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1983-04-27 第98回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十七日(水曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 田村 良平君    理事 工藤  巖君 理事 中山 利生君    理事 宮下 創平君 理事 安田 貴六君    理事 佐藤 敬治君 理事 石田幸四郎君    理事 青山  丘君       池田  淳君    臼井日出男君       小澤  潔君    北川 石松君       志賀  節君    塩谷 一夫君       染谷  誠君    竹中 修一君       谷  洋一君    地崎宇三郎君       中村 弘海君    保利 耕輔君       湯川  宏君    池端 清一君       小川 省吾君    加藤 万吉君       上坂  昇君    細谷 治嘉君       山口 鶴男君    草野  威君       部谷 孝之君    岩佐 恵美君       三谷 秀治君    田島  衛君  出席国務大臣         自 治 大 臣 山本 幸雄君  出席政府委員         農林水産大臣官         房予算課長   京谷 昭夫君         自治大臣官房審         議官      田中  暁君         自治大臣官房審         議官      津田  正君         自治大臣官房審         議官      土田 栄作君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君         消防庁長官   砂子田 隆君  委員外出席者         環境庁長官官房         総務課長    杉本 康人君         環境庁自然保護         局調査官    加治  隆君         大蔵省主計局主         計官      八木橋惇夫君         大蔵省主税局税         制第一課長   滝島 義光君         国税庁直税部所         得税課長    日向  隆君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 玉木  武君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   小林 康彦君         農林水産省食品         流通局企画課長 青木 敏也君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    咲山 忠男君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      蕨岡 達慈君         通商産業省生活         産業局総務課長 安楽 隆二君         通商産業省生活         産業局文化用品         課長      山浦 紘一君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     中本  至君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ───────────── 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     保利 耕輔君   片岡 清一君     湯川  宏君   中村 弘海君     志賀  節君   五十嵐広三君     池端 清一君   山口 鶴男君     上坂  昇君 同日  辞任         補欠選任   志賀  節君     中村 弘海君   保利 耕輔君     江崎 真澄君   湯川  宏君     片岡 清一君   池端 清一君     五十嵐広三君   上坂  昇君     山口 鶴男君     ───────────── 四月二十七日  重度障害者に対する地方行政改善に関する請願梶山静六紹介)(第二八〇四号)  同(草野威紹介)(第二八〇五号)  同(佐藤誼紹介)(第二八〇六号)  身体障害者自動車運転免許証に付される重量制限廃止等に関する請願梶山静六紹介)(第二八〇七号)  同(草野威紹介)(第二八〇八号)  同(佐藤誼紹介)(第二八〇九号)  道路交通法に基づく指導取り締まり等に関する請願松沢俊昭紹介)(第二九二六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二三号)      ────◇─────
  2. 田村良平

    田村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩佐恵美君。
  3. 岩佐恵美

    岩佐委員 私は、最初ごみの問題について伺いたいと思います。特に一般廃棄物のことについて最初に伺います。  五十六年度から第五次の廃棄物処理施設整備計画、これが発足をして実施をされているわけですが、第五次の計画基本的枠組み説明を願います。
  4. 小林康彦

    小林説明員 廃棄物処理施設の緊急かつ計画的な整備を促進することによりまして、生活環境改善公衆衛生向上に寄与することを目的にいたします廃棄物処理施設整備計画を策定をしておるわけでございます。  現在の第五次計画におきましては、処理区域内人口昭和六十年度におきまして総人口の九九・八%、一億二千二百万人を対象にいたしまして、ごみ排出量といたしまして、六十年度に一人一日当たり必要処分量千百八十グラムと見込んで計画を策定しております。この結果、六十年度におきましては焼却処理量が一日当たり約十万トン、埋め立て処分量が一日当たり約五万二千トン、資源化されます量が一日当たり約四千二百トンと試算をしてございます。
  5. 岩佐恵美

    岩佐委員 第四次の施設整備計画実施では、計画全体では九三・八%の達成となっておりますけれどもごみ処理施設排水処理施設、これが一九・六%、埋め立て処分地施設三八・六%、こうしたことについてはきわめて低い達成率になっているわけですが、この原因は何でしょうか。
  6. 小林康彦

    小林説明員 廃棄物処理施設の主たるごみ処理施設あるいは屎尿処理施設につきましては、お話のとおり計画の目標はほぼ達成されたというふうに考えております。  ごみ処理施設排水処理施設につきましては、昭和四十九年度以前に着工いたしました既存のごみ処理施設に、新たに設けられました排水基準に適合させるように十分余裕を持った施設能力整備を掲げておったわけでございます。実績が計画に比べまして低い理由といたしましては、この余裕を持って計画をいたしましたものでございますが、市町村によりましては単独で整備をされた、あるいは運転管理改善により対応された、あるいはごみ処理施設新設の際に整備をされたというようなことから、数字の上では低い達成率となっております。また、埋め立て処分施設につきましては、基準が新たに設けられたこと等によりまして、一カ所当たり事業規模計画をいたしましたときよりも大きく整備をされたというような事情がございまして、見かけ上の達成率が低くなっているというふうに考えております。
  7. 岩佐恵美

    岩佐委員 しかし、それにしても達成率はかなり低いわけで、これは原因としては財政難あるいは用地取得難、こういう問題があるのではないですか。
  8. 小林康彦

    小林説明員 御指摘財政難につきましては、新設の方に財政的な優先度を与え、あるいは住民理解を得ることが困難であるために埋立地整備が進まなかったというような理由も確かにあるというふうに考えております。
  9. 岩佐恵美

    岩佐委員 こういう財政難あるいは用地難という問題について、現在でもそういう問題は現実にあるわけですし、将来的に状況は好転するということはあり得ない、むしろ悪くなっていくというふうに思われるわけですが、この点について将来の問題どういうふうに認識をされておられるのでしょうか。
  10. 小林康彦

    小林説明員 財政問題につきましては、施設整備当たりまして現在国庫補助制度があるわけでございますが、この補助金が国の財政の一環でございますので、この数年来据え置きということになっております。このため、市町村からの需要には十分こたえられない状況にあるというのも事実でございます。それから、市街地化が進み、あるいは土地の利用が進んでまいっておりますので、用地取得には各市町村とも非常に苦労をされておりまして、この傾向といいますものは、今後とも引き続いてむずかしい状況になっていくというふうに考えております。
  11. 岩佐恵美

    岩佐委員 こうした財政難用地難の上に、最近では処理に手間のかかるごみ、あるいは焼却不適埋め立てに回さなければならないそういうごみがふえているわけです。たとえば家電製品ごみビールPET容器、このPETというのはポリエチレンテレフタレートというものですけれども、それから使い捨てガラス瓶、こういうものが投げ捨てによって観光地の景観や自然環境も損なう、そういうことがありますけれども、またさらに空き缶もあるわけです。こういう容器ワンウエー化によって、ごみ問題というのはさらに深刻になっております。  まず、その空き缶問題について伺いたいというふうに思いますけれども空き缶散乱が社会問題となり、京都市などのように、条例散乱防止を規制しようという自治体での試みが始まっています。国も環境庁中心空カン問題連絡協議会をつくって対策に当たっているわけですけれども、どのような措置をとったのか、具体的に伺いたいと思います。  それから、その空き缶散乱現状、これは現在どういうふうになっているのか、どう把握をされているのか、お答えをいただきたいと思います。
  12. 杉本康人

    杉本説明員 先生指摘空き缶の問題に対して政府がどのような対策をとっているかという点でございますが、政府におきましては、関係の十一省庁におきまして空カン問題連絡協議会というものを昭和五十六年一月に設置をいたしまして、空き缶に関します施策についての情報あるいは意見の交換をするということで、今日まで十数回にわたりまして会合を重ねてまいりました。その間、昭和五十六年の四月には、連絡協議会といたしまして、空き缶散乱防止等のための普及啓発活動の充実についてということで十一省庁間の申し合わせを行いまして、各省庁間でそれに基づきまして毎年度広報などの啓発活動あるいは関係業界指導あるいは取り締まりの強化などをずっと充実してまいりました。そして、その結果というわけではございませんが、関係各省あるいは各公共団体、また国民の皆様方の御努力によりまして、空き缶散乱状況も徐々に徐々に改善はしてきたというふうに認識しております。  散乱状況は、環境庁におきまして、昭和五十五年から毎年市区町村にお願いいたしまして実施しておりますが、その結果によりますと、全般的に散乱状況改善されたというふうに回答しております市町村が、昨年度、五十七年度の結果によりますと約三四%、それから悪化したというふうに答えております市町村が約五%、その他は変わらないというようなことでございまして、一部地域ではなお問題は確かに残されておりますが、全般的に申しますと徐々に改善をされてきているという状況でございます。
  13. 岩佐恵美

    岩佐委員 いま言われた、去年八月に実施をされた第三次の空き缶調査によれば、散乱防止対策として自治体や国が広報PRに力を入れたこともあって、神社、公園、観光地などでの散乱改善をされ、全体としても改善をされてきている、そういう報告になっているわけですが、一方、悪化している場所も約二三%あって、住宅地付近の空き地だとか高速道路一般道路等付近などではむしろ悪化をしてきている、そういう結果になっているわけです。回収した空き缶の再資源化については、実施している市町村が五二・六%から五七・八%へふえてきているわけですが、苦労してもうまくいかない、現状では無理というふうに言う市町村が全体の過半数を占めている、そういう問題も残されています。  依然として空き缶処理の問題、これは大きな問題だと言えると思います。清涼飲料水、ビールなどは、市、都道府県など一つ自治体を超えて販売網を持っているわけです。自治体行政範囲を超えているものであって、この点ではどうしても国の強力な対応が必要だと思います。メーカーに対してどう指導しているのか、通産省農水省に伺いたいと思います。
  14. 咲山忠男

    ○咲山説明員 通産省といたしましては、空き缶問題の解決には、単に先生指摘の美観という点、これも非常に大事でございますが、省資源、省エネルギーという観点からも大変重要と考えております。したがいまして、先ほど来環境庁さんの方から御説明もございました十一省庁で構成いたします空カン問題連絡協議会というところでの申し合わせ事項に基づきまして、私どもの省は、財団法人のクリーン・ジャパン・センターを通じまして散乱防止、それから再資源化のための啓蒙普及活動をしております。  それからもう一つは、市町村に対する選別機、それからプレス機の貸与というもの、それから、これはボランティア活動を組織化いたしまして、散乱防止に努めているという状況でございます。  それからもう一つは、合理的な再資源化のため、分別回収システム開発、これなどの施策を行っております。  それから、先ほど先生御質問の事業者におきましては、回収及び再資源化を促進するためのキャンペーン活動、それから回収くずかごの寄贈でございますがそういうこと、それから回収拠点整備、それから技術開発等指導しております。  通産省といたしましては、今後ともこれら施策推進に努めてまいりたいと思っております。
  15. 青木敏也

    青木説明員 お答えを申し上げます。  農林水産省といたしましては、食品流通にかかわる行政を担当しているという立場から、すでに空き缶問題等が具体化してまいりました段階におきまして、関係業界によりまして食品容器環境美化協議会という場を構成いたしまして、その場を通じまして、ただいま通産省御当局からもお答えがありましたが、消費者啓発なり統一美化マーク普及とかあるいはパンフレットの配布とか、やはりいろいろ御議論はあるかと思いますが、この種の問題につきましては消費者モラル向上基本であるという観点から、事業者サイドにおきましてもそういう関係につきましての各般の取り組みをいたしておるところでございます。この協議会につきましては、さらに昨年度積極的にこれを法人化いたしまして、私どもも国からの助成を通じましてこの種の事業を積極的に助長してまいりたい、こういうふうに存じているわけでございます。  それからまた、先生御案内のとおり、この問題につきましては各自治体がそれぞれの英知を持って取り組みをいたしているところでございまして、非常に法形式的には事業者の、空き缶問題につきましては一般廃棄物ということで、法的にストレートに責任という問題にはならないとは理解いたしております。しかし、やはり事業者立場で社会的な責務の履行という観点での取り組みは必要でございますので、私どもはそういう自治体の具体的な取り組みの場におきましても、いろいろ事業者サイドから可能なそういう経費の分担なり拠出等も含めて積極的に協力するように指導をいたしているところでございます。
  16. 岩佐恵美

    岩佐委員 通産省農水省から、やっているというような、対策を講じているというような答弁があったわけですけれども、しかし、それがもしきちんとやられている、現状解決していくということに対して実効あるものであれば、こんなに社会的な問題になっていないはずだということを指摘をしたいと思うのですね。容器ワンウエー化が進んで、PRだとかそういう問題だけでは空き缶問題は解決ができない。しかも国が統一的にきちんと集中して取り組んでいない、後手後手に回っている、事業者が先取り的に開発をする、その後に後にごみ対策の問題が回っている、そういう現状だと思うわけです。そういう中で、地方自治体大変難渋をしているというのが実態ではないかと思います。  一つの例として、京都市が散乱防止のために条例で規制の網をかぶせようとしている、このことはよく知られているわけです。それから町田市でも、ことしの二月から、いままでの業者や利用者協力だけでは空き缶追放には限界がある、そういうことで、料金に十円上乗せするいわゆる拠点回収型のデポジット制度、つまり預かり金制度、これを試験的に実施をしているわけです。町田市の薬師池では、回収率が八〇%近くにこのデポジット制度でなった、散乱缶が三分の一に減ったという結果も出ているわけです。このデポジット制度関東知事会でも検討されていて、京都市でも実施が予定されているとも言われていますが、埼玉県の神泉村でもすでに実施をされている。これは試験的段階で、これから本格的に実施をするということになっているわけですが、試験的段階回収率七三%だったということであります。将来的には、県では八五%を目指し、制度化を検討するという方向を打ち出しています。  自治体の方が結局思い余っていろいろ新しい試みをやっているわけですが、政府の方がその検討に対してなかなか理解を示さなかったり、消極的であったりというようなこともあるわけです。消費者モラルの問題だとか、あるいは業界にはいろいろ言っていますけれども、そういうようなことだけでは済まされない、そういう問題だというふうに思いますが、環境庁地方自治体がこういうふうにやっている問題についてどう対応されているのか、伺いたいと思います。
  17. 杉本康人

    杉本説明員 先生指摘のように、各公共団体におきまして各地域地域実情に合わせてさまざまな創意工夫をこらして空き缶問題に対処をしていただいておるわけでございます。京都条例の例もおっしゃいましたが、そのほか条例を制定している公共団体も幾つかございますし、対策要綱でやっているところもございますし、住民団体に対する助成あるいはモデル事業といったようなところ、さまざまな工夫がなされておるわけでございます。  それに対しましては、もちろんわれわれ非常に敬意を表しておりますが、環境庁といたしましては、これらの状況をできる限り的確に把握をいたしまして、これを十一省庁連絡会等を通じまして関係各省庁にもその情報を流し、また関係地方公共団体にもお知らせをいたしまして、適切な施策推進の参考にしてもらいたいというふうに考えておるわけでございます。私どもといたしましては、今後とも各地方公共団体におきます取り組み動向等を見守りつつ、国として講ずべき施策について、必要に応じまして空カン問題連絡協議会等の場を通しまして関係の各省庁協議をしてまいりたいというふうに考えております。
  18. 岩佐恵美

    岩佐委員 地方自治体がそれぞれに必死になって模索をしている中で、所管の自治省として、これはいろいろ経験交流なりあるいはある一定の方針を出すなり、そして援助の方向を決めるなり、積極的に取り組んでいかなければならない課題であると思います。特に、このデポジット制度等について一部実施をしていく、そういうところも出てきているわけですが、自治省としてこれについて積極的にどういうふうなかかわりをされていかれるのか、お伺いをしたいと思います。
  19. 石原信雄

    石原政府委員 ただいま空き缶の問題を中心に、最近の新しい商品の普及に伴ういろいろな問題について、地方自治体が非常に悪戦苦闘しているお話がありました。私どもも、こういった事態については重大な関心を持っております。業界指導につきましてはそれぞれ関係省庁があり、また環境全般については環境庁指導していただいておりますが、私どもは、これを現場で受ける地方自治体立場に立ちまして、問題が前進するように関係省庁に対しても常日ごろこの問題について積極的に取り組むように要請してきているわけでありますが、いろいろ法的な制約その他で必ずしも実効が上がっていないというのが現状であろうと思います。しかし、地方団体としては現実にこの問題を避けて通れない実情にありますので、今後とも関係団体意見をよく聞きながら、関係省庁に対しても協力方を要請してまいりたい、こう思っております。
  20. 岩佐恵美

    岩佐委員 このワンウエー容器化の問題というのは、空き缶の問題だけではありません。瓶の問題もあるわけです。  そこで、通産省に伺いますが、日本製壜協会調査では、容器については使い捨てワンウエー容器が増加する一方で、ビール瓶などのように回収して何度でも使用するリターナブル容器が減少し、今後ともこの傾向は続くという資料があるわけですけれども、この資料によれば、リターナブル容器が、昭和五十二年から五十六年までの間に千二百十万キロリットルから千二十五万キロリットルと減少して、逆にワンウエー容器はふえていっています。たとえばそのワンウエー容器の紙について言えば、この五十二年から五十六年の間に一・七七倍、プラスチックは一・八三倍、金属の缶は一・五八倍、瓶は一・四四倍というふうになっている、こういう資料がありますけれども、この資料については通産省、いかがでしょうか。
  21. 安楽隆二

    安楽説明員 いま先生の御指摘になりました数字等につきましては、実は私どもガラス瓶リサイクリング活動と申しますか、これを推進するために、昨年からリサイクリング推進会議というので、学識経験者消費者代表自治体関係者業界等関係の方にお集まり願って勉強してまいったわけでございますが、ことしの三月三十日に報告通産省に出していただきまして、そこで勉強した数字かと思われます。  先生指摘になりましたように、全体といたしましては、現在瓶のうち何度も使うリターナブル瓶割合が圧倒的に多くて、これは実は九五%ぐらい回収されているという状況にありまして、それに対してワンウエー瓶が、確かに最近需要動向変化どもございまして、若干ふえる傾向になっております。
  22. 岩佐恵美

    岩佐委員 この資料からも、また現在の消費傾向からも、これらの容器が今後ふえていくということはいまお認めになったところでもありますし、予測をされるわけですけれども厚生省に伺いますが、ごみ組成、つまりどんなものがごみとして入っているか、調べたものがありましたら教えていただきたいと思います。
  23. 小林康彦

    小林説明員 ごみ組成につきましては、それぞれの市町村実施をしておりますが、それぞれ多少方法が違うというようなこともございまして、全国的な集計はしてございません。ただ、私どもが入手しておりますたとえば東京都でございますとか京都市でございますとか、精密な分析をしております事例を見ましても、ここ数年来はその組成に大きな変化はないという状況と承知しております。
  24. 岩佐恵美

    岩佐委員 いまのお答えとちょっと違うというふうに私は認識をいたしています。東京都の五十七年版の事業概要では、「容器収集ごみでは、ここ数年ごみ組成の顕著な変化は見られないが、焼却不適物が徐々に増加する傾向にある。」こういうふうに指摘をされています。焼却不適物とは、プラスチック類ゴム皮革です。焼却不適物の伸びを五十二年から東京都調査で見てみますと、ゴム皮革容器収集ごみに占める組成割合、これは〇・二%と変化がありません。プラスチック類だけが四・八%から六・六%に伸びています。東京都の二十三区の場合、可燃物として容器収集処理される中に焼却不適物がふえている。その原因プラスチック類の増加です。それから、混合収集をしている川崎市、この事例も見てみましたが、プラスチック類、五十一年は一〇・一でありましたが、五十六年は一一・九八、ふえています。それから横浜市の場合、五・四%から六・二一%、これもふえているわけです。ですから、東京川崎横浜、大体同じ傾向であります。  こうしたプラスチックごみがふえることによって生ずる問題、これを解決をするために厚生省中心として懇談会設置をされ、答申を出されたようですけれどもプラスチックがふえることによってごみ処理上どのような問題が起きているのか、そのことについて伺いたいと思います。
  25. 小林康彦

    小林説明員 家庭ごみ中のプラスチックがふえることによりまして、まずプラスチックは、見かけ比重が小さくかさばりますために、収集、運搬効率というものが低下をいたします。それから、プラスチックの入りましたごみを焼却処理をいたしますと、プラスチックの持ちます発熱量が高いという性格、また物によりましては塩化水素等の有毒ガスを発生するということがございまして、焼却炉の火格子、れんが、煙突等の損傷を早め、あるいはクリンカー発生量の増加とその除去作業のための炉の停止時間を長引かせ、あるいは排出ガス洗浄装置等の稼働率を低下するなどの問題を生じます。また、プラスチックをそのまま埋め立てるといたしますと、腐敗をいたしませんため、土壌化をしないこと、見かけ比重が小さく、埋め立て処分空間が大量に必要なこと、埋め立ての地盤が安定しにくく、土地利用計画上支障を生じやすいことなどの問題があり、相体的にプラスチックごみが増大することによりまして施設の整備等の建設費、維持管理費が増大をし、安定処理がしにくいというために、市町村処理計画を立案します上での困難化等の問題が生じがちでございます。
  26. 岩佐恵美

    岩佐委員 そういう結果に対してどういうふうな対応を厚生省はされていかれるのか。それから通産省農水省にも伺いたいと思います。
  27. 小林康彦

    小林説明員 プラスチックを含むごみに、ただいま申し上げましたような問題を生ずる要素があるわけでございますが、一方、プラスチック容器、包装資材としての長所から、消費者がその便益を受けておるという面もあるわけでございまして、その二つの問題の調和を図りながら、プラスチックを含むごみの適正処理の確保に努めねばならないというふうに考えております。  基本的な方向といたしましては、市町村の廃棄物処理事業におきましても、地域実情に応じまして、分別収集でございますとか、焼却炉の耐熱化、それから塩化水素ガスの対策等を講ずる必要がございますし、廃棄物処理立場から、事業者におきましても、製品の生産、加工、販売、それから流通上、製品が廃棄物となりました場合に適正処理が困難にならないよう配慮をお願いをしたいということ。それからあわせて、プラスチックごみの有効利用推進、技術開発でございますとか、広域的な処理体制でございますとか、その再利用製品の普及、市場確保等もお願いをしていきたいというふうに考えております。
  28. 山浦紘一

    ○山浦説明員 通産省におきましては、過剰包装の観点から、包装の適正化を図るために包装適正化委員会というものを設けまして、適正包装七原則という基準を作成していただきまして、関係業界に、この原則に従いまして各自主的な基準をつくり、その普及を図るように指導しているところでございますが、特にその七原則の一つに、「省資源および廃棄処理上適当であること」という項目がございまして、この観点から、特にセルフサービスなりチェーンストア協会におきましては、プラスチック関係容器のマニュアル化、あるいは適正化を図っているところでございます。  しかし、昨今、先生指摘のような傾向がございますので、さらに適正化委員会の下にプラスチック包装小委員会という分科会を設けまして、関係業界学識経験者あるいは消費者団体の代表の方々、自治体の方々を入れまして、プラスチック包装につきましての現状なりあるいは問題点について、現在検討していただいているところでございます。
  29. 青木敏也

    青木説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、食品容器のあり方の問題、ただいま御指摘のそういうプラスチック容器の問題とかあるいはワンウエー瓶の問題等につきましては、もちろんそういう廃棄物の処理あるいは省資源という観点から、私ども立場で適切な事業者に対する指導ということについても十分考えなければいかぬということは理解しているつもりでございますが、あわせて、缶を初めワンウェー容器プラスチック容器、そういったものにつきましては、一方において、消費者がそういう容器からの利便性のニーズというものを十分享受しているという問題、それからもう一つの問題は、食品にかかわる場合におきましては、その食品の品質保持という観点からおのずとそこに包装容器のあり方という問題がございます。もう一つ観点は、やはりそういった食品流通の物流コストとか、そういう流通効率化の観点からそういう包装容器の問題も検討されなければならない、そういう一連のさまざまな社会的な要請の中で、食品包装容器がどういう姿であるのがいいのかということを私ども十分勉強してまいりたいし、今後とも、先生の御指摘のような、そういう産業廃棄物の処理という観点に十分配慮した食品流通行政指導に遺憾のないように努力してまいりたい、こういうように存じております。
  30. 岩佐恵美

