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1983-03-02 第98回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二日(水曜日)     午前十時八分開議  出席委員    委員長 左藤  恵君    理事 加藤常太郎君 理事 畑 英次郎君    理事 水平 豊彦君 理事 阿部喜男君    理事 鈴木  強君 理事 竹内 勝彦君    理事 西村 章三君       秋田 大助君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    佐藤 守良君       志賀  節君    丹羽 雄哉君       長谷川四郎君    福永 健司君       水野  清君    山下 徳夫君       武部  文君    米田 東吾君       大橋 敏雄君    中井  洽君       藤原ひろ子君    村上  弘君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 桧垣徳太郎君  出席政府委員         内閣官房長官 藤波 孝生君         大蔵大臣官房審         議官      岡崎  洋君         郵政大臣官房長 澤田 茂生君         郵政大臣官房経         理部長     奥山 雄材君         郵政省郵務局長 永岡 茂治君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省簡易保険         局長      魚津 茂晴君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         郵政省人事局長 奥田 量三君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   滝島 義光君         大蔵省理財局資         金第一課長   公文  宏君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     伊藤 欣士君         労働省職業安定         局雇用政策課長 稲葉  哲君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社営業局長   信澤 健夫君         日本電信電話公         社業務管理局長 神林 留雄君         日本電信電話公         社計画局長   池沢 英夫君         日本電信電話公         約経理局長   岩下  健君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   海林澣一郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   渡辺 伸一君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ───────────── 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   原 健三郎君     志賀  節君 同日  辞任         補欠選任   志賀  節君     原 健三郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  電話加入権質に関する臨時特例法の一部を改正する法律案内閣提出第五号)  電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律を廃止する法律案内閣提出第六号)  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)  逓信行政に関する件      ────◇─────
  2. 左藤恵

    左藤委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先般、郵政大臣から、非常に次元の高い所信表明をお伺いいたしました。特に大臣は、その中で、「郵政事業は、人力に依存する度合いのきわめて高い事業でありますので、事業の円滑な運営を図るためには、明るく活力に満ちた職場をつくることが必要であり、今後ともそのために積極的な努力を傾けてまいる所存であります。」きわめてごもっともな意見でございます。  その次に、「また、労使関係につきましても、相互信頼関係の樹立を基礎に、より安定した労使関係確立に努めてまいりたいと考えております。」これもきわめて当然な御所信だろうと思いますけれども、この二つのかかわり合いでございます。  私は、明るく活力に満ちた職場をつくるためには、人間関係労使関係というものが基本になければならない、これは別個のものではないのだ、そう考えるのですけれども大臣所信の中でこの二つを区別をされて述べておられますが、この辺はどういうお考えでございますか。
  4. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 所信の際にも申し上げましたように、郵政事業は、御案内のように人力依存度の大変高い事業でございます。しかも、直接国民サービス提供するという国民との接触も非常に広い分野でございますので、明るく活力に満ちた職場ということでなければ国民の負託にこたえられないというふうに思っておるわけでございまして、そのことを申し上げたわけでございますが、「また、」ということでつなぎましたのは、決して別のことという意味ではございませんで、活力に満ちた明るい職場をつくるためには、労使関係の安定した関係がきわめて重要な要素であるということを申し上げたつもりでございます。そのように御理解を賜りたいと思います。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、日本語で解釈するなら、これは「また」ではなくて「したがって」ということになるわけでございますか。
  6. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 接続語使い方がいろいろあろうかと存じますが、「したがって」と御理解をいただきましても結構でございます。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それはちょっと反対じゃないですか。「したがって」というのが本当であって、「また」というとちょっと意味が変わってくる。でなければ、私はわざわざこの問題を取り上げないのです。「また」というのと「したがって」というのは違うはずでしょう。国語の専門家はいないようですけれども、やはり「したがって」と理解をしてください、「また」は若干舌足らずでございました、そういうことになりませんか。
  8. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 その点は用語の使い方にこだわるつもりはございませんで、「したがって」と御理解を賜りたいと思います。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実は大臣、私がこの問題に特に触れたのは、昭和四十年代から五十年代の前半にかけまして、郵政労使関係というのは非常に不信感が高まりまして、そのために職場が非常に荒廃をし、利用者国民の皆さんが多くの迷惑をこうむってきたという歴史的な経過がございます。最近は労使双万の反省によって信頼関係も回復をし、労使関係が安定しつつある、こう聞いて、心から喜んでおるところですけれども、このような不幸な過去の歴史について、郵政当局はどのような反省をしておるのか。もとより私は、その相手方である労働組合の側につきましてもいろいろ承っておりますが、決議機関等において従来の方針を大きく変更しておるやに承っておりますけれども、それを受ける経営の側に立つ郵政当局はこの不幸な歴史についてどういう反省があるのだろうか、この点についてちょっとお伺いしたいのです。
  10. 奥田量三

    奥田政府委員 御指摘のとおり、特に昭和五十三年の年末から五十四年の年始にかけて、年賀郵便中心とする業務の大混乱という事態を引き起こしまして、国民の皆様に多大の御迷惑をおかけし、また、郵政事業の信用に大きな傷をつけたわけでございます。その後、先生指摘のとおり、労使ともにその経験を貴重な教訓といたしまして、二度と再びそのようなことを繰り返さないようにということで、労使関係安定正常化のための努力を積み重ねてまいったわけでございます。その過程におきまして、先生指摘のような労働組合の運動の方針についての検討もなされたわけでございますし、省側といたしましても、労使関係安定のための話し合い相互努力というものをここ数年来一つ一つ積み上げてきているという状況でございます。  つきましては、今後ともそういった関係安定確立に一層努力をいたしまして、二度と再びあのような事態を繰り返さないような、揺るぎのない労使関係をつくっていくために努力をしてまいりたいと思っている次第でございます。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いま五十三年のお話が出ましたが、これはもっと非常に根の深いものだと僕は思う。いわゆる昭和四十年代における郵政省労務政策そのもの誤りがあったのではないか。いまあなたはここで、それは誤っておりましたとなかなか言えないかもわかりません。しかし、昭和四十年代の労使関係誤りが——私は、いずれにあったということを特に言おうというわけではないのです。双方にあったと思う。双方にあったその誤りが根を引いて、最終的に非常に大きい混乱を起こしたのが昭和五十三年から五十四年にかけてであった、そう私は理解をしておるのですが、これは間違いがないですか、どうでしょうか。
  12. 奥田量三

    奥田政府委員 ただいまのお答えで、五十三年末を中心にというふうに申し上げましたが、その申しました意味は、まさに先生おっしゃいましたとおり、昭和四十年代から五十年代の初めにかけての長い間の労使関係の不幸な状況ということを私、踏まえて申し上げたわけでございまして、今日の時点において再びそのような状況に戻ってはならないというふうに深く心をいたしている次第でございます。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、少し具体的になりますが、聞くところによると、労働組合、特に全逓の側でも、郵政事業を守るために、最近は制度、政策の研究を進めて、事業に対する多くの提言を行っておると承っておりますが、こうした労働組合姿勢について、大臣はどのようにお受けとめになりますか。
  14. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 先ほども申し上げましたように、郵政事業国民のための通信サービス提供する役割りを背負っておるわけでございますので、労使ともにその事業の使命というものに徹しなければいけないと思うわけでございますから、事業改善に関する全逓等労働組合側から時宜に即した提言あるいは意見表明等がありますことは、私はそれなりに当局としても理解をし、また評価をいたしておるところでございます。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 明るい職場づくりというものは労使関係確立が基底になければならないということは私、申し上げましたが、そういう意味からも、コミュニケーションというものは非常に大事になってくるだろうと思います。したがって、従来私が考えるのに、いやこれは団体交渉事項であるとか、いやないとか、そういう入り口で不毛の議論ばかりしておって、内容についていかにあるべきかということについてはなかなか話し合いが進まないような傾向があったように見受けております。したがって、いまの大臣の御答弁にもありましたが、十分その提言を受け入れて話し合いをしていきたいということでございますから、そういうこれが団体交渉事項であるとかないとかいうような不毛の論議に時間をとるのでなく、労使が一体になって郵政事業を守る、そういう立場十分団体交渉なり話し合いコミュニケーションを続けていただきたい、これがまた国民利益を守るゆえんでもあろうと私は考えておりますが、この点については大臣、どうお考えですか。
  16. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 事業改善に関します提言なり意見という問題は、これは労使ともにいわゆる労働条件に関する交渉とは別ものであるということをよく承知をした上でのことでございますので、当局側としても十分労組側提言あるいは意見等に耳を傾けていきたいと心得ております。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先ほど来、大臣も述べておられますように、郵政事業の予算の九〇%が人件費的な性格であるという、この人手に依存しなければならない事業ですから、今後ともひとつ労使関係の安定を事業運営基本に据えて努力をしていただきたいと思っております。  では、次に、藤波官房長官、何か時間の都合もあるそうですから、少し臨調の問題について触れさせてもらいたいと思うのですが、まず郵政大臣にお伺いします。  第二次臨時行政調査会動きについては、大臣所信表明の中で触れておられます。臨調が第三次答申で、日本電信電話公社改革答申をし、郵政事業についても部会報告が発表されております。この答申あるいは報告についての大臣の所感はどうでございますか。
  18. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 御案内のように、臨調におきましては、昨年の七月三十日に電電公社経営形態改革について答申があったわけでございます。  私ども郵政行政を預かるものといたしましては、申し上げるまでもないことでございますが、電話を代表的なものといたします電気通信サービス提供ということは、これは国民生活に不可欠な役務の提供であるわけでございます。それらの問題をしかと踏まえ、また、進展をしていきます情報化社会の中で、これから多様化、高度化する通信事業というものの対応できるような体制を整えていくことが大事であるというような諸点を踏まえながら、検討を進めておるところでございますが、具体的には、昨年九月二十四日の閣議決定に基づくいわゆる行革大綱の線に沿って進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  なお、臨調第四部会郵政事業に関する報告につきましては、現在臨調内部において検討が進んでおる段階でございますので、諮問をしました政府の一員でございます閣僚として、この段階でとかくのことを申し上げることは適切でないというふうに思っておるわけでございまして、御了承を賜りたいと思います。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 臨調答申の出る前にそれぞれ各省庁に対していろいろな意見聴取があると思います。したがって、それに対してはいろいろ郵政当局としても意見を述べてこられた経過があるように私は理解しておるのですが、第四部会報告が出されました。部会報告が出たからもう何にも言うべきでないというお考えなのか、やはり郵政事業を所管する郵政省としてはこうあるべきだという意見は今後も述べ続けていかなければならないのか、その辺はどうお考えになりますか。
  20. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 御指摘のとおり、臨調の側からも各行政機関意見聴取をいたしてまいったわけでございますし、また、わが省としてもそれに応じ、場合によっては積極的に郵政事業あり方について当局としての意見を述べてきたことも事実でございます。  報告が出されたわけでございますが、なお臨調において審議中であるわけでございますので、その間、最終答申が出るまで、私ども立場としては、郵政省考え方を御理解願うべく最大の努力を続けるべきであると思っております。  詳細につきましては担当局長から申し述べさせます。
  21. 小山森也

    小山政府委員 私ども臨調に対しまして申し上げていた電気通信事業というものに対する考え方でございます。  二つ側面から私ども要望を申し上げております。  一つは、今後の情報化社会進展の中で、この情報化社会の中には私設の有線電気通信とともに非常に大事な公衆電気通信事業、こういったものがどういう役目を果たすかという側面から申し上げていることがございます。この側面につきましては、利用者の非常に多くの要望にこたえていかなければいけない。特に電気通信における急速な技術革新、これに対応する技術開発力を今後とも維持していかなければならないという点、また、データ通信とか画像通信CATV等電気通信を利用した多様ないわゆるニューメディアというものと従来の電気通信との整合性のある発展を図らなければいけないということ。それから、何といたしましても、かつての電気通信技術は必ずしも世界一というわけではございませんでしたが、いまや世界的な技術水準になっておりまして、世界の技術水準をリードするというような形になっている。そういった高度な技術によって国際的に貢献できるようなものでなければならない。こういったのが第一の側面だろうと思います。  第二の側面は、電話等基本的な電気通信サービス、これが現在の国民生活にとって不可欠な存在でございます。この点から今後とも考えなければならないことは何かということでございますが、それは、一つは、全国あまねく公平な提供を確保し得るものでなければならないということ、また、安定したサービスのためには低廉な料金で提供することであろう。また、通信の秘密やプライバシーの保護等利用者利益を確保すること。それからさらに、通信というものの性格から来ますところの通信主権というようなものの確保など、国益を確保するということにはどういう点がいいかということ。それから、電気通信網の計画的な整備によりまして、防災対策等も含めました社会基盤を図るということ。こういったいろいろな点から考えまして、さきに臨調に対していろいろな点からの私ども要望を申し上げたわけでございます。  ただ、ここでまた臨調としての考えが出たわけでございまして、従来の私ども考えとまた臨調考えというものをよくすり合わせまして、さらに私どもが、本来、かつてから申し上げている主張というものをより広い形において実現できるような方向というものを考えなければいけない。そのためには、いま申し上げました経営形態電電公社経営形態というものを、単に一事業体のみの問題としてとらえるのではなしに、社会経済全体の中で果たすべき役割りというものをもう一度この際、一つ提言というものがあったからには、これをもまたやはり十分尊重して考慮していかなければいけない、その上で方針というものは決めていくべきであろう、こう考えている次第でございます。
  22. 鴨光一郎

    鴨政府委員 第四部会報告が出されましたことは先ほど大臣からお答えがあったとおりでございますが、この内容につきまして、郵政事業、特に郵便貯金に関しまして、郵政省考えとの間にまだ隔たりがあるというふうに思われるわけでございまして、私ども、残されたわずかな期間ではございますけれども、この調査会に向けまして十分な御理解を賜りたいということで、折をとらえまして私ども考え方を申し述べさせていただいているところでございます。  その主な点を幾つか申し上げさせていただきますと、一つは、官業民業あり方についてでございますが、部会報告の中で、官業市場原理だけにゆだねておくことが適当でない分野について、民業を補完しながら役割りを果たしていくことを基本とすべきであるということになっておりますけれども、私ども国民貯蓄分野では、官業民業の補完ときめつけられないのではないか、国民利益という観点からいたしました場合には、官業民業が共存をして相互に競い合いながらサービスの充実を図ることが必要であろうというふうに考えております。  それから、金利の一元化についてでございますが、私どもといたしましては、金利決定が一元的に行われるよう制度化されるべきであるという部会報告につきましては、いわゆる三大臣合意、一昨年の秋に出されました三大臣合意で決着はつけられている、今後ともこの合意を円滑に運用をしていけば足りるというふうに考えているところでございます。  それから、定額貯金につきまして、部会では、定額貯金商品性郵便貯金シェアを拡大しているとも見られること、事業健全性を損なうおそれが大きいことからその商品性を見直すべきである、こういう御報告中身になっておりますけれども、われわれといたしましては、郵便貯金シェアを抑えるために定額貯金を見直すということはするべきではないであろう。  それから、指摘をされておりますような事業収支の面から申しましても問題はないという御説明をこれまでにもいたしてきているところでございます。また、郵便貯金を抑制するということが財投原資の減少を招くことにもなるのではないでしょうかということを、いろいろな機会に申し述べてまいっているところでございます。  なお、郵便貯金総額制限額につきましても、さしあたり引き上げることについては問題があるという御指摘をいただいておるわけでございますが、われわれといたしましては、経済情勢に応じて引き上げるべきであるという考え方を持っているところでございます。  それから、自主運用につきまして、部会報告では、郵便貯金自主運用を進めるべきであるとする意見があるが、統合運用の原則は維持する必要があるという内容になっておりますけれども、私ども郵便貯金資金国債等へ直接運用することが、経営基盤確立あるいは預金者サービスの向上のために必要であり、また、これからの金融自由化といったことを展望した場合に、ますますそういった要請が出てくるであろうというふうに考えております。  それから、外務員につきまして、全国あまねく各地に郵便局が設置されているから、外務員あり方は見直されるべきであるという部会報告でございますが、私どもはそのような見地からの見直しの必要はないというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、この四部会におきましても私ども考え方をいろいろ申し述べさせていただいてまいったわけでございますが、部会報告を受けての調査会審議が目下行われているところでございますので、私どもといたしましては、いま申し上げましたような点を中心にいたしまして、私ども考えを何とか御理解をいただきたいということで努力をいたしているところでございます。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 答申報告内容の具体的な問題については後で触れます。と申しますのは、実は官房長官の時間がないそうでございますから。  官房長官にお伺いいたしますが、臨調増税なき財政再建ということをうたい文句にいたしまして行財政改革を打ち出して、政府もまた、臨調の声は天の声であるとか、行革政治生命をかけるとかはやし立ててきたのですけれども、いまや増税なき財政再建ではなくて、財政再建なき増税ではないのか、そういう世論が国民の間に高まっていることは副長官も御承知だと思うのです。私は、いま、臨調動き国民期待している行財政改革とはまことに異質なものになって、しかも、当面する国家財政の赤字の解消とは直接的には関係のきわめて少ない、電電公社経営形態をああしろとかこうしろとか、こういうことを答申しておるというのは、まさに羊頭狗肉ではないかという気がするのですが、内閣全体としてはどういう受けとめをしていますか。
  24. 藤波孝生

    藤波政府委員 臨調におきましては、数次にわたる答申をすでに出していただきまして、また、先ほど来郵政大臣から御答弁もございましたように、最終答申に向かって作業が進められておるところでございます。土光会長中心にいたしまして、国民的な期待を背景にして非常に熱心な討議が重ねられてきておりまして、私どももその作業に対しまして深く敬意を表しておるところでございます。「増税なき財政再建」という、行政改革臨調作業の中でうたい上げられてまいりました非常に大事な理念政府といたしましても今後とも尊重をいたしまして、各方面の御期待にこたえるように行政改革作業を進めてまいりたい、このようにかたく決意をいたしておるところでございます。ともすると、増税論議がちまたに巻き起こっておるようでございますけれども、この理念を大切にいたしまして今後とも進んでまいりますことを御答弁を申し上げたいと思うのでございます。  なお、実質的な意味において、今日の段階行政あり方を全般的に問うというのが今日の臨調姿勢でございまして、またその作業中身になっておるわけでございまして、各省庁そのものの機構や施策のほかに、公共的な任務を持つ三公社や公団、事業団等特殊法人も当然改革の対象になるものと考えておるわけでございます。したがいまして、電電公社改革等につきましても、そのほかの国鉄や専売と同様にこれを改革をしていくというのは今後の重要な課題になる、それらがやはり臨調作業の中で含められて論議が重ねられてきておるということを、私どもも非常に重要に受けとめさせていただいておるところでございます。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 おっしゃるように、私はこれが行革臨調調査の対象にならないなどと思っているのではないのです。ただ、何が重点的になされなければならないかという点について、当面する国家の財政再建電電公社経営形態と一体どちらに重点が置かれるべきだろうか。たとえば、昭和五十九年度には赤字国債からの脱却とか、いろいろなことが提起されてきました。そういう問題がなおざりにされて——いま国民のだれも、昭和五十九年度に赤字国債からの脱却ができるなどと思っておる者はおりません。そういうものは棚上げにされたまま、同じ対象の中にあるからということで、別に急がなくてもいいような電電公社や専売公社経営形態の問題を先に取り上げていく、これが羊頭狗肉ではないか、こう僕は言っているのです。
  26. 藤波孝生

    藤波政府委員 先生御高承のように、今回の行政改革を目指した臨調作業につきましては、すでにその答申の中に基本理念がまとめられて発表されておるところでございますけれども、戦後発展を遂げてまいりました日本の国家社会の運営について、まさに行政の総見直しをやって、そしてより効率の高い行政確立をしていく、そのためには、いろいろな機構やいろいろな制度やあるいはいろいろな活動につきまして見直しをやって、そして八〇年代から二十一世紀に向かう行政あり方をお考えをいただくということで来ておるわけでございまして、そういう意味では、いろいろな公社改革等ももちろん含めまして、行政並びに公共的な任務を持ついろいろな事業の見直しをやるということで来ておるところでございます。必ずしも財政再建だけを目的にして行政改革をやっておるというわけではありませんでして、今日の累積をいたしております国債の数字などを考えてみましても、財政改革をぜひやっていかなければならぬということは非常に大きな臨調の目的の一つでありますし、政府もそのことを十分頭に置いてこの答申を受けとめていきたいと思っておるわけでございますけれども、そういう意味では、広く行政あり方を御検討願うということで来ておりますことを、ぜひ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 官房長官もお聞きのように、たとえば電電公社経営形態の問題について、私はいま直ちに右、左という意見を持っておりません。しかし、長年にわたってこれを所管してきた郵政省の中にも、先ほど担当局長からの答弁もありましたように、まだいろいろな疑問があることは間違いがないわけです。それを広範にわたって取り上げることに異議はありませんけれども国民の目から見るならば、いまそう急がなくてもいいもっと慎重に検討を要するような問題を取り上げて、そして国家財政再建というきわめて緊急を要する問題がなおざりにされておる、そういう点についてはどうお考えになりますかということです。
  28. 藤波孝生

    藤波政府委員 答申を求めて臨調作業をお願いをしてきておるところでございますので、いよいよ最終の取りまとめに入っております臨調作業の今日の段階で、政府としてこれに対して中身について意見を申し上げることは、この席では差し控えさせていただきたいと思うのでございますが、臨調作業の中で、行政全体の立場で個別を見る、そしてそれぞれの省庁は、個別の行政立場でこの臨調作業に対応する、こういうことで来ておると思うわけでありまして、そういう意味では、臨調からも郵政省に対していろいろ意見聴取の機会等もあったやに承っておりますし、郵政省としても意見を述べられて今日に至っておるわけでございますので、最終のまとめの中でいろいろと郵政省意見等臨調の中では十分しんしゃくされておまとめになられるのではないかと思うのでございますけれども、その中身の個別の問題について今日申し上げることは差し控えさせていただきたいと思うのでございます。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が言っているのはもっとマクロな議論なんですよ。  たとえば去年の八月ですか、閣議決定をやりましたね。その閣議決定があわてて食いついたのは電電公社改革に食いついたのであって、臨調がこれに食いつけと言ったわけではないのですよ。自民党の有力の方は、あれはメニューだというお話も僕は耳にしています。あれはメニューだから、どれを注文するかはこっちが決めるのだというお話も聞いていますが、そのメニューの中であわてて政府がなぜ電電公社改革に飛びつかなければならなかったか、これを聞いているのですよ。
  30. 藤波孝生

    藤波政府委員 行政改革につきまして臨調から受けております数次の答申につきまして、一つ一つ着実にこれを実行していくというのが政府姿勢でございまして、何か特別の意図を持って、先生のお言葉をそのまま借りれば、食らいついたということではないわけでありまして、一つ一つ臨調の精神を尊重して取り組んでいく、こういうことでございます。いずれにいたしましても、一つ一つ取り組んでいきます場合には、国会であるいは法改正等のいろいろな御審議をお願いしなければならぬ問題も多うございますし、また、国会の論議を通じてこれを実行していくという政府姿勢、一方で臨調の精神を尊重しつつ、国会のいろいろな御論議をちょうだいしながら初めて現実的に改革が進められるわけでございますので、一つ一つ着実に実行していくのだ、こういう意味でぜひ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が申し上げましたように、もっと急いで手をつけなければならない、同じ幅広い臨調答申なり報告の中で早く政府が手をつけなければならない問題はたくさんあるのではないか。そういう観点からするならば、電電公社経営形態などというものについては、もっと十分な時間をかけて、これは国民全般に、日常生活に非常に大きい影響を与える事業であるだけに、慎重を期してもらいたい。まだあれは閣議決定でございますから、これからどういう法案をおつくりになるのかわかりませんが、急がずにこういう問題はもっと慎重に扱ってもらいたいし、ほかにもっと急ぐ問題もおありになるのではないでしょうか。その辺十分な配慮をいただきたいものだというのが私の質問の趣旨ですが、どうでしょうか。
  32. 藤波孝生

