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1983-04-25 第98回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十五日(月曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長 田村 良平君    理事 工藤  巖君 理事 中山 利生君    理事 石田幸四郎君       池田  淳君    小澤  潔君       片岡 清一君    北川 石松君       塩谷 一夫君    竹中 修一君       谷  洋一君    小川 省吾君       加藤 万吉君    細谷 治嘉君       山口 鶴男君    草野  威君       部谷 孝之君    三谷 秀治君       田島  衞君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         自 治 大 臣 山本 幸雄君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     大堀太千男君         大蔵大臣官房審         議官      水野  勝君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省銀行局長 宮本 保孝君         自治大臣官房審         議官      津田  正君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ───────────── 四月十五日  重度障害者に対する地方行政改善に関する請願新村勝雄紹介)(第二三五五号)  同(山下徳夫紹介)(第二三五六号)  身体障害者自動車運転免許証に付される重量制限廃止等に関する請願新村勝雄紹介)(第二三五七号)  同(山下徳夫紹介)(第二三五八号)  同(渡辺紘三君紹介)(第二三五九号) 同月二十二日  留置施設法案の廃案に関する請願関晴正紹介)(第二四九五号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二三号)      ────◇─────
  2. 田村良平

    田村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 御多忙の中、きょう大蔵大臣が恒例によりましてこの委員会においでいただきましてありがとうございます。大蔵大臣は顔色が白いのですけれども、私はちょっと選挙に専念いたしましたので、少し選挙ぼけをした質問になるかもしれませんけれども、その点ひとつよろしくお願いしたいと思います。  まず、地方交付税に直接関係する問題で、五十六年度税収見積もりを、見積もりは誤ったというにしては余りにもひど過ぎる予算税収の結果になりまして、今年、八千五百億に及ぶ地方交付税精算が行われました。これは大変なことなんです。  そこで、それでは五十七年度税収はどうなるのか、これが五十九年度交付税総額に関係してまいりますので、まずお尋ねしておきたいと思います。
  4. 水野勝

    水野(勝)政府委員 五十七年度税収につきましては、現在、二月分までの税収判明をいたしておるわけでございます。二月分までの税収を見ますと、現在では累計として前年対比六%の伸びとなってございます。  ちなみに、五十七年度税収予算は、補正後で見てまいりまして五・三%という予算上の伸びが見込まれておるわけでございます。また、全体としての進捗割合というあたりからいたしますと、現在、二月末分を含めまして七四・九%までまいっております。前年は七四・四%でございましたので、〇・五ポイント上回っているという現在の数字でございます。  こうした現在までの数字はございますが、五十七年度税収全体につきましては、なお現在、いま申し上げましたように七四%まででございまして、あと四分の一が残っておるわけでございます。残っておりますところの中では、三月の確定申告、それから三月決算法人の五月申告分、こうしたものが非常に大きなかたまりとなってなお残っておるわけでございまして、この二つの大きなかたまりにつきましては、まだいずれも確たる見通しが立っていないわけでございますので、現時点といたしましては、五十七年度分がどうなるかということにつきましては、はっきりしたお答えが申し上げられる段階にはないわけでございまして、今後の推移を慎重に見てまいりたいというのが現在の実情でございます。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 そういうお答えに対しては、大変不満なんです。もはや四月も下旬に入っております。  参議院の方で予算審議が行われている際に、竹下大蔵大臣は、二十二日午後の参議院大蔵委員会で答えておるようであります。それによりますと、税収不足は三千億円超、かてて加えて税収全体の見積もりの一%以内なら許容できる範囲内だ、こういうふうにお答えしたと新聞で書いてございます。こういうふうにお答えしたことはございませんか。
  6. 竹下登

    竹下国務大臣 大筋、いま細谷委員指摘のようなお答えをいたしました。きょうも細谷委員に対して、特に交付税ということになりますと、国税三税ということを主体にお答えするとなれば、確度の高いお答えをしなければならぬという意味で、あえて今日までのことを正確に水野審議官からお答えをしたわけでございますが、私が参議院大蔵委員会お答えいたしましたのは、私どもがかねて税収見積もり等々を見る場合に、一%というのが言ってみればまさに誤差という範囲内に入るじゃないか、しかし、なぜ誤差か、こう言われても、私なりに一%以内は誤差で許容されるという意味を申し上げたわけじゃございませんが、誤差のうちと仮定いたしますならば、その誤差範囲内におさまることを期待をしておるという表現お答えいたしたことは事実でございます。  正確に申しますと、今日、特に法人の三月期決算のいわば大目玉が不確定でございますので、定かなことは申し上げられませんが、あえて御質問いただきますならば、この一%以内が誤差であるということをかねて私が申しておりますその誤差範囲内におさまることを期待をしておる、こういう表現を限界として使っておるわけであります。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 いま新聞記事を読んでみますと、「「補正税収見積もり誤差範囲内の一%、三千億円程度にとどまってくれればよいがと思っている」と述べ、今年度補正後で少なくとも三千億円、場合によってはこれを超える税収不足になる公算の大きいことを初めて公式に示唆した。」こう報じております。いま大蔵大臣から答弁いただいた内容と同じだと思うのです。  ただ、私があえてこの席で質問を申し上げるのは、交付税総額に来年度直接関係するばかりでなく、ずっと大蔵省が発表される国税収入、租税及び印紙収入の毎月の状況を見ていきますと、たとえば十二月末では前年同期比六・三%の伸びということになっております。それから一月の末では前年同期比六・〇%となっております。いま御指摘の二月の税収状況も一月と同様に六・〇%となっております。したがって、五・三%前年と比べて伸びておれば予算どおりいくわけでございますから、その限りにおいては――私が心配しているのは、十二月は六・三、一月は六・〇、そして二月も六・〇、こういうことでありますけれども、さらにちょっと状況を見てみますと、源泉所得税では七・六%伸びております。前年、五十七年はどうかといいますと七・四%でありますから、所得税源泉所得に関する限りは、ことしは昨年の同期よりも伸びがいい、こういうことであります。  法人税を見てみますと、前年の二月は同期比五・五%伸びておりましたが、ことしは五・四%、したがって落ち込んでおります。酒の税金も、前年の二月は六・九伸びておりましたが、五・五と落ち込んでおります。調子がよくなったと言われております申告所得税はどうかといいますと、昨年の二月は三・六%伸びておりますが、ことしは前年同期比三・五で、源泉所得税を除く以外は全部下降線をたどっておる。現実に昨年の十月は全体として七・一%、十一月は六・八%、十二月はさっき申し上げたように六・三%、一月は六・〇%、二月が六・〇%、こういうことであります。  どうも大臣は、一%はエラー範囲だ、こう言いますけれども、ちょっと今日の財政状況で、三十兆五千億の一%といいますと大変ですね。その三二%というのは一千億円になるわけですから、ほとんど大部分が法人に関係する問題でしょうから、そうしますと、これはいまの答弁だけでは、ちょっと私どもは、やはり審議の土台になりますからね。ですから、三千億円かあるいは場合によっては記事によると五千億円ぐらいの間で減収が、補正後の予算よりもへっこむだろう、こう言われておる。一応今日までの傾向をとらえてみても、私は心配がございます。間違いありませんか。
  8. 水野勝

    水野(勝)政府委員 ただいままでの税収動向は、いま細谷委員の御指摘のような動向でございまして、源泉所得税は、去年に比べると比較的順調に推移いたしておるわけでございます。  申告所得税は、先刻三月十五日で確定申告が終わっておりますので、近々その結果が判明をいたすと思いますが、まずまずのところに行っているということを、私どもは感じとしては受けておるわけでございますが、正確なところはなお判明はしていないわけでございます。  やはり一番大きなのは法人税でございまして、現時点におきましては、全体の税収は去年の伸びを上回っておりますが、何と申しましても三月決算法人の五月末申告という数字が非常に巨額なものでございまして、去年におきましても、五月末に入りました法人税が二兆八千億あるわけでございます。これが五月末に全く単発的に出てくるわけでございます。それからまた、そうした数字は、申告をいただきましても、さらにどれだけ延納して、どれだけ即納していただけるのかというあたりも、全くその時点でのいろいろな要素に左右されますので、去年の数字で二兆八千億、これが一%狂いましても三百億の差が出てくるということでございます。  現在の税収はほぼ去年を上回っておりますけれども、その中で見ますと、法人税伸びは必ずしもよくない、去年の大体九割とか九五%あたり、このあたり推移しておるわけでございますので、三月決算がやはり二兆八千億の横ばいになるのか、九五%ぐらいになるのか、九割程度に落ち込むのか、それによりまして非常に大きな変動が生ずるということでございます。  こういった非常に大きな税収のかたまりが年度の最後に残っておるというのは、いろいろな点におきましていろいろ問題はあるわけでございますが、現実にはそういう数字推移になってございますので、その点を残しておりますこの時点でなかなか正確なところを予測してお答え申し上げられる段階にございませんので、その点につきましてはよろしく御了解をいただきたいと思うわけでございます。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 五十六年の大変な見積もりの失敗、これにこりごりして、五十七年度補正段階ではそれまでの実績、かなりの聞き取り調査、こういうものをやった上でおおよそ三十兆五千億円ばかりの補正にした、こう私は承っております。地方税の場合では、しりの方が違いますから比較できませんけれども地方税は大体補正後の税収は確保できる、こういうふうに承ってもおりますし、事実私もそういうふうに見ております。  ところが、残念なことには、国税についてはそういうふうに承っておりませんし、大蔵大臣自体が少し穴があくと言っているし、そうしてその上でいま言ったような収入傾向からいって、一%前後、参議院で言った三千億か五千億円ぐらいの穴があくことは必至ではないか、こう私は見ております。そうしますと、五十九年度は、八千五百億という精算にはなりませんけれども、これは大変なことになりますよ。  そこで大蔵大臣、いまは何も言えない、重要なことだから数字は言えない、こうおっしゃっているのですが、もし万一、もし仮にという言葉を使っておきますが、穴があいた場合には、これは五十九年度精算をなさるわけですね。
  10. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに私も表現を気をつけまして、一%が誤差のうちであるとするならば誤差のうちに入ることを期待しておるという表現にとどめておるわけでございますが、いまの仮定の上に立ったとはいえ、まさに地方交付税につきましては、地方交付税法第六条の二項でございますか、前年度以前の交付税精算が法定されておるところでございますし、したがって、仮に五十七年度税収実績に伴って交付税精算の必要が生じた場合は、当該規定に従って五十九年度精算を行うということになるわけでございます。  なお、この精算を行った上で、五十九年度地方財政歳入歳出動向を踏まえて、収支見通しを通じて、五十九年度地方財政対策全体によって、もとより地方財政運営支障を来すことがないような措置をすべきものであるというふうに理解をいたしております。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省にお尋ねいたしますが、年度途中で国税補正増補正減ということが過去に行われております。その際にとられた交付税による財源措置はどういうことになっていますか、お答えいただきたい。
  12. 石原信雄

    石原政府委員 これまで補正予算段階交付税増額減額が行われたケースが幾たびかありますが、その取り扱いのうち、増額の方は特に問題はないと思いますけれども減額につきましては、当該年度地方財政運営支障がないように必要な補てん措置が講じられております。  具体的には、交付税会計借り入れによって補てんされております。そうして、その補てんされた額の返還につきましては、いわゆる国税三税の自然減と申しましょうか、予算上の見積もり額が落ち込んだことに伴う減収額につきましては、借り入れの二分の一を国の一般会計が負担する、こういう扱いがなされております。それから、年度途中における所得税減税に伴う減、いわゆる政策減とでも申しましょうか、国の政策として減額要因が生じたもの、これらにつきましては借入額全額を国の一般会計が負担する、このような扱いになっております。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 私の質問に的確に答えてないのですけれども所得税減税、それのはね返り、こういうことについては全額国責任において一般会計から補てんしたということですが、私がお尋ねしたいのは、年度途中で補正増をやった、あるいは補正減をやった、その結果その補正後の税収が確保できなくて、補正増をやった場合でも、その増までいかないで、途中でやって交付税の減にはね返ってくる場合もあるわけですから、そういう場合にどうなっているのか、年度ごとにちょっと言っていただきたい。
  14. 石原信雄

