遠距離通話料の値下げを行うわけでございますけれども、それとのバランスから見て、専用料金の料金体系も通話料の料金体系とほぼ同じようにできておりますので、それに合わせて料金水準としましては遠距離料金を中心に料金改定を行うつもりでおります。その方向で具体的な料金案をつくりまして、郵政省の御指導をいただきながら認可申請をいたしたいと考えております。
  225. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それはいつごろまでにやられる御方針ですか。
  226. 信澤健夫

    信澤説明員 できるだけ通話料の料金改定と合わせまして実施をしたいと考えております。
  227. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 昭和五十五年の十一月に夜間料金の割引の拡大を実施いたしました。それから昭和五十六年八月、遠距離通話料金の引き下げ。これは五百キロ以上、下げ幅の率は一四%から一七%。それから日曜・祝日の割引制を実施する。そしてこれは五十八年七月だと聞いております、予算的に言うと。三百二十キロ、五百キロ、七百五十キロでそれぞれ一一%、二二%、三三%の引き下げをする。この五十五年十一月から五十八年までの間に三回にわたってやりました夜間料金の割引ないし遠距離の通話料の引ぎ下げ、日曜・祝祭日等の割引、こういったものを総合してみて、収支の面で実質的に損をするといいますか減収になる面は幾らになりますか。これは資料がなかったら後で結構ですから、ちょっと数字だけ調べて教えていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  228. 信澤健夫

    信澤説明員 今回の料金改定につきましては、過去の実績に基づきまして推計をいたしまして、料金の値下げによる減収額はおおむね平年度で千四百億円。しかし、一方で通話の利用増が出ると期待いたしまして、この分五百億円と見込みまして、公社の財政としては減収額は九百億円と見込んでおります。  その前の、先生いま御指摘の五十五年度、五十六年度に値下げを行ったときの実績でございますけれども、五十六年度遠距離料金の値下げ、日曜・祝日割引につきましては、おおむね両方で千百億円程度の減収になろうと推定をしておったわけでございますけれども、これが実績で大体九百億円程度の減収で済んだ、これはまあ推計でございますけれども、推定をしてございます。  それから、その前の五十五年度の夜間割引の実施のときの見込みは、これは割引時間帯をずらしたというようなこともございまして、その時間別のトラフィックの予測というものが非常に適切にしにくいということもございまして、実績としてはおおむね六百五十億円程度の減収になったと推計をしてございます。
  229. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それから、電話に事務用と住宅用とありますね。この電話の利用状況と収入状況というものはお手元にありますか。ありましたら教えてもらいたいし、なければこれは資料で後ほど出していただけば結構です。——ないですね。じゃ後でいいです。  それから、電報のことですけれども、電報の収入とそれから支出の面でどんなふうな倍率になっておりますか、ちょっと教えてもらえますか。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  230. 岩下健

    ○岩下説明員 私どものこの事業別の収支と申しますのは、予決算体系が事業別にということになっておりませんで、事業全体の収支の決算を出した後、一定の前提を置きまして設備なり要員につきまして分計をした上で事業別の収支を見る、こういう方法をとっておりますが、五十六年度の場合で申し上げますと、いまのような方法で推計した電報事業の収支は、収入が三百五十三億円に対しまして支出が一千五百二十三億円で、差し引き赤字一千百七十億円、収支の率で申しますと四三二%という状況でございます。
  231. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 電報というのは、電話が発達してきましてだんだんと利用者が減ってきていることは事実でございます。しかし、電信というものが明治三年以来果たしてきた使命というのは非常に大きいものがございます。しかも、これから電報というのが絶対にこの世の中からなくなるものではないのでございます。したがって、この公共性の強い電報なるがゆえに、非常に低料金でずっと経営してきたところに電報というのは終始赤字だということで、そこに働いている職員から見ると、一生懸命がんばっていても赤字だということで、何か後ろめたさを感ずるような気持ちでおったと思うのです。最近は超高度な合理化をやりまして、配達などにつきましてもかなり思い切った手段をとっておられるようでございます。しかし、そういうできるだけの合理化施策をやりましてもなかなかこの赤字は減っていかない。しかも、一時は「ハハシンダ」とか「チチキトク」とか電話のないところにはみんな電報で通信が行われたものでございますが、いまは電話によって全部用が足せるということですから、勢い慶弔的な方向に電報というものの利用が移行していることも事実でございます。  総裁、この加入電信あるいはデータ通信ですね、こういったものを含めて電信部門的なエリアの中でそれぞれの職員ががんばっておるわけでございますけれども、少なくとも、この赤字によって後ろめたさを感ずることのないような労務対策というものは、やはり公社としては絶えず持っておいていただきたいと思うのです。  そういう意味で、この電報に対する総裁の考え方をちょっと承っておきたいのです。これから一体これをどういうふうにしていくかですね。
  232. 真藤恒