    藤波政府委員 せっかく答申をいただいておることでございますので、これを実行していくにつきましては迅速かつ慎重に進めていくようにいたしたいと思いますが、そういう意味では、やはり国民期待も大きゅうございますので、ただ時間をかけるということだけではいけません。ただ急いで拙速でいいというわけではありませんでして、一つ一つ慎重に、もちろん中身についてはよく検討いたしまして進めていくようにしなければいかぬ、こんなふうに考える次第でございます。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうも議論がかみ合わぬのですが、一つ一つでいいのですよ。一つ一つでいいが、一つ一つをやる場合に、国民が大きく期待をしておるような問題を先に取り上げていく、そしてまだ慎重に検討しなければならない問題は時間を置いて検討していく。どうせ一挙に全部おやりになることはできませんよ、どんなにあなたがおっしゃっても。結局一つ一つしかいかないのです。一つ一つやる場合には、国民が待っておる、たとえば減税の問題とかそういうものを先に取り上げていって処理をしていくべきであって、そう急がないしかも慎重に検討しなければならないような内容のものは、一つ一つだから先に取り上げなくてもいいのではないでしょうか。こういう問題はもう少し慎重に扱う。急がなければならない問題はもっとたくさんある。内閣の施策としてその辺ひとつもっと配慮をしてもらえないものだろうかという気がするわけです。
  34. 藤波孝生

    藤波政府委員 御存じのように、行政改革の大綱をつくって推進していくわけでございますけれども、ずいぶんメニューが多うございまして、それらをどのようにして進めていくかというのは、これまたなかなか一つ一つ大変なことだと思っております。しかし、一つ一つこなしていかなければなりませんので、御理解を得つつ前進をさせていくようにいたしたい。ただ、その取り扱いにつきましては、どれは早くやるべきである、どれはゆっくり慎重にいくべきであるということは、なかなかこの判断は人によって意見も異なるところでございますけれども、取り組みようは先生のいまお話しになりましたような御趣旨を踏まえて取り組んでいかなければいかぬ。取り組み方はまさにそうあるべきだ、そう考える次第でございます。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まあはっきりはしませんが、私の申し上げておる趣旨は、きわめて明晰な頭脳の藤波官房長官ですからおわかりになったと思うのです。国民はいま電電公社経営形態がどうなるのかなんということに対して、それほど大きい期待も持っていないと私は思うのです。むしろ電電公社それ自体がいかにあるべきかということを考えていかなければならない問題でしょうし、また、行政も長期的な展望に立って検討しなければならない課題ではありましょう。しかし、いま国民はそのことをそれほど期待はしていない。国の財政はどうなるのだろうか、本当に赤字国債はなくなるのだろうか、そういうことの方に大きい期待を持っておるわけです。おっしゃるようにたくさんのメニューの中からよるのですから、そのより方についてはひとつ十分な注意を払って、何が国民期待かということについて配慮していただきたい、こういう意味でございますが、よろしゅうございますか。
  36. 藤波孝生

    藤波政府委員 一つ一つ着実に取り組んで、前進をさせていきたいと考えておる次第でございます。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 最後がどうもあれですね。一つ一つ取り組むのはわかっておると僕は言うのですよ。その一つ一つのメニューを選ぶのに、私が言う国民期待しておるものから先に取り上げてもらいたい。そして、検討を要するような内容のものはそう政府としてもあわてて取り上げなくてもいいのではないか、そういう姿勢でおってもらいたいということに対して、さっきもあなたの言うようなことだ、こうおっしゃっておる。いまはまた一つ一つと後戻ってしまっている。いいんでしょう。どうでしょう。
  38. 藤波孝生

    藤波政府委員 一つ一つ慎重に取り組んでいかなければいかぬということにつきましては先生のお話のとおりだ、こうお考えを申し上げたところでございます。ただ、たくさんのメニューの中でどれを先にやるか、後にやるかということは、これはいろいろ人によって意見の異なるところでございますので、やはり出されてまいりました答申に基づきまして、政府としては着実にこれを準備し、国会の御論議もお願いをしながら改革に向かって進んでいかなければいかぬ、このことを申し上げておる次第でございまして、まさに一つ一つ着実に準備をして進めていく、こういう政府姿勢をぜひ御理解いただきたいと思うのでございます。  個別の問題につきましては、これは政府全体でいろいろ閣議等でも論議をしていかなければならぬわけでございまして、当然、郵政大臣等のいろいろな御意見も踏まえて閣議全体として進んでいく、政府全体として進んでいく、こういうことになるかと思うわけでありまして、とにかく前進をさせていきたい、こういうふうに政府としては非常に思い詰めた気持ちで行政改革に取り組んでおるということを、ぜひ御理解いただきたいと思うのでございます。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうしても最後のところは議論がかみ合わないのですが、一つ一つ着実にやっていきたいということはわかっています。しかし、たくさんの答申が出るわけですから、そのメニューの中からより上げる一つ一つについては、国民的な期待要望の強いものを先にやってもらいたい。それを悪いと言うのですか、あなたは。
  40. 藤波孝生

    藤波政府委員 国民的な要望がどこにあるのかということについてはいろいろな受けとめ方があるだろうと思うのでございますけれども臨調から答申をいただきますいろいろなメニューには、大きな改革を要するものや、あるいは少し手をつけていけばそれで実際に改革されていくものや、いろいろなものがございます。それらにつきまして、どれは後でどれは先でということでなくて、答申を受けたらそれをもう真正面から受けとめて改革案をつくって、そして皆様方の御理解をいただきながら進んでいく、こういうことでなければいけませんので、どの個別の問題はゆっくりでいいということ等につきましては、この際お答えを申し上げることはぜひ控えさせていただきたい。いっぱいあるものですから、これにとにかく一つ一つ取り組んでいく。本当に何回も何回も申し上げることでございますけれども、それでなければやはり行政改革の仕事が進みませんので、その作業を着実に前進させていきたい、こういうふうに考えておりますことをぜひ御理解いただきたいと思うのでございます。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私も、ほかならぬあなたのお言葉ですからぜひ了解をしたいと思うのです。しかし、何が国民的な要望かなかなかわからぬなどとおっしゃるけれども、それを把握するのが行政府の責任なんですよ。国民要望がどこにあるかということを把握するのが行政府の責任であり、それに対して適宜適切な措置をとっていくのがあなた方のお仕事でなければなりません。いま僕の質問に対して副長官は、どこになるかわかりません。わからぬような内閣ならやめてくださいよ。わかってもらわなければ困るのです。国民的な要望はどこが強いのか、どこにあるのかということをちゃんと把握をしてやってもらいたい。そういう前提に立って、私はいま具体的に、たとえばの例ですけれども、そう急がない事項と非常にみんなが急いでおる項目があるのではないか、なるべく急いでおるものの方から先に処理をして、そう急がないでもいいようなもの、あるいは内容にいろいろ意見の違いがあるものは、時間をかけて検討してもらいたいのだ、こういう国会の中の意思をあなたはどういうふうにお考えになられますか。
  42. 藤波孝生

    藤波政府委員 何回も同じことを御答弁申し上げて大変失礼でございますけれども臨調からいただきます答申を最大限尊重いたしまして、政府としてはこれを実行に移していく、まずこういう基本姿勢行政改革に臨んでおる次第でございます。  しかし、大きな問題、大きな改革を要する問題、一つ一つには長い歴史があり、それに携わっておる人々のいろいろな取り組みようがあり、あるいは考え方がありということでございますから、これを実際に実行に移して改革をしていきますためには、いろいろな手順、手間暇のかかることは、これまた覚悟しなければならぬことだ、こう思うわけでございまして、どの問題は後でいいということはなかなか簡単には申し上げられませんけれども、おのずからその中で速やかにやらなければならぬものもあるいは少し時間をかけていかなければならぬものもあるだろう、こういうふうに思うわけでございます。一斉に手をつけてまいりますけれども、なかなか問題によっては大改革を要して時間がかかるというような問題もありましょうし、おのずからそこに早い遅いが出てくることはやむを得ないことだ、こんなふうに考えておる次第でございまして、いずれにいたしましても十分臨調答申を尊重して進んでいく、こういう姿勢でございますので、何はゆっくりでいいということになりますとなかなか、ぜひ先生の御趣旨に沿って、こう申し上げたいわけでありますけれども、いま具体的に個別の問題が先生の口から出ましたので、それはゆっくりでいいということになりますと、これは具体的にそのことがまたいろいろな影響をもたらしてもいかぬ、こう思いますので、どうか御理解をいただきたいと思うのでございます。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。僕は電電公社改革の問題を具体的な事例として取り上げたから、それは後でいいということはそれは言えない、それはわかりますが、基本的な姿勢としては僕の申し上げておる国民が早くやってもらいたいというものから手をつけていってもらいたい。そのことはいいですね。
  44. 藤波孝生

    藤波政府委員 国民が早く望んでおることについて、これはいろいろ受けとめようがあるだろうと思うのです。しかし、先生の御趣旨を十分踏まえまして、答申中身を具体的に移していく場合に十分頭に置いて進んでいくようにしなければいかぬ、こう先ほど来お答えを申し上げておるところでございます。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体わかりました。私もそれ以上こだわりませんが、私の申し上げた趣旨をひとつ十分理解をしておいていただきたいと思います。  同じく、臨調関係ですけれども、国家行政組織法を受けて郵政省設置法があり、郵政省設置法の中では、たしかその十九条だったと思うのですけれども郵政審議会というものが置かれまして、この郵政審議会の任務、目的は明らかにされております。これは郵政事業全般についていろいろなことを郵政大臣から諮問をされて答申をするというのが仕事になっておるようでございます。  ところが、同じ郵政事業を、政府が任命をして諮問をする郵政審議会とは別の臨調という機関でまた審議をする。これはまさに屋上屋を重ねるものである。たとえば審査をする対象が全然違うものなら結構です。郵便貯金はいかにあるべきかとか、郵便事業はいかにあるべきかとか、簡易保険はいかにあるべきかというような問題は、本来郵政審議会の仕事になっておるのです。そういうものではなくて、もっと大きい行政機構上の問題は郵政省が行わなければならないとかそういう問題は臨調分野に入るかもわからないけれども、本来、目的が明示されて設置されておる郵政審議会がある以上、そういう内容郵政審議会の任務の分野にまで立ち入って臨調がいろいろな意見を述べるということについては、機構上は屋上屋を重ねる、内容混乱をきわむるおそれがないのだろうか。この点はどうでしょうか。
  46. 藤波孝生

    藤波政府委員 臨調は、先ほど来お答えを申し上げておりますように、行政の制度及び運営調査審議に当たりまして、個別の行政分野につきましても、行政全体の立場に立った総合的見地から検討を行ってきておる、こういうふうに私ども理解をいたしておるところでございまして、これを臨調の権限の範囲内である、こういうふうに考える次第でございます。  また、郵政審議会が個別行政立場からいろいろ郵政事業あり方について御審議いただいているということも大変ありがたいことでございます。ただ、それぞれの省庁にはそれぞれ審議会等がございまして、いろいろと意見を寄せられ、あるいは建設的な御提案をちょうだいし、行政が円滑に前進をするように御努力をいただいてきておるところでございますけれども、今日の日本の大きな政策課題、政治課題といたしまして行政改革を推進しなければいかぬ、こういうことで臨調に御審議をお願いいたしまして作業が進められてきておるところでございますので、屋上屋を重ねるというよりも、総合的な立場臨調が個別の問題にもいろいろ意見を述べてもらうということにつきましては、これはもう個別の行政審議会等がいろいろ御心配をいただいておることと決して相反することではないというふうに考える次第でありまして、臨調の大きな役割りにつきましてぜひ御理解をいただきたい、こう考える次第でございます。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 現実にそれが一つ混乱の原因になっておることは間違いありません。  たとえば、郵政審議会の会長の土光敏夫さんと第二次臨時行政調査会の土光敏夫さんは同一人物ですか、これは違うのですか。
  48. 藤波孝生

    藤波政府委員 郵政審議会の会長の土光敏夫さんがいらっしゃいますし、臨調会長の土光敏夫さんもいらっしゃいまして、まさに一人の人物でございます。ただ、郵政審議会の会長としての土光さんは郵政審議会のメンバーの方々のいろいろな意見の集約に当たっていただいておるところであり、臨調会長の土光さんは臨調のそれぞれの作業の総まとめ役としての任に当たっていただいておる、こう考えておる次第でございます。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いまのまとめ役というのは後ほどまた一つ意見がありますが、やはり郵政審議会を代表するものは土光さんですね。第二次臨調を代表するものも土光さんです。郵政省を代表する場合には郵政大臣がおいでになるわけですから。その同じ土光さんが、こっちの意見はこうだったとか、こっちの意見はこうだったとかになる。これは土光さんが責任を持って答申をされるのです。責任を持って答申される土光さんがまるで違う意見政府答申してくるというのは、これは屋上屋を重ねた結果の矛盾であり、機構上の矛盾であるといわざるを得ぬでしょう。どうですか。
  50. 藤波孝生

    藤波政府委員 先ほど来申し上げておりますように、郵政審議会には郵政審議会のそれぞれ委員の方々がいらっしゃいまして、いろいろな御論議をいただいて、それぞれ審議会としての役割りを果たしていただいておるわけで、それを代表している土光さんがいらっしゃるわけであります。臨調の方にも大ぜいの委員やまたそれぞれ作業を推進する専門委員の方々がおられまして、それらがいろいろな意見を述べられて一つ臨調としての意見が出てくるわけでありまして、それを、まさに代表でございますから、会長でございますから、代表としての立場で土光さんの名前で答申を出されるということになりますけれども、それぞれの審議会にそれぞれの役割りがあり、それぞれの作業があって、たまたま代表者が同一人物であるということになっておるというふうに考えるわけでありまして、そこには機能、役割りの上で決して矛盾するものではない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 しかし、一般的に考えれば、意見を取りまとむるお方が、こっちではこういう取りまとめをして、こっちではこういう取りまとめをした。これはまことに矛盾なんじゃないですか。これは取りまとめをなさるお方ですよ。取りまとめをなさるお方が、こちらではこういう取りまとめをした、こちらではこういう取りまとめをした、この二つ意見の中には大変な違いがあるとするならば、それは取りまとめそのものに間違いがあるんじゃないですか。
  52. 藤波孝生

    藤波政府委員 臨調が今日の時代的な役割りを背負って作業を進めていただいておるところでございまして、恐らくこれは会長である、代表である土光さんだけでなくて、臨調作業に携わっておられる方々のお一人お一人いろいろ見てみれば、従来述べてきておられるところと臨調最終答申中身とが必ずしも一致しないというような部分は多々あるのではないだろうかということは、私もいま先生の御質疑を伺っておりまして感じたところでございますけれども、これは臨調としての作業が進められてきて最終答申としてまとめられるということで、個別の意見というのはその中でいろいろありましても、臨調全体としての答申が出てくる場合にはその全体像が集約されるということになるわけでございますので、必ずしも全部個別の意見が出てくるというわけではありませんし、そういうようなことも考えてみましても、郵政審議会には郵政審議会としてのお役割りがございますし、臨調臨調としての作業を進めてきていただいておる。たまたまその代表が土光さんということで同一人物であるということについて奇異な感じを受ける向きもございますけれども作業経過等を考えてみますと決して矛盾するものではない、このように考える次第でございます。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 土光さんとおっしゃる方も、責任者として意見を取りまとめる立場にあるのでしょう。先ほど官房長官も取りまとめという言葉を使われました。取りまとめる立場にある以上、まるきり違う意見を取りまとめるというのは、これは不見識ではないですか。やはり御本人が取りまとめる立場にある以上は、意見はほぼ同じようなものでなければならないはずで、私はみんなの意見を聞いてまとめましたというのなら、取りまとめではなくて寄せ集めたのであって、取りまとめるという以上は同じような意見が出てこなければ、同じ人が取りまとめるのですからおかしいでしょう。こっちではこういう取りまとめにしました、こっちではこういう取りまとめにしました、どっちの土光さんの言うのが本当ですか、国民から見ると。どちらの土光さんのおっしゃっているのが本当ですか、こうなりませんか。
  54. 藤波孝生

    藤波政府委員 政府のいろいろな審議会の委員等にお願いをいたします場合には、高邁な識見を持って、また人格の高潔な方を委員にお願いをするというような気持ちで御委嘱を申し上げてきておるところでございます。いま、私は取りまとめという言葉を使いましたけれども、これは当然、会長でございますから、全体を取りまとめるということ、そして会を代表するといういわば顔であるわけで、その取りまとめのためにはいろいろな御努力をいただいてきておるところである、こういうふうに考えておる次第でございますけれども郵政審議会には郵政審議会の取りまとめのいろいろ過程がありましょうし、臨調臨調としてずっと専門委員等が積み上げてまいりました御論議を、また部会報告などを受けて本委員会でいろいろ御討議をいただくということで、その結果その代表者である土光さんの名前で答申が出る、こういうことになっておるわけでございますので、何回も申し上げますけれども、どうも先生の御質問に同じことばかりお答え申し上げて大変申しわけありませんけれども、決して矛盾することではありませんで、別の役割りを持った審議会である。しかも、両方の審議会とも、政府立場に立って、十分これからどういうふうにしてそれぞれ事業を進めていったらいいか、あるいはどういうふうにして行政改革を進めていったらいいか、非常に熱心に御議論をいただき、建設的な立場に立って御論議を行い、かつ、おまとめをいただいてきておるというふうに考えておる次第でございますので、決して矛盾するものではありませんし、また、先ほど来のお話のように屋上屋を重ねるということではない、それぞれに大きな役割りがある、こういうふうに考えますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、しかし、そうなれば郵政審議会なんかはもう要らなくなってくるのではないかという気がしますね。それから、郵政審議会がある以上は、その任務の分野については臨調が立ち入ってやる必要はないのではないか。そういうことでやった結果が、国民の目から見ればまことにわかりにくい。同じ土光さんが全く違った見解を政府答申をする結果になってきておる。これはやはり機構上過ちがあったのではないか、あるいは任務の分担上過ちがあったのではないか。どうもあなたのお話では、それはおかしくないとおっしゃる。私はどう見てもこれはおかしいのですよ。では、どちらの土光さんのおっしゃっているのが本当でしょうか、こう聞かざるを得ないのですよ。国民みんなそう思うのですよ。臨調の土光さんはこうおっしゃいました、郵政審議会の土光さんはこうおっしゃいました、そこまであなたのおっしゃるようにしたとしても、それでは臨調答申が本当なのか、郵政審議会の答申が正しいのか、これだって選択に困るんじゃないですか。その臨調答申郵政審議会の答申が仮に違う結論が出た。こっちは右に行け、こっちは左に行けという結論が出た場合、政府自体だって困るのではないですか。それが明らかに私は機構上の誤りではなかったのか、まずこの点を指摘しておきます。
  56. 藤波孝生

    藤波政府委員 国民の皆様方のために郵政事業が円滑に進められるように、郵政審議会ではいろいろ御心配をいただいて御論議をいただいている。その代表者としての土光さんは、郵政事業を大切に考えて一生懸命会長のお役を務めていただいている、こう考える次第でございます。しかし同時に、今日の時代的な役割りを背負って臨調という作業が進められてきておりまして、今日行政改革をやらなければこれからの国家社会の運営について非常に大きな支障が出てくる、今日やらなければやる時期はない、こんなふうに御心配をいただいて臨調会長をお務めいただいているというこの土光さんの気持ちに、また心から私ども敬意を表しておるところでございまして、作業の過程で、郵政審議会は郵政審議会のいろいろな議論が出てきて、それが会長である土光さんの名前でまとめられる、あるいは臨調がそれぞれの部門部門でいろいろな論議が交わされて、それが臨調答申として出てくる、仮にそこに違った結論が出るといたしましても、それはそれぞれの審議会はそれぞれの審議会の大きな役割りを果たしていることであり、その代表者としての土光さんの名前によって出されるということでございますので、一見非常に矛盾しておるようでございますけれども、それぞれの審議会にはそれぞれの審議会の役割りがある、こういうふうに考えてみますれば、私は決して矛盾したものではない、こういうふうに考える次第でございます。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 やはりいま官房長官もおっしゃったように、それぞれの審議会にはそれぞれの審議会の役割りがある、私もそれを言うのですよ。役割りがあるはずだ。だから、ちゃんと郵政審議会という一定の目的を持って設置をされた審議会があるのだから、その郵政審議会の仕事の中にまで臨調が立ち入っていくから、矛盾した意見が出てきてみたり、どっちをとっていいかわからないようなことになってきたりしてくるではないか、それが機構上の誤りだ。だから、もっと大所高所から臨調が物を見た、そのことを私は何も否定するものではありません。しかし、本来郵政審議会がやる仕事の中にまで立ち入ってきたからこんな矛盾が生まれてきたんだ、これが機構上の矛盾だから、おっしゃるようにそれぞれの審議会の任務を明確にしなかったところに間違いがある、そうなりませんか。
  58. 藤波孝生