    岩佐委員 通産省農水省お話を伺っていると、消費者のニーズということをよく言われるわけですね。しかし、消費者のニーズといっても、結局は事業者が自分の流通のため、あるいはコストをいかに引き下げるかというコスト上のためにいろいろな容器開発をして、そしてその中に食品を詰め込んで消費者に売るということで、全く事業者の先取り的な都合によってこの問題は起きてきている。そこのところをきちっと踏まえていかないと、この問題というのは幾らたっても解決がされないというふうに思うのです。  ちょっと具体的に伺いますが、従来、清涼飲料水の容器としてはポリエチレン容器だけが認められてきましたが、去年の二月に、ポリエチレンテレフタレートなど十種類について追加を許可したわけですが、なぜそういう追加許可をしたのか、厚生省に伺いたいと思います。
  31. 玉木武

    ○玉木説明員 お答えいたします。  食品の容器、包装につきましては、食品衛生上の観点から、材質ごとに規格、基準を設けまして、その安全性確保を図っているところでございます。  御質問にかかわりますプラスチック容器につきましては、安全性確保の観点から、食品衛生法に基づく材質規格、溶出規格が定められておりまして、しょうゆ、食用油脂、ビール等の食品の容器として広く使用されていたものでございまして、清涼飲料水容器としての観点からも、食品衛生上問題がないことが確認されましたので、昨年二月、規格基準の改正により使用できることとしたものでございます。
  32. 岩佐恵美

    岩佐委員 結局、食品衛生法上では、容器の安全性、食品に害がないかどうか、そういうことだけの検討がされる。それだけがその目安であって許可をされていく。結局その結果、缶の問題だけではなくて、プラスチック容器もそこら辺に散乱をすることになるわけで、どこがそのごみの問題まで後をきちっと考えて対応していっているのか、それがないわけですね。通産省農水省厚生省も、よくよく聞いてみると自分の立場だけを言うということで、その自分の立場というのは、事業者の主張をそのままうのみにする、そして、ごみは後は地方自治体がやればいいのだ、そういう姿勢というのが一貫して流れているということを指摘をせざるを得ないわけです。  可燃物として焼却炉にプラスチックが入れば、いま以上に問題になるだろう、これは容易に予測をされるところですけれどもごみ処理の上から、こうした問題について一体どういうふうに具体的に対処をされていくのか、厚生省に伺いたいと思います。
  33. 小林康彦

    小林説明員 プラスチックを初め新しい製品が開発され、あるいは市場に出ます場合に、それが廃棄物処理に重要な支障を生ずるおそれがあると予想されます場合には、廃棄物行政立場からも、十分申し入れあるいは協議をしていきたいというふうに思っております。  ただいまお話のございましたPETの飲料容器の使用に当たりましても、関係業界から、廃棄物の適正処理に支障を来すことのないよう、また容器散乱をもたらすことのないよう適切な措置を講ずる、また、今後の国の廃棄物処理対策上の施策協力をするという考え方が示されましたので、私どもも推移を見守るというふうにしておるわけでございます。  また、焼却処理におきますトラブルの抑制策といたしましては、地域実情に応じましてプラスチックの分別収集の徹底を行うとか、ピット内のごみの混合を十分に行いましてごみの均質化を図った上で焼却をする、有毒ガス対策実施をする、あるいは施設の耐熱性の強化を図るなどの対応策もあわせて考えていく必要があるというふうに思っております。
  34. 岩佐恵美

    岩佐委員 東京都は、四十八年から分別収集を始めたわけですが、その分別収集を始める一つの要因が、ごみの中に占めるプラスチックの量が年々ふえてきて、このままプラスチックの量がふえていけば、現行の炉ではごみが燃せなくなる、そういうことを危惧したからだということです。プラスチック容器は、燃えるときには木などより、単位当たり二倍以上の熱量を出す。炉が早く傷んだり、あるいは溶解して火格子などにつく。格子ですね、何というのですか網みたいな感じになっているのですか、火格子にそのプラスチックが固まってついてしまう。そういうために補修の回数が多くなる。プラスチックが多くなることによって、非常にトラブルがふえてきているわけです。  プラスチック容器が清涼飲料水容器として使用が認められた、その結果、今後非常にふえるのではないかということが予想されているわけですけれども通産省農水省、その数字をつかんでおられますでしょうか。どちらでも結構です。
  35. 蕨岡達慈

    ○蕨岡説明員 ただいまの御質問は、PET樹脂に関してと理解しておりますが、PET樹脂につきましては、ただいま厚生省からもお話がございましたように、清涼飲料につきましては昨年使えるようになったばかりでございますので、現在のところ正確な数字はございません。
  36. 岩佐恵美

    岩佐委員 私の調べたところでは、石油化学新聞、これはことしの四月七日付ですけれども、いまのPET容器についての需要予測というのがございます。その中で、清涼飲料のところが五十七年度年間二百トンであったものが、五十八年度には年間七百トンにふえる、そういう数字があるわけですけれども、こうした意味では、大変そのPET容器等のプラスチック容器がふえていくということが十分予測をされるわけで、いまのままで推移したなら大変重大な問題になるというふうに思うわけで、先ほどの厚生省の対応だけで本当に間に合うのかどうかということが危惧されるわけですけれども厚生省にもう一度伺いたいと思います。
  37. 小林康彦

    小林説明員 現在の出回りの状況でございますと、直ちに問題を生ずるというふうには私ども見ておりませんが、将来、量的に多くなるようでございますと、現在に加えて新たな対応というものが必要になるかとは考えております。
  38. 岩佐恵美

    岩佐委員 その認識は、私は非常に甘いのではないかというふうに思います。現在でもビールPET容器処理については、焼却する際に炉を傷めるとか、埋め立てに持っていけば腐らないとかかさばる、そういう問題が指摘されていることは、先ほどの答弁からも明らかなわけですけれどもごみ処理自治体の仕事だからといって、処理に困るごみがどんどんふえていったら自治体はたまらないわけです。ですから、昨年開かれた全国都市清掃会議の決議でも、「ペットボトル等飲料容器のワンウェイ化が自治体の廃棄物処理事業に重大な影響を及ぼしている。」こういうふうに指摘をし、「国においては、関係省庁の意志を統一し、安易にこれらの処理困難な飲料容器を生産、販売することのないよう関連業界の規制の確立」、そしてまたPETの適正処理法の研究開発促進、こういうことを要望しているわけであります。この点について、通産省農水省、どうこたえていくのか、伺いたいと思います。
  39. 蕨岡達慈

    ○蕨岡説明員 清涼飲料用のボトルにつきましては、やはりその散乱等の問題が当然将来として予測されるわけでございますので、そういった点で、清涼飲料をつくる業界といたしましては、現在のところ一リットル以上の瓶、そのあたりに生産をしぼるということで、それ以下の散乱のもとになるような小さな瓶というものは扱わない、こんなふうな業界申し合わせになっておるように聞いております。
  40. 青木敏也

    青木説明員 お答え申し上げます。  清涼飲料と申しましても、炭酸飲料、果実飲料等に大きくございますが、清涼飲料の今日の消費者需要量あるいはメーカーサイドの供給量の推移を見てまいりますと、過去におきましては、五十四年段階で約五百六万キロリットルございました。しかし、その後いろいろ気象条件もありましたが、消費者ニーズの変化によりまして、傾向といたしましては、炭酸清涼飲料の生産量、需要量というものは減少傾向にあるというふうに私ども見ているわけでありまして、その見合いの容器は、これは非常にマクロな数値というふうに御理解いただきたいと思いますが、瓶等の、いま御指摘のようなそういうプラスチック容器PET容器のたぐいも若干ありますが、そのたぐいが約七割、紙容器のものが約三割というふうに御理解いただいていいんじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。  清涼飲料関係につきましてのPETの使用につきましては、比較的最近そういう形で道が開かれたということで、また、清涼飲料関係についてのPET容器使用というものは、かなりネグリジブルといいますか、低いものでありますが、御指摘のように、今後やはりその全体の枠の中でふえる可能性は私ども持っている、こういうふうに認めざるを得ないと思いますが、いずれにいたしましても、そういうPET容器とかあるいは一部のワンウエー瓶容器の問題等につきましても、私ども、具体的に事業者サイドからそういう容器を使いたいという要請がありました際には、そういうごみ処理という観点から、あらかじめそういう商品を供給することについて、自治体と事前によくお話しするとか、あるいはできるだけそのワンウエー容器なんかにつきましてもカレットリサイクルシステムに乗せるようにとか、あるいは自販機によってそういった容器による食品を販売するということになりますと、かなり散乱の問題が出てまいりますので、そういう自販機による販売等は自粛するようにとか、いろいろそういう形で、なかなか法的にそれをストップをかけるということは現在私どもできないわけでございますが、おのずと先生指摘のような観点を踏まえて、指導につきましては緻密に今後努力してまいりたい、こう存じております。
  41. 岩佐恵美

    岩佐委員 先ほどの答弁の中で、一リッター以上にしますという話がありましたけれども、別に一リッター以上になったからといって、この容器回収されるということではないわけで、したがって、散乱が防止されるとかあるいは炉が傷まないということでは全くないわけで、その辺は一リッター以上にしたからいいんだということにはならないというふうに思いますけれども、もし何か意見がありましたらどうぞ。
  42. 蕨岡達慈

    ○蕨岡説明員 本件につきましては、PETの樹脂メーカー、それからボトルの成型業者、こういったところでPETボトル協議会という組織をつくってございます。こういったところで、ただいま御指摘のような、燃焼時にどういった問題が起こるかという燃焼実験などを現在行っておりまして、いずれは報告書が出るかと思いますが、そういったところを通じてできるだけ問題が起こらぬようにする、こういったふうな対策をとりつつあるような状況でございます。
  43. 岩佐恵美

    岩佐委員 このPET容器ビールの生だるですが、分析値が東京都の清掃研究所から出ておりますので、ちょっと紹介をしたいと思います。  PET容器そのものについては、木と同じくらいの熱量だというふうなことが言われていますが、実は、PET容器はポリエチレンテレフタレートだけではなくて、ほかのものがいろいろと含まれているわけですね。ですから、容器上部に二九%ほかのものが含まれていて一万一千三百カロリー、これはポリエチレンですね。それから、容器の下の方に二二%、やはりポリエチレンが含まれて一万一千百カロリーと、本体のPETそのものは五千五百カロリーですが、熱量全体は八千四百カロリーになるということで、どうも最初のうち、PET容器は大したことありません、大した熱量ではありませんというふうに言っておられたので、どうもおかしいと思っていろいろ調べてみたらそういう数字がありましたので、念のために御紹介をしておきます。  いずれにしろ、この問題についてはきちんと対応していくべきだと思うし、先ほど言われたように、自治体の了解をとるとか、そういう点は自治体の要望にこたえて積極的にやっていくべきであるというふうに思います。  次に、ガラス瓶の問題について少し伺いたいと思います。  ガラス瓶の生産量、販売量、これはこの数年、どのように推移をしているでしょうか。
  44. 安楽隆二

    安楽説明員 ガラス瓶につきましては、ここに五年間の数字を持っておりますけれども、年によって若干の変動がございますが、生産量といたしましては、大体二百万トン前後のところで推移しております。販売量についても大体同じでございます。
  45. 岩佐恵美

    岩佐委員 そして、先ほどのお話で、ガラス瓶リターナブル容器、これが九五%の回収率であるということで、回収率は高いのでほとんど再使用に回されている、この点は間違いのないところだというふうに思いますが、ワンウエー瓶の再利用、これが現状どうなっているのか、伺いたいと思います。
  46. 安楽隆二

    安楽説明員 現在、先ほど二百万トンの瓶の生産量があると申しましたけれども、そのうち八十万トンが御指摘リターナブル瓶で、これは回収されて、何度も回って、年間千万トンぐらいの使用に相当しているということでございます。一方、百二十万トンがワンウエー瓶でございまして、この百二十万トンの中で使用済み瓶と申しますか、カレットとして再利用される分、再資源化される分というのは大体十数%かと思われます。  ただ、これは生産面から見てみますと、先ほどの二百万トンのうちこのカレットとして再資源化されるもののほかに、工場等から出てくるカレットもございますので、それを合計いたしますと、二百万トンのうちの七十万トンが、使用済みの瓶であるところのカレットが原料になっているということで、この比率は三五%ということでございます。
  47. 岩佐恵美

    岩佐委員 結局、ワンウエー瓶のほとんどが、現状では埋め立てに回されている、そういう状況になっていると思います。今後ますます埋め立てに回されるそういうワンウエー容器ワンウエー瓶がふえることは明らかだというふうに思います。最初に伺ったように、第四次の施設整備計画によっても、埋め立て処分地の用地難、これは大変大きいわけで、これが急に改善されることはないだろうというふうに思います。結局、そういう総体的な環境を考えると、こうした燃えないごみを大量に出すということ、これは大変大きな問題にますますなっていくわけであります。  ところで、清涼飲料水の瓶の生産量、販売数量とも落ち込んでおりまして、五十七年度の場合には、五十三年度に比べて生産量は四三%減っている、販売量では四一%減っているという状況であります。ただ、清涼飲料水の生産量はこんなに落ち込んでいないというふうに思いますけれども農水省、いかがでしょうか。
  48. 青木敏也

    青木説明員 お答えいたします。  清涼飲料につきましては、各種の食品の中で、その商品特性から、原則的に、一般論といたしましては、生産量と販売量に余りギャップがない、いわゆる在庫的な量というものが少ない性質の商品でございます。そういう観点からいきますと、まず販売量イコールほぼ生産量というふうに理解してマクロ的には間違いないわけでございまして、先ほどの御答弁ではその生産量ベースで申し上げたわけですが、大体その生産量、販売量とも五十四年あたりをピークに、その後気象条件のそういうこともございますけれども、消費量的な観点からいいますとやや減少している傾向にある、こういうことでございます。(岩佐委員「具体的数字」と呼ぶ)  具体的に申し上げますと、五十四年の段階におきましては五百六万二千キロリットルでございますが、五十七年の段階では四百三十万二千キロリットルでございます。
  49. 岩佐恵美

    岩佐委員 いまの瓶の数字をちょっと申し上げたので、五十三年、五十七年で見ますと、生産量そのものは八六%だというふうに思いますが、その点、間違いないでしょうか。
  50. 青木敏也

    青木説明員 ほぼその辺の数値であるというふうに理解しております。
  51. 岩佐恵美

    岩佐委員 通産省に伺いますが、こうした清涼飲料水に使われる瓶、これはリターナブル瓶だと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  52. 安楽隆二

    安楽説明員 先生の御指摘のとおりだと思います。
  53. 岩佐恵美

    岩佐委員 そうすると、清涼飲料水の生産量減以上に清涼飲料用の瓶の生産量が減ったということから、従来リターナブル瓶で売っていたものをワンウエー容器に切りかえるということを業界がやった、こういうことが、言えるのだと思います。  ちょっときょう製品を持ってきていますが、これが最近出ている瓶のワンウエー容器、いわゆる使い捨て容器ですね。これは別名手りゅう弾とか言われているのですか、こういうふうに子供たちが投げて遊ぶのだそうです。それで、これの売り込みも大変活発でして、これが売り込みのパンフレットですけれども、「消費者にとってのメリット」というのが七つあります。「ガラスびんですから、中味の”味”を充分に保持します。」とか「断熱効果にすぐれ、冷たさをより長い時間保ちつづけます。」云々で七つある。「店頭でのメリット」、これは三つありますね。「三百六十度の全周ラベルは、カラフルなデザインで差別化ができます。」とか、こういうことがあります。それから「ボトラーにとってのメリット」、あるいはいろいろなほかの容器との差別的なそういう宣伝、こういうことで大変これが普及していくのではないかということは十分予測をされるわけです。  先ほどの議論に戻るわけでございますけれども、結局農水省通産省あるいは厚生省の考え方では、消費者のニーズに合っているものだということでこういうものを認めていく、あるいは野放しにしていくということがあるのではないか、こういうことが非常に危惧をされるわけですけれども、その点、この瓶に対してどういうふうな対応をされていかれるのか、それをちょっと伺いたいと思います。
  54. 小林康彦

    小林説明員 廃棄物の適正処理観点からは、リターナブル瓶が最大限活用されることが望ましいわけでございまして、リターナブル瓶普及促進策が講じられることは要望しておるところでございます。その上でワンウエー瓶につきましても、事業者におきましてカレットの再資源化とその活用を図ることが必要でございまして、これらのワンウエー化当たりまして、廃棄物の上で問題を生じさせないよう慎重に検討されるべき問題というふうに考えております。
  55. 安楽隆二

    安楽説明員 いま厚生省お答えのとおりだと私ども思っております。特にワンウエー瓶につきましては、先ほどの市中カレットを資源として再利用する、この比率を高めるべくこれから努力していきたいと思っておりまして、先ほどちょっと御披露しました通産省委員会をつくって勉強しました報告書なども活用して、そういう方向で今後いろいろ努力をしてまいりたいと思っております。
  56. 岩佐恵美

    岩佐委員 こういうふうに現実ごみが出てきている以上、自治体はそれを処理しなければいけないわけですが、それに要した財政需要、これは当然交付税に的確に算入されなければならないわけですが、処理困難なごみに対する経費、これは交付税ではどの経費で算入されているのでしょうか。
  57. 石原信雄

    石原政府委員 市町村といたしましては、廃棄物処理法の規定によりまして、地域の環境保持のための施策の責任を持っております。したがいまして、その地域の市民生活から発生する廃棄物につきましては、処理困難なものも含めて、一応原則としては市町村処理せざるを得ない立場にあります。  そこで、私どもとしては、地方交付税の算定におきまして、市町村が廃棄物処理のために必要とする標準的な経費を算定するように努めております。具体的には、先ほど厚生省の方から説明がありました廃棄物処理の五カ年計画のいろいろな数値を基本にしながら、施設の整備その他の経費を算定し、また、ランニングコストといいましょうか経常的な経費につきましては、最近における市町村の実態などを踏まえて必要な経費の算定を行っているところであります。
  58. 岩佐恵美

    岩佐委員 行政経費の積算区分で需要費という項目がありますが、その中に修繕料というものがあります。焼却炉の修繕料は五十一年からどのような額で積算されていますか。
  59. 石原信雄

    石原政府委員 焼却炉の保守費につきましては、毎年度の交付税の経費の積算に当たりまして、最近の実態等も調査をしながらその内容の改善に努めております。たとえば修繕料の場合ですと、昭和五十年度は標準団体で七十万円でありました。これを五十一年度は八十万、五十二年度は百万、さらに五十三年度はこれを三倍にいたしまして三百万にふやしております。それから五十四年度が三百三十万、五十五年度が五百三十万、五十六年度が五百六十二万、五十七年度が五百七十九万、そして五十八年度、現在御審議をお願いしております地方交付税法の改正法案の中の単位費用におきましては、五百九十一万円を見込んでおります。
  60. 岩佐恵美

    岩佐委員 結局、これだけ費用がふえてきたというのは、先ほどの燃えにくいごみ等によって炉が傷んでいるということが原因だと思いますけれども、当然この先、善後策として、こうしたことに対して自治体の負担が余り重くならないように対応していかなければならないというふうに思います。交付税で今後も的確にきちんと見ていかれるのだろうと思いますが、その点はそれでよろしいのでしょうか。
  61. 石原信雄

    石原政府委員 廃棄物の処理に要する経費、これは市町村行政の中では最も基本的な財政需要と考えております。したがいまして、社会経済情勢の推移に応じて市町村で必要とするこの処理経費は、今後とも的確に算定していかなければならないと考えております。  ただ、先ほど来いろいろ御議論がありますように、消費生活の高度化、多様化に応じていろいろな新しい商品が出回り、そのために非常に処理が困難になり、非常に多額の経費を要するような事態も予想されますが、これらにつきましては、事業者、生産者も、また消費者もともに市町村の清掃事業費の負担軽減のために協力していただかなければならない。これからの財政状況を考えますと、ふえてくるから幾らでも一般財源で見ていくのだというわけにもいきません。したがいまして、ぎりぎり必要な経費は今後とも確保していかなければならないと考えておりますが、同時にまた、廃棄物の出る方の規制と申しましょうか、そちらの方の協力もお願いしていかなければいけない、このように考えております。
  62. 岩佐恵美

    岩佐委員 ごみ問題については以上で終わりたいと思います。  最後に、大臣に伺いたいと思いますけれども、結局、先ほどの議論の中で環境庁、それから通産省農水省、そういうところがこのごみ問題について非常に大きな責任を負っている省庁だというふうに思いますけれども、ただ自治体も国民も、このごみの問題について本当に政府のどこが最終的にきちんと責任を負っているのかということがよくわからない。結局、そのしわ寄せが国民に来たり、あるいは自治体に来たりという状況になっている。とりわけ、ごみが町に散乱する、これは非常によくないわけですね。その町の荒廃にもつながっていく。人の心だってその点はよくないわけであります。それから地方自治体にとっては非常に負担がふえていく。一方、この委員会で議論しているように地方財政は厳しい。そういう中でこの問題がきちんと取り組まれていきませんと大変なことになるのではないかということが予想されるわけです。  ここのところ大臣が相当がんばっていただいて、先ほど財政局長も言われましたけれども事業者の姿勢の問題とか、必要なことは各省庁にきちんと言っていく。それから地方自治体意見もよく聞いて、そして研究開発などの研究をしていく、そういうことの先頭に自治省が立っていかなくてはいけないのじゃないかというふうに思うのですが、その点、御意見を伺いたいと思います。
  63. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 先ほど来きわめて具体的な御審議をいただいたわけであります。  一般廃棄物、いわゆるごみは、その処理は最終的には市町村の責任になる。市町村としては全くこれはほうっておけない、よけて通れない事務であります。それだけにこれは大変頭を悩ましておる課題であります。また、このごみ処理については経費も相当かかる。焼却炉の建設、あるいはそれをめぐるいろいろな補償費、なかなか大変な金がいまかかるようになっております。また、先ほど来のお話のように、新しい化学的な製品の開発ども行われて、大変に処理に苦労するということになってきております。やはり最終的には市町村の責任でありますから、それについては国の方はあるいは補助金で、あるいは自治省の方は交付税で、あるいは公債の許可をするというようなことで処理をしてきておるわけでございますが、なかなかこの経費がたくさん今度はかかるようになってきております。  それだけに私は、先ほど来のお話のように、食品、特に食品の製造、あるいはそれらの包装容器、そういうものを監督する官庁の方でできるだけ容器廃棄物の出ないようにするという方策、あるいは廃棄物を処理しやすいような容器開発するようにし向けていただくということなど、各省庁で先ほど来いろいろお答えがありましたが、それらの点について一層私は真剣にひとつ考えていただきたい、こう思うわけでございまして、今後自治省としましても、これは真剣な問題でございますだけに、いまのお話を篤と承りまして今後の対策に努力をしていきたい、こう思っております。
  64. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、緑地保全に関して税制上の問題を伺いたいと思います。  国土の開発が進む中で、かけがえのない自然の資産として緑を守り育てる運動が全国各地で広がりつつあります。この緑の保全の運動を進めている団体、あるいは自治体もありますが、頭を悩ましているのが資金難、人手不足、それに加えて行政側の対応、制度に壁があることです。税制もその一つであるわけですが、自治省に伺いたいのですが、地方税法の中で、緑地保全あるいは育成についてどのような税制上の措置がとられていますでしょうか。
  65. 関根則之