    ○真藤説明員 電報につきましては、現状の制度を守りながら長期計画で合理化策をつくりまして、いまそれを一年一年着実に進めておる状態でございます。しかしながら、現行制度をそのまま動かさずにこれを収支バランスをとるということは非常に非現実的な問題というふうに考えざるを得ないわけでございます。いろいろな新しいファクシミリとかその他の新しいサービスもだんだん実用化されながら普及も進んでまいっておりますし、その方面とこの電報というものをどういうふうにかみ合わせながら合理化を進めていくかという勉強も現在やっておるわけでございます。それと、配達制度というものが、いままでは夜中に来れば夜中に配達するという原則で要員配置もそうなっておりますが、実際問題として、電話がだんだん普及しファクシミリなんかが普及した場合に、果たして夜中の配達要員まで持っておく必要はありや否やという問題も、今後検討しなくてはならぬ問題だというふうに考えております。それやこれやで、いまここで一番電報で大きな赤字の原因は、即時配達という待機の人件費が大きなファクターでございますので、この辺のことを何か合理化できるような制度、実行できるような制度を考え出して世の中の御了解をいただくようなことができますと、大分様子は変わってくるのは目に見えております。そういうふうなことをいまいろいろ考えておりますが、ファクシミリの普及もいま申し上げたようなものにはまだちょっと時間がかかると思いますので、これはやはり時間をかけながら問題を解決していかなくてはいかぬ問題と思っております。幸いいまこういうふうに全体的に収支バランスが整っておりますので、それの余裕のある間にこの問題を解決しておきませんと、余裕がなくなってばたばたいたしますと、また世の中に御迷惑をかけるということにもなりかねないと思いますので、いまそういうことで鋭意勉強している状態でございます。いずれそのうちに何かの具体案は皆様に御審議願う時期が来るだろうと思いますが、いま来年、再来年というふうに具体的には申し上げかねますけれども、何とか解決しなくてはならぬ問題であるということは間違いないと思います。
  233. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これはひとつ総裁に強い希望を申し上げておきますが、さっき申し上げましたような、古い歴史と伝統の中に電報事業というのは生まれ育ってきているわけですね。いまこういう時代の趨勢の中で先細りの状態にあることもこれは事実でございます。したがって、労使間におきましても十分な協議を重ねて、いかにしたらこれからお客さんが出していただく電報をより速く正確にお届けすることができるのか、こういう点を含めて、赤字とかなんとかということに余り左右されては困るわけであります。電報の赤字というのはずっと歴史を見てみれば電話の黒字で賄ってきておる。それだけ公共性の強い電報ですから料金値上げができなかったわけです。本来であれば、原価主義によってやっていけば相当な千何百億に相当するような料金にしなければ合わないわけですね。そこが公共事業なんです。そういう点を歯を食いしばってがんばってきた事業ですから、ひとつ労使間におきましても十分な話し合いをして、どうしたら残っていく電報事業というものがよりお客さんに便利に使っていただけるか、こういうことを中心に据えてやっていただきたいということを特にお願いをしておきます。  それから、ちょっと本題とそれるかもしれませんけれども、いま景気が底入れしたとか若干上向くとか言われております。石油原価五ドルの値下げというようなことで若干明るい材料も出てきたようですけれども政府としてもいまの不況を脱却するために公共事業も七割ぐらいまた上半期に前倒しをして早期に契約する、こういうことを言われているのですが、電電公社の場合も、政府の方針に基づいて、一兆六千億ですか九千億ですかちょっと忘れましたが、その建設投資については七割程度を上半期に消化していく、こういう方針でございますか。
  234. 真藤恒

    ○真藤説明員 いま政府の方針に沿いまして具体的に計画を進めておりますが、政府の御方針どおりにやっていける見込みをつけております。
  235. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 もう一つ、総裁が二十日の記者会見で、電話機のいまのレンタル制を売り渡し制に変えていく、こういう御趣旨の御発言をなさっておるように新聞で拝見しました。ここにちょっと記事がありますが、「電電公社の真藤総裁は、二十日の記者会見で、「電話の宅内機器、屋内配線は利用者の財産とすべきだ」と、近い将来、本電話機を全面的に加入者に売り渡す意向を明らかにした。電話機は現在、公社が使用料をとって貸すレンタル制。公社としては、個人の買い取りの要望も強いことなどから、近く親子電話の子電話類の売り渡し制を試験的に実施、これに引き続き、本電話機についても、来年秋をメドに、レンタル制と並行して売り渡し制をスタートさせることにしている。」こういうように言っていらっしゃるのですが、このねらいはどういうところにあるのでございましょうか。
  236. 真藤恒

    ○真藤説明員 この問題については、いま郵政ともいろいろ御指導、御協議をいただぎながら具体的な措置について話を進めておる状態でございますが、いまから先だんだん新しいサービスが出てき、新しいいわゆる端末機械が出てまいりますので、従来どおり第一電話、いわゆる黒電話を公社の財産というふうな形にしておくことが、これから先の高度情報通信なり何なりで非常に多彩化する端末機械が出てくるときに、果たして世の中に役に立つことかどうなのか、そういうものはもうそうじゃなくて、ほかの端末機械と同じように自営市場の品物として扱うようにした方がいいかどうかということが考え方の第一歩だと思いますが、そういう面から考えてみますと、電話機の値段そのものも非常に安くなりましたし、それから、自営市場に出ておる電話機も性能が非常によくなってまいりましたので、第一電話機を公社の財産として、したがって、使用料、レンタル方式としてやっていくことが意味があることかどうかということが非常に怪しくなってきているというふうに私ども考えております。したがいまして、長い間こういう制度を続けてきておりますので、木に竹を接いだようなことはもちろんできませんし、加入者によってはレンタルがいいという希望をなさる方もございましょうし、あるいはそうでない方は、買い取った方がいいのだ、そして自分の好きな電話機を町から買ってきて自由につけるようにしてもらった方がいいのだという声もだんだん強くなってきつつございますので、そういうふうなことも考慮して、全体の流れとしては、電話機、いわゆる宅内機器はそれをお使いになる方がどこからでも自由におつけになるということができるように持っていくのが、これから先の多彩化する世の中の御希望に沿う道ではなかろうかというふうにも考えております。その面に持っていくのに、じゃ、しからばどういう具体的な経過措置をとりながらというのが、いま郵政御当局といろいろ細部にわたって御相談しておるのが現状でございます。
  237. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうしますと、電話機の保守管理、これはもう電電公社の手から離れて各個人のものになってしまう、こういう解釈ですか。
  238. 真藤恒

