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1983-04-26 第98回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十六日(火曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 田村 良平君    理事 工藤  巖君 理事 中山 利生君    理事 宮下 創平君 理事 安田 貴六君    理事 五十嵐広三君 理事 佐藤 敬治君    理事 石田幸四郎君       池田  淳君    臼井日出男君       小澤  潔君    片岡 清一君       北川 石松君    染谷  誠君       竹中 修一君    谷  洋一君       中村 弘海君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    草野  威君       部谷 孝之君    岩佐 恵美君       三谷 秀治君    田島  衛君  出席国務大臣         自 治 大 臣 山本 幸雄君  出席政府委員         自治大臣官房審         議官      田中  暁君         自治大臣官房審         議官      津田  正君         自治大臣官房審         議官      土田 栄作君         自治大臣官房審         議官      吉住 俊彦君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    坂  弘二君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君         消防庁長官   砂子田 隆君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  八木 俊道君         経済企画庁調整         局財政金融課長 宮島 壮太君         外務大臣官房総         務課長     坂本重太郎君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 太田 幸維君         文部大臣官房総         務課長     加戸 守行君         厚生省環境衛生         局企画課長   花輪 隆昭君         厚生省医務局指         導助成課長   柳沢健一郎君         厚生省社会局老         人福祉課長   佐々木典夫君         農林水産大臣官         房文書課長   谷野  陽君         運輸大臣官房文         書課長     丹羽  晟君         労働省職業安定         局雇用保険課長 小野 進一君         建設大臣官房文         書課長     山本 重三君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ───────────── 四月二十五日  重度障害者に対する地方行政改善に関する請願池端清一紹介)(第二六六一号)  同(石田博英紹介)(第二六六二号)  同(熊川次男紹介)(第二六六三号)  身体障害者自動車運転免許証に付される重量制限廃止等に関する請願池端清一紹介)(第二六六四号)  同(石田博英紹介)(第二六六五号)  同(熊川次男紹介)(第二六六六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二三号)      ────◇─────
  2. 田村良平

    田村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三谷秀治君。
  3. 三谷秀治

    三谷委員 各省大臣指揮監督に属しております機関委任事務の件についてお尋ねします。  いわゆる機関委任事務を基本的に廃止して、これを名実ともに大部分地方自治体権限として移譲するということは、自治体にとりましては宿願の一つになっております。  臨調におきましてもこの課題が取り上げられたようでありますが、その方向は、答申を見る限りにおきましては、「二年間に全体として少なくとも一割程度整理合理化を図る。」ということになっております。これを見る限りにおきましては、地方が期待した改革内容とはほど遠いようであります。  政府は、この答申を尊重され、具体的な改革に取り組むということでありますが、政府取り組みを伺う前に、「一割程度整理合理化」という臨調基本方針が示された点について明確にしておきたいと思いますが、このことは逆に表現しますと、機関委任事務の機能すなわち大臣指揮監督と統制を受ける事務委任という国と地方関係を、将来とも存置するという見解臨調が示したものと受け取らざるを得ぬわけでありますが、これについて政府はどのように受けとめていらっしゃるか、行管庁にお尋ねしたいと思うのです。
  4. 八木俊道

    八木説明員 お答え申し上げます。  臨調第三次答申、五十七年七月三十日の答申でございますが、この中におきましては、国と地方との関係改善につきましていろんなことが書いてございます。たくさんの問題提起があるわけでありますが、その中の比較的実質的な御提案として、委員指摘機関委任事務の二年間一割整理許認可整理合理化によるものを含めて二年間に一割程度整理を行う、こういうくだりがございます。現状における機関委任事務制度はそれとして、いわば一応前提にいたしまして、その上での行政合理化、国と地方との関係合理化提言をされている、そういう理解をいたしているわけでございます。
  5. 三谷秀治

    三谷委員 「一割程度整理合理化」ですから、まあ九割程度はそのまま存置するという反語的な意味を持つものでありますが、いまの臨調基本見解は、自治権の拡充、地方分権という要請に反するものだと思いますが、自治大臣見解はどうでしょうか。
  6. 山本幸雄

    山本国務大臣 いまお説のように、機関委任事務については極力整理をして地方に任していただくというのが地方自治の上から見ても大変いいことである、そういう認識のもとに、極力機関委任事務を減らして地方自治体に任していただく、また新しく地方負担委任事務をつくるということは抑制をしていく、そういう方向であると思うのです。臨調答申もそういう線で出ていると私は思うのです。  ただ、いま仰せのように一割程度整理する、あと九割は残しておくのかということでございますが、当面二年間に一割は整理する。これはすでに、私の聞いているところでは、各省庁に対してこの一割はどういうものについて整理をするのかということを要求をしていまして、私は一割の達成はできる。さらに引き続き、審議会を設けるということが書いてあるわけでございますが、審議会は今回設置予定行政改革推進審議会ですか、そういう新しい機構の中でやるという話も出ておりますが、いずれにしろ機関委任事務整理については引き続き推進をしていくもの、こう私は考えております。
  7. 三谷秀治

    三谷委員 この「一割程度整理合理化を図る。」という答申具体化について、政府はどのような取り組みをされておるのか、それをどう促進されておるのか、行管庁にお尋ねしたいと思うのです。
  8. 八木俊道

    八木説明員 お答え申し上げます。  機関委任事務整理合理化に関する臨調の第三次答申でございますが、その具体的な指摘を見てまいりますと、三つほどの基準が掲げられております。「社会経済情勢変化に伴い、必要性の乏しくなっているものは、事務自体廃止又は縮小する。」それから二番目に、「地方公共団体事務として既に同化、定着しており、地方公共団体の自主的な判断のみによって処理することが適当な事務は、地方公共団体事務とする。」それから三番目に、「都道府県から市町村への委譲を適当とするものについては、」その委譲推進する、こういうことでございます。  こういう趣旨答申を受けまして、政府といたしましては昨年の九月二十四日に、とりあえずこの方針を尊重いたしまして各省作業に入るということを決めたわけでございます。ただ、答申自体に書かれていることでございますが、許認可整理に関連するものを含めて整理を行っていく。これは機関委任事務内容から見ても、実質的にはいわば許認可制度に関連する問題が多いわけでございますから、当然でございます。  そこで、許認可整理合理化の方の臨調からの答申は、この三月十四日に第五次答申として出てまいったわけでございまして、それとの関連も考慮しなければいかぬということで、目下関係各省庁で具体的な案をおつくりいただきつつあるところでございます。かなり部分につきましては、私どものところに大体こういう考え方でいきたいという非公式な御提案が若干の省からは寄せられておりますが、今後政府部内具体的にこれを詰めまして、具体的な改革案としてまとめていくということでございます。整理という面と合理化という面と二つの面を持つ、つまり事務合理化という面も出てくる、整理ということで機関委任事務がなくなってしまうというようなものも場合によってはあるかと思いますが、内容的な改善という面も加味をいたしまして、かつ許認可整理と一緒に講ぜられる措置は、それはそれとして許認可整理と一連で処置をしていく、こういう考え方でございます。
  9. 三谷秀治

    三谷委員 三月末をめど各省庁に一割の整理合理化を目指す見直し案の作成を指示されたということでありますが、そうでしょうか。
  10. 八木俊道

    八木説明員 申し上げましたとおり許認可整理に関連する部分もございます。したがいまして、最終的な確定的な御返事ということではございませんが、かなり部分につきましては三月末、年度末をめどに御作業をいただいて、ある程度御返事は実はちょうだいをいたしつつあるところでございます。
  11. 三谷秀治

    三谷委員 答申を見ますと、「少なくとも一割」という表現をしておりますから、一割以上であっても構わぬわけであって、最低が一割という内容になっております。そこで、一割というのは最低限ということだろうと思いますが、行管庁が一割ということを限定して指示されたのは何を根拠にしたものか。二割でも三割でもいいわけですけれども、そうでないということはどういう御見解なんでしょうか。
  12. 八木俊道

    八木説明員 機関委任事務は、それぞれいわば実体法制裏づけを持った各省行政運営上の重要な行政手段という形で地方公共団体の長に機関委任をされる、一つのいわば実体法制上の行政目的を踏まえた事務でございますので、なかなかこれの抜本的な改変ということも正直申し上げてむずかしいわけでございます。かつ、臨調から御提示がありましたのも、いわば先ほど申し上げた物の考え方だけをお示しいただいて、具体的にはではどの事務をどうするのだというところは特段ないわけでございまして、いわば目の子の御提案、言葉は余り適当ではないかもしれませんけれども目の子の御判断の御提案でございます。  私どもといたしましても、まあ機関委任昭和三十年代から四十年代におきまして、行政がいろいろな社会経済の分野に拡大をいたしてまいりました。そういう傾向を見直しをしていただきますと、一割程度整理合理化はどうも何となくできるのではなかろうかということで、とりあえず各省に御勉強をお願いしたということでございます。いわば確たる個別の認識と申しますか、裏づけを十分持っているわけではございませんで、見当といたしまして一割程度改善はできるのではなかろうかという判断でとりあえずお願いをしたということでございます。
  13. 三谷秀治

    三谷委員 目の子だとおっしゃっているわけですが、機関委任事務見直し検討について臨調基本答申は、「新たな審議機関設置して検討を行う。」と答申しております。これについて、この審議機関の性格はどういうものなのか、この担当省庁はどこになるのか、設置の時期はいつの予定か、構成はどういうお考えか、特に地方側意見をどの程度反映させるような構成考えていらっしゃるか、あるいは審議課題というのは二年間で一割の整理合理化を行うことだけに限られるのか、あるいはそれ以上の範囲のものを考えていかれるのか、そういうことについてわかっておればお知らせいただきたいと思うのです。
  14. 八木俊道

    八木説明員 機関委任事務のあり方問題と申しますと、これは全政府的なと申しますか、機関委任事務を持っておりますのは、政府部内一府十二省それぞれあるわけでございますから、全体の課題でございます。どこの役所が中心になってどういう体制で臨むかにつきましては、まだ確定的な結論を得ているわけではございませんが、便宜行政改革全般推進は私ども行政管理庁の仕事でございますので御答弁申し上げますと、やはり政府全体の行政改革取り組みの一環でございますから、それにふさわしい仕組みを使いながら機関委任事務のあり方を見直していくという必要があろうかと存じます。  先ほど自治大臣から一つ考え方としてお考えが、自治大臣御自身のお考えかどうかは別にいたしまして、御示唆がありましたのは、ただいま衆議院の内閣委員会に付託をされ、審議お願いいたしております臨時行政改革推進審議会、この場を使うというお考えもある、政府部内にそういうお考えもあるということでございましたが、私ども一つの非常に示唆に富む御意見ではなかろうかと思っているわけでございます。  具体的にどういうテーマをどういったやり方で取り上げていくかという点につきましては、新しい機関委任事務に関する審議体制、それをどこで扱うかということを決めた後の問題でございますけれども、とりあえず私どもといたしましては、政府全体機関委任事務の二年間一割の整理合理化を、目下見直しを進めているわけでございますので、そこで出てまいりました具体的な改革の実例というふうなものは、審議の素材としては非常に貴重なものになるのではないかと考えている次第でございます。  その他の点につきましては、恐縮でございますが、目下のところ確たる煮詰まり方はまだいたしていないのが現状でございます。
  15. 三谷秀治

    三谷委員 そこで、この一割程度整理合理化を実施されるとして、その基礎になります機関委任事務の現況や実態がどうなっているのか、これについてお伺いしたいと思います。  機関委任事務については、自治法別表において規定されております。別表第三は、知事初め都道府県レベル各種委員会に対する機関委任事務が掲示されておりますし、別表第四においては、市町村長中心とする市町村段階委員会に対する機関委任事務が示されております。これでほぼ概要がわかるのでありますが、何しろこの別表というのが昭和四十九年以降改正されておりません。その後、各種法律の制定や改正で、機関委任事務増加の一途をたどっておると聞いております。  そこで、私ども、今国会の予算委員会におきまして、その後の機関委任事務増加状況につきまして各省資料提出お願いいたしました。その予算委員会に提出していただきました資料整理してみますと、環境庁二、国土庁四、警察庁一など総理府関係合計七つですね。それから省関係で申しますと、労働省一、法務省三、文部省七、農水省五、大蔵省一運輸省二、厚生省二、通産省二、建設省三、そして自治省六となっております。これで別表改正以降増加した機関委任事務合計は三十九となっております。  これはあくまでも機関委任事務を新たに規定した法律の数が三十九本ということでありまして、この資料をもとに事務委任先各省にお聞きしましたところが、知事に委任する事務の数が二十六であります。都道府県委員会に委任するものが六、政令市長に委任するものが四、市町村長に委任するものが七、市町村委員会に委任するもの四、合計四十七事務増加しておることがわかりました。昭和四十九年以降新たに四十七種類事務機関委任されておりますが、自治省はこの事実を確認できますでしょうか。
  16. 大林勝臣

    大林政府委員 御指摘のように、昭和四十九年の自治法改正の際の整理以来別表改正が行われていないわけでありますが、四十九年の現在で都道府県関係及び市町村関係合計五百二十二、こういう法律の数になっておりました。その後の増加状況については、先ほど御指摘になった数字とおおむね一致しておると私ども考えておりまして、大体五百六十近い数字になっておると承知しております。
  17. 三谷秀治

    三谷委員 このうち、別表三の知事への委任事務のうちで五十三の二、九十八の二、百十八の三つ事務並びに別表四の市町村長への委任事務のうち二の五の合計四つ事務は、すでに法律廃止されておるというふうに聞いております。そうしますと、別表記載で現に機関委任事務というのは五百十八という計算になるわけでありますが、いま局長の御説明ですと、廃止になったものが計算外になっておるのではないかと思われますけれども、その点はどうでしょうか。それから、この廃止されたものを含めまして、別表そのものの一割の整理合理化をされるのか、あるいは先ほど指摘しましたその後の増加した分、四十七種類、この事務整理合理化対象とするのか、これを行管庁にお尋ねしたいと思う。
  18. 八木俊道

    八木説明員 お尋ねの点につきましては、あくまで機関委任事務現状に即しまして各省庁に総点検お願いいたしております。ただいまの行政局長の御答弁で申しますと、五百を超える数、これが現状であるということでありますが、その現状に即して各省庁の御点検を願っているということでございます。ただ、現実には、これはやや技術的な問題でございますが、法律本数といたしますとこれよりも若干減るわけでございまして、先ほど委員指摘知事への委任事務委員会への委任事務あるいは市町村長への委任事務、これは法律本数といたしますとダブる面がございます。私ども作業上の便宜といたしましては、一応その法律本数の方で各省には作業お願いしております。約四百の法律を見直すようにお願いをいたしているわけでございます。
  19. 大林勝臣

    大林政府委員 先ほどの数の増減関係でございますが、先ほど五百六十近い数字法律機関委任事務関係法律として現在残っておると申し上げましたのは、その後の増減を一応見比べました結果の現在生きておる機関委任事務関係法律の数、こう御承知おきいただきたいと思います。
  20. 三谷秀治

    三谷委員 そこで、約四百の法律ということがいまお答えで挙げられました。整理合理化対象とする法律というのはすでに四百として確定しているということなんでしょうか。
  21. 八木俊道

    八木説明員 これは正確には若干議論があるところも、ごくわずかでございますが、ございます。何が機関委任事務であるかということにつきましては、厳密には私ども余り詳しくございませんが、実定法上の概念が明確でない面もなくもございませんので、見方によりまして多少の件数の出入りはあるようでございます。しかし、各省お願いをいたしております合理化目標の数に大きく響くようなものではないと思っております。
  22. 三谷秀治

    三谷委員 そこで、各省にお尋ねしたいのですが、最もたくさんの機関委任事務を掌握されております厚生省、これは事務数は百三十八となっておりますが、関係法律は何本なのか、整理合理化対象として考えていらっしゃる法律、これをお示しいただきたいと思う。  それから、農水省運輸省文部省も、それぞれ対象となる関係法律は何本と確定されておるのか、お聞きしたいと思います。
  23. 花輪隆昭

    花輪説明員 お答え申し上げます。  厚生省におきまして整理合理化検討対象となる法律数は九十本程度でございます。このため、閣議決定の線に沿いまして、現在その一割程度でございます九本程度法律につきまして行政管理庁といろいろと相談をしておる、こういうところでございます。
  24. 谷野陽

    谷野説明員 お答えいたします。  農林水産省関係で現在自治法別表に掲げられております法律の数は六十八本でございます。ただ、先ほど先生指摘がございましたように、その後多少追加になったものもございますし、また廃止法律もございますが、出入りの数は余り変わっておりませんので、大体この数程度というふうに考えておるわけでございます。
  25. 丹羽晟

    丹羽説明員 お答え申し上げます。  運輸省関係対象となります法律の数は二十本程度考えております。したがいまして、いま整理合理化検討しております法律の数は二本という形で考えております。
  26. 加戸守行

    加戸説明員 文部省関係検討対象法律本数は、約二十五本というぐあいに理解いたしております。閣議決定の線に従いましてその一割程度ということで、少なくとも二本程度法律整理合理化したいと考えておる次第でございます。
  27. 三谷秀治

    三谷委員 運輸省にお尋ねしますが、整理合理化基準をどのようにお考えになっておるのか。
  28. 丹羽晟

    丹羽説明員 お答え申し上げます。  運輸省といたしまして、整理合理化基準といたしましては、臨時行政調査会答申で示されております内容、その趣旨を踏まえまして、それを考えていきたいと思っております。たとえば社会経済情勢変化に伴い必要性が乏しくなっているかどうかとか、そういったような点を踏まえまして検討いたしております。
  29. 三谷秀治

    三谷委員 要するに、法律が形骸化してしまって実効性がなくなったものがかなりあるわけでありますが、その種の法律整理対象に挙げて、数だけそろえるというふうな考え方が生じておるのではないかということを私は感じております。要するに、地方分権要請にこたえるというのではなくて、スクラップ事務整理をやって事成れりとする、そういう行政姿勢がありはしないか、そういう懸念を私は持つものでありますが、運輸省具体にはどういう内容法律というものを対象にされておるのか、もう一度お聞かせいただきたいと思う。
  30. 丹羽晟

    丹羽説明員 お答え申し上げます。  ただいま具体的な検討内容につきましては、行政管理庁とも、または他の省庁との関係もございますので、政府部内検討しておる段階でございますから、もう少しお時間をいただきたいと思います。
  31. 三谷秀治

    三谷委員 全国知事会が昨年四月にまとめました「地方に対する権限移譲、関与の整理について」という提言がありますが、これによりますと、陸運行政に関しては自治法別表第三の百二号に掲示されております道路運送法に係る機関委任事務のうちで、都道府県区域内においてのみ事業活動を営む自動車運送事業に係る許認可等都道府県にその権限移譲する方が県民の足を守る上で必要であるとする趣旨提案をしております。  運輸省は、こうした地方側改革意見に耳を傾けて前向きに改善する必要があるのではないかと思いますが、この点についてはどのような御見解でしょうか。
  32. 丹羽晟

    丹羽説明員 お答え申し上げます。  私どもも、許認可事務を初めといたしまして事務検討に当たりましては、関係各方面の御意向をできるだけそんたくしながら検討を進めておるところでございます。ただいま御指摘道路運送法関係のことにつきましては、もちろん一県内にとどまるという事業内容もございますが、最近の経済情勢を反映いたしまして広域化しているという面が相当あるわけでございます。そのようなあたりを勘案しながら、いま現在は検討しておるところでございます。
  33. 三谷秀治

    三谷委員 昭和五十五年の十二月にまとめました知事会の「機関委任事務整理再配分について」の報告では、自治法別表三の百十六号に掲示されております都市計画に関する知事への機関委任事務について、「都市計画区域の指定、都市計画決定・変更、開発行為建築制限等都市計画制限等事務は」、「建設大臣認可制度はこれを廃止し、」「都道府県事務に移し替えることが適当である」としております。そのほか、都市計画事業施行に関する建設大臣認可大臣の指示及び代執行制度についても廃止を求めて、国の地方に対する介入をやめることを求めております。  建設省は、こうした地方側改革意見を今回の一割整理の中において検討対象としていらっしゃるかどうか、お聞きしたいと思います。
  34. 山本重三

    山本説明員 ただいま先生指摘知事会から提言がありました都市計画関係機関委任事務移譲等についてでございますが、都市計画法事務につきましては、昭和四十三年度に、大正八年以来の法律を全面改正いたしまして、この機会に国の事務あるいは機関委任事務あるいは地方事務のあり方について根本的に見直したところでございます。それ以来十数年、現在その新計画法に基づいた運用がなされておるわけでありますが、現時点で私ども判断します場合に、都市計画の性格、たとえば広域性、一体性を考慮しなければならないとか、あるいは都市計画事業の性格、たとえば都市計画事業として認可されて施行される場合には収用権が付与されるとか、そういった都市計画ないし都市計画事業の性格上、これらを知事ないし地方公共団体移譲することは適切でないと考えております。この点は、さきの臨時行政調査会の部会等におきましてもいろいろ議論がありましたところでございますが、私どももこの必要性を主張し、委員先生方には御理解をいただいて今回の答申をいただいたというふうに理解しております。
  35. 三谷秀治

    三谷委員 広域性という問題はますます強まってくる、そういう社会的な状況になっておりますけれども、同時に、具体の地域の意見をよく参酌するということ、この調整ということがやはり重要になってきている。そういう点からして、地方意見をどのように反映させるかという点についての検討をやる必要があると私は思っておりますが、そういうことをする意思は建設省はお持ちになっていないというわけなんでしょうか。
  36. 山本重三

    山本説明員 都市計画制度の運用につきましては、当然地方自治体あるいは地方住民の意向を十分参酌して実施しなければ、実りあるものにはならないということは十分理解しております。たとえば、いわゆる市街化区域、市街化調整区域決定につきまして、これは知事都市計画決定いたすことになっておりますが、最近の見直し作業に当たりましては、見直しの原案は市町村が作成して、その上で知事決定するという形で運用するというような指導をしているところでございまして、そういった点は十分配慮していく考えでございます。
  37. 三谷秀治