    ○関根政府委員 緑地保全につきましての地方税上の措置でございますが、都市緑地保全法に基づきます緑地保全地区内の土地につきましては、通達によりまして、おおむね半分に軽減措置を講ずるよう指導をいたしておるところでございます。また、緑地保全地区内の特別土地保有税につきましては、法律の規定によりまして非課税となっております。主な点は、以上のとおりでございます。
  66. 岩佐恵美

    岩佐委員 あわせて大蔵省にも、国税ではどのような措置がとられているか、御説明をいただきたいと思います。
  67. 滝島義光

    ○滝島説明員 お答えいたします。  国税におきましては、緑地を持っているということに着目した税金はございません。財貨、サービスを売ったり買ったりということに伴う所得に対する所得税あるいは法人税が中心でございますので、緑地保全に関する措置というものも、そうした観点から設けられるということになります。  ところで、大蔵省の者は、こういう緑地の売買については国家的に好ましいという判断をする能力がありませんので、関係省庁において設けられておりますいろいろな法律、つまり自然環境の保全あるいは都市緑地の保全、あるいは生産緑地の保全等に関連する法律がございます。そうした法律に基づきましていろいろな権利制限が行われている。そうした事実に基づいて買い取り請求等があってそういった緑地の売買が行われる、そうしたことによって生じてくる譲渡益、この税金を、態様に応じまして千五百万円から三千万円程度所得控除をするという形での対策を講じております。そのほか、緑地保全を推進する一定の公益法人に対する寄附金が行われました場合に、寄附金控除の対象にするといった措置もとられております。
  68. 岩佐恵美

    岩佐委員 都市緑地保全法とか自然公園法あるいは森林法などの法に基づいて指定された土地についての税の軽減措置ですが、都市部の緑地保全をする上できわめて問題があります。  横浜市では、市内の都市開発が進む中で、市民に憩いの場所を提供するということで、市民の森を市内につくっています。現在十三カ所を市民に開放して、この四月からもう一カ所開放したわけです。この制度は、市が樹林を持つ地主と契約を結んで、その土地を地主が売ったり開発したりしないことを約束してもらうかわりに、固定資産税、都市計画税相当分及び市民が利用することによる樹木の損害などに対して市が奨励金を支払うというものです。ところが、この奨励金に対して、横浜の中税務署が地主に申告を命じて課税をしたということです。  国税庁にこの経過を御説明をいただきたいと思います。
  69. 日向隆

    ○日向説明員 御指摘の点は、横浜市が、緑の環境をつくり育てる条例とか緑地保存特別対策事業実施要綱に基づきまして、樹木で形成されている土地の所有者との間で当該土地の使用を中心とします契約を結びまして、それに対しまして市が一定の金銭をその地主に給付するといった内容のものであろうかと思います。御存じのように、不動産の使用を提供いたしましてそれに対して収入があった場合には、これは不動産所得の計算上、不動産収入として考えることになっておりますので、私どもといたしましては、横浜中税務署の例を御指摘になりましたが、不動産所得の計算上、不動産収入として申告するよう慫慂したものであろうかというふうに考えております。
  70. 岩佐恵美

    岩佐委員 市側から、緑の保存のためだから特別の配慮をしてほしい、そういうふうに国に求めてきたというふうに聞いているわけですけれども自治体施策協力をした、その見返りの奨励金、これにまで税金がかけられたために、横浜市の場合は、税金をかけられてまで協力する必要があるかと言って、協力地主が減ってしまった。このようなことは他のところでも起こりつつあるわけです。  五十六年の二月現在で、法の規制以外に緑地保全のために保全樹林の指定をしているのは二十三都道府県、三百七十九地域、四万八千ヘクタールあります。このほかに市町村独自で指定するものもあるわけです。千葉市では四百ヘクタールを指定樹林にして、うち市民の森として八カ所、二十七ヘクタールを開放しています。市川市では百二・七ヘクタールを市の指定林にしています。東京でも府中市とか日野市、町田市、昭島市、東大和市など、こういう市がこのような制度をつくっているわけです。都市開発が進む中で、現行法のもとでは保全できない住民の身近な緑、自然というものを自治体が独自の施策で保全をしていく、こういう自治体が全国的にふえているわけです。  ここでちょっと自然林の果たす役割りについて御紹介したいと思うのですが、横浜市の高校教師が四十年間雑木林を観察し続けた。その中で、その付近にある公園と比較をして、全く雑木林の方が豊かであるということが実証されたということです。たとえばこの雑木林というのは、横浜市港北区の会下谷と言われる一ヘクタールほどの小さながけ地の林ですが、近くの菊名池公園というのはこの雑木林の一・五倍もあるそうです。しかし、総植物数は約九十種類。この公園にやってくる鳥とかチョウとかセミの種類数の総和は、この公園が四十三なのに対し、雑木林の方は百一、つまり二倍を超えるというわけです。  そういうことで、非常に自然林というのがいかに自然をそのまま保っていくかということが証明されているわけですが、こうした緑を守り自然を守るという観点で、自治体が一生懸命やり、そして自治体施策協力をしているところの地主に対して、税の軽減制度というものが考えられないものかどうか、国税庁、自治省に伺いたいと思います。
  71. 日向隆

    ○日向説明員 先ほどの私の答弁に関連いたしまして、不動産所得として当該地主に課税関係が発生すると言いましたが、もう少し具体的に申しますと、委員も御存じと思いますが、不動産所得は不動産収入から必要経費を控除して算定することになっております。当該土地に係りますたとえば条例等によります奨励金は、私の承知しておりますところによりますと、固定資産税、都市計画税でございますか、あるいは当該土地を管理するに必要な適正な経費といったものを勘案して算定するようになっておりますが、私ども不動産所得を計算する際に、当該奨励金を不動産収入といたしまして、いま言いました当該土地に係ります固定資産税、都市計画税等、また適正な経費等はこれを必要経費として控除することができることになっております。したがいまして、実際問題としては、不動産所得の算定上そういったものは十分勘案されておるというふうに御承知おきいただきたいと思います。
  72. 関根則之

    ○関根政府委員 ただいまの国税庁の答弁に関連してでございますけれども、所得がありました場合に、これはやはり所得として扱わざるを得ないということになるわけでございます。ただ、いま国税庁からございましたように、住民税の取り扱い上は所得税と同じ取り扱いになりますので、諸経費が控除される。その控除される経費の範囲内にとどまっておりますれば、実質的な所得は生じないということですから、住民税の対象にもならない、こういうことになってくる。それ以上の収入があった場合には、やはり課税対象になってくるということだと思います。  そういう意味で、住民税上、奨励金等の所得に対しましてそれ以上の優遇措置を考えるということにつきましては、やはり額に汗して得た勤労報酬に対しましても課税をせざるを得ないという状況の中で、いわば不動産という資産所得についてこれを課税対象から外すということは、バランスの上からもなかなかむずかしい問題ではなかろうかと思います。  なお、土地の所有に関しましての税でございます固定資産税でありますとか、特別土地保有税につきましては、先ほど申し上げましたように、当該緑地が公共的な性格をきわめて強く担っておるというような点に着目いたしまして、先ほど申し上げましたような軽減措置を講じておるところでございます。
  73. 岩佐恵美

    岩佐委員 樹林を持っている人が、相続税の支払いのために宅地や田畑よりまず山林を手放すために、緑が減っていくということがあります。そこで、緑や自然を守る運動団体では、その山林を国が買い取ってもらいたい、つまり税を物納として扱ってほしい、そういう要望をしているわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
  74. 滝島義光

    ○滝島説明員 相続税は私の所管でございませんので、私の知っている範囲内でお答え申し上げますが、あくまでも相続税は国庫の収入の一科目でございますので、金銭で納めていただく、やむを得ない場合には金銭に換価し得る、しやすいもので納めていただくというのが原則であろうかと思います。したがいまして、自然林保護の観点から、森林を物納で納めていただき、納めていただいたものをそのままの形で持っていくということを税制の中で考えるということは、なかなかむずかしいのではなかろうかと思います。
  75. 岩佐恵美

    岩佐委員 環境庁は、環境や景観の破壊されるおそれのある地域住民が共同で買い取り、保存していくナショナル・トラスト制度をわが国に導入することの検討を始め、そのための懇談会を発足させたというふうに聞いていますが、その進行状況について簡単にお聞かせください。
  76. 加治隆

    ○加治説明員 御質問のナショナル・トラスト研究会についてお答えいたします。  環境庁といたしましては、わが国の国情に適したナショナル・トラストのあり方につきまして検討していただくために、元内閣法制局長官、それから自然環境保全審議会の会長であられます林修三氏のほか、行政法、民法、税法、各分野の先生方六名の専門家の方々にお集まりをいただきまして、昨年の七月以来、これまで八回にわたり開催をしております。
  77. 岩佐恵美

    岩佐委員 そうすると、この税制上の問題も検討されているということですが、結論が出れば、当然その結論を持って大蔵省なりあるいは自治省なりに要請されていくということになるんだろうと思いますが、それはいかがなんでしょうか。
  78. 加治隆

    ○加治説明員 ただいま申し上げました研究会におきまして御検討いただいておりますので、その結果を待って具体的な方策等を考えることになろうかと思っております。
  79. 岩佐恵美

    岩佐委員 大都市圏における人口急増府県知事会議報告書が昨年十一月に出され、都市的地域における緑化対策についてということが提示されていますが、その中で、保存地域指定の地権者から、相続税対策などで自治体に買い取ってほしいという請求があった場合、自治体では財源確保に苦慮しているので、財団をつくって買い取りを進めていったらどうか、あるいは公益信託方式でこうした買い取り請求に応じたらどうかという提案がされ、その場合、税制上の問題として譲渡所得税、不動産取得税などの軽減措置が検討されなければならないということが指摘をされているわけです。  このように、住民の身近な緑の保存のためには、現行税制の軽減だけでは全く不十分だということが言えると思います。そういう観点から、やはり税制上見直し、もっと検討していく必要があると思いますけれども、その点、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  80. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 税制というのはなかなか厳しいもので、そう簡単にいろいろと変革、変化をするというのは容易なことではないと思います。税を一つの政策手段として使っていくという場合もあるわけですけれども、それらにはそれなりの理由があり、しかしながら慎重にそれはいつも考慮をされていくものだと思うのです。しかし、いまお伺いしている問題については、そういう厳しい中で何とかいい知恵はないものかなという感じはいたしますので、私の方は自治省、ただいま所得税の方は大蔵省、あるいは相続税も大蔵省ということでございますが、何とかいい知恵はないものかなという感じはいたします。
  81. 岩佐恵美

    岩佐委員 その点、大臣、検討していっていただけますでしょうか。
  82. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 検討を約束するというほどにはまいらぬと思いますが、何とかいい知恵はないものかなという、そういう意味で勉強をさせていただきます。
  83. 岩佐恵美

    岩佐委員 幾つかの自治体は、地主の申し出によって土地を買い取っているところがあります。横浜市では六万三千平方メートルの買い取りあるいは寄附の土地があります。日野市でも三万平米の緑地を買い取っています。あるいは東大和市も、これは二千平米ですが、買い取っています。これは地主から、その樹林を手放すのは惜しいが、自分ではこれ以上持っていることはできない、業者に売れば開発されてしまうので行政に買い取ってほしい、そういう希望があってそれにこたえたものです。こうした財政需要に対する適切な対策、たとえば特別交付税でこれを措置するというようなことは考えられないでしょうか。
  84. 石原信雄

    石原政府委員 都市における緑地の確保のための財政需要につきましては、これが一定の要件を満たす場合には、公園整備事業債の対象にいたしております。それから、はっきり公園事業という位置づけが困難であるけれども、何らかの公共用地としてこれを確保するという場合には、公共用地先行取得事業債という制度もございます。御要請があれば、これらの起債の許可については最大限の対応をしたいと思います。  ただ、用地取得につきまして、自然保護の見地から用地取得をして、それに対して特別交付税で措置するということは、現在の特別交付税の総枠の関係もあり、またこういった用地取得という、いわば永久の資産のために毎年度の交付税で対応することが果たして適当なのかどうか、いろいろ問題もあろうかと思います。  いずれにしても、現在の特別交付税の枠の中ではなかなかむずかしいのじゃないか、したがいまして、当面は地方債での対応が中心にならざるを得ないのじゃないか、このように考えます。
  85. 岩佐恵美

    岩佐委員 特別交付税のいわゆる法的根拠がなくて措置をしているものとして、同和減免があるわけですね。これは固定資産税を減免した場合特別交付税で措置をするとしていて、その直接の根拠法はないということで、自治省自身が三谷議員の質問に対して答弁をされている。しかも、その減免の方法は条例で決めなければならないけれども自治省条例準則も示していないということで、こうした減免について全くやれないということではないと思います。  いま大都市圏では、この緑地保全の問題は非常に深刻な問題なんですね。やはり自然が破壊されるというのは生命の安全の問題も当然あるわけですけれども、何といっても、人の心を荒廃させていくということで、鉄とコンクリートで固めてしまう町づくりというのは、非常に私たちは危機意識を持っている。ただ、そういう中で、先ほどから議論になっているように、やはり財政難ということがあるわけでございます。ですから、先ほど大臣は、検討するとお約束はできませんが、何か考えていくということでということでぼかされましたけれども、私は、これはぜひとも一度きちっと検討していただきたい。緑地の果たす役割りとか、そういうものも地方自治体から、よく関係のところから聞いて、一体どういう要望をそれぞれ持っているのか、どういうふうにしていったら一番いいのか、いまの起債の問題も含めてやはり具体的に対処していっていただきたいということを切に要望したいわけでございますが、いかがでしょうか。
  86. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 緑地の問題というのは、わが国の国土保全という観点からいっても、あるいは国民生活の上からいっても大変大事な問題であります。真剣に取り組まなければならぬ問題だという認識は持っておるわけでございまして、そういうつもりで勉強をさせていただくということを先ほど来お答えをしたとおりでございます。
  87. 岩佐恵美

    岩佐委員 地方自治体は大変苦しい中それなりに、革新自治体ばかりではなくて、それこそ保守の自治体も含めてこの問題は取り組んでいるわけで、それこそ国民の非常に大きな要求であるということでございますので、勉強よりももっと一歩進んで、やはり行政官庁として責任を持って対応していっていただきたい。しかし、勉強するということでも、何もしないということではないんでしょうから、あとまた、どういう勉強をされたのか、引き続きこの委員会でも伺ってまいりたいと思いますので、その点よろしくお願いをしたいと思います。  以上で終わります。
  88. 田村良平

    田村委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十九分休憩      ────◇─────     午後一時二分開議
  89. 田村良平

    田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川省吾君。
  90. 小川省吾

    ○小川(省)委員 昭和五十八年度の地方財政は二兆九千九百億、実質的には交付税特別会計借入金の償還の利子の自治体負担分三千四百四十六億円を加えると三兆三千三百四十六億円の財源不足を生ずることとなりました。これについては、いわゆる地方財政対策として自治省と大蔵省の政治折衝によって決定の措置をしておるわけでありますけれども、その金額の算定の内容をまず明らかにしてもらいたいと思います。
  91. 石原信雄

    石原政府委員 昭和五十八年度の地方財政対策の前提となりました地方財源不足額でございますが、利子の二分の一負担三千四百四十六億円を加える前の段階では、二兆九千九百億円の財源不足と見込まれたわけであります。その内訳でございますが、五十七年度の計画との対比で申しますと、歳入関係で二兆五千五百八十二億円の減少、歳出関係で四千三百十八億円の増、これを加えますと二兆九千九百億円の財源不足、こういうことになります。  そこで、歳入の減少要因、二兆五千六百億円弱の内訳でございますが、地方税収入が前年度当初対比で二百五十四億円の減少になります。それから、地方譲与税は百八億円の増収。それから、最も減収の大きい地方交付税でありますが、八千五百二億円の減額精算分を含めまして、前年度当初対比で二兆一千二百六十九億円の減収になります。そのほか、地方財政計画の計上方法の変更等の事情もありまして国庫支出金が四千八百九十九億円の減。それから地方債については、一応現行制度といいましょうか、従来の充当率等で計算いたしますと千三百三十五億円の減になります。一方、使用料、手数料については三百八十二億円、雑収入については千六百八十五億円の増収が見込まれます。これらの増収、減収全体を操作いたしますと、最終的に二兆五千五百八十二億円の減収となるわけであります。  次に、歳出関係でありますけれども、総額の増が四千三百十八億円でありますが、この内訳は、給与関係経費において二千五百六十億円の増。なお、この増の中には、給与改善費として一%の先組みを予定しております。それから、一般行政経費は千五百四十四億円の減。この減は、主として老人医療保健関係の計上方法の変更に伴う減であります。それから、公債償還費の増が四千九百五十九億円。維持補修費の増が百二十億円。投資的経費につきましては、国庫補助負担対象経費で五百八十三億円の減、単独事業は前年同額にいたしております。公営企業繰出金が六百六億円の増。なお、地方交付税の不交付団体におけるいわゆる水準超経費につきましては、税収の伸び悩みという事情もありまして千八百億円の減を見込んでおります。これらの歳出の増加要因、減少要因を差し引きいたしまして四千三百十八億円の増。このように見込んでいるところでございます。
  92. 小川省吾

    ○小川(省)委員 そういう数字になるのだろうと思いますが、この財源不足の補てん措置として地方財政対策が講じられたわけでありますが、いずれも完全補てんとは言いがたいと思うのであります。今後の地方財政の困難化に拍車をかけていくものでもありますので、その点について幾つかの問題点をただしておきたいと思います。  まず第一点として、地方交付税の増額措置分としての千百三十五億円でありますが、これは五十七年度に国の一般会計に減額留保として貸与していた資金を繰り上げて一括返還をされたものであって、もともとは地方の資金でございます。本当の意味では交付税の増額措置とは言えないと思いますが、その辺はどうですか。
  93. 石原信雄

    石原政府委員 これは物の説明のしぶりとも関係があるのだと思いますが、御指摘のとおり、この千百三十五億円につきましては、本来の法定額の一部を減額留保して五十九、六十、六十一の三カ年度で返還してもらう、こういう予定にしておったものでございます。したがいまして、もともとこれは地方の財源と言えるわけですが、ただ、一応五十七年度の地財対策でこれを五十九、六十、六十一の三カ年度にわたって分割返還するということにしておったものを、今回地方財政状況がこのように非常に厳しくなったものですから、一括返還に改めたということでございます。
  94. 小川省吾

    ○小川(省)委員 臨時地方特例交付金の七億円でありますが、地方債の金利差を一般会計から補給するものでありますけれども、いままで地方債の引き受け資金に占める政府資金の割合が六〇%までは金利差を補給しておりましたが、なし崩し的に五〇%までに引き下げられてしまったわけでありますが、いかなる理由でありますか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  95. 石原信雄

    石原政府委員 いわゆる利差臨特につきましては、五十七年度は計画上の収支が当初の段階ではバランスするという事情もありまして、この利差臨特の約束をしなかった、利差臨特方式が採用されなかったわけであります。五十八年度、再びこの財源対策債の発行をせざるを得ない状況になり、また政府資金の比率も前年度よりもかなり下がらざるを得ない、こういう状況に立ち至りましたので、私どもとしては、言うなれば政府資金の不足を補う趣旨で、五十一年度からやっておりました利差臨特方式を復活するように要求したわけであります。これに対して国庫当局の方は、当初は国の財政事情が非常に厳しいということを理由に利差臨特方式の復活に難色を示したのでありますけれども、最終的に、五十八年度の地方財政状況を勘案して、復活には同意したわけであります。  ところで、利差臨特の計算の基礎となる率でありますが、五十一年度から五十六年度までは六〇%までを政府資金並みにするということにしておったわけであります。私どももそれを一つの先例として主張したわけでありますが、国庫財政の事情等もあり、また五十一年度以降続けた際の一つの目安となりましたのが、五十年度の当初の地方債計画における政府資金比率がおおむね六〇%であったということで、六〇%までの利差臨特を約束したわけでありますが、五十八年度の場合には、前の五十七年度の政府資金比率が五〇・五%、約五〇%であったということで、結局五十七年度の政府資金比率のほぼ五〇%を目標に利差臨特の枠を決めた次第でございます。したがいまして、これについてはいろいろやりとりはあったわけでありますけれども、今日の国の財政事情、こういったことも勘案して、五十七年度の政府資金比率の実績を目標とせざるを得なかった、こういう事情でございます。
  96. 小川省吾

    ○小川(省)委員 一兆八千九百五十八億円は政府の運用部資金からの借り入れでありまして、これが交付税増額措置の本体部分であると思うのでありますが、これについても償還の二分の一を自治体負担ということになっておりまして、これは財源不足に対する不完全補てんを示すものでありますけれども、これは昭和五十三年のやむを得ざる措置として確立されたルールに基づくもので、ここではあえて問いませんけれども、しかし、その際利子の全額は国庫負担とすべきものとなっていたにもかかわらず、今年度はその利子の約半額を自治体負担とすることになって、三千四百四十六億円が地方交付税から減額されることになりましたことはきわめて不当な措置でありまして、とうてい容認できないわけでありますけれども、いかなる理由によるものなのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  97. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 この問題はたびたびお尋ねをいただいており、五十八年度の地方財政計画を組む上においても最大の問題であったわけでございます。ただ、御承知のように地方財政も大変厳しい状況にありますが、同時に国家財政もなかなか容易ならざる事態を迎えているわけでありまして、国家財政と地方財政はいわゆる車の両輪、こういうことを言われておるわけでございます。もちろん、地方財政立場から言えば、いま御指摘のごとく全額国庫で持つというのは、私どもとして切実な要求であったわけでございますが、国家財政現状にもかんがみましてそのような措置をとらざるを得なかった、非常な苦しい立場であったわけでありまして、さような点はひとつ御理解を賜りたい、こう思っておるところであります。
  98. 小川省吾

    ○小川(省)委員 やむを得ざる措置だということでありますが、大変遺憾なことだと思っています。  昭和五十八年一月二十日付の財政課長内簡では、財源対策債に係る公債費の基準財政需要額への算入については、標準事業費方式を併用することとして、算入率を従来よりも引き下げると述べておりますけれども、まず、標準事業とはいかなるものでありますのか明らかにしていただくと同時に、それはどのように算出するのかを明らかにしていただきたいと思います。
  99. 石原信雄

    石原政府委員 五十八年度の地方財政措置の中で、一般財源の不足に対処するために投資的経費の一部を地方債に振りかえているわけでありますが、この振りかえ対象になります投資的経費のうち、たとえば港湾費であるとか河川費などの経費については、各年度の各団体ごとの現実の地方負担額の一部を基準財政需要額に算入するようにいたしております。こういった系統のものは、地方債に振りかえた分の元利償還金については、従来と同じようにその償還費の全部または一部をストレートで基準財政需要額に算入することとしております。  内簡で一部標準事業費方式に変更するということを述べておりますものは、農業行政費でありますとか林野行政費などのように、投資的経費の算定につきまして各団体ごとの個々具体の地方負担額ではなくて、もともと標準的な投資経費の算定を行っている経費につきましては、従来はその分も起債振りかえに当たりましては現実の地方負担額に着目して起債を認めるわけでありますが、その償還費をストレートで基準財政需要額に算入しておったわけであります。こういう方式ですと、年度によって団体によって非常に不公平が起こる嫌いがあります。たとえば五十七年度のように財源対策債をやめてしまった年においては、たまたまその年に事業を大量に行った団体は非常に不利になる、そして財源対策債が発行される年に事業を行った団体は有利になる、こういう指摘がありまして、これを是正するために標準事業費方式を採用することにしたわけであります。  具体的にどうするかというと、農業行政費とか林野行政費などにつきましては、その年度の関係費目に係る財源対策債の償還費をその年度の標準団体の単位費用に算入していく、言うなれば、起債振りかえしない場合における標準的な投資的経費の算定と結果として違いが起こらないようにするということを考えているわけであります。
  100. 小川省吾