    ○真藤説明員 現在も電電公社の手を通らずに自営市場でお買い求めになった端末機が非常にたくさん世の中にございます。総合数でいきますとそっちの方がはるかに多いのでございまして、われわれが売っているものは二割か三割程度しかないのが現状でございます。したがって、その面でいま自営市場のものの保守、メンテナンスということについて、私ども立場から見て大して問題がないのが現実の姿でございます。したがいまして、端末機械全部を自営市場に出してみましても、そのために通信の妨害とか通信性能が落ちるということは具体的に考える必要はないのじゃないかと考えております。もちろん、私どもも公平な競争原理を整えて、そして民間の自営市場の人と競争しながらこういうものを売っていきたいし、したがって、民間と競争しながらメンテナンスも進めていくということをやる方向で物を考えておるというのが実情でございます。
  239. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは最後の要望ですけれども、いま総裁おっしゃったような端末機器の保守管理の問題を含め、さらにまた本電話機の売り渡し価格等についても、総裁がおっしゃっているように、これは「何十年も使用したものなら」と、こうなっているのですが、減価償却がどうなっているか、私もまだ定かではありませんけれども、無料になるものもあるでしょうし、また有料になるものもあるでございましょう。いずれにいたしましても、要員問題も絡んでくることですから、全電通労働組合ともひとつ十分な相談をなさって、そして万遺憾ない体制の中で措置していただきたいことを強く要望しておきます。
  240. 真藤恒

    ○真藤説明員 現在レンタル制度で非常に危険な問題が一つございます。といいますのは、自営市場がどんどん伸びてまいりましたものですから、私どものものをレンタルで提供いたしておきますと、新しいより便利なものが、あるいは性能には関係ありませんけれども、趣味に沿ったいろいろな姿、形で非常にユニークなものが出てまいりますと、これはレンタルバックになりまして、いい例がプッシュボタン方式の電話、要するに事務所で使う電話なんですが、いま膨大なレンタルバックが出てまいりまして、このままほっておきますとこれは重大な問題になります。次々膨大なレンタルバックしてきたものも旧式でございますから、それをまたリセールするということはこれはほとんど不可能でございまして、そこに公社にとっては非常に危険な問題がある。そしてまた、公社がそれだけの負担をしたからといって、決して世の中の方がお喜びになる性質のものじゃございませんので、ここら辺ちょっと考え直さなければいかぬなというふうに考えております。非常に危険でございます。いまも何十万台と返ってきております。ふえる一方でございます。
  241. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま総裁のお話の中で、やはり総裁非常に偉いので細かいことまで申し上げてない点があるのじゃないかと思いますけれども、実は本電話機の問題は大きな政策問題としてまだこれから検討していかなければならない問題でございます。  それから、親子電話でございますが、これも今度はテストでございまして、それを約六カ月やってみて、本当の御利用になる方の希望、それと公社の経営との兼ね合いがどうなるかということをよく見きわめまして、その後で今度はいろいろな政策判断に移っていくということになります。  したがいまして、その間保守の問題をどうするか。いきなり、これはお買いになったものだから電電の窓口へ来ても私は知りませんということがいままでの長い歴史の上から通用するかどうかというようなことも含めて、いろいろなテストとしてやるということでございます。ただ、しかしながら、総裁もただいま申し上げておりましたように、いまレンタルバックというようなことで、技術の革新と現状との乖離ということが将来危ぶまれる状況にあることもこれまた確かでございますので、補足して御説明申し上げておきます。
  242. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 よくわかりました。どうもありがとうございました。
  243. 左藤恵

    左藤委員長 次に、竹内勝彦君。
  244. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 まず、料金の値下げの問題に関して、前回は七百五十キロメートル以上のものが遠距離通話料金の値下げということで行われたわけでございますけれども、前回に引き続いて、今度は三百二十キロメートル以上、ここにした根拠、何で三百キロはいかぬのか。  それから、いままでは七百五十キロ、五百キロと幾つかに段階が分かれていましたけれども、これを三百三十キロ以上を一応は一つのものにしたこともどういう理由なのか。その辺、国民がよくわからぬのじゃないかと思います。遠いから料金が非常にかかるのだというものと、そうでなくて、いろいろな設備が絡んでおるから、遠いとか中距離だとかあるいは近距離だとか、こういうものでそう差はないのだという論議もあるわけですから、その辺ちょっと明確にしてください。今回なぜ三百二十キロメートル以上を対象にしたのか、これをわかるように御説明いただきたいと思います。
  245. 小山森也

    ○小山政府委員 電話料金の問題は、いろいろな要素をかみ合わせて考えませんと、非常に単純な答えがなかなかむずかしいものでございます。一つの理論的な側面とか外国の事情、それから一般的にお使いになっている方たちの感情、そういったものをいろいろ経た上に、さらに学問的な一つの道筋を立てまして、お使いいただく方に御負担いただく。しかも、その結果といたしましては、現在維持しております通信の質を維持できるような形のものであること、また、さらに、将来発展するでありましょう電気通信のいろいろな施設に対する先行投資が可能な資金をそこに確保するというようなことから、いろいろ考えられるかと思います。  今回三百二十キロにしたところのゆえんでございますけれども、わが国の電話の通話料金は、外国に比べて近距離は安くなっておりまして二分の一でございますが、遠距離が二倍から三倍であるということ、いわゆる遠近格差が諸外国の例に比べて非常に極端な形になっているということから、特に遠距離通話料の引き下げについて大きな御要望がございます。したがいまして、いろいろな点からの論理的解明ということも必要であると同時に、現時点においての一つの施策といたしまして、余りにもかけ離れたような形の高い遠距離通話料というものを是正するべきである、その分岐点が大体三百二十キロメートルというところで、一応限界といいますか分岐点を見出したものですから、三百二十キロというところを目安にいたしまして料金引き下げということに踏み切ったわけでございます。
  246. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまの説明では、なぜ三百二十キロ以上になったかというものは全然わからぬのです。いままでは七百五十キロまで段階が三つになっていて、三百二十キロから五百キロまで、その次が五百キロから七百五十キロまで、それから七百五十キロ以上、こういうように三つになっておるものをここで、三百二十キロ以上はもう同じ料金でいいんだ、それで値下げした、こういう考えですが、これは何も三百二十キロじゃなくて二百四十キロでも百六十キロでもいいのじゃないですか。いまの説明ではそれはわかりませんよ。
  247. 小山森也