    三谷委員 整理合理化の方法について、抽象論ではなかなかかみ合いませんから、たとえば文部省所管の法律に学校給食法というのがあります。この法律に関して自治法別表には三種類機関委任事務が記載されております。一つ知事に対するもので、私立義務教育学校への給食設備補助金執行に関する事務及び給食実施状況の把握であって、別表三、一、百二十八号であります。二つが都道府県教育委員会に対するもので、公立義務教育学校について、さきの知事に対するものと同様の規定となっております。これは別表第三、二の十三号の三に記載されております。この二つは同種の事務であります。なお、この号には府県立義務教育学校の父母に対する給食補助に関する認定事務がありますが、これは別表第四の第三、つまり市町村教育委員会機関委任されておる五号の三の三つ目の事務も同様でありまして、この二つが同種の事務となっております。  要するに、学校給食法による機関委任事務は形式的に三つでありまして、内容的にも給食設備補助に関するもの、給食実施状況の把握に関するもの、父母への給食補助に関するものの三種に整理できると思いますが、文部省に念のために確かめておきたいと思います。
  38. 加戸守行

    加戸説明員 先生ただいま御指摘のように、給食関係機関委任事務につきましては、いまの三つに分類できると思います。
  39. 三谷秀治

    三谷委員 そこで、各省においては機関委任事務整理合理化作業中であるということでありますが、各省ごとの結論はまだのようであります。仮にこの学校給食法を整理合理化対象法律と仮定しました場合、整理合理化をどのように行うのか。学校給食法を廃止するか改正してその事務をすべて地方に渡すことも考えられますが、給食設備の補助制度がある限り、これに関する事務廃止はできない。給食の実施状況というのも全国的に把握する必要があると文部省考えるならば、この実態把握も必要になってくる。父母への給食補助も、補助制度を続ける限りにおいては、この認定事務も必要がある。そうすると、一体何をどのように整理合理化するのか、どうにも解釈が非常に困難なわけでありますが、こういう点についてどのようにお考えなんでしょうか。
  40. 加戸守行

    加戸説明員 もちろん、学校給食関係事務につきましても、整理合理化対象となるという考え方で種々検討はさせていただいているわけでございます。  ただ、この場合に一つ問題がございますのは、先生御承知のように、私立学校につきましての事務都道府県知事の所管でございますし、公立学校に関します事務は教育委員会という形でそれぞれ所管が異なっておりまして、そういう体系のもとに、同種の事務ではございますが、都道府県知事あるいは教育委員会という形で分掌するシステムをとっておるわけでございまして、そこのところを法令上の所管を変更することなく、単にこのような補助金交付事務あるいは調査事務という形のものだけを統合するということは、いかがなものかと考えておる次第でございます。  それから、市町村教育委員会におきます学校給食費の補助の認定事務でございますが、これは対象となります事柄が、各市町村におきます児童生徒あるいは個人の家庭の状況等しんしゃくいたしまして個別的に市町村で認定をする仕事でございますので、こういったものをまた別個にいまの給食の一環として整理合理化するのはかなりむずかしいのではないか、そう考えておりまして、文部省対象法律全体の中で整理合理化ができるものということを、視点合わせて検討している次第でございます。
  41. 三谷秀治

    三谷委員 事務の幾つかについて多少の整理合理化ができるとしましても、学校給食法の例でいけば、この法律に基づく機関委任事務については、何らその数においては変更がないという結果になってくる。これは一例でありますけれども、そうしますと一割の整理合理化というのは具体的にはどういうことになるのか、まことに実態がわからなくて私ども判断がつきかねておりますけれども行管庁はその点どういうふうな御見解でしょうか。
  42. 八木俊道

    八木説明員 お答え申し上げます。  確かに御指摘のとおり、まだ全貌が詰め切れてないわけでございますが、行政管理庁としては、極力国と地方との行政の実質的な関係改善という趣旨に即応した内容あるものを取りまとめていきたいということを考えておる次第でございますが、ただ何分にも、各省行政の立場からいたしますと、それぞれ特定の行政分野の重要ないわば行政責任、政策手段という形の制度裏づけを持った問題でございますものですから、その抜本的な見直しということはなかなかに困難である。ただ、今日、高度成長時代の行財政の制度、慣行を全面的に見直すという機運の中にございますので、ひとつ極力実質的な整理合理化を図っていただきたいという方向各省お願いを申し上げている次第でございます。
  43. 三谷秀治

    三谷委員 自治省関係機関委任事務というのは十七に上ると思いますが、この自治省機関委任事務整理合理化対象とされると思いますけれども、これはどのように、どの種類のものを対象として具体化されようとしているのか、お聞きしたいと思います。
  44. 大林勝臣

    大林政府委員 現在、省内各局でそれぞれの所管の法律について具体的な検討お願いをしておるところでありますが、現在の段階でたとえば一つの例として申し上げますと、住居表示に関する法律というのもございます。住居表示に関する法律で、いろいろ知事市町村に対する報告とか勧告とか、いろいろな技術的な援助とか助言とか、こういったものが機関委任事務として上がっておるのでありますが、こういうものを団体の事務にしてはどうかとか、あるいは税の関係で、自動車重量譲与税とかあるいは地方道路譲与税とか、いわゆる譲与税関係法律がありますが、こういった法律で、市町村に対する交付金の算定とか錯誤の問題でありますとか、こういった種類の仕事が機関委任事務になっておるわけでありまして、こういうものを別途工夫することによりまして、機関委任事務廃止することができるのではないかという方向検討が進められておるところであります。
  45. 三谷秀治

    三谷委員 大臣にお尋ねしますが、お聞きのような内容であって、これが一割整理政府取り組みの実態ということになるわけでありますが、これで果たして地方側が要望しております機関委任事務廃止という問題が達成できるだろうか、そういう心配を私どもは痛切に持つわけでございますが、実態からすると、ほとんど自治体側の要望というものが積極的に取り組まれる、そういう状況にはなっていないのではないか、これについて大臣の所見をお聞きしたいと思います。
  46. 山本幸雄

    山本国務大臣 確かに地方自治の理念というものはよくわかる、しかし、ひとり機関委任事務のみならず、具体的な内容になってきますとなかなか簡単に進まないというのが私の一般的な感想であります。  機関委任事務につきましても同じような感じがするのでありまして、中央官庁から言えばやはりそれぞれに理由があるということでございましょうけれども、私は、やはり中央と地方との間にもしありとすれば不信感が根本であって、そういう不信感をお互いに除去していくという努力をしなければこの問題は進まない、地方自治の前進も私は容易ではない、こう思うのであります。しかしながら現状は、私は何らかのそういう不信感があるような気がするわけで、もとより中央官庁もひとつ全体として努力をしていただかなければならぬし、また一方、地方も努力をして、お互いに国民のためあるいは地域住民の福祉のために努力をしていかなければならぬというのが筋でありますから、今後とも努力をするわけでありますが、一割を当面やるということについてもなかなかむずかしい問題がある。だんだんに私はむずかしい項目に行き当たっていくと思いますので、なかなかこれは容易なことではないという実感は確かにいたします。しかし、臨調答申もあり、また今後の推進の機関として審議機関というのも何らかの形で設けられていくわけでありますので、それらを中心として、ひとつむずかしい問題ではあるけれども、今後一層の努力を政府としてもしていきたい、こう思うわけでございます。
  47. 三谷秀治

    三谷委員 いま少しばかりお尋ねした結果を見ましても、名実とも機関委任事務の大部分地方自治体権限を持つ事務として地方移譲するということはまず不可能、百年河清を待つという感じを非常に強くしたわけでありますが、これは長年にわたります懸案でありますし、また地方自治の本旨という点からしましても解決しなければいけない問題でありますから、一層大臣の卓抜な政治力を発揮していただきますよう要望したいと思うのです。  もう一つお尋ねしますが、臨調答申は、機関委任事務の一割の整理方針とは別に、基本的な認識あるいは見解として「選択と負担」という考え方、そして「標準行政」という考え方を押し出しております。  この両者の関係は、すでに指摘されておりますように、国が標準的な行政として地方交付税の算定の基礎として用いている基準財政需要額に盛られております各種の行政水準に全国の自治体行政が到達したのであるから、この水準を維持する財源は国が保障するとしても、住民がそれ以上の高い行政水準を望む場合は、それは住民の選択によるものだから、地方税や使用料など住民負担による財源を充てることを原則として、この標準行政を超える経費について国はそれを負担する必要はないとしております。つまり、国から地方への財政支出に歯どめをかけるわけでありますが、その論拠としてこのような論理が構成されておると思うわけであります。  自治大臣は、この考え方、この臨調の現在の地方行政水準の評価の問題についてどのように受けとめていらっしゃるか、お聞きしたいと思うのです。
  48. 山本幸雄

    山本国務大臣 いまの「選択と負担」という考え方ですが、これは現在の地方行政の中でも、留保財源とかあるいは超過課税とか法定外普通税といったようなものもやりまして、何らかの形では独自の政策を行う上においてそれぞれの選択と負担は行われていると思います。  ただ、臨調答申でいろいろお考えがある中で、留保財源等を圧縮して財源調整を強化して、その上でいわゆる独自行政は選択と負担において行うべきである、こういうことで、もしそれをやるならば超過課税あるいは法定外普通税でやるべきである、こういうようなお考えが示されております。しかし、今日の地方財政の現状から見れば、税源も貧弱でありますし、財源確保の上においてそういう面での多きを期待することはやはり無理ではないかという感じがいたすのでありまして、現実に独自行政の部門について「選択と負担」という理念を実現していきますことにつきましては、今日の税制を前提として考えたときに現実にはかなり制約が存在する、こう思うわけでございます。  また、「標準行政」という言葉が出てまいりましたが、これは臨調の方でお使いになっておるわけでございます。それで、「標準行政」とは何ぞやということでございますが、これは、地方公共団体が標準的に行うべき行政の範囲がある、それは「各地方公共団体が行う行政のうち、地方交付税算定上の基準財政需要額の対象とされている「標準的な施設を維持し、標準的な規模において行う行政」」だ、こういうことでございますけれども、交付税の基準財政需要額と一体どういうふうにかみ合うのかということになりますと、標準行政の財源的な考え方もいろいろに分かれてくることでございまして、標準行政というものの考え方、そしてそれを財政的にどう実現していくのかということになってまいりますと、かなりいろいろの問題点が残る、こういう感じがいたすわけでございまして、臨調答申の今後の取り扱いといいますか、あるいは今後の進め方についてはいろいろ検討をしてまいりたい、こう考えておるところであります。
  49. 三谷秀治

    三谷委員 先ほど申し上げましたように、予算委員会で標準行政に関する資料厚生省に求めましたところ、厚生省から提出された資料がありますが、これは実は自治省基準財政需要額の算定に際してこの基礎を示した行政項目とその内容でありますが、この点は自治省は御承知になっておりますでしょうか。
  50. 石原信雄

    ○石原政府委員 標準行政として具体的にどのような資料要求を厚生省にされたのか、私ども見ておりませんので承知しておりません。
  51. 三谷秀治

    三谷委員 見てください。
  52. 石原信雄

    ○石原政府委員 ただいま資料を拝見したところでは、これは市町村分の生活保護費、社会福祉費等について、現在の地方交付税の積算の前提として、標準団体の事務内容あるいは職員数その他の内容を示しているように思います。
  53. 三谷秀治

    三谷委員 つまり、自治省基準財政需要というものが標準行政内容とされていることがわかるわけでありますが、この基準財政需要額を確保するために自治体も自治省も大変苦労されているという状態ですから、すでに標準行政が実現をしたらそれ以上の国の支出は必要がないというふうな考え方は当たらないと私は思うわけであります。  そこで、いま差し上げました資料の中に社会福祉費という項目がありまして、次にその項目に属する行政事務内容が八項目にわたってさらに区分されておりますが、この中の六番目に社会電祉諸費というのがあります。これはどういう行政内容のものか、お聞きしたいと思います。
  54. 石原信雄

    ○石原政府委員 市町村分の社会福祉費の単位費用の積算の各項目の中に社会福祉諸費という項目がございます。この社会福祉諸費においては、児童福祉法及び身体障害者福祉法の施行事務のうちで、重度心身障害児の家庭奉仕員あるいは身体障害者家庭奉仕員、それから老人家庭奉仕員のこれらの職員の設置に関する事務、それから日常生活用具の給付等の在宅福祉に関する事務、それぞれこれらの事務については国庫補助金が支出されているわけでございますが、それの市町村負担額を算入するように、それぞれ経費の積算を行っているところでございます。
  55. 三谷秀治

    三谷委員 要するに、ホームヘルパーの制度の問題であることがいま説明されましたが、そこで、このホームヘルパー制度基準財政需要額にどのように組み込まれているのかということについては、これは時間の関係がありますから詳細な説明は求めませんけれども、要するにホームヘルパーの人件費が基礎になっている、そういう性質のものだと思いますが、そうでしょうか。
  56. 石原信雄

    ○石原政府委員 具体的な経費の積算に当たりましては、国庫補助金のそれぞれの積算単価に準拠して標準団体の人件費を積算しているものでございます。
  57. 三谷秀治

    三谷委員 これによりますと、昭和五十八年度のホームヘルパー一人当たりの年間の人件費が、活動費三万円を含めまして百三十六万五百六十円計上されております。そこで自治省にお尋ねしますが、この額は厚生省のホームヘルパー派遣事業補助の一人当たりの補助基準額が横滑りで計上されているわけなんでしょう。そうしますと、計上額が五十八年度は据え置かれておりますのはどういうわけか、お聞きしたいと思います。
  58. 石原信雄

    ○石原政府委員 この経費は、ただいま説明申し上げましたように、国の補助金の単価を基準として積算しております。ところで、五十八年度においては、このホームヘルパー関係の国庫補助金の単価が前年度と同額に据え置かれておりますので、交付税の積算に当たりましても同額に据え置いた次第でこざいます。
  59. 三谷秀治

    三谷委員 月額にしますと十一万八百八十円ということになりますが、これが常勤ヘルパーの月給ということになるわけです。これの十二カ月分で百三十三万、常勤ヘルパーにはボーナスの支給すら認められておりません。これがいわゆる行政上の標準である、こういうふうになるわけですけれども、そういう考え方、そういう実態を是認できるわけでしょうか。
  60. 石原信雄

    ○石原政府委員 家庭奉仕員の報酬単価がどの程度が標準であるべきなのか、これらについては一義的になかなか決められないのですが、私どもとしては、現行制度上このホームヘルパーの設置費に対しては国から補助金が出されておりますので、その補助金は、今日の財政状況のもとで所管省として十分検討され、適切妥当なものとして決められたもの、このように理解しております。  そこで、地方交付税の計算においては、その単価を基準にして、国が定める補助率に見合う地方の負担額を確保する趣旨で、必要な経費の積算を行っているところでございます。
  61. 三谷秀治

    三谷委員 厚生省にお尋ねしますが、この事業というのは、国が三分の一、府県が三分の一、この補助を受けまして、市町村が残りの三分の一を一般財源でもって充てて実施しておる、このように承知しておりますが、それで補助基準額どおりに果たして実施できておるだろうか。自治体が独自に人件費加算を行って、いわゆる超過負担として実施しなければならないのではないか。各自治体の実情を把握されておりますでしょうか、お尋ねしたいと思う。
  62. 佐々木典夫

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  家庭奉仕員の補助単価百三十六万円ということが低過ぎやしないか、それに関連しまして、地方の実情を承知しておるかということでございます。  お話ございましたように、この家庭奉仕員の制度につきましては、国が三分の一の補助ということで制度ができましたのが昭和三十七年でございまして、二十年、この間で制度としては相当に定着してまいっております。ホームヘルパーの数も相当にふえてきておりますが、大変御苦労の多い仕事でございますので、私どももその処遇改善というか、実質この手当の改善についてはそれなりの努力をいたしてきております。現在の水準に関しましては、私どもも国の補助単価は決して高いものであるというふうには思っておりません。  そういう意味合いでは、人勧の動き等もにらみながら所要の改善を図り、改善に努力してきておるわけでございますが、現実にいまお話がございましたように、地方の実情を見てみますと、たとえば東京都の例なんかでございますと、ヘルパー、家庭奉仕員の大部分がいわゆる一般職の公務員というか、常勤の公務員になっているところもございます。全国の報告を見ますと、約二割程度そういうところがございますが、多くは現実にいわゆる嘱託の職員というようなことで常勤的な勤務をしている、それが多数でございます。なお、そのわが国の状況を見ますと、全体にこの常勤的な勤務が九割を占めているのが非常に特色でございます。  それで、私どもとしましては、これから非常に人口の老齢化が進み、特に年齢の高いお年寄りがふえてまいりますから、お世話を要する方も当然ふえてまいりますので、これに対応できるような仕組みをつくっていくということになりますと、この家庭奉仕員の制度はこれからも相当飛躍的に充実していかなければならぬ、こういうふうに思っております。そういう面から見てまいりますと、実は先進のヨーロッパ諸国もそうでございますけれども、相当に供給面でも弾力的な対応をしていくということもある程度必要ではなかろうかというふうに思っております。現状では、先ほど申しましたように二割程度の常勤の職員というのがおるわけでございますけれども、今後はヘルパーの増員という観点からは、申しましたように勤務形態の弾力化、端的に申しますと、常勤のみならず非常勤職員、日勤あるいは時間給の職員等についても導入することによりまして、このホームヘルパーの制度を安定的なものに充実していく必要があるだろう、このように考えておる次第でございます。
  63. 三谷秀治

    三谷委員 少しお答えが抽象的といいますか、私のお聞きしたこととはすれ違っておるので、私は、この待遇をもってしてホームヘルパーというものが確保できるでしょうか、そして地方の実態はどうでしょうか、こういう意味のお尋ねをしたわけであります。時間の都合もありますから重ねてお聞きしませんけれども、この月十一万円の基準ではホームヘルパーの確保はできません。  幾らか私も調べてみましたが、国の基準であります百三十三万、これでは不可能でありますから、たとえば、広島市では年間百五十一万円。福岡市では、国の基準の十二カ月分に三・五カ月分を積み上げる。それから北九州市では、四千五百円を国の月額分に加算したもの、これを年間十二カ月ではなしに十六・九カ月分支給する。札幌市でも、ボーナス分として年間五十六日分程度を認めているため、基本給が年約百八十万円となっております。このように、都市部におきましてはヘルパーの待遇改善が国の基準を超えて行われておるわけであります。  この待遇改善といいますのは、単に国の基準の上乗せというだけではなくて、ヘルパー活動の水準の引き上げ、その能力の向上という要請が高まった結果、都市部の市町村中心に、その身分を正規の市町村職員として処遇するというところがふえております。  厚生省のまとめによりましても、東京都二十三区と都下市町村では、常勤ヘルパーの場合、八百十三名全員がいわゆる定数内職員となっている。そのほか、神奈川県下の九七%、埼玉県下の六九%、千葉県下の四八%、大阪府下と兵庫県下の三一%などが市町村の正規の職員となっております。指定都市では、大阪市が二〇%のほか、横浜、川崎、名古屋、神戸の各市ではほぼすべてが市の正規職員となっておるようであります。  こうして常勤ヘルパーの処遇を全国的に見てみますと、約一万一千名の常勤ヘルパーのうちで四二%が社会福祉協議会職員となっているものの、残りは市町村の職員であります。このうち市町村の正規の職員は三八・五%、つまり四割に上っておるわけであります。正規職員の待遇は、当然その市町村の一般職員として遇されておりますから、国の補助基準とは大きな開きが存在するわけであります。  神戸市のヘルパーは全員が定数内職員ですから、その一人当たりの平均人件費は、五十六年度決算で年間四百十万円だということであります。国の基準は当時百二十七万でありましたから、超過負担率というものが三二二、つまり国基準の三・二倍の人件費負担ということになるわけであります。  このようにしまして、都市部を中心にヘルパーが市町村の正規職員化しておることは、ヘルパーの質的向上と同時に、国の基準額ではヘルパー制度そのものが維持できない、なり手がないということを示しておるわけであります。これは国の標準行政の水準が実情に見合って適正でないからであって、国の制度が、実は市町村の自主財源に支えられて初めて成り立っておると言えるわけであります。国の基準は、過疎地などではあるいは通用するところがあるかわかりませんが、少なくとも都市部におきましてはしょせん無理な基準になっておる。  これについて、自治省あるいは厚生省はどのようにお考えになっておるのか、お聞きしたいと思います。
  64. 石原信雄

    ○石原政府委員 私どもは、地方交付税の積算に当たりましては、法令の規定あるいは国の予算の内容等を踏まえて、各種行政について、現行制度のもとで標準的と考えられる水準、内容の経費の積算を行っているところであります。したがいまして、個々具体の経費について現実の行政との間に若干の乖離が生ずる、地方の実情が交付税の想定と異なる展開を示している、こういう事態が起こることはある程度やむを得ないと思います。また、これに対応できるように、現在は、御承知のように、基準財政収入額の算定におきましては、市町村の場合には標準税収入の七五%にとどめている。すなわち、二五%は各自治体においてそれぞれの実情に応じた行政対応ができる財源的な裏づけをやっているところであります。しかし、それにしても個々具体の標準行政につきましては、その現実の行政の動き、実態というものも踏まえながら、積算内容改善にも努めていかなければいけない、このように考えております。  ただ、ただいまのホームヘルパーの問題につきましては、その勤務形態が常勤であるべきなのかあるいは非常勤であるべきなのか、この辺につきましては、この制度のあり方そのものについて政府部内でもいろいろ御意見があるところであります。これは行政の実態あるいは関係の職員の勤務の内容、こういったものを総合勘案して決めらるべきものであり、現状においては非常勤という前提で制度が成り立っておりますものですから、地方交付税の算定におきましてもそれに準拠して積算を行っているということでございます。
  65. 佐々木典夫