    石原政府委員 年度途中で国の歳入見積もりについて補正増ないし補正減が行われ、それが決算段階でさらに増減収が生じたケースについてのお尋ねでございますが、最近の例で申し上げますと、昭和四十五年度の際には四十三年度補正に伴う減収がありまして、この際には四十一億円の減額精算がなされております。これについては特段財政措置はありません。そのときの地方財政全体の中でこれは吸収されております。  それから、五十一年度の場合でございますが、これは昭和四十九年度補正段階国税三税の歳入見積もりにつきまして増額補正があったわけでありますが、結果的には決算段階でこれが減になりまして、その結果といたしまして、五十一年度交付税において五百五十九億円の精算減額がなされたわけであります。この際は、地方財政対策の一環として五百五十九億円に見合う臨時特例交付金増額されております。結果的にこの精算減額臨特によって補てんされたという形になっております。  それから、昭和五十三年度でございますが、このときは、五十一年度補正はなかったのでありますけれども、百八十二億円の精算減額が出ております。これについては特段措置はなされておりません。  それから、五十七年度でございますが、これは五十五年度歳入予算補正増額が行われたわけでありますけれども、その後の段階で最終的に決算で減が生じまして、交付税について百四十二億円の精算減額が行われています。これにつきましては特段措置は講じられておりません。  それから、五十八年度におきましては、五十六年度補正減額後にさらに歳入欠陥が生じまして、八千五百二億円の減額精算が行われたわけであります。これにつきましては、ただいま御審議いただいておりますように、地方財政対策の全体の中でこの八千五百二億円の減額精算後の地方財政収支について所要の措置を講じようとしているところでございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 私がいま質問しているのは、これは一遍補正を経た上のまた補正補正ですね。五十一年度は四十九年のことですから、当時は大平大蔵大臣でしたけれども、私は予算委員会で、こういうような減額が起こるということになりますと、これは政府見積もりが誤りじゃないか、挙げてその責任政府にあるんじゃないか、こう申し上げましたところが、精算はしたけれども、おっしゃるように五百五十九億円は臨特に加算したから総額は変わりない、そういう措置を私はいま記憶しております。  五十六年度の八千五百二億円は、大蔵大臣ここにいらっしゃいますけれども、これはいろいろな事情で、前の渡辺大蔵大臣のときでありますけれども、だれが見てもあの補正は一時逃れの補正をやったわけですね。でありますから、莫大な予算決算との乖離が起こって、そして三税の三二%分が、八千五百億なんて、めちゃくちゃな精算の域を超えるような金額が出てきちゃったわけです。  そこで大蔵大臣、しつこい話になりますけれども、過去にそういう例もあり、いまのところ三千億か五千億、大蔵大臣言葉をかりますと、一%以内はエラー範囲誤差範囲、こういうことになります。しかし、金額としては非常に大きな問題ですし、先ほどは地方財政が困らないように対応するということですけれども、あの質問をしますと、決まって地方財政が困らないようにはいたしますと言って、出てくるものは大抵借金でやれ、こういう姿ですよ。そうではなくて、困らないようにやるのだけれども、後年度に後を引かないように精算はするけれども、五十一年度にとったような前向きの姿勢を竹下大蔵大臣、示していただきたい、こう思うのですけれども、いかがでしようか。
  16. 竹下登

    竹下国務大臣 私の方もしつこいようですが、三千億円と申しますか一%は誤差のうちというのも、これは別にこれこそ政府委員答弁すべき話ではなく、まさに政治家答弁だったと私もある種の反省もしております。したがって、その誤差範囲内におさまることを期待しておる、こういう表現をしておるわけでありますが、それに伴って、当然いま御指摘のような問題が起こってまいります。  そうした場合、法律にきちんとされておりますとおり規定に従って五十九年度精算を行う、その場合は、いまおっしゃいましたように、あらかじめ地方財政対策全体により地方財政運営支障がないよう財政措置がされることになる。しかし、それもまたぞろ借金で及ぶのか、こういう御意見を交えた御質問でありますが、それはやはりその時点において判断すべきことでありまして、私も、かつてのような高度経済成長期とでも申しましょうか、そういう時代のように、胸をたたいてお約束するという環境にはない、そのときのまさに状態によりまして、諸般の予算措置等総合調整の中で、結果として困らないようにする措置をやっていこう、そういうこともこういう国会における問答の中で私どもに対しての一つの鞭撻であり、またある意味においては、精神的には非常に狭い範囲の選択をも指摘をされることによって、お互いがその時点で知恵をしぼっていくことではなかろうかというふうに理解をいたしております。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 私も、大臣政治家答弁、ですから一%以内なら誤差範囲とおっしゃったことについて、これはもう理解しつつ、私も政治家の端くれとして申し上げておるし、四十九年の精算が五十一年度に行われた際の例というものもありますから、国も苦しい、地方も苦しいというけれども、ひとつ政治家大蔵大臣竹下登として、この問題についてはやはり過去の例に漏れないような対応をなさるべきではないか、こう思って申し上げておるわけであります。しかし、これ以上申し上げません。  そこで、次に進みます。  昨日、二十四日のある新聞に、「元本利子全額地方負担に」、こういう見出し記事が出ております。見出し大変気になりましたから読んでみました。私もこれを切り抜いてきましたからちょっと読んでみます。「大蔵省は五十九年度予算編成に際して、社会保障費文教費などとともに今後、歳出増が予想される地方財政関係費にも思い切ったメスを入れる方針を固めた。具体的には地方自治体の借入金返済の際、元金、利子の二分の一を国が負担するという現行制度を改め、」まだ現行制度じゃないのですよ。いまわれわれは審議しているのです。その現行制度になっていない「現行制度を改め、全額地方負担するというもの。」記事の中にいろいろ書いてございます。  こういうことでありますと、いま私どもが真剣に交付税法審議する意味はないと思うのです。まだ制度にならぬうち、来年度こう決めたと新聞に書いてあるのですから、何のことはない、われわれはロボットです。そんなばかげたことはよもやあるまいと思いますけれども、あるんでしょうか、ないんでしょうか、お尋ねいたします。
  18. 竹下登

    竹下国務大臣 この問題は、私も、いまお読みになりました「元本利子全額地方負担に」という記事でありますが、これはまず率直に申し上げておかなければならぬのは、現段階においてこのような方針を決めたという考え方はありません。いま御指摘になっておりますとおり、まだ審議中であります。私ども行政府ハウスに対する節度というものは、たとえば予算審議中であれば、その根拠法になるものが近き将来変わるであろうという前提で対応することは、節度として最も非礼な話であります。そして、いままさに交付税法そのものが議論されるときに、それを仮に通していただけることを前提として将来の展望というものが公式な場等で言の葉にのぼるということは、一番慎まなければならぬことであるというふうに理解をいたしておるところであります。したがって、いまそういうことを決めたという事実はないということをまず申し上げておかなければならぬと思っております。  そこで、一般論としてあえて申し上げるといたしますならば、財政改革に対する基本的な考え方ということでお示し申し上げておるわけでありますが、まさにその財政改革という考え方に立って、行財政の守備範囲見直しでございますとか、歳出構造見直しを厳しく行っていく必要はあると思っております。その見直しに当たっては、国と地方との間の役割り分担費用負担あり方等について幅広く検討していかなければならぬということも、財政改革に対する基本的な考え方について申し述べておるところでございます。  五十九年度予算につきましては、なかんずくその中の地方財政関係費取り扱いにつきましては、五十八年度経済状況を踏まえて、五十九年度経済見通しでございますとか税収動向に基づく国の財政状況及び地方財政状況を見きわめながら今後検討を進めていって、そして予算編成の過程において地方財政対策によって決めていくべきものであると考えております。  これはあえて一般論として申し上げたわけであります。したがって、いまの段階国会において議論されておる問題が今国会において議了されることを前提にさらに先の問題について予見をもって申し上げたり、またこれを方針として決めていくということは、行政府ハウスに対する節度としてとるべき態度ではない、こういうふうに理解をいたしております。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 この記事がそのとおりとするなら――そういうことはあり得ないと思うのですね。たとえば、予算審議中に事務当局公共事業都道府県配分等をどうするかということでやりますけれども地方のヒヤリングをしながらやるというのは、少なくとも事務的にやるのも、衆議院で予算が通る、そしてあと三十日すれば予算が成立するということでぽつぽつと事務を始める。ところが、この交付税法は、まだ審議が、この間質問を一遍やって、参考人を呼んだだけですよ。それなのに現行制度を改める。しかも、元本、元金については現在の附則八条の三、これを改めるということでしょう。先ほど財政局長が言った二分の一方式、それを改めるということでしょう。  八条の三は、五十二年度で単年度限りの措置をやった。こんなものが制度なのか。いや制度ですと、こう自治省はしゃにむに強弁した。しかし、内心じくじたるものがあって、五十三年度には一応附則八条の三という形で、毎年度ずっといくような、五十二年度よりちょいと進んだ、単年度じゃない、少し中期的なものにした。これも変えなければならぬわけですよ。これも現行制度だ。これは確かにいま法律はありますけれども、五十三年度からできて五年ばかりたった。これもやめちゃうと言うのですよ。半分、二分の一方式をやめると言うのです。  そこへもってきて、今度は、利子負担の二分の一というのがいま交付税の問題になっているのが、二分の一では足らぬから全額だ、こういうことになりますと、何のために国会法律審議しているのか、全く操り人形ですよ。大蔵省のお先棒を担ぐ、自治省のお先棒を担ぐ、それが国会の役割りのようなものじゃないですか。いまのところそんなことを考えてもおらぬと言い切れますか、お答えいただきたい。
  20. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 先ほど大臣から御答弁いたしましたとおりでございまして、これからの問題につきましては、今後の予算編成の中においてこの問題もすべて含めていろいろの角度から検討していきたい、そのように考えております。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 少し交付税法の基本に立ち返って議論を進めたいと思うのですけれども交付税法の六条の三、特に二項、これはさんざん議論されたことであります。この六条の三の二項というのはまだ生きているのでしょうか。自治省は生きていると考えているのですか、あるいは大蔵省もそうお思いですか、お答えいただきたい。
  22. 石原信雄

    石原政府委員 現行制度として存続しております。
  23. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 いま財政局長が申されたとおりでございます。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 生きてはおりますけれども、実質的には死んでおるのでしょう。そうじゃないですか。六条の三の二項が附則の八条の三に移っているのでしょう、不完全でありますが。かつて答えたように、緊急避難的な意味において国の財政の事情から附則の八条の三に移っている、そういう関係じゃないですか。六条の三の二項と附則の八条の三というのは、そういう関係にあると理解しておりますし、議事録を調べますと、やはりそういうふうに大蔵省の主計局次長も答えておるわけですが、いかがですか。
  25. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 地方交付税法六条の三というのは、いま委員御指摘のようにございまして、その中で、一定の場合には地方財政もしくは地方行政に係る制度の改正あるいは交付税率の変更を行うものとするというふうになっておるわけでございます。その地方財政もしくは地方行政に係る制度の改正の中にこの八条の三が入っているというふうにわれわれは理解しております。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 いま、ちょっと読んでみましょう。「毎年度分として交付すべき普通交付税総額が引き続き第十条第二項本文の規定によつて各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなつた場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」こういうふうに書いてある。このことは、著しく違うという場合に両方あるわけですね。合算したものが、決められておる三二%の交付税より著しく大きい場合、いまはそうじゃなくて著しく下がっておる。  その著しくが、去年は物すごく夢みたいな税収伸びるということで財源不足がないということになったけれども、みごとに六兆一千億円の減収になって大穴があいた。それが五十七年度でしょう。そうなりますと、これはその中の一つとして八条の三という制度ができた。そのほかに制度というのはありますか。今度はそれに加えて利子も、いままでずっと四十年以降、いま参議院におる鳩山さんが主計局次長のころからずっと続いておった利子負担を半分見ます、やるというわけでしょう。そうなってまいりますと、六条の三は死んでおるんじゃないんですか。文字だけはあるけれども、実態はないでしょう。そう思いますよ。財政局長、答えにくいですか。ずばり言ってくださいよ。
  27. 石原信雄