    ○小川(省)委員 標準事業を超えて適債事業を執行しようとすれば、その分の元利償還費はすべて自治体がかぶることになるわけであります。そうなると、自治体の社会資本充実への意欲をそぐことになってまいりまして、自治体の格差が開いたままの画一行政がまかり通ることになると思われますが、その点を、そうはならないという自治省の考え方が恐らくあるのだろうと思いますが、はっきり示していただきたいと思います。
  101. 石原信雄

    石原政府委員 現在もともと標準事業費方式で算定しております費目につきましては、たとえば耕地面積とか農家戸数とか林業家数とか、こういう客観的な指標によってかなり的確に投資的経費の計算ができる、算定ができる、こういうものについて標準方式を採用しているわけであります。したがいまして、こういったものについて、たまたまある年度に財源対策債があり、ある年度に財源対策債がないということになると、年度によって非常に団体によって不公平が起こる。この点を避けたいというのが今回のねらいであります。この基準財政需要額の客観的な方式による算定を通じましても、各団体の実情が十分反映するように、いろいろな補正その他の方法で対処していきたい、このように考えております。
  102. 小川省吾

    ○小川(省)委員 さらに、標準事業費方式の導入によって元利償還費をまるまる自治体がかぶる割合が多くなってまいりまして、財源対策債のメリットが低下をすると思うのであります。自治体の中には財源対策債を利用しないで済まそうとする、つまり社会資本の充実をさぼろうとする団体が出てくるのではないかというふうに恐れています。そういう意味で、行政水準の低下をもたらしかねないことになるのではないかと思いますが、この点について自治省として、そうはならないという保証があれば、その考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  103. 石原信雄

    石原政府委員 この点につきましては、私ども関係省庁意見ども十分聞きまして、償還費を標準方式で算入するといたしましても、具体に事業の必要性のある団体、補助金の配分があり、事業の採択された団体においては、当該年度の起債措置が的確になされるならば、事業の執行には支障ない、このような説明を受けております。  要は、元利償還まで従前行ったと同じように直接交付税に算入する方式をとりますと、確かに事業の執行についてのインセンティブは非常に強くなります。事業の意欲といいましょうか、それは非常に強くなるわけですけれども、同時にまた、交付税制度は、極力各団体の不公平をなくす、客観的な手法で計算できる投資的経費は、なるべく客観的な方式で算入することが望ましいというのが大原則であります。そして、この財源対策債に依存するという方式は、私どもとしてはなるべく早くやめたい。五十八年度についてはやむを得ずこれを復活したわけでありますけれども、なるべく早くやめたい、こういう気持ちも持っております。そういうようなことからいたしますと、先ほど来申し上げておりますように、年度によって各団体ごとの財源措置の内容が変わるということは非常に不公平な結果になります。したがって、やはり標準方式というのはぜひ導入したいと考えておりますし、また、そのことによって、私ども決して事業の執行に支障が起こるとは考えておりません。
  104. 小川省吾

    ○小川(省)委員 以上申し述べてまいりましたように、昭和五十八年度の地方財政対策については、まず一として、国の一般会計への減額留保を交付税の増額措置としていること。二番目として、地方債の金利差補給分を五〇%までに引き下げたということ。三つ目として、交付税特別会計の借入金利子の二分の一を自治体に負担をさせようとしていること。四つ目として、財源対策債の基準財政需要額への算入率を引き下げようとしていることなどの一連の措置を見てもわかりますように、昭和五十三年に確立をされた財源不足対策をめぐる基本的なルールは、まさに危機に瀕しているのではないかというふうに考えられます。特に利子の二分の一負担導入問題は、この基本ルールの破棄に向けて入り口の敷居が踏み越えられたものと言えるのではないかと思います。  昭和五十三年にこのルールが確立をされるときは、利子の全額国庫負担は、議論の余地のない前提的な問題だったではないですか。これを一方的に大蔵省に押しつけられた自治省の責任は重大であると言わなければならないと思います。この点について自治省の責任を明らかにしていただきたいと思います。
  105. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 確かにいま御指摘のように、五十三年度に法的改正をやりまして制度の改正をやったわけでございます。そのルールは確かにあるわけでございます。今回の利子二分の一負担問題というのは、先ほど御答弁を申し上げましたように、まことに重大な選択であるわけなんで、私どもも、事務的にもまた大臣折衝の場面でも、これらについては大蔵省と折衝を重ねたわけであります。  ただ、先ほども申し上げたように、国家財政のやりくりはまさに極点に達するほどの事態を迎えておる。地方財政ももちろん苦しいけれども、国家財政も大変厳しい。そういう事態の中で、私どももまことにやむを得ざる選択であると、こう存じたわけでございまして、これにつきましては、私どもも今後十分これに対処する考えでございます。
  106. 小川省吾

    ○小川(省)委員 そこで、あれほど激論になりました昭和五十三年の本委員会における議論を思い起こしていただきたいと思うのでございます。  当時、加藤自治大臣は、昭和五十三年の二兆七百億円の財源不足に対して、これは地方交付税法第六条の三の第二項に該当をする事態であるとして、一つには交付税率の引き上げ、二つには制度改正の実施のいずれかを行うべきであるとして、前者、すなわち税率の引き上げは国の財政難理由に不可能であるとして、後者の制度改正の道をとって、いわゆる二分の一負担ルールを暫定的な制度改正として無理に位置づけたのでございました。強弁をしたわけでございました。  しかし、問題は、この暫定的な制度改正をいつまで続けていくかにあったわけであります。これに対して自治大臣は、地方財政収支試算に示されている昭和五十七年度ごろまでには制度改正の実現を期さなければならないと答弁をしていたのでございます。昭和五十七年度の当初の財源不足が収支均衡したとしてゼロにされたのは、このことと全く無関係ではなかったはずでございます。  以上のことを踏まえて、昭和五十八年の二兆九千九百億円の財源不足の事態は、まさに地方交付税法第六条の三の第二項に該当する事態でありまして、同条項で定められている地方の財源不足が引き続きあるいは著しくなった場合、地方行財政制度の改正または交付税率の変更を行うとの条件のいずれも満たしているのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  107. 石原信雄

    石原政府委員 先生指摘のとおり、今日の地方財政の事態は交付税法第六条の三第二項の引き続き著しく財源が不足する場合に該当している、このように考えております。
  108. 小川省吾

    ○小川(省)委員 そうだとすれば、五十三年の基本ルールに基づく暫定的制度改正は、もはや暫定的ではなくて、恒久的な意味になってきたと思うわけでございます。昭和五十三年当時は、それでも財政収支試算に基づいて五十七年度には何とかなるとの期待もあったわけでありますが、いまはどうなんですか。一体いつまでこの暫定的な制度改正を続けていくおつもりなのか、明らかにしていただきたいと思います。
  109. 石原信雄

    石原政府委員 昭和五十三年度のいわゆる特会借り入れの二分の一国庫負担のルール化を、この改正をお願いした当時私は担当しておりましたので、その当時の将来展望といたしましては、こういった暫定措置がそういつまでも続くことはなかろう、また続いてはならない、可及的速やかに地方財政の収支が基本的に回復するようになるであろう、またそうしなければならない、こういう気持ちであの改正案を御提案申し上げ、御審議もお願いした次第であります。  ところが、その後の推移は、御案内のように、地方財政収支について言いますと、昭和五十四年度まで収支は悪化し、その後は毎年度かなりのテンポで改善してまいって、五十七年度には収支が均衡する、こういう状況になったわけです。しかし、それは当初の段階でありまして、結果として補正の段階では再び巨額の財源不足になってしまった。そして、今日現在の時点では、当初政府が申し上げておりました、五十九年度に何とか赤字公債の発行状態から脱却したいという目標も、実現が非常にむずかしくなってまいりました。先般大蔵省が国会に御提出申し上げた収支試算によりましても、なおしばらくは収支が非常に厳しい状態が続くということでございます。  したがいまして、私どもも、五十三年度に制度改正をお願いした当時の見通しが大きく狂ってまいりまして、大変厳しい状況に今日立ち至っているということで大変苦慮しているところでございます。しかし、このような状態を一日も早く脱却するように、歳入面、歳出面でこれからあらゆる努力を重ねていかなければならないという気持ちを強くしているところであります。
  110. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いま御答弁のように、見通しが狂ったわけですよね。とにかく何としても一日も早くこういう状態を脱却しなければならないと思うのでありますが、中期的展望も恐らく示すことができないような状態なのではないかと思いますが、大蔵省は一月二十九日、財政の中期試算を発表いたしました。これに対応した地方財政の中期試算というものも、当然自治省内部では試算をしているのであろうと思いますが、その点はどうなのか、明らかにしてもらいたいと思うのですが、こういうような見通しが狂う状態でございますから、そういう中期試算もとうていでき得ないという現状なんですか。
  111. 石原信雄

    石原政府委員 ことしの一月末に大蔵省が国の財政の中期試算を作成して国会に提出されましたので、私どももこれに対応して、地方財政の姿がどうなるのか、内部的にはいろいろ検討を重ねております。ただ、これまでもたびたび御答弁申し上げておりますように、国の収支試算のような形でこれからの地方財政の後年度負担を積み上げて収支の姿をお示しするということが、技術的にいろいろむずかしい問題があってできない。また、それをあえていたしますと、かえって地方団体をミスリードする危険もあるということで、公表するような収支試算がいまだにできない状態でいるわけであります。  なぜかと申しますと、一つには、国の収支試算に関連しても議論されておりますように、国の中長期の経済の展望というものが必ずしもはっきりしない、明確にされておらないということ、それから、国の収支試算の積算の内訳が詳細にわたって知らされていない、そのために国庫補助負担事業について正確な地方負担の積算がなかなかできないという問題があります。それから、一番致命的な問題は、地方の単独事業につきまして後年度の支出予定額を積み上げるということが現実問題としてできないというような、幾つかの制約があります。そういったこともありまして、公表できるような地方財政の収支試算がつくり得ないで悩んでいるのが現状でございます。  ただ、今後について考えますと、地方財政の将来の姿について何らかの展望を持つということは当然必要であります。また、聞くところによりますと、国の段階でも経済計画などについて遠からず何らかの展望が示されるようでありますし、これに対応して国の方の財政計画というものも検討されるのではないかと思います。そういった段階になれば、当然これとの対応で地方財政の中長期的な展望というものを、はっきりしたものを研究していかなければならない、検討しなければならない、このように考えております。
  112. 小川省吾

    ○小川(省)委員 地方財政の収支試算はまあいいでしょう、確かに厳しい状態でありますから。しかし、中長期的な展望に立った見通しを明らかにするようにぜひ検討をしていってもらいたいと思うのです。そういう意味で、いつになったら今日の地方財政の財源不足の状態は改善をされるのでしょうか、あるいはまた、いまのような状態が続くとするならばいつごろまで続くのか、その辺についての見通しはいかがですか。
  113. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 これは一つは、いま中期見通しの話がありましたが、世界経済あるいはわが国経済は一体これからどんな展開を見せるのか、大変不透明である。わが国の経済見通しをいまつくらなければならない段階を迎えておるわけですが、最近の話では、八年間の計画をつくるという話ですが、これもいろいろな仮定を前提としてつくらなければならないのであろうと思うのです。この経済の見通しは一体どんなことになるのかわかりませんが、しかし、一つには、やはり安定成長時代を迎えておることは間違いない。高度成長時代とはすっかりさま変わりをしておるということ。また、それが大きな高低を迎えるのであろうかということなんですが、私は、やはり安定成長であろう、さすれば、経済がそういう状態でいくとすれば、財政もそれに影響されてそう大きな改善は税収の面では望めないのではないか。そういうことを考えてまいりますと、地方財政のこれからのあり方は、一つには、地方自治体行政改革をやったりあるいは歳出の見直しをやったりしながら、住民の非常に広いニーズにこたえていかなければならないのではないだろうか、こう思うのであります。  そこで、では一体そういう状態を想定して地方財政のあり方、また地方税制のあり方というものをどう考えていったらいいのか。少し大きく言えば、これは根本的に考え直してみる段階にあるのではないかという気がするのでありまして、これはひとり地方財政ばかりじゃない、国家財政も同じことだと思いますが、そういうことで、今後各方面の御意見を伺いながらこうした問題と取り組んでいかなければならない、こう考えておるところでございます。
  114. 小川省吾

    ○小川(省)委員 経済が安定成長をしていくのは、いわばノーマルな姿であると思うのでありますが、安定成長をしていけば税収の確保がむずかしい、こういうことにある程度なっていくと思います。そういう安定成長の状態の中における地方財政の姿というものを確立をしていくことが急務であろうというふうには思いますが、そういう意味では、地方交付税制度ども抜本的に改正をしていく必要もあるのだろうというふうにも思いますが、ぜひひとつ御検討をお願いいたしておきたいと思います。  ところで、自治省は三月八日に交付税特別会計の借入金とその償還状況をまとめて明らかにしておりますが、これは五十九年度以降資金運用部資金からの借り入れが一切ないことを前提といたしておりまして、非常に非現実的なものだと思いますが、それにしても、五十八年度末の借入金の残高は十一兆五千二百十八億円となっております。これを現行のルールで償還していく場合には、地方の償還負担額は昭和六十五年でピークに達し、六千四百二十五億円もの巨額になっておるわけであります。その後、六十六年度六千百二億円、六十七年度五千四百二十億円、六十八年度五千九十二億円、六十九年度四千百四十五億円、七十年度二千五百八十七億円、七十一年度千九百三十二億円、七十二年度二千一億円、七十三年度一千七十六億円といったような巨額の返済状態がずっと続くことになっておるようでございます。  まず、この償還計画について、五十九年度以降は本当に交付税特会の新規の借入金はあり得ないのかどうか、自信を持ってそう言えるのかどうか、この辺について大変疑問だと思っておるわけでありますが、大臣の考えを明らかにしていただきたいと思います。
  115. 石原信雄

    石原政府委員 先生お示しの交付税特会の年次別償還計画は、五十八年度末の借入現在高に対応する償還計画を年次別にお示ししたわけであります。したがいまして、五十九年度はどうなるか、現時点では全く決まっておりませんので償還表には掲げていないわけであります。  そこで、この表は五十九年度以降は新たな借り入れがないということを積極的に表示したわけではございません。その辺は決まっていないから掲げていないというだけのことでございます。五十九年度の地方財政がどのような姿になるのか、地方財政対策というのがどういう形で講じられるようになるのか、これは現時点では何とも申し上げようがないのであります。ただ、先ほど引用いたしました国の財政収支試算に三つの案が示されておりますが、この三つの案いずれをとりましても、五十九年度、六十年度と、五十八年度に比べて国の財政収支の状態は決してよくなっておりません。したがいまして、国の財政と密接な連動関係にあります地方財政収支につきましても、五十八年度に比べてこれが大幅に事態が改善されるという期待はまず持てないのじゃないかという意味で、五十九年度につきましても、地方財政対策の面では五十八年度同様なかなかむずかしい問題に直面せざるを得ない。そういう意味で、五十九年度以降交付税特会の借り入れがなしで済むのかどうかという点については、これはなかなかなしで済まし得ないのじゃないか、そちらの可能性の方が強いのじゃないか、こういう展望を持っております。
  116. 小川省吾

    ○小川(省)委員 五十八年度ですら二兆九千九百億円の財源不足が出ている状況でありますから、これが五十九年度以降一挙に改善されるとはとうてい考えられません。そういう意味では恐らく借り入れをずっと起こしていくのだろうと思いますが、五十九年度以降交付税特会の新規の借入金は、大体三、四年で結構ですが、それぞれどのくらいになると見込んでおられるのか、まさに試算で結構でありますから、その状況を少しお教えいただきたいと思います。
  117. 石原信雄

    石原政府委員 五十九年度以降の地方財政の収支そのものが現時点で正確に予測できないものですから、交付税特会においてどれだけの借り入れが出てくるのか、これはいまの時点では全く予測しようがありません。したがいまして、私ども内部的にも、具体的に五十九年度以降の借入額について数字をもってお答え申し上げるような検討案というものは持ち合わせていないのが実情でございます。
  118. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いまの段階で予測のしようがないということなのですが、お先真っ暗ということでございますか。
  119. 石原信雄

    石原政府委員 相当厳しい状況が続くであろう、こういう程度しか今日の段階では申し上げようがないと思います。
  120. 小川省吾

    ○小川(省)委員 まあいいです。わかります。厳しい状態は私どももよくわかっておるわけでありますから、いいです。  それと、この償還計画なんですが、利子分が全然計上されておりません。この表の年度に合わせた利子分のそれぞれの金額の問題なんですが、たとえば昭和六十五年度では、地方の負担は元金と仮に利子の二分の一負担を前提にした場合には合わせてどのくらいになるのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  121. 石原信雄

    石原政府委員 交付税特会の借入金の利子負担につきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、五十八年度の国、地方の財政状況の中で、私どもとしては全くやむを得ずこの二分の一負担に最終的に同意せざるを得なかったということでございまして、五十九年度以降については負担について全く何ら決まっていないというのが実情であります。  ただ、まあ計算してみろ、どういう数字になるのだという御指摘でございますが、五十八年度末の借入現在高を前提にして現在の政府資金の金利年利七・三%というもので計算いたしますと、今年度は利子総額が七千億ちょっとでございますけれども、この金額が五十九年度は八千億を若干超える程度になるのではないかと思います。それから後は、新規の借り入れを前提としない限りは、償還がありますのでだんだんに年を追って減っていく、こういう形になります。いずれにしても、いまの状態のままで計算いたしますと、金利負担額は、総額では今年度よりも一千億ほどふえるという計算になろうかと思います。
  122. 小川省吾

    ○小川(省)委員 だんだん減ってこないと思うのですがね。厳しい状態は相変わらず続いていくだろうというふうに思っていますから、そういう意味で対処をしていただく必要があるのではないかというふうに思っています。これらの償還金及び五十八年度限りとなっている利子の二分の一負担がこのまま続けられるとするならば、それをつけ加えた額が毎年度の法定三二%分の地方交付税から差し引かれるわけで、その結果、地方財政不足が生じてまた交付税特会が新たな借り入れをせざるを得ないという悪循環を繰り返しながら、地方財政は一歩一歩泥沼に足を突っ込んでいくのではないかと思っておるわけであります。  自治省では、この償還問題について、たとえば昭和五十六年度に五十年度から五十二年度の借入金をそれまでの二年据え置き八年償還を五年据え置き十年償還に改めたように、法改正を考えているのではないかというふうにも推測をされるわけであります。もしそうだとすれば、問題を先送りするだけの責任逃れという批判を受けることになると思います。据え置き期間や償還期間をさらに改正するということなどは現在の段階では考えていないのかどうか、この辺についてただしておきたいと思います。
  123. 石原信雄

    石原政府委員 御指摘のように、昭和五十六年度の地財対策の際に交付税特会の借入金の償還条件を変更いたしました。このことによる軽減措置、その恩恵が一応五十八年度まではあったわけでありますけれども、五十九年度からは新たな償還条件に基づく返済が始まるということでございまして、こういった措置が決して問題の基本的な解決につながらないという御批判、これは私どもも甘んじて受けなければいけないと思います。  そこで、現在決まっております償還条件をさらに繰り延べるというような改正を検討しているかどうかというお尋ねでございますが、そういった検討は現在全く行っておりません。私どもとしては、現在の定められた償還条件に従って今後出てくる償還額を前提にして地方財政の運営に支障がないような手だてを講じていくべきもの、このように考えております。
  124. 小川省吾

    ○小川(省)委員 ひとついまの答弁のように、さらに八年据え置き、十五年償還などという新たな繰り延べ措置を講じないように、ぜひお願いをいたしておきたいと思います。  ところで、交付税特会の借入先である資金運用部資金の自治体への資金配分は、昭和二十八年には三四・五%を占めておりましたが、昭和五十七年度には半分以下の一六・三%にまで圧縮をされてまいっております。なぜそうなってきたのか、説明をしてもらいたいと思います。
  125. 石原信雄

    石原政府委員 先生指摘のように、政府資金の配分状況あるいは地方債計画における政府資金の比率を長期的に眺めてみますと、最近非常に政府資金比率が下がってきております。  その理由、特に五十七年度と五十八年度との対比でも政府資金比率が下がっているわけでありますが、その原因は、より基本的には財政投融資計画における政府資金の原資が伸び悩んでいる、特に郵便貯金が前年対比で全く伸びがない、あるいは国民年金、厚生年金の積立金の還元資金が減少している、こういった原資の状況が非常に悪くなっているということが一つ原因だと思います。それからもう一つは、この財政投融資計画の中で政府資金の一部が国債の引き受けに回っておる、結局それだけ政府資金の総量が圧迫されるわけであります。  さらに、地方財政関係だけについて申しますと、交付税特別会計の借入金、これは長期運用計画には載っておりませんけれども、短期の借入金が大幅にふえておるということが地方債計画における政府資金の地方への配分に大きな制約条件になっているもの、このように見ております。
  126. 小川省吾

    ○小川(省)委員 勤労国民の零細な郵便貯金や年金などの資金は、地方自治体を通して国民生活の充実のために重点的に使用されるべきであるというふうに考えておりますが、この考え方についてはいかがでございますか。
  127. 石原信雄

    石原政府委員 先生指摘のとおり、私どもは、いわゆる政府資金は国民の零細な貯蓄の集積でありますから、国民の福祉向上のために活動しております地方団体に対して優先的に配分されるべきであると考えております。そういった見地に立って、毎年度の地方債計画の折衝においては極力政府資金を確保するように努力しているところでございますが、全体的な環境の悪化のために、結果としては私どもが希望した水準になかなか達していないというのが現状であります。しかし、基本的には、先住がおっしゃられたように、私どもは、この資金は最優先的に地方に振り向けられるべきである、このように考えております。
  128. 小川省吾

    ○小川(省)委員 そこで、これらの資金の配分を決めている資金運用審議会でございますけれども、この構成メンバーを見ると、全くの財界出身者によって占められておるわけであります。会長が日本空港ビルディングの相談役、会長代理が太陽神戸銀行の会長、委員が大阪大学名誉教授、上智大学教授、日本商工会議所専務理事、テレビ神奈川会長、東京十二チャンネル社長等が審議会委員になっているようでありますが、地方関係者と言えば、わずかに自治省財政局長が専門委員に入っておるだけのようでございます。  そこで、自治体関係者、労働組合の代表等もこの資金運用審議会の中に入れるべきであると考えるのは当然であろうと思うのでありますけれども、自治大臣として、この資金運用審議会の中に、そのような自治体関係者や労働組合の代表などを入れるように働きかけてくれるのかどうか、考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
  129. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 仰せのように、資金運用審議会というのは、国民の零細な金の集まってきておるものを運用するという重要な審議会であります。総理府の附属機関ということになっておりますが、いま御指摘のようにこの委員のメンバーは七人であります。これらは現職はそれぞれこういう職を持っておられますけれども、長年にわたるいろいろな経験、学識を持っておられる方が選ばれていると思います。たとえば地方自治関係につきましても、府県の知事をやった人も入っておりまして、そういう意味では地方行財政について経験を豊富に持っておる人も入っている、こういう認識でおりまして、大蔵省が主管をしておる審議会でございますが、そういう地方自治の観点からも十分に考えていただくようにという願いも込めて、この七人の審議会の審議委員の方に期待をしたい、こう思うのであります。
  130. 小川省吾