    ○佐々木説明員 ホームヘルパーの勤務の実態については、御指摘ございましたとおりでございます。都市部におきましては、確かに定数内職員が多い。東京を初め指定都市等ではそういう状態でございます。しかしながら、全体で見ますと、定数内職員は全国の数字で見ますと約二〇%ということで、その他は、先ほど私が申しましたとおり、いわゆる嘱託職員ということでカバーしているのが現状の姿でございます。  いずれにいたしましても、この家庭奉仕員の制度につきましては、これからも需要が増大していくことは、これはもう確実に考えられますので、そういう意味では、それを伸ばすためにも補助基準額の改善ということについて引き続き努力をいたしますとともに、量の面での確保ということも大切でございますので、計画的な増員を図りながらホームヘルパーの補助基準額の改善には今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。
  66. 三谷秀治

    三谷委員 財政局長は、留保財源をこの種の超過負担に充てるためにあるんだというふうな意見をいまお述べになりましたが、超過負担を前提にして、それを正当視するというふうなことは、初めて私は聞いた。いままで、この十年間の議論でそういう意見は初めて私は伺った。留保財源というのは、地方自治体の独自施策を中心にして標準税収の二五%、市の場合ですけれども、これを残すということになっておるわけであって、超過負担が出るからその穴埋めの財源として留保財源を残しておるというふうなものではないし、そういうものであってはならぬと私は思う。  ですから、ここで出ましたこの超過負担、いま幾つかの都市の実例を挙げてお聞きしましたけれども、それは留保財源で片づけろというふうな議論は暴論である。これは私は承知はできません。当然国の施策におきましては必要な金額は正確に算定をするということは、これは財政法でも明らかに規定されておりますし、明らかな原則であります。それが損なわれておるのではないかということをお聞きした。そうして、しかもそういう算定というもの、つまり基準財政需要の算定というものが標準行政内容になっておる、そこに非常に問題があるという意味のお尋ねをしたわけであります。ですから、超過負担が出るものは、これは当然解決をしていくという態度をとってもらわないと困ります。  まあ、非常勤を前提としておるというふうな、いろいろ議論があるという話でありますが、実態は非常勤ではないのであって、さっきも説明しましたように、一般職員としてこの業に従っておる人が非常にふえてきつつあるわけでありますから、それを非常勤の職員でおるのは、いわば日雇い職員のような考え方でこれを見ていかれますと、これは実態とはなはだしく乖離する。そういう点からしまして、これにつきまして私は自治省としても十分な検討を加えて、改善すべきものはするという態度をとってもらう必要があると思うのです。
  67. 石原信雄

    ○石原政府委員 ただいま私の答弁、ちょっと足らざるところがあったと思いますが、私が申し上げたかったのは、地方交付税の積算においていろいろ標準的な水準というものを想定しておりますのについて、個々具体行政によっては、各団体によってその水準と異なる内容行政を行わざるを得ない場合もある、そのために留保財源というものがあるということを申し上げたわけですが、ただ、国の法令によって一定の事務地方に義務づけられ、それについて国の補助金、負担金が支出されている場合に、その国の補助金や負担金の積算内容が法令の規定において想定される行政に足りない、いわゆる超過負担を生ずるような場合においては、これは先生おっしゃるとおり補助基準の方を改めるべきでありまして、交付税制度によって国の足らざる部分を肩がわりするということは、これは許されないと思うのであります。超過負担を交付税が肩がわりする、そういうことを申し上げたわけではございません。したがいまして、現在の交付税は国の補助基準等に準拠して積算内容を定めておりますが、それが明らかに社会経済の実態に合わない、あるいは法令の基準にも合わないということであるならば、当然その実態を踏まえて積算内容の方を改めていくべきものであろう、このように思います。  ただ、いまのホームヘルパーの問題につきましては、その勤務形態あるいはそれとの関連において、報酬の金額のあり方、さらには、基本的にはこれは常勤であるべきなのか非常勤でいいのか、ここら辺について、もとに大いに議論があるものですから、私どもとしては一応所管省において現在定められておる基準に準拠して積算をしているということを申し上げた次第でございます。  繰り返し申し上げますが、決して超過負担を留保財源で肩がわりするという趣旨で申し上げたものではございません。
  68. 三谷秀治

    三谷委員 補助基準額が基準財政需要の単価基準になる、これは同一部門でありますが、そこで補助の低いのを交付税で穴埋めはできない、この理論はよくわかります。  そこで厚生省、どうですか、厚生省事業として厚生省が補助金をここに配分されるわけでありますから、厚生省として低過ぎる基準額を改善する必要があるのではないか。これが改善されますと、交付税の単価基準改正されていくということになってくるわけですから、まず厚生省がこれについて改善する意思をお持ちかどうか、お聞きしたいと思います。
  69. 佐々木典夫

    ○佐々木説明員 家庭奉仕員の補助金につきましては、ここ十年来、人勧等の動きをにらみながら所要の改善を図ってきております。家庭奉仕員は勤務に御苦労の多い仕事でございますので、補助金の改善については今後ともできるだけの努力をしていきたい、このように考えております。
  70. 三谷秀治

    三谷委員 まあ、人勧の凍結で据え置きにしたということも言われますが、地財計画では人件費は一%の先組みにもなっておるわけです。国の人件費も同じパーセンテージの先組みが行われておるという状況であったわけでありますから、たまたま政府が給与改定についての人勧を据え置いたからといって、いま申しました事情に置かれているホームヘルパーの非常に低廉で劣悪な条件についてまで機械的に同一に扱っていくという必要はないと私は思いますけれども、こういう実態を勘案しながら具体に即した措置というものがとれないのかどうか、お聞きしたいと思うのです。
  71. 佐々木典夫

    ○佐々木説明員 家庭奉仕員の補助金の改善につきましては、先ほど申しましたとおり人勧等をにらみながら改善の努力を重ねてきておりまして、実は昭和五十六年度におきましては、人勧の改善率に若干プラスした改善を行った経過もございます。ただ、五十八年度におきましては、福祉に関係するほかの職員の給与も含めまして人勧並びで一律の扱いとなっているような事情もございまして、五十八年度の補助金については改善を見ていないわけでございますが、私どもとしては、この措置については全体の政府の統一方針の中からやむを得ないものというふうに考えております。しかしながら、現状の水準で十分という認識ではございませんので、今後とも改善の努力は引き続きしていきたい、このように思っております。
  72. 三谷秀治

    三谷委員 五十九年度の予算要求においては大幅な改善をすべきだと思いますが、そういう御意思がありますか。
  73. 佐々木典夫

    ○佐々木説明員 五十九年度の予算要求の作業はこれから入るわけでございますが、私どもも、老人福祉の関係予算全体を扱う中で、所要の改善については当然検討してまいっていきたい、このように考えております。
  74. 三谷秀治

    三谷委員 自治大臣にお尋ねしますが、きのう大蔵大臣にもお尋ねしましたけれども地方行財政に対して特に財政面からのいろんな圧迫というものが強まってきている。たとえば、きのうも言いましたけれども、私は十年間地方行政委員をやっておりますけれども、一時におきましては、交付税特会からの借入金なんというものは、全部国が償還に当たったということでありました。これはあたりまえなことであって、自治省基準財政需要と基準財政収入を計算をして、そして需要額に足りない収入額の補てんは国がするという、これはもう交付税の原則になっておる。国がしなければだれがするのかということです。  ですから、そういう計算の上に成り立ちます不足分というものは、当然国が保障する。その保障をするのはどういう手段でするか。これは法律改正が一番正しいわけでありますけれども法律改正をしないわけでありますから、やむを得ず国が支払いを責任を持つ借入金などでもって今日までやってまいりましたが、その借入金の二分の一を地方が持てと言い出した。それを持つようになってきた。今度はその利子、これも当然国が全額持っておりましたけれども、その半分をまた地方が持てと言い出した。それを持つようになった、今年度からでありますが。そして、きのうあたりの新聞にも出ておりますように、やがてはその借金は全部地方が持て、利子も全部地方が持て、こういう構想まで示すという状況になってきた。私は、一体今日の大蔵省というものが、地方自治という問題あるいは地方行政という問題、地方財政という問題、どう考えているのか、全く理解に苦しむところであります。  きのうの大臣の答弁などを聞いておりますと、これは全然的外れなことを言っている。時間が制約されますから詰めた話ができない。そこを奇貨おくべからずとして、いいかげんなところで物事が終わってしまうということでありますが、どうでしょうか大臣、こういうふうにしてまさに一城一塞を陥れて、そしてますます地方の財政というものを困難に追い込んでいって、そしてそのことは、同時に住民に対するサービスの低下、行政水準の低下ということを当然もたらすわけでありますけれども、攻撃し放しにされて、そして地方自治の本旨というものが次々と侵害されるという状況に対して、もう少しこれはまなじりを決して対応するという必要があるのではないかと私は痛切に感じておるわけであります。  しかも、議会における決議なども、自民党の方は数が多いものですから、いろいろな議論が出ておってもその議論が生かされない。論理があり、道理があっても、その議論が通らないというふうな状況にもあります。しかし、それにしても、自治大臣としてはこういう事態に対して本当にしっかりした対応をしていかなければいけないのではないか。まさに私は、地方行財政、地方自治の危機が来ておるというふうな考え方を持つものでありますが、大臣の所感と決意をお聞きしたいと思うのです。
  75. 山本幸雄

    山本国務大臣 きょうは大蔵大臣がいないのが大変残念であります。ただいまのお話は、地方自治、またその土台になる地方財政の確立という大変大きな命題のお話であります。  いまお話は、十年来地方行政についていろいろ御審議を賜ってきたというお話でありました。十年間のわが国の経済の動きは、相当高低があったと思うのです。税収はやはりその景気なり経済の状況に左右される要素が相当強いということ、そこで、財政的には何がしかの変遷があったと私は思うのです。今日のわが国経済の現状は全く安定成長である。これから将来どういう姿になるのかわかりませんけれども、しかし、少なくも過去の高度成長みたいなことは起こりそうにない。やはり安定成長の横ばい経済が常識であろう。  そういう事態を踏まえて、いま地方財政はおっしゃるとおり大変な借金を抱え、また毎年毎年借入金でとにかくつないでいくという事態であります。また、国の財政でももう相当、御存じのとおりの状況であります。よく言われる言葉に、国家財政と地方財政は車の両輪である、こう言われておるわけでありますが、何といいましても、地方財政を充実するということは地方自治の根幹、土台でありますから、この問題を、おっしゃるように私は切実に考えていかなければならないと思うのです。  そういうことを考えてまいりますと、現在の制度、仕組みというものだけでこれからいけるのであろうか、特に税制は一体これからどうなるのであるか、あるいはなるべきであるか、地方税の構造というものもこれから一体どういうふうに考えたらいいのかという、少し中期的な観点から見直しをするという時期に当たっている。そういう観点から考えてみて、一体どういうふうに税源を求め、地方税構造を考え、あるいは国との関係、まあ交付税が中心でございますが、それもどういうふうに考えていったらいいのかということを、少し根本的な議論でございますが、考えてみなければならぬ。その立場に立って地方財政を充実させていくという方向検討をしなければならないのではないか、こういうふうに思っておるのであります。  いまお話しのように、地方財政は、これから明るい展望を迎えるという見通しが立つというのにはなかなか容易ではない、こう思うだけに、私ども今後は、仰せのように、地方財政の充実にひとつ思いをひそめて今後とも対処をしていきたい、こう思っているようなところであります。
  76. 三谷秀治

    三谷委員 そこで、この間の予算委員会でありますが、議長見解が出まして官房長官の言明があって、減税が約束されております。地方税も三年間住民税減税が行われておりません。所得税は六年間調整減税が実施されておりません。そのために住民の重税感は非常に強いものになっておりますから、それに対して減税という方針をお示しになったものだと思いますが、こういう状況の中で果たして減税ができるのか。このままで減税をしようとしてできるだろうかという疑問を私は持つものでありますが、これについて税務当局などではどのような御判断で、検討でもされておるとすればどういう方向を目途していらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  77. 関根則之

    ○関根政府委員 減税問題につきましては、国税との兼ね合いがあるわけでございまして、所得税、住民税を通じましてどういった形の減税が実施できるのか、またすべきなのか、そういうことを考えていかなければいかぬと思うわけでございます。そういった観点から、昨日も答弁がございましたように、政府の税制調査会の年度に入りましての初めての総会を開いていただきまして、そこに国会における減税をめぐる論議を中心といたしまして各種の国会論議の御報告を申し上げ、それに基づいて各税調メンバーにいろいろな面から御検討をいただいたわけでございます。  しかし、あくまでも住民税減税ということになりますと、余り単なる手直し程度の問題では今回は済まないのではないかという御議論もあるわけでございますので、そうなりますと、地方税の中心にあります住民税についての基本的な問題ともなるわけでございますので、将来の税制のあり方を十分見越した上での多角的な検討が必要であろうというふうに考えております。税調の先生方の受け取り方もそういうことではないかということでございまして、財源問題を含めて今後具体的な、そういった多角的な検討がなされるものというふうに考えております。  現時点において、私どもの方からこれこれこういう形でこういう規模の減税という形で申し上げる段階にはない、主として税調を中心といたしまして、そこでの御議論を踏まえて政府としての方針も固めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  78. 三谷秀治

    三谷委員 自治省としては、地方税の減税も当然考えざるを得ない、減税は所得税だけではなしに地方税もまた対象にならざるを得ないだろう、そういう基本的な考え方に立つものですか、どうですか。
  79. 関根則之

    ○関根政府委員 国会における論議の過程におきまして与野党の合意ないしは代表者会議におきます幹事長の発言、それを受けての官房長官の予算委員会における発言等にもございますように、住民税につきましても減税の対象として私どもとしては取り組んでいくべきものと考えております。
  80. 三谷秀治

    三谷委員 終わります。
  81. 田村良平

    田村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ────◇─────     午後一時三十一分開議
  82. 田村良平

    田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田島衞君。
  83. 田島衞

    ○田島委員 このところ数年、毎年版で押したような交付税法の改正をやっておりますけれども、そのやり方を見ておると、いまやまさに泥縄ではなくて泥わら、泥棒を見て縄をなっているのではなくて、その縄の材料のわらはどこにあるかと探しているような、そういう感すらするわけであります。臨時的な税収状況に対応する措置ならばそれでもわかりまけれども、どう考えても、いまの内外の経済情勢から考えて、本当はこういうその場しのぎの方法で済まされるべき問題ではない、こういうふうに思うわけであります。  しかし、近い将来での経済見通しといいますか、少しがまんすれば税収の方も何とかなるのだ、だからいまのところは手直し程度でいいのだということなのか、それとも地方団体においての思い切った行政改革を断行することによって、言うならば財政の需要の方をうんと切り詰められる、だからこういう臨時的措置でもいいのだということになるのか、何かの見通しがあってこそこういう方法を毎年やるのだと思うのです。  もし、そういう見通しもなしに、毎年毎年多少の違いはあってもほとんど中身は変わらないような法改正をやっておるということは、余りにも能がなさ過ぎるといいますか、それではせっかくの自治省は何をやっているのだと言われてもやむを得ないのじゃないか、こういうふうに思いますので、率直に、どういう見通しの上でこういう方法をやっているのか、それとも、もう無責任のそしりを受けてもやむを得ません、だれかがやってくれると思って、しようがない、その場しのぎでやっているのです、こういうことなのか、はっきり聞かせてもらいたいと思います。
  84. 山本幸雄

    山本国務大臣 痛烈なお話を承るわけですが、確かにおっしゃるように高度成長時代というものは終わりを告げた、ここで安定成長だ、こういうことだと思うのです。安定成長がまた高度成長に行く見込みがあるのかと言えば、そういう見込みは余りない。そういうわが国の経済の状態を考えながら現状をどう認識し、さらにこれをどう改革していくのかという考え方に移らなければならない。  私どもは、仰せのように、今日の地方行財政、特に地方財政は決してこのままでいいとは思われない。しかし、ではひとり地方財政だけがそういうことかと言えば、これは国家財政の方も同じ状態にあります。それぞれ債務は増加をしていく。しかし、そういう債務の増加していく中で、では歯どめをかけて何とか新しい道を開いていける見通しがいますぐあるのか、こういうことになってくると、私も率直に言って、そう簡単に、それではこういう道がある、こう言い切れるものではありません。これはひとり私のみならず、いま全体としてこういう問題に行き当たっていると私は思うのです。  しかし、そういうことでじんぜん日を過ごすことはできないわけでありますから、やはり根本的と言うたら少し大げさかもしれませんが、いままでの仕組みというものをやはり少し考え直してみなければならぬ。それから、国の方も考えなければならぬけれども地方の方もやはり考え方を改めるところは改めていかなければならない、確かにこういう事態にはなっていると思うのです。  そこで、ではどういう道があるのか、どういう道を模索しているのか、こうなってきますと、なかなかすぐには断行できる考え方も出てこない。しかし、やはり少なくも中期的な見通しに立って国全体の行政の中で地方行政地方自治というもののあり方をどうしたらいいか、特に地方財政は国との関連も考えながら一体どうしたらいいのかということを考えなければならない時期に来ておる、こういう認識でいるわけでございます。
  85. 田島衞

    ○田島委員 大臣の言われることもよくわかりはしますけれども、現実問題として、毎年同じような時期に同じような作業をしてやっておるわけですよ。だから、確かにそういう措置をとらざるを得ないということの理解を持ってがまんして毎年やってきたのですけれども、それにも限度がある。法改正によるところの措置というものには理解せざるを得ないという考え方を持っても、それを毎年繰り返す政治のといいますか、行政の余りの能力のなさというか熱意のなさ、そういうものに対してはだんだんがまんがならなくなってくる。  冒頭申し上げましたように、経済の見通しがいま大変落ち込んでいるのだ、しかもその落ち込んでいる状況は長くは続かないと思う、そう遠からず何とか明るい見通しがあるというのならば、これはわかる。それからまた、地方団体の行政改革については思い切った措置を進めるのだ、それが大体できる見通しもこういう状況にある、したがってそれによるところの財政需要の方が大変縮減できるから、いまのままでも何とかやっていけると思うとか、あるいはそれもこれもなかなかむずかしい、したがってやむを得ずもう一つの方法、税財源の配分の再検討あるいは交付税率の改正等を考えて、同じ改正でも泥わらではなくて、せいぜい泥わらから泥縄ぐらいに持っていって、徐々に幾らかすっきりしたような改正によるところの真剣な取り組みというものが必要だと思うのです。  ところが、だんだんだんだん泥縄から泥わらになっていって、そのためにとんでもないところまでいじっていく、これでは少し無責任ではなかろうか。一年、二年ぐらいなら別ですけれども、こう毎年続くということになると、少しは意地になってでも、プライドにかけてでも、有能なお役人さんたちがいるんだから、余り大臣に心配をかけないように、大臣が胸を張って答弁できるような改正案くらい何とか用意できないですか。行政でも財政でも、行政改革の思い切った見通しがあるのか、それとも財政事情に対する見通しがあるのか、あるいはまた税源の配分について再検討する用意があるのか、大蔵と検討する、けんか腰でかけ合う用意があるのか、そこらのところを、手短でいいですから、ぽんぽんと聞かせてください。
  86. 石原信雄

    ○石原政府委員 五十年度の補正以降今日まで、毎年度巨額の地方財源不足が生じまして、その補てんのために財源対策債の発行でありますとか交付税会計の借り入れとか、こういう措置を続けてきておりまして、いずれも基本的な改正ではない、応急的な対応である、こう言わざるを得ないと思うのであります。私どももこういう措置がこんなに長く続くとは思っていなかったわけでありますし、またこういう姿が続くことは決して望ましくない、何とか基本的な改革をしたいということで今日まで努力してまいりました。  いま先生御承知のように、地方財政収支は昭和五十四年度に四兆一千億とピークに達しまして、それから後は財源不足は年々半分くらいずつ減ってまいりまして、五十七年度の当初の段階では財政収支が均衡する、ようやくこれから本格的な地方財政の立て直しができるのじゃないかという展望を持ったわけでありますけれども、大変不幸なことに、経済情勢の悪化から再び税収の大幅な落ち込みということで、今日のような事態になったわけであります。したがいまして、私どもは、やはり気持ちとしてはこういう状態をいつまでも続けるべきではない、歳入面で何とか地方財源の充実強化を図るための抜本策を模索する、同時に、いまの客観情勢からいたしまして、財源の増強だけで問題が解決するわけではない、臨調の基本理念にありますように、どうしても歳出の徹底的な見直しを図らなければいけない、そのために国、地方を通じましてあらゆる行政分野にわたって見直しを行っていく必要がある、そういう意味で私どもは全力を挙げていきたい、このように考えております。
  87. 田島衞

    ○田島委員 これでやめますけれども、もしそれ、何らかの形での増税の時期があるだろう、それによっての税収に期待できるようなものがあるだろう、そこまでのがまんだなどと考えているようだったら大変な間違い。増税しようと何しようと、何らかの形での税収の伸びがあればそれで救われるところはあるでしょう。自然増ならいいですけれども、新しい増税措置によるところの税収の増でそのために地方財政が救われたとするならば、これは行政、政治に何の存在価値もない、そこのところをよく考えていただきたいと思います。ひとりでに税金がふえること、あるいは何らかの税金がふえるような措置をとることによって救いを求めるようなことは、みずから天に向かってつばすることで、行政のあるいは政治の無能力さをみずから暴露するようなものだということをよく考えてしっかりがんばっていただきたいということをお願いをいたします。  いま申し上げたことについて、しつこいようですけれども、まさかに、あるだろうと予測される、あってはならぬことではありますけれども、あるかもしれぬと予測される増税の時期を心頼みに待っているのじゃないと思いますけれども、その点はいかがですか。
  88. 山本幸雄