    石原政府委員 交付税法第六条の三第二項の規定に該当する事態が現在続いておるわけでございます。それを受けて、その地方行政または地方財政制度の改正として、附則八条の三により、当分の間交付税特会の借入金の返済金の二分の一を国が負担する、こういう制度になっているわけです。これは一体として動いているわけでございます。この暫定的な仕組みをつくりましたのは昭和五十三年度でございますが、その当時から少なくとも昨年度、五十七年度までは、交付税会計の借入金の利子につきましては、毎年度予算措置を通じまして、特会法の附則四項、五項の規定によりまして一般会計から必要な利子の繰り入れをいただいておったわけであります。そういう形で税制度全体が動いておった。  五十八年度につきましては、その全体の仕組みの中で、五十八年度分の利子については三千四百四十六億円を交付税特会が実質的に負担する。こういう形にお願いしておるわけでございまして、そういう意味で、全体の仕組みはその部分を除いては従来どおりでございますが、その部分については変更をお願いしておるということでございます。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、交付税法六条の三の二項ではやっていけなくなって、緊急避難ということで附則の八条の三に移った。そういう制度を、ちょっと制度と言うにはおこがましいのですけれども、あなた方がそう言っているからそう言いましょう。制度ができておる。今度はそれでも足らぬで、六条の三の二項というのはもう実質的には形骸化してしまっている。生きているのは八条の三の措置である。その緊急避難でも足らぬでもう一遍とどめ、とどめじゃなくて、また五十九年度はそれどころじゃない、とどめのとどめを刺そうとしているわけですけれども、これは新聞記事ですよ、それはないと言うからいいけれども、今度はその緊急避難したのにもう一遍制度をつくって緊急避難しようとしているわけでしょう。  自治大臣、緊急避難何遍するんですか、お答えいただきたい。
  29. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 従来からのいきさつ、法制の変遷には大変お詳しい細谷委員の御質問でございます。六条の三、二項の筋は私は生きている、やはりその線は生きていると思います。そこで、附則八条の三というものができてきたわけでございますが、その後のいろいろな変遷を見てみまして、地方財政と同じく国の財政もやはり相当厳しくなってきた、そういう事情の変化といいますか、そういうものは何がしか起こってはいると思います。しかし、先ほどお示しの新聞に載っているようなことになりますれば、これは私は、地方財政の根幹に触れてくる問題であると思うのです。現在の制度の大本は維持しながらその上でこういうことをおやりになろうとするならば、私は地方財政は非常な危殆に瀕するおそれがある、こう思うのです。したがいまして、先ほど大蔵大臣からもお答えがございましたように、国並びに地方の財政の現状はよほど根本的な改革をしなければならない事態にだんだんなってきている。そこで、そういう全体を見直すということで地方財政がちゃんと成り立つような制度の仕組みを考えるというぐあいになれば話は私は別だと思います。いま先ほど来の応酬を聞いておりまして、私はそういう考えを持つわけであります。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 どうも私、頭が悪いからよくわからぬ。  大蔵大臣、ちょっとお尋ねいたしますが、六条の三の二項あるいは一項ありますけれども、この委員会において、地方交付税という税金は国が取り立てておるけれども、徴収しておるけれども地方交付税そのものは地方の固有財源だというのが当時の福田大蔵大臣以降今日までずっと続いて、おととしこのことについて当時の渡辺大蔵大臣、私も一時間ばかりやりとりやりまして確認しておるのですよ。大蔵大臣、確認できますか。  私が言うのは、地方交付税というのは地方の固有財源だ、そうして、国と地方との分ける区分というものを六条の一項という大原則に基づいて現在三二%と決まっておるのだ。ですから、固有財源であることについては変わりがないわけですから、私は、国の方が困るから交付税をカットするんだ、両方バランスをとってなんというのはおかしいと思うのです、固有財源なんですから。困るのなら三二%に手を触れたらいいでしょう、こう思いますよ。いかがですか。固有財源ということを否定しているのじゃないですか。
  31. 竹下登

    竹下国務大臣 これはやはり歴史的経過の中で一番正確なのは、振り返ってみますと、山口鶴男委員に対する昭和四十四年四月十七日衆議院地方行政委員会における福田大蔵大臣答弁であると私も思っております。   地方団体は数多くあるわけでございまするので、その財源調整というようなことをねらいまして交付税があるわけでありますが、しかし、この交付税が、国税三税を対象にし、その三二%ということになっておる、これは法律でもきまっておるのです。それはもうどうしても地方にいかなければならぬ金です。そういう意味において、この金は地方自治団体の権利のある金なんです。そういう意味におけて、固有の財源であり、また、自主財源である、こう言ってさしつかえないと思います。 というのが、前回の大蔵大臣以来一つの哲理として伝承されてきておるというふうに私も理解しております。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 そうすると、大蔵大臣も固有財源ということを確認されたわけであります。  私は、今度の法律を見て不思議に思うことは、緊急避難やってもう一遍緊急避難。まあとにかく八条の三でけさがけにやられているわけですよ。そしてその上にまだ足らぬで、ちょっと首にも刀を突っ込もう、こういう形で今度法律が出ている。  そこで、ちょっとこれに関連してお尋ねしたいのです。五十七年の十月二十八日に当時の渡辺大蔵大臣と世耕自治大臣が覚書を交換しております。それを見ますと、「借入金の償還に要する経費については、地方交付税法附則第八条の三第一項並びに交付税及び譲与税配付金特別会計法附則第四項及び第五項に定めるところによるものとする。」毎年のようにこの大蔵大臣との覚書が自治大臣との間で取り入れられております。たとえば、古く四十三年の水田大蔵大臣と赤澤自治大臣の覚書では、「地方団体の資金運用部資金による地方債のうち繰り上げ償還、その資金を交付税特別会計で借り入れ交付税に加算して地方団体に交付する。この借り入れ金の金利は国の負担とする。」と、こういうふうにずっと書いてあります。  奇妙なことには、第四項というのは利子負担の当面の問題。これは昭和三十九年法ですよ。それから第五項というのは一時借入金で四十七年法です。ですから、三十九年法というのはもう借り入れが始まったときからずっときている、根底になっている問題です。そうして、あたかも確認するかのごとく、昨年の十月二十八日の覚書では、特会法附則四項と五項に定めてあるところに従うと、こう書いてある。それまでの覚書には書いてないのですよ。特会法附則の第四項とか第五項とか丁寧に、間違わないようにここではきちんと書いてある。私はこの覚書を不思議に思った。  何だっていまごろはっきりしたことを書いてあるのか、こう思っておったら、二カ月後の十二月二十五日、十月二十八日の覚書ですよ、その二カ月後の十二月二十五日にはこの覚書吹っ飛ばしちゃっているのですよ。そして、この十月二十八日に両大臣が決まった翌日、当時の大蔵大臣、五十八年度では利子を持たせるのだ、こういう新聞談話の記事があるのですよ。そうしますと、私は余りへそは曲がっていないのですけれども、そのころから両省の間に密約があったのじゃないですか。どうなんですか、お答えいただきたい。
  33. 石原信雄

    石原政府委員 この五十七年十月二十八日の大臣覚書のときの財政局長は私でございますので、大臣は自治大臣大蔵大臣もかわっておりますが、その間の経緯について若干御報告いたします。  実は、五十七年度補正措置を議論する過程におきまして、交付税特会の借入額も非常に大きくなってまいりまして、それからまた、その利子についても非常に大きくなってまいりました。そういう事情もあり、補正対策の中で、五十七年度までの現行制度におきましては元金は二分の一、利子全額国が負担するという仕組みになっているわけですけれども、これについて地方が持ってくれないか、持つべきではないかという議論が、正式の形ではないのですけれども、対策の論議の過程で出てきたわけでございます。  そこで、そもそもどうあるべきかという考え方につきましては、私ども大蔵省当局との意見は大きく違っておったわけでありますが、いずれにいたしましても、借入金の返済金の元金の負担をどうするか、あるいはその利子の負担をどうするかというこういった問題は、交付税制度の根本にかかわるような問題でありますから、少なくとも補正段階で論ずべきものではないということを私どもも強く主張し、その点については大蔵省も、まあそう言えばそうだということで同意されまして、そういうことを確認する意味で、ここはひとつ正確に確認しておこうということで、交付税法附則第八条の三第一項を引用し、また特会法の附則第四項、第五項を引用して、五十七年度当初までの仕組みを変えないで、それまでの考え方で五十七年度補正措置を講ずるということを大臣覚書で確認した、こういう経緯でございます。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 もう時間がありませんから、最後に一言。  そうすると、補正段階だからいい、年度の初めの当初予算のときは違うのだということで、どうもお互いにあうんというかっこうになっておったのじゃないか。それが結果として、自治省の五十八年度の財源不足額と大蔵省の言う財源不足額とが、中身は同じですよ、違ったような数字が表へ出てきた、こういうことになります。  時間がありませんから申し上げませんけれども利子の半分に相当する三千四百四十六億円というものを特会法の法律の字句はいじらないで、そして交付税法律の方で利子の負担を減額して、そして利子の負担をちゃんとできるようにしておく。私は法律の専門家じゃない、素人でありますけれども、こういう素人が納得できないようなものを今度は本法交付税法でやるというのです。三税が入ってくるところは特会法でしょう。特会法の法律には全くいままでと同じ文章で、実質上は二分の一の負担だけが一人歩きしている。これはちょっとおかしい。やるなら、両方変えたらいいでしょう。そう思いますよ。大臣、どうですか。素人の議論でしょうか。  交付税法にはいままでなかったのですよ。そちらの方にちゃんと利子の二分の一分を入れて、これこれ合計したものの中から最後に差っ引きますと書いておいて、そして全く同じ文章で、第一項と前項というのが、現行法と今度の第一項、その字句の違いだけで、中身はみんな必要なものについてはという形で負担する。同じ文章です。そして、金額は半分になってしまっている。これはおかしな話じゃないでしょうか。私はそう思うのです。  そこで大蔵大臣、いろいろ問題点があります。財政上も大変な問題です。けれども、六条の三の第二項、それを受けての緊急避難の八条の三、そして今度もう一遍緊急避難をさせようということでありますけれども、これにはとめどがない。そして固有財源、自主財源という確認というのは、国の財政の御都合ではどうにでもなる。これではよろしくありませんから、ひとつ今後そうならないように原則はきちんと守る、こういうことが必要じゃないかと思うのですが、大蔵大臣に一言聞いて、時間が来ましたから終わります。いかがですか。
  35. 竹下登

    竹下国務大臣 これは細谷委員、いま多年の経験から議論を展開しておられるわけでございますが、やはり地方交付税法の第六条の三の二項から来て、そして五十三年度特会借り入れの二分の一負担というもので附則第八条の三、こういうもので今日来ておるわけです。私は、地方自治の本旨からいって、地方交付税のまさに哲理とも言うべき議論を展開していかれるのは、また当然のことであると思っております。ただ、いわゆる国の予算案全体の編成、これは最終的には政府一体の責任で編成し、御議論をいただき議了していただくわけでありますが、言ってみれば、その間にあって予算の編成の過程における調整行為というようなものは、大蔵大臣が行うわけであります。その過程において、いわば公経済の車の両輪たる国家財政と地方財政というものをそこの時点でどのような調和を見出していくかということが、たび重なる事務当局の積み上げであるとともに、また大臣折衝であるという位置づけをしておるわけであります。  しかし、多年の経験に基づいて、いわば意見を交えながら展開された議論というものは、私どもがこれから五十九年度予算編成に当たって作業するときに、十分底意に置いて議論をすべき課題であるという認識は私も持っております。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 時間が来ましたから、残念ですが、終わります。
  37. 田村良平