    ○小川(省)委員 現在の肩書きは違いますが、確かに地方の首長をやっておられる方も入っているようでございますけれども、資金運用部資金は地方自治体にとっては大きな借入先といいますか、自治体はそれを利用する大きなメンバーでございますから、大蔵省の管轄ではございますが、ぜひひとつ自治体関係者を入れるように自治大臣も働きかけていただきたいと思いますが、もう一回お答えをいただきます。
  131. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 いまお答えしましたように、こういうメンバーで、それぞれの方は余りそれぞれの代表ということではなくて、やや高い見地で、公平にこの資金運用を国民的見地からおやりになっているものと考えるのでございまして、ただしかし、お話しの点につきましては、私どもも胸のうちにひとつとめて今後に処さしていただきたいと思っております。
  132. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いずれにいたしましても、地方財源不足の状況と交付税特別会計の借入金の多額に上る償還が始まっていく中で、特に交付税法第六条の三の二項によって地方行財政制度の改正か税率の引き上げの決断をすべき時期に参っていると思うのでありますが、決断をする勇気があるのかないのか、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  133. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 勇気があるかどうかとお尋ねいただいて恐縮でございますが、私は、確かに仰せのように、現在は六条の三の二項に該当すべき段階にあるという問題意識は持っておるわけであります。したがいまして、ことしの予算編成の際も、やはり交付税率の引き上げは、自治省としては大蔵省に対して要求はいたしました。ただ、情勢は、いま御承知のような国並びに地方における財政状況でありますだけに、私は、確かに税率の引き上げという問題も私どもの重要な課題である、こう考えます。と同時に、やはりもう少し大きな、言うなれば根本的な地方税制、財政のあり方を、いま検討模索すべき段階ではなかろうか。だから、この税率の引き上げも含めまして、そういう少し広い見地で地方財政、税制の改正ということと取り組みたい、こういうふうに考えております。
  134. 小川省吾

    ○小川(省)委員 よくわかりました。ただしかし、そこでもう一歩、ぜひひとつ踏み出す勇気と決断を持ってもらいたいのであります。六条の三の二項に該当する事態であるということはよく承知しておられるようでありますから、蛮勇をふるってもぜひこれだけは実現するのだという強い意気込みで、抜本的な制度の改正か、あるいはまた税率の引き上げにぜひひとつ対処をしていただきたい、このことを強く要請をしておきたいと思います。  次いで、地方財政計画の信頼性ということについて伺いたいと思っております。  自治省は、五十七年度の地財計画では八年ぶりに収支が均衡して財源不足が解消されたとして、国の一般会計に減額留保として千百三十五億円を貸し付けるということなどを行いました。しかし、御承知のように、五十七年度地方財政は、収支均衡どころか、地方交付税千五百二十四億円を年度途中に史上初めて減額をされ、地方税は一兆二千九十二億円も減収となり、単年度主義をとってきた地財計画も補正を余儀なくされました。地方自治体財政運営は多大な混乱を強いられることになったわけでございまして、その最大の原因は、五十七年度の国の予算が、経済の実勢を無視をして、またほとんどの民間金融機関の予測に耳を傾けることなく、経済成長率を名目八・四%、実質五・二%と異常に高く見積もった上で編成をされたためであって、同時に、自治省がこの政府の方針に無批判的に追随をして地財計画を策定をしたからであると言わなければならないと思います。  このように、政府の誤った方針に全く無批判的に追随をして地方財政計画を策定をし、また地財計画の単年度主義を自治省みずから変更して補正を行い、結果として地方自治体の行財政運営に混乱を与えたことについて、地方自治体に対する責任についてどのように考えておるのか、大臣の明確な御所見を承りたいと思うのであります。また、地財計画の単年度主義については、今後とも堅持をしていくおつもりなのかどうか、あわせて伺いたいと思います。
  135. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 まず、ことしの地財計画の運営上、当初の見込みと大きく違ってきたということにつきましては、一つは、やはり国の方の税収の見積もりに誤算があったということがまず挙げられると思います。これは、名目成長率に税の弾性値を掛けていままではわりあい簡単に税収が出て、それは余り大きな間違いはなかった。しかし最近は、まず名目成長率がなかなか的確に計算ができない。いまお話しのように、政府見積もりと民間の各機関の見積もりとの間には相当差異があるのが今日の現状でありまして、政府見積もりも率直に言って余り当たらないなという御指摘も私はあると思うのです。  そういうことのために税収が違ってきたわけでございまして、それに伴い、交付税も大きく違ってきた。また、地方税自体の収入も、法人の所得の見込み違い、したがって住民税の法人税割あるいは事業税で大きく減収が生まれたということでありまして、やはり一つは、景気の低迷ということがこうした一つ財政上の手違いといいますか、そういうことに相なった、こう思うのでございまして、そういう見通しの大変むずかしい経済情勢の中ながら、今後ともできるだけ的確な見通しの上に立って財政計画をつくっていかなければならない、こう思っているところでございます。
  136. 石原信雄

    石原政府委員 地方財政計画の策定方式に関連いたしまして、最近一部に、現在の単年度の収支見通しに修正を加えて、たとえば前年度以前の年度において地方税収入等に地方財政計画よりも上回る収入があった場合には、そういったものをカウントして収入に見込むべきではないかというような意味で、単年度主義を変更してはどうかという意見があります。  この問題につきましては、歳入の一部について前年度以前の要素をカウントするということになれば、また歳出の面でも当然繰り越しその他の問題も出てまいりますし、非常に計算とかいろいろな問題が起こってまいります。そうして、結果として地方財源の保障機能というものが損なわれるおそれも出てくる。あるいは地方団体の技術的な財政運営姿勢に悪影響が出てくる。努力して積立金をつくれば、それを地方財政計画上収入として差し引くというようなことになれば、地方が非常に努力して健全な財政運営を行うという意欲にも悪影響が出てくる。いろいろな問題が出てくると思います。そういった意味で、私どもといたしましては、いろいろ御意見はありますけれども、現在の地方財政計画の単年度の収支見通しを立てる、この単年度主義と申しましょうか、現在の基本的な仕組みというものは堅持していきたい、このように考えております。
  137. 小川省吾

    ○小川(省)委員 堅持をしていきたいということでございますが、自治省は、政府や大蔵の方針に従わなければならないということで、責任を逃れることはできないと思うのであります。地方財政の健全化のための指針となるべき地財計画が地方財政の混乱の指針となっているような深刻な事態を直視して、地方自治体が信頼するに足る地財計画を策定していくためにも、計画策定に自治体代表を参加をさせる仕組みをつくることが最低限必要なときになっているのではないかと思うわけでありますが、お考えをお聞きしたいと思います。
  138. 石原信雄

    石原政府委員 私ども、毎年度地方財政計画を策定するに当たりましては、歳入歳出の見通しを立てるに当たってあらゆる資料を収集するわけでありますが、その過程で、たとえば地方六団体の皆さん、あるいは個々の府県、市町村財政担当の皆さん、しょっちゅう接触がありますから、こういった人たちの意見をできるだけくみ上げるように努力をいたしております。  それからまた、最近のように来るべき年度の財政が非常に問題がある、むずかしい状態になりそうだというときには、最近ではいつも地方制度調査会におきまして、いわゆる当面答申をちょうだいしております。この場でいろいろな御意見をちょうだいしております。これを地財対策、地財計画の策定の上に反映させるようにしております。  それから、現在自治省設置されております地方財政審議会、ここでも委員さん五人のうち三人は地方六団体の推薦の委員でございまして、この地方財政審議会にも、正式に地財計画を策定する前に状況をいろいろ御報告し、また御意見をちょうだいしているところでございます。  そういった形で、現在の制度のもとでも、私どもといたしましては最大限に地方団体の御意見を反映させるように努力しているつもりでございます。
  139. 小川省吾

    ○小川(省)委員 御答弁のように、自治体関係者というか地方関係者の意見を十分に吸い上げるように、ぜひひとつ今後も取り組んでいただきたい、こういうことをお願いをいたしておきたいと思います。  さて、五十八年度の地財計画は、歳入歳出規模が前年度比〇・九%の伸び、一般財源は前年度比マイナス一・六多、これに対して公債費は前年度比一一・六%の伸びとなっておりまして、超緊縮型の計画となっておるわけでございます。これに対応して地方自治体の予算編成も縮小均衡型を余儀なくされているのではないかと考えられますが、都道府県や政令指定都市の予算編成の状況について、後で結構でありますから、簡単な調査でよろしいと思うのでありますが、一覧をいただきたいと思います。ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  五十八年度の地方自治体の予算編成についての、どのようになっているのか、傾向等についてお考えがあったらお示しをいただきたいと思います。
  140. 石原信雄

    石原政府委員 五十八年度の当初予算の編成状況につきまして、詳細についてはまた別途資料で御説明させていただきますが、概況を申し上げますと、今年度は統一地方選挙の年に当たります関係で、いわゆる骨格予算あるいは暫定予算を編成している団体がかなり多いわけであります。そこで、こういった団体を除きまして、いわゆる年間予算を編成した団体を調べてみますと、都道府県の場合には三十三団体が年間予算を編成しております。それから指定都市の場合には八団体が年間予算を編成しております。この年間予算を編成した団体の予算編成の状況というものが、言うなれば地方財政計画傾向とどういう関係になっているのかということが一つの目安になろうかと思います。  そこで、都道府県の三十三団体について申しますと、当初予算の前年度対比の増加率は二・二%であります。それから指定都市の場合には二・六%であります。いずれも前年度よりも伸び率がかなり低くなっております。なお、参考までに申しますと、地方財政計画の規模の伸び率は〇・九%の増でありますから、これよりも上回っているという感じでありますけれども、ただ、このうち都道府県について申しますと二・二%という数字でありますが、地方財政計画の規模は、実は老人医療費の国庫負担金につきまして五十八年度から会計経理の仕方を変更して、従来は一般会計でこれを経理しておったのですけれども、五十八年度から特別会計で経理するように改めまして、地方財政計画の規模からこれを外したわけであります。  そういった事情もあって、計画の規模が〇・九というふうに非常に低くなっておるのですが、仮にこの国庫負担金を従来どおり計上するという意味で実質的な伸び率の比較をしてみますと、地方財政計画の伸びは二・三%という率になります。したがって、都道府県について申しますと、地財計画の実質的な伸び率とほぼ同じような傾向で予算編成が行われているのではないか、このように見ております。
  141. 小川省吾

    ○小川(省)委員 統一自治体選挙の関係で骨格や概算のところが多いという話でありますが、恐らく一般の自治体の予算編成は、地財計画よりも低目に見積もっているのが多いのではないかと考えられます。五十七年度の事態を見て、地財計画に対する自治体の信頼性はかなり低まってきているのではないかと恐れるわけでございます。地財計画に対する信頼性を回復をするためにどのように考えておられますか、どのような今後の考え方を持っておりますか、伺いたいと思います。
  142. 石原信雄

    石原政府委員 私どもは、地方公共団体財政運営の指針として地方財政計画を策定し、これをお示ししているわけでありますから、その内容に大きな変更が生じた場合には、当然これに責任を持っていかなければならないと考えております。先ほどもお示しがありましたように、五十七年度の場合は、不幸にして、地方税収入あるいは地方交付税の交付金につきまして巨額の減収を生ずるに至ったわけであります。この点につきましては、地方税収入については基本的にはいわゆる減収補てん債で地方団体の御要請に原則としてすべて応ずるという形で対処いたしておりますし、また、地方交付税の減額につきましては、そのうち年度内に当面必要とされなくなる額、主として給与改定関係費でありますけれども、こういった年度内に当面必要がなくなった額を除いた分については、全額政府の責任で補てん措置を講じた次第であります。  今後におきましても、いやしくも政府としてお示しした地方財政計画の内容について大きな変化が起これば、それについては、それぞれ地方団体財政運営に支障を生じないよう、適切な措置を講じていく所存でございます。
  143. 小川省吾

    ○小川(省)委員 次に、いわゆる人件費補助金の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。これは自治省になるのか、農林水産省になるのか、よくわかりませんが、しかるべく答弁をしていただきたいと思います。  政府の臨調の第二次答申あるいは五十八年度予算編成に基づいて、いわゆる人件費補助金の一般財源化あるいは交付金化が図られたわけでございます。土壌保全対策補助金で二百七十人、農地調整費補助金の中の職員設置費で六百二十一人、農林水産試験研究費補助金で四十七人、漁業調整費補助金のうち職員設置費が二百二十三人など合わせて千六百六十一人分の一般財源化の措置が講ぜられました。また、農業改良普及事業負担金九千九百八十六人、生活改善普及事業負担金二千百七十三人、蚕業技術指導設置補助金九百二十六人、水産業改良普及事業補助金四百九十六人、林業普及指導補助金二千六百四十二人、中小企業指導事業補助金千百八十人などについては、交付金に組みかえる措置が講ぜられました。  そこで、いま述べた一般財源化を図った分については当然交付税上の措置がとられることとなったと思うのでありますが、いかなる交付税算定内容になっておるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  144. 石原信雄

    石原政府委員 ただいまお示しの土壌保全調査職員などのいわゆる一般財源化関係の職員千百四十二人でございますが、これにつきましては、五十八年度予算編成の過程で採用されております職員全体の合理化計画による減員分を除いた残りを、全員地方交付税の算定上地方の一般職員として必要な経費を積算いたしております。それから、農業改良普及職員などいわゆる交付金化職員につきましても、予算編成に当たってとられました一定の職員の合理化計画による減員を除いた後の数字を、地方交付税の算定上必要な地方の一般職員としてそれぞれ積算しております。  その交付金化関係の職員総数一万六千七百一人と計算しておりますが、これらにつきましては、従来はいわゆる職員設置補助金でありますから、歳出で必要な人件費を計上し、歳入においてその経費の三分の二等の、法令によって定められている補助負担率によって国庫負担金を計算して単位費用を積算しておったわけでありますが、五十八年度におきましては、職員の方では一般の職員として必要な人員を積算し、歳入では交付金の見込み額を特定財源として落とすというような方式で単位費用の積算を行っております。一般財源化職員、交付金化職員、いずれにいたしましても、予算編成の際の考え方に沿って必要な人員はすべて地方財政計画に積算し、単位費用に算入をいたしております。
  145. 小川省吾

    ○小川(省)委員 一般職員として措置をされたことであるということですから結構だと思うのですが、一般財源化されたそれぞれの五十八年度分の人員の数については、いかなる基準に基づいて出されたのかをはっきりしてもらいたいと思うのであります。同時に、交付金化された五十八年度の人員の数についても、いかなる基準によったものかを明らかにしていただきたいと思います。これはおそらく農林水産省でしょう。
  146. 石原信雄

    石原政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、五十七年度のそれぞれの補助職員等の予算上の定数がありますが、これにつきまして補助職員全体に適用されております一応の減員計画による減員予定額をまず差し引いて、残余の職員が五十八年度の必要人員、計画人員ということになるわけであります。それぞれの人員につきまして地方財政計画上、地方の一般職員の数の中にそれぞれこれを算入した次第であります。  なお、交付税におきましては、従来からこれらの職員については標準団体の標準経費の中で一応の前提で職員数を設置しておりますが、その職員数につきまして削減計画のあるものはその削減率を適用した後の姿で必要人員をそれぞれ積算しているところであります。そして、一般財源化職員については、特定財源が全くなくなったわけでありますから、普通の、従来からの一般職員と同じような計上の仕方をしておりますし、交付金化職員につきましては、人件費の計算は一般職員と同じように必要経費をそれぞれ積算しておるわけでありますが、特定財源として交付金を計上して控除している、従来国庫負担金として特定財源を見込んでおったところに交付金収入というものが見合う、こういう形でそれぞれ積算を行っております。  個々の職員ごとには、非常に詳細になりますので、もし必要があれば農水省の方から御説明があるかと思いますが、私の方からは省略させていただきます。
  147. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 先生指摘のとおり、農林水産省が所管しております地方公共団体に対します人件費補助につきましては、五十八年度予算編成に当たりまして、一部、先ほど先生から御指摘ございましたように、地方の一般財源に交付するもの、それから交付金制度に切りかえるものといったような形での改変が行われております。  今回の改正措置によって地方側の財源措置、定員管理をどのようにしていくかということにつきましては、基本的には各自治体の自主的な管理にゆだねられることになろうかと思いますが、私どもとしましては、これらの職員が従来担当しておりました各種の業務の実情に即しまして適切な対応が行われるであろうということを期待し、またそれを制度面で担保していくために、たとえば農業改良普及事業について申し上げますと、本日御議決いただきました農業改良助長法の一部改正によりまして、事業運営についての基本的な運営指針というものを国が立てまして、これに即して各都道府県が事業実施方針を毎年度私どもと相談をして、これにのっとって事業の運営をしていく、そういう仕組みをつくっております。そのような仕組みのもとで、定員管理につきましても、農業改良普及事業事業水準が低下を来さないように、適切な人員配置が行われるであろうということを期待をしておる次第でございます。
  148. 小川省吾

    ○小川(省)委員 定員管理については各自治体にゆだねるということでありますが、私どもはその辺を大変心配をいたしておるわけでございまして、農業改良助長法に基づく農業改良普及やあるいは生活改善普及事業が停滞をすることなく、あるいは地方の首長の恣意にゆだねられて切り捨てられることのないように、十二分にぜひひとつ監視監督の目を緩めずにやっていただきたい、このことを強く要請をいたしておきたいと思います。  この一般財源化、交付金化の措置は、とりあえず今年度限りの措置と理解をしてよろしいのか。もしそうでないとするならば、五十九年度以降どのような実施計画を持っておるのか、それとも今年度限りのものであるのか、その辺についてお尋ねをしたいと思います。
  149. 石原信雄

    石原政府委員 単位費用の積算上は毎年度必要な経費を算定するという前提に立っておりますので、五十九年度以降の扱いを単位費用上どうということを示し得ないのですけれども、考え方といたしましては、今回一般財源化された職員は五十九年度以降も一般財源職員として必要な措置を講じていくべきものと考えております。また、今回交付金化された職員につきましては、農業改良助長法の改正等関係法令の改正が行われておりまして、これらについては今後交付金制度で運用されるものと理解しております。そういう前提で私どもも対応していくべきものと考えております。
  150. 小川省吾

    ○小川(省)委員 ぜひひとつ、農業改良普及事業やあるいは蚕業指導事業等がおろそかにされることのないようにチェックをしていただきたい、このように要請いたしておきたいというふうに思っております。  最後に、一点だけ大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、昨日の閣議後に記者会見で選挙のことに言及をされたようでございますけれども地方自治体の職員は今度の統一地方選挙で大変疲れ切っておるわけでございますから、そういう意味で、同日選挙が行われるとさらに忙しい羽目に落ち込むのではないかというふうに考えておりますが、公職選挙法を扱う大臣として、参議院選挙あるいはまた巷間うわさをされておる同時選挙等についてどのようにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
  151. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 昨日の記者会見で申し上げたのは、参議院の通常選挙の日取りのことであります。これは御承知のように任期満了前三十日ということになっており、それから同時に、国会の参議院の終わる時期から三十一日から三十五日以内に決めるという規定がありまして、それを今日の状態にはめてみますと、会期の延長がなければ、そしてまた日曜日を投票日とするという前提を置けばああいった日取りになるという、法律の規定どおりのことを申し上げたということでございます。  それからまた、なおつけ加えて選挙制度の二、三の問題について申し上げたのでございますが、これらはいずれもいま公職選挙法の特別委員会の場で与野党間でもお話しをいただいておる、特に参議院の公選特でいろいろお話しをいただいておる問題でございまして、それらの問題はやはりそういう国会の与野党の皆様方の間でいろいろ御協議をいただくのが適当であるという前提を置いて申し上げたようなことでございます。  申し上げた内容は、さようなことであります。
  152. 小川省吾

    ○小川(省)委員 すると、新聞によって異なりますけれども、六月二十六日が参議院の予定投票日になるであろうとか、あるいは予想されるような同時選挙が行われるような示唆をしたなどということはないわけでございますか。
  153. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 さようなことは申し上げておりません。
  154. 小川省吾

    ○小川(省)委員 終わります。
  155. 田村良平

    田村委員長 細谷治嘉君。
  156. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治大臣にお尋ねいたします。  それぞれの考え方をそれぞれの省が主張するのは当然なことですけれども、たとえば総理大臣の諮問機関である地方制度調査会、自治大臣の諮問機関である地方財政審議会、大蔵大臣の諮問機関である財政制度審議会、その三つの答申が毎年毎年出るわけです。ずいぶん大きく食い違っておるのですが、これについて何か印象がございますか。
  157. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 政府関係のいろいろな審議会、それぞれ性格は違うと思うのです。いま挙げられましたけれども、地方財政審議会は自治省の附属機関になっておるということでありまして、諮問機関とは少し違う。地方制度調査会というのがまたございます。これらはそれぞれ地方自治という観点から御審議をいただいておるわけでございまして、それぞれの省の審議会なり調査会は、何がしかはそれぞれの立場というものでお考えになりますから、幾分かは違った立場が強調される面があり得るだろうと私は思います。しかし、全体として、政府としては、それを受けてどうやるかということについては整合性を持たしやっていかなければならぬと思うのであります。
  158. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そういうことだろうと思うのです。先ほどの地方財政審議会が自治大臣の諮問機関というのは訂正して、確かに附属機関でありました。地方制度調査会は内閣総理大臣の諮問機関、財政制度審議会は大蔵大臣の諮問機関これは間違いないことであります。その辺はちょっと訂正しておきたいと思います。  そこで、大蔵省の財政制度審議会が昨年の十二月二十四日に出されました「歳出の節減合理化の方策に関する報告」、これを見ると、学者の批判のようで、具体的に何を考えているかということがわからない。私ども読んでわからないような書き方をしております。そこで、その二、三について、大蔵省八木橋主計官いらっしゃいますか。——相手がおらぬのじゃどうにもならぬけれども、四十分から始まることはわかっておったはずだ。
  159. 田村良平

    田村委員長 ちょっとお待ちください。
  160. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それでは、その辺がつながらなくなると困るものですから、つながるようなところから……(「良心的だな」と呼ぶ者あり)良心的に、委員長協力する意味で。  財政制度審議会が今度の交付税法の改正に関連いたしまして、こういうふうに書いておるわけです。これは交通安全対策の交付金の問題であります。交通安全対策交付金がおおよそ五百億円程度、「このような状況の下、」と書いて、「また、本交付金は総額五百億円を超える規模となり、地方団体間の財源調整上無視できないものと考えられるため、地方交付税の算定基礎である地方団体基準財政収入に算入することが望ましく、上記の使途の拡大とあわせ、そのための方策について、会計処理の仕組みにも留意しつつ検討することが必要である。」と書いてあります。これを自治省はうのみにして——あえてうのみと言います。うのみにして今度の法律の中に織り込んできました。うのみという私の理解が誤っているか誤っていないか、お答えいただきたい。
  161. 津田正

    ○津田政府委員 御審議いただいております本法案の中に、交通安全対策特別交付金の扱いにつきまして、基準財政収入額に算入する等の措置をとっております。御指摘のとおり、このような提言は、大蔵省の財政制度審議会にも出されておるわけでございますが、うのみということではなく、私ども十分そしゃくしまして、従来からこれは当分の間という限定がかかってございますが、その使途におきまして、交通安全施設という目的の中におきましては事業個所とか事業内容というものは地方団体が自主的に決められるものでございますし、配分におきましても客観的な基準でやられるということでございまして、いわゆる普通の特定財源とは違うものというような考え方ができるわけでございまして、今回の改正におきまして基準財政収入額に算入し、交付税と合わせて円滑な交通安全施設の整備が図れるようにしたつもりでございます。決してうのみということじゃなくて、地方団体にとりましても地方財源としての性格がより明確にされた、このように理解しております。
  162. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま自治大臣に質問いたしましたら、いろいろな審議会等の報告なり答申についてはそれなりに検討した上で整合性を保ちつつ結論を出した、こういうことでありますから、うのみにはしていないと思うのですけれども、私はあえてうのみという言葉を言わざるを得ないと思います。そこで、どういうことなのかということについてお聞きします。  今度の法律の附則の十六条、交通安全対策特別交付金というところの文章を読みますと、法律内容を読みますと、「国は、当分の間、」これは交通安全対策の財源というのが、もうずいぶん前のことでありますけれども、「当分の間、」という字句がありますから、「当分の間、」となっている。それを受けて、「交通安全対策の一環として、道路交通安全施設の設置及び管理に要する費用で政令で定めるものに充てるため、都道府県及び市町村に対し、交通安全対策特別交付金を交付する。」こうあります。そうしてその十九条に、「第十六条第一項に規定する道路交通安全施設の設置及び管理に要する費用に充てなかつたときは、政令で定めるところにより、その充てなかつた部分に相当する金額の返還を命ずることができる。」使途の制限がありますね。これは交付税の基本原則からいってどうですか。
  163. 津田正