    ○小山政府委員 確定的なことを申し上げるといいますか、あるべき通話料金とはこうであるということをいま申し上げる段階まで明快なお答えはできない状態でございますけれども、ただ、いろいろ技術革新に伴いまして、遠距離のコストが比較的下がってきているということは総体として言える状態になっているということがございます。  あと、二百五十キロでも三百二十キロでもというお話もございましたけれども、いわゆる先進諸国、電話の普及率が非常に高い諸国との比較というところから、一応これを参考にいたしまして、現在御負担いただくところが余りにも高い段階、しかも諸外国との乖離が激しいところを是正してきた、こういうわけでございます。
  248. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では、電電公社にお伺いしておきますが、これは遠いからお金がかかるというものじゃなくて、設備の問題で、全国に一つの設備ができ上がったから、それで遠いとか近いとか中距離だとかそんなものはもう関係ないんだ、こう解釈していいですか。
  249. 信澤健夫

    信澤説明員 これから先のことを展望いたしますと、INS時代といいますか、あるいは通信衛星が非常に安く利用できるようになっていく時代を考えますと、将来的には、全国的にほぼ均一料金で電話を初めとする各種の通信が利用できるようになっていくのが一つの望ましい方向ではないかというふうに考えております。したがって、そうすぐにできることではございませんけれども、その方向に向けて遠近格差を少しずつ少しずつ縮小していくそのステップとして、いま電政局長からもお話がありましたように、遠距離の一番高いところから逐次階段の数を減らしていくようにしていくのが当面の措置としては妥当ではないかというように考えておるところでございます。  それから、先ほど先生は、三百二十キロという段階を、その距離でなくてもいいじゃないかというお話でございましたけれども、これは技術的な話で申しわけございませんが、現在の距離区分の分けてあるところを、その距離数を変えますと、たとえば三百二十キロを三百キロとか二百九十キロとかいうことにいたしますと、全局の課金装置の工事を手直しをしなければならないものでございますから、かえってコストがかかってしまうということになるので、いまの距離区分そのものについて変えることは、経営的に見て必ずしも得策ではないと考えております。
  250. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 先ほどから同僚委員からもいろいろ論議がございましたけれども、端的にお伺いしておきます。  今後の見通し、これが全国均一料金制になるのか、あるいはグループ料金制、あるいはいまのように区域内通話料とグループ料金を加味したものになるのか、あるいはまだずっと今後も同じようにこういう段階で、今回は三百二十キロ以上を一応同じにしたけれども、これまたどんどん努力していままでどおりの範囲をだんだん縮めていくのだ、この三つの考え方があると思うのです。公社としてはどんな方向で行くようにお考えでございますか。
  251. 信澤健夫

    信澤説明員 これはまだ確定的なことはお答えできないのでございますけれども、方向といたしましては、やはり現在の日本の電話料金体系の問題点は、遠距離がかなり高いということと、それから近距離部分につきまして、近距離と近距離との間の格差と申しますか、市内三分十円でかけられる地域とその隣の地域との間の格差が大きいということ、その二つが大きな問題点としてあったわけでございます。  それを、いま先生おっしゃいましたように、将来の方向として、遠距離と近距離との間の格差を少しずつ縮めていって、究極的には全国均一的な方向へ少しずつ近づけていく方法をとった場合に、やはりやり方としては、一方で遠距離の料金の階段を少しずつ減らしていくという方向と、それから、いま先生おっしゃいました近距離部分についての不均衡を少しずつ是正をしていく、両方をとっていかなければいけないだろうと思います。  そして、その近距離の部分につきましては、三分十円でかけられる、最低料金でかけられるエリアを現在よりか拡大をしながら、その単位料金については若干の手直しも必要かと思いますけれども、その部分を拡大する。先ほどの鈴木先生のときにもお話ございましたけれども、グループ料金制といったような方向を志向しながら近距離の方の料金体系については是正をする。この遠距離と近距離の両方を是正をしながら、少しずつ遠距離、近距離の間の格差を是正していくのがこれからの方向ではないかと考えております。
  252. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では、総裁、ちょっと聞いておきますが、これはグループ料金制の考え方を持っていますか。踏み切りますか。
  253. 真藤恒