    藤波政府委員 阿部委員と宮澤官房長官との間でも、かつていろいろな御論議があったということも私ども承っておりまして、臨調とそれぞれの省庁行政あるいはそれをいろいろ御審議いただく審議会との関係であるとか等につきましても、政府全体としても従来も十分考えてきたところでございます。しかし、個別の行政審議をお願いをしております郵政審議会でも、もちろん国全体のことを考えてくださっていると思いますけれども、とにかく行政分野からいきますと、個別の郵政という分野の問題について御審議をいただいておるわけでございまして、そういった例は各省庁にいっぱいあるわけでございます。それぞれが各省庁審議会等を持っておりまして、いろいろな御議論をちょうだいをしながら一生懸命がんばってきておる、こういうことできておるところを、臨調ということで、今日の時代的役割りにかんがみまして臨調という組織を出発をさせて、個別個別の行政分野で御心配いただいている審議会の意見とのいろいろな問題もありましょうけれども、総合的な立場で日本の行政全体を見る、そこから個別の問題も見てみるという作業臨調の場合にはしていただいておるわけでございますので、そこで、個々の答申と個別の審議会との意見の食い違いが少し出ることもまたあり得るかと、こんなふうに考える次第でございます。全部審議会の御意見を聞いて臨調作業が進められるというわけではないでしょうし、いろいろ頭にはあるのでしょうけれども、全部それらを網羅されるというわけにもいきませんでしょうし、場合によっては違った意見、違った結論が出ることもございましょう。しかし、それぞれ出てくる答申につきましては、これを一つ一つ実行していくのは政府全体で取り組んでいくことになるわけでございまして、たとえば郵政事業の場合に、郵政大臣も御参加になっておられる閣議で一つ一つ決めていく、政府全体としての方針を決めていく、こういうことでいくわけでございますので、もし答申の中で個別の審議会と意見が食い違うというようなことがございましても、それらを十分頭に置いて、実行に移していく段階で閣議でそれらの意見も十分踏まえて、実際に現実的な改革に取り組んでいく、こういうことになるかと思いますので、決して矛盾するのではなしに、実行していく中でそれらを十分かみしめていくようにしなければいかぬ、こなしていくようにしなければいかぬ、こんなふうに考えている次第でございます。  もともと行政改革という仕事を断行していくということがやはり大変な事業だというふうに考えております。しかし、それらは十分大乗的な立場で、大所高所から行政全体を見ながら個別の問題についても意見を述べていることについては、個々の審議会のメンバーの方々も十分御理解を得ておるのではないかというふうに考えておる次第でございますので、今後ともそれらの意見を十分調整をしながら、個々の審議会の御意見等も頭に置いて実行に移していくということで、ぜひ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、やはり官房長官がおっしゃったように、それぞれの任務があって審議会がつくられておるのですから、それぞれの任務を明確にしなかったというところにどうも混乱があるように思います。  大体私が質問すれば郵政大臣答弁はこう言うだろうということはわかっていますが、大臣郵政審議会の答申大臣にとっては非常に貴重な答申ですね。それで、いま官房長官がおっしゃるように、臨調答申もまた貴重な答申であり、部会報告も貴重なものであるはずです。その場合に、片方は右に行けと言い、片方は左に行けと言った場合、大臣は一体どうなさいますか。(「足して二で割るか」と呼ぶ者あり)
  60. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 大変むずかしい御質問でございますが、私ども政府の一員といたしましては、臨調答申も最大限尊重するということは明らかにしておるわけでございますから最大限に尊重する。また、郵政審議会は私の諮問に対してこういう運営をせよという指針を示されるわけでございます。これまた同様に最大限の尊重をしなければならぬと私は思っておるわけであります。  最終答申をいただきませんうちにどうこうと言えないわけでございますが、そのような答申が出そろいました際には、私は、一つは、基本的にわが国の行政は民主的な議会政治のもとに行われる行政であるという基本認識を持たなければいけないというふうに思うわけでございます。したがって、双方答申が出ました場合に、それは尊重すべき重要な答申でございますが、関係方面の意見というものも大事なことでございますので、それらを伺いながら、国民的な立場に立って郵政大臣としては最終の判断をせざるを得ないというふうに思っておるわけでございます。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体そうおっしゃるだろうと思っておったのですが、それはきわめて抽象的で、私の質問に対するお答えにはなっていないのです。道は二つある。片方は右がいいですよ、こうおっしゃった。片方は左がいいですよ、こうおっしゃった。水平先生の言葉で足して二で割れ、真ん中へ行けと言うのだけれども、真ん中は道がないのですよ、右か左しかぬ。そのときにどうなさいますか、こういうことになるのですよ、本当は。しかし、これはそう詰めてみてもそれはどっちをどうしますとはいまここでは大臣もおっしゃられないでしょうから、それはもうそれ以上詰めませんが、そういう矛盾をはらんでおるということについて、これは政府全体として考えてもらわなければならないと思うのですよ。  それからその次に、官房長官にもう一問聞きますが、第二臨調の第四部会長、加藤先生とおっしゃる方のようでございます。これはこの前、私は宮澤官房長官にも申し上げたのですが、この方が実は、この第四部会部会長で取りまとめをなさる前、さっきあなたがおっしゃる取りまとめをなさる前に、すでに新聞広告、意見広告ですね、大新聞の意見広告に郵便貯金あり方等について予断を持って掲誠をしておるのです。私は学者が意見を発表することをとめようとか不都合だとか思いません。しかし、いやしくも臨調の第四部会長で意見の取りまとめをなさるお方が、事前に予断を持って意見広告をお出しになる、こういう方が取りまとめの役に当たって適当なのだろうかということを、私は宮澤さんに質問したことがあります。その後やはりおかわりにならずに取りまとめをなさって、しかも、その報告内容はまさに意見広告に出された加藤さんの主張と全く同じような内容のものになってきておる。とれは、私は、政府が任命に当たって人選を誤り、なおそれを直そうという意思がなかった結果こういうことになったのではないかという気がするのですが、私は、あのとき宮澤さんに、かえる方がいいのではないかということを申し上げたし、また、御本人が辞退してくれればなおいいと思いまして、そういうことも申し上げたのですが、そうならなかったようですけれども、こういう事態について、任命のあり方をどうお考えになりますか。
  62. 藤波孝生

    藤波政府委員 まず手続から言いますと、部会長をだれにするかというのはたしか会長の指名であるか、こういうふうに思いますので、これはまさに会長がそう判断なさったということかと思いまして、そのことはまず御理解を得たいと思います。  専門委員等をお願いをいたします場合には、やはりさっきも申し上げましたけれども、非常に広い視野を持って、高い識見を持って、この国家社会をどう運営していったらいいか、その中で行政はどういう役割りを果たすべきかといったことについて思いをいたしておる方であってほしいと思いますし、また、人格円満な各方面の尊敬を集めておられるような方で御論議をいただくというふうなことを考えて、委員あるいは専門委員をお願いをしてきておるところでございます。その特別な役割りを持った部会におきまして、部会のお取りまとめ役としてだれが適任であるかということについて、会長が御判断なさって加藤さんにお願いをされたものではないかというふうに考える次第でございまして、先ほど土光さんの問題についても出ましたように、一つの機関の役割りがありまして、それを代表する責任者といいましょうか代表者といいましょうか、そのお取りまとめ役としてだれが適任であるかということの判断、こういうことで、むしろ重点はそれぞれの役割りを持った機関、組織というものがどういう論議をしていくかということでありまして、必ずしも一人の委員によって全体が影響を受けるということではありませんでしょうし、部会としてお取りまとめになられました意見は、さらに調査会の全体の中で討議が重ねられることになっておるように承っておりますので、必ずしも部会報告そのものが調査会答申になるというふうにも限っておらぬわけでございますので、その辺についても、個人のいろいろな発言、お考えと機関の役割りというものとをぜひ分けて考えていただきませんと、考え方を誤るのではないかというふうにむしろ考える次第でございまして、深い御理解をいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 非常に高い識見を持ったお方が臨調委員に任命をされておる、そのことは私は間違いないだろうとは思いますけれども、きわめて主観的なんですね。何を基準に、この人は非常に高い識見を持っておるかなどということはきわめて主観的な問題ですよ。国会が曲がりなりにも——曲がりなりにもと言ったらまたしかられますが、われわれは国民の信頼を得て選ばれた議員なんです。少なくとも六万何千という人がおまえに国政を任せるというて出されておるのですよ。その国会で私が、不適任ではないのかということを質問をした。しかしどうにもならないということは、政府としては、国会の議論よりも臨調がもっと高いところにある、臨調にはわれわれは何にも言えないのだ、そういう認識があるのじゃないですか。国会でこういう議論があった、あなたはどうしてこれを伝えますかと僕は宮澤さんに言ったのです。そうしたら宮澤さんが、会議録を持っていって読んでもらいますと言ったのですよ。会議録を持っていって読んでもらって、それに対する何らの反応がない。官房長官も知っておることですよ。それは、政府自体が国会を軽視しておって、臨調は特別な人が集まっておる、国会議員などというのは適当な人間が集まっておる、こうお考えになっておるのではなかろうか。もしそうであるとするならば、これは大変な間違いだと私は思うのです。なぜならば、識見が高いとかいうのは主観の問題であって、片方は国民から国政を負託されて出てきておるのですから、その意見が尊重されなければならないのに、国会の議論なんかけつ食らえ、臨調様々、そういう姿勢政府に見え見えですよ。何でも臨調の陰に隠れていればそれでいいのだ、そういう姿勢が本当に見え見えです。さっきからの御答弁も、なるほど臨調意見を尊重するとか、一つ一つ実行していきます、そう言うけれども、本当の腹の中は、とにかく臨調のそでに隠れておりさえすればけがをせぬで済むだろう、悪いことをするときはこの陰が一番いい、こうなっておるのじゃないですか。
  64. 藤波孝生

    藤波政府委員 行政改革を実際に推進をしてまいりますためには、先生いまお話しがございましたように、国権の最高機関である国会の御議論というのが最も大事であり、かつその御協力がなければ政府の施策などというものは一歩も前進しないものだというのは先生御高承のところでございます。  私も議事録を読ませていただきまして、宮澤官房長官が、この議事録を持っていって臨調によく説明する、こういうふうに記録にとどまっておりまして、私の尊敬する宮澤さんのことでございますから必ずそのようになさったと思いますし、また、そういう御議論をいただいてきたから、具体的に加藤部会長が交代するということにはならなかったとしても、加藤部会長の部会運営についていろいろと配慮して進んでおられるのではないか、こういうふうに想像するわけでございまして、決して国会を軽視しておるわけではありません。国会は国会の御議論をちょうだいをし、そして大所高所から御指導をいただく、臨調臨調でがんばっていただくというようなことで、一つ一つ一緒に行政改革に取り組んでいかなければいかぬ、こう考えておる次第でございますので、どうぞ御理解を賜りますようにお願いをいたします。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 部会長だから部会長の言うままになるということはないだろうと私も思います。しかし同時に、部会長の発言というのはかなり強いウエートを持つだろうということも想像にかたくありません。そういうことを勘案すれば、今後もし政府としてこの種の審議会なり委員の任命をなさるような場合があるならば、事前に十分調査をしていただいて任命に当たっていただきたい。これで終わります。よければあなた帰ってください。
  66. 藤波孝生

    藤波政府委員 一つ一つの問題につきましては、いろいろな立場考え方があり、いろいろな利害がふくそうしているというふうに思います。それを取りまとめといいますか、一つ方針を打ち出していくのが、やはり国民の全体の御意見を踏まえた政府姿勢でなければいかぬ、こういうふうに思う次第でございまして、いろいろの審議会の委員の方等の人選等につきましては、公平にこれらのいろいろな立場国民の御意見を踏まえて御論議をいただくというようなことを念頭に置いて進んでいくようにしなければいかぬ、こう考える次第でございます。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、お忙しいようですからどうぞお帰りになってください。  それでは、次の質問に移りますが、少し具体的に質問をさせてもらいます。  第二部会報告に係る郵政省の内部部局の再編についていろいろな報告が出されておるようでございます。たとえば、電気通信政策局のほかに何か電気通信振興局とか電波振興局というようなものを設けて三局制度にしたらどうかとか、人事局を格下げして人事部にしたらどうかとか、そういう報告のようですけれども、これについては郵政省としてどうお考えになっていますか。
  68. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 臨調の第二部会で昨年の暮れ、十二月二十八日でございましたが、行政組織についてのいろいろな提言報告として出されておりまして、郵政省関係といたしまして、第二部会関係では、現在ございます電波監理局、それから電気通信政策局、これを再編成いたしまして、今後の新しい電気通信行政の推進のために、仮称ではございますが、新しい電気通信政策局、総合的な有無線を相通じた電気通信政策の企画というものにポイントを置いた局、それから放送振興局、それから電気通信振興局でございましたか、仮称、そういった三局、そのほかに中に部を二つほど置くというようなことが提言をされております。なお、スクラップ・アンド・ビルド、行政機構の膨張を行わない範囲においてということで、郵政省の内部部局としての人事局、これを人事部にするというものが提言をされているところでございます。  私どもは、新しいこれからの電気通信政策あり方というものを見た場合に、これは郵政省の中にもいろいろなかねてからも議論が進められてきたところでございますが、有線無線というような古くからのメディアによる分け方でいいのか、これを通じた行政あり方考えていかなければならないのではないかというようなこと、こういうことを踏まえまして、電気通信政策局、監理官制度から政策局に脱皮をしたということもございますので、そういった方向、今後の電気通信を展望した中でのあり方としては、行政推進という意味においては一つの方向であろうというふうに私どもは感じておるところでございますが、なお、全体の組織が膨張しないという範囲内において人事局の問題に触れておられるわけでありますけれども、この点については、私どもも人事局の存在意義というものについては十分承知もいたしておりますし、今後の展望をいたしましてもその局の重要性というものについてはるる説明もしてまいっておるところでございます。  いずれにいたしましても、それぞれの所管行政事務、今後の展望あるいは事業の効率的な運営についての今後の課題、あるいはそれに対する郵政省の取り組みというようなことについて、臨調の場においてあるいは個々の臨調関係の諸先生方に私どもとしても十分説明をしてまいってきたつもりでございます。  なお、より行革の趣旨というものを踏まえて、新しい行政体制あるいは事業運営体制にふさわしい組織についての御審議、御提案がなされることを期待いたしているというところでございます。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私がいま直ちにこれはいいとか悪いとか、そういうことを言う気持ちはないのです。大臣もおっしゃっていましたが、たとえば、郵政省のお仕事の中で人手に頼る分野が非常に大きいのだ、それだけに、人事の管理といいましょうか、そういう面で人事局というのは非常に大切な局ではないのだろうかという気がします。しかし、郵政省全体を運営する中で、たとえ人事局が部に格下げされようとも、なお電波振興局とかいうものをつくった方がいいのだということであれば、特段反対しようとは思わないのですけれども、どうも私は、これが臨調が何かやったという形を残すための機構いじりにすぎないのではないかという気がしてならないのですよ。臨調が何もやらなかったらかっこうが悪いから、郵政省の機構をこう変えたということで、何か仕事をしたような印象を与える、そのためにこういう機構いじりが出てきておるのではないか。必要であるならば、私は一つ局をふやすということも臨調全体の中ではあっていいし、また二つ局を減らすことも臨調全体の中であっていいのではないか。一つふやすから一つ減らす、こういう発想がどうも私は機構いじりにすぎないのではないかという気がしますので、この点については、大臣、そういう意味であるならば、私は余り機構をいじる必要はないという気がしますし、人事局というのはかなり大切ではないかという気もいたしますので、私の考えをちょっと述べておきます。  続いてですが、地方出先機関の整理統合で、特に信越並びに北陸の電波監理局の統廃合が答申をされておるのですね。これはどういうふうにお考えになりますか。
  70. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 同じ昨年の暮れの十二月末に、臨調の第二部会と第三部会の合同部会で地方機関のあり方についていろいろ検討が進められ、報告が出されたわけでございまして、郵政省関係といたしまして、ただいま御指摘をいただきました地方電波監理局の再編成というのが提言をされておるところでございます。  行政機関、各ブロック機関をすべて八ブロックにするという原則が出されまして、地方電波監理局全国十ブロックでございますが、このうち二つ、北陸それから信越を隣接の地方電波監理局に統合をするということでございまして、これにつきましても現在臨調でいろいろ御審議はされている段階でございます。私どもといたしましては、それぞれの地方電波監理局の特殊性、業務内容あるいは業務量、また国民生活とのかかわり合いというようなことにつきまして、いろいろ臨調に対して説明をしてまいったところでございまして、こういった点についても十分御理解をいただいた形で、将来の組織のあり方というものの御提言をされることを期待をいたしているというところでございます。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 官房長、きわめて抽象的でわかりにくいのですが、さっきの機構いじりではないけれども、画一的に八ブロックにするとか、そういう発想が私はどうも納得ができないのです。たとえば、電波の監理あるいは電波の監視というようなものはその地域の特性もありますし、特に日本海、大陸を控えての裏日本という地域の電波行政というものはかなり複雑で微妙なものがあると私は思うのです。したがって、私が聞きたかったのは、統合に賛成か反対か、これをはっきり言ってもらいたいのです。
  72. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 ただいま臨調でいろいろ御審議をいただいているさなかでございますので、これについての意見というものはいかがかと思うわけでございます。ただ、私ども、地方電波監理局それぞれの地域性あるいはいろいろなことを勘案して現在までブロック機関としての役割りを果たしてきたわけでございますし、また、特に地方電波監理局における行政事務というものが現地性が強い、監視の問題にいたしましてもあるいは免許事務にいたしましてもそういう現地性が強いということからいたしまして、地方における行政サービスの低下を来さないように私どもとしては配慮をしなければならない、そういう御配慮をいただきたい、こういうふうに考え、また御説明をしてきたところでございますし、御理解をいただけるような御答申がいただけることを期待をいたしているということでございます。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣は先ほど私の質問に、いま臨調で鋭意取りまとめ中であるからこの段階意見を言うのは差し控えたい、こうおっしゃられました。しかし、電気通信政策局長なり貯金局長からは、われわれはこう考えておると堂々と意見の開陳を私は聞きました。あれは正しいと思うのです。ここは国会ですよ。国会であるならば、国会の意思として、国民の意思としてどうあるべきかということをここは議論するのです。臨調が物を言うまでは国会の意思も聞きたくないというような姿勢は一体正しいのかどうか。私は端的に、郵政省としてはこう考える、国会の意思はどうでしょうかと、それをお聞きになって、それをあなた方の一つの判断の基礎にされるべきではないのだろうか。臨調がいま検討中ですから、われわれの考えは国会にも報告できませんし、国会の御意見も余り聞きたくございません。それじゃ、国会を開いてわれわれが郵政行政について議論しておるのも何のことかわからないじゃないですか。私はやはり、郵政省としてはこう考えておるのですが国会の意見はどうでしょうか、そういうものを十分踏まえて臨調に対してもわれわれの意見を申し述べたいのだ、それがたてまえではないのでしょうか。さっき、大臣もそうおっしゃったのですよ、いま検討中だから意見を差し控えると。しかし、差し控えなかったですよ。堂々と述べたですよ。私は後ほど一つずつこれはまた議論していきますが、その議論が国会では大事なんじゃないでしょうか。そういう議論を国会ですることを通じて、行政分野から臨調に対して意見を述べていくということをお考えになりませんか。臨調検討中ならば何も物を言っちゃいけませんか。どうですか。
  74. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 先ほども申し上げましたように、臨調部会報告というのは、臨調内部審議の過程における手続でございますから、その部会報告について、諮問をしました政府の構成員であります閣僚としても、とかくの意見は御遠慮さしていただきたいということを申し上げました。同時に、いままでも郵政省としての考え方臨調に申し述べてきました。意見を求められたとき、あるいは求められなくても積極的に意見を申し述べたこともございます。そこに、部会報告郵政省意見の陳述の間に食い違いがございます。したがいまして、そういう意見の間に隔たりがあるということはこれは事実でございますから、事実として申し述べさしていただきたいということで、各局長からその経緯を申し述べさした次第でございます。したがいまして、国会におきまして御議論をいただきますことを、臨調答申が出るまでは国会の御意見を伺うことが適当でないとか、そういうことを申した覚えはさらさらないつもりでございます。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それじゃ、こう聞きましょう。先ほどからの議論の中でおっしゃったように、臨調がもう報告を出しておるのだからその報告について意見を述べることは差し控えたい、こうおっしゃったのですが、それでは、そのいままでの経過をずっと踏まえて、臨調には郵政省考えを述べてきたが、国会には郵政省考えは述べられない、こう言うのですか。
  76. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 先ほどから政府委員が申し述べておりますとおり、郵政省考え方は率直かつ忠実に申し述べておるつもりでございます。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、私がお伺いしたのは、この地方出先機関の整理統合、とりわけ信越並びに北陸電波監理局の統廃合の問題については賛成ですか反対ですか、端的に聞かしてください、こうお伺いしたら、適当でないと言うのです。適当でないということは答えぬということでしょう。これはどっちかあるはずでしょう。それを私は聞きたいのです。
  78. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 私ども臨調で御説明をしたことについてあるいは説明不十分であったかと思います。私ども申し上げましたのは、地方電波監理局それぞれの地域性、いろいろな特性というものを考えて、十ブロックということで今日まで推進してまいりましたし、事務量の増加というものは、先生承知のように、無線局の数等にいたしましても飛躍的な増大をいたしてきております。そういった意味で、いろいろ電波監理という面における業務量というものは非常に多くなっておりますし、また、無線従事者の試験等につきましても数が非常に多うございます。こういった現地的な事務処理をする機関というものはどうしても必要であるし、これは、多々ますます弁ずということだけではなくして、それぞれの地域性というものを考えた配慮というものがやはり行政としても必要であろうということについて説明をしてきたつもりでございます。また、今日もその考え方は変わっているわけではございません。そういった形の中でブロックというものは考えていただきたい。私どもとすれば、今日のブロックというものが余分なものがあったということで余分なことをしてきたというつもりは毛頭ございませんし、これからを見た場合に幾つあればいいのか、それは私どもとすれば十ブロックというものが望ましいということはるる説明をしてきておるところでございますが、やはり臨調臨調としての立場でいろいろお考えがございましょう。いろいろな御意見もございましょう。そういった私ども意見というものを踏まえて、行革の精神を踏まえた、また郵政省電波行政というものも踏まえた組織のあり方というものについて結論を出していただけるということを期待をいたしているということを申し上げたところでございます。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうも回りくどくてわからぬ。私が聞いているのは、賛成か反対か、それだけなんですよ。八ブロックにすることに賛成か反対か、もっと端的に言うならば、この信越並びに北陸の電波監理局はなくなっても構わないのか、こう聞いておるのですよ。
  80. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 現在ございます二つの電波監理局がなくなる、廃止されてしまうということになれば、その地域において現在電波行政サービスを受けておられる住民の方々は大変な御不便をこうむることになろうということは、私ども十分承知をいたしておるところでございます。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 なくなれば困るということなら、あった方がいいということになりますね。そういうことですね。ですから、それを端的に、電波監理を預かる郵政省としては、あの地域の特殊性、そういうものを考えて、また今日までの経過を踏まえて、これはやはり現行のままやってもらいたいと思っておるのだ。ただ、臨調としてはそういうわれわれの意見を十分受け入れてもらえるかどうか、またこれからも努力していくとか、そういうお答えならわれわれはよくわかるのですけれども、何かえらい臨調の一員であるような御発言もなさいますし、さっきの大臣の発言とも関連をして、国会では物が言いにくい、臨調さまさまだという気がしてならないのでくどく聞きましたが、悪意はありませんから。  それでは、引き続いて次に参りますけれども、第四部会報告に係る「三事業を通ずる改革」という中の「(3)機構の在り方及び要員の合理化」の項で、アの項に、現業部門の外局化を図れということが書かれておりますね。いわゆるいまの郵政省の現業の各局を外局にしろという意味ですね。それから、イの項では、地方貯金局、地方簡易保険局を地方郵政局に統合せよというふうに書かれてありますが、この点はどうお考えになりますか。
  82. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 内部部局の再編に当たりまして、外局化ということが書かれております。これは外局というものについてどういうものが外局にふさわしいのかという点について十分な説明もございません。したがいまして、私ども、いままでの外局というものの概念に当てはめて郵政事業郵政の内部部局について考えてみますると、いままでの概念としての外局というものは、これは私の理解でございますが、局の大きいものを外局としておるということであろうかと思います。  郵政事業を見てみた場合に、三事業を行っております。そして、三事業をストレートに行っているそれぞれの局、それからそれに共通した部門を行っている部局が数多くございます。それぞれの事業一つとりましても大変大きな規模の全国的な事業でございますので、これらを一まとめにして一つの大きな局という組織で処理し切れるかどうかということについては非常に問題がある、こういうふうに考えておるところでございます。しかし、外局化についても将来の形としていろいろな形を考える。たとえば、その中に一つとして外局というようなことについても検討してみろという課題であるならば、それは一つの仮定の問題といたしまして検討することはあるいは可能かなというふうに思うわけでございますが、現実の問題として、外局化ということをいますぐ行うということについては非常に問題があろう、こういうふうに考えておるところでございます。  なお、地方の貯金局あるいは簡易保険局、これを郵政局に統合するということでございますが、地方のそれぞれの貯金局、保険局、これはそれぞれのある意味では後方機関として、書類のいろいろな処理あるいは計算事務等を行っているところでございまして、これと郵政局のいままでの仕事というものについてはかなりの質的な差もございます。また、地域的な分布というものも必ずしも一致しているものではございません。しかし、今後オンラインというようなものが進んでまいる状況の中においては、どういう形のものが一番望ましい効率的な運営であるのかということについて、私ども考えていかなければならない課題だと思っておるわけでございます。そういった中で一つ考え方というものがこれから示されるならば、それはそれなりに検討してみたい課題として検討していかなければならないかな、こういうふうに考えているところでございます。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 官房長が頭がよ過ぎて、私が頭が悪いものですから、どうも官房長の御答弁は抽象的でどうお考えになっているのかなかなかつかみにくいのです。反対のようにも聞こえるし、賛成のようにも聞こえるし、どうもわかりにくいのですよ。もっとわかりやすく、われわれにわかるように、こうなのだということをおっしゃっていただけませんか。
  84. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 地方の貯金局、保険局の機構のあり方でございますが、これにつきましては、今後のオンライン化の進展等を踏まえまして、いかなる事務処理体制がいいのか。ただ、郵政局に統合するという書き方でございますが、どういう統合の仕方かということについては、統合するに当たりましても郵政省自体で考える課題ということになろうかと思いますので、その辺も踏まえながら、今後の検討ということを考えているということでございまして、いまそこまでの検討を煮詰めているわけでもございませんので、今後の検討課題ということで、私ども対処してまいりたいということを申し上げているところでございます。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 釈然としませんが、まだ方針がないというふうに私は理解をいたします。まだ方針がないので、何とも物の言いようがございません。そういう御答弁だというふうに理解をいたします。したがって、これはまた次の機会にでもお伺いすることにします。  さらに、具体的に質問を進めますが、第四部会報告の「為替貯金事業関係で、郵便貯金が過去百年間にわたって国民の貯蓄心の高揚や個人貯金の分野で重要な役割りを果たし、また、集めた資金を財政投融資の原資として、国家財政の中で産業政策や社会資本の充実に大きな役割りを果たしたことを評価する、こう臨調は述べております。そう述べながら、「改革意見」の中では、郵便貯金財政投融資のあり方について、ほとんどと言っていいほど触れていないのです。このことは、一体、郵便貯金を圧縮して、今後財投は郵便貯金からの原資の供給を期待しないという意味なのだろうか、私はこれまでの経過を踏まえて非常に疑問に思います。  そこで、きょうは国家財政を担当する大蔵省の方に出席をしていただいているはずですから、大蔵省からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  86. 公文宏