    ○津田政府委員 御指摘のように使途が限られております。ただ、その使い方につきましては、国庫補助金と違いまして、どの個所をやるあるいはどういうような内容の事業をするというのは、まさしく地方自治体の自主性に任せられておるわけでございまして、そういう意味におきまして譲与税と性格が非常に類似しておるものと。しかし、最初に御指摘のように、「当分の間、」という縛りがございまして、いままで交付税制度との連関性というものはできなかったわけでございますが、今回、関係各省との協議によりましてこのような案をつくったわけでございます。
  164. 細谷治嘉

    ○細谷委員 どこのところの、あそこのところの十字路の安全施設をつくれとかいうことは言っていないけれども、明確に「道路交通安全施設の設置及び管理に要する費用に充てなかつたときは、政令で定めるところにより、その充てなかつた部分に相当する金額の返還を命ずる。」少なくとも交通安全施設という大枠がはまっておることは間違いないでしょう。そうしますと、地方交付税法の第三条二項「国は、交付税の交付に当つては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」これは交付税法の大原則、基本の原則ですよ。第二項に違反するのじゃないですか。これでも違反しないというのですか。
  165. 津田正

    ○津田政府委員 先生指摘の交付税法三条二項は、もちろん先生御承知のとおり、地方交付税について基準財政需要額どおり使わなかったからといって返せ、あるいは使途を国の方で言うというのはいかぬということでございまして、今回の交付金とは別の問題でございます。交付税の方は、まさしく先生指摘のように、完全な自由財源でございます。交通安全施設の交付金は、安全施設という枠内で、しかし自主的に地方団体で決められる財源、このように理解しておる次第でございます。
  166. 細谷治嘉

    ○細谷委員 交付税の中の基準財政収入額に計入しておって、基準財政需要額には相当部分見ておって、なおかつ交付税でないとおっしゃるのですか。おかしいよ。
  167. 石原信雄

    石原政府委員 ただいま先生指摘の議論は、昭和三十五年度に道路譲与税を基準財政収入額に算入する際、大きく議論されたことでございます。それまでは、交付税の算定におきましては、基準財政収入額は地方税収入、それから当時は入場譲与税でしたか、いわゆる一般財源だけを基準財政収入額にカウントしておりまして、それとの兼ね合いで基準財政需要額を積算しておったわけでございますが、道路譲与税が金額も非常に大きくなり、各団体ごとの交付税の適切な配分をする上に無視し得ない状況になったということで、昭和三十五年度の改正で道路譲与税、これは御案内のように道路の目的財源であります、道路以外には使ってはならない収入でありますが、これを基準財政収入額に算入し、それに見合うだけ道路費の基準財政需要額を増額するという措置を講じたわけであります。その後、目的財源たる譲与税につきましてその影響するところが大きいものについては、基準財政収入額に算入する措置をとって今日に至っております。  今回、交通安全対策特別交付金について、これまでは交付税とは全く別の計算でこれを措置してまいったわけでありますけれども、ただいま審議官が御答弁申し上げましたように、実態的には配分方法も人口集中地区人口あるいは交通事故件数という指標によって総額を配分しておる、それから使途につきましては、道路交通安全施設の整備に要する経費に限るという意味では、道路譲与税などと全く同じように使途が限定されておりますけれども、具体的な使い道、具体的な個所、年度、その他については幅広い選択が許されている。そういった意味で、従来の各種譲与税と同じようにこれを基準財政収入額に取り込んでいくことの方が、交付税のより適切な配分、地方財政全体としての調整機能をより適切に果たし得るゆえんではないかということで、今回これを基準財政収入額に算入することにいたした次第であります。したがいまして、譲与税とはもちろん物は違いますけれども、内容的にはきわめて類似したこの交通安全対策特別交付金を基準財政収入額に取り込むことによって交付税の本来の性格がゆがめられる、変更されるということはないものと私どもは考えております。
  168. 細谷治嘉

    ○細谷委員 今度のこの交付金は一おっしゃるとおり譲与税の扱いに準ずるということなんですよ。けれども、違っているところがあるのです。扱いに準ずるで、十分の十ということを基準財政収入額に算入いたしますけれども、これは譲与税と同じですね、十分の十ですから。普通の交付税とは違いますよ。ところが、交付の時期は別ですよ。九月と三月にやるというのです。交付税は法律にぴしゃっと十六条で——去年の暮れ、問題がありましたね。応用問題という形で石原さん、十一月にやるべきものを十二月にやっちゃったけれども、これは応用問題というよりも、銭がなかったということで私は理解しているんですがね。  交付税というのは四月、六月、九月、十一月、交付金は九月、三月です。審議官、何を答えているんですか。それなら譲与税と同じように、交付の時期は交付税の中にくるんでいるんですよ。基準財政収入額と需要額に算入して、それで交付税が出たらやっているんでしょう。普通の交付税は年四回、そうしてこの交付金は年二回、そのほかに特交が二回ある。そうすると年じゅうくれるということになるじゃないですか。ありがたい話ですが、これは大変な問題ですよ。そんな言葉で、一年生に答える答弁じゃいかぬですよ、私は法律論をやっているんですから。運営の基本ですよ、はっきりしてください。
  169. 津田正

    ○津田政府委員 確かに先生がおっしゃるとおり、交付税の配分時期と交付金の配分時期が変わっております。何と申しましても、地方財源の中の大きな柱でございます地方交付税の交付時期につきましては、地方税収との兼ね合い等地方財政の運営がうまくいくように、御承知のとおり四、六、九、十一というような、それぞれ地方団体財政需要があり、また収入が若干苦しいときに入れるというようなことにしております。交通安全交付金の方につきましては、これは余り細部に分けますと事務的な点もございますし、ある程度まとまったものとして九月、三月ということにしておるわけでございます。この問題につきましては、そういうふうに基本的に基幹でございます交付税とは違った扱いをしておるような次第でございます。
  170. 細谷治嘉

    ○細谷委員 交付税と違った扱いをするとは、中身が違っているんですからあたりまえですよ。それをしゃにむに基準財政収入額に入れて、需要額に入れて、そうして交付の時期だけは九月と三月、交付税とは違う。交付税そのものだとおっしゃっておきながら、別の時期にやるというのはおかしいでしょう。中身が違うわけですからね。ですから、どう説明してもこれは法律上問題がある。  そこで、大蔵省の主計官来ておりますが、おれの書いたものじゃないから知らぬということではなくて、あなたがこの問題の書き方については十分、あるいは原稿でも鉛筆をなめたかもしらぬけれども、ちょっと聞きますが、本交付金は総額五百億円を超える規模となり、地方団体間の財源調整上無視できないと考えられている、基準財政収入額に算入しろ、交付税の中に織り込んでしまえ、こういうふうに書いた、あなたが交付税制度の本質から中身まで詳しく知っているのに、これを書いた意図というのはどういうところにあるのですか。
  171. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 お答えいたします。  まず、審議の時間におくれましたこと、大変失礼いたしました。深くおわび申し上げます。  さて、御質問に対するお答えでございますが、交通安全対策交付金というものは、先ほど津田審議官の方からもお答えいたしましたように、交通安全施設整備の財源としてはある程度の包括的な補助金的色彩を持っているわけでございますが、その使途については特定の個別性を与えたような縛りはつけておらないというようなこと、また、その性格から見て非常に譲与税に近いような財源としての色彩を持っている。したがって、こういった財源についてはある程度地方財政調整の付随的なものとして扱っていいのではないかというような視点から、基準財政収入に取り込み、また基準財政需要に取り込み、一種の地方交付税を補完するような性格を帯びさせた方がいいのではなかろうか、こういう観点からの取り上げ方であるというぐあいに理解しております。
  172. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私の質問には残念ながらお答えいただいてない、そう思います。道路譲与税等については交付税と違った配分をしているでしょう。そうだとするならば、私は当初から、この答申を見たときに、交通安全交付金を譲与税と同じような扱いでなくて交付税そのものに突っ込むことは問題があるぞ。一説には、うわさとしては、どうも交通安全交付金というのは当分の間地方の財源ということになっているのですが、大蔵の方で予算規模とかなんとかでどうも扱いに困って、そして入ったものはさっと特別交付金に直入して、交付税は固有財源だと言いながら特別会計に直入しないで一般会計を通しますが、これをさっと直入して、そして自分の方のつじつまを合わせるに有利に使ったためにこれができただろうという説が、うわさがあるのですよ。そういうことで、私は、最初からこれは別扱いしたらどうですかということを私見として申し上げたことがあるのですよ。これはかなり問題がある。  しかも、今後問題点として、基準財政収入額は入りました。恐らくその分だけは基準財政需要額に計入いたしました。従来のものは需要額の方に計入してあります。したがって、入る方と出る方はプラス・マイナス・ゼロですから、地方にとっては損得はありません、こうおっしゃるでしょう。おっしゃるけれども、きのうも問題になった交付税の固有の性格というものをゆがめることは間違いないわけですよ。補助金的なものを加える。ゆがめることは間違いない。これがやがて交付税という、固有財源という性格を侵すことは間違いない。  しかも、これは投資的経費でしょう。投資的経費ならば、間違いなく道路の面積ではなくて、延長で来るわけですよ。延長で来るとなれば、たとえば府県では大阪なんというのは一番小さい。一番小さいですから、恐らく道路の延長は小さいですよ。委員長のおる高知なんというのは、これは長いですから余計来るということになるんでしょう。委員長、大変恐縮ですが、そうなるでしょう。そんなようなことがあるわけですから、普通交付税と同じような中にぶち込んじゃって、そして計算して、はいできました。こちらの方は分けて九月と三月ですよ。こういうやり方は、これはもう絶対承服できない、こう私は思います。大臣、どうですか。
  173. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 これは反則金という特殊の収入、そしてまた、それは交通安全施設に使ってきたという歴史があるわけですが、だんだん金額も五百億という大きい金額になってきて、やはり地方の財源として基準財政収入額に算定をするというのも、確かに地方財政全般から見たら、どちらかと言えば穏当なやり方ではないか、こういう考え方で発足したものであると思います。したがって、いろいろいま交付税上の取り扱いについてお尋ねがございましたが、やり方の問題はいろいろあるといたしましても、そういう実態については、私は、地方公共団体に不利益を与えたり、何らかの支障を与えたりということはないのではなかろうか、こう思っておるわけであります。
  174. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは将来、交付税総額を押さえつけていくかっこうな一つの根拠になるのではないかという心配を私はしておりますけれども、一番基本的な問題は、交付税法三条に基づいておる基本的なものを薄める、あるいは失わせる、こういうところに関心がありますから、絶対にこの点は承服できない。切り離してやるべきですよ。これを主張しておきます。  その次に、主計官が来ましたから、時間が十分ありませんので、ひとつ要領よく答えていただきたいのです。  財政制度審議会答申の二十四ページにこう書いてあります。「現在の地方財政計画は単年度収支を表わすものとして、年度途中で地方税の自然増収等が出ても、それを翌年度で調整することはしていない。」そのとおりですね。「これに対し、地方交付税の算定においては、各地方団体の法人関係税の増減収を翌年度以降の基準財政収入で調整するか、または、地方税の減収補てんのための地方債に係る元利償還費を基準財政需要に算入することとしているため、両者のバランスがとれていない。この点については、地方交付税と地方財政計画との整合性を図る意味からも速やかに改善を図る必要があろう。」「ある」と言っていない。「あろう」と言っているのですよ。どこをどう改善するか、具体的にお示しいただきたい。
  175. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 お答え申し上げます。  どこをどういうふうに改善するのかという非常に直截的な御質問でございますが、ここのパラグラフの意味するところは、地方財政計画の持っているものの重要な役割りが、地方団体の標準的な行政水準を確保できるように、マクロの財源の過不足状況を見込んで、そしてマクロの地方財源を保障するといったようなことから、地方財政計画の策定を通じましてマクロの財源措置を講じ、その結果としてのその地方交付税総額が、各地方団体基準財政需要、それから基準財政収入の算定を通じて配分される、こういう機能を持っているわけでございますので、地方交付税の方におきまして、たとえば前年度の法人税につきましてその精算措置が行われるということになりますと、その分だけ基準財政収入がふえる。したがって、地方財政計画で見込んだよりは需要を大きく見込むか、何らかの調整がそこで行われるわけでございます。  そういった仕組みというものが地方財政計画の上に反映できないかどうかということを検討する必要があろうということでありまして、ただ、これにはいろいろな技術的な問題その他地方制度調査会の方で指摘している問題もいろいろございますので、そういった観点もあわせ考える必要があるところがら、断定的な言い方はしておりませんで、「必要があろう」というようなものになっているというぐあいに理解しております。
  176. 細谷治嘉

    ○細谷委員 不思議な話で、地方交付税と地方財政計画というのは一つの法律から出ているのですよ。地方財政計画ということじゃありませんけれども、交付税法七条に基づいて出ているのです。その一つの法律から出ている地方交付税というのは結果として出ている。地方財政計画というのは、交付税を配るための歳入歳出の見積もりですよ。その整合性がないということを大蔵省から言われる、あるいは財政制度審議会から言われるとなりますと、これは交付税法の運用が悪い、アンバランスになっているということの証拠じゃないですか。そうなんですか。  これは大変な言葉だと私は思うのですよ。自治省に対して、交付税法七条に基づくところの地方財政計画の作成と交付税の計算とがバランスがとれてない、早く整合性をとりなさいというのですから、これは不信感があるということですよ。そう思いませんか。八木橋さん、そういう意図でしょう。少なくとも完璧じゃないということをあなたは言いたいのでしょう。そうでしょう。
  177. 石原信雄

    石原政府委員 ここのくだりは、財政制度審議会の答申としていまのような文章が出てきたわけですが、これについては、実は前から地方財政計画の策定の仕方について、特に地方財政計画で見込んだ地方税収入と現実の地方税収入との乖離、決算上乖離が生じてまいりますが、その乖離の扱いをどうするかということとの関連で論議があった問題であります。  まず、財政制度審議会がここで問題にしているのは、地方財政計画で見込んだよりも決算上地方税収入が多くなった場合、これは年度によっては数千億円上回ったことがありますが、そうした場合にその増収分をカウントすべきではないか。現在は全く単年度主義ですから、後年度においてこれを考慮することをしないわけですけれども、そういう問題意識が背後にあるのではないかと私どもは想像しているわけです。  と申しますのは、地方交付税の計算上は、各基準財政収入額はそれぞれ一定の指標で、極力客観的な指標をもって収入の推定を行うのでありますけれども、法人関係税については、言えば年度間のばらつきが大きいということで、現在はいわゆる精算方式をとっております。交付税制度発足以来、本則ではあるべき収入を見込むということから、これは本則には書いてないのでありまして、その金額が非常に大きいということで附則に書いておるわけです。附則では、第一義的には特別交付税で必要な調整をする、そして特別交付税でも調整し切れぬ場合には普通交付税で調整するという書き方をずっとしておるわけですけれども、この交付税の配分に当たりましては既往年度の法人関係税の増減収を精算する、ところが、もとになる地方財政計画では単年度主義で精算していない、その間に食い違いがあるじゃないか、こういう御指摘であります。  確かに、その部分についてはその指摘が全く当たってないということではない、一つの問題ではあろうと思うのです。ただ、その点について交付税で過去の分まで精算しておりますのは、個々の団体ごとの交付税の適正な配分、公平な配分を行おうとする場合に、法人関係税の増減収のように非常に大きな開きのあるものを無視するということは不公平になる、公平な交付税の配分からいって適当でないということで、精算方式をずっととっているわけでございます。  しからば、地方財政計画のマクロの段階でなぜ精算方式をとらないのかということでありますけれども、地方税収入が計画で見込んだよりもオーバーしたようなときには、税収入のオーバー分は非常に正確に捕捉できるわけですけれども、そういったときには、多くの場合、物価が上昇するとかあるいは行政需要がふえるとか、歳出の方もふえているケースが多いのであります。ところが、歳出の増加額を既往にさかのぼって把握するということは非常にむずかしいわけです。税収の増加分だけをカウントすれば、それに対応してふえているであろう財政需要の方を見なければ、結果として地方財源保障機能というのは低下してしまう、そういう問題がありまして、収入については既往分は差し引かないという取り扱いをいままでしてきたわけです。  それでは、減った場合はどうなんだというと、五十七年度の場合がその典型でございますが、五十年度あるいは五十七年度の場合のように、地財計画で見込んだよりも地方税収入が大幅に落ち込んだ場合には、その影響が非常に大きいということで、これには地方税の減収補てん債を発行しております。そうして、減収補てん債の元利償還金については、地方財政計画上公債償還費に見込み、かつ基準財政需要額にこれを算定するという形で補てんしております。  そこで、一部の意見は、ふえた場合はネグってしまって、へこんだ場合は完全に補てんするというのは、地方財源が総量として行き過ぎになるのじゃないか、こういう指摘があるわけです。この点については、私どもは、先ほど言いましたように、ふえた場合には、それに見合って歳出の方もふえているであろうと考えられるわけです。ただ、うまく捕捉できない、立証できないだけでありまして、そういったものの要素を抜きにして収入の分だけをカウントするというのは、結果として地方財源の保障機能が低下してしまう。減った場合はどうなんだ。これは減った場合は、明らかに税収が減ったからといって歳出の減というのはないわけでありますから、やはりこれは適切に補てんするべきじゃないか、こういうのが私どもの考え方でございます。  したがいまして、マクロとしての地方財源のトータルを確保するための地方財政計画のメカニズムと、個々の団体ごとの交付税の配分をより適切にするというミクロの扱いとの間に若干の食い違いがありますけれども、これは長い目で見れば交付税制度の公平な配分という意味で許容されるのではないか。したがって、財政制度審議会でその間の乖離、地方財政計画上の扱いと基準財政収入額の扱いの違いを非常に神経質に問題にしておられますけれども、私は、地方財政計画の持つ地方財源保障機能というものを重点に考えるならば、それをそう問題にする必要はないのじゃないか、このように理解をしております。
  178. 細谷治嘉

    ○細谷委員 八木橋さん、この文章をそのまま読みますと、地方交付税と地方財政計画の整合性というのは現在はない、その大きさは別として、ないと断じているわけです。断じていないが、「あろう」と書いてありますから、言っているわけですね。  それで、私が具体的にお尋ねしたいのは、税の自然増収についていままでの例からいきますと、確かにおっしゃるように、地方財政計画で見込んでおる税収から見ますと、五十五年度が計画より二・八%、五十四年度が五・八%、五十三年度が三・一%、五十二年度が二・五%、こういう形で、税務局長いらっしゃいますけれども、大体地方財政計画で見込んだ税収の、四十年代には一〇%以上伸びておったのですが、最近は大体二%から三、四%くらいの伸びですよ。その伸びがけしからぬということで、その辺が精算されてないから整合性がない、こういう意味ですか。もっとほかに何かねらいがありますか、はっきりひとつお答えいただきたい。
  179. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 ここで大きく取り扱っておりますのは、いまおっしゃったような意味での自然増収を中心にして考えております。ただ、実態をもう少し広げて考えた場合には、たとえば地方財政計画上見込んだ追加財政需要なり何なりが予定より大幅に少なかったというような場合どうするかということも、一つの検討事項ではないかというぐあいに考えます。
  180. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、ふえた場合には精算しなさい、足らぬ場合にはおたくの方で全額精算してくれますね。そうでしょう、理論的にはそうですよ。
  181. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 収入が不足した場合においては減収補てん債を発行し、その減収補てん債の公債の元利償還費を基準財政需要に算入するということで、減少した場合は現在措置を講じているところでございます。
  182. 細谷治嘉

    ○細谷委員 基準財政需要額でやりましても、減収が計画を補てんするのは六割ですよ。一〇〇%補てんしてないのですよ。自然増収があったのについては完全に精算をさせる、減収があった場合には地方債を発行させている、おたくの八条の三のことも言っているでしょうが。そして、減収補てん債なり財源対策をやりますと、それを交付税でカウントは六制でしょう。全部じゃないでしょう。おたくの方がふえた場合には一〇〇%カウントする。減った場合には一〇〇%カウントすると約束するのならば、ただそういう計画が、一足す一は二であるというような数学的正確さを需要の場合にも把握できるならば、それを認めますよ。しかし、論理的には、原則的なことは私の言うとおりじゃないのですか、どうですか。
  183. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 収入の方を一〇〇%算入するというようなところまでは、この報告では申しておらないわけでございまして、たとえば公債費の基準財政需要の算入率が何割かというようなこととの関連においてそういうことは検討さるべきものであるというぐあいに理解しております。
  184. 細谷治嘉

    ○細谷委員 余り議論しないけれども、言ってほしいことは、この文章そのまま——私は国文学の専攻じゃありませんけれども、常識的に読んでいきますと、地方財政計画というのは交付税法七条に基づいて国会に提出されるものである、それに基づいて計算された交付税との間に一つのものに整合性がないということになると、これはどういうことか。これはシャムの双子みたいなものです。そういう書き方は問題がありますよ。しかも冒頭、自然増収が出ても翌年度で調整してない、こう書いておって、しりの方で「地方交付税と地方財政計画との整合性を図る意味からも速やかに改善を図る必要があろう。」と、政府じゃありません、財政制度審議会が書いているけれども、少なくとも財政の担当である主計官としては、こういう表現については、最後が「あろう」ということで断定してないけれども、やはり自治省のやっていることについてはきわめて不信感がある。本来一体であるものについて整合性がないなんということを言っちゃうと問題がありますから、今後この種の文章については気をつけていただきたい。読んでも真意がすぐわかるように書くように、指導と言うと、あなたより年の上の人を指導するわけにはいかぬですが、文章については気をつけて書くべきである、そう私は思いますが、返事をしますか。
  185. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 財政制度審議会の事務局は大蔵省主計局でございますので、事務局といたしましては委員会の意向が的確に反映されるように、文章上、また事務的取りまとめについては大いに努力してまいりたいと思います。  なお、交付税、また地方財政対策そのものにつきましては、自治省とも十分話し合い、協議した上で今後とも詰めていくということでございます。
  186. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題について、八木橋さんの真意がわかりました。  ここも問題なんですよ。同じページに、「また、地方単独事業等の項目に見られる乖離については、地方の財政運営が国民経済と整合性のとれたものであるかどうかを議論する場合にも問題を生ずる。」言ってみますと、単独事業等については決算と計画との間に乖離があるから、国民経済的に見ると整合性に議論がある。「地方団体においては、国民社会経済が期待する地方財政の運営に努力する必要があるとともに、国においても、地方団体財政運営の実態把握に努めること等により、地方財政計画の策定方式について引き続き改善を図る必要がある。」  私の承知する範囲では、毎年毎年実態に即応するように地方財政計画の策定は改善してきております。かなりの改善をしております。引き続き改善する、まだまだ未完成だ、こういうふうに地方財政計画の策定方式については大蔵省は見ているのですか。特に、ことしは伸び率はゼロですが、いままで八%ぐらいずつ伸びて来た地方単独事業について、国民社会経済的に整合性をとれということになりますと、問題があると大蔵省は受け取っておるようでありますが、いかがですか。
  187. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 先生御承知のように、地方単独事業、特に投資的経費についての乖離率がかなりのものになっているということでございまして、これは地方財政計画上予定しただけの投資的地方単独事業が行われておらないということを意味しているところでございまして、経済運営なり何なりを考える際に、その地方財政計画に盛り込まれただけの規模の投資が行われるというふうに即断するとその辺も誤ってしまうということは、現在でもまだ残っておるのではないかというぐあいに考えております。
  188. 細谷治嘉