    田村委員長 草野威君。
  38. 草野威

    ○草野委員 私は、最近の景気の動向につきまして、大蔵大臣にそのお考えを承りたいと思います。  この景気の問題につきまして、大蔵省は最近事実上の底入れ宣言をされた、このように聞いております。また、日銀におきましても同じような見解を持っておる。しかし、経済企画庁は、底入れとは言いがたい、若干ニュアンスの違うような見解をとっておるようでございますけれども、現在の景気の動向というものにつきまして大蔵大臣はどのような判断を持っておられますか、まずお尋ねいたします。  なお、今後の景気の動向、この見通しにつきましてもあわせてお考えを承りたいと存じます。
  39. 竹下登

    竹下国務大臣 大蔵省はと、こういう前提の草野委員の御意見を交えた御質問でございますが、端的に申しまして、底入れ宣言という見出しほどの表現はしなかったかと思うのであります。私どもの景気見通しということになりますと、いろいろな勉強はもちろんいたしますけれども地方の財務局長会議から上がってきます報告というものが、やはり大蔵省としては一番ポイントに置く景気見通しというようなものになろうかと思うのであります。その先般の財務局長会議全体の報告を聞きますと、いろいろな表現がありましたが、まさに政治家表現になりますけれども、先行きがなお悪くなると見ておる地域はない、こういうような表現が適切かなと、またこれを逆にとりますと、先行きよくなるのではないかと見ている地域がふえたという意味にもとれると思いますので、いささか明るさは増したというような印象を受ける報告を受けたことは事実でございます。  さて、それでは今後どう見るかとおっしゃいますと、個人消費等に支えられまして、これはやはり何としても消費者物価が世界でもずば抜けて安定しておるということからくることでありましょう、内需中心の着実な形の歩みを示しておりますので、実質成長率で下方修正していろいろ御議論いただきました三・一%の達成は、これは五十七年度でございますけれども、まだはっきりした数字は出ておりませんものの、確実だというふうに考えてしかるべきではないか。  ただ、今度は五十八年度ということになりますと、今日の時点で見ましても、世界経済の回復のおくれからいたしまして、輸出はまだ、いわば停滞しておるとでも申しましょう、一進一退しておるとでも申しましょう、したがって、中にはそれぞれの素材産業を初めとして確かに厳しい分野の見られるところもございます。そこで今度は、私どもがいろいろ御議論をお願いいたしておりますのは、五十八年度何とか三・四%ということを申し上げておるわけでございます。その三・四%をより確実にすることというのがいわゆる景気見通しに対する景気対策というようなことではなかろうかな、こういう考え方で先般も経済対策を一応決めたということに相なっておるわけであります。
  40. 草野威

    ○草野委員 ただいま大蔵大臣より、最近の景気につきましてはいささか明るくなってきた、また、五十七年度につきましては三・一%の達成は確実である、こういうようなお話を伺ったわけでございます。  これに関連をいたしまして、五十七年度決算状況でございますけれども、まず、その税収においては予算額を確保することができるであろう、また不用額も出るであろう、そういうことで剰余が数千億円にも上るのではないか、こういう考え方に対する大臣の見解、これが一つでございます。それから二番目に、五十八年度の問題でございますけれども、いまのような大臣のお話で景気回復は進むであろう、恐らく数千億円の税の増収が期待されるのではないか、また、歳出カットの徹底で不用額もかなり多額に上るのではないか、このような考え方、それから第三番目に、企業関係の租税特別措置の整理、たとえば退職給与引当金の限度額の引き下げなどでございますけれども、こういうことによりまして数千億円の増収が可能ではないか、こういういろいろな見方があるわけでございますけれども、いま申し上げました三点につきまして大臣のお考えを承りたいと存じます。
  41. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、第一番目の五十七年度の問題でございます。  私ども、先ほど来議論いただきましたように、三十兆ありますから一%は誤差のうち、いささか政治家答弁になりますが、そうすると、足らざるときもそれから超したときも一%というのは誤差のうちか、こういう議論もあるわけでございますけれども、いま誤差のうちがプラス面に働くという期待感は、残念ながら持っておりません。言ってみれば、減収であっても一%の範囲内にとどまることを期待しておる、こういうことであります。ただ、いま御指摘になりましたようにいわゆる不用額、正確ではございませんがたとえば予備費が千億強残ったというようなことからいたしますと、まずまず決算の帳じりは合うのかな、合わせたいものだな、こういう期待感を持っておるところであります。したがって、増収期待感を必ずしも持っておるわけではございません。  次は、五十八年度の問題でございますが、五十八年度は三・四%をより確実なものにしたいという考え方で、四月五日の経済対策閣僚会議におきまして「今後の経済対策」を決めたところでございます。その問題につきましては、確かに、最近報道されておりますように、米国経済の景気底入れといったようなことが言われております。あるいはOECDの見通しでも、いままでマイナス成長もございますが、多少年度間のとり方が各国において違いますものの、五十八年は総じて二%弱くらいな成長にはなるのではないか、こういう見通しも幾らか明るい材料の一つだと思っております。それと、申すまでもなく石油価格の引き下げでございます。それから、きょう久しぶりに寄りつきが二百三十五円九十銭ということになりましたので、言ってみれば円安是正傾向というものはわが国経済に総じて好影響を与えると見込まれるものでございます。  ただ、それがされば税収にどう響くか、こういうことになりますと、実際問題、原油の価格というものは、言ってみればいままで仮に百日分のストックがあるといたしまして、それは高値のときに仕入れたものでございます。それの在庫の評価がえ等々を行いましたならば、一時的には欠損ということにもなるわけでございますので、にわかに税収に対する期待感というものを持つのは、何分四月、始まったばかりの月でございますので、これは非常にむずかしいことではなかろうか。  それから、御意見の中にございましたたとえば退職給与等の問題、租税特別措置の一つであるそういう問題に対する手直しという御意見を交えての御質疑でございましたが、言ってみれば、年度途中においてそういう税制上の特別措置の改廃ということに対しては、勢い慎重にならざるを得ない問題でございますので、いまからそういう問題を念頭に置いて、いわば歳入の増という考え方を持つべきものではないと思っておりますので、総じて五十八年というのはどうなるかということは今後の問題でございますし、やはりタイムラグが非常にある問題でございますので、にわかに判断することは大変むずかしい問題ではなかろうかと、五十八年度は考えておるわけでございます。したがって、審議いただきまして議了していただきました五十八年度予算の歳入の方がプラスに動くだろうという前提の上に立って議論できるような環境には、いまなおないと言わざるを得ないのではなかろうかと思います。
  42. 草野威

    ○草野委員 景気の問題につきましては、大臣より、明るい見通しを持ちつつも非常に慎重な発言だったろうと思うのですが、実は所得税減税の問題につきまして、現在与野党間でいろいろ進められているわけでございます。本日も政府税調が初会合を開くという話も伺っておりますけれども、この所得税減税の問題につきましては、やはり与野党合意の線に沿って早急に財源のめどをつけるべきではないかと思うのですね。  五十七年度決算状況につきましては、七月を待たずに判明をするのではないかと思うのです。したがって、政府税調の結論を待つのではなくて、政府自体で責任を持って財源対策をきちっと詰めていくべきではないか、このように思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。  それからもう一つ、あわせて、減税の財源について大臣はどのような点について考えておられるのか、これについてもお答えをいただきたいと思います。
  43. 竹下登

    竹下国務大臣 これは大変重要な御指摘であると思うのであります。本日、本委員会が始まります三十分前に、一時半から本年度最初の税制調査会の総会が開催をされたわけであります。したがって、政府側から私と山本自治大臣と出かけましてごあいさつ申し上げると同時に、国会におきまして減税に関する議論が行われましたことを、速記録等を精査、念査いたしまして正確にこれをお伝えをするのがきょうの段階であります。その後、税制調査会自体で、どのような審議の仕方か、いまごろお決めいただきますでしょうか、そういう進行状態にあるわけでございます。したがって、税制調査会の審議がまさに始まったばかりでございますので、本格的検討に着手できるのは、いまおっしゃいました五十八年度税収のいわば土台となります五十七年度決算確定した段階、こういうことではなかろうかと思っておるところであります。  ただ、与野党の合意、国権の最高機関たる国会の構成政党の合意と、それを背景とした議長見解、こういうものがあるわけでございます。もちろん、最終的には政府責任で今度の場合はこれに対応しなければならぬ。だから政府税調を開いた、こういうことになるわけであります。ただ、私が絶えずお願いしておりますのは、昨年減税に関する小委員会等で各党の専門家の先生にお集まりいただいて議論をいただいた、だから小委員会をもう一遍つくっていただきたいとは申しておりませんが、言ってみれば、相談の窓口はひとつ設けておいていただけませんでしょうか、こういうことを申し上げておるわけでございます。  さてそこで、財源についての感触というようなものをおっしゃったわけでございますが、政府税調というのは、御案内のように三年に一度任期が参りまして、構成されますと、その際には、国税地方税のあり方について、こういう大変に広い範囲の諮問を申し上げるわけでございますので、このような財源はいかがでしょうかと、言ってみればあらゆる予見を持ってはならぬ。したがって、御審議いただく土台になるであろうというので、各党今国会を通じてすべて出てまいりました、きょうからのやつはまたこの後御報告するわけでございますが、それを土台として御審議いただきたい、こういうふうに申し上げておりますので、予見と特定なものを提示したということでなく、国会審議全体を非常に念査したものを提示して御議論をいただくというスタンスでこれに対応するということに心がけておるわけであります。
  44. 草野威

    ○草野委員 では次に、交付税の問題について二、三伺いたいと思います。  先ほども他の委員から質問がございましたように、昨日の新聞で元金、利子全額地方負担、こういうような報道が出ておりまして、私どももこの問題にはいま強い関心を持っているわけでございます。この点につきまして、交付税のたとえば税率の引き上げ、またその利子地方負担等の地方財源対策においていつも言われることは、国の財政事情、こういうものがしばしば強調されるわけでございます。しかし、地方財政というのは、憲法できちっと認知されている地方自治団体の財政をどうするか、こういうような問題でありまして、そこには、当然のことでございますが、一定の論理といいますか、こういうものが必要であると思います。ただ単に国の財政が苦しい、金がないから、こういうことだけで片づけるということはどうか、このように私も思わざるを得ないわけでございます。  そこで、大蔵省地方財政措置の検討をするに当たって、各省庁に対する予算の査定と地方財政に対する措置というものをまるで同一視しているのではないか、このように思わざるを得ないときもあるわけでございますが、この点につきまして大臣はどのように思いますか。
  45. 竹下登

    竹下国務大臣 いま御意見の中にございましたように、言ってみれば、地方交付税法の第六条の三の第二項でございますか、正確に書かれておる点が一つの哲理として存在しているということは、私どもも十分理解をしております。そして、五十三年度の附則の第八条の三というようなものが、いわば二分の一負担のルールの法定化、こういう歴史的経過をたどっておるわけでありますが、地方自治というものがとにかく重要であるということの認識は、十分持っておるわけであります。  そこで、そういう一つの哲理の上に立ちながらも、やはり予算というものは国の施策に対する総合調整というものであろうかと思うのであります。ある意味においては富の再配分とでも言われるものではなかろうかと思うのであります。したがって、これを俗によく言われます言葉の聖域ということで論ずることは、他との予算の関係上もむずかしい問題であろう。しかし、地方自治のよって立つところの哲学というものは十分認識の上に立って、言ってみれば、今後の予算に対するそれぞれの守備範囲というようなものに対して、双方が、大蔵、自治両省がその調整の段階において真剣な議論を繰り返しながら合意に達し、国会の御審議をいただくに至っていくであろうという原則だけは、十分に踏まえておるつもりであります。
  46. 草野威