    山本国務大臣 地方財政をどう立て直すかという問題でございますけれども、いまの制度は国と相当連動をしておる。だから、国との関連を考えずして地方財政はいま考えることができないわけであります。特に税源についてはシャウプ勧告以来の仕組みになっておりますから、そういうことで国との連動ということを考えなければならないわけであります。一方、いまお話しのように、地方財政の行政需要というものは社会経済の発展に伴っていろいろふえてきておる。また、価値観もいろいろ多様化して、地域住民の皆様方のそうした要望も非常に複雑多岐にわたるようになってきておる。その中で、地方財政の立て直しをしていかなければならないというのが私は今日の姿だと思うのです。  そこで、いろいろ地方事務あるいは事業見直しもしなければならない、そういう機構、組織の問題も考えてみなければならない、あるいは地方公務員のあり方も考えてみなければならない、いろいろそういう問題も考えてみなければならぬわけでありまして、そういう問題も考えながら、そして国との連動の中で地方税制は一体どう考えるのかということを考えていく。しかし、いまお話しのように、行政改革をやらなければならないという一つの命題があるわけなので、その線に沿って極力地方行財政の立て直しも考えていく。その場合に、御存じのように、いまは一つの大きな看板としまして増税なき財政再建ということがございますから、この看板はおろせないということで、この看板のもとで行政改革考えられなければならないわけでありますから、少なくもいまお話しのような点については、この行政改革を進めていく上での旗印としてやはりりっぱに存在をしていくことである、私はこう考えております。
  89. 田島衞

    ○田島委員 大林行政局長にお伺いしますが、地方行政における行政改革についてどのくらい具体的な進め方を考えておられるか、この際ちょっと聞かしてもらいたいと思います。
  90. 大林勝臣

    大林政府委員 御案内のように、行政改革というのは国でやるべきもの、それから当然に地方団体自身でもやるべきもの、大きく分けてこの二つに分かれるわけでありますが、地方団体といたしましては、私どもこの数年来、閣議決定等を受けまして再三の呼びかけをいたしてまいったわけでありますが、地方団体というのは国とまた違いまして、常に住民の監視のもとに置かれておるわけでありますから、臨調が始まる以前からそれぞれの地方団体の環境に応じた行政改革というのを遂行してきておりますし、また現在も大変な努力をいたしております。都道府県におきましても、市町村におきましても、それぞれに審議会的なものあるいは研究機関的なものをつくりましてやっておりますが、機構の廃止であるとか定数の見直しあるいは給与の問題、さらに事務の民間委託、あらゆる考えられる部門について努力を重ねてきておりますし、徐々にではありますが、私どもは相当の成果を上げてきておると感じております。  ただ、問題は、地方団体がこういった行政改革のむだを省くという努力を行います場合に、国の関与でありますとか機関委任事務的なものについて手がつけにくいという側面が非常に大きくございます。したがいまして、そういった地方団体が今後行政改革の自主的な努力をいたします上で障害となるような国の関与あるいは機関委任の問題を除去する努力をしていくのが私どもの務めだと思いますし、またその方向で努力をしてまいるつもりであります。
  91. 田島衞

    ○田島委員 行政局長から行政改革の進め方についてのお話を伺ったわけでありますけれども、いずれにしても、国自体の行政改革だってなかなか具体的には進まない。いわんや地方団体にこうやれ、ああやれと言ったって、人のことを言うより先に自分でやってみろ、こう言われるのはあたりまえの話でありまして、むしろ地方団体そのものが自主的に議員の定数の削減や何かをやっていることは、まことにおみごとだと言いたいところであります。  しかし、この行政改革を思い切ってやることによって財政需要をうんと切り詰めるか、あるいは天の恵みで一気に景気が回復して税収がふくらむか、さもなければその中間的な措置としての税財源の配分をやり直すか、そういうことを考えないと、また来年も同じようなことを繰り返しやらなければならぬ。まずほとんどかわりばえのしない地方交付税法の改正大臣を煩わして趣旨説明をやる、それから質疑を繰り返す、そして採決、それで何かが生まれるかというとちっとも変わりはない。そんな版で押したような、同じようなことを毎年毎年繰り返すことを早くやめることがやはり行政改革だと思うのですよね。そこらのことも考えて、せっかくひとつ御奮闘願います。  以上で質問を終わります。
  92. 田村良平

  93. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 統一地方選挙がそれぞれ終わって、新しい首長や議員が新鮮な息吹でそれぞれお仕事に当たられるわけでありますが、地方の時代にふさわしい積極的なお取り組みを祈念したいと思う次第であります。  それで、私は北海道でありますが、北海道もかわりまして、大臣初め皆さんにいろいろお世話になることが多いと思います。私どもも一緒にまた陳情に参りますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  せっかく外務省からおいでいただきましたので、お時間の都合もあろうと思いますから、最初にお伺いをしたいと思います。  堂垣内知事さんの当時にいわゆる北海道大使をお願いして、ちょうど待命中の大使を煩わしていろいろ御相談をいただいておるわけでありますが、新しい知事にかわったわけであります。この北海道駐在のいわゆる北海道大使につきまして、知事も慎重にいろいろ御検討になっておられるようであります。先日、前任の大使さんは一応の任期一年を終えて解任ということになっておるわけでありますが、これにつきましては、新しい知事のもとで外務省との具体的な折衝等がこれから行われるというふうには思いますけれども、外務省側のこれについてのお心構えといいますか、お考えなどをちょっと伺わせていただきたいと思う次第であります。
  94. 坂本重太郎

    ○坂本説明員 ただいま五十嵐議員の方から、私ども俗称と呼んでおりますが、いわゆる北海道大使に関する外務省の意向はいかがであるかという御質問がございましたけれども、五十嵐先生も御案内のとおり、これは昭和五十五年の十一月に、当時の北海道知事から、国際問題に関しての道民の啓発、それから道知事に対するいろいろな国際問題に関する助言などを目的にしまして、外務省の外務公務員を臨時に随時北海道に派遣してもらいたいという要望があったわけでございます。これに対して外務省としましては、国内啓発活動の一環といたしまして道側の要望にこたえるとともに、待命中の大使を随時出張させておりました。  今度北海道で新しい知事が誕生されまして、私自身、横路新知事とはこの問題に関しましてもすでに二、三度連絡をとっておりますが、外務省といたしましては、そもそもこれは北海道側の要望または要請に端を発した問題でございますので、横路新知事がこの問題に関してどういう方針で臨まれるか、それをわれわれとしては最大限に尊重してまいりたい。もし続けられるというのであればそれも尊重いたしますし、またそうでなくてやめられるというのであれば、北海道側の意向を尊重してまいりたい、こう考えております。
  95. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 横路さんも非常にフランクなお気持ちでお話し合いを考えておられるように仄聞しておりますし、いまのようなお話の趣旨でぜひひとつお話をしていただきたい、こういうぐあいに思う次第であります。  それだけでございますので、お忙しいでしょうからどうぞ。  今回の統一地方選挙において、各党いずれも似たようなことで共通をしていた政策の大きな一つは、やはり地域経済政策といいますか、地域産業政策をどう高めていくかということのように思ったのでありますが、いわゆる地方の時代という言葉がやや本当にそういうことを指すのかなと思われるくらい、最近の各地方におけるいろいろの独自な地域政策、経済政策というものは、かなり見るべきものがあるように思われるわけでありますが、従前、これらのそれぞれの地域における経済を発展させようという自治省におけるいわゆる三年計画があったわけでありますが、これは五十八年で終わるということになっているようであります。  しかし、もちろん自治省としても、この地域経済を底上げをしていくというためにもっと積極的な政策展望をお持ちになっておられるに違いないというふうに思うのでありますが、五十九年以降、引き続いてどういうような政策展望をお持ちになっておられるか、この機会にお聞かせをいただければありがたいと思います。
  96. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 御指摘のとおり、現在自治省におきましては百七十九地域、二百二十九市町村対象にいたしまして地域経済振興対策を実施しておりまして、われわれといたしましてはそれ相応の実績を上げていると考えておるわけでございますが、この対策は一応五十八年度をもちまして区切りを迎えるということになっております。  今後でございますが、五十九年度以降におきましては、これまでやってまいりました対策の成果を踏まえまして、より広域的、より総合的な視点に立脚した新しい対策をやってまいりたいというように考えまして、昨年の六月に、学識経験者の方々を委員お願いいたしまして調査研究の委員会をつくりまして、ほぼ意見の一致を見まして、来月あたり報告をいただくという運びに相なっております。  現在、その委員会におきます考え方と申しますのは、やはり今後におきます新しい地域経済活性化のための対策といたしましては、一つには、地域における人材資源などの有効な活用を図りますために、広域市町村圏などの広域的な圏域を施策の対象として対策を進めるということでございます。第二点目といたしましては、その進め方といたしましては、やはり地域の実態を踏まえました明確な地域経済の活性化戦略と申しますか、これをはっきりしたものを樹立してやっていきたいということでございます。三番目には、国の各省都道府県の対策あるいは民間部門の施策、事業、こういったものを積極的に活用した総合的な施策として推進したいということでございます。四番目には、最近の文化とか福祉とかあるいは国際化といった新しい時代に対応いたしました地域づくりの手法、こういったものをできるだけ活用して進めたいということ。最後には、施設整備に偏らないソフト面の施策を重視したい、こういったような点につきまして大方の御意見の一致を見ているところでございます。  現在、来月の報告に向かいまして最終的な調整を進めておりますので、この報告をもちまして具体的な自治省としての取り組み方を検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  97. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 特に財政的な援助等について新たなお考え等はお考えになっておられるのか、あるいは何か仄聞するところによると、新しい五カ年計画というようなものでの考えがあるようにお伺いしていますが、それらの点につきまして、まだ結論には至っておらないのでしょうが、お伺いできる範囲で……。
  98. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 これまでの対策は一応三カ年ということでございまして、財政的な措置といたしましては、地方債の優先配分と特交の措置ということでやってまいったわけでございます。今回の方は、従来よりもやや総合的な計画になりますので、五年ぐらいかなということも確かに検討中でございます。財源措置についても、まだはっきりした結論は出ておりませんが、少なくとも従来行ってまいりました財政対策を下回らないものをということで、具体策につきまして検討しているところでございます。
  99. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 広域市町村圏を少し積極的に洗い直して、見直していこうというような考え方も一方ではあるようにお伺いをし、いまもちょっとお話があったのでありますが、そんな意味で、特に従前と違った法制上あるいは財政上なんかでお考えの点があれば、ちょっとお聞きしたいというふうに思います。
  100. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 確かに、対象地域が、いままでの原則として市町村ということから、原則として広域市町村圏というようなことに変わりますので、それに対応した財政措置ということで検討はいたしておりますが、現在具体的な結論まで至っておりませんので、現在の段階ではちょっと御答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
  101. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 地域の問題としては、そういう経済の問題が一つ大きい新しい政策対象になっているのと同時に、もう一つは、文化の問題も最近は各地域とも非常に積極的に取り組みが行われているようであります。自治省も世耕大臣の折から懇談会を設けたりしていろいろ御論議になっているようでありますが、五十八年度における自治省方針として、かなり積極的に地方文化の問題をひとつ取り組んでいこう、こういうようなことも伝え聞いておるところでありますが、自治省のいまお考えになっておられる具体的な内容やあるいはそれに伴う財政的な配慮等につきまして、お考えをお聞かせいただければ……。
  102. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 御指摘のとおり、懇談会の御意見を昨年の十月にいただきまして、具体的な提言をいただいたわけでございますが、自治省といたしましては、この御提言を受けまして、五十八年度から具体的な施策にできるものから手をつけたいということで考えておるところでございます。  一つは、ユニークな地域文化振興のための施設、公文書館でございますとか郷土資料館でございますとか、そういったものでございますが、こういった整備を促進いたしますために、地方債を優先的に配分いたしたいということが一つでございます。もう一つは、地域の個性を生かしました潤いのある町づくりを進めますために、そういった気分を盛り上げますために全国の四カ所でシンポジウムを開催したいということで、これは具体的な候補地も決定いたしまして準備を進めております。それから、こういった美しい町づくりに先駆的な役割りを果たしました地方公共団体に対しまして、自治大臣の表彰制度を実施いたしたいということも考えてございます。また、事務的な体制といたしましては、いわゆる文化アセスメントといったような新しい行政の文化化と申しますか、そういった手法につきまして調査研究を進めまして、地方公共団体にそういった材料、素材を提供してまいりたい、こういったことを考えております。  なお、この地方行政と文化のかかわりに関する懇談会につきましては、御提言をいただいた後も、今後も引き続き開いてまいりたいということを考えている次第でございます。
  103. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 結構なことだと思うのであります。ただ、僕は思うのですが、御承知のようにここ数年、各地方公共団体自身で、県レベルでもそうですが、あるいは市レベルでも、相互に連携し合いながら、この種の会合やシンポジウムあるいは研究交流会のようなものを非常に積極的にやっているわけですね。それは次第に相当な成果を生んできておるというように見受けるのでありますが、むしろ自治省としては、そういうところにどう側面的に協力をし、底上げをしていくかということでお考えになるべきでないかなという感じがするのですね。  この種のことというのは、何といったって、やはり市民がこれに深くかかわり、参加しながら、土の中からもえ出るようなかっこうで文化というものは生まれてこなければいけないわけで、やはり役所が文化というものを育てるんだという考え方は余り適当でないのではないか。むしろいま自治体が全体としてそういう機運にある、文化行政というよりは、いわゆる行政の文化化といいますか、総合的な視点から文化というものを見直していこうということで積極的に動き始めているわけですから、やはりそういう動きを加速するといいますか、成熟させるような協力をしていくというところに主眼を置いていくべきであって、ちょっと僕は、この間来、伝え聞いているところでは、いまの考え方はどうかな、そんな感じがするのですが、これは大臣、どうですか。
  104. 山本幸雄

    山本国務大臣 地方文化というのは、最近は地方公共団体もお考えになって、いろいろの面でそういう花を咲かせようという努力がだんだんに出てきたように私は思うのです。ただ、外形的に物にあらわれたというか、一つの建物をつくるとか、そういう何らかの物理的に物であらわしてくるという、それも私は必要だと思うんだけれども、しかし、やはり文化というものは必ずしもそういうことばかりで花が咲くものではない。仰せのように、やはり住民の皆さんの中からわいてくるといったものでなければ、本当の文化の花は咲かない。それなら、そういうことでお役所が一体どんなお手伝いができるのかな、そういう気はするわけなんです。しかし、お手伝いできる面があれば、それは積極的にお手伝いをしていくべきであって、最近の芽が出ようとしておる傾向をお手伝いするというのは非常に意義があることだ、こう思っております。最近自治省も、実は前大臣からの引き継ぎもありまして、そういう問題についてよりひとつ活発にやりたい、こう思っております。  なお、政府としましては、文部省の方も、これはもとより主管官庁だ、こういう認識を持っておるわけでございますから、これは文化あるいは芸術、スポーツ、そういうものをひっくるめまして、そういう問題についての地方における推進というものをやろうという体制にあります。自治省といたしましては、その中で、自治省自治省としての考え方でひとつ進んでいきたい、こう思っておるところであります。
  105. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 本当からいうと、総理は内政の一つの目玉にこれを取り上げていこうというお考えのようでありますが、これは文部省というよりは自治省に、少なくも文部省自治省とというか、やはり一緒になるべき仕事でないかと思うのです。いま言いますように、いわゆる文部省の縦割りで文化をどうこうするというのではなくて、やはり総合的に地域の住民の暮らしとしてその文化をどうとらえていくか、こういう総合的なものなわけでありますから、その意味からいうと、ちょっと文部省というのは僕は気に入らない感じがするのです。笑っているところを見ると同感じゃないかと思いますが、ぜひひとつ文部省任せということでなくて、また実際にはこの問題を提唱してやっているのは、自治省が言ってきているわけです。  そのことと、もう一つ、やはり僕はいま言うように、自治省そのものがどうだとかこうだとかというよりは、基礎自治体がそういう動きにいまあるわけですから、これをどう温かく育てていくか、本当に市民参加の中でそういう営みが進んでいくか、そこのところにきちっと視点を当てて誤りない文化政策を考えてもらいたい、こういうぐあいに思うわけです。できましたらもう一度御所見をいただきたい。
  106. 山本幸雄

    山本国務大臣 確かに仰せのように、地方自治体の中でそういう好ましい空気が生まれてくる、これについて自治省も声を大にしてそういう面の運動を展開していくという中で、地方公共団体の首長さんもあるいは議員さん方もそういうものについて理解を持っていただけるということになってくれば、非常にいい空気を醸成していくんだろうと私は思いますので、今後とも自治省としましてもこれに対しては格段の努力をひとつしていきたいと思っております。
  107. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そういう意味からいうと、自治体がどんどん積極的に、そういう各自治体間で交流をしながらそれぞれの地域に合った文化政策を興していって、自治省あたりでは必要な財政的な援助等については十分な配慮をしていく。もちろん、金の要るものばかりが文化というのでは全くない。全くないが、しかし、要るものもあるわけでありまして、そういう意味では、ややもすると、どうも文化というと、行政改革の中ではちょっとむだ遣いだなんという誤った考え方が出ないわけでもないわけでありますから、そうではないのであって、やはり必要な十分な措置をひとつ御配慮いただきたい。聞くところによると、起債で四十億ぐらい考えているなんということも、これは新聞報道でありますが、ちょっと読みました。そうなのかどうなのか、五十八年度においてどのような措置をお考えになっておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  108. 石原信雄

    ○石原政府委員 五十八年度の地方債計画の中では、地方の単独事業債及び厚生福祉事業債、これらの起債枠の中に地域文化に関連する施設整備の起債が含まれております。五十八年度は、これらの関係の起債の総枠は千三百億ほどございまして、特にこの分として一定の額を固定的に決めているわけではございません。行政の文化化に役立つような施設整備を地方団体が計画をされる場合に、これらの枠の中で対応していきたい、このように考えております。
  109. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 報道によれば、前年度一千二百六十億から一千三百億に五十八年はふやすことにした、この増額分四十億を地域の独自性を生かした文化施設の充実に充てていく方針である。しかし、それはその四十億を充てるだけのものではないでしょうから、五十八年度、積極的にそういう問題に取り組もうということで、前年よりこれだけふやしたというものが四十億ふえた、こういうことなんでしょうが、まあ五十八年度うんと力を入れるというのには、ちょっと言えるほどのものでないなという感じがしますが、そうでもないのですか。
  110. 石原信雄

    ○石原政府委員 五十八年度は、御案内のように歳出全体、その中でも地方の単独事業全体を抑制ぎみに計画を立てておりまして、地方単独事業全体としては前年同額に抑えております。そういう関係もありまして、地方債の方も全体としては抑制ぎみでございますが、地域文化の振興に役立つような系統のものについては、いま申しましたように、前年度千二百六十億の枠を千三百億に増額しております。四十億が特定の文化施策に充てるという趣旨ではございませんで、この総枠の中で総額をふやすことによってより対応しやすくしている、それにより力を入れている、こういう気持ちでございます。
  111. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ひとつぜひそういう面では積極的に、つまり地域が市民とともにいろいろなことを考えて進めていこうとするものに、財政的には十分に応援できるというような体制をさらに強化していただきますようにお願い申し上げたいというふうに思います。いわば新しい地方行政の大きな目の玉といいますか、一つの流れでありますから、それに対応をお願い申し上げたいと思う次第であります。  それから、この前もちょっと予算委員会の折に大臣に御質問したことでありますが、これらの文化や経済の振興というものとあわせて、最近の特徴的な地方自治体の動きの中の一つとして、政治倫理を条例化していこうという問題があるわけであります。これはわが国としては初めての最近の動きでありまして、私ども非常に関心を深めていることでありますが、御承知のように、大阪府の堺市においてこの前わが国初のものができて、引き続いて新潟県の板倉町において倫理条例がつくられた。  この倫理条例の内容につきましては、もう改めて言うまでもないのでありますが、たとえば市長や議員の資産公開であるとか、あるいは金銭、物品等の一定額以上の寄附等についての報告義務であるとか、あるいは有罪等になった場合の市長、議員が報告をするとともに、それに対する市民の解明の場を持つとか、いろいろなことが含まれているようでありまして、しかし、これにはまた一方では論議があって、一体倫理というものは条例になじむのかなじまぬのかというような論議もかなりあるようであります。しかし、そういう論議の中でも一つ一つこうやってできてきているという傾向というのは、やはり見逃せない、ごく新しい流れではないかというように思うわけです。  同時にまた、そういう運動そのものが、市民側からのあるいは町民側からの直接請求の署名運動であるとか、こういう住民側からの運動としてこれらが条例化されているということも、僕は非常に評価していくべきものであろうというふうに思うのであります。こういう傾向がわが国の場合も自治体側から出てきた。御承知のように、アメリカ等ではこの種のものがそれぞれあることは改めて言うまでもないのでありますが、わが国の場合もそういう運動が市民側から出てきたということについて、自治大臣の立場で、そういう一つの最近の傾向、少なくとも自分の町の政治ぐらいはみずからきれいにしていこう、こういう自浄の市民の機運というものについてどうお思いになっておられるか。これは技術的な話ではなくて、大臣としてのお考えを聞きたいと思います。
  112. 山本幸雄

    山本国務大臣 予算委員会でお尋ねをいただいたので私もお答えしたわけですが、お答えとしてはまた同じことを繰り返すということになるので、お褒めいただくような答弁にならないだろうと思うのです。  これは、事の内容はやはり政治倫理という問題でありまして、地方公共団体事業とか事務とかということとは内容は違うということが一つ。それからもう一つは、やはり条例の制定というのは、これはあくまでも地方公共団体のお考えによっておやりになることでありまして、その条例制定権というものは地方自治の中の大事な根幹をなすものであること、したがって、余りその条例の内容について、自治省の立場からこれに対してあれこれ誹議するということは差し控えた方が、地方自治という立場から言ったらいいのではないだろうか。  地方公共団体が条例を制定したときに、一々とは申しませんけれども、それについて自治省一つの価値判断を加えて物申すということがいいのか悪いのか、これはいま五十嵐委員は評価をするという答えを御期待になっておるのだろうと思いますが、しかし、評価できないようなこともあるいは条例の内容としては起こるかもしれない。だから、いろいろ考えていきますと、条例の内容について自治大臣の立場から評価するとかしないとか、かれこれ申すということが適当であるかどうか、こう私も思うのです。  ですから、この問題につきましては、自治省としてはこれに対してあれこれ申すことは差し控えたいということには実は変わりはないのでありまして、冒頭に申しましたように、余りいい答えでないな、こうお考えだろうと思うのですけれども予算委員会のときのお答えと同じことを繰り返し申し上げるわけであります。
  113. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それでは、少し問題を分けて御質問します。  つまり市民が、市長や議員がそういうようなことにならぬようにみんなでひとつ運動を起こそう——条例のものは別にしてですよ。とにかく自分たちの代表というものはきれいにしてほしい、うちの地域ぐらいはきれいな政治をやってほしい、こういう一つの運動のようなものがあるということについてはいかがお考えですか。
  114. 山本幸雄