    ○細谷委員 石原局長にお尋ねします。  地方団体というのは、私も若干それはやったことはありますけれども、国の補助金のつく公共事業等については、ほかのものを削ってもやらぬと、後がこわいわけですよ。公共事業をやるときに、おまえのところはやらなくて返上したから、もうこの次はやらぬぞということで、財政上やれない場合でも必ずやらぬと、江戸のかたきを長崎という、そういう空気があります。そういうことでございますから、これはよくあらわれているんですよ。  決算と計画を見てみますと、普通建設の単独を見ますと、ここ最近財政事情が悪いものですから、五十一年以降すべて計画より二〇%ぐらいダウンしているんですよ。ところが、補助金のつく普通建設はすべて一割前後オーバーしているんですよ。これはいま私が言ったように、中央からの補助金をもらってやらないと大変な目に遭うという、地方団体に中央集権的な圧力がかかってくるものですからそうなっているわけですが、この決算と計画の乖離にもそういう面があることを認めるのか、あるいは、いやもう新聞に端的に言うように、普通建設の単独はやめて人件費に回すんだ、回したのだ、こういうふうにお考えになっておりますか、いかがですか。
  189. 石原信雄

    石原政府委員 地方財政計画と決算との対比で、投資的経費につきましては、先生指摘のように、いわゆる補助事業関係では地方財政計画よりも決算がかなり上回っております。一方、単独事業では逆に計画よりも決算が大幅に下回っている。この現象につきまして、確かに一部には、単独事業を予定どおりしないで、結果的にそれが人件費に回っているんじゃないかというような指摘があるわけでありますが、私は、この乖離の中には、一部決算統計の調製過程における技術的な事情もあるんじゃないかと思います。  特に、投資的経費のうちの補助事業につきましては、自主的に、いわゆる継ぎ足し単独というのでしょうか、補助基準よりもその団体の政策としてもうちょっと高いレベルの仕事をそれに関連して一緒にする、あるいは関連事業を一緒に行う、いわゆる関連単独というのでしょうか、こういったものを決算統計の際に補助事業の方に上げてしまっているという面がある。あるいはまた、いわゆる超過負担と言われる国の補助基準実情に合わないことによる地方の持ち出し分、こういったものもこの中にまじっている。  いずれにしても、補助金そのものは地方財政計画と実態とそう違いがないはずでありますが、この事業費ベースで計画とこんなに、五十五年度の場合ですと六千八百億も乖離がありますが、これにつきましては、やはりいま申し上げましたような幾つかの要因があるのだろうと思います。その分だけ、言うなれば単独事業が地方財政計画で予定したよりも少なくなっている、そちらにシフトしている、こういう面があると思います。  それから、大変残念なことでありますけれども財政事情が厳しいものですから、地方団体の中には、やはり同じような事業であれば、補助金のつく方を優先するという、いわゆる補助金増しというのでしょうか、そういう傾向があることは否定できません。ですから私は、この単独事業につきまして、計画と決算との間に存在する乖離というものが全部、一部の人たちが非難するように、地方がこれを別のより効率的でない経費に充てているというふうに理解すべきものではない。統計技術上の食い違いもかなりあるし、また一部には、団体によって、年度によって、首長の選挙の時期の関係その他で、あるいは非常に大きな事業計画との関連で、年度によって計画数字よりも単独事業が手控えられるというようなケースもありますので、この数字をそのまま地方が期待どおり動いていないというふうに評価すべきものではない、このように見ております。
  190. 細谷治嘉

    ○細谷委員 確かに単独というのを公共に上乗せして、言ってみますと、これは裏の方では超過負担という問題も出てくる。それはやはり単独にカウントされる、こういうふうなことでありますけれども、ずうっと地方財政計画と決算の乖離を眺めてみますと、財政が苦しくなればなるほど必ず計画を下回ってくるのは維持補修費、これは投資的経費じゃありません。維持補修費、それから普通建設の単独ですよ。例を挙げますと、修繕なんというのは、ことしきついから来年にしようかということで先に延ばす。維持補修費というのは、五十年はマイナスの二二・三%、それから五十一年が一八・六%、最近少しよくなりまして、五十五年は計画とほぼ同じ二・一%のアップ、その前の五十四年度は六・八%のマイナス、こういうことになっておるのです、金額は小さいですけれども。  言ってみますと、がまんできるものは後送りということにしているんですよ。がまんできないもの、あるいは報復されるかもしらぬ心配のあるもの、そういうものについては歯を食いしばってやっている。それがその傾向じゃないかと思いますよ。あなたがおっしゃったような原因もあるでしょうけれども、その傾向はお認めになりますか。認めると、また財政運営であなたの方はちょっと厳しくしにくくなる点があるかもしらぬけれども、客観点なものとしては、あるのならあると認めることはいいんですよ、それは財政が苦しいからですから。いかがですか。
  191. 石原信雄

    石原政府委員 確かに全体として地方財政上は厳しくなって、地方財政計画においても歳出の全体の伸びを抑制ぎみに策定するような、そういった場合には、どうしても維持修繕費とかあるいは地方の単独事業費というものが地方財政計画で期待したよりも下回る傾向がある。それから、全体の歳出規模が伸ばされるときにはこういったものも伸びてくるという現実の動きがあることは、これは事実だと思います。
  192. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、財政制度審議会からやり玉に上がりました計画と決算の乖離ということになって、八木橋さん御存じと思うのですが、地方財政計画より歳出総額というのはいつでも上回っているんですよ。引っ込んでいるのは単独事業の普通建設と維持補修費、たとえば五十五年度を例にとりますと、五・八%歳出総額が伸びているにかかわらず、普通建設の単独事業は二八・二%も落ち込んでいる、減っている、こういう傾向は御存じだろうと思います。  質問は、この決算と計画との乖離の中で地方財政から見て大問題の一つは、公営企業繰出金ではないかと思うのです。公営企業繰出金を見てみますと、五十年度は七四・一%、五十五年度は四三・〇%、五十年代になってからわりあいに改善されているのです。ここに資料を持ってきておりませんけれども、間違いなく四十年代は一〇〇%を超しておった。言ってみますと、計画にカウントしてある金額よりも倍以上、二二〇%とか二三〇%。ですから、一〇〇%以上の乖離があった。だんだん改善されて、公営企業繰出金が、いま言ったように、大体において五十六年度は私の数字では六五・九%計画を上回っております。五十五年度は四三・〇でありますから、この五十六年度の六五・九%の計画を上回った乖離が大きくなっているという数字は、私の間違いではないでしょうか、いかがですか。
  193. 土田栄作

    ○土田政府委員 お答え申し上げます。  実は、普通会計の方で計算いたします場合と、それから企業の会計の方で入れます場合と、一般会計から企業会計へ資金不足のために長期貸付金をする数字がございまして、それが昭和五十六年度で申しますと八百九十五億円ございます。ですから、先生の方の数字から八百九十五億円を引きました数字が大体一般会計からの繰り出しということでございまして、それが三千八百幾ばくという数字になるわけでございます。
  194. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そういう数字で分けても、やはり四〇%以上の乖離がありますね。それだけ言ってもらえればいいわけです。私は、乖離が激しいという大蔵省、財政制度審議会が言っていることについて、現にそうなっているじゃないかということを確認したいものですから質問しているわけですから。
  195. 石原信雄

    石原政府委員 ただいま土田審議官お答えしたような前提で計算いたしますと、五十六年度の乖離は四二・四%となろうと思います。
  196. 細谷治嘉

    ○細谷委員 四二・四%の乖離がある。大蔵省、これはずいぶん大変な問題にしなければいかぬ。何だってそうなったでしょうか。八木橋さん、お答えできますか。大蔵省は乖離がひどいとやり玉に上げているのだから。そうでしょう。
  197. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 乖離の原因はいろいろあろうかと思いますが、地方財政計画に計上する際には、公営企業と普通会計との負担区分に基づきまして、その負担区分に応じたものだけを計上するということをやっておりますが、現実の経常の実態というものは理論どおりにいかないということもございますので、そういった面が乖離の主な原因になっているというぐあいに理解しております。
  198. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いろいろ乖離の原因があるでしょう。五十六年度のいまの調査によりますと、地財計画数字と決算額との数字の間には四千八百七億円の莫大な乖離がある。これは間違いありませんか。
  199. 土田栄作

    ○土田政府委員 一般会計からの長期貸付金の八百九十五億円も含めますと、ただいま申し上げた数字でございますが、ただ若干端数の関係がございまして、十億ほど動くと思いますけれども、正確に申しますと、このベースで計算いたしました数字は四千七百九十五億円になろうかと存じます。
  200. 細谷治嘉

    ○細谷委員 数字は正確でなければいかぬけれども、私はここでは国会の質問ですから、十億円のあれと言っても、乖離は大体当たらずといえども遠からずということですね。この四千八百億円ばかりの乖離を見てみますと、何が一体そうさせたかのかと言いますと、石原局長が「地方財政」という雑誌の巻頭言で、これからの地方財政の大きな重荷というものは下水道だろうと書いております。そのとおり四千八百億の乖離の大きな原因というものは、半分は下水道ですよ。これはそのとおりですか。
  201. 土田栄作

    ○土田政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  202. 細谷治嘉

    ○細谷委員 どうしてこんなに乖離が起こるのですか。いま八木橋主計官は必要なものについては認めている、こう言っているのです。
  203. 土田栄作

    ○土田政府委員 御案内のように、下水道事業につきましては雨水分と汚水分がございまして、雨水分については公費で負担する、それから汚水分につきましては使用料で回収するというたてまえになっております。その場合に、実際の問題といたしまして汚水の処理原価というものはかなり高くかかるわけでございますけれども現実市町村の使用料の設定水準というのは、急激に料金体系を上げるわけにはまいらないというところもございますので、かなり低い水準に抑えているところもございます。そうすると、処理原価と使用料コストとの差の分というのは、金の出どころがありませんので、一般会計から繰り入れるということになっております。そのための差額の分というのが乖離の主な原因であろうというふうに存じております。
  204. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この繰り入れについての積算基礎、雨水、雨が降った水は公費、汚水、汚れた水は私費、この原則を金科玉条とすることは正しいでしょうか。私は、雨水は天から降ってくるのだから、これは一〇〇%公共団体が見てやらなければならぬけれども、汚水というのは環境問題ですよ。それを金部それは私費でやれ、使用料で取れ、こういうのは問題があるかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  205. 土田栄作

    ○土田政府委員 この原則の立て方につきましてはいろいろの御議論がございまして、いろいろの御議論の結果、現在大体の考え方がそういうふうになっているのだというふうに承知いたしております。また、現に非常に都市的な、人口の集積いたしました地域におきましては、下水道の普及率もかなり高うございますし、それから処理原価というものもかなり安くできるわけでございますから、この原則で十分適用できるというふうに考えておりますけれども、ただ、下水道の普及率というのが非常に高くなってまいりますと、かなり人口の少ないところへも普及させなければいかぬということになりますと、当然処理原価というものは高くなってまいります。  それから、もう一つの問題として、下水道の処理方式といいますのは、昔は雨水と汚水の合流式でございましたけれども、これを分流式ということで、汚水処理だけ専門にやる、それから、雨水は雨水だけで処理するという処理方式もございまして、こういうふうな技術が入ってまいりますと、そういうことは時代の流れによりまして考え方を変えるように検討してまいらなければならない面もあると思います。それらの問題につきましては、今後下水道の財政研究会というようなものができますれば、有識者を集めて始めまして、そこの場でいろいろ今後検討してまいりたい、こういうふうに存じております。
  206. 細谷治嘉

    ○細谷委員 八木橋さん、現実に即応して、たとえば汚水等についての使用料の徴収実績こういうものを見ていると大体六〇%ぐらいのようですね。ですから、一般会計からの繰り入れということは何も固定するわけじゃない、日々これは進歩していかなければいかぬけれども、事柄は前進的でなくてはいかぬと思います。現実には六〇%ぐらい、それを私費だという形でオール使用料で取ってしまえという御主張ですか。現実に即応して積算基礎を手直しをしたいとお考えですか、いかがですか。
  207. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 先生の御主張もわかる点があるわけではございますが、一般会計、すなわち一般としての税金でどれだけ賄っていくか、また受益者負担、原因者負担という考え方でどのくらい賄っていくべきかということに関しまして、いままで到達してきた議論が現在の計上方法でございますし、その実態が変わってくるということであるならば、税金負担をどうするのか、また原因者負担なり受益者負担というものを今後どう考えていくのか、特に下水道についてどう考えていくのか、その辺の研究なり究明を十分やりませんと、ただ一般会計が現に負担しているからその計上率を高めていくというわけには、なかなか直ちにはまいらないというぐあいに考えております。
  208. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私も、受益者負担という名における建設費の一部負担あるいは運営についての使用料を取るということを否定しているわけじゃありません。しかし、現実問題としてだんだん上がってきて現在は六〇%ぐらいということであるならば、それを直ちに一〇〇%ということで積算をする、少し多過ぎるぞと。確かに公営企業に繰り出すのは五十六年度で一兆三千五百億円ぐらいになっておるわけです。言ってみますと、莫大な金ですね。税金について、地方の税金というのが二十兆円あるとすると、大体一〇%は繰り入れしなければいかぬ。しかし、公営企業というのは地方の必要なものであって、利益をねらっておるわけじゃありません。そうなりますと、これは一例ですが、この次どうのこうのということじゃないけれども、必要なものとするならば、繰入金が多過ぎるぞ、甘やかしておるのじゃないかということじゃなくて、現実をつかまえて、ちょうど財政制度審議会がシビアな態度を要求しているように、やはりシビアに現実を見つめていただくことが必要ではないか、こう思います。いかがですか。
  209. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 先生の御議論もわからないわけではございませんし、また、それぞれの地方公共団体理事者の方で、ほかの一般施策を削って公営企業の方に税金を回すというようなことをやるのであるならば、それも一つの考え方ではないかと思うわけでございますけれども、国が国の立場で行います財源措置として、徴収実績に合わせてそこのところを下げていくのはどうかについて、直ちにそれはどうかというぐあいに考えるところでございます。
  210. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これはあなたとけんかするつもりはないから、ひとつ実態を把握して改めるべきものは改めた方がいいじゃないかということで、一例として私は申し上げている。  そこで、建設省いらっしゃっていますか、二つばかり申し上げたいのです。  私どもは、いつも予算編成のころになりますと、下水道の絶対必要な大都市の補助対象が低くて、一般都市は七五なのに、どうして大都市は四五なんだ、何だって差別するんだい、財政が豊かだと言うのだけれども、残念ながら、大都市はみんな交付団体ですよ。これは差別すべきじゃない。ですから、大都市も中都市も、それから下水をやるところも、補助対象は同じ率にすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  211. 中本至

    ○中本説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、公共下水道の補助対象につきましては、従来から指定都市が四五%、一般都市が七五%でございまして、差異が確実にあります。これは財政負担能力に差がある、先生はもうないとおっしゃっておりますけれども、私どもかねてよりあるという見解を持っております。それからまた、普及率に大きな差があるために、全国的に整備を促進する観点から、一般都市の補助対象の方をより高いものとしてきたところでございます。  ただ、過去の経緯といたしましては、第一次下水道整備五カ年計画から第四次五カ年計画までは、両者の補助対象率の是正に、若干ではございますけれども、引き上げたところもございます。ただ、昭和五十六年度を初年度とした第五次下水道整備五カ年計画においては、事業費確保のためにこれは優先的に考えておりますので、補助対象率を据え置くことといたしました。これらにつきましては、今後国の財政事情の推移を見ましてから検討したい、このように考えております。
  212. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これはやはり普及率があるとか言いますが、たとえば水道については厚生省が、ずっと前から水道やっているところは、私どもの例をとりますと、福岡県の中心である福岡市はよそから、奥の方から水源をとってきて、福岡市の水道料金幾らかというと四百円ぐらい、そして水源地である甘木市は千二百円ぐらい払っているわけです。これは問題だというわけで高料金対策を講じられているわけです。そういう事情からいっても、大都市は先行投資が進んでいるから四五でがまんしろ、片や七五だ。これは大都市が文句言うのはあたりまえ。ぜひひとつ早急に検討していただきたい。これは直接には八木橋さんの守備範囲を出るかもしれませんけれども、密接な関係のあるところですから、地方を差別待遇しないようにお願いします。  もう一つ、私が気になってしょうがない問題ですけれども、特別分の地方債があるのですよ。本当は補助金でいくべきものを、金がないからというわけで、その分は国費で五年で分割して払うからまず借金で事業をやっておいてくれ、こういうことで出ておるのですけれども、私は、いまや残念ながら下水道のアヘンだと思うのです。アヘンが悪いならば、ちょっと軽い、どこかの半島から来るようなものかもしれませんけれども、大変なことだと思うのですよ。これを直したらいかがかと思うのですが、どうですか。
  213. 中本至

    ○中本説明員 お答え申し上げます。  御承知のように、特別地方債は、昭和五十年度から公共下水道だけに限って適用したものでございます。当時は下水道事業推進に非常に大きな役割りを果たしてきたのでございますけれども、あくまでこの制度は緊急措置として考えておったわけでございます。その後のいろいろな財政等の問題から、五十七年度までずっと続いております。さらに今後も続けないと、事業費確保にはとても対応できない。しかしながら、昭和五十七年度からはその発行額を漸次逓減しております。今後ともその適用割合段階的に減少させる等、財政状況と下水道事業費の確保という問題もございますので、両面を考えながら本制度の収束を図ってまいりたい、かように考えております。
  214. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これはいますぐというわけにいかぬでしょう。私がアヘンだと言ったのではないですよ。担当者がそう言っているのです。これをやったら底なしだ。事業費は、かっこうはいいけれども、雪だるまのように五年もしたら大変なことになるということですから、八木橋さん、これもひとつ大蔵省、金を抑えるのはいいけれども、こういうアヘン的なものはおやめになった方がいいと思うのですが、いかがですか。
  215. 八木橋惇夫

    ○八木橋説明員 お答え申し上げます。  私、この件に関しまして直接の担当者でございませんので、このような場所で責任あるお答えを申し上げることはできないわけでございますが、先生の御意見は担当部署へ篤とお伝え申し上げることにいたします。
  216. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま、たしか前に地方財政をやっておった公文さんだろうと思うのだけれども、しかし、よく地方財政をわかっている人ですから、あなたなり地方財政をやった人がやはり味方なんですよ。味方というと語弊があるけれども、何も特別なことをするというのではなくて、理に合ったことをやってほしいということですから。  そこで財政局長、いま下水道の問題だけを言いましたけれども指摘を受けておる問題を見ますと、やはり病院とか交通というのが大変なんです。特に資本費で交通の中の地下鉄です。この辺についても、ことしもいろいろ問題があった。特例債を認めてくれたようですが、いろいろ問題がございますから、特段のあれをやって、雪だるまのように繰出金をやらなければ地方公営企業は運営できないようにならないように御努力いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。これは大臣ですかね。
  217. 石原信雄

    石原政府委員 先にちょっと……。  公営企業会計に対する一般会計からの繰り出しにつきましては、私ども一つ基準を設けて、それに沿って必要な積算を行っております。ただ、その基準につきましても、常に実態との対比においてあるべき姿を求めていかなければならない。単に現実の実態を追随することは許されないわけでございます。公営企業それぞれに御努力願わなければならない点は多々あるわけですが、それにしても一般会計との間の負担原則につきましては、時代の推移とともに常に見直しをしていかなきゃならない。その一つの例が下水道事業などではないかと思います。  また、いまお話しの交通事業でありますが、今日、交通事業は都市の市民の足を確保するという意味で非常に公共的な役割りが重くなっているわけであります。そうした中で、都市交通の経営環境は大変厳しくなっておりますから、財政的にも苦しんでいるわけであります。今後におきましては、公営交通の経営の合理化に努力いただくべき点は大いに努力いただく、さらに御努力いただくとして、基本的に一般会計でサポートすべき分というのは今後とも厳然としてあると思います。それについては、厳しい財政環境のもとでありますけれども、必要な額を確保して、公営交通が健全な運営を維持できるように努力していきたい、このように考えております。
  218. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう時間がありませんから、自治大臣にお尋ねいたします。  地方交付税法における自治大臣の権限と責任は何でしょうか。
  219. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 地方公共団体は、それぞれに自主性、自律性を持ってやっていただくわけでございますから、自治省全体の立場からいいましても、いまお尋ねの公務員行政についてこれが円滑に運営されるようにという助言をし、御指導をしていくのが本筋であろうと思います。いまのお尋ねは、地方公務員が十分にその能力を発揮し、それぞれの職場でそれぞれの住民のために奉仕ができるような体制をこしらえていくのがわれわれの使命である、こう思います。
  220. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、交付税法四条に「自治大臣の権限と責任」というのがありまして、その七号「交付税の総額の見積及び各地方団体に交付すべき交付税の額の算定のために必要な資料を収集し、及び整備すること。」八号「収集した資料に、基き、常に地方財政状況をは握し、交付税制度の運用について改善を図ること。」これが自治大臣の権限と責任です。そして、交付税法において地方についてはどういう義務を課しているかといいますと、これは三条で「地方団体は、その行政について、合理的、且つ、妥当な水準を維持するように努め、少くとも法律又はこれに基く政令により義務づけられた規模と内容とを備えるようにしなければならない。」先ほど小川委員の質問に対して財政局長から、おおむね地方財政計画にのっとって予算編成が都道府県、指定市においてされているということを聞きました。市町村もそうしなければいかぬと思う、三千三百がそうしなければいかぬと思うのです。  そこで、余り時間がありませんから単刀直入に、毎年のようにばかの一つ覚えのように聞くのですけれども、交付税制度ができましてから昭和三十八年までは、地方財政計画は都道府県分、市町村分、加えた総額、こういう欄に分けてぴしゃっと出ておったのです。それが急に最近やめちゃったのです。石原局長が財政課長になったのはその後だろうけれども、とにかくそれほど法律に書いてあって、三十八年までやっておって、官報には出ておって、私もそういう経験がありますけれども地方団体はこれを指標にして予算を組んだものですよ。ところが、それがなくなっちゃった。そして、都道府県、市町村合わせて総額というのが財政計画の額になっているわけです。総額だけれども、都道府県の財政構造と市町村財政構造はまるっきり違うわけです。これを、玉石とは申しませんけれども、かなりの違いがあるものをまとめてトータルだという形でやるのはいかがかと思うのです。  どうですか、大臣、従来、三十八年までのやったことに戻る意思はございませんか。人手がないからできないと言うのですけれども、これはやるべきでしょう、いままでやっておったのですから。精神は法律にもそう書いてあるのです。お答えいただきたい。
  221. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 確かに都道府県と市町村というのは、それぞれの規模が違うし、数もずいぶん違うわけなんで、それぞれに分けた方が、地方財政計画は予算編成の一つの指標になり、ガイドラインになるわけですから、そういう意味では確かにベターであると思います。しかし、三十八年以来どうしてそういうのができなくなったのか、私はやめたというのじゃなくて、できなくなったんじゃないかと思いますが、どうしてその後分けることが非常にむずかしくなったのかということは後ほど財政局長からお答えいたしますが、何せ市町村となりますと数が多い、そしてまた規模が違う、それから運営のやり方もいろいろ違うという大変複雑な事情があって、しかもそれはある短期間に、ある時間内のタイムリミットをにらみながらこしらえないと間に合わないという事情などもあって、恐らくいまのようなことになっているのではないかと私は思いますが、詳しくは政府委員からお答えをいたします。
  222. 石原信雄