    ○公文説明員 いま先生がお触れになりましたように、郵便貯金財政投融資の原資として非常に大きなウエートを占めております。  たとえば、五十八年度の例で申しますと、国債の引き受けを含めました財政投融資の原資は全部で二十四兆でございますけれども、そのうち郵便貯金は七兆九千億ということでございまして、約三分の一は郵便貯金が占めておるわけでございます。そういう意味におきまして、私どもといたしましては、郵便貯金財政投融資に占めるウエートが大きい、大きいということはとりもなおさず、財政投融資を通じて行っております財政金融政策の上で非常に大きな重要な役割りを担っているということは、私どもは十分認識しているわけでございます。  そこで、臨調答申との御関係で、これから郵便貯金の原資が減っていったらどういうことになるのかというようなことが御質問の趣旨ではないかと思うのでございますが、臨調答申がどういうふうな方向で出されるかにつきまして、私どもいまのところは承知していないわけでございまして、この点はちょっとさておくといたしまして、仮に郵便貯金の原資が大幅に落ちていく、あるいは取り崩しになるというようなことになりますと、当然、財政投融資を通ずる財政金融政策に重大な影響があるということは否定できないと思います。私どもとしては、できるだけ多くの原資が集まることが財政金融政策の幅を広くするという意味で望ましいことであるということは当然でございます。ただ、私ども立場あるいはいまの制度で申しますと、資金運用部資金の立場はやはりいわば受け身の立場でございます。郵便貯金制度あるいは年金制度がどのように仕組まれ、どのようにあるべきかということを前提として、集められた資金を私どもはお預かりし、それを有効に使っていく、こういう立場でございますので、受け身の立場であるということは御了解、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  87. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 受け身の立場だという御意見、確かにそうだと思うのですけれども、しかし、何であれ、国家財政を担当しておる大蔵省としては、もしいま臨調部会報告がそのまま答申になり、郵便貯金の特に大宗をなす定額郵便貯金等が非常に金の集まらない状態になれば、資金運用部への預託の金は著しく減少をするし、当然、国の財政投融資に大きい影響を与えてくるだろう。結局は、民間の金融機関等から高い利息を払っての金を借りるか、国債を発行するか、そういうことをせざるを得ないことになると思うのです。そういう立場から、臨調部会報告答申になって郵便貯金が抑制をされていくという姿勢について、大蔵省はどうお考えになりますか。
  88. 公文宏

    ○公文説明員 臨調答申内容が果たしてどういう具体的な内容として私たちの前に提示されるかということについては、私どもはまだ承知していないわけでございます。そういう意味におきまして、私たちは、現段階では臨調との関係はしばらく様子を見守るより仕方がないということだと思います。それで、先ほど申しましたように、仮に答申内容が非常に大きな影響を及ぼすというような場合におきましては、私どもはそれに対応した対応策を考えていかなければいかぬ、こういうことではないかと思います。
  89. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 臨調の場合にはすでに第四部会報告が出されておりますから、財政を預かる大蔵省がそれに無関心であっていいとは私は思いません。ですから、私は、それが多分臨調報告にまとめられてくるだろうという前提に立って、そうなった場合に、一体大蔵省の財投はどうなるのだろうか。それは大変なのだからそれでは困りますということになるのか、いまおっしゃるように、しかるべき手当てを考えればいいのだというふうにお考えになるのか。たとえば金利一つとってみたって大変な違いがあるはずですよ。資金運用部の預託金利と借り入れをする金利は負担に大変な相違がある。そのことはとりもなおさず国民に負担をかけることになるはずなんですよ。そのことを考えずに国の財政はあり得ぬはずなんですから、それは困るなら困るというような意見が出てきてしかるべきではないかと私は思う。もし臨調からそういう答申が出れば何らかの対応を考えなければならない、何らかの対応なんて言われたって、私ども全くわからない。何らかの対応とは一体何なのか。それは出てこなければおたくもわからぬでしょう。しかし、そうなったら困るな、そうお考えになるのか、なにそれならそれで結構だ、こうお考えになるのか、どうなんですか。
  90. 公文宏

    ○公文説明員 どうも繰り返しになって恐縮でございますが、臨調答申内容が非常に重大な影響を及ぼすほど大きな郵便貯金の抑制の内容を持つことになるのかどうかというところは、私どもいまわからないわけでございます。たとえば五十八年度の財政投融資で申しましても、五十七年度の郵便貯金の増加額七兆九千億に対しまして、五十八年度も引き続き七兆九千億ということでございまして、それを前提に財政投融資は組んだわけでございますが、その場合には、財政投融資の伸び率は、それに関する限りはゼロでございます。そういう厳しい財政投融資の組み方をせざるを得ないということは言えるわけでございます。  ただ、先ほども申しまして、たびたび恐縮でございますけれども、大幅な郵便貯金の抑制になるかどうかにつきましては、いまの時点で私どもいわば明確な見解を申し上げるのは差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
  91. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、郵便貯金を預かる貯金局長に伺いますが、もし臨調のいまの第四部会報告がそのまま答申になって、特に私が問題になると思うのは、定額貯金が見直しをされて民間の金融機関と同じような扱いをお受けになった場合に、郵政省としては、どういう現象といいますか、どういう事態になるだろうというふうに想定をされますか。
  92. 鴨光一郎

    鴨政府委員 ただいま先生指摘になりましたように、第四部会報告の中では、郵便貯金の資金がこれまで公的分野に対して低コストの資金を供給してきたという側面、これまで果たしてきた役割りについて述べているところでございますが、郵政省といたしましては、今日、財投につきましては、その報告で触れられております以外の、たとえば資源エネルギー等に対する融資といったような新たな役割り期待されているであろう。そういった意味で、郵便貯金と申しますものが今後とも国民生活の向上あるいは日本経済の発展に果たす役割りというものは大変大きいものだというふうに考えているわけでございます。  御質問にございましたように、仮に先ほど私が幾つか申し上げましたような報告内容がそのまま答申という形になってまいりました場合に、特に御指摘定額貯金の見直し、どういう形で見直しますかは具体的ではございませんけれども、後退するような方向での見直しといたしますと、当然これは郵便貯金資金の減少ということになってまいります。そしてそれが資金運用部を通じましての財政投融資に原資としての大きな影響を及ぼすであろうと考えているわけでございます。  私ども、これまで低利で長期安定的な資金を供給してまいっておりますが、これは仮定でございますけれども、現在約七十兆ございますものを、民間資金、たとえばこれに政府保証をつけました政府保証債で調達したということにいたしました場合に、これは過去五十年度から五十六年度にかけましての政府保証債の利回り、それと私どもが資金運用部から受け取っております預託利子、これも七年間の実績の平均でございますが、これが〇・七〇九%ということに相なっております。したがいまして、この五十七年三月末でございますが、約七十兆円ございます郵便貯金というものがない、そしてこれを民間資金で調達したということになりますと、年間で五千億円の何らかの国の負担増が出てくるであろうというふうに、これは仮定の計算ではございますが、数字としては出てくるというふうに考えております。
  93. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 貯金局長、特に私が聞きたかったのは、その数字はわかりましたが、仮に臨調第四部会報告答申になって、定額郵便貯金というような制度がなくなるというような事態が起こった場合に、どのくらいの影響が出るだろうかということなんです。
  94. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先生案内のように、現在郵便貯金の中で定額貯金の占めます割合と申しますものは約八九%でございます。非常に大きなウエートを占めておるわけでございまして、これが何らかの形で抑制をされる、そしてまた国民の皆様からの御利用がいただけないということになってまいりますと、いわゆる窓口でお預かりをしたものとそれから払い戻しをさせていただいたものとの差が純増加額ということでふえてきているわけでございます。ただ、現在でも伸び悩みの状態にございますものがやがてマイナス現象ということにもなっていこうか。そういたしますと、先ほどお答えいたしましたような、これはどの程度の減につながるかはわかりませんけれども、少なくともいま以上の伸び悩み、あるいはわれわれが資金運用部に預けておりますものの取り崩しという事態も将来的には予測されるというふうに考えております。
  95. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いまの総額七十兆円という資金運用部への預託とは別に、これから毎年資金運用部に繰り込んでいく、昭和五十八年度で言うならば七兆九千億の純増、この中から資金運用部に入っていくわけですね。しかし、私は恐らく純増はなくなるのではないかという気がするのです。定額貯金そのものは残っても、いまの制度が崩されれば純増というものはもう期待できなくなる。辛うじて維持していく程度ではないか。そうなったときには、大蔵省に例年財投の資金として回していく、いまで言うなら七兆円余りの金というのはほとんどなくなってくるだろう、国家財政に大変な影響を与えてくるだろうということが想定をされるのです。これは決して定額貯金がなくなってしまうというのではないのですよ。いまの制度を普通の民間と同じような制度に変えた場合には、まず純増はなくなって、現行七十兆円だけを維持していくのが精いっぱいではないか、そう私は見るのです。それを貯金局長にちょっと聞いたのですが、そうなったら国家財政が大変なことになってくるだろうという気がするのです。大蔵の方でそれは構わないのだということになればあれですけれども、この辺は、国家財政の資金、特に財投資金のあり方については、郵政当局とも一緒になってよく協議をしながら、財投という立場国家財政という立場からも、ひとつ十分意思の疎通を図って取り組んでもらいたい。これもお願いをしておきたいと思います。大蔵はいいですか。  では、次に参りますが、次に大臣報告の中には、官業民業の補完に徹すべきであるという趣旨が繰り返して述べられておりますが、特に郵便貯金について、利用者利益をどう守っていくかという預金者保護の視点が完全に欠落しているように私は思います。郵政大臣としては、今日までの歴史に照らしても、預金者を保護して預金者の利益を守っていくという責任があるはずでございますが、この預金者保護の視点が完全に欠落しておる第四部会報告についての大臣の感想はどうですか。
  96. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 感想はどうかというお話でございますので、感想を申し上げたいと思います。  私は、個人的には、官業民業の補完に徹すべきであるという官業民業補てん論というものは、余りに一時的な判断に過ぎるという感じを持っております。当該官業がどのような機能を果たしてきたのか、また将来も期待できるかということを考えて、官業役割りを判断すべきものと思っておるわけであります。  郵便貯金につきましては、私から申し上げるまでもなく、百有余年の歴史を持って、国民の信頼を得、また国民に親しまれて、今日の郵便貯金が発展をしてきたわけでございます。したがいまして、これは貯蓄奨励という意味も含めまして、国としては預金者の保護という点に最大の配慮を払ってきた事業でございますので、私は、郵政事業に関しましては、官業民業補てん論にはくみするわけにはいかない。従来同様に預金者の保護ということを考え、また、国民の長期貯蓄性の特色を持った貯金制度として発展をさせていくべきであるという感想を持っております。
  97. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 主務大臣として、ひとつそのお考え郵便貯金を守っていくように、臨調等に対しても十分意見を開陳をしてがんばってもらいたいと思います。  次に、また大蔵に聞きますが、報告の中では、郵便貯金シェアが増大の方向にある原因としまして、民間金融機関自身の努力不足、行政当局の過度の介入、過保護的な金融行政がある、こう指摘をしておりますけれども、この意見について、金融行政を預かる大蔵省はどういう見解をお持ちでしょうか。
  98. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 お答えいたします。  臨調の御報告関係いたしましてお話をするのは、いまの時点では差し控えさせていただきたいと思いますが、先生の御質問を、臨調報告との関係ではなしに、銀行行政から見て民間金融機関の努力不足あるいは過保護の銀行行政というものをどういうふうに見ておるかという御質問として受け取らしていただきまして、お答えをさせていただきます。  民間金融機関の努力不足云々というお話は、時折私どもも御批判を受けるところでございまして、これまで民間金融機関が個人金融サービスにつきまして百点満点の十分な努力を払ってきたかどうかという点につきましては、率直に申して、私も、そうではない、百点満点というふうな評価をしてはならないと思っております。ただ、この点につきましては、金融機関がその時代時代の要請に応じまして努力を向ける主眼の点をいろいろ置きかえてまいっております。戦後の復興期から高度成長というためには、国全体といたしまして、中小企業をも含めまして産業金融に対して資金を融通する、そのためには零細な貯金も含めまして間接金融という形で預金を集めてそちらに向けていくことが、国全体の経済運営として一番必要なことであったし、そういう形に沿った形で金融機関が金融をしてきたという面も否定できないわけでございます。ただ、時代が移り変わりまして、安定成長の時代に入りまして、国民金利に対するニーズ、金利選好も高まってまいっておる。そういう時代の変化に対応いたしまして、特に四十年代以降、そういう新しい要請には大胆に対応していってほしいと私どもも思っておりますし、行政としてもそういう形で誘導してまいっておりますけれども、それがまだ十分ではないと思っておりまして、今後、私どもも含めましてそういう方向に金融機関が経営目標を向けていくように努めなければいけないと思っております。  なお、銀行行政そのものにつきましても、過保護行政であるとか護送船団行政であるとかいろいろ御批判がございます。それは私どももそれなりに率直に受けとめております。ただ、いまも申しましたように、時代の要請に即応いたしまして——これまでかなり信用秩序の維持ということを頭に置きまして、金融機関経営の破綻ということが万一にもあった場合に起こり得る信用不安というものが、間接金融という形を通じてお金を集め、それが国の必要な部門に回っていくということを乱すことがあってはならないということで、預金者保護、信用秩序の維持にかなり力を置いてまいったわけでございます。もとより、今後ともそういう点を無視していいというわけではございませんけれども、新しい時代の展開に即応いたしまして、行政につきましても、信用秩序を乱さない範囲でできるだけ弾力化、自由化の方向を打ち出しておりまして、金融機関の創意工夫を促すという観点で取り組んでおるということを御理解いただきたいと思います。
  99. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 臨調報告等については触れたくない、それ以外のところでというお話でございましたけれども、残念ながら臨調第四部会報告にはいま私が申し上げたとおりに書かれておるのですね。これはもうごらんになっておると思うのです。いまあなたが預金者保護ということをおっしゃいましたけれども、実は、その前に出たいわゆる過保護、金融機関に対する過保護行政、護送船団方式と呼ばるるものが、今度は預金者を非常に苦しめる結果になっておる。おっしゃったように、預金者がある場合には零細なお金を利息を選択しながらお預けになるのに、護送船団方式ですから、ここが足が遅いのだから預金者の利益になるような預金の制度は足を引っ張ってやれ、これが実は大体いままでの金融、特に貯金の分野における行政姿勢であったと指摘をされておるところです。腹を立てぬで聞いてくださいよ。私はこれを考え直さなければ——いまどうも臨調答申の中にはこういうことを書かれていながらも、なおかつ大蔵省と同じように護送船団方式、民間の金融機関に進んでおるところが後返って歩調を合わせろよ、こう言っておるように思われてならないのです。  たとえば、いま議題になっております郵便貯金の問題にしましても、郵便貯金がすべて銀行預金よりも利子が高いのではないのですよ。これはもう一番御承知のはずですよ。短期のものについては民間の金融機関のほうがはるかに利息が高いのです。ただ、非常に長期にわたって利子を目的に貯金をされる小口の預金者のために郵便貯金定額貯金だけが利子が高い。そこに若干集中した嫌いがあります。これは間違いなくそうなっておりますよ。なっておりますけれども、だからそれをつぶして預金者の保護を怠っていいという理屈にはならないだろう。それに追いつくようにそういう制度を民間の金融機関でも取り入れてやっていくような競争が行わるることが、行政当局としてとらなければならない措置ではないのだろうか、そういう気がしてならないのですけれども、その辺どうお考えになりますか。
  100. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 先生お話しございましたように、臨調でいろいろ銀行行政あるいは金融機関のあり方について御検討いただき、私どももいろいろ御意見を申し上げたりいろいろ議論をしております。その点はその点といたしまして、いま先生基本的に預金者の保護、保護と申しますか、預金者にできるだけ高い金利の商品を提供すべきである、こういうふうな内容だと思いますけれども、それは基本的にまさにそのとおりだと思っております。金融機関もできるだけ経営の効率化に努めて、私企業として払い得る預金利子は、経済合理性があるものであればできるだけ高い金利を払ってほしいというふうに私どもも思っておりますし、そういう方向を目指していろいろ金融の自由化ということを展開しておるわけでございます。  ただ、いま定額貯金の商品に触れられましたけれども、これは先生も重々御承知のとおり、民間金融機関、私企業としては、定額郵便貯金と同様の商品性を持ったものは、私企業の限界として、それに対応していくには手が届かない面もあるという点は私率直に申し上げます。したがいまして、民間金融機関が届き得るものとしていろいろなことは考えるということであろうというふうに思っております。
  101. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ですから、たとえばいまビッグとかワイドとかいうものが民間で売り出されております。これは非常に利回りが高いわけですね。そういうものが民間でやれるのです。しかし、これは郵便貯金でやれるかどうかわかりませんが、私はああいう商品はかなり困難だろうと思います。そうすれば、それぞれが特色を持ち、切磋琢磨しながら、あなたの言葉で言うならば、少しでも預金者の利益になるような政策がとっていかれるべきではないか。片方ではビッグとかワイドというふうな非常に金利の高いものを民間の金融機関が売り出しておる。それはそれとして、定額貯金だけがついていけないのだから、もとに戻せというのは、これは基本的に無理な話で、それぞれの特色がある。その特色を生かしながら選択肢をなるべく広くしていく。これが金融の自由化だと思うのですけれども、その方向で進めていかずに、できないものは官業だから足を引っ張る、できるものは民業でやっていく、そういう発想が私は間違っておるように思うのです。したがって、いまあなたの御答弁で大体了解はできましたが、そういうそれぞれの特色がある、その特色を生かしながら切磋琢磨していくことが預金者の利益を守っていくことになるだろう。この点についてはようございますか。
  102. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 まさに先生のおっしゃるとおりでございます。したがいまして、たとえばいまおっしゃいましたビッグとかワイド、これは普通銀行の預金よりも高い金利が払い得るような資金の運用ができる長期金融機関、御存じのとおり、日本の場合、普通銀行のほかに専門的に長期資金を供給する金融機関として長信銀、信託がございますけれども、そういうところであれば、長期のお金であるがゆえに高い利回りのものもある金利水準のときには出せるわけでございます。しかし、ビッグとかワイドとかいうものを、普通銀行一般、地方銀行、信用金庫、農協等も含めまして、主として短期のお金をお貸ししておるところについて、そういうものを出して預金者に報いなさいと言いましても、それはもともと無理があるわけでございまして、短期の運用のお金というのは一年ぐらいすれば回収されるわけです。高い金利水準のときにはそれで収支相償うかもしれませんけれども、二年、三年のときにはすでに低い利回りでしか運用できないような経済情勢になっているかもしれません。そういった対応も考えなければいけませんので、まさにそれぞれの金融機関の特性に応じた形として考えなければいけないということでございます。
  103. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 よくわかりました。  それでは次に移りますが、いわゆるグリーンカード制度の導入ですけれども、このグリーンカード制度の導入に当たっては、民間の金融機関やあるいは大蔵省、名前を申し上げますが、渡辺大蔵大臣などは先頭に立ちまして、郵便貯金がまるで諸悪の根源であるがごとくに宣伝をいたしました。これは当時私は記憶にあるわけですから、間違いがありません。これは騒ぎ立てた結果、脱税の温床になっているのは郵便貯金だ、こう言いふらしたけれども、しかし、われわれは郵便貯金はあくまでも少額預金者の保護の制度であるという立場に立って、もしそういう意味郵便貯金が脱税のために利用されるというようなことがあるならば、それはまことに趣旨に反するものであるから、私どもは、郵便貯金は小口預金者の保護のためにある制度として限度額が守らなければならない、そういう立場に立ってグリーンカード制度に賛成をいたしました。そして法律ができて、昭和五十九年からこれが実行に移されることになっておった。それが突如としてこの実施が延期をされることになりました。郵便貯金を攻撃するためにあれはやったのですか。それともほかに延期をしなければならない事情があったのですか。どういうことになっておるのでしょうか。
  104. 滝島義光