    ○真藤説明員 いま営業局長からお話し申し上げたように、これはやはりある時期が来たら実行しなければならぬ問題だろうと思っております。  問題は、何を申しましても、近距離通話数とそれからの収入と、遠距離の通話数とそれからの収入が、現状では非常に不均衡になっております。通話数で近距離の三分十円の範囲内が七割近くございます。にもかかわらず収入は三割に満たないというのが現状でございまして、極端に悪口を言いますと、電電は遠距離料金でもうかっているのではないかと言われてもいたし方ない収入の構造になっております。しかも、その近距離料金が外国に比べても半分以下だというふうに非常に安いということもございます。  しかしながら、今度逆に考えますと、そういうふうに利用度の多いところを値上げするというのは、世の中に対してサービスするという意味から言いますとこれは逆現象になってまいりますので、やはりいまのままの通話区域でただ単純に値上げするということは絶対不可能だと思います。したがいまして、通話の範囲を広げながら、幾らか三分十円という単価をお考えいただく。もちろん、これから先だんだん世の中も、パーセンテージは下がっておりますが物価上昇はやはり続いていくわけでございますから、それに合わせながら、その変化よりもずっとおくれて変化させながら、通話区域を広げながら最低料金を適当なところに抑えていくということの方向だと思いますけれども、しかし、そういうことをやるにいたしましても、一番大事なことは、私どもの総経費がそういうことに耐えるように下がっていくということと、どういうふうにトータルの全体の収入がふえていくか減っていくかという収入の動きと、それからわれわれの全体の総コストの動き、これをバランスさせながらやっていきませんと事業になりませんので、この辺の兼ね合いを見ながらということでございます。  実はこの間からこれで三度目の値下げでございますけれども、今度遠距離料金をこういうふうに下げることをお願いしておりますのは、ようやく収入の伸び率と支出の伸び率が大体マイナス乖離が非常に縮まってきましたので、何とか耐え得るだろうという見込みをつけましたので、かねがねの遠距離料金が高過ぎるよという世間の御要望にこたえてこういうことをお願いしているわけでございまして、やはり私どもの総収入と総支出のバランスがどういうふうに動いているかということを見ながら持っていきませんと、下手して赤字になりますと、また財務的に公共の責任を持てなくなりますので、もっと大変な問題が出てまいりますので、その辺のバランスを見ながらということにならざるを得ないというふうに考えておりますが、さらに私ども努力いたしまして、さらにいい傾向の数字が出てくれば、その分だけ不合理な料金は合理化していくという形をとっていかざるを得ないというふうに考えております。
  254. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この問題に関して、この前昭和五十五年度、五十六年度と、夜間の問題、それから日曜・祝日、遠距離、これに関しての二度の値下げが行われたわけでございますけれども、最初の減収額の見通しと決算時におきましては、かなり価格弾性値等の調整、そういったものの変化から、もうちょっと値下げしておいてもよかったなというような結果に私ども受け取れるのですよ。  今回も、これは少しずつ値下げするというのじゃなくて、いまの考え方からいけば、これはどうでしょうか、三百二十キロまでの三百六十円、そのままですね。これが東京から考えた場合名古屋、仙台のところになるわけですが、これを三百六十円を三百円くらいまで持っていって、そして五百キロまでのが、東京—大阪間、これが三分間で四百五十円が四百円になるわけでしょう。これはほんのちょっとですよ。私、関西だから言うわけじゃないけれども、これは余りにも——福岡や札幌、六百円が四百円になるわけですから、かなり、三分の一値下げされていくという意味からいきますと、これはちょっと是正したらどうですか。たとえば四百五十円を三百五十円くらいまで持っていくとか、そしていまの三百六十円を三百円まで下げる、こういうふうにしていけばそう不公平はないと思うのですよ。これだと、もしも東京から電話した場合には、広島や福岡あるいは札幌、青森、こういったところへかける場合のものと、それから大阪、盛岡、そういったところへかけるものとは、ちょっとこれは値下げの率からいくとえらい不公平に感じるのですけれども、その辺どうですか。
  255. 信澤健夫

    信澤説明員 最初の御質問でございますけれども、五十六年、五十五年実施いたしました料金値下げの際には、値下げによってトラフィックの増がどのくらい出るかという推定をしたときに使いました価格弾性値は、マイナス〇・二ということで推定をいたしました。しかし、実際にはそれが少し強目に出たという実績がございまして、実績としては〇・四という計算値になりましたので、今度の値下げを行うに際しましては、過去に行いました値下げの結果出てきた価格弾力性といいますか、トラフィックの増加と料金値下げとの関連性、それがほぼ同じに出るというふうに期待をいたしまして、千四百億円の値下げに対して五百億のトラフィック増が出ると推計をしておるところでございます。これはかなりわれわれとしては強気の予測をしておるところでございます。  それで、先ほど総裁からも話がございましたように、この遠距離部分の料金収入に占める比率は大変に高うございまして、予測がちょっと狂いますと、大変に収入に与える影響も大きいということもございます。  それから、将来の問題としては、先生がおっしゃるとおり、少しずつさらに改定をできるだけ時期を見てしていくべきものと考えておりますので、今回の改定で、確かに見方によっては料金段階の、距離段階の切り方等については、問題といいますか、もっとやったらいいじゃないかという御意見があるのは事実でございますけれども、今回はひとつこれでまず実績をつくらせていただきたいということでございます。
  256. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一点、六十キロメートル以内の日曜・祝日、夜間の割引ですね。いままで遠いところは非常に、たとえば日曜・祝日あるいは夜間、そうなってきますと、夜間でも深夜というのですか、午後九時以降になりますと、たとえば東京—大阪間でも、ほかでもそうですけれども、約半値になりますよね。それぐらいにかなりサービスしている。いろいろ考慮に入れているというのはよくわかるのですが、もうちょっと近距離も、近距離は日曜かけようが夜間かけようが一緒なんだという考えではなくて、その辺ももうちょっと考慮に入れたらどうですか。そう大したものじゃないと思うのですがね。
  257. 信澤健夫