    ○草野委員 この利子の問題で具体的にお尋ねします。  今回のこの地方負担の利子三千四百四十六億円、これの借り入れに伴ういわゆる孫利子については、五十八年度は国の一般会計で負担する、このようになっているわけでございますが、五十九年度以降の問題についてですが、これはまだ決定をされていないと思いますけれども、五十九年度以降についてもこの孫利子につきましては国で負担すべきである、このように考えるものでございますが、この点はいかがでしょうか。
  47. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 いま委員お話しの孫利子の問題につきましては、五十九年度以降につきましてはまだ何も決めてないわけでございます。この問題は、孫利子という前にそもそも子供の利子というのか、もとの利子がございますので、その辺の問題も先ほど来本委員会で御議論がございますように、今後五十九年度以降いろいろな角度から検討していこうということになっておりますので、孫利子の問題についても同じようなことになるというわけでございます。
  48. 草野威

    ○草野委員 では質問を変えまして、今度はサラ金の問題で一、二お伺いをしたいと思います。  現在社会問題になっているわけでございますけれども、参院で成立をいたしまして、このサラ金法案、近く成立の運び、このようなことが言われているわけでございますが、制限利息の七三%の引き下げ、これが現在の業者の平均利息六〇%とか四〇%とか言われておりますけれども、それを超える高率の問題また、返還請求権が認められないという問題等々いろいろあると思います。  しかし、この委員会で議論する問題ではないと思いますので、このサラ金問題に伴っていろいろな悲惨な事件が起きております。けさのニュースにおきましても、息子が六千五百万円サラ金から借金をして、父親がそれを刺し殺した、こういうような悲惨な事件も報道されておりました。このサラ金に伴う悲惨な事件の実態、またその事件を生む原因こういうものにつきまして警察庁にお尋ねをしたいと思います。  また、サラ金規制法案が成立した、こういうように仮定をいたしまして、この法案が成立をいたしますと、これらのいろいろな問題に対しましてどのように対処できるようになるのか、この二点についてお尋ねをしたいと思います。
  49. 大堀太千男

    ○大堀政府委員 サラ金をめぐりますいろいろな事件でございますが、その原因はいろいろな要素があろうかと思います。一つには、貸し金を取り立てることに絡みまして、その過程でいろいろな違法行為が行われるといった問題、もう一つは、借金を抱えて生活苦といいますか借金苦からいろいろと、たとえば自殺をする、家出をする、あるいは中には強盗事件を起こすといったようなことがあろうかと思います。  警察といたしましても、御指摘のようなこういった事案に対しましては重大な関心を持っておるところでありまして、原因の一つともなります高金利の取り立てに伴う恐喝事案といったような悪質な事案を重点的に年間を通じて取り締まりをしておりますし、また特に、年一回は金融事犯取り締まり強化月間というものを設けまして、集中的な取り締まりをしておるところでございます。  昨年、出資法違反で七百二十一件、八百三十二人を検挙いたしました。このうち、高金利事犯の検挙は三百七十六件でございます。また、無届け貸金業につきましては二百十五件でございます。こういった高金利事犯の検挙件数は、昭和五十一年をピークに減少傾向にございますが、中身的にはまだ依然として悪質な事犯もございますので、今後とも適確な取り締まりを推進していく所存でございます。
  50. 草野威

    ○草野委員 最近のある新聞に、こういう問題で見出しが出ているのですね。「サラ金太らす銀行融資 子会社をダミーに 業界大手へ二千億円」、こういうような見出しが出ておるわけでございます。  大蔵省からいただいた銀行のいわゆるサラ金業者に対する貸し出しの実績を見てみますと、全国銀行が百八十九億円、相互銀行が九百十六億円、合計千百五億円、これは五十七年三月末の状況でございます。いただいた資料によりますと、五十五年から五十七年までこの三年間を見てみますと、四百六億円、四百九十五億円、千二百三十九億円と、特に昨年になってから金額が物すごくふえておるわけですね。  いまの新聞のこの見出しもありますように、いわゆる業界大手四社と言われておりますけれども、そこに対してだけでも二千億円の融資を行っておる、こういうようなことが言われているわけでございますが、まずこの問題につきまして、銀行等金融機関のサラ金に対しましての融資の現状といいますか、これはどのようになっておりますか。
  51. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 銀行等からサラ金専業者に対します融資の実績は、いま委員が御指摘のとおりでございまして、去年の三月でございますが、銀行だけで千百億円、信用金庫が百十五億円、そのほか保険会社が二十億円ほど出ておりまして、合計で千二百億円ほど融資されております。
  52. 草野威

    ○草野委員 いま私が伺ったのは、新聞見出しに、最近大手四社に対して二千億円の銀行融資が行われておる、これは事実かどうか、こういうことを伺っておるのです。
  53. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 的確な事情聴取はまだいたしておりませんが、銀行だけにつきましては九月末の数字が出ておりまして、千八百億円ほど融資が行われております。
  54. 草野威

    ○草野委員 時間が参りましたので、これで質問をやめますけれども、いまの答弁でございますと千八百億円ということで、大体事実関係を認めておられるようでございますが、やはりこういうサラ金業者に対する過剰な貸し付けは、非常に問題があると思うのですね。  五十三年の三月に大蔵省は、サラ金業者への融資は自粛するよう、このような意味の通達を銀行とか金融機関に出しておるわけですね。にもかかわらず、逆に毎年毎年融資額がふえていっている。こういう問題を野放しにしていくと、ますます悲惨な事件というものが出てくるのではないか。銀行は最近、非常にだぶついた資金をサラ金業者にどんどん貸し付けをしている、過剰な貸し付けをしている、そしてサラ金業者もまた、たとえばいまから五年くらい前ですと、一口の平均貸付金額が五万か十万だった、それが現在では三十万から五十万にもはね上がっている、しかも、相当無理な貸し付けもしている、こういうような事態が起きているわけですね。  したがって、こういうような銀行等の金融機関のサラ金業者に対する融資というものを野放しにしておいてもいいのかどうか、ここら辺で何か大蔵省としても策を講じなければならないのではないか、こういう問題について大臣の御見解を承って、終わりにしたいと思います。
  55. 竹下登

    竹下国務大臣 いまのような問題があればこそ、各党が御協議をいただいて、数年という時間はかかりましたけれども、ベストなものではないが、ベターなものとしての議員立法が衆議院を通り参議院へ参って、参議院を通りましたものの、期日等の修正がございますのでいま本院に回付されておる、こういう状態であろうかと思うのであります。  元来、金融機関の公共的性格にかんがみまして、社会的信頼を損なうことがないよう、いま御指摘のありました五十三年の通達をも含めて監督指導をしていかなければならない面でございます。いわばわが国の銀行法というのは、金融関係諸法すべてがそうでございますけれども、確かに、預金者保護、投資家保護、被保険者保護という立法精神からいうと、世界の中で大変よくできておる法律体系であると私は思っております。しかしそこに、いわば銀行経営の健全性というところから、消費者金融に対するニーズが強いにもかかわらず、それに個々になかなか対応のできない問題もある意味においてあるのではないか。したがって、もっともっと金融機関の窓口自体においてそうした消費者金融個人向け金融の貸し出しが行われるようなやり方を考えなければならぬし、いま一つは、いわば卸売的に消費者金融専業者に対して貸し出しを行うということも、やはり否定はできないことではないかというふうにも思うわけでございます。  したがって、この議員立法が成立いたしましたら、いまのような御意見を体しながら、大蔵省で、政令、省令、そしてもろもろの指導方針というようなものを、じんぜん日を置くことなく真剣に検討してこれに対応して、そして、いまの御議論や世論の動向等をも踏まえて、一歩前進したなというような認識をされるような手当てを講じなければならぬというので、通りましたならば直ちにそれらの諸準備にかかりたいというふうな対応の仕方でおるわけであります。
  56. 草野威

    ○草野委員 以上で終わります。
  57. 田村良平

    田村委員長 部谷孝之君。
  58. 部谷孝之

    部谷委員 交付税法の改正に対する具体的な質疑に入ります前に、二、三お尋ねしたいことがあります。  その一つは、行革特例法に関する問題であります。  国は、赤字国債体質の脱却の目標年次を五十九年度といたしまして、その間において地方団体に対しましても、財政措置に対してさまざまな抑制措置を講じておるわけであります。特に、行革特例法に基づきまして、後進地域あるいは新産・工特あるいは産炭地域等のかさ上げ補助に対する六分の一カット、こうした特例措置を、五十九年度赤字国債体質脱却という国の財政方針に基づきまして、五十七年度から五十九年度までの特例として講じられたものであります。ところが、いまや五十九年度脱却という方針は崩れ去ったわけであります。  現在、大蔵省では財政の中期計画を検討中と伺っておるわけでありますが、いずれにいたしましても財政再建の期間は五十九年度以降に延ばされたわけでありますが、五十九年度までの地域特例措置につきましてどう対応するのか、五十九年度以降もこれらを継続することになるのか、あるいは特例は五十九年度で打ち切りとされるのか、その点、いかがでしょうか。
  59. 竹下登

    竹下国務大臣 いま部谷委員御指摘のとおり、特定地域に係るかさ上げ補助等の引き下げの対象法律十七本を一遍にやってもらいました。御賛同いただいたわけでございますが、これはおっしゃるとおり、五十九年というのは、言ってみれば、赤字国債脱却の目標年次として国会を通じ国民にも示しておったその根拠が五十九年、こういうことになっておることも、私は御指摘のとおりだと思うのであります。  したがって、いま五十九年をギブアップした、そうなれば、今後の扱いということについては、常識的に考えれば、この扱いは少なくとも新たなる目標が設定されるまでは続くのじゃなかろうかということも一つの考え方であろうと思いますが、一方、行財政全体の見直しをやれという御意見も臨調、財政審等からもいただいておりますので、そのままどうするというお答えをするわけにはまいりませんが、確かに五十九年、このままにしておけばそれ以降は原則に復するということになりますので、その後の取り扱いにつきましては、財政事情等を踏まえながら、国会での御議論等をいただきながら、若干まだ時間もございますので、検討をしていくべき課題であるというふうな認識をしております。
  60. 部谷孝之

    部谷委員 私は、やはり約束は五十九年度まででありますから、ひとつここで打ち切っていただくことが至当ではないかというふうに思うわけであります。  ちなみに、経済審議会が四月の二十二日に発表したところによりますと、経済八カ年計画の中ではこの新しい計画を六十五年度というふうに設定しておるわけであります。また一方、大蔵省の一月の国の中期財政試算では、六十一年度六十三年度、六十五年度というふうに三つの案を示しておるようであります。  新聞記事によりますと、谷村経済企画庁総合計画局長は、「経済計画の中には、計画期間内に財政がどのような姿になっていくかを盛り込まないというわけにはいかない」、こういうふうに述べておりまして、しかし、計画対象が八年になったということが「ただちに財政再建も六十五年度までに終わるということではない」というふうにつけ加えて、新聞でそういうふうに述べておることが記事になっておるわけであります。財政再建の進め方や経済計画への盛り込みについては今後ともさらに大蔵省との間で意見調整をやる、こういうふうにも言っておるわけでありますが、これらのかかわりについて大蔵省はどのようにお考えでありましようか。
  61. 竹下登

    竹下国務大臣 経過的に申し上げますと、言ってみれば経済五カ年計画というような感じが前内閣以来ございました。それが、新しい内閣になりまして、もう少しダイナミックに対応できるようないわば中期展望というようなことで、いま少し中長期に御審議いただいたらどうだ、こういうことで経済審議会へ改めてお諮りをいたしたわけであります。  そうなりますと、いまの委員の御説のように、財政の中期展望、なかんずくその中における赤字国債からの脱却年度というようなものが、全く整合性のないものではなかろうと私も思っております。経済運営の中に果たす財政の役割りというものがそれなりに大きな比重として存在するわけでございますから、したがってその辺をいま少し議論を詰めてみなければならぬと思っておるところでございますが、確かに中期試算はある種の一定の過程を終えて七、五、三というようなものを審議の手がかりとしてお出しいただいたわけでございますので、もう少しやはり念査したものをいずれ五十九年度予算の御審議をいただくときには出さなければならぬなということを念頭に置きながら作業を進めておりますが、財政制度審議会等で御議論いただく問題と経済審議会で御議論いただく問題が全く違った土台で進められるべき問題ではない、そこに整合性を持ちながら財政運営の基本的考え方も取りまとめて、国会等で御審議の手がかりとして提出すべき課題として努力を続けなければならぬというふうに理解をしておるところであります。
  62. 部谷孝之