    ○滝島説明員 お答えいたします。  グリーンカード制度の導入を含みます所得税法の一部を改正する法律案、これは去る昭和五十五年の第九十一国会で成立をさせていただいたものでございます。ところが、このグリーンカード制度の導入といいますのは、過去四分の三世紀ほど続きました実質的には分離課税という利子の課税の扱い、これを根本的に変えるものでございましたので、その後非常に多くの議論が展開されるに至りました。また、議論だけでなく、いろいろな現象面をとってみましても、いま先生がおっしゃいました郵便貯金へのシフト、あるいはゼロクーポン、金へのシフト、これにつきましては私はグリーンカードに責めを帰すのは必ずしも適当でないと思っておりますけれども、あれに関連をつけて議論をされた、そういう現象が次々と起こってまいりました。こういう事実を背景にいたしまして、昨年の八月には、多数の先生方の賛同のもとにグリーンカード制度の実施を五年間延期するという議員立法の法案が提案されるに至ったわけであります。この法案は十二月の二十四日廃案ということになったわけでございますけれども、グリーンカード制度といいますのは国民の大多数の方に関係する制度でございますので、国民各位の御理解と御協力がなければ円滑に運営できるものではございません。そこで、私どもといたしましては、このような経緯あるいは法的安定性への配慮、こういったものも踏まえまして、この際グリーンカード制度を凍結するというのが適当ではないか、こう判断するに至ったわけでございます。  そこで、税制調査会にも御相談いたしました結果、三年間この制度を凍結することを内容とする租税特別措置法の一部を改正する法律案を今国会に提案さしていただいた次第でございます。
  105. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 経過は私も大体承知をしておるのです。それでは、大蔵省が昭和五十五年にあの法案を提案をし、それから大変いろいろな世論の動きがあって、特にいま申し上げたように郵便貯金が脱税の巣窟になっておる、諸悪の根源は郵便貯金だ、これを直すのにはグリーンカード制をとらなければならないというような世論がつくられていって、そしてグリーンカードが昭和五十九年からいよいよ実施されるという方向になってきた。ところが、突如として、いまお話があったが、国民の多くの御理解を得なければやれない制度なんだ。それならば五十五年にああいうものを提案した、そのことが間違っておった、こういうことになるわけですか。
  106. 滝島義光

    ○滝島説明員 お答えいたします。  五十五年にグリーンカード制度が提案された際に、私、担当課長ではございませんでしたが、当時の記録を見ますと、これは郵便貯金というものを第一に念頭に置いて考え出されたものとは私は理解しておりません。長い利子配当課税の歴史、これにかかわりますいろいろな国会での御議論をいま振り返ってみますと、やはり利子配当の分離課税というものは租税負担の公平という観点から問題があるという御議論が毎年非常に強く国会でなされたわけでございます。これに対し、利子配当という所得の特殊性を踏まえつつ、どのような対応をしたらいいのか、この点につきまして、政府の税制調査会に特別の部会を設けて長いこと御勉強いただいた結果、出てきた結論がグリーンカード制度であったわけでございます。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕  この問題につきましては、そういうことで提案の背景に非常に長い勉強がありましたほか、国会でも十分な御議論をしていただきまして制度化されたものでございますが、まことに不幸と申しましょうか、議事録をひもといてみましても、五十五年当時のグリーンカード制度をめぐる御議論よりも、できてから後の御議論の方がボリュームとしては多いわけでございます。私も、きょう阿部先生からの御質問があるということで実はさっと読み返してみたのですが、五十七年の議事録の厚さが四センチ、五十五年、五十六年が二センチに満たないのですね。これはやはり不幸なことではあろうと思いますけれども、やはり現実は現実として、国民の御理解がなければ円滑な実施はあくまでも不可能でございます。そこで、三年間凍結ということに私どもとしても決断した次第でございます。
  107. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 故意か偶然か、この昭和五十五年、いわゆるグリーンカード制度を導入するという法律案が出されるころに郵便貯金が大変な攻撃を受けた。特に私は名指しで申し上げました。反論があるならしてもらいたいのですが、当時の大蔵大臣の渡辺さんなどは先頭に立って、郵便貯金が脱税の巣窟になっておる、諸悪の根源だというふうに言いふらした。これは大蔵省がグリーンカード制をスムーズに導入して実施していくために張ったキャンペーンではなかったのか。これは疑問ですよ。ではなかったのかと思われるほど当時はそういうことになっておったのです。  ところが、私どもは、当然郵便貯金をそういう脱税に使うようなことがあってはならないということで、グリーンカード制度に賛成をした。おっしゃるところの利子分離課税の不当性を直していくということで賛成してきた。いまあなたは多くの国民の同意を得られないと言うけれども、多くの国民の同意を得られないようなものならば、初めから出すべきでなかったし、出してみて同意を得られたか得られないかは、それはあなたの主観的な判断であって、どこに根拠を置いて多くの国民の同意が得られないのか、私はそれは判断がちょっと一方的に過ぎるような気がします。世論調査でもしてみて、その結果がこうなったとかいろいろあるかもわかりませんが、私はそうは思いません。  ここで余り議論したくないのですけれども、ただ、いよいよそうなると大変困るところが出てきたのです。それは利用者ではないのです。民間の金融機関なのです。なるほど一つの金融機関は三百万というあれを守っておったかもわからない。二つも三つもこれが行っておるのです。さあ大変だ、そんなことになったら大ごとになるぞというのが僕は真相だと思うのです。だから、多くの国民理解を得られなかったんじゃなくて、民間の金融機関を中心に強い反対が出てきたので、大蔵省としては延期した、こうなるんでしょう。
  108. 滝島義光

    ○滝島説明員 お答えいたします。  昨年の八月に多数の先生方の御賛同のもとに議員立法の提案がなされたということは、一つの重大な事実であると私ども受けとめております。  それから、正確には記憶しておりませんが、昨年の五月と、それから十月か十一月に全国紙におきましてグリーンカード制度実施についての世論調査が行われております。これによりますと、グリーンカード制度ができまして、実施まで三年間の準備期間を置き、私どもとして下手は下手なりにPRに努めてきたつもりでございますが、実施まで残すところわずか一年余り、一年弱という時期になりましても、なお全体の三分の一の方が実施に反対、三分の一の方が賛成、三分の一の方が態度不表明ということになっているわけでございます。  あれこれいろいろなことを考えまして、この際予定どおりこれを強行するということは混乱のみ招くということが私どもの判断でございました。
  109. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 強いて言うならば、議員立法の提案があったから大変だなんとおっしゃるのなら、国会の中では議員立法で提案されておる法案はごまんとありますよ。ただ成立しないだけです。あれだって成立しなかったのですがね。議員立法がありましたからなんて言いわけになりませんよ。議員立法なんというものは国会の中にはごまんとあるのですから。  端的に言えば、あなた万の判断が誤ってしまったのじゃないですか。世論調査がどうだとか国民の同意が得られないというならば、五十五年に導入の法案を出す前にそれはちゃんと調べておくべきだったのですよ。それをあなた方の判断で出しておいて、後になって、国民の同意が得られないとかそういう言いがかりをつけて……。  私は余り強く言いませんけれども、グリーンカードというものは当然推進していくべきだ、小口の預金者を保護するためにはその方が正しいといまでも思っておりますから、延期したことについて非常に不明朗なものを率直に言って感じます。しかし、これはこの辺でやめておきましょう。大蔵省はお帰りになってもらっていいです。  その次に、総裁、御退屈のようですから一つだけ。  総裁はこういう言葉を使われましたね。電電公社経営形態の問題、あるいは労働意欲、労務管理ですか、そういう問題についてスモール・イズ・ビューティフルというのですか、私は英語をよく書けませんのであの意味がよくわからないのですが、経営形態とか労働意欲とかいうような問題について総裁がおっしゃるスモール・イズ・ビューティフルというのはどういう内容でお話しになったわけですか。
  110. 真藤恒

    ○真藤説明員 この間の御質問の中で、これから先、私どもが新しい世の中に役立つ高度情報通信社会に対応するためには二つ大きな条件がありますということを申し上げたのです。特に料金が可処分所得の中に入らなければだめだ、役に立つものにはならないということを申し上げたのです。しかし、そういうことができるために、いま一緒に働いております私どもの仲間の社会的な地位に損害を与えるという方向でそこへ持っていこうということは絶対にやるべきじゃないんだ。また、それだったら、そういうことはやろうと思っても実行不可能だと思います。そういう非人道的なやり方じゃなくて、一緒に働いている者が、また関連の事業に働いている人たちが、いまよりもでき得べくんばよりよい社会的地位を確保できる経営形態が当事者として望ましいんだということを申し上げたわけですが、そういう変革をしていきますときに、いろいろな一つの例として、たとえば、いま私ども電話帳をやったり宅内機器の販売をやったりあるいは保守事業をやったりというのが、いま直用でやったり下請でやったりいたしておりますけれども、そういうものを新しい社会環境に合うように、働きがいがあるように、地域別に小さな組織をつくって、そして、お互い相関連しながら世の中によりよいきめの細かいサービスができ、なおかつ御本人たちもそれで働きがいがあり、社会的地位の安定も向上するという方法ができないことはなさそうだと、私、個人的に思っております。そういうふうに小さな企業というものを中心にして、その企業がまた大きな母体の企業と相連携しながら、そしてそれが独占体制をとらずに、何かうまい知恵が出てくるんじゃなかろうかという意味のことを申し上げたわけでございます。
  111. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうも公社経営形態の問題に絡んでの総裁の御答弁でしたから、何か小さく分けてしまう方がいいんだというふうな感じを私はちょっと受けたわけなので、いまおっしゃるような、端末機器の販売とかそういうようなものについて、たくさんの企業がそれぞれの地域で競合しながらやっていくという御趣旨ならば別に何ということないんだけれども、私は、経営形態そのものが、たとえばいまネットワークをどうするかとかいうような問題が、一つでなければならないような大きな問題が今後ある中で、小さい方がいいんだぞと言われると、どうもおかしいなというような気がしたものですから、そういう趣旨ならば大体理解ができました。  次に、労働省お見えになっていただいておりますか。——実はさっきからいろいろ私は臨調の問題を議論してきたのですけれども臨調答申なりいまのそれぞれの部会報告が行われて行政改革が進められていくということになりますと、かなり国家公務員等についても減員をされていきます。かつて中曽根さんが行管庁の長官のころに、生首を切るわけにはいきません、したがって、退職するのを待つって後を補充しないようにする以外にありませんということを述べたことがあります。これは非公式な場ですよ。述べたことがありますが、当然そういう形になるだろう。あわせて、国鉄が新規採用をやらないとか、電電公社についても、これは一部の意見ですけれども、大幅な減員が行われるべきでないか、九万人なんとかかんとかというのが出ておるようですが、そういうふうな社会情勢になってくると、行政改革は進み、政府財政のつじつまは合うかもわかりません。しかし、これから新しく労働力として、大学を出、高校を卒業してくる子供たちは、就職をしようにも就職する先がなくなってしまう、大変な社会不安が起こってくるのではないだろうか、このまま言われるような行革が進んでいくならば。政府財政のつじつまは合っても、世の中はどうしようもない混乱状態に陥ってくるのではなかろうか。こういう点について労働省としては、この臨調答申なり報告が行われた場合の日本の今後の雇用の状況はどうなるというふうにお考えになっておるのか、まずひとつお示しを願いたいと思います。
  112. 稲葉哲

    ○稲葉説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、わが国の最近の雇用、失業情勢、大変厳しいものがございます。労働省といたしましても、この雇用の安定につきましては、とりわけ重要な政策課題ということで取り組んでまいりまして、基本的には、民間部門の活力を最大限に生かしまして雇用の改善を着実に進めていく、こういうことが肝要であろうというふうに考えているわけでございます。  このためには、基本的には、適切かつ機動的な経済運営によりまして、景気の着実な回復を図るということが重要でございますけれども、雇用対策面におきましても、雇用保険法に基づきます雇用調整助成金の制度を活用いたしまして、その機動的な業種指定によりまして、現在約二百七十余りの業種を指定しておりますが、雇用の安定あるいは失業の予防に努めるということをやっております。また、高年齢者等特に就職が困難な方々を対象にいたしましては、雇用開発助成金という制度を設けておりまして、その再就職の促進に努めているところでございます。また、現在特に問題になっております不況業種あるいは不況地域の問題に関しましては、現在、本国会に提出させていただいておりますけれども、現行の特定不況業種離職者臨時措置法及び特定不況地域離職者臨時措置法を統合整備いたしまして新たな法律をつくりまして、それに基づきまして業種、地域につきましてきめ細かな雇用対策を図りたいというふうに考えているわけでございます。  さらに、本年度、五十七年度からは、地域におきます雇用開発という問題が非常に重要だということに思いをいたしまして、地域雇用開発推進事業という制度が発足いたしまして、地域の実情に即した雇用機会の開発という事業をやっております。  これらの諸対策を総合的に推進いたすことによりまして、労働者の失業の予防、就職の促進という問題に取り組み、雇用の安定を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  113. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私の質問が悪かったかもわかりませんけれども、雇用の見通しという言葉を使ったのですが、当然、労働省としてはこれから、たとえば国家公務員が向こう五年間に何%減る、それだけ雇用が減ることは間違いがないわけです。地方公務員はこの程度減るだろう、電電公社、国鉄、郵政といろいろ勘定していってみて、それではこの答申が実行された場合に、たとえば五年先に日本の失業率、失業者の数はどうなっていくだろうか、そういう見通しはお持ちですか。
  114. 稲葉哲

    ○稲葉説明員 現在のような非常に動きの大きい時期でございますので、将来の失業率について推測することは非常に困難でございます。ただ、私どもの、馬場研究会と通称いたしておりますが、そこでの統計はございます。これは、景気の回復あるいは経済成長の問題と非常にかかわり合いがございますので、その当時の統計でございますけれども、雇用の拡大は着実に進むというような研究会の報告になっております。
  115. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、雇用はむしろ落ち込んでいく。現にいま雇用は落ち込みつつあるのではないですか。落ち込みつつあるでしょう。もっと落ち込んでいく。その理由はいままでるる述べました。たとえば電電公社が、仮にですよ、人を九万人減らすという場合に、どういう減らし方をしますか。中曽根さんの言うように、退職を待って新規採用をしないという形しか大筋としてはとれないはずなんですよ。現に国鉄は新規採用をやめておるでしょう。国鉄が、年間どのくらいですか、一万五千から二万ぐらいはいままで新規採用があったはずですよ。電電公社だって二万ぐらいあるのではないでしょうか、よく知りませんけれども。そのほかに国家公務員、地方公務員の新規の採用が非常に落ち込んでくることは間違いがない。あなた、民間ということをおっしゃいましたけれども、民間だってそうでしょう。いまロボットなどというものがあらわれてますます雇用は困難になってきて、雇用は落ち込んできておる。そういう状況の中で雇用が拡大していくなどというような方向が労働省のどういう調査から出てくるのか、私はちょっとそれは理解に苦しみますが、それは何かかくかくの理由で雇用は拡大するということでもあるのでしょうか。
  116. 稲葉哲

    ○稲葉説明員 私の説明が不十分だったかもしれませんけれども、雇用者数は現在でも対前年比七十万から九十万の数でもって拡大しているわけでございます。ただ、こういう景気の状況にございますので、失業者の方もふえておりまして、そのために失業率が二・四%というふうに上がってきております。  それから、先生指摘ございましたように、新規就職者の問題がございますけれども、たとえば、私どもが特に中心的に扱っております高卒について申し上げますと、昨年度の高卒者に対する求人倍率は一・八倍でこざいました。これが本年度は一・五倍ということに若干落ち込んできております。私ども、二十年来のと申しまするが、全国の求人調整の会議を開きまして、全国の職業安定機関を一堂に集めまして求人求職の調整をやるというような努力をいたしまして、高卒の就職率につきましてはほぼ前年並みを確保するというような努力をいたしておるところでございます。
  117. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 一つには絶対数の問題があるのですが、非常に力強いお答えでございますから、雇用は拡大していく、落ち込む心配はない、年々拡大するんだというお話ですけれども、どうも私はそうは思えないのです。  もう一つ心配なのは、雇用の条件です。たとえば、Aというところに行きたいという子供がAには行けなくてCに行かなければならない、そういうときに起こってくる若い労働者たちの不満、私はそういうものも当然社会問題としてはかなり大きいファクターを持ってくるのではないかという気がします。したがって、余りにもあなたからそうおっしゃられれば、私も特段の資料を持っておるわけではありませんが、まず一つに、私は、絶対的な雇用、特に若年労働者の雇用は大変な混乱を来すのではないか。国鉄も人をとらない、電電公社郵政も人をとらなくて、民間も新しい採用がなくて雇用が伸びていくというなら、これは不思議な経済だと思うのですけれども、しかも、日本の経済はそんなにこと二、三年どんどん伸びていくのでしょうか。一方では毎年どんどん高校、大学を卒業して新しい労働力は発生してくるはずなんですから、どうも私は、労働省のいまの答弁で、ああそうですかとなかなか言えないのですが、自信を持った御答弁でございますから、雇用は伸びていく、若い労働者の失業はない、こう労働省は太鼓判を押してくれた、こう理解していいですか。
  118. 稲葉哲

    ○稲葉説明員 このような景気の落ち込みのあるときでございますので、当然今後の景気に影響される面が大きいわけでございます。ただ、先生から御指摘もございましたように、最近若い就職者たちには、いわゆるUターン現象と申しますか、要するに出身地でもって就職したいという気持ちが非常に強いものがございます。それが先ほど申し上げましたように、特に北の地域あるいは南の地域におきましてはなかなか出身地での就職が困難であるという状況もございます。そういうようなことから、全国的な求人調整会議というようなことをやりまして、就職の促進を図ったわけでございます。確かに、先生指摘のようにその辺に問題があることは私どもも十分わきまえまして、今後の雇用対策に努めてまいりたいというふうに考えております。
  119. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういう御答弁のようですが、私は非常に率直に言って心配をしております。雇用がどうなるのかということについて非常な心配、それが社会不安につながっていくのではないか。しかも、いま私が申し上げたように、いまの臨調答申あるいは行政改革が言わるるような形で進んでいったならば大変なことになるのではないかという気がしてならないのです。鋭意努力をされるそうですが、私はここで、実はこの前段で置いたのは、いまこそあなた方が推進してきた労働時間の短縮を大胆に推進すべきではないのかということを本当は聞きたかったのです。これをやることによって雇用の拡大が図られていくだろう。あなた方はずっと前から、昭和五十四年ですか五十五年ですか、労働時間短縮、週休二日制の推進というものを出して労働時間短縮に取り組んできておられる。それならば、こういう時代であればあるほど、その労働時間の短縮等によって新しい雇用はこういうふうになっていくという青写真を示すことによって、言わるるところの行政改革等もスムーズに進められるのではないか。それがないならば大変な混乱が起こってくるのではないかという気がしますが、私が言った雇用の関係と労働時間短縮の関連についてどうお考えでしょうか。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  120. 伊藤欣士

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  労働時間の短縮につきましては、先生指摘のように、労働行政の最重要課題の一つといたしましてここずっとやってきたわけでございます。昭和三十五年には、過去のピークでございますけれども、二千四百時間を超えていた労働時間が、昨年の数字ですと二千九十六時間ということで、三百四十時間ほど減っておるというようなことではございますけれども、最近の経済環境が非常に厳しゅうございまして、オイルショック以降については、必ずしもその短縮のテンポというのは、期待どおり、予想どおり進んでいないという実情であるのは事実だろうと思うわけでございます。  そういうことでございまして、労働時間短縮について、従来は労働者の福祉向上、それから高齢化社会への対応、それから当然のことでございますが国際協調の確保という観点からやってきたわけでございますけれども、御指摘のように、かつてのような高度の経済成長は期待できないという状況のもとでは、雇用の維持、確保の観点からも一層の推進が必要であるというふうにわれわれも考えておるところでございます。ただ、労働時間と経済成長いろいろのファクターが絡んでおりまして、労働時間が短くなれば幾ら数がふえるのだというようなことは、過去のパターンを見ましても、またいろいろな専門家の御検討の結果も、必ずしも一義的には出てこないというのが実情でございますが、ただ、長期的に見れば、雇用の維持、確保に役立つものであるというような視点から進めていきたいと思っておるわけでございますし、また逆に、労働時間の問題につきましては、生産性の向上の成果配分ということで行われるものでございまして、厳しい経済環境のもとでは、ややもしますと、やはり労使の間でもその配分が賃金のみに偏りがちになりまして、それだけ労働時間短縮を短くしているという事実もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、労働省といたしましては、ただいま申し上げましたような点を十分踏まえまして、生産性向上の成果が労働時間の短縮の面にも配慮して配分されるよう労使合意が形成されることが重要であると思いますし、また、労働行政といたしましても、時間短縮への機運の醸成という形での配慮について十分努力してまいりたいと思うわけでございます。
  121. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 合理化とか近代化とかそういうものが労働時間の分野で配分を受けるということも、それは当然あり得ると思います。しかし、私が申し上げましたような官公庁の場合など、必ずしもそれだけではない。やはり労働時間の短縮はそれなりに雇用の拡大につながらなければならないはずだと思いますから、いま民間の方の例を主としておとりになったようですけれども、したがって、私は、やはり雇用の確保、拡大という意味からも、労働省が進めてきた労働時間の短縮はこの際特に強力に推進すべきではないかという見解を持っておるわけでございます。  大体時間がなくなりましたから、それではあと少し飛ばしますけれども、郵便事業の収支はいつごろ黒字になる予定でございますか。
  122. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 昭和五十五年度末におきまして累積欠損金が二千四百九十四億円に達しまして、郵便事業財政きわめて逼迫したために、五十六年の一月に料金改定をお願いしたところでございます。その結果、五十六年一月から料金改定を実施させていただきまして、五十六年度には累積欠損金が千三百二十億円まで減少しておるところでございます。なお、五十七年度予算でも五百八十二億円の単年度の利益が見込まれたために、本年度末の累積欠損金の残高は七百三十九億円まで減少する見込みでございます。さらに、来五十八年度予算案では二百四十六億円の収支差益が生ずる見込みでございますので、累積欠損金は四百九十三億円まで減少する予定でございます。  先生御質問の、それではいつそういったものが解消して黒字になるのだという御質問かと思いますが、五十九年度以降の見通しにつきましては、いろいろ不確定の要素もございますので的確にお答えいたしかねるわけでございますが、先般の郵便法改正のときに申しました御説明は、今後十年の間に二回程度の郵便料金の改正をしていただけるならば、もちろん物価上昇の範囲ということでございますが、累積欠損金が解消されて、郵便事業財政は大変健全なものになるということを御説明申し上げたところでございますが、現時点におきましてもその見通しについては変わっておりません。
  123. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 余り早く黒字になると郵政省は困るのじゃないですか。料金をまた法定にせねばならぬと困るからなるべく黒字にせぬようにやっておるのじゃないでしょうけれども、本来やはりこれは法定すべきもので、特別な手段として政令に任したわけですから、これはひとつ鋭意努力をして、法定できるようにすることが望ましいと私は思っていますので、一段の努力をお願いします。  その次、もう一つ財政関係。郵貯特会についていろいろ各方面から御心配いただいておるのですけれども、郵貯特会の見通しはどうでございますか。
  124. 鴨光一郎