    信澤説明員 現在の料金体系を諸外国と比べてみますと、市内から近距離部分については諸外国に比べて一番安いという状態になっております。したがって、いま料金体系の矛盾点の中でまず手をつけるべきところはどこかというと、やはり遠距離、一番遠い部分についてできるだけの余裕を投じてそこの値下げをするというのが、当面私どものやるべき措置ではないかと考えております。  それからもう一つ、近距離の夜間割引につきましては、実はトラフィック対策上ちょっと問題がございまして、通話の一番多いところがこの近距離部分でございまして、しかも、丸の内地域はもう夜間はトラフィックがないのですけれども、近郊の住宅地域等になりますと、現在でもかなりトラフィックがふくそうしているというような状態が現出をしております。しかも、遠距離通話が安くなることによってトラフィックが非常にふえてきておるという状態もございまして、そこに近距離の値下げも重ねますと、住宅地域の局間の中継線等がとうていもたなくなるというような問題もございまして、やはりこの夜間割引の実施につきましてはちょっと慎重にやっていかなければいけないのではないかと考えております。
  258. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私ども簡単に考えるのですけれども、そうですかね。普通の日の方が近距離でも利用は多いんじゃないですか。夜間はそう多いというようにはちょっと考えられません。それから日曜・祝日ですね。ですから、そう余り利用しないようなときにむしろ安くして利用してもらうように持っていった方が、そうでなくても普通のときはもういっぱいでパンクしそうなときだってあるわけですから、そういう意味から考えても、ちょっとこの点ももう少し弾力性を持って考慮に入れた方がいいと思いますので、その点考慮に入れるかどうか、ちょっとお願いします。
  259. 信澤健夫

    信澤説明員 将来の問題といたしましては、残された中距離といいますか、遠距離の次の段階の料金を少しずつ下げていくということ、あるいは近距離の料金体系を、先ほど申しましたようなことでグループ料金制の導入というようなことも重要な要素として入れながら修正をしていくということでございまして、その間のトラフィック変動がどうなっていくかということも考えながら、夜間の割引制度などについてもやはり総合的に考えていかなければいけないことの一つだと思っております。
  260. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 次の問題に移ります。  日本の電子技術の最先端を行く研究部門として、電電公社の研究所がいろいろなところで研究をやっておられる、それには敬意を表する次第でございます。そこで、もちろん先端の技術でございますから、これを維持していく、さらにまた発展させていく、そういうものでいきますと、研究部門というものを決して怠ってはならない。これは重要な問題でございます。ましてやいま経営形態の問題がいろいろ取りざたされておる中で、やはり電電公社としての特徴はそういった面に、長期ビジョンに立って全力で研究ができるというところに一つの特徴があると思うわけです。  そこで、武蔵野電気通信研究所あるいは横須賀電気通信研究所、茨城電気通信研究所、さらにまた最近では厚木電気通信研究所がありますけれども、それぞれどんな特徴を持って行われておるわけでございますか。御説明ください。
  261. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  先ほど先生御指摘いただきましたように、私どもの研究所は、電気通信研究所といたしまして、従来からもいろいろと研究開発を進めてまいりましたし、今後も新しいINSの構築に向かって研究所が占める役割りは大変多いわけでありますが、現在通信研究所としましては四カ所に研究所を持っておりまして、一つは武蔵野にございます武蔵野研究所でございます。ここでは通信網と基礎研究等が主力でありまして、通信網、交換方式、それから電子装置の研究実用化あるいは方式、部品・材料の基礎研究並びに一般的に各研究所に共通に必要でございます工法なり特許なり技術協力、こういったことについて武蔵野研究所が担務しております。それから横須賀研究所は、通信方式と情報処理方式、情報機器に対します入出力機器等が主力でありまして、このほか衛星通信方式とかあるいは移動通信方式、画像通信、複合通信といったような研究実用化を行っております。さらに茨城研究所では、線路関係と部品・材料が主でございまして、たとえば光ファイバーの伝送線路の研究、それから部品・材料その他製造技術に関する研究実用化を行っております。なお、この四月一日に発足いたしました厚木の研究所では、大規模集積回路、超LSIでございますが、こういったものを中心として機能素子等について研究をしておるところでございます。
  262. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これらの研究所はすべて東京、関東にございますね。これは何か理由があるのですか。私、京都で、いろいろ文化、学術面でのその構想を持って、たとえばいま関西におきましては関西文化学術研究都市ということで、現在の予定では京阪奈丘陵に予定をされておりますね。そして、この文化、学術の分野の、たとえば第二国会図書館、これは初めてですね、国会図書館がいよいよ第二国会図書館として関西にできていく。そのほか各研究機関の設置などが予定されておるわけでございますし、ひとつこういう大事な、いよいよINSの構想に立ってさらに研究を強化していこう、こういう意味から、ぜひひとつ関西に、京阪奈こういう状況があるわけでございますから、ひとつ設置を検討したらどうか、こう思いますが、どうですか、お考えは。
  263. 山口開生

    ○山口説明員 先ほど申しました四研究所は、もともとは武蔵野研究所が一本でございまして、研究開発の量の増大、質の増大を伴うに従いまして分割をしていったというのがそもそもの発生の過程でございます。なお、東京周辺の方が何かと情報の収集なり、あるいは研究者同士の発表なり、あるいは人の関係等で、いま言いましたような発足過程をとったものでございますから、東京を中心に現在やっております。四研究所を集めまして約三千三百人ばかりの研究要員がいるわけでありますが、私どもとしましては、この厚木の研究所、第四研究所を四月に発足いたしまして、当面この四つの研究所で研究開発をしていけばまず大丈夫ではないかというふうに考えておりますが、先ほど先生御指摘のような話が、たとえば関西だけではなくてテクノポリスをつくるといったような構想も方々にありまして、確かに今後研究しなければならないかと思っておりますが、現在ではまだそこまでいっておりません。
  264. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 公社としては、時代の流れとしてこのINS形成への取り組みは全力で取り組んでおる。そういう中で、設備投資ですね、これに対して今後どういうような方向でなされていくのか、概略で結構でございますから御説明ください。
  265. 池沢英夫