    部谷委員 次に、きょう開かれました政府の税調に関する点であります。  政府税調でもってきょう総会が開かれ、減税問題の審議がされておるわけであります。政府税調は秋以降に開催されるというのが通例となっておるのですが、特に早期に、つまりこの時期に開催されたという理由は何なのか、お答えをいただきたいと思います。
  63. 竹下登

    竹下国務大臣 御説のように、税制調査会は広く国税地方税のあり方についてということで三年に一度諮問を申し上げるわけであります。そこで、通例の場合、通常国会が終了してそれから念査しておおむね秋、こういうことになるわけであります。したがって、今度の場合は、急いでみてもやはり国会終了までは待つべきかなというふうにも考えました。ところが、各党合意の中で、自由民主党の国対委員長から私に対して、幹事長と一緒にお呼びになりまして、やはり今日時点まで議論された問題も与野党合意という大きな政治的背景があるからいち早く報告だけして、それで御審議の場にのせるべきだ、こういう要請と申しましょうか、御命令とでも申しましょうか、ございましたので、それはなるほどなと考えまして、政府税調でございますから、大蔵省が判断するだけではいけませんので、内閣官房の方へも御連絡申し上げまして、税調の方の御都合のつく最も早い機会にということを先週の初め御指示をいただきましたので、諸般の事情を考慮してきょう開くに至った、こういう経過でございます。
  64. 部谷孝之

    部谷委員 結局、与野党の合意並びに議長の見解これを尊重し、さらに、減税財源について早急にこれらの検討をしなければならないという、そういう事情の中で通常よりも早く開かれる、そういう御答弁のとおりだと思うのですけれども、それでは、減税問題の検討のスケジュールというものはどのようになっておるのでしょうか。また、結論はいつごろ出されるのでしょうか。
  65. 竹下登

    竹下国務大臣 やはりきょうどういう御結論になりますか、いまも御審議いただいておるのじゃないかと思います。部会とか小委員会をおつくりになりますでしょうかどうでしょうか、これも予測するわけにはまいりませんが、したがって、私どもは、あらゆる予見を持たないで国会で議論をしていただいたものを全部念査して御提出申し上げて議論の場にのっけていただく、こういうスタンスで臨むわけでございます。  したがって、一般論として申し上げますならば、五十八年度税収の土台となります五十七年度税収確定するのはおおむね七月ということになれば、本格論議の一つの時期を画する時期がその辺にあるのではないかなという感じはしております、それまでどういう御勉強をいただくかは、にわかには判断できないわけでございますが。  そして、もう一つ気を使っておりますのは、三年の任期がこの十一月に参ります。したがいまして、やはり中間報告という形になるのでございましょうか、そういう点につきましては、一つのめどをそこに置かなければならぬではないかな、いろいろな具体的なことに対する御結論とでも申しましょうか、御見解をいただくに当たっては。  そこで、それの審議の過程において私からお願いしておりますのは、せっかく減税委員会等で御議論をいただいた経過がございますので、言ってみれば政府責任でやります。が、御議論をいただくいわば窓口とでも申しましょうか、そういうところはいかがなものでしょうか、こういうことを逆にお願いをしておる、それを承りながら税調へその都度報告していくというような形をとったら、より国会の政治的判断というものが円滑に審議の場にのっけていただける一つの手法ではないかなと考えておるところであります。
  66. 部谷孝之

    部谷委員 これも記事でありますけれども大蔵省方針といたしまして、「政府税調への諮問スケジュールも含め所得税制改革の基本方向の検討を開始したが、①五十三年度から五年連続据え置かれている課税最定限の引き上げ②中年サラリーマンの所得税率引き下げなど税率構造見直し申告所得税への記帳義務の導入④地方税を含めた限界税率の引き下げ⑤給与所得控除のあり方――などで、徹底した税調論議を求める方針である。」こういうふうに書いてあるのですが、端的に言ってそういうことですか。
  67. 竹下登

    竹下国務大臣 いま部谷委員朗読になりました点は、実はいままでの税調の中でも検討すべき課題として載っておるわけでございます。中堅階級という言葉はございませんが、税率構造の見直しとかいう言葉において。したがって、いまのような議論があったらそのままトタで税調へ持っていくという考え方に立ちますので、予見をしてはならぬという立場はとっておりますが、そのようなことも本格改正でございますので、御議論の対象に当然なり得る問題ではなかろうかというふうに私の方は見ておるところでございます。
  68. 部谷孝之

    部谷委員 さらに、間接税の問題というのはどういうふうなことになるのでしょうか。
  69. 竹下登

    竹下国務大臣 昭和五十四年当時は、たとえば直間比率の見直しという言葉を使いますと、そら一般消費税だ、こういう認識にとられがちであったわけであります。ところがその後、税調におきましても、また臨調におきましても、直間比率の見直しを検討すべきだ、こういう御指摘になっております。その意味においては、勉強する環境は当時とはずいぶん違ったなとは思います。ただ、後からまた議論してみますと、直間比率というのはあらかじめアプリオリに決めるべきものでなく、結果として出るものだから、言葉としては税体系の見直しというのが適切じゃないかというふうなことで、一番新しい税調の答申にはそういう言葉になっております。したがって、あらゆる予見を持たないで御議論をいただくわけでございますから、国会でも直間比率の問題はずいぶん議論されましたので、やはり御議論の対象に上り得ることではなかろうかというふうに考えております。
  70. 部谷孝之

    部谷委員 先ほど大臣からも御答弁がございましたように、特に急いだ一番大きな原因がやはり与野党の合意であり、議長の見解である、そういうふうなところであるということになりますと、やはり五十八年中の減税というものは喫緊な問題である。そうした幅広い問題の中で同じような形で審議が進められるということに相なりますと、私は、そうした減税問題も時期がおくれてしまう、そういうおそれを感ずるわけでありまして、特に減税問題というものはきわめて政治的な問題でありますので、全面的に政府税調に任せるということでなしに、もう少し政府の主導型といいますか、そうした形で進めなければ、そうした政治的な解決にならないというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
  71. 竹下登

    竹下国務大臣 いま御指摘になりました衆議院議長見解等に基づきまして、衆議院予算委員会の官房長官発言というのがございます。エッセンスだけ述べますと、「国民世論の動向にこたえ、景気浮揚に役立つ相当規模の減税を実施するための財源を確保し、所得税及び住民税の減税についての法律案を、五十八年中に国会に提出するとの確約があったことは承知をいたしております。政府としても、これを尊重いたします。」こう言っておるわけでございます。したがいまして、じんぜん日を費やすというわけにはまいらないと思っておるところでございます。  ただ、昨年の減税委員会と違いますのは、とにかく政府責任でやれとおっしゃっているわけでございますから、それはそれなりに受けとめなければいかぬ。ということになりますと、やはり手続上政府税調というものが権威ある存在としてそこに存在しておる。したがって、それの運営に関しましては、きょうもまさに念査したものを正確に御報告申し上げたわけでございますので、たとえばきょうの論議もまた念査してそのまま持っていくという形の中で、私は政府税調というものは十分機能していただけるものじゃないかというふうに考えております。  ただ、政府税調の今日までのあり方からして、予見を持って、こういうふうにリードしてくださいとか言うべきものではない。しかし、良識ある権威ある皆さん方でございますから、もろもろの議論を正確に伝達することによって御趣旨のような考え方が生きる方向で運営されていくではなかろうかという大いなる期待を持っておるということであります。
  72. 部谷孝之

    部谷委員 地方交付税法関係に入ります。  地方交付税が国と地方の事務分担と経費の負担区分に見合う国と地方の税源配分の一環として設けられておるものであって、地方団体共通の固有財源であるというふうに私たちは考えております。この問題に関しまして、先ほどから細谷委員の御質疑等々でいろいろ議論が重ねられてきたわけでありますが、実は、私もおととし、当時の安孫子自治大臣渡辺大蔵大臣とに対しまして同じような質疑をしたことがあります。そのときに安孫子自治大臣は、   地方交付税は先ほども申し上げましたとおりに、地方団体の財源調整とかその他いろいろな事情を考えましての国の一定の税源配分だ、こういう認識に立っているわけです。したがいまして、言葉はいろいろ解釈もあろうと思いますが、地方の固有の財源である、自治省としては従来そういう主張をしてきているわけです。 先ほど大蔵大臣もそれについて賛意を表された御答弁であったと私は思います。さらに安孫子さんは、   よけいなことを申し上げますけれども大蔵省は必ずしもこの見解に同調しているものではありません。これは長い間の論争の種になっているわけでございます。しかし現実の問題といたしましては、十分自治省の立場をも考え、理論は理論といたしまして調整をとりながら、今日まで地方交付税の問題は扱ってきておるというのが実情でございます。考え方といたしましては、若干食い違いがあることは事実でございます。 こういうふうに答えておられるわけです。  そこで私は、今度は当時の渡辺大蔵大臣に対しまして、当時の福田大蔵大臣は、数回にわたって、いま申したように固有の財源であるということを明らかにしておるわけで、そのことと事務当局の考えが違うということがあれば、これはまた問題であるというふうな質疑をいたしました。それに対して当時の渡辺大蔵大臣は、   法律論争というよりも、福田さんも政治家ですから、政治的発言というのもあるんですよ。法律論争は法律論争で、現実の問題としてそれが続いてきているわけですから、それが自治体にとってはなくてはならない財源であることは間違いないんだし、余り不安定なものでも困るわけです。だから、長い歴史の積み重ねによって結果的に自治体としては固有の財源というふうに思っても、そのこと自体を私は間違っていると言っているわけじゃないということを言っているわけですよ。   ですから、結果的に物を見ているのか、沿革的に物を見ているのか、いろいろ違いはあるわけです。大蔵大臣になりますと、いろいろなことで厚生大臣とも違いがありますし文部大臣とも違いがありますし、予算の問題や何かでいったらみんな少しずつ違いがあるわけです。しかし、それはとことん詰めてみたって、お互い政治家の立場で、結果的に帰納していけばまるっきり違った話じゃないのですから。ですから、細かい法律論争をどこまでもここでやろうという考えは持っていないのです。 こういうふうに実は当時の渡辺さんがお答えになったわけであります。  この当時の自治大臣大蔵大臣とのやりとりについて、大蔵大臣、ひとつ御見解をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  73. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、今日まで歴史的経緯の中できちんとしておりますのは福田大蔵大臣発言、こういうものだと私も理解をしております。そこで、強いていま安孫子先生と渡辺大臣との論争、やりとりを言えば、ポイントは、最終的にいわば国が地方にかわって徴収した税であるという間接課徴の地方税という見方と、あくまでもそれは交付金であるという見方、それだけのところではないかなと思っております。したがって、一つの流れの中に哲理として申し上げることは、国税三税の一定割合が法律によって地方団体に当然帰属する地方の権利のある財源であるという意味において、まさに地方の固有財源であるということは差し支えないと私は考えております。  そこのところの法律論争というものは、同床異夢とかいう言葉もございましょうが、その問題は別として、国の財政と地方の財政というのは、言ってみれば公経済の車の両輪であるという物の考え方に立って、適切かつ円滑にこれが運営されていくものならば、基本的に地方の固有の財源であるという認識の上に立っておれば、それで行政運営上、車の両輪はつつがなく回っていくべきものではなかろうかという理解の仕方を私はいたしております。
  74. 部谷孝之