    山本国務大臣 条例は自治体のお考えでおやりになることでございますから、地方自治を尊重するという立場からいっても、これに対して自治省がお墨つきみたいなものを出すという考え方はしない方がいいのではないか。事の内容地方公共団体事務事業に関することであれば、自治省の立場から物を申すということは、むしろやらなければならないことがあるのかもしれない、こう思うのですけれども、いまの場合は、内容内容だけに、そういう立場を守っていった方がいいと思っております。
  115. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 大臣、僕の聞いているのはそうでなくて、条例はひとつ横へ置いておいて、政治というものをきれいにしていこう、われわれの町ぐらいはわれわれでちゃんときれいにするような運動を起こそう、うちの自治体の代表者はひとつきれいな政治をやってくれよ、こういう市民の考えなり運動というものはいかがお考えですか。これは適当でないとかというものなんですか。政治をきれいにしていこうなどという運動は結構なことではないかと思うのですが、それも評価できないですか。
  116. 山本幸雄

    山本国務大臣 いまのは、条例というものを横へどけてというお話ですが、全く条例とくっついたお話で先ほど来伺っているわけでございますから、自治省という立場から言えば、やはり私ども自治省の立場から物を言わなければならない。ここで答弁を申し上げるからには、やはり自治省という立場で物を申し上げなければならないのでありますから、同じことの繰り返しで恐縮でありますけれども、前のことでひとつ御理解をいただきたい、こう思います。
  117. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 まあ、公安委員長という立場でお伺いしてもいいようなものですけれども自治大臣だって同じだと思います。やはり各地方公共団体ができるだけ公正な行政が運営されるのは望ましいことであって、市民がそれを期待していろいろな運動を起こすというのは——どうも少し大臣、消極的に考え過ぎでないですか。どうも何だかどこかこう挟まっちゃっているような感じで、もう少しあっさりといいますか、本当に市民なり何なりの気持ちでお答えいただければ、僕は質問をまたそれに関連してどうこうなんという考え方を持って言っているのじゃないんですよ。もう少しあっさり、いいことはいいように評価した方が、そういう市民の運動は——条例の問題については、いま大臣が言うように、評価するかしないかということは自治大臣の立場でちょっと言いかねる、それはつまり地方自治体の自主性のよって立つものだから、それをどうこう言えないのだ、それはそれでいいと思いますよ。関与しないわけですから、市民の意思に任せるわけですから、それはそれでいいでしょう。しかし、政治をきれいにしようという運動について、国家公安委員長であり自治大臣である大臣が何とも言えないなんというのはおかしいですよ。どうですか。
  118. 山本幸雄

    山本国務大臣 これはいま仰せのように、条例は条例でそれはわかった、しかし中身について意見を言いなさい、こういうふうに受け取れるわけですが、私どもがここで御答弁するのは、自治大臣として御答弁申し上げるわけですから、条例というものと離れては私は御答弁はむずかしい、こう思うのです。ですから、条例の中にはこれからもいろいろな内容のものが出てくるかもしれない、しかし、それについていろいろと自治省がお墨つきみたいなものを出すというようなことは、私はやはり将来にわたっても余りやらない方がいい、こう思っております。(五十嵐委員「条例じゃないのだから」と呼ぶ)条例の中を捨象して一つだけ別に取り出して、それについて意見を言え、これは自治大臣の立場としては、条例とくっついておる問題ですから、この程度で私は御理解を賜っておきたいと思います。
  119. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 条例の中から一つ取り出すというのは、何を取り出すというお話ですか。すりかえちゃだめですよ、大臣。基本的な考えですよ。政治をきれいにしていこうと市民が考えて運動を起こすことがどうなんだということを聞いているわけです。具体的にその条例の中からこいつはどうだとかこうだとか、そんなことを僕は言っているのじゃないのです。それさえも評価できないというなら、これはちょっとおかしいのじゃないですか。くどいようだけれども、もう一遍だけ聞きます。あとは聞きません。
  120. 山本幸雄

    山本国務大臣 これは直接請求ということから始まって、内容は政治倫理に関することである、それを条例に盛られた、こういうことだと思うのです。そこで、条例については私は中身はかれこれ自治省が言わない方がいいと申し上げた。それから、政治倫理の問題は、これは事務とか事業ということとは全く性質が違うということであります。それから、住民の直接請求は制度として地方自治法にちゃんとある制度でございますから、それの運用については住民のお考えでひとつおやりになることは全く自由であり、私どもも、そういう住民自体の活動というものは、地方自治法に許されたる限りおやりいただくことはいささかも差し支えないことである、こう思うのであります。
  121. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それでは、次の問題に入ります。  去年の九月に地方制度調査会が総理大臣に出された勧告ですか答申ですか、これの中で機関委任事務制度について、「機関委任事務制度等の見直しのために設けられる新たな審議機関においては、制度の改廃を含め広く制度のあり方について抜本的な検討を行うべきである。」こういうことを出してきているわけであります。恐らく自治省なりあるいは行管なりで、こういう勧告等もあって、機関委任事務についての御検討をどうするか、どういう機関を設けてどこでやるかという御論議をいただいているのではないかと思うのでありますが、最近のこれに関する考え方について行管の方から……。
  122. 八木俊道

    八木説明員 お答え申し上げます。  午前中三谷委員からも御論議をいただいた問題でございますが、国と地方との関係のいわば改革と申しますか、行政改革の一環としての機能分担のあり方等の問題につきましては、つい三月十四日まで臨調の方で議論をしておったわけでございます。政府側といたしましては、とりあえず、臨調の数次にわたる答申やや抽象的でございます、したがいまして、その機関委任事務の二年間一割整理、この問題から入っていくということで、臨調答申は抽象的ではありますが、あそこに三点ほどの基準がございます。これを政府部内具体的にこなしていくということで、目下ども関係各省庁の間で立案検討中ということでございます。機関委任事務整理具体論から入ってまいりたい。  もう一つの問題といたしまして、その機関委任事務のあり方に関する委員指摘の新しい審議機関をどうするかという問題がございます。この点につきましては、まだ政府部内できちんとした結論を得ているわけではございませんけれども、午前中の自治大臣の御答弁にも、今国会で別途内閣委員会、きょう御審議をいただいているのかもしれませんが、臨時行政改革推進審議会というものをつくるべくただいま法案を内閣委員会の方に出させていただいております。その議題の一つとして取り上げられることも一つの案としてはあり得る、こういう御答弁がございましたが、私どもといたしましても非常に示唆に富む御提案ではないかと思っております。この辺はまだこれからでございますが、とりあえずは二年間一割整理という具体的な改革案の立案に目下精を出しているというところでございます。
  123. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 一つは二年間一割、これはあれですか、そうすると、行管の方でいまその一割の内容の詰めに入っているということであるわけでありますが、一割の詰めに当たっては、もちろん従前長い間地方制度調査会でこれらについては審議し、一定の提言をその都度行ってきているわけですね。あるいは、もちろん自治省はこれにつきまして今日まで一貫して御努力をいただいているわけですが、これらとの検討段階における関連といいますか、協議というか、そのことは一体どういうことになるのか。
  124. 八木俊道

    八木説明員 その機関委任事務整理合理化具体案づくりでございますけれども、私どもは、まず各省に第一次的な検討現状における機関委任事務の実態をすべて洗い直していただきたい、こういうことをお願いいたしておりまして、その際に過去の各方面の御提言、これらは十分参考にしてもらいたいということをお願いいたしております。臨調機関委任事務整理に関する三つ考え方とあわせまして、各方面から委員指摘のようにさまざまな具体的な提案があるわけでございますから、これはひとつ踏まえて全体の見直しをやってくれ、こういうことをお願いしているわけでございます。  ただ、現実の問題といたしますと、目下各省から個別にいろいろ下相談がございますけれども、各分野の行政に直接責任を持つ各省の立場というのはなかなか拘束的な要因が多うございまして、一つの確立された制度というものの抜本的な見直しということについては、なかなか現実問題として言うべくしていろいろ問題が多い、こういうことではございます。しかしながら、国と地方との関係を簡素で合理的なものに改めていくという必要につきましては一般的に理解されているところでございますので、なるべく内容のある具体的な改革案を出していただくように、各省お願いをしているという段階でございます。
  125. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 各省見解ももちろん大事でありますが、しかし、やはり地方自治体意見と申しますか、そこのところの調整が重要なところであり、できるだけそれをむしろ分権化していく、整理していくということがまた行革の方針に合致するということもありますから、そんな意味では、自治体の意見を十分に聞いてほしいし、したがってまた、その意見が加味されている自治省見解なりあるいは地方制度調査会なり、ここの意見を聞くウエートをうんと高めてほしい。各省に偏ることのないように機関委任事務整理の性格からいってお願い申し上げたいと思います。  それから、二年一割ということですね。われわれも見て、二年一割、具体的にそこのところぐらいしか分権に関する問題はないわけですけれども、しかし、二年に一割とはずいぶんお粗末な、それだけの範囲でしかお答えがなかったということに非常にわれわれ実はがっかりしたのであります。私なんかの考え方で言うと、機関委任事務というのは将来的にはやはり全廃すべきだという考えさえあるわけでありまして、これは私だけではない、むしろ市長会であるとか何かからもそういう意見というのは公式に出ているわけですね。ですから、そんな意味では、どうもあれではさみしい限りだという感じがしたのであります。  しかし、要するにそれにとどまらず、全体的に機関委任事務の問題をこれからも論議して決めていこうということで、別途審議機関を設けるということになった。なったのが、いまお話しのように報道関係や何かでも新聞に出ているものでありますから、私たちもおおっと思ったのでありますが、いまのお答えを聞きましても、それも一つ考えだという表現ではありますが、例の推進審議会でやろう、あるいはやるのも一つ考えだということになってきた。そうすると、これはいままでわれわれが聞いていた推進審議会の性格とかなり違うような気がするんですね。そうでもないのかな。そういう審議そのものをここが行う、第二臨調と同じような性格でやっていくということになりますから、はあ、そうなのかなという感じが私たちはするのであります。これはちょっとおかしいのではないかと思いますが、この点はどうですか。
  126. 八木俊道

    八木説明員 お答え申し上げます。  新しい審議の場をどうするかという問題は、まさにこれから自治省御当局とも十分相談しながら詰めてまいる問題でございまして、過程の段階でございますのではっきりした御答弁を申し上げられないのが恐縮でございますけれども、私どもの立場といたしましては、やはり国と地方との関係改革というのは行政改革の大きな宿題でございますから、したがいまして、やはり非常に実際的で実りのある議論がそこになければならないと思うわけでございます。  その意味では、機関委任事務全体を取り上げて、そのすべてをどうするということも確かに一つの御議論かとは思いますけれども、まずやはり具体的な問題から入っていくという詰め方もあるのではなかろうか、漠然とそう考えているわけでございますが、目下の二年一割の作業、これがある程度形を整えてまいりますと、その段階でやはり世の中によく御説明を申し上げまして、御批判をいただきながら進んでいく。当然、場合によりましては関係法律案の提出ということが必要になってくる事態もあろうかと思います。そういう仕事の運びに場合によってはなろうかと思うわけでございますが、そうした機関委任事務整理合理化具体的な立案の過程におきまして、どういう機関に政府側の考え方を御説明し、どういう形で御意見をいただきながら進んでいくか、この点はよく自治省御当局とも詰めさせていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  127. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 例の推進審議会というものは、われわれの印象としては、いわゆる監視機関というか、決めたものがちゃんとそのとおりに進むように監視をしていくことを主たる任務とする審議会というふうに受けとめているわけね。それが一般的だと僕は思いますよ。それがどうも、機関委任事務具体的な審議についてここがやるんだというようなことになると、あれ、大分性格が違うなということになると思うんですよ。いまのお答えでは何かそうでもなさそうな、つまり推進審議会でやるというものではないんだ、あるいは別に法律などを御提案したりしてやっていかなければだめだ。そうではなかったのですか。僕は推進審議会がやるということについては、ちょっと腑に落ちないのですが、済みません、僕の聞き違いの点もあるかもしれぬからもう一遍、恐れ入ります。
  128. 八木俊道

    八木説明員 恐縮でございました。申し上げましたのは、機関委任事務の個別の整理についての法律改正の問題をやや先走ったことを申し上げたわけでございまして、恐縮でございましたが、いま内閣委員会の方にお願いをいたしております臨時行政改革推進審議会が、国と地方との関係改革を議題とするということはあり得ることだと思います。  委員の御指摘は、それでは機関委任事務の全体的な洗い直しをどうするのかということだと思いますが、確かに臨調答申自体は、そこは十分具体性を持っていない、抽象的にはかなりなところを書いてございますが、具体性を持っていないというところはございます。そこで、私どもといたしましては、国と地方との関係改革をいわば軌道に乗せるという意味で、まずは機関委任事務の一割整理とか人件費補助の問題でありますとか、あるいは国の地方出先機関の整理でございますとか、そうした実務的な問題からまず入り込んでいるわけでございます。  繰り返しになりまして恐縮でございますが、機関委任事務という制度そのもののあり方については、どういう料理の仕方をするかは、あるいはどういう審議の場でこれを詰めていくかはまだ結論を出していないわけでございますが、政府部内の有力な方々の間に、今度の審議会で扱ってはどうか、こういう議論は確かにございます。ございますが、この辺はまだ未確定ということでございます。いずれにしましても、基本的な制度論がそこにあるんだということは自覚はいたしておるつもりでございまして、ただ、そのためには、たとえば政府部内にはすでに地方制度調査会のようなものもまた別にあるわけでございますから、実際問題として、改革を軌道に乗せるためにどういう手法が一番よろしいのか、この辺はまさにこれからと申しますか、ただいま自治省御当局と御相談を申し上げている最中であるということでございます。
  129. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 お話しのように、どういう基本的な考え方機関委任事務整理するかということもまだ明確になってない、ここのところから考えていかなければならぬというお話でありましたが、もうそのとおりだと思うんですね。そうであればなおさら、やはり監視機関たる今度の推進審議会で基本的なそういう論議まで、しかも、いま機関委任事務整理というのは、これはもう大変なボリュームになるわけですよ。御承知のように都道府県の仕事のうち、まあ六、七割は機関委任事務でしょう。市町村レベルでもみんながやっている仕事のうちの、そうですな、三、四割ぐらいは機関委任事務と言えるんじゃないですかね。それをどう整理していくか、考え方はまたずいぶんいろいろ差があるんですよ、人によって、立場によって。これを整理していかなければいかぬ。しかも、行政改革という観点に立つと一番大事な問題です。一番大事な問題にほんのわずかしか第二臨調は触れてないわけですからね。  これを基本的にどうするかということをいまやらなければだめだというものを、監視機関たる推進審議会がこれをやるんだなんということになったら全然おかしいと思いますよ。基本的なそういう整理方針を決めていくということになれば、第二臨調とちっとも変わらないですよ。それは監視機関なんというそういう性格では全くなくなる。だから僕は、おやりになるんなら、いま地方制度調査会というお話があったが、地方制度調査会なんというものは長い間、十九次にわたってこの問題は本当にやってきている。ですから、そういう意見を土台にして何かやはり考えてもらわなければ、推進審議会などということのお考えが少しでもあるようならば改めていただきたい、こういうぐあいに思うところなんです。  自治大臣、もし見解があれば……。
  130. 山本幸雄

    山本国務大臣 機関委任事務につきましては審議会を設けるという、臨調答申の中で別個に審議会を設けて審議に当たらせるというのはこれ一つしかないのです。そこで、これをどういう機関にするかということについてわれわれもいろいろ考えてきたわけでございますが、いまお話しのように、行政改革推進審議会というものができる。ごれはいまお話しのように、臨調そのもの、また第三臨調みたいなものになっていくということなのか、あるいは仰せのように、ただ、一次から五次までの答申があったんだからその答申推進に当たればいいということなのか。しかし、推進にいたしましても、たとえばいまのお話の機関委任事務につきましても二年間で一割、それじゃそれでいいのかと言えば、やはりこれの推進はやっていかなければならぬ。機関委任事務整理という基本方針はちゃんと臨調答申にあります。で、さしあたり許認可も含めて二年間に一割、こういうんですから、二年間に一割やれば、さらに引き続きやっていくという方針には私は変わりないと思うのです。まあ言うなれば、それもやはり推進機関の権能の中に入るのかもしれない。  だから、その辺のところは、もう少し推進審議会というものの任務、それからこれはどの程度の権威のあるものになるのか、臨調と同じくらいの権威のある——委員の選任からしましてもそういうことをお考えになるのか。私どもはやはりその推進審議会の中にも、地方自治の理解のある人を委員の中にも選任してほしいということも要請もしております。だから、その辺のところはもう少し様子を見た上で機関委任事務推進の上にいい方法をひとつ考えていきたい、私はそう思っております。
  131. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 長い懸案の問題ですし、自治体にとってはきわめて重大なことでありますから、この機関委任事務整理についてのこれからの取り組みのあり方、基本的な考え方等につきましては、自治大臣、どうかひとつはっきりと長い間の自治体の期待に沿った方向で解決が図られるように、その取り扱い等についても十分な御配慮をいただきたい、こういうぐあいに申し上げておきたいと思います。  それから、同じような関連の問題でありますが、おととしですか、自治省地方自治法の一部改正をしようとして各省とそれぞれ当たった。われわれは当時いろいろ伝え聞いておったのでは、非常にあれを期待したのであります。せめてこのぐらいのことは、やはりやることは望ましい。各地方自治体も一様にあれについては非常に関心を深め、期待を持った。しかし各省とも、各省ともと言うのは言い過ぎかもしれぬが、多くの省でこれに対する合意が得られないで、結局は引っ込めるということになったわけであります。  私は、かつてそれに関して、当時安孫子自治大臣の折でありましたが、御質問申し上げ、その折に当時の中曽根行政管理庁長官のお答えもいただいたのであります。そのときの現総理中曽根さんのお答えはこういうものでありました。「いま臨調で大きな仕事の一つとして国と地方の仕事の分担の見直しということをやっておりまして、その根本を確立すればそれは雪が解けるがごとく解決する問題である、部分的にかけらを拾っても意味がない、そう思っておりまして、いま臨調審議をぜひ期待して待っている次第であります。」雪が解けるがごとく消えるというのですな。  いやまあ大したものだと思って期待をしているのでありますが、それはさっき言う機関委任事務の基本的なかかわりの問題も一つ。それから、おととしの地方自治法一部改正にかかわる幾つかの問題、地方にとっては非常に現実に疑問が多い問題が幾つもあって、これは今度の改正かなり釈然とできるかというふうに思ったのでありますが、しかし、そうはいかなかった。しかし、このぐらいのことができなきゃ、僕は、本当に行政改革なんというのは、そんなことは恥ずかしくて物がしゃべれないようなものではないかと思うわけですね。  再提出の作業にかかられる考え方自治省としてはないかということをお伺いしたいと思います。
  132. 大林勝臣

    大林政府委員 おととしの地方自治法の一部改正の運命につきましては御指摘のとおりでありまして、当時といたしましては、地方制度調査会の三次にわたる重要な問題点を盛り込んで立案作業をいたしたわけでありますが、大まかに申しまして、第一番目が、機関委任事務についての議会あるいは監査委員の検査権なり監査権の問題、それから二番目が、地方六団体の内閣あるいは立法府に対する意見の提出の問題、それから県の基本計画樹立の問題、こういった大きな三つの問題があったわけでありますが、それぞれにやはり折衝をしておりますうちに、各省の大変な強い抵抗があったわけであります。ポイントは、やはり機関委任事務の取り扱いの問題、これが一番の大きな問題になったわけでありまして、当時といたしましては、ついに国会提出の時間的余裕がなく、断念をいたしたわけであります。  結局、時あたかも当時は第二次臨時行政調査会審議が始まろうかというところでありましたし、地方の問題が重点的に取り上げられる、しかもその中で国の関与なり機関委任事務の問題も、国と地方事務配分という基礎的な問題とともに本格的に検討される、こういうことであろうから、その推移を見てということで提案を見送った経緯がございます。それだけに、先ほど総理の、当時は行管庁長官でございましたが、御答弁を引用されたわけでありますが、私ども自身としましても、臨調の国と地方事務配分の審議の経緯というものに大変な期待を抱いておりました。  ただ、結果的には、残念ながら本質的な論議、つまり国と地方事務配分の問題、機関委任事務の運命自身は先送りになって、当面は一割削減ということになって、また今後の課題に継続される結果となったわけでありまして、そういう意味では私ども非常に残念に思っておりますし、時期的に見て、いまの時期に再び自治法の再提案ということは客観的にむずかしくなっておるという感じは持っておりますが、ただ事柄が地方にとってはきわめて大切な問題でありまして、しかも三次にわたる地方制度調査会の答申をいただいた問題でありますので、今後とも決してそれはあきらめておりません。今後の機関委任事務審議の推移の状況を見ながら、再提案のタイミングをはかってまいりたい、こう思っております。
  133. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 どうかひとつがんばってほしいと思います。  そこで、行政管理庁の方としても、ぜひひとつ前向きに協力をしてほしい。各省にわたる問題でありますから、長官の、現総理のお答えもさっき言ったとおり、どうかひとつ御配慮いただきたいと思うが、いかがですか。
  134. 八木俊道

    八木説明員 国と地方とを通ずる行政改革の問題は、行政改革の中でもとりわけ重要だという自覚を持っておる次第でございます。政府部内で十分調整、積極的に検討いたしまして、実りのある具体案をまとめていきたい、その方向で努力をいたしたいということでございます。
  135. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 自治大臣の諮問機関として地方公共団体定員管理研究会ですか、これは有識者でお持ちになられて、そうしていわゆる定員モデル、昨年の四月には、都を除く道府県、それから指定都市、人口二十万以上、これらの都市を対象にした定員モデルを出して、また、行政局長通達も出されたわけでありますが、五十七年度に、今度は人口二十万未満の都市を対象にやろう、こういうことになっていたのでありますが、まだ発表されておりませんが、この作業の進みぐあいはどんなことになっているか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  136. 坂弘二