    ○池沢説明員 お答え申し上げます。  先ほど来からお話が出ておりますディジタル技術がこのところ特に非常に進歩してまいりまして、それを利用いたしまして、電話だけでなくてファクシミリとかデータ通信、そういった電話以外の新しいサービス、こういったものもより安くより便利に御利用いただけるようになってまいったわけでございます。通信網はいまアナログということででき上がっておりますが、これのディジタル化ということは世界各国競争でやっておりまして、インフォーメーション・ネットワーク・システム、高度情報通信システムを形成していくということは、いずれにいたしましても立ちおくれないようにやっていくのが非常に大事だというふうに思っております。  具体的にはどういうふうに進めていくかということでございますけれども、いずれにいたしましても、いまの電話の通信網、ネットワーク、それも、いまでも今年ですと百十万の増設もありますし、昔入れたものが古くもなってまいりますので取りかえもいたします。そのときには、このディジタルの技術を用いたものでネットワークを組んでいくということがいずれにしても安上がりにつく、ネットワークとしても効率的に組み上がるということでございますので、まず電話網についてもディジタル化を進めていきたいというふうに考えております。こういたしますと、電話以外のサービス、これはディジタルとも親和性がございますので、これも需要が出てまいりますと、一緒に収容が可能になるということでございまして、一つのネットワークで効率的に提供をしていこうという、一石二鳥をねらっておるわけでございます。  いずれにしても、具体的には、まずは市外の幹線系を中心に光ファイバーとかディジタルの市外の交換機というものを入れてまいるわけでございます。そうやっていきますと、六十年代には県庁所在地級の都市までは早目にディジタルのネットワークで、通信網で結ばれるということに相なろうかと思います。  御案内のとおり、武蔵野・三鷹地区で、いろいろモデルシステムで御利用いただく方の御意向とか利用の仕方とかそういったいろいろな御意見を把握して、新しい電話以外のこれからのいろいろなサービスについては調査研究してまいるわけでございますが、そういったことも含めまして、ディジタル設備を導入するということにつきましては、むだのないように効率的にいまのようなやり方で進めていきたいと考えております。全体の投資額としては、先行きいろいろ検討を進めている段階でございますが、基本的には財務基盤を損なわないという考え方で、自己資金を基本としてまいりたいと考えております。
  266. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 このプロジェクトに関しては、最初はやむを得ないと思いますけれども、一部の大手業者の独占というようなことにはならないように、ぜひひとつ賢明なINS構想がきちっと国民のニーズにこたえられるような体制になっていけることを望んでおきます。  そこで、郵政省に電気通信政策の今後について伺っておきたいと思います。特にその中で、近年、電電公社、KDDの一元的運用ですね。たとえば電政懇の八一年八月の報告では、さきに回線の共同使用の拡大を図った、しかし他人使用までは無理ということから、この他人使用を認めることに対して、郵政、通産の間での回線開放、いわゆるVANは検討課題ということでございますね。そして、電電公社の改革の中でも当然今後とも検討課題ではございますけれども、ニューメディア、いわゆる多重化放送、NHKの文字多重、あるいはCATVあるいは双方向のCATVの多目的通信、それからコンピューターとテレビとを電話回線で結んだいわゆるキャプテンシステム、さらに通信衛星の位置づけ、それぞれニューメディアの境界線の問題ですね。それからまた、新しいメディアと既存メディアの関係、それに対する電電公社の対応、独占部門と競争部門がございますけれども、この複合化のサービス、そういうものに対しての位置づけ、いわゆる分野調整という問題がこれからも非常に重要になってきます。したがって、民間の技術や企業の先行等が今後ますます問題になりますけれども郵政省としてこの分野の調整というものを基本的にどう考えていくか。これをやっておかないと今後大変なことになると思うんだね。その辺の基本的な方向性だけで結構でございます、御説明ください。
  267. 小山森也