    部谷委員 そこで、地方交付税地方共通の固有の財源である、こういうことであるならば、これを明確にするために、国の一般会計を通すことなく、国税収納金整理資金から直接交付税特会に繰り入れるという措置を講ずべきではないか、こういうふうに思うわけです。いま一緒に審議をいたしております交通安全対策特別交付金、これは今年度から交付税の基準財政収入額に算入をされるわけでありますが、それに伴いまして、いわば地方共通の固有財源である、こういう性格がより明確にされたわけであります。そのために、従来と異なって国税収納金整理資金から直接繰り入れられることになったわけですが、これと同様の取り扱いをやっていくことによって固有の財源であるということを明確にすることができる、こういうふうに思うのですが、大蔵大臣、御見解はいかがでしょうか。
  75. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 地方交付税を直接に特会に繰り入れるという措置についてでございますけれども、現行の制度昭和二十九年度地方交付税制度創設以来とってきている制度でございますし、それから、御存じのように昭和二十五年以来の平衡交付金制度のもとにおいてもこういう仕組みでやってきておるわけでございます。そういう大変歴史のある仕組みでございます。そういう意味で、この仕組みそのものは、国の予算制度あるいは会計制度の上でも非常に大きないろいろな意味での影響を持っている制度でございます。したがいまして、これを変えるということもまた大変な問題がいろいろあるのではないか、そのように考えるわけでございます。  具体的に申し上げますと、現行の方式というのは、たとえば歳入面では、税制の根幹をなす所得税あるいは法人税といったものの負担状況を、二つに分けてしまいますと一覧して見れないわけでございますし、あるいは歳出面でも同様の問題もあるわけでございます。また、あるいは実際に収納したものを払っていくということになると、交付時期の問題につきましてもいまと非常に違ってくる可能性もございますし、いろいろ考えますと、やはり従来の仕組みでいくのがいいのではないか、そのように考えております。
  76. 部谷孝之

    部谷委員 従来の仕組みに固執されるのでしたら、私は交付税率三二%はとっくに変えてもらっていなければならぬと思うのですね。三二%の問題に戻りますけれども、二十九年に二二%、三十年も引き続き、それから五年たった三十五年が二八・五%、四十年が二九・五%、さらに四十一年が三二%、それから今日までずっと三二%という状態が続いておるわけであります。過ちと言ったらどうもぐあいが悪いけれども、過ちを改むるにはばかることなかれという言葉がありますけれども、実情に合わないそういう問題が出てくるならば、改めていくことが適当ではないか、私はこういうふうに思うわけであります。  質疑時間が参ったようでありますので、最後に税源配分につきまして、国と地方の税源の配分が国に偏っておるということはしばしば指摘されておるところであります。地方の税源が三四%というのは余りにも貧弱、これでは地方自治の本旨に基づく安定的な行政運営は期待できないと思います。自治大臣も、国と地方の税源配分も含めて、財政調整は緊急の課題であるというふうに述べておられるわけでありますが、国の財政も確かに大変であることは理解できますけれども、しかし、国、地方を合わせ、中期的な視点に立って大蔵大臣もこの問題について真剣に取り組んでいただかなければならない、こういうふうに思うわけであります。  自治大臣と協力してこの問題の解決に取り組まれるように強く期待するわけでありますが、最後にひとつ大蔵大臣の御見解をいただきたいと思います。
  77. 竹下登

    竹下国務大臣 とにかく現行の税源配分、この問題については長期的視点に立って自治大臣と協力して検討すべきであるという基本的な考え方、それはそれなりにちょうだいできると思っております。  一方、どういう問題があるかと申しますと、言ってみれば、公経済があるいは財政がとでも申しましょうか、国民経済の中に関与しておる分野をいろいろ考えてみますと、かつては個人なり企業なりで負担すべきものが地方の負担の中に入り込んできている、あるいはこれはまさに国固有の分野であり、これは自治体固有の分野であるというものの中にもそれぞれ入り込んだ問題というのも今日来ておるのじゃないか。したがって、そこに分野調整のようなことを抜本的に検討すべきだというのが、一方臨調とか財政審とかいうところの提言の中に存在しておるわけであります。これも確かに私どもとしては検討しなければならぬ課題であると思っております。  そこで、もう一つの問題というのは、たとえば私の島根県でございますと、国税還付倍率が恐らく四五〇ぐらいでございましょうし、東京都は恐らく一〇以下でございましょう。言ってみれば、低開発と言うとちょっと語弊がありますが、開発途上県とでも申しましょうか、そういうところといわば税源の偏在が著しくて、税収に大変な偏りを生じてはいけないという問題がやはり財源調整制度の活用ということに結びつきますので、その問題も一つ存在しておるということになりますと、交付税地方譲与税、また国庫支出金のあり方、さらには先ほど申しました国と地方との分野調整、そういうことを総合的に勘案して慎重に検討しなければならない環境にもあるのじゃないかという考え方も、つけ加えて申し述べる機会をお与えをいただきましたことを感謝をいたします。
  78. 部谷孝之

    部谷委員 ありがとうございました。終わります。
  79. 田村良平

    田村委員長 三谷秀治君。
  80. 三谷秀治

    ○三谷委員 地方財政対策について二、三点お尋ねしますが、一つは、今回の地方財政対策については、従来と違った措置が幾つかとられました。この大きく変更された点としては、利差臨特、財対臨特を借入金によって措置することにしたこと、そしていま一つは、交付税特会において借り入れました資金の利子負担について地方が二分の一を負担すること、これが大きな変更点だと思いますが、これはそのとおりでしょうか。
  81. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今回の変更点の中の主要なものに入るかと思います。
  82. 三谷秀治

    ○三谷委員 国税三税の減収に伴う交付税減額分については、従来は政府臨特で補てんしてきました。今回はそれはどのようになってくるのでしょうか。
  83. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 その問題につきましては、先ほど来御議論がございましたように、今回は全体の地方財政の財源不足の中で、全体的な地方財政の姿の中で財源措置をしているというふうになっております。
  84. 三谷秀治

    ○三谷委員 つまり、これも借入金で措置をするということなんでしょうか。そうして、その借入金の元利の二分の一も地方が負担をすべきだ、こういうことなんでしょうか。
  85. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 これにつきましては、全体の地方財源不足措置の中で、交付税措置とそれから地方債による措置とがございます。その交付税措置の中で見ている、こういうことでございます。
  86. 三谷秀治

    ○三谷委員 つまり、具体的にはどうなるわけですか。
  87. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 具体的には、交付税措置の中には、一つがいわゆる千百三十五億円の臨特の繰り上げでお返しするというのがございますし、あと借入金によりまして見ている分もございます。そのほか、金額は細かい金額になりますが、臨時の交付金といたしまして合計して二十億円という金額もございます。
  88. 三谷秀治

    ○三谷委員 つまり、従来臨特で補てんしたものを今回はしない、そして借入金の中に含めて措置される、その借入金については元利償還の二分の一は地方が持つ、恐らくそういう発想のものだと理解しておりますが、違うのでしょうか。
  89. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 全体の財源措置の中には、いま委員のおっしゃったものも入っております。
  90. 三谷秀治

    ○三谷委員 こういう措置は異常な措置です。さっきあなたは、交付税制度というものは二十九年以来の歴史を持つ定式的なものだから、簡単には変えられないとおっしゃったけれども、これを見ますと、交付税をめぐる財政措置の内容というものが非常に急速に変えられつつあるということを感じるわけですが、その点はどうなんでしょうか。
  91. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 地方財政に対するいわゆる財源措置につきましては、御存じのように過去にいろいろのやり方がございます。たまたま五十七年度におきましては、景気の状況、それから地方税収の好調等が見込まれて、当初予算におきましては財源不足額がないということも予想されたわけでございますけれども、五十七年度補正予算においてはやはり財源不足額が出たというようなことで措置をとった、続きまして五十八年度もかなりの財源不足額が見込まれるのでとったということで、ここのところ急激にいろいろの問題が起っているということではないのではないかというふうに考えております。
  92. 三谷秀治

    ○三谷委員 交付税制度といいますのは、御承知のように基準財政需要と基準財政収入の乖離を国が交付税で補てんするという制度のものでありましたが、その場合、財源が不足した場合には特会から借り入れをする。借り入れした分は、元本利子もすべて国がこれを償還するという制度でありましたが、それを元金の二分の一負担、今度は利子の二分の一負担、そして最近の報道によりますと、二分の一どころか全額地方が負担をすべきだというふうな方向を志向されておるということがうかがえるわけでありますが、私はこれは重大な交付税制度の変更であると思うわけでありますから、あなたがそう急激な変化はしていないとおっしゃいますが、それはちょっとちょうだいできません。  そこで、こういうふうな処置がとられましたのは、地方財政関係費の抑制といういわゆる臨調の答申を五十八年度において具体化したものである、こういうことを意味するのでしょうか。
  93. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 地方財政の問題をいろいろ予算上検討いたします際には、当然臨調の答申もわれわれ念頭に置いてやっておるところでございます。
  94. 三谷秀治

    ○三谷委員 私は、臨調の答申がどのような理解をされて、どのような手法でそれを実現されるかということについては、これは大蔵の選択によることでしょうが、こういうふうな大幅な交付税法律というものがなし崩しに食い荒らされてしまうというような状況、こういうことが無条件で連続して行われていいだろうかという疑問を絶えず持つわけでありますが、一体その制度をそのように改悪していく理論的な根拠はどういうことか、これを私はお聞きしたいと思うのです。  やはり法律というものが一定の理論を根拠にしてでき上がってきている。交付税には交付税の理論があるわけでありますが、それがなぜこのように変えられていくのか。国の財政事情が大変苦しいからと、こうおっしゃるのが普通ですが、しかし、財政事情というのは政策選択と関連するものであって、たとえば軍事費が国民生活を圧迫するようなそういう政策選択をしておいて、それで財政が困難だというのでは、これは国民は納得できるものではないわけであります。  ですから、私は、この交付税制度といいますのは、これはそのときどきの政府政策選択以前の問題、要するに地方自治、地方財政の根幹の問題でありますから、それは政策選択以前の憲法条項であるという考え方を持っております。ですから、これは主権在民だとかあるいは戦争放棄だとか恒久平和というふうな憲法の重要な責務と等しいものであって、地方自治というものは憲法によって保障されたものであるという考え方でありますから、その意味から申しますと、地方財政を保障することは国家的な責務であるということになってくるわけであります。ところが、さっき言いましたように、あしたに一城、夕べに一塞というぐあいに地方財政制度というのが一つ一つ食いちぎられて、そしてその原則が侵害されつつある。  私は、大蔵の地方自治に対する理念がわかっていない、どういう理念で地方自治というふうなものを見ていらっしゃるのか、そしてどういう理論的根拠でこのような処置をおとりになるのか、これをお聞きしたいと思うのです。
  95. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 いわゆる政府を構成しますものに中央政府地方政府があるわけでございますが、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、国の政府地方政府はいわゆる車の両輪のようなものでございまして、これが両々相まってうまく動くということが、全体としての効率化あるいは福祉その他の面での効果となって出てくるというふうに考えております。したがって、国だけがあるいは地方だけがというような考え方ではなくて、その辺を双方十分見ながら財政問題を考えていくべきではないかというふうに思うわけでございます。
  96. 三谷秀治