    ○坂政府委員 人口二十万未満の都市の定員モデルにつきましては、ただいまお話のありました地方公共団体定員管理研究会において検討を進めておりまして、そうしてほぼ最終段階に至っておりまして、いま細部の調整といいますか、仕上げをいたしておりますので、近く報告があるものと思います。報告がありましたら、それを公表するつもりでございます。
  137. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それは、それで最終報告ということになりますか。
  138. 坂弘二

    ○坂政府委員 人口二十万未満の都市でございまして、あと町村の問題がございますが、この町村につきましては、いままでの手法ではちょっとむずかしいということでございますので、それはいたしません。また、このモデルにつきましては、その研究会におきまして、今後また何年か後に修正を加えたり、状況の変化によって手直しをする必要があろうという御意見がございますが、さしあたって最終でございます。
  139. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 以前も論議になったところであろうと思うのでありますが、この定員モデルの基本的な考え方といいますか、それは当時世耕自治大臣の答弁でありますが、これは単なる定員是正適正化の参考資料という答弁がなされているわけであります。もちろん、それを各自治体とも参考にして一定の目安といいますか、そんなものにそれぞれ考えているわけでありましょうが、しかし、いわゆる自治体における自治組織権といいますか、そういうようなことからいって、いま言う範囲を出ないものだということはもちろんでありますし、それゆえにこそこういう答弁がそれぞれなされてきているものだと思うのでありますが、もちろんこういう考え方には変わりはないですね。
  140. 坂弘二

    ○坂政府委員 前自治大臣の御答弁は、ただいまお話のございました「参考に供してそれが何か効果が出ることを期待いたしまして」ということでございまして、その考えはいまも変わりません。
  141. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 どうか、そこの基本線を逸脱しないように留意してほしい。と申しますのも、この前私も拝読して非常に勉強になる点が多いものであったのでありますが、今年の四月一日に出された「政府関係」研究集団の提言がございまして、これの中にも幾つか問題点の指摘があるのでありますが、ことに新々中央集権時代といいますか、そういう表現なんかも使いながら最近の自治が侵害されてきている状況を幾つか指摘をしている中の一つに、いま言うような自治組織権ですか、そういうことへの考え方も述べられているのであります。いわゆる自治組織権への介入あるいは画一化への懸念として出されているのでありますが、特にこれの集団に委員として入っておられるお一人が、また定員管理研究会の委員もなさっておるというようなこともあって、そういう審議の中ででも御心配になったのかな、これは僕たちの個人的見解でありますが、そういうような感じもいたしますので、ぜひひとつ指導助言の範囲を守っていくべきだ、拡大解釈のないようにすべきでないかというふうに思いますが、そういう考えで、つまり従前どおりの考え方で変わりはないということでありますから、ぜひひとつその点をお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、公務員の退職手当が、この前の例の退職手当法の附則改正、あるいはそれを受けた条例の改正というようなものによって、国、地方団体ともやや民間水準となってきていると思うのですが、いかがですか。
  142. 坂弘二

    ○坂政府委員 地方公務員の退職手当につきましては、国家公務員の退職手当に準ずるよう指導しておるところでございまして、国家公務員の退職手当は、民間の退職手当の現状を調査いたしましてそれに合わせておりますので、方向としては先生指摘のとおりと思います。
  143. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 公務員にも昭和六十年から六十歳定年制が実施されることになって、定年退職年齢という意味でも民間並み、こう考えられると思うのですが、いかがですか。
  144. 坂弘二

    ○坂政府委員 昭和六十年三月三十一日から原則六十歳の定年については、民間との比較においてはやや高いと思いますが、ただ、そのころには民間も上がっていくだろうという想定のもとに決められたものと承知しておりますので、やはりこれも民間と同じように近づいていくものと思います。
  145. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それから、年金についても共済年金と厚生年金の給付水準は同等というふうに思いますが、いかがですか。
  146. 坂弘二

    ○坂政府委員 国家公務員、地方公務員の共済年金につきましては、単なる年金以外に公務員制度の一環としての職域年金的な性格もございますので、直ちにこれを比較することは非常に困難であろうかと思いますので、給付内容については、片一方は、国家公務員の方は退職年金でございますし、厚生年金の方は老齢年金でございますし……(五十嵐委員「概して」と呼ぶ)概しては、なるべく近づけるべき方向に今後検討をされるものと思います。
  147. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 給与も人勧凍結ということもあって、むしろ民間水準以下とも言えるわけでありますが、給与レベルについてもそういう状況になってきているということはどうですか。
  148. 坂弘二

    ○坂政府委員 給与につきましては、国家公務員について人事院が民間賃金を調べてこれに準ずるよう勧告している、定めているわけでございまして、地方公務員につきましては国家公務員に準ずるよう指導しておりますが、ラスパイレス指数で見ますと、平均していまだに地方公務員全体として多少高うございます。
  149. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 部分的にはでこぼこがあろうかと思いますが、概して言えば以上のようなことではないかと思うのです。つまり、給与もあるいは退職条件、退職後の条件、これらを総体的に見て官民較差がほとんどなくなってきているあるいはなくなる方向に進んでいるということであって、どうも巷間言われている、いまだに公務員が民間よりも非常に高いというようなことが今日も盛んに言われているわけでありますが、しかし、実態はそういうような状況ではなくなってきているということが言えると思うのでありますが、どうですか、そう言えますか。
  150. 坂弘二

    ○坂政府委員 地方公共団体三千三百余りあるわけでございますので、総体と申しますより、個々の地方公共団体がどうであるかというようなことが問題であるかと思いますが、給与につきましては、先ほど申し上げましたように平均してまだやや高く、また中には非常に高いものがございます。退職手当も自治省の指導どおり国に準ずるのであればという前提でございまして、それでないものもございますので、これは個々のものによって非常に違いがあると思いますが、方向といたしましては是正される方向に向かっておると思いますし、また向かわなければならぬと思います。
  151. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 労働省に雇用保険の適用についてちょっとお伺いしたいのですが、公務員も制度上基本的には雇用保険に加入できる、そういうぐあいに思いますが、いかがですか。
  152. 小野進一

    ○小野説明員 お答えします。  公務員に関する雇用保険の適用の問題につきましては、国、都道府県市町村にお勤めの方が離職した場合に、その方が離職時に受けます諸給付の内容が雇用保険法で支給されます失業給付を上回ります場合には、労働省令で定めるところによって、これを適用除外にするという法律上の制度になっております。
  153. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 地方公共団体の雇用保険加入状況の現状はどんなことになっているのですか。大体おわかりですか。
  154. 小野進一

    ○小野説明員 先ほど申し上げましたように、法律上その適用除外に原則としてなっておりますので、現在適用になっております方は、地方公共団体等に雇われております臨時の職員の方だけが原則として適用になっているという状況でございます。ちょっと数字は、いま資料を持っておりませんので、御了承願います。
  155. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 自治省としては、雇用保険に関する、加入であるとかあるいは適用除外だとか、こういうことについての指導といいますか、各自治体にはどんな御指導に現状なっておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  156. 坂弘二

    ○坂政府委員 地方公共団体の職員につきましては、先ほど労働省の方から御説明がありましたように、退職手当などの制度の中において雇用保険に相当する支給をする仕組みがとられていますと、労働大臣または知事の承認を得てこれを外しておりますし、また実態におきましては、やはり先ほどの御説明のように、雇用保険を掛けておるのは臨時職員だけであろうと思います。したがいまして、われわれといたしましては、やはり公務員である以上、退職手当は公務員制度の一環でございますので、これらの方で雇用保険の保障と申しますかをするべきであって、別個に雇用保険に掛ける必要があるとは考えておりません。
  157. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 しかし、さっきからお聞きしていますように、現状はさまざまな状況がやや民間と変わらない状況になっているわけでしょう。そういう状況であれば、やはりそれは認めていいのじゃないですか。そういう考え方は全く出てこないですか、どうですか。
  158. 坂弘二

    ○坂政府委員 雇用保険は、解雇されました者が一定期間中に次の就職ができない場合に最低の保障をする制度であろうと存じますので、それを退職手当の制度の中で設けている以上、それで差し支えないし、また公務員制度としてはそちらの方でいくべきであろうと考えております。
  159. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 しかし、これはさっきいろいろな比較の問題がありましたけれども、公務員はそれが認められていないということを含めて、同じ条件と言えますか。どうも私は、その点を含めて考えるということになりますと、むしろ公務員の方が不利な状況があるのではないかという気がしてならないのですが、定年退職後求職活動をするという場合もこれは受給をされるべき資格が本来出てくるという感じが、いまの状況は全く民間と変わらない状況になってくれば、次第にそういうことになってくるのではないか。それでなければ、それを含めて、やはり公務員の退職にかかわる諸状況というものを民間との比較において考え合わせなければならぬのではないかという気もするのですが、こんな点はいかがですか。
  160. 坂弘二

    ○坂政府委員 先ほど、退職手当につきましてはだんだん民間に準拠したようなものになりつつある、あるいはその方向にあると申し上げましたが、それは厳格に対比して民間と全く同じというわけでございませんし、またこれは年金との絡み、民間における年金と民間における退職金、それから国家公務員、地方公務員における共済年金と退職手当の問題、この二つに絡んだものでございますので、直ちに退職手当だけを取り上げて民間と一緒というわけではございませんし、雇用保険という特別のレアケースと申しますか、比較的まれな問題につきまして、それが入ったから飛び出たとか足りないというようなことは、ちょっと比較しがたいと思います。
  161. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 大体年数にもよるのでしょうが、たとえば三百日というのは十カ月ですか、それで大体どのぐらいの金額になるのですか、三百万かそのくらいになるのでしょうね。それだけの金額というものは、公務員の場合には現状得られないわけでありますし、民間の場合にはそれだけのものが得られるわけでありますから、やはりその額というものを全体の条件の中で含めて考えなければ、どうも官民の比較になっていないのではないかという感じが多少するのでありますが、いままでのいろいろな論議の経過を振り返ってみて、何かそれが一つ落ちていたのではないかなという感じがしないわけではないわけでありますが、ぜひひとつ、新しい問題であろうと思いますが、一応これらの問題についても、一つの問題意識といいますか、そんな点でおとらえをいただければ幸い、こんなふうに思う次第であります。  以上で質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
  162. 田村良平

  163. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、本論に入る前に、個別問題について若干お伺いをいたしたいと思います。  まず、自治体病院の経営問題についてお伺いをいたしたいわけでございますが、厚生省はお見えですか。——順次伺ってまいりたいと思いますが、まず自治体病院の経営状況が悪化しているというふうに聞いておりますが、その実態を自治省はどのように掌握していらっしゃるか、御報告をいただきたいと存じます。
  164. 土田栄作

    ○土田政府委員 お答え申し上げます。  自治省は、毎年度公営企業に関します決算状況調査を行っておるわけでございますが、五十六年度におきます地方公共団体が経営しております病院全体の経常損益というもので見てまいりますと、五百九億円の赤字でございまして、前年度より二百八十八億円赤字がふえております。これを事業主体別に、つまり赤字と黒字といった事業主体別の事業数で見ますと、五十六年度の赤字の事業数は三百八十七でございまして、前年度より赤字事業が八十ふえました。それから、黒字の事業数は三百三十二ということでございまして、前年度より七十八減るということでございまして、地方公共団体が経営しております病院の経営の基調というのは、五十六年度決算で見る限りは悪化の傾向をたどっておる、このように存じております。  五十七年度につきましては、これは実は私どもは、自治体病院協議会が調べた資料というものを一応参考に拝見いたしているわけでございますが、これは九月までは実績をとり、それから十月から三月まで、これにつきましては推計をとっておりますので、決算をとってみますと若干数字が変わってくると思います。ですから、自治体病院協議会の決算統計の数字といいますものは、その時点における実態の推定であると思いますが、決算が出てくれば若干変わるんじゃないか、そういうふうに存じております。
  165. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまの自治体病院協議会ですか、これが昨年の十一月三十日現在で、協議会加入の九百五十一病院を対象にして七百二十四病院から回答があった。その結果で見ると、総収入で見ると、五十六年度で五八・三%であった赤字病院数が、その割合は五十七年度には七一・一%とふえている、こういうふうに数字が出ているわけでございますけれども、いま御報告をいただいた数字から見ると、五十六年度は赤字病院は減っているというふうに承ったんですが、ちょっと聞き違いでしょうか。
  166. 土田栄作

    ○土田政府委員 もう一度正確に申し上げますと、五十六年度の決算は五百九億円の赤字でございまして、前年度より二百八十八億円赤字がふえております。それだけ経営が悪化しているということでございます。
  167. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、私もいろいろ自治体病院の経営状況については伺っておるわけでございますけれども、どうも経営状況の悪化というものが急速に進んできているような気がしてならないわけでございますが、一体その原因についてはどのような分析をしておられるのか、その点についても伺っていきたいと思います。
  168. 土田栄作

    ○土田政府委員 御案内のように、自治体病院の経営全体というものを通じて見ますと赤字でございますけれども、中には、赤字企業もございますけれども、黒字企業もあるわけでございまして、それらの差は、一つは診療の内容、それから立地条件、それから経営努力の差といったようなものによりまして、赤字、黒字ということになってまいるかと思います。  それから、最近の傾向といたしましては、社会保険診療報酬が五十三年の二月に改定されて以来据え置かれまして、それから五十六年の六月に診療報酬の改定が行われたわけでございますが、その場合に、社会保険診療報酬の改定の方でプラスはございましたけれども、薬価基準の方が一八・六%引き下げられたというマイナスもございまして、全体として見ますと、この診療報酬の改定といいますのは、公立病院の増収には余り寄与しなかったというふうなこともあるわけでございます。
  169. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 確かに黒字の病院もあるのでございますけれども、だんだんと赤字傾向が強くなってくる、こういうふうに思われるわけでございます。これは立地条件あるいは診療内容あるいは経営努力というような問題が取りざたされているようでございますけれども、しかし、これは厚生省に伺いたいのですけれども、いわゆる医療内容の向上という問題、これはいわゆる医療の機械化の促進、あるいは病気に対する診断のいわゆる検査の問題、検査内容ですね、そういうものがだんだんと進んできているわけですね。個人病院等においても高額の医療機械を入れていくというような傾向がありますし、あるいはまた大学病院等においても高額の医療機械というものを入れながら医療の研究を進めていく、そういうような傾向がずっと続いておるわけで、そういう傾向をとらえてみますと、当然その影響は自治体病院、公的病院の中にそういう傾向があらわれてくるわけでございますので、一体この医療内容の向上と経営の向上というものは全く二律背反的な問題なのか、あるいはまた何らかここに整合性が出てき得る問題であるとお考えなのか、そこら辺の問題について御見解を承っておきたいと思うのです。
  170. 柳沢健一郎

    ○柳沢説明員 医療内容の向上につきましては、先生ただいま御指摘のように、年々器具機械等あるいは術式等々各方面におきまして医療内容の向上が見られるところでございます。たとえば現在最も進んだ医療機器の一つとされておりますコンピューター断層装置、これが昭和五十三年の場合には全国で四百三十九台というようなことになっておったのでございますけれども、それが三年後には千五百台というように、医療機器の進歩、それを現場の医療に応用するということについては日進月歩の感があるところでございます。これら医療機器の進歩あるいは医業医術の進歩等が常に第一線の医療の中でもって行われ、それがかつ経営の面においても十分に、二律背反というようなことのないような、円滑な運営の中でもって行われなければならないというふうに厚生省としても考えているところでございます。
  171. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 二律背反にならぬように指導していきたいということでございますが、しかし、ここ数年間の傾向を見ていると、どうしてもそういったものが経営悪化の要因として大きく取り上げられてきているように思うのです。私もある個人病院を知っておりますけれども、いわゆる腎臓患者ですか、それに対する手当てを整備して、そしてそれらの機械を入れて病院経営をしたのだけれども、やはり高額医療になりますので入院患者が少ない、そのために病院の経営状態が悪化してしまって、まさに倒産かと言われるような状況にまで陥っている。それから、いわゆる高度経済成長の時代においては、これも小さな個人病院かと思いますが、そういったものの倒産は見られませんでしたけれども、ここにきて倒産傾向というものも、これは税務署などに聞いてみますと、やはり一つの顕著な方向として出てきている、そういうような状況にあるわけですね。  そうしておりますと、ただ口先だけで医療の内容向上という問題と経営という問題を合致していくようにどうか努力をしてくれと言うだけでは、この問題は片づかない。大変大きな問題にこれから発展していくのじゃないかなというふうになりますので、ここのところに対する対策というものをどうしても打ち立てていかないとならないのではないか、こういうふうに思います。  もちろん、お医者さん方のいろんな御意見をお伺いしますと、何でもかんでも検査をやればいいというものではないという、そういうような医師あるいは学者もおられるわけですけれども、しかし、やはり今日の科学の実態というものあるいは医学の実態というものを考えていきますれば、その原因究明というものは医学上においては絶対的な要請要素であるわけでございますので、この傾向が横ばいになるということは考えられない。素人判断でまことに恐縮でございますけれども、私はそう考えざるを得ないわけです。  そうなってみると、医療内容の向上という問題についてどういう手だてをしていくか、これは自治省に後からまたお伺いするわけですが、自治省としても、そうなりますとこの赤字問題というものを基本的に考え直していかなければならないのではないか、地域医療というものを充実していくためにもそういうふうに考えざるを得ないわけですけれども、まず厚生省の御意見を承りたいと思います。
  172. 柳沢健一郎

    ○柳沢説明員 御指摘の問題につきましては、その自治体病院の持っている使命が十分達成できるように、厚生省としてもいろいろの面におきまして今後とも努力を続けたいと思っております。
  173. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 自治省の方では、この自治体病院の経営悪化の問題について、もちろん合理化を進めなければならぬところは進めていくように指導するのでしょうけれども、今後この問題について一体どのような点を重視して指導していこうとなさるのか、これについての見解を承りたいと思います。
  174. 土田栄作

    ○土田政府委員 ただいま御指摘がございましたように、公立病院の経営を健全にいたしますためには、できるだけ支出を効率化するということがまず第一の要件になるわけでございます。支出を効率化いたしますためには、歳出の中で大体二分の一が人件費でございますので、職員の適正配置でございますとか、それから給与水準を適正化するといった面での人件費の合理化努力というものについての指導をいたしますとともに、医薬品の購入につきましても、共同購入とかいろいろの購入方式の適正化を図るということによりまして、購入単価を下げる、それから医薬品の使用効率を高める、在庫を減らすといったような形での指導をいたしますとともに、こういうふうなものにつきましては、よその病院でどうやっているか、自分のところと比べてどうかという比較が大切でございますので、各病院との経営比較ができますように、公立病院の経営指標をつくりますとか、それから経営改善事例集というものをつくりまして団体に配付するというようなことによりまして、できるだけ支出の効率化を図るように指導いたしております。  それからもう一つは、収入の確保でございますけれども、収入の中では、何と申しましても、医業収益の九六%といいますのが社会保険診療報酬で占めておりますので、社会保険診療報酬が自治体病院の経営実態に即するように適正化を求めるということを、厚生省に対していつも要請いたしておりますし、今後も要請してまいるということでございます。  それからもう一つは、一般会計との負担区分の問題もございますが、一般会計との負担区分に基づきまして、一般会計で負担すべきものにつきましては、所要額を地方財政計画に計上し、そのうち必要なものについて交付税措置を講ずるという、この三本立てで従来もやってまいっておりますし、今後もその方針でやってまいりたい、こういうことでございます。
  175. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 よくわかったようなわからないような話でございまして、これは人件費が二分の一というのは、私もこの間ある病院に父親を入院させましたので、公的病院の院長に会って聞いてみたのです。そうしますと、人件費は五一%に抑えているというのですね。そして、とにかく待合室なんか門前市をなす状況にある。昔は、あるタクシーの人がその病院に来ておったけれども、待合室等はまあまあ座れる程度に込んでおった。しかしながら、最近は座るところもないぐらいいわゆる千客万来である。こういう状態にもかかわらず赤字なんです。こういう話なんですね。  そうしますと、確かに診療報酬の引き上げ等の問題もあるけれども、しかし、これがなかなか改善がむずかしい状況ですね。そうしますと、いわゆる自治体の一般会計の中からの助成というものも強めていくということが、とりあえず考えられる方法としてはそこに一つあるわけですけれども、その基準というものがどういうふうになっておるのか、あるいはこれを改善するという方向に全体の流れは行っているのかどうか、ここら辺の問題についてもう少し突っ込んだお答えをいただきたいと思うわけでございます。
  176. 土田栄作