    ○小山政府委員 先生御指摘のように、最近の情報通信の技術は非常に著しく発展しておりまして、経済の枠組みのみならず人間の思考様式とか価値観も大きく変動させるのじゃないかというような可能性を秘めているわけでございまして、確かに通信政策上の大きな課題だと考えております。基本的には私ども、こういった新しい情報通信の技術というのはいわゆる頭脳的につくられた新しい資源として理解すべきものでありまして、政策の基本としては、こういったものを社会経済全般の向上に資するというような形で行政の基本点は持つべきであろう、こう考えております。  したがいまして、たとえばいま御指摘がありましたように、電電公社の一元的運用というものも、従来の基本的な電話だけでない一つの技術革新の中から出てきたいろいろな問題が一元論はどうかという議論にも発展しているわけでございます。ただ、これをどうするかというのはこれからの大きな問題だろうと思います。  それならば、その分野調整をどういうようにすべきかということでございますが、先ほど申し上げましたように、第一に、一つの枠の中にはめて統制的な形で初めから行政的な枠をはめ込んでしまうという行き方は、現在技術革新が流動的で日進月歩であるというところから、むしろ新しい資源の配分がそういった行政の方向によって固定化されてしまうおそれがある、こういうふうになってはならないと考えております。ただ、しかし、先ほども御指摘ございましたように、こういったいろいろな資源の配分ということになってまいりますと、一番大事なことは、人権の問題であるとか、通信の秘密であるとか、通信そのものの信頼性の問題、こういったものの基本だけはきちっと守るような一つの基本的な政策論を立てた上で、その枠組みの上で自由な形で新しいメディアを国民全体が自由に使えるような形に持っていくのがあるべぎ姿ではなかろうかというふうに考えております。  それでは、具体的にどうかということでございますけれども、現在明確に答えられるような形でのものが明らかになっておりません。ただ、しかし、これはなるべく早く基本政策を打ち立てて御批判を仰いで、それによりまして国民皆様方の御理解をいただいた上で一つの秩序を立てるべきであろう、こういうふうに考えております。
  268. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、時間ですのでもう一問だけ。端的によくわかるように御答弁ください。これは電電公社にお伺いしておきます。  光ファイバー、いまの御説明で、最初は同軸ケーブルで、そういうものが置きかえられていって、将来各家庭まで光ファイバーが持っていかれれば、これはここでいつも論議しているNHKや民放が抱えている難視聴の解消、たとえば、電話網を利用してコンピューターにアクセスしてテレビ受像機の画面に希望する情報を写し出すビデオテックス、これはこれからどんどん発展していく。そういうものになってくれば、いま難視聴解消だから放送衛星を打ち上げてどうだとかいう問題じゃなくて、この光ファイバーを利用すれば一切解消してしまうのじゃないか、こういうように考えるわけです。これは相当夢も入っていますけれども、その辺、どういう考え方を持っているか。それとまた、電気通信と放送の境界領域、この辺が一つの問題になってくると思います。  それから、もう一点お伺いしておきたいのは、光ファイバーを現在使われている同軸ケーブルと置きかえた場合に、単純計算でいまと同じ大きさのものを置きかえたならば光ファイバーの方は何倍のキャパシティーがあるのですか、それをお答えいただきたいと思います。
  269. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  後の方の質問から先にお答えした方がよろしいかと思いますが、いま先生おっしゃった光ファイバーケーブルを同軸ケーブルと同じ大きさに集合しましてやった場合にどのくらいの容量があるかということでございますが、簡単にいきますと、現在同軸ケーブルが一心当たり大体一センチメートル、十ミリでございます。直径がそうでございます。それで光ファイバーが、現在私ども考えておりますのが約一ミリでございます。したがいまして、直径で十分の一、そうしますと、面積に換算いたしますと大体百分の一。逆に言いますと、光ファイバーは同軸ケーブルの百倍ぐらいの容量が得られるものだと思っております。もちろんこの前提としましては、同軸ケーブルに使う伝送方式と光ファイバーに使う伝送方式、四百メガビット方式というのが現在ございますが、これを前提として計算した場合に百倍ということでございます。  なお、この光ファイバーケーブルは、今後、もう少し高速のものを開発を進めておりますが、そういうものができますと、さらにその何倍かかかっていくわけでございますが、少なくとも現在で百倍ということが目安になろうかと思っております。  それから、最初の御質問の、各家庭にまで行った場合に、たとえばCATVなりあるいは放送関係のものがこのファイバーを使ってできるではないか、こういうことでございますが、それはそのとおりだと思っております。ただ、各家庭にまで光ファイバーを引くということは、現在としましては、光ファイバーケーブル自体がまだ高うございまして、もし各家庭に配線するとしますと、各家庭で電話だけではなくて、あるいは電話とファクシミリだけ、そういう使い方ではなくて、たとえば画像とかもっと周波数の高い領域まで電話と一緒に使う、そういう家庭に引きますと、光ファイバーの方がいまの銅線より安いのでありますけれども、現在ではまだまだ光ファイバーの方が高い。多重度を上げないと光ファイバーのメリットは出てこないというのが現状でございます。したがいまして、私どもは、主として市外ケーブルに現在の同軸ケーブルのかわりに光ファイバーケーブルを引く、こういうことをやっておるわけでございます。そういうことでございますので、現在ではまだ各家庭にまで全部引いてテレビを見るということまではちょっといかないのではないかと思っております。しかし、先生おっしゃったように将来の夢として考えた場合にはあり得るものだと思っております。
  270. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もうこれで終わりますが、じゃ郵政省、いまの、夢が入っていますけれども、私はこれだけ技術がどんどん進んでいくと早いと思いますよ。  そこで、こんな、これは放送衛星を打ち上げますけれども、有限ですからね、また打ち上げなければならぬわけですね。また、それでいまの難視聴が、じゃ民放やいろいろなものを入れると全部解消するか。解消しませんよ。そういうものを入れると、これはむしろこっちでやった方が——電気通信と放送の境界というものはありますよ。その辺も、やはりこれは郵政省のお考えでできる問題ですから、どうですか、ひとつその辺の夢を含めた御回答を一言いただいて、終わりましょう。
  271. 小山森也

    ○小山政府委員 おっしゃいますように、いわゆる放送と通信の融合化というのは確かに現在もうすでにわれわれの身近にあるわけでございます。それで、技術的に申し上げますれば、いま公社の技師長が申し上げましたように、やはり一つの光ファイバーであらゆる通信、電気通信媒体を兼ねることができるということで、各家庭の夢のある生活というのができるかと思います。ただしかし、この問題は、行政は夢ばかりではなかなかできない点がございまして、それは技術的に可能であるということと、今度それを使う側の現実の社会の構成がいまどうなっているか、また、社会機能として現実にいま新聞あり出版あり放送業界あり、放送の中にもNHKあり民放あり、そのほかにCATVという難視聴のところに一つの企業として地域的な放送業務を行っているものがある。こういった状態のいまの社会構成の分布、これが一つの光ファイバーを引くことにより、またどういうふうに利用するかによっては非常に変わってしまうというところから、やはり夢を追いながら、現実の社会の構成に余り大きなインパクトを与えない形で、しかも進歩の方向に持っていくというように考えるべきだろうと思います。  先生御期待の夢とは若干違ったお話になったかと思いますが、お許しいただきたいと存じます。
  272. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  273. 左藤恵

    左藤委員長 次回は、明二十八日午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十五分散会