    ○三谷委員 私は、いま地方政府と国の政府とおっしゃったが、これまたまことに奇態な発言だと思う。私は、日本という国は中央集権国家であって、国の政府地方政府とそれは類別されて存在するものじゃない、地方は自治体であって、それは国の中央集権下における一定の自治政府であるというふうに考えておりますから。しかし、地方政府というふうなものがあるとしますと、ますますこれは国の政府が横暴をきわめ、今日このような財政の扱いというものは、決して地方政府の独自性を尊重したというふうなものとは言えないわけだ。  ですから、その点からいっても、あなたのお答えは大変私は納得しがたいが、そう時間がありませんからゆっくりしたお話はできませんけれども地方財政における財源不足の状態というものは、昭和五十年度二兆二千億円から始まりまして、少ない年度で一兆円、多い年度で四兆一千億円というように、連続して不足額が出ております。五十八年度で九年連続という事態になっておるわけであります。そして、財源不足に対する政府の解決策というものは、まず法定されている地方交付税率の引き上げに取り組むのではなしに、交付税特会における借入金と地方債の増発要するに地方への借金の押しつけを続けて問題の解決を先送りしてこられた。  五十八年度も同様でありまして、二兆九千九百億円の財源不足のうちで、主として交付税特会借り入れによる交付税増額が一兆六千六百五十四億円、地方債の増発が一兆三千二百四十六億円となったのであります。このうち交付税特会の借り入れば、既借入分の利子二分の一負担制度に係ります地方負担分三千四百四十六億円を含めると一兆八千九百五十六億円となります。その結果本年度末の交付税特会借入残高は、十一兆五千二百十八億円の巨額に達するわけであります。これは本年度地方財政計画の二四・三%に達するわけであります。  しかもこの借金は、これで終わりかといえば、来年度もまた同様の借金を続けるしか方法がないという状況にあるわけであります。際限のない借金、しかもそれも従来は国が見ておったけれども、これからは地方で処理せよ。しかし、地方には一体どういう償還財源があるのか。そういう償還財源があるのであれば、これほどの地方債の増額やあるいは交付税特会の借り入れは必要はない。ないから借り入れしている。しかし、その借り入れする分の償還は地方がやれ、こうなってきますと、一体地方は何を財源にして償還するのでしょうか。どういう見込みを持っていらっしゃるのですか。
  97. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 いまおっしゃいました十一兆五千億円の借入金がございますが、これにつきましては、約半分の五兆八千億円程度は国が負担する、こういうふうになっております。残りの地方負担分につきましては、今後の、要するに五十九年度以後の地方財政の問題を議論する際に、全体の地方財源の措置の中で考えていくというふうになると思います。
  98. 三谷秀治

    ○三谷委員 そんな部分的なお尋ねしたわけではおまへんがな。おっしゃいますように、十一兆五千二百十八億円のうちには、これは二分の一地方負担、二分の一国が持つという制度上のまだそれが残っているわけですから、五兆何ぼを地方が負担するということは、これはわかりますけれども、しかし、その五兆何ぼにしたって、一体返済する財源がどこから出てくるかということです。それをどうされるつもりかということなんです。  このままでいきますと、財源が全くない。さっき言いましたように、九年間連続して財源が不足しているわけだ。そして繰り返し繰り返し借金をしている、あるいは地方債を増発している。そしてだんだんと、国が従来は負担していらっしゃった償還分、償還財源というものを今度は地方の方が持つべきだ、しかし、その財源は何も与えられていない。与えられていなくて、制度上その負担を地方に転嫁されている。一体地方はその負担をどこでどうして返還するのですか。その財源はどうお考えになっているのか、これをお尋ねしたのです。
  99. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 地方の財源不足の問題につきましては、先ほどお話がございましたように、地方交付税法第六条の三を基本といたしまして、その中で考えていくということでございます。したがいまして、引き続き各地方団体についていわゆる財源不足額が著しいという場合には、ここにございますように、地方財政もしくは地方行政に係る制度の改正または交付税率の引き上げ、率の変更ということで措置していくというふうになっております。
  100. 三谷秀治

    ○三谷委員 確かに法律はそうなっておりますけれども、しかし、その交付税率の引き上げにつきましては、今日まで繰り返しこの委員会でも要望されてきましたけれども、一向にそれは実現をしておりません。そのために、今日までの交付税というものを見ますと、国税三税に占める比率というものを出してみますと、制度上は国税三税の三二%というものが交付税額になっておりますけれども、しかし、昭和五十一年には四二%、五十二年には四〇%、五十三年には四二%、五十四年には四七%、五十五年には三九%。国税三税と比較しますとほぼ四〇%台の交付税というものが、事実上これは交付されておるわけです。だから、その三二%と四二%ないし四〇%の差は借金とかなんとかというもので片をつけてきた。  これほど長い年度にわたりましてこれほどの矛盾が露呈されておりますのに、なぜそれじゃ法律に基づいて交付税率の引き上げをおやりにならないのか。それをいまおやりになるというふうにおっしゃったから、おやりになる意思があるのかどうか、これをお聞きしたい。
  101. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 最初に、先ほど申し上げましたように国も大変危機的な財政状況にあるということでございますので、国と地方との間で、双方財政状況が非常に苦しいという中で相談しながら財政問題を解決していくということではないかと思っているわけでございます。そういう中で地方交付税の問題でございますけれども、国といたしましても大変な税収不足もございますし、財政の状況も非常に苦しいという中で、現段階において交付税率に手をつけるというのは問題ではないかというふうに考えるわけでございます。
  102. 三谷秀治

    ○三谷委員 それだったら、その償還財源はどこからどのようにして出せということですか。どこから金を引っ張り出してこの借金を返していくわけですか。
  103. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 交付税特会の借入金につきましては、今後経済全体の動向がどうなるか、その他もろもろの地方あるいは国の財政制度の仕組みの変化等々いろいろの要素がございまして、そういう中で仮に今後全体の景気の動向がよくなれば税収等も上がってくるということで、全体として財源に余裕が出てくれば、そこから順次返していただくということになるのではないかと思うわけでございます。
  104. 三谷秀治

    ○三谷委員 そんな夢みたいな話で地方財政の問題を考えてもらっては困りますわ。もうさっき申しましたように九年間も財源不足が続きまして、法律によりますと、三年間続けば制度を改革する、こうなっているわけだ。その三倍の年度にわたりまして財源不足が続いておりますのに、いまごろになって、また景気がよくなるとか、それでまた解決なんということをおっしゃっている。これは全くあなた、非科学的なといいますか、考え方が地についておりません。  いま国の財政の問題をおっしゃいましたけれども、国の財政が問題であって行政改革等によって節減していくというのであれば、あらゆる行政分野においてあまねく平等に経費の節減を図るという処置などおとりになればまだしもなんです。ところが、国民生活部門の予算は削る、あるいは地方予算は抑える、そうして一方では、軍事費に類するものにつきましては、これは毎年毎年増額をする、こういう不公正な処置をおとりになっておるわけです。  要するに、それがあなた方の財政の選択、政治の選択の方向に向かっている。そのために財政の危機が生じてくる。だから、財政危機だから仕方がない、これはお互いにがまんする、こうおっしゃいますが、がまんしないところがあるわけだ。みんなががまんするんだったらこれはまだしも考えようがあるわけだけれども、一方におきましては、このような法律のたてまえそのもの、原則そのものを無視するような処置をとりながら、一方では軍事費はふえて、その圧迫で国民生活が非常に行き詰まってしまうというようなことになってきますと、これは全く本末転倒だと私は思うのです。  大臣、そういう点につきましてどうです。
  105. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる地方自治という基本的な観点を踏まえながら、その角度から見た一つの議論であると私も思っております。確かに、交付税特会の借入金は、五十年度以降の地方財政対策に伴いまして、五十八年度においては十一兆五千億円の巨額に達するわけであります。その二分の一以上の約五兆八千三百億円の償還は国の負担として、そして償還時に臨時地方特例交付金として一般会計から交付税特会に計画的に繰り入れる、残りは地方負担ということになるわけであります。  そこで、現行制度、施策をすべて前提に置いて物を考えた場合は、これは交付税総額を確保するための地方交付税の先取りであるということから、将来の地方交付税がその償還財源となる、こういう議論も私は成り立ち得る議論だとは思います。しかしながら、結論的に申し上げますと、まずは国の経済、先ほど来主計局次長が申しましたように、大きくは今後の国の経済税収動向等によるわけです。しかしながら、やはり今日は世界全体の経済の動きの中で、日本だけが幸いにして経済の持つファンダメンタルズは確かに良好でありましょう、物価とか失業率とか成長率とか、そういうことから見れば。しかし、やはり財政の対応力そのものが失われた今日は、国も地方も車の両輪として、これからはともどもに同一の基調に立って行財政の守備範囲というようなものを見直して、歳出の節減合理化というようなものを図っていく、それを車の両輪が、その都度の財政需要に対して協議しながら、その役割りを今日果たしてきておるわけでございます。  したがって、ただ政策選択の問題になりますと、これは三谷委員の方は軍事費というお言葉をお使いになっております。われわれとしては防衛費という言葉を使っておりますが、政策選択の問題については、また議会制民主主義のもとにおけるマジョリティーの問題もあるでありましょうから、その議論は別といたしまして、やはり今後、車の両輪であるものが同じ基調の上に立って、歳出の削減合理化というものに努めながら、一方、国として絶えず考えていかなければならぬのは、毎年度適切な地方財政対策というものが協議の上決まったものについては、それの支障が生じないような措置は国の責任においてやっていく、その基本的な問題だけは踏まえて事に当たらなければならない、そのような基本的な考え方に立つべきであるというふうに考えております。
  106. 三谷秀治

    ○三谷委員 これまた大変広大なお話で、少し具体の問題としてのピントが甘いようでありますが、五十八年度地方財政計画では、公債費を除きましたいわゆる一般歳出の伸び率というものはマイナス〇・一五%、史上初のマイナス計画になっておるわけです。特に国庫補助金を伴います一般行政費は六・五%の大幅な減額になっております。投資的経費の中心になります公共事業費も〇・八%のマイナスであります。臨調答申によりまして補助金を削減した結果が、地方財政計画にこのような結果をもたらしておるわけです。  この補助金の削減などは、国民に対する行政サービス水準の低下という事態を招来することになるわけでありまして、これについては、憲法の二十五条二項にうたわれております「國は、すべての生活部面について、社會福祉、社會保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という規定に触れるものではあるまいか。そういう点はもっと憲法を尊重する観点で、地方行財政の問題についても検討を加えてもらう必要がある、私はそう思うわけですが、この点、大臣はどのようにお考えでしょうか。  それから、時間がないのであわせて質問します。  自治省の償還計画によりますと、十一兆五千億円の残高につきましては、五十九年度におきまして二千五百八十億円償還することになっております。これは五十九年度において借入金ゼロとなった場合の計画であって、五十九年度においても財源不足が生じた場合は、従来と同様借入措置を続けることになるわけでしょうから、この十一兆円の借入残高を減らすことができるだろうかどうかという疑問を私は持つわけですが、この点はどうでしょうか。いたずらに借金を重ねるのでなしに、計画的な地方財政再建が必要であることは、先日の参考人の陳述においても指摘されたところでありますが、このままでいきますと、償還残高が減っていく見込みはほとんどない、これについてはどうお考えなんでしょうか。
  107. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、最初の問題でございますが、憲法第二十五条、すなわち生存権の保障及び国の社会福祉の責任という問題にお触れになったわけであります。これはまさに国民一般に対する概括的な国政上の任務を定めたものであるというふうに認識しております。個々の国民の具体的な権利は、具体的な立法や施策において生ずるものとこれは解されるべきものである。したがって、補助金の整理合理化というような問題いわば削減というような問題は、憲法二十五条と直接関係するものではないというふうな理解の仕方をしておるわけであります。  結局今日まで、高度経済成長の中で、国といわず地方といわず、その公経済のまさに車の両輪たるものがそれなりの役割りを果たしてきた。しかし、この車の両輪それぞれが財政的な対応力を失ってきたと言われる今日でございますだけに、当然のこととして、各種施策の効率化、適正化というようなものに今後努めていかなければならない課題である。ただそこで、三谷委員と私どもと、いわば政策選択の順位とか優先度とかいう問題については、おのずからそこに差異があっても、これは言ってみれば見解の相違と言わざるを得ないところではなかろうかというふうに理解をいたしております。
  108. 石原信雄

    石原政府委員 交付税特会の借入金の返済の年次計画に関連するお尋ねでございますが、先生御指摘のように、私どもが作成しております償還計画は、五十八年度借り入れまでの償還計画でございまして、この計画によれば、昭和六十五年度がピークになって、後はだんだん減っていくということになっております。したがって、五十九年度以降どうなるかということは、この計画では全くカウントされていないわけでございまして、五十九年度以降の状況によっては、当然この償還計画はまた変更を生ずる可能性があるものと理解しております。
  109. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間ですから終わります。
  110. 田村良平

    田村委員長 次回は、明二十六日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十九分散会