    ○土田政府委員 まず、人件費の問題でございますが、ただいま約二分の一が人件費と申しましたが、病院によりましては四〇%ぐらいのところから七〇%を超えるというような団体もございまして、支出総額に占めます人件費の割合が高いところは、やはりそれだけ経営が苦しい、それから割合が低いところは経営が良好であるというのが、一般的な傾向として示されております。  それから、一般会計との負担区分でございますが、これは地方公営企業法の十七条の二というところに規定がございまして、「当該地方公営企業の性質上能率的な経営を行なつてもなおその経営に伴う収入のみをもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費」という法律の規定がございます。その法律の規定を具体的に指定の内容を決めておりますのが政令、それから通達でございますけれども、これはいろいろございますが、政令で申しますと、たとえば看護婦の確保を図るため行う養成事業に要する経費でございますとか、それから救急医療を確保するための経費でございますとか、それから病院の建設事業に要する経費のうち病院事業の経営に伴う収入の額を超える部分といったようなものについても、一般会計の繰り出しというものを、法律それから政令、通達によって決めているわけでございます。  それから、この内容につきましては随時見直しをやっておりまして、必要なものにつきましては毎年所要額を地方財政計画に計上いたしているところでございます。
  177. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 なるほど、それはそれでわかりましたが、ただ考えられるのは、もっと積極的に対応していかなければならない。確かにそういう政令等がありますから、一応措置されているのですけれども、これは大臣、ひとつぜひ御勘案をいただきたいのですけれども現状は、いわゆる老齢化社会が始まったばかりなんですね。ところが、これはもう二十三年ぐらいたちますれば、いまの一千百万人の六十五歳以上の方が約二千三百万人ぐらいになる、こういうことが言われておるわけでございます。  これは実は非常に問題があるわけでございまして、たとえば寝たきり老人をどこで収容していくか、こういうような問題は、当然各家庭において収容するといういわゆる地域医療という問題、あるいは保健という問題を考えていかなければならないと同時に、たとえば長崎におきます原爆病院の実態等を見ますと、高齢化が進んでおるわけでございますから、結局いわゆる与える薬のたぐい、注射等そういうものは余り必要ないわけですね。要するに、そこへお医者さんがしょっちゅうつきっきりで診ながら、その人たちが亡くなるまでめんどうを見ていくということでございますから、これは病院の回転ができないわけです。回転ができないから当然経営悪化につながっておるわけです。その原爆病院の実態。  それから、黒字の病院の実態を見ますと、非常に入院患者の回転率がいいわけですね。これも長崎に有名な民間の病院があるのです。六百病床ぐらい持っておりますから大変な民間医療団体でございますが、これはなぜ市民病院等に比べて黒字になっているかというと、回転率がいい。回転率がいいというのは、院長なりそれに携わる医師の人たちが、これはいわゆる自宅療養もしくは通院でよろしいというところは、かなり思い切った形でそういうことを措置しておられるわけなんです。しかし私は、現状ならばこれはまだとり得る措置であろうと思うのでございますが、これから老齢化社会が進んでいくとそう簡単にいかない。そんなに簡単に退院させられないという状況は必ずふえてくると思うのです。  たとえば、昨年度の予算委員会で私は植物人間の問題を議題にしたわけですが、これに対する救済方法はないのです。救済する法律というものは、まだいま厚生省審議中のはずですね。その実態を見てみますと、そういった植物人間のために新しい専門の病院をつくるということは、これまた非常にその経費がかかる。そういうような状態で、これを推進するということは恐らく不可能だと私は思います。そういうことに似た状況がこれからのいわゆる医療の世界の中には頻繁に出てくる、というよりはかなりそういう適応症を持った人がふえてくる、こういうふうに思わざるを得ない。これもいわゆる今後の自治体病院の赤字要因の大きな問題点になってくるのではないかと思います。  そういうことをさまざま考えてみますと、やはり地域医療の中心になっている自治体病院に対しては、本格的な補助金というものも、また一般会計からの補てんというものもかなり思い切った形でやっていかないと、全体が運営できなくなって、いわゆる大きな問題になっております国鉄的な、そういった現象が出てくるのではないかと思って、実は心配をいたしておるわけでございます。  そこで、まず最初に大臣にお伺いしたいのでございますが、いま自治体病院に対して特殊診療部門の運営費の補助が五十八年度ベースで約十五億、それから公的医療施設整備補助金で七十三億、五十七年度と同額が出ているわけですね。それから、自治体を含む公的病院については、僻地の医療補助金が四十六億、救急医療補助金が百十九億、看護婦の養成補助金が十億ということで百七十五億、公的病院だけで補助金というのはわずかに百七十五億というような状況になっているわけですね。  そうしますと、この補助金をふやしていく形でこれから対応していくのか。あるいはまた、赤字になったものはやむを得ないから一般会計から全額めんどうを見ていくのだ、そういう方向でいくのか。これは両方加味してということもあるかもしれませんけれども、ウェートのかけ方、こういうものがかなり今後問題になっていくと思うのですが、どのような方針でこれから臨まれるのか、お答えをいただきたいと思うわけであります。
  178. 土田栄作

    ○土田政府委員 ただいま国庫補助金の関係につきまして御指摘がございましたが、これは厚生省の所管の補助金でございますので、後ほど厚生省の方からお答えがあろうかと思います。  私の方といたしましては、地方財政計画に所要額の繰り出し額を計上しているところでございます。金額で申しますと、昭和五十八年度におきましては二千五百十七億円というものを措置しているわけでございまして、前年度二千二百五十三億円に対しまして二百六十四億円増額いたしております。そういうことで、地方財政計画の積算上、所要額というものにつきましては財政措置を講じておりますし、これからもできる限り財政措置を講じてまいりたい、こういうことでございます。
  179. 柳沢健一郎

    ○柳沢説明員 先ほど先生仰せのとおり、厚生省の方から自治体立病院に対しましての補助金が支出されているところでございます。それで、これが充実につきましては、今後とも最大限の努力を厚生省といたしましても払ってまいりたい、さような所存でございます。
  180. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この問題はこの程度にとどめておきますが、ぜひ厚生省お願いしたいのは、いわゆる社会生活の実態が大きな変化を見せておるわけでございます。今度老人保健法が成立をして、選挙でもいろいろ話題になっておるわけでございますけれども、これはやはり保健行政といいますか、そちらの方に重点を置いて考えていかないと、老齢社会には対応できない現在の財政状況、これから考えて、これからのいわゆる経済の伸展ということを考えても、きわめて容易ならざる状況が到来するというふうに考えますので、この保健行政というものを重視すると同時に、地域医療の中心である自治体の医療機関等についてもひとつ十分な配慮を願いたいということを、御要望としてお願いをしておくわけであります。  それでは、この問題はこの程度にいたしまして、次に、地方団体の施設、用地の国等に対する無償貸与の問題についてお伺いをいたすわけであります。  ちょっと時間がなくなってまいりましたので、その実態等をお伺いするのはやめにいたしますが、いずれにいたしましても、私が手にしております五十三年度段階資料におきましては、各省庁全部地方団体からの土地、建物の無償借り上げ状況があるわけでございまして、総体的な件数にいたしますと千四百六十四件というような大きな数字になっております。土地にいたしましても七百二十九万五千九百十七平米ですか、そういうような実態になっておるわけでございます。  自治省は、各省庁に対して毎年解消申し入れをしておるそうでございますが、これは少なくはなってきているのでしょうか。このことについて自治省の方で掌握されておるならば、お伺いをいたしたいと思います。
  181. 石原信雄

    ○石原政府委員 土地や建物について地方公共団体から国の機関に対して無償提供をされている状況でございますが、先生指摘のように、五十三年四月一日の調査によりますと、件数にして千四百六十四件でございます。これが五十七年度末の状況では、件数で三百七十五件に減少しております。したがいまして、差し引き千八十九件減少したという状況になっております。それぞれ土地について申しますと、面積では六百九十六万一千二百六十六平米減っております。建物では四万七千五百二十一平米減少しております。  私どもは、事柄の性質上この絶無を期すべきものでありますので、毎年度各省庁が大蔵省に対して概算要求する前に、具体的にこの解消方を毎年度要請してきております。その結果がこういう形であらわれてきたのではないかと理解しておるわけでありますが、なお五十七年度現在でも三百七十五件残っているわけでございますから、この完全解消へ向けて引き続き関係省庁の御努力をお願いしてまいりたい、このように考えております。
  182. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ところで、大蔵省にお伺いするわけでございますが、これはたとえば地方財政法第二条の第二項、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」等々の規定があるわけでございます。それから、地方財政再建促進特別措置法第二十四条の二項、地方団体は、当分の間、国、公社等に対し、寄附金、負担金を支出してはならない。ただし自治大臣が承認するものを除くというようなことです。この地方財政法のたてまえからいけば、当然各省庁が地方団体にこういう形で負担をさせてはならないというふうになっておるわけで、その法律に対する自治省の御努力というものが貸付件数の減少というような形になって出てきているんです。  これは、五十八年の四月八日に大蔵省が通達を出したということが新聞発表されておるわけでございます。その内容ですね、これは国有財産中央審議会の一月の答申に基づいてというものでございますが、その答申内容については、極力財政収入の確保を図るため、一、地方団体に対し、未利用国有地を一定期間内に買い受けるよう勧奨し、優先的に利用要望地を特定。二番目、地方団体の利用要望がない国有地は一般競争入札で民間に処分する。それから三番目、地方団体に対する処分上の優遇措置を是正する。こういうことがうたわれておるようでございますが、まあ二番目の問題はともかくとしまして、大蔵省は国有地を買い付け勧奨する、しかし実態は、各省庁は自治体から無償で借りておる、こういうことに矛盾をお感じになりませんか。
  183. 太田幸維

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  国有地の管理処分は、昭和四十七年三月の国有財産中央審議会答申、「都市及び都市周辺における国有地の有効利用について」、こういう答申に基づきまして、公用、公共用に優先的に充てるということを原則として運用してきたわけでございます。しかし、有効利用答申以後の運用の実態を見ますと、公用、公共用優先の原則が強調されまして、地方公共団体等から利用要望が表明されましても、それが表明だけに終わりまして、なかなかその実行がなされない、こういうことでございまして、したがいまして、長期間未利用の状態で国有地が放置されている、こういうふうな事例が大変多く見られた。また、財政に余力があった当時のいろいろな優遇条件がございます。無償貸し付けでございますとか譲与でありますとか減額売り払いというふうな各種の優遇条件がございますけれども、こういった優遇条件が財政事情の著しい悪化等にもかかわらず維持されている、こういったことのために、国有地を処分いたしましても、これが財政収入になかなか結びつかないというふうな状況が見られたわけでございます。  それで、今日財政再建が当面の緊急課題ということになっておりまして、国有地の処分による税外収入の増加と、それによる財政再建への寄与ということが強く要請されている、こういう情勢に対処するために、当面の国有地の管理処分はいかにあるべきかということにつきまして、昨年十一月に国有財産中央審議会に諮問をいたしまして、本年一月、「当面の国有地の管理処分のあり方について」という答申がなされたところでございます。  この答申では、公共用地に対する根強い需要等を考慮して、国有地は今後とも長期的視野に立って極力公共部門において有効利用を図るべきであるとして、公用、公共用優先の原則は基本的に維持されるべきであるけれども、しかし同時に、近年における国の財政事情の極度の悪化にかんがみて、この原則を損なわない限度で極力財政収入の確保を図り、財政再建に寄与すべきである。このような観点から、具体策として、先ほど先生から御紹介ありましたけれども地方公共団体等に対しまして未利用国有地を一定期間内に買い受けるよう勧奨するとともに、勧奨の結果、地方公共団体等からの利用要望がなかったもの等で、将来とも公用、公共用に使用する見込みのない未利用国有地については、一般競争入札等により民間への売り払いを積極的に行うということ、それから、少なくとも特例公債発行期間中は地方公共団体等に対する優遇措置を是正する、すなわち、処分面積の一定割合を時価売り払いして、残りについて現行の処分条件を適用する、こういうふうな具体的な提言がなされたわけでございまして、私どもといたしましては、この趣旨に沿って具体的措置を本年度から実施するということにしたところでございます。
  184. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いや、その内容については、確かに個別的に見ますと、欲しい、しかし金がないから簡単に買えない、いわゆる権利だけ確保しておくという形で、そういう話がちょこちょこ出てくるというようなことですね。ところが、実際やってみると、各省庁では地方公共団体から借りておるわけでしょう。そういう面もあるのですね。ですから、そういうものを、たとえば等価交換というような形で相殺するようなことをやれば、これは実際的に地方自治体は金が要らぬわけでございますから、その未利用地というようなものはかなり特定できる分野も出てくるんじゃないか、そこら辺について何かの知恵はないのですかということを伺いたいわけですが、何かこれについて法律上の制約がありますか。
  185. 太田幸維

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  特に法律上の制約というふうな大きいものはないと承知いたしております。現に、ちょっと数字の方、私どもいま直ちに把握してございませんけれども、交換というふうな形で処理してきている、そういう努力が数年前から行われてきているというふうに承知しております。
  186. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いま大蔵省のお答えでは、そういうふうに交換することも過去にあった、こういうお話でございますけれども自治省の方でこれを推進するつもりはありませんか。
  187. 石原信雄

    ○石原政府委員 先ほど私が御答弁申し上げた内容とも関連があるわけでございますが、各省庁の所管に属する施設の用地、建物等で地方公共団体が無償提供しているものがかなりあり、その解消方をわれわれ要請してまいったわけでありますけれども、その解消のやり方としまして、直接国の予算措置を講じて買い取っていただく、これが一番オーソドックスであり、普通のやり方ですが、交換を行うというケースもたくさんあります。たとえば国立の医科大学の誘致に関連して地元が土地を提供した、一方において国有地を地方で借り受けているというのがありまして、これを等価交換で解消する、両方とも正常化する、こういったケースは私自身も地方におりまして経験がありますし、そういう交換等の方式で処理されたものもかなりあるのではないかと思います。したがいまして、これからの対処の仕方といたしましては、やはりそういった適地があれば交換などの方法が非常に望ましい、このように思います。
  188. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういうことが望ましいだけではなくて、積極的に推進をする、これはやはり自治省の方で何かしっかり物を言わぬ限りにおいては、なかなかそういうふうにはなりませんよ。いかがですか。
  189. 石原信雄

    ○石原政府委員 私ども、個々具体にどうこうしてほしいというところまでなかなか手が回りませんが、先ほど申し上げましたように、毎年度の各省庁の予算の概算要求の前に、現在なお残されておりますこの不正常な状態を極力解消するように、各省庁にあらゆる手段を研究してほしいということを要請してまいったわけでありますが、これからもさらにその要請を続けていきたい、このように思っております。
  190. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もうちょっと踏み込んだ検討をしてもらう必要があるんじゃないでしょうか。これは実際に公共用地ですからね。自治省自治省の立場だけ、大蔵省は大蔵省の立場だけでは問題は解決できないわけで、まあ時間もありませんからこれ以上のことは申し上げませんけれども、こういう方法もあるじゃないか、ああいう方法もあるじゃないかということは、ある程度やはり指導的に言わなければ、この問題は進まないわけですよ。現に、こうやって個別物件を見ますと、要するに大学の職員住宅、その用地というようなことがありますね。あるいは測候所の庁舎及び宿舎等の用地を考えてみますと、個別に検討すればもっと交換ができ得る、そうすると国有地の指定をして、買いたいという未利用地も生きてくるということでございますので、ぜひひとつ御検討を願いたいということを要望しておきたいと思います。  大蔵省、ありがとうございました。結構でございます。  次に、消防庁の関係で、時間もなくなってきましたから簡単にお伺いをいたします。  ことしの例の蔵王温泉等の火災、これらの問題で、その後さらに「適」マークの問題等あるいはその評価の問題について、厳しい段階的評価を実施しようかというような答申も出ておるようでございますけれども、この問題もこれからしばしばまた起こるかもしれないという立場に立って考えてみますと、今後の行政指導の中で一番決め手になるものは一体何だというふうにお考えになっていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  191. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまお話がございましたように、去る二月二十一日に蔵王で、翌二十二日に万座で、相次いで火事が起きました。この中で、特に蔵王では十一人の方が亡くなられまして、非常に残念なことだと思っております。  こういう一連の火災を見てみますと、火災の早期発見のための設備の問題あるいは初期消火をどうするかあるいは適切にやっておったかどうか、そういう問題もあろうと思いますし、従業員の避難誘導がまさに適切にいったかどうか、こういう問題もあろうと思います。気象条件が非常に悪かったということもあろうと思いますが、しかし、なかんずくこの中で一番大切なことは、経営者が防火管理というものについてどういう心がけであったかということがむしろ非常に大事なことではなかったか。設備だけではなくして、むしろソフトな面と申しますか防火管理、そういう点にもう少し力点を置いた防災意識を持つということが、この際大変大事なことではなかったかというふうに考えております。
  192. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 長官のお話、きわめてごもっともだと思いますし、今後御推進を願いたいと思っているんですが、この間の蔵王のときでございましたでしょうか、火災報知機の電源を切っておったという、これはきわめて言語道断な措置であったわけでございますけれども、こういうところを見ますと、経営者側の運営に対する心構えはきわめて大事な要素であることはわかるのでございます。しかし、たくさんの旅館があるわけでございますので、こういった問題を具体的にどのような形でこれから推進をされようとしておるのか、まだはっきりしてないわけですが、そこら辺はどういうふうにお考えでございますか。
  193. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 今回の火災で特に問題になりましたのは、御案内のとおり建物が木造であったということが非常に大きい問題であったのではなかろうかと思っております。ここしばらくの間、ニュージャパンの問題は別といたしまして、耐火構造の建物は余り燃えておりません。やはり木造の建物で不特定な人を多数入れておく建物というのが大変危険だと思っております。お話がございましたように、そういう点で警報装置の電源を切るなどということは、まさにもってのほかのことだと私も思っております。  しかし、こういう問題は、いま申し上げましたように、防火管理者並びに経営者という方々の防火管理の意識が非常に大事なことでして、この木造の建物が焼けました後も、一斉点検をするに当たりまして、経営者に対する教育をし直すべきだ、もう一度研修をやり直すべきだということもございまして、消防機関には、一斉検査をやるときにあわせて経営者に対する研修を行えということを、実はお願いをしてまいったわけでもあります。  防災のためには、防災の設備面と、その維持管理あるいはただいま申し上げましたような火災の早期発見であるとか通報連絡、避難誘導、そういう面が確保されて、初めて建築物並びに人命の安全が確保されるということでございますから、今後におきましても、「適」マークの出されております建物について、防火戸の閉鎖障害でありますとか、階段、廊下でありますとか、出入口、そういうところの避難障害を除去させるとか、あるいは防火設備について十分なる管理をさせておく、そういうことを繰り返し消防機関が点検をすることによって、火災から人命を守っていくことが大変大事だと思っております。
  194. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 しつこいようで恐縮ですが、設備点検をされるときに経営者研修をおやりになるそうでございますけれども、これは木造の場合あるいは耐火構造の場合分けて、一体どんなサイクルで行われるわけでございますか。
  195. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 一つは、消防機関の能力ということもありましょうし、人員の配置ということもあると思います。少なくとも一般的には年に二回ほど点検をすることになっておりますが、消防機関の実態を見てみますと、必ずしもそういってない部分もございます。年に一遍だけやることになってしまうということもあろうと思います。特に、一回やるというのは、もともと「適」マークの交付をされているところでは、一年しか有効期間がございませんから、当然一年に一遍やることになるわけですが、消防機関は町を巡回しながら防火対象物にときどき入って点検をしておくようにという指導はしておりますが、先ほど申し上げましたように、人員その他でなかなか能力的にいかないこともあります。東京都のようなところですとわりあいに能力がございまして、よく新聞にも出ておりますように、問題が起きたときにその都度一斉点検をすることが可能であります。小さいところではなかなかそういかないこともございますが、私たちとしては、あとう限り消防機関がそういう予防行政に意を用いるようにということを指導しているわけでございます。
  196. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最低年に一回というような形であるようでございますが、これは全体の職員の数から生まれてくる能力の問題もあろうと思いますので、極力やっていただく以外にないわけでございますが、東京都の火災予防審議会が出した五段階方式に対する評価が、一部においては非常に高いようでございます。消防庁としてはこの方向を採用されるつもりでございますか。
  197. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 東京都がやっております火災予防審議会答申は、これからの一つの物の考え方として評価すべきものだと私は思っております。特に、防火対象物に対します安全性あるいは危険性を数量的に把握をしていく、それによって評価をして点数をつけていく、これはこれからの防火対象物に対する点検という意味では、私は必要なことだろうと思っております。  実は、私の消防庁におきましても専門家に集まっていただきまして、不特定多数者が集まります複合施設と申しますか、そういうところについていま東京都の予防審議会でやっておりますようなことを研究しておりまして、東京都がああいう結果を出しましたから、その結果も参考にしながら、今後ともそういう方向を少し検討していきたいと思っております。
  198. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、旅館、ホテル等の火災問題については、以上で終わります。  次にお伺いします。  それは最低制限価格制度の問題でございますが、どうも自治省が指導していらっしゃる公共工事に対する最低制限価格制度の問題、どれだけ効果があるのかという感じがしてならないわけでございますが、自治省は一月二十一日開いた全国都道府県財政・地方課長会議で、地方自治体が公共工事などの請負契約をする際に設けている最低制限価格を予定価格の九〇%以上にしないよう強く要請した、こういうことが一部報道されておるわけでございますが、これは何を意図したものでございましょうか、お答えをいただきたいと存じます。
  199. 大林勝臣

    大林政府委員 最低制限価格制度というもの自体が、地方自治体といたしましては、片っ方で最少の経費で最大の効果が上がるような努力をしなければなりませんと同時に、契約関係におきますと、工事の確実な完成ということが住民に対する一つの大きな責任になっております。そういった両方の要請の調和といたしまして、長年の間、工事または製造の請負契約については最低制限価格制度を法制上とってまいっておるわけであります。  しからば個々の契約につきましてどの程度の最低制限価格というのが両方の要請を満たす一番いい限界であろうかというむずかしい問題がございます。経験とかあるいは沿革というものにも非常に左右されますが、御案内のように、たまたま検査院の指摘地方の数団体についてございまして、個々の工事につきまして余りにも高い最低制限価格というのを決めておる、予定価格の九〇%を超えておるというような事例も散見をされまして、これでは競争の原理が崩れてしまうし、最低制限価格制度の運用としては少し極端ではないかという指摘もございました。それこれいろいろ勘案をいたしまして、検査院の指摘事項を添付をいたしました最低制限価格の適切な運用について要望いたしたわけでございます。
  200. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この設定状況については、都道府県段階で約五割、指定都市で約三割、こういうふうに言われておるのですが、国の機関は、これは実施しているのですか。これはいかがですか。
  201. 大林勝臣