    鴨政府委員 郵便貯金特別会計の収支でございますが、これは予算の数字でございますけれども昭和五十七年度単年度で七百三十一億円、それから昭和五十八年度、これはただいま御審議をいただいております予算の中での予定数字でございますが、単年度で二千三百二十六億円、それぞれ赤字を見込んでいるところでございます。それ以降の収支につきましては、金融、経済等諸情勢が流動的であるという前提でございますが、したがって確たる見通しは立てかねるわけでございますけれども、現状のまま推移していくということでございますれば、昭和五十九年度には改善に向かいまして、昭和六十年度には黒字、昭和六十一年度にはこれまた単年度黒字によりましてほぼ累積赤字も解消するといった形で、収支の改善が図られるというふうに推測をいたしております。
  125. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣大臣所信表明中心にしながら各般にわたっていろいろお伺いいたしましたけれども、私が質問しました諸般の問題あるいは申し述べました意見等について、ひとつ十分大臣も腹におさめてこれからの郵政事業行政に取り組んでいただきますように、最後に決意をお伺いして終わりたいと思います。
  126. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 郵政事業全般につきまして、大変広範な御質問また御意見を拝聴いたした次第でございまして、私も郵政行政を預かる者として、御意見また御質問の趣旨を十分体しながら、全力を挙げて国民のための郵政事業というものを推進してまいりたいと存じます。
  127. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  128. 左藤恵

    左藤委員長 次に、大橋敏雄君。
  129. 大橋敏雄

    ○大橋委員 私も大臣所信表明に対しまして若干質問したいと思いますが、郵便事業、それから郵貯、電電公社改革問題を若干お尋ねしたいと思います。  初めの郵便事業の中で特に郵便小包部門、これについて、このまま維持存続させ、発展の方向で進まれるのか、あるいは段階的にも民間開放、すなわち撤退していく方針なのか、この辺を大臣の決断をお伺いしたいわけでございますが、まず初めに確認をしておきたいことがございます。郵便局はいま全国何カ所あるのかということと、それから通常郵便物の年間取り扱い数はどのくらいなのか、あるいは共通管理部門を除いた職員数はどの程度いるのか。
  130. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 まず、全国郵便局数でございますが、五十八年二月一日現在で普通郵便局が千二百二十六局、特定郵便局が一万七千七百四十九局、合計一万八千九百七十五局ございます。このほかに、地方公共団体等に窓口事務を委託しております簡易郵便局が四千二百六十五局ございますので、それらを総計しますと二万三千二百四十局ということになります。  次に、郵便物数についてのお尋ねでございましたが、一番新しい資料として昭和五十六年度の物数について申し上げますと、総計で百四十九億五千百万通ということでございます。内国郵便がそのうち百四十八億で圧倒的でございまして、外国郵便が約一億ほどございます。
  131. 大橋敏雄

    ○大橋委員 職員数はどうですか。
  132. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 職員数は、郵便関係は約十四万人となっております。
  133. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いまの御説明で、郵便局がいろいろ合わせますと二万三千以上あるというお話でございました。民間の銀行等合わせましてもわずか五千余だと思うわけでございますが、こういう姿と比較しますと、まさに郵便局全国津々浦々に設置をされておりまして、国民生活に非常に密着した内容で貢献していっている、こういうふうに改めて認識を深めたいところでございます。  そこで、私が疑問に思っておりますことを二、三申し上げたいわけですが、郵便事業に関する主な問題点をまず指摘します。  郵便物は近年伸び率が低下して、特に料金改定の後つまり値上げ直後は大幅に減少してきておりますね。たとえば、五十年度は百三十八億通だったものが、五十一年度の改定のときに百二十七億通にがたっと落ちておりますね。また、昭和五十五年度は百五十四億通だったものが、やはり料金改定の後の五十六年度は百四十七億通に落ち込んでおります。これはやはり値上げの悪影響をそのまま示していると私は見るわけでございます。こういうふうに伸び率がだんだんと低下してきていること、もう一つは、ニューメディアの普及あるいは発展による競争の激化、あるいはまた人件費の圧迫で郵便事業の見通しはきわめて暗い、こういう感じを持っております。また、五十六年度の事業収支を見てまいりましたところ、累積欠損金は千三百二十億円。このままでいけばまたまた値上げを繰り返さなければならぬのではないか、ますます競争に耐えられなくなっている状況ではないか、そういうことで、私は、その抜本的な、文字どおり抜本的な改革が必要なのではないか、こう認識しているわけです。  そこで、私は、先ほど問題にいたしました郵便小包の現状あるいは状況と申しますか、これは一体どうなっているんだろうか。最近、民間の宅急便といいますか宅配業、これが非常に伸展してきておりまして、それにいろいろと食われ始めた。郵便で言えば小包ですかね、あるいは国鉄は小荷物、日通は貨物便、これらに大変な影響があらわれてきているようでございます。しかし、日通は最近宅配部門というものを設けまして、ペリカン便というのですかね、そういうことで一生懸命名誉を挽回しているようでございますけれども、要するに、民間の宅配は安くて遠い、そして郵便小包等は高くて遅い、こういうことになれば、民間に食われざるを得ない状況にあるわけですね。  そこで、郵政省としましても、郵便小包について割引制度とか、あるいは速達の小包等の航空機運送枠を広げるなどの工夫をなさっているように聞くわけでございますけれども、こういう点についてまずお尋ねをしてみたいと思います。
  134. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 まず、小包の現状について簡単に御説明申し上げたいと思います。  小包郵便物は、昭和五十五年十月に料金改定をいたしましたが、そのころから民間運送業者のそういった小型便輸送への進出が非常に目立ち始めまして、料金値上げと相まって、両方の影響からかなり減少してきております。昭和五十四年に一億九千九百万個、約二億個近かった小包郵便物が、昭和五十五年度は前年度比七・七%減少いたしまして一億八千三百九十万個になっております。翌五十六年度におきましてはさらに前年度より一五・二%減少しまして一億五千六百万個になっております。五十七年度は、まだあと一月を残しておりますので最終的な数字はつかんでおりませんが、やはり五十六年度に比べてなお一〇%程度減少する見込みで、総体として約一億三千万個程度まで減ってくるのじゃないかというふうに考えております。しかしながら、先生も御指摘になりましたが、昨年の六月から速達小包の航空機搭載とか、それから昨年の十一月十五日からは大口利用者の料金割引等の施策を実施してまいってきております。その結果、数字で申し上げますと、昨年の四月一日から十月末までの対前年度の減少率が一四・四%減少しておりましたものが、小包料金の割引制度実施後、十一月十五日からことしの一月三十一日までの数字でございますが、減少率が約半分の七・五%というふうに減少してきております。  なお、今日の時点で小包郵便物の引き受けは、一般の小包については約四割が料金減額の対象になっております。また、書籍小包につきましても約二割程度が減額の対象になっておりまして、やはり料金が高いか安いかによってかなり働くというふうに考えております。  民間の宅配業者は安くて速いという面が確かにございまして、その影響で国鉄の荷物、郵便小包等もかなり民間の方に流れておるわけですが、しかし、民間の宅配の荷物は平均しますと大体八キロから十キロぐらいのものが多いそうですが、私どもの方の郵便小包は六キロまでしか取り扱っておりません。それから、料金の設定の仕万も、郵便小包は一キロ単位に細かく刻んでありますので、比較的重量の軽いものはやはり郵便小包が安うございます。選択の幅は、六キロ前後、四キロから六キロぐらいの幅のところが、選択によっては、それから重量、場所によっては、民間の方が安いという実態でございまして、その面においてかなり流れているという状況でございますが、先ほど申しましたように、料金割引制度後、減少率に若干の鈍化の兆しがございますし、私どもはさらに、取り扱いのサービス内容において民間業者に劣っていると思われる点については、今後とも改善を加えてまいりたいというように思っておる次第でございます。
  135. 大橋敏雄

    ○大橋委員 そこで、大臣にお尋ねしますが、所信表明の中に、「一方、郵便事業を取り巻く社会経済環境は、一段と厳しさを増してきておりますので、今後とも、事業運営の効率化、合理化の推進に努めますとともに、多様化する国民のニーズに即応したサービス提供」する云々、こうございますね。いま私が申し上げましたように、特に郵便小包は、民間等の宅配業者などに対抗して競争に勝っていこうとするならば、集荷、集配、こういう点のシステムを根本的に改めなければとてもとても対抗できない、競争には勝てない、私はこう思うわけですね。また、そのような根本的なやりかえをやろうとすれば、新たな資金投資といいますか、こういうものもかなり予想されねばならぬということを思いますと、いま局長さんの方からいろいろと努力、工夫なさっている説明はございましたけれども、私は、むしろこれは民間委託といいますか業務委託、それよりももっと積極的に民間開放というような方向で持っていくべきではないのかな、こう思うわけですね。この辺は大臣の決断次第で変わっていくわけですが、いかがなものでしょうか。
  136. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 小包郵便が、いま郵務局長からの御説明にありましたように、民間の小口荷物の輸送分野への進出が著しいものでありますので、その影響を受けて減少傾向にあることは御指摘のとおりでございます。ただ、私も民間の進出にとやかく言う気持ちはございません。郵便法の規制外の問題でございますので、民間は民間で大いに国民のためにサービスをしていただければ結構であるというふうに思うわけでございますが、民間のいわゆる宅配だけでは、全国津々浦々の国民の小口荷物輸送にこたえられるような情勢ではないわけでありまして、郵政省としては、全国のあらゆる地点に小口荷物を郵送するという責任を負っておるわけでございます。したがって、小包郵便全体としての健全な運営ができるような条件をつくり出していくということがどうしても必要であるというふうに思っておるわけであります。そういう意味で、小包郵便の取り集めあるいは配送について一層の合理化を進めていかなければならない。同時にまた、適正な競争関係、料金関係というものもつくり上げていかなければいけないことであるというふうに思っておるわけであります。その中で、民間への業務の委託、代行等については、まだ検討中ではございますが、将来に備えまして真剣な検討をすべき段階に来たというふうに私は思っておりますし、その旨を事務当局に指示をいたしておるところでございます。
  137. 大橋敏雄

    ○大橋委員 年々減少してきていた郵便物の減少幅がいまぐっと縮められてきた。その努力、工夫はよくわかるわけでありますが、全体として非常に暗い見通しでございます。いまも大臣がおっしゃるように、もう一歩掘り下げて検討し、民間に委託する業務あるいはまた開放する業務と、立て分けながらやっていかなければならぬと思うわけです。というのは、郵便小包等の航空輸送等が配慮されてきておるようでございますが、私はむしろコスト割れになるのではないかという心配もするわけでございまして、そういう立場からもっと真剣に掘り下げて検討し、適切な対応をしていただきたい。これを望んでこの問題を終わりたいと思います。  次に、郵便貯金に関してお尋ねしてみたいと思います。  郵貯特会を見てまいりますと、三年連続しまして赤字が出てきております。この前新聞報道でございましたけれども、五十八年度もすでに二千三百億の赤字が明らかになった、五十六年、五十七年、五十八年度の累積赤字は三千五百億だ、このように出ていたわけでございます。このような大幅な赤字が続くというその本当の原因は一体何だろうか、こう私は疑問に思っておりますので、この辺を説明していただきたいと思います。
  138. 鴨光一郎

    鴨政府委員 郵便貯金特別会計の収支につきましては、ただいま先生指摘のような形で、五十七年度あるいは五十八年度予算の見込みといたしまして赤字という状態になっているわけでございますが、基本的にこの赤字の原因は何かという点でございますけれども、私どもお預かりいたしました郵便貯金は資金運用部に預託いたしております。そこから受け取ります預託利子をもちまして預金者の方々への支払い利子と私ども事業運営のための経費に充てるという仕組みになっているわけでございますが、基本的には、私ども郵便貯金と申しますのは、コストあるいは支払い利子を含めまして、他の民間金融機関との比較におきましても非常に低いコストで賄われておるという状態でございますけれども、一方で運用部から受け取ります預託利子というものがきわめて低い状態にあるということから、一時的にせよこういう赤字現象が生じてくるということでございます。その預託利子につきましては、ある場合におきましては支払い利子の一番高いものとの間に利差が生じないというふうな状態も出てくる。ある意味では政策的な側面があるわけでございますが、利差ゼロというふうな状態も過去にあったわけでございまして、このような状態ではどうしても赤字が出てこざるを得ない。一面でコストが高いのかという点は先ほど申しましたとおりでございまして、この預託利率のレベルというものが当面の赤字の原因でございます。ただ、少し長い目で見ました場合に、金融、経済情勢いろいろ動いてまいりますけれども、現在のような状態が続いてまいりますならば、五十九年度にはほぼ収支がとんとんになるであろう、そして六十年度、六十一年度には単年度の黒字が見込めるであろうという状況でございます。いずれにしましても、単年度で出てまいります赤字の原因は預託利率にあるというふうに私ども考えております。
  139. 大橋敏雄

    ○大橋委員 確かにいまおっしゃるとおりに、私も政府の「郵便貯金特別会計の収支」「郵便貯金の資金コストと運用利回り」という資料を見てまいりまして、なるほどなと思うわけでございます。  たとえば昭和五十六年を見てまいりますと、運用利回りは七・三五、雑収入率がゼロですから合計して七・三五ですね。資金コストの方になりますと、支払い利子率は六・七一ですね。だから、この場合までは問題ないのだけれども、事務費率が〇・八一になりますから、合わせて七・五二ですか、それで三角で〇・一七が立っておりますね。五十七年度予算を見てまいりますと、運用利回りは七・三一、資金コストの方を見てまいりますと、支払い利子率が六・六五プラスの事務費率〇・七六、合わせて七・四一、これまた〇・一〇の逆ざや。このように、言われるとおりに逆転していっているわけですね。  しかし、事務費率を見てまいりますと、五十一年度等は一・三三%から五十二年は一・一九、それから五十三年一・〇九、五十四年になりますと〇・九五、次が〇・八八、次に〇・八一、〇・七六と、非常に合理化している姿がこの中にも見えるわけでございますが、いずれにしましても、こうした預託金利のレベルの違いから大きな赤字が生じている事実。それからもう一つよく指摘されていることに、五十五年度の定額貯金の利率が過去最高の八%になったときに、低金利預金者がぐうっと貯金した。一挙に膨張した。預けがえした額が二十三兆円とかいうような新聞報道もなされましたけれども、そのときの貯金の利子負担が重くのしかかってきているんだということも聞くわけでございますが、その点も私は大きな原因ではないかと一応思うのですが、いかがですか。
  140. 鴨光一郎

    鴨政府委員 お答えいたします。  先ほど御指摘がございましたように、昭和五十八年度赤字が二千三百億円ほどでございまして、大きくなってきておりますけれども、この点は、いま先生からお話がございましたように、確かに昭和五十五年度に預入をされましたものが、当時預託利率が八・五%、定額の最高利率が八・〇%ということで、利差が〇・五%だったわけでございまして、これが比較的に大きな数字になっているということと、五十五年度から見まして三年目ということで、定額貯金といたしまして一番高い利子率が付される状態にございます。そのことと、それから一方で、五十六年度以降、ここで預入されました貯金につきましては、利差が一・三%ございます。預託利率七・三%、それから定額の最高利率六・〇%、これが累積されてきているわけでございますが、郵便貯金の増加状況が不振であるというふうなことがございまして、このプラス・マイナス両方の間で、五十八年度につきましては赤字が多くなっている状態にございます。五十五年度預入分の影響があるという点は御指摘のとおりでございます。
  141. 大橋敏雄

    ○大橋委員 先ほどの局長の説明の中で、定額貯金郵便貯金全体の八九%を占めておる、こう聞きましたけれども、このように幅広く国民大衆に利用されているのは、まさに国民大衆の貯蓄としての条件が備わっているからだ、私はそのように判断するわけですね。預け入れ期間が長くなるにつれて利率が段階的に高くなる、また、半年複利で預け入れたときにさかのぼって利子の計算がなされる、いわゆる複利運用がされる。あるいはまた、預け入れ期間十年といいますけれども、半年経過すればいつでも自由に払い戻しができるという、こういう内容になっておりますね。  たとえば、昭和五十五年三月の利率表によりますと、銀行の普通預金利率は二・七五%、この定額貯金の利率は五・五%であった。この状況の中で、たとえば百万円を定額貯金にすると、半年ごとの複利運用でいくわけですから、十年間預けていくと百万円が二百三万八千四円になる、こういう細かい計算をした方があったわけでございますが、確かに預金する方にとっては魅力ある有力な商品である、私はこう思うわけでございます。  しかしながら、この定額貯金の特徴が最近の定額貯金見直し論の根拠となっているように思われてならぬわけでございますが、この点についてはどのようなお考えをお持ちですか。
  142. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先生承知のように、郵便貯金と申しますものは、個人の利用が大部分でございます。九九%でございます。その中で定額貯金が約八九%という比率になっておるわけでございますが、この定額貯金につきましては、ただいま先生が御指摘のような収益性があると同時に流動性もあるということで、この個人の方々の貯金と申しますものは、いつどういう状態で使うかということが必ずしも定かでない、あるいは不時の出費そのものに備える、あるいは病気に備えるというふうなことなどを目的にした貯蓄でございまして、そういった意味で、一面では長期性を持っているという点がございます。こういったことは、定額貯金商品性がその利用者の方々のニーズにマッチをしているというふうに私ども考えているわけでございます。  もう一面で、先ほどお答えいたしましたように、預託利率の面から一時的な単年度の赤字が出てくるという状況はございますけれども、ここに利差というものが出て、現在のような状態が出てまいりますと、長い目で見ました場合には黒字という状態が当然見込まれる。過去におきましても、こうした形で赤字、黒字を繰り返しながら、総体的には収支が相償してまいっているわけでございます。したがいまして、その経営的な面あるいは商品性の面から定額貯金を見直すということにつきましては、私ども、そのようなことは必要がないのではないかというふうに考えているところでございます。
  143. 大橋敏雄

    ○大橋委員 この臨調の問題についてまだいろいろとお尋ねしたかったのですが、時間の関係ではしょりますけれども、庶民の貯金であるという立場からは有利性を確保していくべきである、私もこのような意見でございます。  次に、電電公社改革問題についてお尋ねをしてみたいと思いますけれども電気通信事業の爆発的な発展といいますか、今後の動向を予測しますときに、電電公社が現状のままでいいのか、あるいは大幅な改革が必要なのか、いま重大な政治問題になってきていると私は思うわけでございます。二十一世紀へ向かっての新しい時代、より適応すべき活力ある企業体をつくり上げまして、真に国民生活向上に寄与する、そういういわゆる国民立場に立ってその改革をしていかねばならぬのではないか、私はこう思うわけでございますが、そういう観点に立ちまして、一、二御意見を伺いたいと思うのでございます。  まず初めに、臨調基本答申の大筋は次のとおりであろうと、私の理解をまず申し上げますので、聞いておっていただきたいと思うのですが、五十七年の七月三十日、臨調基本答申では、今後五年以内に、基幹回線部分を運営する中央会社と地方の電話サービス等を運営する複数の地方会社とに再編成することとし、当面、政府が株式を保有する特殊会社——これは日本航空とかKDDの例のようなものですね。特殊会社に移行させる。将来は民営化する。そして基本回線部分への新規参入を認める。宅内機器、データ通信、保守部門等を分離する、こういう内容になっていると私は思うのでございますが、この臨調答申に対して、ある新聞社の社説の中に非常に評価した記事が載っておりました。「全般的には高い評価を得られるものである。同答申で同時に提示されている国鉄改革案が、後ろ向きの対策に比重がかかっているのに対し、電電公社の場合には前向きの構想が随所に認められ、今後の高度情報社会化への一翼をになうものとしての同公社の位置づけがなされている点に賛意を表したい。」と、ずうっとその後、賛否両論の内容に対する論評がなされているわけでございますが、まず、こうした臨調答申等が出ている今日、電電公社改革についての郵政大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  144. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 昨年七月三十日に臨調から出ました答申内容は、いま御指摘があったとおりでございます。この答申が出まして、九月の二十四日に閣議決定によるいわゆる行革大綱が決定されたわけでございます。その行革大綱の要旨を言いますと、電電の改革問題については、政府・自由民主党行革推進本部の常任幹事会において、各方面の意見聴取しながら調整を進める、そうして次期国会に法案を提出すべく努めるという趣旨のことが言われておるわけでございます。  私どもも、政府の中で電電の主管官庁として、この問題には、当然大綱にもありますように立案、検討のための体制を整えなければいけないわけでございます。そういう体制を整えておるところでございますが、先ほど阿部委員の御質問にもお答えしたのでございますが、電電の経営問題は、私どもにとりましては電気通信行政基本にもかかわる問題であるわけでございます。  簡単に言いますと、一つは、現在の公衆電気通信法の基本的な理念となっております電話中心としました電気通信というものは、国民の日常生活に深く密着をしておるサービスであるわけでございますから、これをできるだけ低廉にかつ安定したものとしてあまねく国民提供できるという保障がなければならない。また同時に、将来の進展する情報化社会の中で、いまお話のございましたいろいろな新しい国民通信ニーズというものにこたえ得るような体制を整えていくことが必要である。そういうことを踏まえまして内部的に検討を進めておるのでございますが、申し上げましたような行革大綱の決定された方向は、政府・与党間において意見の調整を図る必要があるという段階でありますために、いまどのような形態にするかということを申し上げられる段階にはないわけでございます。私どもとしては、形態の変化に伴いまして関係する法律が大変多いわけでございます。公衆電気通信法を初めとする多くの法律の改正を伴う問題でございますので、それらの問題について手落ちのないようということで、省内で検討を進めておる。また、電電公社との間でも意見の交換をする仕組みをつくりまして、随時意見の交換をやっておるという段階でございます。
  145. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いま大臣お答えの中に、五十七年九月二十四日の閣議決定、その中に政府・自民党との調整を進め、政府部内においても検討、立案体制を整えて所要の調整を進めていく、こうあったという話があったわけでございます。つい先般、自民党案というものが決まったらしいということで新聞に大きく報道されておりました。その経営形態については、基幹回線部分は政府が全額出資する日銀型の出資証券方式による特殊法人として、「出資金は五千億—一兆円の規模」、それから「電話サービス業務などは全国を三—五区分に分割した地方会社(株式会社)が担当、その株式は民間に売却する」「データ通信、宅内機器部門などは別会社とする」、こういうのが新聞報道に出たわけでございますが、いまの大臣の御答弁とあわせまして、最後に真藤総裁の御意見を伺いたいのでございます。  総裁はかねてから民営移管に強い御信念をお持ちである、私はこのように拝見してきたわけでございますが、去年の七月の十四日の日に記者会見をなされた模様が翌日の新聞に報道されておりました。その報道の記事内容に、「日銀方式はドイツのヒトラー方式、合理化には適さない」「今の経営形態のままだと将来のINSは使いものにならない」、すなわち高度情報通信システムは使いものにならない、このようにおっしゃったというのが新聞に出ていたわけでございますが、この辺の事情をもう少し詳しくお伺いしておきたいと思います。
  146. 真藤恒