    石原政府委員 先生指摘のとおり、この地方財政計画を道府県分、市町村分に分けたのは昭和三十七年度までだったと記憶しておりますが、私自身その作業をずっとやってきておりましたので、やめた当時の経緯というのがいまでも大変鮮明に記憶に残っております。  率直に申しまして、現在国の予算ができ上がりますと、予算委員会が開かれるまでに何としても地方財政計画を固めたいということで、各省庁にお願いして資料の提出を早めていただき、われわれとしても寝る間を削って作業を続けているわけであります。さらにこの時点で道府県分、市町村分の分割作業をするとなると、物理的にもかなり制約がある。労をいとうわけではありませんけれども、部課の作業量が一層これに加算されるという問題と、それから何よりも、いつも申し上げていることでございますが、この地方財政計画のトータルの積算をする過程において、補助事業のかなりの部分について府県分と市町村分の区分けができないのであります。各省庁が執行段階でないと分けられないというお話が非常に多いのであります。前年度実績等で便宜分けるという方法もあるわけで、事実三十七年ごろまではそういう方法である程度の推計で分けていたものもかなりありましたが、全体の事務量、補助金の額等も大きくなりまして、一層その点がむずかしくなったということ。  それから、当時から私ども分割をやめざるを得なくなった、継続できなくなった非常に大きな理由は、結局分けたものと実態とが食い違いが非常に大きくなる傾向があったわけです。それは交付税につきましては、私どもいろいろな資料で一般財源の推計、基準財政需要額の推計、収入額の推計についてはいろいろな角度から検討して、これまでそう大きな食い違いはなくて、地方団体にもある程度事前に御指導申し上げてきているのですが、非常に大きく食い違ってまいりますのは地方債でございます。地方債があの一月か二月の初めの段階で分けましても実態と非常に違ってまいりまして、この点でいつも府県からも市町村からも文句が出る。あるいは雑収入などでも、あの一月下旬の段階、二月上旬の段階で分けるということについては非常に不正確を免れない、こういうようないろいろな制約がありまして、今日まで地方財政計画の策定と同時に府県、市町村の区分をつけるということが最近ではできない状態になっているわけでございます。  必要性については先生指摘のとおり、私どもも十分痛感しております。知事会や市長会、町村長会からは、トータルでは余り参考にならぬ、ぜひ自分の方がどうなるのか計画上示してほしいという要望を常に聞かされておりまして、私どもも何とかこの御要望にこたえるようないい方法はないものかという気持ちをずっと持ち続けているわけでありますけれども、正直申し上げまして、地方財政計画を国会に提出申し上げているあの時期にこの区分を正確に行うということは、現時点ではとても自信が持てないというのが実情でございます。
  223. 細谷治嘉

    ○細谷委員 局長はやる意欲はあるが自信が持てない、大臣はできないと言う。大体やらないのですよ。いままでがやる意思がない。私は試みに、時間がありませんからずばり言います。五十七年度の交付税を配る全体計画というのがありますね。五十七年度の全体計画はどうかといいますと、十一兆六千三百六十三億というのが府県分基準財政需要額、そして、やった八月算定の結論は十一兆六千百十六億円でございますから、十一兆円の中で二百五十億しか違ってない。市町村はどうかといいますと、基準財政需要額の総額が全体計画では十一兆三千九百二十九億、算定した結果は十一兆三千五百七十八億、三百五十億しか違ってないのですよ。トータルはどうかといいますと二十三兆二百九十二億円、基準財政需要額ですよ。ところが、算定の結果は二十二兆九千六百九十四億円ですから、これも数百億の差しかないのですよ。ということは、全体計画をつくる段階において、もう府県と市町村は分かれている。  これはマクロだとおっしゃるかもしれませんけれども、私は洗ってみました。都道府県の分については道路費から警察費からずっと洗ってみた。市町村については消防費からずっと洗ってみた。一つ一つやっても、それで飯を食った人の偉大さというのがわかりますよ。できるのですよ、大臣。余り違いはないのですよ。だから、やろうとすればやれる。それをやらないだけですよ。何がこわいのかわかりませんよ。たとえば三千三百の市町村が要望するけれども、余り手のうちがわかると都合が悪いという大臣の考えがあるかもしれません。そんな考えがあってはだめですよ。あるいは部屋の隅までちり一つでも、もう大蔵省にわかってしまっては予算要求に都合が悪いといういろいろな思惑があるかもしらぬけれども、どうですか大臣、私はこれは毎年毎年言っているのですから、ひとつ交付税制度が三十七年までやったように、復元するように最善の努力をしてみる、こういうことでお答えいただきたいと思うのです。私は毎年やりますよ。いかがですか。
  224. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 毎年おやりになって、毎年大臣がどんな返事をしたか私は存じませんが、いまやはりあった方がベターだ。できるかできないか、これは事務的によく検討してもらいたい。三十八年のときにやめた理由は、いま石原局長が当時の関係者の一人として詳しく申し上げたのでありまして、その点はよくおわかりをいただいたと思います。そういう点について今後ともひとつよく私どもも検討させていただこう、こう思っております。
  225. 細谷治嘉

    ○細谷委員 局長、大臣はそう言うのです。事務的によく検討してみる、かなり前向きのようであります。やりますか。検討してみますか。
  226. 石原信雄

    石原政府委員 私自身も、その必要性といいましょうか、これを分けるのをやめてから以後先生もいつもこの点強調しておられますし、また地方団体の皆さん方からも要望が非常に強いことを痛感しておりますが、ただいろいろ事務的な制約もございます。したがいまして、どの程度のことができるのか、また時期的に地方財政計画を国会に提出する時期と同時というのは、これはとてもじゃないが無理だと私は思います。ですから、若干時間をおいて、ある程度補助金の配分などについても区分けについて見通しが立つような時期にそういったものができるのかどうか。具体的な時期とすれば、私どもは各年度の初めに当たって地方団体財政運営の指導を申し上げる会議を持つわけですけれども、そういった時期までにその区分ができるかどうか、事務的にも検討してみたいと思います。
  227. 細谷治嘉

    ○細谷委員 終わります。
  228. 田村良平

    田村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  229. 田村良平

    田村委員長 この際、本案に対し、自由民主党を代表して工藤巖君提出に係る修正案が、また日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表して佐藤敬治君外四名提出に係る修正案が、それぞれ提出されております。  両修正案の提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。工藤巖君。     ─────────────  地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  230. 工藤巖

    ○工藤委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨について、御説明申し上げます。  原案は、施行期日を「昭和五十八年四月一日」と定めておりますが、すでにその期日を経過しておりますので、施行期日を「公布の日」に改めるとともに、これに伴い、昭和五十八年四月一日からこの法律の施行の日の前日までの間における現行の交付税及び譲与税配付金特別会計の歳入及び歳出は、この法律による改正後の同特別会計の交付税及び譲与税配付金勘定の歳入及び歳出とみなすこととし、また、同期間内において一般会計において経理された交通安全対策特別交付金に係る歳入及び歳出は、この法律による改正後の同特別会計の交通安全対策特別交付金勘定の歳入及び歳出とみなすこととするものであります。  以上が本修正案の趣旨であります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
  231. 田村良平

    田村委員長 次に、佐藤敬治君。     ─────────────  地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  232. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表いたしまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  地方財政の財源不足額が恒常化して以来、すでに九年目を迎えておりますが、一向に改善の兆しは見られません。この間政府は、地方交付税法の規定を無視しつつ、交付税及び譲与税特別会計における借り入れと地方債の増発を軸とする借金政策によってこれを措置してきました。  しかしながら、昭和五十八年度の財源不足額の発生過程が示すように、本年度の財源不足は、従来のそれとは大きく性質の異なるものであることが明らかとなっています。すなわち、予算編成におけるマイナスシーリングのみならず、地方財政における自治体単独事業の前年同額への抑制など、二つの大きな抑制策のもとで発生した二兆九千九百億円の不足額は、いまや構造的な不足額そのものであることを示しております。  したがって、構造的不足額に対するには、構造的な制度改革をもって措置すべきであり、従来の借金政策の継続は、厳に排すべきであります。にもかかわらず政府は、交付税及び譲与税特別会計借入金の利子について、新たに地方負担を導入するなど従来の借金政策の継続の上に、地方負担への転嫁を図ろうとしており、このような措置は断じて容認することはできません。  われわれは、地方財政の財源不足が前述のように構造的なものであることを注視し、地方交付税率の引き上げをもって措置することが、いま不可欠であるとの立場から本修正案を提案いたした次第であります。  以上が本修正案の提案理由でありますが、次にその概要を御説明申し上げます。  第一は、地方交付税率の引き上げについてでありますが、昭和五十八年度から地方交付税率を八%引き上げ、四〇%といたしております。  第二は、交付税総額の特例についてでありますが、まず昭和五十八年度において臨時地方特例交付金を六千五百六十四億円交付することとし、交付税及び譲与税特別会計における借入金については、二千八十四億円といたしております。  第三は、交付税及び譲与税特別会計における借入金償還の利子についてでありますが、従前どおり国の負担といたしております。  第四は、基準財政需要額の算定方法の改正についてであります。財源対策債の発行を取りやめることにより、土木費、教育費等について所要の改正をいたしております。  以上が本修正案の提案理由及びその概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  233. 田村良平

    田村委員長 以上で両修正案についての趣旨の説明は終わりました。  この際、佐藤敬治君外四名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。山本自治大臣。
  234. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 ただいまの地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合共同提案の修正案については、政府としては、賛成いたしかねます。     ─────────────
  235. 田村良平

    田村委員長 これより討論に入ります。  原案及びこれに対する両修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。宮下創平君。
  236. 宮下創平

    ○宮下委員 私は、自由民主党を代表して、自由民主党提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案及び同修正部分を除く政府原案に賛成、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合から共同提出されました修正案に反対の意見を表明するものであります。  今回政府によって提出された地方交付税法等の一部を改正する法律案は、第一に、昭和五十八年度の地方交付税の所要額を確保するための特例措置、第二に、普通交付税の算定方法の改正、第三に、交通安全対策特別交付金を基準財政収入額に算入するとともに、同交付金の交付に関する政府の経理を交付税及び譲与税配付金特別会計において行うこととし、あわせて同交付金の額及び使途等について所要の規定の整備を行うことをその内容とするものであります。  第一の地方交付税の総額の特例措置についてでありますが、昭和五十八年度分の地方交付税の総額は、現行の法定額に、特例加算額千百三十五億円、臨時地方特例交付金二十億円及び借入金一兆八千九百五十七億五千万円の合算額を加算した額から昭和五十八年度分の利子として国債整理基金特別会計に繰り入れられる金額のうち三千四百四十六億円を減額した額とすることといたしております。また、借入金一兆八千九百五十七億五千万円については、昭和六十四年度から昭和七十三年度までの各年度に分割して償還することとし、そのうち二千八十四億円についてはその十分の十に相当する額を、それ以外の額についてはその二分の一に相当する額を、それぞれ昭和六十四年度から昭和七十三年度までの各年度において臨時地方特例交付金として一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることとして、当該各年度の交付税所要額の確保に資するようにすることとしております。  第二の普通交付税の算定方法の改正については、福祉施策の充実、教育水準の向上住民の生活に直結する公共施設の維持管理等に要する経費の財源を措置するほか、投資的経費については地方債振替後の所要経費の財源を措置するため、単位費用の改定等を行っております。  第三の交通安全対策特別交付金を基準財政収入額に算入することについては、これが地方団体の普遍的な財源であり、かつ、その額も地方団体間の財源調整上無視し得ないものとなってきたこと等の事情にかんがみて講ぜられた措置であり、これに伴い、同交付金の交付に関する経理を交付税及び譲与税配付金特別会計において行うこととし、あわせて同交付金の額及び使途等について所要の措置を講ずることとするものであります。  自由民主党といたしましては、これらの措置を内容とする政府提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案は、現下の経済情勢、国の財政状況等を考慮しつつ地方財政の円滑な運営を図る適切なものであると認められるので、同法律案の内容に賛成するものであります。  なお、政府原案において「昭和五十八年四月一日」と定めております施行期日がすでに経過しておりますので、これを「公布の日」に改める等のわが党提出の修正案は、妥当な措置と認めるものであります。  次に、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の共同提出に係る修正案についてでありますが、国、地方とも巨額の借入金によって税収の不足に対処せざるを得ない状況にあるときに、国、地方を通ずる財源配分の恒久的制度としての地方交付税率の引き上げを行うことは問題があると考え、この修正案に反対の立場をとるものであります。  しかしながら、地方財政は引き続き巨額の借入金残高を抱えており、今後においても地方財政を取り巻く諸条件は依然厳しいものがありますので、政府におきましては、生活環境施設の整備地域住民の福祉の充実等の施策推進する上できわめて重要な地方団体の役割りにかんがみ、今後とも地方団体に対する財源措置の一層の充実に努めるよう強く希望するものであります。  以上をもちまして、自由民主党提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案及び同修正部分を除く政府原案に賛成、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の共同提出に係る修正案に反対の意見の表明を終わります。(拍手)
  237. 田村良平

    田村委員長 小川省吾君。
  238. 小川省吾

    ○小川(省)委員 昭和五十八年度の地方交付税法等の一部を改正する法律案について、日本社会党を代表し、反対の討論を行うものでございます。  地方財政は、昭和五十年を境にして財源不足を増加させつつあります。この財源不足に対して、資金運用部資金からの借り入れや地方債の発行という借金政策により糊塗してまいりましたが、これがいつ果てるともない泥沼化の様相を呈しているところであります。  交付税法は、地方財政が引き続き著しくなった場合には、税率の引き上げか制度の改正をすべきことを明定いたしておるのでありまして、今日、この決断をまさに下すべきときであると思います。  特に五十八年度の地方財政は二兆九千九百億円という構造的不足を生じ、この地方財政対策については、一、国の一般会計への減額留保を交付税増額措置としていること、二、地方債金利差補給分を五〇%までに引き下げていること、三、交付税特別会計の借入金利子の二分の一を自治体に負担を転嫁しようとしていること、四、財源対策債の基準財政需要額への算入率を引き下げようとしていることなどの一連の措置は、決して地方財政の危機を救うものではありません。五十九年度以降もまた財源不足を多額に発生すると思われるのであります。  私は、ここで何としても税率の引き上げか抜本的な制度改正を行わない限り、地方財政のあしたはないと断ずるものでございます。自治省は、全国の地方自治体の窮状を直視し、切なる願いを受けとめて勇断をふるって決断することを求めるものでございます。  以上、私は、申し述べたような見地から本交付税法案はとうてい承認し得ないことを申し述べ、野党提案の修正案によるべきことを重ねて申し述べまして、反対討論といたします。(拍手)
  239. 田村良平

  240. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました内閣提出に係る地方交付税法等の一部を改正する法律案及び自民党提出の修正案に反対し、公明党を初めとする野党五会派共同提出の同修正案に賛成する討論を行います。  以下、その理由の主なものを申し述べます。  地方財政は、大型財源不足が九年も続き、きわめて深刻な事態に陥っております。特に五十八年度は、歳出の大幅切り詰めを行い、超緊縮型の財政計画を組んだにもかかわらず、なお二兆九千九百億円の財源不足を生じております。  地方財政の窮迫状況は、もはや恒常化し、構造的欠陥を如実に示しており、抜本的改革を行わなければなりません。  しかし、こうした事態に対し、政府は、抜本的改革を行うどころか、これまで同様、交付税特別会計の借り入れと地方債の増発によって措置しようとしております。その上、従来国の一般会計が負担してきた交付税会計の借金の利子についても、その二分の一を地方が負担することにしております。  このように、五十八年度地方財政は、国の財源難を理由に、そのしわ寄せを強いられる結果になって、いわば、国の都合により、地方財政が運営なされると言わざるを得ません。  窮迫する地方財政現状を打開するためには、国、地方を通ずる行財政の抜本的改革を行うべきでありますが、当面、わが党を初め野党五会派の修正案のように交付税率を四〇%に引き上げるとともに、臨時特例交付金の増額を図るべきであります。しかしながら、政府案には、このような措置がとられておりません。  また、地方財政計画についても、多くの問題点を含んでおります。  すなわち、公債費を除く一般歳出を昨年度より削減した地方財政計画を策定しておりますが、このように住民生活に密着した行政の現場である地方団体は、急激な歳出の切り詰めば、住民生活に重大な影響を及ぼし、たえがたいのが実情であります。  各地方団体の歳出は、地方財政計画を大幅に上回ることが容易に考えられるのであります。従来も地方財政計画と決算との乖離が生じ、現実に即した財政計画の策定を行うべきことを主張してまいりましたが、計画と決算との開きが生じるならば財政の指針としての役割りを果たせなくなり、地方財政計画は有名無実になりかねないのであります。  また、これと同時に、今回のような緊縮地方財政計画は、地方団体の財源保障としての役割りも果たせず、地方団体に負担の転嫁を招く結果になることを憂慮するものであります。  次に、国庫補助金について申し述べますが、国庫補助金は、国の縦割り行政の中にあって、地方団体の総合的行政逗留を阻害し、また申請手続も複雑であり、地方団体の事務の複雑化を招くなど地方団体の自主的行財政運営の獲得と効率的行政推進立場から、国庫補助金は極力整理し、地方の一般財源化を図るべきであります。  ところが、五十八年度の補助金は、件数においては減少したものの、額においてはむしろ増大しているのが実態であります。  したがいまして、補助金の整理合理化を進めることを基本に、当面、類似ないし同一目的の補助金については、地方団体が自主的に選択できる、いわゆる補助金のメニュー化あるいは総合補助金化を進めるべきでありますが、こうした点について何ら見るべきものがありません。  今後さらに、補助金の一般財源化を進めることを強く要求するものであります。  以上、政府原案に対する反対の理由を申し述べ、五会派の修正案に賛成の討論を終わります。(拍手)
  241. 田村良平

    田村委員長 青山丘君。
  242. 青山丘

    ○青山委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております政府提案の地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対し、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合共同提出に係る同修正案に対し賛成の討論を行うものであります。  地方交付税は、経済発展の地域的な不均衡による地方公共団体間の税収入のアンバランスを是正して財源の均衡化を図るとともに、交付の基準の設定を通じてどの地方公共団体も同じ水準の行政が行えるように必要な財源を保障するという機能を有しております。国は、このような制度の趣旨を生かし、地方公共団体が必要とする安定的な総額を確保する責務を有しているものであります。  ところで、最近の地方財政は、昭和五十年度以降、巨額の財源が不足するという異常な事態が続いております。かかる状況は、地方行財政制度の改正あるいは交付税率の変更を定めた地方交付税法第六条の三第二項に該当する事態となっております。しかるに政府は、交付税特別会計の借り入れや財源対策債の発行といった緊急避難的、一時的な対策に終始し、抜本的な対策を何ら講じようとしていません。  その結果、借入金の総額は五十八年度において十一兆五千二百十八億円の巨額に上り、地方債の残高も三十八兆九百十三億円に達するなど、地方財政を危機的な状況に追いやってきたのであります。政府のこのような無策な態度は許されるものではありません。  したがって、この際、地方交付税制度の原点に立ち戻り、引き続く地方交付税の所要額の不足に対しては交付税率の引き上げによって対応すべきであります。民社党は、この観点から、現行の交付税率を四〇%に引き上げるよう求めるものであります。  次に、民社党が政府案に賛成できない理由は、今年度交付税特別会計の借入金及び一時借入金の利子についてまで二分の一の地方負担を導入したことであります。国は地方公共団体の財源を保障する責務を有し、その責任を具体化したものが地方交付税制度であることからすれば、地方交付税制度の改革には手をつけず、逆に実質的な交付税率の引き下げを意味する利子の地方負担制度を導入することは、言語道断であり、許されないことと言わざるを得ません。したがって、特別会計の借入金及び一時借入金の利子については全額国庫負担とするよう修正すべきであります。  以上の理由から、五党共同提出の修正案に賛成、政府案に反対の意見を述べて、私の討論を終わります。(拍手)
  243. 田村良平

    田村委員長 三谷秀治君。
  244. 三谷秀治

    ○三谷委員 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提出の地方交付税法の一部を改正する法律案並びに自由民主党提出の同修正案に反対、日本共産党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ・民主連合共同提出の同修正案に賛成の意見を述べます。  昭和五十年の石油ショック以降、地方財政は大幅な税収の不足に見舞われて、急速に悪化の一路をたどっております。この間、地方財政の再建に責任を負う立場にあります政府は、経済情勢及び国の財政難を口実として抜本的な対策をとることなく、ただいたずらに借金を重ねるばかりで、今日まで実に九年間にわたってその責任を放棄し続けております。  政府提出の改正案は、もとよりこの延長線上の措置を重ねるものであるばかりか、新しく、しかも際立った特徴をもちまして地方財政を破綻の瀬戸際まで追い込むものとなっております。  すなわち、その特徴の第一は、国家財政の危機を理由に、従来とってまいりました臨時特例交付金の大幅削減であり、その第二は、政府のびほう的措置から生じた過去の借入金の利子負担の二分の一を地方側に転嫁する措置をとったことであります。  翻って、本年度の地方交付税総額は、政府昭和五十六年度における意図的な税収の過大見積もり、すなわち粉飾予算の影響を受けまして、実に八千五百億円という交付税制度始まって以来の大幅な減額精算を余儀なくされました。  明らかに政府の責任に属するこの減額分の補てんは、当然臨時特例交付金によって行うべきでありますが、政府は、これをいわゆる二分の一負担ルールによる借入金として措置し、何ら責任を負うべきいわれのない地方側に過大な負担を押しつけたのであります。  借入金利子負担につきましても同様に、政府財政危機、財源不足ということを口実にして地方負担を一段と強化する措置をとるに至りました。  これらの措置によりまして、今年度の地方交付税はマイナス四・九%という、これも制度始まって以来の減額となっております。  まさに地方財政関係費の抑制という方針を打ち出した臨調路線にまことに忠実に従った改悪案ということができます。  かようにして、地方交付税特別会計などにおきまして地方側が未曾有の借金を抱えることになったのでありますが、これに対する政府の再建策は、昨日の自治大臣の答弁ではしなくも本音が吐露されましたように、行き着くところは大規模な増税によるしか展望が開けないということであります。  私どもは、地方と地方住民に犠牲を集中的に転嫁するこのような措置に同意することはとうていできないのであります。軍事費の増大をやめて、地方交付税率の引き上げや税源の地方移譲など地方財政の抜本的改革を図るべきであります。  野党共同修正案は、この抜本的な改革を目指して地方自治体の要望にこたえようとするものであり、これに賛成するものであります。(拍手)
  245. 田村良平

    田村委員長 田島衞君。
  246. 田島衞

    ○田島委員 私は、地方交付税法の一部を改正する政府提出の法律案に反対、並びにそれを認めての自民党提出の修正案にも残念ながら反対の立場から討論をいたします。  そもそも、地方交付税法の制定にはそれなりの意義があったはずでありますが、いまやまさに法制定の意義を失わせ、みずからの規定を否定するその実態を改善しないばかりか、ますます悪化させるがごとき改正は、改正にあらずして改悪であるということを考えます。  もって、強い警告の意味を含めて、政府原案とそれに対する自民党の修正案に反対、そして新自由クラブ・民主連合外四党提出の修正案に賛成をいたします。  以上をもって討論を終わります。(拍手)
  247. 田村良平

    田村委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  248. 田村良平

    田村委員長 これより採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、佐藤敬治君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  249. 田村良平

    田村委員長 起立少数。よって、佐藤敬治君外四名提出の修正案は否決されました。  次に工藤巖君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  250. 田村良平

    田村委員長 起立多数。よって、工藤巖君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正案の修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  251. 田村良平

    田村委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  252. 田村良平

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  253. 田村良平

    田村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十九分散会