    大林政府委員 国の契約工事につきましては、最低制限価格制度とは少しニュアンスが異なりまして、いわゆる低価格調査制度とかあるいは調査基準価格制度、こういうシステムをとっておると承知しております。これは御案内のように、入札をいたしまして、本来は最低の価格をお申し込みをした者と契約をいたすわけでありますけれども、ただ、あらかじめつくっておる基準から見ましていかにも安過ぎる、これでは完全な工事が期待できないとかあるいは取引の安定を害するというような判断がされました場合には、その契約内容を調査検討いたしまして、もしも妥当でないというような結論が出ました場合には、その次のランクの申し込みをした者、これと契約をすることができる、つまり契約の入札をいたしました結果だけで判断をいたしませんで、改めてその最低価格の申し込みをした者について調査をし、さらに合理的な検討を加えた上で契約をする、こういうシステムがとられておると承知しております。
  202. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これの実施状況、いま申し上げたとおりでございますけれども、この最低価格を実施しているのは、私の方の調べでは、都道府県段階で五割、指定都市では三割というふうになっているように聞いておるのですけれども、これは事実ですか。この数字は大体適合していますか。
  203. 大林勝臣

    大林政府委員 自治省といたしましての調査は、多少古いのでございますが、昭和五十五年現在の数字でありまして、たまたまその時点におきましては、県の数というよりも、全体の県におきます契約件数、これで調査をいたしておりまして、大体最低制限価格制度をとっておりますのが、全体の県の契約件数の四七%、つまり約五割近い、それから指定都市におきまして、契約件数にしまして三〇%程度の契約に適用されておる、こういう調査の結果となっております。
  204. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうすると、自治省としてはこれを推進をしているのでしょうけれども、全体が三割ないし五割というような状況で、これは満足すべき数字でございますか、あるいはきわめて不満足なんで、この最低制限価格制度というものをもっと強力にプッシュするというようなお考えなんでしょうか。いかがでございましょうか。
  205. 大林勝臣

    大林政府委員 契約のあり方あるいはその契約の決め方、こういうものにつきましては、私どもとしても余り専門的な立場にはございません。むしろ建設省の方におきまして、その都度中央建設業審議会等の答申に基づいていろいろな指導が行われておるわけでありますが、最低制限価格制度というもの自体が、先ほど申し上げましたような趣旨でできたものではありますが、ただこれは、この制度を採用するかどうかは、やはり指名業者の指名の仕方でありますとか、あるいは数でありますとか、参加する指名業者の質、経歴、能力、こういったものとの関連で決めるべき問題であろうと思います。  ただ、一般的には、手抜き工事あるいはダンピング工事というものを防ぐためにはこういった制度が必要であろうと思いますが、これを採用し、さらに採用した上でどの程度の最低価格の決め方をするかという問題は、工事の相手方あるいは入札の仕方、こういったものと関連をいたしますので、地方団体の自主的な運用に任せてまいったわけであります。
  206. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ちょっとそこら辺、自治省としてはもう少しお考えがあっていいのじゃないでしょうか。制度はつくった。その運用は自治体の運用に任されておる。一体自治省としては、これを大変評価しているのか、余り評価しないのか、全然評価していないのか、これすら余りはっきりしていらっしゃらないように承れるのですがね、いまのお話でございますと。三つ段階に分けていかがでございますか。
  207. 大林勝臣

    大林政府委員 制度趣旨から申しますと、最低制限価格制度あるいは国でやっております低価格調査制度というものは、それなりの事情があってできたものでありますが、問題はその運用の仕方でありまして、結局、最近、最低制限価格制度にまつわる問題点としましては、最低制限価格の決め方の問題、これが一番大きな問題として当面の問題になっておるわけであります。したがいまして、そういった最低制限価格を採用した場合の価格の決め方、あるいはもう一つの方法としまして低価格調査制度、こういったものをどう組み合わせて採用するかという問題は、その地方におきます契約担当者の能力との関連もございます。  国の場合におきましてはそういった審査システムというものがわりあい充実しておりますので、最低制限価格制度というものを採用するまでもない、こういうふうな事情がありますけれども地方団体の場合にはいろいろな規模に応じまして事情は違いますけれども、なかなか国並みの価格審査能力、体制というものが整っていないのが現状であります。  そういうことを前提としまして最低制限価格制度をとっておるのが大部分を占めるわけでありますが、問題は、その価格の決め方、この運用の仕方、これが結局、先ほど申し上げましたように、契約の入札のあり方あるいは相手方の能力、資質、こういったものと関連をいたしますので、一般的に一律に何%程度の最低価格というものが適当であるかどうかという問題になりますと、一律な指導というものは困難であろう、こういうお答えをいたしておるわけであります。
  208. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 趣旨については賛成であるけれども、運用については個別的要件が多過ぎるので非常にむずかしいというようなお話のようでございます。しかし、少なくともこういう制度を実施する場合に当たりましては、大勢的にはそれが進んできたとかいうようなことでなければ、これは長い間やっておるわけですから、こういう指定都市あたりで三〇%なんというのは、これは非常に問題じゃないか。いまとにかくこれだけ情報が発達している時代において、指定都市あたりでございますと、コンピューターを駆使して仕事をしておるわけでございますので、これはかなり問題だと思うのですよ。だから、これは趣旨に賛成というふうにおっしゃいますけれども、その趣旨そのものが、この制度そのものが、このような数値ではもう一遍検討に値するんじゃないかと私は思いますね。まあ、この辺は御答弁は求めないことにしましょう。いずれにしても、制度そのものが運用面において非常に数値が低いということは、制度そのものが問題なのか、運用が問題なのか、もう一度ひとつこの内容について御検討をすべきであるという意見を申し上げておきたいと思います。  それからもう一点、予定価格の九〇%以下にするんだというお話なんでございますけれども、これは一応の基準を示すために九〇%というふうに言われたんだと思うのでございますけれども、ちょっと考えてみると、じゃ八八%でいいのかというふうな議論も出てくるわけでございますが、まあこれはいいでしょう。この点については議論をしてみても子供の論議になりそうですから、これはやめますが、なおこの問題についての研究、検討を要望をいたしておきたいと存じます。  それでは、個別な問題は終わりにいたしまして、交付税に関する問題の方を若干時間をとりましてお願いをいたしたい、こう思うわけでございます。  地方の財政需要、これは好むと好まないとにかかわらず、増大の傾向にあるというふうに見ざるを得ないのでございますが、いわゆる地方財政計画というのですか、地方経済計画ですか、そこら辺との関連があるのでございますけれども、やはり世の中は急速に進展をしているわけでございます。そういうような状況、これはもろもろの要件がどんどん技術の進歩に伴って改革をされてまいります。それからまた、生活要件というのも非常に大きく変わってくるわけですね。  たとえば、この前浜松へ行きましたときに、市営住宅の入居率が七五%。わりと交通の便もいいところ、二五%があいておる。これはなぜか。一世帯あたりの居住条件が小さい。六畳、三畳、それから四畳半のキッチンというようなことでございますので、新しい県営住宅や何かにどんどんかわっていくというような状況で、そういうことが起こっておるわけでございますが、これからの老齢化社会という問題、再び取り上げますが、そういう時代になりますれば、当然三世代住宅というような方向考えざるを得ない。三世代住宅というものが不可能だとしても、いわゆる一般市民の生活要件というものは上がっておりますから、公営住宅も大型化の方向にならざるを得ないということで、いわゆる二DKの時代から三K、三DKの時代へと移り変わっていることは御存じのとおりでございます。  したがって、いままであるそういうような公営住宅というものも、これからどんどん建てかえをしなければならぬ。あるいは子供の教育ということを考えてみましても、あるいは老齢化社会という問題を考えてみても、核家族制度——制度というわけじゃないですが、そういう現象、そういうものは解消の方向に進まざるを得ないと私は考えておる人間の一人なんでございますけれども、そういうことを考えてみますと、いわゆる地方の財政需要というものは増大の傾向にあるのではないかというふうに思わざるを得ないのでございますが、ここら辺を一体自治省はどのように受けとめていらっしゃるのか、まずお伺いをいたしたいと存じます。
  209. 石原信雄

    ○石原政府委員 国民の生活水準の向上などに対応いたしまして、制度そのものを特に変えない限りは、地方の財政需要が傾向的に増大するということは、これまでの経験からも当然考えられることであろうと思います。特に、これまで過去十年あるいは十五年の間は、いわゆる高度成長期に当たりまして財政需要も非常に伸びた、また、これを裏打ちできるような形で地方の財源も大幅に伸びたという形で、地方財政計画も年々大きな伸びを見込んでまいったわけであります。  今後におきましても、特に制度的な改革考えずに、またいろいろな努力をしないで自然体といいましょうか、生活水準の向上に応じて行政水準を従来のトレンドで伸ばすということになれば、相当財政需要はふえていく、そういう傾向といいましょうか、要因をはらんでいるものと思います。
  210. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その傾向はお認めになったわけでございますが、地方交付税の問題を考えた場合に、交付税率三二%というのは、実施してから二十年ぐらいになるわけですね。この間に経済の伸びということは当然考えられるわけでございますが、数理的に考えてみて、地方事務量の増大というものは一体どんなふうな伸びをしているのか、ここら辺からやはり交付税率の問題というものがもう少し見直されていいのではないかという感じがするわけでございます。  この地方交付税率の三二%の考え方というのは、いま申し上げました財政需要の拡大、また市民生活の変化、それからそれに伴う地方の自治体の事務量の増大というような傾向を考えたときには、やはり交付税率そのものが基本的に変化をしていかなければならないのが筋ではないのか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  211. 石原信雄

    ○石原政府委員 地方交付税の積算の具体的な内容として、私ども基準財政需要額の算定を行っているわけでありますが、その算定内容につきましては、制度発足以来の地方行政水準の推移あるいは制度改正、こういったものを踏まえまして、逐年内容の充実を図ってきております。したがいまして、そのような行政水準の上昇に対応して交付税の基準財政需要額の積算内容を増額しようとすれば、それに応じてその財源的な裏づけといいましょうか、それに見合って地方税収入あるいは地方交付税収入というものが増額しなければ、バランスがとれないわけであります。  この点につきましても、先ほど御答弁申し上げましたように、少なくとも昭和四十年代までは、この財政需要の増額に対応して地方税収入もまた地方交付税収入も順調に伸びてきましたので、交付税の算定内容もそれなりに充実し得た、このように考えております。ただ、五十年度以降になりますと、地方税収入も伸び悩み、また交付税の原資であります国税三税も伸び悩んでおりまして、一方、歳出の方といいましょうか、行政内容の方は従来の傾向で伸びておりますから、その間にギャップが生じ、その対応策として交付税上のいろいろな特例措置を講じてきているというのが現状でございます。
  212. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最近の財政事情の悪化に伴って、地方の借入金あるいは債券の増大というような問題があるのでございますけれども、これに関連して企画庁にお伺いをいたしたいのでございますけれども、最近の景気の見通しの問題ですね。アメリカ経済が上昇傾向にあると言われておりますし、それから原油価格も引き下げられてきたわけでございまして、そういった意味で、わが国の経済状況は一つの危機的な形態というものを脱し切れたのではないか。いわゆる経済の変動期というものは脱したんじゃないかというような考え方一つあるのですけれども、これは政府の方としてはどういうような考え方に立っていますか。
  213. 宮島壯太

    ○宮島説明員 お答えを申し上げます。  まず、経済の現状でございますけれども、最近の指標を見ておりますと、まず、輸出はいままで減少してまいりましたけれども、これが一部に動意が見られてきておりますが、まだ一進一退といったところではないかと思います。国内需要の動向を見てまいりますと、個人消費は緩やかな増加を続けておりますが、設備投資はこのところ頭打ちの気配が大企業では見られますし、中小企業では製造業を中心にまだ停滞が続いているように感じられます。そういう状況のもとで生産も弱含み、横ばいぎみで推移しており、労働の指標も余りよくないという現状ではございます。ただ、物価が安定基調を維持してきておりますし、在庫調整も進展をしてきております。また、先生から御指摘ございましたように、石油価格が低下傾向を示しておりますし、アメリカでの景気回復への動きが見られるという明るい面もございます。  こうした現状を踏まえてこれからの見通しでございますけれども、私どもとしては、五十八年度をめぐる環境というのは、五十七年度に比べましてはるかに明るい要素が多いのではないかと思いますが、こうした明るい要素をどうやって現実の経済活動なり経済成長に結びつけていくかということが、いま一番大切な時期だというように考えておりまして、先般も経済対策を決め、これが適切に執行されるよう、鋭意関係省庁で取り組んでいるところでございます。したがいまして、現状は、景気回復ということをはっきり申し上げられる段階にはまだ慎重な態度を要するかと思いますが、私どもとしては、これからのわが国を取り巻く環境が明るい要素が多いものですから、それを現実の経済活動にどうやって生かしていくかということが一番大事なことではないか、このように考えております。
  214. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまの経企庁のお話を踏まえて、ことしの地方財政は、財源不足に対して交付税会計の借金あるいは地方債の増発という措置をとってきたわけです。元来こういった措置は変則的なものであるということが、いままでもしばしば委員会指摘をされておるわけでございますけれども、いま一進一退ということで、公定歩合の引き下げの方もはっきりめどがつかないというような状況のようでございますが、自治省としては来年に向かってこの変則的な地方財政のあり方を一体どうすべきだというふうにお考えなのか。  ことしの分については、もうここまで来てしまったのだからどうしようもないという言い方もおかしいかもしれませんけれども、なかなか見通しがつかない。来年については多少明るい要素もあるようではございますが、いずれにしても下半期にならなければ経済動向というものは見えてこないわけですね。しかし、景気回復の兆しが見えればこういうケースがあり得るだろう、あるいは横ばい状況ならばこういうケースがあり得るだろう、さらに下降傾向であればこういうケースがあり得るだろう、そういう幾つかの想定ができるわけなんですけれども、いずれにしてもこういうような変則的な地方財政というものを軌道に乗せなければならぬわけでございますから、いま申し上げたような三つのケースを基本にすれば、このケースの場合はこういったことが考えられる、多少是正できる、大幅に是正できる、こういうような問題について、感じでございますけれども、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  215. 石原信雄

    ○石原政府委員 五十九年度以降の地方財政の姿がどういう形になるのかにつきましては、国の財政の推移と非常に関係が深いと思うのでございます。そこで、国の財政の収支につきましては、先般大蔵省当局が試算を予算委員会に提出されております。あの試算によりましても、しばらくの間は財政の状態、非常に厳しい状態が続く、このように見られております。したがいまして、地方財政の収支が五十九年度以降このままで急速に改善されるという期待はなかなか持ち得ないのではないか、このように見ております。ただいま経済企画庁の方から当面の景気の見通し、経済の見通しなどについてのお話があったわけでございますが、多少明るい兆しが見えてきたというような見方もあるようでありますけれども、それにしても、現在の構造的な収支の不均衡状態が大幅に改善されるというような期待はなかなか持ち得ないのではないか、このように見ております。  しかし、五十八年度の地方財政対策においてとられた内容、私どもはこれは決して望ましい姿と思っておりません。今年度の国、地方の財政環境のもとで地方財政の当面の運営に支障なきを期してとった措置ではありますけれども内容的には決して望ましい姿とは考えておりません。したがいまして、五十九年度以降に向けて、一歩でも二歩でもこれよりも内容がよくなるように、歳入面、歳出面であらゆる角度から検討を進めていかなければならない、このように考えております。
  216. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 国の財政再建期間というものは、六十五年まで延長されようというような感じすらもあるわけで、いまもお話があったのは、五十九年度以降も国、地方とも大変厳しい、こういうふうにお考えをお述べになったわけですが、多少明るい兆しもあるいは出てくるかもしれませんが、しかし、これだけの赤字国債を出しているわけですから、そう簡単に財政が好転するとも思えないわけです。そうしますと、ことしとったこういう特別な措置というものを、もしこのまま横ばいないし微増の経済成長程度であれば、来年もこれをやるということですか。きわめて単純な御質問で申しわけないのだけれども、これは大事な問題でございますからちょっとお答えをいただきたいと思います。
  217. 石原信雄

    ○石原政府委員 五十九年度にどういう対策をとるか、これは五十九年度の収支の状況が明らかにならないと決まらないわけですから、ことしと同じ姿になるのかどうか、私どもとしてはことしの姿決して望ましいと考えておりませんから、何としてももっと堅実なと申しましょうか、将来の地方財政にとってより望ましい方策を模索してまいりたい、その実現に努力してまいりたい、このように考えております。  ただ、一つやや明るい材料というか、いい要素としては、五十八年度の場合には五十六年度の交付税の減額精算八千五百億円というものがかなり大きく響いておる、これが収支を悪化させている要因に働いているように思います。これが五十九年度はなくなりますので、そういったことも前提に置きながら今年度よりも少しでも質のいい対策を講じていきたい、こういう気持ちでおりますし、またその方向で努力してまいりたいと考えております。
  218. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 努力をするという姿勢に期待をいたしたいと思います。  最後に、交通安全対策交付金の問題についてお伺いをするわけですが、この余裕金の運用は資金運用部に預託をすることになっておって、その金利は年三分五厘、一方、交付税会計の借入金の利子は年七分三厘である、こういうふうになっておるわけでございますけれども、どうも現実の地方財政の厳しさという問題を考えると、これは振りかえができないかなという感じがするのです。これはいろいろな法律の流れがあって簡単にいかないのですけれども、しかし、ここら辺のギャップを埋める努力は、何か方策はないのかということが、いわゆる財政計画等を見てそういうような発想が出てくるのですけれども、これは全く手だてがないのですか。
  219. 津田正

    ○津田政府委員 御提案一つの貴重な御意見かと思いますが、ただ、交通安全交付金の制度がそもそもできた由来が、交通事犯によっで来た収入を交通安全対策の方に回そう、こういうような仕組みにしておるわけです。したがいまして、反則金あるいは交付金の余裕運用というようなことで何らかの利息収入等があれば、やはり交通安全対策につぎ込むべきではないか。特にまだ交通安全対策を積極的に推進しなければならない事情にあると思いますので、この余裕金の運用益につきましても、やはり交通安全対策の推進の方についでいくべきものだ、かように思います。もちろん、特会利子の問題は大きな問題でございますし、国としての地方財政対策のあり方の根幹にかかわる問題で、これはまた適切な対策というものを講ずる必要があると存じております。
  220. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に、大臣にお伺いします。  先ほど来、私はしばしば高齢化社会の問題をいろいろなケースをとらえて申し上げておるわけですが、これは確かにえらい問題なんですね。そういった意味においては、地方行政のあり方そのものが変わってくると私は考えているし、またそれをこれから地方自治体それなりが考えるにしても、国としてもその方向に向かっていろいろな指導すべき内容が出てこなければならぬ、こう思います。  たとえば、町の小公園において、昔はいわゆるちびっ子野球が行われておったのでございますけれども、いまお年寄りがゲートボールで占領している、こういうような状況ですね。それから、先ほど申し上げましたいわゆる老齢者をこれから保護、育成していかなければならないということになりますと、当然公的住宅も三世代住宅というものを考えなければならない、あるいは青少年の育成というような問題を考えた場合に、核家族ということになって一人っ子、かぎっ子ということがいわゆる精神的障害を起こし、そこから肉体的障害を起こしていることも、いろいろな角度から医学者の間で指摘をされている問題でございます。  そうしますと、これらのいわゆる三世代住宅というのは、教育上も医療上も非常に大きな問題として取り上げられていかなければならない。さらに、高齢化社会に向かってそういうような人たちのためにいろいろな建物を建てていくというようなことは、これまた大変金がかかって、そう簡単にできる問題ではない。しからば、いわゆる公的建築物といいますか、極端に言うならば、小学校なり中学校なりそういったものが、いわゆる地域ぐるみの一つの地域センター的な役割りを果たすことも考えるべきではないかと私は思うのです。  私はそういう意味の推進者なんですけれども、いろいろな問題を考えていかなければならないわけでございますので、自治省としてもこれからの地方自治体のあり方というような問題について本格的な取り組み方、十年後、十五年後に向かっての本格的な検討というものが必要な状況にあるのではないか、そういう時代が来てからでは、これは何とも対応の仕方はないわけでございますので、そういう問題を含めて、これからの地方自治体はどうあるべきか、どう指導すべきか、これらの問題についての所感を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  221. 山本幸雄

    山本国務大臣 先ほど来、大変具体的な問題についていろいろ御審議をいただいたのであります。しかし、全体としまして、何といいましてもいま地方財政が非常に苦しい状態にあるわけなんです。この問題と真剣に取り組まなければならないいま段階だと思うのです。一方、いまお話しのように、地方における社会的なあるいは経済的なあるいは文化的な情勢というものは相当変わってきておる。したがって、それに相対応していろいろな行政的な需要というものも多様化してきているのが今日の実情だと思うのです。  したがって、やはり財政的な需要というものも当然に新しい需要が生まれてくる。しかし、さりとて地方財政の財布の中はそうやたらとふえる要素はありません。先ほど経済情勢のこれからの見通しなどお話がありましたが、少なくもここ数年間くらいに高度成長時代のようなことがまた来るのかと言えば、そういう見通しは恐らくないであろう。したがって、安定成長の姿のままで推移をするという見通しのもとにいろいろな計画を立てなければならない、こう私は思うのです。  したがいまして、いまいろいろな具体的な事例もお挙げになりましたが、そういう新しい事態に対処していくのには、一体これからの財政的な立場というもの、財政的な見通しというものをどうやって立てていくのか、この問題と私ども真剣に取り組んでいかなければならない段階であると思っております。  その問題が逐次解決されれば、私は新しいそういう、いま仰せのような財政的な需要にもこたえていけると、こう思うのであります。世の中がどんどん変わっていく中で地方自治体はそういう対応をしていかなければなりませんので、私どももそういうことについてはできるだけひとつ勉強をして、それに応ずるだけの態勢、対応を示していきたいと、こう思っておるところでございます。
  222. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これで終わりますが、それらの議論についてはまた機会を見て申し上げたいと思うわけでございます。いずれにしても、社会変化が激しいわけでございまして、確かに地方財政厳しいのでございますけれども、あるべきこれからの地方自治のあり方、住民生活のあり方というものはやはり深く探求をし、そして、それを一つの目標としての財政計画のあり方というのが本来の筋ではないかと思うわけでございまして、御研究を要望して終わりたいと思います。
  223. 田村良平

    田村委員長 次回は、明二十七日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会