    ○真藤説明員 現在私どもは、行革大綱が出まして、いま大臣がおっしゃいました線に沿って郵政の御指導をいただきながら、当事者としての細々した勉強を精力的に進めておる状態でございます。  いま新聞記事のことがお話に出ましたが、あの当時はまだ行革大綱ができておりませんでしたので、私どもまだある意味ではある程度自由な発言ができるという時代でございましたのですが、行革大綱が出ました後は、そういう立場に私ども立っておりません。いま大臣のおっしゃったような線で、間違いのない勉強の資料をまとめておくべきだというのが、私どものいまの立場でございます。  そういうことでございまして、いまお話がございましたように、大臣のお話もありましたように、私どもが希望しようがしまいが、日本の国際的な立場からいいまして高度情報通信社会というものに進んでいかざるを得ない。それに対応するだけの電気通信事業技術的なまた経営的な、そしてまたあらゆる面での対応能力を持たなければならない。ここに一つ問題がございまして、技術的に優秀なもので、しかも外国に負けないもので、あるいはむしろ外国をリードする形の内容のもので、しかもそれが一般の可処分所得の中で十分使えるものにならないと、世の中のお役に立つ電気通信事業にはなり得ない。現状からそこへ十年から十五年の間に移っていかざるを得ないだろうというのが、現在のあらゆる面からの判断でございます。その間にそういうことが実現できるようにするというのが、どういう経営形態であれば一番合理的にそこへ持っていけるかということは、これから先、政府及び与党の方でいろいろ御審議になることだというふうに了解いたしております。  私どもといたしましては、そういう大きな変革を十年ないし十五年でやっていきます間に、私どもは私どもなりに、私どもの仲間がそういう変革のために犠牲者を出さない、むしろ逆に、そういう変革を利用していまの職員の生活環境、社会的地位というものが現在よりも一歩でも二歩でも前進できるような形に持っていくということが、私ども当事者としての一番大事な問題だと思います。しかし、それにはあくまでもやはり財務の基盤というものがはっきりしておりませんと、お金がなくなって公共の責任も持てるものではございませんし、また職員に対する責任が持てるわけでもございませんので、財務の基盤を健全にしながらそこへ持っていく、職員に迷惑をかけず希望的に働きがいのある職場をつくっていくように努力をしていく義務があるというふうに心得ております。
  147. 大橋敏雄

    ○大橋委員 時間が過ぎましたのでやめます。      ────◇─────
  148. 左藤恵

    左藤委員長 次に、電話加入権質に関する臨時特例法の一部を改正する法律案及び電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律を廃止する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  149. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 今度、加入電話加入申込者等による電電債券の引き受け制度が廃止されることになりまして、そのための法案が提出されておるのでございますが、私は若干の質問をさせていただきます。  御承知のように、戦後物すごい加入電話の申し込みがございまして、なかなか資金調達に苦労した時代に、加入者から応分の御協力をいただくということで、積滞解消の一翼としてこの法律がつくられたのでございます。そして、きょうまで二十三年間にわたって果たしてきた歴史的な使命というものは非常に大きかったと私は評価をしておるのでございます。いよいよ今回その使命を終わってピリオドを打つことになったわけでございますが、いままで制度発足以来この法律によって発行した債券の総額というのは幾らでございましたでしょうか。そしてまた、そのうちで未償還になっているのはどのぐらいございますか。
  150. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘のように、受益者、利用者の皆様方に債券をお引き受けいただくというこの制度は公社発足以来のものでございますが、これによりまして、電話の需給均衡の達成、さらには、その後に続く電信電話サービスの拡充に大変大きな役割りを果たしたわけでございまして、改めて利用者の皆様方のこれまでの御協力に心からお礼を申し上げたいということを冒頭申し上げたいと思います。  お尋ねの現在までの調達の総額でございますが、昭和二十七年公社発足以来、いわゆる負担法時代のものを含めまして、利用者の皆様方にお引き受けいただいた債券の総額は、額面のベースで見まして五兆九千六百億円でございます。これは五十六年度末の実績でございますが、このうちすでに償還をいたしましたものが、同じく五十六年度までに三兆二千五百億円。したがって、五十六年度末の残存債務額は二兆七千百億円に相なっております。
  151. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それから、そのほかに特別債、公募債あるいは借金等を入れまして、現在の公社の負債総額はどのぐらいございますか。
  152. 岩下健

    ○岩下説明員 五十六年度末の実績で申し上げまして、負債総額が五兆三千三百億円でございまして、この内訳を大きく申し上げますと、加入者債券で先ほど申し上げました二兆七千百億円、それから政府引受債及び政府保証債、いわゆる財投でございますが、これが五千三百億円、それから特別電電債、それから一部借入金も含めまして、二兆九百億円。以上でございます。合計が五兆三千三百億円でございます。
  153. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それで、今後加入電話ないしは加入電信等、この法律が適用されるであろう、こう考えられる需要はどのくらい見込んでおるのでございましょうか。たとえば五年後まで年間どのくらい需要があると見込んでおるのか。ことし五十八年度予算は、新規加入者が電話だけで百十万でしたか、そのほか加入電信その他の附属機器等を入れてどのくらい見込んでおりますか、新規需要です。
  154. 真藤恒

    ○真藤説明員 まだ詳細に詰めておりませんけれども、概算で申し上げまして、現在の負債の総額をキープしながらあと五年ぐらいはやっていけるというふうに考えております。多少の上がり下がりはありますけれども、あと五年ぐらいは大体いまの線で横ばいで行けるというふうに考えております。
  155. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 総裁のそれはわかりましたが、私の聞いているのは、具体的に加入電話がこれから年々どのくらい需要があると見積もっておりますかということですね。
  156. 池沢英夫

    ○池沢説明員 きっちりとした予測というのはなかなかむずかしゅうございまして、現在五十八年度で百十万、予算でお願いしているわけでございますが、百万前後、あるいは先へいきますともうちょっと電話としての需要は少しそれよりも下回るのではないかというような感じでございます。
  157. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そこで、前回の質疑の際に、INSとは何か、これは総裁から概略をお伺いしまして、わかりました。そこで、これからINSの時代に入っていくわけでございますが、私たちがちょっと心配しますのは、いまも総裁からお答えがありましたけれども、これから遠距離電話料金を下げていくということですね。それで将来は全国を画一的な料金にしたい、そうしなければこのINSというのはやっても効果がなくなってしまう、こういうこともこの前伺いました。それはそうでしょう。しかし、何といってもこれからは、INSを構築していく場合に、五年先か、十年先か、十五年先か、二十年先か、私わかりませんが、これがどういうふうなプロセスで、この手法でもってだんだんと普及していくのか。そのためにはどのくらいの予算が概略かかるのか。そういうことがわかりませんから、ちょっと心配になるわけでありますが、この法律がなくなる、そうすると年間二千五、六百億の収入減になるわけでございますね。その上に料金はどんどんと下げていく。その辺の減収も予想されるでございましょう。したがって、現行料金制度というのがどのくらい持ちこたえていくのか。ですから、将来の構想——格差なしということになれば、せめてわれわれが長い間主張しておりますグループ料金制でもできるだけ採用して、市内、市外、近距離を含めた総体的な料金制度はいかにあるべきか、こういうことをやはり真剣に考えて、これからの公社財政基盤というものをしっかり打ち立てていかないと、将来非常に問題があるのではないか、こういう心配をするわけでございます。  それから、加入者の側から見ますと、いまのA型電話機をあるいはクロスバー電話機をできるだけディジタル化してほしい、こういう願いもあるわけでございますが、これは更改期の問題等も含めまして、いままでやってきておりますから、一遍にこれをやるということは経済的な面から見ても問題がありますが、それは公社側の考え方であって、加入者側の方から見れば、何で僕のところだけがA型になっているんだ、早くディジタルにしてくれ、こういう意見も当然出てくると思います。  それからもう一つは、最近は料金の徴収なんかも大変苦労されているようですね。それにも増して、使用した料金の内訳明細書というものをぜひ欲しい、こういう意見がございます。ただし、これについては通信の秘密その他もございますから、一律的にやることは無理としても、本人が聞きたいという人に対しては、電灯料金のメーターみたいなものを、これは加入者のところへつけるのか、局の中へつけるのかは別としましても、機械を設置して、できるだけ明細書をちゃんとつけて、これだけの料金がかかりました。総裁いらしてから二段構えにしまして、一応次に払う金についてはこれだけになっております、もし異議があったらどうぞお申し出ください、こういうふうにサービスの面で改善されたことは高く評価していい。しかし、私はこんなに使ったはずはない、多過ぎるじゃないかという苦情もかなりあるわけですから、この明細書はどうしてもやらなければいかぬと私思うのですね。そこで、これを設置する場合に、新しく加入者から金を出してもらうのか、あるいは公社がその分を負担して加入者には御迷惑をかけないような形で明細書ができるのかどうなのか。こういったことも切実な要求でございますね。あと自動車電話にしても、何か東京とか大阪とかそういうところだけ先にサービスを開始されて、へんぴなところは後回しにされている、こういう不満だってありますよ。日本国民でありながら、どこにいようと、自動車電話を東京で使うなら、たとえば山梨県の吉田というところであるいは甲府でなぜ早くやってくれないのか、そこにやはり公共性としての使命、そして多少採算上からいったらマイナスになってもやらなければならない使命というのが電電公社にはあるわけですね。ですから、そういう国民期待にこたえるためにはまだまだこれからやることがたくさんあると思うのです。  そう考えてきますと、料金制度も何か将来は格差なしにやるということは、それは結構なことですけれども、われわれとしては、これから情報化社会に入っていく、たくさんの国民のニーズが出てくる、それに敏速にこたえていく、そのための財源というものは一体どうなるのだということの方が頭に来るわけですから、その基盤というものははっきりこういうふうにしてやりますという中で、INS構想なりいま申し上げたような当面の加入者が要求しているサービスというものをどのような方法でどうしてやるかということくらい明らかにしていく必要があると思うのです。  この前、総裁の御意見を承りましたが、五年後には各県庁所在地にはINSのサービスが開始される、こういうふうに言われると、加入者の方から見ると、みんながINSのサービスがしてもらえるのだと思っているのだが、そうじゃない。ほんの一部。将来は需要に基づいて逐次拡大していくというのが本当のいまの考えているところでしょう。そこに国民公社がやっているINS構想の中にギャップが出ているのです。やはりこういうギャップをちゃんと整理してやらないといけないと思うのですね。二十億なり三十億の宣伝費を使って大いにPRしているわけですから、そういう点もPR紙でやるか、あるいは通信局から通信部、現場末端まで公社の組織はあるわけですから、どこでやるかは別としても、直接お客さんに接するような場所をできるだけ利用して、これは宣伝のためには金がかかってもいいと私は思うのだ。そして、真実というものをお客さんに知ってもらうという体制を考えておかないと、総裁、非常にギャップが出てまいります。ですから、これからINSの時代に入っていって市外の遠近格差をなくするということになってくると、たとえば専用線を使っている人たちは、一体おれたちのやつはどうしてくれるのだ、もっと下げてくれ、こういう意見も出てまいると思うのです。ですから、その辺のこれからの手法といいますか、そういうものをひとつはっきりとここで聞いておきたいのです。  それからもう一つは、この法律が廃止されまして、いままでは、東京ですとたしか十五万円ですか、加入者債券を買ったわけですね。ところがこれがなくなりまして、八万円の設備費、これは法定化されておりますね。これは法律を変えない以上は動かない。そのほかに手数料というのが三百円あるわけですね。これは郵政大臣の認可を得て公社が決めるようになっておるわけですが、そうすると八万三百円で電話が引けるわけです。従来は、それに十五万円の債券を買ってもらった。しかし、これは利息をつけてお返しするのでありますが、そうなっておりましたね。そこで加入者が心配するのは、これがなくなった場合に、あるいは設備料八万円を上げるのではないか。あるいは三百円の加入手数料、これをまた上げるのじゃないかという心配が当然出てきますよ。ですから、その辺は絶対に現状をいじらぬ、どこまでいじらぬかそれは別としても、そういう点を明確にしておいていただきたいと思うのです。  ですから、質疑がちょっと逆転しましたけれども、最初に、法律を廃止した後の設備料と手数料はいつごろまで現行に据え置けるのか、それから、後はそのプロセスについてちょっと説明しておいてもらいたい。
  158. 小山森也

    小山政府委員 非常に幅広い御質問でございますので、先生が御期待なさっている返事の順序と違うかもしれませんけれども、まず、私ども立場からのことを申し上げます。  一つは、拡充法を廃止することによってこれからのINS投資というものに対する資金的な裏づけに不安はないかというようなお話がまず最初だったと存じます。これにつきましては、拡充法と申しますのは、やはり戦後の非常な積滞それから設備資金の不足という危機的な状況国民の皆様方にお助けいただくという精神でつくられたものでございまして、現在そういった意味での緊迫化、そういったものは一応解消したということでございます。  それではこれからどうするかということでございますけれども先生指摘のように、確かにINSに対する投資総額というものは不明確でございます。やはりそういったときに、またさらに国民の皆様方にいろいろな御協力を願うというのは、そういった事情がよくわかりまして国民の皆様にコンセンサスを得たときに、さらにそういった必要が生じたときに、また考えていろいろ御相談することではないかと思っております。  次に、その裏づけになる料金の問題でございます。いま非常に料金引き下げがございまして、料金収入というのは非常に先行き不安ではないか、そういったことについては大丈夫かというお話だったと存じます。やはり公共料金でございますので、妥当な報酬というのは当然いただかなければ、結果的に、少ない料金収入が投資の不足につながりまして、大ぜいのお客様方に迷惑をかけるということになってはいけないと思いますけれども、公共料金の一つ側面といたしまして、やはりある程度収支を賄った上での安全性を見た場合においては、なるべく安い料金でお客様に利用していただくということがあって初めて、今度はそういった料金では不足する場合に御協力がいただけるのではないか、こういったように公共料金というものの一つである電話料金というのは考えるべきではないか、このように私ども考えている次第でございます。  なお、さりとて先生が御指摘のように、先行きの投資が不安になるような形に置くのは、結果的には国民の方にはね返ってまいりますので、十分そういった計算をしなければならないと思っております。  なお、そのほか具体的な問題を数々御指摘いただきましたので、私の方からお答えするのはこれをもって終わりといたしたいと思います。
  159. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  先生お尋ねの、拡充法の廃止後のINSの構築に向けての資金調達に当たっての考え方公社立場から一体どうなのかというお尋ねでございますけれども、これは先生もおっしゃいますような、たとえば料金の関係のお客さんにおこたえするサービスといったようなものを含めた広い意味のお客様のためのINSの構築のために、かなり膨大な資金を必要といたします。これが具体的な計画につきましては、前回当委員会でもお答えしましたように、現に作業中でございますけれども、そういった建設資金のほかに、また先ほどお答えしました既存の債務の償還のための償還資金も必要といたします。こういった一連の資金調達のあり方につきましては、私どもとしましては、基本的には経営の効率化によります内部資金の充実、これがまず第一義かと思っております。次いで、公募あるいは非公募の特別電電債券の発行、さらに海外における外貨債券の発行、あるいはまた、現在もうすでに実施しております国内での銀行での協調融資という形のいわゆる借入金の形のもの、こういった市中調達につきましても、その調達の多様化あるいはまた自主調達のための調達力の強化によって対処をしていきたいと考えておりますし、またそれが可能だというふうに現在考えておるわけでございます。  具体的には、現在、公社事業収支は、利用者の皆様方の御利用に支えられまして、また職員の努力もありまして、幸い一定額の収支差額を確保する、そういう事業収支状況にございます。また、公社もマネージメントの努力といいますか、そういった面で債務の増加を少しでも抑制しようという努力をしてきております。こういった公社側の財務基盤の確立努力というものも一つは反映いたしまして、国内外の証券市場におきます電電債券の評価といいますか、これも幸い比較的高いランクといいますか、信用度として与えられておりますので、そういった国内並びに海外における市中調達につきましても今後さらに努力をいたしまして、こういった形によって資金の確保について対処してまいりたいと思いますし、また、INSの構築に向かっての必要資金はこれによって対処可能だろうというふうに考えておるわけでございます。
  160. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  INSの今後のテンポといいますか計画につきまして、まだ具体的に、たとえば後十年たてばどうだというようなことまでは策定しておりませんが、当面の方向といたしましては、先生承知のように、武蔵野・三鷹におきまして、現在もうすでに工事に入っておりますけれども、このエリアで新しいディジタル交換機と光ファイバー、これはすべて超LSIといったような新しい技術を使っておるわけでございますが、こういったものを使いまして、モデルといたしまして、モデルシステムを構築することでいま進んでございます。  その後、同じようにこの技術を使いまして、筑波の科学万博におきましても、実際に館内のすべての情報システムを構築するとともに、電電公社の展示の中におきまして未来のいろいろな新しい夢を含めての展示をしたいと思っておりますが、こういう手順を経まして、私どもはINSというものがどんなものであるかということがユーザーの皆さん方にも御認識いただけると思いますし、私どもも具体的にこういうものがやっていけるという確認が恐らくそこでできるのではないかと思っております。  一方、ただいま申しました光ファイバー方式というものは、これは日本が世界でも相当進んだ地位にいまありまして、具体的には、もう全国といいますか、特に長距離基幹回線につきましては、同軸ケーブルにとってかわりまして光ファイバー伝送路をいま構築中であります。これは現在の電気通信にももちろん有効でありますし、将来のINSを考えましたときにも、きわめて有効な武器、伝送路となる予定でございます。  そういったものを進めておりまして、したがいまして、いま申しましたように、基幹的なものにつきましては将来を見通してすでに設備をしていく、それから端末等を含めた特にサービス部分等のお客様に直接使っていただく部分につきましては、モデルシステムあるいは科学万博等を通してこれを完成していく、こういう形で進んでいくようにいま考えております。  そういった非常にバラ色のお話のように受け取られるかもしれませんが、そういったものをやっていくにはまだ相当年数がかかりまして、この前の御説明でも、たとえば六十五年にはあるいは七十年にはというような仮定でその段階における御説明を申し上げたと思うのでございますが、時間もそれだけかけまして、技術もその間にいろいろと進んでまいりますので、建設投資額につきましても、先ほど経理局長が申しましたように、現在では私どもの資金調達の範囲でやっていけるのではないか、このように考えております。
  161. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 その話は私ももう三回聞いているのです。それはわかっているのだが、問題は、INS、INSと言って、バラ色とあなたはおっしゃっているのだけれども国民はINSというものの恩恵にもう少したったら浴せる、そういうように考えているくらい宣伝をやっているのだが、中身を聞いてみるとまるっきりバラ色で、後二十年先みたいな話になったのでは、これは話にならないのです。だから、いま長期計画をずっとやってまいりまして、最終的に三カ年の計画を出してありますね。それはわれわれわかっているのです。ですからこれは五十九年まで。そうすると、電電公社の積滞解消した五十二年以降今日までの歩み、そして今度は六十年以降長期計画をちゃんと立てて——その後五年計画になるのか十年計画になるのか、私は知りませんよ。しかし、いずれにしても、そういう計画を早くお立てになって、そしてINSというのは一体いつごろどこまではやれるのだ、その建設資金は、基礎工程としてどのくらいの金がかかって、そしてサービス工程に入ったときに幾らかかるか、これは処方せんの一つの初歩じゃないですか。そのくらいのものはつくって国民の前に明らかにすべきだと私は思うのですよ。そういう作業を現在やっておられるのかどうなのか。それも手がつかないでおるのか。要するに、六十年度以降の電電事業は一体どういう姿になって情報化社会の方に進んでいくのか、そういうことについて私は聞きたいのですよ。それは、いま電電公社にたくさんいる人たちが頭脳を働かしてやっているのですか。その点はどうなんですか。
  162. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  いま先生指摘の将来の長期計画につきましては、部内的にはいろいろ検討を重ねております。ただ、先ほど申しましたように、モデルシステム、ある程度経験をしないとどうも詰めにくいところも多少ございまして、そういう意味でまだ部外的に私どもが自信を持って発表するものはでき上がっておらないということで、いろいろな仮定を置いての部内的検討は進めておる段階でございます。
  163. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ですから、五十八年度予算にも、三鷹のモデル局をつくるための、INS構想に向かうための建設投資として幾らの金がかかりますと計上してありますね。そういうものが五十九年度、六十年度とずっとこれからどうなっていくかということをひとつ計画をつくるべきだと思うのですよ。  これは総裁、あなたはINSに大変力を入れてくれてみんなが期待をしておるのだ。ですから、いま言ったような五十六年度以降INSというものは一体どういうふうなプロセス、手順を経て、将来構想はこうなって、このころになったら大体こうなっていくというくらいの大筋と、それから六十年度以降五年間ぐらいどうなっていくかというようなものは、ひとつ計画をつくって、そして国会へ示し、国民にも理解をしていただくというようなことをおやりになる責務があると思うのですが、それはどうですか。
  164. 真藤恒

    ○真藤説明員 いまの先生のお話は、今度できました企画室で作業を開始いたしております。いずれそのうちに第一次案、第二次案というふうに出すつもりでおります。この秋くらいからことしの暮れあたり大体の輪郭はまとまると思っております。
  165. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 その辺が大体わかれば、私たちもまた意見があれば申し上げたりして、よりよいものをつくるようにしていただくように、その計画があれば結構です。ひとつそれを詰めていただいて、できるだけ早くわれわれにも見せていただきたい、こう思います。  そこで、電政局長、法定的な公共料金のことですから、あなたさっきお答えになったのですが、設備料八万円、これは当分手をつけませんね。それから、電電公社の方は三百円の手数料については何年間ぐらいそのままにしておくつもりですか。これは郵政大臣の認可を得てやることだから、これは電電公社の方に。
  166. 小山森也

    小山政府委員 さしあたって八万円につきましては変更するつもりはございませんので、公衆電気通信法の改正をお願いしておりますけれども、この別表の第四の一というところにありますけれども、これについては御提案申し上げてないということでございます。
  167. 信澤健夫

    信澤説明員 加入料でございますけれども、加入料はそのほかの各種手数料と同じように、登録、記載、管理等の事務処理を行うための手数料でございまして、もう三十年近いこと現行のままになっております。ほかの各種の手数料と合わせて、やはりこれらの手数料については遠からず見直しをしていかなければいけないと思いますので、その中で検討をさせていただいた上で、郵政大臣とも御相談をさせていただきたいと思っております。
  168. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それで、今度三百二十キロ以上の遠距離電話料金を下げることになっていますね。公衆電気通信法の改正、遠距離料金を下げることになっておるのですが、グループ料金制を志向して、さっき私が最初に申し上げたような料金体系全体について見直しをしていくという考え方は、いま公社は持っていらっしゃいますか。  それから、特に専用線、新聞社とかテレビ、ラジオ、こういったふうな専用線についても当然値下げすべきだという意見がありますね。特に新聞関係には特別の割引料金をやっておることも知っていますけれども、それにしても、やはり全体的に下がってくれば、これは下げてくれということは当然ですから、そういう点については、全体的なグループ料金制などを志向しながら、市内、近距離、遠距離、総体的な料金制度を見直すという考え方はありますか。
  169. 信澤健夫

    信澤説明員 ただいまの御質問の中の最初の専用料金の問題でございますけれども、専用料金につきましては、今回の通話料の改定を行いますその通話料の改定に合わせまして検討をすべきであるということで、現在検討を続けております。とれは、現在専用線の半数以上、約六割が電話専用になっておりますので、電話料金とのバランスというのを当然考えていかなければいけないと思います。その場合には、やはり今度の通話料の改定が遠距離料金の引き下げというところに重点を置いておりますので、専用線につきましても、これと同じような考え方で案をつくった上で郵政省に御相談をさせていただいた上で認可をいただくべく準備を進めてまいりたいと思っております。  それから、全体的な料金体系でございますけれども、今回の料金改定は、通話料の遠距離料金の引き下げ、遠近格差の是正ということを目的として、三百二十キロ以上の遠距離料金の引き下げに重点を置きまして改定をするわけでございますけれども、まだ残された問題として、先生指摘のとおり、いわゆる近々格差と申しますか、近距離の市内通話料三分十円の隣が八十秒ですから、約三倍近い格差があるというこの問題につきましては、当然残された問題として私どもも鋭意検討を進めていかなければならないと思います。  ただ、この場合に、やはり市内とその周辺の隣接する区域とを一緒に統合する場合には、どうしても近距離の料金をある程度引き上げるということをしなければならないという問題もございますので、その辺どのようなやり方がいいのか、先生いまおっしゃいましたグループ料金制というのも一つの方法でございますし、その辺については今後諸外国の事例なども勉強しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
  170. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 総裁、さっきちょっと最初にお答えになられたように、現状のこの法律を廃止しても、いろいろあなたがやろうとする施策をこれからどんどんと推進していくと思いますけれども、現状の料金体系なり料金額、そういうものについては、五年ぐらいというのは財政基盤との関係で言っているのですが、現状このままいっても、この法律を廃止しても、五年ぐらいは財政基盤はしっかりしておる、バランスはとれる、その先はどうなるかちょっとわかりませんが、少なくとも現状においては五年間ぐらいは料金を安くしても大丈夫、こう理解していいのですか。公社経営の基盤、あなたの総裁構想を推進した場合ですね。
  171. 真藤恒

    ○真藤説明員 いまから世の中の変革に応じまして、通話料の動きというものが漸次ある傾向をたどりながら変わっていくと思います。それと、私どもの社内の支出のコントロールする力がだんだんついてまいりますのとバランスを見ながら、財務の基盤に余裕のある部分はできるだけ料金改定の方に当分の間回していきたいというふうに思っております。INSと申しましても、ここ四、五年の間に急激に大きな投資を必要とするような状態にはならぬのじゃないかというふうに思っております。また、そういう必要が出ればそれは非常に結構なことでございますから、プラスの方に影響してきますから、何とかやっていけるのだろうというふうに考えております。
  172. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 とにかくこれから急速に高度情報化社会に入っていくわけですから、何といっても財政基盤、財務基盤というものが必要ですから、借金を払いながら料金も下げてお客さんにサービスをしながら所期の目的を達成するということは至難のことですが、一面節約できるところは節約し、従業員の士気高揚等についても十分配慮しながら進めていただくようにお願いしておきたいと思います。  それで、これは事務的なことですけれども、最後に、これは三月三十一日で廃止することになっていますね。三日三十日までの人は取られるわけですが、三月三十一日以降は法律が成立すると負担金は要らなくなる。そこで、加入者の方でもこの法案をよく勉強していただけばいいのですけれども、そこはひとつ加入者に対するサービスとして、公社の方では事前に、三十日まではかかります、三十一日になったら大丈夫ですというような、周知といいますかそういうものをやっておく必要があるのではないかと思うのです。ただ、これは参議院が通らないとはっきり言えませんから、そういう見込み、法律が成立したらというようなことを条件にしてもいいですから、そういった何かPRみたいなことはやるつもりですか。
  173. 岩下健

    ○岩下説明員 先生ただいま御示唆いただきましたように、私どもとしましても、お客様に対しては債券引受制度の廃止というのはよく御理解をいただけるようにPRをするつもりでおります。すでにある意味ではやっておるわけでございますが、当然これは法案を御審議いただき、また成立するという前提でございますけれども、記者クラブで、これが政府原案として提出された、またこれはこういう内容だというふうなことも発表し、それがまた報道の記事としても出ております。ですから、ある程度はお客様も御存じかと思いますけれども公社自体としましても、新聞、マスコミ等を通じての報道のほかに、公社プロパーの広報活動、あるいは営業窓口における周知文の掲示、あるいは各種の注文をお客様が電話局へ来てなさる折に個別に行き違いのないように御説明をする、こういった形で十分配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  174. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 時間がありませんから、質権の方は竹内先生の方にやっていただくことにして、最後に料金明細書の発行のことですけれども、長い懸案でございまして、一時、前、総裁がこれをおやりになるようなことも発表されたこともありますが、これに対してはいつごろやれるものでございましょうか。それからやるについてのやり方、こういったものだけひとつ伺って終わりたいと思います。
  175. 神林留雄

    ○神林説明員 お答えいたします。  先生もうすでに料金明細のいままでの経緯、十分御存じかと思いますので、端的にお答えさせていただきますが、いろいろその後検討いたしまして、また必要な機器の開発、設計、工事等をずっとやってまいりまして、おかげさまで去る一月二十六日から技術確認試験に入らしていただきました。  簡単にこれを申し上げますと、横浜西局というところに計算センターを置きまして、都内八局、それから横浜市内二局、いろいろな交換機種がございますので、それを取りまぜながら収容いたしまして、加入者の数で大体十万ほどの方で試験をいまいたしております。これが、いろいろな機械をつくったり、コンピューターですからいろいろなソフトウェアを組んだりいたしまして、十分よく働くか、原局で基礎データをとってこれを西局の方へ転送するわけですけれども、これがうまくいくか、西局のコンピューターがうまく計算できるか、こういうことをやっております。大体六カ月間続ける予定でございます。  その後、ちょっと申し上げますと、これは技術確認ということでございまして、機械がうまく作動するかということが主体でございます。したがって、特に応対テスト、応対用には使わないのですが、これが終わりました後で、これが大丈夫だということになりました上では、私ども運用確認と変な言葉で呼んでおりますけれども、実際このデータを使ってお客様との応対に必要な場合には充てていく、こういうことをやりたいと思っております。これはいま、お客様との応対に実際に使う時期としては五十九年度初めぐらいから、こんなふうに考えております。  さて、その後どうするかという問題、先生御存じのとおり、実は大変いろいろ問題がございます。私どもとしても、先生先ほどのお話にございましたように余り金をかけてはいけない、こういう話もございます。このためには、率直に申し上げまして、ある程度期間を置いた方が、要すれば古い交換機ではなくて新しい電子交換機を置いた方が安くいくわけでございますね。それから、現在まだもやもやしておりますいわゆるプライバシー問題ということも、世間の皆様の御納得を得た上でやらなければいけません。したがいまして、本実施をいつ、どういうスケジュールでやるかということをちょっとここでお答えするわけにはいかないのですが、この技術確認試験、運用確認試験を終わった後、また皆様方と御相談して具体的スケジュールを決めたい、かように考えております。
  176. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 終わります。ありがとうございました。
  177. 左藤恵

    左藤委員長 次に、竹内勝彦君。
  178. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いま鈴木先生の方から拡充法に絡んで数々の御質問がございました。私は、特に今回のこの電話加入権質に関する臨時特例法の一部改正、これに関連して若干の質問をさせていただきます。  特にこの電質法、質権の設定の現況、今後の見通しについて最初にお述べください。
  179. 信澤健夫

    信澤説明員 お答えいたします。  現在の質権の設定数は、五十六年度末で約七十九万件でございます。年間の延べ設定件数は約三十七万件ございまして、年々若干ではございますけれども増加傾向をたどっております。十年前には大体四十万件でございましたが、それが七十九万件と約十年間に五割くらい年度末の設定件数はふえておるというのが現状でございます。
  180. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、いま鈴木委員の方からもあった電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律として拡充法、これが今回廃止される予定でございます。積滞解消していった、そういった関係もあって、この中で電話の加入権を担保とした今回のこの電質法のさらに延長、こういう考え方でのものから考えて、この電話質権の担保となる理由、それを御説明ください。
  181. 小山森也

    小山政府委員 ただいま電話を新たに架設する場合には公衆法上の設備料として八万円の設備料が必要でございます。これに対しまして移転をいたす場合には移転料は七千円であるということで、新たに架設する場合と移転する場合には値段の差があるということが一つございます。それと、電話の新規需要がかなり現在でもございます。電電公社予算でも新たなる電話架設の口数を百十万件としているように、やはり新規需要があるということはそこに担保的な価値があるということでございます。  それともう一つは、これはただ単に電話加入権の表面的な価値以外に、金融担保市場として現在無担保でも貸し付けるというようなことがある中において、このような財産的な価値のあるものが担保として存在するということは、やはり担保として利用される大きな原因ではないか、このように考えている次第でございます。
  182. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 先ほども御説明ございましたが、この電話加入権質の取り扱い状況といたしましては、五十六年度末といたしまして質権設定数が約七十九万、年度末のものとしましてはだんだんと漸増でふえてきておりますね。それから、質権設定数も、ここに資料がございますけれども、四十七年は二十三万、これが五十五年には三十四万、五十六年には三十六万、こういう形でふえていっておるということは、こういう現在の景気の状況の中で、小口の金融また手軽にそういうものが利用できる、こういった面では、やはり多くの人たちが利用していっている。こういったものが解釈できるわけですね。そこで、これに関連した業者といたしましては、全国金融業協同組合連合会、全国質屋協同組合連合会、あるいは全国電話取引業協同組合連合会など、そのほかも扱えるわけでございますけれども、その中で同じように資料の中にある質権者別の電話加入権質の設定数でいきますと、五十六年の状況が、いま申し上げました事業協同組合関係、そのほかに信用協同組合、そのほかのものもあるわけでございますけれども、圧倒的に多いのが事業協同組合関係ですね、九八・七%とここに資料として出ておりますけれども、一体これは、相当ここに偏っておる形になっておりますけれども、どんな理由からでしょうか。
  183. 小山森也

    小山政府委員 先生指摘のように、事業協同組合関係の融資額が約九九%占めているわけです。このように協同組合が多いということは、電話取引業者とか小口金融業者及び質屋さん、こういった事業協同組合の組合員の方が全国津々浦々に存在しておって地元に密着した営業行為を行っているということのおかげで、電話加入権を担保に融資を受ける方も非常に手軽でかつ便利に利用できる、いわば庶民金融手段としての機能を有している、このような事情によるものではないか、こういうふうに理解している次第でございます。
  184. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今回のこの改正延長で、「昭和五十八年四月一日以後も当分の間許容することとする」、このようにございますけれども、この「当分の間」ということは、どのくらいのことを考えているのでしょうか。
  185. 小山森也

    小山政府委員 ちょっと若干この質権法の由来を考えてみますと、三十三年にこの法律が成立したわけでございますけれども、当時は電話の需給が非常に不均衡だった。それからくるところの財産的価値、これが非常に担保価値を有していたというところから、公衆法上で禁止されていた質権というものであったにもかかわらず、この担保力があるということで、譲渡担保というようなきわめて何といいますか秩序立たない形でこれが利用されていたということでございます。そこで、これを金融秩序にちゃんと乗せた形で利用していただくことがやはりわが国全体の金融手段として必要であるというところから、三十三年にこの法律が成立したわけでございます。そのときは五年の時限立法でございまして、昭和三十八年に至りまして、この電話債券というものが拡充法でもって義務づけられたというところから、こういった環境の変化、そこからきますところの加入者に金融の資金調達手段をもう少し広げるべきであるというところから、今度は質権法と拡充法が表裏一体というような形でもって考えられまして、二回にわたってこれが延長されまして今回に至っているわけでございます。ところが、拡充法の方は今回これで当初の使命が完了したということでございますが、この拡充法を一つのきっかけといたしまして、金融上の手段として使われました質権が、いまや小口金融手段として非常に庶民に定着いたしておりまして、このような状態をいま切るということは金融秩序に非常に影響があるというところから、この質権法を一本立ちにして延長したということでございます。したがいまして、この「当分の間」という理解は、このような金融市場の現状、これが解消されるまでは、やはり「当分の間」という形で、今度は十年という拡充法の期間というものがございませんので、「当分の間」としたわけでございます。
  186. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 先ほども申し上げましたとおり、この小口で手軽に利用できるという意味からも、だんだん設定数自体もふえておるし、年度末の設定数もふえております。そういう意味で、二十五年間も何回も再延長して続いてきた、さらにいま局長答弁のように、それが要望のある限りこれは続いていくんだということになりますと、これはやはり庶民の金融として非常に利用されておる、そういう意味からいきますと、これは前の大臣が申しましたように、むしろ本当は永久にできるような方法あるいは恒久的に何か考えられないかというようなことまで考えておるという御答弁が、本委員会におきましても、私の質問でもございました。そういう意味も含めて、もちろん電電公社自体の経営形態あり方等いろいろといま論議が行われておる中で、将来の見通し、ずっと遠くまでのというものはなかなかむずかしいわけでございますけれども、少なくともそういう利用者がふえていっておる、あるいは定着しておる、要望がある、こういうようなものがある限りは、やはりこの「当分の間」というものは続くものだ、こう理解してよろしいのでしょうか。
  187. 小山森也

    小山政府委員 この質権に基づきます公社の事務というのはなかなか煩瑣でございますけれども、それといわゆる電話質権という国民生活になじんだ金融制度の実態というものとのバランスの問題であろうと思いますが、現在のような形で金融の手段として使われているという限りは存続し続けるであろう、こう考えておりまして、相当長期間続くのではないかという推定はいたしております。
  188. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 さらに、この質権の設定の登録する場合等の手数料の額について、「日本電信電話公社郵政大臣の認可を受けて定めることとすること。」この第十三条関係でございますが、現行の手数料は幾らになっておるのか、改正後の手数料はどのように考えているのか、あわせて御答弁ください。
  189. 小山森也

    小山政府委員 ただいま手数料は、設定時が四百円、質権移転設定の場合百円の手数料でございます。それで、今回手数料を政令から認可事項にしたということでございますが、本来手数料というのは特定の事務に対する費用を回収するという意味で、料金とは若干異なった考え基本的に考えております。そうしますと、その費用はどれぐらいであるかということは、この手続をいたします公社当局が一番その手数というものの費用はわかっているわけでございまして、したがいまして、公社の方でこれにつきましていろいろ計算をして、さらに私どもに認可に持ってくるということが適切だろうと思うわけでございます。ただ、しかしながら、この手数料というのは、費用回収面と同時に、いまのような金融担保の費用として余りにも高くなってしまうといたしますと、これは実態的に機能しないということになります。したがいまして、その両面を考えまして、今後公社当局の費用との関係でいろいろ考えていきたい、こう思っております。
  190. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、日本電信電話公社が認可を受けるということでございますので、電電公社のお考え、いまのような考えでいいのかどうか。
  191. 信澤健夫

    信澤説明員 ただいま郵政省電政局長のお話がございましたような趣旨で私どもも対応させていただきたいと思っております。これはいまもお話しございましたが、権利の得喪に関するものでございますから、現場では大変に気を使います。この質権設定通知書が到着した時間まできちっと書き入れて原簿管理をしなければいけないという問題もございまして、手数だけでなくかなり気も使うというのが実態でございます。そして、三十三年以降ずっと二十五年間据え置かれておりまして、その間消費者物価は五倍以上になっているということもございますし、やはりこの辺につきましては、適正な手数料に改定をしていただきたいという気持ちでおるのが私どもの本音でございますので、これから郵政省にもお願いをしてまいりたいと思っております。
  192. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この質権を設定して、そして借用する金額、現在でも一件約七万円から十万円、非常に小口のものであるわけです。そういったものの手数料が、いままで四百円というものが、これが適正というのはどういうものかわかりませんけれども、かなり高くなるなというようなものになりますと、債務者への負担をかけるようになってしまうわけでございますから、その点の考慮というものは十分されると思いますが、その点の考慮をちゃんと入れるのかどうか。そうでないと、いろいろ新聞をにぎわしておるように、たとえばこういった者がサラ金業者に走ってしまうというような、一家が破滅に行ってしまうというような、ちょっとしたことからそういうことになってしまってはよくないわけでございますので、いままでのいい面を生かしていくという意味で、そのことをちょっと確かめておきたい。
  193. 信澤健夫

    信澤説明員 しかと先生の御趣旨はわかります。実は、二十八年に設定をして五十六年に改定をしたというものが公社関係でございまして、工事担任者の資格試験というのがございます。それの認定の手数料、あるいは交換取扱者の試験手数料、こういったものも、二十八年設定したときには工事担任者資格試験が五百円だったものを、五十六年に二千円に変えていただきました。それから、交換取扱者の資格の認定手数料につきましては、それまで百五十円だったものを千円に五十六年に変えていただいております。そういうものも参考にしながら、しかし、先生おっしゃったように、急激に変化をするということにつきましてはやはりいろいろ問題もあろうかと思いますので、その辺は郵政省の御指導も得ながら対処してまいりたいと思っております。
  194. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひこちら側の利用しておる人たちの、庶民大衆の側のことをよく考えて、いまのお考えでよろしくお願いしたいと思います。  最後に、大臣、一言この問題に関してお答えいただいた方がいいと思いますし、私が本委員会におきまして前郵政大臣にもお伺いしたときに、この業界あるいは小口の金融を電話を質権にして借りている人たちの要望、そういうものを十分承知しております。したがいまして、特例法を延長するのがいいのか、あるいは本当は永久にできるような方法が何かないかということで、いま検討しておりますという、非常に前向きな御答弁をいただいておりますけれども大臣として、いまの手数料の問題も含め、それから当分の間、いま要望がある間本当に郵政省として、郵政大臣としてちゃんとした指導をしていくという御決意を一言いただきまして、この質問を終わりたいと思います。
  195. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 電話加入権質の問題につきましては、現状は、いままで担当者が御説明申し上げましたように、相当広範に活用されておるわけでございます。これの制度の扱いとしては、延長の場合に恒久法的なものにするのか、あるいは「当分の間」という表現をとるのかは研究をいたしたのでございますが、本来公衆電気通信法の除外例的扱いでございますので、恒久法にするのにはいかにも無理があるということで「当分の間」という表現をとった次第でございます。しかし、お話にございましたように、小口金融の担保手段として広範に使われておる、またそれは大変便利に使われておるということでございますので、私どもとしては、その制度を存続させていきたいし、また将来も相当幅広く利用されていく、そのような社会的ニーズがある限り、この法律は存続をさせていきたいというふうに思っておるのでございまして、御安心をいただいて結構かと思います。
  196. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 手数料も負担にならないように……。
  197. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 手数料につきましては、原則は御案内のように実費弁償的な性格のものでございますが、一面にはこの利用者の負担の問題を考慮することは認可官庁としては当然のことでございますので、利用者の負担が激変をするということのないよう心がけてまいりたいと思っております。
  198. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  199. 左藤恵

    左藤委員長 以上で両案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  200. 左藤恵

    左藤委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、順次採決いたします。  まず、電話加入権質に関する臨時特例法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  201. 左藤恵

    左藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律を廃止する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  202. 左藤恵

    左藤委員長 起立総員。よって本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました両案に対する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  204. 左藤恵

    左藤委員長 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件の審査が終了するまで、随時参考人として日本放送協会当局の出席を求め、意見聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  206. 左藤恵

    左藤委員長 それでは、提案理由の説明を求めます。桧垣郵政大臣。     ─────────────  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  207. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十八年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について概略を申し上げます。  事業収支におきましては、事業収入は前年度に比べ四十二億七千万円増の二千九百十五億円、事業支出は前年度に比べ百四十八億八千万円増の三千二十一億一千万円となっております。  この結果、事業収支における不足額は百六億一千万円となっております。  この不足額につきましては、昭和五十五年度から昭和五十七年度までの三カ年間の繰越金百六億一千万円をもって補てんすることとしております。  資本収支におきましては、資本収入は五百八十六億円、資本支出は四百七十九億九千万円となっており、このうち、建設費として四百億円を計上しております。  また、債務償還に必要な資金七十七億三千万円のうち六十三億六千万円が不足となりますので、長期借入金をもって補てんすることとしております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、視聴者の意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな放送番組を提供すること、受信料負担の公平を期するため、受信料制度の周知徹底を図り、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めること、放送衛星の打ち上げ等新しい放送サービスの推進を図ること等となっておりますが、これらの実施に当たっては、極力合理的、効率的運営に努めることとしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元に配付されておりますとおりの意見を付することといたした次第でございます。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
  208. 左藤恵

    左藤委員長 次に、補足説明を求めます。参考人日本放送協会会長川原正人君。
  209. 川原正人

    ○川原参考人 NHK会長の川原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十八年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。  協会の事業運営は、きわめて厳しい経営環境にありますが、昭和五十七年度を最終年度とする三カ年の経営計画に引き続き、極力業務の合理的、効率的な運営を推進することにより、受信料の月額を五十八年度もなお前年度どおりに据え置くこととし、視聴者の要望にこたえて、放送の全国普及とすぐれた放送の実施に努めてまいる所存であります。  次に、昭和五十八年度の主な事業計画について、御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、難視聴地域の解消を、より効率的に推進することとして、テレビジョン局の建設、共同受信施設の設置、中波放送局の新設、増力及びFM放送局の建設などを行うほか、放送衛星については、年度内に打ち上げることとして、必要な設備の整備を進めることとしております。  また、テレビジョン文字多重放送等新しい放送サービスに必要な設備の整備、放送番組充実のための機器の整備を進めるほか、老朽の著しい放送設備の取りかえ等を実施することといたしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  まず、国内放送では、国際映像の活用によるニュース・報道番組の充実、充足感のある特別企画番組の積極的な編成、さらに、ローカル放送の一層の充実など、公共放送の使命に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めることとしております。  また、音声多重放送について、放送時間と放送地域の拡充を行うほか、文字多重放送については、東京及び大阪において、聴力障害者を対象に放送を開始することといたしております。  国際放送においては、ニュース・インフォメーション番組、各地域の特殊性に即した番組を編成し、放送を通じて国際間の理解と親善に寄与することとしております。  広報及び営業活動につきましては、地域の特性に即したきめ細かい施策により、幅広い視聴者の意向を積極的に吸収し、これを事業運営に的確に反映させるとともに、受信料負担の公平を期するため、視聴者の生活態様に即した営業活動を積極的に推進して、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努める所存であります。  調査研究につきましては、放送番組、放送技術の向上に寄与する調査研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、一般にも公開することといたしております。  以上の事業計画の実施に当たりましては、業務全般にわたり、効率化を積極的に推進して、経費節減の徹底を図ることとし、要員については、事業計画の遂行に必要な最小限度にとどめ、年度内百七十人の減員を行うこととしております。また、給与につきましては、適正な水準を維持することといたしております。  これらの事業計画に対応する収支予算について申し上げますと、事業収支において、収入総額は二千九百十五億円、このうち、受信料収入については二千八百四十四億円を予定しております。これは有料契約総数において、四十五万件の増加を見込んだものであります。  これに対して、支出は、国内放送費などの事業運営費、減価償却費、支払い利息など総額三千二十一億一千万円を必要とするため、事業収支において百六億一千万円の収支不足を来すこととなりますが、これについては、五十五年度から五十七年度までの三カ年間の繰越金百六億一千万円をもって補てんすることといたしております  次に、資本収支は、支出において、建設費四百億円、通信・放送衛星機構等への出資に二億六千万円、債務の償還に七十七億三千万円、総額四百七十九億九千万円を計上し、収入には、減価償却引当金、放送債券及び借入金など合わせて総額五百八十六億円を計上いたしております。なお、債務償還に必要な資金のうち、受信料をもって充てるべき六十三億六千万円については、長期借入金をもって措置することとしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。  以上、日本放送協会昭和五十八年度収支予算、事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、一九八〇年代における公共放送としての果たすべき役割りが、ますます重要になっていることに思いをいたし、今後の事業運営に当たっては、協会の総力を結集して、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  210. 左藤恵

    左藤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、明三日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十六分散会